平成二十八年東京都議会会議録第十六号

平成二十八年十二月七日(水曜日)
 出席議員 百二十七名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番大門さちえ君
四番和泉ひろし君
五番山森 寛之君
六番前田 和茂君
七番菅野 弘一君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番おときた駿君
十二番宮瀬 英治君
十三番西沢けいた君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番川松真一朗君
二十一番栗山よしじ君
二十二番小松 大祐君
二十三番堀  宏道君
二十四番松田やすまさ君
二十五番柴崎 幹男君
二十六番舟坂ちかお君
二十七番小松 久子君
二十八番山内れい子君
二十九番上田 令子君
三十番田中 朝子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番あさの克彦君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番清水 孝治君
四十一番鈴木 錦治君
四十二番神野 次郎君
四十三番木村 基成君
四十四番北久保眞道君
四十五番高椙 健一君
四十六番栗山 欽行君
四十七番大場やすのぶ君
四十八番和泉 武彦君
四十九番近藤  充君
五十番西崎 光子君
五十一番両角みのる君
五十二番石川 良一君
五十三番新井ともはる君
五十四番中村ひろし君
五十五番島田 幸成君
五十六番とくとめ道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番藤井  一君
六十四番小宮あんり君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番ほっち易隆君
六十七番山内  晃君
六十八番河野ゆうき君
六十九番島崎 義司君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番田中たけし君
七十二番鈴木 隆道君
七十三番神林  茂君
七十四番早坂 義弘君
七十五番秋田 一郎君
七十六番野上ゆきえ君
七十七番今村 るか君
七十八番斉藤あつし君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番鈴木貫太郎君
八十四番ともとし春久君
八十五番木内 良明君
八十六番長橋 桂一君
八十七番中屋 文孝君
八十八番鈴木あきまさ君
八十九番桜井 浩之君
九十番山崎 一輝君
九十一番三宅 正彦君
九十二番山加 朱美君
九十三番高橋かずみ君
九十四番山田 忠昭君
九十五番林田  武君
九十六番こいそ 明君
九十七番田島 和明君
九十八番古賀 俊昭君
九十九番立石 晴康君
百番大西さとる君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番東村 邦浩君
百九番中嶋 義雄君
百十番宇田川聡史君
百十一番高橋 信博君
百十二番崎山 知尚君
百十三番高木 けい君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番野村 有信君
百二十番高島なおき君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし
 欠員 なし

 出席説明員
知事小池百合子君
副知事安藤 立美君
副知事川澄 俊文君
副知事中西  充君
副知事山本  隆君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務邊見 隆士君
政策企画局長長谷川 明君
総務局長多羅尾光睦君
財務局長武市  敬君
警視総監沖田 芳樹君
主税局長目黒 克昭君
生活文化局長中嶋 正宏君
オリンピック・パラリンピック準備局長塩見 清仁君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長藤田 裕司君
建設局長西倉 鉄也君
港湾局長斎藤 真人君
会計管理局長浅川 英夫君
消防総監高橋  淳君
交通局長山手  斉君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長内藤  淳君
中央卸売市場長村松 明典君
選挙管理委員会事務局長福田 良行君
人事委員会事務局長松山 英幸君
労働委員会事務局長土渕  裕君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長砥出 欣典君

十二月七日議事日程第二号
第一 第百八十八号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第二 第百八十号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百八十一号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百八十二号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百八十三号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百八十四号議案
東京都特定個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百八十五号議案
特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第八 第百八十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百八十七号議案
通訳案内士法関係手数料条例の一部を改正する条例
第十 第百八十九号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十号議案
東京国際展示場(二十八)増築工事請負契約
第十二 第百九十一号議案
警視庁中野警察署庁舎(二十八)改築工事請負契約
第十三 第百九十二号議案
東京都現代美術館(二十八)改修工事請負契約
第十四 第百九十三号議案
東京都障害者総合スポーツセンター(二十八)改修及び増築工事請負契約
第十五 第百九十四号議案
東京国際展示場(二十八)増築電気設備工事請負契約
第十六 第百九十五号議案
東京国際展示場(二十八)増築空調設備工事請負契約
第十七 第百九十六号議案
東京国際展示場(二十八)増築給水衛生設備工事請負契約
第十八 第百九十七号議案
東京都現代美術館(二十八)改修空調設備工事請負契約
第十九 第百九十八号議案
東京都現代美術館(二十八)改修電気設備工事請負契約
第二十 第百九十九号議案
平成二十八年度新砂水門(再整備)建設工事(その三)請負契約
第二十一 第二百号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十二)請負契約
第二十二 第二百一号議案
小名木川護岸耐震補強工事(その一)請負契約
第二十三 第二百二号議案
平成二十八年度中潮橋撤去工事請負契約
第二十四 第二百三号議案
平成二十八年度十三号地新客船ふ頭岸壁(-(マイナス)十一・五m)連絡通路建設工事(その一)請負契約
第二十五 第二百四号議案
自治体情報セキュリティクラウド(外部接続中継システム)機器の買入れについて
第二十六 第二百五号議案
当せん金付証票の発売について
第二十七 第二百六号議案
東京都江戸東京博物館外五施設の指定管理者の指定について
第二十八 第二百七号議案
杉並区学校教育職員の教育管理職選考及び四級職(主幹教諭・指導教諭)選考に係る事務の受託について
第二十九 第二百八号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の買入れについて
第三十 第二百九号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第三十一 第二百十号議案
品川ふ頭外貿岸壁外三施設の指定管理者の指定について
第三十二 諮問第三号
地方自治法第二百六条の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
第三十三 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
議事日程第二号追加の一
第一 第二百十一号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第二百十二号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第三 第二百十三号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第四 第二百十四号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第五 第二百十五号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第二百十六号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第七 第二百十七号議案
東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松丸俊之君) 平成二十八年十二月五日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案七件の送付がありました。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第二百十一号議案、東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例外議案六件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加をいたします。

