平成二十七年東京都議会会議録第十六号

平成二十七年十二月八日(火曜日)
 出席議員 百二十三名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番菅野 弘一君
四番川松真一朗君
五番山内  晃君
六番栗山よしじ君
七番堀  宏道君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番中山ひろゆき君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番松田やすまさ君
二十一番河野ゆうき君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番島崎 義司君
二十五番鈴木 錦治君
二十七番宮瀬 英治君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番西沢けいた君
三十二番田中  健君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番神野 次郎君
四十一番木村 基成君
四十二番北久保眞道君
四十三番高椙 健一君
四十四番栗山 欽行君
四十五番大場やすのぶ君
四十六番近藤  充君
四十七番桜井 浩之君
四十八番山崎 一輝君
五十番石川 良一君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番あさの克彦君
五十四番新井ともはる君
五十五番中村ひろし君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番東村 邦浩君
六十四番崎山 知尚君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番清水 孝治君
六十七番小松 大祐君
六十八番柴崎 幹男君
六十九番和泉 武彦君
七十番きたしろ勝彦君
七十二番早坂 義弘君
七十三番高木 けい君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番大西さとる君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高橋 信博君
八十八番中屋 文孝君
八十九番三宅 正彦君
九十番小宮あんり君
九十一番田中たけし君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番林田  武君
九十七番こいそ 明君
九十八番田島 和明君
九十九番古賀 俊昭君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番長橋 桂一君
百九番中嶋 義雄君
百十番立石 晴康君
百十一番神林  茂君
百十二番秋田 一郎君
百十三番宇田川聡史君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番高島なおき君
百二十番野村 有信君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
七十一番  鈴木 隆道君
 欠員
    二十六番  四十九番  七十四番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務安井 順一君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長長谷川 明君
主税局長小林  清君
警視総監高橋 清孝君
生活文化局長多羅尾光睦君
オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋 正宏君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
建設局長佐野 克彦君
港湾局長武市  敬君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長塩見 清仁君
消防総監高橋  淳君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長真田 正義君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長安藤 弘志君
人事委員会事務局長藤田 裕司君
労働委員会事務局長櫻井  務君
監査事務局長宗田 友子君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

十二月八日議事日程第二号
第一 第百八十四号議案
行政不服審査法施行条例
第二 第百八十五号議案
東京都職員の退職管理に関する条例
第三 第百八十六号議案
審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百八十七号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百八十八号議案
災害派遣手当等の支給に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百八十九号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百九十号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百九十一号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百九十二号議案
東京都人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百九十三号議案
東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十四号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第十二 第百九十五号議案
東京都選挙管理委員会関係手数料条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十六号議案
東京都固定資産評価審査委員会関係手数料条例
第十四 第百九十七号議案
東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第十五 第百九十八号議案
東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百九十九号議案
東京都特定個人情報の保護に関する条例
第十七 第二百号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第二百一号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百二号議案
東京都立多摩社会教育会館条例を廃止する条例
第二十 第二百三号議案
東京都婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百四号議案
東京都障害児通所給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百五号議案
東京都障害者介護給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例
第二十三 第二百六号議案
東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第二十四 第二百七号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第二十五 第二百八号議案
東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第二十六 第二百九号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百十号議案
東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百十一号議案
東京都都民の森条例の一部を改正する条例
第二十九 第二百十二号議案
東京都立公園条例の一部を改正する条例
第三十 第二百十三号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第三十一 第二百十四号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第三十二 第二百十五号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第二百十六号議案
都立南花畑学園特別支援学校(仮称)(二十七)改築工事請負契約
第三十四 第二百十七号議案
都立小金井特別支援学校(二十七)改築工事請負契約
第三十五 第二百十八号議案
東京消防庁深川消防署有明分署庁舎(二十七)新築工事請負契約
第三十六 第二百十九号議案
東京消防庁町田消防署庁舎(二十七)新築工事請負契約
第三十七 第二百二十号議案
清澄排水機場耐震補強工事請負契約
第三十八 第二百二十一号議案
今井水門耐震補強工事請負契約
第三十九 第二百二十二号議案
平成二十七年度新砂水門(再整備)建設工事(その二)請負契約
第四十 第二百二十三号議案
東京国際展示場(二十七)地盤改良工事請負契約
第四十一 第二百二十四号議案
中川防潮堤耐震補強工事(その二百三)請負契約
第四十二 第二百二十五号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十五)請負契約
第四十三 第二百二十六号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その二十六)請負契約
第四十四 第二百二十七号議案
地下トンネル築造工事及び擁壁築造工事(二十七 四─放三十五北町)請負契約
第四十五 第二百二十八号議案
建物収去土地明渡等の請求に関する民事訴訟の提起について
第四十六 第二百二十九号議案
東京都人権プラザの指定管理者の指定について
第四十七 第二百三十号議案
当せん金付証票の発売について
第四十八 第二百三十一号議案
土地の信託の変更について
第四十九 第二百三十二号議案
東京体育館の指定管理者の指定について
第五十 第二百三十三号議案
東京武道館の指定管理者の指定について
第五十一 第二百三十四号議案
東京辰巳国際水泳場の指定管理者の指定について
第五十二 第二百三十五号議案
有明テニスの森公園テニス施設の指定管理者の指定について
第五十三 第二百三十六号議案
東京都障害者総合スポーツセンター外一施設の指定管理者の指定について
第五十四 第二百三十七号議案
東京都立埋蔵文化財調査センターの指定管理者の指定について
第五十五 第二百三十八号議案
東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
第五十六 第二百三十九号議案
東京都立心身障害者口腔保健センターの指定管理者の指定について
第五十七 第二百四十号議案
東京都立東大和療育センターの指定管理者の指定について
第五十八 第二百四十一号議案
東京都立産業貿易センター台東館の指定管理者の指定について
第五十九 第二百四十二号議案
東京都立食品技術センターの指定管理者の指定について
第六十 第二百四十三号議案
東京都しごとセンターの指定管理者の指定について
第六十一 第二百四十四号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
第六十二 第二百四十五号議案
晴海客船ターミナル外四施設の指定管理者の指定について
第六十三 第二百四十六号議案
竹芝客船ターミナルの指定管理者の指定について
第六十四 第二百四十七号議案
竹芝ふ頭船舶給水施設外六施設の指定管理者の指定について
第六十五 第二百四十八号議案
東京都立東京港野鳥公園の指定管理者の指定について
第六十六 第二百四十九号議案
東京都立辰巳の森海浜公園外六公園の指定管理者の指定について
第六十七 第二百五十号議案
東京都立大井ふ頭中央海浜公園外十四公園の指定管理者の指定について
第六十八 第二百五十一号議案
東京都立お台場海浜公園外十公園の指定管理者の指定について
第六十九 第二百五十二号議案
東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
第七十 第二百五十三号議案
二見漁港岸壁外九施設の指定管理者の指定について
第七十一 第二百五十四号議案
東京都八丈島空港の指定管理者の指定について
第七十二 第二百五十五号議案
東京都小笠原ビジターセンターの指定管理者の指定について
第七十三 第二百五十六号議案
首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第七十四 第二百五十七号議案
東京都立公園における転倒事故に伴う損害賠償の額の決定について
第七十五 第二百五十八号議案
東京都立猿江恩賜公園外六公園の指定管理者の指定について
第七十六 第二百五十九号議案
東京都立日比谷公園外六施設の指定管理者の指定について
第七十七 第二百六十号議案
東京都立戸山公園外五公園の指定管理者の指定について
第七十八 第二百六十一号議案
東京都立武蔵野公園外七公園の指定管理者の指定について
第七十九 第二百六十二号議案
東京都立陵南公園外三公園の指定管理者の指定について
第八十 第二百六十三号議案
東京都立狭山公園外四公園の指定管理者の指定について
第八十一 第二百六十四号議案
東京都立長沼公園外四公園の指定管理者の指定について
第八十二 第二百六十五号議案
東京都立大神山公園の指定管理者の指定について
第八十三 第二百六十六号議案
東京都立東白鬚公園外二十公園の指定管理者の指定について
第八十四 第二百六十七号議案
東京都立浜離宮恩賜庭園外八公園の指定管理者の指定について
第八十五 第二百六十八号議案
東京都立神代植物公園の指定管理者の指定について
第八十六 第二百六十九号議案
東京都立夢の島公園外一施設の指定管理者の指定について
第八十七 第二百七十号議案
東京都立潮風公園外一公園の指定管理者の指定について
第八十八 第二百七十一号議案
東京都立横網町公園の指定管理者の指定について
第八十九 第二百七十二号議案
恩賜上野動物園外三施設の指定管理者の指定について
第九十 第二百七十三号議案
東京都多磨霊園外七霊園の指定管理者の指定について
第九十一 第二百七十四号議案
東京都青山葬儀所の指定管理者の指定について
第九十二 第二百七十五号議案
東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
第九十三 第二百七十六号議案
東京都八重洲駐車場外四駐車場の指定管理者の指定について
第九十四 第二百七十七号議案
東京都板橋四ツ又駐車場の指定管理者の指定について
第九十五 諮問第四号
地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について

   午後一時開議

○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(川井しげお君) これより質問に入ります。
 百十二番秋田一郎君
〔百十二番秋田一郎君登壇〕

