平成二十五年東京都議会会議録第十七号

平成二十五年十二月六日(金曜日)
 出席議員 百二十六名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番かんの弘一君
四番山内  晃君
五番栗山よしじ君
六番小松 大祐君
七番松田やすまさ君
八番大津ひろ子君
九番石川 良一君
十番みやせ英治君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番西沢けいた君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番まつば多美子君
十九番伊藤こういち君
二十番河野ゆうき君
二十一番柴崎 幹男君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番清水 孝治君
二十五番島崎 義司君
二十六番神野 次郎君
二十七番やながせ裕文君
二十八番田中 朝子君
二十九番塩村あやか君
三十番山内れい子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番田中  健君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番遠藤  守君
三十九番中山 信行君
四十番木村 基成君
四十一番北久保眞道君
四十二番高椙 健一君
四十三番栗山 欽行君
四十四番大場やすのぶ君
四十五番和泉 武彦君
四十六番小宮あんり君
四十七番三宅 正彦君
四十八番吉住 健一君
四十九番桜井 浩之君
五十番野上ゆきえ君
五十一番上田 令子君
五十二番西崎 光子君
五十三番小山くにひこ君
五十四番あさの克彦君
五十五番新井ともはる君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番山崎 一輝君
六十五番崎山 知尚君
六十六番川松真一朗君
六十七番近藤  充君
六十八番堀  宏道君
六十九番鈴木 錦治君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番田中たけし君
七十二番鈴木 隆道君
七十三番神林  茂君
七十四番早坂 義弘君
七十五番両角みのる君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番斉藤あつし君
七十九番大西さとる君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番東村 邦浩君
八十四番小磯 善彦君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高木 けい君
八十八番村上 英子君
八十九番高橋 信博君
九十番鈴木 章浩君
九十一番秋田 一郎君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番相川  博君
九十六番山田 忠昭君
九十七番林田  武君
九十八番服部ゆくお君
九十九番こいそ 明君
百番中村ひろし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番藤井  一君
百七番長橋 桂一君
百八番中嶋 義雄君
百九番ともとし春久君
百十番田島 和明君
百十一番中屋 文孝君
百十二番宇田川聡史君
百十三番吉原  修君
百十四番高島なおき君
百十五番古賀 俊昭君
百十六番立石 晴康君
百十七番野島 善司君
百十八番三宅 茂樹君
百十九番川井しげお君
百二十番吉野 利明君
百二十一番野村 有信君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
百二十五番 清水ひで子君

 出席説明員
知事猪瀬 直樹君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長比留間英人君
東京都技監都市整備局長兼務藤井 寛行君
知事本局長中村  靖君
総務局長中西  充君
財務局長中井 敬三君
主税局長影山 竹夫君
警視総監西村 泰彦君
生活文化局長小林  清君
スポーツ振興局長細井  優君
環境局長長谷川 明君
福祉保健局長川澄 俊文君
産業労働局長塚田 祐次君
建設局長横溝 良一君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長松田 芳和君
交通局長新田 洋平君
消防総監大江 秀敏君
水道局長吉田  永君
下水道局長松浦 將行君
青少年・治安対策本部長河合  潔君
病院経営本部長醍醐 勇司君
中央卸売市場長塚本 直之君
選挙管理委員会事務局長森 祐二郎君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長岳野 尚代君
監査事務局長松井多美雄君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

十二月六日議事日程第三号
第一 第百八十一号議案
  東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例
第二 第百八十三号議案
  職員の結核休養に関する条例を廃止する条例
第三 第百八十七号議案
  東京都組織条例の一部を改正する条例
第四 第百八十八号議案
  旅券法関係手数料条例の一部を改正する条例
第五 第百八十九号議案
  東京都計量検定所設置条例の一部を改正する条例
第六 第百九十一号議案
  東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第七 第百九十二号議案
  東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第八 第百九十三号議案
  東京都電車条例の一部を改正する条例
第九 第百九十四号議案
  東京都乗合自動車条例の一部を改正する条例
第十 第百九十五号議案
  東京都貸切自動車条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十六号議案
  東京都地下高速電車条例の一部を改正する条例
第十二 第百九十七号議案
  東京都日暮里・舎人ライナー条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十八号議案
  東京都公営企業職員の結核休養に関する条例を廃止する条例
第十四 第百九十九号議案
  武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十五)メインアリーナ棟新築工事(その二)請負契約
第十五 第二百号議案
  武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十五)サブアリーナ・プール棟新築工事(その二)請負契約
第十六 第二百一号議案
  都庁第一本庁舎(二十五)改修工事請負契約
第十七 第二百二号議案
  都庁第二本庁舎(二十五)改修工事請負契約
第十八 第二百三号議案
  都立横網町公園(二十五)慰霊堂・慰霊塔耐震補強工事請負契約
第十九 第二百四号議案
  都営住宅二十四CH―一〇三東(葛飾区東新小岩一丁目・建設局施設)工事その二請負契約
第二十 第二百五号議案
  東京消防庁江東航空センター庁舎(二十五)新築工事(その二)請負契約
第二十一 第二百六号議案
  東京文化会館(二十五)改修工事請負契約
第二十二 第二百七号議案
  都庁第一本庁舎(二十五)電気設備改修工事請負契約
第二十三 第二百八号議案
  都庁第二本庁舎(二十五)電気設備改修工事請負契約
第二十四 第二百九号議案
  都庁第一本庁舎(二十五)給水衛生設備改修工事請負契約
第二十五 第二百十号議案
  都庁第二本庁舎(二十五)給水衛生設備改修工事請負契約
第二十六 第二百十一号議案
  都庁第一本庁舎(二十五)空調設備改修工事請負契約
第二十七 第二百十二号議案
  都庁第二本庁舎(二十五)空調設備改修工事請負契約
第二十八 第二百十三号議案
  都立産業貿易センター台東館(二十五)改修空調設備工事請負契約
第二十九 第二百十四号議案
  東京文化会館(二十五)空調その他設備改修工事請負契約
第三十 第二百十五号議案
  平成二十五年度十号地その二多目的内貿岸壁(-(マイナス)八・五m)桟橋整備工事(その二)請負契約
第三十一 第二百十六号議案
  総務大臣に対する中核市の指定の申出に係る同意について
第三十二 第二百十七号議案
  清掃工場建設工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起について
第三十三 第二百十八号議案
  東京都立学校の敷地に係る土地明渡請求事件に関する和解について
第三十四 第二百十九号議案
  当せん金付証票の発売について
第三十五 第二百二十号議案
  駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第三十六 第二百二十一号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
第三十七 第二百二十二号議案
  東京都練馬障害者支援ホームの指定管理者の指定について
第三十八 第二百二十三号議案
  東京都江東通勤寮の指定管理者の指定について
第三十九 第二百二十四号議案
  東京都大田通勤寮の指定管理者の指定について
第四十 第二百二十五号議案
  東京都葛飾通勤寮の指定管理者の指定について
第四十一 第二百二十六号議案
  東京都豊島通勤寮の指定管理者の指定について
第四十二 第二百二十七号議案
  東京都立川通勤寮の指定管理者の指定について
第四十三 第二百二十八号議案
  東京都町田通勤寮の指定管理者の指定について
第四十四 第二百二十九号議案
  東京都立産業貿易センターの指定管理者の指定について
第四十五 第二百三十号議案
  土地の買入れについて
第四十六 第二百三十一号議案
  首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第四十七 第二百三十二号議案
  東京都立駒沢オリンピック公園の指定管理者の指定について
第四十八 第二百三十三号議案
  東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について

   午後一時開議

〇議長(吉野利明君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(吉野利明君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(吉野利明君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十二番鈴木隆道君。
   〔七十二番鈴木隆道君登壇〕

〇七十二番(鈴木隆道君) 初めに、先般の台風二十六号により亡くなられた多くの方々に、心からご冥福をお祈り申し上げます。また、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げ、一般質問に移ります。
 まず、都市外交について伺います。
 IOCのジャック・ロゲ前会長から、東京という名前が告げられ、オリンピック・パラリンピックの開催都市が決定をいたしました。その瞬間、また、あの感動的な場面は一生忘れ得ぬものとなりました。私は、東京を支持してくれたアジアや世界の友人たちに、非常に強い感謝の念で胸がいっぱいになったことが事実でありました。素直に、ありがとうございましたという言葉が出てまいりました。
 と同時に、実は身震いのする怖さが心を覆ったのもまた事実でありました。今、東京そして日本が国際社会の中で果たすべき大きな役割とその責任の重さを自覚し、勇気を持って立ち上がるべきと決意を新たにしたところでもあります。
 また、今回の成功を手繰り寄せたのは、感謝の心、謙虚の心、そして諸外国への尊敬の念を持ち、多くの方々の協力に支えられたオールジャパンとしての取り組みであり、二〇一六年の招致活動を糧としたきめ細かいロビー活動の結果であったことが大きな理由でありましょう。
 しかし、私はそれだけではないと思うのであります。そもそもオリンピック・パラリンピック招致は、国や都市の総合力が問われているものであるからです。その国、都市が有する歴史、文化に対する高い評価、そして国際社会における貢献度、そうしたものも踏まえて、その国、都市が尊敬を受けていないならば、いかにロビー活動を行おうとも、とても招致はおぼつかないのではないかというふうに感じています。
 戦後、多くの方々が、坂本竜馬の意思を継ぐ形で海を渡り、世界中で活躍をし、そして日本人としての信用、信頼を築いてまいりました。今回の成功の背景には、まさにそのような大きな力が働いたと私は感じています。このことは、恐らく私一人ではないと思います。
 都が今回、二度目の挑戦で招致をかち取ったことは、東京がまさに国際社会からその実力、総合力を評価されたということにもなりましょう。その中でも大きな要因となったのは都市外交であったと私は考えております。
 代表質問で宇田川議員からも申し上げましたが、都がこれまで推進してきたアジア大都市ネットワークなど、儀礼的な内容にとどまらない、現実的な課題解決のための地道な取り組みが、アジア諸都市や世界の主要都市の共感を得ることにつながりました。そして、東京がオリンピックの開催都市になることで、アジアや世界の発展に東京が積極的に貢献していくという期待がさらに高まり、このことが招致を成功させる土壌となったものと考えられます。
 私はここに、これからの都市外交の鍵があると思っています。これからの東京は、冒頭に申し上げました、国際社会への感謝の気持ちを目に見える形であらわすとともに、さらに国際社会からの共感、尊敬を得るべく、従来にも増して心のこもった、世界に貢献する形での交流を進めなければならないのであります。
 それは、従来の取り組みの延長にあるものではありません。オリンピック・パラリンピック招致が決まった今、都市外交のさらなる高みへと新たな一歩を踏み出すべきと考えます。
 そこで、この機会に、東京の都市外交について考察を深めたいと思います。
 まずは、姉妹友好都市であります。
 アジア大都市ネットワーク21をアジア外交戦略のかなめとすれば、こちらは、アジアはもとより、さらに全世界を視野に入れたグローバルな展開を考えて、都市関係を活性化させるべきであります。
 そのための一つの戦略として、文化、スポーツ交流に重点を置いてはいかがでしょうか。これは、今回のオリンピック・パラリンピック招致の経験を踏まえた、東京ならではの提言であります。招致のライバルであった、まずはマドリード、これは戦略的にも非常に大事だと思いますが、マドリード、イスタンブール、そしてIOC総会が開催されたブエノスアイレスとも一日も早く姉妹友好都市関係を構築し、文化、スポーツ交流、または目的を決めた交流をするという外交戦略を持つべきと考えます。将来を見据えた政策として、私はあえて提言として申し上げるものであります。
 このように、姉妹友好都市を単なる儀礼的な関係ではなく、都市が抱える課題解決など、都市外交の外交の舞台としてさらに積極的に活用すべきと考えます。
 そこで、姉妹友好都市の今後の展開について、まず所見を伺います。
 さて、先月、アジア大都市ネットワーク21の総会が、ベトナム・ハノイ市で開催されました。都市計画や省エネルギー政策について、会員都市による活発な意見交換が行われたと聞いております。
 アジア大都市ネットワーク21は、今後さらに飛躍的に発展する可能性を持っています。いや、発展をさせるべきだと私は考えています。
 例えば、アジア大都市ネットワークの加盟都市は十三の都市であります。しかし、ASEANのメンバーである、親日的で東京の貢献を大変期待をしているラオスのビエンチャンは加盟都市ではありません。
 また、一国一都市にとらわれる必要もないと考えます。都が経済的に結びついたり、文化的に結びついたりした方がよい都市もあります。アジア経済全体の繁栄を考えるならば、アジア経済のハブである香港やシンガポール、また成長著しい経済都市である上海とか大連、流通を考えれば、アジアの海運ハブとしての韓国の釜山、台湾の高雄と連携することも、効果は期待できます。
 さらにいえば、従来のアジア大都市ネットワーク21や、姉妹友好都市との交流の形にとらわれない、例えば先ほど申し上げました文化、スポーツに特化した都市間交流や、経済交流に特化した第三の交流の道があってもよいのではないでしょうか。
 こうして見ると、アジア大都市ネットワーク21も、今、新たな展開が期待されていると思います。
 そこで、アジア大都市ネットワーク21の今後の展開についての所見を伺います。
 これまでも、私は質疑の中で、東京がすぐれた技術を持つ企業とアジア都市との特に経済交流を促進すべきと申し上げてまいりました。アジア大都市ネットワークでは、産業交流展やその他の国際見本市においてアジアゾーンを設置するなど、経済交流を進めてまいりました。
 アジア各都市との経済交流は、アジアの発展に資するだけでなく、都内中小企業にとっては新たなビジネスの機会でもあります。今後は、アジア市場を目指す都内中小企業に対する支援を強化することにより、都市間に加え、企業間の実質的な経済交流を進めていくことが重要であります。
 都内中小企業の中には、新たな販路を求めて、潜在的に高い成長力を持つアジアのマーケットを目指す企業も多いと聞いておりますが、現地の情報に疎いまま、知り合いもいない中で、いきなりビジネスをしようとしてもなかなかうまくいかないという現実があります。
 海外ビジネスで成功するためには、その前段として、現地の情報を的確に把握、分析するとともに、現地の関係機関や企業とのネットワークを構築することが不可欠であります。しかし、人員的にも資金的にも限界がある中小企業がこうした取り組みを独自に行うのは、現実的に困難であります。
 また、都市間の経済交流を東京に要求する国はアジアに非常に多く、各都市の期待するところでもあります。経済交流都市としての形も、先ほども申し上げましたが、考える必要がある、またそのときが来ていると思われます。
 このことを踏まえ、具体的に東京都が現地にキーパーソンとなる人を置いて、迅速な情報収集やパートナー企業の発掘など、きめ細やかな支援を展開すべきと考えますが、所見を伺います。
 もとより、外交政策は国家のかなめであります。しかし、二十一世紀は都市の時代といわれ、外交における都市の果たす役割が大変大きく重要になっているのも事実であります。アジアや世界に交流から協力、そして貢献をしていくという新たなステージに対応し、そしてそのための都市外交は、従来のカテゴリーにとどまっていたのでは十分ではないと考えています。アジアの国々の発展により一層貢献するためにも、現在の交流の枠組みにとどまらない新しい都市外交戦略へとギアチェンジをする必要があると考えます。
 そこで、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック実現に向けた首都東京の今後の都市外交、特にアジアに対する都市外交戦略の理念について、改めて所見を伺います。
 次に、教育について伺います。
 キャロライン・ケネディ新駐日大使が、女性初の駐日アメリカ大使としての第一歩を踏み出しました。精力的に活動を始められておりますが、大使の父でありますジョン・F・ケネディ大統領、元大統領は、一九六一年の大統領就任演説で、国が何をしてくれるのかを求めるのではなく、国のために何ができるのかを問うてほしいと述べたことは、世界中の人々の記憶に残る名演説の一節であります。
 オリンピック・パラリンピックが決定いたしました。今、我が国は、世界に何かを求めるのではなく、日本が世界のために、東京が世界のために何ができるのか、また一人一人の日本人が世界のために何ができるのかを考えるべきときが来ていると私は考えます。
 九月七日、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会が東京に決定をいたしました。ブエノスアイレスで開かれたIOC総会での東京開催の決定の瞬間、これまで招致活動に携わってきた者の一人として、あの感動と感激は生涯忘れることのないものとなりました。
 そして、まさに日本が世界に対して貢献をすべきときが来たわけであります。それが今であります。その責任は、さきにも申し上げましたが、非常に重いと考えます。そして、それと同時に、感謝の気持ちを持ち、そのことを伝えていくことも大変重要なことだというふうに思います。
 スポーツは、国や地域、人種や宗教の違いを超えた、世界共通の文化であります。そして、オリンピックには、世界の平和を希求する深遠な哲学があり、崇高な理念や哲学について、全ての日本人が謙虚に学び、何ができるのかを考え、世界に貢献していくという行動を起こしていくことが、開催都市東京としての責務であると考えます。
 そのためには、子供のころから日本人として、オリンピックの歴史的意義や世界平和に果たす役割を謙虚に学び、世界に貢献するという学びの心に灯をともしていく必要があると考えます。温故知新、日本の伝統文化を継承し、世界の国々の伝統文化の理解を深めること、草の根の交流、お互いの心の交流を深め、感謝の気持ちを伝え合うことが、最も今、必要なことと考えます。
 このことを踏まえ、都教育委員会は、開催都市東京として、今後、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催を見据えた都の教育をどのように展開をしていくべきと考えるか、所見を伺いたいと思います。
 昨年のロンドン・オリンピック・パラリンピック大会に象徴されるように、世界のトップアスリートの崇高な競い合いは、若者や子供たちを含めた世界中の人々を魅了いたしました。ヨーロッパでは、平和の祭典であるオリンピック、誰もが自国でのオリンピック・パラリンピック競技大会の開催の実現を夢見ています。そして、そういう国、誇りある国家をつくりたいということを念願しているのが事実であります。
 スポーツ、特にオリンピック・パラリンピックに対する考え方については、今いいましたように、日本人が改めて学ぶべきことが、私は大変多いというふうに考えています。
 私が中学生のころ、一九六四年の東京オリンピックが開催をされました。あのときの日本人の大活躍した姿に感動したことは、初めて見た外国人選手の競技水準の高さへの驚きは、今でも私の心のレガシーとして残っています。
 私は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技開催が、二十年後、三十年後も、次代を担う全ての子供たちの心の中にレガシーとして生き続けるものにしていきたいと願っています。
 そのためにも、七年後に開催する東京にあって、オリンピックの崇高な理念や哲学、世界平和につながるオリンピックムーブメントを子供たちが深く学ぶことができるよう、オリンピック学習の充実について、今後具体的に取り組む必要があると考えますが、所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 鈴木隆道議員の一般質問にお答えをいたします。
 教育に関する二点のご質問ですが、まず、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催を見据えた教育についてであります。
 スポーツを通じ、国や地域、文化の違いを超えて互いを理解し、世界平和に貢献するというオリンピックの理念を踏まえ、児童生徒が世界の人々とともにこれからの時代を切り開く力を身につけていくことは、極めて重要でございます。
 このため、都教育委員会は、我が国や他国の伝統文化に触れ、日本人としての自覚と誇りを持ち、多様な文化を尊重できる心や態度を育む教育をより一層推進してまいります。
 また、国際社会の一員としての自覚を持ち、言葉の壁を乗り越えて、世界の人々との友好と親善を深め、世界平和の確立に貢献できる人材を育成する教育を積極的に展開をしてまいります。
 次に、オリンピック学習の具体的な取り組みについてでありますが、七年後のオリンピック・パラリンピック競技大会で選手を直接応援したり運営を支えたりするという貴重な体験を、児童生徒が人生の大きな糧としていくためには、学校においてオリンピックに関する教育を推進することが極めて重要であります。
 このため、都教育委員会は、関係機関との連携を図り、オリンピック・パラリンピックの意義と国際親善に果たす役割などを詳しく学習できる教材の開発、オリンピアンやパラリンピアンから夢に向かって努力することの大切さなどを直接学ぶための交流、学校と参加国との国際交流を図る一校一国運動などの具体的な取り組みを通して、開催都市にふさわしいオリンピック学習の充実に全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔知事本局長中村靖君登壇〕

〇知事本局長(中村靖君) 都市外交について、三点のご質問にお答えします。
 まず、姉妹友好都市の今後の展開についてでありますが、都はこれまで姉妹友好都市との間で、文化、スポーツ等を通じた交流を図ることはもとより、大都市の課題解決に向け共同で取り組むなど、実質的な交流を行ってまいりました。最近では、本年四月にニューヨーク市と環境問題等について意見交換するとともに、友好関係の象徴として桜を贈呈することといたしました。また、十月には北京市の実務担当者を東京に招き、大気環境改善のためのワークショップを開催いたしました。
 今後も、ご指摘を踏まえつつ、これまで築いてきた信頼関係を礎に、さまざまな機会を捉えて相互理解を深めるとともに、知恵や経験を積極的に交換することにより、姉妹友好都市との交流を推進してまいります。
 次に、アジア大都市ネットワーク21の今後の展開についてでありますが、アジア大都市ネットワーク21では、文化やスポーツの分野についても、これまでにアジア舞台芸術祭やジュニアスポーツ交流などの共同事業を通じて、会員都市との交流を深めてまいりました。
 今後は、ハノイ総会において承認された新規共同事業、経済交流促進のプラットホームを通じ、各国の中小企業の販路開拓につなげ、アジア発の新産業を生み出していくことを目指していきます。
 今後とも、アジア大都市ネットワーク21の取り組みを通じ、アジアの発展により一層貢献してまいります。
 最後に、今後の都市外交戦略についてでありますが、世界人口の半数が都市に集中する中にあって、都市外交の役割はますます増大しております。中でも、豊かな潜在力を持ち、力強く成長を続けているアジア諸都市との交流は重要でございます。
 都はこれまで、姉妹友好都市との交流やアジア大都市ネットワーク21を通じ、互いの知恵や経験を交換し、アジアを初めとする都市の課題解決に取り組んでまいりました。東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を契機として、こうした都市同士の交流をさらに進めることが期待されております。
 今後は、アジア大都市ネットワークの新たな共同事業も活用しながら、さらなる国際貢献を視野に入れ、都市外交を積極的に推進してまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 中小企業のアジア展開支援についてでありますが、高い成長が見込まれるアジア市場において、都内中小企業の販路開拓を支援することは、東京の産業の活性化を図る上で重要であります。
 都はこれまで、製品の輸出を希望する企業に対し、アジア各地域から収集した情報をもとに、商品ニーズや取引実務に関するアドバイスなどを行ってまいりました。近年、中小企業の海外展開の形態は、販売拠点の設立など多様化しており、現地において、各企業のニーズに応じたきめ細かな支援が求められております。
 そこで今後は、アジア地域に新たにアドバイザーを配置し、現地の状況を的確に踏まえたアドバイスや代理店とのマッチングを行うなど、中小企業の販売活動の強化に対する支援の充実を検討してまいります。

〇議長(吉野利明君) 六十五番崎山知尚君。
   〔六十五番崎山知尚君登壇〕

〇六十五番(崎山知尚君) 初めに、先般の台風二十六号によって亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 この台風は想定外の降雨量となり、一晩で八百ミリもの雨が降り続け、大島の住民にとっても、よもや山頂から海岸までの土石流が発生するとは思いもよらない災害でした。予期しないことが起きることを予期せよ、不可抗力という言葉をいいわけにしてはいけない、この箴言に心して、私ども自民党としても、地元の三宅正彦議員を先頭に、大島町の復旧、復興に力を尽くしていきたいと思います。
 私も発災から四十時間後には現地に赴き、悲惨な状況を目の当たりにし、この災害の教訓を今後の防災対策につなげていくべく質問をいたします。
 まず、発災直後の初動体制について伺います。
 土砂災害が起きた十六日未明は、土砂や雨水で現場に近づくこともできず、救出救助活動は困難をきわめました。自衛隊、警察、消防、地元消防団などの関係者が効果的に活動するためには、断片的でもいいので、情報を収集し、初動対応につなげることが重要と感じました。
 今回の災害を教訓として、今後、初動時にどのように情報を収集し、救出救助活動に結びつけていくのか、所見を伺います。
 次に、災害時における都と町村の連携について伺います。
 今回の災害では、ミニ都庁ともいえる大島支庁に副知事を本部長とする現地対策本部を設置し、大島町と協力しながら応急復旧対策に取り組んできました。災害時には、被害状況の情報を両者が共有し、役割分担することが大変重要と考えます。
 そこで、今回の災害対応の教訓を踏まえ、発災直後から、都と島しょの町村が連携協力しながら効果的に災害対応を行うため、都としてどのように取り組むのか伺います。
 三番目に、災害時における報道機関の活動について伺います。
 テレビは、活字に比べ速報性が重要なポイントで、今回の災害も直ちに報道されました。
 しかし、一方で、現地で私が見た一部のマスコミ関係者の行動には、疑問を感じる点もありました。例えば、土砂災害による被災者が救助を待つ現場では、自衛隊などの関係者が必死の救助活動を行っている現場に、記者が立ち入ったり、また、救出救助活動の生命線となる主要な道路に列をなし、取材用の車両が放置されていました。
 こうしたマスコミ取材に対し、平時なら自治体職員や警察が対応できますが、災害時にはそれを期待することは困難であります。まさにマスコミの良心と節度が求められますが、都としても、災害現場におけるマスコミ活動のあり方について検討しておく必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、地域危険度について伺います。
 一方、区部に目を向けると、本年九月に第七回地域危険度測定調査の結果が公表され、木密地域における地震被害が大きいことが改めて浮き彫りになりました。
 このような地域では、効果的な防災対策が必要です。都内約五千百町丁目ごとに危険度がランクづけされていますが、我が荒川区はワースト一、二も含め、百位以内に十九地区がランクインする災害危険度の高い地域であります。この調査は、おおむね五年ごとに公表しているとのことですが、今回明らかになった結果を踏まえ、これまで、そしてこれからの防災都市づくりにどのように活用していくのか、まず伺います。
 次に、消防水利の整備についてであります。
 災害時は、公助より自助、共助の方が最も重要であり、例えば町会、自治会など地域住民による迅速な消火活動があれば、火災による被害も大きな減少が期待できます。また、消防水の確保は何よりも重要であり、災害時に水道管が破裂し、水が利用できなければ、火災被害は拡大します。特に区東部は、六割以上が断水する被害想定であり、深刻です。水道管の耐震化にも時間がかかります。
 災害時においても有効に活用できる消防水利の整備をさらに推進することが求められると考えますが、東京消防庁の所見を伺います。
 防災について、最後は深井戸の整備についてであります。
 深井戸は、消火用水に加え、非常用飲料水ともなるため、独自で整備するよう検討を始めた区もあります。こうした動きを受けて、国土交通省は、密集市街地における深井戸の整備について支援を行うことが可能との見解を示しています。
 都としても、区が行う深井戸の整備を支援していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 続いて、東京オリンピック・パラリンピック競技大会について伺います。
 本定例会初日に、我が党の田中たけし団長から視察報告がありました。七年後のオリンピック・パラリンピック東京大会の成功を期して、かつての開催都市、アテネ、ロンドンに行ってまいりました。
 施設整備に当たっては、ホワイトエレファント、白い象、いってみれば無用の長物をつくるなかれ。明暗の分かれるアテネ、ロンドン両都市で、全く同じ言葉のアドバイスをもらいました。
 そして、議会の役割についての私の問いに、大ロンドン市議会議長からは、二つのP、パートナーシップとプレッシャーに尽きるとの貴重なアドバイスをいただきました。パートナーシップとプレッシャーです。ぜひ議会と両輪で走り出していただきたい。
 と思ったやさきに、訪問先で、残念ながら猪瀬知事の不可解な借り入れ問題の報道が入りました。そして、私が帰国してからきのうまで、納得のいく説明がなされていません。
 出処進退という四文字の意味を、作家の知事はもちろんご承知だと思います。進むと出るは、人の助けを要さねばなりません。ある意味、これは選挙をいうかもしれません。そして、おると退くは自分でできるもの。ただし、その判断の前提として、猪瀬知事には行政の長として、そして選良として、総務委員会において、一連の問題に対し、正直に事のてんまつを説明する責任があると思います。その良心にご期待申し上げ、質問に入ります。
 初めに、オリンピックにおける文化の役割についてであります。
 さきのロンドン大会では、シェークスピアの全作品の上映など、英国文化の力を最大限に活用しました。日本にも多様な文化があふれており、東京大会を成功に導くには、ロンドン大会のレガシーを受け継ぎ、成熟都市の魅力を発信していく必要があります。
 そこでまず、オリンピックにおける文化の役割について伺います。
 次に、文化プログラムの策定についてであります。
 今回の立候補ファイルでは、文化プログラムとして、大会期間中、都市が劇場となるなどの基本的な考え方が示されています。東京大会の開催は七年後ですが、今から計画の策定に取り組んでいく必要があると考えます。
 ロンドン大会を手本に、文化プログラムを策定するため、都は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 三番目に、戦略的海外広報について伺います。
 二〇二〇年の東京大会の開催に向けて、文化のみならず、東京の都市全体の魅力を世界に発信していくことも重要であります。
 ロンドンは、二〇一二年大会を機に、再開発により再生した町並みや雇用創出効果などを海外に広く発信し、都市のプレゼンスを大きく向上させました。東京は、人的、経済的資源の集積に加え、正確な公共交通、治安のよさなど、誇るべき都市機能があるにもかかわらず、都市としての魅力が十分に伝わっていないと今回のロンドン訪問で強く感じました。
 東京が海外の主要都市との競争に勝ち抜くためには、海外広報を強化することが喫緊の課題と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 四番目に、都立学校におけるスポーツ振興について伺います。
 オリンピック・パラリンピック開催都市として、地域の人々がスポーツに親しみ、楽しむ機会を広げていくために、都立学校の体育施設の一層の活用が図られるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 五番目に、特別支援学校のスポーツ教育についてであります。
 オリンピック・パラリンピックとの名称も定着し、当たり前の表記となっています。昨年のロンドン大会でも、都立特別支援学校の生徒や先生が日本代表として活躍したことは記憶に新しく、都立特別支援学校に通う生徒たちが生涯にわたりスポーツに親しむことができるよう、スポーツ教育を充実させるべきと考えますが、所見を伺います。
 産業政策について、初めに、下請取引の適正化についてお伺いいたします。
 景気の明るさは見えてきたものの、中小零細の下請企業は依然として厳しい経営状況にあります。また、来年四月からは、消費税率が八%に引き上げられます。
 こうした中、国においては、法律をつくり、引き上げ分を円滑に転嫁できるよう、その取り組みを行っています。
 都としても、こうした消費税の転嫁問題を初めとして、取引の現場で不利な状況に置かれやすい下請企業の悩みをしっかりと受けとめて、解決に向けたサポートを行うことがより一層重要となってくると考えますが、所見を伺います。
 次に、環境対応に取り組む中小企業の支援についてであります。
 中小企業にも、環境に配慮した経営がこれまで以上に求められています。こうした中、同じ悩みを持つ企業同士への専門的なアドバイスや、合同研修会の開催など、グループや団体の共通課題への対策が効果的です。また、環境経営の認証制度であるエコアクション21は、中小企業にも取り組みやすいすぐれた仕組みであり、認証を取得する企業はふえています。
 そこで、東京都と中小企業団体中央会とが協力しながら、環境対応に向けたグループの取り組みを支援していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、人材育成についてであります。
 中小企業の持続的な成長のためには、すぐれた技能者を育成することが欠かせません。そのためには、例えばメッキやインテリア関係の団体などでは、技能向上のための講習会や、傘下の企業で働く技能者が互いに競いながら技能の向上を図る競技大会など、技能者育成のための取り組みを行い、東京の産業力強化につながっています。
 しかし、経営環境の厳しい中で、民主党の事業仕分けという問答無用のお白州に引き出され、国の技術振興に対する補助金が大幅に削減されました。その結果、技能者育成に取り組む団体からは、競技大会の開催が難しくなっているとの悲鳴の声が我が党に寄せられています。
 都は、技能振興の観点から、技能者育成に取り組む団体に対して支援をすべきと考えますが、所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 崎山知尚議員の一般質問にお答えをいたします。
 教育に関する二点のご質問ですが、まず、都立学校の体育施設の活用についてであります。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、より多くの都民がスポーツに親しめるよう、都立学校体育施設の一層の活用が求められております。
 都教育委員会は、開かれた学校づくりとスポーツ活動等の振興の観点から、体育施設を開放しておりますが、開放日全てが有効に利用される学校がある一方で、開放可能であるにもかかわらず開放日が少ない学校や、地域への周知不足のため十分な施設利用が行われていない学校もあります。
 今後はさらなる活用を図るため、施設の開放日の拡大、利用者の利便性に配慮した施設の整備、ホームページの改善による周知促進や、関係局と連携した地域スポーツクラブに対する開放施設の情報提供等の取り組みを通じ、気軽にスポーツを楽しめる環境の整備に努めてまいります。
 次に、都立特別支援学校のスポーツ教育についてでありますが、都立特別支援学校では、障害が重い児童生徒も楽しめるハンドサッカーやボッチャなどの障害者スポーツの普及啓発や、全国規模の障害者体育大会で活躍する選手の育成など、障害のある児童生徒に、スポーツを通じて夢や希望を育む教育の充実に努めております。
 今後、都教育委員会は、パラリンピック開催に向けて、障害者スポーツを取り入れた学習の一層の充実や、すぐれた外部指導者を活用した部活動の振興、近隣の小中学校等とのスポーツを通じた交流の活性化など、都立特別支援学校のスポーツ教育を計画的に推進をしてまいります。こうした取り組みにより、全ての児童生徒に、障害の種類や程度に応じて、卒業後もスポーツに親しむ態度や習慣の基礎が身につくよう、各学校を支援してまいります。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 防災対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域危険度測定調査の結果活用についてでございますが、本調査は、市街化区域の全町丁目を対象に行うものであり、地震に対する建物倒壊や火災の危険性を相対的に示すものでございます。これまで、都市計画道路の整備に伴い、沿道建築物の不燃化や耐震化が進んだ地域、市街地再開発事業を行った地域などでは、危険度は低下しておりますが、木密地域などでは依然として危険度は高い状況でございます。
 今後とも、本調査で明らかになった結果を活用し、都民の防災意識の高揚に役立てるとともに、木密地域不燃化十年プロジェクトなど、防災都市づくりを効率的、効果的に進めてまいります。
 次に、区が行う深井戸整備への支援についてでございますが、都はこれまで、防災都市づくり推進計画で定めた整備地域内において、老朽木造住宅の不燃化建てかえや主要生活道路の整備などに合わせ、消火活動を行うための耐震性貯水槽などの施設整備に対して、区への助成を行ってまいりました。お話のありました地域の防災性の向上に資する深井戸につきましては、都は、区から要望があった場合は国と連携して支援してまいります。
 今後とも、地元自治体と連携し、燃えない、燃え広がらない町の実現など、防災都市づくりの推進に取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 防災対策についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、発災直後の情報収集体制についてでございます。
 発災時に的確な初動対応を行うためには、さまざまな手段を最大限に活用して被害状況などを把握し、初動時の対応に結びつけていく必要がございます。
 現在、発災直後の自衛隊、警察、消防との連携等を定めた首都直下地震等対処要領の策定を進めておりますが、情報収集につきましては、都庁の高所カメラやヘリコプターからの映像、道路、河川に設置しているカメラ映像等を活用して、状況把握を行うこととしております。
 また、今回の災害では、現地対策本部を通じてさまざまな情報を収集できました。このため、今後も、発災時には必要に応じて災害対策本部等から被災地へ職員を派遣し、現場の情報をきめ細かく酌み取るなど、都の情報収集機能の強化に努めてまいります。
 次に、災害時における都と町村との連携についてでございます。
 島しょにおける大規模災害発生時に、住民に迅速な避難を促すとともに、救出救助などの応急対策を着実に行うためには、都の出先機関である支庁と地元の町村とが緊密に連携して、災害対応を行っていく必要がございます。
 都はこれまで、防災行政無線の整備など、支庁と町村の間での情報連絡手段を確保するとともに、今回の大島の災害対応では、支庁に設置いたしました現地対策本部を通じて、支庁と町が必要な連絡調整を行ってまいりました。さらに、より実効性の高い応急対策を実施するため、今後、支庁と地元自治体との間で、発災時に相互に職員を派遣し、情報共有や事業調整を行う体制の構築に向け、検討を進めてまいります。
 最後に、災害時における報道についてでございます。
 災害時の情報発信については、防災行政無線やホームページなど行政による情報発信に加え、マスコミ等の報道が大きな役割を担っています。
 このため、都は、各報道機関と災害時等における報道要請に関する協定を締結し、随時の報道発表を通じて、都民に対する情報伝達の迅速化を図っています。また、総合防災訓練の際の事前説明等を通じて、各報道機関に対し、取材時の安全性確保、プライバシーへの配慮などについても理解を求めております。
 現在、住民等に対するマスメディアを通じた迅速な災害情報提供方法についても検討しており、今後とも、報道機関と適切に連携しながら、災害時の情報発信を行ってまいります。
   〔消防総監大江秀敏君登壇〕

