平成二十六年東京都議会会議録第十七号

平成二十六年十二月十八日(木曜日)
 出席議員 百二十六名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番川松真一朗君
四番山内  晃君
五番栗山よしじ君
六番小松 大祐君
七番鈴木 章浩君
八番大津ひろ子君
九番石川 良一君
十番宮瀬 英治君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番田中  健君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番堀  宏道君
二十一番河野ゆうき君
二十二番柴崎 幹男君
二十三番ほっち易隆君
二十四番舟坂ちかお君
二十五番清水 孝治君
二十六番島崎 義司君
二十七番やながせ裕文君
二十八番田中 朝子君
二十九番塩村あやか君
三十番山内れい子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番西沢けいた君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番中山 信行君
三十八番吉倉 正美君
三十九番上野 和彦君
四十番鈴木 錦治君
四十一番木村 基成君
四十二番高椙 健一君
四十三番栗山 欽行君
四十四番大場やすのぶ君
四十五番和泉 武彦君
四十六番近藤  充君
四十七番小宮あんり君
四十八番三宅 正彦君
五十番野上ゆきえ君
五十一番上田 令子君
五十二番西崎 光子君
五十三番小山くにひこ君
五十四番あさの克彦君
五十五番新井ともはる君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番まつば多美子君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番桜井 浩之君
六十五番きたしろ勝彦君
六十六番松田やすまさ君
六十七番山崎 一輝君
六十八番神野 次郎君
六十九番菅野 弘一君
七十番北久保真道君
七十一番田中たけし君
七十二番神林  茂君
七十三番宇田川聡史君
七十四番高橋 信博君
七十五番両角みのる君
七十六番中村ひろし君
七十七番島田 幸成君
七十八番今村 るか君
七十九番大西さとる君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番東村 邦浩君
八十四番小磯 善彦君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番秋田 一郎君
八十八番中屋 文孝君
八十九番早坂 義弘君
九十番崎山 知尚君
九十一番鈴木 隆道君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番相川  博君
九十六番山田 忠昭君
九十七番服部ゆくお君
九十八番こいそ 明君
九十九番田島 和明君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番藤井  一君
百七番長橋 桂一君
百八番中嶋 義雄君
百九番ともとし春久君
百十番古賀 俊昭君
百十一番林田  武君
百十二番高木 けい君
百十三番村上 英子君
百十四番吉原  修君
百十五番野島 善司君
百十六番三宅 茂樹君
百十七番川井しげお君
百十八番高島なおき君
百十九番立石 晴康君
百二十番吉野 利明君
百二十一番野村 有信君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし
 欠員
    四十九番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長比留間英人君
東京都技監建設局長兼務横溝 良一君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長中井 敬三君
主税局長塚田 祐次君
警視総監高綱 直良君
生活文化局長小林  清君
オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋 正宏君
都市整備局長安井 順一君
環境局長長谷川 明君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長新田 洋平君
消防総監大江 秀敏君
水道局長吉田  永君
下水道局長松田 芳和君
青少年・治安対策本部長河合  潔君
病院経営本部長醍醐 勇司君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長松井多美雄君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長遠藤 雅彦君
監査事務局長石原 清次君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

十二月十八日議事日程第三号
第一 第百八十四号議案
平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第四号)
第二 第百八十五号議案
平成二十六年度東京都下水道事業会計補正予算(第一号)
第三 第百八十八号議案
公益的法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百九十号議案
職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百九十一号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百九十二号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百九十三号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百九十四号議案
職員の懲戒に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百九十五号議案
職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百九十六号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十七号議案
職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百九十八号議案
東京都特別職報酬等審議会条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十九号議案
職員の配偶者同行休業に関する条例
第十四 第二百号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百一号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第二百二号議案
東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第二百三号議案
東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第十八 第二百四号議案
東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百五号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第二百七号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百八号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百九号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十三 第二百十号議案
宅地建物取引業法等関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十四 第二百十三号議案
東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十五 第二百十四号議案
東京都民生委員定数条例の一部を改正する条例
第二十六 第二百十五号議案
東京都養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百十六号議案
東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百十七号議案
東京都軽費老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第二百十八号議案
東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第二百十九号議案
東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第二百二十号議案
東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第二百二十一号議案
東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第二百二十二号議案
東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第二百二十三号議案
東京都指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第二百二十四号議案
東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第二百二十五号議案
東京都婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第二百二十六号議案
東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第二百二十七号議案
東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第二百二十八号議案
東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第二百二十九号議案
東京都障害者支援施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第二百三十号議案
東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第二百三十一号議案
東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第二百三十二号議案
東京都動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第二百三十三号議案
東京都地域医療介護総合確保基金条例
第四十五 第二百三十四号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第四十六 第二百三十五号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第二百三十六号議案
東京都廃棄物条例の一部を改正する条例
第四十八 第二百三十七号議案
東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第二百三十八号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第二百三十九号議案
警視庁鮫洲運転免許試験場技能試験コース棟・駐車場棟(仮称)(二十六)新築工事(その二)請負契約
第五十一 第二百四十号議案
都立高島特別支援学校(二十六)増築及び改修工事請負契約
第五十二 第二百四十一号議案
東京国際展示場(二十六)受変電設備改修工事請負契約
第五十三 第二百四十二号議案
東京消防庁立川防災施設(二十六)空調設備改修工事請負契約
第五十四 第二百四十三号議案
新宿歩行者専用道第二号線Ⅲ期─一工区整備工事(二十六 三─主四青梅街道)その二請負契約
第五十五 第二百四十四号議案
石神井川取水施設工事(その一)請負契約
第五十六 第二百四十五号議案
当せん金付証票の発売について
第五十七 第二百四十六号議案
杉並区学校教育職員の主任教諭選考に係る事務の受託について
第五十八 第二百四十七号議案
東京都石神井学園の指定管理者の指定について
第五十九 第二百四十八号議案
東京都小山児童学園の指定管理者の指定について
第六十 第二百四十九号議案
東京都船形学園の指定管理者の指定について
第六十一 第二百五十号議案
東京都八街学園の指定管理者の指定について
第六十二 第二百五十一号議案
東京都勝山学園の指定管理者の指定について
第六十三 第二百五十二号議案
東京都片瀬学園の指定管理者の指定について
第六十四 第二百五十三号議案
東京都七生福祉園の指定管理者の指定について
第六十五 第二百五十四号議案
東京都八王子福祉園の指定管理者の指定について
第六十六 第二百五十五号議案
東京都千葉福祉園の指定管理者の指定について
第六十七 第二百五十六号議案
東京都東村山福祉園の指定管理者の指定について
第六十八 第二百五十七号議案
東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第六十九 第二百五十八号議案
東京都視覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第七十 第二百五十九号議案
東京都八王子自立ホームの指定管理者の指定について
第七十一 第二百六十号議案
東京都立東部療育センターの指定管理者の指定について
第七十二 第二百六十一号議案
東京都奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定について
第七十三 第二百六十二号議案
東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定について
第七十四 第二百六十三号議案
東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
第七十五 第二百六十四号議案
東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
第七十六 第二百六十五号議案
東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
第七十七 第二百六十六号議案
東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
第七十八 第二百六十七号議案
土地の買入れについて
第七十九 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第三号)の報告及び承認について
議事日程第三号追加の一
第一 議員提出議案第二十二号
高齢者の医療費の助成に関する条例

   午後一時開議

〇議長(高島なおき君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(高島なおき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(高島なおき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第二十二号、高齢者の医療費の助成に関する条例が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

〇議長(高島なおき君) 昨日に引き続き質問を行います。
 四十七番小宮あんりさん。
   〔四十七番小宮あんり君登壇〕

〇四十七番(小宮あんり君) 我が国は、世界に類のない高齢化社会を迎えつつあります。高齢化社会とは、すなわち長寿社会です。誰もが健康で長生きできることを誇れる社会にするためにも、高齢者の方々の不安を取り除き、皆が安心して暮らせる東京をつくる。まずはその観点から質問を始めます。
 来年には、この東京でも全人口の二三%が六十五歳以上の高齢者となります。東京都はこれまで、都有地を活用するなどして、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホーム、サービスつき高齢者住宅など、施設の整備を進めてきました。
 しかし、土地の限られた東京では、施設の整備には限界があります。何より、高齢者の身になれば、住みなれた家に、地域に暮らし続けながら、医療や介護が適切に受けられる、そうした環境を整備することが必要です。
 今は元気で自宅に暮らしていても、いつか病気で入院することになったら、その先の生活がどうなるのか、不安に思う高齢者の方々の声を聞きます。東京都の調査によれば、多くの方が、病気で入院しても、状態が安定したら、なるべく早く住みなれた家に帰って療養したいと望んでいます。そのためには、入院したまさにそのときから、患者の退院後の生活を見据えた退院支援を行っていくことが重要です。
 こうした中、本定例会において、都は、消費税増収分を活用した新たな基金の設置条例案と関連する補正予算案を提案しています。病院が患者一人一人に合わせた、きめ細かい退院支援を行い、在宅療養への円滑な移行を進めていけるよう、今回の基金を最大限有効に活用していくことが重要です。
 そこで、病院における在宅療養への円滑な移行の推進に向けた今後の取り組みについて伺います。
 さて、在宅で暮らすこうした高齢者や家族を心配する親族の思いにつけ込んで、相変わらず、いわゆる振り込め詐欺が、手をかえ品をかえ横行しています。警察庁の直近の発表によれば、ことし十月末までの全国の振り込め詐欺は、認知件数、被害総額のいずれも昨年を上回り、地域に暮らす高齢者や家族に大きな不安を与えています。こうした振り込め詐欺への対策は喫緊の課題であり、早急に被害の防止に努めるべきと考えます。
 今後の取り組みについて伺います。
 また、元気な高齢者が住みなれた家に、地域に生き生きと暮らし続けるためには、安全に外出できる環境づくりが必要です。町会や自治会の活動に参加したり、商店街に買い物に行ったり、かかりつけの医者に行くなど、自宅とさまざまな施設をつなぐ道路、まちのインフラや交通体系のあり方が重要です。高齢者だけでなく、小さいお子さんやベビーカーを押す家族、また障害のある人にも優しいまちづくりが求められています。
 道路の無電柱化は、都市景観の改善や歩道の快適性をつくり出すだけでなく、災害時に電柱が倒れて緊急車両や物資を運ぶ道路を塞ぐことのないように、防災の観点からも推進すべきです。都議会自民党の公約集に東京から電柱をなくしますと掲げているように、都心部の都道だけでなく、都内全域で無電柱化を推し進めることが重要です。
 国においても、低コストの無電柱化技術の導入や、無電柱化基本法案を議員立法として国会に提出する予定であり、無電柱化推進に向けたさまざまな動きが活発です。
 そこで、無電柱化のより一層の推進に向けた今後の取り組みについて所見を伺います。
また、無電柱化を面的に推進するためには、区市町村における取り組みが必要であり、都だけでなく、区市町村においても技術者を育成していくことが重要です。
 都議会自民党の都市政策推進本部では、去る七月に東京電力の無電柱化モデル施設の視察を行い、その構造や技術について知見を広めてまいりました。電気や通信に関する理論や無電柱化に必要な機器のコンパクト化など、無電柱化に欠かせない技術が進化を続けていると実感しました。
 そのような技術を区市町村でも活用していくためには、高い能力を持った技術者を育成するための支援を積極的に行っていく必要があると考えます。所見を伺います。
 さて、高齢者を含め、誰もが移動しやすい都市を実現する上で重要なのは鉄道です。平成三十二年の東京五輪開催後を見据えた鉄道網の整備に当たっては、臨海部だけでなく、多摩地域まで東京全体を見渡し、路線の整備効果を見きわめながら取り組むべきと考えます。
 国は、本年五月より、交通政策審議会において、東京圏における今後の都市鉄道のあり方についての議論を開始しました。
 こうした動きを踏まえて、都においても調査検討を進めていますが、鉄道網の充実に向けて、この内容をどう生かしていくのか伺います。
 また、まちを分断する鉄道は、各地のまちづくりに大きく影響します。杉並区内の西武新宿線には、朝夕のラッシュ時に四十分以上も遮断しているあかずの踏切が残されています。こうしたあかずの踏切を解消するには、複数の踏切を同時に除却する連続立体交差事業の推進が不可欠です。
 西武新宿線の野方駅から井荻駅、さらにその先の東伏見駅までの二区間が都において鉄道立体化の事業候補区間に位置づけられており、これを受けて、私の地元である杉並区では、下井草駅、井荻駅、上井草駅の各駅で住民による駅周辺まちづくり協議会が設置をされ、構想を取りまとめるなど、新たなまちづくりの機運が高まっています。
 改めて、この区間の現状について伺います。
 さて、これからの交通政策は、インフラの量の拡大を目指す政策から、利用者目線に立ち、使いやすさや快適性を重視した政策へと深化すべきです。五十年前の東京五輪開催時には、首都高速道路や東京モノレールが開通するなど、まさに量の拡大が行われました。これに対し、二度目の東京五輪を開催するに当たっては、成熟都市のモデルとして、時代に即した東京の姿を示していくことが必要です。
 現在、都は交通政策のあり方検討会を開催し議論を進めていますが、都が目指す交通政策について見解を伺います。
 都知事は過日の所信表明において、環境先進都市としての東京を世界に発信していくと述べられました。最近、集中豪雨や豪雪、季節外れの台風など異常気象が頻発しています。地球温暖化がその主な原因と考えられます。都内では集中豪雨への対処法として、河川の調節池や下水の貯留管の整備などを計画的に進めていますが、本来、こうした被害の根本原因である地球環境の変化に対しても、東京都が率先して取り組んでいかなければなりません。世界最先端の日本の環境技術を活用し、東京が世界一の環境都市として国際社会をリードし、将来の子供たちに美しい国と安全なまち、持続可能な社会を伝えていかなければなりません。
 都知事が東京五輪大会後を見据え、力を入れる、今後の水素社会の実現に向けた取り組みについて、知事の見解を伺います。
 また、先日十五日、世界初の一般向け燃料電池車が発売されました。いよいよ水素社会の幕あけです。この動きを確かなものとするためには、燃料電池車の普及に先んじて、水素ステーションの整備が不可欠です。
 昨日の我が党の代表質問の中では、大手事業者への整備費支援策についてまずは伺いましたが、都内に数多く存在する中小ガソリンスタンドなど、既存のインフラを活用することも重要です。また、新たに土地を確保して事業を始める中小参入者には、都独自のさらなる支援策が不可欠です。都の取り組みを伺います。
 そして、水素の活用だけでなく、まち全体で環境を向上していくには、個々の住宅へのきめ細かい環境対策等により、地域全体のエネルギー効率を高めていくことも必要です。これまでも都は、太陽光発電や蓄電池導入への支援など、さまざまな取り組みを積み重ねてきました。
 今後も区市町村と連携した取り組みをさらに進化させるとともに、新築住宅と比べて対策が進みにくい既存住宅の省エネ化を促す、そうした取り組みも重要です。所見を伺います。
 さて、先般の総選挙においても、自民党が政権に復帰してこの二年間で新たに百万人の雇用を生み出したことがたびたび取り上げられました。
 都としても、今後、新しい事業に挑戦する意欲ある人たちが創業しやすい環境を整える必要があります。最近では、民間事業者や区市町村等がさまざまなインキュベーション施設、いわゆる創業者の拠点となる施設を運営し、これに地域の金融機関なども力を注ぎ始めています。
 都は、長期ビジョンの中間のまとめにおいて、都内の開業率四・六%を今後十年間で一〇%台へ引き上げるという大きな目標を掲げました。この目標の実現には、これまでの事業に加え、新たな創業活性化支援が必要です。
 そこで、創業者の立ち上げ期の支援を強化するとともに、民間や区市町村等が行う創業支援施設の取り組みを後押しするなど、より積極的な施策を展開すべきと考えます。見解を伺います。
 また、我が国の産業や経済活動を支える大きな潜在力である女性の力をいかに発揮してもらうかは、今後、人口減少社会を迎えるに当たり、社会全体の活力を高める大切な要素です。
 都内就業者の約七割が働く中小企業で、社内の実態を踏まえた女性が働きやすい職場環境の整備を進めていくことが必要です。過日、私も、運送業界の方から、初めて短時間勤務を募集してみたが、予想以上に反応があったというお話を伺いました。健全な待遇を維持しつつ、正規か、非正規かではなく、個人の人生設計に合った仕事の選択をより柔軟にできるようにして、多様な勤務形態を確保する。そのことで女性が働きやすい環境をつくり出して、活力ある東京を、女性ならではの視点も生かしながら、ともに支えていく。
 本定例会には、女性の活躍推進人材育成事業が補正予算として提案されました。この事業の狙いと取り組み内容について伺います。
 最後に、子供たちを取り巻く社会問題、危険ドラッグに対する子供たちへの教育について伺います。
 ことしになって、危険ドラッグが原因で、みずから命を失ったと見られる人が全国で百十一人に上り、昨年の十倍以上になっています。
 都においては、福祉保健局の取り組みにより、東京都薬剤師会等の協力もいただいて養成した薬物専門講師が、ボランティアで小学校や中学校、高校へと出向いて薬物の危険性を教えていますが、児童や生徒がそうした被害に巻き込まれることがないよう、学校において改めて薬物乱用防止教育を充実させるべきと考えます。見解を伺います。
 ここまで、高齢者や女性、子供たちなど、社会的に弱い立場にある方々の目線から、東京をどのようなまちにしていくか伺ってきました。そうした方々に優しいまちは、誰にとっても住みやすく、安全で快適なまちになるからです。東京に住む人全てが、二十三区も多摩も島も、東京を自分のふるさととして誇りに思い、いつまでも住み続けたいと願う、世界で一番の都市東京を目指して、これからも都議会自民党の一員として全力で取り組んでいくことを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 小宮あんり議員の一般質問にお答えいたします。
 水素社会の実現に向けた取り組みについてでございますが、二〇二〇年は終着点ではなく、その先の日本と東京の発展のための通過点でありまして、私は、東京オリンピック・パラリンピック後に、水素社会の実現というレガシーを残していきたいと考えております。
 水素戦略会議では、中長期の水素社会を展望しつつ、二〇二〇年までの戦略目標をあわせて設定し、オリンピック・パラリンピックでの水素エネルギーの活用に向けた環境整備に速やかに取り組んでいくこととしております。
 具体的には、水素ステーションは二〇二〇年までに三十五カ所を整備し、その後五年間で八十カ所までふやしてまいります。燃料電池車も二〇二〇年までに六千台、その五年後には十万台の普及を目指します。燃料電池バスについても、都みずから都営バスに率先して導入し、民間を先導していきたいと思っております。
 こうした戦略目標の実現に向けて、実用化の初期段階を強力にバックアップするため、水素ステーション整備や燃料電池車の導入等に関する都独自の支援策を盛り込みました補正予算案を本定例会に提出してございます。
 本日、東京で第一号となる商用の水素ステーションが練馬の谷原に開設されました。今後、官民一体となってスピード感を持って取り組み、水素社会の実現に向けて我が国を牽引してまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 薬物乱用防止教育の充実についてでありますが、本年七月、都教育委員会は、区市町村教育委員会及び学校に対し、危険ドラッグ乱用防止に関する通知を出し、現在実施している薬物乱用防止教室において危険ドラッグを重点的に取り上げることや、保護者や地域の方々にも参加を呼びかけ啓発することなど、児童生徒にその危険性を認識させるよう指導の徹底を図ったところでございます。
 今後、危険ドラッグには麻薬や覚醒剤以上の危険性があることや、乱用により死亡した事例などを掲載した教師用指導資料を来年三月までに作成をしてまいります。
 さらに、警察や医療などの関係機関と連携し、危険ドラッグに重点を置いた専門的な教員研修を来年度新たに実施することなどを通して、学校における薬物乱用防止教育の充実に努めてまいります。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

〇東京都技監(横溝良一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、無電柱化事業の今後の取り組みについてでございますが、無電柱化は、防災機能の強化や良好な都市景観の創出、快適な歩行空間の確保を図る上で重要でございます。
 都は、年内に新たに策定する計画に基づき、五年間で区市町村道と合わせて九百十六キロメートルの整備を推進いたします。このうち、都道の新規路線百七十二キロメートルについては、周辺区部や多摩地域を中心に、都市防災機能強化の視点から、緊急輸送道路や主要駅周辺などで整備を進めてまいります。
 さらに、幅員の狭い区市町村道での無電柱化を実施するため、公共空間などを活用した機器類の設置などの可能性について関係局と検討を行うとともに、情報の共有化や新技術の適用に向けて、新たに関係区市と技術的研究を行う場を設け、検討を進めてまいります。
 次に、無電柱化を推進するための区市町村に対する技術支援についてでございますが、区市町村道では、これまで無電柱化の実施事例が少なく、今後事業を推進するためには、区市町村の技術水準の確保に向けて都が支援することが重要でございます。
 このため、都が策定した電線共同溝整備マニュアルに基づきました設計や施工などにかかわる講習会を行うとともに、実物大のモデルにより立体的な構造の理解を図る実践的な研修を広く実施してまいります。また、各区市町村の事業実施に当たり、法的手続や技術上の課題解決に関して、引き続き個別具体的に助言や指導を行い支援をしてまいります。
 今後とも、都がリーダーシップを発揮し、無電柱化技術の普及促進を図り、風格ある都市景観の形成と高度防災都市の実現に向け、無電柱化を積極的に推進してまいります。
 最後に、西武新宿線野方駅から東伏見駅間の鉄道立体化についてでございますが、連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで道路ネットワークの形成を促進し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業でございます。この区間には、あかずの踏切が十七カ所あり、都市計画道路が八カ所で交差するなど、鉄道立体化により大きな効果を得られる区間であると認識をしております。
 都は、現在、事業範囲や構造形式などの調査を実施し課題の把握を行うなど、事業化の可能性について検討しております。
 今後とも、鉄道事業者と連携し、地元のまちづくりの動向を勘案しながら、鉄道立体化の検討を進めてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

〇福祉保健局長(梶原洋君) 病院から在宅療養への円滑な移行についてお答えします。
 都はこれまで、高齢者が安心して病院から在宅へ移行できるよう、入院早期から退院後に向けて取り組むべき事項を段階ごとにまとめた退院支援マニュアルを作成するなど、医療機関の退院支援の取り組みを支援してまいりました。
 また、今年度から新たに、地域医療を担う二百床未満の指定二次救急医療機関に対し、入院患者の在宅移行支援を行う看護師等の配置を支援するとともに、人材育成のための研修カリキュラムの作成を進めております。
 今回策定した医療介護総合確保法に基づく計画には、このカリキュラムを活用した全ての病院を対象とする研修の実施や、中小病院への人材配置など、新たな支援策も盛り込んでおり、今後、基金を活用し、病院から在宅療養への円滑な移行を一層推進してまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 高齢者に対する特殊詐欺の被害防止についてでございますが、都内では、十一月末現在において、認知件数、被害額ともに昨年同時期と比較すると減少したものの、深刻な被害状況が続いております。
 都はこれまでも、実演式講話やリーフレットによる啓発などの対策を講じてきているものの、手口の巧妙化等により被害の撲滅に至っておりません。
 このため、これまでの取り組みに加えて、電話を受ける段階での対策を強化するなど、さまざまな対策を実施することが必要でございます。
 そこで、特殊詐欺の抑止効果が高い自動通話録音機につきまして、警視庁等と連携した緊急対策として一万台の設置を目指すなど、さまざまな対策を検討してまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

〇都市整備局長(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、鉄道ネットワークの充実についてでございますが、国は、鉄道ネットワーク整備に関する現在の審議会答申が平成二十七年を目標年次としていることから、交通政策審議会におきまして、来年度中に次期の答申を取りまとめるとしております。
 都といたしましても、こうした国の動向を踏まえ、本年五月、学識経験者などで構成される委員会を設置いたしました。この中で、駅を中心とした拠点間相互の連携強化の必要性や、国際競争力を高めるための空港アクセスの改善効果など、さまざまな観点から鉄道ネットワークのあり方について議論を行っております。
 今年度内に中間のまとめを行い、引き続き議論を重ねた上で、審議会における検討の進捗状況を踏まえまして、来年度、都の具体的な考え方を国に示す予定でございます。
 次に、都が目指す交通政策についてでございますが、成熟都市としてさらなる発展を目指す東京では、交通網の充実とともに、既にあるインフラを活用し、誰もが利用しやすく、環境に優しい交通体系を構築していくことが重要でございます。
 学識経験者を交えた検討会では、案内表記の多言語対応やホームドアの整備、乗りかえ経路の段差解消など、外国人来訪者や高齢者、障害者など、誰にとっても快適で便利な交通体系について提案を受けました。
 また、オープンカフェなど、にぎわいのある歩行者空間や、ネットワーク化された自転車走行空間の実現に向け、限られた道路空間の活用方法についても意見が出されてございます。
 今後、検討会での議論を踏まえまして、次世代を見据えた利用者本位の交通政策を取りまとめ、世界一便利で快適な都市東京を実現してまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水素ステーションの整備についてでございます。
 燃料電池車の普及に向けては、高コストの整備費や運営費などの課題がある中で、利用者の利便性を考慮しながら早期にステーションを整備していくことが重要でございます。
 水素戦略会議の中間まとめでは、二〇二〇年までに最寄りのステーションへの到達時間が十五分程度になるよう、三十五カ所を整備していく目標を掲げております。
 この目標の実現に向けて、本定例会に提案しております補正予算案には、整備費だけではなく、土地の賃借料も含む運営費をも対象とする都独自の推進策を盛り込んでおります。また、中小事業者に対しましては整備費全額を補助するとともに、運営費補助も増額するなど、手厚い支援策としております。
 こうした取り組みを進め、国に規制緩和も強く求めながら、ステーションの整備を強力にバックアップしてまいります。
 次に、地域における省エネの推進についてでございます。
 地域のエネルギー利用効率を高めるためには、家庭や事業所での賢い省エネ、節電を促す取り組みが重要でございます。
 都はこれまでも、区市町村が行う家庭や中小規模事業所の省エネ対策に対して支援を行ってきており、今後も、こうした区市町村が町会や商店街など地域の団体と連携して行う取り組みを支援してまいります。
 また、新築と比べて省エネが進んでいない既存住宅では、熱の出入りの多い開口部などに断熱性能の高い建材を活用することが効果的であり、今後、リフォーム時に省エネ性能の向上を図る仕組みについて検討してまいります。
 こうした取り組みを進めることで、都市のエネルギー利用効率の一層の向上を図ってまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

〇産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、創業支援の強化についてでございますが、東京が将来にわたり持続的に発展していくためには、新たな産業分野を切り開く起業家やベンチャー企業を数多く生み出し、その成長を促すことが不可欠でございます。そのためには、創業希望者の目標となる成功モデルの輩出や、創業を幅広く支える環境づくりが重要でございます。
 そこで都は、今後、実現性の高いすぐれたビジネスプランを持つ創業希望者に対する経費の助成などについて、さらなる支援策の充実を検討してまいります。
 加えて、高度なノウハウを有する民間創業支援機関や地域の産業に精通した区市町村による、多様なインキュベーション施設の整備に対する支援を検討するなど、一層の創業環境の向上を図り、新たなビジネスの創出による産業の活性化を加速してまいります。
 次に、女性の活躍推進についてでございます。
 中小企業において女性の活躍を推進するためには、職域の拡大や職場環境の改善などに向けた社内体制を整え、個々の職場実態を踏まえた具体的な行動につなげていくことが必要でございます。
 このため、都が新たに開始する女性の活躍推進人材育成事業では、中小企業の管理職等を対象に、女性の能力発揮を進めるための目標や計画の作成方法などに関する研修を実施し、社内で推進をしていく人材を育成いたします。
 また、研修修了者を女性の活躍推進責任者とする中小企業に対しインセンティブを付与するとともに、責任者が取り組みを着実に進められるようフォローアップも行ってまいります。
 こうした事業を通じて、女性の活躍推進に取り組む中小企業を積極的に後押ししてまいります。

