平成二十七年東京都議会会議録第九号

平成二十七年六月十七日(水曜日)
 出席議員 百二十三名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番川松真一朗君
四番山内  晃君
五番栗山よしじ君
六番小松 大祐君
七番鈴木 章浩君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番宮瀬 英治君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番田中  健君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番堀  宏道君
二十一番河野ゆうき君
二十二番柴崎 幹男君
二十三番ほっち易隆君
二十四番舟坂ちかお君
二十五番清水 孝治君
二十六番島崎 義司君
二十七番石川 良一君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番西沢けいた君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番中山 信行君
三十八番吉倉 正美君
三十九番上野 和彦君
四十番鈴木 錦治君
四十一番木村 基成君
四十二番高椙 健一君
四十三番栗山 欽行君
四十四番大場やすのぶ君
四十五番和泉 武彦君
四十六番近藤  充君
四十七番小宮あんり君
四十八番三宅 正彦君
五十番やながせ裕文君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番小山くにひこ君
五十四番あさの克彦君
五十五番新井ともはる君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番まつば多美子君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番桜井 浩之君
六十五番きたしろ勝彦君
六十六番松田やすまさ君
六十七番山崎 一輝君
六十八番神野 次郎君
六十九番菅野 弘一君
七十番北久保眞道君
七十一番田中たけし君
七十二番神林  茂君
七十三番宇田川聡史君
七十四番高橋 信博君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番中村ひろし君
七十七番島田 幸成君
七十八番今村 るか君
七十九番大西さとる君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番東村 邦浩君
八十四番小磯 善彦君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番秋田 一郎君
八十八番中屋 文孝君
八十九番早坂 義弘君
九十番崎山 知尚君
九十一番鈴木 隆道君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番こいそ 明君
九十七番田島 和明君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番藤井  一君
百七番長橋 桂一君
百八番中嶋 義雄君
百九番ともとし春久君
百十番古賀 俊昭君
百十一番林田  武君
百十二番高木 けい君
百十三番相川  博君
百十四番吉原  修君
百十五番野島 善司君
百十六番三宅 茂樹君
百十七番川井しげお君
百十八番高島なおき君
百十九番立石 晴康君
百二十番吉野 利明君
百二十一番野村 有信君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
百二十二番  内田  茂君
 欠員
    四十九番  九十八番  九十九番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長中井 敬三君
東京都技監建設局長兼務横溝 良一君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長長谷川 明君
主税局長塚田 祐次君
警視総監高綱 直良君
生活文化局長小林  清君
オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋 正宏君
都市整備局長安井 順一君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長新田 洋平君
消防総監大江 秀敏君
水道局長吉田  永君
下水道局長松田 芳和君
青少年・治安対策本部長河合  潔君
病院経営本部長醍醐 勇司君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長松井多美雄君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長櫻井  務君
監査事務局長石原 清次君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

六月十七日議事日程第三号
第一 第百三十一号議案
東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例
第二 第百三十二号議案
職員の再任用に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百三十三号議案
東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第四 第百三十四号議案
東京都市計画事業足立北部舎人町付近土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
第五 第百三十五号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六 第百三十六号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第七 第百三十七号議案
東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例
第八 第百三十八号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百三十九号議案
警視庁麻布警察署庁舎(二十七)改築工事請負契約
第十 第百四十号議案
警視庁東大和庁舎(仮称)(二十七)新築工事請負契約
第十一 第百四十一号議案
警視庁単身者待機寮代々木警察署靖心寮ほか(二十七)改築工事請負契約
第十二 第百四十二号議案
警視庁単身者待機寮城東警察署城東寮(二十七)改築工事請負契約
第十三 第百四十三号議案
警視庁単身者待機寮新川寮(仮称)(二十七)改築工事請負契約
第十四 第百四十四号議案
東京都墨田都税事務所(二十七)改築工事請負契約
第十五 第百四十五号議案
多摩動物公園アジアゾウ舎新築工事請負契約
第十六 第百四十六号議案
小名木川排水機場耐震補強工事請負契約
第十七 第百四十七号議案
新小名木川水門耐震補強工事(その一)請負契約
第十八 第百四十八号議案
地下トンネル築造工事(二十七 四─環五の一雑司が谷)請負契約
第十九 第百四十九号議案
妙正寺川整備工事(その二〇一─二)請負契約
第二十 第百五十号議案
清掃工場建設工事に係る損害賠償請求事件に関する和解について
第二十一 第百五十一号議案
土地の信託の変更について
第二十二 第百五十二号議案
権利の放棄について
第二十三 第百五十三号議案
ヘリコプターの買入れについて
第二十四 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十五 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十六 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十七 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十八 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した再雇用職員又は日勤講師としての採用選考において不合格とされたこと又は採用決定を取り消されたことが違法であること等を理由とする損害賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都公安委員会委員の任命の同意について(二七財主議第一三四号)
第二 東京都人事委員会委員の選任の同意について(二七財主議第一三五号)
第三 議員提出議案第九号
東京都歯科衛生士修学資金貸与条例

   午後一時開議

○議長(高島なおき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(高島なおき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(高島なおき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第九号、東京都歯科衛生士修学資金貸与条例、知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意について外人事案件一件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(高島なおき君) 昨日に引き続き質問を行います。
 六十七番山崎一輝君
〔六十七番山崎一輝君登壇〕

○六十七番(山崎一輝君) 初めに、世界を目指すアスリートの国歌斉唱について伺います。
 オリンピック等の国際大会の開会式や表彰式においては、国旗掲揚、国歌斉唱が行われます。また、サッカー、野球、ラグビーやバレーボールなどの試合前にも国歌斉唱が行われています。
 こうした場面で日本を代表して世界で戦うトップアスリートが、我が国の国旗を直視し、国歌を斉唱する姿は、テレビを通じて応援する多くの都民、そして国民に大きな影響や感動を与え、次代を担う子供たちのよき手本ともなります。
 世界を目指すアスリートも、国旗や国歌を尊重するなど、我が国の代表としての自覚を持った行動をとるべきと考えますが、知事の認識を伺います。
 また、都においては、二〇二〇年大会に向けて、アスリートの競技力向上に取り組んでいるところです。そうした事業の中で、東京のアスリートに対し、今後どのように意識啓発に取り組んでいくのか、都の所見を伺います。
 これまで我が党は、児童生徒が国旗及び国歌の意義を理解し、それらを尊重する態度を身につけることができるよう、学校教育の充実を訴えてきました。その結果、都内の全ての公立学校の入学式や卒業式において、国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施できるようになったことを高く評価しています。
 二〇二〇年大会開催に向けて、国際交流がますます盛んになります。今後、学校では、さまざまな機会を捉えて、我が国のみならず、ほかの国や、その国民に敬意を表する態度を児童生徒に育成していくことが必要です。
 先ほども申し上げましたが、国際競技大会の開会式などにおいて、日本のトップアスリートが、我が国と相手国の国旗及び国歌に対して敬意を表している姿は、多くの若者や子供たちの模範となっております。こうした儀式での礼法の意味を、さまざまな地域スポーツ大会や運動、部活動の都大会などの機会を活用して浸透させ、また、実施することが重要です。
 そこで、二〇二〇年大会が開催されることを踏まえ、例えば中学校や高等学校の部活動の大会などにおいても、国旗及び国歌の指導を行う必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、私立学校におけるJETプログラムの活用について伺います。
 世界一の都市東京の実現のためには、広い視野と豊かな国際感覚を持ったグローバル人材の育成を進めることが大変重要です。
 都内の私立中学校、高等学校では、国際教育の必要性が叫ばれるはるか以前から、英語力養成に力を注いできており、我が党はこれまでも、海外留学など、私立学校の取り組みを支援してきました。
 二十七年度は、我が党の要望により、新たにJETプログラムを活用する私立学校を支援する事業が創設されることとなりました。これは、より多くの生徒が、英語の授業のほか、学校行事や部活動など、さまざまな場面で外国青年と交流することにより、英語力の強化はもちろんのこと、国際感覚を養う上でも大変有意義な取り組みです。
 そこで、私立学校に対する都の支援内容と今年度の取り組み状況について伺います。
 次に、悪質事業者による消費者被害の防止について伺います。
 ここ数年、高齢者などを狙い、次々と新たな手口で勧誘する悪質事業者による消費者被害が後を絶たず、深刻な状況にあります。
 都内では、投資経験のない高齢者に、ハイリスクな金融商品を販売したり、実態のわからない出資をさせたりするトラブルが目立つと聞きます。
 このような悪質、巧妙化する手口から高齢者を守るためには、日ごろから周囲の見守りによる働きかけが必要です。
 そのため、都は、長期ビジョンの中で、地域で高齢者を見守るネットワークの全区市町村での構築を政策目標として掲げ、その具体化に向けて、東京都消費生活対策審議会に諮問していますが、区市町村との連携を効果的に進めていくには、まず、現場の実態を踏まえることが重要です。
 また、現在、地域での見守りは、福祉サービスの対象者を中心に行われておりますが、被害に遭う可能性がある元気な高齢者へもアプローチをしていく必要があります。
 そこで、都はこうした観点から、高齢者の消費者被害防止に向け、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、消費者被害の拡大防止のためには、悪質事業者のさらなる取り締まり強化が不可欠であり、私はさきの第一回定例会における消費生活条例の改正に際して、この点について、しっかりと取り組んでいくことを強く求めてきました。
 先般の新聞報道で、消費者に事実と異なる強引な勧誘を行い、特定商取引法の行政処分を受けた事業者の幹部が、すぐに別法人を設立し、違反行為を繰り返す事例が多いとの記事がありました。このような事業者を野放しにしておいては、消費者被害は後を絶ちません。
 こうした事業者に対して厳格な対応が必要であり、そのためには、さらなる規制の強化が有効と思いますが、都は今後、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、臨海副都心開発の今後の方向性と取り組みについて伺います。
 臨海副都心の青海地区には、東京大会開催時までに、新客船ふ頭の整備を進めるとされています。新客船ふ頭の整備が実現した暁には、青海地区には、大型クルーズ客船で訪れる外国人旅行者が、最初に上陸をし、目にする東京の新たな顔となるわけです。
 この新客船ふ頭に隣接する都立潮風公園等の一帯は、都民が日常的に東京港のすばらしい景観を楽しめる貴重な空間でもあります。この中には、民間事業者により、都市計画法上の特許事業として船の科学館が整備をされています。開設から四十年以上が経過をし、老朽化の問題から、現在では休館となっており、寂れてきております。
 今後、船の科学館についても、世界一の観光都市東京の海の玄関にふさわしい施設として、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化を推進していく中で、再整備されるべきだと考えます。
 船の科学館は老朽化も著しいことから、適切に対応していく必要があると思われます。都の所見を伺います。
 また、今後、開発の中で、船の科学館のエリアをどのように活用していくのか、所見を伺います。
 臨海副都心は開発から二十年以上が経過をし、各地区において特色を持ったまちとして発展してきています。また、進出事業者間の交流も深まり、例えば、有明南地区では、武蔵野大学が周辺企業と連携をし、ホテルなどの現場で実践教育を行い、これからの社会を支える優秀な人材の育成に取り組んでいます。
 都は、このような取り組みをさらに発展させ、この地域ならではの産学連携の強化などにも努めていくべきであります。
 今後の開発に当たっては、各地区の地域特性や進出事業者の取り組みなどを生かす方向で、必要に応じて現行計画における開発方針の見直しを行い、残された都有地を有効に活用しながら、将来の東京に積極的に貢献していくことが求められると考えますが、所見を伺います。
 次に、MICEの誘致について伺います。
 国際会議等のMICEは、人、物、技術、情報等の交流により、新たなイノベーションの創造や産業力の強化、人材育成を促すなど、東京をさらなる成長へと導く重要なツールであります。
 世界の国際会議の動向を見ると、この約半数は学術系の会議ですが、東京には大学や研究機関が集積しており、これまでも国際眼科学会などの誘致に成功してきました。海外都市との誘致競争が激化する中、国際会議の誘致を推進していくためには、こうした東京の強みを最大限に生かしていくべきです。
 知事は先日の所信表明において、来月七月にMICE誘致戦略を策定すると表明をされましたが、戦略では、東京の強みとなる分野を誘致ターゲットとして明確に定め、学術系を初めとした国際会議の誘致を積極的に進めていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、河川の新たな活用について伺います。
 水と緑に囲まれた世界一の環境都市東京を実現するためには、再生可能エネルギーを積極的に導入していく必要があります。
 都の長期ビジョンにおいても、都有施設への導入などを推進することとされており、取り組みの例として、河川での小水力発電も取り上げられております。
 私の地元の江東区では、小名木川を初め多くの河川があり、水門や護岸の整備などにより、水害に対する安全性が高まるとともに、遊歩道の設置などにより、にぎわいのあるすばらしい水辺空間が創出をされ、地元の皆様から、また地域の方々からも、集い、そして、楽しんでいる状態でございます。
 今後は、これらの河川を活用した再生可能エネルギーの導入を図っていくべきと考えますが、最後に見解をお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 山崎一輝議員の一般質問にお答えいたします。
 世界を目指すアスリートの国歌斉唱についてでございますが、我が国には国旗・国歌法があり、国旗は日章旗、国歌は君が代と定められてあります。自国の国旗や国歌に敬意を払うということは、世界中どこを見ても当たり前のことであります。
 日本を代表して世界で戦う選手たちは、都民、国民の大きな期待を受ける対象でありまして、また、多くの子供たちの憧れでもあり、その行動については注目を集めます。
 そのようなトップアスリートであるからこそ、あらゆる場面において、国を代表する者としての自覚を持った行動が求められます。
 世界を目指す東京のアスリートも、国旗や国歌を尊重するなど、我が国の代表としての誇れる姿を世界のひのき舞台において見せてほしいと考えております。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 国旗及び国歌の指導についてお答えいたします。
 二〇二〇年に向けて諸外国と交流する機会がますますふえることから、国際社会においては、国と国とが互いの主権を尊重して成り立っていることを、児童生徒が理解することは極めて重要であります。
 このため、学校においては、我が国と同様に諸外国の国旗と国歌の意義を児童生徒に理解させるとともに、これを尊重する態度を育て、国際社会において尊敬され、信頼される人間を育成してまいります。
 さらに、学校以外においても、学校教育との関連を図り、児童生徒の理解が深められるよう、中学生や高校生のスポーツ大会における国旗・国歌の指導の充実に向け、東京都の中学校や高等学校の体育連盟などに働きかけを行ってまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 河川での再生可能エネルギーの導入についてでございますが、都市における潜在的なエネルギー源の一つとして、河川の水を活用していくことは重要でございます。
 これまでに隅田川の箱崎地区において、再開発とスーパー堤防の整備に合わせ、河川の水と気温との温度差を利用したヒートポンプを設置し、周辺のオフィスビル等八棟の地域冷暖房に活用しております。
 また、現在、都は小名木川の扇橋閘門において、最大三メートルの水位差に着目した小水力発電の導入に向け取り組みを進めております。導入後は、施設全体の消費電力の約六〇%を確保でき、停電時でも設備の稼働がとまることなく、非常用の電気が常に供給されます。
 今年度は詳細設計を実施するとともに、他の施設での導入可能性の検討を深めるなど、引き続き、未利用なエネルギーの活用を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 東京のアスリートに対する国旗や国歌の尊重に係る今後の取り組みについてでございますが、JOCでは、オリンピックなどの国際大会に派遣する日本代表選手団の行動規範におきまして、表彰式等の公式行事では、国旗を直視し、国歌を斉唱することを定めております。
 このように、我が国を代表する選手たちは、国旗や国歌を尊重するなど、全ての場面におきまして規律ある行動をとることが求められております。
 都では、二〇二〇年大会に多くの東京のアスリートを出場させるべく、ジュニア選手の発掘、育成などの競技力向上事業に取り組んでおります。
 今後、こうした事業におけるさまざまな機会を通じまして、世界を目指す東京のアスリートに対し、我が国の代表としてふさわしい行動をとるよう理解を促進してまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立学校におけるJETプログラムの活用についてでございますが、グローバル人材の育成を加速させるためには、より多くの生徒が日常的に外国人と交流し、異文化への理解を深める機会をふやすことが重要でございます。
 このため、都は新たにJETプログラムを活用し、外国語指導助手を招致する私立中学校及び高等学校に対して雇用経費を補助することといたしました。
 今年度は、十カ国から百四十四人が招致される予定であり、この四月には各私立学校に配置予定者を知らせるとともに、受け入れ準備や手続についての説明会を実施いたしました。
 外国語指導助手は、七月下旬と八月上旬に来日することとなっており、都は、私学団体等とも連携して、各学校における円滑な受け入れと活用を支援してまいります。
 次に、高齢者の消費者被害の防止についてでございます。
 地域で孤立しがちな高齢者の被害防止には、日常的な見守りなどの働きかけが有効でございます。現在、およそ六割の区市で、福祉分野を中心とした高齢者の見守りに、消費者被害防止の視点を取り入れた取り組みが進んでおります。
 都では、こうした実践的な取り組みの充実と全区市町村への導入に向けまして、既に区市町村の実態調査に着手するとともに、今年度の東京都消費生活対策審議会に都の役割や区市町村との連携強化について諮問しており、今後、現状を踏まえた具体的な施策を構築してまいります。
 あわせまして、荷物や食事を配達する事業者の団体等と連携し、見守りの対象とならない高齢者に対しても注意喚起情報が直接届く仕組みを構築していくため、今後、九月を目途に、都内数カ所の地域で試行を行い、本格実施につなげてまいります。
 最後に、違反行為を繰り返す悪質事業者についてでございます。
 都は、悪質事業者に対し、特定商取引法に基づき、一年以内の期間を定めて業務停止を命ずる処分を行っております。
 しかしながら、この処分は当該法人を対象としているため、その法人の役員等が処分後も別法人を立ち上げ、同様の違反行為を行う事例がございます。
 こうした悪質な事業者を処分するためには、法の処分の対象を法人の代表者や役員等の個人にも拡大する必要がございます。現在、国におきまして特定商取引法見直しの検討が進められていることから、都は国に対して、必要な法改正を強く求めてまいります。
 また、都といたしましても、処分を行った事業者の役員等が別法人で同様の違反行為を繰り返していないかどうかの把握に努め、悪質な事業者への迅速な対応を図ってまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 船の科学館についてでございますが、船の科学館及びこれと一体の公園施設は、民間事業者が将来にわたり維持管理することを前提といたしまして、都が都市計画公園の特許事業として認可し、整備されております。
 認可後四十年以上が経過し、船の科学館は老朽化のため休館となっており、現在、事業者がその改修計画について検討していると聞いてございます。
 今後、都は、事業者からの具体的な維持更新など改修計画案が提出された場合につきましては、適切に対応してまいります。
〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

○港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、船の科学館エリアの活用策についてですが、このエリアは、臨海副都心まちづくり推進計画において、港や水辺の景観を生かしたウオーターフロントとして位置づけられており、現在、都民の憩いの場所となっております。
 今後、このエリアには、二〇二〇年東京大会の開催も見据え、新客船ふ頭の整備を予定しており、国際観光都市東京の海の玄関口として新たな役割も担うこととなります。
 このことから、新客船ふ頭に隣接し、老朽化等により休館している船の科学館のエリアについては、今後、地権者の意向を踏まえつつ、関係各局とともに、臨海副都心のMICE機能と連携した活用策について検討を行ってまいります。
 次に、臨海副都心開発の方向性と取り組みについてですが、臨海副都心は、MICE、国際観光機能が一定程度集積するとともに、都心としては大規模な開発用地を有し、今後のさらなる取り組みにより、東京のみならず、日本の経済成長を牽引する国際的な戦略拠点になり得る地域でございます。
 このため、世界一の都市東京を実現するためにも、この地域を、東京の臨海副都心ならではのビジネスとエンターテインメントが融合した世界トップレベルのMICE、国際観光拠点として発展させていく必要があると考えております。
 今後の開発に当たっては、MICE、国際観光拠点化をさらに推進していくために、それらを支える人材育成などの視点も加味しながら、現行計画の開発方針や土地利用計画等の見直しを行ってまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 国際会議の誘致についてでございますが、東京が国際会議の誘致競争に勝ち抜いていくためには、東京の強みとなる資源を生かしながら、効果的な誘致活動を展開していくことが重要でございます。
 都内には医歯薬理工学系の大学及び研究機関が集積するため、都が策定する戦略では、こうした分野等を重点分野として定め、国際会議の誘致に向けた取り組みを強化してまいります。
 具体的には、これらの分野の大学教授等に対して国際会議の誘致を働きかけ、誘致案件の一層の掘り起こしを行うほか、立候補資料の作成や海外キーパーソンの視察受け入れなど、誘致活動全般に対して支援を行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、学術系を初めとした国際会議の東京誘致を促進してまいります。

議長(高島なおき君) 二十五番清水孝治君
〔二十五番清水孝治君登壇〕

○二十五番(清水孝治君) 都議会自民党の清水孝治でございます。私からは、四つの項目につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、今後の東京の自治のあり方についてお伺いをいたします。
 本年四月、東京の自治のあり方研究会の最終報告が公表されました。都内に住み、営む我々にとって、その内容は、昨年話題になりました日本創成会議・人口減少問題検討分科会の提言以上に衝撃的なものでございました。
 最終報告によれば、東京都は、人口減少スピードこそ緩やかではありますが、七十五歳以上人口は今後四十年間で倍増し、高齢化率が四〇%を超える地域も発生するとのことであります。
 一方で、将来を支える年少人口や生産年齢人口はどの地域でも減少し、四〇%以上減少する地域もございます。
 ご案内のとおり、この日本創成会議の提言は、二十から三十九歳までの女性の人口が二〇四〇年までに五〇%以上減少してしまう自治体を消滅可能性都市という衝撃的な表現で位置づけをしております。まさにショックドクトリンといっても過言ではございません。
 しかし、仮に東京でこのまま低出生傾向の改善が施されなかった場合、シナリオによっては、東京都がまさにこの消滅可能性都市の定義に当てはまることになってしまうおそれがございます。
 このような人口構造の変化に伴う歳入減や、他方、複雑多様化している行政需要の増大により、今後、都内区市町村の行財政運営は極めて厳しい状況を迎えることは、容易に考えられるわけでございます。
 そこでまずは、今後の人口減少、超高齢社会を見据えるに当たり、東京都と構成区市町村とのあり方について、知事の見解をお伺いしたいと存じます。
 また、こうした状況下においては、分野にかかわらず、現行のサービス水準を維持し続けることは現実的とはいえません。今後、公共施設の統廃合や行政サービスの見直しなど、住民の皆様にも理解を求めていくことが必要となってまいります。
 その一方で、隗より始めよのごとく、行政に携わる者は、住民だけに負担を求めるのではなく、みずからもまた抜本的な意識改革を図り、実践していくのが当然の姿でございます。
 地方自治法によれば、地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、その規模の適正化を図らなければならないということになっております。にもかかわらず、大半の区市町村は、人口減少社会を遠い将来の出来事かのごとく捉え、合併等による規模の適正化については検討されていないのが実情ではないかと感じておる次第でございます。
 まず、各区市町村が将来の危機的な状況を直視し、主体的に考えることが肝心だということはいうまでもございません。
 加えて、各自治体単独での行財政改革に限界があることを踏まえた上で、現行体制の維持存続にとらわれずに、合併等による行財政運営の効率化や、体制、能力の強化を現実の課題として真摯に受けとめ、議論、検討していくことこそが重要であると思っているわけであります。
 一方で、広域自治体である東京もまた、東京の自治のあり方研究会の最終報告が公表されたこのタイミングを捉え、構成区市町村の役割分担や合併も視野に入れた効率化、効果的な行財政運営など、まさに今後の東京の自治のあり方について、より具体的に検討を進め、内外に発信していく必要があると思いますが、東京都として今後どのように対応していくのか、所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、夏に実施されます総合防災訓練について伺います。
 今年度は、東京都が九都県市の幹事県となり、警察、消防、自衛隊など多くの防災機関の参加による大がかりな防災訓練を、十八年ぶりに、私の地元でございます立川市と合同で実施する運びとなりました。
 首都圏の幹事県として、多摩地域で実施するのは今回が初めてと伺っておりまして、政府視察団として、安倍晋三内閣総理大臣を初め、防災関係閣僚の皆様も視察団として訓練会場である昭和記念公園にお越しになるとのことであります。私個人も、地元市民の一人として大いに歓迎をしておる次第でございます。
 これまでの東京都は、夏の総合防災訓練を、一般市民や家族参加が期待できる土曜日か日曜日に実施してまいりました。しかし、本年は政府の実施日と連動して開催することが決まり、結果として、日程は九月一日火曜日になりました。そのため、開催市として、参加市民の確保に大変苦労していると聞いております。
 申すまでもなく、この夏の訓練は、行政や防災機関相互の連携強化を図る訓練である一方で、舛添知事が重要視しております住民参加型の訓練でもあり、多くの市民の参加が不可欠であることは当然のことであります。
 そこで伺いますが、九月一日の総合防災訓練について、東京都はどのようにして住民の参加を募り、全ての参加者に防災力を身につけていただくため、住民共助の視点からどのような訓練を予定しているのか、お聞かせいただきたいと存じます。
 次に、都市農業の振興についてお伺いいたします。
 昨日の我が党の代表質問では、都市農業特区の実現に向けて、国に対して強く働きかけをしていくとの力強い答弁を頂戴いたしました。
 この件につきましては、多数の農業者からも大きな期待が寄せられております。これから、まさに国との協議が本格化すると聞いておりますが、ぜひこの特区、まずは実現をさせていただきたいと思います。
 特区が現実化すれば、これまで生産緑地として指定できなかった五百平米未満の小規模農地の減少に歯どめはかかると思います。これは、市街化農地の面積維持に一定の効果が期待されるわけであります。しかし、こうした農地を永続的に維持していくためには、何よりも、小規模でも収益性の高い農業を展開することが必要であります。
 限られた面積でも安定した農業を実現するためには、さまざまな分野の技術を活用し、農作物の効率的な生産技術を開発する必要があると考えますが、東京都の取り組みをお伺いしたいと存じます。
 次に、前回の私の一般質問でも取り上げをさせていただきました、おいしい豚肉トウキョウXについてお伺いしたいと存じます。今回は、ブランド力の向上についてでございます。
 東京都内では、コマツナなど野菜を初め、ブランドの果樹や畜産物など多様な農産物の生産がされております。こうした都内産の農畜産物を積極的に使用している、とうきょう特産食材使用店の登録店舗数も増加していると聞いております。
 ここ都庁第一庁舎の三十二階にも登録店がございまして、八丈島のメダイや神津島のアシタバ、そしてトウキョウXなど、さまざまな都内産食材を使った料理が楽しめるそうであります。
 つまり、私たちの身近なところからも、都民の食に対する関心や地産地消を求める声の高まりがうかがえるわけでございます。
 その中でも、高品質な霜降り肉として消費者から好評を得ておりますトウキョウXは、東京を代表するブランド産物であることは間違いございません。
 しかしながら、都民からは、欲しくても手に入らない、一体どこで売っているのかとの声も聞かれるなど、残念ながら期待に応えるだけの供給がなされていないのが現状でございます。
 知名度の高いトウキョウXのブランド力を維持向上させていくためには、昨年の第一回定例会でも質問いたしましたが、質、量両面からの改善が必要不可欠であるということはいうまでもありません。
 東京都はこれまで、生産性の向上や高い品質の維持に取り組むとともに、今年度からは青梅畜産センターの再編整備を開始していることは承知いたしております。
 加えて、これから必要なことは、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催に向け、増加する国内外からの観光客にこのトウキョウXを提供し、おいしく召し上がっていただくことであり、そうすれば大変大きなPR効果となり、イベリコ豚にもまさるとも劣らないほど、そのブランド力が一層高まると考えております。
 こうした観点から、東京では、トウキョウXの一層のブランド力向上策に全力で取り組むべきだと考えておりますが、所見をお伺いしたいと思います。
 最後に、都立高校改革についてお伺いいたします。
 高校生が将来の東京、そして我が国を担う人材となるためには、社会で自立し、活躍するのに必要な知力、体力、人間力を確実に身につけなければなりません。
 そのために東京都教育委員会は、これまで、その時々の社会情勢や都民の要請等に応えたさまざまな高校改革を実行し、我が党もその取り組みを積極的に支援してまいりました。
 目下のところ、重立った課題といたしましては、我が党もさきの予算特別委員会で指摘をさせていただきました不登校、中途退学問題や国際社会の一員としての自覚と行動力の備え、世界で活躍する人材の育成などが挙げられますが、そのほかにも常に新たな課題が生じてくるのが教育の現場でございます。
 東京の子供たちが社会の大きな変化に立ち向かい、未来を切り開いていけるよう、これからは従来の枠組みを超え、大胆な高校改革を進め、都民の期待に応えていくことが必要であると考えますが、東京都教育委員会の所見を伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 清水孝治議員の一般質問にお答えいたします。
 今後の都と区市町村のあり方についてでございますが、人口減少、超高齢化社会を迎える中にありましても、東京は日本全体を牽引する機関車として発展し続けなければなりません。そのためには、今後の厳しい現実と向かい合い、社会の変化に危機感を持って対応していく必要があります。
 こうしたことから、私は、所信表明でも申し上げましたとおり、十年後のさらにその先を見据えた東京のグランドデザインを描くことといたします。
 東京の将来を見据えたとき、子育て環境の整備や介護サービスの充実など、都と区市町村が一体となって取り組むべき課題は多いと思っております。
 こうした共通課題に対しまして、区市町村とも危機感を共有するとともに、大都市東京の実態や地域特性を十分に踏まえつつ、適切な役割分担と効率的、効果的な行財政運営のもと、解決に向けた取り組みを積極的に進めていく必要がございます。
 今後とも、世界一の都市東京の実現に向け、区市町村と緊密に連携協力しながら、東京の発展をともに推し進めてまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長がお答えいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 都立高校改革についてでございますが、都教育委員会は、生徒を真に社会人として自立した人間に育成することを目的として、一人一人の潜在能力を顕在化し、伸ばす教育の実践を進めてまいりました。
 一方で、近年のグローバル化の進展やICT技術の進歩、また、若年者の就業問題等、教育をめぐる社会状況にはさまざまな課題や問題が浮上しております。これらに正面から向き合い、よりよい都立高校を目指していくためには、教育方法の向上や教育環境の整備など、中長期的視点に立った広範な取り組みが必要でございます。
 このため、都立高校改革の新たな実施計画を本年度策定し、これまでの枠組みにとらわれず、学校の改編も含め、社会が求める人材の育成を一層強化するさらなる改革に取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の東京の自治のあり方についてでございますが、生産年齢人口の減少と高齢者の急激な増加により、東京の人口構造は大きく変化し、ご指摘のとおり、今後、都内の区市町村を取り巻く行財政運営の状況は、極めて厳しい局面を迎えるものと想定されます。
 こうした状況の中、今後も東京が持続的に発展していくためには、少子高齢化などの課題への重点的、集中的な対応はもとより、将来の東京の自治のあり方について具体的な方向性を明確にし、発信していくことが重要でございます。
 都は今後、既存の行政体制の維持存続にとらわれず、将来の都と区市町村の役割分担や行政体制のあり方などについて、実務的な観点から具体的に検討を深めてまいります。
 次に、ことしの夏に行います総合防災訓練についてでございます。
 阪神・淡路大震災から二十年の節目の年を迎え、都として、改めて住民共助の取り組みの重要性を認識しております。
 本訓練は、平日での実施となることから、昨年度から、立川市のほか隣接する昭島市にも依頼をいたしまして、市民への積極的な訓練参加を呼びかけているところでございます。参加者には、最寄りの避難場所への避難とともに、授業の一環として参加していただく市内小中高校生と一緒になって、救助、搬送、救護、初期消火など、消防署員の指導により、年齢や体力に応じた訓練を実施いたします。
 さらに、地元事業所の防災組織にも参加を促し、実践さながらの消防活動を披露していただくなど、平日ならではの共助訓練も実施し、立川市等と協働して、市民、都民の防災力向上を図ってまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市農業の振興についてでございますが、都市農業を一層振興するためには、特区実現などによる小規模農地の保全とあわせて、限られた農地でも収益性の高い農業生産技術を開発することが重要でございます。
 このため、農林総合研究センターでは、都内の小規模農地でも年間を通して安定的に農作物を生産できる独自の栽培技術の開発などに取り組んでおります。
 例えば、トマトなどの養液栽培で、温度や光、CO2などをICTにより総合的に制御し、最適化することで高品質で多収量を得るための実証実験を、都立産業技術研究センターと連携して行っております。
 今後、こうした独自の栽培技術の実用化とその普及に向け、研究開発を一層推進することにより、低コストで収益性の高い農業経営を支援してまいります。
 次に、トウキョウXのブランド力向上についてでございますが、東京を代表する畜産物の一つであるトウキョウXのブランド力を一層高めるためには、生産量の拡大に加え、品質の維持向上と積極的なPRが必要でございます。
 このため、都では、本年度、青梅畜産センターの再編整備に着手し、生産者に配布する種豚の生産体制の強化に取り組んでまいります。また、専用の飼料の改善や成育状態に合わせたきめ細かな飼養技術の指導など、品質の維持向上を図るとともに、消費者への生産情報の提供を一層迅速化するなど、生産者団体の取り組みも支援してまいります。
 今後は、こうした取り組みに加えまして、東北地方など都外生産者の新規開拓を進めるとともに、都内飲食店での利用拡大や東京味わいフェスタ等での国内外に向けた情報発信を強化するなど、ブランド力の一層の向上に努めてまいります。

