平成二十九年東京都議会会議録第十五号

平成二十九年九月二十六日(火曜日)
 出席議員 百二十七名
一番古城まさお君
二番けいの信一君
三番成清梨沙子君
四番鈴木 邦和君
五番おじま紘平君
六番平  慶翔君
七番後藤 なみ君
八番西郷あゆ美君
九番やながせ裕文君
十番大場やすのぶ君
十一番山内れい子君
十二番伊藤しょうこう君
十三番田村 利光君
十四番藤井とものり君
十五番池川 友一君
十六番細田いさむ君
十七番うすい浩一君
十八番小林 健二君
十九番加藤 雅之君
二十番滝田やすひこ君
二十一番藤井あきら君
二十二番奥澤 高広君
二十三番森口つかさ君
二十四番村松 一希君
二十五番内山 真吾君
二十六番森澤 恭子君
二十七番もり  愛君
二十八番菅野 弘一君
二十九番川松真一朗君
三十番小松 大祐君
三十一番柴崎 幹男君
三十二番宮瀬 英治君
三十三番原田あきら君
三十四番斉藤まりこ君
三十五番藤田りょうこ君
三十六番斉藤やすひろ君
三十七番栗林のり子君
三十八番遠藤  守君
三十九番伊藤こういち君
四十番龍円あいり君
四十一番あかねがくぼかよ子君
四十二番保坂まさひろ君
四十三番関野たかなり君
四十四番森村 隆行君
四十五番福島りえこ君
四十六番鳥居こうすけ君
四十七番つじの栄作君
四十八番菅原 直志君
四十九番清水やすこ君
五十番舟坂ちかお君
五十一番清水 孝治君
五十二番三宅 正彦君
五十三番神林  茂君
五十四番西沢けいた君
五十五番いび 匡利君
五十六番原 のり子君
五十七番星見てい子君
五十八番とや英津子君
五十九番大松あきら君
六十番まつば多美子君
六十一番高倉 良生君
六十二番上野 和彦君
六十三番白戸 太朗君
六十四番木下ふみこ君
六十五番増田 一郎君
六十六番入江のぶこ君
六十七番斉藤れいな君
六十八番佐野いくお君
六十九番細谷しょうこ君
七十番おときた駿君
七十一番上田 令子君
七十二番両角みのる君
七十三番ひぐちたかあき君
七十四番高橋 信博君
七十五番中屋 文孝君
七十六番古賀 俊昭君
七十七番宇田川聡史君
七十八番山口  拓君
七十九番河野ゆりえ君
八十番米倉 春奈君
八十一番白石たみお君
八十二番里吉 ゆみ君
八十三番のがみ純子君
八十四番中山 信行君
八十五番谷村 孝彦君
八十六番小磯 善彦君
八十七番藤井  一君
八十八番馬場 信男君
八十九番本橋ひろたか君
九十番田の上いくこ君
九十一番桐山ひとみ君
九十二番たきぐち学君
九十三番米川大二郎君
九十四番石川 良一君
九十五番中山ひろゆき君
九十六番山田ひろし君
九十七番岡本こうき君
九十八番小宮あんり君
九十九番山崎 一輝君
百番吉原  修君
百一番三宅 茂樹君
百二番中村ひろし君
百三番とくとめ道信君
百四番尾崎あや子君
百五番和泉なおみ君
百六番長橋 桂一君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番大津ひろ子君
百十一番栗下 善行君
百十二番木村 基成君
百十三番伊藤 ゆう君
百十四番小山くにひこ君
百十五番荒木ちはる君
百十六番山内  晃君
百十七番増子ひろき君
百十八番石毛しげる君
百十九番尾崎 大介君
百二十番早坂 義弘君
百二十一番鈴木 章浩君
百二十二番秋田 一郎君
百二十三番高島なおき君
百二十四番あぜ上三和子君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番曽根はじめ君
 欠席議員 なし
 出席説明員
知事小池百合子君
副知事安藤 立美君
副知事川澄 俊文君
副知事中西  充君
副知事山本  隆君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務邊見 隆士君
政策企画局長長谷川 明君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
警視総監吉田 尚正君
主税局長目黒 克昭君
生活文化局長塩見 清仁君
オリンピック・パラリンピック準備局長潮田  勉君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長西倉 鉄也君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長猪熊 純子君
消防総監村上 研一君
交通局長山手  斉君
水道局長中嶋 正宏君
下水道局長渡辺志津男君
青少年・治安対策本部長大澤 裕之君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長浜 佳葉子君
人事委員会事務局長松山 英幸君
労働委員会事務局長土渕  裕君
監査事務局長岡崎 義隆君
収用委員会事務局長砥出 欣典君

九月二十六日議事日程第二号
第一 第百三十二号議案
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百三十三号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第三 第百三十四号議案
宅地建物取引業法等関係手数料条例の一部を改正する条例
第四 第百三十五号議案
東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百三十六号議案
通訳案内士法関係手数料条例の一部を改正する条例
第六 第百三十七号議案
旅行業法関係手数料条例の一部を改正する条例
第七 第百三十八号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第八 第百三十九号議案
東京都営空港条例の一部を改正する条例
第九 第百四十号議案
東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百四十一号議案
有明テニスの森公園及び有明コロシアム(二十九)改築及び改修その他工事請負契約
第十一 第百四十二号議案
都立八王子地区第二特別支援学校(仮称)(二十九)新築工事請負契約
第十二 第百四十三号議案
都立光明学園(二十九)西棟新築工事請負契約
第十三 第百四十四号議案
民間社会福祉施設建替促進施設(二十九)新築工事請負契約
第十四 第百四十五号議案
東京都清瀬喜望園・清瀬療護園(二十九)解体工事請負契約
第十五 第百四十六号議案
東京消防庁赤羽消防署庁舎(二十九)改築工事請負契約
第十六 第百四十七号議案
東京消防庁三鷹消防署庁舎(二十九)改築工事請負契約
第十七 第百四十八号議案
有明テニスの森公園及び有明コロシアム(二十九)改築及び改修その他電気設備工事請負契約
第十八 第百四十九号議案
有明テニスの森公園及び有明コロシアム(二十九)改築及び改修その他空調設備工事請負契約
第十九 第百五十号議案
有明テニスの森公園及び有明コロシアム(二十九)改築及び改修その他給水衛生設備工事請負契約
第二十 第百五十一号議案
夢の島公園西地区護岸改修工事(その四)請負契約
第二十一 第百五十二号議案
夢の島公園東地区護岸改修工事(その三)請負契約
第二十二 第百五十三号議案
有明テニスの森公園(二十九)施設改修その他工事請負契約
第二十三 第百五十四号議案
善福寺川整備工事(その百四)請負契約
第二十四 第百五十五号議案
外濠(市谷濠、新見附濠、牛込濠)しゅんせつ工事請負契約
第二十五 第百五十六号議案
建物収去土地明渡等請求事件に関する和解について
第二十六 第百五十七号議案
武蔵野の森総合スポーツプラザの指定管理者の指定について
第二十七 第百五十八号議案
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期目標について
第二十八 第百五十九号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の買入れについて
第二十九 第百六十号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第三十 第百六十一号議案
中央防波堤外側ふ頭桟橋(Y1)の指定管理者の指定について
第三十一 第百六十二号議案
ヘリコプターの買入れについて
議事日程第二号追加の一
第一 平成二十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二 平成二十八年度東京都公営企業各会計決算の認定について

   午後一時開議

○議長(尾崎大介君) これより本日の会議を開きます。

○議長(尾崎大介君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(尾崎大介君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松丸俊之君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成二十八年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。

○議長(尾崎大介君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成二十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出をされました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(尾崎大介君) これより質問に入ります。
 百十七番増子ひろき君
〔百十七番増子ひろき君登壇〕

