一番 | 小林 健二君 |
二番 | 加藤 雅之君 |
三番 | かんの弘一君 |
四番 | 山内 晃君 |
五番 | 栗山よしじ君 |
六番 | 小松 大祐君 |
七番 | 松田やすまさ君 |
八番 | 大津ひろ子君 |
九番 | 石川 良一君 |
十番 | みやせ英治君 |
十一番 | おときた駿君 |
十二番 | 小松 久子君 |
十三番 | 西沢けいた君 |
十四番 | 米倉 春奈君 |
十五番 | 白石たみお君 |
十六番 | 斉藤やすひろ君 |
十七番 | 栗林のり子君 |
十八番 | まつば多美子君 |
十九番 | 伊藤こういち君 |
二十番 | 河野ゆうき君 |
二十一番 | 柴崎 幹男君 |
二十二番 | ほっち易隆君 |
二十三番 | 舟坂ちかお君 |
二十四番 | 清水 孝治君 |
二十五番 | 島崎 義司君 |
二十六番 | 神野 次郎君 |
二十七番 | やながせ裕文君 |
二十八番 | 田中 朝子君 |
二十九番 | 塩村あやか君 |
三十番 | 山内れい子君 |
三十一番 | 中山ひろゆき君 |
三十二番 | 田中 健君 |
三十三番 | 里吉 ゆみ君 |
三十四番 | 和泉なおみ君 |
三十五番 | 尾崎あや子君 |
三十六番 | 大松あきら君 |
三十七番 | 吉倉 正美君 |
三十八番 | 遠藤 守君 |
三十九番 | 中山 信行君 |
四十番 | 木村 基成君 |
四十一番 | 北久保眞道君 |
四十二番 | 高椙 健一君 |
四十三番 | 栗山 欽行君 |
四十四番 | 大場やすのぶ君 |
四十五番 | 和泉 武彦君 |
四十六番 | 小宮あんり君 |
四十七番 | 三宅 正彦君 |
四十八番 | 吉住 健一君 |
四十九番 | 桜井 浩之君 |
五十番 | 野上ゆきえ君 |
五十一番 | 上田 令子君 |
五十二番 | 西崎 光子君 |
五十三番 | 小山くにひこ君 |
五十四番 | あさの克彦君 |
五十五番 | 新井ともはる君 |
五十六番 | 徳留 道信君 |
五十七番 | 河野ゆりえ君 |
五十八番 | 小竹ひろ子君 |
五十九番 | 上野 和彦君 |
六十番 | 高倉 良生君 |
六十一番 | 橘 正剛君 |
六十二番 | 野上 純子君 |
六十三番 | 谷村 孝彦君 |
六十四番 | 山崎 一輝君 |
六十五番 | 崎山 知尚君 |
六十六番 | 川松真一朗君 |
六十七番 | 近藤 充君 |
六十八番 | 堀 宏道君 |
六十九番 | 鈴木 錦治君 |
七十番 | きたしろ勝彦君 |
七十一番 | 田中たけし君 |
七十二番 | 鈴木 隆道君 |
七十三番 | 神林 茂君 |
七十四番 | 早坂 義弘君 |
七十五番 | 両角みのる君 |
七十六番 | 島田 幸成君 |
七十七番 | 今村 るか君 |
七十八番 | 斉藤あつし君 |
七十九番 | 大西さとる君 |
八十番 | 畔上三和子君 |
八十一番 | 大島よしえ君 |
八十二番 | 松村 友昭君 |
八十三番 | 東村 邦浩君 |
八十四番 | 小磯 善彦君 |
八十五番 | 鈴木貫太郎君 |
八十六番 | 木内 良明君 |
八十七番 | 高木 けい君 |
八十八番 | 村上 英子君 |
八十九番 | 高橋 信博君 |
九十番 | 鈴木 章浩君 |
九十一番 | 秋田 一郎君 |
九十二番 | 鈴木あきまさ君 |
九十三番 | 山加 朱美君 |
九十四番 | 高橋かずみ君 |
九十五番 | 相川 博君 |
九十六番 | 山田 忠昭君 |
九十七番 | 林田 武君 |
九十八番 | 服部ゆくお君 |
九十九番 | こいそ 明君 |
百番 | 中村ひろし君 |
百一番 | 尾崎 大介君 |
百二番 | 石毛しげる君 |
百三番 | 植木こうじ君 |
百四番 | かち佳代子君 |
百五番 | 曽根はじめ君 |
百六番 | 藤井 一君 |
百七番 | 長橋 桂一君 |
百八番 | 中嶋 義雄君 |
百九番 | ともとし春久君 |
百十番 | 田島 和明君 |
百十一番 | 中屋 文孝君 |
百十二番 | 宇田川聡史君 |
百十三番 | 吉原 修君 |
百十四番 | 高島なおき君 |
百十五番 | 古賀 俊昭君 |
百十六番 | 立石 晴康君 |
百十七番 | 野島 善司君 |
百十八番 | 三宅 茂樹君 |
百十九番 | 川井しげお君 |
百二十番 | 吉野 利明君 |
百二十一番 | 野村 有信君 |
百二十二番 | 内田 茂君 |
百二十三番 | 酒井 大史君 |
百二十四番 | 山下 太郎君 |
百二十五番 | 清水ひで子君 |
百二十六番 | 大山とも子君 |
百二十七番 | 吉田 信夫君 |
欠席議員 なし
出席説明員知事 | 猪瀬 直樹君 |
副知事 | 安藤 立美君 |
副知事 | 秋山 俊行君 |
副知事 | 前田 信弘君 |
教育長 | 比留間英人君 |
東京都技監都市整備局長兼務 | 藤井 寛行君 |
知事本局長 | 中村 靖君 |
総務局長 | 中西 充君 |
財務局長 | 中井 敬三君 |
主税局長 | 影山 竹夫君 |
警視総監 | 西村 泰彦君 |
生活文化局長 | 小林 清君 |
スポーツ振興局長 | 細井 優君 |
環境局長 | 長谷川 明君 |
福祉保健局長 | 川澄 俊文君 |
産業労働局長 | 塚田 祐次君 |
建設局長 | 横溝 良一君 |
港湾局長 | 多羅尾光睦君 |
会計管理局長 | 松田 芳和君 |
交通局長 | 新田 洋平君 |
消防総監 | 大江 秀敏君 |
水道局長 | 吉田 永君 |
下水道局長 | 松浦 將行君 |
青少年・治安対策本部長 | 河合 潔君 |
病院経営本部長 | 醍醐 勇司君 |
中央卸売市場長 | 塚本 直之君 |
選挙管理委員会事務局長 | 森 祐二郎君 |
人事委員会事務局長 | 真田 正義君 |
労働委員会事務局長 | 岳野 尚代君 |
監査事務局長 | 松井多美雄君 |
収用委員会事務局長 | 目黒 克昭君 |
十二月五日議事日程第二号
第一 第百八十一号議案
東京都交通安全対策会議条例の一部を改正する条例
第二 第百八十三号議案
職員の結核休養に関する条例を廃止する条例
第三 第百八十七号議案
東京都組織条例の一部を改正する条例
第四 第百八十八号議案
旅券法関係手数料条例の一部を改正する条例
第五 第百八十九号議案
東京都計量検定所設置条例の一部を改正する条例
第六 第百九十一号議案
東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第七 第百九十二号議案
東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
第八 第百九十三号議案
東京都電車条例の一部を改正する条例
第九 第百九十四号議案
東京都乗合自動車条例の一部を改正する条例
第十 第百九十五号議案
東京都貸切自動車条例の一部を改正する条例
第十一 第百九十六号議案
東京都地下高速電車条例の一部を改正する条例
第十二 第百九十七号議案
東京都日暮里・舎人ライナー条例の一部を改正する条例
第十三 第百九十八号議案
東京都公営企業職員の結核休養に関する条例を廃止する条例
第十四 第百九十九号議案
武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十五)メインアリーナ棟新築工事(その二)請負契約
第十五 第二百号議案
武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)(二十五)サブアリーナ・プール棟新築工事(その二)請負契約
第十六 第二百一号議案
都庁第一本庁舎(二十五)改修工事請負契約
第十七 第二百二号議案
都庁第二本庁舎(二十五)改修工事請負契約
第十八 第二百三号議案
都立横網町公園(二十五)慰霊堂・慰霊塔耐震補強工事請負契約
第十九 第二百四号議案
都営住宅二十四CH―一〇三東(葛飾区東新小岩一丁目・建設局施設)工事その二請負契約
第二十 第二百五号議案
東京消防庁江東航空センター庁舎(二十五)新築工事(その二)請負契約
第二十一 第二百六号議案
東京文化会館(二十五)改修工事請負契約
第二十二 第二百七号議案
都庁第一本庁舎(二十五)電気設備改修工事請負契約
第二十三 第二百八号議案
都庁第二本庁舎(二十五)電気設備改修工事請負契約
第二十四 第二百九号議案
都庁第一本庁舎(二十五)給水衛生設備改修工事請負契約
第二十五 第二百十号議案
都庁第二本庁舎(二十五)給水衛生設備改修工事請負契約
第二十六 第二百十一号議案
都庁第一本庁舎(二十五)空調設備改修工事請負契約
第二十七 第二百十二号議案
都庁第二本庁舎(二十五)空調設備改修工事請負契約
第二十八 第二百十三号議案
都立産業貿易センター台東館(二十五)改修空調設備工事請負契約
第二十九 第二百十四号議案
東京文化会館(二十五)空調その他設備改修工事請負契約
第三十 第二百十五号議案
平成二十五年度十号地その二多目的内貿岸壁(-(マイナス)八・五m)桟橋整備工事(その二)請負契約
第三十一 第二百十六号議案
総務大臣に対する中核市の指定の申出に係る同意について
第三十二 第二百十七号議案
清掃工場建設工事に係る損害賠償請求に関する民事訴訟の提起について
第三十三 第二百十八号議案
東京都立学校の敷地に係る土地明渡請求事件に関する和解について
第三十四 第二百十九号議案
当せん金付証票の発売について
第三十五 第二百二十号議案
駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第三十六 第二百二十一号議案
東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
第三十七 第二百二十二号議案
東京都練馬障害者支援ホームの指定管理者の指定について
第三十八 第二百二十三号議案
東京都江東通勤寮の指定管理者の指定について
第三十九 第二百二十四号議案
東京都大田通勤寮の指定管理者の指定について
第四十 第二百二十五号議案
東京都葛飾通勤寮の指定管理者の指定について
第四十一 第二百二十六号議案
東京都豊島通勤寮の指定管理者の指定について
第四十二 第二百二十七号議案
東京都立川通勤寮の指定管理者の指定について
第四十三 第二百二十八号議案
東京都町田通勤寮の指定管理者の指定について
第四十四 第二百二十九号議案
東京都立産業貿易センターの指定管理者の指定について
第四十五 第二百三十号議案
土地の買入れについて
第四十六 第二百三十一号議案
首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第四十七 第二百三十二号議案
東京都立駒沢オリンピック公園の指定管理者の指定について
第四十八 第二百三十三号議案
東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
議事日程第二号追加の一
第一 常任委員の所属変更
午後一時開議
〇議長(吉野利明君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(吉野利明君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(吉野利明君) 次に、日程の追加について申し上げます。
常任委員の所属変更の件を本日の日程に追加いたします。
〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。
〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。
〇議長(吉野利明君) 追加日程第一、常任委員の所属変更の件を議題といたします。
去る十二月二日付をもって、お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ常任委員の所属変更の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件は、申し出のとおり委員の所属を変更することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、申し出のとおり委員会の所属を変更することに決定いたしました。
〔常任委員所属変更名簿は本号末尾(一三六ページ)に掲載〕
〇議長(吉野利明君) これより質問に入ります。
百十二番宇田川聡史君。
〔百十二番宇田川聡史君登壇〕
〇百十二番(宇田川聡史君) 第四回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
初めに、先般の台風二十六号によりお亡くなりになられた多くの方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
とりわけ大島では、かつてない激しさで降り注いだ大雨により大規模な土石流が発生し、甚大な被害が生じました。
我が都議会自民党は、発災後直ちに現地を訪れ、地元の要求を確認した上で、都に対して、人命救助に最大限努めること、医療体制の充実や産業の早期復興に向けた資金繰りの確保など、大島町の皆様が安心な生活を取り戻せるよう、都を挙げて万全な対処を行うことを緊急に要望しました。
都は、大島町消防団を初め、自衛隊、警察、消防などと連携し、懸命の救出救助活動を行うとともに、直後に襲来した台風二十七号への備えや被災者への対応に精力的に取り組みました。
また、我が党の要望に応え、生活再建支援金や被災中小企業に対する金融支援策を打ち出し、その後も激甚災害の指定にあわせ、国との緊密な連携のもと、支援策の拡充を迅速に実現してきたことは評価をいたします。
一方で、いまだ大島町の状況は深刻です。三十五名のとうとい命が失われ、なお四名の方が行方不明となっております。山間部についても、今回の土石流により多くの林道が寸断され、今後も大雨などによる崩壊が懸念をされています。被災された方々の中には、住宅再建の見通しも立たず仮住まいをされている皆様や、事業の再開にめどが立たない皆様もおり、島全体の経済への影響もはかり知れません。
こうした現状を直視した上で、かつて三宅島の火山災害において特別交付金制度を創設したように、さまざまな取り組みを強力に、そして継続的に展開していく必要があります。
大島の一日も早い復旧、復興に向けて、関係各局が緊密に連携し、都の総力を挙げた取り組みが必要であると考えますが、都の見解を伺います。
今回の災害により多くの犠牲者が出てしまったことは痛恨のきわみです。都は、発災直後からさまざまな対策を着実に実施してまいりましたが、地元との連携において幾つかの課題が浮き彫りとなったのもまた事実であります。
我が党では、従来から、休日、夜間でも災害に対する安全・安心を確保することの重要性を主張してまいりました。今回の土砂災害も深夜に発生をしましたが、時間帯を問わず、さまざまな災害に対処するための体制の構築が必要です。
一方、気候変動の状況も踏まえると、過去の災害に学ぶだけでは、もはや十分とはいえません。国では、避難勧告等に関するガイドラインの見直しを進めているようですが、都においても、こうした動きも踏まえながら、今回の対応で得られた教訓をもとに、発災時の情報伝達や救出救助体制、国や町との連携など、改めて危機管理体制を見直していくべきと考えますが、見解を伺います。
去る十一月一日、新たな長期ビジョンの策定に向けた論点整理が公表をされました。
我が党は、都民の皆様に約束した政策集の実現に向け、既に議論をスタートさせております。今回の論点整理も検討に加え、骨太の政策を練り上げ、新たな長期ビジョンに反映させるべく、近々にも執行機関に提言をしてまいります。執行機関には、我が党の今定例会での質問を真摯に受けとめ、さらに、我々の提言を十二分に踏まえて長期ビジョンの策定に当たられるよう求めておきます。
論点整理では、今後の人口減少の姿が示されました。しかし、我々が厳に戒めなければならないことは、将来をいたずらに悲観し、縮小のスパイラルに陥ることであります。必要なことは、日本の可能性、潜在力を見詰め直しながら経済の活力を維持し、若者には希望を与え、誰もが安全で安心できる社会を築いていくことが政治と行政の役割である、このことは論をまちません。我が党は責任政党として、これに全力で当たってまいります。
そうした中、人口が減少するからインフラ整備を縮小させよとの議論があります。これは余りに短絡的といわざるを得ません。激しい国際競争を勝ち抜き、都民生活の利便性を一段と高め、都民の暮らし、生命、財産を守るには、都市インフラの整備は不可欠であります。既存のインフラの更新も揺るぎなく進める必要があります。インフラの新設と更新をバランスよく続けながら、都市としての機能を維持し向上させることで、観光客の誘致や産業振興が進み、福祉の拡充や教育の充実が加速することで東京の魅力は一段と高まってまいります。
先人たちの皆様が血のにじむような努力を重ねてきてくれたそのおかげで、世界に誇れる都市へと成長をした東京、我々はこれを引き継ぎ、守り抜き、より成熟、発展をさせて次代へとつなげていく使命、責務を負っていると考えております。
今後の都政の羅針盤となるべき新たな長期ビジョンでは、オリンピック・パラリンピック開催と、その先の子や孫たちの将来をも見据えて、今やっておかなければならない取り組みに果敢に挑んでいかなければなりません。今後の都市インフラの整備について所見を伺います。
また、我が党は、政策集の一つに、魅力あふれる多摩・島しょをつくりますを掲げました。多摩・島しょの豊かな潜在力を引き出し、新たな発展を加速させることが重要だと認識をしております。
論点整理では、将来像を実現するための政策展開の方向性として、六本の政策の柱が示されていますが、多摩・島しょについても、ビジョンの政策の柱の一つに位置づけすべきくらいに重要であると考えております。今後、策定される長期ビジョンにおける多摩・島しょの政策展開について伺います。
次に、地方税制のあり方について伺います。
来年度税制改正の議論が山場を迎えておりますが、依然として法人事業税の暫定措置の存続や法人住民税の一部国税化など、地方分権に大きく逆行する案が取り沙汰されております。
こうした状況に対し、これまで我が党は、緊急都連会議を開催して断固反対の決議をし、総務大臣、財務大臣に決議書を提出するなど、全力で国に働きかけを行ってきておりますが、事態は予断を許さない状況であります。不合理な税制改正が行われれば、防災力強化や少子高齢化への対応等、喫緊の課題への対応がおくれるばかりか、オリンピック・パラリンピックの開催準備にも支障が出かねません。
また、地方分権の大義を忘れ、国への依存度が高まるこのような措置が強行されれば、地方にも明るい未来は決して来ません。税制改正の最終局面を迎えるに当たり、この不合理な税制改正の阻止に向け、どのように取り組んでいかれるのか見解を伺います。
東京が世界で一番の都市へと成長を遂げられるかは、都政を担う職員一人一人の力量にかかっています。職員が都政の質を高めることにより、直面する課題や想定外の事態にも対応できる確かな執行力が求められているのです。
これまで、都は厳しい行革努力を行ってきました。しかし、大量退職が進む中、職員数も減少し、技術職を中心にノウハウの継承が危ぶまれているとの声も聞こえてきます。必要な職員の数や質を確保できず、執行力を失って都政が停滞するようなことがあってはなりません。
人材育成は短時間でなし得ることではありません。オリンピック・パラリンピック開催のみならず、その先も見据えて新たな長期ビジョンを実現していくためには、必要なマンパワーを今からしっかりと確保していくことが強く求められており、職員数を削減してきたこれまでの流れを転換すべきときに来ているのではないでしょうか。
そこで、人材の確保や育成のあり方など人事政策の今後の方向性を見定めていくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、外国人技能実習制度の充実について伺います。
本制度は、我が国で開発され培われた、すぐれた技能、技術、知識を開発途上国等へ移転することを通じ、広く国際協力、国際貢献を目的とする制度であり、同時に、我が国産業の振興や発展にも大きく寄与しております。
今後、東日本大震災からの復興や老朽化したインフラの更新などにより公共事業等の増加が見込まれており、本制度を活用した外国人の技能習得、習熟の機会がふえることとなります。また、より高度な技能者の育成のニーズが高まっている中、より長期間の実習期間が必要となっております。
しかし、現行制度では、実習期間が最大でも三年で、再延長できないことに加え、帰国後の再入国も認められておらず、これらの情勢に十分に対応できていない状況にあります。
そこで、実習生がより高度な技能を身につけるための実習制度の導入など、技能実習の機会を最大限に活用できるよう、制度の充実を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、入札契約制度について伺います。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京開催は、全ての国民、都民の勝利であり、心から感謝を申し上げます。この世紀の祭典に当たって、参加するアスリートはもとより、国民、都民にとって、さらには世界各国から訪れる全ての人々にとって、我々は最高の舞台を準備しなければなりません。特に、主要な競技場は、その周辺も含め、工程的にも十分な余裕を持って整備を進めていくことが求められており、都の責務は非常に重大であります。
そのような施設整備に当たっては、民間の高い技術力を引き出しつつ、大胆な工期の短縮を図るなど、これまでに経験したことのない取り組みが必要であり、オリンピック・パラリンピック関連施設の工事発注等に向けた入札契約制度の運用や新たな手法が必要だと考えますが、所見を伺います。
また、オリンピック・パラリンピックの準備を待たずとも、都の公共工事を取り巻く環境は、この間大きく変化をしております。安倍政権が誕生して以来、アベノミクス効果によって日本経済は再生の軌道に乗り、これまで我々都議会自民党からの提言により、都が進めてきた入札契約制度改革の成果もあって、いっときのような低価格による過度な価格競争は減少してきました。
一方で、都が発注する工事においても、工事費の先高感や、技術者、技能者の不足等の理由による不調が増加するなど新たな課題が発生しております。不調による工事契約のおくれは、ひいては都民サービスの低下につながりかねません。
このような公共工事を取り巻く状況の変化に、都は的確に対応していくべきと考えますが、今後の入札契約制度における取り組みについて伺います。
工事だけではなく、業務委託における品質の確保もまた重要であります。委託は、日々の履行確認を適切に行うことで全うできるとの考えから、競争による経済性の発揮を主眼としてきたわけですが、社会経済状況の変化による価格競争の激化の中で、業務委託の一部には、サービスの質が低下しているとの指摘もあります。
質の高いサービス提供のために必要なことは、技術的にすぐれた事業者が、持てる実力を遺憾なく発揮できる環境をつくり上げることであります。品質確保のため、価格のみによらない入札契約制度のさらなる検討を行うべきと考えますが、所見を伺います。
とうとい人命を奪った東日本大震災の発生から二年八カ月の歳月が経過いたしました。大津波により被災した旧市役所庁舎や市街地に打ち上げられた大型漁船など、自然の猛威を伝える震災の遺構が次々と姿を消し、世間の関心が時間の経過とともに薄れていくことを懸念しております。震災の記憶を胸に刻みつつ、子孫を災害から救う手だてを着実に講じていくことは、震災の惨禍を知り、今を生きる我々の後世への責任でもあります。
都は、我が党の要望を踏まえ、発災直後から現地事務所を設置し、被災地の状況を見きわめながら、全国の先頭に立って、瓦れきの都内受け入れやインフラ再建を担う技術職員の派遣を初め、さまざまな復興支援に懸命に取り組んできました。
復興事業がピークを迎える中、都は引き続き、被災自治体のさまざまなニーズを踏まえ、復興をしっかりと後押ししていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
今なお、福島県では風評被害の影響があり、観光面からの復興を後押しするため、来年度も被災地応援ツアーを継続するとともに、被災地の子供たちに元気と希望を与えるアスリート派遣を引き続き実施するよう要望しておきます。
この臨時国会において、自由民主党が提案してきた国土強靱化基本法案、首都直下地震や南海トラフ地震に関する特別措置法案が成立し、防災対策の強化が日本全体で進められることになります。我々都議会自民党も安倍政権と手を携え、首都東京に強靱な防災体制を構築していく決意であります。
災害に強い安全な東京をつくるためには、インフラの整備に加え、住民の避難体制の整備といった対策も欠かせません。区部東部ゼロメートル地帯には百五十万人の都民が住んでおり、水害の危険性に常にさらされております。堤防の決壊などにより浸水被害に一旦見舞われた際には、地元自治体単独では対応し切れない大災害となる可能性が極めて高いと考えられます。
避難所や避難経路の確保、避難勧告など、主たる役割を果たすのは基礎的自治体である区市町村でありますが、ここ最近の異常気象を踏まえると、一自治体だけでは対応し切れないことも十分に想定されることから、行政区域を超えた避難体制を都が先導して構築していくことが求められております。
災害時に都民の命を守るため、都は広域的な避難体制の構築に向け、どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
次に、多摩地域における豪雨対策について伺います。
ことしの夏は極端な悪天候があり、過去に経験したことのない豪雨や台風により、全国各地で甚大な浸水被害に見舞われました。中小河川が多く、山間部を抱える多摩地域においては、都市化が進んだこと等により、被害の拡大につながるおそれがあります。
都では、昨年十一月に中小河川の新たな整備方針を策定し、多摩では、目標とする整備水準をこれまでの時間五十ミリから六十五ミリに引き上げました。また、土石流や崖崩れなどの土砂災害にハード対策、ソフト対策の両面から取り組んできています。多摩地域に住む都民の安全・安心を確保するためには、台風や局地的集中豪雨への対策を早期に進めることが極めて重要であります。
そこで、多摩地域における豪雨対策への取り組みについて見解を伺います。
本年第三回定例会の我が党の代表質問に対して、下水道局から、ことしの浸水被害の状況を踏まえ、局地的集中豪雨に対応する計画を年内に策定する旨の答弁がありました。
そこで、局地的集中豪雨に対応する下水道対策プランの取り組み方針について伺います。
東京を世界で一番の都市にするためには、大地震や集中豪雨等への備えを万全とし、都民の生命を守り、首都機能を堅持する取り組みを推進していく必要があります。道路は、交通、物流の確保や地域の安全・安心を支える重要な都市基盤であり、大規模災害時においても、その機能が十分に発揮されるよう、質、量ともに一層充実していくことが不可欠であります。
そこで、災害に対する道路の強靱化の取り組みについて伺います。
次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
都による全国初となる耐震化推進条例の施行後、耐震診断を行う建築物が大幅にふえ、対象約五千棟のうち、既に七割を超える建築物が診断に着手したと聞いております。特定沿道建築物は、そのうちの一棟が倒壊しただけでも道路を閉塞し、緊急輸送道路の機能を失わせ、広範囲に大きな影響を与えることから、早急に耐震化を進めていくことが重要です。
そのため、残る三割の建築物についても、耐震化に向けた第一歩である耐震診断を着実に実施してもらうよう、これまでにも増して積極的な対策が必要と考えますが、都の見解を伺います。
診断の進捗状況を踏まえれば、今後、多くの建物所有者が耐震改修の実施を検討していくことが想定されますが、その際の工事費用の捻出が高いハードルとなります。
このたび、国は耐震改修促進法を改正し、都と同様に耐震診断の義務化を行い、これにあわせて改修工事などへの助成制度を拡充いたしました。国がようやく都の施策に追いつき、都の取り組みが全国的に拡大することになったといえるのではないでしょうか。
加えて、耐震改修に関する相談へのきめ細かな対応もこれまで以上に重要となっています。改修の実施に向けた動きが本格化していく中、耐震化推進の先駆けである都としても、建物所有者への耐震改修に向けたさらなる支援策を講じていくべきと考えますが、見解を伺います。
先月、COP19が開催されました。台風三十号によって甚大な被害を受けたフィリピン代表団の悲痛な演説により、私たちは気候変動の危機が目の前にあることを改めて突きつけられました。もはや異常気象が常態化しつつあるといっても過言ではなく、気候変動対策は待ったなしであります。
東京のエネルギー消費量は北欧諸国の一国分に相当し、この規模に見合った責任を果たさなければなりません。加えて、東京は電力の大部分を他県に依存しており、地域のさまざまな課題を乗り越えた上で東京へと電力を供給し続けてくれた、このことを我々は決して忘れてはなりません。
その上で、今、我々がなすべきことは、省エネ対策、気候変動対策を一層力強く講じていくことであります。都の基本認識を伺います。
東電の原発事故以降、日本の電力環境は一変しています。さらに、本年九月、IPCCが六年ぶりに報告書を公表しましたが、温暖化には歯どめがかかっていないとの指摘でありました。
こうした中で、都の水道事業は、都内電力使用量の約一%の電力を使用する大規模事業者としてエネルギー削減に努める社会的使命があるのではないでしょうか。間もなく長期間にわたる水道施設の更新事業が始まることとなりますが、水をつくり、届けるという水道システムそのものをエネルギーの観点から見直す絶好の機会と捉えます。長期的視点に立って、抜本的なエネルギー対策に転換していくべきだと考えますが、見解を伺います。
次に、下水道の地球温暖化対策について伺います。
下水道事業は、都民の安全で快適な都市環境の確保を担う重要なインフラである一方、都庁全体の温室効果ガス排出量の約四割を占める最大の排出事業者であります。
これまで、二酸化炭素の三百十倍もの温室効果がある一酸化二窒素を大幅に削減する取り組みなど、エネルギー消費量の削減を積極的に実施してきました。しかし、さらなる努力を続けることが求められております。下水道事業における地球温暖化対策の進捗状況と今後の取り組みについて伺います。
世界一の環境都市を実現するためには、無駄なエネルギー消費を無理なく抑える社会を構築する歩みをとめてはなりません。そのためには、省エネ性能の高い機器や創エネ機器の普及により、エネルギー利用の効率化を最大限に高めることが重要です。特に、都内に六十九万ある中小事業所の省エネ、創エネ対策は重要であり、我が党はその必要性を第三回定例会で提言したところであります。
中でも、給湯などで熱を多用している中小事業所へのエネルギーマネジメントの普及や、省エネ改修のインセンティブが働かない中小テナントビルへの設備改修の促進が課題となっております。
