平成二十八年東京都議会会議録第九号

平成二十八年六月八日(水曜日)
 出席議員 百二十二名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番菅野 弘一君
四番川松真一朗君
五番山内  晃君
六番栗山よしじ君
七番堀  宏道君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番中山ひろゆき君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番松田やすまさ君
二十一番河野ゆうき君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番島崎 義司君
二十五番鈴木 錦治君
二十七番宮瀬 英治君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番西沢けいた君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番神野 次郎君
四十一番木村 基成君
四十二番北久保眞道君
四十三番高椙 健一君
四十四番栗山 欽行君
四十五番大場やすのぶ君
四十六番近藤  充君
四十七番桜井 浩之君
四十八番山崎 一輝君
五十番石川 良一君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番あさの克彦君
五十四番新井ともはる君
五十五番中村ひろし君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番東村 邦浩君
六十四番崎山 知尚君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番清水 孝治君
六十七番小松 大祐君
六十八番柴崎 幹男君
六十九番和泉 武彦君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番鈴木 隆道君
七十二番早坂 義弘君
七十三番高木 けい君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番大西さとる君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高橋 信博君
八十八番中屋 文孝君
八十九番三宅 正彦君
九十番小宮あんり君
九十一番田中たけし君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番林田  武君
九十七番こいそ 明君
九十八番田島 和明君
九十九番古賀 俊昭君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番長橋 桂一君
百九番中嶋 義雄君
百十番立石 晴康君
百十一番神林  茂君
百十二番秋田 一郎君
百十三番宇田川聡史君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番高島なおき君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
百二十番  野村 有信君
 欠員
    二十六番  三十二番  四十九番  七十四番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長中井 敬三君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長長谷川 明君
主税局長小林  清君
生活文化局長多羅尾光睦君
警視総監高橋 清孝君
オリンピック・パラリンピック準備局長塩見 清仁君
都市整備局長邊見 隆士君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
建設局長佐野 克彦君
港湾局長武市  敬君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長山手  斉君
消防総監高橋  淳君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長真田 正義君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長安藤 弘志君
人事委員会事務局長藤田 裕司君
労働委員会事務局長櫻井  務君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

六月八日議事日程第三号
第一 第百二十八号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百二十九号議案
東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例
第三 第百三十号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四 第百三十一号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百三十二号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六 第百三十三号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第七 第百三十四号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八 第百三十五号議案
東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第九 第百三十六号議案
東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第十 第百三十七号議案
都立臨海地区特別支援学校(仮称) (二十八)新築工事請負契約
第十一 第百三十八号議案
都立板橋高等学校(二十八)改築工事請負契約
第十二 第百三十九号議案
警視庁下谷警察署庁舎(二十八)改築工事請負契約
第十三 第百四十号議案
都営住宅二十八CH―一〇一東(葛飾区東新小岩一丁目・建設局施設)工事請負契約
第十四 第百四十一号議案
都営住宅二十七H―一〇三東(荒川区町屋五丁目)工事その二請負契約
第十五 第百四十二号議案
都営住宅二十七H―一一九東(江東区豊洲四丁目)工事請負契約
第十六 第百四十三号議案
平成二十八年度岡田港船客待合所及び津波避難施設新築その他工事請負契約
第十七 第百四十四号議案
平成二十八年度南北線中防内側陸上トンネル整備工事請負契約
第十八 第百四十五号議案
平成二十八年度新砂水門(再整備)門扉製作据付工事請負契約
第十九 第百四十六号議案
今井水門耐震補強工事(その二)請負契約
第二十 第百四十七号議案
平成二十八年度辰巳排水機場(再整備)建設工事(その一)請負契約
第二十一 第百四十八号議案
公立大学法人首都大学東京中期目標について
第二十二 第百四十九号議案
土地及び建物の買入れについて
第二十三 第百五十号議案
ヘリコプターの買入れについて
第二十四 諮問第二号
地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第二十五 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都監査委員の選任の同意について(二八財主議第一三五号)
第二 東京都収用委員会委員の任命の同意について(二八財主議第一三六号)
第三 東京都収用委員会委員の任命の同意について(二八財主議第一三七号)
第四 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(二八財主議第一三八号)
第五 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(二八財主議第一三九号)
第六 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(二八財主議第一四〇号)
第七 議員提出議案第九号
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第八 議員提出議案第十号
東京都大学生等奨学金給付条例

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第九号、東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例外条例一件、知事より、東京都監査委員の選任の同意について外人事案件五件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(川井しげお君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十番きたしろ勝彦君
   〔七十番きたしろ勝彦君登壇〕

○七十番(きたしろ勝彦君) まず最初に、昨日の我が党の代表質問において、前代未聞の再質問を行う事態が発生いたしました。知事、この事態を重く受けとめてください。加えて、ひな壇に並ぶ理事者の皆さんの気持ちにも、十分しんしゃくされることを望みます。
 かつて、日本の常識は世界の非常識といわれました。これはまさに、今の知事と都民と議員との認識の違いを投影している言葉であります。
 知事、ノブレスオブリージュ、ご存じだと思います。一千四百万都民の代表であり、十六万職員のトップリーダーです。都のかじ取りを任せられている重責です。そのリーダーとして発信する言葉の大切さは、十分承知されていると思います。
 先日、来日されたオバマ大統領のトップリーダーとして、広島でのスピーチは感動的でした。言葉はみずからの考えを伝える言霊です。影響力があります。一方、知事の答弁、報道に対する発言、同じ場所に立つ者として、そして選挙で応援をした一人として、情けないの一言に尽きます。
 知事としての矜持をお持ちでしょうか。政治は最高の道徳ともいわれます。トップリーダーは高い倫理が求められます。私は、元警視庁警察官です。公のために尽くす公僕としての使命感を持っています。社会正義を今も求めて、みずからを律したいと思っています。
 責任には、法的責任、政治的、道義的責任があります。政治にかかわる人間には、この全ての責任があるわけです。特に、トップリーダーには強く求められるものであります。
 公私混同に対する説明責任を果たすチャンスであった三回にわたる記者会見は、せこいいいわけばかりで、恥ずかしい限りです。知事は、恥ということを知っているんでしょうか。
 かつて、疑惑の総合商社といわれた議員がいましたが、今の知事は、疑惑の総合商店といわざるを得ません。
 自民党は、日本人の心、魂を持った政党です。血も涙もあるグループです。だからこそ、自民党は前日に、説明責任を果たすよう緊急要望をいたしました。それにもかかわらず、一日の所信表明では裏切られた思いであります。一般常識を持つならば、その緊急要望の意味合いがわかったはずです。そして、所信表明の言葉は、この件に関して、知事は罪悪感すら持っていないのだと感じました。
 その結果、火に油を注いだ結果にしかなりませんでした。人間性にも疑問を持たれるようになってしまいました。このことが、オリンピック・パラリンピックに影響があってはなりません。
 私は、都議会議員としてこの十年間、戦後教育の義務なき自由や、履き違えた個人主義の教えにより、行動の基準を善悪ではなく損得に置き、自分さえよければという人々が利己的で刹那的に振る舞う風潮に、警鐘を鳴らし続けてまいりました。
 本来、我々日本人は、勤勉で礼儀正しく、節度をわきまえた、世界に誇る道徳観の持ち主でありました。この日本人のあるべき姿を取り戻すために、私は全身全霊をささげてまいりました。しかるに、このたびの知事の言動は、私が憂えてきた戦後日本人のあしき姿の戯画そのものであります。
 礼儀や節度、公徳心など、世代を超えて継承すべき道徳的価値について、都民の範となるべき知事という立場に鑑みれば、大いなる裏切りです。とりわけ、この国の未来を担う子供たちへの影響ははかり知れません。
 知事は就任時に、万民の上に位する者、おのれを慎み、品行を正しくし、驕奢を戒め、節倹を努め、職事に勤労して人民の標準となり、下民その勤労を気の毒に思うようならでは、政令は行われがたしという西郷隆盛の遺訓を、どのような思いで述べられたのか、不思議でなりません。理解できません。
 定例会見で信頼を失ったと表明した一千三百万の都民、十六万の都職員のトップリーダーを悲しく思うのは、私だけではありません。しかるべきときに身を切る覚悟が必要だと思います。
 このことを強く、強く指摘し、トップリーダーとしての道義的責任についてどのように考えているのか、知事の考えをお伺いいたします。
 次に、道徳教育について伺います。
 昨今のいじめ問題や、スマートフォンを介しての人間関係のトラブルなど、社会の基盤である人と人とのかかわりを崩壊させるような出来事が多発していることに、大変な危機感を感じています。
 我が国の長い歴史の中で、私たち日本人は、人間の力を超えたものに対する畏敬の念や、人と人との結びつきの中から学んだ相手への気遣いや礼節など、世界に誇る日本の精神文化を築いてきました。しかし、戦後の教育により、履き違えた個人主義が蔓延し、自分さえよければという風潮が、社会の中であたかも権利のように主張されているように思います。
 改めて、日本が古くから培ってきた価値観の重要性を再認識し、いま一度、日本人としての心を取り戻すための取り組みが必要だと考えます。
 そのため、私はかねてより、人が人として生きる上で大切な道徳性を育成する教育を、学校の教育活動全体の中核として充実させることが不可欠であることを繰り返し主張してきました。
 こうした中で、平成二十七年三月の学習指導要領の一部改正により、特別の教科道徳が新たに位置づけられ、我が国の教育の一つの転換期となったことは、記憶に新しいところです。
 私が十年間かけて主張し続けてきたことがようやく実を結ぶことになり、大変うれしく思っています。今後もますます道徳教育の重要性が増し、その取り組みは注目を浴びることと思います。
 私は、昨年の第二回都議会定例会でも、日本人としての心を取り戻す教育の重要性について述べるとともに、道徳教育の推進について都教育委員会の決意を尋ねました。その際、道徳の教科化に向けて、道徳教育を一層推進していくとの前向きな答弁があり、その後の積極的な取り組みを高く評価しています。こうしたことを契機として、さらなる道徳教育の充実を願っています。
 そこで、小中学校における今後の道徳教育の推進について、都教育委員会の決意と取り組みについてお伺いをいたします。
 続いて、防災教育について伺います。
 四月には、熊本県と大分県を中心とした大地震が発生しました。多くの住宅が倒壊するなど、今も多数の被災者が避難所での生活を余儀なくされています。一日も早い復興のため、我が党としても全力で支援をしてまいりたいと思っています。
 さて、東日本大震災のときに、釜石の奇跡として注目された岩手県の学校では、津波が来たら一人一人がてんでんばらばらになって早く高台に逃げるという先人の教えを、津波てんでんこという言葉で表現し、日ごろから防災教育を重ねてきたことで、多くの子供たちの命が助かりました。
 この事例から、私たちは貴重なことを学びました。東京都においても、子供たちが適切な防災行動を自然に身につけるため、日ごろからわかりやすい言葉や親しめる音楽、身体を使った表現などを取り入れ、子供たちの興味、関心を喚起する防災教育に取り組んでいくことが大切であると考えます。
 特に、幼稚園や小学校低学年の早い段階に基本的な防災行動を繰り返して身につけておくと、中高校生や大人になっても、発災時に自然と体が動くことになります。
 このことは、例えば大地震が起きたとき、より安全な場所への退避や出口の確保、初期消火など、今、何をすることが必要なのか、その時々の状況に応じ、みずからの判断によって身を守る行動につながっていくのではないでしょうか。さらに、こうした防災教育は、園児や児童を通して、家庭にいる保護者への啓発になることも期待できます。
 今後、幼稚園や小学校低学年の早い段階から、安全に身を守る行動について、子供たちが親しみながら学べる防災教育を進めていくべきと考えます。都教育委員会の見解を伺います。
 現在、東京都では、二〇四〇年代の社会を見据えて、都市づくりのグランドデザインの検討が進められているところであり、昨今、動きの出てきた品川駅周辺のまちづくりについて、私の所見を述べます。
 品川駅周辺は、今後、リニア中央新幹線やJR新駅などの整備が進み、日本と世界を結ぶ広域交通結節点として、その役割がますます強まっていきます。一方、都心部とのアクセスは十分といえず、潜在的ニーズがある中、四月に国の答申が出され、都心部・品川地下鉄構想が位置づけられたことは、大変喜ばしいと思っています。今後、周辺のまちづくりに弾みがつくよう、実現に向けて取り組んでもらうことを要望いたします。
 当地域でのまちづくりには、舟運の活性化の視点も欠かせません。臨海部各地と広域的に舟運でつながることで、運河等の水辺を有するまちの魅力はさらに増すと考えられます。
 都民や観光客にとって、舟運が身近な観光や交通の手段となるよう、都は舟運の活性化に引き続き積極的に取り組むとともに、舟運の魅力を広く発信することを求めます。
 また、高輪地区には、古くからの神社仏閣もあり、泉岳寺などには多くの外国人観光客が訪れています。JR車両基地跡地開発や泉岳寺駅前の市街地再開発を行う際は、こうした歴史的資源や崖線の緑などに配慮し、駅と既存のまちの間の交差点周辺に広場を設けるなど、地域とのつながりやにぎわいを創出されることを望みます。
 さらに、環状四号線は、道路予定地の一部になっている高輪議員宿舎跡地について、地元と連携を図りながら地域のまちづくりに寄与するよう、活用方策の検討を進められるよう求めます。
 以上で終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) きたしろ勝彦議員の一般質問にお答えをいたします。
 トップリーダーとしての道義的責任についてご質問がございました。まさにおのれを慎み、品行を正しくした上で、言葉を尽くして、みずからの信念や行動を広く伝え、人々の理解を得ていくことが何よりも重要と考えております。
 厳しいご批判をいただきましたけれども、これは言葉を尽くして説明責任を果たすことができていない現状をあらわしている。真摯に反省をいたしております。
 そして、このご質問は、言葉を尽くせない政治家は身を切るべきだというご指摘であるとして、重く受けとめたいと考えております。
 強くみずからを戒め、しっかりと問題に対応していきたいと思っております。そのことが道義的責任を果たしていく第一歩でもあると考えております。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小中学校の道徳教育の推進についてでありますが、道徳の教科化に伴い、児童生徒に道徳的価値を自覚させ、実際に行動することができる力を身につけさせるためには、子供たちが主体的に道徳上の問題を発見し、その解決策を話し合う、考える道徳、議論する道徳の授業を実践することが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、道徳教育の核となる指導力のある教員を養成する講座を実施するとともに、道徳の教科化に対応した東京都道徳教育教材集を全国に先駆けて作成するなどの取り組みを推進してまいりました。
 今後、主体的、協働的で深い学びのある道徳の授業の実践事例を示すとともに、全ての区市町村に指定した道徳教育推進拠点校の成果を全都に普及するなどして、道徳教育のより一層の充実に努めてまいります。
 次に、子供が親しみながら学べる防災教育についてでございますが、いつ、どこで起きるかわからない自然災害から身を守るためには、発達段階の早い時期から日常的に防災教育を行うことで、子供たちがみずから考え、判断し、行動する力を身につけさせていくことが極めて重要であります。そのため、都教育委員会では、発災時等にとるべき行動について、子供たちに親しみやすい表現を用い、小学校向けの防災教育教材に掲載するとともに、避難訓練等の機会を通じ、指導の徹底を図ってまいりました。
 今後、こうした取り組みに加え、都教育委員会が指定した安全教育を推進する幼稚園において、園児がなれ親しんだ歌や体操を取り入れ、繰り返し学べる防災行動について研究するとともに、その成果を、都内全ての公立幼稚園と学校の教員を対象とした講習会で普及してまいります。

○議長(川井しげお君) 九十一番田中たけし君
   〔九十一番田中たけし君登壇〕

○九十一番(田中たけし君) まず初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 東京都政は、十三兆円を超える予算規模のもと、都民福祉の向上に取り組み、都政の発展に努める責務があり、一刻の猶予もなく都政を前進させなくてはなりません。
 今定例会においても、本会議、常任委員会等において、都民福祉の向上に向けた多岐にわたる質疑が行われるべきでありますが、公私混同のきわみである知事のこれまでの一連の行為により、全く建設的ではない、非生産的質疑を行わなくてはならない現状に強い憤りを感じております。
 これはまさに千三百五十万都民の大きな損失であり、その原因をつくった知事には、身を切る覚悟のもと、この損失を取り戻すことが強く求められております。
 この週末、私の地元の品川区内で祭礼が行われ、私が訪問した二十数カ所全ての神酒所では、知事に対する厳しい声ばかりであり、知事の不支持率は一〇〇%でありました。まさにこれが都民の声であり、都民が激怒しているこの現状を謙虚に受けとめるべきであります。
 これまでの記者会見等では、知事はみずから雇った弁護士による第三者の厳しい公正な目でしっかり調査すると再三いわれ、一昨日、調査結果が報告されましたが、知事には、第三者の厳しい目以上に、都民の厳しい目を最も意識すべきであり、知事がしっかりと耳を傾けなくてはならないのは、厳しい第三者の目と称される弁護士の声ではなく、有権者である都民の厳しい声にこそ謙虚に耳を傾けるべきであり、都民の疑念に身を切る決意で応えるべきではないでしょうか。
 知事として都政運営を行うには、都民からの信任、都民との信頼関係が必要であり、さらには、ともに仕事を行う都職員との信頼関係が必要であります。たとえ第三者の厳しい目で精査が行われ、法的には触れないとしても、都民の厳しい目から見て、知事としての資質に大いなる疑問を感じている人ばかりであります。
 厳しい都民の目、厳しい都民の声をどう受けとめ、失われた信頼回復に向けどう対応していこうとしているのか、知事の基本姿勢を伺います。
 これまで、海外出張、公用車、政治資金と、知事の一連の問題を見たとき、その対応は常に後手後手に回ってまいりました。
 海外出張や公用車の利用において、当初、ルールどおりやっている、自分は正しいと強弁し、世間のさらなる反発を招きました。危機の本質が全く見えず、問題をいたずらに大きくし、まさに身から出たさびといえます。
 知事は、子供のころから勉強ができ、学年で一、二を争う成績、また総理候補ナンバーワンといわれた時期もありました。能力の高さは折り紙つきだと思います。しかし、その裏返しなのか、プライドが高く、みずからの過ちをなかなか認められず、他人の気持ちを酌もうともしない。この態度は、マスコミ対応などにもあらわれており、嫌な質問に対して攻撃的になり、相手の立場を理解できない。時には原稿をただ棒読みしている姿を見た都民は、心強さより、むしろ不安や不満を感じているのであります。
 知事のいう成熟社会を築くには、まず、知事自身が成熟する必要があるのではないでしょうか。私は、知事の政治家としての資質に強い疑念を抱かざるを得ません。さまざまに批判を浴びている中で、知事は、自身の政治的資質をどのように思っているのか、見解をお伺いいたします。
 これまで、公私混同の問題、中でも知事就任以前の政治資金の問題について、これまで本会議場で質疑がなされておりますが、一部会派の中には、この問題について、百条委員会で議論すべきだとの発言もあります。地方自治法の第百条を見てみますと、普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行うことができると書かれております。
 私は法律の専門家ではないので、率直にお伺いしたいのでありますが、都議会の権能のあり方として、果たして知事就任前の参議院議員時代の政治資金にかかわる議論は、東京都の百条委員会の議論になじむものなのか、都において地方公共団体に関する法律の解釈を所管する総務局長にお伺いをいたします。
 次に、都政の最重要課題の一つである防災対策について伺います。
 熊本地震の、都の防災対策への影響について、昨日、我が党の代表質問に対し、知事から、検証作業を進めるとともに、支援の経験から得られた教訓を取りまとめ、発災時に、より迅速かつ的確な対応が可能となるよう、都の取り組みに反映させていく旨の答弁がありました。
 熊本地震でのこれまで経験のない現象について、しっかり検証するには、一定の時間を要することは理解できます。しかし、災害は今この瞬間に発生するかもしれず、スピード感を持って迅速に着手しなければ、大規模災害には対応できません。
 そこで、都は今後、熊本地震の検証作業及び教訓の取りまとめをどのように行うのか、お伺いいたします。
 首都直下地震が三十年以内に七〇%の確率で発生するといわれており、いつ起きてもおかしくない状況にあります。改めて、今回の災害を重く受けとめ、首都直下地震等に備えた東京の防災と、発災時の首都機能維持のためにどう取り組むかが、強く問われております。
 今回の熊本地震発災時のように、知事不在の中、災害が発生する場合もありますが、都の危機管理体制についてお伺いいたします。
 これまでの知事の一連の騒動の中、湯河原への公用車使用の発言中、公用車は動く知事室だ、湯河原から一時間半で東京に戻れる、ヘリコプター使用に際しては、近くにグラウンドがあり、神奈川県警と警視庁が全てシミュレーションを行っているから危機管理体制も問題はないとの発言がありました。
 熊本地震直後で大きな余震が続いている中、首都直下地震に対する備えを再検証しなくてはならないときに、何とのうてんきな、都民の生命や財産よりも、みずからの政治生命を優先させるような発言といわざるを得ず、防災に対する危機意識の余りの低さに驚いております。
 東日本大震災では、鉄道等公共交通機関がとまり、道路は大渋滞に見舞われ、帰宅困難者が駅前等にあふれたことを、知事はもう忘れてしまったのでしょうか。湯河原から一時間半でどのように戻るというのでしょうか。
 都民に自助、共助を求めていながら、知事自身が、みずからの力で東京に戻れず、警視庁だけではなく、神奈川県警の方々の力もかりて戻ることを前提にしていることは、防災意識が全く欠如しているといわざるを得ません。
 発災直後の初動体制が極めて重要であり、知事不在でも都の危機管理体制は整備されているとはいえ、知事が少なくとも一時間半おくれて到着することを前提にしていること自体が信じられません。
 さらには、現在、都は、緊急輸送道路沿道の耐震化事業を行っておりますが、発災時に何を根拠にスムーズに車で帰ってこれると認識しているのか、全く理解できません。都が進めている緊急輸送道路沿道耐震化は完備したと思っているのでしょうか。
 さらには、神奈川県警までも巻き込んでシミュレーションを行っているようですが、発災直後の人命救助でヘリコプターを使用したいときにも、知事はみずからの湯河原から東京への輸送を優先させるのでしょうか。
 公用車で行くとか行かないとか、湯河原の別荘は売却するからもう行かないとかは、どうでもいい話であり、知事自身の防災に対する認識が問われているのであります。東京都の危機管理の最大の弱点は、知事の防災に対する甘い認識なのであります。
 発災時に都民の生命と財産を守ることが知事の最大の使命でありますが、その覚悟に大いなる疑念を感じざるを得ません。改めて知事の基本認識を伺います。
 次に、交通政策のうち、鉄道の安全対策についてまず伺います。
 先月九日、東急大井町線荏原町駅において、女子中学生二人が通過列車にホームから飛び込み、死亡するという衝撃的な事故が発生いたしました。人間関係の悩みが書かれたメモが残っていたようでありますが、みずからの命を絶たなくてはならないほどの悩みを抱えていたことを、地域の一人として受けとめられなかったことを大変無念に思うと同時に、ひょっとしたらホームドアが設置されていれば、その思いをとどまらすことができたのではないかとも思っております。
 これまでも、東急電鉄を初め、鉄道事業者は積極的にホームドア設置に取り組んでおりましたが、今後も、ホーム転落事故を繰り返さないため、また、オリンピック・パラリンピックを契機に、東京のバリアフリーのまちづくりを推進し、鉄道の安全度をさらに高めていくためにもホームドアの整備は不可欠と考えます。
 そこで、今後の取り組みについて伺います。
 次に、鉄道事業の推進の観点から伺います。
 昨年、訪日外国人旅行者は二千万人を超え、今後さらなる増加が見込まれ、都も羽田空港の機能強化に取り組んでおります。空港機能強化のためには、空港本体だけではなく、空港へのアクセス機能の充実も必要であります。
 これまで、京急空港線の輸送力増強などが図られてきましたが、さらに、空港の機能強化を最大限発揮させるためにも、都心からさらなる鉄道アクセスが必要であります。その中、ことしの四月に公表された交通政策審議会の答申においても、羽田空港アクセス線の新設が位置づけられました。
 そこで、JR東日本羽田アクセス線の今後の取り組みについて伺います。
 また、羽田空港の機能強化とともに、リニア中央新幹線の開通が進むなど、広域交通の進展により、品川駅が新しい東京の玄関口としての役割が高まっております。
 新宿や池袋など主要ターミナルには地下鉄が整備されている一方、品川駅には、京急線の相互乗り入れがあるとはいえ、直結する地下鉄路線がなく、都心部とのアクセス性が不十分であります。
 その中、交通政策審議会答申で、都心部・品川地下鉄構想が位置づけられましたが、この構想の今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、都立高校改革について伺います。
 先月十日、馳文部科学大臣が脱ゆとり宣言を公表いたしましたが、国がいわゆるゆとり教育を進めていた当時、都では、平成九年から都立高校改革推進計画を進め、平成十一年には、石原知事がゆとり教育を批判するとともに、個性と競争を重視した教育に転換し、都立高校改革をさらに加速させてきました。
 この改革の成果として、平成十三年度に進学指導重点校に指定した日比谷高校では、指定後に入学した生徒が卒業した平成十六年度の大学入試では、いわゆる難関国立大学等の合格者数は、現役、浪人合わせて九人でしたが、平成二十八年度は何と百二十二人と、飛躍的に伸びるなどの成果を上げております。
 そこで、都立高校改革の評価についてお伺いいたします。
 時代の変化による新たな課題にも的確に対応し、都民の期待に応えられる都立高校を二十年後、三十年後も継続していくためには、これまでの都立高校改革の成果を維持発展させるとともに、他の都立高校へもその成果を普及させていかなければなりません。
 そこで、都立高校改革を通じ、都立高校をさらに発展させていくための決意を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 田中たけし議員の一般質問にお答えをいたします。
 信頼回復に向けた基本姿勢についてご質問がございました。
 初めに、都政につきまして真摯な議論を行うべきこの都議会におきまして、知事就任前のものも含め、私の問題に多くの時間を割く事態を招いていることにつきまして、都民の皆様、そして都議会の皆様に心からおわびを申し上げたいと思います。
 私の仕事は、信頼なくしては成り立たないものでございます。それにもかかわらず、都民並びに都議会の皆様と真摯に向き合う姿勢がいつしか十分でなくなったことは、猛省しなければならないと考えております。
 都民の皆様からの厳しい目や声は当然のことだと思っております。今回の事態を契機にいたしまして、生まれ変わった気持ちで、まずは信頼回復に向けてしっかりと問題に対応していきたいと思っております。
 次に、私の政治的資質についてご質問がございました。
 平成十三年に、自民党所属の参議院議員として政治の世界に入って以来、私は、先輩、同僚、後輩の政治家の方々からさまざまに教えを受け、何とかやっていくことができたというのが実感でございます。そのような私が、プライドが高い、過ちを認めないといったご批判をいただくようなこと自体、まことに恥ずかしいことだと思っております。真摯に反省をいたしております。
 都民の皆様、都議会の皆様、あるいはご指摘のあったマスコミの方々と誠実に向き合うことが、いつしか十分にできなくなっていたと猛省をしている次第でございます。
 このたびは、多大なるご迷惑をおかけし、まことに申しわけございません。皆様のご理解をいただけるよう、改めて初心に返り、謙虚に努力していきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、都民の生命と財産を守ることに対する私の基本姿勢についてでございますが、自治体のリーダーにとって、住民の生命と財産を守る危機管理は最も重要な役割と考えてございます。しかし、都知事である私が、都外にある湯河原の事務所に頻繁に滞在を繰り返していたことにつきまして、危機管理意識が極めて甘かったとの批判は当然のことだと考えてございます。
 また、ご指摘のとおり、危機管理への覚悟が問われるような事態を招いたことにつきましては、深く反省をいたしております。
 今後は、都知事として、危機管理という観点も十分踏まえ、自分の行動を厳しく律してまいりたいと考えております。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校改革の評価についてでございますが、都教育委員会は、都民の期待に応え、都民に信頼される魅力ある都立高校を実現していくため、平成九年に、十年間の長期計画である都立高校改革推進計画を策定し、一人一人の生徒の多様性に対応した弾力的な教育を展開してまいりました。
 具体的には、全国に先駆けて設置したチャレンジスクールを初め、エンカレッジスクール、中高一貫教育校、進学指導重点校などの新しいタイプの学校づくりや学区の撤廃等により、中学生の進路における選択肢の拡充に取り組んできております。
 こうした取り組みにより、都立高校を第一志望とする中学生が増加するとともに、中途退学率の低下や大学等への進学実績の向上などの成果を上げてきております。
 次に、今後の都立高校改革についてでございますが、都教育委員会は、本年二月、よりよい都立高校を目指していくため、中長期的視点に立ち、十カ年の計画である都立高校改革推進計画を改定し、これまでの枠組みにとらわれない広範な取り組みを盛り込んだところでございます。
 本計画に基づき、真に社会人として自立した人間を育成するため、グローバル人材の育成や理数教育の充実、新たな学校の設置など、時代の変化や都民のニーズに対応した取り組みを強力に推進してまいります。
 こうした都立高校改革における個々の学校の成果を今後とも維持発展させ、あわせてその成果を他の学校でも共有するなど、二〇四〇年代の東京も見据えながら、全都立高校の教育内容の一層の充実に向けて、不断の改革に全力で取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、百条委員会についてでございますが、地方自治法第百条に定める調査権は議会に認められた権能であり、地方公共団体の事務に関する調査を行うことができます。
 いわゆる百条委員会の調査目的等については、議会がお決めになることではございますが、一般的に、知事の参議院議員時代の政治資金の使途等に関する問題は、地方公共団体の事務に直接的にはかかわることではないことから、百条委員会での議論にはなじみにくいものと認識しております。
 次に、熊本地震の検証作業等についてでございます。
 今回の地震では、二十八時間以内に最大震度七が二回、その後余震が千六百回を超えて観測されており、その検証作業には、震源と揺れの関係、揺れの連続と地盤及び建物被害の関係など、専門的知見も踏まえた調査等が不可欠でございます。
 このため、都は、国、研究機関等から情報収集するとともに、国の地震調査研究推進本部による断層帯調査などの進捗状況の聴取や確認などを行ってまいります。また、支援物資の輸送や他自治体、国との連携状況等についても、被災地派遣職員からの聴取に加え、現地調査を行い、整理、分析し、発災時の対応の教訓といたします。
 こうした作業を鋭意進め、支援記録や教訓とあわせ、都の防災対策への影響等の検証状況について、本年秋を目途に取りまとめてまいります。
 最後に、知事不在時の危機管理体制についてでございます。
 都では、災害対応の職員が休日、夜間等勤務時間外にも防災センターに詰めるとともに、都庁周辺に二十四時間待機し、発災時には速やかに参集する危機管理体制を構築しております。
 その上で、災害等が発生した際は、被害状況等について知事へ速やかに報告し、対応について適宜指示を仰ぎ、その指示のもと、副知事と危機管理監が中心となって、庁内各局や、警察、消防、自衛隊などの関係機関と緊密に連携を図りながら、必要な対応を行うこととしております。
 さらに、緊急時の通信手段として、災害時優先の携帯電話に加え、無線機等の通信機器を設けるなど、危機管理上、万全の体制を講じております。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、鉄道駅のホームドア整備についてでございます。
 利用者の安全性確保のため、ホームドア整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 都は、こうした取り組みを支援するために、JR及び私鉄駅について、一駅当たりの事故発生件数の多い、利用者数十万人以上の駅を対象として補助を実施してございます。
 今年度は、四路線八駅で事業を行っておりまして、これまでに鉄道事業者の自主的な取り組みを含め、約三割の駅で整備が行われてございます。
 さらに、二〇二〇年大会の競技会場周辺駅については、利用者数の規模によらずに補助を実施し、整備を促進してございます。
 引き続き、関係者と連携して、ホームドアの整備促進に向け、積極的に取り組んでまいります。
 次に、JR東日本羽田アクセス線についてでございますが、増大する航空需要に対応するには、羽田空港の機能を強化することに加え、空港アクセスの利便性をさらに向上させていくことが重要でございます。
 本路線は、りんかい線や上野東京ラインなどの鉄道ネットワークと接続することで、広範囲にわたる空港アクセスの利便性が向上するといった効果が期待されてございます。
 一方、今回の答申では、課題として、他の空港アクセス路線との補完関係を考慮しつつ、事業化に向けて事業計画の検討の深度化が必要としてございます。
 今後は、答申を踏まえ、事業の具体的な内容や事業スキーム等について、JR東日本を初め、国や東京臨海高速鉄道など、関係者間で検討を行ってまいります。
 最後に、都心部・品川地下鉄構想についてでございますが、品川駅周辺は、首都圏と世界、国内の各都市をつなぐ交通結節点であり、国際的なビジネスセンターとして極めて重要な役割が期待されてございます。
 この品川駅周辺と六本木など都心部を結ぶことで、品川駅周辺の拠点機能を一層強化し、さらに、ネットワークの面からも、東京全体の公共交通のさらなる利便性向上に寄与することが見込まれてございます。
 一方、今回の答申では、課題として、検討熟度が低く、関係者間において事業主体を含めた事業計画について十分な検討が必要としてございます。
 今後は、答申を踏まえ、構想をより具体化するために、関係者間で連携して取り組んでまいります。

