平成二十五年東京都議会会議録第三号

平成二十五年二月二十七日(水曜日)
 出席議員 百二十四名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番大場やすのぶ君
四番和泉 武彦君
五番近藤  充君
六番福士 敬子君
八番野上ゆきえ君
九番佐藤 広典君
十一番中村ひろし君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番松葉多美子君
二十番小宮あんり君
二十一番吉住 健一君
二十二番桜井 浩之君
二十三番山崎 一輝君
二十四番鈴木 章浩君
二十五番くりした善行君
二十六番山内れい子君
二十七番小山くにひこ君
二十八番淺野 克彦君
二十九番新井ともはる君
三十番佐藤 由美君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番伊藤こういち君
三十七番大松あきら君
三十八番中山 信行君
三十九番高倉 良生君
四十番菅  東一君
四十一番田中たけし君
四十二番鈴木 隆道君
四十三番宇田川聡史君
四十四番高橋 信博君
四十五番中屋 文孝君
四十六番鈴木あきまさ君
四十七番柳ヶ瀬裕文君
四十八番星 ひろ子君
四十九番滝沢 景一君
五十番中谷 祐二君
五十一番笹本ひさし君
五十二番山下ようこ君
五十三番神野 吉弘君
五十四番鈴木 勝博君
五十五番興津 秀憲君
五十六番岡田眞理子君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番上野 和彦君
六十番吉倉 正美君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番矢島 千秋君
六十五番高橋かずみ君
六十六番三宅 正彦君
六十七番早坂 義弘君
六十八番相川  博君
六十九番山加 朱美君
七十番吉原  修君
七十一番林田  武君
七十二番西崎 光子君
七十三番伊藤 ゆう君
七十四番原田  大君
七十五番尾崎 大介君
七十六番山口  拓君
七十七番伊藤まさき君
七十八番松下 玲子君
七十九番西岡真一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番吉田 信夫君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番服部ゆくお君
八十八番こいそ 明君
八十九番きたしろ勝彦君
九十番高木 けい君
九十一番神林  茂君
九十二番遠藤  衛君
九十三番三原まさつぐ君
九十四番田島 和明君
九十五番古賀 俊昭君
九十六番泉谷つよし君
九十七番くまき美奈子君
九十八番大西さとる君
九十九番今村 るか君
百番増子 博樹君
百一番いのつめまさみ君
百二番小沢 昌也君
百三番石毛しげる君
百四番大津 浩子君
百五番清水ひで子君
百六番ともとし春久君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番三宅 茂樹君
百十一番山田 忠昭君
百十二番村上 英子君
百十三番野島 善司君
百十四番川井しげお君
百十五番吉野 利明君
百十六番宮崎  章君
百十七番比留間敏夫君
百十八番門脇ふみよし君
百十九番斉藤あつし君
百二十番大塚たかあき君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番和田 宗春君
百二十六番馬場 裕子君
百二十七番大山とも子君

 欠席議員 一名
  七番 土屋たかゆき君
 欠員
    十番  八十番

 出席説明員
知事猪瀬 直樹君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
教育長比留間英人君
東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
知事本局長前田 信弘君
総務局長笠井 謙一君
財務局長中井 敬三君
主税局長新田 洋平君
生活文化局長小林  清君
警視総監西村 泰彦君
スポーツ振興局長細井  優君
都市整備局長飯尾  豊君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長川澄 俊文君
産業労働局長中西  充君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長松田 芳和君
交通局長中村  靖君
水道局長増子  敦君
消防総監北村 吉男君
下水道局長小川 健一君
青少年・治安対策本部長樋口 眞人君
病院経営本部長塚田 祐次君
中央卸売市場長塚本 直之君
選挙管理委員会事務局長影山 竹夫君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長岳野 尚代君
監査事務局長松井多美雄君
収用委員会事務局長醍醐 勇司君

二月二十七日議事日程第三号
第一 第一号議案
  平成二十五年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  平成二十五年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  平成二十五年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  平成二十五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  平成二十五年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
  平成二十五年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
  平成二十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
  平成二十五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
  平成二十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
  平成二十五年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
  平成二十五年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
  平成二十五年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
  平成二十五年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
  平成二十五年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
  平成二十五年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
  平成二十五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
  平成二十五年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
  平成二十五年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
  平成二十五年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
  平成二十五年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
  平成二十五年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  平成二十五年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  平成二十五年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  平成二十五年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  平成二十五年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  平成二十五年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  平成二十五年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金条例
第二十九 第二十九号議案
  東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例
第三十 第三十号議案
  東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  東京都職員互助組合に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
  東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  東京都知事等の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都新型インフルエンザ等対策本部条例
第四十五 第四十五号議案
  東京都防災会議条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  東京都災害対策本部条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
  東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
  東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  障害者自立支援法施行条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京都障害者支援施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  東京都障害者介護給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都障害児通所給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
  東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
  東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
  東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京都立多摩療育園条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
  東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
  東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
  東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
  東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
  東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
  東京都地域自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
  東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
  東京都介護福祉士等修学資金貸与条例を廃止する条例
第八十九 第八十九号議案
  東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
  東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
  東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
  東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
  東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
  食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
  食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
  墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
  東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
  東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
  東京都営空港条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
  東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
  東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
  東京都道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
  東京都立公園条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
  東京都給水条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
  東京都が設置する水道の布設工事監督者に関する資格等を定める条例
第百十一 第百十一号議案
  東京都公共下水道及び流域下水道の構造並びに終末処理場の維持管理の基準に関する条例
第百十二 第百十二号議案
  東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
  警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
  警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
  東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
  都営住宅二十四H─一一四東(江戸川区船堀一丁目第二)工事請負契約
第百十九 第百十九号議案
  都営住宅二十四H─一一〇東(北区神谷二丁目)工事請負契約
第百二十 第百二十号議案
  都立足立高等学校(二十四)改修及び改築工事請負契約
第百二十一 第百二十一号議案
  都立荏原看護専門学校(二十四)改築工事請負契約
第百二十二 第百二十二号議案
  都立日比谷高等学校(二十四)校舎棟改修工事請負契約
第百二十三 第百二十三号議案
  東京消防庁八王子消防署庁舎(二十四)新築工事請負契約
第百二十四 第百二十四号議案
  平成二十四年度十号地その二多目的内貿岸壁(―(マイナス)八・五m)桟橋整備工事請負契約
第百二十五 第百二十五号議案
  環二勝どき高架橋(仮称)鋼けた及び鋼製橋脚製作・架設工事(二十四 一─環二築地)請負契約
第百二十六 第百二十六号議案
  包括外部監査契約の締結について
第百二十七 第百二十七号議案
  東京都と神奈川県との境界にわたる町田市と相模原市との境界変更について
第百二十八 第百二十八号議案
  境界変更に伴う財産処分に関する協議について
第百二十九 第百二十九号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可について
第百三十 第百三十号議案
  土地の買入れについて
第百三十一 第百三十一号議案
  平成二十五年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百三十二 第百三十二号議案
  平成二十四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百三十三 第百三十三号議案
  東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定について
第百三十四 第百三十四号議案
  多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三十五 第百三十五号議案
  荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三十六 第百三十六号議案
  平成二十四年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第百三十七 第百三十七号議案
  平成二十四年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十八 第百三十八号議案
  平成二十四年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百三十九 第百三十九号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第百四十 第百四十号議案
  平成二十四年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百四十一 第百四十一号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百四十二 第百四十二号議案
  平成二十四年度東京都一般会計補正予算(第四号)
第百四十三 第百四十三号議案
  東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
第百四十四 第百四十四号議案
  東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第百四十五 諮問第一号
  地方自治法第二百六条の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
第百四十六 諮問第二号
  地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について

   午後一時一分開議

〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(中村明彦君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十九番西岡真一郎君
   〔七十九番西岡真一郎君登壇〕

〇七十九番(西岡真一郎君) 東京のエネルギー対策としての見える化とソーラー屋根台帳の整備について伺います。
 知事は、施政方針表明の中で、環境エネルギー都市の構築に向けた取り組みとして、エネルギーの見える化が必要との見解を述べられました。エネルギーの見える化は、消費量の状態を見える化することにより、省エネ化を推進し、むだな電力、エネルギーの削減を目指す取り組みです。知事自身も、太陽光発電のユーザーとして、この見える化による省エネ効果をみずから実感されているとのことですが、私も、見える化を進めることはとても重要であると認識しています。エネルギーの見える化による気づきは、大きな意識改革や環境教育の促進にもつながります。
 都は、この見える化を進める取り組みとして、再生可能エネルギーについては、国内初となる仮称ソーラー屋根台帳の整備と公表を、家庭や事業所における省エネピークカットに向けては、家庭用燃料電池などの設置への支援を打ち出しています。ソーラー屋根台帳は仮称でありますので、より効果が発揮されやすく、わかりやすい名称となることを期待しています。
 さらに、環境局内へのエネルギー専管組織の立ち上げも表明されました。これらの新たな取り組みには、再生可能エネルギー拡大や省エネ、節電対策を推進していく上で大いに期待をするものです。
 そこで、知事が考える見える化の意義について、改めて伺います。
 次に、島しょ地域における再生可能エネルギーの導入促進について伺います。
 私は、東日本大震災の発生以来、改めて自然再生可能エネルギーの導入を促進し、東京の電気は、安心・安全なあらゆる方策を駆使し、東京で生み出し賄う、そして、東京に存する島しょ地域の自然や多摩地域の資源を最大限に活用することを考えています。もちろん、これらの取り組みは、地元の皆様のご意思が重要です。そして、将来的には、送電線などの技術革新の進展、また、洋上風力、波力、海洋温度差発電、バイオマス、地熱などにより、島で生み出された電気が東京に送られてくることも夢ではないと感じています。
 現在、八丈島の地熱発電などが注目され、三宅島でのメガソーラー構想が浮上し、島独自のさまざまな試験的取り組みが行われていると承知しています。自然に恵まれた島しょ地域は、再生可能エネルギーの導入の可能性も極めて高いと思われますが、都が来年度予算において、そのポテンシャルを調査の上、積極的に導入を検討していく姿勢を示していることはとても望ましい姿です。このことは、島の新たな振興や発展に大きく寄与する取り組みです。
 そこで、島しょ地域の一部では、既にそのポテンシャルを生かした取り組みが都と連携して行われていますが、その成果及び今後の都の取り組みの方向性についてご所見を伺います。
 次に、振り込め詐欺などの対策強化について伺います。
 治安対策は、都民が都政に求める施策の中で常に上位を占めている重要課題であり、オリンピック招致においても重要な判断材料です。東京の治安対策は、警視庁を中心とした努力と対策により向上しているものの、警視総監による治安状況報告にも述べられていたように、サイバー犯罪など、新たな手口による犯罪は大きな課題となっています。
 十年近くにわたり、都民を脅かし続けている振り込め詐欺には、電話によるおれおれ詐欺や成り済まし詐欺など、はがきやメールによる架空請求や融資保証金詐欺など、次から次へと新たな手口が用いられています。
 そこで、東京都内の振り込め詐欺などの犯行手段の傾向と検挙状況について、警視庁に伺います。
 振り込め詐欺に絞った都内の被害額の推移を見てみますと、平成二十三年は三十億円、昨年、平成二十四年は平成二十二年の倍以上となる五十八億円です。都内では、警視庁を中心として、行政、金融機関、地域団体など、社会が一体となってその撲滅に向け懸命に努めていますが、犯人グループや、やみ社会の勢いは衰えていません。国でも、金融庁などによるさまざまな取り組みが行われていますが、検挙につながる決定打が見出せていないのが現状です。
 警視庁では、振り込め詐欺などの電話がかかってきたことなどの通報を安心・安全メールで広く配信し、ツイッターでは毎日数十件以上の都内の通報情報が配信されています。この犯罪の高齢者への接近率は、ほぼ一〇〇%といえる状況ではないかと考えます。
 警視庁の調査では、被害者の八割は女性、被害者の約五割は七十歳代、被害者の約七割が夫婦二人またはひとり暮らし、過去に詐欺被害に遭った経験があるものは約四%とされていることから、被害者の傾向に適した被害抑止対策が求められています。今月二月は、警視庁の振り込め詐欺対策の強化月間として、さまざまな対策が行われたと承知しています。
 そこで、振り込め詐欺の被害を防止するため、今後さらに、都民に対する周知、啓発活動と警視庁、行政、金融機関などの民間企業、地域団体、都民など、社会が一体となった取り組みが重要と考えますが、警視庁の今後の取り組み方針などのご所見を伺います。
 一方、都も、振り込め詐欺へのさまざまな対策に取り組んでいます。先日は、本富士警察署で行われた青少年・治安対策本部による地元老人クラブ向けの寸劇を通じた振り込め詐欺対策の活動現場を視察しました。最新実例を取り入れた臨場感ある迫真の演技により、犯人たちの巧妙さや悪質さを痛感できました。この地道な取り組みには高い効果が期待できると感じました。さらに、強化、継続していただきたいと要望します。
 自治体としての市民への効果的な啓発や注意喚起は重要な取り組みであり、東京ならではの取り組みが求められています。また、市区町村の取り組みへの支援や情報の共有化も重要です。これまでの都の取り組み状況と今後の取り組み方針を伺います。
 一方、被害者の心痛は大きく、この犯罪は、子や孫のためを思う人の心につけ込んだ極めて悪質な犯罪です。振り込め詐欺の被害者への支援やフォローも重要と考えます。警視庁の取り組みについてご所見を伺います。
 次に、多摩産材の普及拡大について伺います。
 先月十七日の福祉保健局の発表によると、都内におけることしのスギ花粉の飛散量は、昨春の五から六倍と予想されており、例年と比べても二倍程度になるとのことです。三・五人に一人が花粉症に悩まされている状況を打破する対策を構築していかなければなりません。中でも、都が、花粉発生源対策として購入契約を締結した約四百ヘクタールの杉林において、順次、杉の木を伐採し、花粉の少ない杉などへの植えかえを行っていることは、抜本的な花粉症対策として注目されています。
 こうして伐採された多摩産材は、多摩のブランドであり、木の地産地消を進めることは有効な環境対策でもあります。多摩産材について、都営住宅の内装材や都立学校の什器などに率先して利用するなど、多摩産材の利用は着実にふえています。多摩産材の利用は、多摩の森林循環の維持と林業の活性化にもつながり、多摩の振興に寄与することから、今後も、その利用を積極的に推進していく必要があります。
 そこで、現在の公共利用の推進に向けた取り組みについて伺います。
 木材利用にはさまざまな形態がありますが、公共が率先して利用する段階を第一段階とすれば、第二段階は、住宅建築など、民間で活用していくことが極めて有効です。
 先日、立川市にある住宅展示場に展示されている多摩産材のヒノキを活用したモデルルームを視察しました。木のぬくもり、温かさ、木の香りなど、地元の木材を全面的に活用した住宅のすばらしさや意義を痛感しました。風土に適した質の高い多摩産材が活用された住宅の普及には大きな意義があります。
 私の地元小金井市には、多摩産材を活用した住宅建築に積極的に取り組んでいる工務店などがあります。事業者の方々の声を聞かせていただきますと、住宅用材として多摩産材の一層の利用を推進するためには、施主、エンドユーザーに対して補助金などのインセンティブを働かせることが最も効果的であるとの声をよくいただいております。
 都としても、こうした声を受けとめ、新たなセカンドステージの施策により、多摩産材の活用を一層進め、多摩の健全な森林の育成につなげるべきであると考えます。多摩産材の民間利用に関する取り組みについて伺います。
 次に、多摩地域の広域連携について伺います。
 多摩地域の各市町村では、日々地域が抱える課題の解決に向け、精力的に取り組まれています。中でも、私の地元小金井市の喫緊の最重要課題は、可燃ごみの処理体制の一刻も早い確立です。
 まず、東京都や多摩地域の自治体を初め、小金井市の可燃ごみの受け入れなど、さまざまなご支援をいただいているすべての関係者の皆様に、厚く御礼を申し上げます。
 小金井市としても、みずからの責任を果たすべく、あらゆる方策を市行政当局にて検討してまいりましたが、このたび、新たな局面を迎えることができたことに、心から感謝と敬意を表します。
 今後は、共同化に向けた関係市との信頼関係の構築に協力していかなければなりません。そのためにも、また、ご支援いただいている多摩地域のためにも、国内有数の実績のあるごみ減量、発生抑制やリサイクルの取り組みや、最終的な処理方針の確立までの間の可燃ごみ処理の広域支援を継続していかなければなりません。これらの極めて困難な状況を乗り越えるためには、小金井市が全市民を挙げて結束し、どのように貢献すべきかを考えることが何よりも求められています。
 一方で、今後とも東京都の支援が必要であります。以前、石原前都知事が記者会見で、ごみ処理の一元化の必要性を指摘されたこともありますが、こうした問題についてはもとより、今後、自治体間の広域連携の視点は、ますます重要になってくると思います。
 そこで、今後の多摩地域における広域連携の展望について、都の見解を伺います。
 次に、東京の水循環と雨水流出抑制対策について伺います。
 東京は、都市化により、降った雨が地中に返るという自然のサイクル機能の多くが失われ、環境の変化や悪化が生まれています。また、ゲリラ豪雨という新たな脅威、課題も生まれています。
 平成十八年に行われた環境局の資料を分析してみますと、東京に降った雨がどのくらい浸透しているのかを示す区部の雨水浸透割合はおよそ一三・八%、多摩地域の山間部等、一部の自治体を除いた台地部では二五・九%となっており、その他の大半の部分は河川に流出しています。
 都は、平成十九年八月に策定した豪雨対策基本方針に基づき、河川、下水道の整備に加え、流域対策を促進してきました。その中で、雨水浸透施設の設置を流域対策の一つとして位置づけ、平成十九年度より、個人住宅への浸透ますなどの設置に対して助成を行っている市区に対して、その費用の一部を補助する雨水流出抑制事業を実施してきました。雨水浸透施設の設置推進は、豪雨対策のみでなく、地下水の涵養や湧水の保全、ヒートアイランド対策にも大きく寄与する大切な取り組みです。都議会民主党では、この取り組みの重要性を認識し、平成二十二年度の復活予算要望により、市区が指導要綱の策定などを行うための都の予算を確保するなど、流域対策の充実に取り組んできました。
 そこで、雨水流出抑制事業の現在までの実績について伺います。
 雨水浸透ますの設置は、地元の小金井市が有名であり、長年の市民の理解と事業者の協力のもと、市内の直近の設置全棟数は二万六千二百十一軒、設置率は五六・八%と、世界に誇れる数値となっており、日本水大賞、土木学会環境賞なども受賞してきました。しかし、この雨水浸透機能を取り戻す事業、降った雨を地中に返す取り組みは、七流域の区市や流域に住んでいる住民の方々の理解と協力が不可欠です。そして、全都的に拡大していくべき取り組みであると考えます。
 最後に、個人住宅における雨水浸透施設の設置促進に向けた取り組みについて伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 西岡真一郎議員の一般質問にお答えします。
 エネルギーの見える化についてでありますが、家庭や企業がみずから電気を生み出し、賢く使っていく都市をつくるためには、見えないものを見えるようにするということが、かぎになると認識しています。
 自分は、震災の、ちょうど三・一一の一年前に太陽光パネルをつけました。太陽光パネルのユーザーになってみて、発電量、消費量、その差の数字がモニターで見える。今、電気を売っているのか、買っているのか、一目瞭然となります。これが省エネ意欲につながるということを実感しています。
 そこで、来年度は、自宅や会社の屋根が太陽光発電に適しているかどうか、ホームページで確認できる、国内初となるソーラー屋根台帳を整備して、建物所有者に気づきを与え、太陽光発電普及のさらなる加速化を図っていきたい。このソーラー屋根台帳をつくるに当たって、環境局では、こういう発想自体がまず大事なんですけれども、ここまでやっていいのかとか、いろんな議論があった。そういう熱い議論の中で、このソーラー屋根台帳をやるということになったんですね。そういう発想と熱い議論ができる職員がいるということは、大変僕は誇りに思っています。
 電力の使用状況の見える化にあわせて、省エネとピークカットを促す仕組みとして、家庭用燃料電池等の設置を支援する予算を組みました。このように、見える化の効果を具体化する施策を進めることによって、都市の成長を支えるエネルギーバランスの確保を図っていきたいと、そういう方向でやります。
   〔警視総監西村泰彦君登壇〕

