平成二十八年東京都議会会議録第八号

平成二十八年六月七日(火曜日)
 出席議員 百二十三名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番菅野 弘一君
四番川松真一朗君
五番山内  晃君
六番栗山よしじ君
七番堀  宏道君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番中山ひろゆき君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番松田やすまさ君
二十一番河野ゆうき君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番島崎 義司君
二十五番鈴木 錦治君
二十七番宮瀬 英治君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番西沢けいた君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番神野 次郎君
四十一番木村 基成君
四十二番北久保眞道君
四十三番高椙 健一君
四十四番栗山 欽行君
四十五番大場やすのぶ君
四十六番近藤  充君
四十七番桜井 浩之君
四十八番山崎 一輝君
五十番石川 良一君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番あさの克彦君
五十四番新井ともはる君
五十五番中村ひろし君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番東村 邦浩君
六十四番崎山 知尚君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番清水 孝治君
六十七番小松 大祐君
六十八番柴崎 幹男君
六十九番和泉 武彦君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番鈴木 隆道君
七十二番早坂 義弘君
七十三番高木 けい君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番大西さとる君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高橋 信博君
八十八番中屋 文孝君
八十九番三宅 正彦君
九十番小宮あんり君
九十一番田中たけし君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番林田  武君
九十七番こいそ 明君
九十八番田島 和明君
九十九番古賀 俊昭君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番長橋 桂一君
百九番中嶋 義雄君
百十番立石 晴康君
百十一番神林  茂君
百十二番秋田 一郎君
百十三番宇田川聡史君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番高島なおき君
百二十番野村 有信君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし
 欠員
    二十六番  三十二番  四十九番  七十四番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長中井 敬三君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長長谷川 明君
主税局長小林  清君
生活文化局長多羅尾光睦君
警視総監高橋 清孝君
オリンピック・パラリンピック準備局長塩見 清仁君
都市整備局長邊見 隆士君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
建設局長佐野 克彦君
港湾局長武市  敬君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長山手  斉君
消防総監高橋  淳君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長真田 正義君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長安藤 弘志君
人事委員会事務局長藤田 裕司君
労働委員会事務局長櫻井  務君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

六月七日議事日程第二号
第一 第百二十八号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百二十九号議案
東京都人権プラザ条例の一部を改正する条例
第三 第百三十号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四 第百三十一号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百三十二号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六 第百三十三号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第七 第百三十四号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八 第百三十五号議案
東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第九 第百三十六号議案
東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第十 第百三十七号議案
都立臨海地区特別支援学校(仮称) (二十八)新築工事請負契約
第十一 第百三十八号議案
都立板橋高等学校(二十八)改築工事請負契約
第十二 第百三十九号議案
警視庁下谷警察署庁舎(二十八)改築工事請負契約
第十三 第百四十号議案
都営住宅二十八CH―一〇一東(葛飾区東新小岩一丁目・建設局施設)工事請負契約
第十四 第百四十一号議案
都営住宅二十七H―一〇三東(荒川区町屋五丁目)工事その二請負契約
第十五 第百四十二号議案
都営住宅二十七H―一一九東(江東区豊洲四丁目)工事請負契約
第十六 第百四十三号議案
平成二十八年度岡田港船客待合所及び津波避難施設新築その他工事請負契約
第十七 第百四十四号議案
平成二十八年度南北線中防内側陸上トンネル整備工事請負契約
第十八 第百四十五号議案
平成二十八年度新砂水門(再整備)門扉製作据付工事請負契約
第十九 第百四十六号議案
今井水門耐震補強工事(その二)請負契約
第二十 第百四十七号議案
平成二十八年度辰巳排水機場(再整備)建設工事(その一)請負契約
第二十一 第百四十八号議案
公立大学法人首都大学東京中期目標について
第二十二 第百四十九号議案
土地及び建物の買入れについて
第二十三 第百五十号議案
ヘリコプターの買入れについて
第二十四 諮問第二号
地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第二十五 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
議事日程第二号追加の一
第一 常任委員の所属変更

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 常任委員の所属変更の件を本日の日程に追加いたします。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(川井しげお君) 追加日程第一、常任委員の所属変更の件を議題といたします。
 徳留道信君より、総務委員から都市整備委員へ、曽根はじめ君より、都市整備委員から総務委員へ、それぞれ常任委員の所属変更の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり委員会の所属を変更することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、申し出のとおり委員会の所属を変更することに決定をいたしました。

