一番 | 小林 健二君 |
二番 | 加藤 雅之君 |
三番 | かんの弘一君 |
四番 | 山内 晃君 |
五番 | 栗山よしじ君 |
六番 | 小松 大祐君 |
七番 | 松田やすまさ君 |
八番 | 大津ひろ子君 |
九番 | 石川 良一君 |
十番 | みやせ英治君 |
十一番 | おときた駿君 |
十二番 | 小松 久子君 |
十三番 | 西沢けいた君 |
十四番 | 米倉 春奈君 |
十五番 | 白石たみお君 |
十六番 | 斉藤やすひろ君 |
十七番 | 栗林のり子君 |
十八番 | まつば多美子君 |
十九番 | 伊藤こういち君 |
二十番 | 河野ゆうき君 |
二十一番 | 柴崎 幹男君 |
二十二番 | ほっち易隆君 |
二十三番 | 舟坂ちかお君 |
二十四番 | 清水 孝治君 |
二十五番 | 島崎 義司君 |
二十六番 | 神野 次郎君 |
二十七番 | やながせ裕文君 |
二十八番 | 田中 朝子君 |
二十九番 | 塩村あやか君 |
三十番 | 山内れい子君 |
三十一番 | 中山ひろゆき君 |
三十二番 | 田中 健君 |
三十三番 | 里吉 ゆみ君 |
三十四番 | 和泉なおみ君 |
三十六番 | 大松あきら君 |
三十七番 | 吉倉 正美君 |
三十八番 | 遠藤 守君 |
三十九番 | 中山 信行君 |
四十番 | 木村 基成君 |
四十一番 | 北久保眞道君 |
四十二番 | 高椙 健一君 |
四十三番 | 栗山 欽行君 |
四十四番 | 大場やすのぶ君 |
四十五番 | 和泉 武彦君 |
四十六番 | 小宮あんり君 |
四十七番 | 三宅 正彦君 |
四十八番 | 吉住 健一君 |
四十九番 | 桜井 浩之君 |
五十番 | 野上ゆきえ君 |
五十一番 | 上田 令子君 |
五十二番 | 西崎 光子君 |
五十三番 | 小山くにひこ君 |
五十四番 | あさの克彦君 |
五十五番 | 新井ともはる君 |
五十六番 | 徳留 道信君 |
五十七番 | 河野ゆりえ君 |
五十八番 | 小竹ひろ子君 |
五十九番 | 上野 和彦君 |
六十番 | 高倉 良生君 |
六十一番 | 橘 正剛君 |
六十二番 | 野上 純子君 |
六十三番 | 谷村 孝彦君 |
六十四番 | 山崎 一輝君 |
六十五番 | 崎山 知尚君 |
六十六番 | 川松真一朗君 |
六十七番 | 近藤 充君 |
六十八番 | 堀 宏道君 |
六十九番 | 鈴木 錦治君 |
七十番 | きたしろ勝彦君 |
七十一番 | 田中たけし君 |
七十二番 | 鈴木 隆道君 |
七十三番 | 神林 茂君 |
七十四番 | 早坂 義弘君 |
七十五番 | 両角みのる君 |
七十六番 | 島田 幸成君 |
七十七番 | 今村 るか君 |
七十八番 | 斉藤あつし君 |
七十九番 | 大西さとる君 |
八十番 | 畔上三和子君 |
八十一番 | 大島よしえ君 |
八十二番 | 松村 友昭君 |
八十三番 | 東村 邦浩君 |
八十四番 | 小磯 善彦君 |
八十五番 | 鈴木貫太郎君 |
八十六番 | 木内 良明君 |
八十七番 | 高木 けい君 |
八十八番 | 村上 英子君 |
八十九番 | 高橋 信博君 |
九十番 | 鈴木 章浩君 |
九十一番 | 秋田 一郎君 |
九十二番 | 鈴木あきまさ君 |
九十三番 | 山加 朱美君 |
九十四番 | 高橋かずみ君 |
九十五番 | 相川 博君 |
九十六番 | 山田 忠昭君 |
九十七番 | 林田 武君 |
九十八番 | 服部ゆくお君 |
九十九番 | こいそ 明君 |
百番 | 中村ひろし君 |
百一番 | 尾崎 大介君 |
百二番 | 石毛しげる君 |
百三番 | 植木こうじ君 |
百四番 | かち佳代子君 |
百五番 | 曽根はじめ君 |
百六番 | 藤井 一君 |
百七番 | 長橋 桂一君 |
百八番 | 中嶋 義雄君 |
百九番 | ともとし春久君 |
百十番 | 田島 和明君 |
百十一番 | 中屋 文孝君 |
百十二番 | 宇田川聡史君 |
百十三番 | 吉原 修君 |
百十四番 | 高島なおき君 |
百十五番 | 古賀 俊昭君 |
百十六番 | 立石 晴康君 |
百十七番 | 野島 善司君 |
百十八番 | 三宅 茂樹君 |
百十九番 | 川井しげお君 |
百二十番 | 吉野 利明君 |
百二十一番 | 野村 有信君 |
百二十二番 | 内田 茂君 |
百二十三番 | 酒井 大史君 |
百二十四番 | 山下 太郎君 |
百二十五番 | 清水ひで子君 |
百二十六番 | 大山とも子君 |
百二十七番 | 吉田 信夫君 |
欠席議員 一名
三十五番 尾崎あや子君
知事 | 舛添 要一君 | |
副知事 | 安藤 立美君 | |
副知事 | 秋山 俊行君 | |
副知事 | 前田 信弘君 | |
教育長 | 比留間英人君 | |
東京都技監都市整備局長兼務 | 藤井 寛行君 | |
知事本局長 | 中村 靖君 | |
総務局長 | 中西 充君 | |
財務局長 | 中井 敬三君 | |
主税局長 | 影山 竹夫君 | |
警視総監 | 高綱 直良君 | |
生活文化局長 | 小林 清君 | |
オリンピック・パラリンピック準備局長 | 中嶋 正宏君 | |
環境局長 | 長谷川 明君 | |
福祉保健局長 | 川澄 俊文君 | |
産業労働局長 | 塚田 祐次君 | |
建設局長 | 横溝 良一君 | |
港湾局長 | 多羅尾光睦君 | |
会計管理局長 | 松田 芳和君 | |
交通局長 | 新田 洋平君 | |
消防総監 | 大江 秀敏君 | |
水道局長 | 吉田 永君 | |
下水道局長 | 松浦 將行君 | |
青少年・治安対策本部長 | 河合 潔君 | |
病院経営本部長 | 醍醐 勇司君 | |
中央卸売市場長 | 塚本 直之君 | |
選挙管理委員会事務局長 | 森 祐二郎君 | |
人事委員会事務局長 | 真田 正義君 | |
労働委員会事務局長 | 岳野 尚代君 | |
監査事務局長 | 松井多美雄君 | |
収用委員会事務局長 | 目黒 克昭君 |
六月十七日議事日程第二号
第一 第百三十一号議案
平成二十六年度東京都電気事業会計補正予算(第一号)
第二 第百三十二号議案
政治倫理の確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百三十三号議案
東京都組織条例の一部を改正する条例
第四 第百三十四号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百三十五号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第六 第百三十六号議案
土地収用法関係手数料等に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百三十七号議案
東京都いじめ防止対策推進条例
第八 第百三十八号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第九 第百三十九号議案
東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
第十 第百四十号議案
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百四十一号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第十二 第百四十二号議案
特別区の消防団員に係る退職報償金に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百四十三号議案
都立東部地区学園特別支援学校(仮称)(二十六)新築工事請負契約
第十四 第百四十四号議案
都立南葛飾高等学校(二十六)校舎棟改築工事請負契約
第十五 第百四十五号議案
都立多摩図書館(二十六)改築工事請負契約
第十六 第百四十六号議案
駒沢オリンピック公園総合運動場(二十六)屋内球技場・第一球技場改築工事請負契約
第十七 第百四十七号議案
武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十六)新築電気設備工事請負契約
第十八 第百四十八号議案
武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十六)新築空調設備工事請負契約
第十九 第百四十九号議案
平成二十六年度十号地その二多目的内貿岸壁(-(マイナス)八・五m)桟橋整備工事請負契約
第二十 第百五十号議案
旅券法の一部を改正する法律の施行に伴う旅券の申請受理及び交付等に係る事務委託の変更及び規約の一部の変更について
第二十一 諮問第二号
地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第二十二 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
午後一時開議
〇議長(吉野利明君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(吉野利明君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(吉野利明君) これより質問に入ります。
百十一番中屋文孝君。
〔百十一番中屋文孝君登壇〕
〇百十一番(中屋文孝君) 謹んで申し上げます。
桂宮宜仁親王殿下におかれましては、去る六月八日、薨去されました。農林業や伝統工芸の振興にお心を注がれ、国際親善に尽くされるお姿を、国民はひとしくお慕い申し上げておりました。ここに謹んで哀悼の意を表します。
それでは、平成二十六年第二回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
今日、グローバル化はますます進行しており、経済活性化はもとより、都市の機能や魅力の向上、エネルギー、環境問題など、我々が直面する課題について、国内限定の狭い視野で捉える時代ではありません。国際都市東京として世界へ発信しながら、都市間競争の時代を勝ち抜く体制を整えることが急務です。
また、災害に備えるとともに、高齢者が安心して暮らせる仕組みをつくり、子供が健やかに育つ環境を整えるなど、世界で最も活力に満ち、全ての人が生き生きと輝くことのできる東京、そして日本をつくらなければなりません。
現下の我が国経済を見ると、アベノミクス効果によって、上場企業を中心に収益が改善し、失業率が低下しております。しかし、中小零細企業はいまだ非常に厳しい環境にあると聞いております。こうしたことから、東京の隅々にまで景気回復が実感できるようにするとともに、その先の新たな道を切り開くための、将来へ確かにつながる攻めの政策を打っていくことが、今、求められております。
幸いにして、安倍政権は、近年にない安定した政権運営が続いております。また、日本の中心を預かる都政においても、我が都議会自由民主党と知事とがスクラムを組み、しっかりと前に進む体制ができております。都と国とが進む方向を一つにしつつも、必要なときには国に対して主張をしながら、首都東京から日本をリードしていかなければなりません。
我が党は、既に東京を世界で一番の都市実現のための政策を示しております。これを一つ一つ形にすることで、都民に輝く未来を指し示し、全力を尽くしてまいります。
また、年内を目途に策定される長期ビジョンに対して、我が党は、現場の声に真摯に耳を傾け、知恵を絞り建設的な提言を行ってまいります。
就任以来、慌ただしい日々を過ごされた舛添知事も、ようやく腰を落ちつけて、都政の直面する課題に本格的に向き合っております。
知事は、トップマネジメントを強化し、これから高速運転していくとのことですが、本定例会の最初の質問として、今後の都政のかじ取りをどのようにとられるのか、知事の基本姿勢を伺います。
次に、行財政運営について伺います。
まず、法人実効税率の引き下げと、地方法人課税の偏在是正措置について伺います。
現在、国では、六月中に閣議決定予定である骨太の方針策定に向け、法人実効税率の引き下げが議論されており、地方税財政への影響が強く懸念されております。
また、引き下げに伴う代替措置として、外形標準課税の拡大などが既に俎上にのっておりますが、中小企業への影響も憂慮されるところであります。
一方で、地方法人課税については、平成二十六年度税制改正において法人事業税の暫定措置を完全に撤廃、復元しないばかりか、法人住民税の一部交付税原資化を強行し、消費税率一〇%段階では、この措置をさらに進めようとしているだけでなく、他の偏在是正措置を講ずる可能性にも言及しております。
今回の骨太の方針を受けて、年末の税制改正において都の歳入にさらなる影響が出るような見直しが行われれば、オリンピック・パラリンピックを初め、多岐にわたる課題への対応に大きな支障が出かねません。我が党はこうした状況に対し、昨年来さまざまな形で国に強く働きかけを行ってきているところであります。
そこで、法人実効税率の引き下げの動きや、国の不合理な地方法人課税の偏在是正措置に対してどのように対処していくのか、知事の見解を伺います。
我が党は、平成十九年以来、公共工事の品質を確保するとともに、地域の建設産業の振興の観点から党内にプロジェクトチームを設置し、理事者側にさまざまな改革を提言し、実現してまいりました。
また、昨今の入札不調の問題に対しても、スライド条項の適用やJV基準の見直しなど、中小企業に配慮した、きめ細かな対策を提案してまいりました。それを受けて、理事者側が速やかに手だてを講じてきたことを高く評価いたします。
一方、国会では、先日、いわゆる品確法が改正されましたが、その基本理念は、これまでの都の取り組みと軌を一にするものの、法の画一的なルールによって、地域の実情に即した自治体独自の取り組みのよさを減じてしまうおそれがあります。
こうした中で、これまでの取り組みを踏まえながら、入札に参加しやすい環境の整備など、今後も都独自の柔軟で実効性ある入札契約制度を構築していくべきであると考えますが、所見を伺います。
次に、都有施設の維持更新等について伺います。
都は、平成二十一年に主要施設十カ年維持更新計画を策定し、これに基づき、この間、着実な整備を行ってまいりました。しかし、本計画の策定後、防災対策の強化や社会インフラの長寿命化に向けた対応など、新たなニーズも高まっております。
加えて、世界最先端の環境都市の実現に向け、都が率先した取り組みを展開していく必要もあります。これらの行政課題に的確に対応しつつ、都有施設の効果的な利活用や、計画的な維持更新をさらに進めていくために、今後どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
次に、国際化に向けた取り組みについて伺います。
最初に、国家戦略特区について伺います。
我々は、東京を世界で一番の都市にすることを目指しており、さきの第一回定例会でも、就任早々の知事と議論を交わしました。東京都は、四月に国家戦略特区に指定され、今後、具体的なプロジェクトが動き出します。その際、国が用意した規制緩和メニューも役に立つこともあると考えますが、大事なのは、我が国経済の中心である東京を、世界で一番ビジネスがしやすい環境に変えることであります。
三月に東京都は、国に国家戦略特区に関する追加提案をしましたが、国は現場の知恵を生かして、今後、特区制度を真にメリットのあるものにしていく必要があります。
しかし、特区にかかわる有識者からは、東京都に対して、筋違いな批判が聞こえてまいります。全くもって不可解であります。こうした状況について、知事の所見を伺います。
次に、IRについて伺います。
昨年、ビザ要件の緩和などにより、訪日外国人旅行者が一千万人を超えました。観光は力強い経済を取り戻す重要な成長分野です。
一方、海外に目を向けると、シンガポールはMICE施設やリゾート施設、カジノ施設などを含む統合型リゾート、いわゆるIRを整備し、外国人旅行者を増加させております。
これまで我が党は、国を挙げてIRを推進すべきと議員連盟を設立し、国へ法整備を強く働きかけてまいりました。東京が厳しい都市間競争に打ち勝ち、日本経済を牽引し続けるには、日本の伝統文化の視点も取り入れながらIRを整備し、国際観光拠点として進化を遂げる必要があります。
そこで、IR推進法案の成立後には、都としても、具体的な検討に移ることが重要と考えます。知事の見解を伺います。
次に、都市外交について伺います。
東京のさらなる発展のためには、大都市が抱える課題を都が優先して解決し、国際社会でのプレゼンスを高めることも必要です。また、世界の都市や市民と文化や社会体制の違いを超えてさまざまな分野で交流し、相互の理解を深めることも極めて重要です。それには都市外交の果たす役割が大きいと考えます。
知事は公約で、多元的で品格のある都市外交を掲げられましたが、知事の目指す都市外交について所見を伺います。
知事は、就任二カ月後という時期に中国の北京を訪問し、PM二・五など大気汚染の改善に関する技術交流などに合意しました。
一方で中国は、南シナ海での活動を活発化させており、ベトナム、フィリピンなど周辺諸国では、対中国への警戒感が一段と高まっています。尖閣諸島を抱える我が国にとっても、決して対岸の火事ではありません。
友好を深め、信頼関係を築く重要性は論をまちませんが、外交は相手側のある話であり、我々が友好的に接しても、相手は真反対の行動をとることもあり得ます。ましてや国の外交方針に反するような都市外交は、厳に慎まなければなりません。多元的で品格のある都市外交は、国際情勢を十分に見据えることが求められます。
最近の中国の動きも踏まえた上で、知事に、北京出張の成果と、今後の取り組みを伺います。
次に、外国人技能実習制度について伺います。
近年、途上国では、経済発展に伴い、日本の技能などを学び、母国で生かしたいというニーズが増加しております。これに応えるために、外国人技能実習制度があり、我が国にとっても、国際貢献や国内の産業振興につながっております。外国の人材は、単なる労働力ではなく、本制度のように、本人、日本、相手国それぞれにメリットがある形で受け入れるのが筋です。
しかし、昨今の議論では、単純労働者を受け入れようとの主張が見受けられ、ややもすると、こうした大義を見失いかねません。今必要なのは、震災復興やインフラ更新が本格化する中、実習生がより高度な技術を習得できるよう制度を充実することです。
我が党は、これを昨年の第四回定例会で取り上げ、都に緊急要望しました。一方、実習生を単なる労働者のように扱う実態が指摘されており、制度の適正化も必要です。
今後、本制度の充実に向け、都はどう取り組むのか伺います。
次に、防災対策について伺います。
初めに、防災プランの策定について伺います。
我々都議会自民党は、世界で一番の都市を目指し、災害に強い安全な東京をつくることを主張しております。
さきの第一回定例会では、知事に対し、さまざまな危機に対する取り組み姿勢をお伺いしましたが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催も見据え、スピード感を持って取り組む旨ご答弁があり、まさに我々と同じ志を持つ知事のご発言であると、心強い思いを感じた次第であります。
今回、その言葉を裏づけるように、所信表明で、防災プランを年内に策定していく旨お話がありました。都はもちろん、都民や企業も一体となって防災対策を強力に推進することが重要と考えますが、防災プラン策定を通じて、今後どのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
次に、防災ブック作成に向けた取り組みについて伺います。
首都直下地震などの際に都民の生命と財産を守るためには、行政がその役割を果たすことはもちろん、都民一人一人が適切に行動し、また事前の備えをしておくことが重要であります。
都は、今年度、防災ブックを作成しますが、それを配布するだけでは、一過性の読み物となる懸念があり、冊子を活用した普及啓発の取り組みが重要です。
子供のいる家族や高齢者世帯など、家庭の状況に応じて効果的に普及啓発を実施するためには、防災ブック作成段階から多様な活用方法を念頭に置きつつ、都民の皆さんに使っていただけるよう検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
また、家庭における防災の取り組みを普及させるために、学校教育において防災ブックを活用し、子供を通じて各家庭に取り組みを促していくことも考えられます。都はこれまで、CO2削減や節電の取り組みにおいても、学校と家庭とが緊密に連携を図ることで成果を上げてきたと聞いております。
こうした取り組みを踏まえ、今後は、防災ブックを活用し、家庭と連携した防災教育を充実することが重要であると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
次に、大規模水害時の広域的対応について伺います。
昨年度は、全国各地で豪雨や台風などによる甚大な浸水被害に見舞われ、また、海外でも大型台風による被害などが発生しております。
東京は、海や川など水辺に囲まれた地域を有しており、風水害への備えを万全なものとすることが、災害に強い都市の実現に必要です。河川、下水道などの整備を推進するとともに、大規模水害の発生に備えた広域的な避難対策も講じていくことが、都民の命を守り、安全・安心を確保していく上で非常に重要です。
そこで、大規模水害に備えた広域的な住民避難に関する取り組み状況について伺います。
次に、島しょ部の防災対策強化について伺います。
昨年十二月に、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が施行され、同法に基づき、都内では、島しょ部の町村が対策強化推進地域に指定されました。
南海トラフ巨大地震では、火災や建物倒壊などによる被害に加え、島しょ部において最大で三十メートルを超える津波が想定されており、津波による被害防止が重要となります。
我が党はこれまでも、津波対策について迅速な避難などを実現するためのハード、ソフト両面からの取り組みが重要と訴えてきましたが、今後、都は、島しょ部の防災対策にどのように取り組むのか伺います。
次に、大島における土砂災害対策について伺います。
昨年十月、大規模な土砂災害が発生した大島において、都は、発災後速やかに応急対策に着手し、三月末には、伊豆大島土砂災害対策検討委員会で今後の対策案が示されました。
本格的な梅雨の時期に入り、応急対策は万全とのことですが、ソフト対策を含め、今後、都は、復興に向けた土砂災害対策をどのように進めていくのか、道路の本格復旧に向けた取り組みとあわせて伺います。
次に、都市政策について伺います。
初めに、東京の総合的な交通政策について伺います。
世界一の都市東京を実現するためには、国際競争力を強化し、誰もが安心して快適に移動できる交通体系が必要であります。
舛添知事は、東京の最大の問題の一つは交通体系であるとの認識のもと、総合的な交通政策の検討を指示されました。先月には、検討会が開催されたと聞いております。
今後は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催を見据え、東京が目指すべき交通体系を明らかにし、その実現に向けては、まちづくりと連携を図りながら、スピード感を持って取り組むことが重要であると考えます。
そこでまず、知事が目指す東京の総合的な交通政策について所見を伺います。
次に、大規模団地の再生について伺います。
戦後の高度経済成長期において、地方から東京に大量に流入する人口の受け皿として、郊外部を初め、都内各所に多くの大規模団地が開発されました。これらの多くは、入居開始から四十年以上の年月が経過し、住宅やインフラ等の老朽化、住民の高齢化など多くの問題が顕在化するほか、社会全体の急激な少子高齢化の進展や人口減少など、都民の住宅ニーズに対する大きな変化に直面しております。
こうした大規模団地の再生は、地域の活性化にとどまらず、東京の活力や魅力向上などの観点からも重要な課題であります。
そこで、今後の大規模団地の再生について、都としてどのように取り組むのか、知事の所見を伺います。
次に、多摩のまちづくりについて伺います。
先日、知事は多摩ニュータウンを視察され、団地建てかえの代表的なモデルといえる分譲団地などをごらんになりました。
多摩ニュータウンは、東京圏の広域的な拠点である核都市の一つとして重要な役割を担っております。しかし、開発から長年が経過し、住宅の老朽化や住民の高齢化などの課題が顕在化する一方で、幹線道路などが未整備の状況にあります。多摩全体の活力を向上させるには、こうした拠点の都市機能の充実や再生が必要と考えます。
そこで、多摩ニュータウンを初めとする多摩のまちづくりにどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
次に、都市基盤整備の推進について伺います。
東京を世界で一番の都市にするため、都は、ことし長期ビジョンを策定することとしておりますが、計画を確実に実現していくためには、事業の各段階で進行状況をチェックするとともに、問題点を洗い出し、改善していく取り組みが不可欠であります。
しかしながら、計画どおり事業を進めようとしても、入札不調が原因で肝心の施工業者が決まらなくては仕事が進みません。また、都市機能が高度に集積した東京では、厳しい現場条件のもとで工事を実施する必要があり、さまざまな困難を伴います。これらを理由に、都民に約束した事業が滞るようなことがあってはなりません。
そこで、都市基盤整備の実行部隊の中核を担う建設局は、どのように事業を推進していくのか伺います。
次に、都県境における道路整備について伺います。
東京を初めとする首都圏の災害時における安全性を高めるためには、行政域を超えた広域的な連携強化を図る道路ネットワークの形成が重要であります。
舛添知事におかれましても、五月の首都圏四知事の座談会において、例えば都民が千葉に避難したいとき、都県境を結ぶ道路や橋で未整備なところがあれば支障がある、これは対埼玉、対神奈川も同じであり、優先して整備する観点も必要ですとお話しされたと聞いております。
そこで、防災性向上の観点から、都県境における道路整備の推進について、知事の認識を伺います。
次に、水道施設の整備について伺います。
我が党は、機会があるごとに、都民生活と首都東京の都市活動を支える水道が途絶えることのないよう、強靱な水道インフラを整備すべきと主張してまいりました。
このたび水道局が、本格化する浄水場の更新や首都直下地震に備えた施設の耐震化など、今後取り組むべき施設整備に関するマスタープランを策定したことを高く評価しております。今後は、このマスタープランに掲げた目標の達成に向けて、都民や関係機関からの理解と協力を得ながら、常に取り組み状況の検証を行いつつ、しっかりと進めていくことが重要であります。
そこで、水道施設整備マスタープランを着実に推進するための取り組みについて伺います。
次に、臨海副都心開発について伺います。
まず、今後の方向性と取り組みについて伺います。
臨海副都心は、東京を世界で一番の都市へと牽引できる重要なエリアであり、これまで我が党は、MICE、国際観光機能を強化することで、日本経済の成長を牽引する起爆剤とすることを主張してまいりました。
また、臨海副都心は、オリンピック・パラリンピックの会場も多く配置され、一層世界から注目を集める場所となりました。大会まで六年を切る中で、五輪関連施設の整備を着実に進めるとともに、世界的に評価の高い和食、アニメ、ファッションなどクールジャパンの発信を初め、臨海副都心のMICE、国際観光機能をさらに強化していく必要があると考えます。
そのためには、大会後の発展をも見据え、IR、統合型リゾートも視野に入れた一定のコンセプトを持ったビジョンを策定すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、臨海地域における交通網の充実について伺います。
臨海地域は、タワーマンションの建設が相次ぎ、新しい道路や橋梁が整備されるなど、再開発が進められております。
こうした中、臨海部のさらなる発展のために、将来のまちづくりも踏まえ、鉄道の整備や舟運の利活用などによる交通ネットワークの充実が必要であります。
当面、都市の再編、整備に伴う交通需要の増加に的確に対応していくためには、柔軟で運行可能なバスを有効に活用すべきであると考えます。その際には、我が党が積極的に取り組んでいる次世代エネルギーとして注目されている水素を活用した燃料電池バスの普及への貢献など、環境先進都市東京の実現に向け、公営交通事業者として先駆的に取り組んでいくことも不可欠であります。
そこで、臨海地域における今後の都営バスの取り組みについて見解を伺います。
次に、臨海部の魅力向上という観点から、海上公園について伺います。
世界三大美港の一つであるシドニー港では、緑豊かなロイヤルボタニックガーデンが広がり、オペラハウスと一体となり、美しい景観を形成しております。海外の魅力的な港では、水辺と一体となった緑地が、その港の顔となっております。お台場海浜公園などの海上公園は、東京の臨海部をイメージさせる、まさに顔ともなるべき施設の一つであります。
海上公園は、誕生から四十年余りが経過し、この間の都市開発などにより、公園周辺は最先端の商業施設や高層住宅などが建ち並ぶなど、多くの人が住み、訪れるエリアに大きく変容しております。海上公園も、現状に甘んじることなく、見直しを行い、新たな役割を果たしていくことが求められております。
今後、時代に合わせて、防災や観光あるいは文化継承の観点などから公園のあり方を見直し、新たな取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、環境、エネルギー政策について伺います。
次世代エネルギーとして期待の高い水素エネルギーの普及拡大は重要な課題です。我が党は、水素社会の具体化に向け、議論を開始し、燃料電池自動車にも試乗しました。排ガスが出ず、世界に先駆けた技術革新が期待できるなど、大きな可能性を実感しました。水素エネルギーを東京オリンピック・パラリンピックで活用すれば、我が国の高い技術力を世界に発信できます。
一方、安全性に関する理解促進や水素インフラの整備など、解決すべき多くの課題があります。水素社会の実現に向けては、都のリーダーシップにより、官民一体となった取り組みを推進すべきであります。
都は、先日、戦略会議を設置しましたが、具体的にどのように水素社会を実現していくのか、知事の見解を伺います。
我が党は、エネルギーの大消費地である東京が、率先して省エネ、節電に取り組むとともに、再生可能エネルギーの普及拡大を進める必要があると訴えてまいりました。
都市活動に伴うCO2が世界の排出量の七割に達する中、東京が省エネルギー対策、再生可能エネルギーの普及拡大を進める意義は重要です。
先般、国際機関であるIPCCから、世界的な気温上昇、洪水や熱波のリスク増大などの異常気象が報告されました。国内でも、昨年のCO2濃度が四〇〇ppmを超え、過去最高を記録したほか、先月末は全国各地で三十度以上の真夏日となり、五月の最高気温を更新いたしました。
都は、こうした状況を踏まえ、環境先進都市を目指す大都市ならではの気候変動対策、エネルギー対策を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
東日本大震災後、多くの家庭や事業所が省エネ、節電に取り組み、東京のエネルギー利用構造は大きな変革を遂げました。ここ二年間の家庭部門の電力消費量は、震災直後と同程度の水準にとどまり、省エネ、節電が定着しております。
しかし、油断があれば、もとの状態に戻りかねず、夏本番を控え、家庭においても無理のない賢い省エネ、節電の継続に向け、着実に取り組みを進める必要があります。
そこで都は、具体的にどのように取り組むのか伺います。
世界のエネルギー使用量は、今後大幅な増加が見込まれており、限りある資源をめぐり、世界中で資源獲得競争が激化しております。エネルギーの確保は、社会経済活動や国民生活を支える上で欠かせないものであり、国家の盛衰にもかかわる重要なものです。
このため、安倍内閣では、再生可能エネルギーを重要な国産エネルギー源と位置づけており、我が党においても、その拡大は、地球温暖化対策になることから、積極的に取り組みを進めていくことを提案しております。
都は、東京における最大級のエネルギー消費者でもあり、先導的にエネルギー対策に取り組む責任があります。
とりわけ、都の中でも下水道事業は、下水処理などで膨大なエネルギーを使用していることから、知事のリーダーシップのもと、下水道事業におけるエネルギー対策を強化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、資源循環施策について伺います。
東京には、貴重な金属や大量の建築資材など、さまざまな資源が集積しております。資源に乏しい我が国が持続可能な発展を続けていくためには、資源が役割を終え廃棄される際、再び資源としてよみがえらせ、活用することが不可欠であります。