○議長(川井しげお君) これより質問に入ります。
 百十二番崎山知尚君
   〔百十二番崎山知尚君登壇〕

○百十二番(崎山知尚君) 平成二十八年第四回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をさせていただきます。
 まず冒頭、三笠宮崇仁親王殿下におかれましては、去る十月二十七日、薨去されました。考古学にお心を注がれ、国際親善に尽くされたお姿を、国民はひとしくお慕い申し上げておりました。ここに謹んで哀悼の意を表します。
 さて、質問に入ります。
 就任四カ月を経た小池知事の基本姿勢について、何点かお伺いをいたします。
 知事は、約二十四年間の国会議員活動を経て、この八月に都知事に就任されました。政治家小池代議士と立場が変わり、首長としての小池知事の政治姿勢は変わりましたか。まず初めに、その所感をお伺いいたします。
 これまで小池知事が過ごした国会と地方自治の違いはどこにあるのか。あえて私から申し上げれば、国は一元的な代表制に基づく議院内閣制をとっています。国民によって選挙された国会議員の中から、国会の議決で内閣総理大臣が指名され、総理大臣が各国務大臣を任命し、内閣が組織されます。議院内閣制の場合、当然に与党と野党が形成されることになります。
 一方、国政の仕組みに対して、地方自治は、知事も議員もともに直接選挙で公選される二元代表制で、互いに対等な立場で代表であり、かつ選挙民である住民から大きな責務を任されています。このことは、憲法第八章、九十三条の二項に明記されており、議論の余地のないところであります。
 だからこそ、知事選直後の不信任案提出など、地方議会人としてはあり得ないことなのであり、これをセンセーショナルに実現できるがごとくマスコミに訴える方がいれば、それは民主主義の原点である地方自治を知らない人の発言であります。
 私ども東京都議会自由民主党は、都民の信託を受け、都政に対して責任を持ち、都政の混乱を回避し、都民福祉を最大限に実施していく都民の与党であり、これからも都民の与党であることを肝に銘じて、議会活動をしてまいります。着実に、確実に、派手なパフォーマンスはせず、本会議や委員会での質問を通し、都政を正すとともに、議会の権能である行政の監視、建設的な批判、修正、対案の提案など、精力的に活動をしてまいります。
 そこで、第三回定例会の高木幹事長の代表質問でも触れましたが、改めて二元代表制について知事の所見をお伺いいたします。
 また、知事は、十一月二十五日の定例記者会見において、突如として復活予算を廃止する旨の発言をされました。我が党は、小池知事の発言後、直ちに抗議文を提出いたしました。復活予算は、これまで長年にわたって、知事と議会の意思を予算にバランスよく反映させる仕組みとして続けられてきましたが、議会側に何の連絡も相談もなく唐突に廃止するということは、まさに一方の都民の代表としての議決機関である議会軽視といわざるを得ません。
 また、その内容は、所信表明でも明らかにされました。しかし、議場で知事の所信表明を伺う前に朝のNHKニュースで所信表明の内容を知るとは、考えつかないことでした。所信表明を解説つきで一報道機関に事前にリークするなど、一連の行為は、首長と議会の民主的正当性を無視した行為といわざるを得ません。復活予算を廃止する理由についてお答えください。
 加えて、新年度の予算編成に当たって、知事は、直接、各種団体の皆さんからヒアリングを行うとおっしゃっていました。まず真っ先に現場の声を聞くべきは、築地市場関係者及び関係団体であり、豊洲市場への移転にかかわるさまざまな関係者ではないでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
 また、具体的にどれぐらいの時間をかけ、何団体の意見を聞くのか、一団体当たり何分程度のヒアリングを予定しているのか、お答えください。
 老婆心ながらあえて申し上げますが、予算を編成する知事は、各種団体から見れば、ある意味、優越的なお立場であり、オープンとはいえプレッシャーを感じると思います。くれぐれもご注意をなさってください。
 次に、特別顧問について伺います。
 地方自治体に設置される機関を大別して、公選された首長、知事を中心とする執行機関、このうち副知事、会計管理者、職員などの補助機関に加え、教育委員や、都市計画審議会などの附属機関、そして自治体の意思を決定する我々がいる議会、議決機関であります。
 知事は、就任後間もなく、外部助言者となる特別顧問を十六人委嘱されました。アドバイザーの知見と意見をかりることによって都政を前に進めることには異論を挟む余地はありませんが、その守備範囲を超え、外部助言者としてのお立場で、のりを超えるような発言が目立ち、首をかしげる場面も少なくありませんので、この際、何点か確認をさせていただきます。
 そもそもアドバイザー的な外部助言者である特別顧問の皆さんは、条例ではなく、あくまでも設置要綱によって委嘱された方々であり、知事の都政改革推進のための、いわゆる政治的任用というお立場だと理解をしています。したがって、特別顧問等の立場と権限をより明確にし、その活動の情報公開をさらに進めるために、設置要綱は条例化されることが望ましいと考えます。知事の所見を伺います。
 さらに、特別顧問が知事にかわって職員に施策の指示を出せるのか伺います。もし出せるとするならば、その根拠となる法令等をお示しください。
 また、指示を出せるとするならば、責任の所在はどこにあるのか、改めて知事の所見をお伺いいたします。
 また、特別顧問は、東京都を代表して都政に係る重要な情報を発信する権限があるのか疑問を感じます。
 具体的には、上山特別顧問作成の資料がIOCのバッハ会長に手渡されていたことであります。上山特別顧問は、十月十八日のIOCのバッハ会長と小池知事との面会に同席し、その場で知事がバッハ会長に渡されたようですが、その調査チームの資料の表紙には、ガバナーズ・オフィス・トウキョウ・メトロポリタン・ガバメントと書いてあったと聞いており、当然、知事から会長に渡した資料は公文書となります。
 しかし、東京都としての組織決定をなされていたのか、大きな疑問を感じています。なぜなら、東京都の職制上の組織決定に関与することが義務づけられている担当局長にすら全く知らされなかったものを、なぜバッハ会長に手渡すことが可能だったのか、疑義を感じます。いかがでしょうか。
 加えて、後日、その文書の表紙の部分に訂正がなされました。十月二十八日にIOC事務総長に対して、総務局長とオリンピック・パラリンピック準備局長との連名で訂正の文書を送られましたが、果たして公文書の中身を知らされていなかった総務局長とオリンピック・パラリンピック準備局長との連名で訂正文を送付することの妥当性はあるのでしょうか。
 特別顧問の職務上の責任については、一義的にはみずからが負うとされています。上山氏ご本人か、さもなくば手渡した知事ご自身の名前で訂正文を送付すべきではなかったのでしょうか。知事の見解をお伺いいたします。
 また、五輪会場変更問題では、ただいま指摘した調査チームの報告書において、ボート、カヌー会場を海の森から宮城県長沼ボート場に変更する案が提起をされました。調査チームが九月一日に組織され、その八日後の九月九日、上山顧問は、村井宮城県知事に調査チームの取りまとめ役との立場でメールを送っていることが、村井知事のぶら下がり記者会見で確認をされています。東京都及び組織委員会が過去に調査し、既に取り下げられた長沼ボート場が再び候補地として調査報告書に書かれるに至った経緯を、私たちは知りません。
 そこで、情報公開、都政の見える化を進めるのは知事の意向とも合致すると思いますので、上山顧問と村井知事とのこの間の一連のメールでのやりとりを全て公開していただきたいと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
 また、長沼ボート場の会場変更が実現した暁には、被災者用仮設住宅を選手用に転用するという目的で、小池知事の視察に合わせて改装したものがマスコミに公開されましたが、仮設住宅の改装は誰のアイデアだったのでしょうか。お答えください。
 また、仮設住宅の改装は、いつ、誰が指示したのか。また、その経費と費用の負担者は誰なのか、お答えをいただきたいと思います。
 我が党は、先月二十八日に、二〇二〇年東京大会の経費削減に向けて緊急提言を行いました。主な内容は、三兆円とひとり歩きしている大会経費の正確な公表、総経費の削減に向けて、セキュリティー要員に自衛隊の支援をお願いすること。さらには、地域消防団等の皆さんにも自主的なご協力をお願いできれば、ホストシティーとしての機運の醸成も期待できると述べました。また、チケットキャンセルの有効活用、国庫補助金の導入などの提言を行いました。ぜひ実現に向けてご検討ください。知事の見解をお伺いいたします。
 そして、その翌日に行われた東京五輪パラリンピック大会での見直しを議論する、いわゆるトップ四者協議が開催されました。知事は当初、二十九日までに結論を出したい旨の発言をしていたものと理解をいたしております。
 また、ボート、カヌー会場の長沼はどんな経緯で断念したのか、知事の見解をお伺いいたします。
 フルオープンの四者協議では、その冒頭で不思議な光景を拝見いたしました。四者がなかなかそろわず、会議の開始がおくれました。最後に知事が会場に入り、四者がそろったところで会議が始まるや、知事は活発な議論を避け、先に結論を話し始めました。アクアティクスセンターは一万五千席にして新設、ボート、カヌーは海の森で、そして有明アリーナの結論は先延ばしにされました。
 そのとき知事は、クリスマスまでに結論を出したいので猶予をいただけないかと先ほどコーツ委員長と話をしたと述べられました。要は、会議の開始がおくれたのは、コーツ委員長とカメラのないところで打ち合わせをした上でカメラのある会場に来たからだと一部マスコミが報道しています。情報公開、都政の見える化を標榜する小池知事としては、このときの経緯、決して陰で手打ちをしたのではないということを、都民、国民に説明をする必要があると思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
 また、知事は、横浜アリーナでの開催の可能性を検討する上で、横浜市の意向を受け、これからクリスマス前までの間、何をなさるおつもりでしょうか。議会の場でつまびらかにしていただきたいと思います。お答えください。
 さらに、先日の記者会見で、横浜アリーナの問題に関する横浜市から東京都に出された、横浜市の考え方についてという文書を、知事は十二月一日に初めて知ったと述べられました。これが事実なら、横浜市の文書を見ずに十一月二十八日の四者協議に臨み、横浜市の考え方を知らずに結論を先延ばしにしたことになります。実はこの文書は、十一月二十五日にオリ・パラ局職員に届けられており、その後、オリ・パラ局職員は、都政改革本部に横浜市職員を案内し、上山特別顧問らにこの文書を手交したことがわかっています。さらに、十一月二十七日には、上山特別顧問を交えたワーキンググループが開催されており、この文書の情報が共有されているはずであります。
 四者協議に臨むに当たって、知事がこの文書の存在を十二月一日まで知らなかったのは事実でしょうか。お答えください。
 事実であるとするならば、上山特別顧問は、なぜ文書の存在と内容を知事に知らせなかったんでしょうか。知事と上山顧問との間のガバナンスの問題として、これは看過できないことです。事実関係を正確にお答えいただきたいと思います。
 また、知事は先週の定例記者会見では、オリンピック施設の見直しの質問に対して、ネズミどころか、大きい頭のネズミがいっぱいいることがここでわかったじゃないですか、報道陣に対して、これから黒いネズミをどんどん探していきたいので、ジャーナリズムとしてそちらの方を研究されたらいかがでしょうかとお答えになりました。このような発言は、公職につく者として恥ずべき発言であると思うところであります。
 少なくとも、私の目には、大きな黒い頭のネズミは見当たりません。もしかしたら、知事の思いどおりにならない方のことをおっしゃっているのでしょうか。この大きな黒い頭のネズミとは、一体誰のことですか。はぐらかさず、明確にお答えください。そして、その理由もお答えください。
 もう一方、特別顧問の鈴木亘氏についても、ご自身にお聞きをしなければなりません。今定例会の所信表明演説でも一言だけ触れられていましたが、混合介護についてであります。
 知事は、十一月十日、高齢者施設の視察を行いました。機動的に、そして必要に応じて現場に赴くこと、政策判断の参考にされることは、大いに結構なことだと思います。
 しかし、その翌日の新聞を見て驚きを禁じ得ませんでした。特区で混合介護推進、小池知事が表明との見出しがあり、予算にも盛り込みたいとのコメントが記されていました。急ぎ担当職員を呼び、混合介護についての資料と国の動向について問い合わせをしたところ、示された資料は公正取引委員会の資料のみでした。担当者からは、これ以上の説明をする材料はないとの回答で、仕方なくウエブ上で調べると、特別顧問の鈴木亘氏の名前がヒットしました。
 小池知事は、担当局及び職員には全く知らせず、特区とはいえ、余りにも唐突に混合介護の導入を決断されました。このことの賛否を議論する機会を都庁内に設けることなく、一人の特別顧問の意見のみによって、このような重大な政策が決定されたことは、正常な組織の手続とは思えず、極めて稚拙で拙速な決断だといわざるを得ません。
 知事がおっしゃるブラックボックスとは、このことを指すのでしょうか。鈴木亘特別顧問との二人だけでお決めになったことでしょうか。この場で事のてんまつをご存じなのは、知事お一人です。介護保険制度は、我が国の社会保障制度の根幹をなす、いざというときのセーフティーネットです。混合介護導入決断に至る経緯と、極秘裏に進めてきたその考え方についてお伺いをいたします。
 こうした対応は、情報公開を進めるとしている知事の発言とは明らかに違います。我が党は、計画段階から都民参加を訴え、都民目線で都民福祉の最大値を目指しています。それには、都庁の組織力を最大限活用し、都民ニーズを把握し、計画をつくり、都民の皆様に提案し、ご説明し、ご理解をいただきながら施策を進めてきました。都庁の組織力で及ばないところがあれば、民間の英知をかりながら都政を前進させてきました。
 開かれた都政とは、常日ごろから都民の意見が都政に反映する行政運営であって、マスコミに都合のいい情報を提供することではありません。ましてや、知事に都合のいい情報を一方的に流して情報操作することでもありません。
 都議会には、我が党と考え方の異なる会派も当然あります。その中で、都民の幸せの追求を第一に考え、その上で自己の正当性を主張し議論する場が、この都議会であります。それこそが民主主義であって、地方自治の活力の源泉であります。
 ところが、就任以来の知事の都政運営は、議会に都政の計画や事業を付す前に、一方的な報道発表により既成事実化を図ることが目立ちます。これは、反対意見を封じ込める極めて不健全な都政運営です。それも、知事みずからが選んだ外部助言者である特別顧問の意見が、東京都の公式見解であるかのように公表されるスタイルが目立ちます。
 都庁の優秀な職員の能力と組織力を軽んじ、顧問政治または側近政治を重視することは、都民ファーストを標榜する知事の目指す方向とは逆行するのではないでしょうか。
 さらには、副知事を中心とするトップマネジメント体制を確立して、その補助機関である職員を掌握する努力をなぜしないのでしょうか。所見をお伺いいたします。
 さて、我が党は四年前に、東京を世界で一番の都市にと題した政策集をまとめました。この政策を柱に、今任期の都政のかじ取り役を担わせていただいていると自負しています。
 そして、私たちの目指す目標に追い風となる結果が先日発表されました。森記念財団が毎年公表している世界都市ランキングです。ことしは、パリを抜いて、昨年の四位から三位へと一歩前進する結果となりました。また、米国の富裕層向け旅行誌コンデ・ナスト・トラベラーの読者投票では、東京が世界で最も魅力的な都市に選ばれました。
 我が党の取り組みは、単に世界からの評価を得るためのものではなく、東京の魅力を引き出し、これからもさらに輝き続け、そして山積する課題を一つ一つ地道に解決していく、その強い意思を標榜したものであります。加えて、日本の首都たる役割を果たす責任が東京にはあります。
 過日、五年に一度行われる国勢調査の確定値が示されました。既に我が国は人口減少社会に本格突入したとはいえ、東京は、一部の地域で人口が減少したものの、引き続き転入超過、社会増となりました。それは、まだ東京が教育、文化、ビジネスに活気があり、人を引き寄せる魅力的な都市だからと考えます。
 さらに、若い人が希望を持って結婚し、東京で子供を産み育てたくなる社会経済環境をつくることが都政の喫緊の課題と考えます。少子化対策としてのさまざまな子育て支援策の充実が重要であります。
 我が党がかねてから求めてきた待機児童解消のための取り組みは、第三回定例会での保育士のキャリアアップ補助を初めとする処遇改善等の百二十六億円の補正予算決定で、子育て支援を大きく前進させました。
 しかし、東京への流入による人口増も、二〇二〇年東京五輪パラリンピック大会をピークに減少するとの予測もなされています。国も、人口規模の縮小がイノベーションを停滞させるおそれがあるとともに、社会保障費の増大によって働き手一人当たりの負担が増加し、勤労意欲にマイナス影響を与えるとして、危機感を募らせています。
 東京の繁栄は、今まで地方出身の方々によって支えられてきたといっても過言ではありません。つまり、地方の疲弊は回り回って東京が疲弊していくことにほかならず、それは我が国の国力の低下に直結します。だからこそ、国には地方創生に力を入れていただかなければなりませんし、東京もみずからのこととして、東京にできる地方創生の有効な施策を展開する必要があります。
 このことは、これさえすればというような決定打もなければ奇策もありません。これまで、東京の出生率が低下しても、第二次ベビーブーマーや転入増によって出生数、つまり子供の数が減らないことが要因となって、本格的な議論や具体的な施策を打ち出してきませんでしたが、もう待ったなしの状況です。このままでは人口減は加速度的に進むと見られ、少子化に歯どめをかけることは、首都東京の責任でもあります。
 そこで、都内で最も人口減少の顕著な多摩・島しょ地域への対応も含め、抜本的な少子化対策について、知事の所見をお伺いいたします。
 さて、我が都議会自民党は、これまで九年間にわたり、入札契約制度PTにおいて、建設請負や業務委託などの契約において受注者の過度のダンピングが横行し、社会資本の品質や住民サービスの質が著しく損なわれていく状況を変えるべく活動をしてきました。この活動の最中には、東日本大震災と復興支援事業の集中的実施などにより労務費や資材価格が上昇し、需給バランスが崩れ、これを契機として構造的な担い手不足が顕在化し、一転して入札不調が増加する状況にも直面いたしました。このような相反する状況の中でも、都政改革を前に進めるため、さまざまな具体的な提言をしてきました。
 知事は、我々とは異なる考えをお持ちのように見えますが、まず、現在に至る入札契約をめぐる社会経済状況というものをどのように認識しているのか伺います。
 この間、我々が持ち続けた問題意識は、いかに公共調達の品質を確保し、持続的な都民サービスにつなげるのかということに集約できます。そのためには、発注者である都が、受注者のみならず下請企業も含む事業者やその従業者が技術力を培い、それを十分に活用できる環境を整備していくことが極めて重要です。この我々の考え方は、国においても品確法の改正という形で結実いたしました。
 だからこそ、発注者が市場価格を反映した適正な予算価格で調達を実施し、サプライチェーン全体の持続性を保っていくことこそが、その出発点であります。発注者のみがコストカットの恩恵を受け、そのツケを受注者、さらにその下請業者にしわ寄せするような公共調達は、決して長続きはしません。その意味で、公共調達が目指すべきは、コストカットではなく、公平、公正な競争性があり、そして品質の確保を図ることであります。
 そこで、公共調達の役割、考え方について、知事の所見をお伺いいたします。
 知事は、改正された品確法をご存じなのでしょうか。そこには、知事や側近の方々が信奉している最低価格自動落札方式、つまり、安ければよい、安くてもよいという発注者の考えでは到底実現できない理念が、この法律にはうたわれています。
 我々は今、都がこの改正品確法の理念を実現するために、発注者としての責任と行動をもって公共調達に臨むことが、二〇二〇年大会のレガシーにもつながるものと考えています。制度の運用というものは、社会経済状況にかかわりなく常に有効に機能するものではありません。それゆえ、断片的な欠陥なら幾らでも批判できます。しかし、それでは単なる批評家であり、行政の責任者ではありません。
 その意味で、知事及び側近の皆さんが現状の制度や運用のどこに課題があり、どのようにしていくべきか、ぜひ全体像を示した所見をお伺いいたします。
 また、財務局が主催し、有識者によって現在の入札契約制度の実施方針を取りまとめた入札契約制度改革研究会があります。この会は、現在もその役割を担い、必要に応じて開催できる仕組みになっているはずであります。
 知事は、就任から今日まで、都政改革会議を初め、知事の肝いりで数多くの会議体を立ち上げられました。新たに、入札契約制度をテーマにして、研究会の学識経験者の皆さんと都政特別顧問とで、今後の都の入札契約制度のあり方について、公開による議論の場を設けてみてはいかがかと提案いたします。知事の所見を伺います。
 次に、無電柱化についてであります。
 我が党の政策集には、東京から電柱をなくしますと明記して、これまで機会あるたびに都側に無電柱化のさらなる推進を求めてきました。熊本地震の報告書でも、電柱の傾斜や倒壊によって救急救援活動や支援物資の輸送、復旧に支障が生じたと記されています。
 知事の所信表明では、東京から電柱をゼロにする無電柱化を推進する条例案を検討するとの発言は、我が党とまさに軌を一にするものであり、さらに加速化する取り組みを求めます。
 具体的には、一昨年十二月に策定した無電柱化推進計画をバージョンアップさせることです。この計画では、平成三十年までに都道七百十七キロ、区市町村道百九十キロ、合わせて九百十キロを無電柱化するとされていますが、まずは整備計画を上方修正すること、加えて、優先的に整備を進めるとしていた東京大会競技場周辺に限定せず、区市町村への支援を拡充し、さらには民間電線管理者との合意形成が必要です。それには当然、財政的な支援の仕組みの充実が伴います。
 知事並びに建設局長に、その取り組みについての具体策と所見をお伺いいたします。
 また、防災の観点から道路整備についてお伺いします。
 東京の区部の大きな課題は木密対策です。このことについて、知事は所信表明で触れていました。この問題は、もとをただせば帝都復興事業の総予算が縮小されたことに起因しますが、前回の東京五輪以降、都市の不燃化対策と土地政策が手薄だったため、特に山手線の内外、環七通り沿いの小規模住宅地が老朽化、そしてさらなる小規模化によって、いわゆる木密地域となりました。
 しかし、阪神大震災、東日本大震災の教訓に加え、首都直下地震の切迫性が叫ばれ、平成二十二年に木密不燃化十年プロジェクトがスタートいたしました。この事業の画期的なところは、十年間という終期を定めたこと、地元区も含め局横断で、一時的な避難場所や避難路にも使え、延焼遮断帯となる特定整備路線を整備し、整備地域内の不燃領域率を七〇%にしていくというものです。
 大切なことは、特定整備路線と面整備を同時に進めていくことで、緊急自動車等の通行を可能にする幅員六メートル程度の防災生活道路の拡幅整備と建てかえによる不燃化を促進することにあります。
 既に木密不燃化十年プロジェクトの終期まであと四年となり、都は、特定整備路線の整備を強力に進めていくとしていますが、災害時の救援活動には、防災生活道路の整備や沿道の不燃化も必須となります。
 知事は、木密対策の充実、前倒しをかねてからいわれておりますけれども、具体的には何を充実、前倒しされるのか、知事の所見を伺います。
 知事は先月、記者会見で豊洲移転に向けたロードマップを示し、環境アセスが順調に進めば、来年の夏に総合的な判断をして、冬から再来年の春には移転に向けた環境が整い得ると説明されました。このことだけであれば、豊洲移転に向けた具体的なステップとして受けとめることができます。
 しかしながら、その一方で、記者とのやりとりでは、移転が確実とはいえないと答え、その翌日の朝刊では、市場問題PTが築地市場の存続を検討する方針であるといった記事も掲載されています。知事が一体どういうスタンスでこの問題に向き合っているのか、築地市場の事業者の皆さんは、はかりかねています。
 こうした中、議会として、豊洲市場移転問題特別委員会も先週から実質的な審査に入りました。審査の主な内容は、専門家会議、市場問題プロジェクトチームの両調査の経過報告でありました。
 質疑を通して、市場問題PTでは、豊洲市場建屋の構造の安全性は、積載荷重、耐震設計においても法令上の問題はないことが確認され、少なくとも建屋の安全性には問題がないとの結論が出ました。
 今後は、既に第三回定例会で我が党の代表質問に環境局長が答弁したように、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策は、法律上求められる対策は適正に行われていたのですから、常識的には安全性は担保されていると考えます。したがってこれからは、都民の安心をどうつくり上げていくのかという観点で、専門家会議の皆さんの英知を結集し、一日も早く結論を導き出していただくことです。
 当日の委員会で我が党から求めたことは、安心・安全には丁寧であることはもちろんですが、迅速に両会議での議論を進めるよう、知事から関係者に指示すべきというものであります。環境アセスメントが変更で済むのか、やり直しになるのかは重要な問題ですが、変更で済むならば、私たちは、総合的な判断の時期をさらに前倒しできると考えます。知事の所見を伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会について伺います。
 まず、パラリンピックについて伺います。
 前回の定例会で、知事は我が党の質問に対し、パラリンピックの認知度向上や機運醸成、パラリンピックを見据えた施設整備などを行うことで、二〇二〇年大会を、誰にとっても住みやすい東京の実現への大きな転換点として、全力で成功へと導いていくとビジョンを語られました。
 東京大会に向けては、もう既に四年を切ったところであり、あらゆる面において取り組みを加速させていかなければなりません。そこで、東京大会に向けて、都として今後どのように準備を行っていくのか伺います。
 次に、会場に至るアクセス経路のバリアフリー化について伺います。
 競技会場には、オリンピック時は座席数の〇・七五%、パラリンピック時は一から一・二%の車椅子の座席が用意され、新国立競技場周辺や競技会場の集まる臨海部には、多くの車椅子の観客が集中することが想定されます。
 そこで、会場内だけでなく、駅から会場に至るアクセス経路についても、アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえ、連続的にバリアフリー化を進め、円滑な移動を確保していくことが、大会の成功やレガシーという観点から非常に重要です。
 都は、競技会場に至るアクセス経路のバリアフリー化についてどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、競技会場周辺駅の都営地下鉄のバリアフリー化について伺います。
 メーンの競技会場である新国立競技場の直近には大江戸線の国立競技場駅があります。この駅は、既にいわゆる一ルートが整備されておりますが、地上へのエレベーターは十一人乗りで、車椅子利用者は一人しか利用できません。なおかつ、駅が深いため往復に時間がかかり、車椅子利用者が集中すると円滑に移動できないおそれがあります。
 国立競技場駅などの会場駅周辺については、こうした需要に適切に対応できる規模のエレベーターを整備するなど、バリアフリー化を、より一層充実させることが重要です。そこで、競技場周辺駅について積極的にエレベーターの整備を進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、障害者スポーツについてです。
 我が党は、障害者スポーツが都民、国民の日常に溶け込んだ東京を実現することこそが、二〇二〇年大会のレガシーの最たるものになると主張してきました。障害のある方が身近な地域で気軽にスポーツを始められるよう、場所や人材等の環境を整えていくことも大切です。さらに、選手の発掘、育成や選手の受け皿となる競技団体の体制強化も、都として取り組んでいくべき重要な課題です。
 こうした障害者スポーツのさまざまな課題に対して、都は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 次に、新たなスポーツ推進計画の策定についてお伺いをいたします。
 我が党は、全ての都民を元気にするスポーツ文化都市の実現を公約に掲げて、都のスポーツ振興に取り組み、二〇二〇年大会の招致実現を初め、数多くの成果を上げてきました。そして、東京は今、二〇一九年ラグビーワールドカップ及び二〇二〇年東京大会開催を控え、スポーツ振興の大きな転換期を迎えています。この二つの世界大会を起爆剤に積極的な取り組みを展開していくことが、世界一のスポーツ都市東京の実現につながります。
 知事が所信表明で述べていた新たなスポーツ推進計画は、二〇二〇年東京大会だけではなく、その先も見据えたスポーツを通じて東京を発展させるための羅針盤となるものでなければなりません。
 都は、スポーツ都市東京の実現に向けてどのような計画を策定していくのか、見解を伺います。
 次に、築地市場の豊洲移転について伺います。
 都は、移転延期に伴う損失補償の検討を進めています。延期決定から既に三カ月、一刻も早く補償スキームを明らかにし、事業者に知らせるべきであります。
 同時に、実際の補償まで事業者は資金繰りに奔走せざるを得ません。都は、我が党の要望に応え、仲卸事業者向けの融資を開始しましたが、事業者の状況を踏まえたさらなる支援の拡充が必要です。
 また、既に多くの事業者がさまざまな設備を豊洲に設置し、電気代などの維持管理の負担がふえています。施設を管理する都として、事業者負担を考慮した責任ある対応をとるべきです。
 さらにいえば、知事は記者会見で補償金を市場会計で賄うといっています。事業者の納める使用料を充てるつもりなのでしょうか、明確にすべきであります。
 都は、移転延期に伴い大きな影響を受けている市場業者の負担を考慮した適切な対応を進めるべきですが、見解を伺います。
 ロードマップでは、豊洲への移転は早くても一年後の冬、市場業者と移転時期を調整するとなると翌年の春まで延びることも考えられ、少なくとも一年から一年半の間、築地市場を使い続けることになります。知事は、このことの大変さを理解しておられるのでしょうか。
 開設から八十年以上が経過した築地市場の老朽化は著しく、耐震性やアスベストの問題など、施設面でさまざまな課題を抱えています。豊洲への移転は、この間さまざまな曲折を経ており、移転方針が示された後も、その時期はたびたび延び、都にしても事業者にしても、無駄な投資を避けるため、移転まで何とか持たせようと、だましだまし使ってきたのです。豊洲市場が実現するまでの間、開設者として築地市場の機能を確保する責務を果たすとともに、事業者への補償や支援にも取り組むべきですが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、都市政策について伺います。
 最初に、誰もが快適に利用できることのできるトイレの整備について伺います。
 トイレを見れば、その国の文化がわかるといわれます。我が国における公共や民間のトイレは概して清潔で、加えて、温水洗浄便座が普及するなど、クールジャパンを象徴するといっても過言ではありません。二〇二〇年に向け、こうした清潔で公衆衛生にすぐれた国民性をアピールすることは、日本全体のイメージを向上させます。急増する外国人旅行者をおもてなしするためにも、この文化をより洗練させていくべきです。
 そこで、トイレの洋式化は、高齢者や障害を抱える人にとっても意義があります。超高齢化社会に向け、バリアフリー化という観点からも洋式化を強力に進めることが必要です。これは、東京トイレ革命とも呼ぶべきものであります。もちろん、一朝一夕にはこの革命はなし得ません。
 そこで、区市町村や民間への波及も見据え、全庁横断の調整を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 同時に、こうした動きを加速していくために、都みずからも率先して整備に取り組むことが必要です。そうした点において、我々都民にも身近で、東京を訪れる外国人にとっても、日本文化を体感できる都立公園や庭園の対応は、おもてなしの観点からも喫緊の課題です。近年のインバウンドの状況を見ても、都立公園等において、誰もが利用しやすいトイレの整備に積極的に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 さらに、公立学校のトイレの整備について伺います。
 都内公立学校のトイレは、住宅等に比べ和式便器が多く残り、また老朽化による問題から、児童生徒が敬遠している状況です。また、学校には災害時の地域避難所としての役割も求められます。東日本大震災や熊本地震の際、学校施設のトイレにさまざまなふぐあいや不便が生じたことから、災害時に高齢者や障害の方々など、さまざまな避難者の使用を想定したトイレの確保は重要な課題です。首都直下地震等を踏まえ、地域の避難所としての機能を強化するためにも、学校のトイレ対策が求められます。
 そこで、都内公立学校におけるトイレの整備について、今後の取り組みを伺います。
 次に、インフラの予防保全型管理について伺います。
 東京のインフラは、高度経済成長期に集中的に整備されたため、建設後既に三十年から五十年の期間が経過をいたしております。それゆえ、今後多くの施設が一斉に更新や大規模補修の時期を迎えることから、東京のインフラの老朽化対策は喫緊の課題であります。
 東京のインフラがその機能を果たせなくなることは、ついこの間起きた東京電力の洞道における火災事故や、博多での地下鉄工事中の道路陥没事故からもわかるよう、都民や都市機能に甚大な被害を与えてしまいます。
 東京の道路、河川が本来の機能を提供し続け、都民に安心・安全を与え続けていくためには、日々の点検に応じた対策を実施することはもとより、壊れてから対応する対症療法型の維持管理から転換して、計画的に更新を進める予防保全型管理をインフラ全般に拡大していく必要があると考えますが、都の所見を伺います。
 次に、外環の整備推進について伺います。
 首都圏三環状道路の一つである外環は、交通渋滞の解消や迅速かつ円滑な物流に資するとともに、防災力を高める上で重要な高速道路であります。
 このため、都議会では、超党派による外かく環状道路建設促進議員連盟を平成十三年に結成し、さまざまな取り組みを行ってきました。こうした取り組みなどにより、平成二十一年に関越道から東名高速間が事業化され、現在、国など事業者により整備が進められています。
 外環の早期整備に向け、都も積極的に取り組むべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、環境エネルギー施策について伺います。
 災害廃棄物処理計画の策定に向けた取り組みについてでありますが、災害からの早期復旧、復興を図るには瓦れき処理が何よりも重要です。発災後、ちゅうちょする間もなく、直ちに災害廃棄物処理の方針を定め取り組まなくては、その後の取り組みに大きな支障となりかねません。
 熊本地震においては都も職員を派遣し、災害廃棄物処理実行計画の策定や近隣自治体との連携などについて支援したと聞いております。都においても、災害廃棄物処理計画を策定しているところですが、熊本の今の現状を調査し、計画に反映させる必要があります。
 都は、熊本地震で得られた教訓や経験を、どう計画の策定に反映させていくのか、考えを伺います。
 世界で一番の環境都市を目指す首都東京は、省エネルギーを大幅に進めるとともに、CO2を排出しない再生可能エネルギーをふやしていくことが必要です。
 太陽光発電については、昨年、携帯電話やスマートフォンに充電する自立型ソーラースタンド、いわゆるシティーチャージが設置されました。都民や訪日観光客など、誰でも無料で充電でき、好評を得ていると聞いています。このシティーチャージには蓄電池も内蔵され、災害発生時においても利用可能ですが、さらにサイネージなどの機能もあわせ持てば、誰もが身近に再生可能エネルギーを実感でき、観光振興と防災の両面で役立つとも思われます。
 こうしたシティーチャージを普及させていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 続いて、福祉政策について伺います。
 まず、待機児童解消に向けた取り組みについてであります。
 我が党はこれまでも、待機児童ゼロを実現するために都に対してさまざまな政策提言をし、国をリードする施策を実現してまいりました。
 さきの第一回定例会からは、整備目標の見直しや保育人材の確保策など、さらなる取り組みの強化を繰り返し求めてきました。
 都は、待機児童解消に向けた新たな支援策を平成二十九年度予算に反映していくとしています。保育人材不足は深刻であり、現場で保育を担う職員の処遇を確実に、かつ早急に改善し、人材の確保、定着を図る必要があります。
 そこで、実施主体である区市町村や保育事業者と意見を交わし、取り組み状況や課題、処遇改善の状況を把握しながら、キャリアアップ補助の充実など待機児童対策をさらに強化する必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。
 待機児童の解消が一刻も早く解決すべき喫緊の課題であることを踏まえれば、従来の対策の拡充に加えて、新しい対策を取り入れることも重要であります。
 その一つとして、税制の活用が考えられます。例えば、更地を所有するオーナーが、その更地を保育施設のために貸し出す場合、税負担が土地供給の妨げになっているとの声が寄せられており、特別区議会議長会や区長会からも、民有地の供給を促進するため、固定資産税の減免など税制の優遇措置を要望する声が上がっています。
 今年度の東京都税制調査会の答申では、都の重要施策を支援する税制の役割が提言されており、現在の待機児童の状況を踏まえれば、公平性の確保という租税原則は重要であるものの、特例措置として税制面からも手当てを講じ、こうした声に応えるべきであります。
 都は、保育施策の整備促進に向けて、税制による支援も活用すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 本年四月に、障害者への不当な差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供を求める障害者差別解消法が施行されました。差別解消法に関しては、障害のある方々から、差別を受けたときにどこに相談したらいいかがわかりづらいといったご意見を聞いています。
 知事は所信表明で、障害のある方々への差別をなくすための取り組みを一層推進する条例案の策定について、検討を開始すると述べられました。条例策定に当たっては、こうしたことも踏まえ、検討を進めていくことが必要と考えますが、都の所見を伺います。
 次に、ユニバーサルデザインのまちづくりについて伺います。
 東京大会に向けた都立競技施設の整備では、大会組織委員会が定めるバリアフリーの指針であるアクセシビリティ・ガイドラインの遵守はもちろん、障害者団体から使い勝手について意見を伺いながら整備を進めていると聞いております。障害者等の当事者を含めた都民からのさまざまな意見や要望を伺いながら整備を進める手法は、道路や公園などの身近な施設や設備の改修にも有効であり、障害者への理解を促進するためにも重要であると考えます。
 東京大会の開催やその後も見据えて、今後、都はユニバーサルデザインのまちづくりにどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、家庭的養護の推進について伺います。
 先月、東京都児童福祉審議会から、家庭的養護の推進についてという提言が出され、家庭と同様の環境における養育のさらなる推進に向け、今後都が取り組むべき施策の方向性が示されました。
 都は提言を受け、今後どのように家庭的養護を推進していくのか、基本的な方向性を伺います。
 次に、健康寿命の延伸に向けた取り組みについて伺います。
 最近、フレイルという言葉を耳にします。厚生労働省の資料によると、フレイルとは、加齢とともに筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態とされています。ただし、適切な介入、支援により、生活機能の維持向上が可能ともいわれています。
 高齢化が進む中、健康寿命の延伸に向け、今後、都としてフレイルの予防にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 次に、産業政策について伺います。
 商店街は、古くは楽市楽座までさかのぼるともいわれ、長きにわたり市民の暮らしを支える生活の場として存在してきました。現在でも、買い物だけでなく、通勤や子供の送り迎えなど、人々の生活動線が交差する場として、地域の中で重要な役割を果たしています。
 しかし、昨今、ライフスタイルの多様化や商店主の高齢化など、商店街を取り巻く環境は大きく変化しています。
 都は、さまざまな商店街振興策を講じてきましたが、商店街が抱える課題が多様化する中、解決へ向けた道筋を見つけられずにいる商店街も多いと思います。商店街がそれぞれの課題をしっかりと把握した上で、みずから知恵を絞り、将来を見据えた取り組みを展開できるよう支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 近年、企業経営の中で、リスク管理の必要性が叫ばれています。風水害や地震などの自然災害が頻発し、インターネット上での情報流出も社会問題となっています。こうしたさまざまなリスクへ適切に対応するためには、災害などの緊急事態が発生したときに効果を発揮するBCPの策定や、ICTなどへのセキュリティー対策が重要であります。その一方で、このような危機管理対策は、専門性が高く、投資も伴うことから、特に中小企業においてはなかなか前に踏み出せないとの声が聞かれます。
 首都直下地震やサイバー攻撃など、さまざまなリスクに直面する首都東京において、中小企業の危機管理対策への支援を一層充実させるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 産業の活性化に向けては、観光の振興も重要です。観光関連の事業者が外国人旅行者のさまざまなニーズに対応できるよう、都としてしっかりサポートすることが重要であります。
 事業者にとっては、外国語表示や利用者のための情報インフラを整えるとともに、サービスの質を高める取り組みなども、経営上の重要な課題となると考えます。また、特にトイレについては、外国人に合わせた洋式の設備を整えることが欠かせません。こうした対応をサポートしつつ、観光関連事業者の経営効率化など、マネジメントの力を高めることが重要であります。
 今後、成長が期待される観光産業の発展に向け、事業者の経営力の強化につながる支援を充実すべきと考えますが、所見を伺います。
 安倍政権では、現在、一億総活躍社会の実現や働き方改革の実現を、一丁目一番地の政策として取り組んでいます。誰もが希望や能力に応じて最大限活躍できる環境を整備し、多様な個人が能力を発揮できる社会をつくっていくことは喫緊の課題です。
 このような中で、働く意欲と能力があるのにもかかわらず、難病やがんなどの病気によって職場での活躍を諦めざるを得ないことは、社会にとって大きな損失です。
 これまで都は、難病患者の就業支援については、障害施策とあわせて進められてきました。今後は、難病患者やがんサバイバー、がん患者の方々が、治療と仕事を両立しながら、希望とやりがいを持って生き生きと働けるよう、一歩踏み込んだ就業支援を行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 東京五輪が開催される二〇二〇年には、団塊の世代が七十五歳に差しかかり、介護ニーズは一層の増加が見込まれます。全国では既に、年間十万人を超えるともいわれる方が介護を理由に離職していますが、介護に従事する方の多くは四十代、五十代であり、企業にとってはまさに中核と呼べる方々です。こうした人材の離職は、人材確保に苦しむ中小企業にとっては、経営存続にかかわる大変深刻な問題です。
 企業の中核を担う方々が介護を理由に退職することのないよう、企業を積極的に支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、安心・安全対策について伺います。
 防犯カメラの設置補助についてであります。
 都の刑法犯認知件数の減少は、警察の取り締まりに加え、地域における防犯ボランティア団体の活動や防犯カメラの設置促進が寄与したといわれています。しかし、都内の設置状況を見ると、設置地域に偏りが生じております。地域の治安情勢の違いもありますが、資金力の差も要因の一つと考えられます。今後は、希望する全ての団体が設置できるよう、負担軽減なども検討が必要であります。
 また、保護者などからは、子供が安全に遊べるよう公園に防犯カメラを設置してほしいとの声を聞きます。都として、地域の安心・安全の向上を図るために、住民にとって身近な公園への防犯カメラの設置が進むよう、区市町村を支援していくことも重要だと考えます。
 今後、地域の防犯力を高めていくため、防犯カメラの設置促進を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、教育政策について伺います。
 まず、私立学校助成に対する基本的な考え方について伺います。
 東京の私立学校は、建学の精神と独自の教育理念に基づく個性豊かな教育を展開し、多彩な人材を育成してきました。こうしたことから、都議会自民党は、長きにわたりさまざまな努力と工夫により、すぐれた教育を行ってきた私立学校への支援を重要な政策の柱と位置づけ、取り組んできました。学校に対する基幹的補助である経常費補助を充実させ、教育条件の維持向上に力を尽くすとともに、どのような環境にあっても、私学を希望する子供たちが私学に通うことができるよう、保護者負担の軽減も取り組んできました。
 都は、さきの都議会第三回定例会での我が党の質問に対し、都独自の給付型奨学金について検討を進めていくと答弁されましたが、私学振興には、これまでの歴史、議論、制度の積み重ねがあり、それを大事にして予算編成に臨むべきと考えます。
 今後の私立学校への助成制度に関する基本的な考え方について、都の見解を伺います。
 次に、私立学校におけるグローバル人材の育成について伺います。
 日本の将来を担っていく若者にとって、積極的に世界中の人々とコミュニケーションを図り、国際感覚を身につけることは、大変重要です。都議会自民党は、私立学校のグローバル人材の育成を支援するため、高校生の海外留学に対する支援を初め、さまざまな施策を提案、実現させてきたところであります。
 支援を受け、留学した生徒の数が延べ人数千人を超えるなど、各事業の実績は着実に上がってきていますが、世界一の都市東京の将来を担う、より広い視野と豊かな国際感覚を持った人材を育成するためには、さらなる支援の充実が必要であります。
 これまでの実績を今後につなげていくための展開について、見解をお伺いいたします。
 次に、私立幼稚園における預かり保育等への支援について伺います。
 東京の幼稚園児の九割以上が通う私立幼稚園は、都の幼児教育において大きな役割を果たしています。また、多くの私立幼稚園が、教育時間終了後などに預かり保育に取り組んでいます。この預かり保育の促進は、幼稚園が共働き世帯等の教育需要に対応できるようになることに加え、三歳以降の子供の預け先探しに苦労する、いわゆる三歳児の壁の問題にも有効で、待機児童解消にもつながる取り組みであると考えます。
 幼稚園や幼稚園団体からも、預かり保育等を拡充し、地域や保護者の要望に一層応えていきたいとの声を聞いています。しかし、一方で職員の確保などが困難なため、長時間の預かり保育を必要とする子供の受け入れができない幼稚園もあります。
 そこで都は、預かり保育など、保護者の多様なニーズに応える私立幼稚園の取り組みを積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、肢体不自由特別支援学校のスクールバスについて伺います。
 先般、都教育委員会は、今後十年を見通した特別支援教育推進計画について、その骨子を公表いたしました。知的障害特別支援学校の普通教室確保や発達障害の都立高校生の在学中支援などが盛り込まれたことは評価したいと思います。
 スクールバスの乗車時間については、バスの台数をふやすなどにより、年々改善が図られていますが、現在もなお六十分を超える乗車となっている子供がいると聞いています。特に肢体不自由児の保護者の方々からは、車椅子で長時間バスに揺られることは負担が大きいので、改善してほしい旨の声が寄せられています。
 そこで、肢体不自由特別支援学校スクールバスの乗車時間のさらなる短縮を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、多摩振興についてであります。
 多摩地域は、豊かな自然と、東京の三分の一に相当する四百万もの人口を擁し、また多くの大学や研究機関が集積するなど、東京を世界で一番の都市にするため欠かせない地域であります。また、一口に多摩地域といっても、一くくりに論じることは適当ではありません。
 これまで、都は、新たな多摩のビジョン行動戦略に基づき、道路ネットワークの充実や防災力の向上、医療体制の充実などに取り組み、多摩地域の振興を推進してきました。
 一方、各市町村においては、総合交付金を初めとした都からの財政支援を活用しながら、地域に密着した独自の取り組みを展開しています。
 都では、地域の実情に見合った新たな多摩の振興策を検討するとのことですが、こうした市町村への支援も含め、今後、都として多摩振興にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 次に、上下水道施策について伺います。
 まず、多摩地区の水道について伺います。
 国は、水道事業に関して、施設の老朽化などの課題を抱える全国の小規模事業体等の広域化の推進を検討していると聞いています。
 一方、東京都では、全国に先駆け、多摩地区の水道事業の都営一元化、いわゆる経営統合による広域化を推進してきました。
 しかし、多摩地区は、区部以上に面積が広い一方で、市町ごとに水道事業を経営していた経緯から、二百七十もの施設が点在しており、今後は、より効率性を重視した施設の再構築を進めていくことが重要であります。また、多摩水道が広域化の先駆者として取り組んできた経験や知見を生かしていくことが望まれます。
 そこで、多摩地区における水道事業の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 JR博多駅前で発生した道路陥没は、かつてない規模の事故として、海外メディアでも大きく取り上げられました。今回の事故は、地下鉄の延伸工事が原因でありました。
 一方、東京の地下に目を向けると、膨大なインフラが張りめぐらされています。これらの多くは、高度経済成長期以降に整備されたものであり、今後、一斉に更新時期を迎えることから、破損による道路陥没が非常に危惧されます。万一、道路陥没が発生すれば、首都機能が集積する東京の都市活動に重大な影響を与えます。
 老朽化の問題は、下水道においても例外ではなく、昨年五月には下水道法施行令が改正され、下水道管の定期的な点検が義務づけられました。こうしたことを踏まえ、下水道管の機能を維持するためどのような取り組みを行うか、お伺いをいたします。
 以上、都政の諸課題について質問をさせていただきました。
 冒頭にも申し上げさせていただきましたが、二元代表制について改めて述べさせていただきます。
 私は、高木執行部の政調会長を八月一日に拝命をいたしました。この間、今日までの四カ月間、自問しながら職務に当たらせていただいております。
 小池知事が就任後、メディアを介して東京の露出度は一段と高まり、都民の都政への関心も広がっています。しかし、残念ながら、断片的な情報であったり、必ずしも議会での議論が正確に伝わっていないのも事実であります。
 都民から選挙された知事と議会が、都政を前に進めるために、お互いの代表性を認め合いながら議論する場が、ここ議場です。
 知事並びに関係局長に、我が党の代表質問及び提言に誠実にお答えくださいますようお願い申し上げまして、そして再質問を留保いたしまして、質問を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 自民党崎山政調会長、議員のご質問にお答えをさせていただきます。
 まず、ご質問につきまして、特に私、知事に対しましてのご質問は、事前に一切いただいておりません。その意味で、私、速記者ではありませんので、全部書き取ることはできませんでしたが、今、ご質問いただきましたことにつきましては、誠心誠意、私の言葉でお答えをさせていただきとうございます。
 しかしながら、十分書き取れなかった部分もございますので、その件につきましては、この後、休憩をおとりになるということもお聞きしております。再質問ということもお聞きしておりますが、一〇〇%お答えできるようにいたしますけれども、その件についてはぜひともご容赦いただきたく存じます。
 また、最後にご指摘になりました、議会とそして知事との関係、これは地方自治法によりまして定められたものであり、国会と内閣、議院内閣制とは異なるものであることは重々承知をしているところでございます。そしてまた、私自身が、知事選におきましては都民ファーストをずっとお訴えをし、そのことについて都民の皆様方から圧倒的多数のご支持をいただいたものと、このように思っているわけでございますけれども、それはすなわち、この都政というもの、都政は、知事と、そしてまた、二元代表制のもう一つのご代表であり、都民を代表しておられる皆様方としっかりと議論を重ねて、よりよい都政をつくっていくんだ、そして、おっしゃるように世界で一番すばらしい東京にしていくんだ、その意味では方向性は全く一致しているものと思います。
 しかしながら、これまでの都政のあり方でよかったのかどうか、そのことを、都知事選におきまして私は都民の皆様方にお訴えをし、そのことに対して多くの皆様方が、よし、小池頑張れとおっしゃっていただいたのだと思っております。
 よって、私は、この二元代表制というベースに基づきながら、しかしながら、東京大改革という大きな看板を掲げながら、一つ一つその改革を進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞ皆様方からも率直なご議論、そしてまた、ご指摘、ご提案を私はしっかりと受けとめてまいりますので、そういった点におきまして、ぜひとも――私の政治姿勢、今申し上げたとおりでございます。
 都民ファースト、それは、国会議員のときは国民ファーストでありました、日本ファーストでありました。そのことにつきましては、何を第一にするのかということこそ、まさしく一人の政治家の姿勢そのものでございますので、私は、知事として選んでいただいた今は、都民ファーストの姿勢をしっかりと貫きながら、そして二元代表制を頭に置きつつ、皆様方の声もしっかり受けとめ、今後――先ほども、この後、ご質問がございますように、いわゆる復活予算の仕組みでございます折衝につきましても、その点につきましては、各会派の皆様方からお声を頂戴することとなっておりまして、全く皆様方の声を無視するという考えはないことを、ここでまず最初に冒頭申し上げておきたいと、このように思っております。どうぞご理解のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 私の政治姿勢につきましての問題、そして二元制についてのご質問でございました。今、私の心情を吐露させていただき、それはもちろん法律に基づいたことをベースにしておりますことを、改めて申し上げておきたいと思います。
 もちろん地方自治につきましては、国会とは違います。そして、むしろ地方自治こそ政治の現場であると、このように思っておりますので、この東京ですばらしい地方自治を示すことが――今、四十七都道府県、さまざまな問題を抱えております。別々の問題も抱えておりますが、共通する部分は、それぞれの県民ファーストだと思っておりますので、私は、東京大改革を進めることによって、新しい地方自治、その姿をぜひ指し示し、それはすなわち、日本全体としての持続可能な、ちょっと待ってください。――失礼いたしました。それはすなわち、日本全体が持続可能な国家である、そして、それぞれの地域が生き生きと輝き続ける社会である、都道府県である、そういったモデルにしていきたい、そのような思いを持っているわけでございます。
 そして、済みません、少々順番が異なることになるかもしれませんが、よろしゅうございますでしょうか。
 そして、三番目に――私に対してのご質問は、多分四十三問あったと思います。そして、全部書き切れなかったものもございますので、それが順番が変わってしまうかもしれませんが、その点をぜひとも、事前通告いただきませんでしたこともこれあり、ご理解を賜りたいと思います。(発言する者あり)
 そして、予算編成のプロセスに……(発言する者多し)十分書き取れなかったものもあるので、その点はご理解いただきたいということを申し上げたわけでございます。
 さて、そういう意味で、予算編成のプロセスの見直しをさせていただいたところでございますけれども、これにつきましては、来年度予算案の編成において予算の調製権を有しておりますのは知事である私であることは皆様方もご承知のとおりでございます。そして、都議会の皆様、各種団体の皆様から、ご意見、ご要望をオープンな場で伺うことといたしております。それによって、都民の皆様方の声を予算に最大限反映させていくことといたしました。
 そして、各局の予算要求内容、そしてまた財務局によります査定につきましては、ご承知のようにホームページで公開をするなど、既に情報公開をしたところでございます。
 このようなプロセスをしっかりと踏みながら、かつオープンにするということでございまして、これまで続いてまいりました、いわゆる政党復活予算の仕組みにつきましては終了するということを申し上げたところでございます。
 四十七都道府県、それぞれ調べてみましたけれども、東京都のみがこの方式をずっと守ってきたということについて、私もこういった形は、東京都の場合、終了させるべきではないかと考えたことから、本来の、今回の結論とさせていただいたところでございます。
 また、本来、団体ヒアリングを行うわけでございますけれども、各事業の団体から、それぞれ率直なご意見などもお聞きをしながら、それについても公開をさせていただく予定といたしております。しっかりとお話を聞く、そしてまたエッセンスをしっかりと伺うことになろうかと思っております。
 団体ヒアリングに関しましては、築地でございますけれども、市場の関係者の方々からもお話を伺うことといたしております。
 それから、ヒアリングの具体的な方法につきましては、これにつきましては、それぞれ日程について既に各団体にもご報告をしているところでございます。
 それから、各種団体のヒアリングの具体的な進め方でございますけれども、先ほど申し上げたように、直接ご要望を伺いまして、都民の声を最大限予算に反映するという趣旨をもとといたしまして、具体的な対象団体や進め方などの検討、調整も行っているところでございます。
 そして、多くの団体からの要望を一人で聞くことには当然限界があるわけでございますので、これまでの、さまざまな都政の現場を見て回っておりますけれども、そして率直に皆様方からの声も直接伺ってまいったわけでございますけれども、こうした積み重ねに含めまして、全体のバランスを考えながら、各分野で活躍する団体のご意見をお聞きするということでございます。しっかり皆様方のお話を伺いつつ、必要な都政へ導いていく、その予算づけということを対応してまいりたいと思っております。
 そしてまた、タイトな日程となってしまうかもしれませんけれども、こうした、これまでではない見直しの趣旨を、それぞれの団体にご理解をいただきまして、そして、しっかりとお話を伺うこととさせていただきたいと思います。
 こうした中におきまして、やはり都政をめぐります社会状況も目まぐるしく変化をしております。そして、都民の意識も大きく変わってきているわけでございまして、そういった意味で、新しく――新しくと申しましょうか、いわゆる政党復活予算の制度にかえて、さらに新しく声を聞いていくというのも、一つの大きな流れではないかと、このように思っております。
 また、復活予算の廃止に対しましては、御党から抗議文も頂戴したわけでございますけれども、議会軽視であるとご指摘もいただいたところで、拝読もさせていただきました。しかしながら、これまでの流れでございますけれども、これをさらに情報の公開という観点からも、廃止をするという判断をしたものでありまして、議会軽視には当たらないと、このように考えております。
 そして、次に、特別顧問の設置要綱の条例化についてのお話、関係がどうなっているのかという話がございました。
 まず、都政改革と特別顧問の関係でございますけれども、確かに今回、私、知事になりまして、外部のさまざまな有識者の皆様方に顧問、特別顧問などに就任をしていただきまして、これは都の規則にのっとった形でつくらせていただいたシステムでございます。これまでの都政を変えていく、そしてまたバージョンアップをしていく、さらには東京を大改革をしていくという私の政策の、これを強化していくというためにも、さまざまなご意見を伺いたいということでございます。
 都庁の職員は、このように既におられます。そして都議会の皆様もおられます。しかし、そこから新しい切り口を、そして東京大改革をしていくというためには、新しいアイデアも必要とするわけでございまして、私一人でそれをやり抜くというよりは、そういった新しい考えの方々、改革を目指す方々とともにチームワークで進めていくというのも、これも一つの考え方でございます。
 そういった中から、それぞれの専門の知識を持った方々、ご経験のある方々を、それぞれ私なりに集めさせていただきまして、そして、その規則にのっとった形でご就任をいただいたものでございます。
 そして、この都政運営に当たりましては、まず何よりも、みずからの判断と責任において都政を運営する責務を負っているわけでございますけれども、その中で、まずは、具体的な担い手として、各局長を初めとする一人一人の職員でございます。これは都政の一番のエネルギーであり、エンジンであり、そしてまた現場で汗をかく人たちでございます。
 こういった職員と課題を共有しながら、議論を交わしながら、都政を前に進めていくというのがまず第一でございますけれども、先ほど申し上げましたように、単にこれまでの延長線でない方向を探していく、求めていくというのが私の東京大改革である限りは、ここでギアチェンジが必要なわけでございますので、その意味で、外部の有識者の方々に顧問をお引き受けいただいたということでございます。
 こういった観点からも、今も職員の皆様方と改革をともに進め、また、都政改革本部を設けました。こちらの本部長は私であり、そしてその構成員は都の職員でございます。そこに外部の顧問の皆様方からのアドバイスを頂戴をして進めているということでございまして、それがゆえに、都政改革本部の第一の目標に、自律改革ということを挙げたわけであります。自律は、自分で律すると書きます。自律改革を進めていくのが東京大改革の一番の、一丁目一番地でございますので、そのためのアドバイスをいただきながらも、それを実際に進めるのは、東京都の職員、そして都知事みずから、私みずからで率いていくということでございます。
 なお、実際にこの東京都政を大きく改革をするためにも、これまで聞こえてこなかったような声もぜひ集めていきたいということから、目安箱という制度を設けました。これによりまして、都政の皆様、都庁の……(発言する者あり)はい――都庁の皆様、都庁の職員の皆様方から、この目安箱にはいろんな要望、そしてこうした方がいいんじゃないかといったような意見がどんどんと出てきているわけでございまして、これらを都政に生かしていくということが都民ファーストであり、そして都民を、この都民ファーストを支える都職員の皆様方のご意見を伺うというのも、私は都知事としての役割ではないかと、このように思うところでございます。
 よって、私が任命いたしました都政改革本部の特別顧問などには、専門知識、そして経験に基づいて、客観的な第三者の視点から直接、調査分析を行っていただき、私、知事の指示によりまして、時にさまざまな会合に出て、そしてヒアリングなどを行っていただく等々を進めているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後も都政の課題の解決に向けまして、職員、そして特別顧問、一層協力していき、そして議論していく、そのような工夫を図って、改革は不断に続けてまいりたいと、このように考えております。
 そして、六番、特別顧問――済みません、私の自分の字が読めないぐらいでございますけれども、市場の声と豊洲――それから、ご質問がございました四番目につきまして、オリンピック・パラリンピックに関してのご質問もございました。
 これにつきましては、特別顧問が、オリンピック・パラリンピックについて、この特別顧問などから構成される調査チームで、客観的かつ経営的な手法で分析をしていただいて、その大変貴重な報告書をお取りまとめいただいたわけでございます。
 そして、IOC会長との面会、そして四者協議への特別顧問にもご参加いただいておりますのは、それは私自身が指示をし、そしてまた調査チームが報告書づくりに当たっていただいたということもございましたものですから、ご参加いただいたところでございます。
 今後も引き続き、必要に応じて特別顧問等のアドバイスも受けながら、都政の改革、それぞれの分野での改革を進めてまいりたいと考えております。
 それから、さらには、ご質問にありましたが、ガバナーズオフィスという言葉を使ったのはどうかというご質問もあったかと思いますけれども、これにつきましては、その表紙については、これについては調査チームがつくったものであるということを、その場で私は申し上げております。公文書には当たらないという認識でございます。メモでございます。それは既に(発言する者あり)既にそれにつきましては、私はその前にバッハ会長宛てに、この文書につきまして、いえ、もっと詳しいものについては、メールでやりとりなどもいたしております。私は会長とのその場だけでなく、いろいろな場でのやりとりがあるということについては、皆様ご承知おきいただければ、そしてまた、そうやって国際機関との間で人間関係を築くということの大切さ、これについて、私は皆様方に改めて申し上げておきたいと、このように思います。
 また、それにつきまして、四者会議の前に、コーツ委員長とカメラのないところで話していたではないかというお話でございますけれども、その前にも、組織委員会などの関係者とはカメラのないままで、いろいろと委員長自身も、そして関係者も、皆さん会議をなさっているわけでございまして、私の部分だけを挙げておっしゃるということは、それはフェアではないのではないかと、このように思います。
 そして、この件につきましては、ボートの会場の云々につきましては、このコーツ委員長の方からお話もこれあり、そしてまたこの会議そのものを公開にしてほしいということを、私はその場でお訴えをしたということでございまして、それ以上でもそれ以下でもございません。
 そしてまた、訂正文を出すかどうかということでございますが、訂正の要はないと考えておりますので、このことについては、私とは認識を確かに共有をいたしておりません。
 それから、仮設住宅につきましては誰のアイデアかということでございますけれども、長沼の会場で仮設住宅を有効に活用するということでございますけれども、これについては、私自身も兵庫県の出身でもございます。そして、それにおいて仮設住宅がいかに有効に活用されてきたかなどなど、お話をしたこともございます。そういったヒントを総合的に判断されて、知事を初めとする宮城県が、何とかして復興五輪ということを、そのアイデアそのものを復活させていきたいという、そのようなお考えではなかったか、このように思うところでございます。
 それから、仮設の費用につきましては、これにつきましては、まず、それぞれの費用負担がいまだに国、そして組織委員会、東京都、そして実際に会場を設ける地域ですね、これらの負担については明確に決まっていないのが現状でございます。そして、これは皆様方と意識を共有すると思いますけれども、実際に二〇二〇大会は、間もなく準備を済ませていかなければならない。これは当たり前のことでございます。
 そういう中で、一番肝心の部分のところで氷を割るという表現がございますけれども、仮設につきまして、一つ東京都としての方法を指し示したわけでございまして、これによって会議を進めていくという意味でございました。それについて、私も一つの考えとして了承したところでございます。
 それから、緊急提言を頂戴いたしました。よりよい二〇二〇年東京大会にしていくためには、こういったご意見をどしどし頂戴できればと思うところでございます。そしてまたそれらを、いい考えについては、ぜひ東京都としても取り入れてまいりたいと、このように思っておりますので、各会派の皆様方におかれましては、よりよい東京大会にしていくためのご意見をぜひとも頂戴をいたしたいと。大歓迎をしたいところでございます。
 それから、十一、先ほど――ちょっと待ってくださいね、順番が前後しておりますので、失礼をいたします。それから、クリスマスまでに結論を、有明アリーナについて結論を出すということでございますけれども、これまでの総合的な判断、そしてまたIOC、テクニカルワーキンググループ、さまざまな動きがございました中で、三つ、特に経費のかかる会場につきましては、二つ、まず結論を出すということで、冒頭で私自身が東京都としての考えということについて、ご説明をさせていただいたところでございます。
 あの四者会議の場でいろいろと議論をするということも重要ではございますが、三者の皆さんは何を待っていたかというと、東京都の結論でございます。そういった意味で、冒頭からご説明をさせていただいたということでございます。
 そして、最後に残っております有明アリーナか横浜アリーナかという問題でございますけれども、あくまでもこれはアジェンダ二〇二〇にうたっております、いかにして既存の施設を使うかという、その項目に合致しているものでございますので、その点も説明をし、そしてまた、いかにしてコストを下げる、そしてさらにはサステーナブルな大会にしていくかということについて、そういった意味で、より探ってみるということで、もう少し時間を頂戴をしたいということを申し上げたわけでございます。
 そして、何をするのかということで、そのときにもお話がございましたけれども、これにつきましては、今申し上げましたように、東京都として、このバレーボールの会場について、よりコストが下がり、かつその後の、大会終了後のランニングコストなど、いわゆるライフサイクルコスト、これをしっかりと取り組んでいくという、そのようなことも計算に入れながら、ベストを尽くしていきたいと考えているところでございまして、こういったIOCの皆様方とは日々連携をしているということだけ、お伝えしておきたいと思っております。
 それから、横浜市からの文書でございますが、そもそもこれは、横浜市のご担当者から当方の担当局長のもとへ寄せられたペーパーでございました。文書でございました。こういったことで、その後配られたのは二十七日のことというふうに聞いております。
 そして、その中身につきましては、これは私自身は、林市長とは長年の友人であり、本件につきましては日々連絡もとっております。そういったことから、横浜市長からは、そのお考えについては、私自身、直接聞いておりますので、このペーパーを自分自身が紙として受け取ったか、物理的な日はいつなのかというのは、私にとりましては余り大きな問題ではございません。(発言する者あり)そして、そういう中で、上山特別顧問につきましては、二十七日、組織委員会との会議の場で――会議の場で、組織委員会に関係ない、それを拝読したということでございます。
 本来ですと、これは都庁内部の話でございまして、しっかりとその担当局長、担当者には、私のところに情報を速やかに出すようにということも申し上げているわけでございまして(発言する者多し)そういった意味では、これからも……