〇消防総監(大江秀敏君) 震災時における消防水利の整備についてでありますが、大規模火災などによる被害を軽減するためには、震災時においても有効に活用できる消防水利が重要であると認識しております。
 このため、東京消防庁では、延焼危険度に応じて、四十トンまたは百トンの耐震性防火水槽や、地下水を活用する深井戸を整備するとともに、河川や池を初めとする自然水利などの確保に努めております。
 引き続き、関係機関との連携を図りながら、深井戸を含め、多岐にわたる消防水利の整備、確保を推進してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 文化、広報に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、オリンピックにおける文化の役割についてでございますが、オリンピック憲章には、スポーツと文化は一体であることや、文化イベントを計画すべきことなど、オリンピックが文化の祭典でもあることが示されております。
 二〇一二年のロンドン大会では、二〇〇八年の北京大会終了後から、英国の歴史と文化を象徴する数多くの文化プログラムが展開をされました。特に、大会期間を含む三カ月間は、約二千万人が参加したロンドンフェスティバルが実施されるなど、文化の力で大会を盛り上げたことがオリンピック成功の大きな要因となったといわれております。
 日本には、歌舞伎など伝統文化からアニメや最先端技術まで、海外からの評価が高い文化資源が集積をしております。また、江戸以来の都市の成熟の中で、人々の生活や様式に定着したホスピタリティーや品格も存在をしております。
 ロンドン大会と同様に、二〇二〇年の東京大会を成熟した都市として成功させるため、伝統と現代が融合し、洗練された日本の文化の特性を生かした文化プログラムを策定してまいります。
 次に、文化プログラムの策定に向けた今後の取り組みについてでございます。
 ロンドン大会では、文化プログラムの策定に当たり、英国政府やロンドン市に加え、芸術文化の専門機関であるアーツカウンシルが、事業の企画立案やその推進を担ってまいりました。
 二〇二〇年の東京大会における文化プログラムは、二〇一六年リオデジャネイロ大会終了後の事業展開に向けて、早期に検討に着手する必要があることから、今月二日に東京芸術文化評議会を開催し、議論を開始したところでございます。
 今後、ロンドン大会の文化プログラムの責任者からの意見聴取など、海外の先進事例の調査や、国内の文化団体との意見交換を早期に実施するとともに、ロンドンでも中心的な役割を担っていたアーツカウンシルの機能の充実を図ってまいります。
 これらの取り組みを踏まえ、基本コンセプトを早期に取りまとめ、文化プログラムの策定につなげてまいります。
 最後に、海外への広報展開の強化についてでございます。
 東京が厳しい都市間競争を勝ち抜くためには、高度に発達した都市機能など、現在の東京が持つ魅力はもちろんのこと、今後、都が重点的に取り組む政策と、それによりさらなる発展を遂げていく東京の姿を、世界に向けて強くアピールしていくことが極めて重要であります。
 都はこれまで、都民向けの都政広報を展開してまいりましたが、今後は、ロンドンが成功したように、海外発信に効果的な情報内容と手法を選択した都市広報に力を入れ、これを積極的かつ戦略的に展開していく必要がございます。
 そのため、新たな取り組みとして、東京の強みやセールスポイントとなる、駅や医療機関等での多言語対応を含むユニバーサルデザインのまちづくり、クリーンな水や大気を実現する先進的な環境技術、都内の中小企業が世界に誇るものづくりなどの情報を、海外に向けてわかりやすく体系化して発信してまいります。
 また、ホームページやユーチューブなどで写真や映像を効果的に活用し、見る人に強く印象づけていくとともに、国際的に活躍する文化人によるツイッターやフェイスブックへの投稿など、新たな発信手法も積極的に導入してまいります。
 こうした具体的な取り組みを通じて、海外からの東京に対する注目度を高め、東京のプレゼンスの向上を図ってまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、下請取引の適正化についてでありますが、厳しい経営環境にある中小企業にとって、下請代金の支払い遅延や減額請求などの不適正な取引は、経営に多大な影響を及ぼす切実な問題であります。
 そのため、都は、東京都中小企業振興公社に下請センター東京を設置し、取引に係る苦情相談の対応や、調停による紛争解決を行うとともに、講習会や企業への巡回訪問により、不適正取引の未然防止に取り組んでおります。
 また、本年十月からは、消費税の転嫁対策に関する法律の施行を踏まえ、下請センター東京において、転嫁拒否行為等に関する相談受け付けを開始いたしました。
 今後、消費税率の引き上げに伴う価格転嫁への対応も含め、下請企業へのよりきめ細かな支援が実現できるよう、相談体制や普及啓発の強化を検討してまいります。
 次に、環境対応に取り組む中小企業の支援についてでありますが、都内中小企業が省エネや省資源の取り組みを進め、環境に配慮した経営を実現することにより、取引先の信頼を確保することは重要であります。
 都は、中小企業団体中央会と連携して、中小企業のグループによる新たな事業計画の策定などを後押ししており、環境対応への取り組みについても、中小企業診断士等の専門家を派遣するなどの支援を行っております。
 本事業を活用し、これまでに二十のグループが環境経営の認証であるエコアクション21の取得に向けた計画を策定するなど、着実に成果を上げております。
 今後は、課題解決に向けた中小企業グループの継続的な取り組みをより一層促進できるよう、計画の更新や人材育成に対する支援の拡充を検討してまいります。
 最後に、技能者育成の取り組みへの支援についてでありますが、技能を振興し、ものづくり現場の実態に即した人材を育成する上で、現場を抱える業界団体による主体的な取り組みを後押しすることは重要であります。
 都では、東京マイスターの表彰等を通じ、技能を尊重する社会的機運の醸成を図るとともに、技能を競う競技大会やコンクールに対して後援や表彰を行うなど、団体の取り組みを奨励してまいりました。
 しかし、競技大会等の開催に当たっては、審査、運営に係る人員の確保や使用する材料の費用など負担も大きく、業界によっては実施が困難な状況が見られます。
 このため、今後、団体が競技大会等を円滑に運営するための支援策について検討し、ものづくりを支える技能者の育成を促進してまいります。

〇議長(吉野利明君) 三十八番遠藤守君。
   〔三十八番遠藤守君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇三十八番(遠藤守君) 昨日と同様の趣旨により、以下、教育長並びに関係局長に答弁を求めます。
 初めに、医療機関に入院中の患者が別の医療機関に転院する際の、都の新たな支援について質問をいたします。
 先日公表されました福祉保健局の平成二十六年度主要事項予算見積概要には、新規事業として、都内医療機関に対し、転院支援情報システムの普及啓発を行うとともに、システムを活用した転院調整を実施し、その結果について評価、検討を行うとの記載がありました。これは、ことしの予算特別委員会を初め厚生委員会などで、入院三カ月後の転院支援のため、全都的な仕組みづくりが必要という、私の提案に沿ったものと評価をいたします。
 一連の質疑の際、私は、入院中の身内が余りに早く転院を迫られた、病院で紹介された転院先は高額なところか遠方で大変悩んでいますなどといった、患者、家族から寄せられる切実な声を紹介いたしました。
 新たに構築を目指すシステムは、転院先探しに苦慮するこうした患者、家族の負担軽減に確実につながるものでなくてはなりません。システムの概要と導入に向けた今後のスケジュールについて、まず答弁を求めたいと思います。
 ところで、この予算特別委員会では、高齢社会における地域医療体制のあり方を検討するため、都として、中小病院への訪問調査や、都内全病院を対象にしたアンケートを実施するとの答弁がありました。これらの調査には、転院調整に関する事項も含まれていたと承知をしています。それらの結果を明らかにするとともに、新たな転院支援システムの構築に当たっては、この調査で得られた現場の声も十分に反映させるべきと考えます。それぞれ見解を求めます。
 次に、復興記念館について質問をいたします。
 一九二三年、大正十二年、首都東京を襲った関東大震災は、十万人を超すとうとい人命を奪い、その爪跡は甚大きわまるものとなりました。
 折しも、ことしはこの関東大震災から数えて九十年の節目を迎え、多くの犠牲者が出た墨田区の横網町公園において、九十周年事業の一環として、復興記念館のリニューアルがなされたと聞き、私も十月にその展示を見学してまいりました。
 この記念館は、天災の恐ろしさを忘れない心がけを持つために、社会教育的機関としても利用される目的で、昭和六年に開館をいたしました。館内には、当時の痛ましい被害の状況や、復興に向けたさまざまな取り組みが、写真や模型などで展示をされていて、貴重な資料も所蔵されておりました。
 今回、展示内容をリニューアルするに当たっては、記念館をこれまで管理してこられました東京都慰霊協会及び東京都が中心となって、平成二十四年に展示構成等検討委員会を設置し、さまざまに議論をしてきたとのことであります。新たに修復した絵画や巻物を展示するとともに、展示品として大型パネルやパノラマ写真等を併用したところなどは、非常に迫力を感じました。その一方で、展示品の中には、内容が難しいものや解説がないものもあり、全体としてはわかりにくさを感じました。
 復興記念館というコンセプトのように、この記念館が震災と復興という歴史的事実を発信する施設であるのならば、若い世代や外国人も含めて、より多くの方に見てもらえるよう、さらなる工夫が必要とも率直に感じました。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、この記念館に近い両国国技館はボクシングの競技会場になり、今後は国内のみならず、海外からも多くの外国人旅行者が当地を訪れることになります。
 そこで、よりわかりやすい臨場感ある展示を目指して、最新の映像技術を活用したり、被災の様子を実体験できる装置を導入する、さらには複数の言語で解説をする多言語対応など、その手法を大幅に見直すべきです。答弁を求めたいと思います。
 次いで、東京都指定の有形文化財の調査について質問をいたします。
 最近、国が指定した重要文化財のうち、絵画、仏像などの美術工芸品七十六点が所在不明であるとの報道がございました。所在不明の文化財は、盗難に遭ったケースや、文化財の持ち主がかわった際に文化庁に対して所有者の変更届を行わなかったため、所有者がわからなくなったケースもあるようであります。このため、重要な文化財が海外に流出してしまったというショッキングな報道内容でありました。
 国民の貴重な財産である重要文化財が行方不明になっているということは、都の文化財行政に強い関心を持っている私にとっても決して他人事ではない、このように思いました。
 今回の報道を受け、文化庁は、全国的に文化財の所在に関する調査を行うとのことでありますが、東京都においても、絵画、考古資料、仏像など二百七十三点の美術工芸品が文化財に指定をされていることから、この報道を受け、私はその所在に強い関心を持ったわけであります。
 この点、都教育委員会は、現在では恒例となっております東京文化財ウイーク、これを始めるに当たり、平成九年と十年にかけて、都指定の有形文化財全てについて、その保存管理状況の確認調査を行ったとのことであります。
 しかしながら、この際、美術工芸品について実際に職員が現地で確認をしたものは、全体のわずか二五%にとどまり、残りの七五%については所在を確認したわけではありません。この調査から既に十五年が経過し、その後、調査は行われていないことから、都指定の美術工芸品の所在について速やかに調査、確認すべきであると思います。
 また、今後は、一定期間ごとに調査を行う必要もあると考えますが、それぞれ見解を求めたいと思います。
 なお、ことしの予算特別委員会では、都内には、国や都が指定した文化財が全国最多の約四千件もあるという現状に鑑み、学芸員の増員を求めました。今回提案した調査をするに当たっても、学芸員の専門的知識が不可欠であると思います。改めて、文化財保護行政を着実に推進する体制の早期整備を強く要望しておきます。
 次に、下水道施設の耐震対策について質問をいたします。
 我が党は、重点政策の一つとして、迫りくる首都直下地震に備えるために、東京の高度防災都市づくりを実現し、都民が安心・安全に暮らせる社会環境を構築していくことを掲げております。
 さきの東日本大震災では、大規模な地震や津波により下水道施設が被災し、震災後の住民生活に大きな影響を与えたことから、下水道は地震時においても安定した機能を発揮する必要があり、下水道施設の耐震性及び耐水性の確保が重要であります。
 中でも、区部にある十三の水再生センターや八十五カ所のポンプ所は、下水道管で集めた下水の処理や雨水の排除といった下水道機能の中核をなす施設であるため、耐震化を進め、下水道機能を確保していくことが極めて重要であります。
 さらに、これらの下水道施設は東京湾周辺に立地していることが多く、津波への備えも欠かせません。
 そこで、下水道局として、水再生センターやポンプ所の耐震化、津波対策としての耐水化を積極的に進めるべきと考えます。見解を求めます。
 ところで、水再生センターは規模が非常に大きく、施設数も多く、一度に全ての施設を耐震化や耐水化することは困難であると思います。
 中でも、大田区にある森ヶ崎水再生センターは、区部で発生する下水の約四分の一を処理しており、日本で最大規模の水再生センターであります。また、センター内の森ヶ崎公園は区の広域避難場所にも指定されており、震災時の都民の安全確保のために極めて重要な施設であります。さらに、同センターは東京湾に面しており、地震時の津波など、影響を直接受けやすいのではないかと、近隣の皆さんも大変に危惧をしておられます。
 そこで、この森ヶ崎水再生センターについては、施設の耐震化や津波に対する耐水化を優先的に進めるべきと、このように考えます。見解を求めます。
 最後に、伊豆大島への支援について一言申し上げます。
 土石流災害発生の翌朝、私は単身、大島入りいたしました。八年前の初当選以来、大島を担当する我が党都議会議員として、何度も足を運んできました。ふだんは三原山をバックに緑豊かでのどかな地域が、一夜のうちに凄惨な被災地に変わってしまったことに、ただただ愕然といたしました。
 昨日の代表質問でも触れたとおり、先月十九日、発災から一カ月後の課題を探るため、都議会公明党は、中嶋幹事長を団長とする現地調査団を派遣し、私も随行いたしました。発災直後から現在、そして将来へと被災地のニーズは刻々と変化していますが、被災地が、現地が一貫して求めているのは、都の全面かつ継続的な支援である、このように実感をいたしております。
 昨日の代表質問での関係局長の答弁の内容が迅速かつ着実に実施されますよう、強く強くこのことを求めまして、私の質問とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 遠藤守議員の一般質問にお答えをいたします。
 文化財の調査についてでありますが、東京には建造物や絵画など多くの文化財があり、都民共通の貴重な財産として適切に保存、管理することが求められております。
 これまで都教育委員会では、区市町村と連携し、都指定文化財の復元、修理や、文化財ウイーク実施時の現状確認、さらに、都内の文化財を一覧にした東京都文化財総合目録の五年ごとの改訂等を通じて、全ての都指定文化財の把握に努めてまいりました。
 しかし、手続を経ずに所有者が変更され、所在不明となっている国の文化財の例もあるため、都教育委員会として、区市町村と連携し、所有者の協力を得ながら都指定文化財の早急な現状確認を行うとともに、定期的な調査の充実を図ってまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、転院支援情報システムについてですが、都は現在、学識経験者や病院において実際に転院支援に当たっている医療従事者から成る検討会議を設置し、システムの具体的な内容について検討を進めております。
 システムは、医療機関の所在地やアクセスなどの基本情報に加え、提供しているリハビリテーション医療の内容やおおよその月額入院費用など、転院先選定に必要な情報を簡単に検索できるものとし、今年度中の構築を予定しております。
 来年度にはシステムの試験運用を開始し、検索項目等について評価検証を行いながら、早期の本格運用を目指してまいります。
 次に、転院支援に関する医療現場の声についてですが、都が本年二月に都内全病院を対象に実施した調査では、約九割の病院で転院支援など医療連携の担当者を配置しておりますが、規模が小さい病院では、他の業務との兼務の割合が高いこと、担当者は、MSW、社会福祉士、看護師のほか、事務職員等も従事していることがわかりました。
 また、医療現場からは、転院支援に必要な医療機関の情報が少なく、適切な転院先を選定することが困難であるとの声が多く寄せられております。
 そのため、システム構築に当たりましては、担当者が職種等にかかわらず都内全域の病院の情報を容易に入手でき、その中から、患者の病態や希望に応じて転院先を検索できるよう、医療現場の声を十分反映させてまいります。
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 都立横網町公園の復興記念館の展示についてでございますが、この記念館は、関東大震災や東京大空襲という歴史的な惨事を深く認識し、都民に悲惨な状況を実感してもらうために、当時の写真や絵画、遺品などの資料を展示しております。
 ことしは関東大震災から九十年目に当たるため、有識者から成る展示構成等検討委員会の提案を踏まえ、大型モニターによる記念館のガイドの放映や展示パネルの改善、修復した絵画の公開など、展示の充実を図りました。
 今後は、オリンピック・パラリンピックの開催も見据え、新たにデジタル映像技術を取り入れるほか、解説板を多言語化するなど、外国人観光客を含め、多くの来館者にわかりやすい施設となるよう検討を進めてまいります。
   〔下水道局長松浦將行君登壇〕

〇下水道局長(松浦將行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道施設の耐震化、耐水化についてであります。
 下水道局では、下水道施設の地震・津波対策整備計画に基づき、想定される最大級の地震動に対する耐震化や津波への耐水化を進めております。
 耐震化については、水をくみ上げる揚水、簡易処理、消毒など、震災時にも必ず確保すべき機能を担う施設を対象とし、区部にある十三の水再生センターと八十五のポンプ所の全てで、オリンピック・パラリンピック開催前の三十一年度までに対策を完了させることとしております。
 耐水化については、津波による電気設備などの浸水を防ぐため、地盤高さなどを勘案し、三十四の施設で開口部の水密化などを行っています。臨海部や東部低地などに位置する施設から優先して実施しており、二十八年度までに対象施設の全てを完了させることとしております。
 次に、森ヶ崎水再生センターの耐震化、耐水化についてであります。
 同センターは、日本最大の施設規模や臨海部での立地を踏まえ、優先的に対策を進めております。
 耐震化は、平成二十四年度から、揚水のためのポンプ施設、簡易処理のための第一沈殿池及び消毒のための塩素接触槽で工事を行っており、放流渠についても、新たに来年度から着手するなど、三十一年度までに対象施設の全てを完了させます。また、森ヶ崎公園として広域避難場所に指定されているセンター上部については、既に安全性を確認しております。
 耐水化につきましては、西側処理施設の地盤が低いことから、処理施設の周囲全てを囲う止水壁の設置工事に来年度から新たに着手し、二十八年度までに完了させることとしています。
 下水道施設の耐震化や耐水化を積極的に推進し、震災時においても安定した下水道機能を確保してまいります。

〇副議長(藤井一君) 六十七番近藤充君。
   〔六十七番近藤充君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇六十七番(近藤充君) 質問に先立ちまして、本定例会に議案が提出されており、本年第一回定例会で私がお尋ねをいたしました八王子市の中核市への移行について、一言申し上げたいと思います。
 今日、地方分権が進む中で、八王子市は、さらなる独自性と創造性を発揮したまちづくりの実現に向け、中核市への移行を目指し、都の指導を受けながら、これまでその取り組みを精力的に進めてまいりました。本定例会で議決をいただいた暁には、市は一丸となって、平成二十七年四月の移行に向けて円滑に準備を進めていくとのことでございます。引き続き、都議会の皆様のご理解と行政の皆さんのご支援のほどを、八王子市に成りかわりまして、お願いを申し上げる次第であります。
 教育についてお尋ねをいたします。
 世論調査の結果では、学校週六日制や道徳の教科化、教育委員会の制度の見直しなど、高い支持率があるとのことであります。また、脱ゆとり教育につきましても多くの支持を得ており、学力の向上、教育の質の向上に期待を寄せられていることがわかります。日本人がこよなく共通のスローガンとしてきた知、徳、体の向上、復活の時期であると思います。
 政権がかわり、全国学力テストが再び悉皆型に戻ることにより、全国の児童生徒の状況が手にとるようにわかるようになりました。十二月に入っての報道で、ついに文部科学省は、学力テストの結果扱いについて、来年度から学校別や区市町村別成績の公表を解禁いたしました。
 文科省が区市町村教育委員会による学校別成績の公表を認める条件として、学校の序列化を避けることや、教育委員会が発表方法や内容を各学校と相談をし、学校側の判断、意見を尊重すること、学校側の課題や支援策なども同時に示すことなどを実施要領で明示をいたしました。
 東京都教育委員会におきましては、この学力テストの結果を現在どのように活用しているのか、お伺いしたいと思います。
 都議会自民党は、東京を世界一の都市にを目標に政策を打ち出しています。知力だけでなく、徳育、体育においても、質の高い学校教育を受けなければならないと考えています。この悉皆型調査でいけば、東京都の成績は決して高くないと思います。
 私の理想は、上位の県と肩を並べることであります。そのために、東京都教育委員会では、多くの施策を現在でも打ち出し、学力向上を目標にして、少人数授業の実施、習熟度別授業、チームティーチングの導入等、さまざまな数多くの学力向上施策を打ち出していますが、その費用対効果はどのようにあらわれてくるのでしょうか。都教委のこれまでのさまざまな学力向上施策の成果と今後の取り組みをお示しいただきたいと思います。
 学力テストを教職員組合が反対し、中止をし、その後四十年ぶりに復活をし、その結果を見られるようになってから間もなく七年がたとうとしています。公金、すなわち税金を使った調査をしているわけでありますから、十分な効果、結果が出ていないということでは意味がないと思います。
 国の新しい指針が出た今、東京都教育委員会においては、事前に区市町村教育委員会や学校と相談して、種々の影響を踏まえた中で、長年、公教育の中で置き去りにされてきた健全な競争原理の復活、導入により、児童生徒の学力向上につなげるということを慎重に、積極的に支援をするべきだと思います。さらには、公費を使った都の学力テストの調査結果の公表も含め、全ての調査結果を有効利用し、学力向上を目標にすべきと申し上げておきたいと思います。
 次に、さきにも述べましたが、学力向上の一つの方法であります授業時数確保につながる一日も早い週六日制の復活についてお尋ねいたします。
 都内二十三区では、多くの公立小中学校で隔週実施というところがふえてきました。港区、品川区では既に実施されており、私学においては多くの学校が実施しているとの実態もあります。
 残念ながら、教職員の組合加入率が区部に比べ高い三多摩市部では、まだまだ週六日制が普及していません。いまだに各自治体が市教委任せ、現場任せで、各学校、校長の判断とのことで、いつまでたっても都内との格差は埋まりません。
 公立で働く教員たちは、都の教育公務員であります。都教委の判断で進めるべきだと考えます。全国世論調査でも、週六日制は八割の人が支持をしています。
 現実問題として、平成十四年度から週五日制がスタートしてからというもの、学力低下の懸念を受け、土曜授業の復活の声は多いと思います。この話をすると、今までは地元市教委も、土曜日を休日とする文部科学省令、学校教育法施行規則を盾に持ち出してきましたが、このたびの規制改正により、教育委員会が認めれば可能であるというふうに変わります。東京から日本を変えるくらいの気構えで学力の向上に努めてほしいものであります。そろそろ都内の公立小学校でも、週六日制の復活を目指してはいかがでしょうか。
 そこで、お尋ねをいたします。都内の子供たちの学力向上に向けて、土曜授業を一層拡充すべきと考えますが、都教委の見解をお尋ねしたいと思います。
 次に、都立小中高一貫教育校についてお尋ねいたします。
 我が国の教育制度は、現在小学校六年、中学校三年、高校三年制ですが、東京都教育委員会は、二十九年度を目途に四・四・四の教育課程における都立小中高一貫教育校を一校設置すると聞いております。
 戦後の子供たちと比べて、現在の子供たちの心身の発達は数年早まったといわれています。小学校五年生、そして中学一年生、二年生、この辺の個人差も極めて著しくなってきます。きめ細かい指導や、六・三制では指導が難しくなった部分の見直しが必要になってきているのだと思います。
 ただ、一律に今の学制を変えるのはそれなりに難しいところもあるようではございますけれども、今の時代に合ったきめの細かい教育を子供たちに受けてもらう、そのために、私は四・四・四制や五・三・四制などについての検討は、焦眉の急であると思います。
 小学校の低学年、中学年までは、反復的な訓練的な教育が多い中、五年生以上の高学年から中学生にかけては思考的な教育も必要であり、また多くなります。私の拙い教育現場の経験からしても、この必要性は大きく感じるところであります。
 戦後一貫して維持されてきました六・三・三制でありますが、政府の教育再生実行会議は、十月末、教育改革の一環として学制の見直しについて議論をスタートさせました。現在の子供たちの成長や学習に適した学制がどうあるべきなのか、都教委も文科省からの積極的な情報収集を進めていただきたいと思います。
 この学制の改革の大きな目的は、先ほども申し上げましたけれども、日本の子供たちが、もしくは東京の子供たちが、世界一の子供になる、資源の少ない国日本が、人間力によってその理数の力をフルに活用して、世界に勝てる国日本になるためだと思います。
 政府の教育再生実行会議におきましては、十分な知識を身につけて社会に出るために、義務教育年限を一年延ばすことを検討もしていきたいという話もあります。また、幼児教育の無償化に伴う幼児教育、小学校に入る前の幼児教育につきましても、充実をすることが必要だという意見もあります。私もまさしくそのとおりだと思います。
 戦後、連合国軍GHQの勧告で、この六・三・三制がスタートしました。一九四七年の学校教育法のスタートでありますが、このモデルとなりましたのはアメリカで、その後、子供の発達が早まって、各地で改革が進みました。
 その後、アメリカでは、その州や地域によって多様な学制をつくり、一九八〇年代から五・三・四制が主流になっています。日本の憲法においてGHQの主導でつくられたものが、戦後も改正されることなく、ずっとその憲法を守り、その憲法を使ってきたということでありますけれども、私は、新しい日本の教育基本法が改正された中で、こういった学制の見直し、日本の教育に見合う学制の見直しというものを検討しなければならないんだと思います。
 政府の教育再生実行会議は、小中一貫教育を行う義務教育学校を創設し、教育課程を弾力化する方向で議論を行う見通しであります。来年の夏までに提言をまとめてくれるということですから、ぜひ東京都におきましても、二十九年度開校を目途としている都立一貫校について、四・四・四の教育課程などの検討をしっかりと進めていただき、そして、その結果を大きく期待をしたいというふうに思います。
 都教委は、各市町村が都立小中高一貫教育校の取り組みを活用することで、小中一貫教育を初めさまざまな教育を実現することができるようになると考えます。
 そこで、都立小中高一貫教育校の取り組みなどの情報を広く発信していくべきであると考えますが、所見を伺います。
 消費者問題についてお尋ねします。
 ここ一月ほど、有名なホテルや百貨店、レストラン等でメニュー表示の偽装が相次いで発覚し、消費者の信頼を大きく裏切っています。また、高齢者や若者を狙った詐欺的な悪質商法による被害も後を絶たず、こうした消費者の安全・安心を揺るがす事件が次々と起こっていることは、健全な市場の形成を脅かすものであり、強い憤りを覚えます。
 また、消費者にとって、身近に使う商品が安全なものかということも大きな関心事であります。
 そこで、商品等の安全対策についてお尋ねをしたいと思います。
 私も子供を持つ親の一人であり、近い将来、孫を授かりたいと考えています。最近のニュースでは、全国において、ブラインドのひもが子供の首に絡まって死亡したり重体となる事故が相次いでいることを受け、都が安全対策に取り組み始めたことを知りました。商品等の安全対策は、本来、全国的な問題でありますが、都はこれまで、商品の安全性テストなど、独自の調査に基づく情報発信を通じて積極的な事故防止に取り組み、全国をリードしてきました。
 そこで、こうした問題に都が取り組むことの意義と、今回のブラインド等のひもの安全対策について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 子供は、日々成長していく中で行動範囲が広がり、周りの大人が注意をしていても、事故に遭う機会がふえていきます。子供の事故を防止していくためには、商品そのものに安全性が確保されていることが必要でありますし、消費者にも責任があります。
 都は今年度、全国に先駆けて、東京都消費者教育推進計画を策定し、国の宝である子供の安全の確保に重点的に取り組み、事故防止に向けた啓発を強化することとしていますが、消費者教育において安全に配慮した商品の普及につながるような、さらに一歩進んだ安全対策への取り組みが必要であると考えますが、都の見解を伺います。
 当選後、地元のパイプ役として、数多くの声を都政に届けてまいりました。その一つ、都民の財産である多摩の山々や森についてお尋ねをいたします。
 最近では、都心から近いということで、多くの方々が檜原や奥多摩町にある都民の森を楽しんでハイキングをされています。このように新たな来訪者がふえることは、地元の観光振興に大きなプラスとなり、とても喜ばしいことであります。初心者でも安心して山歩きを楽しめるように、これまで以上に安全・安心に配慮した施設管理や登山道の整備などが求められると思いますが、都民の森などは整備されてから二十年が経過し、老朽化による施設の破損が散見されます。軽微な損傷といって軽く考えていますと、思わぬ大きな事故やけがにつながるのではないかと心配をしています。
 来訪者がすばらしい景色を堪能し、自然との触れ合いを通じて、自然公園や都民の森の魅力を十分に感じていただくためには、施設を安全かつ安心して利用できることが大切であると考えますが、都の認識と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
 多摩地域の自然公園、中でも高尾山は、ミシュラン三つ星を取得して以来、来訪者が倍増しており、特に外国人観光客の人気スポットになっているようであります。多くの方々をおもてなしの心で迎え入れる環境を充実していくことが必要であると考えます。
 昨年度、都は利用が集中する高尾山の山頂付近に、我が党の要望を受け、新たなトイレを整備して、多くの登山客に喜ばれていますが、薬王院境内のトイレは、老朽化が著しい上、個室が狭く、外国人や高齢者が使いづらい和式であるなど、利便性や快適性の面で問題があります。
 また、先日、都と国は、オリンピック・パラリンピック開催に向けて、外国人が快適に滞在できるように、多言語対応を検討していくこととしていますが、登山道の案内標識やビジターセンターでの外国語表記にも取り組むべきであると考えます。
 そこで、自然公園施設の快適性や利便性に関して、都の認識と今後の取り組みをお尋ねして、私の一般質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 近藤充議員の一般質問にお答えをいたします。
 教育に関する四点のご質問ですが、まず、全国学力調査の結果の活用についてであります。
 学力調査は、子供たちの学力、学習状況を分析し、学校に授業改善の視点を示すとともに、児童生徒にみずからの学習目標を持たせることにより、全ての子供たちの学力向上を図るものでございます。
 そのため、都教育委員会は、東京都独自の学力調査も合わせ、子供たちが苦手とする学習内容を明らかにし、それを解消するための指導法の工夫など、教員が取り組むべき課題を具体的に示して、学校の計画的、組織的な授業改善を図ってきました。
 また、一人一人の子供と保護者に対し、学習のつまずきの状況や家庭学習などの生活習慣と学力の関係について示すことで、児童生徒がみずからの学習目標に向かって主体的に学習に取り組めるよう、支援をしてまいりました。
 次に、学力向上施策の成果と今後の取り組みについてでありますが、学校の授業改善の取り組みと子供たちが目標に向かって主体的に学習する取り組みを促した結果、今年度の全国学力調査では、東京都の小中学生は、平均値で全ての教科で上位グループに位置するようになりました。ただし、一人一人に着目しますと、習熟の進んでいる層からおくれがちな層まで幅広く分布している教科があり、基礎的な知識や技能が十分身についていない児童生徒がおります。
 今後、都教育委員会は、全ての子供たちが基礎的な学力を確実に習得できるようにするため、個々の学習状況に応じて、前の学年に立ち戻る指導を徹底するなど、学力調査の結果を踏まえた効果的な習熟度別指導を全都的に展開し、区市町村教育委員会と連携して、子供たちの学力向上を図ってまいります。
 次に、土曜授業の拡充についてでありますが、学校が土曜日を活用し、保護者や地域の方々の協力を得て、基礎、基本の定着や子供たちの興味、関心を高める取り組みを推進することは、学力向上を図る上で有効であります。
 これまで都教育委員会は、授業を公開することを条件に月二回を上限として土曜授業を実施できる環境を整備してきました。
 このたび国は、学校週五日制の趣旨を踏まえつつ、区市町村教育委員会が必要と認める場合には土曜授業を行えることを明確にし、その内容や頻度等については設置者が判断できることといたしました。
 都教育委員会は、この改正内容を周知するとともに、今後とも、土曜授業を活用した学力向上への取り組みを区市町村教育委員会が主体的に推進するよう支援してまいります。
 最後に、小中高一貫教育校の取り組みの発信についてでありますが、小中高一貫教育では、十二年間を一体として捉え、効果的、効率的にカリキュラムを再構成することで、授業時間に余裕が生じ、体験活動の充実や海外留学、大学での聴講などを行うことができるようになります。また、子供たちが早い段階から中学校教員や高等学校教員の専門的な指導を受け、資質や能力を伸ばすことも可能であります。
 都立小中高一貫教育校では、こうした特色を生かし、理数を中心にすぐれた人材を育成してまいります。さらに、これらの特色は区市町村においても小中一貫教育を初め、学力の定着等を目指した教育施策に活用できると考えております。
 都教育委員会は、都立小中高一貫教育校のこうした具体的な取り組みを、東京モデルとして区市町村を初め全国に発信してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 消費者行政に関する二点のご質問にお答えします。
 まず、商品等の安全対策の取り組みについてでありますが、都はこれまで、消費生活センターに寄せられる相談情報等から、危害、危険の情報を積極的に掘り起こし、国や他の自治体に先んじて安全対策に取り組んでまいりました。
 特に、商品等の改善や新たな安全基準の設定などの対策が必要な場合には、学識経験者、消費者団体、事業者団体から成る商品等安全対策協議会を設置し、これまで、使い捨てライターや子供服のフード、ひもについて、法規制やJIS規格化の動きにつなげるなど成果を上げてきております。
 今年度は、乳児の死亡事故が発生しているブラインド等のひもを取り上げ、現在、事故の実態調査や再現実験による原因分析を行い、具体的対策の検討を進めているところでございます。
 今後、年度内に協議会からの提言を受け、国や事業者団体に対して、商品改善や基準づくりを強く働きかけるとともに、消費者への注意喚起を実施してまいります。
 また、今般の死亡事故につきましては、国が危害情報を把握していなかったことから、消費者庁に対し、速やかな事故情報の集約と対策の検討を行うよう早期に強く働きかけてまいります。
 次に、安全に配慮した商品の普及の取り組みについてであります。
 都内では、子供のやけどや転落などの重篤事故は依然として多く、保護者や周囲の大人に対する注意喚起が重要であることから、都は、今年度策定した東京都消費者教育推進計画の重点テーマに子供の安全の確保を位置づけ、啓発活動の強化に取り組んでおります。
 子供の不測の事故を未然に防止するには、消費者みずからが安全性の観点を優先した商品選択をすることが重要であり、そうした商品に関する情報を消費者教育の中で積極的に発信していくことが有効であります。
 今後、都は、事業者団体等に呼びかけ、安全に配慮した商品の情報を収集するための仕組みづくりをつくるとともに、消費者が直接商品に触れて実感できる機会を提供するなど、新たな啓発活動に取り組んでまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 自然公園施設等に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自然公園施設等の安全・安心についてでございますが、自然公園や都民の森を訪れた方に自然のよさを体感し、楽しんでいただくためには、安全かつ安心して利用できる環境を整えることが不可欠であると認識しております。
 これまでも施設の日常点検や保守を進めてきておりますが、施設の老朽化が目立ってきましたため、昨年度、全ての施設を対象に緊急点検を実施し、これに基づき、自然公園では、登山道の木製階段、橋などの重点改修や案内標識の改修及び増設を推進しております。また、都民の森では、破損した木柵を耐久性の高い擬木柵に一斉につくりかえるなどの施設改修を、平成二十四年度から三カ年計画で集中的に実施しております。
 引き続き、自然公園や都民の森の安全・安心の確保に精力的に取り組んでまいります。
 次に、自然公園施設の快適性、利便性についてでございます。
 外国人観光客の増加など、利用者の多様化が進む自然公園においては、誰もが快適で使いやすい施設を整備していくことが重要な課題であると認識しております。
 都はこれまで、山のふるさと村のバンガローの車椅子対応や奥多摩湖周辺への多目的トイレの整備を進めてきており、お話の高尾山薬王院境内のトイレについても、来年度の改修に向け設計に着手しております。
 また、多言語対応については、一部、高尾山の登山道の案内標識などの英語表記を行っておりますが、さらに、利用頻度の高い登山道の案内標識やビジターセンターの展示物などについて、順次、外国語表記を進めてまいります。
 今後も、オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、施設の利便性や快適性の向上に積極的に取り組んでまいります。