議長(高島なおき君) 三十六番大松あきら君
〔三十六番大松あきら君登壇〕

○三十六番(大松あきら君) まず、教育について質問します。
 グローバル化が進む世界において求められる人材の要件は、国や文化の違いを超えて人間同士の交流ができるコミュニケーション能力であり、その土台となるのが語学力、英語力です。
 こうしたグローバル人材の育成を目指し、東京都教育委員会は、都立高校生の留学支援などに取り組んでいますが、同時に求められているのは、教員の授業力アップです。このため、都教育委員会は、中学、高校の英語科教員を海外の大学に派遣し、指導力と英語力を向上させる研修に力を入れています。こうした取り組みを高く評価します。
 一方、教員の海外研修は他のアジア諸国も実施しており、教育における国際的な競争時代が到来していることを実感いたします。平成二十六年度から始まった教員の海外派遣研修について、海外の教育関係者と切磋琢磨する機会をふやすなど、その内容を充実していくべきです。都教育委員会の所見を求めます。
 教育では、競い合うとともに、磨き合い、協力し合うことが大切です。子供の幸福を目指す教育者の心は、国を越えて響き合うものと考えます。こうした観点から、私はかねてより、国内外の現場の教育者同士の交流の場として、世界教育者サミットの開催を提案してきました。
 そして、その第一歩として期待されるのが、現在、シンポジウム形式で行われている教員海外派遣研修報告会です。ことし四月の報告会では、オーストラリア大使館、日米教育委員会の日本人職員も参加したと聞いていますが、今後は、外国人の教育関係者を参加させるなど、国際化時代の教育のあり方を議論すべきと考えます。都教育委員会の所見を求めます。
 次に、首都大学東京について質問します。
 グローバル人材を本格的に養成するのは大学です。中でも、首都大学東京は、世界一の国際都市を目指す東京都が設置した大学として、優秀な人材を輩出していくことが求められています。
 そのためにも、学内のグローバル化を進め、自由で寛容な気風を養うことのできる環境を整えることが大切です。こうした観点から、公明党は、これまで優秀な外国人留学生を戦略的に受け入れ、日本人学生との交流を活性化させることを提言してきました。この結果、首都大学東京の留学生の受け入れが、平成二十一年度の二百十五人から平成二十六年度の四百十四人へ大幅に増加したことを高く評価します。
 一方、首都大学東京の学生を一人でも多く海外留学に押し出していくことが重要です。教育内容を拡充し、より多くの学生が海外留学できるよう、グローバル人材の育成のための新たな教育プログラムが求められます。
 都としても、首都大学東京の取り組みを支援していくべきです。所見を求めます。
 次に、都立高校の中途退学の対策について質問します。
 平成二十五年度、約三千二百人の都立高校生が中途退学しました。高校を中退し、ハローワークに行っても、中学卒業者の求人数は高卒や大卒に比べて極端に少ないのが現実です。就労支援とともに、中退の未然防止、再就学に向けた取り組みが重要になります。
 都教育委員会は、公明党の提案を受け、中途退学者等を支援するため、都立高校の補欠募集の実施状況を公表することになりました。中退しても補欠募集という選択肢があることを広く周知し、希望を与え、再就学につなげていくべきです。
 都教育委員会は、不登校、中途退学対策の検討会議を立ち上げましたが、中途退学対策の検討内容について伺います。
 高校生の中途退学の大きな原因の一つは、学力不振です。授業についていけず、自信をなくし、不登校、中退につながっていきます。生徒が基礎的な学力を身につけることができれば、中退防止につながると考えます。都立高校生の基礎学力を定着できるよう、個々の習熟度に応じたきめ細かい教育に力を入れていくべきです。都教育委員会の所見を求めます。
 不登校や中途退学者を多く受け入れているのが、チャレンジスクールです。単位制で自分のペースで学習ができることから、入学希望者がふえ、選考倍率が高くなっています。通学の継続を支援し、中退を未然に防止し、高校生の育成に資するチャレンジスクールをふやしていくべきです。都教育委員会の所見を求めます。
 次に、官民連携再生可能エネルギーファンドについて質問します。
 東京都は、二〇二四年までに、再生可能エネルギー利用割合を二〇%程度にする目標を掲げています。
 目標の達成には、効率性が求められる経済と、地球と人間に優しい環境を両立させていくことが課題です。また、電力の大消費地である東京と、その供給地となっている地方との共存も不可欠です。特に、東日本大震災で被災した東北の復興支援は重要です。
 こうした視点に立ち、東京都は、官民連携再生可能エネルギーファンドの投資先を都内に限定する都内投資促進型と、東京電力、東北電力管内とする広域型をつくり、都の資金を呼び水に民間の資金とノウハウを活用して、クリーンな電力の導入を都内外で促進しています。
 一方、電力システムの改革は着実に進み、二〇一六年には小売が全面自由化されます。私たち個人も電力会社を自由に選べるようになり、電力会社が競い合う中で多様なサービスが生まれてくることが期待されます。
 消費者から見れば、より廉価な電力が望まれる一方で、地球温暖化や原発事故の影響を受け、クリーンなエネルギーを使いたいという人もふえています。
 今後、電力自由化が進展していく中においても、再生可能エネルギーの導入が促進されるよう、東京都の官民連携再生可能エネルギーファンドを活用していくべきです。舛添知事の見解を伺います。
 再生可能エネルギーを普及するためには、安定供給ができるかどうかも重要な課題です。しかし、現在、再生可能エネルギーの中で圧倒的にシェアが大きい太陽光発電は、昼夜の時間帯や天候により発電量が大きく左右されます。そこで、風力や水力、また、天候の影響を受けないバイオマスや地熱を加えるなど、電源の種類をふやせば安定的な供給ができるようになります。また、小売自由化後の都民の電力選択の幅を広げることにもなります。
 舛添知事は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、水素社会の構築を表明されています。水素社会もきわめれば、再生可能エネルギーから水素を生成する完全なCO2フリー社会です。そうした未来を展望しながら、電源の種類を多様化することで再生可能エネルギーが定着できるよう、同ファンドを活用していくべきです。都の見解を求めます。
 次に、災害対策について質問します。
 大規模災害が発生した際、救命救急とともに、被災者の命をつなぐ食料と水の確保が重要です。特に、炊事、洗濯、入浴など、衛生管理に水は欠かせません。
 都は、断水被害をなくすために、配水管の耐震継ぎ手化など対策を進めていますが、現時点において断水を完全に防ぐことは困難です。
 そこで、公明党は、浄水場などに応急給水拠点を整備することや、スタンドパイプを活用して消火栓から応急給水することなど、多様な給水方法を提言してきました。
 しかし、いざ発災し、各地で断水被害が発生したとき、どこで、どのような方法で応急給水が行われるのかを住民の皆様方に知っていただかなければ、円滑な給水活動はできません。
 そこで、発災時、多くの住民の皆様方が集まる身近な地域の学校などの避難所で、給水に関する情報を得られるようにするべきです。
 また、住民の防災意識を高めるためにも、そうした情報を日ごろから積極的に発信していくべきです。都の所見を求めます。
 次に、都営住宅の再生について伺います。
 昭和三十年代から四十年代に建設された都営住宅の建てかえが、今、各地で進められています。
 都営住宅では居住者の高齢化が進み、現在は世帯主の六割以上が六十五歳以上です。一方、建物は老朽化し、エレベーターがなく、玄関、トイレ、浴室がバリアフリー化されていない住棟も多数あります。
 私の地元、北区内で昭和三十年代に建てられた王子アパート、王子母子アパートには、エレベーターだけではなく、浴室もない住棟があります。
 この住宅がまだ建てかえられない理由は、地元北区との間で、同地域における将来のまちづくりの姿を描き切れていないためです。北区との協議を進め、高齢の居住者が速やかにバリアフリー化された新しい住棟で暮らせるようにするべきです。
 都営住宅が再生され、高層化されれば、余剰の土地が生まれ、その土地をまちづくりに活用できます。まちづくり支援の観点も含め、都営住宅における高齢化に対応した建てかえを推進するべきです。所見を求め、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 大松あきら議員の一般質問にお答えいたします。
 電力自由化の中で再生可能エネルギーの導入促進に向けたファンドの活用についてでございますが、東京は、電力エネルギーを最も多く消費する都市であることから、大消費地としての責務を踏まえ、再生可能エネルギーの普及拡大に努めていくことが重要でございます。その手段の一つとしまして、社会資本整備の資金循環システムを構築すべく、東京電力、東北電力管内を投資対象地域とする官民連携再生可能エネルギーファンドを創設いたしました。
 このファンドは、再生可能エネルギーの導入はもちろんのこと、発電所の設置による未利用地の有効活用等を通じて地方の振興にも貢献するものであります。
 また、東京電力との間で比較的連系が容易な東北電力管内に投資し、発電設備を整えることで、東京は電力逼迫時に融通を受けることができます。つまり、このファンドは、東京と地方との間でウイン・ウインの関係を築くものでございます。
 今後の電力自由化により、電気の小売の全面自由化が実現すれば、さまざまな電源の中から環境に優しい電源を選ぶ消費者も出てくると思われます。都民が再生可能エネルギーを選択する余地を広げるという意味で、このファンドの役割は大きくなると考えております。
 今後とも、民間の知恵と資金を活用し、再生可能エネルギーファンドによる投資を推進してまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、教員の海外派遣研修の充実についてでありますが、昨年度は百三十九名の教員が、オーストラリア、アメリカでホームステイをしながら大学で最新の英語教授法を学び、現地の学校で授業を実践するなどして指導力を向上させてまいりました。しかし、その一方で、現地の教員や学生との交流の機会が限られ、授業の工夫等、議論を深める時間が十分確保できないといった今後の課題も見えてまいりました。
 このため、今年度は、現地校の教員と議論する時間を設けたり、アジア各国から留学している教員たちと同じクラスで授業を受けたりするなど、情報交換や交流の機会をふやして実施することとしております。
 今後、こうした改善の取り組みの評価や検証を行い、海外派遣研修の内容や方法をさらに充実させ、教員の指導力向上に取り組んでまいります。
 次に、教員の海外派遣研修報告会についてでありますが、昨年度の研修の報告会は、本年四月に、学校関係者三百人を集めて実施いたしました。ここでは、研修の成果を広く普及し、各学校における英語の授業に還元することを目的として、派遣者が学んださまざまな指導と評価の方法や、帰国後に行った授業の成果等について報告が行われました。
 また、学校におけるグローバル人材育成の取り組みにも役立てるために、大使館やJICAの職員、外国人指導者を交えてシンポジウムを行い、生徒が身につける力や英語教育の果たす役割等について活発に議論を行ったところでございます。
 今後は、派遣先の指導者や留学生、在京の外国人等を新たに招聘し、それぞれの視点からグローバル化に対応した教育のあり方や具体的方策等を幅広く議論し、提案する機会とするなど、研修成果のさらなる拡大を図るとともに、国際交流を深める場にもしてまいります。
 次に、不登校・中途退学対策検討委員会における検討内容についてでありますが、不登校や中途退学は、児童生徒の生活の乱れや学習のおくれを招き、社会から孤立した若者を生むことにもつながる重大な問題であります。
 とりわけ中途退学した者には、学校との関係が途絶えることにより、社会的自立に向けた支援を十分に受けることが難しいといった状況がございます。
 このため、本年五月に設置した不登校・中途退学対策検討委員会では、中途退学の未然防止対策はもとより、都立高校補欠募集制度を活用した再就学の促進や、ハローワーク等関係機関と連携した就労支援など、中途退学者の再チャレンジを可能とする支援策等について検討してまいります。
 次に、高校における基礎学力定着の取り組みについてでありますが、生徒一人一人に対して基礎学力の定着を図ることは、生徒が自信と希望を持ち、進路実現に向けた意欲的な学校生活を送ることにつながり、中途退学防止の有効な方策となります。
 そのため、都立高校では、学業不振の生徒に対する指導として、習熟度別の少人数指導や個別相談、補充指導などを実施し、基礎学力の定着に学校全体で組織的に取り組んでおります。
 今後、都教育委員会は、こうした学校の取り組みを一層推進するとともに、義務教育段階を含めて、つまずいた箇所を明らかにし、基礎学力を確実に定着させるための科目の開発や、学び直しを行うための放課後の補充指導の一層の充実について検討してまいります。
 最後に、チャレンジスクールについてでありますが、チャレンジスクールは、小中学校で不登校を経験した生徒や、高校を長期欠席等で中途退学した生徒などを主に受け入れ、学校生活を継続するためのきめ細かな対応を行い、社会的に自立できる力を育成しております。
 具体的には、学び直しのための基礎的な学習や体験的な活動などを取り入れるとともに、精神科医を学校医に任用するなど、教育相談体制の充実を図っております。生徒や保護者からは、このような取り組みが評価され、入学者選抜の応募倍率は高い状況が続いています。
 こうした状況を踏まえ、今後、都教育委員会は、チャレンジスクールの適正な受け入れ規模等について検討を行ってまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 首都大学東京におけるグローバル人材育成の取り組みについてでございます。
 大学では、これまでも海外留学に対する渡航費等の支援や留学協定校の拡大などに取り組んでまいりました。
 加えて、今年度から新たに海外留学を必修とした国際副専攻コースを開設いたしました。このコースは、通常の学生と同様に主専攻コースの科目を履修し、専門知識を得るのと並行して、一年間または一学期間留学し、海外の大学で単位を修得することを特徴としております。
 また、グローバル化の中、学問の進歩が特に著しい生命科学の分野において、今年度から、卒業単位を全て英語で履修可能な課程を新規に開講いたしました。
 このような取り組みにより、首都大学東京におけるグローバル人材の育成が推進されるものと考えており、都といたしましては、今後とも、大学の取り組みを支援してまいります。
〔会計管理局長塚本直之君登壇〕

○会計管理局長(塚本直之君) 電源の種類の多様化による再生可能エネルギー定着に向けたファンドの活用についてでありますが、太陽光発電については、設置が比較的容易である一方、日照量により発電量が左右されることから、電気の安定供給を図るには、他の発電方式の普及も必要であります。
 本ファンドも、神奈川県と埼玉県の太陽光発電所に加え、今般、青森県の風力発電所への投資を行いました。
 再生可能エネルギーへの投資については、各発電方式の特徴を認識した上で、それぞれの地域にある日照や風況、森林といった自然の資源を効果的に活用するという視点が重要であります。
 今後とも、ファンドを活用した多様な再生可能エネルギーへの投資について、リスク、リターンをしっかりと見きわめながら取り組んでまいります。
〔水道局長吉田永君登壇〕

○水道局長(吉田永君) 震災時の水の確保に関する情報発信についてでありますが、水道局では、避難所への管路の耐震継ぎ手化や応急給水資器材を貸与するとともに、区市町などとの合同の応急給水訓練を実施するなど、震災時の水の確保に取り組んでおります。
 お話のように、発災時に応急給水を円滑に行うためには、こうした取り組みの周知が重要であることから、局事業所で発行する地域広報紙などで、わかりやすくお伝えする工夫をしております。
 さらに、発災時に水の確保に関するより正確な情報がいち早く避難所に伝わるよう、今後は、断水情報や復旧見込みなど、局、事業所で把握した情報を直接区市町に提供するなど、取り組みを強化いたします。
 これらさまざまな取り組みにつきまして、日ごろからホームページや水道ニュースなど、各種媒体を活用してきめ細かく情報を発信してまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 居住者の高齢化に対応した都営住宅の建てかえについてでございますが、昭和四十年代以前に建設された都営住宅は、建物や設備が老朽化し、エレベーターが設置されていない住棟も多いことから、居住者の移転先や地域のまちづくりの状況を勘案しながら建てかえを行っております。
 こうした都営住宅を対象として、今年度は三千八百戸を建てかえ、エレベーターの設置を初め、玄関や室内の段差解消、またぎやすい高さの浴槽の設置などのバリアフリー化を推進しております。
 今後とも、高齢者世帯にとっても、一層住みやすい都営住宅とするとともに、建てかえに伴う創出用地等につきましても、少子高齢化の進行を踏まえた地域のまちづくりに活用してまいります。

議長(高島なおき君) 六十五番きたしろ勝彦君
〔六十五番きたしろ勝彦君登壇〕

○六十五番(きたしろ勝彦君) 初めに、人権施策についてお伺いをいたします。
 我が国は、日本神話を源泉とする悠久の歴史の中で育まれてきた独自の伝統と文化があり、これによって、健全なる国民精神が培われてきました。
 かつての日本は、家族を基礎として、国の伝統や歴史を学び、家族のきずな、親子の触れ合いを通して、お互いに尊敬し、思いやり、感謝し合う温かい社会を育んできました。これは、日本人固有の価値観であり美徳でもあります。
 しかし、戦後、欧米の個人主義を、伝統と文化の異なるこの日本に、寛容の心を持って、消化することなく持ち込んだ結果、日本人の行動基準が善悪から損得に取ってかわり、自分さえよければよいという利己主義が横行しております。
 また、日本国憲法の国民主権、基本的人権の尊重といった普遍的な原理さえも、自分の都合のいいように解釈したため、あしき平等主義や我欲などが蔓延しています。
 今や、日本人がこれまで大切にしてきた崇高な倫理観が崩壊し、家族や教育の解体などの深刻な社会問題が生起し、国のあらゆる分野で衰退現象が現出しています。
 こうした中、都は去る六月三日に、人権施策推進指針素案を公表しました。
 人権を尊重し、差別を許さないことは当然のことであります。世の中が人権を強調する余り、かえって利己主義を助長し、我が国の伝統的な美徳、価値観をも失わせることになるのではないかと懸念をしております。
 そこで、今後、都はどのように人権施策を展開していくのか、知事の所見を伺います。
 次に、自動車のCO2削減対策についてお伺いします。
 CO2排出量の増加に伴う地球温暖化は、世界各地で異常気象を引き起こし、大きな被害をもたらしています。人間が利便性を求め、エネルギーを大量消費したことに地球が怒っているのです。人間は自然をコントロールできないのであり、自然と共生する謙虚さを忘れてはなりません。
 自動車からのCO2排出量は、都内の約二割を占めており、その削減対策が重要と考えます。
 そのため、生産、販売が本格化している電気自動車やハイブリッド車といった環境性能の高い車もさらに普及拡大していく必要があります。
 都は、電気自動車など環境性能の高い自動車を導入しようとする事業者に対して、今後、どのように支援していくのか見解を伺います。
 また、自動車のCO2削減を一層進めるには、事業者がみずから計画的にCO2削減に取り組んでいく仕組みも重要です。東京都トラック協会ではグリーン・エコプロジェクトという取り組みにより、トラックからのCO2削減に取り組んでいます。
 都の環境管理計画書制度は、今年度で第三計画期間が終了すると聞いていますが、都は今後、事業者に対して、どのようにCO2削減の取り組みを促していくのか見解を伺います。
 次に、自転車総合対策について伺います。
 二〇二〇年大会を控え、港区を初め都心四区で自転車シェアリング事業が進められるなど、今後、ますます利用が拡大するものと思われます。
 一方で、信号無視、車道の逆走など、自転車利用者のルール、マナー違反も多く、歩行者等の交通に危険を生じさせる原因ともなっております。
 今月一日には、信号無視や一時不停止など、重大な事故につながる危険行為を繰り返した自転車の運転者に、安全講習の受講を義務づける制度がスタートいたしました。
 今後は、いかにして自転車利用者の意識の向上を図っていくかがポイントとなります。
 都が昨年策定した自転車安全利用推進計画では、法施行に先立ち、悪質、危険な自転車利用者対策が盛り込まれておりますが、社会的な関心も高まっているこの機を捉え、都として、より一層、自転車のルール、マナーの徹底に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、品川駅、田町駅周辺のまちづくりについてお伺いをいたします。
 この地域が、今後、新しい東京の玄関口としての役割を担っていくことについては、昨年第三回定例会の私の質問で確認をしたところです。
 先月には、芝浦水再生センターの上部に品川シーズンテラスがグランドオープンし、広大な緑地が整備され、品川に新たなシンボルが誕生しました。
 二〇二〇年に暫定開業する新駅の周辺地区については、土地区画整理事業の施行に向け、地元との調整を進めていると聞いております。また、浅草線泉岳寺駅については、新駅の周辺地区におけるまちづくりに合わせて、駅機能強化の検討が進められています。
 一方、品川駅西口地区については、今月十四日、高輪三丁目でまちづくり協議会の設立総会が開催され、私も参加してまいりました。今後、地元におけるまちづくりの具体的な検討が進んでいくものと思います。
 そこで、品川駅西口地区におけるまちづくりについて、今後、都はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、浜離宮恩賜庭園について伺います。
 私は、東京を水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京とすることを、大きな政治テーマの一つとしてきました。
 かつて江戸は、庭園都市と呼ばれるほど緑豊かな都市でありました。東京が風格のある、文化遺産を大切にする首都であるためには、都立庭園の適切な保存が必要です。世界に向けて、東京の歴史ある緑豊かな空間の魅力を発信していくことが大変重要であります。
 私は、以前より都議会において、浜離宮恩賜庭園の茶屋を復元し活用を図ることは、庭園の魅力を高め、江戸の伝統文化を今に伝えるために重要であると主張してきました。
 そして、松の茶屋の復元が実現し、昨年公表された東京都長期ビジョンにおいても茶屋群の復元事業が位置づけられ、現在も取り組みが進められております。
 そこで、浜離宮恩賜庭園における茶屋群の復元と、これらを生かした新たなおもてなしについてお伺いをいたします。
 また、知事から、浜離宮恩賜庭園に近代日本最初の迎賓施設であった延遼館が復元するとのお話がありました。
 そこで、浜離宮恩賜庭園の明治期の歴史的価値を伝える施設である延遼館の復元に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、オリンピック・パラリンピック大会についてお伺いをいたします。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会は、立候補した都はもちろんのこと、都議会初め、国、スポーツ界、多くの方々などが強力に連携し、まさにオールジャパンでかち取った栄光であります。
 二〇二〇年大会まであと五年余りですが、いま一度、あのブエノスアイレスの感動を思い出し、至上最高の大会に向けて、オールジャパンで力を合わせて大会を成功に導かなければなりません。
 今回の理事会において、私が昨年の第三回定例会でお願いをしたトライアスロン競技の会場が、計画どおりお台場海浜公園に決定されました。この決定は、招致計画どおりお台場海浜公園での実施を求める港区、港区体育協会、競技団体等からの要望、地元の子供たちによる会場誘致のイベントなど、関係者によるこれまでの活動のたまものだと思います。
 区長を初め関係者の皆さんに心から感謝を申し上げます。
 そこで、お台場海浜公園において行われるトライアスロン競技を通じて、どのように東京の魅力を発信し、大会の成功につなげていくのか、都の所見をお伺いいたします。
 次に、道徳教育についてお伺いをいたします。
 昨今、続発する未成年者による極めて凶悪な犯罪に驚きを禁じ得ないのは、この私だけではないでしょう。このような子供たちの状況を憂い、人が人として生きる上で大切な道徳性を育成する教育を充実させるため、学校の教育活動全体の中核として日本人の心を取り戻す教育が不可欠であることを私はかねてより主張してきました。
 我が国では、戦前、教育勅語に基づき、筆頭教科である修身により、子供たちへの道徳教育が行われていました。修身はいわば、日本人の精神形成の中心的な役割を担っていました。
 しかしながら、戦後、占領軍指令により、修身の授業停止と教科書回収が決定され、日本人の本来の価値観は教えられなくなり、自虐史観は、子供たちの日本人としての誇りを委縮させてしまいました。勤勉、正直、礼儀正しさ、思いやりや親切など、古来日本人が守り続けてきた美徳は、いつの時代においても必要とされる普遍的なものです。
 現在、グローバル化が加速度的に進展する社会への対応として、グローバル人材を育成する教育が推進されていますが、外国でコミュニケーションができるようになればそれでいいということではありません。一番重要となるのは、日本人としての誇りと自覚、国際社会に生きる日本人としてのアイデンティティーを育んでいくことであり、日本人の心を取り戻す道徳教育を推進することです。
 そのため、平成二十四年第一回定例都議会では、都教育委員会の取り組みについてお尋ねをし、家族愛、礼儀、節度、公徳心など、世代を超えて継承すべき道徳的価値を醸成するための道徳教材を開発し、規範意識や道徳性を育む教育を一層推進していくという答弁をいただきました。
 このことについて、現在、都内全公立小中学校の全児童生徒約八十万人に配布されている東京都道徳教育教材集として結実したことを高く評価するとともに、この教材が広く活用され、東京都における道徳教育が推進されることを願ってやみません。
 そこで、小中学校における今後の道徳教育の推進について、都教育委員会の決意をお伺いをいたします。
 私は、昨年の予算特別委員会でも、日本人の心を取り戻す教育の重要性につき述べるとともに、その具体的取り組みをお尋ねしました。
 教育委員会からは、都立高校で国に先駆け、人としてのあり方、生き方を学ぶ新教科の設置に取り組むという大変前向きな答弁をいただき、ついに高等学校でこのような新しい教科を導入することになったことを大変うれしく思っております。
 聞くところによれば、新教科、人間と社会は、来年度から全都立高校で全面実施するとのことです。現在の取り組み状況についてお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) きたしろ勝彦議員の一般質問にお答えいたします。
 今後の人権施策の展開についてでございますが、私が目指します世界一の都市東京は、そこで暮らし、また訪ねてくる人々が幸福を実現する都市でありまして、人権が尊重されることはその大前提であります。
 人権が尊重される都市というのは、それぞれが自分の人権だけを声高に主張していても成り立ちません。他の人の人権や公共の利益との調和を図る公共性の考え方が含まれることが重要でございまして、このことを指針の素案にも示してあります。
 また、日本には、他者を思いやり、尊重し、お互いに助け合って生活してきた伝統や多様な文化を受け入れ発展してきた歴史がございます。こうしたことはオリンピック・パラリンピックを控え、国際化がますます進展する今日、東京という都市を高めていく上で大きな強みになると思っております。
 今後、我が国の伝統や歴史の持つ、こうした価値も最大限引き出しながら、人権施策を推進していく所存でございます。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小中学校の道徳教育の推進についてでありますが、道徳教育は、人が一生を通じて追求すべき人格形成の根幹にかかわるものであり、同時に、民主的な国家、社会の持続的発展を根底で支えるものであります。
 そのため、都教育委員会は、小中学校における道徳の授業の公開により、家庭や地域と一体となった道徳教育を推進するとともに、自己の生き方について考えを深める道徳教育教材集を開発して、全児童生徒に配布するなど、全国に先駆けて独自の取り組みを展開してまいりました。
 今後、都教育委員会は、道徳の教科化に向けて、国の動向を注視しつつ、二十一世紀を生きる子供たちに、日本人としての自覚と誇りを育み、思いやりや規範意識、公正、公平な態度や公共の精神などを身につけさせる道徳教育を一層推進してまいります。
 次に、これは仮称でございますが、新教科、人間と社会の取り組み状況についてでありますが、この教科は、思いやりや規範意識等の道徳的な価値を深め、よりよく判断する力を培い、社会とのかかわりの中でみずからの生き方を考え、行動する力を育成することを狙いとしております。
 現在、各都立高校では、自他の尊重や、社会連帯等の資質、能力を育成する授業を都独自の教科書を用いて試行的に行っております。また、推進校二十校で事例に基づく話し合いや体験活動の指導について、研究を行っているところでございます。さらに、各校の指導が円滑に行われるよう、中核となる教員を対象として、年四回の研修会も実施しております。
 今後、道徳心の育成に関する新たなテーマを加えて教科書を充実するとともに、研究を踏まえた指導資料を作成するなど、新教科の全面実施に向けて万全な体制を整えてまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、浜離宮恩賜庭園における茶屋群の復元と、これを生かした新たなおもてなしについてでございますが、浜離宮恩賜庭園では、戦災等で焼失した茶屋群の復元を進めており、中島の茶屋、松の茶屋に続き、この春、燕の茶屋の復元が完了いたしました。さらに平成二十九年度の完成に向け、四棟目となる鷹の茶屋の復元を進めております。
 今後は、これら茶屋群を活用して、古文書から再現した将軍料理の食事会や茶会の開催など、往時の庭園文化を体験できる機会を拡充してまいります。
 また、ケンブリッジ公爵殿下にごらんいただいたライトアップを新たなおもてなしとして七月から試行し、汐留の近代的なビル群を背景に、幻想的な夜景を創出するなど、伝統と現代の対比を堪能できる浜離宮恩賜庭園のさらなる魅力の向上と活用に取り組んでまいります。
 次に、延遼館の復元に向けた取り組みについてでございますが、延遼館は、第十八代アメリカ大統領であったグラント将軍を初め、多くの外国要人を歓待した場であり、鹿鳴館誕生までの明治初期の外交の舞台でございました。
 文化財の復元に際しては、建造物があった位置を特定することが必要であるため、本年四月に地中探査調査を実施し、延遼館の基礎の位置を確認いたしました。また、五月には従来の迎賓機能のほか、展示や集会などの利活用について、関係各局で検討会を立ち上げております。
 今後は、平成三十二年の完成に向け、文化庁と復元のあり方に関して協議を重ね、設計を進めてまいります。現代によみがえった延遼館において、世界中のお客様を真心込めた和のおもてなしでお迎えをいたします。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問についてお答えいたします。
 まず、環境性能の高い自動車の導入支援についてでございますが、自動車のCO2排出量は、年間約一千万トンと膨大であり、都内全体の総排出量の二割を占め、その削減に向けた取り組みは重要でございます。
 これまで都は、燃料電池自動車の普及を進めるとともに、燃費のすぐれた車両の利用拡大を図るため、中小事業者などを対象に、電気自動車やハイブリッドのトラック、バスに対して導入補助や融資あっせんを行ってまいりました。今年度からは、ハイブリッドのごみ収集車を補助対象に加え、制度の拡充に努めております。
 引き続き環境性能の高い自動車の普及に向けて、業界団体などと連携し、制度の周知を図り、導入補助や融資あっせんにより事業者支援を積極的に進めてまいります。
 次に、自動車のCO2削減に向けた取り組みについてでございますが、都は条例により自動車環境管理計画書制度を設け、三十台以上の自動車を保有する約千七百社に対して、環境性能の高い自動車の計画的な導入やエコドライブなど自主的なCO2削減の取り組みを促してまいりました。
 これにより、平成二十五年度の対象事業者全体のCO2排出実績は五年前に比べて約一三%削減されるなど、CO2削減は着実に進んでおります。
 第三計画期間が今年度で終了することから、今後これまでの取り組みを検証した上で、事業者の一層のCO2削減を促す仕組みを検討し、来年度から第四計画期間をスタートさせることといたします。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(河合潔君) 自転車利用者のルール、マナーについてでございますが、自転車死亡事故の約七割には、自転車側に何らかの違反があったとされております。安全利用のためには、まず、利用者自身のルール、マナーの習得、実践が不可欠であります。
 このため、都は、お話の法定講習の導入も踏まえ、自転車安全利用推進計画に基づき、交通安全教室やセミナー等を活用し、ルール、マナーの周知を図っております。
 具体的には、先月の安全利用キャンペーンにおいて、法定講習導入をあわせて周知し、より効果的に啓発するとともに、新たに自転車安全利用宣言証の交付や、PRサポーターを任命するなど、取り組みを強化しております。
 今月一日には、警視庁と街頭キャンペーンを実施したところでありまして、引き続きこの機会を捉え、関係機関と連携して、自転車の安全で適正な利用を推進してまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 品川駅西口地区についてでございますが、都は昨年、品川駅周辺地域のまちづくりガイドラインを改定いたしまして、新駅の整備や二〇二七年のリニア中央新幹線開業などを見据え、国際交流拠点の形成に向けまして、開発を計画的、段階的に進めていくことといたしました。
 お話の品川駅西口地区につきましては、優先整備地区の一つに位置づけ、国際会議場の整備など、羽田空港に近接する立地特性を生かした国際交流機能を充実させてまいります。
 また、環状第四号線の整備、延伸を図り、臨海部、六本木方面とのアクセスを向上させるとともに、品川の玄関口にふさわしい広場空間を整備し、広域的な交通結節機能を強化してまいります。
 今後、JR車両基地跡地など、他の優先整備地区との事業との整合も図りながら、地元区や地権者と連携いたしまして、世界の人々が集い交わる交流の拠点を形成してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) トライアスロン競技を通じました東京の魅力の発信についてでございますが、大会を成功に導くためには、オールジャパンの盛り上がりが必要であるとともに、広く世界に向けて東京の魅力を発信していくことが重要でございます。
 トライアスロン会場は、東京屈指の人気観光スポットである台場地区に位置しております。レインボーブリッジを望む臨海部の都会的な景観を背景に、世界のトップアスリートが競技を展開することは、それを目の当たりにする観客ばかりでなく映像を通じて世界中にこの地域の魅力を発信する格好の機会となります。
 今後、都としても、競技会場での観戦はもとより、パブリックビューイングやテレビなどのさまざまなメディアを通じまして東京の魅力を発信できるよう、組織委員会と協力し、取り組んでまいります。

