平成二十九年東京都議会会議録第三号

平成二十九年三月一日(水曜日)
 出席議員 百二十六名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番大門さちえ君
四番和泉ひろし君
五番山森 寛之君
六番前田 和茂君
七番大場やすのぶ君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番小松 久子君
十二番西沢けいた君
十三番宮瀬 英治君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番菅野 弘一君
二十一番川松真一朗君
二十二番栗山よしじ君
二十三番小松 大祐君
二十四番堀  宏道君
二十五番木村 基成君
二十六番山内  晃君
二十七番上田 令子君
二十八番おときた駿君
二十九番山内れい子君
三十番中山ひろゆき君
三十一番田中 朝子君
三十二番石川 良一君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番松田やすまさ君
四十一番柴崎 幹男君
四十二番舟坂ちかお君
四十三番清水 孝治君
四十四番鈴木 錦治君
四十五番神野 次郎君
四十六番北久保眞道君
四十七番高椙 健一君
四十八番栗山 欽行君
四十九番和泉 武彦君
五十番両角みのる君
五十一番西崎 光子君
五十二番あさの克彦君
五十三番新井ともはる君
五十四番中村ひろし君
五十五番島田 幸成君
五十六番とくとめ道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番藤井  一君
六十四番近藤  充君
六十五番小宮あんり君
六十六番ほっち易隆君
六十七番河野ゆうき君
六十八番島崎 義司君
六十九番鈴木 章浩君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番田中たけし君
七十二番鈴木 隆道君
七十三番神林  茂君
七十四番早坂 義弘君
七十五番秋田 一郎君
七十六番今村 るか君
七十七番斉藤あつし君
七十八番小山くにひこ君
七十九番大西さとる君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番鈴木貫太郎君
八十四番ともとし春久君
八十六番長橋 桂一君
八十七番中屋 文孝君
八十八番鈴木あきまさ君
八十九番桜井 浩之君
九十番山崎 一輝君
九十一番三宅 正彦君
九十二番山加 朱美君
九十三番高橋かずみ君
九十四番山田 忠昭君
九十五番林田  武君
九十六番こいそ 明君
九十七番田島 和明君
九十八番古賀 俊昭君
九十九番立石 晴康君
百番野上ゆきえ君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番高橋 信博君
百十二番崎山 知尚君
百十三番高木 けい君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番野村 有信君
百二十番高島なおき君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし
 欠員
    八十五番

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事安藤 立美君
副知事川澄 俊文君
副知事中西  充君
副知事山本  隆君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務邊見 隆士君
政策企画局長長谷川 明君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
警視総監沖田 芳樹君
主税局長目黒 克昭君
生活文化局長中嶋 正宏君
オリンピック・パラリンピック準備局長塩見 清仁君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長西倉 鉄也君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長浅川 英夫君
消防総監高橋  淳君
交通局長山手  斉君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長福田 良行君
人事委員会事務局長松山 英幸君
労働委員会事務局長土渕  裕君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長砥出 欣典君

三月一日議事日程第三号
第一 第一号議案
平成二十九年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十九年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十九年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十九年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十九年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十九年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十九年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十九年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十九年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十九年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十九年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十九年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十九年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十九年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十九年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十九年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十九年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十九年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十九年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十九年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十九年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十九年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十九年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十九年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十九年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十九年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十九年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第八十六号議案
平成二十九年度東京都中央卸売市場会計補正予算(第一号)
第二十九 第二十八号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第二十九号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十一号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十二号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十三号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十四号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十五号議案
平成二十八年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第三十七 第三十六号議案
東京都議会議員及び東京都知事の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十七号議案
東京都都税条例等の一部を改正する条例
第三十九 第三十八号議案
東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第四十 第三十九号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十一号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十二号議案
東京都市計画事業北新宿地区第二種市街地再開発事業施行規程を廃止する条例
第四十四 第四十三号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十四号議案
東京都国民健康保険運営協議会条例
第四十六 第四十五号議案
東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十六号議案
東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十七号議案
東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十八号議案
東京都イノベーション創出基金条例
第五十 第四十九号議案
東京都工場立地法地域準則条例を廃止する条例
第五十一 第五十号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十一号議案
東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十二号議案
東京都無電柱化推進基金条例
第五十四 第五十三号議案
東京都立公園条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十四号議案
特定異性接客営業等の規制に関する条例
第五十六 第五十五号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十六号議案
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十七号議案
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十八号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第六十 第五十九号議案
都立府中療育センター(二十八)改築工事請負契約
第六十一 第六十号議案
都営住宅二十八CS─一〇一東(港区北青山三丁目・港区施設)工事請負契約
第六十二 第六十一号議案
都営住宅二十八H─一〇七東(江東区豊洲四丁目)工事請負契約
第六十三 第六十二号議案
都営住宅二十八CH─一〇二西(村山・武蔵村山市施設)工事その二請負契約
第六十四 第六十三号議案
都営住宅二十八H─一〇四東(江東区南砂三丁目)工事請負契約
第六十五 第六十四号議案
警視庁有家族者待機寮戸田橋住宅B号館(二十八)耐震改修工事請負契約
第六十六 第六十五号議案
警視庁四谷警察署庁舎(二十八)改築工事請負契約
第六十七 第六十六号議案
都立城東高等学校(二十八)改修工事請負契約
第六十八 第六十七号議案
都立府中療育センター(二十八)改築空調設備工事請負契約
第六十九 第六十八号議案
都立府中療育センター(二十八)改築給水衛生設備工事請負契約
第七十 第六十九号議案
環状七号線地下広域調節池(石神井川区間)工事請負契約
第七十一 第七十号議案
平成二十八年度十三号地新客船ふ頭岸壁(-(マイナス)十一・五m)駐車場等用地建設工事請負契約
第七十二 第七十一号議案
平成二十八年度新砂水門(再整備)建設工事(その四)請負契約
第七十三 第七十二号議案
妙正寺川整備工事(その二〇二)請負契約
第七十四 第七十三号議案
包括外部監査契約の締結について
第七十五 第七十四号議案
土地の信託の変更について
第七十六 第七十五号議案
八王子市指定介護療養型医療施設の指定等に係る事務の受託について
第七十七 第七十六号議案
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに対する出資について
第七十八 第七十七号議案
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款の変更について
第七十九 第七十八号議案
区分建物の買入れについて
第八十 第七十九号議案
都道の路線の認定及び廃止について
第八十一 第八十号議案
平成二十九年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第八十二 第八十一号議案
平成二十八年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区の負担の変更について
第八十三 第八十二号議案
多摩川流域下水道北多摩一号処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第八十四 第八十三号議案
平成二十八年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第八十五 第八十四号議案
平成二十八年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第八十六 第八十五号議案
平成二十八年度東京都用地会計補正予算(第一号)
第八十七 第八十七号議案
東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十一番田中たけし君
〔七十一番田中たけし君登壇〕

○七十一番(田中たけし君) 質問に先立ち、昨日の代表質問で、東京改革議員団幹事長、尾崎大介議員は、唐突に、公党である我が党を著しく侮辱するとともに、花輪智史氏に対する名誉毀損になりかねないゆゆしき発言を行いました。
 この発言は、断じて容認できるものではなく、東京都議会自由民主党は、東京改革議員団に対し強く抗議するとともに、尾崎議員自身による陳謝及び発言の撤回を求めるものであります。
 まず初めに、築地市場、豊洲市場移転問題について伺います。
 築地市場は開場から八十二年が経過しており、これまで長年にわたり、老朽化、狭隘化した築地市場をどうするのか、業界挙げて、議論や検討が行われてきました。
 昭和の終わりには、一旦、現地再整備の方針が決定され、四百億円もの費用が投じられましたが、営業を続けながらの工事には調整が極めて困難で、工期も相当長期にわたることから断念いたしました。
 その後、さまざまな議論を経て、平成十三年に豊洲市場への移転を決定し、事業が進められました。ここでは、土壌汚染が大きな課題となり、さまざまな対策が講じられ、ようやく昨年、豊洲市場が完成したところであります。その間も、平成二十一年から二十二年にかけては、都議会の特別委員会で、改めて現地再整備も含めた議論が交わされてきました。
 豊洲への移転に関して、都議会はこれまでも質疑を重ねてきましたが、このたび、都議会が一致して設置した百条委員会において、改めて調査を進めることとなり、豊洲移転について、都民の皆様の理解が得られるよう、しっかりとした検証が必要だと考えます。
 その一方で、移転をめぐり、二転三転する状況に振り回されてきたのが、築地の事業者の方々であります。事業者の誰もが築地市場を愛し、できるなら築地に残りたい、しかし、老朽化、狭隘化、衛生面の課題、将来を見据えると、新たな市場を求めるしかない。多くの人は、こうした気持ちの中で移転を決断し、昨年十一月七日の豊洲市場での開業に向け、準備を進めてこられました。いよいよ移転というところでの延期であり、目の前の目標を奪われ、力が抜けてしまったとの声も多く聞きます。
 そして、先般の地下水モニタリング調査の数値が大きな衝撃を与え、移転自体どうなってしまうのか、めどが立たず、不安感を強くしております。
 こうした築地の事業者の方々の気持ちに寄り添い、補償はもとより、経営面などのさまざまな支援を進めていくことが急務だと考えます。豊洲市場移転問題は、事中央卸売市場だけの問題ではなく、オール都庁で対応すべき最重要課題であり、関係局の総力を結集して対応していくべきと考えます。
 築地の事業者の方々の多くが中小零細事業者であり、特に経営支援について期待されています。経営の相談や計画づくりなど、産業労働局のさまざまな支援策を効果的に届けるなど、丁寧に対応すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、都は、昨年十二月から補償金が支払われるまでの間の資金繰り支援として、仲卸事業者や関連事業者の資金需要を満たす特別融資を実施しています。
 昨日、今年度の受け付けを終了したとのことでありますが、その特別融資の利用状況は、最終的にどの程度であったのでしょうか。
 また、今後も不安定な状態に置かれ続ける事業者の状況を踏まえますと、来年度も引き続き、手厚い支援を講ずるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私は先週、築地市場を訪れ、事業者の皆さんからさまざまなお話を伺うとともに、補償のための個別相談ブースの様子を拝見いたしました。
 一月末に公表された補償スキームでは、豊洲に設置した設備に関する損失だけではなく、築地で事業を続けていく上で、やむを得ず修繕した場合の費用についても対象とされています。
 事業者が直面する実情を捉えたものであり、当然の対応だと考えます。事業者は一人一人それぞれ異なる状況に置かれています。こうした個別の事情をつぶさに聞き、丁寧な説明を重ねていくことが、事業者の理解を得る上で大変重要であります。
 同時に、公正な補償スキームに基づいた適切な補償を迅速に行っていく必要があり、市場職員だけではなく、会計士や弁護士など、専門家のノウハウも活用すべきと考えます。
 そこで、補償の実施に向けた都の取り組みについて伺います。
 先日、二月二十五日、豊洲市場移転問題特別委員会で、豊洲市場へ視察に行き、専門家会議の平田座長、事務局の中島フェローから、地下水の採水方法、地下ピットの地下水及び空気、屋外の空気の観測結果等の説明を受けました。特に、平田座長、中島フェローからは、各街区の全ての地下ピット内の空気、水質の分析結果は、いずれも基準値を下回るとの説明でありました。
 また、五街区の地下ピットの空気からわずかに気化した水銀が確認されましたが、水銀濃度が現在測定されているレベル以下で維持されれば、問題が生じることはないというものでありました。
 これまでも伺っておりましたが、豊洲市場では、地下水を飲んだり、他に利用する予定もないため問題は生じないし、また、土壌についても、直接摂取の可能性がないため問題は生じないと改めて説明を受けました。
 今後、豊洲市場へ移転するしないの決断をする際、安全・安心の確認が必要であると考えます。小池知事は、安全は科学的、法的根拠に基づくものであり、安心は消費者の理解と納得に基づくものと指摘されました。
 安全は客観的事実で証明されますが、安心は個々人の主観的感じ方でもあり、安心をいかに獲得していくかが今後の大きな課題であると考えます。
 特に、食材に対する安心の確保は極めて重要であると考えます。私はその第一は、客観的事実、数値に基づいた情報、状況を積極的に発信していくことが必要だと考えます。
 今回の平田座長、中島フェローの観測値に対する評価も含め、正しい情報をさらに積極的に繰り返し発信すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、震災対策についてお伺いいたします。
 日本列島の周りには、四つのプレートがぶつかり合っているため、日本は世界的にも地震の多い地域であり、震災対策は都政の重要課題の一つであります。
 昨年も四月に熊本地震が、十月には鳥取県中部地震が発生し、多くの被害を受けましたが、過去に発生した地震から得た教訓を都の震災対策に生かしていくことも重要であります。
 特に、平成七年に発生した阪神・淡路大震災は、東京と同じ大都市神戸で発生した震災であり、初動対応、復旧、復興対応など、多くの教訓を得てまいりました。
 当時、私の両親は宝塚に住んでおり、神戸市内ほどの被害は受けなかったものの、家具や冷蔵庫などは倒れ、電気、ガス、水道のライフラインがとまるなどの被害を受けました。また、父が勤めていた三宮のオフィスビルは完全に倒壊しており、もし勤務時間中の震災であったらと思うと、今でも身の毛のよだつような思いになります。三宮のオフィス近辺のほとんどのビルが崩れ落ち、この世とは思えない光景を目の当たりにして、自然災害の恐ろしさと人間の無力さを強く感じたと申しておりました。
 また、宝塚の自宅では、食料や飲料水の配布などの復旧活動の手伝いをしていたとも聞いております。同様に、私の家内の実家であった西宮市の家屋も亀裂が入るなどの被害を受け、義父母はその後に川西市に転居しております。
 両親や親類、多くの知人、友人が被災しており、間接的ではありますが、大震災の怖さ、防災対策の必要性、初動対応のあり方、復旧、復興過程での地域連携や行政の役割などの教訓を得てまいりましたが、二十二年前のこととはいえ、決して風化させてはならず、震災体験者には積極的に次なる震災対策に役立ててもらいたいと常々思っております。
 小池知事は、発災当時、西宮市、宝塚市など震災被害を受けた地域を選挙区とする代議士であり、阪神・淡路大震災の発生時から復興に向けてのさまざまな経験をされていらっしゃると思います。
 ぜひとも、阪神・淡路大震災から得たさまざまな教訓、経験を東京の震災対策に大いに生かしていただきたいと思っておりますが、知事の防災対策、とりわけ震災対策に対する認識をお伺いいたします。
 次に、環境エネルギー政策についてお伺いいたします。
 地球規模の大きな課題ではありますが、環境エネルギー政策も都政の主要課題の一つであります。
 これまで都は、地球温暖化対策、CO2削減にも積極的に取り組んでまいりました。その中で、利用段階でCO2を一切排出しないクリーンなエネルギーであり、環境に優しいエネルギーとして、水素を活用した水素社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいりました。
 特に、産学官が一体となり、水素社会の実現、水素エネルギーの普及拡大に向けた具体的取り組みを推進していく、水素社会の実現に向けた東京推進会議を設置し、また、幅広い年代の方々の水素に対する理解を深め、都民に向け情報発信もしていく水素情報館東京スイソミルを開設するなど、積極的に取り組んでいます。
 一方、都議会自民党でも、環境エネルギー政策研究会を設置し、燃料電池自動車やバスの普及促進に向けた調査研究、車両の試乗、水素ステーションの設置に対する課題調査や意見交換、規制緩和に向けた国への要請行動など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 このような中、小池知事が、自民党国会議員時代、自民党本部でFCV(燃料電池自動車)を中心とした水素社会実現を促進する研究会の会長をされていたときに、私が都議会での政策研究会会長であることから、自民党本部での研究会に小池会長よりお誘いをいただき、勉強する機会を得たことは、現在も感謝しております。
 自民党本部での研究会では、自動車業界だけではなく、重電機メーカーや商社、鉄道事業者など、幅広く多くの分野での水素エネルギーの利活用の事例や研究開発状況などを勉強させていただき、一方で、東京都の水素エネルギーの推進に向けた取り組み状況の報告もさせていただきました。
 これまで都では、水素社会の実現に向けて、都バスへの水素バスの導入、水素ステーションの設置支援などに積極的に取り組んでおりますが、自民党本部での研究会での調査研究の成果も踏まえ、幅広く、より積極的に水素エネルギーの利活用に取り組むべきと考えますが、知事の認識をお伺いいたします。
 次に、都市基盤整備について、無電柱化についてお伺いいたします。
 これまで都議会自民党では、政策提言の中で、東京から電柱をなくすとして、都の無電柱化の推進を求めてまいりました。私の地元品川区では、地下を通る中央環状品川線の整備に伴い、上部である山手通りでの無電柱化事業が進められており、防災上、景観上の効果が期待されております。区内では、今後、主要都道である中原街道など、他の都道での無電柱化も期待されております。
 都道での無電柱化を進めると同時に、都市の防災機能をさらに強化するためにも、区市町村道での無電柱化を進めることが重要であります。
 これまで都は、センター・コア・エリア内、主要駅や観光地周辺、防災に寄与する路線などの無電柱化に対し、区市町村への財政支援を行っており、品川区では戸越銀座商店街や北品川商店街で既に無電柱化が行われ、防災上や景観上の効果だけではなく、歩行空間も確保され、商店街を買い回る地元の方々からも高い評価を得ております。
 都としては、引き続き、積極的に都道の無電柱化に取り組むべきでありますが、より地域での無電柱化の効果を高めていくためには、区市町村との連携が必要であります。その中で、都道に接続する区市町村道の無電柱化や、区市町村の境界線周辺での無電柱化には、広域的整備の観点から、都が主体的に取り組むべきと考えます。
 また、これまで培ってきた都の無電柱化に対する経験や技術を区市町村へ提供するとともに、効果的に無電柱化を進めるため、区市町村の無電柱化の計画策定を促していくべきと考えます。
 そこで、都の取り組みについてお伺いをいたしまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 田中たけし議員の一般質問にお答えいたします。
 私から二問お答えさせていただきます。
 まず、東京の震災対策の推進についてのお尋ねがございました。
 ご指摘のように、私は阪神・淡路大震災を経験した一人でございます。大震災におきましては、倒壊した建物や電柱が救急車両の通行を妨げて、火災による被害が瞬く間に広がるなど、あらゆることが同時に起こるということを痛感したところでございます。
 また、首都直下型地震は、三十年以内に七〇%の確率で起きるとされております。その脅威を十分に認識をしつつ、想定外の事態にも対処できるように、万全の対策を講じていかなければなりません。
 このため、市街地の不燃化、緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化などに着実に取り組んでまいります。
 また、電柱倒壊によります道路閉鎖を防ぐためにも、無電柱化を推進するための条例案の策定など、取り組みを加速してまいります。
 また、町会や自治会などによります防災活動の後押しもしてまいります。地域の防災力の向上を図るとともに、女性の防災リーダーの育成、そして新たな防災ブックの作成などを通じまして、地域の活動に女性の視点が反映されますように取り組んでまいります。
 さらに国、関係団体とも連携いたしまして、乳児用液体ミルクの国内製造に向けた検討も進めております。そして、誰もが安心できるきめ細やかな災害対策を実現してまいりたいと考えております。
 災害の経験、教訓に学びながら、こうしたハードと、そしてソフト、両面の対策を推進をして、セーフシティーを確立していきたいと考えております。
 一方で、水素エネルギーの利活用への取り組みについてもご質問がございました。お答えさせていただきます。
 ご承知のように、水素は利用の段階で二酸化炭素を排出いたしません。そして、水やバイオマスなど、さまざまな資源からつくることができます。そういったことから、環境の面からもエネルギー安全保障の面でも大きな可能性を秘めたエネルギーといえると思います。
 こうした水素を広く利用する社会の実現を目指しまして、都といたしまして先般、水素ステーションの整備、燃料電池自動車や家庭用燃料電池の普及に係ります二〇三〇年までの目標を定めたところでございます。
 この目標の達成に向けて、現在、ステーションの整備、車両の初期需要を創出するための事業を実施いたしております。
 また、まちづくりの中での水素利用でございますが、新たに業務用燃料電池の導入の支援、そして水素の蓄電に係ります調査などを行ってまいります。来る三月二十一日からは、全国で初めて燃料電池バスによります都営バスの運行も開始をするところであります。
 加えまして、水素エネルギーの普及に当たりましては、実際に水素を利用する都民の皆様に、まずは理解を深めていただくことが重要でございます。そして、先日作成いたしました映像コンテンツ、東京スイソ学園といいますけれども、これはユーチューブなどで配信をするほか、さまざまなイベントで、水素とはということ、これを都民の皆様に広く知っていただくように活用してまいる考えであります。
 こうした取り組みを進めると同時に、CO2フリー水素の先駆的な活用も図りながら、来るべき水素社会のイメージを世界へと発信してまいりたいと考えております。
 その他の質問につきましては、関係局長等からお答えをさせていただきます。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 市場業者の方々に対する経営支援についてでございますが、都は、中小企業における経営課題解決を支援するためのさまざまな事業を実施しております。
 例えば、各分野の専門家が課題解決のため事業所に赴き、複数回にわたり助言を行うなど、一社一社の実情やニーズに沿った支援事業を実施しているところでございます。
 こうした支援策は、市場業者の方々にご利用いただけるものでございまして、都は来年度においても、専門家の派遣規模をふやすなど、その拡充を図りつつ、着実に実施してまいります。
 また、中央卸売市場と緊密に連携し、経営改善、事業再生の支援や制度融資等、事業者の意向に沿いました支援メニューの情報提供、周知を丁寧に行ってまいります。
 市場業者の方々がニーズに合った適切な経営支援策をご利用いただけますよう、きめ細やかな対応に努めてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別融資の利用状況についてでございますが、二月二十八日までに二百五十件の申請を受け付け、このうち二百件が既に融資を実行され、今後、四十三件の融資実行が決定しております。
 また、特別融資の受け付け期間につきましては、移転延期の間の市場業者の資金需要の状況変化に適切に対応するため、当面一年間延長することとしております。
 今後も、市場業者が円滑な事業活動を行えるよう、資金繰りへの支援を実施してまいります。
 次に、補償の実施に向けた取り組みについてでございますが、まず、築地市場内の全事業者を対象に、先月、説明会を開催いたしまして、補償スキームの内容や具体的な申請手続等について周知を図りました。
 その後、二名一組による相談ブースを最大六ブース開設し、事業者との個別相談にきめ細かく対応しているところでございます。
 また、補償金の支払いに当たって、法律、会計、税務、中小企業経営の専門家で構成する補償審査委員会を設置いたしまして、補償の対象範囲や設備の価値減耗額の算定等に対し、事前申請の段階からアドバイスをいただくことで、より適正かつ迅速な審査を実施してまいります。
 こうした取り組みによりまして、市場業者に生じている具体的な損失に対して適切な補償を行ってまいります。
 最後に、豊洲市場に関する情報の発信についてでございますが、移転問題の解決には、都民の理解と納得を得ることが不可欠であり、そのためには、豊洲市場の現状等について、正確な情報を適切に提供していく必要がございます。
 このため、中央市場のトップページに、豊洲市場の現在の取り組みという項目を新設いたしまして、情報にアクセスしやすい環境を整えた上で、環境測定の結果や専門家の評価など専門家会議の資料を速やかに公開しております。
 また、地下水モニタリングの再調査の様子や地下ピット内のたまり水が解消した状況等を画像とともに掲載するなど、時宜に応じた情報をわかりやすく発信しております。
 こうした取り組みに加えまして、今後も記者説明やプレスによる現場視察など、報道機関への正確な情報提供に努め、都民の理解促進に向けたさまざまな工夫を行い、積極的、継続的に情報を発信してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 区市町村道における無電柱化についてでございますが、東京の都市防災機能の強化、良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保を図るため、都道のみならず、区市町村道の無電柱化を計画的に進めていくことは重要でございます。
 これまで都は、区市町村に対しまして、防災に寄与する道路等を対象に、財政支援を行うとともに、職員向けの研修による技術支援にも取り組んでまいりました。
 これに加えまして、区市町村による主体的な無電柱化推進計画の策定を促すため、平成二十九年度から補助制度を拡充し、計画の策定に必要な調査につきましても、新たに財政支援を行うことといたしました。
 今後とも、区市町村と連携し、計画的な無電柱化の推進に積極的に取り組んでまいります。

