平成二十七年東京都議会会議録第十二号

平成二十七年九月二十九日(火曜日)
 出席議員 百二十三名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番菅野 弘一君
四番川松真一朗君
五番山内  晃君
六番栗山よしじ君
七番堀  宏道君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番宮瀬 英治君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番中山ひろゆき君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番松田やすまさ君
二十一番河野ゆうき君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番島崎 義司君
二十五番鈴木 錦治君
二十七番石川 良一君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番西沢けいた君
三十二番田中  健君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番神野 次郎君
四十一番木村 基成君
四十二番北久保眞道君
四十三番高椙 健一君
四十四番栗山 欽行君
四十五番大場やすのぶ君
四十六番近藤  充君
四十七番桜井 浩之君
四十八番山崎 一輝君
五十番やながせ裕文君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番あさの克彦君
五十四番新井ともはる君
五十五番中村ひろし君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番東村 邦浩君
六十四番崎山 知尚君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番清水 孝治君
六十七番小松 大祐君
六十八番柴崎 幹男君
六十九番和泉 武彦君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番鈴木 隆道君
七十二番早坂 義弘君
七十三番高木 けい君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番大西さとる君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高橋 信博君
八十八番中屋 文孝君
八十九番三宅 正彦君
九十番小宮あんり君
九十一番田中たけし君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番林田  武君
九十七番こいそ 明君
九十八番田島 和明君
九十九番古賀 俊昭君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番長橋 桂一君
百九番中嶋 義雄君
百十番立石 晴康君
百十一番神林  茂君
百十二番秋田 一郎君
百十三番宇田川聡史君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番高島なおき君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
百二十番  野村 有信君
 欠員
    二十六番  四十九番  七十四番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務安井 順一君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長長谷川 明君
主税局長小林  清君
警視総監高橋 清孝君
生活文化局長多羅尾光睦君
オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋 正宏君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
建設局長佐野 克彦君
港湾局長武市  敬君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長塩見 清仁君
消防総監高橋  淳君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長真田 正義君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長安藤 弘志君
人事委員会事務局長藤田 裕司君
労働委員会事務局長櫻井  務君
監査事務局長宗田 友子君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

九月二十九日議事日程第二号
第一 第百五十五号議案
東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百六十二号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百七十一号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百五十四号議案
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例
第五 第百五十六号議案
住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第六 第百五十七号議案
住民基本台帳法関係手数料条例の一部を改正する条例
第七 第百五十八号議案
電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律施行条例を廃止する条例
第八 第百五十九号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百六十号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百六十一号議案
特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第十一 第百六十三号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十四号議案
東京都文教地区建築条例の一部を改正する条例
第十三 第百六十五号議案
東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百六十六号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第十五 第百六十七号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百六十八号議案
東京都公共下水道及び流域下水道の構造並びに終末処理場の維持管理の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第百六十九号議案
東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百七十号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第十九 第百七十二号議案
都立小平南高等学校(二十七)改修工事請負契約
第二十 第百七十三号議案
都立日野台高等学校(二十七)改修工事請負契約
第二十一 第百七十四号議案
警視庁有家族者待機寮青戸住宅(二十七)改築工事請負契約
第二十二 第百七十五号議案
平成二十七年度中防内五号線橋りょうほか整備工事請負契約
第二十三 第百七十六号議案
平成二十七年度中防揚陸施設撤去その他工事請負契約
第二十四 第百七十七号議案
環二地下トンネル(仮称)及び築地換気所(仮称)ほか築造工事(二十七 一─環二築地工区)請負契約
第二十五 第百七十八号議案
地下トンネル築造工事及び街路築造工事(二十七 二─環五の一千駄ヶ谷)請負契約
第二十六 第百七十九号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その十)請負契約
第二十七 第百八十号議案
土地の信託の変更について
第二十八 第百八十一号議案
災害救助用アルファ化米の買入れ(平成二十七年度新規分)について
第二十九 第百八十二号議案
個人防護具(ガウン等セット)外九点の買入れについて
第三十 第百八十三号議案
東京都とロンドン市との友好都市関係の結成について
議事日程第二号追加の一
第一 平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二 平成二十六年度東京都公営企業各会計決算の認定について

   午後一時開議

○議長(高島なおき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(高島なおき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(高島なおき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(新美大作君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成二十六年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)

○議長(高島なおき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(高島なおき君) これより質問に入ります。
 百十三番宇田川聡史君
〔百十三番宇田川聡史君登壇〕