○議長(川井しげお君) 三十九番高倉良生君
   〔三十九番高倉良生君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十九番(高倉良生君) 私はこれまで、障害者の芸術を初め、文化芸術のさらなる振興を都議会で取り上げてきました。今回の知事をめぐる問題で、美術品にかかわる疑惑が浮上していることに、私は強い憤りを持っております。
 昨日の代表質問で、我が党が美術品購入問題を問いただしたのに対し、知事は、私は決して財テク目的で購入したものではございませんと答弁しました。しかし、この答弁を信じるわけにはいきません。
 知事、この本をごらんください。これは知事自身の著書です。タイトルは「マスゾエ式定年後極楽生活入門」、知事が参議院議員だった二〇〇五年に発行された本です。この中で知事は、資産形成について指南をしていますが、趣味を生かした財テクとして美術品に言及をしております。
 知事はこう述べています。私は絵が好きなのですが、例えば、絵画を買うということも資産運用の一手段といえるかもしれません、そして、ある人から、横山大観の言葉を引いて、前途有望な若手の画家の絵を今のうちに購入し、価値が上がるのを待てばよいという忠告を受けたと述べ、私も、まだ有名ではない、ある台湾人画家の絵を購入し、議員会館に飾っています、今後、価値が上がっていくのを期待していますと書いています。
 知事が依頼した弁護士の調査報告によると、知事は政治資金を使って多数の美術品や書を購入しています。しかも、その購入は規則的と思われるほど継続して行われており、あたかも定期預金の積み立てのような印象さえ受けます。
 また、ネットオークションでの購入が際立って多いことも特徴です。
 知事は、問題が浮上してすぐ、みずからのオークションIDを削除しています。IDをたどれば、購入物品や値段が明らかになります。何ら問題がなければ、削除する必要はありません。こうしたことが、疑惑をさらに増幅させているのです。削除は知事自身が行ったのか、その理由も含め、知事の答弁を求めます。
 知事のIDが削除されたため、購入した内容はネット上では確認できません。しかし、その数は、ことし四月までで百三十七件です。私はその一覧を入手していますが、美術品が非常に多い。知事自身の中では、私物としてのみずからの美術品コレクションと、長期にわたって政治資金で購入した美術品が、もはや混然一体となってしまっているのではないか。知事の見解を求めます。
 調査報告で挙げられた美術品は、新党改革比例区第四支部、グローバルネットワーク研究会、泰山会の政治資金で購入しています。泰山会以外の政治団体は解散しています。資産価値を持つ美術品は、解散の時点で処分すべきものです。
 昨日の代表質問で、知事は、それらの美術品は泰山会事務所に保管されていると答弁をしました。かなり大量な美術品です。湯河原にも保管してあるのではないか。また、解散した団体が購入した美術品を泰山会が持っているとすれば、その所有根拠は一体何か、知事の見解を求めます。
 調査報告書では、美術品について、譲渡契約も存在しないことから、所有関係が不明瞭としています。解散した団体が購入した美術品を泰山会が所有する正当性に疑念があるのです。別の政治団体の資産を、勝手に泰山会の所有にしてしまっているのです。表にはあらわれない形で、別の政治団体が購入した美術品を必要な手続もなく所有していることは、政治団体を使った資産隠しであります。知事の見解を求めます。
 知事自身が取締役を務める株式会社舛添政治経済研究所の事業目的に、美術品の売買が明記されています。昨日の代表質問で知事は、政治資金で購入した美術品等の転売や譲渡はないと答弁しました。そのとおりだとすれば、購入した美術品は全て残っているはずであります。
 私は、美術品の現物を一つ一つ確認することが不可欠と考えています。もし、現存していないものがあれば、それは消えた美術品として新たな疑惑が生じることになります。内容によっては謝罪では済まないことになります。知事は、これまで政治資金で購入した美術品の全てについて、内容と保管場所を明らかにすべきであります。知事の見解を求めます。
 知事、政治家の活動の原動力は、住民から寄せられる強力な信頼感です。都民の大きな支持があってこそ、首都東京における仕事が可能になります。政治は言葉の芸術ともいわれます。みずからの情熱あふれる訴え、説得力ある言葉によって期待と信頼が生み出され、大きな支持が広がっていくのです。
 しかし、知事への信頼は地に落ちています。政治家の出処進退はみずから明らかにすべきものであります。知事の答弁を求めます。
 次に、災害対策について質問します。
 熊本地震では、罹災証明書の発行が大きな課題になりました。熊本県は、罹災証明書を迅速に発行するため、被災者生活再建支援システムの活用を自治体に呼びかけ、震災後、十五市町村が導入しました。中越地震を経験した新潟県や新潟大学が導入を支援しました。
 東京都では、私たち都議会公明党がシステムの開発、実用化を繰り返し訴える中、新潟大学や京都大学と連携して独自の被災者生活再建支援システムを構築しました。このシステムは、熊本で活用されているのと同じものであります。
 都は、防災訓練などでシステムの活用訓練を繰り返しています。このノウハウを東京以外の被災地で生かしていくことは被災地支援として重要と考えますが、今回の熊本地震における対応について伺います。
 東京版の被災者生活再建支援システムは、東京の災害に大きな効果を発揮することが期待され、都は都内の各区市町村への導入支援を行ってきました。すぐれたシステムであり、早急に都内全域で導入を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 熊本地震では震災関連死がクローズアップされました。特に車の中で避難生活を余儀なくされたため発生したのがエコノミークラス症候群であります。これに対し、都は、医療効果のある弾性ストッキング、すなわち弾力性のあるストッキングを支援物資として熊本市に送りました。迅速的確な対応です。
 大きな災害が発生した場合、避難生活の中でさまざまな問題が生じることと思われます。弾性ストッキングなどの医療資器材は、医療機関や避難所に適切に供給できるようにすべきと考えますが、見解を伺います。
 現在、携帯電話やスマートフォンが急速に普及しています。携帯電話やスマートフォンの位置情報は、通信事業者にデータとして蓄積されています。大災害で多くの行方不明者が発生した場合、その情報を活用すれば、捜索の重要な手がかりになります。
 総務省は、平成二十五年九月、ガイドラインを改正し、救助を要する者の捜索のため、その者の生命、身体に重大な危険が切迫しているとき、救助機関からの要請で位置情報を取得できると規定しました。
 都における代表的な救助機関の一つである東京消防庁では、この規定を活用し、平成二十七年、二十八年に、計八件、一一九番通報に基づく個別事例に活用したと聞いています。
 携帯電話などの位置情報を活用した救出、救助活動は、将来起こり得る震災や局地的な土砂災害などの災害において、要救助者の早期救出のツールとして、より有効に活用していくべきと考えますが、消防総監の見解を伺います。
 次に、障害者施策について質問します。
 視覚障害のある人にとって、情報に接する大きな要素となるのは音声であり、音声を活用したバリアフリー対策は重要です。
 まちの中で人が移動するときにポイントとなる交差点には、安全に横断するための信号機があり、この存在は世界共通のものです。
 警視庁は、音響式信号機の設置を進める中で、新たにタッチ式スイッチを備えた、高齢者、障害者に優しい信号機の設置を進めるとしており、視覚障害者の方々も大きな期待を寄せています。
 そこで、この新たな信号機設置の取り組みについて警視総監の見解を伺います。
 視覚障害者への情報保障の一つとして、私はこれまでも、選挙公報や都立病院から受け取る書面に音声コードをつけるよう訴えてきました。音声コードは、携帯電話をかざせば文字を音声化できるものです。紙ベースの通知には、これを標準でつけるべきです。
 都税の場合、固定資産税では約三百万通の納税通知書が毎年納税者に届きます。納税通知書には、課税標準額などさまざまな金額が書かれています。視覚障害者は、それらの情報を書面から得ることはできません。納税者に対するできる限りの配慮が必要であり、障害者に対する情報保障もその重要な一つです。
 納税通知書に音声コードをつける取り組みを進めるべきですが、答弁を求めます。
 水道局は、水道使用者に検針票や料金の納入通知書を発行していますが、視覚障害者は、同様に内容を把握できません。水道事業は独立採算の公営企業であることから、費用対効果などを考慮する必要もありますが、全ての使用者が納入通知書等の情報にアクセスできるよう音声コードの導入を進めるべきです。見解を伺います。
 最後に、動物との共生について伺います。
 都は今年度から、動物愛護相談センターの機能やあり方について検討を進めるとしています。検討に当たっては、譲渡事業を一層推進する十分な機能、災害発生時には対策拠点としての役割を発揮することが重要であります。
 今後の検討の進め方について見解をお伺いします。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 高倉良生議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、オークションIDの削除についてでございますが、この削除は私自身が行いました。これは、私のIDを使いまして、シューマイや書籍を頼む事案が発生しまして、お店の方に大変ご迷惑がかかり、そのままIDを残しておくことが好ましくないと判断したために削除したものでございます。
 次に、私物の絵画と政治資金で購入した絵画等の管理についてご質問がございました。
 私自身の私物と政治資金で購入したものは区別し、管理し、混然一体となっていることはございません。世田谷の自宅兼事務所も出入り口がそれぞれ別になっているなど、物理的にも明確に分けて管理をしてございます。
 しかしながら、私の不徳のいたすところでこのような批判を招いていることを真摯に受けとめ、今後、より一層明確な管理に努めていきたいと思っております。
 絵画等の保管と所有根拠についてでございますが、政治資金で購入した絵画等は、泰山会の事務所スペースで保管しており、一部を都庁に搬入してございます。
 絵画等の所有根拠につきましては、新党改革支部とグローバルネットワーク研究会が所有していたものは、それらの団体が解散した現在、全て泰山会が所有しているというのが私の認識でございます。
 しかし、調査報告では、絵画等の譲渡契約書等は存在しないことから、所有関係が不明確になっていることは否定できないとの指摘をいただきました。今後は批判を招かぬよう、適切な措置を講じてまいりたいと思っております。
 絵画等の所有についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、既に解散しました政治団体が所有していた絵画等は、現在のところ泰山会が所有してございます。すなわち、私個人の所有では決してございません。これは、私の偽らざる認識でございます。
 これらの絵画等につきまして、いろいろな方々の目に触れていただきたいと、それが政治資金で購入した意図とも合致すると考えまして、一部を都庁に搬入しまして、知事執務室、応接室、廊下などに展示しているところでございます。
 したがって、繰り返しになりますけれども、今回の調査報告書に記載していただいたとおり、秘密裏に私物化するという意識は決してございません。
 私の不徳のいたすところで、きょうの段階では信じていただきたいというよりほかはないというのは、正直な私の気持ちでございます。
 今回、厳しい第三者の目によって政治資金を用いて購入した絵画等を私物化したとの批判を招かないような措置を講ずるべきだと指摘を受けましたので、今後、適切な対応を図ってまいりたいと思っております。
 政治資金で購入した絵画等の内容と保管場所でございます。
 これまでも申し上げましたとおり、解散しました政治団体が所有していた絵画等は、現在泰山会が所有しておりまして、都庁で保管している分以外については泰山会の事務所スペースで保管をしてございます。
 今回の調査報告書において、絵画等の所有関係を明確にするとともに、私物化したとの批判を招かないような措置を講ずるべきだとご指摘を受けたところでございまして、二度とそのような批判を招くことのないように適切な措置を講じていく所存でございます。
 政治資金で購入しました絵画等は、政治活動のツールとして活用しておりまして、まずもって紛失ということはないと思います。そして、そうした措置を講じていく中で議員がご指摘のとおり、現物の一つ一つを確認し、その内容と保管場所を明らかにすることにつきましても対応を図ってまいりたいと思っております。
 私の出処進退についてご質問がございました。今の私は、多くの都民の皆様方から厳しいご批判を受けておりまして、そのことは大変重く受けとめております。
 まずは、一昨日公表いたしました調査結果をもとに、反省の気持ちをしっかりと胸に刻み、地道に都民の皆様、都議会の皆様のご理解を得ていきたいと考えております。
   〔警視総監高橋清孝君登壇〕

○警視総監(高橋清孝君) 信号機に関する取り組みについてでありますが、安全な交通社会を実現するためには、高齢者や障害者の方々の安全の確保が重要であります。
 このため、警視庁では、こうした方々の安全のため、いわゆるバリアフリー対応型信号機の整備等を推進しているところであります。
 そのうちの音響式信号機等のスイッチとして、ピクトグラムを採用した大型のタッチパネルを備え、これに触れるだけで感知するタイプのものを開発し、本年二月から導入を始めたところであります。
 このスイッチは、外国の方の利便性を考慮して、英語の音声案内機能も備えたもので、今年度、都内約百八十カ所に導入する予定であります。
 今後も、こうした取り組みを積極的に推進し、高齢者や障害者の方々等の安全確保に努めてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 災害対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、熊本地震における都の対応についてでございますが、都はこれまで、被災者生活再建支援システムを活用して、総合防災訓練における罹災証明書発行訓練や被災者の生活再建支援に係る研修を区市町村と連携し実施してまいりました。
 こうした中、今回の熊本地震では、熊本市や全国知事会等から都に対しまして、住家被害調査等に関し支援要請があり、五月二日から現在までに都職員六十二名、区市職員二百十九名の延べ二百八十名を超える都区市職員を熊本市及び益城町等に派遣しております。
 派遣職員は、これまでの経験を生かし、現地において住家被害調査や罹災証明書発行支援等に従事しております。
 今後とも、区市町村とともに蓄積してきたノウハウを生かし、災害に適切に対処してまいります。
 次に、被災者生活再建支援システムについてでございます。
 本システムは、判定チャートや調査票自動読み込み機能等により、迅速な罹災証明書の発行が可能となるため、熊本地震を上回る被害が想定されます首都直下地震において、大きな効果を発揮するものと考えております。
 しかしながら、都内の区市町村においては、予算の確保や庁内におけるシステム仕様の検討体制の問題などから、本システムを導入したのは十五自治体にとどまっております。
 都といたしましては、こうした現状及び今回の熊本地震における教訓を踏まえ、区市町村へのシステムの普及が急務であると認識しております。
 そのため、複数の区市町村が共同利用することでコストを抑える方式の導入など、多くの区市町村がこのシステムを利用できる仕組みについて検討を進めてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、災害時における医療資器材等の供給についてでありますが、災害時に医療救護所や医療機関等で必要となる医薬品やお話の医療用弾性ストッキングなどの医療資器材を確保できるよう、都は、東京医薬品卸業協会や日本医療機器協会等の関係五団体と協定を締結しております。
 また、災害時に要請のあった医薬品等を必要な医療救護所などに搬送するため、卸売販売業者等に対して搬送用の車両を緊急通行車両として交通規制の除外を受けるための証明を事前に交付しております。
 今後とも、関係団体と連携協力しながら、災害時に必要な医薬品や医療資器材を迅速かつ適切に供給できる体制を確保してまいります。
 次に、今後の動物愛護相談センターの機能についてでありますが、現在、動物愛護相談センターは、動物愛護管理法等に基づき、動物の適正飼養の普及啓発、保護した動物の譲渡、動物取扱業の監視指導、動物由来感染症対策、災害時の動物救護などを行っており、都における動物愛護や危機管理の拠点としての役割を担っております。
 お話のように、将来のセンターのあり方を検討するに当たりましては、譲渡事業や災害対策を一層推進していく観点が重要であると考えておりまして、現在、局内に検討チームを設け、センターの現状や他の自治体の取り組み状況などを踏まえながら、センターに求められる役割や機能について、さまざまな観点から検討を進めております。
 今後、専門家等で構成する動物愛護管理審議会からのご意見もいただき、年度内には基本構想を策定する予定でございます。
   〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 震災や局地的な土砂災害などにおける救助についてでありますが、東京消防庁では、電磁波探査装置や画像探査機など最新の救助資器材を活用し、要救助者の早期救出に全力で対応することとしております。
 お尋ねの携帯電話等の位置情報につきましては、端末の設定状況や基地局の状態、通信環境に影響されるものの、一定範囲内の位置情報を取得し、検索範囲を絞り込むことができる可能性があります。
 今後とも、通信事業者と連携を図り、携帯電話等の位置情報を早期救出のツールとして有効に活用してまいります。
   〔主税局長小林清君登壇〕

○主税局長(小林清君) 納税通知書への音声コード導入についてでございますが、全ての都民の皆さんが税を理解し、納得した上で納めていただくためにも、情報のバリアフリー化を進めることは重要でございます。
 このため、都では固定資産税等の納税通知書を送付する際に、希望する納税者の方々に、税額や納期限を記載した点字文書を同封しております。
 音声コードにつきましては、アクセシビリティーが高まる一方、納税通知書に記載されている課税標準額や税額など多くの情報をいかに音声化するか、どの程度の規模のシステム改修が必要となるかなど、検討すべき課題がございますが、今後、こうした課題を検証しつつ、点字利用者の方々などの意向も調査した上で、納税通知書への音声コード導入に向けた検討を深めてまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 水道料金における納入通知書等への音声コード導入についてでありますが、水道局ではこれまで、視覚障害をお持ちの水道使用者に対し、希望に応じて納入通知書等に点字文書を同封するなどの対応を行ってまいりました。
 全ての水道使用者が水道の情報に容易にアクセスできることは大変重要と認識をしておりますが、一方で、納入通知書等は約七百四十万件の使用者ごとに原則二カ月単位で発行しておりまして、その全てに音声コードを導入するには大規模なシステム改修を要するなど、課題も多いのが現状であります。
 このため、まずは点字文書を送付している使用者に対して、音声コードに関するニーズの把握を行うとともに、お話のありました公営企業としての費用対効果の検証や、他の公的機関が発行する通知書等への普及状況も踏まえつつ、導入に対する検討を行ってまいります。

○副議長(小磯善彦君) 七番堀宏道君
   〔七番堀宏道君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○七番(堀宏道君) 初めに、知事の基本姿勢についてお伺いをいたします。
 昨日の我が党の代表質問でもありましたが、舛添知事就任当時、我々自民党は、東京を世界で一番の都市へという同じ目標を掲げ、ともに歩んでいけるものと考えておりました。
 しかし、知事は、徐々に議会との意思疎通をおろそかにし、時間の経過とともに、我々議会をないがしろにしてまいりました。
 我が党は、早くも平成二十六年第三回定例会の代表質問で、知事のスタンスに懸念を示しております。その後の、都市外交に過度に固執した都政運営、新国立競技場への対応、我々はそのたびにくぎを刺してまいりましたが、知事は全く聞く耳を持たず、大名行列ともいわれる高額海外出張批判などは、まさにその心配が現実のものとなったものであります。起こるべくして起こった知事のおごりそのものであります。
 知事は、これまでも何度も車の両輪という言葉を用い、一見、議会との連携を装ってきました。しかし、実際には、我々の言葉に真摯に向き合ってなどいません。我々が苦言を呈すれば反省の念を込めますが、しばらくすると、また苦言を呈さなければならなくなる。今回もまたしかりであります。いえ、もしかすると、今回が苦言を呈する最後の機会になるかもしれません。
 今回の一連の報道や調査結果には強い怒りが込み上げてまいりますし、失望感しかありません。
 一連の知事の裏切り行為は、私ども以上に都民の怒りを増幅させております。都民は、もはやあなたを信用などしていません。これまでの議会と知事の関係に対する思いや反省を込め、知事が考える二元代表制の意義と今置かれている停滞した都政の現状について、知事はどのように責任ある立場として考えているのか、見解をお伺いいたします。
 最後に、知事が引き合いに出される著名な方の格言を送ります。
 おのれを利するは私、民を利するは公、公なる者は栄えて、私なる者は滅ぶ。
 改めて、知事、賢明なご判断をご自身に下していただきたい。
 これから本来の質問に入りますが、知事への答弁は求めません。
 まず、観光施策について東京らしい目線で取り上げていきたいと思います。
 まず、インフラツーリズムについてお伺いいたします。
 さきの定例会での我が党の代表質問にもございましたが、東京には魅力あふれる観光資源がたくさん眠っております。その一つに東京の発展に不可欠な存在であり、首都東京の屋台骨を支えているインフラがあります。構造物の壮大さや、技術の粋を結集した人間の英知が詰まっており、どうしたらこんなすごいものができるのか、なぜ、このインフラが必要なのか、どんな歴史をたどったのかなど、たくさんの興味に引かれます。
 代表的なものといえば、ダムであり、橋梁であり、道路などですが、そのほかにも、地下鉄や高層ビル、下水道施設などなど、身近にあっても改めて見ることのない、東京のインフラの別の一面に光を当て、東京の魅力をさらに引き出す取り組みを促進すべきであります。
 NHKの番組にブラタモリという番組がありますが、インフラツーリズムやバックヤードツーリズムのはしりといってよい番組だと思います。番組の視聴率はすこぶる高く、それぞれの地域の特性や魅力を、歴史をひもときながら紹介する番組で、人間の持つ知的好奇心をかき立てる構成となっており、参考の一例として捉えてもよろしいかと思います。
 昨年、自民党の都議団有志で、群馬県のダム群の視察をしてまいりましたが、三つのダムとも形状が違う構造となっており、地域の形状や特性、またコストの問題など、それぞれの役割があることを初めて知りました。また、ダムマニアなるダムの魅力に魅了された人たちも数多く訪れており、放水の様子をカメラにおさめたり、ダムカードなるご当地ならではのトレーディングカードを収集したりと、楽しみ方はたくさんあるなと実感いたしました。
 また、飲食店にはダムカレーがお店の売りとなっていて、B級グルメとして大事な観光資源となっていました。
 これらの事例に学び、都内各地域のインフラツーリズムとしてアピールすれば、おもしろい展開が期待できると思います。
 東京都としては、地元の各自治体と連携しながら、インフラツーリズムやバックヤードツーリズムを後押しする施策を展開すべきと考えますが、都の見解をお聞かせください。
 次に、自然公園についてお伺いします。
 我が党の提案を受け、今年度、都は自然公園ビジョンを策定しますが、それに向け、先日、自然公園あり方懇談会が開催されました。多様な分野の有識者が出席し、活発な意見交換会が行われたようです。これを機会に、私も先日、多摩地域に広がる自然公園を改めて視察してまいりました。最初に、御岳山に登り、その後、小河内ダムや檜原村の山里の風景などを確認し、美しい景色や爽やかな空気を一日がかりで堪能してまいりました。
 すぐ近くに、これほどすばらしい自然が広がっているにもかかわらず、私の地元の人々に聞いてみても、自然公園に出かけたことのある人はほとんどいません。なぜなのかを考えると、その主な要因は都のPR不足であると考えます。
 自然公園のホームページを確認しましたが、区域や制度などの紹介が中心の行政目線そのものに思えました。さきの有識者懇談会でも、委員から、いかにもお役所がやっていますという感じのものだという指摘があったと聞いております。直接ビジュアルに訴える内容にするなど、見た人が自然公園に行ってみたいと思うようなサイトに改めるべきであります。
 その効果により、生の自然を体験することで感動がさらに深まれば、東京の豊かな自然の存在は、より多くの人に伝わっていくことでありましょう。そして、それは観光振興や地域振興にもつながるものになるはずです。
 自然公園に関するホームページを初めとした広報には、まだまだ工夫の余地が多分にあると思いますが、見解をお伺いいたします。
 さて、実際に小河内ダムを目の当たりにし、その水を育む周りの山々を眺めたときに、自然の恵みを改めて実感し、子供たちにも、この豊かな自然を味わわせたいと思いました。机上ではなく、実際の自然に触れて学ぶことは、とても重要であります。自然と触れ合う機会の少ない子供たちが、自然とのつき合い方や、その地域の文化にも興味を持つことにつながれば、すばらしいと思います。
 ビジターセンターや山のふるさと村等もあるのですから、こうした施設をもっと有効に活用し、子供たちが都内で自然環境について学べる機会を拡充すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、民泊問題の課題解決への取り組みと旅館の活性化についてお伺いをいたします。
 東京を訪れる外国人旅行者の数が急速にふえる中、多くのホテルでは受け入れの余力が少なくなり、宿泊場所をどう確保するかが都内観光の重要な課題となっております。国の方針も、今後さらに、今の倍の訪日外国人旅行者を想定しており、待ったなしの状況になってまいりました。
 こうした中で、ホテルや旅館として正式な許可がないまま、旅行者に宿泊場所を提供する民泊の動きは、確実に広がりを見せています。実際に私たちが暮らす地域の中でも、見知らぬ外国人が旅行者風の装いで頻繁に出入りする一軒家やマンションがふえている様子を肌身で感じて、不安を持ちます。
 特に、分譲マンションのような集合住宅では、一つの建物スペースの中に数多くの住人が住んでおり、その一部が民泊の場所として提供されると、昼間の出入りの物音に限らず、ごみ出しのルールが守れないことや、夜中まで大声で周囲に配慮もなく騒ぐ状況について、旅行者とマンション住人との間でトラブルが数多く発生するとの話も出ています。
 マンションの住人以外の不特定の外国人が出入りすることで、住民の間にも日々の生活への不安感が高まり、マンションそのもののステータスや資産価値も損なわれるとの意見も耳にします。
 マンションによっては、管理組合が民泊の場所として利用することを禁止する規約改正を始める動きも出ていますが、どのような規約にすれば民泊やそのトラブルに歯どめをかけることができるかは、まだ模索する段階であるかと思います。
 そこで都は、民泊が行われることで、マンションの住民生活を脅かすことがないように、マンションにおける対応を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、旅館の活性化、有効活用についてであります。
 東京における宿泊施設の客室稼働率は、ホテルが約八割であるのに対し、旅館は六割にとどまっております。さきに述べましたように、訪日外国人の需要を取り込む上で、こうした旅館の有効活用を図り、同時に活性化を図るべきと考えます。訪日外国人の目的は、日本の文化に触れたい、日本の文化を学びたいという方々がたくさん訪れます。旅館には、和のたたずまいを残す建築物であったり、趣のある玄関であったり、畳敷きの和室や掛け軸、そして浴衣であったり、日本の文化が集約された施設といっても過言ではありません。また、すぐれたおもてなしの場でもあります。
 都では、我が党の提案を受けて、都内の旅館での外国人対応を図る取り組みを進めておりますが、より根本的なサポートのあり方を高めるための検討が必要になると考えております。
 東京の旅館が経営の観点から外国人を大いに受け入れる環境整備を整え、旺盛な観光需要の受け入れと、日本と東京の文化発信の拠点として地域の観光の核となる役割を果たし、サービスの向上と効率的な事業運営が両立できる体制づくりを進めることが重要です。
 今後、都として、旅館のさらなる活性化に向けて、より一層のサポート体制の充実に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、井戸水利用に伴う公共下水道の不正使用についてお伺いいたします。
 先日、地元の大手企業が下水道局が設置した時間計と井戸ポンプをつなぐ配線上にブレーカーを設置し、これを操作することで、井戸の水量を実際より少なく偽り、平成三年八月から下水道料金の支払いを不正に免れていたことが発覚いたしました。
 これを受けて、下水道局は、過少納付分及び過料として平成三年から納付を申し入れ、全額と過料まで徴収することができました。
 しかし、地方自治法には金銭債権の消滅時効は五年となっており、本来であれば、五年前以前にこうむった損害については、訴訟となる可能性もありました。今回は、事業者が不正使用を深く反省し、支払いに応じましたが、今後、このようなことが二度と起こらないように対策を講じていくことが必要であると考えます。
 このことを教訓に、都内の施設の全件調査を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 また、今回の事件は、下水道料金の問題だけでなく、地下水の適切な使用という観点からも問題であります。都内では、地盤沈下防止のため、地下水の揚水規制が行われていますが、事業者の不正な揚水が見過ごされてしまうことになれば、規制があっても有名無実なものになってしまいます。
 そこで、環境局は、今回の事業者に対して、どのような対応を行ったのか、また今後同様の事例が広がり、地下水の不正な揚水がなされないよう、規制の適切な運用をどのように確保するのかについて、見解をお伺いいたします。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 堀宏道議員の一般質問にお答えをいたします。
 二元代表制の意義と都政の現状についてご質問がございました。
 この二年四カ月の間、都議会の皆様とさまざまな議論を交わす中で、東京の発展や都民生活の向上のためには、都民の代表であります都議会の皆様との丁寧かつ率直な議論の積み重ねが何よりも大切だということは常に実感しておりました。
 長期ビジョンなど都政の重要な方針策定に当たりましては、貴重な提言をいただきました。また、私の行動に疑問がある場合は、率直な苦言を呈していただきました。今振り返りますると、こうした苦言、提言は、私が都政を前に進める中で大変重要なものでございました。
 それにもかかわらず、皆様方に意思疎通がおろそかだと評価いただいたことは、まさに私の不徳のいたすところでありまして、心からおわびを申し上げたいと思います。
 今回が苦言を呈する最後の機会という極めて厳しい言葉の重みを胸に刻み込みまして、今後の都政運営に臨みたいと思っております。
 議会と知事が車の両輪である以上、私の問題により都政を停滞させることは、都民の皆様に多大なご迷惑をおかけしていることだと認識をしてございます。一日も早く都民の皆様、都議会の皆様の信頼を取り戻すため、誠心誠意、都政に向き合っていきたいと考えております。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、公共インフラを活用した観光振興についてでございますが、都民の生活や企業の活動を支える役割や機能を持つ公共インフラは重要な観光資源であり、これを活用し、効果的な旅行者誘致を進めることは重要でございます。
 このため、都は今年度より、地域の公共インフラを観光面で生かすアイデアを民間のノウハウで実現するための支援を強化しております。
 現在は、橋梁や港湾施設のインフラを対象とするツアーや多摩川の上流のダムや発電施設をめぐるルートをつくる取り組みを進めております。
 今後は、地元の自治体とも協力し、旅行者の訪れるインフラの種類やルートをふやすための工夫を行うなど、取り組みの一層の充実を検討いたします。これにより、公共インフラを活用した観光振興の効果を着実に高めてまいります。
 次に、東京の旅館の経営活性化についてでございますが、東京へのさらなる外国人旅行者の誘致を図る上で、都内の旅館の受け入れの力を高めて、良質なサービスを提供することは重要でございます。
 このため、都は今年度から、旅館における外国人旅行者の円滑な受け入れに向けて、専門家の派遣や館内表示の多言語化の支援を実施いたします。また、トイレの洋式化等の設備改善やホームページによる情報発信の支援も行ってまいります。
 今後は、旅館が地域と連携して外国人旅行者にすぐれたサービスを提供するための助言や実現に向けたサポートを検討いたします。また、旅館の業務の生産性を高めるICT機器等の設備導入や東京の旅館をブランドとして発信する取り組みへの支援も検討してまいります。これらによりまして、旅館の活性化を通じた観光振興を着実に進めてまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問についてお答えいたします。
 まず、自然公園に関する広報についてでございますが、多摩・島しょに広がる自然公園に多くの人々に訪れてもらうためには、まずその魅力を強く都民にアピールし、関心を持ってもらうことが重要でございます。
 都はこれまでも、制度の概要や催し物の紹介等を中心にパンフレットやホームページによる広報を実施してまいりましたが、これをさらに拡充していくことが必要と考えております。
 このため、より多くの人に自然公園やその周辺を訪れてみたいと思ってもらえるよう、季節の花々や生き物、風景等、人々の関心を引く魅力的な画像の掲載等、ホームページの充実等に努めてまいります。
 さらに、今後、自然公園ビジョンの策定を進める中で、国内外の多くの人々を呼び込む戦略的な広報のあり方を検討してまいります。
 次に、子供たちが自然を学べる機会の拡充についてでございますが、都は、自然公園を訪れた人々が自然を理解し、その恵みを享受してもらうために、ビジターセンター等の拠点施設を設置し、都民が自然を学ぶ場として活用してまいりました。
 しかし、その利用者層は、もとから自然に興味がある人やその子供たちに偏りがちといった課題も見られます。そこで、教育関係機関や地元自治体等と連携し、日ごろ、自然に触れ合うことの少ない子供向けの魅力ある新たなプログラムを企画、開発することにより、これまで自然に興味がなかった層の参加を促すなど、これらの施設を有効に活用してまいります。
 こうした取り組みを進めることで、より多くの子供たちが自然についても深く学べる機会を拡充してまいります。
 最後に、揚水規制の適切な運用についてでございます。
 下水道料金を不正に免れた今回の事業者に対しましては、環境局としても、規制事務を所管する豊島区と連携して、速やかに立入調査を実施いたしました。その結果、いわゆるビル用水法で禁じられている用途の一つであるトイレ等への地下水使用を可能とする設備が設置されていたことが判明いたしました。
 このため、事業者に対して直ちに是正を講じるよう指導し、事業者は指導に従い、工事を行ったところでございます。
 また、今回の事案を受け、揚水規制の遵守が確保されるよう、下水道局とも連携いたしまして、井戸を使用する事業者を対象に、不正な揚水がないか調査を実施しているところでございます。
 今後、規制に関するチラシを改めて配布するなど周知を徹底するほか、関係各局や区市との情報交換を強化するなど、規制のより適切な運用を確保してまいります。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) マンションにおける民泊についてでございますが、外国人旅行者が増加する中、民泊における騒音など、利用者のマナーをめぐる住民とのトラブル防止は重要でございます。
 国は、民泊について実態が先行していることから、規制改革実施計画において、住宅を活用した宿泊サービスに関し、旅館業法とは別に、利用者の騒音や苦情への対応も含めた新たな法整備に取り組むことを示してございます。
 都としては、国の動向等を踏まえつつ、マンションの所有者や管理組合等が適正に管理を行えるよう、マンション管理ガイドラインへの民泊に関する内容の反映やその周知、セミナー等でのトラブル防止に関する注意喚起を行うなど、適切に対応してまいります。
   〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 井戸水利用に伴う公共下水道の不正使用についてでございますが、本件は、井戸ポンプの揚水能力が高いにもかかわらず、使用水量を少量に偽っていたものでございます。
 そこで、まず緊急調査といたしまして、井戸ポンプの揚水能力が高くかつ使用水量が少量の事業用の井戸四十二件を対象に、平成二十八年三月から施設の立入調査を実施いたしました。その結果、四十一件につきましては不正使用がないことを確認しております。残る一件につきましては、不正な設備等がないことは確認済みでございますが、夏季限定で使用する井戸であるということでございまして、井戸使用時に改めて動作確認を行うことといたしております。
 今後は、事業用として使用している全ての井戸約五千件を対象に調査を実施いたします。その結果を踏まえ、今後も不正使用には厳正に対処いたします。