○百十七番(増子ひろき君) 平成二十九年第三回都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事並びに関係局長に質問いたします。
 質問に先立って申し上げます。
 昨日、衆議院の解散が表明され、総選挙が行われることになりました。国政での改革が進むことを期待しつつ、私たち都民ファーストの会東京都議団は、都民の期待に応えるべく、都政改革に一意専心の思いで取り組んでまいります。
 さて、今都議会は、都民ファーストの会として初めての定例議会であります。ここで、私たち都民ファーストの会東京都議団の都政への認識並びに立場と使命を明確にしておきたいと思います。
 振り返れば、東京都の行政指導力を失った青島都政に始まり、週に二度の登庁ともいわれた石原都政に及ぶ長く続いたトップ不在の間に、両輪といわれる行政と議会との関係は、都議会のみが肥大していきました。私たちは、この状態を古い都議会と呼び、都議選で新しくすることを都民の皆さんに訴えてきました。
 私たちは、議会としての健全な機能を取り戻すため、議決機関である都議会と執行機関である都庁との役割を峻別し、巨大な都庁を厳しく監視していくとともに、議員提案条例の制定により、行政と政策を競い合う東京都議会を目指していきます。これが、東京大改革は都議会改革からを掲げた私たち都民ファーストを選んでいただいた都民の方々の負託に応える道であります。私たちは、都議会議員のための都政ではなく、都庁職員のための都政ではなく、そして知事のための都政でもない、都民の、都民による、都民のための都政を実現してまいります。
 初めに、都庁の行政改革について伺います。
 小池知事就任直後の昨年九月に東京大改革を推進する体制を整備するため、都政改革本部が設置されました。それ以降、情報公開の分野における非開示のいわゆる黒塗り部分の最小限化や公文書管理体制の整備、公益通報保護制度の見直しなど、非常に多くの改革が議論され、実行されてきました。
 平成二十九年度からは二〇二〇改革がスタートし、各局の主要事業に関して、適正な予算、人員となっているか、ほかにより有効な政策がないかといった観点から、分析、評価が進められてきています。
 二〇二〇改革のうち、仕組み改革では、各局の自律的取り組みでは解決できない全庁横断的な課題の制度、仕組みの改革を対象とし、都職員の退職管理と監理団体のあり方も検討の対象とされています。
 都政改革本部の設置から一年余りが経過しましたが、この一年の都政改革本部の活動、成果を振り返っての評価と、二年目に入った都政改革本部の今後の方向性について、知事の見解をお伺いします。
 都政改革の原動力は情報公開です。都民が必要な情報を得られることによって、都政に対して検証し、提言し、参画できる仕組みが生まれ、都民は都政の観客ではなく、都政のプレーヤーとなることが可能になります。
 今回、知事が提案された予算編成過程において都民から直接アイデアを募って予算化する試みは、まさにプレーヤーとして、都民の皆様の都政参画を促す有効な施策だと考えます。都民からのすばらしいアイデアが都政に新たな輝きをもたらすことを期待しています。
 オリンピック・パラリンピックや豊洲市場の工事に関する情報公開の過程で、多くの都民から工事額が高過ぎるとの指摘を受けており、都の高コスト体質が疑問視されています。こうした事態を受けて、都では、ことし六月から、財務局所管の入札契約案件について、入札制度の改革を試行的に実施し、各局も十月をめどに試行を開始。一年間実施した後に検証を行うことになっています。入札契約の基本は、地方自治法に定める、最少の経費で最大の効果を求めることにありますが、他方で、中小零細企業の東京都の工事への参入機会の確保も重要です。
 そこで、入札改革の試行の状況と今後の見通しについて、現時点での知事の所見と、東京都の工事への中小零細企業の参入機会の拡大をどのように図っていくのかについて、知事の見解をお伺いいたします。
 二〇二〇東京大会を控え、世界の注目が東京に集まっています。情報が集積する東京にはビジネスを飛躍的に発展させる触媒機能もあれば、世界一といわれる食の文化があり、世界中のVIPを引きつけてやみません。この首都東京の持つ魅力が二〇二〇東京大会で世界に向けて一気に拡散することは、五輪後の東京の成長にも欠かすことができません。
 知事は就任以来、非常に多くの海外の要人との積極的な外交を行ってきました。例えば、パリ市長アンヌ・イダルゴ氏、サウジアラビア王国サルマン国王、イギリスのテリーザ・メイ首相、十月には、世界大都市気候先導グループC40の運営委員会などに参加するため、パリ市への出張が予定されています。
 知事の海外要人との積極的な交流は、東京の魅力と存在感を世界に発信することになるとともに、世界の潮流をいち早くつかみ、施策に反映することで、都のみならず、国にとっても大きな利益をもたらすものと考えます。
 そこで、知事が主体的に行おうとされている外交について、知事の見解を伺います。
 平成二十五年の厚生労働省の若者の意識に関する調査では、日本の未来は明るいと回答した若者はわずかに一九・二%、明るいとは考えていないと回答した若者は四五・一%に達しています。確かに、日本には、人口減少、超高齢化に伴う大きな課題が横たわり、将来への不安が絶えません。この急激な変化の中で、未来への希望を明るいものとし、誰もが生き生きと活躍できる東京を実現するには、人への投資が欠かせません。なかんずく、女性の活躍の機会を拡大することは今や不可欠です。
 都民ファーストの会では、ことし四月に女性活躍推進本部を立ち上げ、十八人の女性を都議会に送り出すことができました。女性が働きやすい環境、女性がやりたいことができる社会をつくっていくため、起業支援などをさらに推進してまいります。
 そのことを踏まえて、子供やお年寄り、障害者の方々が安心して生活できる東京の創造について質問いたします。
 都民ファーストの会は、さきの都議会議員選挙でも、子供や人の暮らしに焦点を当てた議員提案条例の制定で課題解決を図ることをお約束しました。
 本定例会には、都議会公明党の皆さんとともに、東京都子どもを受動喫煙から守る条例案を提出しております。本条例案は、子供をたばこの煙から守る条例としては全国初で、罰則を設けず努力義務とする啓発的な条例です。条例成立に向け、皆様のご理解をお願いいたします。
 また、東京都も、いわゆる受動喫煙防止条例を検討中であり、十月六日まで意見を募集していると聞いております。
 そこで、これまでの東京都においての取り組みと、東京都受動喫煙防止条例の制定にかける知事のお考えと決意をお伺いいたします。
 子供を育てやすい東京にするためには保育政策が欠かせません。都は昨年、保育サービスの緊急対策として、補正予算で百二十六億円を計上した結果、平成二十九年四月一日現在の保育サービス利用児童数は、昨年度から一万六千三人増加しました。しかしながら、待機児童数は、従来の統計のとり方では、昨年から七百七十三人減少し七千六百九十三人となりましたが、実態に即した統計方法への変更後では、待機児童数は百二十人増加し八千五百八十六人となっています。平成二十九年度の保育関係予算は、昨年度より四百三億円増の千三百八十一億円とし、さらに、ことし九月に追加対策を行っています。
 そこで、今回の追加対策並びに今後の待機児童解消に向けた取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。
 フィンランド語でアドバイスの場を意味するネウボラとは、フィンランドの子育て家庭を支える仕組みで、妊娠期から出産、子供の就学前までの間、母子とその家族を支援する目的で、地方自治体が設置、運営する拠点です。
 都では、いわゆるネウボラに類する事業を目指し、平成二十七年度から三十一年度までの五カ年事業、ゆりかご・とうきょう事業を実施し、子育て家庭に対して、妊娠期から行政の専門職がかかわることでニーズを把握し、支援につなげ、妊婦、乳幼児、保護者の心身の健康保持増進を図る目的として、妊娠期から子育て期の切れ目のない支援を行っています。
 しかし、この事業は五年間の時限措置であり、将来的な展望として事業展開できない区市町村もあると聞きます。妊娠期から子育て期までの長期に及ぶ支援は長期的な視点での制度設計が求められることから、五年間の時限措置とすることなく、五年後もゆりかご・とうきょう事業を継続していくべきと考えます。
 妊娠期から支援体制としてのゆりかご・とうきょう事業の取り組み状況はどのようになっていますでしょうか。今後も、区市町村の取り組みがさらに進むように支援を継続していくべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 子供が公立小中学校に通う家庭の半数近くは、学習塾代や家庭教師代に児童一人当たり年間二十万円以上を支出しており、家計における三大支出の一つとなっています。教育費の増大は、親の可処分所得を減らし、子育て世代の消費を抑制するばかりか、少子化の一端となっているという指摘もあります。
 この背景として、学校の授業だけでは希望の進学がかなわないという危惧があります。親の所得格差が子供の教育格差につながり、子供が貧困から抜け出せなくなる負のスパイラルが生じないようにすることが必要と考えます。
 公立小中学校が、多様化し続ける児童生徒や家庭の希望の受け皿となるためには、学校の授業だけでなく、放課後の空き教室を活用して学びの機会を設ける必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 教員の長時間労働は看過できない深刻な状況であり、学校現場では教員の勤務時間の把握が不十分な状況も指摘されています。
 平成十年より、小学校における年間標準授業時数は右肩上がりに増加しています。英語の教科化などを盛り込んだ新学習指導要領実施時には、年間総授業時数がさらに増加します。小学校教諭が一日当たり学校に滞在する時間は約十二時間であるとの指摘もあり、日本の教員は世界一忙しいといわれています。
 本年八月の東京都総合教育会議でも、小学校教諭の多忙化は大きな課題として取り上げられています。まさに、教育の現場を担う教員の質の向上のために、働き方改革が必要とされており、例えば、小中学校や高校の教員が児童や生徒への教育に専念できるよう、教育以外の業務を専門に行う職員を配置し、または、外部への委託を推進することも解決策の一つではないかと考えます。
 都教育委員会は、学校の働き方改革の推進に向けたプランを策定予定と聞いていますが、学校現場、特に小中学校教員の多忙化についてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 政府のまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一七の地方創生に資する大学改革について質問します。
 基本方針二〇一七では、東京二十三区の大学の学部、学科の新増設、定員増の抑制が決定されました。現在は地方大学の振興策等について検討が行われており、年内に最終報告案が取りまとめられる予定となっています。
 日本の成長を牽引するグローバル人材の育成が喫緊の課題となっている中にあって、日本の大学の世界におけるランキングは低下の一途をたどっています。地方創生は、東京対地方という対立構図ではなく、東京と地方が共存共栄し、日本の発展に寄与していく、そうした日本全体の創生であるべきです。
 知事は先般、文部科学大臣、まち・ひと・しごと創生担当大臣に対し、緊急要望を行うなど、精力的に都として見解を示す取り組みを行っておりますが、事は東京のみならず、日本の国際競争力や国益にかかわることです。この問題における小池知事の所見をお伺いいたします。
 今月五日、東京都地方独立行政法人評価委員会は、公立大学法人首都大学東京の第二期中期目標期間の業務実績評価について知事に報告を行いました。そこで指摘されたのは、大都市における人間社会の理想像の追求という使命を十分に果たすこと、それにつながる戦略を構築していくことでした。
 特に、都市環境の向上、活力ある長寿社会、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築をキーワードに、大都市ならではの教育環境を生かした取り組みが必要です。
 知事は、評価委員会からの評価結果報告を受けて、それぞれの法人が特色、強みを生かして、都民の期待に応えられるように、さらなる支援をお願いしたいと述べておられます。
 公立大学法人首都大学東京は、大都市における人間社会の理想像の追求という使命を果たし、都民の期待に応えられるよう取り組みを進めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 また、首都大学東京は、東京に立地し、都から多額の財政的支援を受けて運営されている大学として、大都市東京の抱える問題解決に、より一層貢献すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 日本人の二人に一人ががんになり、三人に一人ががんで亡くなるといわれています。男性では、たばこの喫煙率が高いことが大きく影響し、喫煙することにより、肺がんや胃がんのリスクを高めている要因となっており、女性は、乳がんや子宮がんなどの女性特有のがんの発症リスクが高いのが現状です。
 東京都は、東京都がん対策推進計画に基づき、がんの予防と早期発見を基本方針として、がんの予防に関する取り組みや、がん検診受診率と質の向上に取り組んできました。しかし、大腸がん、肺がんは年々増加傾向であり、検診受診の勧奨をさらに強化すべきです。また、課題としては、検診受診率及び精度管理が挙げられますが、特に検診後の精密検査へ回る際に広域的な医療機関に移ることで、各自治体が把握しにくいのが現状です。
 本年度は計画の最終年度となり、新たに来年度より二次改定として計画改定されますが、受診率向上や精度管理の必要性を伺うとともに、次期計画におけるがん検診の方向性について、都の所見をお伺いいたします。
 医療技術の進歩により、これまで予後不良とされてきた疾患の生存率が向上していることなどを背景に、治療をしながら仕事を続けることを希望する従業員のニーズが高くなってきています。厚生労働省では、がんなど継続治療が必要な病気を理由に退職勧奨をさせないように、労働環境を改善すべく、ガイドラインを設けています。
 疾患を抱える従業員に働く意欲があっても、治療と仕事の両立を支援する環境が十分に整っておらず、就業を継続し、または休職後に復職することが困難な状況にあります。
 治療と仕事の両立のためのメンタルヘルスの重要性など、がんと診断されても、いかにつき合いながら治療するかが大切であり、がんと共存する対応策が求められていますが、東京都における治療と仕事の両立に向けた取り組みをお伺いいたします。
 厚生労働省では、加齢とともに筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害などの危険性が高くなった虚弱状態をフレイルと呼び、今後、フレイルの進行を予防する取り組みがより重要との認識を示しています。
 加齢とともに心身の活力が低下していくことはいたし方ないとしても、適切な対策を講じることによって、その進行を予防することができます。首都大学東京に高齢者の学びの場を創出することや、健康増進、疾病予防、セルフメディケーションの取り組みもフレイル対策として有効です。
 フレイル予防には、医療と介護が連携する多面性に応じた総合的な対策の検討が必要です。健康寿命の延伸とともにフレイル予防の重要性とその対策は高まっていくと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 都立病院は他の医療機関などと連携し、都における良質な医療サービスの確保を図ることを役割としています。
 都立広尾病院は、老朽化に伴い建てかえが必要となっておりますが、都が設置した検討委員会は、現在地の建てかえでも災害対応に必要な施設や設備を強化できるとして、都立広尾病院を移転せず、現在地での建てかえ案を取りまとめています。
 都民の健康と安全を守る病院施設の整備は急務であることから、検討結果を踏まえて、現在地建てかえを判断された知事の見解をお伺いいたします。
 障害者への包括的支援体制の整備について伺います。
 障害のある方とない方がともに社会参画し、共生するダイバーシティーという潮流がある中で、東京は、特別支援学校や支援学級に所属児童や生徒がふえ、分けて教育する傾向があります。
 さらに、医療的ケア児は保育園等で受け入れられず、児童発達支援事業、放課後等デイサービスでさえも通所を断られています。子供時代から、ともに育たなければ、本当の意味のダイバーシティーは実現していきません。
 障害者は、医療、保育、療育、教育、就労、住居、生活など多岐にわたって支援を必要とし、人生の段階によってもニーズが変わります。しかし、現在は、行政の縦割りの中で、細やかな切れ目のない支援が実現していません。支援や地域の情報が集約されておらず、障害者や保護者が口コミやブログ等から情報を集めているのが実情であり、横断的かつ包括的な支援が必要です。
 都は、障害児や家族に対する相談対応など、地域での支援の充実に取り組むべきであると考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 障害者の人権に関して、障害者の権利に関する条約が二〇〇六年の国連総会で採択され、二〇〇八年に発効しております。日本では、二〇一三年に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が成立いたしました。法律の施行を受けて、都では現在、障害者への理解促進及び差別解消のための条例制定に向けて検討が行われています。
 知事は、平成二十八年第四回定例会において、障害者差別解消のための新たな条例案の検討を開始し、平成三十年度の条例の施行を目指していくと述べられておられます。条例の制定に当たっては、障害当事者の声を十分に聞くとともに、事業者などからも幅広く意見を聞いた上で策定することが重要です。
 そこで、都における障害者差別解消条例制定に向けた検討体制と、現在の検討状況についてお伺いいたします。
 東京都の空き家は、二〇一三年で約八十二万戸となっており、全国の一割を占めています。東京都では、東京都民間住宅活用モデル事業を三年間実施し、ことし四月からは、空き家対策連絡協議会を立ち上げて取り組みを開始しています。
 そのような中、高齢者、低所得者、子育て世帯等の方々に対して、住宅セーフティーネット機能を強化するための住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給に関する法律の一部を改正する法律が、ことし十月に施行されます。
 国は、二〇二〇年までに十七万五千戸の登録を目標としていますが、要配慮者の入居に不安を感じている家主に対して理解を求めて登録件数をふやすとともに、空き室を保有している家主と入居したい要配慮者の円滑なマッチングの仕組みの構築が重要です。
 都はこれまで、居住支援協議会を通じて、区市町村による民間住宅への入居円滑化の取り組みを支援するなど、住宅確保要配慮者の居住の安定に向けた取り組みを行っていますが、住宅確保要配慮者への入居支援をさらに円滑に進めるためには、福祉保健局や自治体、不動産関係団体との連携が必要です。
 住宅セーフティーネットに関する新たな制度を受けて、東京都としての住宅確保要配慮者に対する取り組みについてお伺いいたします。
 東京の未来都市像についてお伺いいたします。
 都は、二〇四〇年代の目指すべき東京の都市の姿への実現に向けて、都市づくりのグランドデザインを策定しました。これまでの延長線上にない難しい課題の解決に当たっては、新たな視点の取り込みや活用などによる新機軸の打ち出しが重要です。
 今回、都市づくりのグランドデザインが発表されたことを受けて、改めて二〇四〇年代の東京の都市づくりについてのビジョンと、その実現に向けた今後の取り組みの方向性を知事にお伺いいたします。
 一九六四年の東京五輪は、戦後からの復興を世界に印象づけるとともに、国民に大きな自信を与えました。一方で、五輪開催に間に合わせるため、河川の上空に築かれた首都高が美しい日本橋の景観を奪い去ってしまいました。首都高に覆われた日本橋は、当時の日本の発展の象徴でもあり、その犠牲の象徴でもあります。
 日本橋の美しさを取り戻すため、首都高の地下化は、小泉元首相の指示を受けるなど、過去二度、有識者から提言がなされてきましたが、実現に向けて動き出すことはありませんでした。
 こうした中で、都は、本年七月に日本橋の首都高の地下化に向けて取り組むことを表明しました。五輪で失われた景観を五輪で取り戻す取り組みは、五十年余りを経て変化した東京を映し出す鏡のような取り組みで、大変価値あることだと考えます。
 首都高の大規模更新は喫緊の課題であり、世界に誇れる都市景観を創造するためにも、この取り組みを知事のリーダーシップのもとで進めることが重要です。
 そこで、今回の日本橋首都高の地下化に対する知事の決意をお伺いいたします。
 一方、熾烈化する世界の都市間競争で勝ち抜くためには、世界のビジネスマンを引きつける都市機能を磨かなければいけません。国際金融センターとしての機能強化もその一つです。
 国際金融センターには、金融機関のみならず、多くの企業や人々、そして付随する情報が集積し、都民に対しても有形無形の恩恵がもたらされます。その際重要なことは、都民と外資系金融機関双方がウイン・ウインの関係を構築することです。
 そこで、国際金融都市東京を実現していくに当たり、東京都として、都民や都内の企業にどのようなメリットを生み出し、また、外資系企業にはどのような魅力を提供して、海外からの投資を呼び込んでいくのかについて、都の考えをお伺いいたします。
 東京都では、二〇二〇年に向け、東京を訪れる外国人旅行者の旅行者数二千五百万人を目標としています。目標達成には、都心のみならず多摩や島しょエリアへの還流を目指したマーケティング、ブランディング、プロモーションが課題です。
 二〇一八年に開催される平昌五輪は、IOCなど五輪関係者、外国メディア、各国の大手旅行代理店などが集結するため、絶好のPRの機会です。こうしたシティーセールスのチャンスには、オリ・パラ準備局以外の観光部の職員を同行するなど、積極的に都職員を派遣するべきではないかと考えます。
 また、二〇一九年のラグビーワールドカップも外国人観光客の受け入れ体制を図る上で試金石となります。
 外国人旅行者を増加させるためのマーケティングやブランディング戦略、そして実際の受け入れ体制を構築する上で、二〇一八年の平昌五輪、続く二〇一九年のラグビーワールドカップへの取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。
 東京の観光振興を図る上で、多摩・島しょ地域の多様な魅力を生かして、さらなる誘客を図ることは重要です。多摩・島しょ地域に外国人観光客を回遊させるために、旅行会社などと協力した取り組みを行うとともに、地域の魅力の発信を強力に行うべきと考えます。
 外国人旅行者を都内全域に還流させるための取り組みや、多摩地域や島しょのプロモーションについて、都の考えをお伺いいたします。
 二〇二〇東京大会は、東日本大震災からの復興をアピールする役割を持っています。東京と東北地域を結ぶモデルルートを設け、オリンピック・パラリンピックに訪れる外国人観光客が東北各地を訪れるようにする工夫も有効だと考えます。
 五輪で東京を訪れた外国人旅行者に日本国内を周遊してもらえるよう、とりわけ震災からの復興を目指す地域との連携強化、東京五輪に向けての被災地との連携について、都の考えをお伺いいたします。
 多摩・島しょについてお伺いいたします。
 知事は就任当初より、多摩地域の振興や格差の解消に向けて取り組むとし、市町村総合交付金の増額や、地域ごとに視点を変えた取り組みを実施してきました。また、新たに多摩の振興プランも五月には素案がまとめられ、今月に策定されました。多摩地域の振興、多摩格差の是正、解消には、徹底的な現状把握とかけ声で終わることのない本気度が必要です。
 格差は時に、特徴、個性という言葉に置きかえられてしまい、その実情がうやむやになってしまうことがあります。多摩の住民の視点からは、確実に、切実に格差が存在しており、それは予算レベルから政策レベルまで多岐にわたります。予算の面では数字が見えやすいですが、政策レベル、意識レベルでは見えづらくなります。
 多摩地域における各種施策を検討する際には、多摩地域にとってはどうかという視点を意識的に入れることが必要であると考えます。
 多摩地域の振興、多摩格差の是正、解消に向け、改めて知事の思い、所見をお伺いいたします。
 島しょ地域は、世界自然遺産の小笠原諸島を初めとする雄大な自然はいうまでもなく、新島ガラスなどの伝統工芸、くさや、青酎などの食文化といった唯一無二の宝物を有しています。
 一方で、少子高齢化の進展や自然災害のリスクを抱え、不安を感じながら暮らす方々が数多くいらっしゃることも事実であり、早急な対応が求められています。
 知事を初め、東京宝島推進委員会委員の皆様におかれましては、各島への訪問を通じて島の魅力を再発見していただいたものと思います。これらの価値をさらに高めることは、オリンピックを控えた東京にとって多様な観光資源となることから、東京を一層魅力的にするものと考えます。
 そこで、島しょ振興について、知事の思いと所見をお伺いいたします。
 次に、都市農業についてお伺いいたします。
 東京の農業、農地は、新鮮かつ安全な農産物の提供、緑や自然の保護など環境保全に寄与するとともに、防災機能や交流、教育、学習の体験の場として、多面的な役割を果たしています。他方で、農業従事者の高齢化や後継者不足や農地面積の大幅な減少に直面しています。
 さらに、生産緑地に対する固定資産税の軽減措置や相続税の納税猶予の特例が一九九二年から期限は三十年ということで始まり、二〇二二年以降にその期限が到来します。その時点で後継者がおらず、買い取り者がいないなどにより、生産緑地の指定が解除されることになれば、優遇措置がなくなり、農地を維持することができなくなります。
 しかし、その特例として、買い取りの申し出期間を十年延長し、引き続き税制優遇措置を受けることができる特定生産緑地制度があります。また、農地の開発に一定の制限はありますが、直売所や農家レストランなどの整備もできる田園居住地域制度もあります。
 都は、都市農地を守り、都市農業の発展振興の観点から、二〇二二年までに特定生産緑地の制度活用を促す制度を積極的に行うとともに、田園住居地域という用途地域の活用に向けた検討をすべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、働き方改革についてお伺いいたします。
 テレワークは、子育て、シニア、障害のある方など、都民の皆さんそれぞれの生活スタイルに合った働き方を実現できる働き方改革のかなめですが、企業の導入率は、二〇一二年度では一一・五%にとどまっています。
 ロンドンでは、二〇一二五輪に向けて官民挙げての取り組みを行い、大会期間中の交通渋滞緩和、仕事の生産性向上、テレワーク社会、多様な働き方への社会的な切りかえを成功させたと聞いています。これはまさに見えないレガシーといえます。
 こういった成功事例を調査分析し、定着しやすい業種、プライバシーや知財、情報漏えいなどの課題、期待される成果などを整理し、テレワークの推進に生かしていただきたいと思います。また、一般的にはテレワークとは縁遠い介護士、保育士、教職員など、報告義務が必要な業種に対しての働きかけも必要だと考えます。
 これらを踏まえて、実施主体である企業経営者へテレワークに対する動機づけをどのように行い、テレワークを確実に推進していくか、都の見解をお伺いいたします。
 これまで通勤ラッシュ問題の解消に向けて、鉄道事業者による車両の長編成化や大型化、複々線化などの輸送力増強策、さらにオフピーク通勤キャンペーンを実施することなどにより、東京圏における主要三十一区間の平均混雑率は、昭和五十年の二二一%から、平成二十七年には一六四%まで緩和されてきています。
 各国と比べて鉄道分担率の高い日本において、供給側の工夫と需要側の意識改革など、さらなる対策を講じることによって、快適な通勤を促進することが必要です。
 知事は、昨年の都知事選挙で満員電車ゼロを公約として掲げ、テレワークや在宅勤務を取り入れることなどを含む働き方改革の一環として、時差ビズを提唱されました。鉄道会社や企業、利用者のさらなる共感を得ることが重要だと思いますが、今後の取り組みについて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、環境対策についてお伺いいたします。
 二〇一五年十一月にパリで開催された気候変動枠組条約第二十一回締約国会議で、温度上昇を摂氏二度以内にとどめること、今世紀後半にはCO2の排出をゼロにすることなどを内容とする、二〇二〇年以降の新たな国際枠組みであるパリ協定が締結されました。
 東京都はエネルギーを大量に消費している都市であり、ゼロエミッション東京の実現に向け、需要サイドの対策、すなわちエネルギー使用量を削減し、エネルギー源を再生可能エネルギーや水素へと転換を進めることにより、多大な貢献ができます。パリで開催されるC40への知事の出席は、東京の国際的な役割を世界に印象づける機会になると期待しています。
 家庭レベルでのLED電球無料交換事業は、都民の省エネ意識を高めていくという発想から事業を考案された、世界でも極めてまれな事業であり、評価できます。
 この事業は、百万個の白熱電球がLED電球にかわることで、一般家庭約三万世帯分の電力消費量が削減され、CO2に換算して四・四万トンの削減効果が見込まれます。課題の一つとされた、身体的な理由で協力店に行かれない方に対しては、早速今秋から代理受領や出張受領が実施され、さらなる利用者の増加が期待されます。環境局の今回の迅速な対応は、この事業を何としてもやり遂げるという熱い情熱を感じます。
 しかし、まだ目標に届いていない理由としては、都民への周知がまだ十分でないことが挙げられます。都民への周知、啓発には、都民に一番近い区市町村の協力はもちろん、環境教育の一環として周知するなど、区市町村や学校等とのさらなる連携が必要ではないかと考えます。都の所見をお伺いいたします。
 農林水産省の統計によれば、平成二十八年度食料自給率は、カロリーベースで三八%、生産額ベースで六八%になっています。これは、先進国中最低水準です。ところが、日本では年間六百二十一万トンもの食べ物が廃棄されています。
 日本のコンビニエンスストアや外食産業はマニュアル化が進んでおり、多くの食べ物を廃棄することを前提として成り立っています。その一つが流通業界における三分の一ルールで、賞味期限の三分の一までを小売店への納品期限、次の三分の一までを消費者への販売期限とする商習慣です。
 例えば、賞味期限三カ月の食品だと、店頭に並ぶのは一カ月ということになり、一カ月が過ぎると廃棄されてしまうということになります。
 諸外国の消費者への販売期間は、イギリスでは四分の三、ヨーロッパでは三分の二、アメリカでは二分の一といわれています。食品ロスをなくすには、業界の商習慣を是正するとともに、消費者の側の認識の変化も促さなければなりません。また、クリスマスケーキや恵方巻など、特定の日が過ぎると需要がなくなるため、これらの廃棄も問題となっています。
 東京都は、食品流通の実態調査を行い、関係事業者から成るステークホルダー会議を立ち上げることになりましたが、諸外国の商習慣などを参考にして、販売期間拡大に向け、都が積極的にこの会議を進めていくことは、食品ロスを減らす上で重要ではないでしょうか。都の所見をお伺いいたします。
 次に、動物愛護についてお伺いいたします。
 これまでの取り組みにより、犬猫については、平成二十四年には全国で殺処分数十六万二千頭であったものが、平成二十八年度には約五万六千頭にまで減少しています。
 都では、知事が殺処分ゼロを公約に掲げています。苦痛を取り除くなど、やむを得ない場合を除いた殺処分数は、平成二十七年度二百三頭だったものが、平成二十八年度に九十四頭に半減し、犬の殺処分数は初めてゼロを達成することができました。これは大きい成果です。
 これには、動物愛護相談センターに収容された動物を新しい飼い主へとつなぐ仕事の役割が大きく、ボランティア団体がそれを担ってきました。知事の公約、殺処分ゼロを実現するためには、ボランティア団体から新しい飼い主へ動物の譲渡を一層推進する必要があると考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。
 次に、水道行政について伺います。
 日本で初となる国際水協会、IWA世界会議が、ちょうど一年後に東京で開催されます。水は人々の暮らしを支えるだけではなく、車一台をつくるのに四十万リットルの水が必要との報告もあり、工業においても、水の価値は石油をしのぐといわれるようになりました。
 近年、水道事業を民営化した国の中には、民間事業者からの値上げを受け、水道事業が破綻したケースもあり、改めて公営の上下水道事業に注目が集まっています。都はこれまでにも、民間企業と連携し、漏水や盗水に悩む東南アジアの諸都市に技術提供するなど、貢献してきました。
 来年開催される世界会議を機に、都がこれまで培ってきた上下水道の技術やノウハウを広く世界に発信し、水不足にあえぐ十億人ともいわれる世界の人々に貢献することは、大変意義のあることと考えます。
 今月四日には、IWAのダイアン・ダラス会長が都庁を訪問され、知事との会談の中で、来年の世界会議への高い期待が寄せられたところです。IWA世界会議を通じた世界の水問題への貢献について、知事の所見をお伺いいたします。
 IWA世界会議は、世界の水問題の解決に資するだけでなく、国内企業が有する高度な技術やノウハウをPRするよい機会であり、会議を通じた企業の海外に向けたPRは、産業力の強化にもつながります。IWA世界会議に対する東京都の対応及び準備状況について伺います。
 国内の水道事業について伺います。
 水道事業は法定による点検義務はありませんが、電気やガスと同様にお客様への個別訪問をし、家庭内の水質確認、漏水調査などを行っています。
 このため、お客様のニーズを的確に把握するなどのために水道フレッシュ診断を三カ年にわたって実施しました。また、安全でおいしい高品質な水を実感していただくなどの目的で、東京水道あんしん診断を提供中です。
 水道フレッシュ診断、東京水道あんしん診断ともにアンケート調査を行い、アンケート結果で得たお客様の声を水道事業に反映するとのことですが、前回の水道フレッシュ診断の結果は、現在の水道事業のどの部分に、どのように反映されたのか、所見をお伺いいたします。
 都は、都市部における台風や集中豪雨による水害対策として、一時間当たり五十ミリの降雨による洪水に対して安全を確保することを目標として中小河川の準備を進めてきました。ところが、近年はそれを超える豪雨があり、二〇一二年には、区部を流れる河川は七十五ミリ、多摩部を流れる河川は六十五ミリに目標整備水準を引き上げています。しかし、目標水準を引き上げたとしても、対策が必ずしも追いつく確証はありません。
 そこで、局地的集中豪雨に対しても、中小河川やマンホールからのあふれ出しを防止する対策だけでなく、洪水が起きたときに命と財産を守るための順応的な対策も検討する必要があります。
 全国各地で大規模な浸水被害が発生している中、治水対策は喫緊の課題です。新たな目標整備水準を早期に達成するため、今後どのように取り組んでいくのか、建設局及び下水道局にお伺いいたします。
 また、治水対策だけでなく、平時は水と親しめるようにする工夫が都民に憩いと潤いを与えます。水害の危険から都民の命と暮らしを守りながら、良好な河川環境を保全、創出するために今後どのような工夫がなされていくのか、お伺いいたします。
 都は、東京都地域防災計画を策定し、被害を最小限に抑えるために、耐震化推進、木密地域の不燃化対策、無電柱化などのハード面の対策に加え、「東京防災」の全戸配布や女性視点の防災ハンドブック作成、ツイッターを利用した防災情報発信など、ソフト面の対策も推し進めています。
 しかし、備えよ常にとの考えに基づいて、さらに関係機関、民間企業、地域団体との平時からの連携や都民の防災意識の啓発などを通じ、都として地震への備えを強力に進めていくことが強く求められています。
 そこで、都における震災対策に関して、知事の基本的な認識をお伺いいたします。
 経団連は、平成二十八年に、大規模災害への対応における官民連携の強化に向けてという提案を出しており、支援物資の輸送にとどまらず、防災や災害対応全般について官民連携が不可欠だと指摘しています。このときに大切なのは、官民が持つ情報を共有し、災害対策や都民の防災につなげていくためのICTの活用です。
 そこで、災害対応におけるICTを活用した情報連携について、都の取り組みを伺います。
 東京の防災力を高めるとともに、ベビーカー、車椅子などの安全な歩行空間を確保し、電線のない良好な都市景観を創出するためにも、無電柱化の推進は重要な政策です。無電柱化推進のフォトコンテストが実施されるなど、民間においても無電柱化促進への取り組みが進んでいます。
 都は、都道に限らず、区市町村道も含めた都内全域で無電柱化を一層推進すべきとして、新たに条例を定め、九月一日から施行となりました。さらに、今年度から、コスト縮減に向け、電線等の埋設の深さを浅くする手法を導入するなど、チャレンジする区市町村に対して財政的、技術的支援を拡充しています。
 そこで、条例制定により、今後東京の無電柱化をどのように進めていくのか、また、条例の意義について都民の理解をどのように得ていくのか、知事の所見を伺います。
 さらに、これまで見えてきた課題とその解決を含む具体的な進め方について見解を伺います。
 オリンピック・パラリンピック大会経費の不透明さやわかりにくい仕組みが国民の期待を下げる要因となっており、大会成功に向けては、情報の共有と公開に努め、経費の縮減、効率化を図ることが課題となります。
 本年五月三十一日には、関係自治体等連絡協議会で、東京都、組織委員会、国、関係自治体の四者による経費、役割分担が明確化されました。また、公費等が投入され、共同で実施する事業については、共同実施事業管理委員会を設置して、大会経費のコスト管理、執行統制の強化を図っていくとしました。今回の取り組みは大会経費の透明化の第一歩であり、私たちは大きな期待を寄せています。
 共同実施事業管理委員会にどのような効果を期待して、具体的かつ主体的に取り組んでいくのか、知事のご見解をお伺いいたします。
 大会関係のうち、東京都及び国に割り振られていない未決定の費用である関係自治体の会場周辺における輸送、セキュリティー等の経費は、今後整理、精査を行うこととしています。大会準備を円滑に進めるためには、関係自治体との連携が不可欠ですが、本年九月六日、東京都を初め関係自治体と共同して、全国宝くじ協議会や関係省庁への要望活動を行ったことで、関係自治体の足並みがそろったと感じています。
 今後、どのように関係自治体との連携を進めていくのか、伺います。
 復興五輪は、二〇二〇東京大会の重要なテーマの一つです。被災地での競技開催で、東日本大震災の被災者の方々に夢や希望を持っていただくとともに、被災地の復興を世界中の方々に発信することが重要となっています。
 これまで、スポーツ交流や観戦招待、千キロ縦断リレーなどを行い、一つ一つのことが継続し、開催されていることで、地元の方にも受け入れられています。ことしは、フラッグツアーでは、都内はもとより、地震で被災した東北三県と熊本県を巡回し、知事みずからも現地入りし、機運醸成を図っています。
 いよいよ開催まで三年を切った今、改めて復興五輪に向け、知事の思いをお聞かせください。
 近年、ヒートアイランド現象に地球温暖化による影響が重なって、東京の気温上昇は顕著となっています。気温上昇による熱中症患者数の増加など、都民の健康や生活への影響も顕著となっており、猛暑日の運動では、重篤な熱中症にかかる事態も報告されています。
 また、樹木などの木陰がない路面についても、遮熱舗装の効果が認められれば、都内の気温が下がり、局地的集中豪雨への対応にもなり得ると考えます。
 東京五輪に向けて、アスリートや観客が暑さをしのげるよう、遮熱性舗装やクールエリアの創設などの暑さ対策を総合的に展開していく必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 東京が二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催権をかち取ったのは、二〇一三年九月。IOCのロゲ前会長が東京をコールし、日本中で歓喜が湧き上がってから四年がたちました。この間、エンブレム問題、国立競技場工事費問題などから、オリンピック機運に水を差す事態も相次ぎました。しかし、大会の成功のために機運醸成は欠かせません。
 都は、機運醸成のため、都内の学校においてオリンピック・パラリンピック教育を進めています。開催まで三年を切り、さらなるオリンピック機運醸成には、都や組織委員会が主催するイベントの開催に加え、都民の誰もが主体的に取り組める新たな仕組みが必要と考えます。
 都民が主体的に参加できる仕組みの必要性について、都の考えを伺います。
 スポンサー収入の一層の確保策について伺います。
 現在、組織委員会では、スポンサー収入を二千八百六十億円と見込み、大会運営を支えるためにさらなる収入増を図っていると聞いています。
 そこで、競技施設などの工事現場における屋外広告物規制について伺います。
 今後、競技施設など五輪関係工事が進む中で、工事期間中の仮設壁などにオリンピアン、パラリンピアンの躍動感あふれる写真やイラストを掲示することは、五輪機運醸成にも貢献しながらスポンサー収入増を見込める一石二鳥の効果が期待できます。
 しかし、現在の都の屋外広告物規制では、工事現場の仮設壁には百平米までの掲示しか許されておらず、規制の枠を超えられません。
 そこで、オリンピック・パラリンピック関係に限定し、時限的に屋外広告物規制の緩和を検討するべきではないかと思いますが、東京都の所見を伺います。
 築地市場の豊洲への移転は、六月二十日に知事の基本方針によって決定され、移転の条件を整備するため、臨時都議会で五十五億円の補正予算も成立しました。これにより、盛り土がなかったことに対する追加対策工事が実施されるなど、築地市場の速やかな豊洲移転に向けての施策が講じられることとなりました。
 一方で、盛り土がなかったことに対する市場関係者、都民の皆さんの不安はいまだに残っています。また、豊洲市場にカビが発生したことも不安を与える一因となりました。
 速やかな移転には、丁寧な説明が求められます。これから始まる追加対策工事の実効性を市場関係者、都民の皆さんに正確にお伝えするとともに、盛り土問題で与えた都民の不安と不信を払拭していく必要があります。
 また、移転準備に向けては、具体的なスケジュールや手続を市場関係者の皆さんと協議していく必要があります。今回の追加対策工事に伴う事業者への説明に合わせて、開場時期、引っ越しの手順についても丁寧に協議し、速やかに決定されることを望みます。
 これらを踏まえ、補正予算成立を受けて対策工事が始まろうとしている今、豊洲市場への取り組みについての知事の所見を伺います。
 また、築地再開発検討会議が発足をし、大きな東京都市づくりの観点から築地の再開発が議論されると聞いております。
 築地のブランドは世界のブランドであり、唯一無二のものであります。更地にして売却してしまえば築地が育んできた食のブランドは何も残りませんが、都として再開発への青写真を描き、築地のブランドを残しつつ、東京のランドマークになるまちづくりへと昇華させれば、都民が、国民が世界に誇れる築地のまちづくりになると期待しています。
 知事には、築地エリア開発こそが今後の東京の成長を担うというくらいの大きな視点で築地再開発に臨んでいただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。
 さらに、六月二十日に知事が示した大方針によって、一刻も早く豊洲で新たな事業展開を図りたいと希望する事業者もおられるでしょうし、豊洲に移転後、再び築地での経営を希望する方もいらっしゃると聞いています。
 さまざまな市場関係者の率直な意見を聞き取ることは、豊洲市場への移転や今後の築地の再開発を考える上で、貴重な意見として貢献するものと考えますが、都はこうした市場関係者の声にどのように向き合っていくのか、都の所見をお伺いいたします。
 最後に、私たちが目指す真の議会改革について申し上げます。
 本定例会に提出の子どもを受動喫煙から守る条例案を策定する過程で、四百件を超えるご意見をいただきました。私たちの声がこうして届き、議員の手によって条例化されることに感激しているとのご意見や、条例を一緒につくれる機会なんて今までなかったという声もいただきました。
 ヒアリング、意見募集を通じて、私たちは実感いたしました。議員がみずからの手で条例という地域のルールづくりを始めれば、多くの情報、要望、知恵、そしてこれまでいえなかった不平、不満、苦悩が都民から集まるということを。その意見が私たちの筆を走らせ、条例の一字一句に都民の願いを込めることができることも確信いたしました。
 掘らなければ、泉は湧き上がりません。議会の私たちが、その努力を惜しまず掘り進めば、とどまっていた都民の声は一気に湧き上がり、知恵のダムとなった議会は、改革の清流を生み出すことができると自信を持って申し上げたいと思います。
 私たち都民ファーストの会は、古い慣習で眠りについた都議会の権能を覚醒させ、都民の皆さんの意見を反映できる全国一の議会にしてまいります。
 都議選で寄せられた都民の期待に応えていくことを改めてお約束申し上げ、代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 増子ひろき議員の代表質問にお答えさせていただきます。
 まず、都政改革本部についてのご質問をいただきました。
 就任直後の昨年の九月、都政の体質を変える装置といたしまして、私自身を本部長とする都政改革本部を設置いたしました。当本部のもとで、これまで、都民ファースト、情報公開、賢い支出、この三原則を徹底しながら、さまざまな改革を推進してまいりました。
 中でも、改革の一丁目一番地であります情報公開につきましては、条例改正に加えて、予算編成過程の透明化、公金支出情報の公開など、多様な取り組みを速やかに実行に移して、都政の透明化は大きく前進をいたしました。
 また、入札契約制度改革を初めとする内部統制の強化や、改革の具体的な担い手であります職員みずからの提案に基づく自律改革の定着など、この一年で改革の基盤は着実につくられたものと認識をいたしております。
 二年目に入りました都政改革本部におきましては、具体的な改革の方向性を提示するとともに、単に切り込むだけではない、伸ばすところは伸ばす、めり張りのきいた改革をスピード感を持って進めてまいります。
 都民に開かれ、都民とともに進める都政、この実現に向けて都政改革本部を司令塔として、私が先頭に立って、しっかりと改革の実績を積み重ねてまいる所存でございます。
 入札契約制度改革についてであります。
 今回の制度改革は、より多くの方が入札に参加しやすい環境をつくって、入札の競争性や透明性を高めることを主眼として実施をいたしております。六月下旬に公表した案件から試行を開始いたしまして、八月から開札が始まったところであり、今後、案件を積み重ねながら検証作業を進めていくことになります。
 検証に当たりましては、例えば入札の参加者数や落札率の状況を見ていくことによりまして、制度改革の効果があらわれているかを確認してまいります。
 また、中小零細企業の参入機会の拡大に向けましては、分離分割発注の徹底を引き続き進めるとともに、今回の制度改革におきましても、予定価格の事後公表に関して、人手が限られている中小企業でもより正確な積算ができるよう、詳細な数量の提示、十分な積算期間の確保などの配慮を加えたところでございます。
 入札契約制度には完璧な答えはございませんが、今後、一年間の試行期間の中で、この改革をさまざまな角度からしっかり検証した上で、よりよい入札契約制度になるよう、不断の見直しを進めてまいります。
 都が実施をいたします外交についてのお尋ねがございました。
 二〇二〇年東京大会まで三年を切りました。世界からの東京に対する注目はますます高まっております。
 私は、知事就任以来、東京を来訪した多くの海外の要人との面会を通じまして、東京のプレゼンスの向上に努めてまいりました。今回予定しておりますパリ出張におきましても、C40やシティーラブなどの国際会議に参加をする予定としております。そして、この機会に東京の施策や魅力を広くPRするとともに、世界の主要都市のリーダーたちとも大いに意見交換をしてまいります。
 また、実務レベルにおきましても、積極的な交流を図ることは重要であります。危機管理等、各局のこれまでの都市間協力に加えて、若手を初めとする意欲のある職員が国際会議などの機会を通じ、東京の施策を積極的に発信していくとともに、海外の先進事例を学んで、都政の問題解決に結びつけていく。
 今後とも、海外諸都市との連携をさらに深めて、都が実施する外交の成果を東京の持続的な発展と都民生活の向上につなげてまいる所存でございます。
 受動喫煙防止対策についてご質問がございました。
 受動喫煙は、肺がんや乳幼児突然死症候群等のリスクを高めるなど、健康に悪影響を与えることが科学的に明らかにされております。また、近年のオリンピック・パラリンピック開催都市では、屋内を全面禁煙とするなど、法律や条例で罰則を伴う対策を講じております。
 こうしたことを踏まえまして、先日、東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方、こちらを公表いたしました。
 都はこれまで、東京都受動喫煙防止ガイドラインに基づいて、都民への普及啓発はもとより、職場向けのハンドブックや飲食店向けのリーフレットを配布いたしまして、禁煙、分煙の取り組みを働きかけるなど、さまざまな対策を推進してまいりました。
 また、国に対しましては、受動喫煙防止対策を強化するための法律を早期に整備するよう提案要求をしてきたところでございます。受動喫煙の問題は、本来、国全体で取り組むべき課題でございます。
 都といたしましては、国の動きを見据えながら、現在行っておりますパブリックコメントの意見も踏まえて、早期に条例案を策定、そして二〇一九年ラグビーワールドカップ開催までの施行を目指していく所存でございます。
 次に、待機児童対策についてのお尋ねがございました。
 私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つと位置づけまして、保育所等の整備の促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実、この三つを柱といたしまして、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 こうした取り組みをさらに加速させるために、今回、七つの追加対策を取りまとめたところでございます。
 その対策は、地価の高い駅周辺などでの保育所整備を促進するための賃借料補助の引き上げ、保育士の業務負担を軽減するためのICT化の促進、保育士の復職を支援するための資金貸付の拡充など、区市町村や事業者からの要望に機動的に応えることを目的といたしております。
 今後とも、区市町村としっかりと連携をいたしまして、平成三十一年度末までに待機児童を解消するという目標の達成に向けまして、スピード感を持って効果的な施策を進めてまいります。
 東京二十三区の大学における定員増の抑制等についてのご質問がございました。
 地方創生のために地方の大学の一層の振興を図ることは重要でございます。しかし、そのために、東京二十三区の大学を規制するなどということは、到底納得ができません。事地方創生となりますと、随分と乱暴な議論が展開されているように感じておりますが、私は、都市か地方かという二律背反の考えでは、そもそも地方創生はなし得ず、東京と地方がともに栄え、日本全体が発展していくことを目指すべきと考えております。
 大学は、知の拠点として、次代を担う人材の育成やイノベーションの創出といった重要な役割を担っております。国際競争が激しさを増す中、世界中から学生が集まるような大学をどう育てるか、これが肝要でございます。
 ところが、国は問題を履き違えているとしかいいようがございません。むしろ、大学の革新を滞らせかねないような方向で、法整備まで検討をいたしております。これは、国益を損なう本質を見誤った政策といわざるを得ません。
 私は、これからも、東京二十三区の大学への規制について強く反対をするとともに、激しい国際競争に打ち勝つための高等教育はどうあるべきなのかといった本質的な議論を喚起すべく、必要な主張を行ってまいりたいと考えております。
 次に、公立大学法人首都大学東京についてのご質問でございます。
 この法人は、総合大学である首都大学東京、社会人向け専門職大学院である産業技術大学院大学、実践的工学専門教育を行う都立産業技術高等専門学校という三つの高等教育機関を設置しております。
 我が国の高等教育を取り巻く環境は、少子化に伴う大学間競争の激化、国際社会や地域社会が求める人材の多様化、高度化など、激しさは増す一方でございます。
 このような状況下にあって、都の公立大学法人が設置する大学、高専が重視すべきこと、それはグローバル社会を生き抜く力を持った人材の輩出、他の大学にはない特色ある教育研究の専門分野を持つこと、そして、人生百年時代を見据えた生涯学習の充実の取り組みを進めていくことでございます。
 二つの大学と一つの高等専門学校がそれぞれの強みや特色を発揮しながら、都が設置する高等教育機関としての価値を高めて、都民の期待に応える存在となっていくように、都としても支援をしてまいります。
 次に、広尾病院の建てかえ整備についてでございます。
 首都直下地震を初めとする災害時に何よりも都民の生命を守る、そのことは都立病院の果たすべき重大な責務でございます。
 とりわけ広尾病院は、都心部唯一の基幹災害拠点病院として、都の災害医療体制の中心的な役割を担っておりますが、築三十五年を超えて、施設の老朽化も進んでおります。建てかえが必要な状況でございます。
 その建てかえに当たりましては、敷地の狭隘さや工事中の診療制限等の懸念から、当初は移転整備を基本に検討をしてまいりました。一方で、この間、将来の医療需要を見据えた地域医療構想を初め、地域医療を取り巻く情勢は大きく変動しております。広尾病院自体も病床利用率が急激に低下するなど、病院整備の前提が変化をしております。
 都といたしましては、こうした状況変化が顕在化する中で、昨年の八月以降、外部の専門家等によります検討委員会を中心として、今後の病床規模、そして診療機能などについて鋭意検討を始めてきたところでございます。
 この結果、病床数を四百七十八から四百程度に適正化する、整備手法も工夫するといったことで、現在地でも災害拠点機能の強化は可能との結論に至りました。加えまして、検討委員会からは、地域医療への支援や持続可能な病院運営の観点からも、現地建てかえがより望ましいとの提言をいただきました。
 これらを踏まえまして、広尾病院が期待される役割を果たしていくためには、これまで地域で培ってきた地の利を生かした現地建てかえ整備が適切であると判断をいたしました。
 そこで、今後とも都民の命と健康を守ることを第一といたしまして、広尾病院の整備を着実に進めてまいる所存でございます。
 次に、都市づくりのグランドデザインについてのお尋ねがございました。
 今回作成いたしましたグランドデザインは、二〇四〇年代を見据えて東京を活力とゆとりのある高度成熟都市として生まれ変わらせ、新たな価値を生み続ける活動の舞台として世界中から選択される、そのような都市となることを目指しております。従来の発想にとらわれていては、躍動感あふれる東京をつくり出すことはできません。将来を見据えた長期的な視点を持って、新たな工夫を加えながら、今なすべきことをなす、そのことが重要と考えます。
 例えば、先端技術や、いわゆるESGの概念も取り入れて、ゼロエミッション東京を目指して持続的に発展をさせていく。また、国際ビジネス拠点を育成して、三環状道路や鉄道といったインフラを充実させて、最大限に活用をする。燃えない、倒れないまちづくりを加速して、緑を減らさない取り組みなども進める。これらによりまして、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティー実現の礎となる都市づくりを展開してまいります。都民の皆様とともに東京の未来をつくり、次世代に確実に引き継いでまいります。
 日本橋周辺の首都高速道路の地下化についてのご質問でございます。
 日本橋は五街道の起点として、江戸の経済、文化の中心であった場所でございます。現在の橋は、国の重要文化財に指定をされております。
 この橋の上にかかる首都高は、近年老朽化が進む一方で、周辺景観に与える影響についてさまざまな議論がされてまいりました。
 こうした状況の中で、首都高の大規模更新の機会を捉えて、国家戦略特区の都市再生プロジェクトなど、周辺のまちづくりと連携をして、今般、国や首都高速道路株式会社と共同で、首都高の地下化に向けて取り組むことといたしました。
 日本橋周辺の首都高のいわゆる見えない化は、品格ある都市景観の形成、歴史、文化、さらには水辺を生かした都市の顔づくりなど、東京の価値を高める一つの象徴となるものでございます。その実現に向けまして、関係者と力を合わせて取り組み、快適、ゆとりの高度成熟都市としての姿を未来に残してまいりたいと考えます。
 外国人旅行者の増加に向けた取り組みについてのご質問でございます。
 世界の注目が集まります平昌大会、ラグビーワールドカップなどのビッグイベントにつきましては、東京の魅力を効果的に発信できる絶好の機会と考えます。
 このため、平昌大会の開催時には、アイコン、Tokyo Tokyoを活用いたしまして、世界から集まる観戦者を初めとして、各国のメディア、旅行事業者に対しまして、ジャパンハウスや現地の広告などを通じまして、伝統と革新が共存する東京の魅力をアピールしてまいります。
 また、二〇一九年のラグビーワールドカップにおきましては、全国の大会会場を訪れる海外からの旅行者に、東京と日本各地の魅力を存分に堪能していただいて、さらなる旅行者の誘致につなげてまいります。
 こうした外国人旅行者のニーズや国ごとの特性をマーケティング調査で十分に把握をいたしまして、効果的なプロモーションに活用するとともに、まち中や公共交通機関の利用における多言語対応の充実、宿泊施設などのトイレの洋式化など、受け入れ体制の整備を加速をさせてまいります。
 今後は、訪都外国人旅行者数二千五百万人という高い目標の達成に向けまして、国別の旅行者数の目標値を定めて、効果のある取り組みをさらに戦略的に進め、インバウンドの拡大の効果を日本全体に波及させていきたいと考えております。
 多摩の振興についてでございます。
 多摩地域は、東京の三分の一に相当する四百万人を超える人口を擁しております。そして、豊かな自然や地域の特産物を初めとして、きらりと光る宝物がたくさんあるほか、高い技術力を持つ中小企業や大学、研究機関が集積をしております。その発展は、東京の活力を一層伸ばしていく上で欠かすことができません。
 一方で、人口減少、少子高齢化への対応を初めとして、道路、交通インフラの整備、防災対策、産業振興など、それぞれ地域ごとにさまざまな課題を抱えております。こうした課題の解決に向けましては、地域の実情を的確に把握した上で、一つ一つ丁寧な取り組みを行っていくことが重要でございます。
 今回策定いたしました多摩の振興プランは、地域ごとの特性や課題を把握、整理して、今後の多摩振興の道筋を示したものでございます。策定に当たりましては、地域の実情に精通をして、多様な活動をされている方々のご意見やアイデアも取り入れてまいりました。
 今後とも、積極的に現地に足を運びまして、地元の市町村と緊密に連携するなど、多摩地域にしっかりと目を向けて、オール東京の発展につながるよう、多摩振興に全力で取り組んでまいります。
 島しょ振興についてでございます。
 東京の島しょ地域は、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれた個性豊かな島々から成っております。私は、知事就任以来、一般の島民の方々がお暮らしになります十一の東京の島々のうち、小笠原諸島の父島を皮切りといたしまして、ことしの七月、新島、式根島まで合わせて九島、九つの島を訪問をしてまいりました。
 実際に現地を訪れてみますと、東京の島々はすばらしい景観や特産品、そして文化など、宝物にあふれているなということを痛感をいたしました。一方で、島の方々は毎日住んでおられると、逆にその価値に意外と気がつかないということもございます。
 私は、それらの宝物に一層磨きをかけていくため、島しょの隠れた魅力を発見して、広く発信をする東京宝島推進委員会の取り組みを進め、加えて、島しょ地域におけます電気自動車普及を目指したモデル事業を開始するなど、島しょ地域の活性化に向けまして、さまざまな振興策を実施しております。
 今後は、なるべく早く残る二島を訪問するとともに、東京の島ならではの地域の秘めた可能性を十分に引き出せるように、島しょ地域の振興に積極的に取り組んでまいります。
 時差ビズについてもご質問がございました。
 満員電車の混雑緩和は、社会の生産性向上のための重要な課題でございます。快適に通勤することのできる環境づくりを進めていくことは重要です。
 ことし七月に行いました時差ビズでは、官民が連携をして混雑緩和のための取り組みを一斉に実施をして、時差出勤やテレワーク、鉄道事業者によりますオフピーク通勤の促進など、鉄道利用者を含めて皆さんに工夫して取り組んでいただきました。
 私が時差ビズの開始を宣言した快適通勤プロモーション協議会の開催時には約二百三十社であった参加企業が、時差ビズ期間中も取り組みの輪が広がりまして、最終日には約三百二十社もの企業にご賛同いただくこととなりました。
 この秋に開催をいたします協議会におきましては、積極的に活動した企業や団体の皆様を時差ビズ推進賞として表彰いたします。その取り組みを広く紹介をさせていただきます。そのことによって、ムーブメントの輪をさらに広げていく所存でございます。
 今後とも、企業や鉄道事業者などと連携をいたしまして、さまざまな工夫を取り入れながら、時差ビズを東京の新たな常識として定着をさせてまいります。
 次に、二〇一八年のIWA世界会議についてのご質問がございました。
 世界の水問題への東京の貢献についてでございます。安全な水を安定的に確保して都市を水害から守る、いわゆる利水、治水という言葉にもあるとおり、政治や行政にとりまして最も重要な課題でございます。
 東京は、蛇口から直接おいしい水が飲める、実は世界でも数少ない都市であります。安全で高品質な東京の水道水は首都の大きな魅力であり、強みといっていいでしょう。
 先日のIWA会長との会談におきましても、三%という極めて低い漏水率を実現している東京の水道技術や、道路を掘らずに管路を新しくする下水道技術など、都の有する先進的な取り組みをぜひ海外に紹介してほしいとのご要望をいただいております。
 各国から水分野の関係者が一堂に集う来年の世界会議におきましては、都が長年培ってきたこうした技術や、官民連携のもと、都が主体となって先駆的に実施してきた経営の取り組みを論文の発表や展示会などを通じて広く、深く発信をしてまいります。
 私みずからも会議の場で都の有する技術やノウハウ、東京水のすばらしさを世界にアピールをしてまいります。
 今後、関係機関と密接に連携をとりながら、着実に準備を進めてまいります。そして、世界の水問題の解決に貢献する実り多い会議を実現してまいります。そして、その成果は二〇二〇年東京大会の成功にもつながる、このように確信をいたしております。
 都におけます震災対策の基本的な認識についてのお尋ねがございました。
 私は、前も申し上げたように、阪神・淡路大震災を経験いたしております。一たび大規模な地震が発生いたしますと、あらゆる災は同時に起こるということを痛感いたしました。
 首都直下地震の切迫性が高まる中で、都民の安全・安心の確立のため、政府機関や区市町村とも連携を一層密にして、想定外の事態にも対処できるように、できる限りの準備を不断に進めること、これが震災対策の基本でございます。
 このため、木造住宅密集地域の不燃化や道路の無電柱化の促進、地域防災活動におけます女性リーダーの育成、帰宅困難者対策など、ハード、ソフトの両面から、迫りくる脅威への備えを万全なものとするように取り組みを実施いたしております。
 さらに、よりわかりやすい事業計画といたしまして、セーフシティ東京防災プラン、仮称でございますが、これを策定いたしまして、都民の理解と共感に基づく自助、共助の取り組みと、公助としての都の取り組みを、ともに推進をしてまいります。
 大規模な災害がいつ発生してもおかしくない。私はそうした危機感の上に、防災対策の強化に全力で取り組んで、都民の命を守るセーフシティーの実現を加速してまいります。
 無電柱化についてのご質問でございます。
 東京の防災力を高めて、都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーを実現していくためにも、無電柱化は重要でございます。都は無電柱化の大義を明確にして、これを推進するため、都道府県で初となる条例を制定して、九月一日に施行されたところでございます。
 今後は、この条例に基づいて、国の計画策定の動きも踏まえ、都内における無電柱化の基本方針、整備目標などを定めた新たな計画を、区市町村と連携して今年度内に策定してまいります。
 あわせまして、区市町村道での取り組みに対して支援を行うとともに、事業者間の競争や技術開発を促すことで、コストの縮減を図ってまいります。
 また、十一月十日の無電柱化の日に、私も参加をいたします啓発イベントを展開するなど、これまで以上に広く都民に無電柱化の意義や効果をPRいたしまして、理解と共感を得ながら、東京の無電柱化、官民一体で推し進めてまいります。
 私は、無電柱化によりまして、この東京を世界に誇れる安全で美しいまちにしたいと考えております。
 東京大会の経費に関しましての共同実施事業管理委員会についてのご質問でございます。
 都民に支持され、喜ばれるオリンピック・パラリンピックとするためにも、大会経費の圧縮に向けた取り組みは重要でございます。
 そのため、コスト管理と執行統制の強化に向けて、ことしの五月の大枠の合意に基づいて、共同実施事業管理委員会を設置いたしました。
 この委員会は、組織委員会が東京都や国などの資金を使用して実施する共同実施事業を適切に遂行し、管理するものでございます。
 開催都市である都が主導して、副知事を委員長に据え、専門的な識見を有する第三者の意見の聴取も含めて、しっかりとチェック機能を働かせ、経費縮減の取り組みを促進するとともに、情報公開に努めて説明責任を果たしてまいります。
 また、共同実施事業につきましては、組織委員会において区分経理を行う、そして透明性を確保してまいります。このように国や組織委員会と共同したオールジャパンの体制が整いつつある中、効果的な大会運営に向けて準備を加速してまいります。
 復興五輪についてでございます。
 二〇二〇年大会は、復興オリンピック・パラリンピックでございます。被災地の復興なくして、大会の成功はないと考えております。
 知事に就任して以来、福島、宮城、岩手、東北三県のほか、熊本県も訪問いたしまして、改めて復興を加速させる力を日本中から結集させねばならない、その思いを強くしたところでございます。
 六月に立ち上げましたホストシティTokyoプロジェクトでは、復興、防災を大きな柱の一つとして掲げており、スポーツ交流事業の実施や復興応援イベントの都内開催などによりまして、被災地支援と復興の発信を行っていくことといたしております。
 八月に行われました千キロ縦断リレーのグランドゴール式では、私が直接たすきを受け取りましたが、そのたすきは汗でずっしりと重たく、被災地の復興に向けた全国からの思いを強く感じ取ったところでございます。
 今後とも、積極的に被災地の声に耳を傾けながら、さまざまな事業を通じまして被災地の復興を後押しをして、オールジャパンですばらしい二〇二〇年大会につなげてまいりたいと思います。
 豊洲市場への移転に向けた取り組みについてでございます。
 現時点におきましても、豊洲市場用地の法的、科学的な安全性は、専門家会議によって確認をされております。これに加えて、将来のリスクに備えた地下ピットの追加対策、地下水管理システムの機能強化などによりまして、さらなる安全性の向上が図られるところでございます。
 まずは追加対策を着実に実施して、工事完了後は、専門家会議によります対策の有効性の確認や、農林水産大臣の認可手続などの必要なステップを積み重ねてまいります。
 こうした一連の取り組みの内容や客観的なデータなど、正確な情報をわかりやすく示すことに加えまして、私自身もさまざまな形でメッセージを発信、豊洲市場の開場に向けまして、都民の理解を得てまいります。
 市場業者の方々にも、これらの取り組みを丁寧に説明するとともに、移転に向けました具体的なスケジュールや手順につきましては、業界団体との調整を精力的に進めて、円滑な移転を早期に実現できるよう取り組んでまいります。
 築地の再開発についてのお尋ねでございます。
 築地は、将来の東京にとりまして極めて重要な役割を担うエリアでございます。再開発に当たりましては、築地エリアが有する食文化、浜離宮の景観、水辺の魅力、都心への近接性など、さまざまなポテンシャルを生かしながら、東京の魅力をさらに高めていくことが重要でございます。
 検討会議におきましては、まずは自由な発想で、幅広いご意見を伺って、そのロケーションを生かした夢のある姿を描いてまいります。民間の力を最大限活用しながら、築地再開発に取り組んで、東京の持続的な成長につなげてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監、そして関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 放課後の学習支援についてでございますが、子供たちの学力の向上には、小中学校での授業の工夫、改善はもとより、放課後等における学習支援の充実も重要でございます。
 このため、都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、地域住民による補習等の教育支援活動を行う地域学校協働本部の設置を促進するとともに、平成二十八年度から、NPOや大学生等の外部人材による地域未来塾への支援を開始いたしました。
 現在、区市町村における学習支援は、独自の取り組みも合わせ四十九区市町村で実施されており、基礎学習に加え、進路実現を目指す取り組みも行われております。区市町村からは、子供たちの学習習慣の定着や意欲等の向上に有効との評価が多く寄せられております。
 今後とも、区市町村教育委員会が実施するこれらの取り組みを促進し、子供たちの学力の定着と向上を図ってまいります。
 次に、学校における働き方改革の推進についてでございますが、長時間労働を解消するためには、まず、日々の教員の勤務実態を把握する必要があることから、都立学校では、出勤カードシステムを改修し、来月から教員の在校時間を客観的に記録できるようにいたします。
 また、小中学校における多忙化を解消するため、区市町村教育委員会と都教育委員会との意見交換の場を設け、都立学校の取り組み事例を紹介するとともに、授業以外の教員の業務や部活動指導に係る課題等についても実態を聞き取り、今後策定するプランに反映させてまいります。
 都教育委員会では、今後とも、都立学校における取り組みを率先して進めていくとともに、各区市町村教育委員会においても、プランが策定できるよう、密接に連携し、都内公立学校全ての働き方改革を推進してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな住宅セーフティーネット制度についてでございます。
 少子高齢化が急速に進展する中、高齢者や子育て世帯など、住宅確保要配慮者の居住の安定を確保していくことが重要でございます。
 都はこのたび、こうした方々の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度を創設し、その情報を円滑に提供していくこととしてございます。
 住宅の登録を着実に進めていくため、関係団体等と協力しながら、制度の周知を図り、居住支援協議会の場などにおいて、区市町村や庁内の関係局などとの連携を図ってまいります。
 さらに、法施行に合わせて国が導入した家賃低廉化等への支援制度の活用や、目標とする戸数、基準等の設定について、区市町村の動向を踏まえ、検討を進めてまいります。
 次に、都市農業の振興についてでございます。
 東京の都市農地は、環境や防災などの機能を有する貴重な緑の空間であるとともに、大消費地に近接する特性を生かして、付加価値の高い農業生産の場として活用することが極めて重要でございます。農家の営農継続の意向に対応して、買い取り申し出の期間を延長できることとなった特定生産緑地については、区市とも連携して、農家の方々に丁寧な情報提供を行い、積極的にその指定を進めてまいります。
 また、田園住居地域は、住宅と農地が調和した良好な環境の形成を図りつつ、農家レストランの設置などを可能とし、農業の活性化や地域のにぎわい創出にも役立つものと考えてございます。
 今後、制度の活用に向けて、都市計画審議会に諮った上で、指定の考え方などを検討してまいります。
 最後に、屋外広告物についてでございます。
 スポーツ振興の機運醸成に寄与する広告物の掲出については、屋外広告物条例の柔軟な運用を図ってございます。
 例えば、スポーツに関する非営利の写真やイラストなどは、条例に基づく特例許可により、基準の面積を超える広告物の掲出が可能でございます。
 また、企業名が入った営利目的の広告であっても、その広告料収入を二〇二〇年東京大会に向けた体験イベントなど、公益的な取り組みに充当する活動では、条例に基づき、安全性を確保することなどを条件に特例許可を行うことによって、広告禁止区域等での掲出を認めてございます。
 これまで申請がなかった大会競技にかかわる工事の仮囲い等についても、今後、特例許可などを活用しながら、二〇二〇年東京大会の機運醸成につなげてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ゆりかご・とうきょう事業についてでありますが、本事業は、全ての妊婦を対象に保健師等の専門職が面接を行い、各家庭の状況を把握した上で、必要に応じて支援プランを作成し、継続的に支援を行う区市町村を都が支援する事業でございまして、今年度は四十一の区市町村が実施する見込みでございます。
 二〇二〇年に向けた実行プランでは、二〇一九年度までに全ての区市町村において、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制が整備されることを目指しており、今後、保健衛生主管課長会や母子保健従事者向けの研修等を通じて、事業の意義の説明に加え、先行して実施している事例の紹介等を行うなど、区市町村に対し積極的な取り組みを働きかけてまいります。
 次に、がん検診についてでありますが、科学的根拠に基づくがん検診の受診や精密検査の受診は、がんの早期発見、早期治療、ひいては、がんの死亡者の減少につながるため、受診率の向上や精度管理の充実が重要でございます。
 そのため、都は、東京都がん対策推進計画に、がん検診受診率五〇%の目標を掲げ、その達成に向け、実施主体である区市町村が地域の実情に応じて効果的に取り組めるよう、受診率向上と精度管理向上の手引を作成いたしますとともに、個別通知、再勧奨や、精密検査の受診結果の把握等について、包括補助で支援をしております。
 この計画は、今年度中に改定することとしており、新たに精密検査受診率を目標に追加し、受診率や精度管理の向上に取り組む区市町村を支援していく考えでございます。
 次に、がん患者の治療と仕事の両立支援についてでありますが、がん患者の方が治療と仕事を両立するには、職場における理解や配慮が必要でございます。
 そのため、都は、がん治療の基礎知識や就業上の配慮等をまとめたハンドブックを初め、社員研修用のDVDやスライド教材を作成、配布し、ホームページにも掲載をしております。また、企業向けのシンポジウムを毎年開催し、両立支援に積極的に取り組んでいる企業を表彰いたしますとともに、その取り組みを事例集で広く紹介をしております。
 今年度からは、がんの治療等により、休職した従業員が就業を継続できるよう、計画的な復職支援や、治療と仕事の両立に配慮した勤務制度の導入を行う中小企業に対する助成制度も開始しており、今後とも、がん患者の治療と仕事の両立支援の取り組みを進めてまいります。
 次に、フレイル予防についてでありますが、フレイルを予防するためには、健康なときからのバランスのよい食事や、運動による生活習慣病の予防、衰えを感じてきてからのリハビリテーション、高齢になっても社会とのつながりを保ち続けることなどが重要でございます。
 そのため、都は、包括補助等により、生活習慣の改善に向けた健康教育や、リハビリテーション専門職等を活用した介護予防、高齢者が体操等を行う通いの場づくりなどに取り組む区市町村を支援しております。
 また、医療や介護関係の団体と連携し、フレイルを都民にわかりやすく紹介する冊子を作成し、その意味と予防の重要性を啓発しております。
 今後とも、関係団体や区市町村と連携しながら、フレイル予防に取り組み、健康寿命の延伸を図ってまいります。
 次に、地域における障害児支援の充実についてでありますが、障害児が地域で安心して生活できるよう、都は、障害者・障害児地域生活支援三か年プランを策定し、地域生活基盤の整備を進めております。
 プランでは、地域における障害児支援の中核的施設として、通所支援や障害児とその家族への相談支援、障害児が通う事業所への専門的な支援等を総合的に行う児童発達支援センターの整備目標を掲げ、特別助成などにより整備を促進しております。
 現在策定中の障害児福祉計画では、国が示した基本指針に基づきまして、平成三十二年度末までに、児童発達支援センターを各区市町村に一カ所以上設置することを目標として盛り込む考えでございまして、今後、地域における障害児支援の一層の充実に取り組んでまいります。
 次に、障害者差別の解消に向けた条例についてでありますが、都は本年三月、東京都障害者差別解消支援地域協議会のもとに検討部会を設置し、障害者への理解促進及び差別解消のための条例制定に向けた検討を開始いたしました。
 検討部会は、障害当事者、事業者、教育、福祉関係者、学識経験者など二十三名で構成し、相談、紛争解決の仕組みの整備や意思疎通のための配慮などについて、これまで六回にわたり議論を行っております。
 また、二十二の障害者団体、交通、ホテル、飲食業など十五の事業者団体から、障害者差別の解消のための取り組みや、条例に対して望むことなどについてヒアリングを実施いたしました。
 今後、検討部会での議論を取りまとめ、年度内にパブリックコメントを実施する予定でございます。
 最後に、動物の譲渡を推進する取り組みについてでありますが、都は、飼育経験が豊富で譲渡活動に実績のある四十九のボランティア団体等と連携して、動物愛護相談センターが保護した犬や猫の譲渡を進めており、昨年度からは、独自に十一月を動物譲渡促進月間に定め、譲渡PRイベントを開催しております。
 今年度は、飼育に手間がかかる離乳前の子猫を育成して譲渡するボランティアに対し、ミルクや哺乳瓶などを提供する取り組みを開始し、これまでに二十八名の方を登録して、九十六匹の育成をお願いいたしました。
 また、ボランティア団体の譲渡会や、動物愛護相談センターの譲渡対象動物の情報などを、都民に発信するサイトを新たに開設いたします。
 今後、二〇一九年度までに動物の殺処分をゼロにすることを目指し、動物の譲渡を一層推進してまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、首都大学東京についてですが、都の公立大学として、大都市東京に顕在化する課題の解決に貢献していくことは、重要な課題の一つでございます。
 そのため、都庁各局とさまざまな連携事業を推進しており、平成二十八年度は、十六局と七十三事業に取り組んでまいりました。
 例えば、現在喫緊の課題である子供の貧困対策については、子供の体験や所有物にも着目する独自の視点から生活実態調査を行い、その成果は都の新たな施策にも結実しております。
 平成三十年度には、社会の急速な変化に伴い生じている新たな課題に対応するため、学部等を再編成し、教育研究基盤を一層強化いたします。
 今後とも、東京が抱える課題解決に専門的知見を生かすことを通じて、教育研究の成果をこれまで以上に都政のさまざまな場面に還元してまいります。
 次に、災害対応におけるICTを活用した情報連携についてですが、発災時に被害状況を把握し、迅速な対応を行うためには、災害情報の集約や共有が重要でございます。
 このため、都は、区市町村や防災機関、ライフライン企業を専用回線で結んだ災害情報システムを整備し、運用しております。
 また、情報不足による混乱や二次災害の防止を図るため、ホームページやツイッター、マスコミ各社に一斉配信可能なLアラートを活用し、災害情報を広く発信してまいりました。
 さらに、アプリによる情報提供を望む都民の声が多いことを踏まえ、防災アプリの作成を進めており、今後とも、ICTを活用した情報連携を推進してまいります。
〔政策企画局長長谷川明君登壇〕