日本経済の回復が進む中、高度成長期に整備された建築物や都市インフラの大量更新、さらには東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、今後、資源の消費量や廃棄物の発生量の急激な増加が見込まれます。
東京が持続可能な発展を続けるためには、廃棄物の資源化を一層進めるとともに、再生資源の利用を強力に推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、コンクリート塊のリサイクルについて伺います。
国立競技場の建てかえなど、今後の社会資本の整備、更新を進めるためには、解体などで発生するコンクリート塊の円滑な処理が重要であります。近年、コンクリート塊が大量に発生しているにもかかわらず、そのリサイクル製品の再生砕石の需要は減少傾向にあります。
一部の施設では、再生砕石を保管できず、やむを得ずコンクリート塊の受け入れに制限をかけております。この結果、工事事業者は遠方に運ぶこととなり、建設費高騰の要因にもなっております。また、コンクリート塊を近隣県に押しつけることにもなりかねません。
都市の更新を円滑に進めるには、コンクリート塊の着実なリサイクルの推進が必要と考えますが、都の取り組みについて伺います。
次に、下水道汚泥の資源化について伺います。
下水を処理する過程で発生する汚泥について、下水道局はこれまで、骨材など建設資材として資源化するなど、さまざまな工夫や技術開発を行い、汚泥の資源化に積極的に取り組んでまいりました。
しかし、東日本大震災以降は、都内に降り積もった放射性物質が雨天時に下水道管へ流れ込み、最終的には汚泥の中に集約され、海や川への環境影響を低減させてまいりました。一方、汚泥の資源化が停滞し、埋立処分量が増加した状態となっております。
その後、震災から三年以上たち、今日では、汚泥に含まれる放射能の影響も低くなってきていると聞いております。
日本経済の好転により、建設需要が高まっている今般、この機会を捉えて、風評被害を払拭する観点からも、都は汚泥の資源化に積極的に取り組むべきであります。
そこで、汚泥の資源化の現状と今後の取り組みについて伺います。
次に、社会保障制度改革について伺います。
昨年、いわゆる社会保障改革プログラム法案が成立し、国において、少子化、医療、介護保険、公的年金の四分野の改革に向けた検討が進められております。
この改革の一環として、平成二十七年度からは、子ども・子育て支援新制度も開始されます。新制度における公定価格は、五月末に仮単価が示されましたが、一方で、二十七、二十八年度の単価は、予算編成過程で財源の確保とセットで検討されることになっており、実施主体である区市町村は、財政上の措置も含め、今後の制度設計と事業展開への対応に苦慮しております。
また、保育所や幼稚園にも具体的な説明ができず、新年度に向けて、現場においても混乱が生じているとの声が届いております。
来年度の入所申し込みなどのスケジュールを考えれば、残された時間は多くありません。また、消費税の一〇%への引き上げは、経済状況を勘案して判断され、現時点では、サービスの質の改善に必要といわれる財源確保も十分ではありません。
こうした中で、都は、社会保障制度改革についてどのように対応していくのか、知事の見解を伺います。
国の対応の鈍さの中にあっても、現場を持つ東京は、世界一の福祉先進都市を目指し、歩みをとめるわけにはまいりません。
そこでまず、子供、子育て施策について伺います。
都においては、保育ニーズは一貫して増加しており、保育サービスのさらなる充実と保育を担う人材の確保は喫緊の課題です。
都は、現在、新制度に向けて新たな計画の策定を進めており、待機児童解消策や地域の子供、子育て支援事業の充実、人材の確保、資質の向上について、事業者や子育て中の都民などで構成する東京都子供・子育て会議で議論を行っていると聞いております。
都は、こうした議論を踏まえて、どのように計画を策定していくのか伺います。
次に、高齢者施策について伺います。
平成二十七年度には、介護保険制度の改正が予定されておりますが、今後、後期高齢者が増加することが見込まれる中、都としても、中長期的な視点に立ち、さまざまな施策の実施が求められております。
特別養護老人ホームなどの介護サービス基盤の整備を一層進めるとともに、高齢者が住みなれた地域で暮らし続けるための住宅療養環境整備や介護人材の確保、育成策の推進が重要であります。
本年度は、介護保険制度改正の動きを踏まえた第六期東京都高齢者保健福祉計画を策定することになっておりますが、計画策定に当たっての都の基本的な考え方について伺います。
次に、福祉施設整備促進の土地活用について伺います。
第一回定例会での我が党の代表質問に対し、知事からは、土地活用策等の広範な検討を速やかに行い、できるものについては今年度内に着手するなど、福祉施設の整備を加速させていくという大変力強い答弁をいただきました。
その後、都では、本年三月に検討チームを設置し、新たな支援策や活用促進策などの検討を進めていると聞いております。
保育所や特別養護老人ホームの不足などに対する都民の不安を解消するためにも、早期に結論を出し、一層の整備促進を図るべきと考えますが、検討チームの取り組み状況についてお伺いいたします。
次に、障害者の就労支援について伺います。
障害者の働く場を確保し、支援していくことは、障害者の自立を支え、全ての都民がともに暮らす地域社会を実現していくためにも重要な取り組みであります。
そのためには、一人でも多くの障害者が企業に就労できるよう、障害者施策に携わる各局が連携して、持てる力を出し合って取り組むことが求められます。
そこでまず、障害者の就労支援の取り組みに関する知事の基本姿勢について伺います。
障害者の就労を広げていくためには、企業側の十分な理解を得ていくことが重要です。
そのためには、実際の就労状況やそこで発生した課題などをしっかりと把握し、施策に生かしていくとともに、解決に向けたノウハウを広く発信するなど、障害者雇用促進に向けた土壌づくりを進めていく必要があります。
都は、障害者が周囲の理解を得て働けるよう、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
障害者の就労に当たっては、それぞれの障害の特性や個々人の状況に応じた対応が必要であり、雇用する企業への支援が欠かせません。障害者と事業者双方に対し、きめ細かく相談に乗るなど、障害者が長く働ける環境の整備が求められます。
また、例えば知的障害者では、職業訓練の中で就労の現場を再現し、実際の作業を繰り返すことで技能を習得することが効果的であり、能力開発面からの支援の強化も必要です。企業現場の視点から多面的な支援を充実し、障害者の一層の雇用促進を図っていくべきですが、都の見解を伺います。
次に、特別支援学校の生徒への就労支援について伺います。
都教育委員会の取り組みの中でも、知的障害特別支援学校高等部就業技術科は全国から注目されております。就業技術科を設置する都立永福学園では、先ほどの職業訓練と同様、物流倉庫やカフェなどの実習室で実践的な職業教育を行い、多くの卒業生の就労希望を実現しております。
そこで、知的障害特別支援学校に設置された就業技術科におけるこれまでの成果と今後の取り組みについて伺います。
また、就業技術科だけでなく、普通科にも企業で働く力のある生徒がおります。これらの生徒のうち、一人でも多くの就労希望を実現するためには、普通科の生徒に対する就労支援の充実が必要と考えますが、都教育委員会の所見を伺います。
さて、先日、区部の基幹病院である都立墨東病院では、新館の開設式が盛大にとり行われました。これにより、知事の所信表明にもあったとおり、感染症医療機能、救急医療機能が強化されるとのことであります。知事は、安心と希望の医療確保、とりわけ救急医療と周産期、小児医療の充実を図ることを公約の一つに掲げ、多くの都民の負託を得て知事に就任されました。
墨東病院は、隅田川より東側で都内唯一の救命救急センターであり、中核となる病院が少ない地域において、最後のとりでとして多くの都民に頼りにされております。今後は、高齢化に伴う合併症患者や救急搬送件数の増加など、さまざまな救急需要の高まりを展望し、より高度な救急医療を担い、都民に信頼される病院となる必要があると考えます。
そのため、墨東病院は、今般の新館開設を契機に、より一層、医療機能を強化していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
また、救急医療の強化とあわせ、少子化対策の一つとして周産期、小児医療の充実も重要です。都立病院も、低出生体重児の増加など周産期医療のニーズの増加に対応すべくNICUの整備を推進するとともに、小児における高度、専門的な医療を提供する東京都の小児医療の拠点として小児総合医療センターを開設しました。都立病院における周産期、小児医療のさらなる充実に向け、今年度どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、産業振興について伺います。
上場企業の収益の回復、賃上げの動きなど、我が国経済はデフレ脱却、好循環の流れが明確になりつつあります。まだまだ非常に厳しい環境に置かれている中小零細企業に、この流れを行き渡らせることが求められております。
我が党の公約、力強い経済で日本をリードする東京をつくるを受け、都は中小企業の設備投資や新技術開発などへの支援を強化しております。新たな取り組みを早期に立ち上げ、利用実態を踏まえた見直しを行うなど、さらに強固な取り組みが必要です。
国の成長戦略とも連携し、中小企業の成長を一層効果的に支援していくべきですが、都の見解を伺います。
中小企業の中でも小さな町工場や商店などの小規模企業は、地域に密着して経済やコミュニティを支える重要な存在です。厳しい経営環境のもとで懸命に事業を営む多くの小規模企業が安定的に事業を継続し、新事業に前向きに取り組むよう支援することが産業活力の維持につながります。
資金繰り支援や経営相談など、小規模企業に対するさまざまな支援メニューを多くの事業者に積極的に利用してもらうため、国や区市町村はもとより、中小企業支援機関との一層緊密な連携が必要ですが、小規模企業支援の強化について都の見解を伺います。
中小企業が新たな販路開拓を図る上で重要な施設である東京ビッグサイトは、オリンピック・パラリンピック大会のメディアセンター等に使用することを契機として施設の拡張が検討されております。大会の成功に加え、その後も施設を有効活用し、中小企業振興の拠点としての役割を果たせるよう、整備のあり方を検討することこそ重要であります。
展示会場としての十分な規模の確保、コストの抑制、収益性、まちづくりとの整合など、総合的な検討が必要でありますが、東京ビッグサイトの拡張整備に向けた都の取り組みを伺います。
次に、大島の観光復興について伺います。
昨年十月の台風による甚大な被害から八カ月、復旧に向けたさまざまな取り組みが着実に進められる一方、残念ながら観光客のにぎわいは戻っておりません。観光が主要産業である大島にとって深刻な事態であります。間もなく始まる観光シーズンを契機に、一人でも多くの人に島を訪れてもらえるよう、知恵を絞らなくてはなりません。島の方々からも切実な声が寄せられており、我が党も、先般、早急な対応を知事に求めました。知事も、被災状況をつぶさにごらんになっております。
激甚災害からの大島の復興は、都が取り組むべき大きな課題であり、実効性ある支援を速やかに実施すべきであります。大島の観光復興に向けた知事の見解を伺います。
次に、心の東京革命の推進について伺います。
平成十四年に戦後最悪となった東京の治安は、警察と行政が一丸となった取り組みに加え、町内会による防犯パトロールなど地域における地道な活動によって大きく改善されました。
今後、地域の防犯活動を支援し、その成果を東京全体に広げていくことが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた最大のおもてなしにつながると考えます。
しかし、こうした努力にもかかわらず、都民の犯罪に対する不安感は払拭されておりません。高齢者や女性など弱者を狙った犯罪が多発する背景には、思いやりの欠如や、ルール、マナーの軽視など、青少年を初め社会全体の規範意識が低下していることが挙げられます。東京を世界一安全で安心な都市にしようとする今、心の東京革命の意義を再認識し、大人が率先して範を示し、次代を担う青少年の規範意識を醸成していくことが不可欠です。
そこで都は、心の東京革命をどのように見直し、展開していくのか所見を伺います。
次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取り組みについて伺います。
ことしは、昭和三十九年に東京でオリンピックが行われてから五十年の節目に当たるメモリアルイヤーであります。
都は、さきの予算特別委員会における我が党の質問に対し、二〇二〇年に向けて夢と希望をつなぐイベントを体育の日を中心に都内全域で実施する旨の答弁をされました。前回の大会の感動を振り返り、オリンピック・パラリンピックの持つ意義を再認識するために、盛大に五十周年を記念する取り組みを展開していくことが必要です。そして、大事なことは、こうした取り組みを一過性のものに終わらせず、都内はもとより、全国にまで輪を広げ、二〇二〇年東京大会の開催機運の醸成につなげていくことです。また、盛り上がりを広範なものにしていくには、スポーツ界全体が一緒に盛り上がっていくことも重要です。
例えば、野球は、オリンピックの歴史で多くの感動を残してくれた人気の高い競技です。オリンピック復活を求める声は我が党にも届いており、私も、それを強く望んでおります。五十周年記念事業においては、野球など、さまざまな競技も含めた盛り上げを図っていくことも忘れてはなりません。
都は、開催都市としての責任を持って、五十周年を記念した多様な取り組みをオール東京、オールジャパンで展開していく必要があると考えますが、所見を伺います。
次に、オリンピック文化プログラムについて伺います。
二〇二〇年東京大会の準備が本格的にスタートしました。東京芸術文化評議会の活用も含め、文化プログラムの具体化に向けた議論をどう進めていくか、知事の見解を伺います。
昨今、アニメ、漫画などのクールジャパンがもてはやされておりますが、そもそも、これらは鳥獣戯画や北斎漫画の影響下に開花したものです。こうした日本文化の根底にある伝統を掘り起こし、発信すべきであります。
東京には、歌舞伎や能、狂言、華道、茶道など、日本を代表する伝統文化はもとより、地域の担い手が生活の中で長年継承してきた郷土芸能に至るまで、あらゆる伝統文化が存在しております。その幅広い魅力を内外に余すところなく発信する文化プログラムをつくるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
その展開に当たっては、お茶室や能楽堂、寺社仏閣や庭園、趣のある建造物や名勝旧跡などの文化財の活用も重要であります。
例えば私の地元、護国寺は、格式が高く歴史を感じることのできる場所であります。そこではお茶会が定例的に開かれ、日本流のおもてなしの心を体験することが可能です。伝統文化の体験や発信は、このような文化的、歴史的価値のある寺社仏閣や庭園などの活用で、より活性化が図られます。
これらの文化財を効果的に活用した伝統文化の魅力を発信する取り組みを一層積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、アスリートの育成について伺います。
都はこれまで、競技力向上の取り組みを展開し、昨年の東京国体では、天皇杯、皇后杯を獲得するなど、目覚ましい成果を上げてまいりました。今後、世界で戦えるアスリートを育成するためには、競技力の向上とともに競技活動に打ち込める環境を整えることも必要です。
JOCでは、平成二十二年よりトップアスリート就職支援ナビゲーションを立ち上げ、企業とアスリートのマッチングを実施しております。これまで就職したアスリートは、本年四月一日までで三十一人にとどまっており、今後、マッチング数をさらにふやしていくような働きかけが求められます。
都としても、東京育ちのトップアスリートが、経済的な不安がなく競技活動に邁進できるよう、就職に向けた支援策を講ずるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、選手村の整備について伺います。
二〇二〇年東京大会では、中央区晴海に選手村の整備が計画されており、将来的には新たな町として生まれ変わる予定です。選手村整備に当たっては、水素エネルギーなどの我が国の最先端の環境技術や安全・安心のまちづくりを積極的に展開して、世界一の都市東京の魅力を世界に発信する絶好の機会とすべきです。そのためには、行政と民間が役割を分担し、協力して計画を推進していくことが重要です。
また、選手村は、選手が競技に向けて最終調整を行う重要な施設であることから、都は、選手村を期限内に完成させる責任を果たすべく、万全な策を講じていくべきです。選手村整備を確実に進めていく都の取り組みについて伺います。
知事は、さきの所信表明で、二〇二〇年東京大会の会場計画全体を見直す意向を表明しました。
東京の将来に責任を負う都議会第一党である我が党としては、二〇二〇年東京大会の成功はもちろん、大会後の東京の姿をすばらしいものとすることがより重要と考えます。招致段階の計画を具現化する中で、必要な見直しをすることは当然です。東京は、安全、確実な大会を訴えて二〇二〇年開催都市の座をかち取ったわけであり、四年に一度の晴れ舞台に人生をかける若者たちに最高の舞台を用意することに配慮しつつ、大会後の活用をも見据えた計画見直しを行ってもらいたいと思います。
大会組織委員会、IOC、競技団体、地元自治体など、関係者が多数ある中、開催都市の長として知事に難しいかじ取りが求められます。都民の信頼に応え、将来にわたりこの東京をさらに発展させていくことを第一として検討を進めるべきです。
改めて、計画見直しに臨む知事の考えと決意を伺います。
最後に、二〇二〇年東京大会のカヌースラローム会場の整備について伺います。
カヌースラロームの会場として整備される予定の葛西臨海公園は、台風による高潮を防ぐ堤防の築造など、防災機能の強化を担ってきた歴史を持っております。現在、同公園は、豊かな自然に触れ合える場所として親しまれており、多くの都民にとって思い入れの深い公園になっております。会場整備に当たっては、何よりも公園が持つ防災機能や自然環境の保全など、地元の方々の声に配慮しつつ、アスリートにとって最高の環境を整えていく必要があります。
また、公園のにぎわいを生かし、大会後も、地元を初め多くの都民が末永く親しめる施設とすることも重要であります。
知事は、こうした観点から、カヌースラローム会場の整備をどのように進めていくべきと考えておられるのか見解をお伺いいたしまして、私の質問を終了いたします。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 中屋文孝議員の代表質問にお答えいたします。
今後の都政のかじ取りについてでございますけれども、この四カ月、予算編成から始まりまして、息つく間もなく走ってまいりました。緊急事態を何とか切り抜けることができまして、いよいよ都政が直面する課題の具体的な解決に向けて正面から向き合うことになります。
いかに困難な課題でありましても、東京と日本の将来を展望しつつ、夢と希望を提示することが知事の役目であります。現場に足を運び、さまざまな意見にしっかりと耳を傾け、都民の真のニーズを見きわめていきます。既存の制度や法令が懸命に頑張る都民、国民の足かせになっているのであれば、それを取り除いていくつもりであります。同時に、政策の運営のためには、常に財源を確保することが重要であります。地方の立場から、大都市の立場から、みずからが先頭に立って、国にはいうべきことをいってまいります。
そこで、巨大な都庁組織をスピーディーで効果的に動かしていくために、まずは補佐官を設置し、トップマネジメントの体制強化を図りました。こうしたことを積み重ね、できることから対処していく。そして、現場から生まれてきた新しい発想を現実の政策へと仕上げ、年末には東京都長期ビジョンを策定し、東京が世界一の都市へと進んでいく道筋を定めていきたいと思っております。
次に、地方法人課税についてでございますが、真の地方自治は、地方がみずからの権限と財源に基づき主体的に運営を行うことで初めて実現できるものであり、国は地方自治の本旨に立ち返り、地方の真の自立に向けた税財政制度の改革を行うべきであります。
お話の法人実効税率の引き下げは、日本の国際競争力の強化に資するものと考えますが、その実現は、不交付団体を含めた全ての地方自治体の歳入に影響を与えないことが大前提であります。国の責任において確実な代替財源を確保するよう、強く求めてまいります。
現在、議論されております外形標準課税は、応益課税である税の性格を明確にするとともに、成果を上げた企業にとっては、所得に対する税負担が軽減され、経済活性化の期待につながるものであります。中小企業への拡大は課題が多いため慎重であるべきでありますが、現在の対象である大企業に対する拡大は方向性の一つであると考えております。
また、地方法人課税の偏在是正措置は、地方税の原則に反するばかりか、国が掲げた地方分権改革をみずから否定するものであり、このような動きには、都議会の皆様を初め、志を一にする地方自治体とも手を携えて、断固徹底して対抗してまいります。
国家戦略特区についてでございますが、国際的な都市間競争の中で東京を世界一にするため、使える手段は何でも使います。国家戦略特区も、その道具の一つに過ぎず、使い勝手が悪ければ使う必要はないと考えております。特区にかかわる有識者委員等からは、都の指定区域を指して東京の多様性を無視した机上の空論が展開されており、甚だ遺憾であります。
ご指摘のとおり、最も大事なのは、都民、国民の利益という本来の目的を達成するために、東京を名実とも世界で一番ビジネスのしやすい都市にすることであります。そのため、都は十のプロジェクトを打ち出し、ビジネス環境の整備を本格化させるとともに、新たな取り組みとして創薬イノベーションの後押しを行います。
加えまして、金融分野では、現場の方から直接話を伺い、東京を世界的な金融拠点とするための検討を始めました。これからも現場の声を聞き、その知恵が実を結ぶことに手を尽くしてまいります。将来をしっかりと見据えて実効性のあるビジネス環境を速やかに整備して、東京を元気にし、日本経済の再生につなげていきたいと思っております。
続きまして、IR、統合型リゾートについてでございますが、ホテルやリゾート施設、カジノなどを一体的に整備したIRは有力な観光資源であり、東京の国際競争力をさらに高める可能性を有しております。その反面、カジノを含むIRの導入には、さまざまな課題があるともいわれております。
こうしたことから、海外におけるIRの現状を調査するとともに、IR推進法案成立後には、専門家へのヒアリングを行うなど、さまざまな観点から具体的な検討をした上で、総合的に判断してまいります。
次に、私の目指します都市外交についてでありますが、私は世界一の都市を目指すと都民の皆様に約束いたしました。そのためには、まずは東京が、みずから都市としての機能を高めることが必要であります。同時に、東京の持つノウハウや技術で世界の都市が抱える問題の解決に貢献していくとともに、エネルギーや多言語対応等のさまざまな分野で他都市の先進的な施策を学ぶことも欠かせません。
こうした、教え教えられる関係を築きつつ、世界の諸都市と文化交流等により相互理解を深めることで、東京を一段と高い次元の国際都市に引き上げていくことができます。
さらに、その過程で都民生活の質の向上や新たなビジネスの創出、観光客誘致など、都民、国民が実感できる成果も還元してまいります。それが私の目指します都市外交であります。
こうした考え方に立ち、姉妹友好都市との交流を幅広い分野で積極的に展開していくとともに、アジア大都市ネットワーク21における取り組み等を強化してまいります。
私自身が先頭に立ち、さまざまなレベルでの往来を促進して、都市外交を力強く推進していきたいと思います。
北京出張の成果と今後の取り組みについてご質問がございました。都市外交の本質にかかわります大変重要なご質問をいただいたと思っております。
私は常々、外交は国の専管事項と申し上げておりますが、まさにそれは、そういうご指摘のような趣旨からであります。外交は、国対国、国益同士が衝突する場であります。国の外交方針を無視した、国の足を引っ張るような都市外交であってはなりません。今回の北京出張でも、出張前後で、安倍総理大臣、菅官房長官と話し合いを持ち、意見交換を行いました。
同時に、外交は多元的なものでもあります。国同士の関係が複雑なときでも、都市外交であれば、お互いが抱える難問をひとまず横に置いて進めることができます。
先日の北京出張では、北京市長と会談し、技術交流、技術協力をさらに推進していくことで合意いたしました。文化面、経済面での交流も促進するため、江戸東京博物館と北京首都博物館とのネットワーク、両都市の産業見本市を活用した企業間交流など、さまざまな連携を深めていくこととなりました。
友好関係、信頼関係の構築は一朝一夕でできることではなく、積み重ねてこそ意味があるわけであります。これからも、東京都としての都市外交を粘り強く展開していきたいと思っております。
続きまして、防災プランの策定についてでございますが、首都直下地震を初めとする自然災害への備えを万全なものとし、都民の生命、財産を守っていくことが、知事である私に課せられた最大の使命であります。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催を見据え、スピード感を持って防災対策を進める必要があります。
先般も、首都直下地震等対処要領を策定し、東京都を初め自衛隊、警察、消防等の各機関による災害対応を明らかにいたしました。さらに、防災対策を強力に推進し、災害発生時に一人でも多くの命を救うためには、都の取り組みだけではなく、国や周辺県市との連携や都民一人一人の具体的な行動が不可欠であります。
このため、自然災害発生時の時間の推移にあわせ、命を守り、生活を再建するために必要となる自助、共助、公助、それぞれの取り組みを具体的にわかりやすく示す防災プランを策定することにいたしました。さまざまな専門家の意見も聞きつつ、年内に防災プランを策定し、都民、企業の皆さんとともに、世界一安全・安心な都市東京の実現に取り組んでまいります。
東京の総合的な交通政策についてでありますが、東京の抱える最大の問題の一つは交通体系であります。東京では、世界に類を見ない高密度で安全な鉄道ネットワークは形成されておりますが、バスなど他の交通機関と有機的には関連しておりません。また、駅などのバリアフリー化や、自転車のような環境に優しい交通手段の活用は十分ではありません。
このため、先月には、外部の専門家を含めた検討会を設置いたしまして、鉄道やバスを初めとする交通機関相互の連携や、自転車などさまざまな交通手段の活用等について検討を開始したところであります。第一回の会議には私自身も参加し、利用者の視点はもとより、都市づくりとの連携や、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会を視野に入れ、交通が目指すべき方向性について広範に議論いたしました。
今後も、スピード感を持って議論を進め、交通ネットワークのあり方に加え、有機的に一体化した交通体系を含む総合的な交通政策を取りまとめ、世界一便利で快適な都市東京を実現してまいります。
続きまして、大規模団地の再生に関する今後の取り組みでございますが、老朽化した大規模団地は、利便性の向上やバリアフリー化が求められているとともに、入居者の高齢化などによる地域活力の低下など、対応すべきさまざまな課題が生じております。
一方で、これらの地域は、計画的に整備された緑やオープンスペースを有しており、これらの貴重な環境を生かしつつ、現在の居住者が住み続けられ、若い世帯にとっても魅力ある町に再生する必要があります。そのためには、建てかえに伴い創出される用地を有効活用し、地元自治体等が連携して、保育所などの子育て支援施設や高齢者支援施設、防災施設等の多様な機能を導入するなど、まちづくりの視点からの取り組みが重要であります。
少子高齢化が進む中で、大規模団地など、地域を活性化させるため、将来的な住宅需要や各地域の特性を踏まえながら、多様な世代が集う快適で安全・安心なまちづくりに取り組んでまいります。
多摩のまちづくりについてでありますが、私は常々、多摩の発展なくしては東京の発展はないと、多摩地域の重要性を申し上げてまいりました。
先日、核都市の一つである多摩ニュータウンを視察し、建てかえられた大規模住宅や古くなった都営住宅、未完成の南多摩尾根幹線などの現状を見てまいりました。直接現場を見て回り、さまざまな方のお話も伺って、施設の老朽化や少子高齢化、今後の人口減少への懸念など、地域が抱える課題を強く認識いたしました。
その一方で、建てかえられた大規模住宅では、保育所などが設置され、子供たちの声が響く町へと再生された光景に感銘を受けました。多摩ニュータウンを初めとする多摩地域の活力を、今後も維持、さらには発展させていくためには、誰もが暮らしやすい町に再生していくことは重要であります。駅などを中心に、商業や医療福祉などの機能を集約したまちづくりを進めてまいります。
また、道路ネットワークの整備を進め、核都市などの広域的な拠点が連携交流のかなめとなるよう積極的に取り組んでまいります。
こうした将来を見据えた実効ある取り組みを、都、市町村、民間など、さまざまな主体が一丸となって推し進め、魅力にあふれた多摩地域を実現してまいります。
続きまして、防災性向上の観点から見ました都県境における道路整備についてでございますが、東日本大震災では、緊急時の幹線道路の重要性が再認識されました。また、都内では、交通機関が麻痺し、いわゆる帰宅難民が徒歩で帰宅を余儀なくされました。
都県境を結ぶ道路、橋梁は、震災時において人命救助や救援物資の輸送などを確実に行うために必要不可欠であります。
このため、隣接するそれぞれの県と共通認識を深め、行政区域を越えて道路ネットワークが形成されるよう積極的に協議を進めてまいります。
水素社会の実現に向けた取り組みでございますが、低炭素社会の切り札として注目される水素は、最も有望な次世代エネルギーの一つであります。私も先月、燃料電池車に試乗し、走行性能もガソリン車と遜色がないことをみずから実感いたしました。
しかし、水素エネルギーの普及には、安価でCO2排出の少ない製造方法の確立やインフラの整備など多くの課題があり、このまま手をこまぬいていては本格的な利活用は進みません。まさに今、国を挙げて水素エネルギーの普及に向けて取り組むべきときであります。
そこで、都としてこれを先導するため、先日、戦略会議を立ち上げ、私も議論に参加しました。実用化に取り組んでいる民間企業の方々から直接話を伺い、我が国の最先端の技術開発が着実に進んでいることや、コストや規制などの障害について改めて認識いたしました。
今後、この戦略会議で議論を深め、東京オリンピック・パラリンピックでの活用に向けた環境整備などの具体的な取り組みについて、年末に取りまとめます東京都長期ビジョンに反映させていきます。
水素社会の実現に向けて、都としてできることは、スピード感を持って実行し、東京を世界に誇る環境先進都市とするとともに、首都圏でも共同して日本のエネルギー構造の変革を牽引してまいります。
省庁の縄張りがあってがんじがらめの霞が関に、これは先行してできません。都が先行してやるしかない、そういう思いでありますので、どうか都議会の皆さんのご支援をいただきたいと思います。
下水道事業におけるエネルギー対策の強化についてでありますが、エネルギーの確保や安定的な供給は、国民生活の向上や都市の成長発展に欠かすことのできない重要な課題であります。
先日、森ヶ崎水再生センターに視察に参りまして、首都東京の都民生活や都市活動を地下で支える下水道サービスの充実強化を図るためには、エネルギー対策をさらに積極的に推進していく必要があると改めて強く感じました。
そこで、下水道事業初のエネルギー基本計画、スマートプラン二〇一四を策定いたしました。
このプランでは、十年後の二〇二四年度においては、総エネルギー使用量に占める再生可能エネルギーと省エネルギーの合計の割合を二〇%以上とする目標を定め、取り組み内容と達成年次を明確化しました。この目標を着実に達成するため、再生可能エネルギー活用の拡大や、省エネルギーのさらなる推進に加え、新たにエネルギースマートマネジメントの導入及びエネルギー危機管理の強化を図ることといたしました。