都は、具体的な手だての構築を急ぐべきと考えますが、見解を伺います。
次に、環境施策における区市町村との連携強化について伺います。
都みずからの取り組みに加え、地域の実情に精通している区市町村との連携を強化し、東京の環境を一層向上させることは重要です。
我が党も区市町村の実情把握に努めておりますが、その中で、区市町村がみずからの創意工夫を生かしながら継続的に取り組めるよう、これまでのサンセット事業とは異なった財政的支援や、専門的、技術的サポートを望む切実な声も多く寄せられており、こうした意見をしっかりと受けとめる必要があります。
第三回定例会で我が党は、継続的かつ着実に区市町村との連携強化を図るべきことを提言し、都は既に検討を進めておりますが、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、東京湾の水質改善についてお尋ねいたします。
多くの都民が、身近な憩いの場として、また、多様な生物が生息する水辺空間として、東京湾が再生されることを期待しております。
この夏、葛西海浜公園では、一定の条件はあったものの、およそ五十年ぶりに海水浴場が復活、たくさんの子供たちの笑顔であふれておりました。加えて、トライアスロン等の会場となるお台場はもちろん、選手村や会場の多くが臨海部に集まり、東京湾に対する注目はいやが応でも高まってきます。
これまで複合的な課題がある中、関係各局のさまざまな努力により水質改善がなされてきましたが、今後、より一層の取り組みが必要です。東京湾の水質改善に向けてどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
また、下水道の普及によっても、河川を含む水質改善がなされてきました。しかし、よりレベルの高い水質改善のためには、水再生センターの処理水質をさらに向上させる高度処理の導入が必要です。今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
また、区部の八割では合流式下水道が採用されています。衛生環境の改善と雨水排除の両方を早期に達成できるといったメリットがある一方で、大雨の際には、汚水まじりの雨水が河川や海などに放流されることとなり、その対策も講じる必要があります。合流式下水道の改善にどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、東京大気汚染訴訟の和解に基づく医療費助成制度の見直しについて伺います。
本制度は、大気汚染による健康被害者の救済に一義的な責任を持つ国の動きが極めて鈍いことから、気管支ぜんそく患者の方々の救済を早急に実施するために、訴訟の和解に向け、都が提案し創設したものです。ディーゼル車規制等の取り組みとあわせ、二十世紀の負の遺産ともいうべき東京の大気汚染問題の解決に道を開いた画期的な制度だと考えております。
本制度による助成は平成二十年八月に開始され、国がいまだ患者救済制度を創設しない中、現在まで約七万三千人もの患者の方々を救ってまいりました。一方、和解条項では、創設後五年を経過した時点で見直すこととなっており、その時期が到来しています。
気管支ぜんそくは治癒しない病気とされ、継続的な治療が必要なことから、我が党には患者の皆様から、制度がどのように見直されるのか不安を訴える声が多く寄せられております。
本制度は、都、国、自動車メーカー、首都高による財源拠出により成り立っておりますが、現状では、新たな財源拠出は大変厳しい状況であると聞いております。また、医療費助成制度というものは、患者の皆様の日々の生活に直結するものであり、その見直しは大きな影響を及ぼします。
そこで、我が党はかねてより、見直しに当たっては、患者の皆様への影響に十分配慮すべきと主張を繰り返してまいりました。都は、現行制度をめぐる検証の結果を踏まえ、どのように制度を見直していくのか伺います。
次に、福祉、保健、医療施策について伺います。
現在、国においては、社会保障制度改革国民会議の審議の結果等を踏まえ、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案、いわゆる社会保障改革プログラム法案を今臨時国会で審議しております。
一方、都においても、急速に進行する少子高齢化や人口減少社会の到来など諸課題に対応するため、年内には新たな長期ビジョンを発表する予定であります。
こうした状況も踏まえ、我が党では、高齢、少子、障害、社会保障それぞれについてプロジェクトチームを設けて検討を重ねているところであります。少子高齢化が進展する中で、今後の福祉、保健、医療施策をどのように展開していくのか所見を伺います。
次に、次世代育成支援東京都行動計画の成果を踏まえた、子供家庭施策の今後の展開について伺います。
都は、平成二十七年度の子ども・子育て支援新制度に向けて、東京都子供・子育て会議を十月に立ち上げ、検討を開始しました。
一方、国においては、新制度への移行に当たり、次世代育成支援法の延長についても検討されています。
これまで都は、次世代育成支援東京都行動計画に基づき、先駆的な取り組みも含め、さまざまな施策を推進してきました。この計画では、安心して子供を育て、子育ての喜びを実感できる社会を実現するなど三つの理念を示すとともに、地域で安心して子育てができる新たな仕組みづくりなど五つの目標を掲げています。
今後の取り組みを考える上では、この行動計画におけるこれまでの成果を総括、評価することが必要です。在宅で、あるいは働きながら子供を育てているなど、東京で暮らす全ての子供と家庭を支援するため、都は今後どのような施策を展開していくのか、基本的な方向性を伺います。
次に、地域における介護基盤の整備と、高齢者の地域生活を支える見守り、相談等の機能強化について伺います。
団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年には、東京の高齢化率は二五・二%、都民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者となる見込みであり、介護サービス基盤のさらなる整備が必要であります。
同時に、高齢者ができる限り地域生活を継続できるよう、見守りや相談など、地域における支援体制を充実することも重要であり、そのかなめとなる地域包括支援センターの機能強化が必要です。
今後、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、障害者を初め、誰もが暮らしやすいまちづくりについてお尋ねします。
障害者が地域で自立した生活を送るためには、地域居住の場の整備や在宅サービスの充実とともに、安心して生活し、活動できる町を実現することが重要です。障害者が暮らしやすい町は、全ての人が暮らしやすい町ともいえます。折しも来年度は福祉のまちづくり推進計画の改定年次に当たっています。
そこで、東京を世界一暮らしやすい町にするため、障害者の視点も十分に踏まえて計画を改定し、関係局とも連携して福祉のまちづくりを一層推進していくべきと思いますが、都の考えを伺います。
次に、都営地下鉄におけるホームドア整備について伺います。
高齢者や障害者を含む全ての人々が安心して鉄道を利用する上で、ホームドアの整備は極めて有効な取り組みであります。
しかしながら、都内の鉄道路線では、相互乗り入れなどさまざまな課題があり、整備が進んでいない状況にあります。都営地下鉄においては、三田線に加え、大江戸線もホームドアの整備が実現しました。残る二路線では、これまで乗り入れ各社と検討を行っているとのことでありますが、新宿線については、もう既に二年半以上も経過しております。
誰もが安全で安心して利用できる地下鉄を実現するためにも、スピード感を持って、都営交通が率先してホームドアを整備することが求められていると考えますが、新宿線へのホームドア整備について伺います。
次に、少子高齢社会における医療政策について伺います。
晩婚化などの影響により、ハイリスク妊産婦や低出生体重児の割合も増加傾向にあることから、これらに対する専門医療を二十四時間体制で提供するNICUの整備を着実に進めるとともに、退院後の療養生活を地域全体で支える体制の整備が必要と考えます。
そこで、小児在宅療養体制の推進に向けた都の取り組みについてお尋ねいたします。
次に、今後のがん対策について伺います。
我が党は、都議選の公約において、がん検診の受診率向上等を初め、がん対策の充実強化を掲げました。都民の死因の第一位はがんであり、また、二人に一人が生涯のうちにがんにかかる可能性があるといわれています。
がん対策で、まず第一に重要なことは、生活習慣の改善などによるがんの予防でありますが、がん検診の受診による早期発見、早期治療も大切なことであります。また、将来的ながん対策の充実を図るためには、がんの罹患状況や生存率などの実態を把握することも重要です。
都は、昨年度から地域がん登録に取り組んでおりますが、一方、国では、今臨時国会で、がん登録制度の法案成立を目指しています。
そこで、今後のがん検診の受診率向上のための取り組みと、がん登録法制化に向けた所見を伺います。
次に、産業政策について伺います。
我々都議会自民党は、東京が力強い経済で日本をリードしていくことを公約に掲げ、その具体的な施策の議論を重ねているところであります。政権交代から間もなく一年、アベノミクスのさまざまな政策が着実に成果を上げ、企業の業績回復など、経済の見通しに明るさが見え始めています。
こうした景気回復の流れをしっかりと中小零細企業に行き渡るようにすることが都政の責務だと考えます。景気回復を確実なものとし、中小企業の成長を実現するため、より一層の力強い支援を行うべきです。
都はこれまで、新たな技術や製品づくりに向けた中小企業の研究開発を支援してきましたが、こうした開発の成果を生産活動に結びつける一つに、新たな設備導入があります。しかし、すぐれた技術を持ちながら、資金の負担に限りがあるため、設備の導入に踏み切れない中小零細企業が多くあることも事実であり、こうした企業の設備投資を活性化することが必要であります。
国の設備投資減税とも軌を一にしながら、中小零細企業にも十分に配慮し、より踏み込んだ実効性ある支援策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
情報通信分野技術の発展により、すぐれたアイデアや技術力があれば、世界規模で事業を展開することが可能となり、将来に向け、創業を目指す者にとっては、これまでにないビジネスチャンスが広がっています。
また、女性や若者に加え、仕事の経験の豊かなシニア層が、身近な地域社会で起業に取り組む動きも出ています。地域の実情を踏まえた具体的な支援のため、例えば、創業をサポートするファンドのような枠組みとして、地域の金融機関と連携した新たな資金供給の仕組みを立ち上げるべきです。
都として、創業支援に向け、多様な施策を展開すべきと考えますが、見解を伺います。
ものづくりの業界では、コスト高などの理由により、施設を新しくする際に他県への転出を考える会社も出てきております。また、多摩地域では、大規模な生産工場の都外移転などにより、その周辺を含めた中小企業の集積の維持が新たな課題の一つになっております。
そのため、企業の集積を維持し、産業の空洞化を招かないよう、工場の改修や移転等に対する企業の負担を軽減する新たな仕組みが必要と考えますが、都の見解を伺います。
東京を世界の中で存在感のある都市へと発展させるためには、観光の振興が欠かせません。オリンピック・パラリンピックの開催を一つの契機として、数多くの外国人旅行者が東京を訪れることが期待されています。こうした外国人旅行者が、東京が誇れる食や文化などの数々の魅力を実感できる環境を整備することが求められています。
このためには、外国人旅行者がまず目にする表示、標識などの多言語による対応をさらに推し進めることが必要です。また、外国人旅行者の受け入れ環境の整備に当たっては、東京の魅力の発信源である民間とも連携した取り組みが求められると考えます。
今後、多言語対応についてどのように進めていくのか、所見を伺います。
さらには、国内外旅行者誘致に向けて、東京のすぐれた魅力をブランドとして効果的に発信していくための計画的な取り組みが必要です。また、都内でも特に、多摩や島しょ地域は、豊かな自然や歴史、文化にも恵まれていることから、そうした魅力を体験できる機会をつくり、発信する方法などを工夫すべきであります。所見を伺います。
東京の多摩・島しょ地域に広がる森林は、木材の供給に加え、水源の涵養や二酸化炭素の吸収、固定といった環境の保全など、多様な機能を発揮しています。こうした東京の貴重な財産を維持し、増進し、地域経済にも貢献しているのが林業であります。
我が党はこれまでも、スギ花粉発生源対策や多摩産材の利用拡大の推進を図る方策を提案し、実現をしてきました。こうした中、多摩産材のより一層の活用を進めるには、建築事業者からの受注調達相談窓口の設置や利用のPRなど、実情に即したさらなる取り組みの強化が必要です。
都は現在、森づくり推進プランの改定に取り組んでおりますが、一歩踏み込んだ支援策なども盛り込んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
東京の島しょ地域を中心とする水産業も、価格の低迷や漁獲量の減少に加え、燃油価格の高どまりなど、その経営環境は大変厳しい状況が続いています。島しょ地域の活力をも失いかけない懸念から、我が党は、第三回定例会において燃油価格高騰への緊急支援策を都に求め、実現させるなど、水産業の振興に向けた施策に力を注いでまいりました。しかし、現在の厳しい経営環境に対応していくには、加工、流通の推進や新たな担い手対策など、より一層の取り組みの強化が必要です。
都は現在、審議会から答申を受け、水産業振興プランの改定に取り組んでいますが、その方向性について伺います。
産業の担い手として女性が十分に能力を発揮し、生き生きと活躍することが期待されています。企業においても、女性の活躍は組織の活性化や生産性の向上にもつながり、ひいては都内産業の発展に寄与するものと考えます。
現在の女性の就業率は、三十歳代を底としてM字カーブを描いており、出産や育児などで一度離職した女性の再就職や雇用環境の整備を進めるなど、働く意欲のある女性に対する支援は充実しているとはいえません。働き方に対する女性の多様なニーズを捉え、ライフステージに応じたきめ細かい支援が必要と考えますが、今後の取り組みの方向性を伺います。
少子高齢化が進む一方で、経済や社会の活力を維持するためには、高齢者が年齢や意欲、体力に応じて力を発揮し、活躍できる環境整備が重要です。
こうした中で、地元での仕事の機会を提供するシルバー人材センターの役割も増しているものと考えます。前政権の事業仕分けにより、センターへの国の補助金は削減されましたが、より多くの高齢者が地域で活躍できるよう、会員数の拡大や活動拠点となる施設整備等への支援を強化するなどの施策の充実を図るべきであります。都の見解を伺います。
次に、アジア大都市ネットワーク21について伺います。
我が党は、世界人口の六割を占め、経済成長も著しいアジアと東京の結びつきは、今後もより一層強化すべきと考えます。中でも、アジア諸国の首都や大都市とは、危機管理や環境対策など共通する行政課題の解決や、経済交流をさらに推進し、人々の暮らしをより豊かにしていくため、地に足のついた交流を一段と深めるべきだと認識しております。そうした意味で、アジア大都市ネットワーク21は大変重要な施策であると評価をしております。
ことしのハノイ総会で、都は会員都市に対して新しい共同事業を提案し、採択されました。新しい共同事業は、何を目的とし、どのような成果が期待されているのか、新規共同事業の内容について伺います。
次に、東京港の物流円滑化について伺います。
近年、東京港では、貨物量が増加傾向にあります。コンテナ貨物の流れには、年末年始などの季節的なピーク、工場や卸売業者の営業時間と連動した時間的なピークなどがあることから、一部のターミナル周辺でのコンテナ車による交通混雑は長年の大きな課題です。国際競争力の向上を大目標に据えても、この交通混雑問題が解消されなければ、著しく成長しているアジア諸港に水をあけられ続けることになりかねません。
都はこれまで、中央防波堤外側コンテナターミナルの整備を進めつつ、早朝ゲートオープンの取り組みなどを実施してきていますが、構造的な原因を抱えるこの問題は、一朝一夕に解決できるものではないことは明らかです。有効な手だてを講じなければ、物流の円滑化に水を差すばかりでなく、待機による経済的なロスをももたらし、周辺地域の環境にまで悪影響を及ぼすことになるため、抜本的な改革の必要性があることは論をまちません。
中防外コンテナターミナルの供用を見据えた、東京港全体の機能強化に向けた進行管理を行いつつ、短期的な交通混雑対策も確実に実施していくなど、総合的な施策展開を図っていくべきと考えます。所見を伺います。
次に、私学振興についてお尋ねいたします。
我が党は、私立学校が公教育に果たす重要な役割に鑑み、学校運営に対する経常費補助の充実を初め、特別奨学金などによる保護者負担の軽減や、防災機能向上のための耐震化補助の拡大、私立高校生の留学支援制度の創設などに積極的に取り組んでまいりました。
今後とも、学校現場や保護者の要望を踏まえ、きめ細やかな対応を行い、公私間格差の是正や幼児教育の充実に向け、私学振興の推進に全力で取り組んでまいります。
都民にとって厳しい経済環境が続いている中で、子供たちの修学機会を確保するため、保護者負担の実態に即したより一層の支援が必要であると考えます。
国は、これまで私立高校生に対して一律に支給されていた就学支援金制度について、所得制限を設けるという改正法を先週成立させたところであり、その所得制限により捻出した財源で低所得世帯への支援の拡充を図るとともに、給付型奨学金の創設を行うとの考え方を示しました。
都は、第三回定例会での我が党の代表質問に対し、国の見直しは都の考えと一致するものであり、都の制度の効果をより発揮できるよう具体的な対策を検討していくと答弁されましたが、その後の国の状況を踏まえ、どのように対応していくのか伺います。
生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児期の教育は、活力ある東京の未来をつくる人材を育成する観点から、今、我々が最も力を注いで取り組まなければならない課題です。
幼児教育についての専門性を生かし、質の高い教育を展開する東京の私立幼稚園は、核家族化の進展や地域のつながりが希薄化する中、地域における幼児教育のセンターとして都民の大きな期待を集めています。
もとより、全ての教育の基本は家庭教育にありますが、私立幼稚園は、教育理念に基づく独自の幼児教育に加え、障害がある園児や食物アレルギーを持つ園児にきめ細かく対応するなど、子供たちの健やかな成長を第一に考え、日々努力を重ねてくださっております。
こうした中、私立幼稚園は、教育時間を延長して教育活動を行う預かり保育に取り組んできましたが、保護者の要望を受けてさらなる支援を望む幼稚園もあると聞いています。
こうした地域に根差した幼児教育に取り組む私立幼稚園に対して、今後、都はどのような考え方で支援を行っていくのか伺います。
次に、障害者施策について伺います。
知的障害特別支援学校の児童生徒の増加による教室不足を解消するため、都は、特別支援教育推進計画に基づき、新設や増改築など学校の整備を積極的に進めてはおりますが、将来の児童生徒数の不確定要素にも対応できる柔軟性を持つ必要があると考えます。
例えば、学校では、多くの授業が複数の学級をまとめたグループで行われており、日中は使用されていない普通教室がある。こうした状況を踏まえれば、今後は、多様な用途に活用できる教室をあらかじめ用意するなど、児童生徒数の将来動向に柔軟に対応できる施設整備に関する都独自の指針を新たに作成し、施設の有効活用と効果的な教育活動を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、基礎的な学力を全ての子供に習得させる取り組みについて伺います。
東京を、若者が夢と希望を持てる教育都市とするためには、全ての子供の能力を最大限に伸ばす学校教育の充実に取り組まなければなりません。東京都の実態を分析すると、習熟のおくれがちな層の学力の底上げが大きな課題となっています。子供たち一人一人が将来の夢や希望をかなえるためには、誰もが基礎的な学力を確実に身につけていくことが必要であり、全ての子供に対する教育の質の保証は都の大きな使命の一つです。
そこで、小学校という早い段階で基礎的な学力の定着を図る施策を充実すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、いじめ問題について伺います。
これまで学校には、いじめの兆候があっても学校内部のみで対応しようとする嫌いがありましたが、こうした実態は抜本的に改めていく必要があるのではないでしょうか。
都教育委員会は、昨年度から、専門家会議において具体的な対策を検討してきたと聞いています。今後、国の動向も踏まえ、子供をいじめから守る実効性のある新たな取り組みを実施していく必要があります。
このたび、都教育委員会は、専門家会議における検討結果を取りまとめ、公表をしましたが、その内容と今後の取り組みについて伺います。
次に、スポーツの振興について伺います。
障害者アスリートの佐藤真海さんがIOC総会のプレゼンテーションで発言した、私がここにいるのは、スポーツによって救われたからですという言葉は、多くの人に感銘を与えました。
先日私は、ある障害者の方からお手紙を頂戴しました。その方は卓球に挑戦し始めたとのことですが、より強くなりたいという目標ができ、今では喜びと生きがいを感じ、スポーツを通じ充実した生活を送っているとのことです。しかし、都内には障害者が気軽にスポーツのできる場所が余りにも少なく、スポーツへの挑戦を諦めざるを得ない方も大勢いるのではないか、そうした投げかけがありました。
障害者にとってスポーツとは、リハビリテーションの効果とともに、コミュニケーションの機会の拡大、さらには、日々の目標となるなど生活に輝きを与えるものであり、健常者にとってのスポーツよりも一層大きな意味を持っていると考えます。より多くの障害者がスポーツを楽しむことができる環境づくり、さらなる障害者スポーツの振興が重要です。都の取り組みについて伺います。
さらに、これからは障害者が気軽にスポーツを楽しむことができ、健常者ともスポーツを通じて交流できるなど、より身近なところで都民の誰もがスポーツを行える環境を整備することも必要です。都の取り組みを伺います。
最後に、知事の基本姿勢について申し上げます。
先週の所信表明において、一連の借入金問題について知事より発言がありました。一言でいえば、都民、東京都議会に対する説明責任を果たしたとは到底いいがたい内容でありました。
知事は当選後間もなく、都民からの負託を得た、我こそ民意だといった趣旨の発言をされました。これを決して否定するものではありません。しかし、ここにいる東京都議会議員百二十七名全員も、全く同様の都民からの負託を受けているのです。だからこそ、二元代表制が成り立っているのです。我々都議会議員は、二元代表制のもとで建設的な議論をなし、都政を進めていくと同時に、執行側のチェック機能を果たしていかなければなりません。
十一月二十二日の新聞報道以来、我々都議会自民党は、記者会見などにおける知事の言動を注視してまいりました。二十九日までの間、数回にわたり発言されてきましたが、所信表明を含め、都民の理解を得られたとお思いなのでしょうか。
ご批判をいただくのは当然と踏まえた上で、深く反省している、不徳のいたすところ、おわび申し上げる、こうした発言がありましたが、一連の言動を考えれば、現在の知事の言葉を信じる都民がいるとは考えられないのです。説明責任を果たしていない上に、都民の皆さんの疑問は晴れるどころか深まる一方です。このままでは、都政運営に支障を来すおそれすらあるのです。
知事とは、改めて申し上げるまでもなく、一千三百万都民の安全・安心を守り、時には国とも闘いながら、都政のかじ取り役を果たしていかなければならないのです。
現在、法人事業税の暫定措置撤廃に向け、都と都議会、区市町村までもが一丸となって闘っている大事な時期です。にもかかわらず、知事はひたすら釈明に追われ、肝心な知事としての職務を果たしているとはいいがたい状況であります。
行政府の長である知事として、政治家としての責任があるはずです。一連の報道は、海外メディアにも取り上げられております。オリンピック・パラリンピック東京開催という夢がかない、都民、国民は七年後に向け大きな目標ができました。さあ、これからだという大事な時期に、知事の言動は大きく水を差す結果となったのです。国際社会における影響をどう考えているのでしょうか。
また、今日に至るまで、我々は新聞報道に対し、驚きと戸惑いを禁じ得ません。新国立競技場建設に対する出資、北区の産業技術研究センター跡地問題、大会組織委員会のボードと称する人事など、都議会に対しては報告、相談等一切なされないまま、突然に発表されたことは事実であります。
第三回定例会の我が党の代表質問に対して、都議会としっかり連携することは不可欠、コミュニケーションを密にし、ともに汗をかいていくと答弁されました。発言には責任を持っていただきたい。独善的ともとれる言動は、ともすれば議会軽視につながるおそれがある、そういわざるを得ません。
我々は、きょう、あすの代表質問、一般質問の知事の発言を逐一お聞きしてまいりますが、限られた時間内でもあり、ましてや、一方通行のやりとりでは都民の理解を得ることは困難だと考えております。
そもそも、知事が条例に基づき公開しているご自身の資産について、異例ともいえる訂正を行ったとのことでありますが、条例を所管する委員会において報告があってしかるべきであります。
今後、知事にお尋ねする場を早急に設けたいと考えております。その際には、ぜひともご出席をいただきたくお願いをしておきます。
我々都議会自民党は、都民の皆様のご期待に応えるべく、都議会第一会派として責任感を持ち、やるべきことはしっかりと果たしてまいります。と同時に、たとえ何があろうとも、決して都政を停滞させることはいたしません。それこそが負託に応える我々の使命だと考えております。
このことをお約束申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 宇田川聡史議員の代表質問にお答えをいたします。
教育に関する三点のご質問ですが、まず、特別支援学校の施設整備と活用についてでございます。
障害のある児童生徒数の増加に対応して、良好な教育環境を確保していくためには、計画的な施設整備に加え、学校施設を有効に活用することが重要であります。
都教育委員会では、これまで校舎の増改築や特別教室の転用などにより普通教室の確保に努めてまいりましたが、特別教室で行う学習活動に影響が生じている一方、日中の時間帯によっては、普通教室の使用率が低い状況があります。
このため、多様な学習活動に対応できる教室の整備や、施設の柔軟な利用のあり方などに関する新たな指針を策定し、学校や児童生徒の実態に応じた教育環境を整備することにより、障害特性や発達段階に応じた教育活動の充実に努めてまいります。
次に、基礎的な学力の定着を図る施策についてでございます。
子供たちがみずからの夢と希望を実現していくためには、基礎的な学力が不可欠であり、特に小学校段階で基礎、基本を確実に身につけることが重要であります。
現在、学校には、習熟のおくれがちな子供たちが、その学年で学習する内容を理解しないまま進級し、次の学年での学習に支障を来すとともに、そのことが原因で学習全体に対する意欲も低下しているという実態があります。
そのため、都教育委員会は、新たな指導指針を示して、一人一人の学習到達度に着目し、個々の状況に応じて前の学年の内容に立ち戻る指導を徹底するなど、各学校の指導内容、方法を改善してまいります。
また、区市町村と連携して効果的な習熟度別指導を全都的に展開するため、指導体制を充実するなどの支援を行ってまいります。
最後に、いじめ問題の検討結果と今後の取り組みについてでございます。
いじめ専門家会議においては、被害の子供や周囲の子供からの声を確実に受けとめ、子供を守り通すことや、学校だけで問題を解決しようとせず、保護者、関係機関と連携することなどの対策を検討してまいりました。
具体的には、新たに学校いじめ対策委員会を全校に設置し、情報共有と組織的な対応を徹底するとともに、スクールカウンセラーによる全員面接や、把握した情報を保護者、PTAに速やかに開示することなど、子供をいじめから守るためにあらゆる手だてを講じてまいります。
今後、いじめ防止対策推進法に基づき、条例及び基本方針の策定を進めるとともに、この専門家会議の検討内容を反映した総合的対策を推進し、いじめ問題の解決に全力で取り組んでまいります。
〔東京都技監藤井寛行君登壇〕
〇東京都技監(藤井寛行君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、耐震診断の積極的な推進についてでございますが、特定緊急輸送道路沿道建築物の全ての所有者が、診断により建築物の耐震性能を把握し、必要とされる耐震化に向け取り組むことが不可欠でございます。
このため、都は建物所有者に対し、個別訪問など粘り強い働きかけを行った結果、これまで七割を超える建築物につきまして、診断が実施されてきております。残り三割の建築物につきましても診断を着実に完了させるため、助成期限を一年延長し、平成二十六年度末までとすることといたしました。
こうした取り組みに加え、区市町村とともに、個々の建築物などの状況を勘案した上で、条例に基づき期限を定めて診断を実施するよう指示するなど、全ての建築物の診断完了に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に、耐震改修に向けたさらなる支援策についてでございますが、先月、改正耐震改修促進法が施行され、耐震改修促進計画に位置づけた建築物につきまして、改修工事費などの国費助成を割り増す制度が創設されました。
都は、この改正を受けて、条例で定める特定緊急輸送道路沿道建築物の所有者が、拡充された助成制度を速やかに活用できるよう耐震改修促進計画の変更に着手いたしました。
また、建築士団体や金融機関に加え、今後、地域の事情に明るい地元の建設会社などで構成される団体と協定を締結し、相談体制についても充実を図ることといたします。
これらさらなる支援策を年明け一月から開始し、特定沿道建築物の耐震化に全力で取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、大島の復旧、復興に向けた取り組みについてでございます。
都ではこれまでも、被災者の方々を支援するため、きめ細かな取り組みを全庁挙げて進めてまいりました。
住まいを失った方々のため、国の制度では対象とならない半壊世帯を対象に建設費等を最大二百万円支給するとともに、大島町の要請に基づき、応急仮設住宅を早急に整備してまいります。さらに、被害を受けた中小企業を対象に、融資限度額を拡大し、利子も全額補助いたします。