○議長(川井しげお君) 四十九番和泉武彦君
〔四十九番和泉武彦君登壇〕

○四十九番(和泉武彦君) 急速に少子高齢化が進む中、我が国では、平成三十七年、二〇二五年に、いわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上となる超高齢化社会を迎えます。
 こうした中で、都民国民一人一人が、医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住みなれた地域で安心して生活を継続し、その地域で人生の最期を迎えることができる環境を整備していくことは喫緊の課題であります。
 そのような中、二年前の六月に、医療介護総合確保推進法が成立し、昨年七月には東京都の地域医療構想もまとまり、二〇一八年、平成三十年に向けた東京都保健医療計画の策定が始まろうとしています。
 地域医療構想の中で、区部は慢性期の病床や介護施設が不足しており、重い病気や障害を抱え自宅に戻れない多くの都民が、埼玉や千葉、そして神奈川といった周辺県や多摩地区へ流出している現実が明らかになりました。
 今後、流出先である周辺県や多摩地区の高齢化のスピードは二十三区を上回って進むというふうにいわれており、慢性期医療や介護が必要な方たちの行き場がますます少なくなってくるものと予想されます。
 そのため、元気に東京で過ごす取り組みが必要であり、真に健康寿命を延ばす疾病予防と介護予防の対策に取り組まなければなりません。
 まず、疾病予防としての受動喫煙対策についてお伺いさせていただきます。
 我が国における喫煙関連の死亡者数は、高血圧、高血糖、飲酒に比べて高いといわれております。受動喫煙による年間の死亡者数は、およそ一万五千人と推計されております。
 その主な要因というものは、高血圧とか高血糖が循環器疾患のみで死亡するのに対して、喫煙は循環器だけではなく、がんや呼吸器疾患による死亡も多いからというふうにいわれております。
 オリ・パラへの対応のみならず、健康寿命の延伸のためにも、受動喫煙防止対策というものは極めて重要な施策であります。健康という観点から考えた場合、受動喫煙防止対策が必要であることは当然のことでありますが、海外では、屋内全面禁煙である反面、屋外では自由に吸えます。
 しかしながら、外でたばこを吸い放題、道路には吸い殻が散乱している状況というものは、決して目指すべき方向ではありません。
 日本は、海外とは違って、最初にまちの美化の観点から屋外の規制を厳しく設けたため、外でたばこを吸えるスペースが少ない。そのため、屋内を全面禁煙にしてしまうと、屋内でも屋外でもたばこを吸うことができなくなってしまうと。そのため、屋内禁煙にするためには、屋外の対策も必要になってきます。また、飲食を営んでいる事業者との意見の調整も必要になってきます。
 厚生労働省が考えている受動喫煙防止対策を強化する健康増進法改正案をめぐり、さまざまな議論が行われております。平成二十八年十月には、病院などは敷地内全面禁煙、運動施設などは建物内禁煙、飲食店などのサービス業を喫煙室設置可能とする原則建物内禁煙とした強化策が公表されました。その後、バーやスナックなどの一定面積以下は喫煙可能にするなどの配慮も考慮した案が報道されているところであります。
 受動喫煙防止対策の強化案について、さまざまな意見があることは承知しておりますが、健康を維持し、一人一人の人生を最大限尊重する社会の実現のためにも、受動喫煙防止対策は必要と考えます。
 そこで、医師として、受動喫煙防止というものは、健康に対して重要な対策の一つと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、介護予防としてのフレイル予防についてお伺いをさせていただきます。
 最近、サルコペニアとかフレイルという言葉をよく耳にしたり目にしたりすると思います。これらは健康長寿社会を実現するための重要なキーワードとなっております。
 サルコペニアというものは、加齢に伴う進行性かつ全身性の筋肉量と、また筋力の減少により、身体機能の低下がもたらされることであります。フレイルというものは、虚弱を意味するフレイリティーから来ている言葉で、高齢になって筋力や活力が衰えていくことを初め、精神心理や社会性が低下していくことを指します。すなわち、健常な状態と要介護状態の中間の状態であります。
 重要なのは、フレイルは身体的なことだけではなくて、社会との接点が減少したり、また、人づき合いがおっくうになって、ふさぎ込みがちになるソーシャルあるいはメンタルのフレイルということがございます。
 民間レベルでは、市民サポーター主導型健康増進プログラム、フレイルチェックというものを全国で実施することにより、フレイルの早期発見、予防の活動を行っているところがあります。
 これは、フレイルサポーターと呼ばれている市民サポーターが筋力や口腔のチェックを行うものであります。実際には、筋肉量測定のための指輪っかテストというのがございます。これは、両手の親指と人さし指、これで輪っかをつくって、きき足じゃない方の足の方に、ふくらはぎの一番太い部分の、ちょうどつまんでもらうとわかると思うんですけれども、そこでつまめる人というのはサルコペニアの危険性が高い、そして、つまめない人というのはサルコペニアの危険性が低いと、こういったことがわかります。
 また、口腔の衰えチェックなんかでは、唇の筋肉の巧みさをはかる「ぱ」という言葉が、「ぱ」というこの発音、これは唇の筋肉の巧みさを見ます。あと「た」ですね。「た」というのは、舌の先端部分の器用さをはかるものです。どうぞ皆さん方おやりになってください。舌の根元の力強さをはかる「か」、これは、こういったものを五秒間に何回いえるかというのをカウントすると。こういったもので、フレイルというものを測定することが可能です。
 また、両手を胸の上でこうやってクロスして、そして、椅子からきき足だけを使って立ち上がると。こういったことのテストも行っております。後でやってみてください。
 ほかにも葛飾区では、高齢者クラブ連合会が、医師会と連携して積極的に年間二十種類ぐらいの講座やイベントもやっております。会の大久保会長は、積極的にフレイルの対策に取り組んでいきたいということもおっしゃっております。
 医療面においては、このフレイルにかかる段階である高齢期における減量の注意が必要です。BMIパラドックスといって、七十四歳まで行っていると思うんですけれども、メタボ健診、これが高齢者にダイエットを勧めることになるんですね。そうなりますと、アルブミンが低下して足腰が弱ってしまうという状態になります。
 疫学研究では、この総死亡率が最も低かったのは、五十歳から六十九歳ではBMIが二〇から二五でした。しかしながら、七十歳以上では二二・五から二七・五ということで、BMIがちょっと太目の方がいいというふうに結果が出ました。
 そうなりますと、この生活習慣病予防と介護予防、それがちょうど重なる六十五歳から七十五歳の間というものは、栄養管理のギアチェンジが必要になってきます。そういったものにより、フレイルの予防というものを可能にさせていくわけでございます。
 こういったフレイル対策というものを積極的に進めていくべきだというふうに考えておりますけれども、都の見解を伺います。
 次に、病院の保有救急車の有効活用についてお伺いします。
 病院間の搬送については、この転院のときには、一刻を争う救急搬送と、あるいは一刻を争うわけではないけれども、きちんとした医療機器の設備のもと、転院を進めるべきものがあります。
 これは、現在では、ほとんどが通常の消防庁の救急車による転院搬送が行われています。
 最近では、自分の病院に救急車があったりとか、病院救急車で搬送する病院というのがありますけれども、いまだ十分ではありません。
 また、在宅療養中あるいは施設入所中の高齢者の緊急入院要請について、病院救急車を活用する取り組みが、葛飾区や町田市や八王子市などの医師会を中心に行われております。
 このような病院救急車を有効に活用するということは、一般の救急出動が減少することにつながるため、救急搬送システムを維持するための重要な課題です。
 消防庁は、現在、救急車、代車も含めると三百台以上所有しているということを伺っております。この救急車は一定年がたつと廃車にされるというふうに伺っています。
 都の条例によりますと、公益上の必要に基づき、都以外の者に物品を譲渡するときは、無償で、もしくは時価より低い金額で譲渡することができるとなっておりますけれども、こうした役割を終えた廃車予定の救急車両を病院救急車として有効活用するために譲渡可能かと思われますけれども、都の見解を伺います。
 また、外国人医療対応ですが、平成二十八年、訪日外国人観光客は二千四百三万人でした。こういった方々の中で、外国人が医療を受診するときに、当事者及び医療機関双方が安心できる体制が必要です。
 そして、私は第三回の定例会で、訪日外国人に対する救急搬送体制、救急車を呼ぶべきか迷った場合の相談体制の充実について、電話で相談できる救急相談センターや東京版救急受診ガイドの消防庁の取り組みについて伺いました。この東京版救急受診ガイドの多言語化に向けて、消防庁におけるその後の検討状況と今後の取り組みについて伺います。
 また、訪日外国人へのコールセンターサービスの状況について伺います。
 病気とか、あるいはけがに見舞われるなど、困難な状況に直面したときに、直ちにサポートができるよう、コールセンターを活用して、さまざまな問い合わせに的確に対応できる体制が必要だということを、これも三定にて質問をさせていただきました。
 そこで今回、実際にどのような事業が行われる予定なのか、具体的な内容についてお伺いさせていただきます。
 我が国における医療及び介護の提供体制というものは、世界に冠たる国民皆保険を実現した医療保険制度、それから、創設から十七年がたつ、社会に定着した介護保険制度、このもとで着実に整備されてきました。
 しかしながら、高齢化の進展に伴う慢性疾患の増加により、疾病構造というものが変化し、そして、医療ニーズは病気と共存しながら、QOLの維持向上を図っていく必要性が高まっております。介護ニーズにおきましても、医療及び介護の連携というものが、これまで以上に重要になってきます。
 私は、在宅医療というものを、この十年間やってまいりました。開業当初からずっと必要だというふうに思っておりました医療と介護の連携、これが十年間うまくいかなかったということがございます。これがやっとスタートラインに立てたということに非常に感慨深いものがあります。この医療と介護の連携がしっかりとなされるべきことこそ、将来にわたって健康で、地域で暮らしていけることにつながるわけです。
 いま一度確認しますけれども、健康の定義というものは、WHOで、肉体的に、精神的に、そして社会的に完全な状態であることであります。まさに、この健康というものこそ、人間の幸福と強い相関関係があるんだと、こういった論文もございます。人が幸せだというふうに感じるためには、健康でなければならないわけです。都民の幸せを得てもらうために、我々が存在しているのであれば、我々は都民の健康をしっかりと守っていくべきでありまして、議会も、そして都も、そのつもりで都民に接していただくことを求め、私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 和泉武彦議員のご質問及び大変ためになる情報をありがとうございました。
 私からは一問お答えさせていただきます。
 受動喫煙防止対策についてのお尋ねでございました。
 ご承知のように、スモークフリーへの取り組みは、もはや世界的な潮流でございます。受動喫煙防止対策には、都民の健康増進の観点から、また、オリンピック・パラリンピックのホストシティーとしての責任を果たすためにも、しっかり取り組まなければなりません。
 現在、国では、法制化に向けてさまざまな議論がなされておりますが、ぜひとも、屋内での受動喫煙を防止するように実効性のある法律を制定していただきたいと考えております。
 また、都におきましては、国の動きを注視しつつ、都民の意識、そして飲食店、宿泊施設の調査を行うなど、対策に向けました準備を加速していく考えでございます。
 その他の質問につきましては、関係局長より答弁をさせます。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) フレイル対策についてのご質問にお答えをいたします。
 フレイルを予防するためには、その意味と予防の重要性を広く啓発いたしますとともに、地域における健康づくりや、介護予防の取り組みを支援することが必要でございます。
 そのため、都は現在、包括補助等により、健康教育や高齢者の通いの場づくりなどに取り組む区市町村を支援しております。
 また、今年度、医療や介護関係の団体と連携いたしまして、フレイルを都民にわかりやすく紹介する冊子の作成に取り組んでいるところでございます。
 国は今年度から、低栄養防止、生活習慣病等の重症化予防に向けまして、高齢者の特性を踏まえた保健指導等のモデル事業を開始しており、都は今後、国の取り組みも踏まえながら、関係団体や区市町村と連携して、フレイル予防の取り組みを進めてまいります。
〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、使用廃止する救急車両の病院救急車への活用についてでありますが、東京消防庁では、医療機関が保有し、患者搬送に使用する病院救急車は、救急需要対策に効果があると認識しております。
 現在、救急車両の使用の廃止に当たっては、車両登録の抹消を行った上で廃車しておりますが、関係条例に基づき、公益上の必要があると認められる場合は、車両を譲渡することが可能であります。
 今後、医療機関から要請があった場合には、東京都医師会等の関係機関と連携し、適切に対応してまいります。
 次に、東京版救急受診ガイドの多言語化についてでありますが、東京消防庁では現在、救急車を呼ぶべきか迷った場合に、症状を確認し、緊急性の有無や受診の必要性などをインターネット上で自己判断できる東京版救急受診ガイドを運用しております。
 平成二十九年度には、東京都医師会や救急専門医等と連携して、英語版を作成し、英語圏外国人による有用性を検証した後、インターネット上に公開していく予定でございます。
 今後とも、関係機関と連携しながら、東京版救急受診ガイドのさらなる多言語化に向けた検討を進めてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 外国人旅行者へのサポートについてでございますが、海外から東京を訪れる観光客が病気などの困難な状況に直面した場合でも、意思の疎通を円滑に行い、安心して滞在できる環境をつくり上げることは重要でございます。
 都は現在、宿泊施設等におきまして、従業員からの電話連絡により、接客時の通訳を行うコールセンターのサービスを二十四時間体制で提供しているところでございます。
 来年度は、外国人旅行者が観光情報を入手したいときや病院で診療を受けたいときなどに、コールセンターに直接問い合わせのできる仕組みをモデル的に導入をいたします。同センターでは、観光名所や交通情報を多言語で案内いたしますほか、医療機関案内サービス「ひまわり」とも連携をし、外国語で受診できる病院等の紹介も行います。
 これらの取り組みによりまして、外国人旅行者が安心して観光のできる環境整備を進めてまいります。

○議長(川井しげお君) 六十二番谷村孝彦君
〔六十二番谷村孝彦君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○六十二番(谷村孝彦君) 初めに、多磨全生園に関連して質問いたします。
 私は、昨年の第一回定例会の一般質問でハンセン病の歴史をひもとき、私の地元東村山にある多磨全生園と人権の森構想に絞って質問をいたしました。
 我が国では、明治四十二年、全国に五つの府県立のハンセン病療養所をつくり、昭和六年には、癩予防法が制定され、徹底的に患者の強制隔離が行われました。これは基本的人権の尊重をうたった日本国憲法下でも続き、療養所とは名ばかりの終身強制収容所であったこと、当時は、入所者の方の平均年齢も若く、結婚すれば落ちつき、逃げ出すこともなくなるだろうと、望む人には結婚を認めました。
 もとより、ハンセン病は遺伝するものではありませんが、療養所の経費抑制のため、絶対に子供ができないようにと男性には断種手術をした場合のみ結婚を認め、万が一、女性に子供ができると、すぐに中絶させました。その数は、全国で三千百七十三人、六つの療養所には百十六体の胎児のホルマリン漬けの標本が残っていた事実が判明、多磨全生園にも三十六体の標本が残っていたこと。平成十年には、熊本、鹿児島を皮切りに、国を相手に、らい予防法違憲国家賠償訴訟が提起され、平成十三年五月に熊本地裁は、国の憲法違反、人権無視の誤った政策を全面的に認めると同時に、国会議員の立法不作為の責任まで認めるという、我が国の裁判史上、類例のない断罪が下されたことなどを取り上げさせていただきました。
 多磨全生園は、現在は国立の療養所ですが、開設したのは、当時の東京府と関東の十一県立で、開設時には、当時の阿部浩東京府知事や府会議員も出席しております。昨年は、らい予防法が廃止されてから二十年、熊本地裁の判決確定より十五年という節目を迎えました。
 東京都知事の多磨全生園訪問は、昭和三十四年九月の東都知事が最後となっておりますが、小池知事には、ぜひとも約半世紀ぶりのご訪問を、できれば多磨全生園の桜が満開になるころにお越しいただき、入所者の方々を励ましていただければと思います。そして、まだまだハンセン病に対する偏見や差別をなくしていく取り組みを進めていかなくてはなりません。あわせて知事の見解を求めます。
 次に、市町村総合交付金について質問します。
 申し上げるまでもなく、市町村総合交付金は、十年前の平成十八年度に、それまでの市町村の振興交付金、市町村調整交付金及び多摩島しょ底力発揮事業交付金の三つを統合して創設されました。市町村の包括的な財源補完制度として大変に重要な制度となっております。当初は三百十億円からスタートをしましたが、私ども公明党の強い要請により、年々増額し、今年度は補正予算を加えて、念願の五百億円に達したところであります。
 私はこれまで、総務委員会や決算委員会で、交付額の決定のあり方について取り上げてまいりましたが、問題なのは、これまで各市町村への交付額を、市町村の都合があるとし、決して明らかにされることがなかったことであります。
 これまで、交付額を決定する際には、市町村からの申請を受けて、総務局行政部が財政力指数や公共施設整備事業などをヒアリングして査定し、総務局長決裁で決められておりました。
 しかし、この手法には二つの問題があります。
 一つは、都が市町村から総合交付金の申請を受けて査定することにより、財政補完の金額の多寡の決定を通して、市町村の主体性、自立性を左右しかねないこと。
 そして、もう一つは、五百億円もの予算が、交付金の名のもとに、その詳細が誰もわからない、まさにブラックボックスとなっていることであります。東村山市の平成二十九年度の一般会計予算が五百三十億円ですので、この金額がいかに大きなものかは指摘するまでもありません。
 都政全体のあらゆる課題を見える化することを標榜される小池知事の誕生により、このたび全ての市町村長と意見交換をされ、平成二十八年度分から、知事の責任のもとで交付額が決定されることになったことを高く評価するものであります。
 あくまでも市町村の財源補完制度として維持をしつつも、透明化した手法で交付額の決定のあり方を構築すべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、ペットボトルの「東京水」について質問します。
 私は一昨年、平成二十七年の予算特別委員会で、ペットボトルの「東京水」が浄水場の地域のシンボルとして身近に感じられるように、ペットボトルのラベルに採水した浄水場名、例えば東村山浄水場であれば、東村山と大きく表示をしていただくと、地元の浄水場への理解もより深まるのではと提案させていただき、早速その年の六月から、採水した浄水場名を大きく表示していただけるようになりました。東村山では、これが大きな反響を呼び、都庁だけではなく、ぜひとも地元東村山でも販売してほしいとの希望の声が上がり、その要請を水道局が受けとめてくださり、本年一月から徐々に東村山での販売が開始されたところであります。
 私は、この「東京水」を東村山ブランドとして発信していきたいと念願しておりますが、ペットボトルのラベルデザイン一つで、付加価値もより高くなるものであります。
 国内外に大きな発信力のある小池知事のもとで、国内外の広報はもとより、地域ブランドを高めるラベルデザインへと一新していただければと願うものでありますが、知事の見解を求めます。
 次に、村山上貯水池堤体の耐震化についてであります。
 耐震強化を進めるに当たって、私どもの強い要請を受け、半年間の技術的検討を加えていただいた結果として、堤体道路に歩道を設置し、車道幅も六メートルから九メートルへと一・五倍に拡幅する決定をいただいております。村山上貯水池は多くの都民が訪れる貯水池であり、堤体強化事業を進めるに当たっては、住環境や歩行者の通行への配慮が必要であります。現在の取り組み状況について答弁を求めます。
 次に、北多摩地域の都市基盤整備について、四点質問いたします。
 一点目は、多摩都市モノレールの上北台から箱根ヶ崎への延伸についてであります。
 昨年四月、国土交通省は交通政策審議会の答申を決定し、同路線の延伸については、導入空間となり得る道路整備が進んでおり、事業化に向けて、関係地方公共団体、鉄道事業者等において具体的な調整を進めるべきとしました。
 これは、武蔵村山市民の方々の一万名署名の請願に、私が紹介議員となり、平成二十六年十二月に都議会で採択され、都の広域交通ネットワーク計画に優先的な路線として位置づけられたことが大きなステップとなったものであります。
 そこで、この延伸に向けた連絡調整会議について、現在の進捗状況と、連絡調整会議に臨む都のスタンスについて見解を求めます。
 二点目は、東村山駅周辺の連続立体交差化事業であります。
 平成二十年の予算特別委員会で、私と当時の道家孝行建設局長との質疑を受け、都は、翌平成二十一年、全国でわずか三カ所しかなかった新規着工準備採択の一つを、東村山駅周辺の連続立体交差事業でかち取ってくださいました。
 平成二十五年十二月に事業着手し、三年が過ぎました。現在、多摩地域で唯一の連続立体交差化事業となっておりますが、現在の進捗状況と今後の予定について答弁を求めます。
 三点目は、踏切改良についてであります。
 西武新宿線東村山駅の北側の通称大踏切につきましては、私と地元市議会公明党の強い要請を受けていただき、踏切と都道の交差点が一体となっていたものを分離する改良工事により、昨年十月には安全性が大きく向上しました。
 次は、西武新宿線久米川駅の南北ロータリーをつなぐ都道の久米川第一号踏切の拡幅、改良の番であります。久米川駅は、東村山市の主要な交通結節点のため、自動車はもちろんのこと、歩行者や自転車、車椅子等の交通量が多く、当該踏切の幅員は道路幅員よりも狭くなっており、朝夕のラッシュ時には、人と自転車、自動車が錯綜するなど、交通安全上、大変に危険な踏切として、多くの都民の方々からその危険性が指摘されております。
 東村山市と協力して、一日も早く事業に取りかかっていただきたいと思います。見解を求めます。
 四点目は、都と地元市が連携協力して都道を整備する事業、新みちづくり・まちづくりパートナー事業がこのたび終了し、平成二十九年度からいよいよ第三次みちづくり・まちづくりパートナー事業がスタートします。事業中及び新規路線の東村山市内、武蔵村山市内での取り組みについて答弁を求めます。
 最後に、都の用地買収の取り組みについてであります。
 道路や公園、河川の都市基盤の整備を進めていくためには、そこにお住まいになっている関係権利者の方々から大切な土地をお譲りいただく用地取得が不可欠であります。しかし、関係権利者からは、生活再建が可能な移転先を見つけることができず、大変ご苦労されている状況をお伺いする機会がよくあります。
 都は、都内全域で百カ所余りの代替地を保有し、移転先としてあっせんしておりますが、関係権利者の希望には十分に応えられていないのが実情であります。都は、関係権利者の移転先となる代替地をこれまで以上に確保していくべきであります。見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 谷村孝彦議員のご質問にお答えいたします。
 まず、多磨全生園についてのご質問がございました。
 ご指摘のように、私は国会議員の時代に、厚生労働委員会で二度にわたりまして、このハンセン病問題を取り上げました。そして、患者や回復者の皆様の名誉回復や生活の保障、そして過去の歴史の検証などといった問題に正面から取り組んでまいりました。
 また、患者さんや回復者の皆様の声をお聞きした際、結婚などで厳しい差別や偏見を受けること、それが今でも続いているといったお話を耳にし、この問題が持つ根の深さを痛感したものでございます。
 都知事となりました今も、ハンセン病に関します人権問題の解決にかける思いは変わりません。東京には、国立療養所多磨全生園があります。平成二十九年一月末現在で百八十名の入所者の皆様が生活をされていると聞いております。できるだけ早期に入所者の皆様とお会いして、長年の労苦をねぎらいたいと考えております。
 引き続き、ハンセン病患者、回復者、そのご家族の皆様が差別や偏見で苦しむことがないように、ハンセン病に対します理解を深め、差別、偏見をなくすための啓発を行ってまいる所存でございます。
 市町村総合交付金についてのご質問もございました。
 先般、全ての市町村長の皆様と意見交換を行い、それぞれが抱える課題、ご要望を伺ったところであります。
 とりわけ、市町村総合交付金は、財政状況の厳しい市町村の一般財源の補完として重要でございます。大半の市町村長からその充実、改善のご要望を伺いまして、改めて期待が大きいことを認識いたしました。
 今回の意見交換では、情報公開を進めるために、そのやりとり、様子をインターネット中継を通じて公開をいたしております。
 また、今月交付予定の交付金でございますが、私の指示のもとで、意見交換の結果も踏まえつつ、その交付額を決定するとともに、市町村別の交付額につきまして初めて公表する予定といたしております。
 今後も、都政の見える化を一層推進するという観点から、市町村の長、そして都議会の皆様のご意見も十分聞きつつ、算定の透明化を含めました交付額決定のあり方についても検討してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
 残余のご質問につきましては、関係局長からお答えをさせていただきます。──済みません、残余ではございませんでした。私に対してもう一問、ペットボトルの「東京水」のデザインについてもご質問がございました。失礼いたしました。
 ご指摘のように、東京は、安全でおいしい高品質な水道水が、二十四時間三百六十五日、ひねればジャーと飲めるというすばらしい世界でも希有な都市でございます。国でございます。安心して直接飲める、まさしく世界でも数少ない都市でありまして、都市間競争の時代にありましては、この水というのは最大の売りにもなるなと。東京が世界に誇る大きな強みだと思います。
 ペットボトル「東京水」は、東京の水道水の安全性やおいしさを実感できるグッズとして作製しておりまして、国内外への広報にも効果的でございます。
 二〇二〇年東京大会や、これに先立ちまして、二〇一八年に東京で開催されます国際水協会世界会議などを見据えまして、東京の水道水を国内外に向けてPRしていくために、ペットボトル「東京水」のラベルデザインも、より発信力のあるデザインに変更したいと考えております。
 新しいデザインの作成に当たりましては、東京らしさや安全性、おいしさが伝わるような、クールで高品質なデザインをベースといたしまして、地産地消の観点から、貯水池の景観など、その地域のシンボリックなイメージを盛り込んだものにしたいとも考えております。
 今後、新たなデザインを、ペットボトル以外にも広報グッズや工事現場などさまざまな場面で活用いたしまして、東京水の持つブランドイメージを展開させることで、首都東京の魅力を国内外に広く発信してまいります。
 その他のご質問につきまして、東京都技監、関係局長からご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸についてでございます。
 本路線は、開業区間と一体となって、多摩地域の活力や魅力の向上に資する路線でございます。昨年四月の交通政策審議会答申において、お話のように、地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトの一つとして、事業化に向けて関係者間で調整を進めるべきと位置づけられたものでございます。
 一方、本路線の整備に向けては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況や土地区画整理事業の進捗など、周辺の開発動向を踏まえ、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性を見きわめながら検討を行う必要がございます。これらの課題について、都は昨年八月より、沿線市町、多摩都市モノレール株式会社とともに連絡調整会議を設置し、検討を進めてございます。
 引き続き関係者間で連携し、課題の解決に向けて検討の深度化を図ってまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 村山上貯水池堤体強化事業についてでありますが、この事業は、東京水道の貴重な水がめである貯水池の耐震性を強化する、大規模かつ極めて重要な取り組みでありますが、工事の実施に当たりましては、周辺地域への影響も踏まえ、地域の生活環境等に十分配慮する必要がございます。
 このため、堤体強化に必要な土を極力現地調達することで、大型車両の通行台数を抑制し、振動や騒音を軽減するとともに、閉鎖する歩行者用通路のかわりとなる仮設通路を整備することで、通行の安全性を確保するなどの対策を講じていきます。
 今後は、平成二十八年度内の工事着手に向けまして、準備に万全を期しますとともに、地域住民の生活や周辺環境にきめ細かく配慮しながら、村山上貯水池堤体強化事業を着実に推進してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差事業についてでございますが、本事業は、鉄道を高架化することにより、府中街道など五カ所の踏切を除却することで、道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化に資する極めて効果の高い事業でございます。
 現在、本事業に必要となる用地の取得率は約六割となっており、駅部におきまして新しい駅舎のくい基礎工事や、仮設地下通路等の工事を行っております。また、今月末には、工事を進めていくため支障となる一番線ホームの変更を実施いたします。さらに、来年度より、駅部以外にも工事範囲を広げ、仮線路を敷設するための路盤工事等に着手いたします。
 今後とも、地元市や鉄道事業者と連携し、地域の理解と協力を得ながら、本事業を着実に推進してまいります。
 次に、久米川第一号踏切内の歩道拡幅についてでございますが、都は、歩行者の安全で円滑な通行を確保するため、歩道が狭隘な踏切や事故の危険性が高い踏切におきまして、踏切内のカラー舗装や歩道拡幅などの安全対策に取り組んでおります。
 西武新宿線久米川駅に隣接する久米川第一号踏切につきましては、平成二十八年六月に国が抽出しました、緊急に対策の検討が必要な踏切に位置づけられておりまして、東村山市が進めている駅前広場の整備にあわせ、踏切内の歩道拡幅につきまして、現在、市や鉄道事業者と検討を進めております。
 引き続き、関係機関と緊密に連携しながら、踏切の安全対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、第三次みちづくり・まちづくりパートナー事業についてでございますが、本事業は、地域にとって重要な役割を果たす都道を、都と市が協力して整備するものであり、地元市の要望を踏まえ、十一市十八路線、約七キロメートルを選定し、平成二十九年度から新たに実施いたします。
 東村山市内では、東村山三・四・五号線の事業中路線に加えまして、空堀川を渡る区間を新規路線として整備し、東村山駅へのアクセスを強化いたします。また、東村山三・四・一〇号線及び東村山三・四・三一号線を新たに整備し、西武線の連続立体交差事業と一体となって、東村山駅周辺のまちづくりを促進いたします。
 武蔵村山市内では、新たに新青梅街道に接続する立川三・四・三九号線を整備し、地域交通の円滑化を図ってまいります。
 今後とも、市と連携しながら、多摩地域のまちづくりに寄与する道路整備を積極的に推進してまいります。
 最後に、関係権利者の移転先となる代替地の確保についてでございますが、関係権利者の理解と協力を得て用地取得を進めるためには、移転先をあっせんするなど、生活再建に資する支援が極めて重要でございます。
 都は、用地折衝に際し、生活再建に関する意向を十分に確認するとともに、民間不動産物件の紹介や代替地の情報提供など、関係権利者一人一人の事情に配慮した支援を行っております。
 代替地につきましては、その取得に努めてきておりますが、近隣への移転希望を満たす土地が不足してございます。
 そこで、今後は、さらに関係権利者の意向を踏まえまして、用地取得に伴い発生する残地など、事業施行地近隣の私有地、都や区市が所有する公有地を積極的に取得するなど、多角的な取り組みにより、代替地の確保を推進してまいります。