○百十三番(宇田川聡史君) 平成二十七年第三回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 初めに、先般発生した調布飛行場付近における航空機墜落事故によって亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。
 現在、国土交通省及び警視庁が事故原因等について調査中でありますが、こうした事故を繰り返すことのないよう、一層の安全対策を求めてまいります。
 冒頭に、知事と議会との関係について、あえて申し上げさせていただきます。
 地方自治体の長と議員は、住民に直接選挙で選ばれ、ともに有権者を代表し、互いに独立、対等の関係にあり、それゆえに二元代表制と呼ばれています。
 議会は、首長及び執行機関を監視監督し、首長は議会の決定に基づいて事務事業を執行いたします。
 さきのオリンピック・パラリンピック特別委員会での我が党の質疑は、知事がこの議会との関係をどのように認識されているのかをただすというものでありました。
 この数カ月間、新国立競技場整備計画の白紙撤回やエンブレム使用中止に関する知事の発言や行動は、一評論家もしくは市井の一学者の批判に終始し、残念ながら、都知事の発言、行動としては不適切だったといわざるを得ません。私たちや都民が求めている姿ではなかったと思います。
 そして、都知事として発言、行動する際には、冒頭申し上げた二元代表制の趣旨を踏まえ、議会と連携協力し、議会の意思を尊重していただく責任があると考えます。
 もとより、都知事として幅広く情報発信をしていくことは重要であり、否定するものではありません。
 しかしながら、知事のツイッターのフォロワーが都民の全てではありません。現代ビジネスの読者が全てでもありません。都民の代表は都議会であることを改めて申し上げておきます。
 そして、何より重要なことは、現在、東京都が直面しているオリンピック・パラリンピックとラグビーワールドカップの二大会であり、成功を目指した取り組みは、東京都のみが単独でできることではありません。都内、区市町村はもとより、全国の自治体、日本政府、関係する団体とが、しっかりとスクラムを組まなければなし得ない大事業であります。
 こうした一大イベントを成功に導くためには、時には水面下で必死にもがく、プライドを捨て、泥をかぶることもいとわず、汗をかいていくことも、知事がなすべき大きな役割だと考えます。
 都知事として都の行財政運営について、さまざまな観点で検討するのは当然なことでありますが、最終的に開催都市の長として決断、発言する際には、まず都議会の意思を尊重していただくとともに、中長期的視点で都政を俯瞰し、課題を円滑に進め、処理していくという大局的な見地から対応していただくよう強く要望をいたします。
 そこで改めて、二元代表制における知事の基本姿勢のあり方について所見を伺います。
 さて、日本経済は、アベノミクスの着実な実施により、緩やかな回復基調が続いています。今後、こうした景気の足取りをより確かなものにするためにも、国と自治体が一丸となって、経済の好循環をさらに拡大させていかなければなりません。
 こうした中、政府は、地方創生の実現に総力を挙げて取り組んでいます。自治体も活力にあふれた地域経済の構築に向けて、地方版総合戦略を策定し、国と一体となって取り組んでいくことが求められています。
 地方創生の実現には、都市と地方がそれぞれの魅力を高め、みずからの強みを磨くことに加え、お互いの連携を強化することにより、ともに栄えるという共通認識が必要であります。都市と地方がともに発展することなくして、日本全体に明るい未来はありません。
 いうまでもなく、昨年末に策定した長期ビジョンを都が着実に実行していくことが、世界で一番の都市東京の実現のためには、大変重要なことだと考えます。
 同時に、日本全体の活性化に向け、地域間の結びつきを強化する、東京ならではの取り組みを着実に実行していく。こうした取り組みを行ってこそ、お互いの信頼感も高まるものと確信しています。
 一方、地方税財政の現状を見ると、地方の財源不足という本質的な問題は、都市と地方の財源争いという問題に矮小化されています。税源の偏在是正の名のもと、東京を狙い撃ちした不合理な措置が継続的に行われており、奪われた額は一兆三千億円にも達しています。
 経済活性化と地方の自立を目指す地方創生の実現のためには、不合理な偏在是正措置の撤廃、そして地方税財源の充実が不可欠であります。我が党は、このことを国に強く訴えていく覚悟であります。
 折しも、来月からは、年末の税制改正に向けた議論が本格化します。既に六月末に決定された国の骨太の方針では、税源の偏在是正を講ずることが示されています。仮に、年末の税制改正で不合理な措置の拡大が決まれば、都財政への影響は甚大であります。加えて、最近では、地方法人課税の分割基準のあり方について、同様の趣旨での見直しが行われる動きも出てきております。
 こうした措置が単年度限りではなく、恒久的なものとなれば、将来にわたって財源を失うこととなり、都政にとって極めて深刻な事態となります。だからこそ、我々都議会は、いち早く、さきの第二回定例会において、偏在是正措置の撤廃に向け意見書を可決し、行動を開始したわけであります。
 この問題に知事がどのように対応するのか、知事の一挙手一投足に都民は注目しております。この問題の決着いかんによっては、最悪の場合、都財政は壊滅的な打撃を受け、先人たちが塗炭の苦しみをなめながら、何とか健全化をなし遂げた今の財政が、再び危機に陥る可能性もあるわけです。
 都政の最高責任者である知事には、将来に禍根を残すことのないよう、みずからの問題として強い覚悟を持って、この難局に向き合っていただきたいと思います。まさに知事の政治姿勢が問われているのではないでしょうか。
 また、この問題を知事一人の力で解決することは困難であります。都内の区市町村、大都市部の他の自治体、そして東京都選出の国会議員などの力を総動員して、初めてかたい岩盤に穴をうがつことができるのであります。これらの力を総結集するためには、何よりも知事の本気度と、協力を求めともに戦う姿勢をしっかりと示す必要があります。
 不合理な偏在是正措置の撤廃等に向け、知事みずからが先頭に立って汗をかき、不退転の決意で都の主張を展開していく、このことが重要だと考えますが、知事の所見と決意をお伺いいたします。
 また、地方創生にかかわる東京都版総合戦略についてでありますが、地方創生では、東京一極集中の是正が殊さらに強調され、東京対地方というゆがめられた構図での議論が先行しています。しかし、それは本質を見誤った議論であります。
 都は、これまでも地方の各地域と手を携え、お互いの強みを持ち寄り、お互いの活性化を図ってきましたが、今後は、さらに強固な関係を構築していくことが必要です。
 東京における食料供給は、他の地域に支えられていますが、同時に、生産地にとって東京は一大消費地でもあります。こうした関係は、製造業やサービス業においても全く同じです。そもそも東京と地方は、持ちつ持たれつの関係にあるのです。
 我が党はこれまで、東京が日本全体の発展に貢献するための取り組みについてさまざまな提案を行ってまいりました。東京都版総合戦略は、こうした地方創生の本質をしっかりと踏まえて策定していくべきであると考えます。知事の考えを伺います。
 次に、平成二十八年度予算編成について伺います。
 知事は、先般、二十八年度予算を世界一の都市の実現に向けて確実なステップアップを図る予算と位置づけ、来年度の予算編成をスタートさせました。現下の東京には、二〇二〇年大会の成功、レガシーの具現化、少子高齢化への対応、産業振興や都市インフラの推進などなど、課題が山積しています。
 都は、我が党の提言を踏まえ、昨年末に長期ビジョンを策定しましたが、東京を世界で一番の都市にするためには、長期ビジョンに掲げる施策を着実に実行していかなければなりません。そのためには、平成二十八年度予算の中身が極めて重要であり、まさに知事の姿勢、実行力が問われることとなります。
 そこで、平成二十八年度予算編成に係る基本方針について、知事の所見を伺います。
 知事は、平成八年のローマ市以来、十九年ぶりとなるロンドン市との友好都市関係の結成について議案を提出されました。
 我が党は、二〇二〇年東京大会の招致が決定した直後の平成二十五年十一月に、いち早くロンドンに調査団を派遣いたしました。東京大会を成功させ、その後も東京を発展させるためには、ロンドンの経験をしっかりと学ぶ必要があること、そのためにはロンドン市との間に永続的な友好関係を築くことが重要であるとの思いを強くいたしました。
 知事も昨年ロンドン市を訪問され、我が党と思いを同じくされたことが、今回の友好都市締結の提案につながったものと考えます。
 日本とイギリスの関係は古く、特に明治以降、イギリスは日本の近代化に大きな影響を与えてきました。一九〇二年には日英同盟が締結され、その後の日本外交の基礎となりました。また、先日、英国君主として歴代最長在位となられたエリザベス女王も一九七五年に来日されるなど、日本の皇室とイギリス王室は、長きにわたり親しく交流を行っています。
 こうした日本とイギリスの歴史的な結びつきを考えても、両国の首都同士が友好都市としてきずなを強めることは、日英両国のさらなる発展と友好親善にも役立つものであります。ロンドンとの友好都市提携を決断した知事の思いや、その狙いについて伺います。
 次に、いわゆるマイナンバー制度により社会保障、税、災害対策の手続で添付書類が削減できるなど、国民負担の軽減や行政手続の簡素化が図られるほか、所得やサービスの受給状況が把握しやすくなることで、公平公正な社会の実現が期待されております。
 この十月以降、都民にマイナンバーが順次通知され、来年一月からは、個人番号カードの交付とマイナンバーの利用が開始されることとなり、制度開始は目前に迫っています。
 一方で、昨今の個人情報漏えい事故等により、マイナンバー制度の安全性が不安視されているほか、民間事業者を含めた導入準備のおくれも懸念されておりますが、本制度は都民の利便性の向上に資するものであり、都としても都民に安心していただける形で円滑に導入していくことが非常に重要です。
 都における導入に向けた取り組み状況について伺います。
 次に、我が党の政策の柱として第一に掲げる災害に強い安全な東京をつくるについて伺います。
 台風十八号による記録的な大雨により、鬼怒川の堤防が決壊するなど、北関東から東北にかけて大規模な浸水被害が発生しました。今回の災害によって亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 一昨年十月の大島町、昨年八月の広島市での集中豪雨なども記憶に新しく、数十年に一度といわれる豪雨が全国各地で頻発しておりますが、地球温暖化の進行を考えれば、今後の大水害の危機は、我々の身にも迫っていると認識する必要があります。
 今回の大水害により、改めてダムや堤防整備の必要性が論じられ、治水の重要性が再確認されました。荒川や江戸川などが一たび氾濫すれば、被害は極めて広範囲に及び、生命、財産が脅かされることに加え、都市機能を初めさまざまなる社会活動が停止するおそれがあります。ゼロメートル地帯に住む私は、首都直下地震とともに、常に大きな危機感を抱いております。
 だからこそ、水害対策は、ハード、ソフトともに万全の体制を整えなければなりません。首都東京における大規模水害対策の強化について、知事の所見を伺います。
 東京は、今後、三十年以内に七〇%の確率でマグニチュード七クラスの地震が起こるとされており、いつ起きてもおかしくない首都直下地震の脅威にさらされています。
 都民の生命と財産を守ることができる高度防災都市を実現するためには、都民生活や都市機能を支えている道路、橋梁、河川、公園などのインフラが、震災時においてもその機能を十分に発揮できなければなりません。
 高度防災都市の実現に向け、これらのインフラの整備をどのように進めていくのか、都の所見を伺います。
 また、都民の生命と財産を守るには、公助を担う機関の役割はもとより、都民がみずからの身を守り、お互いに助け合う、自助、共助の力が欠かせません。
 今月から防災ブックが都内全世帯に配布され、各家庭における防災意識の高揚が期待されますが、これまで防災に関心の低かった都民も含め、具体的な行動につなげていくことが重要です。
 特に、町会、学校、事業所など、あらゆる地域コミュニティが防災訓練を通じて顔を合わせ、地域が一体となり、自助、共助を高める取り組みを消防団を初めとする地域住民と連携しながら推進すべきと考えます。
 防災ブックを活用し、各地域の自助、共助を高め、地域防災力を強化するための東京消防庁の取り組みを伺います。
 先日公表された耐震化状況によると、ことし七月末時点で沿道約一万八千五百棟のうち、耐震性を有していないものが約二割存在することが明らかになりました。
 特定緊急輸送道路は、震災時において救急救命活動や緊急支援物資の輸送等を担う重要な道路であります。
 大地震の発生に際し、被害を最小限に抑え、迅速な復旧、復興が可能となるよう、建物所有者に対する継続的な支援などにより、改修等に至っていない建築物の耐震化を進め、早期に安全・安心な都市を実現していかなければなりません。
 そこで、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けた今後の取り組みについて伺います。
 また、公共建築物は、日常多くの都民が利用するだけではなく、災害時に応急活動の拠点や避難所等になることから、十分な安全性を確保し、東京の防災対応力を強固なものにすることが重要であります。
 そのため、都は東京都耐震改修促進計画に基づき、庁舎、病院などの防災上重要な都有建築物四千八百九十六棟のうち、十分な耐震性が確保されていないもの及び耐震診断を未実施のもの計四百七十七棟について、具体的な整備プログラムを定め、計画的に耐震化を推進してきました。
 この整備プログラムに基づく、防災上重要な都有建築物の耐震化の成果と今後の取り組みについて伺います。
 我が党はこれまで、最も重要なライフラインの一つである水道の機能が途絶えることがないよう、さまざまな政策提言を行ってきました。しかし、首都直下地震の危機、施設の老朽化に加え、最近では火山噴火やテロ行為など、安定給水を脅かす危機要因がふえています。また、地球温暖化などから水資源への懸念は増大しており、大きな利水効果をもたらす八ッ場ダムの早期完成が待たれます。
 首都東京の安定給水を確保していくために、日常的なリスク管理はもとより、五十年、百年先といった長期的展望を持って、強靱な施設づくりに取り組むべきですが、今後の基本的な考え方を伺います。
 次に、政策に掲げる都民の命と健康を守る安心都市東京をつくるの観点から伺います。
 まず、二〇二〇年大会の開催を見据え、警視庁は、世界一安全な都市東京実現のためのビジョンを策定し、治安対策を推進中とのことですが、その中でサイバー攻撃対策について伺います。
 近年、国際的にもサイバー攻撃が多発し、また、我が国においても日本年金機構に対するサイバー攻撃により、多くの個人情報が流出するなど、その脅威は、日々悪質化、巧妙化しており、国の治安、安全保障はもとより、都民の安全・安心な暮らしを脅かす喫緊の課題となっております。
 警視庁は、二〇二〇年大会を見据え、どのような対策、取り組みを推進していくのか、警視総監のご所見をお伺いいたします。
 また、開催が近づくにつれ、都庁を標的としたサイバー攻撃もますます増加するものと懸念されております。二〇二〇年大会の成功はもとより、都政の安全・安心を支えていくためにも、都庁のセキュリティー対策を速やかに強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、今後の都庁舎のセキュリティー対策も大変重要と考えます。
 昨今の国内外の治安情勢を踏まえ、さきの第一回定例会において、我が党は議会棟を含む都庁舎のセキュリティーをより強化すべきとの提言を行いました。これを受け、七月には来庁者への手荷物検査を試行し、実施結果を検証中と聞いております。
 都民の皆様が安心して訪れることができる都庁舎とするための恒久的なセキュリティー対策を早期に講じる必要があると考えます。
 そこで、今後の都庁舎のセキュリティー対策について、知事の所見を伺います。
 現在、国では、社会福祉法人制度の見直しを内容とする社会福祉法改正案が審議されています。
 社会福祉法人は、福祉サービスの重要な担い手でありますが、複数の特別養護老人ホームを運営する法人がある一方、保育所一施設のみを運営する法人があるなど、その規模や事業内容はさまざまです。
 今回の制度改正は、これまでにない大規模なものであり、新制度に円滑に移行していくためには、全ての法人が新制度の趣旨を十分に理解する必要があります。
 都は、今回の社会福祉法人制度の改正にどのように対応していくのか伺います。
 国内外から多くの人が訪れる二〇二〇年大会に向け、東京を全ての人にとって、住みやすく、訪れやすいまちへと成熟させていかなければなりません。
 我が党はこれまでも、東京を世界一住みやすいまちにするために、福祉のまちづくりを推進するよう求めてまいりました。
 その結果、道路や鉄道駅の段差解消や公共施設における多機能型トイレの設置など、ハード面におけるバリアフリー化は着実に進んでいます。一方で、福祉のまちづくりの実現には、思いやりにあふれ、高齢者や障害者を初め、誰もが必要な情報を得ることができるようにすることも重要です。
 都は、現在、福祉のまちづくり推進協議会において、ソフト面の取り組みの充実について検討していると聞いておりますが、今後どのように推進していくのか見解を伺います。
 知事は、第一回定例会の我が党の代表質問に対し、大都市東京の特性を踏まえたさまざまな施策を展開し、世界一の福祉先進都市の実現という大きな目標に向かって、全力で取り組んでいくと力強く答弁されました。
 三月に策定した第六期東京都高齢者保健福祉計画では、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向け、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムの構築を目指すとしております。
 こうした中、六月に民間団体である日本創成会議が、東京圏の高齢者の地方移住などを提言した東京圏高齢化危機回避戦略を発表しました。
 この提言は、マスメディアにも取り上げられましたが、在宅サービスの充実や介護基盤の整備など、地に足のついた取り組みを進めていくことこそが、都の役割と考えます。
 世界一の福祉先進都市を実現するため、介護が必要になっても、高齢者が住みなれた地域で暮らし続けることができる地域包括ケアシステムの構築に向け、どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 次に、政策に掲げる日本の将来を担う子育て世代に優しい東京をつくるという観点から伺います。
 我が党はこれまでも、待機児童解消を最優先課題の一つとして、繰り返し強く求めてまいりました。都はこれに応えて、区市町村の取り組みを強力に支援し、その結果、本年四月の待機児童は三年ぶりに減少いたしました。このことは、率直に評価するものであります。
 しかし、平成二十九年度末までに待機児童解消という目標を達成するためには、引き続き手を緩めることなく、保育サービス拡充に邁進していく必要があります。
 待機児童解消に向け、都はどのように取り組みを進めていくのか伺います。
 次に、子供家庭施策について伺います。
 都内には、虐待等の理由により、親元で暮らすことができない子供が約四千人いるといわれています。こうした社会的養護を必要とする子供たちは、児童養護施設や乳児院などの児童福祉施設、養育家庭等で生活しています。
 都はこれまで、養育家庭等の家庭的養護を推進し、社会的養護に占める割合は約三割にまで達しました。都が本年四月に策定した東京都社会的養護施策推進計画では、平成四十一年度までに、この割合を六割に引き上げるという目標を示しています。この目標の達成に向け、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 核家族化や地域のつながりの希薄化により、家庭や地域の教育力が低下し、いじめや不登校、児童虐待など、子供、若者にかかわる諸問題が後を絶ちません。
 また、働くことの意味や自分が社会の中で果たすべき役割を見出すことができずにいる若者の存在は、人口減少社会の到来が目前に迫った今、個人の問題にとどまらず、社会にとって大きな損失につながりかねない状況にあります。
 東京の活力低下を防ぎ、持続的発展を遂げるためには、子供、若者対策は喫緊の課題であり、その施策展開に当たっては、身近な区市町村を軸に、広域自治体として都が十分な支援を行うことが必要であります。
 こうした考えを踏まえ、都は先月、社会に参加し、社会を形成する若い力を育むと題した子供・若者計画を策定しました。
 都は、子供や若者が抱える困難や課題に対する地域の対応力の強化に、これまで以上に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、政策の柱、後世に誇れるクリーンで美しい東京をつくるについて伺います。
 まず、環境エネルギー政策であります。
 近年、世界各国で集中豪雨や台風の大型化、熱波の頻発など、異常気象が常態化しております。地球温暖化が着々と進行する中、気候変動による危機に立ち向かっていくためには、世界各国が責任を共有し、一体となって対策を講じていかなければなりません。
 先般のG7では、温室効果ガスを二〇五〇年までに二〇一〇年比で四〇%から七〇%の上方修正で削減するとの首脳宣言が採択されました。また、本年末のCOP21では、排出削減の新たな枠組みが合意される予定であります。
 こうした中で、世界一の環境先進都市を目指す東京としても、国や世界の大都市をリードする具体的な行動が求められます。
 都は、さきの定例会で意欲的な削減目標を新たに打ち出す旨を表明しましたが、目標の策定に合わせ、今後どのような考え方で温室効果ガスの排出削減を進めていくのか、知事の見解を伺います。
 多摩・島しょ部に広がる東京の自然公園は、極めて多彩な自然環境や個性豊かな歴史、文化を有し、東京の魅力を構成する重要な地域となっております。近年はトレイルランナーや外国人旅行者等、利用形態や利用者層の多様化も進んでおり、来訪者が急増した高尾山では、さらなる魅力の向上策や開発、利用の方針を地元の市や企業などで検討していると聞いております。
 都はこれまで、自然公園の利用者が守るべきルールづくり等に取り組んできましたが、今後、環境負荷等に配慮しつつも、国内外のより多くの方に訪問してもらい、地域振興にもつながるよう自然公園のポテンシャルを高め、その魅力を積極的に掘り起こしていくべきと考えます。知事の見解を伺います。
 資源制約、環境制約が一層進む中、資源の大消費地である東京は、持続可能な資源循環型都市の構築に向け、最終処分場の延命化にも資する、実効性のある取り組みを率先して進めていかなければなりません。
 そのため、都は、我が党からの提言を踏まえ、今後の施策の基本的考え方を示した、「持続可能な資源利用」に向けた取組方針を昨年度策定いたしました。
 今般、取り組み方針の具体化のため、先進企業等と共同したモデル事業を公募により選定し、事業実施に向けた取り組みを進めていると聞いています。
 都は、このモデル事業をどのように進め、また、得られた成果を今後の資源循環施策にどのように生かしていくのか、見解を伺います。
 かつて、関東各地は、荒川、江戸川、利根川などで結ばれ、江戸においては網の目のようにめぐらされた掘り割りや河川などを利用し、さまざまな人や商品の輸送に舟運が活用され、まさに水の都でありました。物流の中心が鉄道や陸運にかわるに従い、掘り割りなどは埋め立てられ、舟運の活用は大幅に減少することとなりました。
 しかし、現在、東京の新たなまちづくりが進む中、お台場やレインボーブリッジなどに代表される臨海部や東京スカイツリーなど、魅力的な水辺空間や観光資源の創出により、人々の生活の豊かさや観光の視点から水辺空間が見直されています。五十年ぶりに復活した葛西海浜公園の海水浴場などもその魅力の一つであります。
 我が党は、世界で一番の都市東京の実現に向け、舟運を活用した観光経路などの開発を掲げるとともに、党内の水の都東京政策研究会においても、水辺に親しむことができる各地の観光拠点を結ぶなど、広域的展開を視野に入れた取り組みを進めることを提案しています。
 また、かねてから国内外から首都圏を訪れる多くの観光客などが利用する羽田空港と臨海部や都心とを結ぶアクセスの一つとして舟運の活性化を提言してまいりました。
 臨海部に競技会場の多くが設置される二〇二〇年大会に向け、水の都東京の魅力を高めていくためにも、都として舟運の活性化を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、現在も東京港では、水上バスや屋形船、クルーズ船など多様な船が航行していますが、航路などが限定的であり、環境や日常の交通手段として気軽に利用できる状況ではありません。
 舟運事業者の新たな事業展開を促進するための取り組みを、都として進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、二〇二〇年大会と臨海地域の発展を踏まえた都営地下鉄の取り組みについて伺います。
 大江戸線の沿線には、オリンピックスタジアムを初め、二〇二〇年大会の競技会場が幾つもあり、大会開催時には、国内外から多くの観客が利用することとなります。
 また、現在、臨海地域における再開発の進展などにより、大江戸線の利用者が大幅に増加しています。交通局では、勝どき駅の大規模改良に取り組んでいますが、選手村の後利用も含め、今後も大規模な開発により、車内の混雑もさらに激しくなることが懸念されます。
 こうした状況を踏まえ、大江戸線の輸送力を増強し、利用者サービスの向上を図ることが不可欠であると考えますが、見解を伺います。
 次に、政策の柱、力強い経済で日本をリードする東京をつくるに関して伺います。
 首都東京の経済をさらに力強いものとすることで、我が国の景気回復、経済再生につなげていく、東京が牽引役としての責任を果たす、この政策の柱にはこうした思いを込めております。
 二〇二〇年大会を大きな目標、契機として、さまざまな産業振興に取り組むとともに、それぞれの産業が抱える構造的な課題にもしっかりと向き合っていく、この二つの視点から必要な施策を展開していかなければなりません。
 まず、二〇二〇年大会は、アスリートが集う世界最大のスポーツの祭典であると同時に、開催国日本の伝統文化やすぐれた技術、豊かな自然や食文化など多様な魅力を世界に発信する絶好の機会でもあります。
 日本の魅力を余すことなく世界に伝え、全国各地の観光の振興や経済の活性化につなげ、我が国全体のさらなる発展を図っていかなければなりません。
 開催都市である東京は、その中心的役割を果たすべきです。真の地方創生に向けても、東京の率先した努力が求められています。
 都は、オールジャパンの視点に立ち、日本各地と連携した産業振興策を強力に展開していくべきと考えますが、見解を伺います。
 世界にアピールすべき日本の魅力の一つが、ものづくりのすぐれた技能、たくみのわざであります。先日、我が党の勉強会でも、左官業の皆さんの壁塗りを間近で拝見することができました。
 熟練技術者の高齢化や若者のものづくり離れなどの厳しい現実を乗り越え、次世代に技能を伝える努力を重ねられていることがよくわかりました。この努力に応えるためにも、若者が進んでものづくりを目指す社会的な機運を醸成していく必要があります。
 ものづくりやたくみのわざの魅力の発信に向け、都は日本各地と連携した取り組みを進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 昨年来、我が国を訪れる海外からの観光客が急増しており、都心の繁華街だけでなく各地の観光スポットで、さまざまな商品を意欲的に買い求める姿が報道されています。
 知事は、観光を東京の一大産業として戦略的な振興を図るとしています。こうした外国人観光客の旺盛な消費は経済の活性化に大いに寄与するものであり、一時的な売り上げの増加で終わらせることなく、経営者の目線で観光産業の質の向上に結びつけていく発想こそが求められています。
 旅行者が快適に滞在し、気持ちよく買い物ができる環境を整えることに加え、商品やサービスの多様化や質の向上を目指し、さらには観光に携わる中小事業者の経営の向上をも実現できるような取り組みが必要です。
 将来をも見据え、観光産業が東京の重要な産業分野として発展できるよう、都としてどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 力強い経済の実現のためには、中小企業の新たな事業展開を促していくことが重要です。
 高齢化や外国人旅行者の増加によるサービス需要の拡大、二〇二〇年大会を契機としたスポーツ関連の技術開発など、中小企業がみずからの強みを生かしつつ、これまでと異なる事業分野に取り組むチャンスが広がっています。
 都は、新事業に果敢に挑戦する中小企業を後押しするため、さらなる支援の強化を図るべきと考えます。見解を伺います。
 中小企業のすぐれた技術やノウハウを次代につなげる事業承継は、待ったなしの課題です。経営者の高齢化が進み、後継者がいない、多額の債務までは受け継げないなどの理由で廃業を余儀なくされる町工場も多いと聞きます。
 課題が単純ではないだけに、なかなか手がつけられず手おくれになってしまう例も多いと聞いております。
 都は、小規模企業向けの相談窓口の設置など支援を強化していますが、事業者へのより積極的な働きかけや、後を継ぐ人材の発掘、企業の将来性を評価した金融面の支援等、専門機関と連携した取り組みを進めるべきです。
 中小企業の事業承継に向け、都はどのように取り組むのか、見解を伺います。
 去る九月二十五日、新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループとの経営統合の最終合意が発表されました。さきの定例会で我が党は、経営統合の協議に当たり、預金者や融資先企業の立場に立ち、中小企業への金融支援という本来の趣旨を完遂すること、議会の付帯決議を重く受けとめ、追加出資した四百億円を毀損させないことを強く求めました。このうち追加出資については、都が持ち株会社の優先株式を取得する形で確保されることになりました。
 来年四月の経営統合により、新銀行東京は都内最大級の地銀グループの一員として新たな一歩を踏み出すことになります。その際、中小企業支援の強化という新銀行の設立趣旨をしっかりと継承していただきたい。そのためにも、都が、このたび東京TYフィナンシャルグループと締結した包括連携協定を十分に生かしていくべきであります。
 新銀行東京のこれまでの経緯を踏まえ、今回の経営統合を契機として、中小企業支援の強化に向けてどのように取り組むのか、見解を伺います。
 さて、都市農業は新鮮で安全・安心な農畜産物の供給だけではなく、防災や環境保全など良好な都市環境の形成に貢献しており、都民の都市農業に寄せる期待は高まっています。
 都は、特区提案により、都市農業の振興と農地の保全に向けた制度改善を国に強く働きかけており、我が党も政策研究会や説明会などを通じて農業者から実情を聞いています。高齢化や後継者不足、価格低迷による収益の悪化などの課題を抱える一方で、栽培技術の改良など、さまざまな工夫に積極的に取り組む農業者もふえてきています。
 都市農業を成長産業としていくために、国の制度改善を見据え、都としても、意欲ある農業者を支援する新たな都市農業振興策を展開すべきです。見解を伺います。
 こうした産業活動を支えるため、女性や若者、高齢者を含めた全ての人々が生き生きと活躍できる社会の実現に向け、働き方改革の取り組みが国や都で進められています。
 働き方を見直し、柔軟な勤務時間の設定やテレワークなどを広めることで、仕事と生活に調和のとれた環境を実現するとともに、企業の生産性の向上につながることが期待されます。
 我が党が強く求めている女性の活躍の推進にも資する重要な取り組みですが、日々の事業を営むのに精いっぱいの中小零細企業にとっては、いうはやすしで取り組みが進まない状況もあると思われます。
 こうした企業の実情を踏まえ、きめ細やかな支援を行っていくことが重要です。東京の働き方改革をどのように進めていくのか、知事の所見を伺います。
 次に、政策に掲げる若者が夢と希望を持てる教育都市東京をつくるについて伺います。
 教育基本法にも明記されているとおり、教育の目的は人格の形成であります。そして、人格の基盤となるものが道徳であり、その意味からも、道徳教育は学校教育の中核に位置づけられるべきものであります。
 しかしながら、これまでは正式な教科ではありませんでした。本年三月、我が党の長年にわたる議論が実を結び、国は、道徳を教科として位置づけることを発表しました。
 我が国が品格ある国家として世界から信頼を受け、敬愛され続けるためには、礼儀、思いやりの心など日本人の美徳、よき伝統を子供たちに確かに継承させていく、まさに道徳教育の充実が極めて重要であると考えます。知事の所見を伺います。
 今日の子供を取り巻く、いじめを初めとするさまざまな社会問題の解決にも、道徳教育の抜本的な改善、充実が不可欠です。
 道徳の教科化により、小学校は平成三十年度から、中学校は平成三十一年度から、国の検定教科書を用いて指導する特別の教科道徳が実施されます。また、教科化とあわせ、指導内容面でも、いじめ問題やグローバル化へ対応するものとして、公正公平な心や、寛容の精神、日本人としての自覚や国際親善の心などについて改善が図られます。
 特別の教科道徳の指導内容については、本格実施を待たず先行して実施することが可能となっており、東京の各小中学校において先行実施ができるよう、都教育委員会には強力に推進していただきたい。
 そこで、この先行実施の推進に向けた都教育委員会の取り組みを伺います。
 次に、政策に掲げる人と物の流れがスムーズに行き交う首都圏をつくるに関して伺います。
 二〇二〇年大会の開催決定により、日本の再生とそれを牽引する東京の再起動の舞台が整いました。
 今こそ、このチャンスを生かして、次の時代においても輝き続ける世界一の都市東京をつくっていかなければなりません。そのためには、二〇二〇年を通過点として、将来のあるべき都市の姿をしっかりと描き、その実現に向けて取り組んでいくことが重要であります。
 東京の将来像については、既に働き方や科学技術など幅広い分野の有識者による意見交換が開始され、先ごろ、東京都都市計画審議会に、都市づくりについての諮問がなされたと聞いております。
 都市づくりのグランドデザインについて、今後どのように検討を進めていくのか、都の所見を伺います。
 これまで都は、区部及び多摩地域における都市計画道路の整備方針に基づき、着実に道路整備を進めてきましたが、現在の方針は、平成二十七年度までとなっています。
 東京の持続可能な発展をさらに促すためには、次期整備方針を速やかに策定し、引き続き重要な都市基盤である都市計画道路のネットワークを形成していくべきと考えます。
 都市計画道路の整備方針について、今後どのように取りまとめていくのか伺います。
 先般、東京都住宅政策審議会から、マンション施策の新たな展開についての答申がなされました。東京においてマンションは、都民の主要な居住形態として広く普及する一方で、建物の老朽化や居住者の高齢化が進んでいます。
 我が党は、かねてより、適正な管理や再生の促進に向け、管理組合への支援等に都が率先して取り組むべきと主張してまいりました。今回の答申でも、こうした観点から具体的な提言がなされています。
 都は、本答申を踏まえ、今後どのようにマンション施策に取り組んでいくのか伺います。
 東京を、将来にわたり活気があふれ快適な都市とするためには、渋滞を解消し、人と物の流れをスムーズに、移動しやすい環境整備をしなければなりません。
 中央環状品川線がことし三月に完成し、中央環状線内側の利用交通量が五%減ったことにより、渋滞、混雑量が約五割減少するなど、高い整備効果が得られています。圏央道は着々と開通しています。
 また、我が党は、外環道のうち関越道から東名高速間を二〇二〇年大会開催までに開通させるよう、国に強く求めているところであります。このように、高速道路ネットワークの充実の取り組みは着実に進んでおり、災害時の代替機能強化も図られているところであります。