○政策企画局長(長谷川明君) 国際金融都市東京構想についてでございますが、都では、国際金融都市東京構想をこの秋に策定、公表し、国や民間事業者等との連携のもと、魅力ある国際金融都市東京の実現に取り組むこととしております。
 具体的には、豊富な国内個人金融資産を背景に、資産運用業者やフィンテック企業の誘致、育成などの取り組みを進めることで、都内企業等への投資や都民への新たな金融サービスの提供などを図ってまいります。
 また、外資系金融企業の東京への進出を促すため、金融系外国人材のための生活環境の整備や、誘致に関するインセンティブの取り組みなどについても検討を進めてまいります。
 このように、国際金融都市東京の実現に向けた取り組みを推進することで、都内経済の活性化、ひいては東京の持続的成長につながることを目指してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、外国人旅行者の誘客についてでございますが、東京の観光振興を図る上で、多摩・島しょの魅力を活用し、旅行者を都内各地に誘致する取り組みは重要でございます。
 このため、都は、地域の観光協会等が連携した外国人の関心を引く観光資源をめぐるルートの開発等を後押しするとともに、旅行事業者を対象に、多摩や島しょ地域を周遊する新たな旅行商品の造成を支援しております。
 また、海外の有名ブロガーによる旅行記やPR映像の発信等を通じて、豊かな自然や地元の食材などの魅力を紹介しております。
 今後は、地域の魅力を伝えるテレビ番組の海外での放映やインスタグラムの活用など、外国人旅行者の興味に応じたきめ細かいプロモーションを実施いたします。
 こうした複合的な取り組みにより、多摩・島しょ地域への一層効果的な誘客を図ってまいります。
 次に、日本の各地域と連携した観光振興についてでございますが、二〇二〇年大会に向けて、外国人旅行者のさらなる誘致に、東京と東北地域が協力して取り組むことは、被災地の復興を支援する上でも重要でございます。
 都は、東京を訪れる外国人旅行者に東北地域にも足を延ばしていただくため、東京と東北を結ぶモデル観光ルートへ海外メディアを招聘し、旅行記をウエブサイトで紹介するほか、観光スポットの映像を三百六十度動画で提供するなど、双方の観光の魅力を発信しております。
 また、海外で商談会を開催するとともに、現地の旅行博で観光情報のPRを行うなど、旅行商品の造成に向けて、海外の旅行業者への働きかけを行っております。
 今後も、こうした取り組みを効果的に推進するため、東北地域とのさらなる連携に取り組んでまいります。
 最後に、企業におけるテレワークの推進についてでございますが、テレワークは生産性の向上や人材確保といった経営課題の解決にも資するものであり、経営者にその導入効果について理解を深めていただくことが重要であります。
 都は、テレワーク推進センターを拠点に情報提供や相談、先進機器の体験等をワンストップで提供するとともに、商工団体とも連携して、都内各地でテレワークの経営効果を紹介するセミナーを開催いたします。
 また、中小企業等を対象としたモデル事業を実施し、労働環境の整備から機器の導入、運用までの一貫した支援を通じて、業種や企業規模に応じた課題や活用策を検証し、好事例を多様なメディアを活用しながら広く発信いたします。
 こうした取り組みにより、導入が困難と感じている経営者にもテレワークの活用を効果的に訴求してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、LED省エネムーブメント促進事業についてでございますが、都は、本事業の開始に当たりまして、PR用動画を作成し、ウエブ配信を行ったほか、交換開始イベントを実施するなど、都民に対するさまざまな広報を実施いたしました。
 今後、区市町村の協力を得て、各区市町村発行の広報紙での情報提供を順次進めるとともに、区役所等の窓口で地域の参加協力店の一覧が載ったチラシの配布を行うなど、都民により身近な場所での広報を行ってまいります。
 また、学校等で配布されている小学生向けの環境情報紙に、家庭におけるLEDの活用に関する記事を掲載するなどにより、広範な都民への周知につなげてまいります。
 引き続き、さまざまな機会や媒体を活用して事業の認知度を高め、LED省エネムーブメントの促進を図ってまいります。
 次に、食品ロスの削減についてでございますが、都ではこれまでも、持続可能な資源利用に向けたモデル事業を実施し、主に消費者を対象といたしました食品ロスに関する広報の展開などに取り組んでまいりました。食品ロスのさらなる削減に向けては、いわゆる三分の一ルールと呼ばれる商慣習等の見直しや、消費者に食品を無駄にしないライフスタイルへの転換を働きかけていくことが重要でございます。
 そのため、具体的な検討の場として、食品の製造、卸、小売の事業者、消費者団体、有識者から成る食品ロス削減パートナーシップ会議を今月末に設置し、食品ロス削減東京方式の確立に向けた議論を重ねてまいります。
 また、さらなる広報を展開するなどして、食品ロス削減へのムーブメントを広げてまいります。
 最後に、総合的な暑さ対策についてでございますが、近年の東京の暑さは厳しく、東京二〇二〇大会開催時において、蒸し暑さになれていない国、地域からの観光客等に対する暑さ対策は重要な課題でございます。
 都は、副知事を座長といたしまして、庁内各局、国、組織委員会も参加する東京二〇二〇大会に向けた東京都暑さ対策推進会議を設置し、全庁的な推進体制のもと、遮熱性舗装や打ち水の普及促進、外国人観光客等に向けた熱中症に関する情報発信等を実施しております。
 また、今年度から、競技会場周辺で観光客等が集まる地域におきまして、微細ミスト等、暑さ対策設備を整備したクールエリアを創出する補助事業を開始し、大会までに六地域程度で実施をしてまいります。
 今後も、各局等と連携を図りながら、総合的な暑さ対策を推進してまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、IWA世界会議を通じた、水分野における産業力強化に向けた東京都の対応及び準備状況についてでございますが、この会議は、論文発表と展示会が同時に行われることから、企業にとりましては、自社の製品や技術をPRできる絶好の機会でございます。また、海外から多くの関係者が来訪する見込みであり、大きなビジネスチャンスとなります。
 そこで、会場となります東京ビッグサイトにおきまして、国内企業が一体となって出展するジャパンパビリオンを設け、統一感を打ち出すとともに、パビリオン内にセミナースペースを設置し、各企業にプレゼンテーションの機会を提供することなどを検討しております。
 このような取り組みを通じて、本世界会議が水分野における日本の産業力強化に資するよう、引き続き関係機関と連携しながら準備を進めてまいります。
 次に、水道フレッシュ診断におけるアンケート結果を踏まえた水道事業への反映についてでございますが、水道局では昭和五十九年以降これまでに三回、一定期間を置いて全てのお客様のお宅を対象に個別訪問を行い、水道水の品質や漏水の有無を直接確認するとともに、お客様ニーズなどを把握する取り組みを実施しております。
 平成十二年度から実施しました前回の水道フレッシュ診断では、口座振替日は月末にしてほしい、安心しておいしい水を飲みたいなどの多くのご要望をいただきました。こうした声を受け、その後、口座振替日の指定や口座割引の制度を導入いたしました。
 また、国の基準を上回る都独自の水質目標を定め、利根川水系の全浄水場への高度浄水処理導入や直結給水への切りかえ促進など、お客様サービス向上と安全でおいしい水の供給に向けた取り組みを一層強化したところでございます。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小河川の新たな整備水準の達成に向けた取り組みについてでございますが、激甚化する豪雨から都民の命と暮らしを守るには、河川整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 このため、時間五十ミリまでの降雨は護岸整備を基本に、それを超える降雨には道路や公園等、用地取得の必要がない公共空間を活用した新たな調節池等で対処いたします。
 現在、新たな目標整備水準に対応する四調節池の工事を実施しておりまして、このうち、環七地下広域調節池は平成三十七年度の完成を目指します。これにより、神田川など三つの流域間で容量を相互に融通して、時間百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮いたします。さらに、二十九年度は谷沢川分水路など三施設の工事に着手いたします。
 今後も、善福寺川や川口川など二十六河川で進めております護岸整備を含めまして、中小河川の水害対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、良好な河川環境の保全や創出についてでございますが、河川は都市に残された貴重な水辺空間でございまして、水害対策に万全を期した上で、親水性や生態系にも配慮した河川環境の保全や創出を図ることが重要でございます。
 具体的には、旧河川敷地等周辺の公共用地を生かした緩傾斜護岸の整備や管理用通路などの緑化に加えまして、河道内における瀬やふちの創出や魚道の設置といった多自然川づくりなどを推進しております。
 また、善福寺川では、隣接する都立和田堀公園を活用し、約一万八千立方メートルの洪水の貯留が可能で、平常時には公園と一体となった親水空間ともなる調節池の整備を進めております。
 今後とも、整備箇所や河川の特性に合わせ、環境にも配慮した潤いのある水辺空間の保全や創出に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、無電柱化を進める上での課題と対応についてでございますが、東京の無電柱化に係る主要な課題は、コストの縮減と、区市町村と連携した計画的な事業の推進であると認識しております。
 このため、区市町村道への適用も見据えた低コスト化に向けまして、東京電力やNTTなどと連携し、技術的な検討を進めておりまして、今年度新たに開始いたしました財政支援とあわせまして、区市町村の取り組みを総合的に支援してまいります。
 また、都内全域で無電柱化を進めるための基本方針や今後十年程度の整備目標等を定めた計画と、具体的な整備箇所を示した実施計画を、区市町村と連携し今年度内に策定いたします。
 これらにより、面的に広がりを持った東京の無電柱化を強力に推進してまいります。
〔下水道局長渡辺志津男君登壇〕

○下水道局長(渡辺志津男君) 下水道事業における浸水対策の新たな整備水準の達成に向けた取り組みについてでございますが、下水道局では浸水被害の影響が大きい大規模地下街や、甚大な被害が発生している市街地に重点化して、整備水準を時間七十五ミリにレベルアップし事業を進めております。
 具体的には、地下街対策の九地区と市街地対策の四地区を定めており、既に渋谷駅西口地区など地下街対策の四地区で事業が完了しております。
 二〇二〇年大会に向け、平成三十一年度末までに、地下街対策の二地区で新たに事業を完了させるとともに、市街地対策地区では、できる限り早期に効果を発揮させるため、一部完成した施設を暫定的に稼働させてまいります。
 引き続き、全事業の一日も早い完了に向け、浸水対策を強力に推進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、関係自治体との連携についてでございます。
 都はこれまで、競技会場が所在する関係自治体、組織委員会、国と連携し、一丸となって大会準備を進めていく体制の構築に取り組んでまいりました。
 中でも、関係自治体とは、各自治体のニーズを的確に酌み取りながら、費用負担の問題も含め、忌憚のない意見交換ができる関係を構築したことで、このたびの財源に関する共同要望につながったところでございます。
 今後は、大会運営が円滑に行えるよう、会場の使用期間や観客輸送ルートなど、各会場に即した課題の解決に向け、関係自治体とともに精力的に国や組織委員会との協議を行ってまいります。
 引き続き、二〇二〇年大会の成功に向けて、関係自治体と緊密に連携をしながら、大会準備に万全を期してまいります。
 次に、都民が主体的に参加できる仕組みについてであります。
 大会開催まで三年を切り、大会の機運醸成に向けて、都民、国民一人一人がより一層主体的に大会に参加していくことが重要でございます。
 これまで、都は組織委員会と一体となって、メダルプロジェクトや参画プログラムなどの仕組みを提供し、都民、国民の幅広い参加を促してまいりました。
 今後、これらに加え、ボランティアへの参加や大会マスコットの選定、寄附による応援など、機会を捉え、大会運営に直接参加できる仕組みをさらに提供することで、大会に向けた都民、国民の参加意欲を喚起してまいります。
 こうした取り組みを通じて、誰もが大会に参画したと感じられ、一人一人の記憶に残る大会を実現してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 市場関係者の意見についてでございますが、市場の移転問題を解決するためには、市場業者の方々の理解と納得を得ながら取り組んでいく必要がございます。
 このため、新市場建設協議会や街区別検討会といった検討体制を活用し、豊洲市場への移転に向けた諸課題につきまして、業界団体との調整を精力的に進めているところでございます。
 また、資金繰りや引っ越し、造作工事などに関する相談対応に際しましては、さまざまな状況を抱える個々の事業者に丁寧に寄り添いながら、一人一人の思いや声にしっかりと耳を傾けてまいります。
 あわせて、将来、築地に戻ることを希望する仲卸業者に対する方策につきましては、市場業者の豊洲市場移転後の状況等を踏まえた検討を行っていくこととしております。
 こうした取り組みによりまして、市場関係者のさまざまな思いに真摯に向き合ってまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十五分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十五番谷村孝彦君
〔八十五番谷村孝彦君登壇〕