○副議長(小磯善彦君) 四十七番高椙健一君
〔四十七番高椙健一君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○四十七番(高椙健一君) きょう三月一日からは、春の火災予防運動が始まります。電気設備機器関連の火災が多くなっていると聞いております。消防庁によりますと、特に電気ストーブ、差し込みプラグの火災が多いということなので、皆さん十分ご注意くださいませ。
 それでは質問に入ります。
 多摩振興についてお尋ねします。
 昨年、小池知事就任後の第三回定例会に出されました所信表明の終わりの言葉で、東京がまだ市であった時代、第七代東京市長を務められた後藤新平氏の残した自治三訣のお話をされ、私も強く共感したところでございます。
 甲州街道沿いにあった旧谷保村から現在の国立市になったのは、その後藤新平氏が関東大震災から帝都東京を復興させる中にあって、神田一ツ橋にあった大学の移設地を求めたことから始まります。国分寺駅と立川駅の間に国立駅というものをつくり、その南側ロータリーを中心として放射状の道路をつくり、現在の一橋大学が移転しました。
 今、都立国立高校、都立第五商業高等学校、有名私立校があり、すばらしい学園都市となっております。
 昨年暮れ、国立市の財政再建をされた佐藤市長が急逝され、年末の選挙で佐藤市政を継承する永見新市長が誕生いたしました。国立市は、ことし市制五十周年を迎えました。永見市長も国立市の第七代市長となったわけでございます。
 ここでは国立市の例を挙げましたが、多摩の市町村はそれぞれに固有の歴史があります。
 現在、多摩の市町村は、行財政改革に真摯に取り組みながら、膨大な住民ニーズに応えるべく日々尽力されております。それでも財政状況は依然厳しく、こうした住民ニーズに的確に応えていくためには、市町村の一般財源を補完する制度である市町村総合交付金が必要不可欠であります。
 今定例会に小池知事初の予算原案が出されました。市町村総合交付金も五百億円を組んでいただき、多摩・島しょ地域の観光産業振興ネットワーク事業にも力を入れていただけるようなので、大変うれしく喜ばしく思っております。
 多摩・島しょの基礎自治体は区部との制度の違いがありますが、区部にお住まいの都民も多摩にお住まいの都民も、同じ都民でございます。
 総合交付金につきましては、今後、五百億円にとどまらず、さらなる充実をしていかなければならないと考えます。多摩の各市町村が抱える課題の解決に向け、市町村総合交付金を初めとする財政支援の充実はもとより、都が実施するさまざまな事業も着実に推進していくべきものと考えますが、知事の見解をお伺いします。
 多摩の観光産業振興ネットワーク事業についてお尋ねします。
 年々、海外から東京を訪れる旅行者が増加しております。多摩地域でも、国内はもとより、海外からの観光客誘致に向けて、観光協会による取り組みや商工関連の団体が、積極的な企画やプロジェクトを検討されております。それらの団体が連携協力してネットワーク化していけば、その効果はより高いものになっていくと私は考えます。
 商工関連の団体を初めとするさまざまな主体が協議会を設けて、観光振興の企画を行う取り組みやその実現を図る取り組みをサポートすることが必要として、都はこのたび、この取り組みを次年度予算案に盛り込みました。この事業についての説明を求めます。
 都市計画道路についてお尋ねします。
 過去数回、多摩南北道路につきましての質問をさせていただいております。南北幹線道路は、日常の人の移動や物資輸送、何より病人やけが人の緊急搬送、そして災害時の緊急車両の移動にも重要な役目があります。小池知事もご経験なさったと思いますが、多摩地域の車での移動は、まだまだ時間的に困難さが残ります。
 このたび、立川広域防災基地内に、災害時における救援物資の備蓄などに活用される倉庫ができると聞いております。大災害時における緊急物資輸送に対応するためにも、立川東大和線である国立三・三・一五号線、立川三・三・三〇号線についても重要と考えます。
 そこで、南武線の立体化も含め、立川東大和線の整備について、東京都の考え方と現在の状況についてお示しください。
 無電柱化についてお尋ねします。
 先ほど我が党の田中たけし議員からも質問がございましたが、昨今、埋設方法が共同溝方式から、それ以外の埋設方式も検討されると聞いております。用地の問題、コストの問題、いろいろございますが、私からは、特に市町村道のような狭い道路では、地上機器を設置する、電線を取り出すための地上機器を設置する、その場所が課題となっておると聞いております。当局に地上機器の設置場所に対する取り組みにつきましてお伺いしたいと思います。
 都市公園の利用についてお尋ねします。
 公園の用地の大小といった規模にもよりますし、周辺の環境や立地によってさまざまなものがあると思います。都民の方々の癒やしの場としての機能、健康維持、観光にもつながる、季節を彩る花木の鑑賞の場としての利用、また、スポーツを初め、いろいろなイベント会場としての利用などがあると思います。
 国分寺市には、都立武蔵国分寺公園があり、さまざまなイベントでにぎわっております。今後、このような取り組みをさらに進めていくべきと考えますが、所見をお聞かせください。
 また、昨今いわれております防災まちづくりの観点から、武蔵国分寺公園の防災機能の充実についても、都のお考えがあればお聞かせください。
 治安対策についてお尋ねします。
 かねてより、国分寺市におきましては警察署の設置、国立市におきましては他の交番から離れている地区の新たな交番の設置、これらは多くの方の署名のついた要望書となっております。また、交番が幾つも統合され、現在、地域安全センターになっている施設につきましては、駐在時間の延長も求められております。
 事件が起きるたびに、自治会等からパトロールの強化、パトロール車の増車についてもご要望をいただいております。
 去る二月二十二日の本会議において、警視総監から治安状況説明がありました。都内の犯罪件数や検挙率、またテロ対策等における人材の養成や増員についてのご報告がありました。
 多摩地域におきましても、昨今、女優を目指している女子大生が生命にかかわる傷害事件の被害者となるなど、さまざまな事件があります。また、女性や子供に対してのつきまとい犯罪や振り込め詐欺なども多発しております。防犯カメラの増設や青パトなどの防犯活動も官民で進めておりますが、いまだ住民の不安解消が十分であるとは考えられません。
 住民の不安感を解消し、地域の防犯力を高めるには、見守り活動等の強化も重要であります。これらについて、当局の今後の取り組みについてお伺いします。
 交通安全対策についてお伺いします。
 多摩地域では交通の利便性も、区部と比べてはるかに悪く、通勤、通学等における自転車の利用は必須であります。自転車と歩行者の関与事故は、重大な結果をもたらします。そこで、多摩地域における自転車走行空間の整備状況をお示しください。
 次に、自転車走行におけるルール、マナーの周知も重要であります。多摩地域における各自治体、学校等での自転車安全教育のこれまでの取り組み及び今後の都の方針をお示しください。
 私は、昨年九月に公営企業委員会の委員長に就任してから、これまでの委員会における質疑を通じて、都民生活や東京の都市活動を地下から支える下水道の重要性を、改めて実感してまいりました。ふだん私たちは、水道の蛇口をひねれば当たり前のようにきれいな水が出てきたり、生活しているわけでございますけれども、使い終わったその後、どうなるかまでは、なかなか意識することは少ないのではないかと考えます。
 一千三百万都民の社会活動を支える東京の下水道は、一世紀以上の歳月をかけて整備され、その施設は膨大な規模となっております。その膨大な施設の維持管理を行い、一日も休むことなく稼働させることで、汚れた水を浄化し、再び水循環のサイクルに戻すという役割を担っているのが下水道でございます。
 当たり前に下水道が使えること、それを支えているのが、これまで長年にわたって培われてきた東京の下水道技術です。私は、学生時代に技術を勉強してきた一人として、東京の下水道技術の高さに注目しております。
 そこで、下水道局がことし一月に公表した技術開発推進計画二〇一六策定の背景と取り組み内容についてお伺いします。
 私は昨年十一月に、流域下水道では三本目の連絡管となる北多摩二号、浅川水再生センターの連絡管の完成式典に委員長として出席してまいりました。この事業は、多摩地域の安全・安心の確保に大きく寄与するものであり、私も地元の一人として大変心強く思っております。
 そこで改めて、流域下水道における連絡管の整備効果についてお伺いします。
 都立図書館についてお伺いします。
 東京都が運営する図書館は、港区南麻布にあります都立中央図書館と、都立多摩図書館であります。今までは立川市の南部地域にありましたが、老朽化などのため、JR西国分寺駅にほど近い地点に移転して、オープンしてまいりました。東京マガジンバンクの雑誌一万七千タイトルと、児童、青少年向けの資料約二十二万冊を生かした、さまざまなサービスが行われております。
 一月二十四日の開館式典には、小池知事や井澤国分寺市長、松井国分寺教育長、都議会からは、小磯副議長を初め我々もお招きをいただき、多くの関係者もご来臨のもと、盛大な記念式典と内覧会が行われました。
 開館から一カ月がたった今でも、市内近隣の方々から、一度行ってみようかなという声も聞きます。私もPRに努めておりますが、開館からこれまでの利用状況について、また利用者拡大に向けての取り組みと当館のコンセプトについてお伺いします。
 次に、障害者福祉についてお尋ねします。これは福祉保健局にお尋ねいたします。
 今般、国立市にあります多摩障害者スポーツセンターの改修工事実施に伴い、同じ建物に入っている心身障害者福祉センター多摩支所、来年度、立川市にある仮庁舎へ移転が行われると伺っております。仮移転に当たっては、利用する障害者やそのご家族の方々にご不便のないよう、十分に配慮すべきと考えますが、都のご所見をお伺いします。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高椙健一議員のご質問にお答えをいたします。
 多摩振興についてのご質問がございました。
 多摩地域は、豊かな自然と、東京の三分の一に相当する四百万人もの人口を擁しておられます。また、多くの大学、研究機関が集積しており、東京の持続的な発展に欠かすことができない地域と考えております。
 その一方で、多摩地域の市町村におきましては、人口減少、少子高齢化の進展、そして大規模工場などの撤退など、課題を抱えています。厳しい財政状況の中で、それぞれ地域の課題の解決に取り組んでおられると認識をいたしております。
 そこで、市町村の課題などへの対応を支援する市町村総合交付金につきまして、市町村の強いご要望も踏まえまして、来年度予算への計上を前倒しいたしまして、今年度の最終補正予算で五百億円に増額したところであります。
 また、来年度の予算におきましても、活力と魅力を高めるまちづくりの推進や、道路交通インフラの整備、観光やものづくりを初めとする産業振興など、多摩地域の発展に必要な施策の一層の充実を図ったところでございます。
 先般、全ての市町村長の皆様と意見交換を行いました。それぞれの直面する課題やご要望などを伺ったところであります。
 引き続き市町村と緊密に連携をしながら、財政支援を含めまして、地域特性を踏まえた効果的かつ重層的な振興策を展開していくことで、オール東京の発展につなげてまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 都立多摩図書館の利用状況等についてでございますが、一月二十九日の開館後、一日平均で約千人の方の利用があり、移転前のほぼ五倍の入館者数となっております。
 同図書館では、移転に合わせ、平日の開館時間を夜九時までに延長し、自由に閲覧できる雑誌を、移転前の五百三十四タイトルから約六千タイトルにするなど、利用者本位のサービス向上を図ったほか、読み聞かせの部屋やカフェを設けるなど、居心地のよい空間を確保いたしております。
 今後とも、雑誌と児童、青少年資料に関する専門図書館として、調査研究などのニーズに応えますとともに、雑誌を活用したセミナー等を定期的に開催するなど、人が集い、学び合う場を提供してまいります。さらに、区市町村立図書館や学校への支援を強化することで、一層の利用者の拡大と多様なサービスの充実を図ってまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 多摩地域のさまざまな団体による観光振興の取り組みへの支援についてでございますが、多摩地域で活動する民間の機関や団体が協力し、観光振興の計画をつくり、その実現を主体的に行っていくことは、国内外からより多くの観光客誘致を図る上で重要でございます。
 都は現在、多摩地域の自治体の観光振興事業への助成のほか、地元の観光協会等による集客のアイデアを民間会社のノウハウに結びつけ、実現する取り組みへの支援を進めております。
 今後は、多摩地域で観光や商工業などに関連する団体が連携して、旅行者の誘致を計画し、実施する取り組みを支援してまいります。
 具体的には、民間団体が集まる協議会の設立をサポートし、多摩のすぐれた観光資源の一つでございます古民家を活用した旅行者誘致の企画の実現などを後押しいたします。こうした手法により、多摩地域の観光振興を着実に進めてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、立川東大和線に関する都の考え方と現在の状況についてでございますが、立川東大和線は、多摩地域における南北方向の主要な幹線道路であり、人や物の流れの円滑化のみならず、災害時における物資輸送や救援、救助活動など、防災性の向上にも寄与する極めて重要な路線でございます。
 現在、未整備の区間のうち、泉体育館駅付近から都道一四五号線までの区間につきまして、昨年十二月に地元説明会を開催し、都市計画変更に向けた手続などを進めております。残る都道一四五号線より南側の区間につきましては、鉄道との交差などが事業化に向けた課題であり、JR南武線矢川駅から立川駅付近につきまして、平成二十四年に鉄道立体化の事業候補区間に位置づけ、事業範囲や構造形式の検討を進めております。
 今後とも、多摩地域の活力と防災性を一層高める骨格幹線道路の整備に全力で取り組んでまいります。
 次に、無電柱化の地上機器の設置場所についてでございますが、道幅の狭い区市町村道で無電柱化を進めるためには、地上機器の設置場所の確保が課題の一つとなっております。
 このため、都は昨年、民有地や公共空間、都道などを活用する際の事務手続や整備事例、民有地活用における地上機器部分の非課税の取り扱いなどを盛り込んだ手引を作成いたしました。
 今後は、区市町村がこの手引を活用して事業を進められるよう、毎年実施している研修会で周知を図るとともに、都道や公園等の都有地の活用による設置場所の確保に向けて、区市町村を支援してまいります。
 引き続き、区市町村と連携し、無電柱化の推進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、武蔵国分寺公園におけるにぎわいの創出についてでございますが、本公園は、国分寺崖線の豊かな自然環境に加えまして、外周五百メートルに及ぶ円形の広場などを備えた開放感あふれる公園でございます。
 これまでも、自然を体感できるガイドウオークを初め、広場や森で子供たちが忍者に扮して遊ぶイベントやオープンカフェなど、公園の特性を生かしたさまざまな催しを、地域と一体となって開催してまいりました。
 今後、二〇二〇年東京大会に向け、誰もが気軽にスポーツに親しめるよう、専用ポールを使用して歩くノルディックウオーキングや、子供向けの走り方教室などの多様な運動プログラムを拡充してまいります。
 引き続き、公園の特性や利用者ニーズを踏まえまして、その魅力をさらに高め、利用の促進に取り組んでまいります。
 次に、武蔵国分寺公園の防災機能の充実についてでございますが、本公園は、憩いやスポーツ・レクリエーションの場として親しまれる一方、震災時の広域避難場所として都民の命を守る貴重なオープンスペースとなっております。
 都はこれまで、円滑な避難のための入り口表示灯や避難誘導灯のほか、防災トイレの整備など、公園の防災機能の強化に取り組んでまいりました。
 引き続き、二〇二〇年に向けた実行プランに基づきまして、停電時にも管理所等が機能するよう、非常用発電設備等を整備いたしますとともに、地震や避難所等に関する情報を避難者に提供するデジタルサイネージの設置を進めてまいります。
 今後とも、公園の防災機能の一層の充実に取り組んでまいります。
 最後に、多摩地域の自転車走行空間の整備についてでございますが、自転車は都市内の有効な交通手段の一つであり、誰もが安全で快適に利用できるよう、自転車走行空間の整備を進めることが重要でございます。
 多摩地域におきましては、調布保谷線など、道路の新設、拡幅の際にその整備に取り組むとともに、既設道路では東八道路など、自転車交通量が多く、事故の危険性がある区間等、約五十キロメートルを優先整備区間と定め、地域の道路事情に応じた整備手法により整備を進めております。
 このうち、平成二十七年度までに十一キロメートルの整備が完了し、既存の自転車走行空間三十一キロメートルと合わせまして、四十二キロメートルが完成しております。
 引き続き、立川昭島線など、残り三十九キロメートルの整備に取り組み、誰もが安全で安心して利用できる道路空間を創出してまいります。
〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、地域における見守り活動の強化についてですが、地域の防犯力を強化するためには、町会、自治会や防犯団体等の活動に加え、地域で活動する事業者など、さまざまな主体による見守りの目をふやすことが重要でございます。
 都では昨年度から、地域を巡回する事業者の協力を得て、業務の傍ら、子供や高齢者等の弱者を見守る、ながら見守り連携事業を進め、現在、十八事業者と協定等を締結し、都内では約一万一千店舗と五万五千車両が見守り活動を行っております。また、より地域の実情を踏まえた取り組みとなるよう、見守り要望箇所の走行などを内容とする個別の協定も、六市十区で締結されております。
 今後も、さまざまな業種の事業者や市区町村に積極的に働きかけ、地域の実情に応じた見守り活動を展開することにより、地域の防犯力をより一層強化してまいります。
 次に、多摩地域における自転車安全教育についてですが、安全利用の推進には、行政や学校を初め、社会全体でルール、マナーの啓発に取り組むことが重要でございます。
 多摩地域の各自治体では、昨年度、二万三千人を超える小学生に自転車安全教室修了証を発行したり、スタントマンが事故の危険性を再現する安全教室を中学校等で約八十回開催するなど、さまざまな取り組みが行われております。
 また、都は全ての小中高校生等へのリーフレットの配布に加え、小学校等と連携した自転車シミュレーター教室を約七十回開催するなど、学校における安全教育を推進しております。
 さらに、来年度は、昨年改正した自転車安全利用条例を踏まえ、街頭で直接啓発、指導する安全利用指導員の多摩地域への配置や、販売店による啓発の促進など、自転車が安全に利用される社会の実現に一層取り組んでまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) まず、技術開発推進計画の策定背景と取り組みについてでございますが、東京の下水道は、普及から維持管理の時代へと移り変わっており、現場では、従来技術の延長では解決できない新たな課題に直面しております。また近年、IoT、人工知能等の先端技術が登場しておりまして、下水道技術への活用が期待されております。
 こうした課題の解決や先端技術の活用を図るため、五十三の開発テーマを掲げた技術開発推進計画二〇一六を策定いたしました。本計画に基づき、革新的な技術を取り入れるため、下水道の枠を超えた産学公の連携を一層強化するとともに、民間企業等の開発意欲を高めるため、具体的な開発テーマの積極的な発信や、開発した技術の事業への導入を前提とした共同研究を推進してまいります。
 今後とも、東京下水道は、多くの現場を持つ強みを生かし、創意工夫から新たな技術を開発することで課題を克服するとともに、日本の下水道技術をリードしてまいります。
 次に、連絡管の整備効果についてでございますが、多摩川を挟む水再生センター間を結ぶ連絡管は、平成十五年度に着手をいたしまして、今年度、三本目の運転を開始いたしました。これまで整備した連絡管の相互融通機能により、地震時や平常時のバックアップが可能となっております。
 具体的には、東日本大震災で一部施設が停止した際、汚泥を対岸のセンターへ送ることで対応し、安定的な下水処理を確保いたしました。また、施設の再構築では、汚泥焼却炉を集約化、大型化することで更新台数を削減するとともに、維持管理面では、定期点検や補修工事に伴う施設停止時の機能低下を補っております。これらにより、建設費や維持管理費の縮減を図っております。
 今後とも、連絡管を有効活用することで、多摩地域の下水道の信頼性の向上と経営の効率化に努めてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 東京都心身障害者福祉センター多摩支所の仮移転についてのご質問にお答えをいたします。
 多摩支所では、知的障害者を対象とした愛の手帳の判定や、身体障害者を対象とした補装具の判定等を行っており、来年三月に予定をしております仮移転に当たりましては、利用する障害者やその家族にご不便のないよう、十分な配慮が必要でございます。
 このため、仮庁舎への移転日程や交通経路、連絡先等につきまして事前にホームページ等に掲載いたしますとともに、区市町村や障害者団体などを通じて周知をいたします。
 また、エレベーターやトイレ設備などのバリアフリー化や、来庁者のための駐車スペースの確保に加え、最寄り駅との間の送迎を行うなど、利用者の利便性に十分に配慮してまいります。

○議長(川井しげお君) 百二十三番酒井大史君
〔百二十三番酒井大史君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○百二十三番(酒井大史君) まず、多摩地域の振興について、観光の観点からお伺いをいたします。
 小池知事にとって初の本格予算である平成二十九年度予算案において、多摩地域初となる東京観光情報センターの設置が盛り込まれたことを大変うれしく思っております。日本人だけではなく、海外のお客様に有意義な情報を提供し、多摩地域を含む東京のさまざまな魅力を堪能していただくことは、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向け、観光都市東京を推進していくことにもつながります。
 現在、都は、二十三区内の四カ所に東京観光情報センターを設置し、都内及び全国の観光案内、観光地や観光ルートの紹介、交通アクセスの案内、都内宿泊施設の紹介などを行っています。
 過日、バスタ新宿内にあるセンターを私の学生スタッフが調査をしたところ、四、五人のスタッフが常駐し、英語を中心として四カ国語に対応、パンフレット類も充実をしているとのことでした。
 一方、立地に関して、バス利用者にとっては好立地であるものの、電車等で新宿に来た旅行者にとってはわかりづらい場所であるという感想でした。
 なお、平日の日中約三十分の間に訪れた方は、英語圏の二団体、中国人家族一組、韓国人一人、そして道を尋ねる日本人四、五人ということでした。
 そこで、今回新設をする多摩地域の東京観光情報センターは、利用者に認知をされやすいという観点から、どのような立地にどのようなスペックで整備をするのか、お伺いをいたします。
 また、同センターが旅行者に継続的に利用され続けていくためには、立地だけではなく、提供する情報を、質そして量ともに集積をする必要もあります。現在、配布をされている東京ハンディーガイド約八十ページ中、多摩地域に関する情報は、ほんのわずか四ページにすぎません。多言語による多摩地域の情報発信を強化すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 さらに、これから観光ルート等を作成する多摩地域の自治体や観光協会に対するサポートも必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、産業の観点からお伺いをいたします。
 かつて多摩地域には、電機メーカーや自動車産業等の大規模工場が点在し、企業城下町のような自治体が多くありました。しかしながら、石原元知事時代に多摩シリコンバレーなどと標榜していたことは夢のまた夢。現在では多くの工場が撤退し、当時、ネーミングばかりで有効策を講じてこなかったことのツケが生じている状況です。当該自治体にとって、税収減という財政への影響も懸念をされる事態になっています。
 通常、他県では、企業の撤退等への対策は県を挙げて対応する問題です。都は、これ以上、多摩地域から企業が撤退するのを食いとめるため、自治体との連携をこれまで以上に強化し、必要な対策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。
 また、来年度予算案にて、多摩ものづくり創業支援事業を新規事業として計上しておりますが、本事業は多摩地域の産業振興にどのように生かせるのか、所見をお伺いいたします。
 次に、交通インフラの観点からお伺いをいたします。
 多摩地域に海外からの観光客等を誘引していくためには、交通インフラの充実も不可欠であり、国際路線が拡大している羽田空港と多摩地域を結ぶ交通アクセスの向上が求められます。
 そこで、羽田空港と多摩地域のアクセス時間短縮の可能性を有するルートとして、南武線の活用を二年前の一般質問で提案をいたしました。
 南武線は、快速列車が導入をされたものの、退避設備がある駅が二駅しかないため、増便も所要時間の大幅な短縮もできないことを指摘し、府中市内と川崎市内に各一駅ずつ退避設備を設置することで、立川─川崎間の所要時間を二十分程度短縮できる可能性を紹介いたしました。これに対し、舛添知事時代の都市整備局長は、るる説明はあったものの、JR東日本の対応を注視との答弁でございました。
 しかし、この構想は、我が会派の小山議員が当時の予算委員会で提案した、川崎市内の南武支線及び東海道貨物支線を活用し、プラス約四キロの新線を建設するだけで、南武線を羽田空港へ直接乗り入れることができ、JR中央線、青梅線、武蔵野線との連結で、多摩地域の西部や北部と羽田空港のダイレクトアクセスが実現、観光客のみならず、地域住民の利便性の向上にも役立つものと考えています。
 二年前の質問以降、南武線沿線五市、川崎、稲城、府中、国立、立川では協議会が発足し、シティープロモーションについて議論しているとともに、まちづくりについても勉強会が発足をしております。
 既存のインフラに少し手を加えるだけで、大きな整備効果を生む可能性があります。
 都としても、従来の姿勢から一歩踏み出し、沿線自治体の取り組み等をバックアップすることにより、南武線の利便性向上を図る必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、キー・コンピテンシーの観点からの教育について伺います。
 都は、来年度予算案にて、私どもが従来から要望していた給付型奨学金を創設、拡充するなど、教育機会の格差解消に取り組まれていることを大変評価しております。まさに未来への投資である教育において、格差の解消とともに取り組むべき課題が、教育内容の充実であります。
 文部科学省は、二月十四日、二〇二〇年度から順次導入をされる小中学校の学習指導要領の改訂案を公表いたしました。ポイントは幾つかありますが、小学校では生きる力を育てる、中学校では解決する力を重点としております。
 二〇〇三年に最終報告が出されたOECDのDeSeCoでは、人生の成功と正常に機能する社会の実現を高いレベルで達成する個人の特性を、キー・コンピテンシーとしてまとめております。このキー・コンピテンシーは、相互作用的に道具を活用する能力、異質の集団における交流能力、自律的に行動する能力の三つに集約をされるとしています。
 今、文部科学省の生きる力が志向しているのは自立的に行動する能力に近いとされ、また相互作用的に道具を活用する能力は、日本でも実施をされているOECD生徒の学習達成度調査、いわゆるPISA調査に関連をいたしております。直近では二〇一五年に行われ、昨年十二月に調査結果を公表しております。
 そこで、教育庁として、今回のPISA調査の結果をどのように評価をし、今後、都内の学校に通う子供たちの教育に反映をしていこうと考えているのか、伺います。
 このPISA調査は、読解力、数学、科学のいわゆるリテラシーの到達度をはかるものですが、教育庁は従来のリテラシーの概念を超えて、我が会派の山下議員が提唱したメディアリテラシーの向上にも取り組んでいただいておりますが、さらにグローバル化された社会の中で子供たちが生き抜き、成功をおさめていくためには、キー・コンピテンシーが示す異質の集団における交流能力、つまり他者とうまくかかわる能力、協力する能力、対立を処理し解決をする能力も必要になってきます。
 なお、OECDでは、二〇三〇年の教育をターゲットとして、キー・コンピテンシーの見直しも検討される予定です。
 そこで、教育庁は、このコンピテンシーという概念をどのように評価をしているのか。また、キー・コンピテンシーの核となる考える力を生涯にわたって学び、生活実践に活用できるすぐれた学習環境の形成にいかに取り組んでいるのか、課題とあわせて所見をお伺いいたします。
 最後に、犯罪被害者支援についてお伺いをいたします。
 私は、都議会初当選のときより、犯罪被害者支援の必要性を訴え、一般質問のたびにこの問題に言及をいたしてまいりました。
 これまで都は、犯罪被害者への二次被害の防止や、犯罪被害者等の人権教育の推進など、多くの提案を受け入れていただきました。しかし、犯罪被害者支援をさらに推進し、都が被害者に寄り添う姿勢を広く示すため、東京都犯罪被害者等基本条例も議員提案をいたしましたが、議会、行政ともその必要性を認めていただけませんでした。
 また、一千三百万人を超える人口を有する東京都において、被害者支援都民センターの多摩支所の必要性もかねてからお伝えをしておりますが、いまだご理解をいただけておりません。この間も、ストーカー等による殺人や傷害事件、児童虐待、また高齢ドライバーによる死亡事故など、命を奪われ、また体を傷つけられた被害者、そしてその家族の方々の苦しみや悲しみを思うと、胸が苦しくなります。
 警視庁の犯罪抑止対策は、着実に成果を上げていると認識をしています。
 しかし、この社会から犯罪が一件も存在しなくなるということは考えられない中、日々ふえ続ける被害者の回復に向けた支援の必要性は、ますます高まっていると思います。
 現在、東京都は、第三期東京都犯罪被害者等支援計画に基づき施策を展開していますが、計画初年度において、都としての支援体制の向上、市区町村との連携や都民意識の啓発など、進捗状況及び二十九年度に向けた取り組みについて、総務局長にお伺いをいたします。
 私は、今この瞬間にも傷つき、そして苦しんでいる犯罪被害者とその家族の方々が、一日も早く肉体的、精神的、そして経済的な被害から救われる社会を、この東京からつくっていきたいというふうに望んで、そして願ってまいりました。
 最後に、犯罪被害者支援に対する小池知事の所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 酒井大史議員の一般質問にお答えをさせていただきます。
 最後のご質問で、犯罪被害者支援についてのご質問でございました。お尋ねでございました。
 犯罪被害に遭われた方やそのご家族は、犯罪によります直接的な被害にとどまらず、その後も身体的、精神的あるいは経済的に苛酷な状況に置かれるという現状がございます。被害者やそのご家族にとりましては、一日も早く穏やかな日常を取り戻すことが何よりも重要でございます。
 都はこれまでも、東京都総合相談窓口の機能強化を初めとして、被害直後から自立した生活に回復するまで途切れることのない支援体制を構築するなど、幅広い取り組みを進めてまいりました。
 さらに、今年度は、新たに策定した第三期東京都犯罪被害者等支援計画に基づきまして、性犯罪等被害者支援を初めとする支援施策の充実強化、広報啓発活動によります都民の理解の促進、市区町村や民間団体との連携体制の強化を三つの柱といたしまして、社会全体で支える支援の実現に向けた取り組みを進めているところでございます。
 都は、引き続きまして、被害者の心に寄り添う支援策を着実に展開をし、温かく優しさにあふれる都市の実現を目指しまして、全力で取り組んでまいります。
 その他の質問につきまして、教育長、東京都技監、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、PISA調査の評価と今後の取り組みについてでございますが、OECDの学習到達度調査であるPISA調査の最新の結果では、日本の義務教育修了段階の生徒の学力は、科学的リテラシーで、全参加国七十二カ国中二位となるなど上位に位置しており、文部科学省は、各小中学校で学力向上の取り組みの成果であると評価しております。
 都教育委員会としても、区市町村教育委員会と連携し、知、徳、体をバランスよく育むとともに、言語活動や体験活動を重視し、思考力、判断力、表現力等の育成に取り組んできたことの成果であると捉えております。
 今後、こうした取り組みに加え、次期学習指導要領の理念の一つである、主体的、対話的で深い学びの視点に立った授業改善の徹底等により、これからの社会に必要とされる資質、能力を育む教育をさらに向上させてまいります。
 次に、キー・コンピテンシーについてでございますが、これはOECDにより提示された国際的な資質、能力であり、学習指導要領の示す生きる力は、この考え方とほぼ同様のものであると認識しております。
 グローバル化が進展する社会の中で、これからの子供たちには、多様な人々と協働して問題を発見、解決していく力や、いわゆる内向き志向を打破し、世界の人々とコミュニケーションを図ろうとする態度を育成することが必要であります。
 このため、都教育委員会は、世界で活躍できる人材の育成に向けて、全ての学習の基盤となる言語能力を身につけさせるとともに、多様性を尊重し、社会に貢献しようとする意欲を育み、実践的な英語力にとどまらない豊かな国際感覚を醸成する取り組みを推進してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) JR南武線の利便性向上についてでございます。
 鉄道は、都民の日常生活や経済活動を支える重要なインフラでありまして、駅を中心とする地域のまちづくりにも深くかかわってございます。
 JR南武線については、都が連続立体交差事業を実施し、その際に、これとあわせて、鉄道事業者によって稲城長沼駅で退避のための線路が増設されて、快速運転の区間が拡大し、駅周辺では、都は沿線市によるまちづくりを支援してまいりました。昨年四月の交通政策審議会答申では、南武線の輸送サービスの改善について検討を期待するとされてございます。
 今後、鉄道事業者の動向を踏まえた上で、沿線住民がより快適に鉄道を利用できるよう、地元市の取り組むまちづくりを支援してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、多摩の観光情報センターについてでございますが、東京を訪れる国内外からの旅行者に多摩地域を対象とする観光情報を提供し、来訪者の増加につなげていく取り組みは重要でございます。
 これまで都は、多摩を含む各地域の観光情報を、都庁舎の観光情報センター等に集めて発信してまいりました。
 今後は、交通の便のよい立川で、旅行者がわかりやすい場所に観光情報センターを整備し、多摩の各エリアのさまざまな情報を旅行者に紹介してまいります。
 これにより、多摩地域への観光客の誘致を効果的に進めてまいります。
 次に、多摩地域の多言語による観光情報の提供についてでございますが、多摩を訪れる外国人旅行者をふやすため、地域の魅力ある自然など、観光に役立つ情報を多言語で提供することは効果的でございます。
 このため、都は、多摩の主要な観光スポットを、多言語のウエブサイトやパンフレットにより紹介する取り組みを行っております。また、新たに整備する観光情報センターで、地域からイベント等の情報提供を受け、さまざまな内容を外国語で旅行者に伝えてまいります。
 こうした取り組みにより、多摩地域への外国人観光客の誘致を的確に行ってまいります。
 次に、多摩地域の自治体等による観光振興の取り組みへの支援についてでございますが、多摩への観光客のより効果的な誘致を図っていく上では、地元の観光振興に取り組む自治体や観光協会等をサポートしていく必要がございます。
 このため、都は、地域のさまざまな魅力をテーマに旅行者の誘致を図る自治体への支援を充実いたしますほか、観光資源の開発を目指す観光協会等に専門家を派遣するサポートを実施いたします。
 これにより、多摩地域の自治体等による観光客の誘致を適切に後押ししてまいります。
 次に、自治体と連携した多摩の産業振興についてでございますが、産業の空洞化が無秩序に進行することを防ぎ、その集積を守るためには、地域の実情に精通した地元自治体との連携を強化し、効果的な支援を行っていくことが重要でございます。
 このため、都は、区市町村向けに産業集積に関するセミナーを開催いたしますとともに、企業と大学等との共同開発や自治体と金融機関との連携による経営支援など、産学公金のネットワークづくりに取り組んでおります。
 また、工場の防音、防臭等のための改修工事や都内での工場移転に要する経費等を区市町村を通じて助成することで、企業の操業継続を支援しております。来年度からは、助成対象に機械設備の更新を加えるなど、支援を充実させてまいります。
 これらにより、地域の産業集積の維持発展を図ってまいります。
 最後に、多摩ものづくり創業支援事業についてでございますが、多摩地域にはものづくり企業が集積しており、これらを将来にわたって維持発展させていくためには、製品、技術を開発する新たな担い手を創出することが必要でございます。
 このため、都は、産業サポートスクエア・TAMAにおける資金調達の相談、機器を利用した依頼試験等の支援に加え、ものづくり分野における創業希望者に対するセミナーや事業プランのブラッシュアップ、試作支援など、経営、技術両面からのサポートを行ってまいります。
 さらに、ものづくり支援に特化した民間インキュベーションラボ施設の整備、改修費を助成し、起業を行う環境の整備を促進してまいります。
 こうした取り組みを進め、創業の成功事例を生み出し、多摩地域のものづくり創業を盛り上げてまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 犯罪被害者支援についてですが、都は昨年三月、第三期東京都犯罪被害者等支援計画を策定し、社会全体で支える支援の実現を目指すことといたしました。
 計画の初年度である今年度は、東京都総合相談窓口の相談員を増員し、機能強化を図りました。また、地域の身近な窓口である市区町村が活用できる対応マニュアルを作成し、来年度から、市区町村の担当者に対する訪問指導や研修会において活用してまいります。
 さらに、都民に向けた広報啓発としては、犯罪被害者週間行事を市や区と共催し、参加者の共感を得られるテーマや講師を選ぶなど工夫を凝らし、好評を得ました。
 今後もこうした取り組みを着実に推進し、被害者支援の一層の充実を図ってまいります。

○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十五分開議

○議長(川井しげお君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十五番白石たみお君
〔十五番白石たみお君登壇〕