〇議長(吉野利明君) 十五番白石たみお君。
   〔十五番白石たみお君登壇〕

〇十五番(白石たみお君) まず、昨日代表質問に続き、徳洲会からの知事への巨額資金提供問題について伺います。
 昨日の代表質問に対する知事の答弁は、またまた前言を翻すもので、極めて不誠実なものであり、疑惑は深まるばかりです。
 借用証について、知事は二十九日の記者会見でどういったでしょうか。本物かどうか疑われているので、確認のために、徳田毅議員と人を介し連絡をとって確認した旨の発言をしました。しかし、昨日は、毅氏が借用証が私の手元にあるかどうか確認をしたのだと、百八十度違う答弁を行いました。
 二十九日の記者会見で、連絡をとったのは知事の側からというのは偽りだったのですか。これでは、あなたの説明を信用しろというのが無理です。いかがですか。
 しかも、再質問で、本物かどうか確認するために徳田議員に借用証を見せたのか、見せたのはいつかという質問に、知事は答えませんでした。不誠実きわまる態度です。明確に答えてください。答弁によっては、借用証はなかった、最近つくったものという疑惑が決定的なものになるということを申し述べておくものです。
 次に、徳洲会が獲得に動いた東京電力病院について伺います。
 東京電力病院売却への道を開いたのが、当時の猪瀬副知事、あなたですね。当時の東京電力は、当初、売却を拒否してきましたが、昨年六月二十七日の株主総会で、知事は売却を激しく迫りました。その結果、昨年十月に行われた東京都と東電との第一回定期会合で、東電は病院売却を表明するに至ったのです。
 その後、東電が病院売却を決めた約一カ月後の昨年十一月六日、知事が徳田虎雄氏と面会を行い、資金提供を受けたわけです。このとき、徳洲会は既に東電病院の売却方針を当然知っていたはずです。徳田氏との間で、東電病院問題について話題になりませんでしたか。
 都心に徳洲会病院の旗を立てることを悲願としてきた徳洲会にとって、東電病院を取得することは悲願達成のチャンスであり、落札のためにあらゆる手を尽くそうとしたことは十分想像されることです。そうした期待を込めて知事に資金提供した可能性は否定できないのではありませんか。知事、資金提供を受けるときに、そのことが頭をよぎりもしなかったのですか。
 しかも不思議なことに、その後一年半近くたつのに、東電病院の入札が行われたのかどうかすら発表されず、この問題は秘密のベールに包まれているのです。
 私は徳洲会を訪れて、この問題について聞きました。徳洲会側からは、都心に徳洲会病院の旗を立てることが悲願だと前々から公言していたとのことでした。そこにタイミングよく東電病院の話が出たので、競争入札に参加した。しかし、結果的に東京地検に家宅捜査を受けたので辞退をした。担当者が拘留されているので詳しいことはわからないといっていました。
 そこで、知事に伺います。
 東電病院の売却後、熱心に進めた猪瀬知事が、その後の経過について知らなかったとは思えません。本当に売却するのか、いつどのようにして売却するのか、目を光らせていないはずがないからです。
 東電病院売却の入札がいつ行われたのか、どの事業者が入札をしたのか、その順位がどうか。知事はどういう情報を得ているのですか。はっきりと答えてください。
 知らないというのなら、知事、あなたが進めてきた問題なのですから、知事の責任で直ちに調べて、都民と都議会に全貌を明らかにしてください。
 次に、防災対策について伺います。
 東京都は、震災対策による延焼遮断などを名目に、二十八の特定整備路線計画を進めています。私の地元品川区で進める補助二九号線、放射二号線、補助二八号線は、空襲で焼け野原となった戦後間もなくの計画であり、その後、半世紀以上の間、たくさんの住宅や商店が立ち並びました。
 それだけに、立ち退きや分断で大変な犠牲が生まれます。補助二九号線、放射二号線の二つの路線だけでも七百七十棟が立ち退きの対象となり、数千人近い人が立ち退かなければなりません。六十年以上暮らしてきた夫婦は、焼け野原のころから近所同士助け合ってきた、道路が通れば町会が二つに分断されてしまう、なぜ今になってつながりを壊そうとするのかと強く訴えました。
 商店街の犠牲も重大です。品川区は百七の商店街があり、東京商店街グランプリを九回も受賞し、受賞数では都内第一位です。品川区を南北に三・五キロ貫く補助二九号線は、十もの商店街を削り取り、または分断をします。宮前商店街、戸越公園中央商店街、戸越公園南口商店街の片側が根こそぎ削り取られ、一・六キロと東京で一番長い戸越銀座商店街も分断をされてしまいます。
 品川には苦い教訓があります。一本橋商店街は、百九軒もの商店が、道路と再開発によって七割以上がなくなりました。私はこうしたことが繰り返されてはならないと思います。
 お茶屋の二代目商店主は、七十年ここで営業し、お客さんの趣味も生きがいも知っているから心が通い合う交流ができる、その姿を見ていた息子も店を継ぐといってくれた、しかし、道路で将来が見えず、こっちは継いでくれと喜んでいえないと話します。
 都は、震災では行政の力に限界があり、自助、共助が大切だと強調してきました。しかし、これまで述べてきたように、補助二九号線を初め三つの道路整備は、町会も商店街も壊され、コミュニティ力も、避難や消火などの地域の防災力も弱体化させることになってしまいます。そのことをどう考えるのですか。
 都は、関係者の理解と協力を得て事業を進めていくとしています。しかし、地域当たり一、二回の住民説明会で疑問や反対の声が噴出しているのに、有無をいわさず測量を始めています。住民からは、不安で夜も眠れない、測量の人を見かけるとそれだけで怖くて仕方ないという、悲痛な声が届いています。この声をどう受けとめますか。これで住民の理解と協力を得てといえますか。
 しかも、都は、この道路の防災効果についてまともな検証も行っていないのではないですか。都のシミュレーションでは、道路の延焼遮断力が試される条件として、道路と垂直方向に吹く風の場合の火災だけを確かめています。これは東風か西風です。
 しかし、地震で一番大きな被害を生むのは、空気が乾いた冬の北風のときです。だから、都の首都直下地震の被害想定も、北北西の風でシミュレーションを行っているのです。品川の三つの道路は、いずれも南北方向に伸びております。北風が吹けば、炎の行く手を阻むことはできません。これでは、道路で本当に住民や地域が安全になるか、一番肝心な点が確かめられないではありませんか。
 私は、住民と地域に多大な犠牲を一方的に押しつける品川区内の特定整備路線の撤回を強く求めるものです。
 私は、住民に即した防災対策を提案します。
 都民の命を守るというのであれば、住宅の耐震化の支援がまずは大切です。倒壊を防止できれば出火も抑制でき、避難や救助の担い手もふやせるなど、地震火災の被害も減らせるのです。都内の一部地域に限定されている住宅耐震助成を都内全域に拡大し、高齢者、障害者世帯には上乗せをすべきです。
 耐震工事と一体で燃えにくい家に改修する難燃化工事によって、町もさらに安全になります。墨田区は、今ある墨田らしい木造の町並みを大切にするため、住宅を燃えにくく倒れないよう補強する助成を始めました。京都では、歴史ある町並みと細やかなコミュニティを守るために、担当者が地域に入り、町の皆さんと一緒に歩き、三年かけて地域の防災まちづくりを策定しようとしています。
 墨田区や京都市で始まった、耐震化と難燃化をセットで行う工事に助成する制度を、都としてどう評価しますか。
 延焼遮断帯中心のまちづくりを押しつけるのではなく、京都市で行われているように、地域の皆さんとの調査、協議の積み重ねによる、その地域にふさわしい防災まちづくりを求めるものですが、いかがですか。
 地震においては、電気が回復するときに起こる通電火災が出火原因の大きな一つであり、地震のときに電気を遮断して避難することが重要です。また、地震を感知してブレーカーを落とす感震ブレーカーや、必要な機器の電源だけを切る感震コンセントなどの出火防止器具の普及を促進することで、木造住宅密集地域における出火防止対策を推進すべきと考えますが、いかがですか。
 答弁を求め、再質問を留保して、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 白石たみお議員の一般質問にお答えします。
 十一月二十九日に申し上げた徳田議員との借用証を確認した件について、連絡をとったのは知事の側からというのは偽りだったのですかというお尋ねですが、二十九日の会見で、そもそも、私の方から連絡をとったとは申し上げておりません。その件について、きのう、共産党の河野ゆりえ議員の代表質問にもお答えしたとおり、十一月二十五日に徳田毅氏の秘書から、鈴木特別秘書に連絡があり、確認したとの報告を受けているということです。
 次に、徳田議員に借用証を見せたのか、見せたのはいつかというお尋ねですが、借用証は、徳田議員に見せていません。十一月二十五日に徳田毅氏の秘書から鈴木特別秘書に連絡があり、私のもとに借用証が到着しているかを確認したと報告を受けているのみです。
 続いて、十一月六日の徳田虎雄氏との面会で、東電病院の売却が話題になったかどうかのお尋ねですが、東電病院の売却は話題になっておりません。
 次に、今回の私の借り入れと東電病院に関しての徳洲会グループの考えについてのお尋ねですが、当時、徳洲会グループの都内での事業計画や病院経営をしているという認識はありませんでした。昨日も答弁申し上げましたとおり、徳洲会グループに対しては、私は便宜を図ったことも一切ないし、それを頼まれたという事実もないし、そのつもりもなかったということです。
 東電病院の売却の件についてでありますが、東電病院は、原発事故の賠償責任を果たし、さらに電気料金の値上げをするという状況の中で、東電に経営努力を促す意味で、東京都として東京電力に売却を迫ったものであります。
 私は、昨年十月の東京都と東京電力の定期会合において報告を受け、東京電力が東電病院を売却する方針であることは承知していました。しかし、その後のことは、東京電力における実務的な問題であり、実際の売却に至る詳細な経緯までは承知しておりません。
 新聞報道では、東京建物に売却されるということを新聞報道では知りました。東電病院売却の問題と今回の私の借り入れの問題とは一切関係ありません。
 以上です。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 防災対策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、住宅の耐震化助成についてでございますが、都は、防災都市づくり推進計画に定める震災時に大きな被害が想定される整備地域を対象として、住宅の倒壊による道路閉塞や大規模な市街地火災を防止するという公共性の観点から、区と連携し、公的助成を行っております。財源を効率的、効果的に活用する観点から、引き続き整備地域に的を絞り、重点的に木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
 次に、墨田区などが実施している助成についてでございますが、都は、山手線外周部を中心に分布する防災上危険性の高い木密地域を安全な市街地につくりかえていくため、老朽木造建築物の不燃化建てかえ等に対する補助を行っております。墨田区の制度は、これに加えまして、建てかえまでの間、一定の防火、耐震性能を確保するために、老朽木造建築物の改修に助成を行うものでございます。一方、京都市の制度は、京都らしい町並みの保存を前提として防災対策を進めるための取り組みでございます。
 こうした助成制度などは、各自治体が主体的に創意工夫を凝らして進めているものであると、こういうふうに理解をしてございます。
 最後に、地域にふさわしい防災まちづくりについてでございますが、燃えない、燃え広がらない町を実現するためには、都市計画道路の整備などによる延焼遮断帯の形成や、老朽木造建築物の建てかえなどによる市街地の不燃化を促進する必要がございます。木密地域では、住民の高齢化に加え、権利関係が複雑であるため、こうした事業を進めるためには地元住民の理解と協力が重要であることはいうまでもなく、都と区は連携して、これまでも防災まちづくりの勉強会や説明会などを開催してまいりました。
 今後とも、都は区と連携して、防災都市づくりを推進してまいります。
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、特定整備路線の整備に対する考え方についてでございますが、六千四百人を超えるとうとい命が失われた阪神・淡路大震災では、幅員十二メーター以上の道路を越えて燃え広がることはありませんでした。
 この教訓を踏まえ、東日本大震災後に、都は、震災時に特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域の整備地域において大きな効果が見込まれる、補助第二九号線などの特定整備路線を整備することといたしました。燃え広がってしまっては、コミュニティの力も地域の防災力も全く発揮することができないと考えております。
 次に、特定整備路線の関係者への対応についてでございますが、都は特定整備路線の事業化に先立ち、地元説明会を開催し、その必要性や進め方を説明するとともに、幅広い質問や意見にお答えをしてきております。本日開催予定の北区の補助八六号線をもって、二十八地区全ての地元説明会を開催することになります。
 現在、関係者の理解と協力を得ながら測量作業を進めており、今後ともきめ細かく対応してまいります。
 最後に、特定整備路線の延焼シミュレーションによる安全性の検証についてでございますが、本シミュレーションは、木密地域全体の火災に対する安全性を検証するものではなく、特定整備路線のあるなしによる焼けどまり効果を路線ごとに確認するために実施したものでございます。シミュレーションに当たっては、東京消防庁の効果測定の手法を用いており、その整備により、確実に安全性は高まります。
 人の命と財産を守る取り組みは待ったなしであります。都は、命の道となる特定整備路線の整備に、スピード感を持って全力で取り組んでまいります。
   〔消防総監大江秀敏君登壇〕

〇消防総監(大江秀敏君) 木造住宅密集地域における出火防止対策についてでありますが、東京消防庁では、都民の地震時の行動をまとめた「地震 その時十のポイント」を活用し、避難時には電気やガスを遮断するなど、出火防止対策について広く普及啓発を行っております。
 また、火気器具周辺の整理や家具類の転倒、落下、移動防止対策を進めるとともに、感震コンセント等の住宅用防災機器や電源復旧時における安全確認の周知も図っております。
 今後とも、震災時の出火防止対策の推進に努めてまいります。
   〔十五番白石たみお君登壇〕

〇十五番(白石たみお君) 知事に再質問します。
 徳洲会は、巨額の金をなりふり構わずばらまいて、選挙買収などに使い、逮捕者まで出しています。
 猪瀬知事が昨年十一月六日、徳田虎雄氏と会ったとき、知事は会見では、挨拶程度しかしていないと説明していますが、救急救命などに取り組んできたことを一生懸命話していたと、同行した木村氏が新聞紙上で証言をしています。
 私は、徳洲会が東電病院の入札に参加したことも、徳洲会から明確に聞いています。便宜供与が疑われるのは当然ではありませんか。知事が徳田氏と医療について一生懸命話したという木村氏の証言は真実ではないのですか。お答えください。
 そして、徳田虎雄氏と交わした話の全容を明らかにしてください。
 自分がいい出した東電病院売却のその後の経過を調べようともしないのは、不可解な話です。あなたは、東京電力に対して、経営改革合理化の具体的内容について、明確な情報開示をと迫った人です。そのあなたが東電病院売却のその後の経過については手をこまねいている、何もつかんでいない、そんなことは信じられない。東電病院の売却をめぐる今の実態を、不明朗な実態であるとは思わないのですか。お答えください。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 先ほども申しましたように、十一月六日に、徳田虎雄氏との面会のときに、東電病院の売却は話題になっておりません。徳田虎雄氏の、立志伝中の人物であるという、そういう話を聞いておりました。
 また、東電病院の売却は、東京都として東電の資産売却をやるべきだというふうに提案し、東電が東電病院の売却をしたということで、東京都の目的は達成しております。以上です。
 東京電力の病院の売却と今回の話は一切関係ありません。

〇議長(吉野利明君) 百二十四番山下太郎君。
   〔百二十四番山下太郎君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇百二十四番(山下太郎君) 初めに、先日の台風でお亡くなりになられた方々、被災された全ての方々に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 質問に入る前に、知事に一言申し上げます。
 私は、昨日の我が会派の代表質問に対する知事の極めて不誠実な答弁を伺い、問題発覚以前から予定していた知事への質問を取りやめました。なぜなら、都民が到底理解できないような説明しかできない今の知事と都政の未来を議論することは、私はできないからであります。
 知事は昨日、都政を停滞させないために仕事を全うするという趣旨の発言をされましたが、事態は逆で、知事がその不誠実な態度を続ければ続けるほど、都政を停滞させかねないのであります。一分でも一秒でも早く説明責任を果たすよう強く申し上げ、質問に入ります。
 初めに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックと多摩地域について伺います。
 オリンピック招致の成功は、日本中の多くの方々に新たな希望を感じさせました。その方々の思いに応えるためにも、二〇二〇年東京オリンピックを、夢が持てない若者に勇気を与え、そして東日本大震災からの早期復興を実現し、世界中からのさまざまなサポートに対して心からの感謝を表明できるよい機会にしていかなければなりません。
 そのためには、主な競技が開催される湾岸地域に限らず、さまざまな地域や多くの人々を巻き込んでいく必要があります。
 私たちは、当初から、被災地支援と多摩地域での競技開催を求めてまいりました。被災地での競技開催を含む支援計画は一定の前進を見ましたが、多摩地域における競技開催は非常に限定されたものになってしまいました。
 もちろん、今回の招致成功の理由の一つに、競技会場をコンパクトにというコンセプトがあったことは十分理解しています。だとすれば、多摩地域において、ロンドン・オリンピックでも注目された文化プログラムを積極的に活用してはいかがでしょうか。
 文化プログラムは、開催国の文化、芸術、音楽などを紹介するプログラムのことで、一九四八年のロンドン・オリンピックでは、芸術競技という文化の種目があり、各国が文化メダルを争った歴史まであります。しかも、注目される点は、単にオリンピック開催時の一過性のものとして終わらずに、その後も自分たちの町の文化遺産として役目を果たすことを目標としている点です。
 私は、多摩地域のさまざまな場所で大型スクリーンを設け、チケットを持たない人でも大会を楽しめるようにしたり、音楽ライブイベントなどを行い、そこに地域の特色を生かしたアイデアを重ねる文化プログラムを積極的に活用すべきと考えます。
 そして、それらイベントを、ドイツ・ロマンチック街道のように一つのルートにまとめた、外国の方にもわかりやすいマップなどをつくり、広く広報していくべきだと思います。
 私は、オリンピック開催に向け、多摩地域の魅力を発信し、内外の旅行客を誘致すべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、多摩地域の今後について伺います。
 私はこれまで、多摩地域が発展していくためには、多摩は独自の将来像を描くことが重要だと主張してまいりました。そこで、二〇二〇年の東京でも目指しているスマートシティー構想を多摩の将来像の柱にすべきと、本年第一回定例会において提言をいたしました。
 多摩地域は、太陽光、風力、小水力、バイオマスなど豊富な資源があり、都心からのアクセスのよさを生かし、さまざまな研究機関や民間企業などを巻き込むこともできる、スマートエネルギー構想にはうってつけの地域であります。また、実現すれば、市民のライフスタイルの変革や新たなビジネスチャンスが生まれるなど、独自の発展にもつながります。
 私たちの質問後、都は新たな多摩ビジョンを発表し、今後の進むべき方向性として、町ごとにエネルギーを創造するエネルギーモデルを構築し、エネルギーの地産地消を実現するとしており、高く評価しています。既に国においては、横浜市や北九州市など四地域で実証実験を行っており、多摩地域でも、スマートメーターという各世帯の電気使用量を簡単に把握できる電力メーターを導入することまで検討されています。
 このように、国全体の環境が整い、都としても既に明確なビジョンを示しています。まず、多摩地域がスマートエネルギー都市のモデルとなるような具体的な取り組みを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、小児医療について伺います。
 私は、周産期、小児医療に関しては、病院数、NICU病床数、医師の数など、区部と多摩の間には厳然たる格差があり、命にかかわる問題で格差があってはならないと主張してきました。しかし、いまだに格差が解消されたとはいいがたい状態であります。
 都は、これら諸課題を克服するためにNICU増床を目指していますが、新生児科医師及び新生児専門看護師の確保に困難が伴い、設備投資に莫大な予算が必要とされています。もちろん、NICU増床には賛成でありますが、時間がかかるのは容易に想像できるところです。それまでただ手をこまねいているわけにもいきません。
 NICUに関しては、東京都以外からも流入患者さんも多く受け入れている状況ですが、そのような中でも都内患者の受け入れが円滑になされるよう、体制整備をしていくべきであります。見解を伺います。
 NICU増床を本当の意味で生かしていくためには、NICUから出ることができた子供を収容する後方医療を、地域中核病院で充実していく必要があります。地域に患者さんを帰すことができれば、保護者の負担軽減だけでなく、こども救命センターにも余裕ができ、NICU機能強化にもつながります。また、向上心の強い医師が地域医療に関心を持ち、地域での常勤医師確保にも可能性が見えてきます。
 多摩でいえば、多摩北部医療センターが都で唯一の特別連携病院に指定されており、地域医療機関の献身的な努力により、ある程度安定した一次、二次医療が確保されています。さらに、多摩小児総合医療センターとの医師の派遣、交流、患者さんの転院受け入れなど、他の地域にはまだ少ない土壌も整いつつあります。
 そこで、多摩地域におけるNICU不足を補っていくためにも、多摩北部医療センターで行っているNICU退院後の後方病床としての在宅移行支援をさらに進め、医師の確保、育成も含め、モデルとなるような取り組みとしていくべきだと考えますが、見解を伺います。
 最後に、教育について伺います。
 情報化社会といわれる今日、情報通信技術の発展で世界中の出来事を瞬時に知ることができたり、世界中の人々と友人になれたりと、便利になったことは喜ばしいことではあります。しかし、便利になった反面、情報の発信源や信憑性を確認することが非常に困難になり、時として、大人でさえ、それが真実なのかを判断することが難しいこともあります。
 さらに近年、LINEやツイッターなどのSNSと呼ばれる新しいコミュニケーション技術の普及により、子供たちを取り巻く環境は複雑なものになっています。
 大阪府警がことし六月に行ったアンケートによると、小学六年生の二二・四%、中学一年生の四八・六%、高校一年生では何と八七・一%がSNSを利用していることが明らかになりました。さらにその中で、SNSで知り合った人に実際に会ったことがある人は、高校一年生で一六・一%、中学一年生では九・九%、小学校六年生でも三・七%もいるという、子供たちが携帯電話などを通じて見知らぬ人と簡単に会えてしまう、大変憂慮すべき事態になっています。
 今後、子供たちが事件に巻き込まれないためにも、まず、都として早急に子供たちのSNSなどの利用状況を把握し、適切に対策を講じていくべきと考えますが、ご所見を伺います。
 また、同じアンケートでは、高校一年生の保護者のうち、約八割がメールやサイトの閲覧について何かしらの制限を課していると認識しているのに対し、子供たちで実際に制限があると答えたのは三七・七%にとどまり、実態に乖離があることがわかりました。
 これからの時代、親や学校がただ単に、あれは危ない、これは見てはいけないと上から押しつけても、問題は解決しないと考えます。
 私は初当選以来、情報化社会の中で子供たちが生き抜くためには、メディアリテラシーを身につけることが必要不可欠であると申し上げてまいりました。メディアリテラシーとは、さまざまなメディアからの情報をうのみにすることなく、自分の頭で考え、情報を読み解く力のことであります。全ての情報には発信者がおり、何かしらの意図が必ずある。その発信者の思想や価値観、目的によって、情報というものは編集や脚色されていることを理解する必要があります。
 この間、都がネット上でのいじめ対策や、教員にリテラシーを理解してもらうための努力をしているのは評価いたしますが、今後はさらに踏み込んで、欧米のように、ある程度の年齢に達した生徒には、一つの教科としてメディアリテラシーを本格的に教えていくくらいの試みが必要であると考えます。
 ご所見を伺って、私の質問を終えます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 山下太郎議員の一般質問にお答えいたします。
 教育に関する二点のご質問ですが、まず、SNSなどの利用状況の把握についてであります。
 昨今、SNSの利用が急速に拡大する中で、児童生徒が誹謗中傷などのいじめを受けたり、見知らぬ大人からのつきまといや脅迫などの被害を受けるといった深刻な事態が発生をしております。
 今後、都教育委員会は、こうした状況をより正確に把握するために、児童生徒、保護者を対象としたSNSに関する調査を新たに実施し、利用状況や被害、トラブルの実態を把握していきます。また、実態調査の結果を踏まえ、児童生徒が見ず知らずの大人に不用意にみずからの個人情報を伝えて会うことなどがないよう、教員向け指導資料に未然防止のためのより具体的な指導のポイントを掲載するなどして、各学校における指導の充実を図ってまいります。
 次に、メディアリテラシー教育についてであります。
 都教育委員会の学校非公式サイト等の監視では、児童生徒が不確かな情報を安易に信用したり、不適切な情報を発信するなどの実態が明らかになっております。このため、小中高校、特別支援学校では、教科、情報や技術家庭、総合的な学習の時間、道徳の時間などで、情報の適切な選択や発信の仕方を指導しております。また、都教育委員会は、児童生徒を対象に、外部講師による情報活用能力向上の訪問講座を実施をしております。
 今後は、これらの取り組みに加え、インターネット等の利用上のスキルに終始することなく、情報を分析して発信者の意図や目的を理解するための事例学習を、訪問講座だけではなく、教員向け指導資料にも取り入れて、各学校でメディアリテラシーについて指導できるよう支援をしてまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 多摩地域への旅行者誘致についてでありますが、多摩地域は豊かな自然、歴史、文化などさまざまな観光資源に恵まれており、東京の観光振興を図る上で欠かすことのできない地域であると認識しております。
 都はこれまで、地域が作成する観光マップへの支援などを通じて、多摩の魅力を旅行者に発信してまいりました。また、今年度はスポーツ祭東京二〇一三の開催に合わせて、多摩地域を初めとする競技会場周辺の観光情報を掲載したガイドブックを作成し、各会場や東京観光情報センター等の案内窓口で配布をいたしました。
 今後も、オリンピックの開催に向けてより多くの旅行者が訪れるよう、さまざまな角度から方策を検討し、多摩地域ならではの魅力の発信に努めてまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 多摩地域のスマート化への取り組みについてでございますが、スマートエネルギー都市の実現のためには、オフィス集積地や住宅地域など、地域の実情に応じて施策を進めていくことが重要でございます。
 お話のとおり、多摩地域は小水力発電などの再生可能エネルギーにふさわしい豊かな自然環境に恵まれ、先端産業や多くの大学、研究機関も集積しております。こうした特性を生かし、さまざまな主体が相互に連携して、電力の創出や最適制御などの取り組みを行うことはエネルギー効率化の観点から効果的でございます。
 今後、民間事業者や地元自治体等とも連携しながら、多摩地域を含め地域特性に応じた東京におけるスマートエネルギー都市の推進に向けて取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 周産期医療体制の整備についてですが、都は平成二十二年に周産期医療体制整備計画を定め、平成二十六年度末までにNICUを都内全域で三百二十床整備することを目標に、運営費や施設設備整備費に関する補助を拡充してまいりました。
 また、総合周産期母子医療センター等を中核とした地域の病院、診療所、助産所のネットワークグループを構築し、リスクに応じた役割分担と連携を進めているところでございます。
 さらに、周産期医療に従事する医師を確保するため、奨学金制度を設けるほか、NICU勤務医師に手当を支給する医療機関への支援も行っております。
 国に対しては、周産期母子医療センター等に対する補助制度の拡充を提案要求しており、今後とも周産期医療の体制整備に向け、さまざまな施策を推進してまいります。
   〔病院経営本部長醍醐勇司君登壇〕