○百十二番(秋田一郎君) 平成二十七年第四回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 名誉都民水木しげる様におかれましては、去る十一月三十日ご逝去なされました。生前のご功績に対し、ここに謹んで哀悼の意をあらわし、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 去る十一月十三日、フランスのパリで発生した同時多発テロについて申し上げます。
 まずは、この同時多発テロでの全ての犠牲者の方とそのご遺族に、深く哀悼の意をあらわすとともに、惨事に遭遇された多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。
 この同時多発テロでは、パリ市内の劇場や近郊の競技場などを標的とした銃撃や爆発により、一般市民に多数の死傷者が出ました。こうした非道、卑劣なテロ行為は断じて許すことのできない暴挙であります。
 近年では、ボストン・マラソンやバンコクでの爆弾テロ、オタワの連邦議会議事堂での銃乱射事件など、大都市を狙ったテロ事件は枚挙にいとまがありません。
 また、ことし一月にはシリアで日本人が殺害される事件も起きるなど、我が国においても、その脅威が現実味を帯びてきたといわざるを得ない状況です。
 来年五月には、日本で八年ぶりとなる先進国首脳会議、伊勢志摩サミットが開催され、世界の要人が集まります。さらに、その先にはラグビーワールドカップ、そしてオリンピック・パラリンピック東京大会といった平和の祭典が続いて開催されるなど、世界の目が日本、そして東京に集まります。
 もはや東京においても、テロは決して無縁のものとはいえません。都民、国民はもとより、世界中からお越しになる多くの方々をテロの危険から守るという強い信念と、危機管理という万全の準備が必要です。
 こうした認識のもと、テロに対し、都としてどのように向き合っていくのか、知事の見解を伺います。
 また、今回のフランス・パリにおけるテロ事件を受けて、警視庁は、首都東京におけるテロ対策に今後どのように取り組んでいくのか、警視総監のご所見を伺います。
 また、万一テロ災害が発生してしまった場合には、被害を最小限に抑えるための対応が重要です。
 そこで、東京でテロ災害が発生した場合に備えた対応と、さらには今後東京大会など世界が注目する大規模イベントの開催を見据え、どのように取り組んでいくのか、東京消防庁の見解を伺います。
 次に、新国立競技場の整備について伺います。
 知事は所信表明で、十二月一日に遠藤大臣、馳大臣と会談し、東京都が整備費用を分担することを含む財源案について、国と合意したと述べられました。
 二〇二〇年大会開催時には開会式、閉会式の場となり、感動のるつぼともなる新国立競技場は、都心に立地するオリンピック・パラリンピックのレガシーとして、大会後も長きにわたり、都民、国民の記憶に残ることでしょう。その整備のいかんが大会の成功を左右することは、言をまちません。
 我が党はこれまで、オール日本で大会準備を加速する立場から、新国立競技場の整備に全面的に協力すべきと主張してきました。
 知事は、どのような考えでこの財源案に合意し、今後どのような決意で取り組んでいくのか伺います。
 次に、平成二十八年度税制改正について、一言申し上げます。
 二十八年度税制改正は、まさに最終局面を迎えています。今このときにも、同志である自民党東京都連の国会議員たちが、一時間後に迫った党税制調査会のいわば最終決戦に、まさに臨もうとしています。
 我が都議会自由民主党は、これまで都の財源を奪う動きに対して一貫して異を唱えてまいりました。六月の都議会での意見書の採択を初めとし、区市町村議会とも結束し、反対ののろしを上げ、大詰めとなった今月三日には、党税制調査会の役員一人一人に緊急要請活動を行うなど、最大限の努力を尽くしてきました。
 戦いのさなか、我々の心の中にあったのは、これまで我々が背負ってきた重荷を未来にそのまま引き継ぎたくはない、自分たちの責任で一区切りつけたい、その一念でありました。
 東京には、さまざまな課題に対応するために膨大な財政需要があります。また、東京と地方との共存共栄に向けた取り組みを積極的に進めていこうとしています。次の時代にも輝き続ける東京、そして日本をつくるためにも、一方的に東京から財源を奪うことはやめるべきです。我々が訴え続けてきた主張を十分に踏まえた公正な判断が下されることを期待し、次の質問に移ります。
 都市外交について伺います。
 外交において、首脳が海外に赴き、他国の首脳と会うということは、二つの形があります。
 一つは、官吏が事前に相手国と下交渉をした結果、合意を見たあかしとして合意文書を交わすため、すなわちセレモニーとして邂逅するケース。
 二つ目は、官吏が相手国と下交渉しても、どうしても合意を見られず、トップ同士の直接会談によって解決を委ねるしかない場合。
 いずれの場合も、官吏による頻繁かつ入念な下交渉が前提となります。官吏同士による細部に至る準備があって、初めて具体的かつ大きな成果も得られるものです。
 知事が力を入れる都市外交が、トップや要人とアポイントをとって顔を合わせる程度であれば、それは外交ではありません。単なるトップ同士の友好親善です。
 知事は、就任以来のわずか一年十カ月の間に、韓国を三回、イギリスとロシアをそれぞれ二回、中国、フランス、ドイツを一回訪問されています。それぞれ事前に官吏同士の入念な下交渉は行われたのか、その成果が、この先都政に反映されていくのか伺います。
 先ほど申し上げたとおり、国による地方法人課税の暫定措置は、東京都にとって最重要課題です。まさに、その問題が佳境に入らんとしたその時期に、知事は、あえて三度目の韓国とフランスを訪れました。国による理不尽な暫定措置の撤廃へ向けて、一つでも多くの他の道府県を訪ね、理事者任せにすることなく、知事みずからが先頭に立って汗を流し、理解を求めることを考えなかったのか、あわせて知事に伺います。
 次に、東京版地方総合戦略について伺います。
 我が国経済を再び成長軌道に乗せていくためには、地域経済の活性化が何よりも重要です。政府は、人口減少の克服と成長力の確保を目指した地方創生を推進しており、地方自治体も国と一丸となって取り組むことが求められています。
 我が党は、都の総合戦略の策定に当たり、東京都長期ビジョンを基軸に据えつつ、東京と地方がともに栄え、東京だからこそできる取り組みを一層充実させていくべきとの提言を行いました。
 都の総合戦略には、我々の主張が反映され、東京が日本の持続的発展に貢献する姿勢がはっきりと示されています。
 都は今回、地方創生の推進のために、改めて東京都総合戦略を策定しましたが、それに込めた知事の決意と、この戦略をもとにした今後の政策展開について伺います。
 次に、こうした政策を効率よく推進するには、事務事業の内部管理などの改善に努めていかねばなりません。
 そこで、まず、将来の社会資本整備を担う人材の確保の観点から、入札契約制度改革の取り組みについて伺います。
 社会資本の着実な整備やその維持管理は、私たち都民の日々の生活に欠くことのできない重要な施策です。しかし、それを支える建設産業は、三Kともやゆされる厳しい労働環境も影響し、新たに就業する若者が少なく、技術者の高齢化と次世代への技術の継承が、今大きな課題となっています。
 思えば、社会基盤の整備という未来に向けたものづくりは、私たちの世代が子供のころでも憧れの対象であったと思います。将来の社会資本整備の担い手に夢を与え、これまでのイメージを転換し、女性や若者にとっても働きがいと魅力のある環境づくりに向けた取り組みを、発注者として進める必要があると考えます。見解を伺います。
 次に、三Kの一つ、建設現場の忙しさは受注者側の技術者不足によることもありますが、一方で、工事の発注時期が集中するといった発注者側の問題点もあります。
 公共工事は、季節による発注件数の波があります。今でも毎年、年末から三月にかけて道路工事をあちこちでやっていて、渋滞がひどくて困るという声を耳にします。実際、都の工事の発注は、十月をピークとした山をつくっており、工事が多い季節は入札不調も多くなり、現場も忙しくなります。
 そこで、一年を通して発注を分散し、この山を低くする、いわゆる平準化ができれば、未来の東京の社会資本整備、そしてそれを支える担い手の環境を改善することができます。
 単年度での仕事の進め方という壁に阻まれて、なかなか実効性が上がらないでいる工事発注時期の平準化に向けて、発注者である都は今後どのように臨むのか、見解を伺います。
 次に、指定管理者制度について伺います。
 公の施設の管理については、各施設の特性に応じ、民間ノウハウを積極的に活用する一方、大規模救出救助活動拠点の役割を担う防災公園や、歴史的景観の保全、形成に寄与する文化財庭園など、政策連動性及び管理運営の特殊性が高い施設管理には監理団体を活用するなど、めり張りのある制度運営が必要です。
 監理団体に運営を委ねる施設については、彼らが培ってきたその施設特有の技術、ノウハウを十分に発揮できる環境を整えることが重要です。
 我が党は、昨年の第四回定例会において、指定管理者制度の活用を含め、人事や財政面で監理団体の安定的な運営を確保する必要があると指摘したところです。
 本定例会には、百六十を超える施設の指定管理者の指定議案が上程されていることから、改めて、今後、指定管理者制度において監理団体をどのように活用、指導していこうとしているのか、その考え方について伺います。
 次に、マイナンバー制度導入に伴う個人情報の保護について伺います。
 いわゆるマイナンバー制度が来年一月からいよいよ始まります。第三回都議会定例会では、個人番号を利用する側面からの議論が行われてきました。
 一方、国の機関の個人情報漏えい事故の発生などもあり、マイナンバー制度の導入に伴う個人情報保護について、都民の関心が高まっています。
 東京都としては、制度の導入が本格的に進む中で、制度自体をきちんと理解してもらうとともに、個人情報の適正な取り扱いを確保することが重要と考えます。個人情報保護の観点から、都の対応について伺います。
 次に、東京都国土強靱化地域計画について伺います。
 首都機能を有する東京は、いかなる自然災害が発生しても、その機能を保持しなければなりません。首都機能の崩壊は、我が国の存立をも脅かしかねないのです。
 こうした認識のもと、我が党は都に対し、国土強靱化地域計画の策定を強く求めるとともに、党内に検討プロジェクトチームを設置し、積極的に議論を重ねてまいりました。その集大成として、先般、国土強靱化地域計画策定に向けた提言を行ったところです。
 さらに、防災事業を進めていくには、国の財源負担が不可欠であります。政治経済活動など首都機能を維持するためには、国も相応の財政負担を負うべきです。
 この後、パブリックコメントを経て本案が策定されることとなりますが、計画は策定するだけでは意味がありません。大事なことは、この計画をてことして、これらの課題を解決しながら、都の防災対策を確実に進めていくことです。
 今後、どのように東京の強靱化を推し進めていくのか、知事の決意を伺います。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
 都が先般公表した耐震化の状況によると、都心部の路線や区部西部の路線などで耐震化率が低い区間が見受けられます。こうした状況をできるだけ早期に解消し、震災時に緊急車両が支障なく通行できるよう取り組んでいく必要があります。
 都は、緊急輸送道路としての機能を確保できる耐震化の目標を定めるため、シミュレーションを実施しているとのことですが、その結果はどうであったのか、また、この結果をどのように活用するのか伺います。
 加えて、大規模な地震災害が発生した場合であっても、首都機能を確実に維持していくためには、都内の取り組みとあわせて、東京圏全体で緊急輸送道路の機能を確保していかなくてはなりません。
 沿道建築物の耐震化に向けた周辺自治体との広域的な連携について、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、中小河川整備について伺います。
 平成二十七年九月、関東・東北豪雨では、栃木、茨城県内を流れる鬼怒川の堤防が決壊し、未曽有の被害が発生しました。人口や都市機能が高度に集積している東京で同じような浸水被害が発生すると、都民生活や社会経済活動に与える影響は極めて大きなものとなります。
 確かに、都はこれまで、時間五十ミリの降雨に対応する中小河川の整備を進め、着実に成果を発揮しています。しかし、こうした水害の状況を考えると、まだ十分ではありません。
 都は、近年増加している集中豪雨などに対処するため、地域の降雨特性を踏まえて目標整備水準を上げましたが、さらに水害に強いまちづくりに向けて一層積極的に取り組んでいくことが重要です。
 そこで、中小河川の整備推進について伺います。
 次に、水道事業の震災対策について伺います。
 水道事業の基本は安定給水ですが、重要な基幹施設である給水所は、平常時の安定給水に加え、震災時には、給水拠点として水道水を地域住民へ供給する役割も担っています。
 しかし、一つの給水所から給水する区域が広い場合には、仮にその機能が停止する事態となれば、断水などが広範囲に及び、都民生活と首都東京の都市活動に深刻な影響が及ぶこととなります。
 現に、区部においては、広大な配水区域の存在や配水池容量の不足などの課題もあり、給水所整備はいまだ道半ばです。
 首都直下地震が懸念される中、早期の解消が不可欠と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 また、都は今年度、安全・安心まちづくり条例を改正し、対策を強化していますが、都民の安心・安全の確保には、防犯のみならず、交通事故対策の取り組みが重要であります。
 前回五輪が開催された昭和三十九年、都内の交通事故による犠牲者数は千人を超え、交通戦争とまでいわれました。
 その後、多くの関係者による交通安全の取り組みの結果、現在では二百人を下回る水準にまで改善しましたが、昨年増加に転じ、本年も死亡事故が多発しています。
 さらに、通学路で子供が犠牲となる事故や高齢者による道路の逆走などの報道に接する機会も多く、都民生活における交通事故の不安は解消していません。
 こうした中、都は、二〇二〇年度までの新たな交通安全計画の策定に着手されると聞いています。
 東京五輪開催を見据え、都民の安心・安全の確保のために、新たな計画ではさらなる対策の強化が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、自転車走行空間の整備について伺います。
 知事は、先ごろ取りまとめた東京都総合戦略の中で、二〇二〇年度までに二百六十四キロメートルの自転車走行空間を整備することを改めて明示し、自転車推奨ルートとあわせ、都内に四百キロメートルを超える自転車走行空間を整備することとしました。
 子供から高齢者まで誰もが気軽に利用できる自転車は、都民生活には欠かせないものであり、その重要性と環境への貢献については論をまちません。
 その一方で、都内では、自転車が関与する交通事故の割合が全国平均を大きく上回っています。自転車の安全な通行確保に向けた取り組みが急務であることは、本年の第一回定例会でも指摘したところです。
 これに対し、知事は、東京には東京の実情があり、東京にふさわしい総合的な自転車政策を進めるとした上で、自転車利用時の安全確保が大前提と述べられました。
 しかし、現在計画されている自転車走行空間の整備手法には、道路構造や利用状況の制約などから、車道の左側にラインを引き、幅員一・五メートルの部分を自転車走行レーンとして規制して走行させるものが多く含まれています。
 コストが安く、早期の整備が期待できる反面、路上駐車車両や障害物がある場合には、自転車は車道中央側に出て走らざるを得ず、自動車との接触の危険性が高まります。そのことは、都が策定した自転車走行空間整備推進計画でも、みずから明らかにしているところです。
 また、この手法については、タクシーやトラックなどプロのドライバーの皆さんからも不安の声が多く寄せられています。安全利用を目的とした自転車走行空間の整備が、結果として交通事故を誘発するものになっては、本末転倒です。
 知事には、都市の成り立ちや文化、そして道路環境が大きく異なる東京において、諸外国と同じような自転車走行空間が整備できるような環境が整っているとお考えなのか、改めて都民の目線に立って考え直していただきたい。
 そこで、自転車走行空間整備推進計画の推進に当たっては、その整備手法の適用などについて再検討するとともに、関係者などの意見を十分に聞き、都議会で真摯な議論を行いながら進めるべきと考えます。知事の見解を伺います。
 次に、犯罪被害者等支援計画について伺います。
 我が国では、犯罪に遭われた方やそのご家族の権利の保護は極めて不十分であり、犯罪自体による苦しみ以外にも、特にマスコミによる過剰報道や周囲のうわさなどにより、大きな苦痛を受けます。
 都はこれまでも、全庁を挙げて犯罪被害者などの支援に取り組んできており、本年七月には、性犯罪等被害者に二十四時間対応を行うワンストップ支援事業を開始しました。これは、我が党がさきの第一回定例会の代表質問において、被害者への早期救済の必要性を指摘したことに対する取り組みとして評価をいたします。
 しかし、都民の誰もが被害者となり得ることを踏まえれば、課題はまだ多くあります。
 先月、都は来年度からの新たな犯罪被害者等支援計画の素案を公表しましたが、今後どのような取り組みを進めていくのか伺います。
 次に、保健、医療、福祉施策について伺います。
 まず、子供家庭施策についてです。
 本年四月にスタートした子ども・子育て支援新制度に合わせて、都は、福祉、保健、医療、雇用、教育などにわたる二百六十七の事業を盛り込んだ東京都子供・子育て支援総合計画を策定しました。これに基づき、妊娠、出産からの一貫した支援や保育サービスの充実など、さまざまな施策を展開していますが、計画は、作成した時点で既に過去のものとなっているともいえます。各事業の進捗状況を定期的に点検、評価し、都民ニーズや社会情勢の変化を踏まえて見直していかなければなりません。
 そこで、都は今後どのように計画を推進していくのか伺います。
 次に、家庭的養護の推進に向けた取り組みについて伺います。
 国が十月に公表した昨年度の児童虐待相談対応件数は、全国で約八万八千件余り、東京都で約七千八百件と過去最多となっています。子供たちの健やかな育ちを守るため、虐待相談への迅速な対応が求められています。同時に、虐待等の理由により、社会的養護を要する子供たちへの支援の充実も必要です。
 都は、さきの第三回定例会で、東京都児童福祉審議会専門部会の議論も踏まえながら、新たな支援策を検討し、家庭的養護を一層推進すると答弁しました。
 十月に、養育家庭の登録数拡大や児童相談所の体制強化などに早急に取り組むよう緊急提言されましたが、これを踏まえ、今後どのように施策を進めていくのか伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 介護が必要になっても、高齢者が住みなれた地域で暮らし続けることができるためには、地域包括ケアシステムを構築することが重要です。間もなく東京では人口が減少に転じ、同時に、介護が必要な高齢者や、ひとり暮らしの高齢者が一層増加していくと予測されています。
 こうした中で、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムを構築するためには、従来の施策に加え、実効性のある新たな施策を生み出していくことが必要です。
 先般公表された福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議の中間まとめでは、七月からの議論の中で見えてきた課題や考えられる対応策が示されました。これを踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 あわせて、認知症施策について伺います。
 認知症高齢者は、二〇二五年には六十万人に達すると推計されており、認知症の人と家族を地域で支えていくためには、さらなる対策の強化が必要です。
 中間のまとめにおいても、認知症対策に関する課題が示されましたが、検討会での議論も踏まえ、今後どのように認知症対策を進めていくのか、見解を伺います。
 次に、環境エネルギー政策について伺います。
 地球温暖化による深刻な自然災害が多発する中、パリで開催中のCOP21では、全ての国が参加する新たな国際枠組みの合意形成に向け、最終調整がなされています。さまざまな評価がなされていますが、人類にとって大きな一歩になることは間違いありません。
 これに先立ち、都は、東京都環境審議会での議論を踏まえ、二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年比三〇%削減するという、国を上回る国際的にも遜色ない目標を発表しました。良好な環境を東京五輪のレガシーとして次世代に引き継いでいくため、都は積極的に温暖化対策を進めつつ、国に求めるべきものは求めていくべきです。
 そこで、今回都が掲げた温室効果ガス削減目標の意義とその実現に向けた取り組みについて、知事の見解を伺います。
 温室効果ガスの削減には、家庭、業務、産業など部門の特性に応じた対策が重要です。とりわけ運輸部門では、一日の走行距離が長いタクシーの環境性能の向上が有効です。第三回定例会で提案した車椅子のまま乗れるタクシーとあわせ、東京五輪にふさわしいタクシー普及に向けた支援を強く要望しておきます。
 次に、資源循環施策について伺います。
 天然資源の採取や消費に伴う資源制約、環境制約が世界的に高まる中、今般、東京都廃棄物審議会は、廃棄物処理計画の改定に向けた中間のまとめを公表しました。世界一の環境都市にふさわしい循環型社会の構築に向け、次期計画は非常に重要です。
 廃棄物の減量やリサイクルを確実に進めていくためには、都民、事業者、区市町村との連携を一層深め、資源利用の上流から環境に配慮する新たな施策の構築が不可欠であると考えますが、都の見解を伺います。
 近年、気候変動の影響と思われる異常気象が世界中で観測されており、国内においても各地で猛烈な台風や集中豪雨等が頻発しています。気候変動を抑制するためには、温室効果ガス排出の削減が急務であり、そのためには、再生可能エネルギーの利用拡大やさらなる省エネルギー対策が必要です。
 下水道局が平成二十六年度に策定したエネルギー基本計画、スマートプラン二〇一四では、下水道事業で使用する総エネルギーに対する再生可能エネルギー等の割合を、平成三十六年度までに二〇%以上とすることを目標として対策を進めることとしています。
 スマートプラン二〇一四の目標達成に向けた下水道局の取り組みについて伺います。
 次に、産業政策について伺います。
 本年十月、政府は、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPの大筋合意を発表しました。発効すれば、世界経済の四割を占める巨大な経済圏が誕生し、今後の世界標準となり得るルールが設定される、我が国の成長戦略の重要な柱です。新たなステージを見据え、各産業の戦略的な取り組みが期待されます。
 もちろん、その効果や影響は産業ごとに異なることから、それぞれの実情を踏まえた現実的できめ細やかな対応が必要ですが、いずれにしても、付加価値の高い商品開発やブランド化の推進により競争力を高め、打って出る体制を整えるため、都としてもしっかりと支援を行っていかなければなりません。
 まず、中小企業の海外販路の開拓についてです。
 海外の旺盛な需要を取り込むには、異なる商慣習や製品規格に対応するとともに、現地の状況をつぶさに把握し、信頼できる取引先を見つけることが重要です。ジェトロなどが提供する専門的なサービスの活用や、現地での設備投資や商材の仕入れのための資金調達などが必要となります。
 都は、関係機関の力を結集して、中小企業の海外販路開拓を強力に後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、中小企業が国内外で販路開拓を進める上で、我が国最大の展示会施設である東京ビッグサイトが果たす役割は極めて重要です。都は、我が党の主張を踏まえ、東京五輪大会を契機とした産業振興の観点から、新たに拡張棟の整備を進めることとし、本定例会にも関連の議案が提出されています。
 都は、大会の開催や準備による影響に対応するため、仮設展示場の整備などを進めていますが、施設を利用できない期間が長期にわたるため、さらなる代替展示場の確保が課題となります。加えて、大会終了後の施設規模の拡大を見据えた車両待機場の確保も重要です。
 都は、将来の交通需要などを的確に見込み、臨海地域全体の発展という視点も持って、代替展示場などの確保に向けたさらなる取り組みを進めるべきですが、見解を伺います。
 グローバル競争を勝ち抜いていくには、これらに加え、卓抜したアイデアや意欲あふれる人材を積極的に支援し、新たなビジネスを生み出していく必要があります。そのためには、創業を目指す人々が集い、成功した先輩起業家からさまざまな苦労やノウハウを学ぶことのできる創業支援の新たな拠点をつくることが重要です。
 本年度開始した創業経費の補助や、大幅に拡充した女性、若者、シニア向け融資などの支援策を効果的に届けることもできます。また、新たな事業に果敢に挑戦する創業者を後押しする投資の仕組みも必要です。
 開業率一〇%という高い目標の達成に向けて取り組む知事の見解を伺います。
 産業を支える人材の確保、そして一億総活躍社会の実現に向けて、誰もが生き生きと働ける環境の整備を進める必要があります。
 都は、女性が働きやすい環境の整備に向け、我が党の要望を踏まえ、トイレ、更衣室、仮眠室などハード整備に対する支援を開始していますが、女性の就業が進んでいない分野に活躍の機会を広げるためには、企業の理解をさらに進めていく必要があります。また、例えば建設現場の仮設の施設についても、支援対象としてほしいとの声も寄せられています。
 世界で一番女性が輝く都市の実現に向けた支援強化の取り組みについて伺います。
 正規雇用化の推進もまた、雇用環境を整える重要な取り組みです。とりわけ、パート社員が同じ会社内で正規雇用に転換すれば、企業は仕事を熟知している即戦力を確保でき、従業員のモチベーションもアップするなど、双方に多くのメリットがあります。
 都は今年度から、正社員転換を促す助成制度を実施し、正社員化による賃金アップや社会保険加入に伴う企業の負担軽減を図っていますが、退職金の負担にも目配りが必要です。中小企業退職金共済制度の利用を促す仕組みなど、きめ細やかな支援が求められます。
 正規雇用の推進に向けた支援をさらに充実すべきですが、見解を伺います。
 産業の活性化に向けては、観光の振興も重要です。とりわけパラリンピック大会を見据えれば、誰もがスポーツ競技を観戦し、東京の観光を楽しむ機会を生み出すことが必要です。大会のレガシーとしても、障害者や高齢者が車椅子を使いながら観光できるよう、さまざまな環境を整えることは大切な視点です。
 しかし、車椅子のままで乗れるリフトつき観光バスを導入するには、かなりのコストがかかり、また、バスの駐車場所や観光スポットまでの安全な移動の確保といった課題もあります。先日、バス業界の意見を踏まえ、我が党も知事に要望を行ったところです。
 大会のレガシーとなるよう、リフトつき観光バスを使って快適に旅行できる環境の確立に向けた取り組みを推進すべきですが、都の見解を伺います。
 産業振興を進める上で、もう一点、大切な視点が日本各地との連携です。東京五輪大会は、全国の自治体や政府などと一体でなければ、なし遂げることはできません。同様に、大会を契機に日本全体が発展していくために、東京と各地がしっかり手を携え、産業の振興に取り組むことが重要です。
 第三回定例会の我が党の代表質問の趣旨を踏まえ、都は先般、中小企業、観光、農林業などの各分野の連携策を取りまとめました。連携を実のあるものとするためには、まずは他の自治体の意見やニーズに真摯に耳を傾け、信頼関係を築き上げていく必要があります。そしてまた、国の関係機関の理解や協力を得ていく努力が求められます。
 日本各地と連携した産業振興をどのように進めていくのか、都の取り組みを伺います。
 次に、豊洲市場への円滑な移転に向けた取り組みについて伺います。
 我が党は、世界で一番の都市東京にふさわしい国際的にも通用する市場を、都と市場業界と一体となってつくり上げることを目指し、築地から豊洲市場への移転整備という大きなプロジェクトを、党を挙げて一貫して推進してきました。
 来年十一月七日の開場まで、いよいよ残り一年足らずとなりましたが、百年に一度ともいうべき我が国最大の卸売市場の移転に際して、市場業界からは短期間での引っ越しや移転に伴う費用などについて、さまざまな不安の声が届いています。先日も築地市場業界から我が党に対して、移転にかかる負担の軽減を求める要望書が出されました。
 こうした業界の声に耳を傾け、豊洲市場への移転を成功に導いていくため、どう取り組んでいくのか、知事の決意を伺います。
 次に、東京外かく環状道路について伺います。
 都議会では、超党派による外かく環状道路建設促進議員連盟を平成十三年に結成し、歴代の国土交通大臣に対して、外環の早期完成を強く要請してきています。
 関越道─東名高速間については、これまで早期着工に向けた要請活動を強力に行うとともに、平成二十三年に早期着工に向けた都民の集いを主催するなど、さまざまな活動を展開した結果、平成二十四年に本格的な工事着手に至りました。
 平成二十五年と二十六年には、生産緑地の取得や区分地上権の設定が迅速かつ円滑に進むよう、税制改正を実現させました。
 東名高速から湾岸道路に至る、いわゆる東名高速以南についても、ミッシングリンクの解消とともに、国際化された羽田空港へのアクセス強化のために整備が不可欠です。このため、外環議員連盟は、東名高速以南の具体化に向けた活動を強化しています。
 先月十六日に石井国土交通大臣を訪ね、改めて要請したところ、大臣からは、東名から南についてもなるべく早く調整の場をつくっていきたいとの話がありました。
 知事も常々、三環状道路の必要性を訴えていますが、外環の東名高速以南の具体化について、知事の所見を伺います。
 都市計画道路の整備方針について伺います。
 人と物の流れがスムーズに行き交い、災害に強い安全な東京をつくる上で、都市計画道路は必要不可欠な都市基盤です。これまで都は、三環状道路の整備とあわせ、過去三回にわたり策定した計画に基づき、都市計画道路の整備を着実に推進してきました。
 現在策定中の都市計画道路の整備方針では、これまでの道路整備の効果を最大限に生かしつつ、東京五輪大会を跳躍台として、東京をさらに発展させるための方針が示されるものと期待しています。
 そこで、新たな整備方針についてどのように取りまとめるのか、見解を伺います。
 次に、国際コンテナ戦略港湾について伺います。
 平成二十二年に、国が選択と集中の理念を掲げて策定した戦略港湾政策は、既に五年が経過し、この間、我が国港湾を取り巻く状況は大きく変化しています。本年十月には、TPPが大筋合意し、今後、国際物流の世界に大きなうねりをもたらすものと考えます。
 そのような変化の中、これまで課題となっていた京浜三港の経営統合について、都の報告では国際戦略港湾の枠組みを維持しつつ、今年度中に横浜港、川崎港の二港のみで港湾運営会社を設立し、東京港は現時点でこれには加わらないとのことでありました。
 これまで我が党は、時代の変化に戦略的に対応していくためには、都が引き続き東京港の経営に当たっていくべきだと申し上げ、国にも働きかけてきましたが、このたび東京港の主体性を確保しつつ、国と三港で円満に合意が図られたことは大変評価しています。
 そこで、国際コンテナ戦略港湾政策にかかわる都の考え方について、知事の所見を伺います。
 一方、戦略港湾政策に先立ち、京浜三港は競争と連携の理念のもと、三港連携に取り組んできました。かねてより広域的な港湾連携を提唱してきた我が党は、超党派で東京都議会の有志を募り、横浜市会、川崎市議会とともに議員連盟を立ち上げ、連携事業を応援してきました。
 今回、京浜三港での経営統合を当面見送ったものの、三港連携は自治体の枠を超えた物流基盤の充実強化の一環として、今後も進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、クルーズ客船の誘致について伺います。
 クルーズ客船は、寄港により数億円の経済波及効果も期待できるなど、さまざまな効果が期待できます。都は、我が党の主張を受け、臨海副都心地区に大型クルーズ客船にも対応可能なふ頭の整備を、二〇二〇年までに行うとしたところです。
 しかし、世界のクルーズ客船隻数は飛躍的に増加しており、主要港では複数のバースを保有することなどにより、こうした需要にしっかりと対応しています。また、客船ふ頭自体が、夜景を楽しめるデートスポットや港の風景を眺められる憩いの場として、重要な観光資源となっています。
 そこで、東京港がクルーズ客船を誘致するためには、海外主要港と同様に二そうのクルーズ客船を同時に受け入れられるよう取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、運河部における水辺の魅力向上について伺います。
 我が党は第三回定例会で、水の都東京の魅力向上に向け、舟運の活性化について提案しましたが、これに加え、船上から眺望する景観形成や水辺のにぎわい創出など、舟運の活性化と相乗効果をもたらす、運河部における水辺の魅力向上の取り組みも重要です。
 世界的な観光都市であるロンドンやパリにおいては、テムズやセーヌの川沿いにオープンカフェがあり、水辺の風景や行き交う船を眺めながら憩う場として、都市の魅力を引き立てています。
 二〇二〇年を見据え、東京においても運河が持つポテンシャルを十分に生かし、魅力的な水辺づくりに向けた取り組みを推進すべきでありますが、都の所見を伺います。
 また、自民党の政策提言では、舟運を活用した観光ルートの開発も提案しています。
 しかし、一方で、水上タクシーなど民間の船が利用できる船着き場の数が十分ではないこと、また、利用できる船着き場についても利用料金に多寡があるなど、まだまだ課題が多いことも事実です。今後はこのような課題を念頭に置き、ますます舟運の活性化を進めていくべきと考えます。