○十五番(白石たみお君) まず、築地市場について質問します。
 私は高校を中退し、すし職人の見習いとして五年間働き、毎日のように築地に通いました。すし屋にとって魚の鮮度、旬、産地によるネタの見きわめは、店の評価にかかわります。築地は、最高の食材を提供しようとする職人にとっても、生きた教材を示してくれる学校です。
 豊洲移転をすし屋に伺うと、これまで何十年も自分の目で納得したものを仕入れてきた。土壌汚染が残る土地で仕入れたものをお客さんに自信を持って提供できるかと、厳しく訴えます。
 豊洲新市場は、大手量販店などに向けた効率的な物流システムに重点が置かれ、移転に伴う仲卸業者の縮小、再編で、目ききの力が失われることも危惧されています。
 水産物の取扱量で世界一を誇る築地市場には、五百を超える仲卸業者が軒を連ねています。私の店もそうでしたが、今一番手に入れたいコハダがこの仲卸ならある、などそれぞれの仲卸の卓越した目ききの力を信頼して、すし屋はその日の魚を仕入れます。自分たちがとった魚を正当に評価してくれるという信頼があるからこそ、築地には全国各地から鮮魚が豊富に集まってきます。築地ならではの信頼が、漁業者とお店、料理人、消費者をつなぎ、日本の和食文化を下支えしてきたのです。
 知事は、日本の食文化に果たしている築地市場の役割についてどのように認識していますか。築地市場の役割を大切にして、現在地再整備を検討されるよう強く求めておきます。
 次に、羽田空港の増便に伴う都心を低空飛行する新ルートについてです。
 羽田空港の機能強化はこれまでも行われてきましたが、その中でも、陸地を避け、東京湾の上空をできる限り長く飛ぶように配慮されてきました。しかし、今回の新ルート案は、都心上空を低空飛行するとしており、地域への負担軽減という考え方を根本から覆すものです。
 新着陸コースは、午後三時から七時の四時間、新宿、渋谷、港、目黒と降下し、品川上空では、東京タワーよりも低い高度三百メーターで飛行し、その回数は一時間に四十四機、一分二十秒間に一機と、山手線の朝のラッシュ時よりも多いのです。
 その騒音は、私の地元品川区で最大八十デシベル、地下鉄の車内並みの音です。航空機騒音は数十秒にわたり続くので、夕方の家族の団らんの時間帯に、休む間もなく、地下鉄の車内並みの騒音にさらされることになります。
 騒音は、健康や子供の発達にも影響をもたらします。世界保健機構、WHOは、一日平均で六十五から七十デシベルの騒音は、心筋梗塞などの心疾患を増加させるとしています。騒音が子供の読解力や長期記憶力の低下につながるとの研究もあります。
 これまでの騒音軽減や安全確保への配慮と逆行する事態ですが、知事は、新ルートがもたらす地域への騒音影響などについて、どう考えますか。
 航空機からの落下物も懸念されています。成田空港では、わかっているだけで、開港以来、百数十件もの落下物が確認されています。この問題を特集したNHKのニュースでは、成田市の農家の方が、騒音は我慢していたが、ハウスに航空機のばねが落下し、その後も自宅周辺で部品や氷が落下したため、引っ越しを考えるようになったと報じていました。
 特に多いのが、機体についた氷が、着陸に向けて車輪を出すときの衝撃で落ちるケースです。成田空港では、海上で車輪を出すようにしてから、落下物が減ってはきたものの、羽田と違い、内陸部にあることもあり、ゼロにはなりません。
 一方、羽田空港に着陸する飛行機は、海上で車輪を出すことで被害を防いできました。しかし、新ルートでは、市街地上空で車輪を出すこととなります。
 都は、新ルートによって、着陸時に落下物が増加する危険性についてどのように認識していますか。
 航空機から排出される大気汚染物質は、国連の航空専門機関でも規制の検討が行われています。航空機の排ガスによる健康被害が世界的にも問題となっています。また、環境省の報告でも、航空機からの排ガスによりPM二・五や、それよりも細かいナノ粒子が航空機から排出されるとしています。
 新ルートにより、地域への影響は限定的としていますが、限定的とは具体的にどの地域に、どのくらい影響を及ぼすのか伺います。また、健康被害の危険性をどのように認識していますか。
 騒音、落下物、大気汚染などの増加の不安が高まる中、共産党品川区議団が募った新ルート問題についての区民アンケートには、千四百名の方から回答がありました。
 その中では、区内の八潮団地に住んでいたが、真上を飛行機が飛んでいてひどい騒音だった、あのときと同じ状況になるのは絶対に嫌です、騒音や大気汚染による健康被害が心配、二歳の子供を育てているが、落下物や墜落事故などで子供の命が奪われたら誰が責任をとるのか、住民犠牲の上に成り立った経済発展など真っ当な考えではない、市街地上空を飛行機が飛ぶなど認められない、何があるかわからないから、海上の飛行ルートを設定しているのではないか等の声が寄せられ、新飛行ルートに八割以上が反対と回答しています。知事は、これら都民の声をどのように受けとめますか。
 都は、二十三区及び区部に隣接する五市で構成する、羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会を設置しました。羽田空港の機能強化にかかわる課題について、都と関係区市で情報共有や意見交換を行い、国が設置する、首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会に反映させることが目的です。
 都は、国主催の協議会の進捗を見ながら、必要に応じて開催を予定していますといいながら、国の協議会はこれまでに四回行われているにもかかわらず、都の連絡会はただの一度も開催されていません。区市からは、連絡会において都の今後の役割を示していただきたい、都が連絡会として意見をまとめるべきだなど、開催を求める声も出ています。
 国に対し、関係区市の意見を伝えるためにも、副区長など区を代表する立場にある幹部が参加する連絡会を早急に開催すべきと考えますが、いかがですか。
 都は国に対し、住民への丁寧な説明を求め、国も、地域住民への丁寧な説明を進めるといってきました。ところが、実際に行われた説明会は、ブースを出展して、来場者がパネルなどを見るという形式で、オープンハウス型説明会といわれています。これは、展示会に近いものです。これでは通常のやり方、つまり、主催者が前で説明を行い、それを聞いた参加者が疑問をぶつけるものではありません。周りの人がどういう問題意識を持っているのか、それにどう国が答えるのか、十分に共有できないのです。
 関係区市からは、通常の説明会、いわゆる教室型で主催者と参加者が意見交換できるような説明会を開いてほしいという要望が出されています。ところが、都は、国が設置した協議会の場で一度も教室型の説明会を要望していません。なぜ国に要望しないのですか。要望すべきではありませんか。
 私の地元品川区を初め、目黒区や港区などの区議会で、区長や区の担当者から、国の提案する新ルートについては了承していないとしています。国も第四回の協議会で、新ルートについての関係自治体の合意や了承がなされたようにメディアが報道したことに対し、そういった事実はないと認めています。都も、現段階で、関係自治体の合意や了承が得られていないことを認めますか。
 これまで、空港周辺地域の住民や自治体は、航空機がもたらす危険と負担を軽減させるよう、国に対し声を上げてきました。国も海上ルートを最大限に活用するなど、曲がりなりにも軽減策を図ってきました。その積み重ねてきた歴史をほごにする国の新ルート案は、白紙撤回をするよう強く求めておきます。
 次に、夜間定時制高校について質問します。
 都教育委員会は、立川、小山台、江北、雪谷の四つの夜間定時制を廃止するとしています。昨年、四校の一つを卒業したOBは、中学時代は不登校で、高校には進学しようと思ってもいなかった、でも、学校見学で、年齢も服装もみんな違う人たちが、仲よさそうにしている姿を見て、この学校なら自分にも通えるかもと思い、進学を決意した、放課後に先生が勉強を見てくれて、わからなかった勉強がどんどんおもしろくなった、クラスの友達ともいっぱい遊んだし、支えられて卒業できた、人生で一番輝けた母校を奪わないでと訴えます。
 私も、クラスメートや先生に支えられ、大崎高校夜間定時制を卒業した一人として、存続を強く訴えたいと思います。
 知事は、多様性が尊重され、誰もが生き生きと暮らせる、ダイバーシティーの実現を掲げています。多様性の尊重は学びの場でも重要です。夜間定時制は、いじめなどにより不登校の経験を抱えた人、高齢の人、外国にルーツを持つ人、障害のある人など、多様な生徒たちが机を並べ、チャレンジスクールにはない、クラスという集団をつくって学んでいます。この学校なら自分の学びの場があると、最後の受け皿を担っています。
 教育施策大綱策定時のパブリックコメントにも、多様な生徒の学びを支えられるセーフティーネットである夜間定時制を存続してほしいとの声が寄せられています。この声を受けとめて、誰もが教育を受けられるようにすることが大切と思います。
 また、夜間定時制の存続を求める保護者や卒業生、関係者は、直接知事に声を聞いてほしいと求めていますが、知事、いかがですか。
 多文化共生に先駆的に取り組んだり、生徒数三百人の人気校などでありながら、なぜ廃校対象になったのか、選定経過が不透明なことも新聞で取り上げられています。関係者が情報開示請求をしたところ、廃校対象に至る協議内容や経過の記録が存在せず、選定のための会議さえ行われていなかったことが明らかとなりました。まともな検討もなく廃校にされるなど納得できないとの声を知事はどのように受けとめていますか。
 廃止計画案が発表されたとき、約二カ月で二万五千筆もの存続を求める署名が寄せられました。かつて、都立定時制高校で教鞭をとったノーベル賞受賞者の大村智栄誉教授など、百二十五名の文化人や、東京弁護士会なども存続を求める声明を出しました。昨年二月の計画決定後も声はやまず、ことし一月には、新たに三万五百六筆もの署名が都教委に提出されています。
 廃止時期は、計画には明記されていないわけですから、いま一度再検討していただくことを強く求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 白石たみお議員のご質問にお答えをいたします。
 日本の食文化に果たしている築地市場の役割についてのお尋ねがございました。
 築地市場には、全国の産地から年間を通じ、高級な食材から定番の食材まで、新鮮な旬の魚介類、そして野菜、果物などが集められております。また、長い歴史の中で蓄積された食材の知識や取り扱いのわざ、さらに目ききなどのノウハウを生かして、品物ごとに精通したプロの目による適正な評価がなされていると聞いております。
 築地市場は、豊富な品ぞろえと確かな品質を確保して、都民を初めとする多くの方々に多種多様な食材を提供することで、まさしく日本の食文化の発展に貢献しているものと考えております。
 次に、羽田空港の新飛行経路案についてのご質問がございました。
 東京の国際競争力の強化に向けて、二〇二〇年東京大会やその後の航空需要に応えて国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠と考えております。
 飛行経路の見直しによりまして新たな騒音影響が生じるために、都は、その軽減に取り組むことを国に求めてまいりました。こうした要望も踏まえまして、国は昨年七月に、低騒音機の導入促進、学校や病院などの防音工事助成の拡充などの軽減方策を打ち出しているところでございます。
 都といたしましては、地域への騒音影響の軽減を引き続き国に求めてまいる所存でございます。
 同じく羽田空港でありますが、都民の声についてのご質問でございます。
 国が開催した説明会などにおきまして、騒音や大気汚染の影響、落下物への懸念も含めまして、さまざまな意見があったということは承知をいたしております。
 都はこれまでも、国に対しまして、地元への丁寧な情報提供と騒音影響を軽減いたします方策の検討、そして、徹底した安全管理に取り組むことを要請してまいりました。これを受けまして、国は昨年七月、騒音影響の軽減方策に加えまして、安全対策を強化する考え方を示し、現在、都内各地で説明会を開催中でございます。
 引き続き国に対しましては、こうした取り組みを求めるとともに、都といたしましても、都民の理解が深まるように国に協力し、国際都市東京にふさわしい玄関口としての羽田空港の機能強化を図ってまいります。
 定時制課程についてのご質問がございました。
 かつて働きながら学ぶ青少年の教育に多大な役割を果たしてまいりました夜間定時制課程でございますが、実は、現在、志望者の減少により、多くの学校が小規模化しております。
 一方で、児童や生徒の不登校が大きな社会問題となっている中で、都教育委員会が設置を進めてまいりましたチャレンジスクールなどの昼夜間定時制高校は、多様なニーズを持つ生徒を柔軟に受け入れまして、きめ細やかな学びの支援が可能となっていることから、こちらの方は高い応募倍率が続いているところでございます。
 このため、ことしの一月に策定いたしました東京都教育施策大綱におきましても、不登校の子供や中途退学者等を社会全体で支援をいたしまして、再チャレンジの教育環境を充実する取り組みを推進する、そのことを盛り込んだところでございます。
 今後、新たな定時制高校ともいえますチャレンジスクールなどを増設、拡充していくことを通じまして、多様な生徒が生き生きと学べる場をさらにふやして、教育におけるダイバーシティーを実現してまいります。
 なお、夜間定時制に関しましては、さまざまなご意見があることについては教育委員会から報告を受け、承知をいたしております。私といたしましては、不登校、中途退学などさまざまな課題を抱える子供たちの学ぶ場のあり方については、さまざまなチャンネルから意見を聞いてまいりたいと考えております。
 残余のご質問につきましては、教育長、そして東京都技監からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 夜間定時制の閉課程に係る検討についてでございますが、新実施計画における閉課程対象校の選定は、これまでの都立高校改革における考え方や都民のニーズを踏まえ、新たな設置、規模の拡大を行うチャレンジスクール等の周辺にある学校や、小規模化が進行している学校について、交通機関の状況や地域全体の配置を考慮しながら、都教育委員会で熟考を重ね、配置計画案の作成を行ったものであり、検討会議等の設置を要するものではございません。
 また、この案をもとにした改編を含む新実施計画の策定に際しては、パブリックコメントによって広く意見を募るとともに、学校関係者への説明の場や、都教育委員会への請願等を通じていただいた都民からの意見も十分に検討した上で、決定を行ったものでございます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、航空機からの落下物についてでございます。
 新飛行経路は市街地の上空を通過することから、安全管理の徹底が重要であると認識してございます。
 国は、部品や氷塊の落下は、航空機の点検や整備が不十分である場合に発生するとしており、落下物が発生しないよう、航空会社の点検整備の徹底の指導、航空機メーカーへの対策の働きかけなどに取り組んでございます。
 さらに国は、昨年七月、羽田空港の機能強化に係る安全対策の考え方を示し、この中で、これまでの対策の強化に加えて、国の職員みずからが駐機中の航空機をチェックする取り組みを新たに実施するとしてございます。
 引き続き、安全管理の徹底に取り組むことを国に対して要請してまいります。
 次に、航空機から排出される大気汚染物質についてでございます。
 航空機のエンジンには、国際基準に基づく排出物規制が課せられており、これに適合しなければ、我が国の上空を飛行することはできないということになってございます。
 また、環境省の報告書によれば、大気汚染物質を発生源ごとに見た場合、航空機から排出されるものの割合は、PM二・五を含めてごくわずかであるとされてございます。
 これらのことから、国は、航空機による大気汚染の影響は限定的であり、地域への影響や健康に与える影響は少ないと考えられるとしてございます。
 次に、連絡会の開催についてでございます。
 都は、羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会を設け、主に部長級の幹事会を活用して、率直な意見交換を重ねてまいりました。そこでの意見も踏まえて、国に対して、丁寧な情報提供と騒音、安全対策の取り組みを要請してきてございます。幹事会において、引き続き率直な意見交換を行いながら、都と関係区市がしっかりと連携を図っていくことが重要であると考えてございます。
 連絡会については、今後必要があれば開催をいたします。
 次に、説明会の開催方法についてでございます。
 都は、教室型説明会を含む適時適切な手法を活用すべきとの関係区市からの意見を、国と関係都県市などで構成する首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会の場において、国に伝えてございます。
 これに対して国は、専門家の意見を踏まえ、きめ細かな情報提供や参加者からの丁寧な意見の聴取が可能なオープンハウス型説明会を開催するとして、昨年度、二期にわたって都内十六カ所、延べ七十日間実施をいたしました。
 さらに、現在国は、地元の理解が一層深まるよう、図表や写真を活用して資料をよりわかりやすくするなどの工夫を加え、改めて都内各地で説明会を開催してございます。
 都は、引き続き地元への丁寧な情報提供を国に求めてまいります。
 最後に、新飛行経路案についての国との協議状況についてでございます。
 昨年七月に開催された第四回の協議会は、新飛行経路についての合意を行うという場ではございませんが、この協議会においては、国と関係都県市が羽田空港の機能強化の必要性について認識を共有したこと、国が引き続き丁寧な情報提供と安全管理の徹底に取り組むこと、関係自治体は国が予算措置することを理解したこと、国と関係自治体は引き続き協力して二〇二〇年までの空港処理能力拡大の実現に取り組むこと、これらについて了解をされてございます。
 都は、今後とも、国や関係自治体と連携して、首都東京の玄関口である羽田空港の機能強化に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

○議長(川井しげお君) 二十二番栗山よしじ君
〔二十二番栗山よしじ君登壇〕

○二十二番(栗山よしじ君) 小池知事は、約半年間ほどしか在籍しておりませんでしたが、我が母校、関西学院大学の同窓の数少ない自民党所属の衆議院議員でしたので、私が区議会議員時代には、リーフレットに応援メッセージをいただき、都議会議員になってからは、都政報告会に講師として無電柱化などの講演をしていただきました。
 この東京都議会の議場で、知事と都議会議員として議論を交わすとは思っていませんでしたが、関西学院のモットー、マスタリー・フォア・サービス、奉仕の練達の精神で、都民福祉の向上のため、真摯な議論ができればと思っていますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 まずは、希望出生率についてお伺いいたします。
 東京都は、平成二十七年に作成した東京都総合戦略において、都民の希望出生率一・七六の実現を将来的な展望とすると明記されました。少子化は行政にとって大きな課題であり、一朝一夕では解決できる問題でなく、長期的に取り組んでいく必要があります。東京一極集中論が地方や国でいわれている中、都が出生率向上に向け独自の施策を打ち出し、出生率向上を実現することは、地方はもちろんのこと、国に対しても大きな影響を及ぼすことだと思います。
 都民の方々が、子供を産み育てるために、住宅や保育などの子育て環境の整備や、残業の見直しなど、働き方の企業への働きかけ、賃金上昇のための施策、雇用の創出など、福祉や労働、住宅など、さまざまな政策がより連携しながら施策を行っていかなければならないと思います。
 知事は希望出生率一・七六の実現のために、どのような全庁的に具体的に連携した施策を行い、いつまでに実現する目標とするのか、お伺いします。
 次に、公共事業についてお伺いします。
 東京都は、豊洲市場の年間の損益が百億円となると公表しました。減価償却費等を控除した収支はほぼ均衡するとしていますが、マスコミ等には百億円の赤字という部分が大きく取り上げられました。
 また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックで東京都が見直しを進めた海の森水上競技場やアクアティクスセンター、有明アリーナの三会場について、運営コストが計約二十一億円となり、収支は約四億四千万円の赤字になるという見通しを公表しました。
 豊洲市場についても、オリンピック・パラリンピックの三会場についても、赤字ということが大きく取り上げられていますが、公共事業の真の必要性について論じられていないように思います。
 地方自治法にあるように、地方公共団体は、最少の経費で最大の効果を上げるようにしなければなりません。しかし、公共事業とは、市場によっては、適切な量の供給が望みにくい財、サービスを提供する事業であり、もし黒字になるような事業であれば、民間が行えばよいことであり、民間ができないことを行政が行うのではないでしょうか。
 オリンピック・パラリンピックの会場についても、一時は移転も検討されておりましたが、都に新たな施設を整備することにより、多くの都民の方々が新たにスポーツに接する機会がふえるなど、まさに二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとなるのではないでしょうか。
 私の地元目黒区は、駒沢オリンピック公園が隣接し、多くの方がスポーツを楽しみ、憩いの場として、一九六四年東京オリンピックのレガシーの恩恵を受けております。
 経済合理性だけで公共事業を考えるべきではないと思いますが、知事の公共事業についての考え方をお伺いいたします。
 次に、パブリックコメントについてお伺いします。
 東京都において、さまざまな施策についてパブリックコメントを行っております。都民の声を直接聞くことは重要なことであり、多様な意見に耳を傾け、都の施策に少しでも反映をしていただければと思います。
 しかし、多くの都民が施策に触れ、その施策に対し意見を述べるには、一定の時間が必要です。都のパブリックコメントについて、各局でさまざまな方法で行われておりますが、パブリックコメントをする全ての施策に対しては、最低限一カ月の期間を持って行うなど、一定のルールを定めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、改良すべき踏切についてお伺いします。
 昨年度、改正踏切道改良促進法に基づいて国において改良すべき踏切道が、東京都内でも五十八カ所が指定をされるなど、踏切の安全対策の機運が高まっております。
 私の地元自由が丘駅付近においても、踏切対策基本方針において、鉄道立体化の検討対象区間の二十区間に位置づけられていますが、鉄道を立体化するには多大な事業費や長い事業期間が必要です。
 また、事業を着手するには都市計画道路の拡幅などの課題が数多くあります。しかし、土日になると自由が丘駅周辺は人であふれ、特に、東急大井町線自由が丘一号踏切は大変危険な状態となっております。立体交差事業の見通しが立たない中、踏切の改良など、まずはできることを行い、対策を実施していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、通勤ラッシュ混雑緩和についてお伺いします。
 満員電車は、社会の活力を低下させるため、課題であると認識しています。混雑率が東西線や総武線で一九九%、田園都市線で一八四%、東横線で一六三%など、国土交通省が発表した主要三十一区間の平均混雑率は、平成二十七年で一六四%と依然高い値です。
 しかし、混雑緩和に効果のあるハード整備は長い時間を要します。このため、混雑のピークを分散するためのソフト的な施策が必要です。例えば、ピーク時以外の利用をする場合には、都営交通のToKoPoのようにポイントを付与したり、または運賃を下げたりするなど、施策を検討すべきだと思います。
 このような背景から、都が開始することとした快適通勤ムーブメントは重要だと考えますが、今後の具体的な取り組みについてお伺いします。
 次に、外国人患者受け入れ体制整備補助事業についてお伺いします。
 先月の日本政府観光局の発表によると、二〇一六年に日本を訪れた外国人旅行者は約二千四百三万人と、過去最高を記録しました。訪都外国人旅行者もこの十年で約二・六倍に増加しており、都は、昨年十二月に策定した都民ファーストでつくる「新しい東京」二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、訪都外国人旅行者について、二〇二〇年には二〇一五年の約二倍に当たる二千五百万人を、二〇二四年には三千万人を目指すとしています。
 外国人旅行者がふえると、それに伴って医療機関を受診する外国人患者もふえることが見込まれ、医療機関における適切な対応が求められます。
 都は今年度から、外国人患者受け入れ医療機関認証制度、JMIPの認証取得に取り組む病院への支援を開始しました。JMIPは、受け入れ体制、患者サービス、組織体制など評価項目が多岐にわたり、基本的に、これまでの外国人患者対応を行ってきた病院が、より一層の充実を図るためのものとなります。
 今後、都における外国人患者の受け入れ体制の底上げを図るためには、JMIPを取得する病院をふやすだけではなく、これから外国人患者の受け入れを目指す病院や診療所の取り組みを促進することも重要です。どのように医療機関の外国人患者受け入れ体制の整備を支援していくのか、お伺いいたします。
 次に、ひとり親家庭支援についてお伺いいたします。
 ひとり親となって、家計と子育てを両立していくことは大変なことであり、まずはきちんと仕事につけるということが必要であります。行政書士や社会保険労務士、看護師、保育士など資格があれば、安定した就職の可能性が広がり、より経済的に自立できるようになると思います。
 そして、支援制度を必要な人に届けるということも重要です。ひとり親家庭の資格取得など、都としてより一層支援することが重要だと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、消防団加入促進についてお伺いいたします。
 特別区消防団員は、定員一万六千人に対し、二十八年四月現在、団員は一万三千八百六十五人、二千百三十五人不足しているという状況です。いつ起こるかわからない首都直下地震、行政だけでは当然対応できず、消防団の存在は重要です。
 これまで消防庁は、消防団員を確保するため、ポスターや駅前でのPR活動等による広く都民に向けた募集広報等や、各種経済団体などに働きかけを行ってきました。
 以前は、地域に住んでいる商店主などが消防団に加入しておりましたが、現在では、地域に住んでいる商店主も減り、サラリーマンなどの方に消防団に加入を促進すべきだと思います。サラリーマンの方など、より多くの方に消防団を知ってもらい、消防団に加入してもらうためには、大都市東京においては、都内に数百万社とある事業所を対象に直接働きかけを行い、消防団の募集活動を実施していくべきだと思いますが、見解をお伺いいたします。
 次に、食品ロスについてお伺いいたします。
 日本では年間約一千七百万トンの食品廃棄物が排出され、うち、本来食べられるのに廃棄されている食品ロスは年間約六十万トン含まれていると推計されています。食品流通業界では、食品の製造日から賞味期限までを三分割し、納入期限は製造日から三分の一の時点まで、販売期限は賞味期限の三分の二の時点までを限界とする、三分の一ルールといわれる商慣習があります。この商慣習が、食べられるはずの食品が大量に破棄される原因の一つとなっております。
 これは、海外の納品期限事例で見ると、米国の二分の一残しや、英国の四分の一残しなど、国際的に見ても大変厳しい取り決めであります。ぜひとも商慣習の改善など、食品ロスの削減に向けて企業等に働きかけていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、地域スポーツ団体の取り組みの促進についてお伺いします。
 先日公表された都の世論調査によると、スポーツ実施率が前回の調査の六〇・五%だったものが、五六・三%に下がったとのことであります。特に今回の調査では、高齢者層の実施率が下がっていたと聞いており、また、仕事や子育てに忙しい二十代から四十歳代のスポーツ実施率が低い水準が続いていると聞いています。
 世界に類を見ないスピードで超高齢社会を迎える東京にとって、多くの都民が健康で豊かな生活を送るためには、健康増進や生きがいづくりなど、さまざまな効用をもたらすスポーツは重要な鍵となります。
 身近に参加できる地域で活動するスポーツ団体は、地域スポーツを推進する上で中核的な役割を果たしており、各団体の取り組みを促進することが、都民のスポーツ実施率の向上につながると考えます。
 特に、東京二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会で行われる種目は、多くの方が関心を寄せ、スポーツをするきっかけになるのではないかと思います。都民のスポーツ実施率向上に向け、地域スポーツ団体等の取り組みを促進すべきだと考えますが、所見をお伺いします。
 次に、オリンピック・パラリンピック競技大会バッジについてお伺いします。
 東京二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会もあと三年と迫り、多くの都民が楽しみにしていると思うとともに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されたことが、次世代を担う子供たちに夢と希望を与える大会となってほしいと思っております。
 そのためにも、大会に向け開催機運を盛り上げ、子供たちの思い出に残すためにも、オリンピック・パラリンピックバッジを都内の小中学生に配布していくべきだと考えますが、都の見解をお伺いします。
 次に、私立幼稚園支援についてお伺いします。
 都内における就学前の子供の数は年々ふえており、教育、保育施設等の利用状況も増加傾向です。それに伴い、教育、保育の担い手である人材への需要も高まっており、都は平成二十九年度予算案において、保育人材の確保、定着に向け、処遇の改善を図ることとしていますが、一方で、都内の三歳から五歳の子供のうち、約五割が通う私立幼稚園においても、幼児教育の質を支える優秀な人材の確保が喫緊の課題です。
 幼稚園教諭の待遇改善にも取り組むべきと考えますが、所見をお伺いします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 栗山議員の一般質問にお答えをさせていただきます。
 希望出生率実現に向けました施策の実施についてのご質問がございました。
 東京の人口は、ご承知のように、団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年をピークといたしまして、減少に転じると見込まれております。社会を支える人口が減少していくということは、経済的な側面を初め、さまざまな面で大きな影響を及ぼすことになります。
 この本格的な少子高齢、人口減少社会の局面を乗り越えて、東京のさらなる持続的な成長を創出していくためには、人口減少の問題に正面から向き合う必要がございます。
 こうした観点から、二〇二〇年に向けた実行プランにおきましても、都民の希望出生率一・七六、この実現を将来的な展望といたしまして、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、そのことを目標といたしております。
 このためにも、保育サービスの拡充による待機児童の解消や、結婚、妊娠から子育てまでの切れ目のない支援の充実、若者の雇用の安定化、就業促進や、子育てと仕事を両立させるライフワークバランスの推進など、多面的に政策を展開することといたしております。
 福祉、保健、医療、これらはもとより、雇用や働き方など、さまざまな分野の施策を総動員いたしまして、安心して子供を生み育てられる環境の充実を図って、ここに暮らしてよかったと、都民が思える東京を実現してまいります。
 公共事業についてのご質問がございました。
 公共事業を考える上で、経済合理性以外の観点も必要であるとのご指摘につきましては、異論はございません。また、都民にとりまして真に有効な投資は積極的に行う一方で、無駄ということについては厳しく排除しなければなりません。
 そのために重要なことは、旧来の発想にとらわれずに、時代の潮流を見きわめることではないでしょうか。
 例えば、オリンピック・パラリンピックの準備について、公共事業を次々と展開をし、ハードを整えるだけでは、都民の負託に真に応えることにはならないと思います。これからは、ライフサイクルコストもきちんと検証して、真に長く愛されるレガシーを残さなければなりません。
 今後とも、公共事業を含めまして、全ての政策においてこうした考え方に基づく賢い支出を徹底して、現在、そして未来の都民への責任を果たすためになすべきことをなすということで、明るい未来を切り開いていきたいと考えております。
 なお、残余のご質問につきましては、東京都技監、そして関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをさせていただきます。
 まず、東急大井町線自由が丘一号踏切についてでございます。一号踏切は自由が丘駅に近接しておりまして、これまで、道路管理者や鉄道事業者により、歩道のカラー舗装化や横断時間を確保するための警報時間の制御などの対策が実施されてきてございます。
 さらに、当面の対策として、現在、鉄道事業者が駅の改良工事にあわせて遮断機の移設を検討しており、これによりまして、踏切内の歩行者の横断距離が短縮し、安全性が向上することが期待されてございます。
 都としては、これらの対策を踏まえ、この踏切が歩行者にとって、より安全となるよう、関係者と連携して取り組んでまいります。
 次に、快適通勤ムーブメントについてでございます。
 都は鉄道事業者と連携し、輸送力の増強などを進めてまいりましたが、なお残る鉄道の混雑状況を改善し、より快適に通勤できるよう、ムーブメントを展開してまいります。
 企業などには、時差出勤やテレワークなどをお願いし、ピーク時混雑の分散化を図るとともに、鉄道事業者には、お話のような、早朝の利用者に対するポイント付与や混雑の見える化などの取り組みを働きかけ、すいている時間帯や車両への乗車を促してまいります。
 こうした取り組みを夏季の一定期間に一斉に行うことで、できるだけ多くの利用者に快適な通勤を実感してもらい、これを契機に、混雑緩和に向けた機運を醸成してまいります。円滑な実施に向け、来年度早々、国や企業が参加する協議会を設け、多くの主体と連携した取り組みを進めてまいります。
〔生活文化局長中嶋正宏君登壇〕