〇病院経営本部長(醍醐勇司君) 多摩北部医療センターにおけるNICU退院後の在宅移行支援についてでありますが、同センターは都における小児周産期医療の拠点である小児総合医療センターと連携して、地域の小児周産期医療を支える役割を担っております。
 こうした役割分担のもと、多摩北部医療センターではNICUを退院した新生児を可能な限り受け入れ、在宅移行前に家族、訪問看護師への人工呼吸器管理の訓練や、退院後の急変時の受け入れなどの在宅移行支援を行ってまいりました。
 今後、多摩北部医療センターは、地域の中核病院として地域医療を支える小児科医の安定的な確保、育成を図るとともに、小児総合医療センターや地域の医療機関と連携して、在宅移行支援のさらなる充実を図ってまいります。

〇副議長(藤井一君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十七分休憩

   午後三時三十五分開議

〇議長(吉野利明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十五番和泉武彦君。
   〔四十五番和泉武彦君登壇〕

〇四十五番(和泉武彦君) 初めに、さきの台風二十六号により亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方のお見舞いを申し上げます。
 日本時間の九月八日早朝、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催都市が東京に決定し、日本中が歓喜に包まれました。このときを境に、全ての日本人が七年後、自分はどうしているんだろう、子や孫は何歳になって、どんなに成長しているんだろうと、将来の姿に思いをはせるようになったのではないでしょうか。
 また、これを機にスポーツへの関心がこれまで以上に高まり、スポーツに取り組んでみようかと考えた方も多いのではないでしょうか。まさにオリンピック・パラリンピックが、日本中に未来への夢を運んできてくれたといえます。
 今回の東京オリンピック・パラリンピックは、立候補ファイルにおいて、都市の中心で開催するコンパクトな大会をコンセプトとしています。そして、晴海の選手村から半径八キロ圏内に競技会場の八割以上が予定されています。
 しかし、東京オリンピック・パラリンピックを成功させるには、都民が総力を挙げてこの世紀の祭典を迎える準備をする必要があり、二〇二〇年に向けて、競技会場から離れており競技が開催されていない地域も含めて、老いも若きも東京が一つになって盛り上がりを持続させていくことが大切であります。そのためにも、都内のあらゆる地域において、あらゆる世代の方々がスポーツのすばらしさを感じ、スポーツに親しめる機会を整えていかなければなりません。
 そこで、地域におけるさまざまな世代に向けたスポーツの取り組みについて、都の所見を伺います。
 次に、高齢者のスポーツ振興について伺います。
 ことし九月、東京都総務局が発表した平成二十五年敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口によると、東京都の六十五歳以上の高齢者人口は二百八十万四千人、高齢化率が二一・九%となりました。これは、団塊の世代が六十五歳を迎えていることで、過去最高を更新しているわけです。
 さらに、七年後の東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年には、高齢者の人口は約三百二十万人となり、東京に住む四人に一人は高齢者になるともいわれています。
 このような超高齢社会の到来に伴い、高齢者のスポーツ振興は、健康寿命を延ばすとともに孤独死を予防するという観点から、医療費及び介護費用の増大、高齢者の社会的孤立などを防ぐための手段として、重要性がますます高まるものと思われます。
 ただ、一口に高齢者といっても、健康状態はさまざまであり、既にスポーツを実施している方がいる一方、スポーツをしたいが、何が自分に合うのかわからない、腰に負担がかからないスポーツとはどのようなものがあるんだろうか、このような声もよく聞かれます。
 このような状況の中、今後ますます高齢者のスポーツ振興を進める必要があり、特に健康状態に合ったスポーツの紹介など、高齢者の意欲を喚起するきめ細かな情報発信が必要だと思いますが、見解を伺います。
 次に、都内中小企業の海外展開に対する支援について伺います。
 私の地元葛飾区は、都内でも代表的なものづくりの集積地ですが、最近、企業の皆様方から、新しい取引先を求めて海外市場、特にアジアのマーケットへの挑戦を考えているという話を聞くようになりました。
 都内にはすぐれた技術や付加価値の高い製品を持つ中小企業が数多く存在しますが、どんなにすぐれた製品を持つ企業であっても、名前の知られていない企業が単独で現地のマーケットに出ていって、すぐによい取引先にめぐり合うというわけにはいきません。現地の企業や関係者がその製品に興味を持ち、話を聞いてみたいと考えるきっかけが必要です。
 そこで、世界的な経済都市である東京のブランド力を前面に出して、都内中小企業をアジア市場に売り込むべきです。都が先頭に立って東京の中小企業の技術、製品に対する認知度を高め、高い技術力や安全性といった製品の強みを理解してもらうことが必要と考えますが、所見を伺います。
 一方で、東京におけるビジネス展開を考えている外国企業もたくさんあります。東京ビッグサイトでは、毎年、機械製品やエネルギー、医療等さまざまな分野の国際展示会が開催されており、これらの展示会には欧米やアジアから多くの外国企業が参加しています。アメリカの情報通信系企業や、特定分野で高いシェアを誇るドイツの中小メーカーなど、高い技術力を持つ外国企業も少なくありません。
 こうした外国企業が東京を訪れる機会を利用して、都内の中小企業が持つ技術や製品に関する情報を提供し、お互いに交流する機会を設けることが重要だと思います。都内中小企業との共同の技術開発などにつなげていければ、東京の産業のさらなる発展に役立つのではないかと考えます。
 そこで、都として、外国企業と都内中小企業との相互交流や連携がより活発に行われるよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 特定不妊治療費助成事業は、子供を産み育てたいと願う夫婦を支援する上で、経済的な負担の軽減という観点から重要な事業であります。
 平成十六年度の事業開始以降、助成回数や助成金額の拡大を図ってきましたが、今年度から国は、以前に凍結した胚を解凍して移植する場合などの安価な費用で行うことのできる治療については、助成額を半額にする見直しを行っております。
 都は、今年度については経過措置として従前どおり補助をしていますが、今後さらに、国は助成対象年齢、通算助成回数等の見直しについて経過措置を設け、平成二十八年度から見直しを実施する方針を示しております。
 少子化を見据え、妊娠、出産を希望している夫婦を支援するため、都は独自に支援の拡充を行い、子供を産みやすい環境を整えるべきと思われますが、都の見解を伺います。
 特定不妊治療は、医療保険の適用対象となっておらず、治療の標準化もなされていないため、治療方法、治療費用は医療機関によってさまざまとなっております。金銭的な負担が大きいため、治療を受けたくても受けられないという人がおります。
 全ての人々が平等に治療を受けられるようにするためには、既成の概念にとらわれる必要はなく、原因がはっきりとしてきたこの不妊症というものを疾患として捉えて、特定不妊治療を保険適用の対象とすべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 不妊治療を行っても、高齢になると妊娠する確率は低くなります。また、高齢で妊娠した場合には、流産等のリスクが高いことも明らかとなっております。しかし、妊娠を望む方の中には、こうした事実を知らなかったために、若いときには妊娠のことを考えず、高齢になってから不妊等に悩んでいる方もたくさんおられます。
 不妊治療は肉体的にも精神的にも苦痛を伴うものであり、女性ばかりが悩みがちな傾向がございます。しかしながら、男性側に不妊の原因があるケースも少なくありません。そもそも妊娠、出産の問題は夫婦がともに考えるべき事柄であり、男性も含めた若い世代がこの問題に向き合うように対策を進めるべきであります。
 高校生については、妊娠適齢期等に関する内容が教科書に掲載されることになったと聞いておりますが、それ以降のライフステージにある若い世代がこの問題について考えることも重要であります。
 そこで、妊娠適齢期など妊娠、出産に関する知識について、男性も含めた若い世代を中心に幅広く啓発する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、女性の活躍推進について伺います。
 私は、医師として高齢の患者さんに寄り添って在宅診療を行ってまいっております。この中で、女性たちがさまざまな道を懸命に歩いてきた足取りを、患者様方の言動に感じることがあります。専業主婦として家族のために奮闘してきた方、仕事と子育てを担い、思ったように社会の場で活躍できずに苦労された方、ひとり親としての苦労を、このような話をしみじみとした笑い話にする方、みんな時代状況に応じて生き方を選択し、人生を切り開いてきたんだと思います。
 時代の大きな潮流である少子高齢化が進み、人々の生き方はますます多様化しています。これから社会に羽ばたく若い女性が、出産、育児、介護などさまざまなライフイベントを迎えるに当たり、それぞれの希望に応じて、あらゆる場で生き生きと活躍できる環境をつくっていくことは、都議会議員として大切な使命であると考えます。全ての女性が、将来、自分の人生を振り返ったときに、胸を張って誇りを持ち、自慢して子供や孫に話ができる社会であってほしいと思います。
 こうした社会を実現していくためには、企業ばかりでなく、地域などあらゆる場における女性の登用や継続就業に向けた取り組みの促進が不可欠であります。このため、女性活躍推進の機運の醸成を図ることが重要と考えますが、所見を伺います。
 東京では、急速に高齢化が進展しており、それに伴い、認知症高齢者の患者も急増しております。認知症の問題はテレビや新聞等で頻繁に取り上げられ、さまざまなシンポジウムが開催される等、認知症に対する都民の関心は年を追うごとに高まっています。認知症は、高齢になれば誰でもがかかる可能性のある疾患であり、世界でも類を見ないペースで高齢者が増加している東京にとって、この認知症対策は喫緊の課題であります。
 さきの平成二十五年第一回定例会において、私は認知症対策の強化の必要性と早期の段階からの支援の仕組みづくりについて伺いましたが、都は、区市町村に配置した認知症コーディネーターと認知症疾患医療センターに配置したアウトリーチチームが連携して、認知症が疑われる高齢者を訪問し、早期に支援につなげていく認知症早期発見・早期診断推進事業を本年八月からいち早く開始しており、速やかな対応は高く評価しております。
 また、認知症の早期発見を進めるためには、高齢者の身近にいる人たちが認知症について正しく理解し、早期に異変に気づいていくことが重要ですが、都は今年度、都民への認知症の普及啓発の充実に向けて、認知症の疑いを家庭で確認できるチェックシートの作成を進めております。
 今後、都内で認知症の人がふえ続けていく中、これらの方々や家族が地域で安心して暮らしていくためには、区市町村を初め、かかりつけ医、ケアマネジャー、そして地域包括支援センターなどの関係者が密接に連携して、認知症の人を早期に発見し、早期に支援に結びつけていく体制を都内の各地域でつくっていく必要があります。
 そこで、認知症早期発見・早期診断推進事業の現在の取り組み状況と今後の展開について伺い、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 和泉武彦議員の一般質問にお答えします。
 スポーツに関する二点の質問ですが、まず、地域におけるさまざまな世代に向けたスポーツの取り組みについてでございます。
 誰もが気軽にスポーツに親しめる環境を整えることは、オリンピック・パラリンピック開催を七年後に控え、スポーツ都市東京を目指す都にとって極めて重要でございます。
 都は、スポーツ博覧会東京やTOKYOウオークなど、さまざまな参加体験型のスポーツイベントを通じて、親子がともにスポーツを楽しめる機会を提供しております。
 また、子供から高齢者まで、誰もが身近にスポーツに親しめる地域スポーツクラブの設立、育成を推進しており、中でも、クラブが開催する働き盛り、子育て世代向けのイベント等に対して支援をしてございます。
 さらに、今年度からは、トップアスリートを指導者として地域に派遣し、ジュニア層を対象としたスポーツ教室を実施するアスリート・サイクル地域貢献モデル事業を開始し、地域スポーツの裾野の拡大などを図っております。
 今後とも、これらの事業に継続して取り組むとともに、その充実に向けて検討し、さらなる地域スポーツの推進を図ってまいります。
 次に、高齢者のスポーツ振興についてでございます。
 高齢者にとって、スポーツは、健康の維持増進など身体的な有用性だけでなく、生きがいづくりや孤独感の軽減など心理的、社会的な効用もあり、超高齢社会を迎える東京において、ますます重要な意義を持っております。
 都はこれまで、シニア健康スポーツフェスティバルTOKYO、ねんりんピックへの選手団の派遣、シニアスポーツ振興事業など、高齢者を対象としたさまざまな事業を展開してまいりました。
 高齢者に適したスポーツは多種多様でございまして、身体への負担の少ないスポーツなど、新たに知ってもらうことで、高齢者がスポーツに取り組むきっかけにつながり、スポーツ実施率向上にも期待ができます。
 このため、都は、高齢者が各自の健康状態や生活環境に合わせてスポーツを選択できるよう、スポーツの特性や効用などを「ニュースポーツEXPO in多摩」、都民スポレクふれあい大会などのイベントや各種情報媒体で紹介することを初め、区市町村や関係団体などと連携し、きめ細かな情報の発信に努めてまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の海外展開支援についてでありますが、東京の産業の活性化を図るためには、都内中小企業に対し、拡大するアジアの需要を取り込むことができるよう支援することが重要であります。
 都はこれまで、海外ビジネスに精通した商社OB等を活用し、アジアなど海外市場を目指す中小企業の販路開拓を支援してまいりました。
 今後は、これに加え、集客力の高いアジアの展示会において、都内中小企業の高い技術力やすぐれた製品を効果的にアピールする機会を新たに設けていくことを検討いたします。
 こうした取り組みにより、ビジネス拡大のきっかけとなる商談機会の充実を図り、アジア市場の販路開拓に取り組む中小企業を積極的に後押ししてまいります。
 次に、外国企業と中小企業の連携促進についてでありますが、都内中小企業が外国企業との交流や連携を通じ新たなビジネス展開を図っていくことは、国際的な競争力を強化する上で重要であります。
 都はこれまで、産業交流展において、東京のマーケットに関心を持つ外国企業に出展の機会を提供してまいりました。これら外国企業の中には、都内中小企業との取引拡大にとどまらず、技術や製品開発における提携を希望する企業もございます。
 そこで、今後は東京で開催される展示会に出展する外国企業と中小企業との交流の機会を設け、技術提携や共同研究などを促進する仕組みを検討してまいります。
 こうした取り組みを通じ、すぐれた技術力を有する中小企業の新たな事業展開を支援してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、不妊治療への支援についてですが、都では、平成十六年度から国の制度に基づき特定不妊治療費の一部助成を実施しており、その助成件数は、制度の開始当初と比較して約十倍となっております。
 国は、この助成制度について、実際にかかる費用のおおむね二分の一とすることを基本として、今年度、安価な凍結胚移植等の助成額を現行の半額に引き下げる見直しを行いました。
 しかし、特定不妊治療は、治療法によってかかる費用がさまざまであり、自己負担額が治療費の二分の一を大きく超える場合もございます。
 都としては、こうした状況を踏まえ、子供を欲しいと望んでいるにもかかわらず恵まれない方々が治療を受けやすくなるよう、支援の拡充について検討してまいります。
 次に、不妊治療の保険適用についてですが、現在、特定不妊治療は治療の標準化がなされておらず、治療方法や費用は医療機関によってさまざまでございます。
 このため、都はこれまでも、全国の治療状況及び成績を考慮した上で、治療の標準化を図り、医療保険の適用対象とするよう国に提案要求を行ってまいりました。
 今後とも、不妊治療を必要とする人が安心して治療を受けられるよう、国に強く求めてまいります。
 次に、妊娠、出産に関する知識の啓発についてですが、都では、若い人たちが妊娠、出産について正しい知識を持ち、自分自身のライフプランを考えるきっかけとなるよう、平成二十二年度に、小冊子「いつか子供がほしいと思っているあなたへ」を作成いたしました。
 この中では、不妊の原因や不妊治療、妊娠や出産の適齢期などを紹介しており、今年度行った改訂では、男性にも不妊につながる要因が存在することを詳しく説明した内容も盛り込んだところでございます。
 小冊子は、区市町村や保健所等の関係機関に加え、昨年度から都内の大学約百八十カ所にも配布し、若い人たちへの普及啓発に役立てており、今後、さまざまな媒体の活用も検討しながら、男性も含め若い世代を中心に妊娠、出産に関する知識の啓発に努めてまいります。
 最後に、認知症早期発見・早期診断推進事業についてですが、お話の認知症コーディネーターとアウトリーチチームが連携した取り組みは、現在、七つの二次医療圏の十二区市で開始しており、そのうち六区では、高齢者を訪問、診断し、介護保険サービス等の支援につなげております。
 また、認知症の疑いを家庭で簡単に確認できるチェックシートにつきましては、六月に実施した生活状況等のアンケート調査をもとに、看護師が高齢者の自宅を訪問し、健康状況等に関するヒアリングを行っており、年度内には完成する予定でございます。
 既に、多くの区市町村が来年度からの事業開始の意向を示しており、今後、より多くの人が認知症に早期に気づき、必要な支援を受けられるよう、関係機関と連携しながら事業の一層の展開を図ってまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 女性の活躍推進に向けた機運の醸成についてでありますが、全ての女性が意欲と能力に応じて多様な生き方を実現するためには、仕事と家庭、地域生活の調和の推進を初め、女性の継続就業に向けた職場環境の整備、さらには女性の参画や登用の促進を社会全体で進めていく必要があります。
 都はこれまで、企業によるワークライフバランスの先進的な取り組み事例を盛り込んだ手引書や、ウエブサイトを通じて仕事と育児の両立支援に関する情報などを広く発信するとともに、今年度、初の試みとして、大学との共催により生涯キャリアの設計に関する公開講座を実施いたしました。
 今後は、新たに、経営トップ層を対象とした女性の積極的な登用や人材育成に関する普及啓発を初め、産業、地域、教育等にかかわるさまざまな団体と協働した取り組みを展開するなど、女性の活躍推進に向け、一層の機運醸成を図ってまいります。

〇議長(吉野利明君) 四十二番高椙健一君。
   〔四十二番高椙健一君登壇〕

〇四十二番(高椙健一君) 本年、伊豆大島を襲った台風二十六号の豪雨により、災害に遭われた方々に対して心からお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々に対して謹んでお悔やみを申し上げます。
 さて、私がこの壇上に立つ機会を与えてくださいました国分寺市民、国立市民の方々に感謝をいたし、誠心誠意、全力で都民福祉の向上に努めてまいります。
 それでは、最初に河川整備についてお伺いをします。
 多摩川の支流である野川は、多摩川との合流部から鞍尾根橋までは、水辺に近づけるよう、階段の設置や護岸の緑化などを取り入れた整備が進んでいます。
 一方、上流部である国分寺市内の区間では、河川整備はいまだ事業化されておりません。このため、河川に沿って住宅が密集し、川幅も狭い状態が続いています。
 下水道幹線も整備され、近年大きな水害が発生していないものの、昨今の局地的集中豪雨の発生状況やJR国分寺駅北口再開発の進捗を考えると、国分寺市内でも最も地形的に低いこの地域に雨水が集中し、浸水被害が発生することが懸念されます。
 また、国分寺市内では、緑の基本計画において、野川の整備について実現に向けて取り組みを進めるとしており、昨年、都に要望書も提出しております。
 このため、野川の最上流部について、治水面、親水性や緑化等を考慮し、一体としての整備を目指した取り組みを進めていくべきと考えます。
 そこで、野川上流部の整備に向けた取り組みについてお伺いします。
 また、多摩地域の発展のためには、渋滞解消はもとより、地域の防災性や安全性の向上に資する道路整備が不可欠であります。かねてより、我が党は多摩の都市基盤整備の重要性を訴えており、このたびの選挙公約では、多摩の潜在力や魅力を引き出す都市基盤として、物流や経済を活性化し、生活の利便性を高める多摩南北、多摩東西道路の整備推進を挙げています。現在、南北主要五路線の一つである国分寺三・二・八号府中所沢線において事業が進められております。地元からは早期完成が望まれています。
 そこで、国分寺三・二・八号府中所沢線の整備状況についてお伺いします。
 次に、連続立体交差事業について伺います。
 連続立体交差事業は、数多くの踏切を同時に除却することで交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化や防災性を向上させる極めて効果の高い事業であります。
 JR中央線連続立体交差事業は、平成二十二年度に高架化が完成し、十八カ所の踏切が全て除却され、交通渋滞が解消しました。
 現在、事業の総仕上げとして、国立市でも高架橋北側の側道整備が進められています。地元の方々からは、側道整備による利便性や防災性の向上に大きな期待が寄せられており、安全に利用できる道路にしてほしいとの要望が出されています。
 そこで、JR中央線連続立体交差事業の国立市内における側道の安全対策の取り組みについてお伺いします。
 次に、安全・安心まちづくりに関する施策についてお尋ねをします。
 地域の安全・安心を高めていくためには、犯罪捜査や被害の未然防止など、警察や行政の取り組みはもちろんでございますが、防犯パトロールなど地域の方々の自主的な活動が大変重要であります。
 私も、ささやかではありますが、その活動の一端を担わせていただきましたが、町会や自治会、商店街などの地域団体の日々献身的な取り組みが、地域の防犯力を引き上げていくと実感しております。
 このような地域活動を後押しするため、都は、町会等が設置する防犯カメラに対する補助事業を実施しておりますが、我が党は、かねてから地域における防犯カメラに対する支援の必要性や重要性を提言してまいりました。
 そこで、地域の自主的な活動をさらに広げるためにも、積極的に本事業を推進すべきと考えますが、都の見解をお伺いします。
 次に、防災に関して伺います。
 今年、国分寺市で行われた総合防災訓練では、消防署と消防団が連携する中、防災まちづくり委員、民生児童委員、自治会、町内会、消防少年団ほか、防災に協力してくれる各種団体にまじって自衛隊の救助救援部隊も参加し、市民から心強く注目されておりました。
 また、国立市の総合防災訓練でも、同様に、消防署、消防団、自主防災組織との連携も含め訓練が実施されています。
 このように、多摩や島しょ地域においては、消防団は地域防災のかなめとなっています。しかし、現在、多摩・島しょ地域の消防団については各市町村で運営されており、市町村ごとの財政力等の違いもあって、配備されている資器材等の状況に差があるのが現状です。
 特別区が、東京消防庁により全ての消防団に対して一定の資器材が配備されていることと比較すると、未配備の資器材も多く、また区部と異なり、山間部や島しょ部など地域に多様性があることから、こうした点も配慮し、市町村にだけ任せるのではなく、都として充実に向けた支援を行っていく必要もあると考えますが、都の見解をお伺いします。
 次に、都の災害廃棄物処理支援の取り組みについて伺います。
 未曽有の大震災から、既に二年半余りが経過しました。被災地で復旧、復興の歩みを阻んでいた災害廃棄物も、宮城県、岩手県では今年度末で処理が終了する見込みです。
 我が党の提言のもと、都は平成二十三年十一月から約二年間にわたって被災地から災害廃棄物を受け入れ、都内区市町村や民間処理業者と連携して、廃棄物の特性に応じ、安全かつ的確な処理を行ってきました。
 ところで、質問の冒頭に申し上げましたが、台風二十六号により甚大な被害を受けた大島町においては、土砂に流された流木や倒壊した家屋の瓦れきなど大量の災害廃棄物が発生し、その処理が復興の妨げになっています。この大島町の災害廃棄物を早急に処理するため、都議会は、大島町の災害廃棄物処理事務の一部を都が受託する議案を開会初日に議決したところであり、これから大島町の災害廃棄物処理が本格的に動き出します。
 そこで、これまでの東日本大震災における災害廃棄物処理の経験を生かして、今後、大島町の災害廃棄物処理をどのように支援していくのかお伺いします。
 また、二年間にわたる被災地からの災害廃棄物の受け入れにおいて、都は、民間処理業者のすぐれた処理技術を活用してきました。特に、混合廃棄物の受け入れは、被災地での選別作業を軽減し、処理の迅速化に大きな役割を果たしてきたものであり、評価できます。
 今後、東日本大震災の五倍もの災害廃棄物が発生するといわれている首都直下地震が発生した場合にも、このような民間処理業者の協力が不可欠と考えます。
 国においては、本年十月に検討委員会を立ち上げ、巨大地震に備えた広域的な対応体制の整備の検討を始めましたが、この委員会では、民間処理業者の活用について明確な方向性が示されていません。
 都は、災害廃棄物の受け入れを通して得たノウハウを生かして、民間処理業者のさらなる活用を国に働きかける必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、高齢者の雇用就業支援についてお尋ねします。
 少子高齢化が進展し、生産年齢人口は減少する中で、元気で意欲のある高齢者の方々に地域で活躍していただくことが必要になっています。
 とりわけ、昨年から、いわゆる団塊の世代が六十五歳に到達し始め、労働市場から本格的な引退過程に入り、企業で仕事中心の生活を送ってきた多くの方々が地域に活躍の場を移しつつあります。
 昨日の我が党の代表質問において、地域におけるシルバー人材センターの重要性を踏まえ、支援を充実すべきとの質問を行い、前向きな答弁をいただいたところです。
 高齢者の方々は、体力等の個人差が大きく、年金などの状況も異なることから、高齢化が進展していく今後は、希望する就業形態も、より幅広いものになると思われます。このため、シルバー人材センターに加え、地域において、高齢者が働く多様な機会を掘り起こし、広げていくことも重要であると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、障害者の職場定着支援についてお尋ねします。
 本年四月から民間企業の法定雇用率が二・〇%へと引き上げられました。
 先月発表された障害者の雇用状況を見ますと、都内民間企業の実雇用率は一・七二%と、法定雇用率は下回っているものの過去最高を更新し、企業における障害者雇用は着実に進んできております。
 このように、企業で働く障害者の方がふえることは大変喜ばしいことですが、一方で、せっかく就職しても短期間で離職してしまっては、就職した障害者本人にとっても、雇用した企業にとっても不幸な事態でございます。
 障害者の方々が生き生きと働き続けられるようにするためには定着支援が重要ですが、雇用される障害者の方が大幅にふえる一方で、企業では、定着に当たって問題が発生した場合の対応ノウハウが十分ではありません。また、就労支援機関の人員も限られていることから、参考となるケースを広く情報収集するなどの取り組みが効果的と考えます。
 障害者の方々が職場で円滑に定着するために、都としてどのような支援を行っていくのか伺い、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 高椙健一議員の一般質問にお答えをいたします。
 私からは、三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、野川上流部の整備に向けた取り組みについてでございますが、野川では、親水性や生態系の保全に配慮しながら、水害の早期軽減を目指して整備を進めており、平成二十四年度末の護岸整備率は八六%でございます。
 未整備の上流区間、約一・八キロメートルは、川沿いに多くの住宅がある中、約五メーターの川幅を下流部と連続する形で約二十メーターに広げることとしております。
 事業化に向けては、地元国分寺市による野川などの自然を生かしたまちづくりの進展や住民との合意形成が必要でございます。
 このため、現在、都と市で周辺地域を含めた野川の検討会を設置しており、オープンスペースの確保や遊歩道の整備など、防災性や環境を向上させるための方策について検討しております。
 今後とも、市と連携し、野川の上流部の整備に向けて取り組んでまいります。
 次に、国分寺三・二・八号府中所沢線の整備状況についてでございますが、本路線は、神奈川県から埼玉県に至る広域的な道路交通ネットワークを形成する府中所沢鎌倉街道線の一部であり、延長二・五キロメートル全線が事業中でございます。
 本事業により、交通の円滑化や防災性の向上が図れることはもとより、整備に当たっては、車道の両側に緑豊かな植樹帯と快適な歩行者空間を有する十メートルの環境施設帯を設けるなど、沿道環境に配慮してまいります。
 現在、約八割の用地を取得し、施工に長期間を要する鉄道交差部の橋梁やトンネル工事を進めており、引き続き、街路築造工事などを実施してまいります。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら本路線の早期完成を目指し、積極的に整備を進めてまいります。
 最後に、JR中央線連続立体交差事業の国立市内における側道の安全対策についてでございますが、連続立体交差事業は、交通渋滞や地域分断の解消を図るとともに、地域の活性化に資する極めて効果の高い事業でございます。鉄道の高架化に伴い設置する側道は、沿線の良好な住環境の保全や円滑な地域交通の確保を図るために必要でございます。
 国立市内約一・四キロメーターの側道については、国立駅や立川駅へのアクセス性が向上するとともに、周辺まちづくりに大きく寄与するものでございます。
 現在、横断歩道の設置や交差点内のカラー舗装など、地元市及び交通管理者との協議に基づき、必要な安全対策を進めております。
 この側道を含め、平成二十五年度末には全ての工事を終え、JR中央線連続立体交差事業が完了いたします。
   〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 防犯カメラに対する補助事業についてお答えいたします。
 町会や自治会、商店街などの地域団体の行う防犯カメラの設置は、地域の人々の防犯意識が高まり、それぞれの自主的な活動を進める好機となることに加え、犯罪の抑止にも資することから、地域の安全・安心を確保する上で大変有効であると考えております。
 また、地域の活動の中核を担う人々の高齢化が進む中で、疲れない、眠らない、見逃さない、忘れないなどの特性を持つといわれる防犯カメラは、地域の活動を継続的かつ効率的に実施していく上でも重要な役割を果たすものと受けとめております。
 今後とも、防犯カメラに対する補助事業につきましては、設置を必要としている多くの地域の要望に応えられるよう、円滑な実施に努め、地域の自主的な活動を支援してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 消防団への資器材配備の支援についてでございます。
 災害時に一人でも多くの命を救うためには、発災直後から迅速に救出救助活動を行う必要があり、地域に密着し、即応力のある消防団の役割は重要であります。
 首都直下地震等の際には、各所で火災等の被害が想定され、都内全域での地域防災力の確保が必要です。
 しかし、多摩・島しょ地域の消防団の装備等の状況について調査したところ、団員の安全確保のための装備や救出救助用資器材について課題が見られました。
 このため、今年度、市町村に対して、簡易救助資器材と安全靴、さらには市町村と消防団との情報連絡に必要な無線機の配備に対して補助を開始いたしました。
 今後とも、引き続き消防団の活動を支援し、地域防災力のさらなる向上に向けて取り組んでまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 災害廃棄物の処理に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、大島町の災害廃棄物処理への支援についてでございます。
 都は、約二年間にわたって東日本大震災の災害廃棄物を受け入れてきた経験から、民間処理業者の活用やコンテナでの輸送など、災害廃棄物を広域的に処理する上でのさまざまなノウハウを蓄積することができました。
 こうしたノウハウをもとに、大島町での災害発生の直後から、災害廃棄物の早期の処理に向けて、発生量の推計や処理方針、処理計画の策定などについて、大島町を全面的に支援してまいりました。
 このたび、本定例会開会日に、大島町の災害廃棄物処理事務の一部を都が受託する議案を議決いただきましたことから、今月中旬には島外への船舶輸送を開始し、区市町村や民間処理業者と協力して迅速に処理を進め、大島町の復旧、復興を支援してまいります。
 次に、民間処理業者のさらなる活用に向けた国への働きかけについてでございます。
 巨大地震における災害廃棄物は、建設混合廃棄物のような一般の家庭ごみとは性状の大きく異なるものが短期間で膨大に発生することから、自治体の一般廃棄物処理施設だけで迅速かつ適正に処理することは難しく、民間処理業者の活用が不可欠でございます。
 このため都は、昨年度改定した東京都震災瓦れき処理マニュアルにおいて、震災発生時の民間処理業者との連携を明確に位置づけたところでございます。
 現在、国が行っている検討委員会においても、災害廃棄物の広域処理に民間処理業者のすぐれた処理技術が十分に活用されるよう、都として、東日本大震災の経験を踏まえた具体的な提言を行ってまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者の就業機会の拡大についてでありますが、少子高齢化が進展する中、働く意欲のある高齢者が長年培ってきた知識や経験を生かし、希望や能力に応じて働き続けることは重要であります。
 このため都は、企業での再就職を望む方には、東京しごとセンターにおいて就業相談や能力開発などの就職支援を行っております。また、身近な地域における臨時的かつ短期的な就業を希望する方には、シルバー人材センターを通じて就業機会を提供しております。
 今後は、就業ニーズの多様化に対応するため、地域で高齢者が活躍する働き方のモデルとなる取り組みを後押しし、そのノウハウを広く発信するなど、高齢者の就業機会のさらなる拡大に向けた方策を検討してまいります。
 次に、障害者の職場定着支援についてでありますが、障害者雇用を推進するためには、障害者が就職した職場で働き続けることができるように定着支援を行うことが重要であります。
 このため都では、障害者と企業の実情に応じて、作業能力の向上や職場環境に関する助言等を行う東京ジョブコーチを企業に派遣しております。今年度は、増加する定着支援のニーズに対応するため、東京ジョブコーチの定員を六十名から七十五名に増員するなど、体制の強化を図りました。
 今後は、こうした取り組みに加え、企業現場における課題の把握や、企業や就労支援機関による効果的なサポート事例の普及啓発など、円滑な職場定着を図る支援策のさらなる充実を検討し、障害者雇用に積極的に取り組んでまいります。