○八十五番(谷村孝彦君) 私は、都議会公明党を代表して、都政が直面する諸課題について、知事並びに警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長に質問します。
 まず、質問に先立って一言申し上げます。
 昨日、小池知事は、希望の党を立ち上げ、みずからが代表に就任し、国政に進出することを表明しました。
 都民が知事に期待したことは、都政に専念し、改革を強力に推進することであります。都議会公明党も同じ思いで、都政において、小池知事と連携関係を構築してまいりました。都政を踏み台にして他の狙いがあるかのような報道がなされていることは、非常に残念でなりません。
 都政を強力に改革していくとの初心に立ち返り、都民のためにしっかりと汗を流していくことを強く希望するものであります。
 さて、我が国では今後、一層高齢化が進展し、少子化に歯どめがかからず、総人口が大きく減少すると予測されております。国立社会保障・人口問題研究所の分析では、二〇五〇年代には総人口が一億人を割り込み、七十五歳以上の高齢者が四人に一人を占めるようになります。
 こうした状況を踏まえ、まず当面のメルクマールとなる分岐点が、いわゆる二〇二五年問題への対応であります。二〇二五年には団塊の世代が七十五歳以上に到達し、総人口の約四分の一を七十五歳以上の高齢者が占めることになります。
 七十五歳以上になると、高齢者の介護認定率は約七倍にはね上がります。このままでは、医療、介護の費用負担や人材不足などの課題が雪だるま式に増大化し、日本の繁栄を長く支えてきたさまざまな社会機構がドミノ式に崩壊する危機を迎えてしまいます。
 これからの都議会が担うべき使命は、二度目の五輪大会の成功もさることながら、二〇二五年問題に象徴される社会不安の克服に向けて、説得力のある対応策を示すことにあります。
 都議会公明党は、今後の四年間、地域包括ケアシステムや子育て支援の充実、住宅問題の改善といった諸課題の解決に全力を尽くしてまいります。
 そこで、都議選後初めての定例議会の代表質問に当たり、まずは冒頭、二〇二五年問題に対処する知事の基本的な考え方について見解を求めます。
 次に、介護施策について質問します。
 二〇二五年問題では、在宅での介護や療養を推進する地域包括ケアシステムの実効性が、それぞれの地域で問われることになります。
 その実効性を左右する要因の一つが、介護人材不足であります。介護職の待遇改善を急ぐ必要があり、介護報酬による処遇改善加算が進められておりますが、現場からは、その実感がないとの声が上がっております。
 国も介護事業者に対し、職員から加算による賃金改善について照会があった場合には、書面などでわかりやすく回答を求めるよう通知を出しております。さらに、介護従事者処遇状況等調査を実施する予定であります。
 都としても、税金投入の効果を個々の事業者や働き手に即して把握するなど、処遇改善に伴う取り組みの監視と指導体制を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 都は現在、国のキャリア段位制度を活用する独自の取り組みを進めております。しかし、今後、国の介護報酬による改善にさほどの効果がないことが明らかになれば、もはやこれ以上の猶予は許されません。
 国に厳重に対策の強化を求めるとともに、都独自でも、介護職離れに歯どめをかける緊急の対策を講じるべきであります。見解を求めます。
 なお、地域区分など大都市の実情に合った介護報酬への転換についても、一層の推進を図るべきであります。見解を求めます。
 次に、在宅療養について質問します。
 都は、地域包括ケアシステムの構築を通じた在宅療養の推進に向け、在宅医療の二十四時間体制を確保する在宅医等相互支援体制構築事業や、地域の多職種がICTを活用して情報共有を図る在宅療養推進基盤整備事業により、各地の医師会等への支援を行ってきました。しかし、どちらの事業も今年度までの時限事業となっております。
 在宅療養の実施主体である区市町村は、医療資源の偏在や財政力の格差、高齢化率の違いなど、異なる事情を抱えながら環境整備に取り組んでおりますが、結果として、都内で自治体ごとにサービスの質と量が大きく異なるようであってはなりません。
 都はこうした支援を継続すべきであります。見解を求めます。
 次に、在宅療養に関連して、駐車違反の規制のあり方について質問します。
 都議会公明党には、デイサービスなど、高齢者施設への送迎車両の駐車問題について、多くの相談が寄せられております。
 既に警視庁では、訪問介護に関し、医師訪問診療や訪問看護と同じく、各警察署長の駐車許可により柔軟な対応を図っており、訪問介護だけでなく、訪問入浴介護、訪問リハビリテーションなどの車両に駐車許可証が交付されていることは承知しております。
 一方、デイサービスなどの通所介護に伴う送迎車両は、その対象になっておりません。例えば、運転に従事する送迎担当者が集合住宅の居室まで介護者を送り迎えする場合も、駐車違反の取り締まりを受けているのが実情であります。
 介護事業者の負担を軽減し、利用者の適切な介護を継続して行っていくためには、デイサービスなど施設介護の送迎車両も駐車許可の対象にすべきと考えます。警視総監の見解を求めます。
 続いて、子育て支援について質問します。
 まず、私立高校授業料の実質無償化についてであります。
 東京都は、公明党の強い要請を受け、今年度から私立高校の授業料の実質無償化制度をスタートさせました。子育て世代の保護者の皆様方から、家計が助かります、都立だけでなく特色ある私立を第一志望にでき、学校選択の幅が広がりますなど、喜びの声が上がっております。
 一方、今回の実質無償化は、世帯収入約七百六十万円までのご家庭を対象にスタートしましたが、公明党は、都立高校の無償化基準と同じく、対象となる世帯年収を約九百十万円まで引き上げるよう求めてきたところであります。
 人への投資こそ政治の重要課題とする知事の教育の機会均等に向けた今後の取り組みについて、見解を求めます。
 このたびの私立高校授業料の実質無償化で、残された課題があります。その一つが、保護者が都内に在住していても、生徒が寮など都外に在住する場合、対象にならないことであります。全寮制が入学の要件になっていたり、部活動のため入寮が必要になったりする場合もあります。寮生活は在宅通学以上に経費がかさみます。ことし四月にさかのぼって、支援の対象に加えるべきであります。見解を求めます。
 また、東京都認可の通信制高校が対象から外れていることも課題であります。
 都議会公明党は、本年第一回定例会において、通信制高校で頑張っている都内の高校生も支援するべきと主張し、五月には知事に緊急申し入れも行いました。早期に実施するべきであります。見解を求めます。
 そして、生徒の家計が急変した場合への対応も万全でなければなりません。学校が授業料を減免すれば、都がその大部分を負担する制度がありますが、これは必ずしも全ての学校が導入しているわけではありません。
 都として、減免制度の導入を各学校に働きかけるとともに、年度途中における授業料無償化の申し込みにも対応するべきであります。見解を求めます。
 次に、幼児教育、保育の無償化について質問します。
 既に自公政権は、三歳児から五歳児の幼児教育、保育の無償化を打ち出し、その財源に、消費税率引き上げ時の使途変更を充てるとしております。これは、都議会公明党の政策の柱でもあり、国に先駆けてでも首都東京で早期に実現させることが重要であります。
 教育や保育などの子育て経費への支援は単なるばらまきなどではなく、社会の活性化、経済の立て直しに不可欠な取り組みでもあります。
 例えば、京都大学大学院の柴田悠准教授の研究では、政府統計に基づく公共事業の経済効果が投入額の一・一倍とされているのに対し、先進国のデータを分析したところでは、保育のGDPへの投資効果は二・三倍に上ると指摘しております。
 無償化は単なる恩恵ではなく、最大の投資であるとの発想の転換を進めるべきであり、デフレマインドからの脱却を図る上でも効果的な取り組みといっても過言ではありません。
 自公政権では、今後の取り組みで、三歳以上を対象にしておりますが、都は零歳から二歳にかけての幼児教育、保育の無償化について検討を開始すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、学校給食の無償化について質問します。
 公明党は、貧困対策などの観点も含め、国が全小中学校における学校給食の無償化を実施すべきであると主張してまいりました。公明党の提案を受け、文部科学省は、給食費の無償化に関する全国調査を開始しております。
 こうした国の動きが見え始めた機を捉え、学校給食の無償化を実現していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 続いて、住宅政策について質問します。
 まず、住宅セーフティーネット法改正への対応についてであります。
 低所得者や障害者、高齢者の住まいを円滑に確保する仕組みをつくるために、いわゆる住宅セーフティーネット法が制定され、ことしで十年を迎えます。住宅政策と福祉政策を結びつける取り組みは、今後ますますその重要度を増していくものと考えます。
 本年四月の住宅セーフティーネット法の改正で、住宅確保要配慮者を支援する新たな枠組みが示されたところであります。法改正により、住宅確保要配慮者に向けた賃貸住宅への入居支援策が整うことになりますが、見守りなどのソフト的な支援策が伴わないと、家主側は要配慮者の入居に不安を覚え、貸し渋りを解消できないとの指摘もあります。
 その意味で、都においても住宅部門と福祉部門との一層の連携強化が求められております。
 そこでまず、住宅と福祉の緊密な連携に向けた所見を知事に求めます。
 また、このたびの法改正は十月二十五日に施行されますが、財源の問題で、この制度の活用に踏み切れない自治体もあります。法改正本来の趣旨の実効性を高めていくためにも、新制度の施行に当たって都は、区市町村への財政支援に取り組むべきであります。見解を求めます。
 次に、若者世代の住宅の確保策について質問します。
 厳しい経済情勢のもと、平成九年に四百七十四万円だった三十歳代の平均年収が、平成二十七年には四百十六万円に下がり、若年層の収入は減少しております。若者世代が子育てするために間取りの広い住宅を都内で確保することは、ますます難しくなっております。
 しかし、活力ある東京を構築するためには、結婚、出産を希望する若い子育て世帯こそが安心して暮らせる住環境を整備しなければなりません。そこで求められる施策の一つが、若年層の都営住宅への入居促進であります。
 都営住宅では、入居者の高齢化、単身化が進み、居住者の平均年齢は高くなる一方であります。自治会など地域コミュニティとしての機能も果たせなくなり、入居者からも、若者世代の入居枠の拡大を求める声が上がっております。
 都は、都議会公明党の提案を受け、期限つきでない若年世帯向けの募集を来年一月から毎月五十戸程度実施すると表明しましたが、こうした取り組みをさらに進め、若年世帯の入居を一層促進すべきであります。見解を求めます。
 加えて、単身化が進む高齢者用に合わせて建てかえを進めてしまえば、今後、間取りの狭い部屋がふえ、子育て世帯が利用できる居室が減ってしまいます。子育て世帯向けの広い居室の増設も検討していくべきであります。見解を求めます。
 七十五歳以上の高齢者の人口が二百万人を超えていく都内にあっては、入居要件を満たす高齢者の全てに都営住宅を提供していくことは物理的に困難であります。
 そこで注目されているのが、このたびの法改正によってスタートする住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅としての登録制度であります。登録すれば、家主側も改修費や家賃低廉化への補助が受けられるようになります。
 今回の制度は、当然、民間賃貸住宅での促進が図られていくべきものでありますが、公社住宅やUR住宅においても、現役を退いた年金生活者にとっては、家賃負担が重く、大きな問題となっております。
 その点、突破口となる取り組みが都内で行われております。北区のUR神谷堀公園ハイツの居室では、高齢者向け優良賃貸住宅制度を活用し、国と都と区が家賃を補助し、区内の高齢者用の住宅を提供しております。こうした取り組みなどを都内の各区市町村に働きかけ、広げていくべきであります。見解を求めます。
 次に、防災対策について質問します。
 この夏、世界的に巨大台風の襲来による高潮水害や記録的豪雨による大規模な水害が多発しております。東京でも、集中豪雨の降雨量は明らかに変化を見せており、既に深刻なステージに入ったと捉え、対策を急ぎ、強化していく必要があります。
 国は一昨年、想定し得る最大規模の洪水、内水、高潮に対する避難体制等の充実強化等のソフト対策の推進を目指して、水防法を改正し、洪水に加えて高潮についても浸水想定区域を公表する制度を創設しました。
 そこでまず、都としても、高潮の浸水想定区域図を早急に作成し、公表すべきであると考えますが、見解を求めます。
 また、一昨年とことし、関東、東北地方や、九州北部地方を襲った豪雨災害は、線状降水帯と呼ばれる特定の箇所に降雨が続く気象現象によってもたらされました。今後、いつ、どこで発生しても不思議ではないといわれる線状降水帯による豪雨被害から都民の生命と財産を守るためには、避難行動に資する情報が必要であり、そのための取り組みが求められております。
 都では平成十三年より、全国に先駆けて河川管理者と下水道管理者が連携して、河川流域ごとの浸水予想区域図を公表しており、これが区市町村が作成するハザードマップのもととなっております。
 そして、都は一昨年の水防法改正に合わせ、中小河川流域における浸水予想区域図の見直しに取り組んでおります。この進捗状況を明らかにすべきと考えますが、見解を求めます。
 平成二十七年の水防法改正に伴い作成が義務づけられた区市町村のハザードマップは、作成しておくことが目的ではなく、地域住民に対し、あらかじめ内容を伝え、理解を促進し、実際の避難時に役立てることこそが重要であります。
 都としても、水害に対する都民の認識を高めるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピック東京大会のコスト管理について質問します。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の成功は、大会そのものの成功とともに、開催経費の縮減も大きな要素となっております。五輪特有の多岐にわたるレガシーを確実に残していくためには、都の経費負担に対して、都民の皆様のご理解を得ることは断じて欠かすことができません。
 去る五月三十一日、都と組織委員会でそれぞれ六千億円、国が一千五百億円の負担をするという大枠の合意がなされ、先日、都外の競技会場等にかかわる経費については、関係自治体と共同で、宝くじによる追加支援等の要望が行われました。これにより、大会準備を前進させる体制が整ったわけであります。
 また同時に、役割分担及び経費負担に関する基本的な方向とあわせて、大会準備における進行管理の強化のため、コスト管理と執行統制の強化を図る共同実施事業管理委員会が設置されました。
 本委員会の設置は、大きく膨れ上がりやすい開催経費を抑制するためには一歩前進でありますが、対象は、都や国等が公費を投入し、組織委員会が実施する共同実施事業のみとなっており、組織委員会の予算六千億円はコスト管理の対象となっておりません。
 しかし、組織委員会予算の六千億円の収支均衡がとれなくなれば、都は財政保証をする仕組みとなっており、さらなる負担を強いられることになります。
 都から組織委員会へは、今年度、四百人の職員を派遣しており、都職員の平均給与額を乗ずると、金額ベースでは年間三十億円に上る人件費が投入されることになるにもかかわらず、組織委員会のコスト管理に都が関与することもなく、都による財政保証が必要となる事態に陥らぬよう、組織委員会のコスト管理、執行状況についても、都が大会経費全体を管理して、その透明性を確保していくべきと考えますが、知事の明快な答弁を求めます。
 次に、オリ・パラ教育について質問します。
 オリンピック憲章には、オリンピズムは、スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものであるとうたわれており、IOCは教育プログラムを重要視しております。
 まさに五輪レガシーとして後世に残すべきものは、競技施設などのハード面だけでなく、世界平和と人類のきずなというオリンピック精神を刻んだ、人というレガシーもまた重要であります。
 組織委員会は今後、若い世代を鼓舞する取り組みを一体となって行う東京二〇二〇教育プログラム、愛称「ようい、ドン!」事業を展開するとしており、これに先駆け、開催都市である東京は、昨年、全ての公立学校をこの事業の教育実施校として認証し、既に推進しております。
 この事業は、誰もが、どこにいても、オリンピック・パラリンピックに参画できるようにするためのものでもあり、ことしからは全国の学校に広がっていきます。
 都議会公明党は、招致段階から、東京二〇二〇大会について、パラリンピックの成功なくして五輪の成功なしと主張してきました。
 そこでまず、パラリンピックが持つ意義、魅力を教育的観点から子供たちに伝えるなど、これまで以上に取り組みを強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、東京二〇二〇教育プログラムが全国に広がり始めたこの機会を捉えて、パラリンピック競技の体験活動を通じ、都内の学校と全国の学校との交流を深めるべきであります。
 とりわけ、公明党は、復興五輪との位置づけを強調してまいりました。特に、東北や被災地各地の児童生徒が、次代を担う人材として、東京の児童生徒とともに互いに成長し合えるよう、都が率先して取り組むべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 次に、商店街の活性化について質問します。
 商店街では、経営者の高齢化や後継者難が深刻であります。事実、都の調査では、この十五年間で三百カ所以上の商店街が姿を消しております。一方、近年では、防犯や防災の面だけでなく、高齢者の見守りや子育て支援など、各種の地域活動の拠点として商店街の価値が見直され始めております。今後は、都の支援内容も、こうした社会情勢の変化も踏まえて改善を図っていくべきと考えます。
 例えば、広域支援型商店街事業は、平成二十一年度からスタートし、商店街の連携を区市町村の壁を超えて育む役割を果たしてきました。各地で商店街同士の連携による取り組みが広がるなど、先導的な事業として一定の成果を上げてきました。
 また、この事業はイベント事業として執行されておりますが、平成二十八年度の都の調査では、後継者難に加え、集客の柱となる、いわゆるコア店舗に欠けることや、幅広い客層に対応できる店舗業種の不足など、一過性のイベントでは対処しがたい課題が回答の上位にランクされております。
 こうした課題の解決に役立つ可能性を秘めているのが、空き店舗などを活用した商店街での創業や、新たな担い手による事業承継を応援する取り組みであります。とりわけ、女性や若者などを対象に取り組みを進めれば、購買層の主力である女性の集客を増強するほか、客足が不足する若者層での集客を見込める効果が期待できます。すぐれたアイデアを募るコンペティションなどを開けば、集客効果も一層向上します。
 そこで、これまで先行的な役割を果たしてきた広域支援型商店街事業の発展的見直しを行うとともに、地元商店街の意向を踏まえつつ、空き店舗などを舞台に、広く女性や若者に参加を呼びかけて、集客力のあるコア店舗の創出に挑むなど、新たな支援策に力を入れていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 空き店舗の活用や新たな生産の現場を探し当てるため、ネットを活用した情報収集にたけた若者世代に向けて、時代に合った情報発信を心がける必要があります。
 例えば、新たに商店街での開業を目指す若者が、自分の希望する条件に合致する空き店舗や入店できる家屋についての情報を、各地にみずから出向き、めぐりながら収集することは容易ではありません。
 同じようなことは、ものづくり系の中小企業で、機械を使って生産のできる場所を求める場合にも当てはまります。立地条件のわかりやすい発信などで、工場に適した場所を見つけ出す労力が大幅に縮小する可能性もあります。
 都は、ICT技術を活用して、こうした課題の解決に積極的に仲介を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、医療と障害者福祉について質問します。
 まず、休日、夜間の小児救急の課題についてであります。
 原則的に、医師には応招義務があり、休日、夜間を問わず、救急患者等に対応しなければなりません。その一方で、働き方改革が進む中、病院にとって休日や夜間に勤務する小児科医の確保が大きな経営課題ともなっております。
 また、都内では、女性医師の占める比率が全国平均と比較して高いことなどから、出産や育児といった環境変化にかかわらず、安心して医療に従事できる支援が欠かせません。
 都は、従前の取り組みに加え、休日、夜間の小児救急診療に従事する医師の確保に向けて、より踏み込んだ財政的支援を検討すべきであります。見解を求めます。
 次に、新生児の聴覚検査について質問します。
 都内では現状、一千人に一人から二人という確率で聴覚障害のある新生児が誕生していると推測されております。先天性の聴覚障害であっても、早期に発見され、療育が行われた場合には、音声言語発達などへの影響を最小限に抑えることができるといわれており、新生児の聴覚検査は大変に重要であります。
 しかし、都内の多くの区市町村では、その検査費用は全額自己負担で、助成が行われているのは三市一村にとどまっております。費用面から検査を受けないと判断する保護者も少なくありません。助成を実施していない日野市の例では、約二割の新生児が検査を受けていないという状況にあります。また、日本産婦人科医会の調査でも、都内については同様の結果となっております。
 平成二十四年度からは、母子健康手帳の必須記載事項の検査記録の中に、新生児聴覚検査の記載が追加されており、都も推進に向けて取り組みを進めてきたはずであります。
 そこでまず、都内における新生児聴覚検査の実施状況について見解を求めます。
 新生児聴覚検査については、かつて公明党の取り組みで、都内全域で約十七万人の賛同署名が集まり、都の助成金によるモデル事業が実施された経緯があります。
 立川市では、モデル事業終了後の平成十七年度から、市の一般財源により本格実施するとともに、平成二十三年度からは、市内医療機関だけでなく、里帰り先での検査にも助成を適用し、好評を博しております。
 全ての新生児が聴覚検査を受けられるよう、都内の全区市町村が共通して取り組むことが必要であり、都として財政面を含めて区市町村を支援し、体制整備を推進すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、障害児支援についてであります。
 医療技術の進歩もあり、NICU等で救命に成功した後で、人工呼吸器や胃瘻、たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアを必要とする障害児、いわゆる医療的ケア児がふえ続けている状況にあります。
 昨年の児童福祉法の改正や、ことし三月に公表された第五期障害福祉計画等に係る基本方針などにおいて、医療的ケアへの支援が盛り込まれたこともあり、徐々に支援に向けた取り組みが進んでいる状況にあります。障害児の通所施設では、医療的ケア児であっても、重症心身障害児の場合と同じく、受け入れるには看護師の確保や特段の施設整備などが必要とされております。
 しかし、医療的ケア児を受け入れても、重症心身障害児とは異なり、国の運営費補助や都の独自加算も適用されないため、負担だけが大きくなり、受け入れが困難になっております。
 都は、制度のはざまにある医療的ケア児の支援について、改善を強く国に求めるとともに、みずからも支援の強化に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 次に、多摩・島しょ振興について質問します。
 初めに、多摩振興、具体的には高尾山の観光振興策についてであります。
 都は、ことし五月、東京の自然公園ビジョンを策定する中で、リーディングプロジェクトとして、まずは高尾山に管理運営協議会を設置し、良好な景観の保全や利用促進に向けた地域ルールを策定するとしております。
 かねてから、高尾山の環境整備策について、さまざまな提案を重ねてきた公明党として、こうした対応を高く評価します。協議会の活動を通じて、目指すべき観光事業の将来像を地元関係者が共有する意義は大きく、都はこれを機に、PRイベント開催など、高尾山の魅力を効果的に発信する取り組みを安全確保に配慮しつつ、一層強化するべきと考えますが、見解を求めます。
 次は、島しょ振興についてであります。
 都は本年三月、東京宝島推進委員会を立ち上げました。島しょ地域の島民が熱い期待を寄せる推進委員会であります。これまでの検討内容と今後の取り組みについて見解を求めます。
 特に、三宅島については、十七年前に雄山が噴火した経緯もあり、一段と踏み込んだ観光振興策が必要であります。都は現在、雄山の噴火口までの登山道を整備中ですが、今後は、噴火口周辺の豊かな自然環境の保全に配慮しつつも、登山道などの施設を有効活用して、三宅島の観光振興に役立てることが重要であります。
 登山道の完成を機に、利用者に火山活動を初めとした自然の成り立ちや、利用者マナーについて解説を行うなど、三宅島の魅力を伝えるソフト面での取り組みを進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、動物愛護相談センター本所の移転、新設について質問します。
 都議会公明党は、予定地を視察し調査しましたが、アクセス道路が狭く、敷地についても十分な広さではないと率直に感じたところであります。
 都は、新施設で、動物の譲渡のため、より長く動物を飼養できるようにするとしておりますが、そのためには、動物を屋外で運動させるような敷地の広さが不可欠であると考えます。
 この都有地は、長く活用されることもなく、自立支援施設用地として五年間は使われましたが、地元からは、今後は公園やスポーツ施設として活用をとの要望が出ておりました。
 新たな機能を備える動物愛護相談センター本所は、今後、都が動物施策を進めるための中心的な拠点となるものであり、設置に当たっては万全を期す必要があります。移転予定地については見直しの検討が必要と考えますが、見解を求めます。
 最後に、入札契約制度改革について質問します。
 我が党の提案を受けて、本年五月に見直された入札契約制度改革について、中小建設業者からは、低入札価格調査制度の適用範囲の下限額が大幅に引き上げられたことにより、最低制限価格が引き続き適用され、従来と同じ制度の中で入札に参加できるといった安心の声が寄せられております。
 しかし、残る課題もあります。その一つがJV結成義務の撤廃をしたことであります。
 公明党には、中小企業が大規模な工事に参画し、人材を育成する貴重な機会が失われてしまうと懸念する意見が多く寄せられております。JVを組まなくても入札に参加できる建設業者は限定されてしまいます。入札契約制度改革は、入札の競争性や透明性の確保を図ることはもとより、本来、都内の中小零細企業の育成に資する狙いに立つべきものと考えます。この点、JV結成義務の撤廃は本当に都内中小零細企業の利益にかなうものとなっているのか、虚心坦懐にこの点を分析するべきであります。
 また、低入札価格調査制度の運用に関し、過去に社会保険未加入であること等をもって失格にされるのは筋が違うとの声も寄せられております。そこで、本格実施を図る際には、改めて中小建設業など事業者の意見を丁寧に聴取した上で実施に向けた検討を進めるべきと考えます。
 知事に見解を求め、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 谷村孝彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、二〇二五年問題についてのご質問がございました。
 我が国では、世界に類を見ない速度で高齢化が進む中で、二〇二五年には団塊の世代が全て七十五歳以上になるという現実があります。
 こうした超高齢社会におきまして、さまざまな課題が先鋭的にあらわれるのが、それが東京でございます。東京の取り組みこそが、我が国、ひいては世界の高齢化におけます対応のモデルになる、このように考えております。
 超高齢社会におきましても、成長を続ける東京を目指して、全ての世代が生き生きと活躍できる活力ある社会を実現していかなければなりません。そのためには、地域包括ケアシステムの構築はもとより、認知症の予防、高齢者の身体機能を低下させない取り組みが必要でございます。
 また、元気な高齢者が、仕事やボランティア、さらには学び直しによって、生涯現役として社会と密接にかかわることのできる手だてを講じていくことも重要だと考えております。さらに、空き家の活用といったまちづくり、そしてICTの活用などの取り組みも欠かせません。
 かつて経験したことのないこの超高齢社会を見据えまして、あらゆる政策を総動員して取り組みます。そして、都民一人一人がいつまでも輝き続ける東京をつくり上げてまいりたいと考えております。
 二つ目に、教育の機会均等についてのご質問をいただきました。
 将来を担う子供たちの教育の機会は平等であるべきであります。経済格差が将来の希望の格差につながるということはあってはならないことでございます。
 このような考え方のもとで、都といたしまして、私立の高校等に在学する生徒の保護者の経済的負担を軽減する、そのために特別奨学金を大幅に拡充するなど、取り組みを進めてきたところでございます。
 人への投資はまさに未来への投資、誰もが希望する教育を受けることができますよう、これまでの取り組みを着実に進めて、子供たちの学びたいという気持ちに応えてまいります。
 幼児教育、保育の無償化についてのご質問でございます。
 幼児期の教育そして保育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものでございます。全ての子供に質の高い幼児教育を保障することが必要と考えております。
 国は平成二十六年以降、毎年、経済財政運営と改革の基本方針に、幼児教育の無償化に向けた取り組みを位置づけて段階的に進めており、本年の基本方針では、幼児教育、保育の早期無償化に向けて安定的な財源確保の進め方を検討し、年内に結論を得るということとしています。
 都といたしましては、現在、幼稚園や認証保育所などを利用する保護者の負担を軽減するため、独自に区市町村を支援しております。また、区市町村におきましても、認可保育所などの保育料を国の基準から独自に軽減しているところでございます。
 現在、国におきましては、さまざまな議論が行われているところであり、一方で、都といたしましては、こうした動きを踏まえて、幼児教育、保育の無償化に対応することが必要であると、このような認識を有しております。
 新たな住宅セーフティーネット制度についてのご質問がございました。
 いうまでもなく、住宅は生活の基盤であります。誰もが生き生きと生活できる都市東京実現のために、都民の居住の安定を確保するということは重要でございます。
 二〇二〇年に向けた実行プランにおきましては、少子高齢化が急速に進行する中、住宅セーフティーネットの機能の強化を進めることなどを位置づけております。
 このたび高齢者や子育て世帯、障害者など、住宅確保要配慮者を拒まない賃貸住宅を登録する制度の運用を来月の下旬に開始いたします。こうした方々の入居をしやすくするという流れでございます。
 また現在、各市町村の居住支援協議会への支援のほか、空き家の利活用、サービスつき高齢者向け住宅の供給促進などの施策を、住宅と福祉の連携によって進めております。
 今後、この新たな住宅セーフティーネット制度も生かしながら、高齢者が生活支援サービスを受けて、地域で安心して暮らせるように、住宅と福祉の連携を強めて、都民の居住の安定を実現してまいります。
 二〇二〇年大会のコスト管理についてのご指摘がございました。
 オリンピック・パラリンピックを都民に支持され、そして喜ばれるものとするためには、そしてまた大会を成功に導いていくためには、限りある資金の有効活用を図って、経費の圧縮に向けて取り組んでいく、このことは重要でございます。
 そのため、昨年、都、IOC、組織委員会、国、この四者協議におきまして、経費の精査を行いました。そして、V1予算を公表いたしましたが、その後も、ことし五月の大枠の合意に向けまして、都が主導して、組織委員会、国の三者でもって大会経費の精査を進めてまいりました。
 先日、報道がございましたように、コーツ委員長が大会経費の削減、縮減について言及されておられますが、目指す方向は同じでございます。今後、毎年度更新されます大会経費全体の予算の作成に当たりまして、執行状況を検証しながら、しっかりと経費を精査した上で、枠を定めてまいります。
 その上で、組織委員会において、決算が予算を上回らないように、徹底した執行管理を図ってまいります。
 具体的には、専門家、専門的な識見や知見を有する第三者の意見の聴取や、毎年度行っている都への決算報告に加えまして、来月には東京都監査委員による財政援助団体等監査も予定をされております。
 今回設置されました共同実施事業管理委員会とあわせまして、大会経費全体の圧縮につなげてまいります。
 また、大会経費や大会準備の状況を定期的に公表し、透明性を確保してまいります。
 ご指摘のように、今後とも、大会経費の縮減、そして都の負担の抑制に向けて組織委員会と共同し、執行統制の強化に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、商店街に対する支援についてのご質問がございました。
 商店街は、住民に身近な買い物の場といたしまして、その日々の生活を支えるだけでなくて、人々が交流する地域のコミュニティの中心として、暮らしの中に安全そして安心を生み出すとともに、イベントなどにより、にぎわいをつくる重要な役割も果たしておられます。
 一方で、近年では、消費者の買い物のスタイルや商品へのニーズが変化しているということに加えまして、店舗の後継者が不足をしている、住民の地域社会とのかかわり方も希薄になっているなどなど、商店街を取り巻く環境というのは大変厳しさを増しているところでございます。
 このため、都内の商店街の集客、お客様を集めるということに役立つように、時代の変化に応じたさまざまな課題を見据えながら、より効果の高い施策を打ち出していく、このことは必要でございます。
 これからの商店街を担うリーダーとなる若者や女性が空き店舗で開業して、新しい消費の動きを捉えた事業展開が図れるよう、サポートに力を入れてまいります。
 ご指摘の商店街の広域的な連携を促す先導的な支援でございますが、一定の成果を上げている中で、今後はより主体的に協力関係をつくり上げることにつながる仕組みにしてまいりたいと考えております。
 東京の商店街がそれぞれの特色を生かして活性化して、住民生活のよきパートナーとなって、地域の顔として存在感を持ちながら発展できるように、後押しをしてまいります。
 入札契約制度改革についてのご指摘がございました。
 都の入札に参加する事業者の九割以上は中小企業であります。そして公共事業、公共工事を進めるに当たっては、中小企業の果たす役割は非常に大きいものと認識をしております。
 社会資本ストックの本格的な更新期を迎える、そういう中で、建設工事の中長期的な担い手をいかに確保していくかというのは大きな課題でございます。
 制度改革の試行を開始するに当たりましては、業界団体からのヒアリングでいただいたご要望を踏まえ、中小企業に配慮をして、低入札価格調査制度の適用範囲を当初案から縮小いたしました。
 今後、試行の結果をしっかりと検証するとともに、お話しいただいた点も含めまして、中小企業から成る業界団体のご意見も聞かせていただく、そして本格実施に向けた検討を進めてまいることで、中小企業が十分に力を発揮できる、そんな環境を確保してまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監、そして関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔警視総監吉田尚正君登壇〕

○警視総監(吉田尚正君) 施設介護の送迎車両の駐車許可についてでありますが、現在、高齢者を対象とした事業のうち、訪問看護、訪問介護など、高齢者宅を訪問して行う必要があるものにつきましては、警察署長の駐車許可により対応いたしております。
 一方、高齢者を施設で介護するデイサービスのための送迎につきましては、一般的に運転者が車両を離れることがなく、同乗する介護士などが高齢者の乗降を介助する形態でございますことから、人の乗降のための停車とみなしておりまして、駐車ではございませんので、許可は不要といたしております。
 今後、高齢化が進展する中で、関係機関と連携をいたしまして、デイサービスの送迎実態を把握いたしました上で、駐車せざるを得ない特別な事情が認められる場合には、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、学校給食の無償化についてでございますが、学校給食法においては、学校給食は学校の設置者が実施し、食材費等の学校給食費は、児童または生徒の保護者が負担することとされております。
 公立小中学校における学校給食費は、学校設置者である区市町村が地域の実情や特性を考慮して決定しており、就学援助を含む保護者負担の軽減策などについても、区市町村の判断により行われております。
 学校給食の無償化については、法改正や財源確保などさまざまな課題があり、国の責任と負担によるべきものと考えております。
 今後、都教育委員会は、国の動向を注視してまいります。
 次に、パラリンピック教育の充実についてでございますが、子供たちがパラリンピック教育を通して障害者理解を深め、多様性を尊重する態度を身につけるとともに、力強く生きる大切さを考えることは極めて重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、これまでパラスポーツ競技応援校を指定するとともに、子供たちとパラリンピアン等との交流機会を年々ふやすなどして、パラリンピック教育の充実を図ってまいりました。交流を体験した子供たちは、努力すれば夢がかなうと実感したといった感想を持つなど、困難を克服することの大切さなどを学んでおります。
 今後、体験するパラスポーツの種目を拡大したり、事例集の配布等により、競技応援校での実践を全都に広めたりすることで、互いを認め合う心など共生社会の実現に必要な資質、能力を、より一層子供たちに育んでまいります。
 最後に、パラスポーツを通した他県との交流についてでございますが、東京二〇二〇大会の開催都市であり、またパラスポーツ競技団体や人材が多く存在する東京都は、全国のパラリンピック教育をリードする役割を期待されております。
 そのため、都教育委員会は、パラリンピックの意義や歴史等を学ぶための学習読本や映像教材を作成し、全国の教育委員会に配布いたしました。
 また、他県を訪問し、都の特徴ある取り組みを情報提供するとともに、パラリンピック教育充実のための連携の方策等について協議してきております。
 今後、これまでの協議内容をもとに、都内の子供たちと修学旅行等で東京を訪れる被災地等の子供たちが、パラスポーツを一緒に体験するなどの交流を通して、他者を尊重し、ともに認め合う心を培うことができるよう、機会の設定について、具体的に検討を進めてまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新たな住宅セーフティーネットについてでございます。
 制度の普及のためには、地域の実情に応じたきめ細かい居住支援を行う区市町村の役割は極めて重要でございます。
 都はこれまで、各地域において、高齢者向けの住宅のあっせんや見守りサービスなどを行う区市町村の居住支援協議会への支援を実施し、また、今回導入する新たな住宅セーフティーネット制度の内容について、区市町村への情報の提供を行ってまいりました。
 法施行に合わせて国が導入した登録住宅の改修費や家賃低廉化、家賃債務保証料への支援制度の活用については、区市町村の動向を踏まえ、検討を進めてまいります。
 次に、若年世帯の都営住宅への入居促進についてでございます。
 人口減少社会に向かう中、都営住宅において、子育て支援などの政策課題に対応することは重要であり、都はこれまで、子育て世帯の収入基準の緩和や倍率優遇などを実施してまいりました。
 ことし三月に策定した東京都住宅マスタープランでは、子育て世帯とその親世帯が支え合いながら安心して暮らせるよう、多世代同居などを促進することとしており、都では今後、その具体化に向けた取り組みを検討してまいります。
 あわせて、子育て世帯が応募できる住宅の選択の幅を広げることで、そのニーズに柔軟に対応できるよう工夫をしてまいります。
 こうした施策を通じて、子育て世帯など若年世帯の入居に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、都営住宅における子育て世帯向けの住宅の供給についてでございます。
 住宅に困窮する子育て世帯の居住の場の確保や、居住者の高齢化が進む団地の活性化、これらを図ることは重要な課題であると認識をしてございます。
 都営住宅については、良質なストックとして維持更新していくため、昭和四十年代以前に建設された住宅を対象に、地域の特性や老朽化の度合いなどを勘案しながら、計画的な建てかえを進めてございます。
 都は、都営住宅の建てかえに当たり、現在の居住者の状況に加え、団地ごとの実情などを勘案しながら、ファミリー向け住戸の整備を行ってまいります。
 最後に、高齢者向け優良賃貸住宅についてでございます。
 高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすためには、バリアフリー化され、緊急時対応、安否確認等のサービスが利用できる住宅の供給促進を図ることが重要でございます。
 お話の事例は、UR都市機構が北区の要請を受け整備した住宅でございますが、都はこれまで、区市町村を通じた高齢者向け優良賃貸住宅などの整備費や、家賃減額等に対する助成を実施してまいりました。
 今後とも、東京都住宅マスタープランに基づき、区市町村との連携を図りながら、高齢者の多様なニーズに応じて、サービスつき高齢者向け住宅も含めた賃貸住宅の供給促進に積極的に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 九点のご質問にお答えをいたします。
 まず、介護職員処遇改善加算についてでありますが、国は事業者に、本加算の取得に当たり、賃金改善等に関する計画を作成し、事業所内全ての介護職員に周知することや、年度ごとに処遇改善に関する実績を都道府県等に報告することを義務づけており、都は、各事業者が実施した賃金改善の総額が受領した加算の総額を上回っていることや、賃金改善の方法などを確認しております。
 また、職員から加算による本人の賃金改善について照会があった場合には、書面によりわかりやすく回答することを事業者に求めており、都は、事業者が職員に対して適切に説明を行うよう、事業者団体の研修会等におきまして周知を図っております。
 今後とも、介護職員の処遇改善が確実に図られるよう、事業者に対し、加算制度の適切な運用を求めてまいります。
 次に、介護報酬と介護人材についてでありますが、都は国に対し、介護職員処遇改善加算について、報酬の基本部分に組み込むなど恒久的なものとすること、恒久化に当たっては、キャリアパス等の仕組みの構築を要件として、資格等に応じた人員配置などを評価する加算を充実し、事業者が長期的な視点で介護人材の確保、定着を図ることができる報酬とすることを繰り返し提案要求しております。
 また、都は独自に、国のキャリア段位制度を活用したキャリアパスの導入促進や、宿舎借り上げ支援などを行い、介護人材の確保、育成、定着に取り組む事業者を支援しております。
 介護人材対策は重要な課題であり、今年度策定いたします第七期高齢者保健福祉計画においても、重点分野の柱の一つに位置づけ、施策の充実を図っていく考えでございます。
 次に、介護報酬の見直しについてでありますが、国は介護報酬において、地域ごとの人件費の差を調整するため、区市町村ごとに、人件費分の上乗せ割合を八つの地域区分として定めております。現在の地域区分における上乗せ割合は、基本的に国家公務員の地域手当に準拠しており、都はこれまで、大都市における人件費や物件費等の高さに鑑み、地域の実態を踏まえた介護報酬の仕組みとするよう、繰り返し国に提案要求を行ってまいりました。
 次期報酬改定では、地域区分の設定に新たな特例を設けるなど、都の提案が一部反映される見込みでございますが、今後とも国に対し、都市部の特性を適切に反映し、介護事業の運営実態に見合った介護報酬の仕組みとするよう、また、地域区分についても、区市町村からの意見を踏まえ、さらなる見直しを行うよう、提案要求してまいります。
 次に、在宅療養の推進に向けた支援についてでありますが、都は現在、地域における在宅療養体制を整備するため、二十四時間診療体制の確保や、医療、介護の多職種がICTの活用により情報共有する体制の構築などに取り組む地区医師会を、また、医療と介護の連携調整窓口の設置などに取り組む区市町村を支援しております。
 来年四月からは、全ての区市町村が主体となり、地区医師会等と連携しながら、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築や、医療、介護関係者の情報共有の支援などの在宅医療、介護の連携推進のための事業を行うこととされております。
 都といたしましては、今後、区市町村が地区医師会と連携しながら、地域の実情に応じた在宅療養体制の確保に向けた取り組みを推進できるよう、引き続き支援してまいります。
 次に、小児救急に従事する医師の確保についてでありますが、都は現在、小児救急医療体制を確保するため、小児科医師が二十四時間体制で救急診療を行う二次救急医療機関に対しまして、病床や医師の確保経費を支援する休日・全夜間診療事業を実施しております。
 また、休日及び夜間に救急診療を行った医師に対し、手当を支給する医療機関を支援するとともに、短時間正職員制度の導入や当直体制の見直しなどにより、病院勤務医の負担軽減に向け、勤務環境改善に取り組む病院を支援しており、その活用を働きかけております。
 現在、国の医師の働き方改革に関する検討会では、医師の勤務実態や勤務環境改善策等について議論をしており、都といたしましては、この動向も注視しながら、小児救急医療体制の確保を図ってまいります。
 次に、新生児聴覚検査の実施状況についてでありますが、平成二十七年度に、母子健康手帳の記録の確認等により検査の受診の有無等を把握している区市町村は三十七でございます。
 また、本年一月に特別区が行った調査によりますと、新生児聴覚検査を実施している二十三区内の分娩取扱施設は全体の七八%、乳児健康診査の場で母子健康手帳の記録や保護者への聞き取りにより確認した新生児聴覚検査の受診率は八三%でございました。
 都は、母子保健担当者連絡会を通じて、より多くの区市町村が新生児聴覚検査の受診勧奨等に取り組むよう働きかけているところでございます。
 次に、新生児聴覚検査の体制整備についてでありますが、都はこれまで、検査の重要性を普及啓発いたしますとともに、子供の聴覚の発達に心配がある場合の相談先等を紹介するリーフレット、赤ちゃんのおみみを作成いたしまして、区市町村を通じて保護者に配布をしてまいりました。
 また、本年七月には、区市町村や分娩取扱施設を対象に、聴覚障害が発育、発達に与える影響や検査の具体的方法、難聴児への支援等についての研修会を実施いたしました。
 現在、妊娠届け出時に共通の受診券を交付し、全ての新生児が都内全域の医療機関で検査を受けられる体制の整備などにつきまして協議したい旨、特別区から提案されており、今年度中に都と区市町村、都医師会の間で協議を開始する予定でございます。
 次に、医療的ケアが必要な障害児への支援についてでありますが、お話のように、医療的ケア児は手厚いケアが必要であるにもかかわらず、給付費ではこれに応じた報酬が設定をされておりません。
 このため、都は平成三十年四月の報酬改定に向けまして、医療的ケア児への支援を報酬上設定することなどについて、国に対し緊急提案を行ってまいります。
 都は今年度から、医療的ケア児の受け入れが一層進むよう、障害児通所施設や保育所等での看護師の配置を支援するほか、看護師が重症心身障害児の自宅を訪問する事業の対象を医療的ケア児にも拡大をしております。
 こうした取り組みを現在策定中の障害児福祉計画にも盛り込む考えでございまして、今後とも医療的ケア児への支援に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、動物愛護相談センターについてでありますが、現在、動物愛護相談センターは、本所が築四十年以上、多摩支所及び城南島出張所の二施設が築三十年以上を経過し、老朽化が進んでおります。
 そのため、本年三月には動物愛護相談センター整備基本構想を策定し、これからのセンターに求められる役割等と整備の方向性について取りまとめました。
 整備計画につきましては、ご指摘も踏まえ、三所全体のあり方を検討する中で具体化し、来年度に予定している東京都動物愛護管理推進計画の中間見直しに反映をしてまいります。
〔生活文化局長塩見清仁君登壇〕