 一方、一般道路の整備はいまだ道半ばであり、都内各所に渋滞ボトルネックが点在しています。そのために、渋滞解消を図り、道路ネットワーク全体を機能させることが東京の活力を一層向上させるために不可欠だと考えます。
 そこで、一般道路の渋滞解消に向けた道路整備の推進について伺います。
 また、ことしの夏は、八日間連続の猛暑日となるなど厳しい暑さに見舞われました。同時期の真夏に開催される二〇二〇年大会を成功させるためには、万全の暑さ対策が必要です。
 とりわけマラソンなどの競技が実施される道路においては、選手が存分に力を発揮し、観客にとっても観戦しやすい環境を整えるため、路面の温度を下げる舗装の整備等を進めていくことが重要です。現在の状況と今後の取り組みについて伺います。
 区部において法定耐用年数である五十年を超えた下水道管は約一千五百キロメートルに達し、高度経済成長期に集中的に整備された多くの下水道管が、今後一斉に耐用年数を迎えるため、下水道局では、平成二十五年度から再構築の整備ペースを約二倍にスピードアップしています。
 一方、近年、再構築工事での入札不調が増加しています。かねてから我が党は、不調対策の充実を求めてまいりました。下水道局では追加の対策として、工事の発注時期のさらなる平準化や、受注者の工事変更に関する相談にきめ細かく対応できる工事変更ホットラインの設置など、さまざまな対策を講じた結果、入札不調の状況に改善の兆しがあるとも聞いておりますが、まだまだ予断を許さない状況であります。
 下水道は、都民生活や経済活動になくてはならないライフラインです。再構築は、将来にわたって下水道の機能を維持するために必要不可欠な事業であり、これを着実に進めていくためにはさまざまな手段を講じる必要があると考えます。
 今後、どのように下水道管の再構築を進めていくのか、見解を伺います。
 さて、二〇二〇年東京五輪パラリンピック競技大会の開催まで、いよいよ五年を切りました。来年にはリオデジャネイロ大会が開催され、その終了後、世界の目が東京に集中する中で、大会開催に向けた準備がますます本格化していきます。
 一方で、セキュリティー対策や輸送対策、暑さ対策など、大会開催に向けて取り組むべき課題は山積しており、また急増する外国人観光客の対応も急務となっています。残された五年の間にこうした課題の解決を図りつつ、世界中のアスリート、観客を安全・安心に、そして快適な環境でお迎えできるよう、大会開催に向けた準備を着実に進めていかなければなりません。
 また、東京にとって二〇二〇年大会は決してゴールではありません。大会で確かなレガシーを残し、東京を世界で一番の都市へと押し上げていくために、さらにその効果を全国へ波及させていくためにも、今後五年間の取り組みは非常に重要であり、都全体で懸命に努力を積み重ねていかなければなりません。
 開催都市の長として、知事の決意を伺います。
 また、IOCは、大会を持続可能なものとしていくため、アジェンダ二〇二〇でさまざまな改革の方向性を示しています。
 我が党はそれを踏まえ、本年三月の予算特別委員会において、新規恒久施設等の有効活用のみならず、規模の大きな仮設施設である体操競技場の有効活用について質問をしました。体操競技場は仮設施設とはいえ、恒久施設と同等の耐震性などもあることから、大会後も一定期間は使用可能であります。せっかく活用するのであれば、将来を見据え、組織委員会としっかり連携した中で、広く都民のために有効活用してほしいと願っています。
 現在、体操競技場は組織委員会が基本設計を進めているところだと聞いていますが、この施設を大会後どのように活用していくつもりか、所見を伺います。
 パラリンピックは世界最大の障害者スポーツの祭典であり、都民、国民は、スポーツ本来の魅力だけでなく、障害のあるトップアスリートがみずからの障害と向き合いながら無限の可能性に挑戦する姿に、じかに触れることができ、オリンピックとはまた違った感動があります。
 我が党は先般、障害者スポーツ振興政策研究会を設置し、競技の魅力を広く都民に伝えるなど、障害者スポーツの振興に積極的に取り組んでいくことといたしました。このパラリンピック開催こそが、障害者スポーツ振興のまたとない機会であると考えます。
 東京大会の準備はこれからまさに本格化していきますが、オリンピックの準備にも増して、パラリンピックの準備に万全を期さなければなりません。
 そこで、パラリンピックの成功と障害者スポーツの振興に対する知事の決意をお伺いさせていただきます。
 パラリンピック開催を機に、東京のバリアフリー化を推進することもまた重要です。特に、障害がある人も自由に東京を訪れ、楽しむことのできるバリアフリー観光都市を構築し、未来へ継承することができれば、またとないパラリンピックのレガシーとなると考えます。
 具体的には、車椅子のままで乗れる観光バスやタクシーの普及、乗降場所、待合場所の改修、道路の段差解消、バリアフリー公衆トイレの増設など、観光インフラのバリアフリー化を強力に推進することであります。これは障害者だけではなく、今後増加する高齢者や要介護者、乳幼児を育てる都民にとっても大きな朗報となります。
 さらに、高齢者や障害者を含めた多くの観光客をおもてなしすることで、東京に好印象を抱き、また来ようと感じていただける、そして、都民ボランティアの育成や教育などを強力に推進し、心のバリアフリーを内包したおもてなしの姿勢を育んでいくことにもつながります。
 二〇二〇年を契機に、東京都を挙げて、ハード、ソフト両面で必要な対策を実施し、世界に誇れるハイレベルのバリアフリー都市東京を築くことが開催都市東京の重大な責務と考えますが、パラリンピックレガシーに関する取り組みについて知事の見解を伺います。
 また、障害者スポーツの振興に欠かせないものが、施設の確保です。現在、都立障害者スポーツセンターは区部と多摩地域に各一カ所のみであり、開設以来、利用者は常に増加傾向で、順番待ちもあると聞いています。一方、地域には区市町村のスポーツ施設や学校体育施設等がありますが、障害者スポーツの場として十分に活用できていない現状があります。
 パラリンピックの開催を契機に、これまで関心のなかった障害者がスポーツに興味を持つとともに、世界中で活躍するアスリートに憧れるなど、障害者スポーツの裾野が一気に拡大することを期待しています。
 この機を捉え、今後、障害者スポーツの場の確保、拡大にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
 大会のレガシーを引き継ぐことになる子供たちにとって、今回の大会はかけがえのない体験ができる貴重な機会であります。特に、東京は世界で初めて二度目のパラリンピック大会を開催する都市であり、障害のある人もない人もともに笑顔で暮らせる世界一の都市になることこそ、子供たちにとって最高のレガシーとなります。ぜひ、子供たちが積極的にパラリンピックにかかわるような教育を進めてほしいと願っております。
 そのためには、学校教育の中で子供たちに障害者スポーツの魅力を伝えていくとともに、障害者への理解を促していくことが重要です。
 今後、どのように取り組みを充実させていくのか、伺います。
 昨日、新国立競技場の代替として、東京スタジアムがラグビーワールドカップの開会式、開幕戦の会場に決定したという、大変うれしいニュースが入りました。
 都議会としても超党派で、東京スタジアムを代替会場として、開幕戦を初め、重要な試合を開催することを求める声明を発表するなど、組織委員会の取り組みを積極的に後押ししてきた成果だと考えています。都と都議会が一体となって東京スタジアムでの開催をかち取ったこの経緯を忘れてはならない、そして、その成果をラグビーワールドカップの成功につなげていかなければなりません。
 こうした中、二〇一五年イングランド大会において、日本代表が優勝候補の一つである南アフリカ代表を接戦の末破るという歴史的快挙をなし遂げました。選手たちの活躍は、日本、そして世界のラグビーファンの心を動かしました。世界中の人々の心を熱くするラグビーワールドカップが、四年後の二〇一九年、日本で開催されます。
 今後、都と都議会が一体となって本格的に開催準備に取り組むことが必要と考えますが、ラグビーワールドカップの成功に向けた知事の決意を伺います。
 二〇二〇年大会の成功のためには、さまざまなボランティア活動への都民参加を推進することにより、開催機運を盛り上げていくことが重要です。また、ボランティア活動は、福祉、災害、教育など、社会を取り巻くさまざまな課題の解決にも寄与するものであります。
 多くの都民が参加するに当たっては、必要な情報を容易に得られるようにするなど、環境づくりを進めることが必要不可欠であります。
 企業、学校、地域に貢献している地縁団体など、多彩な主体と連携したボランティア活動を推進するための今後の取り組みについて、知事に伺います。
 次に、政策に掲げる多摩・島しょ地域の振興について伺います。
 まず、多摩地域の医療拠点である多摩メディカルキャンパスについて伺います。
 多摩総合、小児総合医療センターの開設から五年が経過しました。この間、がん患者は著しく増加し、救急患者は急速に高齢化しています。また、医学の進歩により、小児がんや難病など、患者が少なく治療が困難な疾患についても、治癒することが可能となってまいりました。
 医療が集積する多摩キャンパスは、将来の疾病構造や医療制度改革の動向をしっかりと見据え、機能を充実するとともに、各施設の相互連携を一層強化し、多摩における医療の中核としての役割を果たしていくことが求められております。
 本年の予算特別委員会において、多摩キャンパスのあり方を検討していると答弁がありましたが、このような状況を踏まえ、今後、多摩キャンパスの医療体制をどのようにしていくのか伺います。
 また、多摩地区の各市町では、かつて水源不足や料金格差等の問題を抱えていたため、都は全国に先駆けて水道事業を一元化し、これらの問題を解決してきました。しかし、一元化後も、業務面では市町ごとに事務委託を行ってきたため、広域水道としてのメリットを十分に発揮できておりません。
 老朽化した施設の再構築など、さまざまな課題を解決しながら、真の意味で広域水道として一体的に運営していくための取り組みは、事務委託解消を機に、今まさに緒についたところであります。しかし、横浜市を上回る約三百九十万人もの給水人口を擁する多摩地区水道の本格的な再構築は、一朝一夕にはなし得ません。
 中長期的な視点を持って計画的に取り組むことが必要と考えますが、都の所見を伺います。
 次に、島しょ五村における超高速ブロードバンド整備について伺います。
 今日、インターネットなどのICTサービスは多くの都民の生活に浸透し、今や年代を問わず幅広く利用されています。しかし、都内区市町村のうち、伊豆諸島の利島村、新島村、神津島村、御蔵島村及び青ヶ島村の五村のみが超高速ブロードバンド未整備地域であり、早期に整備してほしいという声が我々にも届いております。
 離島での生活の向上とともに、遠隔医療の環境改善や特産品のネット販売促進による産業振興などの実現も期待されており、超高速ブロードバンド整備が島しょ振興に果たす役割は非常に大きいものがあると考えます。
 国は、平成二十七年六月に改定した世界最先端IT国家創造宣言において、離島の情報通信基盤整備の推進を明記しており、国が率先して支援すべき施策でもあります。
 都は、東京都長期ビジョンにおいて、全ての島しょ地域に超高速ブロードバンドサービスを提供するとしていますが、その実現に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 さて、最後に一言申し上げます。
 先日、地元のお祭りに行ったとき、ある年配の女性からは、二回目を見られるのはうれしいけど、オリンピック、大丈夫なのといわれました。また、ある少年からは、問題ばっかりなのに、オリンピック、本当にできるのと率直にいわれました。いずれも、オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まったときに、私たちと一緒に心から喜んでくれた人たちであります。
 知事、フランスの英雄ナポレオンはこういっています。リーダーとは希望を配る人のことだと。確かに戦略として、戦術として、時には批判、批評をすることも、政治家の一面として否定はいたしません。しかし、都民のリーダーたらんとするならば、あるいはこの国のリーダーの一人と自覚するならば、ラグビーワールドカップ二〇一九、そして二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向けて最大限の努力を重ねていただきたい。
 大事業とは、その道のりの過程で大きな困難や障害があってしかるべきだと考えます。これから先も、どれほど大きな壁に直面するかわかりません。しかし、その壁を一つずつ乗り越えるために、苦労をいとわず、努力を積み重ねてこそ、輝かしい成功にたどり着けるのではないでしょうか。
 ぜひ、知事には政治の王道を真っすぐに歩んでいただき、都民、国民に夢や希望を配る人であってほしい、私はそう願ってやみません。
 我々都議会自民党も、大きな夢を都民の皆様と共有し、その実現のために精いっぱい力を尽くしてまいりますことをお約束申し上げ、代表質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 宇田川聡史議員の代表質問にお答えをいたします。
 二元代表制における私の基本姿勢についてでございますが、地方政治における長と議会は、執行機関と議事機関というそれぞれの役割を十全に果たすことで円滑な都政運営を可能とする、まさに車の両輪でございます。この両輪が健全な緊張関係を保持しつつ、緊密に意思の疎通を図り、相互の信頼関係を構築することで、初めて都民本位の都政が確立され、都政を取り巻く諸課題に対応できるものと確信しております。
 このために、都民の代表であります都議会の皆様との丁寧かつ率直な議論の積み重ねを何よりも大切にしていくことを肝に銘じ、都知事としての職責を果たしてまいります。
 都議会の皆様からのご意見やご指摘を謙虚に受けとめつつ、ご理解とご協力を仰ぎながら、東京を世界一の都市とするための諸施策に全力を挙げて取り組み、国、各組織委員会、区市町村、さらには全国の道府県などの関係者の皆様との紐帯による、二〇一九年ラグビーワールドカップや二〇二〇年大会の成功、そしてその先の東京のさらなる発展を目指してまいります。
 次に、不合理な偏在是正措置についてでございますが、都はこれまで、不合理な措置により、一兆三千億円を超える財源を国に奪われてまいりましたが、この措置の拡大が強行されれば、将来にわたって年間五千八百億円という巨額の減収に直面することも想定されます。都政を預かる者として、このことに大変強い危機感を抱いております。
 そもそもこの措置は、行政サービスの対価としての負担という地方税の原則に反するばかりか、頑張って税収を伸ばした自治体ほど多くの税収を奪われることになり、地方創生に必要な地方の自主性、自立性を損なうものであります。
 何よりも、地方間で限られた財源を奪い合う現状維持の発想では、税収全体の拡大にはつながりません。今必要なことは、日本全体の成長のために、地域の実情に即して、努力をした自治体が税収を伸ばし、都市と地方の共存共栄により、ともに発展する道を歩むことであります。
 そのためには、総体としての地方税財源の拡充という本筋に沿った議論こそが必要でありまして、不合理な措置を直ちに撤廃することはもとより、新たな措置の導入や法人課税の分割基準の不合理な見直しは阻止しなければなりません。
 年末の税制改正に向けまして、先般、都の主張を公表するとともに、東京都税制調査会でも議論を重ねており、今後、都内区市町村や他の自治体などとの連携も強化してまいります。私みずからが先頭に立って汗をかき、都議会の皆様としっかり手を携えながら、あらゆる機会を捉えて働きかけるなど、全力で取り組んでまいります。
 地方創生の本質を踏まえた東京版総合戦略の策定についてでございますが、東京の発展と地方の繁栄は二律背反の関係ではなく、むしろ互いに協力し合い、互いに高め合う関係であります。都が目指す真の地方創生とは、こうした関係の上に成り立つものでありまして、東京と地方がそれぞれの持つ力を合わせて成長し、日本全体を発展させていくことであります。
 そこで、都の総合戦略は、最重点の事項であります東京と地方の共存共栄に加え、経済活性化に向けた東京の発展、高齢化、少子化への対応といった事項に焦点を当てて策定をいたします。
 とりわけ、地方との共存共栄に関しましては、さまざまな機能が集積する東京のメリットを最大限に用いて、他の地域が持つポテンシャルを生かし、地域経済発展に結びつく施策を積極的に展開いたします。
 具体的には、都庁舎における全国特産品の販売などに加え、東京と地方を結ぶ観光ルートの設定の拡大や、トウキョウXの東北地方での生産拡大、また、新潟県三条市での木質バイオマス発電所へのファンドを通じた投融資など、地方と共同した事業を一層発展させてまいります。
 このような考え方のもと、東京都長期ビジョンでの目標や政策を基本とし、東京と地方がともに栄える真の地方創生の実現を目指す東京版総合戦略の策定に向けて、全力で取り組んでまいります。
 平成二十八年度予算編成の基本方針についてでありますが、私は、就任一年目の昨年末に、今後の都政の羅針盤となります長期ビジョンを策定するとともに、初の本格的な予算を編成し、二〇二〇年の東京とその先の明るい未来に向けた具体的な取り組みに着手してまいりました。
 今後は、長期ビジョンで掲げる将来像やその先を描くグランドデザインなどを見据え、東京をより進化した成熟都市へと高めていく取り組みを一層積極的に推進していく必要があります。
 そのため、来年度予算におきましては、オリンピック・パラリンピックの準備を着実に進めることはもとより、都市インフラの整備や観光を初めとする高い付加価値を持つ産業の振興など、東京のみならず、日本全体の成長につながる施策を戦略的に実行していかなければなりません。
 同時に、急速に進行する少子高齢化への対応や災害に強い都市づくりなど、都政の喫緊の課題に時期を逸することなく取り組んでいく必要があります。あわせて、全ての施策を多面的に検証し、各部局間の連携を強化しながら、必要な見直し、再構築を図るなど、自己改革の取り組みをたゆみなく進めてまいります。
 こうした基本方針のもと、中長期を見据えた強固な財政基盤を堅持しつつ、世界一の都市の実現に向けて確実にステップアップを図る予算をつくり上げてまいります。
 次に、ロンドン市との友好都市提携についてでありますが、世界人口の半数以上が都市に集中します都市の世紀にあって、環境問題や災害対策、インフラ整備などの諸課題が大都市に先鋭的にあらわれています。こうした中で、大都市同士、課題解決のために連携を深めることは極めて重要だと考えます。
 昨年、ロンドン市を訪問し、オリンピック・パラリンピック大会のレガシーを見事に都市経営に組み込んだ活力のある成熟都市の姿を目の当たりにしてまいりました。
 第二次世界大戦後、一度は斜陽の帝国とも呼ばれたイギリスは、停滞を乗り越え、見事に復活いたしました。この復活を支え、その後、二〇一二年大会を経て、世界一の都市に上り詰めたのがロンドン市であります。このロンドン市との友好関係は、東京をさらなる高みに導くと確信をいたしました。
 まさにこうした観点から、ボリス・ジョンソン・ロンドン市長と会った際に、私の方から、両都市の永続的でより強固な関係づくりを提案し、意見の一致を見たところでございます。
 昨晩も、実はボリス・ジョンソン氏と、ロンドンと東京を結びまして電話でお話しいたしましたけれども、両都市が友好都市関係を結成することで、東京がロンドン大会の成功とそのレガシーを学ぶことはもとより、大都市に共通する課題の解決に協力して取り組んでまいりたいと思っております。
 そして、その知見を生かしながら、引き続き世界のほかの都市とも協力し、かつ切磋琢磨することで、世界一の都市の実現につなげていく考えであります。
 次に、大規模水害対策の強化についてでありますが、台風十八号による記録的な大雨は全国各地に甚大な被害をもたらし、鬼怒川の堤防決壊からは、自然災害の脅威と災害に強い都市づくりの重要性を改めて痛感させられました。
 東京は、河川、運河、東京湾などの豊かな水環境に囲まれた都市である一方、区部東部のゼロメーター地帯など、防災上の脆弱性を有することから、大規模災害への対策は喫緊の課題であります。
 このため、都は、防潮堤の整備や耐震対策を進めるとともに、区部では時間最大七十五ミリ、多摩地区では最大六十五ミリの降雨に対応する河川の護岸や調節池の整備などに着実に取り組み、国とも連携し、水害への備えに取り組んでまいります。
 また、想定外の大規模水害から住民を広域的に避難させる枠組みの整備に向け、区市町村や鉄道事業者等の関係機関と連携協力しながら、国や近隣県とともに検討を進めてまいります。
 頻発する大規模水害の脅威にさらされている今、こうした取り組みを一層加速化させることが不可欠であります。引き続き、都民の生命と財産を守り、世界一安全・安心な都市を実現していくために、大規模水害を初めとする災害対策を強力に推進してまいります。
 次に、今後の都庁舎のセキュリティー対策についてでありますが、テロの脅威が高まる中、来庁者の安全を確保し、都政のヘッドクオーター機能を維持するためのセキュリティー強化は喫緊の課題であります。一方、都庁舎は多くの都民や事業者、観光客が訪れる、開かれたシティーホールでもあります。
 このため、都民サービスとセキュリティーの二つのバランス、そして費用対効果にも十分配慮しながら、都庁舎の警備体制を強化いたします。
 七月に試行した実施状況などを検証の上、来月早々には、議会と連携して都庁舎のセキュリティーレベルを高めてまいります。
 都議会議員の皆様、都民の皆様には、ご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 地域包括ケアシステムの構築についてでありますが、多くの高齢者は、たとえ介護が必要になっても、可能な限り住みなれた地域で生活したいと望んでおります。
 こうした願いに応えていくためには、高齢者のための適切な住まいを確保し、医療や介護、生活支援サービスが日常生活の場で切れ目なく提供できる地域包括ケアシステムを構築していかなければなりません。
 そのため、本年三月に策定した東京都高齢者保健福祉計画では、地域包括ケアシステムの構築を目指し、介護サービス基盤の整備、在宅療養や認知症対策の推進、介護人材や高齢者の住まいの確保などを重点分野に、さまざまな施策を盛り込みました。
 また、七月には、福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議を立ち上げ、医療、介護、まちづくり、労働などの分野で活躍されている専門家の方々に、新たな施策形成につながる議論を行っていただいております。
 今後、検討会議での議論も踏まえながら、民間の力、地域の力、行政の力を組み合わせ、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムの構築に全力で取り組んでまいります。
 次に、温室効果ガス削減に向けた考え方についてでありますが、人類の生存基盤を脅かす気候変動の危機を回避するためには、全体で世界の温室効果ガスの七割を排出しております都市の果たす役割が重要であります。
 このため、都は、再生可能エネルギー目標や省エネルギー目標を勘案しつつ、十一月に意欲的なCO2削減目標を策定することといたしました。
 都はこれまで、キャップ・アンド・トレード制度等により、CO2排出量削減対策に取り組んでおりますが、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた多面的な取り組みや水素戦略目標の着実な達成も不可欠であります。
 こうした取り組みに加えまして、排出量全体の約六割を占めるものの、大規模事業者に比べるとCO2削減幅の小さい中小規模事業者や家庭の省エネ対策を今後積極的に後押しするなど、新たなCO2削減策を構築し、他都市の模範ともなる世界一の環境先進都市東京を実現してまいります。
 続きまして、自然公園についてでありますが、東京は、四季折々の美しさを見せる多摩の森林や渓谷、海や火山の活動による独特の地形や生態系から成る伊豆諸島、動植物が独自の進化を遂げた世界自然遺産の小笠原諸島など、多様で豊かな自然を有しております。
 これらの多くが自然公園に指定されておりまして、これまでのハイキングやキャンプ等の利用に加え、近年ではトレイルランニングやイルカと泳ぐドルフィンスイムなど、自然公園の楽しみ方の幅が大きく広がっております。また、都心に近く、手軽に自然に触れられる場所として、海外からの来訪者もふえております。
 今後、こうした利用形態や、利用者層の多様化に合わせた環境整備や、外国人旅行者等の増加を念頭に置きました地域のさまざまな観光資源との連携など、新しい時代にふさわしい自然公園の取り組みを考えていく必要があります。
 このため、東京の自然公園の持つ魅力をさらに拡充し、豊かな自然を守りながら、国内外からのお客様にそのすばらしさを体感していただけるよう、自然公園のあるべき姿や戦略的な施策展開の方向性を盛り込んだ新たなビジョンの策定を検討してまいります。
 次に、舟運の活性化についてでありますが、東京の魅力の一つは水辺の空間であります。特に臨海部では、都心の高層ビル群を背景に、東日本の物流を支えるコンテナふ頭群、レインボーブリッジなど、都心と海とが近接した東京ならではのダイナミックな景観が広がっております。
 こうした景観は東京の貴重な財産でありまして、この財産を最大限活用し、国内外の観光客に楽しんでもらうためには、舟運の活性化が必要であります。
 二〇二〇年の東京大会、さらにその先に向け、水辺に立地する観光資源などが多様な船や航路で結ばれ、舟運が身近な観光交通手段として気軽に利用できるための取り組みを速やかに進めてまいります。
 魅力的な航路の実現に向け、まずは今年度、羽田空港と都心、臨海部を結ぶ水上ルート等において、基礎調査のための運航を行い、その成果を来年度実施します社会実験に生かしてまいります。
 舟運を活性化し、ウオーターフロントの魅力をアピールすることにより、水の都東京を世界に売り出してまいります。
 次に、観光産業の発展についてでありますが、東京は江戸の伝統と先端の文化の共存や、多摩・島しょ地域の豊かな自然、船が行き交う水の都としての風情など、観光地としてのさまざまな魅力を備えており、昨年、都内を訪れた外国人旅行者は八百八十七万人と、過去最高となりました。こうした旅行者の活発な消費活動は、観光産業の裾野の広さを通じて、大きな経済波及効果を生み出しております。
 これまで、東京の多様な魅力を世界にアピールするとともに、言葉のバリアフリーなどの受け入れ環境の整備により、国際的に存在感のある観光都市として発展するよう着実に取り組んでまいりました。
 観光を産業として大きく発展させるためには、こうした取り組みに加えて、事業者のサービスレベルの向上を図る努力や、新しいサービス機会を生み出す創意工夫を支援していかなければなりません。
 そのため、宿泊施設などにおける情報提供ツールや多言語表記の充実を図るとともに、外国人旅行者の受け入れに向けた接客サービス向上の支援や経営ノウハウの提供などにより、事業者の取り組みを後押ししてまいります。
 また、免税店の開設に向けた支援といった旅行者の快適な買い物のサポートなどを通じて、さらなる消費の拡大につなげてまいります。
 オリンピック・パラリンピック大会の開催を見据えながら、東京の観光産業がそのポテンシャルを十分に発揮し、都民の生活を支える一大産業に成長できる取り組みを確実に進めてまいります。
 続きまして、働き方改革の推進についてでありますが、女性を初め、誰もが生き生きと活躍し、豊かな生活を送ることが、成熟した先進都市のあるべき姿であります。働く人が意欲と能力を発揮しつつ、ワークライフバランスを実現できる社会を目指してまいります。
 そのためには、企業現場において付加価値の創造や生産性の向上を図ると同時に、長時間労働の削減や有給休暇の取得促進など、これまでの働き方を改めることが必要であります。
 こうした社会的機運を醸成するため、今年五月には、公労使会議において働き方改革の共同宣言を行いました。今後、働き方の見直しを社会全体のムーブメントに高めていくためには、大企業はもとより、中小企業での取り組み促進も不可欠であります。
 都内企業は、規模や業種によって働き方も多種多様でありまして、厳しい環境に置かれている会社も少なくありません。それぞれの状況に応じた働き方の見直しに踏み出すことを奨励する仕組みづくりや、専門的な見地からの助言、先行する企業の取り組み事例の提供などについても取り組んでまいります。
 誰もが持てる能力を存分に発揮し、豊かな生活を享受できる働き方を実現することで、東京の活力の維持向上を図ってまいります。
 次に、道徳教育の重要性についてでありますが、我が国には、礼儀を重んじ、他者を思いやり、互いに助け合って生活する伝統と、多様な文化を受け入れ、発展させてきた歴史があります。こうした我が国の伝統や文化を背景にした日本人の行動基準については、海外からも高く評価されております。
 世界一の都市東京の実現には、このようなすばらしい伝統と文化をしっかりと受け継ぎ、日本人としての誇りを胸に、グローバル社会の一員として活躍できる人材の育成が不可欠であります。
 今回の道徳の教科化を大きな契機に、人間として、そして日本人として踏まえるべき倫理感や道徳性を全ての子供たちが身につけられるよう、全国に先駆けた取り組みを推進してまいります。
 二〇二〇年大会開催に向けた準備でございますが、史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現と、それを契機に東京を世界一の都市にしていくことが私の使命であり、就任以来、全力で邁進してまいりました。
 大会まで五年を切り、二〇一六年のリオデジャネイロ大会終了後には、世界の目が東京に集まります。開催都市の長として、みずから先頭に立ち、二〇二〇年、そしてその先を見据えたハード、ソフト両面にわたる取り組みを着実に進めてまいります。
 これまでハード面では、都が整備する競技会場について見直しを実施し、大規模な三施設については基本設計を進めるなど、具体的な整備を行っております。また、選手村につきましては、事業協力者を選定し、地域の魅力を高めるまちづくりのあり方などについてさまざまなアイデアを出し合っております。
 ソフト面では、ボランティアについて、今月、東京都ボランティア活動推進協議会を立ち上げ、今後、情報発信や裾野拡大に取り組んでまいります。さらに、セキュリティー対策や輸送対策、暑さ対策、多言語対応の推進、文化、教育プログラムなどの各分野についても取り組みを加速化させてまいります。
 大会開催に向け、都議会の皆様と手を携えながら、国や組織委員会とも一致協力して、大会準備を全力で推進してまいります。そして、二〇二〇年大会を成功させるとともに、大会後の東京に確かなレガシーを残し、世界一の都市へと飛躍させてまいります。
 パラリンピックの成功と障害者スポーツの振興についてでございますが、インスブルック・パラリンピックの金メダリストでありますダイアナ・ゴールデン・ブロスニハン選手は、人は誰もが生きた印を刻んでいく、私たちの傷跡は、私たちが生き、人生から逃げなかったあかしなのだといっております。これは、障害の有無にかかわらず、限界に挑戦し続けるアスリートの本質を伝えております。
 私は先日、チャレスポTOKYOで、車椅子バスケットボールの迫力や障害者スポーツのすばらしさを再認識いたしました。二〇二〇年大会に向けて、パラリンピアンが限界に挑む姿を伝え、体感してもらうプログラムをNO LIMITS CHALLENGEと名づけ、都内の各所で実施し、パラリンピック、ひいては障害者スポーツへの興味、関心を高めてまいります。
 また、一人でも多くの障害者が身近な地域でスポーツ活動に取り組み、スポーツを通じてより豊かな生活が実現できるよう、場の確保や人材育成を重点的に進めます。
 さらに、新たに整備する施設を初め、ハード面のバリアフリー化を、障害者のご意見なども伺いながら推進し、競技者も観客もともに利用しやすい快適なスポーツ環境を創出してまいります。
 二〇二〇年パラリンピック大会を機に、障害者スポーツが日本社会において確固たる地盤を得たと語り継がれるよう、全力で取り組んでまいります。
 二〇二〇年大会を契機としたバリアフリー化の推進についてでありますが、大会のレガシーとして、障害のあるなしにかかわらず、全ての人がバリアを感じることなく生活し、人生を楽しむことができる、そういう東京を実現したいと思っております。パラリンピックの成功は、まさにそのことの土台となるものであります。
 まず、大会に向けまして、都は会場やそこに至る経路のバリアフリー化推進に向けて、基準の策定を進めております。四月には、各会場のドア幅などの施設の基準について先行的に取りまとめ、今後はこの基準を広く周知して、大会に向けた環境を整備してまいります。
 また、ハード面の対策だけではなく、心のバリアフリーも重要であります。車椅子の方やベビーカーを抱えたお母さんが来れば、みずから進んで手助けする意識を育む必要があります。ボランティアの育成やパラリンピックの普及啓発、教育などのさまざまな機会を通じて、こうした風土を築いてまいります。
 さらに、我が国は、海外からの観光客にとっては言葉のバリアが存在します。案内表示の多言語化や先端技術を使った翻訳ツールの充実など、言葉のバリアフリーも進めてまいります。
 こうした取り組みを東京全体に波及させ、大会を機に、世界一の都市東京へと躍進を遂げてまいりたいと思っております。
 ラグビーワールドカップ成功に向けた決意についてでございますが、都議会の皆様方からの強力な後押しを得まして、ラグビーワールドカップ二〇一九の会場として東京スタジアムが選ばれ、あわせて開会式、開幕戦の会場となったことは大変光栄なことでありまして、喜ばしいことでございます。
 東京スタジアムは多摩地域のスポーツ拠点であり、翌年のオリンピックでは七人制ラグビー会場ともなります。ラグビーワールドカップの開催は、スポーツ都市東京を世界にアピールする絶好の機会となります。
 イングランド大会におけます日本代表の南アフリカ戦での歴史的勝利は、都民、国民の皆さんに大きな感動と興奮をもたらし、私も大変感銘を受けました。
 今回、主催者のワールドラグビーから招待を受けまして、ロンドン市を訪問して決勝戦を視察いたします。さらに、現地のジャパン・パビリオンにおけるレセプションやブース出展などを通じて、大会成功への意気込みや東京の魅力を世界に発信してまいります。
 アジア初開催となりますラグビーワールドカップ二〇一九の成功に向け、国内外からお越しになる皆様に最大限のおもてなしを提供し、世界各国のラガーたちが最良のコンディションでぶつかり合うことができるよう、組織委員会や各開催自治体と連携し、都議会の皆様としっかりスクラムを組み、全力で開催準備に取り組んでまいります。
 次に、ボランティア活動の推進についてでございますが、二〇二〇年東京大会を契機としてボランティア活動の機運を醸成し、大会後もボランティア文化を定着させていくことが必要であります。東京には、企業、学校、NPOなどが集積しておりまして、こうしたさまざまな主体がボランティア活動についての取り組みを進めることは、居住地での活動のみならず、通勤、通学先などを通じた幅広い活動の機会を提供することにつながります。
 こうした観点も踏まえまして、ボランティア関係の有識者で構成される検討会の議論をもとに、都民の活動を拡大するための具体的な方策を明らかにした指針を今年度策定いたします。
 また、広く都民に対し呼びかけるなど、機運の醸成や裾野拡大に向けた環境づくりを進めるため、官民さまざまな団体、関係者で構成される東京都ボランティア活動推進協議会を発足させました。あわせまして、まず都として、今月、庁内各局が別々に募集していたボランティアの情報を初めて一元的に提供するホームページを開設いたします。
 これらの取り組みを進めまして、長期ビジョンに掲げた二〇二四年度における都民のボランティア行動者率四〇%の達成を目指しまして、人と人とが支え合う共助社会を構築してまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監高橋清孝君登壇〕