〇議長(吉野利明君) 十七番栗林のり子さん。
   〔十七番栗林のり子君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇十七番(栗林のり子君) 東京にとって、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは、誉れある二度目の開催であります。東京が、七年後の開催を目指し、世界の諸都市が抱える共通の課題に先駆的に挑戦し、その成果を内外に発信していく大きな契機としていくことが望まれます。
 先日、IOCのトーマス・バッハ会長が来日され、記者会見で二〇二〇年の東京五輪を、日本文化を反映した大会にしてほしいと述べていました。オリンピック・パラリンピックは、スポーツの祭典であると同時に、文化の祭典でもあります。日本の誇る文化を世界に発信していく、またとない好機であり、文化の力を世界が再認識する、新たな歴史を刻んでいく祭典とすべきであります。
 また、二〇二〇年は、東日本大震災の発災からちょうど十年目に当たる節目の年ということになります。大会開催は被災地の復興とともにでなくてはなりません。私は、復興なくしてオリンピック・パラリンピックの成功はないと考えています。
 被災地支援策の一つとして、私は、文化、芸術を通しての支援が被災者の心の支援につながることを強く訴えてまいりました。そして、さまざまな施策を推進してまいりました。
 オリンピック・パラリンピックの文化プログラムを今後具体化していくことになりますが、文化の力で被災地を支援するなど、二〇二〇年まではもとより、これからもずっと、被災地のことを忘れてはならないと考えます。
 そこで、文化、芸術を通しての被災地支援の新たな取り組みとして、岩手、宮城、福島三県との合同交流イベントを都が企画することを提案します。前回の東京大会のレガシーである駒沢オリンピック公園広場などを活用し、やぐらを組んで、東北の有名な民謡を歌い踊り、物産展や地元グルメなどで交流の輪を大きく広げる東京大交流夏祭りといった大イベントです。人、物、心の交流を通じて、被災地の復興を大きく後押しすることになります。
 芸術文化を通じた被災地支援について、文化プログラムにおけるあり方も含め、都の見解を伺います。
 オリンピック・パラリンピックの東京開催は、いうまでもなく、子供たちに夢と希望をもたらすものであります。こうした次代を担う子供たちをいかに育てていくかは、東京の大きな課題であります。子供を大切にするという意識を高め、子供は国の宝というメッセージあふれる東京を構築することが求められます。
 こども未来財団が、少子化社会を生きると題してエッセーを募集しています。その中で、財団賞に選ばれた都内在住の三十七歳の母親の作品が印象的でした。双子を出産後、夜中は二人分の授乳でろくに眠れず、へとへとになり、心身ともに疲労のピークだったとき、生後六カ月の双子をベビーカーで散歩させていたら、年配の紳士が近づいてきて、かぶっていた帽子をとり、深々とおじぎをし、ありがとうといい、立ち去ったそうです。
 子供を産んだことに対して、見ず知らずの人にありがとうといわれた言葉がストレートに心に入り、おめでとうではなく、ありがとうの言葉がたまらなくうれしく、誇らしい気持ちになったそうです。そして、このありがとうをずっと忘れないと述べていました。
 このエピソードに象徴されるように、子育てに頑張る人たちにエールを送る社会を構築することが求められています。
 都はこのたび、少子化対策検討チームを立ち上げました。初めに、このチームの委員長になられた安藤副知事に、子供を大切にする社会の実現に向けての見解を伺います。
 今回の少子化対策では、結婚、妊娠、出産というところにもポイントを置き、さらに、若年者支援部会を立ち上げています。私も以前より取り上げてきたテーマだけに、高く評価いたします。
 都は、未婚化、晩婚化の原因の一つとして、地縁の出会いの機会が減少していることを挙げています。昨日の我が党の代表質問に対し、若年者の就業、結婚等に関し幅広い意見を聞く調査を行うとの答弁がありました。これらの調査も参考に、結婚支援について精力的に議論し、必要な施策を実施すべきです。見解を伺います。
 私は昨年の予算特別委員会の質疑において、ボランティアを活用しての婚活支援について取り上げ、当時の石原知事より前向きな答弁をいただいたところです。しかし、いまだ実現には至っておりません。
 その際、ボランティアのモデルとして、海の森の活用を提案させていただきました。海の森というのは、水と緑のネットワークの拠点だけでなく、ボランティア等を通じた人と人との交流の拠点としても、すばらしいポテンシャルを有していると思います。そこで苗木を植えながら会話が生まれたり、出会った人たちがお互いのボランティア活動について語り合い、誘い合うなど、共通のテーマをベースとした発展性ある人と人との関係を構築できるいい機会となります。そうした出会いと交流を経て結婚に至れば、婚活支援の一つのスタイルになるのではないでしょうか。
 海の森の魅力を伝えるということを前面に打ち出しつつ、結果として結婚につながる、そのような自然な結婚支援が可能であり、新しい地縁の役割を担うのではないでしょうか。
 海の森には、そうした若い男女の交流のきっかけとなるような工夫が重要だと思いますが、都の見解を伺います。
 次に、妊娠に対する支援について伺います。
 妊娠しにくい夫婦への支援に、不妊治療に対する助成制度があります。国は、対象年齢を四十三歳まで引き下げることを発表しました。治療を受ける機会が減少することなく、対象となる所得制限を拡充するなど、都独自の支援が必要と考えます。
 一方、妊娠した人の中には、妊婦健康診査をほとんど受けない人や、全く受けずに飛び込み出産をする人もいます。こうした未受診妊婦の場合は、妊娠、出産に関するリスクが母子ともに高いことが明らかになっており、そうしたことを十分に認識していない人もいることは課題だと考えます。
 また、妊婦の中には、経済的な基盤やパートナーとの関係、また、マタニティーハラスメントなどの職場での待遇等、さまざまな悩みや不安を抱えている方もふえています。
 そこで、妊婦健康診査を受けることの重要性について広く普及啓発することや、悩みを抱えている妊婦への相談支援の充実を図ることが必要であると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、産後ケアについて伺います。
 フィンランドに、妊娠期から家族をケアするネウボラという出産育児相談所があります。妊婦と胎児のケア、母体回復、授乳支援を同時に同じ保健師が担当するマイ保健師制度などにより、頻繁に親子に会う機会をふやすことで虐待防止の役割にもなるといわれています。育児不安や児童虐待が増加する日本でも、ネウボラの役割に関心が寄せられています。
 社会保障審議会児童部会の専門委員会の検証によると、平成二十二年度には二十三人のゼロ歳児が虐待により亡くなっており、そのうち生後二十四時間以内に亡くなっているのが九人という悲しい結果でした。
 国が行った子どもの健康と環境に関する全国調査によると、産後一年たった母親の約半数は、自分が神経過敏になっていると感じ、一三%は絶望的な気持ちになることがわかっています。
 昨日の我が党の代表質問でも取り上げたように、私の地元世田谷区では、五年前より産後ケアセンターを開設し、育児に不安を抱えていた母親から大変喜ばれています。全国初ということから、設置に当たっては、国や都と綿密に相談し、申請方法や許可の仕組みなど大変苦労が多い中、さまざまな課題を克服し設置に至ったようです。
 都の支援としては、子育てスタート支援事業による補助制度がありますが、都内全域に設置しやすい環境をつくるため、補助制度の一層の周知や設置に向けたノウハウを紹介することなど、区市町村を積極的に支援するべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、子供を守るためのネット依存対策について伺います。
 LINEという無料通話アプリの急速な普及により、便利さが受ける一方で、友達との距離感に悩んだり、いじめや犯罪に悪用されたり、LINEから離れられない依存も問題になっています。
 ネットを利用している高校生は九五・四%、スマートフォン所有率は五五・九%です。LINEは世界で三億人が利用しています。フィルタリングの機能はますます低下し、有害サイトによる犯罪、他人への誹謗中傷がいじめにつながり、利用者に身体的、心理的悪影響を与えています。
 また、インターネットゲームは数人でチームを組むことから、自分だけ途中で抜けることができず、エンドレスで続き、夜更かし、遅刻、日中の居眠り、成績の低下、不登校等、変化が起こり、ネット依存は短時間に深刻化し、早期発見、早期対応が大切であり、子供の変化を見逃さない、小さなサインを見落とさないことも親として大事な役目です。
 都としては、ファミリeルールの徹底を図り、スマホ、携帯とのつき合い方や、ネットの利用時間の上限を決めて子供に守らせるなど、事態が深刻になる前に対応することが大事です。ネット依存予防、対応のための啓発資料を作成し、普及啓発に取り組むべきです。青少年治安対策本部の取り組みについて伺います。
 また、ネット依存への学校内の相談体制を確立すべきです。スクールカウンセラーや養護教諭、情報教育担当者等に、ネット依存の防止、対応に関する研修を行い、適切に相談、対応ができるようにすべきと考えますが、教育庁の所見を伺い、質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔副知事安藤立美君登壇〕

〇副知事(安藤立美君) 栗林のり子議員の一般質問にお答えをいたします。
 子供を大切にする社会の実現についてでございますけれども、東京では、未婚化や晩婚化等の影響により少子化が進行しておりまして、合計特殊出生率は全国で最も低い水準にありますし、先日公表いたしました人口推計によれば、二〇六〇年の年少人口は、二〇一〇年に比べ半減が見込まれる状況にございます。
 少子化の進行に歯どめをかけ、子供を大切にする社会を実現するには、子供を持ちたいと希望する全ての人が安心して子供を産み育てることができる環境を整備していくことが極めて重要であると思っております。
 子育てには、保育、医療、住宅、雇用、教育など、さまざまな分野が関係していることでございますので、少子化対策検討チームを設置し、有識者ヒアリング等により把握しました東京の子育て家庭の現状やニーズも踏まえまして、局横断的に検討を進めているところであります。
 東京の将来を担う子供が健やかに成長するよう、家庭、地域、学校等とも連携協力し、社会全体で子育てを幅広く支援する仕組みを構築してまいりたいと思います。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) ネット依存への相談体制についてでありますが、警視庁が先月発表した都内中高生対象の携帯電話等の利用に関する調査では、携帯電話が手元にないと不安、予定の時間が来てもネットをやめられないなど、七割の生徒が何らかの依存傾向を示す結果となっております。
 都教育委員会はこれまで、ネットの利用時間を決める、食事中は使わないなど、家庭でのルールづくりを促す指導のポイントを指導資料に盛り込むことや、情報科教員対象の研修を行うなど、学校での指導を支援してまいりました。
 今後は、こうした取り組みに加え、養護教諭やスクールカウンセラーを対象としたネット依存に関する研修を新たに実施いたしますとともに、専門家の意見を踏まえて指導資料を改定するなどして、児童生徒や保護者からの相談に適切に対応できるよう、各学校を支援してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) オリンピック・パラリンピックに向けた芸術文化の活用による被災地支援についてでございます。
 今回の立候補ファイルでは、復興した日本を全世界に示すことがうたわれており、文化プログラムの策定に当たっても、日本の文化の力を最大限に引き出しながら、それを被災地の復興につなげることが重要であります。
 都はこれまでも、小中学校や仮設住宅などにアーティストを派遣するとともに、地元自治体やNPOなどと連携して、東京の文化の力を活用した被災地支援事業に取り組んでまいりました。
 こうした取り組みは、被災された方々の心を癒やすとともに、津波で失われた能舞台の復活や、復興を支える人材の育成など、具体的な成果につながってきております。
 これまでの成果やご提案の趣旨も踏まえ、今後とも芸術文化を活用した被災地支援事業に取り組むとともに、被災地支援の視点を取り入れた文化プログラムの策定に向けて、東京芸術文化評議会での議論を進めてまいります。
   〔知事本局長中村靖君登壇〕

〇知事本局長(中村靖君) 若年者支援についてでありますが、都はこれまで、主に出産期から子育て期を重点に置いた少子化対策に取り組んできたところであります。
 しかし、少子化の背景には、経済的基盤の不安定さなど、若者を取り巻く社会環境の変化や、結婚、出産に関する価値観の多様化など、さまざまな要因が関係しております。
 このため、子育て世代に加え、結婚や出産前の若者にも焦点を当て、ライフステージを踏まえた切れ目のない支援策について検討することを目的に、本年七月、構造的福祉プロジェクトチームの中に、若年者支援部会と子育て環境支援部会を設置いたしました。
 現在、若年者支援部会においては、若者の自立に向けた支援策に加え、さまざまな面から若者を応援する仕組みを検討しております。その成果を新たな長期ビジョンに反映し、今後の取り組みにつなげていくことにより、都における少子化対策の一層の充実に結びつけてまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 交流の拠点としての海の森についてですが、海の森の事業は、ごみの山を緑の島によみがえらせ、訪れた方たちがくつろぎながら豊かな自然に親しめる公園とすることのみならず、森づくりを通じて人を育てる事業でございます。
 この事業を活用して、人々の出会いの場を創出していくことは大変有意義であると考えております。このため、海の森のコンセプトを生かし、子供たちからお年寄りまで幅広い層の参加を念頭に置いた多様なイベントを実施してまいります。
 そうした取り組みの一つとして、例えば、アウトドアに興味のある若い男女を対象に、自然環境保全や野外活動の知識や技術を学べるイベントを海の森で開催するなどし、新たな交流が生まれる機会づくりの工夫を行ってまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、妊婦健診の普及啓発と相談支援についてですが、妊婦健診は、妊婦や胎児の健康状態を定期的に確認しながら、医師や助産師と出産や育児等に関する相談ができる場であり、妊娠期間中を心身ともに健康に過ごし、母子ともに安全な出産を迎える上で大変重要でございます。
 そのため、都は現在、区市町村や医師会、産婦人科医会等の関係団体と連携しながら、妊婦健診の重要性の啓発や相談窓口の周知に努めており、今後、悩みを抱えている方が医療機関や行政機関の相談窓口につながるよう、インターネット上の広告等、新たな媒体を活用した普及啓発の方法についても検討してまいります。
 また、妊娠、出産に関するさまざまな不安や悩みについて、妊婦の方がより相談しやすいよう、電話相談などの体制の充実を図ってまいります。
 次に、産後ケアについてですが、都は、出産後、家族などによる援助が受けられず、心身の負担感を抱える母親を対象に、親子で宿泊して二十四時間体制で支援するショートステイやデイケア、相談支援などを行う区市町村の取り組みを、施設整備も含め、包括補助事業により支援しているところでございます。
 お話の世田谷区の取り組みもその一つであり、今後、こうした取り組みがより多くの区市町村に広がるよう、説明会の開催や先進的な取り組みをまとめた事例集の作成等を行い、妊娠期から産後までの切れ目のない支援の充実に向け、区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) ネット依存対策についてお答えいたします。
 都は、インターネット、携帯電話の子供の適正利用を推進するため、家庭でのルールづくりを支援するファミリeルール講座や、さまざまなトラブルの相談窓口であります、こたエールを運用しておりまして、ネット依存の予防等についても対応しているところであります。
 また、青少年のネット依存についての実態等をより明らかにするため、現在、東京都青少年問題協議会におきまして、専門的見地から調査研究を行っているところであります。
 今後は、これらの取り組みを踏まえ、ご指摘の普及啓発につきまして、より効果的に実施するほか、ファミリeルール講座について、ネット依存の予防を重視した講座の充実を図るとともに、こたエールの相談員の研修を実施し、相談機能の向上等の対策に取り組んでまいります。

〇副議長(藤井一君) 二十五番島崎義司君。
   〔二十五番島崎義司君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇二十五番(島崎義司君) まず、水道事業の都営一元化について伺います。
 多摩地区の水道事業は、昭和四十六年十二月に策定された多摩地区水道事業の都営一元化基本計画に基づいて、計画対象二十九市町中、二十六市町が一元化されました。計画対象市町でまだ都営水道に一元化されていない三市のうち、私の地元である武蔵野市については、平成十二年に都が実施した水道事業の都営一元化に関する意向の再確認に対し、可能な限り本市の事業として経営すべきものとの考えを示し、一元化については、本市が長期計画に基づいて鋭意推進している配水管網等の主要な整備が完了となる段階において、統合の必要性も含め検討したいという意向を示していました。
 こうしたことから、武蔵野市の水道事業は、これまで市の事業として経営されてきましたが、市の自己水源である二十七本の深井戸水だけでは必要な水量を確保できず、不足分については長年にわたり都から受水してきました。
 これまで市では、自己水源での揚水量の増量対策について、既存の深井戸の改善などで水量確保に取り組んできましたが、それにも限界があり、また、仮に市が自己水源一〇〇%を確保できたとしても、近年、首都直下地震の発生が懸念される中で、市単独では水源、管路のバックアップ機能を確立することができず、そのため、老朽化する水道配水本管の更新工事も事実上困難で、今後、市民に対して将来にわたる安定給水を確保することが難しいという危機管理上の重大な問題があります。
 厚生労働省が本年三月に策定した新水道ビジョンでは、将来の理想的な水道が備えるべきものを安全、強靱、持続とし、これらを具現化するために発展的な広域化、つまり、積極的に近隣水道事業者との広域化の検討を進めることが望まれるとしています。
 以上のような武蔵野市の水道事業を取り巻く現況等を鑑み、同市議会自由民主クラブなどから我が都議会自民党に対し、武蔵野市の水道事業の都営一元化を早急に進める必要があるとして、このための支援と協力を求める要望書が届いております。
 都におかれましても、この切実な要望に真摯に取り組んでいただきたいと考えておりますが、一元化を希望した場合、今後どのような手続を行っていくのか見解を伺います。
 次に、事業者による自転車駐車場確保の責務と自転車駐車場の整備について伺います。
 都心などへの通勤通学住民を多く抱える鉄道沿線自治体にとって、駅周辺の放置自転車対策並びに自転車駐車場の確保は、自治体財政の観点からも大きな問題となっております。
 多摩地区では、平成二十二年十一月に東京都の連続立体交差事業により、JR中央線三鷹―立川駅間が全線高架化しました。この間、私の地元武蔵野市でも駅周辺のマンション開発の際、建築物の附置義務以外の自転車駐車スペースを提供していただき、公共自転車駐車場として使用するなどの手法をとりつつ、鉄道高架下にも、自治体が公租公課相当額で利用可能な面積のほぼ全てを使用して、自転車駐車場を整備してきました。
 これまで、駅周辺の放置自転車対策、自転車駐車場対策について、自治体が莫大な費用を費やして取り組んできた一方で、とりわけ鉄道事業者の責務については必ずしも明確ではありませんでした。
 このような中、都ではことし七月、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を施行し、その第七章第二十九条の中で、事業の実施により自転車の駐車需要を生じさせる者は、顧客、従業者等による自転車の駐車が道路交通法の規定に違反しないよう、自転車の駐車場所の確保、自転車駐車場の利用の啓発その他の必要な措置を講じるよう努めなければならないと明記しました。鉄道事業者にとって、鉄道利用者は顧客そのものであり、その顧客の自転車駐車場を確保することは、事業者としての努力義務になったものと認識しております。
 これらの経緯から、都は、自転車駐車場確保について、事業者の責務をさらに明確化すべきと考えますが、まず、施行された条例の第七章第二十九条の規定は、鉄道事業者についても適用されるのか改めて確認をいたします。
 また、この規定や条例全体の趣旨を踏まえ、都も、事業者みずからが自転車駐車場の確保に努めることを求めるとともに、区市町村と連携して駅周辺の自転車駐車場の整備を初めとする放置自転車対策に、より一層努力すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた施策について伺います。
 東京で行われることになった二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催計画は、大会の中心となる選手村を東京臨海部に設置し、東京圏三十三競技会場のうち二十八会場は選手村から半径八キロメートル圏内に設置するというもので、多摩地区での競技開催は、調布市にある味の素スタジアムと、その隣接地に建設する武蔵野の森総合スポーツ施設などでの三競技となっております。
 私は、このコンパクトな大会計画自体は、効率、効果的な会場配置、選手の移動時間の最小化などのメリットから適切なものであるとは考えておりますが、オリンピック開催に向けては、多摩地域の振興という観点にも十分な配慮が必要だと考えます。多摩地区を各国選手団の事前合宿地などとして大いに活用するとともに、観光面でも多摩地区の活用と振興策を明確に位置づけるべきだと考えます。
 そこで、都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催に向けた多摩地区の活用をどのように考えているのか、また、オリンピックと多摩地域振興との関係についてはどのように考えているのか、見解を伺います。
 次に、ジュニア選手の育成について伺います。
 ことし、国民体育大会、スポーツ祭東京二〇一三が東京で五十四年ぶりに開催されました。その大会結果も、東京は男女ともに圧倒的大差で総合成績第一位、競技別でも四十競技中二十競技で総合優勝を獲得するなど、選手強化や育成面でも、東京都にとっては大成功の大会となりました。
 競技におけるこの成果は、各地区体育協会を通じてジュニアスポーツ選手を育成するジュニア育成地域推進事業などが極めて有効な事業だった証左といえます。
 実際、私の地元武蔵野市でも、将来を夢見る多くのアスリートの卵がこの事業で学び、平成二十三年FIFA女子ワールドカップ優勝時のなでしこジャパンの最年少選手や、ことしの国体女子サッカーチームのメンバー二名も、武蔵野でのこの事業で学び、育ちました。
 東京都がスポーツ祭東京二〇一三の選手発掘、育成のために行ってきたこれらの事業は、同大会が終わった今年度までのものという話もありますが、ジュニア選手の発掘、育成は、七年後、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックが東京で開催されることになったこれからが、ますます重要な取り組みになるものと考えます。
 そこで、東京都における今後のジュニア選手の発掘、育成について、都はどのように考えているのか、見解を伺います。
 次に、都市における緑の確保と都市農業の振興について伺います。
 緑は、都市における潤いや安らぎをもたらすほか、ヒートアイランド現象の緩和など環境保全にも貢献しており、防災力強化や多様な生物の生息環境を確保する観点などからも、大都市東京において緑の空間を確保することは極めて重要であります。
 特に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催にふさわしい都市としての風格を備える意味でも、緑など自然の確保は欠かせません。そのためには、新たな緑を創出する施策とあわせ、既存の緑を保全する取り組みが重要と考えます。
 しかし、こうした都市の貴重な緑地空間や農地は、相続の関係などもあって減少が続いております。古くからの屋敷林は、小区画の住宅地や大規模マンションへと変貌を続け、また、私の地元武蔵野市を含むJA東京むさし管内の農地も、この十年間で七百八十八ヘクタールから六百五十九ヘクタールへと、百二十九ヘクタール、東京ドームにして約二十八個分減少しております。
 緑の確保に当たっては、例えば私の地元周辺には、古くからの苗木等を生産する農家も多く、街路樹の整備や都市公園の整備等の際に、こうした都内産の苗木や植木、花きなどを活用しながら、樹木をふやし緑豊かな東京の実現につなげていくべきと考えます。
 そこで、都として、東京における緑などの自然環境の充実に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、都市農業の振興についてでありますが、都市部における農地の減少に歯どめをかけるためには、相続税など税制面の改善はもとより、野菜や果樹、植木、花きといった各地域の特産物の地産地消を推進するなど、農家の経営力の強化を図ることが必要であります。
 近年、農産物価格の低迷が続き、収益性が悪化するなど、都市農業は厳しい環境にありますが、都内には、加工によって付加価値を高めたり、地域特産の農産物をブランド化してPRするなど、新たな経営展開に向けて頑張っている農家も数多くあります。
 今後、都市農業を発展させるためには、こうした新たな取り組みにチャレンジする農家に対して、都が支援を強化していくことが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、障害者虐待防止について伺います。
 厚生労働省が昨年十月からことし三月までの半年間を対象に行った、家族や施設職員から障害者への虐待についての全国調査の結果が先月公表されました。
 それによると、自治体に寄せられた障害者への虐待の相談、通報件数は四千五百二件で、このうち一千五百二十四件で虐待が認められ、被害者は千六百九十九人に上り、件数が最も多かった家族からの虐待では、被害者一千三百二十九人のうち、三人が死亡していたというものでありました。
 これに先立つことし六月の新聞報道で、私の地元武蔵野市からも五名の市民が利用している西東京市の障害者支援施設たんぽぽにおいて、施設利用者への身体的虐待が行われていたことが発覚いたしました。この問題については、都も、ことし九月、当該施設に対して指定の一部の効力停止という行政処分を行ったと承知しております。
 昨年十月の障害者虐待防止法施行から一年余が経過いたしました。
 そこで、障害者虐待防止法施行を受けた、これまでの都の取り組みを伺います。
 また、都内における平成二十四年度の障害者虐待、そのうち施設従業者による虐待の件数等の実態もご報告いただきたいと思います。
 さらに、申し上げた西東京市の障害者施設における虐待事案に対し、その虐待防止の実効性を確保するために、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 以上、私からの一般質問といたします。よろしくお願いします。(拍手)
   〔水道局長吉田永君登壇〕

〇水道局長(吉田永君) 島崎義司議員の一般質問にお答えいたします。
 都営水道への一元化を希望した場合の手続についてでありますが、一元化に際しては、給水安定性を確保する上での施設整備水準の差や、料金水準、料金徴収システム及び業務処理方法などが都営水道と相違しているなど、さまざまな課題がございます。
 こうしたことから、一元化の希望があった場合には、都として現地調査を行うなど、市の現状を十分把握するとともに、都営水道のお客様や、これまで一元化を行ってきた市町との公平性なども踏まえ、課題を明らかにしていくこととなります。
 その上で、施設整備や財政上の調整など、一元化の諸条件が整理された段階で、市と協議を行うこととなります。
   〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 駅周辺の放置自転車対策についてお答えいたします。
 鉄道事業者は、駅の周辺に乗客等の利用者が自転車を駐輪しておりますことから、条例上の自転車の駐車需要を生じさせる事業者でありまして、自転車の駐車場所を確保するなどの責務があります。
 この条例に基づき、現在策定中の自転車安全利用推進計画におきましては、行政だけでなく、鉄道事業者や小売業者等につきましても、顧客等の駐車需要に応じた自転車駐車場を整備することを明記する予定であります。
 駅周辺の自転車駐車場の整備につきましては、鉄道事業者を初め、地元自治体等が地域の実情に応じて取り組む必要があり、都としては、駅周辺の放置自転車対策を推進するため、関係者の連携に向けた協議会の設置等の必要な協力を実施してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、オリンピック・パラリンピックに向けた多摩地域の活用についてでございます。二〇二〇年大会では、自転車ロードレース、サッカー、近代五種の三つの競技が多摩地域で開催されます。
 このうち自転車ロードレースは、皇居外苑をスタートした後、多摩地域に至り、味の素スタジアムそばの武蔵野の森公園でゴールするコースを予定してございます。コース沿道では、多数の観客がチケットなしで観戦でき、国内外から多くの人々が多摩地域に足を運ぶ機会となるとともに、テレビを初めとするメディアを通じて全世界に多摩地域の魅力を発信する好機となります。
 サッカー、近代五種の会場は、観客収容数五万人の味の素スタジアムであり、これも多くの観客の来場が期待できます。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを通じて、多摩地域の魅力を最大限発信できるように努めてまいります。
 次に、ジュニア選手の発掘、育成についてでございます。
 二〇二〇年、首都東京で開催されますオリンピックを地域から盛り上げるためには、多くの東京育ちのアスリートの活躍が重要でございまして、七年後を目指し、ジュニア選手を計画的に育成していくことが必要でございます。
 都はこれまでも、東京国体の総合優勝を目指し、ジュニア選手層の拡大からトップアスリートの強化まで、体系的かつ多角的な取り組みを展開してまいりました。
 特に、ジュニア育成地域推進事業は、地域に根差したスポーツ活動を通じて、地域スポーツの裾野拡大とジュニア選手の発掘に大きく寄与してまいりました。
 今後も、二〇二〇年東京オリンピックで活躍する選手を発掘し、育成するためにも、これまで東京国体で培ったレガシーを生かし、地区体育協会や競技団体と協力してジュニア競技人口をふやすなど、競技力向上施策を引き続き強力に推進してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) オリンピック・パラリンピックと多摩振興の関係についてでございますが、多摩地域は、豊かな自然や歴史、文化、農産物や地酒といった特産品など多様な魅力を有しており、今後のさらなる発展を図る上では、あらゆる機会を捉えて地域の魅力を広く発信し、普及していくことが重要であります。
 こうした観点から、都は本年、スポーツ祭東京二〇一三や、多摩の東京移管百二十周年などの機会を捉えて、多摩フェスティバル等のイベントや魅力発信映像の配信を行っており、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについても、多摩の魅力を広める機会として積極的に活用してまいります。
 今後、地域資源を活用した観光まちづくりや、多摩の多様な魅力を広くPRする取り組みを、市町村等とも連携しながら推進し、多摩地域のさらなる振興を図ってまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 緑などの自然環境の充実についてでございますが、樹林地や農地、公園緑地などの都市の緑は、お話のとおり、潤いや安らぎ、生き物の生存基盤のほか、防災機能など多面的な役割を果たしていると認識しております。
 都はこれまで、都市公園や街路樹の整備、校庭の芝生化などで新たな緑の創出を図るとともに、多摩地域の貴重な自然地の保全地域への指定や、相続を契機とした農地等の減少を防ぐための税負担の軽減措置の国への提案要求など、緑の保全に向けたさまざまな取り組みを行っております。
 昨年五月には、生物多様性の保全に向け、緑施策の新展開を策定し、緑の量だけでなく質の向上も目指すこととし、生き物の生息空間となる在来植物による緑化や、都内産の苗木を活用した緑化事業など、さまざまな施策を体系化し、実施しております。
 今後とも、こうした施策に全庁的に取り組み、東京の自然環境を充実させ、人々が安心、快適に過ごせる、緑に包まれた都市を実現してまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 都市農業の振興についてでありますが、都市農業の発展には、大消費地を抱える優位性を生かし、消費者ニーズを素早く捉えた農産物や加工品の生産などにより、経営力の向上を図ることが重要であります。
 このため、都は、従来から行ってきた生産流通施設等の整備に対するハード面の補助に加え、今年度から、農業者の経営強化に向けた取り組みをソフト面から支援する、東京農業の産業力強化支援事業を実施しております。
 具体的には、加工品開発や販路開拓等の経営課題に対して、フードコーディネーターや経営コンサルタントなどの専門家を派遣し、解決に向けた助言等を行っております。
 今後は、こうした農業者の取り組みをさらに後押しするため、加工品の試作や販売促進活動等の経費に対する支援策を検討してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者虐待防止法に関する取り組みについてですが、都は、法が施行された昨年十月一日から、障害者虐待の対応窓口となる障害者権利擁護センターを開設し、相談や通報等があった事案に、障害福祉サービスの実施主体である区市町村等と連携して対応しているところでございます。
 また、障害者虐待への理解を深めるとともに、専門性の強化を図るため、平成二十三年度から、区市町村の相談窓口従事者、施設等の管理者や従事者を対象に、障害者虐待防止・権利擁護研修を実施しております。
 さらに、障害者虐待防止法の内容や、相談、通報等の窓口になる区市町村障害者虐待防止センターの連絡先等をわかりやすくまとめたリーフレットを作成し、区市町村や事業者、関係団体等に配布するとともに、ホームページにも掲載し、広く都民に周知を図っているところでございます。
 次に、障害者虐待の件数等についてですが、法が施行された平成二十四年十月から平成二十五年三月までに、都及び区市町村が受理した障害者虐待の相談、通報等の件数は三百七十八件であり、事実確認調査を行った結果、虐待があったと判断された事案は百件でございます。
 そのうち、障害者福祉施設従事者等による虐待の相談、通報等の件数は百七件であり、事実確認調査を行った結果、虐待があったと判断された事案は七件でございます。
 最後に、障害者支援施設における虐待についてですが、都は、障害者総合支援法に基づき、本年三月から施設への立入検査や職員への聞き取り調査等による監査を行い、その結果、身体的虐待の存在及び理事長等の不適切な対応、人権擁護、虐待防止等のための取り組みが不十分であること等が判明しました。
 そのため、九月三十日に、法人に対し新規利用者の一年間の受け入れ停止という行政処分を行うとともに、実効性のある改善策を早急に講じ改善状況を報告するよう文書により指導を行いました。
 現在、法人に対して指導を続けており、引き続き定期的に報告を求めるとともに、施設を適宜訪問し改善状況の確認や指導を行い、西東京市とも連携しながら関係法令に基づき厳正に対処してまいります。