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。

○知事(小池百合子君) これからも緊張感を持って、そして必要な、何が必要な情報で何が必要でないかということについては、職員もしっかりとそこは緊張感を持って対応するようにということも求めたところでございます。
 それから――それからちょっとお待ちください。
   〔傍聴席にて発言する者あり〕

○議長(川井しげお君) 傍聴席からの発言、注意を受けた後に再度注意された場合には、退出を願います。

○知事(小池百合子君) 少々お待ちくださいませ。
 次でありますけれども……。
 失礼をいたしました。今、さまざまなご質問をいただいている中で、前後左右が少し私のメモと、そのままでいいんですけれども、もう少し整理をさせていただいた方が、結果としてこの審議がより深いものに、そして意味のあるものになろうかと、このように考えております。
 よって、まず整理をされている部分、つまり事前にご通告いただいた部分につきましてお答えをさせていただき、まず二問をお答えさせていただきたく存じます。
 先ほど都市政策、話は飛びますけれども、都市政策についてご質問をいただきました。
 外環の整備推進でございます。国などが整備を進めておりますこの外環でございますけれども、これについては、首都圏の陸海空の要衝を結ぶ、経済、環境、防災、安全のいずれにとりましても、極めて重要な環状道路でございます。
 このうち、埼玉区間につながります千葉区間は、来年度の開通が予定されているということで、東京の東部地域では、物流の効率化、地域の安全性向上など、さまざまな効果が期待されるところでございます。
 都内の関越―東名間は、大深度地下におけます難工事、そしてプロジェクトでございますので、都は、コスト縮減、そして工事の安全を確保しながら二〇二〇年の東京大会までの開通を要望して、大泉ジャンクションの用地取得を受託するなど、支援を行ってきたのは、もう皆様方がよくご存じだと思います。
 そして、残る東名―湾岸道路間でございますが、首都圏三環状道路のいわば総仕上げとなる区間でございまして、中央環状線の例からも明らかなように、環状道路が完成することの効果ははかり知れないものと、このように認識を共有させていただきます。
 今後とも、関越―東名間の早期の整備に向けましては、青梅街道インターチェンジの用地取得などの支援を行うとともに、東名―湾岸道路間におきましても、国、関係機関とともに計画の早期具体化に取り組んでまいるところでございます。(発言する者あり)よろしいでしょうか――はい。では、もう一問いきます。
 もう一問は産業政策――産業というか、介護離職の問題でございますので、産業を超えて、より深い問題だと思います。これについてご質問がございました。
 高齢人口の増加、家族形態の変化を背景といたしまして、働きながら介護をする人、介護を理由として離職する人がふえております。介護と仕事を両立できる環境は、早急に整備をしていかなければなりません。
 ちなみに、私も母を自宅でみとりました。地域包括ケアシステム、さまざまこれからも改善していかなければならない点はございます。そして皆様方も、いろんな世代の議員の皆様方がおられますので、これについては、ご意見を皆様お持ちだと思っております。
 そういった意味で、これからも議会においても議論を深めていただきたい。そのことを私、知事としてしっかり受けとめていきたい。これが二元化じゃない、二元制ではないかなと思うわけでございます。
 そして、介護にかかわる問題は、突然直面することも多いのも事実でございまして、そしてまた、働いておられる方々というのは、それは従業員によっても、また企業によっても、それぞれ異なってくるわけでございます。
 このために、離職を防止する、これは国でも当たっているところでございますけれども、個別のケースに応じて専門家が助言や情報提供を行うといった新たな相談対応の仕組みを検討してまいります。
 また、介護をしながら安心して働けるということ、これのためには、まず長時間労働を削減していかなければならない、休暇の取得促進に加えなければならないと思います。例えばテレワークでございます。柔軟な働き方を広める必要がございます。先日、国家戦略特区の会議においても、テレワーク推進センターの設置を提案したところでございますけれども、こうした新しい仕組みも活用しながら、企業における働き方の改革を後押しさせていただきます。
 誰もが個々の事情に合わせまして、生き生きと安心して働くことのできる都市、そういったことが、私の標榜いたしておりますダイバーシティーの原則だと、このように思っております。
 なお、そのほか多くのご質問をいただきました。四十問近くでございますが、この場で私もそのご質問を伺ったものでございます。
 私の政治姿勢などは、冒頭に申し上げましたように、いかにして東京大改革を進めていくのか、都民ファーストというものはどういうものなのか、二元制ということについてどう考えているのか、私の姿勢についてお話をさせていただきました。しかし、何月何日にどうするとか、そのときの発言はどうか等々は、やはり前もって伺わせていただけなければ、それは、正しい正確な、ご質問に対しての答弁は、これは正確さを欠くと、このように思っております。
 議論をすることは大切でございますけれども、そういった形で、真に意味のある形に持っていくためにも、少しここで私は登壇――登壇じゃなくて反対、降壇させていただきまして、これで私の最初のご答弁とさせていただくことをお許しいただきたいと存じます。(「ネズミとりの話が抜けてるぞ」と呼ぶ者あり)わかりました、はい。では、それ、つけ加えさせていただきます。
 一言で――ご想像にお任せします。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公立学校のトイレの整備についてでございますが、学校は、児童生徒が一日の多くの時間を過ごす場所であることから、清潔で使いやすいトイレを整備し、児童生徒が安心して学習、生活できる環境を確保することが極めて重要でございます。さらに、避難所としての機能を備えたトイレ整備も、あわせて進めていく必要がございます。
 このため、都教育委員会は、都立学校に洋式トイレや多機能トイレを今後、計画的に整備するとともに、改築等の際に、トイレ用水の確保やマンホールトイレの設置など、災害時の対策を推進してまいります。また、区市町村立の小中学校においても、都立学校と同様の整備が促進されるよう、都としての支援を検討してまいります。
 次に、スクールバス乗車時間の短縮についてでありますが、障害のある子供たちが健やかに学び続けられるよう、身体的、精神的負担の少ない環境を整えることは重要でございます。
 肢体不自由特別支援学校には、体温調節や自力での体位変換が困難であるなど、長時間のスクールバス乗車が負担となる子供たちも在籍しております。このため、都教育委員会では、継続的にバスの台数をふやし、乗車時間の改善を行ってまいりましたが、一部の子供たちは、現在も六十分を超える乗車時間となっております。
 このため、今後は、バスの小型化やコース設定の工夫など、効果的に乗車時間を短縮する方策を検討し、肢体不自由特別支援学校の全ての子供の乗車時間を六十分以内にすることを新たな特別支援教育推進計画に盛り込んでまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、冒頭の質問の中で、仮設住宅の選手村への仕様の改修につきまして、日付と金額のご質問がありましたので、私から答弁させていただきます。
 これは、村井宮城県知事が十月の四日に仮設住宅の活用について指示を出し、これを受けて、県が四百九十六万八千円で選手村の仕様に改修したと聞いております。
 次に、東京パラリンピックに向けました取り組みについてでございます。
 東京は世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市であり、ダイバーシティー実現の大きな契機となる大会とすべく、準備を行っていくことが重要でございます。
 都はこれまで、主に競技体験イベントなどによる開催機運の醸成や、大会時におけるハード、ソフト両面のバリアフリー化の推進に取り組んでまいりました。
 今後は、選手や観客の輸送、ボランティアの育成、セキュリティー対策、標識、サインなど全ての準備が本格化する中で、パラリンピックの視点を十分に取り入れてまいります。
 また、オリンピック・パラリンピック教育、障害者の芸術文化支援や人権施策など、関連施策を実施する各局とも十分に連携しながら、都として一体となって、パラリンピックの成功に向けて取り組んでまいります。
 次に、会場に至る経路のバリアフリー化についてでございます。
 アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえ、会場ごとに障害者などの動線となるアクセシブルルートの選定を進めつつ、必要な改修を事業者などに促しております。
 鉄道駅につきましては、千駄ケ谷駅や新木場駅など一部の会場周辺駅において、事業者がバリアフリー対策に取り組んでおりまして、今後、大会時に想定される車椅子利用者数などをもとに、エレベーターの設置や道路へのスムーズな動線の確保などを強く働きかけてまいります。
 道路につきましては、都、区市など管理者が異なる道路を横断的に捉えまして、段差の解消や車椅子が走行可能な空間の連続的な確保などを実現すべく、調整を進めてまいります。
 都は、今後も、組織委員会とともに、各主体の取り組みが一体性を持って確実に進むよう、取り組んでまいります。
 次に、障害者スポーツの振興についてでございます。
 まず、普及啓発につきましては、さまざまなメディアを活用して継続的に情報を発信していくとともに、先月、本格稼働したファンサイト、チームビヨンドやSNSの活用によりまして、障害者スポーツのファンをふやしてまいります。
 また、場の開拓や人材育成につきましては、都立特別支援学校や味の素スタジアムの室内施設の活用を計画的に推進するとともに、東京都障害者スポーツ協会のノウハウを生かして、指導者育成事業などを実施してまいります。
 さらに、競技力向上では、選手発掘にあわせ、二〇二〇年大会に向けて競技団体が行う選手育成を支援するとともに、大会後を見据え、競技団体の運営能力向上を後押ししてまいります。
 都は、障害者スポーツの裾野の拡大と競技力向上という高みも目指して、さらなる施策を展開してまいります。
 最後に、新たなスポーツ推進計画の策定についてでございます。
 スポーツを取り巻く環境は、二〇二〇年大会の開催決定や障害者スポーツへの関心の高まり、国のスポーツ庁の設置など、大きく変化しておりまして、今こそ世界一のスポーツ都市東京を実現する絶好の機会でございます。
 こうした中、国や都の審議会などにおいても、スポーツ実施による健康寿命の延伸や、健常者と障害者がともにスポーツを楽しむことによる心のバリアフリー化など、スポーツの新たな価値に関する議論が活発になされてまいりました。
 そこで、この機を逃さず、スポーツの持つ新たな可能性に着目し、二〇二〇年のさらなる先を見据えた計画を来年度末までに策定いたします。
 今後、都の審議会等での議論を踏まえまして、健康長寿や共生社会の実現等を目指す計画作成に全力で取り組んでまいります。
   〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 競技会場周辺駅のエレベーター整備についてでございますが、交通局では、二〇二〇年東京大会も見据えまして、都営地下鉄相互の乗りかえ駅や、東京メトロなど他路線との乗りかえ経路等へのエレベーター整備に取り組んでおります。
 競技会場周辺駅につきましては、現在、オリンピックスタジアムの最寄り駅の一つでございます大江戸線青山一丁目駅や、両国国技館の最寄り駅である両国駅などにおきまして、新たなエレベーターの整備を進めてございます。
 さらに、組織委員会など関係機関との協議の中で、国立競技場駅における大型エレベーターの増設が課題となりましたことから、アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえまして、具体的に検討を進めてまいります。
 今後とも、二〇二〇年東京大会の輸送の主力を担う公共交通機関として、都営地下鉄のバリアフリー化に積極的に取り組んでまいります。
   〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、市場業者の負担への対応についてでございますが、補償が実施されるまでの間、市場業者の負担を極力軽減する取り組みが必要であることから、都は、今月一日から仲卸、関連事業者の資金繰りを支援するための新たなつなぎ融資制度を開始いたしました。
 これに加えまして、市場業者が豊洲市場に設置した設備に係る電気代や借地料につきまして、市場業者のキャッシュ・フローも考慮し、補償スキームが確定するまでの間は請求を見合わせるほか、資金ニーズを踏まえた金融支援の拡充についても検討を進め、負担軽減を図ってまいります。
 なお、市場業者への補償に要する費用について、市場業者が支払う使用料を直接その財源に充てることは適当ではないことから、市場会計の保有資金の活用など、財政当局と十分に調整しつつ検討を進めてまいります。
 次に、築地市場の機能の確保等についてでございますが、豊洲市場への移転延期に伴い、築地市場を使用する間、その機能を十分に発揮できるよう対応していく必要がございます。
 このため、都は先月、築地市場内の都の施設の劣化状況について、臨時の点検を実施いたしました。この結果を踏まえまして、市場内の路面補修、給水設備や電気設備の修繕など、緊急度に応じて、順次必要な対策を講じてまいります。
 また、事業者が築地市場に設置しております設備を引き続き使用するための、点検や修繕等に関する補償や支援の方策についても、速やかに検討してまいります。
   〔政策企画局長長谷川明君登壇〕

○政策企画局長(長谷川明君) トイレの整備についてでございますが、トイレの整備は、二〇二〇年大会の開催に向けて、高齢者や障害者、さらには外国人観光客を含む全ての人に優しいまちづくりを進める上で、また防災上の観点からも重要でございます。
 都では、既存施設の改修工事などを行う中で、トイレの洋式化等を進めており、今後とも、都営地下鉄の各駅や都立公園などのトイレの洋式化等を進めてまいります。また、公民館、公園、小中学校などのトイレの整備に向けて、区市町村とも連携してまいります。加えて、外国人旅行者の受け入れ環境の充実を図る観点から、旅館等のトイレの洋式化を促進してまいります。
 こうした取り組みを実行プランの検討を通じて、全庁的に推進するとともに、区市町村や民間事業者と連携しながら、清潔で快適なトイレの整備を進めてまいります。
   〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、区市町村道の無電柱化についてでございますが、東京の都市防災機能の強化、良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保を図るため、都道のみならず区市町村道の無電柱化を促進することは重要でございます。
 これまで都は、区市町村に対しまして、センター・コア・エリア内の道路や、防災に寄与する道路などを対象に無電柱化事業への財政支援を行いますとともに、職員向けに実物大モデルを活用した実践的な研修を行うなど技術支援にも取り組んでまいりました。
 今後は、コスト縮減に向け、電線等の埋設の深さを浅くする手法を導入するなど、チャレンジする区市町村に対して財政支援の拡充を検討してまいります。
 引き続き、区市町村と連携し、都内における無電柱化のより一層の促進に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、都立公園におけるトイレの整備についてでございますが、公園を利用する全ての人々が快適に利用できるトイレを整備することは重要でございます。
 国内外から多くの来園者が見込まれます二〇二〇年東京大会の競技会場となる公園や文化財庭園など二十二公園では、これまで、誰でもトイレの百六カ所の設置も含めて、約九百基の便器の半数以上を洋式化してまいりました。
 今後、これらの公園では、誰でもトイレを新たに十六カ所設置するとともに、トイレの新設や改築、維持補修等のあらゆる機会を捉えまして、積極的に洋式便器への転換を図るなど、これまでの取り組みをさらに加速し、利用者のニーズを踏まえ、二〇二〇年までに便器の約八割の洋式化を目指します。あわせまして、整備したトイレの適切な管理にも努め、快適なトイレ環境の実現に取り組んでまいります。
 最後に、インフラの予防保全型管理についてでございますが、道路、河川などの東京のインフラは、都市の安全・安心を確保するとともに、都民生活や都市活動を支える重要な社会資本で、東京の発展を支えるものでございます。
 これらのインフラが本来持つストック効果を十分に発揮するためには、施設の損傷や劣化が進行する前に適切な対策を行い、補修費用の低減や更新時期の平準化を図る予防保全型管理を導入していくことが重要でございます。
 都はこれまで、橋、トンネル、地下調節池などにおきまして、予防保全型管理を進めてまいりました。
 今後は、道路擁壁や砂防施設など他の施設にも拡大し、持続的な安全性の確保と補修費用のコスト縮減を図ってまいります。
 引き続き、都民の安全を確保するため、予防保全型管理を推進し、良質な社会資本ストックを次世代に継承してまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害廃棄物処理計画についてでございますが、現在、東京都廃棄物審議会の部会におきまして、埋立処分量軽減のための分別や資源化の徹底、経済性への配慮などを基本方針に据えました計画の策定を進めております。
 検討を進める中で、熊本地震では、市町村や関係事業者間での連携体制が十分に機能せず、また、発災初動期での廃棄物の分別等の不徹底が、その後の円滑な処理に支障を来したことがわかってまいりました。
 今後、審議会委員を熊本に派遣いたしまして、より詳しい調査を行い、各主体の役割分担や、発災後の時間経過に応じた各段階において配慮すべき事項等を明確化してまいります。
 さらに、計画の内容を受けて、具体的な手順を定める処理マニュアルも作成し、災害時に機能する実践的なものとしてまいります。
 次に、自立型ソーラースタンドの普及についてでございますが、いわゆるシティーチャージは、太陽光発電を利用してスマートフォンなどに無料で充電でき、多くの都民や観光客に、再生可能エネルギーの重要性について、身近に感じていただくことを目的に、昨年、東京タワー等、都内三カ所に設置をいたしたものでございます。
 このシティーチャージは、災害による停電時にも、太陽光発電と蓄電池の組み合わせにより、充電やLED照明の点灯ができるなど、自立型電源としてのメリットも大きなものでございます。
 そこで、都は、防災情報の表示など多面的な機能を有する新たなタイプのシティーチャージにつきまして、公園や公民館等、都内全域において、ふだんから多くの都民の目に触れやすく災害時には重要な役割を果たす施設等への設置を検討するなど、区市町村と連携して取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、待機児童対策のさらなる強化についてでありますが、都はこれまで、区長会、市長会、町村長会や区市町村の部長会、課長会等におきまして、本年九月に発表した緊急対策の説明を行いますとともに、現場の課題や要望などを伺ってまいりました。
 また、先月には待機児童解消に向けた緊急対策会議を立ち上げ、第一回目の会合には、区長、市長にご出席いただき、保育所用地や物件の確保、保育士の確保、法や手続の課題などについて、知事と意見交換を行ったところでございます。
 さらに、保育事業者からも、人材確保や整備促進に向けた規制改革などに関し、さまざまなご意見をいただいております。
 平成二十九年度の予算案には、こうした区市町村や事業者の意見等も踏まえ、さらなる支援策を盛り込んでいく考えでございまして、キャリアアップ補助につきましても、処遇改善の実態の検証、分析も踏まえ、一層の充実を検討してまいります。
 次に、障害者差別の解消に向けた条例の策定についてでありますが、本年四月の障害者差別解消法の施行を踏まえ、都はさまざまな障害特性や配慮すべき事項等をまとめたハンドブックを作成するほか、相談窓口を広く都民に周知してまいりました。また、六月には、関係機関が連携協力し、取り組みを進めるために、障害者差別解消支援地域協議会を設置いたしました。
 こうした差別解消の取り組みを一層進めるため、新たな条例の制定に向けまして検討を開始いたします。条例には、二〇二〇年東京大会の開催を見据え、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現に向け、相談、紛争解決のための仕組みや、意思疎通のための配慮などを盛り込む考えでございまして、今後、障害のある方々の意見も聞きながら丁寧に議論を進め、平成三十年度の施行を目指してまいります。
 次に、ユニバーサルデザインのまちづくりについてでありますが、施設や設備の改修に当たり、高齢者や障害者など当事者の視点を反映することは、誰もが暮らしやすいユニバーサルデザインのまちづくりを進める上で有効でございます。
 そのため、都は、こうした取り組みを行う区市町村を包括補助で支援しており、現在、区市町村の取り組みを加速するためのさらなる支援策について検討をしております。
 また、本年十月から、福祉のまちづくり推進協議会において、平成三十一年度からの新たな福祉のまちづくり推進計画の策定に向け、当事者参加の必要性など、より望ましい整備等の方向性についての審議も開始しており、二〇二〇年東京大会、さらには、その後も見据え、今後ユニバーサルデザインのまちづくりを一層推進してまいります。
 次に、家庭的養護の推進についてでありますが、本年十一月に児童福祉審議会からいただいた提言には、民間団体のさらなる活用、区市町村の子育て支援サービスの活用、児童相談所の支援体制の強化という三つの考え方に基づきまして、家庭的養護の推進に向けた十一の方策が盛り込まれております。
 具体的には、乳児院を活用した乳児委託の促進や、特別養子縁組を前提とした新たな委託の仕組みの構築、養育家庭と関係機関の連携によるチーム養育体制の整備、養育家庭への研修の充実などが提言されております。
 都は現在、里親支援機関や乳児院、児童養護施設などと連携しながら、養育家庭等への委託の促進に取り組んでおりまして、今後、この提言も踏まえ、養育家庭を初めとした家庭的養護を一層推進してまいります。
 最後に、フレイルの予防についてでありますが、フレイルとは、加齢に伴い、筋力、認知機能等の心身の活力や、社会とのつながりなどが低下した状態といわれておりまして、フレイルを予防するためには、その意味と予防の重要性を広く啓発するとともに、地域における健康づくりや介護予防の取り組みを支援することが必要でございます。
 都は今年度、医療や介護関係の団体で構成する多職種連携連絡会におきまして、フレイル予防に関する勉強会を開催したほか、フレイルを都民にわかりやすく紹介する冊子の作成に取り組んでおります。
 また、包括補助等によりまして、健康教育や高齢者の通いの場づくりなどに取り組む区市町村を支援しております。
 今後も、関係団体や区市町村と連携しながらフレイル予防に取り組み、健康寿命の延伸を図ってまいります。
   〔主税局長目黒克昭君登壇〕

○主税局長(目黒克昭君) 保育施設の整備促進に向けた税制支援についてでありますが、現在、都では、保育施設に係る固定資産税等について、自己所有または無料貸付の場合、認可保育所等は、地方税法の規定により非課税とし、認証保育所は独自に減免しております。
 一方、有料で貸し付けている所有者の税負担を軽減する場合は、他の非課税措置との公平性や軽減の効果が特別区の区域に限られることなど、さまざまな課題がございます。
 今後は、こうした点に留意しつつも、特別区等の要望を踏まえるとともに、待機児童の解消が都政において一刻の猶予も許されない極めて重要な課題であることに鑑み、税制面からの支援について、関係局と連携しながら検討してまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、商店街への支援についてでございますが、商店街がその活力を将来にわたり維持向上させていくためには、それぞれが目指すべき目標を定め、その実現に向けて意欲的な取り組みを展開していくことが重要でございます。
 都はこれまで、新・元気を出せ商店街事業など、さまざまな施策により、幅広い支援を展開してまいりました。
 今後、商店街みずからが創意工夫を凝らしながら、地域のにぎわいづくりやまちの活性化に取り組めるよう、ニーズ調査や将来のビジョンづくり、事業実施に向けた計画立案等を専門家が支援する新たな仕組みについて検討してまいります。
 さらに、商店街の取り組みを一過性のものとせず、地域の中で定着させていけるよう、商店街と地域団体等とが連携して実施する取り組みへの支援の拡充についても検討してまいります。これらによりまして、商店街の持続的な発展を強力に後押ししてまいります。
 次に、中小企業の危機管理対策の推進についてでございますが、東京の産業を支える中小企業が、自然災害やサイバー攻撃などさまざまなリスクから身を守り、安定的に事業活動を継続していくためには、リスク管理の重要性を認識し、平時から適切な対策を講じていく必要がございます。
 都はこれまでも、専門家を活用したBCPの策定支援を行いますとともに、警視庁や中小企業支援機関等とも連携し、サイバーセキュリティー対策の普及啓発に取り組んでまいりました。
 今後は、危機管理の取り組みをさらに多くの企業へと行き渡らせるため、一社一社への働きかけを充実するとともに、サイバー攻撃に備えた訓練や、危機管理対策の実施に必要な設備導入に対する支援などを検討してまいります。これらによりまして、中小企業の危機管理能力の向上を強力に後押ししてまいります。
 次に、観光関連事業者の経営力の強化についてでございますが、東京の観光産業の成長に向け、各事業者が外国人旅行者にすぐれたサービスを効率的に提供できるよう、経営の力を高めることは重要でございます。
 このため、都は今年度より、事業者に対して、サービスの質や業務効率の向上に役立つ知識を提供するセミナーを開催するとともに、より詳しいノウハウを必要とする事業者に専門家を派遣し、アドバイスを実施しております。
 今後は、多言語対応やトイレの洋式化など、サービス内容を充実する取り組みや専門家の助言による経営向上の計画の策定、最新のICT機器等の設備導入など、生産性を高める取り組みに対するサポートを検討してまいります。こうした観光事業者の積極的な取り組みを後押しし、観光産業の発展につなげてまいります。
 最後に、難病患者やがん患者の方々への就業支援についてでございますが、難病患者やがん患者の方が職場で安心して働けるようにするためには、職業生活と疾患管理の両立が可能な職場環境を整備していく必要がございます。
 都はこれまで、難病患者の就業支援について、企業の理解を進めるための普及啓発や、東京ジョブコーチの派遣などを障害者の雇用促進に向けた施策の一環として実施してきたところでございます。
 今後は、難病患者やがん患者の方にとって働きやすい職場環境が整備されるよう、疾患の特性に配慮した採用や、就業継続を進める企業に対する奨励金などの新たなインセンティブを検討してまいります。
 こうした取り組みにより、難病患者やがん患者の方が生き生きと働けるよう支援の充実を図ってまいります。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 防犯カメラの設置補助についてですが、都では防犯カメラの設置を契機として、地域の見守り活動が活発に展開されることなどを目的に、平成十六年度から防犯カメラの補助を開始いたしました。これまで、商店街や町会、自治会等に対し、累計約一万台の設置を補助しております。
 防犯カメラは、眠らない、疲れない、見逃さない、忘れないなどの特性から、犯罪抑止や地域の安心感の向上等に大変有益であると考えており、設置した地域の方からも、治安が改善したと好評であることから、その設置をさらに促進していくことが重要であると認識しております。
 今後は、より活用しやすく効果的な支援となるよう、補助制度の充実を検討し、防犯カメラのさらなる普及に努めますとともに、警視庁や区市町村等とも連携し、都民や事業者の自主的な防犯活動の一層の活性化を図り、地域の防犯力向上に積極的に取り組んでまいります。
   〔生活文化局長中嶋正宏君登壇〕