○警視総監(高橋清孝君) 東京オリンピック・パラリンピックを見据えたサイバー攻撃対策と今後の取り組みについてお答えいたします。
 オリンピック・パラリンピックのような大規模なスポーツイベントは、国際テロ組織やテロを実行しようとする者にとって格好の攻撃対象であります。現に、二〇一二年に開催されたロンドン・オリンピックの期間中に多数のサイバー攻撃が敢行されたことに鑑みれば、二〇二〇年大会開催に向けてサイバー攻撃対策を強化することが必要不可欠であります。
 警視庁では、一昨年に設置しましたサイバー攻撃特別捜査隊を中心として、海外ハッカーの動向などサイバー攻撃に関する情報収集や、民間事業者との情報共有、共同訓練などによる被害未然防止対策のほか、サイバー攻撃事案の捜査を通じ、攻撃者や手口の実態解明を鋭意推進しているところであります。
 また、さらなるサイバー攻撃対策の強化を図るため、サイバー攻撃に関する情報収集や事案対処のための資機材の整備、捜査員に対する教育訓練、海外におけるサイバー攻撃情報の調査研究などを推進することとしております。
 今後とも、組織委員会などの関係機関と緊密に連携し、東京オリンピック・パラリンピックにおけるサイバー攻撃対策に万全を期してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、教科道徳の先行実施に向けた取り組みについてでありますが、児童生徒に人が人として生きる上で大切な倫理感や道徳性を身につけさせることは喫緊の課題であり、先行実施に向けた速やかな取り組みが極めて重要であります。
 そのため、都教育委員会は、道徳教育推進教師養成講座を実施し、小中学校における教科化推進の核となる実践力のある教員の養成を進めております。さらに、全国に先駆けて、検定教科書が発行される前に各学校が先行して指導できるよう、教科化に対応した教材の開発と、指導資料の作成及び教科化を推進する拠点校の設置などを行ってまいります。
 今後、これらの取り組みを通して、小中学校における特別の教科道徳の先行実施を、区市町村教育委員会と連携して強力に推進してまいります。
 次に、学校教育の中で障害者スポーツの魅力を伝え、障害者への理解を促すための取り組みの充実についてでありますが、パラリンピック大会は、障害者スポーツを通じて、心のバリアフリーを体得するための絶好の機会であります。都教育委員会は、パラリンピアン等を招いて障害者スポーツを体験する取り組みや、障害者スポーツを通じた特別支援学校と小中学校等との交流を促進してまいります。
 また、特別支援学校を地域における障害者スポーツの拠点として位置づけ、オリンピック・パラリンピック準備局と連携して体育施設の活用を一層推進するとともに、必要な施設の環境整備を検討してまいります。
 二〇二〇年大会に向けて、こうした取り組みを加速させることにより、児童生徒一人一人が障害者への理解を深めるための教育を推進してまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、耐震診断により耐震性不足が明らかになっても、改修工事に合意できていない分譲マンションなどもあることから、現在の耐震化率は約八割にとどまっております。一方、条例で診断を義務づけた建築物のうち約九割の診断結果が得られており、路線ごとの耐震化の状況をほぼ把握することができております。
 今後、現状を踏まえたシミュレーションにより、支援物資の輸送など、緊急輸送道路としての機能を確保できる耐震化の目標を定めまして、オリンピック・パラリンピック開催までに達成できるよう、支援策を検討してまいります。
 引き続き、災害に強い都市の実現に向け、建物倒壊による道路閉塞ゼロを目指す道筋についても検討し、年度内に改定予定の耐震改修促進計画に反映させてまいります。
 次に、都市づくりのグランドデザインについてでございますが、オリンピック・パラリンピックを跳躍台にして東京を持続的に発展させていくためには、大会のレガシーを生かしつつ、そのさらに二十年後、三十年後を見据えて計画的に都市づくりを進めていく必要がございます。
 このため、先般、都市計画審議会に対しまして、本格的な少子高齢化、人口減少や技術の進歩など、今後のさまざまな社会の変化を視野に入れた二〇四〇年代の東京の都市像と、その実現に向けた道筋について諮問いたしました。
 先行しております生活像にも着目した東京のグランドデザイン検討委員会における広範な議論も参考に検討を進めまして、経済活力とゆとりある生活を支えるインフラや土地利用、住環境のあり方など、社会の成熟に合わせて進化した都市の姿を明らかにしてまいります。
 次に、都市計画道路の整備方針についてでございますが、将来にわたる東京の持続的発展を実現していくためには、広域的な交流、連携や高度な防災都市、個性的で活力ある地域づくりなどを支える道路ネットワークのさらなる充実が不可欠でございます。
 次期の整備方針では、骨格的な幹線道路網の形成に加えまして、災害時における救援、救護ルートの確保、ゆとりのある歩行者空間の創出などの観点から、今後十年間で優先的に整備する路線を選定いたします。また、都県境の連絡や空港アクセスの強化などを図るための新たな計画路線を示す一方で、廃止を含め、計画を見直す路線についても明らかにいたします。
 引き続き、地元区市町とともに検討を進め、年内には新たな整備方針案を公表いたします。
 最後に、マンション施策の今後の取り組みについてでございますが、今月初めに開かれた住宅政策審議会におきまして、管理組合による適正な管理や老朽マンションの再生を促すために重点的に取り組むべき施策についての答申が出されました。
 都は、直ちに区市との検討会を設置いたしまして、マンション管理の実態を把握し、管理不全の予防、改善を図るための具体的な方策などについて検討を開始したところでございます。
 また、マンション再生につきましても、既に着手した先行モデル事業の中で、まちづくりと連携した方策について区市との意見交換などを進めており、今後の制度構築につなげてまいります。
 年度内には、これらの施策を盛り込んだ新たな計画を策定し、安全で良質なマンションストックの形成に向けて取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、マイナンバー導入に向けた取り組みについてでございます。
 来年一月からの利用開始に向け、都民の安心と理解が得られるよう、制度の周知などの準備を着実に進め、円滑に導入していくことが重要でございます。
 これまで都は、都民や事業者向けに各種媒体を活用した広報を積極的に行うとともに、区市町村に対しまして、カード交付等が円滑に行われるよう、説明会の開催や助言などを行ってまいりました。また、個人情報の保護に係る対応やセキュリティーを確保したシステムの構築、改修などを進めるとともに、都民の利便性の向上のため、都がマイナンバーを利用する事務について定める条例案を本定例会に提出しております。
 都民が安心してマイナンバーを利用できるよう、今後も国及び区市町村とも連携して適切に取り組んでまいります。
 次に、サイバーセキュリティー対策の強化についてでございます。
 日々高度化、多様化するサイバー攻撃の脅威に対し、事前事後の対応を含め、総合的な対策をさらに強化していく必要がございます。
 そこで、十月には、全庁横断的な体制として、副知事をトップとするサイバーセキュリティー委員会の設置や情報セキュリティーに関する基本方針などの見直しを行います。
 また、国、警視庁及び区市町村等との連携体制の構築、人材の育成、サイバー演習の実施などの取り組みを計画的に進めるため、今年度中にロードマップを策定し、来年度初めには、全庁のセキュリティー事故対応を統括し指導、指示などを行う東京都CSIRTを設置いたします。
 こうした取り組みを早急に進め、東京都全体のサイバーセキュリティーレベルの向上を加速させてまいります。
 最後に、島しょ五村における超高速ブロードバンド整備についてでございます。
 島民生活の向上及び産業振興等の観点から、早期の着手が必要と認識しております。高額な整備費などが課題となりますが、国は成長戦略の柱としてICT利活用を掲げ、離島の超高速ブロードバンド化を推進していることから、国も一定の責任を果たすべく、財政支援を国に強く要望しております。
 また、伊豆諸島近海では、季節風により冬季の海洋工事が困難という特殊事情があるため、数カ年での分割整備など、さまざまな方策を講じていく必要がございます。
 今後とも、国及び五村と連携し、財政支援や整備手法の具体化について精力的に協議を進めるなど、早期整備の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、高度防災都市を実現するインフラについてでございますが、切迫する首都直下地震から都民の命と暮らしを守るためには、被害を最小化し、避難や救援を支えるインフラ整備が重要でございます。このため、都道における緊急輸送道路等の橋梁は、四百一橋全ての耐震化について、今年度完了を目指してまいります。
 第一次緊急輸送道路では、道路閉塞を防止する無電柱化の延長を、平成三十六年度までに約三百キロメートルへ倍増させます。木密地域では、延焼遮断帯や避難路等となる特定整備路線の全二十八区間で用地取得に着手いたしました。また、公園において、非常用発電設備やデジタルサイネージ等の設置により、防災機能の向上を図ってまいります。東部低地帯では、防潮堤約四十キロメートル、水門等全二十二施設の耐震、耐水対策を、平成三十一年度までに完了いたします。
 こうしたインフラ整備を通じ、地震に強い都市を実現してまいります。
 次に、渋滞解消に向けた一般道路の整備についてでございますが、東京の道路は、経済の活性化や国際競争力の強化に資するとともに、安全で快適な都市活動や都民生活を支える重要な都市基盤でございます。このため、交通渋滞を解消し、効率的な移動ができるよう、道路ネットワークを形成することが極めて重要でございます。
 都は、環状第二号線を二〇二〇年早期に全線開通させるなど、骨格幹線道路の整備を推進してまいります。あわせて、京王線笹塚駅から仙川駅間など連続立体交差事業による踏切の除却、第三次交差点すいすいプランによる七十六カ所の交差点改良などに取り組んでまいります。
 今後とも、二〇二〇年東京大会のみならず、その先も見据え、積極的に道路整備を推進し、世界一渋滞の少ない都市東京を実現してまいります。
 最後に、道路の暑さ対策についてでございますが、二〇二〇年大会開催時にアスリートや観客が暑さをしのげるよう、道路の暑さを緩和する環境を整えることが重要でございます。
 都は、センター・コア・エリアを中心とした重点エリアで、路面温度の上昇を最大で八度抑制する遮熱性舗装などを、路面補修工事にあわせて実施しております。都道の対象延長約百三十六キロメートルのうち、平成二十六年度までに八十四キロメートルを整備いたしました。
 今後は、残る五十二キロメートルを毎年約十キロメートル整備し、大会開催までに完了させます。あわせて、街路樹の樹形を大きく仕立てる剪定を計画的に実施し、歩道の木陰をより多くつくり出してまいります。
 こうした道路の暑さ対策について、大会開催後も見据え、引き続き取り組んでまいります。
〔消防総監高橋淳君登壇〕

○消防総監(高橋淳君) 地域防災力強化の取り組みについてでありますが、当庁では、防災ブックの配布を都民に防災の重要性を認識してもらう絶好の機会と捉え、今月上旬から全消防署において、誰でも参加できる東京防災セミナーを開催し、防災ブックを活用して、出火防止や家具類の転倒防止など、今すべき対策の実践を促すとともに、初期消火訓練や応急救護訓練等を実施しているところでございます。
 さらに、これを契機として、防災に関心の低い層の掘り起こしを図るほか、消防団や区市町村と連携し、町会や学校を初めさまざまな地域コミュニティに働きかけ、訓練を実施していない地域の解消にも取り組んでまいります。
 今後とも、都民が参加しやすいまちかど防災訓練等を積極的に推進し、より多くの都民が実践的な防災行動力を身につけることによって、地域防災力の充実、強化を図ってまいります。
〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 都有建築物の耐震化についてお答えいたします。
 消防署や警察署、病院、学校などの都有建築物は、災害時の活動拠点や避難所等となることから、速やかな耐震化が必要と認識しております。
 このため、平成二十年三月に、東京都が所有する防災上重要な公共建築物の耐震化整備プログラムを策定し、二十七年度末までに耐震化を完了することを目標として計画的に事業を推進してまいりました。
 この結果、土壌汚染や地中障害物の対策に時間を要したものなどを除き、今年度末までに約四百四十棟の建てかえや移転、改修等が終了し、耐震化率は九九%となる見込みでございます。残る約三十棟につきましても、現地や移転先での建てかえ工事などを進めているところであり、引き続き関係各局と連携し、耐震化の完了に向けて着実に取り組んでまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、安定給水確保に向けた施設整備の基本的な考え方についてでありますが、発災時の応急対策はもとより、さまざまな課題やリスクに備えるには、予防対策としての強靱な施設整備が重要であります。このため、渇水や大地震などの災害や事故に備え、八ッ場ダム建設の早期完成を働きかけるとともに、管路の二重化、ネットワーク化、耐震化等の整備を計画的に推進してまいります。
 また、経験したことのない自然災害やテロ行為の発生などにも備えるため、大規模浄水場更新に際しては、ろ過池に加えまして、沈殿池等を含めたさらなる覆蓋化など、危機管理対策を多角的に検討してまいります。
 こうした取り組みを、現在策定中の新たな経営プランに反映し、強固で強靱な水道施設を整備することにより、将来にわたる首都東京の安定給水を確保してまいります。
 次に、多摩地区水道の本格的な再構築についてでありますが、水道局では、一元化に際して維持管理業務を各市町に事務委託してきたため、配水管のバックアップ機能が不十分で、老朽化した施設の更新が進まない状況にあります。また、業務や各種システムのさらなる効率化、広域化を踏まえた地元業者との一層の連携等が不可欠です。
 ご指摘のように、多摩地区水道の再構築は、事務委託を解消した今、まさに緒についたばかりでございまして、これらさまざまな課題を解決し、名実ともに広域水道といえるよう本格的に取り組みを推進していく必要があります。
 今後は、市町域を越えた配水管網の整備や老朽化した小規模施設の再編、区部と多摩で異なる業務システムの統合などを積極的に行っていくため、長期的な道筋をつけた新たな改革計画を策定し、再構築を推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、社会福祉法人制度改正への対応についてでありますが、現在議論されている制度改正は、全ての法人に対する評議員会の設置や、一定規模以上の法人への会計監査人の導入を義務化するほか、余裕財産を活用した地域福祉サービスへの再投下計画の作成を義務づけるなど、現行の社会福祉法人制度を大幅に見直すものとなっております。
 都内では、さまざまな事業規模を持つ約千の社会福祉法人が活動しておりますことから、制度改正時にその内容を全ての法人が正しく理解し、みずから適切に対応できるよう、現在、学識経験者や法人の代表者等で構成する社会福祉法人専門家会議において、効果的な普及啓発方法や法人の自主的な取り組みの促進策等について議論を行っております。
 今後、国の状況や専門家会議の議論も踏まえながら、新制度に円滑に対応できるよう法人を支援してまいります。
 次に、福祉のまちづくりの推進についてでありますが、お話のように、東京を障害者や高齢者を初め、誰もが安心かつ快適に過ごすことができるまちにするためには、ソフト面での取り組みの充実が必要でございます。
 このため、昨年策定した長期ビジョンでは、心や情報面のバリアフリーの推進を政策目標の一つに掲げており、現在、福祉のまちづくり推進協議会では、学校や地域における学習の推進や、点字や手話、多言語対応等による情報提供など、具体的な方策をご議論いただいております。
 来月一日には意見具申をいただく予定であり、今後、基本方針や効果的な対策事例を盛り込んだガイドラインを作成し、区市町村や事業者とも連携しながら、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会に向け、ソフト面での福祉のまちづくりをより一層推進してまいります。
 次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでありますが、都はこれまで、保育サービスの整備を促進するため、区市町村や事業者の負担軽減、都有地の減額貸付、国有地、民有地の賃借料補助など、独自の支援を実施してまいりました。
 その結果、昨年度の利用児童数は一万二千六百二人分増加し、待機児童数は減少したものの、人口流入や共働き世帯等の増加等により、保育ニーズは増大しております。
 今年度からは、整備促進策に加え、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育等を対象に、保育士の確保、定着を促進するためのキャリアアップ補助や、保育の質の向上に向けた新たな取り組みも開始いたしました。
 今後とも、平成二十九年度末までに待機児童を解消するという目標の達成に向け、保育サービスのさらなる整備と質の向上に取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。
 最後に、家庭的養護の推進についてでありますが、都はこれまで、養育家庭の登録数をふやすため、制度を広く都民に周知するとともに、民間団体も活用して児童を委託している養育家庭をきめ細かく支援してまいりました。また、ファミリーホームやグループホームの開設準備経費や家賃助成等を独自に支援し、設置を促進してまいりました。
 こうした取り組みをさらに進めるため、本年八月に児童福祉審議会に学識経験者や事業者等から成る専門部会を設置し、養育家庭の登録拡大、ファミリーホーム等の設置促進、委託促進のための体制強化など、家庭的養護を進める具体的方策をご議論いただいております。
 今後、社会的養護施策推進計画に定めた目標の達成に向け、専門部会での議論も踏まえながら、新たな支援策を検討し、家庭的養護を一層推進してまいります。
〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 東京都子供・若者計画策定による地域の対応力の強化についてでございますが、社会的自立に困難を抱える子供、若者を取り巻く環境は多様化しており、教育、福祉、雇用等の関係機関がこれまで以上に連携を強化することが重要でございます。
 このため、都は本計画を策定し、今後の五カ年で、都内全域で子供、若者施策の枠組みづくりを推進することで、子供、若者が関係機関の連携のもと、地域できめ細かな支援が受けられるよう取り組むこととしており、区市町村が地域の課題に応じた計画の策定や、支援のネットワークである子供・若者支援地域協議会を設置することができるよう、関係各局等から成る東京都子供・若者支援協議会を活用し、ノウハウや情報等を提供し、支援体制の充実を図ってまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 今後の資源循環施策についてでございますが、持続可能な資源利用の実現には、廃棄物減量施策を着実に推進するとともに、製品等の生産や流通段階から資源のロスなどを削減していくことが必要でございます。
 このため、都は、「持続可能な資源利用」に向けた取組方針に基づきまして、エコマテリアルの利用の促進等、三つの分野について先進的なモデル事業を公募し、専門家の意見を踏まえた上で、計六事業を選定いたしました。
 今後、選定された事業主体との意見交換や調整を積極的に行い、民間の知恵と創意工夫が十分に生かされた事業にしてまいります。さらに、モデル事業の成果を取りまとめ、情報発信することなどにより、都民、事業者に広く普及拡大するとともに、今年度中に策定予定の東京都廃棄物処理計画に反映し、今後の資源循環施策に生かしてまいります。
〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 舟運事業者の新たな事業展開の促進に向けた取り組みについてでございますが、二〇二〇年の東京大会を見据え、国内外からのお客様のおもてなしにも対応できる舟運を実現していくためには、舟運事業者の航路創設を促進する環境整備を図っていく必要がございます。
 このため、都は、保有している八つの公共桟橋を一層活用するとともに、鉄道駅や商業施設などから近く、利便性が高い場所への新たな船着き場の設置について検討してまいります。
 今後とも、東京のウオーターフロントの魅力を、都民を初め、東京を訪れる旅行者など多くの方々に体験していただけるよう、舟運の活性化を図り、世界に誇る水の都東京の実現に取り組んでまいります。
〔交通局長塩見清仁君登壇〕