○生活文化局長(塩見清仁君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都外に在住する生徒への特別奨学金の適用についてでございます。
 特別奨学金は、保護者、生徒が都内に在住していることを補助の要件としておりまして、生徒が他県に移り住んだ場合は対象外となっているところでございます。
 一方、ご指摘のように、全寮制の学校やスポーツ推薦など学校の寮に入ることが指定される場合もございます。こうした生徒が都外に移り住むケースの取り扱いについて、特別奨学金制度の趣旨を踏まえ、公平性や実務上の観点などからも、現在、検討を行っているところでございます。
 次に、特別奨学金の通信制高校への適用についてでございます。
 通信制高校については、全日制課程に比べ、多様な学習スタイルが可能となっていることから、各学校の実態を踏まえて制度設計を行う必要がございます。
 このため、都では、本年四月から五月にかけて、東京都認可の通信制高校へのヒアリング調査を実施いたしました。その結果、支援の対象となる生徒数や生徒構成、また年度途中での転入も多いこと、さらには生徒ごとに履修単位数や授業料が大きく異なることなどが明らかになったところでございます。
 現在、これらの実態や特色も踏まえ、検討を進めているところでございます。
 最後に、家計急変などの世帯への対応についてでございます。
 個々の学校において、家計状況の急変などを理由に学校が授業料等を減免した場合には、その減免額について最大五分の四を補助しております。さらに、こうした減免制度の導入を促すため、減免制度そのものを整備している学校に対しまして、定額の補助を行っております。
 今後とも、私立学校に対し、減免制度の導入を積極的に働きかけ、安心して学び続けられる環境を整えてまいります。
 なお、特別奨学金におきましては、通常の申請期間終了後に、修正申告による税額更正や、保護者が亡くなられるなどにより、支給要件を満たすことになった場合などのために、再度の申請の期間を設けてございます。今年度は、平成三十年、来年一月に実施する予定でございます。
〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 高潮浸水想定区域図の作成についてでございますが、高潮から都民の生命や財産を守るためには、東京を第一線で防護する水門や防潮堤などの施設整備に加え、万一の際に都民が的確な行動をとれるよう、適切な情報をわかりやすく提供することが重要でございます。
 このため、都では、高潮浸水想定区域図の作成に向け、有識者で構成する委員会を設置し、検討を進めております。
 具体的には、想定し得る最大級の高潮をもたらす台風の規模や経路、防潮堤が決壊する潮位など、浸水シミュレーションの実施に必要となるさまざまな条件を検討し、確定したところでございます。
 今後、こうした設定条件をもとにシミュレーションを実施し、地元区等と協議、調整を行った上で、年度末を目途に浸水想定区域図を作成、公表してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 中小河川流域における浸水予想区域図の見直しについてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、河川の護岸や調節池、下水道施設の整備などのハード対策に加えまして、住民の避難等に資するソフト対策を進めることが重要でございます。
 都は、平成二十七年の水防法改正を踏まえまして、学識経験者を含む委員会を設置し、神田川流域におきまして想定し得る最大規模の降雨を用いまして、河川と下水道が一体となった浸水シミュレーションを行うなど、浸水予想区域図の見直し作業を進めております。
 今後は、その結果を踏まえまして、関係区市と十分に調整を図り、浸水予想区域図の年度内の公表に向け取り組んでまいります。また、他の河川流域につきましても、順次見直しを進めてまいります。
 引き続き、水害対策に全力で取り組んでまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水害に対する都民の認識の向上についてですが、洪水などによる被害を最小限に抑えるためには、都民が、平時から居住地の浸水の危険性や具体的な避難場所などハザードマップの内容を理解し、発災時に適切に避難することが重要でございます。
 このため、都は昨年度から、江戸川区などと連携して、住民向けの大規模水害に関するワークショップを実施しており、ハザードマップを用いて、水害リスクや発災時にとるべき行動の普及啓発を進めております。
 また、現在、水害リスクに対する意識啓発を目的とした映像コンテンツを作成しており、完成後は、ワークショップ等の場において活用していく予定でございます。
 これらの取り組みを継続的に実施し、都民が発災時に適切に避難できるよう、水害への認識を一層高めてまいります。
 次に、東京宝島推進委員会についてですが、すばらしい景観や特産品など、東京の島々の宝物にさらなる磨きをかけて発信していくことは、島しょ地域の自立的な発展のために極めて重要でございます。
 本年三月に立ち上げた東京宝島推進委員会では、委員みずから各島に赴き、現地の視察や島民の方々との意見交換を精力的に進めております。八月に開催した委員会では、現地の状況を踏まえ、ブランド化に向けた方策のほか、多様な顧客層やニーズへの対応など、受け入れ体制の課題について議論をいただいたところであり、今後、さらに議論を深め、ことしじゅうを目途に意見を取りまとめる予定でございます。
 都としては、委員会の提言を踏まえ、各島がみずから宝物を磨き上げ、島しょ地域の活性化につながるよう、各局と連携しながら支援をしてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 工場の操業場所や空き店舗に関する情報提供等についてでございますが、中小規模のものづくり企業の操業や商店街での新たな開業にふさわしい場所や建物の情報を、ICTの手法等を用いて効果的に提供する取り組みは重要でございます。
 都内でのものづくりを希望する中小企業を対象に、都は、ウエブサイトにより、操業に適した施設やその周辺地域の産業面の特色に加え、地元自治体の企業誘致の支援策等を紹介しております。
 また、ものづくり企業に物件の情報を紹介し、立地に関する相談をワンストップで行う拠点を十二月に設けますとともに、今後は情報発信の一層の充実を検討いたします。
 このほか、都内商店街での開業を目指す事業者や起業家等に空き店舗に関する情報を提供するウエブサイトも、年度内を目途に開設いたします。
 これらにより、事業者等への情報提供の充実を図ってまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高尾山の魅力の効果的な発信についてでございますが、東京の自然公園ビジョンでは、リーディングプロジェクトとして、高尾山において早期に管理運営協議会を設置することとしております。
 協議会の設置に当たっては、高尾山とその周辺地区は、内外から多くの人が訪れる自然豊かな観光地であり、さまざまな主体が事業に携わっていることから、土地所有者である林野庁や薬王院に加え、自然保護団体や地元で観光事業に携わる商店会、交通事業者等に幅広く参加を呼びかけてまいります。
 この協議会を通じまして、各事業主体の連携を強化し、自然再生事業やイベントの開催等、各自の強みを生かした取り組みを進めることで、豊かな自然環境の保全や観光地としてのにぎわいの拡大などに積極的に取り組んでまいります。
 次に、三宅島の魅力を伝えるソフト面での取り扱いについてでございますが、都は地元の要望等を受け、噴火で壊滅的な被害を受けた登山道の再整備、トイレや避難シェルターの新設につきまして、早期完成を目指して実施しているところでございます。
 こうしたハード面の整備に合わせ、ソフト面の取り組みとして、一日当たりの利用者数の調整や利用者に対して充実したガイドプログラムの提供を行う東京都版エコツーリズムにつきまして、今後、地元自治体や観光協会等と連携し、新たに三宅島への導入に向け検討してまいります。
 これにより、人為的な影響を受けやすい自然環境の保全とのバランスを図りながら、雄山の観光資源としての利用の促進に取り組んでまいります。