 そこで、防災船着き場を活用した舟運の活性化への取り組みについて、都の見解を伺います。
 次に、多摩・島しょ地域に関して伺います。
 最初に、小笠原の交通アクセスの改善、とりわけ航空路の開設について伺います。
 小笠原諸島は、本土から千キロメートル離れた国境離島であり、我が国の領土、領海の保全や海洋資源の確保など、国益に重要な役割を担っています。さらに、昨年には中国漁船の違法操業問題も発生し、国境離島としての存在価値は、これまでにないほど高まっています。
 また、村民は重篤な傷病の場合には、自衛隊機での本土への移送に頼らざるを得ないほか、出産や通院などで上京する際には本土での長期滞在が余儀なくされ、精神的、経済的な負担も大きくなっています。
 去る九月には、我が党の有志国会議員が小笠原を応援する会を結成し、一義的には都の事業となる航空路の開設など、小笠原のさらなる振興について安倍総理に要望をしています。小笠原の地理的、歴史的な事情などを背景に、国政においても強い関心が示されている重要性を鑑み、都は国としっかり連携して調査検討を進めていただきたいと考えます。
 三年後の平成三十年には、小笠原諸島が本土に復帰して五十周年を迎えます。過去に幾多の変遷をたどってきた経緯は十分認識していますが、ぜひ実現可能な航空路案をしっかり検討し、一定の方向性を示していただきたいと考えます。
 そこで、小笠原の航空路の開設について、知事に改めて所見を伺います。
 次に、多摩・島しょ地域の土砂災害対策の取り組みについて伺います。
 今年九月の関東・東北豪雨では、線状降水帯に伴う豪雨により、鬼怒川が決壊するだけでなく、各地で土砂災害が発生し、栃木県では一名の方が亡くなられました。
 一昨年の大島や昨年の広島など豪雨による土砂災害が頻発する中、都内には約一万五千カ所の土砂災害のおそれのある箇所が存在するとされており、地形の急峻な多摩地域から対策を早急に進めていくことが重要です。
 そこで、今後の土砂災害対策にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、多摩の重要な産業であり、貴重な自然環境を維持するためにも重要な林業について伺います。
 都内の農林水産業にも、TPPの発効を見据えた十分な目配りが必要であり、第三回定例会でも農業支援の強化を求めたところです。
 林業についても、木材価格の低迷と人件費の高騰などの厳しい状況を克服し、安定した経営環境の整備に向け、林道などの整備を進めることはもとより、木材利用の拡大を図っていく必要があります。
 そのためには、東京五輪大会関連施設などでの利用推進に加え、年間約五万戸の木造住宅が建設される木材の大消費地である東京で、広く都民に多摩産材を知ってもらい、使ってもらうことが重要です。
 多摩産材の利用拡大に向けた施策の強化について、都の見解を伺います。
 最後に、教育、文化、スポーツに関して伺ってまいります。
 我が党は、東京を世界で一番の都市とすることを目指し、教育についても、若者が夢と希望を持てる教育都市東京をつくるため全力投球しています。東京の未来を築いていくためには、日本人としての自覚と誇りを持って、世界と渡り合える若者を育てていく必要があります。
 都教育委員会は先日、都立高校改革新実施計画の骨子を公表し、これからの時代を担う、知、徳、体の調和のとれた人間、グローバル化する東京、日本を支える人間、自他をともに尊重し社会の中で自立して生きていく人間を育成していくことを明らかにしました。
 そこで、今回の新実施計画策定の狙いについて伺います。
 ことし、日本人科学者二名がノーベル賞を受賞しました。二十一世紀以降、自然科学分野の国別の受賞者数で、日本は米国に続いて世界第二位であることは、我が国の研究レベルの高さを示すものです。
 また、東京にはすぐれた技術を持った中小企業が集積しており、高機能製品や精密製品の開発、製造で世界から高い評価を得ています。
 しかし、近年、我が国では、産業競争力などの面において国際的地位を後退させている状況があります。日本が科学技術立国として国際競争に打ち勝ち、世界に大きく貢献していくためには、理数に秀でた人材の育成が必要です。
 新実施計画では、理数分野で世界に貢献できる人材を輩出するため、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、発達障害教育について伺います。
 我が党はかねてより、発達障害教育について、小中高等学校を通じた総合的な施策の構築を求めてきました。これに応え、小学校では特別支援教室の本格導入の準備が進み、中学校でもモデル事業を開始予定であるなど、施策が進みつつあります。
 今般、都教育委員会が公表した発達障害教育推進計画の骨子では、都立高校でも発達障害と考えられる生徒が二・二%在籍しているとしています。発達障害の生徒の中には、突出した能力を持つ生徒もおり、障害を個性と捉え長所を伸ばして、将来の社会参加につなげることが重要です。そのためにも、生徒の障害の状態や高校の状況に応じた、従来の枠にとらわれない幅広い支援を行う必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、文化振興について伺います。
 日本が今後百年、世界で一定の影響力を維持するのに最も必要なものは何かと問われれば、私は文化の力だと答えます。そして、そのモデルとすべきはフランスだと考えます。
 フランスは、現在のアメリカや、かつての大英帝国、古くはローマ帝国のように、世界の覇権を握ったことはありません。にもかかわらず、世界で確固たる地位を築き、特に世界中の女性から羨望のまなざしで見られています。その根源は何かと考えると、ファッションやグルメ、あるいはフランスが醸し出す芸術的な雰囲気なのだと思います。文化の力こそがフランスの国力の源泉だと考えます。
 今、二〇二〇年に向け、日本の文化的な価値をいかに訴えていくかが問われています。美術に興味がなくても、多くの旅行者がパリに行けばルーブル美術館、ロンドンに行けば大英博物館を必ず訪れます。東京にも、そうした核となるものが必要です。
 幸い東京には、東洋、西洋の画家に多大な影響を与えた浮世絵があり、世界的存在である草間彌生や村上隆などの現代美術があり、さらには、海外にも愛されるジブリ作品などのクールジャパンコンテンツがあります。大英博物館のように、世界を魅了したウォークマンなどのメード・イン・ジャパンの工業製品を陳列してもいいかもしれません。ぜひ、核をつくって自国のすぐれたものを発信していくべきです。
 東京が世界有数の文化都市としての地位を占めていくためには、東京独自の文化の魅力を訪日外国人に対し強く印象づけることが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、日本の伝統芸能についてです。
 江戸文化とともに花開き、現在の東京に受け継がれる日本舞踊や邦楽、寄席演芸などの伝統芸能に関する公演がより活発に行われるなど、一層の振興を図る必要があります。
 伝統芸能公演は、外国人を含めた観客が日本古来から連綿と続く伝統芸能の魅力、真髄に触れ、体感することができるだけでなく、一流の実演家が若手と共演することで、芸を次の世代へ継承することが可能となります。そのためには、こうした公演にふさわしい場が東京に確保されていなければなりません。
 都は、上野の東京文化会館、池袋の東京芸術劇場という二つのホール施設を持っていますが、コンサートや演劇での使用を前提としたホールとなっています。
 東京における伝統芸能のより一層の発信、振興を図るには、都立文化施設の中に、一流の実演家や地域の伝統芸能団体など、多様な団体が利用できる場、いわば和の空間が必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
 次に、スポーツ振興に関して伺います。
 ラグビーワールドカップ・イングランド大会は、日本代表チームの歴史に残る活躍が印象に深く刻まれる中で、成功裏に閉幕しました。
 都議会は、我が党の高島議員を団長に調査団を派遣し、大会運営をつぶさに視察しました。調査団は、ラグビーファンが試合前からファンゾーンで盛り上がり、観戦をみんなで楽しむ雰囲気など、ラグビー文化に触れるとともに、キャンプ地の一つとなったバーミンガム大学を訪問するなど、現地でしか得られない貴重な情報を得てきました。
 スタジアムとファンゾーン、市内中心部を結ぶシャトルバスの運行、ボランティアによる案内誘導、入場時の荷物チェックなど円滑な大会運営が行われている一方、試合終了後、大勢の観客で会場周辺が混み合うなど、課題もあったとのことです。
 二〇一九年には、ラグビーワールドカップの開幕戦を東京で開催できることを誇りに思います。同時に、アジア初開催となる本大会を迎えるに当たり、準備を着実に進め、国内外の観客やVIP、選手たちに最高のおもてなしを提供しなければなりません。
 知事も大会を視察したと聞いていますが、二〇一五年大会を踏まえ、二〇一九年大会に向けた課題にどう取り組むのか、知事の認識を伺います。
 イングランド大会は、また、日本国内でも大変な盛り上がりとなりました。秩父宮ラグビー場を初め都内各地、全国各地でもパブリックビューイングイベントが行われ、四年後の二〇一九年に向けた期待感、一体感が醸成されました。
 東京五輪大会についても、来年のリオ大会が、改めてオリンピック・パラリンピックのすばらしさを実感し、東京五輪に向けた機運を醸成する絶好の機会となります。リオ大会の開催期間中、大会の生の迫力を実感できるライブサイトを区部、多摩、被災県で開催するとのことですが、その具体的内容について伺います。
 また、その盛り上がりを一過性なものに終わらせず、オール東京、オール日本に広げ、二〇二〇年に向けて機運を盛り上げていく取り組みが必要です。リオ大会の閉会式で、次期開催都市東京に引き継がれたオリンピック・パラリンピックフラッグを活用した機運醸成の取り組みを展開すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、先般公表された、大会後のレガシーを見据えた二〇二〇年に向けた東京都の取り組みの素案について伺います。
 これまでも我が党は、世界で一番の都市東京の実現に向けて、二〇二〇年大会を契機とした社会全体の活性化や大会後の競技施設の有効活用など、価値あるレガシーを残していくために、明確なビジョンを持って大会準備を進めるよう求めてきました。
 また、大会の盛り上がり、経済効果などが、東京だけではなく、被災地を初め全国に波及し、我が国全体のさらなる発展につなげていく必要性も訴えてきました。素案の内容は、こうした我が党の主張にも沿った内容が取り入れられており評価しています。
 今回示された取り組みを指針として、大会に向けて確実に実行していくことが重要であり、それによって、大会後のレガシーのありようが左右されます。
 そこで、今回、都の取り組みを取りまとめた意義について伺うとともに、大会で確かなレガシーを残していく知事の決意を伺います。
 この素案には、競技施設や選手村などのハード面の着実な整備、文化、教育の取り組みや水素社会の実現、暑さ対策も含めた環境対策、被災地復興への取り組みなど、レガシーを見据えた大会に向けて、八つの方向性が示されています。いずれも大会成功には欠かせないものですが、着実にステップを踏み、具体的な取り組みを進めていくことが重要です。
 そこで、今後、大会に向け具体的にどのような取り組みを進めていくのか、都の所見を伺います。
 中でも、重点的取り組みが必要な最たるものは、パラリンピックに向けた準備であります。我が党の世界で一番の都市東京という目標は、いうまでもないことですが、障害者スポーツの振興についても当てはまります。
 今回発表された素案には、競技会場を中心としたバリアフリー化の推進はもちろん、パラリンピック競技の普及啓発、選手の発掘、育成、競技団体の強化など、我々が常々その必要性について申し上げてきたことが取り入れられたと理解しています。そのどれをとっても、待ったなしの取り組みが求められており、我が党も、パラリンピック成功に向け全面的にバックアップしていきたいと思います。
 また、大会後に障害者スポーツがしっかりと都民、国民に根づいたものにならなければ、二度目のパラリンピック開催が、東京に真のレガシーを残したとはいえません。障害のある方に配慮した取り組みは、お年寄りにとっても子供にとっても優しいものとなります。スポーツと健康づくりが生活の中に溶け込むきっかけともなり、世界で一番の優しく健康な都市東京の実現にもつながります。パラリンピックをきっかけに、障害者スポーツの振興を確かなものとしていくための方策について、知事の見解を伺います。
 また、これらを現実のものとしていくためには、大会後の障害者スポーツの振興をしっかりと見据え、戦略性を持って対策を講じていくことが必須です。安定的、継続的な事業運営を行っていくための財政的な措置を強く要望しておきます。
 さて、最後に、世界で一番の都市東京についてお話しします。
 東京の魅力の一つは、国内最大の消費地であることです。東京が元気になればなるほど消費活動は活発となり、地方が生産するフルーツなどの特産品も、車などの工業製品も売れるのです。今まで百円のリンゴを買っていた人も、百五十円のリンゴを買うようになるのです。東京が世界で一番になることは、地方経済の活性化にもつながるのだと思います。
 フランスを初めて訪れる人が、まず初めにパリに行くように、イギリスを訪れる人が、まず初めにロンドンに行くように、日本を訪れた人は、最初に東京に来るのです。東京で日本の魅力を十分に満喫していただく、そのことが、他の地方を訪れる契機ともなるのです。
 東京は、現在でも世界有数の都市です。イギリスの雑誌では、ことし初めて世界で一番住みやすい都市にも選ばれ、あらゆる指標で好位置につけています。既に世界一に手の届く位置にいます。
 しかし、私には、そのあと少しの道のりがとてつもなく遠い気がしてなりません。世界一は、何となくなれるものではありません。我々議員一人一人が、知事が、副知事を初めとする職員一人一人が、あらゆる分野で明確に目標を持って、本気で世界で一番を目指して取り組んで、初めて一番になれるかもしれないものです。チャンスもこれが最後かもしれません。
 必ずや世界で一番の都市東京を実現する、その思いをぜひとも再度共有していただきますことを改めてお願い申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 秋田一郎議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、テロへの対応についてでございますが、先月、パリ市内の劇場や近郊の競技場において、テロ組織による銃撃や爆発が起こり、多数の一般市民が巻き添えとなりました。この一連のテロ行為は、多くのとうとい命を奪う卑劣きわまりない行為でありまして、断じて許すことはできません。
 治安のよい大都市である東京も、今後、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会を初めとする国際的なイベントの開催都市として、いつテロ攻撃の標的となるとも限りません。
 都は、こうした厳しい治安情勢に対応するために、警察、消防の強化に努めるとともに、万一のテロ発生時には、関係機関と連携し、警報の通知や住民避難の措置等を迅速に行えるよう、日ごろからテロを想定した訓練により、対処能力の向上を図っているところでございます。
 今後とも、都民の生命、身体、財産を守るために、全力を挙げてテロへの備えを固めてまいります。
 次に、新国立競技場の整備についてですが、新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本であります。
 一方で、アスリートファーストや周辺のまちづくりとの調和など、都としての考えが反映された新たな整備計画のもとで、都民に有形無形の大きな便益があることは明らかであります。
 開会式や閉会式等を行うメーンスタジアムとなる新国立競技場なくしては、二〇二〇年大会の成功はあり得ません。ここは、都民、国民の感動の中心に位置し、世界に向け、東京、日本の力とスポーツのすばらしさを発信する場となります。
 また、大会後の東京において、都民にとっても、スポーツの振興はもちろん、周辺環境の向上や地域の防災機能の強化など、多様な価値を末永く持つレガシーとなります。
 さらに、経済波及効果について、日本スポーツ振興センター作成資料に基づき、都で推計を行ったところ、新国立競技場が整備され、さまざまなスポーツ大会やイベントが行われれば、工事期間及び完成後五十年間で、全国に約一兆四千億円、都内に約七千億円の大きな効果が見込まれます。
 大会を成功させ、現在及び将来の東京に多面的に大きな受益をもたらすという考えのもと、今般、国と地方で費用を分担し合う国直轄事業の考え方に準拠して、応分の財政負担をすることを決断いたしました。
 私は、開催都市の首長として、新国立競技場が大会の準備や開催に支障なく整備され、大会後もレガシーとなるよう、引き続き国や関係団体と一致協力し、大会を成功に導いてまいります。
 都市外交の進め方と都政への反映についてでございますが、都市外交は、海外諸都市とともに、大都市に共通する課題の解決に取り組み、東京の発展に資するため、展開しているものでございます。
 また、二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの成功に向けても、海外諸都市との協力関係が不可欠でございます。
 もとより、国家間の利害調整を主とする外交は国の専管事項であり、都市外交がこうした国の方針に反するようなことがあってはなりません。その上で、東京都の都市外交は、相手都市の首長との間に強固な関係を築くとともに、抽象的な友好関係にとどまらない、より具体的、効果的なものとなることを目指しております。
 直近に訪問しましたパリの例では、パリ市長と会談し、環境や文化など五つの分野で政策協力の合意書を締結いたしました。その後訪れましたロンドンでは、ラグビーワールドカップを視察し、またスポーツ関係者からは、大会運営に資する貴重な知見を得ることができました。こうした際には、相手側との事前の調整を十分に行い、実効性を高めるように努めてまいりました。
 お話にございましたように、都市外交の展開の中で、事前調整は極めて重要な要素でございます。今後とも、調整の進め方に十分留意し、都市外交の成果を一層高め、都政に反映していきたいと考えております。
 都市外交と地方法人課税についてでありますが、ご指摘のとおり、地方法人課税についての国の偏在是正なる不合理な措置は、まさに東京の今後に大きな影響を及ぼす問題であると認識しております。
 これまでも、全国知事会議や関東地方知事会議、九都県市首脳会議などの機会を捉え、他の自治体に東京の立場を訴え続けてまいりました。十月には、宮沢税制調査会長に面会し、東京都の立場を主張いたしました。先月には、特別区長会、市長会、町村会と、また、志を一にする他の自治体とともに、総務大臣に強く要請を行いました。東京都選出の国会議員の方々にも協力を要請してまいりました。
 また、都市外交をてこにした施策の推進も、都政にとって大事な取り組みだと考えております。ご質問にありました出張は、いずれも効果的な日程となるよう心がけて組んだものでございます。
 今回いただいたご意見を踏まえ、引き続き、さまざまな都政の重要事項に向かい合い、そのかじ取りに当たっていく所存でございます。
 東京都総合戦略に込めた決意と、この戦略をもとにした今後の政策展開についてでございますが、地方創生は日本全体の創生でありまして、各地域がその強みを持ち寄り、日本全体を活性化していくことが重要であります。
 そこで、東京と地方がともに栄える真の地方創生の実現を目指すという考え方のもと、国の総合戦略を勘案し、東京都長期ビジョンの目標や政策を基本に、東京都総合戦略を策定いたしました。
 総合戦略では、東京の使命として、東京と地方の共存共栄、首都、国際都市としてさらに発展し、日本経済を活性化、少子高齢化、人口減少社会への挑戦を挙げております。
 最重点事項であります地方との共存共栄では、皆様からのご提言も踏まえて盛り込んだ多くの施策を具体的な形にしてまいります。全国各地と連携した産業振興や観光振興など、地域経済の発展に結びつく成長志向の取り組みを、都から各道府県に直接、連携、共同を働きかけ、より効果的に推進してまいります。
 また、東京における少子高齢化への対応は、日本の将来像に大きな影響を与えるものであります。都は、この問題に正面から向き合い、待機児童の解消、高齢者施設の整備などに全力で取り組んでいくとともに、課題を共有する一都三県での連携も進めてまいります。
 東京の持てる力を最大限生かして、日本全体の発展につながる真の地方創生の実現に力を尽くしてまいります。
 次に、国土強靱化地域計画についてでありますが、世界一の都市を実現するために、いかなる災害に遭っても、日本の心臓である首都東京を守ることが、都知事としての私に課せられた使命であります。
 こうした強い思いのもと、この間、長期ビジョンや防災プランを通じ、今後の都の防災対策の道筋を示すとともに、必要な事業を着実に進めてまいりました。
 素案の策定に当たりましては、防災事業を都の事業に限定することなく徹底的に洗い出し、評価した上で、今後の防災対策の羅針盤として機能するよう、体系的に取りまとめをいたしました。
 今後は、福祉や産業、まちづくりなど、全ての分野において災害への備えを万全にするための平時の取り組みを進めてまいります。同時に、防災訓練の充実などにより、自助、共助、公助に根差した個々の取り組みが災害時に真に機能するよう、具体化することが重要であります。
 また、広域的な災害対応や、首都機能の役割を踏まえた財源負担のあり方など、幾つかの課題を解決していかなければなりません。
 世界一安全・安心な都市を実現すべく、みずから先頭に立ち、多様な主体と連携しながら、東京の強靱化に向け全力を尽くしてまいります。
 次に、自転車走行空間の整備についてでございますが、自転車は都市内の有効な交通手段の一つでありまして、誰もが安全で快適に利用できるよう、自転車利用者のルール、マナーの周知徹底や自転車走行空間の整備、自転車シェアリングの普及など、総合的な自転車政策を進めることが重要であります。
 一方で、都内の交通事故においては自転車関与率が高いことから、歩行者、自転車、自動車それぞれの安全を確保していく必要があります。
 このため、都は、国のガイドラインなどに基づき、地域の道路事情に応じた自転車走行空間の整備に取り組んでおります。
 あわせて、交通ルールやマナー向上に集中的に取り組むとともに、違法駐車の取り締まりも強化しております。
 今後、整備に当たりましては、ご指摘の趣旨も踏まえ、道路構造や交通状況に応じた整備手法を検証するなど、東京の実情を十分勘案し、安全で快適な自転車走行空間となるように進めてまいります。
 新たな温室効果ガス削減目標の設定と実現に向けた取り組みについてでございますが、今回、温室効果ガスの削減について、二〇三〇年までに二〇〇〇年比三〇%削減という新たな目標を設定いたしました。これは、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会とその後を見据えて、国や他都市をリードしていく意欲的な水準と考えております。
 こうした高い目標を掲げることで、環境分野における技術革新を促すと同時に、産業、業務、家庭、運輸それぞれの分野において、目標実現に向け総力を挙げて取り組んでまいります。
 このため、キャップ・アンド・トレード制度など、これまでの施策を着実に実施するとともに、エネルギー性能の高いビルや住宅の普及を図り、省エネを推進してまいります。さらに、燃料電池自動車等の導入促進による水素社会の実現など、総合的な環境政策を積極的に展開してまいります。
 また、施策を進める上では、国による対策や規制緩和も極めて重要であり、国の施策ともしっかりと連携しながら、経済成長と環境政策を両立させた実効性ある気候変動対策を推進してまいります。
 創業の促進についてでありますが、東京の産業が持続的に発展するためには、意欲ある多様な人材が、社会経済環境の変化に伴う新しい市場ニーズを的確に捉え、果敢に創業に挑戦し、成長できる社会を築くことが必要であります。
 開業率一〇%台の達成に向け、都はこれまで、創業期に必要となる場の提供や経費の助成等の支援を実施してまいりました。
 今後、さらに創業を促進するためには、創業希望者を掘り起こし、裾野を広げるとともに、起業に対する不安を解消することが重要であります。
 そこで、都は、創業に関心のある誰もが利用でき、情報提供から事業化支援までをワンストップで行う拠点を構築いたします。ここでは、ベンチャー企業の経営者等が次代の起業家を育成するため、自身の経験に基づく助言を行うとともに、培ってきた人脈を生かし、創業を後押しいたします。
 また、創業を実現していく過程で、大企業や研究機関などとの連携によって、飛躍を目指す起業家等に対し、投資家からの出資を促す仕組みを整備してまいります。
 こうした取り組みにより、起業家が次々と生み出される環境づくりを強力に進めることで、東京、ひいては我が国全体の経済の活性化につなげてまいります。
 続きまして、豊洲市場への円滑な移転についてでございますが、豊洲市場は、我が国が世界に誇れる卸売市場となるよう、物流や衛生面など市場機能を大幅に強化した最新鋭の施設として、着実に整備を進めております。
 こうした施設面の整備に加えまして、豊洲市場が築地の伝統やにぎわいを受け継ぎ、築地ブランドと呼ばれる魅力をさらに高めていくために、これまで築地を支えてきた市場業者の方々が、移転後も活気あふれる営業活動を展開していくことが不可欠でございます。
 現在、開場に向けまして、築地市場の業界団体一丸となって取り組んでおりますが、その一方で、前例のない大規模な移転を前に、移転費用等についても支援を求める声も上がってきております。
 都としましては、市場業者が安心して豊洲に移転し営業できるよう、ただいまのご質問の趣旨を受けとめ、必要な支援について早急に検討を行います。来年十一月七日に豊洲市場を円滑に開場し、世界一の都市東京にふさわしい市場となるように全力を挙げて取り組んでまいります。
 外環の東名高速以南の具体化についてでありますが、外環は、東名高速や東北道など放射方向の高速道路を束ねる扇のかなめに位置し、人や物の流れをスムーズにするだけでなく、災害時には日本の東西交通の分断を回避させるなど、極めて重要な環状道路でございます。
 中央環状線の全線開通により、都心を通過するだけの交通が環状線に迂回して、都心の渋滞が大きく改善いたしました。
 外環につきましても、東名高速から湾岸道路までのミッシングリンクを解消して、羽田空港や京浜港へのアクセスを強化するなど、環状道路としての機能を最大限に発揮させる必要があります。
 先般、私も出席しました国との連絡協議会の場におきまして、東名高速以南の早期具体化を改めて要請いたしました。
 引き続き都議会の皆様と連携し、外環を完成させて、首都圏の渋滞緩和、環境改善を図り、経済を活性化させるとともに、災害に強い強靱な国土を形成してまいります。
 次に、国際コンテナ戦略港湾についてでありますが、京浜港が国際戦略港湾に選定されてから、この五年間、円安への流れや中国経済の成長率鈍化、TPPの大筋合意など、港湾を取り巻く情勢が大きく変化しております。
 このような環境の変化の中、京浜三港の役割、喫緊の課題、着手すべき施策の優先順位などが異なってきておりまして、京浜港においては、横浜港、川崎港が先行して港湾運営会社を設立することとなりました。
 都は、引き続き国際戦略港湾の一員として、足元を固めて港湾機能の強化に力を注ぎ、国に対しても、東京港への重点投資を求めてまいります。
 東京港は、横浜港、川崎港と切磋琢磨しながら、国際コンテナ戦略港湾政策を一歩前進させ、京浜港、ひいては日本経済の国際競争力強化に尽力してまいります。
 小笠原の交通アクセスの改善についてでございますが、本土から千キロメートル離れた小笠原諸島への交通アクセスの改善は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展を図る上で、極めて重要であります。
 航空路の開設は長年にわたる小笠原村民の切なる願いであることは十分に認識してございます。また、本土復帰から五十周年の節目を迎える平成三十年までに一定の方向性を示してほしいという村の強い思いは、もとより伺っております。
 一方で、航空路開設に当たりましては、自然環境への影響を初め、適切な機材の選定など、さまざまな課題があることもまた事実でございます。
 このため、小笠原村を初め、国などの関係機関との調整を一層緊密に、かつ丁寧に行うとともに、環境への影響や、最新の技術開発動向などに係る調査を、幅広い観点から実施してまいります。
 今後とも、自然環境と調和した実現可能な航空路案が取りまとめられますように、精力的に検討を進めてまいります。
 東京独自の文化の発信についてでございますが、東京が世界一の都市を目指すためには、ロンドン、パリと肩を並べる文化都市として、確固たる存在感を示していくことが重要であります。
 東京は、能や狂言、歌舞伎などの伝統文化と、デザインやファッション、アニメ、ゲームといった現代の文化とが共存しており、さらにこれらが融合し合い新たな文化を生み出す、大きな文化的ポテンシャルを有しております。
 これを最大限に生かしまして発展させていくため、例えば、江戸東京博物館が収蔵する貴重な浮世絵や、現代美術館が保有します幅広いジャンルのユニークな作品を、デジタル技術なども活用して、海外の人にもより魅力的かつわかりやすく展示し、広く伝えていく取り組みを促進します。こうした取り組みによりまして、訪日外国人が必ず訪れてみたいと思う魅力的な施設にしていきたいと思っております。
 また、東京独自の文化の魅力を世界の人々に余すことなく伝えるため、都内に多数ある民間文化施設等とも十分連携しながら、SNSなどを活用して発信を強化してまいります。
 二〇二〇年大会は、海外から訪れる人々に東京の文化の独自性と多様性をアピールし、理解を深めてもらう絶好の機会でありまして、伝統と現代が共存する東京独自の文化を、世界で通用するブランドとして強く打ち出してまいります。
 ラグビーワールドカップについてでございますが、ラグビー発祥の地で行われました今回のイングランド大会の成功を、アジアで初めて開催される二〇一九年大会につなげていかなければなりません。
 大会視察で得られました成果を最大限に生かしつつ、日本ならではの演出、最先端技術を取り入れたファンゾーンの設置、VIPホスピタリティー施設や交通アクセスの確保などに取り組んでまいります。このため、会場となります東京スタジアムに隣接する武蔵野の森総合スポーツ施設や周辺の土地活用も含め、総合的に検討を進めてまいります。
 また、重要なことは、翌年開催の二〇二〇年オリンピック・パラリンピックと二〇一九年大会を一体のものとして捉え、戦略的に準備を進めていくことでございます。
 具体的には、ボランティア、多言語対応、セキュリティーなど、両大会共通の課題について、その取り組みを二〇二〇年につなげてまいります。
 さらに、今後、さまざまな機会を通じまして、ラグビーの魅力やすばらしさを広く伝えていくとともに、チームキャンプ地についても、都内誘致に向けて積極的に支援してまいります。
 都議会のご支援をいただきながら、開催自治体など関係者の皆様と連携して、万全の準備を進めてまいります。地元多摩地域を初め、都民一丸となって、大会成功に向け、全力を尽くしてまいります。
 次に、二〇二〇年大会に向けた取り組みについてでありますが、大会を通じて価値あるレガシーを残すためには、大会のその先をしっかりと見据えて取り組みを進めていくことが重要でございます。
 こうした考えのもと、今回、レガシーを見据えた二〇二〇年に向けた取り組みの素案をまとめました。ハード、ソフト両面にわたる八つのテーマについて、その方向性を明らかにし、都民の皆様に広く知っていただくことにより、大会に関心を持ち、参加するきっかけとしていただきたいと思っております。
 特に東京は、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市であります。パラリンピックには、社会を変える力があります。障害者スポーツの環境整備、教育を通じた障害者への理解促進、心のバリアフリーの浸透、障害のある人もない人もボランティアに参加しやすい環境づくり、そして都市のバリアフリー化など、多面的な取り組みを進め、誰もが暮らしやすい東京をつくり上げてまいります。
 また、大会を通じて、日本の多彩な文化、水素エネルギーを初めとした高度のテクノロジーや、中小企業が持つすぐれた技術、食の魅力などを世界に発信いたします。東京が日本のショーウインドーとなることで、日本全体の発展に貢献してまいります。
 今後、都議会での議論や都民の皆様の意見を踏まえ、さらに練り上げ、年内に取りまとめを行います。そして、ラグビーワールドカップ二〇一九とも連携しながら、取り組みを着実に実行し、確かなレガシーを残して、東京を世界一の都市に押し上げてまいります。
 次に、障害者スポーツの振興についてでありますが、障害者スポーツ、そしてパラリンピックは、ノーマライゼーションの考え方を都民、国民に広めるものでございます。障害者がその能力を生かし、みずからの行動を決め、夢を追い続けることができる社会へと変革していく大きな力があります。
 先日、駒沢オリンピック公園で開催されました、パラ駅伝in TOKYO二〇一五では、障害者と健常者がたすきをつないで走りました。完走した選手たちは一様に明るく、皆を一つにするというスポーツの持つ力を私も肌で感じました。
 パラリンピックの成功に向けまして、普及啓発や選手発掘、競技団体の強化、利用者のニーズに応じた多様な場の確保など、それぞれを連動させながら加速度的に進めてまいります。
 そして、こうした取り組みから得た成果を生かして、大会後も施策を着実かつ継続的に推し進めることで、障害のある人とない人がスポーツという共通のフィールドを得て、生き生きと暮らすスポーツ都市東京を目指します。
 二〇二〇年大会を機に、東京が新しく生まれ変わった、障害者スポーツが社会に溶け込んだと誰もが実感できるように、全力で取り組んでまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監高橋清孝君登壇〕