〇警視総監(西村泰彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、東京都内の振り込め詐欺等の犯行手段の傾向と検挙状況についてお答えいたします。
 昨年の振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の認知件数は二千二百七十四件で、前年に比べ三四・一%増加し、被害総額も約三十三億九千万円増加の約八十一億二千万円となっており、認知件数、被害総額とも全国最多となっております。
 その内訳を手口で見ますと、息子や孫に成り済ましてお金をだまし取るおれおれ詐欺が千四百十一件と最も多く、次いで、医療費や保険料を還付すると偽ってATMからお金を振り込ませる還付金等詐欺が四百六十二件、架空のインターネット利用料金や有価証券の購入代金と称してお金をだまし取る架空請求詐欺が百八十三件となっております。
 また、最も被害が多かったおれおれ詐欺につきましては、従来、金融機関等から現金を振り込ませる、いわゆる振り込み型が主流でありましたが、近年は、犯人側が直接現金を受け取りに来る、いわゆる現金手交型が増加傾向にあり、昨年は、おれおれ詐欺全体の約七割が現金手交型の被害でありました。
 特殊詐欺犯人の検挙状況につきましては、前年に比べ二百四十人多い六百四十四人を検挙いたしました。検挙した犯人を役割別で見ますと、被害者から現金を受け取る役割のいわゆる受け子が三百七十二人と最も多く、次いで、高齢者宅等にだましの電話をかける役割のいわゆるかけ子は百十八人となっており、この受け子とかけ子で全体の約八割を占めております。
 このほか、口座詐欺や携帯電話詐欺など、特殊詐欺を助長する犯罪の検挙は、昨年に比べ三人多い二百八十一人を検挙いたしました。
 次に、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の被害防止対策についてお答えいたします。
 振り込め詐欺が猛威を振るい始めて十年になり、多くの方は知識としては振り込め詐欺を知っている状況にあります。にもかかわらず、振り込め詐欺の被害が後を絶たない大きな理由の一つは、残念ながら、まだまだ多くの高齢者の方が、自分も被害に遭うかもしれないという危機感を抱くには至っていない点にあるのではないかと考えております。
 警視庁では、昨年、詐欺被害に遭った六十五歳以上の高齢者から聞き取り調査を行いましたが、その結果、被害者の九割以上が、自分は大丈夫だと思っていた、自分が詐欺の被害に遭うことについて考えたこともなかったと答えております。
 このように、自分はだまされない、だから自分には関係ないと考える高齢者が少なくありませんので、まず何より高齢者自身の当事者意識を醸成し、自分もいつでも被害者になり得るのだと思っていただくための取り組みが必要であります。
 そのためには、まさに議員ご指摘のとおり、警察、行政、地域団体等、社会一体となったいわば国民運動的な取り組みによる振り込め詐欺撲滅の機運を醸成することが必要不可欠であると考えております。
 警視庁といたしましても、引き続き、取り締まりの強化とあわせて、高齢者に対する直接的な注意喚起を徹底するとともに、企業等と連携し、三十代、四十代の息子世代の従業員等に対して、自分の親や祖父母に注意喚起を行うよう働きかけを強化してまいります。
 最後に、振り込め詐欺の被害者に対するフォローについてお答えいたします。
 振り込め詐欺は、家族や親族の情愛を逆手にとるなど、極めて卑劣で許しがたい犯罪であります。被害に遭われた多くのご高齢の方は、かけがえのない貴重な財産を一瞬にして奪われ、財産を奪われたダメージのみならず、今後の生活設計の不安の増大や家族とのトラブル等により、精神的なダメージから体調を崩される被害者も多くおられます。
 警視庁といたしましても、このような被害者に対するアフターケアは重要と考えておりまして、被害者の居住地を管轄する警察署において、捜査担当者による被害者支援や、地域警察官による巡回連絡を行っているほか、元女性警察官の高齢者被害防止女性アドバイザー百七十三名が、都内七十五警察署において、高齢者宅を訪問し、各種防犯活動に従事しておりますので、この女性アドバイザーの訪問活動等を通じて、被害者に対する適時適切な防犯指導やアドバイスを定期的に行ってまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 島しょ地域における再生可能エネルギーの導入促進についてでございますが、都はこれまでも、島しょ地域の町村と連携しながら、再生可能エネルギー導入に向けた取り組みを展開し、例えば大島や御蔵島では、公共施設への太陽光発電の導入が進むなど、具体的な成果が上がってきております。
 さらに、太陽光発電が導入された施設では、再生可能エネルギーの解説パネルを設置して環境学習を実施するなど、教育面での活用も図られております。
 都は、このような波及的な効果の観点も含めまして、島しょ地域の町村と連携を深めながら、各島のポテンシャルを踏まえ、再生可能エネルギーの導入を促進してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 振り込め詐欺等の被害防止対策についてでありますが、被害を防止するためには、警視庁はもとより、高齢者に身近な地元自治体や事業者などと連携したきめ細かな取り組みが重要でございます。
 都は、区市町村とのネットワークを生かし、警視庁と協力して、振り込め詐欺の現状や対策等の情報を提供するとともに、警視庁、区市町村等と連携して、各種キャンペーンやリーフレットの配布を行うなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 また、高齢者を読者層とする雑誌へ注意喚起のための広告を掲載する、そのようなことにも取り組んでまいりましたが、今後は、地域との交流が少ないひとり暮らしの高齢者を対象とし、介護事業者と連携して被害防止の啓発を行うなど、これまでの活動では情報が届きにくかった高齢者に重点を置いた対策も推進してまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩産材の公共利用の推進に向けた取り組みでございます。
 都は、公共利用の拡大を図るため、平成十八年度に、多摩産材利用推進方針を策定いたしまして、都の率先利用を進めるとともに、区市町村にも利用を働きかけてまいりました。こうした全庁的な取り組みや区市町村の理解と協力もあり、着実に利用が進んできております。
 具体的には、お話にございました都営住宅のほか、都立上野恩賜公園のオープンカフェの構造材や、都道のガードフェンス等での活用を図りますとともに、区市町村の図書館や保育園の内装材等に利用されております。
 こうした取り組みによりまして、多摩木材センターにおける平成二十三年度の多摩産材の取扱量は約一万三千立方メートルと、五年前の四倍以上に拡大してございます。
 次に、多摩産材の民間利用に関する取り組みについてでございます。
 都はこれまで、モデルハウスの設置や家具を初めとした製品開発など、広く多摩産材をPRする事業者の取り組みに加え、保育園や幼児向け美術館での内装の木質化など、波及効果が期待できる取り組みに対して支援してまいりました。
 また、昨年度から、木造住宅や什器に固定されている二酸化炭素量を認証する制度を実施しております。
 今後とも、こうした取り組みを効果的に実施し、多摩産材の民間利用の推進を図ってまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 多摩地域の広域連携の展望についてでありますが、これからの多摩振興は、都はもとより、市町村や民間企業、NPOなど多様な主体が一丸となって取り組むことが重要であり、中でも、地域が抱えるさまざまな課題の解決に当たる市町村が果たす役割は大きいと認識しております。
 一方、少子高齢化に伴う行政需要の増大や、人口減少に伴う税収減の懸念など、市町村を取り巻く状況が厳しくなる中、安定した行政サービスの提供に向けて、これまで以上に自治体相互が補完し合うことが必要であります。
 こうした観点から、今般策定する新たな多摩のビジョンでは、可燃ごみ処理の共同化を初めとする、行政運営の効率化やコスト削減などのスケールメリットが見込まれる取り組み、公共施設の相互利用など、地域の中にとどまらない広域的な連携を積極的に進めていくことを今後の多摩地域の重要な方向性として位置づけました。
 本ビジョンに掲げた方向性に基づき、都は、各市町村の主体的な広域連携の取り組みを支援し、一体となって多摩振興を図ってまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、雨水流出抑制事業の現在までの実績についてでございますが、本事業は、豪雨対策基本方針で対策促進エリアとしている野川など七流域において、個人住宅への浸透ますなどの設置を促進するものであり、流域での流出抑制対策をより一層進めるために重要な事業でございます。この事業では、個人住宅を対象に、雨水浸透施設の設置に対して助成を行う市区に補助を行っております。その実績は、平成二十三年度末で、雨水浸透ますに換算して約一万八百個、雨水対策量は約七千六百立方メートルでございます。
 次に、個人住宅における雨水浸透施設の設置促進に向けた取り組みについてでございますが、雨水浸透施設の設置を促進するには、支援策を充実するとともに、普及活動を強化することが必要でございます。支援策として、平成二十三年度から、既存の個人住宅に関し、五百平方メートル未満に限定していた敷地の規模要件を廃止するなど、補助対象の拡大を図っております。
 また、都及び関係市区町村から成る協議会のホームページで周知しているほか、パンフレットやポスターを作成して、各自治体や学校等に配布するとともに、都が主催する施設見学会等の機会をとらえ、参加者に浸透施設設置の協力を呼びかけております。
 今後も、このような取り組みを進め、雨水浸透施設の設置を促進し、安心・安全なまちづくりに取り組んでまいります。

〇議長(中村明彦君) 四十六番鈴木あきまさ君
   〔四十六番鈴木あきまさ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇四十六番(鈴木あきまさ君) 最初に、羽田空港跡地における産業交流施設の規制緩和協議についてお尋ねいたします。
 東京都は、東京の国際競争力の強化に不可欠なものとして、羽田空港の機能強化と国際化を推進してまいりました。今後は、国際化が進む空港のより効果的な活用が求められていますが、特に産業面において、新製品、新サービスの創出を後押しし、世界に展開する戦略が必要です。
 大田区では羽田空港跡地に、国内外の企業、人材交流、技術連携等を通じ、ものづくり産業の競争力強化機能の発揮を想定した産業交流施設の整備を目指しております。これは、外国企業誘致によって、経済活性化を目指すアジアヘッドクオーター特区の考え方に調和するものであります。当該施設の整備に当たり、国有地の処分等について規制緩和を求める必要があります。国際戦略総合特区に指定されていることを踏まえ、東京都は大田区と連携し、精力的に国との協議を進めるべきと考えますが、所見を求めます。
 次に、産業政策、中小企業支援についてお尋ねします。
 中小企業の人材確保、若年者の就業対策です。
 安倍政権は、景気対策に加え、雇用対策にも力を入れていくこととしています。都としても、今こそ次代を担う若者が夢と希望を持って活躍できる社会を創出するために、若者の就業対策を積極的に推し進めていくべきです。
 我が党はかねてより、人材確保に苦慮する中小企業と意欲のある若者とのミスマッチの問題について指摘し、両者を結びつけるこの取り組みの強化を求めてまいりました。
 さきの第三回定例会では、民主党政権下にあった国が、雇用対策に関する交付金を終了させようとする中、我が党は紹介予定派遣を活用した支援策の充実を強力に主張し、都の交付金の確保を後押しするとともに、私も機会あるごとに若者の就業対策の重要性にかんがみ応援してまいりました。
 これまで都が成果を上げてきた支援を拡充し、より多くの若者に門戸を開くなど、若者の中小企業への就業を一層促進させるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、三年以上にわたり借入金の返済猶予に利用されてきた中小企業金融円滑化法が三月末で終了となります。都内でも三万社に上る企業が利用しているといい、法の終了による影響は大変大きいものがあると危機感を抱いています。
 地元大田区の企業からも、最近、金融機関の融資姿勢が厳しくなったとか、次は返済のリスケが認めてもらえそうもないなど、今の資金繰りについての不安の声が数多く寄せられております。
 こうした現状を踏まえ、都は、中小企業が経営改善の途上で資金繰りに行き詰まることのないよう、制度融資において特別借りかえ融資を創設するとしており、また、我が党の要望にこたえて、三月から前倒し実施することを、さきの代表質問で答弁いたしました。
 これまでも制度融資に借りかえメニューはありましたが、新設する特別借りかえ融資は中小企業にどのようなメリットがあるのか、その具体的な内容についてお伺いをいたします。
 次に、電気イノベーションについてお尋ねをいたします。
 中小企業が競争力を高めるためには、環境や医療といった成長分野での技術、製品開発に、積極果敢に挑戦することが重要です。しかし、こうした分野は競争も激しく、自社の技術だけで新たな市場を切り開く製品をつくり出すことは容易ではありません。
 そうした中、私の地元大田区では、昨年十一月、区の主導のもと、医工連携支援センターが開設し、中小企業の技術と大学や医療機関のニーズ等をマッチングして、新しい医療機器を生み出そうとする取り組みが始まっております。高い技術を持つ中小企業が最先端の研究成果を活用すれば、東京ひいては日本の製造業の競争力は一層確固としたものとなります。
 さきの代表質問において、大学等と連携した技術開発を重点的に支援するとの答弁がありましたが、その具体的な内容をお伺いいたします。
 次に、クルーズ客船の誘致促進についてお尋ねします。
 旅行雑誌の三月号に、格安時代到来、日本発着で楽しむ初めての外国船クルーズの特集がありました。海外の豪華客船が日本発着のクルーズに本格参入することしは、まさにクルーズ元年とのことであります。
 クルーズ客船は、乗客の消費等により、一隻の寄港で数億円の経済波及効果も期待できるなど、低迷が続く都内経済の活性化に大きく寄与するものです。東京と同様に、国際的な大都市であるシンガポールにおいては、年間四百回もクルーズ客船が寄港していますが、東京港の寄港数は年間二十回程度にとどまっています。東京港は、クルーズ客船の寄港地として非常に大きな魅力を秘めており、もっと寄港数を伸ばすことが可能であります。
 クルーズ客船の誘致に向け、さらに積極的な誘致活動を展開していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、近年、世界のクルーズ業界においては、従前の富裕層から中間層にマーケットを拡大するために、クルーズ客船を大型化し、一泊一万円台という低価格なクルーズ商品を販売する戦略が主流となっており、もはやクルーズは一生に一度の夢ではありません。
 我が国に寄港するクルーズ客船の大型化の潮流は確実なものとなっており、東京湾では、レインボーブリッジやベイブリッジをくぐれないといったケースが発生しています。我が国の玄関口である首都東京においてこそ、こうした課題にしっかりと対応すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、防災対策についてお尋ねします。
 昨年四月、東京都防災会議により、東日本大震災を踏まえ、首都直下地震等による東京の被害想定が発表されました。この中で、元禄型関東地震による津波のシミュレーションでは、万一、全水門が閉じられなかった場合、大田区における建物被害は、全壊八十八棟、半壊が千二十棟と多くの被害が発生すると想定されております。
 このような中、大田区内にあるいわゆる港南四水門は、建設から五十年近くが経過し、耐震強化も実施されていないため、もし水門が閉じられなかった場合には浸水することが懸念されております。
 都は、昨年末に、水門や防潮堤等の海岸保全施設の新たな整備計画を策定しました。大田区の港南四水門については、水門を廃止し、防潮堤を整備する方針と聞いていますが、整備形態とスケジュールについてお伺いをいたします。
 次に、下水道施設の再構築、水再生センター間のネットワーク化についてお尋ねいたします。
 先日の我が党の代表質問で、下水道管の老朽化への対応について確認しましたが、管で集めた下水を処理する水再生センターなどについても、同様に老朽化が進んでおり、こうした施設の再構築も重要であります。私の地元大田区にある森ヶ崎水再生センターは、国内で最大規模の下水処理施設であります。このような大規模な施設の再構築には長期間を必要とすることに加え、再構築時に処理能力が低下する影響が大きく、さまざまな困難を伴うことと思います。
 下水道局では、施設の再構築に先立ち、水再生センター間を結ぶ連絡管などのネットワーク化を推進することで、こうした課題に対応していくとのことでありますが、水再生センターなど、下水道施設の再構築をどのように進めていくのか、お伺いをいたします。
 次に、ネットワーク化の取り組みについてお尋ねいたします。
 ネットワーク化を進めることにより、再構築時に下水を受け入れる側の水再生センターに負荷がかかるのではと危惧をいたしております。晴れの日はもとより、大雨の際には、森ヶ崎水再生センターにも大量の下水が流れてくることに加え、連絡管により、他の水再生センターから下水が送られてくることで、放流先の水質が悪化するのではないかと懸念しています。
 下水道局では、森ヶ崎と芝浦水再生センターを結ぶ連絡管を整備していくと聞いていますが、芝浦水再生センターの下水を連絡管により受け入れるに当たって、森ヶ崎水再生センターの放流水質が悪化することのないよう、どのように対策を行うのか伺います。
 また、二つの水再生センター間を結ぶ連絡管の整備は、再構築時に活用するだけではなく、災害時に一方の水再生センターが被災したときにも活用できるのではないかと考えます。
 そこで、森ヶ崎と水再生センターとを結ぶ連絡管をどのように活用するのか伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事本局長前田信弘君登壇〕

〇知事本局長(前田信弘君) 鈴木あきまさ議員の一般質問にお答えします。
 羽田空港跡地における規制緩和についてでありますが、大田区が整備を目指している産業交流施設は、新産業、新技術の創出機能に加え、誘致した外国企業と国内企業とのマッチング機能を持つものであり、アジアヘッドクオーター特区の目的に沿うものであります。
 区は、国有地の処分などについて三つの規制緩和を求めており、都は区と連携しながら、特区法に基づく協議事項として国との交渉を進めております。そのうち、国有地を処分する際の契約方法については、昨年秋に行われた国との協議において、区との随意契約が可能となる特例が認められました。国有地の減額譲渡、施設整備に係る無利子貸付につきましても、区の要望を踏まえた上で、積極的に国との協議を進め、規制緩和の実現に努めてまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、若者の中小企業への就業促進についてでございます。
 将来を担う若者と人材不足に悩む中小企業を結びつけるため、これまで都は、研修と企業での派遣就労を組み合わせた制度を活用した支援に取り組むなど、就業対策に力を入れてまいりました。
 こうした取り組みの成果を踏まえ、新年度は、既存事業を再構築した若年者緊急就職サポート事業を開始いたします。実施に当たりましては、国の交付金を確保し、規模を拡大、正規雇用化に向けて千四百名の若者を支援してまいります。
 また、新たに派遣先の業種や職種に応じたきめ細かい事前研修や就労体験中の研修、受け入れ企業向けのセミナーなど、支援策の充実を図ってまいります。
 加えて、環境や健康など、今後成長が見込まれる重点産業分野への就業を促進するため、紹介予定派遣制度を活用した取り組みを都の独自財源により引き続き実施してまいります。
 このような取り組みを通じて、将来を担う若者の就業を着実に推進するとともに、東京の産業振興を人材面から支援してまいります。
 次に、特別借りかえ融資についてでございます。
 借り入れ条件を変更中の中小企業が経営改善を進める過程で資金繰りを確保できるよう、都は制度融資に、借り入れ企業の返済負担の軽減に役立つ特別借りかえ融資を新設し、三月から取り扱いを開始いたします。
 この融資では、借入残高の範囲内であれば、限度額を設けずに、保証つき融資を一本化し、返済期間を延長できる仕組みといたします。
 また、新たに、元金返済の据置期間を最大で六カ月間設けることで、借り入れ企業の当面の返済負担のより一層の軽減を図ります。
 さらに、小規模の企業に対しては保証料の二分の一を補助するなど、これまでの借りかえに対応する融資メニューに比べ、よりメリットが大きい制度となってございます。
 本融資の利用促進に向け、中小企業に対する積極的なPRを実施するとともに、金融機関等への協力要請を行うことなどにより、経営改善に取り組む中小企業の資金繰りを的確に支援してまいります。
 最後に、中小企業の技術開発への支援についてでございます。
 高い技術力を持つ中小企業が、今後成長の見込める分野で大学等と連携し、先端の研究成果を活用しつつ、製品開発を進める取り組みを支援するため、都は新年度より、連携イノベーション促進プログラムを開始いたします。
 本事業では、環境エネルギー、防災、医療福祉などの分野で、都市課題の解決に役立つ技術開発テーマを具体的に示した課題マップを都が作成し、これに沿って、中小企業が大学や研究機関等と連携して実施をいたします製品開発の経費の三分の二について、三千万円を限度に助成いたします。
 こうした取り組みにより、成長分野における中小企業の意欲的な技術開発を積極的に促進してまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、クルーズ客船の誘致促進についてでありますが、クルーズ客船は港の花といわれ、乗客の消費等による大きな経済効果、クルーズ客船自体が新たな観光資源となるなど、さまざまな効果が見込まれます。
 都はこれまでも、入港料の減免など、客船の寄港に伴うコスト負担を軽減するとともに、船会社等を訪問し、東京港の魅力をPRするなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 来年度も、既に大きな効果を発揮しつつある水先案内料などへの補助制度を継続するとともに、クルーズ客船関係者を対象としたセミナーを拡充するなど、誘致活動を強化してまいります。
 さらに、和太鼓演奏など日本の伝統文化を生かした歓迎イベントの実施など、地元区とも連携を図りながら、積極的にクルーズ客船の誘致活動を展開してまいります。
 次に、クルーズ客船の大型化への対応についてでありますが、東京港においても、全長が三百メートルを超え、乗客、船員合わせて約五千人が乗船できる超大型クルーズ客船の誘致に成功し、ゴールデンウイーク以降、複数回寄港する予定です。
 こうした大型客船は、十五階建てビルに相当する高さがあり、レインボーブリッジの下を通過できないため、通常の客船受け入れ施設である晴海ふ頭に着岸できません。このため、当面はレインボーブリッジの外側にある大井水産物ふ頭で受け入れを行ってまいります。
 しかしながら、同ふ頭の受け入れ可能日が物流施設の休業日である土日祝日に限定されることなどから、今後は、世界のクルーズ業界の動向や、東京港への大型船の寄港状況等を勘案しながら、さらなる検討を行ってまいります。
 最後に、港南四水門についてでありますが、貴船、呑川、北前堀及び南前堀の四カ所の水門については、現在では、背後の水域が行きどまりになっており、開閉操作を伴う水門を存続させる必要性が薄れております。そこで、津波、高潮に対する安全性向上の観点に加え、散策路の整備や周辺環境への配慮など、地元が進めるまちづくりとの整合性等を勘案し、水門を廃止し、防潮堤整備を進めていくことといたしました。
 南前堀水門については、水域を一部残し、防潮堤を整備することとし、今年度、測量及び地質調査を実施しており、来年度は、設計を実施する予定でございます。
 また、このほかの三カ所の水門についても、新たな整備計画に基づき、引き続き地元区と協議しながら、早急に対策を推進し、津波、高潮対策を強化してまいります。
   〔下水道局長小川健一君登壇〕