議長(高島なおき君) 三十四番和泉なおみさん
〔三十四番和泉なおみ君登壇〕

○三十四番(和泉なおみ君) 初めに、子供の貧困とひとり親家庭への支援について伺います。
 私自身も、父子家庭で育ち、父の商売がうまくいかないなどで収入が途絶え、電気やガスをとめられるなどの困窮生活でした。二人の妹たちと祖母の家で夕飯を食べさせてもらうのは子供心に肩身の狭いものでした。何とか高校は出ましたが、これ以上親に迷惑はかけられないと大学進学は諦めました。
 貧困は、物質的な問題だけでなく、子供の心に諦めを植えつけます。ですから、お金がなくて進学を断念した、一日でまともな食事は給食だけ、このような貧困の実態が子供たちに広がっていることを私は見過ごすことができません。
 六人に一人の子供が貧困状態にある、このような日本の現状は、一刻も早く解決されなければなりません。一昨年、子どもの貧困対策法が成立し、安倍政権は対策大綱を策定しましたが、実効性が乏しく、改善、充実を求める声が上がっており、自治体独自の努力も始まっています。
 第一回定例会で、知事が、貧困の連鎖を断ち切るためには、労働の分野でも、教育の分野でも、機会の平等を保障することが必要だと答弁したことは重要です。
 神奈川県など四府県は、子どもの貧困対策法を受けて、子供の貧困対策について独自の計画をつくり、推進する体制もとっています。これに対し、東京都は、ひとり親家庭自立支援計画や、子供・子育て支援総合計画に、子供の貧困の記述はあるものの不十分です。都も、関係者や研究者を含めた検討会などを設置し、東京の子供たちの実態を把握することが重要です。それに基づいて、子供の貧困削減目標を明確にした計画をつくり、推進体制も整えることを求めますが、どうですか。
 文部科学省も、教育への公的投資は、格差の改善や将来の公的支出の抑制などの効果があるとした資料を提出し、高学歴の方が年収が高く、経済的理由で大学や専門学校を諦めた人が一定数おり、学歴が低いほど貧困率が高いことも示されています。
 教育格差の是正を初めとした子供の教育への公的投資は、重要な意義、社会全体への効果があると思いますが、知事の認識を伺います。
 親の収入状況にかかわらず教育の機会を保障し、学力の定着、向上を図ることが、子供の未来を切り開く上で重要です。今年度から施行された生活困窮者自立支援法に基づく無料塾などの子供の学習支援事業は、都内二十七区市と都の福祉事務所で実施していますが、より多くの区市での実施が求められています。
 生活困窮世帯の小中学生、高校生が必要な支援を受けられるよう、都としても区市を支援することが求められますが、どうですか。
 学習支援について文科省は、福祉や教育関係機関が連携して包括的に進めるよう通知を出しています。都教育委員会は、この通知をどう受けとめ、どう連携を進めるのですか。
 夕食をカップラーメンやお菓子だけで済ませてしまうなど、食生活の貧困は子供の発達を阻害し、健康だけでなく、学習面にも大きな影響を与えます。保護者が子供を見られないときに、夜間に預かって学習、生活支援と居場所づくり、食事の提供ができる制度として、トワイライトステイがありますが、都内で実施しているのは十八区市です。小中学生、高校生までを対象に全区市町村が実施できるよう、都として支援すべきですが、どうですか。
 子供の貧困率を引き上げる原因の一つは非正規雇用の拡大です。収入が安定せず、賃金は低く、そのためにダブルワーク、トリプルワーク、長時間労働をすることになります。経済的な困難が子供と親の接する時間を奪います。
 とりわけひとり親家庭の貧困率は深刻で、五割を超えています。日本のひとり親家庭の特徴は、就労率が高いにもかかわらず貧困の状態だということです。子供の貧困対策を考えるとき、ひとり親家庭への公的支援は中心的な課題です。
 私は、シングルマザーの実態をお聞きしました。ある人は、非正規雇用で月収は十万円前後です。その中から家賃五万五千円のほか、光熱費、通信費、学校教材費などを払うと、食費と日用品に使えるお金は月二万五千円、予算どおりにはおさまらず、ほぼ毎月赤字です。この赤字を年三回支給される児童扶養手当で補填しているのです。滞納している費用を払って、子供が楽しみにしている四カ月に一度の外食をして、小さくなってしまった子供の服や靴など必要な物を買うとほとんど残らず、貯金はできません。しかし、その頼みの綱の児童扶養手当も、子供が一人の場合には、年所得五十七万円を超えると減らされていきます。
 またある人は、帰りが遅いため、たまにしか夕食をつくれません。それさえ、子供が気遣って、コンビニのお弁当でいいよというそうです。子供の健康や発達を気遣いながらも、そうやって働かないと暮らしていけないのです。このように深刻なシングルマザーの生活実態を、知事はどう認識していますか。
 こうした実態を打開するためには、社会保障、子育て支援などとともに、最低賃金の大幅な引き上げ、同一労働、同一賃金の徹底など、抜本的な解決が必要です。都として、ひとり親の就労支援に積極的に取り組むべきです。
 都と東京労働局が連携協力して、非正規雇用の正規化などを進める雇用対策の取り組みに、ひとり親家庭の雇用就労対策を位置づけることが重要だと思いますが、どうですか。
 家計に重い負担となっているのは家賃です。ひとり親家庭の住まいの確保に対する支援の重要性、家賃が家計に及ぼす影響について、都はどう認識していますか。
 都内では、武蔵野市など五区四市が家庭支援の立場から、月一万円家賃助成など、ひとり親家庭への家賃助成を行っています。都として、こうした区市町村への支援を初め、ひとり親家庭の住まいへの支援を強化する必要があると思います。ひとり親家庭の住宅確保策に取り組むべきと考えますが、どうですか。
 次に、城東地域のものづくりについてです。
 私の住む葛飾区は、都内でも四番目に製造業の多いまちです。しかし、この二十年の間に、工場の数も、工場で働く人の数も半分に減ってしまいました。給与や製品出荷額は六割も減少しています。
 先日、私は地元の町工場の経営者に話を聞きました。リーマンショックの前には四千万円あった売り上げが半減し、ついに今期は赤字になってしまった。周りも廃業しているなど深刻な状況を語っていました。一たび、ものづくりの話になると、生き生きと目を輝かせる熟練工のすぐれた技術は、今、危機に瀕しています。
 製造業の衰退は、ものづくりを主要産業とする地域にとって地域経済そのものの衰退を意味すると思いますが、知事の認識を伺います。
 台東区、荒川区、足立区、墨田区、葛飾区の五区は、二〇〇六年にTASKプロジェクトを立ち上げました。都内のものづくりの四割が集積する城東地域の特性を生かして、受注生産だけでなく製品開発への支援を行っています。
 ものづくり大賞で受賞した作品を国際見本市に出展したり、量販店で展示販売するなどの支援を通じてヒット商品も生まれています。自分たちで製品を開発したり、審査員へのプレゼンテーションでアピールすることが、ものづくりの自信とモチベーションにつながり、新たな製品の開発へとつながっています。このような取り組みについて、都はどのように認識していますか。
 TASKプロジェクトの事務局は、参加企業をふやし、裾野を広げていく必要があるけれども、各区二百万円ずつ出し合って一千万円の予算では厳しいと語っています。
 都は、今年度から、広域連携で新しい技術や製品の創出等を目指す区市町村の取り組みを支援する産業集積活性化支援事業を開始しました。TASKのような既存プロジェクトでも、新たな取り組みやステップアップ事業などへの支援が必要だと思いますが、どうですか。
 墨田区では、世界的に活躍するクリエーターとの共同で、荒川区は、首都大学東京や都立産業技術高等専門学校などとの産学連携で、それぞれ区内事業者との商品開発を支援しています。葛飾区は、東京理科大にある研究戦略・産学連携センターとの産学公連携を進めています。
 これらの取り組みには、個々の事業所と時間をかけて関係を築き、ワンストップでさまざまな相談に乗り、伴走型で支援するコーディネーターが大きな役割を果たしています。助成金や補助金のアドバイスをしたり、商品開発のために、デザイナーや大学、教育機関とのつなぎ役になったり、受注生産の事業者が自分たちの技術で新しい商品を生み出すことができるよう支援しています。このような役割を果たしているコーディネーターの重要性を、都はどう認識しているのですか。
 民間企業の現場で製品化などの実績を持つ技術者のOBを初め、東京には多くの人材がいます。そうした方々をコーディネーターとして養成、確保、活用していく新たな取り組みに踏み出すことを求めておきます。
 ものづくりの後継者育成を支援の柱として取り組まれている墨田区のフロンティアすみだ塾、荒川区のあすめし会で育った若い人たちが自主的に集まり、下町サミットという勉強交流会を行っています。
 この下町サミットは、四十人から始まって、開催ごとに参加人数を大きくふやしています。町工場に希望の光をともすだけでなく、地域経済や地域コミュニティの将来にとっても明るい展望を示すものだと思いますが、このような取り組みに、都はどのような認識を持っていますか。
 厳しい経営状況の中、自分たちでイベントの費用を賄うのは大変なことです。行政が支援をしていることで、若手後継者たちが元気に活動できていると、区もコーディネーターも話しています。後継者たちが自主的に行うセミナーや研修の講師料、交流会の会場費などに、都としても支援をしてはどうですか。
 台東区は、区内のものづくりの現場を開放し、まち歩きをしながら、一般の人々が町工場などを見学できるモノマチというイベントを開催しています。また、足立区では、足立ブランドに認定された町工場を小中学生が見学して、子供のころから自分のまちのものづくりに親しみ、興味を持てるよう取り組んでいます。住工一体で地域に定着してきた町工場は、地域経済を支え、コミュニティの活性化にもなくてはならない役割を果たしてきたまちの大事な財産です。
 イベントや工場見学などを通して、自分のまちにすぐれたものづくりの技術が息づいていることを知ることで、町工場で働く人と住民の両方が地域に誇りと愛着を持つようになり、地域の発展にもつながる、こうした取り組みは極めて重要だと思いますが、都の認識を伺って私の質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 和泉なおみ議員の一般質問にお答えいたします。
 教育への公的投資についてでございますけれども、貧困の連鎖を断ち切るためには、教育の分野でも機会の平等を保障することが必要だと考えております。親の経済状態にかかわらず、将来、子供がみずからの生き方を選択し自立できるよう、機会の平等を保障するためのセーフティーネットを構築することは、まずは国家の責任でございます。
 都としては、子供たちの誰もが能力や適性を発揮できるよう、基礎、基本の徹底による学力の習得、向上や、教育への福祉の専門人材の活用など、昨年取りまとめました東京都長期ビジョンに、既にさまざまな施策を位置づけてございます。今後とも、これらの施策に取り組んでまいります。
 続きまして、ひとり親家庭についてでございますが、ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手という二つの役割を一人で担うため、負担が大きく、世帯収入も両親がいる世帯と比較すると低い傾向にございます。こうした生活実態を踏まえまして、都は、本年三月に東京都ひとり親家庭自立支援計画を改定し、相談体制の整備、就業支援、子育て支援や生活の場の整備、経済的支援を柱にひとり親家庭の支援に取り組んでございます。
 続きまして、製造業と地域経済に関する認識についてでございますが、我が国経済は、全体として穏やかな回復基調にあるものの、円安による原材料価格の高騰などにより中小製造業者の多くは依然として厳しい経営環境に置かれております。
 都内に集積する中小企業は、地域の産業や雇用を支える原動力であると認識しており、都は引き続き、経営、技術、資金繰りなどの面から幅広い支援策を講じてまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 福祉関係機関との連携についてでありますが、都教育委員会は、次代を担う子供の育ちを支援するため、教育と福祉等との関係機関による連携協力を着実に進めてきております。
 具体的には、児童生徒や家庭のさまざまな課題の解決を支援するため、スクールソーシャルワーカーの配置を拡大してきております。また、子供と家庭を一体的に捉え総合的に支援するため、教育相談センターを子供家庭総合センターに設置し、福祉保健及び警察の各相談機関と連携して問題の解決を図っております。
 今後とも、福祉関係機関等との連携については、関係法令の趣旨を踏まえながら適切に対応してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、子供の貧困対策についてでありますが、都は、学識経験者、保育園、幼稚園の事業者、区市町村の代表者などで構成する東京都子供・子育て会議での議論や子育て家庭の生活実態等も踏まえ、本年三月に東京都子供・子育て支援総合計画及び第三期ひとり親家庭自立支援計画を策定いたしました。
 これらの計画には、ひとり親家庭や社会的養護を必要とする子供など、支援を必要とする子供や家庭への支援を目標に位置づけ、就業支援や子供の学習支援について具体的な目標や施策の方向性を定めており、現在、関係各局が連携して、福祉、医療、雇用、住宅、教育などさまざまな分野で取り組みを進めております。
 次に、子供の学習支援事業についてでありますが、都は、今年度から、実施主体である区市に対し、学習支援事業の導入のための検討準備経費について、包括補助により支援しております。また、区市の担当者会議などを通じ、効果的な先行事例の紹介を行っており、今後とも区市の取り組みを支援してまいります。
 次に、トワイライトステイ事業についてでありますが、この事業は、児童福祉法に基づく子育て短期支援事業であり、区市町村がそれぞれの自治体の実情に応じ、対象年齢や運営形態を定めて実施しております。
 また、この事業実施に要する運営経費は、国の要綱に基づき、国、都、区市町村が負担することとなっております。新たに区市町村が事業を開始する場合には、施設整備費等を都独自に包括補助事業により支援しており、今後とも、区市町村の取り組みを支援してまいります。
 最後に、ひとり親家庭の住宅確保策についてでありますが、ひとり親家庭が地域で自立した生活をしていくためには、住まいの確保が重要でございます。
 そのため、都は、都営住宅の一般募集における当せん倍率の優遇制度、ポイント方式による住宅募集、母子生活支援施設退所者向け特別割り当て等により、ひとり親家庭への都営住宅の提供を行っております。
 また、民間賃貸住宅への円滑な入居を図るため、住宅情報の提供等の支援を行う居住支援協議会の設立を区市町村に働きかけますとともに、住宅の転居費用等について、母子及び父子福祉資金の貸し付けを実施しております。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京労働局と連携をした就業支援についてでございますが、都は国と雇用対策協定を締結し、非正規対策や女性の活躍促進など、幅広い分野で連携した取り組みを進めております。
 東京都ひとり親家庭支援センターにおきましては、求人情報の活用や就業支援プログラムなど、ハローワークとの緊密な連携のもとで、ひとり親家庭の実情に応じたきめ細かな就業支援を実施しております。引き続き、こうした取り組みを行ってまいります。
 次に、ものづくり支援における区市町村の広域連携についてでありますが、都内中小製造業の競争力を高めていくために、区市町村が連携して地域の特性を生かした事業者の取り組みを促進することは有益であると考えております。
 次に、区市町村の広域連携に対する支援についてでありますが、都は、産業集積の活性化を支援する事業において、区市町村が既に実施している広域連携の取り組みであっても、内容に新規性や拡充性が認められるものについては、補助の対象としております。
 次に、産学連携のコーディネーターについてでありますが、中小企業が他の企業や大学と共同して製品開発などに取り組む際、コーディネーターは、連携を円滑に進める上で重要な役割を担っていると認識をしております。
 次に、若手経営者による地域活性化の取り組みについてでありますが、中小企業の若手経営者の方々が交流会や勉強会などの活動を主体的に行うことは、地域産業の活性化にとって有益であると認識をしております。
 次に、若手経営者の活動への支援についてでありますが、都は、商工会議所や商工会が行う地域産業の活性化に向けた事業を支援しており、地元中小企業の主体的な取り組みをサポートする事業なども支援対象としております。
 最後に、ものづくりに対する住民の理解促進についてでありますが、イベントなどを通して中小製造業のすぐれた技術や製品に対する地域住民の理解を深めることは、地域産業の持続的発展にとって意義のあることと認識をしております。

議長(高島なおき君) 五十四番あさの克彦君
〔五十四番あさの克彦君登壇〕

○五十四番(あさの克彦君) 初めに、情報公開について、広く都民に開かれた都政を推進するため、都が保有する情報の公開、そして審議会などの会議の公開と二つの観点から質問をいたします。
 まず、都が保有する情報の公開についてですが、これまで都は、情報公開条例に基づき、積極的に情報公開に取り組んできたことと思います。一方で、時代の変化は想像以上に早く、個人がさまざまな形で発信できる手段も多数存在しております。不正な手段で情報を取得しようとすることは言語道断ですが、都が持っている情報については、都民ができる限りたやすく触れられるように公開することが求められております。
 今後、都の事業に関する情報など、都民のニーズが高く、繰り返し公開請求が申請されるもののうち公開に適したものについては、積極的に都民に対して情報提供を行っていくことが重要であると考えます。
 都民が情報をできるだけ速やかに入手できるよう、都として、情報提供の取り組みを推進すべきであると考えますが、見解を伺います。
 次に、審議会などの会議の公開について伺います。
 現在、審議会や協議会といった都の附属機関の運営については、附属機関等設置運営要綱によって原則として公開するものとされております。しかし、その公開のレベルがわかりづらいと考えます。
 例えば、先日、青少年問題協議会の専門部会を傍聴いたしましたが、報道機関には許されている録音も、傍聴者は禁止されておりました。また、ツイッターなど、いわゆるSNSを使って発信することも禁止とされておりました。
 出席している委員から、リアルタイムでの発信がだめなのか、会議後も発信してはだめなのかという問いが出て、リアルタイムのみ禁止するという説明がありましたが、もしそのような確認がなされなければ、会議中も終了後も、発信は禁止であると解釈されたと思います。このように、思い込みで制限が過剰に課されるケースがあるのではないでしょうか。
 また、原則公開といわれても、傍聴が可能となっているだけで、録音、録画、SNSによる発信などを禁止している場合も多いように思われます。現在は、個人でも、インターネットを通して動画も記事も発信できます。透明で開かれた情報の公開は時代の流れであるといえるでしょう。
 そこで、審議会や協議会といった附属機関におけるさまざまな発信方法のある現代に即した公開のあり方について伺います。
 次に、会議情報の周知について伺います。
 都での会議は、この都議会本会議を含め、原則として公開を旨としています。このことは歓迎すべきことです。また、都民が関心のある事柄について傍聴したいときには、インターネットなどを用いて、その会議の情報を得られるようになっています。ただ、どのような事柄に対して協議会や審議会が開かれているのか、傍聴が可能なのか、可能であるならいつなのかを調べることは容易ではありません。
 現在、都のホームページにある情報公開の窓から、主な審議会、協議会のページにアクセスすることは可能ですが、公開されている会議が全て網羅されているわけではありません。都が、傍聴可能な会議の情報を吸い上げ、一元的に発信することで、都の情報公開に対する積極的な姿勢を示すことにもつながるのではないでしょうか。
 そこで、審議会などの運営に関する附属機関等設置運営要綱とその取り扱い通知を見ますと、運営について、開催日時、場所、公開の可否などの情報を、必要に応じ、事前に都民に周知するよう努めることとなっています。公開、非公開の情報まで都が必要に応じて周知するのでは、さきに述べた情報を積極的に公開する姿勢とは真逆の方向性だと考えざるを得ません。
 必要に応じ周知するのではなく、原則として周知し、明確な根拠があるときだけ情報提供を差し控える方が、求められる都の姿勢ではないでしょうか。
 都は、附属機関の審議調査を原則公開とするにとどまらず、その会議の情報も原則として周知に努めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、防犯ボランティアに対する補償について伺います。
 今定例会には、東京都安全・安心まちづくり条例の改正案が提出されております。都民の安全・安心を守るために、行政機関のみならず、地域住民などの努力義務も追加されています。
 一方、現状においても、通学路の安全を確保するために、PTAや地域の住民が自発的に取り組んでいる例もあります。中には、集団登校班の世話人やPTA、シルバー人材の方々や安全協会ではなく、その通学路を通る児童の保護者らが登下校の見守りを行っている場合もあります。そのような取り組みでは、ボランティアとして登録をすることで、万が一のときには補償の対象となるようですが、私の地元練馬区では、大泉第一小学校の事件があったときから保険内容が変更されたと伺いました。
 区市町村ごとに独自で補償の仕組みがあるようですが、今回の改正案のように、都として地域の方々などに努力義務を課すのであれば、防犯ボランティアとしての活動中の事故などに対して補償がなされるよう、区市町村の取り組みを確認し、必要があれば、ガイドラインや協議を通じて補償の取り組みを促していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、外国人医師による都内での診療行為について伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催に向けてさまざまな準備を行っておりますが、ハード面だけではなくソフト面でも時間がかかるものは多数あります。そして、都は、外国人の集客も強化しており、今後ますます東京を訪れる外国人の方々にとって安心できる環境を提供していくことも考えなければなりません。
 そのような状況の中で、医療サービスを見ますと、我が国では、外国人医師の診療について、医師免許の二国間協定制度というものがあります。提携している国で医師免許を保有する外国人に対し、日本での診療を条件つきで認めるもので、受け入れ人数や診療場所など制限がありますが、訪日する外国人にとってはとても安心であることは想像に難しくありません。
 現在は、アメリカ、イギリス、フランス、シンガポールと提携されております。先日、都は、この二国間協定に関して、国家戦略特区による外国人医師の特例を活用する方針を明らかにしました。この取り組みを率直に評価するとともに、今後ますます増加するであろう訪日外国人にとって、安心な医療サービスを提供できる環境となることに大いに期待をいたします。
 しかし、さきに述べたように、我が国と提携している国は四カ国のみでありまして、日本を訪れる国別外国人数の上位と一致しているわけでもありません。
 そこで、特区申請の中身を伺うとともに、今後、この二国間協定の対象国を拡大するよう国に求めていくことに対する見解を伺います。
 最後に、障害のある方々への自立支援について伺います。
 障害のある方々が自立して生活をすることは、そのQOLを上げることからも非常に有益であります。そのために必要な施策を実行し、支援したことは評価しております。しかし、それぞれの個別案件を見ますと、まだまだ制度が追いついていないケースも散見されます。
 そもそも、障害の程度で一定の線引きは行われておりますが、明確な線引きは難しく、家庭環境などを考慮に入れるならケース・バイ・ケースといわざるを得ません。生活を制度に合わせてもらうことも時には必要ではあると思いますが、そのことにより、自立したいという思いを逆行させたり、自立できる方を保護するのみになってしまっては、施策の有用性が失われてしまいます。
 より柔軟な制度設計とすべきですが、さきに述べたように、もともとケース・バイ・ケースで対応しなければならないという本質がある以上、窓口となる区市町村の対応に頼らざるを得ません。
 都は、障害のある方々の自立について、可能な限り柔軟に対応できるよう、区市町村のさまざまな取り組みを支援するとともに、区市町村と情報を共有し、必要に応じて国に対して制度の変革を求めるべきと考えますが、見解を伺いまして私の質問を終わります。(拍手)
〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) あさの克彦議員の一般質問にお答えいたします。
 都民に向けた情報提供の取り組みについてでありますが、都の情報公開条例は、公文書の開示請求に対し適切に対応することに加え、情報提供の拡充を図ることにより、情報公開を総合的に推進していくことを定めております。
 都はこれまでも、工事設計書など公文書の開示請求が多いものについて、都民情報ルームで閲覧を可能にするとともに、都が保有するさまざまな情報をホームページで公開するなど、都民への情報提供を推進してまいりました。
 今後とも、都民のニーズに合わせまして、情報公開制度の適切な運用に努めてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、審議会等の附属機関の公開のあり方についてでございますが、都の審議会等の附属機関は、専門知識の導入や公正の確保、民意の反映などを目的として設置するものであり、その調査審議については原則公開としております。
 しかしながら、各審議会等の審議過程においては、個人のプライバシーや企業秘密など、保護すべき情報が議論の俎上にのる場面も想定されます。このため、その具体的な公開方法については、各審議会等が議論の進捗状況等に応じ、その都度、個別に判断せざるを得ないものと認識しております。
 今後とも、こうした情報公開の要請と個人情報保護などの両立を図りつつ、さまざまな発信手法等も駆使して、誰もが調査審議内容に接することができるよう、開かれた都政の実現を推進してまいります。
 次に、附属機関の会議情報の周知についてでございます。
 附属機関の開催日程や場所などについては、報道発表や都の公式ホームページなどを活用して都民への事前周知に努めております。
 一方、附属機関の中には、関係者等に対する不利益処分を審議する会議など、事前に開催日程を公表することで、当日の会議運営に混乱や支障が生じるおそれがある場合があり、また、緊急に開催される会議など、事前の周知が困難な場合も想定されます。
 今後とも、こうした各附属機関の特性や審議状況などを踏まえつつ、できる限り会議情報の事前周知に努め、その運営をより一層都民に開かれたものとしてまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(河合潔君) 防犯ボランティアの補償についてでございますが、地域で活動する防犯ボランティア等については、その活動内容や規模、頻度等が異なるため、その補償については、区市町村がそれぞれの実情を踏まえて判断し、対応すべきものと考えております。
 現在、多くの区市町村において、防犯ボランティア等の活動中の事故等に対する保険に加入するなどの措置をとっております。
 都においては、今後も、地域の自主的な防犯活動等が活発に推進されるよう、区市町村担当課長会やホームページ、大東京防犯ネットワーク等により区市町村等への情報提供など引き続き支援を行ってまいります。
〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 特区における外国人医師の特例についてですが、都は、今月十五日に開催された東京圏国家戦略特別区域会議において、医師資格制度に係る二国間協定に基づく受け入れ人数枠の拡大や、自国民に限らず外国人一般に対する診療を認める特例の適用を提案し、区域計画に盛り込むことが了承されました。
 今後、総理大臣認定を経て、年内には四つの病院で五人の外国人医師による診療が可能となる予定でございます。また、医師資格制度に係る二国間協定の対象の拡大につきましては、既に国に対して要望を行っているところでございます。
 今後とも、国家戦略特区制度を有効に活用しながら、外国人の医療環境の充実に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 障害者の自立支援についてお答えをいたします。
 都は、障害者総合支援法に基づき、区市町村が実施する日常生活用具の給付や外出のための移動支援などの地域生活支援事業に対しまして支援を行っております。また、宿泊体験や生活訓練など、地域の実情に応じて独自の取り組みを行う区市町村を包括補助により支援しております。
 さらに、国に対しましては、障害者の日常生活や社会生活の総合的な支援について、事業の実施状況や地方自治体の意見を十分に踏まえた上で、障害者の生活実態に即した効果的な仕組みとするよう繰り返し提案要求をしてまいりました。
 今後とも、障害者が地域で自立して生活できるよう区市町村の取り組みを支援いたしますとともに、国に対し必要な提案を行ってまいります。