○警視総監(高橋清孝君) テロ対策の取り組みについてお答えいたします。
 警視庁では、テロの未然防止を図るため、関連情報の収集分析と警戒警備、テロリスト等の上陸を阻止するための入国管理局等との連携による水際対策、手製の爆発物を製造する事案を防止するための化学物質の販売事業者への対策等を強力に推進しております。
 また、伊勢志摩サミット、東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、機動隊の緊急時初動対応部隊など専門部隊による実践的訓練や、装備資器材の高度化等により、テロ対処能力の向上を図るとともに、警察と民間事業者や地域住民等とが緊密に連携して行う官民一体の日本型テロ対策を積極的に推進しております。
 先般のフランス・パリにおける同時多発テロ事件を受けまして、関連情報の収集及びフランス関連施設を初めとする重要施設の警戒を強化しております。また、東京国際空港における警備の専従部隊である空港テロ対処部隊による警戒など、水際対策を徹底するとともに、公共交通機関やソフトターゲットとなり得る大規模集客施設等において、施設管理者と連携した警戒を強化しております。
 今後も、組織の総合力を発揮して、首都東京におけるテロ対策に万全を期してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校改革についてでございますが、都立高校には、多様な生徒がそれぞれの夢や希望を持って入学しており、これらの全ての生徒を真に社会人として自立した人間に成長させていく責務がございます。
 そのため、都教育委員会は、時代の変化による新たな課題にも対応した、都民の期待に応えられる都立高校の実現に向けて、これまでの枠組みにとらわれない施策の見直しを行い、本年度中に新実施計画を策定してまいります。
 この計画に基づき、学び直しのための学習環境の充実や、ICTの効果的な活用に関するモデル校の指定など、教育内容の改善、充実を図ってまいります。また、定時制課程や専門高校の改善、語学力や豊かな国際感覚の醸成に力を入れる小中高一貫教育校の設置など、教育の使命である人格の完成を目指した広範な取り組みを強力に推進してまいります。
 次に、理数分野の人材育成についてでございますが、科学技術立国日本のさらなる発展に寄与するためには、将来の科学技術の基盤を支え、イノベーションの創出に大きな役割を果たす人材を育成することが重要でございます。
 都教育委員会は、富士高校及び附属中学校を理数アカデミーに指定し、高度なテーマに挑戦する探求学習の充実や海外の大学等での研修の実施、国際科学コンテストへの挑戦など、六年間の系統的な理数教育を推進してまいります。
 また、進学指導重点校の戸山高校で、医学部を目指す生徒を対象に、医学生との交流や病院の職場見学等、医療への志を育成するプログラムを実施してまいります。
 こうした取り組みを通して、理数教育のさらなる充実を図り、我が国の技術進歩や産業発展に貢献できる人材の素地を育成してまいります。
 最後に、高校における発達障害教育についてでありますが、高校の発達障害の生徒は、学習障害や他者とのかかわりに関する障害などによる学校不適応から、不登校や中途退学につながる場合があり、障害の状態に応じた適切な指導、支援が不可欠でございます。
 このため、都教育委員会は、生徒の状況に配慮した社会性の向上や職業的自立を目的とする学校設定教科、科目を開発するとともに、学習のおくれに不安を抱く生徒等に対し、放課後や土曜日に学校外での特別な指導を行うなど、これまでにない多様な施策を検討してまいります。
 これらの取り組みにより、中学校からの切れ目のない適切な指導等を行うことで、発達障害の生徒の持てる力を最大限に伸ばし、将来の自立と社会参加を実現してまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 三点の質問にお答えいたします。
 まず、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、都は、沿道建築物の耐震改修実績やこれまでに得られた診断結果に基づき、大震災時に建築物が倒壊し、道路が閉塞される状況について、シミュレーションを行いました。
 その結果、緊急車両が都県境から都内の各防災拠点まで、迂回しながらも特定緊急輸送道路だけを通って到達するためには、耐震性が特に低い建築物を解消し、全体の耐震化率を九〇%まで引き上げる必要があることがわかりました。
 この検証結果を踏まえまして、年度内にオリンピック・パラリンピック大会開催までの目標を明らかにいたします。最終的には、沿道建築物全ての耐震化に向けまして、耐震改修促進計画を改定し、災害に強い都市の実現に取り組んでまいります。
 次に、沿道建築物の耐震化に係る広域連携についてでございますが、大震災の発生時におきましても、首都機能を維持し、速やかな復旧、復興を図るためには、隣接する県や主要都市と一体となって、緊急輸送道路の機能を確保していく必要がございます。
 このため、先月、都と同様に耐震診断を義務づけている横浜市や川崎市に働きかけまして、都県境をまたぐ道路の沿道建築物を対象とした耐震化の連携方策や、より効果的な普及啓発のあり方などについて意見交換を行ってまいりました。
 引き続き、こうした取り組みを九都県市の他の自治体にも広げて、広域的な観点からも、災害対応時に大動脈となる緊急輸送道路のネットワークの構築に取り組んでまいります。
 最後に、都市計画道路の新たな整備方針についてでございますが、これまで都は、おおむね十年ごとに事業化計画を策定し、これに基づき、区部環状道路や多摩南北道路など、都市計画道路の整備を計画的かつ効率的に進めてまいりました。
 新たな整備方針では、これまでの成果を踏まえ、骨格幹線道路をおおむね完成させるとともに、都県間を結ぶ道路網の拡充等を目指して、優先的に整備すべき路線を示してまいります。
 また、区部、多摩を合わせた東京全体のネットワークが形成されることを前提といたしまして、都市計画区域内の建築制限の緩和や優先整備路線に選定しない路線の今後のあり方等についても明らかにいたします。
 年内には、これらの内容を盛り込んだ整備方針案を公表し、幅広く意見を聞いた上で、年度末までに新たな整備方針として取りまとめます。
〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) テロ災害への取り組みについてでありますが、東京消防庁では、同時多発的に多くの負傷者が発生する災害に対応するため、ハイパーレスキューを五部隊、NBC災害の専門部隊を九隊配置するとともに、来年一月には、消防ヘリコプターの機動力をもって災害現場へ迅速に隊員等を投入できるエアハイパーレスキューを発隊させることとしております。
 また、平素から東京DMATなどの関係機関と連携し、テロ災害を想定した実戦的な訓練を継続することによって、災害活動能力の強化を図っております。
 さらに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の開催も見据え、即応体制や情報収集体制の強化を図るとともに、最新技術を取り入れた装備資器材を検討するなど、世界一安全・安心な都市東京の実現に向け、テロ災害への対応に万全を期してまいります。
〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公共工事の担い手を確保する取り組みについてでございますが、都民生活の利便性、快適性の向上や安全・安心な都市の実現を支える社会資本を安定的かつ持続的に整備し、その品質を確保していくためには、公共工事の将来を担う人材を確保することが不可欠でございます。
 そのため、都は、こうした社会資本整備の担う役割や技術の継承の重要性を踏まえ、発注者として、現場に新たな人材を受け入れ、育成していくための環境整備に向けた取り組みを一層推進してまいります。
 具体的には、都が発注する工事の中で、女性や若者の現場進出を支援する取り組み、高度な建設技術を発信する取り組み、週休二日制の推進に向けた取り組みなど、モデルとなる事業を平成二十七年度中から順次実施してまいります。
 次に、工事発注時期の平準化に向けた取り組みについてでございますが、特定の時期に集中する工事発注を平準化することは、事業者の受注環境を安定させるとともに、都民生活を支える社会資本を将来にわたり持続的に整備する上で重要でございます。
 また、中小企業を初めとした現場技術者の労働環境改善など、改正品確法の理念である公共工事の品質確保の担い手を中長期的に育成、確保することにも結びついてまいります。
 そのため、都は、十二カ月未満の工事にも債務負担行為を適用し、発注時期をずらすなど、これまでの制度改革の成果を活用し、庁内連携のもと、発注件数のピークを下げる数値目標を新たに設定することで、より実効性のある平準化に向けた取り組みを進めてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、指定管理者制度における監理団体の活用、指導についてでございます。
 長期ビジョン等の実現には、施設を担う監理団体が一層質の高いサービスを安定的に提供できるよう、技術、ノウハウの継承等の観点を踏まえた取り組みが必要でございます。
 そこで、災害に備え、地元自治体や警察、消防、自衛隊等との継続的な協力体制の確保が求められる防災公園や、高度な庭園管理技術の長期的な継承等が必要な文化財庭園など、上程いたしました百六十四施設のうち、監理団体が運営する特に主要な政策と連動した五十三施設について、標準の指定期間を五年から十年にするとともに、中間の五年目を目途に事業計画を見直す仕組みを導入いたしました。
 こうした制度のもと、各局と連携して指導を強化し、都民本位で高品質の施設運営を実現してまいります。
 次に、犯罪被害者等支援計画についてでございます。
 都はこれまでも、全庁を挙げて犯罪被害者等の支援に取り組み、総合相談窓口の運営のほか、性犯罪等被害者のワンストップ支援や普及啓発を着実に進めてまいりました。一方で、本年実施した実態調査では、被害者や支援団体等から、支援策のさらなる充実や社会における理解促進を望むとの意見も上がっております。
 こうした声を踏まえ、都はこのたび、新たな支援計画の素案を公表いたしました。素案では、性犯罪等被害者の精神的ケアの充実や民間団体等と連携した啓発事業の実施、身近な区市町村窓口における対応マニュアルの作成など、被害者の視点に立った取り組みを掲げております。
 これらの取り組みをさまざまな主体との連携のもとに進め、犯罪被害者等を社会全体で支える支援を実現してまいります。
〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、マイナンバー制度の導入に伴う個人情報の保護についてですが、都は、これまでの個人情報保護制度よりも厳しい制限を設けている番号法に対応し、個人番号を含む個人情報について、本人同意があっても法律で定める事由以外には利用を認めないなど、厳格な取り扱いを定める新たな条例案を本定例会に提案してございます。あわせて、個人番号を取り扱う上でのリスクやその対策について行政みずからが評価する制度をこの条例に盛り込み、適切に運用してまいります。
 さらに、「広報東京都」への掲載や説明会の開催などにより、都民や事業者の方々がマイナンバー制度を正しく理解し、個人番号の管理など個人情報が適切に保護されるよう、普及啓発に取り組んでまいります。
 次に、都立文化施設における伝統芸能公演の場の整備についてですが、多くの人々が伝統芸能の魅力に触れ、より理解を深めるとともに、一流の実演家が若手に芸を継承する機会を創出するため、伝統芸能公演を行う場を充実させることは重要であり、既存の都立文化施設を活用して整備することが必要と認識しております。
 江戸東京博物館は、江戸東京の活力ある歴史と魅力的な伝統文化を伝える施設であり、国内外の観光客が数多く訪れております。この江戸東京博物館の特性を生かし、既存のホールを伝統芸能公演も行えるよう必要な改修を行ってまいります。
 大ホールは日本舞踊や邦楽などの本格的公演も可能な場として、小ホールは邦楽や落語などの若手実演家の発表等の場として整備し、積極的に活用を図ってまいります。
〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小河川整備の取り組みについてでございますが、集中豪雨等による水害から都民の生命と財産を守るには、河川整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 このため、時間五十ミリまでの降雨は護岸整備を基本に、それを超える降雨には道路や公園等の公共空間を活用した新たな調節池等で対処いたします。
 具体的には、浸水被害のあった神田川など五流域で、平成二十八年度に五施設の工事着手を目指しております。例えば、時間百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮する環七地下広域調節池については、八月に住民説明会を計四回開催し、今月中に都市計画決定、今年度末に事業認可を取得するなど、工事着手に向けた取り組みを加速してまいります。
 現在二十六河川で進めている護岸整備とあわせ、今後とも中小河川の水害対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、防災船着き場を活用した舟運の活性化についてでございますが、東京の豊かな水辺環境を楽しみながら快適に移動できるよう、舟運の魅力を高めることは重要でございます。
 このため、国や区と連携して、既設六十一カ所の防災船着き場を九十四カ所へ拡大することに合わせまして、ニーズの高い箇所では民間の観光船等への一般開放を図ってまいります。
 例えば、両国では、既設の防災船着き場に加えて小型船舶も利用しやすい船着き場を、また築地においても、市場移転後、川沿いのテラスや船着き場を新たに整備し、活用を図ってまいります。これにより、隅田川と日本橋川や江東内部河川、港湾エリアなどとを結ぶ舟運ルートの拡大を促してまいります。
 船着き場使用料等の課題につきましても、各管理者と連携し、検討を進めながら、都民や多くの観光客が満足できるよう、舟運を生かした水辺空間の魅力向上に努めてまいります。
 最後に、今後の土砂災害対策についてでございますが、土砂災害から都民の命を守るには、砂防堰堤の整備等のハード対策と、円滑な避難行動を促すソフト対策を、両面から着実に推進することが重要でございます。
 ソフト対策は、平成三十一年度の指定完了を目指し、これまでに土砂災害防止法に基づき約八千七百カ所の警戒区域を指定し、警戒避難体制の整備を促進しております。
 一方、ハード対策は、時間と費用を要することから、緊急性を考慮して対策を進める必要がございます。そのため、関係各局による検討委員会を今月設置し、専門家の意見も聞きながら、緊急性を評価する手法を今年度内に定めてまいります。その後、区域指定が進捗している多摩地域から評価を行い、地元自治体と連携し、ハード対策を計画的に推進してまいります。
 今後とも、土砂災害対策に全力で取り組んでまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 今後の給水所整備についてでありますが、水道局では、平常時の安定給水はもとより、事故時等のバックアップや震災時の給水拠点となる給水所につきまして、これまで、配水区域の再編などとともに、非常時の水道水を確保するため、順次、新設、拡充を進めてまいりました。
 しかしながら、首都直下地震の切迫性が指摘される中、依然として区部においては、配水区域が広大な地区や配水池の容量が不足する地区が存在するなどの課題があることは、お話のとおりであります。
 そこで、給水の安定性を速やかに向上させるため、配水区域の分割や必要な容量の確保を行うための給水所整備につきまして、現在策定中の新たな経営プランに反映してまいります。
 今後とも、万全な危機管理のもと、強固で強靭な水道施設の整備を行うことにより、首都東京の安定給水を確保してまいります。
〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 交通安全対策についてでございますが、交通死亡事故が多発した昭和三十年代以降、交通安全教育、指導取り締まり、道路や車両の安全性向上などの対策に、都、警視庁、民間事業者、ボランティア等が官民一体で取り組みました結果、交通事故死者数は大幅に減少いたしました。
 しかしながら、本年は、死者数が、現行の都交通安全計画で掲げました百五十人未満という目標を既に上回っているほか、いまだ子供が犠牲となる悲惨な交通事故などが後を絶たないところでございます。
 このため、新たな計画の策定に当たりましては、交通事故の総量抑制及び死亡事故のさらなる減少を図るため、子供や高齢者などの年齢層に応じた対策や、自転車安全利用の強化など、より実効性の高い対策を盛り込むとともに、警視庁を初め関係機関等との連携を一層強化し、世界一安全・安心な都市東京の実現を目指して取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子供・子育て支援総合計画の推進についてでありますが、計画では五つの目標のもとに、福祉、保健、医療、雇用、教育など、さまざまな分野から成る二百六十七の事業を盛り込み、具体的な数値目標を定めております。
 これらの事業実績は、都民や事業者などで構成される東京都子供・子育て会議に毎年度報告し、ご審議いただくとともに、中間年度の平成二十九年度には、区市町村の状況も踏まえ、数値目標を見直すこととしております。
 また、事業の成果につきましては、子供・子育て会議の意見も踏まえ、評価指標を設定し、分析した結果を、三十二年度からの次期計画に反映させる予定でございます。
 こうした取り組みによりまして、計画の進捗状況や効果を定期的に検証しながら、教育、保育の充実、子育てしやすい環境の整備など、子育て支援策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、家庭的養護の推進についてでありますが、本年八月に設置した児童福祉審議会専門部会では、養育家庭の里親や元里子、里親支援機関などからのヒアリングも含め、これまで四回にわたり、都における家庭的養護と児童相談所の現状、養育家庭の開拓と資質の向上、支援体制の強化などについて議論を行っております。
 また、十月には、早急に取り組むべき事項として、四つの項目について提言をいただきました。
 提言には、養育家庭の登録への動機づけとなる広報の展開、養育家庭等に対する実践的な研修や専門的な支援の実施、東京の実情を踏まえたファミリーホーム等の設置促進策の充実、児童福祉司等の増員による児童相談所の支援体制の強化などが盛り込まれており、今後、家庭的養護の推進に向け、具体的な施策を検討してまいります。
 次に、地域包括ケアシステムの構築についてでありますが、本年七月に設置した地域包括ケアシステムの在り方検討会議では、これまで六回にわたり、医療と介護、介護予防と生活支援、高齢期の住まい方の三つのテーマごとに、各分野の専門家から話を伺い、意見交換を行っております。
 十月に取りまとめられた中間のまとめでは、人口構造の転換や介護需要の増大といった東京を取り巻く状況を踏まえ、多様なみとりの場の確保やロボット介護機器の効果的な活用、住民主体の健康づくりの推進など、テーマごとに課題や対応策が示されており、都は現在、その具体化に向け、施策の検討を進めております。
 年度末には最終報告をいただく予定であり、今後、検討会議の議論も踏まえながら、東京にふさわしい地域包括ケアシステムの構築に向けた施策の充実を図ってまいります。
 最後に、認知症対策についてでありますが、都はこれまで、認知症の方が状態に応じて適切な支援を受けられるよう、認知症疾患医療センター等の医療提供体制の整備や、介護、医療サービスを担う人材の育成、医療と介護の連携などに取り組むとともに、さまざまな機会を通じて都民への普及啓発を行ってまいりました。
 検討会議では、現在の課題として、認知症の診断を受けていない方や初期の認知症の方への支援が不足していること、専門職の間で認知症ケアの手法に関する共通理解が十分でないことなどが指摘されております。
 今後、検討会議での議論も踏まえ、認知症の初期段階からの支援や在宅生活支援モデルの構築、若年性認知症の方への支援など、認知症対策を一層推進するための具体的な方策を検討してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 今後の資源循環施策についてでございますが、先日公表された、廃棄物審議会による廃棄物処理計画の改定に向けた中間のまとめでは、廃棄物の減量や3R施策のさらなる促進により、良好な都市環境の次世代への継承に加え、資源採取の段階から環境に配慮するための持続可能な資源利用への転換を施策の大きな柱として掲げることが提言されております。
 また、これらの提言を実現するためには、区市町村とのより一層の連携が重要であることから、都は、本年三月に共同で設置した検討会において、新たなリサイクルのルールづくりなどに向けた検討を重ねております。
 現在行っているパブリックコメントの結果も踏まえ、今年度末をめどに廃棄物処理計画を改定し、東京を世界一の環境先進都市としてまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) スマートプラン二〇一四の取り組みについてでございますが、下水道局では、本プランに基づき、再生可能エネルギーの活用拡大や省エネルギーのさらなる推進を図り、エネルギー使用量を削減しております。この取り組みは、温室効果ガス削減に寄与するもので、当局が地球温暖化防止を目的に策定したアースプラン二〇一〇と整合を図って進めております。
 一方、今後は、下水道サービスの向上によるエネルギー使用量の増加が見込まれるため、目標の達成には、平成三十六年度時点で、再生可能エネルギーと省エネルギーの取り組みを電力量換算で約三億キロワットアワー、一般家庭約八万五千世帯分まで拡大する必要がございます。目標達成に向け、エネルギー自立型汚泥焼却システム等の新技術の導入や、さらなる運転管理の工夫により、再生可能エネルギーなどを拡大し、温室効果ガス削減に積極的に貢献してまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、中小企業の海外販路開拓についてでございますが、中小企業が海外市場の獲得に果敢に挑戦し、勝ち抜いていくためには、多面的な支援の強化が必要でございます。
 このため、都は、海外展開を目指す企業向けに、個別相談の実施や海外ビジネス経験の豊富な民間企業OB等を活用した事業計画の策定支援について検討してまいります。
 また、企業の現地での活動を支援するため、アジアの重要拠点であるタイのバンコクに、今月、中小企業振興公社の事務所を開設いたします。本年四月に設置をいたしました産業技術研究センターのバンコク支所とともに、現地での経営や技術相談のほか、展示会出展支援の拡充を図ってまいります。
 金融面では、金融機関と海外ビジネスの実務ノウハウを有する支援機関とを結びつけ、海外展開の構想段階から資金調達まで、一貫して支援する新たな制度も検討いたします。
 次に、東京ビッグサイトの代替展示場等の確保についてでございますが、ビッグサイトについては、二〇二〇年大会でのメディアセンターとしての使用に伴う展示会開催への影響に対応することや、大会を契機とした産業振興を図る観点から、現在、施設の拡張や仮設展示棟の整備を進めております。
 このたび、二〇二〇年大会によるビッグサイトの利用制約期間が明らかとなったことを踏まえ、都はビッグサイトと連携し、関係者への迅速な情報提供を行うとともに、その影響を最小限とするべく、展示会ごとの実情を踏まえた開催時期や利用面積の調整、他の国内施設への受け入れ要請など、きめ細かな対応を進めてまいります。
 これに加え、さらなる代替展示スペースや大会後も見据えた車両待機場の確保に向け、周辺の未利用地などの活用も含め、あらゆる方策を検討してまいります。
 次に、職場における女性の活躍推進についてでございますが、女性が仕事を通じて活躍するためには、能力を発揮して働き続けられる職場環境の整備が重要でございます。
 このため、都は今年度から、女性の能力発揮を推進する社内責任者の育成とともに、事業所における更衣室など、ハード整備に対する支援を開始いたしました。
 今後、企業の理解をさらに進め、取り組みをより一層進めていくため、社内で中核となる人材への研修機会を拡充するとともに、建設現場での女性用仮設トイレなど、職場の実態を踏まえた労働環境の整備、充実についても検討をしてまいります。
 引き続き、ソフト、ハード両面から、中小企業に対する支援を進め、女性が生き生きと活躍できる職場環境の実現に向け、取り組んでまいります。
 次に、非正規雇用者の社内での正規雇用転換についてでございます。
 東京を持続可能な成長軌道に乗せるためには、産業の担い手である中小企業を人材確保の面から支えるとともに、働く方々の雇用の安定を図ることが重要でございます。
 都は、非正規雇用対策として、今年度から社内での正社員転換の取り組みに対して、国の助成金に上乗せをして、最高五十万円を支給する事業を開始し、既に当初想定をしていた規模を大幅に上回る申請が出されております。
 今後、中小企業で高まりつつある正社員転換の動きを加速させるため、適切な事業規模の設定や、中小企業退職金共済制度を活用した企業負担の軽減についても検討をしてまいります。
 引き続き、非正規対策を推進し、中小企業における人材確保と安定した雇用環境の実現に取り組んでまいります。
 次に、リフトつき観光バスの導入等についてでございますが、パラリンピック大会のレガシーとして、車椅子を使う障害者や高齢者が、観光バスにより都内で観光を楽しむことができる環境を整備していくことは重要でございます。
 これまで都は、宿泊施設を快適に利用できる環境の整備に向け、スロープの導入や手すりの設置などの施設改修に要する費用への助成を行ってまいりました。
 今後は、車椅子のまま乗りおりのできるリフトつきの観光バスの導入を広げるための方策を検討いたします。また、駐車場所や観光スポットまでの円滑な移動ルートの整備等に加え、地域での協力体制をつくり上げる取り組みへの支援についても検討してまいります。
 こうした対応を総合的に展開し、障害者や高齢者の旅行環境の充実に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、日本各地と連携した産業振興についてでございますが、東京、さらには日本全体の経済を活性化していくため、先般、ALL JAPAN & TOKYOプロジェクトを取りまとめて公表をいたしました。現在、全国四十六の道府県庁や商工団体を順次訪問し、今後の連携策の具体化について協議を行っております。訪問団体からの意見を踏まえ、さらに施策をブラッシュアップすることにより、各地との協力関係を構築してまいります。
 また、国との間においても、大会を契機に、全国の中小企業のビジネスチャンス拡大を図る取り組みについて、都と中小企業団体等で構成する協議会に関係省庁の参画を得るなど、協力体制を強化いたしました。
 今後もオールジャパンの力を結集させ、日本の各地と連携した産業振興策を力強く進めてまいります。
 最後に、多摩産材の利用拡大についてでございますが、林業事業者の経営基盤強化を図る上で多摩産材の利用を拡大することは、林道等の基盤整備とあわせて大変重要でございます。
 このため、都では、保育園等における内装の木質化や木製遊具の整備等への支援に加え、多摩産材情報センターにおいて、建設事業者等に対し、木材の調達方法等に関する情報発信を行ってまいりました。
 今後は、多摩産材の認知度向上に向け、多くの都民が訪れる都関連施設や民間商業施設等での利用を促進するとともに、木造住宅での利用につなげるための住宅展示場を活用したPRや、建築士向けの木材利用に係る技術講習会の開催など、利用拡大に向けた多様な施策を検討してまいります。
〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、京浜三港の連携についてでありますが、三港連携は、京浜港の国際競争力強化に大きな役割を果たしてきたと認識しております。
 これまで京浜三港は、利用者が実質的な一港化のメリットを享受できるよう、三港に連続して寄港した場合に、一港分の料金しか徴収しない入港料一元化を実施するなど、三港一体となった取り組みを進めてまいりました。
 今後は、三港の健全な競争と連携のもと、これまで実施してきた取り組みを着実に継続していくとともに、京浜港において一層求められる危機管理対策や広域交通ネットワークの充実強化など、連携の取り組みを加速させ、京浜港全体の発展に向けて力を尽くしてまいります。
 次に、クルーズ客船誘致についてでありますが、クルーズ客船の寄港は、国際観光都市東京の地位向上や乗客の消費などによる大きな経済効果をもたらすため、都としてその誘致に積極的に取り組んでまいります。
 東京港への需要を確実に取り込んでいくためには、繁忙期に複数の客船が入港する場合などにも着実に対応していかなければなりません。
 そのため、二〇二〇年までに大型クルーズ客船に対応可能な新客船ふ頭を整備し、それ以降、さらに岸壁の延伸、客船ターミナルの拡張などを行い、海外主要港と同様、二そうの客船を接岸できる体制を目指してまいります。
 今後、国内外から多くの観光客にクルーズ客船で東京を訪れていただくとともに、新客船ふ頭それ自体を、人々が集いにぎわう施設とし、東京港をクルーズの一大拠点へと成長させてまいります。
 最後に、魅力的な水辺づくりに向けた取り組みについてでありますが、水辺は、東京の都市のまち並みに彩りを与え、人々に潤いと安らぎをもたらす貴重な空間であり、都市の魅力を高める上で重要な資源であります。
 このため、都は、民間と連携し、舟運の活性化にも相乗効果をもたらす水辺空間の魅力向上に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。
 具体的には、水辺ににぎわいと憩いの場を創出するため、オープンカフェを設置できるよう、現行の規制を緩和してまいります。また、運河沿いのライトアップや緑化を推進するとともに、マンションや商業施設など、民間開発と連携したウッドデッキの敷設や広域機能を持つ遊歩道の整備などを促進いたします。こうした取り組みを通じ、二〇二〇年とその先を見据え、水の都東京の国際的プレゼンスを高めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、来年のリオ大会開催期間中におけるライブサイトについてでございますが、多くの都民がオリンピック・パラリンピックの生中継を観戦し、大会の興奮と感動を楽しむことができるライブサイトを、都内では上野恩賜公園及び国営昭和記念公園において開催いたします。さらに、東日本大震災の被災三県でも開催をいたします。
 各会場では、大画面による迫力ある生中継を中心に、ステージイベントやパラリンピック競技体験、最新技術を活用した体験型のコンテンツなど、魅力的なプログラムを提供できるよう、組織委員会などと調整してまいります。加えて、区市町村などと連携し、身近な地域でも、ともに観戦し応援できる場を提供してまいります。
 こうした取り組みにより、二〇二〇年大会に向け、映像通信、会場運営、ボランティア活動などのノウハウを蓄積するとともに、開催機運の盛り上げにつなげてまいります。
 次に、フラッグを活用した機運醸成の取り組みについてでございますが、来年のリオ大会終了後におきましては、次の二〇二〇年東京大会に向けた期待感を広く都民、国民と共有し、高めていくことが重要でございます。
 そこで、オリンピック・パラリンピックの両閉会式におきまして、リオ市長から東京都知事に引き継がれたオリンピックの旗、パラリンピックの旗が国内に到着した際に、これを歓迎する装飾や式典を行いますとともに、東京大会独自の取り組みとして、フラッグツアーを実施いたします。
 具体的には、オリンピック・パラリンピックの象徴である旗のもとで、二〇二〇年に向けた一体感を創出するイベントやシンポジウムなどを、区市町村などと連携してリレー形式で展開をしてまいります。また、東日本大震災の被災地を皮切りに、全国でも展開し、オールジャパンで開催機運を盛り上げてまいります。
 最後に、レガシーを見据えた二〇二〇年大会に向けた都の取り組みについてでございますが、まず、選手村につきましては、水素社会のモデルにするとともに、大会後には、外国人や高齢者なども含めた多様な人々が交流し、快適に暮らせる機能を導入してまいります。
 また、障害者スポーツの拠点を拡充していくため、特別支援学校を一層活用するなど、場の整備を進めてまいります。さらに、ラグビーワールドカップ二〇一九と連携したボランティアの育成や、都民参加による機運醸成に取り組んでまいります。
 このほか、アクセシビリティーの向上、文化プログラムの展開、オリンピック・パラリンピック教育の推進、暑さ対策の実施、被災県でのライブサイトの設置など、多岐にわたる取り組みを進めてまいります。
 今後、都議会や都民の皆様の意見も踏まえまして、さらに内容を深めるとともに、大会に向けた工程表を取りまとめ、年内を目途に明らかにしてまいります。