〇下水道局長(小川健一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道施設の再構築についてでございますが、水再生センターなどの大規模な施設を再構築するには、多額の費用と長期間を必要といたします。このため、コンクリート製の構造物の腐食対策等により施設の延命化を図りつつ、水再生センターの施設ごとの老朽度等に基づき、優先度を定め、中長期的に事業を平準化するなど、計画的に再構築を進めてまいります。
 さらに、再構築時に一時的に処理能力が減少することに対応するため、水再生センター間で下水などを相互に送る連絡管など、ネットワーク施設の整備を施設の再構築に先行して実施してまいります。これにより、再構築時に不足する処理能力を相互に補完することで、効率的に再構築を進めてまいります。
 次に、森ヶ崎水再生センターの放流水質についてでございますが、芝浦水再生センターの下水を森ヶ崎で受け入れる際には、昼夜間の流入下水量の差を活用するなど、運転面での工夫により、森ヶ崎の水処理機能への影響が出ないように対応してまいります。
 また、下水の受け入れに先行し、処理水量を減少させることなく水質を改善できる準高度処理を導入いたします。
 さらに、雨天時の汚濁物を従来の二倍程度多く除去できる新たな技術である高速ろ過施設を整備することで、放流水質の改善を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、森ヶ崎の放流水質の改善を図りながら、芝浦水再生センターの再構築を進めてまいります。
 一方、森ヶ崎水再生センターの再構築時には、連絡管を活用し、芝浦水再生センターに下水を送る計画となっております。
 次に、連絡管の活用についてでございますが、森ヶ崎と芝浦水再生センター間を結ぶ連絡管は、京浜運河の地下約六十メートルの深さに内径六メートルのトンネルを延長約八キロメートルにわたり整備し、トンネル内に送水管などを敷設する計画としております。来年度から本格的な工事着手を予定しており、完成までに十年程度の期間を見込んでおります。
 完成後は、水再生センターの再構築時の活用に加え、ご指摘のとおり、震災時などに一方の水再生センターが被災した場合に、下水をもう一方に送って処理することで、バックアップ機能を確保し、危機管理対応を強化してまいります。
 今後とも、水再生センターなどの再構築やネットワーク化の推進により、将来にわたって安定的に下水道機能を確保してまいります。

〇副議長(ともとし春久君) 六十番吉倉正美君
   〔六十番吉倉正美君登壇〕

〇六十番(吉倉正美君) 今、都政における最優先課題は、一千三百万都民の命と首都機能を守るための東京の震災、防災対策であり、特に、老朽化した東京の橋や道路などの都市インフラの整備更新であります。高度経済成長期をピークに建設された都市インフラは、更新時期に差しかかり、老朽化対策はまさに待ったなしであります。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催にふさわしい都市としていくために、都市開発などの都市づくりに合わせてインフラを整備更新することで、大都市の風格を高めながら、安全性や利便性を求めていくべきであります。
 そこで、首都東京の都市インフラの整備更新に対する知事の基本的な見解を伺います。
 具体的に対策が求められている都市インフラ、特に橋梁について質問します。
 昨年七月、私は都議会公明党の一員として、隅田川や神田川、日本橋川の橋や堤防、護岸などの整備状況を視察いたしました。
 改めて、東京は水の都であり、多くの橋がかかり、吾妻橋や清洲橋など関東大震災の復興で架設された、歴史的価値がある貴重な橋も多くあることを認識いたしました。
 都は、これらの歴史的価値の高い橋や環状七号線の立体交差橋などの重要な橋を多く管理しておりますが、今後、老朽化が進む中で、これら都道の重要な橋について、長寿命化を積極的に推進すべきであります。見解を求めます。
 次に、鉄道施設の耐震対策について質問します。
 鉄道駅は、大規模地震が発生した場合には、多くの帰宅困難者の収容や負傷者の応急対応、さらに情報発信拠点となることから、早期耐震化は不可欠であります。ところが、耐震対策には多額の費用を要する一方で、鉄道利用者の増加や事業の収益につながりにくいことなどから、いまだに耐震化されていない駅が残っております。
 都は、平成十八年度から、乗降客数が一日一万人以上で、かつ、乗りかえ駅などを対象として、国とともに鉄道駅の耐震化を推進してきておりますが、切迫する首都直下地震に備え、防災、減災の観点から対象駅をさらに拡大すべきであり、早期に耐震性を向上させるべきであります。今後の取り組みについて都の答弁を求めます。
 次に、首都東京のバリアフリー対策を推進する立場から、駅のホームドアの整備促進について質問します。
 ホームドアは、高齢者や障害者を含むすべての人が安心して安全に利用できるという観点から、社会的要請の高い取り組みであります。視覚障害者の線路への痛ましい転落事故やベビーカーが車両の扉に挟まる事故など、これを未然に防ぐことができることから、命を守る安全対策として大きな役割を担っております。こうしたことから、私は、鉄道駅のホームドアを早期に整備すべきと機会あるごとに主張してまいりました。
 このような社会的要請、議会からの要請を受け、都は、平成二十三年度からホームドア整備促進のための補助スキームの予算を地方自治体で初めて計上いたしました。費用が高額であることから、鉄道事業者だけの取り組みではホームドアの整備が進まないことに対し、都が積極的に関与して前に進めようと努力していることを高く評価いたします。
 そこで、都の補助スキームを再度確認するとともに、このスキームを活用した実績について答弁を求めます。
 また、ホームドアの整備が進みにくい大きな理由として、相互乗り入れの課題があります。例えば、都営交通においては、都営三田線、都営大江戸線のホームドア整備を進めてきておりますが、他社線との乗り入れがある都営新宿線、都営浅草線については、いまだに着手されておりません。これは、技術面、輸送面、そしてコストの面で課題が大きいことが指摘されております。
 扉の位置の異なる列車への対応や、高額な設置費用への対応に関する新たな技術開発も進んでいると聞いております。こうした新技術も積極的に取り入れ、整備を一層加速すべきであります。都の見解を求めます。
 いうまでもなく、ホームドアの整備は究極のバリアフリー施策であります。東京の鉄道は各社が相互に乗り入れをするなど、他社と連携して取り組む必要もあることから、ホームドア整備をさらに大きく拡大するためには、補助制度を拡充するなど都が引き続き積極的に鉄道事業者への支援に取り組むことを強く要望しておきます。
 次に、新宿区の都営霞ヶ丘アパートについて質問します。
 国は、二〇一九年のラグビーワールドカップの開催などを目指して、国立競技場の建てかえを決定し、昨年七月から国際デザインコンペが行われるなど、競技場の建てかえに向けた準備が進められています。この国立競技場の建てかえに伴い、近接する都営霞ヶ丘アパートも整備区域に含まれることになりました。この建てかえ後の競技場は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックが招致されれば、メーンスタジアムになることも予定されています。
 そこでまず、神宮外苑地区の再整備の基本的な考え方を伺います。
 また、この国立競技場の建てかえ計画により、今後、霞ヶ丘アパートの居住者の移転が必要となりますが、ここには約二百三十世帯の居住者の方々が暮らしておられます。居住者の方々は、この建てかえによって、住まいを移転しなければなりません。私は、この霞ヶ丘アパートの居住者の方々から、これまで築き上げた家族の歴史や地域への愛着など、それぞれの思いをお聞きしました。都は、こうした思いをできるだけ受けとめるべきであります。
 まず、都は、居住者の方々が安心して移転ができるよう、十分な説明を尽くし、理解をしていただくことが必要です。また、昨年八月に行われた都の説明会に欠席された方々にも十分な配慮をすべきであります。都の見解を求めます。
 居住者の方々からは、霞ヶ丘から離れたくないという要望が多くあります。現地での建てかえができないならば、約二百三十世帯の方々が、なるべくまとまって安心して移転できるよう、移転先を確保することが必要であります。新宿区内で移転先を確保するとともに、居住者の方々からは、通院などに支障のないように、近隣の都営住宅の建てかえに際して、霞ヶ丘アパートの居住者の移転も含めて建築計画を講じてほしいとの要望が出されております。
 加えて、子どもが小中学校に通っている世帯からは、転校の時期について心配する声や、障害のある方からは、バリアフリー化された住宅へ早期に移転を望む声もいただいております。都は、こうした居住者の要望を受けとめ、居住者が安心して生活していけるよう、移転先を十分に確保すべきであります。都の見解を求めます。
 最後に、新宿歌舞伎町の治安対策について質問します。
 東京最大の繁華街である新宿歌舞伎町の治安回復に向けて、都はこれまで、さまざまな形で対策を講じてきたことは評価いたします。しかし、現実には、飲食店や風俗店、ゲームセンターなど多種多様の業種が混在し、年齢や国籍を超えて多くの人々が集まる中で、強引で悪質な客引きや薬物の密売などが後を絶ちません。地元からは、治安対策の強化を求める声が日ごとに高まっております。
 そこで私は、新宿歌舞伎町の安全対策の拠点となる民間交番の設置を強力に後押しをし、平成二十三年四月、関係機関との調整を経て、歌舞伎町商店街振興組合が中心となり、歌舞伎町セントラルロードの入り口に安全安心ステーションを設置いたしました。この民間交番も活用しながら、今後さらに歌舞伎町の治安対策を展開すべきであります。
 その上で、都は、新宿歌舞伎町の治安回復に向けたこれまでの取り組みを総括し、さらなる対策を講ずるべきであります。都の見解を求めます。
 新宿歌舞伎町では、コマ劇場跡地の再開発を起爆剤として、にぎわいのあるまちづくりを目指した取り組みが進められております。その中で、この客引きが、歌舞伎町地区の風評を下げているほか、若い女性や家族連れを遠ざける原因にもなっています。こうした状況を新宿区議会も問題視し、新宿区民の安全・安心の推進に関する条例を九年ぶりに見直して、客引き禁止条項を加えた条例改正が行われると聞いております。
 現在、警視庁と地域住民が一体となり、歌舞伎町地区の浄化に向けた取り組みを進めておりますが、一向に効果が上がらず、実効性ある客引き対策が求められております。このような状況を認識していただき、強引な客引き行為の取り締まりについて警視総監の所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 吉倉正美議員の一般質問にお答えします。
 都市づくりに合わせた都市インフラの整備や更新についてでありますが、東京は日本の心臓であり、その役割を今後も発揮させていくには、都市開発の機会などをとらえて、世界トップクラスの都市インフラを備えた先進国の成熟モデルとなる都市づくりへ変えていく必要があります。
 八路線の鉄道が集まる渋谷駅は、大正時代より増改築が繰り返されて、温泉旅館のように継ぎ足し、継ぎ足ししているような状態で、鉄道間の乗りかえも複雑になっている。非常にわかりにくい構造です。
 このため、駅周辺における大規模な民間開発と一体的に駅舎や交通広場などをつくり直す抜本的なリノベーションによって、渋谷のまちを、時代に合った都市の拠点へと再編していきたいということです。
 さらに、新橋・虎ノ門地区では、臨海部と都心部を結ぶ環状二号線と地域のシンボルとなる超高層複合ビルの整備を一体的に進めていきます。
 大切なことは、民間の資金やアイデアをどんどん取り入れて、スピード感を持った都市づくりを進めることで、首都東京の都市活動を踏まえて、文化の薫りが漂う、そういう都市で、オリンピック・パラリンピックの舞台にもふさわしい、世界一の輝く都市にしたいと、そういうふうに思っております。
 その他の質問については、警視総監、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監西村泰彦君登壇〕

〇警視総監(西村泰彦君) 新宿歌舞伎町における強引な客引き行為の取り締まりについてお答えいたします。
 警視庁では、平成十四年に盛り場総合対策推進本部を設置し、警視庁本部関係所属及び各警察署で体制をとりながら、新宿歌舞伎町・池袋・六本木・渋谷の四地区を中心とした盛り場の環境浄化を強力に推進しており、路上における悪質、迷惑な客引き行為についても、重点的な取り締まりを継続しております。
 また、客引き行為を減らすために、客引き行為者のみならず、従業員を客引きとして路上に出す店舗営業者についても、両罰規定のある風営適正化法で取り締まりを行っておりましたが、現在では、店舗側が取り締まりを逃れるため、フリーの客引きを雇うことが多くなっております。
 これらの行為に対しましては、東京都迷惑防止条例の執拗な客引き及びぼったくり防止条例の不当な客引き行為等を用いた営業の禁止を適用して検挙するとともに、悪質店舗の排除にも努めております。
 また、路上における悪質な客引き行為や、キャバクラ等のスカウト行為などに対する規制を強化するため、平成二十年四月、平成二十四年七月と二回にわたり、東京都迷惑防止条例が改正されております。
 警視庁としましては、引き続き、盛り場における悪質な客引き行為の取り締まりを積極的に推進するとともに、風俗営業者等に対しても指導、啓発活動を実施してまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 橋梁の長寿命化についてでございますが、都は日常的な巡回点検に加え、管理するすべての橋梁を対象に、昭和六十二年より五年に一度定期点検などを行い、必要な補修、補強を実施することで、安全を確保しております。
 橋梁の多くは、高度経済成長期に集中して建設されたため、高齢化が進み、近い将来一斉に更新時期を迎えます。そこで、計画的かつ効率的な維持更新を行うため、平成二十一年に橋梁の管理に関する中長期計画を策定し、著名橋や幹線道路の橋梁などを対象に長寿命化を進めております。
 これまでに二十一橋の工事に取り組み、平成二十四年度末までに八橋の対策を完了させ、二十五年度は新たに御茶ノ水の聖橋や環七の春日橋など二十四橋に着手いたします。
 引き続き、橋梁の長寿命化事業を推進し、既存のインフラを最大限に活用するとともに、日本の成長を支える都市基盤整備を推進してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、鉄道施設の耐震化に向けた今後の取り組みについてでございますが、鉄道施設の安全性を高めるためには、主要駅のみならず、鉄道路線全体としての耐震化を促進していく必要があることから、都は国に対し、補助制度の拡充を求めてまいりました。
 このたび国は、補助要件を緩和し、すべての一日一万人以上の利用者のある駅や、駅と駅との間にある高架橋などについても対象を拡大いたしました。
 このため、都は、平成二十五年度から、国とともに補助を実施していくこととしております。
 今後とも、国や鉄道事業者などと連携しながら、鉄道施設の耐震性向上を一層促進してまいります。
 次に、ホームドア整備に対する都の補助スキーム及び補助実績についてでございますが、駅ホームからの転落防止策については、鉄道の安全な運行の責任を負う鉄道事業者みずからが取り組むことが基本でございます。しかし、駅ホームにおける事故が繰り返され、社会的要請が強いこともあり、整備に慎重な鉄道事業者の積極的な取り組みを促すために、試行的な補助として、平成二十三年度から三年間に限り、ホームドア設置にかかわる経費のうち、国が三分の一、都と区が六分の一ずつ補助をしております。
 これまで、小田急線新宿駅、京王線新宿駅、東急大井町線大井町駅の三駅において実施しており、整備上の課題について検討を行っております。
 次に、ホームドアの新技術の取り入れについてでございますが、ホームドアの設置に当たっては、相互乗り入れなどで異なる型の車両が運行されることや、ホームの強度の確保が必要であることなどが課題となっております。
 このため、国において扉の位置の異なる列車に対応可能なホームドアや、軽量化したホームドアの技術開発を行っており、平成二十五年度に実証実験を実施する予定でございます。
 こうした状況を踏まえ、都は、昨年、鉄道施設の改良等に関する連絡会議を開催し、鉄道事業者に対し積極的に情報提供や意見交換を行っております。引き続き、国や地元自治体と連携しながら、ホームドアの整備の促進に取り組んでまいります。
 次に、神宮外苑地区の再整備についてでございますが、本地区には、風格ある都市景観と樹林地などの豊かな自然環境とともに、日本を代表するスポーツ施設が集積しております。
 こうした地域特性を踏まえ、都は、「二〇二〇年の東京」計画において、神宮外苑地区一帯を多くの国際大会等が開催されるスポーツクラスターとして整備することとしております。
 昨年、ナショナルプロジェクトとして新国立競技場の計画が具体化したことを受け、都は、事業者からの提案も踏まえ、競技場を含む周辺一帯の再整備に関する都市計画案を策定いたしました。
 今後、関係権利者等と連携して、具体的な整備計画を取りまとめ、緑豊かで風格と活力を兼ね備えた世界に誇れる我が国のスポーツ拠点の実現に取り組んでまいります。
 次に、都営霞ヶ丘アパートの居住者への説明についてでございますが、国立競技場の建てかえの対象範囲には霞ヶ丘アパートが含まれており、現地でのアパートの建てかえはできないこと、移転が必要となることについて、昨年八月に、アパートの居住者を対象として説明を実施いたしました。
 その後、説明の場に欠席された世帯には、お知らせを配布し、個別に連絡をとるなど周知を行っております。また、居住者からの問い合わせなどに対し、説明を重ねるなど対応しているところでございます。
 今後も、移転について居住者の十分な理解が得られるよう、丁寧な説明などに努めてまいります。
 最後に、霞ヶ丘アパートの居住者の移転先についてでございますが、居住者が円滑に移転できるよう、都営百人町アパートを初め、新宿区内の移転先を用意するとともに、近隣の原宿・神宮前アパートなどの建てかえにあわせ、従前居住者の入居がない住居を確保してまいります。
 移転先の確保とともに、子どもが小中学校に通っている世帯については、希望に応じ、来年度当初、他のアパートへの移転ができるよう準備を進めております。また、障害のある方など、早期の移転を望まれる世帯についても適切に対応してまいります。
 今後とも、居住者の事情などに配慮しながら、霞ヶ丘アパートの二百二十九世帯すべてが安心して移転できるよう取り組んでまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 歌舞伎町地区における治安対策についてでありますが、都は、平成十七年に設立された歌舞伎町ルネッサンス推進協議会に当初から参加し、新宿区、警視庁、地域の方々などと連携して歌舞伎町の安全・安心と環境美化などを推進する取り組みを進めてまいりました。
 具体的には、これまで地域への支援として防犯カメラ整備費の補助やパトロール資材の配布、また、外国人不法就労防止対策として雇用主等への外国人の適正雇用講習の実施、さらに、暴力団対策として暴力団排除演劇の実施や区の暴力団排除条例施行キャンペーンへの支援、そして環境美化の観点から、落書き消去活動への支援や年末の地域清掃活動への参加など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 今後も、新宿区や警視庁、そして地域の方々と連携して歌舞伎町地区のさらなる治安の向上のために各種対策に取り組んでまいります。