○議長(川井しげお君) これより質問に入ります。
 百十一番神林茂君
   〔百十一番神林茂君登壇〕

○百十一番(神林茂君) 平成二十八年第二回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 知事、私は怒っています。私だけじゃありません。都民の皆さんも、この議場にいる全ての議員も、職員の皆さんも、皆、知事が感じている以上に怒っています。
 何よりも余りにせこい、せこ過ぎます。これが日本の首都、オリンピック・パラリンピックを契機に世界に飛躍しようという世界有数の大都市東京の知事のやることかと啞然としてしまうありさまでございます。
 なるほど、確かにマスコミ報道に対しては、知事にもいい分はあるでしょう。昨日発表された第三者委員会の説明も、客観性が保たれ、詳細にわたっているかもしれません。違法性もないのかもしれません。
 しかし、違法性がなければ、それでいいのか。これで説明責任が果たせたとは、私は到底思えません。十分だとは全く思っていません。
 現に報告書においては、宿泊費に関して六件、飲食費に関して十四件で是正措置が必要と指摘され、そのほかにも、政治資金の支出として不適切とされたものが多数上っております。仮に違法でなくとも、政治家として備えるべき道徳観、倫理観は一体どうなっていたのか、まことに恥ずかしい限りでございます。
 私ども都議会自民党は、今回マスコミが追及するはるか前から、一年余りにわたって、定例会ごとに知事の基本姿勢、海外出張などについて強く問いただしてまいりました。疑義を呈してまいりました。にもかかわらず、我が党の指摘を一切聞き入れることなく今日に至ってしまった。
 知事、都庁には現時点で怒りや抗議の電話やメールが、既に約二万五千件余り届いていることをご存じですか。都庁だけではありません。都議会自民党にも、私のところにも、都民の皆さんだけではなく、日本全国からお怒りや抗議の声が毎日たくさん寄せられております。
 知事は、抗議メールを一つでも読んだことがありますか。怒りの電話に一本でも直接対応したことがありますか。知事は、多くの都民、国民の皆さんの不信、失望を招いているのです。東京都に対する、都政に対する信頼を著しく失っているのです。知事はそのことをご存じですか。
 知事の発言にもあるとおり、まさしく信頼や信用というものは一朝一夕でできるものではありません。長い年月とたゆまぬ努力によって初めて培われるものです。何よりも一度失った信頼を取り戻すのは、並大抵のことではありません。それを考えると、今回失ったものは余りにも大きいといわざるを得ません。
 また、先ほど述べたように、都庁には多くの怒りの声が全国から殺到し、既に業務に支障を来しています。それゆえ、職員の皆さんも、本来やるべき仕事ができないでいるとも聞いております。
 来月には、リオデジャネイロでいよいよ夏のオリンピック、そしてパラリンピックも始まります。実際に大会運営のノウハウを学ぶ最初で最後の極めて貴重なチャンスです。
 また、防災対策など喫緊に対処しなければならない問題も山積しています。にもかかわらず、少なくない数の職員がその職務に専念できないでいる。まさに異常状態です。
 そして、この事態を招いたのは、舛添知事、あなたご自身、ほかならないあなたでございます。そして、この状況を打開できるのも知事ご自身しかいません。
 そのことを強く指摘して、舛添知事をめぐる政治資金、公用車使用にかかわる公私の混同、海外出張など一連の問題について一つ一つ伺ってまいります。
 先ほど申し上げたとおり、都政には待ったなしの重要課題が山積している状況であります。しかし、新年度のスタートダッシュを切るべきこの大事な時期に、知事をめぐる一連の問題が原因で都政が大きく停滞しております。
 先週の所信表明では、知事から謝罪と反省の言葉こそあったものの、その内容は説明責任を果たしたとは到底いえない、極めて不十分なものでありました。
 それゆえ、都議会自民党は、今日の代表質問で、疑念について確認し、納得いく説明を求めるため、知事に直接ただしていきます。知事には、我々の質問に正確かつ誠実に答えることで、都民の代表である都議会への説明責任を果たすことを求めます。
 初めに、最も疑問点の多い政治資金関係の問題から始めます。
 まず、昨日発表された第三者による調査について伺います。
 この調査を行った弁護士の説明によれば、知事及び秘書らから関係資料の提出を受けた上、知事や秘書及び関係者らのヒアリングを行うとともに、必要に応じてみずから資料を入手するなどして調査を行ったとあります。
 しかし、今回の一連の報道の中で、知事にとって不利益な発言をしている元会計責任者や、領収証を発行している店などと弁護士は接触したのかは不明であります。
 仮に接触していない場合、本調査は果たして客観的に信頼性を保てるとお考えか、知事の所見を伺います。
 次に、千葉県木更津市所在のホテルの宿泊料を政治資金収支報告書に計上していた問題について伺います。まさに公私混同の象徴ともいうべき事案であります。
 まず、昨日の会見では明らかにされなかった事項でありますが、改めて、平成二十六年正月にこのホテルで会議を行ったメンバーの氏名をお答えください。
 知事は記者会見で、ホテルでの会議は相当やったと発言しております。正月の何日何時から会議をスタートし、何時に終了したのでしょうか。
 このホテルは通常、チェックインが十五時と伺っております。さらには、夕食は別室で提供する仕組みになっているとの報道もされております。一方で、知事ご自身が温水プールにも行ったと発言しており、だとすると、会議を昼間に相当時間行うのが可能だなどと、都民の誰もがとても思えない話であります。
 仮に会議を行っていたとしても、家族旅行の蛇足で多少の政治的な打ち合わせをしたら、それが税金を使って行う政治活動に変わるはずがありません。これこそ公私混同のきわみであります。そもそも会議をやるなら、都内でも幾らでもできるはずではありませんか。これでは、家族旅行の代金を浮かすために政治資金を活用しようとしているといわれても仕方ありません。余りにせこい話であります。
 このことについて、知事の見解を伺います。
 次に、書籍の購入について伺います。
 知事は、平成二十三年十月に児童書などを購入し、その中にはコミックやクイズ本が含まれていることが領収書により判明しております。知事は再三、クイズ番組に出演され、クイズ本の購入はタレント活動のためとの指摘もありました。
 一方で、報告書からは、むしろ、ご家族との福岡県出張で、家族のために購入をしたと見られてもやむを得ないとまとめられていました。いずれにしても、政治活動のためとは思えません。
 書籍の内容を見ると、さらに驚きが増します。「楽しい金魚の飼い方」、ミステリー小説、「ピザ釜・パン釜の作り方」、「江戸流そば打ち」、「クレヨンしんちゃん」、こんなものが政治活動なわけがありません。報告書を見ても、年々公私混同の度合いがひどくなっているのではないでしょうか。
 知事ご自身も昨日お話しされていましたが、自民党に所属していた時代には、内規や内部チェックにより、適切に政治資金を扱っていたと思います。一体いつからこういうことになってしまったのか。新党改革を立ち上げ、自分がトップとなってだんだんとルーズになっていく。お山の大将の姿がここに見てとれます。
 明らかに政治とかけ離れた不適切な混同ぶりが明らかになった今、公私混同だったとまずはみずからが認めない限り、信頼回復などいつまでたっても不可能であります。
 こうした指摘に対して、知事ご自身がどう考えるか伺います。
 次に、絵画などの購入について伺います。
 知事は、著書の中で、まだ有名でない画家の絵を購入し、今後価値が上がっていくのを期待していると述べております。こうした記述を踏まえると、絵画や書の購入目的は財テク目的だと思わざるを得ないとの指摘もされております。
 私物化との批判に対して、そうでない、海外との友好関係に活用しているともいっていますが、仮にそうだとしても、自身の私物と政治資金で購入したものを明確に区別して管理しているのか、疑義があります。
 こうしたことについて見解を伺います。
 また、記者会見では、例えば東京都の病院とか福祉施設などで活用していただけるところがあれば、ぜひお願いをしたいなどと述べています。しかし、何も美術品に期待して知事を選んだ都民はいないと思います。
 さらに、政治団体を解散する際には美術館などに寄附したいとの発言もありましたが、あくまで政治団体を解散するときにはという留保つきであります。喉元過ぎればとならない保証もありません。
 この件について、改めて知事の説明を求めます。
 次に、元会計責任者について伺いたいと思います。
 知事は五月十三日の記者会見で、会計責任者のミスが原因と発言しております。
 一方、当時の会計責任者はマスコミに対し、私は率直にいいましたよ、先生やめた方がいいんじゃないですかと発言した映像が流されていました。これは知事の説明と異なっています。一体どちらが本当のことをいっているのでしょうか。みずからのずさんな資金管理、公私混同を会計責任者に押しつけたのだとすれば、とんでもない話でございます。
 この発言の食い違いについて明快な答弁を求めます。
 続いて、公用車の使用について伺ってまいります。
 都民の疑念は、知事が毎週のように公用車を使用して湯河原に行っていたことが報じられ、一気に燃え広がりました。立場を利用し、私ごとのために血税を使っているのではないか。一連の疑惑の本質を象徴するのが、まさに湯河原であります。
 しかも、他県にまで行って割引品をわざわざ買う、血税を大いに使って自分の払いを少しでもけちる、そういった実にせこい話までがありました。
 先般、知事は唐突に、湯河原に行く際は原則、公用車を使用しないと表明しました。それまでの、都のルールどおり、動く知事室といった強弁は一体何だったのか。世論は、この泥縄式な対応を、嘲笑をもって迎えました。
 知事は、自分がどのように人の目に映っているのか、そうした想像力がいささか足りないのではないでしょうか。他人のことを考えられずに、都知事の職は決して務まらないと思います。
 公用車を使用して一年強の間に、実に四十九回もの頻度で湯河原に行っていたこともさることながら、世田谷に立ち寄ると称して長時間滞在していたことについて、あくまでもルールどおりといい張るのでしょうか。知事の見解を伺います。
 聡明な知事であれば、当然、公用車を使用する上での意義や規定についてご存じだと考えます。事務方からの説明もされていたはずです。にもかかわらず、金曜日の午後からは、毎週のように湯河原に行くことを不適切だとは考えなかったのでしょうか。
 その間、東京から遠く離れた湯河原に滞在することに、一千三百五十万都民の生命と財産を守る都政の最高責任者として、危機管理上の責務を全うしていると考えていたのでしょうか、伺います。
 知事は、湯河原の遠さを指摘された際に、殊さらに奥多摩との比較を持ち出しました。このことは奥多摩地域にとって、遠い地域であるという、ひどいマイナスイメージを抱かせるものでありました。奥多摩地域の方々は、自分たちの知事が自分の立場を守るために地域のイメージを悪化させるなど想像もしていなかったでしょう。まさに裏切られた形です。断じて許されることではありません。
 昨日の会見では、湯河原の別荘を売るという話も持ち出しましたが、売ったお金で別の湯治場に引っ越すのではないかとの疑いすら出てきます。
 そこで、この件について二点伺います。
 まず、知事の一連の問題への対応についてです。
 昨日の会見において、知事は、皆様方に無用のご心配をおかけすることを大変危惧しているとして、湯河原の施設は第三者に売却するということで、みずからのけじめをつけたいと思うと表明しました。何とも摩訶不思議なロジックです。
 これまで我が会派は、言葉尻をとって問題をただすことは極力してまいりませんでした。木を見て森を見ずという狭小な議論は避けるためです。ただ、知事の言葉の端々に違和感を覚えるのです。あるいは、この端々が問題の本質をいい当てているのではないでしょうか。
 無用の心配とは何か。都民は無用な心配をしているのでしょうか。そして、危惧をしているとは何か。あなたは、何か自分の外で起こっていることを第三者の目で見るかのごとく様子を眺めているのでないか。現実から逃避しているのではないかとも思えるのです。この現実逃避から生まれたけじめが湯河原の売却ではないでしょうか。
 いいですか、知事、今回の件は、公私混同にその本質的な問題が所在するのです。あなたは、一朝一夕に信頼が回復できるとは思っていませんけれども、一歩一歩着実に仕事をして、都民のためにいい成果を上げたいといっていたはずではないか。それにもかかわらず、それを知事は、仕事つまり公ではなく、私である自分の事務所の売却をもってけじめをつけるという。問題の所在が公私混同なら、問題の解決もまた公私混同であると断じざるを得ません。
 そこで伺います。知事は、公という部分でどのような覚悟をお持ちなのでしょうか。
 一方で、東京都知事という重責を担う者が一旦口にしたからには、それをほごにすることはあり得ません。湯河原の別荘を本当に売るのか、知事の答弁を求めます。
 さて、たとえ湯河原の別荘を手放したとしても、道義、道徳を前提にした曖昧なルールでは、次なる問題が出ることは想像にかたくありません。
 都民の理解が得られるよう、公用車の使用について、この問題を引き起こした舛添知事の責任において厳しく見直すべきです。
 そこで、見直しの方向性について知事の責任ある答弁を求めます。
 次に、美術館や博物館の視察について伺います。
 既に報じられているとおり、知事の美術館や博物館の視察は他の施設と比較して突出しています。知事は就任早々、現場第一を表明しました。確かに就任当初こそ、精力的に視察を行っていたと思います。しかし、ここでもどんどんルーズになっていったのではないか。現場第一は一体何だったのか。
 知事は既に、美術館の視察について、バランスを欠いていたと反省を述べていますが、やはりこれは単に知事の趣味の視察ではないかと世間は見ており、我々のところにもそういう声が寄せられております。オリンピック・パラリンピックの文化プログラムなども視察目的として挙げておりますが、みずからの行動の隠れみのに文化プログラムを使っているとすれば、言語道断であります。
 こうしたことに対する知事の見解を伺います。
 続いて、都市外交についてたださなければなりません。
 これまでも我々は、知事の都市外交の手法、都市外交に偏ったバランスの悪さに疑問を感じ、都政における優先順位のつけ方をきちんと考えるべきだと再三申し述べてまいりました。
 我々は、都市外交を否定しているのではありません。二〇二〇年に向け、他の都市との交流を深めることは重要なことであります。しかし、そのために、高額な経費をかけて知事自身が何度も出張する必要があるのか。我々としては、正直、その必要性に疑問を感じる出張もあります。
 知事は所信表明で、ファーストクラス、スイートルームを使わないと述べ、海外出張経費節減の検討も進めておりますが、そうした小手先の話ではありません。
 これまでの批判を踏まえ、海外出張そのものを都市外交の中でどのように考えていくのか、知事の考えを伺います。
 知事も昨日の会見で触れていましたが、知事の昔の著書にある言葉は、今の態度と真反対の主張であります。「舛添要一 三十九の毒舌」では、せっかく大臣になったんだからファーストクラスで海外というさもしい根性が気に食わないといい、「日本新生計画」では、運転手つきの公用車は不要という。「内閣総理大臣」という著書では、政治の世界において金を使うことそれ自体が悪ではない、政治によって蓄財し、それを私利私欲のために使うから悪なのであるとも述べています。悪い冗談としか思えません。
 厳しく人を糾弾しながら、自分の利益にきゅうきゅうとする姿勢は恥ずべきものだと考えます。この点について知事の見解を伺います。
 以上、個々の疑念について答弁を求めてまいりましたが、この際、舛添知事には、胸に手を当て、みずからの二年四カ月の都政のかじ取りを振り返っていただきたいと思います。
 都知事の役割は、政策を磨き、都政を輝かせることで、都民の生活を明るくすることであるはずです。
 しかし、舛添知事がそのことを旨としていたのは、就任してからのごく初期のころだけだったように思います。その後の舛添知事は、自身のメディアへの露出にこだわり、自分が輝くことばかりを考えていたのではないでしょうか。
 我が会派は、特定の分野に偏った都政のバランスの悪さ、あるいは新国立競技場整備計画の白紙撤回やエンブレム使用中止に関して、一人の評論家もしくは市井の一学者のような批判に終始した姿勢などに対して、都議会の場で幾度となく知事に苦言を呈してまいりました。忠告に謙虚に耳をかし、態度を改めていれば、今日のような事態にはならなかったのかもしれません。
 残念ながら、周囲を見回しても、舛添知事をかばう方は大変少ない。東京都知事は一国に匹敵する規模の予算を差配し、十六万人の職員の頂点に立つ大きな力を持っております。権力は魔物と申しますが、あなたの周囲の忠告に耳をかそうとしなかった姿勢、知事自身のおごり、慢心が今回の事態を招いた原因の一つであることを肝に銘じるべきであります。
 政をなすは人にあり。政治を行う根本はそれを行う人物いかんであるという意味の中国の古典、中庸の一節であります。今問われているのは、この言葉どおり、都政を担うにふさわしい人物かどうかという、あなた自身の知事としての資質なのであります。
 先週の所信表明では、知事が議会でみずから言葉を発する大事な場面において、下を見てとうとうと、あたかも原稿を読み上げるかのような態度でありました。この姿を見て、都民は再び激しい憤りを感じたのであります。
 都政への信頼を失墜させた原因をどう考えるのか、知事ご自身の言葉で、心からの答弁を求めます。
 次に、都政全般について伺います。
 四月、熊本県地方を震源とする激しい地震が発生しました。この地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
 今回の地震は、震度七など強い揺れの連続で被災地に大きな人的、物的被害をもたらしただけでなく、千六百回を超える余震の継続などにより、被災者の方の精神的にも大きな負担となっています。
 熊本地震の揺れが終息し応急対策の時期を脱しても、被災者の方々はつらく長い生活再建への道を一歩ずつ進まなければなりません。心身の健康、住まいの確保、就労など、現地のニーズには今後も丁寧な対応が求められています。
 これまでも、被災県の取り組みと、都を含む全国自治体や国などの積極的な支援で応急対応が進められてきましたが、今後とも、引き続き必要な支援を続けるとともに、復興が本格化していくという視点からは、観光などの産業復興に向けた支援など、地元ニーズを踏まえて、都が貢献できる分野も多いと考えられます。
 熊本地震における都の被災地支援は、こうした復旧、復興までを見据え、取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、ボランティア活動について伺います。
 熊本地震における被災地支援では、今後もボランティアによる息の長い活動が必要です。
 都民の中には、熊本が遠隔地であることなどを理由に、今までボランティア活動に参加できなかった方もいたと思われますが、今後、夏休みなどを利用して活動してみようと希望する都民が出てくることも想定されます。
 こうした都民が効果的に活動できるようにするためには、都民がテレビや新聞などの報道だけに頼ることのないよう、都が現地のニーズをしっかりと把握して、正確な情報を伝えていく必要があります。
 例えば、ゴールデンウイーク期間中は、現地の受け入れ数を上回るボランティアが集まり、活動できなかった人たちがいたと聞いています。
 現地に行って何か支援したいという気持ちはわかりますが、せっかく現地に行っても活動ができなければ善意が生かされませんし、現地に行かなくても東京でできる支援もあります。こうしたことを含めて、都民に向けて正確な情報を発信することが都の重要な役割となります。
 そこで、今後、都は熊本地震に関するボランティアを希望する都民が効果的に活動できるよう、どのように取り組むのか伺います。
 また、今回、都に強く問われるのは、熊本地震をみずからのことと受けとめ、首都直下地震などに備えた東京の防災と発災時の首都機能維持のために、今後どう取り組んでいくかということです。
 熊本地震では、震度七の地震が連続発生するなど予測されなかった現象が生じ、自宅に戻った方が被害に遭う事態や、いわゆる車中泊の影響などで災害関連死の方が発生するなど、被害も拡大していると考えられます。
 また、被災地では、集積場所に滞留した支援物資の避難所への未着、避難者の早期帰宅に必要な住宅応急危険度判定員の充足状況、軟弱地盤上や昭和五十六年以前の旧耐震基準の建物が多数倒壊など、原因の精査などが必要な多くの課題が浮き彫りになりました。
 これまで都は、阪神・淡路大震災、東日本大震災など、大規模自然災害の特徴を捉え、科学的見地も踏まえた防災対策の向上に努めつつ、世界一の防災都市東京の実現を目指す我が党の提言に応え、取り組みを進めてきました。
 オリンピック・パラリンピックを控え、都は、今回の熊本地震の教訓を検証し、みずからの防災対策の実効性を一層高めていくべきと考えますが、今後の取り組みについて、都の見解を伺います。
 熊本地震の支援を通じての教訓などは多々あると思いますが、特に課題として検証すべき点について幾つかお尋ねしたいと思います。
 まず、被災地では、阿蘇大橋地区での斜面崩壊により国道が通行どめになるなど、道路被害の記憶も生々しく、避難所への支援物資の輸送の停滞が大きな関心を集めましたが、首都直下地震の場合、同様の事態は、規模、危険性ともさらに大きなものとなることが懸念されます。
 この点、東京で大規模災害が発生した場合に想定される多数の避難者の方々の命を守っていくためにも、物資の避難所などへの輸送を迅速に行える多様なルートを、都や国、区市町村、関係機関などが一体となって早急に確保することや、輸送の手だてを円滑に講ずることの重要性が改めて認識されました。
 都は、本年の三月に緊急輸送ルート確保の基本方針を取りまとめましたが、熊本地震での道路被害や物資輸送の状況を受け、支援物資の円滑な輸送に向け、方針の運用など、どのように対応していくのか、所見を伺います。
 現時点においても余震が続く熊本地震では、広範囲にわたり、さまざまな施設が甚大な被害を受け、河川の堤防においても、堤体の沈下や亀裂が入るなどの被害が数百カ所に及びました。出水期を迎え、堤防機能の損傷による二次災害を防ぐため、鋭意復旧作業が進められております。これらの復旧作業について、都建設局からも職員を派遣し、支援を実施しているところであります。
 昨年九月には鬼怒川の堤防決壊を目の当たりにし、避難の難しさや排水作業の困難さなど、水害の恐ろしさを改めて痛感いたしました。
 災害発生の要因は多種多様であり、地震の後の大雨など複合的な要素も考慮し、防災、減災の根幹となる施設整備について、さらに万全を期していかなければなりません。
 都市機能が集積する東京における河川事業の重要性は論をまちませんが、中でも地盤の高さが海水面より低い、いわゆる東部低地帯における水害対策は喫緊の課題であります。
 耐震対策などの堤防の強化はもとより、万が一浸水した際の避難場所としても機能するスーパー堤防の整備など、災害時の安全の確保なども考慮した河川施設の整備を進めていく必要があります。
 東部の低地帯における河川施設の整備について都の取り組みを伺います。
 次に、重要施設の給水確保について伺います。
 熊本地震において、都は、漏水の復旧支援などに当たりましたが、被害が甚大であり、漏水箇所の特定と個別の給水状況の把握が非常に困難であったと聞いています。
 都では現在、首都中枢機関や医療機関、避難所となる中学校など重要施設を優先して供給ルートの耐震継ぎ手化を進めていますが、大地震時に施設周辺の耐震継ぎ手化していない場所で漏水があれば、必要な施設で水圧が足りず、給水に支障を来すと考えます。
 特に首都東京では、九百を超える重要施設が広範囲に所在し、全ての給水状況の確認には多くの時間がかかることが想定されます。
 医療におけるトリアージのように、水道においても、発災直後に給水状況の異常を迅速に把握して出動対象を絞り込むなど、早期に給水を確保するための取り組みを一つずつ進めていくことが必要です。
 そこで、発災初期における重要施設の給水確保に向けた今後の取り組みについて伺います。
 次に、災害に伴って発生する廃棄物の処理について伺います。
 このたびの熊本地震では、一万棟近くの家屋が全半壊する大きな被害が発生しました。今後、これらの被害家屋の解体が進むにつれて、百万トンを超える瓦れきの発生が見込まれています。
 都は、東日本大震災や伊豆大島土砂災害で発生した瓦れき処理に積極的に取り組み、知見を積み重ねてきました。また、先月から熊本県の要請に基づき職員を派遣し、県の災害廃棄物処理に関する実行計画の策定支援を行っていると聞いています。これまでの被災地での経験とノウハウを有する都が、いち早く支援を行っていくことは、我が党としても力強く思っています。
 近い将来、発生が予想される首都直下地震における災害廃棄物の処理についても、広域的な対応が欠かせず、都も区市町村と民間事業者と連携して、万全な処理体制をつくり上げることが必要です。
 このような観点から、今年度策定予定の東京都災害廃棄物処理計画では、過去の災害から得られた知見をできる限り生かして、実効性のあるものにしていくことが重要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、都市政策について伺います。
 まず、鉄道ネットワークの充実について伺います。
 鉄道は、活発な都市活動と豊かで快適な都民生活を支える最も基幹的なインフラです。我が党が掲げる東京を世界で一番の都市にを実現させるためには、将来の都市像を見据えて、戦略的に整備を進めていくことが必要です。
 本年四月に交通政策審議会から、東京圏における今後の都市鉄道のあり方についての答申が出され、激化する国際競争に向けた空港アクセスの強化や地域の成長に応じた鉄道網の充実などが示されました。
 答申を受け、東京の鉄道網の一層の充実に向けた都の見解を伺います。
 次に、第四次事業化計画優先整備路線の整備について伺います。
 本年三月に公表された東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)において、今後十年間で優先的に整備すべき路線が示されました。
 都市計画道路は、渋滞の解消や都市の防災性の向上など、さまざまな効果が期待される重要な都市基盤です。優先整備路線の総延長二百二十六キロメートルのうち、都施行路線は約六五%を占め、その多くは首都東京の骨格を形成する幹線道路であることから、都は着実に整備を進めることが重要です。
 あわせて、都民に道路整備に対する理解を深めてもらうため、本年第一回定例会の我が党の代表質問において都市基盤整備のストック効果について伺ったように、道路の必要性や整備効果などをわかりやすく説明する取り組みも必要です。
 そこで、第四次事業化計画優先整備路線の整備について都の方針を伺います。
 次に、踏切対策について伺います。
 国の調査によると、交通渋滞の大きな原因となっているあかずの踏切は、全国で約六百カ所あります。また、踏切事故は、平均すると全国で一日に一件発生し、四日に一人が死亡しており、その八割を歩行者が占めています。
 このため、国は、道路交通の円滑化と安全性向上の観点から、本年三月に踏切道改良促進法の一部を改正しました。
 今回の改正では、あかずの踏切や歩道が狭隘な踏切などについて、道路管理者と鉄道事業者で改良方法が既に合意されているものに加え、合意されていなくても、改良すべき踏切として国が指定できるようになりました。
 四月には改正法に基づき、全国で五十八カ所、そのうち都内で二十七カ所が改良すべき踏切に初めて指定されました。都内には、この二十七カ所を含め、千を超える踏切があり、そのうち二百カ所以上は、あかずの踏切です。
 踏切対策は、スムーズで安全な道路交通の実現のために極めて重要な取り組みです。
 そこで、今後の都の踏切対策について伺います。
 次に、都営住宅の建てかえに伴う創出用地を活用したまちづくりについて伺います。
 都内には、高度経済成長期に拡大していった住宅市街地が、周辺区部や多摩地域などに広がっています。こうした地域には、戸数が一千戸を超えるような大規模な都営団地が数多く存在していますが、建設から半世紀近くが経過し、建物の老朽化が顕在化しています。
 我が党は、かねてより、こうした大規模都営団地の建てかえを進めるとともに、創出される用地をまちづくりに効果的に活用することで、地域の活性化、さらには東京全体の活力や魅力の向上を図っていくべきであると主張してまいりました。
 現在、例えば葛飾区の高砂団地や北区の桐ヶ丘団地では、建てかえが順次進められた結果、それぞれ数ヘクタールに及ぶ規模のまとまった用地が創出され始めており、まちづくりを大きく進める絶好の機会を迎えています。
 大規模都営団地における創出用地を活用したまちづくりについて見解を伺います。
 次に、行財政運営について伺います。
 まず、都有建築物の整備について伺います。
 二〇二〇年大会の開催に向けて、都は組織委員会などとともに、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインを策定中です。これは、障害の有無にかかわらず、全ての人々が大会に参加するためのハード、ソフト両面のバリアフリー化のガイドラインです。
 もとよりこのガイドラインは、二〇二〇年大会の競技会場や選手村などに求める水準を示し、全ての施設に一律に適用するものではありません。しかし、本年一月に示された暫定基準を見ると、国際的に通用するユニバーサルデザインの視点が盛り込まれており、障害者だけでなく、高齢者や子供にも優しい、誰もが安全に移動でき、安心して過ごせる、世界で一番の都市東京の実現に向けた、福祉のまちづくりの次なる道しるべとなるものであります。
 まず隗より始めよ。我が党は、整備中の競技会場はもとより、今後整備する他の都有建築物の整備に当たっても、さらなるレベルアップを目指し、このアクセシビリティ・ガイドラインの内容を取り入れていくべきと考えますが、所見を伺います。
 近年、ICTの進展は目覚ましく、あらゆる場面で、その利活用が進んでいます。特に、鉄道や商業施設において簡単に支払いができるSuicaやPASMOなどに代表される電子マネーは、今日広く使われ、急増する外国人旅行者でも、その利用がふえています。
 一方、電子マネーの公金収納は制度的な課題があり、都を初め、他の道府県においても導入が進んでいないと聞いています。多くの人が訪れる都の動物園の入場料など、少額、現金での支払いにおいて、電子マネーを活用していくことができるのではないでしょうか。
 そこで、外国人旅行者のみならず、都民の利便性向上のため、都は、早期に課題解決を図り、電子マネーによる公金収納を推進し、広く利用できるようにすべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、環境エネルギー政策について伺います。
 世界は今、気候変動を初め、大気、水の汚染や資源制約などの重大な環境問題に直面しています。こうした環境問題の解決を図り、持続的に発展成長する世界を目指すためには、世界人口の半数以上が集中するといわれている都市がその役割を踏まえ、先導的に取り組む必要があります。
 こうした中、都が先般策定した環境基本計画では、新たな温室効果ガスの削減目標、快適な大気環境の確保や生物多様性の保全など、目指すべき東京の将来像が描かれました。
 今後、ここで掲げた施策を着実に推進し、東京二〇二〇年大会とその先を見据え、都民が質の高い生活環境を享受し、実感できる都市の創造が重要です。
 我が党はこれまで、気候変動対策やエネルギー施策に関して具体的に提案してきましたが、良質な大気や水環境の創出、誰もが潤いや安らぎを感じられる緑の創出などの面でもレガシーを残していくべきです。
 我々世代が、次代を担う子供たちに残せるものは、澄んだきれいな空気、美しい水質や水辺環境、豊かな緑などの財産なのではないでしょうか。