○議長(高島なおき君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

   午後三時三十分開議

○副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四番山内晃君
〔四番山内晃君登壇〕

○四番(山内晃君) 初めに、安全都市東京について伺います。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催を五年後に控え、東京は注目されており、この機を捉え、東京の魅力を最大限アピールをし、大勢の外国人客に東京に来てもらうことが大会成功につながります。
 そこで大きなポイントとなるのが、世界で評価される治安のよさであります。
 折しも、イギリスの調査研究部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの報告書において、世界の主要五十都市のうち、東京が世界で最も安全な都市として評価をされました。
 大変名誉である一方、都民生活に関する世論調査では、治安対策への都民要望は依然として高いことから、海外における評価と都民の実感が一致しているとはいいがたいのが現状です。
 そこで、海外の評価に甘んじることなく、都民が世界に誇れる安全・安心を実感するため、さらなる治安の向上に取り組むべきと考えるが、知事の所見を伺います。
 登下校中の児童生徒の安全確保について伺います。
 中でも、児童生徒の安全確保については重要なことであり、都はこれまでも、登下校中の児童の安全確保を目的に、学校が家庭と地域とともに取り組む対策として、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を行い、区市町村を支援してきました。さらに、都は平成二十六年度から、学校設置者である区市町村が通学路へ設置をする防犯カメラの補助事業を開始いたしました。
 児童の安全強化に向けた世界に誇れる取り組みと考えるが、今後の進め方について都の見解を伺います。
 東京のものづくりについて伺います。
 京浜工業地帯の発祥の地である私の地元品川は、世界に誇る高い技術力を持つ中小企業が、今なお集積しております。
 昨年、大東文化大学の学生グループ、中村ゼミナールが、品川の製造業について研究を行い、その成果をまとめた、「進化し続ける品川区のものづくり」という本を出版しました。収録された五十社近くの中小企業に対するインタビューの中で、特に事業承継や人材確保、金融機関との関係強化といった課題があることに気づきました。その課題について解決を図っていくのは、行政の使命であります。
 特に多くの企業が掲げた課題が、後継者の確保であります。経営者の高齢化が進む中で事業を継ぐ者が確保できなければ、廃業を余儀なくされ、東京の産業の衰退につながってしまいます。
 都としても、中小企業の事業承継に対する支援を充実させていると聞いているが、こうした東京の中小のものづくりの灯を消さないよう、実効性の高い取り組みをさらに進めるべきと考えるが、所見を伺います。
 中小企業で働く人材確保について伺います。
 東京の産業が今後も持続的に成長し続けるためには、中小企業の活力向上が不可欠であり、都は人材面からその成長をしっかりと支えていくべきです。
 四月に公表された中小企業白書によると、中小企業の約四割が人材を確保できておらず、今後、大企業が採用を大幅にふやす動きがある中で、中小企業の人材不足感はますます強まると予想されます。企業の中には優秀な人材の確保に成功しているところがある一方で、多くの中小企業は採用の手段や方法に苦慮をしております。
 こうした企業の人材確保という課題に対し、若者が中小企業の魅力を感じてもらう取り組みに、都は積極的に支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、中小企業に対する金融支援について伺います。
 中小企業が成長していくためには、日々の資金繰りを初めとする金融支援はもとより、中小企業に寄り添ったさまざまな支援を行うことができる金融機関の果たす役割は大きいと考えます。せっかくすばらしい技術があっても、経営がうまくいかなければ企業の存在は危うくなります。金融機関が日ごろから企業の現場を知っていれば、必要なときに経営のアドバイスができ、融資に当たっては、中小企業の持つ技術力や将来性、機械や在庫などの資産の活用状況を評価することが可能になります。
 昨年度始まった都のABL制度は、企業が持つ動産や債権を担保に融資を行うものでありますが、担保保全のため、定期的にヒアリングや実施調査を行う仕組みで、金融機関が企業とのコミュニケーションを図る観点からも大変意義深い制度であります。
 このような特徴を持つABL制度のさらなる普及促進に努めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 四月に子ども・子育て支援新制度が施行され、この制度によって、認可保育所だけではなく、認定こども園も国の財政支援の対象となり、区市町村認可による地域型保育事業が創設をされ、区市町村はさまざまな選択肢から、地域の実情によって柔軟に保育サービスの拡充を図れることになりました。
 しかし、残念ながら、都独自の認証保育所は、国の財政支援の対象ではありません。認証保育所は、保育を必要とする全ての利用者を対象とし、認可保育所だけでは対応し切れないニーズに柔軟に対応するとともに、既存賃貸物件の活用を基本とするところから迅速な整備が可能であり、保育事業者にとっては参入しやすく、待機児童対策にも大変有効であります。
 今後、認証保育所の設置促進を図るとともに、安定的な運営を確保するため、引き続きしっかり支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
 新制度施行後も、保育サービスの先駆的な役割を担う認証保育所の拡充を進めていくことは、待機児童を解消するためにも大変重要と考えます。
 ところが、昨年、厚生委員会で質問したように、新規の事業者の参入については、これまでの実績重視というところから参入のハードルが高く、待機児童の解消に協力したいと思っても、自治体によっては断られるケースがあると伺っております。また、都独自の制度のため、保育事業者が自治体の窓口に相談に行った際、課題点が生じると、基準については東京都の意向に従いますという一方で、運営については都に問い合わせると、自治体の実績を踏まえ対応してくださいというケースがあると聞いております。
 認証保育所の設置を促進するため、保育の実施主体である区市町村と都が、これまで以上に取り組みを強化していただくことを要望して、次の質問に移ります。
 マンション施策について伺います。
 都内には数多くの分譲マンションが集積をし、都民の生活を支える一方、今後、老朽化したマンションが急増していく中、都市の安全性の向上、生活環境の改善を図る上で、これらの再生を進めていくことは重要です。建設後の都市計画変更等により、既存不適格になるなど、単独敷地での建てかえが困難なマンションも少なくありません。
 都は、こうしたマンションの再生を支援する新たな制度の構築に向け、今年度から先行モデル事業に取り組んでおります。
 先日、その実施地区として三地区が公表され、私の地元品川区からも、大崎西口駅前地区が選ばれました。大崎駅周辺では、工場跡地などを中心に再開発が進んでいますが、この地区は旧耐震基準のマンションが集積をし、防災上の課題を抱えたまま取り残されております。今回のモデル事業に選定されたことで、まちづくりが大きく前進することを期待しております。
 ほかの選定地区も含め、都はどのように先行モデル事業に取り組み、新たな制度を構築していくか、所見を伺います。
 羽田空港の機能強化について伺います。
 東京の国際競争力には、羽田空港の機能強化が重要であります。昨年夏、国から、発着容量を拡大させるため、都心上空を飛行する新たな飛行ルート設定の提案があり、その後、国は提案の具体化に向け、関係自治体等と協議を行い、先月、国は住民説明の進め方など、実現に向けた工程を公表しました。
 都心上空を飛行する経路案については、品川区を初め、飛行経路周辺の住民にとっては、騒音や落下物等、不安な面もあるかと思います。まずはこの点をしっかりと踏まえ、機能強化の検討を進めていただきたいと思います。
 そこで、今後、国が実施する羽田空港の機能強化に関する地元への説明について、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 空き家対策にかかわる税制について伺います。
 適切な管理が行われていない空き家が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、その対策が強く求められております。
 空き家対策を進める上で、これまで同じ自治体内であっても、税務部局が保有している固定資産税の情報を空き家対策部局が活用することができなかったため、空き家の所有者の特定が困難だったという問題がありました。
 しかし、二月に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法により、ようやく固定資産税の情報の活用が可能となったため、早期の所有者特定につながるものと考えております。
 さらに、五月二十六日、倒壊などのおそれがある特定空き家の具体的な判断基準等を示したガイドラインを国が公表し、特別措置法が施行され、区市町村による空き家対策が本格化していく中で、法の施行により、固定資産税の情報の利用や住宅用地の優遇措置の解除が可能となり、特に二十三区においては、ほかの自治体とは違い、都が固定資産税を課税していることもあり、区が進める空き家対策を支援するには、都と区のより一層の連携が必要と考えるが、所見を伺います。
 最後に、水辺環境の創出について伺います。
 河川は、豪雨や高潮から都民の生命と財産を守る重要なインフラでありますが、治水機能の向上だけではなく、多くの人々が水辺に親しむようにできるようにすることも重要であり、我が党は、隅田川などにおいて、にぎわいあふれる水辺の創出に向けた取り組みを展開するよう、政策提言を行っております。
 東京都長期ビジョンでは、隅田川における恒常的なにぎわいの創出、新たにウオーキング等にも利用しやすい河川沿いの通路の整備などが掲げられています。
 水辺環境の向上に向け、これまで以上に積極的な都の取り組みが必要と考えますが、見解を伺いまして、私の一般質問を終了させていただきます。
 ご清聴まことにありがとうございます。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 山内晃議員の一般質問にお答えいたします。
 さらなる治安の向上についてでございますけれども、都市活動の土台は、安全・安心でございます。犯罪が横行し、将来への見通しが立たないようでは、旺盛な経済活動を初め、活力ある都市の成長は望めません。
 ご指摘のとおり、東京の大きな強みが治安のよさであります。これは世界に冠たるものでありまして、都市の魅力として大いにPRし、売り込んでいきたいと思っております。刑法犯の認知件数も、ピークの平成十四年から半減してございます。
 一方で、首都東京は、治安上の課題が常に新たな形で発生する最前線であることも事実です。危機への対処を片時たりともおろそかにしてはなりません。都は、危険ドラッグや特殊詐欺といった喫緊の課題にも迅速に対応し、誰もが安全・安心を実感できる社会を実現するため、本定例会に東京都安全・安心まちづくり条例の改正を提案しております。
 今後、オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、警視庁を初め、東京都全体で治安対策の取り組みを加速化させてまいります。また、身近な犯罪を未然に防ぐために、地域の力も最大限強化してまいります。
 二〇二〇年以降も、常に世界で最も安全な都市であり続けますよう、世界に誇る東京の治安をさらに高いレベルに引き上げていきたいと考えております。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 登下校中の児童生徒の安全確保についてでありますが、都教育委員会は区市町村教育委員会に対し、公立小中学校が家庭、地域と連携して取り組む、通学路における児童生徒の見守り活動への支援を実施してきております。
 また、こうした地域における見守り活動を補完する目的で、都は区市町村が通学路に設置する防犯カメラの補助を昨年度から開始し、二十二区市町村で設置が行われたところでございます。
 今後も、都教育委員会は、公立小中学校が取り組む通学路における見守り活動を推進するとともに、防犯カメラの設置が円滑に進むよう、関係機関との調整や先行事例の紹介等により、区市町村教育委員会を支援し、児童生徒のより一層の安全対策を進めてまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 人々に親しまれる水辺環境の創出についてでございますが、都はこれまで、緑豊かなスーパー堤防や四季を感じさせる花壇のあるテラスの設置、川沿いへのオープンカフェの誘致などに取り組んでまいりました。今後は、周辺のまちづくりと一層連携して水辺環境の整備を進め、地域の魅力を相乗的に高めてまいります。
 例えば、浅草エリアでは、北十間川沿いのテラス、隣接する東武鉄道の高架下、区の道路や公園が一体となるよう整備し、約四百メートルの新たなプロムナードを創出してまいります。こうしたさまざまな事業をパッケージ化して実施し、浅草寺から東京スカイツリーに至る地域の回遊性を向上させてまいります。また、築地エリアでは、海、川、まちをつなぐ舟運の拠点として築地リバーフロントターミナルを形成いたします。
 このような川から、まちづくりを誘導する取り組みなどを広く進め、水の都東京の再生を図ってまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、中小企業の事業承継の支援についてでございますが、東京の産業の活力を将来にわたって維持していくためには、中小企業経営者の円滑な世代交代を図り、事業を持続的に発展させていくことが重要でございます。
 このため、都は、この四月から商工会議所、商工会連合会及び中小企業団体中央会との連携により、小規模企業等の支援拠点を六カ所設置し、事業承継など、解決の難しい課題につきまして専門家を活用した支援を行っております。
 加えて、中小企業振興公社では、事業承継に取り組む企業に対し、経営の改善や後継者の選定など、さまざまな課題の解決を三年間にわたって支援する事業に着手いたしました。
 今後は、これら支援機関相互の連携強化とともに、金融機関や経営人材の情報を持つハローワーク等と協力をいたしまして、中小企業の事業承継を一層効果的に後押ししてまいります。
 次に、中小企業で働く人材の確保についてでございますが、人材確保に向けましては、企業の魅力を若者に伝えるとともに、各企業の実情に応じた支援が重要でございます。
 これまで都は、企業情報や採用情報をしごとセンターで若者に提供するほか、ウエブサイトや企業見学会を通しまして、働く場としての魅力を広く発信してまいりました。
 今年度は、これらの一層の充実に加え、中小企業の採用力を強化し、確実な人材確保を図るため、専門家を派遣して採用活動や人材活用の助言を行うとともに、国と連携し、個々の企業の求人ニーズに合った人材との面接機会を設定いたします。また、その中で効果的な事例を取りまとめ、広く発信し、普及を図ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、人材確保を積極的に支援し、中小企業の成長を後押ししてまいります。
 最後に、都のABL制度についてでございますが、本制度は、担保物件の評価や保証を行う専門機関と金融機関が連携し、融資先の中小企業に対する定期的なモニタリングを行う仕組みとしておりまして、お話のように、本制度の普及促進を図ることは、金融機関と企業との密接な関係構築の後押しにもつながります。
 これまで都は、取扱金融機関の拡大や中小企業団体に対する周知など、制度の普及に取り組み、昨年度は六十一件の融資が実行されました。ABL制度による融資後には、金融機関が企業訪問を行う回数がふえるなど、両者の円滑なコミュニケーションが図られてきております。
 今後とも、専門機関と連携し、ABL制度の活用事例を紹介する金融機関向けの勉強会を新たに実施するなど、本制度のさらなる普及促進に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 認証保育所への支援についてお答えをいたします。
 都はこれまで、認証保育所の設置を促進するため、新たに開設する際の改修経費や保育を担う人材の確保、定着を図るための処遇改善経費を補助しておりまして、昨年度からは、開設準備経費補助の補助率の引き上げや、保育従事者向けの宿舎借り上げへの支援も実施しております。
 また、今年度は、運営費補助について補助単価を増額するとともに、賃借料や減価償却費の加算を創設するなどの充実を図るほか、保育士等のキャリアアップを図る取り組みや、障害児やアレルギー児などに対する保育を推進する取り組みへの支援も開始いたします。
 認証保育所は、都の保育施策の重要な柱の一つであり、今後とも、保育の実施主体である区市町村と連携しながら支援してまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、マンション再生の先行モデル事業についてでございます。
 今回、区市からの提案を受けまして選定した三地区については、それぞれ魅力とにぎわいのある駅前街区の形成、緊急輸送道路沿道の耐震化、大規模団地の再生という、地域特性を踏まえた特色ある提案がなされております。
 引き続き、選定された区市におきましては、マンション再生を含むまちづくりの計画を策定することとなっており、これに対しまして、都は、都市計画制度や再開発事業の活用などの技術的な助言とともに、財政的にも区市の取り組みを支援してまいります。
 今後、こうしたモデル事業を通じまして、マンション再生の促進策を検討し、来年度中の新たな支援制度の構築に向けて取り組んでまいります。
 次に、羽田空港の機能強化についてでございます。
 オリンピック・パラリンピック東京大会やその後の航空需要に応え、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠でございます。
 国は、二〇二〇年までの空港の機能強化に向け、新たな飛行経路付近となる大井町駅周辺等の地域におきまして、オープンハウス型の説明会を実施するとともに、特に影響の大きい地域を対象に、小規模な単位で意見交換を行う場を設けることとしてございます。
 都は、こうした説明の場におきまして、住民に対し、騒音、落下物対策等の丁寧な説明を行うよう国に求めております。
 今後とも、都民の理解が深まるよう積極的に取り組み、国際的な拠点空港としての羽田空港の機能強化を進めてまいります。
〔主税局長塚田祐次君登壇〕

○主税局長(塚田祐次君) 空き家対策における区との連携についてのご質問にお答えいたします。
 特別措置法の施行に伴い、空き家の所有者を特定するに当たり必要な限度において、税務情報の提供が可能となりました。都では、区の依頼を受け、情報の提供を始めました。
 今後、各区は、国が定めたガイドラインに沿って空き家対策を進めていきますが、区が特定空き家の所有者に対して除却、修繕等を勧告した場合、都はその情報を受けて、固定資産税等の住宅用地特例から除外することになります。この措置は、平成二十八年度から適用されます。
 このように、空き家対策と税制が密接に関連することから、各区の実情に応じた適切な情報共有ができるよう、必要な仕組みづくりを行うなど、空き家対策の推進に向けて各区との連携を一層強化してまいります。

副議長(藤井一君) 十七番栗林のり子さん
〔十七番栗林のり子君登壇〕

○十七番(栗林のり子君) 初めに、少子化社会対策について伺います。
 二〇二〇年までの少子化対策の方向性を示す国の少子化社会対策大綱が、三月二十日、閣議決定されました。
 平成十六年、二十二年に続き、今回は三回目であり、少子化は社会経済の根幹を揺るがしかねないとの危機感のもと、結婚や子育てしやすい環境づくりへ社会全体を見直し、これまで以上に対策を充実するとしています。
 また、個人の選択、価値観の押しつけにならないよう配慮をした上で、個々人が結婚や子供について希望が持てる社会の実現を目指しています。
 初めに、こうした国の動きも踏まえ、知事の少子化対策に向けた所見を伺います。
 また、今回の大綱では、自治体などの結婚支援にも大きく踏み込んでいます。
 私は、平成二十四年、予算特別委員会で、未婚、晩婚化の対策として、結婚を希望する人に向けてのサポート体制の構築の必要性を取り上げたところ、当時の知事より大変前向きな答弁をいただきました。
 地方行財政調査会の二〇一四年に行われた都道府県の婚活支援実施状況調査では、八割を超す三十九道府県の団体が支援事業を行い、検討中の自治体も含めると八七%が前向きに取り組んでいます。
 都も、ようやく昨年より、東京都子育て応援ファンドモデル事業を開始し、対象事業の中に、出会い、結婚支援事業も含め、スタートしたところです。
 しかしながら、二十六年の採択されたモデル事業十四事業のうち、出会い、結婚支援事業は一件という状況で、まだまだ情報が行き渡っていません。この事業の情報が広く行き渡る取り組みが必要です。
 この事業の現状と広報の拡充について見解を伺います。
 次に、新生児里親委託事業について伺います。
 子供を授かることを希望する夫婦に対し、不妊治療の助成制度も拡充されつつあります。しかしながら、治療を続けた結果、授かることが難しい場合に、選択肢の一つとして、里親や特別養子縁組の制度があります。ところが、情報提供と相談体制が構築されていないため、制度につながらない現状があります。
 先日視察をした愛知県では、通称愛知方式と呼ばれる、特別養子縁組を前提とした新生児里親委託を推進しています。この制度は、さまざまな事情から、親が産んでも育てられない新生児を育てたいという里親登録をしている家庭に、生まれてすぐに橋渡しをする制度です。
 親がいない子供が、乳児院や児童養護施設ではなく、家庭の中で愛情を受けて育つことは、子供の権利も守られることにつながります。また、子供ができずに悩んでいた夫婦も、赤ちゃんを迎えて、新しい家族を築くことができるのです。
 東京都は、四月に社会的養護施策推進計画を策定し、その中で家庭的養護を推進していくとしています。
 今後、特別養子縁組も含め、里親委託を推進していくべきと考えます。所見を伺います。
 また、我が党が一貫して取り上げてきた、妊娠、出産に関する切れ目のない支援の中で、昨年より妊娠相談ほっとラインが開始されました。特に、予期しない妊娠や望まない妊娠で悩んでいる女性にとり、この窓口が果たす役割は大変重要であり、利用した方からも喜びの声が届いております。
 しかしながら、相談受け付けの曜日、時間が限られているため、急な対応が必要なときにすぐに相談ができないとの声も寄せられています。利用状況を検証し、相談時間の拡充をすべきです。
 これまでの利用実績と今後の事業の展開について伺います。
 次に、若者の命と健康を守ることから、HIV感染、エイズ予防について伺います。
 昨年の都のHIV感染、エイズ患者の報告数は五百十二件で、過去三位となり、HIV感染者は二十代から三十代に多く、二十代は百四十八件で、前年より四十五件も増加し、過去最高となっています。また、ほかの性感染症でも、梅毒が過去最多で、特に二十代の女性の感染が倍増している驚くべき状況です。正しい知識と理解、関心を深め、予防することが重要です。
 先日、東京都エイズ啓発拠点ふぉー・てぃーに伺いました。中高生から若者が気軽に相談できる工夫がされており、性に悩む世代にもワンストップで役に立つ重要な活動であると感じました。さらに周知し、内容の充実を図るべきと考えます。また、若者向け予防キャンペーンなどを強化するべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
 また、学校教育でも、性に関する健康教育も重要であります。
 先日、有村少子化担当大臣は、少子化対策の一環として、妊娠、出産に関する医学的な知識を学校で教える考えを示しました。高校の保健体育向けの副読本にこうした内容を盛り込み、秋以降に各校に配布をし、学校側の判断で授業やホームルームなどで活用を進めるとしています。
 これは、日本産科婦人科学会を初めとする九つの学術団体が中心となり、大臣宛てに提出をされた、学校教育における健康教育の改善に関する要望書が反映されたものと聞いており、医学関係者の協力も期待できます。
 今、生徒たちを取り巻く環境は、インターネット等を通じ、さまざまな情報が簡単に入手できる状況にあり、そうしたことからも医学的に正しい性の知識が必要です。医師や看護師、専門家による出前授業などで性に関する健康教育を実施する必要があると考えますが、見解を求めます。
 また、中学、高校という多感な思春期において、性の悩みも生まれます。
 昨年、文部科学省は、性同一性障害を抱える児童生徒に関する初めての調査の結果を公表しました。その結果によると、全国で六百六人が、学校側に悩みや対応を相談していることがわかりました。
 私は、世田谷区内で開催されたLGBT成人式に参加をしました。その際、参加者との懇談の中で、先生や友達にわかってもらえなかった、何げない言葉に傷ついたなど、子供のころのつらい経験を聞いてきました。
 また、教員からも、生徒の接し方に戸惑うことがある、相談先もわからないなど、悩みを聞いてまいりました。まずは、児童生徒が安心して学校生活が送れるよう、教員がどのように対応し、かかわることが望ましいかなどを学ぶ必要があるのではないでしょうか。
 そこで、教員を対象にした研修を実施すべきであると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、市街地再開発事業について伺います。
 地元世田谷区で昭和五十七年からスタートした二子玉川東地区再開発も、いよいよ来月、ホテル、オフィス棟の完成をもち、全ての事業が完了となります。三十三年間という長きにわたり、地域住民や事業関係者がさまざまな困難を乗り越え、当時の課題であった脆弱な都市基盤、交通渋滞、老朽化した家屋、防災上の問題などを解決するとともに、地域の若者が待ち望んでいた音楽スタジオ、映画館なども整備され、安心、快適な新しいまちに生まれ変わりました。
 また、国分寺崖線と多摩川という豊かな自然環境に囲まれている一方で、治水対策も必要な地域でもあることから、再開発事業に合わせて、スーパー堤防の機能も備えた防災公園も整備されました。
 このように、再開発事業は、防災を初めとした地域が抱える問題を一体的に解決し、安全で快適なまちに一変することが可能です。
 一方、地元世田谷区を初め、都内には多くの木密地域が存在し、道路などの都市基盤の不足に加え、老朽住宅が多く、建てかえが進まないことから、早急な改善が求められています。この大きな力を持った再開発事業は、木密地域の改善に効果的と考えます。
 そこで、木密地域の改善に当たっては、都が積極的に再開発事業の活用を誘導すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、駒沢オリンピック公園の魅力向上について伺います。
 私の地元、駒沢オリンピック公園では、スポーツを楽しむ人、ドッグランでペットと遊ぶ人、そして、ぶたさん公園や、りすさん公園などで遊ぶ親子連れと、特に土日は大変なにぎわいで活気にあふれています。
 公園内では、屋内球技場など、スポーツ施設の建てかえ工事は進められていますが、売店や休憩場所は老朽化しており、数も少なく、ゆっくり座ってくつろげる場所がありません。
 私も以前より、利用者からの改善要望の声を都に届けてまいりました。知事の所信表明にもあったとおり、都は、このたび公園の多面的な活用の第一弾として、民間の飲食店事業者の公募により、カフェやレストランの設置を発表したことは大変期待するところであります。前回大会のレガシーでもあるこの公園が、二〇二〇年に向けてさまざまなイベントでも活用されることを、地域の皆様は大変楽しみにしています。
 そこで、駒沢オリンピック公園のさらなる魅力向上に向けて、初めて展開される今回の取り組みについて伺います。そして、今後はこのような取り組みがほかの都立公園でも広がることを要望いたしまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 栗林のり子議員の一般質問にお答えいたします。
 少子化対策についてでございますが、少子化は、東京のみならず、これからの日本全体のあり方に大きな影響を与えるものであります。
 少子化の進行に歯どめをかけ、子供を大切にする社会を実現するためには、子供を持ちたいと願う全ての人が安心して子供を産み育てることができる環境を整備していかなければなりません。
 そのため、昨年策定いたしました東京都長期ビジョンには、妊娠から子育てまでの切れ目のない支援、保育サービスの拡充、子育てしやすい環境の整備、ワークライフバランスの推進など、さまざまな施策を盛り込んでございます。
 もとより、結婚や出産は、一人一人の価値観や人生観に深くかかわるものでありまして、社会が強制できるものではありませんが、都は、子供を持ちたいと願う人のために、少子化の問題に正面から向き合い、福祉、医療、雇用、住宅、教育など、あらゆる分野の政策を総動員いたしまして、全力で対策を講じてまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、性に関する健康教育についてでありますが、高等学校における性に関する指導では、生徒が性や生命の大切さについて正しい知識と意識を身につけ、適切に行動できるようにすることが重要であります。
 このため、都教育委員会では、都立高校からの要望に応じて産婦人科医を派遣し、生徒、教職員への講演、教職員からの個別相談についての対応、教職員への研修等を実施することにより、学校が行う健康相談や保健指導等の学校保健活動を専門的な視点から支援しております。
 今後とも、全校の養護教諭等を対象とした産婦人科医の講演会や学校関係者との連絡会等を通じて、派遣事業について一層の周知を図ることにより、取り組み校を拡大するなど、産婦人科医派遣をさらに充実させてまいります。
 次に、性同一性障害等に関する教員研修についてでありますが、性同一性障害等の児童生徒が自分らしさを発揮し、生き生きと学校生活を送ることができるようにするためには、教員が研修等を通して、このような人権課題についての正しい理解と認識を深める必要がございます。
 これまで都教育委員会は、学校が性同一性障害等の児童生徒の心情に配慮し、適切な対応を図ることができるようにするため、通知文を発出するとともに、教員からの相談に対して具体的な指導や助言を行ってきております。
 今後は、教員研修等において、医療や心理の専門家等を講師として招聘するとともに、研修内容等をまとめた指導資料を作成、配布するなどして、性同一性障害等の児童生徒に対し、よりきめ細かな支援ができる教員を育成してまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 駒沢オリンピック公園における魅力向上の取り組みについてでございますが、公園の多面的な活用を進めることで新たなにぎわいを創出し、公園の魅力をさらに高めていくことは重要でございます。
 このため、都立公園では初めての取り組みとして、民間事業者がみずから、店舗のデザインから建築までの全てを行い運営するレストラン、カフェを設置することといたしました。
 この店舗では、にぎわいの創出に加えて、売り上げの一部を還元させ、Wi-Fiなど情報取得に必要な通信設備の設置や、乳幼児用の粉ミルク、紙おむつなどの備蓄を行ってまいります。さらに災害時には、店舗そのものを被災者の支援を行う施設へと転用することで、防災機能の向上に役立ててまいります。
 今後とも、都市の貴重な緑を守りつつ、都民ニーズに合った多彩な機能を持つ公園づくりを推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京子育て応援事業についてでありますが、この事業は、NPO法人や企業等が実施する子育て支援や、結婚へ向けた出会いの場づくりを含むさまざまな先駆的、先進的取り組みを支援するものでございまして、今年度は五月十八日から事業者の募集を行っております。
 今回の募集に当たりましては、子供の健全育成等に取り組むNPO法人へチラシを個別送付するほか、都内事業者向けのメールマガジンやパンフレットを活用するなど、周知に工夫を凝らしており、六月上旬に開いた説明会には、昨年度の二倍を超える二百四十の事業者の参加がございました。
 今後、本事業により多くの事業者が参画するとともに、事業の成果が広く都民に活用されますよう、さまざまな媒体を通じて情報発信してまいります。
 次に、養育家庭等への委託の推進についてでありますが、子供は本来、家庭的な環境のもとで愛情に包まれながら健やかに養育されることが望ましいものでございます。
 そのため、都は、家庭的養護の取り組みを進めており、養育家庭の登録数をふやすため、制度を都民に広く周知するとともに、養育家庭に対し、児童相談所や民間団体を活用したきめ細かな支援を行ってまいりました。
 本年四月に策定した社会的養護施策推進計画では、平成四十一年度に社会的養護に占める家庭的養護の割合を、現在の三割から六割に引き上げる目標を定めており、今後、国の養子縁組に関する研究成果も踏まえ、特別養子縁組を含めた養育家庭等への委託の推進など、具体的な方策について専門家の意見を聞きながら検討し、家庭的養護を一層進めてまいります。
 次に、妊娠相談ほっとラインについてでありますが、昨年七月に開設した妊娠相談ほっとラインでは、妊娠や出産に関する悩みを抱える女性からの相談に対し、看護師等の専門職が電話やメールで対応し、助言などを行っております。相談は、本年四月までの十カ月間で八百六十四件寄せられておりまして、そのうち予期しない妊娠や望まない妊娠に関する相談が約四割を占めております。
 現在、このホットラインを広く周知するため、区市町村や医療機関等でリーフレットを配布するほか、電車内にポスターやステッカーを掲示するなど、さまざまな媒体を活用して広報を行っており、今年度は新たに母子健康手帳の交付時に普及啓発用カードを渡すこととしております。
 今後、これまでの利用実績を踏まえながら、より利用しやすい実施体制につきましても検討を行ってまいります。
 最後に、HIV、エイズの若者向け普及啓発についてでありますが、若者向けには、現在、エイズ啓発拠点ふぉー・てぃーで、若者の自発性と発想を生かした予防啓発イベントや交流を行いますとともに、保健所や看護協会が専門研修を受けた学生等とともに、学校や地域で若者同士が学び考えるピアエデュケーションを実施しております。
 今年度は、ふぉー・てぃーの活動を都内各地の青少年センターや大学等に拡大いたしますとともに、ピアエデュケーションの回数もふやしてまいります。
 また、六月から、若者に人気の芸能人を起用して、性感染症の豆知識やHIV、エイズをテーマにした番組をインターネットで配信するなど、HIV、エイズを初めとした性感染症に関する若者向けの予防啓発活動を強化してまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 木密地域におけます再開発事業の活用についてでございますが、再開発事業は、木密地域の改善に効果が大きいことから、都は、民間施行の取り組みを支援するとともに、白鬚西地区や北新宿地区などの都施行事業を行ってまいりました。
 また、不燃化特区制度の活用に当たりましても、西新宿五丁目地区や大森中地区など八地区におきまして、再開発事業をコア事業として位置づけ、建物の共同化や道路、広場の整備などにより、市街地の不燃化とともに居住環境の改善を推進しております。
 都は今後とも、防災まちづくりの勉強会や専門家の派遣に対する支援などを通じまして、木密地域における再開発事業の活用を促し、安全・安心な市街地の形成に取り組んでまいります。