○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩

   午後三時三十分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番橘正剛君
〔百七番橘正剛君登壇〕

○百七番(橘正剛君) 都議会公明党を代表して質問を行います。
 質問に先立ち、十一月三十日に逝去されました名誉都民水木しげるさんのご冥福を心からお祈り申し上げます。
 また、十一月十三日には、友好都市であるパリ市の中心部や近郊で悲惨な同時多発テロ事件が発生しました。犠牲になられた方々とそのご家族の皆様に謹んで哀悼の意を表するものであります。
 質問に入ります。
 アジア諸国が目覚ましい発展を続ける中で、日本は新たな成長モデルの構築を迫られております。
 そうした中で東京は、技術力の高い中小企業が豊富で、付加価値とブランド力のポテンシャルは非常に高いものがあります。
 また、観光や医療などの幾つかの分野においても大きな成長力を持っており、そうしたポテンシャルを都として積極的に活用するための改革に挑むべきであります。
 また、都民一人一人が輝くことのできる環境を整えることが東京の総合力を高め、今後の新たな発展につながると考えます。
 都議会公明党は、そのために必要な政策、制度、施策を東京の都市改革と位置づけ、提案や主張を積極果敢に展開してまいりたいと考えております。
 以下、その観点から、何点か質問いたします。
 まず、芸術文化を基軸とした都市外交の推進であります。
 東京は、単に日本の首都であるとの見地に立つだけでなく、さまざまな観点から、世界のために貢献する取り組みを展開すべきであります。とりわけ、都市外交は、都市を標的としたテロ行為が横行するような情勢であるからこそ、なおのこと重要です。
 そうした中で、舛添知事は、先日のパリ出張の際、パリ市長や美術館などとの交流を深めたと聞いております。海外の都市を直接訪問し、友好を深めるとともに、その後も在京大使館などを通じ継続的な交流を促進し、都市間交流の礎を確たるものにする必要があります。
 例えば、一九六四年のオリンピック・パラリンピック東京大会を契機に結成された東京都交響楽団も本年五十周年を迎え、この十一月も欧州五カ国六都市で記念公演を成功裏に終えたところでございます。
 二〇二〇年東京大会においても、そうした芸術文化面での取り組みを成功させ、世界中の人々を魅了し、後世へのレガシーにつなげていくことが重要と考えます。
 そこで、芸術文化面における今後の都市間交流を進めていくことについて、知事の所見を伺います。
 次に、働き方改革について質問します。
 少子高齢化が進展する中、将来的な労働力人口の減少を見据えれば、若者、女性、高齢者などあらゆる世代がみずからの希望に基づいて働き続けることのできる環境整備が必要です。
 ワークライフバランスを実現し、女性も男性も能力を発揮し、さらには育児や介護といった状況になっても働き続けることができるようにしなければなりません。その観点から、一部の民間企業では、テレワークの導入や自宅近くにサテライトオフィスを設置するなど、職住近接の取り組みも進められております。
 女性や高齢者、若者など、誰もが生き生きと活躍できる社会の実現に向けて、東京の働き方改革は避けて通ることのできないテーマだと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、働き方改革に関連して、委託契約のあり方について質問します。
 先日、東京都発注の設計業務委託において、信じられないような低入札価格での落札事例がありました。いわゆるダンピングは、正式に認められる落札においても一部の業務委託で発生しがちであり、こうした低価格競争が事業者の経営を圧迫し、ひいては賃金の抑制や未払いなどにもつながっていると仄聞しております。
 都は、将来にわたる業務の品質の確保のため、その事業を担う事業者や、そこで働く労働者の就業環境にも配慮すべきです。これは、公共工事を対象とした、いわゆる改正品確法の基本理念にもうたわれており、業務委託にも通じるものと考えます。
 そこで、都は発注者として、事業者の中長期的な育成、確保を初め、都民の信頼の上に立って、契約の透明性、競争性、品質の確保という社会的要請を満たしながら、業務委託における最低制限価格制度を導入すべきと考えます。都の所見を求めます。
 次に、都内中小企業の海外展開のあり方について質問します。
 ポテンシャルの高い都内中小企業の技術、製品が売り上げを高めていくためには、海外市場での販路開拓が重要です。ただし、生産拠点まで海外に移転していくような事態は、できる限り回避しなければなりません。そうした難しいかじ取りに東京は積極果敢に挑戦すべきであります。
 まず、海外での販路開拓を効果的に進めていくためには、現地の事情に精通し、情報発信力や購買ニーズの把握力にすぐれた企業や個人等のネットワークを活用することが重要であります。
 そうした意味で、現地で活動する金融機関やコンサルティング会社を初め、現地のニーズや流行などに敏感な企業や人材などと連携して、都内中小企業の販路開拓を効果的に進めるべきと考えます。都の見解を求めます。
 一方で、生産拠点が続々と国外に移転し、果ては本社機能まで移転してしまうことになれば、国内産業の空洞化が進み、都内での働き場所まで失われ、地域の活気や消費に影響を及ぼしかねません。そうした事態を放置すれば、やがては競争力の源泉である基盤技術が失われ、新産業を生み出す力も弱まってしまいます。
 都内において継続して操業できるよう支援策を重ねていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、空き家対策について質問します。
 都内の空き家戸数は約八十二万戸に増加し、今後、人口減少が見込まれる中、空き家がさらに増加するものと想定されております。
 空き家の活用は、景気や防犯対策のみならず、各種施策の新たな推進策や住まいの質の向上につながる大事な視点であります。
 国においては、空家等対策特別措置法が制定され、区市町村が老朽空き家の所有者に対し、修繕や除却の指導や勧告などを行うことができるようになりました。都民の安全・安心な暮らしのためには、老朽空き家の除却は重要でありますが、一方で、有効に活用することも必要であります。
 知事は、今定例会の所信表明で、高齢者福祉や子育て支援の拠点への転用などは、空き家を都市の貴重な資源へと生まれ変わらせる有効な手段であるとの見解を示しました。利活用可能な空き家については、地域の実情に応じて、高齢者の住まいや地域の活性化に役立つ用途に活用していくことも重要と考えます。都の取り組みを伺います。
 戸建ての空き家だけでなく、共同住宅における空き室も増加している中で、特にエレベーターのない中層の共同住宅では、上層階ほど空き室化が進んでおります。こうした住棟において空き室化の抑制を図るためにも、都は、共同住宅の共用部分のバリアフリー化を促進する支援策を講じるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、東京港の経営について質問します。
 東京港は、十七年連続でコンテナ貨物取扱個数が日本一になるなど、我が国の産業と住民の暮らしを支える重要な役割を今も担い続けております。東京港がその役割を今後も維持し、さらに必要な機能アップを着実に果たし続けていくことこそが、今後の東京改革に欠かせない条件でもあります。
 そもそも、東京港が今日まで多様なニーズに応え、その機能を十分発揮できているのは、現場を熟知した港湾関係者と都議会、港湾管理者である都が一体となって幾多の困難を乗り越え、さまざまな物流動向の変化に柔軟かつ的確に対応してきたからであります。
 一方、京浜三港においては、昨今、それぞれの港のふ頭会社を経営統合する港湾運営会社の設立が課題となっております。
 我が党はこの動きに対し、現場の方々の声を十分に聞きながら、慎重に対応すべきと都議会の場で繰り返し主張してまいりました。
 このたび提出された都の報告によりますと、横浜港と川崎港が先行して港湾運営会社を設立するのに対し、東京港は、現時点では港湾運営会社の設立に参加しないとの結論に至ったとのことであります。
 今回の報告で大事なことは、東京港は独自性を保ちながらも、今後も国際戦略港湾である京浜港の一員として、引き続き、国や他の京浜二港と連携し、国際競争力の強化に取り組むとしている点であります。
 中央防波堤外側のコンテナターミナルや臨港道路南北線など、東京港の機能アップに必要な整備が推進され、物流機能の改善、強化が一層促進されるものと期待いたします。
 今回の合意は、京浜港関係者にとって、現在考え得る最善の策ではないかと評価いたします。
 そこで、こうした新たな局面を迎えた中、東京港の望ましい発展を確実にしていくための港湾経営のあり方について、改めて知事に所見を伺います。
 次に、海辺や港の活用について質問いたします。
 もともと東京は、舟運を大きなよりどころとして発展した都市であり、今も港湾機能の維持向上は東京の発展に欠かせない大事な課題であります。
 加えて、昨今は風光明媚な景観や趣味、娯楽の機会を創出する可能性のある空間として、東京港の存在価値が高まっております。
 二〇二〇年東京大会においても、トライアスロンやカヌー会場に東京港の一部が選定されたこともあり、都民が海と親しめる水辺空間として、ベイエリアの魅力の創出に関心が集まっております。
 この夏、都立葛西海浜公園やお台場海浜公園では、一部の海辺で都民が海水浴を楽しみました。また、親子でハゼを釣ろうというイベントも開かれ、にぎわいました。
 今、世界の諸都市が生態系に配慮した都市づくりを目指す中、二〇二〇年東京大会の開催を契機に、環境先進都市東京の一つの顔として、東京の海をふるさとの海として復活させ、未来に引き継ぐレガシーとするべきであります。
 葛西海浜公園やお台場海浜公園の地元区は、水辺の環境学習や海水浴イベントなどを開催し、NPOなどと協働して地域の水辺環境の保全や活用に取り組んでおります。
 都としても、海上公園に関する地元区などの活動を支援していくべきと考えますが、見解を求めます。
 また、東京の海を本格的に復元させるためには、東京湾に放出される都市下水の浄化処理の高度化等が重要であります。下水道局が推進してきたこれまでの水質改善の効果と、二〇二〇年東京大会に向けた今後の取り組みについて見解を求めます。
 次に、二〇二〇年パラリンピック東京大会を史上最高の祭典にするための取り組みについて質問いたします。
 二〇一二年パラリンピック・ロンドン大会は、二百七十万枚のチケットを完売するなど、観客動員数から見ても、これまでにない史上最高の大会となりました。英国でパラリンピック大会の機運が高揚した大きな原因の一つが、障害者の参画を前面に打ち出した大会運営にあったといわれております。
 ロンドン大会では、パラリンピアンをスーパーヒューマンズとたたえ、その写真をオリンピアンと並べて紹介するなど、ポスターやメディアを積極的に活用いたしました。
 また、障害者アートのイベントを各地で開催するなど、障害者の活躍の舞台を競技以外にも幅広く展開いたしました。
 史上初の二度目のパラリンピックを迎える東京では、ロンドン大会を上回る工夫を展開すべきであります。
 そこでまず、一人でも多くの障害者が、リポーターや会場アナウンサーなど、さまざまな分野のスタッフとして活躍できるパラリンピック大会とすべきと考えますが、見解を求めます。
 また、パラリンピック大会の機運をさらに醸成するため、より多くの都民が日ごろから障害者スポーツの競技や大会を観戦できるよう、都が主体的に情報発信に力を入れるべきと考えます。見解を求めます。
 加えて、開催都市として、特に集客力のある都の施設を選び、パラリンピアンの活躍の模様や競技内容などを紹介する展示コーナーを設け、都民の理解促進に取り組むべきでありますが、見解を求めます。
 このたび都は、都議会公明党の議会提案に応え、リオ大会のライブサイトを区部、多摩部、そして被災県で開催することを決定いたしました。迅速な対応を評価いたします。
 ライブサイトとは、大型ビジョンを中心としたアミューズメント的イベント会場のことであります。屋外会場となる場合も予想されることから、暑さ対策にも万全を期すべきであります。
 パラリンピックライブサイトの成功に向けた都の見解を求めます。
 一方、ロンドン大会を成功に導いた最大の功労者はボランティアといわれております。その活躍の記憶は、大会レガシーとして今も世界が高く評価するところであります。
 ロンドンでは、五輪招致の早い段階から、緻密に計画やコーディネートに取り組みました。とりわけ、年齢や性別だけでなく、障害者などのカテゴリーにおいても採用数の目標を決めたり、ボランティアの役割を明確にするなどの取り組みを通じて機運を高めました。
 その結果、二十四万人もの応募者があり、その中から七万人のゲームズメーカーと呼ばれるボランティアを育成し、大会を成功に導きました。
 都においても、日本のおもてなしを体現するボランティア文化の礎を築き、二〇二〇年東京大会の成功はもとより、後世に伝えるレガシーとすべきであります。
 そのためにも、都は東京大会に向けて、多様性に富んだ人々に参加してもらうことができるよう、早期にボランティアに関する総合ビジョンを策定していくべきと考えます。
 さらに、東京大会では、日本人によるボランティアだけでなく、日本語を話すことができ、母国語でもコミュニケーションがとれる在日外国人や留学生などにも協力してもらうなど、ボランティアの面でも国際色豊かなダイバーシティーを実現すべきです。あわせて見解を求めます。
 また、ボランティアの中でも、東京大会で中核となる人材の育成も重要な課題です。東京マラソンやラグビーワールドカップ日本大会などで活躍するボランティアを、例えば、ロード・ツー二〇二〇などと命名し、東京大会に結びつけていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、二〇一九年のラグビーワールドカップ日本大会について質問します。
 本年のイングランド大会では、日本代表の活躍が、日本のみならず世界のラグビーファンに感動と興奮をもたらしました。その四年後にラグビーワールドカップ二〇一九日本大会が開催されます。
 全国十二都市と並んで開催都市の一つである東京では、調布市内の東京スタジアムで開幕試合など主要な熱戦が展開されます。
 ラグビーワールドカップは、オリンピック・パラリンピックやサッカーワールドカップと並ぶ国際的なビッグイベントであり、日本大会の開催は、スポーツ先進都市東京を世界にアピールする絶好のチャンスであります。
 大きな経済効果も期待されております。翌年に控えた二〇二〇年東京大会と一体的に捉え、大いに盛り上げていかなければなりません。
 ラグビーワールドカップ日本大会の成功に向けた知事の決意を伺います。
 先般、ラグビーワールドカップのイングランド大会が開催されていた英国に、都議会の調査団の一員として、我が党を代表して派遣された議員の報告を聞きました。
 試合会場でラグビーの競技の激しさや迫力に圧倒される一方で、観客のマナーがすばらしく、競技場の内外では互いに譲り合う姿なども見受けられ、約八万人の客席の入退場が極めて安全かつスムーズに行われていたとのことであります。
 ラグビーの世界には、選手もファンも互いに尊重し合う気風があり、ラグビー文化というものを実感したとのことでありました。
 こうした文化を含め、日本ではラグビーというものが余り知られておらず、ルールを詳しく知っている人も多くありません。二〇一九年日本大会を盛り上げ、成功させるためには、何よりも、文化やルールも含め、ラグビーの魅力を都民に広く知っていただくことが大事であります。
 折しも来年二月からは、国際リーグ戦であるスーパーラグビーが始まり、多くの日本人選手が出場します。こうした機会も最大限に生かし、著名な選手が参加するイベントを都として開催するなど、開催各都市と連携し、ラグビーの普及に努めるべきです。都の所見を求めます。
 次に、主要会場となる東京スタジアムへの交通アクセスについて質問します。
 イングランド大会で約八万人の入退場がスムーズに行われていた背景には、ラグビー文化の存在とともに、鉄道やバスなど交通アクセスの充実があります。中でも、シャトルバスが有効に活用されていたとのことであります。
 翻って、東京スタジアムは、最寄りの京王線飛田給駅からのアクセスだけでは不十分な状況にあります。周辺のほかの駅や、新宿など都心と会場を結ぶシャトルバスの運行を検討するべきです。
 東京スタジアムへの交通アクセスについて、都の見解を求めます。
 シャトルバスの円滑な運行や利用者の安全な乗降を実現するためには、東京スタジアム周辺の土地の活用を含めた対策が必要であります。
 また、英国では、ラグビー競技場のグラウンドと観客席とが近く、選手と観客の一体感が高まるよう工夫されております。さらには、会場の内外でラグビーファンが試合前から飲食を楽しみ、社交の場となるホスピタリティー施設も充実しておりました。
 東京スタジアムにおいても、観客が一体感を持って試合を楽しめる工夫や、おもてなし施設の整備が重要と考えます。あわせて所見を求めます。
 次に、新国立競技場の整備について質問いたします。
 舛添知事は、今月一日の遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣、馳文部科学大臣との会談において、新国立競技場の整備経費のうち、約三百九十五億円を都が負担することで合意いたしました。
 我が党としては、二〇二〇年東京大会の成功に必要不可欠な新国立競技場が、大会の準備にきちんと間に合うように完成し、大会後も多くの都民が利用する価値あるレガシーを残す存在となることを強く期待するものであります。
 しかし、都が財源を負担することについては、法整備上の課題や、上限が設定されていないため、負担が増加して三百九十五億円を大きく超えてしまうのではないかとの懸念が指摘されております。また、国の要請を受けて合意した知事には、都民への説明責任もあります。
 そこで、都の負担を決断する際に、知事が判断基準とした点について見解を伺います。
 次に、都民の命を守る観点から、テロや災害対策について質問します。
 まず、テロについてであります。
 パリ同時多発テロでは、劇場や競技場など、いわゆるソフトターゲットが狙われ、多くの一般市民が犠牲となりました。
 今後、都においては、ラグビーワールドカップ日本大会や二〇二〇年東京大会を初め、国際的なイベントがめじろ押しとなります。首都東京がいつテロの攻撃対象になるとも限りません。テロから都民を守る危機管理をしっかりと確立していくことが喫緊の課題であります。
 そこで、都内で万一、テロが発生した場合、速やかに関係機関と連携し、都民の安全を確保するため、適切に対処しなければなりません。
 都の具体的な取り組みについて見解を求めます。
 近年、地球温暖化の進行に伴い、世界各地で異常気象が頻発し、記録的な豪雨などでとうとい命が失われ、家屋や農作物にも大きな被害が発生しております。都としても、気候変動対策に真剣に取り組む必要があります。
 現在、パリ市においてCOP21が開かれ、気候変動の危機を回避するための国家間の議論が行われております。
 先週四日には世界の都市や自治体の首長が集う、気候変動に関する首長サミットが開催され、気候変動問題に対する都市の対応と貢献が世界に発信されました。
 都はこのたび、CO2削減目標として、二〇三〇年までに三〇%削減という意欲的な数値を掲げておりますが、目標達成には実効ある対策が不可欠であります。
 また、CO2の削減は、国際社会全体で取り組んでこそ意味があります。そのため、都は今般、世界の主要都市の首長が温室効果ガスの削減を誓い合うコンパクト・オブ・メイヤーズに参加いたしました。
 そこで、この参加を機に、世界の気候変動対策に一層貢献していくべきと考えますが、都の参加の意義と今後の具体策について見解を求めます。
 次に、水害対策について質問します。
 ことし九月に関東、東北地方を襲った豪雨災害では、鬼怒川の氾濫により浄水場が水没したほか、水道管路が破損して給水がとまり、復旧まで長期間を要する事態となりました。
 中央防災会議では、マグニチュード七クラスの首都直下地震が発生する確率は、三十年以内に七〇%と推定され、そのときの断水率は最大四五%以上とされております。
 災害時において、より便利でわかりやすく給水に関する情報が入手できるようになれば、都民の安心は一層向上します。
 そこで、インターネットを活用したわかりやすい断水情報や復旧情報を提供すべきと考えますが、水道局の見解を求めます。
 東京の東部低地帯は、大規模な水害に見舞われた場合、ポンプの力をかりないと雨水を排水できない地形となっております。したがって、あらかじめ下水道局の管理する雨水ポンプ施設について、水害時でも機能する耐水対策を行っておくことは極めて重要であります。
 建設局と港湾局は、水門やポンプ等の受配電設備や非常用電源設備などを高潮の高さより高い位置に設置するとしておりますが、下水道局の施設は、高潮の高さより低い想定となっている津波の高さを基準にして対策を講じるとしております。洪水や高潮による大規模な水害の発生が懸念される中、この対応では不安です。
 下水道局のポンプ施設等においても、河川や港湾施設と同様に、高潮の高さより高い位置の耐水化にレベルアップすべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、大規模水害が発生した際に必要な広域避難について質問します。
 残念ながら、広域避難に関する国の検討が進んでいないことから、浸水被害が懸念される区部東部の五区は、本年十月に大規模水害対策協議会を立ち上げ、独自に検討を開始いたしました。しかし、広域的な調整が必要となる課題については、都も積極的に取り組むべきであります。
 地域によっては、千葉県や埼玉県に避難した方が早く避難できることから、都は、千葉県、埼玉県と広域避難体制について協議を進めるべきと考えます。見解を求めます。
 水害と同様に、地震対策についても、都は大都市特有の課題の解決に向けて着実に取り組む必要があります。その一つが、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化であります。
 都が平成二十七年度までの完了を目指して取り組んできた特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化率は、今年九月末現在で八〇・六%と聞いております。着実な進展は見られるものの、まだ途上であります。
 耐震改修工事などへの助成期限を延長して、さらに工事着手のピッチを上げていくべきであります。
 そこで、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けた都の今後の取り組みについて見解を求めます。
 耐震改修工事が実際に着手されるためには、分譲マンションの区分所有者などが抱くさまざまな不安が解消され、合意に至る必要があります。このため、建築物を現状のまま放置することによる危険性を正しく認識してもらわなくてはなりません。
 以前、我が党が視察した神戸市の人と防災未来センターは、阪神・淡路大震災を機に設置されたものであり、震災被害を追体験できる企画を行うなど、防災意識の向上に極めて効果的な役割を果たしておりました。こうした取り組みは、沿道耐震化においても有効と考えます。
 しかし、問題は、そうした啓発の場に足を運ぶ機会の少ない沿道建築物の所有者への対応です。都が直接アプローチを行い、大地震が発生した場合の被害状況を収録した映像を用いて耐震化の重要性を肌で感じてもらうなど、アウトリーチ型の普及啓発が必要と考えますが、都の見解を求めます。
 また、都の耐震化相談会は、専門分野の異なる複数の専門家が対応することで、多様な不安を抱える関係者のニーズに応えており、大変好評と聞いております。
 こうした相談会をより活用してもらうとともに、耐震化に取り組もうとしている所有者に工事中の影響や改修後の姿、合意形成の進め方などについて、身近にイメージを抱いてもらうことも重要です。
 都は、このような視点から、建物所有者に対して、実際の改修の取り組み状況や体験談などについて、しっかりと情報提供していくべきです。見解を求めます。
 次に、土砂災害防止について質問します。
 都内では現在、土砂災害警戒区域が約八千七百カ所、そのうち特別警戒区域が約六千四百カ所指定されております。そして、土砂災害特別警戒区域に老人ホームや病院などの要配慮者関連施設が三十九カ所、学校が二十七校あることから、平成二十六年の第三回定例会で都議会公明党は、一刻も早い対策事業の実施を求めたところであります。
 都はその後、対策を検討してきたと聞いておりますが、早急に土砂災害対策の方針を示すべきであります。見解を求めます。
 次に、高校中退者の支援策について質問いたします。
 都がこのたび公表した、不登校・中途退学対策検討委員会の中間のまとめによりますと、例えば、中途退学者の場合、約七割が安定した就労や次の進学に向けて取り組めていない状況にあります。
 都は、公明党の提案で、今年度から、都立高校の補欠募集の実施結果を公表することにしております。結果の公表は、より適切な指導助言につながりやすくするためのものであります。
 さらに、直近の試験問題を知ることによって、学校選択や合格に向けた対策も打つことができるため、より挑戦意欲が高まるはずであります。
 そこで今後は、各学校で作成している補欠募集の過去の試験問題を、志願する受検生など、希望する人が容易に入手できるようにすることが必要であります。都教委の見解を求めます。
 高校の中退者支援に関連して、チャレンジ支援貸付事業の活用について質問いたします。
 この事業は、学習塾等の受講料や、高校や大学などの受験料の捻出が困難な世帯に対し必要な資金を貸し付けする事業であり、平成二十六年度の貸付件数は二十年度当初の八倍を超え、一万件以上となっております。
 なおかつ、高校や大学等に入学できた場合は返済しなくてもよい条件となっており、制度を利用した九六%の生徒が合格し、返済が免除されております。
 本年四月から、高校中退者も貸し付けの対象になったとのことでありますが、事業案内やホームページを見ても、対象者は、中学三年生、高校三年生としか記載されておりません。これでは、自分が該当するかどうかわかりません。
 進学に向けて、再チャレンジしようと意欲を持った高校中退者にもわかるように、しっかり周知すべきと考えますが、見解を求めます。
 高校中退者については、就労に向けた支援においても、きめ細かな対応が必要であります。
 都は今年度から、しごとセンターにおいて、高校中退者など向けのセミナーやカウンセリング、履歴やエントリーシートの書き方、面接の助言などを行っておりますが、さらに一歩踏み込んだ支援を求めたいと思います。
 一つは、高校との連携であります。
 生徒が直前まで通っていた学校側と教育庁を通じて連携を図ることは、より適切できめ細やかな支援につながり、就労効果も高まるものと考えます。
 さらには、都立職業能力開発センターでも高校中退者向けの事業を拡充するなど、就労の促進に全力を挙げて取り組むべきであります。見解を求めます。
 次に、若者の職場安定支援について質問いたします。
 生産年齢人口の減少が進み、人手不足が明らかな見通しとなっている日本においては、若者の職場定着が一段と重要度を増しております。
 今もなお、大卒者の三人に一人は三年以内に離職しております。とりわけ中小企業においては、入社後三年目までの離職率が四割を超えているとの調査もあり、深刻であります。
 都内中小企業の中には、若者を採用しても育成する余裕がなかったり、職場での指導、育成システムであるOJTの必要性はわかっていても、何をどのように実施すればよいのかわからないという事例も見受けられます。
 今後、若者の職場定着を進めていくためには、都として、企業の負担を軽減させるための支援を行うべきであります。
 加えて、職場内に若い世代が少ない企業においても、若者の孤立感を和らげるための取り組みを支援する必要があると考えます。あわせて見解を求めます。
 次に、認知症対策について質問いたします。
 厚生労働省の発表によりますと、全国で認知症の人は約四百六十二万人であり、正常と認知症の中間に当たる軽度認知障害、MCIは約四百万人と推計されております。実に六十五歳以上の高齢者の約四人に一人が認知症か、その予備軍ということになります。
 軽度認知障害とは、記憶や決定、実行などの認知機能の一つに問題があっても日常生活には支障がない状態であります。軽度認知障害の段階で早期に発見し、認知症にならないように予防対策を講じることが重要であります。
 そこで、都においても、できるだけ早期に認知症予防対策を進める必要があると考えますが、具体的な取り組みについて見解を求めます。
 また、各区市町村が認知症予防に一段と力を入れて対策を講じることができるよう、首都大学東京や東京都健康長寿医療センター等と連携して、国内外の先進事例の収集、提供を初め、認知症の予防と治療をさらに研究し、強化していくべきであります。見解を求めます。
 認知症対策において、早期発見、早期治療と同様に重要な視点は、徘回などの重症患者を抱える家族への支援であります。
 警察で保護された身元不明者については、原則二十四時間以内に身元が判明しない場合、警察署が所在する区市町村に身柄が引き継がれることになっております。当然、区市町村はその後も身元の特定に努めるわけでありますが、一方で、さまざまな理由から、顔写真の公表まで踏み切れない事情もあるようであります。
 しかし、行方不明者を探す家族には、保護された身元不明者の顔写真の閲覧を認めるべきであります。これによって、家族の姿を求めて奔走する都民の負担も和らぎ、身元の判明に至る可能性も大いに高まるものと考えます。
 その点、頼りになるのは、やはり警視庁であります。警視庁として、行方不明届を提出した、または、現に行方不明届を提出しようとしている家族等に対して、都内各地で保護された身元不明者の顔写真を一括して地元署で閲覧に供することができれば、身元不明者と家族の双方にとって効果の高いものになると考えます。
 そこで現在、警視庁が行っている身元不明者として保護されている人を早期に帰すための対策の内容と今後の対応について、警視総監の所見を伺います。
 一方、身元不明者の身柄を警視庁から引き継いだ区市町村においても、早期に家族のもとに戻せるよう努めなければなりません。
 しかし、地元で保護されたとはいえ、必ずしもその自治体の住民とは限りません。したがって、こうした身元不明の認知症高齢者については、広域自治体である都としても、他県や区市町村と協力して身元の判明に努めるべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、都内で不足する墓地について質問いたします。
 近年、樹木の下に遺骨を共同で埋納する、いわゆる樹林型墓地の人気が高まっております。高齢、核家族化の進展により、墓の承継者がいない、また、一般墓地に比べて使用料が安いなどの理由のほか、死生観の多様化という背景があると思われます。
 都議会公明党は、先日、都立霊園として初めてこの樹林型墓地を整備した小平霊園を改めて視察いたしました。小平霊園に樹林型墓地が整備されたのは三年前のことであります。当時、最も人気だった申込区分は三十一倍、平均でも十六倍という高い倍率でありました。
 こうしたことから我が党は、この初回公募直後の本会議の一般質問で、公募数の増加及び他の都立霊園への拡大を提案いたしました。
 そこで、公募拡充等の状況について答弁を求めるとともに、樹林型墓地への都民の高い期待に今後も意欲的に応えるべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、地方法人課税の不合理な偏在是正措置について申し上げます。
 平成二十八年度税制改正については、与党税制改正大綱の策定に向けて、一両日中にも決着がつけられようとしております。今まさに最終局面を迎えております。
 今回の税制改正では、都が撤廃を求めてきた法人事業税の暫定措置は廃止の方向とされる一方、代替措置として地方法人税の拡大が見込まれております。不合理な措置がさらに拡大されれば、都の先駆的な施策の実現はおろか、少子高齢化の進展や社会資本ストックの維持更新など、東京が抱える将来にわたる膨大な財政需要への対応に支障を来しかねません。
 この重要な局面に際して、都は、都民の利益を守るために最後までしっかりと働きかけていくことを強く求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 橘正剛議員の代表質問にお答えいたします。
 芸術文化を生かした都市間交流の促進についてでございますが、芸術文化による都市間交流は、言語、民族、歴史的背景などを超えて異なる文化を認め合うことで市民間の相互理解を深めることにつながり、大変有意義でございます。
 パリ出張の際に浮世絵展を視察いたしましたが、日本文化に対する注目の高さを肌で感じ、東京に集積する日本文化の魅力をさらに強く発信していくことが重要であると認識いたしました。
 これまでも、東京都交響楽団による創立五十周年記念ヨーロッパツアーや、都立文化施設において、ロンドンやパリを初めとした各都市の美術館や博物館のすぐれた作品を紹介するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 今後は、海外の著名な美術館等との協力関係をさらに強化し、展覧会の内容を充実させるとともに、本年十月に江戸東京博物館で開催しました、東京、北京、ソウルなどによる博物館国際シンポジウムに代表されるような事業を海外の諸都市と実施してまいります。
 また、東京で行う大規模フェスティバル等の中で、内外のアーティストの相互交流を活発化させ、現代美術や舞台芸術の作品制作につなげていくなど、文化事業の充実に取り組んでまいります。
 芸術文化を通じた都市間交流を積極的に推進することで、東京と各都市との友好のきずなを一層深め、それぞれの都市のさらなる発展に寄与してまいります。
 次に、働き方改革の推進についてでございますが、人々が効率的に働き、そこで生み出された時間を有効に活用することにより、ワークライフバランスを実現し、豊かさを実感しながら生活を楽しむ姿こそ、成熟した先進都市のあるべき姿であります。
 そのためには、企業現場において、イノベーションや生産性の向上を図ると同時に、長時間労働の削減や有給休暇の取得促進など、これまでの働き方を改めることが必要であります。
 将来的には、例えば、週休三日になって充実した生活を過ごすことができるような社会が望ましいと考えております。しかし、現実には、企業の規模や業種によって働き方も多種多様でありまして、厳しい環境に置かれている企業も少なくありません。
 そこで、まずは国や経済団体、労働団体とも連携を図り、大企業、中小企業はもとより、社会全体で働き方改革の機運を醸成してまいります。
 また、働き方の改革を目指す企業が、それぞれの状況に応じた働き方の見直しに踏み出すことができるような仕組みづくりに取り組んでまいります。
 さらに、テレワークの導入や柔軟な勤務時間制度など、先行する企業の事例についても発信してまいります。
 誰もが豊かな生活を享受できる働き方の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
 東京港の経営のあり方についてでございますが、東京港は、都民の暮らしはもとより、首都圏四千万人の生活や産業活動を支える社会インフラとして、我が国の成長に欠かせない役割を担っております。
 近年、東京港においては、生産拠点の海外移転や、日本社会の成熟化に伴う消費財の輸入比率増加といった産業構造上の要因により、輸入港としての性格がますます強まっております。
 このように、港湾を取り巻く環境が変化していく中、多様化する利用者ニーズに適時的確に対応するには、現場を熟知した都が引き続き、ふ頭会社、港湾関係者と三位一体となって港湾経営を行うことが重要であります。
 今後、都は、国際戦略港湾の一翼を担いながら、ふ頭の再編整備や道路網の充実といった港湾機能の強化に努め、現場とともに質の高い港湾経営を行い、日本経済のさらなる発展に尽力してまいります。
 次に、ラグビーワールドカップについてでありますが、ラグビーワールドカップ二〇一五では、ラグビーの歴史を塗りかえる日本代表の活躍が世界中のラグビーファンの驚きと感動を呼び、国内でも大きな話題となりました。
 私は、ロンドンで大会を観戦し、ラグビーが伝える熱気や興奮を目の当たりにいたしました。また、スタジアムやファンゾーンでは、ラグビー発祥の地、イングランドならではの伝統に裏打ちされたすばらしい大会の雰囲気を堪能することができました。
 今後、二〇一九年から二〇二〇年にかけてラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックという世界最高峰の大規模スポーツイベントが連続して開催され、世界の注目は東京に集まります。
 この絶好の機会を捉え、東京、そして日本の魅力を世界に発信し、両大会の盛り上げにつなげるとともに、国内外から東京を訪れる方々に最高のおもてなしを提供してまいります。
 具体的な大会準備についても、二つの大会を一体のものとして捉え、ボランティア、多言語対応、セキュリティーなどについて戦略的に進めてまいります。
 二〇一九年大会での取り組みが、翌年のオリンピック・パラリンピックの成功につながります。アジア初開催となるラグビーワールドカップ二〇一九に向け、全力を尽くしてまいります。
 新国立競技場の整備についてでございますが、新国立競技場は、二〇二〇年大会のメーンスタジアムとして、大会の成功のために極めて重要な施設であり、また、大会後においても、スポーツの振興やバリアフリー化といった周辺環境の向上など、多様なレガシーを東京にもたらします。
 都としては、都心に立地する新国立競技場の多くのメリットを可能な限り明らかにするよう国に求めるとともに、経費負担についても精査を重ねるよう要請し、今般、財政負担について大臣と合意したところでございます。
 新国立競技場の整備は国が責任を持って行うものではありますが、開催都市の都としても、大会の成功と大会後にもたらされる多大な便益などを踏まえ、都民の理解と納得を得て整備プロセスを前進させることが何より重要でございます。
 こうした考え方に立ち、都の財政負担について決断をいたした次第でございます。
 財政負担に当たりましては、国と分担し合う対象経費を明確化することで、物価騰貴や消費税率の変更以外に都の負担が増加する要素はございません。
 また、今後、国において、日本スポーツ振興センター法の改正など必要な法的措置を講じることとなっております。
 引き続き、都は、国や関係団体と一致協力して、大会の成功に向けて邁進してまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監高橋清孝君登壇〕