○生活文化局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立学校への助成制度についてでございますが、東京のみならず、日本がさらなる成長を遂げていくためには、その将来を背負う若者の育成が不可欠であり、それを担う私学の振興は都政の最重要課題の一つでございます。
 これまでも都は、基幹的補助である経常費補助や、施設整備のための補助など、学校に対する支援を実施してまいりました。あわせて、保護者に対しましては、特別奨学金などにより、教育費負担の軽減を図っており、私学振興のための幅広い施策の拡充に努めてまいりました。
 今後も、これまでの経緯を踏まえ、推進してまいりました施策を総合的にバランスよく展開しますとともに、都独自の給付型奨学金について検討を進め、引き続き、東京の公教育に重要な役割を果たす私立学校の振興に全力で取り組んでまいります。
 次に、私立学校のグローバル人材の育成についてでございますが、来る二〇二〇年大会を契機に、東京が国際都市としてさらに飛躍するためには、次代を担う若者が語学力や国際感覚を身につけることが重要でございます。
 そのため都は、平成二十五年度からこれまで、長期の海外留学に参加する延べ千人以上の高校生を支援してまいりましたほか、二十七年度には、外国語指導助手を受け入れる百四十校以上に経費を助成してまいりました。
 今後、さらに成果を上げるため、グローバル人材育成に向けた明確な目標の設定や、その効果を学校や生徒みずからが客観的にはかれる取り組みを支援する方策を検討してまいります。
 引き続き、私立学校におけるグローバル人材の育成を積極的に支援してまいります。
 最後に、私立幼稚園の預かり保育等への支援についてでございますが、私立幼稚園の預かり保育は、家庭の状況や働き方などにかかわらず、幼稚園での教育を望む保護者にその機会を提供するという重要な役割を担っております。
 都はこれまでも、幼稚園の預かり保育を支援してまいりましたが、保護者の教育需要に十分に対応するには、年間を通じ、さらに預かり時間を延長するなど、体制の拡充が必要でございます。
 また、幼稚園が小規模保育施設と連携し、三歳以降の子供を引き続き受け入れる環境を整えますことは、小規模保育施設の整備を促し、喫緊の課題であります待機児童解消にもつながります。
 都は、これらの取り組みを行う幼稚園に対する独自の支援策を検討しますとともに、幼稚園団体や区市町村と連携を進めるなど、私立幼稚園の取り組みを積極的に支援し、多様な子育て環境の整備に努めてまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 今後の多摩振興についてですが、多摩地域は、地勢、人口動向、土地利用、産業構造など、地域ごとにさまざまな特性を有しております。
 そこで、地域のポテンシャルを最大限に引き出し、効果的な振興策を講じていくためには、多様な地域の実情を十分に把握するとともに、市町村と緊密に連携し、その主体的な取り組みを支援していくことが重要でございます。
 これまで都は、市町村によるまちづくりや魅力発信など、地域特性を生かした独自性、先進性ある取り組みに対し、丁寧に意見を聞きながら財政支援を行ってまいりました。
 今後、将来の社会情勢の変化も見据え、地域特性や課題を踏まえた新たな多摩の振興策を策定し、推進していく中で、市町村支援についても、より地域の実情に即した効果的なものとなるよう積極的に取り組んでまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 多摩地区の水道事業の今後の取り組みについてでありますが、多摩の水道は、各市町が水道事業を運営してきた経緯から、市町域ごとに配水区域や施設が多数存在するとともに、施設の老朽化が進行しているなどの課題がございます。
 このため、水源や地形、地盤の高低差や給水人口等の地域特性を踏まえまして、多摩地区を山間部や市街地など四つのエリアに分けて、市町域にとらわれない合理的な配水区域の設定や拠点となる給水所の整備等を進めていきます。
 また、多摩水道が一元化の過程で蓄積してまいりました、広域化のノウハウを全国に発信し、国内事業体の課題解決にも寄与していきます。
 今後、これらの内容を取りまとめ、都民の声を反映させた上で、今年度中に多摩水道の新たな運営プランを策定し、強靱で信頼される広域水道を目指してまいります。
   〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 下水道管の機能を維持する取り組みについてでございますが、これまでも、下水道管の整備年次や道路状況等に基づき、定期的に管路内の老朽化状況を調査し、その結果をデータベース化することで、計画的に下水道管の補修や再構築を進めてまいりました。
 今年度からは、下水道法施行令の改正で規定された、腐食のおそれの大きい箇所のみならず、局独自の取り組みといたしまして、国道及び都道下にある下水道管についても調査を重点化するとともに、これまで以上に調査頻度を高めることといたしました。これらの取り組みによりまして、下水道管の調査延長を従来と比べ、区部全体で約二割増加させ、年間約八百キロメートルといたします。
 今後とも、下水道管の老朽化状況を的確に把握し、再構築などを計画的に推進することで、将来にわたって下水道機能を安定的に確保し、都民生活や都市活動を支えてまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事整理のため、十五分間休憩いたします。
   午後三時十六分休憩

   午後三時三十五分開議

○議長(川井しげお君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十二番崎山知尚君。
   〔百十二番崎山知尚君登壇〕

○百十二番(崎山知尚君) それでは、再質問に入らせていただきたいと思いますが、その前に、きょうの質問に至った経緯についてお話をさせていただきたいと思っております。
 私は、先ほども申し上げましたように、八月一日に政務調査会長を拝命いたしました。そして、その中で、第三回定例会の代表質問のつくり込みをさせていただいたところでもあります。
 そして、その中で、これまでと同じように、私どもといたしましては、もちろん必要な質問通告もいたし、そして、これまでの慣例に従った答弁調整をさせていただきましたが、残念ながら小池知事からは、なれ合いをやめたいと、日本的な根回しもやめたいということで、答弁調整は残念ながらできませんでした。
 そしてまた、十月三十日、毎日新聞でも書かれておりますけれども、根回しはしない、そして、議会と緊張感を持ってそう臨みたいという毎日新聞の記事がありました。
 そうした中で、私どもといたしましては、答弁調整はいたしませんでしたけれども、質問通告はルールに従ってさせていただいたところでもあります。どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
 加えて、知事が先ほどもおっしゃいましたけれども、四十問近く質問をされているというふうにおっしゃっておりましたけれども、正確には知事に私が質問をしたのは二十八問であります。その中でお答えをいただけなかったのが十九問ありました。
 そしてまた、答弁の中に事実誤認とも思われる答弁がございました。これは何かというと、バッハ会長に手渡された書類、あれは公文書ではないというふうにこの議会の場で、この席で発言をされましたけれども、これは事実誤認であります。
 というのは、なぜかというと、私も総務委員会に所属をいたしております。総務委員会、そして文教委員会、オリンピック・パラリンピック特別委員会でも、理事者のお答えは、あれは公文書だったというふうに明確にお答えをいただいております。改めて、知事には訂正を願いたいというふうに思っているところであります。
 私たち議員は、この議会において、都政全般にわたる質問の権利を有します。そして、知事を初めとする理事者は、その質問に責任を持って答える義務があります。だからこそ、理事者には、今お座りになっている説明員席が設けられているのであり、聞かれたことには答える義務があります。
 知事は、私の質問に対して十九カ所の答弁をしていません。また、答えた答弁の内容にしても極めて不十分だといわざるを得ません。鳴り物入りで始まった知事の都政大改革は、このように議会を形骸化させることだったんでしょうか。残り十九問について再答弁を求めたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 次に、復活予算について再質問いたします。
 復活予算に関する知事の記者会見及びマスコミの報道は、あえて政党復活予算とされました。知事は、財務局の作成した復活予算案の概要という書類をごらんになったことがありますか。正式な復活予算案には政党という言葉はついていません。それをあえて政党復活予算と記者会見で発言したことは、極めて不適切かつ間違った表現と指摘せざるを得ません。
 つまり、政党復活予算とのイメージを都民にすり込むことで、都議会、なかんずく最大会派である都議会自民党があたかも二百億円の予算を自由に使ってきたかのような印象を与えています。
 ましてや知事は、復活予算案について、議会が白地小切手で使える予算を持っていたのには驚くとおっしゃいました。もしそのようなことがあるならば、明らかに予算編成権を侵す地方自治法違反であります。この発言は、議会のみならず、東京都を侮辱する甚だしい誤解であり、全く事実と異なります。知事は、都政に責任を持つ立場として、これらの発言をこの場で撤回すべきであります。
 知事は、ここ数年の復活予算案の内容を確認したことはありますか。二十八年度復活予算案の中で最も大きなものは、道路の路面補修等、都市基盤の整備六十四億四千万円、次に、市町村総合交付金等、区市町村の振興五十九億六千万円、三番目が、福祉保健区市町村包括補助事業等、福祉、保健、医療の充実四十六億二千五百万円、その他教育の充実、商店街の振興などになっています。
 これらは、そもそも予算原案作成に当たって、知事査定で削減された各局の概算要求額を復活財源によって戻したものであって、議会側の予算要望によって概算要求額を大きく超えて予算が積み増しされたものではありません。また、議会側が新たな項目を起こして予算をつくらせたこともありません。
 都議会自民党を初めとする都議会は、議会の権限である予算の修正権と議決権を行使する中で、よりよい予算をつくる不断の努力と提言をしてきたのであります。
 そこで伺いますが、復活予算のどの部分が白地の小切手で、その金額は幾らなのか教えてください。知事のご答弁を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 知事が提起をした会場見直し問題は、三会場のうちで二つの結論が出ており、残る一つも近々結論を見るでしょう。経費節減と五輪の成功は誰もが願うことであり、議論の余地はありません。最少の経費で最大の効果を上げなければなりません。
 そのためには、さきの第三回定例会でもお伺いしたように、まず、小池知事の五輪に対するコンセプトを明らかにしていただくことが必要であります。招致成功以来の都知事には、それぞれ五輪開催に対する明確なコンセプトがありました。
 猪瀬知事はコンパクト開催、その後を引き継いだ舛添知事は史上最高のオリンピック・パラリンピック、それでは小池知事はと考えると、小池知事のコンセプトが見えません。第三回定例会で理念、哲学という表現で質問をいたしましたが、単なる一九六四年の東京大会の繰り返しではなくて、成熟都市ならではの創意工夫を凝らして、最先端都市でありますTOKYOの魅力を世界中にアピールする、そんな大会にしたいとのお答えでした。この答弁は誰が書いたんでしょうか。小池知事らしくない極めて官僚的な答弁です。
 会場問題も含めて、二〇二〇年大会自体が迷走しているように感じられるのは、こうした知事の姿勢にあると思います。知事はまず、どのようなオリンピック・パラリンピックを目指すのか都民にわかりやすく示すべきであります。答弁を求めまして、以上、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 再質問及び先ほどいただきましたご質問につきまして、お答えをさせていただきます。
 まず、先ほどからのご質問で残された部分からお答えをさせていただきます。
 十九問と議員はおっしゃったわけでございますが、まず、都政改革と特別顧問との関係についてのご質問から改めてお答えをさせていただきます。
 都政改革本部の特別顧問等の職の条例化についてのご質問があったかと存じます。特別顧問というのは、広い識見と経験を生かして、大所高所の観点から都政の課題について調査検討、そして助言、提言を行う職として位置づけております。
 そしてその都民の皆様にとりまして、特別顧問の位置づけ、そしてその役割がよりわかりやすくなるように、職の位置づけ、そしてその職責が明確になるような整理も検討してまいりたいと存じます。
 そしてその特別顧問の指示でありますけれども、各局への実質的な指示を行っているというのは、私の指示を受けての対応でございます。都政の課題について調査検討し、そして知事である私に助言をすることも職務としているわけでございますけれども、この特別顧問の皆様方には、外部からの目で専門的な知見を生かしていただいて、そして東京都の改革を促してくれる、そのことを望んでいるわけでございます。そして実際にそのように活躍してくれていると私は認識をいたしております。
 それから、特別顧問と職員との関係でございますけれども、職務上の指揮命令関係にあるものではございません。
 それから、先ほどのバッハ会長に渡った資料について、もう一度整理をしておきたいと思います。
 十月十八日のバッハ会長との面会時でございますけれども、お渡しした資料でございますが、これは調査チームの考えをまとめたものでございます。当日施設の見直しにつきまして議論となったときのために、事前に上山顧問に作成をしていただいたわけでございますけれども、私も相談を受けまして、調査チームの提言として出すことを了解したものでありまして、これはそのとき、その会場そのものでは結局は使われませんでしたけれども、そういった流れでつくったものということでございます。
 そして、先ほど最後にご指摘がございましたバッハ会長に渡した文書でございますけれども、先ほどメモと私、申し上げました。これを公文書に当たるということを確認いたしましたので、私の事実誤認ということで、この場で謝らせていただきたい。そして訂正をさせていただきます。ご指摘ありがとうございました。
 IOCへの訂正文書でございますが、上山特別顧問か知事の名前で出すべきではなかったかとのご質問もございました。この文書につきましては、先ほどお答えしたとおりでございますけれども、都そのものとして決定した内容と受け取られる懸念がございましたために、作成者を削除、そしてその訂正理由を説明する文書をIOCに送付をするように両局に指示をしたものでございました。ということで、手続上は問題ないと、このように考えております。
 それから、上山特別顧問と村井宮城県知事との間のメールのやりとりの全てを公開すべきではないかというご質問でございます。
 宮城県知事とのメールのやりとりの公開につきましては、オリ・パラ調査チームによるボート、カヌー会場の検討作業の中で、長沼ボート場というのが候補地として挙がったわけでございます。海の森水上競技場の整備も進みまして、時間も限られているという中で、そういった中で復興五輪の旗印のもとに、早急に村井知事の意向と意欲を確認するために、上山特別顧問からメールを送ったとのことでございます。
 以前からの親友ということもございまして、メールだけでなく、電話でも話をされていると聞いております。
 私自身も村井知事とはかねてより面識がございます。メールの具体的な内容については、私自身は存じ上げておりませんが、公開については条例にのっとって、このメールを組織的に用いたかどうかということで判断すべきかと考えております。
 それから、同じくオリンピック・パラリンピック問題につきまして、これは先ほどお答えをしたかと思いますけれども、長沼案ということで、四者協議におきましては費用、そして立地など、さまざまな面から総合的に判断されたものでございまして、十一月二十九日の四者協議において、都としては、海の森水上競技場を、経費を縮減し、スマート案という形で、これまでの予算よりもさらに縮減した案について整備することを提案して、その場で合意をいただいたものでございます。
 ちなみに、宮城県の長沼ボート場につきましては、復興五輪、そして既存のコースの活用という観点から、事前のキャンプ場として活用することとされたことも付言をいたしておきます。
 それから、分野が変わりまして、混合介護についてのご質問もございました。
 現行の介護保険制度でございますが、保険内サービス、そして保険外サービスと同時、一体的に提供することや、公定価格以外に指名料を受け取ることなど、いわゆる混合介護は認められていないところでございます。
 こうした混合介護の弾力化が認められますと、事業者が創意工夫を行う幅が広がります。そして利用者の利便性やサービスの質の向上、ひいては介護職員の待遇改善にもつながることが期待されているわけでございます。
 このため、事業者団体であります一般社団法人の日本在宅介護協会の要望もこれあり、国家戦略特区の取り組みを国と連携して強力に進めていこうということで立ち上げた、それが東京特区推進共同事務局でございますけれども、この事務局を活用しながら、混合介護の弾力化に取り組むことといたしたわけでございます。国家戦略特区のワーキンググループでも、この件が取り上げられたわけでございまして、ここは鈴木亘氏が事務局長を務めているということで、リンクされるものでございます。
 もちろん、混合介護についてはさまざまなご意見がございます。いろいろな意見もございます。そういった中で、今後介護をどのようにして、真に安心でき、そして今後膨れ上がってまいりますこの分野でのコスト、費用をどのような流れで抑えていくのか、そしてかつ、安心できる介護が行われるのかといったような点につきましては、さまざまな考え方がございますけれども、さらに皆様方のお声も伺いながら、具体的な内容については検討をいたしてまいります。そしてまずは、モデル事業という形で取り組んでいきたい。これが考え方でございます。
 それから、都政改革と改めて特別顧問との関係でございますけれども、知事である私は、みずからの判断と責任において都政を運営する責任を負っているわけでございまして、そしてこれについて職員と一緒に都政改革を進め、そして特別顧問の皆様方から、さまざまなご助言をいただきたいと考えているところでございます。
 都政の課題解決に向けまして、職員と特別顧問、一層協力して議論していけるように工夫を図ってまいります。これにつきましては、先ほどもお答えしたところかと存じます。
 少子化対策についてもご質問がございました。
 ご指摘のように、我が国では世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでいるわけでございます。こうした中で、この東京におきましても、誰もが生き生きと生活し、また活躍できるダイバーシティーを実現するためには、子供を持ちたいと願う全ての人々が安心して子供を産み育てることができる環境を整備していかなければならないというのは、この議会でも、そして都政でも大きな課題となっているわけでございます。
 そのためには出産、子育ての支援はもとより、女性の活躍支援、そして、働き方改革によりますライフワークバランスの推進、さまざまな分野の取り組みを総合的に進めてまいる必要があるわけでございます。
 よって、今後も、待機児童対策など関連施策のさらなる充実を図ってまいり、特に多摩・島しょ地域を含めまして、この少子化対策を全般的に進めてまいりたいと考えております。
 それから、入札関連、公共調達について何問かご質問がございましたので、まとめてお答えをさせていただこうと思います。
 公共調達のあり方や今後の改革については、まず調達でございますが、都民の貴重な税金を原資とするわけでございます。そしてその上で、都民の信頼の上で、透明性、公正性、競争性、その確保に万全を期さなければならないことはいうまでもございません。
 そして、いわゆる品確法、公共工事の品質確保の促進に関する法律につきましては、これまで国会におきましても数次の改正を経てきているわけでございますが、いわゆるこの品確法に規定されます公共工事の品質の確保、それから担い手の育成の確保を初めとしまして、官公需法に定められた中小企業の振興や、環境への配慮などの社会的要請にも対応する必要がございます。
 こうした課題に対しての背景、そして政策提言などを都議会自民党の皆様方も、入札・契約制度改革プロジェクトチームとして報告書をおまとめになっておられます。私もこれについては精読をさせていただきました。そのご苦労には敬意を表したいと存じます。
 その上で、都の公共調達が真に都民の利益にかなうのかどうか、改めてワイズスペンディングの視点で検証する必要もあると認識をいたしております。
 この入札制度というのは、さまざまな事件などが起こるたびにもう一度見直そうということで、そのたびに内容が違ってきているわけでございます。
 いつもベストな方法を探そうというのは、これはどの自治体においても、それぞれ、国におきましても、いろんな入札制度については議論のあるところでございまして、ベストな方法、ベターな方法を見つけていくというのは当然の努力ではないかと思っております。
 全ての施策やお金の使い道に大きくかかわります入札契約制度でございます。都政改革本部内にも、内部統制プロジェクトチームの中で熱心なご議論をお願いもしているところでございます。
 そして、入札制度、メリット、デメリット、それぞれ全て満足させるということは難しいところではございますけれども、しかしながら、時々の社会情勢に応じて、より多くの方が納得できる制度、これを構築していく必要がございます。
 例えば、一者入札で九九・九%と限りなく一〇〇%に近い落札など、都民の視点から見ますと、これは一体どうなのかといったような疑問が生じるような事態は回避する工夫なども考えていかなければならないのではないでしょうか。私といたしましては、何でも安ければいいということはいっておりません。
 そして、そのときに、一時につくるためのお金と、それからその後、それを管理運営していくためのライフサイクルコストという、こういった観点も見ていかなければならないわけでございまして、そういった総合的な判断を示していくというのがこれからの入札制度を考える上で大きなベースになってくるのではないか、このように考えているわけでございます。
 そして、その際の基本になる考え方は、賢いお金の使い方、そしてそれを都民の皆様方に信頼していただくという、まさしく都民ファーストの視点ではないかと、このように思うわけでございます。
 そのためにも、公開議論をすべしという崎山議員のご提言については、これは大歓迎でございます。できるだけオープンな場で、何が語られ、何が語られなかったのかということを明確にしていくことこそ都政の改革の一歩であり、そしてまた、特にお金が絡みますこの分野での議論というのは、まさしく都民の皆様方の前で展開されるべきだと、このように考えております。
 そして、より多くの方々からさまざまな意見をいただくというのは極めて重要なことでございますし、また、ご指摘の研究会を含めた多くの外部の方からご意見も頂戴したい、まさにこの外部の方々というのが特別顧問であったりもするわけでございますけれども、より多くの皆様方からのご意見を頂戴し、そしてより透明な、より皆さんが信頼できる、そのような方法をともに見出していきたい、私はこのように率直に考えているところでございます。
 無電柱化についてのご質問がございます。
 昨日の衆議院の本会議におきまして、無電柱化推進法案が衆議院の本会議場で採決が行われて、そして参議院に送られることとなりました。これから委員長提案になるかと思いますけれども、これまで私、国会議員として長年手がけてまいりました法案がいよいよ成立の運びとなり、それを受けて、東京都におきましても、この推進法を条例化して、そしてご指摘のように、区市町村等とより連携をしながら、この東京をオリ・パラ関連のみならず、センター・コア・エリアのみならず、広く防災の観点からも、景観の観点からも、無電柱化を促進していきたいと、このように考えております。
 そして、これまで定められてきた、これから何年間に何キロ進めますという計画でございますが、そもそもの問題点は、技術革新を行ってコストを削減しなければいけないということでございまして、これから条例化するに当たりまして、関係の事業者、都を含めまして、この無電柱化を進める最大のポイントがイノベーション、技術革新、そしてそれがコスト削減でございますので、それを進めていかなければ、幾ら何キロメーターという計画を定めても、コストによってそれは大きく違ってくるという観点から、無電柱化については皆様方のご協力も得ながら、ぜひともそういった本質問題を含めて進めさせていただきたいと思っております。
 それから、木密地域の不燃化についてのご質問にお答えをさせていただきます。
 前倒ししていくのかどうかというご質問でございました。都民の生活、命、財産を守るためには一刻も早く取り組みを進めていかなければなりませんし、また、住民一人一人がみずからの問題として認識していただくということが必要でございます。
 そこで、一つ一つ、全戸訪問などによって現地に入って理解とご協力を得ていただくという作業が必要になってまいります。不燃化の建てかえについては、それぞれ区と連携した不燃化特区の取り組み、そして防災生活道路の整備で促進してまいります。
 避難、そして救援活動の空間ともなります延焼遮断帯の形成、これが必要でございますが、都が特定整備路線を整備してまいります。そして、こういう取り組みは一層加速いたしまして、木密地域を燃えない、そして燃え広がらないまちとしてまいりたいと考えております。
 それから、中央卸売市場のご質問でございます。
 一日も早い豊洲の移転に向けてロードマップを少しでも早めていく、そのために精力的に取り組むべしというご質問でございました。これについては、多くの市場関係者の方々が移転時期を含めて、早く今後の見通しを立てたいとのお考えであるということは十分に承知をいたしております。そのためにも、そのお声に応えていかなければならないということで、具体的な道筋をロードマップとしてお示ししたところでございます。
 そして、この問題はスピード感が重要であります。と同時に、何よりも大切なのは、都民の食の安全・安心がしっかりと確保されているかどうかでございます。それから、皆様方もご議論いただいた建物の地下に盛り土がないという状態などにつきましては、安全性の科学的な検証を十分行うことは不可欠だと、このように考えております。
 先日の安全性の問題等につきましては、建物の観点からのお答えであったかと思いますけれども、現在、専門家会議、そして市場問題プロジェクトチームでさまざまな専門家からの知見に基づく検討を精力的に進めていただいているわけでございます。今、建物と申しましたけど、建物であったり、環境、使い勝手、それから今後の市場の持続可能性、そういった観点から、いろいろとご専門の方々に点検をしていただいているわけでございます。
 そしてまた、法律に基づいたさまざまな手続がございます。一つ一つ確実に行っていく、そのことが都民の安心、信頼の確保につながると、このように考えております。着実にそれらのステップを踏むことによって、結果的にも食の安全の確保、市場関係者の方々が安心して事業を続けられる環境の実現が行われると、このように考えております。
 以上、先ほどご質問いただきました点につきましてお答えをさせていただきました。
 そしてまた、再質問で、新たにと申しましょうか、新たに七問ほどご質問をいただいたかと思います。
 そして、最初に答弁調整ということではなく、そしてまた根回しではなく、緊張感を持ってという最初の所信表明、前回の議会での表明等々についてのお話がございました。
 私はこのように、今、みずからご質問について、再質問についてもゆっくりお話しいただいたので、しっかり書きとめました。ありがとうございます。そういう中で、お答えをさせていただきたいと思います。
 国会におきましても、最後の瞬間までなかなかご質問をいただけないということで、ばたばたしたこともございます。しかしながら、議会の皆様方とはしっかりとコミュニケーションをとり、そして、しっかりとしたご答弁ができるような、そのような環境が保てればと、このように思うところでございます。
 そして、そのためにも、きょうは、本日はこの後の各会派の皆様方からは事前にいただいておりますので、しっかりとまたお答えさせていただきたいと、このように思っているわけでございまして、私は、このような形で着実に、この議会と、そして私、知事、そして都政とともにキャッチボールをしながら進めていくということを行っていきたいと、このように思っております。
 そしてまた、議会を形骸化するのではないかというようなご指摘もございましたけれども、私はそのようなことは全く考えておりません。むしろ、こうやって各メディアもこのように、これまでになく都政を見ていただいている。そして、このやりとりについても見ていただいている。これこそが情報公開の一歩を、各メディアの皆様方のご協力も得てといいましょうか、ご関心もこれだけ高まった中で進められているというのは、これまでの都政にはほとんどなかったことなのではないだろうかと、このようにも思うところでございます。
 それから、当然皆様方の質問権があるわけでございますから、そのために都庁の側として責任を持って答弁をするというのは当然でございますし、これからもそのような関係については、しっかりと議会とのコミュニケーションをよくしながら、必要なときには議論をし、そして必要なときにお互いにアドバイスを相互的に交わすといった関係が望ましいのではないかと、このように思っております。
 復活予算のお話がございました。先ほども少々お答えしたかと思いますけれども、昨年度まで行われていた都の予算編成プロセスでございますが、知事によります予算原案の策定の後、各局から復活要求を議会にお聞きいただき、そして、議会が聞き入れて、これらに議会側独自の案件を含めたものを、いわゆる政党復活要望として受け入れてきたと、このように聞いております。
 この要望に基づいて、復活の知事査定を経まして、復活予算案が策定されてきているというふうに認識をいたしております。政党復活要望に基づいて復活予算案を策定するという、これは一言でいうと、他の道府県では例がないということでございます。そういう中で、都民の皆様にわかりやすくお伝えするために、いわゆる政党復活予算という呼称を使ってまいりましたけれども、その中身についてどうかということでございます。
 この具体的な、総額では二百億円ということで、主なものとしてはお話しのとおりかと、このように思います。区市町村や各種団体の要望なども踏まえました各局から議会側への復活要求、そして都議会の各政党からの政党復活要望に基づきまして、復活知事査定を経て策定されたものと、このように認識をいたしております。
 そしてまた、都側が編成をいたしました予算につきましてのご議論はこの議会でいただくわけで、それを議決していただくという、その過程におきまして議論を行っていただくというのが基本的な関係ではないかと、このように私は考えております。
 それによって、区市町村のご意見、団体の皆様方のご意見もしっかりと反映させたものにし、そしてまた、予算の審議において皆様方からのご意見等々も伺うという話になるのではないかと思います。そしてまた、各種団体、区市町村などの組織、団体からご要望をいただく件につきましても、情報公開を基本として考えているところでございます。
 そして何よりも、予算の修正権というものを皆様方はお持ちなわけでございますし、また、必要な予算は、そもそもその予算に組み入れていればいいということで、これはどこの道府県でもこのような形でやっているわけでございまして、それを否定することが地方自治法の否定につながっているとは私は考えておりません。
 それから、知事査定後の予算原案の段階で復活財源として議会のために留保しておくという仕組みでございますけれども、歴代の知事が都議会にその使途を全面的に委ねてきたという意味で、白地小切手という言葉を使わせていただきました。これは戦後長らく続いてきた慣例ということで聞いております。そして、都議会が一部の予算について実質的に予算編成権を行使してこられたという意味でございます。そして、このことにつきまして皆様方と――復活予算案についてのご質問につきましては、今お答えしたとおりでございます。
 それから、オリンピック・パラリンピックの件につきまして、知事のオリンピックへのコンセプトは何かというお問い合わせがございました。
 六四年の繰り返しではなく、成熟都市にふさわしいオリンピックをというのは官僚的といわれましたが、これ、私、官僚ではないですが、以前からも使っている言葉でございまして、どうぞその点はご心配なく。
 そしてコンセプトにつきましては、私は、これはバッハ会長と同じでございます。いかにしてサステーナブル、持続可能なオリンピックにするかということでございます。
 オリンピックそのものも持続可能かどうかということが今のIOCの大きな課題でございます。そして、そのためにアジェンダ二〇二〇を編成し、その中には、いかにして既存の施設を使ってコストを削減するのかといったようなコストの面だけでなくて、いかにしてそのまちがサステーナブルであるか、持続可能であるのか、そしてまた、食品残渣をゼロにするであるとか、CO2などの削減のための自然再生エネルギーを使っていきましょうといったような意味での持続可能性、サステーナブル、私はまさしく、まあ片仮名ばっかり使っているというお叱りを受けるのでございますけれども、コンセプトがもともとコンパクトであったというふうにお話がございました。
 前の知事は、世界一という言葉を使っておられました。私は、それを日本語でいうならば、持続可能な日本、持続可能な東京にしていくということでございます。そして、これこそがまさしくIOCのバッハ会長とも意気投合したところでございまして、これはコスト面、環境面、そしてまた社会全体、これらのことを踏まえての大きな枠のまさしくコンセプトに当たるものではないかと、このように思っております。
 これから残された日数、千三百三十数日を切ったかと思いますけれども、これからのオリンピック・パラリンピックが持続可能性、サステーナブル、このことを標榜し、そしてまた、それに資するような会場づくり、交通、セキュリティー、食品などの問題、そして再生可能なエネルギーを活用するといったようなさまざまな観点を抱合するような、そのようなオリンピック・パラリンピックとしてまいりたいと、このように考えております。
 皆様の中からも、組織委員会の中にメンバーとして入っておられる方もおられるわけでございますので、ぜひ組織委員会の中でも東京都としての立場をしっかりお伝えいただき、また、私、東京都知事、東京都、それから政府、そしてIOC、各種IF、NF、連携しながら、すばらしい大会にしていきたいと、このように考えております。
 ぜひとも皆様方のご協力を今後とも賜りますようにお願い申し上げまして、私からの再答弁とさせていただきます。ありがとうございました。