こうした被災者に対する迅速な支援策に加え、大島応急復旧プロジェクトチームのもと、各局において、現在さらなる復旧、復興対策を検討しております。砂防施設の整備や治山事業に加え、観光キャンペーンの展開や農林、漁業等の基盤整備など、年内を目途に総合的な対策を取りまとめてまいります。
今後も、被災地の方々の声を聞きつつ、大島町の早期の再生に向け、都の総力を挙げて取り組んでまいります。
次に、危機管理体制の見直しについてでございます。
都民の安全・安心の確保に向け、二十四時間三百六十五日、大規模災害に備えるため、都はこれまでも、職員参集態勢の確立など初動体制を整備してまいりました。
こうした中、今回の大島の災害対応において、区市町村との間での情報連絡が課題となったことから、都内全ての区市町村長の携帯電話の番号を都が把握することにより、連絡体制の強化を図ったところでございます。
さらに、今後、大島応急復旧プロジェクトチームでの検討も踏まえ、メールを活用した気象情報の提供に関する新たな仕組みづくりを行います。
加えまして、島しょ部における避難体制の再構築、物資等運搬体制の拡充などを図り、風水害だけでなく、さまざまな災害に的確に対応できる危機管理体制を構築してまいります。
次に、これからの人事政策の方向性についてでございます。
行政の執行力や質の高さは、まさに組織を支える人材力によるところが大きく、ご指摘がありました人材の確保、育成等のあり方は、人事政策上の重要な課題でございます。
都におきましては、職員の採用に当たり、職員構成の変化等を的確に把握し、計画的な採用を進めるため、新卒区分に加え、国や他団体に先駆けて有用な経験や技術力に着目した採用区分を新設するなど人材の確保に努めてまいりました。
また、人材の育成、活用面では、研修の充実はもとより、専門性を生かした行政専門職の導入、職責、能力、業績の給与への反映など、職員の頑張りに応じて達成感を感じられる都独自の人事制度の構築に取り組んでおります。
今後、長期ビジョンの実現に向けて、必要とするマンパワーを着実に確保するとともに、事業動向に応じためり張りのある人材配置や職員の意欲と能力を最大限に引き出す人事制度など人材の育成、活用について、不断に検証し見直しを行ってまいります。
次に、東日本大震災の被災地支援についてでございます。
都はこれまで、被災地の状況や要望を的確に把握しながら、全国に先駆け震災瓦れきの受け入れを行うとともに、専門技術や行政実務にたけた職員を派遣してまいりました。
また、原発事故による風評被害を払拭するためのふくしま東京キャンペーンなどのほか、いまだ八千人を超える都内避難者への住居の提供や生活支援などさまざまな支援を行っております。
被災地では、災害公営住宅の建設等の復興事業の発注が、今後、ピークを迎えるなど復興への取り組みはいよいよ本格化しつつあります。
都は、こうした被災地の状況やニーズの変化を的確に把握しながら、引き続き、全庁を挙げて被災地を支援してまいります。
最後に、広域避難体制の構築に向けた取り組みについてでございます。
大規模水害が発生した場合において、都民の命を守るためには、あらかじめ、自治体の区域を超えて住民が避難できる方策を構築しておくことが重要でございます。
都は広域的な立場から、避難者受け入れに関する都内自治体間の調整、都県境を越える避難も想定した近隣自治体との協議、さらには避難手段の確保に向けた交通事業者との調整などの役割を担っていく必要があり、現在、専門家や都内自治体、防災機関の実務者等を交え検討を進めております。
今後、広域避難に係る具体的な手順を盛り込んだ対応方針や各主体の役割分担など広域避難体制の基本的な枠組みを年度内につくり上げ、地域防災計画風水害編に反映させてまいります。
〔知事本局長中村靖君登壇〕
〇知事本局長(中村靖君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、今後の都市インフラの整備についてでありますが、社会が成熟化する中、我が国は、高度成長期に形づくられた社会経済システムを見直していく時期を迎えております。
都市インフラの整備は、人口減少という状況を迎えたとしても、決して軽視することはできません。
二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックが開催されます。これを契機として、ますます激化する国際的な都市間競争を勝ち抜くために、陸海空を結んだ交通ネットワークの充実など、都市インフラのさらなる強化に取り組むことが不可欠であります。
また、東京は震災や風水害などの脅威に直面していることから、都民の暮らし、生命、財産を守るために、木密地域の不燃化や耐震化の促進、地下調節池の整備などを積極的に行っていく必要があります。
一方、既存ストックの力を最大限引き出すことも重要であり、老朽化したインフラを更新するとともに、需要も創出し、我が国経済に必要な循環を生み出していかなければなりません。
例えば、高度経済成長期に整備された首都高速道路は、三環状道路の整備を踏まえ、計画的に更新していく必要があります。また、羽田のさらなる国際化や東京港の機能強化も図らなければなりません。さらに、橋梁や上下水道等の耐震性を向上させながら、適時リニューアルをしていくことも求められております。
社会状況が変化する中にあっても、真に必要な施策を厳選しながら、成熟社会の新たなモデルとなるようなインフラ整備を展開してまいります。
次に、新たな長期ビジョンでの多摩・島しょの取り扱いについてであります。
多くの大学、研究機関や最先端技術を有する中小企業などが集積し、東京の活力を支える多摩地域や、豊かな自然環境に恵まれ、世界的にも類いまれなる観光資源を有する島しょ地域は、それぞれ東京にとって重要な地域であると認識しております。
新たな長期ビジョンの論点整理では、こうした観点に立って、三環状道路や骨格幹線道路などの整備促進、多摩ニュータウンを初めとする団地再生など多摩地域にかかわる事項や、島しょ地域の防災力を高める地震、津波対策の強化や土砂災害対策の推進などを政策の方向性として記載いたしました。
今後公表予定のビジョンでは、多摩・島しょ地域につきまして、その重要性をしっかりと踏まえ、それぞれの地域のさらなる発展と魅力向上につながる施策を展開してまいります。
次に、外国人技能実習制度の充実についてでありますが、本制度は、ご指摘のとおり、国際貢献はもとより、我が国の産業の振興にも寄与していると認識しております。
今後、東日本大震災からの復興や老朽インフラの更新などにより、公共事業等の増加が見込まれますが、現在の制度では、技能実習の機会を十分に活用し、より高度な技術を習得するための環境が整っているとはいいがたい状況にございます。
一方、一部の実習実施機関においては労働関係法令違反などの不正行為が指摘されており、より適切な指導監督が必要となっております。
このため、実習期間の延長や再度の技能実習を可能とするなど、本制度の趣旨を十分に生かすための制度の充実について、実習生保護の観点も含め、適切な措置を講じるよう国に働きかけてまいります。
次に、東京大気汚染訴訟の和解に基づく医療費助成制度の見直しについてであります。
本制度は、和解成立に向けて都が提案し、都が三分の一、国が三分の一、自動車メーカーが六分の一、首都高が六分の一と、関係者が応分の財源負担をすることにより創設されたものであり、都は、和解条項に基づき、創設から五年が経過した本年八月に、制度見直しに向けた検証を開始いたしました。
大気汚染につきましては、平成二十四年度において、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の濃度が都内のほぼ全ての大気測定局で環境基準を達成しております。
国による疫学調査では、自動車排出ガスへの暴露とぜんそく発症の関連性について、学童の一部では認められたものの、幼児及び成人では結論づけることはできなかったとされております。
本制度の累計助成額は二十四年度末時点で約百十七億円であり、関係者の拠出による二百億円の原資は二十六年度いっぱいでほぼ使い切る見込みであります。
また、関係者に対し、新たな財源の拠出を働きかけておりますが、現在のところ、前向きな回答を得られておりません。検証結果やこうした現状を考慮すると、制度自体は見直さざるを得ません。
一方で、都は、制度の創設を提案した立場としての責任は、今後とも果たしていかなければならないと考えております。
そこで、来年度は現行制度を継続した上で、その年度末をもって患者の新規認定を終了し、それ以降は、その時点の認定患者の方に対して、都が担うべき負担である三分の一に相当する範囲で医療費の助成を実施します。
また、ご指摘を踏まえ、現に助成を受けている患者の方々への配慮として、二十七年度からは、既に認定した患者の方に対する全額助成を三年間維持する経過措置を講じます。
なお、患者救済の一義的な責任は国にあり、引き続き、国による救済制度の創設を求めていくとともに、関係者に対し、本制度への協力を働きかけてまいります。
次に、多言語対応の検討の進め方についてでありますが、日本を訪れる年間外国人旅行者が、ことし十月の時点で八百六十六万人となり、過去最高を記録いたしました。二〇二〇年大会も見据え、こうした増加傾向にある外国人旅行者の受け入れ環境を充実させることが必要であり、多言語対応はその重要な要素の一つと認識しております。
ご指摘のとおり、多言語対応をさらに強化するためには、民間とも連携し、検討を進めることが不可欠であります。
今後、一月を目途とする官民一体となった協議会の設立、立ち上げに向け、国との協議を推進するとともに、民間からの幅広い参画を募ってまいります。
また、協議会のもと、交通、道路、宿泊業等サービスに関する三つの分科会を設置し、実務者レベルでの検討を進め、着実な多言語対応の実現を図ってまいります。
最後に、アジア大都市ネットワーク21の新規共同事業についてであります。
アジアの経済成長は目覚ましく、今後は、会員都市に存在する中小企業のビジネスチャンスの拡大など、相互にメリットをもたらす関係をさらに深めるべきだと認識しております。
都は、ハノイ総会において、これまでの経験を生かし、アジア地域における旺盛な経済成長をさらなる発展につなげる新たな共同事業といたしまして、経済交流促進のプラットホームの創設を提案いたしました。
このプラットホームでは、まず、総会の政策対話のテーマをもとに会員都市に共通する都市問題について検討を始め、続いて、検討テーマに関する新技術の開発及び産業人材の育成を図ります。最終的には、開発された技術や製品を国際見本市へ出展させることを通じ、アジア市場に展開することを目指してまいります。
共同事業としての採択後、ハノイ市からは、早速、省エネルギー対策についてこのプラットホームで検討を開始したい旨発言があり、都とともに取り組むことになりました。
この新たな事業を通じて、会員都市とともに、アジアの大都市が抱える共通の課題の解決に向けて貢献してまいります。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
〇財務局長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、税制改正への対応についてでありますが、地方法人特別税は、当時の福田総理と石原知事の間で、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの暫定措置という条件で導入されたものであり、平成二十六年度税制改正において、今回の消費税率の引き上げにあわせて確実に撤廃し、地方税として復元されなければならないものであります。
また、法人住民税の一部国税化は、地方分権に大きく逆行するばかりか、地方交付税への依存が高まることになり、不交付団体をふやしていこうという政府の方針にも反するものであります。その影響は、都ばかりでなく区市町村にも及ぶものであり、到底承服することはできないものであります。
このため、都は先月、国などの主張に対する反論書を発表するとともに、四都府県で連携して、国への緊急共同要請を実施いたしました。また、全国知事会議や九都県市首脳会議などのあらゆる機会を捉えて、東京の主張の正当性を繰り返し訴えてきております。
平成二十六年度税制改正はまさに大詰めでございます。これまでも都議会の皆様から多大なご尽力をいただいているところでございますが、都としても、最後の最後まで力を尽くしてまいりますので、都議会を初め、東京にかかわる全ての皆様のあと一押しのご支援をお願いする次第でございます。
次に、オリンピック・パラリンピック関連施設に関する入札契約制度についてでありますが、これらの施設の整備については、立候補ファイル等を踏まえ、期限におくれることなく着実に竣工させていくことが重要であります。
そのため、特に大規模な競技場等の整備については、民間の技術力を積極的に引き出すよう、例えば、設計と施工を一括して発注する、いわゆるデザインビルド方式や、異なる業種で共同企業体を結成し工事を円滑に進める方式など、施設の特性に応じた、より柔軟で効率的な手法を導入するよう検討してまいります。
また、その他の関連施設の整備については、地域の工事で培われた中小企業ならではの強みやノウハウなども活用できるよう、今後の入札契約制度の見直しの中で検討してまいります。
次に、今後の入札契約制度についてでありますが、都は、平成二十一年十月に公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針をまとめ、低入札価格調査制度の強化など、入札契約制度改革に取り組んでまいりました。
一方で、昨今の資材価格や労務費の上昇、技術者等の不足などにより、一部の業種で入札不調が増加するなど、公共工事を取り巻く状況には変化が生じてきております。こうした中においても、都民生活に必要なインフラを着実に整備していくには、より多くの事業者が入札に参加しやすい環境を整備することが重要であると考えております。
このため、学識経験者や業界団体との意見交換を行い、現状の把握に努めるとともに、工事請負契約における、いわゆる全体スライド条項などの見直しや、工事ごとに専任を求めてきた主任技術者の兼務を可能とするなど新たな取り組みを検討し、より適切な入札契約制度の実現を図ってまいります。
最後に、業務委託における品質確保の取り組みについてでありますが、都はこれまで、都立病院の建物維持管理業務委託について、価格のみによらない総合評価方式の入札を試行導入し、施設の特性に応じた品質確保に取り組んでまいりました。さらに、今年度は都庁舎設備管理業務委託にも導入するなど、その拡大を図っております。
今後は、これまで行ってきた以外の業務委託についても、履行状況や評価すべき内容を精査検討し、総合評価方式の導入拡大を図るとともに、安定的なサービス提供を確保する観点から、複数年契約を検討してまいります。
また、各事業所管局が業務発注に当たり、総合評価を円滑に導入できるよう、標準的な手引書等を作成し、周知徹底を図ってまいります。
〔建設局長横溝良一君登壇〕
〇建設局長(横溝良一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、多摩地域における豪雨対策についてでございますが、都は、都内全域を低地部、台地部、山間部の三つの地域に区分し、それぞれの地域特性に応じて河川事業を推進しております。
多摩地域の台地部を流れる中小河川は、降雨に対する安全度が都内一律となるよう、目標整備水準を時間最大六十五ミリとし、このうち五十ミリまでは川で流下させ、それを超える雨は調節池で対応することを基本といたしました。現在、野川と境川で新たな調節池の設置箇所や構造形式等を検討しております。
また、山間部を中心に、土砂災害対策として砂防事業などを実施しております。
加えて、ソフト対策といたしまして、土砂災害警戒区域等を西多摩地域から順次指定しておりまして、これまでに警戒区域を五千八百二十六カ所指定いたしました。その結果、市町村がハザードマップを作成するなど、取り組みが進んでおります。
今後とも、関係局と連携し、多摩地域の安全・安心を確保する豪雨対策に、スピード感を持って全力で取り組んでまいります。
次に、災害に対する道路の強靭化の取り組みについてでございますが、都は、救助、救援、復旧活動を確実に実行するため、輸送経路の多重化や交通の分断を防ぐ観点から道路整備を推進しております。
具体的には、骨格幹線道路のネットワークによるダブルルートの確保はもとより、道路の閉塞や寸断を防ぐため、緊急輸送道路の無電柱化や橋梁の耐震化を進めております。また、山間・島しょ部では、落石防護柵や擁壁の設置のほか、例えば、国道四一一号の代替路となる多摩川南岸道路の整備など、地域の孤立化を防ぐ取り組みを進めております。
一方、発災時の迅速な対応力を強化するため、試行している道路防災ステーションに資機材を確保するとともに、十一の建設事務所全てにおいて民間事業者などと連携し、道路障害物除去作業を実施してまいります。
今後とも、都民の生命と財産を守る道路や橋梁の整備に全力で取り組んでまいります。
〔下水道局長松浦將行君登壇〕
〇下水道局長(松浦將行君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、局地的集中豪雨に対応する対策プランの取り組み方針でございます。
ことしの豪雨で浸水被害が生じた地域において、過去の浸水の発生状況も踏まえ、降雨強度、くぼ地や坂下などの地形、河川や下水道の整備状況などを確認し、次の三つの取り組み方針を定め、検討を進めております。
まず、一定規模以上の床上浸水が集中して発生した地域では、既存幹線の下に新たな幹線を整備するなど、時間七十五ミリの降雨に対応できる施設を建設いたします。
次に、既に施設整備を計画している地域のうち、ことし被害が生じた地域では、対策をできる限り前倒しするとともに、既存の貯留施設の活用などにより、時間五十ミリを超える降雨に対しても被害を軽減いたします。
また、被害箇所が点在し、浸水棟数が少ないなど被害が比較的小規模な地域では、地元区等と連携し、雨水ますの増設やバイパス管の整備などの対策を早期に実施いたします。
これらの取り組みにより、浸水対策における整備水準の向上と対策の迅速化を図ってまいります。
次に、下水道事業の地球温暖化対策についてでございます。
下水道局では、アースプランに基づき対策を進め、昨年度は、目標を上回る二〇〇〇年度対比約二十五万トンの温室効果ガスの削減を達成いたしました。しかし、今後も浸水対策や合流式下水道の改善などの事業の推進により電力使用量の増加が見込まれるため、取り組みをさらに強化していくこととしています。
具体的には、温室効果ガスを大幅に削減できる世界初のターボ型流動焼却炉などの新型焼却炉や、これらと低含水率型脱水機とを組み合わせた下水汚泥焼却システムを、葛西水再生センターなど四カ所で平成二十七年度までに導入いたします。
さらに、焼却時の補助燃料を不要とし、必要な電力をみずから発電できるエネルギー自立型の新たな焼却システムを開発し、平成二十七年度までに工事に着手いたします。
また、水処理施設の省エネルギー化やメガワット級の太陽光発電設備の導入なども一層推進してまいります。
これらの取り組みにより、地球温暖化対策やエネルギー対策を積極的に進めてまいります。
次に、水再生センターの処理水質の向上についてでございます。
東京湾の赤潮の原因である窒素とリンを大幅に削減できる高度処理の導入を進めておりますが、導入開始からの十七年間の導入実績は、一日平均処理水量の二割に相当する約百十五万立方メートルにとどまっております。高度処理は、施設の規模が大きく、導入に期間を要し、標準的な処理に比べ電力使用量が多いという課題もあります。
そこで、平成二十二年度からは、高度処理に比べて窒素とリンの除去率が若干低いものの、電力使用量の増加もなく、既存施設の改造と運転管理の工夫により早期に導入が可能で、効率的に水質改善を図ることができる準高度処理を導入しております。
今後は、平成三十一年度までの七年間で新たに約百九十万立方メートルの準高度処理を導入し、累計で一日平均処理水量の七割以上に相当する約四百万立方メートルの処理を可能とすることで、処理水質向上の取り組みを加速してまいります。
最後に、合流式下水道の改善対策についてでございます。
雨天時の下水をより多く水再生センターへ送る下水道管の整備や、雨水はけ口からのごみなどの流出を抑制する対策を、これまでにおおむね完了いたしました。
また、降雨初期の特に汚れた下水を貯留し、雨がやんだ後に水再生センターへ送水し処理するための貯留施設を、既に約百三万立方メートル整備しております。
今後は、平成三十一年度までに約三十七万立方メートルの貯留施設を新たに整備し、累計で約百四十万立方メートルといたします。この効果として、貯留施設の整備が完了した雨水はけ口からの放流回数を約七割削減することができます。
さらに、汚濁物を従来の二倍程度多く除去でき、既存施設の改造により早期に導入可能な高速ろ過施設を、新たに、葛西水再生センターなど合流式の水再生センター十一カ所全てに、平成三十一年度までに整備してまいります。
これらの取り組みを、着実、スピード感を持って進め、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの舞台となる東京湾の水質改善に積極的に貢献してまいります。
〔環境局長長谷川明君登壇〕
〇環境局長(長谷川明君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、省エネ対策、気候変動対策に関する都の基本認識についてでございますが、極端な気象現象の頻発など、気候変動の危機を回避するためには、実効性ある対策を着実に進めていくことが重要でございます。
加えて、東京の都市活動を支えている電力は、その多くが他県から供給されており、この貴重なエネルギーを有効に活用していくことが、エネルギー大消費地である東京の責務であると認識しております。
これまでキャップ・アンド・トレードなどの都の先導的な取り組みにより、二〇一一年度の都内のエネルギー消費量は、二〇〇〇年度対比一五%減となっております。
一方、こうした都民、事業者の省エネ努力にもかかわらず、震災後、火力発電所からの電力供給の増大に伴い、CO2排出量は逆に増加しており、省エネ努力の成果がわかりにくくなっております。
そこで、二〇二〇年までにエネルギー消費量を二〇〇〇年対比二〇%削減するという省エネ成果が明確になる新たな目標を設定し、経済成長にも結びつくすぐれた省エネ技術も活用しながら、省エネルギー対策、気候変動対策を着実に展開してまいります。
次に、中小事業所の省エネ、創エネ対策についてでございます。
まず、熱を含めたエネルギーマネジメント推進の観点からは、給湯などに熱を多用する医療、福祉施設に対し、燃料電池などの創エネ機器を導入することが効果的であると認識しております。
また、中小テナントビルの省エネ推進の観点からは、省エネ改修効果の見える化により改修メリットを明確化し、ビルオーナーがテナント事業者に対してわかりやすく提示できる仕組みの構築が不可欠であります。
さらに、初期投資軽減のためには、新たな設備をリースで導入し、光熱水費の削減分でリース代や保守管理費用を賄うESCO事業を活用することが有効でございます。
こうした点を踏まえ、中小事業所の特性に応じた対策強化に向け、具体的な事業スキームの検討を急いでまいります。
次に、環境施策での区市町村との連携強化についてでございます。
地域に根差した環境面での取り組みを一層進めるため、技術的支援、情報共有体制の構築、財政的支援の三つの観点から、区市町村との連携強化が必要と考えております。
このため、技術的支援につきましては、きめ細かな相談や専門的研修等を充実させるとともに、情報共有体制につきましては、地域の抱える課題や先駆的な取り組みを共有し、ともに解決を図る仕組みの構築を目指してまいります。
また、財政的支援につきましては、現在、具体的支援メニューを検討しており、お話の区市町村ニーズに的確に応えられる支援の仕組みに関しても速やかに構築してまいります。
こうした一連の取り組みを通じ、世界一の環境先進都市の実現に向けて、地域から東京の環境を着実に向上させてまいります。
最後に、東京湾の水質改善に向けた取り組みについてでございますが、これまでの取り組みにより、東京湾に流入する河川の水質は大きく改善されておりますが、閉鎖性水域であるため、東京湾の水質は近年横ばいの状況にございます。
このため、事業所等への規制、指導、合流式下水道の計画的改善などによる汚濁物質流入の削減や、底泥のしゅんせつ等を実施するほか、水質モニタリングを適切に行うなど、引き続き、関係各局が連携し、施策を推進してまいります。
また、東京湾には他県からも汚濁物質が流入しておりますことから、東京湾再生推進会議等を通じて、国や関係自治体とも協働しながら、陸域での負荷削減対策と海域の環境改善対策を実施してまいります。
こうした総合的、重層的取り組みにより、オリンピック・パラリンピックの開催にふさわしい都市として、親しみやすく美しい東京湾の再生を目指してまいります。
〔水道局長吉田永君登壇〕
〇水道局長(吉田永君) 水道事業における抜本的なエネルギー対策への転換についてでありますが、水道局ではこれまで、水資源の有効利用のほか、エネルギー削減にも大きな効果のある漏水防止対策や、太陽光発電、小水力発電といった再生可能エネルギーの導入などに積極的に取り組んでまいりました。
しかし、大規模浄水場の多くは、限られた敷地において拡張や改造を重ね、築造年代が異なる施設が混在し、浄水過程が複雑になっているため、エネルギーロスが大きくなっております。
また、安定給水に必要な水量、水圧を確保するため給水所などに設置しておりますポンプにつきましても、エネルギー効率の低いものがいまだ多く稼働しております。
そこで、水道施設の更新にあわせ、エネルギー効率に配慮した施設の再構築を行うなど、長期的視点に立ち、取り組むべき施策を具体化する十カ年プランを平成二十五年度内に作成し、抜本的なエネルギー対策を展開してまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、今後の福祉、保健、医療施策についてですが、少子高齢化が一層進展する中で、将来にわたって都民が安心して生活できる社会を実現するためには、中長期的な視点に立って福祉、保健、医療サービスの一層の充実を図るとともに、雇用、住宅、教育などの施策と連携し、局の垣根を超えた実効性のある施策を展開していくことが必要でございます。
こうした考え方に立って、都は現在、構造的福祉プロジェクトチームで、少子化や高齢化に対応した新たな施策を検討しているところでございます。
これまで都は、保育サービスの充実や高齢者の地域ケア体制の整備を初め、都独自の施策を推進しており、今後とも、都民ニーズに応えるさまざまな施策を、民間、地域、行政の力を最大限に活用し、積極的に展開してまいります。
次に、今後の子育て施策についてですが、都は、次世代育成支援東京都行動計画に基づき、保育サービスや子育てひろばの設置促進等、地域の実情に応じて区市町村が取り組む子育て施策を積極的に支援するとともに、児童相談所機能の強化や家庭的養護の推進を図り、子供たちの健やかな育ちを支援してまいりました。
現在、東京都子供・子育て会議では、産前、乳幼児期から学童期までを主な対象とする都の支援計画について議論を進めており、構造的福祉プロジェクトチームでも、子育て家庭への支援を局横断で検討しているところでございます。
今後、これらの検討結果も踏まえ、全ての子育て家庭が地域で安心して子供を産み育てられるよう、都市型保育サービスのさらなる拡充や、在宅で子育てする家庭への支援の一層の充実等、さまざまな子育て施策を展開してまいります。
次に、介護基盤整備と地域支援体制の強化についてですが、都は、介護基盤の整備を促進するため、未利用の都有地を減額して貸し付けるほか、特別養護老人ホーム等の整備が高齢者人口に比べて進んでいない地域の補助額を一・五倍にするなど、独自の多様な手法を講じております。
また、地域包括支援センターの機能を強化するため、職員が必要な知識や技術を習得するための研修を実施するほか、センターを核とした地域住民等による見守り体制を整備する区市町村の取り組み等を包括補助により支援しているところでございます。
お話のように、高齢化の進展に伴い、今後、介護需要も一層増大することから、介護基盤の整備を加速し、地域包括支援センターのさらなる機能強化を図るために、都としての新たな支援策を検討してまいります。
次に、福祉のまちづくり推進計画についてですが、本年七月、都民、学識経験者、事業者団体、障害者団体等から成る福祉のまちづくり推進協議会から、計画改定の基本的な考え方について意見具申をいただきました。
現在、それを踏まえ、全庁横断的な体制のもと、改定作業を進めており、改定計画には、円滑な移動、施設の利用のためのバリアフリー化の推進、さまざまな障害特性等にも配慮した情報バリアフリーの充実などを柱に、ハード、ソフトの両面からさまざまな施策を盛り込む考えでございます。
今後とも、障害者を初め全ての人が安全、安心、快適に暮らし、訪れることができるユニバーサルデザインの先進都市東京を目指して、区市町村、事業者、都民の参加と協力も得ながら、効果的な施策を展開し、福祉のまちづくりを一層推進してまいります。
次に、小児在宅療養体制の推進についてですが、都は現在、NICUから在宅療養への円滑な移行を促進するため、周産期母子医療センターに対して、NICU入院児支援コーディネーターの配置や、在宅ケアの訓練等を行う在宅移行支援病床の整備等を支援しております。
また、今年度から、地域で在宅療養児を支える体制の構築に向け、地域の医療、福祉関係者等による協議の場を定期的に設け、地域の医療、福祉資源を把握しながら、医療と福祉の連携強化のための研修等を行う小児等在宅医療連携拠点事業を、都内三病院で開始したところでございます。
今後、区市町村においても支援体制整備に積極的に取り組めるよう、地域医療再生基金を活用し、新たに支援する予定であり、こうした取り組みを積み重ねながら、子供たちが地域で安心して療養できる体制の整備を推進してまいります。
最後に、がん検診の受診率向上とがん登録についてですが、がん検診の受診率を向上させるためには、住民への検診を実施する区市町村の取り組みと、従業員が検診を受けやすい職場の環境づくりを行う企業の取り組みが重要でございます。
そのため、今後、住民への個別の受診勧奨や未受診者への再勧奨など、受診率向上に向けた区市町村の取り組みを一層促進するとともに、企業団体とも連携して、検診の重要性に関するハンドブックの配布や講演会等を開催し、経営者や健康管理担当者への普及啓発を強化してまいります。
また、がん登録の法制化により、全ての患者について、がん発見の経緯、発症した年齢、治療の内容やその後の状況等が把握できるようになります。都としては、こうしたがん登録の成果も活用しながら、検診受診率の向上を初めとしたがん対策を積極的に推進してまいります。
〔交通局長新田洋平君登壇〕
