平成二十八年東京都議会会議録第十七号

平成二十八年十二月八日(木曜日)
 出席議員 百二十七名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番大門さちえ君
四番和泉ひろし君
五番山森 寛之君
六番前田 和茂君
七番菅野 弘一君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番おときた駿君
十二番宮瀬 英治君
十三番西沢けいた君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番川松真一朗君
二十一番栗山よしじ君
二十二番小松 大祐君
二十三番堀  宏道君
二十四番松田やすまさ君
二十五番柴崎 幹男君
二十六番舟坂ちかお君
二十七番小松 久子君
二十八番山内れい子君
二十九番上田 令子君
三十番田中 朝子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番あさの克彦君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番清水 孝治君
四十一番鈴木 錦治君
四十二番神野 次郎君
四十三番木村 基成君
四十四番北久保眞道君
四十五番高椙 健一君
四十六番栗山 欽行君
四十七番大場やすのぶ君
四十八番和泉 武彦君
四十九番近藤  充君
五十番西崎 光子君
五十一番両角みのる君
五十二番石川 良一君
五十三番新井ともはる君
五十四番中村ひろし君
五十五番島田 幸成君
五十六番とくとめ道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番藤井  一君
六十四番小宮あんり君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番ほっち易隆君
六十七番山内  晃君
六十八番河野ゆうき君
六十九番島崎 義司君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番田中たけし君
七十二番鈴木 隆道君
七十三番神林  茂君
七十四番早坂 義弘君
七十五番秋田 一郎君
七十六番野上ゆきえ君
七十七番今村 るか君
七十八番斉藤あつし君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番鈴木貫太郎君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番長橋 桂一君
八十七番中屋 文孝君
八十八番鈴木あきまさ君
八十九番桜井 浩之君
九十番山崎 一輝君
九十一番三宅 正彦君
九十二番山加 朱美君
九十三番高橋かずみ君
九十四番山田 忠昭君
九十五番林田  武君
九十六番こいそ 明君
九十七番田島 和明君
九十八番古賀 俊昭君
九十九番立石 晴康君
百番大西さとる君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番高橋 信博君
百十二番崎山 知尚君
百十三番高木 けい君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番野村 有信君
百二十番高島なおき君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし
 欠員 なし

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事安藤 立美君
副知事川澄 俊文君
副知事中西  充君
副知事山本  隆君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務邊見 隆士君
政策企画局長長谷川 明君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
警視総監沖田 芳樹君
主税局長目黒 克昭君
生活文化局長中嶋 正宏君
オリンピック・パラリンピック準備局長塩見 清仁君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長西倉 鉄也君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長浅川 英夫君
消防総監高橋  淳君
交通局長山手  斉君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長福田 良行君
人事委員会事務局長松山 英幸君
労働委員会事務局長土渕  裕君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長砥出 欣典君

十二月八日議事日程第三号
第一 第百八十八号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第二 第百八十号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百八十一号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百八十二号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百八十三号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百八十四号議案
東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百八十五号議案
特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第八 第百八十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百八十七号議案
通訳案内士法関係手数料条例の一部を改正する条例
第十 第百八十九号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十号議案
東京国際展示場(二十八)増築工事請負契約
第十二 第百九十一号議案
警視庁中野警察署庁舎(二十八)改築工事請負契約
第十三 第百九十二号議案
東京都現代美術館(二十八)改修工事請負契約
第十四 第百九十三号議案
東京都障害者総合スポーツセンター(二十八)改修及び増築工事請負契約
第十五 第百九十四号議案
東京国際展示場(二十八)増築電気設備工事請負契約
第十六 第百九十五号議案
東京国際展示場(二十八)増築空調設備工事請負契約
第十七 第百九十六号議案
東京国際展示場(二十八)増築給水衛生設備工事請負契約
第十八 第百九十七号議案
東京都現代美術館(二十八)改修空調設備工事請負契約
第十九 第百九十八号議案
東京都現代美術館(二十八)改修電気設備工事請負契約
第二十 第百九十九号議案
平成二十八年度新砂水門(再整備)建設工事(その三)請負契約
第二十一 第二百号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十二)請負契約
第二十二 第二百一号議案
小名木川護岸耐震補強工事(その一)請負契約
第二十三 第二百二号議案
平成二十八年度中潮橋撤去工事請負契約
第二十四 第二百三号議案
平成二十八年度十三号地新客船ふ頭岸壁(-(マイナス)十一・五m)連絡通路建設工事(その一)請負契約
第二十五 第二百四号議案
自治体情報セキュリティクラウド(外部接続中継システム)機器の買入れについて
第二十六 第二百五号議案
当せん金付証票の発売について
第二十七 第二百六号議案
東京都江戸東京博物館外五施設の指定管理者の指定について
第二十八 第二百七号議案
杉並区学校教育職員の教育管理職選考及び四級職(主幹教諭・指導教諭)選考に係る事務の受託について
第二十九 第二百八号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の買入れについて
第三十 第二百九号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第三十一 第二百十号議案
品川ふ頭外貿岸壁外三施設の指定管理者の指定について
第三十二 第二百十一号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第二百十二号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第二百十三号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第二百十四号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第二百十五号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第二百十六号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第二百十七号議案
東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 諮問第三号
地方自治法第二百六条の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
第四十 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都教育委員会委員の任命の同意について(二八財主議第四四四号)
第二 議員提出議案第十九号
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第三 議員提出議案第二十号
東京都子どもの医療費の助成に関する条例

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十九号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例外条例一件、知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意についてがそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川井しげお君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十番きたしろ勝彦君
   〔七十番きたしろ勝彦君登壇〕

○七十番(きたしろ勝彦君) 初めて小池知事に質問をさせていただきます。
 まず、知事選では、勝つために標的を絞った見事な選挙戦術、すばらしい選挙結果でした。そして、二度目のベストドレッサー賞受賞、おめでとうございます。重責ですが、一千三百万人都民の幸せのために頑張っていただきたいと思います。
 まず最初に、この四カ月間に感じたことを質問します。
 都政への関心が高くなったのは、まさに小池知事誕生の結果だと思います。ただ、横文字、外来語が多く、困惑している都民も多いのではと危惧しております。
 そして、オリンピック会場の経費削減のための提案、豊洲新市場における食の安全の観点からの判断は、大切な視点であり、多くの都民も支持しています。
 しかし、豊洲市場問題については、建物と環境の安全性の問題と、盛り土等の報告がなかった手続の問題とは、しっかり区別して考えなければなりません。
 議院内閣制のもとでの小泉劇場と二元代表制の地方自治とは基本的に違う世界です。知事として、政治家として、都民の幸せのために働くことは当然ではありますが、異なった意見をすり合わせて、よりよい方向にまとめ、前に進めるのがリーダーシップだと私は考えております。
 トップがかわれば、行政の流れは、知事の政治哲学や改革の精神が自然に行政に及ぶでしょう。上命下服の世界です。今や、知事の問題意識は、都政関係者に十分浸透したと思います。二元代表制のもとでは、自分が正しいと思ってもなかなか望んだ方向に進まないこともあるでしょう。そんなとき一歩引いて、一歩下がって、悠然と見渡せば違う世界が見えてきます。
 かの国には、目には目を、歯には歯をという同害報復のことわざがありますが、我が国では、自分の考えや主張にとらわれ過ぎず、和をもってとうとしとなすの世界観があります。寛容の心と中庸の精神、それは日本人の価値観の一つです。
 そんな中、知事就任の所信表明の中で、公僕という私の大好きな言葉がありました。
 私は、かつて警察官として東京の治安と都民の安全・安心のために奉職をいたしました。当時は、東大紛争、成田三里塚闘争、連合赤軍事件、浅間山荘事件などがあった時代です。火炎瓶や硫酸瓶を浴びた同僚、殉職した同僚もおりました。
 そのときに公僕とはどうあるべきか、どう生きるべきかをしっかりと胸に刻んで、下着に名前を書き、戦場のような現場にも赴きました。社会正義の実現のために、世のため、人のためにという精神をみずからにたたき込みました。都民、国民のお役に立ちたい、この原点を忘れずに、今の政治活動に取り組んでおります。
 都庁職員や公安職の公務員は、法令に基づき、私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために、日本国憲法を遵守し、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることを宣誓し、職務に取り組んでいます。当然、全ての職員が、その使命感を持っているものと信じています。
 そこで、知事自身の公僕としての使命感について、どのように思われているのか、政治家としての見解をお伺いいたします。
 次に、顧問についてお伺いします。
 現在の都政は、東京のみならず、日本の将来をも左右する重要な課題が山積しています。そのトップリーダーである知事は、全てを一人で解決することはできません。政治家である小池百合子と、知事としての立場は異なります。まずは、約十六万人に及ぶ職員を信頼することから、リーダーシップは確立します。それが組織のトップに求められる姿勢だと私は思います。
 現在、東京大改革のもとで、さまざまな取り組みや事業が見直しされております。こうした改革や見直しを行うに当たって、重要なのは、行政の現場において汗して、仕事に向き合ってきた職員の意見に耳を傾けることです。
 かつて、後藤新平が東京市長に就任した際、美濃部達吉などの数十人の知識人を非常勤職員に任命し、執行機関である職員と大いに議論させたといいます。職員と忌憚のない議論をさせることが、都政の改革につながりました。
 本当の改革とは、短期的な結果のみを求めるのではなく、改革の過程を重視し、組織の体質を変えることだと、元副知事の青山やすし教授は指摘しています。それには、職員を信頼し、組織を活用することが求められます。現在の知事の顧問団は、こうした職員との意思疎通や情報共有を得た上で、三会場の件も含めてそうですが、知事に助言をしているのでしょうか。甚だ疑問を持たざるを得ません。
 そこで、都政におけるトップリーダーとして、職員と顧問の活用のあり方をどう考えているのか、知事の所見をお伺いします。
 次に、道徳教育についてお伺いします。
 電車に乗り、車内を見渡せば、優先席にどっかと座り、スマートフォンの画面に見入っている若者の姿を目にすることは、今では珍しくない風景となっています。また、手にした新聞に目を移せば、自分の欲望を満たすだけのために他の生命を軽んじるといった、余りにも悲惨な事件が飛び込んできます。ただ、その紙面の小ささに、社会の感覚が麻痺しかかっていることに気づかされます。
 学校では、戦後、修身の授業が行われなくなり、昭和三十年代に道徳の時間が開始されましたが、現在の社会を見れば、戦後生まれた個人主義が蔓延し、日本人本来の価値観を教えることを忌避する風潮が生まれたことを強く懸念するところです。
 しかし、このような日本の状況を憂うだけでは何も変わりません。うそをつくな、弱い者をいじめるななど、人と人との結びつきの中から学ぶ相手への気遣いや礼節、また、人間の力を超えたものに対する畏敬の念など、日本人が二千六百有余年にわたり培い、受け継ぎ、つくり上げてきた日本の財産ともいえる価値観を、世代を超えて垂直に継承させる、日本人の心を取り戻す教育が不可欠であると、私はこれまで一貫して主張してきました。
 また、時代が急速に変化する現代社会において、グローバル人材を育成する教育が進められています。外国語でコミュニケーションができるようになれば、それでいいということではありません。グローバル社会の一員として世界で活躍し、国際貢献を果たす人を育てるために大切なことは、日本人としての誇りと自覚を持ちながら、人を思いやる心、他者と協調する力、人として当たり前の資質を培っていくことではないでしょうか。
 しかしながら、道徳的価値を継承するとともに、国際社会に役立つ力を育てることは、学校だけでなせるものではありません。子供の人格形成の礎となる家庭や、さまざまな人との出会いと活動を通じて人格を磨いていく場である地域社会との連携が必要です。
 このことを踏まえ、子供たちの道徳性を育成するために、今後、家庭や地域への働きかけやコミュニケーションを強化し、学校、家庭、地域が一体的に取り組もうとする機運を高めていくことが重要であると考えます。
 そこで、小中学校において、家庭、地域社会と連携した道徳教育を一層充実すべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京のまちづくりを、私の政治使命のテーマの一つとして取り組んでまいりました。その視点から品川駅、田町駅周辺のまちづくりについてお伺いします。
 品川駅、田町駅周辺については、国際化が進む羽田空港の至近に位置し、本年二月、二〇二七年の開通を目途に、東京都の始発駅となるリニア中央新幹線品川駅の工事が着手されました。これに合わせ、田町駅周辺のまちづくりもスタートしております。
 東京の玄関口として、大規模な土地利用転換を中心に、全体を俯瞰したまちづくりを進め、後藤新平が抱いた情熱を受け継いで、世界に誇れる東京を代表する拠点としていくことが重要です。
 大規模な土地利用転換が予定されているJR車両基地跡地では、新駅が二〇二〇年に暫定開業予定であり、周辺では、今後、土地区画整理事業により、必要な基盤整備が進められます。
 泉岳寺駅周辺では、新駅周辺の開発を支えるための駅の改良とともに、東京都施行の市街地再開発事業が行われ、駅改良と一体となったまちづくりが進められています。
 また、同様に土地利用転換が見込まれる品川駅西口の高輪三丁目エリアでは、住民が立ち上げたまちづくり協議会に地元法人も加わるなど、まちづくりの機運が高まっている状況です。さらに、衆議院宿舎跡地を活用した環状四号線の整備など、まちづくりと合わせて基盤整備を積極的に進めていただきたいと思います。
 品川駅、田町駅周辺では、こうした開発の動きがあり、今後、建物の建設も進んでいく中、個々の地区がばらばらに開発されるのではなく、地域としてまとまりを持ったまちづくりを進めることが重要と考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 最後に、二〇一三年九月七日、皆さん、ご記憶でしょうか。東京にオリンピック・パラリンピックが決定をした日です。そのときのために、多くの方々の、オールジャパンとしての活動がありました。
 そのときの気持ちを忘れずに、今いろいろありますけれども、オリンピック・パラリンピックをぜひとも成功させたいというふうに考えております。皆さんと一緒に、すばらしい東京オリンピック・パラリンピックを迎えようではありませんか。
 終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) きたしろ勝彦議員の一般質問にお答えをさせていただきます。
 知事の公僕として、そしてまた、その使命感についてご質問がございました。また、貴重なアドバイスを賜りましたことを、まず御礼申し上げます。
 私は、知事といたしまして、常に都民の利益を第一に、そして、都民とともに進める都政の実現に向けて、改革を進めているその最中でございます。そして、都民ファースト、情報公開、税金の有効活用の三つの原則に従いまして、都民のための都政を展開していく、このことをベースにしていきたい。そしてまた、その先にこそ、都民お一人お一人の希望が花開き、東京の明るい未来が開けるものと、このように確信をし、活動いたしております。
 さきの定例会の所信表明でも申し上げました。職員にも、知事にも、都議会の皆様方にも公僕の精神が求められるところでございます。ともに都民から選ばれた公僕として、皆様とは都民のために日々全力を尽くすという思いを共有していきたいと、このように考えております。
 また、ぜひそうした皆様と、都民は何を求めているのか、都民の利益とは何かということを大いに議論をしながら、都民一人一人が輝くあすへと向けてともに進んでまいりたい、このことを私の使命感として取り組んでまいりたいと考えております。
 そしてまた、後藤新平についても何度かお触れいただきました。さきの所信表明で申し上げたその一節は、人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬようという言葉でございます。これも心に秘めて進んでいきたいと考えております。
 そして、職員、また顧問の生かし方についてのご質問がございました。私の東京大改革の大きな柱は、自律改革でございます。みずからを律すると書いて、自律改革でございます。そして、その担い手は誰かというと、その主体は、各局長を初めとする一人一人の職員でございます。このため、職員とさまざまな課題を共有して、議論を交わしながら、改革を進めていくことが重要であるということについては、認識をいたしております。
 また、これまでそれぞれの職場に埋もれていた職員の建設的な意見、これを広く都政に反映していくこと、このことを必要と考えまして、職員目安箱を設置したところでございます。職員の皆様方の日々考えること、そしてまた建設的な意見など盛り込まれ、大変参考にし、それを生かしていきたいと考えております。
 一方で、東京大改革を進めるためには、これまでの延長線ではなく、新しい視点も必要でございます。私が任命いたしました顧問などには、専門知識、そして経験に基づいて、客観的な第三者の視点から調査分析を行っていただき、私に対しましての多くの助言、提言をいただいているところでございます。また、私の指示によって、さまざまな活動をしていただいているところでございます。
 今後も、この職員と顧問の皆さんが一層協力して、大いに議論をしながら、都政の課題の解決ができるように、その工夫を重ねて、不断の改革を進めてまいりたいと考えております。
 その他の質問につきましては、教育長、そして東京都技監からのご答弁とさせていただきます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 小中学校における道徳教育の充実についてでございますが、児童生徒が、世代を超えて垂直に継承すべき道徳的価値を深く自覚し、確実に身につけるためには、学校が家庭、地域と一体となり、道徳教育に取り組むことが重要であります。
 そのため、都教育委員会はこれまでも、都内の公立小中学校が、礼儀や規範意識、公徳心等について、保護者、地域関係者とともに意見を交換し、児童生徒の豊かな心を育成することを目的として実施する道徳授業地区公開講座を推進し、その充実に取り組んでまいりました。
 今後、道徳教育に関して、保護者や地域の方々に向けた資料の作成を検討するなど、社会全体で、児童生徒に日本人としての心を育む道徳教育の一層の充実に努めてまいります。
   〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 品川駅、田町駅周辺のまちづくりについてでございます。
 都は、地元区や国、事業者などとともに策定したまちづくりガイドラインに基づき、国際交流拠点の形成に向けて開発を計画的、段階的に誘導してございます。
 開発が先行するJR車両基地跡地については、隣接する品川駅街区と一体的に都が地区計画を定め、その方針に沿って土地区画整理事業が進められてございます。
 さらに、泉岳寺駅地区で実施する都施行の市街地再開発事業におきまして、車両基地跡地との統一感ある景観形成に向けて、関係者とともに建物配置などのルールづくりに取り組んでございます。
 引き続き、まちづくりガイドラインに基づいて、地区間の連携を強化しながら、一体的なまちづくりを推進し、世界の人々が集う魅力ある拠点形成を図ってまいります。

○議長(川井しげお君) 九十一番三宅正彦君
   〔九十一番三宅正彦君登壇〕

○九十一番(三宅正彦君) 初めに、昨日の代表質問の答弁に関連し、お尋ねいたします。
 まず、バレーボール会場の見直しについてです。
 昨日、横浜市の林市長は、定例記者会見において、二〇二〇年大会での横浜アリーナ開催は、極めて厳しいとの見解を示しました。とりわけ、有明アリーナでの開催に期待している方が多く、競技団体の理解を得ることができるかどうか懸念を示しています。
 知事は、我が党の代表質問に対し、林市長とは長年の友達であり、日々連絡をとり合っており、クリスマスまでに結論を出すといわれました。
 そこで、林市長の会見を踏まえ、今後、クリスマスまでの間、何をされるつもりなのか、見解を伺います。
 また、昨日の代表質問で、大きな黒い頭のネズミに関する質問に対し、ご想像にお任せしますという旨の答弁がありました。知事自身が記者会見で語られたことについて聞いているのですから、想像に任せるというのは、自身の発言に責任を負わない、大変残念な答弁といわざるを得ません。都議会の議場は、都民の代表同士が真剣な議論を交わす場です。改めて答弁を求めます。
 次に、多摩・島しょ地域の観光振興について伺います。
 東京を訪れる観光客に東京の魅力を幅広く理解してもらうためには、都心の観光スポットをめぐるだけではなく、多摩地域や島しょ地域にも足を運び、エリアごとの自然や文化に触れる機会をつくり上げることが大切だと考えます。
 多摩や島しょでは、観光関連の団体だけではなく、経済分野を含めた多様な主体が、来訪者の誘致に向けて独自に活動を行っています。そうした取り組みの中から、多摩や島の名産の焼酎を観光に役立てる考え方などが出てきたものと考えます。これらの地域の団体や組織の力をうまく結びつけることこそ、効果の高い観光振興を展開するポイントになると考えます。
 多摩地域では、エリアの枠を超えた新たな事業に取り組んだり、島しょ部では、島同士の連携により、来訪者とその消費をふやす仕組みをつくることもできると考えます。さらには、こうした動きが活発になれば、誘客のためのイベントにも注目や関心が集まり、旅行者の増加につながるものと思います。
 こうした視点に立ち、都は、多摩・島しょ地域の観光振興をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 次に、自然公園を生かした観光振興について伺います。
 東京の自然は、大半が多摩と島しょに広大な自然公園という形で広がっているため、これらを環境面から守ることのほかに、旅行者の誘致に向けた活用を図る視点は、これからますます大切になると思います。自然公園は、トレッキングを楽しめる森林や渓谷、美しい海岸など、海外からの旅行者にとっても魅力的な観光資源にあふれています。
 国でも観光振興の立場から、国立公園の活用に向けた検討を始めていますが、都においても同様の考え方から、自然公園への訪問者をふやす具体的な動きを進めるべきです。
 自然公園では、景観も含めた環境を保護する必要があるためにさまざまな制約があり、集客に役立つ施設をつくる場合に、多くの工夫が必要となります。こうした規制についても柔軟に見直すべきと思います。と同時に、自然公園を訪れる観光ツアーをふやすための努力も大切であると考えます。
 自然公園を生かした観光振興をどう進めていくのか、都としての考え方を伺います。
 次に、アクセシブル・ツーリズムの推進について伺います。
 二〇二〇年のパラリンピック大会のレガシーとして、障害者を初めさまざまな都民が幅広く社会の中で活躍し、生活を楽しもうとする流れを定着させることが大切です。特に、これからは、障害者が楽しむ機会をふやす分野として、スポーツ競技のほかに、観光旅行などに注目していくことが必要になると考えます。体などの機能が十分でなくとも、車椅子を使いつつ、まち中で観光を楽しむことは、今後の少子高齢化社会で増加する高齢者にも当てはまる面が大きいものと思います。
 障害者や高齢者が、観光バスにより車椅子なども用いて旅行をするツアーは、最近ではアクセシブル・ツーリズムとして、少しずつ社会の中に広がりつつあるとの話も聞きます。アクセシブル・ツーリズムはようやく動きが始まった段階であるだけに、都民の理解を広げ、具体的なツアーをふやすため、都としても適切なサポートを進めていくべきです。特にこうしたツアーでは、さまざまなきめ細かい対応が必要で、その作成にはコストもかかるため、行政として普及に向けたサポートも必要になると思います。
 都として、アクセシブル・ツーリズムの推進に向けてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、大会スタッフ等による障害者への対応について伺います。
 パラリンピックの開催は、共生社会の実現に向けた大きな一歩であり、そこで重要となるのが、ハード面はもちろんのこと、ソフト面でのバリアフリーの推進です。
 私は九月に、リオ・パラリンピックを視察してまいりましたが、大会スタッフやボランティアが、笑顔で誰にでも声をかけ、サポートを行っている姿を多く見かけました。車椅子では歩行が困難な道であっても、スタッフが車椅子を押してサポートするなど、ハード面の不足を人的な対応でカバーしている様子も見られました。
 また、会場内では、ブラジルの観客が他国の選手のことも応援するなど、おもてなしの心で大会を盛り上げていることも実感しました。選手にとって、一緒に楽しむ姿勢で接してくれるスタッフやブラジル国民の存在は、大きな力になったに違いありません。
 東京でも、世界中から多くの観客や選手を迎えることになります。我が国では、困っている人を助けたくても、声をかけていいのかわからない、どのようにサポートしたらよいかわからないといった声も聞きますが、基本的な知識があれば、ちゅうちょなく接することが可能です。
 また、大会を機に、障害者に対してみずから進んで手助けをする意識が人々の中に広まれば、心のバリアフリーが大会のレガシーとなることも期待できます。
 そのためには、まず、大会スタッフなどによる障害のある方々などへの対応が適切に行われるようにすることが重要だと考えますが、今後どのように準備を進めていくのか、所見を伺います。
 次に、有人国境離島について伺います。
 本年四月、いわゆる有人国境離島法が議員立法により成立し、来年四月から施行されることとなりました。
 この法律は、近年の、日本周辺海域における外国漁船による違法操業が行われるなどの看過できない諸情勢を受けて制定されたもので、領海基線を有する重要な離島を保全し、地域社会を維持する上で必要な施策等について定めた、大変意義深い法律です。
 同法では、有人国境離島地域のうち、継続的に居住可能とするための環境整備が、当該地域社会維持の上で特に必要な地域が特定有人国境離島地域として指定されています。
 同地域に対しては、航路、航空路運賃の負担軽減と雇用の拡充、漁業経営の安定など、地域社会を維持するための施策に関する財政上の措置が規定されており、該当する離島の振興にとっても大変有益な内容となっています。
 ところが、東京都における同地域の指定状況を見ますと、伊豆諸島の南部地域、すなわち三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島のみが指定されています。これは同じ伊豆諸島として、地域の特性を尊重しつつも一体的に振興を図るべき東京都の立場からしますと、見過ごすことができない状況です。
 今後、伊豆諸島南部地域に対する措置が具体化すれば、同じ有人国境離島地域であると思われる伊豆諸島の北部地域、大島、利島、新島、式根島、神津島との間で格差が生じることが懸念されます。
 都は、来年四月の法の施行に向けて、こういった課題も含め、どのように有人国境離島地域における地域社会の維持に取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 次に、島しょ漁業振興について伺います。
 伊豆諸島、小笠原諸島の活性化には漁業の振興が欠かせませんが、漁業者の高齢化や後継者不足が急速に進行しており、このままでは、漁業技術の継承ができなくなる島が出てくるのではないかと危惧しています。
 一方、近年、島外の方でも、漁業に関心を持ち、漁業者になることを夢見て、島の漁船の乗り子として経験を積み、独立した方もいます。しかし、受け入れる漁業者の経済的な負担が大きいことなどから、せっかく申し出があっても断らざるを得ず、漁業者の育成の機会を逃しているケースもあるのが実態です。
 こうした就業意欲のある人を積極的に受け入れ、漁業者として育成するために、都はどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、島しょの都立高校について伺います。
 以前、本会議の場で紹介した都立大島高校のツバキの園庭が、生徒や学校の努力により、本年二月、国際優秀ツバキ園に見事認定されました。このように、島ならではの特色ある教育に取り組みつつも、生徒数の減少が続いている島の都立高校の活性化は、地域の振興のためにも急務であると、これまで都議会の場で訴えてきました。
 こうした中、都教育委員会は、今年度入学生の選抜から、地元町村がホームステイ方式により受け入れた生徒に対し、島の高校への受検を可能とし、今年度は神津島村において、一名ではありますが、地元の神津高校に入学し、今も元気に学校生活を送っております。
 また、地元町村と高校が協力して、中学生島しょ体験ショートステイを実施し、島の多様な魅力を中学生にアピールしており、今年度は、昨年から実施している神津島村に加え、八丈町でも実施されています。
 島外の生徒を受け入れることを通して、多くの都民が島の魅力を再認識することは、地域振興の大きな力となります。
 今後も、島外の生徒を受け入れる高校を着実に拡大するとともに、生徒数も増加させていくべきと考えますが、地元町村では、新たなホストファミリーの確保や、生徒が夏休み中に部活動に取り組むための宿泊経費等の課題を抱えながら、取り組んでいると聞いています。
 そこで、都教育委員会は、こうした課題に対する今後の取り組みと島外生徒受け入れの拡大に向けた方針について、どのように考えるのか見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 三宅正彦議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、バレーボール会場についてのご質問がございました。
 アジェンダ二〇二〇では、既存の施設の活用、このことがうたわれております。横浜アリーナの活用というのは、この点にかなうものとして検討案としたわけでございますが、会場スペースの確保、運営動線、バリアフリー、そして輸送の面などから精査をしているところでございます。できるだけ早く結論を見出していきたいと考えております。
 それから、昨日の代表質問につきましての、重ねてのご質問でございました。
 大きな黒い頭のネズミは誰かということでございますが、これについては、この比喩の表現しか記者会見でも使っておりません。そこで、誰がどうだということについては、申し上げてはおりません。あえてご説明するならば、さまざまなこれまでの古い体制などを代表するといったことで、済みません、片仮名を使いますと、アンシャンレジームということでございましょうか、頭の黒いネズミを、このことを総称として使わせていただいたところでございます。
 そして、お地元であります多摩・島しょ地域の観光振興についてのご質問がございました。
 多摩・島しょ地域は、豊かな自然に恵まれております。そして、それぞれの地域に際立った個性がございます。それらがきらりと光るブランドに磨き上げていくことによりまして、観光客の誘致に対しまして役立つ大きな魅力となることでありましょう。そのために、新しい発想と意欲を持つさまざまな主体が切磋琢磨をしながら、協力をして観光振興に取り組む、そのことによって観光地としてのポテンシャルを十分に引き出すこと、このことが重要だと考えます。
 ご指摘の多摩地域におきましては、観光協会、そして商工団体などが地域の特産品などをブランドとして育て上げるとともに、自治体のエリアを超えたネットワークの構築で観光ルートづくりなどを行う新たな取り組みを支援しているところでございます。
 また、お地元の島しょ地域におきましては、島焼酎特区を実現いたします。島同士が連携して、来島や周遊を促して、消費を喚起する新たな仕組みをつくることによりまして、地域経済の活性化につなげていくということでございます。
 さらに、それぞれの島が独自の強みを発揮して、新たなイベントやツアーの実施、先日もご一緒させていただいたようなイベントがございます。創意と工夫を凝らして競い合って、観光客を誘致する力を高めることができるように後押しをしてまいります。
 そして、これらの施策の展開によりまして、多摩・島しょ地域の特性を最大限に生かした観光振興を効果的に進めてまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 島しょ高校への島外生徒の受け入れについてでございますが、都教育委員会では、現在、島しょの町村が実施するホームステイ費用の軽減策や、中学生島しょ体験ショートステイの実施経費に対して補助を行っております。
 今年度、神津島村と八丈町が、都教育委員会との共催により実施した中学生島しょ体験ショートステイは、島しょの自然や高校に対する都内公立中学生と保護者の興味、関心の高さから、募集人員を上回る多くの応募があり、島外生徒受け入れの必要性を改めて認識したところでございます。
 今後、島しょ高校における島外生徒の受け入れの拡大に向け、ホームステイ方式以外での生徒の受け入れ形態や、夏季休業中に生徒や保護者が負担する宿泊費の軽減などの課題を整理し、島しょ町村と協議を進めてまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、東京の自然公園を生かした観光振興についてでございますが、都内を訪れる旅行者がより多くの自然に触れる機会をふやすため、多摩や島しょの自然公園の活用を図ることは効果的でございます。
 これまで都は、東京の豊かな自然を観光面で生かすため、多摩地域の森林の中の散策ルートのPR等に取り組んでまいりました。また、小笠原島諸島の自然に接して観光を楽しむエコツーリズムへのニーズ調査などを行っているところでございます。
 今後は、多摩・島しょ地域に広がる自然公園を対象に、旅行者の興味や関心の集まる観光ツアーのあり方を調べ、その結果を観光関連の事業者と共有して、旅行者誘致に結びつけることを検討してまいります。
 こうした取り組みにより、東京の豊かな自然を活用した観光振興を着実に進めてまいります。
 次に、アクセシブル・ツーリズムの推進についてでございますが、東京の観光を幅広い旅行者に楽しんでいただくためには、障害者や高齢者が快適に移動しながら旅行のできるアクセシブル・ツーリズムの充実が不可欠でございます。
 これまで都は、障害者等が旅行の際に円滑に移動できる仕組みづくりに向け、宿泊施設へのスロープや手すりの設置に対して助成を行うほか、車椅子のまま乗り降りのできるリフトつき観光バス車両の導入を支援してまいりました。
 今後は、障害者等に配慮したツアーをつくる旅行事業者への支援を検討してまいります。また、こうしたツーリズムへの理解を醸成するため、都民や観光関連事業者に対するPRや啓発活動についても検討いたします。
 これらの取り組みを通じて、東京を訪れる多くの旅行者に、より快適な観光の機会を提供してまいります。
 最後に、島しょ漁業における人材の確保、育成についてでございますが、漁業の担い手を確保し、着実に育成していくためには、就業希望者が長い年月をかけて技術を身につけ、漁業者として独立するまでの一貫した支援が必要でございます。
 このため都は、就業希望者に対し、漁業団体が実施する漁業体験研修に係る経費を初め、独立を目指す就業者が船舶操縦免許等を取得する際の費用や、漁船、漁具等を借り受ける場合のリース料を補助しているところでございます。
 今後は、こうした取り組みに加え、熟練漁業者が就業希望者を受け入れ、漁具の作成や操船、操業等に係る、より実践的な技術指導を行い、漁業者としてひとり立ちできるよう育成する仕組みを検討してまいります。
 これらの取り組みにより、島しょ漁業の将来を担う人材を確保、育成し、東京の水産業の一層の振興を図ってまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 大会スタッフ等の障害者への対応についてでございますが、運営時のバリアフリー基準でございますアクセシビリティーガイドラインでは、障害者等に対する接遇の指針を盛り込んで策定を進めておりまして、その案は現在、国際パラリンピック委員会、IPCに承認申請中でございます。
 ガイドラインには、例えば、ニーズを聞いた上でサポートするといった基本的な心構えや、視覚障害者を誘導するときは、誘導者の肘や肩を持ち、横に並んで歩いてもらうなどの具体的なサポート方法が記載されております。
 今後、こうした障害特性や場面に応じた接し方等の習得を目指す研修を、組織委員会と連携して検討、実施し、大会スタッフやボランティアがみずから進んでサポートする姿勢を育むとともに、大会を契機に、誰もが心のバリアフリーを実現できるような取り組みにつなげてまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 有人国境離島地域についてですが、同地域の維持は、我が国の領海や排他的経済水域の保全等を図る上で大変重要でございます。
 都はこれまで、東京都離島振興計画に基づき、定住促進や持続的発展に向けて、伊豆諸島全域の一体的な振興を図ってまいりました。
 現在、国においては、有人国境離島法の施行に向けた準備を進めており、都は、国の定める方針に基づき、伊豆諸島三宅島以南における特定有人国境離島地域の維持計画を平成二十九年四月に策定することとしております。
 都は、特定有人国境離島地域の維持に向け、この計画を着実に実施するとともに、引き続き、北部地域を含む伊豆諸島全域の一体的な振興に積極的に取り組んでまいります。