○議長(川井しげお君) 八十六番長橋桂一君
   〔八十六番長橋桂一君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○八十六番(長橋桂一君) 都議会公明党を代表して質問します。
 戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。この余りにも有名なユネスコ憲章の前文にあるとおり、分断や差別を生まずに利害の相違を乗り越えるすべを人類は見出していかなければなりません。
 国政だけではなく、都政においても、公明党は分断や差別と闘い、立場や習慣の違いを超えて、人と人とを結びつけることによって、迫りくるさまざまな課題を解決する力を生み出してまいりたいと思います。国でいえば極端な自国優先主義、都政でいえば弱者への優しさを忘れたところは、そうした未曽有の善の力を獲得することはできないものと考えます。
 その上で、都民が願い、支持する不断の改革の歩みの先頭に立って、都議会公明党は、今後とも、生活現場の声や実情を踏まえ、提案を重ねるものであります。
 小池知事は就任以来、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの三つの視点を強調され、これらを踏まえ、二〇二〇年に向けた実行プランに対する都民の意見、アイデアが公募されました。
 都議会公明党はこの三つの視点を重視し、昨日、小池知事に対し、実行プランに関する政策提言を行ったところであります。本日は、その提言を踏まえて質問を行います。
 まずは、多様な都民が元気に活躍できる社会を目指すダイバーシティーの観点から何点か質問します。
 初めに、障害者への差別の解消を目指す都条例の制定についてであります。
 公明党は、国連で障害者の社会参加などを求めるための権利条約が採択された二〇〇六年以来、一貫して障害者の社会参加を図る法整備の必要性を訴えてまいりました。その結実として、本年四月より障害者差別解消法が施行されました。東京においても、二〇二〇年大会に向け、障害者差別のない共生社会を力強く推進し、貴重なレガシーとして形にしていく必要があると考えます。
 知事は、さきの所信表明で、障害者への理解を深め、差別をなくす取り組みを一層推進するための条例の検討に言及されました。条例の趣旨は、都議会公明党の主張とも合致するものであります。
 障害者差別解消法の制定に当たり、公明党が最も重視した点は、障害者団体など当事者の意見を十分に反映させて法整備を進める点であり、障害者の意思決定支援や地域協議会の設置、相談支援体制の整備などを主張し、法律に盛り込んだところであります。
 障害者差別解消法では、障害者の求めに応じて合理的配慮を図ることが義務化されています。都は、オール都庁での窓口、出先施設等、障害者への合理的配慮を図れるよう体制を整えておくべきです。見解を求めます。
 一方で、都で条例化を図る上では、より具体的に不当な事例に関する勧告や名称の公表などを行う必要があり、より一層、障害者やその家族に不利益が生じないよう、安心感のある相談環境、公平公正な調査や評価の仕組み等の点で最善の努力を払う必要があります。
 都における条例制定に当たっては、こうした点を十分に配慮し、障害者の誰もが主役となる社会の実現に向けた条例とすべきと考えます。知事に見解を求めます。
 次に、特別支援教育について質問します。
 東京都はこの十月、第一回東京都総合教育会議を開催し、小池知事のもとでの教育施策大綱の骨子を公表したところであります。
 都は、この大綱骨子の中で特別支援教育を重点施策としたほか、同時に、特別支援教育推進計画の第二期の第一次実施計画の骨子も公表しています。計画骨子では、我が党が強く要望してきた教室不足解消への取り組みなどが具体化されており、評価するものであります。
 しかし、知的障害特別支援学校への通学を必要とする生徒数は今後も増加が見込まれています。再び教室が不足するような事態を招かないよう、的確に人口推計を踏まえ、計画を設計すべきであります。見解を求めます。
 また、障害があっても生き生きと活躍できる社会の構築が大事です。一貫した切れ目のない特別支援によって、就労にも大きな効果が期待されます。幼児期から小学校や中学校までは、一人一人の個別の支援記録は着実に引き継がれることになっています。しかし、高校進学時に課題があります。
 例えば、知的障害を伴わない発達障害などの場合、特別支援の中学校から普通高校に進学するケースがあります。特別支援教育を受けていたことを明らかにしたくないと考える保護者もいて、特別支援教育の内容を記録した支援計画書を高校に渡さない場合があります。必要な支援が途切れてしまうため、対人関係に課題を抱えていることをやゆされ、いじめの原因となってしまうこともあるようであります。
 保護者の意思を尊重することは大切ですが、必要な支援が途切れる不利益は生徒本人に及びます。保護者の理解を得るため、高等学校への入学相談の充実が必要です。見解を求めます。
 また、特別支援学校の卒業後に一般就労する場合には、職種や職場との適合を図り、働きやすいように調整する支援が必要です。我が党の提案で、現在、都は就労後の追跡調査を開始していますが、就労後間もなく離職してしまう原因を分析して、その後の対策に生かすべきであります。見解を求めます。
 続いて、高等学校における公私間格差の解消について質問します。
 経済的格差が広がる中、親の所得によって子供の教育を選ぶ自由が阻害される不平等の解消を図る必要性が高まっています。都内の高校生の約六割は私立高校に通っています。この比率は、全国的に見ても東京だけが抱える特殊なもので、それだけに東京独自の対策の充実が求められています。
 また、生徒一人当たりに支出される都の負担額は、都立高校では約九十五万六千円であるのに対して、私立高校では約三十八万三千円と、都立の方が二・五倍ほど多くなっております。都は、都内高校生の教育環境の多くを私学に委ねているわけであり、その恩恵の分、より手厚く私学世帯に支援をするべきであります。
 既に小池知事は、高校生に向けた給付型奨学金の創設などを打ち出されています。都立高校の授業料が年間十一万八千八百円であるのに対し、都内の私立高校の平均授業料は年間四十四万円と約四倍も高くなっています。現在都は、国の就学支援金に加えて、世帯年収に応じて、都独自の授業料軽減助成金を上乗せ給付していますが、今後、新たに措置を講ずることによって、その差額を実質無償化する必要があります。
 その点、国の就学支援金制度により、都立高校では既に約七割の生徒の授業料が実質的に無償化されています。しかし、私立高校に通う生徒の世帯では、就学支援金を受給してもなお、その差額を支払い、負担となっています。
 都議会公明党は、知事が打ち出された給付型奨学金の支給基準を就学支援金の基準と同じく、世帯年収約九百十万円未満の家庭とするべきと提案するものであります。知事に見解を求めます。
 また、私立高校の入学金も大きな負担となっています。現在、都内の平均入学金は約二十五万円に上っていますが、都の無利子の入学支度金貸付事業の貸付額は二十万円にとどまっています。五万円増額して二十五万円にすべきと提案しますが、知事に見解を求めます。
 続いて、我が党が強く推進してきた受験生チャレンジ支援貸付事業について質問します。
 教育の力で貧困の拡大を防ぐため、都は、平成二十年度、受験の時期に間に合うように本事業をスタートさせました。とりわけ、受験に合格できたら、貸し付けた受験料や塾代を返済しなくともよいという本制度の根幹ともいえる工夫は、平成二十年六月の第二回定例会の本会議質問における我が党の提案に対する答弁の中で初めて表明されたものであります。
 本事業は、貸し付けを受けた利用者のうちのおよそ九九%が見事合格を果たすなどにより、返済免除をかち取っています。経済苦を乗り越え、進学にチャレンジする子供たちの意欲を後押しするものであり、全国でも比類のない取り組みといえます。
 都議会公明党は、当初三年間の時限措置とされていた本事業の継続を強く求め、実現させたほか、高校受験にも適用の拡大を図り、さらには高校中退者が再チャレンジする際での活用まで実現してきました。昨年は、ひとり親家庭での所得制限の緩和を果たすなど、都とともにその充実を推進してまいりました。
 しかし、年々申込者がふえているものの、まだ本制度の存在すら知らないという保護者が多い現状にあります。加えて、努力次第で返済が免除されるという点に本制度の特色があることがいま一つ都民に伝わっていない感があります。
 都は、さまざまな手段を講じて、より多くの対象者に対し、合格によって返済が免除されるメリットを知ってもらい、利用者が拡大するよう周知に努めるべきであります。見解を求めます。
 また、受験生チャレンジ支援貸付事業は、生活保護世帯を対象外としています。同様の効果が生活保護制度の中でも得られるという理由であります。しかし、現在の保護制度では大学受験の費用などはカバーされていません。都はこの点の改善を急ぐべきであります。見解を求めます。
 教育に関連して、学校のトイレの洋式化について質問します。
 我が国で、保有率の点で洋式トイレが和式トイレを逆転したのが一九七七年といわれています。総務省統計局のデータによると、全国の住宅での洋式トイレの保有率は、既に九割に達しています。
 しかし、家庭のトイレで洋式化が進む一方で、公立学校のトイレの洋式化は、全国でいまだに五〇%を切る状況にあります。
 一方、先日、文部科学省が発表した公立小中学校施設のトイレの状況調査によれば、洋式化は、都内においても、区部で五七%、市町村部では四九%という現状にとどまっています。
 和式になれない小学校新入生に対し、入学前に和式トイレの練習をしてきてくださいという通知を出す学校が現在もあるとのことで、保護者から困惑の声が上がっています。和式トイレを使いなれていないため、学校にいる間は我慢する傾向もあり、児童生徒の健康を考えても問題があります。
 また、小中学校は災害時に地域の避難所となる場所です。和式トイレでは膝に負担がかかります。高齢者などが災害時に使用することを考慮すれば、対策は急務であります。
 これまで、都議会公明党は、公立小中学校における冷房の整備について、都の予算の投入を図り、推進を図ってきました。トイレの洋式化についても、国や市区町村の負担だけではなく、都の予算を投入して促進すべきと考えます。見解を求めます。
 同様の課題は、都立学校にも当てはまります。都内では、高等学校では四六%、特別支援学校では七七%という状況です。都立学校のトイレの洋式化をより一層強く推進すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、スマートシティーの観点から食品ロスについて質問します。
 国連食糧農業機関によると、地球全体の食料の約三分の一が無駄に廃棄されていて、昨年九月の国連で採択された持続可能な開発目標の中では、二〇三〇年までに世界全体の一人当たりの食品廃棄物の量半減と、食品ロスの減少の達成が掲げられています。
 日本は、食料の大半を世界から輸入する一方で、年間約六百四十二万トンの食品ロスが発生しています。公明党は昨年十二月、食品ロス削減推進プロジェクトチームを立ち上げ、政府に対しても提言を繰り返し行ってまいりました。
 食品流通業界での商習慣の見直し、フードバンク事業の支援、防災備蓄食品の更新時の食品ロス問題、普及啓発などの取り組みが重要であると考えます。
 都は、昨年度より食品ロス削減のモデル事業を展開していますが、今後、東京オリンピック・パラリンピックを目指し、一大消費地である東京が世界にモデルを示していくべきと考えます。知事に見解を求めます。
 次に、セーフシティーの観点から何点か質問します。
 まず、頻発する高齢運転者による事故を防ぐための対策についてであります。
 高齢運転者が関与する交通事故は、最近毎日のようにニュースで耳にするところであります。高齢社会の波は着実に道路交通にも影響を及ぼしており、高齢者が加害者となる交通事故の防止に向けた早急な対策が望まれます。
 そうした中、高齢運転者の交通事故を防止する対策として、運転免許更新時に行う講習の重要性が非常に高まっております。しかし、高齢運転者が自動車教習所に受講申し込みをしても、一部の教習所では、すぐに受講できない状況があると聞きます。
 警視庁として、高齢者講習を迅速かつ効果的に実施するための対策を急ぎ講じていく必要があると考えますが、現状の課題の改善と今後の充実について、警視総監に見解を求めたいと思います。
 また、研修の際に行われる認知症検査の基準が実際の運転操作に見合っていないという指摘もあり、内容の改善が必要であります。加えて、認知症の疑いがあるというだけでは免許の発行を拒めないという現行ルールについても、全国的な法規基準の改正が必要とのことであり、早急に見直すべきと申し上げるものであります。
 一方、高齢運転者の重大交通事故を防止する有効な対策の一つとなり得るのが、運転免許自主返納の促進であります。警視庁として今後、自主返納がしやすい環境を整備すべきと考えますが、警視総監に見解を求めたいと思います。
 昨今は、高齢者による運転だけではなく、生活道路における無謀な運転の横行という点でも交通事故の不安が増しています。都における交通事故発生件数と負傷者数は、平成十二年をピークとして年々減少傾向にある一方で、安全が確保されなければならない通学路においては、依然として児童が巻き込まれる悲惨な事故が後を絶ちません。
 都内の交通事故発生状況を道路幅員別に見ると、平成十七年から二十七年まで、全体の交通事故死者数は減少しているにもかかわらず、幅員が五・五メートル未満の狭い生活道路に限っていえば、死者数は増加しているのであります。
 そこで、生活道路対策の手段として、警視庁では、区域を定めて最高速度三十キロの交通規制を行うゾーン三十を推進しておりますが、これまでの整備効果と、今後の整備方針等について警視総監に見解を求めます。
 通学路の安全を確保するために、ゾーン三十の活用に加えて、都内のどの場所に危険が存在しているかを具体的に明らかにしていくことが必要であります。道路の料金所などの通行をスムーズにするため、ETC二・〇と呼ばれる機器の車両への取りつけが進んでいますが、その機器を通じて個々の車両の走行情報がビッグデータとして国土交通省で集積されています。
 この情報を活用すれば、都内の各通学路における車両の通行状況、具体的には、通行が多い時間帯や実際のスピード、加速、減速の状況などが明確にわかるようになり、危険な場所の特定が容易になります。
 通学路の安全対策を進めるために、国土交通省が集積している車両通行のデータを積極的に活用すべきと考えますが、警視総監の見解を伺います。
 視覚障害者バリアフリーについて伺います。
 視覚障害者の交通安全対策でございますが、駅のホームドア同様、まち中における視覚障害者の交通安全対策を求める声が我が党にも数多く寄せられています。二〇二〇年パラリンピック大会後にも、東京のレガシーとして残せるよう、競技会場周辺だけではなく、都内全域では、視覚障害者用の音声つき信号機や、横断歩道上に点字ブロックを敷設するエスコートゾーンの設置などの視覚障害者の交通安全対策を計画的、積極的に進めるべきと考えます。警視総監に見解を求めます。
 次に、住まいの課題について何点か質問します。
 初めに、空き家活用についてであります。
 都内に広がる約八十二万戸の空き家住戸はまさに眠れる資産であり、その活用は都内の景気を大いに活気づかせます。加えて、困難な都政課題に有望な解決の糸口を提供するものであります。
 そこで今回、我が党は小池知事に対し、三点の空き家活用策を提案したいと思います。
 まず、急増するインバウンド需要に対応する、宿泊施設としての活用であります。
 私の地元である豊島区では、居住支援協議会による検討がきっかけとなり、空き家を宿泊施設に転用する取り組みが始まっています。
 その実例の一つが、二階建ての空き家を、一階はミシンカフェ、二階は旅館としてリノベーションした取り組みであります。
 ミシンカフェではミシンを貸し出し、布地などを持ち寄って活用し合い、地域のきずなが育まれています。その二階が旅館になっており、外国人が好む畳敷きの和室を中心に五室十ベッドが整えられています。
 今後、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを機に、一挙に外国人訪日客が増加すると予想されています。不足する宿泊施設への対応は、都内の喫緊の課題でもあります。
 加えて、観光は二〇二〇年以降も継続した発展が期待できる都内の有望産業であります。その成長を支えるために必要なインフラ整備策として、都内の豊富な空き家資産を活用すれば、低廉なコストで速やかに客室増を果たすことができるはずであります。取り組みを開始すべきであります。見解を求めます。
 次いで、高齢者や障害者などの住まいの場としての空き家の有効活用であります。
 住みなれた地域の中で、顔なじみの安心感を生かしながら共生を図ることが、互いのよさを引き出し合う助け合いにつながります。
 こうした取り組みを都内で進める上では、まさに空き家の活用が重要であります。ようやく本年三月、厚生労働省は都道府県等に対し、共生を図るガイドラインを示しました。都内でも高齢者、障害者、児童などの共生を推進するべきと考えます。
 都は、こうしたことも踏まえ、区市町村と連携しながら、福祉サービス基盤の整備に空き家の有効活用を図るべきと考えますが、見解を求めます。
 一方、空き家対策の推進には、区市町村が主体となった取り組みが不可欠です。しかし、条例や対策計画の制定や策定に取り組んでいる自治体もあるものの、いまだその取り組みには温度差があります。
 東京都においても、この十一月に住宅政策審議会から答申が示され、空き家対策の内容は数多く盛り込まれたばかりであります。
 そこで、都としても、住宅や福祉、観光などの行政の壁を超えた取り組みが都内全域で進められていくことを目指し、空き家活用の促進に向けて、総合対策の立案を急ぐべきと考えます。見解を求めます。
 かつて、都の行政組織にも住宅局があり、国をもリードして先進的な住宅行政を展開しておりました。
 ところが、石原知事の時代に局の編成がえが行われ、都市整備局の中の一つの部署となって以来、独自の予算確保が行えなくなっています。
 都議会公明党は、住宅行政に求められる昨今のニーズの変化を踏まえ、マンション課の創設や環境貢献、局長級ポストの新設などの提案を重ねてきました。
 しかし、具体的な進捗を見せていない課題も多く、空き家対策といった新たな課題に本格的に挑むためにも、都の住宅行政は抜本的にてこ入れすべき段階を迎えているといわざるを得ません。
 そこで、小池知事に提案します。住まいの安定と充実は、住民福祉の根幹であり、都市の豊かさのバロメーターであります。都は今こそ、新時代に応じて住宅部門をリニューアルし、局を復活させるべきであります。知事に見解を求めます。
 本日は、住宅行政の刷新を求める上で、まず都営住宅を取り上げます。
 都営住宅においては、老朽化対策としての建てかえの促進に加え、高どまりする入居倍率や高齢化に伴う団地管理業務の負担感への対応など、喫緊の課題を抱えています。
 都営住宅の管理戸数の上限を変えない方針を金科玉条とする限り、高齢者に門戸を広げれば若者の入居チャンスが減り、若者に門戸を広げれば高齢者の申し込み倍率は一層上昇するというジレンマに陥ってしまいます。
 高齢者向け住戸の必要性はいうまでもなく、東京というメガシティーの都市機能を維持していくためにも、担い手である若い世代向けに安価で良質な公共住宅を整備していくことは極めて重要であります。今後、建てかえ時以外での新規建設や、建てかえ時の住戸数の増加に積極的に取り組むことを強く強く求めておきます。
 一方、高齢化を踏まえ、都営住宅での自治会活動を支える取り組みが必要であります。名義人に限ったデータでありますが、都営住宅の名義人のうち、六十五歳以上が占める比率は六五%を超えています。公社住宅での同じ比率は五〇%を切っていますので、都営住宅での高齢化ぶりが如実にわかります。
 都営住宅では、団地の維持管理に必要な共益費の徴収や敷地の草刈り、共用廊下の電球の取りかえなどに要する費用が、もともと家賃額の算定基準に組み込まれていません。そのため、自治会を中心に住民がみずからの労役で代替し負担し合っていますが、その多くの部分は自治会役員などで担っているのが現状であります。
 しかし、役員も高齢化し、体力が衰え、管理作業を担い続けるのが困難になっています。
 都は、我が党の求めに応じて、住宅供給公社側でそれらの管理業務を請け負う事業を開始しようとしています。自治会負担の軽減に取り組むことは評価しますが、作業項目ごとに委託費がかさむため、委託項目を限定せざるを得ないという課題もあります。
 特に問題なのは、もともと家賃算定に組み込まれていないことが原因とはいえ、共益費の徴収について、貸し主が入居者から徴収に要する費用を手数料として徴するという考え方それ自体に違和感を禁じ得ないという点であります。
 もともと都営住宅は、福祉目的もあって設けられた制度であり、そうした手数料の取り扱いにおいても、福祉という視座から検討し直し、国との協議が必要であれば積極的に乗り出すべきであります。都独自の改善の余地も含め、知事に見解を求めます。
 加えて、若年子育てファミリーの入居を促進するために設けられた期限つき入居制度について改善を急ぐ必要があります。
 一般的に若い世代には自治会活動になじみにくい傾向にありますが、その中でも意欲的に活動に参加し、年配者から頼りにされている事例も少なくありません。
 しかし、せっかく役員となっても、期限が到来すれば団地から退去しなければなりません。こうした事例が今後も重なれば、初めから自治会活動に参加しない期限つきの入居者が一層ふえることになってしまいます。
 例えば、民生委員制度では、町会、自治会の推薦を受けて選考される仕組みになっています。こうした工夫を参考に、自治会活動の活発化に向けて、期限つき入居制度の改善に取り組むべきであります。知事に見解を求めます。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会について質問します。
 まず、オリンピック・パラリンピックの会場見直しについて質問します。
 十一月二十九日に開かれた都、IOC、組織委員会、国とのいわゆる四者協議では、ボート、カヌースプリント会場は、現行の海の森水上競技場で約二百億円、また、水泳会場も二万席から一万五千席に規模を縮小する百五十億円規模の経費縮減案を合意しました。
 小池知事のIOCバッハ会長との会談で、都がIOCと直接話し合う四者協議の枠組みができ、精力的に検討、交渉を進めた結果と率直に評価したいと思います。
 一方、注目されてきた宮城県の長沼ボート場は、ボート、カヌースプリント競技の事前キャンプで活用することで決着しました。被災地での競技開催には至りませんでしたが、我が党がこれまで強調してきた復興五輪という重要な意義が都民、国民に再確認されたと思います。
 今後の焦点はバレーボール会場の決定ですが、さきの四者協議におけるIOC幹部による一層の経費削減を求める声や、アジェンダ二〇二〇の精神にのっとり、経費縮減の可能性を最後まで追求すべきであります。大会にかかる総経費の縮減に向けた知事の見解を求めます。
 次に、パラリンピックについて質問します。
 パラリンピックの成功なくしてオリンピックの成功なし、都議会公明党は一貫してこのことを訴えてまいりました。世界で初めて二度目のパラリンピックを開催する東京は、国や大会組織委員会と一体となって、都民、国民に夢と希望を与える見事な成功をかち取らなくてはなりません。
 そのためには、観客が選手と一体となって熱い声援を送れるよう、大会に向けた機運を醸成していくことが最も重要であります。
 二〇二〇年東京大会の成功は、障害者の社会参加を促進し、持てる能力が最大限に発揮される社会の実現に通ずるものでなければなりません。二〇二〇年東京大会は、障害のある人もない人も互いに支え合う社会を実現する契機となるような大会とすべきであります。今こそパラリンピックにかける東京の情熱を世界に大きく示すべきであります。知事の見解を伺います。
 二〇二〇年東京大会のパラリンピックを成功させるためには、障害者スポーツへの理解促進といった十分な機運醸成と、障害者スポーツ人口の裾野拡大といった準備が必要であります。
 しかし、一方で、パラリンピック競技のアスリートでさえ、練習場所の確保に大変に苦労しているとの声が上がっています。
 その理由は、施設がバリアフリーになっていない、チームメンバーが複数の区市町村にわたっており施設の優先予約ができないなど、さまざまであります。
 こうした状況を放置したままでは、都内のパラリンピアンが二〇二〇東京大会で最高のパフォーマンスを発揮することは困難であります。高まる障害者スポーツ熱にも水を差してしまいかねません。
 都は、障害者スポーツ特有の事情も考慮に入れながら、障害のある人が継続してスポーツに取り組めるよう、場の確保に向け、積極的な支援に取り組んでいくべきと考えます。今後策定するスポーツ推進計画に盛り込むべきであります。あわせて都の見解を求めます。
 パラリンピアンの最高のパフォーマンスは、アスリート本人の限界までの努力に加えて、応援する観客の熱い声援によって限界を超えた潜在能力が引き出され、思いもよらない結果に結びつき、得られるものであります。
 そして、その一体感が観客の感動をさらに倍増させてくれます。パラリンピックの観客席が満員になれば、試合は大いに盛り上がります。
 そのためには、まず、障害者も健常者もともに快適にパラリンピックを観戦し、応援できる環境を整備することが必要であります。
 外出を控えがちであった障害者にも快く会場に足を運んでもらえるよう、バリアフリーに配慮した座席やトイレはもちろん、介助者や家族、友人と一体となって楽しみながら観戦経験ができる環境を整えるべきと考えます。
 できる限り多くの観客に、実際に試合会場でパラリンピック競技を楽しんでもらえるよう、さまざま工夫を講じるべきと考えますが、見解を求めます。
 また、二〇二〇年東京大会は、子供たちにとって学校の夏休み期間中になりますが、ちょうどパラリンピック大会の盛り上がりが頂点となるころに第二学期が始まります。またとない東京パラリンピックを、次世代を担う東京や被災地の子供たちに直接会場で観戦してもらう工夫が必要であります。
 例えば、学校や企業の理解を得ながら、開催期間をパラ応援ウイークと定め、オール都民がそれぞれの都合に応じて観戦に出かけ合うなどのムーブメントを展開し、盛り上げたらどうかと提案します。見解を求めます。
 加えて、パラリンピック競技や選手について、事前にパラリンピック教育を推進すべきと考えます。見解を求めます。
 東京二〇二〇大会に関連して、被災地支援について質問します。
 都議会公明党は、招致段階から復興五輪の理念を掲げ、さまざまな施策を提言し、実現に取り組んできました。
 この意味から、第三回定例会代表質問において、都議会公明党は、大会開催都市の知事として東日本大震災の被災三県を訪問し、各県の知事と胸襟を開いて懇談し、被災地に対して何ができるかを把握してもらいたい旨要望したところであります。
 小池知事が早速、先月上旬、福島を訪れて県内各地を回り、県知事や地元の方々と懇談されるなど、率先して被災地支援に取り組んでいることを高く評価いたします。
 震災により生じたさまざまな風評や、時間の経過とともに進む記憶の風化を克服するため、これからも被災地に向けた都の支援は必要であると考えます。
 特に被害が深刻であった福島に対して、都議会公明党は、発災後間もない平成二十三年から被災地応援ツアーの事業化を図り、旅行者が一人でも多く県内を訪れて観光産業を後押しすることを目指してきました。
 福島への観光客の来訪が震災前の水準にあと一息で戻ろうとする平成二十九年度も、改めて引き続き被災地応援ツアーを実施し、県内の経済と住民生活の回復に寄与する支援に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 二〇二〇年の東京大会に向けて、おもてなしを充実するための基盤整備が求められています。
 国では、観光先進国への新たな国づくりに向けて、二〇二〇年の訪日外国人旅行者の目標を四千万人とし、受け入れ環境整備の一つとして、無料公衆無線LAN、いわゆる無料Wi-Fiのさらなる整備促進を打ち出しています。
 都でも長期ビジョンで二〇二〇年の訪都旅行者数目標を一千五百万人とし、平成二十六年に外国人観光客の受け入れ環境整備方針を策定しました。この中には、情報通信技術の積極的な活用で、二〇二〇年に向けて都立施設等における無料Wi-Fiサービスの提供のほか、まち中におけるWi-Fiアンテナの整備目標を七百基程度とすることも盛り込まれております。
 ところが、平成二十七年度からWi-Fiアンテナ整備の事業がスタートしていますが、公園や文化施設などへの整備は順調なものの、観光案内標識の周辺については、アンテナ設置者と道路管理者などとの間に調整が必要な課題がさまざま存在しています。
 まち中でのアンテナ設置を進めるには、観光案内標識のほか、例えば誘導サインやバス停などにも拡大するなどの整備が必要であります。
 そこで、Wi-Fiアンテナ設置に関する局横断の会議を開くなど、その検討体制をつくるべきであります。見解を求めます。
 最後に、豊洲市場への移転問題について質問します。
 都議会公明党は、東京都が豊洲市場の建物の下に盛り土をせず、空洞を建設したことが判明した後、直ちに調査チームを設置し、現地調査を含め、原因究明に向けた徹底した取り組みを行ってまいりました。
 その結果、十月七日の経済・港湾委員会において、都が実施した第一次調査報告書に虚偽の記載があったことが明らかになり、知事の指示により調査報告書が作成されました。
 この第二次の調査報告書においては、いつ、どこで、誰が、建物の下に盛り土を行わなかったのかが明らかになりましたが、一番重要なのは、何のためにという部分が明確になっていません。
 都は、建物の地下に空洞をつくると判断した段階で、専門家会議が決めた安全対策と異なる手法で工事を実施するのであるなら、本来、専門家会議に再度検討してもらう必要があり、議会でも審議をし、その上で環境アセスメントの再審議にかけなければならなかったはずであります。にもかかわらず、なぜそのことをしなかったのか。
 都議会公明党は、その最も大きな要因は、平成二十一年二月六日に策定された石原知事決定の豊洲新市場整備方針の中で示された新市場開場平成二十六年十二月にあると考えております。
 都は、平成二十八年東京オリンピック招致を目指しており、整備方針策定の六日後に、招致に向けた立候補ファイルを提出しております。中央卸売市場の市場長を初め担当職員は、平成二十六年十二月開場に向け、極めてタイトなスケジュールの中、工期の延長や後戻りすることは許されない状況下にあり、仮に専門家会議、技術会議、そして議会審議にフィードバックしたり、環境アセスを見直ししたりすると、整備スケジュールが間違いなく延び、平成二十六年十二月開場ができなくなることを強く危惧していたものと考えます。
 つまり二〇一六年時点でのオリンピック・パラリンピックを招致という大きなベクトルが作用していたと仮定すると、なぜが見えてきます。こういった問題は、市場当局のみで判断できるものではなく、都全体で検討されたのではないかと考えますが、知事に見解を求めたいと思います。
 中央卸売市場は、市場の執行体制が刷新され、知事からも豊洲移転に向けたロードマップが示されました。負の循環を断ち切り、問題解決に向けた前向きな取り組みを進めるために、食の安全・安心を第一に考えるという原点を肝に銘じなければなりません。
 失われた都民の信頼を取り戻すには、専門家の客観的な見解に従って事業を進めること、安全・安心の確保に向けたさまざまな取り組みを都民にわかりやすく伝えること、これを徹底すべきであります。信頼回復に向けた知事の見解を求め、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 長橋桂一議員からのご質問にお答えをいたします。
 まず、障害者差別の解消に向けた条例についてのお尋ねがございました。
 女性も、男性も、子供も、高齢者も、障害のある方々も、誰もが生き生き生活できる、活躍できる都市、そのようなダイバーシティーが、私が目指しております東京の姿であります。
 その実現に向けまして、今回、障害者差別解消のための新たな条例案の検討を開始することといたしております。
 その条例には、社会全体で障害者への理解を深めて差別をなくす取り組みをより一層推進することを目的といたしております。
 条例には、障害者やその家族などからの相談に的確に応じる仕組みや、差別に関する紛争の解決を図るための事業者へのアドバイス、指導や勧告などの仕組みなどを盛り込んでいきたいと考えております。
 今後、障害のある方はもとより、事業者や学識経験者など、さまざまな立場の方からのご意見、十分にお聞きしながら、常に都民ファーストの視点で丁寧に議論を進めてまいりたいと思います。平成三十年度の条例の施行を目指していく考えであります。
 高校生に向けた給付型の奨学金についてお尋ねがございました。
 教育は未来への投資であることはいうまでもございません。将来を担う子供たちの教育の機会は平等であるべきであります。また、経済格差が将来の希望の格差につながることがあってはならない、このように思います。
 現在、都は、私立学校に対する経常費の補助を通じて授業料の抑制を行うといったこととともに、保護者の所得の水準に応じた特別奨学金などで、修学上の経済的な負担の軽減に努めているところでございます。
 都独自の給付型の奨学金については、こういった現行の支援制度、そして現在の経済状況、保護者の教育費負担の現状などを踏まえて、議会の皆様、そして私学団体等の意見も聞きながら、支援の対象、そしてその規模などの検討を進めてまいりたいと考えます。
 今後、幅広い施策を総合的に展開いたしまして、先ほど申し上げましたように、家庭の経済状況が子供たちの将来の希望を閉ざすことがないように取り組んでまいります。
 私立高校生への入学支度金の貸付制度についてのご質問です。
 私立高校に生徒を通わせる家庭におきましては、入学金、施設費、こういった入学時にまとまった額の教育費が必要でございます。これは、都立高校と比べますと負担が大きいということになります。
 そこで、現在、都は、都内の私立高校に入学する生徒の保護者に対して、ご指摘のとおり、入学時には必要な費用のうち二十万円を無利子で貸し付けているところでございますが、この制度についても、都独自の給付型奨学金を初めとした保護者の教育費負担の軽減の取り組みの中で検討を進めていく考えでございます。
 それから、食品ロスの問題についてのお尋ねがございました。
 本当に私たちは子供のころから、お米ができるまでには八十八の手がかかっていると教わったものでございます。食を大切にして自然の恵みに感謝する心は、こうやって育まれてきたものでございます。
 私は二〇二〇年東京大会に向けまして、もったいない、先ほどサステーナブルという言葉を申し上げましたけれども、それを日本語にすれば、私はもったいないだと思っています。
 もったいないの理念を都民、国民の皆様方の共感を呼び起こしながら、東京、そして日本を象徴する言葉として世界に広めていきたいと考えております。まさしく食品ロスというのは、このもったいないの典型ではないかと思うところでございます。
 そこで、昨年度、民間団体と連携いたしまして、消費期限の近い商品の購入を呼びかけるといったようなモデル事業を実施したところでありまして、この事業がメディアにも取り上げられて、食品ロスに対する都民の関心が高いことがわかったわけでございます。
 そこで、今年度は防災用の備蓄食品を更新する際の有効活用について、モデル事業を展開いたします。
 これまでの取り組みの中で、食品の製造から流通、そして消費に至る各段階で、商慣習などの課題があること、それから、さまざまな事業者との調整、協力が欠かせないということが明らかになったわけでございます。
 そこで、今後は、これまでのモデル事業の成果を生かしながら、事業者と課題の解決に向けて一層連携をして、食品ロスの削減に向けた新たな施策を展開いたします。
 それから、私自身も、みずからさまざまな機会を利用して、もったいない、もったいないといって取り組みを推進していきたいと考えております。
 それから、住宅部門を担う局の設置についてのお尋ねでございました。
 これまで、都におきまして、直面する課題に応じて組織のあり方をしばしば見直してきたわけでございますが、住宅部門につきましても、平成十六年に、まちづくりと一体となった住宅政策を推進するために、関係部署を再編統合した上で、新たに都市整備局を設置し、その後も住宅担当の理事を置くという形で、事業展開に合わせた執行体制を構築してきたところでございます。
 これによって、木密不燃化などの総合的な防災都市づくり、都営住宅の建てかえによって創出された用地を活用したまちづくりなど、具体的な事業展開を図ってきたわけでございます。
 また、今後の都市像を描くということでも、生活を支える機能が集約された拠点の形成であるとか、それから、多様なコミュニティの創出など、まちづくりと住宅政策を一体的に進めることが必要という考え方がベースにございます。
 さらに、ダイバーシティー、セーフシティーの実現に向けて、住まいにおける子育て環境の向上であるとか、高齢者の居住の安定や、ご指摘の空き家対策など、住宅に関する重要な課題の解決にも迅速に取り組んでいかなければなりません。
 これらの課題に的確に対応するためには、事業の展開に応じて効率的かつ効果的な執行体制が必要かと存じます。
 今後も、都民の皆様方の負託に確実に応えるためにも、私自身が都政全体を見回して、なすべきことを見定めながら、ご指摘のようなことも含めて、ふさわしい組織のあり方は検証してまいりたいと考えております。
 同じく住宅関連で都営住宅団地の管理についてのご質問がございました。
 住宅はいうまでもなく生活の基盤でございます。そして、都営住宅は都民の居住の安定を確保するためにも長年重要な役割を担ってまいりました。
 都営住宅の団地の管理に当たっては、社会経済状況の変化に迅速、そして柔軟に対応していくことが必要でございます。
 そのために、都は、居住者の高齢化の進行を受けまして、高齢者世帯を定期的に訪問する巡回管理人制度、そして緊急時に区市と連携いたしまして、安否の確認を行う仕組みなどを導入してきたのはご存じのとおりでございます。
 都は、住宅の共用部分につきましては、これまで居住者の皆さん方がみずから行ってくださいました作業の負担を軽減するということで、居住者の応分の費用負担のもとで、都みずからが共益費を徴収する仕組みを今年度に創設したわけでございますが、団地の代表者を対象とした説明会を実施して、現在、希望する団地を募集しているところでございます。
 今後、状況を見ながら、本日の長橋議員のご意見も踏まえながら、この仕組みのあり方については総合的に考えていきたいと考えております。
 それから、都営住宅への若年世帯の、若い世代の入居促進についてのご質問でございます。
 都営住宅においては、コミュニティ活動の活性化を図るために、若年世帯の入居を促進するということも重要でございます。子供たちの声がもっともっとにぎやかに聞こえるといったことも一つ生活を楽しくしてくれるものかと思います。
 そこで、都では、都民共有の財産であります都営住宅の有効活用を図りながら、若年世帯の入居希望にお応えするためにも、期限つきの入居制度を活用して、若年ファミリー世帯に応募資格を限定した募集を行っております。
 また、通常の募集でも、子育て世帯を対象とした当せん倍率の優遇制度を設けて、都営住宅に若い世代を積極的に受け入れているところでございます。
 今後もこういった制度の趣旨を踏まえながら、期限つき入居の改善も含めながら、若年のファミリー世帯の入居促進を図る取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 それから、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会についてでございます。
 総経費の縮減についてのご質問、これは平和の祭典でありますオリンピック・パラリンピック、先ほどもご答弁させていただきましたけれども、オリンピック・パラリンピックそのものが持続可能なものにしていかなければならないという、そのような段階に差しかかっている。そういう中で、アジェンダ二〇二〇が初めて適用される大会が東京ということになります。
 その責任を果たして大会を成功に導いていくためには、東京にとって必要なレガシーを残す、投資を確実に行っていくということとともに、限りある資金の有効活用を図って、経費は抑制していかなければなりません。
 十月のIOCバッハ会長との会談でも、都、IOC、組織委員会、国、これら四者によりまして、大会経費について協議の場を持つことといたしたところでございます。
 先週の四者協議におきましては、組織委員会から二兆円を上限として圧縮を図っていくといった旨の報告がございましたけれども、実はIOCからも、さらなるコスト削減を求められているところでございます。
 今後、四者協議、そしてリオ大会のデブリーフィングなどを踏まえまして、実務的な準備を加速する一方で、不断に経費は抑制、縮減できるように、より効率的な調達の実施など、実効性ある仕組みを構築してまいりたいと考えております。
 そして、私は開催都市の長として、組織委員会、国などと緊密に連携をしながら、東京大会のガバナンスを強化してまいりたい、そして、大会総経費の縮減を図っていきたいと考えております。
 パラリンピックについてのお尋ねでございました。
 東京の情熱を世界に大きく示すべしということでございます。
 パラリンピックの方は、クレイヴァン会長からパラリンピック旗を受け取ったわけでございますけれども、その旗を持って、東京の各地、被災地を回っているところでございます。
 そして、リオ大会の熱狂と東京大会の期待を皆様方と分かち合いたいとの思いでございます。
 私はリオで、パラリンピック競技を目の前で拝見させていただきました。その迫力や楽しさに感動したものでございます。
 そこで、先日、パラスポーツのファンサイトをつくりました。公募したネーミングで、チームビヨンドといいます。そこにアスリート、それを支える方々、パラスポーツを見て楽しもうという方々に、さまざまな情報を発信していく、そのような拠点となったわけでございます。
 それから、まず隗より始めよでございます。私もパラリンピックの競技には、まだまだ私自身、存じ上げなかった競技もございまして、これからももっと学んでいきたいと考えておりますが、そこで都庁の職員の有志がチームをつくりました。パラリンピックスポーツの一つでボッチャという、このような競技がございます。
 こうした取り組みを都庁の職員とともに進めていくことによりまして、パラリンピック競技の認知度を高めてまいります。魅力を伝えていきます。パラリンピックの会場をぜひとも満員の観客で埋め尽くしたいと考えております。
 障害者を初め、誰もが生き生きと暮らせるダイバーシティーの実現に向けて、まずはパラリンピックの視点を持って大会の準備を進める。そのために、まず隗より始めよと都庁内ボッチャチームができましたので、いかがでしょうか、議会の皆さん、ボッチャチームをつくりませんか。
 このようにして、身近なところでパラリンピックをPRしていくというのは、我々みんなでその役割を担っていきたいと思っております。
 そして、バリアフリーの取り組みを二〇二〇年大会のレガシーとして東京全体に波及させて、そして全ての人に優しいユニバーサルデザインのまちづくりを進めてまいりたいと考えます。
 二〇二〇年大会は、誰にとっても住みやすい東京の実現への大きな転換点になります。大会後の未来像を見据えた上で、開催都市の長として、全力でパラリンピックを成功へと導いてまいりたいと思います。ご協力、よろしくお願いいたします。
 被災地の応援ツアーでございますが、東日本の大震災から間もなく六年が経過する中で、先月、私は福島を訪問いたしました。現地の実情に触れながらも意見交換をする機会を持つことができました。
 被災地の復興は着実に進んでいるものの、その歩みをさらに力強いものとする必要性を改めて実感したわけでございます。
 これまでも公明党の皆様は、熱心に被災地復興に取り組んでおられるわけで、心から敬意を表しますし、さらにこれからも復興という観点でのご尽力を期待したいと存じます。
 そして、震災のダメージが大きく逆風に苦しむ福島でございます。産業、地域経済の活性化を通じて、住民の暮らしの安定した基礎をつくり上げなければなりません。
 特に県内の幅広い事業者に経済効果をもたらす観光産業の復興に向けて、十分な支援は必要でございます。
 そこで、都では震災直後の平成二十三年から被災地応援ツアーを実施して、東京から福島に旅行者が訪れる仕組みをつくって、復興に向けた現地の懸命な努力を下支えしてきたのはご存じのとおりでございます。
 福島を訪れる観光客の数は回復しつつありますけれども、その道のりはまだまだ道半ばでございます。そして、震災の記憶の風化が懸念されるところでもございます。
 このためにも福島県の観光を取り巻く状況、そして現地の要望を十分に踏まえまして、被災地応援ツアーについては、都として適切な支援を検討してまいりたいと考えております。
 それから、長橋議員の方から豊洲市場の移転問題とオリンピック招致との関係についてのご質問がございました。
 おっしゃるとおり、平成二十一年二月の豊洲新市場整備方針の策定と時期を同じくするように、平成二十八年開催のオリンピック招致に向けて、都全体で取り組んでいたことはそのとおりでございます。
 しかしながら、その二十一年十月にはIOCの総会で開催地がリオだということが決まっているわけでございますから、今回の建物の下に盛り土がなかったことと、そしてオリンピックの招致とが結びついているとは、時系列で考えると、ちょっと考えにくいのかなと思いますし、それから、あと今回、二次にわたって自己検証報告書が作成されたわけでございますが、その作成の過程においても、そうした証言や資料はなかったと、このように聞いております。
 それから、豊洲市場への移転問題に関しての信頼回復でございますけれども、安全な生鮮食料品を円滑に流通するというのは、まさしく中央卸売市場の基本的な役割でございます。
 私には、この市場をつかさどる知事として、都民の食の安全を守る責任があるわけでございまして、その上で、都民の信頼を取り戻すことに必要なことは、市場の安全性の科学的な検証、そして必要な対策を着実に実行する、そしてその内容を正確に、かつわかりやすく伝達して、都民の皆様方の理解を得る、これにほかならないと考えております。
 このために、専門家会議や市場問題プロジェクトチームで、さまざまな分野の専門家の知見に基づいて、豊洲市場の安全性などは多面的に検証しているところでございます。
 また、会場の様子についてはインターネットで中継しておりまして、開かれた場で議論を進めるということと、ホームページの掲載方法などを工夫するといった可能な限りわかりやすく伝える方法を模索、そして努めていきたいと考えております。
 今後、それぞれの会議の提言を踏まえまして、必要な対策を着実に実施いたしまして、都民に対する正確な情報提供に努めることで、安全・安心な市場、そして都民の信頼回復を実現してまいりたいと考えております。
 昨日、都議会公明党の皆様方から、実行プランに関しましても数多くの提案を頂戴いたしました。都民目線で、そしてまた生活者目線で取り組み、そして長橋議員におかれましては、地元豊島区で、まさに都民ファーストを実践していただくような、そういった活動をしておられることをつぶさに見てまいりました。
 ぜひともこれからも生活者目線、そして東京大改革を進める上で、ぜひともこれからもいい提言を頂戴することで、この議会もさらに活性化、その一翼を担っていただきたいと考えております。ありがとうございました。
   〔警視総監沖田芳樹君登壇〕