〇交通局長(新田洋平君) 都営新宿線へのホームドア整備についてでございますが、安全・安心の確保を最大の使命とする交通事業者にとりまして、ホーム上における安全対策の強化は最重要施策の一つでございます。
ホームドアにつきましては、平成十二年に、営業中の路線として全国で初めて三田線に設置し、本年四月には大江戸線の全駅に整備を完了いたしました。
残る二つの路線におきましても、これまで乗り入れ各社との検討を重ねてきておりまして、このうち、乗り入れが一社の新宿線につきましては、技術面や輸送面での課題がおおむね整理されましたことから、財産、権利等の取り扱いなど、導入に向けた諸条件を協議する新たな会議を年内に設置いたします。
交通局といたしましては、新宿線のホームドア整備に向け、より具体的な取り組みを加速化させてまいります。
〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕
〇産業労働局長(塚田祐次君) 八点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業の設備投資への支援についてでありますが、都内中小企業がより一層の発展を遂げるためには、成長に向けた設備投資を適切に行うことが必要であります。その一方、設備の導入には大きな資金負担を伴うことから、中小企業にとっては容易に踏み切れない状況もございます。
そこで、都は、成長分野への参入や付加価値の高いものづくりを目指す中小企業が、技術開発の成果などを着実に実用化、事業化できるよう、今後、小規模事業者の資金負担力の状況などにも十分配慮しながら、設備投資に対する助成制度について具体的に検討してまいります。
また、制度融資においても、設備資金を円滑に調達できるよう、利用者の負担軽減を考慮した新たなメニューの創設を検討いたします。
このように、設備投資の活性化に向けて多面的な取り組みを展開していくことにより、都内中小企業の成長を着実に後押ししてまいります。
次に、創業に向けた支援についてでありますが、東京の産業力を高めていくためには、起業意欲を持つ多様な人材が、それぞれの経験や持ち味を生かした新事業を数多く創出していく必要がございます。
このため、都は、将来の起業を考えるすぐれた才能を持つ人材が切磋琢磨して革新的なビジネスを生み出す取り組みや、企業で培った技術やノウハウを活用してベンチャー企業を立ち上げ独立を目指す取り組みなどを支援する新たな創業支援施設の整備を検討してまいります。
加えて、女性、若者、高齢者による地域に根差した創業を強く後押しするため、ご指摘の趣旨も踏まえ、地域の金融機関と連携して経営面のサポートと資金供給を行う新たな支援の枠組みを検討いたします。
こうしたさまざまな取り組みを積極的に展開することで、多くの創業を促し、都内産業の成長につなげてまいります。
次に、中小製造業の集積確保についてでありますが、中小製造業の地域における集積を確保し、集積から生まれる企業間のネットワークを活性化するとともに、都内での操業の継続に伴うさまざまな負担の軽減を図ることは、産業の空洞化の無秩序な進行に歯どめをかけ、中小企業の競争力を強化する上で重要であります。
そこで、都は、区市町村が実施する企業誘致のための助成制度や工場アパートの整備などを支援するとともに、中小企業がグループを組んで共同で行う開発、生産、営業体制の強化などの取り組みを支援してまいりました。
今後、こうした取り組みに加え、中小製造業が工場の改修や都内での移転等を行うことで操業を続けることができるよう、区市町村と連携した支援策について具体的に検討してまいります。
次に、国内外からの旅行者誘致についてでありますが、旅行者を効果的に誘致するためには、東京の魅力を高め、これを多様な手段を駆使し広く発信することが重要であります。
これまで都は、伝統文化や食、アニメ、多摩・島しょ地域の自然など、東京の多彩な魅力を高める施策を展開し、海外でのプロモーション活動や観光ウエブサイトの活用などを通じて国内外に発信してまいりました。
今後、東京の観光面でのブランドを確立するため、民間のノウハウを活用しながら、都市としての強みや課題、海外諸都市の事例等を調査検討してまいります。また、多摩・島しょ地域について、モニター旅行者の体験に基づく観光情報をSNSなどを活用して提供するなど、新たな魅力発信の手法を検討いたします。
こうした取り組みを通じて旅行者誘致を積極的に進め、世界有数の観光都市を目指してまいります。
次に、森づくり推進プランについてでありますが、林業は多摩の地域経済に不可欠で重要な産業であるため、都はこれまで、推進プランに基づき、林道整備や花粉発生源対策事業等を着実に推進してまいりました。
しかし、林業の厳しい経営環境を克服するには、これまでの取り組みの充実に加え、さらなる生産性の向上や需要拡大に向けた新たな施策展開を図る必要があるため、現在、プランの改定を進めております。
具体的には、森林整備を効率的に進めるため、多摩の急峻な森林に対応した木材の搬出手法の導入や、施業の集約化といったコスト低減策のほか、森林作業道等を整備する技術者の育成などを盛り込んでまいります。
さらに、多摩産材の一層の利用拡大を図るため、PRの充実や調達に関する情報提供窓口の速やかな設置に加え、保育園等の内装を木質化するための支援策の拡充などについてプランに反映させてまいります。
次に、水産業振興プランについてでありますが、都はこれまで、プランに基づき、漁場の造成等の基盤整備や水産物の学校給食への導入推進など、島しょ地域の基幹的な産業である水産業の振興策を講じてまいりました。
しかし、漁獲量の減少や消費の低迷など、水産業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にございます。
そこで、こうした状況を克服し、持続可能な水産業を確立するため、現在、プランの改定に取り組んでおります。
具体的には、主要な魚種であるキンメダイの資源管理の効果的な実施や、収益性の向上に結びつく水産物の加工流通の促進のほか、新規就労者の定着を図る対策の強化などを盛り込んでまいります。
今後は、森づくり推進プランとあわせ、年度内にプランを改定し、施策の充実を図ってまいります。
次に、企業等における女性の活躍についてでありますが、女性が仕事を通じ能力を十分に発揮するためには、ライフステージに応じ、希望する働き方を実現できることが重要であります。
都はこれまで、仕事と家庭の両立に取り組む中小企業を認定、公表し、安心して働き続けられる社会的機運の醸成を図るほか、出産や育児により離職を余儀なくされた女性の再就職支援などを実施してまいりました。
今後は、女性のさらなる活躍に向け、職場環境の改善など他の企業のモデルとなる取り組みを支援し、そのノウハウを広く普及する仕組みを検討いたします。あわせて、再就職のための専用窓口の設置や、身近な地域での支援の充実、子育て中の就職活動を応援する手法等についても検討いたします。
こうしたさまざまな施策の充実強化を図り、女性の活躍を積極的に支援してまいります。
最後に、高齢者の就業支援の強化についてでありますが、少子高齢化が進展する中で、働く意欲のある高齢者が希望や能力に応じ、地域社会の担い手として活躍できるよう支援していくことが重要であります。
このため、都は、都内五十八カ所のシルバー人材センターに対して、その円滑な事業運営を図ることを目的に、区市町村を通じて経費を助成し、企業を退職した高齢者等に身近な地域で臨時的かつ短期的な就業機会を提供しております。
今後は、活動内容を広く紹介するなど会員の拡大につながる取り組みや、請け負った仕事を行う作業スペース等の施設の整備など、シルバー人材センターに対する支援の一層の充実を検討し、身近な地域における高齢者の就業を推進してまいります。
〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕
〇港湾局長(多羅尾光睦君) 東京港の物流機能の円滑化についてですが、東京港の交通混雑を解消するためには、ご指摘のとおり、新たなコンテナターミナルの整備など東京港全体の抜本的な機能強化を軸に、短期的な視点も盛り込んだ総合的な施策を体系的に実施することが必要でございます。
そのため、東京港における交通混雑対策を、初めてハード、ソフト両面から包括的にまとめるとともに、新たな対策も盛り込んだ東京港総合渋滞対策を年明け早々に策定し、直ちに実施してまいります。
まず、東京港の抜本的な機能強化策として、中央防波堤外側Y1、Y2コンテナターミナルの具体的な施設の仕様について協議を進め、早期の供用を目指すとともに、新規に事業化したY3ターミナルの整備も見据え、青海・大井コンテナふ頭の再編を確実に進めてまいります。
次に、短期的には、大井地区に東京港で最大規模となる五百台を超えるコンテナ車両を収容可能で、運転手の福利厚生にも配慮した車両待機場を新設するとともに、警察との連携のもと、違法駐車の取り締まり強化策を検討していきます。
今後も、引き続き我が国のメーンポートとして、円滑な国際物流の確保に不退転の決意で取り組んでまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕
〇生活文化局長(小林清君) 私立学校の振興に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、私立高等学校の特別奨学金についてでございますが、都は、効果的な修学支援を図る観点から、現在、一定所得以下の保護者を対象とした特別奨学金の給付により、所得に応じて授業料の一部を補助しております。
国の就学支援金制度につきましては、所得制限の導入が決まり、年内には生活保護世帯、住民税非課税世帯など低所得者に対する手厚い支援や、給付型奨学金の創設など詳細が示される見通しとなっております。
特別奨学金についての具体的な対応は、今後、国が示す詳細内容を見きわめる必要はございますが、都といたしましては、所得に応じて区分を設け補助するこれまでの考え方を堅持するとともに、国の制度による給付がなされた後の所得区分ごとの給付バランスも勘案して、より政策効果が発揮できるよう取り組んでまいります。
次に、私立幼稚園に対する支援の考え方についてでございます。
都内の幼稚園児の九割以上が通う東京の私立幼稚園は、全国に比べて個人立や宗教法人立が多いという特色がありますが、国の支援が学校法人立の幼稚園に限られる中で、都は全ての私立幼稚園を対象に運営費補助を行ってきております。
また、国の就園奨励費に加えまして、都独自の補助制度を設け、保護者負担軽減の充実を図るとともに、教育時間終了後等に行う教育活動である預かり保育や、障害のある子供の受け入れなど地域のニーズに対応した幼稚園の取り組みに対する補助の充実にも努めてまいりました。
核家族化の進展や地域のつながりが年々希薄化する中にあって、私立幼稚園が地域において幼児教育の充実のために果たす役割はますます重要になっていると認識しております。
都といたしましては、今後も関係団体と十分な意見交換を行った上で運営費補助の充実に努めるとともに、預かり保育など各幼稚園が地域のニーズを踏まえて取り組む事業についても積極的に支援をしてまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、障害者スポーツの振興についてでございます。
議員ご指摘のとおり、障害のある方にとってのスポーツは、外出やコミュニケーションの機会がふえることで自立や社会参加を促すとともに、スポーツの上達が目標や生きがいになるなど、さまざまな意義を有しております。
このため都は、全国に先駆けて策定した東京都障害者スポーツ振興計画に基づきまして、障害者スポーツ施策のさらなる推進に取り組んでいるところでございます。
具体的には、地域開拓推進員が区市町村等に出向き、障害者スポーツ教室の実施を支援するほか、都内公共スポーツ施設のバリアフリー情報を網羅した全国初の障害者スポーツ専門ポータルサイト、TOKYO障スポ・ナビを開設するなど、障害のある方が身近な地域でスポーツを楽しめる環境づくりに努めております。
また、地域でスポーツに取り組む方の目標でもある全国障害者スポーツ大会での上位入賞を目指し、強化練習会を実施しております。
今後は、これらの取り組みをさらに前へ進め、地域でスポーツを行う場を充実するとともに、スポーツ教室等の企画やスポーツを指導する人材の育成にも力を入れてまいります。あわせて、競技レベルの向上に向けて調査分析を行ってまいります。
また、障害者スポーツセンターにつきましては、老朽化に伴う改修に当たりまして、利用者ニーズをより反映できるよう検討してまいります。
こうしたさまざまな取り組みを通じまして、障害者スポーツのさらなる充実に努めてまいります。
次に、スポーツを行うための環境整備についてでございます。
都は、東京都スポーツ推進計画において、二〇二〇年までに都民のスポーツ実施率を七〇%とすることを目標としてございます。
その実現に向けては、区市町村や地区体育協会など関連団体と連携し、子供や高齢者、障害者など誰もがスポーツに親しめる環境を整備充実することが極めて重要でございます。
さきに行われましたスポーツ祭東京二〇一三では、都内各地でさまざまなスポーツが実施され、会場となった区市町村施設の整備が進み、地域の誰もが身近な施設でスポーツを楽しむ機運が醸成されました。
こうした機運をさらに向上させるため、今後、都民が身近にスポーツを実践できる環境を整備するための新たな方策を検討し、都民のスポーツ活動をより一層促進してまいります。
〇議長(吉野利明君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時七分休憩
午後三時二十六分開議
〇副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
百七番長橋桂一君。
〔百七番長橋桂一君登壇〕
〇百七番(長橋桂一君) 都議会公明党を代表して質問します。
四百三十万票もの期待を担って誕生した猪瀬知事に対する突然の疑惑報道に、都民は今、大きな怒りと深い失望を感じています。せっかくかち取った二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの招致の決定にさえ傷を与えかねません。
年の瀬の厳しい資金繰りに直面する中小零細企業の経営者の間には、五千万円もの大金を無利子、無担保、無保証、しかも無期限で借り受けたとされる猪瀬知事に対し、激しい怒りが渦巻いております。
都庁の一般職員は、利害関係者との接触に関する指針において、低利の賃借さえ禁じられています。しかも、実際に職務上の配慮を施したかどうかも関係ありません。ひとえに、都民の信頼を損ねることを避けるために厳しい自戒措置を設けているのであり、現に平成十四年八月には九十九万円の無利子賃借で懲戒免職となった職員の例もあります。
知事は記者会見で、病院も老健施設も都内で徳洲会がやっていることは知らなかった、建設予定があることも知らなかったと述べられましたが、平成十九年から副知事を務め、しかも平成二十年十一月からは東京都の周産期医療体制整備プロジェクトチームの座長を務めるなど、医療行政に熱心だった当時の猪瀬副知事が知らなかったでは済まされません。
ましてや、病院や老健の設置について、都が何かしらの許認可や補助金の権限を有していることは、都政関係者ならば誰もが知る常識であります。
法的な判断の結果をまつまでもなく、道義的、政治責任は断じて免れません。たとえ、知事のいうとおり資産報告における不実記載であったとしても、都政のトップみずからが都条例を破ったことだけでも前代未聞の不祥事であり、到底容認できるものではありません。
都議会公明党は、これまでの記者会見や所信表明を聞く限り、質疑の形式が一方通行の本会議ではこれ以上の事実は明らかにならないと判断し、まずは総務委員会に移して一問一答でただしていく方針を固めました。改めて知事には、真実を明らかにすることを求めておきます。
都知事の職は、都民との信頼の上に成り立つものであります。我が党は本定例会においては、疑いの渦中にある猪瀬知事には代表質問、一般質問を通し、その他の政策課題についても一切答弁を求めないことにいたしました。
猪瀬知事の疑惑に決着がつくまでの間も都政には停滞が許されません。この問題の推移のいかんにかかわらず、我が党は都庁と都議会の関係各位と力を合わせて、迫りくるさまざまな都政課題に適切に対応し、二〇二〇年の東京大会の成功を目指してまいります。その決意を申し上げて、以下、本題に入ります。
去る十月十六日に発生した大島土石流災害は、死者三十五名、行方不明者四名という甚大な被害となりました。ここに、ご逝去された方々及びご遺族の皆様には哀悼の意をささげますとともに、負傷者の皆様に対し心よりお見舞い申し上げます。また、行方不明になっている方々の一刻も早い発見をお祈りいたします。
発災直後、我が党の大島町議は、被害の大きかった地区に直行し、目を疑うような変わり果てた惨状の中、泥だらけになりながら被害状況の把握に奔走しました。
その情報は、すぐさま都議会公明党にも伝えられ、翌日には我が党の都議会議員、さらには国会議員が相次いで現地入りをし、応急給水支援や住民相談窓口の設置、瓦れきの早期受け入れなど、被災地のニーズに迅速かつ的確、具体的な対応を図るよう都に申し入れ、実現をさせてまいりました。
私も、被災一カ月後の課題を調査するため、十一月十九日、都議会公明党調査団の一員として現地入りしました。土石流によってなぎ倒された流木など、瓦れきの大部分は除去されていましたが、あるじを失い手つかずとなったままの倒壊家屋や折れ曲がったビニールハウスなども散見され、改めて自然の猛威を思い知らされました。
大島町では、現在も災害対策本部が継続中ですが、今後は復興対策本部が設置されます。同対策本部が取り扱う業務は、被災者の生活再建を初め、町道などの復旧、観光、農業、漁業などの産業の回復、砂防、治山工事の実施など、ソフト、ハード両面にわたって膨大であり、町役場だけでは到底対応できません。都は、大島町復興に向け全力で支援すべきであります。見解を求めます。
次に、被災者の心のケアについて質問します。
現地では、災害により家族を失った方や児童生徒及び団員など救出救援活動に携わった方々の中に心に傷を負った方々も多いとの声を聞きました。
都は既に大島町の要請を受け、保健師や心理職、スクールカウンセラーなどの専門職を通じ心のケアを行っています。しかし、心の不調や障害は時間が経過してから発生するケースもあることから、こうした取り組みを継続し、注意深く見守っていく必要があると考えます。今後の対応について、教育庁及び福祉保健局の見解を求めます。
伊豆大島の風物詩ともいえる椿まつりは、例年一月下旬から三月下旬まで開かれ、約四万人の観光客が訪れる同島最大のイベントであります。大島町では、自分たちの力で、被災地になった島を盛り上げていく思いから、復興に向けたキックオフ行事とするべく、椿まつりを明年一月二十六日から開催すると決めたそうであります。
都は、被災された方々の心を癒やすために、芸術文化を活用した支援を行うとともに、椿まつりの積極的なPRをするなど、来島者をふやす支援をすべきであります。例えば、都響やヘブンアーティストを派遣するなど、具体的な取り組みを検討すべきと考えますが、見解を求めます。
次に、豪雨対策について質問します。
今回、大島を襲った台風は、もし東京の区部や多摩地域を襲っていれば、さらに甚大な被害が発生したであろうことは容易に予測されます。現に、平成十七年の集中豪雨では、神田川、妙正寺川、石神井川流域など、杉並、中野、北区などで洪水が発生し、住宅など約五千八百棟が浸水、また平成二十二年には石神井川流域の練馬、板橋、北区などで六百六十棟が浸水しました。
夜間、瞬時に床上高くまで浸水した家屋もあり、被災された多くの住民の皆様が現在でも大雨のたびに恐怖を感じておられます。
東京都は、これまで時間五十ミリの降雨に対応できるという整備水準を目標に、護岸整備や調節池などを組み合わせ治水対策を進めてきました。しかし、近年の気候変動などにより、ゲリラ豪雨と呼ばれる時間百ミリ以上の局地的な集中降雨が都内で発生するようになりました。ことしも、目黒区で時間百ミリを超えるゲリラ豪雨に見舞われました。
このため、都は、昨年十一月、河川の整備水準の目標を区部は時間七十五ミリ、多摩地域は六十五ミリに引き上げましたが、過密化が進み川幅を大きく広げることのできない都心部を初め、都内においてこれらの整備水準を達成するためには、調節池の果たす役割が重要になります。
調節池の整備には時間がかかることから、一刻も早く具体的な検討を進めていかなければなりません。新たな整備水準の達成に向けた取り組み状況について見解を求めます。
平成二十三年三月十一日、東京都議会は、特定緊急輸送道路に面する旧耐震の一定規模の建物の耐震化を促すため、いわゆる耐震化条例を議決しました。阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、首都直下型地震から都民の生命、財産を守るために制定した耐震化条例は、まさに東日本大震災が発生したその日に成立したのであります。
その後、努力義務期間を経て、昨年四月には診断の完全義務化がスタートしました。既に多くの対象建物で耐震診断が実施されていますが、残念ながら、三割弱の特定沿道建築物がいまだに実施をされておりません。
都内での震災被害の拡大を抑制するためには、何としても耐震化条例の制定目的を完遂し、残りの建築物についても一日も早く耐震化を実現しなくてはなりません。
しかし、耐震診断では、建物調査などに一定の期間を要するため、助成の期限である今年度末までに診断の完了が間に合わないとの声が上がっています。都や関係自治体が総力を挙げて平成二十七年度までに耐震化の完了を目指す中、診断実施に前向きになり始めた建物所有者の気持ちをそぐことのないよう、診断の助成期間を延長すべきと考えますが、都の見解を求めます。
都は、原則として自己負担なしの診断助成を実施しています。しかし、建物構造が複雑である場合などでは、耐震診断に必要な調査項目が通常よりもふえて、結果的に助成金の限度額を超えてしまい、一定の自己負担が生ずる場合があると聞いております。
ようやく診断に至った後も、耐震改修工事にはより多額の費用を要するため、工事費用の捻出が所有者にとっての最大の悩みの種であります。
そこで、診断から改修に至る耐震化の取り組み全体の中で工夫を凝らし、建物所有者が負担する総費用を少しでも軽減していくことが、耐震化加速の最善策と考えますが、見解を求めます。
次に、東日本大震災の被災地支援について質問します。
我が党は、都による的確な支援策を講じるため、復旧、復興の進展に合わせて被災地を訪問し、現場から政策提言を積み重ねてきました。先月も岩手、宮城、福島三県を視察し、関係者と意見交換をしてまいりました。
復旧から復興に移りつつある被災自治体では、県外等に避難している住民をいかに早く帰郷させることができるかが課題となっております。県外避難者は、いつごろ帰郷できるのか、仕事があるのか、子供はどの学校に通わせるのかなど、先行きが見通せず、焦燥感を募らせております。
都内には、いまだ八千人を超える方々がふなれな土地で避難生活を余儀なくされております。一方で、避難者の中には、長引く避難生活の中で帰郷を諦め都内で生活していくことを選択する人も出てきているのも事実であります。
震災から三年、避難者の思いは個々に異なり、求められる支援策も多岐にわたっております。都は、避難者の生の声を拾い上げ、現状を十分に把握した上で、被災自治体と協議するための連絡機関を設置するなど、被災自治体と十分に連携して避難者支援を進めるべきです。所見を求めます。
次に、地震、津波被害のほかに原発事故とも闘われている福島県支援について質問します。
第一に、福島県産業の柱の一つである観光への支援策についてであります。
まずは、我が党が提案し、都が平成二十三年から三年連続実施をしてきました被災地応援ツアーを高く評価するものであります。
しかしながら、県内への観光客は、いまだ震災前の水準の八割に満たないのが実情であります。福島県からも、あともう一押しという状況のため、ぜひとも被災地応援ツアーを来年度も継続してもらいたいと県知事名での要望書を預かってまいりました。被災地応援ツアー継続に向けての見解を求めます。
第二に、福島県の農水産物への風評被害対策であります。
農産物については、これまで県独自の取り組みに加え、都も我が党の提案を受けて、消費者団体などの被災地研修を実施するなど、その安全性の説明に努め、成果を上げてきております。
しかし、水産物については、いまだ風評被害を払拭する上で効果的な手が打たれていません。消費者に安全であることを確認してもらい、安心感を与えるためにも、水産物を対象とした消費者団体の被災地支援研修会を実施すべきです。都の見解を求めます。
現在、津波で打撃を受けた地域では、復興に向けて新しいまちづくりの検討が進められております。とりわけ、奇跡の一本松で知られる岩手県陸前高田市では、先進的な福祉のまちづくりを復興の主眼に据え、防災面も含め高齢者や障害者が安心して暮らすことができる取り組みを推進しています。
東京は、オリンピック・パラリンピックで、被災地の復興した姿を世界に示していくと位置づけております。被災県がパラリンピアンの競技合宿などの誘致に取り組めるよう、福祉の先進都市を標榜する東京から、被災地の福祉のまちづくりにノウハウを提供できる機会を設けることが新たな被災地支援になると考えますが、所見を求めます。
陸前高田市などでは、市外との交流人口をふやすプロジェクトを推進しており、その中で防災研修の受け入れ体制も整えています。都内の町会、自治会や商店街関係者を初め、多くの都民が被災地に足を運び、震災から得た教訓を学ぶことは、東京の防災対策をさらに進めていくことにもつながります。
研修の受け入れ体制のある被災自治体が、多くの都民の来訪を求めてアピールする場を設けられるよう支援していくべきと考えます。見解を求めます。
東京を代表して、積極的に被災地に赴き、復興支援に尽力した団体の一つが東京都交響楽団、いわゆる都響であります。実は、都響は、一九六四年の東京オリンピック大会を記念して、首都東京の音楽大使として創設された、前回大会のレガシーでもあります。
この都響は、一流の音楽を子供たち、お年寄りやハンディキャップを持つ方々にも届けてきました。
我が党からの要望に応えて、被災地の方々にも積極的に励ましの演奏を届けてくれました。まさに、被災地の心の復興に大きな役割を果たしてきました。
そこでまず、被災地支援を初めとする都響の教育、社会貢献活動への取り組みについて見解を求めます。
また、都響は、再来年創設五十周年を迎えます。その間、世界一流の指揮者や演奏家たちの競演などを通して、着実にその演奏技術を高めており、いわば我が国を代表するトップレベルのオーケストラの一つであります。
七年後のオリンピック開催を視野に入れると、都響を都の持つすぐれた文化資源として、さらに充実をさせていくとともに、多彩な活動を展開して、その魅力を国内外にアピールしていくことが重要であります。今後の都響の活動について見解を求めます。
東京でのオリンピック・パラリンピックの開催は、被災地においても大きな希望となり、復興の姿を全世界に発信していく絶好の機会であります。
しかし、開催都市決定に沸き上がっている一方、被災地においては復興がおくれてしまうのではとの懸念の声も聞かれます。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に当たっては、被災地の復興なくして成功はあり得ないとの強い決意を断じて絶やしてはなりません。その意味でも、被災地の声を大会に反映させていく仕組みづくりが大切であります。
明年二月には、大会組織委員会が立ち上がるスケジュールとなっておりますが、その大会組織委員会の中に、被災地の方々の声を具体化する専任の部門を設置すべきであります。見解を求めます。
次に、教育について伺います。
グローバル化が進む世界にあって、未来を担う子供たちには伸び伸びと活躍できる力をつけさせていかなければなりません。その第一歩は、何といっても語学であり、東京都教育委員会は、さまざまな取り組みを展開しております。
国際社会では、言葉や文化の違いを超えて人間同士としてつながるコミュニケーション力が必要となります。いわなくても伝わるという情緒的な交流ではなく、母国語であれ、外国語であれ、的確に言葉を選び、論理的に伝え合い、理解し合っていく言語能力が求められております。
そこで、都教育委員会は、現在、国語を中心に全ての教科において、言語能力向上推進事業に取り組んでおります。国際社会で活躍するための必須の能力として、子供たちの言語能力を磨くための取り組みを一層充実する必要があると考えますが、所見を求めます。
教員の資質向上の課題は、日本だけではなく、世界の主要国共通の重要課題になっています。
教育大臣レベルの会合はAPECで四年ごとに開催されており、G8の教育大臣フォーラムの議長声明でも、国際経験を通じた能力向上の機会を教員に与えることに特別の優先順位を置くと記されております。
教員同士が文化や言語の違いを超えて切磋琢磨し合うことは、互いの教育力向上に大きく寄与しますが、実際には教員同士の国際交流はまだ緒についておりません。
教員の海外派遣等の機会を捉え、都教育委員会が率先して現地の教育委員会や学校の協力関係を構築し、教員同士の交流の促進に取り組むべきです。見解を求めます。
次に、少子高齢化対策について質問します。
都議会公明党は、都庁の構造的福祉プロジェクトチームの検討に呼応して、会派内に少子化対策と高齢化社会対策の二つのプロジェクトチームを設置し、検討を進めております。
まず、少子化対策については、子育て中の家庭への支援はもちろん、経済的理由などから結婚や出産をためらう若者を支援していくことが、基本的な対策として重要であります。子育て家庭への支援について、都は、有識者などで構成する子供・子育て会議を立ち上げ、子育て中の都民の意見も聞きながら、新たな計画を策定するとしております。
そこで、もう一方の柱である若年者支援についても、支援の対象となる若年者自身の声を聞くため、同様の会議を立ち上げ、効果的な施策に結びつけるべきであります。見解を求めます。
子育てのスタートとなる産後ケアの充実もまた重要な柱であります。出産後の女性は、育児の悩みなどから情緒不安になりがちといわれております。
世田谷区と武蔵野大学が運営している世田谷区の産後ケアセンターでは、出産後四カ月未満の母子が宿泊や日帰りで滞在し、助産師と保育士が二十四時間体制で心と体の両面から支援しております。
都議会公明党は、先月、視察をいたしましたが、充実したケア体制が評判を呼び、予約に十分対応できないほど希望者がふえているとのことで、産後ケアに対する公的支援強化の必要性を改めて痛感しました。
また、出産後速やかに適切な支援につなげるためには、妊娠中から相談支援を始めることも有効です。核家族化の進行や、地域コミュニティの希薄化が著しい東京においては、特にこうした支援が求められております。
都は、産後ケアの充実を子育て支援策の重要な柱の一つに据え、強力に推進すべきと考えますが、見解を求めます。
十三時間の延長保育や低年齢児への保育など、大都市特有のニーズに対応するために創設された認証保育所は、都内の待機児童対策として、今や不可欠な存在となっております。