 今後、都としても、世界で一番の環境都市を実現するためにどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、次世代自動車の普及について伺います。
 都は、三月に策定した新たな環境基本計画において、都内の温室効果ガスを二〇三〇年までに二〇〇〇年比三〇%削減という、国を上回る目標を設定しました。
 これは、二〇一三年と比べ、都内の温室効果ガスを二千七百万トン、体積に換算すると東京ドーム一万二千個分を削減しなければならないことになります。
 この目標達成に向けて、燃料電池自動車の導入支援に取り組んでいますが、あわせて、技術開発や市場化が先行している電気自動車やプラグインハイブリッド車という次世代自動車についても、一層の普及拡大が必要であると考えます。
 しかし、ハイブリッド車を含めた次世代自動車の普及割合は一割前後であるのが実情です。
 そのため、次世代自動車を普及させていくためには、さらなる充電インフラの整備を進めていくとともに、次世代自動車の魅力や利便性の理解促進を図るなど、より一層、これまでの取り組みを充実強化していくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 先ほども美しい水質や豊かな緑など、次世代に引き継ぐレガシーについて述べました。
 東京には、都民共有の財産である多摩地域の森林があります。この森は、古く、先人たちの知恵と努力により、五十年、百年という単位で守り育てられてきました。
 しかし、こうした努力をいっときでも怠れば、これまでの努力を無に帰してしまいます。
 こうしたことから、都では良好な森林を守るべく、間伐などさまざまな事業を行っています。
 同じ多摩川上流域にある水道水源林では、荒廃した山林を水道局が百年以上の年月をかけて緑豊かな森へ再生してきた結果、小河内貯水池は、土砂の堆積が極めて少なく、良好な状態で維持されています。
 しかしながら、小河内貯水池に影響を及ぼす民有林の荒廃が懸念されることから、我が党では、民有林の購入や森林管理について長期的視点に立った対策や住民などの参加による森づくりが必要であると指摘したところです。
 都民の貴重な水と緑を育む水道水源林を健全な状態で次の世代につなげていくためにも、計画的な森づくりを推進すべきと考えます。
 そこで、今後の森づくりの推進に向けた具体的な道しるべの作成について見解を伺います。
 次に、福祉医療政策について伺います。
 まず、社会福祉法人制度改正への対応について伺います。
 本年三月に社会福祉法人制度の見直しを内容とする改正社会福祉法が成立しました。
 社会福祉法人は、来年四月の法施行に向け、ガバナンスや財務規律の強化など、新制度への対応を着実に進めていく必要があります。
 都内には、複数の特別養護老人ホームなどを運営する法人もある一方、保育所一施設のみを運営する法人があるなど、規模や事業内容はさまざまです。そのため、法人の実情を踏まえ、丁寧に対応していく必要があります。
 都内の約千の法人全てが新制度の内容を理解した上で、円滑に準備を進めていくために、今回の社会福祉法人制度の改正に都はどのように対応していくのか、見解を伺います。
 次に、保育サービスの充実について伺います。
 昨年四月に子ども・子育て支援新制度が始まり、保育の申込者が急増している中、全国で待機児童数が五年ぶりに増加したことなどを受け、国は、緊急対策やニッポン一億総活躍プランを策定し、さまざまな施策を打ち出しました。
 我が党はこれまでも、待機児童解消に向け、さまざまな保育サービスを、質を確保しつつ大幅に拡充するよう繰り返し求めてきました。
 都は、さきの定例会で我が党の質問に対し、区市町村の実態把握に努め、待機児童解消に向けた取り組みを全力で進めるとともに、長期ビジョンに掲げた保育サービスの整備目標についても、本年四月の待機児童の状況を踏まえながら、さらなる拡充を検討すると答弁しました。
 今般、副知事をトップとした検討チームを設置するとのことですが、区市町村の状況と国の動きも踏まえ、都として、待機児童解消に向けてどのように取り組みを進めていくのか伺います。
 次に、特別養護老人ホームなどの介護サービス基盤の整備についてです。
 都は、整備率が低い地域における補助単価の加算や都有地の減額貸付など、独自の支援策を講じて新規施設の整備を促進していますが、あわせて、生活環境の向上や安全確保の観点から、老朽化が著しい施設の建てかえも進めていく必要があります。
 地価の高い都内では、建てかえのための仮移転先を確保することが極めて困難であり、都は、清瀬小児病院跡地を活用し、事業者が交代で使用できる代替施設の整備を進めています。こうした取り組みは、区部においても必要です。
 東京都健康長寿医療センターがある板橋キャンパスでは、現在、旧建物の解体工事が進んでいます。
 そこで、その跡地については、老朽化施設の建てかえ促進を初めとした福祉施策に有効に活用すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩メディカルキャンパスについて伺います。
 都では、診療基盤の整備や医療従事者の確保対策などの診療支援を行い、医療の充実を図ってきました。しかしながら、人口十万人当たりの医師数を見ると、多摩地域は区部の約六割であり、全国と比べても、平均を下回る状況にあります。
 今後、高齢化が一層進行した社会においては、患者が、身近な地域で質の高い医療や総合的な療養生活の支援を受けられる環境が重要となります。
 こうした認識のもと、我が党は以前より、都立、公社病院において、地域の関係機関との協働を推進するとともに、地域の医療人材の確保と質の向上に寄与するよう提言してきたところであります。
 多摩メディカルキャンパスにおいては、今後、さらなる機能充実を図っていくとしていますが、医療人材の確保が厳しい多摩地域の現状を踏まえ、多摩地域の医療拠点として、東京医師アカデミーを活用した医師育成に関する連携を進めていくべきであると考えます。
 具体的にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、産業政策についてでございます。
 安倍政権は、戦後最大の名目GDP六百兆円の実現を目指していますが、海外経済の弱さなどの不安要素もある中、日本経済を確実に成長軌道に乗せるため、あらゆる手だてを講じる必要があります。
 都としても、国と歩調を合わせ、率先した取り組みを進めるべきです。
 その最たるものが、二〇二〇年大会の開催効果を日本各地に波及させ、持続的な発展につなげていくことにあると我が党はかねてより主張してきました。
 都は、日本全体の経済活性化を図る取り組みの一つとして、この四月、大会などを契機とする官民の入札、調達情報を一元的に集約し、中小企業の受注機会の拡大を図るポータルサイト、ビジネスチャンス・ナビ二〇二〇を稼働させました。
 中小企業には、このサイトの利用を通じて、今後見込まれるビジネスチャンスをつかみ、収益の拡大につなげていただきたいと思います。また、このサイトは、中小企業支援だけでなく、中長期に見れば、広い意味では社会経済の安定といった面でも意義があります。
 企業は、新たなビジネスパートナーとのマッチングや交渉などを通じて、すぐれた技術やサービスを生み出し、製品などの品質向上を図ることが可能となります。このことは、品質を重視した企業間の取引を活性化させ、都が取り組んでいる公共調達における品質確保の面でも効果が期待できます。
 さらにいえば、サイトは自然災害などでサプライチェーンが断たれた際の取引企業の確保といった事業継続や危機管理の面でも有効といえます。
 多くの企業がこのサイトを利用することで、収益を上げ、成長することが可能となり、また、社会経済の安定にも資することから、サイトの利用促進を戦略的に進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 人口減少社会の到来やグローバル化の進展など、社会経済環境への対応も喫緊の課題です。このような環境で都内中小企業が成長を続けていくためには、従業員一人一人の能力を高め、生産性の向上を図ることが必要不可欠です。
 従業員の能力向上を図るには、業種ごとに実情が大きく異なることから、個々の現場を熟知した事業主や団体などがみずから行う職業訓練が有効です。
 とりわけ、技能者の育成が急務とされる建設業界の中小企業では、職業訓練により実践的な人材育成を行っているケースが見受けられます。
 しかし、厳しい経営を強いられている中小企業にとって、こうした職業訓練に要する経費を支払い続けることは大きな負担となります。
 将来を担う人材育成に懸命に努力している中小企業が主体的に取り組みを進められるよう、都としてさらなる支援の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 国は、産業として裾野の広い観光分野を一億総活躍の場とすることを目指しており、訪日外国人旅行者数を二〇二〇年には四千万人、二〇三〇年には六千万人まで引き上げる新たな目標を示しました。
 都も先月、観光産業の飛躍に向けたアクションプログラムの素案を取りまとめ、具体的な方向性を示したことは評価します。素案では、消費拡大や観光資源の開発などを示していますが、その実現に当たっては、これまで我が党が主張してきたようなさまざまな工夫や対応が重要になると考えます。
 例えば、海外からの旅行者の旺盛な消費をしっかりと捉えるためには、経営のノウハウを習得し、仕事の進め方の効率を高め、その担い手を確保することが大切です。
 また、すぐれた観光資源を生み出すには、自然、文化やインフラなどを幅広く活用する発想が不可欠です。
 アクションプログラムの成案策定に当たり、都はどのような部分に重点を置いて取り組みを進めるのか、所見を伺います。
 成長戦略を実現するためには、インバウンド消費の一層の拡大が必要であり、その方策の一つとして、クルーズ客船の誘致による外国人旅行者の取り込みが極めて有効です。
 クルーズ客船の誘致には、外国の船会社に対し、東京の優位性を戦略的にアピールしていくことはもとより、何よりもしっかりとした受け入れ体制を整えることが不可欠であります。
 現在、都は、世界最大のクルーズ客船にも対応可能な新客船ふ頭の整備を進めています。増加するクルーズ需要にしっかりと対応でき、港の魅力を満喫できる観光スポットともなり得る施設としていく必要があります。
 世界の主要港と比較しても遜色のない首都東京にふさわしい客船ふ頭としていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、安全・安心への取り組みについて伺います。
 都内では、昨年も一万一千件を超える自転車事故が発生しており、安全確保のためには、まちづくりの観点からの取り組みに加え、利用者の交通ルール、マナーの向上を図ることが重要であり、我が党はさきの定例会の代表質問で、安全利用のための新たな対策の検討が急務であるとただしたところです。
 都が本年四月に改定した自転車安全利用推進計画では、交通事故に直結しやすい違反行為などに対し、街頭で直接、啓発や指導を行う指導員制度の導入など、新たな安全対策が打ち出されました。
 現状では、死亡事故時に自転車利用者側に何らかの違反があった割合は約六割に上るなど、深刻な状況であります。
 不幸な事故を一件でも多く減らしていくためには、計画に盛り込まれた事故削減に効果の高い取り組みをいかに実施するかが問われることになります。
 今後、必要に応じ、自転車安全利用条例を改正し、重点的に講ずべき対策を条例にしっかりと位置づけるなど、事故削減に向けて、安全利用を促進する取り組みを実効性を持って展開すべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、教育政策について伺います。
 最初に、特別支援教育について伺います。
 我々が目指す世界で一番の都市東京は、世界で一番障害者に優しい都市であるべきです。
 東京パラリンピック大会開催決定を契機に、特別支援学校と小中学校の障害者スポーツの体験交流が始まりました。
 障害の有無にかかわらず、ともに生きることが当たり前と考える社会の実現に向け、さらなる施策の充実が必要です。
 都教育委員会は、障害のある子供たちが障害のない子供とともに活躍できる社会に向けて新たな計画を策定するべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、知的障害特別支援学校における施設整備について伺います。
 施設整備には長い時間を要するため、教室不足の改善を求める声が保護者などから多数寄せられており、教育環境の充実は引き続き喫緊の課題です。
 子供たちのためには、学校の新築や増改築など、抜本的な解決策を計画的に進めることに加え、速やかな対応も必要です。
 都教育委員会は、あらゆる方策を講じて、これまで以上に積極的に教育環境を充実させていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都立高校における主権者教育について伺います。
 本年七月には、十八歳以上の高校生が初めて投票を行います。権利を得ることは、同時に果たすべき義務を負うことでもあります。
 我が党は、子供たちが良識ある公民として必要な能力と態度を身につけられるよう、先哲の思想や民主主義の基本原理を学ぶことが重要だと考えています。
 そのためには、議会制民主主義や先人が努力を積み重ねてきた歴史を理解した上で、公職選挙法の趣旨や選挙制度について学習することが望ましいと思います。これらを通し、社会の一員として果たすべき義務と権利について学んでいくべきです。
 今後、都立高校生が真の民主的な主権者として権利を行使し、義務を果たせるよう、都教育委員会はどう取り組むのか伺います。
 オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックの開催まであと二カ月となりました。東京にとっては、このビッグイベントを実地で学べる最後の機会ともなります。
 現地では各競技の運営はもちろん、ボランティアやバリアフリーの状況、選手や観客の輸送、安全対策など、大会を開催する都市で担うべき役割や課題をしっかりと見て回り、次の東京大会に生かしていかなくてはなりません。
 また、東京を訪れる多様な人々が、安全かつ快適に東京での滞在を楽しめたらすばらしいことだと思います。
 そのためには、大会に向け、施設のバリアフリー化や多言語対応など、ハード、ソフト両面においてさまざまな取り組みを精力的に進めていく必要があります。
 加えて、お迎えする開催都市である我々の盛り上がりが、都民、国民の笑顔こそが、世界中から訪れる方々を幸せな気持ちにするのではないでしょうか。
 新しいエンブレムやリオから持ち帰った五輪旗などを積極的に活用し、区市町村がお祭りやイベントを自主的に企画して盛り上がっていけば、それは地域社会全体の活性化にもつながっていきます。
 こうした観点から、都民、国民自身が大会に参加し、心から楽しむ機運を醸成していくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピックに向けたハード面の整備について伺います。
 まず、道路整備について伺います。
 開催まであと四年余りとなった二〇二〇年大会を成功させるためには、安全で円滑な移動を可能とする輸送環境の実現が不可欠です。
 そのためには、世界有数の公共交通ネットワークの活用や効率的な輸送システムの構築などのインフラ整備が重要です。
 中でも都市計画道路は、東京の最大の弱点である交通渋滞を解消し、都市機能の向上を図るとともに、災害時に都民の生命、財産を守る極めて重要な都市基盤です。
 二〇二〇年大会開催時には、多くの人や車が行き来する競技会場や選手村などの大会関連施設間を結ぶ環状第二号線などの都市計画道路を着実に整備する必要があります。
 そこで、二〇二〇年大会の円滑な運営に資する都市計画道路の整備について伺います。
 次に、競技施設について伺います。
 都が整備する恒久施設は、大会後も多くの都民、国民が集い、訪れる施設となり、実りあるレガシーとして次世代に引き継いでいかなくてはなりません。
 ロンドンでは、競技施設が集まるオリンピックパークが今でも活況を呈するなど、にぎわいをもたらしていると聞いています。
 競技施設の整備もいよいよ本格化していく中、都は先月、新たに整備する競技施設のうち四施設の運営計画の中間のまとめを公表しました。これらの施設は、大会後も多くの都民に利用されることはもちろん、東京の新たなにぎわいと活気を生み出す拠点としていくことが重要です。
 そこで、競技施設を大会後にどのように有効活用し、東京のにぎわい創出につなげていくのか、所見を伺います。
 次に、文化プログラムの展開について伺います。
 二カ月後に迫ったリオ大会で実施する東京の文化発信事業をぜひとも成功させなければなりませんが、忘れてならないのは、大会終了後、いよいよ二〇二〇年東京大会に向けた文化プログラムが本格的に開始されるということです。
 今後、四年間に行われる文化プログラムを通じて、東京、日本の多彩な文化の魅力を都内のみならず、全国各地に発信していくことにより、二〇二〇年大会に向けた機運を盛り上げていく必要があります。
 それと同時に、東京、日本のすばらしい文化を次世代に継承し、しっかりと根づかせ、未来を担う若者たちを文化の力で育んでいくことが重要です。
 とりわけ、ことしは四年間の文化プログラムのキックオフとなる年であり、この秋からの取り組みが今後の文化プログラムの成否を左右するといっても過言ではありません。
 リオ大会の盛り上がりを引き継ぎ、時期をあけることなく、秋から集中的な事業展開を図り、後世のレガシーにつながる文化プログラムの始まりを強く印象づける必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、改めて知事に申し上げます。
 知事選出馬前のことをまだ覚えていますか。私たち都議会自民党との政策協議の際、一緒に力を合わせて、東京を世界で一番の都市にしよう、世界中のどの都市よりも住みやすい、そんなまちをつくろう、そう約束したことを覚えていますか。
 二元代表制である知事と我々議会がともに汗を流し、力を合わせ、世界で一番の都市の実現に向けて進んでいくはずでした。
 しかし、その約束は見事に裏切られてしまいました。
 都民、国民の皆さんだって同じだと思います。テレビでの舌鋒鋭い話を聞いて、厚生労働大臣としての活躍を見て、この人なら東京都をよくしてくれるだろう、そう思ったからこそ、二百十万人もの多くの都民の皆さんが舛添要一という名前を書いてくれたのではないでしょうか。
 知事、都民の皆さんも私たちも皆、あなたに期待をしていました。けれど、その期待は見事に裏切られてしまいました。
 都政を預かる最高責任者として、都政への信頼を失墜させ、停滞させた過ちは、はかり知れないほど大きな大きな罪であります。
 仮に法的にはクリアできたとしても、公私混同、せこいといったそしりを拭い去ることはできません。
 また、非を認めたことに対して、ただ、本人の不徳のいたすところ、今後、一つずつの行為をもって改めるだけでは、都民も私たちも、説明責任を果たしたとは思いません。全く納得いたしません。
 都政が失った都民からの信頼を回復するためには、膨大な労力と時間がかかると思います。これから恐らく東京都は、大変な困難を乗り越えていかなければならないんだと思います。
 それにはまず、知事ご自身が疑惑の真実に対して、誠意と真実をもって答えてもらわなければなりません。そして、みずからの戒めで、みずからの意思として、身を切る決断をすることが最低限必要です。
 都議会自民党は、知事に対して、再三にわたって警告を発してまいりました。その都度ごとに裏切られてしまいました。舛添知事が変わらないのであれば、我々は、いつでも警告にかわる措置を講ずる用意があります。
 知事の真摯なる対応を強く求めます。
 なお、答弁によっては再質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 神林茂議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、今回の調査の信頼性についてでございますが、調査の方法につきましては、第三者であります弁護士の先生方にお任せをしております。先生方とは、調査を受けるまで面識のなかった方々でありまして、厳しい捜査と経験の元検事の人たちでございます。
 今回の調査におきましては、弁護士からの要請に基づき、私や秘書らから関係資料を提出し、私や秘書及び関係者がヒアリングに応じるとともに、必要に応じて、弁護士の先生方がみずから資料を入手することで調査を行っていただきました。第三者の目線からの厳格な調査を行っていただいており、信頼性は確保できていると考えてございます。
 次に、木更津市所在のホテルにおいて、平成二十六年正月に行われました会議メンバーについての氏名についてでございますが、この会議では、つき合いが長く、かねてより相談相手としていた出版会社社長を客室に招き、翌月に実施されます都知事選への出馬について相談をいたしました。
 相手の氏名につきましては、大変恐縮ではございますけれども、先方の立場もあることからお答えできないことをご容赦、お願いしたいと思います。
 次に、ホテル、宿泊料を政治資金で支出したことについてでございますが、平成二十六年正月の段階は、翌月に実施される都知事選に出馬すべきか否かを検討してございまして、その決断を迫られておりました。
 一方、かねてより、正月旅行を家族に約束していたこともありまして、旅行先で政治的な打ち合わせをすることになりました。
 しかし、もともとは家族旅行ではないかとの弁護士さんからの厳しいご指摘はもっともでございまして、その場を打ち合わせに利用したからといって、政治資金に計上したことは、他人の目がなく、ルーズになっていたと反省をいたしております。
 都民の皆様から叱責をいただき、また、都議会からも厳しい指摘をいただいたことには、真摯に反省をいたしております。
 今後、同様な状況があります場合には、誤解を招かぬよう、別途会議室などを借りるなどいたしまして、対応を図ってまいりたいと思っております。
 続きまして、公私混同との指摘でございますが、私が自民党に所属していたころは、政党助成金については、党独自の内規に基づき、厳しいチェックがなされてございました。しかし、私が自民党を離党し、新党改革を結成した後は、政党助成金以外の政治資金が少ない状況の中で、自民党のような政党助成金の内部チェックシステムがございませんでした。また、自分が党の代表であるという慢心もあったと反省しております。
 今回、多くの方から、他人には厳しいが自分には甘いのではないか、身銭を切っていないではないか、そして、公私混同だと、そういう厳しい批判を受けてございます。このことにつきましては、心から反省を申し上げます。
 加えまして、昨日発表いたしました湯河原の施設の売却等のけじめにつきましては、これを現実に履行する過程で、今回調査していただいた弁護士にしっかりと監督を受けていきたいと思っております。
 また、今後は、政治団体の会計責任者を事務所関係以外の人物で、政治資金にも詳しい人にお願いしたいと思っております。
 続きまして、絵画等を私物化しているという批判でございますが、新党改革支部とグローバルネットワーク研究会が所有していた絵画、版画等は、現在、私の政治団体であります泰山会が所有してございます。
 それらの絵画などは、都庁の知事執務室、応接室、廊下などに展示し、外国の要人との話題づくりに活用するなど、私自身の私物と政治資金で購入したものは区別して管理をしてございます。
 昨日の調査報告でも、美術品などにつきましては、調査の弁護士さんから、公私の区別を明確にせよとの勧告がございました。私といたしましては、政治団体を解散するときには、これらを必要としてくれるところに寄附する意思を持っております。
 また、現在できることといたしましては、美術品は、知事室、応接室、廊下などにもたくさん展示しておりますが、ほかにも展示していただけるところがございますれば、都の病院や福祉施設などでも活用していただくことも考えていただければと思っております。
 絵画などを美術館などに寄附することについてでございますが、今回の調査報告において、絵画等の所有関係を明確にするとともに、私物化したとの批判を招かないような措置を講ずるべきとのご指摘もいただきました。
 私としても、これらの美術品を財テク目的で購入したつもりではありませんけれども、そのことを明らかにするためにも、私の政治活動のツールとして利用が終わる、つまり、私が政治団体を解散するときには、これらの美術品を必要としてくれる美術館に寄附したいと思っております。
 また、直ちにできることといたしましては、病院や福祉施設などで美術品を展示していただけるところがありましたら、そのような場所でぜひ活用していただきたいということを申し上げたものでございます。
 次に、元会計責任者との発言の食い違いについてでございますけれども、私は、元会計責任者とそのような会話をした記憶はございません。元会計責任者の発言は、日々の事務作業の中で、私とさまざまなやりとりを行いながら会計処理を行っていたことを指しているのだと考えております。この発言が、今般指摘されている具体的な事項を指しての発言ではないと考えております。
 続きまして、湯河原に行く際の立ち寄りでございます。
 湯河原の事務所に行く際には、世田谷の事務所にかなりの頻度で立ち寄っていたのは事実でございます。これは、週末に資料を読み込むなど、その週のまとめと、翌週の公務のための準備を行っていたことから、湯河原の事務所に行く際には、資料を整理し必要なものを持っていくために、一旦、世田谷の事務所に立ち寄ったものでございます。
 その時点では、こうした立ち寄りは、都の公用車使用のルールに反していないとの認識でございました。しかしながら、都民の皆様からは、ルールに反しているのではないかとご批判をいただいております。また、昨日の調査報告書におきましても、公用車の使用ルールに抵触する可能性を言及されております。このような懸念を持たれること自体、私の不徳のいたすところと深く反省しているところでございます。
 湯河原での滞在と都政の最高責任者としての責務についてでございますが、湯河原での滞在につきましては、衛星携帯電話による連絡手段やヘリなどによる移動手段など、大規模災害時にも対応できる万全の危機管理体制を確保しているとの認識のもと、行いました。
 しかしながら、都知事である私が都外にあります湯河原の事務所に頻繁に滞在を繰り返していたことにつきましては、危機管理意識が極めて甘かったとの批判は当然でございます。都民の皆様に多大なるご心配をおかけいたしました。私としては、深く反省をしております。
 今後は、都知事として、危機管理という観点も十分踏まえ、自分の行動を律してまいりたいと考えております。
 公の部分における覚悟についてご質問がございました。
 私の使命は、都民の皆様に、東京に暮らしてよかったと実感していただくことでございます。何としてもそれを実現することこそが、私の公の覚悟にほかなりません。
 その実現に向けまして、都議会の皆様との真摯な議論が不可欠でございます。その第一歩として、まずは一連の問題について説明責任を十分に果たしてまいります。
 なお、事務所の売却は、今すぐお見せできるけじめの一つとしてお示ししたものでございまして、このことだけで直ちに皆様からの理解が得られるとは決して考えておりません。不退転の決意を持って信頼回復に向けまして、都民の皆様のために仕事に邁進していく覚悟でございます。
 湯河原の事務所の売却についてでございますが、一連の問題の中で私が深く反省すべきは、湯河原の事務所への移動に公用車を頻繁に使用したことでありました。
 私は今回、この件につきまして、みずからのけじめをつけるために、施設を所有する会社であります舛添政治経済研究所とも相談し、湯河原の事務所を売却することにいたしました。できるだけ早く施設を買っていただく方を探したいと考えております。
 公用車の使用の見直しの方向についてでございますが、都民の皆様からのご批判を真摯に受けとめまして、今後は疑念を抱かれることのないように、第三者の弁護士による調査報告書の内容も踏まえまして、厳格な運用を図ってまいります。
 具体的には、まず、移動元、また移動先が公務場所であるという基本的なルールを徹底いたします。また、公用車を使用する場合は、行き先や用件などを明らかにすることで、都民への説明責任を果たしていく考えでございます。さらに、途中で用務のために立ち寄る場合についても短時間にとどめるなど、より厳格に取り扱うようにしたいと思っております。
 続きまして、私的な美術鑑賞ではないかとのご指摘でございますけれども、美術館や博物館の視察については、二〇二〇年大会の文化プログラムの成功に向けまして集中的に行ってきたものでございますが、ご指摘のとおり、ほかの施設に比べ美術館や博物館への視察の割合が高く、バランスを欠いていたことは反省しており、改善していきたいと考えております。
 今後は、今般の私の視察への批判や第三者の弁護士による調査報告書の内容も十分踏まえまして、視察対象のバランスにも配慮するとともに、多摩・島しょなど東京全体の地域性も考えながら、視察のスケジュールを組み立てていきたいと考えております。
 都市外交についてでございます。私は、就任以来、二〇二〇年大会の成功とその先の東京の発展に向けまして、海外諸都市との強固な友好協力関係を築くことが重要だと考えて、まずは、みずからトップ同士の関係を築くため、姉妹友好都市等を訪問してまいりました。
 しかし、都民の皆様を初め、私の出張経費に対する厳しい批判を数多くいただき、改めて自分の行動を振り返ったところでございます。
 小手先という厳しいお言葉もいただきましたが、私自身の経費の節減のみならず、今後は、実務レベルでの交流の促進や、都内に多数所在する在京大使館等のさらなる関係強化など、さまざまな取り組みを組み合わせ、最小限の費用で都市外交の効果を上げていきたいと考えております。
 私自身の出張につきましては、都市外交の一手段にすぎないとの認識のもと、知事でなければ果たせない役割がある場合など、出張の必要性を厳しく精査することで、バランスのとれた都政運営を心がけていきたいと思っております。
 私の著作等の発言とみずからの姿勢についてご質問がございました。
 ご指摘のとおり、私はこれまでの著書の中で、大臣のファーストクラス利用をやゆしたり、運転手つきの公用車の必要性を否定したりしてまいりました。
 今、私自身がファーストクラスや公用車の利用について批判を受けているのは、その必要性や妥当性が問われることもさることながら、こうした過去の発言と現在の行動が不一致ではないかと信頼を損ねていることも大きな原因であると考えております。
 天に唾するようなことであったと、まさに汗顔の至りでございまして、今後の自分を厳しく戒めていかなければならないと深く反省しているところでございます。
 他人には厳しいが自分には甘いのではないかと、厳しいご批判があることを胸に刻み、人として、また政治家として再び信頼をいただけるよう、みずからを厳しく戒めてまいります。
 都政への信頼を失墜させた原因についてご指摘がございました。
 この二年四カ月の間、東京の発展や都民生活の向上に向け、都議会の皆様とさまざまな議論を交わしてまいりました。その中で、私におごりや慢心が見られたとの厳しいご指摘は真摯に受けとめたいと思っております。
 都政への信頼を失墜させた一因は、都民の皆様、都議会の皆様と真摯に向き合い、その声に誠実に耳を傾けることがいつしか十分でなくなった私の姿勢にあると猛省をしてございます。
 私は、就任直後の庁議におきまして、職員一人一人が天に恥じない仕事をし、都政への信頼を回復させるため、私みずからがその努力の先頭に立つとの決意を表明いたしました。いま一度その決意を胸に刻み、それを言葉だけでなく姿勢で示し続けるよう、生まれ変わったつもりで心を入れかえてまいりたいと思っております。
 これまで、一連の問題に関する個々の質問にお答えを申し上げてまいりました。まずは、このように説明責任を丁寧に果たしていくことを、都民、都議会の皆様と再び真摯に向き合わせていただく第一歩としたいと思っております。
   〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。