〇議長(高島なおき君) 九十三番山加朱美さん。
   〔九十三番山加朱美君登壇〕

〇九十三番(山加朱美君) 昭和五十二年以降、都民の死因の一位はがんとなっています。今や二人に一人ががんを患い、そのうち三人に一人が命を奪われるとされ、決して他人事ではなく、あすは我が身として、がんは身近な脅威であり続けています。
 一方で、医療技術の大きな進歩により、早期発見による完治や、治療後にがんとともに共生しながら、長く暮らし続けることも可能になりました。がんとともに生きる共生時代が到来する中で、がん患者は、がんに伴う体や心の痛み、治療を受けることによって生じる副作用や後遺症など、さまざまな問題や苦痛、大きな不安を抱え、がん告知後の人生を歩むことになります。
 今までと変わらない生活を取り戻し、家庭や社会に復帰する。そのためには、がん患者のクオリティー・オブ・ライフ、生活の質、生きることの質を向上させることは重要です。
 その一つに、がん発見後の早期、特に治療の開始前や、そして直後から訓練を行うがんのリハビリテーションが、合併症、後遺症の予防、スムーズな術後回復に有効であると注目されています。
 既に欧米では、がん医療の重要な一分野として、がんと診断された直後から、あらゆる状況に応じて適切ながんリハビリが行われていますが、日本においては、まだ医療従事者の間でも理解が十分ではなく、国のがん診療連携拠点病院の指定要件、都の認定がん診療病院の整備要件にも入っていないのが実情です。診療報酬算定が入院患者にしか認められていないなど、課題も山積します。
 しかし、我が国の今までのがん治療は、ほとんどが延命であり、その後の人生、がんとともに生きていくということが置き去りにされていました。
 たとえがんを患っても、がんとともによりよい生活の質を目指し、生きていくことが可能になった時代だからこそ、がんのリハビリテーションは、がん患者の社会復帰への一つの切り札として大きく期待されます。質の高いがんリハビリテーションがどこでも受けられるようになるよう、強く要望いたします。命の重さの前では、どちらが先ということはありません。都から国をリードするくらいの強い意気込みを期待いたします。
 そして、今後、高齢化がさらに進む中で、がん患者の増加が予想されます。
 知事は、国において、福祉のエキスパートとしてその手腕を発揮した方であります。都知事の立場からも、その経験を余すことなく発揮していただきたいと願っています。
 がん患者の療養生活の質の維持向上を図るため、今まで以上に積極的に患者とその家族に対する寄り添った緩和ケアをより一層充実していくべきと考えます。知事の所見を伺います。
 さて、ことしは夏以降、東京においても新たな感染症の脅威にさらされました。約七十年ぶりとなるデング熱の国内感染事例が発生し、西アフリカで流行が続いているエボラ出血熱の国内発生もあわやの事例がありました。さらには海外では、MERSや鳥インフルエンザH7N9などの発生も見られ、対岸の火事と済ませることができない事態です。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、今後、これまで国内で発生していない新たな新興感染症を含めた感染症対策について、都は事前の備えを万全にしておく必要があると考えます。見解を伺います。
 さらに、いまだ終息を見る気配のない、世界を脅かしているエボラウイルス疾患ですが、先進国で感染者が出たのはアメリカとスペインの二カ国で、いずれの国においても医療従事者、看護師が患者と接触する過程で感染しています。設備の上でも手順の上でも医療者の感染症防護対策が徹底されているアメリカにおいて、医療従事者への感染が起きてしまったことは重大な教訓を残しました。
 医療従事者を感染リスクから守ること自体も必要不可欠なことですが、感染拡大を防止する観点からも、医療機関における二次感染防止策の徹底は重要です。
 都内でエボラウイルス疾患患者を受け入れできる感染症指定医療機関は、国立国際医療研究センター病院のほかは、都立駒込病院、墨東病院、公社荏原病院の三病院です。これら都が有する病院でも感染防止策を徹底していくべきと考えます。見解を伺います。
 ところで、先日公表された都市外交基本戦略の素案において、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、東京の国際社会での存在感を回復させ、日本の発展の礎を築くチャンスとしています。そして、グローバル都市東京の実現のために、海外から投資や観光客を呼び込むことが不可欠であり、外国人が生活しやすい環境づくりとして外国語に対応できる病院の必要性を掲げています。
 異国の地で病院にかからねばならない状況に陥ったときに、自分の国の言葉が通じるということは、どれほど心強いことでしょうか。観光客、そして国際的ビジネス環境を整備する上で医療は重要な要素の一つです。
 そこで、都立病院においては、民間など他の医療機関の牽引役として積極的に外国人患者の受け入れ体制の整備に努めるべきと考えます。見解を伺います。
 次に、都立特別支援学校における障害者スポーツの振興について伺います。
 二〇二〇年東京オリンピックとともに、障害者のスポーツの祭典である東京パラリンピックが開催されます。
 パラリンピックとは、以前も申し上げました、下半身麻痺を意味するパラプレジアとオリンピックを組み合わせた言葉で、一九六四年の東京大会において初めて大会の愛称として使用されました。つまり、パラリンピック名称の生みの親は、我が日本であります。
 現在はパラレル、すなわちもう一つのオリンピックという意味でパラリンピックと呼ばれていますが、パラリンピックの精神は、参加することにこそ意義があるという全てのスポーツ精神の礎です。
 しかし、我が国は、諸外国に比べて障害者スポーツに対する理解が十分に進んでいるとはいいがたい現状です。
 二〇二〇年に開催される東京パラリンピックは、障害者スポーツの振興を図るとともに、障害のある人への都民や国民の理解を深める絶好の機会であります。障害のある人々がみずからの障害を克服し、持てる力や可能性を最大限に高めながら、自分の限界に挑戦する姿は、今までも、そしてこれからも、都民や国民に大きな感動と新たな活力、勇気をもたらすはずであります。
 障害のある人々のために工夫、あるいは開発された障害者スポーツには、障害の有無や年齢、性別にかかわらず、誰もが楽しむことができるよさがあり、全ての人がスポーツに親しむ社会の実現に向けた起爆剤になります。
 都立特別支援学校においては、障害のある子供のスポーツ体験の拡充はもとより、障害者スポーツを通じた障害のない人との交流の促進を図るなど、障害者スポーツの普及啓発を積極的に進めることが期待されますが、二〇二〇年の東京パラリンピックに向けて、都立特別支援学校における障害者スポーツの振興を図る取り組みについて、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、ユニバーサルデザインに基づくバリアフリーの観点から、駅におけるエレベーターの設置について伺います。
 都内にある約七百五十の駅のうち、その約九割の駅でエレベーター等の設置が進み、出入り口からホームまでの段差解消された経路がワンルート確保されております。そのことは評価をいたします。
 しかし、駅によっては、せっかくのバリアフリーのワンルートが、障害者や高齢者など移動弱者にとってはかえって回り道となる長い移動を伴い、必ずしも利用しやすい状況にはありません。
 高齢者や障害者を初め、外国人など全ての人に安全で快適な移動を確保することは、東京の魅力を世界に発信していく上でも重要な要素の一つです。
 東京を世界で一番のユニバーサルデザインに基づくバリアフリーの都市とするためにも、駅における利用者の移動距離を最短とする段差解消ルートの確保に向け、エレベーターの設置をさらに促進する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、観光施策について伺います。
 世界観光機関によると、世界の旅行者数は十億人を突破し、今後も大幅な増加が見込まれています。我が国の人口が減少局面に入る中で、こうした世界の旅行需要を積極的に取り込むことは、我が国の活力を向上させていく上で重要です。
 昨日、我が党の代表質問に対し、知事は、オリンピック・パラリンピック大会は、東京、ひいては日本の魅力を世界に発信する絶好の機会であり、旅行者が快適に滞在できる環境整備を全力で進めていかなければならないと答弁しましたが、二〇二〇年、そしてさらにその先を見据え、世界有数の観光都市にふさわしい受け入れ環境の整備を進めていく必要があります。
 近年、海外では、携帯情報端末の普及によって、スマートフォンなどを用いて必要な観光情報の収集や発信を行うことが、ごく一般的となっています。外国人旅行者の利便性を高めるためには、一度の登録でどの施設でも利用できることはもちろんのこと、外国人が必要とする情報に容易にアクセスできる、使い勝手のよい無料Wi-Fiサービスの提供が必要です。
 さらには、都としても無料Wi-Fiが使える場所の拡大に積極的に取り組むことで、どこでもつながりやすい環境を整えていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、外国人旅行者が快適に東京に滞在できる環境を整備するには、無料Wi-Fiの利便性向上に加え、旅行者を温かく迎え入れるための準備を整えねばなりません。
 都は、外国人旅行者が案内所において充実したサービスを受けられるよう、観光案内所の一層の整備や機能面の強化を図るべきと考えます。所見を伺います。
 さらに都は、ボランティアによるまち中の観光案内を新たに実施するとしていますが、都の具体的な取り組みについて伺います。
 最後に、私の地元練馬区では、高額な相続税負担等により、この十年間で約百ヘクタールもの農地が減少しています。昨日、我が党の代表でも伺いましたが、都市農地の保全について伺います。
 練馬区では、都のモデル事業を活用し、田植えや果樹栽培の体験ができる拠点施設を整備するなど、農地を生かしたまちづくりを進める取り組みを展開し、都市農地の保全に効果を発揮しています。
 都市農地の保全を図るには、相続税制度など国の制度改善が不可欠ではありますが、都としても、このようなモデル事業の成果を踏まえ、区市等としっかり連携した独自の施策を拡充していくべきと考えます。所見を伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 山加朱美議員の一般質問にお答えいたします。
 緩和ケアの充実についてでございますが、緩和ケアは、患者とその家族が抱える心や体のさまざまな痛みやつらさを和らげ、療養生活の質をよりよくするものであります。
 そのため、都は、がんと診断されたときから、緩和ケアが切れ目なく提供されるよう、東京都がん対策推進計画におきまして、緩和ケアの推進を施策の重要な柱の一つに位置づけてあります。
 これまで都は、がん診療連携拠点病院や都独自の認定がん診療病院におきまして、医師、看護師、心理職など多職種で構成する緩和ケアチームの設置を支援し、治療早期からの専門的な緩和ケアの提供を進めてまいりました。また、がん治療に携わる全ての医療従事者を対象に研修を実施し、地域における緩和ケアの水準の向上を図ってまいりました。
 さらに、来年一月には、治療を行った病院と地域の医師、ケアマネジャーなどが、がん患者の方の情報を共有できるよう、東京都緩和ケア連携手帳を作成いたします。
 今後、この手帳を活用し、地域連携を一層進め、在宅でも継続して緩和ケアが実施できる体制を整備していく考えであります。
 がんになっても自分らしく生活できる社会の構築、これが都が目指すがん対策の目標であります。そのために、緩和ケアを推進するための施策を一層強化し、都における緩和ケア提供体制のさらなる充実に取り組んでまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 障害者スポーツの振興を図る取り組みについてでありますが、パラリンピックは、障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しむ社会の実現を目指し、障害者スポーツの普及啓発や障害者理解を進めるまたとない機会でございます。
 都教育委員会は、東京パラリンピックに向け、特別支援学校において障害者スポーツを取り入れた授業などの充実により、児童生徒のスポーツ体験の拡充や競技力の向上を図るとともに、障害者スポーツ団体への施設開放を一層促進してまいります。また、新たに、特別支援学校の児童生徒が障害者スポーツを通じて小中学生や地域住民と交流する機会を設けてまいります。
 こうした取り組みにより、特別支援学校を地域の活動拠点の一つとして、障害者スポーツの振興を図ってまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

〇福祉保健局長(梶原洋君) 感染症対策についてお答えします。
 都はこれまで、感染症マニュアルや感染症対策の手引を策定いたしまして、感染症の類型別に入院勧告や移送の手順等を定めますとともに、早期に感染症の流行を発見するため、サーベイランスを実施し、発生動向を把握しております。
 これまで国内で発生していない感染症につきましては、都独自の東京感染症アラートの仕組みを構築しており、新型インフルエンザ等の国内発生に備え、個人防護具など医療資器材や医薬品の備蓄を行っております。
 また、今月、新たにエボラ出血熱対応マニュアルを作成いたしますとともに、現在、デング熱等、蚊を媒介とする感染症に関する対策会議を設け、今後の強化策を検討しております。
 今後とも、最新の知見と情報に基づきまして、常に対策を検証しながら感染症への備えに万全を期してまいります。
   〔病院経営本部長醍醐勇司君登壇〕

〇病院経営本部長(醍醐勇司君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、エボラ出血熱の感染防止策についてでありますが、感染拡大防止の観点から、患者の治療に当たる医療従事者には細心の注意が求められると認識をしております。
 そのため、第一種感染症指定医療機関に指定されている都立、公社の三病院では、これまでも定期的に患者受け入れ訓練や感染防護具の着脱訓練を実施してまいりました。
 さらに、感染防止を徹底するため、感染症専用の搬送車を使用した患者の受け入れ、医師や看護師が防護具を着た上で、模擬患者に対する採血等の検査や診察を行う実践的な訓練を実施しました。
 また、エボラウイルスの危険性を考慮して、より安全性の高い感染防護具を新たに追加備蓄するなど、対策を強化しております。
 今後とも、感染症指定医療機関としての責務を果たすとともに、感染拡大防止に万全を期してまいります。
 次に、都立病院の外国人患者の受け入れについてでありますが、外国人患者にとって、言葉の壁を意識せず、安心して受診できる体制を整備することは重要です。
 そのため、オリンピック関係者に医療を提供することになる広尾病院等三病院では、今年度から先行して看護職員などを対象に英語の研修を開始し、他の都立病院にも順次展開してまいります。
 加えて、外国のさまざまな文化、宗教的背景を理解するための研修も実施します。
 さらに、外国人にとって受診しやすい環境整備を目指し、第三者機関による評価認証の取得に取り組んでまいります。
 今後とも、ソフト、ハード両面から医療機能の向上を図り、都民のみならず、海外から東京を訪れる外国人に対しても安全・安心の医療を提供してまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

〇都市整備局長(安井順一君) 駅におけるエレベーターの設置についてでございますが、都は、駅のバリアフリー化を推進するため、国や地元自治体と連携いたしまして、鉄道事業者によるエレベーターの設置を支援してまいりました。
 この結果、これまで都内にある駅のうち、約九割において出入り口からホームまで段差なく移動できる経路が少なくとも一つ確保されてございます。
 今後、さらに、複数の出入り口が離れた位置にある駅、あるいは路線相互の乗りかえに段差のある移動を伴う駅、こういったところを対象にいたしましてエレベーターの設置を促進してまいります。
 引き続き、ユニバーサルデザインの視点から、高齢者や障害者などを含め、誰もがより短い移動距離で円滑に移動できるよう、駅の改善に向け、積極的に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

〇産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、無料Wi-Fiについてでございますが、外国人旅行者の利便性を向上させるためには、ご指摘のとおり、旅行者が利用しやすい無料Wi-Fiサービスの提供とともに、接続可能な場所を拡大していくことが重要でございます。
 このため、都立施設等に導入する無料Wi-Fiの利用手続の一元化を図るとともに、接続時の初期画面で観光情報や災害時の緊急情報等を提供する都独自のサービスを展開いたします。
 また、外国人旅行者が多く訪れる地域を中心に、歩行空間における無料Wi-Fiアンテナの集中的な整備を推進し、観光案内標識や観光案内所などとあわせ、旅行者がまち中で情報を入手できる場所に徒歩二、三分でアクセスできる環境の整備に向けた検討を早急に進めてまいります。
 さらに、民間事業者が設置をする無料Wi-Fiについても、手続の簡素化や、より一層の整備が進むよう、都としてはもとより、国の協議会等も活用して働きかけてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、外国人旅行者がストレスを感じることなく、必要な情報の収集や発信を行うことができる環境を整えてまいります。
 次に、観光案内所についてでございますが、外国人旅行者に必要な観光情報等を提供し、旅行中の相談にきめ細かく対応する観光案内所の果たす役割は、旅行者の利便性向上を図る上で大変重要でございます。
 このため、都は、羽田空港内に設置している観光情報センターを来年一月から二十四時間化し、早朝及び深夜便の利用者に観光情報の提供を行います。また、新宿南口での観光情報センターの開設に向け、チケット販売や宿泊予約等をワンストップで提供するなど、新たなサービスの検討を行ってまいります。
 さらに、区市町村や民間事業者等と連携をした観光案内所の設置や、窓口の多言語化に向けた方策を検討するなど、都内全域で案内所の数の拡大や機能の強化に努めてまいります。
 次に、まち中での観光案内についてでございますが、これまで都は、都内の主要な観光ルートを定め、観光ボランティアが外国人旅行者を多言語で案内するサービス等を提供し、旅行者の満足度向上に努めてまいりました。
 今後、これに加えまして、旅行者個々人のニーズによりきめ細かく応えるため、外国人旅行者が多く訪れる地域におきまして、ボランティアがまち中で旅行者に進んで声をかけ、道案内や観光情報の提供を行う街なか観光案内の実施に向けて取り組んでまいります。
 このため、今年度は、ボランティア向け研修プログラムの開発やユニホームの作成、チーム名の公募を行うなど、来年度の活動開始に向けた準備を進めてまいります。
 こうした取り組みを通じ、何度でも訪れたくなる世界有数の観光都市東京の実現を目指してまいります。
 最後に、都市農地の保全についてでございますが、新鮮で安全・安心な農産物の供給に加え、都市の中で防災や環境保全など、多面的な機能を発揮している貴重な農地を保全していくためには、国における制度改善とともに、都としても独自の保全策を講じていく必要がございます。
 このため、都は国に対して、相続税制度などの改善を含む法整備を強く求めていくとともに、都独自の施策として、練馬区等で実施したモデル事業の成果を踏まえまして、今年度から都市農地保全支援プロジェクトを開始し、防災兼用農業用井戸や体験実習農園の整備など、四つの区市の取り組みに支援を行っております。
 今後は、こうした支援の充実を図り、取り組みを促進するとともに、区市や生産者団体等との検討会議を新たに設置するなど、効果的な農地保全策の検討を進めてまいります。

〇議長(高島なおき君) 三十八番吉倉正美君。
   〔三十八番吉倉正美君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇三十八番(吉倉正美君) 今、首都東京における喫緊の課題は、大都市交通システムの構築と推進であります。各交通機関の連携や空港アクセスへの整備にあわせて、特に求められているのが増大する臨海副都心の交通需要への対応であります。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の中心となる臨海副都心一帯は、MICEの誘致や国際観光拠点の開発、さらに豊洲新市場のオープンなどにより、住宅の開発が急増し、今後、約三万六千人以上の人口増が見込まれています。
 知事が公表された新たな公共交通機関であるBRT、バス高速輸送システムは、海外でも多く採用され、地域の基幹的な交通システムとして臨海副都心地域の需要に対応できるものと期待されています。
 そこで、世界の注目が集まる中、BRTの推進に当たっては、当面の交通不便地域の問題解決と同時に、さらに二つのことを目指すべきであります。
 その第一は、日本の環境技術を世界にアピールすることであります。そのために、知事が強調しておられる水素で走る燃料電池車をこのBRTに導入すべきであります。
 第二は、安全性を最大限に高める最新技術をBRTに活用すべきであります。特に開発が進んでいる衝突を未然に防ぐ自動停止など、ITを活用した安全性向上などの先端技術を積極的に導入すべきであります。知事の所見を伺います。
 成熟した新たな東京をイメージさせるBRTの推進は、国内外へ向けた大きな広報効果が期待されております。そのため、BRTの推進に当たっては、時間に正確な運行と大量の輸送力、さらに、安全性をいかに確保するかが極めて重要であります。
 これには専用レーンの設定など、交通規制の問題や停留所の整備、管理などの道路管理や用地取得など、多くの課題があります。
 こうした課題解決のために、都は既に協議を進めていると聞いております。今後、具体的な論点を明らかにし、国の協力を求めるなど、BRTの実現に向けて総力を挙げて取り組むべきであります。都の見解を求めます。
 次に、東京の都市広報、特に映像等による外国人向け情報発信の強化について質問します。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会に向けて、観光やビジネス等で東京を訪れる外国人が急増しております。こうした方々への情報発信は、わかりやすく効果的に行うべきです。
 これまで、霞が関の国際機関に勤務するシンガポールの友人や、あるいは韓国から来日して東京外語大で学ぶ友人からも、都の外国語版のホームページは文字情報が多過ぎて欲しい情報が探しづらい、もっとシンプルで使いやすいものにしてほしいとの指摘を受けております。
 事実、ロンドンやニューヨークなど、ライバル都市のホームページはシンプルで使いやすく、ビジュアル的にもわかりやすく作成されています。こうした海外都市のホームページを参考にして、外国人にさらに活用されるものにすべきであります。
 そこで都は、これまでの都庁のホームページの外国語版を抜本的に見直し、多くの外国人が簡単にアクセスし、求める情報がすぐに入手できるように、外国人にとってわかりやすいシステムに改めるべきであります。見解を伺います。
 また、都が提供しているテレビ広報番組についても、海外からの観光客の誘致活動にもっと積極的に活用すべきであります。特に番組の中で、東京の歴史や伝統文化など、東京の魅力が数多く紹介されており、こうした映像こそ外国人に提供すべきです。
 そこで、例えば、TOKYO MX等で放送している番組の中から、外国人に関心の高い映像をそのまま切り取り、そこに英語字幕をつけてインターネットで配信することが大変有効であり、こうした映像を活用した広報を積極的に進めるべきであります。見解を伺います。
 次に、二〇二〇年東京パラリンピック大会の成功を目指して、障害者スポーツの支援について質問いたします。
 先般、冬季パラリンピック競技の一つで、一九九四年のリレハンメル・パラリンピックで正式競技となったアイススレッジホッケーのトップアスリートである上原大祐さんから直接お話を聞くことができました。
 上原さんは、二〇一〇年のバンクーバー・パラリンピックでは見事に決勝ゴールを決め、日本に銀メダルをもたらしました。そうした経験を生かして、まさにライフワークとして障害のある子供たちにスポーツの楽しさを普及しておられます。
 上原さんが特に強調していたのは、障害者スポーツは健常者のスポーツの陰に置かれたものではなく、アイススレッジホッケーもブラインドサッカーも車椅子テニスも、その競技自体を独立した新たなスポーツとして認め、光を当ててほしい、応援してほしい、ファンになってほしいということでありました。スポーツのすばらしさ、楽しさを体感するためには、障害の有無にかかわらず、一緒になって競技を行うことが最も有効です。
 そこで都は、障害者スポーツの裾野を広げ、パラリンピック選手の育成のためにも、健常者と障害者がともに体験できる機会を都内に拡大すべきであります。見解を伺います。
 また、障害者がスポーツ競技を行う際、一番の苦労は練習会場の確保だとお聞きしました。
 例えば、アイススレッジホッケーの練習にはスケートリンクが必要です。しかし、都内で車椅子ユーザーが使用できるのは、バリアフリー仕様となっている東大和市のアイスリンク一カ所のみです。しかも、練習が可能な時間は、夜中の三時から明け方までとされ、昼間の時間は一般滑走が優先されるため、全く予約がとれないのが実情と伺いました。さらに、他の競技でも障害者の利用を好ましいものとせず、断られてしまうことも少なくありません。これでは余りにも活動が制限されてしまいます。
 一方で、都は、障害者スポーツの拠点となっている都内二カ所の都立障害者スポーツセンターについて、大規模改修を計画しています。こうした機会を捉え、より障害者が利用しやすい施設へと改善を図るなど、障害者がスポーツ活動を行える場の拡大について積極的に検討すべきであります。見解を求めます。
 最後に、東京の伝統工芸品づくりの新たな挑戦について伺います。
 東京には先端技術を誇る企業が多数集積している一方、江戸、明治の時代から続く伝統工芸も、地場のものづくりとして今なお健在であります。
 私の地元の新宿区も、江戸から続く染物産業の一大集積地であり、東京染小紋や江戸さらさ、東京手描き友禅などの伝統工芸品の数々が生み出されています。工業化が高度に進んだ現代にあって、代々受け継がれた技法を用い、熟練の職人により一品一品手づくりされる伝統工芸品は、本物志向の消費者に愛されており、まさに歴史と伝統の結晶であります。
 新宿区では毎年、染物をテーマとした染めの小道というまちおこしの取り組みが行われています。まち全体をギャラリーに見立て、色とりどりの反物が川面に踊る川のギャラリー、地元の商店街の軒先を作家や大学生などが制作したのれんで彩る道のギャラリー、こういった数々のイベントは、染物のつくり手の方々にとって大いに刺激となり、新たな創作活動への活力にもなっております。
 東京の伝統工芸は、その歴史的、芸術的価値からも、後世にまで守り継ぐべき東京の財産であり、そこに新しい息吹を吹き込むことによって、産業としても大いなる成長の可能性を持っております。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催により、世界からの注目がこの東京に集まる今こそ、世界に誇るべき伝統工芸文化、伝統工芸産業として、一層の発展と普及を図っていくべきであります。知事の所見を伺います。
 こうした伝統工芸品の制作は、その多くが零細企業や個人の事業主によって担われており、近年の消費者のライフスタイルの変化や大量生産品の普及などにより、事業環境は厳しさを増しています。
 この状況を打破しようと、東京都美術館で販売されるオリジナル商品を開発する「TOKYO CRAFTS&DESIGN」というプロジェクトが二年前に実施されました。職人と新進デザイナーがタッグを組み、昔ながらの素材と技法を用いつつも、これまでにない全く新しいデザインの伝統工芸品の商品開発に取り組んだものであります。着物の生地などに使われる東京染小紋のポケットチーフや江戸切り子を美しくあしらった指輪などの新商品の数々が生まれ、来館者を魅了したと聞いております。
 このように、これからの伝統工芸は、歴史や伝統を単に保存、継承するだけではなく、現代の感性に合うような先端の技術や先鋭のデザインを積極的に取り込んでいくなど、新しいものづくりへの挑戦が不可欠です。
 そこで、都は、各局の持てる資源や人的ネットワークなどを活用し、新たな商品開発を強力に支援するとともに、新しい伝統工芸展などの場を設けることにより、すぐれた商品を広く発信していくべきであります。都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 吉倉正美議員の一般質問にお答えいたします。
 先進技術のBRTへの導入についてでございますが、一九六四年大会のときの新幹線のように、オリンピック・パラリンピック大会を契機として生まれた画期的な技術は、レガシーとなってその後の社会を大きく発展させることになります。
 二〇二〇年の大会では、その変革に当たるものが水素社会の実現だと考えております。そのためにも、大会後も継続して燃料電池を備えたBRTを走らせるなど、水素エネルギーの利活用を積極的に推進していく必要があります。
 先日、私も試乗いたしましたが、燃料電池車は非常に静かで、加速性能も十分だと実感しております。BRTにもその技術をぜひ採用したいと考えております。加えて、周囲の交通状況を把握し、車両みずから事故を未然に防ぐ技術を備えた安全性の高いBRTの実用化を国や車両メーカーに対して求めております。
 引き続きまして計画の具体化を進めて、次世代交通のモデルともなるBRTを走らせることにより、日本の先進技術を世界にアピールしてまいります。
 伝統工芸の振興についてでありますが、日本人の繊細な美意識が織りなす絵画や工芸品などは、古来から多くの人々を引きつけ、海外にも多大な文化的影響を与えてまいりました。
 ここ東京にも、江戸の町人文化の中で発展を遂げてきました数多くの伝統工芸が今なお息づいております。洗練された感性とたくみの技術から成る伝統工芸品は、世界に通用するポテンシャルを持ち、その普及を図ることは、東京の歴史や文化の価値を世界に伝えることにもつながります。
 また、若いつくり手の間では、伝統に裏打ちされつつも、現代的なセンスを取り入れるなど、新たな創作の動きも見られるようになってまいりました。
 都は、こうした意欲ある人材による新商品の開発や国内外への販路開拓などの取り組みを強力に推進し、東京の伝統工芸をクールジャパンを担う産業として育て、その魅力を広く発信してまいります。
 その他の質問につきましては、関係局長が答弁いたします。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

〇都市整備局長(安井順一君) BRTの実現に向けた具体的な取り組みについてでございますが、都は、早期にBRTの実現を図るため、先般選定した事業協力者二社とともに、本年十一月、学識経験者や関係機関から成る協議会を設置いたしました。
 この協議会では、利用者の需要を踏まえたルートの設定や時間に正確な運行を確保するための方策、乗降場や車両のユニバーサルデザインなどについて検討しております。
 さらに、都は、国が進めております衝突事故の未然の回避、渋滞緩和につながる高度な自動走行などの技術開発に協力いたしまして、BRT車両への導入を目指しております。
 こうした内容を盛り込んだ基本計画を来年度早々に取りまとめ、早期の事業化につなげてまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 海外に向けた都市広報に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、外国語版ホームページについてであります。
 都の外国語版総合ホームページは、これまで在住外国者向けの生活情報や防災情報を英語、中国語、韓国語で発信してまいりましたが、今後は、観光やビジネスで東京を訪れる外国人に対しても、多様な情報をニーズに合わせてわかりやすく提供することが重要でございます。
 このため、近日中に外国語版ホームページを全面的に刷新し、ロンドンなど世界の大都市で広く採用がされているグローバルナビゲーションを新たに導入して、ニーズに応じた検索を容易にするとともに、パソコンやスマートフォンなど、さまざまな端末の画面に最適な表示が可能となるレスポンシブデザインを導入いたします。
 このような二つの世界標準に基づいたリニューアルを機に、写真や映像など視覚に訴えるコンテンツを充実させ、より効果的に東京の魅力を海外に伝えてまいります。
 次に、映像を活用した英語での情報発信についてでありますが、外国人向けの広報は、誰にでもわかりやすく、視覚に訴える映像を活用することが特に効果的であります。
 このため、来年度、TOKYO MXテレビで放送している都政広報番組「東京クラッソ」のミニコーナー「Made In Tokyo」の映像の中で、季節の美しい風景や豊かな食文化、伝統工芸のわざ、伝統文化の様式美など、外国人目線で選んだ東京の魅力を、英語の字幕をつけた動画として編集し、ユーチューブを通じて海外へ発信いたします。
 海外からの関心を高めるため、ユーチューブ上には、今年度新たに公募を開始したPR動画も加えた上で、ツイッターなどのSNSを活用して、今回全面的に刷新する外国語版ホームページへ誘導を図り、より多くの外国人に視聴を促してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 障害者スポーツに関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者スポーツを体験できる機会についてですが、障害のある人とない人がともに障害者スポーツを体験することは、障害者スポーツの認知度を高め、裾野を広げていく上で重要でございます。
 都は、この秋に開催いたしましたスポーツ博覧会やチャレスポTOKYOなどのイベントを通じ、車椅子バスケットボールやボッチャなど、健常者にも人気の高い障害者スポーツを来場者の方々に楽しんでいただきました。
 また、身近な地域において、地域スポーツクラブなどが実施いたします健常者と障害者がともにスポーツに親しむ事業に対しまして、企画立案のアドバイスなどの支援を行っております。
 今後、障害のある人とない人がともに体験できる競技をイベントなどでさらに積極的に取り上げ、障害者スポーツの魅力を実感できる機会の拡充に努めてまいります。
 次に、障害者がスポーツを行う場の拡大についてですが、障害のある人が身近な地域でスポーツ活動を行うためには、公立スポーツ施設が率先して受け入れ体制を整備していくことが重要でございます。
 都では、今後、障害者スポーツセンターの大規模改修において、競技スペース拡大や利便性向上を図ってまいります。
 また、区市町村のスポーツ施設に対しましては、今年度創設した補助制度により、身近なスポーツ環境の整備を進めてまいります。あわせて、障害者スポーツに対する誤解から施設利用が制限されることのないよう、区市町村職員などに対するセミナーや障害者スポーツ指導員養成講習会を通じて、障害の特性や競技用具についての理解を促進してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、障害のある人がスポーツを行うことのできる場の拡大に努めてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

〇産業労働局長(山本隆君) 伝統工芸品産業に対する支援策についてでございますが、伝統工芸は、江戸時代から続くものづくりのすぐれた蓄積を現代に伝えるものであり、こうした特色ある産業を将来に引き継いでいくため、時代のニーズに応える工芸品づくりを進めていくことが重要でございます。
 これまで都は、すぐれた知識、技術を持つ職人を伝統工芸士として認定するほか、東京都伝統工芸品展の開催など、販路開拓支援や次代の伝統工芸品産業を担う後継者の育成支援などに取り組んでまいりました。
 今後は、文化芸術の専門家のネットワークを有する関係局とも連携いたしまして、職人とデザイナー等との協働による商品開発への積極的な支援や幅広いPRなど、革新的な商品やデザインをより多く生み出し、普及させていく新たな取り組みを検討してまいります。