○議長(川井しげお君) 三十九番高倉良生君
   〔三十九番高倉良生君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十九番(高倉良生君) 初めに、子育て支援について質問をいたします。
 安心して出産、育児ができるよう、都議会公明党は、東京版ネウボラを政策提言し、実施を訴えてきました。ネウボラとは、フィンランドで実施されている切れ目のない子育て支援の名称であります。
 これを受けて都は、昨年度から、ゆりかご・とうきょう事業を開始し、国の妊娠・出産包括支援事業などと組み合わせる形で、切れ目のない子育て支援を実施する区市町村に補助を交付しています。事業は、都内三十二自治体まで拡大していますが、事業を継続しながら、早期に都内全自治体での実施を図るべきと考えます。都の見解を求めます。
 ゆりかご・とうきょう事業の中身は、全ての妊婦を対象として専門職が面接を行い、育児パッケージを配布する母子保健強化事業と、総合的な相談支援を行う包括的支援事業を基本としています。
 しかし、さらに、心身の不調や育児不安がある出産直後の女性に対して、心身のケアや育児サポートを行う産後ケアの取り組みが必要でありますが、これは、任意の事業とされています。
 産後ケアの実施形態としては、利用者を宿泊させてきめ細かな支援を実施する宿泊型、昼間に来所した利用者に支援を行うデイサービス型、そして、利用者の自宅に赴いて支援を実施するアウトリーチ型があります。
 国の補助を受けて、こうした産後ケアを実施しているのは、十の自治体であり、そのうち八つの自治体は、ゆりかご・とうきょう事業も活用しております。この中で、宿泊、デイサービス、アウトリーチの三点セットを実施しているのは、中野区など三つの自治体にとどまっております。
 都は、ゆりかご・とうきょう事業の活用拡大を図りながら、さらに、産後ケア事業を実施する自治体を拡大していくべきと考えます。その際、都内の先進的な事業内容を事例として紹介していくことも効果的であると思います。都の見解を求めます。
 産後ケア事業のうちアウトリーチ型、つまり、担当者が出産後の利用者の自宅に赴き、個別に心身のケアや育児サポートなどを行う支援サービスについて、産後ドゥーラという民間資格を得て活躍している女性の方々がいます。ドゥーラというのは、ギリシャ語で、他の女性を支援する経験豊かな女性という意味であります。いわば第二のお母さんのような役割を果たしている人といえます。
 アメリカでは、ドゥーラが職業として確立され、多くの人々が活躍しています。子育ての経験豊かな女性が産後ケアの専門知識を身につけ、子育て支援に活躍する分野を切り開いていけば、シニアの働き方の可能性を広げることにもつながります。
 都は、ゆりかご・とうきょう事業を推進する中で、産後ケアの専門性を持つ人材が活躍できるようにしていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、若者支援について質問をいたします。
 都議会公明党はこれまで、行政による支援が希薄となっている世代、つまり、若者への支援について施策の充実を訴えてきました。
 我が党の提案に応え、都は、若者支援の一環として、平成二十一年度から東京都若者総合相談、若ナビを開設し、電話や電子メールによる相談に加え、カフェにおける対面相談を実施しており、若者特有のさまざまな相談を受けています。この相談事業は、ちょっとした不安や、つまずきを感じたとき、すぐ相談できる気軽さがあり、悩みを抱えた若者にとって効果的な事業になっています。
 そこで、若ナビについて、都のこれまでの取り組みと成果を明らかにしていただきたいと思います。
 ことし二月、内閣府が発表した子供・若者育成支援推進大綱では、困難を有する子供、若者について、貧困、不登校、ニート等の問題が相互に影響し合うなど、さまざまな問題を複合的に抱え、非常に複雑で多様な状況となっていることが指摘されています。社会的自立に困難がある若者について、早期の自立につなげるためには、一層の支援の強化が求められています。
 都は、現在の若者の状況を踏まえ、今後、若ナビの相談事業をさらに充実していくべきと考えますが、見解を求めます。
 若者への支援にもなり得る結婚支援、いわゆる婚活についてお伺いします。
 従来、婚活は、行政課題には位置づけられていませんでしたが、都議会公明党が必要な施策を実施するよう繰り返し質問する中で、都は、ことし三月の予算特別委員会などで、実効性のある取り組みを検討していくと答弁しました。
 その後の検討状況も含め、都として、結婚支援について具体的な取り組み状況について伺います。
 次に、動物との共生について質問いたします。
 都議会公明党は、動物との共生を進めるプロジェクトチームを立ち上げ、動物の殺処分ゼロを目指す取り組みや、高齢社会における動物との共生などを提案してきました。
 知事は、今定例会の所信表明で、動物の殺処分ゼロを目指す取り組みを明らかにしました。成熟した都市東京において、動物共生の施策を推進することは重要と考えます。
 動物の殺処分ゼロに向けて、私は、動物保護のシェルター機能を備えた施設が東京には不可欠だと考えています。それを実現するため、わかりやすい東京都動物愛護憲章を制定するとともに、動物への都民の理解を広げる意味でも効果のある募金を実施するなどして、仮称東京都動物共生基金を創設してはどうかと考えます。知事の所見を伺います。
 ことしの第二回定例会において、私は、都の動物愛護相談センターの役割や機能について質問しました。都は、譲渡事業や災害対策を一層推進していく観点が重要と答え、今年度中に基本構想をまとめる考えを示しました。構想策定に向けた現在の取り組み状況と今後の予定について答弁を求めます。
 次いで、東京港の中央防波堤内側に生息する猫の問題について質問いたします。
 このエリアには、環境局の排水処理施設や、東京二十三区清掃一部事務組合の施設、さらにケーソン工事現場事務所があります。環境局の施設周辺は少ないものの、この付近には、百五十匹から二百匹の猫がいるともいわれております。
 現在、施設関係者の協力も得ながら、ボランティア団体の方々が捕獲や不妊去勢手術に取り組んでいます。しかし、活動場所の制限や経費負担の壁に突き当たっています。この場所の近くは、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会のボート、カヌー、馬術競技の会場になります。
 都は、二十三区やボランティアと積極的に連携協力して、地域猫対策に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、自然公園について質問いたします。
 東京都には国定公園、国立公園など、自然公園が十カ所存在します。東京都の総面積に占める割合でいうと、滋賀県に次いで第二位の面積率を誇り、首都東京は大変に自然豊かな都市という横顔を持っています。
 ことし八月十一日は、初めての山の日でありました。日本山岳会の会員でもある私は、山の日の制定を大変うれしく思っております。
 先日の環境・建設委員会で私は、自然公園について質問をいたしました。これに対し環境局は、東京の最高峰である雲取山の山頂に、新たな山頂標識を設置したことを明らかにしました。東京、埼玉、山梨の三都県が接する山頂には、それぞれの都県が設置した三つの山頂標識がありました。これを統一して石づくりのきれいな標識に変えたわけであります。
 東京には、雲取山を初め名峰が数多くあります。今後、順次、東京ならではの山頂標識を設置していく必要があると考えますが、その取り組みについて見解を求めます。
 東京の最高峰、雲取山の標高は二千十七メートルであります。そして、明年は二〇一七年、同じ二千十七であります。これにちなんで、雲取山の存在をアピールしていくことは、東京の自然公園の魅力向上につながると考えますが、都の見解を求めます。
 最後に、無電柱化について質問いたします。
 所信表明で、知事は、東京の電柱をゼロにしたいと述べ、無電柱化を推進する条例案の検討を表明しました。重要な取り組みであり、私も大いに賛同するものであります。
 東京都が進める無電柱化事業の中で、都道三〇一号線、白山通りの工事が街路樹の保存との関係で課題になっております。
 この工事では、白山通りの水道橋駅から神保町駅までの区間、約七百メートルで無電柱化を実施し、そのために、沿道の街路樹であるイチョウの木の撤去が引き続き実施される予定になっていますが、マスコミでもいろいろ報道をされております。
 この区間は都市計画道路の第四次事業化計画の優先整備路線であり、無電柱化はその整備事業に合わせて実施すべきとの指摘もあります。この区間はオリンピックのマラソンコースに予定されていますが、街路樹は多い方が暑さ対策になるのではないかという声もあります。
 千代田区議会はことし十月、白山通りにつながる神田警察通りの街路樹保存に関する陳情を受けて、企画総務委員会で街路樹保存に関する四項目の意見を集約し、その中で、東京都に対しては区の方針を反映できるよう要望することを執行機関に求めました。
 私たち都議会公明党は、現場の調査に行ってまいりましたが、白山通りの無電柱化と街路樹の保存について、都から十分な説明がなされていないと感じているところです。
 無電柱化は、まちの景観の向上や防災対策として極めて重要であります。また、環境先進都市東京において、街路樹の保存も大切であります。白山通りの無電柱化について、住民の意思を十分聞く必要があると考えますが、知事の所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 高倉良生議員の一般質問にお答えをさせていただきます。
 二問ございました。動物の殺処分ゼロに向けた取り組みについてのお尋ねでございます。
 ご承知のように、私は公約にも掲げましたように、動物の殺処分ゼロ、この実現をぜひ行いたいと思っております。二〇二〇年の東京大会までに果たしたいと思っております。
 その取り組みの第一歩といたしまして、昨月十一月を都独自に動物譲渡促進月間と位置づけたところでございます。その中では、保護した犬、そして猫を譲渡する取り組みをより多くの方々に知っていただくために、ネット上でのビデオメッセージの配信をいたしました。そして、PRイベントの開催など、さまざまな取り組みを行ったところでございます。
 また、現在、都の動物愛護施策の拠点であります動物愛護相談センターについて、今後担うべき役割、そして機能の検討も進めているところでございまして、年度内には基本構想を策定する考えでございます。お話のご提案でございますが、貴重なご意見といたしまして、今後の検討に当たっての参考とさせていただきます。
 白山通りの無電柱化についてのご質問でございます。
 東京の防災力を高めて、都民が安全・安心に暮らせるセーフシティーを実現していくために、無電柱化というのは大変重要な政策でございます。
 無電柱化に当たりましては、街路樹を残すことが望ましいことはいうまでもございません。一方で、都道にはさまざまなライフラインが埋設をされておりまして、限られた空間の中で事業を進めるためには、ご指摘のケースでは、やむを得ず支障となる街路樹の撤去が必要となることなどもございます。
 そこで、この白山通りを初めとする無電柱化事業の実施に当たりましては、沿道の方々に街路樹の撤去の必要性を丁寧に説明していく必要がございます。また、事業完了後には新しい樹木を植えるなど、できる限り緑の回復に努めていくことも重要でございます。
 今後とも、地域の理解とご協力を得ながら、東京の無電柱化を推進していきたいと考えております。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ゆりかご・とうきょう事業についてでありますが、本事業は、区市町村において全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援を行う事業であり、現在、三十二の区市町村で実施されております。
 都は、平成二十六年度に策定をいたしました東京都子供・子育て支援総合計画におきまして、平成三十一年度までに全ての区市町村で、地域の実情に応じ、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援体制を構築することを目標に掲げております。
 今後、より多くの区市町村が、ゆりかご・とうきょう事業に取り組めるよう、保健衛生主管課長会や母子保健従事者向け研修等において、事業の意義の説明に加え、フィンランドにおけるネウボラや、先行して実施している取り組み事例の紹介等を行うなど、積極的に働きかけてまいります。
 次に、産後ケア事業についてでありますが、産後ケアは、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支える上で重要な取り組みでございまして、都は、ゆりかご・とうきょう事業を通じて支援いたしますとともに、出産直後の母子の送迎などを行う区市町村を包括補助で支援をしております。
 また、昨年度は、区市町村における産後ケア体制の整備の参考となるよう、周産期医療施設における産後ケア等の取り組みの実施状況に関する調査を行い、その結果を区市町村に提供しております。
 今年度は、母子保健従事者向け研修で先進的な取り組み事例を紹介したほか、担当者連絡会で各区市町村の取り組み状況について周知を図っており、今後とも、より多くの区市町村が産後ケア事業に取り組めるよう、積極的に支援してまいります。
 次に、産後ケア事業における人材の活用についてでありますが、区市町村の産後ケア事業は、母子に対する保健指導、母親に対する療養上の世話や心理的ケア、カウンセリング、育児指導、育児サポートなどを行うものでございます。
 実施形態には、お話のように病院等の空きベッドを活用する宿泊型、利用者に施設に来所してもらうデイサービス型、支援者が利用者の自宅に赴くアウトリーチ型という三つがございまして、区市町村では、保健師や助産師などの資格を持つ専門職が対応することを基本に、事業内容に応じて、子育て経験者やシニア世代なども活用しながら実施をしております。
 今後、さまざまな人材を活用しながら産後ケア事業を実施している事例の紹介等を行い、区市町村における多様な人材の活用を支援してまいります。
 最後に、動物愛護相談センターの基本構想についてでありますが、現在、都は、動物を取り巻く社会状況の変化や、これまでセンターが果たしてきた役割と業務内容を踏まえまして、動物との共生を学ぶ普及啓発の促進、保護動物の譲渡拡大、事業者等の指導監督、動物に関する危機管理対応の強化という四つの視点を柱に、センターの基本構想の検討を進めており、その中で譲渡事業や災害対策の充実強化についても検討を行っております。
 今月中には学識経験者や動物愛護団体、行政機関の関係者などで構成する動物愛護管理審議会に基本構想の考え方をお示しする予定でございまして、審議会での意見も踏まえながら、年度内には、今後の執行体制や施設整備の方向性も盛り込んだ基本構想を策定する予定でございます。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都若者総合相談、若ナビのこれまでの取り組みと成果についてですが、平成二十一年度にまず電話相談から始め、続いて二十四時間受け付け可能なメール相談を実施し、平成二十四年度からは、若者が相談員と会って気軽に悩みを打ち明けることができるカフェでの対面相談を開始いたしました。
 平成二十八年十月末までの相談実績は延べ四万六千九百七十一件であり、具体的な相談内容としては、自分自身の悩みや不安のほか、仕事関係、対人関係などとなっております。
 若ナビでは、こうした多くの若者のさまざまな悩みを受けとめるとともに、専門機関等での相談が必要なケースについては、保健、医療や就労等の支援機関につないでおります。
 次に、若ナビにおける相談事業の充実についてですが、相談の中には、社会的自立に困難を有する若者からの深刻な相談もあり、電話や電子メールによる相談では、状況の十分な把握が難しく、課題の解決に向けて時間を要するケースもございます。
 今後は、このようなケースにも迅速かつ的確に対応するため、相談機能の強化を図るとともに、区市町村と連携しながら関係機関の総合力を発揮し、より適切に支援ができるよう、若ナビの充実を検討してまいります。
 また、できるだけ多くの若者の利用につながるよう、卒業を控えた高校生等へのリーフレットの配布や、大学の食堂でのトレーマット等を活用した広報のほか、インターネットを活用したバナー広告を実施するなど、引き続き若者の特性を踏まえた普及啓発の強化に努めてまいります。
   〔政策企画局長長谷川明君登壇〕

○政策企画局長(長谷川明君) 結婚支援についての具体的な取り組みの検討状況についてでございますが、誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティーの実現に向けて、結婚や出産を希望する全ての人が、その願いをかなえ、家庭を築き、安心して子育てができるよう、社会全体で支援していくことが必要でございます。
 こうした視点から、都としての結婚支援に関する検討を進め、来年三月を目途に、結婚関連のさまざまな情報を提供する機運醸成のイベントを実施いたしたいと考えております。結婚を希望する方々の参加を広く呼びかけ、結婚支援のムーブメントの創出につなげてまいりたいと思います。
 結婚は個人の価値観や人生観に基づくものであることに十分配慮しつつ、今後とも実効性ある取り組みについて検討をしてまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中央防波堤内側地域の猫についてでございますが、本年六月、ボランティア団体から環境局の敷地における地域猫の捕獲活動の申し出がございました。この周辺は一般の立ち入りを制限している地域で、かつ工事等に伴う大型車両が多数通行し、活動には危険が伴うことから、期限を区切って試行的に活動を認めてきたところでございます。
 現在のところ、当局の敷地内においては多くの猫が生息している状況は見られず、猫による業務への影響は発生しておりませんが、今後、敷地内で猫の生息状況の調査を行い、必要に応じて関係局や区と連携し、施設管理者として適切に対応をしてまいります。
 次に、自然公園の山々における山頂標識についてでございますが、山頂標識は、登頂時の記念撮影スポットとして多くの登山客に利用されるほか、その山の象徴としてメディアに取り上げられることも多く、東京の山としてのアピールや自然公園の魅力を伝える上で、有効なアイテムでございます。
 そこで、都は、本年八月、雲取山山頂において、老朽化していた古い木製標識を撤去いたしまして、背景に富士山を望む位置に石づくりの標識を設置したところでございます。
 今後、三頭山、御前山、大岳山から成る奥多摩三山を初め、他の山々についても、標高や登山客の状況、メンテナンスなどの観点からの検討を踏まえ、周囲の景観に調和した統一感のあるデザインの山頂標識を順次整備してまいります。
 最後に、雲取山を通じた自然公園の魅力発信についてでございますが、雲取山は東京の最高峰であるとともに、日本百名山にも選ばれており、山頂からの展望がよく、ブナ林を初めとした豊かな自然環境に恵まれているため、多くの登山者に人気の高い山でございます。
 来年は雲取山の標高と西暦が一致する二〇一七年でありまして、この魅力をより多くの人に知ってもらう好機であることから、雲取山をテーマとしたイベントを開催するなどにより、これまで余り山に出かけたことのない人にも、雲取山やその周辺の東京の山々の魅力を広く発信してまいります。
 今後とも、登山道やトイレの整備、改修など、快適に登山のできる環境整備を進めるとともに、こうした情報発信に積極的に取り組み、自然公園の魅力向上を図ってまいります。

○副議長(小磯善彦君) 八十九番桜井浩之君
   〔八十九番桜井浩之君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十九番(桜井浩之君) 最初に、連続立体交差事業の推進について、知事に質問をいたします。
 都内には、いまだに千を超える踏切が残されており、慢性的な交通渋滞や踏切事故の原因となるなど、都市の活力や魅力を損なっております。
 また、震災時には、列車の緊急停止などに伴い長時間にわたって踏切道が閉鎖され、緊急、救急活動の妨げとなるおそれがあります。
 スムーズで安全な道路交通の実現や沿線地域のまちづくりを図るために、これらの課題を抜本的に解消する連続立体交差事業を推進することが重要であります。
 そこで、連続立体交差事業の推進とその効果について、知事の所見を伺います。
 次に、公立小中学校で行われている学期制について伺います。
 二学期制は、平成十四年度から学校週五日制が実施されるに当たり、授業時数の確保などの課題の解決策としてさまざまな区市町において導入され、平成二十年度には、小中学校ともに二学期制を採用している地区は都内の約一八%と、最大になりました。しかし、その後再び三学期制に戻すという動きもあり、現在は、二学期制を採用する地区は以前よりも少なくなっています。
 現在、二学期制が導入され十数年が経過し、次の学習指導要領の改訂が迫っている段階で、各区市町村では、改めて二学期制や三学期制の狙いを振り返り、その効果を検証することが重要と考えます。
 そのため、都教育委員会は、各区市町村がみずからの取り組みを振り返るとともに、広い視野から判断できるよう、都として支援する必要があると思います。
 そこで、小中学校の学期制について、都教育委員会の役割を伺います。
 次に、都立高校におけるキャリア教育について伺います。
 我が国において一貫してふえ続けてきた人口は、今後一転して人口減少へ転じ、五十年後には八千万人台まで減少するといわれております。また、急速に進むグローバル化、情報化や技術革新に加え、新興国の台頭により、国際社会における我が国の経済的地位の低下が懸念されています。
 今後、日本の国力をさらに高め、私たちの社会や生活をよりよくしていくためには、技術革新を生み出すなど、高い能力を備えた人材の育成が急務だと考えます。
 こうした中、私が特に重視しているのは、みずからの意思で自分の人生を決定する力を育成するキャリア教育です。このキャリア教育では、生徒が今までの自分を振り返り、自分自身を捉え直すとともに、将来を見詰めて、やりたいこととその実現に向けた道筋をまとめたライフプランを作成するなどして、将来に向け明確な目標を持たせることができると私は考えます。
 そこで、都立高校ではどのようにキャリア教育を進めているのか伺います。
 次に、日本の伝統文化に関する教育について伺います。
 現在、和太鼓やおはやし、茶華道、日本舞踊といった伝統文化や伝統芸能を行っている方の高齢化が進む中、若者の参加が少なく、将来の継承に危機感を持っています。確実に継承していくためには、子供たちが伝統文化を身近に感じ、触れるなどして親しんでいくことが重要と考えます。
 また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、来日する多くの外国人に日本のよさや伝統文化を紹介することも重要です。
 子供たちが伝統文化を体験し、理解を深め、誇りを持つことは、伝統文化を継承していこうとする心を育てます。また、外部の人に伝えていく経験をすることは、伝統文化のよさを一層知ることにつながり、発信していこうとする心を育みます。そして、こうした心を持った子供たちが、将来、地域の一員となり、地域を支えていく人材となり得るのではないでしょうか。
 そこで、学校教育において、児童生徒へ日本の伝統文化を身近に感じる機会を設け、継承していく心を育てるとともに、外国人にも発信していくことが必要と考えますが、都教育委員会の取り組みについて伺います。
 次に、子育て応援とうきょうパスポート事業についてお伺いします。
 都は、本年九月に、待機児童ゼロに向けた緊急対策を取りまとめましたが、子供を産み育てたいと望む人たちが、安心して子育てし、子供たちが健やかに成長できる環境の整備は、社会全体で取り組むべき課題であります。そのためには、次世代を担う子供を育成することの意義を社会全体で共有するとともに、都民、企業、NPOなど、さまざまな地域の団体や行政が連携し、子育てを応援する社会的機運を高めていくことが重要です。
 埼玉県では、企業等と連携した子育て支援の取り組みである、パパ・ママ応援ショップ事業を平成十九年度から実施しております。この事業は、県が子育て家庭に配布している優待カードを、取り組み趣旨に賛同した協賛店で提示すると、割引などのサービスが受けられ、子育て家庭の負担軽減にも資するものです。
 都でも、今年度から、子育て応援とうきょうパスポート事業を開始しましたが、企業が集積している東京都では多くの協賛が見込まれ、子育て家庭への支援として大変有効であり、大いに期待できます。
 そこで、子育て応援とうきょうパスポート事業について、現状と今後の取り組みを伺います。
 次に、高齢者や子育て世帯に対する住まいの支援について伺います。
 都内では、急速な高齢化の進行により、高齢者のみの世帯が増加しております。高齢者が住みなれた地域の中で安定した住まいを確保することや、二世代、三世代の同居、近居をバックアップすることや、また、子育てしやすい住環境の整備を進めることは喫緊の課題です。
 先月公表された都の住宅政策審議会答申などにも、多世代同居や近居が可能となるような環境整備の必要性が提言されており、私は、先月の都市整備委員会において、高齢者や子育て世帯に対する住まいの支援についての検討をお願いしたところです。
 既に都営住宅では、高齢者世帯が子世帯の支援のもとで安心して生活ができるための、親子触れ合い住みかえ募集などが実施されており、URにおいても、親子近居を促進するため、プライオリティーをつけるなどの取り組みを実施しております。
 そこで、都の住宅政策の一翼を担っている住宅供給公社においても、公社住宅の入居に際して、近居や多世代同居に対する支援を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、産業観光振興についてお伺いします。
 東京を訪れる旅行者の数がふえる中、それぞれのニーズに対応したツアーや訪問スポットをつくる努力が、これまで以上に重要となります。先日、知事出席のもとで今後の観光施策を検討する会議が行われたと聞き、その公表資料を見たところ、水辺やライトアップの活用、ナイトライフの充実等、新たな視点での観光資源をつくり上げる必要性に触れていました。
 私の地元の墨田区でも、水辺空間の活用や舟運の活性化による観光に力を入れており、将来の有望な観光資源として期待が高まっております。また、東京は治安がよく、夜でもまちを散策できるため、夜のまち並みへの面的な規模でのライトアップや、ナイトライフの訪問先をツアーで結ぶような工夫もぜひ考えていただきたいと思います。
 このような新たな観光振興の推進に向けどう取り組んでいくのか、都の所見を伺います。
 次に、Wi-Fiアンテナの整備について伺います。
 ひところは、外国人旅行者といえばガイドブックを片手に歩いているというイメージでしたが、IT技術の普及に伴い、今ではスマートフォンをのぞき込みながら、まち歩きを楽しむ人が多いように思います。
 都はこうした実態を踏まえ、観光案内標識の周辺にWi-Fiアンテナの整備を進めていると聞いていますが、外国人旅行者が急増する中、案内標識のほかにアンテナを設け、Wi-Fiが利用できるエリアを広げていくことが重要です。
 このため、まち中でWi-Fiアンテナを設置できる見込みのある、さまざまなものを調べておく必要があると考えます。都の所見を伺います。
 次に、MICE誘致について伺います。
 観光施策の中でも、一度に多くの参加者やその家族の来訪につながるMICEの誘致は重要であり、私も以前から何度か一般質問で取り上げています。今回は、MICEの受け入れ環境という観点から質問したいと思います。
 本議会の冒頭で、知事は、都立の文化施設等をユニークベニューとして活用するとの考えを示されました。私の地元でも、先月、すみだ北斎美術館がオープンしており、付近の江戸東京博物館などを含めたさまざまな文化施設の集積を生かし、MICE等で有効に活用する取り組みを進めていくことが大切であると考えます。
 また、国際会議等の会場となる施設については、世界的な学術会議などの開催に相応した機能や体裁を確保するため、さまざまな設備の更新が必要であり、行政として適切にそのサポートを行うことが重要だと思いますが、あわせて都の見解を伺います。
 次に、中小企業の海外支援についてです。
 約四十四億人を擁するアジア圏は、海外展開を目指す都内中小企業にとって、旺盛な需要が見込める有望市場です。都は、ASEAN地域の経済の中心で日系企業も多いタイに現地拠点を置き、こうした企業を支援しておりますが、今後、域内のさらなる発展に伴い、周辺国も含めた進出意欲の高まりへの対応が必要です。ASEANにおける現地支援の機能を拡充すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、バス事業について伺います。
 東京二〇二〇大会が近づき、海外から東京を訪れる旅行者もふえている一方、今後、東京でもさらなる高齢化が進みます。こうした中、東京が将来にわたって活力を向上させるには、外国人旅行者や高齢者など、誰もがスムーズに移動できる環境の整備が重要です。
 しかしながら、路線バスについては、例えば東京を初めて訪れた人や外国人旅行者にとって、バス停はどこか、バスはいつ来るのか、災害時には情報は得られるのかなど、不安になることも多いと考えます。
 また、今後の超高齢化社会の到来を踏まえると、車両についてもバリアフリーの観点から、さらに改善していく余地があると思われます。
 こうした状況を踏まえ、より快適で使いやすい都バスを目指すべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 桜井浩之議員の一般質問にお答えいたします。
 連続立体交差事業についてのお尋ねがございました。この事業は、道路整備の一環として実施しているもので、数多くの踏切を同時になくすことによりまして道路ネットワークの形成を促進することになります。そしてまた、交通渋滞、地域の分断を解消するとともに、地域の活性化、そして防災性の向上につながる極めて効果の高い事業であることはいうまでもございません。
 昨年、高架化が完了いたしました京成押上線では、最大三百八十メートルあった明治通りの踏切による渋滞が解消されました。また、それに加えて、この事業を契機にまちづくりが進みました。京成曳舟駅周辺の商業床面積が約五十倍に増加して、にぎわいが創出されるなどの効果が得られたところでございます。
 また、これまで進めてまいりました連続立体交差事業で生まれた高架下の空間では、駐輪場、保育所、観光案内所など、地域のニーズに応じた多様な活用が図られているところでございます。
 このうち保育所につきましては、現在まで十カ所が整備をされております。そして、その数は約五百人分の定員の確保につながっているということでございます。引き続き地元自治体、鉄道事業者と連携をいたしまして、地域のご理解とご協力をいただきながら、連続立体交差事業をより一層推進してまいる所存でございます。
 その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監、そして関係局長からご答弁をさせていただきます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、学期制に関する都教育委員会の役割についてでございますが、小中学校における一年間の課程を区分する学期については、各学校の教育課程を管理する区市町村教育委員会が、子供や学校の実態及び保護者や地域のニーズ等を踏まえ、その権限と責任のもと、判断し、定めております。
 都教育委員会は、毎年、各区市町村教育委員会が定める学期や、長期休業日等の状況とともに、都内全公立学校の授業日数、教科の授業時数、行事等の実施状況について調査し、その結果をまとめ、全都に周知しております。
 今後、都教育委員会は、こうした調査結果も含め、区市町村教育委員会と教育課程編成のあり方に関する情報交換を行う場を設定するなどして、各地区における学期制の検証が、より充実したものとなるよう支援をしてまいります。
 次に、キャリア教育の推進についてでございますが、現在、都立高校では、今年度から全校で導入した新教科、人間と社会において、学ぶことや働くことの意義について討論し、考えを深める等の学習を行っております。また、社会で活躍している卒業生等による進路講演会や、企業等のインターンシップを実施するなどして、自立した社会人としての資質や能力を育んでおります。
 今後、都教育委員会は、生徒が自己の将来の設計や進路の選択について、系統的、計画的に学ぶことのできる、すぐれた実践事例を進路指導資料にまとめ、全教員に配布するとともに、研修会等で紹介するなどしてまいります。こうした取り組みを通して、生徒がみずからの意思で自分の生き方を考え、選択できる力を身につけられるよう、各学校を支援し、キャリア教育の一層の充実を図ってまいります。
 最後に、日本の伝統文化に関する教育についてでございますが、児童生徒が伝統文化を継承し、新たな価値として発信していくためには、体験を通してそのよさや奥深さに触れるとともに、他者に伝えていこうとする心を育てていくことが重要であります。
 そのため、都教育委員会は、都内の公立学校のうち二百五十校を伝統文化教育推進校として指定し、地域の専門家を講師とした伝統芸能等の学習や、日本古来の伝統文化に直接触れる体験活動、学んだ成果を外国人に紹介する取り組み等を推進しております。
 今後とも、こうした推進校における取り組み内容の一層の充実を図るとともに、その成果をリーフレットにまとめ、都内の全公立学校に配布し、子供たちの伝統文化を継承し、発信しようとする態度や実践力を一層高めてまいります。
   〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 公社住宅における近居等への支援についてでございます。
 親子が互いに行き来できる距離に暮らす近居や、多世代同居の促進は、家族や世代間、さらには地域コミュニティ内の支え合いを実現する上でも、望ましい取り組みでございます。
 このため、公社は、高齢者や子育て世帯のニーズ、お話の住宅政策審議会の答申などを踏まえまして、これらの世帯が安心して暮らせるよう、近居を支援する制度として、入居者募集の抽せん時に優遇倍率を設けることといたしました。
 具体的には、建てかえに伴う新築住宅の入居者募集に当たり、同一区市町村内で親と子が近居となる場合などには、当せん確率を通常の五倍とし、この制度を来月募集する北区のコーシャハイム田端テラスから実施をいたします。
 都としても、こうした時代のニーズに合った取り組みがさらに充実するよう、引き続き公社と連携してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 子育て応援とうきょうパスポート事業についてお答えをいたします。
 都は、社会全体で子育て世帯を応援する機運を醸成するため、本年十月、地域の店舗等が中学生以下の子供がいる家庭や妊婦の方に対し、粉ミルクのお湯の提供やおむつがえスペースの確保、商品の割引等のサービスを提供する、子育て応援とうきょうパスポート事業を開始いたしました。
 本年十二月一日現在、飲食店やスーパーなど千二百を超える店舗に協賛店として登録していただいており、所在地やサービス内容は、運営サイトで検索が可能となっております。
 また、利用を希望する方には、運営サイトでデジタルパスポートを配信するほか、区市町村窓口等では、パスポートを印刷したチラシを配布しております。
 今後とも、事業を広く周知するとともに、商工会議所など関係団体を通じて協賛店の拡大に努めてまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、新しい視点からの観光振興についてでございますが、東京を訪れる旅行者に、より魅力的な観光の機会をふやすためには、これまでと異なる新しい発想によって、観光のスポットやツアーを生み出すことが重要でございます。
 都では、河川などの水辺エリアについて、新たに観光面からの活用が進むよう、地域ににぎわいを生み出すイベントを行う観光協会の取り組みに支援を行っております。
 こうした水辺空間を生かす観光の充実のほか、東京の夜間の魅力を旅行者に提供するため、建物のライトアップによるまち並みの演出や、夕食前後の時間からコンサートなどに出かける、ナイトライフ観光を広げる取り組みを検討してまいります。
 これらにより、東京の多様な魅力を生かした観光振興を着実に進めてまいります。
 次に、都内でのWi-Fiアンテナの整備についてでございますが、海外から東京を訪れる旅行者が、屋外で観光に必要な情報を速やかに入手できるよう、Wi-Fiの利用環境の向上を図ることは重要でございます。
 これまで都は、Wi-Fiのアンテナを観光案内標識に設置することにより、外国人旅行者がまち中で情報を容易に入手できるスポットをふやす取り組みを進めてきたところでございます。
 外国人旅行者が増加し、Wi-Fiを利用するニーズが高まる中で、アンテナを設置する対象を広げ、情報収集が可能な場所を数多くつくり上げることが必要となっております。今後は、Wi-Fiアンテナの整備を促進するため、その設置にふさわしい場所や条件を検証する調査を行うことを検討いたします。
 こうした取り組みにより、外国人旅行者の受け入れ環境の向上を効果的に進めてまいります。
 次に、MICE誘致についてでございますが、都内へのMICEの誘致を効果的に進めるためには、国際会議等の開催にふさわしい魅力や会場施設のレベルを高めることが必要でございます。
 これまで都は、国際会議のレセプションを美術館等で特別な演出により行う、いわゆるユニークベニューに関しまして、会場の設営の準備などをサポートしてまいりました。こうした演出の場を公共施設にも広げるため、今後は、都立の美術館や庭園等の活用が可能となるよう、関係部局との連携を進めてまいります。
 また、都では、国際会議等の誘致や開催に向けた支援を行っておりますが、今後は、会場となる施設の設備の充実など、ハード面からのサポートも検討してまいります。
 こうした取り組みにより、東京でのMICE誘致を効果的に進めてまいります。
 最後に、中小企業の海外展開支援についてでございますが、海外で活動する中小企業の支援においては、企業の事業展開の形態や段階に合わせ、各地の法規制や経済事情に応じた適切な支援を行う必要がございます。
 このため、都は、ASEAN地域の支援拠点である中小企業振興公社タイ事務所において、現地情報の収集、提供や、契約、人事労務等の経営相談等を行っております。
 タイ周辺国においても企業の進出が続いておりますことから、支援ニーズにきめ細かく対応していくため、今後、都内企業の進出意欲が特に高いインドネシアにおいて、現地における支援体制の整備を検討してまいります。
 ASEAN地域において、より企業のニーズに応えた現地支援を行うことにより、都内中小企業の海外市場での競争力を一層強化してまいります。
   〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 都営バスの利便性、快適性の向上についてでございますが、外国人旅行者の急増や本格的な高齢社会の到来など、社会状況の大きな変化を踏まえまして、交通局では、二〇二〇年東京大会とその先を見据え、誰もがより利用しやすい新たな路線バスのモデルを先導的に構築してまいります。
 このモデルでは、駅の改札口やバスターミナルに、発着場所や運行情報、災害情報等を表示するデジタルサイネージを設置いたしますとともに、停留所の新型接近表示装置や車内液晶モニターの整備などによりまして、駅から車内までの連続した案内を多言語により提供してまいります。
 車両につきましても、バリアフリーに、より配慮し、通路後方にある段差を解消したフルフラットバスの導入に向けて具体的な検討を進めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、新たなバスモデルを都営バスから発信し、東京の発展に貢献してまいります。