一方、国は、これまで一向に認証保育所の実績を認めようとせず、認可保育制度にこだわり、ことし六月には、認可外保育施設に対する認可への移行支援策を打ち出しました。
しかし、東京都が誇る認証保育所は、多様な保育ニーズに柔軟に対応できるよう工夫されており、当然のことながら、認証保育所を進んで選択した保護者のニーズにも、引き続き応えていかなければなりません。加えて、今回、国が打ち出した認可への移行支援策も、事実上、一部のタイプの認証保育所は対象外とされております。
そこでまず、認証保育所への都民の高い期待を踏まえ、都は今後も認証保育所の独自性を堅持し、その整備を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
ひとえに認証保育所の課題は、国の支援がないことに起因する保育料の負担感にあります。その意味で、認証から認可への移行策は負担軽減の一つの選択肢ではありますが、問題は、認証保育所独自の積極的な保育サービスが、認可への移行と同時に提供されなくなってしまうおそれがある点にあります。
国は現在、認可保育所全体に対し、保育時間の延長などを促すための支援策を検討しておりますが、その内容が十三時間保育の水準に達するかが危惧されています。
そこで都は、国に対し、認可への移行支援では、現在の認証保育所のサービス水準を維持する支援策を実施するよう求めるべきであります。また、もし国の支援策が不十分な場合には、迅速に暫定的な都独自の取り組みを講じるべきだと考えます。あわせて見解を求めます。
国は、待機児童解消加速化プランにおいて、平成二十九年度末までに約四十万人の保育の受け皿を整備し、待機児童をゼロにする目標を掲げました。大変にすばらしい内容ですが、それは同時に、今後、新たに大量の保育士が必要になることを意味しております。
現状のままでは、全国で七万四千人、東京だけでも二万二千人もの保育士が不足する計算になります。しかも今後、認可への移行支援が打ち出されることによって、保育士を十割とする保育施設がふえていけば、保育士の不足はさらに深刻の度を増すことになります。その解決のためには、認証保育所保育士の一層の処遇改善など、多角的に対策を講じる必要があります。
そこで、都が、今年度実施している三万人の保育士資格者を対象とした処遇や労働環境などの実態把握の現状と、それを踏まえた保育人材の確保策の強化について見解を求めます。
次に、高齢者支援についてです。
東京は、今後も他県からの人口流入が続くため、高齢化とは無縁と思われがちです。しかし、高度経済成長期の大量の都内移転者が一挙に高齢化していくため、都内でも平成二十二年からの十五年間で六十五歳以上の人口が約六十二万人も増加するとの分析もあります。
そこで、都議会公明党のプロジェクトチームの調査検討の成果を踏まえ、何点か質問します。
まず、医療を活用した健康増進についてであります。
都民に対し、生活実態に即した医療的助言が早目に提供されていく取り組みが広がれば、要介護状態や重症疾患の発症を防ぐだけでなく、健康寿命の増進にもつながります。
しかし、こうした相談窓口は、地域包括支援センターが担う介護系と、在宅療養支援窓口で地区医師会などが担う医療系とに分かれております。別々の建物で別々の専門家によって提供されており、利用者には不便といわざるを得ません。
こうした点において、医療と介護の両面にわたって日常的にケアを展開する訪問看護ステーションの看護師は、健康に役立つ的確なアドバイスをきめ細かく提供することが可能な身近で貴重な人材であります。
都議会公明党が視察した新宿区戸山の暮らしの保健室では、保健師の資格をあわせ持つ経験豊かな看護師を中心に、多様な専門家や運営スタッフがボランティア的に支え合っていました。気兼ねなく相談を受け付けてもらえるという雰囲気づくりに成功しており、幅広い健康相談に無料で応じています。
優秀で意欲のある訪問看護師などを活用し、都民が気兼ねなく相談できる窓口機能を整えていけば、高齢者の健康な生活を支えていくことにつながります。
今後、区市町村がこうした取り組みを推進していく場合には、都は、これを支援する新たな事業展開を検討すべきと考えますが、見解を求めます。
また、在宅療養を担う訪問診療や看護の課題の一つは、バックベッドの確保、すなわち必要な際には速やかに入院できるという保障がなかなか得られにくい点にあります。
我が党が視察した長野県の佐久総合病院では、予防は治療にまさるとの視点に立って、五十年前から地域の全家庭を対象に訪問の診療、看護に取り組み、今も地域ケア科という訪問専門のセクションを設け、医師と看護師が、病状の急変時にも、いつでも手術や入院が可能な安心感のある取り組みを展開しています。
一方、都では、在宅医が訪問看護ステーション等と連携しながら、チームとして二十四時間の診療体制を確保する取り組みや、区市町村が地域の医療機関に病状急変時などに利用できる病床確保の取り組みについて支援しています。
この点、東京都保健医療公社が運営する公社病院は、地域との連携を存在意義の一つとして誕生したものであり、民間病院に先立って、むしろ積極的に地域を支援し、バックベッドの確保などの貢献を果たすべきであります。見解を求めます。
次に、特別養護老人ホームの整備について質問します。
都内の各自治体が把握する特養入所申込者数は、平成二十二年十月時点で約四万人となっています。その一方で、空き家を活用した高齢者支援の取り組みもいまだ容易に進展しておりません。地価が高く土地の確保が難しい都内での特養整備の最大の課題を解決するには、新たな手法を編み出していかなくてはなりません。
貴重な都内の土地の有効活用を図るためには、従来からの公有地活用に加えて、異なる種類の高齢者向け施設を同一の敷地内や建物などにあわせて建設する複合化が効果的です。
国内のある大都市圏の社会福祉法人は、駅前などの交通利便のよい土地を有効活用した中高層階の複合施設内に、特養や介護老健、デイサービスやショートステイ、小規模多機能、リハビリ病院や高齢者向け賃貸住宅などを組み合わせて展開しています。
こうした取り組みは、事務所機能の一本化などでコスト削減が進み、結果的に介護の費用負担も減らします。また、好立地であるため、利用者や家族が訪れやすいだけではなく、施設側も優秀な介護人材を獲得しやすいという利点もあります。
さらには、同一の建物内の高齢者向け住宅にあらかじめ移り住むことにより、なれた環境の中で施設に入所できます。また、複合施設内の各種の宿泊機能の活用によって、出張や家族旅行などに伴う介護ニーズにも対応できるため、仕事や生活と介護の両立、三立が図りやすいなどのメリットも数多く見受けられます。
都は、複数業種の高齢者施設の連携による機能強化や施設の共有化など、複合化の利点が都内でも生かされるよう、複合型施設の整備を行う区市町村や事業者に対する支援を行うべきと考えます。見解を求めます。
用地の確保が困難という都市部の課題を踏まえ、行政区域外エリアでの特別養護老人ホームの活用など、都民の選択肢の幅を広げる工夫も大切となります。
例えば、杉並区では、静岡県南伊豆町にある杉並区の土地を活用して特別養護老人ホームの整備を検討しています。この動きは、国の検討会でも取り上げられ、高齢者本人の意思の尊重を前提としながらも、住民同士のつながりが深い自治体間の取り組みを対象に、規制緩和の方向性が示されました。
都も本年九月、国に対し、区市町村が共同して特別養護老人ホームを整備する新たな手法を緊急提言しています。
住民同士のつながりが深い自治体間や出身地であるふるさとの施設に入所する方法など、協力する自治体同士が入所調整を互いの介護保険計画に明記し合うなどの新たな手法も活用し、特養整備を促進すべきと考えますが、都の見解を求めます。
高齢者支援の最後に、介護と仕事の両立について質問します。
総務省が、ことし七月に発表した就業構造基本調査によると、仕事を持つ六千四百四十二万人の四・五%に当たる二百九十一万人が介護しながら働いています。
平成十二年に介護保険法が施行された時点での調査では、家族介護者は圧倒的に女性が多く、八割以上を占めており、男性介護者は約一割にすぎませんでした。
しかし、今回の発表では、男性の家族介護者が全体の三割を超え、二百万人に達しています。いわゆる介護退職も十万人を超え、さらに増加傾向にあり、経営にも影響を与えかねません。
今回、都議会公明党が視察した企業では、先駆的に介護との両立に取り組み、人事室内にワークライフバランス課を設置、社内調査で社員の七〇%が今後介護に携わる可能性があると回答したことを受け、介護と仕事の両立セミナーを開催するなどの取り組みを展開しています。
社内調査では、昇進への影響などを恐れて介護を隠す、いわゆる隠れ介護者の存在も明らかになり、人事担当者によれば、今後は、人事規定の改善や相談体制の構築に取り組むとのことでありました。
都は、こうした都内企業の情報を積極的に発信し、企業同士で共有し合える仕組みを構築すべきと考えます。所見を求めます。
また、このような民間企業へのサポートにあわせ、都は、従業員が少ない企業の現場で、経営者や社員が介護と仕事の両立のために何を必要としているのか実態を調べ、そのニーズに応えた施策づくりに取り組むべきであります。
介護と仕事の両立に真に役立つ政策展開に向けた調査をしっかりと行うべきと考えますが、所見を求めます。
さらに、東京都が介護と仕事の両立に向け、中長期的な視点から計画的に取り組んでいくことも重要です。
都がこのたび論点整理を公表した新たな長期ビジョンでは、両立支援の内容は、育児と仕事の両立にとどまっています。介護と仕事の両立支援の視点も入れるべきと強く要望しておきます。
急速に進行する少子高齢化、さらには人口減少社会が今後も本格化していくことに加え、先進国の中でも最悪といわれる債務残高など、我が国の国家財政は、依然として厳しい状況にあります。
持続可能な社会保障制度の構築と財政健全化を同時に実現するために、国は、社会保障と税の一体改革により、平成二十四年八月に税制抜本改革法を成立させた結果、消費税の増税が決定しました。国民に新たなる負担を求めるのであれば、前民主党政権が実施して失敗した場当たり的な事業仕分けではなく、行政の無駄を徹底的に排除し続けていく仕組みづくりが重要であります。
この点、都は、全国に先駆けて、全ての会計に我が党が提唱する複式簿記・発生主義の新公会計制度を導入するとともに、これを活用しながら、財務局内に事業評価組織を創設し、事業評価を着実に進めた結果、財政再建に成功しました。
そこで、これまでの事業評価による取り組みの成果と二十六年度予算編成に向けたさらなる取り組みについて見解を求めます。
国は、平成二十年度税制改正において、地域間の財政力格差の縮小の観点から、法人事業税の約半分を消費税を含む税体系の抜本改革が行われるまでの暫定措置として、地方法人特別税として分離し国税化しました。平成二十四年八月に成立した税制抜本改革法において、地方消費税率の引き上げ時期を目途に、抜本的に見直しを行うことが明記されています。
したがって、今回、消費税率の引き上げにあわせて、法律どおりに撤廃し、地方税として早急に復元すべきであります。しかし、国は輪をかけて、今度は基礎的自治体に影響が大きい法人住民税を一部国税化しようとしています。
このことは、地方自治体の課税自主権を侵害するだけではなく、地方分権に真っ向から反するものであります。都は、毅然たる対応をすべきであることを強く求めておきます。
次に、契約不調問題について質問します。
景気の回復に応じて、都内の工事件数が増加している一方で、技術者の不足や資材単価の上昇から、都が発注する工事入札の中止、不調が相次いでおります。これは、都が発注工事ごとに主任技術者の専任を厳格に求めていることが原因の一つとなっております。
国土交通省は、ことし二月、東日本大震災からの復興の円滑化を図るため、被災地三県に限っていた主任技術者の専任配置義務の緩和を被災地以外の地域にも拡大する通達を出しております。
都は、こうした国の動向も受け、不調が増加しつつある現在の入札状況や中小企業からの意見も踏まえ、主任技術者の専任配置義務の緩和をすべきと考えます。所見を求めます。
次に、中小企業の支援について質問します。
昨年十二月、多くの国民の皆様の支持をいただき、公明党と自民党の連立政権が誕生しました。そのスピード感ある政策の展開により、日本の経済は長い低迷から抜け出し、前進を始めています。
その上で、今後も首都東京が国内経済の牽引役を果たしていくためには、都内経済を支えている中小企業が力をつけ、発展していくことが何よりも重要であることはいうまでもありません。そのためには、海外市場などに販路を開拓していく努力も必要ですが、同時に、効果の高い設備投資をしっかりと行い、すぐれた技術やよりよい製品を生み出していくことが重要であります。
しかし、リーマンショック以降の厳しい経済環境に苦しんできた経営者の方々からは、先行きの不安が拭い切れない、設備投資はしばらく見合わせたいという慎重な声もなお聞かれます。
日夜地道に努力している中小企業のこうした声に耳を傾け、設備経費などの負担を軽減する支援策を講じるべきと考えますが、見解を求めます。
最後に、中小企業の年末等の資金繰り支援について質問します。
年末を控え、事業者の皆さんは資金繰りに奔走しております。景気が回復基調にあるとはいえ、まだまだ多くの中小企業が苦労されている状況をしっかりと受けとめ、年末に向けて万全の対策を講じるべきであります。
我が党としても、先般、厳しい経済環境と都民の雇用不安への対応を求める緊急申し入れを行い、早急な対応を求めたところです。
さらに、我が党がかねてから主張しているとおり、動産を担保として活用した融資制度の導入など、経営基盤の弱い零細事業者の資金調達の選択肢を広げる取り組みも積極的に進めるべきであります。あわせて見解を求め、都議会公明党を代表しての質問を終わります。(拍手)
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 長橋桂一議員の代表質問にお答えをいたします。
教育に関する三点のご質問ですが、まず、大島町の被災者の心のケアについてであります。
今回の災害を受け、都教育委員会では、本年十月二十一日から十一月十五日の間に、心理を専門とする職員やアドバイザリースタッフ、延べ五十五人を大島町に派遣し、児童生徒、保護者、教職員延べ百九十五人に対して面接やカウンセリング等を実施し、心のケアを行いました。
現在、大島町と協議の上、こうした子供たちには、担任や養護教諭、学校に配置しているスクールカウンセラーが引き継いで対応をしております。
発災時には、その後の心のケアも重要でありますことから、今後とも、都教育相談センターによる電話相談で子供たちに対応するとともに、大島町や都立高校からの要請に応じて心理を専門とする職員を迅速に派遣するなど、積極的に支援をしてまいります。
次に、言語能力を育成するための取り組みについてであります。
子供たちが、将来、国際社会を生き抜く上で必要な思考力、判断力、表現力などを育むためには、それらの力の基盤となる言語能力を向上させることが重要であります。
都教育委員会は、平成二十三年度から言語能力向上推進事業を開始し、現在、推進校百九十五校では、スピーチを通して自分の考えや意見を論理的に述べたり、課題の解決に向けて対話や討論を行うなど、さまざまな言語活動を通し、児童生徒の言語能力を高める取り組みを行っております。
今後は、実践事例をまとめた報告書を都内全公立学校に配布し、新たに発表会を開催して、その成果を普及するとともに、推進校が地域の拠点となり、言葉による発信力の向上や伝統的な言語文化を重視した指導に先進的に取り組むなど、一層の充実を図ってまいります。
最後に、教員の国際交流についてでございます。
教員が派遣先の大学等で学び、みずからの指導力の向上を図るとともに、海外の教員との交流や現地の文化や生活等に直接触れることは、教員としての資質を高め、国際的な視野を広げる上で極めて重要でございます。
これまでも、都教育委員会は、現地の教育委員会と連携し実施している教員等の海外派遣研修において、現地校への訪問や現地校の教員と協力して行う事業などを通して教員間の交流を行ってきております。
今後は、教育委員会相互の連携を強化して、こうした取り組みを一層充実していくとともに、海外派遣研修報告会や国際理解をテーマとした教員対象の研修に新たに派遣された国の教員等をシンポジストや講師に加えるなどして、教員相互の国際交流を推進してまいります。
〔東京都技監藤井寛行君登壇〕
〇東京都技監(藤井寛行君) 特定緊急輸送道路に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、耐震診断の助成期限延長についてでございますが、建物所有者への粘り強い働きかけの結果、対象建築物のうち七割を超える建築物につきまして、診断が実施されております。
お話のとおり、震災時における緊急輸送道路の機能を確保するためには、残り三割の建築物につきましても、耐震化に向けて着実に診断を完了させる必要がございます。
都は、診断実施を促すため、合意形成に時間を要する分譲マンションへの個別説明を行うほか、効率的に建物調査ができるよう建築士団体とともに技術マニュアルを充実させるなどの取り組みを行ってきております。
このような取り組みにより、現在、診断の準備を進めている所有者に対応するためにも、都は、今年度までとしていた診断の助成期限を来年度まで延長し、全ての特定沿道建築物の診断完了を目指してまいります。
次に、耐震化の取り組みに対する費用負担についてでございますが、都は、国に対しまして、提案要求などの機会を通じて、耐震化助成の拡充を繰り返し要望してまいりました。
こうしたことを受け、先月、改正耐震改修促進法が施行され、耐震改修促進計画に位置づけた建築物につきましては、国費助成を割り増す制度が創設されました。
この制度を活用することにより、改修工事費の所有者負担を十分の一にまで低減することが可能となるなど、所有者にとって耐震化を進める上で大きな後押しとなります。
全国に先駆けた条例に基づき、既に診断が実施された建築物も多い中、改修までに要する費用の負担を、年明け一月から軽減できるよう耐震改修促進計画の変更に着手しました。
都は、引き続き特定沿道建築物の耐震化に積極的に取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、大島の復旧、復興に向けた都の支援でございますが、都はこれまで、被災者に対する生活再建支援金の支給対象の拡大や中小企業への金融支援策の拡充など、被災者の実情を踏まえた都独自の支援策を講じてまいりました。
また、大島町に対しましても、町道の復旧等に関する技術的助言を行うとともに、被災者の生活再建に必要な罹災証明書の発行業務を円滑に進めるため、都と区市町村で協力して職員を派遣するなどの支援を実施してまいりました。
こうした取り組みに加えまして、現在、大島応急復旧プロジェクトチームのもと、観光キャンペーンの展開や農林、漁業等の基盤整備など、さらなる復旧、復興対策も検討しており、年内を目途に総合的な対策を取りまとめてまいります。
今後とも、大島町と十分連携し、復旧、復興に向けた取り組みを全庁を挙げて進めてまいります。
次に、東日本大震災に係る今後の避難者支援についてでございます。
被災地では、現在、避難者の帰還を目指して、除染や災害公営住宅の建設に全力を挙げて取り組んでおり、地域により進捗に差はございますが、復興は徐々に進み始めております。
また、国におきましても、原発事故による避難者の帰還に向けた対策を年内にも取りまとめることとしております。
一方、都が二月に避難者に対しまして実施したアンケート結果では、都内に定住したい人の割合が四四%、復興や除染の目途が不明なため、帰還の時期は決められない人の割合が三二%となっており、個々の事情により、生活再建への思いもさまざまでございます。
都は、こうした避難者の意向をより詳細に把握した上で、協議の場を設けるなど、避難元自治体と連携を図り、今後の支援策について検討を行ってまいります。
次に、被災地における福祉のまちづくりへの支援についてでございます。
東日本大震災の大津波により壊滅的な被害を受けた陸前高田市では、現在、中心市街地での土地区画整理事業などが進行する中、高齢者や障害者に優しい福祉のまちづくりを目指していますが、その制度設計を行う知識やノウハウが不足していると聞いております。
被災地が復興に合わせ、パラリンピアンの合宿誘致などを進めることは、復興した姿を世界に発信するという、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の考え方にも沿うものでございます。
都は、陸前高田市はもとより、岩手県の意向なども十分に踏まえた上で、関係局と連携し、支援について具体的に検討してまいります。
最後に、被災自治体のPR活動に対する支援についてでございます。
多くの都民が実際に被災地を訪れ、震災の経験と教訓を共有化することは、震災の記憶の風化防止及び都民の防災意識の向上を図る上で有益であると認識しております。
現在、被災地では震災の記憶と教訓を伝承するため、地元の語り部ガイドや新たな観光ルートづくりを推進するなど、学びの場の拡大に取り組み始めています。
一方、都はこれまで、観光支援として被災県等の意向も踏まえ、都内物産展等におけるPRを行うとともに、被災自治体の取り組みをホームページ等により広報するなどの支援策を展開してまいりました。
今後、都は、こうして培った観光支援における経験やノウハウを活用し、被災自治体が防災研修を通じた交流を効果的にPRできるよう、必要な支援を行ってまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 八点のご質問にお答えいたします。
まず、大島町の被災者の心のケアについてですが、都は、町の要請に基づき、被災者が抱える災害後の急性ストレス障害や鬱、PTSDの発症など、心身の不調に対応するため、保健師、心理職等の専門職による多職種チームを、現在までに計四回派遣しております。
チームは、被災地域の方を中心に、自宅などを個別に訪問し、災害後に起きている心身の変化に関する健康相談や、継続的な心のケアが必要な方を把握するためのスクリーニング調査を実施しております。
今後とも、大島町と密接に連携しながら、保健師等による個別相談や精神科医による専門相談等を行い、被災者の心のケアに関する支援を継続して実施してまいります。
次に、産後ケアの充実についてですが、出産後の母親の孤立感や育児不安の軽減を図る産後ケアは、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支える上で重要な取り組みであり、虐待の未然防止にも資するものと認識しております。
現在、区市町村は、家族などによる援助が受けられず、心身の負担感を抱える母親を対象に、親子で宿泊して二十四時間体制で支援するショートステイや、デイケア、相談支援などを行っており、都は、こうした取り組みを包括補助事業により支援をしているところでございます。
お話のように、出産後、速やかに適切な支援につなげるためには、妊娠中からの継続した支援も重要であることから、今後、産前からの支援も含め、都としての新たな支援策を検討してまいります。
次に、認証保育所の整備についてですが、待機児童の多くを占める低年齢児を中心に受け入れ、育児休業明けなど、年度途中のニーズにも柔軟に対応している認証保育所は、広く都民の支持を得て設置が進んでおり、本年十一月一日現在、七百カ所、定員は二万三千人を超え、東京の保育施策として不可欠なものとなっております。
今後、平成二十七年度の子ども・子育て支援新制度の施行に向け、東京都子供・子育て会議の中で、都内の保育サービスの拡充策についても検討する予定でありますが、未就学児童や共働き世帯の増加により、引き続き保育ニーズの増大が見込まれる中、都としては、今後とも認証保育所を保育施策の重要な柱の一つと位置づけ、整備を支援していく考えでございます。
次に、認証保育所についてですが、認証保育所は、ゼロ歳児保育や延長保育など、都民の要望が高いにもかかわらず、認可保育所での取り組みが進んでこなかった都市型保育ニーズに的確に対応することを目的に創設した制度であり、都はこれまで、国の制度に位置づけ、十分な財政措置を講じるよう要求してまいりました。
今後とも、国に対して、これまでの認証保育所の実績を認め、子ども・子育て支援新制度の中に認証保育所を位置づけるよう強く求めるとともに、認可保育所の公定価格の具体的な設定に当たっても、大都市部における人件費、物件費等を考慮した上で、都市型保育ニーズに対応できる給付額とするよう強く求めてまいります。
都は引き続き、区市町村と連携し、大都市の保育ニーズに応えるサービスの充実に取り組んでまいります。
次に、保育人材の確保についてですが、都は平成二十一年度から、保育所勤務経験者で現在勤めていない方を対象に、就職支援研修と就職相談会を一体的に実施するほか、未経験の有資格者を対象としたセミナーなどのさまざまな取り組みを実施し、保育人材の確保に努めてまいりました。
今年度は、この五年間に保育士登録を行った約三万人の方を対象に、就労や離職状況等に関する調査を実施しておりますが、現在までの集計では、約半数の方が保育士として働いておらず、再就職の条件として、勤務日数や時間、勤務地などを重視する回答が多くなっております。
今後、この調査結果を詳細に分析し、ハローワークや保育士養成施設等、関係機関との連携も強化しながら、保育サービスを担う人材のさらなる確保策を検討してまいります。
次に、高齢者の健康を支える相談窓口についてですが、都はこれまで、高齢者が住みなれた地域で安心して生活できるよう、シルバー交番設置事業により、健康を含めたさまざまな相談に気軽に対応できる窓口を設置する区市町村を支援してまいりました。
また、高齢者や家族からの相談を受け、医療や介護などのサービスに適切につなぐことができるよう、地域包括支援センターの職員向けに、実践的な演習を盛り込んだ独自の研修を実施し、相談スキルのレベルアップを図ってまいりました。
高齢化が進む中、住民に身近な区市町村の取り組みは一層重要となることから、地域包括支援センターのさらなる機能強化に向け、お話の医療と介護に精通した看護師など専門職を活用した新たな支援策を検討してまいります。
複合型の高齢者施設の整備についてですが、都は現在、都市型軽費老人ホームと特別養護老人ホーム等を併設する場合や、認知症高齢者グループホームと他の地域密着型サービスを併設する場合に、補助額を加算する仕組みを設けるなど、地域の実情に応じた施設等の整備を支援しております。
お話のような複合型施設の整備は、土地の確保が困難な都市部において、限られた土地を有効に活用する手法の一つであると認識しております。
今後、こうした事例について、都が開催する区市町村や事業者向けの施設整備補助事業の説明会等で紹介し、区市町村が地域ニーズを踏まえて計画的に進める介護サービス基盤の整備を積極的に支援してまいります。
最後に、特別養護老人ホームの整備促進策についてですが、国における都市部の高齢化対策に関する検討会報告書では、杉並区と南伊豆町のような住民同士の連携が深い自治体間での整備についても、関係都道府県の介護保険事業支援計画への明記が必要であるとともに、入所者本人の意思の尊重が前提であるという考え方が示されました。
また、都内の老人福祉圏域間では、都の介護保険事業支援計画に明記することで、特別養護老人ホームの整備数の調整を可能とするという考え方も示されております。
都は、介護基盤の整備促進に向け、国に対し本年九月、都市部における整備手法として、近接する複数の区市町村が共同設置し利用する仕組みの構築を緊急提言しており、今後、介護保険制度の改正も見据え、新たな特別養護老人ホームの整備促進策を検討してまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕
〇生活文化局長(小林清君) 文化振興に関する三点のご質問にお答えいたします。
まず、芸術文化を活用した伊豆大島の復興支援についてであります。
いまだ不自由な生活を余儀なくされている被災した方々を初めとする島民の方々の心を癒やし、あすへの希望を見出すため、文化の力で復興を支援することは重要であります。
また、島の本格的な復興のためには、できるだけ早く、主要な産業分野である観光業の再建を進めていくことも重要であり、芸術文化を活用した支援に取り組むことは、そうした面からも大きな力になると考えられます。
このため、今後、都としては、地元大島町の意向を踏まえながら、東京都交響楽団やヘブンアーティストを派遣するとともに、椿まつりなど観光行事との連携についても検討してまいります。
次に、東京都交響楽団の教育、社会貢献活動への取り組みについてであります。
東京都交響楽団は、子供たちや高齢者、障害者などのための演奏活動にも積極的に取り組んでおりまして、昨年度は、都内で小中学校を対象とした音楽鑑賞教室、多摩・島しょ地域でのコンサート、福祉施設や病院への出張コンサートなど、約百三十公演を実施しております。
また、被災地の人々の傷ついた心を癒やすため、平成二十三年度から行っている復興コンサートや学校の教室を利用した子供の演奏体験事業なども、いわき市などで二十二回行い、こうした教育、社会貢献プログラムは、都響の年間全二百五十一公演のうち六割以上を占めております。
今後も、東京都が設置したオーケストラの役割として、多くの人々が質の高い演奏活動を通じて音楽のすばらしさに触れられるよう、教育、社会貢献活動を充実してまいります。
最後に、今後の東京都交響楽団の活動についてであります。
昭和四十年に前回の東京オリンピックのレガシーとして発足した都響は、現在では日本でトップレベルの交響楽団との高い評価を得ておりまして、定期演奏会などの自主公演は高い集客率を誇り、固定ファンである都響会員数もこの五年間で千人増加し、約七千人となっております。
この間、民間からの積極的な資金の獲得や、オーケストラとしては画期的な人事制度の改革にも取り組むなど、経営面でも健全化をなし遂げてまいりました。
創立五十周年に当たる平成二十七年には、世界的に活躍する指揮者である大野和士氏を音楽監督に迎え、秋にはヨーロッパの名立たる音楽都市をめぐる記念公演を予定しております。
七年後の東京オリンピック・パラリンピックで、都響が文化プログラムにおいて大きな役割を果たせるよう、今後も、質、量ともに楽団員の充実を図るとともに、さらなる経営努力に取り組み、国際的にも評価されるクオリティーの高い演奏活動を展開してまいります。
〔建設局長横溝良一君登壇〕
〇建設局長(横溝良一君) 中小河川の整備についてでございますが、頻発する集中豪雨に対応するためには、河川整備を一層効率的、効果的に進めることが重要でございます。
このため、従来の目標を超える降雨に対しましては、道路や公園などの公共空間を活用して新たに調節池を設置することとし、近年、洪水による被害のあった石神井川や境川など五つの流域において、設置箇所や構造形式などを検討しております。