○生活文化局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、パブリックコメントについてでございますが、現在、都では、長期計画などの重要な基本計画を策定する際には、都民の意見を聞くため、中間段階の案について、各局がパブリックコメントを実施しております。その募集方法や期間は各局がそれぞれに定めており、寄せられた意見も踏まえて計画を策定しております。
 こうした取り組みは、行政の透明性の向上や都民の都政への参画の促進、また、行政情報の積極的な公表など、さまざまな観点から一層重要になってきております。
 そのため、今後、より多くの都民の声を聞くことができるよう、都におけるパブリックコメントの募集方法や期間など、そのあり方について検討してまいります。
 次に、私立幼稚園教諭の処遇改善についてでございますが、東京の幼児教育において極めて大きな役割を果たす私立幼稚園が、今後も質の高い幼児教育を行っていくためには、優秀な教員の確保や資質の向上が重要でございます。
 このため、平成二十九年度予算案におきましては、私立幼稚園経常費補助等の積算に当たり、教員の処遇改善に資するよう、給与における手当算入率を二五%から二七%へ引き上げたところでございます。
 また、経常費補助の対象とならない子ども・子育て支援新制度の幼稚園等の教諭につきましても、都が国に要求してまいりました結果、処遇改善策が拡充されたところでございます。
 今後も引き続き、私立幼稚園教諭の処遇改善については、幼稚園教諭を取り巻く状況や現場の要望を踏まえながら、その充実に努めてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、外国人患者の受け入れ体制の整備についてでありますが、医療機関が外国人患者を円滑に受け入れていくためには、言語や文化、宗教、医療制度等の違いを理解するとともに、外国人患者に配慮した案内や表示など、院内の環境を整備していく必要がございます。
 このため、都は今年度から、外国人患者受け入れ医療機関認証制度、JMIPの認証を取得する医療機関への独自の補助に加えまして、言語や文化等の違いを踏まえた対応方法などに関する研修を開始いたしました。
 また、来年度からは、外国人向けのパンフレットやホームページの作成、問診票や説明書等の翻訳、案内表示の多言語化などを行う医療機関への補助を実施いたします。
 今後とも、外国人患者が安心して受診できるよう、医療機関の受け入れ体制の充実に向けた取り組みを支援してまいります。
 次に、ひとり親への資格取得支援についてでありますが、現在、都内全ての区市町村が、ひとり親家庭の母または父に対して、看護師や保育士等の資格取得を促進するため、養成機関での修学期間中の生活費等を給付する事業を実施しております。また、行政書士、社会保険労務士などの資格取得のため、通信講座等を受講する場合には、受講費用の一部を補助しております。
 こうした事業が活用されるよう、各区市町村では、ひとり親家庭への支援策をまとめたリーフレット等を配布するなど、制度周知を図っており、都におきましても、来年度、全ての子育て家庭を対象に、さまざまな機会を通じて支援施策の周知を図ることとしております。
 今後とも、区市町村と連携しながら、ひとり親家庭を支援してまいります。
〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 特別区消防団員の募集活動についてでありますが、平成二十八年四月一日現在、事業所に勤務する消防団員は七千三百五十九人で、全体の五三・一%であり、十年前と比較し、二千三十五人増加しております。
 このような状況を踏まえ、東京消防庁では、各事業所に加え、商工会議所、中小企業団体中央会等の経済団体を通じた募集活動を実施しております。
 また、複数の従業員が入団しているなど、消防団活動に貢献している三百七十八の事業所を特別区消防団協力事業所として認定し、表示証を交付するとともに、ホームページで公表しております。
 今後とも、各消防署と消防団が管内事業所を直接訪問し、消防団の活動を理解していただくよう働きかけを行うなど、積極的な募集活動を推進してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 食品流通における商慣習と食品ロス対策についてでございますが、食品ロスの削減のためには、都民や事業者にその現状をわかりやすく伝え、削減に向けて協力を求めていく必要がございます。
 都はこれまでも、モデル事業等を通じ、消費者に食品ロスの問題を知ってもらい、行動につなげる広報の展開などに取り組んでまいりました。
 来年度は、食品の流通段階において、賞味期限を迎える前の食品が廃棄されている実態や有効利用の状況等を調査し、三分の一ルールなどの商慣習が及ぼす影響についてもヒアリング等を実施してまいります。
 こうした調査の結果などをもとに、加工、流通事業者等と食品ロスの削減に向けて意見交換を行い、食品ロスを可能な限り発生させない仕組みを構築してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域スポーツ団体等の取り組みの促進についてでございます。
 スポーツ実施率の向上には、世代ごとの生活環境に応じ、身近な地域や職場において、二〇二〇年大会の競技を初め、さまざまなスポーツ活動を支援することが重要でございます。
 このため、都は、地区体育協会や地域スポーツクラブなどと連携し、卓球やバドミントンの体験教室の開催等、ジュニアからシニアまで世代に応じた事業を展開してまいりました。
 また、働き盛り世代対策として、今年度、経済団体と協力し、職場にスポーツ指導者を派遣する事業を実施しており、今後、その取り組み事例を広く紹介してまいります。
 さらに、区市町村に対して、アスリートを招いた地域イベントの開催などについても積極的に支援を行っております。
 このように、地域スポーツ団体等と幅広く手を携え、スポーツ実施率向上に向けて実効性ある取り組みを進めてまいります。
 次に、都内小中学生へのバッジの配布についてでございます。
 次世代を担う子供たちに二〇二〇年大会への関心を持ってもらい、参加してもらうきっかけとするため、都が作成している広報PR用バッジを効果的に活用することは重要でございます。
 このため、都は、小中学生が多く参加するスポーツ博覧会やパラスポーツ体験イベント、リオ大会のライブサイト、フラッグツアーなどにおいて、これまで広くバッジを配布してまいりました。
 今後とも、子供たちに大会への期待感を高めてもらえるよう、アスリートとの交流や競技体験、地域での機運醸成イベントと連動させるなど、さらに工夫を凝らしながら、バッジを有効に活用し、大会の開催機運をより一層盛り上げてまいります。

○議長(川井しげお君) 六番前田和茂君
〔六番前田和茂君登壇〕

○六番(前田和茂君) 初めに、二〇二〇年に向けた実行プランについてお伺いいたします。
 東京都では、全ての事業において、五年以内という終期を設け、必要な見直し、再構築を行う事務事業評価を取り入れております。これは、特に、福祉などの助成事業において大変効果的と考えます。
 一旦予算化された助成事業は、新たな事業との整合性や、時代にそぐわなくなった事業でも、廃止や見直しを検討すると、多くの反対の声が出て、結果として、段階的に支給額を変更する経過措置での対応や、区市町村が独自事業として継続を余儀なくされているものもあります。
 この事後検証を徹底し、無駄の排除を行う事務事業評価と、数値目標を工程表に基づき事業の進捗や成果を客観的に把握、検証、評価する実行プランとの二つの事業の相乗効果で、より一層事業の有効性、実効性の確保につながることを大いに期待いたします。
 この実行プランへの昨日の我が党の代表質問に対して、実行プランの事業進捗や成果を客観的に把握、検証し、その結果を都民と共有した上で、その後の事業展開に反映していくと答弁がありました。
 しかし、都民の共感を得ながら都政を前に進めていくためには、事業の進捗、成果を的確に把握、検証、評価する必要があり、執行機関だけの評価だけでは不十分であると考えます。都民、区市町村、民間団体から共感を得るためにも、決して都側だけの進行管理による我田引水の評価にならないよう図るべきと考えます。
 そこで、実行プランの進捗状況の検証、評価を具体的にどのように行っていくか、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、こどもの城、青山病院跡地についてお伺いいたします。
 知事は、十二月二十五日の報道番組にて、こどもの城購入の予算執行はないと発言され、本定例会には減額補正が提案されています。これは、首都災害医療センター基本構想検討委員会での検討結果まで、一度立ちどまって検討されるとのことですが、この検討結果の動向に地元、周辺区は大いに注目をし、期待を寄せております。
 注目の理由は、当該用地の土地面積を比較した場合、現在の広尾病院全敷地が二万二千百七十平米に対し、こどもの城に隣接する、現在、住宅展示場に賃貸ししている青山病院跡地を合わせた面積は二万七千四百五十六平米となり、単純計算でも土地ベースで五千平米以上のスペースが確保され、子育て施設を含めた複合施設の建設が可能と考えられているからです。
 なぜ、この地域に子育て施設の要望があるかの理由は、平成二十三年の東京都児童会館廃止にさかのぼります。当時、廃止の理由の一つに、近隣に、同じ児童の健全育成を目的としたこどもの城があることが説明されました。
 しかし、その翌年に厚労省から、こどもの城及び隣接する青山劇場、青山円形劇場の平成二十六年度末の廃止が、事業仕分けで廃止、存続と二転三転しながらも、最終的には老朽化を理由に決定されました。
 子供たちが楽しみながら主体的に参加できる音楽コンサートや、さまざまな工作、スポーツなど、工夫された多彩なプログラムがあり、子供の豊かな成長に大きな役割を果たした両施設は、児童会館で年間約六十万人、こどもの城で年間約八十万人もの利用があり、この地域では、子育ての大切な場が、一度に二カ所失ったことが理由です。
 また、多くの子育て施設の復活を願う声と同じく、広大な敷地面積があることから、高齢者施設も併設できるのではとの期待も高まっています。
 渋谷区の特養ホーム整備率は、他区と比べ遜色はないものの、民間の老人ホームは、区民以外の利用が多い、いわゆる高級有料老人ホームなどで、区民待機者が数多く存在しています。施設整備を進めるにも、人気のエリアが多く地価が高いことから用地獲得が難しく、先日の都有地活用推進本部の土地洗い出しでも、三十五坪の土地が一カ所しかなかったように、都有地、国有地も少なく、整備が進みにくいのが現状です。
 そのような中、こどもの城、青山病院跡地に複合施設が建設されれば、特養ホームのみならず、認知症グループホームやデイサービスの施設整備、また、病院との併設が実現できれば、日常の医療と介護、生活支援などが連携できる地域包括ケアの拠点を考えることも可能になるなど、期待は大いに膨らみます。
 しかしながら、こどもの城、青山病院跡地の活用については、まずは、検討委員会の結論を待ってからとなります。現在、青山病院跡地の住宅展示場は、二十四時間体制で警備員を配置しておりますが、住宅街と隣接するこの地域では、こどもの城廃止直後は治安面で不安の声が上がっていたなど、住宅展示場の暫定利用期間終了後の近隣対策など、不安の声もあります。
 青山病院跡地の今後の利用についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
 次に、障害者グループホームについてお尋ねいたします。
 障害者通所施設等整備費補助事業では、障害者グループホームを、三年間で二千人の定員増を目標に、平成二十七年度は六百七十五人分の整備が行われ、着実に計画が実行されていることは高く評価いたします。
 障害者の地域における居住の場の整備のため、新築、改築の補助率では、社会福祉法人の負担を四分の一から八分の一に引き下げ、また、借地活用の施設整備の補助基準額は、当該地の公示価格に応じて三段階の補助基準を設定するなど、実情に即した事業であり、ぜひとも三年間で二千人増の目標に向けて努力を続けていただきたいと考えます。
 しかし、この整備内容を地域別に見ますと、格差が生じているのも事実です。全体の定員数が少ない地域の順は、千代田区、港区、渋谷区、中央区、文京区の順で、比較的地価が高い地域の整備数が悪くなっています。
 これは、施設整備の用地取得が高額なために難しく、また、借地を活用する整備の際の助成対象である五年間を過ぎた後の賃借料負担が、安定的な収入となる、入所者が払える利用料などだけでは厳しく、継続的な運営が難しいと判断され、二の足を踏まれていることなどが考えられます。
 そこでお伺いいたします。
 まずは三年間で二千人の計画を確実に実施され、その後の検証として、地域間での偏在をなくすべく、都心区において継続的な施設運営が可能となる制度を検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、都立公園の活用のあり方についてお伺いいたします。
 現在、都心部にある大規模公園は、それぞれの地域のニーズに応じた災害時の防災拠点としての活用や待機児対策の園舎など、さまざまな利用が検討されています。おのおのの事業に異を唱えるものではありませんが、都心にある自宅や職場とは一線を画した空間の創出は、しっかりとしたコンセプトを持ち、その上で多面的な活用を推進すべきと考えます。
 渋谷区では、都心における区立公園改修の参考に、地域住民有志により、ニューヨークのブライアントパークの視察を実施されました。一九七〇年代に荒廃し、多数の犯罪が発生していたブライアントパークに大規模な改修工事を実施し、現在では年間約六百万人以上が訪れる大名所となっています。
 改修内容は、鬱蒼と茂っていた樹木を整備し、人々が自由にくつろげる開放的なスペースを確保し、くつろげるカフェや気軽に楽しめるアクティビティーを導入し、明るい雰囲気を演出しています。
 また、四千五百個の可動式椅子を配置することで、自分がくつろぎたい場所に移動でき、さらに開放的なスペースに可動椅子を配置することで、映画祭などイベント会場としても利用されています。バラエティー豊かな飲食店舗を導入することで、幅広い来園者につながることとともに、その賃料収入を利用し、一日八回のごみ収集と、トイレには男女一人ずつの警備員を配置し、安全な環境が維持されています。
 この緑と開放的なスペースの考え方は、都心部の大規模公園にも当てはまります。私の住む渋谷区には、東京都を代表する公園の一つ、代々木公園があります。都心の中心部にある、自分らしさを取り戻せる、心地よい憩いの場として、例えば樹木を移設し、中央に広大な芝生空間があり、周辺のレストラン、カフェのテイクアウトを、可動式の椅子、テーブルで、自由にくつろげる開放的なスペースの確保や、世代別の遊具が配備されたゾーン、また、スポーツを楽しめるゾーンなど、エリア分けがなされた、計画された公園が考えられます。
 また、代々木公園だけでなく、各都立公園において、立地条件、特性などを考慮し、特徴ある公園として活用すべきであります。
 そこでお伺いいたします。
 都立公園の活用のあり方、将来像についてどのようなお考えをお持ちか、所見を伺います。
 次に、トラック運送業者の荷さばきスペースの確保についてお伺いいたします。
 これまでも我が党は、都民生活や産業のため、物流が滞らないためにも、営業用トラックなどが利用可能な貨物専用駐車場の増設などを求めてきました。
 東京都においては、都市の構造が、荷おろしや配達のために駐車することに適していない現状であります。
 加えて昨今は、増加する自転車利用に対して、自転車専用レーンの整備が行われるなど、さらに荷物の積みかえ、配達などに厳しい状況になっております。業務用車両の駐車場の確保は急務でありますが、実際に駐車場用地の取得、整備は、都心区ほど難しい状態にあります。
 そこで、駐車場利用が可能な都有地で、終日使用は無理でも、曜日、時間帯で、荷物の積みかえやトイレ休憩の利用提供など、考えられると思います。
 例えば、日中ほとんどの車両が出払っている都バス車庫の空きスペースや、休日利用がほとんどで平日利用が少ない都立公園の駐車場、逆に、平日の利用がほとんどで休日利用が少ない都施設など、利用時間や曜日を限定して利用できる用地の検討を各局と連携して行うべきと考えます。このことは、運送業者だけでなく、歩行者にも自転車にも優しいまちづくりにつながると思います。
 そこでお尋ねいたします。
 毎年、我が党からも要望しております、集荷、配送用トラックの駐車スペース、荷さばき専用スペースの確保などについて、現在までの取り組みについてお伺いいたします。
 以上、ご答弁よろしくお願いいたします。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 前田和茂議員の一般質問にお答えさせていただきます。
 二〇二〇年に向けた実行プランについてのお尋ねがありました。ありがとうございます。
 この計画は、策定することにとどまりません。その政策を着実に実行して、成果を都民の皆様に実感していただくということが何よりも求められていると考えております。
 そこで、この実行プランでは、可能な限り数値化した約五百の政策目標を定めるということと、四年間の具体的な工程表を作成するなど、PDCAサイクルを適切に実施していく仕組みを、最初から、策定の段階からしっかりと組み込んだものでございます。
 これらに基づきまして、それぞれの事業の進捗状況を客観的に把握、検証いたしまして、そこから導かれる課題や問題点を捉えて、それを改善、見直しにつなげ、事業の実効性を一層高めてまいります。
 都民ファーストの視点から、その結果はできるだけわかりやすく公表いたします。そして、都民の皆様から、一緒に東京をよくしていこうとの共感をいただきながら、実行プランを着実に着実に推進し、三つのシティーを実現して新しい東京を築いてまいりたいと考えております。
 残余のご質問は、技監及び関係局長からご答弁とさせていただきます。
 ありがとうございました。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 荷さばきスペースの確保についてでございます。
 集配送の円滑化を図るためには、貨物車の荷さばきスペースの確保などに取り組むことが重要でございます。
 このため、都は、駐車場条例に基づき、附置義務と地域の実情に応じたルールを通じて、ビルの建てかえに合わせた荷さばき駐車施設の設置を促進してございます。
 例えば、渋谷地区では、駅周辺の都市再生にあわせて、共同で利用できる荷さばき施設を確保する取り組みがなされてございます。
 また、都は地区物流効率化認定制度を設けて、物流改善の取り組みを支援しておりまして、例えば丸の内周辺地区では、運送事業者と連携した共同配送を行い、荷さばきスペースの効率的な運用を図ってございます。
 引き続き、開発事業者や運送事業者と連携し、都心区などではまちづくりの機会も活用しながら、物流の円滑化を促進してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 旧青山病院跡地の利用についてでございますが、現在、首都災害医療センター(仮称)基本構想検討委員会におきまして、新病院の機能や規模に関する検討が行われておりまして、旧青山病院跡地での都有地の利活用につきましては、まずはその検討を見守ってまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 障害者グループホームの整備についてのご質問にお答えをいたします。
 都は、障害者グループホームの整備を促進するため、現在、障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおきまして、平成二十七年度からの三年間で二千人分の定員増を目標に掲げ、整備費の事業者負担を軽減する特別助成のほか、都有地の減額貸付や定期借地権の一時金に対する補助を行っております。
 また、借地を活用する場合は、土地の借り受けから経営が安定するまでの五年間、借地料の補助を行っており、地価に応じた三段階の補助基準額を設定しております。
 来年度は、平成三十年度からの第五期障害福祉計画を策定する予定でございまして、これまでの実績などを把握、検証しながら、今後ともグループホームの整備を促進していく考えでございます。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 都立公園の活用のあり方、将来像についてでございますが、代々木公園などの都立公園は、都市の貴重な緑とオープンスペースを持ち合わせ、都民ニーズに応じた多様な活用ができる都市のインフラであり、そのポテンシャルを十分に発揮していくことが重要でございます。
 都は、昨年九月、東京都公園審議会に都立公園の多面的な活用の推進方策について諮問し、このたび、中間のまとめといたしまして、緑や防災機能等のさらなる向上を図りつつ、来園者が多様な過ごし方ができるよう、民間のアイデアも取り入れながら、季節や天候にかかわらず楽しめるインドア・プレーグラウンドの設置などが提案されました。
 今後、パブリックコメントを経て取りまとめられる最終答申に基づきまして、公園ごとの特性を生かして、都市の魅力を高める多面的な活用を推進してまいります。

○議長(川井しげお君) 六十一番中山信行君
〔六十一番中山信行君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○六十一番(中山信行君) 初めに、都外の知的障害者の施設における地域移行について質問します。
 平成十八年、私は都議会公明党の一員として、秋田県内の都外施設を視察しました。折しも都民である利用者の方々は、豊かな自然に恵まれた生活の中で、リンゴや農作物などの収穫を楽しまれていました。東京で暮らす両親や家族も毎年リンゴが届くことを楽しみにしており、職員の方々も優しい笑顔でお世話されていました。
 周囲の無理解などから、都内ではまだ知的障害者の施設の建設が進みにくかった時代に、救いの手を差し伸べてくださったのが、秋田県など、現在の都外施設を支えてくださる各地元地域の皆様であります。まず、こうした歴史を持つ知的障害者の都外施設を都として今後も堅持することについて、小池知事の見解を求めます。
 そうした都外施設でありますが、いざ地域移行となると、都内に戻る道しかない点が課題でありました。入所から何十年も経た現在、既に都内の両親は高齢化し、兄弟姉妹も独立しています。必ずしも都内に戻ることが最善の道とは限らない状況にあります。
 私は、昨年の予算特別委員会や厚生委員会で、利用者にとって住みなれた都外施設の周辺でグループホームの整備が進むよう、都内への地域移行と同様に補助すべきと主張しました。この主張に応え、都は来年度、どう具体的に対応するのか説明を求めたいと思います。
 次に、国立市内の多摩障害者スポーツセンターについて質問します。
 かつての障害者スポーツは、あくまでリハビリやレクリエーションといった位置づけでありましたが、今では生きがいや社会参加、さらにはスポーツ競技としての魅力に注目が集まり、アスリートの育成も課題になっています。
 しかし、同センターは、古い時代の昭和五十九年に開所したものであり、今から見れば障害者スポーツの拠点とは呼びがたいような設備のまま老朽化し、ようやく改修のタイミングを迎えています。
 そこで我が党は、改善すべきポイントを利用者の皆様とともに確認し、その内容を一昨年の第三回定例会の代表質問に尽くしたところであります。
 改修工事は、現在、基本設計が完了した段階と聞きます。障害者スポーツの一層の振興に役立つ改修とすべきであります。利用者への適切な情報提供も含め、見解を求めます。
 私は一月二十三日、二棟の高層の都営住宅を活用した墨田区白鬚橋の都の防災用の備蓄倉庫を地元の加藤雅之議員とともに視察しました。使用期限の定めがないためか、カーペットや毛布類などは、昭和五十年代に備蓄された当時のまま保管されており、こん包にはほこりがかぶり、カビの発生が心配されるような状態でした。
 さらに問題なのは、備蓄品のこん包の重さです。二、三人で持ち上げても重く、全て人力で運ぶというのは困難です。倉庫にはエレベーターが停止した場合の備えとして、らせん式シューターも用意されていますが、そこまで運ぶ途中に段差や障壁があり、実用に適しません。加えて、油圧式のハンドリフトなどを用いた方が明らかに効率的に運べるのですが、パレットを敷いて積んでいない備蓄品も多く、ハンドリフトが使えない状態も見受けられました。
 さらに、十三階という高層二棟の各フロアに分けて備蓄をしているにもかかわらず、一台ずつしかハンドリフトを用意していないこと自体が問題であります。
 災害が発生した場合、備蓄品は都の職員に加え、支援協定を結ぶトラック協会の方々によって運び出すことになります。作業に伴う負担をあらかじめ可能な限り減らしておく必要があります。備蓄品のパレット積み化を進めるとともに、こん包の少量化、軽量化に向けてリパックを急ぐべきであります。
 都は今後、倉庫管理や物流などの専門的知見の導入を図り、備蓄倉庫の実用性を高めるべきと考えます。見解を求めます。
 加えて、区市町村の倉庫内に多くの都の備蓄品が保管されています。私が地元の足立区の倉庫を視察した際、区の担当職員は、都の備蓄品に関するリパックの見通しなどについて、何の情報も得られていないという点を大変危惧していました。
 都は今後、区市町村との情報交換を進め、設置主体の相違を超えて、都内全体の備蓄倉庫の機能性の向上を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都外から届く支援物資の搬送について伺います。
 被災時にあっては都内の道路事情は混乱し、大型車両で避難所まで運ぶのは困難です。打開策としては、都県境に近く、しかも高速道路の出口に近い大手運送会社のターミナル施設などを活用し、小型車両への積みかえを図る方法があります。積みかえ拠点の選定を含め、都は、関係自治体や民間企業との協議に取りかかるべきであります。見解を求めます。
 また、積みかえ後の搬送には、トラック協会に所属する中小運送会社の協力が不可欠であります。災害時に円滑に積みかえができるよう、新たに選定される積みかえ拠点で訓練を重ね、あらかじめ課題を把握し、その解決を図っておくべきであります。見解を求めます。
 次いで、経済的に困窮する生活からの立て直しについて、二点質問します。
 まず、居住の安定です。
 子育てには一定の広さを必要としますが、都内で安い家賃で広めの物件を確保することは難しく、都営住宅に入居しやすくするための工夫が必要です。まずは収入基準などの入居要件を、子育て中の世帯の実態に合わせ改善すべきと考えます。加えて、現在、都営住宅では年二回、若年ファミリー向けの優先入居の募集を行っていますが、新入学や引っ越しシーズンなどの需要が高まる時期に入居できるとは限りません。
 今後は、随時適時の募集に切りかえるなど、募集回数をふやすべきであります。あわせて見解を求めます。
 次いで、進学支援であります。
 親の経済力に左右されない教育の機会の保障は、貧困の連鎖を断ち切る上で大事な取り組みです。既に都は生活保護受給世帯に対し、高校進学に要する塾代や受験料、高校での学習継続に要する塾代を支給しています。しかし、保護世帯では利用できない受験生チャレンジ支援貸付事業に比べると限度額に差があり、しかも、大学受験料が対象外になっています。我が党が昨年十二月の第四回定例会の代表質問で取り上げたこの課題に関し、都は今後、具体的にどう改善を図るのか見解を求めます。
 次に、病児保育について質問します。
 病児保育の推進は福祉保健局の所管でありますが、都みずからの率先垂範も重要であります。そこで私は、一昨年の予算特別委員会と昨年の厚生委員会で、都立病院と公社病院での病児保育の実施を求め、質疑いたしました。
 とりわけ東部地域病院は、病院が立地する葛飾区と足立区との区境に存在しており、両区の公明党はともに、同病院を活用した病児保育の実現に向け、それぞれの区長に対し具体的な推進を申し入れしています。
 病児保育は喫緊の課題であります。病院経営本部は取り組みを加速し、病児保育の円滑な実施に努めるべきであります。見解を求めます。
 次に、旗ざお地の規制について質問します。
 足立区では、四メートル以下の狭隘道路の奥に空地が広がる旗ざお地内に大規模な長屋住宅を建設する事例を初め、安全性の確保が懸念される長屋計画が、竹ノ塚駅近くなど数カ所で相次いでおり、問題になっています。
 旗ざお地では原則、共同住宅や寄宿舎の建設は禁止されていますが、個々の住戸の玄関が直接に二メートル以上の通路に接する長屋形式であれば、戸数制限はあるものの建設が認められています。
 問題は、都が平成五年及び十二年に建築安全条例を改正し、準耐火建築物の木造の長屋を戸数制限の対象外とした点にあります。木密地域に限らず、二メートルほどの狭隘通路では消火活動が困難であります。壁が準耐火材であっても、長く炎の熱を浴びれば窓などが壊れ、そこから室内の可燃物に燃え移ります。戸数が増すほど延焼の危険も消火活動の困難も増してきます。
 そのため、足立区議会は全会一致で意見書を決議し、都の規制強化を求めています。同様の事例に苦慮する世田谷区では、建築基準法に基づかない独自の条例を設けて、一戸当たりの面積要件やセットバックを促しています。足立区も同趣旨の基準を要綱に取りまとめ、今月から指導を開始しており、年内には条例化を目指すとのことであります。
 さらに、足立区の調査では、現時点で判明しているだけでも、同様の問題を抱える区は既に六区あり、同じ問題意識を抱く区がほかに六区もあります。しかし、区が単独の自治条例で設ける面積要件などの制限に従うとしても、直接、戸数を制限できないので、広い空地への大量の長屋の建設計画は阻止できません。
 また、区が直接戸数制限や通路幅員の強化を試みることは、都条例に矛盾抵触するおそれがあり、条例化になじみません。無理に強行しても、建築確認と連動しない条例であるため、従わない事業者の確認申請などを拒めない状況になります。
 平成五年、十二年の改正には、塩漬け空地の開発を促すという意味で一定の効果があったと考えますが、防火、防災という課題に直面し、責任を負うのは地元自治体であります。規制の強化を必要とする自治体の取り組みが効果を上げられるように、都条例を改正するべきであります。都技監の見解を求めます。
 都の改良土施設を活用した高台公園について質問します。
 足立区中川に立地する通称土づくりの里は、都内区部の下水道工事に伴う掘削土を仮置きし、液状化しにくい土壌に改良してから埋め戻す役割にあります。しかし、地元にとっては暫定だから認めてきただけの、土ぼこりが絶えず大型車両の出入りも続く迷惑施設であります。私も再三、一日も早い迷惑状態の改善を求めてまいりました。
 下水道局は、平成二十五年の九月、土づくりの里の恒常的な運用を打ち出すとともに、四ヘクタールもの施設を覆って、上部を都市公園化する方針を示しました。周辺の町会、自治会から構成される協議会で検討が進む中、平成二十七年五月、土づくりの里の直接の地元である大谷田東町会は総会を開き、地元要望への善処を条件に覆蓋化案の受け入れを決議しました。
 同施設の操業開始は昭和六十三年、平成十七年に前任都議から対応を引き継いだ私としても、大所高所に立って決断を下された地元町会に敬意を表したい気持ちでいっぱいです。覆蓋公園が完成すれば中川水再生センターの上部の屋上公園と合わせて、水害に強い、約八ヘクタールもの高台公園が出現します。
 今後、覆蓋の体整備を担う下水道局と覆蓋上部の公園整備を担う建設局は、地元要望に真摯に対処するべきです。また、既存の屋上公園に存在している突起状のトップライトは、これを機に除去するべきと考えます。
 加えて、周囲にスロープやエレベーターを整備するなどして、周辺住民の高台公園への円滑なアクセスや、平地である中川公園B地区との一体的利用を実現するべきと考えます。下水道局、建設局、それぞれの見解を求めます。
 最後に、都バスの安心対策について伺います。
 昨今、センサーで障害物を察知して、事故の回避を図る自動ブレーキなどの開発が進んでいます。既に乗用車では実用化され、大型の貨物輸送車でも進む予定となっています。しかし、都バスの乗客は着席していてもシートベルトはしておらず、つり革などに立って乗車する利用者も多くいます。障害物を感知するごとに急ブレーキがかかるようであれば、かえって事故がふえることにつながりかねません。
 都は、ヒューマンエラーを防ぐための取り組みの一環として、都バス車両において、東京の道路事情やバス事業の特性に適した都独自の安全対策を、最新の技術革新を踏まえて導入すべきと考えますが、見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中山信行議員の一般質問にお答えをさせていただきます。
 知的障害者の都外の施設についてのご質問がございました。
 東京都外にある障害者の入所施設は、在宅福祉サービスが十分ではなくて、都内での土地確保が難しかった昭和四十年代から平成の初めにかけて整備をされてまいりました。
 これらの都外施設は、入所による支援を必要とする約三千人の障害者に、安定した生活の場を提供するという大きな役割を担っております。
 今後とも、利用者に質の高いサービスを提供いたしまして、安定した運営ができるように、都外施設を支援してまいりたいと考えております。
 その他、残余の質問につきましては、技監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都営住宅での子育て世帯への支援についてでございます。
 人口減少社会に向かう中、安心して子供を産み育てることができ、子供たちが健やかに成長できる環境を整えることは重要でございます。
 このため、子供の成長とともに教育費の家計負担が重くなることを勘案し、入居する世帯の収入基準を緩和する要件について、同居する子供の年齢を、現在の小学校就学前までから引き上げることを検討してまいります。
 また、居住者の転出入に際して、それに要する期間を圧縮することなどにより、これまで以上にストックを有効活用することで、募集回数の増加や募集戸数の拡大を図り、子育て世帯を対象とした都営住宅への入居機会の一層の充実に取り組んでまいります。
 次に、大規模長屋についてでございます。
 平成二十三年度に世田谷区で起きた紛争を契機として、大規模長屋に係る規制のあり方について、都と特別区とで協議がなされてございます。
 当時、地域により状況が異なることや、独自の条例を制定した区では事態の鎮静化が見られたこともあって、引き続き特別区間で情報交換や検討を行っていくことが、特別区の副区長会で確認されてございます。
 今般、一部の区で再び紛争などが起きていることから、都は、区や市の建築主管部課長会に対して、大規模長屋に関する見解の取りまとめを依頼したところでございます。
 都は引き続き、区市と連携し状況把握に努めるとともに、その見解も踏まえて規制のあり方について検討してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都外施設入所者の地域移行についてでありますが、都は現在、三カ所の都外入所施設に地域移行促進コーディネーターを配置し、入所者の希望を把握いたしますとともに、グループホームでの生活体験の機会を提供するなど、地域移行を支援しております。
 今年度は、施設入所者やその家族に対しまして、地域移行について具体的な意向を把握するための調査を実施いたしました。その結果を踏まえまして、来年度から、都外施設入所者が都内のグループホームに移行した場合に行っている受入れ先への支援について、都外施設周辺に移行した場合にも拡大することといたしました。
 今後とも、都外施設入所者やその家族の希望を十分に踏まえながら、地域生活への移行を積極的に支援してまいります。
 次に、備蓄物資の保管についてでありますが、都は現在、二十一カ所の備蓄倉庫を設置し、アルファ化米、クラッカー等の食料や、毛布、敷物、紙おむつ、生理用品等の生活必需品を備蓄しております。こうした備蓄物資を災害時に効率的に搬出できるよう、食料品につきましては、賞味期限に合わせてパレットを利用した保管方法へ変更するとともに、備蓄倉庫へのハンドリフトの配備を順次進めております。
 一方、お話のように毛布、敷物については、個々のこん包が大きい、使用期限の定めがないため、こん包の状態が古いなどの課題がございます。そのため、今後、物流事業者など関係機関の助言も得ながら、再こん包など、備蓄物資の保管方法等の検討を進めてまいります。
 次に、備蓄倉庫の機能向上についてでありますが、都は、二十一カ所の備蓄倉庫に加え、都内全ての区市町村との寄託契約に基づき、区市町村設置の備蓄倉庫六百七十九カ所に、都が購入した物資を備蓄しております。寄託している備蓄物資のうち、毛布、敷物の保管状況につきましては都の倉庫と同様の課題があることから、区市町村と意見交換を行い、保管方法の検討を進めてまいります。
 また、毎年、区市町村や関係機関と実施している訓練を通じ、備蓄倉庫の機能向上に向け、随時必要な検証や見直しを行ってまいります。
 最後に、生活保護世帯の子供の進学支援についてでありますが、都は現在、生活保護世帯の中学生、高校生の学習を支援するため、学習塾等の費用助成を行う区市に対し、包括補助で独自に支援をしております。
 来年度は、受験を控えた中学三年生及び高校三年生に対する補助上限額を、これまでの十五万円から二十万円に引き上げますとともに、高校三年生に対し、八万円を上限に大学等の受験料の補助を開始いたします。
 また、現在、高校生に対して包括補助を活用した学習支援を行っている自治体が一区一市にとどまっていることから、説明会や課長会などさまざまな機会を捉えて区市に働きかけるなど、生活保護世帯の子供たちの進学を支援してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 多摩障害者スポーツセンターの改修についてでございます。
 平成二十六年に策定いたしました改修計画では、利用者ニーズ調査に基づきまして、老朽化対策、利便性向上、競技力向上の三つの方針を定め、施設の機能向上を実現することにより、障害者スポーツの一層の振興を図ることといたしております。
 現在、この方針に沿ってスポーツ器具庫の設置による運動スペースの拡大や、障害のある方の移動に配慮したサウンドテーブルテニス室の移設、車椅子駐車場の通路部への屋根の設置、家族更衣室や宿泊室の間取りの改善などを実施設計の中で検討をしているところでございます。
 今後は、工事の概要を都民に公開していくほか、定期的に開催している利用者懇談会などの場を活用いたしまして、工事に係る情報提供や意見聴取を行い、利用者ニーズにかなった施設となるよう改修に取り組んでまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、支援物資の積みかえ拠点についてですが、昨年四月の熊本地震では、県の地域防災計画で位置づけられていた施設が被災により使用できなかったことから、県外に所在する民間の流通センターを活用し、物資の受け入れや各市町村、避難所への配送を行ったということがございました。
 これを踏まえ、昨年十二月に国のワーキンググループが公表した報告では、拠点設置に当たり、近隣都道府県等も含めた広域的視点の必要性や、国が物流事業者の拠点をリスト化すべきことなどに言及しております。
 都としても、ご指摘の点も含め、物資輸送の実効性を高める検討は非常に重要であると認識しております。民間施設の活用は、通常物流との兼ね合いなどの課題もあるため、国の検討を注視しつつ、各事業者や近隣自治体、区市町村等と緊密に連携し取り組んでまいります。
 次に、訓練を通じた物資輸送の円滑化についてですが、災害対応力を強化するためには、訓練により課題を洗い出し、その解決策を検討し、そして次の訓練に反映させる継続的な取り組みが不可欠でございます。
 こうした認識のもと、例えば、都の拠点での支援物資の荷さばきや区市町村への輸送訓練では、事前、事後に民間物流事業者等と意見交換を行うことで、課題や問題意識を共有するとともに、拠点施設内の動線や物資の搬出手段の変更などの改善を図ってまいりました。
 今後とも、拠点施設のあり方を初め、円滑な物資輸送体制の構築に向けた検討を不断に行うとともに、その結果を踏まえ、訓練における会場や参加者などの条件設定が、より実際の災害に即し、課題の解決につながるものとなるよう、創意工夫を重ねてまいります。
〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕

○病院経営本部長(内藤淳君) 東部地域病院における病児保育についてでございますが、その実施に当たっては、病院が所在する葛飾区に加え、隣接する足立区からも要望があることから、複数区の児童を受け入れる広域利用という手法が必要であると認識しております。
 現在、都側におきましては、病院内における保育室の設置場所や病児保育を医療面からサポートする小児科の診療体制等について検討するとともに、広域利用の円滑な実施に向けて、既に両区を交えた協議の場を設置いたしました。
 一方、事業規模や利用方法に係る取り決め、地区医師会との協議など、関係する両区において対応すべきさまざまな課題もございます。
 今後、両区における調整状況を踏まえつつ、病児保育の早期実施に向けた準備を進め、働きながら安心して子育てができる環境づくりに貢献してまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 土づくりの里の覆蓋化に向けた取り組みについてでございますが、下水道局では、昭和六十三年に土づくりの里を運用開始して以来、土ぼこり対策や交通誘導員の配置、施設見学会の開催など、地元に受け入れていただける施設となるよう取り組んでまいりました。
 現在は、足立区が主体となり設置され、当局もオブザーバーとして参加している中川公園整備検討協議会において、公園となる覆蓋上部の利用方法などについて、地元の要望が取りまとめられているところでございます。
 今後とも、議員ご指摘の、以前からいただいているトップライトの撤去などのご要望も踏まえ、建設局、足立区等と連携を図りながら、覆蓋の設計に取り組んでまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 中川公園の整備についてでございますが、本公園は、下水道施設と重複して決定された面積約二十七・六ヘクタールの都市計画公園でございまして、現在、中川水再生センター上部を含む約十二ヘクタールを開園しております。
 都はこれまで、子供の遊びや運動に利用される広場のほか、震災時の避難場所としての機能を向上させるため、非常用照明やマンホールトイレ等を整備してまいりました。
 今後、覆蓋化される土づくりの里の上部を公園として整備することとしており、その整備計画の策定に当たりましては、区が主体となった協議会が取りまとめる地元からの要望を受けまして、覆蓋上部の公園へのアクセス向上などの検討を進めてまいります。
 引き続き、下水道局や地元区等と緊密に連携して、中川公園の整備に取り組んでまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 都営バスのハード面を含む安全対策についてでございますが、安全の確保には、乗務員みずからが安全について考え、常に基本動作を徹底することが重要でございます。このため、都営バスでは、ドライブレコーダーの画像などを活用した安全研修や乗務員同士が安全について考えるグループ討議など、乗務員に対する安全教育の充実を図っております。
 その上で、車両の安全対策といたしまして、雨でも曇らない熱線式サイドミラーや左折時警報装置を導入しております。また、現在、都内の厳しい走行環境の中で、人や自転車等の接近を検知するセンサーの実証実験を行っておりまして、来年度からの導入を目指しております。さらに、メーカーに対し、路線バス用の衝突被害軽減システムを開発するよう働きかけてございます。
 今後とも、ソフト、ハード両面から、都営バスの安全対策に積極的に取り組んでまいります。

○副議長(小磯善彦君) 三番大門さちえさん
〔三番大門さちえ君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○三番(大門さちえ君) 子供の歩行中の交通事故について伺います。
 過去五年間の歩行中の交通事故ですが、七歳児が突出して多いという新聞記事がありました。小学校入学とともに子供の外出がふえ、中でも遊戯中や訪問中などの登下校以外での交通事故が多いです。七歳を過ぎると子供自身も経験の中で危険を学んでいくため、年齢の上昇とともに、歩行中の事故の件数も減っていきます。
 この七歳のピークを小さくするには、小学校に入学してからではなく、小学校に入学するまでに交通安全指導を積み重ねることが重要と考えます。幼稚園のころから保護者と一緒に近所の危険な場所の確認をしたり、安全確認の習慣を身につけることが重要です。
 都では、入学前の子供の安全教育についてどのような取り組みを行っているのか伺います。
 また、子供は興味のあるものに目を奪われやすく、例えば、かわいい小犬がいたら、小犬ばかりを見てしまうこともあります。危険を認識する力も乏しく、突拍子もない行動をしたりします。左右の安全を確認してから道を渡るように教えても、道を渡りながら左右の安全を確認したり、うっかり確認を忘れてしまって道を渡り終えてから安全確認をしたりすることもあります。
 そういった子供の習性から、子供の安全教育は重要ですが、それだけで歩行中の事故を防ぐのは難しいです。大人の側も子供の動きに注意した安全の心がけ、安全な環境づくりをしなければなりません。
 例えば、現在都が進めている無電柱化も道路の見通しをよくし、事故の減少につなげるのに有効です。
 これまで警視庁では、子供の交通事故防止のためにさまざまな対策、取り締まりなどを実施してきたと思いますが、小学一年生を筆頭とする子供たちの交通事故防止をより一層推進していくために、初心者や高齢者ドライバー、保護者、学校関係者に対する指導教養に積極的に取り組むとともに、区域を定めて、時速三十キロの速度規制やその他の安全対策を組み合わせ、歩行者の安全な通行を確保するゾーン三十の整備や、歩車分離式信号機の整備などの歩行者安全確認のための対策を拡充していくべきと考えますが、警視総監のご見解を伺います。
 次は、学童クラブについて伺います。
 共働き世帯の増加により、保育園の希望者が増加し、都では待機児童の問題がなかなか解消しない状態となっていますが、子供の放課後の安心・安全指導を求め、学童クラブの登録児童数も年々増加し、学童クラブにおいても待機児童がいます。学童クラブの待機児童を減少させるために、民間業者の参入を促したいところですが、民間が参入しやすくするためには、運営費の補助の増額が必要です。
 現在、学童クラブの運営費は、基準額の三分の一ずつを国、都、区で負担しています。一見、区の負担は三分の一しかないように見えますが、現実は、基準額が低いため、基準額を超えた運営費は区の負担となります。例えば、私の地元の新宿区では、国と都が合わせて全体の三割を負担し、残りの七割を区が負担しているような感じとなってしまっています。新宿区は都心なので、家賃など、かかる経費が高いので、特にこのようないびつな状態になってしまっているのではないかと考えられます。
 都としても、国に対し、学童クラブの運営費の基準額の引き上げを求めているとのことですが、引き続き引き上げを要望するように求めます。
 また、現在、学童クラブに子供が通っている保護者からは、学童クラブの時間延長のニーズがあります。夜七時以降までの時間延長のニーズは高く、働く保護者の子供が放課後を安全・安心に過ごすためにも学童クラブの時間延長が必要と考えます。
 この時間延長のニーズに対応するための都の取り組みを伺います。
 次に、高齢者のための地域サロンについて伺います。
 二〇一〇年の国勢調査では、東京二十三区のひとり暮らし世帯の割合は四九・一%に上り、夫婦と子供の世帯の二一・五%の二倍を超えています。中でも私の住む新宿区のひとり暮らし世帯の割合は六二・六%と、二十三区で一番高い割合です。
 ひとり暮らしをしているのは若い世代ばかりではなく、六十五歳以上の高齢者に占めるひとり暮らしの割合も、二十三区平均で二六%、新宿区は三三・七%と多いです。新宿区にひとり暮らしが多いのは、ワンルームマンションが多いことと、都心で飲食店やコンビニなど、ひとり暮らしに便利な環境が整っていることが大きな理由と思われます。
 ひとり暮らしは気ままで気軽ではありますが、仕事などで人に会う機会が減る定年退職後の世代になりますと、家で引きこもってしまいがちになり、何日も外に出ずに誰とも話していないという高齢者も少なくないようです。
 地域のお医者さんの話によりますと、何日も人と会わずにしゃべっていない高齢者が診療に見えて、最初は声が思うように出ずに、自分の病状の説明がうまくできない人もいるようです。診療が終わるころにやっと話すのになれてきて、普通に声が出るのだそうです。
 話すということはストレス解消にもなりますし、また、人とコミュニケーションをとることにより、連帯感を感じ、安心したりします。昔は病院の待合室がおしゃべりの場となり、最近、何々さんが来ないわね、あら、調子が悪いのかしらという笑い話もありました。歩いて気軽に行ける場所に集まって、井戸端会議のようなおしゃべりやゲームなどができる場が必要と考えます。
 人生七十古来まれなりといっていたのが、人生九十年の時代となりました。一世代分寿命が延びた分、今、老後の生活資金に不安を感じる高齢者も多いです。お金が余りかからずに、高齢者が地域の中で楽しみながら安心して暮らせるような、さまざまな生活資源を活用した、気軽に集えるサロンをふやしていくべきと考えますが、都の取り組みを伺います。
 次は、交通について伺います。
 世間では、人口減少社会の到来と叫ばれています。東京も例外ではなく、今は他県からの流入により人口が増加していますが、二〇二五年以降は、東京の人口も減少していくと予測されています。
 また、人口の減少より先に、高齢化による労働者人口の減少が始まるといわれ、労働者が減れば税収も減ります。東京も徐々にダウンサイジングできる箇所の目星をつけて、来るべきときに備えて、準備は行うべきと考えます。
 例えば、交通局ですと、バス事業の管理の委託は、所有車両数基準で見てみますと現在は全体に対する管理の委託規模が一七%です。委託の限度は全体の三分の二である六六%ですので、あと四九%の車両数の委託が可能であります。
 また、総務省は、平成二十八年度決算から、ほぼ全ての公営企業に対し詳細な経営情報の開示を求める方針です。その上で、存続や経営改善の難しい事業については、廃止や民間売却などを促すなど、集中的に改革を進める姿勢です。
 こうした中、都営交通は、地下鉄事業は多額の累積欠損金を抱え、バスや都電、日暮里・舎人ライナーは、平成二十九年度予算も赤字を見込むなどの状態です。今後の経営の見通しを明らかにするなど、都営交通における経営情報のさらなる公表が必要となると思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、女性の起業、創業について伺います。
 政府は、女性の輝く社会という目標を掲げています。女性が女性目線でビジネスを行うことは、今までにない新たな商品開発につながりやすく、ビジネスの多様化、そして消費者にとっても選択肢が広がることにより、より生活が便利で充実したものになることと思われます。
 このように、女性のビジネスでの活躍が期待されている一方、女性の起業は少数にとどまっています。女性の起業が少ないのは、さまざまな要因が考えられますが、お手本となる女性起業家が少ないというのも、その原因の一つと考えられます。
 都は、女性ベンチャー成長促進事業として、新規に一億六千八百万円の予算を投じ、女性ベンチャーのモデルケースの輩出を計画されていますが、どのようにやっていただけるのでしょうか、伺います。
 全国規模、さらには国際規模にまで事業拡大できるような女性起業家の輩出を目指されていますが、多くの女性の励みとなるよう、成功していただきたいです。
 女性の起業は、飲食店やネットも含む小売店が多いと聞きます。生活に密着した事業だからやりやすいという面もありますが、女性は男性に比べ、ビジネス上の人脈が少ない人も多いと思いますので、不特定多数を相手とした業種を選ぶようにも思われます。
 私自身も十年前に税理士事務所を開業しましたが、女子校出身のため、学生時代の友人、知人には専業主婦も少なくなく、また、働いていても企業の事務職が多いため、直接税理士事務所の売り上げにつながるような人脈が少なかった面で苦労しました。
 ビジネスにつながる新たな人脈を求めて、異業種交流会などの集まりに出向いたことがありますが、女性用とうたっているものの多くは、同じようにビジネス上の人脈の乏しい女性の参加が多いので、今後のビジネス取引につながるような出会いがほとんどありませんでした。十年前に比べたら、今はネットの発達で人脈がつくりやすくなった部分もあるかと思いますが、都の支援では、この人脈づくりについてどのようなサポートを行っているのか伺います。
 女性はその身体の特性上、ビジネスと結婚、出産、育児との両立という問題を切り離して考えることはできません。
 私は、税理士と行政書士の資格を持っているので、税理士や行政書士として独立開業している女性が身近に多いです。彼女たちの出産、育児の悩みといえば、まず、自分自身が仕事を休めないことです。会社員のように雇用が守られ、産休や育児休暇がもらえるわけではありません。
 それにもかかわらず、女性の自営というと、一日中家の中にいて、パソコンで仕事をしているというイメージがあるようで、保育園の申し込みをしても、あなたは自宅で自分で育児できますねといわれ、点数の加算対象とならず、待機児童になりやすいです。認可外保育もあきがありません。一人で経営している個人事務所といっても、外回りもありますし、急な来客や急な立ち会いなどもあります。赤ちゃんを連れて仕事をすることは難しいです。
 私には子供がいないのですが、赤ちゃんができたら仕事をやめてしまうかもしれない若い女性の税理士に、大事な会社の経理は任せられないといわれて、顧問契約をしてもらえなかったこともありました。
 女性の起業を促進していくのでしたら、子育ての問題もあわせて考えていかなければなりません。知事の見解を伺います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 大門さちえ議員の一般質問にお答えいたします。
 最後のご質問で、働く女性のための子育て支援について、私からお答えをさせていただきます。
 東京で働く女性の活躍を後押しするためには、誰もが働きながら、地域で安心して子育てもできる、そのような環境を整えていくことが必要だと考えております。
 そのため、まず私は、待機児童問題を都政の最重要課題の一つに位置づけました。そして、二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、平成三十一年度末までに保育サービスを七万人拡充いたしまして、待機児童を解消する目標を掲げたところでございます。保育サービスの七万人分拡充ということは、七万人分の多くの女性が働く機会を確保できるというふうにいいかえてよろしいかと思います。
 来年度は、二十三区内で保育所用地を有償で貸し付ける場合に、固定資産税、都市計画税を十割減免する税制支援や、企業主導型保育施設の開設費用への支援、そして、預かり保育を進める私立幼稚園への支援の拡充など、新たな取り組みを展開してまいります。
 女性が持てる能力を遺憾なく発揮し、生き生きと活躍できる社会を実現するために、今後とも区市町村と連携いたしながら、子育て施策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 残余のご質問につきましては、警視総監、そして、関係局長よりご答弁させていただきます。
〔警視総監沖田芳樹君登壇〕

○警視総監(沖田芳樹君) 子供の交通事故防止対策についてですが、子供自身への交通安全教育に加え、ドライバーに対しては、交通安全講習会や街頭指導等の機会を通じて、子供は死角に隠れやすく視野が狭いことなどについて注意喚起を行っているところです。
 また、運転免許の更新時講習においても、視聴覚教材を活用するなどして、実際の交通事故事例をもとに、子供の行動の特性を踏まえた内容にいたしております。
 さらに、学校に対しては、東京都教育委員会等を通じて、子供の交通事故の発生状況や特徴、交通事故防止のため注意すべきポイントなどについて情報提供を行っているほか、保護者に対しては、保護者会などの機会を通じて、ご家庭での交通安全教育をお願いしているところです。
 次にゾーン三十についてですが、平成二十七年度末時点で二百十三区域を整備し、平成二十八年度は四十七区域を整備しております。
 また、歩車分離式信号機については、平成二十七年度末時点で千四百五十三カ所を整備し、二十八年度は五十四カ所を整備しております。
 今後とも、ドライバー等に対する交通安全教育を初め、通学路における指導取り締まり、保護者、学校に対する情報提供や、ゾーン三十、歩車分離式信号機のさらなる整備に向け、総合的に取り組んでまいります。
〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 子供の交通安全教育の取り組みについてですが、子供は、小学校入学を機に単独行動が多くなるなど、交通事故に遭う危険性が高まることから、入学前の子供に安全に関する知識等を習得させることが重要でございます。
 都はこれまでも、子供の交通事故に関する地図情報のウエブ発信や、交通安全運動を通じた啓発等により、子供の交通安全に取り組んでまいりました。さらに来年度からは、子供に危険を回避する力を身につけさせるため、親子で地域の安全点検事業を開始し、入学前の子供と保護者に交通ルール等を学んでもらうほか、親子で地域を歩き、交通事故等の危険性が高い箇所を確認する取り組みを行うこととしております。
 本事業をまず複数の区市でモデル的に実施し、その成果を踏まえ、各自治体へ普及を図っていくことで、子供を交通事故から守る取り組みをより一層推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、学童クラブについてでありますが、都はこれまで、学童クラブの時間延長のニーズに対応するため、午後七時以降まで開所する場合、都独自に整備費の補助率を引き上げ、区市町村の負担軽減を図ってまいりました。
 また、平成二十二年度に、民間事業者が運営するクラブを対象に、午後七時以降までの開所等を条件に運営費を補助する都型学童クラブ事業を開始し、平成二十九年二月末で二十の区市、二百八十五カ所となっております。
 現在、施設の新設や改築、小学校の余裕教室など、既存施設を利用する場合の改修に係る経費等についても補助を行っておりまして、今後とも学童クラブの整備や開所時間の延長に取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。
 次に、高齢者の地域交流の拠点、いわゆるサロンについてでありますが、都は商店街の空き店舗や公共施設等を活用し、在宅高齢者の閉じこもりを防ぎ、地域住民による見守り、支え合い活動等の拠点となるサロンや、医療機関と連携して、認知症の方とその家族に介護や医療に関する情報提供や相談を行う、認知症カフェなどを設置する区市町村を、包括補助により支援しております。
 また、地域の生活支援サービスを充実するために、区市町村が配置するコーディネーターを対象に、研修や情報交換会を開催し、住民が主体となった地域交流拠点の設置を進める手法や支援事例などを紹介しております。
 今後とも、地域の特性に応じて、地域交流の拠点を整備する区市町村を支援してまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 都営交通における経営情報の公表についてでございますが、交通局ではこれまでも、局を取り巻く事業環境や中長期的な見通しを踏まえまして、三年ごとに経営計画を策定し、公表するとともに、計画の進捗状況や経営実態を示す財務諸表等について、ホームページなどで積極的に発信してまいりました。
 さらに、経営の透明性を一層高めていく観点から、経営の健全性、効率性の指標を他都市と比較して示すほか、地下鉄、バスの路線別収支状況を初めて公表するなど、詳細な経営実態の見える化を図っております。また、今後の需要予測や施設整備の更新等を踏まえました十年先までの事業別収支見通しにつきましても、年度内に公表してまいります。
 今後とも、事業運営の効率性や安全サービスへの投資など、経営の実態を公表することによりまして、都民やお客様に信頼され、支持される都営交通を目指してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、女性ベンチャー成長促進事業についてでございますが、女性が個性や能力、ライフスタイルに応じて多様な起業の形態を選択できるようにするためには、身近な創業を後押しすることに加え、海外展開や大きな成長を目指す女性起業家のロールモデルを創出することが重要でございます。
 このため、都は来年度、創業初期からスケールアップを目指す女性起業家の支援に着手をいたします。
 具体的には、成長可能性の高い女性起業家二十名程度に対し、事業展開に必要な助言を行うメンターを配置し、集中的な育成プログラムを実施いたします。このうち十名を選抜し、海外派遣を行い、海外企業や投資家等とのネットワーク構築を後押しいたしますとともに、修了後は、その成果を広く発信してまいります。こうした取り組みによって、多くの成功事例を生み出し、多様な女性起業家の輩出と成長を促してまいります。
 次に、女性の起業における人脈づくりの支援についてでございますが、女性の起業を促進する上では、経営者としてのノウハウや家庭との両立など、身近に相談できる体制づくりとともに、起業後の事業展開に必要となるネットワーク形成への支援が必要でございます。
 都は、ことし一月に開設いたしましたTOKYO創業ステーションにおきまして、女性起業ゼミの修了生と先輩起業家等との交流会を実施し、情報や意見交換の場を設けるなど、創業期の女性をサポートしております。
 今後は、こうしたコミュニティ形成に加え、資金提供や販路開拓、事業提携等の事業拡大につながるパートナーづくりを後押しするため、大企業や投資家との交流会を数多く開催し、女性の積極的な参加を促してまいります。こうした取り組みにより、起業を行う環境の向上を図り、多くの女性起業家の輩出を目指してまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十七分休憩