○議長(川井しげお君) 八十一番大島よしえさん
   〔八十一番大島よしえ君登壇〕

○八十一番(大島よしえ君) 舛添知事の一連の公私混同問題について質問します。
 一昨日の調査報告書の発表と、昨日の代表質問での答弁を聞いた都民から、こんな人が東京都の知事であるなんて世界に向けて恥ずかしい、倫理観欠如の舛添知事を都民、国民は許さない、年金暮らしの人は一食二百円以内で暮らしている、都民の怒りを知れなどなど多くの声が寄せられ、都民の怒りはますます強まっています。
 昨日の我が党の代表質問に対する知事の答弁には、都民の誰もが納得せず、知事が事実を明らかにし、潔く辞職することを求めています。
 そこで、知事に改めて伺います。
 我が党は、代表質問で、二〇一三年と一四年の正月、千葉県のホテルに知事が家族と宿泊した費用を会議費として政治資金収支報告書に記載した問題をただしました。
 知事は、五月の記者会見で、事務所関係者らとの会議だと説明したのに、弁護士の報告書では、出版会社社長に相談した面談だったとされ、矛盾することを我が党はただしました。
 しかし、知事は、会社社長という人物は、事務所とおつき合いがある方々という広範な趣旨で事務所関係者と述べたといい繕い、さらに会社社長との面談、そして具体的には、それは会議という表現であってもよかったなどと答弁しました。
 知事、いいかげん、見苦しいいい逃れはやめてください。
 改めて伺いますが、知事は、この家族旅行の費用を政治資金収支報告書に会議費として記載したことは適切だったと今でも認識しているのですか、お答えください。
 知事が幾ら会議は存在したといい張っても、知事が依頼した弁護士でさえ、その社長なる人物からヒアリングしておらず、実在するかどうかも疑わしいという声が多くの都民から上がってきているではありませんか。
 知事、この二回の政治資金収支報告書が虚偽記載でないというのなら、その人物が実在し、ホテルに訪ねてきた、客室で面談したという何らかの証拠を示すべきではありませんか。そうでなければ、いつまでたってもホテルでの会議なるものは、知事の苦し紛れのつくり話という都民の疑念を消すことはできません。知事、明確に答えてください。
 我が党は、情報開示請求でホテルの領収書を入手しました。パネルにしました。
 二〇一三年一月三日と二〇一四年一月二日、二枚の領収書です。総額だけの領収書で、使途のただし書きなどはありません。私はホテルに確認しましたが、通常、支出の明細と同じ紙に領収書がついているそうです。政治資金規正法十一条は、支出目的を明記した領収書等の提出を求めています。なぜ明細がついていないのですか。わざわざ切り離したのですか。知事、お答えください。
 次に、都民からも批判の声が上がっている美術館に偏重した視察についてです。
 知事が公務として行った年間五十五回の視察のうち、美術館は三十九回にも上っていながら、保育園や介護施設などは一度も、一カ所もないという実態に、都民からの厳しい批判の声が上がっています。発表された調査報告書でも、さすがに偏重の是正が提起されました。
 日本共産党は、知事の日程予定表を分析し、美術館に偏重した視察の実態を記者会見で明らかにしましたが、明らかに特定の分野、自分の趣味や関心に偏重した視察といわざるを得ません。
 例えば、知事は、美術館視察の理由に、オリンピックの文化プログラムを挙げていますが、美術館は三十九回視察しながら、他の音楽、舞踊分野などの視察は一度もありません。
 他方、美術館では、相手から招待されるからという理由で、一年間に複数回訪問している美術館は、都立施設を除いても十一館。しかも、浮世絵専門美術館には三回も訪問し、時には一日に同じ作家の浮世絵展をはしごで視察しています。
 このような視察先の選定は、知事の個人的な趣味や関心の反映が明らかに見てとれます。こうした傾向は、公正、公平な行政執行が求められる知事の立場が厳しく問われるものといわざるを得ません。いかがですか。
 さらに、知事は、美術館視察で、オリンピックに向け時間延長や多言語化への対応、共通チケットの発行を要請し、懇談すると記者会見で説明しましたが、私たちの調査では、要請や懇談もなく、鑑賞だけだった視察が確認できるだけで八回ありました。三回視察したある美術館は、三回とも協力要請はなかったと話しています。このように、到底オリンピックのための仕事というより、鑑賞が主目的の視察があったのではありませんか。
 そうした公務性が疑問視せざるを得ない視察も、生活文化局が訪問先に受け入れを要請し、事前の準備や当日の受け入れ体制をとるなど、都の職員が複数動員され、公用車が使用されています。
 しかも、視察先は局が提案するのではなく、全て知事の指示で決定されています。知事の趣味や関心のために職員が動員されてきたことを知事は当然だと考えているのですか。
 しかも、知事は、美術館の視察について、ある公務地点から次の公務の地点に行く間に、かなり押し込んでもらったと話していましたが、知事の日程予定表と庁有車の運転記録を突き合わせると、午前中は美術館視察のみだった日は五回、午後五時前に美術館に行き、そのまま帰宅する日が十一回、さらに一時間半で二つの美術館をはしごしている日もあります。到底全てが忙しい公務の間に視察したとはいえないのではありませんか。
 こうした視察でも、知事の公私混同ぶりは厳しくたださなければなりません。
 公用車の私的使用問題について伺います。
 昨日の代表質問で、世田谷区の自宅から湯河原の別荘及び別荘から世田谷の自宅への帰宅の際に公用車に家族を乗せたことは一度もないかとただしたところ、知事はない旨の答弁をしました。
 そこで、改めて伺いますが、知事就任以来、公用車に家族を一度も乗せたことはないのか否か、明確な答弁を求めます。
 次に、都政の緊急課題の一つである住宅問題について質問します。
 非正規雇用や不安定就業者がふえる中で、賃貸住宅の家賃すら満足に支払えない若者が急増し、ネットカフェ、違法貸しルームなど、住まいとも呼べない劣悪な施設に居住せざるを得ない住まいの貧困が社会問題となっています。
 ある三十代前半の女性は、大学を卒業し、IT関連会社に正社員として就職しましたが、職場でのハラスメントに悩み退職。業務委託の家庭教師と派遣の販売の仕事に転職しましたが、仕事が減って収入が減少し、アパートに住むことができなくなり、シェアハウスに転居。月収十三万円、家賃四万二千円、残り八万円ほどで税金、保険料を支払うと生活は本当に厳しいと語っています。
 今日、低賃金、不安定雇用が増加する中、若い世代は、良質で低家賃の住居を確保できず、脱法ハウスといわれる劣悪な住居に入居したり、親の家から独立できず、世帯内単身者となる例がふえています。都の子供・若者計画でも、子供、若者を取り巻く環境は、時代の急速な変動とともに、目まぐるしく変化していることを述べています。
 こうした社会的自立に困難を抱える若者の実態を都はどのように認識していますか。
 住宅セーフティーネットの中核と位置づけられているのが公営住宅、都営住宅です。低所得者に公平かつ的確に供給しなければなりません。
 しかし、都は、都営住宅の新規建設を十七年間拒否し続けたため、空き家住宅の応募倍率は、世帯向けで平均二十六・二倍、優遇抽せんを除く一般は最高で三千百七十七倍、単身向けで平均五十七・一倍、最高三百五十三倍という高倍率で、何度申し込んでも当たらない、生きているうちに入居できるかと怒りと諦めの声が寄せられています。このような状況を都はどのように認識していますか。
 また、低所得で入居資格を持つ人の大多数が応募しても入居できない現状で、若年単身者の入居も視野に入れ、都営住宅の新規建設を再開することや建てかえ住宅の戸数をふやすことが重要ですが、いかがですか。
 住生活基本法にある住生活の安定の確保のための施策の推進にとって、住居費負担軽減は最大の課題です。国交省は、家賃補助制度については、対象世帯、民間家賃への影響、財政負担等の課題があり、慎重な検討が必要という考えを示しましたが、否定しませんでした。家賃補助制度の課題について、都はどのように考えていますか。
 国の社会資本整備審議会住宅宅地分科会では、臨時委員から、民間住宅の空き家や空き室のストックを適正に改修し、自立高齢者、子育て世代、若年世帯等への家賃補助による準公営住宅構想の実現化が提案され、空き家を改修し提供することが前提なら、公営住宅を新たにつくるよりコストがかからないといった意見も出されています。
 都は、問題となっている空き家も、都市のストックとして有効に活用できれば、地域の活性化に役立てることができるという見解を示しています。空き家を活用した新たな制度を検討する考えはありませんか。
 都民が人間らしく住み続けられる住居と環境を求める権利は、都民の基本的人権です。今住宅問題は、低家賃で良質な住宅の確保や空き家問題、マンション問題、住宅産業問題など、都政の重要な柱となっています。今後、住宅政策の執行体制を強化するために住宅局を専管部局として確立すべきではないですか。
 以上、答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 大島よしえ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、政治資金収支報告書への記載についてご質問がございました。
 お話のホテルにおいて行った会議は、私にとりまして、旅行先といえども、政治的に極めて重要な意味を持つことでありましたことから、その認識に基づき、政治資金収支報告書に記載した次第でございます。
 しかしながら、昨日来、この議場での大変厳しいご指摘、都民の皆様からのご叱責、また弁護士の調査報告書によりまして、私が安易に全体の経費を政治資金として支出したことは、今となっては常識から外れていたというほかはなく、不適切であったと認識をいたしております。深く反省し、おわびを申し上げたいと思います。
 ホテル、客室での会議についてでございますが、お話の千葉県のホテルの会議につきましては、当初、私は事務所関係者により調査を行ったところでございます。しかし、身内の調査との批判を受けまして、第三者の目で厳しく調査していただいたことは、これまでご説明させていただいているとおりでございます。
 その元検事の弁護士の方々による厳しい調査の結果、客室での会議、調査報告書は面談という表現になっておりますけれども、その面談が行われた事実の認定はなされたと認識をいたしております。
 一昨日の会見におきましても、当該弁護士から事実認定については十分尽くしたとのコメントもいただいております。都民の皆様のご批判につきましては、私の不徳のいたすところでありまして、深く反省をいたしております。
 ホテルに宿泊した際の領収書についてご質問がございました。
 第三者調査で収支報告書に添付されております領収書を確認していただいておりますけれども、ご質問の千葉県のホテルの領収書には、ただし書きを記載する欄がそもそもございません。明細については、私に定かな記憶がございませんので答弁を差し控えさせていただきますが、いずれにしましても、本件につきましては是正が必要な支出という指摘をいただいたところでありまして、今後適切に対応してまいりたいと思っております。
 視察先の美術館についてでございます。
 視察先の選定は個人的な趣味ではないかというご指摘をいただきました。二〇二〇大会の文化プログラムの成功に向けまして集中的に行ってきたものでございますが、ご指摘のとおり、ほかの施設に比べ、美術館や博物館の視察の割合が高く、バランスを欠いていたということは反省しておりまして、改善をしてまいりたいと思っております。
 今後は、今般の私の視察への批判や第三者の弁護士による調査報告書の内容も十分踏まえまして、視察対象のバランスも配慮するなど、多摩・島しょ地域など、東京全体の地域性も考えながら、視察のスケジュールを組み立てていきたいと考えております。
 鑑賞が主なる目的ではなかったかというご指摘でございますが、文化プログラムの構築のために、私自身が多様な企画に触れて、発想を豊かにして、さまざまなアイデアを出していくことも大切であると考えております。今後は、疑念を持たれないよう、しっかりとバランスを持ってやっていきたいと思います。
 職員の動員を当然だと考えているんではないかという厳しいご指摘をいただきました。美術館、博物館の視察につきましては、先ほど申し上げましたように、二〇二〇年大会の文化プログラムの成功に向けまして集中的に行ってきたものでございますけれども、視察先につきましてバランスを欠き、結果として、所管する職員に負担をかけてしまった側面がございます。今後は、視察対象のバランスに配慮しながら、視察のスケジュールを組み立ててまいりたいと思っております。
 忙しい公務の間の視察とはいえないのではないかとのご指摘でございますが、さまざまなスケジュールの状況を勘案しながら、効率的な視察を行えるように工夫をしてきたつもりでございます。先日もそのような認識のもとでお話をさせていただきました。ただし、今後は、今般の私の視察への批判や第三者の弁護士によります調査報告書の内容も十分踏まえまして、視察対象のバランスにも配慮するとともに、東京全体の地域性も考えながら視察のスケジュールを組み立ててまいりたいと思っております。
 公用車の家族の同乗についてでございますけれども、これまで園遊会、在京大使主催の懇談会、音楽鑑賞などの文化的行事や夕食会などに家族を伴って出席する際に家族を公用車に同乗させたことはございます。これらは、いずれも私が都知事として招待を受け、同時に家族も招待されたと認識したものでございます。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 社会的自立に困難を抱える若者についてですが、少子高齢化、情報化、国際化などの進展により、子供、若者を取り巻く環境は大きく変化し、社会的自立に困難を有する子供、若者の持つ背景は、これまで以上に複雑なものとなっており、その抱える問題は深刻化しております。
 都はこれまでも、福祉、教育、雇用等の各分野の施策において、子供、若者へのさまざまな支援を行ってまいりましたが、さらに、昨年八月には、東京都子供・若者計画を策定し、関連分野における施策を総合的に推進しているところでございます。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都営住宅の公平かつ的確な供給についてでございます。
 都営住宅の募集に当たっては公募を原則としており、これに加え、高齢者や子育て世帯などに対して優先入居を実施するなど、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給するよう努めてございます。
 今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅について、既存ストックの有効活用を図って、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 次に、家賃補助についてでございます。
 家賃補助制度については、国も、対象世帯、民間家賃への影響、財政負担等の課題を指摘しており、また国の生活保護制度との関係など、多くの課題があると考えてございます。
 最後に、空き家を活用した新たな制度についてでございますが、国は、民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みの構築も含めた住宅セーフティーネット機能の強化についての検討を、本年四月から始めたところでありまして、都としては、こうした国の動向を注視してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 住宅政策の執行体制についてでございますが、住宅部門については、都市整備局として再編以降、担当理事を設置するなど、必要な体制強化を図ってまいりました。
 現在、局内のまちづくり部門はもとより、福祉分野などの関係局とも、より密接に連携することで、直面する重要かつ困難な課題の解決に効果的に取り組んでおります。
 今後とも、その時々の行政課題に応じて必要な検証を行いつつ、最適な執行体制の確保に努めてまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩

   午後三時十五分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十五番中村ひろし君
   〔五十五番中村ひろし君登壇〕

○五十五番(中村ひろし君) 舛添知事の政治姿勢として、公私混同問題について質問します。
 次々に新たな問題が報道され、都民の怒りが増しています。知事の信頼は失墜し、都政は停滞をしています。本当に残念であり、情けない話です。
 きのうの答弁を聞きましたが、全てを率直に語り、真摯に反省するという姿勢はみじんも感じられませんでした。今求められているのは、法的に抗弁できるいいわけではなく、真実です。包み隠さず本当のことを語ることなくして、反省もなく、都民の理解を得ることなど不可能です。極めて不十分な答弁に終わったといわざるを得ません。
 そこで、説明責任に焦点を当て質問します。
 そもそも知事は、なぜこれほどまでに都民が怒りを募らせているのか、いまだにわかっていないのではないでしょうか。公私混同の問題そのものへの怒りはもとより、いいわけに終始したかと思えば、第三者に調査を委ね、時間を稼ぎ、みずから真実を語ろうとしない不誠実な態度に怒りを増幅させています。
 都民は知事の何に怒っていると思っているのか、率直にお答えください。
 定例会見は報道を通して都民に説明する場です。しかし、知事の不誠実な態度は定例会見でも再三見られました。
 そこで、二つの例を出し、知事が本当に反省をしているのかを確認したいと思います。
 一つは、会見後の湯河原行きです。知事はたびたび、この後公務がある、次があるとして会見を打ち切っていました。不誠実そのものです。また、このことを質問した記者に対しても、手が下がった段階だったなどと不誠実ないい逃れをしています。
 そこで、公務があるかのようにいいわけをし、会見を打ち切ったという認識はあるのか、知事の答弁を求めます。
 また、知事は五月十三日の会見で、二〇一二年八月十三日の栃木県日光市のホテル宿泊費を問われると、初めて今聞きましたと答え、再度の質問にも、八月何日ですってと聞き返し、結局、何ら答えることがありませんでした。
 しかし、調査報告書によれば、日仏交流で重要な人物と会ってはいるが、家族旅行であり、結果的に是正の必要ありとされた案件です。とっさに何の話かわからなかったといういいわけは通用しません。
 知事は五月十三日の定例会見の時点で、日光市のホテル宿泊について疑義があることを、本当に何らの記憶もなかったとこの場で断言できるのか、お答えください。
 さて、知事は、第三者の厳しい目という言葉を繰り返しますが、弁護士が是正の必要なしとしたことで免罪符を得たかのように捉え、残る不透明な支出について知らぬ顔を通そうというのであれば大きな間違いです。
 知事はきのう、湯河原の別荘売却はけじめの一つであり、これだけで理解を得られるとは思っていないと答弁しました。当たり前です。理解を得られるはずもありません。
 きのうの代表質問で申し上げたとおり、知事自身がみずから潔く身を処すべきです。改めて知事の見解を求めます。
 都民の皆様からは、知事のことで都政を停滞させないでほしいとの声もあります。以下、今後の都政に関する事項を、舛添知事ではなく、警視総監、局長に伺います。
 熊本で二度にわたり震度七の地震が発生しました。指定の避難所に入れない方が数多く自主的に避難し、支援や物資が届かない事態となりました。都も、耐震化や避難者への対応、車で過ごす方のエコノミー症候群の対応など、対応を見直す必要があります。
 都は、想定より多くの避難者が発生し、指定の避難所以外の場所で物資や支援を必要とする方にはどう対応するか、臨時避難所や周辺の避難所の子避難所とするなど、必要な物資や健康支援を受けられる体制をとる必要がありますが、見解を伺います。
 熊本では、生活必需品の不足が報道され、全国から多くの支援が寄せられた一方、拠点に荷物が積み上がり、さばき切れない状況も繰り返し伝えられました。
 今回、議案として提案された旧立川政府倉庫を視察しました。物資の輸送拠点、災害用備蓄倉庫として活用とのことですが、震災時には、物資を素早く仕分けをし、運び出すことが重要です。
 平時には備蓄物の消費期限の管理を適切に行い、学校や地域の防災訓練で配布することも大切です。物資管理を適切に行い、関係者間の情報伝達や共有を確実に行うシステムの導入が必要です。
 都の拠点から市区町村の拠点へと物資が輸送されても、その先のニーズ把握や物流が確保されなければ、必要とする方のもとに届かないという状況に陥ります。
 備蓄倉庫や調達先から物資がよどみなく流れ、必要な場所に速やかに届くよう、システムの導入も含め、都としてさらなる取り組みが必要ですが、見解を伺います。
 過日、小金井市内で、アイドル活動をしていた大学生が偏執狂的なファンに刃物で刺されるという大変痛ましい事件が発生しました。被害に遭われた方のご回復を心から祈念いたします。
 二〇一三年に三鷹市で発生したストーカー殺人事件の後、警視庁は対策本部を設置しました。今回の事件で、犯人は被害者の女性に対して、ツイッターでの執拗な書き込みを行っていましたが、現行のストーカー規制法の定義では、ツイッターなどのSNSへの書き込みは明確に規制対象となっていないことから、女性からの相談を受理した警察署は、犯人の行為をストーカー行為として捉えていなかったと報道されております。
 しかし、SNSを利用したストーカー行為は、今後ますます増加していくのではないかと危惧されます。現行のストーカー規制法を改正する動きも報道されていますが、施行までの時間を考えると、すぐにでも再発防止に向けて対応を強化することが必要です。
 今回のような、現行法ではなかなか裁けないSNSを利用したストーカー行為に対して、警視庁は今後どのように対処していき、同種事案の再発防止に取り組んでいくのか、警視総監のご見解を伺います。
 人権施策について伺います。
 ヘイトスピーチ規制法が成立をしました。罰則のない法律ですが、法の趣旨を踏まえて対応することを求めます。
 今定例会には、人権施策の拠点となる東京都人権プラザの移転が提案されました。同和対策推進のため、一九七二年に設立された東京都産業労働会館を前身とする現在の人権プラザは台東区にあります。現在地での機能強化を主張され、仮に移転する場合でも、現在の場所に拠点施設を残してほしいという声もあります。
 議案では、現在のプラザを分館として残すことにはなっています。現在の地に、何らかの拠点施設を残すことは、人権啓発の強化のためには必要です。
 国会では、民進党、自民党、公明党の共同で、部落差別の解消の推進に関する法律案が提案され、自治体の役割として、相談体制の充実、教育及び啓発も盛り込まれています。
 人権プラザの移転によって、今後、都の人権啓発活動、とりわけ同和問題はどのようになるのか、また、現在の場所での施設や取り組みをどのようにするのか伺います。
 次に、多摩地域の産業振興について伺います。
 かつて都は、アジアを代表する多摩シリコンバレーを形成すると計画に掲げていましたが、近年、電機産業の大手事業所が多摩地域から相次いで撤退をしています。従業員、関連会社、下請の中小零細企業、近隣の商店街への影響が大きく、都が先頭に立って、事業継続に向け対策を行うべきです。
 今後、多摩地域では、圏央道やリニア新幹線の整備で、産業活性化に向けた可能性が高まっていますので、都の、より実効性のある施策が必要です。
 都は、相次ぐ事業所の撤退を深刻に受けとめ、多摩地域の産業の活性化や集積が図られるよう積極的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 最後に、子育て支援と働き方改革を伺います。
 社員の残業時間が過労死ラインの八十時間を超えた企業が二割に上る中、出生率や生産性の低下を招く長時間労働を抑制し、労働時間の上限規制を求めるよう国に働きかけるとともに、勤務間インターバル制度を導入する企業を支援するなど、働き方改革に、より積極的に取り組むべきです。
 また、短時間勤務制度などの整備や雇用型、自営型テレワーク制度の推進といった、家庭の事情を抱える方々が正社員として両立でき、誰もが働ける環境整備を進めるとともに、育児休業制度延長と有給化を国に働きかけることも重要です。
 長時間労働の抑制や、企業が独自で取り組む育休制度の改善、柔軟な勤務形態の導入支援など、乳幼児を育てる社員への支援促進に向けて取り組むべきと考えます。
 見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 中村ひろし議員の一般質問にお答えをいたします。
 都民の皆様の憤りについてご指摘がございました。
 多くの都民の皆様から厳しいご批判をいただいておりますことは、十分に自覚をしております。ご批判の内容は、ご指摘のように、態度が誠実ではないというものもありますし、また、説明が信じがたいといったものなど、さまざまあると認識しております。
 これらのご批判につきましては真摯に受けとめ、調査結果に基づき、問題にしっかりと対応するなど、都民の皆様のご理解をいただけるように誠実に努力をしてまいる所存でございます。
 公務があるようないいわけをして、記者会見を打ち切ったのではないかというご指摘がございました。私としては、湯河原に行くことを理由に定例記者会見を打ち切ったという認識はございません。しかしながら、会見があった金曜日の午後に、頻繁に湯河原の事務所へ行っていたことは事実でありまして、私としては深く反省しているところでございます。
 五月十三日の定例会見での私の発言についてご指摘がございました。
 当日は、会見の冒頭で、週刊誌掲載の記事について、私と事務所関係者による調査結果及びその対応を説明いたしました。
 日光市のホテルについては、週刊誌の記事にはありませんで、突然四年前のことを聞かれても思い出すことができませず、いろんな疑念について質問を受けていた最中の出来事でありましたので、慎重な対応を図りたいと考えて、ああいう対処をしたわけでございます。
 都民から理解を得られぬ行動についてご指摘がございました。
 一連の問題につきましては、法的側面のみならず、道義的な観点からもご批判をいただいた調査結果を踏まえまして、都民の皆様から理解を得られるように、しっかりと改めてまいりたいと思っております。
 多くの都民の皆様から厳しいご批判をいただいていることは承知をしておりますけれども、私といたしましては、都政のさらなる発展に尽くし、成果を上げていくことで、一歩一歩、都民の皆様の理解を得たいと考えてございます。
   〔警視総監高橋清孝君登壇〕