具体的には、電力のピーク需要を一年を通して抑制し、需給調整に貢献するデマンドレスポンスや燃料を多様化できる灯油、都市ガス併用型の非常用発電設備の設置などの取り組みを進めます。
今後とも、日本の誇る下水道技術を最大限に活用し、実効性のある先駆的な取り組みを進めることで、都庁全体のエネルギー対策を先導し、世界一の環境先進都市を実現してまいります。
続きまして、社会保障制度改革でございますが、世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進む我が国においては、現在、国が進めている社会保障制度改革は、受益と負担の均衡がとれた持続可能な制度へと変革するために必要な改革であると認識しております。
ただ、改革を進めるに当たっては、それぞれの制度の実務を担っております都道府県、区市町村、サービスを提供している現場の意見や声を十分聞き、その負担にも最大限配慮することが基本であります。
しかし、お話のように、来年四月にスタートする予定の子ども・子育て支援新制度については、いまだ国からの情報が十分でないため、区市町村や幼稚園の現場などに混乱が生じており、私のところにも不安の声が寄せられております。
都としては、多くの現場を束ねる立場から、できるだけ早く、必要な情報を提供するように、改めて国に強く求めてまいりたいと思います。
また、今後予定されている介護保険や医療制度の改革に当たりましても、現場の声や区市町村の意見を十分に聞きながら、国に対して必要な提案を行うとともに、改革が真に実効のあるものとなるよう、大都市東京の特性を踏まえたさまざまな福祉、保健、医療施策を展開していきたいと思っております。
次に、障害者の就労支援でございますが、障害者が地域の中で自立した生活を送ることができる社会を実現するためには、就労を目指す障害者の方が一人一人の障害特性に応じて働ける場を拡大し、安心して働き続けることができるよう社会全体で支援していくことが必要であります。
そのため、都はこれまで、就業機会の拡大を図るための事業主への働きかけや、企業見学会や職場実習の実施、職場定着を支援する専門家の企業現場への派遣など、経済団体や企業の協力も得ながらさまざまな施策を展開してまいりました。
また、障害者に対して、就職に向けた準備や職場定着などの就労支援と、生活面での支援を一体的に行う拠点の整備が身近な地域で進むよう区市町村の取り組みを支援してまいりました。
お話のように、障害者の就労を一層進めるためには、障害者施策に携わる各局が、これまで以上に連携して取り組んでいくことが必要であります。障害者が当たり前に働ける社会の実現は、都が進める障害者施策の基本理念の一つであります。
今後、関係機関や教育、労働、福祉分野の連携を一層強化しながら、障害者の就労支援に取り組んでまいります。
都立墨東病院の機能強化でございますが、墨東病院は、厚生労働大臣時代に訪れたことがございます。医師不足などの医療課題を解決し、国民の安心を支える医療施策を展開していく思いを新たにした、私にとって非常に大切な病院でございます。
新館の整備に当たりましては、新型インフルエンザなど、感染症の脅威に備えるため、独立した外来機能と専用病棟を整備し、また救命救急病棟の集中治療室を増強するなど、さまざまな救急医療機能のさらなる強化を図りました。
墨東病院の強化された救急医療機能をさらに進展させるため、広範囲熱傷や急性中毒などの特殊疾病に対して、特に高度な診療機能を有する高度救命救急センターの指定を目指すよう指示をいたしました。
都内で既に指定を受けている二つの大学病院に続き、都立病院として初めての高度救命救急センターを区東部地域に整備し、東京の救急医療体制の充実のために全力を尽くします。
続きまして、伊豆大島の観光支援でございます。約八千人の方々が暮らす大島は美しい海に囲まれ、雄大な三原山やツバキの森で知られた、東京にとってかけがえのない島であります。大島が昨年の台風による甚大な被害から復興を果たせるよう全力を挙げて支援することは都の責務であり、インフラの復旧や産業の活性化に向けた取り組みを進めております。
大島が本格的な復興を果たすためには、とりわけ基幹産業の一つであります観光産業が活力を取り戻すことが重要であります。
このため、夏の観光シーズンを契機に、宿泊費用の助成や割安なツアーの造成など、旅行意欲をより一層喚起し、来島を促す策を実施いたします。こうした取り組みにより、被災前のにぎわいを回復させ、復興を全力を挙げて後押ししてまいります。
二〇二〇年東京大会の文化プログラムの具体化に向けた議論の進め方についてでございますが、知事就任以来、私は、都立はもとより、民間や国立の文化施設、北京市を訪問した際の北京首都博物館など、さまざまな文化施設を訪れ、関係者の方々と意見交換を行ってまいりました。今回、文化の面でも東京を世界一の都市とするため、各界の第一人者から成る東京芸術文化評議会を再編いたしました。
評議会の会長は、資生堂名誉会長の福原義春氏に引き続きお願いすることとし、演出家の野田秀樹氏や指揮者の大野和士氏など世界の第一線で活躍する方に、新たに評議員として加わっていただくことにいたしました。六月三十日には、いよいよ新たな体制のもとでの評議会を開催する予定であります。
さらに、この評議会のもとに、新たに文化プログラム検討部会を設置し、六月五日には第一回目を開催いたしました。この部会では、アーティストの日比野克彦氏や音楽家の大友良英氏、狂言師の野村萬斎氏など、各分野の最前線で活躍する方々から斬新かつ興味深い具体的な提案をいただき、私も大いに刺激を受けました。
今後、評議会では、オリンピック文化プログラムの具体化はもとより、国内外の文化施設のネットワークの構築や、海外から訪れる人を対象とした共通パスポートの発行など、新たな文化施策についても議論を深めてまいります。
続きまして、伝統文化の魅力を内外に発信する文化プログラムについてでございます。
護国寺の例を中屋議員がおっしゃいましたけれども、東京には、浮世絵や能楽、茶道、華道など、古来からの伝統文化、地域で伝承されてきた郷土芸能など多岐にわたる伝統文化が集積しております。こうした日本人が独自の美意識や精神性を持って磨き上げ、伝えてきた文化や、地域色豊かな文化を世界の人々や次代を担う若者に体感してもらい、その魅力を内外に広め、根づかせていくことが重要であります。
とりわけ、国の重要無形民俗文化財でもあります江戸の里神楽などの郷土芸能や、同じく重要文化財にもなっております根津神社などの地域の文化資源は、東京の文化、歴史や生活の豊かさをあらわす貴重な遺産であります。
私は、ソチ五輪の閉会式に出席しましたが、そこでは、トルストイやバレエなど、ロシアの伝統や歴史に根づいた文化が威風堂々と展開され、若者や子供が活躍しておりました。
二〇二〇年東京大会を日本文化の発信の絶好の機会と捉え、伝統文化の魅力に内外の多くの人々が親しみ、触れられるよう、東京に蓄積された文化資源を最大限に活用した厚みのある文化プログラムを展開してまいります。
続きまして、東京オリンピック会場計画の見直しについてでございますが、先日の所信表明で、私は、会場計画の再検討を行うと申し上げました。就任以来の四カ月、さまざまな人と会って意見を交換し、現場にも足を運んだ上でこの結論に至りました。特に大会組織委員会の森会長とは、この件について協議を重ね、再検討が必要との認識で一致しております。
また、先日、国、JOC、JPCからもご賛同をいただいており、IOCとも既に話を始めております。十三日にIOCのバッハ会長と直接この件についてお話を申し上げ、IOC会長から理解をしたと、そしてIOCもよりよい持続可能な大会にするために全力を挙げて支援する、そういう言葉をいただいております。
東京にどのようなレガシーが残せるのか、広く都民の生活にどのような影響を与えるのか、整備コスト高騰の懸念にどのように対応するのか、そういった視点から見直しを行います。
具体的には、近隣県までを含めた既存施設の活用、整備工法の見直しによる整備費の圧縮、環境などに配慮した会場設計などについて検討してまいります。今後、大会組織委員会との緊密な連携のもと、IOC、IPCを初め、国内外の競技団体と真摯に議論を行い、よりよい計画に向けて、会場計画全体をブラッシュアップしていく決意でございます。
二〇二〇年大会を機に、東京を世界一の都市とすることが私の公約であります。アスリートファーストの理念を具現化した史上最高の大会を実現することはもとより、大会後は、ハード、ソフトの両面から、確かなレガシーを残し、魅力ある東京を実現してまいります。
開催都市の長として、何より東京の将来に責任を負う都知事として、都議会の皆様と手を携えながら、二〇二〇年大会の開催に向けて全力で取り組んでまいります。
最後に、カヌースラローム会場についてでありますが、立候補ファイルでは、選手村からのアクセスや大会後に都民が水辺に親しめる施設にしていくことを念頭に、葛西臨海公園での整備を計画してまいりました。
私は、都市にはそれぞれその歴史や人々の生活の積み重ねがあると思います。お話を伺い、葛西臨海公園は、高潮対策などの防災機能を担いながら、年月をかけて現在のような都民の憩いの場となった歴史的背景があるということの認識を新たにいたしました。
こうした背景に加えまして、公園の自然環境への配慮も必要であることから、隣接する下水道局の用地を活用するなど、所管局に施設配置の検討を指示し、今後、会場計画全体の見直しの中で、都としての結論を出してまいります。
さらに、大会後の施設の後利用のあり方についても、地域の方々の意向も踏まえて、より多くの都民が親しめる施設にしてまいります。
以上、私の答弁を終わりまして、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長に答弁させます。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 四点のご質問にお答えをいたします。
まず、家庭と連携した防災教育についてであります。
都教育委員会はこれまで、CO2削減アクション月間や、節電アクション月間の取り組みにおいて、学校と家庭が緊密に連携を図ることで、子供がCO2削減や節電のための行動をみずから起こすようになるなどの成果を上げてまいりました。
このことを踏まえ、防災教育においても、子供が学校で学んだことをもとに、家庭で保護者とともに防災について考え、行動することで、災害時において家庭における危険をみずから予測し、回避する能力や態度を身につけるように取り組んでまいります。
今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会や学校と連携を図り、これまで作成した補助教材に加え、総務局が作成する防災ブックを活用した授業を行うなど、学校と家庭が一体となった防災教育を一層充実してまいります。
次に、知的障害特別支援学校高等部就業技術科の成果と今後の取り組みについてであります。
都教育委員会は、障害のある生徒一人一人の能力を最大限に伸長するため、障害の程度に応じた多様な教育を行い、社会的自立を促進することが重要と考えております。
そのため、障害が軽度の生徒については、全員の就労を目指し、接客や清掃などの実践的な職業教育を行う就業技術科を、これまで四校を設置してまいりました。卒業生は九割を超える就労率を実現し、就労先からは、仕事への取り組み姿勢や職務への順応性が評価をされております。
平成二十七年四月に、企業ニーズの高いオフィスサービスコースを設置した、仮称でございますが、東部地区学園特別支援学校を開校する予定であり、今後も生徒や保護者の期待に応え、企業就労を積極的に推進してまいります。
次に、知的障害特別支援学校高等部普通科の就労支援の充実についてであります。
一人でも多くの生徒の就労希望を実現し、自立と社会参加を促進するためには、企業ニーズを踏まえ、個々の生徒の働く意欲と能力を高めていく必要がございます。
このため、都教育委員会は、企業が求めている職務遂行の水準を調査し、各校に周知して職業教育の充実を図るとともに、企業関係者を各校での助言者として活用することにより、生徒の就労希望を実現してまいります。
また今年度、障害が軽度から中度の生徒を対象とした職能開発科を一校設置しており、今後全体十校とする計画で整備を進めてまいります。
このことにより、障害の程度に応じて、普通科、職能開発科、就業技術科が役割を分担し、重層的に生徒の就労を支援してまいります。
──(三百二十字削除)──
〔東京都技監藤井寛行君登壇〕
〇東京都技監(藤井寛行君) コンクリート塊のリサイクルについてでございますが、都はこれまで、建設リサイクル推進計画を策定し、都内で発生する建設廃棄物の循環利用などを促進するとともに、都が施行する工事でも、コンクリート塊のリサイクル製品を積極的に活用してまいりました。
近年、都内においてリサイクル製品である再生砕石などの需給バランスが崩れつつあり、資源循環を円滑に進めるためには、需要の拡大を図っていく必要がございます。
このため、今年度から、道路の路盤材を中心に利用されてきた再生砕石などのさらなる用途拡大や利用促進策についての検討を進め、都が施行する工事において試行していくとともに、建設リサイクル推進計画の改定に取り組み、コンクリート塊のリサイクルを一層推進してまいります。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
〇財務局長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、今後の入札契約制度の構築についてでありますが、都はこれまでも都議会のご意見をいただきながら、その時々の状況変化に応じて低入札価格調査制度の強化など、入札契約制度改革に取り組んでまいりました。
昨今、資材価格や労務費の上昇、技術者等の不足など、公共工事を取り巻く状況は大きく変化しております。こうした中にあっても、都民生活に必要なインフラを着実に整備するためには、公正性や透明性、競争性の観点に加えて、品質がしっかり確保される契約制度の構築が重要であると考えております。
ご指摘をいただいた点などを踏まえながら、いかなる状況においても、迅速かつ的確に対応できる入札契約制度の構築に向け、今後とも積極的に取り組みを進めてまいります。
次に、都有施設の維持更新等についてでありますが、平成二十一年度を始期とする主要施設十カ年維持更新計画に基づき、都有地や都有施設の有効利活用の推進を含め、着実に都有建築物の維持更新を進めてまいりました。
一方、公共建築物の長寿命化など、計画策定以降の新たな行政課題もあり、これらに適切に対応するため、建築物の長期的な利用や施策と連動した都有資産の活用強化などの視点から、改めて計画の対象とすべき施設や整備手法などの検討を行う必要が出てきております。
こうしたことから、平成二十七年度を始期とする新たな十カ年計画を今年度中に策定してまいります。あわせて、都有建築物の改築等に適用している省エネ・再エネ東京仕様をこの六月に改正し、例えば、LED照明の導入を大幅に拡大するなどして、建築分野における環境負荷の低減に率先して取り組んでまいります。
最後に、土地活用に関する検討チームの取り組み状況についてでありますが、都有地だけでなく、国有地や民営地も含めた広範な土地活用策について、関係部局である知事本局、財務局、福祉保健局、都市整備局、総務局及び公営企業局により、現在、精力的に議論、検討を重ねております。
具体的な取り組みとしては、区市町村における福祉インフラ整備に係る公有地の活用状況等について検証を行っており、今後、この検証結果を踏まえ、現場を担う区市町村の意見も聞きながら、福祉インフラ整備に適した都有地等の情報提供の手法や、土地貸付料の減額などを具体的に検討してまいります。
また現在、未利用となっている都有地の活用策の検討のみならず、都営住宅の建てかえによる用地の創出など、戦略的に土地を生み出す取り組みも進めてまいります。
これに加えて、都の監理団体である東京都住宅供給公社の住宅の再編整備にあわせて創出した用地についても一層活用することとし、速やかに地元自治体と連携して新たな取り組みを開始いたします。さらに、都市づくりと連携した促進策として、都市開発諸制度の見直しに向けて検討を進めるなど、民有地活用の視点も含め、総合的かつ多角的に取り組んでまいります。
今後も、引き続きチーム一丸となって検討作業を精力的に行い、夏までに検討チームとしての支援策を取りまとめてまいります。
〔知事本局長中村靖君登壇〕
〇知事本局長(中村靖君) 外国人技能実習制度の充実についてでありますが、本制度は、実習生の技能レベルの向上と、それに伴う母国の技術レベルの向上、ひいては我が国の産業の振興にも寄与するものであります。
しかしながら、実習期間が最長三年であるなど、より高度な技術を習得するには必ずしも十分とはいいがたい状況にございます。
このため、都は、昨年十二月、国に本制度の充実を要望したところであり、現在、制度の見直しに向けた検討が進められております。
都は、東京で働く外国人に対する取り組みとして、労働相談やハンドブックの配布を行っておりますが、今後、実習生に対しまして、労働相談窓口の周知を行うなど支援の充実を図ってまいります。
また、引き続き国に対しまして、実習期間の延長や再度の技能実習の導入、さらには受け入れ企業に対する監督体制の強化や、実習生の保護など、実習生の技能向上という制度の趣旨に即した見直しや適正化を早急に講じるよう働きかけてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 防災対策についての三点のご質問にお答えいたします。
まず、防災ブックの作成に向けた取り組みについてでございますが、首都直下地震等の災害から都民の生命と財産を守るためには、都を初めとする行政の取り組みだけでなく、都民一人一人の防災への取り組みが重要でございます。
防災ブックは、一家に一冊常備され、各家庭における防災指針ともなる冊子を目指しておりますが、例えば、子供のいる家庭では、安否の確認方法や避難場所の確認など、子供を含め家族間で活用されるような取り組みも期待されます。
このため、防災ブックの作成に当たっては、都内各世帯の特徴に応じて、その内容が浸透するよう、活用方法を念頭に置いた検討が必要となります。
こうした観点も踏まえ、防災の専門家に加え、さまざまな分野の有識者から意見を聞きながら防災ブックの作成に取り組んでまいります。
次に、大規模水害時の広域避難についてでございます。
大規模な水害発生に備え、都民の生命を最優先に守る取り組みの一つとして、自治体の区域を越えた住民避難を円滑に実施するための体制を構築することが重要でございます。
このため、都や区市町村などの役割分担を定めるとともに、それぞれが行うべき事前の取り組みや避難誘導時の体制などを取りまとめ、地域防災計画の修正素案に広域避難対策として新たに位置づけを行いました。
都は、広域避難対策の総合調整役として、区市町村や近隣県との担当者会議を設置し、事前に避難者の受け入れ先の確保を進めていくとともに、避難が必要なときには、交通事業者へ避難手段提供の協力要請等を実施いたします。
今後、区市町村や関係機関等と連携しながら、広域避難の円滑な実施に向けて取り組んでまいります。
最後に、島しょの防災対策の強化についてでございます。
南海トラフ地震による津波等への対策については、まずは命を守るための避難対策、そして被災後の早期の生活再建に向けた事前の取り組みが重要となります。迅速な避難の実現に向けて、島しょ町村の避難計画策定支援や総合防災訓練を実施するとともに、早期避難が困難な港において、津波避難タワー等を整備するなど、ハード、ソフト両面から防災対策に取り組みます。
また、地震発生後は、島しょという地域特性から孤立化も懸念されるため、港湾施設の改良や空路の活用等による輸送体制強化を図るとともに、島内において一週間分の食料等の備蓄を促進いたします。こうした取り組みを地域防災計画に位置づけ、島しょの防災対策を全庁を挙げて推進してまいります。
〔建設局長横溝良一君登壇〕
〇建設局長(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず大島における土砂災害対策などについてでございますが、島民の安心・安全を確保するためには、スピード感を持って対策を進めていくことが重要でございます。
土砂災害対策につきましては、五月末に完了した応急対策に続き、元町地区全体を対象に事業を実施してまいります。このうち、特に被害の大きかった神達地区では、既に導流堤や斜面対策の事業に着手しており、今年度から三年間で完了させます。
また、ソフト面からは、土砂災害警戒区域などを平成二十七年度中に指定し、警戒避難態勢を強化してまいります。一方、道路につきましては、都道に加え、現在、御神火スカイラインなど町道工事の発注準備を進めており、早期復旧に向け、町への技術的支援を積極的に行ってまいります。
今後とも、都は、大島の復興に向け全力で取り組んでまいります。
次に、都市基盤整備の推進についてでございますが、建設局では、都民の負託に応えるべく、事務の改善や事業体制の見直しを行いながら、執行管理に努めております。その上で、建設業者がより計画的に入札に参加できるよう、年間工事予定を月単位で公表するとともに、今年度は債務負担行為を二年前の三倍にふやすなど、事業の平準化を進めてまいります。
また、工事に当たっては、進捗状況や安全確保についてチェック機能を強化し、直ちに対策を指示するなど、現場のマネジメントを徹底してまいります。さらに、先日、仮称隅田川橋梁を五ミリの精度で架設したように、技術的検証と改善を繰り返しながら、高度な土木技術を生かした施工を実施してまいります。
今後とも、安全・安心で快適な東京を築くため、都民の理解と協力を得ながら事業を推進してまいります。
〔水道局長吉田永君登壇〕
〇水道局長(吉田永君) 水道施設整備マスタープランの着実な推進についてでありますが、水道局では、集中的に更新時期を迎える浄水場や、切迫性が指摘される首都直下地震への備えなど、多くの課題に対応するため、今後の施設整備の方向性や十年間の具体的な取り組みを示した東京水道施設整備マスタープランを本年四月三十日に策定いたしました。
掲げた施策目標を確実に達成するには、取り組み状況についての評価や検証が必要であることから、局内にマスタープランの進行管理を行うための推進会議を新たに設置し、年度ごとに進捗状況や目標の達成見通しなどを公表してまいります。
また、マスタープランを着実に実施するには、都民の皆様や道路管理者を初めとする関係機関の一層の理解と協力が不可欠であります。
このため、取り組む事業の内容や必要性をわかりやすく説明したリーフレットやホームページなどで幅広く周知してまいります。
こうした取り組みを通じて、東京水道施設整備マスタープランに示した施策を着実に推進し、将来にわたる安定給水の確保に万全を期してまいります。
〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕
〇港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、臨海副都心の今後の方向性と取り組みについてですが、臨海副都心は、今後、東京の競争力強化と、日本の経済成長を牽引する国際的な戦略拠点に発展可能な重要な地域でございます。
開発を進めるに当たっては、まず、オリンピック・パラリンピックの土地需要に最優先で対応するとともに、MICE、国際観光機能をより強化してまいります。特に史上最高の大会を実現するためにも、世界からのお客様を引きつける魅力ある新たな観光資源の誘致と世界最高レベルのおもてなしの実現に向けたソフト施策や交通サービスの充実などが不可欠でございます。
今後、東京の臨海副都心ならではのビジネスとエンターテインメントが融合した世界トップレベルのMICE、国際観光拠点の実現に向け、大会開催後の発展も視野に入れた将来ビジョンを策定し、計画的に開発を推進してまいります。
次に、海上公園の新たな取り組みについてですが、海上公園は、港や海に触れ合うことのできる空間として都民に親しまれておりますが、周辺の開発状況等にあわせ、各公園のあり方を見直していくことも必要でございます。
まず、臨海部の安全性をさらに高めるため、発災時に救出救助活動拠点や避難場所として活用できるよう、大型車両の進入を可能とする高規格の園路や非常用照明などの防災施設の整備を早急に進めてまいります。
さらに、洗練された町と一体となり、船や海を眺めながら、緑陰のもと、サイクリングや食事の楽しめる空間へのリニューアル、また、ノリづくりなど、江戸の昔から見られた人と海とのかかわりや文化の継承などが重要でございます。
今後、東京の安全・安心にも寄与し、東京港の魅力と海のすばらしさを再発見できるような海上公園像を明らかにし、その実現に向けて取り組んでまいります。
〔交通局長新田洋平君登壇〕
〇交通局長(新田洋平君) 臨海地域における今後の都営バスの取り組みについてでございますが、交通局ではこれまでも、迅速かつ柔軟に対応できる都バスの特性を生かしまして、地域の需要に応じた路線の新設等を行ってまいりました。
臨海地域では、再開発などによる急速な人口増加に加え、新市場や競技施設の整備等による来訪者の増加も見込まれますことから、現在、局として、こうした動向を踏まえた将来の交通需要調査を行っており、今後、この調査結果に基づき、増大する交通需要に的確に対応してまいります。
また、交通局は、平成十五年に全国で初めて燃料電池バスの実証運行を行うなど、先進的な車両の開発に協力してきておりまして、今後も、二〇二〇年大会における燃料電池バスの導入に向け、関係機関やメーカー等の実用化の取り組みに積極的に協力し、水素社会の実現に貢献してまいります。
〔環境局長長谷川明君登壇〕
〇環境局長(長谷川明君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、大都市ならではの気候変動対策、エネルギー対策についてでございます。
都はこれまで、キャップ・アンド・トレード制度や建築物環境計画書制度などを活用し、都市を支える事業活動や建築物などからのCO2の削減、省エネルギー対策の推進や、東京にふさわしい都市型の再生可能エネルギーの普及拡大を進めてまいりました。
今年度からは、中小医療福祉施設や中小テナントビルへの省エネ機器の導入を支援するなど、我が国のすぐれた技術の一層の活用を促し、経済の発展にも資する取り組みを強化するとともに、明日から開催するC40東京ワークショップなどの機会を通じて、都の先進的な取り組みや成果等を世界の大都市に向け発信してまいります。
あわせて、再生可能エネルギーについても、東京の消費電力に占める割合を二〇%に高めることを目指し、東京の特性を踏まえた具体策を構築し、導入拡大に向けた取り組みを加速してまいります。
今後とも、こうした取り組みにより、世界の大都市を先導する気候変動対策、エネルギー対策を強力に展開してまいります。
次に、震災後からの省エネ、節電の継続についてであります。
家庭においても、無理のない賢い省エネ、節電に継続的に取り組むことが重要であると認識しております。
このため、この夏に向けて、省エネの取り組みの継続を促す家庭向けの広報展開として、具体的な省エネ対策などの広報東京都での紹介や、地下鉄等への広告の掲出を行うほか、地域の電器店等を通じた省エネパンフレットの配布などを区市町村とも連携しながら行います。
また、家族構成等により、エネルギーの消費実態が異なることから、今年度はその実態調査を行い、家族構成に応じた省エネの目安になるベンチマークを策定して、きめ細かなアドバイスにつなげてまいります。
今後とも、都民、事業者の協力を得て、エネルギー利用の効率化が一層進むよう総合的な取り組みを進めてまいります。
最後に、資源循環施策についてでございます。
都はこれまでも、廃棄物の適正処理とともに、発生抑制、再利用、再資源化の推進に取り組み、リサイクル率の着実な向上や最終処分量の大幅な削減を実現してまいりました。
しかしながら、大量に発生する建設廃棄物のほか、貴重な金属を含む小型家電のリサイクルの促進や、食べられずに廃棄される食品の削減など、資源の有効利用という観点からも、さらなる取り組みが求められております。
このため、東京の持続可能な発展に向けてさまざまな観点から検討を行い、課題や施策の方向性等を示した資源循環の取り組み方針を、今年度中に作成いたします。
今後、区市町村や関係業界等との連携も強化して、オリンピック・パラリンピック開催を契機に、環境に最大限に配慮した循環型都市の構築に取り組んでまいります。
〔下水道局長松浦將行君登壇〕
〇下水道局長(松浦將行君) 汚泥の資源化の現状と今後の取り組みについてでございますが、東日本大震災以前は、埋立処分場の延命化と資源の循環や利用促進のため、区部では汚泥焼却灰の七割を、多摩の流域下水道では全量を資源化しておりましたが、震災以降、汚泥から放射性物質が検出され、資源化を見合わせてきたところでございます。
その後、汚泥焼却灰中の放射性物質の値が低下してきたことから、安全性を確保しつつ、現在、下水道工事で使用する鉄筋コンクリート管の材料や建設資材としての軽量骨材などとして、区部は一割程度、流域下水道は八割程度の汚泥を試行的に資源化しております。
今後は、ポンプ施設など他の下水道施設の工事での利用に加え、下水道事業以外にも利用されるよう、さらなる資源化に取り組み、埋立処分場の延命化と循環型社会の形成に貢献してまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、子供・子育て支援事業支援計画についてですが、本計画は、来年四月からスタートする子ども・子育て支援新制度における都の総合計画として、幼児期の学校教育や保育、地域の子供、子育て支援、特別な支援を必要とする子供や家庭への支援、人材の確保、資質の向上の方策等を盛り込み、来年の三月に策定いたします。
現在、東京都子供・子育て会議では、これまでの取り組みを検証した上で、基本理念や施策の方向性と具体的な取り組みについて議論を行っており、幼児期の教育や保育等の必要な量の見込みと確保策については、九月を目途に都全体の中間の取りまとめを行う予定でございます。
今後、保育士実態調査の結果や、児童福祉審議会の議論も踏まえて検討を進め、待機児童解消に向けた工程表は、年内策定の東京都長期ビジョンにも反映させてまいります。
次に、第六期東京都高齢者保健福祉計画についてですが、高齢者が可能な限り住みなれた地域で生活できるようにするためには、適切な住まいを整備し、医療や介護、生活支援サービス等を日常生活の場で切れ目なく提供していく地域包括ケアシステムの構築が必要でございます。
こうした考えに立って、今回策定する計画では、介護保険制度の改正も踏まえながら、介護サービス基盤の整備、高齢者のニーズに応じた住まいの確保、地域における医療と介護の連携強化、介護人材を含め高齢者の日常生活を支援する人材の確保、認知症対策の推進等、さまざまな施策を盛り込む予定でございます。
また、特別養護老人ホーム等のサービス基盤については、中長期的な視点から必要な整備量の推計を行い、年内策定の東京都長期ビジョンにも反映させてまいります。
最後に、障害者雇用促進に向けた取り組みについてですが、お話のように、障害者雇用の場を拡大するためには、企業や都民の理解を深めていくことが必要でございます。
そのため、都は、企業、経済団体、行政等による障害者就労支援協議会を定期的に開催し、就労支援の現状や施策効果を検証するとともに、企業の協力を得て見学会や職場実習を行ってまいりました。また、区市町村障害者就労支援センターに、企業開拓や企業支援を行うコーディネーターの配置を進める等、区市町村の取り組みも支援してまいりました。
今年度は、広く都民の方に、障害に対する理解が進むよう、新たなウエブサイトを立ち上げるほか、障害者を雇用する企業を対象に、就労の実態や支援体制を把握するための調査も実施し、その分析結果は、企業への啓発や就労支援策の一層の充実のために活用してまいります。
〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕
〇産業労働局長(塚田祐次君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、障害者の雇用についてでありますが、障害者の就業に当たっては、企業現場の実態に即して支援を行い、障害者と企業とを結びつけることが重要でございます。
このため、都は、企業を対象に、関係局が連携して実際の雇用に向けてのセミナーを開催するほか、東京ジョブコーチを企業に派遣して、障害者の職場への適応や定着を支援しております。
また、今年度からは、城東職業能力開発センター江戸川校の清掃業務に従事することを通じた就労支援を開始するなど取り組みを強化しております。さらに、特別支援学校や就労支援機関に、障害者職業訓練内容を広く周知し、入校希望者を積極的に受け入れていくとともに、東京障害者職業能力開発校の建てかえを契機に、職業訓練の一層の充実を図ります。
このような多面的な支援を行うことにより、障害者の雇用を推進してまいります。