また、神田川、石神井川、白子川の三つの異なる流域において調節池を相互に活用する広域調節池のルートなどの検討を開始いたしました。この整備により、時間百ミリの局地的かつ短時間の集中豪雨に対しても効果を発揮することができます。
今後とも、都民の生命と財産を守るため、中小河川の整備に全力で取り組んでまいります。
〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕
〇産業労働局長(塚田祐次君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、被災地応援ツアーについてでありますが、都は、東日本大震災による被災地復興支援のための緊急対策の一環として、平成二十三年九月より被災地応援ツアーを実施しております。
今年度は、宿泊二万泊、日帰り一万五千人分について、その費用の一部を助成しております。
本ツアーについては、取り扱いを希望する中小の旅行事業者の数が予定の約二倍に上り、また、多くの旅行者が福島県を訪れ、現地での消費が喚起されるなど、観光振興による復興に貢献しております。
福島県への送客につながる被災地応援ツアーについては、福島県の観光の状況等を踏まえ、検討してまいります。
次に、仕事と介護の両立に関する情報共有についてでありますが、介護は、育児と比べて、問題に直面する従業員の置かれている状況やその事例がより多様となっております。
こうした中、民間企業が職場で仕事と介護の両立を実現する上で他の会社の取り組み事例を参考とすることは効果的であります。
これまで都は、介護も含め仕事と生活の両立を推進するため、すぐれた取り組みを行う中小企業の認定などを行ってまいりました。
こうした施策に加え、今後は、仕事と介護の両立支援に取り組む事例の情報発信や、企業同士が情報交換できる機会の提供などを検討してまいります。
次に、仕事と介護の両立に関する調査についてでありますが、民間企業での実態について、都は、職場における男女平等に関する調査の中で、介護と働き方についての基本的な内容を調べております。また、国や民間機関等も、全国のさまざまな企業や従業員などを対象に調査報告を取りまとめております。
こうした中、都は、より効果的な施策の展開に役立てるため、東京の中小企業を対象に、従業員が働きながら介護を行う上での問題点や会社としての対応の状況等について、きめ細かく把握する必要がございます。
今後、仕事と介護の両立の支援を一層進めるため、都内中小企業やその従業員を対象とした実態調査を検討してまいります。
次に、中小企業の設備投資への支援についてでありますが、都内中小企業が着実に発展していくためには、新しい事業展開や競争力の高い製品づくりに向けて、効果的な設備投資を実行していくことが必要であります。
しかし、新しい設備の導入は資金面で大きな負担となることから、中小企業にとって慎重にならざるを得ない側面もございます。
そこで都は、今後、成長産業への参入や付加価値の高いものづくりを目指す中小企業を後押しするため、設備投資に対する助成制度を検討してまいります。
こうした取り組みにより、東京の産業を支えている都内中小企業の成長を促進してまいります。
最後に、中小企業の資金繰り支援についてでありますが、中小企業が事業運営に必要な資金を円滑に調達できるよう、都は、制度融資により、さまざまな融資メニューを提供しております。年末にかけては、特に資金ニーズが高まることから、資金繰り支援をさらに強化する必要がございます。
このため、短期の運転資金の迅速な調達に対応し、原則として三営業日以内で保証審査を行うつなぎ資金融資について、上限額を引き上げる措置を講じております。
これに加え、年末には特別相談を実施し、事業者の相談にきめ細かく対応するなど、支援に万全を期してまいります。
また、中小企業の資金調達の選択肢を広げ、経営の安定化に資する観点から、売掛金などの動産を担保として活用する融資制度についても検討を進めてまいります。
〔中央卸売市場長塚本直之君登壇〕
〇中央卸売市場長(塚本直之君) 水産物の消費者団体向けの研修会についてでございますが、都はこれまで、青果、水産の市場関係者に加え、青果物の消費者団体向けの被災産地支援研修会を実施し、福島県内での安全・安心確保への取り組みを消費者や販売先に伝えてもらうなど、風評被害の払拭に取り組んできました。
研修会の参加者からは、現地の検査体制を視察し、出荷関係者と直接意見を交わしたことで、安全・安心を体感できた、これだけの検査を行っていることを大勢の人に知ってほしいといった意見が出るなど、現地の取り組みへの理解が深まる有意義な機会となりました。
現在、水産物につきましては、試験操業の区域及び対象魚種は徐々に拡大され、今後、首都圏市場への本格的出荷に向けた取り組みが進んでいくものと考えられます。
こうした参加者の意見や被災産地の状況を踏まえまして、福島県産品の安全確保対策への理解促進が図られるよう、水産物につきましても消費者が直接見聞する機会を設けることを検討するなど、引き続き風評被害の払拭に取り組んでまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) オリンピック・パラリンピック大会運営への被災地の声の反映についてでございます。
都は、二〇二〇年東京大会が被災地復興に向けての大きな力となることから、立候補ファイルの策定に合わせて、復興専門委員会を設置し、大会の運営主体となる大会組織委員会や都など、さまざまな主体による取り組みを盛り込んだ最終報告を取りまとめました。
報告の中では、東北地方の伝統文化を取り入れた文化事業の実施や事前合宿の誘致、被災地での聖火リレーの実施やサッカー予選の開催など、復興に資する具体的な事業を提言しております。
今後、これらの支援策を着実に実施するためには、被災地の自治体等と緊密な連携を図ることが必要であり、ご提案のありました被災地の声を聞く組織についても、組織委員会等の体制整備の中で検討してまいります。
〔知事本局長中村靖君登壇〕
〇知事本局長(中村靖君) 少子化対策における若年者の意識聴取についてでありますが、都はこれまで、認証保育所の創設など、都独自の取り組みにより少子化対策を進めてきたものの、未婚化、晩婚化の進行など、さまざまな要因により少子化の流れを食いとめるまでには至っておりません。
このような現状を踏まえ、従来の子育て家庭への支援に加え、結婚や出産前の若年者支援について、局横断的に対応するため、構造的福祉プロジェクトチームの中に若年者支援部会を設置いたしました。
検討を進めるに当たり、若年者の意識やニーズを把握することは重要であると考えております。
このため、若年者問題に詳しい専門家などの有識者にヒアリングを実施するとともに、今後は、インターネットにより、若年者を中心とする都内在住の二千人を対象として、就職、結婚、出産、行政に期待する取り組みなど、幅広い意見を聞く調査を実施していきます。
これらの取り組みを通じて、若年者のニーズを多面的に把握し、施策に反映してまいります。
〔病院経営本部長醍醐勇司君登壇〕
〇病院経営本部長(醍醐勇司君) 東京都保健医療公社病院における在宅療養支援についてでありますが、急性期を脱した患者が安心して在宅療養生活を送れるよう、在宅医療に対する支援も含め、地域医療連携体制を強化していくことは大変重要であります。
これまでも、公社病院では、各病院が地域の実情に応じまして、関係機関と積極的に連携した退院患者の急変時受け入れや、在院時から訪問看護ステーション等と連携して退院後の具体的な支援計画を作成するなど、在宅移行支援に向けたさまざまな取り組みを行っております。
今後、公社の全ての病院におきまして、患者支援センターを順次整備し、在宅医や訪問看護ステーション、地域包括支援センター等との連携強化を図るとともに、地域医療充実の観点から在宅移行患者の急変時における受け入れ体制の強化にも取り組んでまいります。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
〇財務局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、事業評価の取り組みについてでありますが、平成十八年度に予算編成と一体的に実施する仕組みに制度を再構築して以降、昨年度までの七年間の取り組みにおいて、千五百九十九件の評価結果を公表し、累計で一千七百四十億円の財源確保につなげるなど、着実に成果を積み重ねてきております。
この事業評価について、二十六年度予算編成に向けては、新たな公会計制度の活用など、これまで進めてきた取り組み内容を検証し、さらなる評価手法の強化、改善を図ってまいります。
具体的には、監査事務局において新たに事例集を作成することにより、監査結果を活用した全庁横断的な検証が可能となる事例をより多く提示することといたしております。
加えて、新たな取り組みとして、職員提案制度等を活用し、優良な事例について、その改善内容を迅速かつ的確に予算へ反映するとともに、他局においても同様の見直しが可能な類似事例がないかどうか横断的な検証を行うこととしております。
今後とも、事業局や関係部局との連携を密にし、これまで以上に創意工夫を凝らすなど、事業評価のさらなる進化を図り、効率的、効果的な事業実施につなげてまいります。
次に、工事における主任技術者の専任配置の緩和についてでありますが、お話のとおり、国は、工事現場に配置される主任技術者の専任の緩和に係る取り扱いについて、先般、地方自治体へ通知したところであります。
都においても既に検討を開始しておりますが、国と同様の措置を講ずる場合は、工事現場の管理や周囲の安全対策、工事間の連携などへの影響について、工事現場の多くが高密度な市街地にある大都市特有の状況を踏まえ、慎重に検証を行う必要がございます。
このため、工事を主管する部局等と連携し、主任技術者の専任の緩和に向け、適切な条件の設定について検討を進めてまいります。
〇副議長(藤井一君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後四時四十一分休憩
午後五時開議
〇議長(吉野利明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
五十七番河野ゆりえさん。
〔五十七番河野ゆりえ君登壇〕
〇五十七番(河野ゆりえ君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
初めに、十月の台風二十六号による災害で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。
本定例会開会の直前に、猪瀬知事が、徳洲会から五千万円という巨額な資金提供を受けていたことが発覚しました。知事は、所信表明で、自分の生活の不安から個人として借りたものであり、何ら問題がないかのような発言を行いました。
しかし、この問題が発覚した直後は、知事も資金提供という形で応援してもらうことになったといっていたのです。公職選挙法、政治資金規正法違反が問われる重大な問題です。
同時に、資金提供は、都が許認可権を持つ医療施設などを都内で展開し、都の補助金を受けている徳洲会によるものです。明らかに利害関係者からの利益供与に当たるものといわなければなりません。
借りたと説明していますが、利子も返済の期限もなしという資金提供は、贈与とみなされて仕方がないものです。事実、お金は、金融機関などの記録に残らない現金でのやりとりで、保管したのも預金口座ではなく、妻名義の貸し金庫という証拠が残らない方法をとっています。まさに、典型的な政治資金規正法逃れの手法ではありませんか。
知事、政治家として、絶対許されない行為だと思いますが、いかがですか。
この立場から、事実経過を含め、以下、質問しますから、知事、正直かつ明確に答えてください。
知事は、五千万円を妻の貸し金庫に入れたといいました。なぜ銀行に預けず妻の貸し金庫を使ったのですか。また、妻は五千万円も入る大きな貸し金庫を、いつどのような目的で借りたのですか、それぞれお答えください。
あなたは、昨年十一月二十日、議員会館で、徳田毅氏から五千万円受け取り、その場で借用証を書いたと説明しています。ところが、先月二十二日の定例記者会見では、知事は貸し主について、わかりません、名前は見ませんでしたと答えました。巨額な資金を借りるときに、貸し主の氏名が誰かを確認しないなどということを信じる人がいると思っているのですか。
知事が記者会見で示した借用証は、利息や返済期限、収入印紙、割り印などがなく、およそ借用証の体をなしていないお粗末なものでした。借用証は本物かという都民の疑問の声が広がったことは当然のことです。これが本当に借りた日につくった借用証なら、なぜ問題が発覚した最初の囲み会見で、借用証というふうに書きましたとか、借りましたというふうに書きました、あるいは、借用してそして返済したことも記載されています、という発言をしたのですか。知事が公表したものと違うではありませんか、はっきり答えてください。
知事は、五千万円を、鈴木重雄特別秘書に返してもらったといいました。鈴木氏は、知事の選対責任者を務めた人で、資金提供問題にはかかわっていないとされています。にもかかわらず、なぜ、あなたの選対責任者を務めた人が返しに行ったのですか、おかしいではありませんか、忙しいことは理由になりません。個人的に借りたなら、あなた自身が行くべきではないですか。
知事は、借用証は、人を介して郵送され、それを事務所スタッフが貸し金庫に入れたと説明しました。そのときあなたは、借用証が本物かどうか確認もしなかったのですね。そんな大事なものを、知事はなぜ確認しなかったのですか。
そもそも借用証が郵送されてきた封筒の大きさはどのくらいで、消印の日付、送り主、送り先の住所氏名はどのように記載されていたのですか。配達証明や書留などのように記録が残る郵便物だったのですか、それぞれお答えください。
先月二十九日の記者会見で、知事は問題発覚後、徳田毅氏と人を介して確認をとったことを認めました。その目的として、借用証を徳田毅氏の前で書いたということ、そして本物だということについて確認するためだったと述べました。仲介した人とはどなたですか、その人に、いつ、どのようにして毅氏に確認してもらったのですか、それぞれ答えてください。
どういいわけしても、借用証の公表に当たって、あえて毅氏と事前に連絡をとったことは、口裏合わせといわれても仕方ない行為ではありませんか。
次に、法的、政治的、道義的責任について伺います。
知事は、資金提供という形で応援してもらうことになったという説明を翻し、個人の生活のための貸し付けだといいかえました。しかし、二十二日の記者会見では、知事自身、お金には十分余裕があったと述べているではありませんか。知事の資産報告書では、七千四百七十四万円も貸付金がある一方、ローンの未返済金はもちろん、借金は一切ないのです。知事が個人の生活のための貸し付けだといいかえたのは、公職選挙法、政治資金規正法違反に問われるのを回避しようという意図からであることは明白ではありませんか、お答えください。
公務員は、利害関係者との接触を厳しく規制されています。公務員は全体の奉仕者で公平、公正でなければならず、特定の企業との癒着などあってはならないからです。都も厳しく律してきました。
例えば、二〇〇二年に、主税局の職員で電気工事監督員だった職員が、工事立ち会いをしたことのある業者から九十九万円を無利子で借り入れ、三カ月後に返済した問題がありました。この人を都は懲戒免職処分にしたのです。知事は、みずからを省みて、この事実をどう受けとめますか。
知事、あなたの行為は、職員なら、職員服務規程に反する行為です。それでも自分は許されるという認識ですか。それで、職員に服務規程の遵守を求められますか。
無利子、無担保、返済期限なしのお金を受け取ることは、贈収賄を疑われる可能性があり、政治家なり公務に携わっている人は、普通は受け取りを拒否します。知事選に立候補しようという人が、そういうことにも考えが及ばなかったのですか。
知事は、徳洲会が都の利害関係者であることを知らなかったかのようないいわけをしていますが、副知事として医療問題に携わっていました。そんな話は通りません。百歩譲って、昨年十一月六日以前は徳洲会のことを知らなかったのが事実だとしても、五千万円もの資金提供を受ける前に、提供者が都の事業とかかわりがあるのかないのか調べるのが当然ではありませんか。相手のことを調べもしないで巨額資金の提供を受ける。このような人は、知事の資格が問われるのは当然ではありませんか。知事の認識をお答えください。
重大なことは、知事が資金提供を受けた徳洲会は、東京都内での医療、介護等の事業展開を行っており、それをさらに拡大しようとしていることです。徳洲会は、病院と老人保健施設に続き四番目の都内施設として特別養護老人ホーム開設を申請しています。
徳洲会の機関紙「徳洲新聞」二〇一〇年新年号では、猪瀬直樹副知事を座長として、東京都が独自のケアつき住まいの実現プロジェクトチームを立ち上げていることを紹介しています。そして、都内に、徳洲会の介護福祉施設はないが、都と歩調を合わせて、今後展開していくことも視野に入れていると書いているのです。
都内での事業展開の戦略を持っていた徳洲会が、都知事選に出馬する副知事に資金提供をしたことは、今後の事業展開への協力を求める狙いがあったのは、いわば当然です。そうでなければ、初めて会ったばかりのあなたに五千万円もの巨額資金を提供するわけがないではありませんか、知事はそう思わないのですか、お答えください。
知事は、ことし五月、国に提出した国家戦略特区の提案で、外国人向け医療の充実について提案し、国際的な医療施設の規格とされているJCI認証の取得支援を打ち出しました。知事が、九月に示した提案書には、認証を取得している国内六病院の一覧が掲載され、その一つに湘南鎌倉総合病院が明記されています。知事、この病院は、よくご存じですよね。昨年十一月六日、あなたが徳田虎雄氏と面会した徳洲会の病院です。
徳洲会は、世界の首都に徳洲会病院を建設する戦略を掲げており、その足がかりとして、外国人向け医療の取り組みを熱心に進めています。知事が提案したJCI認証も、湘南鎌倉に続き、岸和田、福岡、札幌東などの徳洲会病院が続々取得を目指しているのです。
猪瀬知事が、五千万円の資金提供を受けた後に打ち出したJCI認証取得支援は、徳洲会の事業戦略にぴたりと一致しています。余りに符合すると疑問に思うのは私一人ではないと思います。知事、違うというなら納得できる根拠を示してください。
徳洲会の資金を受けたことが大問題になり、しかも都議会が開かれているさなかに、あなたは政治資金パーティーを開きました。そのことに対しても都民から怒りの声が上がっています。徳洲会マネーの問題が追及されているときに政治資金集めとは許せないなどの都民の怒りの声を知事はどう考えているのですか、自粛することに考えが及ばなかったのですか。
以上、質問してきましたが、今回の問題は、公職選挙法などに抵触する疑いが強いものです。しかも徳洲会の事業展開と一致する政策が猪瀬知事のもとで次々打ち出されているのです。まさに大きな疑惑をはらんでいるといわれて仕方がありません。
都民からの厳しい批判の声は大きく広がっています。知事だけでなく、都政そのものへの信頼も揺らいでいます。それでもあなたは、知事として問題はない、知事を続けるというのですか。
以上、十八問、一つ一つについて答弁漏れがないよう、正直かつ明確な答弁を求めます。
この問題については、本会議における質問だけでなく、地方自治法に基づく調査権を持ち、必要な資料の提出や関係者の喚問もでき、偽証の場合には告発することもできる百条委員会を議会として設置して、徹底的に真相究明することが強く求められています。
都議会がその責任を果たすよう、各会派の皆さんに心から呼びかけて、次の質問に移ります。
知事は、本定例会に、都営交通運賃改定の条例提案を行い、来年の第一回定例会で、上下水道などの公共料金値上げの提案をするとしています。これは安倍内閣による八兆円という消費税大増税計画によるものです。年金削減など、社会保障の負担増、給付減を合わせれば、国民にとって十兆円という史上空前の負担増です。どの世論調査でも、四月からの消費税増税の中止を求める声が圧倒的多数です。中小業者や小売店の受ける影響は、はかり知れません。
全国商工団体連合会の営業動向調査では、七割が完全には転嫁できないと回答しています。都内の印刷業の方は、資材、電気料金の値上がりで経営はぎりぎり、消費税増税分を価格に転嫁することは不可能と訴えています。
知事、消費税増税の影響をどのように認識し、世論調査や都民、中小企業の訴えをどう受けとめていますか。国に対して、消費税増税中止こそ一番の景気対策との立場で、実施中止を申し入れるべきです。答弁を求めます。
そもそも都営交通運賃や上下水道料金は、都民生活と東京の経済に大きな影響を及ぼすものであり、安易な値上げは許されません。値上げしない措置をとるべきですが、いかがですか。
今、中小建設業者の営業は深刻です。公共工事の工事費を積算する労務単価は、今年度引き上げられました。しかし、都の公共工事を請け負う中小建設業者からは、賃金の引き上げができる契約価格になっていないとの切実な訴えが寄せられています。
もともと全産業の平均賃金を二六%も下回っている内装、左官、設備工などの技能労働者を初め中小建設業の現場労働者の賃金の改善にはほとんどつながっていないのです。このままでは、技能労働者が減少し、災害対応やインフラの維持更新に支障を及ぼすおそれもあります。
東京都は、都の公共工事における中小建設業の契約実態及び二次、三次などの下請の現場で働く労働者の賃金水準について、どう認識していますか。公契約条例の制定も含め、賃金水準の引き上げを初めとした改革に本格的に取り組むべきだと思いますが、お答えください。
高過ぎる国民健康保険料、保険税が都民の暮らしに重くのしかかっています。私たちの調査では、国保料算定のもとになる所得二百万円未満の世帯が加入世帯の実に七割を占めています。二十三区の場合、所得二百万円で、四十歳代の夫婦と子供二人の四人世帯の場合、国保料は年間約四十万円にもなります。手元に残るのは月額約十三万円、その中から年金や税金も払います。家賃も払い、教育費もかかります。育ち盛りの子供の食費もかさみます。重過ぎる負担だと思いませんか。
国民健康保険に加入している方の中で、わずかな年金で暮らす高齢者世帯や非正規の若者など所得の少ない人がふえています。国民皆保険の最後のとりでとしての役割を持つ国民健康保険を憲法二十五条に基づく社会保障制度として維持するためには、全ての加入者にとって負担可能な適切な保険料にしていく必要があると思いますが、知事の認識はいかがですか。
二十三区でも、市町村でも、国保料、国保税は年々上がり続けています。来年度の値上げを既に決めた自治体もあります。二十三区では、またまた大幅値上げが計画されています。政府が年金の切り下げ、非正規雇用のさらなる拡大、消費税大増税を実施しようとしているときに、東京都は、住民の福祉、暮らしを守る地方自治体としての役割を発揮することが求められています。
今こそ、都として保険料軽減のための財政支援を実施すべきだと思いますが、見解を伺います。
都が、国民健康保険財政安定化方針で、保険料、保険税の収納率向上に向けて差し押さえを進めるため、区市町村を指導、支援するとしていることも重大です。このため、徴収強化は過酷さを増しています。給与だろうが、年金だろうが、その他の手当であろうが、口座に入ったものは預貯金であるとして差し押さえをしている区市町村が多数あります。
我が党に相談に来られた方は、夫の会社が倒産し、収入が減って国保税が払えなくなり、担当者と相談して払える範囲で納めていました。ところがその後、とても払えない額を要求されるようになり、ある日、担当者が家に来て、手ぶらでは帰れないと、十数万円を払うよう請求、夫が通勤に使っているスクーターを再就職先の会社に行って差し押さえたというのです。
こうした加入者の状況も把握せず一方的に差し押さえをするなどあってはなりません。ましてや、わずかな生活費まで差し押さえるなどやってはいけないことです。どうして払えないのか、どうすればいいのか、ケースワーカーなども同行した訪問も含め、滞納世帯の状況をきちんと把握して対応することこそ、各区市町村に対し指導すべきではありませんか。
後期高齢者医療保険料は、二年ごと保険料の見直しが行われ、来年度が改定の年となります。広域連合の資料によれば、このままでは大幅値上げは必至という状況です。保険料滞納による短期証の交付は、昨年と比べると、ことしは二・三倍にふえています。さらに保険料を引き上げれば、払えない人を一層ふやし、受診抑制がふえかねません。
全国後期高齢者医療広域連合協議会は、国に財政支援を求めました。東京都も保険料を軽減する費用は国が全額財政措置をするよう求めているのです。高齢者の命にかかわることです。都としても国の動向を見定めつつ、負担軽減に必要な財政支援を行うべきです。
高齢単身または高齢者のみの世帯の増加が東京の大きな課題です。東京都は長期ビジョンの論点整理で、一人一人が輝く世界一の都市東京、全ての人の安心快適な暮らし、誰もが本当の豊かさを実感できる東京にするとしています。だとしたら、それにふさわしい充実した施策を進めるべきです。
高齢化時代にあって、特別養護老人ホームの不足は深刻さを増しています。親の介護のための退職が貧困を広げ、介護の負担が介護者を心身ともに疲弊させています。特養ホームに入れず老人保健施設を転々としたり、劣悪な貧困ビジネスを利用せざるを得ない方々も大勢います。
東京都は三年ごとに介護保険の計画をつくりますが、整備目標は、一年間に二千人程度のものに過ぎず、四万人を超える待機者の解消を目指すものではありません。
知事、今こそ、東京都自身が、待機者に見合った目標と、それを実現する具体的計画を長期ビジョンで明らかにすべきです。
保育園の増設、待機児解消も緊急の課題です。心と体の発達の基礎をつくる大切な乳幼児期に、一日の大半を過ごす保育園の環境は極めて大事なものです。園庭はもちろん、雨の日でも遊べるホール、保育士と子供の安定した関係をつくることができる質を備えた保育園の整備は多くの方々の願いです。保育料も収入に応じたものであることが必要です。
こうした条件を備えている認可保育園の整備目標を長期ビジョンで定め、具体化していくことを求めるものです。知事、いかがですか。
長期ビジョンの論点整理で、都有地活用について、介護サービスの整備促進、少子高齢社会に対応した活用の促進と二カ所で触れて、積極的姿勢を示していることは重要です。どう具体化するのですか。
この間も、私たちは、都有地をより活用しやすくするように要望してきました。そのために必要なのは、より速やかな情報提供と貸付料などの負担軽減です。都は十一月に、国に提出した予算要求で、直ちに利用可能な国有地の情報だけでなく、数年後に利用可能な国有地の情報についても早期に提供することと要求していますが、これは非常に重要なことです。
都有地も国に求めたのと同様に、数年後に利用可能な都有地情報も含め、早期に情報提供することを都みずから実施すべきですが、お答えください。
道路整備保全公社や住宅供給公社など、監理団体が持っている未利用地の実態を、都はどのように把握しているのですか。福祉インフラ整備のために活用可能な未利用地については、監理団体と協議して利用促進を図るよう提案するものです。いかがですか。
東京都は、現在、小学校一、二年生、中学校一年生の三十五人学級を実施しています。この少人数学級を他の学年に拡大してほしいとの声が、学校現場や都民から上がっています。
ことしの春、ある小学校では、二年生まで二十六人から二十七人の三学級だったのが、三年生からは四十人二学級になってしまうことがわかり、余りにも多過ぎると驚いたお母さんたちが、たった一週間で一千五百筆もの署名を必死の思いで集めました。
小学校長会は、学習活動の充実やコミュニケーション能力などを育成するためには、学級規模の縮小が必要として、全学年を三十五人学級にしてほしい、まずは三年生を三十五人学級にと求めています。中学校長会も、要望の第一番目に、三十五人学級の拡大を挙げています。小学一年などで効果を実感しているからこそ、このように強く要望しているのです。
文部科学省は、来年度、三十六人以上学級の解消などのために、教員二千百人を概算要求しています。文部科学省や教育関係者がこぞって少人数学級の効果を認め、都内でもこれほど要望があるのに、切磋琢磨のために学級には一定規模が必要という立場に固執して、三十五人学級を認めないことは許されません。
山梨県は、来年度、小中全学年を三十五人学級にする予定です。都として一日も早く少人数学級の拡大を図るよう求めます。お答えください。
所得の低い人にとって、住宅難は今なお深刻な問題です。ところが都は、住宅の空き家が世帯数を上回っていることを理由に、都営住宅の増設を拒んできました。この方針の転換が切実に求められています。
所得の低い方の住宅難を解決することは、都営住宅の増設抜きには実現できません。新規建設の再開とともに、空き家になっているマンションなどを借り上げ、都営住宅にすれば増設は可能なはずです。住宅に困っている人も助かり、家主さんも家賃が得られ、住宅が管理されて、防災性や治安、衛生も向上する、都も新設より財政負担が軽減できるなど一石四鳥の利点があります。いかがですか。
高齢者など、住宅に困窮している方々の入居を促進することはもちろんですが、公営住宅法でも認めているように、単身の若者を都営住宅募集に加えることが重要です。脱法ハウスに住む約八割は二十代から三十代の単身者であり、アパートを借りたくても保証人がいない、敷金、礼金が出せないなどの理由で劣悪な住環境に追い込まれています。
例えば、エレベーター設置が困難で、高齢者に敬遠されがちな階段型都営住宅は各地に空き家があります。約五百戸が長期にあいている都施行の都民住宅などと合わせ、現にある空き家を若者向けに活用することは可能です。募集しても入居希望者の集まりにくい公共住宅の有効活用にもなるではありませんか。見解を伺います。
最後に、大島町の被災者支援と復旧、復興対策、今後の災害対策について伺います。
まず、被災者支援の充実についてです。
被害を受けた住宅をもとのように住めるようにするためには、多額の費用がかかります。猪瀬知事が所信表明で、都独自に、半壊した世帯に支援金を支給すると述べたことは重要です。全壊や大規模半壊など、全てを失った世帯では、国の支援があるとはいえ、さらに手厚い都の独自支援策が求められています。
岩手県は、東日本大震災では、県独自に全壊世帯に百万円上乗せしました。ことしの夏の豪雨、台風被害に対しても、全壊、大規模半壊世帯には百万円、五十万円などの上乗せ支援を実施しました。国の被災者生活支援制度に加えて、都としても独自に半壊への支援をさらに充実するとともに、全壊や中程度、軽微な被害を含め、被災状況に見合った、きめ細かな支援を実施することを求めるものです。お答えください。
住宅以外の被災建物は、被災者生活再建支援制度の対象外となっています。店舗や事務所なども、都として支援を行うことを求めますが、いかがですか。
ある民宿経営者の方は、営業をするために必要な電気器具などが使用不可能になり、多額の費用が必要と、途方に暮れています。岩手県では、営業の再開のために、最大二千万円の補助を実施しました。都としても、農業、漁業を含め思い切った産業への支援を求めるものです。