○警視総監(沖田芳樹君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者講習を迅速かつ効果的に実施するための取り組みについてですが、七十歳以上の運転免許保有者が、更新の際に受講する高齢者講習につきましては、都内四十七カ所の自動車教習所において実施しており、平成二十七年中は十五万百九十四人が受講しております。
 講習は、免許証の有効期限満了日の六カ月前から受講できますが、受講待ち状況は平均一、二カ月程度となっております。
 警視庁では、受講待ちの解消のため、現在実施している教習所に加え、平成二十九年四月から府中運転免許試験場、六月からは鮫洲運転免許試験場において、新たに高齢者講習を実施する予定でございます。
 さらに、各教習所に対し、高齢者講習の受講人員枠の拡大についての要請を続け、特に受講待ち期間が長期に及んでいる教習所については、個別に申し入れを行うなどの対策をとっております。
 なお、受講該当者の方に発送しております講習のお知らせはがきや、警視庁ホームページに教習所別予約状況を掲載するなど情報提供を行っており、受講申し込みの際の参考としていただいております。
 次に、運転免許の自主返納促進のための取り組みについてですが、警視庁では平成二十年に、運転免許を自主返納した高齢運転者を支援することを目的として、高齢者運転免許自主返納サポート協議会を発足させ、運転免許を自主返納し、運転経歴証明書を取得した方が、生活用品の購入や飲食店利用時の割引など、さまざまな優遇措置を受けられるよう、民間企業、団体等に対して加入を呼びかけるなどしております。
 その結果、六十五歳以上の方の自主返納者数は、平成二十四年は一万六千百八人のところ、平成二十七年は三万五千七百七人となっており、大幅に増加しております。
 今後も、東京都を初めとする関係機関とさらなる連携強化を図り、サポート協議会の拡充に努めるとともに、公共交通機関等、高齢者の移動手段の確保に向けて、企業や団体、自治体に対して協力を働きかけてまいります。
 さらに、自主返納を申請しやすい環境づくりといたしまして、警察署等の相談窓口業務の充実と受理体制の改善、代理申請の受理についても検討してまいります。
 次に、ゾーン三十についてですが、ゾーン三十は区域を定めて時速三十キロの速度規制を実施するとともに、その他の交通安全対策を組み合わせ、走行速度の抑制などを図る生活道路対策であります。
 整備効果につきましては、平成二十三年度から二十六年度に整備した区域では、交通人身事故の発生が全体として約四割減少しております。
 また、整備区域数につきましては、平成二十七年度末現在、二百十三区域において整備を行っております。
 今後の整備方針といたしましては、生活道路対策を喫緊の課題と捉え、引き続き地域住民や道路管理者と連携して、ゾーン三十の整備を推進してまいります。
 次に、ビッグデータの通学路における安全対策への活用についてですが、料金収受機能に限られていた従来のETCとは異なり、ETC二・〇では車両の位置や急減速などのデータが収集、蓄積されるものであることから、交通事故の発生に至っていない危険箇所の把握に活用することが期待されます。
 現在、警視庁では、通学路の安全対策として、ゾーン三十の整備などの取り組みを行っており、ビッグデータの活用によって通学路の潜在的な危険箇所が把握できれば、より効果的な対策が進められるものと考えております。
 現段階では、国土交通省がETC二・〇で収集したビッグデータの事故要因分析などへの活用を始めたところであり、警視庁といたしましても、国土交通省と連携し、その有効性などを確認しながら、通学路の安全対策への活用を検討してまいります。
 最後に、視覚障害者用音響式信号機及びエスコートゾーンの設置についてですが、これにつきましては、区市町村が定めるバリアフリー基本構想に基づき、東京都公安委員会が交通安全特定事業計画を作成し、その生活関連経路上の横断歩道を中心に整備しており、平成二十七年度末現在、視覚障害者用音響式信号機は二千二百三十三基、エスコートゾーンは千六十四本設置しております。
 今後、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会会場周辺におけるアクセス経路が具体化された際には、整備の必要性を検討してまいります。
 また、都内全域につきましては、引き続き生活関連経路上の横断歩道に整備していくほか、視覚障害者の方々からのご意見、ご要望を踏まえまして、順次整備してまいります。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、知的障害特別支援学校の施設整備についてでございますが、障害のある子供たちの自立と社会参加を目指し、障害の状態やニーズに応じた多様な教育が実践できるよう、必要な環境を整えることは重要であり、都教育委員会はこれまでも、特別支援学校の教室確保に努めてまいりました。
 今回策定する第二期の特別支援教育推進計画においては、仮称でございますが、八王子地区第二、南多摩地区、墨田地区第二、北多摩地区の四校の特別支援学校を新設するほか、増築や既存校舎の活用などにより、児童生徒の増加に対応した施設整備を推進していくこととしております。
 あわせて、将来の在籍者数の変動にも適切に対応できるよう、四年後の次期実施計画の策定時などに再度推計を行い、必要に応じて施設整備計画等を見直すことで、計画的な施設整備を実施してまいります。
 次に、発達障害等の生徒の都立高校への入学相談についてでございますが、障害のある生徒が充実した高校生活を送るためには、その入学する生徒の特性を把握し、高校での必要かつ適切な指導や支援につなげていくことが重要でございます。
 このため、現在入学後の学校での配慮として、保護者の申し出に基づき、支援員の配置や学習支援用ICT機器の整備等を行っております。また、チャレンジスクール等では、中学校からの情報を高校生活の支援に活用しております。
 今後、都教育委員会は、高校における発達障害等のある生徒に対する継続した支援の重要性について、保護者等の理解促進を図るとともに、個別の教育支援計画等を活用した学校間連携の推進に向け、ガイドラインの作成など、取り組みの充実に努めてまいります。
 次に、都立特別支援学校での就労支援についてでございますが、卒業生が企業に就職して働き続け、自立した生活を送るためには、障害の状態や能力、適性に合った進路決定ができるよう支援していくことが重要でございます。
 このため、特別支援学校では、生徒に職場実習を三回程度実施し、就労が可能かどうかを確認して就職先を決定しておりますが、就職後に本人の希望した部署以外への配置になったり、円滑な人間関係を築けなかったことなどを原因として、一年以内に約五%の離職者が生じております。
 今後、こうした課題の改善を図るため、都教育委員会は、特別支援学校に対して配置される部署がわかった時点で就職予定企業と連携し、改めて短期間の実習を実施するなど、企業の理解促進と生徒が安心して就労できる人間関係づくりの支援に一層努めるよう指導してまいります。
 次に、公立小中学校のトイレの洋式化についてでございますが、学校は児童生徒が一日の多くの時間を過ごす場所でありますことから、清潔で使いやすいトイレを整備し、児童生徒が安心して学習、生活できる環境を確保することが極めて重要でございます。
 公立小中学校においては、設置者である区市町村がトイレの洋式化を進めておりますが、さらに取り組みが促進されるよう、また、災害時の使用を想定したトイレ整備が行われるよう、都としての支援を検討してまいります。
 次に、都立学校のトイレの洋式化についてでございますが、公立小中学校と同様、児童生徒が安心して学習、生活できる環境を確保するとともに、さらに避難所としての機能を備えたトイレ整備も進めていく必要がございます。
 このため、都教育委員会は、都立学校に洋式トイレや多機能トイレを今後計画的に整備するとともに、改築等の際にトイレ用水の確保やマンホールトイレの設置など、災害時の対策も推進してまいります。
 最後に、パラリンピック教育の推進でございますが、子供たちがパラスポーツの競技等について理解を深めることは、パラリンピックへの関心を高め、多様性を尊重する態度を身につける上で極めて重要でございます。
 このため、都教育委員会は、パラリンピックの意義や選手の活躍等の内容を含む映像教材等を都内の全校に配布するとともに、パラリンピアン等の派遣事業を実施し、障害の有無にかかわらず、困難に立ち向かい克服しようとすることの大切さなどを子供たちに学ばせております。
 今後、こうした取り組みに加え、小学校四年生以上の全児童生徒に配布した学習ノートなどを活用し、子供たちのパラスポーツや選手への理解、関心を一層深め、大会期間中に実際に会場で競技を観戦し、応援したいという意欲を高めるパラリンピック教育を展開してまいります。
   〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 空き家対策の推進についてでございます。
 空き家対策を進めていくためには、お話のように、地域の実情を把握している区市町村の取り組みが重要でございます。
 このため、都は昨年度から、区市町村が行う実態調査や計画策定、子育て世帯向け住宅などへの改修費助成について、財政支援を開始してございます。
 今年度からは、集会所等の地域活性化施設への改修費助成など、支援対象を拡大してございます。
 また、今月からは空き家の発生抑制や適正管理、有効活用に幅広く対応するモデル事業として、所有者に対して情報提供を行うワンストップの相談窓口を開設いたしました。
 今後、空き家対策を総合的に推進する観点から、空き家を福祉や観光などの用途に転用する際の支援策や課題についても関係各局や区市町村と情報共有し、共同で検討を行うなど、取り組みを一層推進してまいります。
   〔総務局長多羅尾光睦君登壇〕

○総務局長(多羅尾光睦君) 障害者の方への合理的配慮に対する体制についてですが、障害者差別解消法の施行に当たり、都は、行政サービス提供時の適切な配慮のため、具体的事例を示したハンドブックを含め、研修や相談体制を定めた職員対応要領を策定いたしました。
 また、今年度から、全職員対象の研修を実施するとともに、ハンドブックも活用して、職員が窓口等で相手の立場に立った配慮ができるよう努めております。
 さらに、障害者やその家族等からの相談窓口を各局に設置し、定期的に総務局が全庁の対応状況を把握できる体制を立ち上げております。
 今後、スタートさせた体制の運用においては、各局と連携しながら、把握した具体的な事例の分析、共有を行い、継続的に研修事例等に反映させ、問題事例の再発防止などに努めてまいります。
 あわせて、広く事例の情報共有、連携推進等を目的とする東京都障害者差別解消支援地域協議会の知見なども生かして、事業を実施する各職場において、適切に合理的配慮を図る取り組みを進めてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、受験生チャレンジ支援貸付事業の周知についてでありますが、都は高校や大学等への進学を目指し受験に挑戦する子供たちが、本事業を活用できますよう、区市町村の窓口に貸し付けの内容や償還免除の条件等を記載したポスターを掲示するほか、都のホームページや「広報東京都」を通じて事業内容を広く周知をしております。
 また、リーフレットも約十五万部作成し、区市町村窓口や都立高校などを通じて、都内の中学生、高校生に配布をしております。
 さらに、今年度は新たに都立学校の校長や副校長の連絡会や、公立中学校の進路指導担当教員などを対象とした説明会におきまして、本事業を説明し、進路指導での活用を図っており、今後、教育機関や民間の支援団体との連携を一層強化し、事業の周知に努めてまいります。
 次に、生活保護世帯の子供の進学支援についてでありますが、生活保護世帯の中学生の高校進学を支援するため、現在、都内全ての区市町村で学習塾の費用助成を実施しており、都は包括補助で独自に区市を支援しております。
 また、生活保護世帯の高校生は、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業の対象となっており、都は学習塾の費用助成に取り組む区市に対し、包括補助で支援をしております。
 今後、生活保護世帯の子供たちの進学を一層支援するため、ご指摘を踏まえまして、包括補助の対象拡大を図るなど、さらなる支援策を検討してまいります。
 最後に、福祉サービス基盤の整備における空き家の活用についてでありますが、お話のように、本年三月、国はこれまで高齢者、障害者、児童など、対象者別に提供されていたサービスを一つの施設で総合的に提供する際に、兼務可能な人材や共用可能な設備に関するガイドラインを示しました。
 都は現在、空き家等を活用して福祉サービス基盤を整備する場合、改修費補助等により、事業者や区市町村を支援しており、複数分野のサービスを提供する際には、このガイドラインに沿って整備できる旨を周知しております。
 また、本年十一月には、空き家や民有地等、地域の物件情報の収集に取り組む区市町村を支援するため、不動産業界団体や金融機関等との協議会を設置したところであり、今後とも、区市町村と連携し、福祉サービス基盤の整備に空き家を初めとした既存資源の有効活用を図ってまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、空き家の宿泊施設としての活用についてでございますが、海外から東京を訪れる観光客が増加する中、外国人旅行者が快適に滞在できるよう、さまざまな環境を整えていくことは重要でございます。
 このため都は、旅館業の許可を行う保健所において、宿泊施設を経営しようとする方に対して、旅館業法等で規定する設置場所や構造設備などの許可要件に関するさまざまな相談に応じております。
 また、宿泊施設に対して、バリアフリー化や無料Wi-Fiの整備などへの助成を行っているところでございます。
 今後は、空き家を宿泊施設として活用する事業者に対しまして、これらの支援の活用に向け、関係局と連携した取り組みを検討してまいります。
 これらを通じまして、外国人旅行者の受け入れ環境の整備を進めてまいります。
 次に、都内のWi-Fi整備の進め方についてでございますが、東京を訪れる旅行者がまち中で観光に必要な情報を入手できる環境を速やかに整備していくことは重要でございます。
 これまで都は、旅行者の情報収集の利便性を高めるため、外国人旅行者が多く訪れますエリアの街路にある観光案内標識へのWi-Fiアンテナの整備を行ってきておりまして、本年度は約百六十基の設置を目指して取り組んでおります。
 整備を円滑に進めるためには、道路の管理を行う部署等との連携を十分に図る必要がございます。
 今後、Wi-Fiのアンテナを観光案内標識に効率的に設置するとともに、その設置の対象を広げるため、関係する各局との協議の場を設けることを検討してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 三点のご質問にお答えいたします。
 障害者スポーツの場の確保についてでございます。
 都は、障害のある方が継続してスポーツ活動を行えるよう、さまざまな視点から新たな場の開拓に取り組んでおります。
 まず、本年九月から都立特別支援学校五校を障害者スポーツの場として活用しており、今後、順次拡大してまいります。
 また、障害者スポーツコンシェルジュ事業により、民間スポーツジムが休館日に、ボッチャ選手に対して練習場所として施設を無償提供する事例が実現いたしました。
 このほか、障害者への配慮ポイントをまとめたマニュアルの活用やバリアフリー化工事等への補助により、区市町村スポーツ施設の利用を促進しております。
 今後、新たなスポーツ推進計画の策定に向けた議論を通じまして、初心者からアスリートまで、障害のある方がスポーツに取り組むための場の確保を一層推進してまいります。
 次に、快適にパラリンピックを観戦、応援できる環境の整備についてでございます。
 障害の有無にかかわらず、誰もが参加しやすく、多くの方が楽しめる大会とするためには、会場整備等のハード面や情報発信等のソフト面でのさまざまな取り組みが必要でございます。
 そのため、アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえ、例えば車椅子使用者が健常者と同様に複数の位置から席を選べるよう、車椅子席を分散して配置したり、障害のある人とない人が並んで観戦できる席の配置を行うなど、会場のバリアフリー化を図っております。
 また、音声案内や文字情報の提供など、障害特性に応じました情報媒体も整備してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、二〇二〇年大会を満員の観客で盛り上げてまいります。
 最後に、パラリンピック会場で観戦してもらうための工夫についてでございます。
 都はこれまで、パラリンピックの成功に向けまして、障害者スポーツの振興、競技体験イベントやフラッグツアーなどによる開催機運の醸成、プロモーション映像等による競技の理解促進など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 大会を満員の観客で盛り上げ、成功させる鍵は、こうしたパラリンピックへの興味、関心を高める取り組みに加えまして、次世代を担う東京や被災地の子供たちを初め、一人でも多くの都民、国民の方々に会場に足を運んでいただくことでございます。
 そのためには、大会期間中、実際に会場で競技を観戦することができるよう、今後、組織委員会とも連携いたしまして、学校や企業などの協力を得ながら、具体的な方策について検討を進めてまいります。

○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時四十二分休憩

   午後六時開議

○議長(川井しげお君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十三番里吉ゆみさん
   〔三十三番里吉ゆみ君登壇〕