○副議長(長橋桂一君) 百二十二番秋田一郎君
〔百二十二番秋田一郎君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○百二十二番(秋田一郎君) 平成二十九年第三回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 私が初当選した一年目の知事は、石原慎太郎知事でした。当時の石原さんは、現在の小池知事以上に人気絶頂、一挙一動が注目をされ、国も恐れる存在でありました。
 その石原知事に対する初めての私の一般質問で、私は、私どもの世代は、石原裕次郎の兄といわれても正直ぴんときません、太陽族といっても何のことかわかりません、どんなに知事がすばらしいと思った政策も、議会に手続を踏み、説明責任を果たすことによって初めて実現に向かいます、民主主義の基本は、手続と議論にありますと発言をしました。
 今、振り返ると、そのほかにも私も生意気なことをいっていて、当時の知事側近からはしばらく疎まれることになるのですが、石原知事は懐が深かった。
 このときの定例会で最大の懸案の一つは、膠着状態に陥っていた労使交渉、すなわち職員の給与削減でした。
 石原知事は、新人議員の私の質問を受けて、みずからもおかしいと思っていることを初めて表明し、これを機に労使交渉をまとめました。
 当時は、バブル崩壊後の景気低迷、都市博中止などもあり、今では考えられないことかもしれませんが、東京都は、民間でいえば本当に倒産寸前、財政再建の真っただ中にありました。
 知事も職員も私たち議員も、そういった危機感を共有し、職員定数も減らし、議員の報酬も職員の給与も削減し、都合六年間、血のにじむような財政再建を経て、危機を乗り切ったのであります。
 私がここで申し上げたいのは、議員と議会のあり方です。私たち議員の仕事は、巨大な権限を有する知事を先頭とする執行機関のチェックと監視です。どなたが知事であろうと、応援しようが応援されようが、誰が知事であろうとも、私たち議員がやるべきことは同じです。いいことはいい、おかしなことはおかしいと指摘し、知事と真摯な議論を行うことです。それができずに知事を初めとする行政機関を追認するだけであるならば、私たち議員の存在意義はありません。
 当時を改めて振り返ってみると、私の質問に対して、自民党の先輩方は、元気でいいねというような感じで寛容でありました。
 現在、発言することすら規制されている政党もあるといった話を耳にすると、新人であろうがなかろうが、都議会議員は一人一人が都民代表であるという基本を決して忘れてはならないと思います。
 また一方で、当時、執行機関の中にも、人気絶頂の知事に対して、それは違いますと直言をする猛者がいました。何より知事自身が、たとえ新人議員でも、党派を超えて、それはおもしろいと思えば、アドリブで取り上げてくれる度量がありました。逆につまらない質問をすると、くだらない質問するんじゃないよといわんばかりの態度で冷淡ではありましたが。
 それゆえ、私たち若い議員は努力のしがいがありました。どうやったら知事の関心を引き、政策を実現できるか、切磋琢磨したのです。きっと東京都の職員にも同じような対応をされたのだと思います。だからこそ、失礼ないい方ですが、あんなに勝手な人なのに職員からの信頼もあったのだと思います。
 私は、今の都政に本当に危機感を抱いています。二〇一九年にはラグビーのワールドカップ、二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピックを迎えます。世界の三大イベントのうちの二つが二年連続で同一の都市で開催されるのは、ここ東京が初めてです。すばらしいことです。夢のあることです。バブル崩壊後の日本が本当に復活できる最初で最後のチャンスかもしれません。
 にもかかわらず、世間をにぎわすのは後ろ向きの話題ばかりです。ネガティブな情報ばかりです。今の状況で、都民、国民がラグビーに、オリンピック・パラリンピックに本当に夢を抱けるのでしょうか。
 私たち政治家の仕事は、夢を形にすることだと思います。都民、国民が私たちに託した夢を形にすることです。この目標に向かって、知事と都議会が東京の将来に思いを込めて、都民のために建設的な前向きなポジティブな議論を闘わせる、このことが、地方自治の二元代表制の最も大事な部分であると思います。
 そこで、この二元代表制のあり方について、どのようにお考えになっておられるのか、小池知事にまずお伺いをします。
 続いて、二元代表制における都議会のチェック機能について伺います。
 今月十九日、第三回定例会開会の前日、東京都顧問の小島敏郎氏が突如顧問を辞任し、都民ファーストの会の政務調査会事務総長に着任したと報道されました。小島氏は、東京都顧問として、市場問題プロジェクトチームの座長を務めるなど、豊洲市場、築地市場の問題に深く関与してきた方です。
 そして、本年四月八日にはプロジェクトチームのメンバーの総意もないままに築地市場で説明会を開催し、いわゆる小島私案を公表しました。小島氏のこの行為に対し、築地市場の業界五団体のトップがそろって記者会見を開き、業界内部が分断されたことに強い憤りを表明しました。そして、今なお混乱と分断は続き、深刻化しています。
 その後、六月二十日に知事が突然、これまでとは全く異なる新たな基本方針を公表した際には、翌七月十八日に小島氏は、都民ファーストの会の中央区選出の西郷都議とともに、築地市場内で開催された勉強会に参加されました。
 その折に、移転慎重派の仲卸業者に対し、我が党に届いた発言録によれば、今後、仲卸の仕事はなくなる、生き残りたければ知事に賛成しろと、基本方針への同意を強要しているとも受け取られかねない説明をしているのです。こうした小島氏の言動に失望し、批判する関係者も出ています。
 我が党は、東京都顧問の職にある方が、そのように都民の不安をあおり、市場業界を二分し、混乱に陥れている惨状の根源は、知事のガバナンスのなさにあるのではないかと繰り返し指摘してまいりました。
 そして、今回、小池知事の側近といわれ、築地市場問題で混乱を引き起こした小島氏が、知事ご自身が特別顧問を務める都民ファーストの会の政務調査会事務総長に就任したのです。
 各政党の事務局人事は、当該政党の責任において行うものですが、仄聞するところによれば、都民ファーストの会の議員の方からは、メディア報道の後にメールが届き、その後、総会で事後承認をするという手続に対する疑問の声が公にされています。
 今回の事態は、単に一個人が都の顧問から都議会の一政党に転身したということではありません。都議会第一党の特別顧問である小池知事が、その第一党の政策立案をつかさどる責任者にみずからの側近を送り込んだということです。
 都議会は、本当に都知事に対するチェック機能を果たすことができるのかという疑問を多くの都民に抱かせるといわざるを得ない出来事です。二元代表制の原則に照らして、違和感を持たざるを得ません。
 知事側近が、知事が特別顧問を務める都議会第一党の政務調査会事務総長に就任したことに対する知事の見解を伺います。
 次に、築地再開発について伺います。
 築地の地元中央区、豊洲の地元江東区、それぞれ区と都との間では、移転に伴うにぎわい確保を進める上で、中央区に築地魚河岸を設置し、江東区に千客万来施設を設置することで合意し、現在に至っています。
 中央区が設置し、昨年十一月十九日にオープンした築地魚河岸は、仲卸を経営母体とした小売店約六十軒が入居する生鮮市場です。食のまち築地のにぎわいの拠点となる施設を目指し、築地市場の移転に先立って開業したものです。
 一方、千客万来施設は、豊洲市場を受け入れる際に地元の江東区が提示した三条件の一つで、豊洲市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化に貢献することを目的とするとされています。このコンセプトに基づき、都の公募において、万葉倶楽部が事業者として選定され、現在に至っています。
 そこで、江東区と都との合意に基づき進められている千客万来事業において、都と万葉倶楽部との間で結ばれた基本協定書にも記載されている千客万来事業のコンセプトは、現在においても変更はないかどうか伺います。
 この千客万来施設事業は、江東区との約束であるばかりではなく、豊洲市場そのものの魅力を高めるという役割を有しており、そもそも都の事業であることを忘れてはなりません。万葉倶楽部としては、今後検討が進められていく築地再開発の内容や方向性に大きな関心を持ち、心配もしていると耳にします。
 どちらも都の事業として行う以上、築地再開発に力を入れる余り、至近距離にある豊洲において、先に事業展開する千客万来施設の成功に水を差すようなことがあってはなりません。
 そこで、確認させていただきます。
 築地再開発に当たっては、豊洲の千客万来施設事業の事業運営に悪影響を及ぼすような内容が盛り込まれることは、当然想定し得ないものと考えますが、この点について都の見解を伺います。
 九月二十二日に、知事は、築地再開発検討会議のメンバーを公表し、具体的な立ち上げに言及されました。幅広な議論が展開されることが期待されます。
 今後、検討を進めていくに当たっては、点から面へと視野を広げるとともに、都が土地を所有したままの開発は、本当に有利なのかといった検証も非常に重要です。
 そこでまず、議論の前提として、築地再開発には市場機能は含ませないことを明確にし、同時に、築地跡地を一般会計に有償所管がえすることで、東京都として、会計面での区切りをつけておくべきと考えます。卸売市場法に縛られる市場会計よりも、一般会計である方が民間開発に制約が少ないことも事実であり、どの会計の土地かによって、再開発議論の幅や深みに大きな違いが出てくるのは明らかだからです。
 築地再開発は、市場問題と切り離し、本格的な築地地区のまちづくりとして議論されるべきと考えます。
 そこで、築地再開発検討会議での有識者の議論に知事は何を期待しているのか、知事の所見を伺います。
 このことに関連して、今回の検討会議ではどのような趣旨で各委員に就任を依頼したのかを確認させていただきます。
 先ほど申し上げたとおり、さきの臨時会での議論を振り返ってみても、再開発をする築地に市場機能を残すという選択肢は、決して賢い選択とはいえません。
 また、再開発スケジュールも、今後五年以内に着工できるように努めるとのことですが、築地の地歴などからは、埋蔵文化財の発掘や土壌汚染対策の実施は避けられず、行政手続的にも技術的にも可能なのか疑問です。
 そこで、築地再開発検討会議の委員就任の依頼に当たって、市場機能を残すこと、そして五年以内に着工することを前提として、再開発の検討を依頼しているのでしょうか、都の見解を伺います。
 既に指摘したとおり、小島敏郎氏が東京都顧問であった際、築地市場の仲卸業者の一部と勉強会を開催し、早期に築地に戻れることを説いて回り、業界を分断したことが、豊洲市場移転に向けた合意形成を阻んでいます。
 九月十六日の新市場建設協議会の場においても、移転時期についての議論は十分にはされなかったと聞いています。移転準備には一年はかかると聞いていますが、既に九月末となっています。市場業界の要望や補正予算で成立した追加対策工事、事業者の造作工事や習熟訓練の環境整備、豊洲移転後の円滑な物流の構築など、課題は山積しています。
 豊洲市場への移転に向け、どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 また、豊洲市場開場後の臨海部の主要な物流動線であり、二〇二〇年東京大会では選手、スタッフや機材などの円滑な輸送に欠かせない幹線となる環状二号線を速やかに開通させる必要があります。環状二号線が計画されている築地市場周辺の新大橋通りや晴海通りは、常時渋滞しており、開通がおくれればおくれるほど、周辺の道路事情への影響がさらに悪化することが懸念されています。
 環状二号線の開通によって、この状態は改善されるはずですが、築地市場の移転時期が定まっていないため、準備が遅々として進まず、開通がおぼつかない状態です。
 築地市場の豊洲移転後にこの重要な環状二号線の地上部を完成させるのは、都の責任です。二号線の開通の見通しについて伺います。
 今回の市場移転問題については、都内の他の市場の方々もそれぞれの市場の将来を案じ、ある意味不安な気持ちになっています。東京には、それぞれの地域の生鮮食料品供給を支える十一の市場があり、互いに切磋琢磨することで、都民の食生活が成り立っています。
 都は本年二月、向こう五年間の東京都における市場整備の具体的内容を定める第十次東京都卸売市場整備計画を策定しました。各市場に働く業界の方々は、将来の自分たちの事業や商売の姿を描き、自分たちの市場がより使いやすく、より衛生的になるよう、開設者である都の取り組みに期待をしています。
 そこで、都はこうした市場関係者の期待に応え、築地、豊洲以外の市場についても、第十次整備計画にのっとり、着実に整備を進めていくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 今後、都は豊洲市場移転に向けて、業界団体のご理解を得られるよう、最大限の努力をすることになると思いますが、同時に二〇二〇年大会に向けた準備も迅速に進めていかなくてはなりません。
 大会時には、約六千台もの車両が使用されると見込まれており、三十ヘクタールもの駐車スペースを確保しなければなりません。都は、築地市場の豊洲への移転後、その跡地を車両基地の一つとして活用するとしていますが、車両基地の整備には、更地の状態からでも、ほぼ一年要するとのことです。
 来年秋に移転が完了したとしても、残された時間はわずかです。しかし、築地市場のような広大なスペースを都内に確保することは非常に困難であり、何としても築地跡地を車両基地として整備する必要があります。
 このような状況の中、今後、都は車両基地の整備にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 これまで我が党は、二〇二〇年大会の運営に当たっては、選手を含め多くの大会関係者や国内外から訪れる方々を、確実かつ円滑、そして安全に輸送すると同時に、東京の都市機能を維持していくためにも、輸送運営計画が重要であり、大会の成功の大きな鍵となると主張してきました。
 中でも環状二号線の整備は、立候補ファイルにおいて、オリンピックを運営する上での大動脈であり、オリンピックレーン設置により、移動時間を大幅に短縮させると記載されており、大会時の円滑な輸送に大きな役割を果たすものと期待されてきました。
 しかし、小池知事就任後、環状二号線は地上部道路を暫定的に整備し、大会時に利用することになってしまいました。このことにより、大会期間中の輸送力向上に大きな貢献が期待されていたBRTの導入が困難となったのです。
 また、大会期間中、晴海通りや臨海部などへの交通が集中し、都民生活への影響が生じるのではないかと危惧されている中、都から地元区への説明はいまだなされていません。
 都は、今後どのような対応を考えているのか伺います。
 世界で一番の都市東京を目指すには、二〇二〇年大会、その先の東京の発展を見据えた都市づくりが極めて重要です。
 都は先日、昨年度の東京都都市計画審議会の答申を受け、二〇四〇年代の目指すべき東京の姿と、その実現に向けた都市づくりの基本的な方針や具体的な方策を示した、都市づくりのグランドデザインを公表しました。
 日本全体の人口減少が始まっている現在、東京でもオリンピック後の二〇二五年をピークに、人口減少期に突入すると予想されています。同時に、経済のグローバル化の一層の進展など、国内外の社会情勢の大きな変化も想定されています。
 我が党は、そのような中においても、東京が持続的に発展し、世界中の誰もが憧れ、希望と活力があふれる成熟した世界一の都市東京を目指していくべきであると、一貫して主張してまいりました。
 そのためには、このグランドデザインを絵に描いた餅に終わらせることなく、三環状道路やリニア中央新幹線などのインフラが完成する将来をしっかりと見据え、力強い経済で日本をリードし、災害に強く、後世に誇れるクリーンで美しい都市づくりを、今から着実に進めていく必要があります。
 そこで、グランドデザインで示した都市像の実現に向けて、今後どのように取り組みを進めていくのか伺います。
 また、都県境を越えた道路ネットワークの形成は、アクセス向上による経済効果はもとより、大規模災害時の広域連携に必要なインフラです。特に、昨今の異常気象による豪雨災害時には、避難経路の確保、緊急物資輸送などのためには不可欠であり、早期完成に向けた取り組みを進めるべきと考えます。
 隣接県との連携が必要な事業ですが、埼玉県、神奈川県、千葉県、それぞれとの調整がどの程度進んでいるのか、今後の事業化に向けた取り組みについて伺います。
 こうしたハード面の整備と並行して、東京をより住みやすい都市にしていく取り組みも重要です。急速な少子高齢化の進展の一方で、高齢者や子育て世代等については、事故やトラブルに対する不安などにより、賃貸住宅の貸し主側から入居を拒まれやすい状況があります。
 こうした実態を踏まえ、都が三月に策定した住宅マスタープランでは、生涯にわたる豊かな住生活の実現に向けて、都民の居住の安定を目標の一つとしています。
 一方で、国は住宅セーフティーネット法を本年四月に改正し、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録制度などを内容とする新たな制度を創設しました。
 こうした動きを踏まえ、都は、住宅マスタープランに掲げる目標の実現に向け、国の新たな制度を活用しつつ、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居に向けた取り組みを強化していくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 さて、小池知事が東京大改革と銘打って行っている取り組みの一つに、入札契約制度の変更があります。六月から試行が始まった入札の制度変更に関して、知事からは、中小企業にとっても受注機会の拡大になる、しっかり説明すれば趣旨を理解してもらえる旨の発言がありました。果たしてそうでしょうか。
 我々は多くの業界団体と意見交換を行いましたが、説明を聞けば聞くほど、方向性は全く見えず、矛盾点ばかりが浮き彫りになっています。今回の制度変更は、現場にどのような影響を及ぼしているのかまるでわかっておらず、混乱と苦悩が募っているとの声を耳にしています。
 入札機会の拡大が目的だと説明しているようですが、入札に際しては労力と時間、コストがかかっているのです。
 ダンピング助長的な新制度のもと、格付上位の事業者との競争の結果、仮に落札できたとしても、低入札価格調査の対象であることを急に通知され、この調査をクリアできたとしても、さらに技術者の増員配置を求められることになります。これでは先も読めず、苦難が重なるばかりです。
 予定価格の事後公表への変更、発注等級の変更、低入札価格調査の拡大が、こうした事態を引き起こしているのです。
 そして、恐れていたことが現実となってしまいました。さきの臨時会で成立した補正予算に基づいて発注された豊洲市場の土壌汚染関連追加対策工事九件のうち四件が、一者入札のため中止になったのです。臨時議会まで開催して契約を急いだ案件がこのような状態です。
 現在、参加条件を見直し、再募集の手続を急いでいると聞きますが、都の実情や現場の実態に向き合うことなく、机上でつくり上げられた入札契約制度変更の弊害が表面化してきたといわざるを得ません。このような事例は、今回の追加対策工事にとどまらず、今後さらにふえていくものと危惧しております。
 都の入札契約制度の変更によって、都内中小事業者の多くが苦悩をしていること、都事業の円滑な執行が妨げられていること、結果として都民サービス低下につながりかねないこと、こうしたことを知事はどのように受けとめているのでしょうか。知事の見解を伺います。
 また、知事は、そもそも公共事業はどうあるべきとお考えなのでしょうか。中小事業者の事業承継、人材育成と技術継承、都内中小企業の育成のためには、次世代に引き継ぐことができる環境を整えることが必要であり、それをしっかり後押ししていくことが都の責務ではないのでしょうか。
 知事は働き方改革を推進するとしていますが、休暇の取得や長時間労働、そして賃金の問題、担い手確保など、多くの課題をクリアしなければなりません。そのためには、受注者である中小企業者の努力のみならず、発注者の取り組みも不可欠ですが、今回の制度変更には働き方改革と担い手確保という視点が明確に示されてはおりません。これでは発注者と受注者との信頼関係が構築できるはずもないのです。
 さらに、大規模な自然災害が頻発している今日、いざというときには地元業者の協力は欠かせません。都は地域を守るために、地元業者の方々と災害協定などを締結し、有事に備えてもらっています。
 しかし、今回の突然かつ一方的な制度変更によって、地元業者の方との信頼関係が崩壊し、こうした社会貢献にすら影響を及ぼしかねないと大きな危惧を抱いています。それほど事態は逼迫しているのです。
 発注者であり、都の責任者である知事は、こうした受注者との関係をどのように捉えているのでしょうか。今後どうされていくのか伺います。
 東京の経済を支えているのは都内中小企業の方々であり、中小企業振興は東京の経済の生命線といっても過言ではありません。
 しかし、都内には事業承継に不安を抱える多くの中小零細企業が存在し、東京を支える中小企業が安定的に経営を続けられるためにもサポートする必要があります。企業活動にマイナス影響を与えず、スムーズに次世代へと引き継ぐためには、事前の準備も含め、具体策を練り上げ、確実に実行させなければなりません。
 しかし、マネジメントが困難であり、相談を受ける体制も整えられず、廃業への道を歩まざるを得ない経営者も少なくありません。事業承継を行うためのノウハウの提供や計画性ある取り組みを着実にサポートするべきと考えます。
 加えて、他の企業と良好な関係を保ちつつ、発展的に合併し、存続を図る方法等も重要です。都としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 中小企業において生産性を高めるためには、人材のスキルアップや設備導入などが考えられます。企業は社員を育て、能力を向上させるために、必死に努力を続けています。
 しかし、新たな設備導入、特にIoTやロボットなどを導入し、生産効率をアップさせたいと考えていても、資金の負担はもとより、果たしてどの程度の生産性の向上に結びつくのかといった不安があり、新たな一歩が踏み出せない中小企業は少なくありません。
 最新設備導入のための資金助成とともに、アドバイザーやサポートスタッフなどを派遣するなど、ソフト面を含めた支援が必要と考えます。都の所見を伺います。
 中小企業が全く新しい発想で事業を生み出す、いわゆるイノベーションを実現させるためには、より専門的な知識に加え、資金面の後押し、マッチングなども必要になります。
 高度な学術的知識を取り込むため、大学などの専門機関との協力体制の構築、ファンドなどを利用した資金調達や事業運営を安定化させるための大企業などとの連携などが重要となります。また、社会的な課題解決につながるような事業であれば、地域社会から協力を得るような仕組みも考える必要があります。
 資金を確保しながら、多様な機関と連携していくことは、中小企業にとって困難も多く、行政としてのサポートが有意義な結果を生むと考えています。
 こうした課題に都はどのように取り組まれるのか、所見を伺います。
 訪都外国人旅行者が急増し、民泊が注目を集めています。民泊による利便性の向上は否定しませんが、ごみ出しや騒音をめぐるトラブルが頻発している状況もあり、行政としても適切な対応を求められています。
 国でも法律に基づく新たなルールを義務づけるため、六月に住宅宿泊事業法をつくり、都道府県で具体的な対策を行うことを可能としました。
 この法律では、観光産業の視点だけではなく、地域住民の生活の安全を守るために、事業を実施する地域と期間の制限なども組み込めるようになっています。確実な対応を進めていくためには、区市町村が力を発揮すべきであり、都のサポートも必要です。
 法では都の事務に位置づけられていますが、協議によっては基礎的自治体に権限移譲が可能となっています。この仕組みにより、地域の実態に精通した区や市が取り組みを行う場合には、都として後押しをしていくことも重要です。
 今後、民泊への対応をどのようにされるのか、都の考え方を伺います。
 東京の産業振興の大きな柱の一つは、都市農業です。
 東京の都市農業と農地を取り巻く環境は、都市農業振興基本法の制定、それを踏まえた都市農業振興基本計画の策定など、この数年で大きく変化をしています。こうした動きの中、都が国に提案した都市農業特区を契機に、ことし六月に施行された改正生産緑地法では、生産緑地面積要件が緩和されるなど、一定の成果を上げています。
 二〇二二年に都内の生産緑地の約八割が指定から三十年を迎え、買い取り申し出の対象となることによる都市農地の大幅な減少が懸念される、いわゆる二〇二二年問題を見据え、国は生産緑地の貸借を可能とする制度改正に向けた法案の提出を検討しています。こうした東京の農業や農業者を取り巻く環境の変化を踏まえ、農業者が買い取り申し出をするのではなく、経営を継続できる魅力ある農業経営を実現していく必要があります。
 都は、都市農業、農地に関する国の制度改正の動向などを見据えつつ、東京の農業の持続的な発展に向けた振興施策のさらなる充実を図っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 東京では、多種多様な農産物が生産されており、中にはアシタバやコマツナ、ワサビなど、全国的にトップクラスの生産量を誇る農産物も存在します。これらの新鮮で安全・安心な農産物は、地域の共同直売所や生産者の庭先で都民に提供されていますが、農業農地がない区部などでは購入できる場所も少なく、都内で農産物が生産されていることを知らない都民も多いのが実態です。
 現在、国内外からの旅行者数が増加していますが、大都市東京で多くの魅力的な農産物が生産されていることを知っている方は少ないと思われます。その意味で、東京二〇二〇大会は、都内産農産物の認知度向上には絶好の機会であり、都は、大会で提供するために必要なGAP認証を、より多くの農業者に取得してもらう取り組みを進めています。
 新鮮で安全・安心な都内産の農産物を東京を訪れる国内外の人々や大会関係者に広く知ってもらい、味わってもらうことは、生産者の意欲向上と消費拡大につながり、東京農業の活性化を図る上でも重要です。
 都は二〇二〇年東京大会に向けて、都内産農産物の魅力を効果的に発信していくべきと考えますが、見解を伺います。
 二〇二〇年東京大会に向けては、都民の健康増進の観点も踏まえ、早急に取り組むべき課題として、受動喫煙の問題があります。我が党は、さきの都議選において、原則屋内全面禁煙とする、罰則規定のある受動喫煙防止条例の制定を公約として約束しています。
 都は、東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方を公表し、その中で喫煙防止場所の範囲や都民、事業者の役割、違反者に対する罰則の適用などが示されています。
 実際に、これらの対策について実効性を担保していくには、まずは都民、事業者の方々の十分なご理解を得ることが何より重要です。また、世界有数の都市であること、外国人旅行者が今後もふえていくことを勘案すると、海外の事例を参考にすることも必要です。
 都は、条例案策定に当たって、都民や関係団体などから意見をよく聞いていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年をピークに、東京の人口は減少に転じ、二〇三〇年には都民の四人に一人が高齢者となると推計されています。こうした状況の中、介護サービスが必要な高齢者は今後ますます増加していく一方で、サービスを支える介護人材の不足が深刻な状態であり、人材確保に向けてあらゆる方策を検討する必要があります。
 また、高齢者がいつまでも元気で暮らし続けられるよう、介護予防の取り組みを行うことも大切であり、地域で介護予防に取り組む人材育成も重要になっています。
 都は現在、第七期高齢者保健福祉計画を策定中とのことでありますが、介護に携わる人材の確保をどのように進めていくのか、所見を伺います。
 我が党は、希望出生率一・八がかなう社会の実現に向けて、待機児童の解消を喫緊の課題と捉え、さまざまな政策提言を行ってまいりました。また、保育の実施主体である区市町村や事業者の意見を十分踏まえた取り組みが必要であると、繰り返し申し上げてきたところです。
 都は、昨年十二月に発表した二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、平成三十一年度末までの四年間で、七万人分の保育サービスを整備する目標を掲げています。
 ことし四月現在の保育サービスを利用する児童数は、昨年度から一万六千三名増加しましたが、待機児童数は八千五百八十六人となり、昨年よりもさらに増加しています。
 待機児童解消に向けた取り組みをより一層進めるためには、保育の実施主体である区市町村が保育所などの整備を進めるとともに、保育人材の確保に取り組むことが重要であり、都は広域的自治体として、区市町村のこうした取り組みを支援していくべきと考えます。
 都は今後、保育人材確保に向けてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 待機児童解消に向け、保育所を設置することに異を唱える方は少ないと思います。
 しかし、自分が住んでいる場所のすぐ近くに保育所を建設するということになれば、話が違ってきます。保育所の設立を求める声が強い地域でも、住民らの理解が得られず、開設が難航するケースが少なくありません。当事者同士の話し合いで解決するにこしたことはありませんが、そうならないケースもあります。
 アメリカには、こうした近隣トラブルを民間ベースで調停する仕組みとして、州によりネイバーフッドジャスティスセンターという機関を設けています。このセンターの特徴は、仲裁は行わず、調停だけを行うこと、調停はトレーニングを受けたボランティアが行うこと、調停の期間が定められていることなどです。
 保育所だけでなく、高齢者、障害者など、福祉施設の建設に近隣住民の理解が得られないことはよくあることです。
 社会福祉施設建設などにかかわる紛争を解決するため、こうした仕組みが東京でも求められていると思いますが、所見を伺います。
 都立病院は、都民の生命と健康を支えることを使命とし、これまで行政的医療を提供してきましたが、中でも広尾病院は、百二十年の長きにわたって現在の地で医療を提供してきました。そして、区部唯一の基幹災害拠点病院として災害医療を提供するとともに、救急医療、島しょ医療を重点医療に掲げ、まさに都民にとっての命綱となる病院として、重要な役割を果たしています。
 広尾病院の建てかえに当たっては、こうした点をさらに充実していくことが重要です。また、昨今、世界各地でテロ行為が頻発しており、災害医療に加え、新たなテロの脅威に対しても早急な対応が必要です。
 こうした重要な役割を担う広尾病院の再整備に当たって、この間、整備地についての都の方針が短期間で変更となるなど、都民に不安を抱かせた点は、広尾病院がこれまで果たしてきた重要な役割を考えると、残念であり、望ましくないものであったといわざるを得ません。
 今回、老朽化している広尾病院の整備について、一定の方向感が明らかになったと理解していますが、大事なことは、広尾病院が新病院の整備を通して、その役割や機能を高め、東京の災害、救急、そして島しょ医療をこれまで以上に強力に牽引し、首都東京の安心を支える責務をしっかりと果たしていくことであると考えます。
 そこで、今回の建てかえ整備により、今後広尾病院はどのような機能を担っていくのか、見解を伺います。
 ことしの夏は不順な天候が続き、日本各地に被害をもたらしましたが、天候の変動を踏まえた都民生活の安全・安心を支える重要な対策の一つが渇水対策です。
 前回の東京オリンピック大会では、開催直前の夏場に、東京砂漠と呼ばれるほどの未曽有の大渇水が発生しています。この夏も、荒川水系では二十年ぶりに取水制限が実施され、昨年の夏には、利根川水系で過去最長の七十九日間にわたる取水制限が実施されるなど、渇水が頻発しています。
 日本の河川は傾斜が急なため、降った雨は短時間で海に流れ出てしまうことから、降雨を安定的に利用するためにはダムを建設して、貯水しておくことが欠かせません。過去の中断によって工事がおくれている八ッ場ダムが予定どおりに完成していれば、昨年の夏の取水制限は回避できたといわれています。
 この八ッ場ダムの事業費は、昨年の基本計画変更により、約七百二十億円もの大幅な増額となっています。しかし、首都東京の安定給水の確保には、八ッ場ダムの早期完成が極めて重要であるとの認識から、二〇二〇年大会の前年、二〇一九年度までの完成を絶対条件として、やむを得ず同意したものです。
 そこで、都は安定給水の確保に向けて、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 さて、最後に申し上げます。
 人にはそれぞれ原風景があり、その原風景こそがその人の人格や行動を形づくるそうです。ある人には戦争直後の焼け野原かもしれませんし、ある人には家族団らんで食事をする姿かもしれません。
 知事の原風景は一体どこにあるのでしょうか。
 私は、この都庁の間近で生まれ育ちました。都庁が建つ前のこの地は四号地と呼ばれ、私は野球に興じていました。小学校で遠足に行くときは、近場では代々木公園、遠くの場合は高尾山でありました。多磨霊園には折に触れてお墓参りに行き、遠縁の者が東京に来たときには浅草観光に一緒に出かけたりしました。
 東京のいろいろな地域に私なりの思いがあり、私自身の原風景があります。東京は私のふるさとであり、東京に私自身のアイデンティティーがあるのです。
 だからこそ、この東京をよくしたい、生まれ育った地域を、思い入れのある地域をよくしたい、そういう思いで東京都議会議員という職を求めました。東京が首都でなくても、世界的な都市でなくても、私は同じ選択をしたのだろうと思います。
 私が残念なのは、率直に申し上げて、小池知事にも、前の知事にも、その前の知事にも、東京への思いが、東京への愛情が感じられないことです。
 折しも、知事は昨日、国政において新党を立ち上げ、代表に就任すると発表されました。知事の思いが、今この瞬間も別のところにあるのではないかという懸念がぬぐい去れません。
 もちろん私たちは、知事といたずらに対立するつもりはありません。例えば、知事が進める女性の活躍推進や無電柱化は、大いに応援したいのです。東京が、日本がよくなりさえすればそれでいいのです。そのためには、いいものはいい、おかしなものはおかしいと、今後も指摘してまいります。
 冒頭に、私が十六年前の新人議員のときの、当時の石原知事に対する発言を取り上げさせていただきました。その際にも引用したマックス・ウエーバーの「職業としての政治」からの同じ一節をもって、代表質問を終わりたいと思います。
 政治を行う者は権力を求める。その場合、権力を別の目的のための手段として追求するか、それとも権力それ自体のために、つまり権力自体がもたらす優越感を満喫するために追求するのか、そのどちらかである。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 秋田一郎議員の代表質問にお答えをさせていただきます。
 まず、二元代表制についてのご質問がございました。
 私は、議会と知事は、時に協調、時に緊張関係の中で、互いに都民の代表として切磋琢磨をする。そして、都民のための都政を進めて、その期待に応えていく。そのことがまさに都民ファーストの精神、使命であると、このように考えております。
 議会といたしましても、さまざまな都政の重要課題についてしっかりとチェックをしていただくことこそ、都民のための二元代表制のあり方だと、このように考えております。
 五十年、百年を見据えた東京の持続的な成長に向けて、都議会の皆様と都民のための本質的、建設的な議論をこれからも展開していきたい、このように考えております。ご協力よろしくお願いを申し上げます。
 二番目に、小島氏の政調会事務総長への就任についてのご質問がございました。
 都議選後初めての定例会が開会している、そして、これからも各常任委員会が一斉に開かれるという、こういう段階でございます。行政に精通をし、かつ法曹資格を有する小島氏に、さまざまな政策の調整や整理などをして支援してもらうため、党から就任をお願いしたと、このように聞いております。
 都議会の第一党として有能な人材を得、そして都政のチェック機能をしっかりと果たされる、その立て役者になられると、このように確信をいたしております。
 築地再開発の検討会議についてのご質問がございました。
 築地の再開発に当たりましては、築地のエリア全体が有します食文化、浜離宮、景観、都心への近接性、こういったさまざまなポテンシャルを生かしながら、東京の魅力をさらに高めていく、そのことが重要でございます。
 検討会議においては、そうした築地の魅力やポテンシャルなどについて、経営や文化、まちづくりなど、さまざまな分野でご活躍の方々から、これまでの発想にとらわれないコンセプトを伺う、幅広いご意見を伺う、それによって築地再開発の大きな視点として整理をする、このように考えております。
 これらのステップを踏みながら、しっかりと検討を進めることが東京の持続的な成長につながるよりよい再開発とする上で、極めて重要と考えております。
 入札契約制度改革についてのご指摘がございました。
 今回の改革で目指していること、それは健全な競争のもと、より多くの方が入札に参加しやすい環境をつくる。入札の透明性を高める。それらに加えて、中小企業の方々が活躍できる環境をしっかりと維持していくことでございます。
 改革案の作成に当たりましても、こうした観点から、都の入札が抱えます課題の解決に向けて、国やほかの団体で既に導入している制度などを参考にしながら、制度の構築を行ったものでございます。
 また、中小企業から成る業界団体へのヒアリングでいただいた意見も参考にして、低入札価格調査制度の適用範囲を当初案から縮小するなど、中小企業に配慮した見直しも加えた上で、試行を開始いたしております。
 今後、制度改革の検証を進めていくことになりますけれども、引き続き、業界団体の皆様方から意見をお聞かせいただきながら、全体として都民の便益の向上につながる改革となるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 発注者と受注者の関係についてのお尋ねでございました。
 都民生活の基盤となる高品質の社会インフラの整備は、まさに工事の受注者である事業者の力に支えられているものと認識をいたしております。将来にわたって公共工事の品質、クオリティーを確保するためには、発注者である都といたしましても、適切な競争入札のもとで、適正な価格で、優良な事業者が受注できる環境を整備していく必要がございます。
 そこで、都といたしまして、競争性を確保しつつ、ダンピングを防止するために、低入札価格調査制度などの適切な運用に努める一方で、女性活躍や若手の育成、週休二日のモデル工事の試行といった措置を講じることによりまして、人材の確保、技術者の育成に向けた環境整備を進めております。
 今後とも、工事受注者との間では、発注者と受注者としての緊張関係を保つと同時に、公共工事をともに担う立場としての信頼関係も構築する、そのことによって、都民が安心して生き生きと暮らせる都市東京の社会基盤の整備を進めてまいりたいと考えております。
 受動喫煙防止条例についてのご指摘がございました。
 都は、都民の健康増進の観点から、またオリンピック・パラリンピックのホストシティーとして、受動喫煙防止対策をより一層推進していくため、仮称でございますが、東京都受動喫煙防止条例の基本的な考え方を策定し、公表をいたしております。
 受動喫煙の防止につきましては異論がないものとは思いますが、しかし、その対策にはさまざまな意見がございます。そのため、この基本的な考え方につきまして、九月八日から十月六日までの約一カ月間、パブリックコメントを実施いたしております。
 ご意見は、メールや郵送、ファクスで受け付けております。そしてまた都のホームページのトップページにもバナーを掲載するなどして、できるだけ多くのご意見をいただけるような工夫もいたしております。
 また、現在、都内の飲食店や宿泊施設におけます禁煙や分煙の状況、表示の取り組みなどの実態調査、都民に対します意識調査も実施をいたしております。
 今後、寄せられましたご意見、そして調査結果も踏まえながら、早期に条例案を策定いたしまして、二〇一九年のラグビーワールドカップ開催までの施行を目指しております。
 その他のご質問につきましては、東京都技監、そして関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 三点のご質問にお答えをさせていただきます。
 まず、築地再開発検討会議についてでございます。
 築地の再開発においては、築地の地域特性やポテンシャルなどを十分に生かし、東京の持続的な成長につながる、よりよいものとしていくことが重要でございます。検討会議の委員には、そうした観点から、さまざまな分野でご活躍をされている方々に就任を依頼し、自由な発想で幅広いご意見をいただくことをお願いしてございます。
 次に、グランドデザインを踏まえた取り組みについてでございます。
 都市づくりのグランドデザインに基づき、今後は具体的なまちづくりをどう展開していくかが重要となります。東京の未来をつくろうというキャッチフレーズで示すように、区市町村や事業者、さらには次の時代を担う若い世代を初めとする都民など、さまざまな主体と目標を共有し、連携して取り組みを進めてまいります。
 ストックを生かした道路空間のリメークや、緑、都市農地の保全、活用など、重点的な取り組みをパイロットプロジェクトとして推進するとともに、都市計画区域マスタープラン等を改定し、政策誘導の仕組みも充実させてまいります。
 将来を見据えて、今なすべきことに工夫を加え、よりよい都市づくりを展開し、活力とゆとりのある高度成熟都市の実現につなげてまいります。
 最後に、住宅確保要配慮者の円滑な入居についてでございます。
 高齢者や子育て世帯等の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するためには、借り手と貸し主の双方に対し、さまざまな懸念の解消に向けて支援を行うことが重要でございます。
 都は、入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の運用を、法施行に合わせ、来月下旬から開始し、また不動産団体などの協力を得て、この住宅登録制度を周知するなど、その普及を図ってまいります。
 さらに、国が導入した住宅の改修等への支援制度の活用策や東京の実情に応じた登録基準、目標戸数等の設定について、区市町村の動向を踏まえ、検討を進めてまいります。
 今後、借り手と貸し主双方の視点に立ち、区市町村や関係団体などと連携して、誰もが安心して暮らせる東京の実現に向けた取り組みを総合的に推進してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、千客万来施設事業のコンセプトについてですが、事業の目的につきましては、都と事業者との間で締結されております基本協定書において、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展させるとともに、豊洲市場と連携し、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すことで、豊洲市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりに貢献するという内容が既に定められておりまして、変更はございません。
 続きまして、千客万来施設事業と築地再開発の関係についてでございますが、千客万来施設事業は、江東区から豊洲市場を受け入れる際に示された条件の一つでございます。豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出す豊洲市場にとって必要な事業でございます。
 一方、築地再開発につきましては、市場移転に関する関係局長会議の中で、先行する豊洲市場の千客万来施設事業との整合を図りつつ、開発コンセプト等を具体化していくこととしております。
 都といたしましては、こうした考え方に基づきまして、築地と豊洲の双方が共存共栄できるよう事業を進めてまいります。
 続きまして、豊洲市場への移転についてでございますが、早期の移転の実現に向けて、まずは専門家会議の提言に基づく追加対策工事を確実に実施してまいります。工事完了後には、専門家会議によって対策の有効性を確認していただくとともに、農林水産大臣の認可手続など、都としての取り組みを着実に推進してまいります。
 また、業界団体と連携して、多岐にわたる移転準備を進めてまいります。習熟訓練や造作工事の本格化に向けた体制強化を図るとともに、引越計画の策定、物流や衛生管理、施設の運用などに関するルールづくり等についても街区別検討会等において精力的に調整してまいります。
 知事が最優先事項とする豊洲市場への移転を早期に実現するため、業界団体や関係局と連携いたしまして、全力で取り組んでまいります。
 最後に、中央卸売市場の整備についてでございますが、都内十一の中央卸売市場は、築地市場に代表される首都圏の基幹市場や、地域のニーズに対応した役割を担う市場など、それぞれの特色を生かし、都民の食生活の安定という社会的インフラとしての責務を果たしております。
 近年、食の安全・安心への意識が高まるとともに、食の外部化が進み、こうした社会環境の変化を踏まえ、本年二月に第十次東京都卸売市場整備計画を策定いたしました。本計画に基づき、老朽化施設の維持更新などに加え、品質、衛生管理の高度化、物流の効率化、加工パッケージ対応などの機能強化を図ってまいります。
 これらを通じ、十一市場それぞれが特色を生かし、今後も生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給していくことができるよう、着実に整備を推進してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、環状第二号線の開通についてでございますが、本路線は、臨海部と都心部を結ぶ新たな交通、物流ネットワークを形成いたしますとともに、並行する晴海通りの渋滞緩和など、地域交通の円滑化を図る重要な道路でございます。
 まず、整備効果を早期に発現させるため、市場の機能が豊洲に移転完了した後、市場内の通路を活用いたしまして、約二カ月後に暫定迂回道路を開通させます。
 次に、既存の建物が解体された後、二〇二〇年東京大会に向け、平成三十一年度末を目途に、地上部道路の整備を完了させます。
 本線トンネルにつきましては、大会後早期に完成させまして、江東区有明から千代田区神田佐久間町に至る東京の骨格を形成する幹線道路として、環状第二号線を全線開通させます。
 次に、都県境の道路ネットワークの形成についてでございますが、行政区域を越えた道路ネットワークの形成は、洪水や地震など災害時のリダンダンシーを確保し、避難や緊急物資輸送等を確実に行う上で重要でございます。
 埼玉県境では、新東京所沢線約五キロメートルのうち未着手区間約二キロメートルの事業化に向けて、測量等を進めてまいります。神奈川県境では、昨年度着手いたしました等々力大橋に続き、本年九月末には、羽田連絡道路の工事に着手いたします。千葉県境では、橋梁取りつけ部の用地取得が比較的少なく、早期着手が可能な補助第一四三号線など三路線の橋梁整備に向けまして、共同事業者として千葉県の協力が得られますよう、地元区とともに働きかけ、整備時期等の調整を進めてまいります。
 今後とも、高度防災都市の実現に向け、隣接県市との連携を図り、都県境の道路、橋梁整備に全力で取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、車両基地の整備についてでございます。
 大会時の車両基地、いわゆるデポは、大会車両の保管や整備、乗務員の管理などを行う重要な拠点であり、選手村や競技会場など関係する施設の位置関係や大会時の交通状況に応じて、柔軟かつ適切な輸送運営を図るため、複数配置する予定でございます。
 このうち、築地市場跡地につきましては、解体工事とデポ整備を同時期に施工していくための工程調整を、現在、中央卸売市場とともに進めているほか、築地市場の既存施設の活用も含めて検討を深めております。大会運営に支障のないよう取り組んでまいります。
 次に、輸送運営計画についてでありますが、本年六月に交通工学の専門家等から成る交通輸送技術検討会を設置いたしました。ここでは、環状第二号線の地上部道路を含め、大会時に活用可能な路線の運用方法や物流の円滑化方策などの検討を進めております。
 加えて、渋滞が予想される区間や時間帯など、交通情報の早期提供に努め、利用する経路や移動時間の変更を広く呼びかけることなど、交通需要マネジメント手法を活用し、交通量の適切な調整を図ってまいります。
 また、これまでも地元区や物流事業者等の参加する輸送連絡調整会議等で意見交換を行いながら検討を進めてきておりまして、引き続き関係者との連携を図りながら、来年度末を目途に輸送運営計画バージョンツーとして取りまとめをし、円滑な大会輸送の実現に努めてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 六点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小企業の事業承継に向けた支援についてでございますが、東京の産業の発展を図るため、高い技術力やすぐれたサービスを提供する中小企業を、新たな世代に確実に引き継ぐことが重要でございます。
 都は、会社経営の承継が必要と見込まれる企業に対して、経営者や後継者に事業を引き継ぐノウハウ等を提供しております。また、承継を計画的に進めるため、専門家による助言のほか、事業を円滑に引き継ぐために必要な資金調達への支援や手続費用等への助成を行っております。
 今後は、承継が必要な企業をより効率的に把握し、相談や知識の提供を効果的に行う手法を検討してまいります。また、承継に向けた事業改善に役立つ支援や会社合併を用いた承継サポートにも重点を置き、中小企業の経営を次世代につなげる取り組みを着実に進めてまいります。
 次に、都内中小企業の生産性向上の支援についてでございますが、東京の産業の持続的な発展を図る上で、中小企業の生産活動やサービス提供の効率を高めることが必要でございます。現在、中小企業では、人手不足が広がり、将来も労働力の減少が見込まれる厳しい状況が続く中、IT等の技術により、生産性の向上を図ることが効果的でございます。
 都は、中小企業のさまざまな経営課題の解決を図るため、現場に出向き、相談業務を行うほか、生産効率のよい設備の導入を後押しする支援を行っております。
 今後、会社の生産効率の一層の引き上げを重要な経営課題とする理解を広めていく取り組みのほか、中小企業に対し、社員の専門的な知識を高めるとともに、IoTのシステムやAIに加え、ロボット機器の導入などを促す取り組みも検討し、東京の産業振興を着実に進めてまいります。
 次に、都内の産業のイノベーションの促進についてでございますが、中小企業が他の事業者や地域のさまざまな主体と協力して、新製品やサービスを生み出す形でのイノベーションを図っていくことは重要な取り組みでございます。
 これまで都は、新技術等の開発動向を示し、これに基づき、大学等と協力し、取り組みを進める中小企業に助成を行ってまいりました。また、中小企業と大企業が取引や共同開発を始めるきっかけを提供する交流の場を設けてまいりました。
 今後、中小企業の新たな事業展開を加速するためには、幅広い販路と豊かな資金や人材を持つ大企業や最先端の独自技術がある研究機関との連携のほか、地域と協力し、社会的課題の解決を図る技術開発を進めるなど、新しい視点での取り組みが不可欠でございます。これを踏まえ、新たな事業分野の創出による産業振興を着実に進めてまいります。
 次に、住宅宿泊事業法への対応についてでございますが、住宅宿泊事業は、旅行者の多様なニーズに応えることが期待される一方で、施設の衛生面や防火対策、ごみ出しや騒音等による住民生活への影響など、多岐にわたる課題が懸念されますことから、適正な実施を確保する仕組みづくりが必要となります。
 このため、都は、本年六月の法の成立を受け、直ちに観光、衛生、消防、環境などの関係部署から成る全庁横断的な体制を構築し、住民生活に最も身近な区市町村と住環境の維持や旅行者の安全確保等について、地域の実情に応じた対応策を検討しております。
 今後は、十月中にも公布が予定されております政省令や、その後に公表される国のガイドラインなどの内容を踏まえて、届け出や指導監督の体制づくりを進めてまいります。
 引き続き、区市町村との協議を重ねながら、住宅宿泊事業の適正な実施に向けて取り組んでまいります。
 次に、東京農業の振興についてでございますが、東京農業を魅力ある産業として発展させていくためには、国の制度改正等を踏まえ、収益力の向上や担い手の確保など、農業者の経営力の強化を図る必要がございます。
 このため、都は、限られた農地でも高収益を上げられるよう、ICTなどの先進技術を活用した生産施設の導入を進めるとともに、女性農業者の発想を生かした農産加工品の開発など、六次産業化の取り組みを支援してまいります。
 また、新規参入者に対し、農地貸借に関する情報をきめ細かく提供することに加え、すぐれた技術や経営力を有する指導農業士を活用した実践的な研修を実施するなど、新たな担い手の確保、育成に取り組んでまいります。
 こうした取り組みにより、意欲ある農業者を後押しし、将来にわたり持続可能な力強い東京農業を実現してまいります。
 最後に、都内産農産物の魅力の発信についてでございますが、二〇二〇年大会を契機に、新鮮で安全・安心な都内産農産物の魅力を広く国内外にPRし、消費、生産の拡大につなげ、東京農業の振興を図ることは重要であります。
 このため、都は、この秋開催する味わいフェスタや食育フェア等の各イベントを東京食めぐりキャンペーンとして展開するとともに、とうきょう特産食材使用店の登録を拡大するなど、都内産農産物を使った料理を味わい、実感できる機会を広く提供してまいります。
 また、外国人旅行者には、ウエブサイトやガイドブック等で多言語により農産物の魅力を広く紹介いたします。
 さらに、二〇二〇年大会で魅力ある農産物を提供できるよう、年度内に都独自のGAP制度を構築するなど、都内農業者のGAP認証の取得を推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、介護人材の確保についてでありますが、都は介護人材の確保、育成、定着を図るため、福祉の仕事の魅力を発信する若者向けイベントの開催や介護業務の職場体験、合同採用試験の実施、職員の資質向上のための介護福祉士資格取得の支援、離職防止のための相談支援など、さまざまな取り組みを行っております。
 今年度は、事業者のニーズも踏まえ、キャリアパスの導入への補助を三年間から最大五年間に延長するほか、東京都健康長寿医療センターに介護予防推進支援センターを設置し、地域で介護予防に取り組むリハビリテーション専門職等の人材育成を開始しております。
 今年度策定をいたします第七期高齢者保健福祉計画においても、介護人材対策の推進を重点分野の一つに位置づけ、施策の充実を図っていく考えでございます。
 次に、保育人材の確保についてでありますが、都は保育人材の確保、定着を図るため、キャリアアップ補助や宿舎借り上げ支援を実施するほか、保育人材コーディネーターによる就職相談や定着支援などを行っております。
 また、保育士養成施設の学生の保育所への就職を促すため、五年間勤務した場合に返還を免除する修学資金の貸し付けを行っております。
 区市町村や事業者のニーズ等を踏まえて、今月取りまとめた待機児童解消に向けた追加対策におきましても、人材確保策を柱の一つとし、保育士の業務負担を軽減するためのICT化の促進や保育士の復職や再就職、保育補助者の雇用を支援する貸付事業の拡充などを盛り込んでおり、今後とも、保育の実施主体である区市町村と連携しながら、保育人材の確保、定着に取り組んでまいります。
 最後に、福祉施設の整備等についてでありますが、保育所を初め、福祉施設は都民生活を支える重要なインフラの一つでございますが、その整備に際しましては、近隣住民の理解を得ることが難しい場合もございます。
 福祉施設は利用者の生活の場であり、その整備、運営に当たりましては、近隣住民の理解と協力が不可欠であるため、住民に身近な区市町村は説明会や日常的な対応を通じて地域の意見や要望を把握し、事業者とも連携して、近隣住民とのトラブルの未然防止に努めており、都も区市町村と連携しながら、事業者に対し、地域住民に丁寧な説明を行うよう指導をしております。
 今後とも、福祉施設の整備、運営が円滑に行われますよう、都、区市町村、事業者等の関係者が連携して取り組んでまいります。
〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕

○病院経営本部長(内藤淳君) 広尾病院が担う医療機能についてでございますが、今回の建てかえ整備は、都心部唯一の基幹災害拠点病院として、ハード、ソフト両面から機能強化を図ることを主眼としております。
 施設面では、免震構造を採用するとともに、災害時に平時の二倍の病床を確保する仕組みを導入いたします。運用面では、自然災害はもとより、テロ等も見据えた災害対応力強化のため、平時から、病院みずからが地域に積極的に働きかけ、関係機関と実践的な連携体制を構築してまいります。また、災害時にも有効に機能する外傷センターの設置など、強みを生かした診療体制といたします。
 一方、島しょ医療におきましては、ICTを活用したウエブ会議を導入するなど、離島のハンデを感じさせない安心をサポートしてまいります。
 今後も、医療環境の急速な変化に即応しつつ、広尾病院がより一層都民から信頼される存在となるよう、きちんと整備を進めてまいります。
〔水道局長中嶋正宏君登壇〕

○水道局長(中嶋正宏君) 安定給水の確保に向けた取り組みについてでございますが、水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える上で欠くことができない基幹ライフラインであり、安定給水のための水源の確保は最も重要な課題の一つでございます。
 都の水源の約八割を占める利根川、荒川水系は、近年三年に一回程度の割合で渇水による取水制限が発生するなど、諸外国や国内の主要水系と比べて、渇水に対し脆弱となっております。
 そのため、渇水リスクを大幅に軽減できる八ッ場ダムの早期完成は必要不可欠でございます。三年後の二〇二〇年東京大会へ万全を期すとともに、将来にわたる東京の盤石な安定給水に向けて、計画どおり八ッ場ダムの二〇一九年度完成厳守と徹底したコスト縮減を国に強く求めてまいります。

○議長(尾崎大介君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時休憩

   午後六時二十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十六番大山とも子さん
〔百二十六番大山とも子君登壇〕