次に、中小企業の成長に向けた支援についてでありますが、東京の経済がさらに発展していくためには、成長産業分野における事業展開を目指す意欲あふれる中小企業を力強く後押ししていくことが重要であります。
そのため、都は今年度より、成長産業分野での事業展開に必要な先端的設備等の導入に要する経費への助成を開始いたしました。制度融資においても、生産性を高めるための製造用設備の更新などを支援するメニューを新たに実施しております。
今後は、成長産業分野における具体的な技術開発のテーマを示した指針の見直しを図り、中小企業が大学など社外の研究成果等を活用して行う製品開発に対する支援を一層強化してまいります。
さらに、高度な技術を持つ中小企業による成長産業分野への参入や、開発した製品の販路拡大を促進するなど、企業の意欲に応える支援を展開してまいります。
次に、小規模企業に対する支援についてでありますが、都内中小企業の約八割を占める小規模企業は、地域の経済や雇用を支えるとともに、次代を担う産業を創出する可能性を秘めており、その事業の継続と発展を図ることは、東京の産業振興にとって不可欠であります。
都は、商工会や商工会議所が行う小規模企業に対する巡回指導や、講習会などの取り組みを積極的に支援しており、今年度からは、日々の資金繰りを支援するため、制度融資において、小規模企業向けの新たなつなぎ融資メニューを設けました。
さらに、成長分野への参入等のための設備投資助成において補助率を優遇するなど、小規模企業の経営の安定と成長を後押ししております。
今後は、小規模企業振興基本法制定など、国の動きも踏まえ、国や東京都中小企業団体中央会などの中小企業支援機関等との事業連携をさらに強化し、小規模企業が多様な施策をより一層活用できるよう強力に支援してまいります。
最後に、東京ビッグサイトの拡張についてでありますが、東京ビッグサイトは二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会におけるメーンプレスセンターとしての機能、役割を十分果たせるよう、施設を拡張する予定でありますが、大会終了後には拡張施設を本来の展示施設として産業振興に有効活用できるよう整備することが重要であります。
こうした観点に立って展示会主催事業者の利用ニーズの充足や、拡張整備後の施設稼働率、収支見込み等を調査し、施設の適正規模を検討した結果、展示面積を二万平方メートル程度拡張することにいたしました。これにより、東京ビッグサイトの展示総面積は、既存の展示面積と合わせて十万平方メートル程度の規模に拡張されることになります。
今後は、調査結果を踏まえ、整備事業の方針や工程表等を定めた基本計画を速やかに策定し、拡張に向けた具体的な作業を進めてまいります。
〔病院経営本部長醍醐勇司君登壇〕
〇病院経営本部長(醍醐勇司君) 都立病院における周産期、小児医療についてでありますが、少子社会におきまして、周産期、小児医療をさらに充実させ、次世代を担う子供を安心して産み育てられるための環境を整備することは大変重要であります。
このため、都立病院におきましては、産科と新生児科などが緊密に連携して、高度な周産期医療を提供するとともに、一般医療機関では対応困難な、小児がんや小児精神医療等に取り組んでいるところでございます。
今年度でございますが、地域の医療需要を踏まえ、多摩総合医療センターの産婦人科医を増員し、病床を四十七床へとふやします。また、小児総合医療センターでは、新たにER病棟として十床を整備し、小児救急医療の体制を強化いたします。
今般、新館を開設する墨東病院も含めまして、今後とも、都立病院の周産期、小児医療体制を一層充実させてまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 心の東京革命の推進についてでありますが、その目指すところは、親と大人が自覚と責任を持って、子供の正義感や倫理感、思いやりの心を育み、礼節や目上を敬う心、規範意識などを身につけさせることを踏まえ、日本人が本来持っていた豊かな心を取り戻すものであります。
ご指摘のように、社会全体の規範意識が低下している今、心の東京革命を発展させ、次代を担う子供とともに未来を変えていく、こうした取り組みが世界一安全・安心な東京にもつながると考えます。
そこで、規範意識の一層の向上を図るため、ルール、マナーを遵守するスポーツの持つ力を活用するとともに、子供だけでなく、親や大人にも響くような広報や事業のあり方を見直しているところであります。
こうした見直しを反映した新たな行動プランを九月に発表した後、広く一人一人に心の東京革命の理念が確実に伝わるよう、学校や関係機関とも連携し、普及啓発を実施していく所存であります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、五十周年記念事業についてですが、体育の日記念事業であるスポーツ博覧会東京を拡充し、駒沢オリンピック公園総合運動場と国営昭和記念公園を拠点に、五十年前の大会の意義を再認識するプログラムなどを行うとともに、多くの都民が野球を初め、多様なスポーツに親しむことができる機会を創出いたします。
また、当時の社会や暮らしを振り返る資料などの展示、郷土芸能の実演などによる伝統文化の紹介など、文化や教育を含めて幅広い分野でも五十周年記念事業を展開いたします。
加えて、区市町村と協力して、都内各地でパネル展示やグッズ配布などを行うとともに、JOCや大会組織委員会とも連携して、全国的な取り組みを呼びかけてまいります。
こうした取り組みをキックオフといたしまして、二〇二〇年に向けて、オール東京、オールジャパンで機運を盛り上げてまいります。
次に、トップアスリートの就職支援でございますが、今後、世界で戦える東京育ちの選手を育成するためには、競技力向上のみならず、選手が生活に不安なく競技活動に集中できることが重要でございます。
JOCでは、トップアスリート就職支援ナビゲーションを設け、就職を希望する選手と企業を引き合わせる取り組みを実施しております。
都では、これに加えまして、都内アスリートに対し、就職に役立つスキルや先輩アスリートの体験談を紹介するとともに、都内企業に対して説明会などを行い、アスリートの情報や実際に雇用した事例を紹介するなど、アスリートの雇用促進に向けた情報提供のさらなる強化を検討してまいります。
こうした取り組みにより、東京育ちのトップアスリートが競技活動に打ち込める環境を整えてまいります。
最後に、二〇二〇年大会におきます選手村についてですが、選手村は、大会において最も重要な施設の一つであり、整備に当たっては、大規模な民間開発を確実に遂行させるとともに、大会要件に合致するさまざまな施設を期限内に完成させなくてはならないことから、都が工程管理をする必要がございます。
加えて、大会終了後には、オリンピックレガシーを生かして多くの人々が暮らし、集う新たな町となることから、良好な住環境と全体の調和が図られた開発を取りまとめることも重要でございます。
このことから、選手村の整備に当たりましては、都が施行主体となり、一元的な工程管理と総合的なまちづくりが可能な市街地再開発事業を実施することとし、今後、民間の意向も聞きながら、都みずから基盤整備や必要な都市計画手続などを進め、円滑な着手に向けて取り組んでまいります。
これらの取り組みを通しまして、民間など、関係者と連携を図りながら、選手村整備を着実に進め、大会の成功に向けて都としての責務を果たしていくとともに、地域全体で統一感のある魅力の高い都市空間の形成に努めてまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕
〇生活文化局長(小林清君) 文化財を効果的に活用した伝統文化の魅力を発信する取り組みへの支援についてでありますが、都はこれまでにも、江戸東京たてもの園や浜離宮恩賜庭園での東京大茶会、神楽坂における神楽坂まち舞台・大江戸めぐりなど、文化財と伝統文化を組み合わせて、文化の発信に取り組んでまいりました。
こうした取り組みに加え、ことしのオリンピック五十周年記念事業として、日本庭園での邦楽演奏や、古民家での郷土芸能の実演など東京の文化財を活用した伝統文化を紹介する事業を実施いたします。
今後は、二〇二〇年の東京大会に向けて、多彩で魅力的な文化プログラムを実施できるよう、伝統文化にさまざまな角度から光を当て、文化財など地域の文化資源を生かした事業を展開してまいります。
あわせまして、地域の文化資源を活用したすぐれた民間の芸術活動に対するアーツカウンシル東京による支援の充実についても検討してまいります。
〇議長(吉野利明君) この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後三時十七分休憩
午後四時二十分開議
〇議長(吉野利明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
ただいま教育長比留間英人君から、先ほどの発言中、四点目のオリンピック教育に関する発言について、取り消しの申し出がありました。
これを許可することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、発言取り消しの申し出を許可することに決定いたしました。
〇議長(吉野利明君) 質問を続行いたします。
六十一番橘正剛君。
〔六十一番橘正剛君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇六十一番(橘正剛君) 都議会公明党を代表し、知事、教育長並びに関係局長に質問いたします。
初めに、桂宮宜仁親王殿下におかれましては、去る六月八日、薨去されました。心より哀悼の意を表するものであります。
さて、舛添都政がスタートして四カ月が経過しました。この間、知事は都議会と真摯な議論を展開されました。そして、第一回定例会後には、都政の最前線に積極的に足を運ばれ、行動する知事として、また、世界一の都市東京の構築に向けて、日々全力で取り組まれております。
さらに、本年第一回定例会で、我が党が知事に提案した重要課題である都市外交についても、精力的にスタートを切られました。それは、緊迫した東アジア地域の情勢を緩和し、真の友好関係を広げるためであります。
予算特別委員会で公明党は、我が国の地方自治体による姉妹都市交流が中国との間で約三百五十の都市、韓国との間で約百五十の都市で締結されていることを指摘いたしました。そして、北京やソウルと姉妹都市交流を結ぶ東京都の舛添知事が、レジリエンス、すなわち国同士の友好関係の復元力を強化するため、全国自治体の先頭に立って都市外交を推進していくべきと提案をいたしました。
それに対し、全力で実現したいと約束された知事のもとに、三日後には十六年ぶりに駐日中国大使が表敬訪問、知事も北京市に対して友好交流の再開を発信され、その一カ月後には、実に十八年ぶりに北京市からの招聘による東京都知事としての訪中となりました。
今、東アジア地域に求められているのは、にらみ合いなどではありません。胸襟を開いた対話であります。平和の祭典、文化の祭典であるオリンピック・パラリンピック開催予定地の東京都知事であるからこそ、友好交流の旗を高々と掲げ、ソフトパワーを発揮すべきであります。
舛添知事は、この四カ月で、かつての知事とは比較にならないほど多くの外国の要人に会われております。東京の国際的ステータスにふさわしい都市外交をさらに力強く進めていただきたいと思いますが、見解を伺います。
折しも来年は、北京市などの留学生用宿舎である東京都の太田記念館が開設二十五周年を迎えます。舛添知事も訪中の際にこの話題に触れて、北京市長をその記念事業に招待されました。さらに舛添知事は、この太田記念館を中日友好の人材交流のとりでの一つと捉え、記念館を活用した卒寮生や在寮生などのネットワークの構想も提唱されております。
そもそも戦後の日中国交正常化は、日中双方の卓越した民間人の交流による信頼関係が花を開いて実現したものであります。都の太田記念館を舞台とした日中相互理解のネットワークづくりは、都市外交、首都外交の大きな鍵を握るものであり、都議会公明党も大いに促進すべきと考えます。改めて知事の見解を伺います。
次に、東日本大震災の被災地に対する支援、とりわけ福島県に対する支援について質問いたします。
去る六月六日、公明党福島県議団が都庁を訪れ、舛添知事宛てに、福島の復興に向けた要望書を提出いたしました。この要望書は、福島県の復興ビジョンである、新生ふくしま二〇二〇年に向けてと連動するものであり、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会を視野に入れた要望でもあります。
具体的には、かつてサッカーのナショナルトレーニングセンターであった福島県内のJヴィレッジの活用が取り上げられております。このたび、Jヴィレッジの復興再整備スケジュール案が発表になり、東京大会前年の二〇一九年上旬に再開される予定となっております。
新生Jヴィレッジは、サッカーコートを十面も有するため、福島県からもオリンピックのサッカー競技の合宿等に活用していただきたいという強い要望があります。都としても、新生Jヴィレッジを復興のシンボルとして、オリンピックのサッカー競技の合宿等に活用できるように組織委員会などとともに取り組むべきであると考えます。都の見解を求めます。
次に、二〇二〇年の東京大会の成功に向けた取り組みについて質問いたします。
初めに、会場計画の見直しについてであります。
知事は、所信表明の中で、新たに整備する十の競技会場について、大会後の東京にどのようなレガシーを残せるのか、広く都民にどのような影響を与えるのか、現実妥当性を持って見定めていくと述べました。さまざまな観点に照らして、見直しはやむを得ないものと考えます。大事なことは、関係団体、議会、広く都民の理解が得られる見直しとするべきであります。知事の見解を伺います。
また、東京大会以降も使用される競技会場施設については、大会が終了した後も、都民や地元住民に親しまれ、有効活用されるような施設とするべきであります。
カヌースラローム会場を例にとれば、一昨年のロンドン大会では、計画の当初の段階から、大会後は市民のレジャー施設として活用することを想定して整備を行い、現在も利用者が多いと聞いております。
東京大会のカヌースラローム会場に予定されている葛西臨海公園は、水族園を初め、東京湾を一望できる砂浜や芝生広場など、自然を満喫できるスポットがそろう都内有数の公園であります。地元の江戸川区でも、多くの家族や子供たちが水遊びを楽しめる施設を望む声が根強くあります。カヌースラローム会場の見直しに当たっては、このような葛西臨海公園の持つ豊かな自然を可能な限り残すよう十分配慮するとともに、公園の持つ魅力をさらに高めるため、大会後は、地元から要望の強いプールなど水に親しめる施設としていくべきと考えます。都の見解を求めます。
次に、大会施設の環境対策についてであります。
都は、都有施設の整備において、世界でトップクラスの建物仕様である省エネ・再エネ東京仕様を適用するなど、率先して建築物の環境負荷の低減に取り組んでおります。
こうした都の取り組みや、我が国のすぐれた環境技術を世界にアピールする絶好のチャンスでもある東京大会の競技施設は、都の施設としての現行の省エネ、再エネの仕様に準じるだけでなく、さらなる環境負荷の低減に努めるため、最新の技術を取り込むべきと考えます。見解を求めます。
次に、海洋競技が行われる東京湾の水質改善についてであります。
東京湾は、カヌースラロームのほか、トライアスロンやボートなど多くの海洋競技の舞台となります。しかし、東京湾に流れ込む隅田川や多摩川等の河川の水質は、下水道の整備によって大幅に改善してはいるものの、東京湾では年間九十日も赤潮が発生しております。この状況を改善するためには、富栄養化の主な原因となっている窒素やリンを削減する下水の高度処理の導入を進めていくことが必要であります。
ところが、下水の高度処理施設の増設には、用地の確保、多大な費用、長い建設期間といったさまざまな課題があります。東京大会の開催に向けて、さらに東京湾の水質を改善するために、新たな視点に立ち、従来タイプよりも短期間に整備が可能な下水処理技術を導入すべきと考えますが、見解を求めます。
また、下水を高度処理するとエネルギー使用量が増加するとの課題もあります。環境にも優しい東京大会とするため、大会運営上重要な役割を果たす東京湾の水質改善に当たっては、大きく省エネルギー化に結びつく高度下水処理技術を開発し、導入すべきと考えます。見解を求めます。
さらに、東京湾の水質改善には、下水道以外の対策を含めた広域的な取り組みが必要であることから、東京湾周辺の各県などにも取り組みを促していくことが重要であります。都の見解を求めます。
次に、五輪文化プログラムについてであります。
オリンピック憲章は、スポーツを文化、教育と融合させる意義をうたい、大会の開催期間を中心に、文化プログラムを実施するよう求めております。これを近代オリンピック史上最大の規模と内容で展開したのが、二〇一二年ロンドン大会であるといわれております。
この大会で文化プログラムの中心役となったのが、一九四六年に経済学者ケインズの提唱によって創設されたアーツカウンシル・イングランドであります。これは、文化芸術分野の人材育成、民間文化団体への助成、政策提言等を行う専門機関であり、国際アーツカウンシル文化機関連盟には、世界七十カ国以上が加盟しております。
我が国では、二〇一二年十一月、日本で初めて本格設置されたのが東京都歴史文化財団の中にあるアーツカウンシル東京であります。
そこで、二〇二〇年東京大会に向けて、アーツカウンシル東京の体制をさらに強化するとともに、我が国の持つ文化芸術の力を結集して、文化プログラムの具体化を推進すべきであります。知事の見解を伺います。
文化プログラムは、音楽、美術、舞台、映像、伝統文化、アニメ、コミック、和食文化など分野が広範にわたり、イベントの形態も多種多様になると想定されております。このため、都立の文化芸術施設を初め、公園、図書館、庭園、水族園、さらには民間の施設等も活用し、町中の至るところで取り組めるようにすべきであります。都の見解を求めます。
次に、文化プログラムと並んで重要視されている教育プログラムについてであります。
東京大会に向けて、都は今年度から、都内小中学校など三百校をオリンピック教育推進校に指定し、オリンピック教育の先進的な指導事例に関する教育研修会も開催されております。児童生徒に対するオリンピック教育を進めることは評価いたしますが、その対象は、六年後を目指して都内全ての小中学校などに拡大すべきであります。
なお、その際には、映像を使った補助教材も作成するなど、オリンピック教育の充実を図るべきであります。見解を求めます。
関連して、全国の大学との連携強化について質問いたします。
過去の大会では、通訳を初め、救護や競技運営ボランティアとして活躍する多くの学生の姿がありました。都は、こうしたボランティア活動に加えて、大学と一体となった各種イベントの実施や、世界各国の学生との交流を進めるプログラムの実施など、学生の能力やそれぞれの大学が持つ特性を積極的に引き出すべきであります。大学や学生との連携強化について、都の見解を求めます。
次に、人権施策の推進についてであります。
観光案内標識や飲食店のメニューなど、五輪大会を機に東京を訪れる外国人観光客向けに、既に多言語表記などの取り組みが始まっております。その上で、今後は言葉の壁だけでなく、心の壁をなくす取り組みも重要となります。
昨年、都が実施した人権に関する世論調査によると、十年前に比べて都民の人権意識は高くなっているものの、外国人に対しては差別意識等が依然として存在しております。そうした現状を改善し、東京大会を史上最高の五輪大会にするためには、日本の文化を世界に発信するだけでなく、外国の文化、生活習慣などを理解し、相互に尊重し合うという多文化共生の理念の高まりが不可欠と考えます。
舛添知事が先頭に立って、国の内外にわたる人権尊重の理念や多文化共生社会の推進を力強く発信していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
ところで、都の人権施策の基本的な考え方を示した人権施策推進指針は、五年を目安に施策の見直しを行いながら進めることになっておりますが、実際には、策定から今日に至るまでの十四年間、一度も見直しが行われたことはありません。五輪開催に向け、国際的にも注目される今こそ、人権指針を見直すべきと考えます。見解を求めます。
オリンピック・パラリンピックに関する質問の最後は、各国選手団の事前合宿についてであります。
事前合宿は、大会で選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、時差解消や開催国の気候に順応するために行われるものです。二〇〇二年FIFAワールドカップでは、カメルーンの選手団が大分県中津江村に事前合宿したことが話題になり、地域おこしにもつながりました。
東京大会では、世界各国の数多くの選手団が日本国内において事前合宿を実施するものと思われますが、多摩地区を初めとする都内全域にも積極的に誘致し、地域住民、特に若者たちが世界中の人たちと国際交流を行う機会とするべきであります。見解を求めます。
次に、福祉と医療施策について質問します。
まず、地域包括ケアシステムについてであります。
地域包括ケアシステムは、高齢者が住みなれた自宅や地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療、介護、予防、生活支援、住まいなどのサービスを切れ目なく提供するものであります。
埼玉県和光市では、既に平成十五年からそうした取り組みが開始されており、要介護四や五といった重い介護状態でも、在宅での生活を選択できるように努めているほか、介護度の改善や悪化防止でも顕著な成果を上げております。
そうした取り組みを可能にしている要因の一つは、高齢者の実態を把握するための入念な調査にあります。和光市では、記名式の調査を全高齢者に郵送し、未回答の高齢者を全て訪問し、回答を得ております。調査の結果は、日常生活圏域ごとの地域ケア会議の場で詳細に分析され、三年間にわたる介護保険事業計画の中で到達すべき目標値を定める根拠となっております。
さらに、記名式で実施した調査結果は、本人の同意のもと、ケアプランを初め、医療、福祉、住まい、生活支援、権利擁護などのサービス提供者間でも共有化されており、無駄がありません。
残念ながら、都内自治体では調査が行われていなかったり、抽出であったり、無記名であったりなど、傾向性の把握しかできていない事例も見受けられます。しかも、二〇一五年から始まる第六次の計画策定に向けた調査は既に昨年から行われており、現時点では、ほぼ終了しております。
そこで、当面の対策として、都は、都内区市町村が調査結果を的確に分析し、地域ごとの課題の把握や、一人一人の高齢者に適したサービスの展開に結びつけられるよう支援をすべきと考えます。見解を求めます。
その上で、地域包括ケアシステムの機能を本格的に高めるためには、調査のやり方それ自体を見直す必要があります。自治体ごとの人口規模が大きい都内においては、往々にして詳細な調査は困難と思われがちであります。しかし、調査の単位を細かく分けたり、実施を複数年次に分けたりして行うなどの工夫によって、同様の効果が得られるはずであります。
三年ごとに行われる次の調査時期は、二〇一六年が中心となります。都は、都内全域の地域包括ケアシステムの効果を高めることを目指し、実態調査のガイドラインを示すべきであります。見解を求めます。
一方、重い介護度であっても、在宅で介護できるようにするために大切な点の一つは、二十四時間対応が可能な訪問介護による服薬介助や、介護保険の市町村特別給付を活用した流動食や刻み食の一日三回の提供などであります。こうした取り組みがあって初めて、介護度の重い高齢者でも、特別養護老人ホームに入所しているのと同じような安心感を持って、在宅での生活を選択できるのであります。都内においてもこうした取り組みが普及するよう、都は区市町村を支援すべきと考えます。
また、身体の機能を使わなくなることによって衰える廃用症候群を防ぐための見守りサービスも大切です。そのためには、ケアマネジャーに対し、ケア会議をOJT、すなわち職場内研修の場として捉え、具体的な事例をもとに、介護度の改善や悪化防止に役立つケアプランの作成能力の向上を図る取り組みが重要であります。
都は、介護度の改善や悪化防止に役立つサービスミックスを進めるためのこうした人材育成について、区市町村を支援すべきであります。あわせて見解を求めます。
要支援者向けサービスの区市町村事業への移行や、在宅中心の地域包括ケアシステムの実現に当たっては、予算組みの工夫やサービスの充実だけでなく、身体機能の改善に役立つ場合には、身体介護や家事援助よりも見守り介助を重視するケアプランへの転換など、利用者や家族の意識転換も必要であります。行政、とりわけ保険者である区市町村長の強いリーダーシップが求められております。
都においても、都内の区市町村長が強い覚悟を持って地域包括ケアシステムの実現に取り組むことができるよう、介護保険制度に造詣の深い舛添知事みずからが強いリーダーシップを発揮し、明確な方向性を指し示すべきと考えます。知事の決意を伺います。
次に、高齢社会における住宅対策について質問いたします。
高齢者の住まいに対するさまざまなニーズに対応していくためには、住民に身近な区市町村が、地域の特性に応じた施策を展開していくことが重要であります。そのためには、行政はもとより、不動産関係団体、NPO等が連携し、高齢者を初め、障害者、子育て家庭などが円滑に民間賃貸住宅に入居できるよう支援する居住支援協議会の設置が有効であります。
都内で居住支援協議会を設置している自治体は、いまだ三区しかなく、全区市町村に広げていく必要があります。そのためには、まず、都がみずからの居住支援協議会の設立をできる限り早めるべきと考えます。見解を求めます。
高齢者の住まいに対するニーズは多様化しております。可能な限り自立して暮らせる機能やサービスを備えた住宅や、高齢者が共同で暮らせるような新しい住まい方への期待も高まっております。
都は現在、サービスつき高齢者向け住宅の供給促進や、空き家を高齢者のグループリビング用に改修する費用を助成するモデル事業を実施しており、高齢者の住まいの選択肢をふやす効果が期待されております。
その上で、高齢者と子育て世代とが地域で触れ合える住まい方の選択肢が具体的に整っていけば、世代間交流を通し、さらに潤いや活力が生まれてきます。こうした高齢者のニーズも踏まえ、都は、多世代が一緒に住める住宅の供給を促進すべきと考えますが、見解を求めます。
次に、少子化対策について質問します。
来年度から始まる子ども・子育て支援新制度では、保育に欠ける子供から、保育を必要とする子供へと支援対象が拡大するため、都民の期待も膨らんでおります。その期待に応えるため、保育サービスの充実が一段と求められることになりますが、国が五月末に公表した公定価格、すなわち国や自治体から事業者に支払われるサービスごとの単価は、消費税率一〇%を前提にした平成二十九年度時点での仮単価であります。その結果、来年、再来年の単価は、それぞれ前年の十二月ごろ決定するとのことであり、事業者の最大の不安要因となっております。
現在、都内自治体は、このように未確定要素が多い中にあって、多様な子育てサービスの利用料を定め、財源を確保するなど、新制度の準備に臨んでおります。
そこで、準備に当たる区市町村への支援とともに、これまで都が独自に充実を図ってきた保育ママや小規模保育などの事業についても、国の動向を踏まえ、都の認証保育と同様に都としての支援を検討すべきと考えます。見解を求めます。
次に、病児保育について質問します。
保育ニーズの増大に伴い、子育て支援策の大事な柱である病児保育の必要性が一段と高まっております。しかしながら、病児保育を実施している自治体は都内でも偏在しており、しかも実施している自治体の域内でも、受け入れ施設が少ないなどの課題を抱えております。
こうした現状を打開するため、都は、区市町村による病児専用の保育施設の設置を強力に支援すべきと考えます。さらに、病児保育施設の偏在に伴う都民全体の不便を補うため、都は、近隣の自治体間で病児専用の保育施設を共同で活用する広域利用を積極的に推進すべきであります。あわせて見解を求めます。
次に、難病患者支援について質問します。
今国会で、医療費助成の対象となる難病の種類を拡大する法律が成立しました。東京都がこれまで支援の対象としてきた難病患者は当然のこと、都内医療機関も含めて、全ての関係者が新制度のもと、今後も安心して治療、療養を行うことができるよう万全を期すべきであります。その上で、難病支援には、支援拠点の機能と就労支援内容の充実が不可欠であります。
先月下旬、都議会公明党が視察した北海道難病支援センターは、相談と宿泊、そして患者や家族会の相互交流という三つの機能を担っておりました。難病相談員を配置して、療養生活や医療、福祉制度、年金など幅広い相談業務に応じているほか、定員十八名分の和洋室を備え、入院待ちや検査通院での長期宿泊にも応じております。ほかに交流スペースもあり、視察した日も患者や家族会の方々が熱心に交流しておりました。
北海道では、難病患者への就労支援にも力を入れております。難病支援センターに隣接する地域支援センターアラジンには、現在十六名の患者が通所し、ハローワークを通じた本格就労を目指しております。難病患者は日々病状が変化することから、計画的な就労が困難であり、各人の病状を慎重に見きわめ、助け合いながらトレーニングを重ねる姿が印象的でありました。
法の成立により、支援患者は大幅に増加します。また、都の難病相談支援センターの最寄り駅である広尾駅のバリアフリー化も進展し、利用者の利便性も向上しつつあります。
こうした中で、同センターの機能強化や多摩のセンターの新設、そして就労支援の強化など、施策の充実が必要と考えます。都の見解を求めます。
次に、処方薬依存症への対応について質問いたします。
近年、精神医療などで処方された薬が原因で薬物依存症に陥る人がふえております。一般的に薬物依存症というと、覚醒剤やシンナー、脱法ハーブなど、快楽や刺激を求めて手を出すというイメージがあります。
しかし、問題が顕在化しにくいのは、精神医療で処方された睡眠薬や抗不安薬などを大量に服用した結果、依存症に陥ってしまう、いわゆる処方薬依存症であります。患者の正確な数は把握されておりませんが、二〇一〇年に全国約千六百カ所の精神医療機関を対象に調査したところ、薬物障害患者のうち、処方薬を主たる原因とする患者の割合は、覚醒剤に次いで全国第二位となったとの調査報告もあります。
処方薬の摂取を中断した際に起きる精神的、身体的症状の恐ろしさは、覚醒剤などの他の薬物依存症と何ら変わらないといいます。さらに、自傷行為や自殺を企て、救急車で搬送されるケースもふえております。ただでさえ過酷な救急医療の現場に、より一層の負担がかかっている実態もあります。
いうまでもなく精神医療の治療は、薬物療法とカウンセリングなどによる精神療法の二つに大別されますが、我が国では、診療報酬上、薬物療法に手厚いため、結果的に精神療法を受けることが制限されております。都として、こうした現状を改善することを国に強く求めるべきであります。
あわせて、精神医療を受ける前段階として、患者が身近な地域で気軽に相談できる体制づくりや、調剤薬局の協力体制の確立など総合的に推進すべきであります。それぞれ見解を求めます。
次に、教育施策について質問いたします。
児童生徒がいじめによって自殺に追い込まれた事件が大きな社会問題になって以降、我が党は一貫して、いじめ防止のための条例制定を主張してまいりました。今定例会に、いじめ防止対策推進条例案が提出されたことを高く評価するものであります。
条例案では、都立学校での重大ないじめの事案の発生に備え、学校や教育委員会に常設の組織や附属機関を設置すると定めております。さらに、知事の指示により、常設機関とは別に有識者による附属機関を設置できるとしております。知事の判断で設置する附属機関については、議会への報告も義務づけており、重層的で、かつ透明性や公平性にも配慮したものといえます。そうした内容の本条例をもとに、いじめ防止の実効性を高めることについて、知事の見解を伺います。
とりわけ、いじめの発生率の高い小中学校への対策は急務であります。区市町村の教育委員会に、都と同様のいじめ対策用の附属機関を設置するためには、やはり条例の制定が必要であります。
都は、都内全ての区市町村において円滑に必要な条例の制定が進むよう支援すべきであります。見解を求めます。
条例の実効性を高める上で重要な役割を果たすスクールカウンセラーを常設で全校配置するよう、この際強く要望するものであります。
次に、防犯カメラの設置促進について質問いたします。
子供や女性等を狙った悪質、凶悪な事件が後を絶ちません。