〇議長(吉野利明君) 四番山内晃君。
   〔四番山内晃君登壇〕

〇四番(山内晃君) さきの大島町を襲った台風二十六号により犠牲になられた方々にお悔やみを申し上げ、そして被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 まずは、東京の都市づくりについて伺います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定しました。前回の東京オリンピックを契機とし、半世紀かけて築いてきた交通インフラ等の世界に誇る都市力が、東京開催を招致する上で高い評価を受けました。これは、この間まちづくりに携わってこられた諸先輩方の努力のたまものが礎となっています。今後は、我々がさらに磨きをかけ、発展させ、未来へと引き継いでいくことが責務であります。
 オリンピック・パラリンピックの開催は、成熟都市東京を世界の人々に見ていただく絶好の機会であります。国際競争力の強化や、災害に強い安全な都市の実現、環境問題などに一層取り組むことで成熟都市に磨きをかけ、五十年、百年先を見据えた東京をつくり上げることが必要だと考えます。
 我が党の公約でもある、東京を世界で一番の都市にしていくために、都の役割はこれからも多大であると認識しております。
 そこで、今後の東京の都市づくりをどのように進めていくのか、所見を伺います。
 地域包括ケアについて伺います。
 介護保険制度が施行された平成十二年の都内の高齢者人口は百九十一万人でしたが、その後、高齢化が急速に進み、団塊世代が七十五歳を迎え、後期高齢者となる平成三十七年には三百二十七万人と見込まれております。今後、超高齢社会を迎える大都市東京においては、住まい、医療、介護、予防、生活支援に対する取り組みを連携して進める地域包括ケアシステムが何よりも重要と考えます。この地域包括ケアシステムの実現のために、施設など介護基盤の整備と並んで、人材の確保、育成も大きな課題と考えます。
 高齢者の多くは、介護が必要になっても在宅で住み続けていたいと願っております。高齢者が安心して在宅生活を送るためには、介護、医療サービスが適切に提供されることが重要です。そのためには、ケアマネジャーが、必要な医療的知識を有し適切なケアプランを作成する必要があります。
 都は、平成二十一年度から、ケアマネジャーが医療と介護の連携したケアプランを作成できるよう在宅医療サポート研修を実施していますが、この研修のこれまでの実績と効果について伺います。
 地域包括ケアシステムの構築においては、ケアマネジャーなど介護に携わっている人材だけではなく、住民同士が地域で支え合う互助の取り組みも重要になります。高齢化が急速に進む中、高齢者が住みなれた地域で暮らし続けるために、住民同士がともに支え合い、気遣い合う見守りは、欠かすことのできない大切な取り組みです。
 地域には、団塊世代を初めとする退職されて地域に戻った高齢者など、さまざまな人材がいます。これらの方々が互いに見守り合うことは、希薄化した地域のつながりを回復する上でも極めて有益であることを、我が党としても都議会で主張してきました。
 超高齢社会の到来に備え、より多くの住民が見守り活動に参加できるよう、都としても取り組みを推進するべきと考えますが、所見を伺います。
 現在、六十五歳以上のうち八割を超える方が介護保険の要介護認定を受けていない元気高齢者です。このような元気高齢者が、これまで培ってきた豊富な知識や経験、技術を生かして地域でさまざまな活動に参画していけば、来るべき超高齢社会を豊かにできると考えます。高齢者がサービスの受け手ではなく担い手として活躍し、趣味のサークルで新たに仲間をつくり、生き生きと豊かな生活を送るといった活動は介護予防の観点からも極めて有効です。
 こうした高齢者の生きがいづくりや社会参加に向けた取り組みが進み、高齢者が生き生きとして地域で生活できる社会が実現できるよう、都としても支援すべきと考えますが、所見を伺います。
 これまで述べたように、地域包括ケアを進めていくためには、それを支える人材を育成していくことが重要です。高齢者も誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けることができる社会の実現のため、都の積極的な施策の充実を要望いたします。
 下水道の浸水対策について伺います。
 下水道は、汚水処理や公共用水域の水質保全など快適な都市環境の創出を担うとともに、近年多発している豪雨に対しても、速やかに雨水を排除し都民の安心・安全を確保する重要な役割を持つインフラです。
 一方で、ことしは豪雨による甚大な被害が発生し、東京においても七月、八月の豪雨により区部全域で七百棟を超える浸水被害が生じました。
 下水道局では区部全域で浸水対策を進めているが、区部全域となると対策の完了までに多くの時間と費用がかかり、頻発するゲリラ豪雨に対応するためには重点化するなどの工夫が必要ではないかと考えますが、区部の下水道事業における浸水対策の進め方について伺います。
 私の地元品川は、昔から浸水被害が多く発生する地域で、平成十一年には全域で二千棟を超える大規模な床上床下浸水の被害が生じ、各地で浸水被害が多発しました。このとき、下水道局は雨水整備クイックプランを策定し、浸水被害の大きかった地域については、優先的にクイックプランの中でも規模の大きな第二立会川幹線の整備を進めるなど迅速な対応を行い、浸水被害の軽減を図りました。
 貯留施設として供用を開始した平成二十二年以降は、五十ミリを超える雨が降っても大規模な浸水被害が生じておらず、地元も大いに評価をしております。
 しかしながら、ことしの七月二十三日の局地的豪雨では数十棟の浸水が発生してしまい、なお一層の浸水対策の強化をしていくべきと考えますが、品川区の立会川流域における浸水対策の強化策を伺います。
 海の森の新たな協働の仕組みについて伺います。
 ことしの予算特別委員会において、我が党の委員の質問により、海の森の一部開園予定の時期と姿が明らかになりました。散策や広場でのレクリエーションに加え、展示施設による環境学習等も楽しめるという平成二十八年度の完成が大変待ち遠しいです。
 海の森はいうまでもなく、ごみの山という二十世紀の負の遺産を、緑の島というプラスの資源に生まれ変わらせる事業であります。私は、東京を水と緑に囲まれた世界一の環境都市とすること、そして、次世代を担う子供たちが、知力、体力、人間力を備えた、世界に渡り合えるようになることが必要だと考えております。海の森は、それを実現するのにふさわしい舞台だと思います。
 そのためには、より多くの人に訪れてもらい、知ってもらうことが重要です。これまでも、海の森は、都民参加を募り、植樹をするなど、協働というコンセプトのもと事業を進めてきており、今後はさらに、より経験豊富なさまざまな主体に幅広くアイデアを募り、イベントなども協働で展開できたらよいのではないかと考えます。このことによって、幅広く環境保全や次世代育成などにつなげていけることも可能になると思われます。
 来週、東京ビッグサイトで開催される、日本最大級の環境展示会であるエコプロダクツにおいても、海の森に関する展示、見学会を初めて実施する予定と聞いております。あの展示会には、多くの企業やNPOなどが出展し、環境学習やイベントなどに対する取り組みもアピールしております。
 そうした団体のCSRに対する機運などを上手に活用するのもよいと思われますが、多くの人々をこの海の森に呼び込めるような新たな協働の仕組みの整備が、今、求められているのではないかと考えますが、見解を伺います。
 観光振興について伺います。
 都心のアクセスが容易な国際空港や安全で正確な鉄道網は、東京が世界に誇れる都市機能であり、羽田空港や新幹線の乗り入れ駅とのアクセスにすぐれた私の地元品川も、こうした機能を大いに活用し旅行者誘致に取り組んでおります。
 このような都市機能に加え、東京の最大の魅力は人々のおもてなしの心です。オリンピック・パラリンピックの開催都市決定を契機として、これまで以上に多様な国々、ムスリムなど異なる文化圏からの旅行者が東京を訪れることが期待されます。こうした旅行者を温かくお迎えをするソフトの面の充実には、行政の取り組みだけではなく、民間の力が欠かせません。
 民間とも連携した外国人旅行者の受け入れ環境の整備については、都はどのように取り組んでいかれるのか、所見を伺います。
 先日品川では、国際会議にも対応できる設備を新たに備えたホテルが、全館改修の上、開業しました。今後、MICEへの利用も期待されるところです。国際会議を初めとするMICEの開催は、一度に多くの外国人旅行者の訪問が見込まれることから、経済波及効果が大きく、また、都市としての国際的な存在感の向上にもつながります。MICE誘致で成果を上げているシンガポールやソウルなどの海外諸都市は、国際的な都市間の連携を図り、国際会議の誘致に有益な情報交換を行っていると聞きます。
 都は、国際会議の誘致を推進するため、こうした海外諸都市との競争に勝ち抜いていかなければなりません。そのためには、まず誘致を効果的に進めるための活動基盤を強化する必要があると考えますが、所見を伺います。
 近年、アジアなど新興国における経済成長を背景に、MICEの中でも特に企業系の会議や報奨旅行は増加傾向にあると聞きます。国際会議に加えて、こうした動向も捉え、東京での開催につなげるよう、都はしっかりと戦略を立てて取り組むべきと考えますが、今後の施策展開を伺います。
 諸外国では、美術館や博物館などの特別な場所をレセプション会場などに活用することでMICE開催都市としての魅力を高め、誘致を優位に進めていると聞きます。
 先日、東京でも、旅行業界の大規模イベントのレセプションが、夜の東京タワーを借景に日本の伝統文化を感じさせる寺院で開催をされ、外国人参加者から非常に好評だったと聞いております。
 東京には、庭園や歴史や建造物など、外国人を引きつける場所が多数あります。こうした特色のある観光資源を積極的に活用して、MICE開催都市として東京の魅力を高めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 先般、東京ビッグサイトで開催された東京モーターショーには多くの方々が来場し、大変なにぎわいを見せました。こうした大規模イベント開催も、東京への旅行者誘致につながる重要な取り組みであり、誘致に向けて努力していただくことを要望いたしまして、私の質問を終了いたします。
 ありがとうございます。(拍手)
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 山内晃議員の一般質問にお答えいたします。
 今後の都市づくりについてでございますが、オリンピック・パラリンピック開催を推進力として、五十年先を見据えた都市づくりを進めていくことが重要でございます。
 このため、首都圏を連結する三環状道路や骨格幹線道路の整備などを加速し、強固な交通ネットワークを構築いたします。
 また、民間による都市再生プロジェクトなどを積極的に推進し、経済活力を高める拠点の形成を図ってまいります。
 今後、こうした取り組みに一層弾みをつけるとともに、世界の都市間競争の激化や少子高齢、人口減少社会への対応など、新たな時代の要請にも応え得る都市づくりを進め、東京を、さらに成熟を遂げた都市へと進化させるべく取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、在宅医療サポート介護支援専門員研修についてですが、この研修は、医療と介護の連携を図るため、居宅介護支援事業所の介護支援専門員に対して、都独自に実施をしているものでございます。
 研修では、医療サービスを含む適切なケアプランが作成できるよう、医師や看護師等との連携に欠かせない医療的知識に関する講義や、退院時を想定した模擬演習等を行っており、平成二十一年度から平成二十四年度までの四年間で約千七百人が受講しております。
 研修受講者からは、医療的な視点も入れたケアプランの作成に役立った、医療職との連携が図れるようになったなどの声が数多く寄せられており、介護支援専門員の質の向上に寄与していると認識しております。
 次に、高齢者の見守り活動の推進についてですが、現在、区市町村は、民生委員や町会、自治会、NPO法人、ライフライン事業者等と連携しながら、さまざまな高齢者の見守り活動を行っており、都はこうした取り組みを包括補助により支援しているところでございます。
 今年度は、地域住民が高齢者を日常的に見守り、異変に気づいた場合に専門機関につなぐ見守りサポーターの養成についても、新たに包括補助の対象といたしました。
 また、十月には、異変への気づきや相談しやすい体制の確保など、見守り活動を行う際のポイントをわかりやすくまとめた都民向けのガイドブックを作成いたしました。
 今後、このガイドブックも活用しながら、より多くの方が高齢者の見守り活動に参加できるよう、区市町村と連携し、見守り体制の一層の推進を図ってまいります。
 最後に、高齢者の社会参加に向けた取り組みについてですが、現在、区市町村では、高齢者の豊富な知識や経験を生かしたボランティア活動、子供と触れ合う世代間交流など、社会参加や生きがいづくりに向けたさまざまな取り組みを行っております。
 都は、こうした取り組みを包括補助により支援するとともに、地域で活動する団体や企業の事例等を紹介するTokyoシニア情報サイトを運営し、都内で開催されるイベント情報や地域で活躍する団体の活動を紹介するなど、広く都民に情報発信をしているところでございます。
 今後とも、都として、区市町村における高齢者の生きがいづくりや社会参加に向けた取り組みを積極的に支援してまいります。
   〔下水道局長松浦將行君登壇〕

〇下水道局長(松浦將行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区部における浸水対策の進め方についてでございます。
 下水道局では、東京都豪雨対策基本方針に基づき、浸水の危険性が高い地区などに重点化し、品川区大井を含めた二十地区を対策促進地区として、下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を進めております。
 また、浸水被害が発生した場合に影響が大きい大規模地下街九地区では、新たに今年度から新橋・汐留地区に着手するなど、時間七十五ミリの降雨への対策を進めております。
 さらに、かつての川を下水道幹線として利用している浅く埋設された幹線の流域などでは、大雨により幹線内の水位が上昇すると、周辺の地盤の低い箇所に雨水が逆流し、浸水被害が発生しやすいため、戸越幹線の流域を含め二十地区を新たに重点地区として選定し、既存幹線の増強などの対策を実施していくこととしております。
 次に、品川区立会川流域での浸水対策についてであります。
 品川区二葉・中延など、平成十一年に甚大な浸水被害が生じた地域において、緊急重点雨水対策として第二立会川幹線を計画いたしました。
 平成十三年度から直径三・八メートル、延長三・三キロメートルの区間を整備し、浸水対策の効果を早期に発現するため、二十一年度より貯留量約三万五千立方メートルの暫定貯留管として供用を開始し、地域の浸水被害の軽減に役立てております。
 現在、第二立会川幹線の下流部約一キロメートル区間の整備を平成三十年度末を目標に進めており、完成後は、これまでの貯留管が流下管となり、京浜運河へ継続的に雨水排水が可能となります。
 これにより、浸水に対する安全度が大幅に向上し、地域のお客様の安全・安心がより一層確保されることとなります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 海の森の新たな協働の仕組みについてですが、海の森は、主要なコンセプトとして協働を掲げており、これまで苗木づくりや植樹に参加する都民や企業等の団体を募り、森づくりを進めてまいりました。
 今後は、森づくりに加え、国内外のさらに多くの方々に訪れていただき、海の森の生い立ちやその意義を知っていただくことが必要であり、例えばコンサートやスポーツ等を取り入れた、より魅力的なイベントを海の森を舞台として企画、実施していくことが有効でございます。
 このためには、海の森事業に賛同する企業等の豊富な経験に基づくアイデアを生かすことも効果的であり、これまでの協働をさらに発展させていくため、新たに東京都海の森倶楽部を設置いたします。
 この仕組みの活用により、海の森における魅力的なイベントの実施を誘導し、海の森に多くの方々が訪れていただけるよう努めてまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、外国人旅行者の受け入れ環境の整備についてでありますが、オリンピック・パラリンピックの開催決定を契機として、世界各国から訪れる多くの旅行者の多様なニーズに応えるためには、民間とも連携して受け入れ環境を充実させていくことが必要でございます。
 東京には、さまざまな言語に対応できる人材や、観光に関連する多くの民間事業者が集積しております。こうした東京の特性を生かし、旅行者をきめ細かく支える観光ボランティアの育成、活用を検討するほか、ムスリムなど多様な文化や習慣を持つ旅行者への対応として、普及啓発を通じて宿泊施設、飲食店と連携するなど、受け入れ環境の整備を検討してまいります。
 海外からの旅行者をおもてなしの心でお迎えし、何度も訪れたくなる世界有数の観光都市を目指してまいります。
 次に、国際会議の誘致についてでありますが、国際会議は、東京の魅力を国内外にPRする絶好の機会であり、大きな経済波及効果が期待できることから、これまで都は、誘致、開催に必要な資金の助成や人材の育成など、着実に施策を展開してまいりました。
 誘致を一層効果的に進めるためには、主催者が会議開催に当たり重視する視点や競合都市の活動など、有益な情報を積極的に入手し、活用することが必要であります。
 このため都は、これまでの取り組みに加え、国際的な連携組織に加盟し、海外とのネットワークを構築するなど、誘致活動を戦略的に進めるための体制の強化を検討してまいります。
 次に、企業系の会議等の誘致についてでありますが、経営会議を初めとする企業が開催する会議や、報奨旅行、研修旅行等は、経済活動が活発になるほど増加する傾向にあり、経済成長が著しいアジア地域を中心に、今後も増加を続けることが見込まれております。
 このため都は、今年度、企業系の会議等の誘致に成果を上げている都市の取り組みや、重点的に誘致活動を展開していくべき市場などについて調査を実施しております。
 今後は、この調査結果を踏まえて誘致戦略を構築するとともに、会議主催者に対する支援の方策などについて検討してまいります。
 最後に、観光資源を活用したMICE誘致についてでありますが、国際会議等の参加者に東京の魅力を堪能できるさまざまな機会を提供することは、MICE誘致につながる有効な手法であります。
 これまで都は、国際会議の開催時に、外国人に人気の高い浅草、築地などをめぐる観光ツアーや日本の伝統文化体験など、参加者が東京の魅力を実際に体験できるプログラムを提供することを通じて、会議の誘致、開催を支援してまいりました。
 今後は、MICEのレセプションに日本庭園や美術館、博物館等を活用するなど、開催都市としての魅力を一層高める取り組みを検討いたします。
 海外の競合都市との誘致競争を勝ち抜くため、こうした取り組みを通じてMICE誘致を戦略的に展開してまいります。

〇議長(吉野利明君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十四分休憩

   午後五時五十五分開議

〇副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十七番今村るか君。
   〔七十七番今村るか君登壇〕

〇七十七番(今村るか君) 初めに、台風二十六号による甚大な被害を受けた大島でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 災害から一人でも多くの生命や財産を守るためには、民間の力を行政が支援、誘導などを図り、より引き出すことが重要です。例えば帰宅困難者対策は、条例で都内の民間事業者に三日分の備蓄を求めるとともに、帰宅困難者を受け入れるための一時滞在施設についても協力を呼びかけています。
 さきの大島の災害時には、災害ボランティアセンターが設置をされ、行政や住民だけでは対処し切れない被災者宅の片づけや、きめ細やかなケアにボランティアが活躍をいたしました。特に、組織的に運営やボランティアを派遣をしている青年会議所や連合ボランティアサポートチームなどの活動は、消防団とともに大きな力となっています。
 このように民間との協働は、都による働きかけやきっかけづくりが重要です。その取り組みの一つに、都が災害時に備え、民間団体と締結をしている災害時応援協定があります。既に医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会との間で救護活動に関する協定や、建設業協会との間で応急対策業務に関する協定が締結されるなど、災害対応に不可欠な役割を担っています。
 協定締結に際し、都が適切に費用負担を行うのはもちろんのこと、災害時に民間団体の積極的な協力を得られる仕組みづくりを構築するなど、各局が率先して民間団体との連携を図る努力が必要です。
 そこで、都と民間団体が締結をする災害時応援協定の意義を伺います。
 先日、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として開催されたスポーツ祭東京二〇一三が閉幕いたしました。
 本大会の特徴として、期間中、私の地元にある都立町田の丘学園の生徒たちが沖縄伝統エイサーを踊り、都立特別支援学校生徒によるアナウンスや、車椅子利用者が炬火走者やプラカーダーを務めるなど、多くの場面で障害者が活躍し、大会を支える裏方の仕事にも参加していたと聞いています。そこには、ともに大会をつくり上げる姿がありました。
 スポーツ祭東京二〇一三は、さまざまなボランティアによって支えられた大会でもありました。特に全国障害者スポーツ大会特有のボランティアとして選手団サポートボランティアがあり、都内から約千名もの学生が選手団の到着から見送りまで、六日間にわたって競技会場でサポートを行いました。
 初日はぎこちなかった学生たちも、選手たちと時間を過ごすうちに打ち解け、選手と一体となって競技に臨み、競技結果を自分のことのように一喜一憂し、メダルを獲得した選手とサポートボランティアが抱き合って喜びを分かち合う姿があちこちで見られたと聞いています。最終日には、選手からもらったメッセージ入りのTシャツは私の宝物だなどの声が届くなど、新たなきずなが生まれたと聞き、大変うれしく思いました。
 このような障害のあるなしにかかわらず、ともに支え合い、一体となって盛り上がった今大会を通じて、見た人も参加した人もともに学び、ともに成長し、お互いの理解がこれまで以上に進んだことと確信をしています。
 そこで、改めて大会の成果を伺い、その成果をどのように生かしていくのかを伺います。
 昨年、ロンドンで開催されたパラリンピック競技大会は、団体種目初の快挙となりますゴールボール女子チームの金メダルの獲得を初め、日本人選手の活躍もあり、パラリンピックが注目を浴びるようになってきました。
 ロンドン大会は、過去最高の二百七十万人の観客を記録するなど、障害者スポーツにとって大きな成果であったといわれ、閉会式のスピーチでは、国際パラリンピック委員会のフィリップ・クレイブン会長が、このロンドン大会を過去最高の大会と評したとのことです。
 しかしながら、日本においては、まだ障害者スポーツへの関心が低いのが現状です。国は、障害者選手の強化方針を打ち出し、ナショナルトレーニングセンター新設検討を行っています。
 一方、都は、二〇二〇年パラリンピック大会を二百七十万人の観客が熱狂したロンドン大会を上回る大会とすることを目指しています。
 都では、北区と国立市にあります障害者スポーツセンターを中心に、障害者へのスポーツ支援を行ってきました。この二つのセンターは、今後も障害者スポーツの中核を担っていくことが期待されますが、さらに障害者が身近な地域でスポーツ活動ができる場づくりなどを行い、裾野を広げ、障害者スポーツを推進させることがアスリートの発掘にもつながり重要と考えます。都の認識、取り組みを伺います。
 全ての学校での教育現場において、さまざまな機会を使い、障害者スポーツとのかかわり、きっかけをつくり出すことはとても重要です。ロンドン大会百メートル背泳ぎに出場した、当時、港特別支援学校の長尾智之さんの活躍は、特別支援学校の生徒たちにすばらしい影響と夢を与えました。
 そこで、都立特別支援学校においても障害者スポーツの裾野を広げる取り組みが必要と考えますが、都教育委員会の認識と今後の取り組みについて伺います。
 さて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会開催までには、二〇一四年の世界卓球選手権、二〇一六年のアジア水泳選手権などが予定をされており、今後もこのような国際スポーツ大会において東京をアピールし、経験を積む必要があると考えます。
 特に二〇一九年には、ラグビーワールドカップが日本で開催され、新国立競技場がメーンスタジアムとして利用される予定です。現在、ラグビーワールドカップの開催受け入れを希望する十九の都道府県と三十七の市区町村と組織委員会の協議が進められていると聞いています。
 私の地元町田市には、キャノンイーグルスの本拠地、キャノンスポーツパークがあり、市民はもちろん、地元経済団体からも大きな期待が寄せられています。
 そこで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会成功のために、今後、東京で開催される国際スポーツ大会に対する都の対応と、前年開催されるラグビーワールドカップに積極的に対応すべきですが、認識と取り組みを伺います。
 あす、あさって、国際パラリンピック委員会、世界車いすダンススポーツ選手権大会が駒沢体育館で開催をされますが、障害者スポーツやパラリンピックの認知度は、オリンピックに比べ、残念ながら低い状況にあります。
 一方、パラリンピックとともにオリンピックの名称使用を許可されている障害者スポーツに聴覚障害者のデフリンピック、知的障害者のスペシャルオリンピックスがあります。障害者スポーツ全体の認知度向上を図り、パラリンピックの成功のため、それぞれの主催団体である全日本ろうあ連盟やスペシャルオリンピックス日本との連携が大切と考えます。
 そこで、全日本ろうあ連盟やスペシャルオリンピックス日本を重要なパートナーとして障害者スポーツ全体の認知度向上を図っていくべきと考えますが、都の認識と今後の取り組みを伺います。
 ことし九月、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会が決定をし、都は大会を通じ、世界中に復興した被災地の姿を届けるとしています。十月に閉幕したスポーツ祭東京二〇一三では、健常者と障害者のスポーツの垣根が取り払われ、心のバリアフリー、ソーシャルインクルージョンが実践をされました。
 先月十一月には、スペシャルオリンピックス創始者、アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの妹、ユーニス・ケネディ・シュライバーをおばに持つ、キャロライン・ケネディ駐日大使が就任をされ、その足で東日本大震災の被災地に向かわれ、被災者のみならず、日本中に希望を与えました。
 私は、東京の使命の一つは、皆さんとともに二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会を成功させ、被災地の復興に寄与し、スポーツを通じ、障害のある人、ない人が真にともに生きる社会をつくること。そう遠くない時期に、まだ日本で開催をされていないスペシャルオリンピックス夏季大会とデフリンピック大会を私たちのこの東京で開催することだと考えます。
 その実現を願い、私は全力を尽くすことを誓い、質問を終えます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 今村るか議員の一般質問にお答えをいたします。
 障害者スポーツを広げる取り組みについてでありますが、都立特別支援学校の教育活動に障害者スポーツを取り入れることは、児童生徒が生涯にわたりスポーツに親しむ態度や習慣の基礎を育む上で重要であります。
 現在、例えば視覚障害や肢体不自由の特別支援学校では、フロアバレーボールやハンドサッカーなどの障害者スポーツを学習に取り入れ、児童生徒が障害の種類や程度に応じてスポーツに親しむ教育を進めております。
 今後、都教育委員会は、全ての都立特別支援学校における小学部段階からの障害者スポーツを取り入れた体育活動の充実や普及啓発を目的とした教員研修の実施、新たな競技種目の研究開発などにより、各学校の教育活動を支援し、障害者スポーツを広げる取り組みの充実に努めてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 都と民間団体が締結する災害時応援協定の意義についてでございます。
 大規模地震等の発災時には、火災や建物倒壊による多数の負傷者の発生、道路閉塞による物流の寸断など、大きな被害が懸念されます。こうした状況において迅速な応急復旧活動を行うためには、行政のみならず、さまざまなノウハウを有する民間の力を活用することが不可欠でございます。
 このため、都では、医療救護、道路啓開、物資の供給や輸送、燃料の確保等について民間団体と応援協定を締結し、それぞれの専門能力に応じた協力が得られる体制を整備しております。
 今後とも、協定に基づく民間団体との連携体制を確保し、発災時の災害対応力を強化してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、スポーツ祭東京二〇一三の成果についてでございます。
 スポーツ祭東京二〇一三は、天皇皇后両陛下、皇族方にも競技をごらんいただきまして、選手、大会関係者、観客を合わせまして百二十万人を超える方が参加し、大盛況のうちに全日程を終わることができました。今大会は、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を初めて一つの祭典として開催し、スポーツ大会の新しいあり方を全国に示しました。
 具体的には、国体の開閉会式において、障害のある人にも受付等のボランティアや式典出演者として多くの方に活動いただくなど、ともに支え合う大会といたしました。
 国体の閉会式と全国障害者スポーツ大会の開会式との間の三日間には、東京ユニバーサルスポーツ3daysとして、障害のある人もない人もともにジョギングを楽しむイベントなどを実施いたしました。
 スポーツ祭東京二〇一三の成果を今後の都のスポーツ振興策に反映し、都民の誰もが多様なスポーツを楽しみ、一人一人が輝く都市の実現を目指してまいります。
 次に、障害者スポーツの振興についてでございます。
 都は、全国に先駆けて策定しました東京都障害者スポーツ振興計画に基づき、障害のある方が身近な地域でスポーツに親しめる環境整備を重要な柱の一つとして、裾野の拡大に取り組んでおります。
 具体的には、地域開拓推進員が市区町村等の地域に出向き、地域の実情に応じてスポーツ教室等の実施を支援する地域開拓推進事業や、スポーツ推進委員や市区町村職員等を対象に、障害者スポーツを支える人材として必要な知識を習得できるセミナーを実施してございます。
 また、スポーツの経験がない障害者でも気軽にチャレンジできるよう、障害の有無や体力を問わず楽しめる種目を多数用意した障害者スポーツのイベント、チャレスポTOKYOを開催しておりまして、アスリートとともに多くの方にスポーツを楽しんでいただいております。
 今後もこのような取り組みを通じ、関係団体等と連携を図りながら、障害者スポーツの裾野の拡大に努めてまいります。
 次に、国際スポーツ大会についてでございます。
 国際スポーツ大会の開催は、国際都市東京の地位を向上させ、都民のスポーツへの関心を高め、地域の活性化に寄与することができます。
 都はこれまでも、世界体操競技選手権を初めとした国際スポーツ大会の誘致や東京マラソンの開催など、東京の魅力を海外に発信してまいりました。
 また、二〇一九年に日本で行われるラグビーワールドカップは、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの前年に開催される重要な大会と認識しております。
 今後、都の協力のあり方について、ラグビーワールドカップ組織委員会等と十分連携を図りながら検討を進めてまいります。
 最後に、障害者スポーツの認知度向上についてでございます。
 パラリンピックに並ぶ障害者スポーツの代表的な国際大会には、デフリンピック、スペシャルオリンピックスがあり、ともに障害者スポーツの振興に重要な大会であると考えております。
 都では、デフリンピックを所管する全日本ろうあ連盟が主催する競技会について後援を行うほか、ことしブルガリアのソフィア市で開催されました第二十二回夏季デフリンピック大会でメダルを獲得した東京ゆかりの八名の選手に都民スポーツ大賞を贈呈いたしました。また、障害者スポーツ専門ポータルサイト、TOKYO障スポ・ナビでは、デフリンピックの特集も行っております。
 スペシャルオリンピックスについては、都内で開催される競技会の後援を行うほか、前回二〇一一年アテネ夏季大会で活躍した日本人選手の写真展を都庁展望室で行いました。
 今後とも各団体と連携し、デフリンピック、スペシャルオリンピックスを初めとした障害者スポーツの認知度向上に努めてまいります。