〇副議長(ともとし春久君) 五十二番山下ようこさん
   〔五十二番山下ようこ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇五十二番(山下ようこ君) それでは、私、山下ようこが一般質問をさせていただきます。
 環境の世紀といわれる二十一世紀も十二年が経過しました。東京都では、その最初の年、二〇〇一年に屋上緑化の義務化が始まり、二〇一〇年には、世界初となる都市型キャップ・アンド・トレードがスタートするなど、世界に冠たる環境都市の確立のためのダイナミックな施策が展開されています。
 全世界的地球規模の課題である気候変動対策に着目しますと、温室効果ガス排出量について、国は二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減するという目標を二〇〇九年以来掲げていましたが、このほど、この削減目標を、ことし十一月の国連気候変動枠組条約締約国会議COP19までに見直すと表明。東日本大震災以来、エネルギー政策が社会全体で大きくクローズアップされるのに伴い、温室効果ガスの削減にかける強い意思が前面に押し出しされることが少なくなったと感じます。
 こうした中、東京都は、二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減という目標を、ことし一月に策定した「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラムにおいても堅持し、そのための事業を行うとしています。首都東京が目標を高く掲げ、率先して実効性のある対策に取り組み、成果を上げていく、これは極めて大きな意義を持つことと考えます。
 そこで改めて、都の気候変動対策のこれまでの成果と今後の取り組みについて伺います。
 温室効果ガスの削減のためには、排出量の削減だけでなく、植物の光合成による二酸化炭素吸収の働きも強化しなければなりません。東京独自の指標、みどり率は、この数年間の推移を見ますと、二十三区では横ばい、多摩地区では減少傾向。緑を守り、さらにふやす。東京都が昨年、緑施策の方向性を示す緑施策の新展開をまとめたのは適切であったといえるでしょう。
 都の緑施策のこれまでの成果と今後の取り組みについて伺います。
 二十三区でみどり率が横ばい、すなわち、都市部の緑地の減少に歯どめがかかっているのは、東京都の緑施策の成果、つまり、都が積極的に緑化を推進しているからこそといえます。
 東京では、昨年秋、緑と花の国内最大級の祭典、全国都市緑化フェアが開催されました。東京での開催は二十八年ぶりです。私は、今からちょうど二年前の都議会本会議の一般質問で、この催しが、人間と植物との共存共栄のすばらしさを多くの人に知らせる大きな可能性を秘めたものであるとの認識を述べた上で、いわゆる一過性のイベントではなく、二十一世紀を生きる人々に、緑あふれるライフスタイルを提案できるものとするよう要望しつつ、この緑化フェア開催の基本的な考え方を伺いました。
 今回のフェアは、一カ月の開催期間中、入場者が五百万人を超え、まさに大盛況といえる緑と花の祭典になりました。このフェアを契機として、都民の緑化意識のさらなる高揚を図り、二十一世紀にふさわしい美しいまち東京の創造を加速していきたいものと思います。
 そこで、この緑化フェアの成果について、都は主催者としてどのように認識しているのかを伺います。
 一方、郊外では、農地の減少がみどり率の低下をもたらし、すなわち、農業振興が緑を守り、育てることにつながるといえます。小規模経営がほとんどの東京の生産者、その経営を支えていくためには、魅力ある新品種の育成、ブランド化が非常に重要なポイントであり、東京都農林総合研究センターの研究者の力に期待するところであります。
 今から二カ月余り前の東京都知事選挙、猪瀬新知事誕生が確実になった際、猪瀬知事は、青いバラの花束を抱えて登場し、この花は、不可能を可能にするという意味を持つと語りました。研究者の長い年月をかけての努力の結晶、青いバラ、不可能と思われていたのに、ついに開発に成功した青いバラ、私自身、学生時代は、花き園芸学を専攻し、花の色素をテーマに研究していただけに、この青いバラ育成に取り組む企業の研究には、当初から注目しており、今回、猪瀬知事が、このバラを記念すべき瞬間を彩る演出としてセレクトしたことに驚き、そして感動しました。
 研究者には、新品種にかける夢があります。そしてこの夢の力は、一般の人々の暮らしを豊かにすることもできます。一九九〇年代のガーデニングブームは、茎が垂れ下がるペチュニアの改良種の誕生によって巻き起こったといわれます。たった一つの植物の誕生が人々のライフスタイルに変化をもたらすこともできる、それを実証する事例です。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致の合言葉「今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ。」これはそのまま新品種育成の分野にも当てはまると考えます。東京で開発された花、野菜、果物、東京ブランドは、人々の暮らしや食卓を豊かにし、同時に、東京に住まう喜びや誇りをも生み出します。東京都農林総合研究センターでの新品種育成の取り組みについて伺います。
 また、農業振興のためには、高品質のものを低コストで栽培する技術の確立も重要です。その研究も、農林総合研究センターの役割の柱といえましょう。栽培技術開発の現状を伺います。
 さて、私は、一貫して東京のオフィスビルの建物内の緑化、すなわち室内緑化を進めるべきと訴えております。その目的は、大きく四つ、一つ目、東京で働くおよそ七百四十万人の職場環境の向上と健康維持、二つ目、ビルから外に強制換気によって排出される空気による大気汚染の防止と温室効果ガス、二酸化炭素の削減、三つ目、ヒートアイランド現象の緩和、四つ目、観葉植物や苗木、シクラメンなどの鉢花といった室内で育てる植物の需要拡大による農業振興。農業振興は当然、農地、緑地の保全につながり、環境保全の効果が生まれます。
 植物には、蒸散作用による夏の気温低下と冬の乾燥の緩和、光合成による二酸化炭素吸収、酸素放出、空気中のホルムアルデヒドやトルエンといった揮発性有機化合物VOCの吸収、分解による無毒化、これは、NASA、アメリカ航空宇宙局の実験などによって立証されています。そしていわゆるいやしという精神的効果、植物には、これら複合的な力があります。
 生命を持つ植物だからこそ、同じ生きるものとして、人間との命のきずなをはぐくむこともできます。オフィスビル内のパソコン、プリンターなどのOA機器からは、人間にとって有害なVOCが発生しており、そのVOCを含む空気の中で人々は働いています。そして、その空気は、換気によって外に排出されています。
 例えば、ここ東京都庁、第一庁舎、第二庁舎の事務フロアの容積を設計図面によって、私自身が計算しましたところ、およそ五十万立米となりました。一方、執務室の二酸化炭素濃度は一〇〇〇ppm以下に保つことが法律で義務づけられているため、この都庁では一日二回の強制換気、つまり空気の総入れかえを行っています。ということは、都庁の職員の皆さんが呼吸によって吐き出す二酸化炭素やOA機器などから発生するVOCを含んだ空気が、一日百万立米も大気に放出されている計算です。これと同様のことが各ビルで行われているというわけです。この実態を認識し、高層ビルが林立するこの首都東京から室内緑化を推進すべきと考えます。
 私は、この室内緑化について、今から三年余り前の二〇〇九年十二月の都議会本会議の一般質問で、その必要性を述べさせていただきました。そのとき私は、室内緑化の都の基本的認識について質問し、当時の有留武司環境局長は、緑は美しく風格のある都市景観の創出に加えて、そこに住む人々の心にゆとりやくつろぎを与えるなど、その役割は多様かつ重要である。オフィス空間などの室内緑化についても、都民に潤いや安らぎを与えるとともに、身の回りにある緑を大切に守りたいと思う心をはぐくむなど、さまざまな効果があるものと認識しているとご答弁くださいました。
 一般の事業所では、景気低迷の影響も受け、室内緑化縮小の傾向が指摘される昨今ですが、この都庁内では、税収が減少する中でも、室内緑化は堅実に推移し、このうち病院経営本部では、都立病院内部の緑化面積が拡大、また、昨年の全国都市緑化フェアでは、室内緑化されたビルの写真が出展団体によって掲示されるなど、三年前の質疑以来、室内緑化推進の動きが見られます。
 このような着実な前進は、都庁各局の高い見識のあらわれであると拝察いたします。心より敬意を表させていただきますとともに、都内の職場環境の改善のために、また、観葉植物の産地八丈島や、苗木、鉢花を栽培する多摩地区はもちろんのこと、都内の室内緑化の推進に熱い期待を寄せる全国の植物生産者の支援のために、そして、かけがえのない地球のために、この室内緑化をさらに広めていくような施策展開を望みます。
 緑豊かな東京、屋外も建物内も緑化された品格ある都市東京は、世界からの観光客、とりわけ東京オリンピック・パラリンピックが実現した際、東京を訪れる世界じゅうの人々へのおもてなしにもなるはずです。環境の世紀、そして都市の世紀、ここで緑あふれる東京を実現する取り組みについて、猪瀬直樹知事の決意を伺い、私の質問の結びとさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 山下ようこ議員の一般質問にお答えします。
 山下議員は、園芸が専門なのでお詳しいですが、青いバラというのは、ヨーロッパで長年かけて栽培技術をやってもできなかった。オレンジや黄色や、いろんな色はできるんだけれども、青だけはできなかった。それが日本のバイオ技術で青いバラをつくることができたということですね。
 緑あふれる東京を実現する取り組みについてでありますが、東京は、江戸時代からずっと世界有数の緑豊かな都市で、大名庭園があり、そして今は六義園とかそういう形で残っているわけですが、また、一般の庶民の方々も、軒先で緑をはぐくむ文化を引き継いでいまして、そういう中で、ジョギングをしたりしますと、ついその緑のある並木に沿って走っている自分を発見することがあります。
 そこで「二〇二〇年の東京」の中で、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させる、これ意識的にやらないと、確かに緑はどんどん減っていくのです。ですから、意識的に目標をつくって、平成二十八年までに、サッカー場一千五百面に相当する緑を創出するとともに、街路樹を百万本に倍増するなど、あらゆる都市空間において緑化を推進していきます。
 平成十九年に開始した緑の東京募金は、昨年六月に目標額八億円に達しまして、街路樹に寄附した人のメッセージプレートをつける、名前をつけるんですね。それは、マイツリーといいますが、その成果で今も続いています。校庭の芝生化もその募金を活用してやっています。
 今後も、東京湾に皇居の広さに匹敵する緑の島を出現させる海の森──皇居は大体百ヘクタール、海の森も九十ヘクタールですから、大体同じぐらいの大きさの緑の空間がそこに生まれます。ロンドンでのオリンピックのプレゼンも緑が多いんだよということをやりましたし、三月初旬の今度のIOCのプレゼンでも、緑の回廊をつくるということをプレゼンでやっています。そういうことで、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催地にふさわしい、豊かな緑あふれる洗練された環境都市東京を実現していきたいと、こういうふうに思っています。
 なお、その他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 第二十九回全国都市緑化フェアTOKYOについてでございますが、上野恩賜公園や井の頭恩賜公園など、メーン六会場及び区市の公園などから成るサテライト会場におきまして、民間企業など延べ五百五十団体に上る出展、協賛により五感を通じて楽しむ庭園群など、新たな緑との触れ合いを提案し、緑化意識の高揚につながるフェアを開催いたしました。
 また、延べ二千八百名に及ぶボランティアスタッフが、会場案内や草花の管理などに参加し、きめ細かな会場運営が行われ、フェア閉幕後も、ボランティアの一部が引き続き公園内の花壇管理を行うなど、緑化活動を継続する人材の育成も図られました。
 これら取り組みの結果、目標入場者数五百万人を超える五百十六万人もの方々にご来場いただき、フェアを成功裏に終えることができたと考えております。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
 まず、都の気候変動対策についてでございますが、都はこれまで、最先端の低炭素都市の実現に向けまして、大規模事業所への総量削減義務制度、中小規模事業所への地球温暖化対策報告書制度、また、太陽エネルギー利用機器への創意的な普及策など、さまざまな対策を展開してまいりました。
 この結果、例えば、大規模事業所の昨年度のCO2排出量は、平均で二三%の大幅減となり、住宅用太陽光発電につきましては、都の補助制度開始前に比べて導入速度が十倍以上になるなど、大きな効果を上げております。
 今後とも、都は、「二〇二〇年の東京」で掲げました低炭素都市の実現を目指して、実効性のあるさまざまな対策を進めてまいります。
 次に、緑施策の成果と今後の取り組みについてでございますが、都はこれまでも、海の森や都市公園の整備、街路樹の倍増、校庭芝生化など、新たな緑の創出に取り組む一方で、自然保護条例に基づく開発許可制度では、緑化計画書制度を通じて、開発行為にあわせた緑の確保と創出を図ってまいりました。
 今後は、これまでの緑の量を確保する取り組みに加えまして、生物多様性の保全など、緑の質を高める視点も重視して、緑の量と質をともに確保できるよう緑施策を推進してまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、花や野菜などの新品種開発の取り組みについてでございます。
 東京都農林総合研究センターでは、東京の気候風土に適し、市場競争力や収益性が高く、地域の新たな特産物になるような品種開発に努めております。
 これまで、果物では、大粒で甘い種なしブドウの高尾や、甘くて色鮮やかなカキでございます東京紅、花では、香りのあるシクラメン、野菜では病害に強いコマツナやウドなどを開発いたしまして、農家に普及してまいりました。
 現在は、温暖な気候でも栽培が容易なトルコギキョウや、果肉が黄色で甘味の強いキウイフルーツでございます東京ゴールドを品種登録出願中でございます。
 次に、栽培技術開発の現状についてでございます。
 東京都農林総合研究センターでは、これまで、コマツナなどについて、収益性を高めるため、防虫ネットや紫外線カットフィルムなど、新しい資材を効果的に組み合わせた病害虫防除技術を開発し、既に広く実用化されております。また、ナシやブドウでは、根や枝の生育を制御することにより、果実の糖度や収量に加え、作業効率も高める栽培法の確立に向け、現在、実証栽培を行っております。さらに、花のハウス栽培において、燃料費を削減するため、夜間の暖房時間を最小限に抑える栽培管理方法の開発などにも取り組んでおります。
 今後とも、農家のコスト削減につながる生産技術の開発を進め、農業振興に寄与してまいります。