○三十三番(里吉ゆみ君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 初めに、築地市場の豊洲移転についてです。
 この間、情報公開が一定進み始め、我が党が入手した資料と都議会における議論を通して、新市場用地取得をめぐるお金の無駄遣い、豊洲移転の無謀さがますます浮き彫りになってきました。
 まず、東京ガス豊洲工場跡地の土地取得をめぐる問題です。
 日本共産党都議団は、一貫して東京ガス豊洲工場跡地には、深刻な土壌汚染があり、食の安全・安心を最優先にすべき市場用地としてふさわしくないにもかかわらず、石原元知事の指示で強引に買収したものであることを指摘してきました。その経過の一端が小池知事のもとで開示された、都と東京ガスの交渉記録から明らかになっています。
 開示された交渉記録を見ると、都と東京ガスによる水面下のやりとりで、東京都の負担が膨れ上がったことがわかります。土地価格や護岸整備費、土地区画整理事業負担金などについて、都の過大な負担が指摘されてきましたが、濱渦元副知事が東京ガスとの交渉に乗り出したときに、土地価格や開発者負担金のことは、水面下でやりましょうと持ちかけ、株主には損をさせないと約束しているのです。
 土壌汚染についても、東京ガスは、高濃度の箇所を部分的に処理するだけで、売却時には汚染土壌が残ることを明確にしていました。都は、それを承知の上で土地取得の覚書を交わしました。
 ところがその後、土壌汚染処理に対する世論が厳しくなり、これでは都民から受け入れられないとして、都は、東京ガスに汚染対策の追加工事を求めましたが、東京ガスから拒絶され、大幅な譲歩を重ねます。
 結局、処理し切れない深刻な土壌汚染があることがわかりながら、汚染を生み出した原因者である東京ガスの土壌汚染処理費用の負担はわずか七十八億円で決着し、東京都は八百六十億円も負担せざるを得なくなったのです。
 一方、東京ガスからの土地の購入価格は、土壌汚染がないものとして評価され、千八百五十九億円という高値で買い取る結果になりました。本来都が負担する必要がない土壌汚染対策費と合わせると、実に二千七百二十億円もかけて、東京ガス豊洲工場跡地を購入したことになります。到底納得できるものではありません。
 知事は、東京ガス豊洲工場跡地の取得に関するこうした経過と責任の所在についてどう認識していますか。東京ガスとの交渉経過と都の負担の全容について検証し直すことが必要ではないでしょうか。
 次に、土壌汚染対策の問題です。
 これまで都は、豊洲新市場用地の土壌汚染対策について、土壌と地下水は、環境基準を超える汚染物質を全て除去したといっていますが、これは事実をゆがめるものです。
 そもそも土壌汚染調査は、四十ヘクタールの敷地の中でボーリング調査で地中の汚染状況を詳しく調べたのは、表層の土壌を調べた四千カ所のうち、シアンが約千カ所、ベンゼンは約六百カ所にすぎず、全く不十分です。海抜二メートル以下の汚染土壌を取り除いたのは、この調査でたまたま汚染が見つかったところだけです。点在する有害物を全て見つけて取り除くことなどできるわけがなく、実は相当量残っている可能性が強いのです。
 ところが、これをもって専門家会議と東京都は、敷地全面にわたる調査をした、環境基準を超える汚染土壌は全て除去したといい続けているのです。断じて容認できません。
 実際、今なお新市場の予定地内の地下水から環境基準を上回るベンゼン、ヒ素、建物下の地下空間の大気から国指針の七倍もの水銀などが検出されているではありませんか。汚染物質は全て取り除いたという説明は、都民と都議会に対する虚偽説明だと思いますが、知事の認識を伺います。
 中央卸売市場のホームページでは、いまだに土壌も地下水も環境基準を超える汚染物質は全て除去しますという説明が掲載されています。都民を欺くものであり、直ちに訂正させるべきです。知事、いかがですか。
 土壌汚染対策の重要な柱とされた盛り土については、虚偽説明が既に明確になりました。すなわち、敷地全域に盛り土をし、地下水に含まれる汚染物質が揮発して上がってきたときに市場への影響を防止するという説明は、我が党の調査で、主な建物下では盛り土がされていないことが明らかになり、破綻しました。
 盛り土と並ぶ土壌汚染対策の柱とされている地下水管理システムの破綻も明らかになっています。
 都はこれまで、技術会議、地下水管理協議会や都議会に対して、集中豪雨や台風があっても、地下水の水位は海抜二メートルから上の砕石層や盛り土に上昇しないようにすると繰り返し説明してきました。
 しかし、本格稼働して二カ月近くたってもなお、地下水の水位は海抜二・五メートルから四メートル程度にとどまり、少しの降雨でも地下水位が上昇しているのです。地下水の水位を海抜二メートル以下に抑えるという計画の破綻は明白ではありませんか。
 しかも、市場当局も認めているように、この地下水管理システムは海抜二・〇メートル以上に地下水位が上昇してしまえば、それを容易に下げることができません。いわば欠陥システムといわなければなりません。知事、どう思われますか。
 当初の説明と違って、今、盛り土の多くが地下水につかっている状態であり、地下水に溶け込んでいる水銀、ベンゼン、ヒ素などによって汚染されている可能性が専門家からも指摘されています。にもかかわらず、市場当局が盛り土を調べもしないで、地下水によって汚染されていることはあり得ないかのようにいっていることは許されません。
 知事、盛り土の汚染の有無について調査する必要があると思いますが、いかがですか。
 石原元知事のもとで築地市場の豊洲移転を進めるための土壌汚染対策を提言した専門家会議が再招集されました。
 その専門家会議の委員が、豊洲新市場の建物下の地下空間の空気から、国の指針の七倍の水銀が検出されたことに対し、健康に対し直ちに影響を与えるものではないとコメントしたことに、都民や市場関係者から厳しい批判の声が上がっています。
 国の指針値は、健康リスクの低減を図るためのものであり、この値を超えたことを軽視するかのような発言はあってはならないことです。もともとの方針は、地下水も土壌も環境基準を超える汚染物質は全て除去することが市場整備の条件だったではありませんか。こうした方針を貫く必要があると思いますが、いかがですか。
 知事、盛り土と地下水管理という土壌汚染対策の二本柱が崩れる中で、改めて、これまで市場当局が説明してきた内容について、全面的に検証することが求められています。知事はこの問題について、専門家会議に検討を委ねていますが、専門家会議と異なる見解を持つ専門家は少なくありません。
 都民や市場関係者との合意を重視し、真に安全・安心を確保するためには、そのような専門家も含めて徹底した検証を進める必要があると思いますが、知事、いかがですか。
 知事が所信表明で述べたように、市場は五十年、百年という単位の事業です。中央卸売市場の食の安全・安心は何としても確保されなければなりません。
 そのためには、豊洲新市場への移転中止の本格的な検討を行うべきです。同時に当面、築地市場の必要な補修改善を急ぐ必要がありますが、知事、いかがですか。
 築地市場で営業している業者の方々は、本年十一月七日の開場をめどに、資金をやりくりして、さまざまな準備を進めてきました。市場業者の損失補償を一日も早く開始すべきです。
 豊洲新市場開場を想定して営業計画を進めてきたのは、築地で営業している方々だけではありません。関連業者の方々もいます。これまで三代にわたる都知事のもとで行われた無責任な市場移転政策のもとで発生した問題です。補償は全ての関係業者を対象にして、財源は市場会計とせず、業者負担にならないように行うべきです。いかがですか。
 豊洲新市場問題は、小池知事が築地市場の移転延期を決断したことで、ようやくまともな検討ができるようになりました。この十年余は、我が党や多くの都民、関係者の厳しい批判にもかかわらず、うそやごまかしを重ねて強引に移転計画が進められてきました。食の安全・安心を最優先にした徹底した調査、検証、対策を改めて強く求めておくものです。
 次に、オリンピック・パラリンピックについてです。
 知事が一旦決定された都立三施設の再検討に着手し、先日、IOCも参加した四者協議において、アクアティクスセンターの客席を二万席から一万五千席に変更し、整備費を百六十億円程度削減することが確認されました。これは五輪経費削減への重要な前進です。バレーボール会場については、有明アリーナと横浜アリーナの双方を引き続き検討することになりましたが、今後も、IOCが重視する既存施設の最大限活用に努力することが重要です。
 仮に有明の場合であっても、整備費の削減とともに、都立のスポーツ施設として都民から理解される最善の結果が得られるよう、関係者と協議を尽くすことを求めるものです。知事、いかがですか。
 ボート、カヌースプリント会場については、海の森水上競技場の整備費を削減し、二十年間使用する半恒久施設とすることになりました。
 しかし、今回削減した追加工事費が必要となり、整備費が実際にはまた膨らんでしまう可能性は否定できません。収入計画も、毎年、国際大会を四回も開くことを前提としているなど不確実なものです。
 また、都政改革本部調査チームの報告でも認めているように、ボート選手や監督から海上でのコースに強い批判の声があります。こうした疑問や批判の声を無視して進めるべきではありません。
 後利用も含め、海の森水上競技場の整備費や維持管理費の確実な削減をどう図るのか、また、アスリートの声にどう応えるのか、明らかにすることが必要です。いかがでしょうか。
 大会組織委員会の森会長は、約束をご存じない方ががちゃっと壊すとか、四者協議後も、僕らのやってきたことを勝手に変えるなどと、知事が進める再検討の努力を批判してきました。
 そもそも森氏はこれまでも、内訳も示さず、五輪総費用が二兆円を超すとして都に負担増を求めるばかりか、国が責任を持つべき国立競技場の整備費のうち四百四十八億円も都に出させる先頭に立ってきた人です。
 五輪経費を膨らませてきた責任が問われるべき森氏が、そのことへの一片の反省もなく、小池知事による五輪経費見直しの努力を批判することは言語道断です。
 今回の四者協議で、五輪の総費用は二兆円を切る見込みだと述べた組織委員会に対し、コーツIOC副会長が、極めて高い、もっと低くすべきだと発言したことは当然です。
 東京オリンピックは、IOCがアジェンダ二〇二〇で開催都市に運営費削減を提起しているもとで開催される大会であり、関係者が一体となって総費用削減の努力を尽くす必要があると思いますが、知事の決意を伺います。
 五輪経費を削減するためには、何よりもまず正確な情報公開が必要です。ところが、組織委員会が、費用の総額と内訳の詳細をいまだに公表していないことは許されません。知事は、第三回定例会で、まずは経費の全体像を把握する必要があると明言されました。
 組織委員会には都の代表も参加しており、四者協議に向け、施設、輸送、セキュリティーなどの事務レベル協議も行われました。知事として総費用とその内訳について、どこまで把握しているのですか。また、組織委員会に公開をどう迫っていくのでしょうか。
 ロンドン五輪では、開催五年前から、半年ごとに総費用と内訳を公表し、会計検査院の監査に基づき、下院決算委員会が公聴会を開いて改善提案を行いました。知事、東京大会でもこのような仕組みを早急に確立することが求められていますが、いかがですか。
 費用負担の問題では、国が開催国としての責任を果たすことが求められています。ロンドン五輪の場合、公的負担のうち、英国政府の負担が六七%、ロンドン市の負担はわずか一〇%です。
 ところが、日本の場合、閣議了解を盾に国は極力費用負担をしない態度をとっています。麻生財務大臣に至っては、東京五輪は日本五輪ではない、国は、入国管理などでサポートするのが基本的立場とまで発言しています。
 知事は、こうした国の姿勢をどう考えますか。政府に対し、開催国にふさわしい責任を財政的にも果たすことを強く求める必要があると思いますが、いかがですか。
 次に、保育園の待機児童解消についてです。
 ことしも、多くの保護者が入園を有利にするために、育休を早目に切り上げたり、仕事をやめなければならないかもしれないと不安を抱いたりしながら必死で保活を行っています。
 知事も、雑誌のインタビューで、女性が仕事か子育てかで悩む国は、ほかには例を知らないと述べています。
 昨年度は、認可保育園が一万三千六百人分以上ふえましたが、東京で、区市町村に保育の利用を申し込んで入れない子供は二万七千人を超えています。
 知事、待機児童問題を解決するためには、認可保育園の増設をさらに加速する必要があると思いますが、いかがですか。
 知事は、第三回定例会で、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援すると答弁しましたが、認可保育園は二年連続で一万三千人分以上ふえており、区市町村の取り組みも認可保育園が中心です。
 増設が加速したのは、二〇〇八年に目標を明確に掲げたことがきっかけです。知事、この教訓を生かし、認可保育園の増設目標を実行プランで明確にすることが重要だと思いますが、いかがですか。
 就学前の子供の五〇%を目指し、四年間で九万人分の認可保育園増設が必要だと思いますが、知事の所見を伺います。
 増設のために重要なのが土地の確保です。知事が、都有地活用推進本部を設置し、行政財産となっている都有地で活用可能なものの洗い出しなどを始めたことは重要です。
 一定年数以上使っていないなどの条件を満たす土地は、全て活用可能性の検証をすることを初め、都有地活用推進本部の取り組みをさらに強化することが重要だと思いますが、いかがですか。
 もう一つの大きな課題は保育士の確保です。保育士不足の最大の原因は賃金の低さです。都内の保育士の給与は全産業平均より月十五万円も低いのです。保育士の平均年齢である三十三歳と同じ年齢層と比べても、月八万円もの差があります。
 東京都が行った保育士実態調査では、職場への改善要望のトップは給与、賞与等の改善で五九%、退職した理由も民間の保育園ではトップは給料が安いでした。逆にいえば、専門職にふさわしい待遇があれば保育士は集まるし、定着も進むのです。
 実際に、給与が民間より高い公立保育園の正規保育士の採用には応募が殺到しています。日本共産党都議団の調査では、都内自治体での倍率は平均六倍を超えています。さらに都内の自治体運営の保育園の正規保育士の離職率は三・六%と非常に低くなっています。
 知事は、保育士確保における賃金を初めとした処遇改善の重要性についてどう認識し、どう取り組むのですか。
 東京都は、保育士の給与を月二万一千円上げるといって、昨年度から保育士等キャリアアップ補助及び保育サービス推進事業補助を始めました。しかし、そのかわりに、それまで行っていた補助を廃止したため、全体の差引では保育園の多くで補助額が減りました。これでは賃金は上げられません。
 二〇一四年度に都からの補助を受けていた保育園の中で、補助額が減った施設の割合及び施設数を明らかにしてください。
 東京都がキャリアアップ補助の拡充を検討していることは重要ですが、全産業平均と保育士の賃金の大きな差を埋めるため、補助を大幅に拡充する必要があります。どう進めるのですか。
 キャリアアップ補助の使い道を人件費に限定したことは前進ですが、さらに実効性を持たせることが重要です。
 都が区市町村に対して行った待機児童対策に関する調査で、特定の職員が著しく高額の報酬を受け取る事業者や、人件費を低く抑えて内部留保を大量にためこむ事業者も存在する、各種の処遇改善策が保育士に十分還元されていないなどの意見が出されています。
 我が党の調査でも、事業活動収入に対する人件費の割合は、社会福祉法人立の認可保育園では平均約七〇%ですが、株式会社立では約五〇%にとどまっています。株式会社の園で多い土地建物の賃借料等の支出を合わせて比較しても一割近く差があります。
 世田谷区は、人件費の割合が五〇%以上であることを認可保育園への補助の条件にしています。こうした要件を設けることは効果的だと思いますが、いかがですか。
 都としても補助が確実に賃金に反映される仕組みをつくることが必要ではありませんか。
 北区は今年度、公立直営の保育園四園を新たに増設しました。区民から喜ばれ、保育士も八十人の応募に五百人以上の応募がありました。区は公立保育園の増設に踏み切った理由を、スピード感を持った定員増を行うためとしています。
 知事は、すぐ効く待機児童対策を強調しています。北区の取り組みは、貴重な努力だと思いますが、知事、いかがですか。
 都として、公立保育園の増設への支援を行うことは、待機児童解消に向けた即効性のある対策として重要だと思いますが、見解を伺います。
 少子化対策では、国民健康保険の改善も重要です。会社員などが加入する被用者保険の保険料は、子供が何人いても額は変わりません。一方、国民健康保険料は、二十三区で年収二百万円の夫婦と子供の世帯で約十九万円と重い負担となっています。収入のない子供まで含めて、世帯の一人一人に均等割保険料がかかり、子供の人数が多いほど重い負担となるのです。これでは、少子化対策や子供の貧困対策にも逆行します。
 子供の均等割の軽減は、全国知事会が国に求めており、特別区長会でも話題になっています。
 知事は、子供の均等割軽減の重要性をどう認識していますか。都として負担軽減のための支援を検討することを求めますが、いかがですか。
 次に、震災対策です。
 東京都の震災対策は、石原都政のもとで大きくゆがめられ、住宅耐震化のような震災による被害を未然に防ぐための予防対策が後景に追いやられました。
 その一方、防災の名による幹線道路建設が震災対策の中心を占めてきました。小池都政のもとで、このようなゆがみを正し、予防対策重視へと立ち返る必要があります。この立場から質問します。
 小池知事は、二〇二〇年という期限を明確にすることで、より緊急性があぶり出されてくる課題として、首都直下型地震対策を挙げました。
 阪神・淡路大震災を経験された知事はご存じだと思いますが、阪神・淡路大震災から引き出す最大の教訓は住宅の耐震化です。全半壊の建物二十四万棟、六千人に上る犠牲者のうち九割が建物の倒壊による圧死と発表されています。
 この事実からも、全ての住宅での耐震化がなされていたら死者の八割は救えたと指摘され、中央防災会議も、あらゆる対策の大前提が住宅の耐震化としているのです。
 ところが、東京では、住宅の耐震化は八三・八%にとどまり、百七万戸以上の住宅が耐震化されていないのです。
 知事は、住宅耐震化こそかなめだという阪神・淡路大震災の教訓をどう受けとめていますか。そして、このおくれをどう打開するのでしょうか。
 東京で耐震化が進まない最大の原因は、住宅の耐震化を自己責任とし、都の支援を木造住宅密集地域の中のごく一部に限定していることにあります。全国で東京のように、耐震化助成を特定の地域に限っている自治体はありません。
 このため、都の木造住宅耐震診断、耐震改修の予算額に対する執行額の実績は、二〇一四年度で七・九%、一五年度で九・三%にすぎず、助成の件数は都の制度開始以来、十年間でわずか千六百件程度です。
 一方、静岡県では、阪神・淡路大震災の教訓に立って、住宅の倒壊ゼロを県の重点政策に掲げ、県内どこに住んでいても耐震診断は無料で行い、耐震補強工事には助成金を出し、高齢世帯や障害者がいる世帯には助成金を上乗せするなど手厚い制度を設けており、助成実績は累計二万件に迫っています。
 今年度は、熊本地震を受け、さらに補助額を一戸当たり十五万円増額し、市の補助と合わせて一戸当たり八十万円の助成を行っています。
 小池知事は、少し手を加えるだけで建物の強度は増すといわれております、倒れてしまってからでは遅いわけで、前もってそれをすることの重要性というものを考えながら進めてまいりたいと述べました。
 そのとおりであり、住宅耐震化助成を質、量ともに大幅に拡充することで、耐震化を一気に進めることが必要だと思いますが、知事、いかがですか。
 少し手を加えるだけで経費もさほどかけず、耐震強度を大幅にアップさせる免震、制震ダンパーが注目されています。都として普及などの支援が重要だと思いますが、知事の見解を伺います。
 国や自治体の耐震診断の補助対象は、一九八一年以降の、いわゆる新耐震基準の建物は対象外とされています。しかし、熊本地震では、新耐震基準の住宅も倒壊しました。都の補助制度を新耐震基準の住宅に広げることが必要ではありませんか。
 少なくとも、阪神・淡路大震災を受けて耐震基準がさらに強化された二〇〇〇年以前に建てられた住宅の耐震診断への助成を検討すべきと考えますが、お答えください。
 地震の際、出火原因の大半を占める通電火災を防ぐため、感震ブレーカーは大きな決め手となります。国も感震ブレーカーの普及を推奨しています。都内でも、世田谷区、足立区などで設置費用への助成が始まり、葛飾区でも助成を始める予定です。
 知事は、感震ブレーカーの重要性をどう認識していますか。区市町村とも連携し、設置費用への助成を初め、都の新たな対応が求められますが、いかがですか。
 二〇二〇年に向けた実行プランと財政運営について伺います。
 東京都は、全国トップの待機児童を抱えており、子育て支援や少子化対策はとりわけ緊急課題です。特別養護老人ホームの整備率は、全国都道府県で下から三番目です。老人保健施設や認知症高齢者グループホームは最下位です。都民生活に関する世論調査では、高齢者対策が都政への要望の第一位です。
 知事が策定する実行プランは、今後、四年間の都政全体の方向性を定めるものです。示されている骨子の中で、子供を安心して産み、育てられるまち、高齢者が安心して暮らせるまち、医療が充実し健康に暮らせるまちなどが提起され、インフラの安全や長寿命化、空き家活用などが打ち出されていることは重要です。
 私は、知事が都民ファーストの立場を貫き、何よりも住民福祉の増進という地方自治体本来のあり方に沿ったプランにすることが求められると思いますが、知事、いかがですか。
 舛添前知事による現行の長期ビジョンの三カ年重点事業では、陸海空の交通、物流ネットワークや都心機能強化などに一兆円も投入する一方、福祉先進都市の実現には二千九百億円の事業費しかついていません。
 今後の財政運営に当たっては、これまでの大型開発優先路線を見直し、少子高齢化社会対策を初め福祉充実を図るべきと思いますが、いかがですか。
 幹線道路などインフラの新設を進めれば進めるほど、その維持管理費が増大します。今後、人口減少社会を迎える中で、幹線道路を初め新規の大型開発は抑制し、既存インフラの維持管理や長寿命化に重点的に取り組むことが必要です。お答えください。
 小池知事が都知事選の際に候補者として回答した住民のアンケートで、大昔に決めた都市計画については大胆に見直しを図っている例もあり、先進事例を参考にするとしたのは重要です。
 全国では、未整備の道路計画のうち、見直しによって二〇〇〇年度以降、十五年間で約二千路線、延長二千三百キロ以上が廃止されています。
 一方、東京都は、一旦決定した道路計画は原則として廃止しないため、この間わずか一路線、一・三キロしか廃止されていません。しかも、防災の名で特定整備路線が事業化され、都市計画道路の優先整備路線が決定されるなど、幹線道路の新規整備予算が急増しています。
 都市計画道路の新規整備は、実態を十分に踏まえて、廃止を含め、必要な見直しを行うことが求められているのではありませんか。
 知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 里吉ゆみ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、豊洲市場の用地取得について、お尋ねがございました。
 都におけます情報開示のあり方を見直した結果、東京ガスとの交渉記録についても、ほとんど全て公開することができました。都政改革の成果の一つではないかと、このように思っております。
 交渉経過を明らかにしたことによりまして、築地市場の移転用地を取得した経緯、土壌汚染対策の費用負担に関する、これまでもさまざまな疑問と思われてきたものが解消への道につながると思います。
 今後も、このように情報開示を進めることで、都政の透明化を図って、都民の都政に対する信頼の確保に努めてまいります。
 同じく豊洲市場の用地における土壌汚染対策についてでございます。
 豊洲市場の用地では、平成二十年の専門家会議の提言に基づいて、敷地全面にわたります土壌、地下水の調査を実施いたしました。その後の土壌汚染対策工事では、この調査結果を踏まえて実施されたところでございます。具体的には、ガス工場操業時の地盤面からAPプラス二・〇メートルまでの土壌は、汚染の有無にかかわらず全て掘削除去したものでございます。
 さらに、APプラス二・〇メートルよりも深いところにつきましては、調査によって把握したガス工場操業に由来する基準を超える汚染物質について、土壌は掘削削除して、地下水は揚水、復水を繰り返しながら実施して浄化したと、このように聞いております。
 今後も、市場当局の説明につきましては、より都民の皆様方にもわかりやすい説明をすべきと考えております。
 地下水の管理システムでございます。
 地下水管理システムについては、地下水位をAPプラス一・八メートルに日常管理するように設計されたものでございますが、システム稼働時には、管理水位を超えた水準でございました。
 土の中にたまっている水を揚水井戸に集めて排水するシステムでございますが、直ちに水位が下がるものではございません。そのため、今後、地下ピット、地下空間のたまり水を強制排水することで、用地全体の水位を早期に管理水位へと低下させていく考えでございます。
 地下水管理システムが機能している旨の専門家会議の評価につきましては、報告を受けたところでございます。
 その専門家会議でございますが、今回の専門家会議の委員は、豊洲市場の土壌汚染対策についての専門的な知識を有され、これまでの検討結果を熟知しておられるなど、今後のリスク管理上必要な対策を検討するにふさわしい方を選任したところでございます。
 専門家会議では、市場業者などの疑問に答え、不安を解消できますように、傍聴者とのコミュニケーションも重視した運営を行っているところでございます。
 今後とも、専門家会議で、科学的な知見に基づいた検討が行われて、食の安全・安心の確保が図られますことを期待しているところでございます。
 移転問題ですが、市場のあり方を考えるに当たりまして、都民の食の安全・安心の確保は何よりも優先すべき課題であることはいうまでもございません。
 豊洲市場の移転問題につきましても、五十年、百年先を見据えた的確で冷静な議論が求められる、このことは、さきに述べたとおりでございます。
 このために、まず、専門家会議、そして市場問題プロジェクトチームにおきまして、各分野の専門家の知見を持ち寄っていただき、安全性などについての科学的な検証を進めてまいります。
 こうした安全性の検証と環境アセスメントの審議が終了した段階で、総合的な観点から移転の判断を行うものとしております。
 必要な対策工事の実施、そして認可手続も含めまして、それぞれのステップを着実に進めていく、そして食の安全を確保するとともに、市場関係者が安心して事業を続けられるような、そんな環境を整えてまいりたいと考えております。
 また、築地市場でございますが、当面その機能を十分発揮できるように、路面の補修や設備の修繕など、緊急度に応じまして順次必要な対策を講じてまいります。
 続いて、バレーボールの会場についてのご質問がございました。
 オリンピック・パラリンピック競技会場の見直しに当たりましては、整備費用はもとより、ライフサイクルコスト、つまり大会が終わった後も、どのように使われ、そして管理費は幾らかかるのかといったことでございますが、都民にとってのレガシーも含めて総合的に検討してまいりました。
 そして、ご指摘のバレーボール会場では、既存施設の有効活用をうたっておりますIOCのアジェンダ二〇二〇を踏まえて、横浜アリーナの活用の提案、そしてまた有明アリーナについては、建設コストの縮減を図るとともに、収支計画そして民間活用などの面からの検討を深めているところでございます。
 会場整備の見直しというのは、これはまさしくラストチャンスでございます。検討できる期間には限りがございますけれども、関係者の意見を頂戴しながら熟慮を重ねて、都民の納得、ワイズスペンディングの考え、これらが得られますように、できるだけ早く総合的に判断をしてまいります。
 同じく、東京大会に関しての総費用の削減についてのお尋ねでございます。
 都、IOC、組織委員会、そして国、これら四者によります協議は、先週行われ、組織委員会から二兆円を上限に圧縮を図っていく旨の報告がございました。しかしながら、IOCからは、さらなるコストの削減を求められているところでございます。
 東京大会におきましては、アジェンダ二〇二〇が初めて適用されることから、今後、四者協議、そしてリオデジャネイロ大会の経験、デブリーフィングなどを踏まえまして、大会総経費の縮減に向けまして不断に経費を精査して、それを順次、大会予算に反映させてまいります。
 そして、その費用の把握と公表についてでございます。
 先月の四者による作業部会におきまして、会場整備、輸送、セキュリティーなどにつきまして、経費縮減に向けた協議も行ったところでございます。
 その結果として、組織委員会から、大会経費は二兆円を切るという現段階の見込みが示されたところでございますが、現在、今月中の公表に向けまして精査が続いているところであります。
 東京大会の費用の管理でございます。
 ロンドン大会、大変成功したといわれている大会でございますが、それは、予算管理と透明性の確保の仕組みがしっかりされていたということに尽きます。そして先月の都政改革本部会議におきましても、オリンピック・パラリンピックの調査チームから、報告と、そして、それを踏まえた提言があったところでございます。
 そして、東京大会においても、ロンドン大会の事例、これを参考にしながら、組織委員会や国などと緊密に連携して、ガバナンスのきいた計画、予算管理、執行が行えるように、実効性ある仕組みを構築していくという考えでございます。
 東京大会を成功に導いていくためには、開催都市である都、大会運営を担う組織委員会、開催国である国、会場が所属する都以外の地方自治体の各主体、それぞれの主体がそれぞれの役割を明確にした上で、緊密な連携のもとでしっかりと責任を果たしていく必要がございます。
 大会開催に向けて、例えば国は、当然担うべきセキュリティー対策などに尽力することはもちろん、各それぞれの主体の円滑な準備を支援して、オリンピック・パラリンピックの果実が確実に全国に行き渡るよう、果たすべき役割は大きいものと考えております。
 都といたしましては、平成二十三年十二月の閣議了解によります枠組みを超えて、財政面を含めました全面的な支援を行うことを国に提案要求いたしておりまして、オールジャパンでの取り組みを支援するように強く求めてまいる考えでございます。
 待機児童の解消についての取り組みでございます。
 保育サービスは、保育の実施主体である区市町村が、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものでございます。
 今後、四年間の保育サービスの整備目標は、利用率が五〇%になっても対応できますように、保護者のニーズ、区市町村の計画、就学前児童人口の推移などを踏まえまして、年内に作成する実行プランの中で定めてまいる考えでございます。
 保育士の確保に向けた取り組みについてのお尋ねでございます。
 保育士等の確保、定着を図るためには、保育士の皆さんが専門性を高めながら将来を見通して、そして、みずからのやりがいを持って働き続けることができる、そのような環境が整っていることが重要であることはいうまでもございません。処遇の改善もその一つでございます。
 そこで、都は独自に、保育士の皆さんほかのキャリアアップ補助を開始いたしております。キャリアパスの仕組みを導入することを条件として、保育士の皆さんの処遇改善を支援いたしております。
 また、第三回の定例会で議決いただいた補正予算、百二十六億円でございますけれども、宿舎借り上げ支援の充実も、それによって図っているところでございます。
 キャリアアップの補助については、その活用実態、そして国の新たな処遇改善策を踏まえまして、さらに充実を検討してまいります。
 ご指摘のございました北区の取り組みでございますが、ご承知のように、保育の実施主体は区市町村でございます。それぞれの自治体が地域の実情を踏まえながら、さまざまな保育資源を活用する、そして保育サービスの整備を進めているものと、このように認識をいたしております。
 子供の均等割保険料についてのお尋ねがございました。
 全国知事会は、ことしの七月に、子育ての負担を軽減するため、国民健康保険に子供に係る均等割保険料の軽減措置を導入するように国に要望をいたしました。
 私もこの要望には賛成いたしますが、国民健康保険は、法に基づく全国統一の制度でございます。こうした制度上の課題には、制度責任者である国がまず責任を持って対応すべきものと考えております。
 阪神・淡路大震災の教訓についてのご質問、特に住宅の耐震化について触れていただきました。
 私自身経験いたしました阪神・淡路大震災では、倒壊した建物そして電柱が、救急車、自衛隊そして警察、消防車、こういった緊急車両、これらが通れなくなってしまうんですね。それによってさらに火事が広がり、そこで、地震によって倒壊した建物の中の方も救われないというような状況になっていくわけであります。このようにして木造住宅密集地域での火災は、本当に瞬く間に広がっていったというものでございます。
 首都直下地震の発生が懸念されますここ東京でございますが、住宅を含む建築物の耐震化というのは、まさしく命にかかわる喫緊の課題でございます。
 そこで、救援、復旧活動に不可欠な緊急輸送道路の沿道の建築物につきましては、全国に先駆けて条例を制定し、耐震診断を義務づけるなど、耐震化を推進してきたことはご存じのとおりであります。
 また、電柱につきましても、震災時に道路を塞ぎますので、避難や救助などでさまざまな課題が生じることから、無電柱化の取り組みも進めていく、具体的には条例化も行っていくということでございます。
 地震によります建物倒壊を防ぐということは、居住者の生命と財産を守るだけではございません。そして、都市の防災力の向上につながるというものでございます。住宅を含みます建築物の耐震化を促進して、安心・安全な都市、セーフシティーの実現に取り組んでまいります。
 同じく耐震化でございますが、耐震改修への助成につきましては、耐震改修促進計画に基づいて国費を有効に活用するほか、整備地域内では、都みずからが区の取り組みを後押しするために、今年度から支援内容を拡充して取り組みを加速しているところでございます。
 住宅の耐震化を進めるためには、まず都民お一人お一人が、これはみずからの問題なんだと、このように認識をしていただいて備えていくということが何よりも重要でございます。
 そして、このようなメッセージが都民の皆様方に届きますように、住宅の所有者にアドバイザーの派遣を行うといった区市町村の取り組みを、それを都が支援するというような形で積極的に普及啓発を進めているところでございます。
 これらを通じて、首都東京、防災性を高めてまいり、セーフシティーの実現に取り組んでまいります。
 具体例として、感震ブレーカーについてのご質問がございました。
 震度を感じる感震ブレーカーでございますが、地震発生時の電気の火災防止には一定の効果があると認識しております。しかし、さまざまなタイプの機器がございまして、揺れと同時に電源が遮断されて、避難に必要な照明などが確保できなくなるといった課題、それから在宅医療の機器を使用している場合などは、設置に際してその機器の特徴を十分に理解しておいていただかなければなりません。
 また、火災被害の防止には、まず初期消火力の強化や木造住宅密集地域の改善に向けた不燃化など、燃え広がり、延焼を防止する対策とあわせた多重的な、多面的な取り組みが重要と考えております。
 都として、これらの事業とあわせまして、感震ブレーカーの普及啓発を図ってまいります。
 二〇二〇年に向けた実行プランについてのお尋ねでございます。
 これらは、都民ファーストの視点に立って三つのシティーを実現する、新しい東京をつくることを目指しております。新しい東京を目指していく、実現していく、その上で最も大事な理念であるのが都民ファーストでございまして、都民のため、都民全体の利益を最大化すること、これがまさしく都民ファーストでございます。
 この理念は、防災など安全・安心の確保、それから、まちの元気を創出するセーフシティー、そして、女性、高齢者、障害者など誰もが生き生きと暮らせる、活躍できるダイバーシティー、環境先進都市、国際金融、経済都市として成長を続けますスマートシティーの三つのシティー全ての政策に共通するものでございます。
 実行プランにおきましては、この都民ファーストの観点を徹底して大義ある政策を打ち出して、そして都民の皆様方の共感を推進力として政策を展開していきたいと考えております。
 最後に、私から、都市計画道路についてのご質問にお答えをさせていただきます。
 都市計画道路は、いうまでもなく、交通、物流機能の向上による経済の活性化だけではございません。日々の生活を支えて、災害時には救急救援活動を担います重要な都市基盤でございます。
 さらに、無電柱化、歩道そして自転車走行の空間の整備、そして街路樹によります緑化を行うことで、環境、景観の向上などにも寄与するものと考えております。
 これまで、都として、おおむね十年ごとに計画を策定して、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めてまいりましたが、都市計画道路の必要性の検証を行い、適宜見直しも行ってきたところでございます。
 ことし三月に策定した新たな計画でも、優先的に整備に取り組む路線の選定とともに、都市計画の廃止や縮小など計画を見直すべき路線として九路線、五キロメートルを示したところでございます。
 今後とも、見直すべきものは見直す、そして地元の理解を得ながら、必要な都市計画道路の整備は着実に進めていく、この精神でもって臨みたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、東京都技監、そして関係局長からのご答弁とさせていただきます。
   〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、制震ダンパーなどの普及に向けた支援についてでございます。
 緊急輸送道路沿道建築物を含め、都が現在、改修助成を行っている建築物について、免震工法や制震工法も助成の対象としてございます。
 さらに、都民一人一人がみずからの問題として認識し、備えを行っていただくために、木造住宅における制震工法など、安価で簡便に改修することができる工法の事例集を作成し、耐震キャンペーンやポータルサイトなどで都民に情報提供してございます。
 引き続き、こうした取り組みを通じて耐震化を促進してまいります。
 次に、新耐震基準の住宅への診断助成についてでございます。
 ことし四月に発生した熊本地震では、倒壊した木造建築物の多くが旧耐震基準であったものの、新耐震基準による建築物のうち、平成十二年以前に建てられた一部においても倒壊による被害が見られました。
 現在、国では委員会を設置し、都も参画して、新耐震基準の建築物を含めた倒壊防止のための取り組み等について検討を進めており、その動向を注視してまいります。
   〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、ホームページでの説明についてですが、平成二十年の専門家会議の提言に基づき実施いたしました敷地全面にわたる土壌、地下水の調査を踏まえ、汚染物質を除去していることをお示ししたものでございます。ホームページについては、わかりやすい内容で都民に情報提供するよう工夫してまいります。
 次に、盛り土の汚染についてですが、豊洲市場用地では、土壌汚染対策工事として、汚染の有無にかかわらず、ガス工場操業地盤面より二メートル下まで掘削除去するとともに、さらにその下も、調査によって把握したガス工場操業に由来する基準を超える汚染物質を含む土壌につきまして掘削除去いたしました。
 あわせて、地下水については、揚水、復水を現地において繰り返し実施し、地下水基準以下にまで改善をいたしました。
 なお、現在、専門家会議におきまして、改めて豊洲市場の安全性について検証していただいているところでございます。
 次に、土壌汚染対策に関する都の方針についてですが、豊洲市場用地における土壌汚染対策につきましては、ただいま申し上げた内容で実施してきたところでございます。現在、地下水モニタリングで二百一カ所のうち三カ所で基準超過を確認したことや、地下ピット内の安全性等につきまして専門家会議で検証していただいております。
 都としては、今後、専門家会議で出される提言を踏まえ、適切に対応してまいります。
 最後に、事業者への補償についてでございますが、都は、豊洲市場への移転延期に伴い、具体的な損失が生じている事業者への適切な補償を行うため、現在、専門家を交えて、事業者の実情を踏まえた、公平で客観的な補償スキームの構築に向けた検討を進めているところでございます。
 なお、財源につきましては、市場会計の保有資金の活用など、財政当局と十分に調整しつつ検討を進めてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) ボート、カヌースプリント会場についてでございます。
 都はこれまで、幅広くアスリートの声を集約し、国内競技を統括する競技団体の意見を聞きながら、施設整備や後利用の検討を進めてまいりました。
 先週の四者協議において、ボート、カヌースプリント会場につきましては、大幅な経費縮減を図り、海の森水上競技場で整備することといたしました。
 引き続き、競技団体と連携いたしまして、二〇二〇年大会に向けてコスト管理に努めつつ、施設整備を着実に進めるとともに、後利用に当たりましては、国際大会の誘致や都民利用の促進に取り組み、施設の一層の活用と効率的な施設の管理運営を目指してまいります。
   〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都有地活用推進本部についてでございますが、都有地活用推進本部では、都有地を活用した保育所の整備を進めるため、既に財務局所管の未利用の都有地について区市町村に情報提供を行うとともに、公営企業を含む全ての局などが所管する都有地についても、活用可能性のある土地の洗い出しを依頼しているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを踏まえ、区市町村に対し、適切に都有地の情報を提供してまいります。
 次いで財政運営についてでございます。
 都は、これまでも子育て環境の充実や高齢者の暮らしへの支援、非正規雇用対策など、都民にとって必要な政策に的確に財源を振り向けております。あわせて、道路整備を初めとするインフラ整備についても、都民の利便性や東京の活力の向上などに必要不可欠な取り組みでありまして、着実に進めていくものでございます。
 今後とも、財政の健全性に十分留意しながら、ソフト、ハード両面にわたり山積する都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、サービス推進費の再構築の影響についてでありますが、保育士等キャリアアップ補助金と保育サービス推進事業補助金との合算額を、平成二十六年度のサービス推進費補助金保育所分と比較すると、減収となった施設は、平成二十六年度の交付対象八百八十九施設のうち三百五十一施設で、全体の約三九%となっております。
 なお、平成二十七年四月一日時点の私立認可保育所は千二百七十施設、そのうちキャリアアップ補助金及び保育サービス推進事業補助金の交付を受けたのは千二百五十五施設であり、これをもとに計算すると、先ほど申し上げた三百五十一施設は全体の約二八%となり、七二%の施設は補助が増収となっております。また、キャリアアップ補助金は、全ての施設で賃金に充てられていることを実績報告書で確認をしております。
 次に、キャリアアップ補助の充実についてでありますが、都は現在、平成二十七年度に開始した保育士等キャリアアップ補助の活用により、どの程度、処遇改善が図られたかなど、その実態を検証分析をしております。
 国は、現在、保育士等に対する新たな支援策として、二%相当の処遇改善を行いますとともに、保育士として技能、経験を積んだ職員については、四万円程度の追加的な処遇改善を行うことを検討しております。
 都は、こうしたことを踏まえながらキャリアアップ補助の充実を検討してまいります。
 次に、キャリアアップ補助の仕組みについてでありますが、保育士等キャリアアップ補助は、キャリアパスの仕組みを導入することを条件に、処遇改善に係る経費の一部を補助するものでございます。
 補助に当たっては、職責や職務内容などに応じた賃金体系の設定や資質向上に向けた計画の策定などのキャリアパス要件の届け出、賃金改善に関する実績報告書や施設運営に係る財務情報等の都への提出などを条件としており、財務情報には、事業活動に係る収入のほか、人件費、土地建物賃借料、業務委託経費、租税公課など事業活動に係るさまざまな支出が記載されております。
 現在、都はこうした情報に基づき、補助の仕組みについても検証分析を行っており、その結果を踏まえ、補助の充実を検討してまいります。
 最後に、公立保育所の整備に対する補助についてでありますが、都は、保育の実施主体である区市町村が地域の実情を踏まえ、認可保育所だけでなく、認証保育所、認定こども園、小規模保育など多様な保育サービスを拡充できるよう、さまざまな支援を行っております。
 公立保育所の整備費については、平成十八年度に区市町村に税源移譲されております。
   〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 今後の都市基盤整備についてでございますが、幹線道路を初めとする東京の都市基盤施設は、都市の安全・安心を確保するとともに、都民生活や都市活動を支える重要なストックであり、東京の発展を支えるものでございます。
 このため、都は、首都圏三環状道路や骨格幹線道路などの道路ネットワークの形成を進めるとともに、木密地域における特定整備路線の整備などを推進しております。あわせて、日常の適切な維持管理や橋梁等の予防保全型管理などにも取り組んでおります。
 今後とも、インフラの機能を十全に発揮するため、総合的かつ計画的な維持管理を行いながら、さらに首都東京の都市基盤整備を推進してまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事整理のため、五分間休憩いたします。
  午後七時六分休憩