これまで都議会公明党は、防犯対策の強化策として、防犯カメラの設置促進を繰り返し主張してまいりました。二〇一二年第二回定例会で、防犯カメラの設置効果をただした我が党の代表質問に対し、警視総監からは、犯行を思いとどまらせる効果に加え、犯人の特定、犯人の立証に極めて有効との旨の答弁がありました。
都は、青少年・治安対策本部を中心に、平成十六年度から商店街を、平成二十二年度からは町会等を対象に、防犯カメラの設置補助事業を実施してまいりました。この事業が開始されて以来、ことしで十年になります。当初の機材の老朽化や日進月歩の技術革新の中、我が党は、防犯カメラの更新について補助事業の対象とすべきと訴え、既に実現してまいりました。
今後は、都民の安全・安心を守るため、都は、防犯カメラに関する補助事業をさらに強化拡充すべきであります。見解を求めます。
先ごろ、当時小学一年生の栃木県の女児が、帰宅途中の通学路で凶悪な犯罪の犠牲となった事件について、防犯カメラに残された画像が犯人逮捕の有力な決め手になったとの報道がありました。都は、今年度新たに通学路防犯設備の整備事業を実施することにしておりますが、通学路の安全を願う都民の期待に応えるため、学校、家庭、地域の意向が十分に反映された事業とすべきと考えます。教育長の見解を求めます。
また、商店街や町会、自治会からは、防犯カメラの維持管理費についても補助を求める声が多く寄せられております。防犯カメラの維持管理費補助も視野に、都は取り組みを強化拡充するよう、改めて強く要望いたします。
次に、中小企業対策について質問します。
知事は日ごろから、中小企業や零細企業が元気になれば、東京全体に活力が生まれると述べております。
そこでまず、都内の中小企業への支援に臨む知事の決意を伺います。
ことし二月から、経営者保証に関するガイドラインの適用が開始され、信用保証制度を活用しない、いわゆる金融機関のプロパー融資でも個人保証に頼らない融資が可能となりました。これにより経営者個人の負担が軽減され、事業展開に取り組みやすくなるなどの効果が期待されております。
ガイドラインでは、企業と金融機関それぞれに具体的な取り組みを求めておりますが、都はこれをしっかりと周知し、都内中小企業の融資環境の改善に結びつけるべきであります。見解を求めます。
都は、我が党のかねてからの主張を受けて、動産・債権担保融資、いわゆるABL制度を創設し、ことし五月から取り扱いを開始いたしました。このABL制度は、経営者の個人保証や土地を担保にしない新たな資金調達手段として、実効性の高い取り組みであるといえます。
今後、都内中小企業の経営をより一層後押しするため、都はABL制度の利用促進を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
和食が世界無形文化遺産に登録されるなど、日本文化への関心は、近年世界的な広がりを見せております。
例えば、いわゆるポップカルチャーの分野でも、来る七月二日からの五日間、東京都と姉妹友好都市を結ぶパリで、アニメを中心としたジャパンエキスポが開催されます。ことしで十五回目となり、今やヨーロッパ最大の日本文化の祭典となっております。
一方、アニメやファッションなどのクールジャパン関連産業は、映像配信やグッズ販売だけでなく、衣食住を問わず、リアルな日本文化や生活習慣への関心を広げ、訪日意欲を高めるきっかけとなっております。
二〇二〇年の東京五輪は、クールジャパン分野で、長年、下支え的に活躍してきた多くの都内中小企業にとって、絶好のビジネスチャンスであります。東京に世界の注目が集まるこの機会を逃さず、クールジャパン関連産業が将来の東京の活力を担う産業の一つとして成長できるよう、都としても積極的に育成や発信を行うべきと考えます。知事の所見を伺います。
次に、環境対策について質問いたします。
我が党は、再生可能エネルギー促進PTを設置し、都が再生可能エネルギーの先導役を果たすよう主張してまいりました。これを受けて、舛添知事が今月三日、東京都再生可能エネルギー拡大検討会を設置したことは、普及拡大に向けた大きな一歩であり、評価いたします。
そこで、改めて、都が先頭に立って再生可能エネルギーの拡大を加速していくことについて、知事の見解を伺います。
我が党はかねてより、再生可能エネルギーの東北地方への投資は、東日本大震災の被災地の復興にも役立つと主張してまいりました。まさに官民連携ファンドこそ、被災地復興にも貢献するものであります。
そこで、現行の官民連携インフラファンドの成果と、今後の新たなファンドの活用の取り組みについて、都の見解を求めます。
次に、防災対策について質問いたします。
初めに、水害対策についてであります。
ことしの夏は、五年ぶりにエルニーニョ現象が発生し、秋にかけて続く可能性が高いといわれております。この現象が起こると、日本では集中豪雨に加え、台風の列島直撃等もふえると予測されていることから、浸水被害への備えが必要であります。
豪雨対策に必要なことは、河川整備、下水道整備、流域対策を複合的、重層的に実施していくことであります。中でも、宅地での雨水浸透が中心となる流域対策は広範に展開していくことが肝要であり、都民の協力が不可欠であります。
そこで、この流域対策を推進していくために、宅地での雨水浸透対策の一層の支援や啓発活動等に積極的に取り組むべきであると考えますが、都の見解を求めます。
また、浸水被害は豪雨だけが原因とは限りません。平成二十四年十月の米国を襲ったハリケーン・サンディは、ニューヨークの地下鉄を高潮によって水没させています。もし東京でこのような災害が発生した場合、沿岸の地下街や地下鉄等では、人命や公共交通機関等に重大な影響をもたらす可能性が高いと考えられます。
都は、地下街や地下鉄への水害は、豪雨のみならず、高潮や津波、地震による破堤などによっても起こり得ることを考慮すべきであります。地下街、地下鉄等を水害から守るためには、水害全般の対策等をしっかりと検討する体制づくりが不可欠であると考えますが、都の見解を求めます。
最後に、島しょ部の災害対策について質問いたします。
南海トラフ巨大地震発生の際には、救援活動が西日本に集中することが想定されております。そのため、八丈町では、人口約八千人が長期間にわたって孤立化することが危惧されております。また、最大で三十メートルを超える津波が想定されている新島村では、避難対策や備蓄の強化が最大の課題であり、我が党はその対策の推進を求めてまいりました。
都は、本定例会に東京都地域防災計画修正素案を報告しております。これには、南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定や、昨年十月に発生した伊豆大島豪雨災害の教訓を踏まえ、新たな課題と概要が記されております。
しかし、残念ながら、伊豆諸島それぞれの島が抱える状況が深刻であるにもかかわらず、緊急課題についての具体的な事業スケジュールが明らかになっておりません。加えて、島しょ部の状況は、地形や地盤、集落など、島ごとに異なります。
そこで都は、具体的な取り組み内容と事業スケジュールを明らかにした防災計画のアクションプランとなるものを早期に策定し、島しょ部の地域特性に応じた防災対策の強化を着実に進めるべきであります。見解を求め、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 橘正剛議員の代表質問にお答えいたします。
都市外交についてでありますが、外交は国の専管事項でありますけれども、都市には都市だからこそできる外交があると思っております。都市同士が交流を通じて相互理解を深めることは、国家間の良好な関係にも資するものであります。
私は四月に、王安順北京市長の招待を受けまして北京市を訪問し、都市問題の解決に向けた協力の推進で合意をいたしました。元外務大臣の唐家中日友好協会会長、汪洋国務院副総理など中国政府要人等との会談や、首都師範大学における学生との対話を通じ、日中相互理解の促進を図ることができました。
また、就任直後の二月のニューサウスウェールズ州首相の訪問を皮切りに、五月のベルリン副市長など、四カ月間で約二十件の表敬訪問を受け、積極的なトップ外交を行ってきたところであります。
こうしたさまざまな機会を通じ、粘り強く都市のレベルで人と人とのつながりを太くすることが、長期的に近隣諸国や世界の国々との関係を安定強化することにつながると思っております。
今後も、姉妹友好都市等との間で都市の課題解決に向けた協力や、文化、スポーツなど幅広い分野での交流を推進し、東京、日本、ひいてはアジアを初めとする世界の発展に尽力していきたいと思います。
太田記念館を活用した交流促進についてご質問がございました。
太田記念館は、日中友好に尽力し、孫文とも親交のあった故太田宇之助氏から生前に寄贈を受けました杉並区久我山の土地に、都が平成二年に開設した留学生宿舎で、これまで北京から約五百名近くの留学生を受け入れてまいりました。
先日、私は太田記念館で、中国大使館の韓志強公使と留学生受け入れ等の教育分野の責任者であります白剛公使参事官の同席のもと、日本で真剣に学ぶ北京からの留学生と懇談いたしました。
この席で、留学生からは、静かで落ちついた環境で安心して勉学に励むことができると、大学に近くて研究に専念できると、そういう声を聞きました。私も、フランスやスイスへの留学経験がございますけれども、利便性と居住環境にすぐれた太田記念館は、留学生活を送る上ですばらしい施設であると実感をした次第であります。
この交流施設をさらに有効活用し、東京と北京が直面している環境や都市交通などの問題を研究する留学生の受け入れを促進することは、大変有意義であります。今後、北京市と協力して、こうした留学生の優先的な受け入れを進めたいと思っております。
また、今後の友好のかけ橋となる人材バンク構築に向けて、太田記念館の卒寮生で日中友好に重要な役割を果たしている方の協力も得て、卒寮生のネットワークづくりに取り組む決意であります。
さらに、こうした取り組みを加速させるため、来年、開館二十五周年記念式典を開催し、そこに北京市長と駐日中国大使を招待したいと思っております。
今後の東京と北京の両都市の友好関係を発展させ、日本と中国の関係改善にもつながるよう、太田記念館を活用した東京都としての外交を積極的に推進していく所存でございます。
続きまして、会場計画の見直しについてでございますが、オリンピック・パラリンピックは、東京という都市に大きな変革をもたらす絶好の契機となります。都民にとって、大会期間中はもとより、大会後もオリンピック・パラリンピックの価値を実感できることが何よりも重要だと考えております。
そのため、私は、招致に当たって策定した会場計画を、都民、国民にとってよりよいものとするため、レガシーや都民生活への影響、整備コストの高騰への懸念などの視点から、再検討することといたしました。既存施設の活用や整備費の圧縮など、見直しの基本的な考え方に沿って、今後、具体的にこの見直しを進めていきたいと思っております。大会後の東京に、有形無形の貴重なレガシーが根づき、都民が二〇二〇年大会を本当に誇りに思えるものにしていきたいと思います。
今後、会場計画の再検討に当たりましては、都議会の皆様方のご理解とご協力を仰ぎながら、大会組織委員会との緊密な連携のもと、IOC、IPC、国内外の競技団体等と真摯に議論を行い、広く都民の理解が得られる計画としてまいります。
アーツカウンシル東京の体制強化と、我が国の芸術文化の力を結集した文化プログラムについてでありますが、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会を文化の面でも史上最高のものとするためには、先進的で類を見ない文化プログラムを展開していかなければなりません。
ロンドン大会では、組織委員会とロンドン市、そして芸術文化の推進機関であるアーツカウンシル・イングランドの三者が連携して取り組んだことが、この文化プログラムを成功に導いたわけであります。
都は、既にアーツカウンシルを日本で初めて本格的に設置いたしましたが、文化プログラムにおける中核的役割を果たしていくため、国内外のアーティストの活動支援はもとより、文化施設を支える人材の育成や、東京の特性を生かした先駆的な文化事業の企画、推進を担うことができますように、体制をより一層充実する必要があります。
このため、アーツカウンシル東京について、二〇二〇年に向けて今年度から強化に着手し、民間支援機能の拡充や専門人材の積極的登用などの取り組みを段階的に進めてまいります。
今後、組織委員会などと緊密に連携しながら、さまざまなジャンルの芸術家や人々の参加を得て日本の文化の力を結集し、二〇二〇年の東京大会を文化の面でも成功に導いてまいります。橘議員ご指摘のように、文化でも世界一になるんだと、そういう思いでこの二〇二〇年を有効に活用したいと考えております。
続きまして、多文化共生社会の推進などの人権施策についてでありますが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会を、史上最高、世界一の大会とするために、人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく差別は、オリンピックムーブメントとは相入れないというオリンピック憲章の理念が広く社会に浸透している、それがこの東京なんだと、そういう成熟した都市の姿を示すことが重要であります。
日本には、他者を思いやり、尊重し、互いに助け合って生活する伝統と、多様な文化を受け入れ発展してきた歴史がございます。こうした日本の特性を十分に生かし、心のバリアフリーを実現することで、日本人と外国人が互いに阻害し合うことなく、民族、文化、宗教などの多様性を理解し、尊重し合う社会を築き上げ、日本を訪れる人々に最高のおもてなしをしたいと思っております。
そのためには、多文化共生社会の実現に向けて、多様性への理解と、差別はあってはならないという人権尊重の理念を都民全体で共有できるように積極的に啓発に取り組むとともに、都の姿勢を国内外に発信してまいります。
ハンナ・アーレントという女性ですけれども、これはユダヤ人、ドイツ人で、ナチに迫害されまして、ヨーロッパ、アメリカで活躍しましたけれども、彼女がいった言葉で私が非常に重く思っていますのは、民主主義の基礎というのは人間の多様性にあるということであります。そういう思いを、東京の人々、日本国民全体が持つことが、さらにすばらしい東京、さらにすばらしい日本を実現する道だと確信しております。
続きまして、地域包括ケアシステムについてでありますが、多くの高齢者は、たとえ介護が必要になっても、可能な限り住みなれた地域で生活したいと望んでおります。そうした社会を実現していくためには、高齢者のための適切な住まいを確保し、医療や介護、生活支援サービスが日常生活の場で切れ目なく提供できる地域包括ケアシステムを構築していかなければなりません。
政策の出発点は、常に現場にある。地域の高齢者の実態や地域の資源を最もよく知っているのは、介護保険制度の保険者である区市町村であります。
今後、区市町村とともに、高齢者が安心して暮らし続けることができる大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムの構築に向け、全力で取り組んでまいります。
続きまして、いじめ防止の実効性を高めることについてでございますが、いじめは、子供の生命や心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものでありまして、絶対に許されない行為であります。とりわけ、子供がいじめを苦にしてみずからの命を絶つようなことは決してあってはなりません。いじめ問題を解決するために、学校や保護者はもとより、社会全体の力を結集する必要がございます。
この条例では、都、区市町村、学校、保護者等のそれぞれの責務を明確にするとともに、地域や関係機関等と緊密に連携するための組織や、重大な事態が発生した場合の調査体制の整備などについて定め、実効性のあるいじめ防止対策を推進できるようにいたしました。
いじめは、どの学校でも、どの子供にも起こり得る。全ての子供たちが安心して学校に通い、学ぶことができるよう、学校、家庭を初め、社会全体でいじめ問題に対応していくことを目指し、都として全力で取り組んでまいります。
中小企業の振興についてでございますが、東京の中小企業は、長く続いたデフレの中でも懸命に経営革新に取り組み、困難な状況に立ち向かってきました。都内企業数の九九%を占める中小企業が、景気の好循環の波に乗り元気にならなければ、東京の発展、ひいては日本の成長はあり得ません。
そのため、中小企業の経営基盤の強化に向け、新たな取引先の開拓や日々の資金繰りなどのさまざまな経営課題の解決をきめ細かく支援してまいります。
また、成長産業分野への参入や、世界市場への果敢な挑戦を強力に後押しするとともに、大企業や大学、研究機関との連携を強化し、新たな技術や製品の開発に向けた中小企業のイノベーションを推進してまいります。さらに、意欲ある多様な人材が知識や経験を生かし、みずから会社を興して新しい事業にチャレンジできるよう、創業環境の整備にも力を注ぎます。
こうした施策を総合的に展開することで産業力を強化し、東京の経済を再生させ、持続可能な成長軌道に乗せてまいります。
続きまして、クールジャパン関連産業に対する支援についてご質問がございました。
日本人は、四季の移り変わりを生活や文化に反映し、繊細な美的センスを育んできました。アニメやファッションなどは、こうした日本人の豊かな感性が生み出す独自の魅力で、海外の人々を魅了しており、ビジネスとしても世界に通用する競争力を持っております。
大都市東京には、マスメディアや巨大な消費市場の存在を背景に、いわゆるクールジャパンを支えるクリエーティブ産業が集積しており、すぐれた感性を持つ多様な人材が切磋琢磨し、新たな価値をつくり出しております。
都は、こうした東京の強みを十分に生かし、これらの分野における人材の輩出や関連企業の国際展開などを集中的に支援して、東京に活力と成長をもたらすリーディング産業として育て、その魅力を世界に発信してまいります。
再生可能エネルギーの拡大についてでありますが、東京は電力の大消費地であり、都民、事業者の活動に不可欠なエネルギー需給の安定を図るとともに、気候変動対策にも資する低炭素な電力の利用割合を拡大していくことが重要であります。
このため、今月三日に、エネルギーの専門家や民間事業者から成る東京都再生可能エネルギー拡大検討会を立ち上げたところでありまして、都内外での再生可能エネルギーの導入拡大に向けた具体策を検討してまいります。
第一回会議には私も参加いたしましたが、地価が高い東京の制約を踏まえた官民連携再生可能エネルギーファンドによる東北地方などへの設置促進や、都内においても大量にストックがある住宅及び屋外駐車場への太陽光発電の導入など、東京の特性を生かした今後の取り組みについて、活発なご議論をいただきました。
この検討会におきまして、都内外で導入拡大を図るためのさまざまな工夫や新たな可能性について議論を重ね、検討結果は、年末までにまとめます東京都長期ビジョンに反映させてまいります。
都の施設におきましても、浄水場や水再生センターへの太陽光、バイオマス及び小水力発電の設置など率先した導入を進め、東京オリンピック・パラリンピックも見据えた上で、東京全体で再生可能エネルギーの拡大に向けた取り組みを加速し、環境先進都市東京の姿を国内外に示していきたいと思っております。
なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁させます。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) ご答弁申し上げます前に、先ほどの答弁に誤りがあり、議事を混乱させてしまい、まことに申しわけありませんでした。深くおわびを申し上げます。
教育に関する三点のご質問ですが、まず、オリンピック教育の充実についてであります。
児童生徒がオリンピックやパラリンピックの理念や歴史を正しく学び、我が国や他国の生活や文化を理解することは重要であります。
都教育委員会は、本年度、オリンピック教育推進校を三百校指定し、地域の外国人や留学生との交流などの取り組みを行うとともに、オリンピック学習読本の制作を進めており、今後、映像教材等の作成も検討をしてまいります。
六年後の開催に向けて、こうした推進校の取り組みを踏まえ、オリンピック学習はもとより、学校と参加国が交流する一校一国運動や、大会運営を支えるボランティアの育成など、さまざまな取り組みを都内全ての公立小中学校等で展開し、児童生徒が国際的な視野を養い、世界平和に貢献する教育を積極的に推進してまいります。
次に、区市町村のいじめ防止対策推進条例制定のための支援についてであります。
いじめ問題の解決には、未然防止の取り組みを推進するとともに、いじめが発生した場合の対処や、再発防止の対応を確実に行う体制づくりが必要であります。
本定例会に提案をしておりますいじめ防止対策推進条例では、基本理念を明らかにするとともに、都及び学校等の責務、対策を推進するための附属機関などの組織に関する基本的な事項などを定めることにより、いじめ防止対策を総合的かつ効果的に推進する体制について規定をしております。
都教育委員会は、区市町村教育委員会に対して、本条例を初め、今後制定する都の基本方針や総合対策の趣旨を周知し助言を行うとともに、各自治体がいじめ防止のための条例や方針を適切に策定することができるよう、積極的に支援を行ってまいります。
次に、通学路における防犯カメラの整備についてであります。
都内におきましても、登下校時の児童が事件に巻き込まれる事例が発生しており、学校、家庭、地域が連携をした通学路の見守り体制の充実が求められております。学校の通学路に防犯カメラを設置することは、こうした体制を強化する上で有効でございます。
このため、今年度から五年間で、希望する全ての公立小学校の通学路に一校当たり五台程度の防犯カメラを設置できるよう、区市町村に設置経費の二分の一を補助する事業が開始されました。
都教育委員会は、区市町村教育委員会が地域住民の合意を得ながら防犯カメラの設置を円滑に進められるよう、事業説明会や導入意向調査の実施、運用基準例の提供など、きめ細かく区市町村を支援してまいります。
〔東京都技監藤井寛行君登壇〕
〇東京都技監(藤井寛行君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、東京都居住支援協議会の設立についてでございますが、都は、今月中の居住支援協議会の設立を予定しており、現在、その母体となる、すまいサポート連絡協議会の構成員と鋭意協議を重ねているところでございます。
なお、活動内容といたしましては、区市町村による協議会の設立と取り組みを支援するため、区市町村や不動産関係団体、NPOなどを対象に、協議会の役割や事業推進に関するセミナーの開催などを予定しております。
また、既に設立された他県の協議会の取り組みなどについても広く調査し、情報提供してまいります。
今後、こうした活動を通じて、高齢者など住宅の確保に配慮を要する方々の居住の安定確保を図ってまいります。
次に、高齢者が多世代と一緒に住める住宅の供給促進についてでございますが、高齢者が住生活において、多様な世代の方々との触れ合いが可能となる環境を整えていくことは重要でございます。
このため、高齢者とさまざまな居住者とが交流しながら暮らし、災害時にも助け合える住宅をモデル的に整備することとし、新たに一般住宅を併設したサービスつき高齢者向け住宅整備事業を実施することといたしました。
事業を進めるに当たりましては、民間から創意工夫を生かした提案を公募し、区市町村の意見も踏まえ、年内に事業者を選定いたします。
今後とも、高齢者が生き生きと安心して生活できるよう、多様化するニーズに対応した住宅の供給を進めてまいります。
次に、流域対策の推進に向けた取り組みについてでございますが、都は、豪雨時の流域対策の実効性を高めるために、雨水貯留浸透施設への一層の支援や、重点的に対策を実施する流域ごとの豪雨対策計画の拡充などの考え方を含んだ豪雨対策基本方針を今月末に改定する予定でございます。
こうした流域対策を着実に実施していくには、都民や企業などからの理解と協力を得ていくことが不可欠でございます。
そのため、都及び区市町村から成る総合治水対策協議会の活用、施設見学会の実施、ホームページでの周知など、さまざまな機会を捉え啓発活動などを積極的に行い、流域対策の一層の促進に努めてまいります。
最後に、地下街などの浸水対策への体制づくりについてでございますが、都はこれまで、地下街における豪雨時の浸水防止や避難確保などの対策を促進するために、地下空間浸水対策ガイドラインや大規模地下街ごとの浸水対策計画の策定に取り組んでまいりました。
地下街の浸水対策の実効性を一層高めるためには、水害の原因や地域特性を考慮した上で、地下街に隣接する地下鉄やビルなどにも対象を広げることが必要であり、今後これらの施設管理者と水害対策の検討体制の構築に取り組んでまいります。
また、国が水災害に関する防災、減災対策のため、本年一月に設置した地下街・地下鉄等ワーキンググループにおける検討状況を踏まえるなど、効果的な浸水対策を推進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、Jヴィレッジの活用についてでございますが、二〇二〇年大会の開催に当たり、スポーツを通じて被災地の復興支援を行うことは非常に重要であります。被災地におきまして事前合宿等の大会関連事業が実施されることは、復興した姿を世界に示すことができるとともに、被災者の方々にとりましても、オリンピック・パラリンピックを身近に感じていただける大変よい機会であります。
お話のあった福島県のJヴィレッジは、日本サッカー界初のナショナルトレーニングセンターとして開設され、震災後に福島第一原子力発電所事故の対応拠点として利用された、国際スポーツや震災復興の象徴的な施設であります。
都としては、大会組織委員会や国などと緊密な連携を図りまして、このJヴィレッジを初め、被災地のスポーツ施設について事前合宿の誘致を支援するなど、被災地の声をきめ細かく聞きながら、被災地支援を積極的に進めてまいります。
次に、カヌースラローム会場の整備についてでありますが、都が整備する競技会場は、オリンピック・パラリンピック大会の要件を満たすとともに、環境にも十分配慮しながら整備を行い、大会後には、都民の貴重な財産として有効に活用される必要があります。
カヌースラローム会場の計画地であります葛西臨海公園は、お話のとおり、その豊かな自然環境とともに、葛西臨海水族園や人工なぎさ、芝生広場など、都内でも有数の水辺の憩いと行楽の場であります。こうしたことから、公園の自然環境への配慮も踏まえ、隣接する下水道局用地の活用など施設配置の検討を行ってまいります。
また、カヌースラローム競技施設は、その特性から、カヌー競技のほか、プールなど水辺に親しめるさまざま活用が可能であります。ご提案のような葛西臨海公園の持つ魅力をさらに高め、地域の方々のニーズにも応えながら、より多くの都民に利用されるよう、大会後の施設の利活用について検討してまいります。
次に、二〇二〇年東京大会の開催に向けた大学との連携についてでありますが、大会の開催準備や運営に多くの学生の参加を得ることは、大会を成功に導く上で重要であり、次の世代を担う若者たちにとって貴重な経験となります。
大会組織委員会は、この六月二十三日に、全国の大学に呼びかけ、五百を超す大学の賛同を集め、協定を結ぶ予定であります。今後、オリンピック教育の推進やグローバル人材の育成などに、各大学が語学や医療などの専門性や強みを生かして取り組んでまいります。
都におきましても、オリンピック・パラリンピックを題材とした大学の講座等への講師派遣や、東京マラソンでの救護活動への学生の協力、大学の持つスポーツ医科学のノウハウを生かした高校生アスリートの競技力向上事業などにより、大学との連携を進めてまいります。二〇二〇年大会を支える人材を育成するとともに、学生が自信と誇りを持ち、国際社会への理解を深められるよう取り組んでまいります。
最後に、二〇二〇年大会の事前合宿についてでありますが、事前合宿等の大会関連事業が多摩地区を初めとする都内各所で実施されますことは、都内の開催機運の醸成に極めて重要であるとともに、地域の方々、とりわけ次の世代を担う若者が身近に国際交流を体験できる貴重な機会となります。
今後、大会組織委員会において各競技の事前合宿に求められる要件を設定して、全国から要件を満たす候補地を募集する予定でございます。リオ大会までに各オリンピック委員会の参考となるよう、候補地情報を記載したガイドブックを作成してホームページで公表し、情報提供する予定であります。
都といたしましては、大会組織委員会が事前合宿の要件を設定する前に、都内区市町村が準備し、応募する際の参考となるよう、過去大会における事前合宿の実例などについて情報提供してまいります。また、都内の候補地に関する情報を大会参加国へ積極的に発信するなど、さまざまな支援を実施してまいります。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
〇財務局長(中井敬三君) 都が整備をするオリンピック・パラリンピック施設などへの最新の環境技術の活用についてでありますが、都は、平成二十三年に省エネ・再エネ東京仕様を策定するなど、これまでも率先して省エネ、再エネ技術の導入に取り組んでまいりました。
一方、近年、建築分野における環境技術の進展は著しいことから、施設の特性や費用対効果等を勘案しながら新技術の検証を行ってきたところであり、これらの成果を踏まえて、現行仕様をこの六月に改正いたします。これにより、一層の高効率な電気設備の採用を行うとともに、自然の風や地中熱の積極的な活用などを進めてまいります。
こうした取り組みを都が整備するオリンピック・パラリンピック施設にも適用するとともに、今後も、さらなる新技術の導入により、環境負荷の低減に積極的に取り組んでまいります。
〔下水道局長松浦將行君登壇〕
〇下水道局長(松浦將行君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、下水の高度処理の短期間での導入についてでございますが、従来の高度処理は、施設の新たな整備が必要で、導入に期間を要します。そこで、従来の高度処理に比べて窒素とリンの除去率が若干低いものの、既存施設の改造と運転管理の工夫により効率的に水質改善を図ることができる準高度処理の導入を平成二十二年度より進めております。
従来の高度処理は、平成八年度の導入開始から十八年かけて百十九万立方メートル分の導入にとどまっておりましたが、準高度処理では、平成二十六年度までの五年間で百二十二万立方メートル分が完成する見込みであり、高度処理の能力を倍増させることとなります。
今後は、平成二十七年度から三十一年度までの五年間で、新たに百三十八万立方メートル分の準高度処理を導入し、さらなるスピードアップを図ってまいります。
次に、新たな高度処理技術の開発と導入についてでございますが、従来の高度処理と同等の窒素やリンの除去率を確保するとともに、省エネルギー化を可能とする新たな高度処理の技術開発をことしの三月に完了いたしました。
準高度処理と新たな高度処理は、従来の高度処理と比較すると、いずれも電力使用量を二割以上抑制できます。既存施設の状況などに応じまして最適な高度処理技術を計画的に導入し、水質改善と省エネルギーの両立を効率的に実現してまいります。
新たな高度処理は、今年度、芝浦水再生センターへ、平成二十七年度は、さらに葛西、浅川の二つの水再生センターへ導入することとしております。平成三十一年度までに、一日平均処理水量の七割以上に相当する四百万立方メートル以上の高度処理を導入し、東京湾の水質改善に一層貢献してまいります。
〔環境局長長谷川明君登壇〕
〇環境局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、東京湾の水質改善についてでございますが、東京湾にかかる汚濁負荷は、下水道事業に関するものが約四割を占めるほか、下水道未整備地域の市街地からの雨水や、水田、畑、山林からの排水等に起因しており、広域的に取り組むことが重要でございます。
このため、東京、神奈川、千葉、埼玉の一都三県は、国の総量削減基本方針に基づき、それぞれ計画を定め、下水道の整備のほか、事業所等への規制指導や浄化槽の整備など、陸域におけるさまざまな施策に取り組んでおります。
また、東京湾再生推進会議等を通じて、国や関係自治体が協働し、底泥のしゅんせつ等の海域の環境改善対策を実施するほか、施策効果を把握するための水質モニタリングも行っております。
今後とも、東京オリンピック・パラリンピックの開催にふさわしい都市として、親しみやすく美しい東京湾の再生を、周辺の各県などとも協働して目指してまいります。
次に、官民連携ファンドについてでございますが、現行ファンドは、千葉県の火力発電など一般家庭約二十七万世帯分の電力量に相当する電源確保に貢献してまいりました。今年度は、東北地方の再生可能エネルギー案件として、宮城県や福島県において太陽光発電に投資する運びとなっております。