○議長(川井しげお君) 三十五番尾崎あや子さん
   〔三十五番尾崎あや子君登壇〕
◯三十五番(尾崎あや子君) 豊洲市場問題、東京五輪の契約節減問題は、東京都民ならず、全国から注目を集めています。この二つの問題では、一〇〇%に限りなく近い落札率で、一者しか入札に参加せず、競争性に欠ける案件が相次ぎ、中には我が党に談合情報が寄せられた案件も存在しています。
 知事が立ち上げた都政改革本部でも、これらの案件が取り上げられ、財政のワイズスペンディング、税金の有効活用が働いているのか、大きな問題とされています。
 こうした契約の客観性、公平性、透明性を第三者によって監視、検証する機関として、入札監視委員会があります。ところが、さきの決算特別委員会で、我が党の質問で明らかになったように、この入札監視委員会が第三者機関としての役割を果たしておらず、その結果、まともな監視ができていないという問題が浮き彫りになりました。入札監視委員会の改善について質問いたします。
 入札監視委員会は、一年前の契約案件から一定の事案を抜き出して審議にかけます。これをどう選ぶか。都の説明によると、入札監視委員会の委員長が方針を事務局、すなわち都財務局に指示し、事務局が複数の案件をリストアップした上で、最終的に委員長が選定するということです。
 委員長に決定的な権限があります。
 そこで私は、過去三代の委員長を調べてみました。初代の委員長は財務局の経理部長、二代目の方も財務局の経理部長の経験者、そして、三代目の方も、財務局の契約二課の課長を務めていたことが判明しました。財務局の契約の中枢にいた都庁OBが委員長を務め、事務局、すなわち財務局と一緒に委員会で議論する案件を選び出す。これで第三者機関の役割が果たせるでしょうか。
 入札制度に詳しい桐蔭横浜大法科大学院客員教授の鈴木満氏は、監視委員に都庁OBを入れるのは、自分でやったことを自分でチェックするようなものであり、適正手続の原則に反すると、厳しい見解を表明しています。
 知事、どう思われますか。
 三代目の方は、元中央卸売市場長であり、同氏が委員長となった間に審議対象になったのは、二〇一二年四月から二〇一五年三月までの入札案件、すなわち豊洲新市場整備にかかわる入札契約が相次いだ時期です。
 ところが、当初の予定価格を四百億円以上も引き上げて、落札率九九・九%で落札した豊洲新市場施設の三つの本体工事は、談合疑惑が指摘されているにもかかわらず、審議対象になっていません。もし審議したら、まさにそのものずばり、自分でやったことを自分でチェックすることになってしまうのです。
 知事、余りにも公平性、透明性に欠ける不適切な人事だとは思いませんか。お答えください。
 他県はどうなっているのか、政令指定都市を抱える十五の道府県の入札監視委員会の現委員長の経歴を調べました。一県を除き、土木や契約に詳しい大学の研究者や弁護士、公認会計士といった、れっきとした第三者の有識者が務めており、東京都のように、その県の幹部職OBが委員長という県はありませんでした。福岡県では、運営要綱で、県の職員であった者については選任しないものとするとしていたり、多くの道府県で、自分や親族がかかわった案件では審議に加わらないとしています。
 知事に伺います。
 入札監視委員会は、第三者機関にふさわしく、委員には、都庁の職員であった者は選任しないのが当然のあり方ではないかと考えます。知事の認識と都の入札監視委員会の改革への決意を伺います。
 入札監視委員会が審議した案件は、低入札案件や中小企業が受注する規模の小さい案件がほとんどです。大手ゼネコンによる巨額の工事費を伴う高落札案件には手をつけようとしない入札監視委員会のあり方が、厳しく問われています。
 国は、地方自治体の入札監視委員会の運営マニュアルを発行していますが、その中では、規模の大きい発注があった場合には、随時審議を行うのが望ましいとしています。兵庫県では、予定価格の九五%以上の高落札率、談合情報があった案件を審査することを要綱で定めており、京都府や熊本県の実際の審議でも、高落札案件が審議されています。
 財政のワイズスペンディングを第三者委員会がチェックする観点からも、入札監視委員会においては、契約規模の大きい案件や高落札率案件を審議の中心にすることが重要だと考えますが、知事、いかがですか。
 審議対象案件の抽出の改善について伺います。
 国土交通省のマニュアルでは、発注者が審議案件を指定しないことと書いています。つまり、行政側が審議案件を選んではいけないのです。他県では、東京都のように、委員長と事務局が相談して選ぶのではなく、第三者である入札監視委員が交代の輪番制で選び、説明も事務局ではなく、委員が行うようにする道府県が少なくありません。
 都も、第三者委員会にふさわしく、それぞれの委員が審議する案件を選び、説明もするよう改善すべきですが、いかがですか。
 入札監視委員会を開催するに当たって、都は、各委員に、前年度に入札があった案件の一覧表を送付します。ところが、この一覧表には、それぞれの案件の落札率を書き込む欄がありません。多くの県では、入札監視委員会や委員に提出する案件の一覧表には、落札率を記入する欄がついています。委員が高落札率案件をチェックできるよう、都の入札監視委員においても、契約案件の一覧表には、落札率を記入するよう改善を求めますが、いかがですか。
 次に、多摩地域の問題についてです。
 知事は選挙中、多摩地域の格差という点をしっかり目配りしたい、二十三区より整備がおくれている多摩格差という言葉があると発言し、就任後も、市長会で、多摩格差ゼロは皆様と連携していきたいと発言していました。十一月十一日の定例記者会見では、記者からの質問に、多摩地域の医療の面、産業の研究開発などについて答えています。
 知事は、新たな多摩格差についてどのように認識されていますか。
 二十三区よりも家賃が安い多摩地域に引っ越してくる子育て中の若い人たちがふえています。ところが、以前は子供の医療費は無料だったのに、今は医療費の負担がふえて困っている。何とかしてほしいとの声も寄せられています。
 多摩地域では、小中学校の医療費助成制度において、十九市が所得制限を設けています。ところが、二十三区は所得制限がありません。同じ都民でありながら、住んでいるところによって負担のあり方が変わるという地域間格差をなくし、どこに住んでいても、安心して子育てができるようにすべきだと思います。都民の福祉の向上は自治体の魂です。
 医師会の役員から話を聞きましたが、子供の医療費を無料にすることには、誰も反対はしないといっています。市長会からも要望が出ており、多摩地域でも、小中学生の医療費助成制度の所得制限をなくすため、都の対策が早急に求められますが、知事、いかがですか。
 多摩地域では、特に新生児集中治療室NICUの不足や産科、小児科不足が深刻です。東京都の周産期医療協議会では、毎回のように多摩地域の周産期医療について発言があり、多摩地域は少ない状況、区内との格差がまだまだある、周産期の大規模施設をつくることは必須との意見が出されています。
 NICUは、東京全体で三百二十九床ですが、多摩地域には七十二床しかありません。にもかかわらず、これまで都は、多摩地域の目標を決めてふやすことを拒否してきました。年間出生数一万人当たり三十床という都の方針だと、多摩地域だけで百床は必要です。
 また、最近は、住んでいるところで子供を産みたいが、子供を産める産科がなくて困っている、産科のお医者さんが高齢になって、病院をやめたという声が多く寄せられます。私の活動地域である東村山市内には、助産所も含めて二カ所、東大和市、武蔵村山市ではそれぞれ一カ所と、大変少ない状況です。
 厚生労働省は、周産期医療体制のあり方に関する検討会の意見の取りまとめ案を十一月十七日に発表しました。その中で、分娩施設の減少に伴い、妊産婦の分娩施設へのアクセスの悪化が懸念されている現状や課題が明らかにされました。安心して出産し、安心して子育てができる環境をつくるべきですが、知事の積極的答弁をお願いしたいと思います。
 次に、多摩地域の無電柱化についてです。
 知事は所信表明で、東京の電柱をゼロにすることを目指したいと発言しました。多摩地域の都道は、歩道幅が二・五メートルもない狭いところが多く、電柱があるために、雨の日にはすれ違うことができず、車道におりなければならないところや、通行人がベビーカーとすれ違うときにも危険な状況があります。
 都の無電柱化推進計画に示されている都道の地中化率は、二〇一五年度末では、区部は五五%と進んできていますが、多摩地域は一七%と立ちおくれています。
 知事の公約を推進するために、立ちおくれている多摩地域での無電柱化を早急に進めるよう求めますが、知事の所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 尾崎あや子議員の一般質問にお答えいたします。
 入札監視委員の選任についてのお尋ねがございました。
 これまで都の入札監視委員会では、契約法規や建築、土木技術に精通している弁護士、大学教員などの学識経験者とともに、公共調達の実務経験があって、入札契約制度に関しての専門知識を有する都のOBを委員に選任してきたと聞いております。
 前の委員長は、都のOBではございますが、第三者として中立的な立場からご審議をいただいてきたとは聞いておりますが、都民の目から見ますと、その選任自体に公正性が疑われるようなことは避けるべきと考えます。
 今後の委員の選任につきましては、委員長を含めた委員について、都のOBではない、学識経験者から選定するよう既に事務方に指示をしたところでございます。
 入札契約の審議対象の選定につきましてのご質問もございました。
 都の入札監視委員会では、これまで契約制度の運用状況を具体的な事案をもとに審議することに主眼を置いて、審議の対象とする案件は、制度のあり方や制度改正後の効果の検証などに役立つように、契約実績の多い一般的な案件を抽出することを基本としていたと聞いております。
 審議対象の選定につきましては、今後、行政から独立した第三者機関として、入札監視委員会全体で合議をいたしまして、決定していただくことが望ましい、このように考えております。
 多摩格差についてのご質問もございました。
 従来からの公共下水道、道路などの課題につきましては、これまで、都と市町村が連携をして解決に努めた結果、いわゆる多摩格差は、かなりの部分で解消しているものと認識をいたしております。
 一方で、多摩地域は人口減少、少子高齢化の進展、そして大規模工場などの撤退など、依然として、それぞれの地域ごとに異なる諸課題を抱えています。
 私は、先般の都知事選の間も、多摩の各地に足を運びましたし、また、知事就任後も、奥多摩町、そして檜原村を訪問させていただいたところでございます。その中で、豊かな自然を初めとするさまざまな魅力とともに、それぞれの地域が抱える課題を実感することもできました。
 今後も、精力的に地域に足を運びまして、その実情を的確に把握した上で、課題を一つ一つ解決していきながら、オール東京の発展につなげていくことが重要だと考えております。
 小中学生の医療費の助成事業についてのご質問でございます。
 私は、小中学生の医療費への助成事業は子育てを支援する福祉施策の一環であり、一定の所得制限、自己負担は必要だと、このように認識をいたしております。
 この事業の実施主体は区市町村でありまして、それぞれの議会におきましてさまざまな審議を経て、条例を定めて実施をしておられます。
 そして、多摩地域の周産期医療体制、NICUについてのご質問がございました。
 多摩地域では、都立多摩総合医療センター、小児総合医療センターと杏林大学医学部付属病院がスーパー総合周産期センターとして、妊婦を必ず受け入れるとともに、多摩全域を対象として搬送の受け入れや調整を行っているところでございます。
 また、これらの病院が中核となりまして、多摩地域に所在する四つの地域周産期母子医療センター、都独自に指定をいたしております三つの周産期連携病院、その他主要な病院や診療所などがネットワークを構築して、リスクに応じた役割分担と連携を進めております。
 さらに、都は、周産期医療に従事する医師の確保のために、奨学金の貸与、産科、NICU等の医師に手当を支給する医療機関への支援も行っております。
 今後とも、必要な医師や看護師の確保を進めながら、限られた医療資源を最大限に活用いたしまして、多摩地域におけます周産期医療体制の充実を図ってまいります。
 多摩地域の無電柱化についてのご質問でございます。
 東京の防災力を高めるために、都内全域で無電柱化を推進することは重要でございます。
 都はこれまでも、無電柱化推進計画に基づきまして、多摩地域においても、都市防災機能の強化に重要な役割を果たす緊急輸送道路や、主要駅周辺などで無電柱化を推進してきました。
 現在の国会におきまして、私が国会議員の時代から取り組んでまいりました無電柱化を推進するための法案も、いよいよこの国会で成立の見込みとなっております。
 都におきましても、これをベースに条例案の検討を進めて、総合的、計画的に東京の無電柱化を推進していく強い決意を持っていることをお伝えしておきます。
 なお、その他の質問につきましては、財務局長からのご答弁とさせていただきます。
   〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) まず、入札監視委員会の審議対象についてでございますが、お話の国土交通省の運営マニュアルの中では、東京都のような規模の大きな団体ではなく、発注件数が少ない団体に対しまして、規模の大きい発注があった場合に、随時、審議を行うことを勧めているものでございます。
 また、審議対象とする案件につきましては、事務局が選定しているという事実は全くございません。委員長の方針に基づき、事務局が該当する案件を全てリストアップし、委員長がその中から選定してきたところでございます。
 次いで、審議対象とする案件の選定手続や資料作成方法などについてでございますが、第三者機関であります入札監視委員会で決めていただきまして、その指示に基づき対応してまいります。

○議長(川井しげお君) 四十六番栗山欽行君
   〔四十六番栗山欽行君登壇〕

○四十六番(栗山欽行君) まず、調布飛行場の管理運営について伺います。
 調布飛行場は、東京の島々と本土を結ぶ定期航空路の拠点として重要な役割を担っており、調布飛行場の安定的な管理運営のために地元住民の不安を解消し、理解と協力を得られるよう取り組んできたものと考えています。
 昨年七月に発生した調布飛行場付近の航空機事故から一年半が経過しようとしていますが、いまだ事故原因が究明されず、今も地元住民の不安が払拭されないままとなっています。
 こうした状況の中、本年九月には、調布飛行場の周辺住民を含む七千名を超える署名とともに、自家用機の撤廃や被害者の救済などについて知事宛ての要望書が提出されました。
 そこでまず、自家用機についてですが、平成十三年の調布飛行場の都営空港化に際し、都が地元三市と締結した協定書においても、積極的な分散移転を図るとの約束がされており、早急に対応していくべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、被害者救済についてですが、今も事故原因が明らかになっておらず、加害者が特定されないことから、被害住民への損害賠償など、抜本的な救済が全く進んでいません。
 このため、周辺住民は、万が一将来、同様の事故が起きたとき、被害を受けた住民が置き去りにされてしまうのではないかと不安を募らせています。
 事故発生後の一年半の間、被害者救済が進まないという事態は、当初の想定を大きく超え、長期化しています。
 こうした事態に際し、都は、例えば生活再建のための資金を支援するなど、従来の空港管理者の役割を超えた新たな救済策を打ち出すべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、隣接する東京スタジアムで開催されるラグビーワールドカップ二〇一九について伺います。
 世界最高峰のスポーツイベントであるラグビーワールドカップが、いよいよ三年後に迫りました。アジア初の開催となるこの大会は、北海道から九州までの十二会場で開催されます。開会式、開幕戦の会場である東京スタジアムを満員のラグビーファンで埋め尽くし、その勢いを全国に波及させる強い気概を持って臨むべきと考えます。
 これまで都は、ラグビーの試合会場や都主催のイベントなどで、二〇一九年大会のPRに取り組んできたことは承知しています。しかし、三年後の大会に向け、さらにラグビーへの関心を高めていくためには、これまでの取り組みに加え、都民、国民に広くラグビーの魅力や情報を伝える工夫も必要です。
 二〇一九年大会の成功に向け、都はどのように開催機運の盛り上げに取り組むのか、伺います。
 さて、二〇一五年に開催されたイングランド大会では、約二百四十五万人ものラグビーファンがスタジアムを埋め尽くしました。開会式、開幕戦の会場となっている東京スタジアムにも、期間中、VIPを含め大勢の観客が訪れることが想定されます。
 東京スタジアムではこれまで、サッカー日本代表選などの大規模スポーツ大会や、五万人を超える商業コンサートを開催してきた実績がありますが、二〇一九年大会では、国内外から訪れる皆様に心から楽しんでいただけるよう、スタジアム周辺の交通アクセスについても万全の体制を整える必要があります。
 本年六月に行われたテストマッチは、天皇皇后両陛下のご臨席のもと、三万四千人を超える観客が訪れ、都やスタジアム、関係機関には、二〇一九年に向けた貴重な経験となったと思いますが、同時に飛田給駅の混雑緩和など、交通アクセス面での課題も明らかになりました。
 そこで、ラグビーワールドカップ二〇一九に向け、交通アクセスについてどのように検討を進めていくのか、伺います。
 二〇一九年大会の翌年には、オリンピック・パラリンピック大会が開催されることから、世界的なスポーツの両大会を機に、将来のまちづくりを見据え、対応を進めていくことが重要と考えます。
 一方、東京スタジアムの地元飛田給では、駅西側の一号踏切が狭隘であることから、地元協議会が拡幅を求める陳情を調布市議会に提出、昨年十二月に採択されています。これを受け、市は将来のまちづくりも見据え、踏切の安全性向上を図るため、踏切道の拡幅に向け京王電鉄と調整中と仄聞しています。
 多くの人が利用されることが見込まれる飛田給駅や、その周辺の安全性向上は極めて重要です。駅及び周辺の安全性や利便性向上に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、全国育樹祭を契機とした森づくりへの機運醸成について伺います。
 ことしの夏は水不足が心配され、水の大切さを改めて考えさせられた年でもありました。森林には、土や根に水を蓄える水源涵養の機能があります。加えて森林は、自然災害の防止、都民の憩いの場所の提供など、都民生活に不可欠な数多くの役割を果たしています。
 こうした都民の貴重な財産というべき森林を保全、育成するため、都はこれまで、林道等の整備や多摩産材などの利用拡大などに取り組んできましたが、緑豊かな森林を次世代に確実に引き継いでいくためには、森づくりに対する都民の理解と協力が必要であると考えます。
 平成三十年には、全国育樹祭が東京で開催され、調布市の武蔵野の森総合スポーツ施設で式典が行われる予定になっています。この育樹祭は、森づくりや木材利用の機運を盛り上げ、都民がふだんの生活の中で森林を意識し、森づくりへの積極的な参加を促す絶好の機会となります。
 都は、この機会を逃すことなく、都民の森づくりに対する機運の醸成に取り組んでいく必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 水道局は、明治時代、木々が伐採され、土砂の流出が続いていた山々を百年以上の長い年月をかけ、水道水源林として育成することにより、緑豊かな森林に再生しました。
 しかしながら、近年、民有林の荒廃が進行し、小河内貯水池への影響が懸念される状況にあります。
 私はかねてから、多摩川やその上流に位置する東京都の水道水源林の保全に強い関心を持ち、活動してまいりました。
 第二回定例会の我が党の代表質問において、今後の森づくりの推進に向けた具体的な道しるべの作成についてただしたところ、荒廃の進む民有林の購入を進めるとともに、さまざまな主体による森林保全活動の具体的な手法を検討し、今年度中に、みんなでつくる水源の森実施計画を策定する旨の答弁がありました。
 そこで、みんなでつくる水源の森実施計画の検討状況について伺います。
 次に、IWA世界会議について伺います。
 東京水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支えるため、水源林や浄水場、送配水管など、水源から蛇口までを一元管理し、安全でおいしい水の安定的供給に取り組んでまいりました。こうした長年の事業運営の中で培ってきた技術やノウハウは、世界の人々にとって大いに参考になるものと確信します。
 二〇一八年には、多くの水関係者が参加するIWA世界会議が日本で初めて東京で開催されます。IWA世界会議は、東京の上下水道の魅力、また、それを支える技術力やノウハウを国内外に向けて発信する絶好の機会となります。
 そこで、開催まであと二年と迫る中、ラグビーワールドカップ、東京五輪へとつなぐ、東京のプレゼンスを向上させる起点とすべく、今後、本格的な準備を進めていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、東京農業の振興に向けた施策について伺います。
 昨年四月の都市農業振興基本法の制定を受け、本年五月に閣議決定された基本計画により、都市農業振興に関する新たな施策の方向性が示されました。国では、今まさに農地制度や税制度の改正に向けた議論が行われております。
 都においても、本年八月に東京都農林・漁業振興対策審議会から、東京農業の新たな展開について答申が出され、今後の東京農業が目指す方向性が示されました。現在、都ではこの審議会の答申を受け、新たな東京農業振興プランの策定を進めていると聞いています。私の地元農業者の方々も、このプランの内容や策定状況に注目しています。
 そこで、都は答申を踏まえ、東京農業のさらなる発展を図るため、プランをどのように策定し、施策を展開していくのか、見解を伺います。
 次に、GAP制度の推進について伺います。
 リオから東京へ、世界の注目が次期開催都市である東京に集まっており、大会機運の醸成が加速していくものと思います。
 こうした中、都内の農業者からは、大会会場や選手村でもぜひ都内産の新鮮な農産物を提供したいとの声が寄せられています。しかし、農産物の提供については、ロンドン大会以降、持続可能性や安全な食の確保などへの配慮から、生産現場や流通、加工、販売までの工程を高度に管理されたGAP認証など、国際的にも通じる第三者認証を受けた農産物であることが採用条件となっています。これとは別の食品衛生管理方式であるHACCPシステムと同様に、大いに注目すべき点といえます。
 私の住む狛江市では、意欲ある農業者が狛江GAP研究会という組織を立ち上げ、自主的にGAP手法を取り入れた野菜のブランド化を進めていますが、こうした農業者は、第三者認証のあるGAP取得にも意欲を見せています。
 二〇二〇年東京大会を契機に、世界の皆様に都内産の新鮮な農産物を安心して味わっていただくためにも、GAPの認証取得に向けたPRや支援が必要と考えますが、都の対応や今後の展開について伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 栗山欽行議員の一般質問にお答えをいたします。
 飛田給駅についてでございますが、ラグビーワールドカップ二〇一九や二〇二〇年東京大会の開催を踏まえて、駅周辺も含めた安全性等を一層向上させる必要がございます。
 現在、地元市が、お話のように駅に近接する踏切道の拡幅に向けた検討を進めており、その実現には線路の分岐部分の移設が必要であるため、都は鉄道事業者に詳細な検討を働きかけるなど、市の取り組みを支援してございます。
 あわせて鉄道事業者に対し、駅構内のエレベーターの増設やホームドアの整備に取り組むよう働きかけておりまして、今後、補助制度を活用しながら積極的に支援してまいります。
 引き続き都は、地元市や鉄道事業者と連携し、飛田給駅及びその周辺が、利用者にとってより安全で快適なものとなるよう取り組んでまいります。
   〔港湾局長斎藤真人君登壇〕

○港湾局長(斎藤真人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、調布飛行場の自家用機の分散移転についてでございますが、都は、これまでも地元市と締結した協定に基づき、自家用機の分散移転に取り組んでまいりました。国から飛行場の管理を引き継いだ平成四年時点と比較いたしますと、三十五機あった自家用機は、現在十九機まで減少しております。
 今回の事故発生を受け、自家用機のさらなる分散移転に取り組んでまいりましたが、地元の意向も踏まえ、現在は全ての自家用機所有者に対し移転についての意向調査を行うとともに、移転先を確保するため、関東及びその周辺の空港調査を行っております。
 引き続き、これらに積極的に取り組んでいくことで、自家用機の早期分散移転を図ってまいります。
 次に、航空機事故の被害者の救済についてでございますが、都は今回の事故を受けて、相談窓口の設置や住宅被害を受けた方に対する被害家屋の撤去など、さまざまな支援を行ってまいりました。
 航空機事故では、原因の究明に多くの時間がかかることが一般的であり、その間、被害者には責任がないにもかかわらず、賠償制度が実施に移されない事態も考えられます。今般の事故におきましても、ご指摘のとおり、現に被害者が救済されない期間が長期化しております。
 こうした状況を踏まえ、都は、都営空港を離着陸した航空機が都内で事故を起こした場合に、被害者が迅速に救済されるよう、具体的な方策について検討してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) ラグビーワールドカップ二〇一九に関します二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、開催機運の盛り上げについてでございます。大会開催の機運を高めるためには、ラグビーに関心のない層を初め、多くの方に興味を持っていただけるよう、効果的なPR活動が重要でございます。都はこれまでも、ラグビーの試合や都主催のスポーツイベントの機会を捉え、ラグビー体験や大会のプロモーションを実施してまいりました。
 大会千日前の十二月二十四日のクリスマスイブには、東京タワーをライトアップし、あわせてステージイベントなどを開催することで、話題づくりに取り組むこととしております。
 さらに、誰もが気軽にラグビーの魅力や情報に触れられるようホームページを刷新し、都内の試合やイベントを紹介するとともに、ルール動画や大会PR映像等をSNSとも連動して発信するなど、今後とも、広く都民のラグビーへの関心を高め、大会への大きな期待につなげてまいります。
 次に、東京スタジアム周辺の交通アクセスについてでございます。
 これまで、六月のラグビーテストマッチを初め、大規模なスポーツ大会やコンサートにおいて、交通輸送の課題を明らかにするための調査を実施いたしてきました。
 これによりまして公共交通機関の利用、歩行者や道路交通等の状況、イベントの種類に応じた観客の観戦行動を把握し、現在、組織委員会、地元自治体、交通事業者など、関係機関と連携したプロジェクトチームにおきまして、その対策の検討を進めているところでございます。
 今後、最寄り駅の混雑緩和や周辺道路の渋滞抑制、観客の分散を図るためのシャトルバスの活用等について対策の方向性を整理いたしまして、地元市を初め、関係機関とさらに検討を重ねまして、具体的な交通アクセスの計画につなげてまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、森づくりへの機運醸成についてでございますが、水源の涵養など、多くの機能を持つ森林を健全な姿で次世代に継承するには、都民の理解と協力が必要でございます。
 全国育樹祭は、森づくりや木を使うことの大切さを広く全国に発信する森林と緑の祭典でございまして、都民の森づくりへの機運を醸成する絶好の機会であると考えております。
 都は、育樹祭の開催準備を着実に進めるため、先月、区市町村や関係団体等で構成いたします実行委員会を立ち上げたところでございます。今後は、都民の関心を一層高めていくため、森林や木に触れ合い、親しむイベントを開催するなど、区市町村等と連携した取り組みを検討してまいります。
 こうしたさまざまな機会を通じまして、森林が果たす役割や木のよさを広く発信することにより、森づくりへの機運を高め、健全で活力のある森林の育成を図ってまいります。
 次に、東京農業の将来に向けた施策展開についてでございますが、東京農業が力強く発展するためには、大都市の優位性を生かした施策の展開が必要でございます。東京都農林・漁業振興対策審議会の答申におきましても、多様な担い手の確保、育成や、力強い農業経営の展開、多面的機能を発揮した農地保全などの施策の充実が求められているところでございます。
 現在、都では、新規参入者の受け入れや定着への支援を初め、先進技術の活用や農産物のブランド化による高収益型農業の確立、都市計画制度等と連携した農地保全などについて、新たな視点に立った実効性ある取り組みを検討しているところでございます。
 今後は、これらの施策に都民や農業関係団体などからの幅広い意見を反映させまして、新たな東京農業振興プランを、来年の春を目途に策定してまいります。
 最後に、都内産農産物におけるGAPの推進についてでございます。
 東京二〇二〇大会の選手村等に都内産農産物を提供するためには、組織委員会が定める調達基準案に示されました、食品の安全性や環境への配慮等を求めるGAP認証の取得等が必要になると見込まれているところでございます。
 そのため都では、農業者が円滑に認証を取得できるよう、今年度からPR用リーフレットを配布するほか、モデル農家において、生産工程や安全対策等の改善指導を行うコンサルタントの派遣を開始しております。
 今後は、農業者に対し認証の適合基準等を説明する研修会を都内各地で開催いたしますとともに、GAP認証の取得に向けた支援を着実に進めてまいります。東京大会を契機といたしましたこうした取り組みにより、新鮮でより安全・安心な都内産農産物の利用を促進してまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、水源の森実施計画の検討状況についてであります。
 水道局では、多摩川上流域の水道水源林を百年以上にわたりまして所有、管理をしてまいりましたが、一方で、水源林とほぼ同規模である民有林の一部で荒廃が進行し、土砂の流入等による小河内貯水池への影響が懸念されております。
 このため、貯水池周辺への影響が特に大きい民有林の荒廃度を調査し、有識者の意見を踏まえた購入の優先度を定め、おおむね十年間で購入を推進していきます。
 また、水源地保全の重要性を都民と共有し、積極的に参画してもらうため、都民サポーター制度や協賛金、ネーミングライツによる企業の森等の取り組みを新たに実施いたします。
 これらの内容を取りまとめ、都民の声を反映させた上で、今年度中に実施計画を策定し、着実に施策を推進することで、次世代に良好な水源地を継承してまいります。
 次に、IWA世界会議の開催に向けた取り組みについてでありますが、我が国初の開催となるこの会議は、水分野における新たな知見や技術が集結する世界最大規模の会議であります。会議の成功には、内容の充実はもとより、二〇二〇年東京大会につながる万全のセキュリティー対策等が不可欠であることから、開催都市東京の役割が極めて重要となります。
 このため、水道局、下水道局では、産学官の関係機関から成る開催国委員会を設立し、展示会やプログラムの充実、警備強化に向けた体制づくり等に取り組んでおるところです。
 二〇一八年に東京で開催されるこの会議では、長年培ってまいりました漏水防止や高度処理などの先進的インフラ技術を国内外へ積極的に発信することによりまして、世界の水環境改善と東京の産業力強化に資するよう、引き続き関係機関と緊密に連携し、精力的に準備を進めてまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十一分休憩

   午後四時開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十八番斉藤あつし君
   〔七十八番斉藤あつし君登壇〕