○警視総監(高橋清孝君) 身元不明者の対策についてでありますが、警視庁では昨年七月から、保護実施機関である区市町村等の要請に基づき、身元不明者に関する写真つきの資料を迷い人台帳として警察署等に備えつけ、行方不明者の届け出をしようとする方などが閲覧できる取り組みを行っております。
 この迷い人台帳は、警察で保護した身元不明者を区市町村に引き継いだ後、一定期間を経ても身元が判明しない場合に、区市町村等からその方に関する写真つき資料の提供を受け、これを警察署等で台帳として管理するもので、全国の警察と情報共有しております。
 この取り組みを効果的なものとするため、都内全ての区市町村に対して、身元不明者に係る情報提供の働きかけを行っております。
 今後も、関係機関とのネットワークを強化するなど、身元不明者を早期に家族のもとに帰すための取り組みを推進してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 高校の補欠募集における試験問題についてでございますが、現在、補欠募集において学力検査を実施した場合、受検者は問題用紙を持ち帰ることが可能となっております。
 その一方で、志願者等から前年度に実施した補欠募集の試験問題を入手したい旨、申し出があった場合には、志願者が応募資格の確認や入学願書等の必要書類を受け取るために来校した際に提供したり、閲覧にとどめたりするなど、各学校の判断で対応している現状がございます。
 今後は、都教育委員会として、試験問題を提供する際の手続や方法を具体的に定めるとともに、志願者等への周知を行ってまいります。
 あわせて、補欠募集の実施を公表する際、前年度に学力検査を実施した学校を明示するなど、志願者の利便性を一層向上させ、適切な学校選択を支援してまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、空き家の活用についてでございますが、単身世帯が増加するとともに、今後、人口減少が見込まれる中、空き家を地域の活力を持続させる資源として捉え、積極的に利活用を促していくことが重要でございます。
 このため、都は今年度、区市町村が実施する空き家の実態調査や、高齢者、子育て世帯等に賃貸する空き家のバリアフリー改修への助成などについて、財政支援を開始いたしました。
 今後は、区市町村の取り組みを一層促進するために、住宅としての活用にとどまらず、地域住民の交流の場など、地域の活性化に資する施設に改修する費用への助成についても検討してまいります。
 次に、共同住宅の共用部分のバリアフリー化についてでございますが、高齢者や障害者等が自立した日常生活を送れるようにするためには、居室内のみならず、共用部分についてもバリアフリー化を進めていくことが重要でございます。
 このため、都は、建築物バリアフリー条例等により、一定規模以上の共同住宅の新築等に対しましてバリアフリー化を義務づけております。
 また、マンション等の建てかえに対して、対象となる地域や、バリアフリー基準を満たすことなどの要件を定めまして、区市と連携して助成を行ってまいりました。
 今後は、空き室化の抑制にもつながるストックの有効活用を図る観点から、既存住宅のバリアフリー化などの改修工事に対する支援のあり方についても検討を進めてまいります。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、これまでの取り組みを通じて、条例で耐震診断を義務づけた建築物の九割以上で診断結果が得られたことから、路線ごとの耐震状況をほぼ把握することができました。
 この結果をもとにシミュレーションを行ったところ、緊急輸送道路としての機能を確保するためには、耐震性が特に低い建築物を解消し、全体の耐震化率を九〇%まで引き上げる必要があることがわかりました。
 この検証結果を踏まえまして、オリンピック・パラリンピック大会開催までの目標や、沿道建築物全ての耐震化に向けた道筋を検討し、年度内に改定する耐震改修促進計画に反映させまして、災害に強い都市の実現に取り組んでまいります。
 次に、耐震化に係る普及啓発についてでございますが、沿道建築物の耐震化を推進していくためには、建物所有者に直接働きかけ、耐震化の重要性を認識してもらうことが有効でございます。
 このため、都は、区市町村等と連携した個別訪問や、ダイレクトメールの送付など、所有者の意識を高める取り組みを通じて耐震化に結びつけてまいりました。
 お話にありました耐震化の啓発映像につきましては、今後、ホームページの配信とともに、個別訪問の際にも活用するなど、普及啓発をさらに強化してまいります。
 最後に、耐震化に向けた情報提供についてでございますが、診断結果を踏まえて、所有者に改修に向けた検討を促していくためには、区分所有者間での合意形成の進め方や工事の影響などについて、具体的なイメージを持ってもらうことが有効でございます。
 このため、都は、個別相談会や改修工法等の展示会の開催などに加えまして、工事が完了した現場において見学会を開催し、改修に至るまでの経験談や、採用した工法の特徴などについての情報提供をしており、参加者からも参考になったとの声が寄せられております。
 今後は、現場見学会の状況や耐震セミナーでの講演内容などにつきましてホームページでも公開するなど、所有者への情報提供の充実を図り、耐震化の促進に向けて取り組んでまいります。
〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 業務委託における品質確保等の取り組みについてでございますが、改正品確法の基本理念にある品質の確保につきましては、行政サービスを支える業務委託の面でも実現していくことが重要でございます。
 このため、都は発注者として、業務委託における総合評価方式の拡大を図りますとともに、最低制限価格制度の導入についても検討してまいります。
 最低制限価格の導入に当たりましては、異なる業種ごとの特性を把握し、その内容に見合う積算方法の確立や基準の設定などに加え、入札の公正性、公平性に係る契約情報の厳格な運用方法などを検討することが必要となってまいります。
 今後とも、都は、都民の信頼の上に立った公共調達の原則である高い透明性などを堅持しながら、業務委託のさらなる品質の向上に向け、積極的に取り組んでまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、中小企業の海外展開支援についてでございます。
 都内中小企業の海外販路開拓を効果的に支援するためには、さまざまな主体と連携し、海外の最新の情報やネットワークを有効に活用することが重要でございます。
 このため、中小企業振興公社では、昨年度から、現地の法規制や市場動向等の最新情報の提供、取引先となる現地企業の紹介などを行う現地拠点支援アドバイザーを、中小企業の海外展開先としてニーズの高いタイに設けております。
 具体的には、現地企業に関する豊富な情報を持つタイのカシコン銀行をアドバイザーとして活用し、都内中小企業の現地での営業活動をサポートしております。
 今後は、こうしたタイでの取り組み状況や中小企業のニーズ等を踏まえ、他の地域での現地拠点支援アドバイザーの効果的な活用について検討してまいります。
 次に、中小企業の都内での事業継続に対する支援についてでございます。
 東京が将来にわたって国際競争力を維持していくためには、ものづくりの基盤となる高い技術を有する中小企業の集積を都内に維持していくことが重要でございます。
 このため、都は、成長産業への参入や製品の高付加価値化により、ものづくり中小企業が競争力を高め、事業活動を継続できるよう、新製品、新技術の研究開発や、最新の生産設備の導入等を後押ししております。
 これらに加え、地域における産業集積の維持発展を図るため、区市町村と連携し、周辺環境に配慮した工場の防音対策や企業誘致に対する支援を行っております。
 こうした取り組みを着実に推進することにより、都内におけるものづくり産業の基盤を確保し、東京の産業力の強化を図ってまいります。
 次に、高校中退者への就業支援についてでございますが、就業を希望する高校中退者等に対して、経済的自立が図れるよう、きめ細かく支援していくことは重要でございます。
 都では、さまざまな状況の若者を対象に、しごとセンターにおいて、セミナーやアドバイザーによる助言などの支援を行っております。こうした情報をより効果的に提供するため、教育庁と連携して、高校中退者等向け就業支援策をまとめたリーフレットの作成を検討してまいります。
 また、職業能力開発センターでは、職業経験の少ない若者が短期間で多様な仕事を体験し、本格的な職業訓練に移行できる仕組みを開始するなど、取り組みを拡充しており、こうした内容もリーフレットに盛り込んでまいります。
 今後とも、関係機関との連携を密にしながら、高校中退者等の就業支援に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、若者の職場定着支援についてでございますが、若者の早期離職を防止するためには、就職した若者への支援とともに、人を育てる職場環境づくりが重要でございます。
 都ではこれまで、若者の職場適応力の向上と孤立感の解消のため、しごとセンターにおいて、入社三年以内の中小企業の若手社員を対象に、職場でのコミュニケーションなど、社会人としての基礎を身につけるプログラムを実施するほか、異業種で働く同世代との交流の場を提供してまいりました。
 今後は、経営者や育成担当者に対し、早期離職防止のノウハウや若手社員のやる気を伸ばす職場づくりなど、必要な知識を得られるような機会の提供も検討いたします。
 こうした多面的な取り組みにより、若者が働き続けられるよう支援を進めてまいります。
〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 海上公園での地元区などの活動支援についてお答え申し上げます。
 都はこれまで、都民に海を取り戻すという理念のもと、自然環境の保全や回復を図り、都民が海や自然と触れ合い、レクリエーションなどを楽しめる場所として海上公園の整備を進めてまいりました。
 現在、自然環境の回復が進んだ葛西海浜公園やお台場海浜公園では、地元区やNPO、近隣企業などが、水生生物の観察などの環境学習や海水浴などのイベントを実施しております。こうした取り組みに対し、都は、企画段階からの参画や水質情報の提供などの支援を行っております。
 今後も、多くの生き物が生息し、都民が水に親しめる魅力あふれる公園づくりを進め、誰もがふるさとの海と感じられるよう、地元区などとともにさまざまな活動を行ってまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) まず、下水道による水質改善の効果と今後の取り組みについてでございますが、当局は、昭和三十年代から下水道の普及に本格的に取り組み、平成六年度に区部で一〇〇%普及概成を達成いたしました。これにより、例えば隅田川のBOD値が九割以上削減されるなど、東京湾の水質改善に寄与してまいりました。
 また、東京湾の赤潮の発生要因である窒素とリンを削減する高度処理施設等を昨年度までに一日当たりの処理能力二百五十三万立方メートル分を整備し、今後は、平成三十一年度までに約四百万立方メートル分まで増強してまいります。
 さらに、合流式下水道の改善として、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を昨年度までに百十四万立方メートル整備いたしまして、今後は、平成三十一年度までに百四十万立方メートルまで拡大をいたします。
 これらの対策を着実に進め、首都東京にふさわしい水辺環境の形成に一層貢献してまいります。
 次に、下水道ポンプ施設の耐水化についてでございますが、東部低地帯にあるポンプ施設は雨水排水の役割を担っており、その機能確保は重要な課題でございます。
 これらの施設は外郭堤防に守られているものの、地震により外郭堤防が損壊したときに津波が襲来した場合に備え、東京都防災会議で示された最大津波高さに対して耐水化を実施しております。
 これは、開口部などから水の浸入を防ぎ、電気設備などの浸水を防止することで、万一の浸水時にもポンプ機能を確保するものであり、対象の三十四施設のうち、昨年度までに十七施設で完了し、来年度までに全て完了する予定でございます。
 お話の耐水化のレベルアップにつきましては、大規模水害など万一に備えるため、地盤高や立地条件など地域特性を考慮した上で、レベルアップが必要な施設を検討してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、パラリンピック大会時におけるさまざまな分野での、障害者の活躍についてでありますが、二〇二〇年大会に、障害のある人が、選手や観客としてだけではなく、ボランティアや大会スタッフなどとして参画することは重要でございます。
 そのため、都は、二〇二〇年に向けて、障害者スポーツやパラリンピックに理解の深いボランティアの育成に加え、障害のある人もない人も、大会運営やボランティアに参加しやすい環境づくりに取り組んでまいります。
 大会スタッフなど、障害のある人の競技以外の分野への参画につきましては、個々の障害の特性などを考慮し、適正な仕事に丁寧にマッチングしていく必要がございまして、引き続き、組織委員会などの関係機関と連携しながら積極的に検討してまいります。
 次に、障害者スポーツの情報発信についてでございますが、障害者スポーツ競技は、実際に観戦してもらうことで、その魅力を感じることができるものであります。
 このため、都は、障害者スポーツ振興を重点広報テーマと位置づけ、テレビ番組や局のホームページで競技、選手の紹介や大会日程の告知を行うとともに、ツイッターで観戦を呼びかけるなど、積極的な情報発信を行っております。
 さらに、パラリンピック体験プログラム、NO LIMITS CHALLENGEを都内各所で展開するとともに、競技のルールや見どころを説明した冊子を配布するなど、観戦する際の参考になる情報提供にも力を入れております。
 今後とも、都民が障害者スポーツに関心を持ち、実際に競技会場に足を運んでいただけるよう、障害者スポーツの魅力発信に取り組んでまいります。
 次に、パラリンピックの展示についてでございますが、二〇二〇年大会の成功に向け、できるだけ多くの方々にパラリンピックのすばらしさを実感してもらうため、現在、さまざまな場所でPR展示に取り組んでおります。
 具体的には、これまで都庁舎や議会棟におきまして、パラリンピック競技を紹介するパネル展や東京オリンピック・パラリンピック五十周年記念パネル展を開催いたしました。
 また、多くの都民が集まる区市町村のイベントなどにおきましても、競技を紹介するパネルや映像を展示しますとともに、競技用具に実際に触れてもらうなど、パラリンピックの魅力を伝える取り組みを展開しております。
 今後も、都庁舎や都の関連施設を初め、さまざまな場所で都民のパラリンピックへの関心をより一層高めるための創意工夫を図り、効果的なPRを積極的に行ってまいります。
 次に、リオ・パラリンピックのライブサイトについてでございますが、リオ大会はパラリンピックの魅力を多くの方に知っていただく絶好の機会であり、ライブサイトを上野恩賜公園で全期間実施いたしますほか、多摩地域では国営昭和記念公園や、被災三県でも開催をいたします。より多くの競技を生中継できるよう放映権者と調整するとともに、各会場ではパラリンピック競技体験なども行います。
 また、多くの子供たちがライブサイトに参加し、臨場感あふれる大画面を通じてパラリンピックの感動、興奮を体験できるよう、教育庁や区市町村と連携してまいります。
 ライブサイトの暑さ対策につきましては、二〇二〇年大会本番も想定し、ドライ型ミストや断熱性能の高いテントの設置など、効果的な方法を検討し、対応してまいります。
 今後、多くの方々が楽しめるイベントとなるよう詳細に検討を進め、パラリンピックの盛り上げにつなげてまいります。
 次に、二〇二〇年大会に向けましたボランティアの総合ビジョンと国際色豊かなダイバーシティーについてでございますが、オリンピック・パラリンピックに向けては、大規模なボランティアの活用が必要であり、語学や専門性が求められる活動分野も多くございます。
 そのため、ボランティアに関する情報発信や都市ボランティアの募集、育成等に総合的に取り組む必要があり、今後、二〇二〇年大会のボランティアの裾野拡大などに関する戦略を策定していくこととしております。
 具体的には、本年九月に設立いたしました東京都ボランティア活動推進協議会におきまして、関係機関と連携し、検討を進めてまいります。協議会には、在日外国人の関係機関や留学生が在籍する大学なども参画しており、外国人も含む語学ボランティアの育成や活用についても、あわせて検討してまいります。
 次に、ボランティア経験者の二〇二〇年大会における活用についてでございますが、都のイベントでは、これまで東京マラソンで一万一千人、スポーツ祭東京二〇一三で延べ三万人を超える数多くのボランティアの参加がございました。
 また、ラグビーワールドカップ二〇一九でも、多くのボランティアの活躍が期待されております。こうした蓄積を二〇二〇年大会に結びつけてまいります。
 今後、ボランティアの募集や育成、リーダーの活用などに関しまして、都が有する経験やノウハウを生かすとともに、東京マラソン財団、ラグビーやオリンピック・パラリンピックの組織委員会などとも密接に連携を図り、これらのボランティア経験者などの活用方法について検討してまいります。
 次に、ラグビーの普及についてでございますが、日本のラグビー熱は近年になく高まっており、この盛り上がりを二〇一九年につなげるよう取り組む必要がございます。
 今後、ラグビートップリーグ選手にご協力いただき、東京都主催のスポーツイベントにラグビー体験を取り入れるなど、区市町村とも連携してラグビーのすばらしさを伝える取り組みを進めてまいります。
 また、ラグビーのルールや魅力を、SNSなどさまざまなメディアを利用して発信してまいります。さらに、世界最高峰のプロリーグでありますスーパーラグビーへ、来年、日本チームが初参加することを絶好の機会と捉えまして、試合会場におきましてPR活動を行うなど、新たなファン層に対して積極的に働きかけを行ってまいります。
 こうした取り組みを各開催都市とも連携して進め、二〇一九年大会の成功に向け、ラグビー普及に努めてまいります。
 次に、東京スタジアムへの交通アクセスについてでありますが、ラグビーワールドカップの開催時には、会場となる東京スタジアムに国内外から大勢の観客が集まります。入退場時における混雑をできる限り緩和するなど、観客がスムーズに移動できるようにするためには、円滑な交通輸送対策が必要でございます。
 これまで、東京スタジアムでは、大規模スポーツイベントの際、鉄道やバスなど交通事業者にご協力いただくとともに、シャトルバスの臨時運行等によって速やかに観客を輸送する対策を講じてまいりました。
 二〇一九年大会では、初めて東京を訪れる方々がスムーズにアクセスできるよう、これまでの経験を生かしつつ、広域的な観点も視野に入れ、交通アクセスの確保について検討してまいります。
 最後に、ラグビーワールドカップにおける選手と観客の一体感を高める取り組み等についてでございますが、会場での試合観戦はもちろんのこと、観客が会場の外でもラグビーワールドカップそのものを楽しんでもらえるようにすることが重要でございます。
 例えば、会場内におきましては、選手と観客が一体感を持てるような盛り上げの工夫や、日本ならではの演出などを検討してまいります。
 また、会場外のファンゾーンでは、最先端技術を駆使した取り組みを行いますとともに、VIPのホスピタリティー施設につきましては、建設中の武蔵野の森総合スポーツ施設や周辺の土地活用も含め、検討してまいります。
 今後、組織委員会や地元自治体と調整しながら、視察で得られました成果を踏まえ、二〇一九年大会の成功に向け、全力で取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、テロへの具体的な対処についてでございますが、都では、突発的に大規模テロ等が発生した場合、緊急に都民の安全を確保するため、災害対策基本法などに基づき、緊急対処保護措置に準じた措置を行います。
 政府による事態認定後は、国民保護法に基づき、知事を本部長といたします東京都緊急対処事態対策本部を設置し、警視庁や東京消防庁も含め、被害の最小化に努めてまいります。
 具体的には、大規模テロ発生時の被害状況や関係機関の活動状況について情報収集を図るほか、国や区市町村と調整し、警報の通知や住民避難の措置等を迅速に行います。
 今後も、関係機関との連携強化を図るとともに、テロを想定した実動や図上での訓練の実施、対処手順の確認等を通じ、万一のテロ発生時に的確に対処してまいります。
 次に、広域避難に関する都の取り組みについてでございます。
 大規模水害時の避難に当たりましては、自治体内での避難にこだわることなく、近隣県に避難した方が迅速、安全に避難できる場合がございます。
 都はこれまで、国の首都圏大規模水害対策協議会に参加し、関係自治体、鉄道事業者等と広域避難のあり方について議論を行ってまいりましたが、避難対象者が極めて多数であるため、その輸送手段等に課題が多く、具体的な取り組みは進んでいない状況でございました。
 そこで都は、広域避難の仕組みづくりのため、水害があった場合の避難場所や収容人員の把握など、都が取り組みを進められるところから都内自治体との意見交換を始めたところでございます。
 今後、避難元及び受け入れ先自治体の意見を聞きながら、近隣県への広域避難について検討してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) コンパクト・オブ・メイヤーズについてでございますが、異常気象等の要因となる地球温暖化を回避するためには、世界全体の温室効果ガスの七割を排出している都市の果たす役割が極めて重要でございます。
 コンパクト・オブ・メイヤーズは、四百近い都市が参加する、これまでで最大規模の都市間連携の取り組みであり、それぞれの都市がCO2削減目標を宣言し、共通の枠組みで削減を進めていくものでございます。
 都は、この都市間連携への参加を通じて、意欲的な削減目標や行動計画を世界に発信し、新たに策定する環境基本計画に基づき、積極的な施策を展開してまいります。
 こうした取り組みを通じて、これまで都が培った経験やノウハウを世界の大都市と共有し、地球規模の気候変動対策に貢献してまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 災害時における断水情報等の提供についてでありますが、給水に関する正確な情報を迅速に発信することは、情報不足による混乱を避ける観点から極めて重要です。
 このため、水道局では、災害時における断水や復旧の状況、応急給水の実施状況などを、プレス発表等を通じ逐次公表できるようにしております。
 また、本年度におきましては、現場の状況をいち早く伝えられるよう、各事業所と区市町との間に相互連絡窓口を設置し、発災時に避難所等で応急給水場所などの広報ができるよう連携を強化いたしました。
 お話のとおり、インターネットの活用は都民に情報をわかりやすく提供する上で有効であることから、断水の範囲や復旧状況等を地図情報としてホームページに掲載するなど、多様な情報発信方法を検討し、現在策定中であります平成二十八年度からの経営プランに反映してまいります。
〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、今後の土砂災害対策についてでございますが、土砂災害から都民の命を守るためには、ハード、ソフト両面から対策を進めることが重要でございます。
 ハード対策は時間と費用を要するため、関係各局による検討委員会を今月設置し、対策の緊急性を評価する手法を今年度内に定めてまいります。検討に当たりましては、移設困難な避難所や緊急に避難ができない要配慮者の利用する施設の立地状況等を考慮いたします。この手法で行う評価に基づき、緊急性の高い箇所から、地元自治体と連携してハード対策を計画的に推進してまいります。
 ソフト対策では、土砂災害警戒区域等の指定を進めるとともに、地元自治体等とさらなる連携強化に向けて連絡会を開催し、区域内の要配慮者利用施設や学校等の情報を共有するなど、警戒避難体制の整備を促進いたします。
 引き続き、土砂災害対策を積極的に推進してまいります。
 次に、都立霊園における樹林墓地についてでございますが、都立霊園においては、社会状況の変化や都民ニーズに応じた墓所を供給することが重要でございます。
 このため、都は、平成二十四年度に開設した小平霊園の樹林墓地について、応募状況を踏まえ、翌年度から募集数を約三倍の千六百体へ拡大しております。
 また、二十五年度から、変化する墓所需要に対応できるよう、八王子霊園等の郊外霊園の将来的なあり方について検討しており、来年度の計画策定に向けて基本方針を定めてまいります。
 その中で、樹林墓地についても、景観への影響や利便性等を踏まえた配置の考え方、敷地の形状や周辺環境に応じた形態などに関する検討を進めてまいります。
 引き続き、都民の墓所に対するニーズに応えられるよう、樹林墓地の拡充等に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、受験生チャレンジ支援貸付事業についてでありますが、都は、将来の自立に向けて意欲的に取り組む子供たちが、高校や大学への進学を目指し受験に挑戦することを支援するため、一定所得以下の世帯の中学三年生や高校三年生の受験生に対し、学習塾の受講料や受験料の無利子貸付を行っております。
 本事業では、高校等を中退した方であっても、過去に利用したことがない場合には、申請窓口である区市町村で個別に相談に応じ、経済的事情などを勘案しながら貸し付けを行っております。
 今後、本事業を紹介するリーフレットやホームページに高校中退者等も対象になることを明記するとともに、関係団体などを通じて中退者に情報提供するなど、積極的に事業の周知を図ってまいります。
 次に、認知症予防の取り組みについてでありますが、認知機能低下の予防には、日ごろからの適度な運動や栄養管理、趣味活動や人との交流等が有効といわれております。
 こうした観点から、現在、区市町村では、脳を活性化するトレーニングやウオーキングなど、さまざまな取り組みを地域支援事業で実施しており、医療機関と連携した認知症カフェで実施する認知症予防の取り組みについて、都は包括補助で支援しております。
 また、都におきましては、広く都民の方に認知症予防に関する知識や効果的なプログラム等について理解していただけるよう、認知症疾患医療センターと連携してシンポジウムや講演会等も開催しており、今後、区市町村や認知症疾患医療センター等と連携しながら、認知症予防の取り組みを一層推進してまいります。
 次に、研究機関等と連携した認知症予防の取り組みについてでありますが、東京都健康長寿医療センターは、認知症に関する専門医療の提供や幅広い研究を行っており、絵本の読み聞かせを行うことで認知機能の低下を防ぐプログラムを大田区や豊島区等と連携して開発、普及するなど、認知症予防にも取り組んでまいりました。また、首都大学東京は、転倒予防や認知症予防につながる、ころばん体操の普及に荒川区と連携して取り組んでおります。
 来年度は、こうした実績を有する両機関の専門職の協力を得て、先進的な事例を初め、認知症予防に係るさまざまな取り組みを広く収集し、説明会を開催して区市町村に情報を提供する予定でございます。
 また、区市町村が認知症予防により一層積極的に取り組めるよう、さらなる支援策についても検討してまいります。
 最後に、身元不明認知症高齢者等への対応についてでありますが、都は、行方不明の高齢者等が早期に発見され、身元の判明につながるよう、平成二十二年度から、区市町村の依頼に基づいて、その情報をファクスや電子メールで都内全区市町村に提供しており、昨年度末までに身元不明九十一件、行方不明六百十七件の情報を提供いたしました。
 また、本年六月には、区市町村がみずから情報を更新し、いつでも最新情報を閲覧できるよう、関係機関向けの情報共有サイトを都独自に構築し、現在、三十六の区市町が利用しております。
 警察では、区市町村からの情報提供を受け、迷い人に関する台帳を全国の警察署に備えつける取り組みを進めており、今後、情報共有サイトへの参画や警察との連携に、より積極的に取り組むよう区市町村に働きかけてまいります。

○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時五十七分休憩

   午後五時十五分開議

○議長(川井しげお君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十五番尾崎あや子さん
〔三十五番尾崎あや子君登壇〕