○警視総監(高橋清孝君) ストーカー対策についてお答えします。
 初めに、議員ご指摘の小金井警察署管内で発生した殺人未遂事件に関しまして、事件の被害者の方に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い回復をお祈りいたします。警視庁では、この事件の全容解明に向け捜査を推進しております。
 ストーカー行為への対応につきましては、被害者の安全確保を最優先に、各種法令を積極的に適用して加害者を検挙するなど、警察としてとり得る手段を駆使することにより、被害の発生、拡大防止に取り組んできたところであります。
 そのような中で、今回、警察で事前に相談を受けていながら重大な結果が生じたことは、警視庁として重く受けとめております。
 SNSへの書き込みを含めた、こうした相談事案について、人身安全関連事案総合対策本部のかかわり方、事案の危険性、切迫性を判断するための対応のあり方、一一〇番通報の対応のあり方等について、現在確認しているところであり、その結果に基づき、今後も都民の生命、身体の安全確保のため、全庁一丸となって取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、想定以上の避難者発生への対応についてでございますが、今回の熊本地震では、強い揺れの連続など、これまでの経験が通用しない側面があり、被害の拡大等があったことから、都の防災対策上、まずは地震の原因や被害との因果関係等の解明が不可欠と考えております。
 このため、都では今後、被害の詳細など必要な情報を収集し、専門家の見解等を求めるなど、熊本地震の実態の検証作業を進めてまいります。その上で、避難者対策も含め、今回の災害対応の教訓等を取りまとめ、都における発災時の現実的かつ的確な対応を図ってまいります。
 次に、物資を速やかに届ける取り組みについてでございます。
 災害時に円滑に物資を届けるため、これまで民間企業等との協定の締結を初め、協議や訓練を通じた関係者間の情報の共有や要請手順の習熟、さらには備蓄倉庫等での荷役の効率化などに取り組んでまいりました。
 一方、物資の供給には、避難所への輸送を担う市区町村の取り組みも不可欠であり、各団体が設置いたします備蓄倉庫や輸送拠点における荷役や、避難所への輸送などに関するノウハウを蓄積していくことも重要でございます。
 新たなシステムの導入は、費用対効果などの課題も想定され、慎重な検討が必要ですが、都といたしましては、調達から避難所への配送に至る物流を一体と捉え、市区町村や民間企業等と密接に連携し、熊本地震の状況も踏まえつつ、不断の検証、見直しを行ってまいります。
 最後に、東京都人権プラザの移転についてでございます。
 都は、人権啓発の拠点である東京都人権プラザの老朽化が進行していること及び二〇二〇年東京大会に向けて人権尊重理念を広く社会に発信し、浸透させていくことが求められていることを受け、同施設を港区へ移転することといたしました。
 移転先のプラザでは、幅広い層の都民を対象として、同和問題を含むさまざまな人権課題の理解を深めるため、工夫を凝らした啓発を実施してまいります。
 なお、現在のプラザは地元の方々にもご利用いただいていること等を踏まえ、分館と位置づけ、経過措置として一定期間残す方針でございます。
 現プラザにおいて、これまで積み重ねてきた成果を損なうことのないよう、利用者の皆様に対する周知や調整に努めてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二件のご質問にお答えをいたします。
 まず、多摩地域の産業振興についてでございますが、多摩地域を初め、都内に集積する製造業等は、地域の産業や雇用を支える原動力であることから、産業の空洞化が無秩序に進むことを防ぎ、こうした集積を守ることは重要でございます。
 このため、都は、企業誘致や工場の集約化、企業間の技術連携の促進に加え、中小企業や大学、金融機関等による産学公金のネットワークづくりなど、地域の産業集積の確保に向けて、区市町村と連携して取り組んでおります。
 こうした取り組みを通じまして、地域の産業集積の維持発展を図ってまいります。
 次に、子育てを行う従業員への支援についてでございますが、仕事と育児を両立しながら働き続けるためには、企業における働き方の見直しと職場環境整備が重要でございます。
 このため、都は今年度、働き方改革宣言企業制度を創設し、働き方の改善に向けた機運を醸成するとともに、長時間労働の削減や在宅勤務制度の導入など、企業みずからの取り組みを支援しております。
 また、法を上回る育児休業制度を整備した場合に奨励金を支給するなど、仕事と育児の両立を推進する中小企業への支援も開始いたしました。
 こうした取り組みを通じて、子育てをしながら働く方々を支援してまいります。

○副議長(小磯善彦君) 二十四番島崎義司君
   〔二十四番島崎義司君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十四番(島崎義司君) 初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 中国春秋時代の思想家孔子は、弟子の子貢から、食を足し、兵を足し、民をしてこれを信ぜしむと孔子が示した政治の要諦の中で、最も犠牲にできないものを尋ねられ、民は信なくば立たず、すなわち人々の信義がなければ人間社会が成立しないと答えました。
 調査報告書の一九ページ、新党改革比例区第四支部で平成二十四年に購入した書籍「論語」の一節であり、同年、同支部で購入した「孔子」の言葉であります。
 今回の知事の、自宅を経由した湯河原への公用車使用、公務として行った講演料の処理、家族旅行への政治資金利用などの公私混同問題は、単なる法律問題ではなく、都民の血税の使い方を決める最高責任者としての見識、知事としての資質、ひいては都政への信頼そのものが問われているのであります。
 今、都民が求めているのは、弁護士の法律的解釈ではなく、知事みずからの説明であります。
 昨日からの議会では、知事は謝罪と見直しを繰り返すばかりで、木更津のホテルで面談した人物の名前や時間など、我が党の質問にも全く答えておりません。ここまで説明がなされないと、本当にその元新聞記者の出版社社長なる人物と面談したのか疑われても仕方ありません。
 そこで、改めて、さきに挙げた各種の公私混同問題を含め、知事からの具体的なご説明をいま一度求めると同時に、都民の都政への信頼の現状認識についてご見解を伺います。
 次に、主権者教育等について伺います。
 十八歳からの選挙権適用に伴い、学校における主権者教育と政治的中立のあり方が問題となっております。
 これまで、私の地元の公立中学校で、一昨年、社会科教員から、核兵器はだめだから原発はだめ、戦争になるから集団的自衛権はだめと何回もいっては、感想や考えをプリントに書くようにいわれるとの生徒からの訴えによって発覚した不適切な偏向教育や、昨年九月、埼玉県の公立中学校の教員が、安全保障関連法への反対デモを取り上げた共産党機関紙「赤旗」のコピーと、安倍首相の戦後七十年談話を批判する文書を教室で配布した問題など、学校現場では政治的な中立性が疑われる事案が全国的に散見されております。
 都立学校はもちろん、都内の区市町村立小中学校の教員も教育公務員であり、教員の偏向的政治思想が児童生徒に悪影響を与えることがあってはなりません。
 そこで、小中学校を初め、全ての公立学校の教育活動全体において、主権者教育を含め、政治的中立性がしっかりと守られるよう指導していくべきと考えますが、都教育委員会の見解と取り組みを伺います。
 次に、教科書採択について伺います。
 本年三月末、文部科学省は、教員等による教科書発行者との不適切な接触及び教科書採択にかかわる不適切な対応の状況を発表しましたが、東京都は、全国の自治体の中で三番目に関与した教員等が多かったと聞きました。
 同問題は、本来、閲覧ができない検定中の教科書を教科書発行者から見せられ、意見を述べることで金銭や物品を受領したというもので、これは、教科書発行者が、自社の教科書をできるだけ多くの地区で採択してもらおうという意図から生じた行為とするのが社会的な見方であり、公正に行われるべき教科書の採択に影響しかねない重大な事件であります。
 この事態を都教育委員会は重く受けとめ、全力で再発防止に努める必要があります。
 そこで、今回の事態の都における状況と、これまでの対応及び今後の対策について伺います。
 次に、救急医療について伺います。
 平成十七年をピークに減少傾向にあった都の救急搬送件数は、平成二十二年から再び増加に転じ、平成二十七年には過去最高の六十七万三千件を記録、平成二十一年からの六年間で約九万一千件増加しております。
 中でも、高齢者の搬送件数は大きく伸びており、増加した九万一千件のうち、九割以上は六十五歳以上で占められております。今後、医療を必要とする割合が高い後期高齢者が平成三十七年にかけて大幅に増加し、約百九十八万人に達することが見込まれており、今後一層、救急需要は逼迫することが予想されております。
 一方で、救急患者を受け入れる救急告示医療機関は、平成二十一年から三百三十施設前後で推移しております。
 そこで、今後一層の増加が見込まれる救急搬送を確実かつ迅速に受けとめるため、入院患者を受け入れる二次救急医療体制の充実を図る必要があると考えますが、都の取り組みを伺います。
 私の地元である武蔵野市では、長年救急医療に尽力していた病院が平成二十六年十一月に病床を閉鎖したため、一時的にではありますが、救急患者の選定先がなかなか決まらず、他の医療圏に搬送される患者が増加した時期があったと聞いております。
 このように、救急告示医療機関が、医師や看護師の確保が困難などの理由により廃止することは、都内各地で見られることであります。
 このような中、都の保健医療計画にある、いつでも、どこでも、誰でも、その症状に応じた適切な医療が受けられる救急医療体制を確保するためには、それぞれの地域において、救急患者の搬送状況や医療機関の体制変化などの情報共有を図り、関係機関との連携を進めることが必要であると考えます。
 そこで、二次救急医療機関を中心とした地域のネットワークづくりのために、どのように取り組みを進めるのか、都の見解を伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 これまで水道局は、生活に欠かせない重要なインフラとして、将来にわたり都民に安全でおいしい高品質な水を安定して供給できるよう取り組み、利根川水系については、既に一〇〇%高度浄水施設となっております。
 多摩地域でも、東村山浄水場の更新に伴い低下する施設能力相当の代替浄水施設として、私の地元の境浄水場の再構築計画を進めており、新施設は、高度浄水施設になるとも聞いております。
 この大規模な事業に対しては、地元の関心が高く、私もこれまで、市議会の自由民主・市民クラブなど、市議団と都水道局との話し合いや要望の場をつくってきましたが、ほかにも市民からさまざまな意見が寄せられていると聞いております。
 この事業を円滑に推進していくためには、地域の協力が不可欠であります。境浄水場再構築により、長年なれ親しんだ風景や環境が大きく変わることから、地域住民の意見を反映させ、地元にも貢献できる施設として整備することが必要と考えます。
 そこで、都水道局は、再構築に当たり、地域へどのように配慮していくのか伺います。
 次に、観光の一大産業化について伺います。
 東京を訪れる外国人旅行者の数は、引き続き伸びております。少子高齢化によって人口減少が進む中、こうした旅行者による旺盛な消費をしっかりと取り込んで、東京の産業の活性化に確実につなげていくことが重要であります。
 私も、地元の商工会議所などで直接お話を伺ったところ、今後のインバウンド市場の拡大を見据えて、Wi-Fiの整備やクレジット決済機器の導入、外国語でのコミュニケーションツールの充実などに取り組もうとする動きが出ております。
 一方で、その実現に向けた資金や人材が十分ではなく、都内では事業化に至らないことも多いと聞いております。
 都では、観光産業を大きく発展させていくため、企業経営の視点から、観光に関連する事業者へのサポートを今年度から展開するとしております。観光面の知識やノウハウを蓄えることで、個々の企業が力をつけ、これからの東京の経済活動の担い手としての役割を果たすことが期待されております。
 都として、観光関連の産業を発展させるためにどのような考え方で対応を進めるのか、所見を伺います。
 次に、多摩地域の観光振興について伺います。
 本年四月、新宿駅南口の高速バスターミナル、バスタ新宿に、都の観光情報センターがオープンしました。都心部の観光情報発信拠点として、国内外の多くの方々の利用が期待されていますが、東京の観光資源は多摩地域にも多く存在しております。
 多摩において、地域のさまざまな観光スポットを外国からの観光客に案内するため、観光情報センター機能を整備し、多摩地域の観光振興の起爆剤にすべきと考えますが、都の所見を伺います。
 さらに、多摩地域における観光振興には、交通手段の改善も欠かせません。多摩地域は広く、旅行地として訪問する場所同士が離れている場合が多いため、交通手段が整っていないと、限られた時間でスムーズに観光を行うことにも限界があります。
 特に多摩地域は、東西方向の交通の移動は円滑でも、南北方向の交通の利便性には課題があります。
 例えば、来年完成予定の武蔵野の森総合スポーツ施設は、イベントでの活用も期待されておりますが、武蔵野市のような北側から施設までのアクセスは、充実しているとはいえません。
 第一義的には、多摩地域の公共交通網を充実させることが求められますが、観光地をめぐる場合の交通事情などを考えると、観光スポット間を快適に結びつけることのできる動力つきレンタル自転車の活用を進めていくことも効果的との意見があります。
 こうした考え方を踏まえて、多摩における観光振興に当たり、交通手段の改善に向けた取り組みをより充実させるべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、動物園について伺います。
 先月二十六日、日本最高齢のアジアゾウ、はな子が、武蔵野市内の井の頭自然文化園で静かに息を引き取りました。都立井の頭恩賜公園百周年を来年五月に控え、吉祥寺観光の象徴的存在でもあったはな子を失ったことは大きな痛手であります。
 都は、園の象徴的存在の必要性と公園百周年という歴史的意義を踏まえ、地元の声を聞きつつ、今後の対応を急ぐべきと考えますが、都の見解を伺い、私からの質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 島崎義司議員の一般質問にお答えいたします。
 具体的な説明と都政への信頼についてご質問がございました。
 一連の問題に対します具体的な説明につきましては、一昨日、弁護士による調査結果をご報告したところでございます。この結果を踏まえまして、問題点にしっかりと対応していくことで、都民の皆様、都議会の皆様のご理解を得ていきたいと考えております。
 そして、そうした一歩一歩の積み重ねを信頼の回復につなげていきたいと思っております。
 まさにおっしゃられましたように、民は信なくば立たずでありまして、都民の皆様の信頼なくしては、私は知事として都政を前に進めることはできないと考えております。
 私の問題のために都政が停滞し、都政への信用は失墜をいたしております。都議会の皆様や職員に対して、まことに申しわけなく思っております。一日も早く信頼を取り戻せるよう、危機感を持って説明責任を果たしていきたいと考えております。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公正、中立を確保した教育活動についてでございますが、児童生徒に、現実社会の諸問題について、多面的、多角的に考察し、公正に判断する力を身につけさせることは極めて重要であります。
 そのためには、教員が児童生徒に対して公正、中立な立場に立って指導するよう十分注意する必要があることから、都教育委員会は、都立高校の管理職等を対象に説明会を行うなど、さまざまな取り組みを行ってきております。
 今後とも、全ての教育活動において、さまざまな立場の意見や考え方に基づく資料を示すなど、政治的中立性を確保した適切な指導が行われるよう、教材や指導内容の取り扱いについて改めて通知いたします。
 また、学校や区市町村教育委員会と連携して、その趣旨を全教員に徹底し、各学校における教育活動の適正な実施を確保してまいります。
 次に、教科書採択に係る教員等と発行者との不適切な接触等についてでございますが、関係した校長や教員は、都内公立小中学校で延べ四百二人であり、そのうち、退職者を除く三百五人に事実確認を行い、二百三十八人を懲戒処分等といたしました。
 教科書採択は、その過程において公正性、透明性が確保されなければならず、都教育委員会は、今回の事態を重く受けとめ、区市町村教育委員会に対し服務の厳正について通知したところでございます。
 今後、さらに都立学校の教員等が遵守すべきガイドラインをよりわかりやすい内容に見直すなどして、教員等に周知徹底するとともに、区市町村教育委員会に対しても、都に準じて対応するよう強く働きかけてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、二次救急医療体制の充実についてでありますが、都は現在、救急患者を迅速に救急医療機関に搬送するため、救急医療の東京ルールを定め、搬送先の選定が困難な患者の受け入れ調整を行う地域救急医療センターの指定やコーディネーターの配置を行っております。
 また、入院が必要な救急患者のための空床を確保する休日・全夜間診療事業を実施しており、昨年一月には、救急搬送の受け入れ実績等をより評価する仕組みに再構築いたしました。
 こうした取り組みにより、三年連続で救急隊の要請に対する受け入れ率が向上し、救急搬送時間が短縮しております。
 今年度からは、医師や看護師の負担を軽減するため、救急隊からの連絡対応などの業務を補助する人材を医療機関に配置するモデル事業を実施することとしておりまして、今後とも、二次救急医療体制の充実を図ってまいります。
 次に、地域の救急医療のネットワークづくりについてでありますが、都におきましては、救急医療機関がそれぞれの専門性や特色を生かしながら救急患者を速やかに受け入れられるよう、二次保健医療圏ごとに、全ての二次救急医療機関、消防、警察、区市町村、精神科医療機関等が参加する地域救急会議を設置しております。
 この会議では、地域の特性や医療資源の状況等の情報を共有した上で、各圏域が抱える課題の対応策を検討しており、整形外科疾患や精神身体合併症など、搬送先の選定が困難になりやすい救急患者の受け入れが圏域内で進むよう、地域の実情に合った体制づくりを進めております。
 都は今後とも、地域における救急医療のネットワークづくりが一層進むよう、関係機関の連携体制の構築を支援してまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 境浄水場の再構築事業についてでありますが、本事業は、浄水施設の規模拡大により、周辺環境への影響が想定されることから、事業の円滑な推進には、地元の理解を得ることが大変重要であると認識をしております。
 そのため、これまでも武蔵野市などとの連携のもと、地元からの要請にも応じて、事業の必要性や施設の配置等につきまして丁寧に説明を重ねてまいりました。
 再構築に当たりましては、災害時給水ステーションの整備などを検討するとともに、武蔵野市へ分水している管路に送水管を接続し、非常時に境浄水場から送水することで、事実上、武蔵野市への分水のバックアップを可能にいたします。
 今後も、こうした地元へのメリット等につきまして、きめ細かく説明を行うとともに、住民の皆様のご意見を踏まえながら、境浄水場の再構築を着実に推進してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、観光産業の振興についてでございますが、都内の観光事業者が東京の産業の重要な担い手として発展するためには、経営の視点からサービス提供を含むマネジメントの力を高めることが必要でございます。
 このため、都は今年度から、経営力の強化に向け、外国人旅行者に良質なサービスを提供するためのセミナーの開催や専門家の派遣のほか、コールセンターによるサポートの拡充などにより、受け入れ体制の充実を後押しいたします。
 今後は、企業のサービスレベルを高めるマーケティングの支援や実践的な技能を持つ人材育成のサポートを検討いたします。また、最新のICT技術により、企業の生産性向上を図り、新たな事業の展開を行う取り組みへの支援も検討いたします。
 これにより、事業者の経営の力を高め、東京の観光産業の発展に結びつけてまいります。
 次に、多摩地域の観光案内についてでございますが、外国人旅行者が多摩を訪れる機会をふやすため、地域の魅力ある自然や伝統的な文化など、観光に役立つ情報を提供することは効果的でございます。
 これまで都は、海外からの旅行者を多摩に誘致するため、その主要な観光スポットを多言語のウエブサイトやパンフレットにより紹介をしてまいりました。また、各地域の外国語での観光案内の説明表示の整備を支援してまいりました。
 今後は、多摩への観光客の誘致を効果的に進める上で、多摩地域のきめ細かい観光情報を幅広く集め、その提供ができる取り組みの充実を目指してまいります。そのため、多摩地域に観光情報センターの機能を持つ拠点の整備を検討いたします。
 こうした取り組みにより、外国人観光客の多摩地域への誘致を適切に進めてまいります。
 最後に、多摩地域の観光面での交通手段についてでございますが、東京の観光振興を進める上で、多摩地域の魅力ある観光スポットを効果的にめぐる仕組みづくりは重要でございます。
 このため、都は今年度、多摩地域のさまざまな観光スポットをバスやタクシーで円滑に移動するためのモニターツアーを実施いたします。
 また、観光地の間を起伏に富むコースを通って移動することが多い西多摩のエリアで、自治体や観光協会が旅行者向けに提供する電動アシスト自転車を購入する際に、経費の一部を助成いたします。
 今後は、西多摩以外の地域で、バスやタクシーに加え、自転車を有効に活用して観光地を結ぶ方法について研究を行い、施策の充実を検討してまいります。
 これにより、多摩の魅力を生かした観光振興を着実に進めてまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 井の頭自然文化園の今後の対応についてでございますが、井の頭自然文化園は、ニホンリスなど身近な動物の展示や触れ合いを通じて、自然を学び、豊かな感性を育むことができる動物園でございます。
 戦後初めて来日し、国内最高齢の六十九歳で永眠したアジアゾウのはな子は、子供からお年寄りまで多くの人々に愛され、わずか十日余りで献花は四千を超えております。このような多くの都民の皆様の思いに応えるため、はな子が来日した九月にお別れ会の開催を予定しております。
 また、来年は、井の頭恩賜公園が開園百周年を迎える年でもあり、園の新たな魅力の創出につきまして、地元市等の意見もお聞きしながら、鋭意検討を進めてまいります。
 今後も、地域に愛され、動物を守る心を育む動物園を目指して取り組んでまいります。

○議長(川井しげお君) 十六番斉藤やすひろ君
   〔十六番斉藤やすひろ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十六番(斉藤やすひろ君) 初めに、舛添知事の政治姿勢について質問します。
 まず、知事は、第三者の弁護士によって、違法とはいえないとの調査結果を、あたかも錦の御旗のように掲げておりますが、繰り返しになりますが、この弁護士は、あくまでも知事が雇った弁護人にすぎません。
 そもそも、知事が第三者と呼ぶ佐々木善三弁護士は、猪瀬直樹前知事が徳洲会から現金五千万円を受領した事件で弁護を担当し、刑事処分を略式起訴にとどめた敏腕弁護士であります。誰に対して、何に対して厳しい目を持つ第三者なのでしょうか。
 知事は、この弁護士を猪瀬前知事から紹介でもされたのでしょうか。仮に、紹介されたのでないにしても、一連の疑惑問題を担当しているという状況を見れば、佐々木善三弁護士は、客観性ある調査ができる弁護士とは思えないわけであります。
 知事は、この弁護士に、自分を守るために調査を依頼したのではないですか、見解を求めます。
 次に、政党交付金による借入金の返済疑惑についてであります。
 政党交付金は、政党助成法第十四条において、借入金の返済に充ててはならないと規定されています。
 昨日の我が党の代表質問で知事は、先月、五月二十日、新党改革の荒井広幸代表が、改めて借入金に政党交付金を一切使用していない旨のコメントを出しているところでございますと答弁されました。
 しかし、平成二十二年に、みずほ銀行から二億五千万円の借り入れをしたときの新党改革の代表は舛添要一知事であり、借入金を返済したときの代表もまた舛添要一知事であります。現在の荒井代表がコメントを出しても、何の説得力もありません。
 この借入金は、平成二十二年に二億五千万円借り入れた後、同年中に一億五千万円返済をし、残額の一億円を元金均等返済にしています。その際に、政党交付金を比例第四支部とグローバルネットワーク研究会に迂回させて、再び新党改革に戻し、みずほ銀行に返済をしているのです。
 一例を挙げると、平成二十三年十月二十日、政党交付金として新党改革は、二千九百八十五万二千五百円を受け入れ、その日のうちに一千二十五万円を比例第四支部に入金、その翌日に、グローバルネットワーク研究会に六百万円入金しています。そして、十一月九日には、グローバルネットワーク研究会から新党改革に二百五十万円を寄附し、十一月十日には、みずほ銀行に三百五十万円返済をしています。
 お金に色はありませんから、比例第四支部やグローバルネットワーク研究会を利用した巧みな迂回返済だと考えられます。違法とはいえませんが、まさに脱法行為そのものであります。
 他人が作成した答弁を読むのではなく、自身、知事の言葉で説明を求めます。
 今回の調査について知事は、私自身が自民党に所属したころは、政党助成金につきまして、党の内規に基づき厳しいチェックがなされておりました。しかしながら、新党改革を結成した後は、自民党のような政党助成金の内部チェックシステムがなく、また、自分が党の代表であると、そういう慢心もあったと思っておりますと、繰り返し繰り返し釈明しております。
 しかし、そもそも知事が、あなたが自民党を離党した際は、民主党政権下で、当時の鳩山首相と小沢幹事長の政治と金の問題について、自民党の対応が甘いことを理由に離党し、新党改革を立ち上げておられます。その代表になったから慢心が起こったというのであれば、全くの論理矛盾であり、論理破綻ではありませんか。
 知事は、二〇一四年の著書「母と子は必ず、わかり合える」の中で、都知事選への出馬をするときの決意を次のように述べております。
 私自身は、私利私欲を離れて、公、パブリックのために尽くすという気持ちになる、つまり、無私という境地に達しない限り政治家になるべきではないという信念を抱いていましたし、今もそれは変わりません、その覚悟がない限り、金権腐敗の政治家に堕落する危険性が常につきまとうからです、無私の精神で東京都民のために全力を尽くすという気持ちを固めることができたとき、都知事選に打って出る決心をしたのですと。
 この決心は今、一体どこへ行ったのでありましょうか。新党改革時代、そして都知事になってからも一貫していえることは、政治と金に執着した哀れな姿なのであります。
 知事、出処進退はご自身が決めるべきものであります。
 一昨日の記者会見、昨日の代表質問により、都民の怒りの声はさらに高まり、知事の辞職を求める声は、ますます広がりを見せております。にもかかわらず、いかなる理由で知事にとどまろうとされるのか、明快なる答弁を求めます。
 特別支援学校の医療的ケアについて質問をします。
 近年の医療技術の進歩や在宅医療の普及を背景に、特別支援学校では医療的ケアを必要とする児童生徒が増加しています。それに伴い、医療的ケアの種類や程度により、学校での引き継ぎ期間が長期間必要になるなど、保護者の付き添いが重い負担になっています。
 都教育委員会では、国に先駆けて、肢体不自由特別支援学校に非常勤看護師を配置しました。また、平成二十四年度の法改正により、医師や看護師との連携のもとで、特別支援学校の教員も、法令に基づき一定の研修を受け、たんの吸引などが行えるようになりました。
 しかし、肢体不自由特別支援学校では、安全かつ適切に医療的ケアを実施するためには、医療的ケアを実施できる教職員の人数の確保と、その力量の向上を図ることが課題となっています。
 そこで、都立肢体不自由特別支援学校での医療的ケアの実施体制の拡充について伺います。
 さらに、肢体不自由特別支援学校以外の特別支援学校も医療的ケアが必要な生徒がおります。
 先日、視覚障害のある生徒が、二泊三日の移動教室に参加を希望しておられましたが、別の障害で気管切開をしており、たんの吸引ができる介助者を保護者が負担してつけなければ、参加は認められないといわれてしまいました。保護者がヘルパー代を負担し、付き添わせ、やっとの思いで参加させることができました。
 このようなご家族の経済的な負担を解消し、安心して移動教室に参加できるよう、都は制度改正を検討すべきだと要望しておきます。
 次に、都立知的障害特別支援学校における自立と社会参加に向けた取り組みについて伺います。
 我が党はこれまでも、特別支援学校における就労支援のさらなる充実を求めてまいりました。
 これに対し、都教育委員会は、生徒全員が企業就労を目指す学校の設置や職業教育の改善に取り組んできており、平成二十六年度の知的障害特別支援学校高等部卒業生の就職率は四四%となり、全国の三一%と比較して高い成果を上げております。
 一方、半数以上の生徒が作業所などを進路先としています。このような作業所などで、卒業生が役割を通じて自身の能力を発揮し、喜びや達成感を得ながら、あるいはスキルアップをして企業就労移行に挑戦したりしながら、生き生きと生活していけるようになることが重要であります。
 そのための取り組みの一つとして、生徒一人一人が特別支援学校において受けてきた具体的な配慮を、確実に作業所などへ伝えていくことが大切であると考えます。都教育委員会の見解を伺います。
 次に、難病者施策について質問します。
 昨年一月、いわゆる難病法の施行により難病の対象が拡大され、今後ますます重要になると思われるのが、患者の療養生活を支える仕組み、特に就労支援の充実です。難病といっても病態はさまざまであり、就労形態や通院への配慮さえあれば、十分就労を続けられる患者の方々もおられます。
 我が党の主張を受け、都は、東京都難病相談・支援センターの機能を強化し、平成二十七年度から難病就労支援コーディネーターを配置し、就労に関する相談支援などを実施し、一定の成果を上げています。しかし、患者の療養状況に応じた就労のためには、さらなる支援が必要です。
 そこで、今後は、ハローワークとの連携をより推進するなど、センターにおける就労支援の取り組みをより一層強化していくべきです。
 さらに、雇用主に対しては、難病と就労との両立の理解促進を図るとともに、難病に理解のある雇用主に対しましては、難病患者を雇用する場面で支援を行っていくことが必要と考えます。あわせて見解を伺います。
 また、我が党はかねてより、現在の広尾の難病相談・支援センターだけでなく、多摩地域の難病患者がアクセスしやすいような環境整備を求めてまいりました。
 本年二月発表の多摩メディカルキャンパスの報告書によれば、都は、キャンパス内に難病総合医療センターを整備する取り組みを進めているようであります。ぜひとも、このセンター内に、多摩地域の難病相談・支援センターともいえる機能を盛り込むべきです。改めて要望しておきます。
 最後に、近年、重要になっております小児精神医療について述べます。
 小児期に、自閉症や注意欠陥多動性障害を初めとするさまざまな心の病を発症することが明らかとなり、治療を必要とする患者の数は増加の一途をたどっています。
 発達期の心の病に対しましては、成人期と異なる専門的医療が不可欠とされていますが、小児精神医学を専門とする医師や医療機関は限られております。初診時の待ち時間の長さなどが指摘されているところです。
 また、子供の心を取り巻く課題に対応するためには、医療だけでなく、保健所、児童相談所、教育機関などさまざまな関係機関が連携して子供を支援する体制の構築を図る必要があり、加えて、臨床の現場と研究、教育機関との連携強化を進めることも重要です。
 そこで、子供たちの健やかな成長のために、関係機関が連携したネットワークの構築を検討すべきと申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 斉藤やすひろ議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、今回の調査についてでございますが、調査を依頼した弁護士の先生方は、調査を受けるまで全く面識のなかった方たちでありまして、厳しい捜査の経験の元検事の人たちでございます。
 今回の調査におきましては、弁護士からの要請に基づき、私や秘書らから関係資料を提出し、私や秘書及び関係者がヒアリングに応じるとともに、必要に応じて弁護士の先生方がみずから資料を入手することで、調査を行っていただきました。第三者の目線からの厳格な調査を行っていただいており、信頼性は確保できていると考えております。
 不適切というご指摘を数多く受けたことに対しましては、心から深く反省いたしますとともに、失われた信頼の回復に努力してまいりたいと思っております。
 続きまして、新党改革への政党助成金を借入金の返済に充当させたのではないかというご疑問でございますけれども、この点については、既に現在の新党改革の代表者が説明しているところでございますが、具体的に申し上げますと、二〇一〇年に銀行から二億五千万を借り入れました。そのうち、一億六千三百四十四万円余りは使用しませんでしたので、その分は二〇一〇年に一億五千万円、千三百四十四万円余りは二〇一一年に返済をいたしております。そのほかにつきましては、利息金も含めまして、舛添そして荒井により、立法事務費、支持者各位からの会費や寄附金などの浄財、そして歳費より返済し、二〇一二年に完済をいたしております。新党改革への政党助成金を借入金の返済に充当させたということは、これはございませんし、迂回をさせてもおりません。
 飲食費及び宿泊費についてでございますが――失礼しました。
 最後に、いかなる理由で知事にとどまろうとするのかという厳しいご質問を、出処進退についていただきました。(傍聴席にて発言する者あり)今の私は、多くの都民の皆様からのご批判を受けまして、都知事として厳しい状況にあることは自覚を申し上げております。まずは、一昨日公表いたしました調査結果をもとに、反省の気持ちをしっかりと胸に刻みまして、地道に、そして都民の皆様、都議会の皆様の理解を得ていきたいと考えてございます。
   〔傍聴席にて発言する者あり〕