○七十八番(斉藤あつし君) それでは、四つのテーマ、六問伺います。
 まずは、学校のイクボスの課題についてです。
 小池知事は、イクボスの都職員への奨励をしておりますが、最近、私の地元小平市の周辺の都立高校の関係者の皆さんと話をしているときに、学校現場でイクボスにできるならなりたいけど、人手不足で業務も多い、人材がふえない限りは持ち帰り残業ぐらいしか対策が思いつかない、知事がいうようにはなかなかできないんじゃないかなというような厳しい意見をいただきました。私も以前より、長時間労働、人手不足の教育現場の改善を要望していましたから、納得をするところでございました。
 そこで伺います。
 管理職がイクボスを実施して、教員が働きやすい環境をつくっていただきたいわけですが、所見を伺います。
 次のテーマに移ります。
 本年度予算に移転建てかえ先の青山の土地購入費三百七十億円が計上されている都立広尾病院について伺います。
 新しい広尾病院の内容については、現在、首都災害医療センター基本構想検討委員会、以下検討委員会と称しますが、そこで議論をしていただいております。
 さて、先日の厚生委員会では、私の質問に、病院経営本部が、今年度の土地購入予算の取り扱いについては、その検討の推移を見きわめながら対応するというふうに答えました。つまり、簡単にいうと、舛添知事時代に、三百七十億円の予算が、十分な準備や議論がされないまま三月に提案されたので、無理に年度内の予算執行をしないということであります。そして、議論を待つということです。慎重姿勢への転換というのは、私は大変評価いたします。
 同時に、私も、都庁の内部資料として扱われました二つの、発注段階から調査の方向性が異なるみずほ情報総研、そして伊藤喜三郎事務所作成の調査報告書、これを参考にしていろいろチェックするという工夫はできたんじゃないかなということを省みる必要を感じているところであります。
 それで伺うんですけれども、病院機能や医療にかかわることは検討委員会で議論していただくわけですけれども、医療以外の課題は、都の病院経営本部がきちんと担い、汗をかかなくてはいけないと思います。そして、提案時の議論や準備が不十分だったというならば、医療以外で心配事は、ここで念をきちんと押さなくてはいけないと思います。
 都立広尾病院は、島しょの救急患者のために、東京消防庁のヘリコプターによる医師の移送のほか、患者の受け入れを行っております。周辺住民に配慮して、通常、ヘリコプターは米軍の赤坂プレスセンターや東京ヘリポートに着陸して、そこから救急車というふうになるんですが、しかしながら、医師が一刻を争う状態と判断をする場合は、夜間でも直接広尾病院に着陸をしているということであります。地域の皆さんのご協力には大変感謝を申し上げます。
 一方、移転の可能性がある青山の地に立ちますと、三十四階建ての高層マンションや、予定地から十メートル程度しか離れていないオフィスビルなど、十階以上の中高層ビルが現在地よりもかなり多く密集しており、仮に病院屋上にヘリポートをつくっても、ヘリ離発着時には音の影響をかなり受けるんではないかというふうに思われます。
 先日、実際に東京ヘリポートで測定をしてみましたら、ヘリコプターの音というのは、三十メーターの距離で会話が難しい九十七デシベルあることがわかりました。そのため、そういったこともあって、病院経営本部所管の豊島病院や荏原病院は、周辺への配慮から、ヘリコプターは大規模災害時以外では離発着できないということになっているそうです。同様の事情で、今後、島の救急搬送に制約が生じないか、心配するところであります。
 また、この地には、江戸時代の面影を残す旧淀藩稲葉家跡地として琵琶池という池と林がありまして、古くからの周辺住民の方が、歴史ある土地の今後の扱いを危惧しているというふうにも聞いております。
 このように、医療以外の分野でもしっかり対応、判断に努めなければいけない課題がございますので、仮に広尾病院が青山へ移転する場合に、病院運営の環境整備をどのように考えているのか伺います。
 次いで、小池知事は八月三十一日の会見で、小池都政におきましては、もう既定路線でしょう、一度決めたのだから、何も考えなくてよいという考え方はとりませんとお話しになっておりました。実際、今回の件でも、第二回の検討委員会で、病院経営本部が会見での知事の発言、大きな経費が伴うことから用地取得については慎重にということを披瀝しまして、場所を含めて、自由な議論を進めるという方向になりました。土地購入先行で準備不足じゃないかなというふうに心配していた側としては、大変安心をしたんです。
 では、検討委員会を進めていった後、その結果をどのように都は取り扱うのか、今後の進め方について伺います。
 三点目です。有料老人ホームと特別養護老人ホーム、以下特養ホームの待機者解消策について伺います。
 介護保険制度に関する意識調査で、介護への負担感が減ったかというふうに聞くと、家族の中で一番減ったと答えるのはお嫁さんなんだそうですね。制度が女性の負担軽減に貢献できるなら大変うれしいことです。
 さて、その介護保険制度で、施設サービスの代表格はやはり特養ホームでございます。先日、厚生委員会で、私の質問に福祉保健局は、いわゆるこの特養ホームの平成二十五年度の都内の待機者は約四万三千人とされるものの、要介護度三以上で入所の必要性が高い人となると、そのうちの約一万四千人であると答弁をしておりました。絞られたわけですが、それでも、高齢化の進展を考えれば、ニーズはまだまだ高まるんじゃないかなというふうに思います。
 しかし、高齢者の住まいのほかの選択肢として、有料老人ホームというのもございます。
 平成二十八年十一月一日現在、都内の有料老人ホームは、施設数七百四十九カ所、定員数四万五千三十六人と、都内の特養ホームの入所定員数に匹敵する規模になっているんですが、私は常々、入所が必要で経済的に可能な方は積極的に有料老人ホームを活用すべきと考えておりました。特養ホームを複数申し込んでもすぐに入所できなければ、思い詰めずに気持ちを切りかえて、有料老人ホームやほかの施設を調べて判断を進めていくのも理想ではないでしょうか。
 そこで、有料老人ホームの中から、経済的にも自分に適した施設を都民が安心して選択するためには、都はどのような取り組みを行っているのでしょうか。
 さらに、都内有料老人ホームの約八割は、介護サービスつき施設です。私の周囲の施設を見ますと、要介護度三以上の入所者は、大体三割から四割ぐらいいらっしゃいます。場合によっては、医療的ケアやターミナルケアへの対応が可能なところもあります。周囲とのトラブルが課題となる、行動の障害を伴う認知症も相当数対応しています。
 ちなみに、平成二十七年度では、特養ホームが年十一カ所新設されるのに対して、有料ホームは四倍の四十八カ所新設をされています。ざっくり計算をしますと、毎年、重度の要介護者の受け入れ数というのは、特養ホームの一・四倍で、有料老人ホームの方がたくさん受けているということになります。この介護力をもっと活用できないかと思うわけですね。
 しかし、有料老人ホームは、人材確保の大変さは、もちろん給与の高い低いというのもありますけれども、看護、介護資格者から見て研修などで、大手はともかく、中小事業者となると、スキルの維持向上が難しいんじゃないか、できないんじゃないかというふうに心配して、募集しても来ない場合があるというんですね。本当に特養ホームの待機者を減らそうと思うのであれば、広く重度の要介護者に携わる専門職の研修を充実されるような体制づくりを、私は提案しておきたいと思います。
 有料老人ホームにおける介護サービスの質的な向上を図るため、都はどのような取り組みを行っているのか伺います。
 最後に、障害者差別解消に向けた条例制定について伺います。
 私たち都議会民進党は、二〇〇六年、障害者差別禁止条例プロジェクトチームを設置し、仲間とともに、私も当時条例制定に取り組んでいた千葉県を視察するなど、多くの関係者からヒアリング、調査を重ねて、東京都に条例制定を求めてまいりました。
 その後、民主党政権のときに条約署名をして、障害者差別解消法の議論が始まり、ようやくことし四月に施行となっています。
 そして、知事の所信表明において、障害のある方々への差別をなくす取り組みを一層推進するための条例を検討するとの発言がございました。関係者にとっては本当に待望の決断であります。
 もともと障害を持つ人は一定割合で生まれます。また、誰しも事故、病気、高齢によって障害を持つ可能性があります。より一層、障害のある人もない人も、互いの暮らしにくさに配慮し合って生きられる東京にすることは、障害者やその家族だけでなく、全ての人に関係があることです。条例制定に向けた検討では、できるだけ多くの都民の意見をしっかりと聞いて、制定過程そのものが相互理解を深めるものとなるよう取り組みを進めることが必要と考えますが、知事の所見を伺って、終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 斉藤あつし議員の一般質問にお答えいたします。
 障害者差別の解消に向けた条例についてお尋ねがございました。
 今回検討を開始いたします条例案ですが、誰もが暮らしやすい共生社会、つまりダイバーシティーの実現に向け、社会全体で障害者への理解を深めて、差別をなくす、その取り組みを一層進めることを目的といたしております。
 そのため、検討に当たりましては、障害のある方はもとよりですが、合理的な配慮を求められている事業者、そして学識経験者の皆さんらで構成する会議を設置いたしまして、議論を進めていく考えでございます。
 平成十八年十二月に国連総会で採択されました障害者の権利に関する条約、日本語で、私たちのことを私たち抜きに決めないでをスローガンといたしまして、障害のある方が議論に参加して策定された、このように伺っております。
 都におきましても、今後さまざまな立場の方々の意見を十分にお聞きいたしまして、丁寧に議論を進めます。そして、平成三十年度の条例の施行を目指していく考えでございます。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、そして関係局長よりご答弁をさせていただきます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 学校現場のイクボスについてでございますが、教員が育児や介護を行いながら働き続けることができるよう、学校現場においても、管理職みずからが意識を変えて働き方を見直すことが重要でございます。
 都立学校では、全管理職がイクボス宣言を実施し、校内の教職員に周知したところでございます。
 都教育委員会におきましても、東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プランに基づき、例えば育児休業中等の教員に対する支援として、教職員研修センターが実施している研修の一部を動画で配信するなど、教員が育児、介護と仕事を両立できる取り組みを推進してまいります。
 今後とも、学校現場の状況を把握しつつ、教員が働きやすい環境づくりに努めてまいります。
   〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕

○病院経営本部長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、広尾病院改築に係る環境整備についてでございますが、病院施設の整備に当たりましては、工期中はもとより、その後の円滑な運営のためにも、周辺環境に影響のある事案につきましては、あらかじめ地域住民等の理解と協力が得られるよう努める必要があると考えております。
 広尾病院の改築につきましては、現在、その基本構想の策定に向け、検討委員会におきまして、具体的な病院像の見きわめを中心に議論が進められております。
 今後、都といたしましては、基本構想に関する議論も踏まえながら、具体的な施設計画や運営方法などの詳細を詰めていく中で、必要な環境整備を検証し、地域に対する説明やきめ細かな配慮など、適切に対応してまいります。
 次に、広尾病院改築に向けた今後の検討についてでございますが、基本構想検討委員会は、各分野の専門家や医師会代表者、地元の行政関係者などから構成されており、先月末には第三回検討委員会を開催したところでございます。
 この間、広尾病院の現状分析とともに、新たに策定された地域医療構想も踏まえ、将来担うべき医療や地域との協働関係のあり方などにつきまして、さまざまな観点から活発な議論が進められております。
 都といたしましては、個々の委員からいただいた貴重なご意見やご示唆を含め、検討委員会における議論を十分尊重して、改築のあり方全体の検討に生かしてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、有料老人ホームの選択を支援する取り組みについてでありますが、都は、有料老人ホームへの入居を希望する都民が、一人一人の身体状況や経済状況等に応じて適切な施設を選択できるよう、情報収集の方法や資金計画の立て方、施設見学の際のポイントなどをわかりやすく解説した小冊子、有料老人ホームの選び方を作成をし、区市町村等を通じて配布をしております。
 また、サービス内容や利用料金等を比較検討できるよう、届け出がなされております都内全ての施設の重要事項説明書を、都のホームページで閲覧できるようにしております。
 今後とも、都民が高齢期の住まいの一つとして有料老人ホームを安心して選択できるよう、きめ細かな情報提供に取り組んでまいります。
 次に、有料老人ホームの質の向上に向けた取り組みについてでありますが、都は、有料老人ホームの適切な運営を確保するため、施設の構造や設備、職員の配置など、事業者が遵守すべき事項について独自に指導指針を定めております。
 また、介護支援専門員や社会福祉士などの専門資格を有する職員が、施設を訪問し、サービス提供の実情を把握した上で、食事介助や排せつ介助の改善手法などを助言指導しております。
 さらに、サービス向上の取り組みを一層促すため、昨年十二月には、認知症介護やみとり介護に関する研修の実施に努めることなどを新たに指針に盛り込み、事業者向け説明会等を通じて周知をしております。
 今後とも、こうした取り組みを進め、有料老人ホームにおける介護サービスの向上を図ってまいります。

○副議長(小磯善彦君) 四十二番神野次郎君
   〔四十二番神野次郎君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○四十二番(神野次郎君) 本年四月に発表されたグローバル金融センターインデックスにおいて、東京は世界の金融都市として、一位のロンドン、二位のニューヨーク、三位のシンガポール、四位の香港に次いで五位という評価でした。世界で五位という評価は悪くないと感じるかもしれませんが、多くの金融機関がアジア、欧州、米国の三極体制をしいていることを考えますと、アジアで三位の地位に甘んじているのは問題といえます。
 知事は、東京をアジアで一番の金融都市とすることを目指す意向と聞いていますが、我が党が掲げる、東京を世界で一番の都市にという目標の実現のためにも、経済活動の血液ともいわれる金融業の復権は欠くことのできないものと考えます。
 金融業において最も大切なのは人材であり、国際金融都市としての成否は、世界中から優秀な人材が集まってくるか否かで決まるといえます。
 そこで大きな影響を持つのは、住環境、そして収入であると思います。住環境に関しましては、東京がシンガポールや香港に劣っているということはないと思いますが、収入面では大きく見劣りします。所得税率は、香港が最大一五%、シンガポールが最大二〇%であるのに対し、東京は最大四五%、さらに住民税も含むと五五%です。
 金融人材は高所得者が多く、低い税率を適用しても税収額はかなり得られるということを勘案して、移住してくる外国人などに限定して所得税を軽減するなどの対策により、シンガポールや香港に支払われている税収を東京に持ってくる発想が必要になると思います。
 雇用制度も賃金水準に影響を及ぼします。
 私が以前勤めていた外資系金融機関での話ですが、ある社員の採用条件はこのようなものでした。採用地はロンドンでもパリでも構わない、ただし、ロンドン採用ならパリ採用の一・五倍の報酬。多くの欧州大陸の国と同様、フランスでは採用した従業員を解雇するのが非常に難しいのに対し、英国では、一定のプロセスを経れば解雇が可能なため、ロンドンでの採用の方が報酬を高く設定できるからです。
 東京が香港やシンガポールと競合していくためには、以前、国で検討された雇用規制緩和特区のような制度の導入が必須と考えます。多くの国際金融機関が、過去に東京から香港やシンガポールに主要部署やアジアの本部機能を移転させておりますが、その理由には、税当局や金融監督当局に対する不満や不信があったと聞いています。
 都は、先月十一日に、金融の活性化などを検討する国際金融都市・東京のあり方懇談会の設置を発表しました。懇談会のメンバーは、金融界で有名な方も多く、さまざまな知見が得られることが期待できる一方、ほとんどのメンバーが現在も国内で当局の規制を受ける事業に携わっていることから、発言者が特定される場では本音が出にくいのではないかという懸念もあります。
 知事もメンバーとなっておりますこの懇談会において、ありきたりではない有益な意見を得るには工夫も必要と考えますが、知事は国際金融都市東京の実現に対して、どのような認識のもとで取り組まれるのかを伺います。
 次に、中小企業の支援について伺います。
 中小企業やベンチャー企業の資金調達に対する都の支援としては、融資制度を初めとしたさまざまな融資のメニューや各種補助金が用意されていますが、株式資本の調達に対する支援を望む声も多く聞かれます。融資は返済が必要ですし、補助金は収入とみなされるため、黒字企業では課税対象となります。
 一方で、株式発行の際に払い込まれる資金は返済の必要がなく、課税対象ともならないために、設備投資や研究開発に向ける資金として適しています。
 都のこれまでの施策では、補助金や融資の支援に比べ、株式による資金調達の支援については、やや慎重な姿勢を感じます。企業の規模やライフステージ、事業分野によって必要とする資金の種類はさまざまであることから、支援の多様化をさらに進める必要があると考えます。
 ベンチャー企業の株式への投資はリスクが高いものとなりますが、損失の発生をいたずらに恐れるのではなく、資金の一部でも回収できたり、利益が出て資金が増加した場合には、それをまた次の支援の原資とすることができるという考えで取り組むべきと考えます。
 先月十八日に都が設立を発表した中小企業連携促進ファンドには大きな期待を持っており、本年の第一回定例会においても、本ファンドについて質問させていただきました。その際には、将来の東京を支える企業の育成や新しい産業の創出という政策目的を常に意識し、思い切った投資によって中小企業の成長を後押しすべきという提言をいたしました。
 そこで、中小企業連携促進ファンドを含め、中小企業やベンチャー企業を支援するファンドへの取り組み状況について伺います。
 次に、東京都における死因究明体制について伺います。
 検案や解剖により、人の死因、そして死に至る経過を明らかにすることは、死者の尊厳や権利を守り、公衆衛生の向上や医学の進歩にも貢献するものです。死因が不明な死体を検案、解剖する監察医は、政令により、東京二十三区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市の五つの地域に配置すると定められており、そのための組織として、都は東京都監察医務院を設置し、検案、解剖を実施しています。
 人口の高齢化や海外からの感染症の流入、危険ドラッグによる死亡者の増加などが進む中、監察医制度の重要性は、今後ますます高まっていくものと考えられます。東京都は、監察医制度をしっかり維持するとともに、二十三区だけでなく、都全域に展開していくべきと考えます。
 都は、平成二十三年度から継続して、国に対して、監察医制度を都全域へと適用するよう提案しており、さらに平成二十五年一月から、東京都医師会や学識経験者などから成る検討会において、主に多摩・島しょ地域における検案、解剖体制について協議をしてきたと聞いています。
 本年の第一回定例会では、我が党の栗山欽行議員の質問に対し、多摩・島しょ地域の死因究明体制の充実に向け、平成二十八年度から新たな取り組みを行う旨、答弁がありましたが、多摩・島しょ地域の検案体制の充実に向けた現在の都の取り組みについて伺います。
 私の地元の昭島市では、中神の獅子舞と拝島日吉神社の榊祭の二つが、東京都指定の無形民俗文化財となっております。拝島日吉神社の例大祭は一七六七年に始まり、本年で二百五十周年を迎えました。宵宮で高さ五メートル余りのサカキでつくったみこしが、深夜零時に神社を出発し、午前四時過ぎの宮入りまでまちを練り歩くことから、榊祭と呼ばれております。
 榊祭の宵宮でも本宮でも大きな役割を担っているのが、加美町、奈賀町、志茂町の三町が、それぞれ重松ばやし、神田ばやし、目黒ばやしを演じる三基の人形屋台と呼ばれる山車です。人形屋台は、三基とも単層一本柱後ろ立ち上げ方式の旧八王子型屋台という形式のものですが、人間と同じぐらいの大きさの和唐内、弁慶、スサノオノミコトの人形を立てますと、高さが八メートルにも及びます。大正四年までは、榊祭では、人形を上げた状態での運行を行っておりましたが、今から百年前の大正五年、一九一六年に奥多摩街道に電線がかかったことから、人形は取り外されることとなりました。
 こうした伝統ある祭りを古来からの姿に復活させ、地域に活力を与えるためにも、その支障となる電線、電柱をなくす無電柱化は重要であると考えます。
 しかしながら、都道である奥多摩街道の地下空間には、既に水道、ガス、下水管など数多くのライフラインがあり、無電柱化を実施する際の既設ライフラインの移設費用が課題の一つとなっております。このような道路の地下空間がふくそうした状況の場合でも、技術的な工夫を行い、コストを抑えた取り組みを進めることにより、無電柱化を推進すべきと考えます。
 そこで、無電柱化を推進するためのコスト縮減への取り組みについて伺います。
 我が党は、東京を世界で一番の都市にを政策の目標に掲げ、外国人に対して優しい多言語対応や生活基盤の充実等に関するさまざまな施策を提言しています。
 在京外国人生徒の都立高校への受け入れについても、その取り組みの一つとして、多摩地域の高校での受け入れ枠設置など、受け入れ体制の充実を求めてきました。
 都教育委員会は、平成二十九年度の生徒募集に当たり、多摩地区の都立高校として初めてとなる外国人の受け入れ枠を、府中西高校に設置しました。これまで二十三区内の都立高校に通うことでしか受けることのできなかった日本語指導を身近な学校で受けることが可能になったことは、多摩地域に住む外国人生徒に対する支援の大きな前進です。
 しかし、まだ解決すべき課題は残っています。例えば、これまでの設置校が大学進学を前提とする普通科高校が中心となっていることから、日本語の力が不十分な外国人生徒の卒業後の進路が狭まってしまうという課題などです。在京外国人生徒の進路希望はさまざまであり、日本人生徒と同様に、大学進学だけでなく、就職も視野に入れた高校選択も可能とすべきです。
 そこで、普通科以外の学科、例えば商業高校や工業高校においても外国人受け入れ枠を設置していくべきと考えますが、都教育委員会の見解を求め、私の質問を終えます。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 神野次郎議員の一般質問にお答えをさせていただきます。
 一問、国際金融都市についてのご質問がございました。
 いうまでもなく、日本の成長のエンジンであります東京が国際的な都市間競争に打ち勝って、持続的発展を遂げていくためには、世界に目を向けた確固たる成長戦略が必要でございます。特に、経済の基盤を支える金融産業ですが、都市の魅力、そして競争力の維持に欠かせない重要な産業でございます。
 私は、東京をアジアナンバーワンの金融拠点として復活させるという目標に、今度こそラストチャンスだという覚悟で当たっていく所存でございます。
 ご指摘がありましたように、日本には金融系企業や人材が定着することを阻む、いわば見えない参入障壁が存在するといわれております。
 具体的には、英語によるビジネスの難しさ、それから世界標準からかけ離れた業界の慣行や規制、税制の存在、ご指摘のあったとおりでございます。
 こうした構造的、本質的な課題の解決に向けて、先月、金融界の第一線で活躍される経営者の皆様方から成る、国際金融都市・東京のあり方懇談会を立ち上げました。そして、今後一年ほどかけまして、それぞれのメンバーの問題意識を十分に本音も把握できるように、運営を工夫しながら、掘り下げた議論を行ってまいります。そして、金融の活性化に向けた抜本的な対策を取りまとめていきたい、このような考えでございます。
 そしてもう一つ、金融庁、そして民間の実務者によります海外金融系企業の誘致に関する検討会を設置いたしまして、企業誘致の加速に向けた当面の対策を今月中に取りまとめることといたしております。そして、速やかに実施をしてまいります。
 金融の活性化には、都だけではなくて、国、そして業界の取り組みは不可欠でございます。今後とも、これらの主体と、皆様方と連携をしながら、戦略的に国際金融都市東京を実現してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 都立高校の在京外国人受け入れ枠についてでございますが、都教育委員会は、都内に居住する外国人生徒に高等学校教育を受ける機会を提供するため、平成二十九年度の募集において府中西高校に受け入れ枠を新設し、募集人員を十八人ふやして、全体で百三十五人とするとともに、多摩地域の外国人生徒の通学条件の向上を図りました。
 一方で、これまでの在京外国人受け入れ枠は、大学進学を目指す普通科や国際学科の高校に設けてまいりましたが、対象生徒の卒業後の進路を見ますと、就職を希望する生徒や、進路未決定のまま卒業する生徒がいる実態もございます。
 このため、在京外国人生徒のより多様な進路選択が可能となるよう、これまで受け入れ枠を設置してきた学校の応募状況や進路希望の状況等を踏まえながら、専門高校も含めた受け入れ枠の設置について検討を行ってまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 中小企業やベンチャー企業向けファンドについてでございますが、都では、平成二十四年度にものづくりベンチャー企業を支援するファンドを創設し、現在までに二十社に投資を行い、株式上場を果たす企業も出るなど、成果を上げているところでございます。
 また、今年度からの取り組みといたしまして、中小企業が大学や大企業、全国各地の企業等と連携して新たな分野に挑戦することを支援する中小企業連携促進ファンドを、先月に立ち上げたところでございます。都が出資をいたしました三十億円が呼び水となりまして、民間事業者等からの出資が集まり、現在、総額百五十五億円の規模のファンドとなってございます。このファンドでは、資金供給とともに、運営事業者による役員派遣など、手厚い経営支援もあわせて実施してまいります。
 今後とも、適切なリスク管理のもと、こうした手法を効果的に活用し、中小企業の成長や産業の新たな担い手の創出をしっかりと後押ししてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 多摩・島しょ地域の検案体制の充実についてお答えをいたします。
 都は、多摩地域の検案医を確保し、検案の精度向上を図るため、地元の大学法医学教室と協力し、症例検討等を取り入れた研修会を本年十月から開始いたしました。また、島しょ地域では、自治医科大学卒業医師や地域の医師を対象に、監察医務院による研修を行っております。
 さらに今後、新たな検案医を確保、育成するため、医学生等を対象に、法医学への関心を高めるためのセミナーを開催するほか、地域の医師に向けまして検案業務を紹介するリーフレット等を作成することとしております。また、区部の大学法医学教室にも、多摩地域の検案業務等への協力を依頼してまいります。
 今後とも、こうした取り組みを進め、多摩・島しょ地域における検案体制の充実を図ってまいります。
   〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 無電柱化のコスト縮減への取り組みについてでございますが、限られた道路空間で無電柱化を実施していくためには、技術開発などをより一層推進することにより、整備費用の縮減を図ることが重要でございます。
 都道の無電柱化に際しましては、電線管理者が所有している管路等がある場合、それらの施設を電線共同溝の一部として活用することで、水道やガス管等の移設を極力減らし、コスト縮減や工期短縮を図っております。引き続き、このような既存ストックの有効活用に努めてまいります。
 また、東京電力やNTT等と検討会を設置し、電線共同溝のさらなるコンパクト化や、管路等に使用する材料の低コスト化などにつきまして検討してまいります。
 今後とも、関係事業者と連携しながら、コスト縮減による無電柱化の一層の推進に取り組んでまいります。

○議長(川井しげお君) 十六番斉藤やすひろ君
   〔十六番斉藤やすひろ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十六番(斉藤やすひろ君) 初めに、二〇二〇年東京五輪大会に向けた、人に優しいまちづくりについて質問します。
 人に優しいまちづくりを進めていくに当たって参考となる手法として、インクルーシブデザインというものがあります。これは、商品などのデザインの企画、設計段階から、リードユーザーと呼ばれる障害者や高齢者などと一緒に、日常の日々の不便さを観察することによって、その不便さから新しい価値を発見し、完成価値を高めていくという手法です。
 この手法は、都が進めるユニバーサルデザインの考え方に立った福祉のまちづくりにも活用できます。
 私は、視覚障害のある方とともに、渋谷駅周辺の再開発工事現場を調査いたしました。その際、点字ブロックが随所で途切れていて機能していない点など、これまで気づかなかったニーズを把握することができました。
 今後、二〇二〇年までの実行プランの策定や、五輪大会後を見据えた人に優しいまちづくりのために、都は、障害者や高齢者の意見をプロセスの初めから取り入れるべきと考えます。知事の見解を伺います。
 次に、自転車総合対策について質問します。
 自転車は、子供から高齢者まで手軽に利用できる便利な軽車両であり、車道を走行することが原則とされています。しかし、多くの自転車利用者は、歩行者と同じ感覚で利用しております。
 私の地元目黒通りの権之助坂や大鳥神社交差点付近では、安心して歩道を歩くことができないとの声や、白杖を折られて大変に怖い思いをしたと、自転車の安全走行を求める声が寄せられています。
 現に、都内の自転車関連の交通事故発生率は約三割と高どまりしております。自転車利用中に亡くなったか、重傷を負った方の半数以上は、何らかの交通違反があったと聞いています。
 そこで、こうした自転車利用者の交通安全対策の取り組みについて、警視総監の見解を求めます。
 一方で、自転車利用者からは、目黒通りは交通量が多く、車の追い越しなどで大変に危険な思いをした。ドライバーにも配慮してほしいなどの声が上がっております。
 私は、車道は自動車だけのものではなく、ドライバーは自転車運転に配慮した運転を心がけるべきだと考えています。
 自転車が車両の仲間として、車道を車と混在して走る環境をつくるには、車側の意識改革が必須条件です。この点、欧米など世界各国では、思いやり一・五メートル運動、すなわち車のドライバーに、自転車の横を通過するとき一・五メートル以上の安全な間隔を保つことを呼びかけるシェア・ザ・ロードという運動が普及しています。
 警視庁では、運転免許の書きかえ時に、ドライバーの皆さんへ自転車思いやり五則を呼びかけているとのことであります。警視庁は、この自転車思いやり五則を広く都民に積極的に普及啓発するなど、ドライバーの自転車運転への理解を深める取り組みを推進すべきです。警視総監の見解を求めます。
 今国会において、自転車活用推進法案が可決される見込みです。この法律では、自転車の活用推進は、環境、健康増進、交通混雑緩和など、公共の利益増進に資するものと明記されています。画期的な法律でございます。
 我が党は一貫して、自転車を都市の交通手段として大いに活用すべきとの観点から、自転車安全利用条例の制定や自転車走行空間の整備促進などを訴えてまいりました。
 そこで、都として、ソフト、ハード両面からの総合的な自転車政策を推進すべきです。知事の見解を求めます。
 次に、特別支援学校の医療的ケアについて質問します。
 近年の医療技術の進歩や在宅医療の普及を背景に、特別支援学校では、医療的ケアを必要とする児童生徒が増加しています。それに伴い、医療的ケアの種類や程度により、学校での引き継ぎ期間が長期間必要になるなど、保護者の付き添いが重い負担になっています。
 私は、さきの第二回定例会一般質問で、肢体不自由特別支援学校以外の特別支援学校にも、医療的ケアが必要な生徒が学んでいることを取り上げました。視覚障害のある生徒が二泊三日の移動教室に参加を希望しておりましたが、別の障害で気管切開をしており、たんの吸引ができる介助者を保護者が負担し、つけなければ、参加は認められないといわれました。そうした中、保護者がヘルパー代を負担し、付き添わせ、やっとの思いで参加させることができました。
 このようなご家族の財政的な負担が解消され、安心して移動教室に参加できるよう、都は制度改正を検討すべきだと要望いたしました。
 まずは、現在、医療的ケアが実施できていない特別支援学校での保護者の付き添いの解消を目指すことが大事です。
 そこで改めて、肢体不自由以外の都立特別支援学校における医療的ケアについて、都教育委員会の見解を求めます。
 次に、体操競技の環境改善について質問します。
 体操競技は、専用の床、鉄棒など大会開催のために必要な器械、器具が多く、開催できる施設が限定されているのが実情です。
 中学生の都大会では、ある公立体育館で継続的に開催しておりますが、器械、器具が大変に老朽化していることから、トップ選手は安全性を懸念し、出場を見送っております。そのため、トップ選手は年三回ある都大会のうち、選手にとって重要な全国大会の予選会となる夏の大会だけに出場しています。この夏の大会だけは、大会主催者が経費を負担し、最新の器械、器具をレンタルしているからであります。
 高校生の都大会は、複数の大学の施設を一時的に借りるなど、会場確保に涙ぐましい努力を余儀なくされています。
 以前は東京体育館でも、自前の器械、器具を使って大会を開催しておりましたが、老朽化し、競技規則で定められた最新の基準にも合わなくなったことを理由に廃棄したといわれています。
 一方、多くの道府県では、国体の際に器械、器具を備えてきました。神奈川、千葉、埼玉各県など関東七県では、競技規則が変更されても、時期を見て器械、器具を更新しており、直近のルールでの大会が開催できる環境にあります。
 体操部に所属する生徒数が最も多いのが東京都にもかかわらず、都は、二〇一三年のスポーツ祭東京でも、二〇一四年のインターハイでも、レンタル対応し、購入はしておりません。
 先般のリオ大会では、内村選手と白井選手が、東京都栄誉賞及び都民スポーツ大賞を受賞しました。二〇二〇年大会を迎える今こそ、体操競技の環境を改善するべきです。
 例えば、中学生の大会に関しては、大会主催者側がレンタルする費用を支出しておりますが、年三回の大会の一回分しか支出できていません。
 そこで都は、体操競技の器械、器具を購入し、保管する場所を確保すべきであります。せめて競技団体のレンタル料を負担すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、海外販路開拓支援について質問します。
 国内市場が成熟する中で、販路を外国のマーケットへと広げていくことは、東京の産業活性化を図る上で重要な課題であり、都も昨年十二月、中小企業振興公社のタイ事務所を開設し、現地で活動する企業の経営相談などをスタートさせました。
 私は、一昨年、ミャンマー地方政府の招聘を受け当地を訪問した際、地元政府の要請を受け、東京消防庁の救急車十台、ポンプ車十台を無償譲渡することができました。その運用状況を確認する目的もあり、この十月に、再度、ミャンマーを訪問いたしました。現地の方々の多くの人命が救われていました。東京消防庁に感謝の声が多く寄せられておりました。
 今回はタイのバンコク経由での訪問でしたので、タイ事務所を視察する機会を得て、拠点のスタッフの方に直接話を伺いました。タイでの活動中に見舞われたトラブルへの対処など、現地の拠点でなければ対応できない企業の支援ニーズというものは、確かにあると実感をしてまいりました。
 一方で、タイは、アジア地域の中でも特に日本の企業が多く進出しており、東京の企業も千五百社近くが活動しているといわれておりますが、企業からの相談は、この十月末までで百二十件程度と聞いております。開設から一年を迎えようとする今、この現地拠点をさらに多くの中小企業に知ってもらい、また活用してもらうことが重要です。
 そこで都は、拠点による支援サービスの周知を一層図るとともに、利用企業や支援ニーズを掘り起こしていく、こういったことをするべきであると考えます。都の見解を求めます。
 次に、再生可能エネルギーの推進について質問します。
 都の再生可能エネルギーに関する二つの官民連携ファンドは、電力の安定供給に向けた取り組みや、都内及び東北地方などにおいて再生可能エネルギーの普及拡大を進めています。
 これまで我が党は、再生可能エネルギー発電施設への投融資については、東日本大震災などからの復興も含め、地域経済の活性化などにつながるものと訴えてまいりましたが、着実に投融資実績が積み上がってきております。
 しかしその一方で、投融資実績を見ますと、比較的山間部や原野における案件が多く、そのことが、エネルギーの大消費地である東京の都民にとっては、この取り組みやその効果が見えづらい要因にもなっています。
 そこで、都内や東京近郊などにおいても案件を進めることにより、都民が本事業の取り組みを、より身近に感じ、エネルギーに関する学習効果を高めることが期待できることから、都内や東京近郊においてもこの事業を推進すべきと考えます。都の見解を求めます。
 最後に、太陽光発電設備の保守点検について質問します。
 固定価格買い取り制度導入で、太陽光発電は飛躍的な発展を見ました。都の助成制度もその大きな後押しとなり、再生可能エネルギーの普及に大いに寄与したと高く評価をいたします。
 ところが、現場では今、深刻な問題が顕在化しつつあります。住宅用においても、発火事故や雨漏りによる住宅被害など、一つ間違えば命にかかわりかねない事態も発生していますが、現在は施工業者などが個々に和解をしているため、消費者行政では把握されにくい状況にあります。
 建築士などの専門家は、住宅屋根に設置している太陽光発電の保守点検体制の不備を指摘しています。
 今後、太陽光発電システムを長期間、安定的に使用できるようにするためには、設備の保守点検が必要になります。都として対応を急ぐべきです。
 都の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 斉藤やすひろ議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、障害者などさまざまな方の意見を生かした政策の展開についてのご質問がございました。
 二〇二〇年に向けた実行プランでは、三つのシティーを実現する、そして新しい東京をつくっていく、今後の都政の具体的な政策展開を示したいと考えております。
 そして、誰もが希望と活力を持って活躍できるダイバーシティー、障害者が生き生きと暮らせる社会や、誰もが優しさを感じられるまちなど、主要政策としてその中で提示をしていく考えでございます。
 そして、議員ご指摘のように、誰に対しても温かく優しい東京をつくっていく、そのためには、政策立案に当たって、都民ファーストの視点に立ち、政策形成過程から、若者や高齢者、障害者など、広く都民の皆様方からのご意見を伺うことが重要と考えております。
 そして、今回の実行プランにおきましても、コンセプトと主要政策の方向性を既に発表いたしておりまして、幅広く都民の皆様からご意見、アイデアを頂戴しているところでございます。
 また、先日も、斉藤先生を初めとする御党の皆様方から、生活者目線に基づきました具体的なご提案をいただいたところでございます。
 こうした中でいただきました知恵を生かしながら、全庁を挙げて実行プランを取りまとめて、都民の皆様の共感を呼ぶ形で政策展開をしていくことが、それがすなわち、誰もが生き生きと生活できる、活躍できる東京につながると、このように考えております。
 自転車政策の推進についてお尋ねがございました。
 自転車は、健康の維持、そして増進にもなる、そしてさらに身近な交通手段でございます。また、環境に優しく、誰もが使いやすい交通体系を構築するということから、一層活用することは重要な視点でございます。
 まず、利用時の安全が大前提でございますので、先般、自転車安全利用条例を改正して、都による街頭での安全指導、自転車販売時の啓発の義務化を規定するなど、利用者のルール、マナーの向上を目指しました取り組みを推進しているところであります。
 また、地域の道路事情に応じました整備手法で、都道、そして臨港道路等々で、自転車走行空間の整備を進めてまいるとともに、二〇二〇年の大会会場、そして主要な観光地の周辺でも、国道や区市道も含めた走行空間のネットワーク化に取り組んでいるところでございます。
 自転車の活用推進の一つとして、区と連携して区境を越えたシェアサイクルの普及拡大も図っております。
 今後とも、区市などと連携をいたしながら、これらの政策を推進いたしまして、東京にふさわしい総合的な自転車政策を展開し、また、ご指摘のあった思いやり一・五メーターロード、これを確保するためにも無電柱化をしっかり進めていきたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、警視総監、教育長、関係局長からの答弁とさせていただきます。
   〔警視総監沖田芳樹君登壇〕