   午後七時十二分開議

○議長(川井しげお君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十三番里吉ゆみさん。
   〔三十三番里吉ゆみ君登壇〕

○三十三番(里吉ゆみ君) 知事に再質問いたします。
 豊洲新市場用地取得にかかわる東京ガスとの交渉についてです。
 土壌汚染対策は、本来、原因者負担で行われるべきですが、八百六十億円に上る費用のうち、東京ガスの負担はわずか九%の七十八億円で、残りは全部都がかぶりました。
 石原元知事は、随分高い買い物をしたと思うが、私の判断を求められることはなかったと傍観者的発言をしています。しかし、開示資料によれば、東京ガス側の負担額は石原知事に伝えることになっていたのです。
 また、濱元副知事が用地買収にかかわり、東京ガスに対し、水面下での作業を進めさせていただきたいといって、密室交渉で買収を進め、東京ガスへの便宜を図ってきたことなどが明らかになっています。
 知事、ぜひ、このような情報開示をさらに進めるとともに、速やかに石原元知事及び濱渦元副知事から聞き取りを行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。知事、ぜひお答えください。
 以上、再質問といたします。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 里吉ゆみ議員から再質問を頂戴をいたしました。
 まず、先ほど中央卸売市場長より答弁もさせていただいたわけでございますけれども、東ガスとの交渉経過につきまして、築地市場の移転先が、敷地面積、交通、環境、築地との近隣性といった条件などから、既に別の開発計画があった豊洲地区に限られるといったような状況があった、それから東京ガスとの交渉を重ねて用地取得の合意に達したとの記録がございます。
 ご指摘のように、今回、東京ガスとの交渉記録のほとんどを公開いたしました。いわゆるノリ弁を剥がした部分があるわけでございます。このように交渉経過を明らかにしたことにより、これまでの経過、経緯について、さまざまな疑問、これについて解明を、解消されるものと思っております。
 共産党におかれましては、大変絞り込んだご質問を事前に頂戴をいたしました。これに対しまして、今のご指摘の点について真摯に考えていきたいと、このように思っております。実際に担当された方々からのお話というのは、これ以上のものはないと考えております。

○議長(川井しげお君) 百番大西さとる君
   〔百番大西さとる君登壇〕

○百番(大西さとる君) 小池知事は就任以来、豊洲市場、オリンピック・パラリンピック、そして情報公開など、世論の注目を集めながら、これら問題に対峙されてきましたが、就任後百日を過ぎ、来年度の予算編成を控えての第四回定例会となります。
 先日の所信表明で、知事は、現状維持は後退であると述べられましたが、私たち都議会民進党も、まさに不断の改革を進めることが使命であると考えております。
 また、知事は、改革の一環として復活予算の仕組みを終了いたしました。本会議を初め、オープンな場での議論が来年度の予算編成に生かされることを求めるものです。
 不断の改革によって、都民とともに進む都政への転換が図られることを期待し、都議会民進党を代表して、都政の重要課題について小池知事並びに関係局長に伺います。
 まず、知事の基本姿勢について伺います。
 情報公開についてです。小池知事によって、黒塗り部分の開示、重要会議の公開など、私たちが求めてきた情報公開が前進し始めていることを評価しております。
 しかし、一方で、いまだ東京都に欠けているものは、公文書は都のものではなく、将来も含めた都民共有のものであるという基本原則の明確化であります。
 第三回定例会でも申し上げたとおり、適切な文書管理は情報公開の前提であり、この両者は車の両輪であります。対象となる文書の存在が曖昧で都民が確認できない状態だと、不存在、非開示がまかり通ってしまいます。豊洲問題の真相も、適切な記録、開示が行われておらず、いまだ完全に解明されたとはいえないままです。情報公開法が公文書管理法を必要としたように、公文書管理条例は、情報公開条例と対をなして機能するものであり、一方がない状態は片輪走行であると評する識者もいます。
 知事が一丁目一番地といわれた都政の透明化、見える化に欠かせない情報公開を一層推進するため、公開を前提とした文書の作成、保存及び廃棄に関して、基準その他必要な事項を条例化することによって、都民に開かれた都政を実現すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、二〇二〇に向けた実行プランについて伺います。
 東京都政においては、四年後に迫ったオリンピック・パラリンピックの成功はもちろんのこと、その先に、子供たちの未来にどんな東京を描くのか、広く英知を集めて議論し、取り組みを進めなければなりません。
 私たちが超高齢社会の到来を目前にして直面しているのは、平均年収百七十万円という正規雇用の三分の一にも満たない非正規雇用労働者の実態、将来の格差にも直結する子供の貧困、教育格差といった厳しい現実です。
 このような現実に対して、国に先んじても手だてを講ずることが都政の使命であり、都民一人一人があすへの希望を持ち、努力が報われる東京にするために、負の連鎖を断ち切る施策を断固として実行すべきです。
 私は、知事が所信表明において具体的に描くと述べた将来の夢あふれる東京、ビヨンド二〇二〇、それはすなわち格差のない東京であると考えます。格差の解消なくして、夢も明るい未来も描けないということは、昨今の世界諸都市の状況を見ても明らかです。
 こうしたことを踏まえて、どのようなプランを策定し、具体的な政策展開を盛り込んでいこうとしているのか、知事の見解を伺います。
 次に、全ての子供の学びと成長について伺います。
 私たちは、全ての子供たちが学ぶことができる都独自の給付型奨学金の創設を求めてきましたが、改めて早期実現を求めるものです。
 また、国の高校中退者数調査によると、生活保護受給世帯の子供の中退率が、全世帯平均の三倍に上っています。貧困たたきの風潮もありますが、貧困の連鎖は断ち切らなければなりません。所得格差を教育格差にしてはなりません。
 知事が定める教育施策大綱の骨子では、経済状況にかかわらず、全ての子供が学び続けられる教育の仕組みが必要だとされており、そのための支援が不可欠です。
 貧困による学びの格差をなくしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 経済的に厳しい子供に対して、食事の提供や学習支援を行う居場所が都内でもふえています。足立区では、中学生向けに四カ所目の施設が設置され、区内全域で利用できるようになります。また、高校生用の居場所も開設しています。
 一方、都においては、居場所支援を初め、進学に向けた学習塾などの受講料や高校、大学への受験料の貸し付けがふえています。将来の進学や就職に向けて、経済的に厳しい子供の社会的自立につなげる支援を充実すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 今、教育現場では、いじめや不登校、学力格差など、さまざまな教育課題を抱えています。これら課題の解決には、世界一といわれる教員の多忙さの原因を一つ一つ取り除き、教員が子供と向き合う時間を確保することが不可欠であると考えます。
 そこで、さまざまな教育課程に対して、教員が子供たちに向き合える環境整備に都としてしっかり取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、働き方改革について伺います。
 電通の女性新人社員が過労自殺をしたことが社会問題となっていますが、一カ月間の残業時間が過労死ラインの八十時間を超える正社員がいる企業は二二・七%と、過労自殺は誰にでも起こり得る問題です。
 一方、昨年五月十九日、東京都を初め、東京労働局や関係労使団体が、働き方改革に関する共同宣言を行い、長時間労働の削減や年次有給休暇等の取得促進など、働き方改革宣言をする企業も着実にふえてきています。
 知事も、イクボス宣言や残業ゼロ、午後八時退庁に率先して取り組んでいますが、私たちは、働き方改革の機運が社会全体に浸透し、企業経営者や働く人たちが共通の目標を持って取り組んでいくことが、極めて重要であると考えています。
 働き方改革の推進に向けた知事の見解を伺います。
 女性の活躍を推進するには、子育て支援、家庭と仕事の両立支援など、包括的なパッケージでの施策が欠かせません。ことし九月、待機児童解消や子育て支援に特化した補正予算が成立しましたが、私たちが求めてきた保育士の処遇改善など、人材確保策を含め、引き続き積極的な取り組みを要望するものです。
 また、所得や管理職比率に格差があることから、女性が公正に採用、育成、積極登用されるよう、事業者に周知、啓発を行うとともに、再就職支援やスキルアップ支援を行うべきです。
 さらに、ことし四月の女性活躍推進法の施行に伴い、三百一人以上の企業は行動計画の策定が義務づけられましたが、都内九九%を占める中小企業への支援を初め、施策の積極的な展開が望まれます。
 女性の活躍に向けた取り組みをより一層推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、仕事と介護の両立についてです。
 高齢者人口が増加し、今後、団塊世代が七十歳代に突入することに伴って、働き盛りの世代の介護者がますますふえることが見込まれます。
 また、少子高齢化の進行に加え、出産年齢の高齢化によって、子育てと親の介護のダブルケアに直面する労働者が増加傾向にあるとも指摘されています。
 介護サービスの充実はもとより、介護休業、介護休暇の取得支援を拡充することなどで、介護離職ゼロを早期に実現すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、仕事と治療の両立についてです。
 日本人の二人に一人がかかるがんですが、がん患者の三割は現役世代です。医療技術の進歩で、がんは治る病気となりつつあるにもかかわらず、働く患者の三人に一人は退職に追い込まれています。労働力損失は、年間一・八兆円ともいわれています。
 企業への普及啓発や休暇取得支援に取り組むなど、仕事と治療の両立を積極的に推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、環境施策について伺います。
 東京都はこれまで、キャップ・アンド・トレード制度の導入や地球温暖化対策報告書制度を創設し、省エネ、気候変動対策に先進的に取り組んできました。
 私たちとしても、東日本大震災を契機とした議員提案である省エネ条例の制定を初め、環境施策には特に力を入れ、精力的に視察、調査活動を重ね、政策提言を行ってきました。
 二〇二〇年の先を見据えた東京の都市像を描く上で欠かせない事柄の一つに、スマートエネルギー都市の実現があります。
 知事は、環境施策に精通されており、より一層、東京の環境施策の進化、強力な政策展開を期待するものですが、スマートエネルギー都市の実現に向けた知事の見解を伺います。
 東京都は、家庭の省エネ、創エネに取り組み、再生エネルギー機器の普及促進などを進めてきました。今後は、こうした取り組みに加え、建築物省エネ法で二〇二〇年から義務づけられる方向性にある新築住宅の省エネ基準適合も急務であり、既存住宅も含めて、住宅の環境性能の向上に取り組みを進めなければなりません。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスも、標準仕様となる段階に移行しつつあるといわれています。
 こうした状況を踏まえ、断熱性能が高く、省エネ、再エネ機器を備えるなどした省エネを超えたゼロ・エネルギー・ハウスを東京都版エコハウスとして推奨することも、社会インフラとしての住宅の環境性能を高めるために欠かせない取り組みであると考えます。
 環境性能の高い住宅の普及に向け、都として積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、豊洲市場問題です。
 盛り土問題では、いまだ結論がはっきりしたとはいえません。知事は、当時の市場長らの処分を決める一方、元担当部長からは反論書も提出されています。このままでは、トカゲの尻尾切りだとの声も聞かれますが、そもそも、当時のトップである石原元知事が知っていたのかどうかさえも全く明らかではありません。小池知事からの質問に対しても、石原元知事は資料が全てを物語っていると回答するとともに、コンクリート箱を重ねて地下に埋め込む工法を聞き、昼食会で都の幹部に提案したとも回答しており、知事としても、当時の資料を突き合わせつつ、真相究明に努めるべきです。
 東京ガスとの交渉経過の資料が提出され、その検証が期待されますが、私たちも二〇一〇年十月二十二日の定例会見で、なぜ石原元知事が、都議会で築地の現在地再整備案を検討中にもかかわらず、付帯決議を無視して、突然、移転を決断したのか疑問でなりません。
 事実関係を明らかにする場合には全面的に協力すると述べている石原元知事など、関係者に直接聞き取りをし、検証、真相究明すべきと考えますが、小池知事の見解を伺います。
 豊洲の土壌汚染対策工事としては、都は、操業由来の汚染土壌の除去など、万全な安全対策を講じてきたと述べてきました。必要な手続を怠り、専門家会議の提言による盛り土をしなかったことは問題ですが、現実問題として、地下ピットには想定し得なかった大量の地下水がたまり、また、その地下水や地下空間の大気から、基準値や指針値を超える有害物質が検出されているのです。
 都の安全対策は効果的であったのか検証すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、市場業者との信頼関係です。
 知事は、豊洲移転が、早くて来年の冬以降になるとの見通しを示しました。また、所信表明では、市場関係者に対し、設備投資など具体的な負担が発生している方も多く、大変な心配をかけていることは、都政の責任者として真摯に受けとめる旨述べ、誠心誠意、不安の軽減に努めるとの決意を表明しました。
 知事が直接、市場業者と向き合って信頼関係構築に取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック問題について伺います。
 先日、四者協議において、知事は、大会の総経費が、終わってみれば結局三兆円を超えるのではないかとの懸念を表明されました。私たち都議会民進党は、大会まで四年を切った現在もなお、総経費が公表されていないことが問題であり、ロンドン大会のように速やかに総経費を公表すべきだと考えています。その上で、規模感、レベル感の検討や民間活用などの効率化、経費膨張リスクへの対応策など、総経費の削減に向けて尽力すべきと考えます。
 知事は、組織委員会が整備を行う仮設施設の整備費や警備費、輸送費などを初めとした総経費を明らかにさせ、縮減に向けて一層取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、組織委員会について伺います。
 先月、組織委員会は、都に対して出捐金の一部を返還しました。これは都の関与を逃れようとする意図があり、懸念するものです。森会長の判断には問題があり、その責任は少なくないと考えます。
 組織委員会が出捐金を返還したとしても、組織委員会の全職員数七百三十三名のうち、二百四十五名を都が派遣していることは変わらず、大会終了後、組織委員会に負債があれば、それを補償をするのは東京都であることから、見過ごすわけにはいきません。
 このような組織委員会の一連の対応について、知事の見解を伺います。
 次に、大会のレガシーについて伺います。
 特に、交通関係のレガシーについて、例えばロンドンでは、長年の懸案であったクロスレール計画が実行に移されました。ヨーロッパ最大規模のプロジェクトと称され、完成すればヒースロー空港とロンドン中心部が乗りかえなしのダイレクトアクセスとなります。さらに、オリンピックを起爆剤として軌道に乗せた東部の再開発地域にもつながる計画です。
 翻って、東京大会では、大会を契機とした未来図、レガシーが、交通関係に関してはなきに等しいものとなっています。
 全国各地との結節点となる東京駅、五本目の滑走路の構想があるなど、世界各都市とのつながりがますますふえることが期待される羽田空港、そして三本目の滑走路建設も検討されている成田空港、これらを結ぶ鉄道アクセスの抜本的改善は、日本全体を牽引する東京圏の国際競争力向上や観光立国という視点から欠かせないものと考えます。
 二〇二〇年東京大会を経て、大幅に増加が予想される外国人訪日客の交通利便性を高めるために、東京の鉄道ネットワークを強化、改善する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 以上で都議会民進党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
  〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 民進党大西さとる議員にお答えをさせていただきます。
 情報公開についてのご質問がございました。
 都民ファーストの観点から、都政の透明化、見える化を進めていくこと、それに何よりも重要なことは、全庁を挙げての情報公開の推進でございます。
 公文書の当初の適切な管理の実現、そして、都庁の隅々にまで浸透させる、そのことが必要でございます。適正な文書管理は、情報公開制度と相まって、都民に対して都政への参加を進めるとともに、行政が説明責任を果たす際の基盤、インフラとなるものでございます。
 今回の豊洲市場におけます文書管理の問題も受けまして、今後、同様の事態が発生するようなことがないように、まずは、東京都文書管理規則を年度内に見直していきたいと考えております。
 さらに公文書の管理に関しましては、来年度早期の条例化を検討するように指示をしたところでございます。
 このような取り組みを通じまして、公文書の適正な管理を進めて、都民とともに進める都政を実現してまいりたいと考えております。
 格差のない東京の実現に向けた政策展開についてのご質問がございました。
 二〇二〇年に向けた実行プランは、新しい東京をつくるために、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの三シティーを実現することを策定の目的としているところでございます。
 何度も申し上げますけれども、ダイバーシティー、これは都民の誰もが希望と活力を持って生き生きと活躍できる社会のことでございます。そして、そのためには、誰にも平等にチャンスがあって、そのチャンスを生かして、みずからの希望をかなえていける、そういう社会のことを目指しております。
 こうしたダイバーシティーの実現に向けまして、実行プランにおきましては、家庭の経済状況などに左右されずに、全ての子供が未来のために、みずからの意志で学べる教育環境の整備、不本意な非正規雇用者の正規雇用化など、誰もが自分らしく活躍できる社会づくりに向けました四カ年の具体的な政策展開を示してまいります。
 そして、このプランの政策を着実に進めることで、みんながこれからもっと東京はよくなるんだと、きょうよりもあしたの東京の方がもっといいんだと、このように都民が希望を持てる都政を展開し、そして、日本の未来を明るく照らす新しい東京を、都民の皆様方とともにつくってまいりたいと考えております。
 貧困による学びの格差についてのご指摘がございました。
 将来を担う子供たちの教育の機会はまさに平等であるべきでございます。家庭の経済状況が子供たちの将来を閉ざすことがあってはなりません。そして、そのために全ての子供が学び、成長し続けられるように、社会全体で子供の学びを支える仕組みをつくることが大切と考えております。
 例えば、誰もが安心して学んで、自己の可能性を伸ばすことを支援する都独自の給付型奨学金を創設する、生きる礎となる基礎学力の定着を徹底する、学校、家庭、地域の連携で社会的自立に必要な力を育成するといったような具体的な策が必要でございます。
 こうした考えに基づいて、来月には新たな教育施策大綱を策定いたしまして、教育委員会と力を合わせて、東京の未来を担う人材を育成する教育を実現してまいりたいと考えます。
 働き方改革についてのご指摘でございます。
 全ての人が生き生きと活躍できるダイバーシティー、その実現のためには、働き方、ここから変えていくということが何よりも鍵でございます。深夜に及びます残業は当たり前というのが日本の価値観となっているわけでございますけれども、その価値観の転換から進めていかなければなりません。そして、ワークスタイルもさまざま、今は新しいものもございます。それを定着させていかなければなりません。
 そこで、今年度から、それぞれの企業に合った働き方の改革に向けまして、それぞれの企業、社を挙げて取り組む、そんな会社を力強く応援する制度を設けて支援をいたしております。
 また、国に国家戦略特区を活用したテレワーク推進センターの設置も提案をいたしておりまして、柔軟な働き方の導入を進める企業の後押しをしてまいりたいと考えます。
 社会全体に働き方改革の輪を広げていくことによりまして、誰もが生き生きと働くことのできる都市を実現してまいりたいと考えます。
 女性の活躍推進についてのご質問がございました。
 少子高齢化が急速に進展をして、労働力人口の減少が見込まれる中で、社会の活力を高めていくためには、女性の力を最大限に引き出すことは不可欠であります。
 私はかねてより、女性の能力を生かし切れていないのは、まさしくもったいないと何度も申し上げてまいりました。
 企業において女性の活躍を進めるには、働き方を見直す、そして男女を問わず、職場での活躍の機会が得られる、そのような環境が整備されなければなりません。
 その際、重要なことは、まず事業主の意識改革でございまして、特に中小企業を対象として雇用の平等に関する普及啓発、そして女性の就業の継続や管理職への登用等が進みますように、女性活躍推進法に定めた行動計画の策定支援を行っているところでございます。
 一方で、育児などで離職した女性、この方々に対しては再就職に向けた意識啓発はもとより、スキルアップのための職業訓練など、個別の状況に応じた就業支援をきめ細かく実施をしております。
 こうした取り組みを通じまして、東京が日本の女性活躍を進めるエンジンとなる、そのモデルケースとなる、そして女性が輝く社会を実現する、それを牽引してまいりたいと考えております。
 環境政策でございます。スマートエネルギー都市の実現についてのご質問でございます。
 人類の生存基盤を脅かす気候変動に対処するには、世界の温室効果ガスの七割を排出する都市の役割は極めて重要でございます。
 東京は大都市の責務といたしまして、地球温暖化対策に先導的に取り組むということで、ご指摘のございましたように、温室効果ガスの排出量を二〇三〇年までに二〇〇〇年比で三〇%削減をする、これは国の目標を上回る大変野心的な、意欲的な目標を掲げたところでございます。
 この目標の達成のために大きな成果を上げているのがキャップ・アンド・トレード制度であり、この着実な実施と、そして再生可能エネルギーの普及拡大、さらには水素社会の実現に引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 さらに、身近で効果的な省エネ対策でございますが、我が国の技術力の象徴でもある、またノーベル賞の受賞の礎となりましたLED、この照明を家庭、そして事業所を問わず、広く普及をさせていくことによって、確実な省エネ対策を進めてまいりたいと思います。
 そして、世界をリードするスマートエネルギー都市の実現に向けまして、世界の大都市が参加しているネットワーク、C40の加盟都市とも切磋琢磨しながら、これまでの先進的な取り組みに新たな視点を加えまして、総合的な地球温暖化対策を展開してまいりたいと考えております。
 豊洲の移転問題につきましてのご質問がございました。当時の関係者への対応についてであります。
 今回の豊洲市場の問題については、二回にわたります自己検証報告書におきまして、経緯とその責任の所在を明らかにしたところでございます。
 その上で、それをベースにして、その内容を踏まえまして、不適切な事務処理による信用失墜行為に該当する関係者に対しては、懲戒処分を行ったところでございます。そしてまた、私自身もけじめをつけるという意味で、給与の減額をする条例案をこの定例会に提案させていただきました。
 こうした厳正な処分の実施を一つの区切りといたしまして、今後は信頼回復に向けて取り組んでいくと同時に、ご指摘がございましたように、当時この問題にかかわってこられましたリーダーの方々には、今回の対応、私どもの対応を十分にご認識いただきたいと存じます。みずからリーダー論を語っておられるのならば、そのリーダーとしての矜持を示していただきたいと、このように考えているところでございます。みずから経緯を明らかにするなど、その責任を果たしていただこう、このように考えております。
 同じく市場関係でございますけれども、信頼関係の構築、大変重要な課題でございます。
 市場の業者の方々は、豊洲市場の問題についてはさまざまな不安を抱えておられる、このことについては重々承知をし、また、懸念しているところでもございます。そして、こうした不安を一つ一つ解消していくことが信頼関係の再構築につながると、このように考えております。
 そこでまず、豊洲市場の安全性等につきまして、現在、専門家会議、そして市場問題プロジェクトチームにおきまして、市場業者の意見を伺いながら、精力的に検証を進めているところであり、また、補償問題、一番重要な課題でございますが、補償問題につきましては、既にヒアリングに着手をしております。そしてまた、来月には、客観的で公正な補償スキームを策定いたしますし、また、年末を迎えているということも考えまして、今月の一日から、つなぎ融資の受け付けを開始して、当面の資金繰りを支援いたしております。
 今後、市場業者のニーズを踏まえまして、さらなる拡充についても検討を進めていくところでございます。
 今後とも、市場業者の方々と向き合いながら、安全・安心な市場、この実現に向けまして、しっかりと取り組んでいく所存でございます。
 東京大会の経費の問題でございます。
 平和の祭典でありますオリンピック・パラリンピックを今後とも持続可能なものとしていくためには、アジェンダ二〇二〇、これが初めて適用されるのが東京大会になるわけでございます。
 そこで、限りのある資金の有効活用を図るということはもちろん、そしてまた経費を抑制していく、それに加えて大会を成功に導いていく、いろいろなファクターが必要でございます。
 十月、IOCのバッハ会長と会談をいたしました。それは、都、IOC、組織委員会、国の四者によって、大会経費について協議の場を持つということが、そのバッハ会長との会談の中から出てきたわけでございます。
 そこで行われましたのが先週の四者協議でございますが、先ほども申し上げましたが、組織委員会からは二兆円を上限に圧縮を図っていくという報告がありましたけれども、それをさらに引き下げろという、そのようなIOCのお考えと聞いております。
 現在、この総経費ということについては、今月中の公表に向けて精査を続けているところでございます。
 また、今回にとどまらず、四者協議、リオデジャネイロの経験などを踏まえて、大会総経費の縮減につきましては、来年以降も不断に経費を精査して、順次、大会予算に反映させていく、このような所存でございます。
 お金を幾らでもかけるのは容易でありますけれども、しかし、そこから削っていくのは、そう簡単ではございません。しかし、そのことをしっかりやっていくことこそがサステーナブルであり、アジェンダ二〇二〇に適した東京大会につながるものだと思っておりますので、皆様も、ご協力をよろしくお願い申し上げ、私どもも、しっかりとそのために、さらにいいアイデア、そして実行可能なプランを出してまいりたいと考えております。
 そして、出捐金の返還に当たってもご質問がございました。
 ご指摘のように、今回、追加出捐金として拠出していた五十七億円の返還の理由として、組織委員会からは、当面の法人運営の安定化という目的を達成したということで、原資が税金であり有効活用してほしいとの説明を受けて、了承をしたところでございます。
 返還後におきまして、都の拠出割合は五〇%、組織委員会への法令上の関与等については、ご指摘のように、これまでと変わるところはございません。引き続き大会の準備運営に当たって、透明性の確保を求めていく所存でございます。
 大会を成功に導いてまいりますためには、都民、国民の理解を得ることが重要でございます。
 今後とも、具体的なガバナンス、情報公開のあり方、組織委、国、関係機関と緊密に連携を図りながら協議を進め、そして大会準備に万全を期してまいる所存でございます。
 そして、最後に、鉄道ネットワークについてのご質問がございました。
 二〇二〇年の大会の成功、そして、その先の持続可能な東京を実現するためには、東京の強みである鉄道を生かしていくことが重要であり、ご指摘のとおりかと存じます。これほど公共鉄道網が発達しているところは他にないといっても過言ではないと私は思います。ほかの大都市においては、かなり多くの部分がモータリゼーション、車に頼るところが多いからでございます。
 一方で、この鉄道ネットワークのさらなる拡充を図るということとともに、駅などの既存のストックの質を高めていく取り組みを進めてまいりたいと考えます。
 鉄道ネットワークにつきましては、国の交通政策審議会答申を踏まえまして、羽田空港とのアクセス線を初めとして、国際競争力の強化などに資するプロジェクトの具体化に向け、引き続き採算性、そして費用負担のあり方などの課題の解決に努めてまいります。
 加えまして、東京を誰もが安心して快適に活動できる都市へと進化させていくために、鉄道駅におけますエレベーターの増設、ホームドアの設置、案内サインの改善などの取り組みを加速させているところでございます。
 今後とも、鉄道事業者などの関係者とも連携をいたしまして、鉄道ネットワークの一層の充実に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 情報公開など、これからも東京大改革を進める上で、改革の一翼を担っていただきますよう、今後とも、ご活躍を期待申し上げまして、私からの答弁とさせていただきます。
 ありがとうございました。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 学校現場における教育環境整備についてでございますが、教員の多忙感、負担感を軽減し、子供たち一人一人に寄り添った指導や支援を行える職場環境を確保することは非常に重要でございます。
 こうした観点から、都教育委員会は、学校における心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、多様な専門性を有する人材の活用を積極的に図ってまいりました。
 今後とも、教員と専門家等がそれぞれの専門性を互いに理解し、連携、分担する体制を整備するなど、子供たちの課題に即した指導や支援ができる学校づくりをさらに推進してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 子供の社会的自立への支援に関するご質問にお答えをいたします。
 都は、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業に取り組む区市に対し、包括補助による立ち上げ支援や先行事例の紹介を行っており、現在、三十九の区市で実施されております。
 今年度は、新たに学習支援事業従事者の実践力向上に向けた研修を実施いたしますとともに、民間団体等と連携して学習支援と食事の提供などを一体的に行う居場所づくりに取り組む区市町村への支援事業も開始いたしました。
 また、高校や大学への進学を希望する一定所得以下の世帯の中学三年生や高校三年生に対し、学習塾代や受験料の支援を行っております。
 今後、子供の社会的自立につながるよう、学習支援や居場所づくりのさらなる充実を検討してまいります。
   〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、介護と仕事の両立についてでございますが、介護離職を防止するためには、介護休業等を取得しやすい職場環境整備を進めていく必要がございます。
 このため、都は、介護休業に伴う代替要員の人件費補助を行うとともに、仕事との両立に関する社内制度の周知など、企業みずからの取り組みを促す奨励金を支給しているところでございます。
 こうした取り組みに加え、新たに中小企業の人事担当者や従業員を対象に、専門家が離職の防止に向けた助言や、情報提供を行う仕組みについても検討してまいります。従業員が介護に直面しても、離職することなく安心して働き続けられるよう支援してまいります。
 次に、がん患者の仕事と治療の両立についてでございますが、がん患者の方が職業生活と疾患管理を両立できるよう支援を行うことは重要でございます。
 これまで都は、がんに対する理解を深めるため、雇用主の配慮すべき事項等を示したハンドブックや社員研修用DVDを作成するほか、シンポジウムを開催しております。
 また、両立支援に積極的に取り組んでいる企業を表彰し、その取り組みを事例集で広く紹介しているところでございます。
 今後は、疾患の特性に配慮した就業継続を進める企業に対する奨励金など、がん患者の方が働きやすい職場環境の整備に向けた支援策を検討してまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 環境性能の高い住宅の普及についてでございますが、断熱性にすぐれ、省エネ、再エネ機能を備えた環境性能の高い住宅を普及することは、都内のエネルギー消費量の約三分の一を占める家庭部門の省エネを推進する上で重要でございます。
 都はこれまで、太陽光発電とあわせて蓄電池を設置した場合や、太陽熱利用システムの導入などに補助を実施し、家庭のエネルギー利用の高度化を促進してまいりました。
 また、都内で多数を占める既存住宅の断熱性の向上を図るため、省エネリフォームと太陽光発電等を同時導入した場合にも支援を行っております。
 環境性能の高い住宅の普及に向けまして、省エネ、再エネ機器の導入や、建物の高断熱化等への取り組みへの支援に取り組み、施策の展開を図ってまいります。
   〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 豊洲市場における安全対策についてですが、都はこれまで、汚染土壌の掘削除去や地下水の浄化処理など、土壌、地下水汚染対策を実施し、技術会議にも対策工事の完了を報告してまいりました。
 本年十月に公表いたしました第八回地下水モニタリングの結果で、二百一カ所の測定地点のうち三カ所でベンゼンやヒ素が地下水基準を超過いたしましたが、専門家からは、一時的な数値の上昇をもって判断するのではなく、今後の推移を見守っていくべきとのご意見をいただいております。
 都は現在、地下水モニタリングの結果に加えて、地下ピット内の空気や地下水等の環境分析結果につきまして、専門家会議において、評価、検証していただいており、今後、専門家会議の提言を踏まえて、必要な措置を着実に講じてまいります。

○六十七番(山内晃君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 あすは、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時三分散会

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