〇副議長(藤井一君) 四十四番大場やすのぶ君。
   〔四十四番大場やすのぶ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇四十四番(大場やすのぶ君) 初めに、東京一極集中の是正について伺います。
 地方創生の議論の中で、東京への一極集中の是正が一つのテーマとなっています。一極集中の是正と国土の均衡ある発展は、戦後、歴代の内閣が取り組んできた古くて新しい課題であります。
 国土総合開発法に基づく五次にわたる全国総合開発計画では、地方における開発整備が進むとともに、新幹線や高速道路ネットワークなどが全国的に整備され、戦後日本の成長の礎となりました。
 それでもなお、今日、大都市部への集中がとまることはありません。それは、集中のメリットがあるからにほかならないからです。
 企業は集積地に立地することで、取引に伴う経費削減が可能になるとともに、フェース・ツー・フェースのコミュニケーションを通じて新しいアイデアが生まれ、生産性を向上させることができます。また、優秀な人材を確保する上でもメリットがあり、このように、大都市部への集中は経済活動上の自然な流れなのであり、それゆえ、地方においても、県庁所在地など都市部に人口や経済活動などが集中する傾向があります。
 昨今、人口減少、自治体消滅の危機が叫ばれている中で、東京一極集中の是正を殊さらに強調する向きがありますが、これはムードに流されたものになってはいないでしょうか。安易で上滑りな東京一極集中是正論を唱えるのは危険だと考えます。
 なぜならば、東京から単に人口、企業、税財源などを地方へ移転させれば、地方が活性化するとの幻影を生み出し、本来主体であるべき地方の自主的な取り組みに対するインセンティブを失わせることにもなりかねないからであります。
 また、急速に進む少子高齢化への対応や災害に強い都市づくりなど、大都市部の抱える深刻な課題に対する認識を弱めることにもなり、これでは東京も地方も共倒れとなってしまうおそれがあります。
 そこで、過度な東京一極集中是正論が今後の国の判断を誤らせないようにしていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、都庁におけるサイバーセキュリティー体制について伺います。
 オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、サイバー攻撃の急増が予想されています。現に二〇〇八年、平成二十年の北京では七千万回、前回、二〇一二年のロンドンでは二億回以上ものサイバー攻撃が確認されており、とりわけロンドンでは、デジタル放送や公式ホームページのほか、開会式当日にスタジアム照明制御系システムが狙われ、急遽、照明の制御を手動に切りかえられる体制を組むなど、大会開催を脅かす攻撃事例があったと聞いています。
 専門家によれば、今後、二〇一六年のリオデジャネイロでは二十億回、さらに、二〇二〇年の東京では二千億回以上もの攻撃が予想されるなど、激増するサイバー攻撃への対応は喫緊の課題といえます。
 サイバー攻撃は、対応を誤れば、開催都市東京、ひいては日本国全体の国際的な信頼を大きく揺るがすだけでなく、新たなサイバー攻撃を呼び、サイバーテロに発展する危険性をはらんでいることから、開催都市としての威信をかけて全力で取り組むことが重要と考えます。
 そこで、オリンピック・パラリンピックの開催を見据えた都庁におけるサイバーセキュリティーへの対応について見解を伺います。
 一方、さきの臨時国会では、我が党のIT戦略特命委員会を中心に議員立法として提出したサイバーセキュリティ基本法が成立しました。この法では、自主的施策の策定、実施など、サイバーセキュリティーに関する自治体の責務を定めており、今後、都のみならず、都内区市町村もその対応が必要となります。
 都は、地下鉄、下水道を初め、都民生活や事業者の活動を支える重要なインフラの運営を行っているほか、区市町村も含め多種多様な行政サービスを提供していますが、サイバーセキュリティーに関する都民、事業者の意識啓発を図る一方、都民生活や経済活動などを停滞させることなく、こうした行政サービスをサイバー攻撃からしっかりと守ることが重要であります。
 そこで、国や都民、事業者に身近な区市町村と連携して、東京都全体のサイバーセキュリティーレベルの底上げを図っていくべきと考えますが、都の取り組みについて伺います。
 次に、消費者被害の防止について伺います。
 最近の都内の消費者生活相談の中では、規制する法律のない法のすき間を突いた手口による被害が問題となっています。
 例えば、かつて被害が多発した原野商法の二次被害が近年急増していると聞きます。原野を処分したいという被害者の焦りにつけ込み、原野を買い上げるかわりに別の土地の購入を勧めて代金をだまし取る卑劣な手口です。しかし、これは特定商取引法でも、宅建業法でも規制の対象とならないすき間事案となっています。
 昨年、消費者安全法の改正により、すき間事案への国による行政処分が可能となりましたが、私は、都議会本会議の場で、新たな被害が先鋭的にあらわれる東京では、より現場に近い自治体において取り締まりを強化すべきことを求めました。それに対し都は、消費者安全法の処分権限の地方への移譲を求めるなど、国に対し働きかけていくとの答弁がありました。
 しかし、このようなすき間事案による消費者被害は、今こうしているうちにも新たに発生している状況にあり、都がみずからの力で効果的な対策を立て、消費者被害の防止に向けて取り組んでいくことが大変重要であると思います。
 さきの第三回定例会では、悪質事業者への取り締まり強化について、都は、条例改正などの対応策を検討していくと答弁されましたが、具体的な方策を早急に実施すべきと考えます。見解を伺います。
 また、特に高齢者の消費者被害の防止に向けた取り組みについては、悪質事業者に厳正に対処するとともに、消費者被害を早期に発見し、相談機関につなぐことも重要です。
 最近起きた事例では、高齢者がダイヤモンドの購入を持ちかけられ、二億円を超えるお金をだまし取られたという報道がありました。手口としては、いわゆる劇場型の勧誘であり、ダイヤモンドの購入を勧誘するパンフレットが届き、その後、宝石の買い取り会社を名乗る複数の事業者から、パンフレットにあるダイヤを買ってくれれば高く買い取るなどと執拗に電話があったために、約半年の間に二十数回に分けて現金を送ってしまい、米粒くらいの宝石のようなものが送られてきましたが、その事業者と連絡がとれなくなったとのことです。
 ダイヤモンドばかりでなく、近ごろの話題に便乗したオリンピック関連企業への投資など、高齢者を狙った詐欺的な勧誘による被害が後を絶たないと聞きます。
 私は、特に高齢者の被害防止に向けた取り組みについて、その重要性を指摘してきました。
 都はこれまで、地域連携による高齢者の見守りネットワークの構築に向けた取り組みなどを進めているとのことですが、このような被害は、消費生活センターに相談されれば被害を回復できる可能性が出てきますが、多くは相談に結びつかずに表面化しないのではないかと懸念されます。報道された事件も、早目に周囲の誰かの気づきがあり相談につながれば、これほどの被害にならなかったのではないかと思うと非常に残念に思います。
 都は、こうした高齢者被害の特性を踏まえて、被害防止に効果的な見守りネットワークの構築に向けて対策を講じていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 東京の水道は、高度経済成長期などの需要増加に応じて施設拡張を行い、量の確保に努めてきました。近年では、平成二十五年度に利根川水系を対象に高度浄水処理一〇〇%導入を達成するなど、質の面も充実が図られています。
 また、震災対策として、地球半周以上にも及ぶ水道管路の耐震継ぎ手化に、事業量を倍増して積極的に取り組んでいる点は大いに評価するところです。
 しかし、近年、国内外において、社会インフラの老朽化事故が多く発生しています。水道は、他にかわることのできない最も重要なライフラインであり、仮に停止すれば、東京のみならず、日本全体の経済活動に大きな影響を及ぼしかねません。高度経済成長期に集中的に整備した浄水場は老朽化が進行し、間もなく更新時期を迎えます。さらに、浄水場と給水所などを結ぶバックアップ管路などの整備が急務となっています。
 そこで、広域断水のリスク回避など、安定給水を確保していくためには、こうした基幹施設の整備を重点化して取り組む必要があると思いますが、見解を伺います。
 次に、区と連携した下水道の整備について伺います。
 下水道局では、特に高度経済成長期から下水道の普及を急ぎ進めていましたが、昭和四十七年度以降は、下水道局単独の取り組みに加えて、世田谷区など八つの区に下水道管の整備の工事を一部委託し、普及のスピードアップを図ったと聞いています。
 この区委託を含めたさまざまな取り組みの結果、平成六年度末には、区部の普及一〇〇%概成を達成しました。普及概成の後、下水道事業の内容は、再構築、浸水対策の強化や合流式下水道の改善など多様化し、高度化しています。
 都市化が進み、また下水道が整備され、下水道が使えることが当たり前になっている今日では、普及を進めた時期よりも、下水道事業の実施の際に、事業の内容や必要性に対する住民の理解を得ることが難しくなっているほか、さらに、二十三区一律ではなく、地域ニーズをより一層反映した取り組みが求められているのではないかと思います。
 そこで、今後の下水道事業の実施に当たっては、普及の際と同じように、下水道局単独で取り組むだけでなく、地域住民に最も近く、地元の事情に精通した区との連携もより重視すべきと考えますが、見解を伺います。
 さて、東京二十三区の下水道は、八割の地域で汚水と雨水を同じ一つの下水道管で集める合流式下水道を採用していますが、私の地元では、汚水と雨水を別々の下水道管で集めて処理や排除を行う分流式下水道管で整備されています、いわゆる多摩川分流地区があります。
 この地区では、汚水を水再生センターへ流して処理するための下水道管、いわゆる汚水管の整備は完了し、現在は雨水を排除するための下水道管、いわゆる雨水管の整備が進められています。
 分流式下水道の地区のうち、雨水管が整備されていない地区では、雨水は側溝などを流され排除されていますが、雨が降った際に排除し切れずに、規模は小さいものの、ほぼ毎年のように浸水被害が発生しています。
 そこで、このような世田谷区の多摩川分流地区において、雨水管の整備を着実に進めるべきと考えますが、見解を伺いまして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 大場やすのぶ議員の一般質問にお答えいたします。
 東京一極集中是正論についてでございますが、東京一極集中の問題は、明治以来の中央集権体制をどう変えていくのかという、国の形から考え直して答えを出すべきものであります。一極集中是正の名のもとに、安易に税財源を東京から地方に移転するなど、日本の機関車である東京の活力をそぐようなことがあってはなりません。
 今日、大都市部に多様な産業の集積が進んでおります。集積は、経営の効率化やイノベーションの源泉でありまして、都市の持つ力であります。そのメリットを求めて、大都市に企業や人口が集中するのは、ある意味必然的な流れでありまして、それを無理にとめることはできません。
 その一方で、東京と地方の発展は二律背反の関係ではございません。農産物や観光など、それぞれの地域が持つ豊かで特色のある資源を東京に集まる知恵や資金と結びつけ、相乗効果で新しい地域ごとの魅力をつくり出していくことは可能であります。
 今後、東京と地方がウイン・ウインの関係を築いていけるよう、あらゆる機会を捉えて、国に対し、都としての考えを主張してまいります。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁いたします。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都庁におけるサイバーセキュリティーへの対応についてでございます。
 行政事務のIT依存化が高まる中、情報システムに対するサイバー攻撃への迅速な対応が必要と認識しております。史上最高、世界一のオリンピック・パラリンピックを成功させるためにも、都は開催都市として、サイバーセキュリティー体制を万全なものとすることが不可欠でございます。
 そこで、現行の情報セキュリティー委員会を、副知事をトップに公営企業を含めたサイバーセキュリティー委員会へ来年度改組いたしますとともに、そのもとにセキュリティー事故等への調査、対応等を行う都庁版シーサートを設置するなど、全庁横断的に取り組む仕組みを検討いたします。
 あわせて、多様化、高度化するサイバー攻撃の発生を前提に、新たなセキュリティー方針を来年度策定してまいります。
 次に、東京都全体のサイバーセキュリティーレベルの向上についてでございます。
 都民、事業者のサイバーセキュリティーに関する対応力を高めるとともに、行政サービスの継続的な提供を確保していくことは重要であると認識しております。
 このため、オリンピック・パラリンピックを見据えつつ、開催前の一定の時期から区市町村と連携し、都民、事業者を初め、さまざまな主体とのサイバー演習を実施するなど、都民、事業者への一層の意識啓発を図ってまいります。
 また、都民、事業者の安心・安全を確保するため、都が運営する重要インフラへのサイバー攻撃に対する事前の備えや発生後の対策を強化するほか、区市町村との情報連携をより緊密に行ってまいります。
 これらの取り組みにより、東京都全体のサイバーセキュリティーレベルの向上を目指してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 消費生活行政に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、消費者被害の防止についてであります。
 近年、悪質事業者が規制を逃れるため、法のすき間を狙った悪質な手口を繰り返すケースが増加しております。
 こうした事業者の取り締まりを迅速に行い、被害拡大を食いとめるため、都はこれまで国に対し、消費者安全法の勧告、命令権限を地方自治体へ移譲することを繰り返し求めてまいりましたが、実現に至っておりません。
 このため、都といたしましては、国の対応を待つだけでなく、東京都消費生活条例に基づく取り締まりを強化し、早急に実効性ある対策を講じてまいります。
 具体的には、原野商法等のすき間事案について、不適正な取引行為があった場合に、勧誘行為等を禁止する禁止命令の対象とするよう、今年度内の条例改正に向けて取り組んでまいります。
 次に、高齢者の消費者被害防止についてでありますが、高齢者の被害の早期発見には、地域の見守りなど日常的な働きかけが必要であり、昨年度、都が高齢者を対象に実施した調査では、悪質商法の被害者の約五割は消費生活センターや家族に相談等を行っていないことがわかりました。
 また、区市町村の見守りネットワークは、福祉サービスを受けている高齢者の約二割が対象であり、高齢者全体の見守りを広げるには、新たな方策が必要であると考えております。
 このため、今後都は、区市町村が行う地域の見守りに対し、消費者被害防止のための支援を強化するとともに、家庭を訪問して配送等の業務を行う事業者と連携し、高齢者に悪質事業者の手口や相談窓口等の情報を直接届ける新たな仕組みを構築し、被害防止に取り組んでまいります。
   〔水道局長吉田永君登壇〕

〇水道局長(吉田永君) 水道基幹施設の整備についてでありますが、東京水道の最大の使命である将来にわたる安全でおいしい水の安定供給には、施設の老朽化や大規模地震などに適切に対応するため、今後、浄水場更新を初め多くの施設整備が必要となります。
 これら施設のうち、特に浄水場や導水施設、送水管などの水道基幹施設は、一たびその機能に支障が生じれば、断水などの影響が広範囲に及ぶおそれがございます。また、これらの整備には長い年月と多くの費用を要します。
 そこで、広域断水のリスク回避などを図るため、水道基幹施設の整備を局の最重要課題と位置づけ、代替施設の設置やアセットマネジメント手法などを活用した事業の平準化に努め、安定給水を確保しながら、効率的に整備を実施してまいります。
   〔下水道局長松田芳和君登壇〕

〇下水道局長(松田芳和君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道事業における区との連携についてでございますが、下水道事業は、地域の生活を改善するために、地域の中で行われる事業であることから、事業の実施には、区との連携が重要でございます。
 このため、日ごろから区と連携を密にとり合い、地域のニーズや動向等の把握に努めているほか、毎年度、区への事業計画の説明等を実施しております。
 また、区は区道管理者でありますため、区道整備とあわせた下水道工事などを世田谷区など十一区に委託し、コスト縮減や工期短縮等を図り、事業を効率的に進めております。
 さらに、区からは、下水道工事の受託は、区の技術系職員の育成にも役立っていると聞いております。
 今後も、一層の情報共有化や、区委託工事の施工場所や期間を柔軟に対応できる仕組みの導入等、区との連携強化を図りまして、下水道事業の効率的な執行に努めてまいります。
 次に、世田谷区の多摩川分流地区の雨水管整備についてでございますが、この地区では、良好な生活衛生環境を早期に確保するため、汚水管を先行して整備し、現在、雨水管の整備を進めております。
 雨水管の整備に当たりましては、下水道局での施工に加え、区道の整備と一体的に実施できる工事などを区に委託し、事業の迅速化や効率化を図っているところでございます。
 区内で雨水管を整備する計画区域二千二百ヘクタールのうち、浸水の危険性が高い地域を優先して対策を進めておりまして、平成二十五年度までに五百十ヘクタールを完了させております。
 今後は、地形や降雨状況等をきめ細かく反映できる雨水流出解析シミュレーションの活用などの工夫を行いまして、効率的、効果的に雨水管の整備を進め、浸水に強いまちづくりを推進してまいります。

〇議長(高島なおき君) 三十五番尾崎あや子さん。
   〔三十五番尾崎あや子君登壇〕

〇三十五番(尾崎あや子君) 最初に、女性の社会参加の重要性から、女性の感性や視点を生かして商売を始める女性起業家問題について質問します。
 私は、二十三年間、中小零細業者の営業と暮らしを守る運動にかかわり、女性の経営者が、育児や家事、介護をしながら、自分のスタイルで特技を生かして生き生きと商売をしている姿を見てきました。
 しかし、日本では女性が起業する場合、資金繰り、相談窓口、起業時のコスト軽減支援など、企業経営者となるための環境が十分に整っていません。
 アメリカやフランス、ドイツなどで現地調査を行う中で、日本の女性起業家は外国と比べて少なく、困難も多いということを実感しました。OECD本部を視察した際、日本では、女性の社会参加が少ない、女性起業家も少ないですねといわれたことが忘れられません。
 アメリカでは、一九九七年から二〇〇七年に女性経営企業が四四%増加し、男性経営企業に比べ二倍の伸びを示しています。
 移民や女性などの弱者に支援し、差別をなくし、女性事業発展法や連邦調達合理化法などを制定し、女性起業家を応援すると同時に、中小企業育成センターが約千カ所設置され、大学などと連携して起業家育成を行っており、女性ビジネスセンターのカウンセリング拠点が五百カ所あるなど、特別な手だてをしてきたからです。
 アメリカが公表している女性経営企業に関する代表的な報告書は、女性経営企業の成長と雇用創出の功績は将来の経済成長の潜在源である、女性経営企業が与える影響力と経済への貢献度合いが大きいと報告しています。
 韓国もアメリカと同様に、女性の起業を支援することに重点を置いた法律の整備が行われ、教育研修や創業する人への支援施設の提供などが進んでいます。フランスでも、女性の起業を後押しする基金があるなど、経済産業省の女性起業家実態調査の中で紹介しています。
 一方、日本における女性起業家支援は、抜本的な強化が求められています。
 女性の創業支援の日本の現状と意義について、知事の認識を伺います。
 都の長期ビジョンで、若者、高齢者とともに、女性の起業について、自立できるまで一貫した支援を全庁的な取り組みとして明確に位置づけることが求められると思います。
 起業分野も、女性の特性を生かし、子供、女性向け用品、食品の販売、エステなどの理美容、飲食、家事、介護サービスなど、多様な業種、分野での起業支援が求められると思いますが、どう考えていますか。
 自分で創業、起業することは、何歳であっても挑戦でき、自分らしい生き方と社会貢献したいという思いを実現でき、女性の社会参加が十分期待できる分野です。
 京都府では、女性起業者専門のチャレンジオフィスを男女平等センター内に設置するなど、全国的にも広がっています。
 都の男女平等参画のための東京都行動計画にも、女性の起業について位置づけられています。
 男女平等参画社会の実現に向けて、都民と行政が協力して取り組む活動の拠点となっているウィメンズプラザで、十二月十四日から起業女子全力応援交流会を開催していることは重要な取り組みだと思います。
 私も参加しましたが、若い女性の参加者が多く盛況でした。さらに発展させていく必要があると思いますが、いかがですか。
 ウィメンズプラザで女性の起業に関する相談、交流、展示、紹介、出店体験イベントも行っていただきたいと思いますが、いかがですか。
 品川区は、工場の撤退が続く中で、創業支援を重視してきました。二〇〇九年には、女性が元気ならまちが元気になると、女性に特化した武蔵小山創業支援センターをスタートしました。
 先日、その創業支援センターを視察し、区の担当者にもお話を伺いました。創業する人にオフィスとして施設を低額で貸し出す、インキュベーション施設とチャレンジショップもあり、セミナー、相談会、交流を中心に延べ四千人が利用しています。
 子育て、子供、女性をキーワードに、子育て中のお母さんが創業を考えるとき、子供を一時的に預けられるようにと、一時預かりもできる保育所を創業支援センターの中につくりました。
 アドバイザーの方は女性で、男性よりも女性の方が自分の体験を生かして人の役に立ちたい、社会に貢献したいと思って起業する人が多いと話していました。
 家賃の高い東京では、開業するときの支援で必要なことは男女ともお金と場所です。女性が起業するときに苦労したことは、経営に関する知識、ノウハウ不足であり、同じような立場の人との交流の場があることで、女性の力が発揮できるということです。
 女性起業家支援への区市町村の取り組みには大きな温度差がありますが、その中でも、品川区の女性に特化した武蔵小山創業支援センターの取り組みは重要です。
 こうした取り組みを全都に広げるために、都が、より身近な区市町村が行う創業支援事業への財政支援を行うこと、区市町村の担当者の交流を行うことを求めます。それぞれいかがですか。
 埼玉県では、起業相談を専門にしたワンストップ窓口を日曜、祝日以外の毎日開設しています。昨年は、県内で起業を予定している女性を対象に、起業支援ルームを開設しました。
 都は、中小企業振興公社のインキュベーション施設の利用者や、相談、セミナー受講者などから、起業を目指す女性のニーズをしっかりと把握し、創業支援施策を拡充していくべきと考えますが、どうですか。
 女性の感性を生かした工夫で、消費者のニーズである、かわいい、使ってうれしいと思える製品開発やパッケージ、店舗づくりなどを進める際に、東京都立産業技術研究センター墨田支所にある生活技術開発セクターは大きな力になると思います。
 都では、女性起業家に対して、それぞれの支所でどのような支援を行い、今後どのように支援していくのですか。
 都として、女性に特化した女性創業支援センターを設置し、女性起業家のさまざまな相談に対応できるワンストップ窓口、セミナーの開催、女性起業家紹介、交流コーナー、女性に特化した貸し創業施設を設け、利用できるようにすることで、女性の創業、起業を促進することができると考えます。
 女性の起業が順調に進む上で、鍵を握っている女性の専門家の育成も重要だということを強調しておくものです。
 女性起業家がふえる上で、家事、育児、介護などへの支援の充実、病気や出産のときに安心して休めるよう援助できる人、商いヘルパーを派遣できるような支援を求めておきます。
 子育てや介護などの問題に直面し、乗り越えた女性経営者は、女性従業員が直面する同じような問題にも柔軟に対応できるため、雇用の創出にもつながっていきます。
 自営業者が地域の産業を支えています。しかし、家族従業者に支払う給与は経費として認められず、自営業者、家族従業者を苦しめてきました。これは、家族従業者に対する人権侵害です。
 多くの先進国では、自営業の家族の賃金は、必要経費として認められております。このような差別的な税制度は早急に廃止すべきです。
 家族従業者の働き分を認めない所得税法五十六条の撤廃を国に求めるよう要望します。いかがですか。
 次に、コミュニティバスについて質問します。
 多摩地域の交通は、区部で働く人を鉄道を中心にして、大量輸送することを基本につくられてきました。このため、日常生活を支える地域交通の整備は大きく立ちおくれており、多摩地域には多くの交通不便地域があります。団塊世代の大量退職時代を迎えた中、この問題の解決は急務となっています。
 知事が第二回定例会の所信表明で述べたように、高齢化が進む中で、身近な足であるバスの役割はますます大きくなっています。
 中でも、多摩地域では、日常の買い物や病院への通院、役所の手続などのためのコミュニティバスを走らせてほしいということが市民の大きな要望になっています。
 地域での生活を支えるコミュニティバスの役割をどう認識していますか。都として、コミュニティバスへの区市町村支援を抜本的に強化すべきと思いますが、いかがですか。
 私の地元である東村山市は、ことし六月から、コミュニティバスの料金が百円から百八十円に値上げされ、乗降者数は二五%減少しています。市民からは、病院に行く回数を減らしている、シルバーパスが使えるようにしてほしいと署名運動が広がっています。
 コミュニティバスでシルバーパスを使えるようにしてほしいという願いも切実です。この要望をどう受けとめていますか。せめて、百円バス以外のところはシルバーパスが使えるように都の支援を求めるものです。お答えください。
 次に、公立小中学校の特別教室へのクーラー設置についてです。
 クーラー設置には、二〇一一年から都の補助が実施され、おくれていた多摩地域でも一気に普通教室にクーラーが設置され、子供たちからも保護者の皆さんからも感謝されています。
 東村山市では、保護者の皆さんが、特別教室にもクーラーをつけてほしいと署名を集め、市に何度も申し入れをしています。
 子供や保護者の方からは、理科室、家庭科室、美術室などの特別教室にも都の冷房化補助対象に広げてほしいとの要望が強くありますが、いかがですか。
 冷房化工事費四百万円以下の工事は、国と都の補助対象となりません。そのため、私の地元である東大和市のように、一教室のみの工事をするような小規模工事の学校では、この補助制度が使えません。このような場合は、国の交付税を使いますが、自治体にはこの交付税を使った小規模改修でやるべきものがたくさんあります。
 国の補助が使えない場合でも、全額区市町村の負担とならないよう、都独自の補助を行うよう求め、見解を求めます。質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 尾崎あや子議員の一般質問にお答えいたします。
 女性の起業に対する支援についてでありますが、少子高齢化により、生産年齢人口が縮小する中において、経済の持続的な成長を確かなものとしていくためには、女性の活躍を推進していくことが必要であります。
 とりわけ、女性による起業は、産業の新たな担い手として、女性ならではの感性を生かした、これまでにない製品やサービスを創造することが期待できます。
 このため、都は、経営、資金の両面から支援を行っておりまして、今後とも、新たなビジネスを創出する女性の力を最大限に引き出し、東京の経済を活性化してまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、公立小中学校の特別教室の冷房化についてでありますが、都は今年度から、小中学校を対象に、都立高校において整備が完了している音楽室などの特別教室の冷房化に係る補助事業を開始し、区市町村が計画的に冷房化を進められるよう支援をしております。
 現在、都立学校において、いまだ冷房化していない特別教室の利用状況等に基づき、冷房化の対象とすべき教室を検討しており、その結果を踏まえ、小中学校について総合的に検討することとしております。
 次に、公立小中学校の冷房化補助事業についてでありますが、公立小中学校の冷房化については、設置者である区市町村が国の補助制度を活用して、その権限と責任において行うことが原則であります。
 都は、今後とも、区市町村を支援するため、国の補助対象となる事業について、早急に整備が必要な特別教室に対する都独自の財政支援を行ってまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

〇産業労働局長(山本隆君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、女性の起業支援についてでございますが、都では、中小企業振興公社の総合相談窓口でのアドバイスや各種セミナーの開催、さまざまなインキュベーション施設の運営等により、女性の多様な創業を支援しております。
 なお、長期ビジョンにつきましては、年内の公表に向けて調整を進めているところでございます。
 次に、区市町村に対する支援についてでございますが、都は、区市町村によるインキュベーション施設の整備に対する支援を検討するとともに、引き続き区市町村と創業支援について意見交換を実施してまいります。
 次に、起業を目指す女性のニーズと支援策についてでございますが、都はこれまでも、事業計画策定や資金調達など、起業を目指す女性のニーズを踏まえ、女性向けセミナーの開催や、女性等を対象とした新たな融資制度など、施策の充実を図っております。
 今後とも、必要な支援を行ってまいります。
 次に、女性起業家に対する技術支援についてでございますが、産業技術研究センターの各支所におきましては、先端機器を活用し、地域の産業特性や利用者のニーズを踏まえまして、製品開発などに対する技術支援を行っております。
 最後に、家族従業者への給与に関する所得税法上の取り扱いについてでございますが、青色申告で正確な帳簿に基づき、家計と事業を明確に分離した場合には、家族従業者への給与が必要経費として認められております。
 また、定額による専従者控除を定めている白色申告については、本年一月から、記帳、帳簿等の保存が義務化されたところでございまして、今後とも、国の動向を注視してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 女性の起業に向けた取り組みについてでありますが、みずからが就業スタイルを決定できる起業を目指している女性の多くが、専門家による助言や指導、同じような経営者等との交流の場の提供などの支援を求めており、今回の起業女子全力応援交流会はこうした認識のもと、専門家による指導や人的ネットワーク形成を図るため、開始いたしました。
 具体的には、東京ウィメンズプラザにおきまして、目ききのできる講師陣による、より実践的なセミナーを開催するほか、起業ビジョンの助言、指導を行うサポートプログラムや交流会などを通じて、講師と参加者、参加者同士の交流を支援いたします。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

〇福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、コミュニティバスへの支援についてでありますが、コミュニティバスは、既存の路線バスや鉄道等では補えない交通需要に対応する乗合バスであり、地域における高齢者、障害者等の社会参加を促進するための交通手段の一つと認識しております。
 そのため、都は現在、区市町村がコミュニティバスの運行を主体的に計画し、自立的な運営を確保する場合に、事業の立ち上げ段階における初度経費や運行経費の一部について、包括補助により支援しております。
 次に、コミュニティバスへのシルバーパスの適用についてでありますが、コミュニティバスは、交通手段の少ない地域の解消や、公共施設などへの移動手段を確保するため、区市町村とバス事業者が路線や運賃、運行経費の負担等について協定を締結し、運行されております。
 コミュニティバスのうち、一般のバス路線と同等の運賃を設定しているものについて、区市町村とバス事業者の協議が調った場合は、シルバーパスで乗車できるようになっております。

〇議長(高島なおき君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時休憩

   午後三時二十分開議

〇副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十二番西沢けいた君。
   〔三十二番西沢けいた君登壇〕

〇三十二番(西沢けいた君) 舛添知事は、東京を国際金融センターとする構想の一環として、都の公金の一部を株式に投資できるよう許可を求めていくとしています。現行法では認められていない地方自治法の解釈を変更すべきときに来ているとも発言し、公金の株式投資に意欲を示されています。
 国際金融センター構想は、海外から投資を呼び込むといいますが、知事のいう国際金融センター構想と公金の投資は、直接結びつくものではありません。元本保証のない投資は、当然リスクが伴います。損失があった場合、都民の税金で穴埋めするのでしょうか。都による投資は、新銀行東京などの反省に立てば行うべきではないと考えます。
 地方自治法では、公金については安全かつ効率的にと定められており、さきの財政委員会でも、安全運用の方針は変わらないと会計管理局が答弁していますが、どのように安全かつ効率的を担保するのでしょうか。
 公金の株式投資には、合理的な方針転換の理由、都の運用体制の見直し、都議会での議論、国への働きかけなど、数々の高いハードルがありますが、どのようにお考えでしょうか。知事の公金の株式投資にかける思いを伺います。
 本年九月、水道局の契約情報を水道局OBへ漏えいした問題で、職員が刑事罰を受け、行政処分が下されました。都の汚職等防止委員会から結果報告書が公表されましたが、二〇〇一年に建設局、二〇〇六年に下水道局、そして二年前の二〇一二年には、今回同様水道局で情報漏えいによる汚職問題があり、その都度、再発防止策が発表されています。過去の教訓が生かされていないといわざるを得ません。今回漏えいした職員が、情報を漏らさないと自分の待遇に影響が出ると思ったと報道されているように、水道局OBとの関係が人事に影響するともとれる発言をしています。都庁の古い体質がにじみ出ているのではないでしょうか。
 水道局では、今回の事件をどう総括し、今後の抜本的な対策を具体的にどのように進めていくのか伺います。
 報告書によると、周囲の職員が注意を払うことで防止できるとしています。私は、周囲の環境を改善し、防止にも抑止にもなる最も有効な手段が、通報制度の活用だと考えています。
 現在、各公営企業と都総務局に内部通報を受ける部署がありますが、庁内であるがゆえに、通報をためらってしまうことがあるのではないかと思います。
 外部団体である一般財団法人東京都人材支援事業団には、相談を中心とした通報窓口があり、こうした外部の窓口を強化していくことは有効と考えます。通報制度については、今回の報告書では、過去の事件の報告書と同様に周知徹底するにとどまっています。これまでの対策と同じ対策を繰り返していたのでは、また同じような過ちを繰り返すのではないでしょうか。もはや局内だけの対応では限界があります。
 この緊急事態を打破するためには、私は、各公営企業、知事部局の垣根を超えて、外部への通報制度を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック大会について伺います。
 オリンピックは盛り上がったが、整備した施設がその後活用されずにいるようでは、オリンピックの真の成功とはいえず、大会後も積極的に利用されるスポーツ施設としていくことが大変重要だと考えます。
 私は先月、二〇一四年ロンドン大会の競技会場の後利用について、現地調査をしてまいりました。カヌースラローム競技会場であるリーバレー・ホワイトウオーターセンターでは、施設運営の責任者から、ビジネスモデルを成立させるべく、計画段階から後利用まで一貫したプロジェクトとして考えることが重要であると強調をされていました。
 また、ボートやカヌースプリント競技が行われたイートンドーニーでは、大会終了後にパーティーなどの商業的なイベントを開催したり、企業の研修施設に利用することにより、収支の均衡を図っていました。
 このように、二〇二〇年大会で整備する施設は、大会後に負の遺産とならないよう、収益性も分析、検証し、都民が長期にわたって利用できる施設としていくべきであります。
 都は、民間企業からの後利用提案を募集していますが、その後の道筋が見えません。提案を受けた後に有効に生かすことが重要と考えますが、見解を伺います。
 また、ロンドン大会の関係者の方々は、私たちも過去のオリンピックからさまざまなことを学んだ、そのノウハウを東京オリンピックに生かしてもらいたいと述べていました。
 多くの企業や団体も開催都市との交流があります。個々のノウハウを皆で共有できるような相互交流の仕組みなどがあれば、都だけでなく、企業や団体の知識や経験、人脈を広く生かすことができると考えますが、見解を伺います。
 ロンドン大会から学ぶことは重要ですが、学べないこともあります。その一つが防災であります。震度三ほどで大ニュースとなるロンドンと地震大国の日本では、根本的に防災に対する意識が異なります。東日本大震災以降、海外からも、日本、東京の防災の取り組みは注目を集めています。
 万一、オリンピック大会開催中に不測の事態が起こり、その対応が十分でなければ、世界にその模様は発信されることになります。万全の体制をアピールするためにも、発災時の競技会場や選手村など、施設ごとの避難計画も考えていかなければなりません。
 また、大会前から、多くの人が東京を訪れることが予想される中、現在の地域防災計画だけでなく、例えば時限的な防災計画を策定するなど、大会前からの特別な対策も必要と考えますが、見解を伺います。
 東日本大震災では、日本人のマナーのすばらしさが世界に評価されました。暴動になることもなく、支給される物資受け取りに整然と列をつくる様子、物資が散乱していても誰も持ち出すこともなく、むしろ律儀に並べる様子、帰宅困難となった方々が駅の階段に座るも、自然と通り道ができる様子、こうした思いやり、おもてなしの精神は、世界で評価されています。私は改めて日本を誇りに思いました。
 しかし、東京で、残念ながら世界に誇れないマナーがあります。それは、自転車のマナーであります。自転車対策は、都議会でも幾度となく議論をされてきましたが、根本的な解決には至っておりません。
 ニューヨークやロンドンでは、シティーバイクというシェア自転車の活用が進んでおります。私は、実際にシティーバイクでまちを走り、現地の方の話も聞いてまいりました。自転車によって便利になった反面、事故は当然のようにふえ、決してそのマナーがすぐれているとはいえないようでした。ただし、彼らは歩道を猛スピードで走るということはありません。
 一方、東京では、猛スピードで歩道を走る危険な自転車運転者を目撃することは珍しくなく、歩行者保護の観点に立つと、歩行者がもはや安心して歩行できる状況ではないのです。
 オリンピック・パラリンピック大会を控え、海外から多くの方が日本を訪れるようになります。日本人のマナーはすばらしいと思っていた彼らにとって、こうした危険な自転車マナーの悪さは、衝撃的に映るのではないでしょうか。
 自転車マナーの向上は急務であると考えます。まず、学校における交通安全教育を一層充実させる必要があると思いますが、都教育委員会の取り組みについて伺います。
 長期ビジョンの中間まとめでは、自転車推奨ルートの整備とあわせ、自転車走行空間を倍増することやシェアサイクルなど、ハード面での記載が目立ちます。私は、マナーの向上といったソフト面についての取り組みをこれまで以上に進めなければ、自転車に絡む事件や事故など、新たな社会問題もふやしかねないのではないかと思います。
 自転車対策について、都市整備、インフラ整備というハード面だけでなく、ソフト面についての取り組みも重要と考えますが、具体的な取り組みを伺い、さらに、長期ビジョンに重要課題と位置づける必要があると考えますが、あわせて見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 西沢けいた議員の一般質問にお答えします。
 東京都の公金の運用についてでありますが、都の公金運用はこれまで、国内金融機関での預金と国債などの国内債券を対象としておりまして、日銀の大規模な金融緩和などもあって、近年、運用利回りは低水準になっております。
 そうした中、資金の性質は異なりますが、公的な年金資金を取り扱うGPIFは、年金制度の維持に必要な収益を確保するために、年金資金運用に係る新たな基本ポートフォリオを発表しております。
 東京都の公金運用においても、より多くの利回りを得られるよう、取引金融機関や運用商品の対象を拡大、多様化し、効率的な運用に取り組んでいく必要がございます。
 一方、地方自治法においては、公金は安全確実な運用が義務づけられておりまして、長期的な運用の年金とは異なり、株式運用が現行法に抵触するとされていることも十分承知をしております。
 こうした状況等を踏まえまして、この十月から、金融分野の専門家等で構成する資金管理・活用アドバイザリーボードを創設いたしました。
 今後、このアドバイザリーボードにおける専門的な検討を踏まえ、公金の安全性を確保した上で、運用の多様化、効率化や、官民連携ファンドの積極的な展開など、東京の金融活性化全般につながる取り組みを進めてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 自転車マナー向上等の交通安全教育についてでありますが、都教育委員会は、自転車マナー等の指導事例を掲載した安全教育プログラムを都内公立学校全教員に配布して、学校における活用を促進しております。
 このプログラムを踏まえ、各学校は、自転車利用時の車道、歩道の走行方法や、音楽を聞きながらの運転の禁止などルールやマナーを指導しております。
 また、都及び区市町村教育委員会は、スタントマンによる事故の再現など、児童生徒にルールの重要性を実感させる取り組みを行っております。さらに、都教育委員会として、各学校から悉皆で教員が参加する講習会を実施し、交通安全に関する指導力向上を図っております。
 今後も、こうした取り組みにより、児童生徒が自転車マナーを向上できるよう、交通安全教育を推進してまいります。
   〔水道局長吉田永君登壇〕