○警視総監(沖田芳樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車利用者の交通安全対策への取り組みについてですが、警視庁では、自転車利用者の交通ルールの遵守を図るため、各種メディアを活用した広報啓発、スタントマンによる交通事故の再現を活用した自転車教室や、イベントの開催などにより、自転車安全利用五則を初めとする自転車の通行ルールの周知、中でも歩道を通行する場合の歩行者優先、車道を通行する場合の左側通行に重点を置いて取り組んでいるところであります。
 一方で、ご指摘のように、交通ルールを守らない自転車への問題意識が高まっております。このため、警視庁といたしましては、街頭における指導警告を実施するとともに、悪質な違反者に対し、取り締まり活動を積極的に行うことにより、交通ルールを遵守させるよう努めてまいります。
 次に、ドライバーの自転車運転への理解を深める取り組みについてですが、自転車の走行空間の整備につきましては、自転車利用者が安全に車道の左側を走行できるよう、歩行者、自動車から分離した自転車の通行空間について、道路管理者や自治体と連携しながら積極的に整備を進めているところであります。
 また、自転車が通行すべき位置と進行方向を示す自転車ナビマークを、駅周辺の道路に集中的に設置する取り組みを推進してまいりましたが、それに加え、今年度からは、国道や都道といった幹線道路に設置する自転車ナビルートの整備を進めてまいります。
 一方、自転車の走行に配慮したドライバーへの広報啓発につきましては、自動車運転者に対して、運転免許試験場を初めとする警察施設における広報、各種広報媒体や全国交通安全運動等の機会を活用して、自転車のそばを通るときには、安全な速度で間隔をあけるよう呼びかけることなどを内容とする、自転車思いやり五則を周知するなど、引き続き車道における自転車保護の意識の醸成を図り、自転車利用者の交通事故の防止に努めてまいります。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 都立特別支援学校での医療的ケアについてでございますが、現在、都立肢体不自由特別支援学校では、たんの吸引など日常的に医療的ケアを要する児童生徒が学校で安心して教育を受けられるよう、障害の程度や状態に応じて安全かつ適切に医療的ケアを実施しております。
 近年の医療の進歩に伴い、肢体不自由以外の特別支援学校にも医療的ケアが必要な児童生徒がふえてきておりますが、現在は、こうした学校での医療的ケアを実施していないため、保護者に付き添いを依頼しているところでございます。
 今後は、保護者の負担軽減の視点を踏まえ、これまで未実施だった特別支援学校における医療的ケアについて、医学的見地や医療安全の確保の観点に立って、専門家の助言などを得ながら、実施に向けた検討を行ってまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 体操競技の環境改善についてでございますが、体操競技の器械、器具は種類が多く、高額である上、特に都のスポーツ施設ではトップレベルの大会の開催が多く、数年ごとに行われます競技規則改定のたびに買いかえが必要となるものであるため、都では、競技団体など主催者側がレンタル等で用意することがふさわしいものと考えております。
 現在、都は競技団体に対し、国体の予選会における器械、器具のレンタル費を含む大会運営費の一部を補助しております。また、区市町村が体育館を整備する際、器械、器具の保管スペースの設置経費につきましては、都の補助制度の活用も可能でございます。
 今後、お話の体操競技も含め、都民がさまざまなスポーツに親しめる環境の整備につきまして、新たなスポーツ推進計画の策定に向けた議論の中で検討してまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 中小企業振興公社タイ事務所におけます企業支援についてでございますが、海外の支援拠点においては、産業の動向や商習慣など、現地の実情を踏まえた支援を行うことが重要でございます。
 都はこれまで、公社タイ事務所において、現地でのセミナーを含め、幅広い情報提供や経営相談、現地企業とのマッチングの支援などを行い、都内中小企業の現地活動をサポートしております。
 今後、現地進出企業約一千社に対しまして、各社の基本情報や支援ニーズ等を把握するための実態調査を実施するとともに、SNS等による情報発信の充実などにより、タイ事務所の周知を行い、さらに利用促進を図ってまいります。
 これにより、企業のニーズに即した支援を充実し、より多くの企業の現地での活動を強力に後押ししてまいります。
   〔会計管理局長浅川英夫君登壇〕

○会計管理局長(浅川英夫君) エネルギーに関する官民連携ファンドについてでございますが、本ファンドを通じて、電力の安定供給や再生可能エネルギーの普及拡大を推進するに当たりましては、都民がこの取り組みを身近に感じられるという視点も重要でございます。
 本ファンドは、民主導の仕組みであり、これまで民間のノウハウを活用し、福島県や宮城県などの太陽光発電のほか、風力やバイオマス発電など、全国で二十二件の発電施設への投融資を推進し、地域振興にも貢献してまいりました。
 今後は、こうした取り組みに加え、都市部の未利用地や建物の上部空間を有効活用するなど、さまざまな工夫を重ね、都内や東京近郊における取り組みも拡大することが望ましいと考えております。
 都といたしましては、ファンド運営事業者と十分に連携しながら、本ファンド事業の取り組みや効果を、より都民にも見える形で進めてまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 太陽光発電設備の保守点検についてでございますが、太陽光発電設備を長期間にわたり安全に安定して運用するためには、適切な施工と保守点検が重要でございます。
 消費者庁によると、メンテナンス不足や施工不良等による太陽光発電設備からの発火や発煙といった事故が、平成二十年以降、百件以上報告されており、現在、事故原因の詳細な調査が進められている状況でございます。
 都は、太陽光発電の事故が生じないよう、国に対して、関係業界と連携して太陽光発電の保守点検体制を構築するよう、要望しております。
 今後、都民に対し、ホームページなどでメンテナンスの重要性について注意を喚起するとともに、工務店向けのセミナー等を開催して事故事例を紹介し、太陽光発電設備の適切な施工と保守点検を促してまいります。

○副議長(小磯善彦君) 六十九番島崎義司君
   〔六十九番島崎義司君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十九番(島崎義司君) 最新の人口推計によると、多摩地域は東京都の全人口の三一%を占めるものの、平成二十六年の商業統計調査、卸売業、小売業の概況では、従業者数で一六%、年間商品販売額では四%にも満たず、また工業統計調査によると、多摩地域の従業員四人以上の事業所における十年間の比較では、製造品出荷額で約一九%減、事業所数では約三〇%減少しているという現状があります。
 このような中、多摩地域の自治体からは、平成三十二年の東京五輪を契機として、産業、観光、文化、教育の各振興や充実など、地域の魅力発信に向けた横断的な取り組みの推進等を行うための各種支援を求められております。
 一方、いわゆる三多摩格差については、平成二十六年三月に公表された新たな多摩のビジョン行動戦略の中では、かなりの部分で格差は解消されたと述べられておりますが、例えば三多摩には地下鉄はなく、都営バスは花小金井―青梅間の一系統と青梅内の数系統のみ。JR中央線も、東京駅を中心とする首都圏放射路線では、都内で唯一複々線化されておらず、料金改善が進む首都高速道路も、高井戸以西、首都高から中央道への乗り継ぎ近距離区間には、ETC車利用で首都高単独の同距離料金と比較して課題が残るなど、三多摩格差は依然として存在していると感じざるを得ません。
 そこで、多摩地域の課題や三多摩格差への認識、東京五輪開催を契機とした三多摩振興への考え方について、知事の所見を伺います。
 次に、産業政策について伺います。
 五十六年ぶりとなる東京五輪の開催は、都内全域の中小企業にとって、市場の幅広い分野から生まれるニーズを取り込む大きなチャンスと考えます。一方で、経営基盤の脆弱な企業が単独で新しい事業などに取り組むには限界があります。
 こうした中で鍵を握るのが、業界団体や商工会議所など地域の経済団体による取り組みです。東京五輪開催を起爆剤として、業界や地域に再び活力を取り戻そうという機運が高まっている今こそ、世界に向けた商品、技術のPRや、インバウンド需要の取り込みなどを行政も強力に後押ししていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 都水道局では、本年二月、都民生活と首都東京の都市活動を支える基幹的ライフラインとして、安全でおいしい高品質な水を安定供給するため、平成二十八年度からの五年間に取り組んでいく施策の事業計画と財政収支計画を明らかにした、東京水道経営プラン二〇一六を策定しました。
 私の地元の境浄水場も、このプランにあるとおり、東村山浄水場の更新に備えた代替浄水施設として、急速ろ過の高度浄水施設とする整備が進められております。この境浄水場の再構築を進めるに当たっては、当初、それまでの緩速ろ過方式で、高い建物がない、見通しのよい景観や日照への影響などの懸念から、地元の反対が一部に強くありましたが、都水道局は、地元説明や市議会からの意見にも真摯に対応いただき、壁面後退や高さ抑制などを図り、議員や地元住民も委員を務める武蔵野市都市計画審議会の用途地域変更や地区計画などもスムーズな決着を見ました。
 今後は、市の都計審などでも都が説明された、都水道事業の特性を生かした地元配慮策や、建物意匠への意見反映など、積極的な協働と情報提供に心がけていただくことを要望しますが、都水道局の見解を伺います。
 関連して、現在、都水道局では、未統合地域である武蔵野市との水道事業一元化に向けた、事務レベルでの折衝を開始したと承知しておりますが、首都直下型地震も懸念される中、事業統合に向けての議論をさらに深めることが必要だと考えます。
 そこで、都水道局の今後の対応を伺います。
 次に、スポーツ施設の整備について伺います。
 都内公共施設の多くが更新時期を迎え、平成三十二年の東京五輪も契機として、施設の新築や改修が都や国などでも加速化しております。そのような状況の中で、都が整備する施設には大きな期待が寄せられております。
 現在、多摩地区では初となる、収容人員最大一万人以上規模の屋内型スポーツ施設となる武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)の整備が進められております。本施設は、多摩地区で唯一の東京五輪の屋内型競技施設であり、その完成が待望されております。
 そこで、整備の進捗状況を伺います。
 これに関連して、武蔵野の森総合スポーツ施設をどのように活用していくのかという議論も必要であります。
 例えば、国立代々木競技場は、現在、スポーツのみならず、国内外のアーティストのコンサートやその他イベントなどによる利用も大変多いと聞いております。武蔵野の森総合スポーツ施設についても、スポーツ利用はもとより、コンサートなどのイベントを積極的に誘致、開催し、多くの都民が訪れるにぎわいのある施設としていくべきと考えております。
 また、国立代々木競技場は、来年から二年間、改修工事のため休館するとのことですが、休館中の多くの利用ニーズをどう受けとめるのかという問題もあります。都立の体育施設でも、今後、オリンピックに向けた改修が見込まれます。その点でも、新たに開業する武蔵野の森総合スポーツ施設の役割は大きいと考えます。
 そこで、武蔵野の森総合スポーツ施設の今後の施設活用と運営方法について、都の考え方を伺います。
 次に、多摩地域の路線バスの充実について伺います。
 二〇一九年開催が決まっているラグビーワールドカップ日本大会に向けて、ことし六月二十五日、スコットランドとのテストマッチが味の素スタジアムで行われましたが、その当日、メーンのアクセスラインである京王線で人身事故が発生し、多くの方が開会式に間に合わなかったという事案がありました。私は当日、JR中央線武蔵境駅からの路線バスを利用して現地に行きましたが、現地会場近傍のバス停、浄水場からスタジアムに向かう道の半分は暗がりで、そのような中、私の足で会場入り口まで十五分ほどかかり、利便性がよいとはとてもいえない状態でありました。
 今後、この味スタに隣接する武蔵野の森総合スポーツ施設が開業し、施設内にはにぎわい創出のためのスペースも予定されていると承知しております。
 このように、多摩地域においては、運動施設を初め、公園やショッピングセンターなど、利用者の多い施設が広く分布しておりますが、鉄道ネットワークが整備されている東西方向に比べ、南北方向の公共交通によるアクセス性は充実しているとはいえません。多摩地域の活力を向上させるためにも、こうした施設と各鉄道駅の間や、JR中央線と私鉄の拠点駅の間等を結ぶ路線バスの充実を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、観光振興について伺います。
 東京を訪れる旅行者の数がふえ続ける中、都内の各地域が、身近にあるさまざまな観光資源に着目して、それを大きく育て上げて集客に結びつける努力が必要であると考えます。私の地元の武蔵野市でも、この何年かの間に、地域ならではの食事の提供やアニメのコンテンツを、毎年テーマを変えながら取り上げて、都からのサポートを受けつつ、観光客の誘致につなげる取り組みを進めてきました。
 こうした地域の観光振興のプロジェクトは、一定の年数をかけてじっくりと定着するのを待つことが大切な一方で、地元の団体だけで継続して行うには、資金や人手が十分ではないなどの限界もあります。地元自治体も、多様なテーマを対象とした観光まちづくりについて広く目くばせをしなければならず、旅行者の誘致に向けたハードの整備やPR活動のようなソフト面の対応にも、これまでにも増して力を入れなければいけない状況もあります。
 こうした中、都としても、地域が立ち上げた観光振興の取り組みには、これまでのような単年度限りではなく、一定期間続けてサポートを行うとともに、市区町村の進める観光施策の後押しに、より一層の力を入れるべきと考えます。
 そこで、今後に向けた対応のあり方について、都の見解を伺います。
 次に、道路整備について伺います。
 多摩地域の発展のためには、物や人の流れを円滑にし、防災性の向上などに資する多摩南北、東西道路など、幹線道路ネットワークの整備を着実に進めていくことが重要ですが、一方で、地域のまちづくりを促進する上で効果のある道路を整備していくことも必要不可欠と考えます。みちづくり・まちづくりパートナー事業は、都と市町村が連携協力し、地域に密接に関連した都道を整備するもので、市町村における地域のまちづくりを進める上では、重要な事業となっております。
 私の地元では、例えば吉祥寺駅付近では、吉祥寺通りを拡幅整備し、歩道やバスベイが設置されたことにより、歩行者の安全性の向上や交通の円滑化が図られました。
 また、武蔵境駅周辺では、天文台通りにおいて、歩道の設置や無電柱化などにより、駅周辺の利便性や歩行者の安全性が向上するなど、高い効果があらわれており、こうした事業をしっかりと進めていく必要があると考えます。
 本事業は今年度で最終年度を迎えておりますが、平成二十九年度以降も事業中の路線を完成させるとともに、市町村が要望する路線を加え、新たな事業を実施する必要があります。
 そこで、みちづくり・まちづくりパートナー事業の今後の取り組みについて、都の見解を伺います。
 次に、学校支援について伺います。
 知事は、十月に総合教育会議を開催し、今後の教育施策の重要事項を示して、来月には、新たな教育施策大綱を策定すると述べられました。
 こうしたさまざまな施策の実現のためには、学校現場で働く教員の力が必要です。しかしながら、学校現場では、授業はもとより、子供を取り巻く課題の解決から地域行事まで、校長、副校長を初め、教員に至るまで、多忙をきわめながら学校教育に当たっていただいております。
 今後、教育施策大綱の実現に向けて、学校現場のさらなる負担の増加とならないような配慮と支援が必要であります。
 そこで、現場の校長、副校長を初め、教員の負担を軽減し、学校を支えるために、都教育委員会としてはどのように取り組んでいくのか、見解を伺い、私の一般質問といたします。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 島崎義司議員の一般質問にお答えをいたします。
 多摩振興についてのご質問がございました。
 いわゆる多摩格差でございますが、従来からの公共下水道、道路などの課題につきましては、これまで都と市町村が連携して解決に努めた結果、かなりの部分で解消しているとの認識もございます。
 しかしながら、多摩地域は、ご指摘がございましたように、人口の減少、そして少子高齢化の進展が加速度的に進んでおります。そして、大規模な工場などが撤退をするなど、依然としてそれぞれの地域ごとに異なる諸課題を抱えているものと認識いたしております。
 私も、多摩の各地は訪問をいたしておりますけれども、一方で、大変豊かな自然を有しているということからも、魅力的な地域であることは事実でございます。そして、そういう中で、地域の実情を的確に把握した上で、課題を一つ一つ解決していきたい。そして、オール東京の発展を目指してまいりたい考えでございます。
 そしてまた、お話にございましたように、多摩地域におきましては、二〇一九年にラグビーワールドカップが開催されます。そして、翌年がオリンピック・パラリンピックでございます。このこと、これらのスポーツイベントをきっかけといたしまして、さらなる発展へとつながる、このように結びつけていきたいと考えております。
 せっかくのすばらしいチャンスが来るわけでございますので、市町村と連携を図りながら、多摩の魅力を積極的に発信いたしまして、スポーツ、文化、産業、観光など幅広い観点から、多摩振興に努めていきたいと考えております。
 その他の質問は、教育長、そして東京都技監、関係局長からお答えをさせていただきます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 教員の負担を軽減し、学校を支える取り組みについてでございますが、子供たちをめぐる複雑化、多様化した課題の解決や教員の多忙感、負担感を軽減する上では、これまでの教員中心の対応に加え、専門家等の活用を図ることが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、教員の資質向上に加え、教員と専門家との連携、協働による運営体制を整備し、子供たちの課題に即した指導や支援ができる学校づくりを進めております。
 今後、こうした取り組みを強力に推進するため、教員の専門性をより一層高めるとともに、多様な人材と連携、協働できるよう、校長、副校長の学校マネジメント力の強化を図り、一人一人の子供たちが輝く未来を創造できる教育の実現に邁進してまいります。
   〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 多摩地域の路線バスの充実についてでございます。
 路線バスの新設やダイヤ設定など輸送サービスの充実は、バス事業者の経営と密接にかかわる事項である一方、都民の日常生活や地域の活力向上につながるものでございます。
 このため、多くの市町村で、バス事業者に対して、路線の新設や変更などの働きかけを行っており、また路線の新設に向けた社会実験に取り組んでいる例もございます。
 都の都市計画審議会から先般いただいた答申でも、将来の都市像の実現に向けた取り組みの中で、駅前広場や補助幹線道路を生かし、駅からバスなどを活用したフィーダーサービスを充実すべきとされてございます。
 都は、この答申も踏まえ、市町村に対して、広域的、専門的な立場からの支援を行うなど、路線バスの充実に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、業界団体等による取り組みへの支援についてでございますが、意欲ある協同組合、商工会議所などの団体が、二〇二〇年に向けて世界の注目が東京に集まるこの機を捉え、みずから新たな事業に取り組んでいくことは重要でございます。
 都はこれまで、協同組合等が行う製品、サービス開発等の取り組みに対し、コーディネーターの派遣や経費の一部助成を行っております。
 今後は、こうした取り組みをさらに加速させるため、海外に展開できるブランドの確立など、成功事例を生み出すための新たな仕組みを検討してまいります。
 また、商工会議所等に対しましては、これまで地域ブランドづくりや販路開拓といった地域活性化の取り組みを支援しているところでございます。
 今後は、各地域の魅力のさらなる掘り起こしや発信につなげていけるよう、新たな支援の枠組みを検討してまいります。
 これらにより、団体の意欲的な取り組みを強力に後押ししてまいります。
 次に、地域の観光振興への支援についてでございますが、東京の各地域の観光振興の取り組みを活発にするためには、観光関連団体や自治体による旅行者誘致を適切にサポートすることが必要でございます。
 これまで都は、観光協会などのすぐれたアイデアを民間のノウハウに結びつけて実現する取り組みを進めてまいりました。
 今後は、こうしてつくり上げた観光スポットなどの評価が高まり、旅行者の来訪が定着するために一定の期間が必要な場合、継続した支援の実施を検討してまいります。
 また、都では、自治体が地元の特色を生かしたテーマにより観光振興を行う取り組みに助成を行っており、そうしたサポートの充実を検討してまいります。
 こうした取り組みにより、都内の各地域の観光振興を確実に後押ししてまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、境浄水場の再構築事業についてでありますが、本事業のような大規模施設整備の推進に当たりましては、周辺環境や景観への配慮等から、ご指摘のとおり、地元の声に耳を傾け、理解を得ていくことが重要であります。
 このため、武蔵野市の都市計画審議会や住民説明会での意見等を踏まえまして、建物の圧迫感や日照への影響を軽減するため、当初計画より高さや位置を変更するとともに、発災時に、市の職員や地域住民みずからが応急給水を行える施設も設置することとしました。
 また、建物意匠につきましても、現在、周辺の景観と調和を図るため、住民の皆様や専門家に建物デザインを複数案提示をしまして、意見を伺っております。
 今後も、住民の皆様に情報を提供していくとともに、地元の意見を踏まえながら、着実に事業を進めてまいります。
 次に、武蔵野市水道事業の都営一元化についてであります。
 多摩の市町との水道事業一元化におきましては、これまで、企業債など債務も含めた市町の水道資産を都が引き継ぐこと、また、都営水道のお客様に新たな負担を発生させないよう、累積欠損金や老朽化施設の更新経費を市町が負担することを基本的な考え方としてまいりました。
 このため、武蔵野市に対しましても、事務折衝の場におきまして、こうした考え方を説明してきましたが、市との間で共通の認識に至るには、いまだ隔たりがございます。このため、改めて一元化の考え方を確認する文書を市に提示したところであります。
 今後、都と市で基本認識が一致した場合には、次のステップとして、これまで一元化した市町の例と同様に、資産の引き継ぎや老朽化施設の更新経費の負担など、具体的な課題の整理に向けた議論を深めてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、整備状況についてでございます。
 武蔵野の森総合スポーツ施設は、味の素スタジアムに隣接した約三万三千五百平方メートルの敷地に、大規模スポーツ大会やコンサート等の開催が可能なメーンアリーナを初め、武道場としても利用可能なサブアリーナ、屋内プール、トレーニングルームなどを備えた総合的なスポーツ施設として整備しております。
 工事の進捗状況といたしましては、平成二十五年十二月に着工いたしまして、その後、集中豪雨などによる遅延がございましたが、現時点では、来年三月に本体工事が竣工する見通しとなっております。引き続き、二十九年度中の開業を目指し、着実な整備と開業準備に万全を期してまいります。
 次に、今後の活用と運営方法についてでございます。
 武蔵野の森総合スポーツ施設は、味の素スタジアムと合わせ、多摩地域のスポーツ振興拠点とするとともに、一万人以上の規模を有するメーンアリーナを活用し、積極的にコンサートも開催するなど、地域のにぎわいと活性化にも貢献できる施設となることを目指しております。
 一方、今後、複数の大規模体育施設が改修により休館となる間、その間の受け皿となるほか、ラグビーワールドカップ二〇一九や、二〇二〇年大会の会場等として提供するなど、さまざまなニーズに対応していく必要もございます。
 こうした当面の状況にも的確に対応し、本施設の役割を最大限発揮することが可能な運営方式の導入につきまして、早急に検討してまいります。
   〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) みちづくり・まちづくりパートナー事業についてでございますが、本事業は、地域にとって重要な役割を果たす都道のうち、都市計画道路の事業化計画における優先整備路線以外で、地元市町村から特に要望が強い路線を、都と市町村が連携協力して整備する極めて重要な事業でございます。
 都は、平成十一年度から本事業を実施してきており、これまでに十六路線、約五キロメートルが既に完成し、交通の円滑化はもとより地域のまちづくりに大きく寄与してまいりました。これらの実績を踏まえ、現在、地元市町村から要望のある路線につきまして、交通状況や整備効果等の調査を進めております。
 この結果をもとに、事業中の路線も含め、平成二十九年度からの実施に向け、新たに第三次みちづくり・まちづくりパートナー事業を計画策定いたします。引き続き、本事業などを通じまして、多摩地域の道路整備を積極的に推進してまいります。