○副議長(小磯善彦君) 傍聴席は静かにしてください。従わなければ、退室を命じます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、肢体不自由特別支援学校での医療的ケアについてでございますが、医療的ケアを必要とする児童生徒が安心して学校生活を送るためには、看護師、教員、学校介護職員及び保護者が相互に連携協力して、安全に医療的ケアを実施できる体制を確保することが重要であります。
 このため、都教育委員会は、医療的ケアの研修について、平成二十五年度から、教員に加え学校介護職員も対象とし育成することで、校内において一人の児童生徒に対する医療的ケア実施者の複数確保に努めてまいりました。
 今後は、育成研修の回数と専門的な研修の受講人数をふやすことにより、医療的ケア実施者の増加と知識、技能の向上を図り、量と質の両面から実施体制を拡充してまいります。
 次に、福祉作業所等と特別支援学校の連携についてでありますが、生徒が、進路先である作業所等で、達成感を得ながら生き生きと生活していくためには、一人一人に対する有効な支援内容や方法について、特別支援学校と作業所等との間で十分に共通理解を図ることが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、都立特別支援学校に対して、生徒の実態や支援内容等を書面にまとめ、進路先となった作業所等に送付するなど、支援情報を共有する取り組みを推進するよう指導してまいりました。
 今後は、作業所等への進路が決まった生徒について、進路先の職員を直接学校に招き、授業や学校行事等において効果的に行われている支援を紹介するなど、生徒一人一人に応じた支援内容や方法を、より詳細、確実に伝える取り組みを推進してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 難病患者への就労支援についてのご質問にお答えをいたします。
 都はこれまで、難病相談・支援センターにおきまして、医療相談や患者家族の交流会などを実施いたしますとともに、ハローワークと連携し、就労に関する相談会を実施してまいりました。
 また、昨年度から、難病と就労支援に係る知識を有するコーディネーターをセンターに配置し、就労への助言、相談を行いますほか、多摩地域のハローワークに同行して、患者の就労相談時に、病態や就労に当たっての留意点等を説明するなどの支援を開始しておりまして、今年度は、都内全域のハローワークに同行できるよう、コーディネーターを増員し、体制を整備することとしております。
 現在、都は、学識経験者や支援機関の代表者等で構成する特殊疾病対策協議会におきまして、就労支援を含めた難病対策の方向性を検討しており、今後、その結果も踏まえ、関係機関と連携して就労支援の一層の充実を図ってまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 難病患者の雇用の促進についてでございますが、難病の方が疾患管理を行いながら働いていくためには、職場の理解や事業主への支援が重要でございます。
 これまで都は、障害者雇用についての啓発資料や職場定着支援のための助成金において、難病患者を対象として追加するなどの取り組みを行ってまいりました。
 今年度は、障害者や難病患者の職場定着やさらなる活躍を推進するため、職場での支援者を養成する事業や安定雇用と処遇改善を行う事業主への奨励金を創設いたしました。また、七月に開催する障害者雇用支援フェアにおきまして、難病相談・支援センターのコーナーを新たに設け、企業の理解を進めるためのセミナーを開催いたします。
 これらの取り組みを通じまして、難病患者の雇用の促進を図ってまいります。

○副議長(小磯善彦君) 四十一番木村基成君
   〔四十一番木村基成君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○四十一番(木村基成君) 舛添都知事のこれまでの会見、先日の所信表明や昨日の答弁は、一切、私の心には届きませんでした。むしろ、憤りが増幅しています。
 密室の中の考えや判断は、しょせん、自分に都合のよい解釈でしかあり得ません。東京に吹く大風への対処を間違ってはならないのです。
 以前、舛添都知事が、私の地元である中央線東小金井駅北口周辺の開発状況を目の当たりにして、このままではよくないから、しっかりやろうという趣旨のことをおっしゃいました。
 私は、あのとき、今まで動かなかったものが、もしかしたら舛添都知事のもとで動き出すのではないかと感じ、あなたを信じたのです。
 しかし、都知事を信用できなくなくなった今、舛添都知事、あなたに東京の未来について質問する意義が一切なくなったのです。
 また、当選後の舛添都知事に対して、私は、幾度となく残念な思いをしてきました。それは、人の思いを受けとめられないこと、そして何よりも、世界で一番の都市を目指す東京都の長であることの覚悟を感じることができないのです。
 私たちが暮らす東京は、江戸開府以降、江戸三大大火、関東大震災や東京大空襲など、多くの命が犠牲になって今日があるのです。今を生きる人、これから生まれてくる命、亡くなった命、その全てが大切なのです。自分だけが大切だという考え方のあなたに、連綿と続く東京の命を守る、その覚悟があるはずがないのです。
 都民、そして都議会議員からの信用を全て失った現状において、都政運営への影響をどのようにお考えになるのか、また、取り返しがつかない状態の収拾についてどうお考えになるのか、知事、お答えください。
 知事は、二年前の選挙戦で、多摩の振興なくして東京の発展なしとスローガンを掲げ、多摩振興の意思を示しました。
 多摩担当の副知事を設置し、現場視察も行い、多摩地域の問題に真っ正面から向き合ってくれる知事が誕生したと、どれだけ期待したのか、あなたはわかっているのですか。
 しかし、いつの間にか多摩地域からは足が遠ざかり、美術館ばかりをめぐり、湯河原通いを指摘されると、奥多摩より近いと豪語する始末です。多摩に住む都民にとっては、たった一人しかいない都知事から放たれた言葉に失望と憤りを感じています。
 多摩地域には、財源を初めとする諸課題があり、観光客誘致は多摩の活性化につながる大命題なのです。都知事には、東京全体への目配り、愛情がありません。都知事の軽薄な言葉や思考が、一連の問題における根源の一つではないでしょうか。
 そこで、都知事には、みずからの言葉とその重みについての見解を求めます。
 なお、これ以降、質問の一切は、先ほど申し上げた理由のとおり、知事ではなく、関係局長に回答を求めることといたします。
 初めに、観光政策について伺います。
 観光の一大産業化を目指す上で、国際会議等のMICEを開催することは、国内外の人の交流、情報の流通、集客の向上など、国際的な東京の都市としての競争力向上につながります。
 そうした背景から、世界のさまざまな都市では、MICE誘致を経済戦略と位置づけており、誘致の競争が激しくなっていると聞いております。
 都では、MICE誘致を進めるためにさまざまな施策を戦略的に打っていることは承知しております。大型の会議施設や受け入れ人数の多いホテルがある都心と日帰りでの観光が可能な多摩地域を組み合わせるような着想も行っております。多摩地域でのMICE開催の本格誘致はこれからであり、多摩でMICEを開催できるような取り組みを行う必要があると考えます。
 多摩におけるMICEの特徴は、国際会議を大学などで開催していることであります。行政には、宿泊施設や観光ルートづくりを含め、地元が一体となって協力する体制をつくり上げる後押しをしてほしいと考えます。
 東京を世界一の観光都市に育てていくためには、MICEの分野においても、多摩エリアでの観光振興に力を入れていくべきだと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、地域の魅力を生かす観光振興について伺います。
 東京には、文化や伝統的な建築物のほか、食や自然などの魅力のある観光資源が数多くあります。地元の自治体は、地域の特色をアピールするなどして誘致に努力していると思います。各地域が観光に力を入れ始めている現状では、ほかの地域よりも一層の工夫をしないと、観光客誘致の成果が上がりにくいと思います。
 例えば、姉妹都市や友好都市と共同で物産展や観光PRを行うことも一つのやり方だと思います。また、映画やテレビのロケ地、歴史上の人物などのテーマでイベントを開催するなど、積極的な展開が必要だと考えます。
 都が、地元自治体の観光資源を生かす取り組みの充実を図るとともに、都外の市町村との協力を深める工夫を引き出すような仕組みをつくり上げるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、観光関連団体の活動強化について伺います。
 観光客を誘致するには、観光協会など、地元の観光関連団体の努力も大変重要です。旅行者の興味や関心を集める事業を行うには、市場のニーズをしっかりと把握しなければなりません。
 観光振興は、地域の商業や工業において、旅行者による買い物などを通じ、大きな経済効果をもたらすことから、経済団体も観光協会の事業のあり方に注目しています。
 地域における旅行者誘致の取り組み内容のレベルを上げる必要があると思いますが、そのためには、観光関連団体への支援充実と、新しい観光振興に乗り出す団体をふやす取り組みも必要だと考えます。
 都として、それぞれの地域での観光振興をどのようにサポートする考えであるかを伺います。
 次に、多言語対応の取り組みについて伺います。
 昨年度の訪日外国人旅行者は初めて二千万人を突破しました。また、昨年、東京を訪れた外国人旅行者数も過去最高の一千百八十九万人となりました。
 都はこれまで、多言語対応の一環として、新宿駅の案内サインの改善策をまとめるなどしてきました。こうした多言語化は、訪日外国人だけでなく、在住の外国人の利便性向上にもつながると思うのです。
 二〇一九年にはラグビーワールドカップが行われ、二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピック東京大会が開催されます。今以上に多くの外国人が日本に訪れます。
 多摩地域においては、東京スタジアムがラグビーワールドカップ及びオリンピック・パラリンピック東京大会の会場となり、多くの外国人が訪れることが予想されます。
 多摩地域における多言語対応の取り組みを加速させるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、火山対策について伺います。
 平成二十八年熊本地震は、首都直下型地震の発生が懸念される東京にとって、災害のリスクを再認識する機会となりました。東京は地震以外にも火山への備えが必要な地域です。
 特に島しょ地域には、日本にある百十の活火山のうち二十一の活火山があります。現に、伊豆大島、三宅島では、過去にたびたび噴火災害に見舞われており、直近の噴火から大島では三十年、三宅島では十六年が経過するため、次の噴火に備え早急な対策が求められます。
 そこで、都の火山防災対策について見解を伺います。
 さらに、今回、公立大学法人としての中期目標が示された首都大学東京が火山災害対策の研究に新たに取り組み、専門的知見を活用して都の施策に反映させるという貢献が考えられると思いますが、所見を伺います。
 また、島しょ地域において、住民の命、財産を守るためには、火山噴火以外にも、南海トラフ地震を想定した津波など、あらゆる災害に備えることが必要です。とりわけ、地域住民が協力して迅速に避難するためには、自助、共助の要素を盛り込んだ防災訓練を行う必要があります。
 そこで、島しょ地域での防災訓練について伺います。
 島しょ部における火山噴火の懸念に加え、富士山についても、一たび噴火すれば首都圏に大きな影響を及ぼすといわれております。
 直近の大噴火である江戸時代の宝永噴火では、江戸に数センチの火山灰が降ったと見られており、降灰への対策は重要な課題です。
 そこで、都の富士山の降灰対策について伺います。
 次に、障害者雇用について伺います。
 私は、さきの予算特別委員会において、障害者のジョブコーチ制度などについて質問をいたしました。
 誰もが輝く一億総活躍社会の実現のためには、障害のある方が、その障害の特性に応じた働き方や仕事について、やりがいや生きがいを感じながら、職場で活躍できる社会にしていくことが重要だと思います。
 企業側が、障害者雇用について必要な理解をした上で受け入れることはもちろん、障害者自身も、企業での働き方についてしっかりと準備をした上で就業を開始することが重要です。
 そのためには、企業での職場体験を行うことが効果的ではないでしょうか。職場体験の機会を充実すべきと考えますが、都の所見を伺います。
 最後に申し上げます。
 東京は、いつ火山や地震などの災害に見舞われるかわからない状況なのであります。これ以上、都政を停滞させることはできません。
 都民を初め、議会が怒っているのは、都知事の政治資金への認識が一般常識とは大きく異なっていることであり、しかるに、都政に対する認識も大きくかけ離れているということであります。
 都知事のいうところの第三者からの説明を聞いて、さらに大きくかけ離れているということが明確になりました。あなたのいう第三者というのは、あなたを守るための盾でしかないんです。
 都知事には、この日本全国で吹く大風を認識して、早急に結論を出していただきたいと思います。あなたは政治家じゃないですか。政治家だったら、出処進退でしょう。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 木村基成議員の一般質問にお答えをいたします。
 信用失墜が都政運営へ及ぼす影響と事態の収拾についてご質問がございました。
 都政は、都民の皆様からの信頼や都議会の皆様との真摯な議論を土台に発展していくものでございます。今回の一連の問題や、これまでの私の姿勢によりまして、都民の皆様、都議会の皆様に私の言葉が届かなくなってしまった現状が都政の停滞を招いていることについて、心からおわびを申し上げたいと思います。一連の問題につきまして、今回の調査結果を踏まえまして、しっかりと対応してまいります。
 私の姿勢について、覚悟が感じられないという厳しいご指摘もいただきました。
 千三百六十万人もの都民の生命と財産を守りながら、世界一の都市を目指して都政を前に進めていくために、生まれ変わった気持ちで、一歩一歩理解を得ていきたいと思っております。
 都議会の皆様と再び都政の車の両輪を担い、都民生活の向上に向けて、ともに走り出すことができますよう、地道に努力をしてまいりたいと思っております。
 都知事の言葉のその重みについて、厳しいご指摘がございました。
 湯河原の事務所への公用車使用をめぐりまして、私の発言が多摩にお住まいの多くの都民の皆様に失望と憤りの念を生じさせましたことに対しまして、心からおわびを申し上げたいと思います。
 今回の事態を契機に心を入れかえ、都知事としての言葉の重みをしっかりとかみしめ、みずからの言動を律していきたいと考えております。
 私は、知事就任以来、東京を世界一の都市に押し上げるためには、多摩地域の発展が必要不可欠という姿勢で、観光振興や防災対策を初め、多摩の振興に力を入れて取り組んでまいりました。この思いは今でも変わりません。
 今後は、ご指摘の東京全体への目配りを怠ることなく、魅力にあふれ、夢と希望に満ちた多摩地域の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、多摩地域でのMICE開催についてでございますが、東京の観光振興を図る上で、多摩地域においても、MICEの開催効果を高めていく取り組みは重要でございます。
 都は今年度より、都心での国際会議の後で多摩を観光で訪れ、魅力を感じていただくため、その豊かな自然や伝統のある文化に触れる観光コースのほか、地域ならではの農業や林業を体験するツアーをつくってまいります。
 今後は、多摩でMICEが数多く開催されるよう、会議や宿泊の施設等を確保できるエリアを重点的に支援する拠点に位置づけ、会場周辺のにぎわいづくりや誘致に役立つPR活動等へのサポートを検討いたします。
 こうした取り組みによりまして、MICEを都心のほか多摩にも着実に誘致し、東京への旅行者の増加に結びつけてまいります。
 次に、地域の多様な観光資源の活用についてでございますが、地域のさまざまな観光資源を生かし、旅行者の誘致を進めるため、都はこれまで、東京の区や市が、地元の伝統文化や自然、景観などのテーマを選んで、地域の多様な魅力を生かして行う観光振興の取り組みに対し、必要な経費の一部を助成してまいりました。
 今年度は、自治体に対する支援の規模を昨年度の倍にふやすとともに、都外の他都市との連携を新たにテーマとして加えました。これにより、自治体が協力して行うイベントやアンテナショップの開設などの旅行者誘致の取り組みに結びつけてまいります。これらを通じて、地域の多様な魅力を生かした観光振興の一層の充実を図ってまいります。
 次に、地域の観光関連団体への支援についてでございますが、都内の各地域で、観光関連の団体が新しい知識や人材を確保し、効果の高い事業を進めることや意欲的に旅行者の誘致に取り組む団体をふやしていくことは、東京の観光振興を図る上で重要でございます。
 都は今年度より、観光関連団体の課題の解決に役立つオーダーメードの研修を実施いたします。また、大学の観光学部の学生を観光協会に派遣することで、都政と連携した取り組みなどを対象にノウハウや人材の提供を行ってまいります。これにより作成した計画の実現に要する経費に助成も実施いたします。
 今後は、地域ごとの魅力ある観光資源を開発する上で、活躍が期待できる観光関連団体への支援や新たな団体の設立へのサポートの充実を検討いたします。こうした取り組みにより、都内各地域の観光振興を適切に進めてまいります。
 最後に、障害者の就業支援についてでございますが、障害者雇用を推進するためには、職場体験実習の機会を提供し、企業には障害特性等について、また、障害者には職場での働き方等について理解を促すことが有効でございます。
 そこで都は、職場体験の機会の確保に向け、専任アドバイザーが受け入れ企業を開拓するとともに、面談会を開催し、マッチングを行ってまいりました。あわせて、障害者や企業が安心して実習できるよう、実習生の保険料の補助や実習先企業に対する助成金の支給を行ってまいりました。
 こうした取り組みをさらに進めていくため、今年度は、アドバイザーを増員したところであり、企業開拓や受け入れ準備支援を強化するとともに、面談会の回数をふやし、より多くの職場体験の機会の提供を進めてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 多摩地域における多言語対応の取り組みについてでございますが、都は、ラグビーワールドカップ二〇一九及び二〇二〇年東京大会に向けて、多言語対応を推進するため、昨年、東京国際フォーラムで、全国の自治体等を対象にフォーラムを開催するなどを通じまして、そのノウハウを提供してまいりました。
 来月には、多摩地域で初めて、府中にある東京自治会館におきまして、都内市区町村及びその関係団体職員を対象にフォーラムを開催いたします。
 今回のフォーラムは、お話にありました訪日外国人への取り組みが在住外国人にも役立つという視点も踏まえまして、観光や公共交通に加え、災害対応や地域の情報提供などもテーマといたしまして、先進事例を紹介するとともに、最新のICTの展示も行ってまいります。こうした取り組みによりまして、多摩地域を初め都内全域で多言語対応を一層推進してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 災害対策についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず、火山防災対策についてでございます。
 都はこれまで、気象庁と連携して火山活動状況の観測を行ってきたほか、伊豆大島、三宅島については、噴火後、降雨時に発生しやすい火山灰の泥流や土石流対策として砂防施設等を整備してまいりました。
 また、昨年十二月、改正活動火山対策特別措置法が施行されたことを受け、本年四月、伊豆諸島の火山ごとに、知事を会長といたします防災協議会を設置し、島しょ地域の実情に沿った避難場所、経路などを盛り込んだ避難計画の策定に向け、協議を行っております。
 伊豆大島、三宅島については今年度中に避難計画の策定を行うほか、八丈島などほかの島についても順次避難計画を策定するため、火山専門家や地元自治体等と精力的に協議を進め、火山防災対策を積極的に推進してまいります。
 次に、首都大学東京の火山災害対策研究についてでございます。
 災害対策を初めとする都の政策課題に、都が設立した大学である首都大学東京が教育研究面から貢献していくことは重要なことでございます。
 これまで大学では、首都直下地震を想定した総合防災対策研究プロジェクトや、都市における局地的集中豪雨に関する研究など、都の施策と連携した取り組みを進めてまいりました。
 ご提案の火山災害対策に関する研究については、減災など都民生活の安全・安心に寄与するものであり、都政の課題の解決に貢献するという第三期中期目標の趣旨に合致するものと考えます。
 今後、この中期目標を受けて法人が作成いたします中期計画に反映できるよう調整をしてまいります。
 次に、島しょ地域での防災訓練についてでございます。
 島しょ地域は、その地域特性から孤立化が懸念されるため、都におきましては、毎年秋に島しょ地域の町村と合同で、自助、共助を重点とする防災訓練を実施しております。
 ことしは、火山噴火に伴う大島町の全島避難から三十周年となる十一月二十一日に、大島町及び利島村と合同で防災訓練を実施いたします。
 具体的には、あらゆる災害を想定し、島民による避難所への避難や、自力での避難が困難な要支援者等の避難誘導などの訓練を実施いたします。また、噴火災害を想定し、船舶を活用した島外避難訓練を行う予定でございます。
 今後とも、災害時に島民による迅速かつ適切な避難行動がとれるよう、地元自治体等と連携した訓練を実施してまいります。
 最後に、富士山の降灰対策についてでございます。
 富士山噴火による降灰は、国の富士山火山広域防災対策基本方針によれば、南関東一円に影響を及ぼすとされ、その対策は都にとって重要な課題と認識しております。
 そのため、都は、平成二十一年に東京都地域防災計画を修正し、富士山降灰対策の項目を設け、区市町村や道路管理者、ライフライン事業者等の役割を明確にいたしました。
 また、噴火の影響が都を越えて広範囲に及ぶことから、都は、九都県市首脳会議を通じて、国に対し対策の指針を示すことなどを要望しております。
 国は、富士山の降灰による大都市の社会インフラ等への影響調査に着手し、今後、対応策について検討するとしており、都といたしましては、関係自治体と連携し、国に引き続き総合的な降灰対策を求めてまいります。