〇水道局長(吉田永君) 水道局における情報漏えい事件についてでありますが、今回の事件は、契約にかかわる制度の運用のほか、職員の情報保持意識の弛緩、職場における情報管理、チェック体制のすきが主な背景となっており、さらに、二年前に続く不祥事であることに鑑み、局全体で厳粛に受けとめ、再発防止に向けた取り組みを徹底することといたしました。
 具体的には、システム変更による最低制限価格情報の管理徹底など契約に関する制度、運用上の改善、利害関係者との接触指針の見直しなど職場におけるチェック体制の強化、さらには、職員の汚職等防止意識の浸透、定着化を確かなものとするなど組織風土全般にわたる改革を推し進めることといたしました。
 今後、都民の信頼回復に向けて、これらの防止策に、局一丸となって全力で取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 外部への通報制度の強化についてでございます。
 公益通報は、汚職等の未然防止や組織の自浄作用の発揮を目的として、職員が法令違反等の疑いのある行為を発見した場合に、所定の窓口に通報する制度でございます。
 都では、総務局や各事業局等の窓口に加え、外部の東京都人材支援事業団にも窓口を設け、通報先にかかわらず、その内容に応じて関係局が事実調査を行い、通報者への報告も含め、必要な措置を講じております。
 通報に当たりましては、通報者保護の観点から、氏名を名乗ることを原則としていますが、職員が実名での通報に不安を感じる場合は、匿名での相談等が可能なサポートダイヤルも設置するなど、きめ細かな体制を整えております。
 今後とも、こうした通報制度も適切に活用しながら、汚職等の再発防止に万全を期してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、民間企業からの後利用提案の活用についてでありますが、都が整備する新規恒久施設は、大会後も末永く後世に残していく施設であり、都民、国民の貴重な財産として有効活用していく必要がございます。
 そこで都は、施設運営やイベント、物販飲食等の収益事業を行った実績や経験のある民間事業者を対象といたしまして、大会後の利活用の促進や採算性の向上などに資する創意工夫ある提案を現在募集しております。
 提案されました民間の知恵やノウハウは、知事をトップとするレガシー委員会のもとに設置されましたアドバイザリー会議で議論し、すぐれた提案につきましては、今後の後利用の検討や設計等に反映させてまいります。
 次に、大会開催に関するノウハウの共有についてでありますが、本年十月、知事はロンドンを訪問し、競技施設の活用状況などを視察するとともに、ロンドン市長を初め、多くの関係者と競技施設のレガシーなどについて意見交換を行いました。職員も、必要に応じロンドンを訪問し、大会後の利活用の現状や課題などについて施設運営者から直接ヒアリングを行っております。
 また、先ほど答弁いたしましたアドバイザリー会議におきましても、民間企業や学識経験者を交え、ロンドンを初めとする過去大会の事例報告や意見交換を行うなど、外部の知識や経験を生かす取り組みを進めております。
 今後とも、大会開催に関する情報交換を適時適切に行い、そのノウハウは二〇二〇年大会に生かしてまいります。
 最後に、大会に向けた地震対策についてでありますが、都は、大会開催も見据え、スピード感を持って東京全体にわたる防災対策を進めるため、二〇二〇年に向けて必要となる自助、共助、公助の取り組みを具体的に示す東京の防災プランを現在策定中であります。
 大会時におきましては、世界中から東京を訪れる多くのアスリートや大会関係者、観客の安全を確保するために、地震に対する万全の備えが必要でございます。
 そのため、競技会場など大会関係施設につきましては、建物の耐震化などの対策を講じるほか、施設ごとの避難計画を策定してまいります。
 今後とも、関係各局や大会組織委員会と連携し、大会運営に万全を期してまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 自転車対策のソフト面の具体的取り組みについてでございます。
 自転車が都市における交通手段として、より一層活用されるためには、利用者自身が交通ルール、マナーを習得、実践し、安全に利用することが重要であります。
 そこで、都は、本年一月、東京都自転車安全利用推進計画を策定し、行政や自転車利用者だけでなく、事業者等も含めた自転車の安全利用に向けた社会全体の具体的な取り組みを明らかにしました。
 都は、この計画に基づき、以前から実施しております自転車安全教室の開催などに加え、事業者による従業員研修を支援する教材の提供や講習会の実施など、新たな取り組みを展開しております。
 今後も、引き続きこうした取り組みを充実させ、自転車利用者のルール、マナーの周知徹底を図ってまいります。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

〇政策企画局長(川澄俊文君) 自転車対策に関する長期ビジョンへの位置づけについてでございますが、長期ビジョンの中間報告では、自転車の活用について、誰もが円滑かつ快適に利用できる総合的な交通体系の構築という政策指針の中に位置づけ、人や環境に優しい交通の実現のための政策として取り組みの方向性を示しております。
 なお、長期ビジョンの最終報告につきましては、都民や区市町村からの意見などを踏まえ、年内の公表に向けて策定作業を進めているところでございます。

〇副議長(藤井一君) 四十番鈴木錦治君。
   〔四十番鈴木錦治君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇四十番(鈴木錦治君) 初めに、文化施策について伺います。
 第三回定例会の我が党の質問に対し、知事は、新たに策定する文化ビジョンでは、多様性に満ちた東京の誇るべき文化の振興策を打ち出し、世界に発信していくと答弁されました。東京という文化都市の独自性を世界にアピールしていくためには、昨日の代表質問で我が党が訴えたとおり、日本独自の伝統文化の魅力を最優先で発信すべきであります。
 東京でのオリンピック・パラリンピック大会の開催は、世界に誇れる日本の伝統文化の魅力を世界に発信していく絶好の機会であります。
 今後、東京が、ロンドンやニューヨーク、パリとも違った魅力を持つ世界一の文化都市を目指していくためにも、今後策定される文化ビジョンには、世界に比類なき日本の伝統文化を振興し、そのすばらしさを世界各国に、さらに積極的に発信していくことを盛り込んでいくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 日本の伝統文化を振興し、発信していく取り組みでは、都内各地に伝わる郷土芸能や名勝旧跡などの文化財の活用も考えなければなりません。
 私の地元府中には、江戸開府よりはるか昔の遺跡などが多く存在しており、最近も、今でいう都庁のような存在であったと思われる武蔵国、国庁、国衙跡や平城京と同時代の国司の館跡といった歴史的な遺跡遺構なども見つかり、国史跡となっております。そうした国府での祭りを起源とする武蔵総社六所宮大國魂神社の例大祭くらやみ祭は、東京都の無形民俗文化財にも指定されており、大木をくりぬいた皮面が二メートルの大太鼓が六張り、みこしが八基渡御する壮大なお祭りが、今なお毎年七十五万人を超す観衆を集め、盛大に行われています。
 このような文化財は、都内各地に多数存在しており、文化庁や教育委員会が保存に努めているのは承知していますが、保存するだけではなく、さまざまな工夫を凝らし、地域の文化資源、宝物として生かしていくことも重要であります。
 有形無形の文化財など、地域の文化資源を積極的に活用した伝統文化の魅力発信について、文化ビジョンに盛り込み、推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、多摩振興について伺います。
 舛添知事は、四月以降、多摩地域の現場に積極的に足を運び、多摩の発展なくして東京の発展なしとして、多摩振興に取り組む姿勢を明らかにしています。
 知事も、現場で多くの人と会話をする中で感じたと思いますが、地域振興とは、行政のみによって実現できるものではなく、そこで働き、そして生活する民間企業や地域住民など、さまざまな主体が一丸となって取り組むことによって実現されるものであります。
 都が、我が党の意見を踏まえて策定した新たな多摩のビジョンにおいて、事業者や企業も地域振興を担う主役の一人であることを明示し、さらに、行動戦略において市町村や民間団体等のさまざまな主体から成るビジョン連携推進会議を具体的な推進体制の一つに位置づけたことは、地域振興の実現に向けた実効性のある取り組みとして評価いたします。
 そこで、今後、都は、多様な主体が連携した多摩振興の推進に向けて、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 次に、多摩の魅力の発信について伺います。
 平成二十五年度、多摩地域が神奈川県から当時の東京府に移管されてから百二十年目という節目の年に合わせ、都では多摩の魅力発信プロジェクトを開始しました。
 これは、我が党の提言を受け、都が多摩三十市町村と共催によるイベントやマルシェを開催し、従来の多摩振興策にとどまらない取り組みを展開するものです。
 いうまでもなく、多摩地域には歴史、文化、産業、自然など、地域ごとにさまざまな特性があり、そこで生活する住民でさえ気づいていない魅力が数多くあります。地域の住民が、こうした魅力を再認識、発信していくことを通じて、住みたくなる多摩、行ってみたくなる多摩とするためには、多摩が有する魅力を継続して発信していくことが重要であります。
 そこで都は、今後、多摩振興の推進に当たって、どのように多摩の魅力発信に取り組んでいくのか伺います。
 次に、患者支援センターについて伺います。
 現在、都立病院では、患者、家族への相談支援機能や在宅療養移行支援の強化のために、全都立病院に患者支援センターを設置することとしています。
 私は、第二回定例会の一般質問で、この患者支援センターのモデル事業を多摩総合医療センターにおいて実施するに当たり、府中市の地域包括ケアシステムを尊重し、府中市や府中市医師会の意見を踏まえていくことが重要であるとの意見を述べました。所管の病院経営本部からは、府中市、府中市医師会や地域包括支援センター等の地域の関係機関との協議会を設置し、地域のさまざまなニーズを酌み上げ、モデル事業へ反映させていくとの答弁がありました。私も、在宅医療にかかわっている地元の医師から、多摩総合医療センターの患者支援センターに対する期待の声を聞いており、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと考えています。
 そこで、地域関係機関との協議会においては、どのようなニーズがあり、今後、どのように事業に反映していくのか伺います。
 また、このモデル事業については、十月に中間のまとめを行ったと聞いていますが、平成二十七年度に他の都立病院に展開するに当たっては、各病院の医療機能や地域の特性を考慮に入れながら検討していく必要があると思います。
 今後、全都立病院にどのように展開していくのか伺います。
 次に、東京の湧水について伺います。
 東京の地形は、山岳地から平地まで起伏に富んでおり、都市部近くに崖線のような地形が存在する環境は、他の世界の大都市にはない東京の大きな魅力の一つであります。
 地表に降り注いだ雨は、地下水となり、湧水となって湧き出し、豊かな自然を育む源となりますが、都市化が進展し、地表面の舗装化が進んだ結果、湧水量の減少や枯渇などの問題に直面しています。
 私の地元の府中市に瀧神社という大國魂神社の末社があり、例大祭のときには神人や御神馬のみそぎの水に使われたという湧水が滝のように流れる場所がありますが、実はこの湧水も一度枯渇しています。
 そこで府中市は、この湧水を復活させるため、雨水浸透ます百基以上と透水性舗装を集中整備し、地下水の涵養を確保し、見事に湧水を復活させました。その後も、住民の方々からの協力も得ながら地道に浸透量をふやしています。このような都市に潤いを復活させた取り組みのノウハウを、都内の湧水保全に広く活用していくことが重要だと考えますが、都の見解を伺います。
 湧水は都民に潤いと安らぎを与える重要な機能を有していますが、水には、その蒸散作用により都市を冷やす特性もあります。そこで次に、都市を冷やす取り組みとしてのヒートアイランド対策について伺います。
 都市の中心部の気温が郊外に比べて島状に高くなる、いわゆるヒートアイランド現象は、東京における大きな課題の一つであり、特に都心部における夏季気温の上昇は、熱中症患者数の増加を招くなど、都民の健康確保の観点からも深刻な問題であります。
 真夏に開催される二〇二〇年オリンピック・パラリンピックでは、多数の外国人観光客の来訪も見込まれますが、そのおもてなしという意味でも、ヒートアイランド対策は強化しなければならないと考えます。
 そこで、ヒートアイランド現象に対する都のこれまでの対策と、今後の取り組みの方向性について見解を伺います。
 次に、交差点すいすいプランの今後の取り組みについて伺います。
 都内の円滑な道路交通を確保し、都市の活力を高めていくためには、道路の新設、拡幅整備によるネットワークの充実に加え、交差点における渋滞対策等も進めていくことが重要です。
 こうした交差点の渋滞対策として、現在、第二次交差点すいすいプランが進められていますが、府中市でも、これまでに完成した箇所では、交通渋滞が大幅に緩和され、その効果を実感しているところであります。
 一方、このすいすいプランの計画期間は今年度末までとなっていますが、引き続きこうした取り組みを強力に推進し、さらなる渋滞緩和を図っていく必要があると考えます。
 そこで、交差点すいすいプランのこれまでの状況と、今後の取り組みについて所見を伺います。
 次に、林業の振興について伺います。
 都は、平成十八年度から十年間の事業として、スギ花粉発生源対策を実施し、林業の復興と森林再生に向けた取り組みを進めています。
 これまでに約四百ヘクタールの杉林を伐採し、花粉の少ない杉への植えかえを行うなど、再生に向け森林循環が動き出すとともに、東京の木、多摩産材の利用も拡大しています。
 しかし、木材価格の低迷や人件費上昇によるコストアップなど、林業を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。
 花粉発生源対策についても、平成二十七年度末の事業終了を見据え、これまでの成果も踏まえつつ、森林循環を促進する観点から、施策の充実強化を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、電気事業について伺います。
 交通局の電気事業は、昭和三十二年に多摩川第一発電所の運転を開始して以来、多摩川第三、白丸の各発電所を順次稼働し、これまで五十年以上にわたり事業運営を行っています。現在、この三つの発電所で発電する電気は、一年間におおむね三万四千世帯の使用量に当たり、地下鉄やバス営業所など交通局事業全体で消費する電気の約二三%に相当します。
 近年、電気事業制度は、電力の一部自由化や平成二十三年の東日本大震災後に電力需給が逼迫したことなどから、国においてさらなる制度の見直しが進められるなど、電気事業を取り巻く環境は大きく変わり始めています。
 交通局は、こうした事業環境の変化に対応して、電気の売却先を新電力に変えるなどの取り組みを進めてきました。これらの取り組みによって、クリーンエネルギーである水力発電が注目されるきっかけとなったとも考えられます。
 我が党はこれまで、省エネ、節電対策や再生可能エネルギーの普及拡大の重要性を訴え、電力に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%程度まで高めることを目標として掲げており、都においても、さまざまな取り組みをスタートさせています。
 そこで、都民の貴重な財産である多摩川水系の水を利用した水力発電について、今後どのように事業運営に取り組んでいくのか見解を伺いまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 鈴木錦治議員の一般質問にお答えいたします。
 伝統文化の世界発信に向けた取り組みについてでございますが、世界各国にはそれぞれさまざまな固有の伝統的な文化が存在します。それを自国のアイデンティティーとして誇りを持って世界に示すことは、国際社会では重要であります。
 長い歴史の中で、日本人が独自の美意識や精神性を持って磨き上げ、伝えてきた伝統文化は、現代の多様性に満ちた日本文化の全ての礎ともいえるものでありまして、非常に価値の高いものであります。
 世界に発信するという意味におきましては、例えば二〇一六年のリオデジャネイロでのオリンピック・パラリンピックは大きなチャンスであります。このような機会を捉え、現地において日本の誇る一流の伝統芸能の数々を披露するなど、日本人の和の心の象徴である伝統文化の効果的な発信に取り組みたいと思っております。
 日本の伝統文化を振興し、そのすばらしさを東京が先頭に立って発信していくため、文化ビジョンの策定に当たりましては、こうした具体的な取り組みをリーディングプロジェクトとして提示してまいります。
 同時に、東京に集積する伝統文化について、継承、発展させ、発信していくということを重要な視点として位置づけてまいります。
 そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁いたします。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

〇東京都技監(横溝良一君) 交差点すいすいプランの取り組みについてでございますが、このプランに基づいて、右折レーンや歩道などを設置し、交差点の交通渋滞の緩和や交通事故の防止を図っていくことは重要でございます。
 都は、平成六年度から多摩地域を中心にこの事業を進め、これまでに百九カ所が完成または一部完成しており、例えば府中街道にある交差点では、通過時間が整備前の約十一分から整備後は約一分に短縮され、大きな効果を上げております。
 このような整備効果などを踏まえるとともに、直近の渋滞状況の調査結果を活用して、平成二十六年度中に新たに第三次交差点すいすいプランを策定いたします。
 今後とも、地元市などとの緊密な連携のもと、地域の理解と協力を得ながら事業を積極的に推進してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 地域の文化資源を積極的に活用した伝統文化の魅力を発信する取り組みについてであります。
 有形無形の文化財は、地域の人々が長年にわたり守り育ててきた、東京の文化の礎ともいうべきものでございます。
 これら地域の文化資源を積極的に活用するため、都ではこれまでも、庭園を会場とした東京大茶会や、まち中を活用した神楽坂まち舞台・大江戸めぐり、江戸東京たてもの園での郷土芸能の実演など、文化財と伝統文化を組み合わせ発信するさまざまな事業を実施してまいりました。
 地域の文化資源を未来に引き継ぐためにも、東京という風土で醸成されてきた伝統文化の保存、継承、発信の取り組みを文化ビジョンに位置づけるとともに、具体的なスタートとして、来年度から、これらを活用したすぐれた民間の芸術活動に対する助成などの支援に取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩振興についてでございますが、新たな多摩のビジョンで掲げた目指すべき多摩の姿を実現するためには、多摩地域の多様な主体が共通認識を持ち、同じ目標に向かって取り組むことが重要でございます。
 このため、行政、学識経験者、民間団体等を構成員として設置しておりますビジョン連携推進会議のもとに四つの分科会を設け、多摩の発展に向けて課題となっている事項について検討、協議を開始いたしました。
 具体的には、産学連携や高齢社会における医療、介護の連携、高齢者の就労支援、学校跡地利用などに関する先進事例を取り上げ、多面的、多角的に検討しております。
 今後とも、こうした取り組みを通じ、市町村、民間企業等との共通認識の醸成を図りながら、ビジョンで掲げた活力に満ちた多摩の実現を目指してまいります。
 次に、多摩の魅力発信についてでございます。
 多摩地域の振興のためには、そこに暮らす住民が地域の魅力に気づき、誇りと愛着を持つようになることはもとより、地域に密着した市町村が中心となって、地域の持つ魅力を幅広く発信していくことが重要でございます。
 このため、都は本年度、多摩の魅力発信支援補助事業を創設し、市町村がみずからの区域を超えて広く魅力を発信する取り組みへの支援を開始いたしました。
 加えて、ホームページやツイッター、キャラクターなどを活用し、継続した多摩の魅力の発信を行っております。
 今後とも、こうした取り組みを積極的に展開し、市町村、地域住民、地元企業等と連携を図りながら、多摩の持つ多様な魅力を継続して広く発信し、多摩振興を推進してまいります。
   〔病院経営本部長醍醐勇司君登壇〕

〇病院経営本部長(醍醐勇司君) 患者支援センターに関する二点のご質問にお答えします。
 まず、患者支援センターにおける地域ニーズの反映についてでありますが、地元府中市、地区医師会、訪問看護ステーション、地域包括ケアセンター等で構成される協議会におきまして、医療、介護に関する地域の実態や在宅療養におけるニーズについて意見交換を行いました。
 その中では、在宅療養に移行する際の患者情報の提供方法や看護技術研修の実施、包括ケアにかかわる多くの人材の交流促進への協力など、多摩総合医療センターが有する医療や看護機能に高い期待が寄せられました。
 こうしたニーズを十分に踏まえ、地域の包括ケアシステムの構築に寄与するため、今後さらに解決すべき課題を検討し、来年二月には、都立病院における患者支援センターのあり方について取りまとめます。
 次に、患者支援センターの今後の展開についてであります。
 多摩総合医療センターで実施したモデル事業の中間のまとめでは、在宅療養に関する地域ニーズや院内における各種相談のワンストップ化、入院サポート機能の重要性などについて整理を行いました。
 これらの点について、他の都立病院とも情報共有を行い、病院ごとに窓口の集中化や院内組織の整備のほか、在宅療養移行支援に向けた地域ニーズの把握や地域の関係者との連絡会の設置などの検討を開始しました。
 今後は、先ほども申し上げましたモデル事業の最終的な取りまとめにおきまして、各病院の医療機能や地域の特性を踏まえた患者支援センターのあり方を明らかにし、全都立病院で平成二十七年度中の開設を目指してまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、湧水の保全についてでございます。
 湧水は、豊かな自然環境を創出し、都民に潤いと安らぎをもたらし、直接触れることができる身近な水辺であり、その保全を図るためには、地域の自治体が中心となって効果的な涵養施策を実施することが重要でございます。
 このため、都は、史跡や文化財などに指定された湧水等の現状や保全策を調査し、その結果を区市町村へ提供して、地域の実情に合わせた取り組みを促すとともに、ご紹介のありました府中市の取り組みなど、先駆的な湧水保全策の情報を共有し活用するための研修会を開催するなど技術的な支援を行うほか、広く湧水の魅力を紹介する湧水マップを作成し、都民の関心を高める普及啓発に努めております。
 今後とも、都民に身近な地域の財産である湧水の保全に向けて、区市町村と連携し、着実に取り組んでまいります。
 次に、ヒートアイランド対策についてでございますが、都は、ヒートアイランド現象の緩和に向け、平成十四年度に全庁的な取り組み方針を策定し、庁内各局が連携するとともに、区市町村や事業者による主体的な取り組みも促しながら、施設の緑化及び省エネルギー化、街路樹の再生、公園の整備促進など、さまざまな対策を継続的に推進してまいりました。
 今後、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向けては、人々が快適で安全に過ごせるよう、暑熱環境の改善の観点からヒートアイランド対策が一層重要性を増すものと考えております。このため、区市町村等との連携を一層強化しながら、遮熱性舗装やドライミスト等の手法により、暑熱環境が厳しい箇所における集中的なクールスポット化を進めるなど、取り組みのさらなる推進について検討してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

〇産業労働局長(山本隆君) 林業の振興についてでございますが、都民共有の財産である豊かな森林を次世代に継承していくためには、林業の振興を図り、伐採、利用、植栽、保育という森林循環を維持していくことが不可欠でございます。
 花粉発生源対策による杉林の伐採と花粉の少ない品種への植えかえは、停滞していた森林循環を動かす契機となり、多摩の森林再生に効果を発揮しておりますが、一方で、木材価格の長期にわたる低迷や人件費等のコスト上昇など、林業を取り巻く経営環境は一層厳しさを増しております。
 このため、都は、これまでの取り組みに加え、林道等の計画的な整備を初め、民間主体の伐採への支援、急峻な多摩の森林の特徴に対応した低コスト林業技術の開発と普及、新たな担い手の確保など、森林循環を促進するための総合的な対策の構築に向け検討を進めてまいります。
   〔交通局長新田洋平君登壇〕

〇交通局長(新田洋平君) 電気事業の事業運営についてでございますが、交通局の運営する水力発電は、自然の恵みである多摩川の流水を最大限に活用した再生可能でクリーンなエネルギーでございます。
 水力発電による電気の売却先を新電力に変更いたしました平成二十五年度は、前年度と比較いたしまして、渇水により発電量が減少したにもかかわらず、事業収入は増収となりました。
 今後は、こうした成果を踏まえまして、設置後五十年以上経過した設備を、効率がよく、省エネルギー性能にすぐれたものに更新するなど、計画的に事業運営を進めてまいります。
 また、来年度からの新たな売電契約につきましても、競争により事業者を決定していくなど、電気事業を取り巻く環境の変化にも的確に対応してまいります。