〇副議長(藤井一君) 六十六番川松真一朗君。
   〔六十六番川松真一朗君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇六十六番(川松真一朗君) 都は、ことし七月に、少子化対策、高齢化対策をテーマに構造的福祉という考え方を掲げ、プロジェクトチームを発足させました。しかし、都民には十分浸透していません。改めて、構造的福祉とは一体何なのか、プロジェクトチームの座長である安藤副知事にお聞きします。
 とりわけ子育て支援についてですが、私には三歳の息子がおり、ここ数年は子育てに携わっております。実際に子育てをしておりますと、世の中にイクメンという言葉が浸透していても、社会環境は整っていないと感じることがしばしばです。
 例えば、子供のベビーカーを押して町に出て、おむつ交換をしようと思っても、男性用トイレにはおむつがえできるベビーベッドを備えたところがほとんどありません。また、子供にミルクを上げるために給湯設備を利用しようと思っても、基本は授乳室ということで、男性は中に入れません。カーテン一枚のおかげで子供にミルクを上げられないわけです。
 都では、これまでも男性の育児参加、育児支援について、都と関係団体で構成する子育て応援とうきょう会議などを通じての普及啓発や育児ノートの作成など、育児参加を推進する動きも見せておりますが、かけ声だけでは進みません。
 今後は、こうした普及啓発だけではなく、男性社員の育児参加の理解など、企業等への一層の働きかけや、子供連れで快適に外出できるソフト、ハードが一体となった、世界で一番子育て世代に優しい東京の視点が必要だと考えます。
 都は本年、子供・子育て会議を立ち上げ、子ども・子育て支援の計画について議論がスタートしたと聞いておりますが、既存の概念を乗り越えるソフト、ハードの両面からの子育て支援の充実に向けて、どのように計画策定に取り組んでいくのかを伺います。
 ことし三月、目黒区駒場にある都立国際高校で、国際バカロレアの認定を目指していくことが発表されました。国際バカロレアは、スイス、ジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構が認定する学校で学び、機構が実施する統一試験で一定の基準をクリアできた生徒に対して、海外大学への進学資格を与える仕組みです。
 十一月十五日の知事会見では、この学校ではバカロレア資格が取れますといった趣旨の発言がありましたが、国際バカロレア認定校で学び、卒業しただけでは資格は得られません。私は、ここ数年このプログラムを研究してまいりましたので、質問いたします。
 このプログラムは、社会で必要とされるスキルを高校卒業までに獲得するという考え方を実践し、みずから理解する、考える、伝える能力を身につけることを重要としています。教員が生徒に対し一方的に知識を教えてきた昨今の学校教育とは異なり、考え方を鍛えることを重視しており、いわば、かつて歴史に名を残すエリートを送り出してきた旧制高校の指導に近いと認識しております。ディスカッションを多く取り入れるなどして、大学教養レベルとされる高度な課題に取り組んでいきます。
 例えば、江東区にあるケイ・インターナショナルスクールでは、このような国際バカロレアの教育を実践することにより、アメリカのプリンストン大学やボストン大学などの名門大学に奨学金を獲得して進学する生徒を数多く輩出していますし、十六歳の女子生徒がスイスのダボスで世界中の要人が集まって開かれる世界経済フォーラムに出席し、プレゼンをしたこともあります。
 都立高校がこの認定を取得すれば、全国の公立高校で初となるわけですが、改めて、バカロレア導入の目的を伺います。
 また、実際の学校現場では、教員の確保が何よりも難しいという声を聞きます。例えば、私が調べた日本語の練習問題には、芥川龍之介の「羅生門」に出てくる下人について、現代だったら何をしたかを論じなさいというものがありました。生徒はさまざまな考察を重ねて答えていくわけです。
 このような、日本の教育とは大きく異なる特色を持つ国際バカロレアの教育を担う教員の育成は大きな課題です。教員をどのように育成していくのかを伺います。
 また、現在の学習指導要領と国際バカロレアのカリキュラム、両方を満たす教育課程の編成など、さまざまな課題がありますが、これからの日本社会、国際社会で活躍すべき人材の輩出を目指しており、この高校の成功は日本の財産につながります。ぜひともさまざまな課題を乗り越え、都立国際高校が我が国の教育にインパクトを与えるような成果を上げていただくことを期待しまして、次の質問に移ります。
 私の出身は、東部低地帯でありまして、幼いころより海抜ゼロメートル地帯で生活をしていると教育を受けてきました。常に緊張感を持ち、河川の堤防や水門と接して育ってきたわけです。
 特に、先日のフィリピンを襲った台風に伴う高潮による甚大な被害を見て、高潮防潮堤や水門の役目の重さを改めて認識いたしました。
 都はこれまでも、高潮防御施設の整備を進めてきており、おおむね終えています。さらに、東日本大震災を受け、それらの施設の耐震対策について、最大級の強さの地震発生も想定した東部低地帯の河川施設整備計画を、平成二十四年十二月に策定しました。
 私の地元、墨田区においても、隅田川や竪川、北十間川など、既存の堤防と竪川水門などが、新たな耐震対策の計画に位置づけられています。堤防や水門等に守られて暮らす三百万人の人々にとって、早急な対応が望まれます。
 そして、耐震対策に当たっては、施設の耐震性向上のみならず、将来の維持管理も視野に置いた整備が必要だと考えますが、東部低地帯の河川施設の耐震対策の取り組み状況について伺います。
 また、河川は都市における貴重なオープンスペースであり、多くの人々が水辺に親しみ集う空間とすることが重要であります。地元には東京スカイツリーが開業いたしましたが、スカイツリー観光者が、その前後に区内を回遊するというケースは決して多いとはいえません。
 そこで、花火大会も有名な隅田川の河川使用の許可を緩やかにするなど、新たな観光スポットが生まれるよう、首都東京のさらなる魅力向上を図るためにも、世界の人々を魅了するような隅田川の雰囲気づくりを進めるべきと考えますが、都の取り組みについて伺います。
 観光という点ですと、加えて提案すべきことがございます。河川敷地の使用にかかわる規制緩和だけでなく、そこに舟運などを連動させて、面的な広がりを持つ町歩きを楽しめるようになれば、水辺のにぎわい創出、地域活性化、観光客の回遊性により高い効果をもたらすはずです。隅田川周辺には、両国国技館や向島百花園など多くの観光資源がありますが、地域はまだ生かし切れておりません。
 都はこれまで、地域の魅力を生かした観光まちづくりを推進するため、舟運、歴史的建造物や文化財、産業といったテーマに対する支援をしてきました。しかし、地域の魅力はこれらに限定されるものではなく、都内各地には地域由来のいい伝えや町並み、景観など、旅行者の興味を駆り立てる多様な資源があふれております。
 このような多様な魅力を開発し、地域の活性化につなげる観光振興策が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 墨田区は、また、ものづくり産業が発展を支えてまいりました。精密機器部品であったり、メリヤス関連であったり、世界に冠たる製造業があると、私は誇りに思っております。しかし、そういった技術は持っていても、厳しい競争環境の中で資金繰りに苦労している経営者が多いと肌で感じます。
 そんな中で、ことし三月末の中小企業金融円滑化法の終了に当たり、都では、我が党の緊急要望に応え、特別借換融資を開始いたしました。何とかして事業を続けたいという企業を支援する取り組みで、実際に多くの利用があるということです。
 しかし、これは緊急対策として一年限りの措置と聞いております。効果があるものは継続して実施すべきであり、さらに要望させていただくならば、事業運営に必要な運転資金についても、多少なりとも上乗せする金融支援策を確実に行うことが、世界で一番の技術を東京の財産として守ることになると考えます。
 そこで、特別借換融資の継続と制度の充実に向けた都の取り組みについて伺います。
 そして、この一年、アベノミクス景気が広がり始めてまいりましたが、東京を支える中小零細企業まで、その波が届くのはこれからです。今こそ、こうした景況の改善を都内中小企業に行き渡らせるとともに、成長分野への進出を後押しする時期ではないかと考えております。実際の現場では、日々の業務に向き合うだけで現状は精いっぱいで、技術やアイデアを有しながらも、みずからの力のみで新たな成長戦略に取り組むのは決して容易ではありません。
 そこで、都においては、新たな事業展開に向けた経営の変革が円滑に進むよう、成長を目指して果敢に挑戦する意欲ある中小企業に対して、専門家による幅広い経営上のアドバイスを行うなど、積極的な支援を行っていくことが必要と考えますが、所見を伺います。
 自然災害等の不測の事態に備えて、緊急時における事業継続の方法や手段などを事前に取り決めておく計画、いわゆるBCPは、社員と信用と事業を守る、企業にとって大切な取り組みです。また、東日本大震災以降、サプライチェーンを確保するため、取引先からのBCP策定の要求がふえるなど、中小企業にとって、その重要性はより一層高まっております。
 中小企業にとっては、災害緊急時の同業企業間での連携は重要で、業界団体の中には、モデルとなるようなBCPのガイドラインを作成するなど、組合員企業のBCP策定への意欲を高める取り組みを行っている例もあります。個々の中小企業のBCP策定に向けた支援も引き続き重要ですが、こうした団体による取り組みを、今後、中小企業団体中央会との連携なども含めて積極的にサポートしていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 国が発表した来春卒業予定の大学生の就職内定率は、十月一日時点で六四・三%となり、かつての就職氷河期といわれた厳しさに比べると大幅に改善しているようですが、既に大学等を卒業したものの、正規雇用に恵まれない若者も依然として多いと思います。
 資源の少ない日本では、人材こそが国の未来を支える重要な資源であり、将来を担う若者たちがその能力を十分に発揮しながら、希望を持って働けるよう支援する取り組みは重要です。我が党も、意欲ある若者を中小企業に結びつける取り組みの展開については繰り返し主張してまいりました。
 都もこれに応え、これまでに、未就職のまま卒業した若者や非正規雇用経験のある若者などを対象に、就職を緊急的に支援する事業や、成長力のある産業分野への就業を支援する事業を実施し、成果を上げてまいりました。
 そこで、今後、都は、若年者の就業支援をどのように進めていくのか所見を伺います。
 そして、文化事業について伺います。
 東京には、江戸以来の伝統と歴史を伝える浅草や、最新のデザインやアートを発信する六本木など、地域ごとに多彩な顔があり、それが都市の力につながっております。
 身近な例では、都が区と連携し、地域の中でNPOや住民が主体となってイベントを企画したり、地元の隠れた名所などをめぐる町歩きを実施する、墨東まち見世という文化の力を活用した取り組みが展開されております。
 東京に文化を根づかせ、住民が町の魅力を身近に楽しめる機会を充実させるため、各地域との連携を深めながら、東京の文化資源を活用する事業を展開していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、こうした取り組みの一方で、都立文化施設が、誰にも親しまれ、多くの都民が訪れる施設にすべきであることはいうまでもありません。文化施設は、世界的な名画やトップレベルの交響楽団などに生で触れることができる貴重な場になっています。両国にある江戸東京博物館でも、老若男女が楽しみながら江戸東京四百年の歴史と文化に触れております。
 都立文化施設については、老朽化による大規模改修がこれから続いていくわけですが、これを機に、その機能をこれまで以上に発揮させ、より多くの人が気軽に芸術文化に触れられるような文化施設を目指すべきと思いますが、見解を伺います。
 以上で私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔副知事安藤立美君登壇〕

〇副知事(安藤立美君) 川松真一朗議員の一般質問にお答えをいたします。
 構造的福祉についてでございますが、急速に進行する少子高齢化や人口減少社会の到来は、都民生活に大きな影響を及ぼす、かつて直面したことのない課題であります。
 この課題に的確に対応するためには、従来の福祉分野単体ではなく、住まい、雇用、教育など、関連するさまざまな施策分野を含めて総合的に分析、検証することが必要でございまして、このように、福祉を多様な要素が相互に関連し合いながら成り立っているもの、すなわち、これを構造的なものと捉えているわけでございまして、この視点から施策を展開していくことが重要であると考えているものでございます。
 こうした構造的福祉の考え方に基づきまして、例えば、子供連れで快適に外出できるようバリアフリー化を進める、これはお話の授乳室の整備も含まれるかと思いますが、こうしたことを積極的に推進するなど、幅広い分野で、局の縦割りを超えて、ソフト、ハードが一体となった対策を、民間の力や都の資産を活用しながら推進していきたいと思っております。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、国際バカロレアを導入する目的についてでありますが、これからの国際社会で活躍していくためには、日本人としての自覚と誇りを持ち、言葉や文化の壁を乗り越えて諸外国の人々と対等に渡り合い、信頼を得ていく力を身につけていくことが不可欠であります。
 そのため、都教育委員会は、平成二十四年度から、都立高校生の在学中における留学を後押しする取り組みである次世代リーダー育成道場を開始いたしました。今後は、これに加えて、生徒が卒業後に、海外の厳しい環境の中で、世界各国から集まる学生と切磋琢磨できるよう、海外大学への進学を目指す環境を整備していく必要があります。
 こうしたことから、都立国際高校において、海外大学への進学資格が取得可能となる国際バカロレアの認定を、平成二十七年度を目途に取得をすることといたしました。
 次に、国際バカロレアの教員の育成についてでありますが、国際バカロレアの教育を推進するに当たっては、生徒がみずから課題を設定し、自分なりに深く考え、答えを見出していく探求型の授業について、ディスカッションを多く取り入れ、英語で行うことができる教員を育成する必要があります。
 そのため、今年度、都立高校の教員の中から希望者を対象に、国際バカロレアの教育理念や授業の進め方などを学ぶ研修を実施するとともに、都立国際高校において校内研修を行うなど、教員の資質能力の向上を図っております。
 今後、これらの研修について内容の一層の充実を図るとともに、これから雇用するネーティブ教育スタッフについても、より実践的な研修を実施することを通じて、国際バカロレアの教育を担い得る教員を育成してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 子ども・子育て支援事業支援計画についてですが、都は、本年十月、平成二十七年度から実施される新制度に向け、都が策定する支援計画や施策の総合的かつ計画的な推進についてご審議いただくことを目的に、東京都子供・子育て会議を設置いたしました。
 会議の委員は、子育て中の都民を初め、幼稚園や保育園などの事業者、学識経験者、区市町村代表、経済界の代表者など、さまざまな方々で構成しており、今月には、計画策定・推進部会において計画内容の検討を開始いたします。
 その中では、子育て支援サービスの拡充やワークライフバランスの推進、子育てに優しいまちづくりなど、ソフト、ハード両面から幅広くご意見をいただく予定であり、都としては、こうした意見も踏まえながら、関係局との連携のもと、支援計画を策定してまいります。
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、河川施設の維持管理への工夫を含めた耐震対策についてでございますが、地震、津波などに伴う浸水被害から、東部低地帯の人々の命と暮らしを守るためには、スピード感を持って、堤防や水門等の耐震対策を講じていくことが重要でございます。
 都は、昨年十二月に策定した計画に基づく耐震対策を加速するため、堤防の根固め工事を前倒しして実施してきており、今年度は、隅田川の新大橋上流左岸を初めとする低地部の七河川の堤防と大島側水門など四水門の耐震工事を実施してまいります。
 また、施設の長寿命化や維持管理コストの低減を図るため、例えば、水門の門扉について、ステンレス材の採用やローラー部材の数を減らすなどの工夫を行ってまいります。
 今後とも、二〇二〇年までの完成に向け、全ての水門と高潮防潮堤などの耐震対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、隅田川におけるにぎわいづくりについてでございますが、これまで都は、隅田川において、緑豊かなスーパー堤防やテラスの整備を行うなど水辺に親しみやすい環境を整えるとともに、堤防に浮世絵を飾るテラスギャラリーの設置、地元ボランティアによる花壇の管理、さらには河川敷地へのオープンカフェやヘブンアーティストの誘導などを行ってまいりました。
 また、防災船着き場を一般開放し、年間延べ約四千隻の屋形船が利用しております。
 引き続き、白鬚橋下流などで回遊性を高めるためのテラスの連続化を進めるとともに、現在、有識者、国、関係区を交えて設置している新たな水辺のあり方検討会において、恒常的なにぎわい創出のための拠点づくりの検討を深めてまいります。
 今後とも、より多くの都民や観光客に親しまれ、愛される隅田川を目指し、その魅力を高めてまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域の観光振興についてでありますが、都は、旅行者が町歩きを楽しむ環境を構築し、地域の観光振興を促進するため、舟運や産業などをテーマとした旅行者の回遊性を高める取り組みを支援しております。
 近年、旅行者のニーズは、個々人の趣味趣向に沿ったものへと多様化しており、その土地ならではの食や路地裏の雰囲気などを観光資源として活用したいという地元の意欲が高まっております。こうした傾向を踏まえ、地域に根差した資源を生かしたにぎわい創出の取り組みに対するより効果的な支援策を検討してまいります。
 今後も、地域の自由な発想と創意工夫を引き出し、観光の視点に立った地域のまちづくりを支援することにより、東京の多様な魅力を創出してまいります。
 次に、特別借換融資についてでありますが、本融資は、中小企業金融円滑化法の終了を控え、経営改善に取り組む中小企業の資金繰りを支援するため、本年三月に創設いたしました。複数の保証つき融資を一本化し、借入期間を延長することで月々の返済負担を軽減するもので、小規模企業への保証料補助など手厚い支援を講じております。
 制度開始から本年十一月までに、小規模企業を中心に千八百件を超える利用があり、大半の企業が借りかえ後の返済期間を最長の十年とするなど、企業の経営安定化に寄与していると考えております。
 引き続き、厳しい環境のもとで経営改善に取り組む多くの中小企業に対して、資金面からの万全の支援が必要であることから、本融資の継続的な実施や、企業の資金ニーズを踏まえた制度の拡充について検討してまいります。
 次に、中小企業の経営相談についてでありますが、厳しい経営環境にある都内中小企業が、事業の立て直しはもとより、成長の見込める分野等で新たな事業を展開するために経営の変革を図ることは重要であります。
 都は、今年度創設した経営変革アシストプログラムにより、中小企業の抜本的な経営の見直しを後押しするため、専門家を派遣して、改善計画の策定や実行をサポートしております。
 今後は、成長分野への参入など、新たな事業展開を考える中小企業に対しても本事業を積極的に活用し、個々のニーズに応じたきめ細かい支援を検討してまいります。
 こうした取り組みなどにより、意欲ある中小企業の経営変革を促進してまいります。
 次に、中小企業の災害対策への支援についてでありますが、震災等の災害から早期に復旧し、事業を継続するための計画、いわゆるBCPについて、より一層の普及を図るためには、個々の企業による取り組みだけでなく、業界団体のネットワークや企業間の連携を生かした取り組みを支援することが重要であります。
 都はこれまで、専門家の派遣や実践的なセミナーの開催により、中小企業のBCP策定を支援するとともに、その取り組み成果を広くPRすることにより、BCPの普及啓発を図ってまいりました。
 今後は、これらに加え、中小企業団体中央会と連携し、業界団体や中小企業グループによるBCPの取り組みを効果的に促進する新たな仕組みについて検討してまいります。
 最後に、若年者の就業支援についてでありますが、不安定雇用を余儀なくされている若者や、働く意欲がありながらも就職できない若者は依然として数多く存在しており、若年者に対する就業支援は重要であります。
 都は、非正規雇用で働く若者や未就職卒業者の安定した雇用を実現するため、研修と派遣就労を組み合わせて正規雇用に結びつける取り組みを行っております。また、しごとセンターにおいて、きめ細かなキャリアカウンセリングを実施するなど、さまざまな施策により就業を支援しております。
 今後は、こうした取り組みに加え、卒業後の年数が経過して安定した職につくことが困難な若者を重点的に後押しするため、セミナーと実践的な職場実習の組み合わせによる効果的な支援策を検討するなど、工夫を凝らしながら若年者の就業を積極的に推進してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 文化振興に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域の文化資源を活用した文化事業の展開についてでございますが、東京には多様な文化資源が存在いたしますが、これを活用した事業を地域で展開することが東京の文化政策を進める上で重要であることから、都は、平成二十年度に東京文化発信プロジェクトを立ち上げました。
 このプロジェクトの中で、例えば六本木や上野では、文化施設などの集積を生かした大規模なイベントを展開し、また、神楽坂や吉祥寺では、歩行者天国や空き店舗、デパートの屋上などを活用して、町なかでの展覧会などを実施しております。
 こうした取り組みを通じて、地域の文化的魅力が再発見されるとともに、担い手となるアーティストの活動の場や、地元と協働するためのノウハウも蓄積をされてきております。
 今後は、これらの成果を踏まえまして、六本木など東京の核となる地域におきましては、にぎわいを創出するため、国や都、民間の文化施設が協働して行う取り組みを強化してまいります。
 また、身近な地域では、地元自治体や商店街などと連携して新たな活動拠点をふやすなど、地域の魅力を高める文化事業を展開してまいります。
 次に、大規模改修を契機とした都立文化施設の機能向上についてでございます。
 都立文化施設の改修に当たりましては、設備などの更新を着実に進めるとともに、施設の魅力の向上を図ることで、東京の芸術文化の創造発信拠点としての機能を充実させていくことが重要でございます。
 このため、例えば江戸東京博物館では、来年度に予定している常設展示の改修におきまして、幕末コーナーを新設するなど展示内容の充実を図ってまいります。
 また、来館者サービスの充実を図るため、各施設で開館時間の延長を引き続き進めるとともに、コンサートホールなどで実施しております子供の一時預かりサービスを、平成二十六年四月からは美術館にも拡充することを予定しております。
 さらに、オリンピック・パラリンピックの開催も見据え、展示作品の解説やホームページなどの多言語化を図り、海外からの来館者への対応も進めてまいります。

〇議長(吉野利明君) 五十一番上田令子さん。
   〔五十一番上田令子君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇五十一番(上田令子君) まず、さきの大島の災害で亡くなられた方々にご冥福をお祈りするとともに、被災された皆々様には心よりお見舞いを申し上げます。
 まず、猪瀬直樹知事の政治姿勢について、徳洲会、徳田毅衆議院議員からの資金提供問題を中心に伺います。
 古来より、君子は未然に防ぎ、李下に冠を正さずと申します。今回の問題は、資金提供が多額であり、裏金の印象で、都民のみならず国民全体の政治不信を深めております。知事には、みずから説明責任を尽くされ、政治不信を払拭することを強く強く望みます。
 知事は、資金について、一貫して個人の借金と説明されていますが、民法第四百四条は、利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とすると法定利息を定めており、五千万円を昨年十一月二十日から本年九月二十六日まで借り入れるとすると、利息は二百十二万三千二百八十八円となりますが、利息は支払っていないのか。
 二、知事は、便宜は図っていないとしていますが、徳洲会側から何らかの請託や要望を受けたことは一切ないのか。
 三、本件に関し、印紙税法や資産公開条例の違反が指摘されていますが、これ以外の事項を含め、違法行為はないかどうかの三点を確認いたします。端的にご答弁ください。
 次に、不審者対策についてです。
 女性や登下校の児童生徒を狙った不審者が東京都では逓増しております。下半身露出、身体さわり、つきまとい、声がけなど、殊に子供たちの衝撃は強い上に、こうした犯罪者は、累犯を積み重ねて重大な犯罪に発展するおそれがあります。
 ついては、警視庁、区市町村、学校等が統一体制をとって、一網打尽に検挙に結びつけることを早急に求めるものです。
 つきましては、以下三点についてお尋ねします。
 一、子供や女性に対する声がけ、つきまといなどの性犯罪に結びつくような事案に関して、さくらポリスの活動も含めた現在の取り組み、また、同種事案が複数エリアに横断的に発生している場合の各警察署や交番における情報共有化、連携、協力体制確立のための取り組みをお示しください。
 二、子供が犯罪対象になっていることから、未然防止のために、学校や自治体などとの連携が不可欠です。こうした学校や自治体との連携、協力状況について、警視総監のご見解を伺います。
 三、続きまして、教育長にお尋ねします。不審者のみならず、いじめを含む学校での傷害事件、児童生徒の問題行動なども含めた、学校から警察への課題認識に基づいた連絡、協力体制全般についてお答えください。
 次に、児童相談所の機能強化及び区への移管についてです。
 先月は児童虐待防止推進月間でしたが、虐待死が疑われる報道が相次ぎました。私の地元江戸川区では、昨年、無理心中事件が発生し、小学校二年の子供が死亡、二〇一〇年一月の小一男児虐待死事件は、歯科医が子ども家庭支援センターへ通報したにもかかわらず、学校、児相との連携がおくれ、結果、義父の執拗な暴力により男児は死亡。その凄惨さと自治体対応のおくれが日本中で注目されました。子供たちのとうとい命が保護者によって奪われ続けています。
 東京都にて、二〇一二年度、虐待と判断されたのは三千七百五件を数え、児童養護施設の需要も高まっていることを受け、都は六月に児童福祉審議会専門部会を設置、制度設計を進めていることは評価するところです。
 一方、区長会では、十一月十五日に児童相談所の移管モデルの最終報告をまとめ、東京都との検討を早急に開催したいとしています。
 虐待根絶へ向け、核家族の多い東京都において、転換期を迎えた児童相談所のあるべき姿、全体的な対策につきましてお尋ねします。
 一、現在の体制と課題について。
 子供の情報を共有し、虐待に即時対応するため、子供家庭支援センターや児童相談所などの地域の関係機関によるネットワークを強化し、支援することが重要と考えますが、都の所見をお答えください。
 二、家庭への支援体制について。
 親子分離をしたものの、再統合が期待できるケースについて、再び家族がともに暮らせるよう、関係機関が支援のゴールを見据えながら適切にサポートを行うことが重要だと考えます。虐待などにより家族と離れた子供の家庭への復帰のために、都はどのように対応しているのか、お示しください。
 三、特別区への児童相談所移管についての現時点の制度上、運用上の問題認識を含めた都の見解及び今後のよりよい児童相談所運営に向けた進捗状況をお聞かせください。
 四、里親、養子縁組の推進について。
 養子縁組里親委託児童は、登録者数百七十八組に対し、実際に委託された子供の数は十七人、養育家庭委託児童は三百五十二人にとどまります。乳児院の入所理由の三四%が虐待であり、乳児院措置は毎年四百人近くとなっています。養護施設の切迫した状況を鑑みても、委託数が伸び悩む里親委託をさらに推進すべきと考えますが、都の対策をお聞かせください。
 次に、東京都認証保育所についてです。
 地元江戸川区では、区立園でいまだにゼロ歳児保育を実施していない上に、二十三区で唯一、認証保育所利用者に補助を行っておらず、保護者からの不満の声が寄せられております。
 認証保育所は認可園との補助の総額が違うことから、保育料がどうしても高くなり、四月になると認可園へ移ってしまうなどの課題を抱えています。東京都は包括的に財調や補助金を区市町村に措置していますが、このような認証保育所における各種の格差是正を求め、以下についてお尋ねします。
 一、障害児加算の現状について。
 認可保育所において、サービス推進費として障害児についての補助が明確となっていますが、現在、認証保育所において障害児を受け入れた場合には、このような個別補助制度が存在しておりません。実際に障害児を受け入れている施設が多数ありますが、基準職員の中で対応し、資金的にも加配保育士がつけられていない園が多いという現状があります。
 障害児を受け入れて現場の負担が大きくなることが危惧されることから、障害児の認証保育所の受け入れについての制度化並びに都は区市町村に補助を出しているものの、認可園に流れてしまい、認証保育所の障害児加算に回っていない補助のあり方についてのご所見をお聞かせください。
 二、保護者や保育所への補助の格差についてです。
 保育士の処遇改善において、上乗せ相当額を保育所運営費とは別に国は交付する方針ですが、対象は認可私立保育所にとどまり、認証保育園の保育士は対象外となります。さらに、認証で働いていた経歴が認可保育所の補助金の経験年数に加算されないなど問題があります。また、各区市において保護者への保育料の直接補助にばらつきがあります。これらの格差が存在する点について、問題意識と対策についてお示しください。
 三、保育士の安定確保については代表質問でも答弁がありました。独自性を発揮し、取り組みを推進されるよう求めます。
 次に、障害者施設における虐待対策です。
 九月三十日、西東京にある社会福祉法人運営の知的障害者施設たんぽぽにおける入所者への虐待事件に対し、都として行政処分を下すとともに、改善状況を報告するように指導しましたが、内容が不十分としてこの報告を都は受理しませんでした。
 同施設については、平成十四年も施設運営上のトラブルが発生し、東京都社会福祉協議会より厳重注意がなされた以降も幾度となく東京都への通報、告発があったことから、以下につきお尋ねします。
 一、都が行政処分を行った施設への対応状況について、特に西東京市との連携も含めた現状をご報告ください。
 二、施設運営者、職員の研修等、入所者へのサービス改善が図れたのか懸念しています。つきまして、都は現在どのようにしているのか、お答えください。
 三、この事件を受け、当該施設のみならず、同種の障害施設における虐待防止のための都の取り組み状況についてお答えください。
 以上、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 上田令子議員の一般質問にお答えします。
 今回の借入金の利子についてでありますが、借入金は手をつけずに返却しました。利子は払っていません。無利子、無担保、返済期限なしで借り入れたことについて、今となっては大変軽率であったと反省しております。
 徳洲会側からの請託や要望を受けたことはないかというお尋ねでありますが、徳洲会グループに対して、私は便宜を図ったことも一切ないし、それを頼まれたという事実も全くありませんし、そのつもりもありませんでした。
 資産公開条例などについてでありますが、まず、借入金を資産等報告書に記載していなかったことは、私の不徳のいたすところであります。十一月二十二日に訂正を済ませました。反省をしているところです。
 また、印紙税についても至らないところがありましたので、納税するつもりであります。
 借り入れの目的については、これまでも説明申し上げてきたとおりでありますが、選挙の資金は、私の預貯金で賄うつもりでありました。
 私の個人事務所には、スタッフを数名雇用し、運営していくには、昨年、年間それなりの金額がかかります。副知事もやめ、作家としての仕事もすぐに回復しないかもしれない、そういう先の不安があって、そのため、個人として借り入れたものであります。
 なお、その他の質問は、警視総監、教育長、関係局長が答弁いたします。
   〔警視総監西村泰彦君登壇〕

〇警視総監(西村泰彦君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、声かけ、つきまといなどの性犯罪に結びつくような事案に対する取り組みについてでありますが、これらの事案は被害者だけでなく、地域住民に著しい不安を生じさせるものであることから、これに対処するため、警視庁では平成二十一年四月、本部に子ども・女性安全対策班、通称さくらポリスを設置いたしました。
 さくらポリスは性犯罪を未然に防止するため、子供や女性に対する公然わいせつ事件や声かけ事案等の前兆事案に対して、各警察署に捜査員を派遣し、検挙、または指導、警告等の予防活動を推進しております。
 また、同種事案が複数エリアに発生している場合の取り組みについてでありますが、警察署で認知した情報をさくらポリスで集約し、各警察署等に連絡をするなどして情報の共有化を図るとともに、複数の警察署による共同捜査体制を構築するなど、効果的な検挙予防活動を推進しております。
 次に、学校や自治体との連携、協力状況についてであります。
 学校との連携につきましては、平成十六年四月から警視庁警察官のOBを活用したスクールサポーター制度の運用を開始し、警察と学校とのパイプ役として、児童生徒に対する犯罪被害の防止教育であるセーフティー教室等の開催支援や、学校周辺において発生した犯罪に関する情報発信など、少年の非行防止活動や児童等の安全確保などの活動を行っております。
 このほか、平成十六年五月からは、児童生徒の非行、被害防止等を目的とした児童生徒の健全育成に関する警察と学校との相互連絡制度の運用を開始し、警察と学校との情報共有を図っております。
 また、各警察署の生活安全課が中心となって、自治体等と連携し、子供に対する声かけ事案や不審者に関する相談等、子供に対する犯罪の前兆と思われる情報の共有化を図っており、特に公然わいせつ事件や声かけ事案を認知した場合は、メールけいしちょうやファクシミリ等を活用して、学校や自治体等に対し、迅速かつ的確な情報発信を行っております。
 そのほかにも、関係機関と連携して子供見守り活動を推進する協力体制の構築、拡大を図っているところであります。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 学校と警察との連絡、協力体制についてでありますが、学校への不審者の侵入や暴力行為など深刻な問題行動が生じた際、児童生徒の安全を守るためには、学校が警察と緊密に連携することが重要でございます。
 学校への不審者侵入対策としては、非常通報システムである学校一一〇番を都内の全ての小中学校に設置し、学校と警察の連絡体制を構築してきました。
 児童生徒の問題行動については、日ごろから学校と地域の警察署が情報交換を行うとともに、児童生徒の生命、身体などに重大な被害をもたらす場合は、相互連絡制度に基づき、直ちに警察に通報するよう、区市町村教育委員会と一体となって学校を指導しております。
 今後とも、警察との連携のもと、児童生徒の安全の確保に万全を期してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、虐待対応における関係機関の連携についてですが、都は児童虐待に対して、地域の関係機関と情報を共有し、連携して対応するため、児童相談所に地域支援を行う職員を配置するとともに、区市町の先駆型子供家庭支援センターに、関係機関との連携や調整を担う虐待対策コーディネーターの配置を進めているところでございます。
 また、都内六十一の区市町村は、子供家庭支援センター、児童相談所、学校、保健所等の地域の関係機関で構成する要保護児童対策地域協議会を設置しており、各機関が情報の共有を図りながら援助方針等を確認し、児童や家庭への適切な支援を行っております。
 今後とも、地域の関係機関との連携強化を進め、児童虐待への対応力向上に取り組んでまいります。
 次に、施設に入所した児童の家庭復帰への支援ですが、本来、子供は親とともに暮らすことが望ましいことから、一旦は親と子を分離して施設入所になった場合でも、親子関係を修復し、家庭復帰に向けた支援をしていくことが重要でございます。
 このため、児童相談所では、児童が施設に入所している段階から保護者や児童の心理状況などを確認しつつ、面会や自宅への短期帰宅、長期帰宅と段階を追った親子の交流に取り組むとともに、児童相談センターにおいて家庭復帰に向けた医師や心理職によるグループカウンセリング等を実施しております。
 また、児童が家庭に戻った後も、地域の子供家庭支援センターなど関係機関と連携して定期的に家庭訪問を行うなど、児童と家庭に対する支援を行っているところでございます。
 次に、養育家庭や養子縁組里親など家庭的養護についてですが、子供は本来、家庭的な環境のもとで愛情に包まれながら健やかに養育されることが望ましいものであります。
 そのため、都は家庭的養護の取り組みを進めており、養育家庭の登録数をふやすために、ホームページ等により制度を広く都民に周知するとともに、体験発表会などにより理解促進を図っております。
 また、児童を養育している養育家庭を支援するため、児童相談所による家庭訪問などに加え、民間団体を活用した訪問支援や養育家庭同士の交流促進などを行っており、養子縁組里親に対しても、里親への子供の紹介、交流、委託に至るまで、きめ細かな支援を行っているところでございます。
 今後とも、養育家庭を初めとする家庭的養護を積極的に推進してまいります。
 次に、保育所における障害児保育についてですが、保育の実施主体は区市町村であり、さまざまな保育サービスを具体的にどのように提供するか、また、それぞれのサービスにどのように財源を配分するか決定するのは区市町村でございます。
 都としては、市町村が地域の実情に応じて障害への対応など、さまざまな保育施策を展開できるよう、子育て推進交付金により支援を行っております。
 また、特別区につきましては、都区財政調整制度の中で保育施策に必要な経費が算入されております。
 次に、認証保育所への補助等についてですが、国の保育士等処遇改善臨時特例事業は、補助対象を認可保育所のみに制限しており、保育サービスを担う人材の確保、定着を図るには不十分なものとなっております。
 このため、都は対象を認証保育所や小規模保育所等にも独自に拡大して実施をしているところでございます。
 また、国は、認証保育所の職歴を、保育士資格の有無にかかわらず、保育所運営費負担金の民間施設給与等改善費の加算率算定の対象外としており、他の施策と整合がとれておりません。
 都としては、認証保育所を国の制度に位置づけるよう国に対し提案要求をしているところでございます。
 保護者に対する保育料軽減補助は、地域の実情に応じて保育の実施主体である区市町村が実施の有無も含めて判断すべきものであります。
 次に、行政処分を行った障害者支援施設についてですが、都は障害者総合支援法に基づき、本年三月から施設への立入検査や職員への聞き取り調査等による監査を行い、その結果、身体的虐待の存在及び理事長等の不適切な対応、人権擁護、虐待防止等のための取り組みが不十分であること等が判明しました。
 そのため、九月三十日に、法人に対し、新規利用者の一年間の受け入れ停止という行政処分を行うとともに、実効性のある改善策を早急に講じ、改善状況を報告するよう文書により指導を行いました。
 その後も、法人の所轄庁である西東京市と合同で指導検査を実施するなど、引き続き法人に対し指導を続けております。
 次に、入所者へのサービス改善についてですが、都は、利用者の人権擁護、虐待防止等を図る観点から、法人に対して、文書により指導してまいりました。
 具体的には、利用者支援に専門性を有する外部講師等を活用し、職員の意識改革や支援の質の向上に資する研修を行うこと、利用者に対する人権に配慮した施設運営ができる知識と経験を有する職員を配置すること等を求めております。
 現在、法人に対して指導を続けており、引き続き、定期的に改善状況の報告を求めるとともに、適宜、施設を訪問し、改善状況の確認や指導を行ってまいります。
 最後に、障害者施設における虐待防止についてですが、都はこれまでも、施設の適正な運営を確保する立場から、障害者総合支援法に基づく指導検査等の機会を通じて、人権擁護や虐待防止に関する施設の取り組みを確認し、必要な指導を行ってまいりました。
 また、施設職員の障害者虐待への理解を深めるとともに、専門性の強化を図るため、管理者や従事者を対象に、障害者虐待防止・権利擁護研修を実施しております。
 さらに、今般の行政処分に合わせ、改めて都内全ての障害者施設に対し虐待の防止を徹底するよう、文書により注意喚起を行いました。
 今後とも、障害福祉サービスの実施主体である区市町村と連携して、障害者虐待の防止に取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 児童相談所の移管についてでございますが、児童相談所には虐待など困難事案に対応できる専門性と施設への広域的な入所調整ができる体制が不可欠であり、家庭復帰までの一貫した対応が求められます。
 現在の特別区は、人口約五万人の区から八十万人を超える区までさまざまですが、仮に、全ての区へ移管するとなれば、それぞれの区で一時保護所の整備や、児童福祉司を初め豊富な経験を積んだ専門人材の確保、育成等が必要となります。
 また、都内外の児童養護施設等への入所調整に当たっては、新たに、特別区相互、都と特別区との間で連携、協力が必要となるなど多くの課題がございます。
 今後とも、児童虐待防止等の観点から、特別区と幅広く議論してまいります。
   〔五十一番上田令子君登壇〕