〇議長(中村明彦君) 六十五番高橋かずみ君
   〔六十五番高橋かずみ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇六十五番(高橋かずみ君) 最初に、エネルギー政策についてお尋ねいたします。
 東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故やその後の計画停電などにより、電力供給体制の脆弱性が明らかとなりました。電力は、都民生活や産業活動の根幹を支えるインフラであり、日本経済が再び成長軌道に乗るためには、エネルギーの安定供給が不可欠であります。
 こうした中で、まず、最優先の課題は、規制改革により、競争を通じて電気料金の引き下げや電力の安定供給につなげていくべきです。電気料金のさらなる値上げや供給不安が重なると、産業や雇用の空洞化につながる懸念があります。
 先般、国は、安倍政権になって小売分野への参入の自由化や、発送電分離など、電力システム改革を三段階で進める報告書を取りまとめ、エネルギー不安の克服に向けて改革の第一歩を踏み出したところであります。
 一方、都においても、これまでどおり、エネルギー政策を着実に進めていく必要があります。特に、東京電力の火力発電所の四割が、運転開始から三十五年以上経過しており、事故や故障などの報道を耳にします。老朽化した火力発電所を早急にリプレースすることで、電力安定供給へ道筋をつけることが不可欠であります。最新設備へのリプレースは、低炭素化など、環境負荷の低減や発電効率を高めて燃料コストの削減にもつながります。都として、今後どのように東京電力の老朽火力発電所のリプレースを進めていくのか、知事にご所見をお伺いいたします。
 次に、生態系に配慮した緑のネットワークについてお尋ねいたします。
 首都東京は、稠密な都市インフラ、産業、芸術、文化拠点の集積等を通じ、成熟都市としての威容を備えつつあります。しかし、今後一層激しくなる世界の他都市との都市間競争に勝ち抜くためには、そこで働き、生活する人間にとって快適な都市空間を形成する視点が一層求められております。
 このような視点から、我が党は、昨年の第三回定例会で、緑の歴史的価値や生物層の多面的な機能に着目しつつ、潤いや安らぎを与える自然に配慮した都市環境を創出し、都市としての魅力を一層引き上げるべきと主張を展開いたしました。
 こうした我が党の主張を踏まえ、環境局から都市公園などの大規模緑地との連続性に配慮しながら、公共施設などの緑化を進め、生態系に配慮した緑のネットワークを形成していくという今後の緑施策の方向が示されました。
 そこでまず、東京で生態系に配慮した緑のネットワークを形成する意義について、改めてお伺いいたします。
 生態系に配慮した緑のネットワークの形成には、都みずからの取り組みも大切でありますが、区市町村、NPO、地域住民の参画や協力も得て、取り組みを進める必要があると思います。このような観点から、来年度の新規施策である江戸のみどり復活事業は、区市町村における公共施設を活用した在来植物の緑化を支援するものとして高く評価いたします。今後、生態系に配慮した緑のネットワークを形成するため、この事業をどのように展開していくのか、お伺いいたします。
 次に、都市農業の振興についてお尋ねいたします。
 我が党は、平成十五年に東京都議会自由民主党都市農政を考える議員連盟を結成し、東京の農業振興と農地の保全に取り組んでおります。先日も、若い農業者との意見交換会を開催したところ、生産施設を充実させて増産したい。新たな販路を開拓したい。相続税やその後の経営方針をどうするか、今から考えておきたいなど、さまざまな夢や悩みを語っておりました。東京農業の発展には、こうした農業者の夢を実現することが不可欠であります。
 そこで、こうした農業者の要望にこたえながら、都は、どのように都市農業を振興していくのかお伺いいたします。
 大消費地の中で営まれている東京の農業は、流通や販売では有利な面もあるものの、生産環境としては決して恵まれているとはいえません。私の地元の練馬区でも、住宅に囲まれた農地で農薬と化学肥料の使用を減らした環境保全型農業を実践し、国の制度であるエコファーマーの認定を受けている農業者が多くいます。中には、直売所に認定マークを掲げている農家もおり、人々が安心して買い物に来ております。
 しかし最近、国のエコファーマーのマークが使えなくなると農家が話しておりました。都は、国のエコファーマー制度の変更への対応も含め、今後、環境保全型農業をどのように推進していくのかお伺いいたします。
 次に、特別区消防団員の活動についてお尋ねいたします。
 私は、平成十七年第一回定例会において、消防団員の活動拠点となる分団本部施設の整備を強力に推し進めていくことを訴え、その後は、東京消防庁を初め関係機関のご努力により、分団本部施設の整備が進んでいることは大いに評価するところであります。
 さて、一昨年の東日本大震災においては、全国から派遣された消防職員はもとより、多くの消防団員の方々が、一人でも多くの地域住民の命を救うため、みずからの命を顧みず果敢に消火、救助活動などを行いました。首都東京においても、直下型地震が危惧される中、地域に密着した消防団員の活動に大きな期待が寄せられており、特に震災時において同時多発する火災等による被害を最小限に食いとめるためには、消防職員のみならず、地域に密着した消防団員の活動は不可欠であり、これらの活動に必要な防火衣、防火帽等の装備、消火、救助活動に必要な資機材のさらなる改良、拡充も非常に重要なことだと思います。
 我が党は、特別区消防団員の消防団活動に報いるための処遇改善を要望し、また、特別区消防団員の活動にとって重要な装備資機材の大幅な増強も要望してまいりました。
 今後も、特別区消防団員が地域の防災リーダーとして、平常時はもとより、大地震発生時においても、災害の最前線で消防団活動を実施するためには、装備資機材の充実と消防団員の災害活動能力の向上が重要であると考えますが、東京消防庁の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、連続立体交差事業についてお尋ねいたします。
 都内には、いまだ数多くの踏切が残されており、慢性的な交通渋滞が発生するとともに、道路ネットワークの形成を進めていく上で大きな妨げとなっております。このような問題を解消するには、数多くの踏切を一挙に除却する連続立体交差事業の推進が必要不可欠であります。
 特に、西武新宿線は、踏切が数多く残されており、連続立体交差化の取り組みがおくれております。現在、西武新宿線では、中井駅から野方駅間と東村山駅付近で事業化に向けた手続が進められており、以前から見ると、進捗が見られます。しかし、都が事業候補区間に位置づけている井荻駅から東伏見駅間は、いまだ事業化の見通しが立っておりません。
 地元の踏切解消に対する期待は非常に大きく、この区間にある上石神井駅や武蔵関駅の周辺では、まちづくり協議会を開催するなど、沿線まちづくりの取り組みの意欲が高まっております。
 そこで、井荻駅から東伏見駅間における現在の検討状況についてお伺いいたします。
 最後に、都営地下鉄大江戸線延伸についてお尋ねいたします。
 大江戸線は、光が丘団地など周辺地域から都心方向に多くの通勤通学客などを輸送するといった重要な役割を果たしております。今や都民にとって欠かすことのできない便利な交通機関として利用されているだけでなく、沿線地域のまちづくりや地域経済の発展に多大に貢献しております。
 また、一昨年の東日本大震災発生時には、いち早く運転を再開し、帰宅困難者の輸送手段としての役割を果たしたことなど、防災上の視点からも高く評価されています。
 ところで、大江戸線がいまだ未整備の練馬区北西部は、外環道の整備が着実に進められる一方、依然として道路交通渋滞などのため定時性が確保されない不便なバス交通に頼らざるを得ない、都区部における数少ない鉄道交通不便地域であります。この地域の住民にとって、地下鉄大江戸線の延伸は、長年の悲願であるとともに、沿線のまちづくりに大きな変化をもたらすきっかけとなるものであります。
 こうした状況のもと、これまで都と練馬区は、大江戸線の導入空間となる補助二三〇号線の整備が最優先課題と認識し、一体となって土地区画整理事業などの取り組みを進めてきました。その結果、昨年の七月には、補助二三〇号線の一部が交通開放されるとともに、残りの区間すべてが事業化されるなど、街路整備が着実に進み、大江戸線延伸への住民の期待はさらに高まっており、例えば、地質調査などの検討を深めていくべきと考えます。
 そもそもこの大江戸線の延伸は、運輸政策審議会答申第十八号において、目標年次までに整備着手することが適当な路線として位置づけられており、このことは、都も十分認識していると聞いております。
 私は、二十三区北西部の交通不便地域の解消だけでなく、大規模地震発生時に新たな輸送ルートを確保し、都の防災対応力の向上を図る観点からも必要な路線であると考えます。
 そこで、大江戸線の延伸の事業化について、導入空間の整備が進捗したことを踏まえて、今後どのように検討を進めていくのかお伺いいたします。
 これで私の一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 高橋かずみ議員の一般質問にお答えします。
 老朽火力発電所のリプレースについてでありますが、東京湾には、四十年を超えた老朽火力発電所が一千万キロワット、さらに三十五年以上のものを加えると一千六百六十万キロワットの老朽火力発電所があります。これは、いつ壊れてもおかしくない状態だと思ってください。
 そこで、老朽火力発電所をリプレースして、そして、我々がずっと問題提起している天然ガスコンバインドサイクル発電という高効率の天然ガスの発電所に置きかえる、環境負荷の少ない新しい発電所に置きかえるということで、リプレースする場合には環境アセスメントは短縮すべきだと、当たり前のことなんですね。前にそこにあったのですから、もう一度やる必要はないんです。ということで、いろいろと経済産業省とか環境省に出向いて、その当時の大臣にもいいましたし、その官僚にもいった。ということで、圧迫感を与えてきたつもりですが、しかし、まだまだおくれている。そこで、東京都としても独自の知恵を絞って、リプレースの支援に役立つ官民連携政策投資システムというのを今研究中で、それについての構築の調査、その予算はつけています。
 それから、福島から現在九百万キロワットの電源が来ていない、新潟県の柏崎刈羽から八百万キロワットが来ていない、千七百万キロワットの電源が来ていないという状態が、もうこれで一年続いています。にもかかわらず、東京電力は、立地場所も定まらず、事業化の見通しも不明確な二百六十万キロワットの入札手続を進めるだけであって、対象が明確で早急なリプレースが必要な首都圏の老朽火力発電所については後回しになっている。
 先日開催した、第三回の東京都と東電改革本部の定例会合、ここで強く申し入れました。そうしたら、来年度以降になるべく早く準備が整い次第、リプレース事業を募集したいと、こういう表明がありました。
 本気でやります。都民に電気を安心して使用できる環境を整備し、産業や雇用の空洞化を阻止するためにも、引き続き力強く国や東京電力を動かして、リプレースを迅速かつ着実に進めたいと、こう思っております。
 なお、他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 西武新宿線井荻駅から東伏見駅間の鉄道立体化についてでございますが、連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで、道路ネットワークの形成を促進し、地域の活性化にも資するなど、極めて効果の高い事業でございます。
 井荻駅から東伏見駅間には、あかずの踏切が七カ所あり、都市計画道路が五カ所で交差するなど、鉄道立体化により大きな効果が得られる区間と認識しております。
 都は、現在、事業範囲や構造形式などの調査を実施するとともに、課題の把握を行うなど、事業化の可能性について検討を進めております。
 今後とも、鉄道事業者と連携し、周辺まちづくりの動向を踏まえながら、前向きに取り組んでまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
 まず、生態系に配慮した緑のネットワークを形成する意義についてでございますが、都内には、皇居や明治神宮の森を初め、大規模な緑地が点在をしておりまして、そこに生育している在来の植物を好む野鳥や昆虫などが数多く生息しております。こうした大規模緑地の間を在来植物の緑でつないでいくことによりまして、都市化によって細分化された生物の生息空間を連担させることができます。
 このように、在来植物による緑のネットワークを形成することにより、東京で働き、暮らす人々が、都会の中にいながらにして、野鳥のさえずりなど自然の息づかいをより一層体感することができるようになります。こうした取り組みは、東京の都市としての魅力を高める上で重要な意義を持つものと認識しております。
 次に、江戸のみどり復活事業についてでございますが、この事業は、大規模緑地との緑の連続性や地域に生育する希少動物、自然植生に配慮しながら、公共施設を活用して在来植物の緑化を行う区市町村を支援する事業でございます。
 今後、この事業を通じまして、区市町村による在来植物の緑化を促すとともに、植栽にふさわしい在来種のリストや、地形に応じた植物種の選定、植栽を行う際の留意点をわかりやすく示すなど、在来植物の緑化の意義について、広く普及啓発を行ってまいります。
 こうした取り組みを通じて、企業、NPO、地域住民等の参加と協力を得ながら、生態系に配慮した緑のネットワークを東京全域に広めてまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市農業の振興についてでございます。
 都はこれまでも、意欲ある農業者を支援するため、農業用パイプハウスや直売所など、生産や流通の施設等を対象に、都市農業経営パワーアップ事業により整備を支援してまいりました。
 一方、農産物の販路の開拓や加工品の開発など、新たな経営展開を目指す農業者に対しまして、ソフト面からの支援を行っていくことも重要となっております。そこで新年度から、こうした農業者のニーズに幅広く対応していくため、東京農業の産業力強化支援事業を開始することといたしました。
 具体的には、東京都農林水産振興財団に、農業経営を総合的に支援する窓口を設置いたしまして、農業者の相談に応じるとともに、専門的な課題に対しましては、経営コンサルタントやフードコーディネーターなどの専門家を派遣することにより、解決に向けた指導助言を行ってまいります。
 今後とも、ハード、ソフトの両面から総合的な支援を行い、都市農業を振興してまいります。
 次に、環境保全型農業の推進についてでございます。
 都はこれまで、安全・安心な農産物の供給と環境負荷を軽減するために、特別栽培農産物認証制度や国のエコファーマー認定制度によって、環境保全型農業を推進してまいりました。しかし、今後、エコファーマーの認定マークが使用できなくなることから、これを機に制度を見直し、都独自の東京都エコ農産物認証制度を設けることといたしました。
 新しい制度は、農薬と化学肥料を削減した農産物であることを都が認証するものであり、生産者に生産情報の記録、公開を義務づける一方で、都が新たに作成した認証マークの表示を認めることといたします。
 また、この制度の適正な運用を確保するため、畑における農薬等の使用状況の調査や農薬の分析検査を一層充実いたします。
 今後は、新制度について積極的な情報発信を行うことにより、消費者の認知度向上と生産者の取り組み促進を図ってまいります。
   〔消防総監北村吉男君登壇〕

〇消防総監(北村吉男君) 特別区消防団の装備資機材の充実と消防団員の災害活動能力の向上についてでございますが、消防団は、大地震発生時等において、地域の防災リーダーとして極めて重要な役割を果たしております。
 当庁はこれまでも、消防団活動に必要な装備資機材を計画的に整備してまいりましたが、首都直下地震等の発生が危惧される中、都民の期待にこたえていくためには、さらなる消防団の活動体制の充実強化が必要であります。このため、災害活動に必要な可搬ポンプ積載車や救助資機材等を拡充するとともに、新たに新型編み上げ活動靴や救命胴衣等を整備してまいります。
 また、消防団員の活動能力を向上させるため、消防署隊と緊密な連携を図り、延焼危険度の高い地域における消火活動訓練、津波等による浸水が想定される地域における救命ボート取り扱い訓練など、地域の災害特性に応じて、消防団の装備資機材等を有効に活用した実践的な訓練を推進してまいります。
 今後も引き続き、消防団の教育内容等の充実を図りながら、活動体制の強化に積極的に取り組んでまいります。
   〔交通局長中村靖君登壇〕

〇交通局長(中村靖君) 都営地下鉄大江戸線の延伸についてでございますが、これまで交通局は、運輸政策審議会の答申などを踏まえ、基礎的な検討を進めてまいりました。
 延伸の事業化に当たりましては、導入空間の確保とともに、駅やトンネルの構造及び需要予測などの課題があり、さらに具体的な検討が必要と考えております。このうち、導入空間となる都市計画道路補助二三〇号線の整備が進捗していることは認識しており、そうした状況を受け、構造検討の精度を高めるなど、諸課題の検討を行ってまいります。
 今後とも、地元区や関係局などと連携して、事業化について、採算性も含め、引き続き検討を進めてまいります。

〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩

   午後三時二十二分開議

〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十四番しのづか元君
   〔三十四番しのづか元君登壇〕

〇三十四番(しのづか元君) 初めに、空き家対策について伺います。
 全国の空き家は年々ふえ続け、現在では約七百五十七万戸あるといわれており、そのうちの約一割に当たる約七十五万戸が東京都内の空き家になります。今後、人口減少に伴って、さらに空き家がふえていく可能性も高く、防犯上の問題やまちの活性化などの課題を解消するためにも、都としても空き家を適正かつ有効に活用していく必要があると考えます。住政審の答申である、社会経済情勢の変化に対応した新たな住宅政策の展開についての中でも、住宅以外の用途への活用など、空き家の活用促進が指摘されています。
 私は、以前の質問で、この空き家などを活用した民間住宅の借り上げ方式による都営住宅政策への転換を提言したところですが、知事は、二十五年度予算の中で、ケアつき住まい、シェアハウス、スマート保育など民間の活力を生かした事業展開を考えており、例えばこれらの施策展開の場としての空き家の活用が促進されれば、市場の活性化はもちろんのこと、行政課題の解決にもつながり、発想の転換でピンチをチャンスに変えることができます。
 そこで、都の空き家問題に対する認識と施策展開へ向けての考え方について、見解を伺います。
 次に、高齢者の居住について伺います。
 高齢者の居住に関する課題は、個々のケースによって、課題の質、深刻さの度合いが異なります。持ち家、借家の別、介護の要否、同居者の有無とその関連性、健康度、経済状態、居住地周辺の地形、交通条件、そして公的支援の濃淡とマッチングの状況など、これら多様な条件の組み合わせに応じた課題があることから、その種類も無限にあるといっても過言ではありません。
 そのため、行政の住宅政策の方向性は、最大公約数的に向けられることになりますが、多様なニーズにマッチしているとはいいがたい状況です。
 東京都は、昨年八月に高齢者居住安定確保プランを公表しました。さまざまな施策メニューの多さは、さすがは東京都と思わせますが、いざ選べといわれると、最適なものがわかりにくく、マッチングが課題となります。
 例えば、生活保護に辛うじてかからない年金収入があり、ひとり暮らし、歩行に支障が出始めており、腎臓透析に通わなければならない借家暮らしの高齢者などについて、どのような住まいをアドバイスできるでしょうか。老人ホームやケアつき住まいが選択肢の中ではベストですが、経済的な事情が入居を難しいものにしているのが実態です。
 もとより、住宅政策は自立を前提としてきましたし、公がすべての都民の住宅を提供すべきものでもありません。一方、セーフティネットとしての福祉政策では、軽費、特別養護などの老人ホームやグループホーム、介護療養型医療施設など、医療や介護と連携した住まい機能の提供が行われてきました。
 これらの経緯を踏まえ、知事が副知事時代から取り組んでこられた高齢者が安心して暮らせる住まいの今後の取り組みについて、知事の所見を伺います。
 高齢者の居住問題で最初のハードルになるのは経済力です。
 年金生活に入ると、借家住まいの方々は、家賃負担が収入の中で大きなシェアを占めることになります。
 私の地元多摩市では、UR賃貸住宅が約七千六百戸ありますが、家賃負担に耐え切れなくなって、都営住宅への入居を希望する人が急増しています。しかし、市内の都営住宅、特にエレベーターつきの住棟や低層階の物件に新たに入居できる世帯は極めて少ないと聞きます。
 住みなれた地域で住み続けられるよう、廊下型ばかりではなく、階段室型の都営住宅にもエレベーターの設置を進めて、実質的に高齢者が入居できる住宅をふやしていくべきです。
 高齢者の居住安定確保プランでは、既存都営住宅へのエレベーター設置などを推進するとありますが、エレベーター設置の取り組み状況と今後の進め方について伺います。
 二段階目のハードルは、体がきかなくなって人的なサービスが必要になる段階です。
 ここでは、グループホーム、ケアつき住まい、老人ホームなどがあります。
 都市型軽費老人ホームでは、所得に応じて、月額十万円程度から入居できる仕組みが用意されるということで、費用負担を軽減する趣旨は評価できます。
 一方、こうした方々が身体能力などがさらに低下して、より手厚い介護が必要になると、特別養護老人ホームへの入所を希望することが多くなることが考えられ、さらに、継続した医療行為が必要になると、特別養護老人ホームでも対応が難しくなるケースが多くなります。
 本来は、住民の身体能力に応じて必要なサービスが受けられるのが理想ですが、現実には、介護や医療行為の必要度合いに応じて施設に住みかえるのが現状で、足に合う靴を履くのではなく、靴に足を合わせるといった感があります。
 高齢者の居住を考えるとき、住宅と介護の連携は進んできていると思いますが、医療との連携は、制度間のギャップが大きく、まだまだこれからの分野でもあると考えます。
 身体状況が変化していくのは、人間だれもが避けられないことと思いますが、要介護度が重くなっても住みなれた場所で暮らし続けられるよう、高齢者一人一人のニーズに合ったサービスが提供されることが必要です。とりわけ、医療的なケアの必要が高い方々への対応が適切に行われることが重要だと考えますが、都の取り組みを伺います。
 介護療養型医療施設については、平成三十年三月に制度廃止となる予定です。このこと自体は、介護保険制度の健全性確保のために必要な措置だとも思われますが、受け皿が必要なことも間違いありません。
 都では、ケアつき住まいの整備促進を提唱していますが、介護や医療が必要になった際に、入居者が無理なくこうしたサービスを受けられるようにすることが重要です。
 都では、こうした住まいをふやすための支援を積極的に行っていくべきと考えますが、都の認識を伺います。
 次に、教育政策について伺います。
 このたびの大阪市立桜宮高校の体罰事件を受け、東京都教育委員会では、都内の全小中学校と都立学校で体罰の実態把握の調査を行っています。きのうの代表質問では、三月末に概要を取りまとめ、検討委員会において今後検討する旨の答弁がありましたが、再発防止に向けた有効な取り組みをどうしていくのかが課題です。
 体罰は暴力行為であり、教師が教育的指導の名のもとに体罰を行うことは許されることではありません。しかし、それにもかかわらず体罰を繰り返してきた実態があるのではないでしょうか。
 そこで、東京都教育委員会としては、体罰とはどのようなものであり、また、体罰による児童生徒への影響をどのように考え、これまでどのように取り組んできたのか伺います。
 今回の調査は、都内すべての小中学校と都立学校で行われており、調査の結果次第では、学校教員に大量の処分者や服務事故者を発生させる可能性が捨て切れません。
 教員の異動や昇任等の時期でもあり、異動、昇任が凍結されたり無効になったりするのではないかなど、学校現場には不安の声も聞こえますが、今後の東京都教育委員会の対応について伺います。
 そこで、こういった体罰やいじめなど学校現場におけるさまざまな問題解決の手段として、学校評価の活用が考えられます。
 体罰やいじめの問題がなくならない理由の一つとして、学校の閉鎖性があるのではないでしょうか。それを解決するためには、学校に外部の目が入るようにする必要があると考えます。
 現在、都内すべての学校において、学校による自己評価と、保護者やその他の学校関係者による評価が行われています。しかしながら、現在の学校評価は、学校運営や経営といった目標達成度に主眼が置かれており、体罰やいじめなどネガティブな問題解決については、なじまない側面もあります。
 文部科学省が二十二年度に改定した学校評価ガイドラインでは、こういった評価に加え、外部の専門家を評価者として専門的、客観的立場から評価をする第三者評価を導入することをポイントとしています。
 そこで、都立学校では、こうした第三者による学校評価に今後どう取り組んでいくのか、教育長の所見を伺います。
 現在、都内では、発達障害のある子どもがふえていると聞いており、支援体制の強化が望まれています。
 こうした中、都は、学習障害や注意欠陥多動性障害など発達障害のある子どもの支援を強化することを目的に、四つの区市でモデル事業を行うこととし、二十四年度は支援のあり方について検討を行っているところです。
 都内では、公立小中学校約二千校のうち、子どもが毎日通う固定制の自閉症情緒障害学級や、週のうち数時間の指導を受ける通級制の情緒障害等通級指導学級を設けている学校は二百八十七校にとどまっており、専門的な支援を受けられない子どもがいまだに数多く存在している現状にあります。
 都は、二十二年度に発表した推進計画で、都内すべての小中学校で巡回指導を行うための特別支援教室を設ける構想を盛り込んでいるものの、設置の目標年度は明らかになっていません。こうした発達障害のある子どもの親にしてみると、都の検討や計画がどのように進捗しているのかわかりやすく教えてほしいと思うところです。
 そこで、都の特別支援教室に関する検討状況と、平成二十五年度以降の具体的な取り組みと導入の予定について伺います。
 最後に、多摩ニュータウンに関して伺います。
 東京都は、多摩ニュータウンにおいて、高度成長期における東京の急激な人口増加による住宅難と、それに伴う急激なスプロール防止を目的として事業を実施し、その結果、多摩ニュータウンは人口二十一万人を有する職住近接の都市として成長してきました。
 一方、入居開始から四十年以上が経過し、多摩市の諏訪、永山地区などでは、住民の高齢化や施設の老朽化などの問題がクローズアップされています。
 そうした中で、諏訪二丁目は、分譲住宅の大規模な建てかえ事業が進み、ことしの秋には新しい住民が入居してくるなど、再生の取り組みが行われてきているほか、東京都では、老朽化した団地の再生を図るために、昨年六月に多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドラインを公表しました。
 このガイドラインでは、居住者の世代バランスの偏りに対処するため、高齢化への対応とともに若年世代を呼び込むこと、良好な生活環境を目指して、災害や犯罪に対する安全・安心を確保し、低炭素のまちづくりを行っていくこと、近隣センターの活性化などにより新しい魅力や活力を創出することなど、多摩ニュータウンが多様で困難な問題に直面していることが指摘されています。
 私は、以前から多摩ニュータウンの再生の必要性を主張してまいりましたが、今般、ガイドラインという形で、多摩ニュータウンの課題や再生の方向性と検討項目を明らかにされたのは評価するところです。
 しかしながら、今後は、このガイドラインに基づき、多様な問題へ確実に対応していくことが重要であると考えます。
 そこで、このガイドラインがこれまでどのように活用されてきたのか、お伺いいたします。
 私の地元多摩市では、団地再生に向け、平成二十五年度予算案を編成しているところと聞いております。団地再生を地元市が主体となって進めることは、地方分権の趣旨から当然のことと考えていますが、一自治体だけで多摩ニュータウン再生に取り組むのは困難であり、東京都の支援が不可欠です。
 そこで、今後、多摩ニュータウンの再生について、都はどのように取り組んでいくのかを伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) しのづか元議員の一般質問にお答えします。
 高齢者の住まいについてですが、高齢者が安心して人生を過ごせる住まいの整備にスピード感を持って取り組むため、ケアつき住まいを二年後に一万戸、都市型軽費老人ホームを四年後に二千四百人分整備する、こういう新たな目標を設定いたしました。
 そもそも、平成二十一年に、副知事時代に、少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチームを立ち上げました。役所の縦割りを排して、住宅施策と福祉施策を融合しました。
 こうした取り組みの成果として、東京の特性を踏まえ、全国に先駆けた東京モデルを提案し、現在、ケアつき住まい、都市型軽費老人ホーム、シルバー交番事業の整備を進めております。
 国土交通省は、東京都の先駆的な取り組みに促されて、ケアつき住まいを、新たに国土交通省の名前ではサービスつき高齢者向け住宅と、こういう形で位置づけて、関係法を改正したわけです。
 今後、さらに高齢化が進展する中、生活の基盤となる住宅や老人ホームなどの住まいについて、期間を限定した追加の支援策を実施し、整備を加速していきます。期間を限定すると急ぎますから、そして進めていくと、こういうことであります。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、体罰についてでありますが、体罰とは、児童生徒に対して、殴る、けるなどの身体に対する侵害や、正座、直立等特定の姿勢を長時間保持させるなどの肉体的苦痛を与える行為であります。
 体罰は、単に児童生徒の身体に痛みや傷害を与えるのにとどまらず、教師との信頼関係を崩壊させ、さらには、児童生徒が暴力を容認する態度を助長させることなどから、絶対に許されないものです。
 体罰を根絶するためには、教職員に強く自覚を促すことが重要であり、都教育委員会はこれまで、顧問教諭や外部指導員に対して、部活指導の手引を作成、配布するとともに、年二回の服務事故防止月間に、データや事例を用いた資料を活用して、すべての学校において悉皆研修を行うなど、体罰防止に向けた指導に取り組んできたところでございます。
 次に、体罰調査への対応についてでありますが、都教育委員会は、現在、都内全公立学校において体罰の実態調査を進めており、三月末に概要を取りまとめる予定であります。
 体罰は、いかなる場合においても絶対にあってはならないものであり、服務事故として取り扱うべき体罰事案が発覚した場合には、事実関係を明らかにした上で、厳正に対処してまいります。
 なお、人事異動等については、区市町村教育委員会や校長と連携し、適切に対応してまいります。
 次に、都立学校の第三者による評価についてでありますが、体罰が起きる背景には、学校の活動が外部から見えにくいことに加え、一部に、体罰を指導の一環とする認識や、厳しい指導も必要と容認する風土の存在があります。こうした認識等を払拭するためには、学校の教育活動を学校外に開示し、評価を受けることが有効であります。
 都教育委員会はこれまで、外部有識者の協力を得て学校経営診断を実施するとともに、保護者や学識経験者で構成する学校運営連絡協議会を全校に設置してきました。こうした取り組みを通じ、部活動の指導や問題行動にかかわる生活指導を含め、学校の教育活動全般をより一層外部に明らかにするとともに、その評価や提言を受けて、体罰根絶やいじめ問題などの解決が図られるよう、学校とともに取り組んでまいります。
 最後に、特別支援教室に関する検討状況についてであります。
 都教育委員会は、特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、すべての小中学校に特別支援教室を設置し、発達障害の児童生徒に対して、専門性の高い教員が巡回指導を行うこととしております。
 本年度から三年計画で、小学校を対象とした特別支援教室モデル事業を四区市において開始し、その中で、まず、児童が在籍する学校への巡回指導体制、巡回指導担当教員と学級担任との連携のあり方などについて検討をしてまいりました。
 この検討内容を踏まえ、来年度より具体的に巡回指導を試行実施し、二十八年度から、準備の整った地域において小学校での特別支援教室の導入を進めてまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、空き家対策についてでございますが、空き家の増加は、有効な対策が講じられなければ、将来、居住環境の悪化や防災機能の低下を招くことが懸念され、空き家を積極的に活用することは重要であると認識しております。その際、さまざまな行政課題の解決のために空き家が活用されることは望ましいことと考えております。
 都としては、既存住宅の流通促進に向けた市場や不動産業界等の調査を行うとともに、民間賃貸住宅の空き家の改修工事に対して補助を行う国の事業を活用し、都の実情を踏まえたモデル事業に取り組んでまいります。
 引き続き、空き家の利活用方策を検討してまいります。
 次に、既存都営住宅へのエレベーターの設置についてでございますが、都では、平成三年度に廊下型住棟への九人乗りエレベーターの設置を開始し、十二年度には、階段室型住棟への四人乗りエレベーターの設置を開始いたしました。
 エレベーターの設置に際しては、住棟の居住者全員の同意を要件としてまいりましたが、円滑な設置を図るため、昨年度から、この要件について柔軟な運用を行っております。
 今後とも、居住者の意向も踏まえながら、既存都営住宅にエレベーターを設置してまいります。
 次に、ケアつき住まいについてでございますが、ケアつき住まいの整備促進に当たっては、緊急時の対応や安否確認等に加え、高齢者のニーズに応じて、医療や介護サービスも受けられることが重要でございます。
 都はこれまでも、医療、介護施設が併設されるサービスつき高齢者向け住宅に整備費の補助を行ってまいりました。これに加え、来年度からは、近隣の医療、介護サービス事業者と協定を締結し、連携体制が確保される場合でも補助対象とする都独自の追加支援策を実施することといたしました。
 こうした取り組みにより、医療、介護サービスと連携のとれたケアつき住まいの供給を促してまいります。
 次に、多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドラインの活用についてでございますが、平成二十四年六月に公表したこのガイドラインは、多摩ニュータウンが抱える老朽化した団地のさまざまな問題を解決し、地域の活力と魅力の向上に貢献できるよう再生していくため、検討の手引として策定したものでございます。
 公表後、多摩ニュータウンに関係する自治体においては、ガイドラインについて議会報告がなされ、再生に対する地元意識が高まり、団地再生の検討に活用されております。
 都としても、初期入居団地を抱える多摩市とともに、先行的取り組みを行う団地の実地調査や再生に向けた協議を重ねるなど、団地再生に取り組んできております。
 最後に、今後の多摩ニュータウンの団地再生における都の取り組みについてでございますが、ガイドラインでは、都は広域自治体として、都市計画や都市基盤の調整と技術的な支援、さらに、地元自治体だけでは解決できない広域調整等の役割を担うこととしております。
 一方、多摩市では、平成二十五年度予算案において団地の再生に向けた検討を予定するなど、ガイドラインに沿った取り組みが進められております。
 都としても、引き続き、多摩市など関係機関とともに、ガイドラインに基づき団地の再生が図られるよう取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 在宅高齢者へのサービス提供についてでありますが、要介護度が進んでも、高齢者が安心して自宅で療養生活を送ることができる社会を実現するためには、医療と介護の連携を強化し、地域における在宅療養の取り組みを進めていく必要がございます。
 こうした考えのもと、都は、病院から在宅への円滑な移行を調整する窓口の設置等、在宅療養の環境整備に取り組む区市町村を包括補助等により支援しております。
 また、複数の在宅医が互いに補完し、訪問看護ステーションと連携しながら、チームを組んで二十四時間体制で訪問診療等に取り組む地区医師会を支援するほか、在宅医療サポート介護支援専門員の養成研修など、医療と介護の連携を進めるための人材の育成にも取り組んでいるところでございます。