○知事(舛添要一君) このたびは多大なるご迷惑をおかけし、まことに申しわけないと思っております。皆様のご理解をいただけますよう、謙虚に努力をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな特別支援教育推進計画についてでありますが、障害の有無にかかわらず、互いに認め合い、尊重し合う社会を実現するためには、障害のある子供たちが多様な形で社会に参画できるよう、その力を育むことが重要でございます。
 このため、子供たちの将来の自立と社会参加を見据えて、より積極的かつ主体的に社会に参画していく姿勢を育てる観点に立って、今後十年を計画期間とする新計画を年度内に策定してまいります。
 こうした考え方のもと、子供たちの可能性を最大限に伸ばすため、特別支援学校における職業教育を充実するとともに、スポーツ教育や芸術文化教育の推進といった取り組みを進めてまいります。
 さらに、発達障害教育の推進や共生社会への理解促進など幅広い施策を盛り込み、東京の特別支援教育を一層充実させてまいります。
 次に、知的障害特別支援学校の教育環境についてでございますが、都教育委員会は、特別支援教育推進計画に基づき平成三十二年度までを計画継続期間として、特別支援学校の再編整備を推進するなど教育環境の充実に努めてまいりました。
 知的障害のある児童生徒数については、直近の教育人口等推計を踏まえますと、平成三十二年度以降も増加する可能性が高いことから、さらなる環境整備に取り組んでいく必要がございます。
 今後、知的障害特別支援学校の在籍者に関する最新の将来推計を行った上で、学校の新築や増改築を初めとして、多様な方法を用いた迅速で効果的な対応策を検討してまいります。
 こうした内容を新たに策定する計画にしっかりと位置づけ、教育環境の充実に全力で取り組んでまいります。
 最後に、都立高校生に対する主権者教育についてでありますが、高校生が自国を愛する心や公共の精神を持ち、社会の問題をみずからの課題と捉え、主権者として多面的、多角的に考察し、判断できるようにすることは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、公職選挙法の改正による選挙権年齢引き下げに伴い、管理職及び地歴、公民科教員対象の説明会を速やかに行うとともに、民主主義の本質に関するリーフレットを作成し、全都立高校生に配布するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 今後、リーフレットの継続的な配布や、複数の全国一般紙を全ての都立高校の図書室へ設置するなどの準備を進め、政治的中立性を確保するとともに、権利と義務の関係や民主主義に関する理解を深める学習活動など、政治的教養を育む主権者教育を一層充実させてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 防災対策についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、熊本地震における都の支援についてでございますが、都は、本震が発生した四月十六日、熊本地震情報連絡会議を設置し、全庁的な情報共有と被災地への人的、物的支援を迅速かつ継続的に実施できる体制を構築いたしました。
 同時に、現地に職員を派遣することで、現地ニーズの的確な把握に努め、関係機関とも連携し、救出救助、災害応急復旧など、これまで延べ一千三百人を超える職員を派遣し、被災地の支援に積極的に取り組んでまいりました。
 また、毛布や給水袋などの支援物資を迅速に搬送したほか、被災者の都営住宅や都立学校等への受け入れ、都税の納期限延長など、全庁的に幅広い支援を行っております。
 今後も、観光などの産業復興なども含め、現地のニーズを的確に把握し、引き続き、関係機関とも連携を図りながら、迅速な支援を行ってまいります。
 次に、今回の地震を踏まえた都の取り組みについてでございます。
 熊本での強い地震の連続や余震の継続はこれまで経験がないものであり、地震の原因や被害との因果関係等の解明が、都の防災対策にも極めて重要と考えております。
 都といたしましては、今後、被害の分布や程度など必要な情報収集を行い、国が実施することとしている日奈久断層帯調査等の動向を注視するとともに、専門家の知見等を求めるなど検証作業を進めてまいります。
 また、今回の支援の経験から得られた教訓等を取りまとめ、支援物資の輸送や他の自治体、国との連携など、発災時に、より迅速かつ的確な対応が可能となるよう、都の取り組みに反映させてまいります。
 こうした対応を通じて、首都直下地震等に備えた都の防災対策を、より実効性の高いものとしてまいります。
 最後に、大規模災害時の緊急輸送についてでございます。
 熊本地震では、支援物資が滞留し、避難所まで届かないという事態が発生いたしましたが、道路被害による渋滞に加え、要員不足など運用面の制約も影響したと仄聞しており、実態等の把握が必要と考えております。
 都といたしましては、こうした事態も念頭に、発災時における円滑な物資の輸送経路を確保するため、本年三月に定めた発災時における緊急輸送ルート確保に向けた基本方針に基づき、国、都、各施設管理者など関係者間の連携等を具体化させてまいります。
 また、支援物資の輸送についても、東京で発災した場合の物資の具体的な流れを念頭に、トラックや人員の確保等の円滑な運用を改めて検証するなど、実効性の向上を図ってまいります。
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、熊本地震におけるボランティアについてですが、東京には、都民を初め企業、大学など、ボランティアの担い手が数多く存在しますが、都民等が現地で円滑に活動するには、熊本が遠隔地であることや日々変化する現地のニーズを踏まえることが重要でございます。
 そこで、先月末、職員を派遣するなど現地と直結したパイプづくりを強化し、活動ニーズや宿泊施設の状況など都民の現地での活動に役立つ情報の提供を充実するほか、募金や寄附活動など都内でもできる取り組みも紹介してまいります。
 また、今後、参加機運が高まる夏休みに向け、大学生などの若者を中心に、活動する上での安全確保やコミュニケーションなどの心得を伝える説明会を開催いたします。
 これらにより、ボランティアを希望する都民が効果的に活動できるよう支援してまいります。
 次に、文化プログラムの展開についてですが、二〇二〇年大会を文化の面でも盛り上げ、大会の成功につなげていくには、この秋からさまざまな事業を切れ目なく展開し、滑り出しを印象づけることが必要と認識しております。
 そのため、リオ大会終了直後から十一月にかけて、毎週末にさまざまな文化プログラムを集中的に実施してまいります。
 具体的には、まち中で本格的な伝統文化を気軽に楽しめる新たなフェスティバルを開催するほか、東京キャラバンを都内及び被災地においても実施してまいります。さらに、東京大茶会などの既存イベントについても充実を図り、年度末までに百を超える事業を実施いたします。
 こうした展開を通じ、二〇二〇年大会を超えて東京、日本の文化が次世代へ継承されるよう、国や地方、組織委員会等と連携し、都が文化プログラムを牽引してまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、水害への備えについてでございますが、都と国が管理する河川で囲まれた東部低地帯におきましては、両者が連携し、地震や豪雨など、さまざまなリスクに対応するため、河川施設の整備を推進していくことが重要でございます。
 都は、最大級の地震が発生した際にも施設の機能を保持するよう、直接、高潮や津波の影響を受ける堤防や水門などの耐震対策を、平成三十一年度の完了に向け実施しております。
 また、国は、荒川や江戸川などにおきまして、耐震対策とともに、洪水による決壊を防ぎ、浸水の際の避難場所としても利用できるスーパー堤防整備を進めております。このうち、江戸川の篠崎公園地区では、ことし四月に、都立公園の高台化等と一体整備を進めるための協定を、都、国、区の三者で締結いたしました。
 今後とも、河川整備を強力に推進し、水害への備えに全力で取り組んでまいります。
 次に、優先整備路線についてでございますが、東京の道路整備は、交通渋滞の解消により国際競争力を強化し、都市の防災性や安全性の向上を図るためにも必要不可欠でございます。
 第四次事業化計画では、骨格幹線道路につきまして約九割の完成を目指すとともに、地域の防災性や安全性の向上を図るため、都県境の道路や地域幹線道路の整備を推進いたします。
 事業化に際しましては、鉄道や河川との交差、自然環境への配慮など、課題のある路線もあり、これまで培ってきた経験や最新の技術を活用し解決してまいります。
 また、都民の理解を得るため、移動時間の短縮や生活道路への流入減少などのストック効果の発信を初め、橋梁等を観光資源として捉えたインフラツーリズムなど、積極的なPRを行ってまいります。
 今後とも、世界一の都市東京の実現に向け財源確保に努め、道路整備に全力で取り組んでまいります。
 次に、都の踏切対策についてでございますが、交通渋滞の解消や歩行者の安全確保などの観点から踏切対策は極めて重要であり、都では、複数の踏切を同時に除却する連続立体交差事業と個別の踏切における安全対策に取り組んでおります。
 連続立体交差事業では、これまでに四十三カ所で三百九十五の踏切を除却してまいりました。現在は六路線八カ所で事業を実施しており、三路線四カ所で準備を進めております。
 また、個別対策では、事故の危険性が高い踏切がある都道につきまして、踏切内のカラー舗装や歩道拡幅などをおおむね完了しております。
 踏切道改良促進法の一部改正に基づき、今回、国が指定した二十七カ所の踏切のうち、二十五カ所は京王京王線の連続立体交差事業による除却が、残る二カ所は踏切内の歩道拡幅が既に予定されております。
 今後とも、鉄道事業者や地元自治体と連携しながら、踏切対策に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、二〇二〇年大会に資する道路整備についてでございますが、首都高速中央環状品川線が開通し、新宿―羽田空港間の所要時間が約四十分から十九分に短縮されるなど、高速道路の交通分散によりまして顕著な事業効果があらわれており、大会開催時には円滑な輸送に寄与いたします。
 一方、一般道路である環状第二号線は選手村と競技会場を結ぶ大動脈であり、豊洲市場等の新たな交通需要にも対応するため、年内に暫定開通させるとともに、二〇二〇年早期の全線開通を目指してまいります。
 また、メーンスタジアム等へのアクセスルートにもなる環状第五の一号線は、明治通りなど新宿駅周辺の交通渋滞を緩和させる重要路線でございます。区部と多摩地域を結ぶ放射第五号線などとともに、大会までの開通に向けて整備を推進いたします。
 引き続き、大会とその先を見据えた道路整備に全力で取り組んでまいります。
   〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、重要施設への給水確保の取り組みについてでありますが、都内には、首都中枢機関など多数の重要施設があり、首都機能の維持には、発災直後の迅速な初動対応により、これら施設への早期の給水確保が必要となります。
 そこで、九百を超える重要施設の給水状況を速やかに把握することで、優先的に調査、復旧する施設を迅速に絞り込み、職員が直ちに出動する仕組みを構築いたします。
 具体的には、水圧データを送信する機器を全ての重要施設に設置いたしまして、出動拠点となる局事業所で水圧を監視し、異常のある施設に優先して出動することにより、給水を回復するまでの時間を大幅に短縮させます。
 こうした新たな取り組みを、まずは平成二十九年度までに首都中枢機関へ導入し、その後、他の重要施設へ順次展開することで、応急対策のさらなる充実を図ってまいります。
 次に、水源林における計画的な森づくりについてでありますが、森林の管理は長期的な視点に立ち、水源涵養機能への影響など、優先度を考慮した計画的取り組みが重要であります。
 そこで、貯水池への土砂流出が懸念される民有林約二千ヘクタールの荒廃状況等を今年度早急に調査いたしまして、有識者の意見を踏まえた購入計画を策定し、これに基づき、地権者への積極的な働きかけを開始してまいります。
 また、民間資本による協賛金制度や大学等との調査研究、森林保全活動などの具体的な手法を検討し、次年度から試行いたします。
 こうしたさまざまな取り組みを第十一次水道水源林管理計画に反映した上で、具体的な内容を明らかにした、みんなでつくる水源の森実施計画を今年度に策定いたします。
 これによりまして、多様な主体との連携のもと、将来にわたり都民の貴重な財産である水源を守り続けてまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害廃棄物の処理についてでございますが、今年度策定いたします東京都災害廃棄物処理計画では、東日本大震災や伊豆大島土砂災害など、過去の大規模災害における知見や、これから本格化する熊本地震の災害廃棄物処理の新たな経験を十分に反映していきたいと考えております。
 計画の策定に際しましては、都と区市町村の役割分担や自治体間の広域的な相互補完、廃棄物処理業者との連携などについて関係団体などと意見交換を重ね、具体的な検討を進めてまいります。
 今後とも、首都直下型地震など、都に大きな被害が想定される災害に備えて、災害廃棄物への対応を整備し、万全を期してまいります。
 次に、世界一の環境先進都市の実現についてでございますが、良好な大気や水、緑を確実に次の世代に引き継いでいくことは重要な課題でございます。
 このため、都は、環境基本計画において、全測定局におけるPM二・五の環境基準や海域における環境基準の達成、生物多様性の保全や新たな緑の創出などを目標として示しました。
 今後、次世代自動車の普及拡大に加え、VOC対策を推進し、大気環境の一層の改善に取り組んでまいります。
 また、下水の高度処理を進めるなど、関係各局、近隣県市と連携し、東京湾の水質対策を進めるとともに、七月に開始する新たな花と緑の東京募金を活用いたしまして、花と緑の都市空間を創出してまいります。
 さらに、自然環境の保護と利用のバランスを図るための自然公園ビジョンを今年度策定いたします。
 これらの取り組みを通じまして、二〇二〇年大会のレガシーを残し、世界一の環境先進都市東京を実現してまいります。
 最後に、次世代自動車の普及についてでございますが、電気自動車やプラグインハイブリッド車は、CO2排出量の大幅な削減だけでなく、大気環境の改善や走行時の騒音低減などにも効果があり、都はその普及拡大に向け、導入補助や自動車税の減免措置等を実施しております。
 また、二百台以上の自動車を使用する事業者に対しましては、環境性能の高い自動車の導入を義務づけており、今年度からは、次世代自動車等の導入率を二〇二〇年度末までに一五%以上とするよう引き上げをいたしました。
 今後とも、業界団体とも連携し、目標の達成に取り組んでまいります。
 さらに、都民の約六割が住む集合住宅への充電設備の普及に向けた検討を進めるとともに、イベントの開催などを通しまして、都市型のライフスタイルに合った次世代自動車の魅力や利便性をユーザーにPRしてまいります。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、鉄道ネットワークの充実についてでございますが、人口減少社会においても、人や物の交流を活発化して、将来にわたり東京が持続的に発展するには、東京の強みである鉄道網のさらなる充実が不可欠でございます。
 今回の答申では、国際競争力の強化や質の高い鉄道サービスの実現に向けたプロジェクトが示され、都が整備について優先的に検討すべきとした五路線を含め、要望した十九路線全てが位置づけられるなど、都の考えがおおむね反映されたものとなってございます。
 一方、答申にも示されておりますとおり、各路線には採算性や事業主体の確立、費用負担のあり方についての合意形成など、それぞれ課題がございます。
 今後、鉄道事業者など、関係者とともに課題の解決に努め、鉄道ネットワークのさらなる充実に取り組んでまいります。
 次に、創出用地を活用したまちづくりについてでございます。
 都営住宅の建てかえによる創出用地は、都民共有の貴重な財産であり、まちづくりに効果的に活用し、都の政策目的の実現や地域の課題解決を図ることが重要でございます。
 お話の高砂団地や桐ヶ丘団地では、計画的な建てかえを進めた結果、それぞれ約五ヘクタールもの、まとまった規模の用地が創出され始めてございます。
 これらの用地を公園、福祉施設等の整備に活用することに加え、駅前広場などの交通結節機能の強化、地元区が検討を進める鉄道車庫の再編、文化、商業機能の導入など広域的な課題の解決や、身近な暮らしを支える地域構造への再編に活用してまいります。
 今後も、各所で創出される用地を積極的に活用し、東京の魅力や活力を高めるまちづくりを展開してまいります。
   〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 都有建築物のバリアフリー化についてでございますが、二〇二〇年大会を契機に、東京をバリアフリー化がさらに進んだ都市としていくためには、大会施設整備の考え方を都有建築物の整備に可能な限り取り入れ、これまで以上に、全ての人に優しい施設づくりを進めることが重要でございます。
 都では、平成十八年度に都有建築物のユニバーサルデザイン導入ガイドラインを策定し、配慮する項目等を適宜充実させて、福祉のまちづくり条例等に基づいた施設整備を行ってまいりました。
 今後は、不特定多数の利用する施設などについて、二〇二〇年大会のアクセシビリティ・ガイドラインを踏まえながら、施設の特性に応じた整備に努め、ユニバーサルデザインのより一層の普及に貢献してまいります。
   〔会計管理局長塚本直之君登壇〕