○議長(川井しげお君) 五番山内晃君
   〔五番山内晃君登壇〕

○五番(山内晃君) 最初に、都政課題について各局長に答弁を求め、その後、知事に基本姿勢を伺います。
 まずは、障害児について伺います。
 医療技術の進歩や女性の高齢出産により、今後、何らかの障害を持たれた子供が増加していくといわれております。
 先日、私の地元品川にある障害者を受け入れる施設でイベントが開催され、参加した際、子供が重症心身障害児の母親から、受け入れ施設の不足と施設で医療従事を担う医師、看護師の不足について、切実な思いで語られました。
 平成二十四年四月に児童福祉法が改正され、重症心身障害児を対象とした通園事業が児童発達支援として法定化されるなど、障害者への対応は大きく前進しております。
 しかし、先ほどのような切実な声があるのは事実であります。特に、重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複する重症心身障害児の多くの方は在宅で生活をしており、介護されるご家族は日々、大変な苦労をされております。とはいえ、愛する子供を思う親の気持ちは何物にもかえられないことを我々はちゃんと理解し、重症心身障害児が地域でよりよいサポートのもと、家族とともに生活できる環境を向上させていかなくてはならないと考えます。
 そこで、重症心身障害児へのサポートについて、都の取り組みを伺います。
 都の支援が必要なのは重症心身障害児だけではありません。
 障害者総合支援法の見直しが進み、改正案の中でも新たな課題として注目をされている医療的ケア児についてですが、たんの吸引や経管栄養など医療的ケアが必要な子供が在宅で暮らすケースが増加しております。今の制度では想定外とされ、親たちが十分な支援を受けられず孤立したり、幼稚園などに通えず、居場所が見つけられないことが多々あると伺っております。
 現在、特別支援学校に通う子供たちだけでも、八年前から比べ一・五倍の約九千人が国内で医療的ケアを必要とされております。
 医療的ケア児は、就学前の施設への受け入れ先について大きな課題があると伺っております。例えば、重症心身障害児は障害者のくくりですが、医療的ケア児の大半は障害者というくくりではないため、行政から施設への給付金に大きな差が生じるため、運営上、施設側から受け入れを断られるケースがあるということであります。
 また、地域における相談体制の整備とそのマンパワーの確保も必要であります。
 障害児の日常生活や施設への受け入れ先、就学に関することなど、障害児の家族の切実な思いを受けとめ、適切な支援につなげていくことが重要であります。障害者総合支援法施行三年後の見直しに伴い、今般成立した改正児童福祉法においても、医療的ケアを必要とする障害児が適切な支援を受けられるよう、医療、保健、福祉等の連携促進に努めることとされたところであります。
 そこで、今後、いわゆる医療的ケア児への支援に向け、都はどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 都営地下鉄の安全・安心の確保、テロ対策について伺います。
 ことし三月、ベルギーの地下鉄で卑劣かつ残忍なテロ行為が発生しました。輸送密度が高い東京の地下鉄で万が一テロが発生すれば、多数の利用客が巻き込まれる事態となります。
 そうした中、今回のサミットの警備を見ますと、乗降者数の多いターミナル駅では、警備員が巡回するなど厳重な警戒がなされていました。一方で、周辺の乗降客の少ない駅は、改札等の係員の配置も少なく、そこからテロリストが侵入するのではないかという不安を感じたところであります。
 テロ対策の全容を公開することは危機管理上問題がありますが、日ごろから異常を見逃さない体制を構築し、テロの発生を未然に防止することや、仮にテロが実行された場合には迅速かつ的確に対応するための対策を講じていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 輸送障害等が発生した際、外国人旅行者への案内について伺います。
 過日、日本の都心で最も混雑するJR山手線とJR京浜東北線が秋葉原駅付近において、支柱倒壊事故で九時間余りも不通となりました。その際、駅や車内で案内放送が日本語のみでの対応だったため、外国人旅行者が戸惑ってしまったようです。
 通常とは異なる状況のときに、外国人旅行者に対し正確な情報を知らせてあげることが外国人旅行者に対する親切なサービスであり、不可欠だと考えますが、見解を伺います。
 次に、固定資産税について伺います。
 大規模な建築物の固定資産税評価についてですが、都は、今後も都内で十万平米を超える建物が増加していくことを見据え、それらの評価方法を見直す検討会を新たに立ち上げました。
 私の地元西品川一丁目地区でも、延べ床面積十八万平米の複合用途のビルが平成三十年竣工予定で、都市基盤の整備と地域の防災性向上が期待をされております。こうしたまちづくりを後押しするためにも、大規模建築物の評価方法をわかりやすく見直すことが必要だと考えます。
 オフィスやホテルなどの入った十万平米を超える建物は、先進的な建築技術を取り入れた数万点の資材が使用されており、規模や用途にかかわらず、資材価格を積み上げる現行の方法は非常に複雑で、評価額が決定するまで時間がかかるようです。
 今回の見直しに当たっては、学識経験者による検討だけではなく、制度の適用を受け、最新の建築の現場を熟知している事業者の考えを聞くべきだと考えます。耐震構造を初め、建築技術の動向や、時間とともに建物の価値がどう変わっていくかなど、事業者の知見を生かしていくことが重要だと考えます。
 こうした事業者の意見を固定資産税評価の見直しにどのように反映させていくか、都の見解を伺います。
 次に、日本の職人わざ、とりわけ左官職人のすぐれたわざの承継について伺います。
 日本建築においては、古来より左官職人がこてを巧みに用いて壁を塗り上げてきました。中でも、しっくいが用いられた壁は湿気の多い日本の風土に合ったものであり、天然素材からできているために有害物質を含まない健康壁ともいわれ、評価が高まってきております。
 一方で、左官職人については、その技能を受け継ぐ人材が減少するとともに、高齢化が進んでおり、これまで培われてきたすぐれた技能の継承が大きな課題となっております。
 このような課題を解決し、次代を担う若者にすぐれた左官職人のわざを継承していくために、都として積極的な取り組みを考えますけれども、見解を伺います。
 ところで、知事、今回、私は一般質問で障害児施策、また東京のテロ対策について、都の方針を知事に求めるはずでした。
 厚生労働大臣を経験された豊富な知識で、増加していくといわれる障害児に対し、今後一層の支援の充実が必要だと考えたからであります。障害者施策について、都に対する期待が大きいため、知事から今後のビジョンについて答弁をしてもらいたかった。
 テロ対策については、オリンピック・パラリンピックを控え、東京の安全・安心を最優先とし、都民、国民のみならず、今後増加する外国人旅行者が東京で楽しい時間を送っていただくための整備について、知事の所見を聞いておかなくてはならない、そのように思いました。
 ところが、今回の騒動により、みずから都民の信頼を失っていると発している知事にそのような重要課題の答弁を求めることは不可能と判断をし、残念でなりません。
 疑惑騒動については、ご自分で招いたことであります。ですから、ご自分で都民一千三百万人に説明責任を果たすべきだったのではないでしょうか。なぜ第三者の手をかりなくてはならなかったのか。理解不可能であります。
 リーダーにとって最も重要な能力、それは危機管理であります。危機管理については都民から高いレベルで求められているものでありますが、知事は毎週のように湯河原に通い、首都東京に対する危機管理意識の低さをまさに露呈いたしました。
 そんな知事は、四月のアメリカ出張でも如実に示されました。熊本地震の際、国難を顧みず、出張日程を予定どおりこなしました。ワシントンDCのイベントでは、赤いベントレーのオープンカーに乗り、にこやかに手を振る知事のご満悦な姿に多くの都民、国民が衝撃を受けたはずであります。
 海外出張優先、危機管理は二の次。知事が発する都民の安全・安心はまさに口先だけ。知事は危機管理をどのように考えているんですか。お答えをください。
 危機管理の意識を問われ、政治と金について指摘をされる知事を当選させてしまった有権者は、大変後悔をされているはずです。この人だったら間違いない、そう思って投票し、当選され、期待も大きかった。ところが、このような事態になるなんて誰もが予想していなかった。誰もが裏切られたと思っているはずです。
 頭脳明晰な人は、人をだますのが上手だといいます。知事は人に裏切られた経験がありますか。信頼を裏切るということはどれだけ傷つけられることか。信頼を取り戻すことは一朝一夕でできることではありません。
 職場とは、互いが信頼し合い、初めてよい仕事ができ、結果につながります。
 先日、都庁職員にインタビューをする報道番組で、トップリーダーがスキャンダルで騒がれ、そんな人のもとでよい仕事ができるわけがないと切実に訴えておりました。内部からそのような声が出るのはまさに異常事態であります。
 都職員は、二〇二〇年大会や福祉、防災、都市整備、教育などさまざまな課題を克服し、世界で一番の都市東京を実現させ、次の世代にすばらしい東京を残していくことを使命だと思い、日夜仕事に励んでいただいております。都の現状は、停滞どころか後退してしまっていると私は危惧をいたしております。
 東京を世界で一番の都市にすると訴えてきた都知事と職員の信頼関係について、知事はどのようにお考えですか。お答えをください。
 都民の声に耳を傾けるということを知事はどのように受けとめますか。
 政治家の仕事は有権者の声を聞くことが重要で、それを実現することが何より大事であります。私も一都民として、今後、知事に期待をし申し上げること、それは知事、みずからけじめをつけることであります。もうこれ以上、都政を後退させてしまうことに我慢の限界であります。都民の期待を裏切ってきた知事。冷静に都民の声に耳を傾け、そして現状を直視してください。知事にとって、それが今最も重要なことではないでしょうか。
 知事は、信頼を回復し、議会と真摯な議論をしていきたいなどとおっしゃっておりますが、本気でそのようなことを思っておられるのでしょうか。見識を疑います。真摯な議論とおっしゃっておりますが、何を議会と議論するつもりなのでしょうか。お答えをください。
 都議会自民党は、昨日の代表、そして本日の一般質問において厳しい指摘をし、今後も都民、そして議会が、納得がいくまで手を緩めることなく追及をしてまいりますことを皆様にお話し申し上げ、以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 山内晃議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、危機管理についてご指摘がございました。
 危機管理の重要性は十分に認識しているつもりでございましたが、私の行動が都民の皆様に不安を与えたとすれば、まことにざんきの念にたえません。危機管理意識が低いとのご指摘も当然だと思っております。
 湯河原につきましては、危機管理上もさまざまなご批判をいただいたところでありまして、事務所は売却いたします。
 また、アメリカ出張でのパレードは行事に組み込まれていたものでありましたが、被災者の方々を初め、国民の皆さんを大変不快な気持ちにさせてしまいまして、大変申しわけなく思っております。ご指摘のとおり、予定を切り上げることをもっと検討すべきでございました。今後は、海外出張の必要性自体を厳しく精査してまいりたいと思っております。
 私の行動が都民、国民の皆様の目にどう映っているか、このことにもっと思いをいたし、行動を律していきたいと考えております。
 知事と職員の信頼関係についても厳しいご指摘がございました。
 私は、就任に当たって、職員への挨拶で、皆さんは一人一人が都庁の代表であって、都知事の分身であることを肝に銘じて日々の仕事に取り組んでもらいたいと述べました。職員にこうした意識で仕事をしてもらい、成果を上げていく組織とするためには、ご指摘のとおり、互いの信頼関係が不可欠でございます。それにもかかわらず、職員の信頼を失いつつあることは、まことにじくじたる思いでございます。改めて日々の職員の仕事ぶりに感謝いたしますとともに、ともによい仕事がしたいと思ってもらえるように、一連の問題にしっかりと対応してまいります。
 知事としての信頼の回復についても、またご指摘がございました。これ以上、都政を後退させてしまうことは我慢の限界というご指摘を厳しくいただきました。大変重く受けとめたいと思っております。このような事態を招いていますこと、改めまして心からおわびを申し上げたいと思います。
 都民の皆様から多くの厳しいご批判をいただいていることも十分に承知してございます。そうした中ではありますけれども、私は、就任以来、都議会の皆様と交わしてきた議論を踏まえまして地道に都政の発展に努力をして成果を上げていくことで、一歩一歩、皆様方の信頼を回復したいと考えてございます。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、重症心身障害児に対する支援についてでありますが、都は、重症心身障害児が地域で安心して生活できるよう、障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおきまして、平成二十九年度までの三年間で百三十人分の定員増を目標に掲げ、整備費の特別助成を行うなど、通所施設の設置を促進しております。
 また、家族の病気等で一時的に家庭での療育が困難になった際に施設などに短期間入所できるよう、病床を確保しているほか、家族の休養などを目的に、看護師が自宅を訪問して家族にかわってケアを行う事業を実施しておりまして、NICU等から退院を予定している家庭に対しましては、在宅への移行に向けた看護指導などを行っております。
 今後とも、区市町村や関係機関と連携し、重症心身障害児とその家族への在宅支援の充実に取り組んでまいります。
 次に、医療的ケアの必要な障害児への支援についてでありますが、都では、障害児やその家族の相談に対応し、適切なサービスにつなげられるよう、相談支援を担う人材の養成を進めますとともに、地域における相談、助言等の中核となる児童発達支援センターの整備を促進しております。
 また、NICU入院児の在宅療養への円滑な移行を促進するため、周産期母子医療センターへのコーディネーター配置を支援しているほか、地域の短期入所事業所などでの障害児の受け入れを進めるため、障害者支援施設等に看護師を配置する区市町村を支援しております。
 今後、改正児童福祉法の趣旨も踏まえ、医療的なケアが必要な障害児が適切な支援を受けられますよう、人材の確保、育成を図り、保健、医療、福祉の連携を進めてまいります。
   〔交通局長山手斉君登壇〕

○交通局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営地下鉄のテロ対策についてでございますが、鉄道事業者として、テロの未然防止に努めますとともに、テロが発生した際には、関係機関と連携し、的確な避難誘導等により、被害を最小限にとどめることが重要でございます。
 そのため、専門家の助言を得ながら、駅員のセキュリティー意識の向上を図るとともに、駅員や警備員による巡回警備をより一層強化してまいります。あわせて、引き続き駅の監視カメラの増設を重ね、さらに映像を自動的に解析し不審者等を検知する新しい技術の実証実験を行ってまいります。
 また、爆発物やNBCテロに対処する訓練につきましても、警察、消防など関係機関と連携いたしまして、テロの類型に応じた対応手順に基づき、より実践的な内容で行うなど、ハード、ソフト両面からテロ対策を強化し、輸送の安全確保に全力で取り組んでまいります。
 次に、輸送障害発生時の外国人旅行者へのご案内についてでございますが、都営地下鉄では、改札口に設置しております運行情報表示装置で、他社線を含む遅延情報等を四つの言語で提供するとともに、今年度から、外国人利用者が多い駅ではコンシェルジュが英語で輸送障害等の案内放送を行っております。
 今後は、コンシェルジュを配置していない駅や地下鉄車内におきましても、駅や乗務員に配備を進めておりますタブレット端末を活用いたしまして、多言語での案内放送を充実させてまいります。
 さらに、Wi-Fi等の通信環境が使えない場合でも、輸送障害等の情報を音波の活用によりまして、お客様に選択いただいた言語でスマートフォンへ同時にご案内を可能とする新技術の実用化に向けた実証実験を行ってまいります。
 今後とも、外国人旅行者を含め、どなたにも安心して都営交通をご利用いただけるよう、正確な情報の確実なご案内に積極的に取り組んでまいります。
   〔主税局長小林清君登壇〕

○主税局長(小林清君) 大規模建築物の固定資産評価についてでありますが、都は、近年増加している大規模で用途が複合的な建築物の評価方法を見直すため、建築、不動産鑑定、法律等の専門家から成る検討会を本年四月に設置いたしました。
 今回の見直しに向けた検討は、昭和三十八年に定められました現行の評価方法の改正につながるため、新たな制度の適用を受けることになる納税者の方々から広範なご意見をいただくことは、税制に対する理解を得ていく上でも重要であると考えております。
 このため、来月開催する検討会では、都市開発の事業者の方々からヒアリングを実施し、建築技術の進歩の動向を初め、現行の評価制度の課題や、今後のあり方などについて幅広い観点から意見交換を実施いたします。
 こうした議論を十分踏まえまして、簡素、迅速で納税者にわかりやすい制度の構築を進めてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 左官職人の技能継承についてでございますが、東京のものづくりの持続的な発展のためには、これまで培われてきた技能を確実に次の世代に引き継いでいくことが必要でございます。
 都は、次代を担う人材を育成するため、職業訓練において、左官工事も含めた住宅の内外装に必要な知識、技能を修得できる科目を設置するとともに、都内に勤務する優秀な技能者を東京マイスターとして表彰し、技能者の社会的地位の向上を図っております。
 さらに、卓越した職人わざを現場の若手職人にわかりやすく伝えるために、そのわざを動画に収録し、DVDの配布やウエブサイトでの公開などにも取り組んでおり、今年度は左官の職人わざを取り上げてまいります。
 今後とも、こうした取り組みを通じ、左官業を担う職人の技能継承を支援してまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時十分休憩

   午後五時三十八分開議

○議長(川井しげお君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事舛添要一君。
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 斉藤やすひろ議員の質問のうち、今回の調査についての答弁につけ加えをさせていただきます。
 弁護士は、前知事から紹介されたものではございません。

○議長(川井しげお君) 発言は終わりました。

○議長(川井しげお君) 質問を続行いたします。
 四十五番大場やすのぶ君
   〔四十五番大場やすのぶ君登壇〕

○四十五番(大場やすのぶ君) まず初めに、知事の問題について私の意見を申し上げます。
 知事の五月二十日の定例記者会見を受け、私の事務所や自宅にも毎日のようにメールや電話が多数あり、中には三十分以上お叱りを受けたものもございます。地域と都政のパイプを担う者の一人として、都民が切実に訴える気持ちに強く同感をするところです。
 また、都庁には二万件以上の苦情電話があり、全く仕事にならないとの職員の声を聞きます。都の職員は都民のために働いているのであり、知事のために仕事をしているのではないということを肝に銘じなくてはならないと思うのです。
 知事の地元世田谷区立小学校では、抗議活動により授業に支障を来し、自宅周辺の住民にも迷惑をかけ、近くの飲食店は各社の取材で臨時休業にさせられた事実をご存じでしょうか。
 知事には、そうした都民の生の声を直接聞いていただきたいし、たとえそれが罵声を浴び、針のむしろでつらくとも、ただただ恐れ入るしかないのです。直接聞いていただいたならば、これまでの会見や答弁のような姿勢では決していられないはずです。
 知事は会見で、心から深くおわびを申し上げますと頭を下げましたが、区民、都民、国民は誰一人として気持ちが伝わってきません。
 そこで、これまで取り上げた中でも、知事の海外出張について伺います。
 知事は、世界で一番の都市東京の実現のためと称し、就任以来わずか二年四カ月ほどの間に、韓国を三回、イギリスとロシアをそれぞれ二回、中国、フランス、ドイツ、アメリカも訪問しています。しかも、特定の国には複数訪れています。
 確かに姉妹都市との友好は大切です。しかし、私たち都議会自民党が何度か指摘してきたように、同じ国、同じ都市を何度も訪れるくらいなら、その前に、被災地のほか、オリンピックの招致に協力してくれた国内の都市や、今後、オリンピック・パラリンピック開催で協力を仰がねばならない道府県を訪問することを考えなかったのでしょうか。海外出張を優先させたその理由を改めて伺います。
 また、海外出張については経費の不透明さが問題視され、出張の成果も見えないとの批判が高まっています。多額の税金を使う以上、都民の理解を得ながらやっていく必要があります。
 我が党は、五月三十一日、宇田川幹事長名で知事に対して、海外出張の内容や経費等について都民及び議会が十分に理解できるものでなければならず、本定例会において説明を果たすよう要望書を提出しています。
 今後、出張の成果と費用の内訳をどのように公表していくのか、知事に伺います。
 この後の都政の課題については、各局局長にお尋ねしてまいります。
 まず、高齢化への対応について伺います。
 十年後の二〇二五年には、全ての団塊の世代が七十五歳を超えて後期高齢者となり、単身高齢者や認知症高齢者がさらに増加します。都民の四人に一人が六十五歳以上、七人に一人が七十五歳以上という、これまでに経験したことのない超高齢化社会を迎えます。
 都は、この超高齢化社会に対応し、地域での生活を支える地域包括ケアシステムの構築を着実に進めていかなくてはなりません。健康寿命が八十歳まで延伸すれば、健康で元気な高齢者がふえることになり、こうした方々が社会の新しい担い手となることが期待されます。
 現在、都は二〇四〇年代の東京の将来像を東京のグランドデザインとして描くこととしています。超高齢社会の中での東京のあるべき将来像を考えるに当たっては、健康な高齢者が社会で活躍する視点が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 高齢化に伴い増大する地域ニーズに対応するには、元気な高齢者を初めとする住民や町会、自治会、NPOなど地域の多くの主体の参加を得て、多様な生活支援サービスを充実させていく必要があります。
 区市町村では、昨年度からの介護保険制度により、生活支援サービスの提供体制の整備を求められており、できるだけ多くの住民から自分たちの地域を自分たちで支えようという意識や行動を引き出していけるよう、都は、生活支援コーディネーターや関係機関のスキルアップを支援し、元気な高齢者を初め、多様な主体による生活支援サービスの充実に積極的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、地域の底力再生事業助成について伺います。
 ことしはオリンピックイヤーであり、いよいよ二〇二〇年、平成三十二年オリンピック・パラリンピック競技大会が四年後に迫ってきました。
 二〇二〇年大会の招致の際には、町会、自治会の皆さんが約八十五万もの署名を集め大会開催に大きく貢献しました。こうした力を結集し、地域から東京全体の機運を盛り上げていくことが、大会の成功につながると考えます。
 都は、地域社会における共助の中核である町会、自治会のさまざまな活動を支援するため、我が党の提案で始まった、地域の底力再生事業助成において、今年度から新たに町会、自治会が行うオリンピック・パラリンピックの機運醸成につながる活動を補助対象に加えるなど、制度の充実を図ったところです。
 そこで都は、こうした制度充実の効果をさらに高め、町会、自治会が一体感を持って機運醸成の取り組みを進められるとともに、町会、自治会活動に関心のない人にもアピールできるよう、地域への支援を積極的に進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、政策支援税制について伺います。
 今年度、東京都税制調査会では、都の重要施策を支援する税制のあり方について検討すると聞いています。
 例えば、環境先進都市を目指すには、温室効果ガス排出量の削減や再生可能エネルギーの普及拡大が必要であり、事業者を巻き込むような積極的な環境対策が求められます。
 また、次の時代を担う子供たちをよりよい環境で安心して産み育てるためには、子育て世代のニーズに応える少子化施策も重要です。この点、待機児童が多い地元世田谷区では、保育所等の整備が切実な問題となっているところであります。
 このような重要施策を強力に推し進めていくためには、財政的な支援や規制緩和、税制上の優遇措置も効果的に組み合わせるなど、実効性の高い対策を講じる必要があります。
 重要施策が山積する今、東京都税制調査会で政策支援税制のあり方を検討することは時宜を得ているものと認識しています。重要施策を税制面から支援するに当たって、事業を実施する各局との連携が重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、パラリンピックの機運醸成について伺います。
 我が党はこれまで、パラリンピックの成功なくして二〇二〇年大会の成功はないと繰り返し主張してきました。パラリンピック大会の成功に向けては、一人でも多くの方にまずはパラリンピックに関心を持っていただき、その魅力やだいご味を知っていただくことが何よりも重要であると思います。
 来る九月七日には、いよいよリオデジャネイロ・パラリンピック大会が開幕します。これは、上野や立川、東日本大震災の被災三県に設置されるライブサイト、テレビ放映の視聴を通じて、都民、国民が実際の大会の感動に触れることができる絶好の機会であり、このリオ大会を契機として、二〇二〇年大会を成功させるためパラリンピックの機運醸成に向けた取り組みをさらに一層強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、スポーツの振興について伺います。
 さらに、二〇二〇年パラリンピック大会を成功させるのはもちろんのこと、これを機に健常者と障害者が相互に理解を深め、分け隔てなく一緒にスポーツを楽しむ社会を、二〇二〇年大会のレガシーとして残していくことが重要であります。
 私も地元の駒沢オリンピック公園総合運動場のスポーツイベントに足を運び、昨年十月のスポーツ博覧会や十一月のパラ駅伝では、健常者、障害者の区別なく、車椅子バスケットボールやランニング等を楽しむ参加者の姿を目にしてきました。
 こういった健常者と障害者が一体となってスポーツを楽しむ機会のさらなる創出に向けて今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、障害者の人権について伺います。
 先日、東京都や府中市等が実施した憲法週間行事に参加しました。障害へのさらなる理解に向けてと題し、障害者と子育てに関する講演と、障害のある子とその父がトライアスロンに挑戦する映画が上映され、とりわけ練習を積み重ね、レースに臨む過程で成長した車椅子の息子が、途中で断念しようとする父親を励まし、再び力を合わせて走り出すシーンには、障害者の方々の無限の可能性も感じ、涙を流し、強い感銘を受けました。障害のある方々が、その能力や個性を発揮して、大いに活躍できるような社会の実現の必要性を改めて痛感いたしました。
 本年四月には、障害者差別解消法が施行されましたが、障害者やその家族の皆様にとって、日常生活及び社会生活を送る上で配慮が十分ではないと感じる場面がまだまだ多いと聞きます。そのような場面を減らしていくためには、周囲の正しい理解が不可欠であります。
 そこで、障害者に対する理解を深め、差別や偏見がなくなるよう、まさに人権の尊重という視点からの啓発が必要であると考えますが、都はどのように取り組むのか、所見を伺います。
 次に、人権啓発拠点の機能強化について伺います。
 オリンピック憲章では、オリンピックは人権に配慮した大会であることがうたわれるなど、二〇二〇年大会に向けて、国際社会からこれまで以上に人権尊重理念を実現することが求められてくるものと考えます。
 今定例会に港区への移転を主な内容とする東京都人権プラザ条例の改正案が提案されました。大会まで四年を切ろうとしている今、この移転を契機として、人権啓発拠点である東京都人権プラザの機能をますます強化することが必要と考えます。
 そこで都は、新たなプラザにおいて具体的にどのように機能強化をし、啓発に取り組んでいくのか、見解を伺います。
 これまで東京都の諸課題について都の見解を伺ってまいりました。本来であれば、知事に対して聞くべきことも、今のこの状況を見ればできないのです。都政は間違いなく停滞しています。
 公共の一番の価値は、お金にかえられないものが生まれるところにあると思っております。目下、知事は公共の値下げ札状態であるとご確認をいただきたいと思います。
 日本は恥の文化と申します。恥をしのぐために心血を注ぐことが日本人の血には流れております。世界に誇らんとした我が国の首都東京のトップが、いかに恥をしのいでいくのか、今こそ問われております。
 この私たちの大切な都政運営に関する質問時間を割かれる事態を真摯に受けとめていただき、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 大場やすのぶ議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、海外出張でございます。
 私は就任以来、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会の参考とするための大規模スポーツ大会の視察や、姉妹友好都市等との協力を通じた大都市問題の解決を目指しまして、海外諸都市を訪問してまいりました。結果として、同じ国、同じ都市を複数回訪れたことは事実でございます。
 しかしながら、東北の被災地やオリンピック・パラリンピック招致に協力していただいた都市等を訪問することも都政にとっては重要でございまして、いただいたご指摘については真摯に受けとめ、反省をいたしております。
 今後は、海外出張につきましては、知事でなければ果たせない役割がある場合など出張の必要性を厳しく精査することで、バランスのとれた都政運営を心がけたいと考えております。
 次に、都民の理解を得ていくための方策についてご質問がございました。
 海外出張に関する情報の公開方法につきましては、現在、海外出張経費検討会で検討を進めさせております。これまで海外出張に要しました経費の総額と出張成果につきましては、都のホームページにおいて公開してまいりましたが、昨年のパリ、ロンドン出張については、より詳細に経費と成果を公開することとし、既にホームページに掲載してございます。
 今後は、過去の出張についてもこうした情報の公開を行っていく方針でございます。さらに、情報開示請求でより詳細な情報を求められた場合には、今後、一層の透明性を確保する観点から、非開示項目の見直しを行いまして、可能な限り開示項目を拡大させる方向でございます。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 健康な高齢者が活躍する将来像についてですが、高齢化のさらなる進行に伴い、社会保障費の増大、労働力人口の減少が見込まれますが、そうした中でも東京が活力を維持し発展していくためには、ご指摘のとおり、高齢者が健康を保ち社会で活躍することが必要となります。
 都は、生活習慣病対策など健康づくりの推進に取り組んでおりますが、将来的には、再生医療やロボット技術など進歩の著しい科学技術の成果の活用で、健康寿命のさらなる延伸が期待されるところでございます。健康で意欲に満ちた高齢者が積極的に社会にかかわっていくことで、さまざまな場面で支える側として活躍する社会の形がつくられていくと考えられます。
 東京のグランドデザインでは、多くの元気な高齢者が生涯現役で生き生きと活動している将来像を描き、それに向けた都の大きな方向性を示してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 高齢者を支える地域づくりについてのご質問にお答えをいたします。
 高齢者の多様なニーズに応えるためには、お話のように、生活支援コーディネーターと地域包括支援センターや社会福祉協議会などの関係機関が連携し、元気な高齢者や町会、自治会、NPO、企業など多様な担い手による生活支援サービスの充実を図っていく必要がございます。
 このため、都は昨年度から、新たなサービスを生み出す手法なども盛り込んだコーディネーター養成研修を実施するほか、関係機関向けにコミュニティビジネスの立ち上げ支援等のためのセミナーを開催しており、今年度は新たな担い手の育成に有効なワークショップ運営の手法を身につけるセミナーも実施いたします。
 今後とも、都内全域で支え合いの地域づくりが進むよう、区市町村や地域での取り組みを積極的に支援してまいります。
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 地域の底力再生事業助成についてですが、二〇二〇年大会に向けて地域から機運を盛り上げていくには、お話のように、地域活動の中核を担う町会、自治会の役割は大変重要でございます。
 そのため、町会、自治会に都が直接支援する地域の底力再生事業助成において、今年度からオリンピック・パラリンピックの機運醸成につながる活動を補助対象に加えるなど充実を図ったところ、第一回申請では昨年度と比べ一・五倍の申請があり、機運醸成の取り組みが動き出したと考えております。
 今後、都は、さらに町会、自治会がより一体感を持って取り組めるとともに、活動の輪を広げていけるような新たな具体的方策を検討し、こうした機運醸成の動きを加速させ、広がりのあるものにしてまいります。
   〔主税局長小林清君登壇〕

○主税局長(小林清君) 政策支援税制についてでありますが、現在、都は、世界一の都市東京を目指し、さまざまな政策目標を掲げており、施策を推進する一つの手段として、税制を活用する意義はますます高まっていると認識しております。
 今定例会には、再生可能エネルギー発電設備の導入拡大に向けまして、いわゆるわがまち特例を活用し、事業者の税負担を最大限軽減する条例案を提案しております。
 また、今年度の東京都税制調査会では、子育て支援など都の重要施策を支える税制のあり方を検討事項としておりますことから、事業を進めます関係各局との連携を強化し、税に関する要望や国の動向を十分に把握した上で、政策支援税制についての議論を深めてまいります。
 こうした議論を踏まえまして、税の公平性やインセンティブ効果等も見きわめながら、政策目標の実現に向けて税制面からの支援を進めてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、パラリンピックに向けた機運醸成についてでございます。
 都は、お話しのNO LIMITS CHALLENGEを昨年度から区市町村及び庁内各局と連携して展開してまいりました。今年度は都内での開催を三十七カ所へと大幅にふやすこととしまして、五月には特別版として銀座で大規模イベントを実施いたしました。さらに、東京パラリンピック大会開催四年前の八月二十五日から約一カ月間、都営大江戸線の二十二の駅で、競技の迫力を立体展示やプロジェクションマッピングなどにより体感できる企画展示を実施いたします。
 加えて、リオ・パラリンピック大会のライブサイトでは、大型ビジョンで競技を生中継するほか、体験コーナーも設けてまいります。その際には、交通広告、専用ウエブサイトなど多様なメディアを活用し、集中的に情報発信を行ってまいります。こうした取り組みを通じまして、大会開催機運を一層盛り上げてまいります。
 次に、障害者と健常者が一体となってスポーツを楽しむ機会の創出についてでございます。
 都は、障害のある人とない人がお互いの競技への理解を深め、ともに楽しむ機会とするため、都民体育大会と障害者スポーツ大会の合同開会式を開催してきました。
 さらに八月には、例年海外十三都市などからバドミントン、卓球の選手を招待するジュニアスポーツアジア交流大会に、今回初めて障害者の部を設け、海外から障害者アスリートを招聘いたします。大会では、障害者と健常者の交流試合を通じましてスポーツのすばらしさを共有し、国境を越えて友情を育む場としてまいります。
 こうした機会の創出によりまして、障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しむスポーツ都市東京の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 人権施策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者の人権についてでございますが、都はこれまでも、人権啓発行事の実施や人権啓発冊子の作成、配布に加え、インターネット等さまざまな媒体を活用して幅広い都民に向けた啓発に努めてまいりました。
 今後は、まず本年秋に開催する予定のヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一六において障害者の人権を重点的に取り上げ、パラリンピックスポーツ競技の実演コーナーやアール・ブリュット作品の展示等により障害者が活躍する姿を紹介してまいります。
 このほか、新たに作成する予定のオリンピック・パラリンピックと人権のリーフレットでは、障害者アスリートへのインタビュー等を盛り込み、幅広く配布いたします。
 これらの取り組みを通じ、障害者に対する差別、偏見がなくなるよう一層の努力を積み重ねてまいります。
 次に、人権啓発拠点の機能強化についてでございます。
 都は、現在の東京都人権プラザが抱える老朽化等の課題を克服するため、来年一月に港区に移転し機能強化を図る予定でございます。
 移転を契機に、これまで培ってまいりましたノウハウや実績を踏まえ、セミナールームの新設、多言語対応等ICT機器の有効活用や体験型展示を導入するなど、展示事業を中心に充実を図ります。特に次代を担う子供、若者を初めとする幅広い層の都民を対象に、わかりやすく利用しやすい啓発を行ってまいります。また、事業の展開に当たっては、国、企業、教育機関等と緊密に連携してまいります。
 このような取り組みを通じ、二〇二〇年東京大会の開催に向け、人権尊重の理念が一層浸透した社会の実現を図ってまいります。