〇議長(高島なおき君) 三十六番大松あきら君。
   〔三十六番大松あきら君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇三十六番(大松あきら君) まず、被災地支援について伺います。
 ことし八月、東北の被災地の皆様方が育てた花の苗を新宿区内の歩道に植える、道で咲かせよう東北の花、花壇育成プロジェクトが実施されました。
 これは、東京都建設局及び東京都道路整備保全公社、そして被災地の三者が連携して行っている事業であり、私もJR新宿駅西口広場で、事業を紹介するイベントコーナーを見学いたしました。
 事業の発端は、昨年、宮城県石巻市立中央公民館が、震災からの再起と復興を願い実施した、まちを花で飾る生き生き花のプロジェクトです。当初、石巻市はプランターなど必要な資材を調達できず、そのことを聞きつけた東京都道路整備保全公社が資材を提供、それを受け、石巻市が育てた花の苗の一部を都に送っていただいたことから、この事業が始まりました。
 今回は、岩手県、福島県いわき市も加わり、都内からの参加者がマリーゴールドなどを植えながら、メッセージボードに被災地への思いを書き込み、復興を願う人々の心の輪を大きく広げました。
 そこで、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、マラソンコースの沿道や選手村と競技会場をつなぐ道路などを、被災者の方々が育てたたくさんの花々で飾ることができれば、一層の被災地支援となり、東北の復興を世界に強く印象づけることになります。
 被災者の皆様方を励ます取り組みである花壇育成プロジェクトを、今後さらに広げていくべきです。東京都の見解を求めます。
 次に、文化振興策について伺います。
 東京オリンピック・パラリンピックは、海外からの観光客をさらにふやし、一度訪れた方には、もう一度来ていただけるよう、東京が観光都市として飛躍していくチャンスです。
 その観光資源として期待されるのが、江戸東京の歴史と、伝統芸能から最先端のアートまで幅の広い、多彩で多様な東京の文化です。世界に広く強く発信していくことで、観光振興に大きく寄与します。
 その中心的な役割を担うのが、すぐれた作品の数々を所蔵する都立文化施設です。しかし、施設を訪れる外国人には、言葉のバリアがあります。日本語と英語の二言語表記が整っていても、日本語も英語も理解できない方にとっては、例えば江戸東京博物館ですばらしい展示に出会っても、その魅力が十分に伝わらない場合があります。
 そこで、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、都立文化施設における多言語化を推進するべきです。都の取り組みについて見解を求めます。
 都立文化施設は、国内外の施設と協力し合うことで、より大きな力を発揮していくことができます。
 例えば、東京都美術館や東京文化会館がある上野地区では、東京国立博物館や国立西洋美術館、上野の森美術館など、国公立や民間のすばらしい文化施設が集積し、それぞれが連携協力して、世界に認知される文化拠点を目指す取り組みを始めています。
 また、江戸東京博物館は、以前より海外の博物館と継続的に交流を行ってきていると聞いています。
 東京の文化の発信力を強化していくために、都立文化施設は、国内はもとより海外の文化施設とも連携をより深めることが重要です。都の所見を求めます。
 次に、アニメ産業の振興について伺います。
 日本を訪れる多くの外国人が、アニメや漫画に関心を持っています。いわゆるクールジャパン、格好いい日本として、海外のイベントにおいても多くの作品が紹介され、国内外で人気が高く、有力な観光資源でもあります。こうした観点から、私は、アニメ産業の振興を支援するように訴えてまいりました。
 そこで重要になるのが、人材の発掘と育成に対する支援です。東京都はこれまで、東京国際アニメフェアの開催を支援し、国際的な商談の場を提供する見本市や優秀な作品を表彰するコンペティションを行うことで、アニメ産業の振興を図り、若手人材の発掘、育成につなげてきました。
 今後も、人材育成を積極的に支援し、日本の魅力の一つであるアニメ産業を振興していくべきです。舛添知事の見解を求めます。
 アニメだけではなく、映画、漫画、ゲームソフトなどを含めた日本のコンテンツ産業は、アメリカに次ぐ世界第二位の市場規模を持っています。人材の発掘、育成に対する支援に加え、若きクリエーターが自分の作品を商品として磨き上げ、ビジネスとして成功できるよう支援することが大変重要です。
 特に東京には、多様なメディアや大きな消費市場が存在し、創造性に富む多くの中小企業が集積しています。都は、こうしたコンテンツ産業の成長性に着目し、この分野に特化した創業支援施設を整備し、多くのベンチャー企業を支援してきました。その中から、世界七カ国に支社を持つまでに成長した企業や、従業員数が三名から百五十名規模に拡大した企業も出ています。
 世界に誇る日本のコンテンツ産業を大きく飛躍させるために、引き続き支援の充実を図り、国内だけではなく海外市場を視野に入れた新たなビジネスの展開の支援にさらに力を入れて取り組むべきです。都の見解を求めます。
 次に、教育について質問します。
 教育と医学は、ともに生命を守り育む科学であり、技術であり、その意味で兄弟のような関係にあるといわれています。医学では、かつては治癒できなかった難病も、世界のどこかで治療法が開発されれば、学会に報告され、その恩恵が世界に広がります。教育も、子供の心身の成長、学力向上、特別支援教育など課題は世界共通であり、世界中の教育者が協力し合える仕組みをつくることで、医学と同様に発達していくものと考えます。
 こうした観点から、私は、教育現場を担う東京都教育委員会が世界教育者サミットを開催することを、かねてから主張してまいりました。
 その第一歩となり、現場の教員同士の情報共有、意見交換の場として期待されるのが、指導主事及び教員海外派遣研修報告会です。グローバル人材の育成など折々の教育課題をテーマに、毎年、シンポジウム形式で開催され、その内容は回を重ねるごとに充実しています。
 都教育委員会は、今年度から海外派遣研修の対象者を拡大し、より多くの教員を海外に送り出すことになっています。それにあわせて報告会の内容をさらに充実させて、成果を広く普及していくべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、都立高校の国際姉妹校の交流促進について伺います。
 現在、十四の都立高校がアメリカやドイツなどの高校と姉妹校の提携を結び、交換留学などを行っています。グローバル人材の育成に役立つとともに、都立高校の魅力アップにつながります。都立高校の姉妹校交流を支援していくべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、防災対策について伺います。
 近年、都内でも局地的な集中豪雨が頻発するようになり、洪水対策の強化が求められています。都は、平成二十四年度に、中小河川の新たな整備方針を策定し、河川の整備水準を引き上げ、ことし六月には、豪雨対策基本方針を改定し、対策を進めています。
 このうち私の地元、北区内を流れる石神井川は、下流部で、この十年間に二回の浸水被害が発生したことから、対策強化流域に指定されています。
 集中豪雨による石神井川の水害を早期に軽減するためには、中流部に調節池を増設することが必要です。石神井川中流域における調節池の整備に向けた取り組み状況について、都の所見を求めます。
 最後に、都税におけるクレジット納税の拡大について伺います。
 都はこれまでも、コンビニ収納やペイジー収納など、納税方法を多様化してきました。そこで、公明党がさきの第二回定例会で、既に自動車税に導入されているクレジット納税を、他の税目にも拡大するよう要望し、都は、今後、実施に向けて取り組んでいくと答弁しています。
 現在、個人事業主や中小企業においては、為替の変動など外部要因により、一時的に資金繰りが厳しくなり、経営への影響が懸念されています。
 クレジットカード納税は、経営環境の変化に直面した個人事業主や中小企業にとって、税金の支払い方法をみずからの計画に合わせて弾力的に決められるツールとして有効です。自動車税に限らず固定資産税や個人事業税など、多くの税目に早急に導入し、便利で支払いやすい環境を整えることが必要です。
 現在のクレジットカード納税の拡大に向けた検討状況を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 大松あきら議員の一般質問にお答えいたします。
 アニメ産業の振興についてでありますが、日本のアニメは、日本人が持つ豊かな感性やすぐれた技術が集約されました世界に誇る日本の文化であり、いわゆるクールジャパンとして海外から高く評価されております。
 アニメ制作会社の多くが集積する東京で、多様な人材が互いに切磋琢磨して生み出されたすぐれた作品は、日本の生活や文化に対する外国の方々の関心を高め、訪日のきっかけとなる重要な観光資源であります。
 アニメ産業を振興し、これからもアニメを東京の魅力として発信し続けていくためには、政策を担う若手人材を発掘し、育成することが重要であります。
 そのため、本年三月から、民間と連携して東京アニメアワードフェスティバルを開催し、若手作品の上映や著名なクリエーターとの交流、優秀な作品の表彰など、若手の創作意欲を喚起し、豊かな才能を持つ人材の輩出を後押ししております。
 今後も、世界中のファンを魅了し続けるため、次の世代を担う人材の育成を通じて、アニメ産業の振興を図ってまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、英語科教員海外研修の成果の普及についてでありますが、今年度から実施している三カ月間の海外研修は、前期が十一月末にオーストラリアから帰国し、後期は来年一月からアメリカで研修を実施いたします。派遣中、教員は大学で最新の教授法を学ぶとともに、現地高校でのインターンシップを通して、授業の実習や指導法を研究する内容となっております。
 来年四月に開催する今年度派遣した教員による報告会では、学んだ指導技術を他の教員に普及するほか、JETプログラムにより都立高校に勤務している外国青年や各国の大使館職員等を招き、国際交流や人材育成についての討論を行うなど、内容の充実を図ってまいります。
 また、報告会に加え、派遣教員が学んできた英語教授法による研究授業を行うなど、都内各地で教員研修を展開し、英語科教員の指導力の向上に努めてまいります。
 次に、都立高校の姉妹校交流についてでありますが、姉妹校提携など、海外の学校と継続的な交流活動を行うことは、二〇二〇年に向けて、生徒の意識が国外に向き、異文化理解を深める好機となるとともに、生徒のコミュニケーション能力の向上に有効でございます。
 これまで、十四の都立高校が語学研修や修学旅行での交流をきっかけとして、オーストラリアやアメリカなど七カ国の学校と姉妹校提携を結び、相互に学校訪問や短期留学を行うなど、積極的に交流を行ってきております。
 都教育委員会は、今後、こうした成果をホームページ等を通じて普及啓発するとともに、次世代リーダー育成道場や教員の海外派遣研修で築いた海外の高校とのネットワークが姉妹校提携に結びつくよう、学校や教員への支援を行ってまいります。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

〇東京都技監(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、花壇育成プロジェクトについてでございますが、このプロジェクトは、花を通じた東北の被災地支援と都道を活用して被災地の花を展示することなどにより、震災復興への関心を高めることを目的とするものでございます。
 具体的には、都と東京都道路整備保全公社が連携し、被災地の方々に花を育てるための資材を提供するとともに、育てていただいた花の苗の一部を都庁周辺都道のプランターに植栽するものでございます。あわせて被災地の現状や復興状況を、新宿駅西口におけるパネル展示などで紹介し、被災地と東京とのきずなを強めていく取り組みでございます。
 また、都内の小学生などの参加を得て花々を植栽することで、子供たちの道路に対する愛着を育むことも期待しております。
 都といたしましては、今後、このプロジェクトの実施体制を充実するとともに、都内における実施箇所の拡大について検討し、被災地の方々との連携をより深めてまいります。
 次に、石神井川中流域の調節池の整備についてでございますが、頻発する集中豪雨に対応するためには、河川整備を一層効率的、効果的に進めることが重要でございます。このため、時間五十ミリまでの対策は護岸整備を基本に、それを超える雨には道路や公園などの公共空間を活用した調節池で対処いたします。
 近年、大規模な浸水被害が発生した石神井川では、この方針に基づき、護岸の改修に加え、優先的に新たな調節池を整備することとしており、お話の中流域では、都立城北中央公園の拡張整備と連携して地下調節池を設置することにより、下流側の安全性を早期に向上させます。
 都では現在、現地測量や地質調査を行うとともに、施設の主要な構造検討を進めており、引き続き石神井川の整備に全力で取り組んでまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 都立文化施設に関する二点のご質問にお答えします。
 まず、多言語化の推進についてであります。
 都立文化施設は、東京が持つ多様な文化資源を広く紹介する中核施設であり、オリンピック・パラリンピックを契機に、英語以外にも多言語化を進める必要があると考えております。
 このため、先月リニューアルオープンした庭園美術館では、英語に加えまして、中国語や韓国語などでパンフレットを作成するとともに、新たに導入いたしました旧朝香宮邸の鑑賞に役立つスマートフォンアプリでも、複数言語への対応を図ったところでございます。
 また、常設展示室を改修工事中の江戸東京博物館では、外国人にも東京や日本の歴史と文化が理解できるよう、複数言語に対応したタッチパネルを新たに設置いたします。
 今後、全ての施設で最新のICTの積極的な活用も図り、各館の特性に応じた多言語化の取り組みを早期に進め、ホスピタリティーの向上を図ってまいります。
 次に、都立文化施設と国内外の施設の連携についてでありますが、東京を訪れる外国の人に東京の文化的魅力を幅広く伝える上で、美術館、博物館等の果たすべき役割は非常に大きいものと考えております。
 既に上野地区では、世界的文化拠点を目指し、上野「文化の杜」新構想推進会議が共通入館券の発行や情報ポータルサイトの具体化に向けた検討を開始しております。また、江戸東京博物館では、北京首都博物館、ソウル歴史博物館との国際シンポジウムの継続的な開催など交流を深めており、今後、収蔵品を活用した展覧会の開催や学芸員の相互交流など、連携をさらに強化してまいります。
 今後とも、都立文化施設が先頭に立ち、海外の美術館や博物館と連携した展覧会の開催を初め、世界に注目される舞台芸術の海外の劇場との共同制作等にも取り組み、国内外の文化施設とのネットワーク化を進めてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

〇産業労働局長(山本隆君) コンテンツ産業に対する支援についてでございますが、コンテンツ産業は、海外でも評価され、高い成長性を有しており、東京の将来を支える重要な産業でございます。
 そのため、都は、平成二十年に東京コンテンツインキュベーションセンターを設置し、創業支援の専門家を常駐させ、会社経営や事業展開へのアドバイス、大手コンテンツ企業との取引の仲介などの支援を実施しております。
 また、本年九月には、台湾のインキュベーションセンターと提携をし、入居者同士のビジネス交流や、台湾で事業展開をする際の拠点の設置、現地取引先企業の紹介などのサポートを開始いたしました。
 今後、こうした取り組みを積極的に展開し、グローバル市場で活躍できる東京発のすぐれたコンテンツ企業を数多く育成してまいります。
   〔主税局長塚田祐次君登壇〕

〇主税局長(塚田祐次君) クレジットカード納税についてのご質問にお答えいたします。
 クレジットカード納税は、いつでも、どこでも支払うことが可能な便利な納税手段であり、平成二十三年度に開始した自動車税では、年々利用実績が増加しております。
 このため、自動車税に加え、平成二十七年度当初から個人事業税、固定資産税、都市計画税、不動産取得税などの税目においても開始するべく、現在、必要なシステム改修等を行っております。
 また、納期に合わせて一カ月としていた手続可能期間についても、拡大するよう準備を進めております。
 さらに、これまで寄せられた納税者の方々の声なども参考にし、よりスムーズに納税できるよう、利用者への案内などを充実させてまいります。

〇副議長(藤井一君) 六十九番菅野弘一君。
   〔六十九番菅野弘一君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇六十九番(菅野弘一君) 初めに、オリンピック・パラリンピックの開催に向けた教育について伺います。
 我が国では、古くから人に対する礼儀を重んじることを大切にしてきました。
 現在、核家族化や地域の年長者との交流が希薄になる中、若者が公式の場での心構えや態度を学ぶ機会が少なくなっています。このことは、我々大人がたしなみとして地域で実践、もしくは次世代にしっかりと伝えるべきではないかということも問われているように思います。
 二〇二〇年に向けて、礼節を重んじる国民性や日本人らしさは、世界中からますます注目されるものと考えます。
 そこで、学校におけるオリンピック・パラリンピック教育を通じて、おもてなしの心、我が国の伝統的な礼節、そして、国際的に通用するマナーなどを十分身につけた児童生徒を育成し、心のレガシーを継承していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、二〇二〇年まであと六年弱と迫り、都内の学校でも大会への期待と関心が非常に高まっています。
 これまで都が、オリンピック・パラリンピック教育推進校の指定や、アスリートを学校に派遣して授業を展開する中で、創意工夫を凝らし意欲的な学習に取り組んでいる学校もふえてきています。
 しかし、一方で、オリンピック・パラリンピック教育をより効果的に進めるには、どのようにすればよいのか模索している学校もあると聞いています。
 そこで、全ての学校がさらに積極的にオリンピック・パラリンピック教育に取り組んでいけるよう、モデルとなる効果的な取り組みを他の学校へも広め、今後、オリンピック・パラリンピック教育を一層盛り上げていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会開催に向けた多言語対応の取り組みについて伺います。
 本年に我が国を訪れた外国人旅行者数は、過去最高であった昨年を大きく上回り、千三百万人にも達するといわれております。海外からの旅行者が、言葉に不自由せず、快適に滞在できるような取り組み、とりわけ多言語対応を進めることは、二〇二〇年大会に向けた環境を整備するとともに、我が党が主張する東京を世界で一番の都市にするためにも不可欠です。
 このように、多くの外国人旅行者が来日する中、二〇二〇年大会開催時はさることながら、その後も東京を訪れるリピーターになってもらうには、多言語対応の取り組みのスピードアップが求められています。
 私の地元港区には、お台場や六本木などの人気観光地に加え、空港、都心と臨海地域を結ぶターミナル駅が複数存在し、海外から多くの旅行者が訪れています。区では、スマートフォンを活用した見どころの案内や、無料Wi-Fiの紹介などの取り組みを進めていますが、さらなる利便性向上を図るには、区市町村と連携し、地域の多言語対応を進めることが必要です。
 都が三月に設置をした多言語対応協議会では、先月取り組み方針を策定したとのことですが、この方針を踏まえ、今後どのように多言語対応の取り組みを進めるのか伺います。
 そして、外国人旅行者が快適に東京観光を楽しむには、旅行者が必要とする情報を効果的に提供していくことが必要です。
 最近、駅や電車内、商業施設などにおいて、デジタルサイネージが広告媒体や施設案内等として使用されているのをよく見かけます。デジタルサイネージは、ネットワークを通じて旅行者が必要とするさまざまな情報を提供できることに加え、画面を切りかえることで、そうした情報を多言語で提供することが可能です。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックに向け、外国人旅行者への新たな情報提供ツールとして、デジタルサイネージを積極的に活用すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、自転車利用について伺います。
 都は、世界一の都市東京の実現を目指し、東京の総合的な交通政策の検討会を設置し、自転車の利用促進という新たな視点も含め、多角的に検討を進めています。自転車の新たな利用促進策である自転車シェアリングは、ニューヨークやパリ、ロンドンなど世界の主要都市で普及が進んでいますが、今後、東京にふさわしい形で普及が進むことを期待しています。それがひいては、東京が世界一の都市を目指す上で有効な施策にもなり得ると考えます。
 私の地元港区では、既に二年前に、港南地区で、自転車シェアリングの社会実験が行われ、地域住民などのさまざまな方々から好評を博した一方で、ステーションの設置や事業採算性の確保など、課題も見出されました。港区では、二年前の取り組みを踏まえ、新橋・虎ノ門周辺にも地域を拡大して、本年十月から事業が開始されており、都内ではほかにも、江東区、千代田区で事業化がなされるなど、徐々に自転車シェアリングが広がりつつあります。
 事業化に当たって各区は、先ほど触れたとおり、ステーション用地の確保など、さまざまな課題に直面していましたが、課題解決に向けた都の多様な支援が各区の円滑な事業実施に大きく寄与したと聞いています。
 そこでまず、都がこれまで、自転車シェアリングの普及のため、具体的にどのような役割を果たしてきたのかをお伺いいたします。
 自転車シェアリングは、広がりつつあるとはいえ、まだ普及の緒についた段階であります。今後、事業を実施する地域がさらに広がり、また、区境を越えて広域的に利用できるようになることで、利用者にとっての利便性が向上し、自転車シェアリングがより身近なものになることが期待されます。
 都は、今後、自転車シェアリングのさらなる普及に向け、どのように取り組みを進めていくのか、見解を伺います。
 そして、自転車シェアリングの普及とともに、東京では、アーバンツーリズムの展開に自転車を生かすことも重要であります。
 都心のさまざまな魅力あるスポットを自転車で回れるということは、それ自体が極めて有効な観光資源ともなり得るものです。そのためには、自転車を使う人の立場に立った観光地や駐輪場などのわかりやすい案内を充実するなど、ソフト面の対策を進めるとともに、例えば、景観も美しく多くの人々が楽しめる場所で自転車を安全に利用できるような走行空間の整備が必要であります。
 私の地元である港区には、従来から観光客に人気のある東京タワーを初め、神社仏閣、美術館等の大人にも魅力ある多くの観光スポットがありますが、そこから海を渡ればお台場があり、この地区には、ホテルや映画館、ミュージアムを初め、食事や買い物をすることができるエンターテインメント施設等が多く立地しています。
 現在、レインボーブリッジのほか、自転車も乗せられる海上バスにより、多くの人々がお台場を訪れていますが、この地域を自転車で回れるようになれば、ダイナミックな港の景観を楽しみながら観光スポットを自由に行き来できるようになります。
 そこで、このお台場を含む臨海副都心を観光で訪れる人々が、環境に優しく、観光ツールとして有効な自転車で自由に回遊できる自転車走行空間を整備すべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 我が都議会自民党は、高齢者や障害者が地域で安心して暮らせる幸福実感社会の実現を目指しています。
 都においては、平成十六年度より、入院中の精神障害者の退院促進に取り組み、長期入院者が年々減少するなど着実に成果が得られていますが、いわゆる社会的入院といわれる方々もまだ多くいらっしゃいます。
 入院期間が長期化すると、相談支援事業所など、地域の支援者との関係が途絶えたり、もともと住んでいたアパートにいられなくなるなどにより、地域の受け入れ体制が整わないことから、退院が難しくなると聞いています。そのため、入院後早期から病院と地域とが連携して退院に向けた支援を行い、精神障害者の長期入院を防ぐことが必要です。
 しかし、東京は、精神科病院が特定の地域に集中しているという特徴があり、入院している病院と入院前に住んでいた地域が遠く、病院と地域の支援者との日ごろのつながりが薄いため、連携体制が築きにくいという課題があります。
 昨日の我が党の代表質問において、東京都地域医療介護総合確保基金の基本的な考え方について伺いました。
 そこで、この基金を活用し、精神障害者が住みなれた地域へ早期に退院できるよう支援すべきと考えますが、都の取り組みについて伺います。
 最後に、中小企業支援について伺います。
 日本経済は、二年前の政権交代以来、安倍首相のもとで推進してきた経済政策により、雇用や賃金が改善するなど、着実に回復へと歩みを進めてきましたが、足元の経済情勢を見ると、消費増税の反動や原材料費の高騰など、中小企業、とりわけ小零細企業にとって厳しい状況となっており、特に急速に進む円安への対応は大きな課題です。
 このような状況を捉え、都は先般、年末、年度末に向けた融資や相談などの特別対策を講じましたが、デフレ脱却を確実なものとし、成長軌道を描いていくには、今後も手を休めることなくさまざまな取り組みを推し進め、中小企業にその効果を行き渡らせる必要があります。
 そこで、今後の中小企業支援に対する知事の基本的な考え方を伺います。
 次に、中小企業の資金調達の多様化について伺います。
 中小企業が事業を営む上で何より切実なのは資金繰りであり、中小企業の経営の安定や成長を支えるため、実態を踏まえた多様な資金調達手段を提供することが重要です。中小企業は、経営のさまざまな局面で事業資金を必要としますが、既に一定の借り入れがある場合には、土地や建物を担保にしない限り、追加の借り入れができないという話を耳にします。
 こうした中、都が実施している動産・債権担保融資、いわゆるABL制度は、中小企業の資金調達に新たな道筋を示すものとして活用が期待できます。都の取り組みを強化し、中小企業や金融機関に本制度のさらなる活用を促すことで、こうした融資手法が民間にも広がっていくのではないかと考えます。
 そこで、都のABL制度の現状と今後の取り組みについての所見を伺います。
 次に、海外販路支援の推進について伺います。
 円滑な資金調達と同時に企業の成長に結びつく前向きな事業活動についてもしっかりと後押しをしていく必要があります。最近では、新たな収益源の確保のための海外の販路開拓に取り組む企業がふえており、経済成長の著しいアジア地域などの海外需要を積極的に取り込めるよう支援することが重要です。
 東京の多くの中小企業は、高い技術力やすぐれた製品を有し、海外でビジネスを展開できる十分なポテンシャルがありますが、経営資源が限られ、製品PRなど現地での営業活動を十分に行えません。また、海外で製品を販売する場合、取引先の開拓だけではなく、取引後のメンテナンスや修理への対応などが大きな課題となります。
 海外での取引を継続し、さらに拡大していくために、都内中小企業の現地での活動に対する積極的な支援が必要だと考えますが、所見を伺います。
 以上にて私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 菅野弘一議員の一般質問にお答えいたします。
 中小企業支援に関する基本姿勢についてでございますが、私が目指すのは、東京が都民に夢と希望を与え幸せを実感できる都市であり続けることであります。それを実現する基礎となるのは力強い経済であります。全ての都民が本当の豊かさを実感できる社会の実現に向けて、何としても経済を活性化させなければなりません。
 そのためには、地域の産業や雇用を支え、経済成長の原動力である中小企業が、外部環境の変化に適応しながら、しっかりと経営を続けていけるよう的確な手だてを講じていく必要があります。
 そこで、日々懸命な努力を重ねている中小企業の経営基盤を強化するため、取引先の開拓や資金繰りなど、経営課題の着実な解決に向けたサポートに一層の力を入れてまいります。
 また、小さいながらも高い技術力を持つ中小企業が、健康、環境、危機管理など、今後の需要拡大が期待される産業分野で成長に向けたイノベーションを進めていけるよう、付加価値の高いものづくりを支援し、それに必要な設備投資も強力に後押ししてまいります。
 こうした施策を機動的に展開することで、東京の産業を担う中小企業の底力を引き出し、持続的な発展を確かなものとしてまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、オリンピック・パラリンピック教育についてでありますが、二〇二〇年を見据え、児童生徒がスポーツに親しみ、オリンピック・パラリンピックの歴史や意義を正しく理解し、外国の人々との交流を深めることが重要でございます。
 加えて、児童生徒が国際交流を進める上では、これまで日本人が大切にしてきた礼節などの行動様式や、諸外国から敬愛されるような態度を身につける必要があります。
 このため、十月に設置をいたしました有識者会議での検討を踏まえ、我が国の伝統的な考え方や礼儀作法などを掲載した学習読本を作成するとともに、オリンピック教育推進校を拡充し、専門家によるおもてなしの学習や、アスリートから国際マナーなどを学ぶ取り組みを展開いたします。こうしたさまざまな取り組みを通して、オリンピック・パラリンピック教育の充実を図ってまいります。
 次に、効果的な取り組みの普及についてでありますが、今年度、都教育委員会が指定したオリンピック・パラリンピック教育推進校三百校では、例えば、オリンピズムの学習、大使館を通じた国際理解やアスリートとのスポーツ交流など多様な取り組みを推進しております。
 今後、全ての学校で効果的な教育を進めていくため、こうした実践の中から参考となるすぐれた取り組みを紹介する事例集を作成し、研究発表会を通じて普及啓発するとともに、学習読本を活用した授業研究を実施するなどの取り組みを行ってまいります。
 二〇二〇年に向け、全ての児童生徒がオリンピック・パラリンピック教育で学んだことを基礎とし、東京大会で得られた体験や感動を生涯にわたる財産としていけるよう、さらに内容の充実に努めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 多言語対応の取り組みについてでございますが、外国人旅行者の受け入れ環境整備のため、多言語対応を推進することは、二〇二〇年大会の成功はもとより、大会後もレガシーとして都市力向上に寄与するものでございます。
 そのため、国との連携のもと立ち上げました官民一体の多言語対応協議会では、ターミナル駅の案内表示の改善や、飲食店メニューにおける食材ピクトグラムの活用推進などを盛り込んだ取り組み方針を先月策定いたしました。
 今後、多様な交通機関が乗り入れる新宿駅を対象に、ケーススタディーを開始いたしまして、他の駅に取り組みを広げるなど、方針の早期具体化を図ってまいります。また、競技会場周辺地域において整備すべき箇所の調査に直ちに着手いたしまして、その調査結果や情報通信技術の活用事例を区市町村に提供するなど、関係機関との連携を強化し、地域における取り組みを推進してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

〇産業労働局長(山本隆君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、デジタルサイネージの活用についてでございますが、世界各国から訪れる旅行者に最新の観光情報を効果的に提供するためには、情報の随時更新が可能なデジタルサイネージを活用することが有効でございます。
 このため、都は、現在策定中の受け入れ環境整備方針に基づき、外国人旅行者が多く訪れる地域を中心に、イベント等の観光情報や目的地までの交通手段等、旅行者が旅先で必要とする情報を多言語で提供するデジタルサイネージの整備に向けて取り組んでまいります。
 二〇二〇年に向けまして、来年度から整備を進めるため、今年度は、提供する情報の内容や配信方法、タッチパネルによる検索機能等、具体的な仕様の検討に着手いたします。
 こうした取り組みを通じまして、外国人旅行者の利便性を高め、さらなる旅行者誘致につなげてまいります。
 次に、都のABL制度についてでございますが、中小企業の資金調達の選択肢を広げ、経営基盤の強化や新たな事業展開を支えるため、都は今年度、中小企業が持つさまざまな事業用資産を担保対象とするABL制度を開始いたしました。
 これまでに、多数の取引先に対する売掛債権を一括して担保とした融資や、トラックや金属加工用機械などの動産を担保とした融資が実行されております。また、取扱金融機関の数は、制度開始当初の十九行から、現在では二十五行にまで増加しており、銀行や信用金庫、信用組合の取り組みも徐々に広がりを見せております。
 今後とも、都内中小企業の資金ニーズに的確に対応するため、制度の充実について検討を進めるとともに、さらなる利用の促進を図ってまいります。
 最後に、中小企業の海外販路開拓支援についてでございますが、都内中小企業が海外市場で販路を開拓し、取引を継続的に行っていけるようにするためには、現地での営業活動に対するきめ細かい支援が重要でございます。
 このため、中小企業振興公社では、今年度、都内中小企業の販路開拓ニーズが高いタイにおいて、現地金融機関と連携し、中小企業による販売やメンテナンス拠点の設置、ビジネスパートナーの発掘などへの支援を開始いたしました。
 今後は、都内中小企業のすぐれた技術と製品のPRや商談などの営業活動を現地で直接サポートできるよう、さらなる支援体制の整備を検討してまいります。これらの取り組みによりまして、アジア市場の旺盛な需要の獲得に向け、一層の販路拡大を目指す都内中小企業の活動を積極的に支援してまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 自転車シェアリングに関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車シェアリングの普及に向けた都のこれまでの取り組みについてでございます。
 自転車シェアリングは、自動車利用からの転換による環境負荷の低減、回遊性の向上による地域の活性化、放置自転車対策など、多様な効果が期待できる施策であり、江東区に続いて千代田区、港区が事業を開始しております。
 都は、二年前に江東区が事業化を進める段階から、関係局で庁内連携体制を整備し、事業のかなめとなるステーションの設置に向けた調整等を行ってきております。
 今年度から新たに区市町村補助制度の補助対象として加えて財政支援を開始しております。また、都心部での円滑な事業展開に向けて、公開空地の活用を可能とし、あわせて自転車への広告物の表示範囲を拡大するなど、関係局で連携して、各区の事業化を強力に支援しているところでございます。
 次に、今後の取り組みについてでございますが、自転車シェアリングは、現在、都心部周辺で事業化が始まっており、地域特性等を踏まえ、東京にふさわしい形で普及を進めていくことが必要と認識しております。
 都は今後、既に事業を実施している各区のノウハウも活用しながら、引き続きステーション設置に向けた調整を初め、多角的な支援を行い、他の地域における事業化を促進していくとともに、自転車シェアリングの認知度向上のための情報発信を強化してまいります。
 さらに、利用者の利便性向上などの観点から、区境を越えた相互利用の実現に向けて、関係区と設置した都区連絡会において課題を具体的に整理しながら検討を進めてまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 臨海副都心における自転車走行空間についてですが、臨海副都心は、最先端のアミューズメント機能を備えた都市型商業施設や、水辺の景観が楽しめる公園、文化、スポーツ施設等が集積した日本有数の観光エリアとなっております。
 自転車走行空間の整備は、このエリアの新たな観光資源となり、その魅力向上につながるものと考えております。今後、地元区等との連携を図り、国内外から訪れる誰もが自転車で安全かつ自由に回遊することができるよう、魅力ある自転車走行空間の整備を進めてまいります。
 また、整備に当たっては、自転車利用者も自転車と一緒に、海上バスで臨海副都心へより気軽に来訪できるよう、自転車の海上バスへの乗降を円滑にする船着き場の整備や、そのアクセス改善にも積極的に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

〇福祉保健局長(梶原洋君) 精神障害者の早期退院に向けた取り組みについてお答えします。
 精神障害者の入院の長期化を防ぐためには、入院後の早い時期から、精神科病院と地域が連携し、退院に向けた支援を行うことが重要でございます。
 そのため、医療介護総合確保法に基づき、今回定めた東京都計画では、精神障害者の早期退院を図るために、社会復帰等に関する相談や病院内外との調整を行う精神保健福祉士を配置する病院への支援を盛り込みました。
 また、退院に向けた支援計画等を検討するため、病院が地域の相談支援機関の参加も得ながら開催する退院支援委員会についても支援することとしております。基金はこうした取り組みに充当する予定でございまして、今後とも、基金を有効に活用し、精神障害者の早期退院に向けた取り組みを一層推進してまいります。