再生可能エネルギーの利用割合二〇%の実現を目指して創設する新たなファンドにつきましては、東北地方などにおける広域的な普及拡大と都内での導入を図るべく、運営事業者の募集を先月開始し、十月下旬には選定を完了、来年二月までのファンド立ち上げを予定しております。
今後、ファンドを活用し、被災地の復興にもつながる再生可能エネルギーの一層の普及拡大に取り組んでまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕
〇生活文化局長(小林清君) 町中の至るところで文化プログラムを展開することについてでありますが、都はこれまで、民間の美術館と町が連携したイベントである六本木アートナイトや、文化施設が集積する上野恩賜公園でのヘブンアーティスト公演などを通じて、地域の特性を生かした文化の魅力を発信してまいりました。
昨年一月にIOCへ提出した立候補ファイルでは、文化プログラムの基本的な考え方の一つとして、大会期間中、都市自体が祝祭のための大きな劇場となると示されております。
二〇一二年のロンドン大会では、市内の広場で数千人のダンサーが一斉に踊ったり、市中心部の交差点でのサーカスイベントなど、公共空間を活用した数多くの文化プロジェクトが実施されました。
東京大会におきましても、公園や道路などの公共空間や民間の文化施設などを積極的に活用するとともに、多くの人が集まる都心部の交差点、高層ビルや地下街など、これまでに例のない場所での事業展開も検討してまいります。
今後、国内外の文化関係者からアイデアを広く募るとともに、東京芸術文化評議会での議論も深めながら、こうした文化プログラムの実現に向けて取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、人権施策推進指針の見直しについてでございます。
東京を世界一の都市とするためには、全ての人が互いに認め合う人権尊重理念の浸透が不可欠でございます。都はこれまで、人権施策推進指針を踏まえ、啓発、教育、相談などの人権施策に取り組んでまいりました。
しかし近年、子供や高齢者に対する虐待などの人権問題に加え、インターネット上での誹謗中傷やプライバシー侵害の増加など、人権を取り巻く状況は複雑多様化しております。さらに、オリンピック・パラリンピック開催都市にふさわしい、人権が尊重される社会の実現が求められております。
このため、今後の人権施策の基本的な考え方について検討する外部有識者の会議を設置し、人権施策推進指針の見直しに着手することといたします。
次に、島しょ地域の防災対策の強化についてでございます。
南海トラフ巨大地震による被害想定等に基づき、島しょ地域における津波対策など、必要な取り組みを地域防災計画修正素案として取りまとめました。現在、都民の皆様のご意見を伺うため、パブリックコメントを実施しております。本定例会での議論も踏まえ、七月には計画を修正し、全庁を挙げて防災対策を進めてまいります。
さらに、二〇二〇年を見据え、スピード感を持って防災対策を推進するため、年内に防災プランを策定いたします。防災プランでは、地震等を初めとする災害への備えについて、自助、共助、公助の取り組みをわかりやすく示すことといたします。南海トラフ地震に伴う津波対策につきましても、必要な取り組みや事業の工程を明らかにし、地元自治体と連携しながら、島しょ地域の防災対策を着実に推進してまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 八点のご質問にお答えいたします。
まず、日常生活圏域ニーズ調査の活用についてですが、区市町村は次期計画策定に当たり、高齢者の実態やニーズ、地域の抱える課題や不足しているサービス等を分析してサービス見込み量を算定するため、日常生活圏域ニーズ調査を実施しております。この調査は、国が具体的な調査項目を示しておりますが、都はこの内容とあわせて、計画策定に向け取り組むべき課題等を区市町村の担当者向けに説明しております。
次期計画では、今後三年間の介護サービスの利用見込みに加え、十年後を見据え、必要な介護サービス量の推計も盛り込むこととなっており、都は、調査から得られたデータをツールを使って分析し、地域の実情や課題を踏まえ、適切なサービス展開が図られるよう、区市町村へのヒアリングや助言を行い、積極的に支援してまいります。
次に、地域包括ケアの実現に向けた方策についてですが、地域包括ケアシステムの構築のためには、お話のように、日常生活圏域ニーズ調査の中で高齢者の実態とニーズを的確に把握するとともに、地域包括支援センター等で行う地域ケア会議での個別課題の検討を通じて、地域資源を把握することが重要でございます。
そのため、都は昨年度、地域ケア会議で地域の課題の把握、分析を行い、政策立案に結びつけられるよう、会議の望ましい姿や効果的な運営方法、すぐれた実践例等を盛り込んだ報告書を取りまとめました。今後、都は報告書を活用し、地域ケア会議の活用を一層推進するとともに、区市町村の行う調査の充実が図られるよう、国の動向や区市町村の意見も踏まえながら、そのあり方を検討してまいります。
次に、在宅介護や人材育成への区市町村支援についてですが、介護度の重い高齢者でも在宅で安心して生活できる環境を整備するため、都は、二十四時間対応可能な小規模多機能型居宅介護や複合型サービス等、地域密着型サービスの整備に補助を行い、区市町村を支援しているところでございます。
また、昨年度、実例を使ったリ・アセスメント支援シートなど、区市町村と介護支援専門員が協力してケアプランの点検を行うためのガイドラインを作成いたしました。今後、適切なケアプランにより、高齢者ができるだけ自立した生活が送れるよう、区市町村に対し研修の実施や専門的助言を行う人材の派遣等を行ってまいります。
こうした取り組みにより、在宅サービスの基盤整備や適切なサービス提供を支える人材の育成を進め、地域包括ケアシステムの構築に取り組む区市町村を支援してまいります。
次に、子ども・子育て支援新制度についてですが、お話のとおり、先月示された新制度における公定価格の仮単価は平成二十九年度の単価であり、平成二十七年度、二十八年度の金額や加算項目などの具体的な内容は、いまだ国から示されておりません。都としては、早急に必要な情報を提供するよう、改めて国に対し強く求めるとともに、新制度に向けた区市町村の準備が円滑に進むよう支援してまいります。
また、現在、東京都子供・子育て会議では、新たに策定する子供・子育て支援事業支援計画に盛り込む施策の方向性や具体的な取り組みについて議論を行っているところでございます。家庭的保育や小規模保育などへの支援につきましては、会議での議論や国からの情報も踏まえながら、今後、支援のあり方を検討してまいります。
次に、病児保育についてですが、都は、区市町村における病児保育の取り組みを促進するため、保育所や医療機関等の専用スペースで実施する際の施設整備や、病児保育施設の人材やノウハウを活用した地域の保育所への支援等を都独自に支援してまいりました。また、今年度から病児保育施設を複数の区市町村で広域利用する場合、賃借料を補助する取り組みを開始いたしました。
お話のように、病児保育のニーズは高まっており、今後、一層サービスを拡充することが求められております。そのため、都は今後とも、施設整備を進める区市町村を積極的に支援するとともに、東京都医師会の協力も得ながら地域の医療機関の取り組みを促してまいります。また、自治体間の広域利用が進むよう都が調整役を担い、隣接する区市町村それぞれに対して働きかけてまいります。
次に、難病患者への支援についてですが、都はこれまで、難病患者の日常生活や就労に関する相談や支援を行う拠点として、難病相談・支援センターを設置し、在宅での療養生活や、患者、家族の交流活動を支援するとともに、家族等の事情で介護が受けられない場合には一時的に入院できるよう、病床を確保してまいりました。
難病は、長期の療養を要し、患者本人や家族に大きな負担が生ずるため、安定した療養生活の確保と生活の質の向上を図ることが重要であり、本年五月に成立した法律におきましても、療養生活に関する相談や支援等が都道府県事業として改めて位置づけられ、明記されたところでございます。
法に定められた事業の具体的な内容は、今後国から示される予定であり、その内容や、お話の他の自治体の取り組みも踏まえ、都としての今後の施策展開を検討してまいります。
次に、精神疾患の治療法についてですが、国は、平成二十六年度の診療報酬改定において、適切な向精神薬の使用を推進するために、薬を多剤処方した場合の減算規定を新設するなどの対策を講じました。
一方、精神療法の一つであり、世界的に広く使用されている認知行動療法につきましては、平成二十二年度から新たに診療報酬の対象となりましたが、対象疾患が鬱病等の気分障害に限定されており、また、個別の患者に実施することなどが要件となっております。
このため、都は国に対し、認知行動療法の診療報酬について対象疾患を拡大するとともに、集団を対象とする場合にも評価するよう求めており、今後とも、精神疾患に有益な治療法に対して、適切な診療報酬上の評価がなされるよう強く働きかけてまいります。
最後に、精神疾患患者を地域で支える体制についてですが、精神疾患に関して、身近な地域で気軽に相談ができ、必要なときに適切な医療が受けられる仕組みを構築していくためには、地域の関係機関が連携して取り組むことが重要でございます。
このため、都は現在、四つの二次保健医療圏で、医療機関や調剤薬局、保健所、精神保健福祉センター、地域活動支援センター等の相談機関等による地域連携会議の開催や連携マップの作成などを行うとともに、一般診療科と精神科の合同症例検討会等を実施しているところでございます。
今年度はこうした取り組みを六つの圏域に拡大し、医療機関や調剤薬局と相談機関の連携強化、向精神薬の適切な処方の普及など、精神疾患患者を地域で支える体制づくりを推進してまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 防犯カメラの設置に対する補助事業についてでありますが、防犯カメラの設置は、防犯に関する地域の活動を進める好機となることに加え、犯罪の抑止や犯罪が発生した場合の事件の解決にも資することから、地域の安全・安心を確保する上で大変有効であると考えております。
このため、都は、都議会のお力添えをいただきながらこれらの事業を積極的に推進し、これまでに町会等にあっては合計二千百二十二台、商店街等にあっては合計二千六百六十五台の防犯カメラの設置を進めてまいりました。
さらに、設置後七年を経過した更新分も補助の対象に追加したほか、今年度は、より多くの地域に普及するよう予算を大幅に増額するとともに、通学路に設置される防犯カメラに対する補助事業を創設いたしました。引き続き、地域の活動を積極的に支援してまいります。
〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕
〇産業労働局長(塚田祐次君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、経営者保証に関するガイドラインについてでありますが、このガイドラインでは、中小企業が個人保証によらない融資を希望する場合は、法人と経営者個人の資産の明確な分離や財務基盤の強化による返済能力の向上等を求めております。一方で金融機関には、ABLなど個人保証の機能を代替する融資手法の充実や、個々の事業者の状況に応じた適切な対応等を求めております。
こうした内容の周知を図るため、東京信用保証協会において、事業者に対し丁寧かつ具体的な説明を行っております。
今後、都といたしましても、制度融資の窓口でのパンフレットの配布や相談員による案内に努めますとともに、希望する中小企業に対して、本ガイドラインに対応した保証制度の活用を促してまいります。
次に、ABL制度の利用促進についてでありますが、都が中小企業の資金調達の多様化を目的として創設したABL制度は、個人保証によらない融資手法の一つとしても有効な取り組みであります。現在、担保物件の種類ごとに、専門的なノウハウや実績を有する六つの機関を選定し、十九の金融機関で融資を受け付けております。
都では、この制度の周知を図るため、事業者向けのパンフレットを作成し、中小企業団体等を通じて広く配布しております。また、商工会議所や商工会等に直接出向き、経営指導員に対する説明会などを行うとともに、取扱金融機関の営業職員向けの勉強会も実施しております。
今後とも、取扱金融機関のさらなる拡大に努めますとともに、事業者に対する普及啓発に積極的に取り組むなど、ABL制度の利用促進を図ってまいります。
〇副議長(藤井一君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時四十九分休憩
午後六時十分開議
〇議長(吉野利明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
百四番かち佳代子さん。
〔百四番かち佳代子君登壇〕
〇百四番(かち佳代子君) 日本共産党を代表して質問します。
知事の所信表明は、三環状道路や都市再生、国際金融センターなどが強調される一方、都民生活にかかわる問題は極めて抽象的でした。とりわけ、自治体として最大の仕事である都民の暮らしをどう守るのかということに言及がありませんでした。
四月から、消費税増税など八兆円の負担増によって、国民、都民の暮らしと経済が深刻な影響を受けています。物価は前年同月比で三・二%上昇しました。一方、労働者の基本的賃金は下がり続け、年金や児童扶養手当も引き下げられています。消費支出も大幅に落ち込みました。民間会社の調査では、増税後、八割の人が買い物での購入が慎重になったと答えています。商店は、増税と売り上げの減少で、閉店、廃業が相次いでいます。
知事は、消費税増税後の都民の暮らし、営業のこうした事態をどう認識し、どう対応するのですか。
知事は、就任後のインタビューや三月に出版した著書で、消費税率一〇%への引き上げに関し、相当慎重に経済状況の判断をしなくてはいけないと述べています。来年予定されている一〇%への引き上げは絶対に許してはならないと思いますが、知事の所見を伺います。
政府は、消費税増税は社会保障のためと説明していますが、社会保障の充実には増税分の一割しか回されません。社会保障は、充実どころか逆に切り捨てが進められようとしているのです。知事、ひどいやり方だと思いませんか。
衆議院で与党が強行採決した医療・介護総合法案は、病床の大幅な削減、介護保険の利用料の引き上げ、要支援の方を介護保険サービスから外し、特養ホームの対象を原則要介護三以上に絞り込もうというものです。
しかも、我が党の追及により、厚生労働大臣は介護保険の利用者負担を一割から二割へ引き上げても大丈夫だと説明していた根拠が誤りであり、撤回せざるを得ませんでした。
知事は、この法案をどう認識していますか。こんな法案は、知事として撤回を求めるべきです。お答えください。
国民健康保険料、保険税が払えない滞納世帯がふえ続け、滞納処分で給与や年金まで差し押さえられ、医療が受けられない都民がふえていることも重大です。この深刻な事態を打開するため、国民健康保険財政への国庫負担をふやすよう国に求めるとともに、重過ぎる保険料、保険税の負担を軽減するために、都は財政支援を行うべきです。いかがですか。
少子高齢社会対策は、待ったなしの課題です。まずは、保育園の待機児解消です。
私たちは、ことし四月一日付の待機児の調査を行いました。認可保育園に申し込み、入れなかった子供たちは約二万人、認可外の保育施設に入れた子を除いても約八千人です。待機児はまたふえているのです。
私がお会いした二歳児のお母さんは、現在通っている認証保育所は二歳児までなので、来年認可保育園に入れなかったら仕事をやめるしかありませんとせっぱ詰まった思いを語っていました。こうした状況に追い込まれている人がたくさんいることを、知事はどう認識しているのですか。
今後、年度途中でさらにふえていく待機児も含め、緊急対策が必要です。都内でも、幾つかの自治体は賃貸物件等での認可保育園の開設、認可保育園の増改築による定数増などを緊急に実施しようとしています。都としても、補正予算も含め積極的に対応することを求めます。
何よりも、ゼロ歳児から五歳児まで預けられ、園庭もあり、資格を持った職員がそろっていることで子供たちの豊かな成長を保障でき得る認可保育園の増設を中心に進めることが求められています。
知事は、今でも低過ぎる設置基準などの規制緩和を進めると述べていますが、待機児解消は、都民が安心して預けられる認可保育園の大幅増設を中心に据えるべきです。
特別養護老人ホームの増設も都民の切実な願いです。
九十四歳の姉を介護している八十二歳の妹さんから話を伺いました。介護者の妹さんも体調を崩して買い物もままならない上、心不全で入院したことなどを切々と訴えていました。多くの家族が共倒れしかねない状況で、特養ホームへの入所を待ち続けているのです。
知事は、第一回定例会でさらなる促進策を検討すると答弁しましたが、どのように進んでいるのですか。用地確保や、整備費、運営費へのさらなる支援の具体化を検討すべきですが、お答えください。
東京都は、認可保育園や特養ホームをつくるために、都有地、国有地、民有地等活用検討チームを設置しましたが、問題は検討の中身です。知事、この間どのような検討を行い、どのように具体化したのですか。
未利用の都有地について、自治体や住民から福祉施設整備に活用してほしいと要望があれば直ちに調整を進めるべきですが、いかがですか。
我が党は、昨年の予算特別委員会で、練馬区内の旧練馬高等保母学院の跡地について、認可保育園などへの活用を提案しました。その後、練馬区から正式に要望があったと聞いています。
さきの第一回定例会でも、葛飾区の高砂団地建てかえで現在あいている都有地や、墨田区の児童相談所跡地などを指摘しました。
知事が、各局が管理する都有地について、少子高齢社会対策に活用できるかどうかを再検証し、抜本的に洗い出せば、土地はあります。検討チームでの具体化を強く求めておきます。
知事は、保育士、介護士の処遇改善を公約しています。ところが、都が実施した保育士実態調査の結果が明らかになったにもかかわらず、所信表明でこの問題に言及しませんでした。知事の公約への態度が問われています。
保育士実態調査では、退職意向の理由は、給料が安い、仕事量が多い、労働時間が長いであることが明確になりました。そして報告書では、現職保育士の約二割が離職を考えているという危機的状況だと分析しています。知事、この調査結果をどう受けとめているのですか。
保育士とともに、介護士の処遇改善も緊急課題です。
全労連による介護労働実態調査では、利用者に十分なサービスが提供できていないと余りできていないを合わせると約四割に上ります。その理由を、約八割の人が、人員が少なく業務が過密になっているからと答えています。もうやめたいと思っている方は約六割で、その理由は、賃金が安いから、仕事が忙し過ぎるから、体力が続かないからなどです。
知事は、保育士、介護士の処遇改善というみずからの公約を、いつ、どのように具体化するのですか。
賃金を抜本的に引き上げ、経験年数に応じて着実に上がっていく仕組みをつくるとともに、多過ぎる仕事量と労働時間を減らすための人員増を図るために、都として最大限の取り組みをすべきですが、知事の答弁を求めます。
認知症対策の充実も急務です。
認知症で行方不明になった方が全国で年間一万人に上ることが明らかになり、社会に衝撃を与えています。認知症の男性が電車にはねられ、介護していた八十五歳の妻に鉄道会社への賠償を命ずる判決に対しても、とりわけ認知症の方を介護する家族の方々は大きなショックを受けています。
知事は、これらの問題をどう受けとめ、認知症対策にどう取り組むのですか。
認知症による徘回への対策として、区市町村や関係企業、団体と連携して、GPSつきの靴などの普及促進を図るとともに、費用負担への支援などに取り組むよう提案するものです。
都内十二カ所の中核病院が認知症疾患医療センターとして整備されましたが、国はよりきめ細やかな医療体制の構築に向け、新たに診療所の活用を検討しています。
認知症疾患医療センターの拡充、機能強化に向け、都はどう取り組むのですか。
知事は所信表明で、高齢化が進む中で、身近な足であるバスの役割は、ますます増してくると述べました。そのとおりです。そのためには、バス路線の拡充とともに、シルバーパスを使って誰もが気軽にバスを利用できるようにすることが重要です。シルバーパスは、かつては七十歳以上の対象者の七割以上の方が使っていたのに、今では五割に満たないのです。
とりわけ二万五百十円のパスは、高齢者人口はふえているのに、発行数が減っています。所得が百二十五万円を超えたら一律に二万五百十円の負担になってしまうことが、わずかに所得制限を超えた高齢者をシルバーパスから遠ざけているのです。
シルバーパスについて、多くの方から要望が出されています。一つは、所得に応じて費用負担を軽減してほしいということです。二つは、例えば都の監理団体である多摩都市モノレールや「ゆりかもめ」、都県境を越えるバス路線、東京メトロなど、使える交通機関をふやしてほしいということです。こうした都民の皆さんの要望に応えて、シルバーパスの改善、拡充に向け、超党派で検討することを、各会派の皆さんに呼びかけるものです。
次に、経済、都市政策について質問します。
政府と東京都は、どちらも外国企業を初め大企業を呼び込み、大企業の利益をどうふやすかが中心であり、都民の生活の質の確保、改善という立場は、極めて希薄です。その方向を大きく転換することが求められています。
まず、経済政策です。
安倍政権の経済政策の中心は、世界で最も企業が活躍しやすい国づくりです。しかも二百九十六兆円もの内部留保をため込む大企業には法人税の大減税をする一方、赤字に苦しむ中小企業には外形標準課税の強化で税負担をふやそうとしています。知事、おかしいと思いませんか。
国の法人税減税は、都財政にも重大な影響をもたらし、年間数百億円もの減収となります。都内の中小企業経営を守るためにも、都の財政を守るためにも、こうした逆立ちした税制改悪に厳しく反対の声を上げるべきです。いかがですか。
国際銀行協会が、グローバル金融センターとしての東京に向けてとする政府への提言で、国民の預貯金をリスク投資に振り向けること、そのために、投機的な資金運用で利益を得る、いわゆるヘッジファンドなどが活動しやすい環境をつくるよう提案しています。アベノミクスの柱である金融緩和は、こうしたアメリカなどからの要求を受けたもので、海外からの資本を呼び込み、金融投機とバブルをあおることが目的です。
既に海外投資家の投機マネーの流入が異常なまでに高まり、株式市場の不安定さが増大しています。数年前にリーマンショックで、アメリカ発の金融危機が世界中に広がったように、アベノミクスの推進は、日本発の金融危機を引き起こしたり、国民の老後の保障である貯金が金融資本に食い潰される危険が強いといわざるを得ません。
知事が進めようとしている国際金融センター構想も、こうした動きに合わせて、知事自身が述べているように、都民にリスクの高い投資をさせようとするものです。海外の金融関係者からも、このような方向は、バブルの発生など日本の経済を不安定化させるという意見が出されています。
知事、都が進める経済対策は、金融危機をあおるようなものであってはなりません。いかがですか。
都の経済対策は、実体経済の立て直し、すなわち中小企業への支援の抜本的強化、雇用の安定と賃上げによる内需拡大こそ中心に据えるべきだと思いますが、知事、お答えください。
首都東京には、金属加工業など世界に誇るものづくりが集積しています。ところが、この十年間で町工場は、ほぼ半減しています。
都が昨年まとめたものづくり産業立地環境に関する調査は、廃業や倒産、都外や国外への転出等の増加により、東京の地域経済の活力低下と産業競争力の弱体化の危険を指摘しています。
知事は著書で、東京を特区にすれば、中小企業が再び成長の波に乗れるようになると書いています。しかし、知事の進める特区は超高層ビル化、ビジネス拠点づくりが中心で、ものづくりをどう守り発展させるかという立場は示されていません。逆に不動産バブルによる地価高騰などにより、日本の宝である町工場が東京から追い出されたり、廃業に追い込まれる危険が強いといわざるを得ません。ものづくりを守るというなら、機械設備のリース料や借り工場の家賃助成など直接支援を抜本的に拡充すべきではありませんか。
国も、高度なものづくり技術を持ち、地域経済の重要な役割を果たす小規模企業全体を底上げし、持続継承できる政策を進めるために、小規模企業振興基本法案を国会に提出しているのです。この法律は、国が小規模企業施策の体系を示す基本計画をつくり、地方自治体が、その地方の諸条件に応じた施策を策定し、実施する責務を規定しています。
都はこの法案をどのように認識しているのですか。
都として法案を受けて、小規模企業基本計画づくりや、支援策の抜本的な拡充などを進めることが必要だと思いますが、見解を伺います。
法案は、小規模企業当事者の意見を聞き、定期的な実態調査や施策の妥当性、実効性を担保する仕組みづくりを位置づけています。効果的な対策を進めるためには、どのような業種がどのくらいあって、それぞれ何を求めているかを、全事業者を対象に聞き取ることが不可欠です。幾つかの区では、中小企業診断士や職員が全事業所の聞き取り調査を行い、施策に生かしています。
都としても、区市町村と協力して、緊急に悉皆調査を推進することが必要だと思いますが、いかがですか。
多くの中小業者は、技術を生かした新製品をつくろうとしても、アイデアが出ない、特許をどうするかなどの点で苦しんでいます。これらをサポートすることが求められています。荒川区では、新事業創出、事業継承、人事労務などさまざまな分野で豊富な経験と力のある専門家を職員として雇用し、区内企業を無料で何度でも訪問し、アイデアの創出、新製品づくりから販路開拓まで、一貫してサポートすることで、経営改善を成功させています。
都としても、退職した大企業の技術者の活用を含め、創業支援、新製品開発、販路開拓などをサポートできる専門家集団の結集と育成に力を注ぐとともに、専門家を育成している団体とも協力し、都内各地の小規模企業の相談に対応できる体制を確立することが必要です。お答えください。
雇用の問題では、政府がいわゆる残業代ゼロ法案などにより、労働条件の規制に大穴をあけようとしていることは許されません。
重大なことは、諮問会議の財界サイドの委員は東京の国家戦略特区について、極めて不十分、外国企業も投資家等も注目する雇用、労働分野を含めて提案が全くない、改善されるべきなどと、特区を活用して、東京からさらなる規制緩和を進めさせようとしていることです。これを許したら、ただ働き、長時間、過密労働による過労死、賃金の切り下げなどがますます深刻化することは明らかです。
知事は、労働や雇用などについて思いつきで規制緩和をしても、それは憲法にも国際条約にも違反し、マイナスの影響の方が大きいと述べました。知事、東京では残業代ゼロ、使い捨て自由などの規制緩和は断じて許さないという立場を明らかにすべきですが、どうですか。
東京一極集中政策と規制緩和政策は、住民を追い出し、ビジネス機能を東京に集中させました。都心では過度の規制緩和を進めた結果、二〇〇〇年度以降、高さ百メートルを超える超高層ビルが三百棟も建設され、ヒートアイランド現象や都市型水害などが深刻な問題となっています。そして今、特区などを活用した容積率のさらなる大幅緩和による再開発、超高層化の動きが激しくなっています。
国の都市再生戦略チーム座長を務めた伊藤滋氏は、山手線の内側を全て防火地域に指定して木造家屋をなくすことや、都心部を中心とした容積率二五〇〇%以上の再開発プロジェクトの展開を提唱し、森ビル株式会社を初めデベロッパーも、従来の枠組みにとらわれない容積率の抜本的見直しを期待するなどの発言を強めています。知事も、みずからの著書で、都心などの容積率緩和と超高層化を主張しています。
しかし、こうした都市づくりのあり方について、日本建築学会や日本学術会議は、豊かな公共空間や緑地を確保するためには、環境容量を超えた行き過ぎた開発を抑えなければならない、これまでの産業経済の発展に偏った政策から脱皮し、生活の質の確保を目標とする方向に大きく政策転換する時期に来ているという声明や提言を発表してきたのです。知事は、これらの提言をどのように受けとめますか。
知事自身、今でもパリでは、集合住宅が六階から七階建てに制限され、パリの景観を美しく保てるようにしていると評価しているではありませんか。東京でも、たとえ都心地域内であっても、中低層の住宅環境を保全することはもとより、全ての地域で、住民の生活の質を重視することを据えた都市づくり政策へと転換する必要があると思いますが、いかがですか。
国の住生活基本計画では、住宅困窮者に対して、公営住宅の適切な供給をうたっていますが、都は十五年間、都営住宅の新規建設はゼロです。一方フランスでは、所得の低い人たちのための社会住宅が広く普及し、家賃補助も行われています。
知事、世界一の都市というなら、都民誰もが良質な住宅に住めるよう、都営住宅を増設し、住宅に困っている人のための家賃補助を検討するときではありませんか。
次に、防災対策です。
知事は、知事の最大の使命は都民の命と財産を守ることであると繰り返し述べています。そのためには、我が党が一貫して主張してきたように、震災対策のあり方を転換させることが必要です。かつて東京都は、大地震による被害発生を最小限に抑えるための予防対策を重視してきました。ところが石原元知事がこの立場を投げ捨て、被害発生後の対策中心に切りかえてしまったのです。今こそ、予防対策重視に立ち返るべきです。
この点で、ことし策定された国の首都直下地震緊急対策推進計画が、予防対策や地震発生後の対策を迅速に進めれば、被害を大きく減少させることができること、そのために、あらゆる対策の大前提として耐震化と火災対策を緊急に進めることだとしたことは、極めて重要です。
同計画は、一定の条件下において建物の耐震化率を一〇〇%にした場合、全壊棟数と死者数が約九割減少し、感震ブレーカー等の設置による出火防止対策や初期消火成功率の向上等により、焼失棟数と死者数が九割以上減少するなどという試算も明らかにしています。
知事は、国の計画によるこうした指摘と試算をどう受けとめますか。被害を未然に防ぐ予防対策重視に立ち返るときではありませんか。
住宅耐震化の促進について、具体的に伺います。
我が党は、さきの予算特別委員会で、木造住宅耐震化助成について、対象地域を著しく限定して助成するという都のやり方は、全国にも例を見ない異常なやり方で、耐震改修が進まない最大の原因であることを指摘しました。
そして、首都直下地震による東京の被害想定は、建物の倒壊、焼失数は三十数万棟とされており、そのために必要となる応急仮設住宅や生活支援などの公的負担は、数兆円という巨額なものになること、耐震化助成の対象と金額の抜本的引き上げを図った方が、はるかに安上がりで効果的だということを明らかにしました。
知事は、住宅は私有財産であり、一番問題なのは財源をどうするかだ、お金は天から降ってこないと答えましたが、知事は法に基づき、都民の生命、身体、財産を災害から守る責務があるのです。改めて、倒れてからの支援より、倒れないように支援することこそ最善の対策だという立場に立って、知事の責務を果たすよう求めますが、いかがですか。
都として法に基づく首都直下地震緊急対策実施計画を早急につくり、目標値を明らかにして取り組むべきと考えますが、答弁を求めます。
オリンピック・パラリンピックに向けた競技場計画の見直しについて伺います。
知事が、都民の理解を得られるよう会場計画を見直していくと表明したことは極めて重要です。日本共産党都議団は、競技場計画の抜本見直しを求めてきた立場から、以下質問します。
知事は、整備コストの高騰に対応していかなければと発言しました。十二施設の整備費は千五百三十八億円から三千八百億円に膨らむというシミュレーションもありますが、本体工事費のみのものです。地盤の液状化対策、観客のための周辺整備などを含めれば、さらに膨らむことは明らかです。どのように認識していますか。費用を抑えるためにどのような対策を検討するのですか。
整備費抑制のためには、規模等の見直しとともに新規建設中心の計画を見直すことが避けられません。IOC環境行動計画、アジェンダ21は、既存施設の最大限活用を原則としています。IOC方針に立ち返って、既存施設の活用を検討すべきではありませんか。
液状化対策を伴う臨海部に施設を集中する計画の再検討も求められています。開催時に選手の移動専用レーンを道路上に設ければ、八キロ圏内にこだわらなくても大丈夫ですが、いかがですか。
知事は、見直しの視点としてレガシー、後利用を強調しましたが、どのようなことを考えているのですか。
新設する競技施設が大会後にもスポーツ団体や都民から利用しやすい施設となるよう、維持管理コストの抑制や設計上の配慮を行うなど、施設ごとに後利用計画を明確にし、都民、関係者の理解を得て整備を進めるべきと考えますが、いかがですか。