○議長(川井しげお君) 六十六番ほっち易隆君
   〔六十六番ほっち易隆君登壇〕

○六十六番(ほっち易隆君) 私からは、人づくり、すなわち東京の教育について質問をいたします。
 人づくりなくしてまちづくりなし。私は、よい人をつくらなければ、よいまちはできないとの信念で教育問題に取り組んでまいりました。社会をつくる基盤は人づくりであり、教育のあり方は未来の社会を決める大変重要なものであります。
 そのため、教育においては、どのような家庭環境にあっても、全ての子供が等しく教育を受けられ、将来の目標を持てるよう取り組みを進めていくことが必要であると考えます。
 知事は、先日の東京都総合教育会議において、教育は将来への一番重要な投資であり、全ての子供たちに等しく教育を受ける機会を確保することが大切である旨述べられました。
 そこで、東京の子供たちを育む重要な教育について、どのような考えを持っているのか、都政のトップリーダーである知事の見解をお伺いいたします。
 次に、六年間の一貫した教育を行う中高一貫教育は、平成十七年度に都立校として初めて白鴎高等学校附属中学校が開校し、以後、十校の都立中高一貫教育校が順次設置されてきました。
 そして、平成二十二年度に開校した四校でも、ことし三月に卒業生を送り出したことから、全ての学校の進学実績が出そろいました。
 そこで、都立中高一貫教育校はどのような成果を上げ、都教育委員会はどのように評価をしているのか、また、今後どのように、中高一貫教育を進めていくのかお伺いをいたします。
 私は、以前から要望をさせていただいておりますが、シンボルとなる中高一貫教育校をぜひ、地元である足立区にある都立江北高校に設置していただきたく強く要望を申し上げまして、次の質問に移ります。
 次に、都立高校における学力向上について伺います。
 若者が夢と希望を持てる教育都市東京をつくるためには、知、徳、体に係る基礎的な力を全ての子供が習得できる取り組みの推進を図り、次代を担う人材をしっかり育てることが必要であります。
 ただ、こうした状況の中、一部の都立高校の生徒の中には、基礎学力の不足や学習意欲の面での課題が見られ、学業不振が中途退学等の原因につながっている場合があります。学業不振の生徒の多くは、自己有用感を持てず、学習に対する向上心も低いのではないかと考えます。
 生徒が将来、社会の中で自分の役割を果たしながら、自立して自分らしい生き方を実現していくことは重要であり、生徒一人一人がしっかりと学力を身につけることができるよう、指導の充実を図っていく必要があると考えます。
 そこで、都立高校における基礎学力の定着について、今後どのような取り組みを進めていくのか、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、都立高校における新たな教科、探求と創造について伺います。
 現代の社会は、急速なグローバル化の進展により、我々の社会に多様性をもたらし、また、急速な情報化や技術革新などは、生活を質的に変化させてきました。
 このような時代だからこそ、変化を前向きに受けとめ、私たちの社会や生活を、人間ならではの感性を働かせてより豊かなものにしたり、現在では思いもつかない新しい未来の姿を構想し実現したりすることができる人材の育成が急務であると考えます。
 こうした中で、学校教育においても、これまでの教科の枠にとらわれず、新しい時代や社会を創造する有為な人材の育成が期待されるところであります。
 聞くところによれば、都教育委員会では、来年度から新たな教科、探求と創造の開発を行うということですが、この教科は生徒にどのような資質、能力を育成しようとしているのかお伺いをいたします。
 次に、道徳教育の充実についてお伺いをいたします。
 国が平成三十年度から小学校で、平成三十一年度から中学校で道徳の時間を特別の教科道徳とする中で、現在、東京都は全国に先駆けて先行実施に取り組んでいます。
 今回、道徳が教科化される背景の一つに、これまでの授業において狙いが曖昧で、単に子供が自分の経験を話したり、読み物の登場人物の気持ちを読み取ったりするだけの指導が行われるなど、授業に関する課題があるとのことです。
 このような状況に対し、特別の教科道徳では、いじめ問題の解決や異なる文化に対する受けとめ方など、答えが一つではない道徳性にかかわる問題について、一人一人の子供が自分自身の問題として捉え、その問題に向き合うように、考え、議論する道徳への質的転換が求められています。
 しかし、道徳科の内容の先行実施に取り組む中で、着実に取り組みを進めている学校がある一方で、特別の教科道徳の考え方の理解が深まらず、道徳科に対応した効果的な指導方法や新たに加わった指導内容の理解などについて、不安を持つ教員がいるとも聞いています。
 今後、特別の教科道徳が適正に実施されるようにするためには、教員の道徳科に対する理解を深めさせるとともに、一人一人の教員の道徳の指導力を向上させることが何よりも重要であります。
 そこで、道徳の時間の教科化に向けた教員の指導力向上を図るための都教育委員会のこれまでの取り組みと成果及び今後の進め方についてお伺いをいたします。
 次に、去る十一月二十五日の文教委員会において、我が党の議員から、東日本大震災に伴う原子力発電所の事故により、福島県から避難し、横浜市の学校に転校した中学生が、転校直後からいじめを受けていた問題について、都議会自民党としての要望を伝えさせていただいたところであります。
 福島原子力発電所は東京電力の発電所であり、そこで発電された電力の多くは、東京都で消費されてきたものであります。福島県は東北電力の管轄ですので、福島県でこの事故により被災された方々からすれば、東京都など他の地域のために犠牲になったといいたいところではないかと思います。
 こうしたことから考えると、今回報道されているようないじめは、ふるさとを立ち退くことを余儀なくされ、全く異なる環境の中で不安を抱えながら生活している子供に対して生きる希望をも奪いかねない、極めて悪質で許しがたい行為であります。
 この機会に、改めて各学校において、東日本大震災の被災地から避難している子供たちがいじめを受けることのないようにする対策を徹底、強化することが必要であると考えますが、都教育委員会の取り組みについてお伺いをいたします。
 続いて、部活動振興の取り組みについてお伺いをいたします。
 私は中学校、高校、大学とバスケットボール部に所属をしていました。特に、都立高校時代の練習は、厳しく苦しいものでしたが、すぐれた指導者であり人格者でもある顧問の先生の指導のもと、目標に向かって仲間と励まし合い、協力し合って取り組むことを通して友情を深めたり、困難に立ち向かう精神力を身につけたりすることができました。まさに、生きる力の育成に大きく貢献できる活動であるといえます。
 そこで、さまざまな教育活動を通して、多くの生徒が次代を担う社会的に自立した人間へと成長していくために、また、多くの中学生に都立高校を選んでもらうためにも、都立高校における部活動の活性化を図る必要があると考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
 次に、都の防災対策についてお伺いをいたします。
 ことし四月に発生した平成二十八年熊本地震は、震度七の揺れの連続発生などで大きな被害をもたらし、国や自治体の防災対策に多くの課題を突きつけました。
 このため、我が党は都に対し、東日本大震災と同様に被災地支援等の教訓を取りまとめ、都の防災対策に反映させるべき旨を提言してきており、今回、都が熊本地震の支援の教訓を取りまとめたことは、我が党の問題意識に応えたものと推察をしております。
 こうした教訓からは、危機管理体制の強化や、効果的な物資輸送体制の整備などの必要性が明らかとなりました。
 これらを踏まえ、都の防災対策を一層強化すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、島しょ地域でも特有のリスクを踏まえた防災対策が必要であります。大島では、前回の噴火から三十年、三宅島でも十六年が経過をしており、遠からず同規模の噴火が起こる可能性がある一方、噴火当時に比べると、高齢化やバスの減少など災害対応力の低下が懸念をされております。
 南海トラフ巨大地震の発生時には、津波により大きな被害が生じるとも想定されております。
 こうした状況を踏まえ、島しょ地域の防災対策を一層推進するためにも、東京都は、島しょ町村をしっかり支えていく必要があると考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。
 さらに、都内で最近、大きな被害をもたらした災害としては、平成二十五年の大島における大規模な土砂災害が挙げられます。
 都はこれまでに、島民の安全を確保するため、住民避難につながる取り組みを強化し、砂防施設を整備するなど、ソフト、ハードの両面から緊急的な土砂災害対策を進めており、平成二十八年度末で完了すると聞いています。
 また、引き続き、今後の大島の本格的な復興に向けた対応も求められております。
 そこで、大島の土砂災害対策について、東京都の取り組み状況をお伺いし、私ほっち易隆の質問を終了させていただきます。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) ほっち易隆議員の質問にお答えいたします。
 私に対しましては教育についての基本的な考え方についてのご質問がございました。
 いつの時代にありましても子供は社会の宝でございます。そして、人づくりである教育は未来への重要な投資である。まさに議員がご指摘されたとおりでございます。
 また、AIの時代ということもあり、知識をただ詰め込むというのではなく、知恵、そして考える力を育むことが重要と考えます。そして、次代を担う子供たちの教育の機会は平等であるべきでございます。経済格差が将来の希望の格差につながることがあってはなりません。
 そのためにも、誰もがみずから望む教育を受けられて、可能性を伸ばすことのできる仕組みが必要かと存じます。また、全ての子供が充実した幸せな人生を歩むための礎として、一人一人の子供に応じたきめの細かい教育によりまして、生きる基盤となります学力を身につけさせるとともに、新たな価値を創造する力も育むことは重要かと存じます。
 こうした考えに基づいて、今後、教育施策大綱を作成いたします。教育委員会と力を合わせて、輝く未来を創造する質の高い教育を、実現を目指してまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長、関係局長からご答弁をいたさせます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立中高一貫教育についてでございますが、中高一貫教育校は、社会のさまざまな分野でリーダーとなり得る人材を育成するため、六年間を通した教育課程の工夫により、探求型の学習や海外語学研修等の体験的学習を行い、思考力、判断力、表現力や主体的に行動する力を育むなど、生徒の資質、能力の伸長に努めてきております。
 このような取り組みにより、国際数学オリンピックなどで活躍する生徒や、海外の大学へ進学する生徒などを輩出しているほか、昨年度初めて実施された特定の研究分野等に卓越した能力を持つ生徒を選抜する難関国立大学の推薦入試において合格者を出すなどの成果も上げております。
 今後も、都教育委員会は、これらの成果等を踏まえ、各学校が実施する生徒の才能を見出し、伸長させる取り組みを支援し、中高一貫教育校の一層の充実を図ってまいります。
 次に、都立高校における基礎学力の定着についてでございますが、生徒一人一人が社会的、経済的に自立した人間として成長していくためには、国語や数学等における基礎的な学習内容を確実に身につけることが重要であります。
 そのため、各都立高校では、これまでも身につけるべき学力の到達目標の設定や学力の達成状況の把握等、組織的に生徒の学力向上に取り組んでまいりました。
 また、授業の内容が理解できない生徒に対して、放課後等に外部人材を活用し、義務教育段階の学習内容の学び直しを行う校内寺子屋を、今年度から都立高校十校に導入いたしました。
 今後、生徒が卒業後の具体的な目標が持てるよう、キャリア教育の一層の充実を図るとともに、ICT機器を活用した反復学習の強化等、基礎学力を身につける指導を徹底し、自立して社会で活躍できる人材を育成してまいります。
 次に、新たな教科、探求と創造についてでございますが、変化の激しい社会において、生徒がたくましく生き抜くためには、課題を発見し解決する力や、既存の概念にとらわれず、新たな価値を創造する力などを身につけることが重要であります。
 このため、都教育委員会は来年度、新たな教科、探求と創造の開発を検討してまいります。この教科では、生徒が外部専門家等の指導により、社会の諸課題について、みずからの調査や研究から解決策を見出したり、外国の生徒と地球規模の課題を討論することなどが考えられます。
 こうした学習を通して、生徒に一層高いレベルの思考力、判断力、表現力等を培い、将来、創造的な発想と積極果敢な行動力で社会を牽引できる人材を育成してまいります。
 次に、道徳に係る教員の指導力向上の取り組みについてでございますが、道徳の教科化を適切に進めるためには、教科化の背景や目的を理解し、子供たちに物事を多面的、多角的に考えさせることができる授業力を高めることが重要であります。
 そのため、都教育委員会は、平成二十六年度から三年間、道徳教育推進教師養成講座を開催するとともに、今年度は指導方法等を普及するため、授業力向上セミナーを実施いたしました。
 これらの講座やセミナーには、合わせて二千四百名以上の教員が受講し、参加後のアンケートでは、多くの参加者から道徳の教科化の背景や指導法についての理解が深まったなどの回答を得ております。
 今後、都教育委員会は、教科化への進捗状況を把握するとともに、都の道徳教育を牽引する拠点校百六校の成果の普及を進めるなど、授業力向上を一層支援してまいります。
 次に、いじめ防止対策の徹底、強化についてでございますが、被災地から避難している子供が東京の子供とともに学び、希望を持って未来を切り開けるよう、教育委員会や学校は全力で子供たちを支援しなければならないと考えております。
 都教育委員会は、これまでも避難している子供に対して、心理職を派遣するなど、学校における重点的な支援体制を確保してまいりましたが、今回の報道を受け、誤った認識や偏見を持たず、支え合って災害を乗り越えることの大切さを子供たちに指導するなど、改めて学校に対して、避難している子供をいじめから守る対策の強化を求めたところでございます。
 今後とも、区市町村教育委員会や学校と連携し、スクールカウンセラー等を含む全教職員により、被災地から避難している子供に対する支援体制を確立するなど、いじめ防止の取り組みの徹底に向け、指導、助言を引き続き行ってまいります。
 最後に、都立高校における部活動の活性化についてでございますが、部活動は、生徒にとって学校生活の大きな魅力の一つであるとともに、心身の健全な育成という面でも極めて有益な教育活動であります。
 そのため、これまで都教育委員会は、できる限り生徒の希望に応じた部活動を展開できるよう、全校対象に、外部指導員派遣事業を実施し、指導者不足の解消や生徒一人一人の技能の向上に努めてまいりました。
 また、部活動推進校を三十校指定し、部活動を振興する学校の裾野を広げるとともに、スポーツ強化校を二十三校指定して、全国大会等に出場し、将来トップアスリートを目指す選手を育成するなど、都立高校全体の部活動の活性化を図ってまいりました。
 今後とも、各都立高校が部活動の振興を通して、魅力ある学校づくりができるよう、一層の支援を行ってまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二つのご質問にお答えいたします。
 初めに、熊本地震の教訓を踏まえた都の取り組みについてですが、都はこれまで、区市町村等とともに、延べ千五百人以上の職員を派遣するなどの支援を行ってきておりまして、この経験から教訓を抽出、共有して、組織全体の取り組みに反映させることは、東京の防災力向上に極めて重要でございます。
 熊本地震では、発災直後の災害対策本部や避難所の混乱、支援物資の滞留など、首都直下地震においても起こり得る災害対応上の課題が明らかになりました。
 今後は、災害対策本部の機能強化、応援受け入れのルール、手順の明確化、実効性ある物資の受け入れ、輸送体制の整備、円滑な災害廃棄物処理体制の構築など、各局による取り組みの具体化と訓練等を通じた検証を重ね、全庁を挙げ、東京の災害対応力の一層の向上に努めてまいります。
 次に、島しょ地域の防災対策についてですが、島しょ地域は、島しょ特有の災害リスクがあり、地域特性を踏まえた対策が必要でございます。
 火山災害の警戒地域に指定された六島については、火山防災協議会において、島しょ町村や気象庁等国の機関、火山専門家等と連携し、要配慮者への支援や輸送力を踏まえた避難対応など、避難計画の策定に向けた検討を鋭意進めております。
 津波対策としては、都が提供した避難計画モデルを踏まえ、島しょ町村との連絡会等を通じ、各島の避難計画の策定を促しております。
 こうした計画の策定とあわせ、島しょ地域での訓練を継続的に実施し、計画の実効性を高めていくことにより、島しょ町村の防災対策を支えてまいります。
   〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 大島における土砂災害対策についてでございますが、島民の安全・安心を早期に確保するためには、ソフト、ハードの両面からスピード感を持って対策を進めることが重要でございます。
 ソフト対策では、平成二十七年六月に、島内全域で土砂災害警戒区域等を指定するとともに、町と連携してハザードマップを作成し、警戒避難体制を整備いたしました。
 また、ハード対策では、緊急的な対策として、被害が大きかった大金沢の神達地区におきまして、土砂を導く導流堤の整備や、斜面の崩壊を防ぐ山腹工事を進めており、今年度末までに完了させ、安全を確保いたします。
 これに引き続き、中長期対策といたしまして、大金沢のその他の地区におきましても、新たに砂防堰堤を整備するなど、安全性をさらに向上させてまいります。
 今後とも、大島町の復興に向け、土砂災害対策を全力で進めてまいります。

○議長(川井しげお君) 二十二番小松大祐君
   〔二十二番小松大祐君登壇〕

○二十二番(小松大祐君) 初めに、二点、知事にお伺いをいたします。
 首都機能を担う東京都には、大都市特有の膨大な財政需要が存在します。首都直下地震への対策、首都圏はもちろん、国内全域の経済活動を担う交通網の整備、高齢者人口の急増に伴う社会保障需要の急増など、枚挙にいとまがありません。
 これまでも財政運営上の困難に直面するたびに、都議会と都職員の内部努力によって、この危機を乗り越えてきました。そうした歴史の上に、現在の財政基盤があります。平成二十年の税制改正以降、不合理な偏在是正措置により、一兆三千億円を超える都民の税金が奪われてきたことも忘れてはなりません。
 こうした背景も踏まえて、ふるさと納税についての見解をお尋ねしたいと思います。
 最近、本来の趣旨とかけ離れた過剰な返礼品競争や受益と負担の関係をゆがめる制度ではないか、なども指摘をされております。地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税も創設されました。
 都民に税を課し、徴収する最終的な権限を有する知事として、このような国の動向についてのご見解を伺いたいと思います。
 次に、公共交通政策の観点から質問いたします。私は、昨年の第四回定例会において、都営地下鉄の駅係員と特別支援学校の生徒が一緒に駅構内を移動する機会を設け、意見をじっくり聞いてみる、そうした提案をさせていただきました。
 これを受けて交通局は、本年八月、特別支援学校生徒による都営地下鉄利用体験プログラムを実施し、メディアからも大変な注目を集め、体験した生徒からも貴重な意見を得ることができたと聞いています。
 こうした中、昨日の我が会派の代表質問において、東京二〇二〇大会の会場に至るアクセス経路のバリアフリー化や、大会会場周辺の都営地下鉄のバリアフリー化について質疑が行われました。
 こうした大会会場周辺の駅のバリアフリー化も重要な取り組みでありますが、一方、それ以外の駅でも、例えば、都営地下鉄東日本橋駅―馬喰横山駅間などでは、都営地下鉄間の乗りかえにもかかわらず大きく迂回する必要があるなど、十分なバリアフリー化がなされておりませんし、ホームドアの未整備な駅もまだ残されております。
 そこで、高齢者や障害者を含む誰もが利用しやすいユニバーサルデザインの観点からも、大会会場周辺駅以外についても、バリアフリー化を迅速に進めていく必要があります。
 その際には、ひとりよがりではない、ほかの鉄道事業者と協調した連携が不可欠と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、スポーツ振興について伺います。今夏のリオ大会では、日本人選手の活躍が目覚ましく、国内は大いに盛り上がりました。柔道の井上監督や競泳の平井コーチ初め、北京、ロンドンとメダルがとれなかったシンクロも、井村ヘッドコーチの復帰によって銅メダルを獲得いたしました。
 名選手の傍らには名指導者の姿があります。世界の舞台で活躍するためには、卓越した指導力を持つ優秀な指導者の存在が不可欠です。
 東京二〇二〇大会まで四年を切りました。都はこれまで、さまざまな形でアスリートを支援してきましたが、選手を支え、育てる指導者の育成にも本格的に取り組みを始めていくべき時期にあるのではないでしょうか。
 都が指導者の育成に取り組むことは、トップ指導者をつくることのみならず、地域や学校等さまざまな階層で力を尽くされている指導者のレベルアップにもつながります。指導者の育成について、都の所見を伺います。
 次に、障害者スポーツについて伺います。関係者の努力もあり、障害者スポーツの認知や理解は年々深まっているものと認識しています。実際に、広報誌やまちの掲示板で、障害者スポーツの体験会の募集を目にする機会もふえました。
 これは、東京二〇二〇大会が開催されることによる機運醸成が影響していることだけではなく、都が障害者スポーツを専任するポストを設け、普及啓発や競技力向上等、さまざまな事業に取り組んできた成果であるものと認識をしています。
 しかし、課題もまだ多く残されています。例えば、障害者スポーツの関心は高まる一方でありますが、運営面でいえば、障害者スポーツの特徴として、競技人口に対し、競技種目が多く、各団体は人員不足から運営体制が極めて脆弱であり、競技力の向上やPRなどを強力に推し進める体制が整っていないなどのお話も聞きます。
 区市町村も同様の状況のようです。つまるところ、行政も競技団体も人員不足がボトルネックとなっており、急激な需要拡大に体制が追いついてこないのが現状です。私は、障害者スポーツが長期的に発展をするためには、障害者スポーツを楽しむ人そのものをふやす裾野拡大が何よりも重要であると考えます。
 都の事業が今後も着実な成果を出していくためには、実際に競技人口は着実にふえているのか、障害者自身が定期的に体を動かしたり、スポーツを通じて交流を深めたりする機会はちゃんとふえているのかなど、このような実態を十分に把握した上で効果的な事業展開を計画することに尽きると思います。
 都は、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。
 障害者スポーツセンターが本格的な工期に入ります。裾野を拡大する上で特に重要な場所の確保が今後も大きな課題です。都の特別支援学校の開放モデルもスタートしていますが、気軽にスポーツに触れる環境が整ったかといえば、まだ不十分であります。
 これまでも提案してきましたが、都特有の地域経営資源は、都内各地にある大学や企業です。近年は、大学や企業も障害者スポーツへの関心が高まっています。こうした連携事業の早期実現を目指して、取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、障害を持つ子供の地域交流について伺います。
 子供は人と実際に触れ合うことを通して、相手について多くのことを学び、社会性を身につけていきます。喜びを分かち合うことだけではなく、時にはいい合いになって傷つきもしながら、互いを理解し、支え合おうとする心が育まれているものと思います。それは障害のある子供も同様です。
 しかし、特別支援学校に通う子供たちは、ともすれば限られた環境の中で教育を受けるため、こうした社会性を磨く経験が希薄になりがちだと感じています。
 我が家の長女も、日ごろ通う特別支援学校を離れ、毎年一月に三日間、地元の区立小学校に副籍で通学をさせていただいています。次第に、地元で声をかけてくれる同級生もふえ、子供なりにさまざまなことを感じ、成長していく姿を経験しています。
 障害の有無を超えて子供たちが交流し、社会参加に向けた必要な力が培われる機会は極めて重要です。
 そこで、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流活動を促進するための都教育委員会の取り組みについて伺います。
 次に、都立特別支援学校のラッピングバスについて伺います。
 我が党の小宮あんり都議会議員が、本年三月の予算特別委員会締めくくり総括質疑において、特別支援学校の児童生徒が制作した芸術作品を、より多くの人たちが見ることができるよう、アートプロジェクト展で展示された作品をスクールバスにラッピングしてPRすべきとの質問をいたしました。
 教育長は、スクールバスのデザインに展示作品を活用することにより、都民がまちじゅうで見ることができるよう準備を進めるとの答弁がありました。
 その結果、本年九月から、展示作品五十点をラッピングしたスクールバスが都内十三コースで運行されております。
 障害のある子供たちが、みずからの力で生み出した絵画や工作などの作品が、広く都民の方々の知るところになることは、子供たちにとって、そして、ご家族にとっても大きな励みになると思います。
 都教育委員会は、来年度以降、この取り組みをどのように展開していくのか伺います。
 次に、子供の安全対策について伺います。
 東京は、戦後最悪といわれた平成十四年から、刑法犯認知件数が半減するなど治安情勢は改善しています。一方で、子供や高齢者等の弱者が被害者となる事案が多く発生し、都民の不安感は解消しておりません。
 特に、十三歳未満の子供に関しては、都内における不審な声かけ、つきまとい等が増加傾向にあるなど、その安全対策が喫緊の課題となっております。
 都は、通学路の防犯カメラの設置補助等の取り組みを進めていますが、地域における安全対策を一層強化していくためには、警察や行政のみならず、より多くの都民や防犯ボランティア団体、さらには民間事業者などを巻き込んで、取り組みを促進していくことが必要と考えます。
 そのためには、地域の防犯情報が有効な手段となりますが、それらの情報は、警察や行政が保有しており、一般都民は容易には把握できません。
 都では、本年十月二十四日、防犯ポータルサイト、大東京防犯ネットワークをリニューアルし、子供の安全に関する情報や地域の犯罪情報などを地図により発信するサービスを始めたほか、誰でも利活用できるよう、防犯情報をオープンデータとして提供しました。
 このような取り組みは、これまで警察や行政が保有していた情報を広く民間活用できるようにした点で意義が大きいものと思います。実際に、SNSやLINEなどで地域の防犯情報のやりとりをしている例は、私自身もが経験をしているところであります。
 都として、今後、これらの防犯情報を活用して、子供の見守りなどの地域活動のさらなる活性化を図り、都民の安心感を高めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、都市農業振興について二点伺います。
 都市農業を振興していくためには、その基盤となる都市農地の保全が不可欠であることはいうまでもありません。
 都では、昨年三月に国の国家戦略特区制度を活用して、都市農業の振興と都市農地を保全するため、都市農業特区を国に提案いたしました。
 この特区の提案では、都市農業者の切なる願いである農地制度や税制度の見直しなどにも言及をいたしました。
 国では、現在もこうした特区の提案内容にあるような制度改正に向けて議論がなされているようでありますが、その動きがなかなか見えてまいりません。
 地元の農業者からも、制度改正はどうなったのかと心配の声も聞かれております。都市農地の減少に歯どめをかける実効性のある農地制度や税制度の改正を、国がどのように示してくるのか、大きな注目が集まっております。
 現在の農業、農地の制度改正に関する国の動向と、都として今後どのように働きかけていくのか所見を伺います。
 平成二十七年度の都産労局の政策調査では、都内の市街化区域内における農業、農地の多面的機能を金額換算した場合、年間二千四百六十五億円の経済的な価値があるとの試算が示されました。これまで、定性的にしか示されてこなかった都市農地の公益的な機能の評価が可視化されたことは非常に評価できるものであります。
 また、都ではこれまでにも、独自のさまざまな農地保全の施策を進めてきたことも承知しております。しかし、現実として、わずか二十年の間に四割も減少するという、一刻の猶予もない危機的な状況が現実にあります。
 このような状況の中、都として、これまでにない新たな観点から農地保全策を進めていく必要があると考えますが、所見を伺い、私からの質問を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小松大祐議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、ふるさと納税について、基本姿勢はどういうことかとお尋ねがございました。
 まず、被災自治体への支援を初めとする寄附文化、これを醸成するということについては、寄与度は大きいというふうに思います。一方で、受益と負担という地方税の原則からは、好ましいものとはいえないと思います。
 また、今年度から運用が開始された企業版のふるさと納税でございますが、都、そして、特別区など特定の地域を対象外としている、そして、これは自治体間の財政調整の手段として用いられているものといわざるを得ないかと存じます。
 よって、地域間での限られた財源の奪い合いというのは、日本全体の活性化につながるとは思いがたく、総体としての地方税財源の充実がもっと図られるべきではないかと考えます。
 都営地下鉄駅のバリアフリー化についてのお尋ねがございました。
 高齢者、そして、障害のある方々を初めとして、誰もが生き生きと生活できる、活躍できる、そんなまち、そのようなダイバーシティーが私の目指す東京であるということは再三お伝えをしているところでございます。
 そして、その実現のためには、ユニバーサルデザインのまちづくりを推し進めて、そして、誰もが安心して快適に移動できる環境、これをつくることが不可欠と考えます。よって、ご指摘の鉄道駅におけますバリアフリー化の推進というのは極めて重要かと存じます。
 そして、都営地下鉄におきましては、既に地上からホームまで段差なく移動ができるという、いわゆるワンルートの確保がされており、現在、乗りかえルートなどでのエレベーター整備も進めているところでございます。
 また、ホームドアでございますが、早期の全線全駅への整備を目指して取り組んでいるところでございます。
 引き続き、都営地下鉄駅のさらなるバリアフリー化の推進、そして、こうした動きを他の鉄道事業者へも波及させていくということで、ダイバーシティーの実現に取り組んでまいりたいと思います。
 その他のご質問につきましては、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害のある子供とない子供の交流についてでございますが、今後の共生社会の実現を図るためには、発達段階の早い時期から、障害のある子供と障害のない子供がともに活動する機会を通して、互いを認め合い、尊重する態度を育成することが極めて重要でございます。
 現在、各学校では、副籍制度による交流や学校間交流において、子供たちがともに音楽活動やボッチャ等のスポーツを通じた交流を行っております。また、都教育委員会主催の舞台発表等に向け、高校生と特別支援学校の児童生徒が、練習や準備を共同で行うなどして交流を深めている事例も多数ございます。
 今後、都教育委員会は、こうした特色のある活動の一層の拡大に向け、区市町村教育委員会や学校に対し事例を紹介するなど、交流活動のさらなる充実を図ってまいります。
 次に、ラッピングバスの今後の取り組みについてでございますが、障害のある子供たちが制作した芸術作品を多数の人が見る機会を設けることは、子供たちの創作意欲を喚起し、障害児や障害者アートに対する社会の理解促進を図る上で極めて重要であります。
 そのため、都教育委員会は、本年二月に開催したアートプロジェクト展で展示した都立特別支援学校の児童生徒の作品をスクールバス車体に掲載し、九月から十三のコースで運行をしてまいりました。作品を制作した児童生徒やその保護者からは、もっと多くの人に見てもらいたいなどの声があり、本事業への期待の大きさが明らかになったところでございます。
 こうしたことを踏まえ、今後は、ラッピングバスのコース数の拡大を検討し、子供たちの作品をより一層多くの人が見られるようにしてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、指導者の育成についてでございます。
 東京のアスリートを日本代表レベルにまで押し上げるためには、優秀な指導者の存在が何よりも重要でございます。このため今年度、アスリートに対する支援に加え、指導者向けのグローバル指導者育成事業を創設いたしました。
 本事業は、トップアスリートの育成実績のある指導者を海外などから招聘し、都の競技団体が実施する強化練習等において、指導者向けに実技講習を行うものでございます。
 平成二十八年度はカヌーやラグビーなど五競技を対象に、例えばラグビーではニュージーランドなど競技レベルの高い国のコーチを招聘する予定でございます。
 こうした取り組みにより、二〇二〇年大会に向けて、指導のノウハウや技術の習熟、資質の向上を図るなど、選手の能力を最大限に引き出すすぐれた指導者を育成してまいります。
 次に、障害者スポーツの振興についてでございます。
 都は、全国に先駆けて障害者スポーツ振興計画を策定し、普及啓発、活動の場や支える人材の確保、競技力の向上を柱として、多くの施策を立ち上げ、推進しております。
 施策の立案、実施に当たっては、障害のある人がスポーツを行う上での困り事などの課題を調査で洗い出すとともに、国や関係機関による調査や障害者スポーツ関係者からのヒアリングの内容を反映させてまいりました。
 今後は、都内における障害者のスポーツ実施率や、行っている運動の種類について、障害種別ごとに収集したデータ等に基づき、実態をより正確に把握してまいります。
 最新のデータや実態を踏まえた、より効果的できめ細やかな事業の実施によりまして、裾野拡大を初めとする障害者スポーツの振興に全力で取り組んでまいります。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 防犯情報の活用についてですが、子供等の弱者が事件や事故等の被害に遭うことのない安全・安心な環境を確保するためには、警察や行政だけでなく、都民や防犯団体、民間事業者などの不断の取り組みが重要でございます。また、その取り組みの活性化を図ることで、都民の安心感が醸成されるものと考えます。
 そのためには、警察や行政が保有する情報を広く共有し、活用していく仕組みが不可欠であることから、都では本年十月、全国に先駆けて防犯ポータルサイトにウエブGIS、地理情報システムを導入し、子供の不審な声かけなどのさまざまな防犯情報の利活用を促進することといたしました。
 今後は、警視庁や区市町村等と連携し、学校現場の見守り活動や地域の防犯活動等において情報の有効活用を促すことにより、地域の防犯力を一層高め、誰もが安全・安心を実感できる社会を実現してまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都市農業、農地の制度改正の動向についてでございますが、国は昨年、都市農業振興基本法を制定し、ことし五月に都市農業振興基本計画を閣議決定いたしました。計画の中では、生産緑地を貸し付けた場合の相続税納税猶予制度の適用や、生産緑地の指定面積要件の緩和などを検討することが示されたところでございます。
 八月には、これらに関する税制改正要望が、関係省庁から財務省と総務省へ提出されております。
 都は、今後も、国の動向を注視しながら、都市農業振興基本計画で示されました都市農地の貸借や生産緑地の面積要件の緩和等に加え、農業用施設用地や屋敷林等への相続税納税猶予制度の適用拡大など、昨年三月に提案した都市農業特区の内容を実現するため、国に対して引き続き強く要望してまいります。
 次に、都市農地の保全についてでございますが、農地は、農業の生産基盤であり、東京農業の発展と良好な都市環境の形成に必要不可欠でございます。
 都はこれまで、防災兼用農業用井戸の整備など、多面的機能を生かした農地保全に取り組む区市を支援しておりますが、現状では、相続等を契機に、農地は年々減少し続けております。
 こうした中、都市農業振興基本法の制定により、都市農業は大きな転機を迎えており、東京都農林・漁業振興対策審議会の答申においても、農地の持つ多面的機能をさらに発揮させるため、学校教育や福祉と連携した活用など、新たな視点からの保全施策を講じることを求めております。
 そのため、国の税制改正等の動向を見据え、関係部局と協力し、区市が行う農業、農地のあるまちづくりとも連携した実効性ある都市農地保全策を検討してまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後六時二十三分休憩

   午後六時四十分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十三番西沢けいた君
   〔十三番西沢けいた君登壇〕

○十三番(西沢けいた君) 知事は、所信表明で、政策や事業の見直しに向けた自主点検など、一段高い取り組みを進めてまいりたいと発言されました。
 公金、税金の無駄遣いをなくすための行財政改革は、不断の取り組みが必要です。都政改革本部において、各局の自律的な改革の取り組みが示され、現在、各局における自律改革の取り組みが進行中です。
 その成果について、現在は、都政改革本部で報告されているだけにとどまるわけですが、東京都の取り組みとして成果を全庁的に共有することが大切であると考えますが、その成果をいつ、どのように示していくのか伺います。
 また、所信表明で知事は、二〇二〇年に向けた実行プランの策定に当たって、より具体的で数多くの政策目標を定め、その工程表も明確に作成している、これにより、事後的な達成度のチェックや評価を行い、PDCAサイクルを回して、しっかりと施策を実行していくことが可能となると述べられています。
 これまでの都の長期プランでは、中長期のビジョンが定められ、具体的な到達点も示されましたが、具体的にその進捗状況や成果は、都民に余り知られていないのが実情です。
 豊洲問題に始まり、東京都の信頼は失墜しております。今、小池知事の外部の目を取り入れたさまざまな取り組みに、都民は大変注目をしています。
 私は、こうした外部の目を取り入れたプランの進行管理を行い、随時これを公表していくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 豊洲新市場の建設費用をめぐり、各街区の落札率がいずれも一者入札であり、九九%台の落札率となったことは広く報道され、議会でも取り上げられました。さらに、都政改革本部でも入札制度について議論され、競争性や合理性、制度のあり方などへの疑問などが指摘されました。
 入札制度改革については、長年議論されてきたわけですが、一者入札で九九%超の落札率が乱発される状況は、適正な公共調達とは必ずしもいえません。
 時代の変化に柔軟に合わせ、総合評価方式の運用方法なども含めた抜本的な入札制度改革の取り組みを促すものですが、見解を伺います。
 豊洲問題の再発防止策の一つとして、小池知事は十一月一日より、新たな公益通報制度を開始いたしました。
 これまでの制度は、公益通報者保護法に規定された法律違反のみしか対象としておらず、また、職員の実名での通報のみに限定されておりました。さらに、その通報先は、庁内及び外郭団体といった内部にのみ限定されていたものであり、およそ積極的な活用がされてきたとはいえませんでした。
 新たな制度では、法令違反行為全般を対象とするとともに、広く都民からの通報も受け付け、通報先も外部の弁護士窓口を設けるなど、開かれた都政を実現している改革と大いに評価できるものと考えます。
 そこでまず、旧制度の通報実績と新たな制度の通報実績を伺います。あわせて、職員の幅広い意見を知事に直接伝えるために、新たに設置された職員目安箱の現在の状況と今後の活用方法を伺います。
 公益通報に該当する法令違反行為等の通報はないにこしたことはありませんが、積極的に通報制度を活用することで、ガバナンスが欠如していると知事が断言する都庁文化を変えることにつながります。この変化を促していくためには、新しい通報制度を都職員及び都民に広く利用されることが重要です。
 このため、適切な広報を行い、制度の周知、浸透を進めることが重要であると考えますが、見解を伺います。
 続いて、二〇二〇大会のコストについて伺います。
 コスト削減については、小池知事みずから取り組み、議会はもちろん、各局や都政改革本部においても議論されております。
 先般の議論では、計画策定、予算編成、執行の各段階において、適正なコスト管理の観点から、チェック体制を確立、継続することが必要とされました。そのためには、都、国、組織委員会との連携は欠かせません。
 組織委員会の財政は、開催都市である都が保証するわけであり、二〇二〇大会終了後に解散する組織委員会は、都の強い影響下のもとにあるべきで、都の管理下には入らないという姿勢の組織委員会の対応には不安が募るばかりです。
 こうした状況下において、どのようにしてチェック体制を確立し、確実な予算管理を行うのか見解を伺います。
 この組織委員会については、東京都は、監理団体にすべきと要請したと聞きます。そこで、監理団体について伺います。
 そもそも監理団体制度は、全庁的に指導監督を行う必要があるものとしており、都の強い影響下にあるべき団体を監理団体として、東京都側から経営目標を定めたり、評価したり、報告を求めたりすることができるようにする制度です。
 石原都政のときに、監理団体改革を行財政改革の大きな柱として、当時六十四あった団体を現在の三十三団体に統廃合するなど減らしてきたとともに、監理団体の存在意義を検証した監理団体活用方針を策定しました。
 しかし、財政再建期、景気低迷期に策定した当時から時代も変わりつつあります。削減してきた監理団体ですが、都と関連の深い団体をむしろ監理団体にすることで、透明性を確保することができます。
 組織委員会もその一つですが、例えば、一般財団法人東京都営交通協力会という団体があります。都営交通のお客様のためになくてはならない団体ですが、この団体の収入の約六十二億円が東京都からの委託で、九九%が特命随意契約、その他の収入五十億円のほぼ全てが、都の資産を賃貸や管理などを行うことによって得ております。さらに、OB職員も多数再就職しているとともに、現役の職員も出向しています。
 こうした都と関連した団体、ほかにもあると思いますが、これだけ東京都と関連が深いにもかかわらず、監理団体ではないので、東京都から経営目標なども求められず、評価などもされない一民間団体です。私は、こうした団体こそ監理団体として都がしっかりと連携できる環境をつくることが必要と考えます。
 こうした状況下において、改めて監理団体のあり方を見直すとともに、小池知事みずからによる新たな監理団体の指針を策定すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、自転車運転者への取り締まり強化について伺います。
 子供からお年寄りまで、気軽に便利に使える交通手段である自転車は、近年、健康志向の高まりや環境への配慮などから、その用途は通勤通学、スポーツや娯楽、宅配業務、レンタルシェアなど、多彩な広がりを見せています。
 それとともに、自転車利用者のルール違反やマナーの悪さが大きな社会問題となっています。
 例えば、赤信号無視、スマホを見ながらの運転、歩行者優先を配慮しない乱暴な歩道走行など、一歩間違えば、重大事故に発展しかねない法令違反が目につきます。
 本年九月末までに、死亡事故の五四・五%が信号無視や安全不確認、一時不停止などの違反による事故となっており、マナー遵守の限度はとうに超えております。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、開催国首都として、世界に恥ずかしくない自転車のルール、マナーを確立することは急務であります。自転車ならば赤信号無視しても捕まらない、自転車であれば安全確認をしなくても取り締まられることはない、こうした風潮があるとすれば変えなければなりません。
 そのためには、自転車利用者に対する指導だけにとどまらず、私は、もはや自転車運転者への厳しい取り締まりの強化をすべき段階にあると考えます。
 今後の取り組みについて、警視総監の所見を伺います。
 最後に、復活予算について伺います。
 小池知事は、都議会各種団体からの要望をオープンな場で聞くことで、都政の見える化を進めると所信で述べ、復活予算の仕組みの廃止を明言されました。
 復活予算制度は、都民にわかりにくく、廃止は見える化を進めるという知事の趣旨に合ったものだと考えます。評価し、賛同するとともに、開かれた場での議論が予算に反映されることを求め、復活予算の仕組みの廃止についての知事の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 西沢けいた議員の質問にお答えいたします。
 まず、実行プランの進行管理についてのご質問がございました。
 二〇二〇年に向けた実行プランですが、三つのシティーを実現するための具体的な政策展開を示すものでございます。
 そして、計画の進行管理におきましては、計画の策定、政策、事業の実施、そして評価、検証、改善、見直しといういわゆるPDCAサイクルを回していくということが重要でございます。
 そのために、実行プランでは、このPDCAサイクルの概念を強く意識いたしまして、それを適切に実施していくための仕組みを計画の策定段階から組み込んでまいります。
 そして、プランの策定に当たりましては、パブリックコメントを実施いたしまして、広く都民の皆様方からの意見も募集をいたしました。そして、各政策におけます年度別の進行を明瞭化いたすために、可能な限り数値化した政策目標を定めまして、その工程表もより詳細に作成して、都民の皆様にお示しをしてまいります。
 実行プランの推進に当たりましては、これらに基づいて、都民ファーストの視点から、適切な進行管理を行います。そして、その検証、評価をその後の事業展開、そして予算措置に反映させることによって、それぞれの政策の着実な推進を図ってまいりたいと考えております。
 入札契約制度改革への取り組みについてのご質問がございました。公共調達の課題でございます。
 都民の貴重な税金を原資とするわけでございますので、透明性、公正性、競争性の確保に万全を期す必要があることは当然でございます。そして、中小企業の振興、担い手の育成、環境への配慮などの社会的な要請にも応えていくものでなければなりません。
 ご指摘のように、入札契約制度にはさまざまな方法がございます。それぞれにメリット、デメリットがあります。そして、全てを満足させるということは、難しいものがございますが、お話にありました総合評価方式なども含めまして、その時々の社会情勢に応じて、より多くの方が納得できる、そんな制度を構築していくことが重要かと考えております。
 例えば、一者入札で九九・九%の落札など、都民の視点から見て疑問が生じるような事態を回避する工夫なども考えていかなければなりません。
 いずれにいたしましても、私は、都の公共調達が真に都民の利益にかなうものなのか、ワイズスペンディング、都民ファーストの視点に立ちまして、より適切な競争環境の中で、良質な調達が行えるように、入札契約制度の改革を進めてまいりたいと考えております。
 職員目安箱のご質問もあったかと存じます。
 職員目安箱は、多様な意見を聞かせてもらう仕組みでございまして、大きな組織になりますと、どうしてもふだん意見の聞ける範囲が限られるわけでございますが、現場の職員の声を伺うという観点で進めているところでございます。
 そして、公益通報制度もございますが、違法行為に関するものでございまして、これを放置してはならないということから、その通報を寄せていただく職員の身を守るために、そのためにさまざまな工夫を凝らしたという制度でございます。
 監理団体の改革についてのご質問でございます。
 私の都政運営に対します基本姿勢は、何度も繰り返しておりますけれども、都民ファーストであり、税金の有効活用であり、情報公開と、これらのツールがベースになっております。
 都民に信頼される都政を実現することがその目標であり、これは監理団体についても同様の考え方でございます。
 二〇二〇年東京大会の成功や、私が目指しております三つのシティーの実現に向けて、都の施策実施の現場を担います監理団体は、これまで以上に団体運営の適正性、透明性を高めてまいらなければなりません。そして、都民のご理解を得ていかなければならないと考えております。
 そのために、改革に向けました一丁目一番地であります情報公開を進めてまいります。そして、目標評価制度の見直しなど、徹底した自律改革を進めていく考えであります。
 また、都政改革本部におきましても、監理団体の指導監督をテーマの一つに据えまして、今後、検証、必要な見直しを行うことといたしております。
 このように、こうした取り組みを通じまして、都政の現場を支える監理団体の改革を進めまして、都民ファーストの都政を実現してまいります。
 復活予算についてのご質問もございました。
 昨年度まで行われておりましたこの仕組みにつきましては、もはや東京のみであり、都民の皆様に理解されないものと考えております。
 今、都民から求められていることは、予算の内容そのものについての議論であり、都議会各会派の皆様に加えて、新たに政策現場の実態に精通しておられる各種団体などからも、直接ご意見、ご要望をお伺いする機会を設けたわけでございます。
 こうしたプロセスをしっかりと踏んで、かつ、オープン、公開することによって、これまで長きにわたり実施をされてきました復活予算の制度を廃止することといたしたわけでございます。
 こうした改革を進めることこそが、都民が求めている政治の姿であり、今後とも、都政の見える化を推し進めて、都民とともに進める都政を実現してまいりたいと思います。
 この復活予算にいたしましても、都民の皆様方のお金であるという、その原点に立ち戻っていきたいと考えております。
 そして、その他のご質問につきましては、警視総監及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
   〔警視総監沖田芳樹君登壇〕