○会計管理局長(塚本直之君) 電子マネーによる公金の収納についてでありますが、都はこれまでも、コンビニエンスストアでの収納など、その方法を拡大してまいりましたが、電子マネーは地方自治法上の取り扱いが不明確であり、現状、導入は進んでおりません。
 公金収納に当たっては、社会情勢の変化に対応し、都民の利便性向上や収納効率化などの観点から、その多様化に取り組むことが重要でございます。
 このため、電子マネーにつきましても、近年の普及状況に鑑み、少額の支払いである入場料や物品販売などにおいて収納スキームを構築してまいります。
 具体的には、平成二十九年度中の導入に向け、国と法令上の課題解決に向けた調整を行い、今年度中に会計処理などの実務的な指針を整備いたします。
 今後とも、関係各局と連携しながら、早期に電子マネーによる公金の収納ができるよう取り組みを推進してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、社会福祉法人制度改正への対応についてでありますが、今回の改正では、全ての法人への評議員会の設置、一定規模以上の法人への会計監査人の導入、余裕財産を活用した地域福祉サービスへの再投下計画の作成などが義務づけられました。
 今後、国は、制度運用の詳細を政省令や通知などで示す予定でございまして、都は、関係者の意見を十分踏まえ、早期に詳細を明らかにするよう国に提案要求してまいります。
 また、都内法人が新制度へ円滑に移行できるよう、学識経験者や法人代表者等から成る社会福祉法人専門家会議のこれまでの議論を踏まえ、今後、都内全ての法人を対象にした説明会を開催し、制度改正の内容をわかりやすくまとめたパンフレットも作成いたします。
 さらに、業務運営等が適正かどうか法人みずから確認できる点検シートや決算書確認シートも作成し、法人の取り組みを支援してまいります。
 次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでありますが、本年四月の保育サービスの利用状況は、現在集計中ではございますが、利用児童数は、整備目標の一万二千人を上回り、一万四千人以上ふえる一方、出生数の増加や人口の流入、共働き世帯の増加などにより、待機児童数は昨年を上回り、八千人を超えると見込まれております。
 こうした状況を踏まえまして、都は現在、待機児童数の多い区市町村を中心に、保育ニーズや整備方針などの調査やヒアリングを実施し、改めて実態の把握や現状の分析を行っております。
 副知事をトップとした関係各局から成る検討チームでは、区市町村の状況や国の施策などを踏まえ、整備促進策、人材確保策、利用者支援策等を柱に検討を行うこととしておりまして、夏までに新たな対策を取りまとめ、整備目標についても引き上げてまいります。
 最後に、板橋キャンパスの旧建物解体後の跡地活用についてでありますが、お話のように、老朽化した特別養護老人ホームなど福祉施設の建てかえに当たりましては、代替となる土地や建物の確保が課題となっております。
 そのため、都は現在、清瀬小児病院の跡地を活用した代替施設の整備を進めており、板橋キャンパスの一部につきましても、特別養護老人ホームの建てかえのための代替施設整備の用地として活用する考えでございます。
 板橋キャンパスにつきましては、平成二十年に策定した再編整備基本計画の考え方を踏まえ、地元区の意見等も聞きながら、これまで活用策を検討してきており、その他のスペースにつきましても、地元区のニーズを踏まえた福祉インフラの整備、都の災害備蓄倉庫や地域の防災機能の強化のための用地等として有効に活用する方針でございます。
   〔病院経営本部長真田正義君登壇〕

○病院経営本部長(真田正義君) 多摩地域における東京医師アカデミーを活用した医師育成に関する連携についてでございますが、これまで都では、東京医師アカデミーを創設し、都立、公社病院の医師の育成及び確保を行ってまいりました。
 今後は、こうした取り組みに加え、多摩メディカルキャンパスにおいて、多摩地域の公的病院との連携による医師の育成にも取り組んでまいります。
 具体的には、人材確保が難しい多摩地域の公的病院のニーズに応じ、都立病院と公的病院との相互臨床研修による研修医の派遣を行ってまいります。
 また、医師アカデミー修了生の公的病院への就業支援を行うため、関係機関との調整を進めてまいります。
 これらの取り組みを進め、地域の医療機関との連携をより一層強化し、多摩地域全体の医療水準の向上に努めてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ビジネスチャンス・ナビの利用促進についてでございますが、中小企業の受注機会の拡大に加え、社会経済の安定にも資する本サイトが有効に機能するためには、より多くの企業が登録し、利用していただくことが必要でございます。
 このため、都は、サイトを通じた発注が期待できる大企業等への個別訪問を行うとともに、受注を目指す中小企業に対しては、業界団体の総会等に出向き、直接登録を呼びかけております。また、金融機関と連携し、支店網を活用した取引先企業へのPR活動を展開しております。
 今後、さらに都の入札におきまして、サイトの登録に対するインセンティブを付与するなど、利用を促進するための方策を検討してまいります。
 こうしたさまざまな取り組みにより、都内を初め全国の企業の利用登録や発注案件の掲載を戦略的に働きかけてまいります。
 次に、中小企業が行う職業訓練についてでございますが、都は、事業主や団体等が従業員を対象として行っている職業訓練のうち、国の基準に適合するものを認定職業訓練として認定し、運営費及び施設設備費を補助してまいりました。
 東京の産業の持続的な成長を支えるためには、事業主がみずから実施する職業訓練を支援し、企業の負担にも配慮しつつ、中小企業における人材育成を促進することが重要でございます。
 そこでまず、今年度は、建設分野等の職業訓練に対する国の支援拡充措置を活用いたしまして、運営に要する経費の助成率を二分の一から三分の二に引き上げます。
 今後とも、中小企業の人材育成を促進するため、認定職業訓練の一層の充実に向けた取り組みを推進してまいります。
 最後に、観光のアクションプログラムについてでございますが、アクションプログラムは、観光を取り巻く状況の急速な変化等に適切に対応するため策定をするものであり、今回の素案では、総合的で体系立った政策の展開に向け、取り組みの方向性を示しております。
 この中で、特に観光消費の拡大に向け、旅館など観光事業者の経営力や生産性の向上の支援、人材の育成等を重視して対応を進めてまいります。
 また、地域の観光振興の充実のため、多摩・島しょの自然や農林水産業のほか、都内各地の文化やインフラを活用した旅行者誘致にも重点を置いて取り組んでまいります。
 さらに、水辺空間で光を用いて、ナイトライフの充実に役立つ観光資源の開発の検討も積極的に進めてまいります。
 今後、民間事業者や地域、有識者などの幅広いご意見をいただきながら、年度末までにプログラムを策定いたします。
   〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 新客船ふ頭の整備についてでございますが、クルーズ客船の寄港は、国際観光都市東京の地位向上や乗客の消費による大きな経済効果などが見込まれるため、積極的な客船誘致が必要でございます。
 そのため、二〇二〇年までに、世界最大のクルーズ客船にも対応可能な、首都東京の新たな玄関口としてふさわしい客船ふ頭を整備いたします。
 その後、引き続き、岸壁の延伸や客船ターミナルの拡張、駐車場の拡充等を行い、外国の主要港と同様、二隻の客船が同時に着岸し、乗船客のみならず、多くの人々が集い、にぎわう拠点の整備を目指してまいります。
 こうした取り組みを、海外でのコンベンションへの参加などにより、国内外に広くアピールすることで、クルーズ客船の誘致につなげてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 自転車の安全利用対策についてでございますが、都は、自転車利用の広がりや事故の現状等を踏まえ、交通ルール、マナーの徹底など安全対策の強化を図るため、本年四月、自転車安全利用推進計画を改定し、指導員による街頭での啓発、指導やヘルメット着用の一層の促進など、新たな取り組みを盛り込んでおります。
 改定計画の中には、自転車安全利用条例に規定することで、より効果的に実施できると考えられるものもあるため、学識経験者の意見を伺うなど、条例改正に向けた準備を進めることとしております。
 本年五月からは、指導員を江東区にて試験的に導入するなど、改定計画に基づく新たな安全対策も着実に実施しており、今後も引き続き、自転車がより安全に利用される社会の実現に向けた施策を展開してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、二〇二〇年大会に向けた機運醸成についてでございますが、先日、銀座で開催いたしましたパラリンピック競技を体感できるイベントでは、来場者が二万人を超え、大盛況でございました。
 大会四年前イベントを皮切りに、リオ大会期間中のライブサイトや都営大江戸線駅構内でのパラリンピック競技を体感できる企画展示、大会後のフラッグツアーで全区市町村を巡回するなど、取り組みをさらに加速してまいります。
 また、大会の祝祭の雰囲気を演出するため、エンブレムを活用したシティー装飾や、区市町村と連携し、小中学生が作成したポスターの都内各所への展示等を行ってまいります。
 さらに、都市ボランティアには、語学力や観光知識を有する方、障害のある方など、さまざまな方の参加を促してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、都民一人一人が大会成功の担い手となり、二〇二〇年大会を皆で盛り上げてまいります。
 次に、大会後の競技施設の有効活用についてでございます。
 都はこれまで、外部有識者や民間事業者、競技団体、地元自治体などさまざまな意見を聞きながら、新規恒久施設の後利用について検討を進めてまいりました。
 先月発表した施設運営計画の中間のまとめでは、施設が多くの都民に利用されるよう、スポーツはもとより、文化、レジャー、教育など幅広く活用していくこととしております。
 また、施設に隣接する公園を初めとした地域資源や周辺のまちづくりと連携を進め、さまざまな人々が集い、交流が生まれる、にぎわいの拠点としてまいります。
 今後、広く都民の意見を聞くとともに、都議会での議論も踏まえまして、関係各局とも連携を図りながら、今年度末を目途に施設運営計画の最終的な取りまとめを行い、大会後の施設運営に万全を期してまいります。
   〔百十一番神林茂君登壇〕

○百十一番(神林茂君) 答弁を聞いていまして、知事のただいまの答弁、説明責任を果たしたといえるんでしょうか。誰もが納得していないと思います。
 その中で、まるで答えになっていないものも一つありました。木更津市のホテルで会議を行ったメンバーの氏名についてであります。
 議会に対しても答えられないというのですか。本当に残念ですよね。仮に、会見であったように、元新聞記者の出版会社社長なる者がホテルにやってきて、仮にですよ、仮に形ばかりの会議をホテルで行ったとしても、家族旅行がメーンなのは誰が見ても明らかではないか。そもそも、そこに政治資金を充てるような感覚自体が、庶民感覚から全く乖離しているという状態で、まさにせこい、公私混同といわざるを得ないゆえんでございます。
 一般人の良識で誰が見てもわかることが、第三者の弁護士に指摘をされなければ正せないのでは話になりません。そうした点も踏まえて、今回の一連の問題に政治家としてどう考えるのか、ご自身の言葉で再度答弁を求めます。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) ただいま、一連の問題への考え方についてご質問がございました。
 ご指摘のように、今回の調査によりまして、政治資金の使い道につきまして、公私を混同した不適切なものが明るみとなりました。まことに恥ずかしい限りでございます。
 政治資金は、いうまでもなく、皆様方から頂戴した浄財を原資としておりまして、政治家は、これを皆様方の生活の向上につながる形で使わなければなりません。それにもかかわらず、このような事態を招いたことは、ひとえに私の不徳のいたすところでございまして、深く反省をしております。
 法的側面のみならず、道義的な観点からもご判断をいただいた今回の調査結果を真摯に受けとめまして、都民、そして都議会の皆様のご理解をいただけますように、そして政治家として再び皆様の信頼をいただけますように、ご指摘をいただいたさまざまな問題点にしっかりと対応してまいりたいと考えてございます。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時三十分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十九番上野和彦君
   〔五十九番上野和彦君登壇〕