葛西臨海公園でのカヌースラローム会場の整備は、環境との調和というIOCの方針にも反し、貴重な生態系を破壊するものとして強い反対の声が広がっており、知事の決断が求められています。速やかに現地を視察し、江戸川区や日本野鳥の会など関係者の声を聞き、要望されている隣接する下水道施設の空き地活用を検討すべきではありませんか。
現計画では、競技場の整備によって野球場二十七面、テニスコート二十七面が廃止ないし長期に使用できないと推測されますが、どう認識していますか。
ホッケー会場の整備によって六面の野球場が廃止となる品川区の軟式野球連盟は、次代を担う子供たちの心のやりきれなさを察すると痛恨のきわみと訴え、代替施設の確保を求めています。知事、こうした声をどう受けとめますか。
既存施設の廃止、縮小は極力抑え、少なくとも代替施設の確保に努力すべきです。
多くの建築家や都民から見直しを求める声が上がっている新国立競技場計画の見直しは、避けて通れません。整備費の膨張は必至であり、都への負担要求となってはね返ろうとしています。神宮外苑の歴史的景観が破壊されます。開閉式の屋根も遮音効果に乏しく、災害時には燃焼する危険があることさえ指摘されています。
また、巨大な施設による後年度負担の増加によって、スポーツ団体が利用できない施設になりかねません。知事、このまま進めさせていいのですか。解体工事を中止し、関係者の参加のもとで改修も含め、見直しを国に強く求めるべきではありませんか。
国の都に対する五百億円の負担要求はきっぱり拒否すべきです。お答えください。
知事は、都の長期ビジョンをことしじゅうに策定し、三カ年の重点事業も示すと述べていますが、どのような立場で策定するかが問われています。私は、都民の切実な願いである福祉、暮らし、営業、教育、環境などを守る課題をとりわけ重視すべきだと思います。そこで四点に絞って提案します。
第一に、少子高齢社会対策では、待機児、待機者解消のため、認可保育園及び特養ホームの増設計画を三カ年計画に位置づけることです。
第二に、雇用、中小企業対策では、非正規労働者の正規化や小規模企業の底上げなどを含め、施策の抜本的な拡充を打ち出すことです。
第三に、環境問題では、再生可能エネルギーの利用割合二〇%目標の達成に向け、具体的計画を明確にすることです。
第四に、教育分野では、少人数学級の推進や、都立高校、特別支援学校の増設、拡充など、全ての子供が安心して通える学校づくりを位置づけることです。
以上、四点についてそれぞれお答えください。
これまでの長期計画「二〇二〇年の東京」に基づく三カ年計画では、総事業費の三一%が大型開発で、少子化対策は二%、高齢者対策は三%にすぎませんでした。
新たな長期ビジョンでは、都民要望に正面から応えるための事業を文字どおり重点に位置づけることが必要です。
例えば、外環道とその上部道路として突然持ち出されてきた外環ノ2の建設費だけで、一メートル一億円もかかります。こうした不要不急の大型開発の事業費を抜本的に削減し、都民の福祉、暮らしなど生活の質を守り、向上させるための事業費を大幅にふやす方向に財政運営を転換していくことが重要です。
答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) かち佳代子議員の代表質問にお答えします。
まず、消費税増税等の影響についてでありますが、今回の消費税率の引き上げは、少子高齢化が急速に進展する我が国において、持続可能な社会保障制度の構築を図るために行うものであり、増収分を社会保障制度の安定化や充実に用いることで、広く国民、都民に還元されるものであります。
また、八%への引き上げに当たり、政府は新たな経済対策や低所得対策、適正な転嫁を確保するための対策など、引き上げに伴う景気への影響を緩和し、持続的な経済成長につなげるための経済政策パッケージを決定し、国、地方を挙げて実施しているところであります。
こうした取り組みなどによりまして、我が国経済は消費税の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が見られるものの、賃上げの動きも広がっており、全体として回復基調が続いているものと認識しております。
消費税の一〇%への引き上げについてでありますが、税率の引き上げに当たって経済状況を慎重に判断するのは当然のことであります。
税制抜本改革法においては、いわゆる景気条項が設けられ、消費税率の引き上げに当たっては、我が国経済の成長に向けた措置等を講じるとともに、経済状況を総合的に勘案し、判断することとされております。こうした法の規定に基づき、政府において適切な対応がなされていくものと考えております。
認知症対策についてでありますが、急激に高齢化が進む中、平成三十七年には何らかの認知症の症状がある高齢者の数が都内で約六十万人になると推計されております。
都はこれまで、認知症疾患医療センターの設置、認知症高齢者グループホームの整備促進、認知症の予防、治療に関する研究開発など、さまざまな施策を展開しており、今後とも認知症対策に積極的に取り組んでまいります。
中小企業支援と雇用就業対策についてでありますが、都内企業数の九九%を占める中小企業やそこで働く人々が元気になることにより、消費市場が底上げされ、東京の経済が活性化してまいります。
東京都は、これまでも中小企業に対して、経営や技術の面からのサポートや資金繰りの支援を行ってまいりました。
また、しごとセンターにおけるきめ細かな就職支援などにより、切れ目のない雇用就業対策を実施してまいりました。
今後とも、さまざまな施策を講じることによりまして、企業業績の回復と安定的な雇用の実現を図り、これを消費の拡大へとつなげ、東京の経済の成長を確かなものにしてまいります。
続きまして、日本建築学会の提言等についてでございますが、これらの提言等は、経済成長の時代から成熟社会に入り、生活の質を重視する政策にシフトすべきだと、そういう趣旨のものと受け取っております。
都は、平成二十一年に新しい都市づくりビジョンを策定し、国際競争力を備えた都市活力の維持発展に加え、持続的発展に不可欠な地球環境との共生、さらには豊かな緑や水辺に囲まれた美しい都市空間の再生などの実現を目指して都市づくりを進めております。
引き続き、これらの取り組みを進め、経済活力を高める都市再生を推進するとともに、豊かな暮らしを誇る世界一安全・安心で快適な都市へと東京をつくりかえてまいります。
次に、生活の質を重視する都市づくりについてでございますが、これまでも地域の特性を踏まえた安全・安心で快適に暮らせる都市づくりを進めてきております。
都心部では、都市再生を推進し、計画的な土地の高度利用により、高度な業務・商業機能に加えて、質の高い居住機能を誘導するとともに、豊かなオープンスペースや緑を創出しております。
また、身近な地域では、駅などを中心に商業、文化、医療福祉等の機能が集積した良質な居住環境の創出にも取り組んでおります。
例えば、先日視察しました多摩ニュータウンなどでは、古い住宅の建てかえによりまして高層化してつくり出しましたスペースに子育て支援施設や高齢者支援施設を整備し、町を再生することで、子供から高齢者まで多世代で交流できる生活環境を形成しております。
引き続き、生活の質を重視したこうした取り組みを進めることで、住み心地のよい、さらに成熟した都市に東京をつくり変えてまいります。
予防対策重視に立ち返るべきだとのご指摘でございますが、都は地域防災計画に基づき、初動体制の強化や被災者への物資供給といった応急復旧対策に加え、木造住宅密集地域の改善や道路ネットワーク整備などの予防対策をこれまでも強力に推進してまいりました。
また、国の基本計画でも、耐震化や火災対策といった予防対策に加え、道路交通対策や避難者対策など、応急対策への備えを国と地方公共団体等が連携しながら進めることとしております。
早速、先般、防災担当大臣との間で合同検討チームを立ち上げることを合意し、東京のさらなる防災力強化に向けて国と連携して取り組むことといたしました。
今後とも、予防対策から応急復旧対策まで切れ目なく防災対策を推進し、世界一安全・安心な都市の実現に取り組んでまいります。
オリンピック施設の見直しでございますけれども、既存施設の活用や整備費の圧縮など、見直しの基本的な考え方に沿いまして、今後、具体的に進めてまいります。
二〇二〇年大会を機に、東京を世界一の都市とすることが私の公約であります。アスリートファーストの理念を具現化した史上最高の大会を実現することはもとより、大会後はハード、ソフトの両面から確かなレガシーを残してまいります。
東京の魅力を高め、次代を担う若者や子供たちにとって、安心と希望に満ちた魅力ある都市を実現してまいります。
新国立競技場についてでありますが、新国立競技場建設は国及び日本スポーツ振興センターの責任において整備が進められております。建設に当たりましては、将来構想有識者会議のもとで各分野の専門家による具体的な検討が行われております。
都としては、二〇二〇年大会のオリンピックスタジアムとして活用できるよう、着実な整備を求めてまいります。
新国立競技場にかかわる都の負担についてでありますが、新国立競技場の建設については、国が責任を持って整備を進めていくのが原則であると考えております。整備費の負担につきましては、いまだ国から正式な要請はなく、今後お話があれば、その時点で協議すべきは協議する考えであります。
その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁させます。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 東京都長期ビジョンにおける教育施策についてでありますが、全ての子供たちが社会の中で自立して生きていくためには、確かな学力や豊かな人間性などを身につけていることが必要であります。
都教育委員会では、今後策定される東京都長期ビジョンに位置づけるべき施策について、こうした観点から検討してまいります。
なお、義務教育における少人数学級につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から国の責任が大きいと考えており、国の動向を注視してまいります。
また、都立高校、特別支援学校については、これまで計画に基づいて整備をしてきており、今後とも、児童生徒を適切に受け入れることができるよう対応をしてまいります。
〔東京都技監藤井寛行君登壇〕
〇東京都技監(藤井寛行君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都営住宅の増設と住宅困窮者への家賃補助についてでございますが、都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。
今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅につきまして、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
また、家賃補助につきましては、国の生活保護制度との関係や財政負担のあり方など、多くの課題があることから都として実施することは考えてございません。
次に、耐震化についてでございますが、首都直下地震などから都民の生命と財産を守るためにも、災害に備え耐震化を強力に進めることが重要でございます。
住宅の耐震化につきましては、自助、共助、公助の原則のもと、まず所有者みずからがその必要性を認識し主体的に取り組むことが不可欠であり、都はこれまでも、意識啓発を行うなど、所有者による耐震化を促しております。
その上で、木造住宅密集地域の整備地域内にある木造住宅や合意形成の難しい分譲マンションなど、公共的な観点から必要がある場合に、財政的な支援を行っております。
あわせて、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化につきましても重点的、集中的に取り組むなど、今後とも建築物の耐震化を推進してまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 十三点のご質問にお答えいたします。
まず、社会保障と税の一体改革についてですが、平成二十六年三月に衆議院で出された社会保障の充実のための消費税増税による増収分の使い道に関する質問主意書に対して、政府は、増収見込み額については、その全額を社会保障の充実、安定化に向けることとしており、基礎年金国庫負担の二分の一への引き上げ、安定財源が確保できていない既存の社会保障費、さらに社会保障の充実にそれぞれ向けること、また、社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から、社会保障の充実に向ける金額は、消費税収の増加に応じて拡大していくと答弁しております。
次に、医療・介護総合法案についてですが、この法案は、持続可能な社会保障制度の確立を図るため、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築や地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するためのものであると認識しており、現在、参議院において審議中でございます。
国民健康保険料の負担軽減についてですが、都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき、各保険者に対する財政支援を行っており、保険料負担軽減のために、都として新たな支援を行うことは考えておりません。
また、現在、国は、社会保障制度改革の中で国民健康保険制度についても見直しを進めており、都は既に、国に対し、構造的な問題の解決、必要な財源の確保等について提案要求をしております。
次に、待機児童解消についてですが、保育の実施主体である区市町村は、これまでも保育サービスの拡充に努めており、直近の平成二十三年度から二十五年度の三年間は、毎年、利用児童数が一万人以上増加しております。
都は今後とも、区市町村の待機児童解消に向けた取り組みが進むよう、積極的に支援してまいります。
次に、保育サービス拡充のための区市町村支援についてですが、都は既に、区市町村が地域の実情に応じて多様な保育サービスの整備を進められるよう、国の安心こども基金の活用に加え、都独自に区市町村や施設整備を行う事業者の負担軽減や未利用都有地の減額貸付、定期借地権利用に対する支援、株式会社やNPO法人などが行う施設整備に対する独自補助を実施しております。
次に、認可保育所の増設についてですが、保育サービスは保育の実施主体である区市町村が、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものであり、都は、今後とも地域のニーズを踏まえ、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
次に、特別養護老人ホームの整備についてですが、都は現在、平成二十七年度から始まる第六期東京都高齢者保健福祉計画の策定を進めており、特別養護老人ホーム等のサービス基盤につきましては、中長期的な観点から必要な整備量の推計を行い、本計画の中に盛り込む予定でございます。
また、特別養護老人ホームの整備に係る工程表につきましては、本年中に策定する東京都長期ビジョンの中で示してまいります。
次に、保育士実態調査についてですが、都が昨年度、約三万人の保育士有資格者を対象に実施した実態調査の結果では、資格取得者のうち約四分の一が保育士としての就労経験がなく、また、潜在保育士が再就業の希望条件に挙げたのは、勤務日数、通勤時間、勤務時間の順で多かったところでございます。
調査結果も踏まえ、都は現在、再就職のための研修、相談会や、事業者と就職希望者のマッチングの強化、柔軟な働き方のできる職場環境づくりに関する事業者向け研修の実施など、さまざまな支援を行っているところでございます。
次に、介護職員や保育士の処遇についてですが、介護職員については、現在、国会において介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律案が審議されており、また、保育士については、子ども・子育て支援新制度の中で処遇改善が図られる予定でございます。
介護職員や保育士の処遇における一番の問題は、キャリアパスの仕組みが十分でないことであります。現在の介護報酬には介護職員のキャリアを評価する仕組みは導入されておりますが、大都市の物価水準に見合っておらず、保育士には経験年数に応じた運営費加算だけで、キャリアを評価する仕組みがございません。
こうした仕組みを整えるのは本来国の役割であり、都は国に対し提案要求をしております。
次に、福祉人材の確保と処遇改善等についてでございますが、先ほどお答えしたとおり、人材確保に向け、介護職員及び保育士の処遇改善やキャリアを評価する仕組みについては、本来国が整えるべきであり、都は既に国に提案要求をしております。
次に、認知症高齢者の徘回対策についてですが、現在、都内区市町村では既に認知症高齢者の徘回対策としてGPS端末機器が活用されており、都は、こうした区市町村の取り組みを包括補助等により支援しております。
次に、認知症疾患医療センターについてですが、現在、国は新たな類型の認知症疾患医療センターの設置について検討を進めており、都は国の動向も踏まえながら、今後の認知症疾患医療センターのあり方を検討していきます。
最後に、待機児童解消に向けた取り組み及び介護サービス基盤の整備についてですが、既に第一回定例会でご答弁したとおり、それぞれの工程表は年内に策定する東京都長期ビジョンに反映させてまいります。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
〇財務局長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、土地活用に関する検討チームについてでありますが、現在、都有地のほか、国有地、民有地も含めた土地活用策について、関係部局により検討を重ねております。
具体的には、区市町村における公有地の活用状況等について検証を行ってきておりますが、今後、区市町村の意見も聞きながら、都有地等の情報提供の手法や土地貸付料などについて具体的に検討をしてまいります。
また、未利用都有地のみならず、都営住宅等の建てかえにより創出した用地についても活用を進めてまいります。
都市づくりと連携した促進策など、民有地活用の視点も含めて、引き続き検討作業を進め、夏までに検討チームとしての取りまとめを行ってまいります。
次に、未利用都有地の活用についてでありますが、一見、福祉インフラ整備用地となりそうな都有地であっても、道路計画地等のため建物を建設する長期貸付には適さない土地や、他の行政目的で利用する方向で調整を進めている土地など、直ちに利用することが困難な土地も多数あり、全ての都有地を福祉インフラ整備事業に活用できるわけではありません。
そうしたものを除き、福祉インフラ整備に活用可能な未利用都有地については、区市町村から要望があった場合には、これまでもその要望を踏まえて調整を進めているところであります。
次に、国の法人税改革についてでありますが、法人実効税率の引き下げは日本の国際競争力強化に資するものと考えております。
一方で、地方法人課税は企業活動を支える行政サービスに対して応分の負担を求めるものであり、地方の基幹税目として不可欠なものであります。
今後、法人実効税率の引き下げが行われれば、地方財政とりわけ都財政において大きな減収となるおそれもあることから、都はこれまでも、関東地方知事会議などの機会を捉えて、全ての地方自治体の歳入に影響を与えることのないよう、代替財源の確保を国に求めております。
なお、外形標準課税は、あるべき税制の一つであり、中小企業への拡大は慎重であるべきですが、大企業への拡大は方向性の一つであると考えております。
最後に、財政運営についてでありますが、外環道を初めとする都市インフラの整備は、都民の利便性や国際競争力の向上、東京の活力維持などに不可欠な取り組みであり、着実に進めていく必要があるものと考えております。
これまでも、こうした取り組みに加え、福祉や医療、防災対策、雇用や中小企業対策など、都民にとって必要な他の施策にも的確に財源を振り向け、都民生活の向上に努めてまいりました。
引き続き、財政の健全性に十分留意しながら、ハード、ソフト両面にわたり山積する都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいります。
〔知事本局長中村靖君登壇〕
〇知事本局長(中村靖君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、国際金融についてでありますが、金融は産業の血液であり、我が国の経済成長とともにその機能強化が求められております。
現在、都においては、新しい成長の原資となる海外の資本や人材を呼び込む国際的ビジネス環境の整備を進めております。
今後、これらの整備を進めていく中で、世界的な金融拠点としての地位を再び東京に取り戻すことが、我が国の経済の活性化に極めて重要であると考えております。
次に、雇用に関する規制緩和についてでありますが、都が先般提案した国家戦略特区は、外国企業やベンチャー企業と有能なグローバル人材の双方にとってメリットのある雇用就業モデルの構築などを目指すものであります。
今後、都は国家戦略特区において、これらに資する施策の実現に向けた働きかけに着実に取り組んでまいります。
〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕
〇産業労働局長(塚田祐次君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、借り工場の家賃等への直接補助についてでありますが、都は既に経営困難な中小企業に対して、事業承継・再生支援事業などにより、相談や経営支援を行うとともに、資金面でも制度融資により対応しております。
したがって、お話の家賃補助などについて実施する考えはございません。
次に、小規模企業に対する支援についてでありますが、都内中小企業の約八割を占める小規模企業は東京の産業の活力を支えており、都はこれまでも、経営、技術、資金繰りなどの面から幅広く支援しております。
今後とも、小規模企業振興基本法制定など、国の動きも踏まえつつ、小規模企業の支援に取り組んでまいります。
次に、小規模企業に対する調査についてでありますが、都はこれまでも、都内中小企業の状況などについて定期的に調査を実施するとともに、区市町村と意見交換を行い、その実態を的確に把握しております。
次に、小規模企業の相談への対応についてでありますが、都は、さまざまな経営課題の解決に向けた総合相談窓口の設置や専門家の派遣などにより、都内中小企業を経営、技術の両面から支援する体制を整備しております。
最後に、東京都長期ビジョンにおける雇用、中小企業対策についてでありますが、都はこれまでも、安定的な雇用に向けた切れ目のない就職支援や、小規模企業に対する幅広い支援など、必要な雇用、中小企業対策を講じてきております。
東京都長期ビジョンにおいても適切に対処してまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 地方緊急対策実施計画の作成についてでございますが、首都直下地震対策特別措置法に基づき、都全域が緊急対策区域に指定されていることから、都は地方緊急対策実施計画を作成することができることとされております。
一方、都は、災害対応を効果的に実施し、自助、共助、公助が一体となった対策を推進するため、二〇二〇年までの目標と具体的な道筋を明らかにした防災プランを年内に策定することといたしました。
地方緊急対策実施計画については、防災プランの策定にあわせて検討していくこととしております。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 八点のご質問にお答えいたします。
まず、オリンピック・パラリンピックの施設整備費についてでありますが、施設整備費用につきましては、立候補ファイルに記載した会場施設本体の整備費以外に、大会運営上必要な会場周辺施設の整備費や建設物価の高騰などの変動要素がございます。
今後、会場計画全体を見直す中で、整備費用については精査してまいります。
次に、既存施設の活用についてですが、現行の会場計画におきましては、計画している三十七の競技会場のうち、十五の会場は既存施設の活用を予定しております。
今後の会場計画の見直しに当たりましては、先ほど知事が答弁しましたように、既存施設の活用などの見直しの考え方に沿って具体的に進めてまいります。
大会後のレガシーや都民生活への影響、整備コストなどの視点から、よりよい大会となるよう、IOCや競技団体などとも協議しながら計画を再検討してまいります。
次に、会場配置についてでありますが、競技会場の配置に当たりましては、各競技に求められる会場の要件を満たすとともに、選手村からの距離など選手への負担を十分に考慮し、選手が最高のパフォーマンスを発揮できる計画とすることが重要であります。
今後、会場計画の見直しに当たりましては、先ほど知事がご答弁申し上げました基本的な見直しの考え方に沿いつつ、アスリートファーストという理念を踏まえながら、IOCや国内外の競技団体と協議しながら検討を進めてまいります。
次に、新設する競技施設の後利用についてでございますが、二〇二〇年大会の施設は、大会後も都民共有の財産として末永く親しまれ、有効活用される必要がございます。
今後、施設の活用策や効率的な管理手法など、後利用のあり方につきまして検討し、着実に整備を進めてまいります。
次に、カヌースラローム会場についてでありますが、先ほど知事がご答弁しましたとおり、今後、隣接する下水道局用地を活用するなど、施設配置の検討を行い、会場計画全体の見直しの中で都としての結論を出してまいります。
次に、競技会場整備に伴う影響についてでありますが、競技会場の整備や大会の開催によりまして、既存スポーツ施設の利用に一定の影響があることは認識しております。
次に、代替施設の確保を求める声でございますが、競技会場の整備等で利用に影響が出る既存のスポーツ施設につきまして、代替施設の確保を求める声があることは都としても承知しております。
最後に、代替施設の確保についてでありますが、既存施設の代替機能の必要性や対応策につきましては、今後、各施設の管理者及び地元区と調整しながら検討してまいります。
〔環境局長長谷川明君登壇〕
〇環境局長(長谷川明君) 再生可能エネルギーについてでございますが、都は、今月三日に、エネルギーの専門家や民間事業者から成る東京都再生可能エネルギー拡大検討会を立ち上げ、都内外で導入拡大を図るための具体策について検討をしております。
検討結果は、先ほど知事が答弁いたしましたとおり、年末にまとめる東京都長期ビジョンに反映させてまいります。
〔百四番かち佳代子君登壇〕
〇百四番(かち佳代子君) 知事に再質問します。
第一に、オリンピック競技会場計画の見直しについて伺います。
知事は、整備計画の見直しについて、既存施設の見直しなど具体的に検討する旨、答弁されました。
本日の夕刊やテレビでは、より具体的に、一、バスケットボールやバドミントンの会場となる夢の島ユース・プラザ、二、カヌースプリントやボート競技が行われる海の森水上競技場、三、カヌースラローム会場となる葛西臨海公園の三施設について整備計画を見直すことを決めたと報道されています。
具体的にどのような見直しを検討しているのですか、お答えください。既に報道されているわけですから、議会の場で隠すことなく、検討内容を明らかにしていただきたいと思います。知事の答弁を求めます。
二つ目に、新国立競技場の整備計画について、知事は、国が検討し整備を進めるものだとの答弁をし、都として意見を述べる立場を示しませんでした。計画見直しを求める要望には、三万人近い建築家や都民が賛同しているのです。この声を知事はどう受けとめているのですか。
以上、二点についてお聞きします。
次に、消費税増税と社会保障の改悪についてです。
知事は、都民の暮らしの困難に目を向けず、消費税は社会保障のためという政府のいい分をそのまま認める答弁をしました。
しかし、福祉保健局長が引用した政府の答弁書自身が、消費税増税でふえる税収のうち、社会保障の充実に使われるのは約一割にすぎないと認めているんです。
しかも、都側が答弁で挙げた基礎年金国庫負担の引き上げなどは、所得税、住民税の定率減税廃止などにより既に財源が確保されているもので、財源を置きかえるだけにすぎません。どうしてこれで消費税増税は社会保障のためといえるのですか。知事、明確にお答えください。
知事は、三月に出版した著書の中で、今、困っている人を救えなければ意味がないと述べています。今こそ負担増に苦しむ都民の声を聞き、医療や介護切り捨ての現場で働く都民の声に耳を傾け、都民の暮らしを守るため、国に働きかけていくべきです。知事の答弁をこの二点について求めて、再質問といたします。(拍手)
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点の再質問についてお答えいたします。
オリンピック施設計画の見直しについてですが、既存施設の活用等につきましては、本会議で知事が表明したばかりでございますので、今後検討していくものであります。
次に、新国立競技場についてですが、先ほど知事からご答弁申し上げましたとおり、新国立競技場につきましては、整備主体である国などが責任を持って進めていくのが原則であると考えております。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 社会保障と税の一体改革についての再質問でございますけれども、先ほど答弁したとおり、政府は、消費税の増収見込み額につきましては、その全額を社会保障の充実、安定化に向けることとしております。
〇議長(吉野利明君) 百番中村ひろし君。
〔百番中村ひろし君登壇〕
〇百番(中村ひろし君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
去る六月八日、桂宮宜仁親王殿下が薨去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈りいたします。
まず最初に、知事の基本姿勢について伺います。
舛添知事は所信表明において、東京オリンピック・パラリンピックの会場計画について、改めて、みずからの視点で内容を再検討していくと述べました。都議会民主党も、整備コストの上昇などが懸念される中、計画の見直しについては歓迎したいと思いますが、一方で、この発言については、国内競技団体、関係団体が大変驚いたとされる報道も見られます。オリンピック・パラリンピックの成功のためには、今まで積み重ねてきたオールジャパン体制での取り組みが欠かせません。知事に発言の真意を伺います。
また、新国立競技場について、今月六日、下村文科大臣は会見で、新国立競技場の建設費の負担を東京都にも拠出のお願いをしたい、既にもう打診して、事務的には事務折衝を既にしている段階と述べました。
一方、同日午後、舛添知事は定例会見において、都の負担の五百億円も含め、文科大臣からも組織委員長からも何の話もないと述べています。
私は、新国立競技場の建設費は国の負担で行うべきと考えますが、要請の有無も含め、知事の見解を伺います。
次に、都市外交について伺います。
今定例会には、中国残留邦人の支援に関連して四つの条例改正が提出をされています。私は、長らく中国残留邦人の支援にかかわってきたのですが、二度と繰り返してはならない、さきの戦争によって被害を受けた中国残留邦人の方々は、日本と中国との関係が良好であることを望んでいます。
舛添知事は所信表明で、都市外交の積極的な展開、とりわけ中国との関係について多くを述べており、石原元知事とは違う未来志向の発言は率直に評価したいと思います。
知事は、この中で多様な都市外交の展開に取り組むとも述べていますが、中国には民間企業の進出が進み、日本を訪れる中国人も増加するなど、さまざまなレベルでの交流が実質的に進んでおり、私は相互理解を深めていく必要性が一段と増していると考えています。
そこで、こうした状況を踏まえ、今回の北京出張をどのように都政に生かしていくのか、知事の見解を伺います。
舛添知事は、今定例会に補佐官を活用したトップマネジメント体制を構築するため、知事本局を廃止し、政策企画局を新設する組織条例の改正を提案しています。
東京都の組織的な問題は、ここ十数年の知事のもと、各局の現場から生まれる問題意識を酌み上げようとしない、各局も新たな挑戦をしようとしない風土になってしまったことだともいわれており、私は、舛添知事が現場とのコミュニケーションを大事にしながら、その変革に積極的に取り組まれることを期待するものです。