○三十五番(尾崎あや子君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 初めに、新国立競技場をめぐる問題です。
 知事は、国の要請を受け入れ、新国立競技場整備費の四分の一、現時点で金額にして三百九十五億円を負担し、加えて連絡デッキや公園などの整備に五十三億円を負担することを表明しました。
 合計で四百四十八億円、さらに整備費の増加に応じて都負担は上限なしに増加します。都民から、国立なのになぜ都が負担するのかなどの疑問や怒りの声が上がっています。
 知事は、新国立競技場整備への都負担について、国立である以上、国が負担すべきが原則という態度をとってきたのではありませんか。
 前任の知事も文科大臣の負担要請に対し、競技場本体の建設費は負担できないと伝えたと発言しました。
 知事、これが都の基本方針だったのではありませんか。なぜ変えたのですか。
 そもそも整備費は千六百億円を超えるもので、過去最高だったロンドンの約八百億円と比べても格段に高く、高さ七十メートル、八万席を収容する巨大な計画で、到底都民が納得できるものではありません。
 知事は、メーンスタジアムだから負担するといいますが、都は都立競技施設を八カ所も整備し、そのために用地費を含めて二千四百五十二億円も負担する計画になっています。その上、なぜ国立競技場の整備費まで都が負担しなければならないのですか。
 都民便益などを負担の理由にしていますが、立地地域の便益に応じて国立のスポーツ施設整備費の一定割合を負担する根拠はどこにあるのですか。ほかの自治体で四分の一負担などの例はあるのですか。
 知事は、法整備がされるから問題ないと述べていますが、法的根拠がない負担を約束するのはおかしいのではありませんか。
 なぜ本体整備費の四分の一が都負担なのですか。知事は、かつて負担に当たっては、その根拠を明確にする必要があると主張していました。今回の負担は、防災機能や経済効果など積み上げたものだと述べています。それなら、積み上げの内訳、なぜそれが四分の一負担なのか明確に示してください。
 新国立競技場まで負担すれば、都の財政負担は競技場整備だけで総額二千九百億円を超えます。
 今後、物価上昇や消費税増税など、整備費がふえるごとに都の負担は膨れ上がるのではありませんか。知事、いかがですか。
 IOCは、オリンピック憲章で人間の尊厳保持の重視を基本理念とし、競技場整備費の抑制を求めています。オリンピックを理由に競技施設整備や都市インフラ整備に過大な税金が投入され、都民施策が犠牲にされるようなことがあってはなりません。
 知事、オリンピックのための財政投入は最大限抑制し、都民生活の向上と調和したオリンピック・パラリンピックとなるよう力を尽くすべきではありませんか。
 以上七点について、知事、お答えください。
 次に、社会保障、福祉の充実について伺います。
 知事は所信表明で、新三本の矢を掲げた政府と経済成長と生活の質の向上に向けて、スクラムを組んで政策を進めると表明しました。
 しかし、安倍政権発足以来三年にわたるアベノミクスの結果、大企業は空前の収益を上げ、内部留保は過去最高の三百兆円にまで膨らんでいる一方、国民の暮らしは厳しいままです。中小企業は、円安による材料の高騰、消費税増税や単価の切り下げで苦しい経営環境が続いており、経済は低迷したままです。
 その上、安倍政権は、社会保障費の自然増を来年度からの三年間で九千億円から一兆五千億円も削減するとして、介護保険利用料の一律二割負担や年金支給年齢のさらなる引き上げ、診療報酬本体のマイナス改定を検討し、残業代ゼロ制度の導入などの労働法制の規制緩和にも踏み込むなど、ますます国民、都民の暮らしを困難に追い込もうとしています。
 政府が宣伝している新三本の矢についても、介護報酬を大幅に引き下げたばかりの政府が介護離職ゼロを掲げるなど、ごまかしに満ちたものであり、財源や人材確保など、政策的裏づけがないと批判されているものです。
 今、何よりも重要なことは、都民生活を苦しめる政策については、厳しく是正を迫ることが必要ではありませんか。
 舛添レポートで知事は、GDPの四分の一が社会保障費に消えると見出しを立て、高齢者対策に子育てなどの十倍の経費が使われていると述べています。しかし、国際的に見れば、公的社会支出の対GDP比は、フランスやデンマークは三〇%台であるのに対し、より高齢化が進んでいる日本は約二三%にとどまっています。
 知事、高齢者対策か少子化対策ではなく、社会保障の全体を拡充することが必要ではありませんか。
 私は、国も都も安定的な社会保障制度があってこそ、経済成長に資するという考え方に確固として立つことが必要だと思います。
 世界保健機関、WHOが十月に発表した高齢化と健康に関するワールドレポートでは、高齢者の社会的貢献の大きさを明らかにし、社会的コストとして大きいのは、高齢者を支援するための費用ではなく、高齢者を支援しないことによって失われる利益だとしています。
 そして、高齢化は社会にとって貴重なチャンスであり、高齢者増加を重荷とする考え方は時代おくれであると指摘しています。知事は、こうした指摘をどのように受けとめますか。
 知事は、社会保障のために消費税増税だ、税と社会保障の一体改革だと、政府と同じことを述べていますが、実際には消費税が導入されて以降、そして八%への増税以降も、社会保障の切り下げが続いているではありませんか。
 その一方、大企業への法人税は引き下げているのです。消費税増税分の多くは、大企業などへの減税の穴埋めに充てられる結果になっているのです。おかしいではありませんか。
 消費税は、弱い立場の人ほど負担の重い逆進性の強い税制であり、増税は国民の購買力を低下させ、GDPを押し下げる結果につながっています。今求められているのは庶民増税ではなく、応能負担を基本として、現在の不公平な税や社会保険料のあり方を見直すことです。
 所得が一億円を超えると税率が下がる所得税の見直しや、大企業ほど実質的な負担率が低くなっている法人税の是正、あるいは三百兆円を超える大企業の内部留保に対する適切な課税こそ国に求めるべきです。大企業や富裕層に適正な負担を求めれば、社会保障の財源は十分確保できます。知事、いかがですか。
 ヨーロッパでは、介護、医療、子育てなどに対する経済的支援が社会保障の重要な柱になっています。多くの国が医療費は無料ないし少額で、住宅手当も広く実施され、イギリスやドイツ、オーストリアの介護手当は高く評価されています。フランスは手厚い家族手当が少子化打開に大きな役割を発揮しています。こうした公的支援により安心して暮らせる確かな基盤がつくられているのです。
 知事は、フランスを初めヨーロッパ諸国で実施されている社会手当の重要性をどう認識していますか。
 国に対し、介護、医療、子育てなどに対する経済的支援の強化を求めるとともに、都独自の経済的支援の拡充を進めることが必要ではありませんか。
 国政、都政の軸足を福祉、暮らし最優先に切りかえなければ、福祉先進都市などつくれません。下流老人、老後破産、介護難民、老人漂流社会などの言葉が飛び交う深刻な状況が広がっています。高齢者福祉の拡充は切実な課題です。
 自宅で認知症の家族を介護している女性は、特養ホームにいつ入れるか見通しのない中で、一緒に死んだら楽になるかもと何度もそう思った、お金の都合でショートステイは年に数回使うのがやっと、認知症グループホームでは月二十万円かかり、とても払えないといいます。
 先月発表された都の世論調査では、高齢者福祉が都政に対する要望の一位となりました。
 知事は、この調査結果と高齢者の切実な実態をどう受けとめ、どのように都民要望に応えていくのですか。
 東京都の特別養護老人ホームの待機者は四万三千人に上ります。都がこの問題を重視して、十年間で一万八千人分ふやす目標を立てたことは重要です。しかし、この目標を達成したとしても、まだまだ足りません。しかも昨年度の整備状況は、一年間で約二千五百人分ふやす計画に対し、実績は千四百人分弱にとどまっています。整備促進が求められますが、都はどのように取り組むのですか。
 整備費補助の増額や整備がおくれた地域への加算などの拡充が求められると思いますが、いかがですか。
 介護報酬の引き下げによる影響は深刻です。東京都高齢者福祉施設協議会が行った特養ホームへの調査では、八六%の施設が悪影響が出ていると回答し、多くの施設が職員の採用にも苦戦しており、八二%の施設が介護職員の充足のために、給与などの待遇改善が必要と考えているなどの調査結果が出ています。
 私たちのアンケート調査でも、多数の施設で職員体制の見直し、職員採用の見送り、利用者受け入れの見直しが行われています。都は、介護報酬引き下げによる影響をどう考えていますか。
 国に対し、介護報酬の引き下げをやめ、事業者や職員、自治体への支援を強化して、介護の充実に向けた国の責任を果たすよう求めるべきです。また、都として、職員の処遇改善のための人件費補助を行うことを初めとした支援の強化が必要です。いかがですか。
 保育園の待機児童解消も待ったなしの課題です。
 しかし、この問題でも安倍政権が最低二人となっている保育士配置基準を大幅に緩和し、営利企業の参入を拡大するなど、水準を引き下げて待機児童対策を進めようとしていることは重大です。
 政府のように保育への規制を緩和していったらどうなるでしょうか。例えば先日、フェリーチェという認証保育所二カ所の廃止が公表されました。二カ所で約四十人の子供が在籍しているのに、どちらも保育士はゼロという実態でした。職員配置について、都から毎年のように指導を受け、勧告を受けても改善しなかったのです。
 規制緩和の結果、こうした問題が生じていることを都はどう受けとめていますか。そして、再発防止に向けどう取り組むのですか。
 これまでも幾つもの認証保育所などで職員の架空申請、補助金の不正請求、給食の質の低下を初めとした問題が生じてきました。これ以上規制緩和を進めたら、さらに問題が拡大することは避けられません。
 保育の質を守るための規制を緩和する政策を改め、保育への投資を抜本的に強化し、質の高い保育園を増設するよう、国も都も力を尽くすべきではありませんか。
 保育の質と量を拡充する上で、保育士の低過ぎる給与を引き上げることが重要です。保育士の給与引き上げができるよう、国に対し財政措置の拡充を強く求めるとともに、都として保育園への補助の拡充に踏み出すことが必要です。見解を伺います。
 舛添知事のもとで進められた都有地活用などが福祉施設増設の上で重要な役割を果たしており、さらなる推進が求められています。
 東京都総合戦略では、高齢者施設などの整備について、地価の高い東京の特性を考慮した用地確保策を拡充としていますが、どのように拡充するのですか。また、保育園の整備についても用地確保策の拡充が必要ではありませんか。
 渋谷区幡ヶ谷原町アパートは空き家になったままであり、区からも取得要望が出されています。早急に除却し、保育園や特養ホームなどに使えるようにすることが必要です。
 中野区野方一丁目の警察寮跡地については、来年度に財務局に移管され普通財産になると聞いています。福祉インフラ整備に活用できるよう、早急に区と協議を開始することが求められています。いかがですか。
 高齢者施設について、国有地の借地料が減額されることになりましたが、初めの十年間だけです。都有地と同じように、貸付期間を通じて減額するよう求めるべきではありませんか。
 また、保育園は減額の対象になっていません。国が改めて待機児童ゼロを打ち出したのですから、国有地の減額を保育園などに拡大するよう強く求めるべきです。いかがですか。
 次に、雇用について伺います。
 安倍政権は雇用が拡大したと宣伝していますが、正規雇用が減って非正規労働者が四割を超えたということであって、国民、都民の願いに逆行する事態がますます広がっています。そればかりか、労働界挙げて反対し、二度にわたり廃案になった派遣労働法改悪を強行したことで、派遣労働がさらに拡大する危険があります。
 知事は、雇用におけるこうした異常な事態をどう認識していますか。国に対し非正規雇用拡大政策をやめ、希望する非正規労働者を正規に切りかえるため、全力を挙げるよう要請すべきではありませんか。
 雇用の正規化と同時に、非正規労働者も含めた最低賃金の引き上げが決定的に重要です。
 アメリカでは、ロサンゼルス市が時給千八百六十円に段階的に引き上げる法律を可決しました。市長は、これによって労働意欲も高まるし、購買力も増し、地元中小企業も潤うとその意義を強調しています。
 イギリスでは、労働者がまともに生活できる賃金にするという立場から、時給を千二百四十八円から千七百二十八円に段階的に引き上げる計画です。
 EU諸国を初め、世界中で最低賃金の大幅引き上げが進んでいるのです。
 知事は、こうした先進国の流れ、そして最低賃金を早急に引き上げる意義をどう捉えていますか。都内の最低賃金を速やかに時給千円以上に引き上げるため、知事が国や経済団体などに強力に働きかけることを求めるものですが、いかがですか。
 アメリカがかつて三年間で最低賃金を引き上げたときは、中小企業に対し五年間で八千八百億円の減税を行いました。フランスでも同様に、中小企業の負担軽減を図りながら最低賃金を引き上げています。
 これに対し日本では、最低賃金を引き上げるための中小企業支援は四年間で百四十九億円にすぎず、東京都は対象外です。この支援策を抜本的に拡充、増額するとともに、東京都内の中小企業も対象とするよう国に求めるべきです。見解を伺います。
 次に、中小企業振興対策です。
 東京の中小企業は、ロケットエンジンの中枢部品の開発から最先端の医療機器の開発など、多分野にわたって超高性能な新製品、新技術を生み出す力があります。
 城南地域を中心とした機械系、城東を中心とした生活関連産業、城北の光学、都心の印刷、出版、城西のアニメコンテンツ産業、多摩地域の研究開発型企業の集積など多彩であり、これだけの産業集積がある首都は世界の中でもほかにはありません。
 しかし、現状は、加工業の転廃業が進み、産業集積によって効率的に連携していたネットワークの弱体化に歯どめがかかっていません。これは、集積効果による技術の創造や応用力の低下をもたらし、東京の産業空洞化につながる深刻な問題です。
 高度な技術力を持つ産業集積を首都東京の強みとして捉えることが重要だと思いますが、知事の認識を伺います。
 ものづくり産業の集積を維持し、全面的に生かす施策を都政の重要な柱として位置づけて、まちづくり、福祉、医療、大学、学校との連携など、全庁を挙げて取り組むことが重要ですが、知事の見解を求めます。
 産業集積の力を生かして経済を振興するために、十数億円にとどまっている都のものづくり産業集積の支援予算を抜本的に増額することが必要です。そして、集積地域ごとに必要な人材を投入し、研究開発機関や試験施設を整備し、異業種との連携を支援することが重要ですが、いかがですか。
 多摩地域には六千に及ぶ工場と十五万人もの従業員がおり、工場出荷額は約四・九兆円と東京全体の五〇%を示しています。高い技術力を持つ中小企業や大学、研究機関も多く立地しています。
 多摩地域の特色を生かしたものづくりへの支援の拡充強化が求められますが、知事はどのように取り組むのですか。
 多摩地域における都の中小企業支援拠点は、昭島に中小企業公社、産業技術研究センターがあるのみです。かつては経済事務所が五カ所ありました。産業支援センターの増設を初め、広大な多摩地域に散在している中小企業へのきめ細かい支援の強化が必要ではありませんか。
 また、東京都総合戦略で示されている広域的産業交流の中核機能を担う拠点整備はどのように具体化するのですか。
 国もようやくものづくり基盤を支える小規模企業の事業継承、再生支援など、持続的発展を支援するようになりました。都として、国、都などの各種施策を周知し、活用できるようにすることや、専門家が経営診断から安定するまでの中長期にわたって切れ目なく支援するなどの拡充が求められますが、いかがですか。
 地方自治体として、住民の福祉の増進を図ることに全力を尽くすには、財政運営のあり方の改革が必要です。
 都は、社会資本ストックの維持更新及び社会保障に係る費用の将来推計を委託し、その報告をもとに年次財務報告書を発表しました。
 それによると、都は今後、毎年三百億円の社会保障関連費の増加を見込み、現在、一兆円規模の社会保障費は、二〇三三年度には一兆四千四百三十億円になると試算しています。
 そして、将来推計の報告書では、推計値より増加する可能性があることが指摘されています。また、この推計では、現状の事業の継続を前提とし、施策の拡充は見込んでいませんが、もちろん今後、施策の抜本的拡充が必要です。
 さらに、都が所有する社会資本ストックの維持更新費は、二〇三三年までには少なくとも六兆円必要と推計されています。これについても、将来推計の報告書は推計を上回る可能性を指摘しています。
 将来推計の報告書をどう受けとめますか。都市インフラ施設の新設は最大限抑制することが求められていると考えますが、お答えください。
 こうした中で、東京都総合戦略が世界一の都市東京にふさわしい交通インフラと拠点機能の創造を掲げ、幹線道路建設の推進、都心部における拠点機能の充実強化、東京港の物流機能強化などを強調していることは見過ごせません。
 都心の超高層ビル開発を都市計画規制の至れり尽くせりの緩和で誘導し、果てしない幹線道路建設の推進、港湾機能の巨大化、業務機能やビジネスマンの都心集中などによる公共施設整備費が増大する構造がつくり出されているのです。
 このような大型開発を次々進めていたら、福祉先進都市の実現のための財源など到底つくれないではありませんか。
 今、都の財政投入が拡大しつつあるのが、オリンピックや観光振興、国際物流競争を理由にして開発を進めている臨海部です。
 環状二号線の臨海部延伸で約三百五十億円、東京港国道トンネルや南北道路など、国の事業の都負担分で約八百億円、青海地区に整備中の新客船ふ頭も総額百億円以上を投入しています。
 さらに、五輪のための恒久施設として、海の森水上競技場など三施設で千八百億円が投入されます。このほか、臨海部の進出企業のためのインフラ整備などもあり、臨海部だけで少なくとも三千億円規模の都財政が投入されます。
 事業の必要性を精査し、中止や廃止を含めて必要な見直しを行うとともに、都財政投入はそれぞれ可能な限り抑制していくことが必要ではありませんか。
 都の道路計画全体も抜本的な見直しは避けて通れません。例えば、千二百キロメートル余の都市計画道路を事業化すれば、推計で約十五兆円の事業費が必要であり、多くの住民の立ち退きにつながります。人口減少に向かう中で、このような莫大な財源を投入することは許されません。
 都は、都市計画道路の整備方針の見直しを進めていますが、大胆な見直しを行うことが必要です。いかがですか。
 都が幹線道路建設を推進する理由は、主に渋滞解消対策です。しかし、ヨーロッパやアメリカでは、既に幹線道路建設中心主義から抜け出し、自動車交通から公共交通利用への転換、IT技術を利用して自動車の流れをスムーズにするシステムの導入やパーク・アンド・ライドなどの政策を進めています。こうした政策を取り入れることが必要ではありませんか。
 都民の暮らし、福祉を拡充するためには財源確保が欠かせません。この間、都の法人税収から国が不当に一兆三千億円もの財源を奪ってきた偏在是正なる措置は、断固はね返し、復元させねばなりません。
 日本共産党都議団は、国会議員団とともに、国に対し今後の地方法人税のさらなる改悪を断念するとともに、法人事業税も法人住民税ももとどおりに復元し、地方自治の原則を守るよう強く要請したところです。
 国に不当な措置をやめるよう厳しく求める取り組みを、知事を先頭に、都議会と都民が一緒になって進める必要があると思いますが、知事、いかがですか。
 最後に、米軍横田基地へのCV22オスプレイ配備の問題です。
 オスプレイは、エンジン事故が多い、油圧パイプの油漏れが多い、悪天候に弱い、気象レーダーがない、エンジンに砂や泥を吸い込んで事故が起こりやすいなど、欠陥機であることはアメリカ議会調査室の報告などから明らかです。
 その上、横田基地に配備されようとしている空軍のCV22オスプレイは、超低空で敵地に潜入するなどの特殊任務を行うため、危険な訓練を伴うことを米軍は認めています。欠陥機が危険な訓練を行うから重大事故率が極めて高いのです。
 ところが、十月に発表されたCV22オスプレイ配備に関し、計画と影響などを示した環境レビューでは、そのCV22オスプレイが東京上空の一都八県に及ぶ横田エリアという広大な米軍専用空域で訓練を行うことが明らかになりました。
 さらに、静岡、青森、そして沖縄で実弾射撃訓練を行うことが明記されています。それだけに、首都圏を初め全国各地から、オスプレイは来るなの声が広がっています。
 横田基地へのCV22オスプレイ配備を許せば、基地周辺だけでなく、首都圏、さらには全国各地の住民を危険にさらす結果になることを知事はどう考えますか。国の専管事項などといっている場合ではありません。知事が先頭に立って、政府や米軍に強力に働きかけるべきです。知事、いかがですか。
 環境レビューでは、横田基地に特殊作戦部隊が配備され、特殊部隊の司令部をつくることも明らかになりました。
 さらに、中谷防衛大臣は、CV22オスプレイ配備によって、米軍と自衛隊の特殊部隊間の共同訓練が可能になると答弁しています。
 都は、横田基地はあくまでも輸送基地だと答弁してきましたが、これはまさに横田基地が日米の特殊部隊の拠点になることを示しているのではありませんか。知事はどのように認識していますか。
 特殊作戦部隊の重要な役割の一つは、中東などにおける対テロ作戦です。戦争法のもとでこのような特殊作戦部隊が横田基地に配備されるなら、東京がテロ攻撃の標的にされる危険が高まることになります。知事はどう認識していますか。
 横田基地を拠点に米軍と自衛隊が対テロ攻撃に参加するようなことは断じて許されないと思いますが、知事、いかがですか。
 パリ同時テロで妻を殺害されたジャーナリストが実行犯に、私たちは君たちに憎しみの贈り物は上げないというメッセージを述べたことが世界に大きな感動を広げています。テロは決して武力行使では根絶できません。
 日本共産党は、テロ組織への資金提供を遮断する、テロリストの国際的移動や武器入手を阻止する、貧困や政治的、宗教的差別などをなくしていく、シリア、イラクでの内戦、混乱を平和的に解決していく外交努力を強める、難民の人権を守り抜く国際的支援を強めるなどの取り組みを国際社会が一致して取り組んでこそ解決できると提唱しています。
 この立場でテロ根絶に力を尽くすことを表明し、再質問を留保して、質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 尾崎あや子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新国立競技場の整備に対する都の基本的な考え方についてでございますが、新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本であります。
 一方で、政府において、透明性を確保しながら整備計画が策定され、都民が納得できるものであれば、都が一定の負担をすることは可能であるというのが、私の基本的な考えであります。
 都議会に対しましても、私は新国立競技場の整備に全面的に協力すると申し上げております。
 このたび新たな整備計画において、アスリートファーストや周辺のまちづくりとの調和など、私が関係閣僚会議に出席して申し上げた都の考え方が反映されておりまして、この計画のもとで国と都がしっかりと協議を行ってまいりました。
 こうしたことから、今般、遠藤東京オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣と会談して、応分の財政負担をすることを決断いたしました。
 新国立競技場の整備費負担についてでありますが、新国立競技場は二〇二〇年大会のメーンスタジアムとして、大会の成功のためになくてはならない施設であり、また、大会後においても多様なレガシーを末永く東京にもたらします。
 新国立競技場の整備は国が責任を持って行うものではありますが、開催都市の都としても、大会の成功と大会後にもたらされる多大な便益などを踏まえ、財政負担について決断をいたしました。
 新国立競技場の整備費負担にかかわる法的根拠についてでありますが、今般、遠藤東京オリンピック・パラリンピック大臣、馳文科大臣との会談の場におきまして、馳大臣から、今後、必要な法改正の準備も進めてまいりたい旨の発言がありました。
 財源案には、国において必要な法的措置を講じることも含まれていることから、両大臣と合意したものであります。
 新国立競技場整備費の負担理由についてでありますが、新国立競技場が東京や都民へもたらす便益については、大会の開催や大会後のレガシーといった機能に着目し精査し、まとめ上げたものであります。
 都の財政負担に当たりましては、国と地方で費用を二対一の割合で分担し合う国直轄事業の考え方に準拠した上で、さらにスポーツ振興くじを財源として活用することにより、都は費用の四分の一を負担することといたしました。
 この負担とお示ししている便益とを照らし合わせれば、十分見合うものと総合的に判断したところでございます。
 オリンピック・パラリンピックについてでありますが、私はこれまでも、コストやレガシーの視点から、都が整備する競技会場計画を見直し、全体整備費を圧縮してまいりました。また、責任を明確化し、透明性を確保しながら、施設整備の進行管理を行うなど、大会の成功に向け、着実に取り組んでおります。
 オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、大会後も有形無形の大きなレガシーを末永く東京に残すことで、世界一の都市東京をつくり上げてまいります。
 次に、安倍政権との連携についてでありますが、日本は約十五年にわたる長期のデフレから脱却し、未来に向かって飛躍しなければなりません。
 二〇一九年ラグビーワールドカップと二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを控えたこの機会は、東京や日本をさらなる成長軌道に乗せる千載一遇のチャンスであります。
 安倍政権は、アベノミクスを展開し、経済再生への努力を続けております。新三本の矢を掲げ、一億総活躍社会を目指して、先般、緊急対策を取りまとめました。また、地方創生で日本各地から明るい展望を開こうとしております。
 こうした安倍政権と連携し、現場を持つ首都東京が先進的な施策に取り組んでこそ、日本の明るい未来を開くことができます。今を逃して日本の再生はあり得ないという危機感のもと、総理、官房長官と会談し、国と都がスクラムを組んで知恵を絞っていくことで意見が一致したところであります。
 ご質問にあったような政策の是正を安倍政権に迫る考えはございません。
 社会保障制度についてでありますが、公的社会支出の対GDP比を諸外国と比較して議論するのであれば、同時に国民負担率についてもあわせて議論することが必要であります。
 対GDP比の国民負担率を見ると、日本が三〇・一%であるのに対して、お話のフランスは四六・二%、デンマークは四七・六%であります。
 今後必要なのは、負担と給付のバランスを考え、現在の社会保障システムを国民のコンセンサスを得て持続可能なものへとつくり変えていくことだと考えております。
 本年十月にWHOが発表しました高齢化と健康に関するワールド・レポートについてでありますが、このレポートで述べられているのは、高齢者の健康を維持するための公衆衛生分野からの支援の必要性であります。
 この考え方は、健康寿命の延伸を目標とする第二次東京都健康推進プラン21と軌を一にしております。
 また、本年三月に策定した東京都高齢者保健福祉計画でも、元気な高齢者の社会参加の促進や健康づくりの推進のための施策を盛り込んでございます。
 次に、社会保障財源と税制についてでありますが、少子高齢化が急速に進行する我が国において、持続可能な社会保障制度の構築を図るためには、安定財源の確保が不可欠であります。
 そのためには、広く消費に負担を求め、世代間の公平を図ることができる消費税の税率引き上げにより、社会保障財源を拡充することは避けて通れません。
 税制全体のあり方については、社会保障財源のみならず、幅広い観点から議論が行われるべきものと考えております。
 経済的支援の拡充についてでありますが、社会保障制度は、財源も含め、国によって異なっており、経済的支援を行っている分野や対象はさまざまであります。
 我が国におきましては、所得保障は、経済政策や社会政策の一環として、基本的に国の責任で対応すべきものでありまして、児童手当や障害児福祉手当など、分野ごとに制度が整備されてございます。
 都が果たすべき役割は、サービスの基盤整備など、東京の福祉水準全体の向上を図ることであります。
 次に、高齢者福祉についてでありますが、高齢者の生活実態はさまざまであり、低所得の方や家族の支援を受けられない方がいることは十分承知しております。また、高齢者対策に対する都民要望が高いことも承知しております。
 都は、こうした高齢者の生活実態やニーズを踏まえ、本年三月に高齢者保健福祉計画を策定し、介護サービス基盤の整備や在宅療養の推進など、さまざまな施策を進めております。
 次に、非正規雇用対策についてでありますが、先月発表された厚生労働省の調査で、非正規雇用の割合が四割に達しました。高齢者の再雇用がふえたことなども要因として考えられますが、私は、この状況は尋常ではないといつも申し上げているとおりでございます。
 国は、非正規労働者の正社員転換を加速させ、雇用の質を高めていくとの方針を本年六月に示しております。
 働き方には派遣やアルバイトなどいろいろありますが、安定した仕事につくことを希望しながら、自分の意に反して非正規で働いている方を一人でも多く正社員化していきたいというのは私の思いであります。
 都は、国に先駆けて、今年度より、東京労働局と密接に連携した独自の非正規雇用対策に取り組んでおり、こうした取り組みを着実に進めてまいります。
 次に、ものづくり産業の集積についてでありますが、都内に集積するものづくり中小企業は、地域の産業や雇用を支える原動力であると認識しております。
 このため、都は既に、東京都長期ビジョンに産業集積の維持発展を位置づけ、工場の操業継続のための環境整備や、地域における多様な主体との連携による新たなネットワークの構築など、さまざまな施策を展開しております。
 今後とも、これらの施策に取り組んでまいります。
 次に、不合理な偏在是正措置についてでありますが、もとより、私みずからが先頭に立って、不合理な偏在是正措置の撤廃などに向け、あらゆる機会を捉え国に働きかけております。
 また、都議会におかれても、この間、不合理な偏在是正措置に対する反対意見書を可決するなど、積極的にこの問題に取り組んでいただいております。
 国における税制改革論議は、まさに今、大詰めを迎えているところでありまして、こうした取り組みを踏まえた判断が下されるべきであると考えております。
 次に、オスプレイの配備についてでありますが、安全保障に関することは国の専管事項でありますが、米軍の運用に際しては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要であります。
 横田基地へのオスプレイ配備について、都は、国の責任において、地元自治体や周辺住民に対して十分な説明責任を果たすとともに、安全対策の徹底と環境への配慮を米国に働きかけることを既に要請しております。
 今後も、都民の生命と安全・安心を守る立場から、国に対して必要なことは申し入れてまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、都営幡ヶ谷原町アパートの敷地についてでございますが、現在、アパートの居住者の移転が完了しており、今後、建物を除却することとしております。
 都営住宅用地は都民の貴重な財産であり、これまでも、まちづくりなど、都の政策目的の実現等に活用しております。
 次に、都市計画道路の整備方針についてでございますが、都市計画道路は、活発な都市活動を支えるとともに、都民の安全・安心を確保する上で極めて重要な役割を果たす都市基盤でございます。
 将来にわたり東京を持続的に発展させていくためには、広域的な交流、連携や、高度な防災都市、個性的で活力ある地域づくり等を支える道路ネットワークのさらなる充実が不可欠でございます。
 こうした目的の達成に向け、新たな整備方針を策定し、今後とも、関係区市町と連携の上、必要な財源の確保に努めつつ、計画的かつ効率的に都市計画道路の整備に取り組んでまいります。
 次に、渋滞解消に向けた交通政策についてでございますが、東京では、高密度で安全な鉄道ネットワークが形成されております。その結果、例えば、区部においては、業務目的を含め、移動の際には半数以上の人々が鉄道やバスを利用するなど、東京は、既に世界的に見て、公共交通の利用が進んでいる大都市となってございます。
 一方、道路につきましては、これまでも海外主要都市に比べて整備率が低い環状道路などの整備を推進し、都心部から通過交通を排除することにより、慢性的な渋滞の緩和や環境負荷の低減などに努めてまいりました。
 都内の都市計画道路の整備率は約六割にとどまっており、人や物の流れを円滑にし、経済の活性化や利便性を高めるためにも、今後とも、三環状道路はもとより、都市計画道路ネットワークの形成に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、横田基地の機能についてでございますが、横田基地は西太平洋地域の米軍の空輸ハブ基地として、輸送部隊が駐留しております。
 CV22オスプレイの配備に伴い、飛行部隊や群司令部などが新たに置かれる予定と聞いておりますが、国は、CV22オスプレイの配備は、横田基地の輸送基地としての機能の範囲内で行うものとしており、配備後におきましても、横田基地の空輸基地としての役割は変わらないものと認識しております。
 最後に、横田基地に配備される部隊の任務についてでございますが、国からは、CV22オスプレイの横田基地配備に伴い、CV22十機と関連要員等から構成される飛行部隊が新編される予定と聞いております。
 その主な任務は、各種事態が発生した場合に、初動対応を行うアジア太平洋地域の米軍部隊を輸送することであると説明を受けてございます。
 これまでも繰り返し申し上げているとおり、安全保障に関することは国の専管事項でございまして、米軍や自衛隊の運用につきましては、国の責任で行われるべきものでございます。
 都は、都民の安全と生活環境を守る観点から、地域に影響を及ぼす米軍の運用につきまして、国や米軍に要請を行っております。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新国立競技場整備費の負担根拠についてでございますが、新国立競技場は、国が整備するのが基本である一方、二〇二〇年大会のメーンスタジアムとしてなくてはならない施設でございます。
 また、大会後の東京において、多様な価値を末永く持つレガシーとなります。
 国立のスポーツ施設整備費に対する地方自治体の負担例は承知しておりませんが、こうした便益を踏まえ、地元の受益を勘案して国と地方で費用を分担し合う国直轄事業の考え方に準拠し、財政負担を行うことが妥当と考えました。
 この点につきまして、地方財政法により、国の事務事業に対する地方自治体の支出には制約があることから、国において必要な法的措置が講じられることとなっております。
 次に、新国立競技場整備費に係る今後の都の財政負担についてでございますが、本年八月に開催されました新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議で決定された新たな整備計画におきまして、新国立競技場のスタジアム本体及び周辺整備に係る工事費の合計額は千五百五十億円以下とするなど、コストの上限が定められております。
 その上で、例外として、賃金または物価等の変動が生じた場合の工事請負代金額の取り扱いにつきましては、国の定めるところにより、金額を変更することができること、また、将来、消費税率一〇%が適用される場合には、現在八%で計算されている金額との差額が別途必要となることが、既に定められております。このようにコストの上限が定められ、その例外が限定されております。
 また、国と分担し合う対象経費につきましても、明確化されております。
 したがいまして、物価騰貴や消費税率の変更以外に都の負担が増加する要素はございません。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 八点のご質問にお答えをいたします。
 まず、特別養護老人ホームの整備についてでありますが、昨年策定した長期ビジョンの目標は、高齢者人口の将来推計や区市町村のサービス見込み量を踏まえ、定めたものでございます。
 都はこれまで、整備率が低い地域の整備費補助単価に対する加算や、建築価格高騰に対する加算、都有地の減額貸付、土地賃借料の負担軽減など、さまざまな支援策を講じており、今後とも、目標達成に向け区市町村や事業者を支援してまいります。
 次に、介護報酬についてでありますが、本年四月の改定は、国の社会保障審議会の答申に基づき行われたものであり、改定率は、賃金や物価の状況、平成二十六年の介護事業経営実態調査での各サービスの収支状況等を踏まえて算出されたものと認識しております。
 また、改定では、介護職員処遇改善加算を充実するとともに、サービス提供体制強化加算に、介護福祉士の配置をより一層促進するための区分が創設されております。
 都はこれまで、国に対し、介護事業者が介護人材の定着、確保を図り、健全な事業運営を行うことができる介護報酬とするよう、繰り返し提案要求をしております。
 また、今年度から国のキャリア段位制度を活用し、職員のキャリアアップに取り組む事業者を支援する都独自の補助制度を開始しております。
 事業者の運営状況につきましては、今後、第七期の高齢者保健福祉計画策定に向けた取り組みの中で調査等を行ってまいります。
 次に、保育サービスに対する指導監督についてでありますが、都は児童福祉法等に基づき指導監督を行っており、設備及び運営に関する基準に抵触した場合、改善を指導し、その後も改善されない場合には、報告期限を付して改善勧告を行っております。
 それでもなお改善が図られない場合には、児童の処遇を確保した上で、取り消しも含めて厳正に対処しております。
 保育サービスの質を確保することは重要であり、今後とも、都は事業者に対して、法令等に基づいた指導を実施してまいります。
 次に、保育サービスについてでありますが、職員配置や必要な面積など保育サービスの基準は、国が社会保障審議会等の議論を経て省令等で規定し、都や区市町村はそれらを踏まえ、議会等の審議を経て条例等で定めております。
 都は、保育サービスの整備を進めるため、区市町村や事業者の負担軽減、都有地の減額貸付等を初めとした独自の支援策を実施いたしますとともに、保育の質の向上に向け、障害児やアレルギー児等、特に配慮が必要な児童に対する支援や経営者向け研修等を実施しております。
 また、国に対しては、待機児童対策を初めとした子供、子育て支援施策の強化、推進を図るため、恒久的、安定的財源を十分確保するよう繰り返し提案要求を行っております。
 次に、保育所に対する財政支援についてでありますが、都はこれまで、子供、子育て支援施策の強化、推進を図るため、恒久的、安定的財源を十分に確保することや、保育士の安定的な確保、定着のために、地方自治体や事業者等の意見を聞きながら、キャリアアップのための仕組みを検討し、施策の充実を図るとともに、十分な財源を確保することを国に対し提案要求してまいりました。
 また、今年度から、多様な保育サービスを対象に、保育士等キャリアアップ補助や保育の質の向上に向けた補助を行うなど、都独自の財政支援の充実を図っております。
 次に、東京の特性を踏まえた用地確保策についてでありますが、都はこれまで、特別養護老人ホームや保育所等の整備を促進するため、都有地の減額貸付や定期借地権の一時金の補助、国有地、民有地の借地料補助など、さまざまな支援策を独自に実施してまいりました。
 今後とも、こうした取り組みにより、その整備を進めてまいります。
 次に、国有地の貸付料の減額についてでありますが、国は、都市部における介護施設整備を加速化するため、政策的に必要な期間、地域、対象施設において、初期投資の負担軽減に資するよう、定期借地権契約の貸付料を契約締結日から十年間に限り五割減額するとし、本年十一月二十四日の財政制度等審議会国有財産分科会において了承されました。地方自治体に対しましては、今後、制度内容の説明が行われる予定でございます。
 なお、国有地貸付料の減額等につきましては、都はこれまで、繰り返し提案要求しております。
 最後に、保育所に対する国有地の貸付料の減額についてでありますが、ただいま申し上げたとおり、都はこれまでも国に対し、国有地の貸付料の減額を行うよう提案要求しております。
 都は、昨年度から、保育所整備のための国有地の借地料補助や定期借地権補助の国有地への拡大など、都独自の支援策を実施しております。
〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都施設の移転跡地の活用についてでございますが、都有地は都民から負託を受けた貴重な財産であり、都政の喫緊の課題解決のため、最大限有効活用していくことが重要でございます。
 都が抱える行政需要は、福祉施設整備を初め、学校、道路、公園、都民の安全・安心にかかわる施設など多岐にわたっております。
 これらの行政需要を踏まえ、まず、都みずからによる利用を検討することとしております。
 都みずからが利用しない場合には、個々の都有地の形状や立地等を踏まえ、福祉インフラ整備に活用可能と判断される都有地については、適切に区市町村に対して情報提供を行ってまいります。
 次に、都市インフラの新設についてでございますが、社会資本ストックの維持更新経費や社会保障関係経費の増加は重要な課題であると認識しております。同時に、道路、港湾を初めとする都市インフラの新たな整備は、東京の活性化や国際競争力の向上はもちろん、都民生活の向上を図る上でも必要不可欠な取り組みでございます。
 引き続き、社会資本ストック一つ一つについて必要性を検証いたしますとともに、長寿命化などによりまして経費の平準化や縮減などを図りながら、必要な社会資本の整備に着実に取り組んでまいります。
 最後に、都市インフラ整備への財源配分についてでございますが、都市インフラの整備は、都民の利便性や国際競争力の向上、東京の活性化などのために不可欠な取り組みであり、臨海部も含め必要な施策は着実に進めてまいります。
 今後とも、限りある財源を重点的、効率的に配分しながら、適切かつ着実に社会資本の整備に取り組んでまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 八点のご質問にお答えをいたします。
 まず、最低賃金の引き上げについてでありますが、欧米諸国の動向は把握しておりますが、国によって経済状況、社会保障制度、雇用の流動性などが異なるため、背景となる事情を抜きにして一概に論じることは適当ではないと考えております。
 また、現在、国において継続的な好循環の確立に向け、最低賃金の引き上げが議論されているところでございます。
 次に、国や経済団体等への働きかけについてでございますが、東京の最低賃金は法に基づき、労働者、使用者、公益の三者の代表が審議し、国において決定をする仕組みとなっております。
 次に、最低賃金引き上げに向けた支援についてでございますが、最低賃金は地域の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮して国において決めることとなっており、都としては、この制度が適切に運用されるべきものと考えております。
 次に、ものづくり産業集積に対する支援についてでございますが、都はこれまで、区市町村による計画的な産業集積の取り組みに対する支援を行ってきており、本年度からは、広域的なビジネスマッチング等の事業も対象としております。
 また、産業技術研究センターでは、各地域に四つの拠点を設けるとともに、異業種交流グループを毎年立ち上げ、支援をしております。
 次に、多摩地域のものづくりに対する支援についてでございますが、都は、高度な技術を有する中小企業や大手企業、大学、研究機関が集積する多摩地域の特性を生かし、交流会やそこで生まれたプロジェクトの事業化に向けた支援を既に行っております。
 次に、多摩地域における中小企業支援についてでございますが、都は、産業サポートスクエア・TAMAを設置し、経営相談や専門家派遣等の経営支援とともに、技術相談や各企業現場での技術支援を行っております。
 また、二十八カ所ある多摩地域の商工会や商工会議所等と連携して、きめ細かな巡回指導や資金繰りの相談などにより、中小企業を幅広く支援をしております。
 次に、産業交流拠点の整備についてでありますが、八王子市に設置する産業交流拠点は、多摩地域における産業集積や産業交流を促進するため、展示会を行うためのホールや交流会に活用できる会議室等を整備するものであり、今年度から基本設計を行うこととしております。
 最後に、小規模企業に対する支援についてでございますが、都は事業承継等に関する普及啓発等を行うとともに、外部専門家等を活用した継続的な支援体制を整備するなど支援策を拡充してきたところであり、引き続き必要な取り組みを進めてまいります。
〔三十五番尾崎あや子君登壇〕

○三十五番(尾崎あや子君) 知事は就任以来、本会議での再質問に対し、一度も答弁に立ちませんでした。都議会会議規則と議会制民主主義の軽視といわざるを得ません。
 埼玉、千葉、神奈川各県議会では、我が党を初め自民、民主、公明など各会派が再質問を行っており、いずれも知事が答弁に立っています。知事への再質問に知事が答弁しない現状は異常です。
 都議会における議論をより活発化し、知事と議会が緊張感を持って都政をよりよい方向に進めるために、知事、再質問にきちんと答えるべきです。
 また、新国立競技場の都負担問題について、知事は先日の記者会見で、どのように都民の理解を得るのかと聞かれて、都議会で都民の代表である議員の質問にきちんと答弁していくと答えました。しかし、先ほどの答弁では、私は全然納得できません。都民の皆さんも納得できないと思います。
 そこで、以下、再質問しますので、知事がきちんと答弁してください。
 第一に、なぜ四分の一負担かという問題です。知事は都負担を発表したとき、便益などを積み上げた数字だといいました。ところが、今の答弁は積み上げた数字ではないというものです。積み上げでないというなら、当初、なぜ積み上げた数字だといったのですか。
 第二に、四分の一負担の根拠について、知事は、東京の便益を踏まえたと答えました。しかし、国立施設を整備すれば、地域に便益をもたらすのは当然であり、特に新国立競技場の整備費を負担する理由になりません。違いますか。
 例えば、スポーツを行う都民がふえるなどという便益は、どのようなスポーツ施設でも共通するものです。
 便益の例について、八万人相当の備蓄倉庫ができると説明されています。しかし、新国立競技場の観客数は最大八万人であり、この観客数に見合った備蓄倉庫などをつくるのは、設置者である国としての当然の責務です。
 帰宅困難者などを受け入れる事業所に対する備蓄倉庫などへの国の補助制度も、その事業所の従業員と観客の定員数分は対象外とされているのです。都が財政負担する理由にはなりません。知事、いかがですか。
 以上、政治家として知事みずから明確にお答えください。(拍手)
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〔発言する者多し〕

○議長(川井しげお君) 静粛にしてください。

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 四分の一負担の根拠についてでございますが、先ほど知事が答弁しましたように、新国立競技場が東京や都民へもたらす便益につきましては、大会の開催や大会後のレガシーといった機能に着目して精査し、この便益をまとめ上げたものでございます。
 都の財政負担に当たりましては、国と地方で費用を二対一の割合で分担し合う国直轄事業の考え方に準拠した上で、さらにスポーツ振興くじを財源として活用することによりまして、東京都は費用の四分の一を負担するとしたものでございます。
 それと、二問目の便益の理由でございますが、殊さら防災機能に特化したご質問でございましたが、新国立競技場につきましては、防災機能ももちろんその便益の一部でございますが、都民に対してすばらしいスポーツのレガシーを残すということ、あと周辺環境にバリアフリー化が進むということで、その周辺環境の向上にもつながると。また、世界的なスポーツイベントを実施することで、都民のスポーツへの関心、また、スポーツ都市東京の実現に著しく寄与する、こういった便益を総合的に勘案して、今回、国との合意を決断されたものでございます。