○警視総監(沖田芳樹君) 自転車利用者に対する指導取り締まりの強化についてですが、特に、信号無視、制動装置不良自転車運転、酒酔い運転などの悪質性、危険性の高い違反行為に対しては、交通切符等を適用した積極的な取り締まりを実施しているほか、交通ルールを遵守させるための取り組みとして、自転車指導警告カード等による指導を実施しております。
 あわせて、基本的な交通ルールである自転車安全利用五則を周知させるため、警視庁ホームページへの掲載、リーフレットの配布のほか、各種メディアを活用した広報啓発に努めてまいります。
 警視庁といたしましては、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、引き続き、自転車利用者に対する指導、取り締まりなどにより、交通ルールの確立に努めてまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 三つのご質問にお答え申し上げます。
 まず、自律改革の取り組みについてですが、各局における自律改革は、都民ファースト、情報公開、税金の有効活用の三原則に照らし、各局の所掌事業や仕事のやり方等を点検、評価し、改善策を検討する取り組みであり、都政改革の重要な柱でございます。
 各局は、自律改革の取り組みとして、業務改善など三百以上の項目を挙げ、それぞれ局独自の改革本部や若手職員で構成するPTを立ち上げるなど、局一丸となって前向きな取り組みを進めています。
 現在は、さらなる取り組みとして、政策や事業の見直しに向けた自主点検及び評価を行っております。
 今後、本部会議において、順次、各局からの報告を行っていくとともに、すぐれた事例については全庁で共有し、普及を図ることにより、各局における自律改革の一層の推進につなげてまいります。
 次に、公益通報及び職員目安箱の実績についてでございます。
 公益通報制度は、都では平成十八年度から運用しております。過去五年間、公益通報として取り扱った件数は三件でございました。
 本年十一月一日からは、通報対象を拡大するなど、新たな制度の運用を開始し、十一月末までの一カ月間でも多くの通報が寄せられ、公益通報としては三件を受け付けました。
 今後、通報内容の事業を所管する局において、必要に応じて調査、是正措置を実施してまいります。
 また、職員目安箱には、これまで職場に埋もれていた数多くの業務改善策が寄せられております。
 今後は、知事の指示を得ながら、各局と連携して、職員からの意見を職場の改善等につなげてまいります。
 最後に、新たな公益通報制度の周知、浸透についてですが、公益通報制度が有効に機能していくためには、本制度を職員や都民の方々が十分に理解していることが重要でございます。
 そこで都は、新たな制度の開始に当たって、都職員向けには、各局を通じて制度の周知を行うほか、都民向けには、「広報東京都」、東京都公式ホームページなどを通じて、制度のPRを図ってまいりました。
 今後とも、都職員を対象とした研修などを通じた制度の理解促進や、ホームページの掲載方法を工夫するなど、都民にわかりやすい広報に努めることにより、制度の周知、浸透を図り、都民に信頼される行政を実現してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 東京大会における予算管理についてでございますが、先週の都、IOC、組織委員会、国の四者協議において、経費を積算している組織委員会から、大会経費は二兆円を切るという現段階の見込みとともに、ガバナンスの強化について言及がございました。
 都といたしましても、大会の成功に向け、東京にとって必要なレガシーを残す投資を確実に行っていくとともに、経費については、限りある資金の有効活用を図り、抑制する必要があると認識しております。
 今後、不断に経費を抑制、縮減できるよう、関連する計画、予算、調達等の執行の各段階におきまして、組織委員会や国などとモニタリングを行うなど、関係者と連携してチェック体制を確立いたしまして、ガバナンスの効いた確実な予算管理を行い、大会準備に万全を期してまいります。

○副議長(小磯善彦君) 十二番宮瀬英治君
   〔十二番宮瀬英治君登壇〕

○十二番(宮瀬英治君) 現状を打破するために動き始めた多くの改革をさらに推し進めるために、本日は、具体的な政策提言を述べさせていただきます。
 まず最初に、事業評価です。
 知事は、全ての施策、お金の使い方が真に都民の利益にかなうものなのか常に念頭に置くとし、現時点で、少なくとも四百億円以上の五輪費用削減に取り組みました。
 また、策定中の二〇二〇年に向けた実行プランでは、具体的なPDCAサイクルがうたわれ、知事が税金の有効活用に取り組んでいることは大変評価するものです。
 しかし一方、十三兆円といわれる都の予算、その日々の業務である約二千五百全ての事業はどうでしょうか。包括外部監査において毎年指摘されているように、費用対効果が曖昧で、PDCAサイクルが十分機能しているとはいえません。
 例えば、さきの委員会において、都のDV対策を担う部門が現在のDV被害者数を、また、外国人誘致を目標とする部門が現在の来日外国人数を、それぞれ概算においても把握していないとの局答弁があり、各施策の効果についても、その満足度や到達達成度も余り数値化されていないのが実態です。
 現状を正しく数値で把握できなければ、目標数値、指標、KPIも設定することができません。そのほか、多くの事業もまた同様です。
 また、その公開性においても、事業評価の分量はわずか二、三行のみ、内容も評価ではなく、実施項目が書かれているのみで、数値の記載がありません。
 二次評価者である財務局においても、全事業に対する数値目標や指標、KPIの設定率を把握しておらず、各内容も明らかにされませんでした。これでは、都が体系的にどのように事業評価をしているのか不明であり、ブラックボックス化しているといわざるを得ません。
 一方、大阪市では、昨年よりPDCAサイクル推進有識者会議が立ち上がり、全ての事業に、現状、目標、指標、KPI数値が設定され、評価も自己評価、全体内部評価、学識経験者による外部評価がなされ、誰もがチェックできる公開制度があります。
 また、静岡市では、市民が評価に参加するなど、各自治体において、きめ細かい対応がなされています。
 このように、都庁全体の改革が急務であり、現在、都政改革本部では、内部統制の仕組み強化を検討するとしています。
 今後は、全ての事業において、適切に数値目標やKPIを設定する事業評価や透明性の確保など、抜本的に改善すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、地下鉄や水道事業など、公営企業について申し上げます。
 公営企業は、独立採算制の原則に基づき、安定的な運営のため、赤字事業は改善に取り組むとしております。
 一方、都の公営企業全十一事業では、一部赤字が続いております。昨年度は二事業が赤字決算、今年度は五事業が赤字目標、それ以降も三事業が赤字予算のままであります。また、一部では、平成三十三年度以降は資金の蓄えが尽き、対策が急務です。
 そのような場合において、民間企業では、たとえ現在は赤字であっても、黒字化に向けた中長期経営計画が立案されます。しかし、都においては、二十九年度以降、五事業で計画が立案されておらず、黒字化に向けためどが立っておりません。
 とりわけ、過去八年赤字が続き、今後も赤字目標である交通事業では、決算委員会において、事業環境が目まぐるしく変化することを理由に、黒字化への中長期経営計画の策定はしないとの答弁がなされました。しかし、事業環境を予測し、対策を立てることこそが経営なのではないでしょうか。
 一昨年、総務省は、中長期的な経営戦略を公営企業ごとに策定、期間は十年以上とすると通達しておりますが、都においては、十年にわたる経営戦略が存在しておらず、黒字化に向けた中長期経営計画が必要です。
 そこで、生活に欠かせない公営企業の安定的な経営のため、特に赤字事業については、黒字化に向けた道筋を明らかにすることは、情報公開を都政への最重要課題とする小池都政において必須と考えます。
 都政改革本部では、各局の事業の見直しに向け、自主点検評価が行われておりますが、今後は、全ての公営企業においても、その議論の対象に加えるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、都庁の体質改善についてです。
 職員には、すぐれた行政手腕のみならず、民間同等のコスト感覚が求められており、そのための自由闊達な職場環境づくりが欠かせません。
 しかし、都には、豊洲問題で判明した隠蔽体質や、風通しの悪い職場風土が一部存在します。
 職員に対する人事評価は、部門上長が一手に握り、上司の意向がその全てです。これでは、職員は常に上司の顔色を気にせざるを得ません。
 一部の民間では、その弊害を取り除くため、三百六十度評価と称し、上司、部下、同僚など、あらゆる角度から人事評価を行う仕組みがあります。私自身の経験においても、実際に人材育成や組織の活性化につながると実感しておりました。
 このように、都も、新たな人事評価制度を取り入れるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 さらには、組織風土改善のためには、多様な人材も必要です。
 都には、民間のすぐれたノウハウやコスト感覚など、意識改革を目的に、三十年前から民間企業との人事交流があります。しかし、毎年、規模は、本庁職員約一万人に対し二十名程度、派遣先も、銀行、鉄道会社とほぼ同じであり、成果も曖昧で、制度が形骸化しています。人が変われば風土が変わります。
 今後は、人数や対象企業、期間を大きく拡充するなど、制度を根本的に見直していくべきと考えますが、見解をお伺いします。
 次に、少子化対策です。
 子供は国の宝です。しかし、都内の子供の出生率は一・一五で全国最低。そのため、都では、待機児童対策を初め、育児支援などに注力してきました。
 一方、少子化対策として、子供の誕生についてはどうでしょうか。さまざまな理由、背景、事情などにより、晩婚、晩産化も進み、子供を持つ機会に悩んだり、不妊治療で苦労されている方が多くいます。
 実際、平成二十五年の民間調査では、不妊の可能性があるのではないかと思ったことがあると答えた既婚女性の方が約半数に及んでおります。
 同時に、都の不妊治療助成も年々ふえ、現在、年間二万件、三十七億円に及んでおります。
 一つの取り組みとして、高校生や大学生など、人生の早い段階から男女双方に、妊娠、出産に関する正確な情報を伝えることも大切です。これにより、ライフプランを考える上で、キャリアだけでなく、結婚や家族をつくるといったことも前もって、より具体的に考えることができます。
 昨年度より、文科省は、高校の補助教材に、不妊に関する内容を多く盛り込みましたが、一方、都においては、教科書にわずか数行記載があるのみで、十分とはいえません。
 今後は、このような補助教材等を積極的に活用し、都においても、妊娠、出産、不妊に関する正しい情報発信に努めるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 最後に、学費負担軽減についてです。
 都立学校では、毎年、期待にあふれ入学する新入生がいます。一方で、家計が苦しく、子供の制服代などに悩まれる保護者も多く、中には、サラ金から費用を捻出し、自殺された母親もおり、事態は深刻です。
 例えば、制服は学校や都が購入するものではなく、あくまで保護者負担です。にもかかわらず、販売店は一者のみであり、保護者に選択の余地はありません。であればこそ、製造販売業者の選定に対する透明性や公平性の確保は必須であります。
 しかし、さきの委員会では、一部で、業者選定の際に、学校が公表するコンペ仕様書の中において、特定業者一者を限定する特許事項の記載があることが明るみになりました。その後是正されましたが、依然、業者の選定は一者に限られる場合がほとんどであり、提示される価格も全て都立学校において、それぞれ一者のみです。
 新聞調査によると、制服に対する不満の第一位は、購入先の選択肢が少なく価格が高いこととされ、こうした問題に対し、神奈川、埼玉などの県立高校では、業者は複数者、複数価格となっており、保護者が選べる仕組みです。
 都内の保護者に選択の自由はなく、他県に比べ、制服代の相対的な割高感は拭えません。全ては適正な競争原理が働いていないことが原因であります。
 このように、今後は、保護者負担である学校関連用品の販売、製造に関しては全て複数者、複数価格とし、保護者の費用負担軽減に努めるべきと考えますが、所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 宮瀬英治議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、事業評価などの抜本的な改善についてのお尋ねがございました。
 都はこれまで、予算編成の一環として事業評価を実施することで、評価結果を翌年度予算に速やかに反映するというマネジメントサイクルを確立し、これまでの十年間で、累積約四千八百億円の財源を確保してまいりました。
 二〇二〇年に向けた実行プランにおきましては、これまでの施策計画と大きく異なります。それは、各施策について、より具体的で、数多くの政策目標を定めて、その工程表も明確に作成するということでございます。
 また、事業評価につきましても、来年度予算で全ての事業に終期を設定いたしまして、より多角的な検証を行いまして、PDCAサイクルを強化することといたしております。
 ご指摘の点も踏まえまして、都政改革本部におきまして、全ての事業に終期を設定する取り組みを初めといたしました今後の事業評価のあり方について、都民ファースト、そして情報公開、ワイズスペンディング、これらの視点に立ってさらに検討し、一層の改善に努めてまいります。
 公営企業の経営改善についてのご質問でございます。
 地方公営企業であります交通局、水道局、下水道局の各事業や、準公営企業と呼ばれます病院事業などでありますが、本来の目的である都民の日常生活を支える役割を果たさなければなりません。そして、常に企業としての経済性の発揮も求められているところでありまして、経営改善の視点も、ご指摘のように重要でございます。
 現在、各公営企業の管理者も、各局長とともに都政改革本部の本部員でございます。そして、各公営企業局が効率的な経営や都民サービスの向上に向けて、自律改革に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、それぞれの公営企業の管理者が、不断の経営改善に取り組んでいくとともに、都政改革本部におきまして、公営企業の事業についても対象といたしまして、しっかりと議論をしてまいります。
 残余のご質問につきましては、教育長、関係局長から答弁をさせていただきます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、妊娠、出産等に関する教育についてでございますが、現在、都立高校では、保健の授業において、妊娠、出産等と、それに伴う健康課題について理解を深めるとともに、家庭科の授業では、少子化の進展に対応して、子供を産み育てることの意義等について考える学習活動などを展開しております。
 また、学年行事等において、外部講師として招いた保健師等から不妊問題や家族計画等についての講話を生徒が聞く機会を設けている学校もございます。
 今後とも、都教育委員会は、各学校に配布している文部科学省の補助資料等を活用して、生徒たちが、妊娠、出産、不妊問題等に関する医学的、科学的に正しい知識を身につけることができるよう指導してまいります。
 次に、都立学校の教育費負担の軽減についてでございますが、制服など学校指定品の取扱業者の選定は、各都立学校が行っており、これまで制度の見直しも行ってきております。
 現在の制度では、選定に当たっては複数の業者が応募できるよう、特許事項等により製造業者や販売業者が限定されない仕様とした上で業者を公募し、その中から最も低廉な価格を提示した業者を指定しております。
 特に制服については、安定的な供給を目的に、他の業者が指定業者と同等の条件で提供を申し出た場合には、その業者も指定することで、複数業者による供給を可能としております。
 引き続き、保護者の理解を得ながら、学校指定品の適切な供給に努めてまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、いわゆる三百六十度評価の導入についてですが、三百六十度評価は、一般的に管理職等の人材育成の観点から、対象者の職場での姿勢や行動について、周囲からの見え方を本人にフィードバックし、行動改善を促す仕組みであり、一部の民間企業等において導入されております。
 その導入事例について見ると、目的や対象者の範囲、フィードバック方法、実施結果の活用等がさまざまな態様であり、都においては、現在、導入に向けて、組織体制や職場実態に合った最良の実施方法について検討を進めており、引き続き検討を進めてまいります。
 次に、民間企業等との人事交流についてですが、都と民間企業等との人事交流は、相互の人材育成と組織の活性化等に資することから有意義であると認識しております。
 都では、若手の管理職候補者の育成上重要なステップとして、民間企業等への派遣研修を継続して実施しており、例えば、派遣後にPFI事業の推進において中心的な役割を担わせるなど、都政にその効果を還元してまいりました。
 また、民間人材の受け入れについては、研修制度では、行政の公正性の観点から配置先や規模拡大に制約があるため、平成六年度から経験者採用も行っており、平成二十八年度には、百七十三人の経験を持つ職員を採用しております。
 今後とも、人事交流や経験者採用等さまざまな手法を活用することで、多様な人材の確保、育成に努めてまいります。

○副議長(小磯善彦君) 五十一番両角みのる君
   〔五十一番両角みのる君登壇〕

○五十一番(両角みのる君) 初めに、受動喫煙についてお聞きします。
 当初、舛添前知事は、受動喫煙防止条例制定への強い意向を示していましたが、関係業界や都議会の一部から反対意見が出るや、一転、腰砕けとなり、条例化を見送りました。
 都が条例化を逡巡しているうちに、国では、罰則つき法制化へ準備を加速しています。
 都では、平成二十七年度に、外国人旅行者向けの宿泊、飲食施設用として、分煙環境整備補助制度を創設し、分煙化政策を進めています。
 しかしながら、この補助金は、平成二十七年度執行率が約一三%と低調であるばかりか、屋内全面禁煙という世界的な受動喫煙防止の方向性に逆行するものです。
 今後の当該補助制度のあり方について、所見を伺います。
 この十月には、厚生労働省が受動喫煙防止対策のたたき台を発表し、サービス業等は、喫煙室の設置も可能とする方向性が示されましたが、受動喫煙防止対策としては不十分との声が上がっています。
 オブザーバーとして国の検討チームに参加している都は、スモークフリー都市実現に向けて、屋内全面禁煙の法制化を国に働きかけ、さらに必要があれば、独自の条例化を考えるべきですが、知事の所見を伺います。
 次に、ライフワークバランスについて質問します。
 国では、働き方改革が大きな政策課題となっていますが、毎日の満員電車での通勤と長時間労働が常態化をしている我が国の現状は、とても人々が幸せな状態とはいえません。
 働き方を変え、ライフワークバランスを実現していくことは、都政においても極めて重要な今日的政策課題であり、満員電車ゼロも含めて、知事が公約としてこうした問題に光を当てたことを高く評価します。
 都は、十月から二十時までの完全退庁を始めましたが、この取り組みが、仕事の進め方や時間の有効活用といった本質的な変革につながることを期待しています。
 そこで、二十時完全退庁の実施状況と効果、課題について伺います。
 ライフワークバランスを考えたときに、職務や個々人の置かれた状況に応じた勤務形態が整っていることが重要です。
 都庁では、柔軟な勤務形態として、時差勤務が導入されていますが、今後、出産、育児、介護といったさまざまなライフステージに応じた柔軟な働き方を一層進めていくには、フレックスタイムも有効な手法であると考えます。
 国では既に導入され、都でも、都庁働き方改革推進ミーティングにおいて検討を始めたとのことですが、業務効率向上と個々人の働き方の質を高めるため、フレックスタイムなどの柔軟な働き方をどう取り入れていくのか、現行の時差勤務の活用実態も含め、所見を伺います。
 予算編成についてお聞きします。
 政策の裏づけである予算は、行政活動のうちで最も重要なものであり、中身はもちろん、その手続にも首長の姿勢が色濃く反映をされます。
 知事は、公約実現に向け、二〇二〇年に向けた実行プランの年内策定を表明しましたが、掲げる政策を着実に推進していくには予算の裏づけが必要です。
 そこで、二〇二〇年に向けた実行プランにおける重要施策、優先度の高い施策の事業費を、平成二十九年度予算では、どの段階で、どのように計上するのか伺います。
 ところで、都の予算編成過程では、各種団体や議会、議員からどのような要望があり、それらがいかに扱われたかのプロセスも、結果も見えにくい状況にあります。
 私は、各種の予算要望やその反映状況も含めて、予算編成過程をできるだけ透明化し、予算を見える化すべきと考えます。
 東京都では、二百億円のいわゆる政党復活予算が慣例化され、毎年一月の各党、各会派の復活要望を踏まえ、公表されてきました。しかし、このような復活枠がある道府県はほかにはありません。
 (パネルを示す)復活予算の過去の実績を見ると、毎年同じ項目に同程度のシェアで予算づけがされておりまして、制度は、行政と一部党派とのなれ合いのセレモニーと化しており、形骸化しているのが実態です。
 このパネルで五カ年の数字が出ているんですけれど、二百億円のうち、ほぼ九割が固定化された八項目で、その順位も全く変わっていないのがこの復活予算の実態でもございます。
 今般、知事は、いわゆる政党復活枠の廃止を打ち出しましたが、その趣旨と狙いを伺います。あわせて、都民ファーストの視点からは、今後、どのように予算編成過程の見直しに取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 最後に、広尾病院の移転についてお聞きします。
 広尾病院の移転に関しては、今年度、青山の用地取得費が予算化されるとともに、首都災害医療センター基本構想検討委員会が立ち上がり、年度末に結論を得て、構想を策定するとしています。
 しかし、初回検討委員会では、青山移転に対し、多くの疑問が呈されました。
 第二回検討委員会では、移転プロセスの詳細な説明がなされましたが、私には十分理解することができませんでした。
 第二回検討委員会では、都は、病院が実施した調査は、現地建てかえか移転かの優劣をつけたものではないと説明をしていますが、報告書には、移転新築には大きな課題があり、広尾病院の改築を目指すべきであると記述をされており、現地建てかえを結論づけたようにしか読めません。
 (パネルを示す)また、当時、前知事の説明に用いた病院経営本部の資料、上ですけれど、本件調査のキャプションに、二〇二〇年までの現地建てかえは、技術的に可能というふうに記されております。にもかかわらず、検討委員会では、この部分を削除した資料が配られ、都は、調査報告の内容は厳しいのではと思ったと説明をしています。
 しかし、そもそも自局が発注した調査結果を尊重せずに、この調査結果では難しいなどということは理解ができません。
 また、病院経営本部は、この調査結果を打ち消すように、その三カ月後に、伊藤喜三郎建設事務所に新たな調査を委託しています。
 その報告書は、冒頭で、現在の病院敷地内に大規模な建築物を改築するのは非常に困難であるとして、他の候補地、具体的には青山用地への移転についても検討をすると書き出しており、実質の目的が、青山の優位性を示すための調査となっています。
 検討委員会で、都は、これら二つの調査は、移転か現地かの可否のためのものではないと述べ、内部で独自に検討を進め、青山移転で知事の了承を得たと説明をしています。
 しかし、時系列で状況を追っていくと、当初のみずほ総研調査で現地建てかえの優位性が示されたのに、病院経営本部としては、国からの働きかけもあり、青山移転に判断が傾き、その理由づけのため、新たな伊藤調査を急遽実施したと見る方が合理的です。
 そして、調査発注後一週間という結果も何も出ていない段階で、ばたばたと前知事の了承を得て、青山移転が決定されたということではないでしょうか。
 ほかにも、予算要求に当たり、財務局への土地取得依頼手続がとられていないなど、通常の行政手続からの逸脱があり、検討委員会での都の説明と私の理解には大きな隔たりがあります。このことに対する都の見解を伺います。
 設置要綱は、青山移転を与件としたものとなっています。こうした中、さきの第二回検討委員会では、機能面の検討の後に青山への移転の可否を判断するとしていますが、青山の用地取得は、検討委員会で移転の可否の結論を得てから決定すると理解をしてよいのか伺いまして、質問を終わります。
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 両角みのる議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、受動喫煙防止対策についてのお尋ねがございました。
 ご存じのように、IOCが唱えるスモークフリーでございますが、その取り組みは、もはや世界的な潮流といえましょう。
 また、近年のオリンピック・パラリンピック開催都市におきましても、屋内を全面禁煙とするなど、法律などで罰則を伴います厳しい受動喫煙防止対策を講じているところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、現在、国は、飲食店などを原則禁煙とする罰則つきの検討案を公表しておりまして、法制化を目指した動きを進めているところと聞いております。
 そして、都はこれまでも、受動喫煙防止対策を強化するための法律を整備するよう、国に対し提案要求しておりますが、今後、国の動きも十分に見きわめながら、都としてのさらなる対応を検討していきたいと考えております。
 それから、いわゆる政党復活予算の廃止及び予算編成過程の見直しについてでございます。
 私が編成する初めての予算となります平成二十九年度予算でございますが、まず、都民ファーストの視点に立ちまして、予算編成のあり方を大きく見直すことといたしました。
 まず、予算編成過程の見直しといたしまして、都民の声を最大限予算に反映していく、そのために、都議会各会派の皆様方に加えまして、新たに政策現場の実態に精通しておられる各種団体などから、広くご意見、ご要望を伺う機会を設けることとしたものでございます。
 また、各局の予算要求内容、そして財務局によります査定の状況をホームページで公開をするとともに、都議会各会派、そして各種団体の皆様方からのヒアリングもマスコミに公開をするなど、情報公開を徹底してまいりたいと考えております。
 こうしたプロセスをしっかりと踏みながら、かつオープンにすることによりまして、これまで長きにわたり実施してこられたこの制度、また、既得権化されてきた、このいわゆる政党復活予算の仕組みについては終了させていただきます。
 今後とも、東京大改革を支える皆様方とともに都政の見える化を推し進めまして、都民とともに進める都政の実現を目指してまいります。
 残余の質問に関しましては、担当局長からお答えいたします。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 分煙の環境を整備する補助制度についてでございますが、都は、外国人旅行者が快適に滞在できるよう、平成二十七年度から、多言語対応に取り組む飲食店や宿泊施設を対象といたしまして、分煙環境の整備に対する助成を行っております。
 この取り組みを進める中では、店舗が狭い場合や建物の構造上の制約から、制度の活用に至らない事例はございますが、施設ごとの状況に応じ、工夫して分煙化を図ることができるよう、きめ細かくサポートしているところでございます。
 今後は、国の動向も踏まえつつ、外国人旅行者の受け入れ環境の向上を図るため、適切な対応を実施してまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、二十時完全退庁の実施状況等についてですが、都はこれまで、全庁一斉定時退庁日やノー超勤ウイークなど、さまざまな超過勤務縮減策を講じてきましたが、本年十月から、遅くとも二十時には仕事を終える二十時完全退庁等の取り組みを本庁で開始いたしました。
 この取り組みでは、長時間労働を防ぎ、できる限り早く仕事を終えて退庁することはもとより、仕事の進め方そのものの見直しにつなげることも狙いとしております。
 取り組み開始後一カ月間の実績は、二十時以降の退庁者数は、一日平均約八百九十人、都庁に勤務する職員のおおむね一割となっており、各職場では、仕事の時間管理の徹底を初め、例えば、会議の進め方の効率化や資料の簡略化、管理職による無駄のないマネジメントなど、実情に応じた取り組み目標を定め、工夫を重ねております。
 こうした各職場の努力や創意工夫を全庁で広く共有し、仕事や働き方の見直しにつなげてまいります。
 次に、時差勤務の活用状況についてですが、時差勤務は、職員の柔軟な働き方を促進するために導入した制度であり、平成二十七年四月に、従来の八時半、九時、九時半の始業時間に加え、育児、介護職員向けに、七時半、八時及び十時の始業時間を追加。平成二十八年四月から、対象を全職員に拡大いたしました。
 平成二十八年四月時点で、本庁勤務者約一万人のうち、二・三%が拡大した始業時間を利用し、職員のライフワークバランスに一定程度寄与しておりますので、一層の活用促進に向け、制度周知や時差勤務が利用しやすい職場づくりに努めております。
 一方、都民サービスに直結する窓口職場における公務運営確保の方法などにも留意する必要があり、国家公務員で導入されているフレックスタイムなど、より柔軟な勤務形態の導入検討に際しては、こうした観点も踏まえ、職場ごとに適した手法を模索してまいります。
   〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 二〇二〇年に向けた実行プランにおける重要施策、優先度の高い施策の予算計上についてのご質問でございます。
 実行プランの事業案に係る経費につきましては、八月に示しました予算見積もり方針において、まず、シーリングの対象外としており、十一月九日に公表した各局の予算要求におきましても、既にその一部について計上されているところであります。
 今後、年内に予定しております実行プランの策定にあわせて、さらに必要となる経費につきましては、各局から追加で要求を受け付け、最終的には、年明けの知事の予算査定を経て、予算案に計上、反映させてまいります。
   〔病院経営本部長内藤淳君登壇〕

○病院経営本部長(内藤淳君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、広尾病院の改築に係る検討経緯についてでございます。
 広尾病院につきましては、老朽化への対応や災害医療の拠点機能強化の観点から、平成二十六年度に、現地建てかえや改修、移転などの整備手法を中心に検討を開始いたしました。
 一般的に、既存病院の施設整備には、技術面、運用面等において多くの困難性が伴います。
 このため、過去の改築事例を踏まえまして、工事の手順や期間、病院運営の影響等を念頭に置きながら、さまざまな想定のもとで得られた外部調査データも活用し、多角的な分析、検証を行ったところでございます。
 こうした検討を重ね、適地の取得が可能であるならば、移転改築との方向性を得るとともに、その後、土地の取得手続などの確認を経て、予算計上に至ったものでございます。
 この間、必要な情報は、病院経営本部と財務局で共有して進めてまいりました。
 なお、こうした検討経緯につきましては、先ほどパネルでご紹介いただきました前知事への説明内容も含めまして、既に専門家や関係者を加えた基本構想検討委員会におきまして、外部にも全面公開のもと、丁寧にご説明し、ご理解をいただいているところでございます。
 次に、病院改築に向けた用地取得についてでございますが、現在、基本構想検討委員会におきまして、本年七月に策定された地域医療構想など、今後の地域医療のあり方も視野に入れながら、まずは目指すべき病院像について検討が進められております。
 具体的には、広尾病院の診療実績等の分析を初め、今後担うべき医療機能やその規模感などについて、丹念に議論を重ねていただいております。
 今年度の用地取得の取り扱いにつきましては、こうした検討委員会における議論の推移を見きわめながら、適切に対応してまいります。