〇議長(高島なおき君) 四十三番栗山欽行君。
   〔四十三番栗山欽行君登壇〕

〇四十三番(栗山欽行君) 初めに、スマートエネルギー都市の実現に向けた取り組みについて伺います。
 東京には、千三百万を超える人々が暮らし、大小七十万の事業所では、日夜、経済活動が営まれています。また、こうした都市活動は、高度に発達した道路、鉄道網などによって支えられております。
 知事は、今回の定例会の冒頭において、二〇三〇年までの意欲的な省エネ目標を新たに設定されました。私は、エネルギーの大消費地である東京において、低炭素、快適性、防災力を兼ね備えたスマートエネルギー都市を実現していくためには、東京で暮らし、活動する都民や事業者、さまざまな団体など全ての方々としっかり連携しながら、省エネの取り組みを進めていくことが重要と考えます。
 今後、この目標の達成に向けて、具体的取り組みが期待されますが、まず、新たな省エネ目標に向けた知事の決意をお伺いいたします。
 続いて、スマートエネルギー都市の実現に向けた中小規模事業所の省エネ対策について伺います。
 中小規模事業所の多くは、省エネに対して資金やノウハウなどが十分でないため、継続した支援は重要です。そこで、私は、中小テナントビルの省エネ改修を促進するため、省エネ性能にすぐれた設備の導入が、入居率の向上などビルのオーナーの利益につながるよう、ビルの省エネ性能を見える化する仕組みを本年第一回定例会で提案いたしましたが、その事業の募集が十一月に始まったと聞いています。
 中小規模事業者の省エネを進める上では、こうした建物の設備面だけでなく、事業所内で利用されるIT機器に係るエネルギー削減も大きな課題になっています。
 経産省の調査でも、情報技術に関するエネルギー消費は今後も増加するとの予想が出されており、中小規模事業所においても、取り扱うデータの増大により、ITに関連する消費電力は増加することが予想され、省エネを一層推進することが必要でございます。
 そこで、こうした状況を踏まえ、中小規模事業所のITに関連する省エネ対策を今後どのように進めていくのか、見解をお伺いいたします。
 また、東京を世界で一番の都市にするためには、省エネルギー対策とともに、首都東京の電力安全保障という観点から、コージェネレーションを初めとする分散型電源の導入を拡大させていくことが重要です。
 例えば、最近の田町駅東口の開発においては、低炭素で防災に強いまちづくりに向け、大規模で高効率なコージェネレーションを備えたエネルギーセンターを設置し、先月よりエリア全体に熱や電気の供給が開始されるなど、先進的な事例もふえてきています。
 このように、エネルギー効率の向上による環境面への貢献だけではなく、近年、防災面の価値についても注目が高まっているコージェネレーションの普及を一層強力に進めていくべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 スマートエネルギーの都市実現に向けて、再生可能エネルギーの拡大も大きなテーマです。
 知事は、再生可能エネルギーの消費電力に占める割合を、現状の六%から二〇二四年に二〇%程度まで高めるという目標を示しました。東日本大震災以降、電力需給の安定が大きな課題となる中で、電力の大消費地である東京が、これまで以上に再生可能エネルギーの割合を高めていくことは大きな意義があり、着実に取り組むことが必要です。
 今回示した意欲的な目標の実現に向け、都は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 次に、安定給水の確保について伺います。
 都市の発展には、水はなくてはならないものです。そもそも東京の都市としての発展を支えたのは多摩川の水です。私の地元調布市、狛江市を流れる多摩川の上流域には、明治時代、御料林などの森林を都が譲り受けた広大な水道水源林があり、百年以上にわたり多摩川の水を育んできました。
 世界にはフーバーダムなどの著名なダムがあり、水源の重要性は、諸外国の例を見てもわかります。
 東京には、我が国最大規模で水道専用の小河内ダムがあり、都の独自水源として所有をしております。先人は、都民の水、大切な水道水を確保するために大変な努力を重ねてまいりました。
 そこで、安定給水を確保するため、多摩川の水を守り続けることは、東京都にとって極めて重要と思いますが、知事の率直な見解をお伺いします。
 次に、安全でおいしい水について伺います。
 タップウオーターは水道水という意味であり、ことし六月からスタートしたタップウオータープロジェクトという名前から、かつて、蛇口から水をごくごく飲んでいた日本の文化を継承したいという水道局の思いを感じ取ることができます。
 しかし、中には、いまだ水道水に不安を覚える都民もいます。昨年、我が党が水の見える化を提案し、実現した水道水質モニターは、簡単な水質測定キットを使って自宅の水道水質をセルフチェックできるものであり、結果がすぐに見えてわかりやすいと思います。
 私も、キットを国内外において何度か使ってみましたが、水道水に不安を抱える人にとっても、水道水の質のよさをみずからが確かめることができるすぐれたツールです。
 今後、東京オリンピック・パラリンピックなどを見据えて、東京の水道のよさをアピールしていくべきですが、これには都民の理解なくしては成り立たないと思います。
 行政が一方的に伝えるだけでなく、都民みずからが水道水の質のよさを実感してこそ、水道水に対する理解向上につながり、また、体験した方からの口コミなどでの広がりも期待できます。
 そこで、水道水質モニター制度の実施結果を伺います。また、タップウオータープロジェクトを今後どのように展開していくのかについても伺います。
 次に、三多摩・島しょ地域における死因究明制度についてお伺いいたします。
 解剖や検案による死因の究明は、人が受ける最後の医療ともいわれています。これは、犯罪の見逃しだけでなく、安心・安全に暮らしができる社会をつくる上でも重要なためです。
 一例を挙げると、今では広く知られているエコノミー症候群や高齢者の熱中症は、死因究明制度があったからこそ広く取り上げられ、予防にもつながったのです。
 このように、死因究明制度の重要性から、国は、死因究明等推進会議を設置し、検討を行うとともに、本年六月には死因究明等推進計画が閣議決定されました。この中で、国は、地方独自の取り組みを促すだけでなく、死因究明等に係る地域間の格差解消を進めるとしています。
 東京都には、死因究明の専門機関である監察医務院がありますが、法の規定により、対象地域は二十三区のみとされています。多摩・島しょ地域では、大学、医師会が協力してこの業務を行っていますが、検案の多くは東京都医師会等に委託して行われており、最近は、検案を行う医師の高齢化や人材確保が難しくなっているといわれております。
 実際、平成二十五年の取扱実績は、区で、検案一万三千五百九十三件、解剖二千三百三十八件であるのに対し、多摩・島しょ地域では、検案六千三件、解剖七百七十八件でありますが、解剖率で見ると、二十三区が一七・二%であるのに対し、多摩・島しょ地域では一三・〇%と違いがあります。これは、ご遺族の承諾が必要であることなど、死因究明制度に違いが生じていることが原因と考えられます。
 今後は、高齢者の増加に加え、在宅医療が進められることから自宅で亡くなられる方がふえ、検案や解剖の潜在的な需要が増加することも予想されています。このことからも、地域によって差のない死因究明体制の整備は重要な課題と考えます。
 監察医制度の適用がない多摩地域においても、これまで以上に精度の高い検案、解剖が行えるよう、死因究明体制の強化に努める必要があると思いますが、今後どのように対応していくのか、知事の見解をお伺いいたします。
 最後に、都民の安心・安全を守る防災対策の強化についてお伺いいたします。
 我が党は、さきの第三回定例会において、外に出ていくばかりが外交ではありません、東京には、百五十三の各国大使館を初め、諸外国、地域の代表事務所が集積をしており、例えば、誰もが関心のある防災を切り口に、これらの大使館などと連携を強化していくことも、都市外交の手段として有効だと考える旨、提案をいたしました。
 これに対し、知事からは、大使館等の所在地の区や国とも連携しながら、実務レベルでの連絡体制を一層強化するとともに、連携強化に向けた意見交換の機会を設けるなど、災害時に機能する協力体制づくりを行うとの答弁がありました。
 また、先月発表された都市外交基本戦略素案においても、今後の具体的な取り組みとして、在京大使館等との関連強化という項目が明記されており、都としても、実務レベルで新たな都市外交の展開を図っていくものと受けとめております。
 そこで、防災面における大使館等との連携について、具体的な取り組みも含め、今後の展開についてお伺いいたします。
 次に、防災ブックの作成に向けた取り組みについて伺います。
 東京では、昨年十月、伊豆大島で大規模な土砂災害が発生し、多くの方が犠牲となってしまいましたが、ことしも、全国でさまざまな災害が発生しています。八月には、広島県で七十四名の方が犠牲となる大変な土砂災害が発生いたしました。また、九月には、御嶽山が噴火し、六十名を超える死者、行方不明者が発生してしまいました。
 このような災害の状況を見ると、行政による事前の防災対策の重要性を改めて痛感する一方で、我々一人一人がこうした災害に直面した際、いかに適切な行動がとれるかが生死を分けるということも感じます。
 都は、都民一人一人が災害に直面した際、適切な行動がとれるよう、その普及啓発を目的に、今年度、防災ブックを作成するとしております。大変重要な取り組みであり、専門家の知見や関係機関の知識、ノウハウを総動員して、しっかりとした内容にしていくべきと考えます。今後、どのように取り組んでいくのか伺います。
 都民の命を守る災害対応体制の構築も欠かせません。発災後、重要なことは、いかにして人命救助のための活動を迅速に行っていくかです。
 都は、本年四月、発災から七十二時間を中心に、国や市町村に加え、自衛隊、消防等関係機関との連携内容や手順を示した首都直下地震等対処要領を作成しました。こうした取り組みは高く評価したいと思いますが、今後は、実際の災害時において、これがしっかり機能するよう体制を整えていく必要があると思います。
 応急体制をハード、ソフトの両面から強化していくことが重要と考えますが、都の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 栗山欽行議員の一般質問にお答えいたします。
 新たな省エネ目標についてですが、東京は、エネルギーの大消費地として、エネルギーを効率的に利用していく責務がございます。オリンピック・パラリンピック開催後も見据え、持続的に発展を続ける大都市として、これまでの取り組みを継承しながら、さらなる省エネ化を進めていく必要があります。
 そこで、今般、長期的な視野に立ちました新たな省エネ目標を設定するべきだと判断いたしまして、二〇三〇年までに二〇〇〇年対比で三〇%削減、そういう意欲的な目標を定めることにいたしました。
 この目標の達成に向けましては、東京で活動する家庭、業務、産業、運輸それぞれの部門で創意工夫を凝らした省エネ対策が必要であります。
 今後、都は、建物の断熱性能の向上や取り組みが進みにくい中小規模事業所の省エネ化、燃料電池車など水素エネルギーの活用、再生可能エネルギーやコージェネの導入拡大などを積極的に後押ししてまいります。
 こうした施策を通じ、都民、事業者の力を結集して、世界一のスマートエネルギー都市の実現に向けて取り組んでまいります。
 安定給水の確保についてでありますが、水道は都市の発展に欠くことのできない重要なインフラでありまして、歴史、文明がそれを証明しております。
 東京におきましても、約四百年前、江戸幕府が玉川上水を開設し、多摩川の水を市中へ飲料として供給することなどにより、当時百万人規模にも及ぶ世界最大の都市といわれた江戸の繁栄を支えました。
 こうした時を重ねながら、今日におきましても多摩川の水は、都民の安定給水を支えるための貴重な水源でありまして、世界一の都市として欠くことのできない水道システムの大きな底力であります。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを成功させ、さらに、その先も首都東京が持続的に発展していくためには、安定給水の確保は不可欠であります。
 このため、多摩川の水を育む豊かな水源林や安定給水に欠かせない小河内ダムを都民共有の財産としてしっかりと次世代に引き継いでまいります。
 多摩・島しょ地域の死因究明体制についてですが、死因究明を適切に行うことは、死者の尊厳や権利を守り、公衆衛生の向上や医学の進歩にも貢献するものであります。
 死因が不明な死体を検案、解剖する監察医を置くべき地域は、政令によりまして、東京二十三区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市の五つの地域と定められております。そのための組織として、都は、監察医務院を設置しております。
 政令で定められていない多摩・島しょ地域では、東京都医師会や大学等の協力も得ながら体制を確保し、遺体の検案を行っております。さらに、任意で、遺族のご承諾をいただいた上で解剖も実施しております。あわせて、検案医の確保を図るため、大学の法医学教室とも連携し、その育成に努めております。
 死因究明の体制は、本来、国が必要な法整備を行い、地域を限定せずに整えることが必要であります。都は、監察医制度が都内全域に適用できるよう、繰り返し国に求めてきており、今後も強く働きかけてまいります。
 また、都は、医師会や学識経験者等から成る検討会を設置し、都の死因究明体制に関する今後のあり方について、現在、議論を進めております。その議論も踏まえながら、多摩・島しょ地域における死因究明体制の一層の強化に努めてまいります。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁いたします。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小規模事業所の省エネ対策についてでございます。
 一般的なオフィスの電力使用量のうち、約一三%がデータサーバーに関連する消費と推計されており、ご指摘のとおり、ITに係るエネルギーの効率化は重要でございます。IT関連の省エネを進める上では、事業者が個々に設置するデータサーバーを省エネ型データセンターに移すことが有効でございますが、システムの再構築などを伴うため、移行が進んでいない状況にございます。
 そこで、中小規模事業所のデータサーバーについて、インターネットを利用したクラウド型データセンターへの移行による省エネ化を促す仕組みについて検討してまいります。
 都は、無料省エネ診断や省エネ設備の導入支援など、これまでの取り組みを継続するとともに、このような新たな促進策の構築にも取り組み、中小規模事業所の省エネ対策を推進してまいります。
 次に、コージェネレーションの普及促進についてでございます。
 コージェネレーションは、電気と排熱の両方を有効に活用することで、省エネルギーやCO2の排出削減に寄与するものでございます。このため、都は補助制度で負担軽減を図るなどにより、導入を後押ししております。
 今後は、都市の環境と防災性のさらなる向上に向け、コージェネレーションで生み出した熱や電気の建物間や街区での融通を促す方策の構築を図り、平時の省エネと非常時のエネルギー供給の確保を地域レベルで実現できるように取り組んでまいります。
 業務用コージェネレーション六十万キロワットの導入目標の実現を目指し、エネルギーの面的利用等も促進しながら、スマートエネルギー都市の実現に向けて積極的に取り組み、東京の都市力向上につなげてまいります。
 最後に、再生可能エネルギー拡大への取り組みについてでございますが、スマートエネルギー都市の実現に向けては、省エネの推進とあわせて、再生可能エネルギーの拡大を図り、需給両面から実効性ある施策を講じることが重要でございます。
 このため、専門家による検討会の提言も踏まえ、住宅等への太陽光発電の導入促進、需要家の再生可能エネルギー電力の利用を促す仕組みづくり、太陽熱利用の普及促進など、東京の特性を踏まえた施策の具体化を進めてまいります。
 また、庁内連携体制を強化し、都施設への太陽光発電等の率先導入を推進するとともに、スマートエネルギー化に取り組む次期都庁行動計画策定に向けて検討を進めてまいります。
 目標の実現に向け、都民、事業者、区市町村等と連携した幅広い取り組みにより、再生可能エネルギーの導入拡大を着実に進めてまいります。
   〔水道局長吉田永君登壇〕

〇水道局長(吉田永君) 水道水質モニター制度の実施結果などについてでありますが、水道水が高品質で、環境や家計に優しく、生活に欠かせないことを都民にご理解いただくため、本年六月に東京タップウオータープロジェクトを開始いたしました。
 その重点施策の一つである水道水質モニター制度では、千三百人を超える方に自宅の水道水質をセルフチェックしていただきました。結果は全件適正であり、モニターからは、水道水が安全だと思った、これを家族や知人に伝えたいなどの意見も多く寄せられ、信頼感の醸成につながりました。
 このように都民が体験し、誰もが共有できることが重要であり、今後、こうした視点から、このプロジェクトの実績や成果を検証し、さらに効果的に推進していくことにより、東京の水道水が都民の誇りとなる姿を目指すとともに、これを東京の強みとして、国内外に広くアピールしてまいります。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

〇政策企画局長(川澄俊文君) 防災面での大使館等との連携についてですが、さきの定例会でのご指摘を踏まえ、連携強化は重要との認識のもと、可能なことから着手しており、早速先月には、在京米国大使館首席公使による防災関連施設の視察、都の防災施策の説明及び意見交換会を行いました。
 米国大使館側からは、連絡体制の強化について提案があり、非常時のホットラインの開設など、具体的に検討していくこととなりました。また、防災訓練を相互に視察するなど、関係を深めたいとの意向が示されました。
 先日発表した都市外交基本戦略素案でも、大使館等との関係強化を盛り込んでおります。大使館等とは、東京の魅力の発信や情報収集などで緊密な連携を進めており、今後とも、防災面での取り組みを初めとして、さらに強固な関係を構築してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 防災対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、防災ブックについてでございますが、災害から都民の生命と財産を守るためには、行政の取り組みだけでなく、都民一人一人の防災の取り組みが重要でございます。防災ブックは一家に一冊常備され、各家庭における防災指針ともなる冊子を目指しており、その作成に当たっては、行政はもとより、防災機関や専門家等の知見を活用していくことが必要となります。
 また、子供から高齢者まで広く都民に読んでいただけるよう工夫することも重要であり、構成や体裁等について検討することも求められます。
 このため、まずは年度内に防災ブックの試作版を作成し、関係機関に加え、専門家や都民も交え、検証いたします。この検証を通じて内容を精査し、来年度の完成版の作成、配布に向けて取り組んでまいります。
 次に、発災時の災害対応体制の強化についてでございます。
 大規模災害発生時には、自衛隊、警察、消防等が円滑に連携し、迅速に救出救助活動を行うことが重要でございます。
 このため、本年四月、首都直下地震等対処要領を作成し、現在、訓練等を通じた検証や協議を進めております。対処要領では、広域応援部隊等の集結拠点であり、ヘリの離着陸スペースともなる大規模救出救助活動拠点の候補地として、都立公園など三十二カ所を位置づけております。
 この拠点を円滑に機能させることが、災害対応上大変重要なことから、現地で管理運営等を行う職員の実践的な訓練や研修を実施するとともに、通信設備等の整備充実を図ってまいります。
 今後とも、対処要領で示した応急対策活動の実効性を高める取り組みを積極的に推進してまいります。

〇議長(高島なおき君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十二分休憩

   午後五時四十分開議

〇議長(高島なおき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十六番島崎義司君。
   〔二十六番島崎義司君登壇〕

〇二十六番(島崎義司君) まず、海外に向けた都市広報の強化について伺います。
 世界で一番の都市東京の実現に向けて、都は長期ビジョンの策定を進め、施策の充実を図っているところですが、今後はその情報の海外発信が課題だと考えます。
 都市ランキング世界一のロンドン市では、二〇一二年オリンピック・パラリンピック大会を機に、ロンドン市の観光、留学生、対外投資の各組織を統合した対外プロモーション組織として、ロンドン・アンド・パートナーズを設立し、スポーツに限定されない、幅広い分野の効果的な広報を実施しております。
 二〇二〇年、平成三十二年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、東京がさらに発展、成熟していく姿や、東京の魅力を海外の人々に正確に伝え、理解してもらうことで、国際社会での東京の認知度、評価の向上を図ることが重要であります。
 都では、今年度から、知事みずからが、在京の海外メディアに東京の都市戦略を発信するほか、東南アジア各国やインドの放送局に映像を配信するなど、新たな取り組みを展開されております。
 そこで、知事が積極的に進めてきた都市広報のこれまでの手応えと、今後本格的に海外への情報発信にどのような姿勢で取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 また、今年度の取り組みの成果を踏まえ、海外メディアとの関係強化や、映像による情報発信など、今後、都市広報を具体的にどのように強化していくのか伺います。
 次に、観光振興について伺います。
 私の地元武蔵野市と三鷹市にまたがる井の頭恩賜公園は、大正六年五月、日本初の郊外公園として開園し、平成二十九年五月には百周年を迎えます。
 同公園は、昭和十七年、動物園、彫刻館、資料館などを併設する井の頭自然文化園が、井の頭池、中之島の水生物園と一体的に整備され、昭和四十九年には西園にレクリエーション地区が開園、その西園内に、平成十三年、三鷹の森ジブリ美術館が開館するなど、今や水と緑と生き物と芸術、美術に彩られた、吉祥寺の一大観光スポットとなっております。
 百周年に向けて、平成十八年七月、地域、関係団体や行政が参加した井の頭恩賜公園百年実行委員会が設立され、主に水と緑の再生と公園を核とするまちのにぎわい創出を二つの柱とした事業が展開されております。私も、この各種イベントやかい掘りの様子などを視察させていただきました。
 そこで、井の頭恩賜公園が記念すべき百周年を迎えるに当たって、都としてどのように取り組んでいくのか、伺います。
 また、井の頭自然文化園は、現在、年間七十万人以上の来園者数と聞いておりますが、吉祥寺という繁華街に魅力的ないわゆる動物園があるという認識が十分に浸透していないように思います。
 駅前という絶好の条件などを考え合わせると、さらにPRを充実させて、来園者数アップが図れるのではないかと考えます。PR充実と来園者アップについても、都の見解を伺います。
 次に、観光振興の二点目として、地域資源発掘型実証プログラム事業について伺います。
 私の地元武蔵野市では、平成二十年に地元産の小麦を使った地粉うどんを開発し、その後、観光の目玉に育てようとさまざまな取り組みを展開しております。
 今年度は、東京都麺類協同組合の武蔵野支部、武蔵野市観光機構や商工会議所が、武蔵村山の村山うどんの会と協力し、両市のうどんをアピールする武蔵野Ohうどん街道プロジェクトを企画しました。
 この企画は、東京都の地域資源発掘型実証プログラム事業の一つとして採択され、うどん店をめぐるスタンプラリーやモニターツアーなどが実施されております。先月行われた第一回のモニターツアーでも定員を上回る応募があり、好評だったと聞いております。
 こうした取り組みを地域に根づかせるためには、息の長い努力が必要となりますので、引き続き都の積極的な支援をお願いいたします。
 この実証プログラム事業による取り組みは、都内のさまざまな地域で行われております。こうした情報を地域間で共有することができれば、観光振興に向けたモチベーション向上や取り組みの活性化、新しい取り組みの創出などにつながり、地域が観光振興を進める上で大きな効果が期待できると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、商業振興について伺います。
 都内の商店街は、消費者ニーズの多様化や電子取引の増加、商店主の高齢化などで、大変厳しい状況に置かれておりますが、そうした中でも、まち全体の魅力を高めるような取り組みにより集客に成功した商店街もあります。
 いうまでもなく、都内の商店街の多くは、買い物をするだけの場ではなく、地域住民と連携したパトロールの実施や清掃活動、美化運動、まち中観光への対応など、コミュニティ発展の原動力となる大きなポテンシャルを持っております。
 我が党の要望により、平成十五年度からスタートした新・元気を出せ商店街事業は、こうしたポテンシャルを生かした商店街のさまざまな取り組みに活用されており、私の地元でも、イルミネーションイベントやまち歩きガイドの作成など大いに役立っております。
 こうした補助金の利用に当たっては、書類の作成にふなれな商店街でも利用しやすいよう、都では、手続の簡素化や内容の拡充などを行っていると聞いておりますが、引き続きこのような取り組みが重要と考えております。
 都は、地域と連携した商店街の取り組みをより一層促進するなど、商店街がそのポテンシャルを十分発揮できるよう支援を強化するとともに、さらに多くの商店街にこの事業の活用を促すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、連続立体交差事業について伺います。
 連続立体交差事業は、交通渋滞や踏切事故の解消に資するとともに、鉄道により分断されていた市街地の一体化が図られるなど、まちづくりにとっても大変効果の高い事業で、さらに、鉄道の高架化によって生み出される高架下は、都市にとって貴重な空間となっております。
 私の地元である武蔵境駅周辺では、JR中央線の連続立体交差事業により鉄道の高架化が完成し、武蔵境駅西側から東小金井駅間の高架下については、JR東日本により店舗や診療所、保育施設などが整備され、新たなまちのにぎわいが創出されております。
 そのような中、武蔵境駅東側の高架下整備については、突然JRより、昨今の工事費高騰に伴い、当面、イベントコーナーや簡易店舗などを設置して暫定利用を行うという方針が表明され、本格整備が数年先にずれ込む見込みになったと聞きました。
 地元住民は、公共と民間が一体となって、早期に高架下の本格的開発を進めることを期待しております。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の多摩地区における主要会場は、味の素スタジアムやその隣に建設中の武蔵野の森総合スポーツ施設であり、武蔵境駅は、JR中央線方面から同施設へバスでアクセスする際のメーンステーションともいえる駅で、国内外から多くの方が訪れることが予想され、それに見合った景観やしつらえとすることが必要不可欠と考えます。
 連続立体交差事業は、踏切除却だけが目的ではなく、地域の活性化のためにも、高架下利用を積極的に進めていくことが求められており、事業者である東京都の果たす役割は大きいと考えます。
 そこで、連続立体交差事業に伴う高架下利用について、都の見解を求めます。
 次に、スポーツ環境の整備について伺います。
 昨年の第四回定例会代表質問での我が党の提案を受け、都が今年度から実施している市区町村へのスポーツ施設整備費補助制度についてですが、市区町村にとっては、これまで都に要望し続けてきた制度であり、スポーツ都市東京の実現に向けた大きな一歩になったのではないかと思います。
 一方で、本制度は、補助対象を競技スペースの拡大やバリアフリー化に限定していますが、実際に制度を動かすことで市区町村から多様な意見が出され、見えてくる課題もあると思います。今後は、それらに対して改善を重ね、よりよい制度にしていくことが重要であると考えます。
 例えば、私の地元である武蔵野市では、市が管理するグラウンドへの照明塔の設置を検討しておりますが、競技スペースの拡大を伴わないため補助対象にはなりません。夜間でも利用できるようになれば、利用の時間帯が広がり、市民のスポーツ実施の機会の向上にもつながります。このような工事も補助対象に加えるなど、市区町村が積極的にこの制度を活用できるようにしていくべきであると考えます。
 そこで、来年度以降の本補助制度の拡充について、都の所見を伺います。
 次に、島しょ五村におけるインターネットの利用環境改善について伺います。
 高度情報社会が進展する中、インターネットは八割を超える国民が利用する基本的な社会インフラとなりつつあります。
 しかし、伊豆諸島の利島村、新島村、神津島村、御蔵島村、青ヶ島村では、採算面などの理由から民間事業者による整備が進まず、都内では、この五村のみが超高速ブロードバンドの未整備地域となっております。
 五村では、画像伝送システムによる遠隔医療の環境改善や、特産品のネット販売促進による産業振興などの実現に向け、超高速ブロードバンド整備に対する期待が大きくなっております。
 国は、地方創生を政策の柱に位置づけ、各地域の活性化を担う自治体に対する財政支援などを検討しておりますが、超高速ブロードバンドの整備により離島の振興を図ることは、地域活性化や定住促進という地方創生の趣旨にかなうものであり、それを支援することは国の責務であります。
 都は、昨年四月に策定した東京都離島振興計画において、五村のインターネットの利用環境について改善策の具体化を図るとしていますが、改善に向けた課題及び今後の取り組みについて伺います。
 次に、教育施策、特別支援学校について伺います。
 一点目として、知的障害特別支援学校高等部の通学環境についてですが、政府が推進する女性の社会参加の流れもあって、障害のある児童生徒の母親も職につく機会がふえております。近年のこうした家庭における生活スタイルの変容に伴い、障害のある児童生徒の生活や行動も変化しており、特別支援学校には適切な対応が求められております。
 そのような中、知的障害特別支援学校高等部では、一人通学を原則としていることから、スクールバスに乗車できない生徒の母親が仕事をしようとする場合、仕事の制約や、地域の福祉サービスを利用せざるを得ないなどの課題が生じております。
 今後、このような課題に対する保護者の声にしっかりと応えることが必要と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 二点目として、特別支援学校の環境整備についてですが、教室の不足や体育館、特別教室の冷房化、トイレの整備に保護者からの強い要望があります。
 都教育委員会は、既にこうした要望に対し、計画的に整備もしくは検討されておりますが、特別支援学校のトイレは、児童生徒が自立を目指す上で重要であり、早期に整備すべきと考えます。これについて都教育委員会の見解を伺い、私からの質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 島崎義司議員の一般質問にお答えいたします。
 海外向け都市広報の成果と今後の取り組みについてでありますが、東京が世界一の都市を目指すためには、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向けて、東京をダイナミックに発展させる都市政策を進めるとともに、伝統文化など東京の特性と先進的な取り組みを海外に広く発信することが重要であります。
 このため、今年度から海外向けの都市広報を新たにスタートさせました。この秋には、初の試みとして海外から記者を招聘し、我々がふだん当たり前としている東京の姿を外国人の新鮮な目で取材してもらいました。
 ロボットに代表される最先端技術や豊かな食文化に加えまして、まちの清潔さとそれを支える人々の行動に感銘を受けた記者もおりました。また、茶道やスポーツの取材を通じて、一期一会など日本人の精神性に出会った記者もおりました。
 私もこれらの記者と直接懇談いたしましたが、大変有意義な取り組みだったと実感しており、今後も継続し、充実していきたいと思っております。
 十月には有識者会議を立ち上げまして、東京を欧米諸都市と差別化し、ユニークさの発信が重要であるということや、海外メディアの行政へのアクセスをより容易にすべきなど、率直かつ貴重なご意見をいただきました。
 今後、世界への情報発信のベースとなる海外メディアとのネットワークを一層強化してまいります。これに加えまして、東京の強みや魅力となるコンテンツを民間からも掘り起こすとともに、国や民間企業等から提案されました斬新な広報手法を積極的に取り入れ、オール東京の体制で都市広報を展開してまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、知的障害特別支援学校高等部の生徒の通学についてであります。
 知的障害特別支援学校高等部の生徒が卒業後の自立と社会参加を実現するためには、みずからの力による通学が重要であり、入学後、保護者の理解と協力による訓練等を行った上で、一人で通学することを原則としております。
 ただし、生徒の障害の程度が重い場合や、病気により保護者が付き添えないなどの特別な場合には、都教育委員会が定める基準に基づき、スクールバスへの乗車ができることとしております。
 今後も、一人通学の教育的効果を重視しながら、女性の社会進出の拡大等、生活スタイルの変化を踏まえるとともに、生徒一人一人の家庭の状況を把握しつつ、保護者の声を十分に聞き、通学方法を適切に判断してまいります。
 次に、特別支援学校のトイレの整備についてでありますが、特別支援学校では、継続的な指導により排せつの自立を促すなど、児童生徒の教育の場として、トイレが重要な役割を担っております。
 都教育委員会は、これまで学校や保護者からの要望が強いトイレの洋式化について、老朽化した給排水設備の改修や学校施設全体の改築及び大規模改修にあわせて、特別支援学校のトイレの改修を計画的に進めてまいりました。
 今後は、こうした計画的な改修に加え、簡易に洋式化できる工事手法を導入する等により、児童生徒の生活様式などに対応した清潔で使いやすいトイレの整備を促進し、生活の自立に向けた教育環境の改善、充実に努めてまいります。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

〇東京都技監(横溝良一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、井の頭恩賜公園の開園百周年に向けた取り組みについてでございますが、井の頭恩賜公園は、吉祥寺駅に隣接し、武蔵野の豊かな緑と水辺を有する多摩地域を代表する公園でございます。
 都はこれまで、平成二十九年の開園百周年に向けて、地元市、商店会連合会など二十四の団体と連携し、井の頭池にいる在来種の魚の保護と水質浄化を目的とするかい掘りや、若手芸術家が作品を展示販売するアートマーケッツ、野外劇など、地元の機運を高める催しを実施してまいりました。
 今後は、イメージキャラクターのひゃくさいくんを活用したカウントダウンイベントを毎年実施するほか、地元にゆかりのある野口雨情作詞の井の頭音頭による盆踊り大会や記念コンサートなどの実施を検討し、観光協会や商工会などと一体となり、公園を核とするまちのにぎわいを創出するよう、積極的に取り組んでまいります。
 次に、井の頭自然文化園のPRの充実等についてでございますが、この自然文化園は、動物の展示に加え、彫刻家北村西望のアトリエなど、特色ある展示を行うことにより、都民が自然を学び、豊かな感性を育むことのできる施設でございます。
 これまでに、ニホンリスなどの身近な動物との触れ合い体験のほか、三鷹の森ジブリ美術館と連携したヤマネコ祭など、年間二百を超えるイベントを実施してきてございます。
 また、本年二月にはポスター等のデザインを一新し、四月からは、吉祥寺駅の五つの大型デジタルサイネージで動画の広告を行うなど、PR活動に取り組んでおります。
 今後は、施設の改修計画を策定し、リニューアルに取り組むとともに、鉄道事業者や地元企業等とのタイアップイベントなどを通して、連携を強化し、より多くの来園者を迎えられるよう、井の頭自然文化園の魅力を広く発信してまいります。
 最後に、連続立体交差事業の高架下利用についてでございますが、鉄道の高架下は、地域の利便性や安全性などのために有効に活用できる空間であり、都は、関係者と調整を図りながら、高架下の利用計画を策定する役割を担っております。
 このため、JR中央線三鷹駅から立川駅間については、都が中心となって利用計画を策定し、これに基づき、既に地元市や鉄道事業者が、駐輪場や防災倉庫、スーパーマーケットや保育園などの施設整備を進めております。
 お話の武蔵境駅の東側では、既に利用計画が定まっており、施設整備の早期着手を鉄道事業者へ促すとともに、整備が始まるまでの間についても、にぎわいを生み、地元に喜ばれるイベントコーナーや店舗などを設置し、地域の活性化に資するよう、今後とも、都として働きかけてまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 海外に向けた都市広報の強化に向けた具体策についてでありますが、都市広報の推進につきましては、海外メディアとの関係構築、映像による情報発信の強化、海外向けコンテンツの充実を基本として取り組んでおります。
 今年度実施した記者招聘では、北米やアジアの記者六名が九月下旬から六週間、東京を精力的に取材し、その内容は有力な海外メディアで広く発信をされました。
 今後、こうした記者招聘や在京特派員向けプレスツアーなどの取材支援を充実し、海外メディアとの幅広い関係の構築を進めてまいります。
 また、東京の魅力を映像でわかりやすく世界の人々に伝えるため、新たに国際的な放送網を活用し、より多くの地域で海外放送を行うなど、映像による発信につきましても強化をしてまいります。
 さらに、外国語版ホームページを全面的に刷新し、海外から目的に応じて容易に検索可能な世界標準のデザインを取り入れるとともに、東京の魅力を紹介するPR画像を国内外から広く募集し活用するなど、コンテンツの充実も図ってまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