○百二十六番(大山とも子君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 小池知事がいう東京大改革について、今回の所信表明を聞いても、一体何を改革するのか見えてきません。そこで、小池都政による改革に反する施策を含め、一つ一つただしていきます。
 まず、築地市場の移転問題です。
 この問題に対する小池知事の基本姿勢には、多くの都民とマスコミから厳しい批判の声が上がっています。知事は、豊洲新市場へ移転する前提条件として、土壌も地下水も環境基準以下にするという都民と市場業者への約束をほごにして、豊洲移転にひた走っています。
 知事は、みずからの判断で豊洲移転推進の補正予算を提出し、三十九年ぶりの臨時会を招集したにもかかわらず、徹底審議を求めた会派に知事与党が譲歩し過ぎたと苦言を述べたという報道もありました。そして、我が党が提案した予算特別委員会などでの知事と一問一答による審議は、実現しませんでした。
 早くも与党多数の議会にあぐらをかき始めたのだろうか、都政運営でこれだけ重要な案件を判断したにもかかわらず、説明責任を果たそうとしない姿勢は、都民を愚弄しているといわれても仕方ないという、これほど厳しい批判がマスコミから上がっていることを知事はどう受けとめていますか。
 臨時会閉会から九日後、豊洲新市場の地下水から環境基準の百二十倍のベンゼンが検出されたと発表されました。検出されてはならない猛毒のシアン化合物、また、ヒ素も検出されています。調査した四十六カ所中三十八カ所で環境基準を超える有害物質が検出されたのです。知事、食の安全・安心を揺るがす重大問題だと思いませんか。
 驚いたことに、知事は所信表明で、百二十倍のベンゼンが検出された事実に触れることなく、豊洲市場への早期移転に向けた取り組みを加速すると表明しました。あわせて知事は、正確な情報を発信する、都民、市場業者の皆様の理解と安心を得るための努力を重ねていくと述べました。それなら、知事はなぜ百二十倍のベンゼン検出の事実をきちんと説明しないのですか。
 多くの調査地点でベンゼン、シアン化合物やヒ素が検出され、しかもベンゼンは、一月は環境基準の七十九倍、三月は百倍、今回百二十倍と上がっているのに、専門家会議は、全体的に見れば大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないなどという安全神話を今回も振りまいています。
 専門家会議は、石原都政以来、移転推進に差しさわりのない報告をまとめて、対策は可能だといってきましたが、専門家会議が提言した土壌汚染対策が失敗に終わったことは既に明白です。知事は、うそとごまかしに終始してきた石原都政のやり方に逆戻りするのですか。
 三人しかいない専門家会議に依拠するのは無理があります。地下水から有害物質が検出され、その数値が上がっている原因について、もっと多くの科学者、専門家も入れて調査すべきです。知事、いかがですか。
 市場業者の皆さんへの知事の対応にも批判が広がっています。土壌も地下水も環境基準以下にするという約束に対する認識などについて、仲卸業者でつくる築地女将さん会が八月二十三日に知事に対する公開質問状を出しましたが、知事はいまだに回答していません。なぜ回答しないのですか。
 知事は臨時会で、事業者に寄り添った丁寧な対応に努めていくと答弁しました。行動が伴っていないといわれても仕方ないと思いますが、知事、いかがですか。
 業者の皆さんは、豊洲新市場の安全宣言を求めています。この問題は曖昧にできません。安全宣言はしないのではなく、できないこと、追加対策では食の安全・安心は保証できないことをはっきり認めるべきです。知事、いかがですか。
 市場業者の合意なしに移転はあり得ないことを我が党は繰り返し知事にただしてきました。市場を運営するのは市場業者の皆さんであり、その合意と納得なしに移転したら、新市場がまともに運営できないことは明らかです。知事、市場業者の合意なしに移転しないという立場をはっきり表明してください。
 都議選前に知事は、築地は守る、市場としての機能を確保すると明言しました。この言葉に希望を持った市場関係者は少なくなかったはずです。
 しかし、さきの臨時会で知事が強調したのは、民間主導による築地再開発で、築地ブランドを守る具体的方策は示されませんでした。そして、今回の所信表明では築地ブランドの言葉もなくなりました。
 知事は、築地再開発検討会議の設置を発表しましたが、検討する際の知事の基本姿勢として、築地は守る、市場としての機能を確保することを明確にするべきです。知事、いかがですか。それを曖昧にするなら、選挙向けのポーズだったのかといわれても仕方ないと思いますが、知事、お答えください。
 検討会のメンバーに市場業者が入っていないことは理解できません。市場機能を守る専門知識や経験を持っている市場業者、中でも仲卸業者を追加メンバーとして加えるなど、意見を十分反映できるようにすべきです。知事の見解を伺います。
 八月末の臨時会開会直前に、豊洲新市場で大量のカビ発生という、卸売市場としてあってはならない重大問題が発覚しました。東京都は、カビの拭き取り清掃をしたから大丈夫だといっていますが、取り残しはないのですか。清掃後もまたカビが発生していることを我が党は市場業者の協力により確認しました。知事は、清掃後もまたカビが発生している店舗がある事実を把握していますか。
 我が党は、カビの調査を求めてきましたが、知事は、豊洲新市場で発生したカビの種類を把握していますか。再発防止のためには原因究明が必要です。都は、長雨と台風が原因だとしていますが、まともな調査をしていないのですから、到底納得できません。
 カビが発生した店舗の業者の方は、原因を徹底的に調査してほしい、壁やガラスにもカビが大量に発生していて驚いた、こんなところで商売はできないと訴えています。こうした市場業者の声を知事はどう受けとめますか。衛生管理が万全だと大宣伝してきた新市場でなぜ大量のカビが発生したのか、原因究明の調査を求めるものですが、知事、お答えください。
 次に、福祉、暮らしの充実についてです。
 知事が所信表明で、超高齢社会への対応に力を入れて取り組んでいくと述べたことは重要です。しかし、その具体的中身は示されませんでした。
 例えば、切実な課題となっている特別養護老人ホームの増設はどのように進めるのでしょうか。
 知事は先日、都内の特養ホームを視察されましたが、特養ホームの役割の重要性をどう受けとめていますか。
 都が実施した調査では、都内の特養ホーム三百九十四施設のどの定員規模でも入所率が九割を超え、依然として需要が高いという結果が出ています。要介護度三以上でないと入れないという対象者の選別が行われたもとでも待機者は三万人に及びます。
 知事は所信表明で、安心できる医療、福祉、介護の体制をどう充実させていくのか、これまでの延長線上の政策では太刀打ちできない課題だといいました。特養ホームの増設について、これまでの延長線上でない政策に知事はどう取り組むのですか。
 東京で今後、高齢者が急増し、しかもひとり暮らしや高齢者のみ世帯が多いことを考えると、特養ホームの増設を思い切って促進するとともに、増設目標を引き上げることが必要だと思いますが、知事の認識と対応を伺います。
 特養ホームの増設に向けて、特別区長会から用地取得補助制度の再開、整備費補助の拡充などの要望が出ています。これらの声に応え、支援を拡充することを求めます。お答えください。
 最近の特養ホームは個室が原則とされているため、費用が高く、あきが出ても利用料を払えないために諦める方が少なくありません。その中で、都が行っている多床室の施設整備費補助は重要な役割を発揮しています。この補助でつくられた多床室は、プライバシーが保護され、ほとんど個室と変わらない環境が確保されています。
 この補助制度の積極的活用を含め、国民年金で入れる特養ホームをふやす必要があると思いますが、知事、いかがですか。
 低所得の高齢者の住宅確保も大きな課題です。福祉保健局が行った区市町村における高齢者の住まい施策に関する調査報告でも、低所得の方の住まいについて、四割の区市町村が低廉な家賃の民間賃貸住宅不足を課題に上げています。
 都営住宅に何十回申し込んでも入れない、ふやしてほしいという声も広がっています。住みなれたまちで暮らし続けたくても、所得が低くて住宅を借りられない実態を、知事はどのように解消していくのですか。
 住宅セーフティーネット制度を活用した高齢者世帯の家賃負担軽減などの支援に踏み出すことも重要ですが、いかがですか。
 都が行った高齢者の生活実態調査では、年収百五十万円未満で暮らす高齢者が全体の三割から四割に上っています。知事は我が党の質問に、低所得で暮らす高齢者の方々にとりましても、東京を安心して暮らせるまちにしていきたいと答弁しましたが、具体的にはどのように取り組むのですか。知事、お答えください。
 政府が社会保障の負担を高齢者に負わせる政策を続けているもとで、最近は低年金、低所得の高齢者だけでなく、中間所得層の高齢者の間にも生活破壊、生活の困難が広がっています。高齢者の方々が安心して暮らせるようにするためには、都として高齢者への経済的支援に取り組むことが必要だと思いますが、知事の認識を伺います。
 高齢者福祉は、石原元知事が進めた福祉切り下げの標的にされました。その結果、都の決算に占める老人福祉費の割合は、石原元知事就任前の一九九八年度は全国二位だったのに、二〇一五年度には四十二位まで落ち込みました。超高齢社会への対応を積極的に進める中で、高齢者福祉への予算の配分についてもふやしていくことが求められますが、見解を伺います。
 保育園の待機児童解消も急務です。ことし四月一日現在の待機児童数は八千五百八十六人となり、前年からふえました。厚生労働省の発表では、いわゆる隠れ待機児童を含めると、およそ二万八千人に及びます。
 足立区では、二〇一九年度までに認可保育園を四十二園増設する対策を発表しました。アンケート調査で、待機児童となった世帯の保護者の七割が認可保育園と認定こども園以外に申し込みをしなかったという結果が出たこと、ゼロ歳から二歳までだけでなく、三歳以降の預け先もあわせて整備が必要であることから、新しい整備は認可保育園を中心とすることにしたそうです。足立区だけでなく、都内で増設されたのは、認可保育園が圧倒的に多いのです。
 こうした実態と待機児童がふえている現状を踏まえれば、さらなる対策が必要ですが、知事、いかがですか。認可保育園の整備目標を持って、増設をさらに加速させることを求めます。知事の見解を伺います。
 公立保育園を増設することは、待機児童解消を進める極めて効果的な方法の一つです。行政が直接取り組むので早く整備できます。公立保育園の保育士の求人には応募者が殺到しています。質の高い公立保育園への期待は大きなものがあります。
 公立保育園の増設はスピードが求められる待機児童解消対策に最適であり、一石二鳥、三鳥の効果があると思いますが、知事、いかがですか。
 保育、介護、障害者支援など、福祉分野の人材確保、育成は、一刻も早く解決すべき課題です。東京都社会福祉協議会の調査では、独自に人員配置基準を定めている特養ホームのうち六割を超える百三十一カ所で基準を満たしていません。また、障害者支援施設でも、職員体制がとれないため、必要な研修に人を出せない、定員にあきがあっても断っているという状況です。
 障害者支援事業所の団体による職員労働実態調査では、勤続五年未満が約半数、正規職員と非正規職員の比率はほぼ半々、給与も三百万円未満の方が約六割にも上り、とても暮らしていけないという悲痛な声が上がっています。
 保育、介護、障害者福祉のいずれの現場でも、働く人の深刻な実態があることを知事はどう認識していますか。保育、介護、障害者福祉に携わる職員の給与改善と職員の配置基準の改善、増配置を初めとした総合的、抜本的な福祉人材対策の拡充強化に取り組むべきと思いますが、知事、いかがですか。
 次に、国民健康保険料の軽減です。
 都内の自治体では、毎年のように国保料、国保税が値上げされ、今年度も二十三区九市町で値上げされました。二十三区では、今年度の国保料の改定は過去十年間で最も大きな上げ幅となりました。
 ことし六十五歳となった夫婦は、基礎控除後の所得が約百四十万円で、二十三万円もの国保料が課されています。所得の二カ月分が国保料でとられています。この夫婦だけでなく、多くの都民が重い負担に苦しんでいます。こんなに高いと生活できない、とても払えないという悲鳴や要望が毎年、区役所、市役所に殺到しています。もはや限界を超えた額になっていることを知事はどう認識していますか。
 知事は、現在の国保制度は、医療にかかる頻度が高い方や低所得者の割合が多いために、国保料の確保が困難であるなど構造的な問題があるとし、問題の抜本的な解決と安定的で持続的な制度とするよう国に要望すると答弁しています。
 国に対して要望するのは重要ですが、都が国に先駆けて取り組むことが求められます。知事、いかがですか。
 国保の広域化により、来年度から東京都は保険者となります。それに伴い、特別区長会、市長会は、低所得者に対する保険料や子供に係る均等割保険料、多子世帯に対する保険料の負担軽減策などを都の責任で実施するよう求めています。知事は、こうした要望をどう受けとめていますか。
 都の財政力をもってすれば、一人当たり一万円の国保料軽減は十分可能だと思います。都として国保料引き下げのための財政支援を行うことを求めるものです。知事、お答えください。
 私立高校生の学費負担軽減について伺います。
 都独自の授業料補助の増額により、授業料実質無償化が今年度から大幅に拡大されたことは重要です。しかし、対象となるのは私立高校生の約三割にとどまり、年額十一万八千八百円の国の高校就学支援金の受給者を加えても、授業料に支援があるのは私立高校生の約半数にすぎません。私立高校の授業料の実質無償化や負担軽減をさらに拡大する必要があると思いますが、知事、いかがですか。
 入学金を初めとする授業料以外の学校への初年度納付金は、平均四十六万円にもなりますが、これは生活保護や低所得の世帯でも負担しなければなりません。
 小池知事はこのことについて、国の奨学給付金もあるし、入学金の貸付額を二十五万円に引き上げたと答弁しました。
 しかし、奨学給付金は生保世帯で五万二千六百円しか給付されません。入学金の貸し付けは返済しなければなりません。知事、これでは不十分だと思いませんか。
 入学金補助は、関東近県でも多くが実施し、都内でも、文京区が学用品など高校入学時に必要な費用の一部を給付する条例を提案すると発表しました。都としても、入学金補助制度を創設することを求めます。
 また、施設費などの学校の納入金も授業料とあわせて都独自の授業料補助の対象とし、補助額も拡充すべきと考えます。それぞれお答えください。
 教員の多忙化の解消も急がれます。文部科学省が行った公立小中学校の勤務実態調査では、教員の勤務時間は十年前からさらに増加しています。小学校では約三割、中学校では約六割の先生が過労死ラインの月八十時間を超える残業をしています。激務に追われ、子供の話にじっくり耳を傾けることや、授業の準備もままならない、勉強のおくれている子に丁寧に教える時間がとれないなど、切実な声が上がっています。
 こうした教員の長時間労働は早急に解消する必要があると思いますが、知事の見解を伺います。
 知事は所信表明で、よりよい教育を実現するためには、何よりも学校現場の課題に向き合うことが不可欠と述べました。そのためには、現場の声に耳を傾けることが重要です。
 小学校長会は、定数改善こそ教員の長時間勤務の常態化への改善策であると、正規教員をふやすことを求めています。小学校副校長会や中学校長会なども教職員増を求めています。三十五人学級の拡大も要望されています。
 知事、これらの要望をどう受けとめますか。学校現場の要望を正面から受けとめ、正規教職員定数を大幅にふやすべきです。見解を伺います。
 授業の準備や子供たちと向き合う時間を確保するためにも、小中学校の教員の週当たりの授業時間を減らすことが重要です。所見を伺います。
 切実な都民要望に応えていくには、大型開発偏重の都政から抜け出すことが必要です。例えば外環道です。外環道の事業費は一兆六千億円にも膨れ上がっています。しかも、外環道は道路で初めて大深度地下方式が採用され、地下トンネルと地上部に出入りするトンネルをつなぐ工事は、国も世界最大級と認めるほどの難工事です。事業費のさらなる増大が予想されます。工事の安全性も担保されていません。
 知事は、ことしの予算特別委員会で、都市インフラ整備の見直しを求めた私の質問に、事業評価の取り組みを通じ、事業の必要性、経費の内容、それぞれ厳しく検証して、見直すべきは見直すと答弁しました。知事、外環道についてはどのような検証や見直しをするのですか。
 国は、外環道の難工事も実施可能だと宣伝するため、首都高横浜環状北線の馬場出入り口工事を類似した施工箇所だと説明していました。ところが、その馬場出入り口工事の現場から数百メートルも離れたところで地盤沈下が発生し、住宅のひび割れやJR横浜線の擁壁に亀裂が入りました。
 首都高は、工事で地下水位が低下したことが原因だと認め、住民への説明会を開きましたが、地盤沈下の範囲や被害件数、原因については何も説明していません。参加者は不安と怒りを募らせています。
 外環道工事の沿線住民にも同様の被害が起きはしないかという不安が広がっています。
 外環道工事のお手本とされた首都高工事で想定外の地盤沈下が発生したことを知事はどう受けとめていますか。少なくとも原因の解明や対策方針が確立するまで、外環道の工事を中止するよう国に求めるべきです。いかがですか。
 「しんぶん赤旗」日曜版が談合疑惑を指摘し、我が党の宮本徹衆議院議員が国の責任による調査を求めていた外環道工事の入札契約手続について、東日本、中日本、両高速道路会社が九月一日、疑惑を払拭できないとして契約手続を中止しました。公正取引委員会も調査に入ります。
 入札が中止されたのは、地中拡幅工事四件で、鹿島、大成、清水、大林の大手ゼネコン四社を幹事社とする共同企業体が受注することになっていると報道されていました。事業費の一部を負担する東京都は、事実を把握する責任があります。外環道工事の入札談合疑惑と契約中止の経過を都はどのように把握していますか。
 知事は、都の入札制度改革を進めています。外環道は国の責任だといって見過ごすわけにはいきません。談合疑惑を徹底究明するよう国に厳しく求めるべきと考えますが、知事、いかがですか。
 巨額の公金を国と都が投入している超巨大工事に大手ゼネコンが群がり、工事の安全性も担保されない実態が浮き彫りになってきた外環道事業はきっぱり中止し、都の支出は撤回することを強く求めるものです。
 国土交通省は、都市計画道路の見直し促進のための手引を新たに発行しました。国に確認しましたが、この手引では、既に事業化された路線も見直しの対象とされています。また、道路事業化に当たっては、住民の意見を聞く場が必要であることも国は表明しています。
 知事、国交省の新しい手引に沿って、事業化された都市計画道路も含め見直しをすべきです。そして、見直しは地元住民の参加で行うよう求めるものですが、知事、お答えください。
 次に、オリンピックへの対応について伺います。
 IOCで東京オリンピック・パラリンピックの準備状況の監督役となる調整委員会のコーツ委員長が新聞の取材に応じて、東京五輪の経費について一千億円の削減を目標とすべきだと表明しました。コーツ氏は、大会経費の増大で立候補都市の撤退が相次いでいるもとで、多額の費用をかけなくても大会が開催できることを示す必要があると強調し、五輪存続のための至上命令と位置づけました。
 また、都が会場関係費を削減したことは評価しつつ、運営費を削減できていないと厳しい注文をつけています。
 知事は、コーツ氏の指摘をどう受けとめていますか。そして、知事は今後どう対応するのですか。
 東京大会の経費は、現時点では総額一兆三千八百五十億円とされており、都と国、組織委員会、関係自治体の合意によれば、都の負担は六千億円です。これに選手村の基盤整備費などを加えると七千億円以上となります。余りにも巨額だと思いますが、知事、いかがですか。
 都と国、組織委員会でコスト管理などのために設置した共同実施事業管理委員会の役割を十分に発揮して、運営費を初めとした大幅な経費削減と透明化、国内スポンサーや民間資金確保を初めとした増収対策などを大きく前進させることが必要です。知事の見解を伺います。
 ことし三月、新国立競技場の建設現場で働く二十三歳の男性職員が、異常な長時間労働が原因で自殺しました。オリンピック関連事業を多く受注している電通でも、女性職員が過労自殺しました。また、東京労働局は、オリンピック関連の大規模な工事が進む都内で作業員の労災事故が急増しているとして、数百カ所の工事現場に立入調査を行うことを決めました。作業員への安全管理や指導が不十分なケースがふえていると分析しています。
 オリンピックに関連するこうした過労自殺や労働災害は、多くが法令違反であるだけでなく、人権尊重のオリンピック理念を傷つけるものですが、知事はどう受けとめていますか。
 東京大会の組織委員会がオリンピック理念を踏まえて策定した持続可能性に配慮した調達コードには、労働者にとって仕事と生活の調和のとれた労働環境の整備に配慮することなどが明記されています。
 政府も建設業団体などとオリンピック・パラリンピック大会施設工事の安全衛生対策協議会を発足させ、安全な建設工事のモデルとなる安全対策に取り組んでいます。
 また、都内の建設労働者の団体は、発注者と元請の責任の明確化、賃金と作業環境の改善などを掲げ、オリンピック・パラリンピック大会を契機にして、建設労働者の社会的地位向上の転換点にすることを目指しています。
 大会準備が本格化し、多忙化するときだからこそ、オリンピック理念の実現を目指す持続可能性に配慮した調達コードに基づき、オリ・パラ関連事業において、都としても労働災害や事故などの再発防止、労働環境の改善に真剣に取り組む必要があると思います。いかがですか。
 次に、関東大震災における朝鮮人虐殺への追悼文送付中止問題です。
 関東大震災直後、朝鮮人が混乱に乗じて暴動を起こすなどの流言飛語が広まり、軍隊、警察、自警団などによって、朝鮮人や中国人が暴行、虐殺されました。それから五十年目の一九七三年、犠牲者を悼み、当時の都議会各会派の幹事長も呼びかけ人に加わり、追悼碑を建立し、以来、追悼式典には歴代都知事が追悼の辞を送ってきました。
 小池知事も昨年は、多くの在日朝鮮人の方々がいわれのない被害を受け、犠牲になられたという事件は、我が国の歴史の中でもまれに見るまことに痛ましい出来事、このような不幸な出来事を二度と繰り返すことなく、誰もが安全な社会を営めるよう、世代を超えて語り継いでいかなければなりませんと追悼の辞を送付しました。
 ところが、ことしは断りました。歴代都知事が民族差別の悲劇を繰り返さないとして追悼文を送付してきたことは適切であったと考えますが、知事の見解はいかがですか。
 知事は、追悼文送付を断った理由として、慰霊堂の大法要で関東大震災で犠牲になられた全ての方々を慰霊するから、特別なことはしないと述べました。しかし、自然災害の震災犠牲者と民族差別による虐殺で命を奪われた犠牲者とでは、その死の性質は全く違います。震災で亡くなったと一くくりにできる問題ではないと考えますが、知事、いかがですか。
 虐殺の事実についての認識を問われた知事は、歴史家がひもとくものと述べ、事実を認める言葉はありませんでした。知事の発言は、民族差別を背景とした虐殺、加害の歴史を風化、忘却させることにつながり、排外主義や歴史修正主義を助長させることになると広範な人々から抗議の声が上がっています。
 内閣府の中央防災会議が出した報告書には、関東大震災時には、官憲、被災者や周辺住民による殺傷行為が多数発生、殺傷の対象となったのは朝鮮人が最も多かった、これほどの規模で人為的な殺傷行為を誘発した例は、日本の災害史上、他に確認できず、大規模災害時に発生した最悪の事態と記述され、学問的にも定説になっています。
 関東大震災における朝鮮人虐殺という、これだけ明白な歴史の事実を知事は認めないのですか。知事の明確な答弁を求めます。
 次に、オスプレイについてです。
 普天間基地に所属するオスプレイが八月六日、オーストラリア東部海上で墜落し、三名が亡くなりました。昨年十二月にも沖縄県名護市沿岸で墜落するなど、重大事故が相次いでいます。緊急着陸など、エンジントラブルも多く発生しています。
 名護市の事故もオーストラリアの事故も、米軍は事故原因も根拠も示さないまま安全宣言を行い、飛行が再開されました。しかし、安全宣言後も岩国基地でオスプレイから白煙を上げるトラブルが発生し、翌日には大分空港に緊急着陸するなど、事故が立て続けに起きています。知事は、事故を繰り返し起こしているオスプレイの安全性について問題があると思いませんか。
 不平等な日米地位協定により、名護市の墜落事故でも大分空港の緊急着陸でも、日本側に事故調査の権限がありません。一方、ドイツの地位協定では、地元自治体の立入調査が認められています。
 知事、このような状況のもとでは、安全対策は専ら米軍任せとなり、到底、都民の生命、安全を保障できないのではありませんか。
 欠陥機であるオスプレイ配備を撤回させて、横田基地の整理、縮小、返還を進めるために、国と米軍に対し、知事として強力に働きかけるべきです。知事の答弁を求めます。
 最後に、国政にかかわる知事の政治姿勢について伺います。
 小池知事の与党が都議会で多数を占め、知事の任期も二年目を迎えるもとで、政治家としての知事の立ち位置を国政との距離感も含めて明確にすることが求められています。臨時国会冒頭の衆議院解散が報道された中、小池知事は、何が解散の目的か大義がわからないと発言しました。新聞は、小池氏がそれまで目立たなかった安倍首相への批判を強めていると書きました。
 そこで伺いますが、知事は、安倍政権をどう評価しているのですか。また、国政で打開すべき課題は何だと考えていますか。
 私たちは、憲法九条を守り、生かすことは、今こそ大事になっていると考えています。
 知事は、希望の党の政策で憲法改正を掲げましたが、九条改憲にどういう姿勢で臨むのですか。安倍政権が進める九条改憲に賛成か反対か、はっきりお答えください。
 知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 大山とも子議員の代表質問にお答えをいたします。
 合計三十七問ご質問いただきました。
 市場の豊洲移転に対する説明責任についてのお尋ねでございます。
 この問題は、昨年八月に移転の延期を決断して以降、専門家会議や市場問題プロジェクトチーム、市場のあり方戦略本部などを設置して、さまざまな議論を公開の場で行ってきたものでございます。
 そして、さきの臨時会におきましては、豊洲移転への道筋をつける補正予算について真摯に説明を申し上げまして、熱心なご議論をいただいた結果、可決をしていただいたところでございます。
 引き続き、正確な情報をお伝えいたしながら、円滑な移転に向けましたステップを着実に進めてまいる所存でございます。
 食の安全・安心についてのご質問、豊洲市場への移転につきましては、食の安全・安心の確保が最優先の課題であると認識をいたしております。
 豊洲市場におきましては、市場業務を行います地上部の空気を測定する、そして、これまでの調査で高い濃度が確認された箇所を中心に地下水質の調査を実施して、専門家会議の評価とあわせて公表することといたしております。
 今回の結果につきまして専門家会議では、地上部の空気について科学的な安全は確保された状態、また地下水については、全体的に見れば大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないと、このように評価をいたしております。
 今後、専門家会議の提言に基づく追加対策を着実に進めるとともに、豊洲市場に関しますさまざまな情報発信を行うことによりまして、豊洲市場の安全・安心について都民の理解と納得を得られるように努めてまいります。
 情報の発信についてのお尋ねでございます。
 豊洲市場におけます空気、そして地下水質の調査結果につきましては、専門家会議の評価とあわせて公表しておりまして、報道機関に対しましても丁寧に説明を行っているところでございます。
 また、ホームページで公表するとともに、都議会の常任委員会にもご報告をし、必要な情報発信は適切に行っております。
 その専門家会議についてのお尋ねでございます。
 昨年九月の設置以降、専門家会議の委員の皆様には、豊洲市場においてさまざまな調査を行った上で、専門的、科学的な知見に立った提言を取りまとめていただいております。
 今後、専門家会議の提言に基づく追加対策工事を着実に推進することで、豊洲市場のさらなる安全性の向上を図ってまいります。
 外部の専門家についてのご質問でございますが、専門家会議には空気、地下水等に関するさまざまな調査を行って、豊洲市場用地の現状について正確に把握した上で、土壌、環境、衛生等の分野において各委員が有する専門的、科学的な知見に基づいて提言を取りまとめていただいております。
 今後の調査につきましても、引き続き専門家会議の助言に基づいて継続をしていく予定でございます。
 市場業者への対応についてのご質問でございます。
 豊洲市場への移転を早期に実現するためには、市場業者の理解と協力を得る必要がございます。市場業者の方々に対しましては、これまで築地市場に何度も足を運び、直接意見交換などを行うとともに、市場当局からも、さきの臨時会で可決していただいた補正予算や追加対策工事の内容等につきまして、新市場建設協議会を開催して説明したところでございます。
 なお、市場の移転問題に関します都の考えにつきましては、都議会や新市場建設協議会など、市場関係者にも開かれた場における議論の中で明らかにしているところでございます。
 また、水産仲卸業者に対しましては、業界団体が主催する説明会におきまして、丁寧な説明や意見交換を行ったところでございまして、引き続き、市場業者に寄り添った対応に努めてまいります。
 豊洲市場の安全・安心についてでございますが、豊洲市場用地につきましては、法的、科学的な安全が確保され、専門家会議でもその旨が確認をされております。その上で、将来のリスクに備えた追加対策を実施してまいります。先日完了いたしました環境アセスメントや開場認可に向けましたステップも着実に進めております。
 これらの取り組み状況や客観的なデータなど、正確な情報発信を続けていくということに加えまして、私自身もさまざまな形でメッセージを発信することで、都民や市場業者の方々の豊洲市場に対します信頼や安心につなげてまいります。
 市場業者との合意についてでございますが、豊洲市場への早期移転について市場業界の理解と協力が必要であるということは、先ほどお答えしたとおりでございます。今後、新市場建設協議会などを通じまして、業界団体とは精力的に調整をしてまいります。
 築地再開発の検討についてでございます。
 再開発に当たりましては、築地エリアが有する食文化や築地ブランドはもとより、浜離宮、都心への近接性といったさまざまなポテンシャルを生かしながら、東京の魅力をさらに高めていくことが重要でございます。
 検討会議におきましては、そうした築地の魅力やポテンシャルなどについて、経営、文化、まちづくりなど、さまざまな分野でご活躍の方々から自由な発想で幅広いご意見をいただき、築地再開発の大きな視点として整理をしてまいります。
 再開発の具体的な姿につきましては、これらを踏まえまして段階的に検討を進めることといたしまして、民間の力も最大限活用しつつ、東京の持続的な成長につなげてまいります。
 なお、こうした動きの中で、将来築地に戻ることを希望される仲卸業者に応えるためのさまざまな方策につきましては、豊洲市場への移転後の状況を踏まえながら検討を進めてまいります。
 市場業者の意見の反映でございますが、築地再開発検討会議におきまして、まずは自由な発想で幅広い観点から検討をスタートさせていくということでございます。会議のメンバーにつきましては、そうした観点から選定をいたしました。検討状況につきましては、水産仲卸などの業界団体に対しましても適切に情報提供などを行ってまいります。
 また、来年度にかけまして、民間からのヒアリングを行うなど、ステップを踏みながら開発コンセプト等を具体化してまいります。
 カビの発生についてでございますが、豊洲市場におけます店舗にカビが発生したことで多くの市場業者の皆様方にご心配をおかけいたしております。発生したカビを適切に除去するとともに、再発防止に向け必要な調査を行うよう、既に市場当局に対して指示をしております。
 今後とも、湿度管理の徹底や巡回点検の強化などによりまして、再発防止にしっかりと取り組んでまいります。
 特別養護老人ホームの役割についてのお尋ねがございました。
 高齢化が進む中で、常時介護を必要とし、在宅生活が困難な高齢者の生活の場として、特別養護老人ホームの役割は重要である、このように認識をいたしております。
 その特別養護老人ホームの増設についてのお尋ねでございます。
 都は、特別養護老人ホームの整備目標を高齢者人口の将来推計、そして区市町村のサービス見込み量を踏まえまして定めております。
 現在、平成三十七年度末までに六万人分にふやす目標を掲げて、都独自の施設整備費の補助や土地賃借料の負担軽減など、さまざまな支援策を講じておりまして、今後とも区市町村や事業者を支援してまいります。
 特養におけます多床室の整備についてのご質問でございます。
 都は現在、ユニット型での整備を基本といたしておりますが、地域の実情に応じまして、区市町村が必要と認める場合には、特別養護老人ホームの整備におけます増加定員の三〇%まで多床室の整備に対して補助を行っているところでございます。
 低所得の高齢者の住まいについてのお尋ねでございます。
 住宅は生活の基盤であります。誰もが生き生きと生活できる都市東京、その実現のために都民の居住の安定を確保することは重要でございます。
 都はこれまでも、都営住宅などを有効に活用するとともに、区市町村の居住支援協議会への支援なども行っております。そして、このたび、高齢者や子育て世帯、障害者などの入居を拒まない賃貸住宅を登録する制度の運用を来月下旬に開始いたしまして、こうした方々の入居をしやすくいたします。
 今後、このような取り組みを総合的に進めることによりまして、住宅セーフティーネット機能を強化して、都民の居住の安定を実現してまいります。
 高齢者施策についてのご質問でございます。
 高齢者の暮らし向きはさまざまでございます。私は、東京を高齢者の誰もが安心して暮らせるまちにしていきたい、このように考えております。
 そのため、今年度策定することとなっております高齢者保健福祉計画におきましても、誰もができる限り住みなれた地域で暮らし続けるということができるように、介護サービス基盤の整備、認知症施策や介護予防の一層の推進などを柱といたしまして、高齢者施策を推進してまいります。
 高齢者への経済的支援についてでございます。
 世界に例を見ない速度で少子高齢化が進む我が国におきましては、現在の社会保障制度全体を持続可能なものへと改革していかなければなりません。高齢者への経済的支援など所得保障は、基本的に国の責務でございます。こうした制度改革の中で、国としてそのあり方を議論すること、これが必要だと認識をいたしております。
 次に、待機児童でございますが、その解消に向けた取り組みについてのご質問、都は、平成三十一年度末までに保育サービスを七万人分拡充して、待機児童を解消する目標を掲げ、保育所等の整備促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実を柱として、さまざまな施策を講じておりまして、今月十五日には追加対策も取りまとめたところでございます。
 今後とも、待機児童の解消に向けて区市町村としっかりと連携をしながら、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など多様な保育サービスの拡充に取り組んでまいります。
 公立保育所の整備についてのご質問でございます。
 保育の実施主体は区市町村でございます。それぞれの自治体が地域の実情を踏まえながら、公立保育所も含めてさまざまな保育資源を活用して、保育サービスの整備を進めているものと認識をいたしております。
 福祉人材対策についてのご質問でございます。
 私は、保育所、介護施設、障害の施設など訪問いたしまして、現場で働く職員の方々とも意見交換をこれまでも行ってまいりました。
 都民の皆さんが安心して福祉サービスを利用できるようにしていくためには、サービスを担う人材の確保、育成、定着、これらが大きな課題であるということを認識いたしております。
 そのためにも、都は現在、現場の意見も踏まえながら、キャリアパス導入の支援を初めとしてさまざまな取り組みを進めております。また、本年度策定いたします子供、高齢、障害分野の計画の中におきましても、人材対策の推進を柱として、具体的な施策を盛り込む考え方でございます。
 国民健康保険制度の認識についてのお尋ねでございます。
 国民健康保険は、相互扶助の考えに立った社会保険制度でありまして、その財源は保険料が二分の一、公費が二分の一、これを基本といたしております。その保険料や保険税の賦課方式や料率につきましては、各区市町村の議会において十分な審議が行われて決定されているものと認識をいたしております。
 国民健康保険料の引き下げのための財政支援についてのお尋ねでございます。
 国民健康保険は、法に基づく全国統一の制度でありまして、制度上の課題には制度設計者である国が責任を持って対応すべきものでございます。
 都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令などに基づいて財政支援を行っております。
 次に、私立高校生の授業料負担軽減の拡大についてのお尋ねでございます。
 都は、私立高校等に在学する生徒の保護者の負担を軽減するために、都内の四人世帯の平均年収であります約六百六十万円を超えて、年収約七百六十万円未満の世帯まで特別奨学金を大幅に拡充してまいりました。都としては、こうした施策について着実に取り組んでまいります。
 私立高校に通う低所得世帯への支援についてでございます。
 都におきましては、特別奨学金の拡充に加えて、授業料以外の教育費負担を軽減するため、奨学給付金を支給するとともに、育英資金や入学支度金などの無利子貸付制度を総合的に活用して、保護者の負担軽減に努めているところでございます。
 今後も、こうした取り組みを着実に進めて、子供たちの学びたいという気持ちに応えていく所存でございます。
 教員の長時間労働についてのご質問でございます。
 学校が抱える課題が複雑化、多様化し、さまざまな負担が教員に集中する中において、教員の労働は従前よりもさらに長時間化いたしております。こうした状況の改善については、教員一人一人のライフワークバランスを実現して、学校教育の質の向上につながる重要な課題と考えております。
 このために、これまでの総合教育会議の場におきまして、現場の先生方も交えながら議論を重ねて、さまざまな貴重なご意見もいただいております。
 こうした議論を踏まえながら、今後、教育委員会におきまして、学校の働き方改革推進に向けました具体的なプランを策定してまいります。
 変わりまして、外環事業についてのご質問でございます。
 国、そして高速道路会社が整備を進める外環でございますが、経済の血液ともいうべき人と物の流れをスムーズにして国際競争力の強化を図るとともに、首都直下地震など災害時の避難、救急活動のルートを確保するなど、極めて重要な道路と考えております。
 国は、さまざまな分野の専門家を委員とする事業評価監視委員会におきまして、三年に一度、公共事業の再評価を行っており、外環の関越から東名高速間につきましても、昨年の五月、事業の進捗状況を踏まえたコストや整備効果を検証した上で、事業の継続を決定いたしております。
 都といたしましては、引き続き工事の安全性に十分配慮しつつ、効率的に事業を実施するよう国に求めるとともに、外環の早期整備に向けまして、国から受託している用地取得を推進するなど、積極的に支援をしてまいります。
 外環工事の談合疑義についてでございます。
 工事の入札契約におきましては、透明性、公正性、競争性の確保が極めて重要でございます。談合などの不正行為は、もちろんあってはなりません。今回、工事の発注者である各高速道路会社が契約の公正性確保の観点から、契約手続を取りやめるなど適切な対応がなされたと考えております。
 都といたしましては、今後とも事業者が公正な契約手続のもとで着実に工事を進めていくものと考えております。
 変わりまして、IOCのコーツ委員長の発言についてのお尋ねでございます。
 私は、知事就任以来、都の施設の整備費用を削減するなど、大会経費の妥当性の総点検をしてまいりました。先日報道がございましたように、コーツ委員長が大会経費の縮減について言及されております。そして、そのことは、目指す方向は同じだと考えております。
 都はこれまでも、IOCとともに四者協議を設置いたしまして、昨年十二月のV1予算公表に当たりまして、大会経費の縮減を進めるなどの取り組みを行ってまいりました。
 ことし五月の大枠の合意におきましては、予備費を除きますV1予算の一兆五千億円から一千億円以上の圧縮を図って、また、組織委員会の収入を一千億円ふやすなどの見直しを行ったところでございます。
 引き続き、大会経費の縮減に向けて関係者と調整をしてまいります。
 東京大会の都の費用負担でございますが、効率的な大会運営を実現するために、これまで私は、さらなる経費の圧縮、組織委員会の増収、国の負担の三点から努力を重ねてまいりました。
 同時に、都は、開催都市として大会を成功に導く責任がございます。五十六年ぶりのオリンピック・パラリンピック大会は、都民、国民に感動と共感を与え、全国に大きな経済波及効果をもたらして、ハード、ソフトの両面にわたって、有形無形の大きなレガシーを残すものでございます。
 引き続きコストの縮減に努めつつ、都民の皆様には、さまざまな機会を捉えて、大会経費についてしっかりと説明を行って、大会を成功に導いていきたいと考えております。
 共同実施事業管理委員会についてでございますが、コスト管理と執行統制の強化に向けて、本年五月の大枠の合意に基づいて、共同実施事業管理委員会を設置したところでございます。
 この委員会は、組織委員会が、都や国などの資金を使用して実施する共同実施事業を適切に遂行し、管理するものでございます。開催都市である都が主導して、副知事を委員長に据え、しっかりとチェック機能を働かせて、経費縮減の取り組みを促進するとともに、情報公開に努めて、説明責任を果たしてまいりたいと考えております。
 今後、毎年度更新される大会経費全体の予算の作成に当たりましては、しっかりと経費を精査し、組織委員会におきまして徹底した執行管理を図ってまいります。
 組織委員会の収入につきましては、大枠の合意におきまして、六千億円を目指すことといたしておりまして、引き続き増収に向けた取り組みを促進してまいります。
 今後とも、大会経費のコスト管理と透明性の確保にしっかり積極的に取り組んでまいります。
 適正な労働環境の確保についてのお尋ねがございました。
 新国立競技場の建設現場で働く社員の方が亡くなられたということは、大変残念なことであり、重く受けとめております。また現在、所管する官庁におきまして、その調査を行っていると聞いております。
 都におきましても、二〇二〇年大会に向けて複数の会場で整備を進めておりますが、既に違法行為等、不適切な労働環境がないことを確認いたしておりまして、先般、改めて受注者に対しまして法令遵守の徹底を指示したところでございます。
 私は、かねてより良好な労働環境のもとで個人のライフスタイルに応じた働き方が可能となるように、ライフワークバランスを推進してまいりました。
 今後とも、大会の安全・安心な開催を目指しまして、都が行います会場整備を初めとしたオリンピック・パラリンピック関連事業におけます適正な労働環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
 続いて、関東大震災の朝鮮人犠牲者追悼式典へのこれまでの追悼文の送付についてのご質問でございます。
 さまざまな考え方があると思いますが、私は都知事として、三月、そして九月にとり行われております大法要におきまして、関東大震災で犠牲となられた全ての方々に哀悼の意を表していることから、個別の形での追悼文を送付することは控えさせていただいたところでございます。
 その関東大震災で犠牲になられた方々に対する追悼についてでございますが、今申し上げましたように、私は大法要におきまして、関東大震災で犠牲となられた全ての方々に対して哀悼の意を表しております。
 関東大震災という大きな災害で犠牲になられた方々、そして、それに続くさまざまな事情によって犠牲になられた方々、これら全ての方々に対して慰霊する気持ちには変わりはございません。
 虐殺への認識についてのお尋ねでございました。
 この件は、さまざまな内容が史実として書かれていると承知をいたしております。だからこそ、何が明白な事実かについては、歴史家がひもとくものだと申し上げております。
 いずれにしましても、私は都知事として、東京で起こった大きな災害と、それに続くさまざまな事情で不幸にも亡くなられた全ての方々に対しまして、哀悼の意を表する気持ちには変わりがございません。
 オスプレイの配備についてのご質問がございました。
 アジア太平洋地域の安全保障環境は、北朝鮮情勢を初めとして大変厳しさを増しております。そうした中におきまして、日米安全保障体制は我が国のみならず、地域の平和、安定のために重要な役割を果たしているものと考えております。ご指摘の横田基地もその一翼を担うものとの認識でございます。
 安全保障につきましては、国の専管事項でございますが、米軍の運用に際しては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要でございます。
 横田基地へのオスプレイ配備につきまして、都は、国の責任において、地元自治体や周辺住民に対しまして十分な説明責任を果たすとともに、安全対策の徹底と環境への配慮を、米国に働きかけることを要請しております。
 今後も、都民の生命、そして安全・安心を守る立場から、国に対して必要なことを申し入れてまいります。
 安倍政権の評価についてのお尋ねがございました。
 まず、衆議院解散に対する私の発言でございますけれども、北朝鮮による暴挙が相次ぐ国家的危機の中で、都知事として政府と緊密に連携しながら都民の生命や財産を全力で守るべき、そういったときに国政が空白をつくるということに対しては、理解に苦しむとの思いから申し上げたものでございます。
 安倍政権の評価につきましては、まさに来月、国民の皆様方が行うところでございますが、都政を前に進めるためにも、国の改革のスピードを加速させるべきと考えております。
 憲法九条の改正についてのご質問でございます。
 憲法改正というと、九条の問題だけにはとどまりません。例えば、今般、一票の格差をめぐりまして、小選挙区の区割りがかなり複雑化している状況などを鑑みましても、憲法は真の国益や時代の要請に応じてどうあるべきかを検討すべきものだと考えております。
 また、第八章など、地方分権についての記述も極めて不十分といわざるを得ないと考えております。
 いずれにしましても、憲法についての議論は国会で行うべきものであるということを都知事として答弁をさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、長時間労働に関する学校現場の要望についてでございますが、学校現場では、不登校やいじめ、特別支援教育など、複雑化、多様化する課題があり、小学校長会などの要望はこうしたことを背景に出されているものと認識しております。
 このため、都教育委員会は、特に課題がある学年への、学級規模の縮小を可能とする教員の追加配置に加え、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど多様な専門人材を配置してまいりました。
 今後も、学校現場の意見も踏まえ、適切に対応してまいります。
 次に、教職員定数についてでございますが、教職員の定数は、いわゆる義務標準法に基づく都の配置基準により、適切に配置しております。
 また、個別の教育課題に対応するため、習熟度別指導を実施するための国の加配のほか、都独自の取り組みとして、中一ギャップを予防、解決するための教員などを加配しております。
 都教育委員会は、引き続き、教職員定数の充実について国に求めてまいります。
 最後に、教員の授業時数についてでございますが、授業時数は、いわゆる義務標準法に基づく都の配置基準により、配置された教員の中で、各学校長が学年や教科などの教育課程を考慮しながら決定しております。
 教員の授業時数については、今後とも国の動向を注視してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新たな住宅セーフティーネット制度についてでございます。
 都はこのたび、高齢者や子育て世帯など、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度を創設し、その情報を円滑に提供していくこととしてございます。
 法施行に合わせて国が導入した家賃低廉化等の支援制度の活用については、今後、区市町村の動向を踏まえ検討してまいります。
 次に、都市計画道路の見直しについてでございます。
 本年七月に国土交通省が公表した都市計画道路の見直しの手引きは、第一版として都道府県等の見直し事例を先行的に取りまとめたものでございます。
 これまでも都は、おおむね十年ごとに都市計画道路の事業化計画を策定し、優先的に整備に取り組む路線を選定する一方、各路線の必要性を検証し、適宜見直しを行ってまいりました。
 昨年三月に策定した計画でも、廃止や縮小など都市計画を見直すべき路線として九路線、五キロメートルを示してございます。
 今年度からは、事業中路線や優先整備路線、これらを除く都市計画道路のあり方についても、地元区市町とともに検討を既に開始しておりまして、都民の意見を聞きながら取りまとめを行ってまいります。
 今後とも、見直すべきものは見直し、必要な道路は地元の理解を得ながら、着実に事業を進めてまいります。
 次に、オスプレイの安全性についてでございます。
 安全保障に関することは国の専管事項であり、米軍機の安全の確保は国が責任を持って行うべきことでございます。
 国は、平成二十四年の沖縄配備に当たって独自に行った事故分析評価や日米合同委員会合意により、MV22オスプレイの安全性は確認されたものとしてございます。
 都は、国への提案要求などにおいて、オスプレイを含む米軍機の運用について、安全対策の徹底や地元への情報提供などを要請してございます。
 また、事故発生時には速やかに、国に対し、原因究明と再発防止などについて米軍に申し入れるよう求めており、今後とも必要な働きかけを行ってまいります。
 最後に、オスプレイの安全対策についてでございます。
 国からは、オスプレイを含め米軍機の安全確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であり、引き続き万全を期していくと聞いてございます。
 また、国は、昨年十二月の沖縄県名護市沖におけるオスプレイの不時着水事故後の飛行再開に当たっては、米軍だけの判断ではなく、日米で協議を行い、日本政府においても、防衛省、自衛隊の専門的知見及び経験に照らして、再発防止について有効な対策等が講じられているか独自に分析を行ったと説明してございます。
 都は、国に対し、米軍機の運用について、安全対策の徹底や地元への情報提供などを要請しており、今後も必要な働きかけを行ってまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲市場におけるカビの発生についてでございますが、カビが発生した造作物等を対象に、拭き取りや薬品を用いた清掃を順次行っており、作業後は職員が取り残しのないことを確認しております。また、作業を完了した箇所において、再び発生したとの報告は受けておりません。
 なお、カビの発生状況につきましては、職員が目視により確認したものでございまして、追加で確認される可能性もあることから、市場業者の方々にも店舗内の造作物等の状況確認をお願いしているところでございます。
 今後、新たに確認された場合につきましても、清掃作業等を適切に実施してまいります。
 次に、カビの種類についてですが、カビの再発防止を図る観点から、現在、豊洲市場内において調査を実施しているところでございまして、発生したカビの種類については、こうした調査の中で確認することとしております。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 特別養護老人ホームの整備に関するご質問にお答えをいたします。
 都は、特別養護老人ホームの整備を進めるため、都有地の減額貸付や土地賃借料の負担軽減、整備率が低い地域の整備費補助への加算、建築価格高騰に対応した加算など、さまざまな独自の支援策を講じております。
 今年度からは、整備費の高騰加算の増額のほか、地域密着型特別養護老人ホームなどの定期借地権一時金への補助や、区市町村の所有地を活用した施設整備への支援を行いますとともに、地元の必要数を超えた特別養護老人ホームの整備に同意する区市町村への交付金制度を開始いたしました。
 今後とも、区市町村のニーズを踏まえながら、介護サービス基盤の整備を進めてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 高齢者福祉への予算配分についてでございますが、都はこれまでも、高齢者の暮らしへの支援や高齢者の多様なニーズに応じた住まいの整備など、必要な施策には的確に財源を振り向けておりまして、平成二十八年度決算におきましても、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームの整備など、高齢者施策の充実を図っております。
 今後とも、高齢者が安心して暮らせる社会の実現に向けまして、しっかりと取り組んでまいります。
〔生活文化局長塩見清仁君登壇〕