○交通局長(塩見清仁君) 都営大江戸線の輸送力増強についてでございますが、大江戸線は、多くの駅で他路線との乗りかえができ、ネットワーク効果が高いことなどから、近年、乗客数が年平均約四%増加しており、特に開発が進んでいる臨海地域の伸びは約七%と顕著でございます。
 また、この地域は、二〇二〇年大会の多くの会場を擁しておりますことから、大会期間中には国内外から多くの利用客が見込まれるとともに、再開発計画等を踏まえますと、大会後の混雑率は一六〇%を超え、国土交通省が混雑改善の指標とする一五〇%を上回ると予測しております。
 こうしたことから、交通局では、勝どき駅ホーム増設にあわせまして、大江戸線の輸送力を増強するため、平成三十年度中の三編成の車両増備について検討を進め、臨海地域の発展や二〇二〇年大会の成功に貢献してまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、日本各地と連携した産業振興策についてでございますが、二〇二〇年大会を契機として、東京、さらには日本の経済が発展していくためには、国内の各地と協力をしてさまざまな産業活性化策に取り組むことが重要でございます。
 そこで、東京と各地を結ぶ観光ルートについて、現在の東北に加え、中国、四国を対象とするよう検討をいたします。さらに、都内にある各自治体のアンテナショップとの連携や、東京ドームで開催をされるふるさと祭り東京二〇一六への出展により、東京で各地の魅力に触れる機会の拡充を図ってまいります。
 また、全国の中小企業に発注情報を提供するポータルサイトの構築、東北等の畜産農家と協力をしたトウキョウXの生産拡大、多摩産材とあわせた他県産木材のPRを進めてまいります。
 今後、こうした連携策をより一層強化することにより、東京のみならず、日本全体の発展につなげてまいります。
 次に、ものづくりとたくみのわざの魅力発信についてでございますが、若者のものづくり離れが進む中、我が国のものづくり産業を持続的に発展させるためには、東京を起点として日本各地と連携し、ものづくりとそれを支える職人わざの魅力を広く発信していくことが重要でございます。
 このため、都内のみならず、全国からすぐれた技能を一堂に集めた大規模なイベントを、来年夏、東京国際フォーラムで開催するための準備に着手をいたします。ものづくりとたくみのわざの魅力を、若者を初め、国内外の多くの人々に広く発信するとともに、実際に参加をして体験できる機会を提供するイベントとなるよう検討をしてまいります。
 こうした取り組みによりまして、若者がものづくりを目指す社会的な機運を高めてまいります。
 次に、中小企業の新事業分野への展開支援についてでございますが、東京の産業が持続的に発展していくためには、中小企業がこれまでにない発想のもとで新しい製品やサービスを生み出し、新たな事業分野を切り開いていくことが重要でございます。
 こうした新分野は、ものづくりとIoTを初めとする最新の情報処理技術の融合などのように、目標や課題を共有する企業や大学などさまざまな主体が出会い、相互に影響を及ぼし合う中で生まれてまいります。
 このため、都は、意欲ある中小企業が革新的なアイデアを実現し、新事業に参入できるよう、大学、研究機関等とのマッチングを行うとともに、そこで生まれた連携体に対し、事業計画の策定から販路開拓に至るさまざまな施策をパッケージ化した総合的な支援策を検討してまいります。
 次に、中小企業の事業承継への支援についてでございますが、東京の産業力の維持発展のためには、すぐれた技術力を有する企業の次代への承継が円滑に進むよう、経営、財務や人材確保等のさまざまな課題に対し、効果的に支援していくことが重要でございます。
 都は今年度、新たに設置した六カ所の小規模企業等の支援拠点において、専門家を活用して、事業承継に係る経営面等の支援を行うとともに、制度融資に事業承継のメニューを新設するなど、多面的に施策を展開しております。
 今後は、支援の効果を一層高めるため、金融機関や人材紹介会社等、外部機関の活用、連携により、現場に出向いての経営者への働きかけや後継者探し等の取り組みに対する支援、企業の財務上の課題解決を図る仕組みなど、施策のさらなる充実を検討してまいります。
 次に、新銀行東京の経営統合を契機とした中小企業支援の強化についてでございます。
 新銀行東京は、一時深刻な経営状況にありましたが、追加出資を都議会に認めていただき、貸出先の中小企業の多くが事業を継続することができました。その後、経営陣や行員の懸命な努力もあり、黒字を継続しつつ、中小企業支援を進めてまいりました。
 このたびの東京TYフィナンシャルグループとの経営統合の実現により、新銀行東京の設立理念である中小企業支援の取り組みをさらに発展させることが期待されます。これを実効性あるものとするため、都は、同グループと産業振興に関する包括連携協定を締結いたしました。
 今後、都は、同グループの有する都内百二十以上の店舗網を活用し、中小企業の海外展開や創業支援を初めとする施策を広く紹介し、さらなる利用を促進してまいります。また、金融機関に寄せられる中小企業の生の声を反映させ、一層きめ細かで効果的な施策を展開することにより、中小企業への支援を強化してまいります。
 最後に、新たな都市農業振興施策についてでございますが、都市農業の振興を図るためには、国による農地制度等の改善とあわせて、担い手の確保や経営力向上など、農業者が抱える課題に的確に対応することが重要でございます。
 都ではこれまで、担い手の確保策として、農業後継者育成のための技術研修やセミナー等を行ってまいりましたが、今後は、農地の貸借等の制度改善を見据え、新たな就農希望者に対する先進農家での研修なども検討してまいります。
 また、経営力の向上に向けては、ハウスなどの生産施設の整備や商品開発の取り組みの支援に加え、農産物のブランド化を促進するため、商工分野の専門家等の助言や販売促進に対する支援の充実などを検討してまいります。
 こうした取り組み等を着実に推進し、都民の期待に応える魅力ある都市農業の一層の振興を図ってまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 下水道管の再構築についてでございますが、現在、整備年代の古い都心などを第一期再構築エリアとして、平成四十一年度の完了を目標として事業を進めておりまして、工事に当たっては、道路を掘らずに施工し、再構築のスピードアップが可能な更生工法を多用するなど、工夫をしております。
 一方、入札不調の対策として、受注者が一定の期間内で工事着手日を決定し、柔軟に技術者を配置できるフレックス工期制度を今年度導入いたしました。この効果の検証も含め、建設業界の意見を踏まえた取り組みを、必要に応じ進めてまいります。
 また、再構築の進捗状況に応じまして、老朽化が進み、対応を急ぐ地区では、局所的な補修工事を組み合わせるなど、柔軟に対応を図ってまいります。
 これらにより、オリンピック・パラリンピック開催にも支障がないよう、下水道の機能維持や道路陥没対策を確実に進めまして、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、体操競技場の大会後の活用方法についてでございますが、体操競技場は規模の大きな仮設施設であることから、大会終了後も可能な限り有効活用していくことが重要と考え、これまで組織委員会とともに検討を重ねてまいりました。
 本施設の活用期間は、その立地場所であります有明北地区のまちづくりの将来像等や周辺の開発状況を勘案いたしますと、十年程度と想定されます。また、施設自体は、ホール状の大空間を有するなどの特徴がございます。
 これらを踏まえ、必要となる改修費用や近隣施設との機能のすみ分け、さらにスポーツ、文化、産業などさまざまな利用ニーズ等の視点から、活用策について幅広く調査検討を行ってまいりました。
 その結果、中小企業を中心に、都内にニーズが見込める展示場機能を初め、各種セミナーやイベント会場など、本施設の大空間をそのまま生かした多様な活用が最もふさわしいとの方向性を得たところでございます。
 都といたしましては、今後、より具体的な内容を検討し、首都東京を支える産業振興のための拠点の一つとして積極的に活用を図ってまいります。
 次に、障害者スポーツの場の確保についてでございますが、障害者スポーツの場としては、日常的なスポーツ活動を支える身近な地域の施設と、専門性が高く、障害者の幅広い活動を支える広域拠点とがあり、これらを利用者の意見などを踏まえ、活用、充実させていく必要がございます。
 そこで、まず身近な地域の施設につきましては、昨年度から始めた区市町村立スポーツ施設のバリアフリー化工事への補助など、引き続きハード、ソフト両面から支援策を講じてまいります。また、教育庁と連携し、都立特別支援学校の体育館などのさらなる活用推進策を検討してまいります。
 さらに、都立障害者スポーツセンターを改修し、機能、利便性向上を図るとともに、パラリンピック後の障害者スポーツ振興をも見据え、既存施設の活用を含め、広域的な観点から、場の充実強化の可能性を検討してまいります。
〔病院経営本部長真田正義君登壇〕

○病院経営本部長(真田正義君) 多摩メディカルキャンパスにおける医療体制についてでありますが、現在、多摩及び小児の二つの総合医療センターが中心となり、救急、がん、周産期など重症度の高い急性期医療を担っております。
 今後の医療環境の変化に適切に対応するため、さらなる医療の高度化を図るとともに、小児や難病等の希少疾患に対して、先進的かつ専門性の高い医療を提供することが必要でございます。
 そのため、都内最大となる集積メリットをこれまで以上に活用し、医療、研究、人材育成の好循環の創出により、キャンパス総体の潜在能力を引き出す考えでございます。
 今後は、ハード、ソフトの両面から、都内で最も高度な医療集積群、いわゆるメディカルコンプレックスとして整備するため、来年二月をめどに外部委員を含む検討会において最終報告を取りまとめ、多摩地域の医療拠点としてさらなる充実を図ってまいります。