〇産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、観光振興についてでございますが、地域の観光を振興するためには、地元の特色ある資源を地域みずからが活用していくことが重要でございます。
 都は昨年度から、地域に根差した資源を旅行商品などに活用しようとする観光協会等のアイデアと民間事業者が持つノウハウとを結びつけ、具体化を図る地域資源発掘型実証プログラム事業を実施しております。
 今年度は、本事業による地域の魅力発信や旅行者誘致等の取り組みを具体的に紹介するため、事例集を作成し、報告会を開催するなど、区市町村や観光協会等の観光振興に向けた機運醸成とノウハウの共有を図っております。
 今後は、こうした事例をホームページ等で広く周知するなど、成果の共有を進め、地域の主体的な取り組みを一層促進してまいります。
 次に、商店街への支援についてでございますが、商店街は、人々の消費生活を支え、創業や雇用を生み出す商業活動の拠点であるとともに、住民同士の交流の促進や安全・安心なまちづくりなどを担う地域コミュニティの核として重要な役割を果たしております。
 そのため、都は、商店街が実施するイベントや防犯、防災、子育て支援など、さまざまな取り組みを幅広く支援しております。
 今後、NPO等と共同で行う取り組みに対する支援内容の充実を検討するなど、商店街が環境や福祉、観光を初めとする各地域の課題やニーズに応え、そのポテンシャルを一層発揮できるよう施策を展開してまいります。
 また、より多くの商店街における創意工夫ある取り組みを促進するため、区市町村とも連携し、支援制度の周知や申請の相談にきめ細かく対応してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) スポーツ施設整備費の補助制度についてですが、本制度は、スポーツ環境の拡充を図り、都民のスポーツ実施率七〇%を達成するため、市区町村が行う競技スペースの拡大を伴う工事などに対して補助するものでございます。
 一方、お話のように、照明設備の設置により夜間利用を可能にするなど、利用時間の拡大についてもスポーツ実施率の向上につながるものと認識しております。
 現在、市区町村に対する意向調査を実施しており、その結果を踏まえて、来年度に向け、より効果的かつニーズに合った制度となるよう検討してまいります。
 今後とも、スポーツ都市東京を実現するため、市区町村との連携を図り、都民のスポーツ活動のさらなる促進に取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 島しょ五村におけるインターネットの利用環境の改善についてでございます。
 インターネットは、今日では国民生活に欠かすことができない社会基盤となっており、そのサービスを都民がひとしく享受する環境を整備していくことは重要なことでございます。
 超高速ブロードバンド化の実現には、都、五村及び通信事業者が共同で取り組むことが必要ですが、整備費や後年度負担が大きいことが課題となっております。このため、自治体の財政負担に対する国の支援が不可欠であり、国に対して支援を強く要望しております。
 今後とも、インターネットをさまざまに活用することにより、五村の持続的な発展に資するよう、早期の利用環境改善の事業化に向けて五村と連携し、国等との協議を積極的に進めてまいります。

〇議長(高島なおき君) 五十四番あさの克彦君。
   〔五十四番あさの克彦君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇五十四番(あさの克彦君) 未来に向けて、教育、人づくりが重要であることはいうまでもありません。どのような環境でも、求めれば学べることが大切です。勉学の意欲や能力があるにもかかわらず、家庭環境によって学業の継続が困難になっている人が学習の機会を得られるように、奨学金制度が存在します。しかし、制度が知られていなければ機会の損失となってしまいます。
 私自身、インターネットで調べてみましたが、現在、奨学金に関する情報は、種類や内容、条件など、どのくらいあるのかわからない状況でした。また、奨学金は重複して受給できない場合が多いため、比較検討を行うことができるような一元的な情報サイトが必要だと考えます。
 そこで、奨学金を必要としている方が必要な情報を得られるよう、情報提供、発信のあり方を工夫すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都育英資金の平成十二年に追加された受給要件には、貸付終了時に父母以外の第二連帯保証人を立てることがありますが、関係者からは撤廃の要望が出されております。
 一方、中小企業経営者が融資を受ける際の第三者保証は、長年、保証を負うべき債務が問題とされ、平成十八年に各都道府県の信用保証協会が原則廃止をいたしました。
 また、民主党政権時代の金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプランにおいて、経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立することとされ、現在、金融庁の金融機関に対する監督指針の中でも、原則として第三者保証を求めないよう明記されています。特に、実質的に経営に関与していない個人が例外的に第三者保証契約を締結する際には、自発的な意思に基づく申し出によるものとし、金融機関から要求されたものではないことを確保するよう求めています。
 このように、保証に関する社会の意識は変わりました。しかし、東京都育英資金は従前のままです。奨学金は人に対する投資です。それなのに、金融機関でさえ原則求めない第三者保証を行政から要求する、こんなことを舛添知事も続けるのでしょうか。人材育成を重視する、弱い立場の人を助けるといった言葉は空虚に聞こえてしまいます。
 この第二連帯保証人制度は即刻撤廃すべきと考えます。都の所見を伺います。
 次に、東京都地域医療医師奨学金制度について伺います。
 これは、小児、周産期、救急、僻地という、特に医師が不足する四分野で医師を確保する目的の奨学金です。
 この制度の特別貸与奨学金は三つの大学しか選べません。地域医療に貢献しようとする受験者が他の大学に進学したいと考えるなら、この制度には申し込めません。受け入れ大学の拡大が必要です。高い志で貢献しようとする医学生をバックアップするために、他大学へ働きかけることを要望します。
 また、一般貸与奨学金は、この四分野へ進もうとする五年生以上の医学生を対象とするもので、これらの分野へ進もうとする意思を固める効果があります。
 私は、地域医療を担う医師をしっかりと確保するためにも、この奨学金制度を拡大すべきと考えます。まずは一般貸与において、学生のフォロー体制の構築を検討していただきたいと考えます。
 そして、地域医療に貢献したいという医学生に広く門戸を開くためにも、一般貸与奨学金を入学時から貸与できるようにするなど、対象の拡大を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、都のホームページについて伺います。
 都のホームページは、都政の知識がある人には必要な情報を探しやすいかもしれません。しかし、一般の方にそのような知識があるとは限りませんし、実際に助成金や補助金を調べようにも、さまざまな種類が羅列されてしまいます。また、福祉ナビなどのポータルサイトがあっても、その存在を知らない人を誘導する仕組みは弱く、全体として検索性には、ばらつきがあるようです。
 そこで、行政サービスについて、その存在を知らなくてもインターネットを介して情報にアクセスできるよう、いわゆる検索サイトから直接、さまざまな事業を発信する各局のホームページにアクセスしやすい工夫をすべきと考えます。
 そのためには、検索エンジンの特性を踏まえたヒットされやすいサイトづくりを意識しなければなりません。例えば、各局のページのタイトルやメタデータに検索用語を忍ばせるといった方法です。検索用語も、その情報を必要とする人がどのような言葉で検索するのか思いをめぐらせて選定する必要があります。
 都では本年、東京都公式ホームページ作成に関する統一基準を策定したと聞いておりますが、今述べたようなホームページの検索性を向上させる取り組みが重要と考えます。所見を伺います。
 さて、女性の社会進出という言葉があります。これはさまざまなメディアでも使われており、一般的にも使われておりますが、私には違和感があります。
 働く、もしくはボランティアなど、家庭の外で活動することを指しているのでしょうが、育児や介護、家事なども立派な社会参加ではないでしょうか。家庭の中と社会を切り離すような言葉は、私は使わないようにして、例えば女性の雇用推進など、より具体的な言葉を用いるように心がけております。言葉狩りをするつもりはありませんので、使っている人や団体が、家庭の中で働くことに差別的な認識を持っているとはいいませんが、少なくとも刷り込みという影響があると考えます。
 東京の知事の言葉には発信力があります。このような言葉で女性同士を分断することなく、全ての女性があらゆる場で活躍が認められるよう、都政を担う知事として、いかなる認識のもとで政策を進めていくのか、見解を伺います。
 次に、ワークライフバランスの推進について伺います。
 中小企業が育児や介護と就業を両立しようとする社員を応援する制度をつくる際、都としても積極的に支援するよう努めているようです。
 その一つに、中小企業ワークライフバランス推進助成金があります。事業や対象経費を定めながらも、ワークライフバランスの推進に資すると認めるものであれば助成するという姿勢は評価いたします。
 一方で、現場では、それは助成対象外だからの一点張りで断られるケースもあると伺いました。中小企業の業態や規模は多岐に及び、どのような制度を社内に設ければ推進につながるかは決めつけられません。事例として紹介されている研修やコンサルティング、在宅勤務に必要な設備の導入が有効な会社も、またそうではない会社もたくさんあります。使い勝手がいいとはいえないと考えます。推進に資すると認めれば助成するという姿勢は、現実に柔軟な対応ができてこそ生きてくるのです。
 そこで、中小企業のワークライフバランス推進について、よりフレキシブルで実情に合った制度構築がしやすい施策実施について、都の見解を伺います。
 最後に、観光振興について伺います。
 羽田空港の国際線発着枠が大幅に拡大し、海外からの利便性は大きく向上しました。羽田空港がハブ空港として発展していけば、世界中から多くの旅行者が訪れることになります。
 世界一旅行者が訪れるフランスのパリでは、ハブ空港から近隣の国や都市へと乗り継ぐ際に、目的地以外でも観光を楽しめるよう、トランジットあるいはストップオーバーなどの仕組みを有効活用しております。航空会社のサービスですが、旅行者が一日滞在すればそれだけ経済効果が生まれます。ハブ空港とこのサービスが、フランスの世界一に貢献していることは間違いないといって過言ではないでしょう。
 舛添知事は所信で、東北六県と仙台市、民間を交えて広域の観光について協議を始めるとおっしゃいました。世界各地から東京へ、東京から地方へと旅行の利便性が高まっている中、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会に向けて、日本の玄関口ともいうべき東京が、東北のみならず全国の道府県と協力し、外国人旅行者の誘致に取り組むべきと考えますが、所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) あさの克彦議員の一般質問にお答えいたします。
 女性の社会進出についてでありますが、女性が活躍できる社会とは、人生における出産、子育て、介護などのライフステージにおいて、全ての女性がみずからの希望と選択に応じて、職場や家庭、地域などあらゆる分野で個性や能力を十分に発揮できる社会であると考えております。
 女性の社会進出により、企業や職場で活躍の場が広がることも、こうした社会の実現にとって重要な要素の一つと考えます。
 行政が担うべき役割は、広く女性がみずからの可能性を追求し、豊かな家庭生活や職業生活を営めるよう、子育て支援など安心と希望のセーフティーネットを張りめぐらして下支えをしていくことにあります。
 都はこれまで、女性の活躍推進に向けた機運の醸成を図るとともに、子育て環境の整備、継続就業や登用促進の後押しに取り組んでまいりました。
 今後とも、あらゆる分野で女性が生き生きと活躍できるよう積極的に取り組んでまいります。
 そのほかの質問につきましては、関係局長に答弁させます。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 奨学金制度に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、奨学金の情報提供についてでありますが、都は、保護者の負担を軽減するため、特別奨学金や育英資金等を実施しており、これらの制度については、進学相談などの機会を捉えて説明を行うとともに、対象となる私立高校生だけでなく、都内の中学三年生に対しても、学校を通じてパンフレットを配布しております。
 また、公益財団法人東京都私学財団のホームページにおきまして、これらの制度を紹介し、民間団体等の奨学金サイトにリンクを張るなど、多様な情報を掲載しております。
 今後とも、都民の方が必要とする奨学金の情報を得られるよう、学校との連携を図るとともに、ホームページをより見やすく工夫するなど、わかりやすい情報提供に努めてまいります。
 次に、東京都育英資金における第二連帯保証人についてであります。
 育英資金は、中小企業等への事業資金の融資とは異なり、修学上必要な学資金の一部を、公費により無利子で個人に貸し付ける事業でございます。
 貸付終了時に、貸し付けを受けた本人と別生計の第二連帯保証人を立てていただいているのは、連帯保証人である父母が本人とともに所在不明となり、債権回収に支障を来した場合があったためであります。
 育英資金事業につきましては、返還金が次世代の奨学生への貸付原資となることから、適切に回収する観点が必要でありますが、借りやすさや他の奨学金制度の状況もあわせ、総合的に勘案して取り組んでいく必要があると考えております。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

〇福祉保健局長(梶原洋君) 医師奨学金制度についてお答えします。
 この制度は、医師不足が深刻な状況にあった小児、周産期、救急、僻地医療に従事する医師を確保するため、平成二十一年度に創設したものでございます。
 このうち、特別貸与奨学金は、国の緊急医師確保対策等に基づき医学部の定員増を図った都内三大学の医学生を対象に、入学時から貸与する制度であり、卒業生がこれらの医療に従事する時期は平成二十九年度以降となります。
 一方、一般貸与奨学金は、早期に必要な医師を確保できるよう、都内全ての大学の医学生を対象に、将来の進路を見定める時期である五年、六年次の二年間貸与する制度でありまして、昨年度から卒業生が勤務を開始しております。
 今後、利用者の分野別の就業状況も確認しながら、二つの奨学金制度を活用し、医師の確保に努めてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) ホームページの検索性の向上についてでございますが、都は、ホームページのデザインなどの一体感の醸成、アクセシビリティー対応の強化及びユーザビリティーの向上を図るため、本年三月に東京都公式ホームページ作成に関する統一基準を策定いたしました。
 本基準では、検索結果の精度を高めるため、ページのコンテンツの内容がわかるようなタイトルをつけるほか、ページ全体に関する説明文、キーワードを検索用語として設定する旨定めるなど、外部からの検索性も含めた利便性の向上に努めております。
 本基準策定後、担当者向け説明会の実施を手始めに、基準の準拠に向けた取り組みを鋭意進めており、今後とも、ユーザビリティーの一層の向上に努めてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

〇産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ワークライフバランスの推進についてでございますが、都は、仕事と育児等が両立できる社内制度の整備に取り組む中小企業に対して、経費を助成し支援しております。
 本事業では、所要経費について一定の基準を設けた上で、さまざまな企業の主体的な取り組みを応援するため、目的に合致したものを幅広く対象としております。
 助成を希望する中小企業に対しましては、基準にのっとり、公平公正な支給に努めるとともに、相談に当たる担当者が各企業の実情に応じ、例えば従業員の負担軽減策としてシステム導入を提案するなど、助成金の効果的な活用に向けたアドバイスを適切に行っているところでございます。
 今後とも、ワークライフバランスの推進に意欲的な中小企業を積極的に後押しできるよう、各企業の実態を踏まえた対応を図ってまいります。
 次に、地方と連携した外国人旅行者誘致についてでございますが、東京と他の自治体が連携し、広域的な旅行者誘致を進めることは、東京へのリピーターを確保するとともに、地方の活性化を図る上で重要でございます。
 このため、都は、東京を訪れる外国人旅行者が地方にも足を伸ばし、多様な魅力を堪能できるよう、広域の観光ルートの作成に向けて取り組んでまいります。
 今年度、まずは東北六県と仙台市、航空、鉄道事業者から成る協議体を設置するとともに、交通手段などの調査を行ってまいります。
 今後とも、東京と地方が連携し、相乗効果を生み出す取り組みを進めてまいります。

〇副議長(藤井一君) 十番宮瀬英治君。
   〔十番宮瀬英治君登壇〕

〇十番(宮瀬英治君) まず初めに、本一般質問に当たりまして、都民のニーズや声を客観的かつ正確に代弁することを目的に、男女比、年代別人口比など正確に反映させた都民千名ほどのマーケティング外部調査を今月実施してまいりました。本日は、その客観的な数字やデータをもとに質問をさせていただきます。
 さて、三十年以内にマグニチュード七以上の首都直下地震が来る確率が七割といわれ、その備えは都政の最重要課題の一つであります。
 阪神・淡路大震災において、一九九六年日本建築学会が聞き取り調査したところ、人命を救助した人の内訳は、近所の人によるが六四%と最も多く、また、今回の調査においても、近所の人を助けたいと回答した人が八割を占めておりました。
 都においても、地域の共助力や防災力の向上に向けた区市町村の取り組みを支援してまいりましたが、一方で、この調査結果では、近所や自治会、町会で助け合える仕組みがない、あるいはあってもわからない、近所に助けてくれる人がいない、近所の人を助ける場合、ジャッキ、バールなど救助器具がどこにあるか知らない、地域住民だけで助け合えるような取り組み、共助型の訓練がないといった声がいずれも八割を超えておりました。
 そこで私は、地元板橋区の防災意識の高い町会や青年部、区民消火隊、消防団、区職員と、半年にわたり災害時にどう助け合えばよいのか議論を進めてまいりました。
 町会メンバーは高齢化が進み、活躍が期待される町会青年部は消防団員と兼任している者も多く、また災害時には、消防団は詰所への参集のため不在となるなど、災害時にその関係各所がどう連携していくのか、まさに答えが出ていない状況であります。
 また、私自身も消防団に所属しておりますが、所属する分団長からは、団自体も首都直下地震に備えた訓練や組織体制へとさらに強化すべきだ、また、地域住民の避難誘導、要支援者の救出など助け合い訓練も必要だとのご意見も直接聞かせていただきました。
 そこで、消防団の首都直下地震に対応したさらなる実践的な訓練に加え、また、災害時における被害を軽減するために、訓練等を通じた特別区消防団と地域住民との連携強化をすべきだと考えますが、その取り組みについて東京消防庁の見解をお伺いいたします。
 また、消防団の資機材の整備も重要であります。
 東京消防庁では、首都直下地震に備え、チェーンソーや油圧ジャッキなどの配備を強化してまいりました。それらが評価される一方で、地域住民に合った本当に必要な装備の優先順位をさらに上げてほしいといった現場の声も上がっております。
 例えば、消防隊への携帯用AEDは平成二十七年度に配備が完了いたしますが、大災害時に単独での消火救命活動が想定される消防団には、現在、AEDが配備されておりません。消防団の地域のイベントや祭事等における特別警戒時に、消防団用のAEDがあれば団員による迅速な救命活動が可能であります。このたびの都民調査におきましても、六五%の方々から早急に配備すべきとの声が上がっております。
 また、平成二十六年、総務省による消防団装備基準では、新たに救助資機材の充実が挙げられ、平成二十五年度、消防団団運営会議においても、AEDの迅速な配備要求が二十三特別区のうち八区から上がっております。
 このように、特にAEDを含めた救急活動用資機材の充実が今後必要であると考えますが、特別区消防団への救助活動用資機材の整備状況と今後の取り組みについて、東京消防庁にお伺いをいたします。
 また、共助の観点から、住民同士によるAEDの活用など、救急救命活動をしていただくことも重要であります。
 神戸市は、地域住民の共助の取り組みによる救急救命活動の支援のため、まちかど救急ステーションと称し、会社やオフィスビルが保有する民間のAED情報を市に無料提供していただき、二千カ所以上を網羅したAEDマップを作成しております。
 また、平時におきましても、都では平成二十五年度において、心臓機能が停止した都内傷病者の搬送人数は約一万二千名に上っていますが、神戸市では、一一九番の救急車の要請時に、必要があれば電話を受けたオペレーターが、そのAEDマップをもとに最寄りのAED設置場所を知らせてくれます。
 このたびの都民調査によれば、職場や自宅など近隣のどこにAEDがあるか知っていると答えた方は六割に上るものの、心停止の発生場所は必ずしも職場や家の近隣だけとも限らないことから、地域全体を網羅する、東京全体を網羅する東京都AED統一マップの作成を要望する声が六四%と高まっております。一方、都には現在その取り組みがありません。
 そこでまず、広域自治体である東京都が、AED情報を集約したマップづくりに取り組む区市町村への支援や、AED使用方法等に関する普及啓発の取り組みを進めるべきだと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 次に、公助についてお伺いをいたします。
 調査では、発災後七十二時間以内に区や東京都などの行政、消防が助けてくれないと思う方が七割を占めておりました。
 そこで、先般の総務委員会で、都が防災プランで描いた迅速な救出救助活動を展開できる環境の実現について、首都直下地震は同時多発するので、都の総合防災訓練も一自治体に限定せず、より実態に合うよう他の区市町村も同時に実施してほしいと質問いたしました。
 都は、実働訓練は地域を限定して行っているが、図上訓練という形で、多くの区市町村や防災機関との実践的な訓練を行っているとの回答をいただきました。
 しかし、ある区の実態を調査しましたところ、この図上訓練や月一回の都の防災行政無線を活用した定期通信訓練だけでは、なれている担当者が対応するだけで、人手の少ない区側で、本番の際に迅速的確な情報連絡、最も大切な情報共有への対応ができるか不安といった率直なご意見をいただきました。
 例えば、区市町村による首都直下地震を想定した総合防災訓練においても、区の災害対策本部に警察、消防、そして都の職員も参加し、必要なアドバイスをいただきたいとの声がありました。
 このように、都は、被災地域の前線に立つ区市町村の防災力を高めるための支援をより積極的に行うべきだと考えますが、都の所見を求めます。
 次に、アジアと中小企業の支援策についてお伺いをいたします。
 イギリスのエコノミスト社の発表によりますと、二〇一〇年時点で、日本が占める世界のGDPシェアは六%、アジアの発展途上国は二八%、二〇五〇年には日本は二%と、現在の約三分の一まで減少し、逆にアジアの発展途上国は四八%へと、実に世界の富の約半数を占めるといわれております。
 私自身、NGOを十五年主宰し、つぶさに東南アジアの現地、現場を見てまいりましたが、今やアジアは支援対象国からビジネスパートナー国となりました。今回の調査では、今後のアジアのマーケットが鍵を握るといった方が過半を超えるなど、まさにアジアは大きなビジネスチャンスの場であると捉えられております。
 一方で、今回の調査でアジアを重視する会社では、進出したがうまくいっていない二七%、既に撤退した一・四%、今後進出を検討中、いずれは進出をしたい、どうすればいいかわからないの合計が一三%でございました。
 実際に、私も地元板橋区の中小企業十三社を訪問し、進出したが現地でだまされた、誰にも現地で相談できずに撤退したといった声も直接お聞きしました。
 都は、五年前から、東京都中小企業振興公社で、中小企業の海外における販路拡大に努めておりますが、公社の経営相談窓口自体の認知が、中小企業経営者や社員に限定しても約二割。また成果は、平成二十五年度の成約社数二十一社と、そのニーズの大きさに比べいまだ途上であり、さらに、公社は、情報収集や現地サポートのための海外拠点はまだありません。
 海外進出の際に相談するジェトロもありますが、実際は敷居が高く、相談件数は年約二万件あるものの、実際は見込みのありそうな会社への対応が主なものであり、その件数もわずか三百四十一件にとどまっております。また、ミャンマーなど現地ジェトロ事務所においても、全国からの企業対応で、細やかな対応ができていないとのことであります。また、さらには大使経験者にもお伺いいたしましたが、外務省は、新幹線など大型インフラに限定され、中小企業の対応はできないとのことでありました。
 一方、アジアに拠点を設けている兵庫県では、平成十九年に財政難のため事務所を一旦閉鎖したものの、中小企業の支援のためにアジアに拠点を置かなければならないとの知事のご判断で、平成二十四年度に現地事務所を復活させております。
 県内の中小企業を熟知した地銀の行員を副所長として迎えるなど、今までの文化交流から、ビジネスの拠点として機能させ、ジェトロでは対応し切れていない中小企業等のニーズを支える重要な海外拠点となっております。
 また、福岡県や北九州市では、大連、上海、香港、台北、バンコクなどに海外拠点を設けており、特筆すべきは、アジア二十都市において三十八ものインフラ国際協力事業を、県内の中小企業の販路拡大や産業力貢献へと結びつけている点であります。
 さらには、東南アジアなどから現地自治体の職員を市に交換職員として受け入れ、アジアの技術都市をキーワードに、アジアとの地域経済発展に戦略的に取り組んでおります。
 現在、都では、シンガポールなどアジアにある自治体国際化協会に都職員を派遣しているものの、あくまで自治体の活動を支援するものであり、単独で都内中小企業を支援するものではありません。
 また、過去には、平成二年度から平成十二年度まで、ニューヨークとパリに、交流事業や情報収集、都政情報の発信の場として海外事務所を置き、また平成十一年度まで、北京市やソウル特別市との職員交換をしておりましたが、当時の厳しい財政状況の中で、コストと効果の両面から、当時の知事の判断で廃止となりました。
 しかし、現在は当時と比べ財政状況は改善し、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの決定、アジアヘッドクオーターの推進、観光誘致など、今後アジアとともに進めていく施策が多いことから、今後、現地における声や情報を一層ダイレクトに聞くことが必要であります。アジアとは何か、それはそこに住む人であり、その心であります。
 舛添知事も常日ごろ、東京を世界で一番の都市にするとおっしゃられている以上、まずはアジアで一番の信頼を得られる東京を目指さなければなりません。
 そこで、北九州市や兵庫県のように、これまでのような交流事業や情報収集、発信だけではなく、都内中小企業が経済成長するためのビジネス等の拠点が必要であります。
 都は、こうしたさまざまな要求に応えるためにも、アジアに東京都の拠点を置くべきであり、その第一歩目として、アジア諸都市との都の職員の交換派遣から始めるべきだと考えますが、知事のご見解をお伺いいたします。
 また、最後になりますが、今後、知事が東南アジアに都市外交に行かれる際には、ぜひトップセールス、有望な都内の中小企業も同行させていただき、もうかる都市外交といった側面もあわせて目指していただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 宮瀬英治議員の一般質問にお答えいたします。
 アジア諸都市との職員交換派遣についてでありますが、厳しい都市間競争の時代を迎えておりまして、都は効果的な都市外交を進めていく必要があります。とりわけ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを控えた今日、姉妹友好都市や世界の主要都市との交流を深めることは、ますます重要となってきております。
 そうした意味でも、都の職員が海外に出て、東京のため、ひいては日本のために活動することは極めて重要であると考えております。
 そのための手段はさまざまあると思いますが、ご質問にあります都の海外事務所は、行財政上の理由で平成十二年に閉鎖されております。
 都は現在、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールにある自治体国際化協会の海外事務所等に職員を派遣しておりますが、来年度中を目途に、こうした職員派遣の拡大を検討してまいります。
 さらに、都知事として十八年ぶりに訪問いたしました北京市とソウル特別市では、職員の交換を再開することで合意いたしました。具体的な内容については、現在、実務レベルで検討を行っております。
 今後とも、職員派遣を通じ、海外諸都市との交流、協力を促進してまいります。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁いたします。
   〔消防総監大江秀敏君登壇〕

〇消防総監(大江秀敏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別区消防団の実践的な訓練の推進と地域住民との連携強化の取り組みについてでございますが、消防団は、地域特性に応じた実践的な訓練を消防署と連携して実施しております。また、消防団は、地域の防災リーダーとして、防災訓練や応急救護訓練などの指導のほか、消防団点検等の機会を捉えて、町会、自治会など地域住民と一体となった訓練を実施しております。
 今後も、消防団の活動能力の向上と地域住民との連携強化を図り、震災時における被害軽減に努めてまいります。
 次に、特別区消防団の救助活動用資機材の整備状況と今後の取り組みについてでございますが、当庁では、特別区消防団運営委員会の答申などを踏まえ、これまで携帯型油圧救助器具、チェーンソー、万能おの等を順次整備してまいりました。
 今後も、消防団の活動力強化のため、救助活動用を初め、各種資機材の整備に努めてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

〇福祉保健局長(梶原洋君) AEDの普及啓発についてお答えします。
 都はこれまで、都民を対象に、AEDの使用法や心肺蘇生法等に関する講習会を実施しており、平成二十五年度までに約二百万人が受講しております。
 また、昨年度は、AEDによる心肺蘇生の手順等をまとめたリーフレットを五万部作成し、区市町村や都内全ての病院等に配布し、周知を図っております。
 さらに、AEDの設置場所を示すマップの作成を行う区市町村を、包括補助により支援しております。
 AEDを用いた速やかな心肺蘇生の実施は、救命率の向上に寄与するものでございまして、今後とも、東京都医師会など関係団体と連携しながら、AEDの普及啓発に努めてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 区市町村の防災力向上に向けた支援についてでございます。
 都はこれまでも、災害時に住民の救援活動に直接携わる区市町村を、広域自治体としてさまざまに支援してまいりました。
 例えば、都の総合防災訓練や図上訓練において、区市町村や各機関との情報連絡や応急対策の検討などを区市町村とともに実施し、災害対応力の向上を図っております。
 また、今年度は、例年行っております都職員を都庁舎等に参集させる訓練におきまして、新たに、区役所や市役所にも都職員を派遣し、発災時に円滑に連携、支援できるよう、区市の災害対策本部の設備や体制を確認させたところでございます。
 今後とも、都は、区市町村の意見を踏まえた実践的な訓練を連携して実施するなど、区市町村の防災力向上に向けて支援してまいります。