○五十九番(上野和彦君) 都議会公明党を代表して質問いたします。
 まず、このたびの熊本、大分の震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。一日も早く平穏な日々を取り戻し、復興がさらに進みますよう、私たちも全力で取り組んでまいります。
 質問に入ります。
 初めに、舛添要一都知事をめぐる問題についてであります。
 舛添知事に関しては、海外出張経費、毎週の別荘への公用車使用、さらには政党交付金や政治資金の私的流用疑惑など、およそ一般都民の倫理観や金銭感覚からかけ離れた疑念が連日報道されています。
 もともと前猪瀬知事が、贈収賄の疑惑について都議会から追及を受けたあげくの果てに辞職した後であり、何より都政への信頼を取り戻すことが後任知事に託された大きな責務でありました。
 ところが、現実は、新たな都政課題を扱うべき毎週の会見だけでなく、知事就任後、ようやく実現した福島県訪問でも、記者会見は舛添知事による弁明の場と化してしまいました。
 リオ五輪を目前にして、都政の一層の前進を図るべきこの本会議においても、質疑の大半を知事問題に割かなければならないこと自体、遺憾のきわみであります。舛添知事の活躍に期待を寄せた多くの都民の心情を思えば、率直にいって、裏切られたという思いでいっぱいであります。
 知事は、本件を議会に初めて説明すべき機会がこの第二回定例会であることを十分に自覚し、誠心誠意臨むべきでありました。しかるに、所信表明は、真摯に都民に説明する姿勢が全く見られず、都民の理解を得ようとする意欲が伝わらないものでした。
 都政トップにある者が、公人としての説明責任を果たさず、かじ取りに欠くことのできない都民の信頼を失っている現状は、それ自体、都政の停滞であり、都民に重大な不利益をもたらすものであります。
 加えて、昨日、第三者による調査結果や公表後の記者会見も、新たに重大な疑念をもたらすものでありました。
 知事は、記者会見の場で三つのけじめを表明されましたが、都民の納得を得られるものではありませんでした。例えば、湯河原の別荘を売却するとされていますが、煙たいものから都民の目をそらすようなもので、何の解決策にもなりません。
 そこで、調査結果やこれまでの知事の説明を踏まえ、改めて知事の姿勢をただしてまいりたいと思います。
 調査結果は、疑念を抱かれる項目については返金を促し、そのほかは問題なしとしています。多くの項目で返金が妥当という指摘を受けたこと自体、極めて異例の事態です。そうした失態が発生した原因、責任を、第三者ではなく、舛添知事ご自身がどう認識しているのか、この点を明らかにすべきであります。大きな声での見解を求めます。
 調査結果では、指摘されている数々の公金の私的流用疑惑、公私混同の疑惑について、いずれも全て違法性はないと強弁。その上で、その一部について、違法とまではいえないが不適切であったとして、返金などの措置を求めるものでした。
 知事、今回、あなたが問われているのは、合法か違法かではありません。私たちが怒っているのは、知事の公金に対する麻痺した感覚であり、庶民の生活感覚からかけ離れた公私を混同した金の使い方であり、多くの方々から税金を払いたくなくなったとまでいわれているのであります。
 そもそも政治資金規正法の目的は、政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするためであり、さらに、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とするとしています。政治資金をどう集め、どこでどう使ったのかを有権者の前に明らかにし、その政治活動の是非を有権者が監視し、判断できるようにするための法律です。知事の政治資金の適切、不適切を決めるのは、あくまで都民であります。
 また、昨日、弁護士が違法性はないと調査結果を公表されましたが、元検事とはいえ、知事に雇われた弁護士にすぎません。違法か合法かを判断するのは現職の検事、検察など捜査機関であり、最終的には裁判所であることも指摘しておきたいと思います。
 今後、調査結果に基づき知事が返金を行ったとしても、道義的責任は残ります。知事は、返金さえすれば都民は納得するとお考えなのでしょうか。答弁を求めます。
 次に、事務所家賃についてであります。
 報告書では、事務所の土地建物の所有、賃貸について、適切であり、違法性はないとしております。
 そもそもこの事務所建物については、平成二年九月に舛添知事本人が購入したものを、夫人が社長を務める株式会社舛添政治経済研究所に売却をし、平成二十五年七月に舛添知事が買い戻すという不可解な所有権の移転が行われております。そして、舛添氏が舛添政治経済研究所に事務所部分を貸し、同社がさらに政治団体に貸すという利益を二重に生み出す形態をとっています。
 今回の報告書で明らかにされた家賃だけでも、自由民主党参議院比例区第二十八支部、新党改革比例区第四支部、舛添要一後援会、グローバルネットワーク研究会、泰山会と名称は変わるものの、舛添氏が代表を務める政治団体から七年間で三千七百万円もの家賃が支払われております。
 舛添政治経済研究所は、不動産売買、賃貸及び管理を主な目的とした企業であり、政党交付金を原資としたお金が家賃ビジネスに消えているといわざるを得ません。違法性はないとの報告が仮に正しかったとしても、道義的、倫理的責任から逃れられるものではありません。知事の見解を求めます。
 次に、舛添知事が関係した政治団体の収支報告に関する疑惑であります。
 一つは、政党交付金の流用であり、もう一つは、公私混同であります。
 政党交付金の流用問題についても、本来、残金があれば国庫に返還しなければなりません。しかし、都知事選を前に、今は既に解散してしまっている政治団体を経由して、舛添知事の現存の政治団体に入っています。そもそも残金を国庫に返還すべき政党の責任者は舛添知事であり、その政党交付金を政治団体間の寄附を通じて受け取っているのも舛添知事です。
 さらに、政党交付金による借入金の返済疑惑です。政党交付金は、政党助成法第十四条において、借入金の返済に充ててはならないとされています。
 しかし、新党改革に入った政党交付金が、その都度、数日後に、政党支部を経て舛添知事の政治団体であるグローバルネットワーク研究会に流れ、そして、借入金の返済のタイミングを見て、新党改革に寄附として戻された後、銀行からの借入金の返済の一部に充当されています。
 この借入金の返済のための脱法行為は、昨日の弁護士の調査報告書でも触れられておりませんでした。このような政党交付金にまつわる疑念について、都民にどう説明するおつもりなのか、知事に見解を求めます。
 さらに、舛添知事は、新党改革の代表者であった当時、新党改革本部から平成二十四年に八百万円、平成二十五年に二百五十万円、舛添知事本人に組織対策費を支払っています。これについて、昨日の弁護士の調査報告書では、舛添知事が平成二十四年から平成二十五年にかけて、日程表には他党政治家との会合なども多数記載されていて、説明を裏づけるような状況もあり、不正に使用されたと疑うべき事情は存しないと記載しています。
 しかし、総務省のマニュアルによりますと、組織活動費は、項目別区分において組織対策費と記載した上で、支出の目的には支出ごとの形態別の費用項目の記載を求めています。
 舛添知事は、記者会見で、私はどんな買い物をしても領収書をとるのですと断言されています。そうであるならば、誰と会ったかは明らかにできないかもしれませんが、この一千五十万円を組織対策費として使った領収書を提出すべきであります。それができないというのであれば、個人的に着服したといわれても仕方ありません。知事の見解を求めます。
 次いで、公私混同についてであります。
 美術品や骨とう品、果ては私的な会食費や旅行代など、是非が問われている出来事が、収支報告書への記載年月日は知事就任以前であっても、その疑惑を指摘され、対処を求められているのは今の舛添都知事です。その対応のいかんは、知事の政治家としての真価が問われるものであり、都知事に対する信頼の問題として、都政に甚大な影響を及ぼします。
 例えば、美術品については、およそその品物を購入し、保有しなければ、そのことに基づく文化政策を語れないというものではありません。美術品や書の購入について、政治団体の収支報告書では資料だとしています。しかし、美術品は単なる資料ではなく、価値ある資産と見るのが一般常識です。これほど長期にわたり大量に購入した美術品などを資料であるとしたのは、資産隠しそのものであります。
 調査結果では、絵画、版画などの譲渡契約書等も存在しないことから、所有関係が不明瞭になっていることは否定できないとしています。複数の政治団体にまたがって購入されてきた美術品や書は、まさに脱法的に蓄積されてきた資産と断ぜざるを得ません。知事の見解を求めます。
 調査結果では、購入した美術品や書の一覧が明らかにされました。その中には、都庁に保管とわざわざ断り書きがされているのもあります。これは、美術品などを政治活動に活用しているという単なるアピールとも受け取れます。調査報告では、他の美術品や書は一体どこに保管されているのか明らかにされていません。どこにどういう形で保管されているのか、知事の明確な答弁を求めます。
 知事のファミリー企業である株式会社舛添政治経済研究所の登記簿を見ると、会社の目的の中に、絵画、陶器等美術品の販売と明記されています。政治資金で購入された美術品や書が本当に一つ残らず保管されているのか、転売や譲渡はなかったのか、疑念を持たれて当然と考えますが、知事の答弁を求めます。
 次に、宿泊費及び飲食費についても著しい公私混同の実態が明らかになりました。報告書に掲載された宿泊費全十九件のうち、約半数が家族を伴った宿泊であることが明らかになっています。このうち、政治資金からの支出が不適切で是正が必要とされたものが六件ありました。
 こうした私的な政治資金の使用は飲食費にも及び、六十五件の全支出中、家族での私的な食事、または私的な食事が約四分の一を占めています。これらの数字から全体として浮かび上がってくるのは、明るみに出なければ、まさに政治資金を家族との娯楽費に充てていたであろうこそくさであります。
 なお、これ以外にも、飲食費の中には支援者との会食も含まれており、場合によっては、有権者に対する飲食の提供を禁じた公職選挙法に抵触するおそれもあります。政治家には、一般有権者よりも高い見識と倫理観が求められるはずであります。知事は、これら一連の疑惑について、いま一度、都民に説明すべきであります。見解を求めます。
 調査結果については、今後もさらに追及の質疑を重ねたいと思います。
 次に、直接都政にかかわる知事問題について質問します。
 初めに、海外出張経費であります。
 改めて申し上げておきますが、我が党は、都市間交流自体は、異文化の尊重や大都市問題の解決を通じて、平和の創出など、世界への人道的な貢献につながるものと考えます。その上で、都議会公明党は去る三月十八日、海外出張経費について、その削減と公開を求める申し入れを行いました。
 これに対し都からは、申し入れ後に実施された米国ワシントンDC、ニューヨーク市への出張においては、随行職員四名の削減に加え、随行職員の宿泊施設や航空機座席のランクの格下げなどの経費削減に努めた旨、報告があったところであります。しかし、見直しは不十分なものでした。
 検討会を設置し会合を重ねているとのことでありますが、知事の海外出張経費の原資は、もともと都民の税金です。納税した税金を無駄遣いはしてほしくない、節約して大切に使ってほしいとの都民感情を真摯に受けとめるべきでした。
 そもそも検討会任せにしてしまった対処の仕方に、都民は、知事はまるでこの問題の責任が自分以外の誰かにあると考えているかのような印象を抱き、失望しているのであります。都の都市間交流の成果すらも薄めてしまった感のあるみずからの対応について、知事に見解を求めます。
 次いで、湯河原への公用車の使用の問題であります。
 これは単に公用車の問題にとどまらず、首都東京のリーダーとしての舛添知事の責任感の問題であります。知事は当初、強くその正当性を主張していましたが、世論の批判の高まりを受けて、その後、結局、湯河原には公用車を使用しないと表明しました。しかし、それだけでは知事が従前の自分の釈明の中でどんな点を反省し、何をどう改めるべきと考えるに至ったのかが不鮮明です。
 そこでまず、事の経緯を確認したいと思います。
 舛添知事は、昨年五月からことし四月までの約一年間において、ほぼ毎週末、都庁から百キロも離れた湯河原町にある株式会社舛添政治経済研究所が保有する保養所、いわゆる別荘に公用車で通い続けました。
 警視総監や都の消防総監は、特別な理由がない限り都内を離れません。各署の署長も、所轄管内を離れるには特別の許可が必要です。ましてや都民の命運を預かる最高ポストにある人物が、さほどの理由もなく、しかも毎週のように、負託を受けた地元東京都を離れること自体、思いもよらない発想です。
 特に首都直下地震が危惧される昨今です。危機管理上も、知事が東京を離れる際にはそれ相応の備えが必要です。舛添知事の全く問題ないとの発言は、その点でも疑念を持たれるものであってはなりません。
 知事は、知事公用車について、動く知事室と表現されました。知事は、公用車に乗車している間であれ、いずれかの場所で宿泊しているところであれ、私用の車に乗車しているときであれ、災害時にも優先的に使用できる公用携帯電話を常に所持していることになっています。
 しかし、車内からの知事の指示を都庁側がどう受けとめ、対応しているのかをつぶさに確認できなければ、動く知事室と幾ら強弁しても、絵に描いた餅にすぎません。
 災害時には、対応に追われる職員の士気を高めるためにも、都民に安心感を与えるためにも、知事は常に現場の最前線に立って陣頭指揮をとるべきであります。
 知事ご自身、我が党の質問に対して、危機管理で重要なのは情報であります、そして、強力なリーダーシップで、それに基づいて対応することでございますと発言されています。
 知事との連絡がとれない状況下であっても、都庁全体の対応に支障を来さぬよう職務代理を立てる仕組みや、災害発生時点や発生が予測された時点から、タイムスケジュール的に全ての職員がとるべき行動があらかじめマニュアル化してあるのです。だからといって、知事が毎週のように都内を離れ、温泉にいてよいわけがありません。
 例えば、かつて伊豆の大島町においては、共産党員の町長が、同行を予定していた他の首長が視察を取りやめる中、台風の接近を知りながら視察に出かけ、豪雨によって甚大な土砂崩れ被害が発生してしまったことは、まだ記憶に新しい事実であります。町長権限の委譲があらかじめ行われておらず、不幸にして避難勧告の発令がおくれるなどのそごが発生し、被害が拡大したとの報道もありました。
 伊豆大島の教訓は、災害の発生が予見されるときには、首長としてみずから守るべき地域を離れるべきではないということであります。
 昨年九月九日から十一日にかけて、北関東を中心に線状降水帯が発生し、十日には鬼怒川が決壊しています。また、足立区に隣接する草加市では、綾瀬川が危険水位を上回る中、堤防溢水を回避するため、国土交通省荒川下流事務所を中心に懸命の対応が行われていました。都内でも一部地域では避難勧告が発令されていました。
 こうした中、常総市などの被害を救援するため、都庁、警視庁、東京消防庁の職員が、知事や警視総監、消防総監の命により、常総市などに緊急派遣されています。都内でも、九月十日までの時点で、軽傷一名、家屋の一部損壊一棟、床上浸水八棟、床下浸水十四棟などの被害が発生しています。
 しかし、舛添知事、あなたは九月十一日午後三時前、湯河原に向けて公用車で出発しているのであります。知事の命により職員が懸命に救出、救援に携わっている間、知事は湯河原に行っていたのであります。
 加えて、翌十二日の朝五時には、東京湾を震源とするマグニチュード五・二、最大震度五弱の地震が発生しました。交通機関の乱れのほか、負傷者やエレベーター停止、漏水などの被害が都内でも発生しています。そのときも知事は湯河原に滞在していました。
 災害時、道路が使えなければ、警視庁か東京消防庁のヘリコプターが知事を湯河原に迎えに行かざるを得ない状況に陥ります。しかし、知事さえ都内にいれば、そのヘリコプターは都内で活躍し、何人もの人命を救っていることでありましょう。
 このほか、我が党が立ち上げた調査チームの報告によりますと、知事の湯河原行きは、大雨や洪水の警報の発令後の解除前に何回も実施されております。暴風警報の最中の場合もありました。
 例えば、平成二十七年五月三十日は、小笠原の母島で震度五強、二十三区で震度四の地震が発生しました。その直後に湯河原に向かっています。
 七月三日は、大雨警報が発令され、その晩には都内に洪水警報が発令されていました。その最中、知事は湯河原に到着しています。
 九月十八日は、大雨、暴風、洪水の各警報が発令されていました。この日も知事は湯河原におりました。
 平成二十八年一月十五日には、都内在住の学生などが死亡したスキーバスの転落事故が発生しています。まさにこの日、知事は事故の発生後に湯河原に向かっています。
 都内を絶対に離れてはいけないとは申しません。しかし、こうまでして毎週のように湯河原に行かねばならない理由は何だったのか。
 知事はかねてから、東京を世界一安全な都市にすると発言されています。発言している内容と毎週末のように都内を留守にするという行動とでは、全く一致していません。知事の見解を求めます。
 知事の移動のあり方に関しては、警視庁のセキュリティーポリス、すなわちSPが同乗する公用車の使用という点も含め、要人警護の視点からの検討も必要です。知事の自宅近くには特設交番が設置されています。一方、別荘には特設交番は設けられておらず、SPも泊まりません。神奈川県警の立ち寄り警戒にとどまると聞いています。
 しかも、先ほど指摘したとおり、知事は復路に余り公用車を使用していません。それなら、湯河原に滞在中や都内に戻る際のセキュリティーはどうなっていたのでしょうか。そもそも、往路だけで対策が講じられていれば済むようなセキュリティー対策とは一体何なのでしょうか。
 身勝手な知事の毎週末の湯河原行きのために、都のセキュリティー対策は破綻に陥りかねなかったのです。この点も知事の見解を求めます。
 一方、報道を目にした都民からは、毎週のように湯河原を訪れることが可能なら、東京都知事にはおよそ週末の公務は存在しないのかと驚きにも似た疑問が聞かれました。多くの都民は、町会、自治会、消防団やさまざまなボランティア活動など、平日も週末も時間を割いて、とうとい社会貢献活動に従事してくださっています。
 毎週末、湯河原を訪れていて、知事はどこまで真剣に都民の負託に応える活動をしていたのか、全く理解できません。見解を求めます。
 一年間に五十回近くも公用車を使って都外の別荘に赴くことが違反にはならないようなルールは、都民の常識に照らせば問題であります。そんなルールに違反していないことを根拠に正当性を主張しても、都民の目には、こそくないいわけとしか映りません。
 そもそも都政資料を持っていこうがいくまいが、都外の温泉つき別荘で過ごすことを公務とすること自体に無理があります。現状の使用規定に照らしても、出発地か到着地かのどちらかが公務先でなければなりません。
 公用車の日報によれば、世田谷区内の自宅に二、三時間滞在した後に湯河原に向かった日もありました。
 さらに、平成二十七年九月一日と十一月二十七日には、公用車で湯河原に向かい、一晩、公用車を待機させた後、湯河原から世田谷区まで公用車で送らせています。この到着場所が自宅であれば、立ち寄りの域を超えており、完全なルール違反と考えられます。毎週のように湯河原に赴いていたことを誤りと認め、その経費をみずから算定し、進んで返却すべきであったのです。
 加えて、舛添知事は、被災地の復興なくしてオリンピック・パラリンピックの成功なしとみずからも発言を重ねていました。それゆえに、我が党は知事に対し、開催地の知事として一日も早く東北の被災地を訪問し、直接現状やニーズを探り、支援の一層の進展を期すべきと再三要請したのであります。しかし、そのたびに、日程がとれないと実施が見送られてきました。
 ところが、実際には週末ごとに湯河原に行っていた。そんな余裕があったのであれば、もっと早く被災地に行けたはずです。強い憤りを覚えます。みずからがかつて発言したことを忘れず、さまざまな進言にもよく耳を傾けていたら、今日のような事態は招かなかったはずであります。知事の見解を求めます。
 知事は、第三者に調査を依頼したとしています。元検事といっても、結局は知事が調査費用を支払う弁護士です。第三者とはいえません。結果の妥当性が疑われるのは当然です。本来、こうした内容は、当事者である知事本人が最も事情に精通した人物であり、第三者による調査検討など必要ないはずです。調査結果を待たなければ答えられない、第三者を間に挟まなければ信頼してもらえないようなら、そんな時点で知事はもう失格であります。
 今さら返金するのであれば、調査結果を待たずに謝罪し、みずから内容を明らかにし、速やかに都民への説明責任を果たすべきでありました。知事の見解を求めます。
 最後に、改めて申し上げます。都庁には二万数千件に及ぶ苦情や抗議の電話が届いていると聞きます。
 我が党にも、法に触れなければいいのか、庶民がいかに怒っているのかをわかっているのか、税金や政治資金を使い込んでいる、余りにもひど過ぎる、失格だ、調査といっても弁護士に丸投げではないか、責任逃れだ、会見を見てだまされた感でいっぱい、煮えくり返る思いだ、上から目線、法的にバツでなくても嫌悪感、もうだめなものはだめといった声が連日多数、都内だけでなく、都外からも寄せられています。紹介できないほど激烈な怒りの声も多く聞かれています。
 都民は、さまざま報道される一つ一つの疑惑だけでなく、あるいはそれ以上に、知事の釈明、会見の姿勢に怒りを感じています。会見を通し感じることは、知事としての過剰な自負心ばかりで、自己保身のみであるという強い印象であります。
 本来であれば、都民はこの夏のリオ大会の閉会式で、次回大会の開催都市の代表として五輪フラッグを受け取る舛添知事の姿を晴れがましい思いで見詰めるはずでありました。リオ五輪のみならず、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックへの期待感に水を差したのは、舛添知事、あなたご自身であります。
 五月二十七日の定例記者会見で、知事は、私は信頼を失っていますからと口にされています。都庁を束ねる最重要ポストにつく舛添知事は、信頼を失っていると開き直るべきではありません。政治家の出処進退は、みずからが決めるべきであります。
 しかし、昨日の記者会見により都民の怒りの声はさらに高まり、知事の辞職を求める声は広がりを見せています。知事は、これにどう応えるおつもりか、見解を求めます。
 次に、当面する都政の課題について質問します。
 初めに、防災、減災対策についてであります。
 熊本地震は、今なお余震が続き、多くの被災者が自宅に戻れず、避難生活を余儀なくされています。都は、被災地の要望を踏まえて、被災者支援や今後の復興に全力で支援を行っていくべきであります。
 一方、今回の熊本地震を教訓に、都は首都直下地震などに備えて防災対策を強化すべきです。
 その一つが、危機管理体制の充実強化であります。都道府県レベルの災害対策所管組織は、平素から自治体全体の防災対策を方向づけ、みずから迅速に実施するとともに、発災時には県内外との調整を図る強力な司令塔となるものであります。そのためには、十分な人員確保と高い専門性を擁する部門が必要不可欠であります。
 現在、南海トラフ地震などを念頭に、愛知県は職員数百十人、神奈川県は職員数百二十四人、静岡県が百三十二人の防災部門を擁しています。
 しかし、昼間人口一千五百万人を超える巨大都市東京の防災部門の職員は九十三人、極めて脆弱といわざるを得ません。東京は日本の頭脳、心臓であります。災害によって機能不全に陥れば、その与える影響ははかり知れません。防災、減災対策を進めるための課題は、量的にも他の自治体の比ではないのであります。
 そこで、都は、首都直下地震などに備えるため、事前の減災対策や発災時の応急等の対策を一貫して所管し、技術的な課題にも対応できる総合的な危機管理体制を構築すべきと考えます。都の見解を求めます。
 二点目は、学校施設の非構造部材の耐震化についてであります。
 報道によると、熊本地震において、熊本県内の学校などの指定避難所七十カ所が被災により使用できず、うち六十二カ所は天井材や照明器具の落下、窓ガラスの破損など、非構造部材の損傷が原因であったとのことです。
 都内においても多くの学校が災害時の避難所に指定されていることから、とりわけ体育館は非構造部材の耐震化を着実に進めていく必要があります。
 非構造部材の耐震化については、東日本大震災を契機に、都教育委員会においても体育館を中心に都立学校施設の非構造部材の耐震化を進めてきておりますが、今回の地震を契機に、改めて都内公立学校における非構造部材の耐震化実施状況をチェックすべきと考えます。都の見解を求めます。
 三点目は、橋梁の安全対策であります。
 熊本地震では、国道三二五号の阿蘇大橋と九州自動車道をまたぐ県道の橋梁が落橋しました。阿蘇大橋は、斜面崩壊が原因で、これに巻き込まれたものと見られています。
 今回の被災の事例から、都は、例えば、山間部の橋梁が斜面崩壊で落橋するような箇所はないのか、橋梁及び斜面を含む周辺環境を三次元的に見た危険度調査を実施し、優先度の高い箇所から道路斜面の安全対策を講じるべきと考えます。見解を求めます。
 また、橋脚が倒れて橋桁が落下し、九州自動車道を塞いだ県道の橋梁は、ロッキング橋脚という特殊な構造でありました。古い橋に多く見られ、耐震対策を考える上で検証が必要であります。
 ロッキング橋脚の橋梁は、道路橋に利用されているだけではなく、都市内の鉄道橋においても、道路と交差する箇所などに用いられています。その中には緊急輸送道路もあります。都内では、東京駅や有楽町駅付近などの鉄道橋に見ることができます。
 鉄道橋の落橋による交差道路への影響の回避や、鉄道そのものの安全性を確保するため、鉄道事業者によるロッキング橋脚の鉄道橋の落橋防止対策を促進すべきと考えます。都の所見を求めます。
 四点目は、土砂災害対策への取り組みについてであります。
 都は、近年頻発する土砂災害を踏まえ、土砂災害防止法に基づく基礎調査を前倒しして進めており、昨年度までに約一万カ所の土砂災害警戒区域等の指定を完了しました。
 今回の熊本地震では、高齢者や障害者の避難先である福祉避難所の重要性が改めて明らかとなりましたが、都の多摩地域においても、老人ホームなどの要配慮者利用施設等から福祉避難所が指定され、その中には土砂災害警戒区域内に存在している施設もあります。
 都議会公明党は、このような福祉避難所を含む要配慮者利用施設や地域の避難所について、対策事業の早期実施を求めてきているところであります。
 平成二十七年の第四回定例会代表質問で、我が党の質問に対して、都は、関係各局による検討会を設置し、年度内にハード対策の緊急性を評価する手法などを定めると答弁しました。その検討結果を踏まえ、これら施設を守る対策事業を早急に実施すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、待機児童対策について質問します。
 本年四月、我が党が緊急要望を行ったように、待機児童対策は待ったなしの状況であり、国が策定したニッポン一億総活躍プランでも喫緊の重要課題に位置づけられています。
 保育所整備の壁の一つは、都内の土地の価格にあります。この点、利用可能な都有地を低廉な価格で貸し付ける都の福祉インフラ整備事業は、我が党が強く主張してきたものであり、重要な推進策となっています。
 都有地活用による保育所整備で、新たに注目を集めている公共用地として公園があります。原則、公園内では用途目的以外の建造物が禁じられていますが、都は特区制度を活用して設置できるようにしました。特区を活用した公園内の保育所は、公園広場の十分の三を上限に保育所を整備するものであります。
 そこでまず、この推進状況と今後の活用方針について都の見解を求めます。
 事業主体が保育所整備をちゅうちょする要因として、需要のピークアウトへの懸念があります。賃貸物件の活用は、その点の対応策として効果的であり、我が党はその充実を求めてきました。この点、国も対策の充実を進めており、都の取り組みの一層の強化が必要です。見解を求めます。
 また、保育所とともに不足が指摘される学童クラブについても、賃貸物件の活用も含め、即効力のある整備促進策を講じるべきであります。都の見解を求めます。
 保育所整備のもう一つの壁は、保育士不足にあります。都が策定した子供・子育て支援総合計画では、今後四年間で待機児童を解消するために必要な保育士の数は二万八千人、うち半数を新規就職者、残りを潜在保育士の掘り起こしで賄うとしています。これは、労働可能人口の減少傾向を考え合わせるとハードルの高い数値であります。
 一方、この計画では、四年間の途中離職者を一万八千人と見込んでおり、可能な限り離職を防ぐ具体策を講じるべきであります。
 政府は先般、保育士の給与の二%相当、約六千円の増額方針を閣議決定しました。こうした待遇面の改善策や都独自の上乗せも含め、政策の総動員が必要です。
 都は、副知事をトップとした検討チームを設け、保育サービスの整備目標の引き上げや、さらなる施策の充実も検討していくとしています。この検討チームでは、ニッポン一億総活躍プランの内容も踏まえながら、保育サービスの整備促進や保育士の確保など、待機児童解消に向けた実効性のある対策を早急に検討すべきと考えますが、所見を求めます。
 次に、食品ロス削減について質問します。
 先般、公明党は政府に対し、食品ロスの削減目標の設定やフードバンクの事業の支援など、具体的な政策を提言しました。食品ロスについては、国連が二〇三〇年までに世界全体で半減させる目標を掲げており、また、四月の先進七カ国農相会合でも、経済や環境、社会に影響を及ぼす世界的問題と明記されたところであります。
 都においては、昨年度、持続可能な資源利用に向けたモデル事業として、食品ロスの削減に都民が協力できるイベントを開催しました。これをきっかけに、現在、大手スーパーにおいて、賞味期限が近づいた商品にメッセージ入りの値引きシールを張って、食品ロスを減らす取り組みを全国展開していると聞いています。
 こうした工夫は、都民が食品ロスを身近な問題として捉え行動する機会となり、大変に意義あることだといえます。今後は、製造、流通、販売、消費といった各段階に対応した取り組みをさらに展開すべきです。
 昨年度の成果も踏まえ、食品ロスの削減に向けた新たな動きを支援するとともに、継続的に普及啓発を図っていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問します。
 ある大手就職サイトを運営する会社が行ったアンケートでは、仕事の内容次第では中小企業でもよいと回答した学生が約半数を占めたという結果が出ています。
 しかし、学生側からすれば、中小企業に関して、会社の情報や具体的な仕事の内容などを知る機会が少なく、知名度だけで企業を選択する学生も少なくないといった実態があります。
 都内には、大企業を凌駕する高度な技術力を有する中小企業や、働きやすい職場環境を持つ企業など、すばらしい魅力を持つ中小企業が数多くあり、こうした中小企業の姿を積極的に学生に対し発信していく必要があると考えます。
 都は、広報冊子等で中小企業を積極的にPRしておりますが、こうした優良な企業を掘り起こし、その魅力を学生や大学の就職担当者にしっかりと発信する取り組みをさらに進めるべきと考えます。
 都の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 上野和彦議員の代表質問にお答えをいたします。
 今回の調査におきまして、多くの項目で指摘を受けたことについてでございますが、私自身が自民党に所属していたころは、政党助成金につきまして、党の内規に基づき厳しいチェックがなされておりました。
 しかしながら、新党改革を結成した後は、自民党のような政党助成金の内部チェックシステムがなく、また、自分が党の代表であると、そういう慢心もあったと思っております。
 このような状況変化の中、政治資金の使い方が適切ではないと指摘される支出が多くなったことにつきまして、みずからの責任を感じるとともに、心から深く反省をしております。
 また、今回、多くの方々から、他人には厳しいが自分には甘いのではないか、身銭を切っていないではないか、また、公私混同ではないか、そういう厳しい批判を受けております。これらのことについてもしっかりと反省をしたいと思っております。
 今回の調査結果に対します道義的な責任についてご質問がございました。
 今回の報告におきまして、私の政治資金の使い方に対して多くの不適切な点が指摘され、返金をすることとなりました。
 しかし、私自身、返金すれば全て解決する、都民の皆様からの納得が得られるというふうには思っておりません。まずは調査報告をいただき、是正を図るというけじめのつけ方として返金を申し上げた次第でございます。
 不適切というご指摘を受けました点はしっかりと改善しますとともに、失われました信頼に対しましては、生まれ変わった気持ちで、都政に全力を挙げ、都民の皆様のために努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、私の国会議員時代の過去の事務所家賃についての道義的、倫理的責任についてご質問がございました。
 今回の調査におきまして、事務所家賃の賃料水準や二重払いなどのご指摘をいただいている疑惑についても調査をしていただきました。その結果、賃料水準及び賃料支払いについて相当である旨の回答を得ました。ご理解をいただきたいと思います。
 ご指摘いただいたようなご意見があることを踏まえまして、今後はご懸念を抱かれることのないよう、関係者などとも相談し、善処していくことを考えたいと考えてございます。
 次に、政党交付金による流用問題及び借入金の返済疑惑についてご質問がございました。
 新党改革支部から私の政治団体に対する寄附につきましては、今回の調査におきまして、政党助成法に違反しておらず、また、それらの寄附は支部報告書等に記載してあることから、政党助成法の罰則規定の適用もないことが確認されております。
 また、政党交付金が新党改革の借入金の返済に充てられていたのではないかとの疑惑につきましては、平成二十八年五月二十日、新党改革の荒井広幸代表が、改めて借入金返済に政党交付金を一切使用していない旨のコメントを出しているところでございます。ご理解をいただきたいと思います。
 続きまして、組織対策費として使った支出の領収書を提出すべきだとのご指摘がございます。
 ご指摘の組織対策費は、新党改革から支出され、他党政治家との折衝等にかかわる政治活動の資金として使用いたしたものでございます。
 この点につきましては、今回の調査におきましても、不正に使用したと疑うべき事情はないことをご確認いただいているところでございます。
 一方、組織対策費は領収書の提出が求められていないことから、これらの活動に要した費用の領収書を保存していないことをご理解いただきたいと思います。
 続きまして、絵画や書が資産であるとの指摘でございますが、絵画等の購入につきましては、絵画等に関する知識や理解を深めることによりまして、海外の政治家との人的関係を緊密にすることができることなどで、そういう理由で購入経費に政治資金を充てたものでありまして、私は決して財テク目的で購入したものではございません。
 しかしながら、今回の調査によりまして、絵画等の購入は趣味的色彩が強く、多数多額の絵画等を購入したことは、政治資金としての支出としては不適切であるとの指摘を受けました。
 したがいまして、これらの絵画等を、今後、都立病院や福祉施設などで活用していただけるのであれば、展示等をぜひお願いしたいと考えてございます。そして、私が政治団体を解散する際は、美術館などに寄附したいと思っておりまして、資産として所有する考えは一切ございません。
 次に、絵画等の保管についてご質問がございました。
 新党改革支部とグローバルネットワーク研究会が所有しておりました絵画等は、現在の資金管理団体である泰山会が所有してございます。したがいまして、都庁で保管している分以外については、泰山会の事務所スペースで保管してございます。
 なお、今回の調査報告におきまして、政治資金を用いて購入した絵画等を私物化したとの批判を招かないような措置を講ずるべきとの指摘を受けておりますので、今後適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
 それから、絵画等の転売、譲渡はなかったのかというご指摘でございますが、お話のとおり、私が役員を務めます株式会社舛添政治経済研究所の目的に、定款の中に、絵画、陶器等美術品の販売を掲げているのは事実でございます。
 一方、私が政治資金で絵画等を購入する場合は、あくまでも政治活動のツールとして活用するためでございまして、これらを転売や譲渡したことは、これまで一切ございません。
 それから、都民の皆様から指摘されている一連の疑惑でございますが、昨日公表になりました調査報告におきましても、違法な点についてはないとの結果ではありましたけれども、他方で、公私の区別が曖昧な支出がございまして、不適切であると、そういう厳しい指摘を受けました。また、多くの方々から、他人には厳しいが自分には甘いのではないか、身銭を切っていないのではないか、公私混同だと厳しい批判を受けてございます。
 私は、まさにそのような批判を受けるに値するような極めて恥ずかしい行動をとってまいりました。心から反省をしたいと考えております。
 そして、今後は公私の区別を明確にして、皆様方の信頼を少しでも取り戻すべく、粉骨砕身、都政の運営に努めてまいりたいと考えております。
 次に、海外出張の見直しについてご質問をいただきました。
 私の海外出張につきましては、姉妹友好都市との協力等を通じて、大都市問題の解決に資するべく行ってまいりましたが、一方で、多額の経費がかかったことについては深く反省をしております。
 アメリカ出張からの帰国後、直ちに海外出張経費見直しのための検討会を設置いたしまして、先日の所信表明において、検討会の結果を待つことなく、航空機のファーストクラス、宿泊施設のいわゆるスイートルームは利用しない、随行職員は最小限の体制にすることを申し上げました。
 現在、これに限らず、現地での車両や会議室の借り上げなど、あらゆる費用につきましても、そもそもの要否を含めて一から厳しい見直しを行っております。最終的には、私の責任で抜本的な海外出張経費削減の方策を取りまとめ、信頼を回復したいと考えております。
 次に、都内を留守にするという行動について厳しいご指摘をいただきました。
 湯河原の事務所での宿泊につきましては、衛星携帯電話による連絡手段やヘリなどによる移動手段など、大規模災害にも対応できる万全の危機管理体制を確保しているという認識のもとに行いました。
 しかしながら、都知事である私が都外にある湯河原の事務所に頻繁に滞在を繰り返したことにつきまして、危機管理意識が極めて甘かったとの批判は当然のことだと思っております。都民の皆様に多大なるご心配をおかけいたしました。深く反省をいたしております。
 湯河原行きにかかわる都のセキュリティー対策についてでございますが、湯河原での滞在中、危機管理上の緊急連絡として公用携帯電話のほか、緊急時に連絡がとれる衛星携帯電話を用意してございます。また、陸路で移動できない場合には、ヘリで都庁に向かうことになってございます。警備の関係につきましては、警備上の観点からお答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。
 湯河原からの復路につきましては、公用携帯電話を所持しているものの、移動元、また移動先のどちらかが公務であるという公用車の使用ルールに基づき公用車を使用していなかったわけであります。
 湯河原の事務所は、今回の一連の行動について、私みずからのけじめをつけるために売却することといたしましたが、今後、都知事として危機管理という観点を十分踏まえまして、みずからの行動を律してまいりたいと考えております。
 次に、都民の負託に応える活動についてご指摘がございました。
 毎週末のように湯河原を訪ねていたのは、公務について一週間のまとめと翌週の準備を行うことで、その能率を上げていくためでございました。しかしながら、厳しいご指摘のとおり、週末も都内で社会貢献活動に従事されている多くの都民の方々がおられる中で、例えばそうした現場を視察するといった活動が不十分であったことは、知事として反省しなければならないと考えております。
 このたび、湯河原の事務所を売却することを契機に週末の仕事のあり方を厳しく見直し、都民の皆様に一層寄り添いながら、その負託に応えてまいりたいと考えております。
 さまざまな進言につきまして、この一連の事態を招いたことでございますが、まずは、再三要請をいただいているにもかかわらず、結果として、東北の被災地訪問がなかなか実現できなかったことについて、深くおわびを申し上げたいと思います。
 毎週末のように湯河原を訪問していましたのは、公務の能率を上げていくためでありますが、しかし、そういう判断に固執する余り、都議会の皆様の声に十分耳を傾けることなく、一連の事態を招いたとのご指摘は真摯に受けとめまして、猛省をしたいと考えております。
 今回の事態を契機に心を入れかえ、都民並びに都議会の皆様と真摯に向かい合いながら、都政の発展に尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、都民への説明責任を速やかに果たすべきとのご指摘についてでございます。
 今回の一連の問題が生じてから、私自身が承知している事柄でもありましたので、当初は事務所などに事実関係を調査させ、みずからが記者会見により都民の皆様へ説明をしてまいりました。
 しかし、身内による調査では納得できないという意見もございました。また、国会議員時代の事柄についても疑問を指摘されるなど、相当な過去にさかのぼりまして、多岐にわたる事実を調査する必要に迫られました。
 そこで、この際、私は事務所関係者とは全く無縁の第三者、そして、できれば政治資金の実務に精通した法曹の方に調査をお願いしようということになりまして、今回の調査を実施したものでございます。
 私といたしましては、都民への説明責任をきっちりと果たすためにも、丁寧に調査を行ったつもりでございますが、そのために時間を要したことについては率直に謝りたいと考えております。
 辞職を求める声についてご指摘がございました。
 ご指摘のとおり、そうした声が広がっていますことは大変重く受けとめております。それは、一連の問題が不適切であるということのみならず、都民の皆様、都議会の皆様と真摯に向かい合うべき知事としての態度が、いつしか不十分になった私の姿勢も一因であると深く反省をしております。そうした私の姿勢を都民の皆様が厳しく批判されるのは当然でございます。
 これらのご批判を真摯に受けとめ、まずは一連の問題に対して説明責任を尽くし、問題点にしっかりと対応していくとともに、改めて、都民、そして、都議会の皆様と真摯に向かい合ってまいりたいと考えております。
 このたびは多大なるご迷惑をおかけし、大変申しわけなく思っております。信頼の回復に向けまして、一歩一歩地道に努力をしていきたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 公立学校の非構造部材の耐震化についてでありますが、学校の体育館等においては、地震発生時、天井や照明等の落下物から児童生徒を守るとともに、避難所機能を確保するため、早急に安全対策を進める必要がございます。
 都立学校においては、本年度中に全体育館の耐震化を完了する予定であり、あわせて体育館以外の施設の耐震化も計画的に進めているところでございます。
 また、公立小中学校においては、国の補助制度に加え、都の補助により区市町村を支援してきており、平成二十七年度末時点の体育館等の非構造部材の耐震化率は約七五%となっております。
 都教育委員会は、今後も都立学校について、非構造部材の耐震化が必要な施設の対策を鋭意進めるとともに、引き続き区市町村を支援し、対策の早期実施を強く働きかけ、平成三十年度の対策完了を目指してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 総合的な危機管理体制の構築についてでございますが、都における防災対策は、総務局の総合防災部が中心となり、全庁を挙げて対応することとしております。
 具体的には、発災後、直ちに知事を本部長として災害対策本部を設置するとともに、自衛隊の方面総監経験者である危機管理監が知事を補佐することで、自衛隊、警察、消防等とも連携して迅速に救出救助活動を展開いたします。
 また、平時から総合防災部には、過去の災害等の経験も踏まえ、土木、建築職を配置することで各局等と連携を強化しているほか、防災関係機関の管理職を配置することなどにより、地域防災計画等の運用、訓練の統括など、首都直下地震等危機対応の具体化を図っております。
 お話の趣旨も踏まえ、熊本地震の教訓も検証しつつ、今後とも危機管理体制の充実強化を図ってまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、道路斜面の安全対策についてでございますが、震災時において、橋梁など道路施設の健全性を保持することは、安全な避難や緊急輸送を確保し、救命、復旧活動を迅速に行う上で重要でございます。
 このため、都では、斜面の崩落や落石等による道路への影響を未然に防止するため、日常的な巡回点検に加え、五年に一度の定期点検などにより斜面の状況を的確に把握し、緊急度の高い箇所から、のり枠工や落石防護柵等の対策を計画的に実施しております。
 今後は、今回の熊本地震での斜面崩壊に伴う橋梁の被害状況を踏まえ、橋梁等重要構造物の情報も考慮した調査を実施するなど、優先度を評価しながら斜面の安全対策に取り組んでまいります。
 次に、土砂災害対策の取り組みについてでございますが、土砂災害から施設利用者の生命を守るためには、土砂災害警戒区域等の指定による警戒避難体制の整備を初めとするソフト対策に加え、砂防堰堤の整備など、ハード対策を推進していくことが重要でございます。
 都は昨年度、検討委員会におきまして、学識経験者などの意見を踏まえ、人命の保護を最優先とする基本理念のもと、ハード対策の緊急性を評価する手法などの検討を行いました。
 その結果、避難所や二十四時間滞在型老人ホームなどの要配慮者利用施設等の重要度を考慮した評価フローを取りまとめました。今後、警戒区域ごとに評価を行い、計画的にハード対策を実施してまいります。
 引き続き、土砂災害対策に全力で取り組んでまいります。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 鉄道橋の落橋防止対策の促進についてでございます。
 鉄道事業者にとって、安全・安心の確保は最も基本的な事項であることから、各事業者は、国が定める指針に基づいて着実に耐震対策に取り組んでございます。
 お話のロッキング橋脚による鉄道橋の多くは、明治から昭和初期までに建設されており、橋脚と橋桁との接合部などに可動式の部材を用いているという特徴がございます。
 このような鉄道橋は都内に約四十カ所あり、そのうち約三十カ所が緊急輸送道路と交差するなど、多くは主要な道路上にかかっております。これらについては、国の指針に基づく落橋防止装置の設置がおおむね完了してございます。
 都としても、熊本地震を受けた耐震対策に関する国の動向等を踏まえながら、鉄道事業者による対策が、より適切に行われるよう取り組んでまいります。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 特区を活用した公園内の保育所設置についてですが、国家戦略特区における本特例は、待機児童解消に向けて、特に保育所用地の確保が困難な地区においては有効なツールであると考えております。
 昨年十一月に、荒川区の都立汐入公園において特区認定を受けて以降、世田谷区の二つの都立公園や品川区の区立公園が認定を受けており、それぞれの公園の特徴を生かした保育所が整備される予定でございます。
 さらに、新たな認定に向け、都立代々木公園では渋谷区が運営事業者を選定しているほか、品川区では区立公園として二例目となる事案が進められているところでございます。
 今後も、各地域の保育ニーズを踏まえ、都の関係各局と区市町村が密接に連携を図ることにより、本特例の活用に積極的に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、賃貸物件による保育所整備についてでありますが、賃貸物件の活用は短期間で保育所を整備できる有効な手法の一つでございまして、都は独自に改修費等を補助し、区市町村や事業者の負担軽減を図っております。
 昨年度、賃貸物件を活用して整備された認可保育所は、全体の約七割の百十六件に上り、平均的な改修工事期間は約三カ月となっております。
 国は今年度から、公定価格における運営費の賃借料加算を実勢に対応した水準に増額しており、都はこれに加え、改修工事期間等の開設前の賃借料を独自に補助するほか、認証保育所の運営費補助の賃借料加算についても公定価格に合わせて増額をしております。
 今後、国の新たな施策も踏まえ、賃貸物件を活用した保育所整備を進める区市町村を積極的に支援してまいります。
 次に、学童クラブの整備についてでありますが、都はこれまで、学童クラブの整備を進めるため、施設の新設や改築、小学校の余裕教室など既存施設を利用する場合の改修に係る経費の補助を行ってまいりました。
 また、時間延長のニーズに対応するため、午後七時以降まで開所する施設の整備に当たりましては、都独自に整備費の補助率を三分の一から二分の一に引き上げ、区市町村の負担軽減を図ってまいりました。
 さらに、民家、アパートなどの賃貸物件を活用する場合には、賃借料補助を行いますとともに、今年度からは借地料や受け入れ児童数をふやすための移転費用の支援を開始しており、今後とも、学童クラブの整備に取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。
 最後に、待機児童解消に向けた対策についてでありますが、国は三月に緊急対策として、保育コンシェルジュの設置促進など利用者への支援策、一時預かり事業の活用や改修費の拡充など受け皿の整備促進策等を打ち出し、今月二日には、保育士の処遇改善やキャリアアップの仕組みの構築を初めとした保育人材の確保策などを盛り込んだ、ニッポン一億総活躍プランを閣議決定いたしました。
 都は現在、待機児童数の多い区市町村を中心に調査やヒアリングを実施し、改めて保育ニーズ等の実態把握に努めており、副知事をトップとした関係各局から成る検討チームでは、こうした国の施策や区市町村の状況も踏まえながら、夏までに待機児童解消に向けた新たな対策を取りまとめ、長期ビジョンで示した整備目標につきましても引き上げてまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 食品ロスの削減についてでございますが、気候変動の影響等に伴い、世界的に食料供給の不安定化が懸念される中、食品ロス削減の推進は重要でございます。
 都では、昨年度、持続可能な資源利用に向けたモデル事業といたしまして、都内大手スーパーにおけるフードロス・チャレンジ・フェスや、遊びを通じて食品ロスの問題を学ぶ、もったいない鬼ごっこなどを開催いたしました。
 これら一連の事業は報道でも多く取り上げられ、食品ロスに対する都民の意識が高まるとともに、区市町村においても具体的な取り組みが始まっております。
 今年度も、食品ロスの削減を優先的な課題としてモデル事業を公募し、さらなる取り組みを展開してまいりますとともに、区市町村のイベント等と連携した広報普及に努め、食品ロスの削減に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 中小企業の魅力発信についてでございますが、若者の中小企業への就職を促進するためには、企業に対する学生等の関心を高めることが重要でございます。
 このため、都は、若者に向けて専用ウエブサイトの開設や大学での広報冊子の配布等を通じて、中小企業の魅力を広くPRしてまいりました。
 今年度は、これまでの製造業、IT、建設業に加えまして、サービス業等にも対象を広げ、幅広い業種から優良な企業を掘り起こして紹介してまいります。
 さらに、多くの大学等の就職担当者が、中小企業についてより深く理解し、学生に伝えられるよう、年二回開催する教育関係者と企業担当者との交流会では、参加企業を昨年度の延べ四十社から、今年度は二百社に拡大をいたします。
 こうした取り組みによりまして、さまざまな中小企業が持つ魅力を広く発信し、若者の就職を促進してまいります。