○副議長(小磯善彦君) 五十番西崎光子さん
   〔五十番西崎光子君登壇〕

○五十番(西崎光子君) 都議会生活者ネットワークを代表して質問します。
 豊洲市場問題では、都庁の隠蔽体質が露呈し、都政への信頼が失墜する事態となりました。この一連の件で、意思決定過程の文書の作成や保存がされていないなど、公文書管理のずさんさが明るみになり、豊洲新市場整備方針など重要な文書や地下空間問題で、市場と日建設計の打ち合わせ記録がすぐに発見されなかったことは非常に問題です。
 大きな工事で行政が受託者と打ち合わせをするとき、記録をとらないことは考えられず、そうしたメモは組織的に使われるものであり、公文書としてきちんと管理しなければなりません。
 公文書管理と情報公開は車の両輪であり、民主主義の根幹にかかわるものです。
 国は、公文書が国民共有の知的資源であるという認識のもと、説明責任を全うすることを目的に、公文書管理法を制定しました。
 ところが、都は、情報公開条例においては、都民への説明責任を全うし、都民の都政への参加を進めることを目的としていますが、文書管理規則には目的規定もなく、発生した文書を効率的に管理するという視点しかありません。
 今回、このような事件を二度と起こさないためにも、公文書管理が重要であり、文書の作成や保存をきちんと行う必要があります。説明責任を果たすためには、意思決定過程の記録を残しておかなければなりませんが、文書を作成する義務はどのようになっているのか、都の見解を伺います。
 これまでの都の公文書管理には多くの課題がありました。そこで、公文書管理条例を制定し、公文書が市民の共有財産であり、説明責任を全うするという理念を示す必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 日本が障害者権利条約を批准して二年、この条約を具体的に生かしていくために、障害者差別解消法がことし四月に施行されました。これにあわせて世田谷区では、イエローリボンを配っています。
 障害のある人が日常生活や社会生活を送る上で障壁となる一切のバリアを取り除き、皆が一緒に社会参加できるよう、行政や事業者が合理的配慮を行っていかなければなりません。
 知事は所信表明で、社会全体で障害のある方々への理解を深め、差別をなくす取り組みを一層推進するための条例案について検討を開始すると述べています。
 そこで、どのような理念で取り組まれるのか、知事の見解を伺います。
 この夏、視察した兵庫県明石市では、先駆的な障害者施策を行っています。合理的配慮を提供するため、明石市障害者配慮条例をことし四月に施行しました。昨年には、手話言語・障害者コミュニケーション条例を施行しており、手話だけではなく、要約筆記や点字、音訳等、多様なコミュニケーション手段の利用促進を規定しています。
 具体的には、聴覚障害者向けのタブレットや音声を文字変換するシステムなどの設置、全小学校で手話体験教室の実施も目指しています。
 都は、東京二〇二〇大会に向けて、手話の一層の普及を図るなど、聴覚障害者のコミュニケーション支援を充実させる必要があると考えますが、見解を伺います。
 国に対して、手話言語法の制定を目指し、全国の首長が動き始めています。手話を広める知事の会も設立されており、パラリンピックが開催される東京都もぜひ参加するよう要望します。
 東京都は、全国に先駆けて制定した東京都男女平等参画基本条例に基づき、行動計画を策定し、男女平等参画社会の実現に向けて取り組みを進めてきました。
 このたび、女性活躍推進法に基づき都の計画を策定する必要性が生じたことに伴い、男女平等参画のための東京都行動計画と女性活躍推進計画を一体的に策定し、女性活躍推進計画とすると聞いています。
 女性活躍推進法は、第一条で、男女共同参画社会基本法にのっとるとされており、女性活躍が男女共同参画の理念のもとにあることを意味しています。
 都は、活躍推進計画と配偶者暴力対策基本計画の改定を合わせるとのことですが、男女平等参画の視点が低下するのではないかと危惧されます。
 新たな総合的な計画においても、条例の理念を踏まえ、男女平等参画の視点をしっかりと盛り込んでいくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 小池知事は、多様性の社会、ダイバーシティー東京を目指しています。東京は約一千三百万人もの人々がおり、子供、若者、高齢者、女性、男性やLGBTなど、あらゆる人たちが生活しています。
 男女平等参画社会の実現に向けて、人権や多様性を尊重することについて、計画に位置づける必要性があると考えますが、都の見解を伺います。
 東京都地域防災計画の中で、災害対策や避難所運営に当たって、女性の視点で行うことが盛り込まれました。
 生活者ネットワークは、防災会議の女性委員をふやすことや、熊本の震災でも緊急に輸入された液体ミルクの供給など、女性の視点で支援を積極的に行うよう求めてきました。
 今回の総合的な計画でも、防災に関する分野の女性参画について盛り込んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、アスベスト被害者の救済について伺います。
 二〇〇六年、小池知事が環境大臣として提案した、石綿による健康被害の救済に関する法律が制定され、認定されれば、医療費などを受けることができます。しかし、労働者だけではなく、周辺住民など広範囲にリスクがあることや、発症までの期間が長いため、因果関係がわかりにくい問題があります。
 こうした中で、アスベスト救済法の認定患者について、国が調査をしています。この調査に基づく認定患者の都内における居住の状況を伺います。
 かつて都内にも多くのアスベスト関連工場がありました。周辺住民など、潜在的な患者も都内に多く存在すると考えられます。早期発見や治療の開始のための救済が必要です。
 労働災害補償の対象とならない都民に対して、アスベスト健康被害の不安解消のため、都はどのような対応を行っているのか伺います。
 アスベスト被害が認定されれば、患者は医療費などの助成が受けられますが、気づかない人が多い現状です。疑いのある市民が専門病院で胸部CT検査や問診を受けられるように、環境省は二〇一五年度から、石綿暴露者の健康管理に係る試行調査を進めています。
 この調査に自治体が名乗りを上げれば、検査費用が助成されるため、都は、この試行調査の対象自治体として積極的に名乗りを上げるよう要望し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 西崎光子議員の一般質問にお答えをさせていただきます。
 まず初めに、公文書管理条例の制定についてのご質問がございました。
 まず、豊洲市場の問題で大きく揺らぎました都民の皆様からの都政に対する信頼、これを回復するためには、まず一丁目一番地に当たります情報公開を徹底的に進めまして、都政を透明化していく、このことが最重要と考えております。
 また、情報公開の推進に当たりましては、その前提となります公文書の適正な管理を実現し、都庁の隅々にまで浸透させる必要がございます。
 ご指摘のように、今回の豊洲市場におけます文書管理の問題を受けまして、今後同じような事態が発生することがないように、まずは東京都文書管理規則を年度内に見直します。さらに、公文書の管理に関しましては、来年度早期の条例化を検討するように指示をしたところでございます。
 このような取り組みを通じまして、都民の皆様からの信頼を回復して、都民とともに進める都政、これを実現してまいりたいと考えております。
 二つ目に、障害者差別の解消に向けた条例についてのご質問がございました。
 女性も、男性も、子供も、高齢者も、障害のある方も、誰もが生き生き生活できる、そして活躍できる都市、そのようなダイバーシティーが私の目指す東京でございます。
 今回検討を開始する条例案でございますが、こうした考えに立ちまして、社会の全体で障害者への理解を深め、差別をなくす取り組みをより一層推進することを目的といたしております。
 この条例には、相談、紛争解決のための仕組みや意思疎通のための配慮などを盛り込む考えでございます。そして、一番重要な心のバリアフリーを一層進めまして、障害者の社会参加を後押ししたいと考えております。
 なお、ご質問の際に、アスベスト問題、私、当時、環境大臣としてしっかり取り組ませていただいた大きな課題でございました。お触れいただいたことに感謝を申し上げます。
 そして、その他のご質問に関しましては、関係局長からご答弁をさせていただきます。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 文書を作成する義務についてですが、都では、情報公開条例において公文書の適正な管理の必要性を規定するとともに、都の内部における文書の発生から廃棄までを統一的なルールで統制するため、文書管理規則等を整備しております。
 この文書管理規則においては、決定すべき事案について、電子または書面による起案文書として作成することとし、必要に応じて、起案の理由や事案の経過等を明らかにする資料を作成し、添付するように規定しております。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、聴覚障害者のコミュニケーション支援についてでありますが、都はこれまで、手話通訳者や要約筆記者の養成研修を行いますとともに、外国語手話の習得を支援するなど、聴覚障害者の意思疎通を支援する人材を育成してまいりました。
 また、聴覚障害に対する理解を促進し、手話人口の裾野を広げるため、手話をわかりやすく紹介したリーフレットを作成するほか、学生による手話パフォーマンスやワークショップなどを行うイベントを開催しております。
 さらに今年度からは、ICTを活用したモデル事業として、観光情報センターや消費生活総合センターなど都内六カ所にタブレット端末を配置し、遠隔手話通訳や音声を文字に変換するサービスを提供しております。
 今後も、二〇二〇年東京大会に向けまして、聴覚障害者のコミュニケーション支援の充実を図ってまいります。
 次に、石綿による健康被害の救済に関する法律の認定患者の都内における居住の状況についてでありますが、同法に基づき被認定者等に対する救済給付等を行う独立行政法人環境再生保全機構では、アスベストによる健康被害の実態把握のため、認定の申請、請求時に、出生時から申請時までの居住歴などについて任意のアンケートを実施しております。
 平成十八年度から平成二十六年度までのアンケートを取りまとめた報告書によりますと、申請時に居住歴が最も長い住所地が東京都であったと回答した方は、合計で四百八名でございまして、兵庫県、大阪府に次いで多くなっております。
 また、都内の住所地の内訳を見ますと、四十一の自治体にわたっており、その八割以上が特別区の区域となっております。
 最後に、アスベストに対する不安の解消に向けた対応についてでありますが、都では、アスベストに関するさまざまな疑問にお答えするため、アスベストの基礎知識や使用状況、健康への影響などをわかりやすくまとめた都民向けのアスベストQアンドAや保健所や企業の労働衛生部門などの相談担当者向けマニュアルを作成し、ホームページ等で広く情報提供をしております。
 また、健康安全研究センターや保健所におきまして健康相談を実施しており、相談内容に応じて医療機関への受診や定期的な胸部レントゲン検査を勧めるほか、アスベスト健康被害救済制度などの情報提供を行っております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、アスベストによる健康影響に関する都民の不安解消に努めてまいります。
   〔生活文化局長中嶋正宏君登壇〕

○生活文化局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、男女平等参画推進総合計画の策定に当たっての考え方についてでございますが、都はこれまでも、男女平等参画のための東京都行動計画に基づき、さまざまな施策を進めてまいりました。男女間の実質的な機会の均等を確保し、男女平等参画社会を実現するためには、女性の活躍推進の観点が特に重要でございます。
 そこで、今回の行動計画の改定に当たりましては、その内容を、女性活躍推進計画と配偶者暴力対策基本計画の二つの計画といたしまして、そこに男女平等参画の基本的な考え方や従来の施策を全て盛り込んだ上で、両計画を合わせた全体を男女平等参画推進総合計画として策定する予定でございます。
 次に、人権や多様性の尊重について計画に位置づけることについてでございますが、都は、東京都男女平等参画基本条例におきまして、男女が性別により差別されることなく、その人権が尊重される社会を基本理念に掲げ、これまでも、その実現を目指して施策を推進してまいりました。
 今回の総合計画の策定に向け東京都男女平等参画審議会が取りまとめた中間のまとめでは、ひとり親家庭、高齢者、若年層などの中で、就業機会が不足していたり、地域とのつながりが乏しいなど困難な状況にある人に対して、人権や多様性の尊重の観点から支援が必要であると提言されております。
 計画の策定に当たりましては、こうした視点に基づく審議会の答申を踏まえ、検討を進めてまいります。
 最後に、防災に関する分野の女性参画についてでございますが、都はこれまでも、行動計画に基づき、防災分野における女性の参画促進に取り組んでまいりました。
 今回、審議会が取りまとめました中間のまとめでは、東日本大震災の際に、救援物資の配分や避難所の運営などで、男女のニーズの違いに応じた対応ができなかったとの課題が指摘されており、防災や復興に関する政策、方針決定過程の段階から、女性の参画を拡大すべきであると提言されております。
 都では、審議会の答申を踏まえ、今後の計画策定において、防災分野での女性の参画について検討を進めてまいります。

○副議長(小磯善彦君) 九番塩村あやかさん
   〔九番塩村あやか君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○九番(塩村あやか君) まず、動物愛護についてお伺いをいたします。
 私は動物愛護のボランティアとして長く活動してきたことが、都議会議員になる一つの大きなきっかけであることから、毎回一般質問で動物愛護を取り上げています。
 さて、一昨年は東京都にて、全国で初めて劣悪ペットショップへの行政処分が行われました。その際、都の対応がおくれにおくれ、各メディアで非難がされました。
 昨今また東京都内で動物虐待に当たる騒動が発生をし、テレビでも既に複数回報道され、東京都への批判が高まっています。
 ホームレスが多摩川の河川敷にログハウスをつくって不法占有をし、その中に二十匹近い犬を大変に不衛生な状態で押し込めており、近隣の住民や愛護団体より、虐待である、迷惑である、危険であると指摘がされている件です。
 私は依頼を受け、この数カ月、都に対しまして、動物愛護法に抵触をするため、しっかりと対応するようにと要望してきました。また、犬たちは狂犬病予防法による接種と登録が行われておらず、万が一にでも人間をかんだ場合の危険性を指摘してきました。
 都が解決できない理由を並べ続ける中、恐れていたことが発生をしました。相次いで近隣の方が犬にかまれ、咬傷事故となってしまいました。被害の届け出をしていない方も複数おり、実際には十人前後の方が被害に遭われています。
 咬傷事故が複数回発生し、そのときに狂犬病予防法第六条の五を適用すれば、ログハウスにも立ち入ることができ、犬たちを抑留という名目で保護をすることができたはずでした。しかし、都は複数回のチャンスがあったにもかかわらず、できていません。
 台湾にまで迫っている狂犬病が万一発生したらと思うと、今回の都の対応は許せるものではありません。人の命にかかわります。これは不作為であり、過日、知事と局長宛てに抗議文を提出させていただきました。
 飼い主のホームレスは、劣悪な環境下で、犬をおよそ二十頭近く飼育しています。さらに、テレビ報道もされましたが、感情に任せてパイプ状のもので犬や周りをたたいたりと、完全な虐待状態です。
 まず、この状態から何としても犬たちを救い出すことが必要です。
 適用できない法律ばかりを並べるのではなく、狂犬病予防法など条文が適用できる法律を使うべきです。
 市も国土交通省も狂犬病予防法に基づいた犬の抑留はできません。それを行使できるのは、動物愛護法も所管する東京都福祉保健局の健康安全部です。
 狂犬病予防法に記されている狂犬病予防員が、まさに私が情報を提供し、対応をお願いし続けてきた職員であることは本当に残念でなりません。これまでの都の対応に問題は一切なかったのかをお伺いいたします。
 また今後、さらなる被害者を出さないため、そして、虐待されている犬たちを一刻も早く救い出すため、都はどのように対応するのか、具体的な解決策をお伺いいたします。
 続きまして、ペット殺処分ゼロを公約に掲げた知事にお伺いをいたします。
 既に知事には要望を提出しましたが、真の殺処分ゼロを目指すためには、譲渡の拡大だけでは抜本的な解決にはなりません。セットで生体小売業への規制を考えなくては、殺処分は闇に潜るばかりです。
 二〇一二年の動愛法の改正により、終生飼養の義務化や自治体が業者からの引き取りを拒めることが明記されたことから、引き取り屋なる業種が暗躍を始めました。実際に一部の引き取り屋が死体遺棄事件を多く引き起こしたことは記憶に新しく、大きな社会問題となっています。
 この問題の根本には、ペットショップで陳列販売をする生体小売業にあると指摘がされています。日本のペット大量生産、大量販売、大量処分の悪循環が前回の法改正で断ち切れると期待がされていましたが、大量生産、大量販売はそのままにして引き取り拒否や終生飼養を義務づけたところで、結局は大量の闇処分を生み出してしまったにすぎません。
 東京都はペットショップの数が日本一です。つまり大量販売の中心地であるわけで、大量生産の現場に対する責任が生じていることは明らかです。だからこそ、真の殺処分ゼロにつながる動物取扱業の適正化を目指す施策を二〇二〇年までに条例化または実施する責務があると考えます。見解をお伺いいたします。
 原則として、行政殺処分のない多くの動物福祉先進国では、ペットショップでの生体販売に歯どめをかける八週齢規制や飼養施設規制、飼養管理基準など具体的な数値規制が導入をされています。
 数値規制を設けることで、自治体による監視指導が格段に行いやすくなるという指摘も各方面からなされており、日本でも努力義務ではありますが、札幌市では八週齢規制にかかわる条例が可決され、埼玉県三郷市でも今定例会で上程が予定をされています。
 これら蛇口を閉める施策を国に先駆けて施行することができれば、東京から真の動物殺処分ゼロを推し進め、二年後に迫った動物愛護法の改正を東京から後押しすることができます。
 これまで訴えたように、殺処分ゼロは、闇処分も含めた真の殺処分ゼロにしなくては意味がありません。次期法改正について、東京都は国にどのような要望をしていくのか、お伺いいたします。
 動物愛護に関連をしまして、これまでも取り上げてきた動物愛護管理センターの新設についてお伺いいたします。
 都には現在、三つの愛護管理センターがありますが、老朽化が著しいため、センターの見直しが急務であり、何度も要望してまいりました。新設に向けて動いていることは大変に喜ばしい限りです。
 昨今は処分機を置かないセンターが称賛を浴びていますが、広域自治体では、新設をするセンターに処分機を置かなくても、そのほかのセンターで処分機を置いて処分をしているケースも多々見受けられます。
 東京都が本当に殺処分ゼロを目指すのであれば、新設をするセンターに処分機を設置しないことはもちろん、都のセンター全てに処分機がない状態にすることだと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 続きまして、待機児童対策と女性の働き方についてお伺いいたします。
 待機児童対策は、女性の働き方を見てみると、保育所をふやす以外にもできることがあります。
 例えば、東京には、個人事業主やフリーランスや非正規雇用の女性が多くいます。作業などは家でできる人や、仕事があるときのみ託児の必要性がある人たちは意外と多いものです。
 私のもとには、そうした女性たちより、毎日預ける必要はないけれど、仕事が入ったときのみ預けることが難しいため、保育所に何とかして入れているといい、仕事が入った場合に単発で依頼するシッター代はとても高い上に仕事経費で認められない不合理があると訴えています。
 仕事のために駐車場代を経費で計上して確定申告をすることは認められているのに、なぜシッター代は計上することができないのでしょうか。これが税制上認められれば、保育所に預ける必要がなく、保育定員を埋めることがないため、待機児童対策にも強力に貢献ができるはずです。実際に、イギリスはシッター代を納税額から一部減らすことができます。
 待機児童が日本一多い東京都から、こうした時代に合わない税制の問題点はもちろん、働く女性の一層の活躍に向け、従来の価値観を転換し、働き方や規制の見直しなど、国に都の特性を踏まえた上で進言するべきだと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、待機児童解消の一助となる既存建物の活用についてお伺いをいたします。
 私の地元世田谷区は待機児童数がワーストと、保育所の絶対数が足りていません。そのため、まずはその数をふやす必要があります。
 認可保育所はもちろん、認証保育所の制度も待機児童解消に有効であることから、都内の基礎自治体は、既存建物を活用し、機動的な開所を目指しています。
 しかし、一枚の紙がないために、開所の基準を満たしているにもかかわらず断念をした事例も報告がされています。
 その紙とは建築物の検査済み証です。都道府県知事が認可をする認可保育所の開設に当たって、都は、要綱により検査済み証の提出を事業者に求めています。しかし、この検査済み証を紛失しているケースは、台帳記載事項証明書の提出でも認められることにはなっていますが、検査済み証自体を取得していないケースでは、それは存在いたしません。
 さきに都庁で開催されました待機児童解消に向けた緊急会議にて、世田谷区長や豊島区長が、そもそもこの検査済み証を取得していないケースも多いと指摘をしているとおり、平成十年では、四割弱の物件しか検査済み証を取得していません。つまり、保育所を開設するに当たり、障壁になっています。
 そのため、世田谷区を初めとした自治体や保育事業者より改善の声が長く上がっていました。現場の声を聞くことは重要であり、私もそうした皆様の声を受け、安全性の確保を大前提に、待機児童問題に機動的に対応できるよう要綱に明記するなど、検査済み証がない場合の代替措置を可及的速やかに講じるべきと要望しましたが、その後の都の対応をお伺いいたします。
 最後に、女性消防団員の入団促進についてお伺いをいたします。
 地域防災のかなめである消防団は、まだまだ男性が多いという印象がありますが、東京特別区では、女性団員は全国最高の一七%です。私もそのうちの一人であり、日々活動する中で女性の視点が必要な場面があると日々実感をしています。
 ところで、現在、消防団は定員を満たしておらず、これまでに学生や女性団員の募集など、団員拡大のためにさまざまな広報活動をしていますが、これまで見落としている訴求層があります。それが単身の女性の層です。
 東京には、地方から上京してきたひとり暮らしの女性や若者が多くいますが、消防団は男性というイメージを持つ人がまだまだ多いのが実態です。
 そうした方々に東京の消防団は女性が多く活躍していることを知ってもらうことが大切です。
 消防団活動を通じて、自身で防災、減災対策を身につけてもらえる機会にもなる上、近所に知り合いなんていないと薄くなりがちな地域とのかかわりも濃くなるというメリットもあり、一層の地域防災と団機能の向上も望めます。
 活動自体も平日の夜や休日が多く、日中に勤めていても活動に参加をしやすいのが消防団の特徴でもあります。
 そこで、団活動のメリットを知ってもらい、若者や特に単身女性の入団の促進を行うべきだと考えますが、消防総監の所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 塩村あやか議員の一般質問にお答えをいたします。
 私からは四点お答えさせていただきます。
 まず、動物愛護に関する条例の制定についてのお尋ねがございました。
 ペットショップなどの動物取扱業には、現在、動物愛護管理法で、省令などによって定められました基準の遵守が義務づけられているところでございます。
 また、平成二十五年に施行されました改正法では、施行後五年を目途として、法の施行の状況について検討を加えまして、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることといたしております。
 都としての対応は、国の検討状況を踏まえて考えてまいりたいと、このように考えております。
 動物愛護管理法の改正に向けました国に対する要望についてでございます。
 動物取扱業者に法令遵守を徹底させて適正に監視指導を行うためには、犬や猫を飼育するケージの大きさなど、飼養の施設や飼養環境に関しまして、省令などにより具体的な基準を盛り込むことが必要と考えます。
 また、我が国の場合は、特にパピー、子犬とか子猫を好む傾向があるわけでございますけれども、そういった犬、猫を販売してはならない週齢、その期間、さらには親から離す時期などについても、改めて検討することが必要だと考えます。
 現在、国は販売規制の期間について調査を行っていると聞いておりますが、都といたしましては、法改正に向けた検討などの機会を捉えまして、国に対して必要な事項を要望していきたいと考えております。
 動物愛護相談センターのあり方についてのご質問でございます。
 私はかねてより、二〇二〇年東京大会までに動物の殺処分ゼロをぜひ実現したいと、このように語ってまいりました。
 現在、動物を負傷や感染症の苦痛から解放する場合には、麻酔薬の注射を用いているわけでございますが、まず、殺処分ゼロが実現いたしますと、そもそも炭酸ガスによる処分機を使うことはなくなると、このように考えます。
 その前に、意識を大きく変えて、そしてまた、意識啓発を行い、さらには高木自民党幹事長のように里親として猫を引き取っていただくというような流れが大きく出てくることを期待をするところでございまして、また、こうしたことも踏まえまして、動物愛護相談センターの今後の役割や機能についても検討を進めてまいります。
 さまざまな就業形態で働く女性の活躍についてお答えをしたいと思います。
 少子高齢化が急速に進展をして労働力人口の減少が見込まれる中でございますが、社会の活力を高めるためにも、女性の力を最大限引き出すことは不可欠でございます。それよりも何よりも、女性自身の自己実現ができる環境や意識の確立が重要と考えます。
 そこで、東京で働く女性の活躍を進めるには、待機児童を初めとする課題の解決とあわせまして、働き方改革を進めることは大きな鍵でございます。
 このため、待機児童解消に向けた障害となっておりますさまざまな規制などにつきましては、国家戦略特区のスキームも活用しながら、規制の改革、税制の改正を国に提案してまいりたいと思います。
 また、生活と仕事の両立が図られるように、今年度から長時間労働の削減、休暇の取得促進、そして多様なワークスタイルの導入など、働き方の改革に取り組む企業を都として支援をしているところでございます。
 こういったさまざまな取り組みを通じまして、女性が真に輝く社会の実現を目指してまいります。
 その他のご質問に関しましては、関係局長からご答弁をいたします。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、多摩川河川敷の犬の飼い主への対応についてでありますが、動物愛護相談センターでは、お話の事案に対応するため、平成二十七年四月から現在まで、二十四回現地を巡回し、犬の飼養状況について確認をしております。
 また、飼い主に対しましては、狂犬病予防法に基づく登録や予防注射を行うこと、人への被害を防ぐため、放し飼いにしないことなどを十三回にわたって繰り返し指導しておりますが、現時点においても、こうした都の取り組みが課題解決に結びついていないという状況でございます。
 次に、本件への今後の対応についてでありますが、本件は河川敷に不法に建てられた家屋等で犬を多頭飼育し続け、放し飼いの犬が人をかんだ事案でございまして、これ以上の被害の発生を防ぐ必要がございます。
 このため、本年十一月からは、放し飼いの犬を確認した場合に、狂犬病予防法に基づき速やかに捕獲できるよう、職員体制を拡充し、巡回頻度をふやすなど対応を強化しております。
 本件を所管する部署は、狂犬病予防法や動物愛護管理法を所管する動物愛護相談センターに加え、河川を管轄する国土交通省、狂犬病予防法に基づく犬の登録等の事務を行う地元の市、咬傷事故等に対応する警察にまたがっており、現在、センターでは、関係者と協議を行い、早急に対策を講じる考えでございます。
 また今後、放し飼いの犬を捕獲するための巡回をさらにふやすため、職員の体制を一層強化してまいります。
 最後に、既存建物を活用した保育所整備についてでありますが、既存建物を活用して、保育所や認証保育所等を整備する場合、建物が建築当時の建築基準関係規定に適合していることを確認する必要があるため、都は事務取扱要綱等において、原則として、検査済み証の写しを提出すること、検査済み証を紛失している場合は、台帳記載事項証明書を提出することと規定しております。
 また、検査済み証の交付を受けていない建物を活用して保育所等を整備する必要がある場合には、建築当時の建築基準関係規定に適合していることを建築主事等が確認した文書を提出することとしております。
 既存建物を活用した保育所整備が進むよう、今月五日には、こうした取り扱いを区市町村へ文書で通知しておりまして、今後、事務取扱要綱等も改定してまいります。
   〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 女性消防団員の入団促進についてでありますが、特別区消防団では、二千四百名を超える女性消防団員が活躍しており、特に防火防災訓練や、応急手当ての指導などにおいて重要な役割を担っております。
 このことから、東京消防庁では、広く都民に対して、ポスター、リーフレット、プロモーションビデオ、ホームページ等を活用し、女性消防団員の入団促進を図っております。
 今後とも、女性消防団員の活躍を紹介するなど、さらに、女性が消防団の活動を理解し、魅力を感じるような募集広報等の充実に努めてまいります。
   〔九番塩村あやか君登壇〕

○九番(塩村あやか君) 知事に再質問いたします。
 命の大量消費地である東京にて、真の殺処分ゼロにするための施策、または条例化の責務があるのかとお伺いさせていただきました。責務があるかについては答弁がありませんでしたので、再質問させてください。よろしくお願いいたします。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 条例とは、憲法九十四条及び地方自治法十四条に基づいて定めるものでございます。
 したがって、条例をつくらなければならない、つまり責務があるという場合には、例えば法令に条例を義務づけるなど法を執行するために必要な場合、あるいは義務を課して権利を制限する場合には定めなければならないという責務がございますが、この場合については、都の一つの施策の方向として、条例をやるかどうかという考え方に基づいて条例の可否というのは判断されるものというふうに考えております。
 先ほど知事が申し上げましたように、動物愛護に関する条例の制定については、現在、国が平成二十五年に施行された改正法で施行後五年を目途として検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしております。
 したがいまして、それを踏まえまして、都としての対応は、国の検討状況を踏まえて考えていくというふうに知事が答弁を申し上げたところでございます。

○議長(川井しげお君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(川井しげお君) これより日程に入ります
 日程第一から第四十まで、第百八十八号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例外議案三十七件、諮問一件、専決一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事安藤立美君。
   〔副知事安藤立美君登壇〕

○副知事(安藤立美君) ただいま上程になりました四十議案についてご説明を申し上げます。
 初めに、第百八十号議案から第百八十九号議案まで及び第二百十一号議案から第二百十七号議案までの十七議案は条例案で、いずれも一部を改正する条例でございます。
 第百八十号議案、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例外四件は、東京都人事委員会勧告等を踏まえ、職員の給与等に関して所要の改正を行うものでございます。
 第百八十四号議案、東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例は、都がマイナンバーを独自に利用する事務において、情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携が可能となったこと等を踏まえ、規定を整備するものでございます。
 第百八十五号議案、特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例は、認定特定非営利活動法人等の海外送金等に関する書類の事前提出等を不要とするなど、規定を整備するものでございます。
 第百八十七号議案、通訳案内士法関係手数料条例の一部を改正する条例は、構造改革特別区域法に基づく特区計画が認定されたことを踏まえ、地域限定特例通訳案内士の登録手数料の額を定めるものでございます。
 第百八十八号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例は、亜鉛にかかわる暫定排水基準の適用期限を延長するものでございます。
 第百八十九号議案、警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例は、道路交通法の一部改正等に伴い、高齢者講習に係る手数料の額を改めるものなどでございます。
 第二百十一号議案、東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例は、知事の給料等について、追加の特例措置を定めるものでございます。
 第二百十二号議案、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例外五件は、国の法令改正等を踏まえ、規定を整備するものでございます。
 第百九十号議案から第二百三号議案までの十四議案は契約案でございます。
 第百九十号議案、東京国際展示場(二十八)増築工事請負契約など、契約金額の総額は約六百八十九億円でございます。
 第二百四号議案から第二百十号議案までの七議案は事件案でございます。
 第二百四号議案は、自治体情報セキュリティクラウドを構成する機器を買い入れるもの、第二百五号議案は、当せん金付証票、いわゆる宝くじの平成二十九年度の発売限度額を定めるもの、第二百六号議案及び二百十号議案は、公の施設の指定管理者の指定に関するもの、第二百七号議案は、杉並区が独自に採用した教員の教育管理職選考等の事務について都が受託するもの、第二百八号議案は、備蓄用の抗インフルエンザウイルス薬を買い入れるもの、第二百九号議案は、買い入れた抗インフルエンザウイルス薬を売り払う条件を定めるものでございます。
 次に、諮問でございます。
 東京都知事代理副知事が行った退職手当の不支給処分について異議申し立てがあったため、地方自治法第二百六条の規定に基づき諮問するものございます。
 次に、専決でございます。
 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例は、施行までの間に議会を招集する時間的余裕がないと認め、専決処分を行ったものでございます。
 上程になりました四十議案の説明は以上でございますが、このほかに人事案を送付いたしております。
 東京都教育委員会委員でございます。
 明年二月二十七日に任期満了となります大杉覚氏につきましては、再任いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(川井しげお君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十五条第四項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会及び教育委員会の意見をそれぞれ徴しておきました。
 議事部長をもって報告いたさせます。

○議事部長(松丸俊之君) 人事委員会の回答は、第百八十号議案から第百八十三号議案、第百八十六号議案及び第二百十二号議案から第二百十五号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。
 また、教育委員会の回答は、第二百十六号議案について、異議はないとの意見であります。

二八人委任第一一五号
平成二十八年十一月二十八日
東京都人事委員会委員長 青山  やすし
 東京都議会議長 川井しげお殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十八年十一月二十四日付二八議事第三七七号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百八十号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
二 第百八十一号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
三 第百八十二号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
四 第百八十三号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
五 第百八十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

二八人委任第一二一号
平成二十八年十二月八日
東京都人事委員会委員長 青山  やすし
 東京都議会議長 川井しげお殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十八年十二月五日付二八議事第三九八号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第二百十二号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
二 第二百十三号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
三 第二百十四号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
四 第二百十五号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

二八教総総第一六二七号
平成二十八年十二月六日
東京都教育委員会教育長 中井 敬三
 東京都議会議長 川井しげお殿
   「都道府県教育委員会の権限に属する事務の一部を、市町村が処理することとする条例」に対する教育委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十八年十二月五日付二八議事第三九九号をもって、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十五条第四項の規定により照会があった議案に係る教育委員会の意見は左記のとおりです。
       記
一 提出議案
第二百十六号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
二 意見
一について、異議ありません。

○六十七番(山内晃君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、第百八十八号議案については、委員会付託を省略し、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、第百八十八号議案は原案のとおり可決されました。

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 ただいま議題となっております日程第二から第四十までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれの所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、日程第二から第四十までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都教育委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔松丸議事部長朗読〕
一、東京都教育委員会委員の任命の同意について一件

二八財主議第四四四号
平成二十八年十二月一日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 川井しげお殿
   東京都教育委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十九年二月二十七日任期満了となるため、再び任命したいので、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第二項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     大杉  覚

      略歴
現住所 東京都目黒区
大杉  覚
昭和三十九年九月二十二日生(五十二歳)
昭和六十三年三月 東京大学教養学部卒業
平成八年四月   成城大学法学部専任講師
平成九年三月   東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了
平成十一年四月  東京都立大学法学部助教授
平成十七年四月  首都大学東京都市教養学部法学系教授
平成十八年四月  首都大学東京大学院社会科学研究科教授
現在       首都大学東京大学院社会科学研究科教授

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(川井しげお君) 追加日程第二及び第三、議員提出議案第十九号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例外条例一件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布をいたしてあります
(議案の部参照)

○六十七番(山内晃君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第十九号及び第二十号については、趣旨説明を省略し、第十九号は財政委員会に、第二十号は厚生委員会にそれぞれ付託されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十九号及び第二十号は、趣旨説明を省略し、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。

○議長(川井しげお君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願三十三件及び陳情三十九件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び議会運営委員会に付託をいたします。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 明九日から十四日まで六日間、 委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、明九日から十四日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、十二月十五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会をいたします。
   午後八時三十五分散会

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