〇五十一番(上田令子君) 猪瀬知事にはこの「道路の権力」をしたためたときに立ち返り、真摯な説明と猛省を求め、政治家として、まず自分よりも庶民の先の生活の不安の解消を最優先に行動されることを心より望みます。
 今後のご自身の身の律し方についてお答えください。
 次に、不審者事案同様、女性が被害者となるストーカー殺人事件が、先週、市川市で発生、係争中の事案もあり、個別には触れませんが、女性が被害者となるDV、ストーカー対策についても喫緊の対策が求められております。
 神奈川県警では、逗子市の事件を受けて、七月に生活安全部と刑事部を一元化したプロジェクトチームを発足、早速、殺人事件を未然防止しました。この事件では、接続警告を無視し、市の再任用職員が、探偵業者に被害者住所を漏えいしたことも判明しております。警察のみならず、関係部門が一丸となり、オール東京で対策を推進することを希望します。特に、さくらポリスについては、今後、各警察署への配備を希望するものです。
 最後に、障害者への虐待事案についてですが、今後改善が見られない、不十分なときには、理事長、施設長らの責任を明確にし、一層の処分や役員の解職勧告を行うことがあり得るのか、監督責任を果たし、入所者の人権を最優先にするためにも、今後の方針を明確にお答えください。
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 先ほど申し上げましたが、今となっては大変軽率であったと反省しております。
 これから都民のため、東京のため、とにかく一生懸命、仕事をしていきたいと思っております。それが都民の信頼回復へ向けた、最も近道であると考えているので、よろしくお願いいたします。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 改善が図られない場合の対応についての再質問でございますが、現在、引き続き指導を続けているところでございます。
 今後とも、法令に基づいて厳正に対処してまいります。

〇副議長(藤井一君) 十番みやせ英治君。
   〔十番みやせ英治君登壇〕

〇十番(みやせ英治君) 質問に先立ち、台風二十六号による影響で伊豆大島に甚大な被害がありました。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。
 まず初めに、高齢者の住まいについてお伺いいたします。
 今、我が国では高齢化が急速に進展しており、東京都も例外ではありません。特に高齢者に占める単身世帯の割合が急増しており、東京都における高齢者の単身世帯は、二〇一〇年の約六十二万世帯から、二〇三〇年には約九十万世帯にまでふえると予想されています。
 また、六十五歳以上の高齢者世帯は相対的に所得水準が低く、厚労省の統計によりますと、年収二百万未満が全体の約四割、また、六十五歳以上の単身世帯は借家率が高いのが特徴であります。
 単身世帯では家族による介護も期待できないことから、今後、低所得の単身高齢者が医療、介護等のサービスを受けられる住まいの確保が求められています。
 都の調査によると、高齢期に住みかえを考えている世帯の望ましい居住形態は、サービスつき高齢者住宅が二三・四%で一位。こうした中、二〇一一年、一人で暮らせなくなった高齢者の受け皿を支えるサービスつき高齢者向け住宅制度がスタートいたしました。整備補助や税の優遇措置、都道府県への登録制で参入への困難が少ないことから、普及は急速に進み、現在、全国で約十三万戸が整備されております。
 一方で、制度開始から二年がたち、課題も見えてきております。
 まず、高過ぎる費用でございます。
 都内のサービスつき高齢者向け住宅は家賃、管理費だけで最低月十万円、価格設定の多くは十五万から十七万、食費をつけると二十万を超えるものも珍しくありません。
 しかし、単身世帯の年金受給額を見ると、八割近い人が年に二百万未満、月にすると十六万七千円に満たず、年金だけでは費用を賄い切れていないのが実情です。
 サービスつき高齢者向け住宅の賃料は、全国平均は七万五千円ほどですが、都内では最も低い賃料の平均が約十三万、最も高い賃料の平均が約十六万五千円と全国平均の倍近くにもなっております。
 私の地元板橋区高島平でも空き室を活用したサービスつき高齢者向け住宅が始まっておりますが、賃料が月十三万からでは高過ぎて入所ができない、行き場がないと、そういった切実な高齢者の方の声を聞いてまいりました。
 また、実際の事業者にもお話を聞きましたが、賃料十五万前後の厚生年金モデルから、十万円前後の国民年金モデルへと賃料の取り組みを努力はしているが、サービスの質の担保もあり、もう限界とのことでした。
 現在、都は国と区市町村とともに、所得に応じ、最大月四万円の家賃補助を行っていますが、全国平均に比べ、都内のサービスつき高齢者向け住宅の賃料の高さを考えると、都独自の家賃補助制度を考えることも必要なのではないでしょうか。
 次に、低所得高齢者に対する住宅供給という点から見た現在の補助制度の問題です。
 サービスつき高齢者向け住宅は、土地所有者が上物である住宅を建築し、運営は事業者に委託する所有と運営を分離する形が多くなっていますが、補助制度の対象は主に建築に対する補助に偏っています。
 整備費補助は所有者や金融機関、建築事業者にとってはメリットがありますが、運営事業者がそれを十分に享受できるとは限りません。運営事業者にメリットがないと、家賃も高どまりし、入居者もメリットを実感しにくくなります。
 建築にかかるコストは一般的には二割程度とされ、運営費、管理費等のランニングコストの占める割合の方がはるかに大きく、この点に対する助成こそがコスト削減、ひいては入居者の家賃の値下げになっていくのではないでしょうか。
 いずれにせよ、都でも二〇一四年度末までに一万戸までふやす目標の達成や、一定の供給量が確保された後は、補助制度のあり方を見直すことも視野に入れ、これからより必要とされる低所得高齢者向けの住まいの確保につなげていくべきです。
 この東京都の現状を前提とした家賃補助や整備費補助など、今後のサービスつき高齢者向け住宅を進めるに当たって、補助制度のあり方や見直しについて、都の所見をお伺いいたします。
 また、さらにますます大きな課題となる高齢者の住まいの問題には、より一層、福祉と住宅政策の連携が求められていると考えますが、これからの低所得高齢者の住宅問題に対する都としての考えを伺います。
 次に、空き家の活用についてお伺いいたします。
 空き家が全国で増加傾向にあることが問題になっており、総務省の調査によりますと、都内でも平成五年に約五十万戸であった空き家は、平成二十年には約七十五万戸に増加し、全体住宅数の約一一%を占めております。そのうち利用可能で、かつ全く活用されていない空き家の数は十万戸といわれており、防災、防犯、衛生、景観など多岐にわたる課題となっております。
 これまで都は、高齢者対策や待機児童の解消などに対応した事業として、空き家活用を促進しようとしてまいりました。都は、民間賃貸の空き家の改修工事について、費用の一部を補助する空き家活用モデル事業を行っています。
 しかし、昨年度は応募がゼロであり、今年度は都独自助成独自補助を創設し、先着順受け付け、かつ一日多いときで四、五件もの問い合わせがあったにもかかわらず、応募数は現在まだ一件と、より利用しやすい工夫が必要であることは明らかです。
 空き家所有者の意向は、その形態ごとにさまざまです。今後、空き家の適正な活用につなげていくためには、都が区市町村と連携をした形で、まずは空き家の実態調査を行うべきと考えます。それにより、市民、NPO、不動産事業者による空き家バンクの支援、都がトータルにマネジメントする仕組みにつながっていくのではないでしょうか。
 また、現状の空き家活用モデル事業も、単なる改修補助事業型だけではなく、一般から募集したアイデアに対して助成を行ったり、地域コミュニティの活性化や、行き場のない高齢者の住まい対策と結びつけた事業にしたりするなど、現場の区市町村やNPOなどが使いやすい補助制度を新たに構築することが必要です。区市町村と連携した実態調査や、トータルでのマネジメントの仕組み、住民やNPOなどのアイデアをくみ上げていく取り組みについて、都の所見をお伺いいたします。
 核家族化や少子高齢化、地域とのかかわりが薄い都市には、子育てや介護、シングルマザーなど多くの課題がありますが、こうした課題を解決する一助となる、地域住民が運営する公共サービス、シェアハウス、保育ママ事業、子育てスペースなど、NPOや民間による新たな空き家活用の事業も出始めました。空き家が地域福祉やコミュニティの活性化を促す活動となり、新たな住民同士の助け合いの場を生み出しています。
 豊島区や江東区では、住宅の確保に配慮を必要とする人たちが民間の賃貸住宅に円滑に入居できると居住支援協議会が設置され、その取り組みの一つに、地域の空き家活用を訴えてまいりました。東京都がその実態や魅力を紹介し、全ての区市町村で設置するように誘導していくように考えますが、ご所見をお伺いいたします。(拍手)
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) みやせ英治議員の一般質問にお答えいたします。
 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、サービスつき高齢者向け住宅についてでございますが、都は、主として中堅所得者層が適切な負担で入居できるサービスつき高齢者向け住宅の供給を進めております。
 本年度からは、医療、介護サービスの事業所と連携して、住宅を供給する事業者に対し、国と同額を加算して整備費補助を行うなど、供給の促進を図っております。
 また、入居者の所得に応じ、家賃負担を軽減するため、区市町村が都及び国と連携し、事業者に対し、一戸当たり月額四万円を上限に家賃減額補助を行う制度を既に設けております。
 今後とも、これら現行制度の適切な運用に努め、サービスつき高齢者向け住宅の供給を促進してまいります。
 次に、低所得高齢者の住宅問題についてでございますが、住宅マスタープランや高齢者保健福祉計画におきましては、低所得者を含めた全ての高齢者が地域社会の中で必要なサポートを受けながら安心して暮らせることが重要であるとしております。
 これを踏まえまして、高齢者の居住安定確保プランを策定し、住宅施策と福祉施策が連携して、中堅所得者向けのケアつき住まいや、低所得の高齢者も利用できる都市型軽費老人ホームの整備などを進めております。
 今後とも、関係局、区市町村と連携しながら、高齢者が住みなれた地域で安心して住み続けられるよう取り組んでまいります。
 次に、空き家活用に向けた取り組みについてでございますが、都は、空き家の利活用方策の可能性を検証するため、昨年度から空き家活用モデル事業を実施しております。
 今年度は、相談のあった都民やNPO等の意見を踏まえ、事業の改善を行っております。例えば、旧耐震基準の建物では、改修費用に対する補助限度額を引き上げました。また、戸建て住宅を貸し出したいといった要望に対し、戸建て住宅の多世代同居、子育て世帯向け用の改修を補助対象に加えました。
 引き続き、モデル事業を通じたニーズ把握に加え、空き家の実態調査やあっせんなどのコーディネートを行っている区などの取り組み状況や意見を参考にしながら、空き家の利活用方策の可能性を検証してまいります。
 最後に、居住支援協議会の設置についてでございますが、地域の高齢者など、住宅の確保に配慮が必要な方々に対して、それぞれの地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うためには、基礎的自治体である区市町村が中心となり、関係団体やNPOなどと連携して取り組むことが重要でございます。
 そのためには、区市町村が居住支援協議会を設置して主体的に活動することが効果的であり、都として、区市町村における居住支援協議会の設置を促すこととしております。

〇副議長(藤井一君) 三十番山内れい子さん。
   〔三十番山内れい子君登壇〕

〇三十番(山内れい子君) 都議会生活者ネットワークを代表して質問します。
 猪瀬知事の資金問題については、各会派から厳しい意見が出されました。しかし、これまでの説明では都民を納得させることはできません。職員のトップに立つ知事には、より高潔性と危機管理能力が求められるのは当然であり、これなくして職員の士気は下がる一方です。
 しかも、知事は政治家です。政治資金規正法も公職選挙法も政治の透明性を高めるためのものです。こうした趣旨をないがしろにする報告書を出すことについて恥ずべきです。
 たとえ個人的借金であったとしても、悪質な選挙違反で強制捜査を受けている徳洲会と五千万円ものお金を簡単に借りることができるような密接な関係を持ったということの道義的、政治的な責任は免れません。
 生活者ネットワークは、知事はみずから辞職し、改めて都民に信を問うべきと考えます。
 猪瀬知事は、失った信頼の回復、都民への説明責任をどのように果たすのか伺います。
 オリンピックとまちづくりについて伺います。
 コンパクトなオリンピックをうたってかち取った二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックですが、ここに来て、新国立競技場の建設をめぐって、巨大過ぎて景観を損ねる、お金がかかり過ぎるなど、専門家からも異議が噴出しています。
 新国立競技場のデザインは、昨年十一月に公募で決まりました。しかし、都は、この巨大な建築物が建つことを前提に、この地域にかけられている風致地区制度の十五メートルの高さ制限を大きく超えて、現在の国立競技場の二倍以上の七十五メートルまで緩和した地区計画をことし六月に都市計画決定しました。
 新国立競技場は国がつくるものですが、神宮の森は都内の風致地区第一号として都民が誇りに思い、九十年近い年月をかけて守ってきた場所です。それをオリンピックという国家プロジェクトだからとなし崩しにしていいものではありません。迫りくる少子高齢社会を見据え、将来世代に過大な負担を残さないコンパクトな施設づくりやまちづくりこそ重要と考えます。
 都は、都民の感性を重視した風致地区制度などを尊重して、現在進めようとしている新国立競技場を含む神宮外苑地区のまちづくりを見直していくべきと考えますが、見解を伺います。
 福島原発事故直後、電気が足りなくなるという危機感から、その年の夏は、自治体や企業、個人も全力を挙げて節電に取り組みました。その結果、東京電力管内の最大電力は、震災前に比べて一八%削減となり、去年とことしは一五%減となっています。また、東京エリアで一年間の電力消費量は、二〇一一年度、二〇一二年度ともに一〇%減となっており、節電の取り組みがある程度定着したと考えられます。
 しかし、町には必要以上に明るい照明や自動販売機などが復活し、ことしは特に暑い夏でしたが、節電を呼びかけるマスコミ報道は見られず、喉元過ぎれば熱さを忘れるの格言のごとく、節電、省エネに取り組む意識が緩んだのではないかと心配です。
 電力不足対策のピークカットとともに、温暖化対策を推進するために、電力消費量全体を減らす必要があります。無理なく省エネできる技術も進展しており、節電、省エネの取り組みをさらに進めていかなければなりません。
 そのためには、都が節電、省エネのノウハウやすぐれた事例を提供するなど、都民、事業者の節電、省エネの取り組みを促していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 ことし九月、国交省は、劣悪な脱法ハウスについて、建築基準法違反である旨、通知を出しました。しかし、この通知によって、安価で良質なシェアハウスまでも空き家活用の支障になることが強く危惧されています。
 高齢者のグループリビングや多世代のホームシェアなど、家族以外の人が集まり、助け合って暮らす新しい住まい方が広がり、注目されています。空き家になった広い家やアパートをこうした住まいに活用することも積極的に進める必要があると考えます。低所得者の住まい確保の観点からも、空き家の活用が期待されており、今後シェアして暮らすことはますます重要になります。
 空き家活用型のシェアハウス、グループリビングなどを進めるために、地域の実情に即した取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 レストランなどで、メニューの誤表示などが次々に明らかになりました。事業者の責任は重大ですが、消費者のブランド志向も誤表示の一因ではないかと思います。消費者行政は、景品表示法に基づくガイドラインを早期に策定し、表示の適正化に向け、体制を強化する方針と報じられています。
 一方、スーパーマーケットなどで販売されている流通食品の表示については、添加物は食品衛生法、原産国はJAS法、栄養は健康増進法とさまざまな法律があり、ことし六月、これら三法を一元化した食品表示法が公布されたものの、施行に向けて基準は二年以内に定めるとされています。
 また、遺伝子組みかえ食品表示や加工食品の原料原産地表示の拡大、外食、中食の表示などは、食品表示法における今後の検討課題とされており、いまだ詳細は明らかにされていません。TPPによる表示への影響も危惧されます。
 食品表示は、商品選択のための原産地表示や安全確認のためのアレルギー表示など、消費者にとって必要な情報を正しく提供することが何よりも大切です。
 こうしたことを踏まえ、都は、流通食品の適正表示の推進に向け、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 最後に、高次脳機能障害者の支援について伺います。
 高次脳機能障害者は、集中的な入院によるリハビリテーションを終了し、退院した後、改めて本人も家族も生活の困難さに直面するという声を聞いています。
 在宅生活の安定を図り、社会参加を促していくためには、障害者手帳の有無にかかわらず、長期的、継続的なリハビリテーションを十分に行うことが必要と考えます。
 こうした状況を踏まえ、都では、二〇一〇年度から、高次脳機能障害者に対応したリハビリテーションの普及モデル事業を実施し、地域における高次脳機能障害者に対する支援体制の充実を目指していくとしていましたが、現在の取り組みについて伺います。
 また、高次脳機能障害者には若い人や子育て中の人もおり、復職あるいは就労への意欲は大変強く、一歩一歩懸命に時間をかけて求職活動に入る前の準備をしています。
 そこで、高次脳機能障害者の就労支援など、社会参加への支援についてどのように取り組むのか、所見をお伺いします。
 なお、障害者手帳の有無にかかわらず、退院後、在宅生活に移行する前に、入所による機能訓練や生活訓練を望む声があります。今後、地域で在宅支援を始める際の不安を軽減するような取り組みを進めていただくよう要望し、都議会生活者ネットワークの質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 山内れい子議員の一般質問にお答えします。
 都民の信頼の回復、都民への説明責任についてでありますが、まず、今回の借入金の問題について、都民の皆様、都議会の皆様に多大なご迷惑をおかけしたことについて、深くおわび申し上げます。また、その借入金を資産等報告書に記載せず、後日訂正をしましたことについてもまことに申しわけありませんでした。
 これまでも、記者会見や所信表明、また、昨日の代表質問の場で繰り返し説明申し上げてきましたが、五千万円を個人として借りる際に、徳田毅氏の前でサインをして、借用証を徳田毅氏に預け、返済しましたので、借用証は返ってきた。そして、先日、その借用証を公表したと。自分にとっては、このプロセスは明快なものなのであり、説明してきたつもりなのですが、まだまだご理解いただけているとは思っているわけではありません。できる限り、説明させていただきたいと考えております。
 都民のため、国民のため、とにかく一生懸命仕事をしていきたいと思っております。それが、都民の皆様への信頼回復に向けた最も近道であると考えております。粉骨砕身働くことで示していきたいので、よろしくお願い申し上げます。
 その他の質問は、東京都技監、関係局長が答弁いたします。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、神宮外苑地区のまちづくりについてでございますが、国家プロジェクトである新国立競技場の計画が具体化したことを受け、都は、本年六月、神宮外苑地区一帯について地区計画を決定いたしました。
 この計画では、まちづくりの目標として、外苑の良好な風致と調和したスポーツ施設等の集積を図るとともに、イチョウ並木から絵画館を望む歴史的景観を保全し、緑豊かでにぎわいある都市空間を創出することとしております。
 さらに、この目標に即して、競技場の敷地などを対象に地区整備計画を定めており、緑地や広場を拡充し、風致の維持向上を図ることとしております。
 今後とも、関係権利者等と連携し、風格と活力を兼ね備えた世界に誇れるスポーツ、文化の拠点形成に取り組んでまいります。
 次に、空き家を活用したグループリビングなど、地域の実情に即した取り組みについてでございますが、空き家活用などにより、地域の高齢者など、住宅の確保に配慮が必要な方々に対してそれぞれの地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うためには、基礎的自治体である区市町村が中心となり関係団体やNPOなどと連携して取り組むことが重要でございます。
 そのためには、区市町村が居住支援協議会を設置して主体的に活動することが効果的であり、都として、区市町村における居住支援協議会の設置を促すこととしております。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 節電、省エネの推進についてでございますが、都はこれまで、キャップ・アンド・トレード制度等の着実な運用や、事業者のすぐれた取り組み事例の発信、家庭向けの省エネパンフレットでの広報などを通じて、都民、事業者の節電、省エネの取り組みを推進してまいりました。
 こうした取り組みにより、例えば家庭では室内温度の設定見直しが浸透し、また、都内の大規模商業施設においては、平成二十三年度に導入された照明器具の九割以上がLED照明になるなど、無理なく賢い節電の取り組みは着実に進んできております。
 今後も、冬の暖房時の省エネ手法など、時期に合わせた情報発信を行うとともに、高効率機器の導入によるすぐれた省エネ技術の活用や、設備の最適運転などの運用対策を促し、都民、事業者の節電、省エネの取り組みを一層推進してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、流通食品の適正表示の推進についてですが、食品表示は、品質や健康被害の防止等に関する情報を消費者に提供するという重要な役割を果たしております。
 都は、事業者向け講習会を毎年開催し、これまでに適正表示を推進する人材を約五千人育成するとともに、調理冷凍食品の原料原産地表示を独自に義務づけているところでございます。
 また、食品表示対策を監視指導計画の重点事業に位置づけ、健康安全研究センターの専門監視班や保健所等が年間約二十一万件の立入検査を実施しております。
 さらに、国に対しては、食品表示法の施行に向け、食品の表示が消費者や事業者にとってわかりやすい内容となるよう提案要求をしております。
 今後とも、国の動向を注視しつつ、食品の適正表示に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、高次脳機能障害者支援の取り組みについてですが、都は、地域において、高次脳機能障害者に対応したリハビリテーションを提供できる体制を整備するため、平成二十二年度から二つの二次保健医療圏でモデル事業を開始し、昨年度から本格実施いたしました。
 この事業では、高次脳機能障害者のリハビリテーションを担う中核病院を圏域ごとに定め、その病院の専門スタッフが、区市町村や地域の医療、福祉等の関係機関に対して技術的助言を行うほか、医療と福祉の連携強化のための圏域連絡会や症例検討会などを行っております。
 現在、取り組みは六圏域まで拡大しており、今後とも地域における支援体制の充実に向けて取り組んでまいります。
 最後に、高次脳機能障害者への支援についてですが、高次脳機能障害者は、障害特性や改革の程度により、状態が一人一人異なるため、本人や家族が置かれている状況とニーズを適切に把握し、支援する必要がございます。
 そのため、都は、心身障害者福祉センターを高次脳機能障害者の支援拠点として、専門的な相談支援や支援手法の研修を実施するほか、地域の支援機関からの依頼に基づき、個々の特性に応じて就労準備やサービス利用につなげる評価プログラムを実施しております。
 プログラムでは、パソコン入力の作業やスケジュール管理等の訓練を通じて、利用者の作業能力等の評価を行うほか、就労希望者には職業能力の評価等を行っており、今後ともこうした取り組みにより、高次脳機能障害者の就労支援など、社会参加への支援に取り組んでまいります。

〇副議長(藤井一君) 九番石川良一君。
   〔九番石川良一君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇九番(石川良一君) 日本維新の会東京都議団を代表いたしまして、まず、猪瀬知事の借入金問題について伺います。
 猪瀬当時東京都副知事は、昨年十一月六日に徳洲会系列の湘南鎌倉総合病院に出向き、徳洲会グループ創設者の徳田虎雄氏と面会し、徳田毅衆議院議員を紹介されました。そして、副知事辞任前の二十日に、単身で衆議院議員会館の徳田毅議員事務所を訪ね、借用証への署名を求められ、名目を告げることなく、無利子、無担保、無期限で五千万円を借り入れたというものであります。
 知事選挙において、企業・団体献金が禁止されていることは、選挙に出ようとする者にとっては常識のはずであります。しかも、五千万円の借り入れは、毅議員からの個人的な借り入れであることを強調していますが、毅氏とそれまで会ったこともなく、ましてや友人でも知人でもないことからして、徳洲会という団体からの借り入れであることは否定することができません。
 自治体の代表は強い職務権限を持っており、行政と利害関係のある企業、団体との関係は、要らぬ疑念を持たれることのないよう、その行動には慎重にも慎重を期す必要があります。しかしながら、今回はどう見ても、徳洲会からの借入金とするのが当然で、まさにグレーゾーンに足を踏み込んだことになり、都民の期待や信頼に背くものといわざるを得ません。
 このような、都と利害関係を有する者から、都の一般職の職員が借り入れをしたことによって、職員服務規程違反で懲戒免職になった事例があることが明らかになりました。特別職の猪瀬副知事といえども、今回のこのような借り入れは、服務紀律違反となり、懲戒免職に当たる免官となることは明らかであります。
 一般職の職員が懲戒免職処分の場合は、退職金は没収されます。まず、職員を統括すべき知事の立場として道義的に、副知事の二期目の退職時に受け取った十八カ月分、一千二十六万円の退職金を供託して、知事退職時に返納する決意をすべきと考えますが、その気持ちがおありでしょうか、お伺いいたします。
 そして、今回の質疑でも明らかになった、郵送された借入証の封筒は保管されていますか。されていれば、ぜひ提出をしていただきたいと思います。いかがですか、お伺いいたします。
 都民は、政治と金の問題にうんざりしており、政治畑出身でなく、作家として鋭く政治問題にも切り込んできた、クリーンで改革派の猪瀬氏ゆえに四百三十四万票を投じたといっても過言ではないかと思います。しかしながら、資産報告については、完全に条例に違反をしていることも改めて指摘をしておかなければなりません。
 これらの不始末にどのような責任をとるのか伺うものであります。
 多摩振興について伺います。
 多摩地域は、東京都の中でも真っ先に人口減少と超高齢社会の到来、そして自治体の財政難という大きな日本社会に押し寄せる波にさらされなければならない立場に置かれています。そのような状況の中で、いかに各自治体がその持てる特性を生かし、活力があり、住みやすい町をつくっていくのかという極めて困難な課題に挑戦をしなければならないわけであります。
 本年三月に出された新たな多摩のビジョンは、多摩地域は最先端産業や数多くの大学研究機関を集積し、日本の心臓である東京の発展を担う重要な地域であるとしています。そして、右肩上がりの成長、拡大から、活力ある都市の成熟、持続へと発想転換を図っていくとしております。
 一方で、東京は、東京都全体の新たな長期ビジョンを十二月末までに策定することを明らかにしました。
 今後の多摩地域の振興を図る上で、新たな多摩のビジョンを踏まえた上で長期ビジョンとの整合性を図りながら具体的な取り組みを推進していくことが重要であると考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。
 また、本年九月に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が正式に決定しました。多摩地域でもサッカー、近代五種、自転車ロードレースが行われます。今後、都が展開をする多摩振興策においても、オリンピックを有効に活用して、地域の活性化につなげる視点を持つことが重要であると考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、新たな長期ビジョンは十二月末までに作成するとのことでありますが、鈴木知事のマイタウン東京も、青島知事の生活都市東京構想も、石原知事の東京構想二〇〇〇も、都民、そして都議会の意見も含め、衆知を集め、策定されたと認識をしております。また、市町村の長期計画策定には二年から三年かけるのが普通であります。
 今都議会は、都知事自身の選挙の出馬にかかわる借入金問題に時間と労力をとられています。新たな長期ビジョンを十二月いっぱいまでに完成させるというような拙速を避け、もっと時間をかけ、都議会の意見を聞く機会を設け、衆知を結集して策定されることを強く望むものであります。
 以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 石川良一議員の一般質問にお答えします。
 副知事時代の退職金を返納し、責任を果たすべきとのお尋ねでありますが、今回の私の行動が、都政にさまざまな迷惑をかけていることは承知しており、その責任も感じているところであります。副知事退職金の返納については、ご意見として受けとめさせていただきます。
 借用証が送られてきた際の封筒についてでありますが、その封筒は保管していません。 私の事務所には、毎日大量の郵便物を含む書類が届きます。封筒は特に保管していませんので、事務所のスタッフにより処分されたと聞いています。
 みずからの責任についてでありますが、今回の問題について、都民、国民の皆様、都議会の皆様に多大なるご迷惑をおかけしたということ、その混乱を招く一因をつくった自分自身の至らなさを心から反省しております。改めておわび申し上げます。
 また、借入金を資産等報告書に記載していなかったことは、私の不徳のいたすところであります。先日、訂正を済ませました。大いに反省しています。
 都政には、一日もおくれてはならないことが山積みされております。都議会の皆様と車の両輪となって、一生懸命、仕事をしていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 なお、その他の質問は、総務局長が答弁いたします。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の多摩地域の振興についてでございますが、都は、将来の人口減少など、多摩地域を取り巻く状況の変化を踏まえ、本年三月に新たな多摩のビジョンを策定いたしましたが、今後は本ビジョンの具現化に向けた取り組みを推進していく必要がございます。
 このため、少子高齢化対策や産業力の強化、スポーツ振興など幅広い分野にわたり、都の施策に加え、市町村、民間等の取り組みも盛り込んだ新たな多摩のビジョン行動戦略を、現在策定中の長期ビジョンとの整合も図りながら、今年度内に取りまとめる予定です。
 今後、この行動戦略に基づき、多様な主体の力を結集して、魅力と活力にあふれた多摩地域の実現を目指してまいります。
 次に、オリンピック・パラリンピックを活用した多摩地域の活性化についてでございます。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催は、東京のさらなる飛躍につながる大きな契機であり、開催の効果を多摩地域も含めた都内全域に広く波及させることが重要です。
 このため、二〇二〇年の東京開催を多摩地域をPRするまたとない機会として捉え、豊かな自然や歴史文化、各地の特産品など、多摩の有する多様な魅力を市町村等とも連携を図りながら、広く発信してまいります。
 今後、オリンピック・パラリンピックの開催を見据えて多様な主体と連携し、多摩地域の活性化につながる取り組みを推進してまいります。

〇議長(吉野利明君) 以上をもって質問は終わりました。

〇議長(吉野利明君) これより日程に入ります。
 日程第一から第四十八まで、第百八十一号議案、東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例外議案四十七件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事安藤立美君。
   〔副知事安藤立美君登壇〕

〇副知事(安藤立美君) ただいま上程になりました四十八議案についてご説明を申し上げます。
 初めに、第百八十一号議案から第百九十八号議案までの十三議案は条例案で、一部を改正する条例が十一議案、廃止する条例が二議案ございます。
 第百八十一号議案、東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例は、交通安全対策基本法の一部改正に伴い、会議の委員に関する規定を改めるものでございます。
 第百八十三号議案、職員の結核休養に関する条例を廃止する条例外一件は、職員の結核休養制度を廃止するものでございます。
 第百八十七号議案、東京都組織条例の一部を改正する条例は、東京オリンピック・パラリンピック大会に向けた準備体制の強化と、都のスポーツ行政の推進を図るため、組織改正を行うものでございます。
 第百八十八号議案、旅券法関係手数料条例の一部を改正する条例は、旅券法の一部改正に伴い、一般旅券の記載事項の訂正制度が廃止され、記載事項変更旅券制度が導入されるため、規定を整備するものでございます。
 第百八十九号議案、東京都計量検定所設置条例の一部を改正する条例は、計量検定所の移転に関するものでございます。
 第百九十一号議案、東京都駐車場条例の一部を改正する条例は、駐車場需要の実態を踏まえ、建築物の駐車場附置義務基準を緩和するなど、規定を整備するものでございます。
 第百九十二号議案、東京都港湾管理条例の一部を改正する条例は、都の港湾施設の特例港湾運営会社への貸し付けが可能となったことなどに伴い、規定を整備するものでございます。
 第百九十三号議案、東京都電車条例の一部を改正する条例外四件は、消費税率及び地方消費税率の改定に伴い、旅客運賃等の改定を行うため、規定を整備するものでございます。
 第百九十九号議案から第二百十五号議案までの十七議案は契約案でございます。
 第百九十九号議案、武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十五)メインアリーナ棟新築工事(その二)請負契約など、契約金額の総額は、約七百二十九億三千万円でございます。
 第二百十六号議案から二百三十三号議案までの十八議案は、事件案でございます。
 第二百十六号議案は、八王子市が総務大臣に対して中核市の指定の申し出を行うことについて同意するものでございます。
 第二百十七号議案は、都が損害賠償請求の訴えを提起するもの、第二百十八号議案は、都に対する土地明け渡し請求事件について原告と和解するものでございます。
 第二百十九号議案は、当せん金つき証票、いわゆる宝くじの平成二十六年度の発売限度額を定めるものでございます。
 第二百二十号議案の駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定を初めとする十二件は、指定管理者の指定に関するものでございます。
 第二百三十号議案は、公園用地を買い入れるもの、第二百三十一号議案は、首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の事業計画変更について同意するものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
(議案の部参照)

〇議長(吉野利明君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

〇議事部長(別宮浩志君) 人事委員会の回答は、第百八十三号議案について異議はないとの意見であります。
二五人委任第一〇三号
平成二十五年十一月二十八日
東京都人事委員会委員長 関谷 保夫
 東京都議会議長 吉野 利明殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十五年十一月二十二日付二五議事第二七九号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百八十三号議案
  職員の結核休養に関する条例を廃止する条例
   意見
異議ありません。

〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第四十八までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第四十八までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

〇議長(吉野利明君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願三十四件及び陳情三十四件は、お手元に配布の請願陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
 明七日から十二日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、明七日から十二日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月十三日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時五十四分散会

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