   午後六時開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十六番今村るか君
〔七十六番今村るか君登壇〕

○七十六番(今村るか君) 命を守ることと、守ることのできなかった命に目を向け、二度と繰り返さないために質問を行います。
 消防署とともに地域の防火、防災活動を支えている消防団は、町内会自治会、自主防災組織を指導し、災害時には署隊と連携し活動します。
 東京消防庁ハイパーレスキュー隊は、日本のみならず世界中の災害現場で活躍する災害救助のスペシャリストで、本年、エアハイパーレスキューも加わり、さらにその能力が強化されました。
 消防団も火災や災害時の対応能力の向上に努め、平素からさまざまな訓練を通じ、災害時対応力の向上に取り組んでいます。団活動は火災から大規模災害まで幅広く、東日本大震災では、活動中二百五十四名のとうとい命が失われたことは記憶に新しいところです。
 広範囲の大災害時、地域で真っ先に活動するのが消防団で、地域の防災のかなめとして、その役割に期待が寄せられています。
 その期待に応えるため、災害時に消防隊が到着できない状況でも高度な救助活動を行う仮称消防団ハイパーレスキュー隊の検討を要望しておきます。
 東京の災害対応力を高めるため、消防隊はもとより、多摩地域の消防団の救助技術を初め、災害時対応力の向上に東京消防庁は支援をすべきです。消防総監の見解を伺います。
 災害時に消防団員の身を守ることは最優先であり、そのための知識、経験とともに安全な装備の充実も重要です。昨年の糸魚川の大火で、地元消防団は強風下、長時間活動し、本件で負傷した全十七名のうち十五名が消防団員でした。
 東京消防庁は、特別区消防団に対し、新型防火服の更新、救命胴衣、デジタル無線の更新などに取り組む中、二年前に都内火災現場の崩落により消防団員二名が負傷する事故が発生したため、新年度、安全性の高い新型防火帽を更新することは高く評価をいたします。
 多摩・島しょ地域の消防団が安全に活動し、災害時対応力を高めるため、装備品、救助資材の充実は欠かすことができません。都はどのように支援をするのか、所見を伺います。
 昨年七月、障害者入所施設津久井やまゆり園で、障害者十九名が亡くなり、二十七名が負傷する殺傷事件が発生し、犯人は元職員で、障害者差別の意識を持って犯行に至ったとの報道に、社会は大きな衝撃を受けました。
 同年七月、都外施設の入所者、M・Sさんの保護者から、お子さんが行方不明になり、六日後に亡くなって発見されたと連絡がありました。
 局と連絡をとる中で気づいたことは、入所者が事故により亡くなって報告があっても、都の現地確認は迅速に行われず、有効な再発防止策がとられているかを都で適切に検証されているとはいいがたく、事故のフォローがしっかりとされていない状況でした。さらに、同施設で三年前にも同様の死亡事故があったことを都が把握していないこともわかりました。
 その後、文書質問で、障害者入所施設で過去十年間の死亡事故と入院事故について、発生件数と状況についてただしましたが、文書保存年限は通常一年のため、それ以前はわからないとの回答でした。
 また、文書が残っている二〇一五年四月から二〇一六年十一月までの間、死亡事故件数が七件、入院事故件数は五十件、私の調査によれば、先ほどの都外施設での三年前の死亡事故だけではなく、それ以前にも複数の施設で複数の死亡事故、入院事故が起きていることがわかりました。
 とうとい命が失われる事故報告が毎年繰り返され、一年で廃棄されています。過去の事故検証によってはM・Sさんのような同じ状況で命が失われる死亡事故は減らすことができたのではないかと悔やまれます。とうとい命が事故により二度と失われることのないように、施設の安全対策、事故防止にどのように取り組むのか伺います。
 なお、我が会派が求めた、知事が策定を約束した公文書管理条例制定時に命をたっとぶ取り扱いがされるよう要望をしておきます。
 都外施設は一九六〇年代から一九九〇年代に整備をされ、現在四十四施設、約三千人が生活をしています。都外施設では入所者の高齢化、親の高齢化、災害時連絡がとりにくい、施設の老朽化などの課題があります。
 私はこれまでも、障害の有無にかかわらず、全ての人がともに生きるインクルーシブ社会の実現を求めてきました。都は、第四期東京都障害福祉計画で、施設入所者の地域生活への移行を進めるとしています。二度目のパラリンピックを開催する東京で、障害者が遠く離れた施設で生活する現状に、北欧を初め海外から来られる方は驚くのではないでしょうか。障害があっても、家族や友人と安心し生活できる地域移行支援を一層促進すべきです。都の所見を伺います。
 矯正施設を退所した障害者、高齢者が地域で当たり前に生きる上で欠かすことのできない支援を、身寄りがなく受けることができない退所者のため、地域生活定着支援センターが設置をされ五年がたち、先日、視察をさせていただきました。
 高齢と障害を重複した退所者が多く、受け入れ先に矯正施設退所者だと話すと断られることがあるなど、苦労されている現状をお聞きしました。地域で安心して生活するには、本事業への理解促進、受け入れ先のアフターフォローを丁寧に行うなど必要です。
 一方で、国は本事業に係る補助金を昨年削減しています。都は国に対して十分な活動を保障する費用負担を求めるべきです。都の所見を伺います。
 障害があっても、一人一人の特性を生かし、伝統工芸など活躍の場は広げられます。栃木県足利市のこころみ農園では、障害のある方たちがブドウ栽培、収穫をし、保護者が設立をした有限会社で買い取られ、サミット晩さん会や国内線ファーストクラスで採用されるプレミアムなワインに生まれ変わることで有名です。
 町田市の美術工芸館では、市内在住の彫刻家、佐藤允了先生が型を作製し、障害のある方たちによって、えとの置物が制作されています。えとの置物は出生届を提出したお祝いとして配布をされる趣のある芸術作品です。
 また、町田市の大賀藕絲館では、二〇〇〇年以上前の古代ハスの実から発芽した大賀ハスの茎から抜き出した、クモの糸のような細い藕絲を紡いだ糸から藕絲織を作製しています。
 藕絲織は天平時代、當麻寺の中将姫が寄進されたと伝えられる當麻曼荼羅伝説などで知られています。気の遠くなるような作業を経て紡ぎ出される貴重な藕絲織は、日本でただ一つのものであります。
 こうした貴重で趣のある作品がもっと広く知れ渡ることで事業収益を高め、広く障害者の工賃に反映されることが必要です。
 小池知事が施政方針で述べられたように、ソーシャルファームの仕組みづくりを支援し、障害者が生き生きと働き、活躍できる社会を実現すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 知事は施政方針で、人こそが新しい東京の主役として、その力を十分に引き出すため、格差の解消を進められると述べられました。
 社会的養護のもとにある子供たちは親の養育を受けられず、最もその格差の解消に努めなければならない存在です。
 昨年四月、東京都社会的養護推進計画を策定、二〇二九年までに家庭的養護の割合を六割とする新たな目標を掲げました。社会的養護のもとにある約四千人の子供たちに対して、家庭的養護の割合は現在三割にとどまり、乳児院、養護施設への支援、養育家庭の育成、グループホーム、ファミリーホームの設置を推進すべきです。都の所見を伺います。
 国は二〇〇四年、児童福祉法改正で、政令で指定する市に児童相談所が設置できるといたしました。現在まで横須賀市、金沢市二市にとどまっています。
 そこで、来月の改正法施行で特別区も政令の指定を受け設置を可能にしました。今後五年間を目途に、新たに児童相談所を設置する自治体を支援するとしています。
 また、これに先立ち昨年十月、児童福祉司の配置基準を四万人に一人以上と改正しましたが、アメリカ二千人に一人、ドイツ九百人に一人と比べ、セーフティーネットの違いは歴然です。
 都の直近数値、二〇一五年度は六万四千人に一人となっており、二万二千人に一人の高知県とは三倍もの差があり、ここ数年全国最下位であります。
 一方、過去の児童相談所運営指針は、人口五十万人に最低一カ所で、これを当てはめると、最低東京は二十六カ所となりますが、現在十一カ所と指針の数に大きな開きがあります。
 先般、特別区長会から知事に児童相談所設置に向けたさまざまな支援の要請がありましたが、多摩地域の町田市を含む自治体も児童相談所の設置を目指すべきと考えています。
 都内で過去一年間に、A君三歳、Kちゃん六カ月、Yちゃん三カ月が虐待で亡くなっています。繰り返される悲劇をとめ、二度と虐待によって幼い命が失われないよう、知事、今こそ虐待死ゼロを掲げ、児童福祉司は法基準まで増員し、家庭的養護の早期目標達成に向けた施策の推進を図り、社会的養護のこれらおくれた現状を、市区町村と連携をし大改革すべきと考えますが、知事の所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 今村るか議員の一般質問にお答えをさせていただきます。
 まず、障害者が活躍できる社会の実現についてのお尋ねがございました。
 私は、障害者が社会の担い手として自信やプライドを持てる社会をつくっていきたい。そのためには、一人一人の能力や適性に応じまして、働き続けられる場を提供していくことは重要だと考えております。
 都はこれまで、就労面と生活面での支援を一体的に行う地域における拠点の設置や、福祉施設の生産性の向上を図る設備導入への補助などを行いまして、障害者の就労を支援してまいりました。
 また、ご存じのように昨年の九月には、障害者がつくる自主製品の魅力を発信するショップKURUMIRUを、ここ都庁に開設をしたものでございます。
 来年度は、新たにソーシャルファームの仕組みづくりを支援するために、福祉施設が企業のノウハウを活用して自主製品の開発や販路の拡大を行うなど、福祉施設と企業のCSR活動を結びつける、そんな取り組みを開始してまいります。
 また、ソーシャルファームの考え方に立って、障害者雇用の特色あるすぐれた取り組みを行う企業を表彰してまいります。
 女性も、男性も、子供も、高齢者も、障害者も、誰もが生き生きと活躍できる都市、ダイバーシティーの実現に向けまして、今後もさまざまな施策に取り組んでまいります。
 次に、社会的養護への取り組みについてのお尋ねでございます。
 東京には、さまざまな事情で親元では暮らせない約四千人の子供がおります。こうした子供たちの健やかな育ちを支えることが社会的養護の役割と考えております。
 都はこれまで、社会的養護の取り組みを進めるために、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。来年度は、児童福祉司を二十三人、児童心理司を十三人増員するなど、一層の強化を図ってまいります。
 また、家庭的養護を推進するために、養育家庭の登録の拡大やファミリーホーム、グループホームの設置を進めておりまして、来年度は里親交流支援員の配置など、乳児院の養育家庭などへの支援体制を強化してまいります。
 私は、社会的養護のもとにある子供たちもできるだけ家庭と同様の環境で養育されることが望ましいと考えます。こうした考え方のもとにおきまして、今後とも、児童相談所の一層の体制強化を図りながら、養育家庭を初めとした家庭的養護、これを柱に社会的養護の取り組みを進めてまいります。
 残余のご質問には、関係局長よりご答弁させていただきます。
〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 多摩地域の消防団への支援についてでありますが、東京消防庁では、多様化する災害や震災等の大規模災害に的確に対応するため、消防団と連携し、消防活動能力の向上を図ることが重要であると認識しております。
 このことから、多摩地域においても消防署と消防団が連携し、放水訓練、資器材取扱訓練、震災時等における倒壊家屋からの救出救助訓練などを積極的に推進しております。
 今後とも、消防署と消防団が連携した実戦的な訓練を充実し、地域の災害対応力の向上に努めてまいります。
〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 多摩・島しょ地域の消防団の支援についてですが、発災時の初期消火や救出救助活動など、地域に根差した消防団が担う役割は極めて重要であり、その活動強化に向けた多面的な取り組みが不可欠でございます。
 都はこれまで、消防訓練所の講習内容の充実や、団員確保のための広報活動に加え、多摩・島しょ地域の消防団に対し、救助救命用の資機材の充実や消防救急無線のデジタル化などに対する支援を実施してまいりました。
 さらに、消防団員の一層の安全を確保するため、今年度より、防火服を更新しようとする市町村に対し、その費用の補助を開始したところであり、来年度も引き続き実施してまいります。
 今後とも、市町村と連携し、消防団の活動を支援することで、多摩・島しょ地域の防災力向上に努めてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 障害者支援施設の安全対策についてでありますが、都は毎年、年度当初に、施設に対して、事故防止マニュアルの作成や職員研修の実施など、事故等防止対策の徹底を通知いたしますとともに、計画的に実地確認を行い、必要な運営指導を実施しております。
 また、相模原での事件を受けまして、防犯等の安全管理について、所管する全ての施設に対して緊急時の職員体制の整備や施設設備の点検などを徹底するよう通知をいたしました。
 来年度は、利用者の一層の安全確保を図るため、防犯カメラや警察等への非常通報装置などの整備を支援することとしており、今後とも、利用者が安心してサービス提供を受けられるよう、障害者支援施設の事故防止や防犯等の安全管理を徹底してまいります。
 次に、施設入所者の地域移行についてでありますが、都は、平成二十五年度末時点の施設入所者数の一二%以上が平成二十九年度末までに地域生活へ移行することを目標に、入所施設に地域移行促進コーディネーターを配置し、グループホームでの生活体験の場を提供するなど、地域移行を支援しております。
 また、整備費に対する特別助成のほか、借地料や定期借地権の一時金への補助などを実施し、グループホームや通所施設など、地域生活基盤の整備を促進しております。
 来年度は、都外施設から入所者を受け入れるグループホームに対し、入所施設との調整等の準備に要する経費を新たに補助するなど、支援を充実することとしており、今後とも、都外施設も含め、施設入所者の地域への移行を積極的に進めてまいります。
 次に、地域生活定着支援センターについてでありますが、センターは、矯正施設退所後、福祉的な支援を必要とする高齢者、障害者を対象に、入所中から退所後まで一貫した相談支援を行っており、平成二十三年の開設から昨年末までに、他道府県のセンターにつないだ方も含め約六百人を支援しております。
 こうした矯正施設退所者に対する社会復帰支援は基本的に国の役割であるにもかかわらず、昨年度から運営に係る補助金を国は減額したことから、都は国に対しまして必要な経費を全額負担するよう強く求めております。
 今後とも、対象者の地域定着に向け、区市町村等と連絡会を開催するとともに、社会福祉施設など関係機関との連携も強化し、センターの円滑な運営を図ってまいります。
 最後に、家庭的養護の推進についてでありますが、都は、家庭的養護を進めるため、民間団体を活用して養育家庭を支援するほか、グループホームやファミリーホームの開設準備経費や家賃を独自に補助してまいりました。
 今年度は、グループホーム、ファミリーホームの設置を促進するため、一法人が三カ所以上設置する場合の支援員に要する経費への補助を充実するとともに、賃貸物件を活用する際の改修経費等への補助を開始したところでございます。
 来年度は、乳児院の入所児を早期に養育家庭委託につなげるための里親との交流支援や、新生児のうちに養子縁組里親に委託できるよう、乳児院と児童相談所が連携しながら、実親や里親への支援を行う取り組みなどを開始することとしておりまして、養育家庭を初め、家庭的養護を一層推進してまいります。

○副議長(小磯善彦君) 十四番米倉春奈さん
〔十四番米倉春奈君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○十四番(米倉春奈君) 女性を中心とした働き方について質問します。
 大手広告代理店電通に勤める二十代の女性社員は、過重労働の末、一昨年のクリスマスの朝、人生も仕事も全てつらいです、お母さん、自分を責めないでね、最高のお母さんだからと母親にメールを残し、みずから命を断ちました。
 電通は、一九九一年にも入社二年目の男性社員が過労自殺をしています。反省も教訓も生かされず、再び未来ある若者の命が奪われました。知事は、今回の事件をどのように受けとめていますか。
 過労死や過労自殺者を二度と生み出さないために急がれているのは、長時間労働の厳格な規制です。厚生労働省は、その日の疲労がその日の睡眠で回復できる状態を維持するには、残業時間は月四十五時間までと結論づけています。
 しかし、政府が提案した働き方改革の内容は、残業時間の上限を月平均六十時間、年間七百二十時間などとする案であり、残業の限度を週十五時間、月四十五時間、年間三百六十時間と定めた大臣告示の二倍の残業を許容するもので、政府が長時間労働を容認する内容です。
 知事、国に対し長時間労働の規制は大臣告示の内容で法制化するよう求めていただきたいと考えますが、いかがですか。
 電通の被害女性の母親は、社員の命を犠牲にして業績を上げる企業が日本の発展をリードする優良企業といえるのでしょうか、命より大切な仕事はありませんと涙ながらに訴えています。
 大企業の本社が集中する東京都の知事として、知事の掲げるライフワークバランス実現のため、財界、大企業に対し、長時間過重労働の削減と大臣告示の積極的実践を要請するよう強く求めますが、いかがですか。
 過労死や長時間労働防止のために、労働基準法に違反する大企業には厳しい対応が必要です。電通での過労自殺問題の書類送検を受けて、既に滋賀県など四つの府県で電通の入札停止措置をとっています。
 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会も、一カ月の新規発注の停止を決めました。都の要綱では、違法行為等を行うことにより社会的信用を著しく失墜したと認める場合には、入札参加を停止にできるとしています。今後、電通が起訴された場合には、指名停止の措置をとるべきと思いますが、いかがですか。
 長時間労働とともに、非正規雇用の拡大も重大です。
 二〇一六年平均労働力調査によると、役員を除く雇用者に占める非正規雇用の割合は三七・五%と過去最高になりました。特に女性では、非正規雇用は二人に一人という状況です。
 今、国も都も、女性活躍推進を掲げています。しかし、非正規雇用の女性の一時間当たりの賃金は、男性正社員の四割にもなりません。最低賃金に近い賃金で働く人が多く、八時間働いても生活はぎりぎりです。
 知事、今の最低賃金は低過ぎると思いませんか。国と中央最低賃金審議会に対し、中小企業支援策と一体に、最低賃金を直ちに時給千円に引き上げること、さらに、早期に時給千五百円を実現するよう要請することを求めますが、いかがですか。
 希望する女性が、やりがいがあり人間らしく暮らせる賃金が支払われるディーセントな仕事で働けることが重要と考えますが、知事の認識を伺います。
 子育てとの両立支援や出産後の再就職支援を初め、さまざまな女性への支援が必要ですが、近年、新卒でも非正規で働く女性がふえる中、非正規シングルの女性が増加し、困難な状況に置かれている方も多いことがわかってきました。
 労働政策研究・研修機構の調査によると、三十五歳から四十四歳の非正規シングルの女性は二〇〇二年に十六万人でしたが、二〇一四年には五十二万人と三倍に上昇しています。平均賃金はフルタイムで働いても月に十八万九千円で、年齢が上がってもほぼ上昇しません。
 ある四十代の女性は、時給千円で一日八時間働いていますが、経営者の都合で週四日でいいといわれてしまいました。手取りは多くても十三万円、年末年始など休日が多い月には八万円くらいに減ってしまいます。親からの仕送りで何とか生活している、親に頼れなくなったら生活保護しかないと話しています。
 ほかの方々にも伺いましたが、毎日の生活が大変で、キャリアアップしたくても、時間的にも立場的にも仕事を休んで行けない、周囲には非正規だから時間に余裕があると見られている、けれど、無理な仕事の依頼でも断ると次がないので、自分の自由にはならない、いつも追い詰められている、子供がいる女性への支援は見かけるけれど、シングルの女性はどこに相談に行けばいいのかわからないと、つらさを語っていました。
 知事は、ダイバーシティー、年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、全ての都民が生き生きと活躍できる社会を実現していかなければならないと述べています。
 非正規シングル女性は、先ほど申し上げたような賃金面などでの困難や、男女格差などの問題を抱えています。さらに、結婚や出産していない女性への偏見にさらされたり、子供がいないことなどから親の介護の負担を当然視されやすいなど、社会的、心理的圧迫を受けやすい状況に置かれています。
 多様な生き方を尊重する社会へ、都としての社会風潮や制度の改革を推進することが重要ですが、知事の見解を伺います。
 女性の場合、一旦非正規で働き始めるとなかなか非正規から抜け出せないという問題は深刻です。新卒で非正規であっても、その後正規職につく割合は男性の方が高く、女性は正規になりづらいという調査結果もあります。
 都の非正規雇用の正規雇用化を促進する事業や、東京しごとセンターなどでの就労支援は、実績の集計を男女別に行い、それぞれの特徴を分析し、支援効果を高めるとともに、男女別の正規化の目標を持ち取り組むことが重要と考えますが、いかがですか。
 横浜市の男女共同参画推進協会などが行った非正規職シングル女性の実態調査でも、周囲に同じ立場の人がいないために孤独を感じている方が多く、交流できる場を求めていることが明らかになっています。
 親の介護、自分の将来や老後の不安に答える総合窓口や、生き方に合ったマネーセミナーなど、暮らしに役立つ講座や、同じ境遇の人と出会い、支え合える人間関係をつくれる居場所づくりが大切ですが、いかがですか。
 非正規シングル女性は近年ようやく光が当たりつつあります。男女平等の実現のためには、都として、こうした深刻でありながら埋もれている男女格差や女性の困難を掘り起こし、調査研究すること、新たな知見を発信し、啓発を強化していくことが必要ですが、いかがですか。
 次に、若い世代の住宅問題について質問します。
 若者、特に若い女性の住宅事情は大変深刻です。ある二十代の女性は、福祉関係の職場で契約職員として働いています。かつては都内で家賃月額十二万円の二DKの賃貸アパートを友人とルームシェアしていました。一人当たりの家賃は六万円で、家から職場までは三十分、家から最寄り駅までは人通りの多い商店街を通ることもできました。
 しかし、月の手取り収入は十五万円。家賃を払うと生活が成り立ちません。家族に経済的に支援をしてもらい、二つの仕事もかけ持ちしたりしましたが、とうとう限界を超え、結局、千葉の実態に戻り、二時間かけて職場に通わざるを得なくなりました。
 夜間が中心の仕事のため、帰宅時間は十一時過ぎになります。終電が早く終わるため、最寄り駅までたどり着けずタクシーで帰宅することもあります。
 こうした状況は特別ではありません。若い女性は、正社員でも手取り収入が十万円台後半という人が少なくありません。
 ところが、私の地元豊島区で調べましたが、国が定める面積二十五平米以上で、お風呂や台所がある最低居住面積水準を満たす部屋は家賃七万円から八万円台が大半です。家賃を払うと残りは十万円を切ってしまうケースが多く、最低限の生活すら切り崩さなければなりません。それが無理なら遠く離れた親元などから長時間かけて職場に通うしかないのです。
 住宅問題の研究者の調査では、民間賃貸住宅に住む単身女性の相対的貧困率は、家賃を払う前は二八%、家賃を払った後は三四%になるとされます。高い家賃が貧困に拍車をかけるのです。
 若者、特に女性の住まいの貧困な状況について、知事はどのように認識していますか。何とかしないといけないと思いませんか。
 住生活基本法では、低所得者を住宅の確保に特に配慮が必要な方として位置づけています。国交省の新たな住宅セーフティネット検討小委員会は、低所得の若年単身世帯を含む低額所得者等の住宅確保要配慮者についても、民間賃貸住宅に入居しようとする場合には、入居拒否や家賃負担等の問題が存在するといいます。
 都として、若年単身世帯を初めとした低額所得者を、住宅確保支援策の対象の中心の一つとして位置づけ、対策に取り組むことを求めるものですが、知事、いかがですか。
 そのためにも、都内の若者の居住の実態について、都として詳細な調査を行うことを求めるものですが、いかがですか。
 高額な家賃負担への支援が必要です。国は、新たに策定した住生活基本計画において、住宅確保要配慮者の増加に対応するために新たな仕組みを構築するとし、家賃助成も位置づけようとしています。都としても家賃助成を導入することを検討することを求めるものですが、いかがですか。
 住宅確保要配慮者のために、自治体と居住支援団体と不動産関係団体の三者が共同して支援するのが居住支援協議会です。都民の身近なところに居住支援協議会ができると助かります。
 しかし、区市町村の居住支援協議会は、昨年度末で五自治体にとどまっています。どのようにして都内の全ての区市町村で居住支援協議会を設立するのですか。都の決意と方策を伺います。
 低所得者の住まいの支援の柱となるべきなのが都営住宅ですが、新規建設は十七年間もストップしています。抑制政策を転換し、建てかえに伴って生まれた用地を活用するなどして、新規建設を再開すべきですが、いかがですか。
 都営住宅の収入基準、月額十五万八千円は、ほとんどの子育て世代には低過ぎて入れない額です。また、一旦入れたとしてもすぐに収入基準を超過し、家賃もはね上がってしまいます。
 公営住宅は、地方分権のもと、都道府県や市町村の単位で、運営する公営住宅の入居要件などを定めることが可能になりました。そのもとで、新婚世帯、子供が三人いる世帯、中学校卒業前までの子供がいる世帯など、若者、子育て世帯に対して月額二十一万四千円まで引き上げる緩和をした自治体は、全国の二割に上ります。
 都としても、子育て世帯の支援のため、裁量階層の条件緩和など、入居要件を和らげ支援をすべきです。いかがですか。
 以上、答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 米倉春奈議員から私に対しましては、七問ございました。
 まず、過重労働についてでございますが、一年余り前の入社一年目の女性社員が亡くなった件、非常に痛ましいことでございます。二度と繰り返してはならないと感じます。
 私は、過労死という言葉をそもそもなくしたいと考えている一人でございます。少子高齢化が急速に進展し、労働力人口の減少が見込まれる中で、個人のライフスタイルに応じた働き方こそ、一人一人の力を一〇〇%引き出して社会全体の生産性を高めていくことにつながります。
 深夜に及ぶ長時間労働は当たり前という働き方は、もはや限界だと思います。そして、そのために転換が今こそ必要であります。
 都庁では、隗より始めよとの認識のもとで、残業ゼロを目指し取り組んでいるところでございます。また、社会にも呼びかけを広く行い、東京における働き方改革を力強く牽引してまいります。
 法による時間外労働の上限規制についてのご質問でございます。
 現在、国の会議におきまして、労働者の健康確保が図られるよう、当事者である労使と有識者を交えて議論されているものと承知をいたしております。
 私は、誰もが生き生きと活躍できる社会、つまりダイバーシティー実現のためには、長時間労働を減らしていくことは重要であると考えております。
 このため、企業における柔軟な働き方の導入、休暇取得の促進など、働き方改革の推進に取り組んでおります。
 次に、大企業に対する要請についてのご質問でございます。
 ライフワークバランスを実現していくためには、働き方改革を進めて、深夜に及ぶ長時間労働は当たり前という認識、意識を社会全体で改めていく必要がございます。民間企業におきましても、数値目標を設定した残業縮減の取り組みなどが始まっております。
 引き続き、さまざまな機会を捉えて、企業や経営者団体に対しまして長時間労働の削減を呼びかけてまいります。
 働きがいのある人間らしい仕事、いわゆるディーセントワークについてのご質問がございました。
 私が目指しておりますダイバーシティーの実現に向けましては、女性はもとより、男性も、高齢者も、障害者も、そして希望する誰もが、意欲と能力に応じて働きがいのある仕事につき、活躍できる社会とすることが重要でございます。
 そのため、非正規雇用対策やライフワークバランスの実現に向けたさまざまな取り組みを着実に進めてまいります。
 女性の多様な生き方を尊重する社会についてのお尋ねでございます。
 先ほどから何度も申し上げますが、私が目指しておりますダイバーシティー、その大きな柱の一つが女性の活躍でございます。女性の力を十分に生かしていかなければ、東京の持続可能な発展はございません。
 一方で、女性が置かれている状況はさまざまで、非正規の職につかざるを得ないなど、就職や就業に問題を抱えている女性がいることは認識をいたしております。
 また、女性は家庭に入るべきという考え方や、親の介護を担うべきだなどという固定観念が、依然として残っていることも理解をいたしております。
 こうしたさまざまな課題の解決を図りまして、誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティーを実現するために、二〇二〇年に向けた実行プランを策定したところでございます。
 さらに、今月中には東京都女性活躍推進計画を策定いたしまして、着実に女性政策を展開してまいります。
 若者、特に女性の住宅事情についてのご質問でございます。
 都は、三月末に策定を予定いたしております住宅マスタープランにおきまして、子供から高齢者まで、それぞれのライフスタイルやライフステージに応じて、都民が生涯にわたって豊かな住生活を実現できる社会を目指すことを基本的な考え方として示しております。
 住宅は生活の基盤であります。女性も、男性も、誰もが生き生きと生活できるダイバーシティーの実現のためにも、都民の居住の安定を確保することは重要でございます。
 そこで、低所得者、若者を含めまして、就労が不安定な単身世帯の中には、適正な水準の住宅を自力で確保することが困難な方々もおられることは認識をしておりまして、こうした方々については、既存ストックの活用、多様な主体、分野との連携、地域特性に応じた施策の展開の視点に立ちまして、住宅セーフティーネットの強化に取り組み、安定した居住を確保してまいります。
 最後に、若年、単身者などの低所得者への住宅支援についてでございます。
 改めて申し上げますが、住宅は生活の基盤でございます。若年の低所得者を含めて、誰もが安定した住生活を送ることができるように、都営住宅などの公共住宅に加えて、民間住宅も含めた重層的なセーフティーネット機能の強化が必要でございます。
 都は、住宅確保に配慮を要する方々の民間住宅への入居を促進するために、東京都居住支援協議会を設立いたしております。この中で、不動産などの関連団体の協力を得まして、福祉や雇用など、住生活にかかわる政策分野と連携した取り組みが円滑に進むように、区市町村に対しまして、財政面を含めました支援を行っております。
 今後とも、こうした取り組みを充実するとともに、区市町村と連携をいたしまして、低所得者等の生活の安定に向けました総合的な支援を行ってまいります。
 その他のご質問につきましては、東京都技監、そして関係局長よりご答弁申し上げます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、若者の居住の実態調査についてでございます。
 若年者の居住実態については、国の住宅・土地統計調査などが行われてございます。これらの調査により、年齢別収入、居住している住宅の広さや家賃などの状況が把握されてございます。
 今後も、これらの調査により若年者等の実態把握を行ってまいります。
 次に、家賃助成についてでございます。
 住宅確保要配慮者に対応するための国の新たな仕組みについては、空き家等を活用した賃貸住宅の登録制度や、入居者の負担軽減などを内容とする制度の検討がなされていると聞いておりまして、都としては、今後とも、その動向を注視してまいります。
 なお、家賃補助制度については、国も、対象世帯、民間家賃への影響、財政負担等の課題を指摘しており、また、生活保護制度との関係など、多くの課題があると考えてございます。
 次に、区市町村の居住支援協議会についてでございます。
 住宅確保要配慮者の民間住宅への円滑な入居を促進するためには、借り手と貸し主の双方に対して、入居に係るさまざまな懸念の解消に向けて支援を行うことが重要でございます。
 区市町村でも居住支援協議会を設立し、借り手に対しては住宅相談や入居あっせん、貸し主に対しては家賃債務保証制度の紹介などの取り組みを行ってございます。
 都はかねてより、全国の活動事例の情報提供や活動経費の補助などにより、区市町村協議会の設立や活動に対して支援を行ってまいりました。区市町村の協議会は今年度内には世田谷区、日野市が加わって、合計九団体となる予定でありまして、引き続き協議会の設立を促進してまいります。
 次に、都営住宅の新規建設の再開についてでございます。
 都営住宅については、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。
 今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅について、既存ストックの有効活用を図り、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 最後に、都営住宅の入居要件についてでございます。
 現在、小学校就学前の子供のいる世帯を対象として、入居時の収入基準を緩和してございます。
 今後は、子供の成長とともに教育費の家計負担が重くなることを勘案し、入居時の収入基準を緩和する要件について、世帯に同居する子供の年齢の引き上げを検討してまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 株式会社電通の指名停止についてでございますが、指名停止措置は、東京都における契約事務の適正な執行を確保するため、あらかじめ指名停止の措置基準を公表した上で、一定期間、有資格者に対しまして、競争入札への参加資格を停止するものでございます。
 お話の電通は、現在はまだ書類送検段階でございます。今後、検察の判断を待ち、起訴の事実が確認できましたら、指名停止等取扱要綱に定める基準にのっとりまして、手続を進めてまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、最低賃金についてでございますが、最低賃金の仕組みは、労働者の生活の安定や経済の健全な発展に寄与するものであり、その額は、法に基づき、労使、公益の代表が審議し、地域の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮して国が決定しているものでございます。
 都としては、この制度が適切に運用されるべきものと考えております。
 次に、男女別の非正規雇用対策についてでございますが、求職者の状況は男女にかかわらずさまざまでございまして、非正規の労働者が正社員として就職するためには、個人の職務経験やスキル等に応じた支援をしていくことが重要でございます。
 このため、都が実施しております、しごとセンター等での非正規雇用対策事業では、女性、男性を問わず、個々の状況に応じて、就業に必要なスキルの習得機会を設けるなど、きめ細かな支援に取り組んでいるところでございます。
〔生活文化局長中嶋正宏君登壇〕

○生活文化局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、非正規雇用で働く単身女性の不安に応える窓口と居場所づくりについてでございますが、働く女性は、就業を継続する上での悩みや不安を社内で相談できる先輩や上司が少ない現状にございます。
 そこで都は、東京ウィメンズプラザにおきまして、職場の人間関係を初め、親子の問題など、さまざまな悩みに関する相談を受け付けております。
 さらに、働く女性が社会人の先輩から広く助言を受けたり、同じ悩みを抱える者同士で語り合えるワークショップや交流会を開催しております。
 参加者の中には、その後、SNSを活用した交流や勉強会などの自主的な活動を続けている女性たちもおり、働く女性のネットワークの形成につながっております。
 今後とも、こうした取り組みを通して、非正規雇用で働く単身女性も含め、働く女性の不安に応えてまいります。
 次に、男女格差等の実態を調査研究し発信することについてでございますが、都は、男女平等参画施策を総合的に推進していくため、雇用、就業状況や意識調査などの情報収集、分析を行い、毎年度、年次報告を作成しております。また、時期を捉えまして世論調査を実施しております。
 平成二十七年度には、こうした分析をもとに、東京における女性活躍の現状と課題を明らかにした東京都女性活躍推進白書を策定いたしました。
 さらに今年度は、東京都男女平等参画審議会の答申におきまして、今後の女性活躍推進に向けた取り組みの方向性が示されたところでございます。
 今後は、この答申を踏まえた都としての計画を今月中に策定し、都民への普及啓発を含め、幅広い視点から男女平等参画施策を推進してまいります。