○議長(高島なおき君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十八分休憩

   午後三時三十五分開議

○副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十二番谷村孝彦君
〔六十二番谷村孝彦君登壇〕

○六十二番(谷村孝彦君) 私は、都議会公明党を代表し、当面する都政の諸課題について、知事、教育長並びに関係局長に質問いたします。
 まず、このたびの関東・東北大豪雨により亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、今なお避難生活を強いられている被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 また、発災直後から、警視庁や東京消防庁、東京DMATや自衛隊の皆様がいち早く出動し、多くの人命を救出されたことに最大の敬意を表するものであります。
 さて、ことしは戦後七十年を迎え、我が国は、改めて世界平和に貢献する国としての歩みを力強く続けていくこととなりました。
 戦後の焼け野原から立ち上がった我が国は、先人たちのたゆまぬ努力とともに、多くの国から深い理解と支えを受け、今日の繁栄を築き上げてまいりました。この七十年間、平和国家としての歩みを進めてきた我が国は、この歩みを瞬時もとめることなく、国際社会への責務と貢献を果たし続けていかなくてはなりません。
 改めて申し上げるまでもなく、この歴史的延長線上に、五年後の今再びの東京五輪があります。
 東京大会の開催で、我が東京都は国際社会に何を発信していくべきか。それは自明の理であります。すなわち、スポーツの力、文化の力、万国の大衆の力を通じて、揺るぎなき世界平和への礎を築くことであります。
 公明党は、東京大会の成功に全力で取り組んでまいることを改めて申し上げておきたいと思います。
 さて、当初の計画が白紙に戻った新国立競技場の整備については、財政力など、都の今後の対応が注目されておりますが、その大前提は、予算枠内での国の詳細な整備計画が示されることであります。それを踏まえて都の方針を決めることになりますが、その際は、判断の根拠をつまびらかにして、都民への説明責任を果たすべきであります。
 大会成功への盛り上がりに水を差すような問題が続きましたが、再度、東京が開催都市としてのリーダーシップを発揮し、大会成功への勢いをつけるべきであります。改めて、舛添知事の所見を求めます。
 昨日、大会組織委員会は、開催都市である東京が提案できる追加種目について、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンの五競技を決めました。
 都議会公明党はこれまで、被災地の復興なくして五輪の成功なしと繰り返し訴えてきました。その意味から、追加競技決定のこの機に、改めて被災地でのオリンピック・パラリンピック競技の開催検討を強く要望したいと思います。
 次いで、東京五輪総体の成功を願う観点から、今回はパラリンピックに焦点を当てて何点か質問いたします。
 オリンピックとパラリンピックの同時開催が五輪史上初の二度目の開催となる二〇二〇年東京大会の意義を踏まえ、公明党は、パラリンピックの新たな歴史を開く節目の大会にするべきと主張してまいりました。
 二〇一二年ロンドン大会の高い評価は、パラリンピックの成功が大きな要因ともいわれております。大会を通して障害者に対する社会の理解が大きく広がったというレガシーも、最高の大会と評されるゆえんとなっております。
 二〇二〇年東京大会は、観客数、レガシー等においてロンドン大会を上回る大会を目指すことはいうまでもなく、それ以降のパラリンピック大会の指標となる新たな歴史をつくる役割を担っていると思います。
 都の主体性を可能な限り発揮し、全ての競技会場で満席の観客が選手と一体となって熱い声援を送ることができれば、競技や運営面で史上最高のパフォーマンスを引き出す大会となるはずであります。
 その意味で、障害者スポーツを世界のメジャースポーツへと育てる転換点とすべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、パラリンピック大会に向けた具体的な取り組みについて質問いたします。
 一点目は、体験型パラリンピック教育の推進であります。
 私は今月二日、都議会公明党のメンバーとともに、ブラインドサッカーアジア選手権の日本対中国の試合を観戦しました。
 ブラインドサッカーは、ボールの中から出る音や、チームメートの声やその指示を頼りにゴールを競う競技であります。このため、選手の聴覚を妨害しないように、試合中の会場はしいんと静まり返っております。その観客席が、プレーの切れ目ごとに歓声で沸き返ります。ルールを理解した観客と選手との一体感が、まさに魅力となっております。
 日本ブラインドサッカー協会は、障害者への理解を深め、信頼関係を醸成する教育として、ブラインドサッカースポ育プロジェクトという企画を推進しております。既に都内の多くの学校で開催されており、ルールを学び、観戦し、競技に一緒に参加してみるという体験型学習となっております。
 さまざまな障害者スポーツを教育現場や観戦の中で学び、みずから体験することは、障害者に対する理解促進のために極めて有意義な取り組みであると考えます。
 先月発表された東京のオリンピック・パラリンピック教育を考える有識者会議の中間まとめでは、学ぶ、見る、する、支えるの四つのアクションを基本に、取り組む方針が示されました。
 特にパラリンピック競技への理解促進については、こうした体験型学習を都内の全校に早急に広げるべきと考えます。見解を求めます。
 さらに、教育現場において、障害者スポーツを日常的に取り入れやすくする必要もあります。そのために、都が軸となって団体、指導者、ノウハウなど障害者スポーツに関する情報を集約して、区市町村教育委員会に発信するなど、コーディネート機能を担うべきと考えます。見解を求めます。
 二点目は、映像を活用したパラリンピック大会の機運醸成であります。
 これまでなじみのなかったパラリンピック競技も、映像で繰り返し見ることによって、選手の顔や名前を覚え、ルールを理解し、競技の魅力を実感するようになります。
 しかし、パラリンピックの競技や選手がメディアで紹介される機会は、オリンピック競技に比べて格段に少ないのが現状であります。
 そこでまず、都内の公共施設やスポーツ施設等に新たに大画面を設置し、来年のリオデジャネイロ・パラリンピック大会の生の映像を流すライブビューイングを実施すべきであります。
 さらに、リオ大会後も、国内外の主な障害者スポーツ競技大会で活躍する選手についてテレビやメディアにリリースしたり、過去の大会の映像なども幅広く活用したりするなど、パラリンピック競技に熱狂できるファン層の拡大を図るべきであります。見解を求めます。
 次に、障害者スポーツの拠点整備についてであります。
 都は、二度目のパラリンピック大会を迎える都市にふさわしく、都内全域で障害者スポーツのアスリートの育成と、スポーツ人口の拡大に寄与する施設整備を進めていく必要があります。
 中でも、北区内にある障害者総合スポーツセンターと、国立市内にある多摩障害者スポーツセンターは、それぞれリニューアルの時期を迎えております。こうした障害者スポーツのメーン施設が、例えば車椅子用車両などで来訪する利用者が雨天時にずぶぬれになって入場するような施設の現状であっては困ります。
 また、障害者の場合、トイレや更衣室の利用に時間を要することが多く、数も十分に備える必要があります。
 とりわけ、多摩スポーツセンターは、改めて視察をさせていただきましたが、昭和五十九年の開所時と比較して約四倍の年間利用者数となり、手狭になった施設は利用者に不便を来しております。
 スポーツ利用者の急増という時代のニーズに対応するために競技スペースを広げてもらいたいというのが、多くの利用者の強い要望であります。障害者総合スポーツセンターとあわせ、二〇二〇年東京パラリンピック大会のレガシーとなるような改修を行うべきであります。
 あわせて、障害者スポーツ全般にわたる試合や練習会場、選手の育成場所についても、新たな都の拡充の方針を示すべきであります。あわせて見解を求めます。
 次に、福祉都市東京の情報発信について質問いたします。
 二〇二〇年の五輪大会に国内外から訪れる旅行客の中には、多くの障害者や高齢者がおられます。そうした方たちが安心して東京のまちを往来することができるよう、都の福祉のまちづくり事業をさらに加速させていかなければなりません。
 先日、障害者団体の皆さんと政策に関する意見交換を行った際、障害者の使えるトイレがどこにあるのかが心配で、外出をためらってしまうとのお話を伺いました。いわゆる誰でもトイレの情報は、障害者にとって、安心して都内の散策を楽しめるかどうかを左右する大事な情報なのであります。
 また、授乳スポットや無料レンタル車椅子のある場所なども、それらを必要とする人々にとっては欠かせない情報であります。
 しかし、こうしたユニバーサル情報はそれぞれの区市町村のホームページに分散して掲示されており、そうした情報を必要としている人々が探し当てるのに大変に苦労しておられるのが実情であります。
 そこで、都は、誰でもトイレを初め、ユニバーサルデザインに基づく施設などの情報を誰もが簡単に入手できるよう、利用者目線で工夫し、情報提供する新たな環境を整えるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、障害者アートについて質問します。
 都は本年三月、今後の施策推進の指針となる東京文化ビジョンを策定しました。その中には、アール・ブリュットを初めとした障害者アートを広く理解してもらうための施策の方向性も示されております。
 都議会公明党がかねてより主張してきたことであり、高く評価するものであります。
 しかし、障害者アートの普及はなかなか進まない状況にあります。ビジョンに示された施策の方向性を実現していくためには、障害者による作品の発表機会の拡充や創作活動の支援等、障害者の芸術文化活動を強力に推進していくことが必要であります。
 そうした中、障害者の芸術文化活動を推進する都の取り組みの一つとして、先般開催された東京都障害者総合美術展には、多くのすばらしい作品が展示されておりました。一九八六年より開始され、ことしで三十回目を迎えるこの美術展には、舛添知事が歴代知事の中で初めて足を運ばれたと聞いております。
 文化の面におけるバリアフリーが世界で最も進んだ都市となることが、未来に残すレガシーになるものであります。
 東京都障害者総合美術展を鑑賞された感想とあわせて、障害者の芸術文化活動の振興に対する知事の所見を求めます。
 また、障害者の芸術文化活動の振興には、障害者アートの普及啓発が非常に重要であります。今後の具体的な展開について、見解を求めます。
 東京五輪大会に関連し、受動喫煙防止について申し上げます。
 世界中から観光客や観客が訪れる東京大会に向けて、都議会公明党は早くから一貫して、受動喫煙防止策を進めるべきであると主張してまいりました。
 IOC、国際オリンピック委員会は、一九八八年に会場内を対象とした禁煙方針を採択し、その後、バルセロナ以降の各開催都市は、全て罰則つきの国法、州法、または自治体の条例を設けております。
 現在、都は、検討委員会での議論を踏まえ、実態調査を行っていると聞いております。
 おもてなしの一環として、東京は、公共施設のみならず、飲食店なども含めた受動喫煙防止に向けて、実効性の高い取り組みを推進すべきであります。改めて強く要望いたします。
 次に、防災対策について質問いたします。
 都は、首都直下地震や大規模水害への備えなど、重要な防災課題に直面しております。その一方で、二〇二〇年には五輪大会が控えております。
 しかし、今後の五年間は、五輪の準備は当然のこと、防災対策もむしろピッチを上げて進めていく必要があります。そのことが、結果的に安全・安心の五輪大会にもつながります。
 二〇二〇年までの間に取り組む防災対策の内容を明確にし、国内外にメッセージを発信すべきと考えますが、知事の所見を求めます。
 今月、関東、東北地方を襲った豪雨災害は、線状降水帯という耳なれない気象現象によってもたらされたものでありました。
 この夏、太平洋の赤道付近ではエルニーニョ現象が一段と進行し、複数の台風が同時に日本列島を襲う事態が繰り返し発生しました。今回も、台風十八号の冷気と十七号の温かく湿った空気が東日本上空でぶつかり、積乱雲を生み、強いオホーツク高気圧によって進路を阻まれ停滞し、線状降水帯となりました。
 今回のような豪雨は、その発生のメカニズムを踏まえれば、今後、いつ、どこで発生しても不思議ではありません。仮に、この線状降水帯が群馬県の吾妻川流域を含む地域で発生していたら、頼みの八ッ場ダムも未完成であり、都内が甚大な浸水被害に襲われていた可能性もあります。河川氾濫とは常に隣り合わせの状況にあるとの認識を強く持たなければなりません。
 都においても、今回の河川氾濫の被害状況から学び取るべき課題を分析し、今後の都の水害対策に生かすべきと考えます。知事の見解を求めます。
 一部の被害地域では、取水口が土砂や流木などで詰まり、水道の給水が停止し、復旧がおくれる事態も発生しております。
 都内で河川氾濫が発生した場合には、被災人口が膨大になることは必至であることなどから、長期の断水は何としても回避しなければなりません。こうした事態に対する水道局の備えについて、見解を求めます。
 東京を直撃する集中豪雨は、その降雨量などから、明らかに変化を見せ始めており、既に深刻なステージに入ったと捉え、都市の脆弱性を直視した減災対策が重要であります。一時間七十五ミリを超える降雨やスーパー台風から都民の命を守るためには、ハード対策だけでは限界があり、タイムラインやハザードマップなど、ソフト対策との組み合わせが必須であります。
 こうした浸水被害など都市の水害対策について、ことし五月の水防法の改正では、想定し得る最大規模の洪水、内水、高潮等の氾濫に対して、浸水想定区域図を作成し公表するなど、減災への取り組みが強化されております。
 この対策を円滑に進めるためには、関係する局の連携が不可欠であり、そのため都は、局を超えた検討会を早急に立ち上げるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都が都民の家庭に常備するためにハンドブックとして作成、配布した「東京防災」について質問いたします。
 「東京防災」には、災害に備えるために必要な準備や、災害に遭遇したときに役立つ知識が数多く収録されております。今後、重要なことは、できる限り多くの都民にこの「東京防災」を実際に手にとってもらい、内容に目を通してもらうことにあります。配りっ放しであれば、紛失されたり、受け取ったことさえ失念されてしまうおそれもあります。「東京防災」が都民の手元に届き、その印象が新鮮なうちの対策こそが重要であります。
 都は、区市町村と連携して、「東京防災」を活用する機会をふやすべきであります。加えて、都みずからも、さまざまなイベントの機会を捉えて、「東京防災」の活用を図るべきと考えます。見解を求めます。
 また、都は、在住外国人に向け、「東京防災」の多言語化を図るとしております。外国人にとって、日本は地震や台風も多く、災害が発生しやすいイメージを持たれやすいため、災害に関する外国人の不安の軽減を図ることが急務であります。
 都は、災害対策本部を立ち上げた時点で、外国人向けの相談窓口を設置し、対面と電話による相談を受け付けることにしており、実際に、東日本大震災発生の際には外国人のための相談ダイヤルを開設しました。
 また、都内大使館に対しても、災害や避難の情報を提供する体制をとっております。
 しかし、外国人のための相談窓口が設置されるということを、災害時、都内に滞在する外国人に向けて迅速に周知できなければ、その効果を発揮することはできません。
 さらに、大使館も、規模によっては職員が少なく、都から提供される災害情報を的確に自国の訪日者に伝えられない可能性もあります。
 そこで都は、災害時において、訪日外国人に対し、相談窓口の設置状況や問い合わせ先などを的確に伝えるためのアプリの活用や仕組みの工夫に努めるとともに、大使館などとも連携して日ごろから訓練を重ねるなど、対策の強化が必要と考えます。見解を求めます。
 次に、舟運の活用について質問いたします。
 フランスのパリはセーヌ川の河畔から発展した都市であり、川の両岸には良好な水辺景観が創出され、まち並みと調和した舟運と観光が充実しております。
 また、ロンドン市内を流れるテムズ川では、水辺を生かした都市再生が行われ、水上バスなどによる観光舟運などが盛んであります。
 翻って東京を見ると、スカイツリーや浜離宮、お台場など、水辺に多くの観光資源があり、船から見る東京の景色は世界に誇るすばらしい都市景観であります。東京の魅力を世界に発信していくためにも、海と川をつなぐ魅力的な観光舟運経路等を提供することが重要であります。
 また、舟運は、古来江戸のころより交通機関や物流に活用されてきましたが、現代においては陸上交通との連携が十分でなく、使いやすいとはいえず、具体的な取り組みが求められております。
 東京五輪大会に向けて、官民問わず、舟運関係者が連携していくことが必要であります。
 舟運の活性化に向けた都の果たすべき役割は極めて大きいと考えますが、知事の見解を求めます。
 一方、隅田川では、浅草や両国、浜離宮恩賜庭園を結ぶ水上バスの人気が高く、最近では、神田川や日本橋川、スカイツリーを周遊するクルーズなど、新たな観光舟運ルートも開発されております。
 また、両国では、既存の国技館や江戸東京博物館に加え、すみだ北斎美術館の開設や刀剣博物館の移転が予定されており、これに近接する船着き場から発着する水上バスとあわせて、観光拠点としての魅力が高まることが期待されております。
 このように、河川をめぐる舟運は、江戸東京の風情を感じられるような新たな観光コンテンツとして発展する可能性があります。
 実際に川沿いを歩いてみると、要所要所に防災船着き場があり、舟運の面からは、さらなる活用の余地があります。
 河川の防災船着き場の舟運への活用をすべきと考えますが、見解を求めます。
 また、東京のウオーターフロントには、多くの魅力的な観光資源や集客施設などがあり、その中には、都民が海や自然と触れ合う場である海上公園もあります。
 ことしの夏には、葛西海浜公園において、海水浴利用を可能にしていくための社会実験が実施され、約三万八千人の海水浴客が訪れ、大変盛況であったと仄聞しております。
 この公園は、東京ゲートブリッジや東京ディズニーランドの景観が開けており、隣接して、ホテル、水族園や大観覧車などの集客施設もあります。
 さらに、五輪大会ではカヌースラローム競技場が予定されており、東京のウオーターフロントに、泳げる海のある公園ということになれば、すばらしい観光資源となります。
 このような公園も含め、観光資源が水上ルートで結ばれ、観光回遊性が高まれば、観光を楽しむとともに船上からの景観を楽しみながら移動することができ、それ自体も魅力的な観光資源となります。
 ウオーターフロントにおける、観光資源と連携した舟運ルートの開発が可能となるような取り組みを、急ぎ進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、循環型社会の取り組みについて質問いたします。
 初めに、下水道事業におけるエネルギー対策についてであります。
 下水道事業は電力消費量が多く、都内で一年間に使用する電気の一%強を占めております。下水道事業の中で最もエネルギー使用量が多いのは汚泥処理の過程であり、下水処理施設で使用するエネルギーの半分弱を占めていることから、その省エネ対策が迫られております。
 このため、ことし三月の予算特別委員会で、私は、汚泥処理における省エネ対策をもっと強化すべきと主張し、下水道局長からは、エネルギー自立型の汚泥焼却システムの開発を進めるとの答弁がありました。
 そこでまず、システム開発の進捗状況について答弁を求めます。
 一方、公明党は先日、国土交通省の委託研究として福岡市が行っている、下水汚泥から水素を製造するプロジェクトを視察しました。
 下水で車を走らせるとのスローガンのもと、下水処理場に隣接するオンサイト水素ステーションで、下水汚泥から精製した水素を燃料電池自動車に供給していました。
 オンサイトとは、水素の製造場所と使用場所が近くに存在するという意味であります。
 下水バイオ水素とは、汚泥から生じたメタンガスから生み出される水素のことで、地球温暖化を招かないクリーンエネルギーといわれております。
 東京が目指す水素社会は、化石燃料由来でない、再生可能エネルギーによる水素を活用した社会であるべきであります。
 二〇二〇年東京五輪大会のレガシーとして、水素社会の実現を掲げている舛添知事の所見を求めます。
 次に、食品ロス対策についてであります。
 持続可能な地球環境を実現するためには、人口の集中する大都市において廃棄物を最少化する循環型都市を構築することが喫緊の課題であり、とりわけ食品ロス削減に向けた実効性のある取り組みが、その鍵を握ります。
 二〇一一年に、国連食糧農業機関、FAOは年間十三億トンの食品ロスが生じていると指摘しており、これは世界の食料生産量の三分の一に匹敵します。
 都内で発生する食品ロスは年間約二十六万トンともいわれており、その削減は、大消費地である都が抱える重要な課題であり、迅速に、具体的な行動に取り組む必要があります。
 都は、都議会公明党の提案に応えて、食品関連産業の中で最も食品ロスの量が多い外食産業や食品小売業における対策を進めていくとしております。そのためには、並行して、企業の食品ロスへの取り組みに理解を寄せ、賛同する消費者をふやすことが肝要であり、そのための意識啓発が不可欠であります。
 食品ロス削減が都内全域で進むよう、都は主体的に役割を果たすべきであります。見解を求めます。
 次に、教育の充実について質問いたします。
 日本は、教員以外の専門スタッフの割合が、諸外国に比べて低い現状にあるといわれております。
 しかし、学校教育の現場では、いじめや不登校に加え、貧困から派生する問題など、容易に解決できない多くの課題に直面しております。
 校長のリーダーシップのもと、教職員だけでなく、さまざまな人材が協力し合い、チーム学校を形成するなど、子供たちにとってよりよい環境を整えていくべきであります。
 そこでまず、スクールカウンセラーと並んで注目されているスクールソーシャルワーカーの活用についてであります。
 スクールソーシャルワーカーは、福祉的な視点からの援助も提供できるなど、その活躍が期待されております。
 しかし、人員不足や役割、勤務体制の不統一などの課題のほか、その活用方法が教育現場でわからないとの声も聞かれます。
 都は、区市町村と協力して、こうした課題の解決を急ぐとともに、取り組みの成功事例を広く紹介するなど、スクールソーシャルワーカーの活用を促進すべきであります。所見を求めます。
 なお、スクールカウンセラーについては、活用の効果をより高めるためにも、常勤化を早期に実現すべきであると都議会公明党は強く要望いたしておきます。
 チーム学校の観点からの専門人材の活用については、部活動の分野にも求められております。
 これまで幾度となく取り上げてまいりましたが、各地域にはさまざまな分野の指導にたけた人材がおり、部活動における外部指導員の活用をより一層拡充すべきと考えますが、改めて見解を求めます。
 特別支援教育においても、専門人材の活用が必要であります。都は、平成三十年までに全ての小学校に特別支援教室を設置する計画を策定しております。
 子供の行動観察に基づく指導のあり方など、各校の特別支援教室での指導をより適切に進めていくためには、臨床発達心理士などの専門家の知見に基づく支援が効果的であり、活用を進めるべきであります。見解を求めます。
 次に、都内に住む外国人の都立高校入試について質問いたします。
 都内の外国人生徒は増加の一途をたどり、それに伴い、都立高校への入学を希望する外国人生徒も増加しております。
 こうした状況を受けて、都教育委員会は、国際高校のみに設けていた外国人枠を順次拡大し、平成二十三年度入試では飛鳥高校、平成二十四年度入試では田柄高校で外国人枠を新たに設けました。しかしながら、都立高校入試における在京外国人枠の入試倍率は、依然として高い水準で推移しております。
 東京都全体の募集枠を大幅にふやすべきと考えますが、見解を求めます。
 一方、希望する都立高校に特別枠の設定がないため、やむを得ず一般入試を選択する外国籍受検者もおります。そうした生徒の中には、日本語は習熟していないものの、基礎学力は極めて高い受検者もおります。
 平成二十八年二月に実施される入試から、全日制課程で従来の国語、数学、英語に加えて社会、理科が追加され、原則五教科になることが決定しております。社会と理科は、日本人の感覚では国語とは異なる教科ではありますが、外国籍受検者にとっては、あたかも国語の科目が三教科に広がるような印象を受けるとの指摘もあります。
 公明党は、受検科目の拡大によって、外国籍受検者の全日制課程への進学が一層困難になる可能性があることから、新たな配慮を求めてきました。都は、これに応えて、学力検査問題に平仮名のルビを振るというこれまでの措置に加えて、新たに国語を除く四教科についても辞書の持ち込みを認めるとともに、試験時間の十分延長を認めることとしました。
 こうした対策は、都立高校に入学して学びたいという強い意欲のある外国籍の生徒にとって、確かに一つの支えとはなりますが、受検する教科を五教科に拡大するハンディキャップを解消するには、まだまだ至らないとの声も聞かれます。
 都は今後、入学者選抜検討委員会に外国籍生徒の指導や日本語教育の専門家を新たにメンバーに加えるなどして、日本語の習熟が十分でない外国籍の生徒に対する配慮を速やかに設けていくべきであります。見解を求めます。
 次に、不登校やひきこもり対策について質問いたします。
 不登校児童生徒は、都内の小中学生だけでも一万一千人に及び、不登校からひきこもりに陥るケースも少なくないのが実態であります。その結果、都の平成十九年度の調査によれば、十五歳から三十四歳までのひきこもりは、都内で少なくとも二万五千人に及んでおります。
 本来、子供にとって、安心して活力を養える居場所は家庭であり、学びと活躍、友達との交流ができる居場所が学校であることはいうまでもありません。しかし、学校に自分の居場所を見出せない児童生徒がいることを直視すべきであります。
 こうした子供たちに対しては、みずからの可能性を開き、伸ばしていく選択肢として、フリースクールなどの取り組みも展開していく必要があります。
 都は本年第一回定例会で、この課題を指摘した公明党の質問に対し、外部の有識者を交えた検討会を設置していくと答弁しております。
 そこでまず、その後の進捗状況について答弁を求めます。
 文科省は本年七月に、十分な教育を受けられないまま、学校の配慮等により中学校を卒業した者のうち、改めて中学校で学び直すことを希望する者には、一定の要件のもと、夜間中学に積極的に入学を認めることが望ましいとの方針を都教育委員会に通知しました。
 こうした配慮は、学齢期に不登校などで満足に学校に通えなかった若者や大人にとって、学び直しを図る絶好の機会を提供するものであります。
 都教育委員会は、この通知を踏まえ、学び直しの選択肢が拡充されたことを、区市町村や学校に対し、適切に指導、助言、周知を行うべきと考えます。
 加えて、都としても、夜間中学を設置している区市に対し、積極的な支援を行うべきであります。あわせて答弁を求めます。
 一方、いわゆるひきこもりの子供や若者は、こうした学び直しや学校以外の居場所にさえたどり着けない状況にあります。
 都は、ひきこもりの実態調査を平成十九年に行っておりますが、それから八年も経過しており、そこで都は、ひきこもりの若者の現状、実態を把握するとともに、今定例会に報告されている子供・若者支援協議会を活用するなど、相談支援体制を充実し、社会的自立に困難を有する子供、若者やその家族への支援策を強化すべきであります。見解を求めます。
 次に、東京の空の安全対策について、二点、質問いたします。
 まず、羽田空港の機能強化に伴う安全確保策についてであります。
 加速するグローバル化に対応するため、国は先般、羽田空港の発着回数を増便させるための計画案を公表しました。それによると、既に満杯状態にある東京湾上空を通過する空路に加えて、都心上空を飛ぶ新たな空路が検討されております。
 羽田空港のこうした機能強化は喫緊の課題でありますが、一方で、新たな空路の周辺、とりわけ低空で飛行機が往来する地域の住民には、騒音や落下物などへの不安が広がっております。
 都議会公明党は先日、新たな空路の周辺で発生する課題を調査するため、空港が市街地に隣接する福岡空港と伊丹空港を改めて訪れ、空港関係者や周辺住民の方々からお話を聞いてまいりました。
 まず、騒音については、離陸と着陸では音量にかなりの違いがあり、それに応じた飛行経路の工夫が必要であること、加えて、低騒音型の航空機の技術革新が目覚ましく、羽田空港においても、その運航比率を高める必要があると実感しました。
 また、落下物対策については、羽田空港においても、国内外の航空会社に対し、離陸前の航空機の整備、点検の強化と、着陸予定の航空機の事故防止対策を一層強く求める必要があることを実感しました。
 こうした騒音や落下物などの課題に対し、都は、都民の声をしっかり受けとめ、国に対し万全の対策を求めるとともに、一層丁寧に説明の機会をふやすよう働きかけるべきであります。所見を求めます。
 次に、調布飛行場の小型機墜落事故について質問いたします。
 七月二十六日、調布飛行場を離陸した小型機が調布市内の住宅地に墜落し、住民にも死傷者が出るという重大事故が発生しました。
 その翌日、私は、公明党の国会議員や調布市議会の皆様とともに現地を視察し、近隣の方々からも事故直後の様子やご意見、ご要望を伺ってまいりました。
 事故原因の究明が進められる中で、先月四日には、舛添知事と太田国土交通大臣が出席して開催された東京都と国土交通省の連絡会議において、事故原因の早期究明と、安全対策を強化していくことが話し合われました。
 その後、国交省交通政策審議会の部会において、小型機に対する安全対策の検討が開始されております。現時点で、事故に関連して取り組むべき課題として、機体重量や気象情報等に関する機長による出発前の確認の徹底、整備士に対する機体、エンジン整備の徹底などが検討されると仄聞いたしております。
 都は、今回の事故原因が究明され、再発防止策が講じられたことが確認できるまで、自家用機については運航の自粛を要請しておりますが、住宅密集地の近くで小型機の離発着が行われること自体に対し、周辺住民の間には強い不安が残っております。
 調布飛行場の関係者と、周辺住民の不安を解消するためには、国と都が連携し、調布飛行場を利用する小型機に対する徹底した安全対策を講じることが不可欠であります。見解を求めます。
 最後に、地方財源をめぐる問題についてであります。
 今、また、東京を狙い撃ちした不合理な税収の偏在是正措置が継続または拡大される危機に直面しております。地方分権に逆行するこうした取り組みは直ちにやめさせて、地方全体の税財源の充実強化を国に強く求めていくべきであります。
 そのためには、都民に対して都の主張をもっとわかりやすく説明し、都民の暮らしをいかに脅かすものであるかを理解していただくことが肝要であります。
 改めて撤廃への世論喚起を行うべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 以上、当面する都政の課題に対して、政策提言を中心に質問をいたしました。
 東京都は今後、五年後に迫った東京五輪の大会の成功に全力を挙げなければなりません。しかし、そのために都民生活にかかわる政策や施策が少しでもおろそかになるようなことは、断じてあってはなりません。
 そこで、都議会公明党は、五輪大会に向けた取り組みとともに、視察や調査活動を踏まえて都民生活に密着した政策をこれまで以上に練り上げていくために、八つのプロジェクトチームを立ち上げました。福祉、行革、防災、医療、五輪、エネルギー、教育、そして動物との共生社会の八つのテーマであります。
 政策は政党の命であり、政策実現してこそ政治への信頼につながります。
 公明党は、今後とも一段と力を入れて都民目線の政策を展開、実現していくことを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 谷村孝彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、大会成功に向けての取り組みでございますが、二〇一六年のリオ大会終了後には、世界の関心が次の開催都市であります東京に集中いたします。この新たなステージにおきまして、二〇二〇年、そしてその先を見据えたさまざまな取り組みをさらに加速化させていくことが、大会の成否とその後の東京の姿を決めることになります。
 大会成功への鍵は、ソフト面では、ボランティアの育成などを通じて多くの人々が大会にかかわり、自分たちの大会だと感じてもらうことであります。
 また、ハード面では、大会後におきましても、都民、国民がまさにオリンピック・パラリンピックの遺産と思えるような施設をつくることであります。
 都立施設につきましては、これまで、コストの視点とともに、レガシーの視点から計画の見直しに取り組み、着実に進捗させてまいりました。
 新国立競技場の整備に係る都の財政負担につきましては、都民が納得できる理由が必要でありまして、そのために、都民の受益を明らかにするとともに、法的課題を解決し、都民への説明責任を果たしてまいります。
 今後とも、都が率先して国や組織委員会と調整を行い、目に見える成果を出していくことにより、都民、国民のオリンピック・パラリンピックに対する理解、期待を一層高め、これまでにない盛り上がりにつなげ、史上最高の大会として成功させてまいります。
 次に、都の主体性を発揮したパラリンピックに向けた取り組みについてでございますが、パラリンピック大会の全ての会場を満席にし、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮することで、多くの人々が感動し、成功だったといえる大会をつくりたいと思っております。
 平成二十六年度の都の調査では、都民の九割はパラリンピックという言葉を知っていますけれども、過去一年間に障害者スポーツを実際に見た都民は、わずか二%にしかすぎません。
 これまでのリハビリテーションとしての側面だけでなく、スポーツとしての魅力を知ってもらうことが重要であります。
 私はこの夏に、都内の小学校で行われましたパラリンピアンによる障害者スポーツ教室に参加いたしました。初めて体験する車椅子バスケットボールを夢中で楽しむ小学生の姿を見て、すばらしさを再認識した次第でございます。
 都民を対象としたこのような競技体験プログラムを都内各所で精力的に実施し、関心を高めてまいります。また、さまざまな媒体を活用して、障害者スポーツやパラリンピアンの紹介など、普及啓発を行います。あわせて、パラリンピックの競技、魅力を紹介するガイドブックを作成し、広く配布を行いたいと思っております。
 二〇二〇年大会で満員の観客とアスリートが一体となって熱気あふれる舞台をつくり上げられるよう、準備を一層加速化させてまいります。それを通じて、障害者スポーツのプレゼンスを向上させ、パラリンピックのレガシーとしてまいります。
 続きまして、障害者の芸術文化活動の振興についてでございますけれども、本年八月に開催されました東京都障害者総合美術展は、第三十回という節目でもありまして、ご指摘していただきましたように、私も参加、出席いたしましたけれども、個性や感性あふれる多くのすばらしい作品がそろった美術展でありました。
 東京が成熟した芸術文化都市となっていくには、障害のある方々が、広く芸術文化活動に携われる、そういう社会を実現していくことが重要であると改めて感じた次第でございます。
 二〇一二年のロンドン大会では、障害のあるアーティストの活動を支援するアンリミテッドプログラムなどの先進的な取り組みが行われ、大きな成功をおさめました。二〇二〇年東京大会に向けては、都が主導する文化プログラムに先駆けて、障害者アートプログラムを今年度から新たに展開するとともに、民間団体との連携を深め、東京から障害者の芸術文化活動を国内外に広く発信してまいります。
 多様な個性から生み出された障害者の作品の価値を広く世の中に浸透させていくことで、互いを認め合う共生社会の実現につなげ、未来に継承するレガシーとしていきたいと考えております。
 次に、二〇二〇年までに取り組む防災対策でございますけれども、さまざまな自然災害への備えを万全なものとし、都民はもとより国内外からの来訪者の安全・安心を守っていくことは、都知事としての私の重要な責務でございます。
 都は、二〇二〇年までに確実に進めるべき防災対策を昨年十二月に東京の防災プランとして取りまとめ、現在、木造住宅密集地域における特定整備路線の整備や、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化などを着実に推進してございます。
 また、昨年度からは、年四回、住民参加型訓練を実施しておりまして、今月一日にも立川市において約七千五百名の参加を得て総合防災訓練を実施いたしました。
 さらに、災害に対する日ごろの備えや、発災時に身を守るための工夫などをわかりやすく掲載した「東京防災」の配備を進め、都民一人一人の防災意識を高めるとともに、自助、共助の取り組みも積極的に推し進めております。
 東京の防災プランや「東京防災」については、多言語版を用意するとともに、在京大使館等との防災連絡会や、来月開催する予定の海外の都市が集まります危機管理の場などを活用しまして、海外に向けても都の取り組みを積極的に発信してまいります。
 世界一安全・安心な都市東京を実現すべく、今後とも全力を尽くしてまいります。
 続きまして、水害対策についてであります。
 関東・東北豪雨がもたらした北関東から東北にかけての甚大な被害は、大小のさまざまな河川を抱える東京におきましても決して人ごとではなく、水害対策に万全を期すことの重要性を改めて強く実感いたしました。
 これまで都は、防潮堤の耐震対策などを進めるとともに、区部では時間最大七十五ミリ、多摩部では最大六十五ミリの降雨に対する河川の護岸等の整備など水害対策に取り組んでございます。
 こうした取り組みに加えまして、今回の災害対応の課題の一つとして、鬼怒川の決壊を初め河川氾濫が広域に被害を及ぼす中、市境を越えた広域避難の準備が不十分であったことが指摘されておりまして、大規模水害時における広域避難の必要性を認識した次第でございます。
 都におきましては、昨年、東京都地域防災計画において、広域避難に係る自治体や関係機関との連携体制を新たに明記し、それに基づき、国、関係自治体などと効果的な広域避難のあり方の検討を行っております。
 今後、被災自治体等から避難に際しての課題などについて情報を収集して分析を行い、実効ある水害対策を積極的に推進してまいります。
 次に、舟運の活性化に向けた都の取り組みでございますけれども、英国のケンブリッジ公爵殿下やデンマークのフレデリック皇太子同妃両殿下が来日された際に、東京湾を船でご案内いたしまして、海から眺める東京の姿を楽しんでいただきました。
 かつての江戸は、水運に恵まれた水の都でありました。今日の東京も、海のみならず、川や運河などを身近に感じられる大都市でありまして、舟運を活性化させて、水辺の魅力を引き出していきたいと思っております。
 先月、地元区や学識経験者、舟運事業者とともに、羽田空港と臨海部などを結ぶ具体的なルートの検討、検証に着手いたしました。さらに、最寄りの駅から船着き場へのアクセス改善など、これ、議員ご指摘のように他の交通機関との有機的な連携が必要でございますので、これも強化してまいりたいと思っています。
 船の活用は、観光資源はもとより、防災、交通手段としても大きな意味があります。今後とも、実験的な取り組みを重ねながら、舟運をさらに盛んにさせて、水の都東京を世界にアピールしていきたいと思っております。
 次に、水素社会への取り組みでございますけれども、成熟都市で開催される二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の先には、環境と調和した持続的な成長を実現させなければなりません。その先導的な役割を担うのが水素社会の実現でございます。
 ご指摘の下水汚泥を活用した水素製造につきましては、エネルギー収支やコストの面から、今まだ多くの課題を抱えてございます。
 こうした課題はありますけれども、社会情勢や技術革新の動向を踏まえ、下水汚泥を活用した水素製造について検討してまいります。
 日本は世界最先端の技術や知恵を持っておりまして、こうした強みを生かしながら、首都東京から水素社会の実現に向けて、我が国を先導していきたいと思っております。
 最後になりますが、不合理な偏在是正措置についてでございます。
 少子高齢化や人口減少という波が押し寄せる中、日本が活路を切り開いていくために必要なことは、自治体がおのおのの特性や強みを生かして地域を活性化させ、日本全体の活力を底上げしていくことであります。
 地域の実情に即した取り組みを持続可能なものとするためには、総体としての地方税財源の拡充こそが必要不可欠であります。
 しかしながら、国は地方の財源不足という問題に手をつけず、都から財源を奪う不合理な偏在是正を断行し、さらにその拡大を画策しております。
 これらの措置は、今後、高齢者人口の急増による社会保障需要の増加や、社会資本ストックの膨大な更新需要などが想定されている都の実情のほか、これまでの財政運営の努力を無視したものでありまして、直ちに撤廃させるべきものであります。
 このような地方税財政に関する問題について、広くご理解をいただくため、先般、都の主張をまとめた反論書を公開いたしました。
 今後、この問題について、都民の皆様の一層のご理解いただくよう努めてまいりますとともに、都議会の皆様と手を携え、志を一にする自治体とも連携しながら、あらゆる機会を捉えて国に対して働きかけてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者スポーツの体験学習の拡大についてでありますが、障害者スポーツの理解を深めるためには、体験学習が有効であることから、これまで都教育委員会は、パラリンピアン等を学校へ派遣し、児童生徒が障害者スポーツを実際に体験する機会を設けるとともに、講話や交流を通じて、障害の有無にかかわらず、夢に向かって努力する意欲を高める取り組みを進めてまいりました。
 今後、障害者スポーツの内容やルールを解説したDVDを作成して全校に配布し、学校が活用を図ることにより、児童生徒が障害者スポーツをさらに身近なものとして理解、体験することを促進してまいります。
 こうした取り組みを通じ、児童生徒が障害者スポーツに親しみ、障害者理解を深めていく取り組みを一層推進してまいります。
 次に、障害者スポーツに関する区市町村教育委員会への支援についてでありますが、オリンピック・パラリンピック教育推進校の中で、障害者スポーツの理解促進に取り組んでいる学校では、ブラインドサッカー等の競技や、障害者スポーツ大会の運営ボランティア等の体験学習を行っております。
 都教育委員会は、来年度からの全校展開に向け、こうした推進校における効果的な取り組み事例を広く周知することにより、体験を重視した教育をなお一層促進してまいります。
 また、児童生徒が障害者スポーツの観戦や体験ができるよう、関係局、団体と連携し、ウエブサイト等を通じ障害者スポーツ行事等の情報を収集し、提供してまいります。
 今後とも、児童生徒の障害者スポーツ体験が加速されるよう区市町村教育委員会を積極的に支援してまいります。
 次に、スクールソーシャルワーカーの活用についてでありますが、都教育委員会は、学校における子供と家庭への支援体制の一層の充実を図るため、福祉面からの支援を行うスクールソーシャルワーカーの配置を拡充してまいりました。
 その成果として、スクールソーシャルワーカーが、不登校の子供の家庭に対して、生活改善等の支援を行ったことにより学校に復帰できた事例や、暴力傾向のある子供の保護者に医療機関への受診を促したことで、子供の問題行動が改善された事例等が報告されております。
 今後、都教育委員会は、こうしたすぐれた成果をまとめた資料を学校等に配布するとともに、区市町村教育委員会や学校を対象としたパネルディスカッションを開催するなどして、学校がスクールソーシャルワーカーを有効に活用できるよう、一層の啓発に努めてまいります。
 次に、部活動外部指導員の活用の拡充についてでありますが、専門性の高い地域の指導者を学校の部活動で活用することは、競技力の向上や地域に伝わる芸能の伝承等、部活動の質を高めるとともに、学校と地域との連携を深める上で極めて有効であります。
 このため、都教育委員会は、部活動の活発な都立高校への部活動振興予算の重点配付、地域の人材を活用する課外活動の支援、部活動推進校の指定などの事業により、外部指導員の導入を進めております。
 今後とも、地域の専門性の高い指導者を積極的に導入することに加え、部活動顧問教諭の指導力を高める指導者講習会の開催などを通じて、部活動の活性化を一層推進してまいります。
 次に、特別支援教室での専門人材の活用についてでありますが、特別支援教室において、発達障害の児童に対し適切な指導を実施するためには、各校を巡回して指導を行う教員が、児童の障害の状態に応じて指導内容や方法の充実を図ることが重要であります。
 巡回指導教員が指導計画を策定するに当たっては、発達障害の特性によって、学級における不適応行動などの心理的要因の分析が必要な場合があり、こうしたケースでは、心理学等の専門家による助言や支援が非常に有効であります。
 こうしたことから、巡回指導教員が臨床発達心理士等の専門的な助言などを活用し、児童一人一人の障害の状態に応じた、より効果的な指導が行えるよう、今後、実施に向けた検討を進めてまいります。
 次に、都立高校の在京外国人生徒募集についてでありますが、都教育委員会は、都内に居住する外国人生徒に高等学校教育を受ける機会を提供するため、入学者選抜において外国人生徒募集枠を設け、応募状況等を踏まえ、募集する学校及び定員を適宜ふやしてまいりました。
 平成二十八年度の募集に当たっては、全日制課程の一般募集と比べて、外国人生徒募集の応募倍率が高い状況で推移していることから、さらなる改善を図るため、現在の三校に加え、新たに竹台高校及び南葛飾高校の二校に募集枠を設けることといたしました。
 外国人生徒募集枠の設置校とその規模については、今後とも、入学者選抜の応募状況等を十分に見きわめ、適切に対応してまいります。
 次に、外国籍の生徒に対する配慮についてでありますが、これまで、都立高校入学者選抜においては、入国後の期間が原則三年以内の外国籍の生徒について、希望に応じて、平仮名のルビを振った学力検査問題で受検できるという措置を講じてまいりました。
 さらに、平成二十八年度入学者選抜からは、学力検査が原則五教科となることに合わせて、他県における措置の状況などを踏まえ、辞書の持ち込みと時間延長も認めることといたしました。
 都教育委員会は、他の受検者との公平性に配慮しつつ、引き続き受検者の状況等の検証を行うとともに、言語や外国人児童生徒教育に関する有識者等を交えた検討の場を新たに設け、外国籍の生徒に対する特別措置について専門的な見地から検討を行ってまいります。
 次に、不登校対策の検討状況についてでありますが、児童生徒が不登校になる要因は、学習のおくれや家庭環境、いじめなどさまざまであり、その解決のためには、学校と関係機関とが連携協力して支援する必要がございます。
 このため、都教育委員会は、学校を初め、福祉、労働、フリースクール等による不登校・中途退学対策検討委員会を本年五月に設置し、支援のあり方を検討しております。
 具体的には、学校の不登校対策の現状やフリースクール等民間施設の活動に関する情報を収集するとともに、個々の児童生徒に応じた計画的な支援やスクールソーシャルワーカーによる福祉機関との連携、適応指導教室の課題などについて、幅広く議論をしております。
 今年度中に検討結果を取りまとめ、不登校対策の充実を図ってまいります。
 最後に、夜間中学についてでありますが、中学校夜間学級は都内八校に設置され、これまで、都内在住、在勤を要件として、中学校を卒業しないまま学齢を超過した者を入学の対象としてまいりました。
 国は、本年七月の通知で、中学校は卒業したが、さまざまな事情で学校に通えなかった者が夜間学級に入学を希望した場合、一定の要件のもと、積極的に入学を認めることが望ましいといたしました。
 都教育委員会は、これにより新たに学び直しの機会が開かれたものとして、区市町村教育委員会に国の通知内容を周知したところでございます。
 今後、夜間学級への入学に関する相談があった場合など、引き続き、区市町村教育委員会に、きめ細かな対応に努めるよう求めていくとともに、国の動向を踏まえ、適切に支援をしてまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 羽田空港の機能強化についてでございますが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックや、その後の航空需要に応え、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠でございます。
 国は、七月から九月にかけて都内十二カ所で飛行経路の見直しなどに関する説明会を開催し、住民からは、騒音や落下物対策についての不安の声も含め、さまざま意見や要望があったと聞いております。
 都は、説明会の状況も踏まえ、国に対して、引き続き地元への丁寧な説明と、騒音の影響を軽減する方策の検討や徹底した安全管理に取り組むことなどを要望してまいります。
 今後とも、都民の理解が深まるよう積極的に取り組み、国際的な拠点空港としての羽田空港のさらなる機能強化を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、パラリンピックの機運醸成についてでございますが、パラリンピックの魅力を実感するためには、まず何より迫力ある競技の模様を実際に見ることが重要と考えております。
 このため、今年度から開始いたしましたパラリンピック体験プログラム、NO LIMITS CHALLENGEにおきまして、パラリンピアンによるデモンストレーションや、過去大会の映像を使った競技紹介などを行っております。また、障害者スポーツの魅力を伝えるDVDの作成など、映像、メディアを活用したパラリンピックのPRに取り組んでまいります。
 さらに、来年のリオ大会はパラリンピックの興奮や感動を実感できる絶好の機会であり、競技映像を公共施設などで放映できるよう、関係機関と調整してまいります。
 今後も、組織委員会や日本パラリンピック委員会などと連携いたしまして、機運醸成に積極的に取り組み、二〇二〇年大会の成功につなげてまいります。
 次に、障害者スポーツの拠点整備についてでございますが、都内に二カ所あります都立障害者スポーツセンターは、建設から約三十年が経過し、老朽化が進んでいることから、昨年度、改修計画を策定し、大規模改修を行うことといたしました。
 改修計画では、老朽化対策はもとより、利便性向上を図るため利用者ニーズを調査し、特に要望の多かった家族で利用できる更衣室の増設や駐車場の拡張、体育館の冷房設備新設など、きめ細かく対応していくこととしております。さらに、建築上の制約はあるものの、設計の中で技術的な検証を行い、最大限競技スペースを拡大できるよう検討を進めてまいります。
 今後、両センターの改修を着実に進めるとともに、障害者専用施設だけでなく、広くスポーツ施設の障害者利用の拡大を図るなど、二〇二〇年大会後のさらなる障害者スポーツの振興につなげてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) ユニバーサルデザインの情報提供についてお答えをいたします。
 都はこれまで、駅や地下街等における段差のないルートや誰でもトイレの場所など、外出に必要な情報を都民が入手できるよう、バリアフリーマップやホームページの作成等に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 また、来月には、さまざまなユニバーサルデザインの情報が一元的に閲覧できるよう、ポータルサイトを開設いたします。
 このサイトでは、鉄道やバスなど交通手段別、デパート、美術館などスポット別、区市町村別に検索できるほか、音声読み上げや、色や文字サイズの変更機能等も搭載し、容易に情報を入手できる仕組みとなっております。
 今後とも、区市町村を積極的に支援いたしますとともに、障害者団体等を通じて、このサイトの周知、活用を図るなど、情報面でのバリアフリーをより一層推進してまいります。
〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者アートの普及啓発についてですが、障害者による芸術文化活動の発表の場をふやし、より多くの人に作品に接する機会を提供していくことは大変重要でございます。
 都はこれまでも、東京都美術館での展覧会や、社会福祉団体と協力した作品展等を開催してまいりました。
 今後も、さらなる発表、鑑賞機会の拡充に向け、NPO等と連携した展覧会をさまざまな場所で実施していくほか、障害者等の芸術文化活動を促進するために新設した助成制度を活用するなど、民間団体とともに障害者アートの普及啓発に努めてまいります。
 とりわけ、アール・ブリュットの振興については、東京芸術文化評議会において、専門家による検討を開始するとともに、国内外の施策事例、制作現場や美術館等のニーズなども調査し、効果的な普及啓発につなげてまいります。
 次に、訪日外国人向けの災害対策についてですが、外国人が東京で安心して観光したり、仕事や生活をしていくためには、都の防災対策を知っておくことが非常に重要でございます。
 都は災害時、災害対策本部が設置された段階で外国人の相談窓口を開設し、設置場所や連絡方法などの情報を提供するなど、外国人支援を行うこととしております。
 さらに、日ごろから、都の外国人向けホームページや観光公式サイトで、災害時の体制や相談窓口に関する情報等の周知を図るとともに、大使館等とは、通信訓練や防災連絡会を通じ情報提供体制の充実を図ってまいります。
 今後、ご提案も踏まえ、外国人が安心して東京に滞在できるよう、情報提供のあり方について工夫を重ねてまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 河川氾濫に対する備えについてでございますが、水道局では、河川氾濫による浸水被害を最小限にとどめるよう、これまでに浸水想定に基づくさまざまな対策を推進しております。
 具体的には、浸水被害のおそれのある浄水場等に対し、止水堰の整備、防水扉や防水壁の設置、電気盤のかさ上げなどを平成二十八年度までに行います。
 また、一部の浄水場が浸水により機能停止した場合でも、他の浄水場からのバックアップにより給水を確保できるよう、送水管のネットワークを形成しております。
 今般の浸水被害では、被災地の浄水場等に応急復旧のための職員を派遣するなど、復旧支援の要請にも機動的に対応しておりまして、これらを通じて得た教訓を都の取り組みにも反映し、災害対応力の強化、給水確保に万全を期してまいります。
〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、改正された水防法への取り組みについてでございますが、近年頻発する豪雨や台風による浸水被害から都民の命を守るためには、ハード対策に加え、住民の避難行動に資するソフト対策の強化が重要でございます。
 国は、本年七月の法の施行に合わせ、これまでの想定を超える規模の降雨や高潮による大規模水害に対して、必要なソフト対策を講じるためのマニュアル等を公表いたしました。
 河川と下水道では、最大規模の降雨を用いた一体的な浸水シミュレーションを行い、また、港湾と河川では、海流等による異常潮位や河川への遡上を考慮した高潮シミュレーションにより、浸水想定区域を設定することとしております。
 このため、都は、関係部局による検討会を十月に立ち上げ、新たな浸水想定区域の指定に向け連携を強化してまいります。
 今後とも、危機感を持って水害対策に取り組んでまいります。
 次に、舟運のための防災船着き場の活用についてでございますが、災害時の船による都民の避難や緊急物資の輸送等に備え設置を進めている防災船着き場を、平常時においても有効に活用し、舟運の活性化を図ることは重要でございます。
 都はこれまで、隅田川の桜橋など三カ所の防災船着き場を一般開放しており、屋形船等に利用されております。本年六月から一般開放を始めた両国におきましても、利用を促進してまいります。
 さらに今後は、この両国の船着き場を、墨田区と連携して両国リバーセンターとして再整備し、周辺の観光拠点や駅とのアクセスを向上させることにより、水辺のにぎわいを高めてまいります。
 また、ベイエリアに近い築地におきましても、海、川、まちをつなぐ舟運ターミナル機能を新たに創出するなど、舟運を生かした水辺空間のさらなる魅力向上に向け、防災船着き場の活用を積極的に図ってまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 「東京防災」の活用についてでございますが、都は、「東京防災」を都内全世帯に順次配布するとともに、さまざまな広報活動を展開しており、都民の関心が高まっているこの時期を逸することなく、「東京防災」の活用を促し、防災意識の向上等を図ることが重要でございます。
 このため、区市町村と合同で実施いたします住民参加型訓練や、今後実施が予定されている防災関連のイベント等におきまして、「東京防災」の内容を実際に体験することを通じて、活用につながる普及啓発を積極的に行ってまいります。
 さらに、教育庁と連携した防災ノートを活用した防災教育の充実や、東京消防庁管内の消防署等で実施いたしますセミナーなど、都を挙げての取り組みを進めることで、幅広い年齢層に向けた「東京防災」の活用を促進し、防災への備えを万全なものとしてまいります。
〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、観光資源と連携した舟運への取り組みについてでございますが、東京のウオーターフロントには、葛西海浜公園を初め、多くの観光スポットが立地しており、舟運との連携により、観光資源そのものの付加価値が高まるとともに、舟運自体の魅力を高めることも可能となります。
 このため、都は、都市型ホテルに隣接した竹芝小型船桟橋と東京ビッグサイトに隣接した有明桟橋を不定期航路事業者に開放する取り組みを進めております。
 こうした取り組みにより、ホテルでの優雅なディナーと連携したクルーズ、アフターコンベンションとしてのクルーズなどが開始され、新たな観光資源となりつつあります。
 今後とも、東京の魅力をさらに高めていくため、観光資源や集客施設の周辺に立地する船着き場の利用拡大など、舟運の活性化に取り組んでまいります。
 次いで、調布飛行場を利用する小型機の安全対策についてでありますが、調布飛行場においては、これまでも都独自の取り組みとして、小型機の運航者を含む事業者を対象に安全啓発講習会を開催するなど、安全対策に努めてまいりました。
 また、事故発生後、都として、改めて調布飛行場における管理運営の状況全般について検証に着手しております。
 事故原因につきましては、現在、国土交通省及び警察が調査中でありますが、今回の事故を重く受けとめ、先月、小型機の安全対策の強化に向け、都と国土交通省による協議の場を立ち上げたところであります。
 国と緊密に連携し、事故に関連して、現時点で取り組むべき課題に対する検討を進めるなど、調布飛行場における小型機の安全性向上に取り組んでまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 下水道事業のエネルギー対策についてでございますが、エネルギー自立型の焼却システムは、汚泥の水分量をより一層削減できる脱水機と、焼却廃熱を回収し発電を行う焼却炉を組み合わせたシステムでございまして、汚泥の燃焼に必要な補助燃料が不要になるとともに、年間を通じて焼却炉の運転に必要な電力を賄うものでございます。
 日本初のこのシステムは、民間企業と共同開発したもので、来年度、新河岸水再生センターにおいて工事を発注し、平成三十一年度の完成を目指しております。
 今後は、葛西水再生センター、南部汚泥処理プラントなどへも順次導入する予定でございます。
 こうした下水道の持つポテンシャルを有効活用した再生可能エネルギー等の技術を民間企業と連携して開発、導入することで、日本の下水道界をリードしてまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 食品ロス削減への取り組みについてでございますが、世界の人口の増加や気候変動の影響等による食料供給の不安定化が懸念される中、これまでのような口に入らないまま廃棄される食料資源の無駄を改めていく必要がございます。
 このため、都は今般、持続可能な資源利用に向け、モデル事業を公募し、六つの事業を選定いたしました。
 そのうち、食品ロス削減の事業では、意識の高い食品メーカーやNGOが連携し、幅広い層に対する気づきの場や学習ツールの提供、賞味期限等の近い食品の購入を消費者に動機づけるための表示、余った食材を持ち寄って行う、いわゆるサルベージパーティーの開催等を幅広く展開してまいります。
 今後、この事業の成果等を踏まえ、都民、事業者等の行動の転換を促す普及啓発を積極的に行い、食品ロスの削減を促進してまいります。
〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 社会的自立に困難を有する子供、若者やその家族への支援策の強化についてでございますが、都はこれまで、ひきこもり支援に特化した相談窓口である東京都ひきこもりサポートネットを拡充する一方、相談事例を蓄積し、ひきこもりの状態に陥る課題を分析して、実態の把握に取り組んでおります。
 また、関係各局等から成る東京都子供・若者支援協議会を通じてさまざまな支援機関と情報の共有を図りながら、今次策定しました東京都子供・若者計画に記載する取り組みを進め、今後、広域的観点から支援の具体化を図ってまいります。
 さらに、同計画の策定を契機に、各区市町村の子供・若者支援地域協議会の設置を促進し、都の協議会とのネットワークを構築して、都内全域でひきこもりの子供、若者やその家族に対する相談支援の体制を強化してまいります。