今回、政策企画局をつくった狙いは何なのか、知事の見解を伺います。
次に、教育について伺います。
まずは、いじめ問題です。昨年、国は学校などにおけるいじめ対策を法制化し、都もいじめ防止対策推進条例案を提案、基本方針などを策定していくことになりました。都は、方針案と対策案について都民に意見を求めましたが、私たちはいじめに社会全体で取り組む姿勢が必要なことから、条例案についても意見を求めるべきであったと考えています。
都内では、最近でも平成二十二年十月に、そして大津市のいじめ自殺事件を受け調査をしている最中の平成二十四年九月、十二月に、いじめによって子供がとうとい命をみずから絶つ事態が発生しています。いじめは、子供に対する人権侵害であり、社会全体で子供の権利を守っていかなければなりません。
都内で再び、いじめで子供たちが追い込まれ、悲しい事件が繰り返されないために、東京都はいじめ対策を講じて終わりにするのではなく、今後も子供たちと向き合い、対策の検証、改善の取り組みを続けることで、いじめを撲滅していく覚悟を持たなければなりません。舛添知事の見解を伺います。
次に、子供たちのいじめ問題への参画です。
法制化により、国公立、私立を問わず、学校ではその実情に応じて学校いじめ防止基本方針をつくらなければなりません。私は、この方針を形だけに終わらせるのではなく、生徒や教員、保護者など全ての学校関係者がかかわってつくるべきだと考えます。イギリスでも、学校いじめ対策方針の策定が義務づけられ、いじめ予防に高い効果があるとされています。
現在、都内の市区において、児童生徒が中心に考えたいじめ根絶宣言づくりが行われていますが、こうした取り組みを方針づくりに生かすのです。
私は、子供たちがいじめをみずからの問題として、教員や保護者たちと主体的、積極的に学校いじめ防止基本方針づくりにかかわっていくよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、地域との連携です。
東京都教育委員会いじめ総合対策では、ポイントの一つに、保護者、地域、関係機関との連携が挙げられています。
保護者、地域、関係機関との連携は、時代の要請でもあり、既に三鷹市、武蔵村山市、世田谷区、利島村では全小中学校にコミュニティスクールを設置し、学校、保護者、地域が一体となってよりよい学校教育の実現に取り組んでいます。
また、国のいじめ防止基本方針でも、地域や家庭との連携としてコミュニティスクールの活用など、いじめの問題について地域、家庭と連携した対策を推進することが必要であるとしています。
いじめを初めとする学校問題への対応として、コミュニティスクールなどに見られるような地域との連携による取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
次に、心理、福祉職との協働支援です。
いじめ対策には、心理、福祉職との協働が欠かせません。都内には、スクールカウンセラーが校庭や教室に行って子供と積極的にかかわれるよう週二回の配置を始めた自治体もあります。国は、週一回の派遣では子供の気持ちに寄り添うことは困難であり、スクールカウンセラーも子供と保護者、先生への相談に対応するのは厳しいと述べています。
また、いじめの背景に子供を取り巻く環境問題が絡み合っていることから、スクールソーシャルワーカーを配置した別の自治体からは、配置数が不足しているとの話を聞きました。国と県の財源によって配置を推進している県もあります。
都がスクールカウンセラーの週二回配置を促すスクールソーシャルワーカー配置支援費をふやすなど、学校がいじめ問題により取り組みやすくなるよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、都立高校の入試採点ミスの再発防止策です。
採点ミスはあってはならない重大な事態であり、猛省を促したいと思います。また、答案用紙の廃棄など、その後の対応を見ても、教育委員会の体質にも問題があると指摘をしておきたいと思います。
各高校は、採点に当たり、採点者一人及び点検者三人の四人体制で行っており、通常ミスは考えられませんが、ことし二月に実施した入試では、入試当日を含めて四日間の採点期間の中、学校で授業や行事が行われていました。期間中、休業日としている県もある中、果たしてその状況で採点に専念できたのでしょうか。
私は、採点者が専念できる状況をつくることを初め、受検生が自己採点できる仕組みをつくることや、採点、点検に外部の目を取り入れることなど、あらゆる方策を検討し、再発防止に向けて徹底的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
次に、私立学校授業料の減免補助の拡充について伺います。
この制度は、私立幼稚園から私立高等学校に通う子供たちの家庭の経済的負担の軽減を図るものですが、今回、国が就学支援金に所得制限を導入した分を加算したことから、私立学校が都の補助によって準備料減免を行う額が以前と比べて縮小しました。
一方で、私立小学校や中学校、高等学校の学費平均額は前年と比べて上がっています。
そこで、私立学校に通う保護者の皆さんの負担軽減を図るため、授業料減免制度を授業料以外の学校納付金へと対象を拡大し、制度を充実すべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、高齢者対策について伺います。
まずは、地域包括ケアシステムの構築です。超高齢社会の到来が間近に迫る中、地域包括支援センターの役割は極めて重要です。あるセンターでは、月六百件もの相談を受けている中、相談内容も多様化しています。また、医療と介護の連携を進めるため、医師や福祉職などが顔の見える交流を行い、地域の高齢者や家族を支える取り組みを行っています。
高齢者が住みなれた東京で暮らすためには、このような取り組みを初めとして、都内で適切な医療や福祉、在宅介護支援などが受けられるよう体制整備を一層進めていく必要があります。
都は、市区町村が地域の実情を踏まえ進めている地域包括ケアシステムづくりを、自治体の声も聞きながら引き続き支援していくべきと考えます。都の見解を伺います。
次に、認知症の医療支援体制の整備です。
都内のある自治体では、認知症の疑いがあり受診を拒否している高齢者へ認知症アウトリーチチームを訪問させる事業を行っていますが、地域型認知症疾患医療センターが近くにないことから、地域の専門医療機関とも連携しながら課題解決を図り、地域に合った認知症早期発見、診断の形を構築していこうと取り組んでいます。
別の自治体では、地域包括支援センターごとに認知症サポート医を配置していきたいとの意向を持っています。
私は、高齢化が進む都内において認知症の医療支援体制の充実をさらに図っていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
次に、認知症の人や家族を支える取り組みです。
昨年、認知症による行方不明者の警察への届け出は都内で三百八名あり、都も行方不明者などの情報を広域的に都内市区町村へ周知する取り組みを行っています。
ある社会福祉士が、交差点に立つ高齢者の靴に氏名が書かれている点を不思議に思い、声をかけたところ、他の区の認知症高齢者だったことがわかった事例もあります。都市の認知症高齢者が電車等で広域に移動する可能性もあり、私は、地域の人々が認知症について理解し声をかけたり、ふだんから見守る取り組みが重要だと考えています。
舛添知事は、母親が認知症に倒れ、介護の苦労を味わったので同じ苦労を皆にさせたくないとも述べており、私も、都がさらに認知症の人や家族を支える地域のネットワークを充実させていくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、介護保険サービスについてです。
現在、国会では要支援向けサービスを市町村事業に移行する法律が提案されており、介護保険の持つナショナルミニマム機能を放棄するものだと批判されています。軽度な方々には多様なサービスの中で対応していくとの国の説明に、平成十八年度の予防重視型への改正時に大変苦労した自治体は戸惑いを見せています。
事業移行に関して、果たして新たな地域支援事業の担い手を確保できるのか、サービス水準の自治体間格差が生じるのではないか、行政サービスとして成り立つのかなどが指摘されています。要支援高齢者の中には、軽い認知症の方が約半数いることから、新たな事業では十分な対応はできないともいわれています。
都としても、市区町村の声を受けとめ、要支援の方が必要なサービスを受けることができるように、円滑な制度移行を支援していくべきです。見解を伺います。
次に、雇用について伺います。
まずは、労働環境の改善です。二〇〇五年の第一次安倍政権当時、撤回されたホワイトカラーエグゼンプション制度が再び議論され、第二次安倍政権で導入が検討されています。しかしながら、働く者を犠牲にした成長戦略などあっていいはずがありません。
一方で、国内における長時間労働の現状は変わらず、昨年、労災が認められた脳、心臓、精神疾患は八百件、死亡例は自殺も含めて二百件を超えました。
過労死防止法案が衆議院で可決された現在において、都は都内の労働環境の改善に向けて取り組みを推進していく必要があると考えますが、知事に見解を伺います。
次に、若年者などの就職トラブル防止についてです。
賃金や就業時間などがハローワークの求人票の内容と異なっているとして、平成二十四年、全国で七千七百八十三件、都内で千五百件を超える申し出、苦情が寄せられました。連合の相談でも、固定給が残業代込みだった、試用期間が明記されていなかったなど求人票をめぐるトラブルが相次ぎ寄せられました。そこで、国は新たな固定残業代の適切な記入を事業者に求めました。
雇用契約書がない、就業規則を示さないなど悪質なケースもあり、連合は求人広告をとっておいた方がよいとアドバイスもしています。
私は、都としても、就職活動に臨む若年者等への注意喚起や労働相談、実態把握など就職トラブルの防止に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、正社員化の促進です。
都の調査では、パートタイム社員の約四分の一がパートタイムを選んだ理由として、正社員として適当な仕事が見つからなかったとするなど、正社員として働きたいパートタイム社員が多数います。
一方で、一定の条件で労働者の申し込みがあれば、期間の定めのない契約に転換できる有期労働契約の無期転換ルールについては、事業所と従業員の認知度に大きな差があり、その周知の徹底が求められています。
知事も、働き方が多様化したからといって働く人の三分の一が非正規というのは尋常ではないと述べているとおり、正社員化の促進は極めて重要です。
私は、有期労働契約の無期転換ルールの周知徹底を初め、非正規の正社員化の推進に向けて積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
次に、男女平等参画について伺います。
まず、女性の活躍推進についてです。政府は、公共調達を使った女性の活用促進を検討しており、来年度から順次導入すると報じられています。このことは、女性役員の割合五・七%にすぎない都内企業にも、はっきりと意識改革を求めるものです。
都庁の女性管理職は一五・二%で、人数、比率ともに全国随一ですが、この理事者席に座る女性局長はわずか一人です。
子育て支援が充実し、出生率が二以上に回復しているフランスでは、税の優遇や直接給付や働き方の見直しなど、制度の充実に加え、実際に機能させるための意識改革も進んでいると考えられます。
我が国では、法制度等の整備は一定程度進んだものの、休暇の取得率、いわゆるM字カーブやガラスの天井問題もいまだ解決をしていません。制度があっても変わらない現状に対しては、トップの強い決断が必要であり、意識改革を進めることが必要です。
このような状況を踏まえ、東京都においても、企業における女性の活躍を進めるとともに、女性も男性も仕事と家庭生活の両立が可能な社会の実現に向け、一層の取り組みが求められていると考えますが、知事の見解を伺います。
また、希望する女性が仕事を続けるためには、会社が妊娠、出産を温かく見守る環境づくりも必要です。
例えば、マタニティハラスメント、いわゆるマタハラを、妊娠、出産での解雇、雇いどめや、精神的、肉体的なハラスメントと定義して行った連合の調査では、四人に一人が経験したとの結果が出ています。また、妊娠、出産による解雇などに関する労働局への相談は、二〇〇四年度の八百七十五件から、二〇一一年度、三千四百二十九件へと、四倍にふえています。
そこで、このような実態に対する都の認識と、妊娠、出産に伴って女性がキャリアを諦めなくてもよい、適切な雇用就業環境の確保に対する都の取り組みについて伺います。
最後に、小笠原諸島について伺います。
小笠原諸島は、関係者の長年にわたる努力により、平成二十三年六月に世界自然遺産に登録され、観光客数が約一・七倍に伸びています。
都議会民主党は、先日、この小笠原を視察し、都の支庁や村の関係者、地元の方々から詳細なご説明をいただきました。
都と村で進める、エコツーリズムを通じた自然遺産保護の活動と回復した植生なども拝見し、成果を感じる一方、観光客の増大、山や戦跡など新たな観光を楽しむ方の増加により、植生等に新たな悪影響を生じさせないため、今後の注意が必要だと感じました。
また、グリーンアノールなどの外来種対策の強化も不可欠だと考えます。
条約では、世界遺産委員会に保全状況を定期報告することが義務づけられています。世界遺産登録後も手を緩めずに、自然環境の保全に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
世界遺産は、次世代への継承が本旨とはいえ、その意義は、価値の保全のみにとどまりません。自然保護と地域振興のバランスを図り、持続可能な地域づくりや一層の発展につなげることも、大きな意義の一つです。
国内の世界遺産登録地では、登録の翌年には観光客数が増加しますが、その後は二極化しています。小笠原は、やや減少傾向にあり、今後の減少を防ぐための観光振興策を一層充実しなければなりません。
また、島の農業には、台風や塩害などの困難はあるものの、亜熱帯の気候を生かした質の高いミニトマトやパッションフルーツなど、高付加価値の農産物は、観光土産品としての人気に加え、本土の出荷先でも高い評価を得ているとのことです。
こうした小笠原を取り巻く環境を踏まえ、主要な産業である観光や農業を一層振興すべきと考えますが、見解を伺います。
小笠原村と本土とのアクセス手段である「おがさわら丸」は、週に一便程度、所要二十五時間半です。高齢の方や病気の方には大きな負担であり、村民は本土の家族に何かあっても、次の定期便を待つしかありません。また、急患の病院収容までには、平均で九時間もかかります。
このほか、農業、漁業も含めた観点から、航空路開設に向けた強い要望がありますが、過去のさまざまな経緯や課題もあって、抜本的な本土とのアクセス改善は実現しておりません。東京都による航空路の調査が行われていることでもあり、ぜひ、知事も小笠原村を訪れ、航空路の問題を含め、超遠隔離島での都民生活の実情や課題について視察していただきたいと思います。
以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 中村ひろし議員の代表質問にお答えします。
まず、会場計画の見直しについてでございますけれども、知事に就任して以来四カ月、ソチ冬季大会の視察や北京市訪問などを行い、またみずから現場にも足を運ぶなどして、招致計画をどのように実現していくべきかを考えてまいりました。
その結果、東京にとってのレガシー、都民生活への影響、そして整備コスト高騰の懸念といった視点から、現実妥当性を持って、よりよい計画とするためのブラッシュアップを行う必要があると判断いたしました。既存施設の活用や整備費の圧縮など、見直しの基本的な考え方に沿いまして、今後、具体的に進めてまいります。
アスリートファーストなど、招致計画で掲げました理念には変わりはございません。
今後とも、大会組織委員会との緊密な連携のもと、国内競技団体を初め、関係者と真摯に議論を重ね、オールジャパン体制で史上最高の大会の実現に取り組んでまいります。
新国立競技場の建設費の負担についてでございますが、これまでも説明しておりますとおり、新国立競技場の建設については、国が責任を持って整備を進めていくのが原則であると考えております。
先日、国立競技場将来構想有識者会議で基本設計が示され、その内容につきましては、事務方を通じて報告を受けております。
整備費の負担につきましては、いまだ国から正式な要請はなく、今後、お話があれば、その時点で協議すべきは協議すると、そういう考えでございます。
都市外交を都政に生かすことについてご質問がございました。
東京と海外の都市とが、教え教えられる関係を築きつつ友好を深めることは、東京を一段と高い次元の国際都市に引き上げるとともに、国家間の良好な関係にも資すると考えております。
こうした都市外交の第一弾として、私は四月に北京市を訪問いたしました。市長とはPM二・五の問題等、都市の課題解決に向けた協力の推進で合意をいたしました。
また、江戸東京博物館と北京首都博物館との連携、両都市の産業見本市を活用した企業間交流などを進めていくこととなりました。既に具体化に向けた調整を開始しております。
さらに、来年予定しております太田記念館開館二十五周年記念式典に市長をお招きしたい旨、お伝え申し上げました。
今後も、幅広い分野での交流を推進することで、相互理解を着実に深めていきたいと思っております。
次に、今回、政策企画局をつくる狙いでございますけれども、私の組織運営における基本は、まずは現場をつかさどる各局が、責任を持ってさまざまな課題に真っ正面から向き合い、物事を前へ進め、具体的な成果に結びつけていくことであります。
一方で、都政全体を俯瞰して、各局のさまざまな取り組みを有機的に連携させ、束ねていく司令塔の体制を機能させることも欠かせません。
しかし、この間、実際に都政運営を担ってみて感じたことは、司令塔の体制が、ややもすればさまざまな作業に追われ、頭脳集団としての本来の機能を十分に発揮していないということであります。
巨大組織である都庁をスピーディーで仕事ができる組織にするためには、トップマネジメントを補佐する機能により純化した体制の整備が必要であると感じ、新たに政策企画局を設置することといたしました。
今後は、知事補佐官をリエゾン役として活用し、知事と現場を抱える各局が直接つながり、議論を尽くし、政策を練り上げていくという、これまで以上に積極果敢な都庁に変革してまいります。
次に、いじめを撲滅していく覚悟についてでございますが、いじめは子供の生命や心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものであり、絶対に許されない行為であります。
これまで、いじめが原因でみずから生命を絶つという痛ましい事件が発生してまいりましたが、今後、二度とそのようなことが起こることのないよう、学校、家庭はもとより、社会全体で取り組んでいかなければなりません。
いじめ防止対策推進条例では、都、区市町村、学校、保護者等のそれぞれの責務を明確にするとともに、地域や関係機関等と緊密に連携するための組織などについて定めました。今後、この条例に基づく施策の充実を図るとともに、不断の検証を行い、いじめ防止のための対策の推進に都として全力で取り組んでまいります。
労働環境についてでありますが、働く意欲のある人が、健康な生活を送りながら働き続けられる社会をつくり、豊かさを実感できるようにすることは極めて重要であります。
企業が良好な労働環境を整え、従業員が能力を発揮することは、東京の産業の国際競争力を高め、世界をリードすることにもつながります。
このため、都は、長時間労働の削減や、従業員の希望に応じた多様な勤務形態の導入など、すぐれた取り組みを行う中小企業を認定し広く公表するなど、生き生きと働くことのできる職場づくりを目指す、そういう社会的機運の醸成を図っております。
また、先般、視察いたしました労働相談情報センターでは、職場におけるさまざまな労働問題に関して労使双方からの相談に対応しているほか、適切な労働時間管理や従業員の健康管理などをテーマとしたセミナーを開催し、必要な知識の普及を図っております。
今後も、こうした取り組みにより、労働環境の改善を促し、働きやすい都市東京を実現してまいります。
女性の活躍推進についてでございますが、少子高齢化の急速な進展に伴い生産年齢人口が減少する中で、社会の活力を高めるためには、女性の力を最大限に引き出すことが不可欠であります。
女性の活躍推進に当たりましては、制度の整備にとどまることなく、企業みずからが育児、介護への参画を男性にも促すなど、意識改革を行うとともに、男女の別なく意欲ある人が能力を十分発揮できるよう、ワークライフバランスの推進や就業のための環境づくりに積極的に取り組んでいくことが重要であります。
このため、都は、企業経営者に直接意識改革を働きかけるなど、社会全体の機運の醸成に取り組むとともに、安心して子供を預けることのできる環境の創出や、企業における女性の登用、就業継続の後押しなど、女性の活躍推進に向けた環境整備を進めてまいります。
そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長から答弁させます。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 四点のご質問にお答えをいたします。
まず、いじめに関する子供たちの主体的な取り組みについてでありますが、いじめは子供たちの間で起きており、子供自身がその実態を最も理解していることから、いじめ問題の解決のためには、大人が子供を守るだけでなく、子供自身が主体的に行動できるようにすることが重要であります。
そのため、学校では、授業において、いじめは絶対に許されないことを自覚できるようにするとともに、児童会、生徒会による主体的な行動を促すなどの取り組みが必要であります。
さらに、学校がいじめ防止基本方針を策定する際には、保護者や地域からの意見を聞くとともに、子供たちの主体的な取り組みも参考にすることが求められます。
都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携して、こうした学校の取り組みを支援してまいります。
次に、いじめなど学校問題への対応における地域との連携についてでありますが、いじめは学校内外を問わずさまざまな場面で発生することから、いじめに的確に対応するためには、学校と地域がともに子供を見守るとともに、情報を共有するなどして連携を図ることが不可欠であります。
都教育委員会は、これまでも公立学校全校に民生児童委員や青少年委員、地域関係者から成る学校サポートチームを設置し、学校が地域や関係機関と連携して問題の解決を図る取り組みを進めるなど、子供たちを地域で見守り育てる仕組みづくりに取り組んでまいりました。
今後とも、学校サポートチームのすぐれた活用事例を示した資料を配布するなどし、区市町村教育委員会と一体となって学校と地域の連携強化に向けて取り組んでまいります。
次に、スクールカウンセラー等の配置についてでありますが、いじめは背景や要因が複雑な場合が多いことから、心理や福祉の専門家と連携して対応する必要があります。
このため、全公立小中高等学校にスクールカウンセラーを配置し、子供が相談しやすい学校づくりを推進するとともに、スクールソーシャルワーカーの配置の拡大に努めてまいりました。
都教育委員会は、今後とも、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーがいじめなどの問題解決のために十分に専門性を発揮することができるよう、効果的な活用について、学校や区市町村教育委員会に対して助言を行うなど支援をしてまいります。
また、国に対し、引き続き区市町村補助の充実について要望をしてまいります。
最後に、都立高校入学者選抜での採点誤りについてでありますが、入学者選抜における採点の誤りは断じてあってはならないことであり、都教育委員会として、受検生とその保護者、都民の皆様におわびを申し上げますとともに、誤りは起こり得るものという前提に立った対策や検証が不十分であったことを深く反省をしなければならないと考えております。
現在、都教育委員会は、外部の有識者を含めた都立高校入試調査・改善委員会により、原因究明のために学校での実態調査を行っております。
今後、この調査の結果に加え、採点業務の現状や制度上の課題、大学や他県における取り組みなどさまざまな視点を踏まえ、八月末を目途に抜本的な改善策を策定し、都教育委員会と学校が一体となって、二度とこのような事態を起こさないよう全力で取り組んでまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕
〇生活文化局長(小林清君) 私立学校の授業料減免補助についてでありますが、この補助制度は、私立学校に対する基幹的補助である経常費補助の中で実施しており、その配分方針については、毎年度、東京都私立学校助成審議会に諮問しております。
これまでも、社会経済状況を勘案し、家計が急変した世帯に対し、学校が授業料を減免した場合の補助率を五分の四に引き上げるなど、適切に充実を図ってまいりました。
今年度は、国の就学支援金や都の特別奨学金の制度改正による授業料に対する公費助成の充実を踏まえ、補助対象を毎年度納付させる学校納付金まで拡大し、学校の取り組みを後押しすることが必要と考え、先月の助成審議会に配分方針を諮問いたしました。
審議会からは、諮問のとおり配分することが適当であるとの答申を得ておりまして、これを踏まえ、授業料減免に取り組む学校を支援してまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 四点の質問にお答えいたします。
地域包括ケアシステムの構築についてですが、今後の高齢化に対応し、医療、介護、住まい、生活支援、予防サービスを日常生活の場で切れ目なく提供する地域包括ケアシステムを構築するためには、区市町村が地域の特性を踏まえ、取り組んでいくことが必要でございます。
こうした考えに立って、都は区市町村における見守りネットワークの構築や、在宅療養支援相談窓口の設置などを包括補助により支援しており、今年度からは、地域包括支援センターの介護予防機能を強化する事業を開始いたしました。
こうした取り組みにより、今後とも地域包括ケアシステムの構築に向けた区市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、認知症の医療支援体制についてですが、都は現在、十二の認知症疾患医療センターにおいて、かかりつけ医や認知症サポート医等からの相談に応じるとともに、連携協議会や研修会を通じ、地域の関係機関の認知症への対応力向上を図っているところでございます。
また、センターに認知症アウトリーチチームを配置して、区市町村と連携し、認知症の早期発見、診断、対応の取り組みを進めております。
現在、国は認知症の早期診断等の取り組みを進めるため、新たな類型の認知症疾患医療センターの設置や、地域包括支援センター等に配置する認知症初期集中支援チームについて検討を進めております。
今後、国の動向も踏まえながら、都における認知症医療支援体制の充実を図ってまいります。
次に、認知症の人や家族を支える地域のネットワークについてですが、都はこれまで、認知症サポーターを活用した見守りネットワークなど、区市町村が地域の実情に応じて取り組む地域のネットワークづくりを、包括補助により支援してまいりました。
また、認知症に対する正しい理解を促進するため、都民向けのシンポジウムを開催するとともに、認知症に関するポータルサイトである、とうきょう認知症ナビやパンフレット等を通じ、広く都民への普及啓発に取り組んでまいりました。
今後とも、こうした取り組みを通じ、地域におけるネットワークづくりが進むよう区市町村を支援してまいります。
最後に、介護保険制度改正への対応についてですが、現在、国会で審議されている介護保険制度改正法案では、要支援者向けの訪問介護と通所介護について、介護給付サービスから地域支援事業に移行することとされております。
法案が成立した場合、本年夏ごろには制度改正に伴う介護予防のガイドラインの素案が国から示される予定であり、都は国の動向を踏まえ、区市町村に適切に情報提供してまいります。
都は、今年度から、介護予防に関して幅広い知識と経験を有し、介護予防事業の企画立案や予防機能強化のための実践的な研修等を行う主任介護支援専門員や、保健師等を介護予防機能強化支援員として配置する区市町村を支援しており、こうした取り組みを通じて、区市町村が円滑に制度移行できるよう支援してまいります。
〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕
〇産業労働局長(塚田祐次君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、就職に伴うトラブルの防止についてでありますが、若者を初め、これから仕事につこうとする方が労働契約等の知識を身につけ、適切な労働条件のもと、安心して働けることは重要であります。
このため、都は、就職の際に気をつけるべき労働法令等のポイントを紹介した冊子を作成し、大学の就職窓口を通じて配布するなど、必要な知識の普及啓発を行っております。
また、都内六カ所の労働相談情報センターでは、求人票と実際の労働条件の相違等、職場でトラブルを抱えた方々からの相談に応じており、問題解決への助言を行っております。
今後とも、若者等が安心して働けるよう環境整備に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、非正規労働者についてでありますが、労働者が希望によって働き方を選択できることは重要であり、法令では、パートタイム労働者が正社員となる機会の確保や、有期労働契約を正社員等の無期契約に転換できるルールについて定めております。
都は、こうした法令の規定を、普及啓発資料の作成、配布や、アドバイザーによる企業訪問などを通じて、労使双方に広く周知をしております。
また、正社員化など非正規労働者の雇用環境改善に取り組む中小企業に専門家を派遣し、具体的な助言を行っております。
引き続きこうした取り組みを通じ、正社員化など非正規労働者が希望する働き方を選択できるように支援してまいります。
次に、女性の雇用環境についてでありますが、妊娠や出産等を理由とした不利益な取り扱いは労働者の尊厳を傷つけるものであり、女性が安心して働き続けられる雇用環境の確保が必要と認識しております。
このため、都は、事業主を対象に、いわゆるマタニティーハラスメントを含め、さまざまなハラスメント防止に関するセミナーや、関連法令を解説した冊子の配布等を通じ、必要な知識の普及啓発を行っております。
また、労働相談情報センターにおいて、妊娠や出産に伴う退職強要や職場の嫌がらせなどに関する相談にも対応しております。
今後も、こうした取り組みにより、女性労働者の雇用環境の確保を進めてまいります。
最後に、小笠原における産業振興についてでありますが、小笠原の主要な産業である観光や農業の振興を図るためには、島の貴重な自然や亜熱帯の気候などの特性を生かした施策を展開していくことが重要であります。
都は、自然環境の保全と観光利用の両立を図るため、エコツーリズムの視点に立った観光ガイドの育成を支援するなど、持続的な観光の実現に向けて取り組んでおります。
また、農業振興については、気象条件等を考慮した生産を行うため、農業用水を確保する貯水施設や台風にも強い農業用ハウス等を整備するほか、観光シーズンに合わせた出荷も可能とする栽培技術の普及等に努めております。
今後とも、こうした取り組みを通じ、小笠原の観光や農業の振興を図ってまいります。
〔環境局長長谷川明君登壇〕
〇環境局長(長谷川明君) 小笠原の自然環境保全の取り組みについてでございますが、世界遺産小笠原の貴重な自然の保護を図るため、都は、遺産登録後もノヤギなどの外来種の排除を実施しております。
その結果、希少植物のウラジロコムラサキなどの確認数が増加したほか、小笠原で絶滅したアホウドリと思われるひなを、媒島で戦後初めて確認することができたところでございます。
また、観光客が増加する中、自然の保護と利用の両立を図るため、一層のマナー向上を喚起するとともに、東京都版エコツーリズムにより利用コースや利用者数を制限し、オーバーユースを防いでおります。
今後とも、都、村、環境省など関係者が連携協力して、グリーンアノールなどの外来種対策等を推進し、世界自然遺産の価値を着実に後世に継承してまいります。
〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後七時五十七分散会
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