副議長(藤井一君) 五番栗山よしじ君
〔五番栗山よしじ君登壇〕

○五番(栗山よしじ君) 初めに、都財政の運営についてお伺いいたします。
 都は、舛添知事初の本格的な予算となる平成二十七年度予算をつくり上げ、長期ビジョンの実現に向け第一歩を踏み出しました。
 その中で、先般の予算特別委員会において取り上げましたが、都は、二倍の見直しインセンティブという仕組みを活用し、施策の新陳代謝を促進しました。
 その結果、事業評価など自己改革の取り組みにより、二百三十九の事業を見直し、約四百十億円の財源を確保しました。また、新規事業は三百三十となり、その金額は、見直し額の二倍以上の九百億円を上回りました。
 長期ビジョンの実現や都民サービスの向上という観点から、積極的な施策の展開は大変よいことでありますが、常に好景気が続くわけではなく、その財源には限りがあります。二倍の見直しインセンティブなどの手法を効果的に活用するのであれば、その裏づけとなる財源が必要になります。
 こうした点を踏まえれば、いかなる状況にあっても、今後の財政状況を十分に検討し、五年後の東京五輪はもとより、その先までを意識し、施策のスクラップ・アンド・ビルドを行い、計画的な財政運営を行うことは極めて重要であります。現在の都財政は健全性を確保していますが、こうした考えは、時代や財政状況によって変わるものではありません。
 オリンピック・パラリンピックの開催準備、防災対策の強化、少子高齢化への対応など、都が抱える課題が山積する中、来月には見積もり方針が示され、来年度の予算編成がスタートします。都民サービスの効率的かつ安定的な提供という使命を都が果たすためには、事業一つ一つを常に磨き上げるとともに、しっかりと将来を見据えた財政運営を行っていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、女性のがん検診について伺います。
 私は、四月に五十四歳の姉を亡くしました。四十五歳で乳がんを患い、既に骨に転移をしており、十年間の闘病生活でした。亡くなる二日前に話をしたときには、両親を見送ることができ、一人娘が成人になるまで見られて納得しておりましたが、一方で、娘の結婚について気にかけておりました。きっと結婚式にも出たかっただろうし、孫の顔も見たかったと思うと、無念でなりません。姉のような方を少しでも減らすためにも、がんの早期発見は重要です。
 その翌月の五月二十日、国立がん研究センターが、がんによる死亡者数を二〇一五年までの十年間で二〇%減らす国の目標について、達成は困難との見通しを明らかにしました。
 それによると、がん検診の受診率は、最も高いもので男性の肺がん検診で四七・五%、女性は胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん及び乳がん検診の受診率は、いずれも三〇%台に低迷しているところでございます。
 東京都が実施した各種調査を見ても、がん検診の受診率は、男性に比べて女性の方が低い傾向にあります。また、女性を対象とする乳がん、子宮頸がんの検診では、仕事をしている女性に比べて専業主婦等の仕事をしていない女性の受診率が低くなっています。
 こうした実態については、より詳細な調査分析が望まれるところですが、職場での検診機会がない女性に対する受診率を上げていくためには、専業主婦等に対し、区市町村が実施している検診の受診を促していくことが必要であります。
 受診率向上には、区市町村検診への受診勧奨とあわせ、多くの女性にがん検診の重要性を知ってもらうことが大切だと思います。例えば、職場などで受診勧奨をされない子供のいる専業主婦等が情報交換をするのは、自分の子供が通っている学校の保護者同士が多いと思います。
 そこで、学校のPTAを活用して検診受診を呼びかけることにより、がん検診への意識を高めるなど、女性のがん検診受診率の向上に向けた取り組みが必要であると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、特定整備路線沿道における区との提携したまちづくりについて伺います。
 昨日の我が党の代表質問で、都は、木密地域の安全性を高めていくには、延焼遮断帯の整備とともに、その内側の市街地の不燃化を推進していく必要があり、今後、新たな防災都市づくり推進計画に具体的な施策を盛り込んでいくとの方向性を示しました。木密地域の防災性向上は早急に実現しなければならない課題であり、内側の市街地の不燃化に向けた多様な取り組みを進めることは重要であります。
 同時に、木密地域の実情も地域によってさまざまであり、地域の実情を踏まえて延焼を防止していくためには、沿道のまちづくりの推進など、延焼遮断帯の整備に向けた取り組みについても着実に進めていただきたいと思います。
 現在、私の地元である目黒区の補助第四六号線沿道では、特定整備路線の整備にあわせ延焼遮断帯を形成するため、区が地区計画の導入を検討していると聞いております。
 都は、用途地域を変更するなど、こうした区の取り組みを支援していくことが必要と考えますが、都と区が連携したまちづくりについて所見を伺います。
 次に、東京港の視察船について伺います。
 東京港は、物流拠点として、首都圏四千万人の生活と産業を支えるために不可欠な役割を果たしているとともに、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技会場の多くや選手村を抱える臨海地域を背後に有するなど、東京の中でも今注目を浴びる地域の一つです。
 現在、東京港には、都が所有する視察船「新東京丸」があります。この「新東京丸」に乗船すると、レインボーブリッジの真下を航行し、大型船が着岸しダイナミックに荷役を展開しているコンテナふ頭などを間近に見ることができます。また、にぎわいのある臨海副都心や植樹の進む海の森などを海から見ることができます。多くの都民の皆さんに「新東京丸」に乗船していただき、東京港の重要な物流機能や臨海地域の将来への発展を実感してほしいと考えております。
 しかし、「新東京丸」は、通常、平日のみの運航となっており、平日お休みでない方には乗船しにくいのではないでしょうか。「新東京丸」が土日運航できれば、より多くの都民が乗船することができると考えます。
 そこで、都は、視察船「新東京丸」の土日の運航を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 現在の視察船「新東京丸」は、建造から三十年を過ぎ、老朽化が目立っています。そのため、都は新しい視察船を建造するものとお聞きいたしました。船の建造には多額の費用がかかることから、都は、将来を見据え、新しい視察船の効果が最大限発揮できるよう、単に船の形を決めるだけではなく、効果的な運用も含め十分な検討をしていくことが必要だと思います。
 ぜひ新しい視察船は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会のよりよいレガシーの一つとして後世に残すことができればと考えますが、そこで、都は今後、視察船についてどのような視点から検討していくのかお伺いします。
 次に、土壌汚染対策について伺います。
 土壌汚染対策は、都民の健康と安全の確保はもとより、世界で一番の都市東京の実現に向けた都市づくりを円滑に進めていくためにも、確実に行われることが重要であります。
 土壌汚染対策法や環境確保条例では、有害物質を取り扱う工場や事業場を廃止する際には、まず土壌汚染の調査を行い、その後、汚染の状況に応じた対策を実施することとしていますが、中小企業にとっては初めての経験で、ノウハウもなく、戸惑いを感じることも多いようです。
 こうした状況に対し、東京都では、我が党の提案を受けて、アドバイザー制度などさまざまな技術的支援を実施してきました。
 そこで、まず、都が実施している支援策が中小事業者の土壌汚染対策にどう貢献しているか伺います。
 都が行っているさまざまな技術的支援策は、中小事業者からニーズは高いが、一方で、調査や対策にかかる経費の負担が大きいとの声も聞きます。
 負担軽減策の一つとして、国には土壌汚染対策費用の助成金交付事業というものがありますが、平成十五年度の事業開始以降、たったの二件しか交付されていません。これは、助成の対象となる条件が厳し過ぎるためと考えられ、使いやすいものとなるよう国に求めていくべきであります。また、現行の規制制度の問題点などを把握し、都として対応を検討していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、水道の給水装置関係の電子化について伺います。
 水道局では、インターネットを利用した給水装置関係の工事申請等の電子化を推進しています。これにより、指定事業者が水道局に出向く回数が減少するため、負担が軽減されるとともに、工事が迅速に施工されることから、都民サービスの向上が図られています。
 我が党は、さきの第一回定例会において、給水装置関係の電子化の利用拡大のため、サポート体制を充実することや、水道管管理図の電子閲覧については、対象の拡大を提言したところでございます。
 これを踏まえ、水道局は、事業者へのアンケート結果等をもとに利便性のさらなる向上に努めるとともに、情報セキュリティーに十分配慮しつつ、水道管管理図の電子閲覧は対象の拡大を検討すると答弁されました。
 そこで、給水装置関係の電子化について、閲覧の拡大など現在の取り組み状況をお伺いいたします。
 次に、特別区消防団をさらに充実強化するための入団促進方策についてお伺いします。
 いつ来るかわからない首都直下地震。震災時には、私の地元目黒区でも、死者三百三十二人、負傷者三千百九十五人、全壊、半壊八千六百六十四棟と予想されております。
 震災時に重要なことは、自助、共助、公助だと思います。その重要な共助と公助を担うのが消防団です。現在、特別区消防団は定足数一万六千人に対して、平成二十七年四月現在で、約一万四千人と、二千人足りない状況です。現在、各区でその足りない定足数に対してどのような施策ができるか、消防団運営委員会で議論をされております。来年三月には答申が出される予定になっております。
 目黒区でも、協力事業者の税制や契約面での優遇措置など、さまざまな施策の検討がされております。
 特別区消防団の定員を早期に確保し、地域の防災力を高めていく必要があると考えますが、消防団員の入団促進方策について東京消防庁にお伺いいたします。
 以上で質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 栗山よしじ議員の一般質問にお答えいたします。
 財政運営についてでありますが、二〇二〇年の東京とその先の明るい未来に向け、都民福祉を向上させていくためには、現場感覚にかなった実効性の高い施策を積極的に構築していかなければなりません。
 あわせまして、景気の荒波に翻弄されてきた都財政の歴史、さらには今後増大する社会保障関係費や社会資本ストックの更新経費などを踏まえれば、施策展開の基盤となる財政対応力を堅持することも重要でございます。
 こうしたことから、これまでも全ての施策について、事業評価など自己改革の取り組みを徹底し、施策の効率性や実効性を高めております。また、将来の財政負担を見据え、都債の計画的な活用や基金残高の確保などを図ってきており、引き続き、中長期的な視点に立った財政運営を行うことが不可欠でございます。
 今後とも、都民ニーズを的確に捉え、必要な施策には機動的かつ集中的に財源を投入し得る強固な財政基盤を堅持しながら、世界一の都市東京の実現に向け、全力を尽くしてまいります。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 女性のがん検診の受診率向上への取り組みについてお答えをいたします。
 がん検診の受診率を向上させるためには、実施主体である区市町村が、対象者に応じた効果的な取り組みを行うことが必要でございます。
 このため、都は、本年三月、区市町村向けに、受診勧奨に当たっての対象の決め方や周知方法、受診しやすい環境整備などについて取りまとめた手引を作成いたしました。手引には、検診の機会を逃すことが多い専業主婦にも周知できるよう、教育委員会の協力を得て、小中学校の児童生徒を通じて保護者に受診勧奨のチラシを配布した事例も盛り込んでおります。
 今後とも、こうした取り組み事例を積極的に紹介いたしますとともに、包括補助事業も活用し、がん検診の受診率向上に取り組む区市町村を支援してまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 特定整備路線沿道におけます区と連携したまちづくりについてでございますが、都は、目黒区原町一丁目、洗足一丁目地区につきまして、不燃化特区に指定するとともに、地区内の補助第四六号線を特定整備路線に位置づけ、既存の商店街の意向なども勘案しながら、まちづくりと一体的に道路整備を進めているところでございます。
 地元区では、延焼遮断帯や、にぎわいあるまち並みの形成を図るため、この地区を対象とする地区計画の策定を目指しておりまして、住民説明会を行ってございます。
 都といたしましても、こうした取り組みを踏まえ、特定整備路線沿道について用途地域を適切に見直し、不燃建築物への建てかえを促進することによりまして、道路整備と一体となった延焼遮断機能の確保に向けて、区のまちづくりを支援してまいります。
〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

○港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京港の視察船の運航についてですが、視察船は、東京港の物流や臨海副都心のまちづくりなどを、直接都民を初め多くの方々に理解していただけるという重要な役割を果たしており、昨年度も稼働率は七割を超え、約一万二千人の方々に利用していただいております。
 これまでは、一般都民のほか企業や経済団体の視察など、平日利用の需要が大きいことに加え、休日での運航は、民間の遊覧船の運航事業者の経営に影響を及ぼすと懸念する声も一部にあることから、基本的に平日の運航としてまいりました。
 視察船が老朽化しているなどの一定の制約はあるものの、都民の方々などの利便性を考えると、土日の運航は大きな意義があるため、特定日に運航するなど、東京港をアピールしていく機会をこれまで以上にふやしてまいります。
 次に、新視察船についてであります。
 現在の「新東京丸」は老朽化が著しく、更新の時期を迎えていることに加え、今後、二〇二〇年東京大会に向けて、国内外から東京港の視察がふえることが想定されるため、新しい視察船の建造に着手することといたしました。
 建造に当たっては、都民はもとより海外からの視察への対応や、土日、夜間の航行などの乗船の機会の増加、オリンピック・パラリンピック盛り上げを初めとしたイベント時の活用、東京港のシンボルとなり得る洗練されたデザイン等も含め、さまざまな観点から検討していくことが必要であると認識しております。
 今後、こうした点を踏まえ、必要な規模や機能を中心に調査検討を進め、新しい時代にふさわしい視察船を建造してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 土壌汚染対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、土壌汚染対策に係る都の支援策についてでございますが、都は、土壌汚染対策が適正かつ円滑に行われるよう、中小事業者に対してさまざまな技術的支援を実施しております。
 平成十六年度から毎年開催している技術フォーラムや、二十二年度から配布している対策ガイドラインにより、事業者が土壌汚染対策の方法や手続に理解を深め、複数の対策方法の中から最も合理的なものを選択し、対応の迅速化を図ることができるようになりました。
 また、中小事業者や工場のある土地の所有者からの依頼に基づき専門家を派遣する土壌汚染対策アドバイザー制度は、事業者の個々の実情に合った助言により、汚染が未然に防止できた、適切な調査や必要最小限の対策にとどめることができたなど、多くの事業者から評価の声をいただいているところでございます。
 次に、土壌汚染対策に係る今後の対応についてでございますが、土壌汚染対策を円滑に進めるためには、中小事業者の負担軽減は重要な課題であると認識をしております。
 今年度、国は、土壌汚染対策法の改正の検討を始めたことから、現場を持つ都としては、事業者が実施する調査や対策の状況を分析した上で、手続上の負担を軽減する制度への改善や、中小事業者が対策を円滑に行うための助成制度の拡充について、国に強く求めてまいります。
 また、都が行っているアドバイザー制度などの技術的支援により、事業者は低コストで合理的な調査や対策を選択することができるようになるため、実質的な経費負担の軽減につながります。
 引き続き、中小事業者のニーズなどを着実に把握し、技術的支援に積極的に取り組んでまいります。
〔水道局長吉田永君登壇〕

○水道局長(吉田永君) 給水装置関係の電子化の取り組み状況についてでありますが、水道局では、平成二十六年一月から、給水装置工事の申請や水道管管理図の閲覧の電子化を順次導入してまいりました。
 現在、利便性向上を図るため、指定給水装置工事事業者へのアンケート結果や問い合わせ窓口に寄せられました声の分析を進めており、特にシステム操作に不安があるとの声が多いことから、今後は、操作に関する講習会の開催頻度を増すなど、サポート体制をさらに強化してまいります。
 また、水道管管理図の電子閲覧の対象拡大につきましては、情報管理の徹底を図る観点から、申請者の所在地、名称及び閲覧履歴を確認できる方法やシステム改修の検討を進めております。これにより、指定給水装置工事事業者に限定せず、法人、個人を問わず対象を拡大して、平成二十七年度中の運用を目指してまいります。
〔消防総監大江秀敏君登壇〕

○消防総監(大江秀敏君) 特別区消防団員の入団促進方策についてでございますが、地域防災のかなめである消防団の定員確保は極めて重要であることから、町会、自治会等と連携した募集活動のほか、トレインチャンネル等の各種媒体による広報や、消防団協力事業所表示制度を活用した事業所等への働きかけを行っております。
 また、今年度から、若い世代への取り組みとして、大学生等の消防団員の就職活動などを支援するため、特別区学生消防団活動認証制度を創設し、平素の消防団活動を社会貢献活動として認証することといたしました。
 さらに、消防団を充実強化するための入団促進方策等について、特別区の各消防団運営委員会に諮問したところでありまして、今後とも関係機関と連携し、消防団の定員確保に向けて積極的に取り組んでまいります。

副議長(藤井一君) 七十一番田中たけし君
〔七十一番田中たけし君登壇〕

○七十一番(田中たけし君) まず初めに、環境エネルギー政策について伺います。
 現在の我が国は、地球温暖化対策のため、CO2削減を目指す一方で、東日本大震災以降、原子力発電所が停止し、火力発電所に頼らなくてはならず、一刻も早く環境に優しいエネルギー源の確保が求められております。
 水素エネルギーは、環境負荷の低減、エネルギー供給源の多様化、経済産業への高い普及効果、災害時対応など大きな可能性を有しており、水素エネルギーを本格的に利活用する社会を早期に実現することは大きな意義があると認識しております。
 我が党では、水素社会の実現について勉強会を重ね、都にさまざまな提言を行っており、都はこれを受けて戦略目標を策定し、四百億円の基金を創設するなど、評価しております。
 また、先日開催された関東甲信越一都九県議会議長会では、高島なおき議長から、水素エネルギー社会の実現に向け、国への規制緩和等の要望をご提案いただき、採択されました。
 このように、水素社会への動きを着実に進めるためには、都の取り組みに加えて、近隣自治体との連携、さらには水素の利活用を多くの事業者へ広げていくことも重要であります。
 こうした点を踏まえ、都として、オリンピック・パラリンピックを通じて、日本の高い技術力や環境先進都市としての姿を世界に発信していくためにも、二〇二〇年を機に、水素エネルギーを普及させていくことが必要であると考えます。知事の見解を伺います。
 また、水素エネルギーを確実に普及させていくためにも、燃料電池自動車の利用者が、燃料である水素の補給を心配せずに済むよう、水素ステーションの整備を着実に進めることが極めて重要であります。
 整備に当たっては、既存のガソリンスタンドへの併設が有効ですが、規制や経済性の観点から、都内の多くの中小事業者が参入しづらい状況にあるとも伺っており、参入しやすい環境整備が必要であると考えます。
 こうした点を踏まえ、二〇二〇年に三十五カ所を整備する戦略目標の達成に向け、どのように推進していくのか、都の見解を伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 東日本大震災から四年が経過し、被災地の復興がまだ道半ばである中、小笠原諸島西方沖や埼玉県北部を震源とする地震に見舞われ、今後、首都直下地震の発生が危惧されます。そのため、発災時に特に大きな被害が想定される木造住宅密集地域の防災性を向上させることは喫緊の課題であります。
 都は、平成二十四年に木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げ、木密地域の防災性の向上に資する特定整備路線の整備を進めております。
 私の地元品川区でも木密地域が多く、地域危険度の高い地区が広範囲にわたっており、木密地域の安全性を高めるための補助二九号線など、三つの特定整備路線が事業化されており、地元の理解を得ながら、一刻も早くこの三路線の整備を進めていくべきと考えます。
 しかし、さきに行われた統一地方選挙において、地元住民の不安をあおり、無責任にも特定整備路線の整備効果がないと主張していた政党があり、特定整備路線の整備よりも建物の耐震化を進めるべきとの主張も行っておりました。
 しかし、それぞれの事業目的は異なり、木密地域で火災が発生した際、延焼遮断帯がなければ地震に耐えた建物も燃えてしまうため、主張の目的がよくわからず、ただただ地元住民の不安をあおることを目的とした主張としか思えませんでした。また、他地区でも同様の主張があったとも伺っております。
 そこで、改めて特定整備路線が防災上どのような効果があるのか、お伺いいたします。
 特定整備路線に関し地元の理解を得るには、整備による効果の説明や関係権利者の生活再建支援とともに、地域の望むまちづくりへの貢献も大切であります。商店街と並行する区間では商店街の再生を、鉄道と交差する区間は連続立体交差化を進めるなど、まちづくりにも積極的に取り組むことを強く要望いたします。
 また、木密地域の防災性をさらに向上していくには、特定整備路線の整備とともに、その内側の市街地において不燃化特区事業を推進することも重要です。
 品川区では、不燃化特区の最初の募集に手を挙げた東中延地区を皮切りに、現在九地区、約三百ヘクタールで市街地の不燃化に重点的に取り組んでいます。既に幾つかの地区では具体的な成果が上がっており、昨日の我が党の代表質問を踏まえ、先行して実施した地区の成果を共有し、他地区でも有効活用すべきとの考えから、この東中延地区におけるこれまでの実績と今後の取り組みについて伺います。
 次に、医療人材の育成について伺います。
 平成二十六年版高齢社会白書によると、平成二十五年の高齢化率が二五・一%と過去最高となり、四人に一人が高齢者となりました。今後も高齢化率が上昇し、二〇三五年には三人に一人、二〇六〇年には二・五人に一人が高齢者になると推計されており、確実に高齢化が進んでいます。
 このように高齢化が進む中、今後さらに医療に対する期待や要求も増大し、医療人材の確保が重要な課題になると認識しております。当然、医師の人材確保も必要ですが、同時に、看護師の人材確保も必要と考えます。
 このような認識のもと、先日行われた都立広尾看護専門学校の戴帽式に出席いたしました。学生にとって、看護師となる決意を新たにする機会であるだけではなく、教職員の学生に対する期待の大きさが伝わる感動的な式でありました。
 また、大学で四年間かけて履修する科目を、都立看護専門学校では三年間で集中的に学んでいる様子を伺い、さらに国家試験も毎年ほぼ全員が合格している実績を伺い、学生の使命感と教職員の熱意を強く感じました。
 舛添知事にも、その実績を評価していただきたいと思いますが、そうした学生や教職員の熱意を感じればこそ、これまで改築された板橋看護専門学校や荏原看護専門学校のような最新の設備が整った学習環境の中で教育が行われることを願うものであり、改築が中断され、最新設備が整備されていない広尾看護専門学校の建築計画が進むことを強く要望いたします。
 都内には、都立看護専門学校だけではなく、多くの民間養成所があります。近年は大学の新設もふえており、その結果、入学定員は年々増加しております。
 しかし、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年に向けて、医療や介護の需要がさらに増加する中、看護師等の需要はますます高まると予想されております。
 そこで、看護職員の確保に向けた都の取り組みについて伺います。
 また、看護職員の確保だけではなく、医療の高度化や専門化に対応できる看護職員を養成することも重要であり、養成所等での教育の質の向上も必要であると強く考えます。都立看護専門学校の高い国家試験合格率や臨床現場での卒業生の高い評価は、まさに教育のたまものにほかならないと思っております。
 そこで、教育の質の向上には、教員の果たす役割が大きいと認識しておりますが、都としては教員の養成にどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
 次に、都市基盤整備について伺います。
 国家戦略特区に位置づけられた品川駅周辺は、国際化が進展する羽田空港に近接し、品川駅がリニア中央新幹線の始発駅になるなど、国内外の広域交通結節点としての役割が期待され、日本の成長を牽引する国際交流拠点として整備していくことが求められています。
 この拠点性を高めるため、公民協働により、新駅に隣接するJR車両基地跡地を活用した開発や品川駅の再編、道路等の基盤整備などの検討が進められています。
 国際交流拠点としての整備が進められる中、京急線品川駅から北品川駅付近には、長年の懸案である八ツ山橋踏切や旧東海道の品川第二踏切などが残っております。
 この八ツ山橋踏切付近は、一日七百本以上の上下線が通過し、しかも京急線が蛇行しているため、通過車両もスピードが出せず、その分、踏切の閉鎖時間が長く、地元住民の生活に大きく影響しております。これまでも踏切の解消の要望を受け、取り組んでまいりましたが、踏切解消はまさに地元の念願であります。
 品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン二〇一四にも位置づけられているこの踏切の解消を、国際交流拠点にふさわしい品川駅の周辺開発に合わせ、連続立体交差事業で行うことを大いに期待しています。
 そこで、この京急線の連続立体交差事業の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、オリンピック・パラリンピック開催を契機とした多言語対応について伺います。
 先月、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムが発表した報告書において、日本は、おもてなしに関する項目で一位の評価を受けました。これは、日本のきめ細やかなサービスや日本人が持つ他人への思いやりの気持ちが高く評価されたものであります。
 都においても、外国人旅行者が言葉の壁を感じることなく快適に滞在できるよう、国、区市町村、民間等と連携し、二〇二〇年大会に向けた多言語対応の取り組みが進んでいます。
 こうした中、本年四月までの訪日外国人旅行者数は昨年の四割増と、急激な増加が続いており、二〇二〇年大会はもとより、二〇一九年のラグビーワールドカップも見据えると、全国の自治体や民間と連携し、オールジャパンによる多言語対応の取り組みの加速が急務であると認識しております。
 品川区では、少しの英語に、おもてなしの気持ちを込めて外国人観光客を積極的に受け入れる雰囲気を商店街や地域全体でつくり上げることを目的にした、英語少し通じます商店街事業が行われています。こうした地域に根差し、外国人の目線に沿った取り組みを広く紹介することも、地域単位で多言語対応を進めるには有効であると考えます。
 そこで、今後の多言語対応の具体的取り組みについて伺い、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 田中たけし議員の一般質問にお答えいたします。
 水素社会の実現に向けた取り組みでございますが、成熟都市で開催される二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の先には、環境と調和した持続的な成長を実現しなければなりません。その先導的な役割を担うのが水素社会の実現であります。
 来月新たに、都市開発事業者などをメンバーに加えました水素社会の実現に向けた東京推進会議を立ち上げます。戦略目標の達成に向けまして、施策の重点化や関連する取り組みの一体的な推進などについて議論し、工程表を策定することで取り組みの実効性を高めてまいります。
 また、水素エネルギーの利用は、一つの自治体の中だけにとどまりません。先日行われました関東地方知事会におきましても、都から提案した民間事業者等への継続的な財政支援や水素ステーションの整備に向けた規制緩和などについて、国に要望いたしました。
 今後、他の自治体との連携をさらに深めるとともに、参入意欲のある事業者への働きかけを行うなど、官民を挙げて水素社会の実現の取り組みを着実に進めてまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、特定整備路線の防災上の効果についてでございますが、平成の広小路ともいうべき特定整備路線は、災害時に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域において、都民の生命と財産を守る重要な道路であり、道路を越えて燃え広がることを防ぐとともに、沿道建物の不燃化が促進されるなど、極めて高い効果がございます。
 例えば品川区の補助第二九号線では、延焼シミュレーションによると、道路の整備により延焼面積が半減いたします。また、安全な避難路の確保や緊急車両による救援活動の円滑化、災害拠点病院へのアクセス向上が図られます。
 昨年度までに計画道路の全二十八区間、約二十五キロメートルの事業に着手したところでございまして、今後とも関係権利者の生活再建に十分配慮し、理解と協力を得ながら、平成三十二年度の完成に向け、邁進してまいります。
 次に、京浜急行本線の品川駅から北品川駅付近における連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、この区間にあります八ツ山橋踏切は、線路が急カーブで、電車が時速二十五キロメートル以下に減速する上、運行本数が多いことから、あかずの踏切となっており、長い間、大きな懸案となっておりました。
 今回、品川駅周辺でリニア中央新幹線や山手線新駅等の開発が国家的なプロジェクトとして動き始めたことから、この機を捉え、品川駅の再編とあわせ、踏切除却や線形の改良を目的とする連続立体交差事業を実施することといたしました。今年度は、この区間を事業候補区間に位置づけ、事業範囲や構造形式などの調査検討に着手いたします。
 今後とも、世界一の都市東京の実現を目指し、国際交流拠点の形成に寄与する本事業の推進に積極的に取り組んでまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 水素ステーションの整備に向けた取り組みについてでございますが、水素エネルギーの本格的な普及には、水素ステーションの整備促進が重要であり、二〇二〇年に三十五カ所整備する戦略目標を確実に達成しなければなりません。
 整備に当たりましては、法規制等により、高いコストや広大な敷地面積が必要となるなどの課題もございます。
 このため、都では、中小事業者に手厚い水素ステーションの整備費補助制度を設け、先月からその受け付けを開始いたしました。また、東京における用地確保の困難性も考慮し、江東区潮見で都関連用地を活用した水素ステーション整備も進めております。
 こうした取り組みを着実に進めるとともに、安全性にも配慮しながら、公道との保安距離の見直しや使用可能な材質の拡大など、整備促進のための規制緩和を国へ強く求めてまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 品川区東中延地区におけます不燃化特区についてでございます。
 当地区は、平成三十二年度までに燃えないまちの実現を目指す不燃化特区に指定いたしまして、平成二十五年から他地区に先行して事業に着手しております。区では、既に八百件近い全戸訪問や相談会を実施いたしまして、約三十件の老朽建築物の建てかえや除却が進められております。
 また、同潤会住宅があった街区では、不燃化に効果の高いコア事業として位置づけた防災街区整備事業が本年四月に都市計画決定されまして、未接道敷地の改善などに向け、年度内の事業化が予定されております。
 今後、都は、他の街区でも防災まちづくりの専門家の派遣に対する支援などによりまして、地区計画の導入による道路空間の確保や老朽建築物の建てかえなどを誘導いたしまして、区の防災まちづくりを強力に推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、看護職員確保の取り組みについてでありますが、都はこれまで、都立看護専門学校の運営、修学資金の貸し付けや看護師等養成所への運営費補助などの養成対策、勤務環境の改善や新人職員研修などの定着対策、身近な地域の病院での復職相談や研修などの再就業対策を三つの柱に取り組んでまいりました。
 特に、都内で約七万人存在すると推計されます潜在看護師を復職につなげるため、東京都ナースプラザでは無料職業紹介を行うほか、都内五カ所のハローワークに職員が出張し、専門相談を行っております。
 今年度は、さらに都医師会や看護協会等と連携しまして、都内各地で地域に密着した就職相談会も開催することとしており、今後十月から開始されます離職する看護師等の届け出制度も活用し、看護職員の確保に取り組んでまいります。
 次に、看護教員の養成についてでありますが、都は、看護教員を目指す看護師等を対象に、約一年間にわたる教員養成研修を実施しておりまして、これまで二千二百人以上が研修を修了しております。
 この研修の受講を促進するため、看護師等養成所に対しましては、研修期間中の代替職員の確保に要する経費の補助を行っており、都立看護専門学校では、教育実習生を積極的に受け入れ、教員の養成に努めております。
 また、看護教員のレベルアップを図るために、五年から十年程度の経験者には、教育実践力やコミュニケーション力の向上等の研修、十一年以上の経験者には、看護教育評価や学校組織マネジメント等の研修も実施しております。
 今後とも、こうした取り組みにより、看護教員の養成や質の向上に努めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 多言語対応の具体的な取り組みについてでございますが、二〇二〇年大会に向け、官民一体で多言語対応を推進し、外国人旅行者の受け入れ環境を整備することは喫緊の課題でございます。都は、長期ビジョン等に基づき、新宿駅の案内表示の改善や翻訳アプリの活用などの取り組みを進めております。
 今後、これらの取り組みを加速させるため、来月には、区市町村や道府県、民間団体を対象とするフォーラムを開催いたします。
 このフォーラムでは、多言語対応の先進的事例やICTの技術動向など、さまざまな実践的ノウハウを提供するとともに、首都大学東京と連携のもと、外国人留学生によるディスカッションを行い、利用者の視点に立って取り組みの拡大も図ってまいります。
 こうした取り組みを通じ、都内はもとより、全国における言葉のバリアフリー化の早期実現を促してまいります。