○副議長(藤井一君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時五十七分休憩

   午後五時二十分開議

○議長(高島なおき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十六番徳留道信君
〔五十六番徳留道信君登壇〕

○五十六番(徳留道信君) 日本共産党を代表して質問します。
 初めに、安倍政権が憲法違反の安保法制、すなわち戦争法を強行したことに強く抗議するものです。
 安保法制は日本国憲法に真っ向から背く違憲立法です。法律に盛り込まれた戦闘地域での米軍への武器輸送などの兵たん支援、戦乱が続く地域での治安維持活動、米軍を守るための武器使用、そして集団的自衛権の行使など、そのどれもが憲法九条を踏みにじり、自衛隊の海外での武力行使に道を開くものとなっています。
 このため、安保法制に対して圧倒的多数の憲法学者や歴代の内閣法制局長官、元最高裁長官を含む広範な人々から憲法違反という批判が集中しています。知事は、この批判をどう受けとめていますか。
 このような重大な違憲立法の存続を許すなら、立憲主義、法の支配という我が国の存立の土台が根底から覆されることになりかねません。知事、いかがですか。
 自衛隊が海外で米軍とともに他国の軍隊と戦い、対テロ戦争などに参加したらどうなるでしょうか。自衛隊員に戦死者が出ることになるでしょう。日本が報復攻撃やテロ攻撃の対象とされ、都民の安全が脅かされる危険が強まるとの声も上がっています。
 知事、今や安全保障は国の専管事項だといって、黙って見ていることは許されません。だからこそ、数百に及ぶ地方議会から安保法制に対して反対や慎重審議を求める意見書が上がったのではないでしょうか。都民の命と暮らしを守るべき地方自治体の長として、政府に厳しく物申し、行動すべきときではありませんか。
 同時に重大な問題は、安倍政権が空前の規模に広がった国民、都民の運動と、六割を超す今国会での成立に反対という世論に背いて違憲立法を強行したことです。四カ月近くの国会審議を通じて、憲法違反の声が国民多数を占め、成立後も反対が賛成を上回り、説明不十分の声は八割に及んでいます。
 にもかかわらず、こうした国民の声を無視して、問答無用に強行採決したことは、国民主権、民主主義という日本国憲法の根幹を破壊するものにほかなりません。知事の明確な答弁を求めます。
 日本の平和と国民、都民の命を危険にさらす違憲立法を存続させるわけにはいきません。
 我が党は、安保法制、戦争法廃止、立憲主義を取り戻すという一点で一致する全ての政党、団体、個人が共同して戦争法廃止の国民連合政府を樹立することを呼びかけています。都議会各会派の皆さん、そして都民の皆さんが立場の違いを超えて、力を合わせて廃止に追い込むことを心から呼びかけるものです。
 人口密集地のど真ん中にある米軍横田基地が今回の安保法制と日米新ガイドラインによって、日米の軍事一体化と海外派兵型の拠点基地に変貌していくことで、都民の安全が脅かされる危険性についても指摘しないわけにはいきません。
 ことし四月に改定された日米新ガイドラインは安保法制と一体のものですが、新ガイドライン発表直後に、特殊任務を担うCV22オスプレイ十機と四百人の部隊の横田基地への配備が明らかにされました。米軍のマニュアルによれば、特殊部隊の任務は、国家転覆、対テロ戦闘などとされています。日本の防衛とは全く無縁な外国への侵攻作戦そのものです。
 これまでも横田基地には、在日米軍司令部、米第五空軍司令部が置かれ、アフガン戦争、イラク戦争などアメリカによる無法な戦争の輸送拠点となってまいりました。三年前には航空自衛隊総隊司令部が横田基地に移転し、日米軍事一体化が進んできました。
 最近は、横田基地でも敵基地の制圧を目指す特殊任務の訓練として、米軍のパラシュート降下訓練が頻繁に行われています。さらに、横田基地所属の米軍C130輸送機に自衛隊の特殊部隊が乗り込み、アメリカまで出かけて、米軍特殊部隊と合同のパラシュート降下訓練まで行っているのです。
 知事、横田基地をめぐる現在の事態をどう認識していますか。横田基地がこうした日米共同の特殊任務作戦や海外派兵の拠点になり、横田基地から飛び立った特殊部隊が他国への破壊活動などを行うようなことを許すわけにはいきません。横田基地の機能強化及びCV22オスプレイの配備に断固反対し、知事として発言し、行動すべきと思いますが、いかがですか。
 そもそも米軍機には、安保条約に基づく日米地位協定によって危険を生ずるおそれがある区域の上空の飛行禁止条項を初め、日本の航空法の重要な部分が適用除外とされています。このため、米軍機は、住宅密集地域での低空、旋回、夜間などの飛行訓練を傍若無人に行っているんです。重大事故が発生しても、米軍の許可なしには、日本は関与することさえできません。
 オスプレイも、日本の航空法を適用すれば、安全基準を満たしていないために、本来国内で飛ぶことはできないんです。にもかかわらず、オスプレイが横田基地に配備されようとしており、最近は再三飛来するなど、やりたい放題ではありませんか。知事、こんな状態を放置しておいていいんですか。
 ドイツは地位協定を改定し、米軍基地周辺であっても米軍機に対し、飛行禁止区域や低空飛行の禁止を定めるドイツ国内の航空法を適用しています。
 イタリアでは、駐留米軍は軍事訓練や演習を行うときには必ずイタリア政府の許可が必要とされ、地方自治体から米軍への異議申し立て制度も確立をされています。知事、日本とは余りにも違うと思いませんか。
 基地を抱える都道府県の連絡協議会、すなわち渉外知事会は、日米地位協定を改定し、市街地や夜間、休日の飛行制限、最低安全高度を定める国内法を適用すること、そして基地の整理、縮小及び早期返還を促進するよう求めていますが、国はどのように回答しているんですか。
 渉外知事会、そして多くの都民、国民と共同した運動を大きく広げ、それこそ本気になって日米地位協定の改定、米軍基地の整理、縮小、返還を早期に実現していくときではありませんか。私たちもそのために全力を尽くします。知事の所見と決意を伺います。
 次に、福祉の充実について伺います。
 まず、保育園と特養ホームの整備の問題です。
 知事が待機児ゼロの目標を掲げ、昨年度一年間で百六十五カ所の認可保育園をふやし、定員を一万三千五百人以上増加させたことは重要です。しかし、それでもまだ、全ての保育サービスを利用しても、待機児は八百五十八人減少しただけで、ことし四月の待機児は七千八百人を超えています。
 東京都の調査では、就学前の子供がいる世帯で現在就労していない母親の就労希望は、今すぐ働きたい、いずれ働きたいを合わせると八割を超えるのですから、保育要求は今後さらに大きくなると見込まれます。
 四年間で待機児ゼロという目標を実現するためには、保育園整備の流れをさらに大きくしていくことが求められていますが、知事は今後どのように取り組むんでしょうか。
 また、特別養護老人ホームの待機者は四万三千人を超えており、整備のテンポを引き上げることは急務です。十年間で一万八千人を増設する目標は早期に達成して、さらに待機者解消に向けた取り組みを強化することが必要です。特養ホーム増設への知事の決意と今後の対応を伺います。
 世田谷区内にある都営住宅跡地の福祉インフラ整備への活用が決まり、保育園などの福祉施設が整備されることになったことは重要です。都営住宅の建てかえなどで創出される三十ヘクタールの用地を福祉インフラ整備に提供する取り組みをさらに強化することが重要だと思いますが、いかがですか。
 東大和市にある向原アパートと東京街道アパートの都有地について、九月の市議会では、福祉施設などの拡充、運用に関する市の取り組みについての質問に、市長が東京都と協議していきたいと答弁しています。福祉施設整備を含む市との協議は始まったのでしょうか。いつまでに計画をまとめようとしているんでしょうか。
 東久留米市中央町二丁目アパートや清瀬市中里団地には、建てかえにより生み出された都有地があります。福祉インフラ整備への活用に向け、地元自治体との協議を進めるよう求めておきます。
 台東区が保育園用地として提供を求めている水道局用地について、地元区と積極的に相談をして進めていくことが必要ですが、いかがでしょうか。
 私の地元の板橋区にある旧老人医療センターと板橋ナーシングホームの解体工事が始まります。区はこの跡地利用について、一貫して高齢者施設と障害者施設の整備を要望しています。この要望に応えることが重要ですが、見解を伺います。
 保育士や介護職員の不足が深刻です。せっかく保育園を新設したものの、四月に保育士不足のために定数どおり受け入れることができなかった保育園は、私たちが把握しているだけで五区三市で二百二十人分もあります。
 昨年十月には、北区で計画されていた特養ホームが、介護報酬引き下げと介護人材不足のために事業者が撤退し、建設中止になりました。ショートステイでも定員どおり受け入れられないところがあります。職員不足のため、早朝から夜間まで過重労働の連続という事態も広がっています。
 保育園や特養ホームなどの整備の障害にもなっている保育士や介護職員の深刻な人材不足についてどう認識していますか。
 賃金を引き上げ、職員をふやすことができるよう保育単価や介護報酬、保育士、介護職員の処遇改善補助を拡充し、職員配置基準も改善するよう国に強く求めるとともに、都としても最大限の対策を強める必要があると思いますが、いかがですか。
 高齢者の貧困について伺います。
 日本の高齢者の相対的貧困率は二〇%近くに上ります。一方、ドイツやイタリアは九%、カナダやスペインは七%など、OECD加盟国のうち二十カ国は一〇%を切っています。日本のひとり暮らし高齢者の相対的貧困率は男性で二九%、女性に至っては四五%にもなります。日本の高齢者に貧困が大きく広がっている事態を知事はどう認識していますか。
 国民年金のみの高齢者の平均受給月額は五万円にもなりません。借家の場合、その少ない年金で家賃を払わなければなりませんが、日本には多くの国で行われているような家賃補助制度はほとんどなく、公営住宅も全住宅数の約四%でしかありません。
 ヨーロッパの多くの国では、医療費は無料か少額の負担ですが、日本では七十歳から七十四歳は二割負担、七十五歳でも一割を負担しなければなりません。社会保険料も値上げが続いています。
 知事は、下流老人という本に触れ、生活保護基準相当で暮らす高齢者及びそのおそれがある高齢者には誰もが陥る危険性がある、本人の責任のみによるものではなくて、むしろ社会問題なのであると述べていますが、そのとおりです。知事は、高齢者の貧困問題にどう対応するのですか。
 高齢者を初め、あらゆる世代に貧困が大きく広がっているのは、歴代の自民党政権が雇用制度を改悪するとともに、社会保障を次々と切り崩してきたからにほかなりません。その解決は政治の責任です。
 知事、住民の福祉と暮らしを守る責務のある地方自治体の長として国に厳しく物申すとともに、都として貧困に苦しむ方々に手厚い支援を講ずるべきだと思いますが、お答えください。
 高齢者の暮らしにさらに追い打ちをかけているのが介護保険の負担増です。利用料に二割負担が導入され、特養ホームの多床室の方からも部屋代を徴収することになり、ショートステイなども含め、食費や居住費への補助、いわゆる補足給付も縮小されました。この結果、いざというときに備えた貯蓄もどんどん目減りし、生活保護を受けるしかないという事態が広がりかねません。
 妻が特養ホームに入居しているという方から話を伺いました。夫婦で二十五万円の年金ですけれども、八月から補足給付が受けられなくなり、十万円だった特養ホームの利用料が十五万円にふえました。夫の介護の利用料も合わせると、手元には七万円程度しか残らず、これで生活の全てを賄わなければなりません。とても生活できないので、ご自身のデイサービスを削らざるを得なくなった、お金のかかるご近所づき合いも全部やめて、孤独な生活だと訴えておられました。
 知事は、このような介護保険の改悪による都民への影響をどう認識していますか。改悪は撤回するよう国に求めるべきであります。
 今年度実施された介護保険の負担増による都民の影響人数、影響額はどうなっていますか。都として新たに介護保険の利用料、食費、居住費への支援を行うことを求めます。お答えください。
 加えて重大なのは、後期高齢者医療保険料の軽減の特例措置を国が廃止しようとしていることです。保険料は二倍から十倍にはね上がり、東京では最大で年間四万円近くの負担増になる方もおります。極めて大きな負担増になります。都民への影響をどう認識していますか。
 全国後期高齢者医療広域連合協議会は、国に対して保険料軽減は現行制度を維持するように求めています。都としても国に制度の維持を求めるべきではありませんか。
 来年度は保険料率の改定の年になります。東京都広域連合では一人当たり年間六千円から一万二千円の値上げになる試算が示され、検討されています。東京都市長会は、保険料軽減のために、国と都の財政支援を求めています。こうした声にどう応えるのですか。
 知事、貧困の打開や少子高齢社会対策を初め、福祉を拡充し、都民の暮らしを守る本格的な取り組みに踏み出すことが今求められています。そのためには、都政運営、財政運営の基本を福祉、暮らし優先に切りかえることが急務ではありませんか。
 こうした立場を都政で確立することなしに、知事がいうところの世界一の福祉都市は到底実現できないと思いますが、お答えください。
 今月発表された都の年次財務報告書は、今後、急速に高齢化が進む中で、社会保障関係費の増加が見込まれること、社会資本ストックの老朽化は重要な課題であり、維持更新経費の増加額は二十年間で二兆三千億円に及ぶこと、また、投資に係る新規発行債を毎年四千五百億円発行した場合、二十五年後には都債発行残高は約一・九倍、生産年齢人口一人当たり百二十六万円の残高を抱えるとしています。
 この問題はどう対応するんでしょうか。東京の持続的な発展を実現するためにも、投資的経費については都市インフラの新規整備を最大限抑えることが求められていますが、いかがですか。
 この点で重大なことは、都が幹線道路について、どんなに住民の反対があろうが、建設をごり押しする構えを崩していないことです。
 都市計画道路についていえば、年間約二十五キロメートルのペースで建設されており、都の道路計画への投資額は三千億円、区市町の都市計画道路の整備費は四百億円程度で推移しています。未整備の都市計画道路は約千二百十キロメートルありますから、このままでいくと、今後約十五兆円もの巨額の財源を投入することになりますが、それでも進めるんでしょうか。
 都は、未着手の都市計画道路の必要性を検証するとしています。しかし、前回の見直しで廃止したのはわずか一路線にすぎません。今回の検証でも、一日当たり六千台の車が通ると見込まれれば必要、道路ができれば交通渋滞が緩和され、二酸化炭素の排出が削減されるならば必要などとして、ほとんどの路線が存続可能になるような基準を設けています。
 しかし、都が今回発表した都市計画道路の第四次事業計画の中間まとめでも、今後大幅な税収増が見込めないことに加え、社会保障費がさらに大幅に増大することは明らかであり、都市計画道路への大幅な投資額の伸びは見込めない状況ですと認めているではありませんか。
 人口、そして自動車交通が減少していく時代は迫っています。知事の、車中心のモータリゼーション社会からの転換という大方針に沿って、少なくとも住民の反対が強いなどの問題がある道路計画は思い切って見直すべきでありませんか、お答えください。
 次に、都立高校についてです。
 都教育委員会は、今年度策定予定の都立高校改革の新たな実施計画に、夜間定時制高校のうち、小山台、雪谷、江北、立川の四校の廃止を盛り込むとして、保護者や同窓会などに説明しています。多くの生徒が通うこれらの学校がなぜ廃止なのかと関係者からは驚きと怒りの声が上がっています。かつて百校以上あった都立夜間定時制高校は、生徒や保護者、都民の反対を押し切って次々に廃止され、現在三十九校まで減っています。まさかこれ以上の廃止はないだろうと信じていた都民にとっては、まさに寝耳に水の話であります。
 夜間定時制には、勤労青少年を初め、経済的困難などの事情を抱えた生徒、いじめや不登校経験者、日本語の苦手な外国籍の生徒、発達障害の生徒、社会人や高齢者など、さまざまな生徒が通っています。学ぶ意思のある生徒をほぼ全て受け入れ、教育を受ける権利を保障しているのが夜間定時制です。
 都は、夜間定時制高校の果たしている役割をどのように認識していますか。
 都教委は、夜間定時制廃止のかわりにチャレンジスクールと昼夜間定時制の定員をふやすとしています。しかし、それは夜間定時制廃止の理由にはなりません。
 そこで伺います。
 チャレンジスクールや昼夜間定時制は学級のない単位制高校です。これに対して、夜間定時制には学級があり、担任や級友との温かい人間関係があるから成長できたという生徒が少なくありません。主に不登校経験者のためのチャレンジスクールでは合わない生徒もいます。また、夜間定時制は、夜間中学からの重要な進学先にもなっています。
 チャレンジスクールや昼夜間定時制では受けとめ切れない夜間定時制に対する教育ニーズがあることをどう認識していますか。
 都教委は、全日制と夜間定時制を併設する全定併置校は施設利用に課題があるといってきました。
 全日制の卒業生や保護者なども、全定併置は大きな障害はない、むしろ、全日制の生徒にとって定時制の存在そのものから学ぶことは多いといっています。しかも都教委は、都立高校白書で、チャレンジスクールや昼夜間定時制のような午前、午後、夜間など生徒が入れかわる三部制高校について、生活指導、学校行事、部活動など、統一して実施しにくいなどの問題点を指摘しています。
 全日制に併置されている夜間定時制を追い出して三部制高校に詰め込むとしたら、生徒の教育条件を軽視しているといわれても仕方がないのではありませんか。
 しかも、夜間定時制の生徒にとって、長い通学時間は、交通費はもとより体力的にも精神的にも大きな負担になり、通い続けることが難しくなります。このことからも学校数を少なくとも今後も維持すべきだと考えますが、お答えください。
 夜間定時制を今後も維持し、多様な学びの場の一つと位置づけて、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置、拡充など、教育環境の充実を図ることを求めますが、見解を伺います。
 夜間定時制のこれ以上の廃止は絶対に認められません。拡充こそ求められていることを厳しく指摘しておくものであります。
 都立高校では、中途退学防止や進路が決まらずに卒業する生徒への支援の強化は重要な課題の一つです。今年度から配置されたユースアドバイザーは大きな役割を果たしていますが、進路指導支援員の採用、個別指導を行う進路指導支援チームの設置、進路未決定のまま卒業した生徒などへの相談体制の充実も重要であります。
 今後、どのような取り組みを進めるのですか、お答えください。
 次に、豪雨対策について伺います。
 記録的大雨となった関東・東北豪雨では、鬼怒川などの決壊や氾濫を引き起こすなど甚大な被害をもたらしました。都内でも四区市町村で十二万世帯、二十六万人に避難勧告が出され、床上、床下浸水や土砂崩れ、道路冠水の被害が出ました。
 知事も、鬼怒川決壊は人ごとではないといっているように、今回のような豪雨が東京に降れば、荒川、そして中小河川を含め、堤防決壊などによる洪水が都内どの地域でも起きてもおかしくありません。
 東京でもこうした大雨による大災害が起きることを想定して、ソフト、ハード両面の対策を早急に進める必要があると思いますが、知事の所見を伺います。
 国交省は、巨大台風の上陸や豪雨による災害の発生予想時間から逆算して、いつ、誰が、何をするのかの三つの要素を合い言葉として、関係者があらかじめとるべき防災行動を定めるタイムラインの策定に取り組み始めました。
 国交省荒川下流河川事務所は、板橋、北、足立区と東京メトロなど関係機関が参画し、住民避難、避難行動要支援者施設、交通状況にスポットを当ててタイムラインを策定し、この五月から試行をしています。関係者は、これまでは警察や消防がどこで何をしているかという横の動きが見えなかったが、他の機関と一緒にタイムラインをつくったことで連携がとりやすくなった、避難勧告などを出すタイミングが明確になったと語っています。
 一昨年、台風による甚大な被害を受けた大島町でも、土砂災害を想定して、二百項目に及ぶ行動を一覧表にしたタイムラインを策定しているところです。
 都としても、水害、土砂災害などさまざまな災害に備えて、区市町村と協力して、必要なタイムラインを策定することが求められていると思いますが、いかがですか。
 最後に、オリンピック・パラリンピックについて質問をいたします。
 新国立競技場計画は、巨大施設で巨額な税金投入を行うもので、都民、国民の批判の広がりの中で、政府はゼロベースからの見直しを表明しました。
 しかし、公表された新整備計画は、高さ七十メートル、規模は八万席と巨大なもので、日本スポーツ振興センター幹部も旧計画と変更はないと国会で答弁をしています。ゼロベースの見直しではなかったんです。
 知事は、見直しは都民の納得が得られるものでなければならず、周辺環境との調和も考えるべきだと発言してきたではありませんか。横浜の日産スタジアムの場合、客席数は七万二千席ですが、高さは約五十二メートル、総工費は六百三億円で、しかも三年九カ月で完成させたと報告をされています。先日の特別委員会で担当局長は、今後、検討の対象になるのではないかと答弁しました。
 知事、こうした事例も検討し、国任せではなく、都民が納得できる見直しとなるよう力を尽くすべきではありませんか。
 整備費の負担について知事は、特別委員会で国に協力する立場を示しました。しかし、石原都政以来、整備費について、都は、国立である以上、国責任が原則という立場をとり、舛添知事も、国が責任を持って整備していくのが原則であると答弁してきたんです。
 八月二十八日の記者会見でも、法的にも許されるものでなければならず、その立場は変わっていないと発言してきました。
 知事、こうした発言、立場は、当然貫かれるべきだと思いますが、いかがですか。
 都は、法人事業税、法人住民税の一部を年間約三千億円も国に吸い上げられています。国の不当な措置は断じて許すわけにはまいりません。
 知事、その上なぜ国立競技場整備まで都が全面協力するのですか。
 二〇一二年に日本スポーツ振興センターに提出した文書で都は、建設局が所有する公共敷地を新国立競技場等の敷地とする場合には有償とすると明記しています。
 ところが、さきの特別委員会では、都立明治公園を無償で譲渡することもあり得るかのような答弁がありました。有償とする立場を覆すのですか。
 譲渡対象の敷地は約二・六ヘクタール、三百五十億円に近いと推計をされています。これだけの都民の財産を無償ないし低価格で国に差し出すことは、到底都民の理解は得られないのではないでしょうか、いかがですか。
 都が整備する競技場の整備費、用地費負担は約二千六百八十億円と発表され、都民一人当たり二万円近い負担となります。さらに、選手村の用地取得費、基盤整備費も莫大な負担が予測されますが、現時点でどの程度と推計をしていますか。引き続き削減の努力を尽くすべきです。お答えください。
 知事が、都が建設する競技施設について、情報の公開を徹底していくと述べたことは重要です。しかし、施設ごとの整備費の内訳や根拠、他の類似施設との比較、大会後の維持費や収支見通しなどについて、より全面的な情報公開が必要です。
 知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 徳留道信議員の代表質問にお答えいたします。
 安保法制につきまして、四問質問ございました。まとめてお答えいたします。
 まず、憲法違反という批判が出ているとのご質問及び立憲主義に関するご質問でございますが、さきの定例会でも申し上げましたとおり、集団的自衛権の行使を憲法に明記するのか、解釈で可能にするのかは、人によってそれぞれ意見があると考えております。
 なお、憲法以前の問題として、国家も自然権としての自衛の権利を有しております。さらにいえば、国連憲章には、全ての国が個別的、集団的自衛権を持つと明記されております。
 次に、政府に物申すべきとのことでございますが、国権の最高機関たる国会の場で導き出された一つの結論でございまして、都知事として何かいう考えはございません。
 最後に、強行採決とのご質問でございますけれども、今申し上げましたように、国民の代表たる国会議員の皆さんが国会の場で出した結論でありまして、これにつきましても、都知事として特段申し上げることはございません。
 いずれにしましても、安全保障や憲法といった問題は、国家の根幹にかかわる国の専管事項であり、今後も国民の間で幅広い意見が展開され、国権の最高機関である国会の場で取り扱われるべきものと考えております。
 次に、日米地位協定改定や基地の整理、縮小、返還についてでございますが、安全保障に関することは国の専管事項でありますが、米軍の運用に当たりましては、安全面に最大限考慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきであります。
 このため、都は、地域に影響を及ぼす米軍の運用について、日米地位協定の見直しなどを含め、他の自治体とも連携しながら、国や米軍に要請を行っております。
 今後も、都民の安全と生活環境を守る立場から、必要な申し入れを行っていきたいと思っております。
 次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでございますけれども、昨年度の保育サービス利用児童数は、東京都長期ビジョンで示しました目標の一万二千人を超えまして、一万二千六百二人増加いたしました。
 都は現在、区市町村や事業者の負担軽減を初めとした独自の支援策を実施しておりまして、今後とも、平成二十九年度末までに待機児童を解消するという目標の実現に向け、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてでございますが、昨年策定しました長期ビジョンでは、高齢者人口の将来推計や区市町村のサービス見込み量を踏まえ、平成三十七年度末までに特養の定員を六万人分にふやす目標を掲げました。その実現のために、これまで施設整備費の補助単価の増額や土地賃借料の負担軽減など、さまざまな支援策を講じておりまして、今後とも、目標達成に向け、区市町村や事業者を支援してまいります。
 次に、高齢者福祉についてでありますが、高齢者の生活実態はさまざまでありまして、低所得の方がいることは十分承知をしております。こうした方々のために、現在の日本の社会保障制度では、各種手当や医療保険制度、介護保険制度などの中で、さまざまな軽減措置が設けられておりまして、都としても独自に低所得者対策を実施しております。
 ただ、人口の増加、右肩上がりの経済成長、終身雇用を前提に確立された現在の社会保障システムは、さまざまな問題を抱えております。今後必要なのは、社会保障システムを、改めて社会全体のセーフティーネットとして、国民全体のコンセンサスを得ながら、持続可能なものへとつくり変えていくことだと考えております。
 続きまして、都政運営、財政運営についてでございますが、私はこれまでも、子供と子育て家庭への支援、高齢者施策の充実、福祉、医療人材の確保など、世界一の福祉先進都市東京の実現に向けて、全力を注いでおります。
 今後とも、都民一人一人が安心して豊かに暮らせるよう、財政の健全性に十分留意しながら、都民福祉の向上にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、豪雨対策でありますけれども、関東・東北豪雨は各地に甚大な被害をもたらしましたが、都においても、台風や集中豪雨などによる大規模水害への対策は重要な課題であります。
 このため、都は、防潮堤の整備や耐震対策を進めるとともに、河川の護岸や調節池の整備などに既に取り組んでおります。
 また、今回の豪雨被害が広域に及んでいることから、住民を広域的に避難させる枠組みの整備に向け、区市町村や鉄道事業者等の関係機関と連携協力しながら、国や近隣県とともに検討を進めてまいります。
 今後とも、自助、共助の取り組みを積極的に促すとともに、都としてもハード、ソフト両面から防災対策を推進してまいります。
 次に、新国立競技場整備計画の見直しについてでございますが、新国立競技場の新たな整備計画は、国内外の競技施設の事例も参考にしつつ、アスリートから直接、意見を聞いて策定されたものと承知しております。
 また、私は、アスリートファーストやバリアフリーのほか、地区計画を踏まえて、緑豊かな歴史と風格ある都市景観との調和を図るなど、都の考え方を述べ、その多くは新たな整備計画に反映されております。
 さらに、コストについても大幅に抑制されております。その意味で、私は現実的な計画になっていると考えております。
 今後、新国立競技場が新たな計画に基づき着実に整備されるよう国に求めるとともに、都としても協力をしてまいります。
 次に、整備費の負担に係る考え方についてでありますけれども、新国立競技場は、国が責任を持って整備するのは当然でありますが、二〇二〇年大会のメーンスタジアムであり、東京都の神宮外苑地区に所在する施設でもあります。
 よって、都は、まちづくりを初め、都の政策と整合を図りつつ、大会に支障なく整備されるよう全面的に協力をしているところであります。
 また、都が財政負担を行うには、都民が納得できる理由が必要であり、例えばスポーツの振興や地域の防災機能など、どのような受益があるのか明らかにする必要があります。
 さらに、現行の地方財政制度のもとにおいては、法的課題の解決も必要であることを申し上げているわけであります。
 次に、整備費の負担についてでありますが、先ほど申し上げましたとおり、新国立競技場は国立であるため、国の責任で整備すべきものでありますが、大会に不可欠なメーンスタジアムであり、東京の都心に立地する大規模な公共施設であります。
 このため、都民のスポーツ振興はもちろんのこと、まちづくりや防災など、都の施策に貢献することも期待されるところでありまして、大会に向け支障なく整備されるよう全面的に協力をしております。
 次に、都が整備する施設に関する情報公開でございますけれども、これまで競技会場や選手村など、施設整備の状況につきましては、随時、議会の場でご報告し、ご審議いただいてまいりました。
 また、定例会見の場において、都立競技施設等の整備費や進捗状況について、私から直接説明をしているところであります。
 今後とも、施設整備の進捗や大会後の施設運営計画の検討状況に応じて、適切な時期に議会に報告し、ご審議いただくとともに、都民、国民に対して広く情報を公開しながら、着実な準備を進めてまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、夜間定時制高校の役割についてでありますが、夜間定時制高校は、従来、昼間に学校に通うことができない勤労青少年の学びの場となっておりました。しかし、その後、夜間定時制高校に在籍する勤労青少年は減少の一途をたどっており、近年、学習習慣や生活習慣等に課題がある生徒や全日制高校から転学してきた生徒、外国人の生徒など、多様な生徒が在籍するようになっていることから、夜間定時制高校の役割は大きく変化していると認識しております。
 次に、夜間定時制高校に対する教育ニーズについてでありますが、夜間定時制高校を第一志望とする生徒は、募集人員の半数にも満たない状況にあり、定員の充足率は年々低下しております。
 したがいまして、夜間定時制高校の役割が勤労青少年の学びの場から、より多様な生徒が在籍する学校へと変化する中にあっても、夜間定時制高校を希望する生徒は十分に入学できる状況にございます。
 次に、定時制高校の教育条件についてでありますが、全日制課程と定時制課程を併置する高校には、生徒の施設利用や学習活動が時間的に制約されるなどの課題がございます。
 なお、都教育委員会では、夜間定時制高校や三部制の昼夜間定時制高校を含め、全ての都立高校において、真に社会人として自立した人材に育成していくため、個々の生徒の状況に応じたきめ細かい学習指導や生活指導を適切に行っております。
 次に、夜間定時制高校の学校数についてでありますが、都教育委員会は、平成九年度から都立高校改革推進計画に基づき、都立高校の規模と配置の適正化を図ってまいりました。夜間定時制高校についても、東京都全体として必要な募集人員を確保し、適正に配置しております。
 次に、夜間定時制高校の教育環境についてでありますが、都教育委員会は、これまでスクールカウンセラーを全都立高校に配置し、在籍する生徒や保護者からの相談への対応や教職員への助言等の職務を担当させ、学校の教育相談体制の充実を図ってきております。
 また、スクールソーシャルワーカーについては、本年度、夜間定時制高校を含む都立学校十三校をモデル校として指定し、学校だけでは解決できない問題を抱える生徒や家庭に、福祉面などからの支援を行っております。
 最後に、都立高校における進路未決定者や中途退学者等への取り組みについてでありますが、都教育委員会は、平成二十五年度から、若者の自立支援に実績のあるNPOと連携し、中途退学者等への支援を目指したモデル事業を実施しております。
 今後の取り組みについては、モデル事業の成果も踏まえ、外部有識者を含む不登校・中途退学対策検討委員会において、現在、議論をしております。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、横田基地についてでございますが、都内の米軍基地は、日米安全保障体制の一翼を担うものと認識しており、横田基地は、西太平洋地域の米軍の空輸ハブ基地として輸送部隊が駐留しております。
 国は、CV22オスプレイ配備は、こうした輸送拠点としての機能の範囲内で行うものとしております。また、横田基地からは、人員や物資を空輸する能力を常に保持するため、人員降下訓練等を行っていると聞いております。
 安全保障に関することは国の専管事項でございますが、米軍の運用に際しては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要でございます。
 このため、都はこれまでも、安全対策の徹底や環境への配慮など、国に対して必要な申し入れを行っております。
 次に、米軍機の飛行運用についてでございますが、在日米軍による低空飛行訓練に当たっては、最大限の安全性を確保するため、人口密集地域等に妥当な考慮を払うとともに、日本の航空法により規定される最低高度基準を用いることなどが日米合同委員会において合意されております。
 また、MV22オスプレイの運用についても同様の日米合意がなされており、CV22オスプレイの運用に当たっては、当該合意を含む既存の全ての日米合意を遵守する旨を米国が明言しております。
 安全保障に関することは国の専管事項でございますが、都としては、米軍の運用に当たって、安全対策の徹底や騒音軽減など、生活環境への配慮などを国に申し入れております。
 次に、日米地位協定についてでございますが、国は、日米地位協定は、協定そのものに加え、数多くの日米合意を含んだ大きな法体系であり、手当てすべき事項の性格に応じて、日米合同委員会を通じた取り組みなどにより不断の改善が行われており、他国の地位協定と比較しても、特に不利なものとなっているとは考えていないとしております。
 都としては、これまでも日米地位協定について運用を含めた見直しを国に要請しており、今後も必要な見直しを求めてまいります。
 次に、渉外知事会の要望に対する国の回答についてでございますが、米軍機の飛行運用については、地元住民への影響を最小限とするための措置が日米合同委員会で合意されており、国からも米軍に対し、当該合意を遵守するよう申し入れているとの回答がございました。
 基地の整理、縮小及び早期返還については、日米地位協定第二条に基づいて検討することとされており、地方公共団体からの要望を勘案しつつ、随時米側と協議しております。
 今後も、日米安全保障体制の目的達成という観点を踏まえつつ、個々の施設、区域の実情を踏まえた適切な対応を図りたいとの回答を得ております。
 次に、福祉インフラ整備のための創出用地の提供についてでございますが、都営住宅や公社住宅の建てかえに当たっては、既に関係局や区市町村と連携しながら、創出した用地等を活用した福祉施設の整備を促進しており、引き続き取り組んでまいります。
 次に、東大和市内の都営住宅の建てかえによる創出用地の活用についてでございますが、都営住宅の建てかえに伴う創出用地は都民の貴重な財産であり、福祉施設整備も含め、まちづくりの種地として活用することが重要でございます。
 今後も、地元市とも連携し、地域の特性や個々の土地の状況を勘案しながら、用地の活用を図ってまいります。
 次に、都市計画道路についてでございますが、都は、関係区市とともに、これまでもおおむね十年ごとに優先的に整備すべき路線を選定した事業化計画を策定し、限られた財源の中で、計画的かつ効率的に都市計画道路の整備を推進してまいりました。
 将来にわたる東京の持続的発展を実現していくためには、広域的な交流、連携や高度な防災都市、個性的で活力ある地域づくり等を支える道路ネットワークのさらなる充実が不可欠でございます。
 今後とも、こうした目的の達成に向け、関係区市と連携の上、必要な財源の確保に努めつつ、都市計画道路の整備に取り組んでまいります。
 最後に、都市計画道路の見直しについてでございますが、都はこれまでも、社会経済情勢の変化に応じて、適時適切に将来における都市計画道路網の必要性の検証を行いつつ、整備を推進してまいりました。今回策定する整備方針におきましても、改めてネットワーク形成などの観点から検証を行った上で、必要な都市計画道路については、今後とも積極的に整備に取り組んでまいります。
 なお、お話にございました車中心のモータリゼーション社会からの転換を図るためには、交通渋滞を緩和し、人や物の流れを円滑にする取り組みが必要不可欠でございます。引き続き、三環状道路はもとより、都市計画道路の整備を推進してまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 水道局用地の保育園用地としての活用についてでありますが、水道局が保有する土地は、局事業への活用が前提ですが、これまでも活用見込みがない土地については、庁内各局や区市町へ情報提供を実施しています。
 お話の用地については、現時点では、台東区から問い合わせがあった段階であり、今後、具体的な要望が出されれば、局として事業に支障のない範囲で対応していきます。
 今後とも、こうした取り組みを継続しつつ、福祉インフラ整備に関する土地活用方策などを踏まえ、適切に対応してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 九点のご質問にお答えをいたします。
 まず、板橋キャンパスの跡地活用についてでありますが、板橋キャンパスでは、今月から旧健康長寿医療センター及び板橋ナーシングホームの解体工事に着手しており、平成三十年度末に工事が終了する計画となっております。
 今後の跡地活用については、平成二十年に都が策定した板橋キャンパス再編整備基本計画の考え方を踏まえながら、地元区の意見等も聞き、検討を進めてまいります。
 次に、保育士や介護職員の人材不足についてでありますが、ふえ続ける保育ニーズや介護ニーズに対応するためには、サービス基盤の整備を進めるとともに、これを支える人材の安定的な確保が必要でございます。
 このため、都はこれまでも、福祉の仕事の魅力をアピールするイベントや、事業者の採用を支援する大規模な就職説明会、職場体験や資格取得の支援など、さまざまな取り組みを行っております。
 また、本年三月に策定した子供・子育て支援総合計画や高齢者保健福祉計画におきましては、必要な保育士、介護職員数等を推計しており、今後とも福祉人材の確保に努めてまいります。
 次に、福祉人材の処遇改善や職員配置についてでありますが、保育士や介護職員の処遇における一番の問題は、キャリアパスの仕組みが十分でないことでございます。
 そのため、都は国に対し、福祉人材のキャリアパスを早急に整備するよう、繰り返し提案要求するとともに、今年度からは、キャリアパスの導入に取り組む事業者への都独自の補助制度を実施しております。
 また、事業者に対し、望ましいサービス水準の確保や施設の機能強化を図るための独自の補助も行っております。
 次に、生活困窮者への支援についてでありますが、都はこれまでも、生活に困窮している方が安定した生活を送れるよう、国に先駆け、居住や就労の支援など、さまざまな低所得者、離職者対策を区市町村と連携しながら実施しており、昨年策定した長期ビジョンにおいても、低所得者等の生活の安定に向けた総合的な支援を政策目標の一つに位置づけております。本年四月からは、生活困窮者自立支援法も施行されました。
 今後とも、生活困窮者の自立を支援するため、区市の取り組みを支援するとともに、国に対しては、十分な財政措置を行うよう、引き続き働きかけてまいります。
 次に、利用者負担等の見直しについてでありますが、介護保険制度は、世代間、世代内で支え合う社会保険制度であり、利用料として一定の自己負担を求めることは、給付と負担の公平性の観点からも必要でございます。
 今回の改正で二割負担となったのは、一定以上の所得を有する者であり、補足給付の支給対象外となったのは、一定額を超える預貯金等を保有する者や、配偶者が区市町村民税を課税されている場合などでございます。また、介護老人福祉施設の多床室の居住費負担は、低所得者の利用者負担を増加させないこととしております。
 今回の改正では、こうした低所得者への配慮がなされており、都として国に撤回を求める考えはございません。
 次に、介護保険制度の改正による影響についてでありますが、本年八月一日現在、要介護や要支援の方、認定申請中の方の数は、合わせて五十五万一千百二十人であり、そのうち利用者負担割合が二割の方は八万六千六百九十七人、一五・七%となっております。
 先ほど申し上げたとおり、今回の利用者負担等の見直しについては低所得者への配慮がなされており、都として新たな対策を実施する考えはございません。
 次に、後期高齢者医療保険料の特例措置についてでありますが、後期高齢者医療制度においては、本則に定められた保険料軽減に加え、低所得者へのさらなる軽減や被用者保険の元被扶養者の均等割九割軽減などの特例措置が講じられております。
 国は、国民健康保険での軽減割合は最大七割であることや、元被扶養者は所得水準にかかわらず軽減特例の対象となるなど、負担の不公平をもたらしていることから、平成二十九年度から、原則的に本則に戻すとともに、急激な負担増となる方に対しては、きめ細かな激変緩和措置を講じ、その具体的な内容は今後検討し、結論を得ることとしております。都としては、こうした国の動向を注視してまいります。
 次に、保険料軽減特例措置に関する国への要望についてでありますが、全国後期高齢者医療広域連合協議会は、国に対して、現行制度の維持を要望し、やむを得ず見直す場合には、丁寧な説明と周知を行い、被保険者の負担を最小限に抑え、急激な増加とならないよう、きめ細かな激変緩和措置を講ずることを求めております。
 都は、後期高齢者医療制度における保険料負担や財政安定化基金のあり方について考え方を示すこと、また、現行制度の見直しを行う場合には、地方自治体や保険者などの関係団体等と十分協議するとともに、被保険者に十分に配慮し、丁寧な説明と周知を図ることを国に対して要望しております。
 最後に、後期高齢者医療の保険料改定についてでありますが、保険料は、制度を運営する東京都後期高齢者医療広域連合が、広域連合議会での審議を経て設定するものでございます。後期高齢者医療制度の財源は、一割を被保険者の保険料、残りの九割を公費等で賄うことが原則でございます。
〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 投資的経費についてでございますが、外環道や骨格幹線道路などの都市インフラの整備は、都民の利便性や東京の活力維持、国際競争力の向上などに必要不可欠な取り組みであり、着実に取り組んでいく必要がございます。
 今後とも、将来世代の受益と負担のバランスにも十分に配慮しつつ、必要な施策に的確に財源を振り向け、都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) さまざまな災害に備えたタイムラインの策定についてでございますが、国土交通省が主体となり策定いたしました荒川下流タイムラインは、台風に備えて、北区、板橋区、足立区の区域ごとに、都、警察、消防、鉄道などの二十機関で、事前に想定される防災行動項目を時系列に取りまとめたものであり、本年五月末から試行しております。
 先般の台風十八号接近の際も、本タイムラインを適用し、台風、降雨、河川の状況等を踏まえ、各機関の判断で防災行動項目を実施しておりますが、今後は、都も参加する検討会で意見交換を行い、活用状況を分析することとなってございます。
 今後のことにつきましては、こうした分析等を踏まえて対応していくものと考えております。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新国立競技場に係る都立明治公園の敷地の取り扱いについてでございますが、都有財産の譲渡に当たりましては、東京都公有財産規則におきまして、その予定価格は、適正な時価により評定した額との原則が規定されております。ご質問の文書は、この原則を記載したものと認識しております。
 また、財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例により、国または地方公共団体その他公共団体において、公用または公共用に供するためなどの場合については、無償または時価よりも低い価額で譲渡することができるとされております。
 こうした都有財産の取り扱いに関する条例や規則に基づき、都立明治公園の敷地の取り扱いについて、今後、関係者と協議してまいります。
 次に、都が整備する恒設施設の整備費の見込みと削減努力についてでございますが、整備費の現時点の見込みにつきましては、総額で二千四百六十九億円でございます。
 用地につきましては、有明アリーナの敷地について、臨海地域開発事業会計から所管がえを予定しており、今年度予算として二百十一億円を計上しておりますが、この経費は、都庁内の土地の移管に伴う会計間の処理であり、先ほどの施設整備費には含まれません。
 また、選手村の用地の取り扱いや、道路、盛り土等の基盤整備費につきましては、今後、市街地再開発事業の事業計画の策定に向けて検討してまいります。その状況につきましては、議会に適切に報告してまいります。
 引き続き、予算の適切な管理と整備費の縮減に努めながら施設整備を推進してまいります。
〔五十六番徳留道信君登壇〕

○五十六番(徳留道信君) まず、安保法制について再質問します。
 第一に、知事は、集団的自衛権の行使を憲法で明記するか、解釈で可能にするかは、人によってそれぞれ意見があると答弁しました。しかし、個人的意見で、あるいは個人的見解で勝手に憲法の解釈を変えていいのですか。これこそが立憲主義を破壊するものではないんですか。私が質問したのは、憲法専門家の大多数が違憲だといっていることへの認識を聞いたんです。正面から答えてください。
 第二に、知事は、安保法制に対し、国権の最高機関たる国会の場で出された結論と答弁しました。しかし、参議院特別委員会の議事録にも、発言する者多く、議場騒然、聴取不能とあるのみで、採決の確認さえできないことは周知の事実です。国会審議の中で、法案の根拠は次々と崩れました。
 国民世論は、採決後にも反対が多数であり、説明不十分が八割です。こんな状況での強行採決は、国民主権の立場に反する重大問題と思わないんですか。
 以上、二つの点について答弁をお願いいたします。
 次に、日米地位協定についてです。
 都は、日米地位協定が、他国の地位協定と比較しても特に不利なものとは考えていないという国のいい分を丸のみにした答弁がありました。とんでもない話です。
 第一に、知事も参加する十四都県の渉外知事会が、ことし七月に、基地対策に関する要望書を国に出しています。その中では、夜間飛行の制限や飛行機の最低高度を定める国内法を適用する条項をつくることなど、地位協定の改定が避けて通れない、そういう要望をしているんです。
 第二に、例えばイタリアでは、米軍の演習など、イタリア政府の許可が必要とされ、地方自治体から米軍への異議申し立てもできるようになっています。こんなこと、日本では認められておりません。
 こうした事実を認めて、都として地位協定改定へ全力を尽くすべきです。
 二点について答弁をお願いいたします。
 最後に、夜間定時制高校についてです。
 都教委は、夜間定時制を第一志望とする生徒が募集に満たないといわれています。しかし、第一志望でなくても、二次募集を含め、定時制の希望者は決して少なくありません。多様な人たちの学びたいという願いを受けとめているのが夜間定時制です。
 二次募集では、立川高校などは、応募が募集を超え、不合格者が生まれているんです。通える距離に学校があることは重要です。東京全体として定員が確保されているといって済まされるわけにはいかないと思います。
 夜間定時制高校の役割に光を当てて、拡充することこそ必要ではありませんか。知事の答弁を求めます。
 以上で再質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 安保法制についての二問の再質問にお答えをいたします。
 まず、憲法違反というご質問でございますけれども、先ほど知事が答弁しましたとおり、集団的自衛権の行使を憲法に明記するか、解釈で可能にするかは、人によってそれぞれ意見がございます。また、憲法以前の問題といたしましても、国家も自然権としての自衛の権利を有しているということがございます。
 次に、強行採決とのご質問でございますけれども、先ほど知事が答弁申し上げましたように、国民の代表たる国会議員の皆さんが国会の場で出した結論であるということでございます。
 いずれにいたしましても、安全保障や憲法といった問題は、国家の根幹にかかわる国の専管事項でありまして、今後も国民の間で幅広い意見が展開され、国権の最高機関である国会の場で取り扱われるべきものということでございます。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 横田基地と日米地位協定についての再質問にお答えします。
 先ほどもお答えいたしましたが、安全保障に関することは国の専管事項でございます。国は、日米地位協定は、協定上、正式な協議機関である日米合同委員会を通じた取り組みなどにより不断の改善が行われており、他国の地位協定と比較しても、特に不利なものとは考えていないという見解を示しております。
 都としても、これまでも日米地位協定につきましては、他の自治体とも連携しながら運用を含めた見直しを国に要請しており、今後も必要な見直しを求めてまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 夜間定時制高校についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、夜間定時制を第一志望とする生徒が募集人員の半数にも満たない状況であるということ。また、定員の充足率も年々低下してきており、直近の状況は、定員の三分の二の充足率にまで下がっているということがございます。
 こうしたことから、夜間定時制を希望すれば十分に入学できる、そういった状況にあるということをご理解いただきたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、夜間定時制高校については、東京都全体として必要な募集人員を確保しつつ、適正な配置に今後とも努めてまいります。