○議長(川井しげお君) 七十六番島田幸成君
   〔七十六番島田幸成君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○七十六番(島田幸成君) 冒頭に、今回の熊本、そして大分で発生した地震で亡くなられた方々に対してご冥福を申し上げます。そして、被災者の方々には心からお見舞いを申し上げます。
 知事に質問させていただきますけれども、本日も淡々とお答えされていますけれども、しっかりと知事の言葉でお答えをいただきたいというふうに思っております。
 さて、知事は、この写真の光景、さきにもありましたけれども、この光景をよく覚えているというふうに思います。これは、知事がワシントンを訪問した際、四月十六日の桜祭りのイベント写真です。知事は真っ赤なオープンカーに乗り、笑顔で観衆に手を振っていますが、私は大変残念でした。そして、多くの方々も残念に思っていると思います。知事の出身地である九州で甚大な地震が発生した直後、死亡者が報告され、不明者の安否がわからず、不安な状況に日本中が包まれている中、どうして首都東京の知事にこのようなことができるのでしょうか。
 今回の出張は、スイートルームやファーストクラスの利用、多くの随行員を伴う豪華出張であるという批判がある中で行われました。しかも、大地震が発生し、都庁では知事の指示により地震対策の本部が設置され、被災地支援の準備も進んでいました。天皇皇后両陛下におかれましても、行事をキャンセルされたと聞いております。
 こうした状況を考えれば、知事は、このイベントには出席せず、すぐに日本に帰り、一刻も早く被災者支援に尽力すべきだったと思います。見解をお伺いいたします。
 被災地に行くどころか、週末には湯河原の別荘で休んでいるようでは、被災地支援について首都東京の知事としてのリーダーシップが全く発揮されません。知事は、ご自身の出身地九州で起きた災害支援にどれだけ汗をかいたのでしょうか。そして、どのように陣頭指揮をとっているのでしょうか。知事の被災地支援に対する基本認識についてお伺いいたします。
 私は、残念ながら、知事の危機管理意識が希薄なのではと思っています。定例記者会見で、知事が湯河原に頻繁に帰っていることを質問されたときに、知事は、アメリカにいるとか、東京にいるか、周辺にいるか、どこにいるかは、危機管理上は連絡体制が整っていれば問題ないと豪語しておりましたが、果たしてそうなのでしょうか。
 万が一、知事が外国出張の際、東京で大地震が発生した場合、情報収集を初め一刻も早い対応が必要なはずです。都庁には全ての情報が集約される防災センターもあります。現場にいれば対応も早くできます。
 大島で発生した土砂崩れの際には、町長が出張のため不在で避難指示がおくれたのではないかともいわれました。
 私は、ずっと東京にとどまれといっているわけでありません。宿泊を伴う出張もあるでしょう。ただ、頻繁な海外出張、一年間で四十八回にも及ぶ湯河原での滞在など、都民から多くの疑問が湧いております。知事の危機管理に対する基本認識をお伺いいたします。
 私が特に憤慨しているのは、湯河原滞在の是非に対する四月二十八日の記者会見での知事の発言です。知事は、私の選挙区である奥多摩や檜原を例に挙げ、時間や距離的にいうと湯河原の方が早いといい放っているのです。何で知事は、湯河原の滞在を正当化するために、奥多摩や檜原を例に挙げたのでしょうか。
 年間四十八回も行っているのですから、湯河原が大好きなのはわかります。そして、神奈川県の知事でしたらわからなくもない発言です。しかし、東京都の知事が、奥多摩、檜原を湯河原と比較し、あたかも奥多摩が遠くて、湯河原が近いところであるかのようにいうのは信じがたいことです。私は、その知事の姿勢に怒っています。実際、都庁から奥多摩、檜原へは、湯河原より時間的にも距離的にも近いことはいうまでもありません。そして、奥多摩、檜原は豊かな自然が残る風光明媚なすばらしいところなんです。
 知事は、湯河原や都心の美術館へはよくいらっしゃるようですが、西多摩地域、奥多摩、檜原へ視察でいらしたことはあるのでしょうか、お答えください。
 奥多摩や檜原の皆さんは過疎化で悩み、観光振興を初め地域活性化のために力を注いでいます。私も議会で西多摩地域振興の質問をたびたびしていますが、地域を何とか盛り上げていきたいという思いがあるからです。
 西多摩地域や島しょ地域を見下げるような知事の発言には、地域の方々も深い失望と強い怒りを感じています。ここ数日、総会シーズンで西多摩の方々に会いましたが、その怒りは頂点に達しています。
 知事のこの発言に対しては、西多摩選出の都議会議員として断固抗議するとともに、発言の撤回と謝罪を求めます。
 また、知事は、本年二月二十日土曜日に、神奈川県湯河原町合併六十周年の式典に公務として訪れています。来賓として挨拶されていますが、どんなことを述べられたのでしょうか、お答えください。
 知事は就任以来、東京都市町村の周年行事に全く出席されていないと聞いています。東京都の周年行事に出席しない知事が、どうして他県自治体の周年行事に参加するのでしょうか。知事の私邸が湯河原にあるというのは、あくまでも私的なことです。
 知事の公私混同が大問題になっていますが、公務として出席する理由が不明確です。湯河原町の六十周年式典に出席した理由をお聞かせください。
 また、先日、湯河原町に確認したところ、町としては東京都知事ではなく、地域の著名人として、舛添研究所に招待状を出したということです。これが事実だとしたら、私的な依頼に公用車を利用するという公用車の利用規定違反に当たる可能性があるのではないかと考えます。知事の不透明な公用車利用については、今議会でたびたび指摘されていますが、湯河原町六十周年式典における公用車利用の是非について見解をお伺いいたします。
 知事は都知事になった最初の施政方針演説で、多摩の発展は東京を世界一への都市へと押し上げるために必要不可欠であると述べ、多摩振興を重要施策に位置づけられています。就任直後は多摩へ視察に訪れていますが、昨年度は一度も多摩地域に視察に来られていません。
 先日六月三日の会見で、多摩を視察できない理由に手術による長時間の車の利用に制約があることを挙げられていますが、海外出張や湯河原には行けるのに、どうして多摩地域には来れないのでしょうか。就任時は多摩地域の専管副知事を置くという話もあったようですが、どうなったのでしょうか。知事は本当に多摩地域を発展させるつもりがあるのでしょうか。
 多摩地域の多くの都民からそのような疑念が持たれていますが、視察を含め、知事の多摩振興に関する基本姿勢について明確な答弁を求めます。
 知事は、東京世界一実行宣言、選挙公約において、都庁一丸となった行政の無駄排除や政治と金の問題に直視し、金のかからない政治の実現に全力を挙げますと記しています。しかし、実際はどうでしょうか。選挙公約とは真逆の、金のかかる無駄だらけの政治が行われているといわれてもしようがありません。
 先日来日した、世界で最も貧しい大統領といわれるウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカ氏は、私は国民から離れることができませんし、離れようともしません、壁をつくることで、国民は政治から離れていきます、最もよくないことは、国民から政治が嫌われること、そうなると政治は失敗に終わりますといっています。
 残念ながら、都民の知事への信頼は全くありません。都民の支持を得られなければ都政が停滞し、都政運営は失敗に終わります。
 私は、昨日からの議会の答弁を聞いても、残念ながら、このまま、知事、都政運営することは極めて困難と考えています。知事は身の処し方を決断すべきと考えますが、どうでしょうか、知事。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 島田幸成議員の一般質問にお答えいたします。
 海外出張についてでございます。
 熊本地震で亡くなられた皆様に深い哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 熊本地方で震度七の地震が発生したことは、発生直後に事実を把握いたしまして、出張中は都庁からメール、電話などにより逐次報告を受けまして、宿泊部屋や移動の車中などでも協議を行いまして、対応について指示をいたしました。
 都庁におきましては、休日も含め副知事以下を参集させ、情報の共有と速やかな対応を徹底したところでございます。このような対応を行った上で、当初の出張目的もしっかりと果たすべきであるという判断をみずから下したものでございますが、ご指摘のとおり、予定を切り上げることももっと検討すべきであったと考えております。
 また、桜祭りのパレードの映像が放送されたことを不快に感じた方が多くいたという声につきましては、真摯に受けとめたいと思っております。
 次に、熊本地震への支援に対する認識でございますけれども、私は熊本地震の発生を受けまして、首都直下型地震がいつ起こってもおかしくないという認識のもと、被災地に対して積極的に支援するように指示をいたしました。
 都といたしましては、本震が発生した四月十六日、直ちに熊本地震情報連絡会議を設置しまして、全庁的な情報共有と被災地への人的、物的支援を迅速かつ継続的に実施できる体制を構築しまして、被災地の立場に立って必要な支援を積極的に進めてまいりました。
 具体的には、救出、救助、災害復旧支援などの人的支援はこれまで延べ一千三百人を超えまして、また毛布や給水袋等支援物資を迅速に搬送するなど、全庁挙げた幅広い支援を行っております。
 今後も引き続き、現地のニーズを的確に把握して、関係機関とも連絡を図りながら、必要な支援を遅滞なく行っていくことにしてございます。
 危機管理についてご質問がございました。危機管理の重要性は十分に認識しているつもりでありましたが、危機管理意識が希薄であるという厳しいご批判は真摯に受けとめたいと思います。
 湯河原の事務所は売却いたします。
 海外出張の必要性自体についても厳しく精査をしたいと思います。
 私の行動が、都民、国民の皆様の目にどう映るのか、このことにもっと思いをいたし、私の危機管理意識への疑念を払拭していきたいと考えております。
 西多摩地域、奥多摩、檜原への視察の有無についてでございますが、私は知事就任以来、公約として多摩・島しょ地域の振興を図るため、伝統野菜であります東京ウドの生産農家、医療施設、保育園など、多摩地域の視察を行ってまいりました。
 奥多摩町及び檜原村につきましても、平成二十六年七月に視察を予定していましたが、当日、残念ながら天候不良によりヘリコプターの運航が不可能となり、中止となってしまいました。そこで、同地域につきましては、また十月にも再度視察の準備をしたところでございますが、現地への台風の接近に伴い、再び視察を断念せざるを得ず、その後、視察を果たせず、現在に至っているものであります。
 視察については、今後、今般の皆様からの批判や第三者の弁護士による調査報告書の内容も十分踏まえまして、視察対象のバランスにも配慮するとともに、多摩・島しょ地域など、東京全体の地域性も考えながら、視察のスケジュールを組み立てていきたいと考えております。
 西多摩地域や島しょ地域に関する私の発言について厳しいご指摘がございました。四月二十八日の会見で、私が、奥多摩や島しょ地域よりも湯河原の方が時間、距離的に都庁から近いという趣旨の発言をいたしましたことで、奥多摩や島しょ地域の方々に大変不快な思いをさせてしまいましたことを深く反省して、おわびを申し上げたいと思います。
 湯河原町の合併六十周年記念式典の挨拶でございますが、私は、二月二十日の湯河原町合併六十周年記念式典に出席し祝辞を述べました。湯河原町が昭和の大合併によって現在の姿になってから六十周年を迎えたことをお祝い申し上げるとともに、オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年に向け、今後の町の発展を祈念するという内容の挨拶を行ったと記憶しております。
 この出席した理由についてご質問がございましたけれども、これは町からの式典への公式の招待を受け、祝辞を依頼されたものであります。式典当時が出席可能な日程であったことからお受けをいたしました。
 湯河原町六十周年記念式典における公用車利用についてご指摘がございましたが、私としては、東京都知事として出席したと認識しておりまして、公用車利用のルールに抵触するものではないと考えております。
 次に、多摩振興に対する私の基本姿勢についてご質問をいただきました。
 多摩地域は、豊かな自然と東京の三分の一に相当する四百万人もの人口を擁し、また多くの大学や研究機関が集積するなど、多様な可能性を持つ地域でございます。こうした多摩地域の発展は、東京を世界一の都市に押し上げるために必要不可欠であるというのが私の知事としての基本姿勢でございます。
 このため、私は知事就任直後に、多摩・島しょ地域の担当副知事を任命するとともに、地域の実情把握に努め、多摩の振興に力を入れて取り組んでまいりました。昨年度は結果として視察できなかったことは、今後は、私は、多摩振興に対するこの思いに疑念を持たれることのないように、多くの現場に足を運び、地域の課題や強みをこの目で確認しながら、多摩の発展に尽力してまいりたいと考えております。
 最後に、私の出処進退についてご指摘がございました。都政を前に進めるためには、都議会の皆様との真摯な議論や都民の皆様からの信頼が不可欠でございます。これらを欠けば都政は停滞するという厳しいご指摘のとおりでございます。
 今の私は、多くの都民の皆様からのご批判を受けておりまして、そのことは大変重く受けとめております。まずは、一昨日公表いたしました調査結果をもとにしまして、反省の気持ちをしっかりと胸に刻み、地道に都民の皆様、都議会の皆様のご理解を得ていきたいと考えている次第でございます。

○副議長(小磯善彦君) 五十番石川良一君
   〔五十番石川良一君登壇〕

○五十番(石川良一君) 知事の政治姿勢について伺います。
 当然のことでありますけれども、国民は、公権力を行使できる地位にある者が権力を行使して私腹を肥やすことはもちろんのこと、特定の人や団体に利益誘導を図る行為や、公私混同を忌み嫌います。ましてや東京都は、スウェーデンやインドネシア一国にも匹敵する予算を持っています。絶大なる権限を持ち、知事という地位にある者に対しては、法を犯すことはもちろんのこと、疑惑さえ持たれることのない高潔さが求められるわけであります。
 とりわけ前知事は、徳洲会グループからの五千万円の金銭を受け取った問題で厳しい批判を受け、辞職するに至ったことからも、都民から政治と金の問題には特に厳しい視線を投げかけられているわけであります。
 舛添知事も、かつて自身の著書の中で、夢と希望にあふれる国づくりの第一歩は政治改革である、金絡みのあらゆる癒着を断ち切る、これなくして日本が夢と希望を持てる国に生まれ変わることはあり得ないと記しています。
 まさに今、オリンピック・パラリンピック開催という夢に向かっていくときであります。知事自身に向けられた不信を払拭しない限り、オリンピック・パラリンピックという希望を語る資格がないということを断言をしておきたいと思います。
 知事が二〇一三年、二〇一四年、正月に木更津市のホテルに家族で宿泊した際、そのホテル代を政治団体が政治資金から会議費として支出しました。二〇一三年は衆議院議員選挙の結果についての相談であり、二〇一四年は知事選挙の対応で会議を行っていたと説明をしています。相談をした人物は同じ人であり、二〇一三年には数時間、二〇一四年には一時間程度面談したとしております。しかし、知事は五月の記者会見では、事務所関係者らと会議をしていたといっていたわけであります。
 木更津のホテルで家族と宿泊中、行ったという会議の内容、参加者、会議時間等について、記憶力のよい知事がなぜ最初から出版社の社長一人であることを、自分の口から率直に話をしなかったのか、その理由を伺います。
 また、知事が説明責任を果たす気があるなら、千葉のホテルで相談した人物を知事自身が明らかにしなければならず、そうでないと誰も知事の言葉を信じることはできません。改めて、誰だったのか、名前を明らかにしてください。
 政治家は、政治とお金にまつわる倫理性を常に高めていく努力が必要といえます。今回知事が公用車で通っていた湯河原の別荘の土地、建物の登記簿上の所有者は、株式会社舛添政治経済研究所で、夫人が代表取締役を務め、残る取締役は知事本人のみとなっております。
 昨日、この別荘を売却するという表明がありました。会社の所在地も世田谷区の自宅となっております。報道によると、世田谷の自宅も知事本人が三億円で購入をしたとのことで、その後、夫人代表の舛添研究所名義となり、今また知事の名義となっております。
 また新党改革の代表時代、みずからが代表を務める政党支部と関連する政治団体、グローバルネットワーク研究会、泰山会が家賃として舛添政治経済研究所に月額四十四万二千五百円、年通算で三千七百万円が支払われております。しかも、政党支部の収入の大半は税金である政党交付金で賄われており、国民の血税が家賃としてファミリー企業に還流しているというわけであります。
 資産公開は、政治家とお金にかかわる倫理性を高めることに主眼があるわけで、知事のわかりにくい資産のあり方を、家族も含め、みずからより明確にしていく必要があると考えます。
 東京都知事の資産公開については、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律に準じて条例化をしております。この条例の目的は、都知事の資産の状況を都民の不断の監視と批判のもとに置くため、資産を公開し、政治倫理の確立を期すと理解することができます。
 私も稲城市長を五期二十年務めましたが、市長一期目のときに、稲城市でお金と政治にまつわる疑惑があったわけではありませんが、まさに政治倫理を高めるため、まだ国の資産公開に関する法律ができる前であるにもかかわらず、東日本で最初に資産公開条例を制定しました。しかも、条例の内容は、配偶者や扶養子女も対象とし、普通預金も含めた資産をも対象としたわけであります。また五人の委員から成る資産報告審査会を設置し、厳正な審査を行い、制度の趣旨を徹底させました。
 知事や市長などの首長は、権限も強く、また政治とお金について家族を含め疑いを持たれることのないよう、決然とした態度で臨めるようにするのは当然のことであります。
 知事の公私混同問題が噴出しているからこそ、配偶者や知事自身の普通預金も含めた徹底した資産公開をこの際行うべきと考えますが、いかがですか。
 次に、基地問題について伺います。
 一昨年二月、多摩地域経済団体横田飛行場民間利用促進協議会が発足をしました。設立趣旨は、横田飛行場への民間航空機利用を、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催時までに実現するよう、地元多摩地域の経済団体等が連携し、実現を図るとしております。
 そして、昨年には、ラグビーワールドカップの開会式や開幕戦が東京スタジアムで行われることも決定をいたしました。また、イングランド大会は、世界のVIPや富裕層がプライベートジェットでロンドンを訪れております。今回、ラグビーワールドカップからオリンピック・パラリンピックにつなぎながら、横田基地を民間航空機が利用できる空港とするまたとない機会といえます。
 知事は、マスコミとのインタビューで、本年二月に、横田基地の軍民共用化について、五輪の機会しかないと述べております。都として具体的にどう取り組むのかお伺いいたします。
 かつて石原知事は、国が動かなければ、みずからが行動を起こして政策課題に挑戦をし、ディーゼル車の排ガス規制なども実現をいたしました。また、米軍基地問題についても、日米安保にかかわる外交、防衛問題であることを承知の上で、敗戦による米軍の占領が続いているともいえる東京の基地のありようを変えるために努力をし、一部空域の返還も実現をいたしました。
 それに比べて、舛添知事の具体的行動が見えないわけであります。基地の軍民共用化については、西多摩の関係する自治体と意見交換し、また西多摩の振興策も具体的に示し、理解を求め、足元を固めて、政府や米側に働きかける必要があると考えます。
 現在、二〇四〇年代を見据えた都市像について、都市づくりのグランドデザインの議論が都市計画審議会の中で有識者によって始まっておりますけれども、例えばこのような長期的な視点での検討においても、この基地問題は重要なテーマの一つと考えられます。
 そこで都は、長期的に基地問題についてどう取り組んでいくのか伺います。
 グランドデザインの中では、しっかりと東京の基地の未来像を描いていくことを求めておきたいと思います。
 最後に、多摩ニュータウン長峰地区のまちづくりについて伺います。
 多摩ニュータウン稲城地区は、昭和六十三年に入居が始まり、計画的で都市美を備えたまちづくりが進んできました。稲城市域は三つの住区に分かれ、それぞれの地域に住民の皆さんの生活の利便上必要な施設を誘致しながら、まちづくりが進んできました。また、稲城市には、東京都からも部長級の職員の派遣を得ながら、UR都市再生機構と連携を図りながらまちづくりを進めてきました。
 今回、長峰地区では、入居当初より都市センター、住区サービス、病院等のための用地活用とうたわれており、稲城市の都市計画マスタープランでも、地域支援機能集積地、近隣利便施設地区に指定された用地として、最後に残された四千七百平米の土地があるわけであります。
 ところが、ガス工事の工事用車両基地を建設する企業に、URがこの土地全てを売り払ってしまったわけであります。住民からすれば、商業などの施設が進出する用地とURから入居の際、説明も受けており、まさに青天のへきれきだったわけであります。
 今回、長峰地区の住民代表から、都においてURに対して、近隣利便施設の提供等を求める陳情も出されております。
 そこで、現在の状況について伺います。
 稲城市のニュータウンづくりは、短期間でまちづくりを進めることによって起こる急激な少子化や高齢化、商店街の衰退の弊害を避けるために、時間をかけて進めてきたわけであります。これからの時代の変化に対応できるリザーブ用地を確保していくことも重要です。長峰地域住民が望む、商業施設やこれからの時代に必要となる高齢者施策のための土地利用が可能になるよう、都も、多摩ニュータウンの事業者として大所高所から支援をしていただくことを求めておきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 石川良一議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、千葉のホテルでの打ち合わせについてでございますが、平成二十五年一月に行いました打ち合わせについては、つき合いが長く、かねてより相談相手としておりました元新聞記者の出版会社社長をホテルの客室に招き、前月に行われました衆議院選挙で結果を出せなかったことを踏まえまして、政治家としての今後について相談をしたものでございます。また、翌年一月の打ち合わせにつきましては、翌月に実施された都知事選挙への出馬について決断を迫られていたことから、同じく出版会社社長にホテルに来ていただき、相談したものでございます。
 最初から自分の口で率直に話さなかったではないかというご指摘につきましては、真摯に受けとめ、深く反省しているところでございます。また、この社長の氏名等につきましては、大変恐縮でございますが、先方との関係でお答えできないことをご容赦願いたいと思います。
 資産公開についてご質問がございました。知事の資産公開は、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開に関する法律に基づいて条例を定め、国の制度に準じた運営を行っているものでございます。ご提案のような件につきましては、国の動向も踏まえて対応してまいりたいと考えております。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、横田基地の軍民共用化に向けた取り組みについてでございますが、横田基地の共用化は、首都圏西部地域の航空利便性の向上や、多摩地域の活性化などに資するものでございます。また、二〇二〇年大会の開催時には、海外からの来訪者の増加も見込まれます。
 この問題は、外交、安全保障にかかわることから、国と連携していくことが不可欠でありまして、今後とも、提案要求活動などの機会を捉え、国に働きかけてまいります。
 次に、基地問題への取り組みについてでございます。
 米軍基地は、日米安全保障体制の一翼を担うものでございますが、日米地位協定では、必要でなくなった場合は我が国に返還しなければならず、そのために必要性を絶えず検討する旨が定められてございます。
 都は、国に対し、都民の生活環境を改善し、地域のまちづくりを推進する観点から、基地の返還の可能性が検討され、整理、縮小、返還が促進されるよう働きかけを行っており、この取り組みを今後も継続してまいります。
 最後に、稲城市長峰地区の開発についてでございますが、事業者は、近隣住民に対し建設計画に関する説明会を四月に行っており、現在、近隣利便施設の設置等について、住民との話し合いを継続的に行っているところでございます。