〇議長(中村明彦君) 二十三番山崎一輝君
   〔二十三番山崎一輝君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇二十三番(山崎一輝君) 最初に、オリンピック・パラリンピック招致についてお尋ねします。
 去る一月七日、東京は、大会開催計画書である立候補ファイルをIOCに提出し、一月十日には、知事みずからがロンドンにおいて記者会見を行いました。これは、本格的に始まる国際招致レースにおいて、ライバル都市の機先を制す好スタートといえます。
 その後、招致委員会が一月三十日に発表した支持率調査では、賛成が十一月の調査から七ポイント上昇した七三%となりました。
 私は、昨年来、予算特別委員会の場などで、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルネットワーキングサービスの活用を訴えてきました。これらは、招致支援の輪を広げる格好のツールであり、今回の支持率向上にも効果を発揮したと実感します。
 次の大きな関門は、来日が目前に迫ったIOC評価委員会への対応です。この訪問により取りまとめられる報告書は、すべてのIOC委員に送付されることから、九月の開催都市決定の投票行動に大きな影響を及ぼします。東京の計画の優位性を確実に伝えるとともに、東京の招致への熱意を感じさせる場にしなければなりません。
 そこで、この重要なIOC評価委員訪問をどのように成功裏に導いていくのか、知事の意気込みを伺います。
 知事、一つ要望があります。私は招致を確信していますが、九月に東京開催決定後は、オールジャパンで取り組める大会に絶対にしなければなりません。
 そのためには、各国の代表選手や代表チームは、必ず開会前のキャンプ地を同じ気候の日本で行い、東京に入ると考えるはずです。
 そこで、全国の地方自治体に働きかけ、各国の選手をおもてなしの心で迎え入れる地域を募集するなど、日本全体でオリンピアンの受け入れ体制を整えるべきと考えます。そして、世界の競技関係者に、日本各地にある競技施設や競技キャンプ地のPRなど情報発信を世界へ進めてください。
 このようなことによって、国民一人一人が自分たちも参加をしているという意識が生まれます。これが日本全体でオリンピックに携わっているという強い意識の醸成につながることと私は確信をします。
 それでは、次の質問に移ります。
 次に、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化の取り組み状況について伺います。
 臨海副都心は、東京ビッグサイトが立地するとともに、大型の商業施設やイベントなどで多くの人々が集まる日本の代表的なMICE、国際観光拠点であります。
 MICEと国際観光機能は成長戦略を支える両輪であり、双方の充実は、その都市の活力のみならず、国の経済をも浮揚させる効果があります。シンガポールなどアジアの諸都市がこの分野に力を入れて著しく発展を遂げており、我が国もおくれをとってはなりません。
 臨海副都心の特性を最大限に生かして、さらなる発展を目指していくべきと考えますが、そのための具体的な取り組みについて伺います。
 次に、東京港における港湾機能の強化についてお尋ねします。
 我々都議会自民党は、民主党政権によって前に進められなかった東京都のさまざまな課題について、政権交代後、直ちに国に要望活動を行っています。
 この要望では、東京港の機能強化についても、我が国の経済を支える上で、さらに整備を進めていかなければならない重要な基幹インフラとして、国土交通大臣にも直接要望し、前向きに取り組むとの回答を得ています。
 東京港は、平成二十三年の外貿コンテナ貨物取扱個数が初めて国内港湾で四百万TEUを突破するなど、好調を維持していますが、施設能力を上回る貨物の増加により、コンテナヤード内は混雑をし、周辺道路は交通渋滞が深刻化しています。
 早朝ゲートオープンの実施や車両待機場の整備など、当面の対応は評価をしますが、港湾施設などの大規模なインフラは、長期的な視点に立って計画的に整備を進める必要があると考えます。
 そこで、これまでの東京港における港湾機能の強化の取り組み状況について伺います。
 また、東京港では、さらなる国際競争力の強化に向け、港湾計画の改定作業を始めたと聞いています。東京港は、大都市東京の市街地と隣接する港湾であるため、改定に当たっては、港湾機能のみならず、防災、環境、観光など幅広い視点から、将来をしっかりと見据えた計画とするべきと考えます。
 そこで、今回の港湾計画改定の方向性について伺います。
 次に、東部低地帯における河川の耐震対策についてお尋ねします。
 東部低地帯に暮らす三百万人の一人一人の暮らしを守るため、地震や津波に対して、水門や堤防などの安全性を向上させることは喫緊の課題です。
 都は、東日本大震災が発生した直後の四月に、江東区清澄町に水門管理センターを開設し、河川の水門の一元的な監視制御が可能となるなど、確実性や迅速性が格段に強化されました。また、堤防の整備が進んでいることも、私自身も現場へ足を運び、確認をしています。
 昨年十二月、最大級の強さを持つ地震が発生した場合でも、津波などによる浸水を防止するための整備計画を策定したことは、大いに評価をします。特に、堤防や水門などに守られて生活している低地帯に住む我々にとって、期待が大きく、一刻も早い完成が待たれるところであります。
 そこで、東部低地帯を守る河川の堤防や水門などにかかわる耐震対策に対する都の取り組みについて伺います。
 次に、中小企業の防災対策についてお尋ねします。
 東京の産業を支える中小企業の防災力の強化は、極めて重要な課題であり、これまでも我が党はその必要性を訴えてきました。とりわけ、災害発生時の対策として有効な手段である事業継続計画、いわゆるBCPについて、その策定支援の充実や普及啓発の強化を繰り返し求めてきました。
 昨年十一月に修正された東京都地域防災計画では、事業所による自助、共助の強化の重要性が指摘されており、中小企業BCP策定支援が防災力を向上させるための対策として位置づけられております。
 都では、かねてからBCP対策を支援してきましたが、来年度の取り組みについて伺います。
 次に、私立幼稚園の防災備蓄倉庫の整備についてお尋ねします。
 私立幼稚園のさらなる防災力向上のため、我が党はこれまで、防災備蓄倉庫の設置に対する支援を要望してきました。これを受けて、都が来年度予算案に備蓄倉庫の整備費補助を計上したことは評価をいたします。
 幼稚園の現場からは、園によって防災物資の備蓄に必要な大きさや機能など倉庫に対するニーズはさまざまであり、個々の実情を踏まえた対応を求める声が寄せられています。
 このため、補助の実施に当たっては、実態に的確に対応できる制度にすべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、防犯対策についてお尋ねします。
 東京をより安全で安心なまちとしていくためには、防犯カメラの整備など、地域の防犯の取り組みをさらに促進していくことが必要です。
 今日、防犯カメラの映像が犯人逮捕につながったとの報道が数多くなされ、また、地域からは、防犯カメラがあると安心できるとのお声も聞かれるようになりました。防犯カメラが地域の安全・安心に果たす役割は、ますます大きくなっています。
 都が支援を開始して十年がたちましたが、当初設置されたカメラは、老朽化により更新が必要になってきており、我が党は、昨年の第二回定例会の代表質問において、地域が引き続き防犯活動に取り組めるように、更新も含めて支援することを要望してきました。
 江東区でも、設置したときと同じように補助金がなければ、新たに購入することができず、もうカメラを撤去するしかないとのお声も聞いております。整備の更新は、新規整備と同様、地域にとって大変大きな負担となります。
 そこで、更新にも対応できる予算を確保する必要があると考えますが、地域による防犯カメラ整備への支援について都の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 山崎一輝議員の一般質問にお答えします。
 IOC評価委員会訪問の対応についてでありますが、来日する委員には、東京の計画の優位性と運営能力の高さ、洗練された都市としての魅力を理解してもらうことが重要であります。今週の金曜日、三月一日朝、委員長が参りますから、そこでお迎えにも行くんです。
 それで、東京のメリットは、選手村を中心として半径八キロメートル圏内に会場を配置することによって、アスリート本位の計画であることを実感していただく。
 プレゼンテーションや会場視察をIOCが求めるスケジュールどおり正確無比に行うことで、東京の卓越した運営能力を実証していきます。東京マラソンで見られた運営能力もアピールしたいと思っています。
 加えて、紙に書かれた計画なんですね、今までのものは。今回は、実際来て見ていただいて、そして、紙に書いた計画だけでは語り尽くせない東京の魅力と日本人のホスピタリティーを、滞在期間中に随所に直接感じ取っていただく。
 プレゼンテーションは、もちろん都知事がみずからやるんですが、安倍総理にも出ていただきます。そして、世界で最も安全で先進的な大都市の中心で開催されるダイナミックな祭典とすることを、IOC委員にあらゆる角度からアピールしたい。同時に、テーマごとに知見を有する専門家をプレゼンターに起用しております。
 国家総力戦だと思っています。東京都だけではなくて、政府も、スポーツ関係者も、みんな一丸となって熱意を訴えて、IOC評価委員会から高い評価を獲得することを目指してやります。
 また、ご提案のあったオールジャパンで招致に取り組む貴重なご提案ですが、今後も支援、ご協力をお願いいたします。
 なお、その他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 河川の耐震対策の取り組みについてでございますが、東部低地帯において、大地震による水害から都民の命と暮らしを守るためには、スーパー堤防の整備など幅広い取り組みを進めるとともに、既存の堤防や水門などの耐震対策を早急に講じることが極めて重要でございます。
 昨年十二月には、具体的な対策箇所などを示した整備計画を策定し、総事業費は約一千八百億円と見込んでおります。このうち、水門の全箇所と水門外側の堤防などにつきましては、二〇二〇年までに対策を完了させることといたしました。
 優先度の高い隅田川の大島川水門など四水門につきましては、既に民間の技術提案を受けるプロポーザル方式で契約を行い、現在設計を進めております。さらに、来月初旬には、中川や隅田川など三河川の堤防につきましても、同様の方式で設計に着手してまいります。
 今後とも、民間技術力の一層の活用など、さまざまな工夫を行い、全力を挙げて耐震対策に取り組んでまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まずは、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化の具体的な取り組みについてでありますが、今年度、都独自にMICE、国際観光機能の充実強化に資する民間事業への補助制度を創設し、眺望やセキュリティー面にすぐれ、最新のネット接続環境を持つ会議場の整備や、大画面での多言語による観光情報の提供など、民間の創意工夫を生かした事業を選定いたしました。
 来年度は、補助制度への提案事業数の拡大とともに、市中の輸入関税免税店等の新たな観光資源の誘致に努めるなど、MICE、国際観光機能のさらなる充実を図ってまいります。
 また、陸と海から観光を楽しめる水陸両用車の誘致に向け、臨海副都心と豊洲で、来年度はスロープ整備の調査設計を行い、平成二十六年度には工事に着手し、都心のリゾート地としての魅力向上にも取り組んでまいります。
 次に、東京港における港湾機能の強化の取り組み状況についてであります。
 増加する貨物に対応し、物流機能の強化や円滑な交通ネットワークの形成を図るため、現在、中央防波堤外側地区において、新たなコンテナふ頭C1、C2バースの整備や、新木場交差点の立体化を進めております。
 また、今後も一層増大するコンテナ貨物に対応するためには、新たにC3バースや臨港道路南北線の整備が必要であり、都としても、国に対し緊急要望するなど、早期事業化を強く働きかけております。
 さらに、中央防波堤外側地区のコンテナふ頭を、大井や青海の既存コンテナふ頭の再編整備のための種地として活用するなど、長期的、計画的な視野を持って、東京港のさらなる機能強化に取り組んでまいります。
 最後に、港湾計画の改定の方向性についてであります。
 港湾計画は、東京港の今後十年から十五年間の開発や土地利用等の基本となるものでございます。今回の改定に当たっては、東京港の国際競争力の強化はもとより、東京の安全・安心、環境、観光等のさまざまな視点が重要であると考えております。
 具体的には、既存コンテナふ頭の再編整備や効率的な交通ネットワークの形成、客船機能の充実などのさらなる港湾機能の強化に加え、MICE等の都市機能との調和、耐震強化岸壁の拡充や被災者輸送等の防災機能の強化、さらには、水辺空間のにぎわいや緑の創出などの検討を進めてまいります。
 これらの検討を踏まえ、臨海部全体の発展に資するよう、平成二十五年度末を目途に計画改定に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) BCPの策定支援についてでございますが、中小企業によるBCPの策定は、地震などの災害による事業活動への影響を最小限にする上で効果が高く、その取り組みを広く普及させていくことが重要でございます。
 そのため、都は、中小企業によるBCP策定の取り組みが進むよう、モデル的に支援を行うとともに、その成果を広く発信してまいりました。
 新年度は、BCPのより一層の普及に向け、支援対象の数を今年度の七十五から百二十にふやし、より多くの業種と企業規模に応じた事例をつくり上げてまいります。
 また、関係局と連携して中小企業向けの防災セミナーを開催し、BCPの紹介に加えて、帰宅困難者対策条例等の周知も行うなど、中小企業の防災力の強化を着実に支援してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 私立幼稚園の防災備蓄倉庫の整備についてでありますが、都は、私立幼稚園の一層の防災対応力の向上を図るため、来年度、防災備蓄倉庫の整備経費に対する補助制度を設けることといたしました。
 制度の構築に当たりましては、災害発生時に、水、食料等の備蓄物資を速やかに活用できるようにするため、各幼稚園の規模や施設の状況等に対応できる仕組みとすることが重要であります。
 このため、新たな倉庫の建築や既製の倉庫の購入、設置に対する補助に加えまして、園舎の一部を倉庫に転用する改造工事や、大きな揺れの際に物資の散乱を防ぎ、取り出しやすくする棚の設置工事などを補助対象としてまいります。
 今後も、私立幼稚園における園児の安全確保に向けた環境整備を的確に支援してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 防犯カメラの整備への支援についてでありますが、安全で安心なまちづくりのためには、住民や事業主などの方々が地域の治安に関心を持ち、防犯活動に主体的に取り組んでいただくことが重要でございます。
 都はこれまで、三百を超える地域団体に防犯カメラ等の整備に要する経費を補助し、地域の自主的な防犯活動を促進してまいりましたが、さらに安全で安心なまちづくりを推進するためには、より多くの地域において活動が行われ、また、その活動が継続するように促していく必要がございます。
 そのため、平成二十五年度の予算案におきましては、防犯カメラ等の整備に対する補助事業について、設備の新設、増設及び更新に対応できるよう、今年度予算に比べて三九・一%増の一億六千二百二十万円を計上し、地域による防犯カメラ等の整備を支援してまいります。