○議長(高島なおき君) 百一番尾崎大介君
〔百一番尾崎大介君登壇〕

○百一番(尾崎大介君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、舛添知事並びに関係局長にお伺いをいたします。
 初めに、知事の基本姿勢について伺います。
 地方税財源の拡充について、舛添知事はことし七月、昨年度に引き続き、全国知事会議に出席をし、東京が全ての問題の根源であるかのような風潮に対して異を唱え、多くの知事の賛同を得たことは評価をするものであり、引き続き、全国の自治体と連携協力をして、国に対しても積極的に働きかけることを求めたいと思います。
 私は、少子高齢、人口減少社会といった日本が直面する問題は、地方分権のさらなる推進により、それぞれの自治体がみずからの権限と財源で、地域の実情に応じた施策を実行してこそ解決し得るものであり、そのためには、地方税財源の拡充こそが極めて重要であると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 私たちが長期ビジョン策定の際にも、少子高齢、人口減少の時代においては、都民の生活満足度、幸福度をより重要視し、豊かさを実感できる東京への転換が必要であると建言をしてきたところでございます。
 現在、東京都では、東京のグランドデザイン検討委員会を設置し、検討を行っているところですが、東京の未来を考えるとき、江戸開府以来四百年以上にわたり、政治の中心、首都であり続けた大都市なんだというレガシーを大事にしなければなりません。
 私たちはこれまでも、大江戸ルネッサンスを提唱してきましたが、世界でもまれな巨大都市江戸では、今も残る城下のまち割り、城郭に加え、玉川上水などから引かれた上水網、関東一円と結ばれた水運など、周辺地域も含めた都市機構を構築しておりました。
 湾岸地域や下町の運河はもとより、多摩地域にも、中世から国府や国分寺が置かれた歴史もあり、数々の河川や湧き水が東京各地で美しい水辺風景をつくり出し、文化を継承しております。
 世界に水の都はあまたありますが、水の都東京は、水源から海までを持つ、ほかに類いを見ない個性を持っており、オリンピック・パラリンピックも通じ、世界の人々を引きつけ得る独自の価値があるものと考えます。
 水の都東京について、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、都市外交について伺います。
 本定例会には、東京都と英国ロンドン市との友好都市関係の結成が提案をされております。都議会民主党は、都市の時代といわれる二十一世紀の都市外交においては、リーダー、組織、市民、若者、各レベルで互いに成果をもたらすよう取り組み、都民、都政に還元することを求めてまいりました。
 そんな中、今回、英国の首都であり、二〇一二年オリンピック・パラリンピック大会を成功させ、多くのレガシーを得たロンドン市との友好都市関係結成を歓迎するものであります。これを儀礼的なものにとどめることなく、今後、都政にとって有意義な活動を行っていかなければならないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 まず、都民、国民に愛されるオリンピック・パラリンピックです。
 この間、新国立競技場の整備計画が当初予算の二倍を超えるコストとなって白紙となり、また、大会エンブレムも盗用疑惑や無断使用などの批判を受け、撤回に追い込まれました。これらの一連の問題が二〇二〇年大会の機運醸成に水を差したことは極めて残念であると考えております。
 こうした問題を引き起こした原因は、国やJSC、組織委員会による検討決定過程の不透明さや情報公開の不足、責任の所在の不明確さといっても過言ではありません。
 二十四日に白紙となった整備計画の検証報告が行われました。下村大臣は辞意を表明し、今月末にJSCの河野理事長も退任する事態となっておりますが、決して同じ過ちを繰り返してはならないと考えます。
 二〇二〇年大会の成功に向け、新国立競技場整備を初めとした開催計画の実施に当たって、都は、意思形成過程の透明性を確保し、情報を広く公開するとともに、国や組織委員会に対しても、これら対応を促すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 新国立競技場の整備負担について、一言申し上げます。
 九月十七日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会でも述べましたが、私たち都議会民主党は、東京都が新国立競技場の整備費負担を検討する前提として、まず都民の理解が得られること、法的根拠があること、加えて過大な負担とならないことが必要であると改めて申し上げておきます。
 次に、大会エンブレムについて伺います。
 大会エンブレムが撤回されたことに対して、八月二十八日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会において、我が会派の小山議員が、大会エンブレムの応募資格が招致エンブレムと比べて狭められていたこと、審査委員会の議事録がなく、確かな事後検証が不可能であったことなどの問題点を指摘してきました。
 一方、都民、国民に親しまれていた桜のリースの招致ロゴは、大会エンブレムとしては使えないとの話でありましたが、これをモチーフにしたデザインが、改めて組織委員会で大会固有のエンブレムとして選定されれば、オリンピック憲章上も問題はなく、私はこうしたデザインを含め、さまざまなデザインが幅広く応募されるようにしていくことが望ましいと思っております。
 東京二〇二〇エンブレム選考に向けた準備会では、前回の反省のもと、新エンブレム選考において踏まえるべきポイントをまとめたところですが、私はそれを教訓に、広く国民に支持され、親しまれるエンブレムが決定されるよう、幅広い公募と選考過程の透明化、最終選考案の公開などを求めるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、東京都の新規恒久施設について伺います。
 昨年十二月、舛添知事は、都の新規恒久施設の会場計画について、レガシーと都民生活への影響、整備費高騰への懸念といった視点から検討を行い、結果、十施設中三施設の建設を中止し、全体の整備費も検討前と比べ大幅に削減をされました。しかし、それでも当初見込みより大幅に施設整備費はふえており、資機材や人件費の高騰だけでは説明がつかない部分もございます。
 一方、新国立競技場白紙撤回での教訓は、検討決定過程の不透明さなどに加えて、発注者としてのコスト意識と見積もり能力の欠如だったのではないかということを踏まえ、これら教訓を生かして、都がみずから整備する新規恒久施設の整備内容や費用についても、いま一度検証すべきであり、さらに整備費の縮減策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、貧困の連鎖解消についてお伺いをいたします。
 昨年八月、国は、子供の貧困対策に関する大綱を閣議決定いたしました。子供の将来が、その生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図ることを目標としております。
 これを受け、都内自治体でも、足立区のように、今年度から子供の貧困対策を担当する部署を新たに設け、実態把握のための調査を実施するなど、対策への動きが出ております。
 都の青少年問題協議会においても、子供・若者計画の策定に当たって、多くの委員から子供の貧困には早急な対処が必要であり、都も実態を調査すべきとの提案がありました。
 都においても、子供の貧困状況の調査を実施し、各自治体とともに貧困の連鎖を断ち切る取り組みを強化することが必要だと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、さまざまな課題を抱えた子供たちの居場所について伺います。
 ひとり親家庭や家庭の貧困、親の精神疾患、ネグレクトなどの理由で、厳しい状況に置かれた子供たちが大勢おります。
 私の地元調布市では、NPO団体のキートスという団体でありますけれども、こうした子供たちが集まって朝食や夕食を食べたり、学習支援を受けたり、家のような居場所として思い思いに過ごしたりと、子供たち一人一人への自立や成長に向けた手助けを行っております。そして、多くの自治体が、このNPO団体の視察に訪れるなど、大変に注目をされております。
 このNPO団体が対象としているのは、中学生以上の十代から二十代の若者ですが、それより下の世代を対象とした居場所もまた必要であります。小学生、特に低学年の子供は、みずから居場所を探すことはできず、居場所を求めて声を上げることも難しい状況であります。
 さまざまな課題を抱える子供たちが安心して過ごせる居場所が都内に広がるよう、子供たちへの支援に東京都が積極的に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、生活困窮者の自立支援について伺います。
 ことし四月、全国で福祉事務所を置く自治体に、生活困窮者がワンストップで相談ができる窓口が設置されました。
 しかし、都内各市区では、要支援対象者が拡大をする中で、さまざまな困難を抱える人たちへのアウトリーチ、直接訪問をどのように行っていくのか、任意事業を立ち上げ、要支援者にどのようにつなげていくのか、任意事業において自治体の負担が導入をされた中で、どう予算を確保していくのかなど、さまざまな課題があるわけであります。また、将来を担う若者が生活困窮に陥ることがないよう、適性に応じた就労に結びつけていくことも重要であります。
 生活困窮者が自立をした生活が送れるよう、包括的な支援となるような任意事業の実施や、就労自立に向けた取り組みを、都としても積極的に支援をしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、子供のアレルギー対策について伺います。
 平成二十四年、調布市で発生した学校給食でのアレルギー死亡事故を受け、各自治体では一層の対策に取り組んでいますが、その対応を求められる養護教諭は、医療職や看護職ではなく、学校での食物アレルギー対策には限界があります。
 学校と病院を結び、緊急時に小児科医と直接相談ができて、搬送に際しても迅速に処置ができる食物アレルギーホットラインは、都内六市区しか構築をできておりません。
 そこで私は、このホットラインを都内全域に広めて、子供たちの安全と安心を確保していくことを提案したいと思っております。
 ホットラインの設置など、医療機関との連携を含め、アレルギー疾患対策をさらに強化させていくべきと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
 また、学校を初め、子供を預かる施設についても、医療機関との連携を含め、アレルギー疾患対策に積極的に取り組むべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
 次に、高齢化社会への対応について伺います。
 近年、現役時代の不安定雇用から低年金となり、生活困窮状態に加えて、疾病や要介護などの事情により老後破算になるという厳しい現実が報道されています。また、下流老人という嫌な言葉を目にする機会もふえましたが、このような高齢者の実態に対して、さまざまな支援制度があるにもかかわらず、なぜ救済をできないのか、多くの人が疑問を感じております。
 しかし、特に高齢者においては、みずから困窮状態を脱すること、またサービスへのアクセスを図ることが困難であり、社会的孤立状態に陥りやすいことが大きな問題であります。こうした方々にしっかりと手を差し伸べなければならないと考えます。
 知事は、世界一の福祉先進都市を目指すという目標を掲げて、東京で老後を過ごしてよかったと誰もが実感できる都市にしていくと宣言をしております。
 そこで、社会的に孤立をせず、安心して老後の生活を送れる東京の実現に向けた知事の所見を伺います。
 先日、都議会民主党有志で、新宿区戸山ハイツにある暮らしの保健室を視察してまいりました。戸山ハイツは高齢化率が約四〇%、ひとり暮らし高齢者も多く、大都会の真っただ中にあって、住民に身近で、医療も含んだ介護や福祉の相談、支援の場所が必要とされておりました。
 通常、専門性の高い人材がいても、身近な悩みに対応する時間を十分に確保することは難しいのが現状であります。しかし、暮らしの保健室は、身近でありながら、十分な知識と経験のある専門職も、医療機関同士や医療と介護の連携などの課題に対応しており、地域の連携力を向上させているとのことであります。
 このような相談、支援のあり方は、重度化を防いで地域で人生が終えられるような地域包括ケア体制の整備を進める中でも、大変示唆に富む取り組みであると考えます。高齢者が身近な地域で気軽に相談できる体制の整備をより一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、マンション施策について伺います。
 人口減少時代の住宅政策の新たな展開について、東京都住宅政策審議会に新たに設置をされたマンション部会より、安全で良質なマンションストック形成を目指し東京都が取り組むべき課題について、幅広い内容が答申をされました。
 東京では、総世帯の約四分の一が百六十八万戸に及ぶ分譲マンションに居住をしており、今後、急速にふえる老朽マンションに対する適切なアプローチは喫緊の課題であります。必要な条例の制定も含め、年次ごとの目標や一層のインセンティブ、規制緩和、不良ストック化の防止などを総合的に盛り込んだ計画の策定を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 都内では、新しいマンションが次々と分譲される一方で、約二割の旧耐震物件では、居住者の高齢化と建築年数の経過が進んでおります。
 適切な維持管理が行われない建物は、通常より早く劣化が進み、安全や衛生上の問題、ひいては治安の悪化も引き起こし、耐震化や建てかえの合意形成も図れないなど、近隣への影響も多大であります。しかし、区市町村には専門知識を有する職員も少なく、対応を進める上でも苦慮してきたのが現状であります。
 そこで、東京都においては、マンション管理士などの外部専門家の積極的活用を支援するなどの取り組みを一層拡大する必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、調布飛行場周辺飛行機墜落事故対策について伺います。
 七月に起こった、調布飛行場を離陸した小型飛行機の墜落により亡くなられた方々には心からお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げるものでございます。
 この事故は、戦後、民間機の墜落により住民の犠牲者が出た初めての重大事故であります。この重大事故を受け、地元市では、今月二日には調布市議会、七日には三鷹市議会、本日二十九日には府中市議会が決議を行いました。
 今回の事故機は、東京都に慣熟飛行による空港使用を届け出ておりますが、事故当時、同乗者が親族に日帰りフライトに出かけると伝えていたことや、別の日には慣熟飛行と称して子供を乗せていたことが報じられるなど、実際は遊覧飛行ではなかったのかともいわれております。それらが事実ならば、地元三市に対する重大な約束違反といわざるを得ません。都は、空港使用の届け出について厳しく調査を行う必要があり、今後、自家用飛行機は運航の停止も視野に入れるべきとも考えます。
 都は、地元三市との協定による飛行場の管理運営に関する協議を行い、徹底した再発防止と地域住民が安心できる生活環境を確保すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、都が地元三市において実施した事故に関する住民説明会には、多くの地域住民の皆さんが参加をしました。より詳細な情報が欲しいとの要望や、飛行機がルートを逸脱しているのではないかとの懸念、事故への不安と恐怖、騒音の訴えなどさまざまな声が上がりました。
 都においては、地域住民からの声を最大限受けとめて、今後の対策に生かすとともに、運輸安全委員会や警視庁とも協力して丁寧な説明会を行い、地域住民の不安解消に努めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、危機管理について伺います。
 鬼怒川決壊など、先日の記録的豪雨による大きな被害が発生をしております。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、九月一日には、多摩直下地震を想定して、立川市と合同で東京都総合防災訓練を実施いたしました。会場には、防災意識の向上につなげようと、都民向けのブースも多数ありましたが、あいにくの悪天候の上、平日でもあったため、来場者が少し少なかったんではないかと思うところは残念であります。
 また、舛添知事は、防災ブック「東京防災」を作成し、各家庭一軒一軒直接配布をしている中、東京では先日の台風十八号による大雨で幾つかの地域で避難勧告が出されましたが、避難所に都民の姿はほとんどありませんでした。都内で洪水になっていたらと考えると全く人ごとではなく、日ごろの危機意識向上に改めて課題を感じたものであります。
 防災ブックについては、今後、スマートフォンアプリの作成など、できるだけ多くの都民が身近に置いて、いざというときに活用できるよう、一層の工夫も行っていただきたいと考えます。防災ブックは、目を通すだけでも、家庭の備蓄や家族の連絡、集合方法の見直しなど防災意識の向上につながるようにつくられておりますが、今後は理解が深まるような各地域での具体的取り組みが望まれるところであります。
 また、都の総合防災訓練においても、より多くの都民が防災意識を高める契機となるよう取り組んでいく必要性があると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 最後に、テロ対策について伺います。
 八月十七日、タイ・バンコクでの連続爆発テロにより二十人が死亡、日本人一人を含む百二十八人がけがをしたと報じられました。
 二〇一三年のボストン・マラソンの爆破テロのように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会も格好の標的になるのではないかと指摘をされており、東京マラソンでのランニングポリスの活用など、警視庁ではテロ対策の強化に積極的に取り組んでいるところであります。
 一方、新たに就任をされた警視総監は警備が専門とも聞いており、警察庁警備局長時代には、テロの未然防止に向けて民間事業者や地域住民の方々と緊密に連携をして、官民一体の日本型テロ対策を進める旨の国会答弁もされております。
 私たち都議会民主党としても、大変心強く感じるとともに、今後、最先端技術の適切な活用など、さらなる対策強化を求めたいと思います。
 そこで、ビッグイベントでの警備を初め日常的なテロ対策にどう取り組んでいくのか、新警視総監として見解をお伺いいたします。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 尾崎大介議員の代表質問にお答えいたします。
 地方税財源の拡充についてでございますが、いうまでもなく、真の地方自治は、自治体がみずからの権限とそれに見合う財源により主体的に行財政運営を行うことで、初めて実現できるものであります。
 しかしながら、これまでの地方税財政制度の見直しにおきましては、地方が抱える財源不足という本質的な問題に向き合わず、地域間の財政力格差を是正するという名目で、都市部の財源を吸い上げ、それを地方の財源不足に充てるという、地方分権の理念に逆行する不合理な措置が行われてきております。
 日本全体を活性化させるために今必要なことは、各自治体が個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することでありまして、そのためには、さらなる地方分権と自立的な財政運営を行うことができる財源の確保に国が責任を持って取り組むべきであると考えております。
 今後も、全国知事会議などの機会を捉えて他の自治体と認識を共有していくとともに、都議会の皆様のご協力をいただきながら、国に対して不合理な措置の撤廃を強く求めてまいります。
 続きまして、水の都東京についてでありますが、東京は、隅田川や神田川など市街地を縦横に流れる多くの河川、ウオーターフロントの運河や海など、水に恵まれた大都市であります。
 ことしの二月、ケンブリッジ公爵殿下をお迎えしたときには、羽田から浜離宮まで東京港を船でご案内し、東京の水辺を楽しんでいただきました。
 水辺は生活に潤いや安らぎを与え、親しみを感じさせる場でありまして、世界の大都市に伍していく上で、観光の観点からも大きなセールスポイントとなる資源であります。
 今後、舟運の活性化や川沿いの周辺のまちづくりと連携した水辺環境の整備などを進め、にぎわいと魅力のある水の都東京をよみがえらせてまいります。
 次に、ロンドン市との友好都市提携についてでありますが、ロンドン市は成熟都市として二〇一二年オリンピック・パラリンピックを成功させ、それを契機に世界のトップに上り詰めました。この友好都市としての提携は、東京にとって二〇二〇年大会の成功と世界一の都市の実現という都政の大目標を実現する上で極めて重要と考えております。
 包括的な友好都市関係を結成し、さまざまな交流を積み重ねることで、両都市の永続的な信頼関係を構築してまいります。これにより、共通する課題の解決に向けた連携をより強固なものとすることができます。
 例えば、オリンピック・パラリンピックのレガシーを都市づくりに活用する方策を詳しく学ぶ、また、環境問題への対策をともに強力に進める、こういうことが可能になると思います。
 こうした交流、協力を推進し、得られた知見をしっかりと都政に反映することで、今回の友好提携を実りあるものとしてまいります。
 次に、大会成功に向けた透明性確保と情報公開についてでありますが、オリンピック・パラリンピックは国家的事業でありまして、開催都市である東京都や国、組織委員会、スポーツ団体はもちろんのこと、都民、国民が心を一つにして大会を成功に導かなければなりません。
 そのためには、積極的に情報公開を行うことにより、広く情報を共有することが肝要であります。新国立競技場の問題では、その点が不十分であると指摘されました。こうした反省を踏まえまして、都立施設の整備におきましては、その進捗状況について、私から節目節目に公表し、情報共有をしっかりと図っていくことといたしました。
 輸送やボランティアなどその他の取り組みにおきましても都議会に適宜ご説明し、ご審議いただくとともに、進捗状況を都民に明らかにし、広く理解を得ながら事業を推進してまいります。
 また、新国立競技場に関する関係閣僚会議の場で情報公開の徹底について提言したところでございますが、引き続き、開催都市として、国や組織委員会に対し事業の透明性を高めるための働きかけを行ってまいります。
 これらの取り組みを進めていくことで、都民、国民の理解と協力を得ながら、大会の成功に向け万全を期してまいります。
 続きまして、大会エンブレムについてでございますが、大会エンブレムが使用中止に至ったのは大変残念でありますが、これを教訓にして、広く国民に支持される新たなエンブレムを選定することが重要であります。
 大会エンブレムは、二〇二〇年大会の成功という大きな目標に向かって、我々オールジャパンを牽引するシンボルとなります。
 昨日、組織委員会より旧エンブレム策定にかかわる反省点につきまして詳細な報告があり、これをもとにエンブレム委員会が設置されました。
 今後の選考過程において、幅広い方々による応募や、多様な分野からの人選による審査、情報公開の徹底を実施してもらいたいと思っております。そして、都民、国民に広く愛され親しまれるエンブレムが早期に選定されることを期待しております。
 都といたしましても、新しいエンブレムを二〇二〇年大会に向けた機運醸成に幅広く活用してまいります。
 次に、貧困の連鎖を解消するための取り組みについてでございますが、子供の貧困は親の貧困であります。貧困の連鎖を断ち切るためには、労働の分野でも、教育の分野でも、機会の平等を保障することが必要であります。
 親の経済状態にかかわらず、将来、子供がみずからの生き方を選択し自立できるように、機会の平等を保障するためのセーフティーネットを構築することは、まずは国家の責任であります。
 都においては、子供を養育する世帯の生活実態や子育ての状況などを明らかにするため、五年ごとに実態調査を行っております。また、区市町村は、乳幼児健診や児童手当の支給などに当たって、子供や家庭の状況を確認しております。
 こうして得られた生活状況を踏まえ、都は、子供・子育て支援総合計画や、ひとり親家庭自立支援計画等を策定し、福祉、教育、就労など、さまざまな分野で施策を展開してございます。
 子供は社会の宝であり、未来をつくる存在であります。子供たちが生まれ育った環境に左右されず、健やかに成長できる社会の実現に向け、今後とも、都は、区市町村と連携しながら、子供と家庭の生活実態を把握し、さらなる施策の充実に努めてまいります。
 続きまして、安心して老後の生活を送ることができる東京の実現についてでありますが、東京で生まれ、生活し、老後を過ごせてよかったと誰もが実感できる都市にしていくこと、これこそが私の目指す東京の姿でございます。
 そのためには、介護が必要になっても、また、ひとり暮らしであっても、地域の中で安心して暮らし続けることができる仕組みをつくっていかなければなりません。
 そのため、昨年策定しました東京都長期ビジョンでは、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現を政策指針に掲げ、地域包括ケアシステムの構築や高齢者の施設と住まいの整備など、これからの政策展開の方向性をお示しいたしました。
 大都市東京では、今後さらに高齢化が進み、ひとり暮らし高齢者や要介護高齢者など、地域で支えることが必要な方がふえると見込まれております。こうした将来を見据えまして、今後とも、人々が支え合う地域の力、サービスを提供する民間の力、基盤整備を担う行政の力を組み合わせながら、高齢者の地域生活を支えるさまざまな施策を展開してまいりたいと思っております。
 次に、調布飛行場の安全対策等についてでありますが、調布飛行場は本土と伊豆諸島とを結ぶ離島路線の重要な拠点であります。
 都はこれまでも、飛行場における安全対策を進めるとともに、地元市との間で締結した協定書等に基づき飛行場の適正な運営に努めてまいりましたが、調布飛行場から離陸した航空機が今回のような事故を起こしたことはまことに遺憾であります。
 今回の墜落事故の発生後、改めて調布飛行場における管理運営の状況全般について検証に着手しております。
 一方、国土交通省及び警察が、現在、事故原因を調査しているところでありまして、今後、調査結果等を踏まえ、再びこのような事故が起こらないよう、調布飛行場の安全対策を強化してまいります。
 次に、防災意識の向上に向けた取り組みでありますが、台風十八号の影響による北関東から東北にかけて甚大な被害をもたらした豪雨や、調布市で震度五弱を観測した東京湾を震源とする地震など、たび重なる自然災害の発生により、都における災害への備えの重要性を改めて痛感した次第であります。
 現在、都内の全世帯に向けまして「東京防災」を配布しておりますが、イベントなどの機会を捉えて活用につなげていくことはもとより、防災教育の充実や、東京消防庁管内の消防署等でセミナーを実施いたします。こうした都を挙げての取り組みを進めることにより、幅広い世代への防災意識を喚起してまいります。
 また、都では昨年度より、季節ごとに年四回の住民参加型訓練を多くの都民の参加を促して実施することで、住民の防災意識の向上を図っております。
 今後とも、都は、さまざまな機会を活用した普及啓発活動や防災訓練への参加をより一層促すことで、防災意識の高まりを一過性のものとすることなく、都民の防災力の強化を図ってまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監高橋清孝君登壇〕

○警視総監(高橋清孝君) テロ対策の取り組みについてお答えいたします。
 警視庁では、テロの未然防止を図るため、官民一体の取り組みが極めて重要であると考えております。現在、自治体、警察、消防や民間事業者等で構成するテロ対策東京パートナーシップなどの官民連携の枠組みのもと、関係機関等と連携した合同訓練を実施するとともに、テロの未然防止への理解と協力を得るための情報発信を行っているところであります。引き続き、こうした枠組みを最大限に活用し、官民連携によるテロ対策を推進してまいります。
 また、テロから都民を守り首都の安全を確保するため、テロの標的になるおそれのある施設や大規模イベント等の警備に当たっては、情勢に応じて必要な部隊を増強配置するなどの対策を講じるとともに、テロを想定した実践的訓練の実施により、事態対処能力の向上を図っているところであります。
 今後、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、先端技術を柔軟に取り入れることにより装備資機材の高度化を進めるなど、さらなる警備力の充実強化を図り、首都東京におけるテロ対策に万全を期してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) アレルギー疾患対策の強化についてでありますが、都教育委員会は、学校におけるアレルギー疾患対策の充実に向けて、事故予防体制の確保と緊急対応の確立を柱に、医療機関など地域の関係機関との連携を含めた校内体制の整備促進等を区市町村教育委員会に働きかけてまいりました。
 また、各区市町村教育委員会及び学校においては、学校医、地区医師会等、医療機関と協力し、学校と病院を結ぶ専用電話であるホットラインの設置や専門医を講師とする研修会の開催など、地域の実情に応じた医療連携を進めてきております。
 これらの状況を踏まえ、都教育委員会は、アレルギー疾患のある児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、区市町村教育委員会を支援してまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、マンション施策に関する計画の策定についてでございますが、今月初めに開かれた住宅政策審議会におきまして、管理組合による適正な管理や、老朽マンションの再生を促すために重点的に取り組むべき施策についての答申が出されました。
 都は、直ちに区市との検討会を設置いたしまして、マンション管理の実態を把握し、管理不全の予防、改善を図るための具体的な方策などについて検討を開始いたしました。また、まちづくりと連携してマンション再生を促す新たな制度の構築に向けて、先行モデル事業にも取り組んでおります。
 年度内には、これらの施策を盛り込んだ新たな計画を策定し、安全で良質なマンションストックの形成に向けて取り組んでまいります。
 次に、マンション管理士など専門家の活用についてでございますが、今回の審議会答申では、管理組合の円滑な運営を図る上で、法律や会計、建築などの知識を補完する専門家の活用が有用との提言が出されております。
 都はこれまでも、管理組合の求めに応じまして、マンション管理士などを派遣する管理アドバイザー制度を設けており、制度を利用した組合からは、長期修繕計画や管理規約の見直しを行うことができたなどの評価を得ております。
 今後とも、関係団体と連携いたしまして、こうした取り組みを通じて管理組合による自主的かつ適正な維持管理を促進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 都が整備する新規恒久施設の整備費についてでございますが、会場計画につきましては、昨年六月に再検討を表明した後、土壌などの必要な調査等を行うとともに、物価上昇を初め想定できるあらゆる要素を見込み、整備費の合計を二千四百六十九億円と試算いたしました。
 この内容につきましては、競技団体やIOC等とも十分に議論を重ね、都議会においてもご説明し、ご審議を経て予算計上してきたものでございます。このため、建設物価などの変動要素はございますが、整備内容には大きな変更は生じないものと考えております。
 都としては、これまで示した試算額を超えることなく、着実に整備を進めることが極めて重要であると考えております。
 二〇二〇年大会に向けまして確実に進行管理を行い、予算の適切な管理と整備費の縮減に努めながら施設整備を推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の居場所づくりについてでありますが、さまざまな課題を抱える子供たちが地域で安心して過ごせる居場所をつくることは重要な取り組みでございます。現在、都内の区市では、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援にあわせ、地域の実情に応じて、子供への居場所の提供や親に対する養育支援などの取り組みが始まっております。
 また、都におきましては、児童養護施設等を退所した児童が気軽に集まって交流でき、生活や就労上の悩みを相談できる居場所として、ふらっとホーム事業を都内二カ所で実施しております。
 今後とも、さまざまな課題を抱える子供たちが安心して集える居場所が身近な地域で整備されるよう、区市町村と連携しながら取り組みを進めてまいります。
 次に、生活困窮者自立支援法に係る都の支援についてでありますが、複合的な課題を抱える生活困窮者の自立を支援するためには、法の必須事業に加え、就労準備支援事業などの任意事業をあわせて実施することが重要でございます。
 このため、都は、総合的な支援体制を平成二十九年度末までに都内全域で整備するため、区市が任意事業を立ち上げるための独自の補助や、事業の実施に必要な専門人材の養成研修を実施することとしております。
 また、就労訓練の場を確保するため、社会福祉法人や企業等に対し、区市の相談機関と連携して就労訓練事業に取り組むよう働きかけております。
 今後、生活困窮者の自立を支援するため、区市の取り組みを支援いたしますとともに、より多くの事業者が就労訓練事業に参画するよう積極的に働きかけてまいります。
 次に、子供のアレルギー対策についてでありますが、子供のアレルギーに適切に対応するためには、職員が正しい知識や技術を習得し、緊急時には初動体制を初め危機管理に即応できる組織づくりが重要でございます。
 このため、都では、緊急を要する症状や職員がとるべき対応を示した緊急時対応マニュアルを作成して、保育施設や幼稚園、学校等に配布しております。
 また、緊急時対応の研修では、自己注射エピペン練習用トレーナー実習を行いますとともに、平常時からの職員間の情報共有や役割分担、主治医や嘱託医等との連携を進めるよう周知徹底を図っております。
 今後とも、緊急時に職員が適切に対処できるよう、医療機関との連携など、職場におけるアレルギー対応の体制づくりを支援してまいります。
 最後に、高齢者の地域での相談体制の整備についてでありますが、都は、区市町村の地域包括支援センターが地域における相談支援拠点として、高齢者や家族からの相談に適切に対応し、医療や介護など必要なサービスにつなぐことができるよう、職員への研修を行うほか、地域のさまざまな社会資源とのネットワークの構築等を行うための専門職の配置について支援しております。
 また、ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯等の生活実態を把握して、地域住民等と連携した見守りなどや、在宅高齢者等の相談に対応する窓口を設置する区市町村を都独自に支援しております。
 今後とも、高齢者が地域で安心して暮らし続けられるよう、区市町村における相談体制の整備を進めてまいります。
〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 調布飛行場周辺住民の方々の不安解消についてでございますが、今回、調布飛行場周辺で発生した航空機墜落事故に関して、都は、国に対し早急に事故の原因を究明するよう求めており、現在、国土交通省及び警察が事故の原因を調査しております。
 都としては、先月、調布市、三鷹市、府中市の住民の方々への説明会を実施し、飛行場の管理者の立場として直接把握している事実について情報を提供いたしました。
 今後、国による調査結果などを踏まえ、地元や専門家の意見を聞きながら、調布飛行場の安全対策の強化に向け適切に対応するとともに、地元への丁寧な説明を行い、理解、協力が得られるように努めてまいります。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時十二分散会

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