○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時四十三分休憩

   午後五時開議

○議長(川井しげお君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十四番和泉なおみさん
   〔三十四番和泉なおみ君登壇〕

○三十四番(和泉なおみ君) 質問に先立ち、熊本地震で亡くなられた方々に、心から哀悼の意を表するとともに、被災者の方々に心からのお見舞いを申し上げます。
 日本共産党都議団を代表して質問します。
 本議会で、厳しく問われているのは、都民の怒りの声が渦巻いている、舛添知事の高額出張、公用車の私的使用、政治資金の不正使用問題の事実を究明し、知事の責任を明確にすることです。
 ところが知事は、所信表明で、高額海外出張は厳しく見直す、公用車は厳格な運用を徹底していくと述べたものの、肝心の事実については、何一つ明らかにしませんでした。そして、昨日、知事が依頼した弁護士による政治資金問題等の調査報告書が発表され、一部を不適切だったとしたものの、違法性はなかったと強調しました。
 しかし、この報告書は、知事のいい分をうのみにしたもので、事実かどうかの検証、裏づけ調査はほとんどされていません。まさに舛添知事弁護のための報告書にすぎず、到底納得できません。都民の怒りの声は、ますます広がっています。
 以下の質問に対して誠実に答弁し、舛添知事みずから事実を語り、数々の公私混同問題がなぜ起きたのか、原因と背景を包み隠さず明らかにすることを強く求めるものです。
 まず、高額海外出張問題です。
 批判が高まる中、知事は所信表明で、飛行機のファーストクラス、ホテルのスイートルームは使わないと述べました。しかし、知事はつい最近まで、ファーストクラスもスイートルームも必要だといい張ってきました。その態度がなぜ変わったのか、批判を受けたからというだけで、まともな説明はありません。そして、わずか二年間で、海外出張に二億一千三百万円も使ったことへの本質的反省は、舛添知事から聞いたことがありません。反省どころか、舛添知事は都民を欺く発言を繰り返してきたのです。
 知事は、テレビ番組で、ほとんどの場合、先方からこういうクラスのホテルに泊まってくださいという申し出があると述べました。しかし、これは事実と違います。
 ロシアのトムスク出張の際、先方からホテルを勧められたことはありますが、その他の海外出張で、先方から申し出や要望があったことなどありません。それをほとんどの場合などというのは都民を欺くものです。しかも、スイートルーム利用の責任を、相手都市に押しつけることは許されません。知事、こうした発言を訂正すべきではありませんか。
 同じ番組で、知事は、随行職員がふえていることについて、例えば、パリ出張の場合、オリンピック担当、都市整備、美術館の担当など、どんどんふえるなどと述べています。しかし、パリの随行職員十九人のうち、オリンピック担当など事業局関係者は四人にすぎず、あとは秘書業務や連絡調整、広報など、知事のおつきの人たちではないですか。
 ましてや北京出張では、大気汚染対策や医療、社会保障制度の協力、オリンピック・パラリンピックでの意見交換が目的とされていましたが、環境、医療、福祉、オリンピック関係の担当局幹部は一人も参加していません。そのことは、知事ご自身がよく知っているはずです。にもかかわらず、テレビ番組で、事実をゆがめる情報を発信した責任を知事はどう考えているのですか、お答えください。
 ホテル代について、知事は、ルールどおりにやってきたといい張っています。しかし、知事の旅費条例の規定では、海外出張のホテル代の上限額は、ロンドンなどの大都市でも最高四万二百円です。ところが知事は、ロンドンやパリでは、そのおよそ五倍、一泊二十万円近い部屋に泊まるなど、条例上限額をはるかに超えるのが常態化しています。これは明白な条例違反です。
 知事の旅費条例が定めるホテル代の上限額を知事は知っていますか。知事は、上限額を超える場合は、人事委員会の同意を得ているから問題ないという立場をとっていますが、そもそも知事の旅費条例には、ホテル代の上限額を超える場合の規定はないことを知っていますか。条例の規定を承知の上で条例を守っていないのか、あるいは不勉強で条例の中身を知らずに条例違反をしているのか、どちらですか。知事、はっきりお答えください。
 我が党の調査では、例えば、埼玉県知事の海外出張では、知事を含む全参加者が、条例の規定額を守っています。旅行業者に条例で定める上限額を伝え、その範囲内のホテルを選んでもらう努力をしています。条例の規定を超えた宿泊費を支出した県も調査しましたが、都のように、人事委員会などとの協議を経て、泊まったホテルの宿泊費は、北海道知事で、イタリア出張の八万六千円が最高で、ほとんどが三万円から六万円台です。知事は、他県のこうした努力をどう認識していますか。
 知事は、定例会見で、当初、香港のトップが二流のホテルに泊まりますか、恥ずかしいでしょう、などといって開き直りました。高額海外出張への反省がなく、都民の税金を使うのに、最大限節約しようという姿勢を全く示そうとしなかったことが都民の怒りに火をつけました。
 東京都の知事、トップが泊まるホテルは一流でなくてはならないなどという傲慢な考え方は、断じて許されません。都民に対して謝罪すべきではありませんか。知事、お答えください。
 知事が、この二年間に使った海外出張費二億円というのは、非正規労働者の年収のおよそ百年分です。半額に抑えて節約した費用を都民施策に振り向ければ、例えば、生活保護世帯への熱中症対策のクーラー設置支援や、難病相談・支援センターの多摩地域への設置、特別支援学校のプールの温水化などが実現できるのです。
 我が党は、この立場で、東京都が海外出張のあり方を精査し、最大限経費を切り詰めるよう全力を尽くすものです。
 次に、公用車の私的使用についてです。
 舛添知事が、公用車を使って毎週のように湯河原の別荘通いをしていたことに、都民から、公私混同、なぜ公用車を使うのかと批判の声が上がりました。ところが知事は、全く反省の意思を示さず、知事として当然だという驚くべき態度をとり続けました。
 しかし、昨日の調査報告書では、ルールに抵触する可能性がないとはいえない、今後は、公用車の使用をルールどおりに厳格に行うべきであると記載されています。知事も所信表明で、厳格な運用を徹底していくと発言しました。それなら、今までルールを守っていると繰り返してきたことは間違いだった、運用が厳格でなかったと認めるのですね。知事、はっきりお答えください。
 都では、公用車を使用できるのは、出発または到着先が公務の場合とされています。私たちは、公用車の運転日誌をつぶさに点検し、昨年四月からことし四月二十二日までの間に、知事が湯河原の別荘に向かった四十三回のうち三十八回は、一旦、世田谷の自宅に帰宅し、その後、湯河原に向かっていることを確認しました。
 また、湯河原の別荘からの公用車使用では、六回中五回は、一旦、世田谷の自宅に帰宅してから公務に向かっています。少なくとも、一旦、世田谷の自宅に帰宅した合計四十三回分について、かかった経費を返還すべきです。知事、いかがですか。
 都の規則によれば、公用車の使用は公務に限定されています。ところが舛添知事のもとで、新たに政務という考え方が持ち込まれ、公務でなくても知事の判断で公用車を使っています。
 私たちの調査では、政務の回数は一年間で百七十五回に及びます。しかし、昨日の報告書では、公用車を使用する場合には、行き先や用件などを明らかにし、都民の納得を得るように心がけ、誤解を招くことがないようにすべきと記載されました。それなら、政務という、行き先も目的も不明な運用は不適切だったことになります。知事、これまでの政務の実態を明らかにすべきです。お答えください。
 知事、あなたが毎週のように、公用車で湯河原の別荘に通っていたことに、都民の大きな批判の声が上がっています。ところが知事は、別荘でも仕事をしている、健康管理も知事の仕事などといい張り、知事は何をやっても許されるといわんばかりの態度を続けてきました。別荘を売却しても、何らけじめにもならないし、都民は納得しないことを指摘しておきます。
 次に、公務と称して、知事みずからのファミリー企業との間で行われている公私混同疑惑について伺います。
 知事が公務として講演を行ったのに、その講演料が、主催者から、直接、知事の妻が代表取締役を務め、知事も役員を務めている株式会社舛添政治経済研究所に振り込まれていることを我が党は明らかにしました。
 知事は、記者に聞かれて、主催者から自分が謝礼を受け取り、自分の判断でみずからのシンクタンクである舛添政治経済研究所に渡したと説明しました。しかし、私たちの調査では、主催者から株式会社舛添政治経済研究所に直接振り込まれています。知事の説明は事実と異なるのではありませんか、答弁を求めます。
 株式会社舛添政治経済研究所の会社謄本に書かれている会社の目的の一番目には、講演、講演会の企画となっています。知事が公務として行った講演も舛添政治経済研究所の事業の一環というのが実態ではないのですか。だから、主催者から直接、舛添政治経済研究所に講演料が振り込まれたのではありませんか。そして舛添政治経済研究所は、事業収益としてその講演料を会計処理したのではありませんか。知事、事実をお答えください。
 公務としての講演だけでなく、公用車を使った政務としての講演も合わせると、一年間で十回以上に及びます。知事の講演料は、一回当たり百万円前後が相場だといわれており、公務、政務の講演料だけで一年間に一千万円にもなると見られます。これだけの額の講演料が、知事個人の収入なのか、会社の事業収益なのか曖昧では、都知事という立場と肩書を利用したビジネスではないかといわれても仕方ありません、知事の明確な説明を求めます。
 次に、政治資金の不正使用についてです。
 舛添知事の政治資金について今問題になっているのは、違法かどうかということだけではありません。政党助成金、つまり国民の税金を含んだ政治資金を、家族の旅行や飲み食い、日用品などにまで使うという公私混同ぶりの全容を明らかにし、知事の法的、政治的、道義的責任を明らかにすることが求められているのです。さらには、みずからの説明責任まで拒否するという政治家にあるまじき知事の態度が問われているのです。
 昨日の調査報告書を見ても、政治資金による全てのホテル代や飲食費、美術品購入などの支出が偽りでないかチェックしたり、支出先のホテルや飲食店、日常生活用品などへの支出を直接調べるという全面的な調査が行われなかったことは明白です。記者会見でこの点をただした記者に弁護士は、ヒアリングすることには意味がないなどと開き直りました。領収書を書いた相手側への聞き取り調査すらやろうとしない弁護士の調査報告書を都民が信用すると思いますか。知事、お答えください。
 二〇一三年一月三日と二〇一四年一月二日に千葉のホテルに家族で宿泊した費用を、政治資金から会議費として支払った問題についてただします。
 知事は、五月の記者会見で、事務所関係者らと会議を行ったと説明しました。ところが、昨日の調査報告書では、会社社長との面談とされています。事務所関係者らと会議を行ったという知事の説明は虚偽だったのですね、はっきりお答えください。
 調査報告書は、この問題については、全体として家族旅行と理解するほかなく、政治資金を用いたことが適切とは認められないとしています。知事は、全体として家族旅行と理解するほかないものを会議費だと偽って政治資金を用いたことになります。知事、事実をお答えください。
 また、ホテルの領収書は、支払いの名目として何と書かれていたのですか。あるいは空欄だったのですか。そして、ホテルから領収書を受け取ったのはどなたですか。お答えください。
 政治資金報告をめぐっては、知事になる以前の問題だけではありません。知事になってつくられた泰山会の報告でも法違反が疑われる問題があります。
 その一つは、世界堂での額縁などの購入に関してです。昨日の発表でも、世界堂への支払い総額は二百万円を超えていますが、どれだけの額縁を購入したのか、ほかに何を購入したのか明らかにされておらず、不透明さが浮き彫りになりました。知事になった二〇一四年にも、世界堂に五回で三十九万円もの支払いがあったことが記載されていますが、添付された五枚の領収書には、ただし書き、支出目的が記載されず空白のままになっています。
 政治資金規正法では、第十一条で、報告書に添付する領収書には支出目的を明記することを定めています。知事、あなたが代表者となっている泰山会が出した収支報告は、政治資金規正法に反しているのではありませんか。知事、どう認識していますか。
 世界堂では、領収書のただし書きの欄を未記入にする場合は先方の意向だと説明しました。だとしたら、一回五万円から十二万円も支出しながら、そして、政治資金規正法に違反するにもかかわらず、なぜ支出目的を記載しなかったのですか。領収書には、額縁専用売り場の四階で購入したことが記録されています。一体何を、どれだけ購入したのか、明らかにしてください。
 調査報告書も、政治資金で多数、多額の額縁等を購入することが必要であったかは疑問であり、妥当性は相当に低いと書かざるを得ませんでした。ところが、総額二百万円も使った額縁が全体で何枚で、何のために使ったのかは調査されていません。仮に、一万円の額縁なら二百枚購入したことになります。知事、これだけの量の額縁を一体何に使ったのですか。仮に、外国の賓客へのプレゼントに使ったものを事務所用品などとして計上することは虚偽記載になるのではありませんか。
 知事の特別秘書について伺います。
 特別秘書の横田賢一氏は、二〇一四年四月一日に任命されましたが、庁内で見かけることがほとんどありません。特別秘書には都の局長級の給与が支払われています。給与に見合う、どのような仕事を、いつ、どこでされているのですか。具体的にお答えください。横田特別秘書は、今年度は何日間都庁に出勤し、合計何時間都庁で勤務されたのですか。
 日本共産党都議団は、去る六月二日夕刻に、新宿駅前で約一時間にわたりシール投票を行いました。設問は二つです。知事がみずから事実を語らず弁護士に調査委託したことに納得できるか、できないかの設問には、納得できるが三%、十五人に対し、納得できないが九七%、四百十八人でした。また、知事の進退については、やめるべきだが八四%、三百四十三人、やめなくてもよいが八%、三十四人、わからないが八%、三十一人でした。多くのマスコミ調査とも一致しており、これこそが都民の声です。
 政治資金規正法には、その第一条に、政治資金を国民による不断の監視と批判のもとにおくと明記されています。知事が政治資金の使い方について判断を仰ぐべきは、知事自身が選んだ弁護士ではなく、都民のはずです。知事みずからが政治資金の使い方を全て明らかにして都民の判断を仰ぐべきではありませんか。
 知事も、五月二十日の記者会見で、私自身、都民の信頼を失っているという言葉を十回も繰り返しました。まさに知事失格ではありませんか。それでもまだ回復の道があると考えているのなら、とんだ勘違いです。
 舛添知事が、高額の海外出張問題に端を発し、公用車の私的使用問題でも、政治資金の不正使用疑惑でも、税金や政治資金の公私混同の使い方が次々と明らかになっています。若干の是正は口にしても、政治責任をとる意思は全く示しませんでした。果ては、事実の解明と説明責任を放棄して、弁護士への調査依頼を口実に口をつぐむに至っては、もはや都民の信頼を取り戻す道さえみずから投げ捨てるものであり、知事にとどまることは許されません。けじめをつけるというなら、疑惑にかかわる全ての事実を明らかにし、速やかに辞職すべきです。知事の答弁を求めます。
 日本共産党都議団は、二度と都政に政治と金の問題を繰り返さぬよう、疑惑の徹底解明のため、百条委員会の設置を強く呼びかけるものです。
 知事がどうであろうとも、都民の暮らしを守るための緊急対策をなおざりにすることは許されません。まずは、保育の待機児解消など福祉の緊急対策です。
 我が党の調査では、ことし四月に認可保育所などに入れなかった待機児童数は、昨年度より約一割もふえています。そうした中で、北区が区立園を整備するなど緊急対策を各自治体が取り組んでいます。三月の予算特別委員会で、我が党が保育園の整備目標の引き上げを求めたことに対し、都は、待機児童の状況を踏まえ検討するといいましたが、具体的な対策はいまだに示されていません。副知事をトップとした検討チームを設けるということですが、いつまでに検討結果をまとめるのですか。認可保育園の大幅増設を初め、目標を大幅に引き上げて、早急に対策を講ずるべきではありませんか。
 保育士の賃金引き上げが緊急の課題です。国が認可保育園の運営費を計算する際の人件費の額が低過ぎるため、都内では、給与が全産業平均より月約十五万円も低くなっており、保育士不足の最大の原因となっています。
 都は、経験年数がふえれば賃金は伸びるとしていますが、経験年数が目いっぱい伸びても、国と自治体から出るお金は今と比べて保育士一人当たり月一万円程度しかふえないため、賃金が極めて低い状況は変わりません。保育士の処遇を改善するため、東京都が行っている補助について、一人一人の賃金にどのように反映されているのか把握するとともに、抜本的拡充を図るべきです。
 昨年四月からの介護報酬引き下げによって深刻な事態が生まれています。介護問題に取り組んでいる民間団体の行った介護事業所アンケートでは、介護報酬改定前との比較で五四%の事業所が減収となっていました。国の調査では、処遇改善加算がベースアップにつながった事業所は二割未満です。深刻な介護職員不足が続いており、緊急対策が不可欠です。
 都は、キャリアパス導入促進事業で、月二万円の補助をしているといいますが、補助を受けたのは一万を超える事業所のうちわずか五十二カ所、十数万いる介護職員のうちわずか八十三人です。今の補助条件では限られた施設の限られた職員しか対象にならないのです。全体の賃金底上げにつながる補助を実施すべきではありませんか。
 次に、震災対策です。熊本地震は震度七が連続して起き、震度三クラスが一カ月以上連日続くという、かつて経験したことのない地震となっています。避難が長期化するなど、深刻な状況が続いています。私は、活断層の真上にあり、被害の大きかった益城町、西原村の現場を五月末に訪ね、惨状をこの目に焼きつけ、被災者の声を聞いてきました。
 多くの家屋が無残に倒壊していました。避難所での食事はおにぎりやパン、コンビニのお弁当で、野菜や温かい食事は提供されていませんでした。小さな子供を抱えたお母さんが、食事さえ一カ月以上できていないけれど、ぜいたくはいえませんと語ってくれました。一刻も早い改善が求められています。
 罹災証明発行の会場には、開始前から七百人もの行列ができ、職員の数が圧倒的に足りない状況です。現場の職員の方たちは、みずからも被災しながら、泣いている場合ではないと寝る間も惜しんで必死に働いています。住民や職員の張り詰めた精神状態へのケアがこれからも必要です。
 都は、現在、県の支援要請があった場合に、必要な部署に必要な人員を派遣しているとのことですが、メンタルケアなども含め、積極的に支援を申し出て、一日も早い復興のために力を尽くすべきではありませんか。
 熊本地震の被害の実態から、超過密都市東京では、桁違いの被害が起きることを大前提にした対策の再構築を行う必要が浮き彫りになりました。
 第一に、避難所の問題です。避難所にこれまでの計画の想定を超えた避難者が殺到することが考えられますが、都内各地の避難所について、受け入れ能力を初め、安全で生活環境が確保できるものになっているかどうか、避難の長期化にも対応し得る食料や生活物資が提供できるのかなどを早急に検証し、見直しを行うことが必要だと思いますが、いかがですか。
 第二は、住宅の耐震化です。犠牲になった方の七割が住宅倒壊で亡くなったことも住宅の耐震化の重要性を改めて浮き彫りにしました。熊本地震は、都内の住宅耐震化率八三・八%にとどまっていることの重大な警告であり、助成の対象を全地域に広げ、助成内容を大幅に拡充すべきです。
 また、新耐震基準の住宅についても、新たな知見に基づいて耐震性を強化するための支援を行うことが求められていますが、いかがですか。答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 和泉なおみ議員の代表質問にお答えをいたします。
 まず、宿泊施設の選定についてでございますが、トムスク出張の際には、相手方都市からの推薦があったホテルを使用いたしました。また。平成二十七年十月のソウル出張におきましても、先方の招待により指定されたホテルに宿泊をいたしました。先方から推薦または指定があったのはその二回の出張でございます。
 テレビ番組で、ほとんどの場合と発言したことは、決して都民を欺く意図があったものではなく、海外出張のホテルを選定する際には、一般的に大使館等からの意見を参考にしていることからそのような表現をしたものでありますが、結果的に正確さを欠いていたことは反省しております。
 続きまして、随行職員に関する私の発言についてご指摘がございました。これまで、海外出張におきましては、訪問都市や出張目的を勘案し、効率的な体制を組んでまいりました。しかし、都政の幅広い分野にわたり多くの成果を求めたため随行職員が多くなったことは事実でございます。
 北京出張におきましては、事業所管局と事前に意見交換を行った上で出張するということで、各局からは同行はいたしませんでした。しかし、各局職員が実際に現場を視察し、先方の担当者と意見交換を行うことがその後の政策形成に役立つと考えまして、以降の出張におきましては、事業所管局からも随行させることにしたわけでございます。
 パリ、ロンドン出張におきましては、オリンピック・パラリンピック準備局、環境局、生活文化局から合計四名が随行してございますけれども、そのことを指してどんどんふえると表現したことが誤解を招いたのであれば反省をしたいというふうに思います。
 今後は、職員の役割分担を精査することで、先日の所信表明で明らかにしましたように、最小限の体制としたいと思っております。
 次に、ホテル代についてご指摘がございました。東京都知事等の給料等に関する条例におきましては、旅費の算定方法について、職員の旅費に関する条例の例によると定めてございます。この規定を踏まえまして、私の宿泊費の人事委員会の協議は、職員の旅費に関する条例の規定にのっとりまして、より手続の万全を期すという観点から行っているものでございます。
 しかしながら、宿泊費につきましては、手配条件についても、手続につきましても、前例を踏襲して行ってきたために、結果として宿泊上限額を超過することが常態化してございまして、こうした支出に関して事務方任せにすることなく、みずからチェックを行うべきであったと考えております。
 今後は、いわゆるスイートルームの利用はしないことに加えまして、ホテルの選択肢を拡大し、経費のさらなる縮減に最大限努めてまいります。
 他県の努力について言及がございました。私の海外出張の経費、とりわけ宿泊料を削減することは、先日の所信表明におきまして、宿泊施設のいわゆるスイートルームは利用しないということを表明いたしました。
 今後は、ご指摘いただきましたような他県の取り組み等も参考にしながら、海外出張経費の縮減につながるよう、宿泊先の選定を慎重に行ってまいりたいと思っております。
 次に、税金の使い方についてご指摘がございました。東京都知事の宿泊するホテルが一流でなければならない旨の発言をしたことが、都民の皆様を不愉快にさせたことにつきましては、心から反省をしております。海外出張の経費は、公費で賄われるということを肝に銘じまして、航空機のファーストクラス、ホテルのいわゆるスイートルームを利用しないことはもとより、最小限の体制とすることなどにより、大幅に経費の削減を図ってまいります。
 公用車の使用についてご指摘がございました。公用車が使用できる場合として、移動元、または移動先が公務場所であること、または、公務からの帰り道など、途中で用務のために立ち寄る場合や都政との関連性が高いと判断した政務において使用することができるとされております。そのルールに従って公用車を使用してきたところでございますが、都民の皆様からのご批判を踏まえ、今後は、これまで以上に、より厳格な運用を図ってまいりたいと思っております。
 世田谷の事務所への帰宅、立ち寄りについての言及がございました。湯河原の事務所に行く際に、世田谷の事務所にかなりの頻度で立ち寄っていたのは事実でございます。これは資料を整理し、湯河原に必要なものを持っていくために立ち寄ったものでございます。その当時は、こうした立ち寄りは、都の公用車使用のルールに反していないとの認識でございました。しかしながら、都民からのご批判とともに、昨日の調査報告書でも、公用車の使用ルールに抵触する可能性が言及されてございます。私としましては深く反省するところでございます。
 続きまして、政務の実態を明らかにすべきだというご指摘でございますが、政務は、政治的な要素が非常に強いケースもございまして、相手方のことも考慮することが必要でございますために、基本的には明らかにできるものではないと考えていますけれども、今後は、公用車を使用する場合には、行く先や用件などを明らかにすることで都民への説明責任を果たしていく考えでございます。
 講演の謝礼についてでございます。ご質問の中で公務の講演とされているものは、日程予定表に件名が表記されているものを指していると思われます。しかし、日程予定表上、件名が表記されている講演会と政務として表記される講演会の間に内容の違いはございません。このことから、報酬を受ける講演会は、基本的に政務であると考えております。政務としての性格を持つ講演会の講演料は、私の政策活動を支える組織であります株式会社舛添政治経済研究所の収入となるものでございまして、私を経由であれ、主催者から直接であれ、問題ないものと考えてございます。
 先ほど申し上げましたとおり、政務としての性格を持つ講演会の講演料は、私の政策活動を支える組織であります株式会社舛添政治経済研究所の事業収入となることにしております。さらに、講演料につきましてでございますが、政務としての性格を持つ講演会の講演料は、私の政策活動を支える組織でございます株式会社舛添政治経済研究所の収入となります。これがシンクタンクとしての性格を持つこの研究所の機能を支え、私の政策活動の向上につながってございます。
 次に、今回の調査報告書について、ご指摘がございました一連の問題につきまして、身内の調査では納得できないと、そういう意見が出てきましたことから、私や事務所関係者とは全く無縁の第三者、それも、政治資金の実務に精通した元検事の弁護士の先生方に調査をお願いいたしました。調査は、私や秘書から関係資料を提出し、私や秘書及び関係者がヒアリングに応じるとともに、必要に応じて弁護士の先生方がみずから資料を入手するなど、第三者の目線から厳格に行っていただきました。
 昨日の会見では、当該弁護士からも、全てヒアリングをしなければいけないというものではない、証拠や領収書に基づき事実認定を十分尽くしたとの発言があったところでございまして、信頼性は確保できると考えております。
 千葉のホテルでの宿泊についてでございますが、平成二十五年につきましては、つき合いが長く、かねてより相談相手としていた元新聞記者の出版会社社長を客室に招き、衆議院議員選挙で結果を出せなかったことを踏まえ、政治家としての今後について相談をいたしました。
 また、平成二十六年につきましては、翌月に実施される都知事選挙の出馬について相談をいたしました。五月の記者会見では、相手方との関係もあることから、事務所ともおつき合いのある方々という広範な趣旨で事務所関係者と述べたものでございます。結果として、この表現が混乱を生じさせたことにつきましては反省をいたしております。
 家族旅行についてご指摘がございました。昨日の調査報告書では、政治資金により支出した一部の宿泊において、支援者の会合や政治家との意見交換をしたものであっても、全体として捉えると家族旅行と理解するほかはないとのご指摘をいただきました。宿泊費について不適切なものが明るみとなったことは私の不徳のいたすところであり、深く反省をしております。
 今回の調査結果を真摯に受けとめまして、都民及び都議会の皆様のご理解をいただけますように、そして、政治家として再び皆様の信頼をいただけるよう、ご指摘いただいたさまざま問題点にしっかりと対応してまいりたいと思っております。
 今回、調査対象となりました一連の宿泊費の領収書についてご指摘がございましたが、木更津のホテルの領収書を確認いたしましたが、ただし書きの欄はなく、特に支出の目的が書かれていることはありません。領収書には支出の目的が必要とされているのにもかかわらず、この記載がないものについてのご指摘でございますが、今後は、領収書のチェックも含め、適切な収支報告に努めていくよう、私自身はもとより事務所の体制もしっかりと整えてまいりたいと思っております。
 なお、領収書は、私か妻かどちらかだと思いますが、いずれであるかはともに記憶がなく、わかりませんでした。
 さらに、泰山会が提出した収支報告についてでございますが、支出の目的の欄の記載が欠けたものがあるとのご指摘を受けまして、今後は、私はもちろんのこと、事務所も適切な領収書を請求するよう徹底しているところでございます。いずれにしましても、さまざまな点のご指摘に身が引き締まる思いでございます。
 世界堂での物品の購入の質問がございました。昨日公表いたしました調査報告書記載のとおり、和額やデッサン額などの額縁や額装に必要なマットなどを購入いたしました。多数の絵画等を購入したため、額縁等も多く購入することとなりましたが、その品目及び点数については、調査が過去にさかのぼり、資料も多岐にわたったことから、調査報告書に記載した事実が全てでございます。
 さらに、額縁等の使用目的でございますけれども、既にお話ししておりますとおり、私は、海外の方との人間関係を緊密にすることができることなどから、絵画等を政治活動のツールとして活用しております。そのためには、絵画等を良好な状況で保管する必要がありまして、ほとんどの絵画について額装を行っております。
 しかしながら、今回の調査により、多数、多額の額縁等を購入したことは、政治資金の支出として、直ちに不適切とはいえないものの妥当性は相当に低いというご指摘を受けました。したがいまして、額縁等につきましては、額装する絵画等とあわせて東京の病院や福祉施設などで活用していただけるのであれば、展示等をぜひお願いしたいと考えております。そして、私が政治団体を解散する際には、美術館などに寄贈したいと思っております。
 横田特別秘書の職務についてご質問がございました。
 知事である私から直接命令を受けまして、マスコミへの対応、政策形成にかかわる特命事項、国との折衝、議会との連絡調整など、都政運営全般に関して私を直接補佐しております。
 さらに、政治責任につきまして、都民の判断についてご指摘がございましたが、都民の皆様から多くのご批判をいただいていることは重く受けとめておりまして、信頼は一朝一夕に回復できるものではございません。
 政治資金の使途については、昨日、弁護士による調査結果を公表したところでございます。一連の問題につきましては、都民及び都議会の皆様のご理解をいただけますよう、調査結果を踏まえてしっかりと対応してまいります。その上で、信頼の回復に向けまして、一歩一歩地道に都政の発展に努力してまいりたいと思っております。
 私の政治責任についてでございますが、一連の問題については、第三者の弁護士による厳正な調査を経まして、昨日結果を公表いたしました。今回の調査では、法的側面に加え、道義的な面からも判断をいただいております。この結果を踏まえまして、都民並びに都議会の皆様にご理解をいただきますように、問題にしっかりと対応していく所存でございます。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 特別秘書の勤務についてでございますが、特別秘書は地方公務員法上の特別職であり、一般職のように勤務時間、その他の勤務条件に係る規定の適用がなく、出勤管理をしていないため、把握をしてございません。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、保育サービスの拡充についてでありますが、都は現在、待機児童数の多い区市町村を中心に調査やヒアリングを実施しており、副知事をトップとした検討チームでは、区市町村の状況や国の施策なども踏まえ、夏までに対策を取りまとめ、整備目標についても引き上げてまいります。
 次に、保育士の処遇改善についてでありますが、保育士の処遇改善やキャリアパスの仕組みの構築は、本来、国が行うべきものであり、都はこれまで、国に対し、キャリアアップのための仕組みを検討し、充実を図るとともに、十分な財源を確保するよう、繰り返し提案要求しております。
 都は、国の公定価格における処遇改善等加算に加え、独自に保育士等キャリアアップ補助を実施しており、補助対象経費を人件費に限定し、職責等に応じた賃金体系の設定など補助の要件を満たしていることを証明する届け出書や賃金改善に関する実績報告書などの提出を求めております。
 最後に、介護職員の処遇改善についてでありますが、都が実施しているキャリアパス導入促進事業は、介護職員の育成、定着を図るため、国のキャリア段位制度を活用して、キャリアパスの導入に取り組む事業者を支援することを目的としております。
 介護サービス事業は、サービス提供の対価として事業者に支払われる介護報酬等により運営されることが基本であり、都は国に対し、事業者が介護人材の定着、確保を図り、健全な事業運営を行うことができる介護報酬とするよう、繰り返し提案要求しております。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 震災対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、熊本地震における都の支援についてでございます。
 都は、本震が発生した四月十六日、熊本地震情報連絡会議を設置するとともに、被災地に情報収集のための職員を派遣いたしました。その上で、現地の要請を踏まえ、関係機関とも連携し、救出救助、医療等支援など、これまで延べ一千三百人を超える職員を派遣し、被災地の支援に積極的に取り組んでまいりました。
 今後とも、現地のニーズを的確に把握し、引き続き関係機関とも連携を図りながら、必要な支援を行ってまいります。
 次に、想定以上の避難者発生への対応についてでございます。
 熊本地震では、強い揺れの連続など、これまでの経験が通用しない側面があり、都の防災対策上も、まず、地震の原因や被害との因果関係等の解明が不可欠でございます。
 このため、都では今後、必要な情報を収集し、専門家の見解などを求めるなど、熊本地震の実態の検証作業を進めてまいります。その上で、避難者対策も含め、今回の災害対応の教訓等を取りまとめ、都における発災時の現実的かつ的確な対応を図ってまいります。
   〔都市整備局長邊見隆士君登壇〕

○都市整備局長(邊見隆士君) 住宅の耐震化についてでございます。
 都はこれまで、住宅の所有者を対象として、耐震ポータルサイトなどを通じた普及啓発を行うとともに、アドバイザーを派遣する区市町村への財政的な支援などを実施してまいりました。
 加えて、広域自治体として、震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域を対象に改修助成等を行っており、今年度からは、その上限額を約二倍に引き上げるなど、支援を拡充してきてございます。
 今後も、こうした取り組みを通じて住宅の耐震化を促進してまいります。
 なお、現在、国では、新耐震基準の建築物を含め、熊本地震での被害の原因分析を行っており、その動向を注視してまいります。
   〔三十四番和泉なおみ君登壇〕

○三十四番(和泉なおみ君) 再質問します。
 最初に、千葉のホテルに家族で宿泊した費用を政治資金から会議費とした問題です。
 最大の問題は、虚偽記載と知事の責任問題です。五月十三日の記者会見では、会議費との記載を合理化しました。しかし、昨日の調査書では、個人との面談であり、会議でなかったことは明白になりました。
 問題は、五月十三日の会見で、事務所関係者との会議だったと発言を繰り返したことです。これは単に勘違いではなく、虚偽記載が明らかにならないよう、虚偽の作り話をしたということではありませんか、はっきり答えてください。
 昨日の報告書も極めて不自然で、不可解です。そもそも二年連続、お正月に家族旅行のホテルで面談という説明は不自然です。友人が誰かも説明できず、弁護士も本人に確認していない、これでは報告になっていないではありませんか。事実だというのなら、その証拠となるものを示してください。
 知事の政治資金団体、泰山会について再質問します。
 泰山会は、舛添氏が知事になってからの収支報告であり、知事の責任が問われるものです。都選挙管理委員会所管の団体であり、報告書は都選管に提出されています。都政に直接かかわる問題です。私が指摘した泰山会の領収書には、支出の目的が記入されていません。空欄のままです。これは明白な政治資金規正法第十一条違反です。しかも領収書であり、極めて悪質です。
 この問題の第一に、知事が代表を務める団体の政治資金規正法違反について、知事はどう考えているのですか。
 第二に、五枚全て未記載というようなことがなぜ起きるのですか。
 第三に、知事にとって、泰山会の事務所用品とはどういうものですか。世界堂の四階、額縁専用売り場に、どのような事務所用品が置いてあるのですか。
 泰山会に関する以上三点について、知事、明確に答えてください。
 湯河原の別荘への公用車の私的使用問題についてです。
 五月二十七日の記者会見で、公用車に湯河原などに行くのを含めて家族を乗せたことはあるのでしょうかとの記者の問いに、いえ、それはありません、私は基本的に一人で行っていました、そして、家族が合流するときはロマンスカーに乗ってきておりましたと答えました。
 そこで伺います。基本的に一人ということは、例外があるということですか。この一年間、世田谷の自宅から湯河原の別荘に向かった三十八回、湯河原の別荘から世田谷の自宅に帰宅した五回について、家族を乗せたことは一度もないのですね。明確に答えてください。
 最後に、特別秘書について再質問します。
 私の質問への答弁で、横田特別秘書の都庁での勤務実態は全く示されませんでした。東京都の特別職の勤務実態を知事みずからがはっきりと答えなかったことは許されません。
 横田特別秘書は、株式会社舛添政治経済研究所出身です。特別秘書になった今も、主な出勤先は、舛添知事の自宅や舛添政治経済研究所であるとか、知事の車の運転をたびたびされている。本来なら、私設秘書がやるべきことをやっているなどということは、よもやないと思いますが、いかがですか。知事、お答えください。
 以上の質問について、知事の答弁を求めて、再質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 五点のご質問を、和泉なおみ議員に再質問をいただきました。
 最初に、千葉のホテルの宿泊についてでございますけれども、先ほど申し上げましたように、会社社長との面談、そして、具体的にはそれは会議という表現であってもよかったと思っております。そして、先ほど申し上げましたように、つき合いが長く、かねてより相談相手でございましたその方を客室に招きまして、政治家としての今後について、また、都知事選挙の出馬について相談をいたしました。そのことは、先ほど申し上げましたとおりでございます。
 それから、泰山会のこの領収書の件でございますけれども、今後は、領収書のチェックも含めまして適切な収支報告に努めていくよう、私はもとより事務所の体制もしっかりと整えてまいりたいというふうに思っております。
 それから、世界堂での物品の購入についてでございますけれども、マットであるとか、額装であるとか、そういうものに多岐にわたってございます。
 それから、公用車につきましては、私は一人で参っておりまして、家族はその他の手段で合流してございます。
 それから、横田特別秘書についてのご質問がございましたけれども、先ほども申し上げましたように、特別秘書は、知事から直接任命を受け、特別公務員として、国との折衝、議会との連絡調整、マスコミへの対応、連絡、政策形成にかかわる特命事項など、都政運営全般に対して知事を補佐しているものでございまして、場所や時間を問わず職責を全うし、その職責を果たすこととなっております。職責を果たす上で最も効率的な勤務形態をとっているということであり、何ら問題はないと考えております。