副議長(藤井一君) 六十四番桜井浩之君
〔六十四番桜井浩之君登壇〕

○六十四番(桜井浩之君) 初めに、人口減少社会への対応について伺います。
 日本の人口は既に減少に転じており、東京の人口も二〇二〇年をピークに減少局面を迎えます。特に労働力人口の減少は、日本の経済規模を縮小させ、ひいては国力の低下にもつながる深刻な事態であります。経済が縮小すれば税収も減る。そうなれば、今後増大が見込まれる介護や医療はもとより、道路などのまちづくりや子供の教育など、政策に必要な財源が確保できず、都民の生活にも大きな影響が生じるわけであります。
 我々は、こうした局面の中にあっても、都民のニーズに応え、その生活を守り抜いていかなければなりません。それには、都民の生活を支える東京経済の活性化を政策の中心に据え、三十年、四十年先を見据えた根本的な手を打っていくことが重要と考えます。
 知事は、さきの所信表明で、二〇四〇年代の東京のあるべき将来像を取りまとめる旨を明らかにいたしました。その将来像の実現のためにも、こうした視点での取り組みが必要であります。知事の強力なリーダーシップのもと、外部の知見を取り込み、官民連携によるオール東京で、産業構造の変革や、全ての人が活躍できる社会を実現し、東京こそが首都として日本の経済を牽引し続けなければならないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、新技術や契約制度についてお伺いいたします。
 身近な社会資本の整備や維持管理を支え、同時に地元の雇用も担っている中小企業の中には、すぐれた技術を有する事業者も少なくありません。
 さきの第一回定例会における都有施設維持更新に関する我が党の代表質問に対し、民間の新技術を積極的に取り入れ、その効果を検証し、標準化を図る新たな制度を実施していく旨の財務局長答弁がありました。このような制度が今年度創設されれば、民間事業者にとっても、新たな技術を開発しようという機運が高まるとともに、大企業のみならず、技術力を持つ中小企業に対してもビジネスチャンスにつながるわけであります。
 そこで、都有施設への民間の新技術導入に関してどのように取り組むのか、お伺いをいたします。
 次に、中小企業を支える大切な取り組みとして、公共調達における分離分割発注があります。都の入札参加有資格者の約九〇%は中小企業であり、都が事業を安定的に継続していくためには、これら中小企業の存在が欠かせません。そのため、都はこれまでも分離分割発注を原則として推進してきたと思います。
 ところが最近では、一部に、不調対策として発注ロットを拡大させるなど、結果として中小企業への受注機会の確保につながらないものも見受けられます。この例外が、いつの間にか原則とならないように、都の公共調達のあり方についての基本を振り返る必要があると考えます。
 改めて、公共調達における分離分割発注の意義について、都の見解をお伺いいたします。
 また、入札契約制度においては、計画事業の着実な進捗を下支えする役割が重要です。今後とも、都民生活に密着した社会資本の整備や維持管理も着実に推進する必要があります。
 このような中、建設需要の先高感や構造的な技術者不足により、平成二十六年度の工事関係の入札不調率が全体の一三・五%と、依然として高どまっております。
 都は、この三月に、入札不調に対する緊急対策として、市場価格とのギャップを埋める適切な予定価格の設定を初め、意欲と能力のある中小企業の入札への参加意識を高める、いわゆるJV基準の見直しなどの制度改革を四月よりスタートさせました。
 そこで、これらの状況を総合的に踏まえ、都のインフラを持続的に整備、維持し、事業を着実に推進していくため、入札契約制度の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、介護需要の増大に対する近隣県との連携の必要性について、問題提起を兼ねてお伺いをいたします。
 都は、昨年十二月に策定した東京都長期ビジョンや、本年三月に策定した第六期東京都高齢者保健福祉計画において、特別養護老人ホームを平成三十七年度までに六万人分整備する目標を示しました。都が、都有地貸し付けの減額率の拡大や、建設費の高騰に対応する補助額の加算などさまざまな支援策を講じて、特別養護老人ホームの整備を都内において全力で進めようとしていることは評価をいたします。
 しかし、特別養護老人ホームは広域型の施設であり、交通網が発達した首都圏においては、都県をまたいでの入所が、自然な人の流れとして見られます。
 今後、東京、埼玉、神奈川、千葉の一都三県では、後期高齢者が急激に増加することが見込まれていることから、介護サービス基盤の整備が追いつかずに、介護難民が大量発生することを懸念する声もあります。
 私は、将来的には、例えば東京都と千葉県が協力して特別養護老人ホームを整備することがあってもよいと考えております。
 今月二日には、舛添知事と石破地方創生担当大臣の面会を契機として、一都三県の地方創生に関する連絡会議が立ち上げられ、日本全体の将来像に大きな影響を与える少子化や高齢化の問題について議論が始まりました。
 また、第六期東京都高齢者保健計画の策定に当たっては、一都三県の介護保険担当部局による情報交換が行われ、その結果、介護基盤の整備や介護人材の確保について、連携協力を図る方策を検討していく方針が盛り込まれたと聞いております。
 そこで、都は今後、介護ニーズの増大に対応するために、一都三県の連携協力をどのように展開させていくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、MICE誘致戦略について伺います。
 知事は、先日の所信表明で、国際会議を初めとするMICE誘致を効果的に推進するための戦略を来月中に策定する旨を表明されました。大規模な国際会議の開催は、学術やビジネスの交流はもちろん、宿泊や飲食、地域の観光など、大きな経済波及効果をもたらすことから、観光振興の観点からも大変重要です。
 特に、会議等で東京を訪れる外国人には、東京の都市部だけでなく、豊かな自然や伝統文化が息づく多摩や島しょ、そして日本各地に足を運んでもらいたいと思います。オールジャパンが連携し、さまざまな魅力を味わっていただくことで、MICE開催の効果も高まります。都が策定するMICE誘致戦略には、こうした多摩・島しょの観光資源の活用や、地方への誘客につながる取り組みを積極的に盛り込むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、都立病院の病児、病後児保育についてお伺いをいたします。
 本年第一回定例会の我が党の代表質問で、小児科のある都立、公社病院において、区市のニーズを踏まえ、病児、病後児保育を実施していく旨の答弁があり、病児、病後児を実施できるよう改正した東京都立病院条例が平成二十七年四月より施行されました。
 子供が急に発熱し、家で看病したいが、どうしても仕事が休めない。やむを得ず子供を預けなければならない。共働き家庭がふえている都内において、このような状況は、今後の保育サービスの利用の増加とともに一層顕在化する問題であります。
 病児、病後児保育は、共働き世帯の子育てにおける不安感の軽減につながる取り組みであり、まさにセーフティーネットとしての役割を果たす、地域の子育て支援策に欠かせないものであります。都立病院における病児、病後児保育の実施に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、京成押上線連続立体交差事業についてお伺いをいたします。
 私の地元墨田区では、東京スカイツリーの開業以降、とうきょうスカイツリー駅、押上駅周辺は、世界各地より多くの観光客が訪れるようになりました。
 一方、隣接する京成押上線の押上駅から八広駅区間は、平成二十五年八月に上り線の高架化が完了しましたが、下り線の高架化が残されており、地元では、長年の悲願である踏切除却が一日も早く実現されるよう期待が高まっております。
 また、京成曳舟駅周辺では、大規模な再開発事業などにより、商業、文化、生活などの拠点となるまちづくりが進んでおり、京成押上線連続立体交差事業の効果と相まって、より魅力のある市街地としての発展が期待されています。
 そこで、京成押上線押上駅から八広駅間の連続立体交差事業について、今後の取り組みをお伺いいたします。
 最後に、東武伊勢崎線連続立体交差化についてお伺いをいたします。
 都が平成十六年に策定した踏切対策基本方針には、鉄道立体化の検討対象区間として二十区間抽出されており、鐘ヶ淵駅付近はこのうちの一つに位置づけられております。本地区では、補助一二〇号線の道路整備が進んでいるほか、木密地域不燃化特区として指定を受け、地区全体で安全で安心できるまちを目指した取り組みを行っており、さらに、まちの魅力を高めるためにも鉄道立体化に向けた取り組みを進めるべきと考えます。
 しかし、鉄道立体化を実現するためには、まずは地域が総意でまとまり、地域全体でしっかり議論を積み上げて、どのようなまちにしていくか考えることが重要であります。それには、まずもって地元墨田区が強力なリーダーシップを発揮して、地域の意見を集約し、主体となってまちづくりをまとめていくことが欠かせません。
 こうしたまちづくりを進めるに当たっては、その検討過程で、鉄道立体化に関する既存事例の知見が豊富な都の後押しが必要となってくると考えます。東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅付近の立体化実現に向けて、都として今後どのように取り組むのかお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 桜井浩之議員の一般質問にお答えいたします。
 日本経済を牽引する取り組みについてでございますけれども、少子高齢化、人口減少が急速に進む中にあっても、子や孫の世代がひとしく充実した人生を送ることができるよう東京を発展させていくことは、今の時代に生きる我々の使命であります。
 将来においても豊かな生活を実現するためには、確かな成長が不可欠でありまして、さらなる経済の拡大を目指して戦略的に取り組んでいかなければなりません。
 こうした考えのもと、産学公の連携によりますライフサイエンスの拠点の形成など、成長分野の取り組みを促進してまいります。東京国際金融センターの実現、国家戦略特区の活用などで新たなビジネスチャンスを生み出してまいります。世界中から人材、企業を呼び込んでいくことで、東京の世界経済における地位をさらに高めていきます。
 また、成熟の中での成長を実現していくためには、長時間労働といった高度経済成長時代にしみついた働き方を見直し、生産性を向上させていかなければなりません。とりわけ、女性が生き生きと活躍し、高齢者が知恵と経験を発揮できる環境を整えていくことが重要だと考えております。
 外部の有識者や幅広い専門性を有する民間企業等からの知見も得ながら、人々の人生を見詰め、人々が活躍する土壌を整備し、将来を見据えた政策の種をしっかりとまいていきたいと考えております。
 そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 京成押上線押上駅から八広駅間の連続立体交差事業の今後の取り組みについてでございますが、本事業は、明治通りなど六カ所の踏切を除却することで道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化に資する極めて効果の高い事業であり、既に上り線を高架化しております。
 現在、駅舎や電気設備等の工事を進めており、この八月には残る下り線についても高架に切りかえ、全ての踏切を除却いたします。
 本事業で高架化される京成曳舟駅周辺では、再開発事業により約千三百戸の高層住宅の整備などが進んでおります。これにあわせ、側道整備や商業施設等の高架下利用を進め、歩行者の回遊性や地域の利便性の向上を図り、にぎわいのあるまちづくりの促進に全力で取り組んでまいります。
〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、民間の新技術導入に関する取り組みについてでございますが、都有施設の性能をより一層向上させるとともに、中小企業を含む民間の建築技術開発の促進に資することを目的として、今年度から建築技術革新支援事業を実施いたします。
 具体的には、施設整備に当たり、その特性に応じて省エネ、再エネや建物の長寿命化などに効果のある技術を民間から公募し、専門家や学識経験者の意見を踏まえ、先進性、施工性及び経済性等ですぐれたものを選定し、設計に反映させてまいります。また、施工時や施設完成後に効果の評価を行い、有効性が認められたものについては標準仕様とするなどして、都有施設への普及を図ってまいります。
 今後は、秋を目途に、高断熱のサッシやガラスなどの新技術の公募を行い、その結果を検証した上で継続的に展開してまいります。
 次に、分離分割発注の意義についてでございますが、都では、中小企業が地域社会の活力や雇用の創出など都民生活の向上に果たす役割を踏まえ、分離分割発注によって中小企業の受注機会の確保を図っております。
 分離分割発注は、業種や営業種目ごとに工事や業務を分離発注することで、事業者の専門性が発揮される効果がございます。また、発注ロットを適切に分割することで、技術力のある事業者間での競争環境が生じ、確実な履行の確保が期待できます。このことは、入札契約制度に求められる透明性、競争性、そして品質の確保という社会的要請を満たすことでもございます。
 このような認識のもと、都の公共調達に当たりましては、今後とも分離分割発注に努めてまいります。
 最後に、入札契約制度の今後の取り組みについてでございますが、都の入札契約制度は、市場動向やその時々の状況の変化に対応しつつ、将来にわたっても実効性及び持続性の高い制度であることが重要でございます。
 一昨年の夏以降、資材価格や労務費の上昇などを主な要因とする入札不調の増加や、インフラ整備を担う人材の構造的不足が顕在化してまいりました。
 そのため、都民生活に必要なインフラの着実かつ継続的な整備等に向け、入札不調対策や担い手の中長期的な確保などの視点も入れ、積算、入札、維持管理などの各段階にわたり、都独自の制度改革や運用改善を進めてまいりました。
 今後は、こうした制度改革等の成果を効果的に活用するとともに、確実な定着を図るなど積極的に取り組み、発注者としての責務を果たしてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 介護ニーズの増大に対応するための方策についてお答えをいたします。
 東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の一都三県の後期高齢者人口は、二〇一〇年の約三百十五万人から、二〇二五年には約五百七十二万人へと急増し、施設サービスや在宅サービスの需要が増大することが見込まれております。
 こうしたニーズに対応するため、昨年度から、厚生労働省と一都三県の実務担当者が相互に情報共有を図り、意見交換を行う連絡会議を開催しておりまして、都の第六期東京都高齢者保健福祉計画には、サービス基盤の整備や人材の確保について、一都三県が連携協力を図る方策を検討していくことを方針として盛り込んだところでございます。
 今後、一都三県の地方創生に関する連絡会議や厚生労働省との連絡会議での議論も踏まえながら、連携協力に向けた具体的な対応策を検討してまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) MICE誘致戦略についてでございますが、国際会議等のMICEの開催は、東京の都市としての競争力やプレゼンスの向上に資することに加え、多くの外国人旅行者が、東京及び日本各地の多様な魅力に接する絶好の機会でございます。
 このため、都が策定する誘致戦略におきましては、多摩・島しょの魅力的な資源を生かしたMICE参加者向けの観光ツアー、体験メニューの開発、提供や他都市との連携による国内周遊型の報奨旅行の誘致促進など、多摩・島しょや地方への誘客につながる取り組みを盛り込んでまいります。
 こうした戦略に沿って、東京と地方のそれぞれの魅力を生かしたMICE誘致を推進することで、MICE開催の効果を広く行き渡らせてまいります。
〔病院経営本部長醍醐勇司君登壇〕

○病院経営本部長(醍醐勇司君) 都立病院の病児、病後児保育についてでありますが、これまで保育事業の主体である区市の取り組みの状況や、その充実に向けた意向を把握するとともに、各病院における施設整備の時期や方策を検証するなど、実施に向けてさまざまな側面から検討を行ってまいりました。
 こうした検討に基づき、平成二十八年二月を目途に、墨東病院におきまして、地元自治体である墨田区と連携し、都立病院として初めてとなる病児、病後児保育を実施することといたしました。
 加えて、隣接区のニーズに対応する広域利用についても検討を進め、墨東病院の医療資源のさらなる活用を図ってまいります。
 今後は、他の都立、公社病院におきましても早期に実施できるよう、取り組みを進めてまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅付近の鉄道立体化についてでございますが、道路と鉄道の立体化は、交通渋滞や踏切事故の解消とともに、分断されてきた市街地の一体性を高めることから、地域のまちづくりとあわせて進めていく必要がございます。
 鐘ヶ淵地区では、墨田区が平成二十四年度にまちづくりの基本的な計画を策定しておりますが、今後は、立体交差化に向けまして、生活道路の拡幅など駅周辺の具体的な整備計画を策定する必要がございます。
 都といたしましては、地元の区や住民等による今後の取り組み状況を十分勘案しながら、道路と鉄道の立体化の実現に向けまして、区によるまちづくりの検討が促進されますよう、積極的に支援してまいります。

○副議長(藤井一君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十六分休憩

   午後五時四十五分開議

○副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十九番大西さとる君
〔七十九番大西さとる君登壇〕

○七十九番(大西さとる君) 私は、都内で最も学力レベルが低いといわれた足立区の学力を向上させる施策が必要と求め続けてまいりました。特に、足立区を初めとする二十三区東部地域において、進学の面で意欲が高く、頑張っている子供たちを応援する制度の欠落を指摘しました。
 それに対して教育庁は、地域的な偏在を避けるために、足立区に進学指導推進校を設置いたしました。その高校は現在、難関大学の突破に向け日々努力していますが、まだまだ当初の目標、期待には及んでおらず、今後のさらなる取り組みの充実が求められるところでございます。
 ところが、この動きにつられて、他の高校にもいい影響が及んでいます。例えば、足立区では三番目の学力レベルであるとされる高校で、ことしは国立大学に三人合格し、早稲田大学にも一般入試で現役合格をしています。足立区内の進学指導推進校の存在が他校にもよい影響を及ぼしているという点を踏まえ、今後は、この取り組みをより積極的に他校に広め、足立区全体の学力を向上させる施策が大切です。
 足立区における進学指導推進校の今後の取り組みと他校への普及について伺います。
 一方で、一旦つまずきながらも、もう一度頑張ろうとする子供たちを応援する学校も存在いたします。エンカレッジスクールです。学習する習慣がほとんどなかった子供たちのために、三十分授業制の採用や二人担任制、習熟度別少人数学級や個別指導などにより基礎学力をつけさせ、一年生のときからキャリアガイダンスや職業体験などの将来の生活設計や夢の構築などのアドバイスを行い、安定した就職へと結びつける施策など、とても手厚い指導が行われています。
 それがゆえ人気が上がり、競争率も二倍を超えているほどになっています。これは都立高校でいうと、学業トップの日比谷高校や戸山高校と争うという状況です。このため、エンカレッジスクールに入れない子供が多く存在する結果になってしまっています。この学校に不合格となることが、頑張ろうとした子供たちの志を奪うことにつながります。
 この状況に対する都教育委員会の認識と今後の取り組みについて伺います。
 さらに、危惧する点も見られます。中途退学者の多さです。平成二十五年度、足立区における都立学校全体では、三百十四人が中途退学者となっています。これは率でいうと、墨田区や練馬区の三倍、板橋区のほぼ倍になります。足立区は貧困の連鎖を断つためにも、中途退学者の防止を区の重要事項に選定し、東京都と連携して防止に努めるとしていますが、中途退学者の多くは経済的に厳しい家庭に育っているため、中途退学すると非正規社員やアルバイトなどで働き始める子が多くいます。しかし、高校を卒業していないため、結果、正社員になれず、貧困の連鎖に陥ってしまいます。
 中途退学者が多い区内のある学校では、中退防止と安定した就業に向け、足立区の就業支援課の積極的なサポートを受け、進路セミナーなどの特別講義を足立区の費用により進めているほか、国庫補助事業を活用した土曜日の補習学習を実施しています。
 都教育委員会でも、平成二十五年度から、中退者の多い都立高校を支援するために、若者の自立支援に実績のあるNPOと連携し、在学中に進路を決定するための支援や中途退学者等への支援を目指したモデル事業を実施しています。
 こうした事業を踏まえ、中退防止と中退者の就職支援について、区市とも連携して強化していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 知事は、英語村などによりグローバル人材の育成に力を入れております。これは私も大変重要だと思います。
 一方で、国では平成二十三年度から、小学校で英語教育を開始しております。今まで英語指導をしたことのない小学校の担任が、文部科学省から配布された教材を使い、週一回のペースで精いっぱい頑張っておられますが、限界もかいま見られます。
 今後、知事は教育委員会と協議しながら教育の基本方針である大綱を策定するとしていますが、世界で活躍できる人間をつくる、これも大切です。同時に、全ての子供たちが英語の基礎を学ぶことについても、しっかりとした取り組みが必要と考えます。知事の所見を伺います。
 この英語授業は、国が定めている小学校五、六年生での週一時間のほかに、各地方自治体が独自に計画を設定できるとのことですが、財政力の違いで自治体によって大きな差が出てしまっています。
 足立区では、英語の授業は、五年生と六年生が週一度に当たる年間三十五時間、一年生から四年生までは余剰時間において小学校の学級担任が英語を教えております。これが基本でございます。
 一方で、港区や中央区、台東区では、小学校一年生から六年生まで毎週ネーティブ、外人が入って教えているとのことでございます。こんなところにも地域間格差が見受けられるのは残念でございます。
 小学生の英語力の向上が必要であり、そのためには小学校の教員の指導力を向上させることが最も重要です。今後の取り組みについて、都教育委員会の所見を伺います。
 私は長年、青少年健全育成審議会の委員として活動してまいりました。この審議会は、青少年の健全育成を目標として、不健全図書の指定と優良映画の推奨を行っています。私は数年前、優良映画に推奨した後の東京都の取り組みについて、東京都のホームページにアップすることと学校にはがきを送付するだけでは、審議会にて真剣に審査した意味がないのではと提言をさせていただきました。
 その後、推薦対象の学校には、当該映画のポスターを学校の目立つところに掲示していただいています。先日は、ももいろクローバー主演の「幕が上がる」のポスターが、都内のほとんどの中学校、高校の玄関や廊下に張り出されていました。そのポスターを見て映画を見に行って、頑張ることの必要性を感じたとの生徒の感想も伺いました。
 先般、「奇跡のひと マリーとマルグリット」という映画が審議され、優良映画として推奨されました。この映画は、生まれつき目も見えない、耳も聞こえない女の子が、触感だけで会話ができるようになるという感動の映画です。
 私と同じように、長年この審議会に出席している委員の一人は、この審議会で多くの映画を見てきたが、この映画が一番すばらしいと述べられ、また、他の委員は、人生で一番感動した映画であったと述べるほどでした。
 さらに先日、秋篠宮紀子様が佳子様とともにごらんになられ、佳子様が感動の余り涙されたと大きく報じられていました。これほどのすばらしい映画、ぜひとも一人でも多くの子供たちに見てもらいたいというのが審議会委員の総意でした。
 今回、この映画の周知から学校に対するポスター配布に関して、青少年・治安対策本部と教育庁の連名によるポスター掲示依頼文を同封したり、配布に当たり東京都が少し手伝いをするなどして、多くの学校でポスター掲示が実施されています。このようなすばらしい映画を推奨するならば、ぜひ子供たちに鑑賞してもらえるよう、さらに広く周知をしていただきたいと考えます。
 例えば現在、各学校にポスターが掲示されていますが、東京都が所有する施設かつ子供の目に触れる場所でのポスター掲示も効果が出ると考えられます。今後の都の周知活動の取り組みについて所見を伺います。
 六月一日、道路交通法が改正され、自転車運転について悪質な交通違反が危険行為と定められ、三年以内に二回以上摘発されると有料講習が義務づけられることとなりました。これは、最近の自転車運転マナーの悪さが目立ってきたことや、ルールをきちんと学ぶ場が少ない自転車利用者には、規則を知らずに走行している人もいるからです。
 一方で、東京都は、二〇二〇年東京オリンピック開催時までに、自転車推奨ルートを約二百キロメートル整備するとしています。今、自転車利用者に、マナーを高めるために、道交法改正も踏まえて、自転車走行ルールの周知も必要だと考えますが、東京都の所見を伺います。
 都は従前から、ナンバープレートは有効として検討していくと述べています。今回の道交法改正に当たり、自転車へのナンバープレート装着と自賠責保険の制度を創設するべきと考えます。ナンバープレートを装着することにより、ルールを遵守する意識と、自転車が自動車と同じく車両の範疇になるという意識が高まることが期待されます。
 また、放置自転車の問題解決の一助にもなり、当て逃げ事故や盗難件数も減るでしょう。さらに、最近ふえてきている自転車事故と高額賠償補償に対して強制保険も必要です。
 こうした自転車へのナンバープレート装着や強制保険といった新たな制度の創設も、自転車安全利用を推進する一つの方策だと考えますが、こうしたことも含め、自転車安全利用の推進に関する所見を伺い、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 大西さとる議員の一般質問にお答えいたします。
 全ての子供たちの英語力を伸ばすための取り組みについてでありますけれども、世界一の都市東京を目指す上で、ニューヨークやシンガポールなどほかの大都市と比べたとき、東京の最大の課題は英語力であります。
 次代を担う若者には、言葉のバリアフリーを実現し、実生活や仕事の場面で苦手意識なくコミュニケーションできる英語力を身につけてほしいと考えております。
 私は、英語の習得には、基礎的な内容を学校の授業でしっかりと身につけることが基本だと考えております。そのために、東京都におきましては、在京の外国人や専門性の高い外部人材を活用して、学校における実践的な外国語教育や異文化理解を推進してまいります。
 また、子供たちのために新たに英語村を開設し、東京にいながら英語しか使えない場所での生活を体験できるようにいたします。
 こうした学びの機会を十分に活用することで、東京の子供に英語力を身につけさせ、国際都市東京を支える人材として育てていきたいと考えております。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長及び青少年・治安対策本部長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、進学指導推進校の今後の取り組み等についてでありますが、平成二十二年度に都教育委員会が進学指導推進校に指定した江北高校では、これまで個々の教員の授業力の向上や組織的な進学指導の体制づくりに取り組み、直近数年間では大学進学実績も向上しております。
 同校では、さらに改善を図るため、昨年度、英語科を対象に予備校等による進学指導コンサルティングを受け、組織体制や指導方法に関し改善を進めてまいりました。今後は、その成果を他の教科にも活用し、学校全体の指導力を強化してまいります。
 また、都教育委員会は、江北高校を含む進学指導推進校など三十六校から成る進学指導研究協議会を通じて、進学指導のすぐれた取り組みを他の都立高校にも積極的に情報提供し、都立高校全体の指導力の向上を図ってまいります。
 次に、エンカレッジスクールについてでありますが、エンカレッジスクールは、小中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし応援する全日制の高校であり、都教育委員会は平成十五年度から現在まで五校を指定しております。
 各学校は指定後、小中学校の学び直しを含め、きめ細かな学習や体験活動、生活指導を重視した教育を展開し、中途退学者を大きく減少させてまいりました。このような取り組みが生徒や保護者から評価されたことが、入学者選抜の高い応募倍率にあらわれていると考えております。
 今後、都教育委員会は、地域バランスなどを考慮して、エンカレッジスクールの適正な受け入れ規模等について検討を行ってまいります。
 次に、中途退学者等への支援についてでありますが、都教育委員会は平成二十五年度から、区部と市部の二地区において、中途退学者等への支援を目指したモデル事業を実施しております。
 モデル事業では、地区内のハローワーク、地元区市の就労支援部署、若者の自立支援に実績のあるNPOなどから成る都立高校生進路支援連絡協議会を設置し、地域におけるネットワーク形成に努めるとともに、都立高校が実施するキャリア教育や中途退学者等への支援のあり方などについて協議を行ってきております。
 今後とも、この連絡協議会での検討の成果を踏まえ、地元の自治体や企業等との連携を一層深めながら、中途退学の未然防止はもとより、中途退学者や進路未決定者への進路支援の取り組みを推進してまいります。
 最後に、小学校教員の英語教育の指導力向上についてでありますが、平成二十三年度から、小学校第五、第六学年に導入された外国語活動に対応し、都教育委員会は、教育課程を編成していくための基準を策定するとともに、区市町村教育委員会と連携を図り、小学校外国語活動を円滑に実施していくための教員研修を実施してきております。
 現在、国では、次期学習指導要領の改訂を視野に、児童生徒の英語力をさらに高めていくため、平成三十二年度から、小学校三、四年生に外国語活動、五、六年生に教科としての英語を新たに導入する検討を進めております。
 今後、小学校から高校に至る英語教育をより充実していくためには、教員の指導力向上は喫緊の課題であり、都教育委員会は、国の動向も踏まえ、教授法や英語力に係る研修を一層充実させてまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(河合潔君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、推奨映画の周知についてでございますが、事業者から推奨の申請があった映画は、青少年健全育成審議会において、条例に定める規定に照らして、推奨するにふさわしい映画か否かについての審議を行い、その答申を受けて、都は優良映画として推奨しております。
 都は、これら優良映画を周知するために、報道発表、東京都公報への公告を初め、東京都のホームページへの掲載、学校等への通知やポスターの掲示等を行うなど、今後とも、広く多くの子供が鑑賞できるように努めてまいります。
 次に、自転車利用者へのルールの周知についてでありますが、都は、近年における自転車事故の発生状況等を踏まえまして、昨年策定した自転車安全利用推進計画に基づき、自転車利用者に対して交通ルール、マナーの周知を図るなど、安全利用の取り組みを推進しております。
 具体的には、自転車安全利用リーフレットの配布、交通安全教室や事業者向けセミナーの開催などにより、効果的に啓発を行ってまいります。
 法定講習が導入されたことを踏まえまして、引き続き、警視庁等の関係機関と連携して、ルール、マナーの普及啓発に取り組んでまいります。
 最後に、自転車の安全利用についてでありますが、ご指摘のナンバープレートによる車両管理の仕組みは、安全利用を推進する反面、導入には、自転車が車両であるとの認識の徹底や、利用者の負担を伴う点などについての社会的な議論を十分に踏まえる必要があります。
 また、自転車へのいわゆる強制保険、自賠責保険導入についても、車両管理の議論を踏まえる必要がございます。
 このため、都は、今後も引き続き自転車安全利用推進計画に基づき、交通ルール、マナーの普及啓発やヘルメットの着用、自転車の点検整備、損害賠償保険への加入の促進を図るなど、安全利用の取り組みを推進してまいります。