〇副議長(ともとし春久君) 三十六番伊藤こういち君
   〔三十六番伊藤こういち君登壇〕

〇三十六番(伊藤こういち君) 初めに、首都東京の防災力強化について質問します。
 首都直下地震等による東京の被害想定によれば、木造住宅密集地域、いわゆる木密地域が広範囲を占める私の地元品川区では、発災時の火災発生件数は四十件、それが延焼することにより区の三一・九%を焼失し、死者約八百人のうち焼死者が五百二十人となっており、火災による被害の甚大さを如実に示しています。
 品川区と同じように、都内には危険度が高い木密地域が多く、その対策は都政の最重要課題です。
 発災時、木密地域において火災が発生した場合、延焼させない初期消火が重要です。そこで、消防庁と水道局が連携し、消火栓、排水栓を活用できることになりました。
 しかし、課題となっているのは、水道管の継ぎ手の耐震化率が二九%にとどまっていることであります。
 都は、火災延焼を阻止するために、まずは水道管の継ぎ手の耐震化をこれまで以上に積極的に実施するとともに、危険度の高い木密地域を優先、重点化した整備を進めるべきであります。見解を求めます。
 都は、都議会公明党の提案にこたえ、避難所周辺の消火栓、排水栓を活用して応急給水ができるよう、区市町に対し、スタンドパイプなどの応急給水資器材五百組の貸与を始めます。この資器材は、初期消火への活用も十分に期待されることから、都は増配置を速やかに進めるべきであります。
 また、木密地域での火災発生時には迅速な初期消火が行えるよう、消火栓や排水栓の近くにスタンドパイプなどの資器材が常設されている必要があります。
 都は、区と連携し、こうした資器材を常設配置する取り組みを行うべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
 次いで、スタンドパイプなどの初期消火資器材を使える担い手を育成していくことも重要です。
 私は過日、消火栓の鉄ふたをあけ、スタンドパイプを差し込み、消火ホースをつなぎ、放水するまでの一連の初期消火動作を体験しました。これを通し、私は、一人でも多くの人が、あらかじめ正確な操作を習得する必要があると感じました。
 そこで、都は、消火栓、排水栓とスタンドパイプの扱いなど、初期消火技術の習得や危険回避の方法も学ぶ訓練を積極的に開催すべきであります。そして、地域住民が初期消火の活動能力を高めることができる取り組みを強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、ライセンスではなく、都民の意識啓発につなげるための訓練修了者証を発行するなどの取り組みを進めてはどうかと提案しておきます。
 次に、都内公立小中学校への緊急地震速報の普及について質問します。
 私は、阪神・淡路大震災での経験を踏まえ、平成十九年第一回定例会において、大地震の被害を軽減するための緊急地震速報の導入と活用を求め、都から前向きな答弁を得ました。
 その年の十月には、緊急地震速報の本格運用が始まり、すべての都立学校や都立病院などに導入されました。私の地元品川区では、小中学校はもとより、幼稚園、保育園、シルバーセンター、図書館など、すべての区立施設に緊急地震速報システムが導入されました。
 三・一一東日本大震災では、頻発する余震の際に、学校内一斉放送で、緊急地震速報、震度四。五秒後。四、三、二、一とカウントダウンがあり、子どもたちからは、事前に心構えができた、突然来たらパニックになっていた、また、緊急地震速報を使った訓練をやっていたから落ちついて行動できたと聞きました。
 都は、まさにこうした観点から、防災教育に使われる補助教材や安全教育プログラムの中に、緊急地震速報が作動した場合の対処方法や、その訓練の必要性を記しています。
 しかし、都教育庁による現時点での緊急地震速報の導入状況調査によれば、都内の公立小中学校において緊急地震速報システムの導入がなされているのは、全体のわずか三割程度にとどまっており、その中には、即座に校内一斉放送と連動していない学校があり、加えて、導入そのものがゼロという自治体が数多くありました。
 私は、そもそも緊急地震速報が導入されていなければ、防災教育の効果も半減となり、いざというときに子どもたちの命を守れないのではないかと危惧しております。
 重要なのは、地震発生の情報が遅滞なく確実に学校内の児童生徒に届く体制になっていることであります。
 都は、子どもたちの命を守るために、一刻も早く都内すべての公立学校に緊急地震速報が導入されるよう、区市町村への働きかけを強化すべきであります。見解を求めます。
 公明党の提唱により、学校の耐震化に加え、非構造部材の耐震化が始まりました。
 しかし、こうした対策が完了するまでには相当の時間が必要であり、その間に大震災が発生すれば、教室などの窓ガラスやコンクリート片、照明器具、天井部材などが落下し、児童生徒に直撃する危険性があります。
 また、中央防災会議・首都直下地震避難対策等専門調査会専門委員を務めた国崎信江さんによれば、一たび災害が発生し、保護者が子どもを引き取り、自宅までの道のりで、コンクリート片、ガラス、タイルなどの落下物が凶器となって子どもたちを襲う危険性があると指摘し、防災用ヘルメットの必要性を訴えています。
 一方、都教育委員会が児童生徒へ配布している年代別の防災教育副読本には、緊急地震速報が出たら、机の下に入ったり、頭部を腕で保護したりして身を守ろうと、頭部を守ることの大切さを教えています。
 都は、都立高校生について、今年度から、すべての都立高校で一泊二日の宿泊防災訓練を実施し、来年度はさらに、地域の町会、自治会などと連携して、地域の防災活動の担い手としての実践的な訓練を行うとしています。
 防災意識の高まりの中で、高校生自身が、みずからの命を守りながら地域の一員として社会貢献を行えるよう、都は、まずは都立高校生の安全を確保するための防災用ヘルメットを配備すべきであります。見解を伺います。
 次に、教育について質問します。
 私は、学生から社会に出た第一歩が小学校の臨時教員でした。二十代前半の私は、そこで先輩教員から、まず教師自身が言語の大切さ、つまり言葉の力を認識し、児童が、言葉を通して的確に理解する力、論理的に考え表現する力、互いの立場を尊重し、伝え合う力を身につけられるよう、徹底して国語の指導方法を教わりました。そして、子どもたちが実生活の中で生き生きと変化していくことを学びました。
 知事は、施政方針において、日本の未来を開くかぎは言葉の力であると述べられましたが、言葉の力について、知事の所見を伺います。
 東京は、今、毎年約三千人の団塊世代教員の大量退職に伴い、約三千人の大量教員採用のピークを迎えており、この状況は今後も続きます。
 採用となった若手教員は、皆、希望に燃えています。
 都は、採用から五年次くらいまでの若手教員が、学習指導力とともに、昨今の社会的な課題となっている学級崩壊、いじめ、不登校などに的確に対応できる、問題解決能力の高い人材となるよう育成していかなければなりません。
 私は先日、埼玉県川口市立南鳩ヶ谷小学校を視察しました。そこでは、校長先生を初め全教職員と外部人材が、国語研究を通して、総力を挙げて若手教員の育成に当たり、現場実践の中で学習指導力や学級経営力を高めていました。その勢いが学校全体に反映され、結果として、子どもたちが輝く目で一生懸命に授業に取り組んでいる姿に感動しました。
 これまで都は、多様な教員研修制度を充実させ、人材育成を図ってきたことは評価します。しかし、都の研修制度は、センター集合方式の通所研修であり、教員の専門性を高めたり、次世代のリーダーとなる代表選手を育成するものが中心となっています。
 都は、これまで以上に、若手教員全員が学校現場で総合的な教師力を高めることができるよう、学校を挙げて育成し、それを学校全体の教育力の底上げにつなげていくべきと考えます。見解を伺います。
 また、例えば体育の研究指定校となっている小学校の中で、国語の指導力を高めたいと望んでいる若手教員に対し、十分にこたえられない実態もあります。若手教員のやる気を引き出し、それを受けとめ、可能性を伸ばし、若手教員が自信を持って教育現場で活躍できる環境を整えることが、子どもたちの成長に直結するものと考えます。
 そこで、都は、若手教員が学習指導力や問題解決能力を高めるために、みずから学ぶことができるよう、現場経験豊かな退職校長などの外部人材を活用する仕組みを工夫し、若手教員を育成していくべきであります。
 見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 伊藤こういち議員の一般質問にお答えします。
 言葉の力についてでありますが、近年、自分の周囲のことしか関心が持てない若者がふえています。彼らは、政治や経済、国際情勢といった社会全体の動きに関心が薄く、気の合う友人など限られた世界に閉じこもり、無難な生活を送ることを好んでいる、そういう状態です。
 世界のグローバル化の流れは、より加速しており、人や物が国境を越えてダイナミックに移動する現代においては、価値観の異なる相手とも対話によって問題を解決するということが求められているんですが、それがなかなかできない。
 そのために、きちんと言葉で自分の考えを伝えることが大切であります。世界で通用する共通のルールがなければ対話は成り立ちません。まずは基礎となる言葉の技術を身につけることが何よりも大切です。
 副知事時代に、今の若者の言葉の力の再生に向けて、言葉の力再生プロジェクトを開始して、大学生、大学院生を対象に、ビブリオバトルの普及を推進しました。
 ビブリオバトルというのは、ビブリオというのはラテン語で書物のことで、若い人に、ゲーム感覚で本を読んで、感想をいいながら、五分間、きちんと本を説明するということなんですが、ビブリオバトル首都決戦は、今年度、この間の十月で三回目です。初めは大学十校ぐらいだったんですが、昨年は百大学近く集まりました。そういうことで、それをどんどん広げていく。それが、地区予選に参加して、書評の甲子園みたいなものができ上がっていくわけです。
 来年度には、こうした取り組みに加えて、高校生書評合戦首都大会、都立高校全校が参加して、ほかに私立高校や近隣の県の学校にも参加を呼びかける。
 子どもの思考力、判断力、表現力をはぐくむためは、多くの本を読んで、本を読まないと内容を──その内容を紹介するということがまず必要なんです。そういうことをやって、こうした取り組みをやることで違ってくるんです。また、ディベート技術だけじゃなくて、俳句や短歌のような、五・七・五という日本語のリズムに基づいた短い言葉による中身の濃い表現、こういったものも言語技術なんです。こういういろんな言語技術を、言語能力向上推進校ということで、百三十校から約二百校に拡大します。
 言葉の力の再生は、日本の未来を切り開くかぎともいうべき重要な課題でありまして、若者が国際社会を生き抜くために必要な言語技術と感性、情熱を身につけ、世界に活躍の場を広げることができるよう、必要な施策をさらに講じていきます。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、緊急地震速報システムの設置についてでございます。
 地震発生直後に、震度や到達時間などを予想、発表する緊急地震速報は、区市町村教育委員会が進める公立小中学校の児童生徒の防災対策に、極めて有用な警報であります。この警報を瞬時に児童生徒に伝達するためには、受信と同時に警報が届くシステムを構築することが重要であります。
 そこで、都教育委員会は、学校における通信環境や取り組み状況を調査研究するとともに、区市町村教育委員会に対し、実情に即したすぐれた事例の紹介に努めるなど、すべての公立小中学校において、緊急地震速報が即時に伝わる体制の整備を進めるよう、早急に働きかけてまいります。
 次に、防災用ヘルメットの配備についてでありますが、都教育委員会は、都立高校の生徒の安全を確保するため、校舎の耐震化を完了し、非構造部材についても計画的に耐震化を実施しております。
 また、生徒が災害時に適切に行動できるよう、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに地域に貢献できる人材の育成を目指して、防災教育を進めております。
 被災時には、生徒は自分の安全を確認した上で、避難所の運営補助や近隣地域における被災者の支援活動等を行うことが期待されます。このため、生徒がこうした地域貢献活動を行うための条件整備の一つとして、今後、都立高校への防災用ヘルメットの配備の必要性について検討してまいります。
 次に、若手教員の育成についてでございます。
 都内公立学校においては、教員の年齢構成の転換期を迎えており、若手教員の育成が喫緊の課題となっております。
 都教育委員会は、採用から三年間で教員に必要な基礎的知識、技能を身につけさせるよう、従来の初任者研修等を再編し、研修の充実を図っております。
 また、OJTガイドラインを示し、各学校において若手教員一人一人に指導教員をつけて、実践的な力を養う取り組みを促すなど、全校で組織的、計画的なOJTを推進しております。
 今後は、新たに導入する指導教諭のすぐれた実践事例に学んだ教員が中心となって、学校全体でよりよい授業のあり方を研究する仕組みを広めるなどにより、若手教員の指導力のさらなる向上に努めてまいります。
 最後に、外部人材の活用についてでございます。
 若手教員が教師として成長していくためには、先輩教員が経験から身につけている指導力や指導法を継承することが重要であります。
 都教育委員会及び区市町村教育委員会では、採用から三年間、若手教員育成研修を実施し、各学校では、校長、副校長などによる校内研修等において、計画的に若手教員の人材育成を行っております。
 また、学習指導や学級経営等について、個別の指導を求める若手教員がいる場合には、指導者として、経験豊かで実績のある退職校長等を研修などで活用することが有効でございます。
 今後、こうした指導者として求められる外部人材のリストを作成し、周知することにより、各学校や区市町村教育委員会の取り組みを支援し、若手教員の育成を一層推進してまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水道管路の耐震化についてであります。
 水道局はこれまで、耐震強度にすぐれ、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への取りかえを着実に進めてまいりました。しかし、さきの大震災や被害想定の見直しを踏まえると、さらなる耐震化を推進することが必要であります。
 このため、耐震化に当たっては、想定地震動や液状化危険度、耐震継ぎ手化の進捗等を考慮し、被害が大きいと想定される地域や、避難所等への供給ルートを優先して実施することといたしました。その中で、延焼被害軽減の観点にも配慮して、取りかえを実施してまいります。
 こうした取り組みにより、水道管路の耐震化を効果的に実施し、断水による影響をできる限り少なくしてまいります。
 次に、スタンドパイプなどの資器材の配布についてであります。
 震災時には、住民みずからが消火栓や排水栓を活用し、応急給水や初期消火を行うことが重要であります。
 そのため、応急給水用スタンドパイプと仮設給水栓、消火用ノズルなどの資器材を、平成二十五年度は五百セット、三カ年で二千六百セットを区市町に配布する計画でありますが、区市町の要望状況によりまして、配布計画の前倒しや配布数の拡大を検討してまいります。また、配布に当たりましては、区市町に対して、適正な管理と有効な活用が図られるよう説明してまいります。
 あわせて、水道局と東京消防庁、区市町が連携して訓練を行うことにより、実効性を確保してまいります。
   〔消防総監北村吉男君登壇〕

〇消防総監(北村吉男君) 地域住民による初期消火の活動能力を向上させるための取り組みについてでありますが、震災時に木造住宅密集地域における火災被害の軽減を図るためには、発災初期における地域住民の消火活動が極めて重要であると認識しております。
 このことから、当庁ではこれまでも、軽可搬消防ポンプやスタンドパイプなどを活用した初期消火訓練の指導を推進してまいりましたが、新たに、地域の防災リーダーを対象に、住民指導に活用できる初期消火資器材の操作マニュアルを作成、配布するほか、延焼危険の高い木造住宅密集地域を管轄する消防署所を重点にスタンドパイプを増強配置し、街角での実践的な訓練指導を推進してまいります。
 今後とも、関係機関と連携して、多くの都民が初期消火訓練に参加できる機会を拡充し、より一層、地域防災力の向上に努めてまいります。