また、大島への観光客に対し、かつて三宅島の噴火や神津・新島地震被害に伴い実施したように宿泊助成などを行うことを求めます。お答えください。
さらに、今度の災害の教訓に立って、災害対策をどう改善すべきかも鋭く問われています。その一つは、避難勧告の発令までの情報把握と伝達、避難勧告・指示の発令の仕方についてです。
国の構造改革により二〇〇九年に大島など十カ所の測候所が廃止されました。かつては、現地で天気予報や防災情報を発表していたものが完全無人化となり、それが不可能となりました。
当時を知る人は、無人化されていなければ、常駐する複数の職員が二十四時間の観測体制で、地域ごとの詳細な情報を送信するだけでなく、ホットラインを活用して肉声で、豪雨の実態、情報を関係機関や住民に伝えることができたのではないかと語っています。
大島測候所を復活し、台風、集中豪雨に対応できる人員を配置することなど、気象観測体制を抜本的に強化することを国に求めていくべきと考えますが、いかがですか。
避難をめぐる問題では、今回の町の対応にも、国や都の対応にも、今後正すべき問題であります。例えば、避難の基準について、多くの区市町村が国及び都道府県から示された一般基準でしかなく、何ミリの雨量といった具体的数値がないことです。
今回、かつて大きな被害を出した神津島が、村独自に連続雨量百四十ミリという具体的数値を定めていたため、それに沿って避難指示を出し、被害を食いとめた経験が報道されています。
大島町でも、こうした教訓を生かし、具体的数値を設けることなどの方向を示していますが、区市町村任せにせず、広域自治体である都が、具体的な数値の設定を初め、避難勧告の情報伝達、避難勧告・指示のあり方について一定の考え方を示すことを含め、全力で区市町村を支援することが必要だと考えますが、いかがですか。
最後に、今回の大島の被害は、元町測候所で総雨量八百二十四ミリという、かつて経験したことのない局所的集中豪雨となり、それが千年に一度ともいわれる大規模な土砂災害の引き金となりました。
今後、二十三区や多摩地域を含め、都内のどこでも激しい局所的集中豪雨が発生する可能性があるといわれています。この問題について、都の認識と対応を伺い、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
〔知事猪瀬直樹君登壇〕
〇知事(猪瀬直樹君) 河野ゆりえ議員の代表質問にお答えします。
徳田代議士からの五千万円の借り入れについてでありますが、私は自分の預貯金で選挙をやるつもりでありました。選挙の責任者にもその旨を伝えていました。しかし、私にとって選挙は初めての経験で、何が何だかわからなかったという混乱の中で、これから先、自分が副知事をやめ、作家活動もなかなかできないことになるかもしれないという不安がありました。
私の個人事務所には、スタッフを数名雇用し、小さな事務所であっても、それを回していくには、年間それなりの額がかかります。仕事もすぐに回復しないかもしれない、そういう先の不安があったので、個人として借り、すぐ返済する予定だったので、取り出しやすい妻の貸し金庫に預けることにしました。結局、必要ないことがわかり、手をつけず返却しました。
徳洲会グループの都内での事業計画や、病院を経営しているという認識はありませんでした。徳洲会グループに対して、私は便宜を図ったことも一切ないし、それを頼まれたという事実もありません。そのつもりも全くありませんでした。
今回の問題について、自分自身の至らなさを深く反省しております。また、借入金を資産報告書に記載していなかったことも、不徳のいたすところであります。さらに、都政にさまざまな迷惑をかけていることも承知しており、その責任も感じております。また、幾度にわたる囲み取材や会見の中で、時間も経過し、当初は事実の確認が十分できず、受け答えが不確かな部分もあったこともおわび申し上げます。
貸し金庫を、いつ、どういう目的で借りたかというご質問、貸し金庫になぜ預けたかというお尋ねでありますが、五千万円を貸し金庫に預けた理由でありますが、五千万円という大金を目にして、びっくりして、自宅に置いておくわけにいかない、これは、すぐに貸し金庫にしまわなければならないなと思いました。すぐに返却する予定だったので、取り出しやすいように妻の貸し金庫に預けることにし、妻に保管を依頼しました。
貸し主の名義人の確認についてでありますが、先月二十二日の段階では、記憶が曖昧な部分がありました。その後、返却された借用証を自分の目で確認して、二十六日には、その借用証を公表して、貸し主の名義人を明らかにしました。
借用証の真偽についてでありますが、十一月二十六日に公表した借用証は、間違いなく本物であります。自分自身が署名したので、間違いありません。
初めの質問でもおわびしましたが、時間も経過し、当初は事実の確認が十分できず、受け答えが不確かな部分もあったことをおわび申し上げます。
特別秘書が借入金の返済に向かったことについてでありますが、私が忙しくて出向くことができなかった、妻がいれば妻に行ってもらうが、それもかなわないので、個人的なお願いであったが、鈴木特別秘書に頼んで返却に行ってもらいました。
返送された借用証をなぜ自分が確認しなかったかとのお尋ねでありますが、私の事務所には、毎日、大量の郵便物を含む書類が届くので、その書類の整理は事務所のスタッフに任せております。私は、借用証が返送されたことをスタッフから報告を受けておりました。同時に、そのスタッフは、長年勤めているスタッフなので、信頼を置いていました。借用証は、ご質問のように大事なものなので、スタッフが貸し金庫に保管しました。
借用証が郵送された封筒の大きさ、消印の日付、送り主、送り先の住所、氏名の記載、配達証明や書留などの記録についてのお尋ねでありますが、借用証が入る大きさであったと事務所のスタッフからは聞いております。送り主と住所は書いてあったが、書留や速達ではなかったと聞いております。
十一月二十九日に申し上げた徳田毅議員との借用証を確認した件についてでありますが、十一月二十五日に徳田毅氏の秘書から鈴木特別秘書に連絡があり、確認したと報告を受けております。
徳田毅議員との借用証を確認したことが、口裏合わせであるかとのご質問についてでありますが、口裏合わせではありません。借用証が本当は存在しないのではという報道が連日あったため、徳田毅氏が、借用証が私の手元にあるかどうかという確認をしたのだと思います。
資産報告書には借金は一切なく、先の不安はないのではということ、また、公職選挙法、政治資金規正法違反に問われるのを回避しようという意図ではないかというお尋ねでございますが、ご質問の七千四百七十四万円の貸付金は、私の個人事務所に事務所運営費として貸し付けたものであり、流動的な資金ではありません。
先ほど申し上げたが、選挙の資金は私の預貯金で賄うつもりでした。私の個人事務所にはスタッフを数名雇用し、小さな事務所であっても、それを回していくには年間それなりの額がかかります。仕事もすぐに回復しないかもしれない、そういう先の不安があったのは事実であり、そのため、個人として借りたものであります。
一般職員の懲戒処分と、今回、私が無利子で借り入れたことについてでありますが、当時、徳田毅氏が利害関係にあるという認識が特になく、無利子、無担保で借り入れたことについて、当時、そこまでの考えに至りませんでした。今となっては、大変申しわけないことだと思っております。
職員に服務規程の遵守を求められるかどうかについてのお尋ねでありますが、職員である以上、服務規程を遵守するのは当然であります。同時に、私の軽率な行為で、多くの皆様に疑念を抱かせたことは痛恨のきわみであり、深く反省しております。私は、都庁の職員を統括する責任者として、自分自身を律していく考えであります。
今回の借り入れに当たって、贈収賄を疑われる可能性に考えが及ばなかったかということについてでありますが、徳洲会グループに対して私は便宜を図ったことは一切ないし、それを頼まれたという事実もありません。無利子、無担保、返済期限なしという条件で借り入れたことについて、当時そこまでの考えに至りませんでした。今となっては大変申しわけないことだと思っています。そこまで考えるような心理的な余裕がなかったというのが正直なところであります。
徳洲会グループと東京都のかかわりについてのお尋ねでございますが、当時、徳洲会グループの都内での事業計画や、病院を経営しているという認識はありませんでした。もっと慎重に行動すべきであったと深く反省しております。
今回の借り入れと徳洲会グループの意図についてでありますが、私が副知事のときに取り組んだケアつき住まいのプロジェクトについて、徳洲会の関係者の方と接触したことはありませんし、今回の徳田毅氏から借り入れた件についても、全く関係がありません。徳洲会グループに対して、私は便宜を図ったことも一切ないし、それを頼まれたという事実も全くありません。そういうつもりもありません。
今回の五千万円の借り入れとJCI認証取得支援の取り組みの関係についてでありますが、湘南鎌倉病院は、昨年の十一月に、徳田虎雄氏と面会をするために初めて訪問したので知っていますが、先ほど申し上げたとおり、徳洲会グループの都内での事業計画も認識していませんでした。
国家戦略特区の提案書に盛り込まれたJCI認証取得支援は、東京を世界で一番ビジネスしやすい都市とするため、外国人ビジネスマンとその家族が安心して暮らせるよう、医療を受けやすくするための生活支援の政策であります。今回の借入金とは全く別の話であります。
先日、私が開いた昼食会についてでありますが、この会は、都政や私の政策をご理解いただく重要な機会であり、十月に後援会の皆様にご案内申し上げ、多くの方の出席が予定されていました。中止することも考えましたが、直前のキャンセルによって出席者の方にご迷惑をおかけすることになること、また、ご参加いただける支持者の皆様からの希望もあることを考え、予定どおり開催させていただいたところであります。ご批判は甘んじてお受けいたします。
知事を続けるのかというお尋ねでございますが、繰り返しになりますが、徳洲会グループに対して、私が便宜を図ったことも一切ないし、それを頼まれたという事実もありません。そのつもりも全くなかったということです。
私にとって、選挙は初めての経験で、何が何だかわからなかったという混乱の中で、先の不安があったということです。しかし、そういう混乱の中にあったにしても、無利子、無担保で借り入れたことは事実で、批判を頂戴するのは当然であり、至らなさを深く反省しています。
さらに、都政にさまざまなご迷惑をかけていることも承知しており、その責任も感じております。都政を一日も停滞させることがないようにしなければならないという強い思いがあり、改めて都議会の皆様と車の両輪となって、自分の責任を全うしたいと考えております。改めてよろしくお願い申し上げます。
消費税の増税についてでありますが、消費税率の引き上げに当たっては、政府は、景気への影響を緩和し、持続的な経済成長につなげるための施策や低所得者向けの給付措置等の対策を講じることとしています。
また、税負担の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、十月から転嫁対策特別措置法が施行されました。
少子高齢化が急速に進展する我が国において、持続可能な社会保障制度の構築を図るためには、広く消費に負担を求め、世代間の公平を確保することができる消費税率の引き上げは、避けて通れないものと考えております。したがって、国に対して、消費税増税の中止を申し入れる考えはありません。
なお、その他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 少人数学級についてでありますが、本年度、国に先駆けて、中学校第一学年で三十五人以下の学級編制を可能といたしました。これまでに実施をいたしました小学校一、二学年の加配とあわせて、小一問題、中一ギャップの解消に取り組んでまいります。
義務教育については、教育の機会均等や教育水準の維持の観点から、国の責任が大きいため、今後については、引き続き国の動向を注視してまいります。
〔東京都技監藤井寛行君登壇〕
〇東京都技監(藤井寛行君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、都営住宅の増設についてでございますが、都営住宅については、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。
今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅につきましては、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
次に、都営住宅などを単身の若者向けに活用することについてでございますが、都営住宅は、原則として、同居親族のある世帯を入居対象としておりまして、単身者は、特に居住の安定を図る必要のある高齢者や障害者などに限り入居の対象としております。
また、都施行型都民住宅は、中堅勤労者等の家族を対象とし、現に同居し、または同居しようとする親族があることが、法令において入居者の要件として定められております。
これらの住宅につきましては、引き続き制度の趣旨を踏まえて提供してまいります。
最後に、局所的集中豪雨への対応についてでございますが、都はこれまで、平成十九年に定めた豪雨対策基本方針に基づき、総合的な治水対策を進めておりまして、その結果、浸水棟数の減少など、一定の成果を上げているものの、局所的集中豪雨などによる浸水被害が依然として発生しております。
そこで、近年の降雨特性や浸水被害の発生状況などを踏まえ、対策を一層効果的に進めるため、現行の基本方針の見直しに既に着手しておりまして、来年六月を目途に、総合治水対策の観点から新たな基本方針を策定いたします。
〔交通局長新田洋平君登壇〕
〇交通局長(新田洋平君) 都営交通の運賃改定についてでございますが、交通局は、民間事業者と同様に、法令上、消費税の納税義務が課せられておりますことから、国の消費税転嫁に関する方針を踏まえ、消費税率の引き上げ分については、円滑かつ適正に運賃に転嫁することとしたものでございます。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
〇財務局長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、賃金水準の引き上げのための契約制度の改革についてでありますが、我が国における賃金や労働条件は、最低賃金法や労働基準法等で下支えした上で、各企業において、対等な労使間での交渉等により自主的に決定される法制度となっております。
都の契約制度もそれに立脚しており、都はこれまでも、契約に当たり、受注者に対して法令遵守を義務づけるなど、適正な労働環境の確保を図ってきております。
なお、お話の公契約条例については、整理、検討すべき課題があるとの指摘もなされているところでございます。
都としては、今後とも、現行法令のもと、入札契約制度を適切に実施してまいります。
次に、福祉施策における都有地活用についてでありますが、都有地は、都民から負託された貴重な財産であり、都政の喫緊の課題解決のために最大限有効活用していく必要があると認識しております。
都はこれまで、都有地を福祉インフラ整備のほか、木造住宅密集地域整備事業など、都の重要な施策の支援に活用してまいりましたが、さらに、平成十五年度に創設した都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業では、民間事業者が保育園等を整備する場合についても、国に先駆けて貸付料を五割減額し、都有地の貸し付けを行ってきております。
今後とも、都は、これまで同様、福祉インフラ整備促進に向け、区市町村と連携を図りながら、都有地の有効活用を引き続き進めてまいります。
最後に、都有地情報の提供についてでありますが、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業においては、従来から、区市町村が主体的に事業を検討できるよう、将来利用可能となるものも含めて、活用可能な都有地の情報を区市町村へ提供してきておりまして、今後も、同様に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 八点の質問にお答えいたします。
まず、国民健康保険制度についてですが、国民健康保険の保険者は区市町村であり、保険料や保険税の賦課方式や料率は、それぞれの自治体で審議され決定されるものでございます。
現在の国民健康保険制度には、医療費が高く所得の低い高年齢者や、失業者などの低所得者の占める割合が高く、保険料の確保が困難であるなど、構造的な問題があると認識しておりますが、こうした問題には、国民皆保険を守るという観点から、制度設計者である国が責任を持って抜本的な解決を講じることが必要であります。
現在、国は、社会保障制度改革の中で国民健康保険制度についても見直しを進めており、都は、既に、国に対し、構造的な問題の解決、必要な財源の確保等について提案要求をしているところでございます。
次に、保険料負担軽減のための財政支援についてですが、都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき、各保険者に対する財政支援を行っております。
保険料負担軽減のため、都として新たな支援を行うことは考えておりません。
次に、国民健康保険料の滞納処分についてですが、国民健康保険制度は、被保険者間の相互扶助を基本とした社会保険制度であり、その財源となる保険料の収納確保は、制度を維持していく上での前提でございます。
こうしたことを踏まえ、都は、健全かつ安定的な運営の確保に向け、収納率向上についても、保険者である区市町村に指導助言を行っているところでございます。
区市町村は、滞納者に対し督促や催告を行うほか、納付相談により生活状況を把握し、必要に応じて保険料の分割納付を案内するなど、きめ細かな対応を行っており、その上で、財産があるにもかかわらず保険料を納付しない場合は、被保険者間の公平性を確保する観点からも、法令に基づき、差し押さえを行っているところでございます。
次に、後期高齢者医療の保険料軽減についてですが、後期高齢者医療制度の財源は、一割を被保険者の保険料、残りの九割を公費等で賄うことが原則でございます。
都は、法令等に基づき、既に保険料の軽減について、国や区市町村とともに応分の負担を行っております。
都として、現在、新たな財政支援を行うことは考えておりません。
次に、特別養護老人ホームの整備目標についてですが、現行の介護保険法では、都道府県は三年を一期とする介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施の支援に関する計画を定めることとされております。
このため、都は、現在、介護保険の保険者である区市町村が算定したサービス見込み量に基づき、特別養護老人ホームの必要入所定員総数について、平成二十六年度までを期間とする東京都高齢者保健福祉計画に定めております。
次に、認可保育所の整備目標についてですが、都は、児童福祉法に基づき、保育の実施主体である区市町村が実施したニーズ調査を踏まえ、認可保育所、認証保育所、家庭的保育等を含めた保育サービス全体の量的拡充に向けた施策を、平成二十六年度までを計画期間とする東京都保育計画に盛り込んでおります。
平成二十七年度以降については、子ども・子育て支援新制度に向け、現在、区市町村が国の指針に基づき、幼児教育や保育等に関するニーズ調査を実施しているところでございます。
都は、この調査結果を踏まえ、各年度における幼児教育、保育の量の見込み等を盛り込んだ東京都子供・子育て支援事業支援計画を、東京都子供・子育て会議の審議も経て策定することとしております。
次に、被災者への生活再建支援についてですが、自然災害によって大規模な被害が発生した場合、被災者生活再建支援法に基づき、住宅が全壊または大規模半壊した世帯等に対し、最高三百万円まで被災者生活再建支援金が支給されることとなっております。
今回の大島町の災害では、国の制度では支給の対象とならない半壊世帯を対象として、既に、都独自に支援を拡充し、最高二百万円まで被災者生活再建支援金を支給することとしております。
最後に、被災者生活再建支援制度による店舗や事務所などへの支援についてですが、国の被災者生活再建支援制度は、自然災害により生活基盤である住宅に著しい被害を受けた世帯が対象であり、今回、都が大島町の災害において実施している被災者生活再建支援金の支給も、住宅に被害を受け国の制度の対象とならない半壊の世帯を対象としております。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、監理団体が保有する未利用地についてでございますが、監理団体は、都政の一翼を担う重要なパートナーであり、都は、団体を指導監督する中で、未利用地の有無を含めた団体が保有する資産内容について把握しております。
一方、監理団体は、自主的、自律的な経営を行う独立した団体であり、その資産の活用につきましては、団体が独自に判断すべき経営上の重要な事項でございます。
したがいまして、監理団体が保有する土地の活用に当たっては、団体の主体的判断のもと、その存在意義を十全に発揮するべく行われるべきものと考えております。
次に、大島における測候所についてでございますが、気象庁の大島測候所は、近年の観測技術、通信技術の発達等を踏まえ、観測業務の自動化により、平成二十一年十月一日に廃止され、同測候所が担ってまいりました気象情報の照会、提供等の業務につきましては、気象庁及び東京管区気象台が対応することとなりました。
こうしたことから、都といたしましては、島の特性に応じたきめ細かな情報提供や助言を行うよう、継続的に国へ要望しているところでございます。
最後に、避難に係る区市町村への支援についてでございます。
都といたしましては、避難勧告等の基準や発令の判断につきましては、現地の状況を最も正確に把握し得る区市町村の判断によるべきと考えており、地域防災計画におきましても、区市町村の役割として定めております。
あわせて地域防災計画では、避難勧告等の発令基準に関する区市町村からの問い合わせに対し、技術的な支援を行うこととしています。
なお、台風二十七号への対応に際しましては、発令時刻の設定や避難誘導方法など、避難勧告等の発令に当たっての留意点について、区市町村に周知をしたところでございます。
〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕
〇産業労働局長(塚田祐次君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、大島の産業への支援についてでありますが、都は既に、被害を受けた中小企業を対象として、金融支援を実施しております。
また、農業、漁業の基盤整備などについて、年内を目途に対策を取りまとめることとしております。
次に、大島の観光振興についてでありますが、都は、宿泊助成について実施する予定はございませんが、大島に多くの旅行者が訪れるよう、年内を目途に、観光キャンペーンの展開を取りまとめることとしております。
〔五十七番河野ゆりえ君登壇〕
〇五十七番(河野ゆりえ君) 知事が徳洲会から借りたと述べている五千万円をめぐっての答弁は、都民の疑問に正面から答えたものとはいえません。三点に絞って再質問いたします。
まず、外国人向け医療の認証支援についてです。
今の答弁では到底納得できません。徳洲会の湘南鎌倉病院がJCI認証を取得したのは、昨年十一月六日です。徳洲新聞に書いてあります。あなたがこの病院を訪ねたその日です。徳洲会の重点戦略です。話題にならなかったとは考えづらいことです。少なくとも都が、ことし九月に出した国家戦略特区提案書に、徳洲会湘南鎌倉病院の名前がはっきり書いてあります。あなたは、さすがにそれを知らなかったとはいえないですよね。はっきりお答えください。
事業の是非にかかわらず、知事が資金提供を受けた徳洲会がかかわる事業を進めること自体、便宜供与という重大な疑惑を受けることにつながるのです。知事は政治家として、そういう認識を持たなかったのですか、お答えいただきたい。
第二に、借用証の徳田毅氏への確認についてです。
知事、記者会見で示した借用証が、本物ではないのではないかという疑いを多くの人が抱いているのです。その疑問にあなたは答えていません。大体、ご自分のサインがある借用証について、本物かどうか、お金を借りた人に確認しなければならないとのいいわけは通用しません。毅氏に確認をとったといいますが、毅氏に直接借用証を見せたのですか、見せたとしたらそれはいつですか、お答えください。
最後に、服務規程に関して総務局長に伺います。
知事の服務規程に関する認識については納得できません。補助機関である職員と位置づけられている副知事も、内務省令第五十一号、東京都職員服務紀律で規制されていると思いますが、いかがですか。
また、副知事が、都の利害関係者から無利子貸し付けを受けることは、その第五条二項で定めている贈与その他の利益を受くることを得ずという条項に抵触するのではありませんか、お答えください。(拍手)
〔知事猪瀬直樹君登壇〕
〇知事(猪瀬直樹君) JCI認証の件について申し上げますが、JCI認証、国家戦略特区のJCI認証について掲載されていますが、今回、全く関係ありません。徳洲会グループの都内での事業計画は認識しておりません。そういうことで、鎌倉病院に行ったときに、徳洲会病院の事業計画は認識しておりません。国家戦略特区は、都内の国家戦略特区のことであります。
それから、借用証は本物であるかどうかということについては、再三申し述べましたが、借用証はご本人の前でサインをして、そして借用証は返却されましたので、お金を返したので借用証は戻ってきたということで、借用証は本物であります。以上です。
あと、職員の服務規程については、総務局長が答えます。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 副知事の服務についての再質問についてでございますが、お話の東京都職員服務紀律につきましては、副知事も適用の対象となります。
また、お話の東京都職員服務紀律第五条二項に抵触をするか否かにつきましては、地方自治法施行規程に基づき別途設置されます、副知事等の懲戒の審査等を行います東京都職員委員会の審議の中で判断されるものと考えております。
〇議長(吉野利明君) 百一番尾崎大介君。
〔百一番尾崎大介君登壇〕
〇百一番(尾崎大介君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、猪瀬知事並びに関係局長にお伺いをいたします。
まず、台風二十六、二十七号被害関連の課題と今後の防災対策についてお伺いをいたします。
このたびの台風被害で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げ、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
また、救出救助活動に全力を挙げた皆様、復旧、復興に尽力をされている皆様に深く敬意を表するものでございます。
都議会民主党は、十六日には東京都に対して、専門技術職員等の人的支援を初めとして、島民生活を一日も早く正常化させるための支援策、今後の防災体制について、できる限り速やかに検討することなどを要望いたしました。
また、私も含め都議会民主党の議員が、十八日より現地に入ってつぶさに調査をし、その足で災害対策を統括する内閣府に要望をいたしました。その後も、若手議員がボランティアで汗を流すと同時に、現場の課題を持ち帰っていますので、何点かお伺いをいたします。
既にお伝えをしているところですが、ともかくも専門技術職員の手が足りないというのが、現地での切なる訴えでございました。今後、都においては、島しょ町村における専門人材の確保、育成にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
都はこれまでに、建物被害認定調査や罹災証明書発行業務に関し、支援職員を派遣してきましたが、私たちが特に感じもし、現地からの要望も強かったのは、メンタルケアに携わる職員の不足でありました。この分野において、都は、東日本大震災においても多くの専門性の高い職員を派遣してきたところでございます。現地ニーズに対応した職員派遣を求めるものですが、都の所見をお伺いいたします。
また、多くの土石流が流入した元町漁港では、重機による土砂や電柱など瓦れきの撤去、さらには潜水による湾内の土砂の除去が行われておりますが、土石流被害は漁業に深刻な影響を及ぼしております。大島町の水揚げ高は、二〇一一年に二百五十トン、金額では二億一千百七十八万円です。漁船の操業はもちろん、港近くの貝類や海草類の再生作業を早期に開始するためにも、元町漁港の復旧を急がなければならないと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
今回の大島での災害を貴重な教訓として、島しょ地域における地域防災計画見直しを図ることなども必要と考えます。各市町村との連絡情報体制の強化はもちろん、都としてもさまざまな改善が必要と考えますが、ご所見をお伺いいたします。
また、阪神・淡路大震災をきっかけに議論となったサイレントタイムでありますが、大島町の災害現場でも、数多く飛び交うヘリコプターの音が救助の妨げとなったり、住民のストレスになっているとの訴えがありました。災害状況を正しく伝えることも必要なことではありますが、少なくとも、静粛にする時間をつくるなど、東京での災害発生時におけるサイレントタイムの導入と運用方法等について、都としても早急に関係団体との話し合いを進めていただきたいと求めておくものでございます。
次に、新たな長期ビジョンについてお伺いをいたします。
論点整理が発表されましたが、いささか不十分といわざるを得ないというのが率直な感想でございます。
都議会民主党は、オリンピックまでの七年とその後の三年を見据えたビジョンをと求めてまいりましたが、それは、二〇二〇年の夢、希望、感動を境に、私たちが厳しい現実に直面をするのが目に見えているからであります。
オリンピックは大事ですが、一つの通過点であって、それを含めて、どんな未来を描いて進んでいくのかを示さなければなりません。
例えば、主な論点として、都市型保育サービスの充実が示されておりますが、これが保育の課題、子育て世代の抱える課題へのソリューションとなり得るのか。また、団塊の世代の高齢化をどのように支えるのか。これからの東京が直面する重要課題に、従来の取り組みの延長線上では答えは見えてきません。
論点整理を見る限り、政策のレベルアップはあっても、構造改革、社会変革を伴う理念は示されておりません。
本来、そうした理念の上で、政策の方向を示してこその長期ビジョンの論点整理であると考えます。オリンピックを開催する東京のあるべき姿、特に、少子高齢社会を見据えた東京のビジョンについて、改めて知事の見解をお伺いいたします。