副議長(藤井一君) 二十番堀宏道君
〔二十番堀宏道君登壇〕

○二十番(堀宏道君) 初めに、東京の都市再生に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 舛添知事は、東京で生まれ、生活し、老後を過ごせてよかったと誰もが実感できる都市こそが、真に魅力的な世界一の都市であるとおっしゃっております。私も目指すべき方向性は知事と同じ認識であります。
 東京を世界で一番の都市としていくためには、民間活力を生かして都市再生を推進し、魅力あふれる東京を創造して、海外から人、物、資金を呼び込むことが重要であります。
 都市再生を重点的かつ緊急に進める地域として、東京では、既に七地域、約二千七百六十ヘクタールについて、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域が指定されております。
 さらに、そのうち四地域、約二千五百三十ヘクタールについては、特定都市再生緊急整備地域が指定され、多数の民間プロジェクトが進行しております。
 例えば、東京駅や渋谷駅などの大規模ターミナル駅周辺では、民間による意欲的な都市再開発の実施により、質の高い国際ビジネス拠点や新たなにぎわい空間が形成されつつあります。
 これらの地域に加え、都は、池袋駅周辺についても、特定都市再生緊急整備地域の指定を国に申し入れているところであり、都市再生の取り組みを進めるとのことであります。当地区の指定については、私が豊島区の区議会議員の時代から積極的に取り組んでまいりましたので、万感胸に迫る思いがございます。
 池袋では、先月、豊島区役所が新庁舎に移転し、いよいよ旧庁舎跡地の開発計画が動き出します。来年度には造幣局の移転が予定されているほか、駅周辺においても複数のプロジェクトが見込まれており、特定都市再生緊急整備地域の指定は、地元の開発促進に向け、大きな弾みになると大いに期待しているところであります。
 池袋駅は、世界第二位の乗降客数を有する大規模ターミナルであり、この地域の都市再生を進めることは、東京の国際競争力を向上させるためにも重要であると考えます。
 池袋駅周辺の都市再生について、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、都電荒川線を活用した緑のネットワーク化についてお伺いいたします。
 魅力あふれる東京を創造していくためには、都市の再生に加え、都市の景観や環境にも配慮して、後世に誇れるクリーンで美しい東京を実現することも必要です。
 私の地元豊島区には、開業から百年以上の歴史を誇る路面電車が運行されており、地域住民によるバラの植栽など、沿道を華やかに彩ることにより、地域の活性化に貢献しております。このような取り組みを後押しするためにも、この軌道敷を緑化していくことは、景観向上とともに、新たな観光スポットになる可能性も秘めた取り組みとして期待できます。
 昨年の第四回都議会定例会で交通局は、都電荒川線を活用した緑のネットワーク化に向け、今後、検証を行うという答弁がありました。
 この軌道敷の緑化への取り組みについては、例えば、平成十八年度から実施しております鹿児島市の市電では、緑化した軌道敷内の温度は、地表面温度と比べ、夏季の測定結果で二十度近く低くなったとの結果が出ておりますし、緑化による都市景観の向上により、市民や観光客からも高い評価を得ているようであります。
 こうした他都市の事例においては、軌道事業者と行政とが、費用負担や維持管理も含め、連携して取り組んでいるようです。
 今後、本格的に事業を展開していくためには、軌道という特殊な条件下における最適な工法や、四季を通して緑を維持できる品種等を選定するとともに、その課題を明らかにしていくことが極めて重要です。
 そこで、都電荒川線を活用した緑のネットワーク化に向けて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、防災対策についてお伺いいたします。
 日本を訪問する外国人観光客数は、近年急速に増加をしております。日本の玄関口である東京でも、昨年は日本を訪問する外国人観光客の約七割となる八百八十七万人の訪問がありました。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会を控え、今後さらなる増加が見込まれます。
 また、東京に暮らす外国人は、現在四十一万七千人を超え、今後、海外企業誘致などが進めば、その数はさらにふえることが予想されます。
 そうした中で、地震大国といわれる日本で大災害が発生した場合、外国人は言葉の問題などから、日本人以上に災害弱者となる可能性が高いことが憂慮されます。
 東京は首都であるがゆえに、多くの大使館等が置かれています。各国大使館員は自国民の保護の役割を一義的に担うことから、発災時の初期対応にはとりわけ高い関心を持っています。
 そこで都は、在京大使館等の関心が特に高い発災時の情報通信体制の確立を急ぐべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、情報モラル教育についてお伺いいたします。
 情報化の進展の中で、児童生徒がインターネットのトラブルに巻き込まれるケースが少なくありません。
 昨年度、文部科学省が実施した全国学力・学習状況調査によりますと、東京都の小学校六年生の児童は六五%が携帯電話かスマートフォンを持ち、全国平均と比べ一〇%以上も高く、また利用時間も長くなっているなど、小学生であってもインターネットへ気軽につながる環境にあります。
 そのような中、社会に与える影響の大きさを理解できない子供が安易にインターネット上に顔写真を掲載したり、根拠のない情報を書き込んだりすることで、さまざまな問題が生じております。
 これからは、子供が被害者にも加害者にもならないようにするため、小学校の早い段階から学校と家庭が連携した情報モラル教育を充実させていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、中小規模事業所の省エネ対策についてお伺いいたします。
 さきの第一回定例会においてお尋ねした、中小規模事業所のICTに関連する省エネルギー対策については、都からは、業界団体と連携して、省エネ性能の高いデータセンターの評価、認定を行い、その上で中小規模事業所が所有するデータサーバーをクラウドサービスに移行するための費用を支援するとの答弁がありました。
 私の地元豊島区では、新たに建設された豊島区役所の庁舎において、最先端のシステムとクラウドサービスの利用により、住民記録などの基幹情報をデータセンターに移行し、省エネの推進はもとより、情報システム関連経費の削減、総合窓口支援システムによるワンストップ化など、効率化と住民サービスの一層の向上に効果を上げていると聞いております。
 この豊島区役所でのクラウドサービス活用例にもあるとおり、今回、都の実施する認定制度と助成事業は、中小規模事業所でのICTの普及に伴って増大するエネルギー消費を削減し、業務の効率化やセキュリティーの向上などを進めるためには、的を射た施策であり、早期の実施が望まれます。
 その後の取り組み状況についてお伺いいたします。
 また、中小テナントビルの省エネ対策に関しては、省エネ性能にすぐれたビルの市場価値の向上を図る方策を議論する低炭素パートナーシップが、先月初旬に開催されたとお聞きしました。
 こうした取り組みは、中小テナントビルオーナーの省エネ改修への意欲を引き出し、中小テナントビルのさらなる省エネを進めるために重要であり、引き続き、業界団体と連携を図りながら推進していくことを要望いたします。
 次に、ものづくり産業の支援についてお伺いいたします。
 経済のグローバル化がますます進む中、東京の中小企業も世界との厳しい競争の真っただ中にあります。
 我が国のものづくりの強みは、すぐれた技術力に支えられた高い品質や信頼性にありますが、それだけで競合相手に打ち勝てるほど市場は甘くありません。技術の磨き上げはもちろんのこと、さらに市場の動きに合わせたスピーディーな対応や一層のコストダウンを追求していかなければ、今後、中小企業が世界で生き残っていくことは困難であります。
 世界で活躍する日本の大メーカーは、新技術の開発などに貪欲に取り組むだけではなく、生産工程の見直しなどを不断に積み重ねることで競争力を高め、現在の地位を築いてきました。
 例えば、トヨタ自動車のトヨタ生産方式や「カイゼン」という言葉は、今や世界中の生産現場に波及し、お手本とされております。大手製造業が強みとするこうした手法を、中小企業のそれぞれの現場に合った形で取り入れ、定着させていくことにより、生産性のさらなる向上につなげていくことができると考えます。
 都は中小ものづくり企業に対して、生産管理のノウハウを学ぶ機会を提供することにより、東京のものづくりの力をさらに高めていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 東京の産業の発展のためには、ものづくり産業における生産性の向上に加え、これからの東京を牽引する成長産業を育てていくことが必要だと思います。
 今世紀は生命科学の時代ともいわれており、バイオ、ヘルスケアや医療、介護等のライフサイエンス分野は、世界的にも市場規模の拡大が見込まれ、今後最も成長が期待できる分野の一つであると思います。
 こうした分野において、関連する大学や研究機関、企業が多く存在し、人や情報が集まる東京において、集積の強みを生かし、世界を相手に戦えるベンチャー企業を創出していくことは、東京が世界をリードする国際ビジネス都市として発展していくために極めて重要なことです。
 しかしながら、ライフサイエンス系ベンチャー企業の多くは、専ら製品の研究開発に労力を奪われ、資金繰りや開発後の販路開拓など経営面での力が脆弱であるという課題を抱えていると思います。今や世界的な事業展開を実現して上場している大学発のバイオベンチャー企業でさえ、創業した当初は、外部の支援なしには事業化することは難しかったとも聞いております。
 都は、日夜、新しい製品の研究開発に取り組む、こうしたライフサイエンス系ベンチャー企業を積極的に支援し、創業や成長を強く促していくべきと考えますが、具体的な取り組みをお伺いし、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 堀宏道議員の一般質問にお答えいたします。
 池袋駅周辺の都市再生についてでございますが、東京の国際競争力を強化するため、大手町、丸の内、有楽町地区や日本橋、渋谷地区などにおいて、特定都市再生緊急整備地域の特例を活用して、国際ビジネス拠点の形成やコンテンツ産業の育成、江戸の風情が感じられるまち並みの創出などの大きな成果を上げてまいりました。
 先般、池袋駅周辺につきましても、緊急整備地域の指定を国に申請し、優良な民間プロジェクトを迅速に立ち上げることにより、東池袋地区の木密地域の改善を一層推進していくこととしました。
 また、池袋駅前を通る明治通りのバイパスとなる環状第五の一号線の整備を契機に、駅周辺の市街地の更新を促進しながら、ゆとりや豊かさ、それから池袋モンパルナスなどの伝統も生かしながら、芸術文化を感じられる歩行者中心の都市空間を創出してまいります。
 引き続き、東京の都市再生を進め、多様な個性ある拠点を形成し、世界一の都市にふさわしい魅力と活力にあふれた東京を実現してまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 情報モラル教育の充実についてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、携帯電話やスマートフォンなどから情報を発信する際のルールやマナーについては、小学校の早い段階から学校と家庭が連携して指導していくことが大切でございます。
 そのため、都教育委員会は、児童が保護者と一緒にインターネットにかかわるトラブルの防止をテーマに学ぶセーフティー教室を開催するとともに、小学三年生の児童と保護者に向け、啓発リーフレットを作成、配布するなど情報モラル教育を推進してまいりました。
 こうした取り組みに加え、今後は都教育委員会が指定する推進校などで、教員と児童、保護者の三者がともに情報モラルについて話し合い、実効性のあるルールづくりを行うとともに、その成果を指導資料にまとめ、全公立学校の教員を対象とする講習会等で普及してまいります。
〔交通局長新田洋平君登壇〕

○交通局長(新田洋平君) 都電荒川線を活用した緑のネットワーク化についてでございますが、交通局では地元区等と連携し、バラなどによる沿線の緑化に取り組んでおり、軌道敷内の緑化は沿線地域の価値をさらに高める上で重要と認識しております。
 お話の、本格的な事業展開に向けた課題を整理するため、関係各局で構成する庁内検討会を今月中に立ち上げてまいります。
 この検討体制のもと、まずは生育に適した品種等の選定に向け、緑化技術を有する企業を公募し、今年度中に複数の品種や工法を組み合わせた検証実験を開始いたします。その結果を踏まえまして、安全な運行や保守点検への影響など技術面の課題とともに、費用面での課題を整理し、継続的に実施が可能な事業スキームの検討を進めてまいります。
 今後とも、荒川線の緑化を通じまして、質の高い都市環境の形成や美しい都市東京の実現に貢献してまいります。
〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 在京大使館等への発災時の情報通信体制の確立についてですが、都は、在京大使館等の実務者を対象として、発災時の対応に視点を置いた定期的な情報交換の場としての防災連絡会を本年七月に初めて開催することといたしました。
 本連絡会では、都の防災対策の全体像や在留外国人向けの施策、大使館等に対する窓口としての都の対応について、関係局とともに説明し、意見交換を行う予定でございます。
 また、外務省や地元区の担当者とともに、災害時の外国人支援に関する相互連携についても取り組んでまいります。
 さらに今回は、全在京大使館等を対象とする通信訓練をあわせて実施し、災害発生時の大使館等との連絡体制強化をより効果的に進めてまいりたいと考えております。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 中小規模事業所のICTに関連する省エネ対策についてでございますが、ICT機器の利用によるエネルギー消費を削減するには、事業所ごとに保有するデータサーバーを省エネ性にすぐれたデータセンターへ移行し、集約することが有効でございます。
 このため、都は、エネルギー効率が高く、環境に配慮したデータセンターの普及に向け、先月、業界団体と協定を締結いたしました。この協定に基づき、夏にはデータセンターの認定制度を開始し、順次結果を公表してまいります。
 これにより、認定されたデータセンターへ中小規模事業所がみずからのデータサーバーを移行する場合、その経費の一部を助成する事業を十一月をめどに開始いたします。
 都は、こうした取り組みを通じて、環境配慮型データセンターの普及と中小規模事業所の省エネを推進してまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ものづくりの生産性の向上についてでございますが、東京の中小製造業が世界に通用する競争力をつけていくためには、ものづくりの現場における工程の改善等を図り、生産性を一層向上させていくことが必要でございます。
 このため、都は、大手製造業で採用されている生産管理の手法を中小企業がそれぞれの実情に応じて導入できるよう、社内の指導を担う従業員などを対象に、生産管理の体系的知識や現場での指導法などを総合的に伝授する講座を新たに立ち上げることといたしました。
 本年度は、中小企業の生産現場に精通した人材を講師として養成するとともに、効果的なカリキュラムを検討するなど、来年度の開講に向けた準備を進めてまいります。
 生産性向上を目指すものづくり企業の中核を担う人材を育成し、競争力のさらなる強化につなげてまいります。
 次に、ライフサイエンス系ベンチャー企業の支援についてでございます。
 今後の成長が期待されるライフサイエンス分野において、次代を担う数多くのベンチャー企業の創出を促すことは、東京の産業の発展にとって極めて重要でございます。
 そのため、都は、今年度より新たな取り組みとして、すぐれた技術シーズを持つベンチャー企業を対象に、インキュベーション施設やオフィスへの入居に係る経費の二分の一について、年二百万円を限度に最大三年間助成をいたします。
 また、ベンチャー企業の有望な研究成果や製品をPRし、内外の大手企業等との技術提携や販路開拓につなげるため、コーディネーターによる助言、指導のもと、展示会への出展支援や商談会によるマッチングを実施いたします。
 これらにより、ライフサイエンス系ベンチャー企業の創業と成長を強力に後押ししてまいります。

副議長(藤井一君) 二十七番石川良一君
〔二十七番石川良一君登壇〕

○二十七番(石川良一君) 初めに、受動喫煙防止対策について伺います。
 先日、都議会の会議室で超党派の議員が参加して、受動喫煙による健康への影響を学ぶ研修会が開催をされました。
 この中で、たばこの煙は、PM二・五より小さいPM〇・五以下であり、副流煙は肺の最深部まで吸入され、血流に乗って全身の血管の炎症や動脈硬化を引き起こす原因となるとの指摘がありました。
 また、たばこ税の収入は高利の借金と同じで、将来の医療費と労働力の損失につながり、トータルでは大きなマイナスになるとの試算も出されました。
 分煙も、台所の換気扇のもとでの喫煙はキッチン全体が汚染されることになり、また、ベランダでの喫煙もサッシのすき間から室内に大量に煙が侵入してしまうことや、空気清浄機も集じんフィルターにたばこの煙粒子が付着してしまい、急速に効率が低下するとのことでありました。
 また、ファミリーレストラン等の分煙化では、エアコンで攪拌された煙が禁煙区域に拡散され、子供たちの受動喫煙を防ぐことは不可能とのことでありました。
 都は、平成十六年に受動喫煙防止ガイドラインを策定して、受動喫煙防止の取り組みを行ってきました。
 そこで、都民に対する受動喫煙問題への都の取り組みについて伺うとともに、都の本庁舎の現在の分煙措置は、たばこの煙を外に排出する陰圧方式が導入されておりますが、その他の都立施設の受動喫煙を防止するための具体的な対策をどのように行っているのか伺うものであります。
 二〇〇四年、アテネ五輪以降、夏季、冬季を問わず全ての五輪開催都市で受動喫煙を防止するための法律や条例が定められています。来年開催されますリオデジャネイロの夏季オリンピックでも、二〇〇九年に公共施設などを禁煙とする罰則つきの州法を制定しております。
 また、国立がんセンターが行った、たばこに対する禁煙化を東京も進めるべきかどうかとの都民アンケートでも、罰則つきの規制、法律や条例を制定すべきという意見が五三・四%を占めることが明らかになりました。
 しかし、東京都の有識者会議である都受動喫煙防止対策検討会は、受動喫煙防止のための条例化については、その是非の判断を示さないまま、一八年度までに条例化の検討を行うことを求めるにとどめ、先送りをしてしまいました。
 一方、日本学術会議は、受動喫煙の健康に対する害のエビデンスは明確であり、東京都は速やかに公共の場での受動喫煙を防止するための法整備、条例化を行うよう緊急提言を行っております。これは、国が受動喫煙対策に動く様子がなく、学術会議のせっぱ詰まった思いから、都に速やかな決断を求めているものであります。
 舛添知事におかれましては、世界最高のオリンピックを実現することを目標に掲げております。二〇一九年には、世界選手権クラスのテストイベントも行われます。二〇一八年では、条例化されても徹底する時間的余裕はありません。
 受動喫煙を防止するための条例化を早期に具体化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、新国立競技場問題について伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催決定は、各方面に多くの期待と夢をもたらすことができたといえるでしょう。また、オリンピックを一過性のものとするのではなく、レガシーとして各分野で継承していくための議論や計画化も進行しています。国民の期待の大きい新国立競技場を、私どもも、いわば二〇二〇年オリンピックの象徴として建設をしていくことに賛同し、推進していくべきと考えてきたところであります。
 しかし、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開会式、閉会式を初めとして、メーンの会場となる新国立競技場の開閉式の屋根が二〇二〇年の大会に間に合わないことが下村文部科学大臣と舛添知事との会談の中で明らかにされました。
 また、八万人の席が一万五千人分は仮設で整備することになり、総工費は一千六百二十五億円がさらに膨らむことや、工期がどのように変更になるかもわからない状況にあります。
 冬季のオリンピックで建設が間に合わなかった施設が続出したことは、あくまでも他国のことであり、高い建築技術と緻密な工程管理を誇る我が国においては、メーンのスタジアムの建設が間に合わなくなるなどということは、多くの国民が夢にも思っていなかったわけであります。
 この不手際に対して、一義的な責任は国にあり、国民や都民に対して陳謝することから始まるのが常識というものではないかと思います。舛添知事の、責任者は誰なのかという発言は当然のことであり、まずその責任が問われるべきだと思います。しかも、発表の時期が国立競技場の取り壊しが終わった時点ということであり、情報が遅過ぎるといわざるを得ません。
 あわせて、国が五百億円、いや、それ以上ともいわれている金額の負担を都に求めることについては、都民にしっかりと説明責任が果たせるものでなければなりません。
 しかし一方では、東京都はオリンピック・パラリンピックの開催都市であり、知事はその最高責任者であり、最高のオリンピック・パラリンピックを実現しなければならない責務があります。
 二〇一九年のテストイベントまであと四年しかありません。新国立競技場問題を解決するために、知事も主体性を持って、国に解決のための提案をするなど、働きかけをすることが求められております。知事の見解を伺います。
 この新国立競技場問題が、国と東京都の英知を結集して早期に解決されることを強く求めるものであります。
 次に、東京都におけるスポーツツーリズムについて伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催は、スポーツを通じて観光振興を図っていく、またとないチャンスといえるでしょう。
 また、海外からのスポーツへの参加は、経済的にも、また国際化を図っていく上でも重要といえます。
 訪日外国人旅行者数が、二〇一四年には前年比二九・四%増の一千三百四十一万人に達したことは周知のことでございます。結果として、訪日外国人の日本での消費総額は四三・一%増の二兆二百七十八億円となり、過去最高を記録しております。
 我が国には、プロ野球、Jリーグ、大相撲など国際的に高い評価を受けている見るスポーツ、豊かな自然環境や美しい四季を利用したスキー、登山、市民マラソン、自転車ロードレースなど多くの人が親しめるスポーツがあります。
 今後はスポーツとのかかわりをふやしたい、あるいはまた、東京五輪を観戦したい、さらには、ボランティアとして貢献したいなど関心が高いものがあります。
 そこで、スポーツイベントの観戦や参加などスポーツを通じた観光振興、いわゆるスポーツツーリズムに対する都の考えをお伺いいたします。
 観光庁が実施をしております訪日外国人消費動向調査では、次回日本で実施したい活動において、訪日外国人の五%がゴルフを挙げております。東京では、ゴルフにスポーツツーリズムの可能性を見ることができます。
 日本国内のゴルフ人口は、二〇〇一年に千三百万人に達したのをピークに下降し、二〇〇九年には九百五十万人前後まで下落をしております。
 また、日本のゴルフ場情報は、世界のゴルファーに全く不足をしており、認知度は低い状態にあります。東京のゴルフ場は二十ほどで、意外に多くのゴルフ場があります。
 ゴルフツーリズムは、宿泊施設、交通、航空、飲食店、ショッピング、自治体、地域の観光資源等多くの産業が関連をしております。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックでは、ゴルフも正式種目として採用されることになっております。
 ゴルフツーリズムの風を東京から吹かせていただくことを強く要望するものであります。
 次に、東京都における都市計画道路の整備方針について伺います。
 先日示された第四次事業化計画の中間のまとめの中で、将来都市計画道路ネットワークの十五項目の検証を行い、地域のまちづくりへの貢献など六項目を勘案して、優先整備路線を二十七年度末までに決定することになっております。
 今後、都市計画道路の新規整備の際には、物流などの経済活動に大きな影響を与える慢性的な交通渋滞を解消することや、防災機能の強化と同時に安全で快適な歩行者空間を確保すること、また、美しい都市空間を創出することなども求められております。
 また五年後には、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会が控えており、さらにその先の将来のレガシーを見据えたまちづくりの視点が必要であります。
 そこで、整備方針の策定にどのように取り組んでいくのか、その中で無電柱化をどのように織り込んでいくのかお伺いいたします。
 続いて、都市計画道路の南多摩尾根幹線について伺います。
 南多摩尾根幹線は、調布市の多摩川原橋を起点として町田街道をつなぐ全長十六・六キロメートル、幅員標準四十三メートル、最大五十八メートルのニュータウンを貫く幹線道路であります。
 昭和四十四年、都市計画決定され、昭和五十四年には工事用道路を一般道として一車線開通させました。さらに道路整備の話し合いを進めてきましたが、騒音や排ガス、振動問題など住環境が悪化するとのことから、反対運動などが活発化をしまして、事業は進みませんでした。
 その後、沿道の環境への影響を配慮して、尾根幹線の構造を掘り割りとする都市計画変更を平成三年十月に行いました。
 しかし、平成十八年に決定をした東京都の十カ年計画の優先して整備すべき都市計画道路から尾根幹線は外され、整備は進みませんでした。私も、既に用地確保が済んでいる尾根幹線道路の整備の推進を強く求めてきたところであります。
 その後、東京都長期ビジョンに尾根幹線の整備の推進が位置づけられました。同時に、事業化に当たっては、掘り割りを平面交差とするという都市計画変更を行うことになりました。
 多摩、稲城市民への説明会は、急遽本年二月から三月にかけて行われました。説明会に出席した市民から、平面交差への変更は、騒音、排ガス、振動等の環境対策として後退ではないかとの意見が多く出されました。
 また、交通量の多い交差点を平面交差とすると、渋滞の解消にも限界があります。主要な交差点の立体化を堅持しなければならないと思っております。
 そこで、今後、沿道環境対策や交差点における渋滞対策の課題に対して、都はどのように対処をしていくのか、お伺いいたします。
 また、尾根幹線は、都市モノレール九十三キロメートルの構想路線の多摩センターから西武線是政駅間のルートと重なっています。今後、道路事業が進んでいっても、将来的なモノレールのルートについて、構造的に計画が担保をされることになるのか、また、尾根幹線は最大で幅員が五十八メートルもあり、一部、二〇二〇年にオリンピックの自転車ロードレースのコースともなっております。
 これから新たにつくる道路であり、自転車専用レーンなどもしっかりと組み入れていくべきと考えますが、具体的な計画について都の考え方をお伺いいたします。
 いずれにしましても、既に広大な面積の用地が確保されているわけであります。また、南多摩尾根幹線は、都市計画変更に伴う環境アセスだけで三年以上を必要とする大事業であり、環境施策については、住民の声をしっかりと受けとめ、事業化を図っていくことを求めて質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 石川良一議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、受動喫煙防止対策でありますが、受動喫煙の防止については誰も異論がないと思います。
 しかし、そのための対策にはさまざまな意見がございます。有識者から成ります受動喫煙防止対策検討会におきましても、飲食店等の屋内施設における全面禁煙の導入や条例制定の必要性につきましては、意見の一致が見られませんでした。
 検討会からは、受動喫煙防止の取り組みの工程表を提示し、二〇一八年までに条例化について検討を行うこと、国に対しては、全国統一的な法律での規制を働きかけることなどの提言をいただきました。
 今後、飲食店における対策の実施状況や効果等について実態調査を行い、検討会の提言も踏まえながら、実効性のある受動喫煙防止対策に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、新国立競技場の整備についてでございますが、最も重要なことは、国が国の責任において予定の期限までに新国立競技場を完成させることであります。
 都としては、工期や総工事費、都民が納得する都負担の根拠など、全体像を明らかにするよう、現在、国に対して求めておりまして、今後、その情報を踏まえまして検討してまいりたいと思っております。
 なお、そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 受動喫煙の防止対策についてお答えをいたします。
 都はこれまで、受動喫煙防止ガイドラインを策定し、受動喫煙の健康影響について、ホームページやリーフレットを活用して都民の理解の促進を図りますとともに、事業者に対しましては、職場の受動喫煙防止対策ハンドブックを作成し、禁煙、分煙の取り組みを働きかけてまいりました。
 また、都立施設につきましては、都立施設受動喫煙防止基準において、原則禁煙とし、利用者ニーズ等に応じて喫煙可能区域を設ける場合には、原則として独立した喫煙室を設置することと定めております。
 現在、都立施設においては、禁煙または分煙の措置がとられており、今後も関係局が連携して受動喫煙を一層防止するための取り組みを進めてまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) スポーツを通じた観光振興についてでございますが、スポーツイベントの開催は、国内外からの誘客に資するとともに、東京の魅力を広く発信する機会となります。
 このため、都は、都心の観光名所をめぐる東京マラソンや、ランナーを応援する東京大マラソン祭り等を実施するとともに、こうした情報を海外での観光プロモーションや東京の観光公式サイト等を通じて発信をしております。
 また、自転車を使って時間内にチェックポイントをめぐる競技イベントなど、スポーツを通じて旅行者を呼び込む自治体や観光協会等の取り組みを支援しております。
 今後とも、スポーツを通じた観光振興を図り、国内外からの旅行者誘致につなげてまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の都市計画道路の整備方針についてでございますが、本年五月、中間のまとめを公表し、この中で、集約型の地域構造に向けた拠点形成及び拠点間の連携や、緊急輸送道路の拡充、無電柱化等による安全・安心な市街地の実現など、道路整備の方向性を明らかにしておりまして、こうした考え方につきまして、現在、パブリックコメントを実施してございます。
 今後、この結果を踏まえまして、関係区市町とともに個々の路線の必要性の検証や優先整備路線の選定などを進め、平成二十七年度末までに新たな整備方針を策定してまいります。
 次に、南多摩尾根幹線の環境対策等についてでございますが、本路線は、延長約十七キロメートルのうち、多摩川原橋から稲城市役所付近までなど、約六キロメートルが四車線で整備され、残りの区間は、二車線の暫定的な整備となってございます。このため、慢性的な渋滞が発生し、これを避ける通過交通が住宅団地内の生活道路に流入するなどの課題を抱えてございます。
 本年二月、暫定整備区間の早期整備を図るため、沿道環境に配慮した上で、掘り割り構造を平面構造へ変更する整備方針を策定いたしました。
 今後、都市計画変更にあわせまして環境影響評価を実施する中で、低騒音舗装など必要な環境対策を検討するとともに、他の主要な幹線道路との交差部におきましては、交通の円滑化に向け検討してまいります。
 最後に、この路線の具体的な計画についてでございますが、沿道環境に配慮しつつ、安全性や快適性の観点から、車道や歩道、植樹帯などを適切に配置するとともに、自転車走行空間につきましても、今後の課題として検討してまいります。
 なお、本路線と一部区間が重なっております多摩都市モノレール、是政方面への延伸構想につきましては、東京圏の鉄道整備に関する基本的な計画でございます運輸政策審議会答申第十八号において位置づけがございませんので、道路計画との整合性については長期的な課題として認識してございます。