○議長(川井しげお君) 百番斉藤あつし君
〔百番斉藤あつし君登壇〕

○百番(斉藤あつし君) 質問に先立ち、名誉都民水木しげる氏のご逝去に当たり、哀悼の意を表します。
 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について舛添知事並びに関係局長に伺います。
 先般のパリにおけるテロ事件で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、惨事に遭遇された方々への心よりのお見舞いを申し上げます。
 今回のテロのような卑劣な行為は、断じて許されるものではなく、二〇一九年ラグビーワールドカップ及び二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを開催する首都東京においても、テロ対策に万全を期していく必要があります。
 この間のテロで脅威が高まっているのは、生まれ育った自国でテロを起こす、いわゆるホームグロウンテロリストの存在です。
 G20の特別声明でも、若者を関与させ、かつ社会の全てのメンバーの包摂を促進するため、あらゆるレベルで取り組む旨の記述があるように、東京都においても、若者の貧困、雇用対策を進め、多様な価値観を尊重し合う社会の実現に向けて取り組むことが広い意味でのテロ対策になるものと考えます。
 また、警視総監に対しては、既に私たち都議会民主党は、九月の代表質問で答弁を求めたところでございますので、引き続き、官民との連携強化や最新技術の活用などにより、対策の強化に取り組まれることを強く要望するものであります。
 もとよりテロ対策は、警視庁だけではなく、政府機関を初め、消防庁や公営企業局、あるいは民間団体などとも連携をしながら、万全の対策を講じていく必要があると考えますが、テロ対策に向けた舛添知事の見解を伺います。
 次に、先日策定された東京都総合戦略について伺います。
 この間、自民党安倍政権は、いわゆる東京ひとり勝ち論、東京富裕論を背景として、東京を狙い撃ちするかのような人、物、金の地方移転策を打ち出しており、偏在是正の名のもとで、地方間の移転を推し進めようとしております。
 地方創生は、小手先の取り組みではなし得ず、地方がみずからの権限と財源に基づき、行政のかじ取りを行っていく真の地方分権と、そのための税財政制度の改革があって初めて可能となるものです。実現に向け、引き続き力強い取り組みを求めるものです。
 地方創生が東京一極集中の是正といった議論になりがちな中、東京都総合戦略では、特に東京と地方の共存共栄に焦点を当てています。
 地方分権への取り組みとの両輪として、地方自治体同士が連携をして活性化に取り組み、日本全体の再生につなげなければなりません。同時に、東京もほかの地域と変わらない一つの自治体として、東京全体の発展を図っていくことが大変重要です。
 都は、地方創生の推進において、ほかの地域との共存共栄を積極的に推進するとともに、東京が直面する諸課題を解決し、東京全体の着実な発展を目指していくことが必要であると考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 新国立競技場の整備費について、舛添知事は、所信表明において、オリンピック・パラリンピック大臣と文部科学大臣と会談し、三百九十五億円程度を都が負担することに合意したと述べました。
 私たち都議会民主党は、この間、都が新国立競技場の整備費負担を検討する前提として、都民の理解が得られること、法的根拠があること、過大な負担とならないことが必要であると強く申し上げてきました。
 今回、二〇二〇年大会のメーンスタジアム完成期限が迫る中、国との合意を早期に行った知事の労は多としたいと考えます。同時に、今後も引き続き、情報公開や透明性の確保を初め、徹底したコスト縮減や事業費圧縮を国に対して働きかけることを強く求めるものであります。
 詳細は十四日の特別委員会で質問いたしますが、ここでは舛添知事の基本的姿勢を伺いたいと思います。
 知事は、基本的に都民が納得できるものでなければならないと常々述べておりましたが、今回の合意はそのとおりの結果となったのか、都民が受ける便益の内容や負担の積算根拠、法的根拠の内容など、都民に対する説明も含め、知事の見解を伺います。
 次に、ラグビーワールドカップとオリンピック・パラリンピックの一体的な開催についてです。
 ラグビーワールドカップのイングランド大会は、二百四十七万人の観衆を集め、日本でも代表チームの活躍により、注目度が大変高まりました。
 時同じくして、調布市にあります東京スタジアムが二〇一九年大会の試合開催会場として承認され、開会式、開幕戦を開催することが決定しました。
 東京スタジアムは、オリンピック・パラリンピック大会でも七人制ラグビーが開催される予定で、両大会での連携がラグビー人気をさらに盛り上げるものと期待をしております。
 知事が所信表明で述べていたように、私も二つの大会を一体のものとして捉えることが必要であり、また、東京スタジアムの改修といった課題にも取り組んでいく必要があると考えます。
 二〇一九年ラグビーワールドカップ日本開催に当たっては、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックと一体的に捉えて準備を進めるべきと考えますが、知事の認識と取り組みに向けた見解を伺います。
 次に、ラグビーワールドカップのチームキャンプ地についてです。
 ラグビーワールドカップに出場する二十チームのキャンプ地には、初戦の約十日前から大会期間中の練習や調整を行い、その活動費なども大会組織委員会が保証する公認チームキャンプ地と、それ以前から日本に入り、チームみずからの責任で場所の選択や費用負担をするそれ以外のチームキャンプ地があり、各自治体の誘致機運も高まっています。
 組織委員会は、来年春以降にチームキャンプ地選定プロセス概要を発表する予定ですが、都としては、組織委員会と連携して、チームキャンプ地受け入れを希望する都内の区市町村を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、国際的なスポーツイベントに向けた受動喫煙の防止です。
 私たち都議会民主党は、平成二十四年の第一回定例会で、議員提出議案として提案した東京都がん対策推進条例案第七条でも規定したように、受動喫煙防止の条例化は当然のことと考えております。
 ことし五月、東京都受動喫煙防止対策検討会は、二〇一八年までに条例化について検討を行うことや、国に対して法律での規制を働きかけることなどの取りまとめを行いました。
 しかし、私は、ラグビーワールドカップをオリンピック・パラリンピックとの一体的なものとして捉えるならば、受動喫煙防止条例の制定に向けて時期を前倒しして取り組むとともに、国に法整備を働きかけるべきと考えています。
 受動喫煙防止に向けた知事の見解を伺います。
 次に、観光振興について伺います。
 外国人旅行者の増加が続き、東京や大阪などでは客室数が不足をしております。都内観光の玄関口である大田区では、国家戦略特区を活用して、一般住宅に有料で泊める民泊条例を都内で初めて制定しました。
 今後は、ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックの開催に際して、国内外から多くの観客が訪れることが見込まれ、宿泊需要への対応が求められています。
 都内には、多くの企業が保有する保養所や研修所があり、企業の協力を得てこれらの施設を大会期間内に限定して提供するということも考えられます。
 増加する都内観光客の宿泊需要に応えるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、外国人旅行者の受け入れ環境の整備です。
 外国人旅行者の国籍別内訳は、中国や韓国、台湾からが最も多く、ビザ免除、発給要件緩和が実施されたタイやマレーシア、ベトナムからの伸びも高くなっています。
 こうした中、外国人旅行客の文化や習慣、消費動向などの正確な情報を国内事業者に提供し、適切な対応でもてなすことが重要だと考えます。
 観光庁では、利用者との摩擦を避けるために、入れ墨がある外国人旅行者への入浴に関する調査結果を提供しました。
 都においても、外国人旅行者の文化、習慣に配慮するため、受け入れ環境の整備に向けた調査を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、環境施策について伺います。
 温暖化対策について、東京都は先般、二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年比で三〇%削減をするという新たな目標を発表しました。これは、二〇一三年比で見ると三八%もの削減となり、国が掲げた目標を大きく上回るなど、まさに都市が温暖化対策をリードするという積極的姿勢を示した意欲的な目標だと評します。
 都はこれまでも、気候変動への対策では国の先を行く政策を展開し、エネルギー消費量で二〇〇〇年度比約二割も減少させるなど、効果を上げております。
 今後は、こうした取り組みを継続、発展させ、温室効果ガス削減目標の実現に向けて積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、雇用就業対策について伺います。
 私たち都議会民主党は、同一価値労働、同一賃金の原則のもと、特に企業の調整弁となっている非正規社員の正規雇用化、処遇改善に向けて取り組むことが、極めて重要であると考えています。
 一方、安倍政権は、雇用がふえていると強弁はしていますが、ふえているのは非正規ばかりで、もはや非正規社員が四割となっております。
 舛添知事は、以前より、働く人の三分の一が非正規社員であるという社会は尋常ではないと述べ、まずは不本意非正規の半減を目標に、今年度より、新たに非正規雇用対策を始めました。所信表明でも、既に予定を大幅に上回る申し込みがあると述べております。
 不本意非正規の正規雇用化の推進に向けて、さらに支援策を拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、働き方改革です。
 私たち都議会民主党は、平成二十六年六月議会において、賃金や就業時間などがハローワークの求人票の内容と異なっているなどの苦情が多く寄せられていると指摘し、その改善を求めてきました。
 こうした、いわゆるブラック企業やブラックバイトの実態が、国の調査などでも明らかになってきました。
 都内企業に対して、法令遵守に向けた取り組みをより一層強化していくためには、安心して働くことができる労働環境の改善や両立支援を推進する、いわゆるホワイトカンパニーをふやすことが重要であり、そのためには協力企業の登録を初め、就業規則の策定や進行管理などに対して具体的な支援を行うなど、より踏み込んだ支援策が必要であると考えます。
 働き方改革を推進し、良質な雇用と労働環境づくりに向けて取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、女性活躍推進策です。
 日本では、働きたいと思いながらも仕事についていない女性は三百三万人に上り、出産で退職する女性は五割を超えています。
 また、働く女性が第一子を妊娠後、育休をとって復職できた正社員は四割、派遣やパートの女性は四%で、育休をとりにくく、また復職がかなり難しい状況にあり、特に非正規社員は復職できない状況となっております。
 国は、女性活躍推進法を制定いたしましたが、同時に労働者派遣法を変え、女性の非正規定着を進めかねない行動をとっております。
 労働環境における課題を洗い出し、働きたい女性がより働きやすい環境を整備すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 安倍総理は、新三本の矢の一つとして介護離職ゼロを目標に掲げ、これを受けて政府は、二〇二〇年代初めまで、介護施設やサービスつき高齢者向け住宅を合計五十万人分以上ふやすと発表しました。
 しかしながら、今年度、国は介護報酬を引き下げたこともあり、人手不足が顕著となっており、サービスをふやすには介護人材がさらに必要となります。
 この間、都においては、在宅でも安心できる介護体制の整備を進めております。区市町村においても、地域特性や日常生活圏において必要な地域資源を分析しながら取り組みを進めています。これまでの都の方向性と政府の発表の方向性と相反しないのか、懸念をしております。
 国の施設偏重ととられかねない新たな方針に対して、都として高齢者が安心して暮らせる施策を着実に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、本質的な課題である介護人材不足対策です。
 ことし四月、国が介護報酬を減額した影響や要支援サービスの地域支援事業への移行などで人手不足に拍車がかかり、大手事業者でも事業展開を縮小せざるを得ない動きが出ています。小規模の訪問、通所介護事業者の倒産もふえております。
 こうした中、都においては、介護施設職員の住宅の借り上げ補助を行うこと、国には小規模事業者が介護人材を確保できる待遇改善策を求めることなどの取り組みが重要です。
 介護人材不足の現状に対して、確保、定着に向けたさらなる取り組みが必要だと考えますが、見解を伺います。
 次に、子供、子育て支援について伺います。
 私は先月、フィンランドへ海外調査で出かけてまいりましたが、政府や地元自治体が出産を歓迎し、育児を応援するという姿勢をありありと感じることができました。国民も、提供される行政サービスに期待し、安心して出産、育児ができるという雰囲気でした。
 私は、都においても同様に、都民の出産、育児を応援し、その姿勢が都民に具体的に伝わるように取り組んでいく必要があると考えております。
 しかしながら、日本では、子供を持つ親の七割が子育てに不安や負担を感じているということです。となれば、妊娠、出産、子育てを社会全体で支えていくための取り組みというのは急務であります。
 現在、東京都の出生率は、全国最低の一・一五ですが、先般策定された地方創生に関する総合戦略で、希望出生率一・七六の実現を展望する期間が二〇六〇年までとなっておりますが、これは余りにも先の話になってしまうんではないでしょうか。
 妊娠や出産、子育てにおける不安や負担、不利益などをどのように解消し、子供を安心して産み育てられる東京を実現するのか、知事の見解を伺います。
 次に、産後ケア、育児を支える心と体づくりです。
 女性の妊娠、出産から育児までを一貫して支援する体制づくりとしては、東京都は、ゆりかご・とうきょう事業を新設し、区市町村への支援を始めておりますが、現在、産後ケア事業を行っている自治体は三区での実施というふうにとどまっております。
 母子健康手帳においては、出産後の母体に関する記述は少なく、産後の家庭では幼児虐待や産後鬱、夫婦不和といった深刻な問題が発生する可能性があるため、子育て家庭の負担を軽減する支援が必要です。
 産後の家庭における諸問題に対処するため、産後ケアの取り組みは大変重要であります。
 都として、産後ケアが都内で広く推進されるように取り組むべきと考えますが、その見解を伺います。
 次に、知事の公約、待機児童ゼロに向けた取り組みであります。
 私たちは、二〇一七年度末までに、保育サービス利用児童数を四万人ふやし、都内の待機児童を解消するとの目標が知事の最大の公約の一つと考えております。
 都内における保育施設の定員拡充に対する取り組みが進む中で、人材確保が追いつかないのではないかという懸念をしております。
 保育士には、資格を取得し、子供の命を預かる責任の重さや社会的ニーズの高さ、労働環境の苛酷さがあるにもかかわらず、平成二十五年の調査では、新規の保育士賃金は月額二十万七千四百円で、全産業月額平均の二十九万五千七百円を大きく下回っております。
 今年度、都は、保育士がキャリアアップに取り組む施設の事業者を支援し、給与を上げる補助制度を始めましたが、あわせて新たな人材確保として保育士受験者や新卒者就職、そして定着などの支援充実や保育の魅力を発信する取り組みも重要だと思います。
 保育人材確保の課題に向けて、さらなる多様な取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 続いて、救急搬送について伺います。
 私たち都議会民主党の求めもあり、今年度は、特殊救急車両や救急隊五隊分の増強が図ることができました。ここ二年間の救急搬送時間は短縮されていますが、私は、さらなる短縮に向けて、新たな手だてを講じていくべきだと考えております。
 特に、東京消防庁の救急出動件数は年間七十六万件もあり、それぞれの搬送と患者に関するデータも多岐にわたることから、私は、こうしたビッグデータを活用することで、救急患者の発生予測や救急隊の適切な配置などに役立て、より効率的な運用を図るべきだと考えます。
 そこで、救急隊のさらなる増強や効率的な運用など、救急搬送体制の充実に向けた見解を伺います。
 次に、まちづくりについて伺います。
 舛添知事は、年内に都市計画道路の新たな整備方針を公表すると発言されましたが、早期整備が望まれる路線については、地域の不燃化推進、交通渋滞の解消、歩行者、自転車の安全確保など、より効果的な取り組みを進めることが求められています。
 また、オリンピック・パラリンピック後を見据え、成熟都市東京を実現するためには、関連施設周辺の道路については、電柱、電線の地中化などの環境整備ともあわせた早急な取り組みが必要です。
 一方で、社会状況やまちのありようが変化している中で、長期未着手の路線については廃止を含めた検討を早期に進めることも求められています。
 こうしたことを踏まえ、東京の安全性、快適性、利便性を高め、持続的発展を可能とするよう、めり張りのある次期整備方針にすべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、くい打ち工事をめぐる施工データ改ざん問題について、再発防止策を検討する有識者会議や国土交通省や建設会社が加盟する日本建設連合会でも、再発防止を検討しており、特に、くい打ちの記録をとる際に紙ベースだけでなく電子データでも残し、後から検証しやすくする方法などが現在議論をされているようです。
 国が業界全体の実態を調査することが当面の課題ではあり、再発防止については、東京都も国や業界全体と連携して対応することが確かに重要です。
 しかし、都が発注するさまざまな建設中の案件や当面の発注する案件に対しては、待ったなしの状況であるということもまた事実であります。
 そこで、くい打ち工事をめぐる施工データ改ざん問題を受け、東京都は、公共工事の発注者としてどのような対策を進めていくのか、所見を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 斉藤あつし議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、テロ対策ですが、本年一月のシリアにおける邦人殺害テロ事件以降、我が国も国際テロの標的になり得るとの認識が広まりましたが、特に首都東京においては、世界が注目する国際的なイベントを控え、テロの脅威が徐々に高まっております。
 こうした状況に対し、警察、消防のみならず、国や自治体、国民保護法に基づく医療、電気、運送事業者などの指定公共機関等が相互に連携し、テロ対策の強化に取り組んでいくことが急務であります。
 都としましては、万一のテロ発生時には、住民避難などの国民保護法に基づく措置等を迅速的確に実施できるよう、関係機関との連携強化や訓練による対処能力の向上に努め、首都東京の安全・安心の確保を図ってまいります。
 地方創生の推進におけます他の地域との共存共栄と東京全体の着実な発展についてでありますが、地方創生の実現に向けては、東京一極集中の是正など、東京対地方という構図での議論が先行しているのはまことに残念であります。
 そうした議論に対しまして、今回策定しました東京都総合戦略では、東京と地方がともに栄え成長し、日本全体を発展させていく真の地方創生の実現を目指すことを基本に据えました。
 東京の発展と地方の繁栄は、二律背反の関係ではなく、地方の特色ある資源と東京に集まる資金、情報とを結びつけることで、相乗効果により地域ごとの新たな魅力が創出されてまいります。
 こうした共存共栄の関係を一層強固なものにしていくためには、成長産業分野の戦略的育成や世界有数の観光都市への躍進など、東京全体の活力をより高めていくことが重要であります。
 東京は、これまでに経験したことのない本格的な少子高齢化の到来など、さまざまな課題を克服し、国際経済都市としてさらなる発展を遂げることによって、日本全体の持続的な成長に貢献してまいります。
 新国立競技場の整備費負担でございますけれども、新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本であります。
 一方で、都としての考えが反映された新たな整備計画のもとで、都民に大きな便益があることも明らかであります。
 中でも大きなことは、二〇二〇年大会のメーンスタジアムとして開会式や閉会式等を行う、なくてはならない施設でありまして、世界に向け、東京、日本の力とスポーツのすばらしさを発信することであります。
 また、大会後の東京や都民にとっても、スポーツの振興はもちろん、周辺環境の向上や地域の防災機能の強化など、多様な価値を末永く持つレガシーとなります。
 こうした考えのもと、国において必要な法的措置を講じることも踏まえ、財政負担に応じることを決断いたしました。
 この財源案は、結論だけでなく、ただいま申し上げました負担の考え方や都民の便益などを具体的に示しておりまして、私も機会を捉えて説明してきております。
 今後とも、都民のご理解が得られるよう丁寧に説明してまいります。
 次に、ラグビーワールドカップですが、今回のイングランド大会においては、選手と観客が一体となってすばらしい空間を演出しておりました。
 また、会場周辺では、ボランティアによる案内誘導やセキュリティー対策等により、円滑に大会運営が行われておりました。
 今後、二〇一九年にラグビーワールドカップ、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックと世界最高峰のスポーツイベントが二年連続で開催されます。
 ラグビーワールドカップの開会式、開幕戦が行われる東京スタジアムは、オリンピックの七人制ラグビーの会場でもあります。
 同スタジアムは、多摩地域のスポーツの拠点であり、付近にラグビートップリーグの本拠地があるなど、大会を迎えるのにふさわしい環境があります。地元市を初め、都内各自治体と連携協力し、両大会の機運醸成を図ってまいります。
 具体的な大会準備に当たりましても、共通の課題でありますボランティア、多言語対応、セキュリティーなどについて戦略的に準備を進め、二つの大会を一体のものとして捉え、必ず成功に導いてまいります。
 受動喫煙防止対策ですが、受動喫煙の防止につきましては、誰もこれは異論がありません。しかし、そのための対策にはさまざまな意見があります。
 また、受動喫煙の問題は、地域特性を持つわけではなく、国全体として取り組まなくてはならない課題でございます。
 国が先月、閣議決定を行いました二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の基本方針では、近年の開催地における受動喫煙法規制の整備状況を踏まえながら、競技会場及び公共の場における受動喫煙防止対策を強化するとしておりまして、そのための検討体制も立ち上げる予定であります。
 都におきましては、現在、受動喫煙の防止に向け、飲食店の実態調査や宿泊施設等の分煙化のための支援を行っております。
 今後、国と十分連携を図りながら、実効性のある受動喫煙防止対策を積極的に進めてまいります。
 非正規雇用でございますが、世界一の都市東京を目指すには、安定した職業という確固たる生活基盤を築き、皆が明るい気持ちで生活できるような社会を実現していかなければなりません。
 先月発表されました厚生労働省の調査で非正規雇用の割合が四割に達しました。高齢者の再雇用やパート労働者がふえたことも要因と考えられますけれども、やはりこの状況は尋常ではないと思います。不本意ながら非正規雇用で働く人が少なからず含まれていると考えております。
 都では、三年間で一万五千人の正社員化を実現するため、全力で今取り組んでおります。先週には、一層の機運醸成を図るために、私も出席して、非正規雇用対策シンポジウムを開催いたしました。
 国と連携して正社員転換を促進する助成金事業では、既に予定を大幅に上回る申し込みとなっており、今後、適切な事業規模についても検討してまいります。
 引き続き、誰もが夢と希望を抱けるような、そういう非正規雇用対策を着実に進めてまいります。
 今後の高齢者施策についてでありますが、東京で生まれ、生活し、老後を過ごしてよかったなと誰もが心から実感できる都市にしていくことが、私の目指す東京の姿でございます。
 そのため、昨年策定した東京都長期ビジョンでは、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現を政策指針に掲げました。
 また、三月に策定しました東京都高齢者保健福祉計画では、介護サービス基盤の整備、介護人材や高齢者の住まいの確保などを重点分野に、地域包括ケアシステムの構築に向けたさまざまな施策を盛り込みました。
 介護が必要になっても住みなれた地域で暮らし続けられるようにするためには、在宅サービスか施設サービスかという二者択一ではなく、両方をバランスよく整備し、さまざまなメニューからサービスを選択できるようにすることが必要だと考えております。
 現在、福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議では、医療、介護、まちづくり、労働などの幅広い分野の専門家の方々に新たな施策形成につながる議論を行っていただいております。
 今後、その議論も踏まえながら、大都市東京にふさわしい高齢者施策を展開してまいります。
 次に、安心して子供を産み育てることができる東京の実現についてでありますが、少子化の進行に歯どめをかけ、子供を大切にする社会を実現するためには、社会全体で子供と子育て家庭を支援するという考え方に立って、子育て環境を整備していかなければなりません。
 そのため、昨年十二月に策定しました東京都長期ビジョンには、妊娠から子育てまでの切れ目のない支援や、保育サービスの拡充、子育てしやすい環境の整備、ワークライフバランスの推進など、さまざまな施策を盛り込みました。
 こうした施策を総合的に推進し、効果を上げていくためには、都や区市町村など行政機関を初め、家庭、地域、企業やNPOが一体となって連携協力していくことが重要であります。
 都は、その先頭に立って、福祉、医療、雇用、住宅、教育など、あらゆる分野の政策を総動員して、子育て環境の整備に取り組んでまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 都市計画道路の新たな整備方針についてでございますが、将来にわたり東京を持続的に発展させていくためには、広域的な交流、連携や高度な防災都市、地域のまちづくり等を支える道路網のさらなる充実が不可欠でございます。
 こうした視点を踏まえ、新たな整備方針では、骨格幹線道路をおおむね完成させるとともに、都県間を結ぶ道路網の拡充等を目指して、優先的に整備すべき路線を示してまいります。
 また、区部、多摩を合わせた東京全体のネットワークが形成されることを前提にして、優先整備路線に選定しない路線の今後のあり方等について明らかにいたします。
 年内には、こうした内容を盛り込んだ整備方針案を公表し、幅広く意見を聞いた上で、年度末までに新たな整備方針として取りまとめてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) ラグビーワールドカップのチームキャンプについてでございますが、チームキャンプの受け入れは、各国選手団との国際交流の促進など、地域住民に貴重な経験をもたらすとともに、大会に向けての開催機運の醸成、地域の振興、PRなど、地元自治体にとって多くのメリットがございます。
 今後のスケジュールといたしましては、まず、来年春以降、チームキャンプ地の必要条件などを提示した選定プロセスが組織委員会から発表されます。
 チームキャンプの受け入れを希望する自治体は、これに基づき組織委員会に立候補を表明し、選定手続を経て、大会主催者でありますワールドラグビーにより最終的に承認され、チームキャンプ地として正式に決定されます。
 都は、市区町村に対しまして、適時適切に情報提供を行うなど、都内誘致に向けて積極的に支援をしてまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、宿泊需要への対応についてでございますが、訪日観光客が大幅に増加し、宿泊需要が高まる中、東京を訪れる外国人旅行者が快適に滞在することができるよう、さまざまな環境の整備を進めることは重要でございます。
 このため、都は、宿泊施設のバリアフリー化や、携帯情報端末で容易に観光情報を入手できるよう無料Wi-Fiの整備などを支援しております。
 また、特区における旅館業法の特例につきましては、大田区の取り組みがリーディングケースとなるよう、国、大田区との調整を進めております。
 今後とも、民間宿泊施設を初め、多様な事業者との連携をより図りながら、外国人旅行者の受け入れ環境の整備を進めてまいります。
 次に、外国人観光客の習慣等への対応についてでございます。
 世界から東京を訪れる観光客の文化や習慣等に配慮をした対応を行うことは必要でございます。
 これまで都は、我が国の生活上のルールを外国人に多言語で説明する取り組み例を民間事業者に紹介をしてまいりました。
 今後、海外からの観光客の文化や習慣に関する実情を把握し、これを踏まえた受け入れ環境の整備に努めてまいります。
 次に、働き方改革の推進についてでございますが、従業員が安心して働き続けられる良好な職場環境を確保するためには、これまでの働き方を見直すことが必要でございます。
 このため、都は、公労使会議において、働き方改革に関する共同宣言を行い、機運の醸成に取り組んでおります。
 今後も、国や経済団体、労働団体とも連携し、機運醸成を図るとともに、企業がそれぞれの状況に応じた働き方の見直しに踏み出すことができるような仕組みづくりに取り組んでまいります。
 引き続き、良好な職場環境づくりに向けて、働き方の改革に取り組んでまいります。
 最後に、職場における女性の活躍推進についてでございますが、働く意欲のある女性が能力を十分発揮できる職場環境を整備することは重要でございます。
 都は、仕事と家庭の両立など、さまざまな課題に取り組む企業のすぐれた事例を認定し、公表することにより理解を広めていくとともに、テレワークを初めとする多様な勤務形態の導入など、女性が働きやすい職場環境の整備を支援しております。
 今後、企業の理解が一層進むよう、人事担当者など社内のキーパーソンに対する研修機会の拡充を検討してまいります。
 引き続き、こうした取り組みを通じて、女性が生き生きと活躍できる環境整備に取り組んでまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 新たな温室効果ガス削減目標の実現に向けた取り組みについてでございますが、都はこれまでも、実効性ある気候変動対策を進めてまいりました。
 その一つである都市型キャップ・アンド・トレード制度では、平成二十五年度のCO2削減実績が基準排出量に比べ二三%減となる成果を上げております。
 今回定めた削減目標は、こうした取り組みの継続だけでは実現が困難な高い水準に設定しており、施策のさらなる充実を図る必要がございます。
 このため、今後とも、オフィスビルが多いことなどの東京の特性を踏まえた効果的な取り組みを検討し、実施してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、介護人材対策についてでありますが、都はこれまで、介護人材の確保、定着を図るため、東京都福祉人材センターにおける職業紹介、あっせんや、就労後の定着、離職防止に向けた相談支援など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 今年度からは、国のキャリア段位制度を活用し、職責に応じた処遇を実現するキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援や、派遣先に雇用されることを前提とした人材の派遣など、都独自の新たな取り組みも開始しております。
 また、国に対しては、専門性の高い介護人材の確保、育成、定着のための総合的な対策を確立し、着実に推進するよう、繰り返し提案要求しております。
 今後とも、介護人材の確保、定着に向け、施策の充実を図ってまいります。
 次に、産後ケアについてでありますが、産後ケアは、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支える上で重要な取り組みでございます。
 そのため、都は、平成二十二年度から、産後に家族等の援助を受けられず、心身の負担感を抱える母親を対象に、ショートステイや相談等を行う区市町村を包括補助事業で支援しており、現在四つの区市が実施しております。
 さらに、今年度からは、妊娠期から切れ目なく全ての子育て家庭を支援する、ゆりかご・とうきょう事業を開始し、区市町村が専門職による妊婦への面接等とあわせて産後ケアを行う場合には、財政支援を行っております。
 今後とも、こうした産後ケアの取り組みが進むよう、母子保健担当者向けに研修や説明会を実施するなど、区市町村を積極的に支援してまいります。
 最後に、保育人材確保に向けた取り組みについてでありますが、保育ニーズに対応するためには、サービス基盤の整備を進めるとともに、人材の安定的な確保が重要でございます。
 そのため、都はこれまで、潜在保育士を対象とした就職支援研修と就職相談会の一体的な実施や、保育の魅力をアピールするイベントの開催、保育人材、保育所支援センターのコーディネーターによる就職相談や就職後の定着支援、保育従事者向けの宿舎借り上げ支援など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 今年度からは、こうした取り組みに加え、新たに認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育等を対象に、保育士等のキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援を開始しており、今後とも、保育人材の確保、定着に積極的に取り組んでまいります。
〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 救急搬送体制の充実についてでありますが、東京消防庁では、救急車が現場に到着する時間の短縮に向けて、救急隊を計画的に整備しているところであります。
 また、救急医療の東京ルールを活用するとともに、東京都医師会等と連携し、収容可否の判断を早期に行うよう医療機関に要請するなど、救急隊の効率的な運用を行っております。
 今後とも、高齢化の進展などにより、救急需要の増大が予想されることから、これらの取り組みを進めるとともに、地域における救急事象の発生状況等の情報も踏まえ、救急搬送体制の充実に努めてまいります。
〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) くい打ち工事に係る都の発注者としての対応についてでございますが、公共性の高い都有施設の安全性確保は重要であり、今回の問題を契機に、工事記録の適正な作成や確認など、品質管理の取り組みを改めて徹底することといたしております。
 具体的には、現在工事中の現場における、くい工事について緊急点検を実施いたしますとともに、施工者や工事監理者に対して、構造上重要な工程の立ち会いや記録の確認を一層確実に行うよう指導しております。
 また、施工中に疑義等が生じた場合には、速やかに都の監督員に協議するよう周知するなど、きめ細かく工事監督を行ってまいります。
 今後とも、国による再発防止対策の検討状況などを踏まえながら、工事発注部局で連携して、確実な品質確保に向けて取り組んでまいります。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時二分散会

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