また、かつて、都の長期構想で示していた都内のエリアごとのビジョンも示されておらず、多摩に関連する記述も物足りないといわざるを得ません。多摩では、区部よりも早く人口が今後減少に転じ、さらに高齢化の進展や大規模工場の撤退など、状況が大きく変化をすることが懸念されます。
このような状況に的確に対応し、活気ある地域にしていくため、都の新たなビジョンにおいても、多摩地域における取り組みについて、もっとしっかりと記述をすることが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、東京オリンピック・パラリンピックについてお伺いをいたします。
新国立競技場の建設費用は一千八百五十二億円にも膨らみ、国は、都に対して一部負担を要請しています。
都は、新国立競技場への姿勢として、国のスポーツ施策における責務、国は国際競技大会の我が国への招致、または開催が円滑になされるよう、資金確保などに必要な措置を講じるとした役割から、世界陸上などが開催できる規格のナショナルスタジアムを国が建設するよう求めるべきであります。
多くの国民が東京オリンピック・パラリンピックを歓迎し、風致地区である神宮外苑の景観を損ねない、大会後の後年度負担が過大にならない新国立競技場建設になるよう国と協議していくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
次に、法人事業税と法人住民税の問題について一言申し上げます。
オリンピック国立競技場の一部負担要請もしかり、法人住民税の一部国税化の動きもしかり、税は国に吸い上げ、国の負担を地方に求めようとする現在の安倍政権の姿勢は、地方分権改革の流れに逆行するものにほかなりません。
そもそも、地方税の原則を無視するこの法人事業税の暫定措置は、当時の自民党福田政権のもとで始まっております。
その後、民主党政権では、都議会民主党が先頭になって働きかけたこともあり、社会保障・税一体改革関連法において抜本的見直しが明記をされました。
都議会民主党は、引き続きこの不合理な一部国税化の動きを断固阻止し、暫定措置を確実に撤廃すべく取り組んでいきますが、政権党である自民、公明の都議会会派の皆様においても、ぜひとも奮闘していただくよう求めておくものであります。
次に、都営交通の運賃改定についてお伺いをいたします。
税率を引き上げるときに大切なことは、国や都において、国民、都民生活の向上につながる制度が確立をされるかということにあります。消費税率アップに伴う社会保障制度の向上への尽力を、自民、公明の政府・与党は責任を持って取り組まねばなりません。
税率引き上げで、都民は負担が重くなります。都は転嫁を行う方針を決めておりますが、一九八九年の消費税導入時、上下水道が三%転嫁を行うものの、経営努力をして料金を引き下げ、都民負担をふやさなかったため、東京方式と注目をされました。
都営交通の運賃改定に伴う条例改正が提案されておりますが、誰のための公営企業かの認識を持ち、都民生活に大きな影響がある料金値上げにつながる消費税引き上げ分をそのまま転嫁するのではなく、企業努力を推進し、都民負担をふやさない努力を行っていくことが都の役割であると考えますが、知事の基本的見解をお伺いいたします。
国の税率アップに伴う公共料金改定の考え方は、税負担の適正な転嫁にあります。
都営地下鉄の初乗り運賃は現在百七十円で、税抜き分は百六十二円、消費税分が八円です。来年六月からは百八十円、税抜き分は百六十七円、消費税分が十三円となります。消費税率三%の引き上げに対して十円を上げる料金体系では取り過ぎであり、消費税転嫁分を超えた運賃値上げと批判されかねません。
東京の公共交通を運営する交通局として、消費税転嫁分を超えた料金引き上げなのか、都民に対して丁寧な説明が必要とされると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
租税平等主義の公平の原則は、国民全てが平等に、公平に課税をされることであります。
しかし、都営地下鉄の初乗り運賃は、来年六月から、磁気券、現金では百八十円、ICカード乗車券では百七十四円となります。乗合バスや都電荒川線、日暮里・舎人ライナーも運賃が二通りとなります。関西、中京圏、九州の地下鉄などは同一運賃になると聞いております。
磁気券、現金での運賃とIC乗車券の運賃が二通りある二重運賃は、公平の原則に基づいた消費税負担といえるのか、都の見解をお伺いいたします。
次に、児童虐待防止についてお伺いをします。
虐待やネグレクトといった暴力の連鎖をとめ、子供たちの心をケアし、新たな犯罪を抑止するためには、虐待防止対策や予防に向けた一層の取り組みが必要であります。
私たちは、家庭訪問型子育て支援を行っている団体から、子育て経験者が訪問をして、保護者の子育てにおける相談を受けとめ、育児を一緒に行い、虐待の危険性などがうかがわれる場合には、地域の専門機関や関係者に連絡、対応している活動を聞きました。
私は、児童虐待を少しでも抑制するために、こうした虐待未然防止に資する活動を行う団体との連携、支援を行うことなどが有効と考えるものであります。
子育て不安を抱える家庭へのさらなる支援にどう取り組むのか、都の見解をお伺いいたします。
平成二十四年度、都内の虐待相談対応は三年連続で一万件を超しました。先日は、大田区で乳児を捨てた両親が逮捕されるなど、痛ましい事件は後を絶ちません。
今年度、東京都は児童福祉司をふやしましたが、それでもなお、全国平均の人口四万六千人に一人の定員に対し、六万五千人に一人にとどまっております。
今後も実態に見合った児童福祉司定員に近づけるため、増員をし、体制を強化すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
虐待や精神疾患による親の監護能力喪失などで養護施設に預けられた子供たちは、トラブルやパニックを起こしたり、授業についていけなかったり、挨拶などコミュニケーションができなかったりするため、施設では子供たちの援助を行っております。
都は、グループホームにおいて子供たちの家庭的養育を進めていますが、小規模化を進めていくためには、ベテランや中堅の職員が必要であり、人材の確保、育成に対する支援策が必要であります。
また、地域に開かれた施設にすること、家庭に帰した後にも保護者への援助をしっかりと行うこと、要保護児童を見守るコーディネーターを増員することなど、課題は山積をしております。
東京都では、児童福祉審議会専門部会で社会的養護のあり方を検討しているため、こうした課題への支援策も議論をしていただきたいと思います。
児童養護施設で生活をする子供たちが安心して育ち、退所後は社会的に自立をし、地域とつながった生活ができるよう、社会的養護を必要とする子供たちにこそ手厚い支援が必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、雇用対策についてお伺いをいたします。
都議会民主党は、国の産業競争力会議や規制改革会議において、労働者代表が参画しない中、経営者代表などが、限定正社員を正社員より雇用保障が低い、労働者の能力や成果を理由とした解雇を正当化できるとした視点で議論を進めてきたことに大変懸念を持っております。
限定正社員を活用していくのであれば、非正規労働者が正社員へキャリアアップするための通過点として位置づけられなければなりません。
甘利経財相は、望まないのに非正規雇用が長期化をしている人がふえていることを問題にしておりましたが、企業が多様化する働き方を推進するとして正社員を限定正社員に転換をしていくならば、雇用の不安定が進み、経済成長への障害になると考えます。
日本経済の再生には、働く人たちの雇用の安定と処遇改善が重要と考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
九〇年代の不況期に、企業は正社員雇用を厳しく絞り込み、収益性を維持したため、多くの若年者がフリーターと呼ばれる非正規雇用に従事をすることとなりました。二〇〇〇年代になると、就職氷河期世代は中高年に差しかかり、企業の希望する要件と、これら求職者の持つ資質が合致をしないなど、正規雇用化はますます難しいものとなりました。
しかしながら、企業の収益回復に向けた動きが出てきた中で、就業する意思のある人たちが生産活動に従事することは、社会にとって大変意義があります。
このように中高年層になってしまった就職氷河期世代の求職者と企業のマッチングのため、よりきめ細やかな対応や多様な職業能力開発を進める視点から支援を行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、猪瀬知事の資金問題についてお伺いをいたします。
猪瀬知事が、都知事選挙の直前に徳洲会グループから五千万円の資金提供を受けた問題について、私たち都議会民主党は、猪瀬知事のこの間の説明は到底納得をできるものではなく、その責任は極めて大きいものと考えております。
猪瀬知事は、常日ごろから、事実と証拠、ファクトとエビデンスを示せと述べておりましたし、また、言葉の力なるものを強調してこられましたが、二転三転をする知事の説明を聞くにつれ、知事の言葉自体が全く信じられないものとなってしまいました。
また、期待していた猪瀬知事の所信表明では、説明に割く時間はほんのわずかで、説明責任を果たそうとする知事の姿勢さえ見ることができませんでした。
さらに、その内容も、これまでのマスコミに対して説明をしたものの要約にすぎず、都民の代表である議会を軽視している印象を持たざるを得ません。
猪瀬知事には、私たち都議会に対しても、都民、国民に対しても、十分な説明責任を果たすよう求めるものですが、知事自身、所信表明も含め、この間の説明で、都民、国民の理解が得られたと考えておられるのか、見解を伺います。
特に、五千万円を個人の借り入れだとする知事の説明は、大いに疑問であります。選挙の挨拶に行ってお金を借りたのであれば、それは選挙のお金であります。
私たちも議員でありますから、立候補をして選挙に出るときに、支持者などからお金を預かったり、ご寄附を受ければ、それは選挙のお金として収支報告書に記載をするのは当然であります。
例えば、百万円預かって、五十万円しか使わなかったから、残りの五十万円に関しては返せばいいと思ったので収支報告書に記載をしなかったといえば、問題になるでしょう。
猪瀬知事は、十一月二十二日に登庁した際の囲み取材に対して、選挙費用に使った場合には収支報告書に書くつもりだったとの発言をしております。しかし、その後の記者会見では、選挙資金ではなく、あくまでも個人の借り入れであることを不自然なほど強調されておりました。
こうした発言の修正、ごまかしがあるからこそ、猪瀬知事の説明に対して、私たち議会はもとより、都民、国民の多くが納得をしていないのではないでしょうか。
そこで改めて、この本会議の場において、猪瀬知事は、いつ、どこで、誰からなどについて、いま一度、正確な説明を求めるものであります。
また、個人の借り入れというのが知事の本心であるならば、十一月二十二日に登庁した際の囲み取材で、選挙費用に使った場合には収支報告書に書くつもりだったという発言が出るはずもありません。なぜ変わったのかお伺いをいたします。
さらに、猪瀬知事は、徳洲会が都内の施設を運営しているとは知らなかったと述べておりますが、これも不可解であります。
猪瀬知事は、かつて東京都の周産期医療体制整備プロジェクトチームの座長を務め、平成二十一年四月二十四日には、みずからの名前で報告書も出しております。
選挙の応援が期待できる人に会いに行くのに、当時の東京都の副知事でもある人が、何の事前調査もなしに会いに行くのでしょうか。
仮に事前調査もなく会いに行ったのであれば、当時の知事の職務代理者である副知事として、危機管理が著しく欠如しているといわざるを得ません。
また、百歩譲って、便宜を図る意図がなかったとしても、病院開設などの許認可権は東京都が持っていることは当然認識をしていたはずであります。これすらも知らなかったというのであれば、副知事としての資格がないといわれても、これは仕方のないことではないでしょうか。
東京都には、利害関係者との接触に関する指針というものがあり、金銭の貸し付けなどを受けることを禁止しております。
そこで、あえて総務局長にお伺いをしますが、過去に東京都の職員が工事の立ち会いをしたことがある企業の担当者から借り入れをして懲戒免職になった事例があるとも聞いておりますが、この過去の事例についてお伺いをいたします。
また、特別職、特に知事、副知事に対する規定がどうなっているのか、あわせて総務局長にお伺いをいたします。
トップの行動や考え方は、いずれ組織の隅々にまで波及をいたします。今回の猪瀬知事の不祥事によって、病院や福祉施設の検査、管理業務への影響はもとより、東京都職員のモラール低下が懸念をされます。
あわせて、十二月三日に、猪瀬知事は政治資金パーティーを開催したようでありますが、五千万円問題で説明不足の批判を浴びている中での開催には、疑問の声も寄せられております。
私たちは、この問題について、都民、国民が納得をするためにも、猪瀬知事が説明責任を十分に果たすことは当然として、知事みずからの責任のとり方についても、改めて明らかにすべきと考えますが、見解をお伺いします。
以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わりますが、答弁によっては再質問を留保いたします。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事猪瀬直樹君登壇〕
〇知事(猪瀬直樹君) 尾崎大介議員の代表質問にお答えします。
少子高齢社会を見据えたビジョンについてでありますが、少子高齢社会の到来は避けて通れない課題であり、今回のビジョン策定に際しては、東京都として初めて、五十年先の二〇六〇年まで人口推計を行いました。
その結果、東京の人口は、現在と比べ約二割減少するほか、高齢者人口の割合が二〇%から三九%へ倍増するなど、東京が今後、急激な少子高齢、人口減少社会を迎えることが具体的に明らかになりました。
このまま手をこまねいていれば、社会の活力が低下し、社会のシステムそのものが成り立たなくなる深刻な危機を招きかねません。
そこで福祉を、それ単体ではなく、住まい、雇用、教育など幅広い分野で捉え、局の縦割りを超えてソフト、ハードが一体となった総合的な取り組みを推進する、構造的福祉というこれまでにない新しい概念を打ち出しました。
今回の長期ビジョンでは、この構造的福祉の考えのもと、多様な交流や支え合いの新たなコミュニティの場となるシェアハウスの実現など、東京都が持つ資源や民間の力を積極的に活用した具体的な施策を示し、一人一人が輝く世界一の都市東京の実現を目指してまいりたいと思います。
消費税転嫁の基本的な考え方についてでありますが、今回、都営交通の運賃を改定する条例案を提案しているところでありますが、公営企業については、民間事業者と同様に法令上、消費税の納税義務があることから、消費税率引き上げ分を円滑かつ適正に運賃や料金に転嫁する必要があります。
これまでも公営企業は、職員定数の大幅な削減などにより徹底した経営の効率化に取り組むとともに、より質の高いサービスの提供に努めてまいりました。
今後とも、より一層の安全対策やお客様サービスの向上とともに、不断の経営改革にも取り組んでまいります。
雇用についてでありますが、働く意欲と能力のある人々の雇用の安定と適切な処遇の実現は、日本経済の再生と軌を一に進めるべきものであります。これと同時に、やむなく離職した人や不本意な働き方をしている人に、再チャレンジのチャンスがあることも重要であります。
これまで東京都は、しごとセンターであらゆる年齢層を対象に、キャリアカウンセリングやセミナーなどきめ細かな就職支援を行ってきました。また、次代を担う若者に対しては、実際の就労体験の機会を提供し、中小企業とのマッチングを図ってまいりました。
さらに、現在進めておりますTOKYO就活スタイルプロジェクトチームでは、SNSを活用した東京都独自の就職支援モデルの構築に向け、求職者に役立つ情報の新しい提供方法などを検討しております。
こうした雇用対策を講じつつ、東京の持続的発展を実現することにより、日本を成長軌道に導くとともに、誰もが豊かさを実感できる都市を創造していきたいと思っております。
続いて説明責任を果たすということについてでありますが、まず今回の借入問題についての自分の至らなさから、都民の皆様、都議会の皆様に多大なご心配、ご迷惑をおかけしたことについておわび申し上げます。
また、その借入金を資産等報告書に記載せず、後日訂正したことについて反省をしております。大変申しわけございませんでした。
これまでも記者会見や所信表明などで繰り返し説明申し上げてきましたが、五千万円を個人として借りる際に、徳田毅氏の前でサインをして、借用証を徳田毅氏に預け、返済を済ませたので、借用証は返ってきた、そして先日その借用証を公表した、自分にとってはこのプロセスは非常に明快なものであるんですが、説明してきたつもりですが、まだ十分にご理解をいただいているとは思っておりません。
これからも都民から選ばれた都議会の皆様にできる限り説明させていただきたいと考えております。
五千万円を受け取った際の状況でありますが、平成二十四年十一月二十日の午後、衆議院議員会館の徳田毅議員の部屋で五千万円を受け取りました。その際には私と徳田毅氏の二人でありました。
資金の借り入れについての発言がなぜ変わったのかということについてのお尋ねですが、先ほど申し上げましたように、選挙という初めての経験で、混乱した状況の中で先の不安があったので、個人として借りたお金であります。そのため、選挙に使わない気持ちは強くあったということであります。
したがって選挙の責任者には借入金の話はせず、自分の預貯金で選挙をやりますというふうに伝えておりました。あくまでもこれが事実であります。
幾度にわたる囲み取材の会見の中で時間も経過し、当初は事実の確認なども十分できない点もあり、受け答えに不確かな部分があったことは本当におわび申し上げます。
みずからの責任のとり方についてでありますが、今回の問題について都民、国民の皆様、都議会の皆様に多大なるご心配、ご迷惑をおかけした、混乱を招く一因をつくった自分自身の至らなさを深く反省しております。改めておわび申し上げます。
先ほども申し上げましたが、この間の我が身を振り返れば、心のどこかにおごりが芽生えていたのは事実であります。都政には一日もおくれてはならないことが山積みされております。都議会の皆様と車の両輪となって仕事に邁進していきたいということでよろしくお願い申し上げます。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、大島町の被災者の心のケアを実施するための職員の派遣についてですが、被災者の中には、心の不調が長引いたり、時間が経過してから症状があらわれる方もおられることから、中長期にわたり支援を行うことが重要でございます。
都は、町の要請に基づき、保健師、心理職等の専門職による多職種チームを現在までに計四回派遣し、心身の変化に関する健康相談や、継続的な心のケアが必要な方を把握するためのスクリーニング調査を実施しております。
今後とも、必要に応じて保健師や精神科医等を派遣するなど、大島町と密接に連携し、被災者の心のケアに関する支援を実施してまいります。
次に、子育てに不安を抱える家庭への支援についてですが、現在、区市町村は、母子保健事業として乳幼児健診、保健師による産後の家庭訪問、保護者への相談支援等を実施しております。
また、訪問等を通じて子育てに不安を抱える家庭を把握した場合には、子供家庭支援センターや保健所等が民間団体とも連携しながら訪問型の子育て支援やショートステイなどのサービスを提供しており、都は、こうした取り組みを包括補助事業等により支援しているところでございます。
現在都は、虐待のリスクの発見からサービスの提供に至るまで一連の手法を取りまとめたモデルプランの作成を進めており、このプランも活用しながら虐待の未然防止に向けた区市町村のさまざまな取り組みを支援してまいります。
次に、児童虐待への対応についてですが、都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応できるよう児童福祉司や児童心理司の増員、虐待対策班の設置、保健師の資格を有する医療連携専門員の配置など、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。この間、相談支援の中心を担う児童福祉司を平成十二年度の百六名から百九十六名へと増員したほか、専門課長や児童福祉司OBを配置し人材育成を図っているところでございます。
また、児童相談の一義的な窓口である区市町村に対して、先駆型子供家庭支援センターの設置や虐待対策ワーカー等の配置を支援しております。
今後とも、児童相談所と区市町村がそれぞれの役割のもとに機能を発揮して、緊密に連携を図りながら児童虐待への対応力を強化してまいります。
最後に、施設を退所した児童の自立支援についてですが、児童養護施設等を退所した児童が、社会で自立し、安定した生活を送るためには、入所中はもとより、退所後においても必要な支援を継続していくことが必要でございます。
そのため、都は、退所した児童に生活や就労などの支援を行う施設に対し独自の補助を行うほか、昨年度から関係機関とも連携し、入所児童の自立支援や退所後の相談支援等を行う自立支援コーディネーターを専任で配置する取り組みも開始し、現在四十九施設で実施しているところでございます。
また、施設を退所した児童が気軽に集まり交流ができ、生活や就労上の悩みや相談にも応えるふらっとホームを都内二カ所で実施しております。
今後も、こうした取り組みを進め、社会的養護のもとで育つ子供たちの自立を支援してまいります。
〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕
〇港湾局長(多羅尾光睦君) 元町漁港の復旧についてですが、今回の元町地区における土石流災害により、元町漁港では、港内の水域や荷さばき地の一部が土砂で埋まるなどの大きな被害が発生いたしました。
漁業は島民の方々にとって生活を支える基盤の一つであり、速やかに漁港を復旧し、操業を再開することは極めて重要でございます。
元町漁港においては、関係機関による捜索活動の終了後、堆積した土砂や流木の除去を速やかに開始しましたが、いまだ行方不明者の方がいらっしゃることから、丁寧に作業を進めてまいりました。
今後は、作業を十分慎重に行いつつも、新たに掘削機械を備えた船を活用し、作業範囲を拡大することにより効率を高め、漁港の早期の復旧に向けて全力で取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、大島の災害を教訓とした取り組みについてでございます。
台風二十六号により大島で甚大な被害が発生したことを受け、危機管理体制を早急に再構築する必要が生じました。
こうした中、切迫する台風二十七号による二次被害の防止に向け、円滑な避難行動がとれる避難勧告等の発令時刻の設定、避難所までの経路や誘導方法等の検討など、留意すべき点を各区市町村に周知するとともに、都と区市町村長が直接連絡をとれる体制の整備などを図ってまいりました。
今後、大島応急復旧プロジェクトチームにおける検討等を通じて、さらなる危機管理体制の強化を図ってまいります。
次に、過去の懲戒処分の事例についてでございます。
ご指摘の服務事故は、平成十四年に、主税局の職員が都税事務所の電気工事の監督員として立ち会いをした際に、面識を得た企業の担当者から九十九万円を無利息で借り入れ、後日返済したものでございます。
この事故は、利害関係者との接触を禁じた東京都職員服務規程及び利害関係者との接触に関する指針に違反する重大な非違行為であることから、事故者に対する処分は懲戒免職といたしました。
また、直近の知事部局の例では、平成二十三年に、福祉保健局の職員が旅費などの不適正受給のほか、職場で知り合った事業者に五十万円の借金の申し入れを行ったことにより、停職三月の処分とした服務事故がございます。
最後に、知事、副知事の服務、懲戒に関する規定についてでございます。
まず、知事につきましては、地方自治法で規定する兼業禁止などを除き、服務に関する明確な定めはなく、法的な懲戒制度もございません。
次に、副知事につきましては、知事と同様の兼業禁止などに加えて、地方自治法附則において地方公務員法制定前の従前の規定が準用される取り扱いとなっており、服務については東京都職員服務紀律が、懲戒については官吏懲戒令が準用されます。
これらの具体的な内容につきましては、利害関係者との接触規制など、おおむね一般職と同様となってございます。
〔知事本局長中村靖君登壇〕
〇知事本局長(中村靖君) 新たな長期ビジョンにおける多摩地域の取り扱いについてでありますが、多摩地域は、最先端技術を有する企業や数多くの大学研究機関が集積し、東京の発展を担うとともに、都民の共有財産である豊かな自然環境にも恵まれた重要な地域であると認識しております。
新たな長期ビジョンの論点整理でも、多摩地域につきましては、三環状道路や骨格幹線道路などの整備促進や、多摩ニュータウンを初めとする団地再生などを政策の方向性として記載しております。
今後、策定、公表するビジョンにおきましても、多摩地域につきまして、その重要性をしっかりと踏まえ、多摩地域の発展につながるよう取り組んでまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 新国立競技場の整備についてでございます。
まず、現在の国立競技場は、施設の老朽化に加え、各種競技団体の国際基準に適合してございません。
国が定めましたスポーツ基本計画では、オリンピック・パラリンピック等の大規模国際大会の招致、開催を通じた国際交流、貢献を掲げております。これを受け、国及び日本スポーツ振興センターが新国立競技場を整備することとなり、新国立競技場基本構想国際デザイン競技を実施いたしました。
その後、日本スポーツ振興センターが、当初のデザイン案をもとにコストや規模などについて検証を行ったところ、建設費が当初見込みを大幅に超えることが確認されました。
このため、日本スポーツ振興センターは、基本設計条件の見直しを行い、先月開催されました第四回国立競技場将来構想有識者会議に諮りました。
会議では、建設コストの縮減や周辺環境との調和などが議論され、施設規模を約二十九万平方メートルから約二十二万平方メートルに縮減するなど、一定の見直しがなされました。
都としては、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、国が着実に整備を進めるよう求めてまいります。
〔交通局長新田洋平君登壇〕
〇交通局長(新田洋平君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都営交通の消費税転嫁についてでございますが、国は、地下鉄やバスなどの事業ごとに現行の運賃体系を踏まえつつ、全体として消費税改定率以内の増収となるようにとの方針を示しております。
交通局といたしましては、これに基づき、各事業とも改定率以内となるよう適切に転嫁を行うものでございます。
運賃改定の内容につきましては、パンフレットやポスター、ホームページ等、さまざまな媒体を通じて周知を図りますとともに、お客様からの問い合わせに、きめ細かに対応することにより、お客様、都民の十分な理解が得られるよう努めてまいります。
次に、いわゆる二重運賃についてでございますが、国はICカード利用の普及を踏まえ、十円単位の運賃とあわせて、消費税率の引き上げ分をより正確に転嫁する観点から、一円単位の運賃について認めることとしております。
このことから、交通局におきましても、他の事業者と同様に、現金や磁気券の十円単位の運賃に加え、ICカード乗車券については、一円単位の運賃を導入することとしたものでございます。
〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕
〇産業労働局長(塚田祐次君) 就職氷河期世代への就業支援についてでありますが、新規学卒時に就職環境が厳しかったことから、正社員を希望しながらも非正規雇用を余儀なくされた層は、既に三十歳代から四十歳代前半に差しかかっております。
都では、非正規雇用経験が長いこうした世代の正規雇用化を支援するため、東京しごとセンターにおいて、キャリアカウンセリングや少人数でのグループワークなどのきめ細かな支援を行うとともに、正社員として一定期間継続雇用した企業に採用助成金を支給しております。
また、職業能力開発センターにおいて、中高年求職者の就業に結びつくような多様な職業訓練を実施しております。
今後とも、こうした取り組みを通じ、就職氷河期世代の正規雇用化を推進してまいります。
〔百一番尾崎大介君登壇〕
〇百一番(尾崎大介君) ただいまの知事の答弁では、同じことの繰り返しであり、私たち議会も、都民、国民の皆さんも納得ができないでしょう。
先ほどの総務局長答弁によれば、副知事であっても、一般職と同様に利害関係者との接触が禁止をされており、さらに副知事の服務については東京都職員服務紀律が、懲戒については官吏懲戒令が準用をされると、こうした答弁でございました。これについて知事は、ご自身はそれに当たらないとお考えでしょうか、見解をお伺いいたします。
ましてや当時、知事の職務代理者でもあったわけであります。一般の職員でも、今回のような問題を起こせば確実に処分対象となるでしょう。そして、その処分を下すのは知事自身であります。
猪瀬知事は、今回の問題についての責任を問われ、今後の職務を全うすることが私の責任と発言をされておりますが、果たして、それだけで責任をとったといい切れるのでしょうか。私は、その認識は極めて甘いものだと考えております。
猪瀬知事が説明責任を十分に果たすことは、当然であります。私は、改めて、知事みずからの責任のとり方についても再考をすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
本日の代表質問は、私たち都議会民主党が最後のバッターとなりますが、このまま本会議の質問が終了し、都民、国民が果たして納得をできるのか。私たち都議会民主党は、猪瀬知事の資金問題について、なお引き続き審査を継続していくために、特別委員会の設置も含めて、審議を尽くす場を設けることを求めていきたいと考え、質問を終わります。(拍手)
〔知事猪瀬直樹君登壇〕
〇知事(猪瀬直樹君) 服務紀律の適用については、総務局長の述べたとおりであります。また、責任のとり方については、都政を一日も停滞させてはならないという気持ちがあります。今、その気持ちで皆さんと一緒にやらせていただければと思っております。
以上であります。
〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認めます。さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後六時五十三分散会
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