○副議長(小磯善彦君) 十一番おときた駿君
   〔十一番おときた駿君登壇〕

○十一番(おときた駿君) 都民の怒りは、頂点に達しています。私自身も、舛添知事にはその座から一秒でも早くおりていただきたいと思っています。舛添知事は、判断をするのは有権者と、記者会見などで繰り返しておりますが、既に複数の世論調査では八割を超える都民が舛添知事に辞任を求めています。
 そこで、判断を有権者に預けると宣言した知事に伺います。
 どのようなことがあれば、この明確な有権者の民意を受けて、その知事の座からのいていただけるのでしょうか。具体的かつ詳細に教えてください。
 次に、海外視察経費についてです。
 そもそも一連の問題の発端の一つは、私の総務委員会で、海外出張費の内訳を求める質問に対して、前代未聞の答弁拒否を行ったことです。さらに、答弁で要求された公文書開示請求を行ってみれば、出てきた資料はこのとおり(パネルを示す)ほとんどが黒塗り。まさに舛添都政の情報隠蔽体質、無責任体質を象徴する出来事でした。
 そこで伺います。
 この総務委員会での答弁拒否及び黒塗り情報公開は、舛添知事の意思によるものですか。それとも、事務方が勝手にやったことでしょうか。どちらかはっきりとわかる形で明確にお答えください。
 また、ここで大切なのは、過去の事実の精査です。未来のことはどうとでもいえます。今現在、黒塗りで公開になっているこの部分は、知事の意思で取ることができるはずです。今から、この黒塗り部分を外した過去の海外視察の経費情報を公開される意思はありますか。イエスかノーかではっきりとお答えください。
 そして、舛添知事はきのうから、生まれ変わる、真摯に反省するなどと述べる一方で、過去の出来事についての認識は、全くご自身の言葉でお答えいただいておりません。公私混同の家族サービスの経費を計上されたり、また項目が白紙の領収書を受け取られた際、国民の税金をごまかして横領しようという明確な意図があったのではないでしょうか。何を考えてこのような明らかな、不適切な経費を政治資金に計上されたのか、反省や真摯な対応ではなく、当時のご自身のお考えを、ご自身のお言葉でお答えください。
 また、数ある疑惑から代表して一点だけお聞きします。
 平成二十三年九月七日に赤坂の喫茶店で出費した金額について、メディアの取材に答えた店主が、このような金額の領収書を切った覚えがないと証言しています。実際に小さな喫茶店で二十数名分の一万八千円の会計が発生することは極めて不自然です。関係者への事情聴取を行っていないことから、この報告書の内容をうのみにすることはできません。
 この店主の証言との矛盾をどのように説明されますか。この日の勉強会の出席者などを招聘して、勉強会はあったと断言できますか。調査結果ではなく、知事の言葉でお答えください。
 知事関連の最後に、説明責任について伺います。
 舛添知事は、調査報告書を議会に説明するに当たり、安藤副知事が説明をされました。その多くは都政に一義的にかかわることではなく、政治家舛添要一の問題です。なぜこの説明を副知事に行わせたのでしょうか。みずからの言葉で責任を語れない政治家に、都知事の資格はありません。副知事に調査報告を行わせ、自身が説明責任から逃げた理由を都民にもわかるように明瞭にお答えください。
 次に、韓国政府への都有地貸与について伺います。
 本件は文書質問でも疑問を呈しましたが、韓国人学校に優先的に都有地を貸与する合理的理由は、今のところ明示をされておりません。
 舛添知事は、批判が多いこの政策を見直す気がないと表明した記者会見において、都民は一千三百五十万人いる、どんな施策をやっても批判がある、私の支持者が九割いて、一割反対でも百三十五万人、それが政治の世界だとおっしゃいましたが、九割の支持者どころか、今や八割に迫る都民が舛添知事の辞任を求めています。
 このような状況で、舛添知事の政治パフォーマンスともとれる合理的根拠なき独断施策を進めることは許されません。韓国との交流や国際親善の意義を否定するものではありませんが、都有地貸与の計画は見直すべきと考えます。見解を伺います。
 また、舛添知事は本施策を進めるに当たり、私の地元北区に創設されたフランス人学校との比較について言及しておりました。もちろんこれにも批判の声が皆無ではありませんでしたが、関係者の理解を得て、大変な歓迎ムードの中でつくられたものです。
 一方で、この韓国人学校の新設については、地元自治体や地域住民への説明は十分になされたのでしょうか。自治体と地域住民からの意見を真摯に受けとめた上で計画を再考すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都独自の迎賓館の新設について伺います。
 延遼館を迎賓館として復元することについて、多くの疑問が呈されています。この施設が、迎賓館としての利用が計画されたのはいつごろでしょうか。また、現時点で、迎賓館としての機能を持たせるためにどれぐらいのコストが増大したのかを教えてください。
 そして、舛添知事の肝いり政策ともいわれるこの事業、国の施設との重複からも、使用頻度からも、建設の必要性は見出せません。信頼とリーダーシップを完全に失った知事の決断に、億単位の都民の公金を出させるわけにはいきません。この計画も全面的に見直されるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、社会的養護についてお伺いをいたします。
 先月末、児童福祉法の改正が行われ、家庭養護の原則が明示をされました。一方で東京都では、施設養護が中心となり、里親委託、特別養子縁組に積極的とはいいがたい状況です。都道府県の中でほぼ唯一、家庭養護の単独目標を設けず、一部施設を含む家庭的養護との合計値で目標を設定しているのがその最たる証左です。
 この法律改正を機に、東京都も里親委託の単独数値目標を設定し、家庭養護の促進に強く邁進するべきと考えますが、見解を伺います。
 また、関連して、同性カップルへの養育家庭認定について伺います。
 六月二日に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランにおいて、セクシャルマイノリティー、いわゆるLGBTに対する理解促進が初めて明記されました。
 社会的養護の分野を見ると、先進諸国では同性カップルが里親のなり手として貴重な存在となっており、多様性の観点からも望ましいとされています。法律上は、同性カップルが里親になることは可能です。
 東京都は、里親認定基準において、同性カップルもその対象とすべく検討を開始するべきと考えますが、見解を伺います。
 そして、法改正により、児童相談所の二十三区への設置が可能となりました。区長会からもかねてより要望があり、また、福祉先進国の例を見ても、児童相談所に当たるものは基礎自治体が担っていることが通例です。
 これを契機に、二十三区への移管を前提とした検討を早急に始めるべきと考えます。見解を伺います。
 障害児の対応の充実について伺います。
 改正児童福祉法により、初めて医療的ケア児という言葉が記載をされました。東京都では、行政サービスに加算がつく重症心身障害児の判定に大島基準を使用しており、医療的ケアが必要になるものの、重症心身障害児のカテゴリーに入らないために、特定の行政サービスから排除される子供たちが発生しています。
 この法改正を契機に、基準を見直して、医療的ケア児への行政サービス拡大を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、医療的ケア児は現在、特別支援学校のスクールバスを利用することができず、教育の機会が奪われています。看護師の同乗やバスの増便での対応は物理的に可能です。再考を求め、見解を伺います。
 最後に、改めて一言申し上げます。
 もはや舛添知事への信頼は回復不可能なほど毀損されており、仮にこれから猪瀬前知事同様、給与の一部返上などを申し出たとしても、到底、都民の理解を得ることはできません。舛添知事の辞任を求める声は日増しに高まり、リコールも現実味を帯びています。
 東京都民から百五十万筆を集めることは不可能だといわれておりますが、不支持率が八割を超える現在、これは決して難しい数字ではありません。このまま知事という権力の座に固執をして、不信任案でその座を追われるのか、都政史上初めてリコールされた知事という不名誉を負うのか、それともみずから潔く身を引かれるのか、どれが最も最適な選択かおわかりのはずです。
 知事みずからの辞職決断を都民の思いとして強く強く求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) おときた駿議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、有権者の民意についてでございます。
 都民の皆様から多くの厳しいご批判をいただいていることは、真摯に受けとめております。そうした声が都庁にも多数届いていることも承知をしております。
 今回発表しました調査結果を踏まえ、問題点をしっかりと改め、その上で、都民並びに都議会の皆様のご理解をいただけるよう、地道に都政の発展に尽くしていきたいと考えております。
 総務委員会答弁と情報公開についてでございます。
 総務委員会の質疑における理事者の答弁及びその後の情報開示については、いずれも実務レベルで判断したものでございます。
 海外情報の公開についてでありますが、海外出張経費の公開方法や情報開示請求の対応につきましては、現在、海外出張経費検討会で検討されております。経費の情報公開につきましては、パリ、ロンドン出張の経費の詳細を既に都のホームページ上に公開しておりますし、ほかの出張にも拡大し、積極的に情報を公開してまいります。
 また、公文書開示請求の対応につきましては、今後より一層透明性を確保する観点から、過去の海外出張につきましても、非開示項目の見直しを行い、可能な限り開示項目を拡大する方向であります。
 それから、政治資金として経費を支出した当時の私自身の考えについてご質問ございました。
 昨日来、この議場において大変厳しいご指摘をいただいているところでありますが、ホテルの例をとれば、私としては、旅行先で重要な政治的打ち合わせをしたという認識でございまして、その考えに立ち、政治資金収支報告書に記載したところでございますが、家族旅行先でそれを行ったからといって、安易に全体の経費を政治資金として支出したことは、今となっては常識から外れていたというほかはなく、真摯に反省をしております。
 また、領収書のさまざまな不備につきましても、会計処理の不徹底を率直におわび申し上げたいと思います。ただ、国民の税金をごまかそうとか横領しようというような、あるまじき意図は決してないことだけは申し上げたいと思います。
 このような疑念を抱かれることは私の不徳のいたすところでございまして、今後はこのようなことのないよう、全身全霊で信頼回復に努めてまいります。
 赤坂の喫茶店で出費した金額についてのご質問がございました。
 当初報じられていたことは事実に反します。喫茶店近くの会議室で私の政治資金パーティーであります舛添政治経済塾という勉強会を朝の七時四十五分から一時間程度開催しております。
 この勉強会は早朝からの開催ということもありまして、主催者側で出席者二十数名分の朝食を用意することとし、喫茶店で卵サンドを購入いたしました。喫茶店には勉強会の準備をしてくれた人が注文をしたわけでありまして、喫茶店店主の方には政治団体の勉強会のための注文だという認識はなかったのだと思います。今回の件で何も知らない喫茶店の店主さんにまでご迷惑をおかけしたことを大変申しわけなく思っております。
 議会への調査報告書の説明についてご質問がございました。
 今回の調査は、第三者の弁護士による私の政治資金の使途を対象とした調査でございます。私自身が調査対象となっていることから、調査結果については、私よりも別の者が説明すべきだと考えたわけであります。
 したがいまして、都議会との窓口となっている副知事から説明させていただいたところでございます。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 特別支援学校における医療的ケアが必要な児童生徒のスクールバスの乗車についてでございますが、医療的ケアは、児童生徒の障害の程度や状況に応じて、衛生的環境に配慮しながら、安全かつ適切に実施することが重要であります。
 一般に車内での医療的ケアは、予期しない揺れや急停車等により衛生的かつ安全な環境の確保が困難であるため、スクールバス内ではこれまで実施しておりません。
 なお、医療的ケアが必要な児童生徒であっても、スクールバス乗車中は医療的ケアが必要ないことを主治医や学校医の意見により確認された場合は、乗車を認めております。
 今後とも、スクールバスの乗車については、医療的ケアの必要な児童生徒の生命と安全の確保を第一優先に考えてまいります。
   〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 東京韓国学校についてでございますが、現在、韓国政府から東京韓国学校の拡張について協力の依頼があり、旧都立市ヶ谷商業高等学校の利用について具体的な協議に入ることといたしました。
 かつてソウルにある日本人学校が移転する際に、ソウル市に協力していただいたことなども考慮したものでございます。
 次に、地元への説明等についてでございますが、昨年、韓国政府から旧都立市ヶ谷商業高等学校の利用について要請を受け、地元区に対して情報を提供しております。
 今後、地域や都民の理解を得ながら、具体的な協議を慎重に行ってまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、延遼館の利用に関して計画した時期についてでございますが、都は、関東大震災や戦災等で失われた文化財庭園の施設や建造物につきまして、往時の景観の復元を図るため、平成十六年度に東京都における文化財庭園の保存管理計画を策定し、その中で延遼館を復元すべき施設といたしました。
 その復元に当たりましては、都民を初め、国内外から庭園を訪れる多くの方々が利用でき、迎賓機能も備えた施設とすることを平成二十七年度予算の施策に位置づけ、史料調査等に着手いたしました。
 次に、延遼館に迎賓機能を持たせるためのコストについてでございますが、延遼館の復元につきましては、迎賓機能のみならず、国内外から庭園を訪れる多くの方々が庭園の歴史を学び、日本文化を体験できる場とするほか、企業等が開催するMICEのレセプション会場としての利用など、さまざまな利活用を想定しております。
 現在、全体事業費の概算を含む基本設計を実施しているところでございます。
 最後に、延遼館を復元する計画の見直しについてでございますが、延遼館は、国内外から庭園を訪れる多くの方々が庭園の歴史を学び、伝統工芸や伝統芸能などの日本文化を体験でき、MICEのレセプション会場としても利用できる施設として、復元を計画しております。
 また、二〇二〇年東京大会を初めとする迎賓の場としても活用する予定でございます。
 今後とも、文化庁と協議を重ね、平成三十一年度末の完成に向けて取り組んでまいりたいと思います。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、家庭養護の目標設定についてでありますが、要保護児童の措置に当たりまして、都は、児童の福祉を第一に考え、児童の心身の発達状況や保護者の家庭引き取りの可能性など、児童一人一人の状況を総合的に勘案し決定しており、まずは養育家庭への委託を検討しております。
 都の社会的養護施策推進計画は、子供の状況に合わせた養育の場という観点から目標を定めたものでございまして、今後、学識経験者や事業者等から成る児童福祉審議会の専門部会での議論も踏まえながら、社会的養護のもとにある子供ができる限り家庭的な環境で養育されるよう、具体的な方策を検討し、養育家庭を初めとした家庭的養護を推進してまいります。
 次に、里親認定基準についてでありますが、都は、児童の成長発達に必要な養育環境を提供するという観点から、里親の認定基準を定めております。
 具体的には、児童の養育についての理解や豊かな愛情を有すること、同居者が児童の受託について十分な理解を有すること、また、家庭及び住居の環境が児童の保健、教育、その他の福祉上適当なものであること等を定めております。
 申込者に配偶者がいない場合、児童の養育経験または看護師、保育士等の資格を有していることに加え、主たる養育者の補助者として児童の養育にかかわることができる二十以上の子または父母等が同居しており、年齢、収入、住居の状況など、その他の認定要件を満たしていれば、養育家庭としての認定は可能となってございます。
 最後に、医療的ケアが必要な障害児への支援についてでありますが、児童福祉法では、重症心身障害児を重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している児童と定めており、厚生労働省の通知でも一般的に大島分類一から四に該当する状態を指すものと記載されております。
 今回の改正児童福祉法では、医療的ケアが必要な障害児の支援に当たりまして、自治体は、保健、医療、福祉等の連携に努めることとされました。都は現在、こうした児童の入所や通所サービスの利用を支援するほか、地域で相談、助言等を行う児童発達支援センターの整備を進めており、短期入所事業所等での受け入れ促進のため、障害者支援施設等に看護師を配置する区市町村も支援しております。
 今後とも、法改正の趣旨を踏まえ、関係機関と連携し、医療的ケアが必要な障害児を支援してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 児童相談所の特別区への設置についてでございます。
 児童福祉法の改正により、市と同様に特別区も政令指定を受け、児童相談所を設置できることとなりました。
 児童相談所は、虐待や非行など困難事案に対応できる専門性と、施設への広域的入所調整ができる体制が不可欠であり、家庭復帰までの一貫した対応が求められます。
 特別区が児童相談所を設置する場合には、区において、一時保護所の整備や、児童福祉司などの専門人材の確保、育成等を行うことが必要となります。また、都内外の児童養護施設等への入所調整には、新たに都と特別区及び特別区相互間での連携協力が必要となります。
 今後、区の動向を見きわめつつ、子供たちの安全や安心をいかに確保していくかという観点から、都としての対応を検討してまいります。

○副議長(小磯善彦君) 五十二番西崎光子さん
   〔五十二番西崎光子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○五十二番(西崎光子君) 舛添知事の一連の問題については、これまで多くの議員からただされたにもかかわらず、知事から納得のいく説明はありませんでした。
 反省しています、生まれ変わってという、通り一遍の言葉では、信頼は回復できません。議会から求められた情報の開示には応えず、具体的な改革案はみずから示さず、知事はどう生まれ変わるというのでしょうか。
 自分の政治資金について公私混同する人に、十三兆円という巨額な予算を持つ都政のトップリーダーは務まるはずがありません。
 都民や都議会への説明責任が果たせないのなら、都民の八割が辞任した方がよいといっているこのことを重く受けとめ、知事みずから辞職すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 これまでの知事の海外出張費用は、一件を除いて条例に規定されている金額内では行われておらず、一番高いときは規定の五倍近くになっています。ほかの自治体の知事は、既定の金額内になるよう旅行会社に指定しているところもあり、そのトップの見識が問われています。
 批判を受けて、知事は、ファーストクラスやスイートルームを使用しないと表明し、具体的には検討会を立ち上げ、六月末に結果を公表する予定です。
 そこで伺いますが、海外出張費を検証するための庁内職員による検討会では、どのような項目で、どのような視点で見直すのか、都の見解を伺います。
 また、知事の旅費については、規定の金額を超える場合には人事委員会と協議をしているようですが、これまで人事委員会においてどのような手続が行われたのか伺います。
 熊本地震には、多くの自治体から支援が寄せられましたが、特に東日本大震災や関東・東北豪雨の被災自治体の首長は、自分たちが被災した経験から、その対応は真摯なものであったと聞いています。
 知事は、このときワシントン、ニューヨークを視察中。ワシントンといえば、世界に発信できる拡声器効果がある場所といわれているにもかかわらず、インターネットに流れた映像は、先ほど島田議員が紹介したように、オープンカーで満面の笑みを浮かべた知事の姿でした。
 これを見た市民からは、不謹慎、予定を繰り上げて東京に戻り指示を出すべきといった批判の声が流れてきました。
 また、東日本大震災の被災地には、たった一回日帰りで福島に行っただけです。
 東京が大災害に見舞われたときには、全国の自治体からの支援や協力関係が重要になると考えますが、知事の災害に対する危機管理が鈍いといわざるを得ません。
 国内の災害に対して率先して支援に動くべきと考えますが、知事は出張先でどのような対応をとられたのか伺います。
 福島原発事故から五年。政府と福島県は、来年三月をめどに帰宅困難区域を除く全ての避難指示を解除し、賠償を打ち切ろうとしています。しかし、この事故を引き起こした国と東京電力は、被害の全てを償う責任があります。
 これまで避難者たちは、事故後の生活をなれない土地で何とか築いてきましたが、多くの避難者は、原発の安全性や被曝への不安などの理由から、戻らない、まだ判断がつかないとしています。
 そのやさき、来年の三月限りで住宅の無償提供が打ち切られようとしており、このことは、経済的困窮を引き起こし、多くの人々の生活基盤を失わせることになります。
 東京には、福島県からの避難者は二千六百人。今回避難解除の対象者は、千四百人となっています。強引に選択を迫られていると不安を募らせ、経済的にも困難な状況に陥ることが懸念されます。
 埼玉県や新潟県などでは独自支援策にも取り組んでおり、都としても福島原発の電気の恩恵を浴していた立場から、誠意を持って避難者と話し合い、本人の意思を尊重し、引き続き居住できるような都独自の支援策が必要と考えますが、見解を伺います。
 熊本地震では、情報提供のおくれや人手不足により、福祉避難所がなかなか機能せず、多くの課題が明らかになりました。また、一般の避難所でも、水不足で哺乳瓶の洗浄、消毒ができず、乳幼児にミルクを上げることができないため、子育て中の母親らが日本で製造されていない乳幼児用液体ミルクを輸入し、被災地への配布を求める要望書を内閣府に提出しました。
 生活者ネットワークは、予算特別委員会で小松久子議員がこの問題をいち早く取り上げています。
 熊本地震では、妊産婦が避難所で生活できず、車で寝泊まりするなど、避難所運営においてさまざまな課題がありましたが、女性や乳幼児、妊産婦等に配慮した避難所運営にかかわる都の取り組みについて伺います。
 旧立川政府倉庫は、知事が就任直後に視察し、多摩地域の備蓄倉庫として、突然、都が国から購入することにしました。築二十五年以上たち、二万二千平米もある旧立川政府倉庫は立川断層沿いにあります。
 生活者ネットワークは、活断層である立川断層の近隣には公共施設をつくるべきではないとこれまで主張してきました。四月に熊本を襲った大地震は、活断層による数回の揺れによって新耐震基準の建物でも甚大な被害を受けており、新耐震基準でもリスクはあります。巨大な旧立川政府倉庫を備蓄倉庫として国から買い入れる必要があるのか疑問です。
 今回、当初予算の七十六億円よりも三割安い五十二・六億円が購入価格として示されました。立川断層があることが価格が安くなった要因の一つではないかと考えますが、震災が起こって使えなくなるのでは意味がありません。
 この倉庫の予算額と予定価格の差について伺います。
 二〇二〇年東京大会は、新国立競技場、大会エンブレムの白紙撤回と大騒動が相次ぎ、無駄にお金が使われただけではなく、今後、都の負担がどれだけ膨れ上がるのか予想もつかない事態となっています。
 さらに今回、招致をめぐって、海外コンサルタント料約二億三千万円の疑惑が大きく報道で取り上げられています。招致委員会が結んだ、問題の海外コンサルタントとの契約に関する経緯や内容など不明な点が多くあります。JOCは調査を開始したとのことですが、東京都も開催都市として、大会招致の疑惑を追及し、きちんと明らかにしていく責任があります。
 東京都と招致委員会は、役割分担をしながら招致活動を行ってきたと聞いていますが、その役割分担の中で、問題とされている契約を含め、都はどのような国際招致活動を行い、委託契約の相手方をどのように選定したのか伺います。
 最後に、羽田空港の飛行経路の変更についてです。
 提案されている新たな経路は、港、渋谷、品川区など都心の上空を、スカイツリーよりも低い六百十メートル以下の高度で飛行するルートです。氷やゴムの破片が航空機から落下する事故は、着陸前に車輪を出すいわゆる足出し時に多発するため、成田空港では、海上で行うよう国交省が勧告を出していますが、新ルートでは、住宅密集地の上空での足出しが避けられません。騒音や、民家の頭上で事故が起きる危険性などに対する懸念からも、計画見直しを求める声が各地から上がっているのは当然といえます。
 このような都民の声を都としてもしっかりと受けとめ、騒音や落下物への不安を解消するとともに、丁寧な説明を行うよう国に働きかけるべきと考えますが、都の所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 西崎光子議員の一般質問にお答えをいたします。
 都民の意見に対する受けとめについてご指摘がございました。
 多くの都民の皆様から厳しいご批判をいただいていることは、真摯に受けとめております。今回の調査結果をもって、直ちに皆様の理解を得られるとは決して考えてはおりません。この結果を踏まえて、問題にしっかりと対応して地道に都政の発展に尽くしていくことで、信頼回復に努めていきたいと考えております。
 米国出張中に熊本地震が発生しまして、発生直後に事実を把握し、その後、都庁からのメールや電話などによりまして、逐次報告を受けました。そして、宿泊部屋や移動中の車中などでも協議を行いまして、対応について指示を行ったところでございます。
 また、都庁におきましては、休日を含め、副知事以下を参集させ、情報の共有と速やかな対応をするように徹底したところでございます。
 海外に出張中でありましても、日本国内での大きな災害が発生した場合、都として十分な体制をとっておりまして、知事として被災地へのお見舞いの気持ちも発信していたところでございますが、桜祭りパレードの映像が多く報道され、不快に感じられた方が多くいたということにつきましては、真摯に受けとめたいと考えております。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 海外出張経費についてですが、検討会においては、これまでの海外出張を検証し、出張人数や経費削減はもちろん、経費の公開方法などについてまで広範に検討を進めているところでございます。
 ファーストクラスや、いわゆるスイートルームについては、既に知事が利用しないと表明しておりますが、そのほかの検討項目につきましても、前例にとらわれず、徹底した見直しを進めることとしております。
   〔人事委員会事務局長藤田裕司君登壇〕

○人事委員会事務局長(藤田裕司君) 知事の旅費の増額協議に係る手続についてでございますが、人事委員会の意思決定は、地方公務員法及び人事委員会規則の定めに基づき、三人の委員により審議し、その合議によって行いますほか、人事委員会で一定の考え方が示された事案などにつきましては、案件に応じて委員会の事務を補助執行する事務局長等を決定権者としております。
 こうした仕組みのもと、お尋ねの知事の旅費の増額協議につきましては、知事は地方公務員法の適用を受けない特別職でありますが、手続の万全を期したいとの任命権者からの要請に基づきまして、従前より、公務の円滑な遂行の必要性など増額の理由が適切であるか否かを確認し、事務局長決定で処理しているところでございます。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、福島県からの避難者への居住支援についてでございます。
 都はこれまでも、福島県からの避難者等を対象に、都営住宅の募集において、入居要件の緩和や、当せん率が一般の五倍となる優遇措置を実施するとともに、東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅への紹介やあっせん等を行ってきております。
 また昨年度、飯田橋に設置した相談拠点の活用や福島県とともに行っている戸別訪問により、避難者からの相談にきめ細かく対応してございます。
 引き続き、生活状況や意向などを聞きながら、福島県と連携を図り、支援を行ってまいります。
 次に、羽田空港の飛行経路の変更についてでございます。
 二〇二〇年大会やその後の航空需要に応え、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠でございます。
 国は昨年度、都内十六カ所で延べ七十日間にわたり説明会を開催し、住民からは騒音や落下物への懸念も含め、さまざまな意見や要望がございました。
 都は、こうした状況なども踏まえ、引き続き国に対して、地元への丁寧な説明と、騒音の影響を軽減する方策や、徹底した安全管理に取り組むこと等を要望してまいります。
 今後とも、都民の理解が深まるよう、積極的に取り組み、国際的な拠点空港としての羽田空港のさらなる機能強化を図ってまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 女性や乳幼児、妊産婦に配慮した避難所運営についてのご質問にお答えをいたします。
 東京都地域防災計画の修正を踏まえまして、都は、女性や要配慮者の視点を取り入れて、区市町村のための避難所管理運営の指針を平成二十五年二月に改定をいたしました。
 その中には、区市町村が取り組むべき具体的な事項として、女性専用の更衣室や授乳室の確保、避難所管理責任者への女性の配置などを盛り込んでおります。
 今後、熊本地震の経験から得られた教訓も踏まえ、区市町村が女性や乳幼児、妊産婦等に配慮した避難所運営を行えるよう、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を働きかけてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 旧立川政府倉庫の価格についてでございますが、予算額は、公示価格や国有財産台帳の価格を参考に推計したものでございます。
 一方、予定価格は、土地の形状など当該不動産の具体的な状況等を踏まえ、都と国それぞれで実施いたしました不動産鑑定士による鑑定評価の結果のうち、より低廉な国の評価額を採用したものでございます。
 なお、同倉庫は、いわゆる新耐震基準を上回る基準として都が定めております構造設計指針に適合した高い耐震性能を有してございます。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 二〇二〇年大会東京招致についてでございますが、都と招致委員会は、行政と民間という団体の特徴を生かしながら役割分担を行いまして、招致活動に取り組んでおりました。
 国際招致活動のうち、いわゆるロビー活動などについては招致委員会が担当しておりました。したがって、報道されております契約には都は一切関与せず、公費も支出しておりません。
 一方、都は開催都市として、ロンドン大会におけるジャパンハウスの運営やIOCの公式イベントでのプレゼンテーションなどを担当しておりました。
 この都が担当していた業務の委託契約につきましては、契約内容に応じまして、複数業者に企画内容を競わせる企画提案方式を採用するなど、都の契約手続に沿って適切に行っております。

○議長(川井しげお君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(川井しげお君) これより日程に入ります
 日程第一から第二十五まで、第百二十八号議案、都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例外議案二十二件、諮問一件、専決一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事安藤立美君。
   〔副知事安藤立美君登壇〕

○副知事(安藤立美君) ただいま上程になりました二十五議案についてご説明を申し上げます。
 初めに、第百二十八号議案から第百三十六号議案までの九議案は条例案で、全てが一部を改正する条例でございます。
 第百二十九号議案、東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例は、東京都人権プラザの移転を行うものでございます。
 第百三十号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、地方税法の一部改正等に伴い、法人事業税の暫定措置が廃止されるとともに、法人住民税の一部が国税化されることにより、税率を改める必要があるため、規定を整備するものなどでございます。
 第百三十三号議案、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例は、女性福祉資金の貸付利率等を改めるものなどでございます。
 第百三十六号議案、東京都港湾管理条例の一部を改正する条例は、岸壁及び桟橋の管理運営に指定管理者制度を活用するに当たり、利用料金制の導入を可能とするため、規定を整備するものでございます。
 このほか、法令の改正に伴い規定を整備するものなどが五件ございます。
 第百三十七号議案から第百四十七号議案までの十一議案は契約案でございます。
 第百三十七号議案、都立臨海地区特別支援学校(仮称) (二十八)新築工事請負契約など、契約金額の総額は約三百六十億円でございます。
 第百四十八号議案から第百五十号議案までの三議案は事件案でございます。
 第百四十八号議案は、公立大学法人首都大学東京の中期目標を定めるもの、第百四十九号議案は、広域防災拠点とするための土地及び建物を買い入れるもの、第百五十号議案は、警視庁のヘリコプターを買い入れるものでございます。
 次に、諮問でございます。
 東京都教育委員会が行った退職手当の不支給処分について審査請求があったため、地方自治法第二百六条の規定に基づき諮問するものでございます。
 次に、専決でございます。
 東京都都税条例の一部を改正する条例は、施行までの間に議会を招集する時間的余裕がないと認め、専決処分を行ったものでございます。
 上程になりました二十五議案の説明は以上ですが、このほかに人事案を送付いたしてございます。
 まず、東京都監査委員でございます。
 七月六日に任期満了となります筆谷勇氏の後任には、松本正一郎氏を選任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会委員でございます。
 七月十二日に任期満了となります相澤俊行氏につきましては再任し、西道隆氏の後任には、野口孝氏を任命いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会予備委員でございます。
 七月十二日に任期満了となります関葉子氏及び前川修満氏につきましては再任し、同日辞任予定の野口孝氏の後任には、藤井芳弘氏を任命したいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(川井しげお君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま議題となりました日程第一から第二十五までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十五までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都監査委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔新美議事部長朗読〕
一、東京都監査委員の選任の同意について一件

二八財主議第一三五号
平成二十八年六月一日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 川井しげお殿
東京都監査委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都監査委員筆谷勇は平成二十八年七月六日任期満了となるため、後任として左記の者を選任したいので、地方自治法第百九十六条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     松本正一郎

      略歴
現住所 埼玉県さいたま市
松本正一郎
昭和三十年一月二十二日生(六十一歳)
昭和五十三年十月 昭和監査法人入所
昭和五十七年三月 公認会計士登録
平成五年五月   太田昭和監査法人社員
平成十三年五月  監査法人太田昭和センチュリー代表社員
平成十五年四月  さいたま市包括外部監査人
平成十七年八月  日本公認会計士協会公会計委員会地方公共団体監査専門部会長
平成二十三年四月 東京都包括外部監査人
平成二十七年七月 新日本有限責任監査法人さいたま事務所所長
現在       公認会計士
         新日本有限責任監査法人さいたま事務所所長

○議長(川井しげお君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川井しげお君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定をいたしました。

○議長(川井しげお君) 追加日程第二及び第三、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
   〔新美議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件

二八財主議第一三六号
平成二十八年六月一日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 川井しげお殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十八年七月十二日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     相澤 俊行

      略歴
現住所 東京都世田谷区
相澤 俊行
昭和二十五年四月二十三日生(六十六歳)
昭和四十九年三月 慶應義塾大学法学部卒業
昭和五十五年九月 新光監査法人入所
昭和六十年三月  公認会計士登録
平成元年十月   税理士登録
平成二年一月   相澤公認会計士事務所開業
平成五年六月   東京都割賦販売許可業者調査員
平成七年七月   日本公認会計士協会東京会業務委員
平成十六年七月  東京都収用委員会予備委員
平成二十二年七月 東京都収用委員会委員
現在       公認会計士
         税理士

二八財主議第一三七号
平成二十八年六月一日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 川井しげお殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都収用委員会委員西道隆は平成二十八年七月十二日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     野口  孝

      略歴
現住所 東京都福生市
野口  孝
昭和二十五年四月三十日生(六十六歳)
昭和四十九年三月 中央大学法学部卒業
昭和四十九年四月 東京都入都
平成二年四月   建設局西多摩建設事務所用地第一課長
平成三年十月   総務局副参事<多摩移管百周年記念事業担当>
平成四年四月   総務局行政部副参事<TAMAらいふ21協会派遣>
平成六年四月   下水道局総務部副参事(局務担当)
平成七年六月   下水道局経理部契約課長
平成九年七月   政策報道室広報部報道課長(総務局災害対策部副参事兼務)
平成十一年六月  下水道局総務部総務課長
平成十二年八月  下水道局参事<総務部総務課長事務取扱>
平成十三年七月  東京都退職
平成十三年七月  西東京市助役
平成十五年六月  西東京市退職
平成十五年六月  出納長室銀行設立準備担当部長
平成十五年八月  産業労働局産業政策調整担当部長
平成十六年八月  下水道局経理部長
平成十七年七月  下水道局総務部長
平成二十年七月  収用委員会事務局長
平成二十二年六月 東京都退職
平成二十二年六月 東京中小企業投資育成株式会社取締役
平成二十七年四月 東京都収用委員会予備委員
現在       東京中小企業投資育成株式会社取締役

○議長(川井しげお君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川井しげお君) 起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定をいたしました。

○議長(川井しげお君) 追加日程第四から第六まで、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について三件を一括議題といたします。
   〔新美議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について三件

二八財主議第一三八号
平成二十八年六月一日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 川井しげお殿
東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十八年七月十二日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     関  葉子

      略歴
現住所 東京都目黒区
関  葉子
昭和四十五年八月三十日生(四十五歳)
平成七年三月   東京大学経済学部卒業
平成七年四月   監査法人トーマツ入所
平成十四年十月  弁護士登録
平成十八年六月  日本弁護士連合会行政訴訟センター委員
平成十八年十一月 銀座プライム法律事務所入所
平成十九年四月  国士舘大学非常勤講師
平成二十二年八月 東京都国土利用審議会委員
平成二十五年七月 東京都収用委員会予備委員
平成二十六年四月 国士舘大学法学部教授
現在       国士舘大学法学部教授
         弁護士

二八財主議第一三九号
平成二十八年六月一日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 川井しげお殿
東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十八年七月十二日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     前川 修満

      略歴
現住所 埼玉県川口市
前川 修満
昭和三十五年七月二十九日生(五十五歳)
昭和五十八年三月 同志社大学商学部卒業
昭和五十八年四月 渋谷工業株式会社入社
昭和六十二年九月 港監査法人入所
平成三年三月   公認会計士登録
平成四年八月   公認会計士前川修満事務所開業
平成五年八月   税理士登録
平成十五年七月  日本公認会計士協会経営研究調査会・中小企業経営専門部会委員
平成十六年六月  日本公認会計士協会東京会常任幹事
平成十八年七月  日本公認会計士協会国際委員会委員
平成十八年八月  アスト税理士法人代表社員
平成十九年六月  日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長
平成十九年八月  東京税理士会税務会計学会経営部門委員
平成二十二年七月 東京都収用委員会予備委員
現在       公認会計士
         税理士

二八財主議第一四〇号
平成二十八年六月一日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 川井しげお殿
東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都収用委員会予備委員野口孝が辞任するため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     藤井 芳弘

      略歴
現住所 埼玉県和光市
藤井 芳弘
昭和二十六年十二月二十七日生(六十四歳)
昭和四十六年四月 東京都入都
昭和五十一年三月 中央大学法学部卒業
平成五年三月   東京都退職
平成五年四月   渋谷区福祉部障害者福祉課長
平成八年四月   渋谷区情報システム部情報管理課長
平成九年三月   渋谷区退職
平成九年四月   港湾局総務部副参事(団体調整担当)
平成十年七月   衛生局総務部計理課長
平成十一年六月  財務局主計部予算第二課長
平成十二年八月  福祉局総務部総務課長
平成十四年七月  総務局人事部人事課長
平成十五年六月  保健科学大学事務局長
平成十六年八月  知事本局参事(企画調整担当)
平成十七年七月  建設局用地部長
平成十九年六月  建設局道路管理部長
平成二十年七月  建設局総務部長
平成二十二年七月 収用委員会事務局長
平成二十三年七月 東京都退職
平成二十三年八月 公益財団法人東京動物園協会理事長
現在       公益財団法人東京動物園協会理事長

○議長(川井しげお君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川井しげお君) 起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定をいたしました。

○議長(川井しげお君) 追加日程第七及び第八、議員提出議案第九号、東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例外条例一件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布をしてあります。
(議案の部参照)

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第九号及び第十号については、趣旨説明を省略し、第九号は総務委員会に、第十号は文教委員会にそれぞれ付託されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第九号及び第十号は、趣旨説明を省略し、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。

○議長(川井しげお君) 陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました陳情十八件は、お手元に配布の陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託をいたします。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 明九日から十四日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、明九日から十四日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、六月十五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時二十七分散会

ページ先頭に戻る