副議長(藤井一君) 五十一番両角みのる君
〔五十一番両角みのる君登壇〕

○五十一番(両角みのる君) 初めに、新国立競技場について伺います。
 去る五月十八日の下村文科大臣から舛添都知事への整備費一部負担要請以降、新国立競技場をめぐる知事と文科大臣との不協和音が伝えられています。
 都民とすれば、国立施設の整備に根拠不明確な費用負担をすることは納得がいかない一方で、オリンピック・パラリンピック開催までにメーンスタジアムとなる競技場がきちんとでき上がるのだろうかという不安を感ぜずにはいられません。
 この件に関しては、事実関係の確認が肝要です。これまで知事は、記者会見等で都の費用負担は初耳であり、聞いていないとの発言をされています。
 ところで、平成二十五年十二月十一日の都議会オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会の席上、秋山副知事は、都の費用負担につき、次のように答弁しています。新競技場本体工事千四百八十億、周辺整備三百七十二億円ということで、負担につきましては周辺整備を中心に負担を求めてきたと、負担の要求があったというふうに理解しております。
 ここでは、国からの負担要請の認識があったと発言されているのですが、東京都は、新国立競技場整備への費用負担要請が文科省からあったと、組織として認識していると理解してよろしいか、見解をお聞きします。
 一方、平成二十五年十二月二十四日の記者会見で下村大臣は、東京都については、都議会と私の方で直接話しました、一応、五百億円は東京都の方で出すということで、内々には了解をもらって準備を進めておりますと発言をしています。
 私はこのことに大変に驚き、過去の本会議、所管委員会等の議事録を調べましたが、どこにもそうした決定がなされたとの報告は確認できませんでした。
 そもそも、東京都予算を外部機関に支出することを都議会単独で了解し得るはずもありません。この大臣発言に対する知事の所見を伺います。
 あわせて、今後、新国立競技場に関して、文科省、JSCとどのように協議を進めていくつもりか、知事のご決意を伺います。
 次に、豊洲新市場の場外施設について伺います。
 豊洲新市場は、紆余曲折を経ながらも、関係者のご努力により、来年十一月上旬の開場時期が正式決定されました。
 しかしながら、新市場オープンと同時に開場予定であった千客万来施設は、事業予定者の大和ハウス工業と株式会社喜代村が次々に参加を辞退し、新市場開場と同時に場外施設がにぎわいを創出することは不可能となりました。
 都は、大和ハウス工業撤退後、喜代村単独での事業継続を容認し傷を広げるなど、結果として貴重な時間を一年以上無駄にし、事業を再度仕切り直しせざるを得なかったことを真摯に受けとめるべきです。
 事業者撤退を受けての再公募方針では、事業期間を前回の三十年から最長五十年までに延長、対象敷地を六街区のみとする、開業時期は新市場オープン後としています。
 そこで伺いますが、対象地区から、これまでの五街区を外した理由並びにそのことで事業目的達成に支障が出ないのかお聞きします。
 また、従前に整備予定地とされていた五街区の今後の活用方針をお尋ねします。
 再公募要項では、来年三月の事業予定者決定スケジュールが示されていますが、現実的に最短どのくらいの時期に千客万来施設をオープンできると考えているのか伺います。
 次に、都立高校での主権者教育について伺います。
 本日、国会で選挙権年齢を二十歳以上から十八歳以上に引き下げる公職選挙法改正案が可決、成立しました。これにより、来年夏の参院選は十八歳、十九歳の若者が投票可能となり、現役高校生が投票所に足を運ぶことになります。
 法改正の趣旨は、若い世代の政治参加を進め投票率向上につなげることですが、そのためには、政治への参加意識を高めるような学校教育の場での、特に高等学校での主権者教育が重要です。
 そこで、都教委は今般の法改正を踏まえて、今後どのように都立高校における主権者教育に取り組んでいくつもりか、教育長の所見を伺います。
 次に、日本語指導の充実について伺います。
 都は、日本語能力が不十分な児童生徒への市区町村の対応をさまざまな形で支援しています。例えば、都内には、都の要綱により、小中二十九校の日本語学級が設置、運営されており、こうした子供たちの大きな支えとなっています。
 私も日本語学級を見学させていただきましたが、先生方がさまざまな母語を持つ生徒に対し専門外の科目までを教えており、個々の教師が試行錯誤で取り組んでいるように感じました。
 外国人や日本語を母語としない児童生徒が相当数存在する状況では、学校現場の声を踏まえ、教授方法や関連情報の提供を進め、より実践的な研修を実施して日本語指導を一層充実していくことが必要と考えますが、都教委の取り組みを伺います。
 次に、多摩地域への在京外国人生徒対象枠募集校設置について伺います。
 現在、在京外国人生徒対象枠を持つ都立高校は、国際高校、飛鳥高校、田柄高校と全て区部であり、多摩地域からのアクセスが必ずしもよくない場所にあります。日本語学級に通う生徒等の多くが高校進学を希望する中、これら多摩地域の中学生は、実質、在京外国人生徒対象枠の利用ができない状況が生じています。
 そこで、多摩の各地からアクセスのよい場所に、こうした枠を有する高校を設置すべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、多摩地域の公共交通について伺います。
 我が国は人口減局面に入り、多摩地域も二〇一五年から人口が減少に転ずると予想されています。人口減は空き家の増加や公共交通網の維持等々にさまざま影響を及ぼします。
 本年三月の青梅線、五日市線のダイヤ改正では、JR移行後、都下で初ともいわれる運行本数削減が実施され、地元の方々は不便を強いられています。今後、こうした動きはさらに広がってくるものと思われ、鉄道会社の経営と公共の足の確保という観点から、広域行政体としての都の役割が問われることとなります。
 ところで、私の地元である八王子みなみ野地区は、まち開きから十五年以上を経て、都内でも人気の住宅街として成熟化してきており、現在二万五千人近くの住民が暮らしています。地域唯一の鉄道網が横浜線で、最寄り駅は八王子みなみ野駅です。
 現在、横浜線の東神奈川発八王子行き、平日の最終は二十三時三十二分で、これを乗り過ごすと橋本どまりの電車となり、都民であるみなみ野住民は、神奈川県の橋本駅からタクシー等で帰宅せざるを得ない状況です。私は、隣の橋本駅どまりの終電まで二本の電車を八王子行きとすれば、地域住民の利便性は高まり、コストをかけずに地域価値向上が可能と考えます。
 青梅線、五日市線、横浜線を例に挙げましたが、地域の公共の足確保や利便性向上に都の果たす役割は大きいと思います。
 そこで、多摩地域における鉄道輸送サービス向上に関する所見を伺います。
 最後に、多摩都市モノレールについて伺います。
 本年三月、都は、広域交通ネットワーク計画について中間まとめを公表しました。
 ところが、ここで示された整備効果が高いことが見込まれる五路線の中に、多摩センター─八王子間の多摩都市モノレール延伸は含まれていませんでした。
 そこで、この区間の中間まとめについて都の考えを伺い、質問を終わります。
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 両角みのる議員の一般質問にお答えいたします。
 新国立競技場整備の都負担に関する文科大臣の発言についてでございますが、文科大臣が平成二十五年十二月二十四日の記者会見で都負担について発言したことは、報道で承知しているだけでございます。
 続きまして、新国立競技場の整備費用に関する都負担についてでございますが、今般、文科大臣から新国立競技場の整備費用について負担の要請がございました。
 その際、不明であった工期や総工事費、都民が納得する都負担の根拠など、全体像を明らかにするよう、現在、国に対して求めておりまして、今後、その情報を踏まえて検討してまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校での主権者教育の取り組みについてでありますが、現在、各都立高校では、公民科の現代社会や政治経済の授業で、議会制度や選挙制度の仕組みなど国民主権の考え方や主権者としての政治参加のあり方について学んでおります。
 また、都や区市の選挙管理委員会事務局や未成年者への主権者教育を推進するNPO団体と連携して、模擬選挙等の体験学習を実施している学校もございます。
 今後、都教育委員会は、こうしたすぐれた実践事例を各都立高校に周知するとともに、国の動向を踏まえ、政治や選挙への関心を高め、積極的に社会に参画する人材の育成に向け、都立高校における主権者教育の充実を図ってまいります。
 次に、日本語指導の一層の充実についてでありますが、都教育委員会は、日本語指導が必要な児童生徒が日本語を学ぶためのテキストである「たのしいがっこう」や教員が指導する上で参考となる日本語指導ハンドブックを配布するとともに、ホームページに掲載するなどして、各学校が活用できるようにしております。
 また、日本語指導が必要な児童生徒が、基本的な日常会話に加え、学習活動に必要な日本語を身につけることができるよう、教科指導に関する教員研修を年間四回実施しております。
 今後とも、都教育委員会は区市町村教育委員会と連携し、小中学校における日本語指導の課題等を把握するとともに、すぐれた指導事例に関する情報の提供や研修の充実など、教員の指導力を高める取り組みを推進してまいります。
 最後に、都立高校の在京外国人生徒募集枠についてでありますが、東京のグローバル化の進展に伴い、都内居住の外国人生徒が近年増加していることから、これらの生徒に対し、高等学校教育の機会の提供など、教育環境を整備していくことが必要であります。
 このため、都教育委員会は、平成二十六年度は国際高校、飛鳥高校及び田柄高校の三校で六十五名の募集枠を設け、平成二十五年度と比べ定員を十名ふやして入学者選抜を実施したところでございます。
 今後とも、都内の中学校における日本語指導が必要な在京外国人生徒数の動向、募集枠を設置する三校の入学者選抜の応募状況、応募生徒の居住地の状況等を総合的に勘案し、引き続き、募集枠のあり方について検討を進めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 新国立競技場整備の費用負担要請についてでございますが、平成二十五年十二月十一日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会におきまして、同年十一月六日に文部科学大臣から当時の猪瀬前知事に対しまして、新国立競技場の整備に関し、都に一部負担してもらいたいとの要請があったと副知事から答弁しております。
 しかしながら、その後、費用負担の話につきまして、要請を公文書で受理したことはございません。
 なお、舛添知事が文部科学大臣から正式に要請を受けましたのは、この五月十八日の面会が初めてでございます。
〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕

○中央卸売市場長(岸本良一君) 豊洲新市場の千客万来施設事業に関する四点の質問にお答えします。
 まず、千客万来施設事業の対象地区から五街区を外した理由についてでありますが、千客万来施設は豊洲新市場にとって必要な施設であり、着実に整備することが重要でございます。
 そのため、再公募に当たり、事業者が開発しやすい環境をつくる観点から、前回公募時の五街区、六街区一体開発という条件を緩和し、六街区を先行募集とすることとしたものでございます。
 次に、五街区を外すことによる事業目的達成への支障についてでありますが、六街区を先行募集することで着実に千客万来施設を整備し、市場本体施設と連携を図り、事業目的である豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出してまいります。
 次に、五街区の今後の活用方針についてでありますが、従前、整備予定地とされておりました五街区につきましては、今回先行公募する六街区の状況を勘案しながら、改めて公募条件を検討し、別途再公募を行っていく予定でございます。
 最後に、千客万来施設のオープン時期についてでありますが、千客万来施設は、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出す、豊洲新市場にとって必要な施設であることから、できるだけ速やかに開業させていくことが重要であると認識しております。
 そのため、今回の再公募に当たりましては、施設を早期に開業させる事業者提案が優位となる審査基準を検討しており、民間事業者の創意工夫を引き出し、しっかりとした施設を早期に開業できるよう取り組んでまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域の公共交通についてでございますが、地域の活力を維持増進させていく上で、鉄道を含めた公共交通は重要でございます。
 お話にございましたダイヤ設定などの輸送サービスの向上につきましては、鉄道事業者の経営と密接にかかわることから、原則として鉄道事業者が対応すべきものであると認識してございます。
 都は、今後とも、人口や土地利用の動向などの社会的条件を踏まえまして、市町村とも連携しながら、公共交通の利便性の向上に努めてまいります。
 次に、多摩都市モノレールの八王子方面への延伸についてでございますが、都は、今後の東京圏の鉄道ネットワークにつきまして、利便性の向上や都市活力の維持向上など、四つの政策目標のもとに、混雑率の低下や移動時間の短縮などの指標を設定した上で、事業性も含めて整備効果を検討してまいりました。
 お話の延伸区間につきましては、三月に公表いたしました中間まとめにおきまして、整備効果が見込まれる路線としているものの、多額の事業費や計画ルートが既存の鉄道路線と競合し、需要の確保などの課題がございます。
 引き続き、他の路線も含めて整備効果等について検討を深め、来月、都の考え方を明らかにし、国の審議会答申に反映させるよう働きかけてまいります。

副議長(藤井一君) 三十番山内れい子さん
〔三十番山内れい子君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○三十番(山内れい子君) 都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会については、世界一のオリンピックを目指し、国やスポーツ界も大会を盛り上げようとしてきましたが、ここへ来て、新国立競技場をめぐる完成時期や建設費などの問題により、収拾のつかない事態となっています。旧競技場を跡形もなく取り壊したタイミングでのどたばた劇には、多くの都民から非難の声が上がっています。
 知事は、開催都市としての責任を果たすため、国に対して、費用負担について情報公開を求めるとともに、負の遺産にしないためにも、計画の全面的見直しを求める必要があると考えます。
 こうした中で、二〇二〇年東京大会を今の時代に合ったものにしようと、障害のある人もない人も一緒に参加するなど、多様性をキーワードにした若い世代による大胆な提案も出されています。この際思い切って、多様な人がわくわくするような新たなオリンピックを構想してほしいと考えます。
 東京は、さまざまな文化や価値観を持った都市であり、そこに多様な人が集まる東京大会は、多様性の尊重がどこまで実現できるか試される大会になると思いますが、知事の見解を伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会は、環境配慮もうたっています。
 都は長期ビジョンで、エネルギー消費量を二〇二〇年までに二〇〇〇年比二〇%削減、二〇三〇年までに三〇%削減の目標を掲げていますが、二〇二〇年東京大会は、その成果を示す機会となります。
 カーボンニュートラルの大会を目指して、各会場ごとのエネルギー消費量を捉え、省エネ仕様にするとともに、再生可能エネルギーの飛躍的な導入にも取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。
 環境配慮の面からも、地場や国産の木材利用を進めることは有効です。
 二〇二〇年東京大会の関連施設の整備において、多摩産材の利用を検討することが都の計画の中に位置づけられています。施設の設計が始まるに当たって、国産材もしくは多摩産材をどれくらい利用しようとしているのかお伺いいたします。
 福島原発事故をきっかけに、省エネや再エネの普及は大きく進みました。
 特別養護老人ホームなどの福祉施設や医療施設は、電気だけでなくお湯をたくさん使うことから、熱を含めてエネルギーを効率的に利用することが重要です。熱と電気を合わせたマネジメントや太陽熱利用などを積極的に導入してほしいと考えていますが、新しく建設された施設でも導入されていない実態がありました。こうした中小規模の施設では、省エネ、再エネ対策が検討項目に入っていなかったり、資金面や人材面がネックとなり手が回らないという声を聞きます。
 このような課題に対し、都は昨年度より、中小医療福祉施設向けに創エネ、省エネ機器の導入を支援していますが、これまでの実績と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、未受診妊婦について伺います。
 二〇一一年、都は、周産期搬送コーディネーターが一一九番通報で搬送調整した事例を調査したところ、約四割もが未受診妊婦であることが明らかになりました。
 本来なら、妊娠したとき、自治体窓口に届けを出しさえすれば、母子健康手帳や妊婦健診のための補助金交付や、妊娠、出産、育児等の相談を受けることができます。しかし、そうした情報にたどり着かず、妊婦健診を受けないまま出産に至るケースがあります。これが未受診妊婦、飛び込み出産といわれるものです。
 未受診妊婦は、若年で望まない妊娠であることが多く、パートナーや家族の支援を受けられずに孤立し、経済的理由などのために未受診となっていることがわかりました。未受診で出産に至ることは、胎児にとっても母体にとってもリスクが大きいだけでなく、出産後の子育てにも影響が出やすく、児童虐待に至るケースもあり、社会問題となっています。
 妊婦健診を受けることの重要性を普及啓発するとともに、妊婦本人が孤立しないように、さまざまな不安や悩みを軽減し、適切な支援につなぐ相談支援の充実が必要であると考えます。
 舛添知事は、フィンランドのネウボラを参考にして、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援の仕組みをつくっていくとのことですが、そうした仕組みを構築するに当たっては、地域において悩みを抱える妊婦を適切な支援につなげるという視点も重要と考えます。
 そこで、未受診妊婦対策として、普及啓発や相談支援の充実に都はどのように取り組んでいるのか伺います。
 調査結果では、未受診妊婦が出産した子供のうち、四人に一人が低出生体重児で、四割がNICU、GCUへの入院が必要だったことも明らかになりました。
 このように、医学的にも社会的にもハイリスクを抱える場合、地域の医療機関、福祉、保健、療育などの地域行政等による社会的、経済的支援や情報提供、心理的サポートなど、入院中からの支援が必要と考えます。
 とりわけ、NICU等からの退院支援において未受診妊婦への支援は重要と考えますが、都の取り組みについて伺います。
 十代で、しかも生徒が妊娠した場合、養護教諭等、学校内で相談することも多いと聞いています。学校生活を続けられるかを含めた今後の生活の変化に対する不安や、どうしたら産み育てていくことができるかなどの相談に対する支援を充実するために、都立学校における実際の支援の内容、支援のための学校内外の連携など、実態を把握し、生徒に寄り添った支援ができるようにすることが重要と考えます。
 そこで、妊娠した生徒の相談体制と対応についてお伺いいたします。
 都は、東日本大震災の経験を踏まえて、二〇一二年四月に災害時における外国人への情報提供をまとめました。
 その中では、災害時の日本語は日常生活で見聞きしない専門用語やいい回しが多く、外国人にとってはわからないという声がありました。当日は交通機関がとまり、日本人でも苦労しましたが、外国人にとっては、駅のアナウンスが理解できず、大変だったと想像いたします。
 多くの外国人が必要とした情報は、地震情報や原発事故情報、水や食料がどこで買えるのか、計画停電の予定などの平易な言葉での生活情報であり、報告書では、課題の整理を行い、効果的な情報提供に向けて提言しています。
 この報告書の中にある「やさしい日本語」の取り組みについてお伺いします。
 「やさしい日本語」とは、小学校三、四年生程度の表現を使い、例えば、避難は逃げる、給水車は水を配る車と表記するものです。来日一年の外国人を対象とした実験では、九割が内容を正しく理解できたという報告もあります。東京都地域防災計画でも、多言語とともに「やさしい日本語」が位置づけられています。
 オリンピック・パラリンピック開催を見据え、「やさしい日本語」を生かしたマニュアルやガイドブックを作成し、例えばコンビニや駅周辺、商店街などの関連機関、自治体等が統一して、東京に滞在する外国人に対し、防災、減災にかかわるわかりやすい情報提供を行い、適切な行動がとれるよう取り組みを進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたしまして、都議会生活者ネットワークの質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 山内れい子議員の一般質問にお答えいたします。
 多様性が尊重される二〇二〇年大会の実現についてでございますが、前回の東京大会から五十年以上を経て行われる二〇二〇年大会は、価値観が多様化した成熟都市東京での開催でありまして、相互理解、多様性の尊重などのオリンピズムを普及させることが重要だと考えております。
 二〇二〇年大会では、多様性と調和を大会ビジョンの基本コンセプトの一つとしており、世界の人々がスポーツの力を通じて、人種、性別、性的指向、言語、宗教、障害の有無など、あらゆる面での違いを肯定し、互いに認め合う社会を育む大会を目指すこととしております。
 私は、生活習慣、文化、価値観などにおいて人間の多様性が尊重され、誰もが幸せを実感できる都市こそ、東京が目指すべき姿であると考えております。
 二〇二〇年大会の成功を通じて、全ての人が生き生きと暮らすことのできる真の共生社会が実現できるよう取り組んでまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 生徒の相談体制と対応についてでありますが、都立高校においては、日ごろから生徒の不安や悩みなどに対応するため、担任、養護教諭、スクールカウンセラーを初めとして、全教職員が生徒の健康観察などに努め、教育相談を行うとともに、学校外の相談機関を生徒に周知するなどして相談体制の充実を図っております。
 生徒から妊娠の相談を受けた場合には、本人の意向や状況を的確に把握し、不安や悩みに寄り添い、保護者と連携するなど、きめ細かな対応を行うとともに、生徒の健康を第一に考えて、学校生活や授業等への参加について配慮を行っております。
 今後とも、教育委員会は各学校に対し、生徒一人一人の状況を踏まえ、本人や保護者からの相談や要望等に適切に対応できるよう、指導助言を行ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、オリンピック・パラリンピックにおける環境配慮についてでございますが、二〇二〇年大会におきましては、立候補の段階から環境を優先する大会という理念を掲げており、競技施設などの整備につきましては、環境に配慮して進めることとしております。
 そのため、都が整備する新規恒久施設につきましては、省エネ・再エネ東京仕様を適用し、建築物の熱負荷の低減を図るほか、太陽光や太陽熱、自然の風など、多様な再生可能エネルギーを利用する設備をできる限り導入するよう検討を進めております。
 大会の開催に向けまして、今後ともエネルギー使用の合理化を図り、環境負荷の低減に努めてまいります。
 次に、二〇二〇年大会におけます国産や多摩産の木材の利用についてでございますが、オリンピック・パラリンピックの施設整備における国産材等の活用につきましては、我が国の森林資源の循環や、日本の文化であります木を生かした建築などを国内外の方々に発信する絶好の機会であると認識しております。
 都は、長期ビジョンや森づくり推進プラン等に基づき、多摩産材の流通や利用拡大などに取り組むこととしております。
 都が整備する競技施設等につきましては、こうした方針を踏まえつつ、施設の設計を進める中で、コストや耐久性なども考慮し、広く施設整備における木材の活用を検討してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 中小医療福祉施設の創エネ、省エネについてでございますが、昨年度より取り組んでいるESCO事業者を活用したコージェネレーションシステムなどの導入支援では、特別養護老人ホームや病院などから十九件の申請があり、中にはエネルギー使用量を一割以上削減するような事例もございます。
 また、小規模な施設に対しては、太陽熱システムの導入を支援しており、グループホームなどから三件の申請がございました。
 今後とも、補助制度の内容やエネルギー消費量の削減効果などについて、業界団体などを通じて幅広く周知を図りながら、引き続き中小医療福祉施設の創エネ、省エネを支援してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、妊婦健康診査の普及啓発と相談支援についてでありますが、都はこれまで、区市町村や医師会等の関係団体との連携やインターネット広告の活用などにより、妊婦健診の重要性の啓発に努めてまいりました。
 また、女性相談センターや女性のための健康ホットライン、昨年開設いたしました妊娠相談ほっとライン等におきまして、予期しない妊娠に関する相談のほか、経済面の悩みなど出産への不安を抱える方の相談に対応しております。
 さらに、今年度から開始するゆりかご・とうきょう事業では、区市町村において出産等準備のために育児パッケージの配布を行い、専門職が全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援を実施いたします。
 今後とも、こうした取り組みにより、妊娠、出産に悩みを抱える女性を適切な支援につなげてまいります。
 次に、NICU等からの退院支援についてでありますが、都は、NICUやGCUに長期入院している子供が在宅療養へ円滑に移行できるよう、周産期母子医療センターへのNICU入院児支援コーディネーターの配置を支援しております。
 このコーディネーターは、子供が在宅に移行する際に、家族への医療的ケアの指導や相談、助言等を行っており、妊婦健康診査を受けずに出産した母親に対しては、育児に関する知識等を提供するとともに、保健所など地域の関係機関にもつないでおります。
 また、こうした支援方法や内容につきましては、NICUスタッフの連絡会や研修会で紹介するなど情報の共有化を図り、周産期母子医療センター等における取り組みの充実に役立てております。
〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 「やさしい日本語」を活用した取り組みについてでありますが、平成二十四年四月、地域国際化推進検討委員会から、災害時における外国人への情報提供については、英語などの外国語対応に加えまして、外国人でも理解可能な易しい表現による日本語を取り入れることも有効であるとの提言がございました。
 都はこれを受け、在住外国人向けに東京都国際交流委員会のホームページを通じて、英語や中国語などとあわせ、「やさしい日本語」でも緊急時の対応方法等を情報提供をしております。
 また、災害時に直接外国人支援を行います防災語学ボランティアを初め、区市町村、地域の国際交流委員会に対しては、易しい表現による日本語を活用した情報提供について理解を深めるための研修などを行っております。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 発災時に備えた外国人支援についてでございますが、大規模地震等の発生時に外国人の安全・安心を確保することは重要でございます。
 これまでも都は、在住外国人に対する英語での防災情報の提供や、「やさしい日本語」による防災知識の普及啓発、外国人旅行者向け観光ガイドへの防災情報の掲載など、発災時に備えた外国人支援策を進めております。
 また、昨年末取りまとめました東京の防災プランにおいて、災害情報の多言語化や、わかりやすい案内板等の整備など、二〇二〇年を目標に、外国人等への情報提供手段の強化を図ることとしております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、区市町村などとも連携し、発災時における外国人の安全・安心の確保に努めてまいります。

○議長(高島なおき君) 以上をもって質問は終わりました。

議長(高島なおき君) これより日程に入ります
 日程第一から第二十八まで、第百三十一号議案、東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例外議案二十二件、専決五件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事安藤立美君。
〔副知事安藤立美君登壇〕

○副知事(安藤立美君) ただいま上程になりました二十八議案についてご説明を申し上げます。
 初めに、第百三十一号議案から第百三十八号議案までの八議案は条例案で、全てが一部を改正する条例でございます。
 第百三十一号議案、東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例は、安全・安心まちづくりの推進体制強化とともに、危険薬物乱用や特殊詐欺の根絶に向けた取り組みなど、喫緊の課題への対応を図るため、規定を整備するものでございます。
 第百三十三号議案、東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例は、地方税法の一部改正等に伴い、資本金一億円超の普通法人について法人事業税所得割の税率を引き下げ、外形標準課税を拡大するなど、規定を整備するものでございます。
 第百三十五号議案、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例は、建築士法等の一部改正を踏まえ、建築士事務所登録手数料を改定するものでございます。
 第百三十六号議案、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例は、女性福祉資金の延滞利子を改めるものなどでございます。
 このほか、組織、施設に関して規定を整備するもの、法令の改正に伴い規定を整備するものが四件ございます。
 第百三十九号議案から第百四十九号議案までの十一議案は契約案でございます。
 第百三十九号議案、警視庁麻布警察署庁舎(二十七)改築工事請負契約など、契約金額の総額は約百九十七億円でございます。
 第百五十号議案から第百五十三号議案までの四議案は事件案でございます。
 第百五十号議案は、都が訴えを提起した損害賠償請求事件について和解するもの、第百五十一号議案は、土地信託の期間を変更するもの、第百五十二号議案は、遺贈に係る権利を放棄するもの、第百五十三号議案は、東京消防庁のヘリコプターを買い入れるものでございます。
 次に、専決でございます。
 東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例など条例四件は、施行までの間に議会を招集する時間的余裕がないと認め、専決処分を行ったものでございます。
 また、再雇用職員等の採用選考に係る損害賠償請求事件の控訴提起については、控訴期間内に議会を招集する時間的余裕がないと認め、専決処分を行ったものでございます。
 上程になりました二十八議案の説明は以上ですが、このほかに人事案を送付いたしております。
 まず、東京都公安委員会委員でございます。
 一名の欠員がございますので、中村滋氏を任命いたしたいと存じます。
 次に、東京都人事委員会委員でございます。
 七月二十三日に任期満了となります関谷保夫氏の後任には、青山やすし氏を選任いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(高島なおき君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(新美大作君) 人事委員会の回答は、第百三十二号議案について異議はないとの意見であります。

二七人委任第二四号
平成二十七年六月四日
東京都人事委員会委員長 関谷 保夫
 東京都議会議長 高島なおき殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十七年六月二日付二七議事第七五号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
提出議案
一 第百三十二号議案
職員の再任用に関する条例の一部を改正する条例
意見
異議ありません。

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第二十八までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十八までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(高島なおき君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都公安委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
〔新美議事部長朗読〕
一、東京都公安委員会委員の任命の同意について一件

二七財主議第一三四号
平成二十七年六月九日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都公安委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者を東京都公安委員会委員に任命したいので、警察法第三十九条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     中村  滋

      略歴
現住所 東京都港区
中村  滋
昭和二十三年十二月二十四日生(六十六歳)
昭和四十七年八月  外務公務員採用上級試験合格
昭和四十八年三月  一橋大学法学部卒業
昭和四十八年四月  外務省入省
昭和五十一年七月  オックスフォード大学卒業(政治・経済学修士)
昭和六十二年十一月 在アメリカ合衆国日本国大使館一等書記官
平成二年一月    在アメリカ合衆国日本国大使館参事官
平成三年四月    経済協力局無償資金協力課長
平成五年四月    アジア局北東アジア課長
平成七年一月    経済協力局政策課長
平成八年二月    大臣官房会計課長
平成十年五月    在連合王国日本国大使館公使
平成十年八月    兼在ロンドン日本国総領事館総領事
平成十四年一月   在サンフランシスコ日本国総領事館総領事
平成十六年三月   大臣官房大使(イラク復興支援等調整に関する事務に携わる間)
平成十六年七月   国際情報局長
平成十六年八月   国際情報統括官
平成十八年五月   特命全権大使サウジアラビア国駐箚
平成二十一年七月  特命全権大使(国際貿易・経済担当)
平成二十一年七月  日本政府代表(湾岸協力理事会との自由貿易協定交渉)
平成二十三年三月  特命全権大使マレーシア国駐箚
平成二十六年三月  外務省退官
平成二十六年四月  東京大学公共政策大学院客員教授
平成二十六年四月  日本電気株式会社顧問
平成二十六年五月  住友生命保険相互会社顧問
現在        東京大学公共政策大学院客員教授

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(高島なおき君) 追加日程第二、東京都人事委員会委員の選任の同意についてを議題といたします。
〔新美議事部長朗読〕
一、東京都人事委員会委員の選任の同意について一件

二七財主議第一三五号
平成二十七年六月九日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都人事委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都人事委員会委員 関谷保夫は平成二十七年七月二十三日任期満了となるため、後任として左記の者を選任したいので、地方公務員法第九条の二第二項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     青山  やすし

      略歴
現住所 東京都中野区
青山  やすし
昭和十八年十月五日生(七十一歳)
昭和四十二年三月  中央大学法学部卒業
昭和四十二年四月  東京都入都
昭和五十四年十二月 神経科学総合研究所事務部調査課長
昭和五十六年十月  衛生局副主幹≪神経科学総合研究所派遣(管理部調査課長)≫
昭和五十七年八月  商科・立川短期大学事務局立川短大教務課長
昭和五十九年四月  都市計画局副主幹(局務担当≪局務≫)
昭和六十一年四月  生活文化局総務部企画室副参事
昭和六十三年四月  生活文化局総務部企画室副参事(統括)
平成元年八月    生活文化局総務部庶務課長(統括)
平成二年八月    生活文化局参事≪総務課長事務取扱≫
平成三年六月    城北福祉センター所長
平成五年七月    福祉局高齢社会対策担当部長
平成六年四月    福祉局企画担当部長
平成六年八月    福祉局高齢福祉部長
平成七年六月    企画審議室計画部長
平成八年七月    政策報道室計画部長
平成九年七月    政策報道室理事
平成十一年五月   東京都副知事
平成十五年七月   荒川区教育委員会委員
平成十六年四月   明治大学公共政策大学院教授
現在        明治大学公共政策大学院教授

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 本件は、知事の選任に同意することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(高島なおき君) 追加日程第三、議員提出議案第九号、東京都歯科衛生士修学資金貸与条例を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)

○六十七番(山崎一輝君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第九号については、趣旨説明を省略し、厚生委員会に付託されることを望みます。

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第九号は、趣旨説明を省略し、厚生委員会に付託することに決定いたしました。

○議長(高島なおき君) 陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました陳情九件は、お手元に配布の陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び議会運営委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 明十八日から二十三日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、明十八日から二十三日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、六月二十四日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時三十三分散会

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