○生活文化局長(塩見清仁君) 私立高校の入学金補助制度の創設等についてでございますが、入学金につきましては、都内私立高校の入学金平均額でございます二十五万円まで、所得にかかわらず無利子の貸し付けを実施しております。
 また、授業料以外の教育費につきましても、低所得世帯を対象に奨学給付金を支給してございます。
 さらに、私立高校に対し経常費補助を行うことにより、学校納付金を抑制することで、保護者の経済的負担を軽減しているところでございます。
 今後も、こうした幅広い施策を総合的に活用し、保護者負担の軽減に努めてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、外環のトンネル工事についてでございますが、ご質問にありました首都高速横浜環状北線馬場出入り口工事に起因すると思われる地盤変動が昨年四月に確認されまして、地盤の計測を継続するとともに、現在、専門家による横浜環状北線地盤変動監視委員会におきまして原因の究明を行っていると聞いております。
 国及び高速道路会社が事業を進める外環につきましては、これまで学識経験者等で構成する東京外環トンネル施工等検討委員会におきまして、工事の安全性につきまして検討されておりまして、今後も、首都高工事の地盤変動に関する情報も参考にしながら、安全を最優先に工事を進めていくものと考えております。
 次に、外環工事に係る入札契約の経過についてでございますが、外環と中央道をランプで接続する中央ジャンクションの地中拡幅工事四件は、昨年十月、発注者である各高速道路会社におきまして契約に係る手続開始の公示がなされ、十二月には、競争参加者から参加資格の確認申請及び技術提案書の提出がなされるなど、手続が進められてまいりました。
 その後、今年度に入り、各高速道路会社は優先交渉権者の選定手続を延期し、各社の談合情報等対応マニュアルに基づきまして、談合情報を公正取引委員会及び警察へ通報するとともに、競争参加者への事情聴取等を行いました。
 その結果、談合等の疑義を払拭できず、契約の公正性が確保できないおそれが生じましたことから、今月には契約手続を取りやめたと承知しております。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 大会に向けた労働環境の改善等についてでありますが、二〇二〇年大会を持続可能性に配慮した大会とすべく、環境や人権、労働等に配慮し準備に取り組むことは重要であります。
 このため、都は、組織委員会が策定する持続可能性に配慮した調達コードの検討に加わり、適正な労務管理や労働環境の確保が推進されるよう取り組んでまいりました。
 都の契約制度においては、調達コードの趣旨が既に盛り込まれておりますが、都が行う競技会場の整備に当たっては、労働安全衛生の徹底等が図られるよう、改めて関係各局を通じて事業者に求めております。
 今後とも、調達コードを尊重し、持続可能性に配慮した大会の実現に向けて適切に対応してまいります。
〔百二十六番大山とも子君登壇〕

○百二十六番(大山とも子君) 知事に再質問します。
 まず、憲法の問題について二点、再質問します。
 小池知事は、二〇一一年の評論家渡部昇一氏との対談で、まずは誰が聞いてもいいといえるような憲法から改正して、憲法は改正できるものだという意識を共有するところから始めた方が、結果的には早く憲法を改正できるのではないかと述べています。
 知事、この考えは今も同じですか。
 二点目、憲法九条に第三項を加えて、そこに自衛隊の存在を明文で位置づけるという改憲案には賛成ですか、反対ですか。
 以上二点、明確にお答えください。
 次に、豊洲新市場について二点、再質問します。
 豊洲新市場の地下水から環境基準の百二十倍のベンゼンが検出されても、追加対策をすれば大丈夫という専門家会議の見解を、都として何の検証もすることなく、うのみにした答弁でした。
 しかし、地下空間にコンクリートを敷く追加対策は、コンクリートがひび割れして有害物質が上がってくることが前提となっています。地下水管理の機能強化も目標達成できる見通しはありません。
 知事、これは皆さんの公約です。(資料を示す)そもそも市場問題について、都民の食の安全と安心を守りますというのが、知事と都民ファーストの会の公約です。有害物質が現に検出されている中、こんな追加対策で移転するのは公約違反ではありませんか。知事、お答えください。
 二点目、豊洲新市場で発生したカビについて、我が党は、市場業者の方の協力を得て現場のカビの一部を採取して調査しました。カビの種類は主に、食中毒や肺炎を引き起こすことがあるコウジカビでした。コウジカビは、東京都福祉保健局のパンフレットでも、食品衛生上問題のあるカビとされています。コウジカビは約百五十種類あって、発がん性のあるカビ毒を発生するものもあります。
 カビの種類、カビが残っている店舗はないか、再発しているところはないか、大量発生の原因は何か、再発防止対策は本当に十分なのか、知事が責任を持って調査を指示するべきです。知事、お答えください。
 以上四点、はっきりとご答弁ください。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 何点かのご質問を再質問いただきました。
 まず、憲法改正についてのご質問でございます。
 私は、憲法は真の国益や時代の要請に応じて、そのあり方を検討すべきものだと、このように考えております。そして、不磨の大典ではないと、このように考えているところでございます。
 そして、九条の三項をつけた点についてどのような考え方かというご質問もあったかと思いますけれども、私は、なかなかこの点については理解に苦しむというところでございます。憲法改正が目的化しているということは間違いであると、このように考えておるところでございます。
 なお、憲法についての議論については国会の場で行うべきと、このように考えております。
 それから市場につきましてのご質問がございました。
 今、追加対策などを講ずることによりまして、安全・安心の確保に努めているところでございます。
 そのほかの質問につきましては……(発言する者あり)あと、何がありました。(発言する者あり)今お答えしたとおりでございます。
 追加の答弁につきましては、市場長よりお答えさせていただきます。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 豊洲市場におけるカビの調査の関係でございますが、先ほどもご答弁申し上げましたが、現在、豊洲市場の施設内のカビの状況について調査を行っているところでございます。
 カビの検体調査、あるいは室内の空気の状況、その中のカビの量だとかの状況について調査を行っておりまして、その結果も今後の再発防止に活用する予定としております。

○議長(尾崎大介君) 百二番中村ひろし君
〔百二番中村ひろし君登壇〕

○百二番(中村ひろし君) 私は、都議会民進党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
 昨日、総理が衆議院の解散を表明しましたが、大義なき解散といわざるを得ません。
 そして、その数時間前、知事は、国政政党の代表となることを表明されました。都知事と国政、二足のわらじとなるわけですが、私は、都民が直面する多くの課題解決に向けて取り組みを進め、東京改革のスピードをより一層アップするために全力で取り組んでいかなければならないとの思いから、以下、知事を中心に質問してまいります。
 まず、知事の基本姿勢について伺います。
 八月二十九日、九月十五日、立て続けのミサイル発射、九月三日の核実験と、我が国国民の安全を脅かすばかりか、北東アジアの平和と安定を乱しかねない北朝鮮による暴挙が相次いでいます。
 現在、都のミサイルへの対応は、危機管理監や知事をトップとする災害即応本部、災害対策本部、国民保護本部などの設置が挙げられていますが、被害状況の把握など事後対応に限られています。
 事前対応として、長崎県では十一月に国、基礎自治体と連携した住民避難訓練を予定するなど、Jアラート発令直後の対応は、生命に直結する喫緊の課題といえます。
 そこで、都においてもJアラートは正常に機能するのか、Jアラートが機能してから着弾までに都民がどこにどう避難するべきなのか、その際、都営地下鉄など都施設をどう避難に活用するのかなど、事前に想定し、周知、訓練をすべきと考えます。
 事前、事後対応を含め、国や基礎自治体と連携しながら、自助、共助、公助を強化すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 私は、長く中国残留孤児の支援活動を行ってきました。この方々は、日本の大陸進出と敗戦という大きなうねりの中、肉親と離れ離れになって残留を余儀なくされ、帰国後は日本で苦労されています。このことを決して忘れることなく、イデオロギー対立に利用もせず、地道な活動を続けるとともに、今を生きる私たちの教訓にすべきと考えています。
 関東大震災で虐殺された朝鮮人などを慰霊する式典には、歴代知事が追悼文を寄せてきましたが、小池知事はことし中止しました。定例会見で、全ての方々への追悼の意を表し、特別な形での追悼文提出は控えると説明されましたが、私は自然災害と虐殺とでは意味が異なるからこそ、慰霊と追悼が続いてきたのだと思います。
 震災後の恐怖と混乱の中、なぜ同じ被災者である朝鮮半島出身者の虐殺に至ったのか、歴史から学び、これから何ができるのかを深く考え、都の政策に生かさなければなりません。
 一方、多くの外国人が暮らし、訪れる東京では、多様な文化や価値観を認め合うことで、国際都市としての活力を生み出しているのです。
 このような東京において、差別や偏見を助長しないこと、異なる文化や社会のマイノリティーにかかわり理解することなど、多くの人を説得する力を持つ小池知事こそ、オリンピック・パラリンピックの開催都市の首長として、多様な価値観や文化に寛容な国際都市東京の実現に向けて発信することを期待するものですが、見解を伺います。
 次に、行政改革について伺います。
 先日の所信表明で、知事は、監理団体及び報告団体について、機能強化や団体のあり方など抜本的な見直しを進めると述べました。
 外部の目を活用した点検を初め、監理団体や報告団体改革の必要性については、都議会民進党として、これまでにも数多くの指摘をしてきました。東京都からの財政支援や事業委託費などが適切か、本当にその団体にしかできないことなのか、知事が日ごろからおっしゃっているワイズスペンディングの観点から十分な費用対効果が上がっているのか、しっかりとした検証が必要です。
 そこで、今年度末までに策定を進める二〇二〇改革プランにおいては、予算の削減額、達成目標年次などを明確化し、都民の目から見て疑念が残らない監理団体等の改革を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、受動喫煙ゼロの実現について伺います。
 都議会民進党は、国において受動喫煙ゼロに向けた十分な法改正が行われなかった場合でも、東京における受動喫煙ゼロを実現するための条例制定を求めてきました。このことは、スモークフリーの東京を実現すると明言してきた小池知事とも軌を一にするものとして理解してきました。
 先般、基本的な考え方を示した東京都受動喫煙防止条例は、都が行ってきた受動喫煙防止対策に法的根拠を与え、行政罰を定めるものであり、これまでの知事が実現できなかった条例化に取り組むものとして評価します。
 近年、受動喫煙による健康被害についての理解が進み、病院や学校、電車やバス、駅やデパート、オフィス、商業ビルなど重立った施設では、実態として原則禁煙となっています。そんな中で、受動喫煙の機会を減らすためには、事業者が行う受動喫煙防止措置への支援充実や禁煙治療に対する医療費助成など、現状より踏み込んだ施策の構築も必要と考えます。
 条例制定に向けて検討するとともに、受動喫煙ゼロ、スモークフリーへの取り組みをどのように強化しようとしているのか、改めて知事の見解を伺います。
 知事就任以来一年が経過をしています。条例制定を待たずに、東京都みずからが率先してできる、都立施設や都立公園などにおける受動喫煙防止の徹底については、一日も早く決断、実行されることを求め、次の質問に移ります。
 次に、子供施策について伺います。
 昨年度、都内の保育サービス利用児童数は一万六千三人増加しました。しかし、さまざまな取り組みにもかかわらず待機児童が減らない中で、待機児童の新定義によって、平成二十九年四月一日現在の待機児童数は百二十名増加の八千五百八十六人となりました。
 そんな状況に対する都議会民進党の要望も受けとめ、知事は追加対策を発表されています。
 しかしながら、それでもなお、知事が公約で掲げた四年間で待機児童ゼロの実現には厳しい道のりが待っているといわざるを得ません。
 都議会民進党は、保育所をつくっても、それを上回るニーズがあるため、待機児童ゼロを実現するためには、潜在的なニーズも含めた保育需要をしっかりと把握して計画を立てることが必要であると繰り返し申し上げてきました。
 例えば、育休を延長したものの、保育所に入れたら復職したいと考える場合も待機に含める新定義は一歩前進ですが、これで保育ニーズの全体を把握しているとはいえません。都や基礎自治体の保育計画では、ニーズの実態をしっかりと捉え、保育所整備計画を立て、その裏づけとなる施策を実行していかなければなりません。
 このような状況を踏まえ、改めて待機児童ゼロの実現に向けた知事の見解を伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 障害のある人が地域の中で安心して暮らしていくためには、さまざまな支援が必要です。障害のある子を持つ親たちは、我が子が地域の中で、さまざまなサービスを利用しながら成長し、学び、働き、自立した生活を続けられるよう、日々大変なご努力をされています。
 親たちの活動の中から、放課後等デイサービスや就労支援事業所、グループホームなど、幾つものサービスが社会資源として制度化されてきました。しかし、親亡き後の将来、我が子も年齢を重ねていくことを思うと、本当に地域での生活を続けていけるのかどうか不安に思うことも多いと聞いています。
 これまで都は、障害福祉計画に整備目標を掲げて、就労支援事業所やグループホームなどの地域生活基盤の整備を重点的に進めてきたことは承知をしており、通所施設やグループホームの数は確かにふえてきています。
 しかし、障害児、障害者のライフステージを通じたさまざまなニーズに適切に対応できるサービスが、必要なときにいつでも利用できる状況には、まだまだ遠いのが現実です。
 都においては、現在、平成三十年度から開始される第五期の障害福祉計画の策定が進められていると聞いています。この計画の中に、暮らしを支える最も基礎的な施設整備をしっかりと位置づけることを初め、地域の中で自立し、安心して暮らしていきたいという障害者の希望をかなえていくための施策を充実させることが必要と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、都市づくりについて伺います。
 さきの都議会議員選挙において、私たちは、安心居住家賃補助制度の創設を強く訴えてきました。
 こうした中、今定例会では、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の登録制度が創設されることに伴う手数料条例の改正案が提案されています。登録制度により、高齢者や子育て世帯、ひとり親世帯など、住宅の確保に困難を来している都民がより円滑に入居できるよう、取り組みが一層進むことを期待するものです。
 都営住宅は、低所得で住宅確保に困難を来していながら抽せんに漏れ、入居できない都民が数多くいます。
 また、都内の空き家八十二万戸、空き家率一一%、そのうち賃貸用が約六十万戸にも上るという都内の住宅ストックの実情に合った制度の検討、構築が急務です。早急な居住確保策を求めるものですが、知事の見解を伺います。
 次に、車両の駐車に関して警視総監に伺います。
 道路交通法改正により、平成十八年六月から施行となった駐車監視員による取り締まり制度は、幹線道路の渋滞対策が大きな目的であったと認識をしています。
 しかしながら、現在、その取り締まりエリアは路地裏にまで拡大し、逆に都民生活に支障を及ぼしているのではないかと危惧するものです。
 警視庁のホームページには、各警察署ごとに取り締まり活動ガイドラインが公表されていますが、重点路線である幹線道路の指定に加え、重点地域として面的な指定も実施されているため、警察署によっては管内のほぼ全域が取り締まりエリアとなっている実態があります。
 私は、駐車監視員制度の開始から十年以上が経過したことを踏まえ、制度導入の目的である交通渋滞の解消と交通の円滑化をさらに推進させるための検証、見直しが必要であると考えます。
 今後の駐車監視員の運用や取り締まりの方向性について、警視総監の見解を伺います。
 最後に、市場問題について伺います。
 さきの臨時議会において、私たちは、豊洲市場移転に関して追加対策が着実に実施され、その効果が確認された段階で、知事の責任で安全宣言がなされることを強く求めてきました。
 一方で、九月十四日に発表された八月採取分の地下水から過去最大、環境基準の百二十倍のベンゼンが検出をされました。
 今後も環境基準を超える汚染物質が検出されることが予想される中、私は、豊洲市場の開場までに、都民や事業者の理解に向けて、知事による安全宣言が可能となる環境が整うよう、より一層の取り組みを求めるものですが、知事の見解を伺います。
 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中村ひろし議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、北朝鮮情勢に絡んでのご質問でございました。
 都のミサイルへの対応についてでございますが、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射、核実験の強行というものは、平和的解決への国際社会の強い意志を踏みにじる暴挙であり、拉致問題とともに、断じて容認ができません。
 我が国の領土や領海に落下する可能性のあるミサイルの発射は、都民に不安を与え、万が一の場合には被害も生じかねず、東京におきましても、こうした脅威に直面をしているところでございます。
 都は、緊迫化する情勢を踏まえまして、ミサイル発射時に都民一人一人が速やかに適切な避難行動をとることができるように、ホームページやツイッターなどでわかりやすく広報するとともに、国、そして区市町村とも連携をいたしながら、Jアラートの情報伝達訓練なども実施をしているところでございます。
 万が一の事態が発生した場合には、対策本部を設置いたしまして、都民に対して正確かつ迅速な情報発信を行います。そして警察、消防等の力も最大限活用して、全力を挙げて対応していく所存でございます。
 引き続き北朝鮮の動向を注視いたしまして、国や区市町村等と緊密に連携を図りながら、都民の命、そして財産を守るために万全を期してまいります。
 多様な価値観や文化に対しての、国際都市東京の実現についてのご質問がございましたが、その前に、中村議員の中国残留孤児支援の活動に対するご尽力に対しては敬意を表させていただきます。
 多様な価値観や文化に寛容な国際都市東京の実現についてでございますが、私が目指しますダイバーシティーが実現した東京とは、外国人はもとより、女性も、男性も、子供も、高齢者も、障害のある方も、また、LGBTの方々なども、誰もが希望を持って生き生きと生活ができる、活躍ができる都市でございます。
 このダイバーシティーこそが、多様性を認め合って、あらゆる違いを超えてつながり合うという、オリンピック・パラリンピックの精神の実現にほかならないと考えております。
 ことしの二月に開催いたしましたオリンピック・パラリンピックと人権のシンポジウムにおきましては、私みずからが世界に向けて、東京は多様性を受け入れる都市であるということを発信いたしました。
 また、都はこれまでも、大型人権啓発イベント、人権週間行事などを開催して、多様な価値観や文化を認め合うことの大切さを都民の皆様へ伝えております。
 引き続き啓発活動などの取り組みを推進して、多様性が尊重され、温かく優しさにあふれる東京を目指してまいりたいと考えております。
 監理団体等の改革についてのご質問がございました。
 都政を透明化し、そして都民とともに進める都政へと改革していくことが、都民一人一人が輝き、活力を生み続ける東京の実現につながると考えております。
 その実現に当たりましては、都庁とともに、施策実施の現場を支える監理団体の機能強化は欠かせません。東京を取り巻く社会情勢の変化に呼応しためり張りのある改革が求められています。
 そのため、私が本部長を務めます都政改革本部におきまして、現在、各団体による自己点検、そしてヒアリングなどを通じた検証を進めております。
 また、九月の本部会議におきましては、監理団体を都庁グループの一員と位置づけた上で、都民目線に立った情報公開の仕組みづくりや監理団体、団体を所管する各局、制度を所管する総務局、三つの視点による改革の推進など、二〇二〇年までのタイムラインとともに、報告団体の見直しとあわせまして、改革の方向性を示したところでございます。
 今後、都庁グループとしての団体のあり方や機能強化など、団体の一層の戦略的な活用に向けました改革の取り組みをスピード感を持って進めてまいります。
 受動喫煙防止条例についてのご質問がございました。
 スモークフリーへの取り組みは、もはや世界的な潮流といえます。受動喫煙防止対策には、都民の健康増進の観点から、また、オリンピック・パラリンピックのホストシティーとしての責任を果たすためにも、しっかり取り組まなければなりません。
 こうした考え方に立ちまして、先日、仮称でございますが、東京都受動喫煙防止条例の基本的な考え方を策定し、現在、パブリックコメントを実施しているところでございます。
 今後、寄せられましたご意見を踏まえまして、早期に条例案を策定し、実効性のある対策も講じながら、二〇一九年ラグビーワールドカップ開催までの施行を目指してまいります。
 待機児童対策についてのご質問をいただきました。
 私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つと位置づけまして、保育所等の整備促進、人材の確保、定着の支援、そして利用者支援の充実、これらの三つを柱として、さまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
 また、区市町村や事業者からの要望に機動的に応えるために、今回、七つ、追加対策も取りまとめたところでございます。
 区市町村は、地域のニーズ調査を行った上で保育計画を策定しております。今年度、中間の見直しも進めているところでございます。
 都におきましても、現在、都内約三万八千の子育て世帯、そして働き方改革に取り組む二百の企業を対象といたしまして、保育ニーズの実態調査を行っております。
 これらを踏まえまして、来年三月には、東京都子供・子育て支援総合計画を改定する予定といたしておりまして、今後とも待機児童解消に向け、区市町村としっかり連携をし、効果的な施策を推し進めていく所存でございます。
 障害者や障害児施策の充実についてのご質問でございます。
 東京の活力の源は、やっぱり人でございます。女性も、男性も、高齢者も、若者も、障害のある方も、誰もがその能力を十分に発揮できる社会、これを目指していかなければなりません。
 都はこれまで、障害者が地域で安心して暮らせるように、障害福祉計画に基づいて、グループホームなどの居住の場や通所施設など日中の活動の場の整備を促進してまいりました。
 現在策定中の第五期障害福祉計画におきましても、地域生活基盤の整備、そして法定雇用率の引き上げを踏まえました就労支援の強化、そして心のバリアフリーの推進などを施策の柱に位置づける考えでございます。
 また、計画には、新たに障害児のための計画も盛り込みまして、障害児支援の中核的施設であります児童発達支援センターの整備目標など、障害者や障害児のニーズに応じました新たな数値目標を盛り込んで、施策の充実に積極的に取り組んでまいります。
 都民の居住確保のための制度についてのお尋ねでございます。
 住宅は生活の基盤であることはいうまでもございません。誰もが生き生きと生活できる都市東京の実現のためには、都民の居住の安定を確保することは重要でございます。
 そのため、このたび、高齢者や子育て世帯、障害者など、住宅確保要配慮者を拒まない賃貸住宅を登録する制度の運用、こちらが来月下旬に開始されますが、こうした方々の入居をしやすくすることとなります。
 超高齢化が進む中で、さらに増加することが予想されます空き家でございますが、都市の資産として、高齢者向けの住まいや地域の交流施設などに活用することも考え方でございます。
 今後、新たな住宅セーフティーネット制度も生かしながら、超高齢社会を見据えた取り組みを的確に進めて、誰もが安心して暮らし続けられる東京の実現を目指してまいります。
 市場移転についてのご質問がございました。
 豊洲市場への移転を実現するためには、安全・安心の確保について、都民や市場業者の理解と納得を得る必要がございます。
 豊洲市場用地の法的、科学的な安全性は、専門家会議で確認をされているところでございますが、その上で、さらなる安全性の向上を図るために、将来のリスクにも備えて、地下ピットの追加対策や、地下水管理システムの機能強化といった対策を着実に実施いたします。そして、工事完了後には、専門家会議によって対策の有効性を確認していただくこととなっております。
 こうした追加対策の実施状況とあわせまして、空気や地下水の測定結果等のデータを、専門家による評価とともに、都民や市場業者にわかりやすく発信をしてまいります。
 さらに、農林水産大臣の認可手続など、一連のステップを着実に推進することで、安全・安心な豊洲市場の実現を目指していくこととなります。
 その他のご質問につきましては、警視総監よりの答弁とさせていただきます。
〔警視総監吉田尚正君登壇〕

○警視総監(吉田尚正君) 駐車監視員制度の運用と駐車取り締まりの方向性についてでありますが、ご指摘いただきましたように、各警察署におきましては、違法駐車の実態を踏まえまして、重点的に取り締まりを行う場所、時間帯などを定めました、取り締まり活動ガイドラインを策定、公表いたしておりまして、このガイドラインに沿った取り締まりを推進いたしております。
 また、このガイドラインにつきましては、常に管内の違法駐車の実態を反映したものとなりますよう、各警察署におきまして年一回以上、警察署協議会や住民の意見、要望、地域の特性を考慮しながら、その実態の変化に応じまして、重点路線、地域、これらの範囲を拡大、縮小するなどの見直しを行っております。
 警視庁といたしましては、今後とも、悪質、危険性、迷惑性の高い違反の取り締まりを推進するため、駐車監視員制度の効果的な運用を図りまして、良好な駐車秩序の確立に努めてまいります。

○六十七番(斉藤れいな君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(尾崎大介君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎大介君) ご異議なしと認めます。さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時七分散会

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