○議長(川井しげお君) 七十九番小山くにひこ君
   〔七十九番小山くにひこ君登壇〕

○七十九番(小山くにひこ君) 質問に先立ち、熊本県、大分県を震源とする熊本地震で亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。被災地の一日も早い復旧、復興に向けて、私たち都議会民進党も全力を尽くしてまいります。
 私は、都議会民進党を代表して、都政の喫緊かつ主要課題について、舛添知事ご自身に関する問題については知事に答弁を求め、他の質問については、疑惑が晴れず、都民の信頼を失っている知事が都政の未来を語る立場にはないと考え、関係局長に答弁を求めます。
 また、舛添知事の公私混同問題により、他の都政にかかわる質問を割愛しなければならなくなった事態は極めて遺憾であると知事に申し上げておきます。
 初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 知事の海外出張や公用車の使い方に端を発し、政治資金の使途などについて連日報道され、多くの都民から批判の声が多数寄せられております。
 都議会民進党は、一連の知事の問題に対し、五月十三日に、四項目の申し入れを行いましたが、知事からは明確な対応が示されないばかりか、多くの都民は知事の記者会見を見るたびに、いいわけや、ごまかしに終始していると感じております。
 六月一日の所信表明も、具体的言及がなく、説明責任を果たしたとは到底いえません。本日、代表質問の答弁を聞いても、何ら、きのうの調査報告を受けた記者会見と変わらない姿勢、内容であります。知事は、本当にこのような対応で都民の信頼を回復できると思っていらっしゃるのでしょうか。私は全く思いません。知事の一連の問題や対応は、都政に対する信用と信頼を著しく失墜させ、政治不信を増大させております。知事の責任は極めて重大であると断じざるを得ません。
 舛添知事は、自身が出版された「日本政府のメルトダウン」という本の中で、情報公開について、民主主義国家で、権力の座についている者が公開する情報を選別すると、民主主義にならない、進んで不利な情報を出してこそ民主主義だと述べておられます。
 しかし、今回の問題については、いいわけとごまかしに終始しており、また、知事日程や公用車の運行記録については、一年分しか存在をしておりません。
 そこで、今回の問題を契機に、知事日程や公用車の運行記録の保存期間を大幅に延長するとともに、知事交際費のように、情報公開請求がなくとも、みずから率先して情報公開すべきと考えますが、見解を伺います。
 今回の一連の問題の端緒となった海外出張は、スイートルーム利用など都民の理解が得られないばかりか、都市外交そのものをおとしめております。
 知事は、今後、航空機のファーストクラス、宿泊施設のスイートルームは使用しないと述べられましたが、この海外出張についても、これまでの出張費用に係る情報を包み隠さず公開し、さらに費用計上に当たっての積算、必要性の根拠も明示すべきと考えますが、見解をお伺いします。
 公用車の利用については、所信表明で、厳格な運用を徹底すると述べましたが、私たちは、運用の範囲を明確にして新たな基準を設けるべきだと考えています。都事業でもない美術展への頻繁な利用や、週末ごとの湯河原への移動、一度自宅、事務所に立ち寄った後の湯河原行きなどは疑義が呈されているところであり、加えて公務外の頻繁な都外への宿泊については、危機管理の観点からもやめるべきです。
 公用車の新たな基準についてどのように考えているのか、知事の見解を伺います。
 参議院議員当時の舛添知事の政治資金についても、いまだ十分な説明が行われたとはいえません。昨日、知事のいうところの公正な第三者の厳しい目による調査報告書が示されましたが、そもそも日弁連による企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインは、委員数は三名以上を原則とするなどの基準があり、第三者ということ自体に正当性があるのか、疑問の声が上がっております。調査報告書の内容も甘い印象で、単なる舛添知事の弁護団ではないかともいわれております。舛添知事の、舛添知事による、舛添知事のための弁護団ではないでしょうか。
 基準や人選などについての客観性があるのか、第三者性の担保について、知事の見解をお伺いいたします。
 今回の調査報告書について、舛添知事は、第三者の厳しい目と繰り返しておりますが、そもそも、みずからが依頼した弁護士を第三者といい切るところに、都民感情、都民感覚との乖離があるのです。第三者性の担保として、最低限、調査の過程で得られた資料を全て開示すべきであります。一例として、ホテル三日月で会議があったことを客観的に示す調査レポート、周辺状況の聞き取り調査書などを明らかにすべきだと考えておりますが、知事の見解を伺います。
 あわせて、調査報告書からは新たな疑惑も生じております。例えば、平成二十二年十一月二十七日のホテルの宿泊で、舛添知事は、参議院本会議が深夜まで続き、翌日は大阪に移動するためとして、お台場のホテルに宿泊をしております。しかし、自宅に帰らず宿泊したというのは、普通に考えれば、翌日の大阪へは早朝の出発だと思われます。したがって、ほんの数時間の滞在で十万六千円余もの部屋を利用することは常識ではとても考えられません。また、平成二十三年十月九日には、野球観戦に家族を同行させ、家族とともに福岡市のホテルに宿泊しておりますが、これが不適切ではないという判断も、都民から到底理解されるものではありません。
 こうしたことが一事が万事、一件や二件ではなく何件もあることが、第三者の調査の信頼性、公平性を損なっているということに気づかないのでしょうか。違法でなければよいという問題ではありません。
 私は、弁護士の判断に委ねるだけではなく、あくまで知事みずからが、道義的観点から真に厳しい目で精査し直し、適切な対応をとることが必要と考えますが、見解を伺います。
 調査報告書では、美術品の購入に関しても課題が残されました。私たちは、知事が政治資金で購入した美術品をリスト化し、現在どのような状況にあるのか、贈り先や現在の所有者の名義、保管場所などが一目でわかるような資料を明示されるものだと思っておりました。しかし、報告書では、今後、それらの所有関係を明確にするとともに、政治資金を用いて購入した絵画、版画等を私物化したとの批判を招かないような措置を講じていく必要があるとされただけであります。
 そこで、美術品等において、公私混同疑惑を招かないような措置とはどういうものなのか、今後、いつまでにこの措置を講じるのか、見解をお伺いいたします。
 昨日の会見で知事が述べました、返金や別荘の売却が今回のけじめだと考えていらっしゃるのであれば、知事は、都民の心や気持ちが全くわかっていらっしゃらないということの証左であります。都民は、知事を信用、信頼しておりません。民信なくば立たずです。まさに都民の信なくば立たずであります。
 都政改革を推進し、果断な施策を実行するためには、何よりも都民の理解と信頼が大切であり、昨今の状況は、都政の推進力を大きくそぐものであります。
 都議会民進党は、知事みずからの判断で、事態の収拾に向けた潔い対応をとることを強く求めるものであります。
 都政のトップである知事には、都民目線で、しっかりと説明責任を果たすことが求められており、法令遵守はもとより、李下に冠を正さずの姿勢が必要であるにもかかわらず、この間の説明は到底不十分であるといわざるを得ません。
 私たち都議会民進党は、都議会に対する説明責任を果たした上で、なお、公私混同疑惑について都民の納得を得られない場合は、みずから潔く身を処すべきだと考えておりますが、知事の見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 大会経費について、そもそも招致時の積算が不十分であったことが問題であり、知事が三兆円かかると言及した総額が幾らになるのか、都議会民進党が求めたコスト縮減の取り組みがいかに行われてきたのか、都民、国民への丁寧な説明が必要だと考えます。
 また、追加種目候補五競技については、さらなる都の負担増を避けなければなりません。開催都市としての招致時の積算を検証するとともに、改めて、コンパクトな大会運営の経費に向けて取り組むべきだと考えております。
 都は、この三カ月間、どう経費縮減に取り組んできたのか。あわせて、今後、リオ大会中のIOC総会などに向けてどう取り組むのか、都の見解をお伺いいたします。
 次に、東京大会における役割分担について伺います。
 競技施設整備の原則は、国立競技場を国、その他の恒久施設を都、そして仮設施設を組織委員会が負担することとなっており、都議会民進党は、競技施設の整備にそれぞれ責任を持つ国や都、組織委員会がコスト縮減を初め諸課題に努力すべきと考えております。しかしながら、国立競技場での都の整備費用負担に続き、有明体操競技場の一部整備費を都が負担することとなり、整備費負担の原則が再び破られました。
 そこで、都民が納得し得る大会費用分担の説明責任が今まさに問われていると考えますが、都の見解を伺います。
 ここで、二〇二〇年大会招致に関して一言申し上げます。
 東京開催が決まりました平成二十五年九月を挟む七月と十月、招致委員会が海外コンサルタント会社に支払った合計約二億三千万円の契約が国際的に問いただされております。
 都においては、捜査当局から捜査への協力を求められた際には、全面的に協力をしていただくよう求めておきます。
 次に、ラグビーワールドカップ二〇一九について伺います。
 先月二十八日、東京スタジアムの補助競技場であります西競技場で、府中、調布、三鷹の地元三市が主催をいたしますラグビーフェスティバルが開催をされ、会場いっぱいの観客がラグビートップリーグの東芝、サントリー戦に声援を送りました。この熱意を都内全域に広げ、都民がこぞって二〇一九年大会を迎える機運をつくるべきであります。
 今月二十五日には東京スタジアムでラグビーテストマッチが行われます。この絶好の機会に、主催者、日本ラグビーフットボール協会と東京都、地元を初め多摩地域が連携してテストマッチを成功させ、二〇一九年につなげていくべきであります。
 ラグビーワールドカップ二〇一九を成功させるためにも、来るラグビーテストマッチの集客に万全の対応を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、子供、教育について伺います。
 まずは、貧困の連鎖を断ち切る教育です。ユニセフの子供たちの格差報告書によりますと、近年、日本の子供の相対的所得の底辺格差が拡大しているとの調査結果が示されました。貧困の連鎖や格差拡大の解消に向けた、都のさらなる取り組みが求められております。
 私たち都議会民進党は、教育がその解消に極めて重要な役割を果たすと考え、予算議会において、都内の子供たちの実態把握の調査を実施し、具体的な対策に取り組むべきだと求めました。
 都においては、子供の貧困実態調査の結果などを踏まえ、高校生を対象とした東京都版給付型奨学金を創設すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、保育所の待機児童解消対策です。
 この四月、都内の待機児童がさらに増加し、各自治体が待機児童ゼロを目指す緊急対策を講ずる切迫した事態となっております。
 都議会民進党も、待機児童の解消を初めとした十八項目から成る子育て環境の整備推進を求める緊急申し入れを行いました。待機児童数調査によって実態をしっかり捉えるとともに、保育定員の拡充、整備に向けたさまざまな規制緩和、近隣住民との理解促進に加えて、保育バウチャーの支給など、あらゆる対策を講じて、待機児童を解消すべきと考えます。
 保育の質を確保しながら、保育サービス利用児童数の計画目標を引き上げ、待機児童を解消すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、都民の命を守る防災対策について伺います。
 四月十四日の前震に始まった熊本地震は、熊本県、大分県に甚大な被害を及ぼしました。
 私は、五月九日から十一日まで現地を訪れ、被災地支援のボランティア活動を行うとともに被災状況を視察してまいりましたが、改めて活断層型地震のすさまじさを感じました。十二万棟を超える家屋が損壊し、阿蘇大橋を初めとする橋梁が崩落している状況を目の当たりにし、言葉を失いました。
 そのような状況下、現地でもお会いしましたが、被災地派遣されておりました都職員を初めとする他自治体職員の皆様のご奮闘に敬意と感謝の意を表したいと思います。
 都においても、被災地の継続的な支援を行っていただくよう要望しておきます。
 今回の熊本地震では、大きな被害が断層帯付近に集中しており、二〇〇〇年基準で建てられました耐震等級二の建築物も倒壊したことは重く受けとめなければなりません。今回の地震の特徴として、数日の間に強い揺れが何度も襲ったために、想定とは異なる被害が発生したとされております。
 一方、都は、立川断層帯地震も含めた被害想定を作成し、これをもとに対策を講じております。都の震災対策は、阪神・淡路、東日本の大きな震災を踏まえ、逐次改定されております。断層地震である熊本地震における新たな知見をもとに、東京の防災対策を検証し、防災力をより高めるように取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、復旧、復興に向けた動きの中で大きな力となる市民ボランティアの活動について課題が見られました。ボランティア希望者が多く集まり、途中で受け付けを締め切らざるを得ない地域がある一方、必要な作業量を満たす希望者が集まらない地域もあり、偏在が起きておりました。
 災害ボランティアの活動においては、支援ニーズの把握やボランティア募集人数の決定、ボランティアとニーズのマッチングなどで、地域の災害ボランティアセンターの運営能力が求められてまいります。また、被災者のニーズとボランティアをつなぐ災害ボランティアコーディネーターの確保や、地域の正確な情報の収集、発信も重要であります。
 そこで、災害時に、地域の災害ボランティアセンターが役割を十分に果たせるよう、都は、平時から市区町村等と協力し、発災時への備えをしていくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 阪神・淡路大震災で救助された方の九割は、近隣住民によるものであったことからもわかるとおり、大規模災害時には、消防、警察など行政だけでは到底救助が追いつかず、消防団を初めとした地域防災活動が大変重要な役割を果たします。
 熊本県西原村大切畑地区では、四月十六日、九名が下敷きとなりましたが、地域の消防団員らによって全員が救出をされました。このことで、奇跡の集落として報道され、改めて、地域のきずな、地域活動の重要性を知らしめることとなっています。
 私も現地を訪れ、その被害の甚大さを目の当たりにいたしてまいりました。ほとんどの家屋が損壊する中での死者ゼロは、まさに奇跡と呼ぶべきでありますが、これは他力本願の奇跡ではなく、地元を熟知し、なおかつ経験、技能のある消防団員等によって、なし遂げられたことであります。
 都においても、地域防災力向上の取り組みについて、これまで以上にしっかりと進めなければならないと考えますが、見解をお伺いいたします。
 以上で、私の代表質問とし、なお、答弁によっては、知事への再質問を留保し、知事には、都民の信を得る真摯かつ誠意ある答弁を求め、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 小山くにひこ議員の代表質問にお答えをいたします。
 知事日程や公用車の運行記録の保存と公開についてご質問がございました。
 まず、知事日程や、これと一体をなす公用車の運行記録の公開につきましては、面会の相手方などとの関係もございまして慎重な対応が必要ではございますけれども、情報公開請求に基づいて文書開示を行っているところであります。また、文書の保存期限につきましては、それぞれの文書の性格も踏まえ、適切な保存期間を設定しているところであります。しかしながら、どのようなことが今後できるのかを検討してまいりたいと思います。
 続きまして、海外出張費用の公開及び費用の積算、必要性の根拠の明示についてご指摘がございました。
 海外出張の経費の公開につきましては、これまで、その総額のみを公開しておりましたけれども、昨年のパリ、ロンドン出張に関しまして、航空賃や宿泊料など、経費の詳細を、先日、都のホームページで公開したところであります。
 今後、ほかの出張にも拡大し、同様の情報を公開してまいりたいと思っております。
 また、先般設置しました海外出張経費検討会では、出張経費の縮減策に加えまして、情報開示請求への対応についても検討を指示しているところであります。
 今後、より一層の透明性を確保する観点から、非開示項目の見直しを行い、可能な限り開示項目を拡大する方向であります。
 公用車の新たな基準についてご質問をいただきました。
 都民の皆様からのご批判を真摯に受けとめ、今後は、疑念を抱かれることのないよう、第三者の弁護士による調査報告書の内容も踏まえまして厳格な運用を図ってまいります。
 具体的には、まず、移動元または移動先は公務場所であることという基本的なルールを徹底いたします。また、公用車を使用する場合は、行く先や用件などを明らかにすることで、都民への説明責任を果たしていきたいと考えております。さらに、途中で用務のために立ち寄る場合についても、より厳格に取り扱うことにいたします。
 第三者性の担保についてご質問がございました。
 一連の問題につきましては、当初、私自身や事務所関係者が調査してきたところでございますけれども、身内の調査では納得がいかないと、そういう意見が出てまいりまして、そこで、この際、私や事務所関係者とは全く無縁の第三者、それも政治資金の実務に精通した法曹関係の方に調査をお願いしようということになり、昨日の調査報告に至ったものでございます。
 昨日の会見で、弁護士みずからが述べられておりますように、弁護士の知人から話があったことを契機に、私の秘書とも面会していただきまして、最終的に引き受けていただくことになったものでございまして、人選についても客観性があるものと考えております。
 また、今回、調査をお願いした弁護士の方々は政治資金の実務だけではなく、第三者委員会の弁護士の経験もあることから、第三者性については十分確保されているものと考えております。
 ホテル三日月の件での調査リポートなどを明らかにすべきだとご指摘をいただきました。
 昨日、元検事で政治資金の実務に精通している二名の弁護士から詳細な報告書を発表させていただきました。昨日の会見においても、当該弁護士から、事実認定については十分尽くしたとのコメントもございまして、そうした調査の上での報告であることから、私といたしましては、昨日発表した報告書をもって調査結果の第三者性は担保できていると考えている次第でございます。
 疑惑に対する適切な対応についてご指摘がございました。
 今回の調査につきましては、当初、私の説明に対して、わかりにくい、信じがたいとの声があったことを真摯に受けとめまして、政治資金の専門家である弁護士の第三者の公正な目で、しっかりと調査していただく必要があると考え依頼したものでございます。その調査の中で、私自身も、二日間で十時間近くのヒアリングを受けました。その中で、さまざまな質問にお答えしてきた次第でございます。
 今回の調査において、不適切というご指摘を受けた点はしっかりと改善するとともに、失われた信頼に対しましては、生まれ変わった気持ちで都政に全力を挙げ、都民の皆様のために努力をしてまいる決意でございます。
 美術品等における公私混同疑惑を招かない措置についてご質問がございました。
 私の政治団体が所有している絵画等は、都庁の知事執務室、応接室、廊下などに展示して、外国の要人との話題づくりに活用しておりまして、私物化しようという考えはございません。
 今後は、知事室での展示のほか、病院や福祉施設など、展示していただけるところがございましたら、そのような場所で、ぜひ活用していただきたいと考えております。
 また、これらの美術品につきましては、私が政治団体を解散するときには、これらを必要としてくれる美術館などに寄附したいと考えております。
 みずからの身を処すべきだと、厳しいご指摘をいただきました。
 都民の皆様の信頼を失っていることは大変重く受けとめております。失った信頼は、すぐには回復できるものでないことも十分承知しております。そうした中で、まず、私が行うべきことは、今回の調査結果を踏まえ、一連の問題について誠実に説明し、改めていくことでございます。その上で、引き続き、都議会の皆様と真摯な議論を重ねさせていただき、都政の発展に成果を上げることで都民の皆さんのご理解を得たいと、そう考えている次第でございます。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、大会経費縮減に向けた取り組みについてでございます。
 二〇二〇年東京大会の準備に当たっては、大会を取り巻く環境の変化や競技種目の追加など、さまざまな状況にしっかりと対応し、大会を成功に導いていかなければなりません。そのため、三月末の森大会組織委員会会長、遠藤東京オリンピック・パラリンピック大臣と知事との会談の場で、大会準備全般にわたり、三者で実務的に検討しようということを決め、協議に入ったところでございます。
 大会の成功に向け、どのような事業がどの程度必要なのか、経費も含め、引き続き、都、組織委員会、国の三者で検討を進めてまいります。リオ大会以降、多岐にわたる準備に遅滞なきよう、丁寧に説明しながら、おのおのの役割をしっかりと果たしてまいります。
 次に、大会の役割分担についてでございます。
 二〇二〇年東京大会の準備に当たりましては、施設整備のほか、輸送、交通対策などもあり、さらにテロ対策など、招致段階では想定されていなかった新たなものも含め、膨大な業務を着実に実行していく必要がございます。その役割分担につきましては、都、組織委員会、国が責任を持って、しっかりと役割を果たしていけるよう、今後、三者で適切に調整し、追加種目の決定やリオ大会の状況なども踏まえまして、本格化する準備に万全を期してまいります。また、その際には、都民、国民の皆様に理解し納得していただけるよう丁寧に説明してまいります。
 なお、有明体操競技場につきましては、大会後に、都の展示場として活用することから、後利用に相当する整備費を負担することとしたものでございます。
 最後に、ラグビーテストマッチへの集客についてでございます。
 これまで都は、市区町村等への周知、都民観戦招待、SNSなどによる情報発信、都議会ラグビー議連の先生方と連携いたしましたチケット販売促進などを行ってまいりました。
 お話の先月末のラグビーフェスティバルでは、主催の府中、調布、三鷹の地元三市と協力し、本テストマッチをアピールいたしました。今月二十五日のテストマッチでは、会場周辺で、地元三市による伝統芸能等のステージ、スコットランドの食と文化の紹介、子供向けのラグビー指導などの盛り上げのイベントを実施いたします。
 このイベントをテストマッチと一体的にPRして集客に結びつけるため、沿線の駅、電車での広告掲出や地元への新聞折り込みなど、広報活動を一層強化してまいります。
 今後とも、あらゆる機会を通じまして集客に努め、その先の二〇一九年大会の成功につなげてまいります。
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 高校生に対する給付型奨学金についてですが、高等学校の授業料については、公立、私立を問わず、法律に基づき、保護者の所得水準に応じて就学支援金を支給しております。
 私立学校においては、都独自の給付型奨学金である特別奨学金を既に設け、低所得世帯に手厚い支援を行っております。授業料以外の教育費についても、低所得世帯を対象に奨学給付金を支給しており、今後もこれらの施策を適切に運用してまいります。
 今後、庁内各局で構成する子供の貧困対策推進連携部会において、首都大学東京と連携した調査研究の結果も活用しながら、子供の貧困対策を検討してまいります。
 次に、地域の災害ボランティアに係る取り組みについてですが、発災時には、第一線でボランティアの調整機能を担う災害ボランティアセンターが市区町村に設置されます。このセンターが有効に機能するためには、平時から災害に対する体制を整えることが重要であり、共助社会づくりを進めるための東京都指針にも明記いたしました。
 具体的には、発災時において、ニーズや受け入れ状況を的確に把握し、参加希望者等へ迅速な情報発信につなげられるよう、市区町村等と連絡会議や模擬訓練を実施しております。
 また、災害ボランティアコーディネーターを毎年約二百人養成し、引き続きセンターを支える人材を確保いたします。
 都は、熊本地震におけるボランティア活動の状況も踏まえ、東京ボランティア・市民活動センターと協力し、災害時に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 待機児童解消に向けた取り組みについてのご質問にお答えをいたします。
 本年四月の保育サービスの利用状況は、現在集計中でございますが、利用児童数は、整備目標の一万二千人を上回り、一万四千人以上ふえる一方、出生数の増加や人口の流入、共働き世帯の増加などにより、待機児童数は昨年を上回ると見込まれております。
 都は現在、待機児童数の多い区市町村を中心に調査やヒアリングを実施しており、今後、国の施策や区市町村の現状も踏まえながら、副知事をトップとした関係各局から成る検討チームで、夏までに待機児童解消に向けた新たな対策を取りまとめ、整備目標についても引き上げてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 防災対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の防災対策の検証についてでございます。
 今回の地震では、強い揺れの連続など、これまでの経験が通用しない側面もあるため、まず、地震の原因及び被害との因果関係等の解明が、都の防災対策にも極めて重要と考えております。
 都は、今後、被害の詳細など必要な情報を収集し、国が実施する予定の日奈久断層帯調査等の動向を注視しつつ、専門家の見解などを求めるなど、検証作業を進めてまいります。こうした作業により、都の防災対策をより実効性の高いものとするよう取り組んでまいります。
 次に、都における地域防災力の向上についてでございます。
 災害時に一人でも多くの命を救うためには、消防団はもちろんのこと、地域の防災力向上の取り組みが重要でございます。そのため、都は、住民参加型訓練を年四回実施し、都民、事業者等による自助、共助の推進に取り組んでおります。
 また、地域において意欲的な防災活動を行う団体を、東京防災隣組に認定し、その取り組みを紹介することで、他の地域に地域防災活動を波及させております。
 さらに、今年度から、希望する町会や自治会等に対して、防災の専門家を講師として派遣する東京防災学習セミナーを開催し、地域活動の活性化を進めております。
 今後も、地域の主体的な防災活動を支援し、市区町村とも連携しながら、東京の地域防災力を向上させてまいります。
   〔七十九番小山くにひこ君登壇〕

○七十九番(小山くにひこ君) ただいま、知事からお答えをいただきました答弁でありますが、全く都民の気持ちや考えから遠くかけ離れている答弁といわざるを得ません。
 改めてお伺いをいたします。
 まず、知事のおっしゃられる公正な第三者の厳しい目ということですが、知事の答弁では、知事の依頼した弁護士が、到底、第三者性を担保しているとはいいがたいわけであります。
 二日間で十時間のヒアリングということでありましたが、それはヒアリングではなくて、適法性、適切性をどう都民に説明するのかという、単なる打ち合わせではないのですか。そして、都民の信を得ないと厳しく断じざるを得ませんが、一連の問題についても、いまだ真相が明らかにならず、多くの公私混同疑惑を残したままです。
 私たちは、知事の出席の一問一答における委員会の集中審議を改めて求めるとともに、知事の身の処し方について伺い、質疑を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 小山くにひこ議員のご質問にお答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、今回ご依頼申し上げました弁護士は、政治資金の実務だけではなく第三者委員会の弁護士の経験もある方でありまして、また、私や事務所関係者との、もう全くそれまで無縁の方々でありますので、私は、第三者性については十分担保されていると考えてございます。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議は、これをもって散会されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認め、さよう決定をいたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時四十分散会

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