〇副議長(藤井一君) 七十五番両角みのる君。
   〔七十五番両角みのる君登壇〕

〇七十五番(両角みのる君) まず、小笠原沖での中国船団の密漁について伺います。
 本年十月末、小笠原沖の海が二百隻以上の中国の密漁船に埋め尽くされました。今は姿を消したとはいえ、いつ再びあらわれるかもしれない密漁船に、住民は不安な日々を送っています。都の行政エリアで密漁船団が長期に居座り、我が物顔で違法操業を繰り広げることは、とても看過できるものではなく、強い憤りを感ぜずにはいられません。
 領海侵犯は都政権限が及ばぬことですが、都としての意思を内外に発し、知事を先頭に、島民の不安にしっかりと応えていかなくてはなりません。
 今後も、関係機関が連携して情報収集に努め、環境や漁業、観光への影響を把握し、それらに対し、都は総合的な取り組みを進めるべきです。
 今月十六日には、海上保安庁が小笠原方面に向かうと見られる中国船団を沖縄近海で確認しており、知事みずからが早期に現地視察することの重要性が高まっておりますが、今後の知事の現地視察の意向を伺います。
 次に、東京DMATについて伺います。
 東京DMATは、平成十六年の発足以来十年、災害現場での救急救命活動に大きな成果を発揮してまいりました。現在、都内二十五病院が東京DMAT病院に指定され、三百六十五日二十四時間、いつでも出動できる体制が整えられております。
 都には、DMAT活動の環境を整える役割が求められており、現場の声を生かした対応が必要です。
 今後、どのような面で、指定病院や隊員に対して質の高いDMAT活動を継続できる環境整備と支援を進めていくのか、見解を伺います。
 次に、DMATカーについて伺います。
 都は、平成二十三年度から二カ年間で、全指定病院に、災害時に長時間自己完結活動ができるDMATカーを配備しました。配備後一年八カ月間の全車両の運用実績は、トータルで出場十二回、訓練百六回、転院搬送が十九回となっています。
 ところで、私の地元では、平成二十三年に八王子市高齢者救急医療体制広域連絡会、通称八高連が立ち上がり、現在、市内の十五団体、百四十七機関が加盟して、地域の高齢者救急の問題に取り組んでいます。こうした団体では、転院などの搬送ニーズが高まっていると聞いております。
 そこで、現在日常的には活用されていないDMATカーを、本来目的に支障が生じない範囲で、こうした需要に対応することができないものかと思いますが、見解を伺います。
 引き続き、救急搬送の適正化と在宅医療患者の搬送支援について伺います。
 救急搬送人員は、ここ五年で七万人以上ふえ、そのうち高齢者の割合は年々高くなり、平成二十五年には、全搬送者に占める六十五歳以上の割合は四八・二%と半数近くまで達しています。
 救急搬送については、いわゆる病院たらい回しが社会問題化し、平成二十一年、救急医療の東京ルールが設けられ、以降、搬送困難事案の発生割合は減少傾向にあります。
 しかし、急激な高齢化の進行に伴い、救急搬送件数はますますふえていくことが予想されます。真に緊急性のある患者とそうでないケースを分け、適正な救急車利用を図るためにも、在宅で療養する高齢者が地域で生活を継続できる環境整備が必要です。
 そこで、高齢者を初めとした在宅療養患者を地域で支えるため、八高連の事例などを参考に、区市町村を含めた慢性期医療機関等、広範な関係機関の地域連携を進め、病院などへの患者搬送について必要な支援を行うことが必要と考えますが、今後の取り組みを伺います。
 続いて、都有財産の有効活用について伺います。
 間もなく長期ビジョンが発表され、東京パラリンピック・オリンピックとその後に向けた東京のあるべき姿と数値目標が示されます。
 目標達成に当たっては、特に施設整備が必要な分野は、都有地の活用を考えていかなくてはなりません。そのためにも、都の保有財産の中身の把握が必要と考えます。
 そこで、財務局所管の普通財産保有状況を伺います。また、そのうち、保育所や高齢者施設に活用可能な用地はどの程度あるのか伺います。
 都有地の活用に当たっては、まずは普通財産の活用を考えるべきですが、一方で、各局所管の財産には、施設の老朽化で取り壊して以降、利用目的が定まっていないものや、将来利用を見込み取得をしたけれど、計画実現性が乏しいものなどあるはずです。そのような未利用地は速やかに普通財産化をし、全庁的視点から都の喫緊課題に有効活用をしていくべきです。
 そのためにも、新長期ビジョンが示される今のタイミングでこそ、各局所管財産の中身を調査、確認する棚卸し作業、資産アセスメントを集中的に実施すべきです。そして、普通財産化を促進し、都の今日的行政ニーズに対応していく必要があると考えますが、見解を伺います。
 都有財産の精査、有効活用とともに重要なのは、利用計画のある未利用地についても、その形態に応じて積極的に都民還元をしていくという考えではないでしょうか。
 私の地元の旧東京都立産業技術研究センター八王子支所跡地は、JR八王子駅と京王八王子駅から、それぞれ三分程度の至便な場所にあります。約一万平米の広大な更地の今後については、市民の関心は高いものがあります。
 産業労働局所管の当該用地は、平成二十六年度、三千万円の予算が計上され、仮称産業交流拠点整備に向け、基本計画を策定中ですが、平成二十四年の更地化以降、ほとんど活用がされていない状況が続いています。
 今後、産業交流拠点整備に向けて、基本設計一年、詳細設計二年程度、工事着手まで最短でも三年は要するのではないでしょうか。であれば、当該用地に関し、早急にそれまでの間の有効な活用策を立て、都民還元を図るべきと考えます。
 ところで、過日、当該用地で、地元自治体の後援を得て二日間のまちづくりイベントの使用許可を得ようとした団体がありましたが、東京都公有財産規則中の国または地方公共団体その他公共団体に当たらないとの理由で許可がおりなかったと聞いております。
 本規則には、前各号のほか、特に必要があると認めるときとあり、特段の支障がない限り、まちづくりに資するような単発イベントには、地元自治体の後援名義を得る等の一定条件があれば、都民の共有財産の使用を積極的に認める立場をとるべきではないかと考えますが、今後の行政財産の使用許可について都の基本姿勢を伺います。
 次に、職員住宅について伺います。
 都有財産の中には、交通至便な一等地のものを含め、職員住宅があります。総務局が所管する職員住宅は、平成二十六年四月一日現在千七十九戸となっており、これに係る経常経費として年一億二千万円程度が、そのほかに大規模改修経費として五億から八億円台の支出がここ数年毎年なされております。
 職員住宅は、都が土地、建物を所有する形態ですが、修繕、建てかえ、日常管理などを考えると、所有や管理形態を再考する余地があると考えます。
 そこで、土地、建物を都が所有して自己管理する手法だけでなく、サブリースや借り上げなど民間物件も含めてコスト面を考慮し、職員住宅の所有や管理のあり方を考える時期に来ていると思いますが、今後の取り組みを伺います。
 最後に、特殊詐欺について伺います。
 特殊詐欺による本年の被害は、過去最悪だった昨年の四百八十九億円を上回り、五百億円を突発する見通しです。
 最近では、受け子と呼ばれる金銭の受け取り役を中学生が担わされたりと、その影響は青少年にまで及んでおり、大きな社会問題となっております。このような卑劣な犯罪根絶に向けて、社会全体で特殊詐欺に当たる仕組みが必要です。
 警視庁では、民間企業との連携という観点から、新たに企業、団体を対象とした特殊詐欺根絶アクションプログラム・東京をスタートさせました。オレオレ詐欺の被害者が勤労者の親、祖父母に多いことから、会社という場を通じた効果的なプログラム実施を目的としたもので、平成二十六年十月末現在で七百六十三社、七十五万九千三百九十六人が参加しています。
 そこで、この特殊詐欺根絶アクションプログラム・東京のこれまでの効果を伺います。
 また、企業等に対する今後の周知、広報戦略をどのように考えているのか、さらに、参加企業の声を反映してプログラムをアップデートすべきと思いますが、見解を伺います。
 一方で、警視庁では、地方自治体との連携という観点から、本年八月、特殊詐欺根絶オール東京プロジェクトを立ち上げ、足立区と調布市をモデル自治体に選定、推進していると聞いております。
 そこで、本プロジェクトの目的と進捗状況、今後の取り組みを伺い、質問を終わります。
   〔警視総監高綱直良君登壇〕

〇警視総監(高綱直良君) 両角みのる議員の一般質問にお答えをいたします。
 警視庁における特殊詐欺の根絶に向けた取り組みのうち、議員ご指摘の二つの取り組みについてお答えをいたします。
 初めに、特殊詐欺根絶アクションプログラム・東京についてでありますが、この取り組みは、被害に遭いやすい高齢者を親あるいは祖父母に持つ会社員の方等を対象に、特殊詐欺の手口と同様の電話を実際に勤め先から親御さん等にかけていただいて、親御さんともども疑似体験をしていただくことで、特殊詐欺に対する対応能力の向上を図ることを目的としております。
 この取り組みにつきましては、実際に訓練を受けた方から、被害防止に役立つ旨の感想が寄せられているほか、本年十一月末現在の都内における特殊詐欺の認知件数、すなわち発生件数と、被害額、だまし取られたお金の額でありますが、これらにつきましても、昨年の同じ時期と比較をいたしまして、いずれも減少をいたしており、一定の効果は見られているところでございます。
 しかしながら、依然として厳しい状況に変わりはありませんことから、今後とも、関係団体と連携をし、この取り組みの効果を紹介するなどにより周知を図り、より幅広い企業等の参加を働きかけていくほか、プログラムの内容につきましても、訓練に参加をいただいた方々の声や犯行手口の変化などを反映させて、より効果的なものに更新をしていくことといたしております。
 次に、特殊詐欺根絶オール東京プロジェクトについてであります。
 この取り組みの目的は、都内の全ての区市町村が特殊詐欺の被害防止に効果の上がる施策を共有して、オール東京での取り組みを推進していただくことであります。現在は、一部の自治体においてこの取り組みを推進していただいているところでありますが、今後は、各自治体間での情報共有を図りつつ、それぞれの地域の実情に応じた施策を地元の警察署と連携して推進していただくこととしております。
 警視庁といたしましては、引き続き、関係団体、企業、自治体の皆様と連携をして、これらの取り組みを含めた対策を強力に推進することによりまして、特殊詐欺の撲滅を図ってまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中国漁船による違法操業についてでございます。
 都はこれまで、取り締まりの強化や必要な法整備を国に強く要望してきたほか、海上保安庁などと連携し、都の漁業調査指導船による監視活動を行うとともに、関係機関との連絡会議を立ち上げ、情報の共有化、連携の強化を図ってまいりました。
 島民の方々が不安を抱くことのないよう、今後も、関係機関と緊密な連携のもと、引き続き取り組んでまいります。
 視察につきましては、昨日、改めて現地に赴きたい旨、知事がご答弁申し上げたところでございます。
 次に、職員住宅の管理方法についてでございます。
 都の職員住宅は、災害対策住宅、職務住宅、それ以外の一般の職員住宅の三種類がございます。
 このうち一般の職員住宅についても、東日本大震災や大島での災害の経験を踏まえ、今年度からBCPを支援するための住宅と位置づけ、行政目的での使用を明確化いたしました。
 これらの管理に当たりましては、備蓄資材の配置や災害時の活動拠点としての機動的な活用など、行政目的に沿った使用を想定する必要があり、また、要件を満たす物件の安定的な確保が不可欠であることから、民間物件の借り上げ等にはなじまないものと考えております。
 今後とも、既存ストックを有効活用し、コスト面の観点も踏まえ、設置目的に見合った職員住宅の適切な管理を図ってまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

〇福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京DMATに対する支援についてでありますが、都は、災害現場において東京DMATが効果的に機能を発揮できるよう、医療資器材、被服、衛星携帯電話等の装備品を東京DMAT指定病院に配備しております。また、隊員の技能や資質の向上を図るため、指定病院において出場を想定した訓練を実施するほか、東京消防庁と連携した活動訓練や研修を行っております。
 これらのDMAT活動に必要な装備品や訓練、研修のカリキュラム等につきましては、災害現場で活動する隊員等の意見を踏まえながら、指定病院、東京都医師会等関係機関で構成する東京DMAT運営協議会において検討し、常に見直しを図っております。
 今後とも、関係機関と連携しながらこうした取り組みを推進し、東京DMATの活動を支援してまいります。
 次に、東京DMATカーの活用についてでありますが、都は、都内及び都外で大規模な地震災害等が発生した場合に、東京DMATが、災害発生直後からおおむね七十二時間までの間、被災現場で迅速かつ確実に活動ができるよう、指定病院にDMATカーを配備しております。
 このため、指定病院においては、知事からの緊急の出場要請に応じて、いつでもDMATカーが出場できる体制を確保しておくことが必要でございますが、東京DMATの活動に支障がない範囲で、指定病院が行う転院搬送などにDMATカーを活用できることとなっております。
 最後に、在宅療養患者を地域で支えるための支援についてでありますが、都はこれまで、地域における在宅療養の取り組みを進めるため、病院から在宅への円滑な移行等を調整する在宅療養支援窓口の設置や、地域の医療機関に病状変化時に利用できる病床の確保に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 また、昨年度から、地域の医療機関等と連携して、患者情報の共有化や病院救急車等による在宅患者の搬送手段の確保に取り組む区市町村等を支援しておりまして、現在、一区二市において取り組みが行われております。
 今後とも、高齢者を初めとした在宅療養患者が地域で安心して療養生活を送ることができるよう、関係機関と連携して区市町村の取り組みを支援してまいります。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

〇財務局長(中井敬三君) 都有財産に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、財務局が普通財産として所管している都有地の保有状況についてでありますが、平成二十六年三月末現在、都有地全体で二千二百十四件、約四百八十七ヘクタールを所管しており、利活用を想定していない無人離島や緑地保全地、利活用が困難な借地権が設定されている長期の貸付地を除いた、売却や貸し付けなどの利活用の対象となる未利用地は三百三十二件、約百九十三ヘクタールであります。
 このうち、大規模な土地造成なども不要で、一般に行政施設の整備に利用しやすいと考えられる五百平米から一万平米の規模に当たる未利用地は、区部、多摩合計で九十四件、約二十一ヘクタールとなっており、未利用地全体に占める面積割合は約一一%、件数割合では約二八%でございます。
 次に、都有財産の調査、有効活用についてでありますが、平成二十年度に策定した主要施設十カ年維持更新計画に基づき、施設の建てかえや統廃合で使用しなくなった土地や、都市計画等の行政計画の変更で事業予定地でなくなった土地は、十分に確認、検討した上で普通財産への切りかえを行っております。さらに、同計画は策定から五年が経過したことから、今年度見直しに着手しており、今後も時代状況の変化に適切に対応していくこととしております。
 また、ことし七月に公表した福祉インフラ整備のための土地活用方策では、都有地貸付料の大幅減額をルール化するとともに、都営住宅等の建てかえに伴い、今後十年間で三十ヘクタールを超える土地を創出することとしております。
 今後とも、都政における喫緊の課題解決のため、都有地の適切な管理と有効活用を図ってまいります。
 最後に、行政財産の使用許可についてでありますが、行政財産は公用、公共用目的で使用することが原則であり、目的外の使用許可は、他の地方公共団体が使用する場合などに限っております。
 そのため、民間事業者等が行うイベント等については、公共性、公平性の観点から使用許可は行っておりませんが、地元自治体が共催などの形で主体的にイベント等の運営に関与する場合には、公有財産規則に定める、特に必要があると認めるときに当たるとして、都有地の使用に関する要望や相談に適切に対応し、協力をさせていただいているところでございます。
 なお、一定期間、土地が未利用となることが見込まれる場合には、将来の土地利用に支障とならない範囲で、競争入札による貸し付けなどの暫定活用を行うこととしております。
 今後とも、都有地の適切な管理と有効活用に努めてまいります。

〇副議長(藤井一君) 五十二番西崎光子さん。
   〔五十二番西崎光子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇五十二番(西崎光子君) 都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 まず初めに、省エネルギー、再生可能エネルギーについて伺います。
 三・一一原発事故以降、エネルギーについて人々の意識は大きく変わりました。家庭や事業所で省エネ、節電の取り組みが進み、再生可能エネルギー設備の設置が都内でも着実に増加しています。
 今定例会の所信表明で、知事は、二〇三〇年までに二〇〇〇年対比三〇%削減という、非常に意欲的な目標値を打ち出しました。都はこれまでも、省エネ目標を掲げて取り組んできましたが、異常気象が頻発し、地球温暖化対策は緊迫度を増しており、温暖化対策にも資する高い省エネ目標を都が率先して掲げることを評価するものです。
 この新たな省エネ目標を、現在策定中の長期ビジョンにも掲げて、たゆむことなく省エネの取り組みを進めていくことが重要だと生活者ネットワークは考えます。
 これまでも各会派から質問が出てまいりましたが、改めて、この目標の達成に向けた知事の決意を伺います。
 この省エネ目標を達成するためには、事業者だけではなく、都内エネルギー消費量の約三割を占めている家庭部門の対策が重要です。都は、省エネ、節電の具体的な方法も含めて、普及啓発やアドバイスに取り組んでいますが、身近な地域でNPOが地元自治体と連携して省エネ相談を実施している例もあります。
 震災後、都内では多くの家庭が省エネに取り組み、震災前に比べてエネルギー消費量が四%減少しました。今後、さらに賢い省エネ、節電を進めていくことが大切です。都の取り組みについて伺います。
 会派で視察しました大分県は、日本一の発電規模を誇る地熱や、県内数多く存在する農業用水路を活用した小水力、豊富な森林資源から生み出されているバイオマスを初め、太陽光や風力など多種多様な再生可能エネルギーが広く活用されています。そのため、再生可能エネルギーの占める割合は日本一です。ここでは、新たな産業を興す観点から、エネルギー関連の新成長産業育成事業に力を入れており、企業と連携するとともに、市民への普及啓発にも積極的に取り組んでいました。
 今回、知事は、省エネ目標とあわせて、再生可能エネルギーの電力利用割合を、二〇二四年までに二〇%程度に高める目標を示しました。再生可能エネルギーを拡大していくためには、こうした将来に向けた明確な方針を示すことで、都民、事業者等による行動を促し、大分県のように官民一体となって取り組む必要があると考えます。
 また、都民、事業者等の先頭に立って、都みずからが目標の実現に向かって率先して都有施設への導入拡大を図っていくことも重要です。例えば、再エネ導入に特化した基金を設けるとか、地域の市民事業や中小企業に屋根貸しするなど、積極的な取り組みが必要です。
 今後、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。
 認知症は、誰にでも起こり得る身近な病気として対応が求められています。都内では既に三十八万人を超え、軽度の人を含めると、六十五歳以上の人口の四人に一人ともいわれています。認知症の人が安心して生活できるよう、地域全体で見守りを進めている自治体も多く、認知症の正しい知識やつき合い方を理解し、認知症の人を応援する認知症サポーターが誕生しています。今後、交通事業者や宅配業者などの協力も必要となってきます。
 そこで、都として、高齢者が日常的に利用する機会が多いコンビニなどの事業者に見守りに協力してもらうために、認知症サポーター養成講座の受講を促進すべきと考えますが、見解を伺います。
 こうした認知症サポーターの中には、実際に役に立ちたいと考えている人も少なくありません。特別養護老人ホームなどの施設が認知症サポーターを受け入れることは、まさに現場での研修、実践となり、サポーターのスキルアップだけではなく、施設が地域に開かれた場になるため、サポーター、施設、どちらの側にも有効だと思います。
 都としても、認知症サポーターのステップアップに積極的に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 認知症が疑われる段階から医療、介護専門職らが当事者や家族を訪問して支援する初期集中支援チームが、国の事業として二〇一八年度までに全区市町村に設置することになっています。しかし、都内では、世田谷区と町田市で実施されているだけで、進んでいません。
 都は、初期集中支援チームの設置に向けて、区市町村への支援を積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。
 ことし九月、私の地元の世田谷区代沢で、下校中の小学生の列に軽トラックが突っ込み、小学生が死亡するという痛ましい事故がありました。事故が発生した場所は小学校の通学路となっており、このような事故を二度と起こさないためにも、地域全体で安全対策に取り組んでいく必要があります。事故の発生後は、路側帯のカラー化や、地域住民と協力して通学路安全運転呼びかけ隊を形成し、通行車両に対して、ハンドプレートなどによる安全運転の呼びかけを実施しています。
 このように、個々の地域での個別の取り組みも進められているようですが、あわせて広い視点での普及啓発など、子供に対する交通安全の取り組みが必要だと考えます。都の見解を伺います。
 近年、商品やサービス等の利用に伴う子供の不慮の事故が後を絶たない状況が続いています。都はこれまでも、東京都商品等安全対策協議会において、使い捨てライターや子供服のデザイン、ブラインドのひもなどによる危害、危険防止に取り組み、具体的な安全対策につなげてきました。
 厚生労働省の調査によると、子供の死亡原因で不慮の事故が上位にありますが、この中には、交通事故などのほかにも、商品等の使用に伴う事故も含まれており、こうした子供の事故を減らしていくことが大変重要だと考えます。
 商品等の使用に伴う事故の未然防止につなげていくためには、まず詳細な事故情報を収集することが重要になりますが、都はどのように情報収集を行っているのか伺います。
 今年度の東京都商品等安全対策協議会では、最近、だっこひもから乳幼児が転落する事故が相次いで発生していることから、だっこひも等の安全対策について検討されていると聞いています。
 そこで、協議会における検討状況と、今後、都がどのようにだっこひも等の安全対策に取り組んでいくのか伺います。
 最後に、人と動物との共生社会に向けた取り組みについてです。
 ことし十月、元ペットショップの従業員が多数の犬を遺棄するという残酷な事件が起こりました。この事件は、動物取扱業者が手に余る動物を無責任に放置したことが発端となったものであり、海外からも非難の声が届きました。しかし、事業者のみならず、一般の飼い主においても、経済的理由や高齢による飼育困難となる事例が多く見られるようになりました。
 飼育困難となり、行き場のない動物を出さないためには、住民、動物愛護推進員、ボランティア団体、区市町村等が連携した地域の取り組みが重要です。その中でも、都が委嘱する動物愛護推進員は、都民の身近な相談窓口の一つとして、地域における動物の適正飼育普及啓発や動物の愛護活動の中心的な役割を果たすことを期待されており、本年三月に改定した東京都動物愛護管理推進計画においてもその役割が明記されています。
 そこで、今後、都は動物愛護推進員の活動をどのように支援していくのか伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 西崎光子議員の一般質問にお答えいたします。
 新たな省エネ目標についてでありますが、東京はエネルギーの大消費地として、使用するエネルギーの総量を減らし、可能な限り環境への負荷を減少させながら持続的な発展を続けていく必要があります。
 そこで、今般、これまでの取り組みを継承しながら、さらなる省エネ化を進めていくため、長期ビジョンにおきまして、二〇三〇年までに二〇〇〇年対比で三〇%削減という新たな省エネ目標を設定することにいたしました。
 この達成に向けまして、家庭、業務などそれぞれの部門がこれまで進めてまいりました、無理なく賢い省エネ、節電をさらに前進させてまいります。
 あわせて、燃料電池車など水素エネルギーの活用や再生可能エネルギーの導入拡大を進め、世界一のスマートエネルギー都市の実現に取り組んでまいります。
 そのほかの質問につきましては、関係局長に答弁させます。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、家庭における省エネ、節電の取り組みについてでございますが、東京のエネルギー消費を削減していく上では、消費量の約三割を占める家庭での取り組みも重要と認識しております。
 都はこれまで、省エネアドバイザー制度やマンションの環境性能を示すラベリング制度、簡単に実践できる省エネのポイントを盛り込んだパンフレットの配布などを通じて、家庭における無理のない賢い省エネ、節電を促す取り組みを進めてまいりました。
 さらに、現在、家庭の省エネの目安となるベンチマークを作成中であり、この成果を用いて一層きめ細かな省エネ、節電のアドバイスにつなげてまいります。加えて、既存住宅の省エネルギー性能の向上等にも取り組み、家庭におけるエネルギー利用の一層の効率化を促進してまいります。
 次に、再生可能エネルギーの導入拡大についてでございます。
 再生可能エネルギーの拡大に向けては、都民、事業者の需給両面での幅広い取り組みを促していくことが必要でございます。このため、長期ビジョンにおいて導入目標を明確に示し、省エネ、節電とともに、住宅等への太陽光発電の導入拡大、都市型バイオマス発電や小水力発電の推進など、区市町村とも連携して多面的な施策展開に努めてまいります。
 また、都施設につきましては、率先行動として、これまでに太陽光発電一万キロワットを含め、約六万キロワットの設備を導入してまいりました。
 今後も、全庁推進組織であるスマートエネルギー都庁推進会議における取り組みとして、省エネ・再エネ東京仕様などに基づく太陽光発電や太陽熱、地中熱などの積極的な導入に努め、省エネとあわせ、都施設への再生可能エネルギーのさらなる導入を進めてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

〇福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、認知症サポーターの養成についてでありますが、都は、認知症サポーターの養成に取り組む区市町村を包括補助により支援するとともに、養成講座を開催する企業や団体等の取り組みを支援しており、これまで都内で約三十二万人のサポーターが養成されております。
 また、より多くの都民に認知症を理解し、サポーターについて知ってもらうため、ことし五月に発表したパンフレット、知って安心認知症を、今後、都内のコンビニエンスストア約四千店舗に配布する予定でございます。
 今後とも、こうした取り組みにより、認知症サポーターの養成を支援してまいります。
 次に、認知症サポーターの活用についてでありますが、現在、区市町村においては、養成した認知症サポーターが、認知症の家族会の運営支援や高齢者に対する声かけ、見守りなどのボランティア活動に従事できるよう、フォローアップ講座を開催しております。また、講座の中に特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームの見学会や体験学習を取り入れ、サポーターが認知症高齢者との接し方などを現場で学ぶ機会を提供している区市町村もございます。
 都は今後とも、こうした取り組みを行う区市町村を包括補助により支援してまいります。
 次に、認知症初期集中支援チームについてでありますが、都は現在、区市町村に配置した認知症コーディネーターと認知症疾患医療センターに配置したアウトリーチチームが連携して自宅を訪問し、早期発見、早期診断につなげる取り組みを進めており、現在、二十七の区市が実施しております。
 こうした取り組みが、認知症初期集中支援チームの設置につながるよう、認知症コーディネーター等が培った訪問支援のノウハウを提供するなど、区市町村を支援してまいります。
 最後に、動物愛護推進員の活動への支援についてでありますが、動物愛護推進員は、地域における動物の愛護と適正な飼養を推進するため、飼い主への助言、飼育が困難となった高齢者への支援、小中学校における動物教室などでの活動を行っており、現在、都内全域で約三百名の方に委嘱しております。
 都は、推進員の地域での活動に資するよう、動物愛護の啓発活動に用いる資材を提供するとともに、知識やスキルのさらなる向上を目的とする研修会を実施しております。また、さまざまな職業や活動実績を持つ推進員同士が顔の見える関係をつくり、相互に協力して活動の場を広げていけるよう、情報連絡会も開催しております。
 今後とも、動物愛護推進員の活動を支援し、地域における動物愛護の取り組みを一層進めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 子供に対する交通安全の取り組みについてでありますが、子供は、危険を予測し回避する能力が十分に備わっておらず、子供を事故から守る交通安全対策は重要であります。
 このため、都は、教育委員会や警視庁と連携し、子供の参加、体験を重視しつつ、交通安全教育や普及啓発に取り組んでまいりました。
 具体的には、学校において、道路横断時の危険性を疑似体験できる歩行者教育システムや、自転車シミュレーターを活用した交通安全教室を開催しております。また、子供が参加するイベントにおいて、事故の危険性を実感させるため、スタントマンの実演による事故の再現を行うなどの啓発活動に取り組んでおります。
 今後も引き続き、子供が悲惨な交通事故に遭わないよう、教育や普及啓発に取り組んでまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、商品等に起因する子供の事故の未然防止に向けた情報収集についてでありますが、やけどや転倒、転落などの子供の事故は、自分の不注意と考える保護者が多いため、表面化しにくく、情報収集が難しい傾向にあります。
 このため、都は、消費生活センターの相談情報だけではなく、日本小児科学会の傷害速報、東京消防庁の救急搬送事例や病院の受診事例など、関係機関から事故情報を積極的に収集しております。加えて、日常生活に潜む危害、危険情報を掘り起こすため、乳幼児等の保護者を対象とするヒヤリ・ハット調査も実施をしております。
 次に、だっこひもの安全対策についてでありますが、都が国立成育医療研究センターや東京消防庁等の協力を得て実施した実態調査によりますと、平成二十一年以降、だっこひもからの子供の転落事故が多数あり、頭蓋骨骨折等の重症事例もあることが明らかになりました。このため、今年度の東京都商品等安全対策協議会におきまして、だっこひもの使用者を対象としたアンケート調査を実施したほか、事故状況の再現実験を通して明らかとなった問題点を取りまとめ、十月に公表したところでございます。
 今後、この結果に基づき、協議会で年内に具体的な安全対策を取りまとめる予定であり、都は、事業者団体等に対して、商品の改良や安全基準づくりの要望を行い、改善につなげるとともに、妊産婦への注意喚起など、情報発信を行ってまいります。

〇議長(高島なおき君) 以上をもって質問は終わりました。

議長(高島なおき君) これより日程に入ります。
 日程第一から第七十九まで、第百八十四号議案、平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第四号)外議案七十七件、専決一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事安藤立美君。
   〔副知事安藤立美君登壇〕

〇副知事(安藤立美君) ただいま上程になりました七十九議案についてご説明を申し上げます。
 初めに、第百八十四号議案及び第百八十五号議案は、予算案でございます。
 世界一の都市東京の早期実現に向けて、二〇二〇大会の開催準備を初め、必要な取り組みを加速化させるため、一般会計及び公営企業会計を合わせ、百八十八億円の補正を行うものでございます。
 第百八十八号議案から第二百三十八号議案までの四十七議案は、条例案でございます。
 まず、新設の条例が二件ございます。
 第百九十九号議案、職員の配偶者同行休業に関する条例は、地方公務員法の一部改正により、職員が外国で勤務等をする配偶者に同行して休業する制度が創設されたことを踏まえ、必要な事項を定めるものでございます。
 第二百三十三号議案、東京都地域医療介護総合確保基金条例は、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、基金を設置するものでございます。
 次に、一部を改正する条例が四十五件ございます。
 第百八十八号議案、公益的法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例は、公益的法人等に派遣できる職員に任期つき職員を加えるものでございます。
 第百九十号議案、職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例外十件は、東京都人事委員会勧告等を踏まえ、旅費、退職手当及び非常勤職員の任用等に関する規定を整備するものでございます。
 第百九十八号議案、東京都特別職報酬等審議会条例の一部を改正する条例は、審議会の審議対象に教育長の給料の額を加えるものでございます。
 第二百三号議案、東京都情報公開条例の一部を改正する条例は、社会保障・税番号制度の導入に当たり、特定個人情報保護評価及び評価結果の第三者点検が義務づけられたこと等に伴い、規定を整備するものでございます。
 第二百八号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例は、都立小金井特別支援学校の位置を一時的に変更するものでございます。
 第二百九号議案、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例外一件は、法令改正等を踏まえ、手数料等の規定を整備するものでございます。
 第二百十三号議案、東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例外二十件は、八王子市が中核市に移行すること等に伴い、規定を整備するものでございます。
 第二百三十四号議案、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例は、女性福祉資金の貸付限度額を一部改めるものでございます。
 第二百三十五号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例は、工場等からの排出水に係るカドミウムの排水基準を変更するものなどでございます。
 このほか、法令改正に伴い規定を整備するものが五件ございます。
 第二百三十九号議案から第二百四十四号議案までの六議案は、契約案でございます。
 第二百三十九号議案、警視庁鮫洲運転免許試験場技能試験コース棟・駐車場棟(仮称)(二十六)新築工事(その二)請負契約など、契約金額の総額は約百三十五億円でございます。
 第二百四十五号議案から第二百六十七号議案までの二十三議案は、事件案でございます。
 第二百四十五号議案は、当せん金付証票、いわゆる宝くじの平成二十七年度の発売限度額を定めるものでございます。
 第二百四十六号議案は、杉並区学校教育職員の主任教諭選考事務を都が受託するものでございます。
 第二百四十七号議案の東京都石神井学園から第二百六十六号議案の東京都奥多摩都民の森まで、指定管理者の指定に関するものが二十件ございます。
 第二百六十七号議案は、公園用地を買い入れるものでございます。
 最後に、専決でございます。
 平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第三号)は、十二月十四日に行われた衆議院議員選挙等に要する経費について一般会計予算を補正したもので、議会を招集する時間的余裕がないと認め、専決処分を行ったものでございます。補正の額は六十三億三百万円で、財源につきましては、全額、国庫支出金を充当いたします。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
(議案の部参照)

〇議長(高島なおき君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

〇議事部長(新美大作君) 人事委員会の回答は、第百八十八号議案、第百九十号議案から第百九十七号議案、第百九十九号議案、第二百五号議案及び第二百七号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

二六人委任第一〇七号
平成二十六年十一月二十七日
東京都人事委員会委員長 関谷 保夫
 東京都議会議長 高島なおき殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十六年十一月二十一日付二六議事第二九三号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百八十八号議案
公益的法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
二 第百九十号議案
職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
三 第百九十一号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
四 第百九十二号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
五 第百九十三号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
六 第百九十四号議案
職員の懲戒に関する条例の一部を改正する条例
七 第百九十五号議案
職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
八 第百九十六号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
九 第百九十七号議案
職員団体のための職員の行為の制限の特定に関する条例の一部を改正する条例
十 第百九十九号議案
職員の配偶者同行休業に関する条例
十一 第二百五号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等
に関する条例の一部を改正する条例
十二 第二百七号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

〇議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第七十九までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。
 これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第七十九までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

〇議長(高島なおき君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、議員提出議案第二十二号、高齢者の医療費の助成に関する条例を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)

〇六十七番(山崎一輝君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第二十二号については、趣旨説明を省略し、厚生委員会に付託されることを望みます。

〇議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第二十二号は、趣旨説明を省略し、厚生委員会に付託することに決定いたしました。

〇議長(高島なおき君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願三十一件及び陳情三十一件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

〇議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 明十九日から二十四日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、明十九日から二十四日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は十二月二十五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時三十二分散会

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