○議長(川井しげお君) 四十三番清水孝治君
〔四十三番清水孝治君登壇〕

○四十三番(清水孝治君) 都議会自民党の清水孝治でございます。
 初めに、小池都知事の政治スローガンと都政運営について伺います。
 知事は昨年八月に就任以来、持ち前の発信力を遺憾なく発揮され、都政運営に邁進されてまいりました。その発信力に私たちは舌を巻いている感がありますが、過去には小池知事が環境大臣のときに、地球温暖化防止のためのビジネス軽装、クールビズをその年の流行語に押し上げた実績もございます。
 ちなみに、このクールビズという愛称の名づけ親は、私の地元でございます立川市にお住まいの田形英明さんによるものであります。参考までにご案内申し上げたいと思います。
 知事は、昨年夏の都知事選挙から、都民ファーストというスローガンを掲げ、選挙を勝ち抜かれ、その後、初めて手がけられた実施計画、二〇二〇年に向けた実行プランにも、都民ファーストでつくると副題がつけられておられます。
 都民ファースト、いいかえれば都民第一でありましょうか。都政内輪の議論であれば、都民を第一に考えるで結構かと思いますが、他の自治体や世界都市など、対外的な議論となれば注意が必要であります。
 ご存じ米国トランプ大統領のアメリカ・ファースト、アメリカ第一主義のかけ声は、世界中を震撼させ、利己主義や対立構造を助長させております。
 また、昨今の都財政を取り巻く状況は、東京ひとり勝ちと称され、いわれなき富裕論に包囲され、自治体間の財政力格差の解消を理由に、いわゆる地方法人課税の不合理な偏在是正措置がなされました。このようにファーストというキーワードが他者に誤解をもたらすようではいけません。
 これまでも都は、日本経済のエンジン役を自覚し、我が国の経済成長をリードしていくという心構えだけではなく、全国各地との結びつきを強化し、共存共栄の関係を構築すべく努力してまいりました。
 また、東京のブランディング戦略であります、&TOKYOというキャッチコピーもその後押しに一役買っていると私は思います。小池都知事も宮城県を訪問し、復興五輪を訴えられ、岩手県では二〇二〇年オリンピック・パラリンピックのフラッグツアーに参加されるなど、被災地復興、国を挙げての大会成功に尽力されているのは十分理解をしているわけであります。
 そこで、改めて都民ファーストを政治スローガンとされている小池都知事は、私たちの首都東京の役割をどのように内外に発信されていかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
 次に、消防庁、救急隊の効果的な運用について伺います。
 救急対応が必要な病気やけがに見舞われたとき、頼りになるのが、やはり消防庁の救急隊であります。我が国の一一九番通報で出動する消防の救急車は、疾病者の年齢、国籍、納税の有無などを問わず無料で利用することができるせいか、昨今、救急需要は増大傾向にあります。
 二〇二〇年東京大会に向け、東京消防庁は、延伸している救急隊の平均到着時間を七分以内と位置づけ、救急隊の救急体制の拡充に努められております。私も何度か救急車のお世話になったことがありますが、確かに救急患者にとって救急隊の到着がいかに一日千秋の思いか、我が身を持って経験いたしました。
 その救急隊の現場は、精神的にも肉体的にもハードな状況での職務となっております。私の地元、立川消防署の受け持ち管内は立川市と国立市でございますが、合計約三十二平方キロメートルのエリアを、わずか四台の救急車で対応しているとのことでございます。
 一日平均約三十五回の出動要請を、四台の車両に一隊三名、これを三交代勤務で対応しております。いいかえれば、救急車一台につき九名の隊員が必要となります。まさに限られた人員の中、昼夜を問わず活動されているのが現状です。東京消防庁もこのような現状を鑑み、到着七分以内に向け、救急隊の計画的な増隊を図るそうであります。
 他方、昨今では、この増大する救急需要への対応策の一つとして患者等搬送事業、いわゆる民間救急やタクシーによるサポートキャブが行われております。ともに転院や入院、通院など緊急性がない場合に限り、東京民間救急コールセンター、電話番号〇五七〇─〇三九─〇九九、オーミンキュウ、オーキュウキュウに申し込み、配車いただくそうであります。ただし、有料でございます。
 残念ながら現段階では、民間救急は緊急自動車に定められていないため、サイレン及び赤色警光灯が装備できないため、持てる機能を十分に発揮できる状態にありません。しかし、ニューパブリックマネジメントという概念が自治体経営に定着されて以降、民間にできることは民間にの合い言葉のとおり、まさに民間救急は消防庁の救急業務を補完できる取り組みであると私は認識をしております。
 そこで、民間救急に対し、その役割、有用性やさらなる活用を期待するものでありますが、消防庁の見解を伺います。
 次に、観光振興について、三多摩・島しょ地域の取り組みについて何点か伺います。
 観光産業は、我が国の成長を牽引する有力な産業へと期待が膨らむ中、東京二十三区だけでなく、自然や歴史、文化、伝統といった観光資源豊富な三多摩・島しょ地域は、今後の発展が見込まれる観光エリアでもあります。
 そんな中、本年年明けの五日、小池知事により、多摩地域の観光情報センターを、新年度予算案に二億六千万円の費用を盛り込み、多摩地域交通網の結節点である立川駅周辺に整備をする方針が発表されました。
 多摩地域の観光振興にとって大変重要な役割であります。ぜひともこの立川のタは三多摩のタのごとく、この情報センターから八王子の高尾山、西多摩の日原鍾乳洞や多摩市のサンリオピューロランドなど、多摩地域が持つ多彩で魅力的な観光情報を一刻も早く発信できることを願います。
 それとともに、多摩地域で最初の情報センターであります。せっかくですから、バスタ新宿内の情報センターのような大変充実した機能を求めるものであります。要望をいたします。
 加えまして、今現在も、三多摩各市町村には、昭島観光案内所や日野宿交流館観光案内所など十四もの観光案内窓口が稼働し、それぞれ地域ならではの観光情報の収集、発信をしております。当該観光センターは、このような既存観光案内窓口の情報を集約、発信するなど、多摩地域観光案内情報のハブ機能を担うべきだと思いますが、都の所見を伺います。
 二点目は、多摩地域におけるMICE拠点の育成支援について伺います。
 観光庁によれば、国際会議に参加する外国人旅行者の一人当たりの支出額は、主催者による支出も含まれるため、一般観光旅行者に比べると実に二・三倍にもなるとされており、MICE開催には高い経済波及効果が期待されております。
 しかし、こうしたMICEの誘致をめぐっては、会場となるホテルや大学など施設の会場機能の強化が課題となっております。したがって、国際会議に引けをとらない設備レベルの向上に、都が支援を行うことは重要だと思うわけでございます。
 また、都内開催エリアの選択の幅を広げるためにも、いわゆる大・丸・有地区などの都心部だけでなく、これからは三多摩地域にもMICE誘致を進めていく必要がございます。
 このたび二十九年度新規事業として、多摩地域におけるMICE開催拠点の育成事業が盛り込まれました。多摩地域には、大自然や伝統ある神社仏閣などユニークベニュー、特別な会場となり得る資源が豊富に存在しております。
 そこで、これからのMICE誘致に向けて、都の具体策を伺います。
 なお、現在、八王子市では、MICE事業を推進するため、公益社団法人観光コンベンション協会(仮称)の設立を本年四月に予定し、都も二〇二二年をめどに同市内に産業交流拠点を整備する方針と報道がされております。
 八王子のこれまでの思いが実を結ぶことを同じ三多摩都民として願うとともに、この取り組みが三多摩における地域産業の起爆剤となるよう、MICE拠点の育成事業のさらなる拡充を望むものであります。要望といたします。
 三点目は、三多摩・島しょ地域の自然公園を生かした観光事業についてであります。
 これまで三多摩・島しょ地域の自然に着目した観光振興は多々ございました。このたび予算案にも、自然公園への旅行者の誘致など、新たな視点での取り組みが盛り込まれております。島しょ地域縁結び観光プロジェクトのような、現地までの移動時間を生かしての施策展開には、私は率直に新鮮さを感じる次第であります。
 実は私も以前、地元農業後継者団体でいわゆるお見合いパーティーを企画し実行してまいりました。立川から山梨県の富士急ハイランドまでのバスツアーでございましたが、道中車内のどきどき感は今でも忘れることはありません。
 当該プロジェクトも、島しょの自然環境の魅力もさることながら、船中の緩やかな時間に着目したユニークな取り組みと拝察いたします。
 そこで、こうした自然公園を活用した旅行者の誘致や縁結びプロジェクトをどのように進めていかれるのか、改めて所見をお伺いいたします。
 最後に、都市農業の振興について伺います。
 都市農家の一員である私は、この四年間、さまざまな角度で都市農業の振興について質問を重ねてまいりました。しかし、都市農地の減少傾向は一向に収束する気配はありません。
 あくまでも農地あっての都市農業であります。無足の農家というわけにはまいりません。今後、東京都内にどのような方策をもって農地を残していくのか、その視点に立ってお伺いいたします。
 近年、我が国の都市農業を取り巻く法整備には大きな変革が訪れております。本年二月十日には、生産緑地法の一部改正案が閣議決定され、生産緑地地区の面積要件の緩和など、新たな都市農業の保全策が進められているものであります。
 他方、派手さには欠けますが、すぐに効果があらわれる施策を東京都が着実に打っていかれることは重要でございます。これまで数ある農業振興施策の中で都市農地保全支援プロジェクトは、都市農地における新鮮農作物の供給、防災や環境保全など、地方の大産地とは異なる、その多面的な機能を捉え、その保全方をタイムリーに支援してまいりました。
 しかし、都市農地がこの十年で千ヘクタール減少する中で、福祉や教育といった新たな都市農地の活用に着目をいたし、さらなる農業者への支援により、都市農地を保全する取り組みを展開すべきと考えますが、都の所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 清水孝治議員の一般質問にお答えをいたします。
 首都東京の役割の発信についてのお尋ねがございました。
 渦潮のように不透明かつ不安定な国際情勢でございます。日本が、激化するこの国際競争に打ち勝っていくためには、国内において東京だけがひとり勝ちするのではなくて、四十七都道府県がそれぞれの強みを生かして、オールジャパンで輝くことが不可欠でございます。
 そうした中でも、東京は日本経済のエンジンとして、日本全体の成長を牽引するとともに、各地域の発展にも寄与していくことが求められております。
 こうした役割を果たすためにも、都民目線の都政、つまり都民ファーストを展開して、都民一人一人が力を存分に発揮できる環境を整えることで、東京をさらに活性化していかなければなりません。
 都民ファーストとは、都民だけを優先するような考え方ではなく、全国との共存共栄と何ら矛盾するものではありません。
 各都道府県がそれぞれ、みずからの宝物を探して、そして、それを磨き上げていく中で、オールジャパンの連携を図りながら、日本全体の発展につながる取り組みを進めてまいります。
 そして、その先に、世界の中で輝き続ける日本を実現することが、首都東京が果たすべき役割と考えておりまして、こうした役割をさまざまな場面を通じまして発信をしてまいります。
 残余のご質問には、関係局長からご答弁をいたします。
〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 患者等搬送事業者の活用についてでありますが、患者等搬送事業者は、都民が通院や入退院等で利用しており、救急車の適正利用に有用であると認識しております。
 このため、東京消防庁では、安心して利用できるよう、患者等搬送事業者認定表示制度を設け、基準に適合している二百四十五の事業者を認定し、ホームページ等で公表しているほか、現在、東京都医師会等の関係機関と連携し、さらなる利用の拡大について検討しているところでございます。
 今後とも、救命講習などさまざまな場において幅広く都民へ周知することなどにより、患者等搬送事業者の活用を促進してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、多摩地域の観光案内の充実についてでございますが、東京を訪れる国内外からの旅行者に、多摩地域を対象とするきめの細かい観光情報を幅広く提供して、来訪者の増加につなげる取り組みは重要でございます。
 これまで都は、多摩を含む各地域の観光情報をさまざまな案内所から個別に提供を受け、都庁舎の観光情報センター等に集めて発信してまいりました。
 今後は、多摩への送客に役立つ情報提供に加え、同地域の観光をきめ細かく紹介するため、多摩の各エリアへの交通の便のよい立川で旅行者がわかりやすい場所に情報センターを整備いたします。
 同センターでは、地元の状況に詳しい個々の観光案内窓口から多摩各地のイベント等の情報提供を受け、最新の内容を旅行者に的確に伝える仕組みといたします。
 こうした取り組みにより、多摩地域の観光振興を効果的に進めてまいります。
 次に、東京へのMICE誘致についてでございますが、東京でのMICEの開催の数を伸ばすため、会場となる施設で提供できるサービスの質を高めるとともに、開催エリアをふやしていくことは重要でございます。
 都は現在、MICEを都心のエリアを中心とする会場で開催できるよう、誘致活動や会場の確保に必要となる経費に対する助成等を行っているところでございます。
 今後は、MICEを開催する施設で会議の運営に役立つWi-Fi設備や高規格プロジェクターなどの設備の導入に必要な経費も助成いたします。
 また、MICEの開催場所をふやしていくため、多摩地域等で会議施設やホテルの多いエリアを選び、地元での誘致や受け入れに向けた取り組みをサポートしてまいります。
 これらにより、東京へのMICE誘致の活動を質と量の両面から高めてまいります。
 次に、多摩と島しょ地域の観光振興についてでございますが、多摩や島しょエリアの誘客を進めていく上で、豊かな自然を生かしたさまざまな観光振興を行うことは重要でございます。
 都は現在、多摩地域の森林を活用して、散策ルートの途中に眺めの良好な場所を設けるなどの取り組みにより、観光客の誘致を進めております。また、小笠原諸島の自然に親しむエコツーリズムのニーズ調査にも取り組んでいるところでございます。
 新年度より、多摩・島しょ地域に広がる自然公園を訪れる観光コースをつくるため、モニターによるツアーを実施いたします。また、島を船で訪れるツアーを組み込んだイベントを行い、出会いの機会を提供する新しい観光の方法をつくり出してまいります。
 こうした取り組みにより、多摩・島しょ地域の観光振興を着実に進めてまいります。
 最後に、農業者支援による都市農地の保全についてでございますが、都市農地の保全を図るためには、農業、農地が有する多面的機能を発揮させる農業者の取り組みに対する支援を充実していく必要がございます。
 そのため、都は、これまで行ってまいりました防災機能を有する農業用井戸の整備などへの支援のほか、食育の普及を図り、高齢社会の進展等に対応するため、来年度から教育機能や福祉機能を発揮させる農業者の取り組みへの支援を開始いたします。
 具体的には、子供が食の大切さを学ぶ学童農園や、高齢者や障害者の社会参加を促進する福祉農園の整備に加え、農園開設時のアドバイザー派遣についても支援するなど、ハード、ソフト両面から農業者を支援してまいります。
 こうした取り組みにより、農地の多面的機能を一層発揮させ、都民の貴重な財産である都市農地を保全してまいります。

○議長(川井しげお君) 三十六番大松あきら君
〔三十六番大松あきら君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○三十六番(大松あきら君) 初めに、バリアフリーのまちづくりについて質問します。
 私の地元北区には、我が国のトップアスリートが最先端のスポーツ科学の粋を集めた訓練を受けるナショナルトレーニングセンター、通称トレセンがあります。これまでに多くのメダリストを輩出し、今も全国からトップアスリートがトレセンに集まり、メダル獲得を目指して日々練習をしています。
 トレセンは、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会後も日本のメダル獲得に貢献していく恒久的な施設であり、北区はこれを資源として、トップアスリートのまち北区をキャッチフレーズに、まちの活性化に取り組んでいます。
 来年度からは、パラアスリートのために車椅子競技などにも使える新施設、通称第二トレセンの整備が本格的に始まります。完成すれば、障害者スポーツの殿堂になり、ダイバーシティーを象徴する施設になります。
 そこで、トレセン周辺においても、ダイバーシティーにふさわしいバリアフリーのまちづくりを進めなければなりません。北区は、障害のある方々に実際にまちを歩いていただきながら、点字ブロック、音声つき信号の整備など課題をピックアップするなど、問題の解決に取り組んでいます。
 そこで伺います。
 北区はナショナルトレーニングセンターから最寄り駅のJR赤羽駅とJR十条駅に至る道路をROUTE二〇二〇トレセン通りと命名していますが、その多くは都道です。この都道の段差解消などバリアフリー化を急ぐべきです。都の所見を求めます。
 交通機関のバリアフリー化も不可欠です。現在、トレセン前を通るバスの中には、ノンステップになっていない車両があります。ノンステップ車両の導入を促進するべきです。所見を求めます。
 また、視覚障害のある方が駅のプラットホームから転落する事故が相次ぐ中、ホームドアの設置が急がれています。トレセンの周辺駅のうち、地下鉄の都営三田線や南北線の各駅では既に設置され、JR京浜東北線の赤羽駅でも設置工事が進められています。
 今後はJR京浜東北線の赤羽以外の各駅、また、JR埼京線の各駅への設置に向けて、都として取り組みを進めていくべきです。見解を求めます。
 次に、教育について質問します。
 OECDによる国際的な学力試験が話題を呼ぶなど、海外の教育の内容や制度について関心が高まっています。こうした現象は、世界が経済の競争、協力の時代から、教育の競争、協力の時代に入りつつあることを象徴していると考えます。
 こうした教育の新しい時代を先取りしたのが、二〇〇〇年四月、日本が主催国となり世界で初めて開催したG8教育大臣会合・フォーラムです。主要国の教育大臣が一堂に会し、生涯学習と遠隔教育、教育革新と情報通信技術など、教育の諸課題を世界共通のテーマとして議論を行いました。
 今後は、大臣レベルの会合だけではなく、教員の指導力向上に焦点を当てて、世界各地の教育現場で子供と向き合っている教員が集い合う世界教育者サミットを開催していくべきです。都教育委員会が開催に向けリーダーシップを発揮すれば、世界の中で名誉ある地位を獲得することになると確信します。
 既に都教育委員会は、世界教育者サミットに発展することが期待される取り組みを行っています。それは、英語科教員の海外派遣事業の報告会です。英語を母国語としない子供たちにどう英語を教えていくのか。都教委の先生方が留学し、その汗と涙の結晶として成果を報告する会合です。
 昨年は、立川市内で開かれ、私も傍聴いたしました。その報告会では、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの名門大学の教授も参加し、シンポジウム形式で外国語教育について議論が行われました。
 今後は、さらにこの報告会を拡充し、教員の指導力の向上に取り組むべきです。都教育委員会の所見を求めます。
 都教育委員会は、海外の教育行政機関との連携を広げています。生徒に世界で活躍できる力を身につけさせ、教員にその指導力を磨く機会をふやしていくためにも、こうした海外交流は重要です。
 都教育委員会は、海外の教育行政機関との連携に基づく取り組みを充実させていくとともに、新たな連携先についてもふやしていくべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、日本の伝統文化の振興について伺います。
 小池知事は、昨年、リオデジャネイロ・オリンピック競技大会の閉会式に着物を着て参加され、世界中に大きな反響を呼びました。着物は日本の文化の美しさの象徴であり、世界の人々の憧れの的です。単に衣服というだけではなく、美しい色彩や文様は美術であり、そのデザインの中には、それぞれの時代の思想や歴史が織り込まれています。
 こうした着物の文化や歴史を学べる博物館が東京青梅市内にありまして、私は昨年、視察してまいりました。貴重な宮廷衣装やいにしえの武家、商家が着用していた時代衣装が数多く所蔵され、着物の奥の深さに感銘を受けました。
 また、日本には、華道や茶道など現代に生きる伝統文化が数多くあります。その独自の様式美や自然観は、国内にとどまらず、海外の人々を魅了してやみません。
 そこで伺います。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、こうした伝統文化の魅力を多くの外国人に伝え、強く世界にアピールすべきです。日本の伝統文化の振興に対する知事の所見を求めます。
 着物を語る上で欠かせないのは、織り、染め、刺しゅうなどの伝統的な技術や技法です。日本の各地にはさまざまな伝統技術が息づき、東京には、東京手描き友禅や多摩織のほか、江戸切り子など伝統技術でつくられた伝統工芸品が四十品目あります。
 こうした東京の伝統工芸品も、二〇二〇年東京大会に向けて国内外にアピールしていくべきです。都の見解を求めます。
 次に、大規模災害時における医療用の非常用電源について質問します。
 昨年発生した熊本地震では、停電から復旧まで四日間を要したことが九州電力のレポートで報告されています。人工呼吸器など電気医療機器が普及する中で、停電は生命の危機に直結する問題であり、災害時の医療用の非常用電源の確保は重要です。
 そこで伺います。
 在宅で人工呼吸器や吸引器を使用しておられる方々が、大規模災害時に備えて非常用電源を確保できるよう万全を期していくべきです。所見を求めます。
 災害時における病院の非常用電源の確保も重要です。
 都が指定する災害拠点病院には、通常時の六割程度の発電容量を持つ自家発電機等の保有や、三日分程度の燃料の確保が義務づけられています。しかし、発災時に発電機が稼働するかどうかの点検は、エンジンやタービンを回すだけの始動確認だけで、発電まで行わない方法が主流です。
 発電機は実際に発電してみなければ、動き出しても緊急停止したり、動作しなくなる場合があります。一般社団法人日本内燃力発電設備協会の調査によると、熊本地震の際、停電時、自家発電設備を始動、もしくは始動を試みた百四件のうち、始動しなかった例や始動したが停止した例など、異常が見られた設備が三十一件ありました。つまり、約三割の非常用発電設備が正常に作動しなかったことになります。
 そこで、災害拠点病院における非常用電源が有事の際、確実に発電できるのかどうか、実態を調査すべきです。所見を求めます。
 次に、ひきこもり対策について質問します。
 ひきこもり対策では、早期発見、早期対応が重要ですが、ひきこもりが長期化して、年齢が四十歳を超えているケースも少なくありません。今後、家族の高齢化に伴い、困難な事例が顕在化してくることが予測されます。
 そこで、若者がひきこもりに陥ってしまったときに、相談して解決する機会を逃して長期化することがないように、身近な地域で気軽に相談できるようにしていくことが重要です。
 また、ひきこもりが長期化した場合も、世代間で切れ目のない支援を行っていくべきと考えます。都の所見を求めます。
 最後に、オストメイト用トイレの整備について質問します。
 オストメイトは全国で二十一万人、東京には二万一千人いるといわれています。オストメイトにとって最大の課題は外出時の排便であり、オストメイト用トイレの普及が求められています。しかし、オストメイト用トイレの数は少なく、オストメイトが安心して外出できる環境にはありません。
 そこで、住民に身近な公共施設や都営地下鉄駅などにオストメイト対応のトイレの設置を促進するべきです。所管局それぞれの所見を求めます。
 また、災害時、避難が何日にも及ぶ場合、オストメイトにとってストーマ装具の確保は死活問題になります。災害時にオストメイトがストーマ装具を確保できるよう取り組むべきです。都の所見を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 大松あきら議員の一般質問にお答えいたします。
 日本の伝統文化の振興についての考え方のお尋ねがございました。
 東京には、現代の市民生活に根づいている華道や茶道、そして、江戸時代の庶民文化の中で花開いた浮世絵や歌舞伎など、さまざまな伝統文化が多くあります。
 こうした伝統文化は、長い年月をかけて日本人が独自の精神性によって磨き上げて受け継がれてきたものであって、世界に誇るべき日本の宝だと思います。
 二〇二〇年大会は、東京、日本のすばらしい魅力の一つであるこれらの伝統文化を世界の方々に知っていただく絶好の機会でございます。
 そこで、都といたしまして、昨年度より、海外からの観光客が本物の伝統文化に親しめるように、浅草などの観光拠点におきまして、日本舞踊や演芸といった体験プログラムを実施しております。また、浜離宮恩賜庭園で開催をいたしております東京大茶会では、着つけ体験などを新たに始めたところでございます。これらの事業を通じまして二年間で延べ一万五千人を超える外国人に伝統文化を体験していただいたことになります。
 今後は、こうした取り組みを引き続き充実するとともに、都内の各地で行われますすぐれた民間の活動を支援しまして、内外に幅広く紹介することで、伝統文化のさらなる振興につなげてまいります。
 残余の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長よりご答弁申し上げます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、教員の海外派遣研修に伴う報告会についてでございますが、都教育委員会は、海外研修の派遣者が学んだ英語の指導技術や体験等の成果を全都の教員に広く普及するとともに、国際理解教育への見識を深めることを目的として、海外派遣研修報告会及びシンポジウムを実施しております。
 今年度は、派遣者による実践報告のほか、在京の大使館職員や外国人指導者等を招いたシンポジウムを実施し、小中高校及び特別支援学校の教員約二百七十人が参加して、指導法や国際交流に関する理解を深めたところでございます。
 今後、こうした取り組みに加え、海外の指導者と日本人教員が指導内容や方法等について直接意見交換をしながら実践力を高める参加体験型の研修を導入するなど、報告会やシンポジウムの開催方法を改善、充実して、英語科教員の指導力をさらに向上させてまいります。
 次に、海外の教育行政機関との連携についてでございますが、生徒や教員の国際交流を計画的かつ効果的に進めるに当たっては、学校独自の取り組みに加え、国際交流を行う地域の教育政策を所管する機関と連携し、交流活動を推進することが有効でございます。
 そのため昨年度から、都教育委員会は、生徒や教員の派遣実績や将来的な交流拡大の可能性を考慮し、カナダやオーストラリアの州教育省を初めとする六つの海外の行政機関等と教育に関する覚書を締結してまいりました。
 今後、こうした連携をもとに姉妹校交流の推進や留学生の受け入れの拡充を進めるとともに、教員同士の一層の交流についても取り組んでまいります。
 また、地域や言語、交流形態等、より幅広い観点から新たな連携先を開拓し、生徒や教員の多様な国際交流の機会をさらに創出してまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ノンステップバスについてでございますが、高齢者、障害者を初め、全ての人々の円滑な移動を実現するためには、誰もが乗りおりしやすいバスの導入を進めることが重要でございます。
 このため、都は、ノンステップバスを新たに導入する民営バス事業者に対して、車両購入費の一部を補助し促進を図っておりまして、これにより、現在、都内の民営バス車両の約九割がノンステップバスとなってございます。
 お話のナショナルトレーニングセンターの周辺地域においても、バス事業者が補助制度を積極的に活用し、導入を加速してございます。
 二〇二〇年東京大会に向けてノンステップバスの導入を一層促進し、公共交通のバリアフリー化に取り組んでまいります。
 次に、鉄道駅のホームドア整備についてでございます。
 利用者の安全性確保のため、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 都は、こうした取り組みを支援するため、利用者十万人以上のJRや私鉄の駅などを対象として補助を実施しております。その結果、鉄道事業者の自主的な取り組みも含めて、これまでに約三割の駅でホームドアが設置されてございます。
 京浜東北線王子駅については、平成三十一年度までに整備が完了する予定であり、埼京線赤羽駅、十条駅についても、引き続き鉄道事業者に対して整備の働きかけを行ってまいります。
 誰もが安心して鉄道を利用できるよう、国や地元区市とも連携して鉄道事業者の取り組みを積極的に支援し、ホームドアの整備を促進してまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) ROUTE二〇二〇トレセン通りの都道のバリアフリー化についてでございますが、障害者を含めた誰もが安心して円滑に移動できるよう、道路のバリアフリー化を一層進めていくことは重要でございます。
 都は現在、ナショナルトレーニングセンターへのアクセス経路であります、いわゆるトレセン通りのうち、都道本郷赤羽線の帝京大学入口交差点から赤羽商業高等学校付近までの区間におきまして、順次、無電柱化を進めております。
 今後は、無電柱化に伴う路面復旧工事にあわせまして、段差の解消や勾配改善、視覚障害者誘導用ブロックの連続的な設置などのバリアフリー化を実施してまいります。
 引き続き、誰もが安全・安心、快適に利用できる歩行空間の整備に積極的に取り組んでまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 伝統工芸品の魅力の発信についてでございますが、伝統工芸は、江戸から続くものづくりのすぐれた蓄積を現代に伝えるものでございまして、こうした特色のある産業のさらなる発展のためには、東京二〇二〇大会に向け、世界の注目が集まるこの機会を捉え、魅力を発信することが重要であると考えております。
 都は、消費者に身近に親しんでいただくため、伝統工芸品の展示販売とともに、さまざまなイベントなどで職人による実演や制作体験等を実施しているところでございます。
 また、職人と国内外のバイヤーとの商談などに活用するため、今年度、新たに四十品目の伝統工芸品のそれぞれの特色を紹介したパンフレットを作成いたしました。
 さらに、職人とデザイナー等との協働により開発した新商品を欧州の国際見本市でPRするなど、海外市場の開拓にも取り組んでおり、こうした国内外へのアピールを引き続き着実に実施してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、在宅で人工呼吸器を使用している方の非常用電源の確保についてでありますが、平成二十三年に東日本大震災が起きた際、都内でも計画停電が行われるなど電力不足が懸念されたため、都は、在宅で人工呼吸器を使用している全ての方に対しまして、自家発電装置等を医療機関を通じて無償貸与する緊急対策を平成二十三年度及び二十四年度に実施いたしました。
 平成二十五年度からは、新たに在宅に移行した人工呼吸器を使用している難病患者に自家発電装置等を無償貸与する医療機関に対しまして、購入経費を補助しております。
 また、難病患者以外の方には、必要な非常用電源を確保する区市町村を包括補助で支援しておりまして、今後とも、在宅で人工呼吸器を使用している方の大規模災害時の安全確保を図ってまいります。
 次に、災害拠点病院の自家発電装置の実態調査についてでありますが、災害拠点病院の自家発電装置は非常時に有効に機能する必要があり、都は毎年、各病院から装置の検証結果の報告を受けております。
 お話のように、一般社団法人日本内燃力発電設備協会の調査では、昨年発生した熊本地震の際に、始動しなかった自家発電装置があったことなどが報告されておりまして、その主な原因は、設備の故障、メンテナンス不足とのことでありました。
 今後、この調査結果も参考にしながら、都内の災害拠点病院の自家発電装置が非常時に確実に稼働することを確認するため、具体的な点検方法等について改めて実態調査を行う予定でございます。
 次に、オストメイト用トイレの整備についてでありますが、都は、福祉のまちづくり条例に基づき、その対象となる施設の新設や改修時に車椅子使用者等が円滑に利用できる構造のトイレを設けることや、オストメイト対応の水洗器具を設置することを定めております。
 また、誰もが利用しやすいトイレを、公園や図書館などの公共施設等に整備する区市町村を包括補助により、支援してまいりました。
 来年度は、区市町村の公共施設に設置されたトイレの洋式化を新たに支援することとしており、その中でオストメイトに対応できる設備とするなどのバリアフリー改修経費の一部についても補助対象としてまいります。
 最後に、災害時のオストメイト用器具の確保についてでありますが、都は、東京都地域防災計画に基づき、発災後三日目まで対応できるよう、食料、毛布、生活必需品等の物資の備蓄を区市町村と連携して進めており、発災後四日目以降は、国、他の道府県や、あらかじめ協力依頼している物販事業者等から物資を調達することとしております。
 人工肛門、人工膀胱といったストーマ用品は、一人一人の状況に合わせた装具の調整が必要で、種類も多岐にわたっております。
 熊本地震の際は、国、自治体と日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会などの関係団体が連携し、ストーマ用品の確保や無料提供の取り組みが行われており、都としても今後、関係団体と連携し、災害時に確実に調達できるよう取り組んでまいります。
〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) ひきこもりの方への相談支援についてですが、ひきこもりの方が身近な地域で切れ目のない相談支援を受けることができるようにするためには、区市町村における取り組みを充実していくことが重要でございます。
 都では、ひきこもりサポートネットによる訪問相談の受付窓口を全区市町村に設置し、アウトリーチにより、本人や家族の課題を把握した後は、相互に連携して地域のNPO法人等の支援機関につないでおります。
 また、区市町村による支援の充実を図るため、東京都子供・若者支援協議会も活用し、福祉、保健、医療、雇用等の関係機関のネットワークづくりを推進しております。
 今後とも、ひきこもりが長期化した場合にも切れ目なく対応できるよう、生活困窮者自立支援の相談窓口等との連携など、区市町村の取り組みの充実を支援してまいります。
〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 都営地下鉄駅のトイレのオストメイト対応についてでございますが、都営地下鉄では、いわゆるバリアフリー法や福祉のまちづくり条例等を踏まえまして、平成二十二年度までに、全ての駅の誰でもトイレに、水洗器具を有するオストメイト用設備を整備いたしました。
 さらに、誰でもトイレの機能を補完するため、現在、一般トイレのブースを拡大し、水洗器具を有するオストメイト用設備やフィッティングボード、手すりなどを備えた簡易多機能便房を整備してございます。これまで十九駅二十一カ所に設置しておりまして、来年度は、新宿線の曙橋駅や一之江駅などに設置する予定でございます。
 今後とも、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れまして、オストメイト用設備などを備えた、誰もが利用しやすいトイレの整備を計画的に進めてまいります。

○六十七番(河野ゆうき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○副議長(小磯善彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(小磯善彦君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時四十二分散会

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