〇副議長(ともとし春久君) 七十六番山口拓君
   〔七十六番山口拓君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇七十六番(山口拓君) まず、保育施策の充実について伺います。
 都内保育園の待機児問題は年々深刻化し、七千人を超えました。この問題を解消するためには、保護者の就労形態の多様化など社会環境の変化を踏まえて、多様な保育サービスを展開していく必要があります。
 中でも、サービス業などで休日も働かなければならない保護者にとって、休日保育の必要性は高く、拡充に向けて取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 この時期、認可保育所の四月入所の決定通知が届くころですが、私の地元世田谷区でも非常に厳しい状況にあります。中でも、早生まれの子どもが最も厳しい状況に置かれています。四月入所の締め切りは十二月に終わってしまう場合が多く、早生まれの子どもは四月保育の申し込みができません。保育所入所は四月にほぼ埋まり、年度途中からは限られた枠しか残されておらず、保育を利用することができません。
 そこで、早生まれの子どもが利用しやすくなるような取り組みを行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 一例ですが、東京都は、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例が定められ、対象となる十五区九市においては、年度途中におけるゼロ、一歳児の乳児室、匍匐室の面積は弾力化できるにもかかわらず、全く活用されていないのが現状であります。
 あらゆる手段を尽くさなければ保育園の待機児問題を解決することはできません。都の積極的な働きかけを期待し、次の質問に移ります。
 大都市特有の保育ニーズに対応するため、都が独自に創設した認証保育所は、待機児童の九割を占めるゼロ歳から二歳までの低年齢児を定員の半分以上とするなど、待機児対策として極めて有効です。
 国は、認証保育所の実績を認めず、早ければ平成二十七年四月から本格施行される子ども・子育て支援新制度においても、認証保育所が正式に位置づけられるかは不透明な状況ですが、都の保育施策の重要な柱である認証保育所を引き続き積極的に推進していくことが重要と考えます。
 保育サービスのさらなる拡充を図るために、都は国に対し、認証保育所を新制度に位置づけるよう、強く求めていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、学童保育について伺います。
 現在の保育園利用の実態や、今後さらに利用者がふえるならば、いわゆる小一の壁が深刻な課題となります。今後、放課後対策である学童クラブについて、都としてどのようにとらえ、具体的に対応していくのか、今から示していく必要があるのではないでしょうか。見解を伺います。
 次に、母子生活支援施設について伺います。
 戦前に創設された施設は、当初、戦争で夫を亡くした母子への低所得対策、住宅対策としての機能を担っていましたが、現在では、DV被害や児童虐待などさまざまな生活課題のある世帯の利用が多数を占めるようになってきたことから、高い専門性を持った職員による二十四時間対応の支援が必要となっています。
 施設運営費は、民間施設の場合、国と都、区が分担をし、内訳は事務費と事業費から成っています。事務費は、利用定員に応じて支払うことが原則ですが、例外として、利用数と定員数には一〇%以上の開きを認めないこととし、暫定定員を設け、その状態が継続した施設に対し定員削減を求めることにしています。
 先日、私は世田谷区内のある母子生活施設を訪問し、施設長の切実な話を伺いました。話によれば、昨年八月、世田谷区がこの施設を訪問し、暫定定員制度の説明を行いました。世田谷区は、事業費を昨年度、五千七百二十二万余円支払い、今年度も同額を支払うこととしている。しかし、ここ三年、定員割れを起こしていることから暫定定員となり、年度末に一千七百五十九万余円の返還を求めることとなるとのことでありました。
 しかし、施設への入所は、申し込みから入所の決定まで、区の福祉事務所が行います。つまり、この施設が定員割れを起こしていることの原因は施設には全くなく、施設長以下、職員が一丸となって利用者の処遇に取り組んだ結果、自立して施設を退所する利用者が出たことから起きたものです。母子家庭の自立に向け励めば励むほど、施設運営が困難になるこの暫定定員制度を何とかしてほしいと施設長は訴えられていました。暫定定員制度は母子家庭の自立を全く考慮しない制度であると断ぜざるを得ません。
 施設を利用している母親が職を得て経済的に自立し、施設を去ることになれば、施設利用者は一名減となります。自立する母親の数がふえ、新たな利用者があらわれなければ、施設運営は困難をきわめるです。
 福祉は人なりといわれるように、福祉に従事する良質な職員によって、要援護者である母子生活支援施設利用者の自立は進むものと考えます。施設安定の意味でも、入所決定権限のある区の福祉事務所が、支援の必要な母子を適切に入所させ、施設の職員が暫定定員などの経営上の不安なく、ケアに専念できるように強く願うものです。
 児童虐待や配偶者暴力などが増加する中、母子生活支援施設が必要とする方がふえると考えるため、都としても、区が措置した入所者の自立が進むよう、施設のケアの充実に向け取り組むべきと考えます。また、せっかく専門知識と経験のある施設ですから、地域に対してもその機能が十分発揮されるよう望むところであります。
 そこで、母子生活支援施設について、入所者へのケアの充実や、その機能の地域での活用が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 また、施設の職員の方々の努力により、無事に施設を退所し、地域生活に移行した後も、安定した生活を継続していくことは相当困難が伴うかと思います。
 そこで、都は施設を退所する方に対してどのような支援を行っているのでしょうか、見解を伺います。
 次に、救命救急搬送について伺います。
 都は、平成二十一年から、救急医療の東京ルールを開始いたしました。東京ルールⅠは、救急患者を迅速に病院に搬送するため、地域の救急医療機関が互いに協力連携して救急患者を受け入れるものです。
 救急車が搬送先を決めることが困難な患者が発生した場合に、その受け入れ調整を行う東京都地域救急医療センターは、現在都内に七十八病院設置されています。救急搬送患者全体に占める東京ルール対象患者の発生割合は、現在約二%であり、全国平均は六%程度といわれていることと比較すると、東京ルールは取り組みの成果を着実に上げていることがうかがえます。
 一方、東京消防庁の統計資料を見ると、ここ数年、救急搬送件数が急増しており、平成二十一年の出場件数が六十五万五千六百三十一件だったのに対し、平成二十三年度では七十二万四千四百三十六件と、わずか三年で六万八千八百五件もふえてしまっています。中でも、高齢者人口の増加に伴い、高齢者の搬送件数は著しく増加をしています。
 また、東京の救急車の搬送時間は、平成二十三年度で五十三分と、依然として全国一搬送時間のかかる状態が続いています。特に深刻なのは、高齢者が救急車を呼んだ場合、自分の症状を救急隊にうまく伝えられないことや、身の回りの支度に時間がかかることもあり、搬送時間が長くなる傾向にあります。しかしながら、救急患者の搬送時間が長くてもいいことにはなりません。
 そこでまず、都は搬送時間が長い原因をどのように分析をしているのか、見解を伺います。
 東京都は、道が狭く、道路が渋滞をしている、高層マンションが多いなど、患者を運びにくい条件がそろっています。しかし、救急車で運ばれる患者や家族は、一刻も早く病院で治療を受けたいと、だれもが願っているはずです。また、運んでいる救急隊も、早く病院で治療を受けてもらいたいと、努力をしているはずであります。
 そこで、搬送時間の短縮に向け、救急医療体制の充実強化が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 救急搬送時間の短縮には、搬送件数そのものを減らす必要があります。救急搬送患者全体に占める軽症患者の割合は減少傾向にはあるものの、依然として五割を超えています。軽症患者が、皆必ずしも救急要請を必要としない人ではありませんし、結果、軽症であればこしたことはありません。しかし、救急車の台数は限られており、さきに述べたような現状につながっていることは事実です。さらに高齢化が急速に進展をしていく中にあっても、重症の患者を迅速かつ確実に搬送しなければなりません。そのためには、不要不急な場合は救急車を利用しないよう、しっかりと都民一人一人が認識をし、社会全体で救急医療を支えていく必要があります。
 そこで、救急車の適正利用に向けた都の取り組みについて、見解を伺います。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 IOCによる支持率調査は、ことしの一月前後に行われると見込まれています。この調査結果は、七月のIOC評価委員会のレポートの提示まで公表されませんが、最近のメディアによる独自の支持率調査や招致活動を取り上げる報道内容などを見ると、確かな追い風が吹いていると考えています。
 これまでの間、私たち都議会民主党としても、招致議員連盟での全国行脚に始まり、個々の議員活動のさまざまな場面において、日本を元気にしようというメッセージを発信し、懸命な招致活動を展開してきた中で、順風吹くこの状況下にあることは大変な喜びを感じているところであります。
 国内で盛り上がってきた招致機運をIOCへ確実にアピールするためには、今後もより一層都民、国民の関心や支持を高めていく必要があると考えます。
 そこで、九月の開催都市決定に至るまでの都民の支持率獲得について、都の見解を伺います。
 去る一月七日、東京は、IOC本部に立候補ファイルを提出いたしました。既に東京の開催計画そのものや運営能力については高く評価されていますが、今後は、二〇二〇年東京大会の魅力的なイメージを都民に共有してもらい、さらに招致機運を盛り上げていく必要があります。
 昨年のロンドン大会では、オリンピックと並行し、コンサートや映画、演劇、アートエキシビションなど多彩な文化イベントを催すカルチュラル・オリンピアード、ロンドン二〇一二フェスティバルが英国全土で行われ、大きな盛り上がりを見せました。
 東京は、日本古来の伝統文化やファッション、アニメに代表される現代文化が調和した都市です。東京に招致が決まれば、ロンドン大会のように、東京の魅力を生かした多彩で大規模な文化芸術イベントを文化五輪として開催し、多くの都民、国民が文化芸術のすばらしさに触れ、改めて日本のよさを実感してもらうことで、日本人の誇りや自信につなげられるのではないでしょうか。
 そして、海外からの選手や観客にも、東京、日本の文化の魅力に触れてもらい、また、東京や日本を訪れたくなるような観光施策にもつながるのではないかと考えます。また、これらを国内でアピールすれば、招致機運の醸成にもつながるのではと考えます。
 こうしたことを踏まえ、二〇二〇年東京大会を一層魅力的なものとするために、東京ならではの強みを生かした取り組みを行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 山口拓議員の一般質問にお答えいたします。九点の質問でございます。
 まず、休日保育の拡充についてでありますが、サービス業など、日曜や祝日に就労している保護者に対して保育サービスを提供するため、都はこれまでも、区市町村が認可保育所や認証保育所などを活用して行う休日保育事業を、保育対策等促進事業や子育て推進交付金により支援しており、今年度は、二十四区市が六十二カ所で休日保育事業を実施しております。
 今後とも、区市町村に対し、休日保育事業の拡充を働きかけてまいります。
 次に、早生まれの子どもの保育サービスについてでありますが、早生まれの子どもが保育サービスを利用しやすくするためには、ゼロ歳児を初めとした低年齢児の定員の拡充に加え、年度途中の入所に柔軟に対応することが必要であります。
 現在、都内におけるゼロ歳児保育の実施率は、認証保育所は一〇〇%であるのに対し、認可保育所の実施率は七九%となっており、都は、待機児童解消区市町村支援事業により、三歳未満児の定員拡充に積極的に取り組む区市町村への支援を強化してまいります。また、年度途中の弾力的な受け入れについても、区市町村の取り組みを支援してまいります。
 次に、認証保育所についてでありますが、大都市特有の保育ニーズにこたえる認証保育所は、平成十三年度の制度創設以来、着実に増加し、本年二月一日現在、六百六十六カ所、定員は二万二千人を超えております。都はこれまで、認証保育所を国の制度に位置づけ、十分な財源措置を講じるよう要求してきましたが、国はいまだに認証保育所の実績を認めておりません。待機児童の多くを占める低年齢児を中心に受け入れ、育児休業明けなど、年度途中の入所ニーズにも柔軟に対応している認証保育所は、都の保育施策の重要な柱の一つであります。
 都は、認証保育所が新たな子ども・子育て制度の中に位置づけられるよう、引き続き国に強く求めてまいります。
 次に、学童クラブについてでありますが、現在の学童クラブには、保育所で利用していた時間延長サービスが小学校入学後に受けられなくなる、いわゆる小一の壁の問題があります。このため、都は平成二十二年度から、民間事業者が運営するクラブを対象に、午後七時までの開所や、保育士等の資格を有する指導員の配置などを条件とした都型学童クラブ事業を開始し、現在十八区市で百六十を超えるクラブが事業を実施しております。
 今後、区市町村に対しては、公営のクラブを含め、開所時間の延長を一層働きかけ、児童が安心・安全に放課後を過ごすことができる学童クラブの確保に努めてまいります。
 次に、母子生活支援施設のケアの充実等についてでありますが、母子生活支援施設は、経済的困窮などさまざまな課題を抱える母子の生活の安定と自立に向けて、子育てや就労など生活全般にわたって支援を行っております。
 入所者の中には、配偶者暴力や児童虐待などの被害を受けた者も多く、心理面でのきめ細かいケアを行う必要があることから、都は、心理相談や職員の資質向上などに取り組む施設に対して独自に補助を行い、利用者に対するケアの充実を図っております。また、入所者以外でも支援が必要な母子を短期に受け入れ、家事援助サービスを提供するなど、施設を活用した取り組みにつきましても、都は独自の補助制度により支援をしているところでございます。
 次に、施設の利用者の自立に向けた支援についてでありますが、母子が施設を退所して地域の中で安定した生活を送るためには、入所中から自立に向けた準備を支援するとともに、退所後のアフターケアを適切に行うことが重要であります。このため、都は、就職先の開拓などの就労支援、施設退所後の住宅確保の際の身元保証、金銭管理など生活全般にわたる相談支援など、施設が行う取り組みを独自の補助により支援しております。
 今後とも、利用者の自立に向けた母子生活支援施設のさまざまな取り組みを支援してまいります。
 次に、救急搬送時間についてでありますが、都がこれまで実施した救急搬送実態調査結果では、患者の背景や救急隊の活動環境が救急搬送時間に影響を及ぼすことが改めて明らかになりました。主な要因として、患者の背景では、ひとり暮らし、精神疾患、泥酔状態などが、救急隊の活動環境では、医療機関における院内調整や患者、家族への説明などが挙げられております。また、高齢者や中等症患者の搬送時間が平均と比べ長く、これらの患者の全体に占める割合が増加していることが、搬送時間延伸の原因と考えております。
 次に、救急搬送時間の短縮に向けた取り組みについてでありますが、都は、救急医療を取り巻く環境の変化を踏まえ、昨年七月、救急医療対策協議会に対し、社会構造の変化に対応する都の救急医療体制のあり方について諮問を行いました。協議会では、二次救急医療体制の見直しに焦点を当てて議論しており、その中で搬送時間の短縮についても課題の一つとして取り上げているところでございます。
 今後、協議会答申を踏まえながら、関係機関とも連携し、救急搬送時間の短縮に向けた検討を進めてまいります。
 最後に、救急車の適正利用についてでありますが、救急医療の東京ルールでは、救急医療への都民の理解と参画を定めており、救急の日のイベントなどを通じて、救急車の適正利用や、救急車を呼ぶべきか迷ったときに相談する東京消防庁救急相談センター、シャープ七一一九の利用などについて普及啓発を行っております。こうしたことにより、救急搬送患者に占める軽症患者の割合は減少しており、また、シャープ七一一九の相談実績も、平成二十一年の五万三千件から、平成二十三年には七万九千件と、大幅に増加しております。
 今後とも、限られた社会資源である救急医療を守るため、区市町村や東京都医師会、東京消防庁と連携しながら、東京ルールの普及啓発に努めてまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) オリンピック・パラリンピック招致に係ります二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、開催都市決定に至るまでの都民の支持獲得についてでございます。
 これまでも、都民、国民から幅広い支持を得るために、例えば鉄道機関の協力による駅構内や車内でのポスターの掲出など、精力的なPR活動に取り組んでまいりました。また、ロンドン・オリンピックでの日本選手団の活躍等もありまして、ことし一月に招致委員会が行った調査では、七三%の支持率を得ました。
 今後は、評価委員会の来日に合わせた競技会場や街路灯へのフラッグ等の掲出による効果的な雰囲気の創出や、開催都市決定前の節目及び決定当日におけるイベントの開催、さらには、地域や大学、企業などと連携した盛り上げを実施してまいります。
 今後も、招致をかち取るまであらゆる機会をとらえて、都民の招致機運の盛り上げを図ってまいります。
 次に、二〇二〇年大会を魅力的なものにする取り組みについてでございます。
 東京は、世界で最も先進的で安全であるとともに、伝統と現代性が融合した、たぐいまれな都市でございます。こうした強みを持つ東京の中心で開催する二〇二〇年大会は、スポーツに加えて、文化やエンターテインメントの要素を盛り込み、都市の隅々に至るまで大会の雰囲気を共有できるダイナミックな祭典といたします。
 具体的には、都内の複数の公園に大型スクリーンを設け、観戦チケットを持たない人も大会の雰囲気を楽しめるライブサイトを設置し、競技の中継に加え、音楽イベントや演劇も開催することで、すべての人に感動を共有できるようにいたします。競技会場と最寄り駅との間には、彫刻や音楽、ストリートパフォーマンスなどによって、会場までの道のりを盛り上げるファントレイルを設置いたします。
 このように、開催期間中は都市全体が一体となり、東京に集うだれもが大会の雰囲気を楽しめる祭典としていくように考えております。

〇議長(中村明彦君) 六十六番三宅正彦君
   〔六十六番三宅正彦君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇六十六番(三宅正彦君) 初めに、再生可能エネルギーについて伺います。
 島しょ地域においては、今後再生可能エネルギーの導入を促進すべきと考えますが、知事が施政方針演説で述べられたとおり、島しょを含めた地域振興という都政の命題の中に、東京が進める電力制度改革をビルトインするという新しい発想が重要です。
 「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラムでは、自然に恵まれた島しょ地域において、地熱、太陽光、風力などの活用を図ることとされ、その中で、先行的に八丈島における地熱発電の大幅拡大プロジェクトの検討が開始されることとなりました。
 このプロジェクトは、現在の地熱発電所が更新時期を迎える機会をとらえ、その規模を三倍に拡大するとともに、出力調整用に揚水発電を導入することで、島の電力の九割近くを賄えるようにするという画期的なものです。
 地元からは、島のイメージアップにつながるなど期待の声が上がる一方、地熱発電所から発生する臭気への不安の声も聞こえます。都は、このような地元の声にも真摯に耳を傾け、理解を得るため丁寧に説明していく必要があると考えます。
 八丈島以外では、知事は三宅島の太陽光発電に言及されていますが、既に御蔵島で公共施設へ太陽光発電が設置され、また、神津島で波力発電の実証実験が進められるなど、各島独自の取り組みも出始めています。都は、このような動きを踏まえ、各島の特性に応じた再生可能エネルギーの導入を検討すべきと考えます。
 八丈島のプロジェクトは、電力エネルギー改革の一環として、また、島しょ部全体における先行的なモデル事業として位置づけられていますが、改めてその意義について知事に所見を伺います。
 次に、小笠原振興について伺います。
 小笠原諸島は、我が国に返還されてことしで四十五周年を迎える節目の年となります。この間、特別措置法のもと、復興、振興開発が進められ、住宅、道路、水道などの生活基盤が重点的に整備されてきました。
 しかしながら、交通アクセスの改善や医療、福祉サービスの確保など、残された課題に加え、東日本大震災を教訓とした新たな防災対策や返還後に整備された既存施設の更新といった新たな課題も山積しています。
 一方、小笠原諸島は、領域の保全や海洋資源の確保など国益に重要な役割を担っています。
 こうした中、島民が安心して住み続けるために必要な生活環境の整備や産業振興の根拠法である小笠原諸島振興開発特別措置法が、平成二十五年度末で期限を迎えることとなりました。ついては、国に対し、その改正、延長を強く働きかけていく必要があります。
 この特別措置法の中でも、交通の確保等についての配慮がうたわれており、本土への交通アクセス改善は、小笠原にとって最重要課題です。特に航空路開設は島民の長年の悲願であり、開設に向けた取り組みを着実に進めていく必要があります。
 また、航路についても、世界自然遺産登録後、観光客が増加する中、現「おがさわら丸」の狭隘化が指摘され、小笠原村からも船の更新に対する要望書が提出されており、村民生活の安定と産業振興を進める上で、早期に新たな船を建造する必要があります。
 そこで、現在の小笠原諸島の交通アクセス改善に向けた都の取り組みについて伺います。
 次に、離島振興について伺います。
 知事は施政方針において、島しょ地域の振興に力を尽くすと発言されました。大変心強い言葉であり、島民を代表して大いに期待しています。
 昨年、離島振興法が改正され、法期限が平成二十五年度から十年間延長になりました。また、今回の改正では、離島で特に問題となっている人口の大幅な減少に対応するため、定住促進が法の目的として明記されました。
 こうした中、都は改正された離島振興法に基づき、東京都離島振興計画の策定を進め、今般、その素案を公表しました。今回、まずは各島が住民意見を反映して島別振興計画案を作成し、これを踏まえて策定したものと聞いており、より島の実情に合った計画として、島民も大きな期待を寄せています。
 しかしながら、最も重要なのは計画を策定することではなく、本計画をいかにして具体的な施策に結びつけていくのかにあります。今後、島の抱える多くの課題を解決し、持続的発展を進めていくため、都はどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 また、基本理念に掲げられた定住促進を進めるには、食料や医薬品など生活必需品の安定的な確保や島の産品の円滑な流通を可能にする交通アクセスの改善が必要不可欠ですが、冬季を初めとしていまだ欠航が多いのが実態です。さらに持続的発展をするためには産業の振興が必要であり、その大きな柱の一つに漁業がありますが、島では漁船を安全に係船できる岸壁がまだまだ不足しています。
 島民の暮らしを安定させ、自立を後押しするためには、定期船の安定的な就航の確保や産業振興に不可欠な港湾漁港の施設整備が重要と考えますが、所見を伺います。
 さらに、島しょ地域は、多摩山間部と同様に急峻な地形のため、道路が限られており、一たび落石や斜面崩壊などが発生すると、島内交通に甚大な影響を来すことになります。都道は、住民の生活や産業経済活動を支える極めて重要な都市基盤であることから、日ごろから備えを確実に行うとともに、状況に応じた対策を計画的に実施すべきです。
 こうした観点から、道路の安全・安心の確保に寄与する道路災害防除事業を積極的に推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、島しょ地域は、火山噴火や地震、台風、集中豪雨に襲われるなど、厳しい自然条件のもとにあり、特に火山の噴火はいつどこで起きるか予測が困難です。私の地元、大島の三原山では、これまで定期的に噴火を繰り返していることから、不安を常に抱えています。
 このような中、今年度末には、溶岩流から野増地区の住民を守る都の大宮沢溶岩導流堤が完成するとのことであり、安全・安心の向上に寄与できるものと思います。
 一方で、津波対策については、昨年、内閣府や東京都から発表された巨大地震による新たな津波想定によると、伊豆・小笠原諸島には今までの予想をはるかに超える巨大津波の発生が想定されており、港の周辺に集落が広がっているところでは、巨大津波が襲った場合の被害は甚大なものとなります。住民が安心して働き、暮らせるようになることが大切であり、このことが離島の定住促進にもつながると考えます。
 そこで、伊豆・小笠原諸島の港湾や漁港における津波対策について伺います。
 次に、観光振興について伺います。
 観光は、人々の心を豊かにするだけではなく、新たに消費活動を創出し、地域の経済を活性化させます。東京の島々は数多くの観光資源が存在し、観光によって地域を活性化させる可能性を秘めています。
 こうした中、近年、各島の取り組みとして民間事業者と連携した女性限定の体験型島ガールツアーや、お台場で若い人たちに新島のくさやの味を堪能してもらうイベントなど、それぞれの島がその独自性を発揮した取り組みを行っていますが、このような各島の特色を生かした取り組みへの都の支援の状況について伺います。
 また、これらの魅力ある取り組みは、旅行者誘致に欠くことのできない存在ですが、それでも各島単独での取り組みには限界があります。昨年の予算特別委員会において、私は島同士の連携による認知度の向上を提起しました。各島独自の取り組みに加え、東京の島全体として、より強力に連携しアピールすることで、さらなる集客やリピーターの確保につなげていくことができると考えます。
 そこで、島しょ地域の観光連携に対する都の今後の取り組みについて伺います。
 さきの代表質問において、我が党の野島幹事長から農業振興について質問を行い、都からも、多摩・島しょ地域の農地の利活用について積極的な答弁をいただきましたが、改めて島しょの農業振興の観点から、二点ほど質問いたします。
 まず、担い手の育成について伺います。
 島の農業が元気になるためには、担い手の育成が重要であり、それぞれの島でも町村などが主体となって、農地のあっせんや栽培施設の確保など、農業を始める際の支援に努めています。しかし、区部や多摩に比べて農業者の高齢化が進んでいる島では、新たな担い手の育成が喫緊の課題であり、農業を始める方々を大切に育てていくための支援が不可欠です。
 例えば八丈町では、平成二十年度に農業研修センターを開設しており、地元の農業者の皆さんを初め、都の協力も得て、研修生に栽培技術を身につけてもらうよう努めています。
 私は、このような取り組みをもっとほかにも広げていくことが重要だと考えていますが、今後、都は担い手の育成にどのように取り組むのか、伺います。
 また、農地を借りて経営規模を拡大したいという意欲ある農業者もおられます。一方、最近では、農作物が植えつけられていない遊休農地があり、こうした農地を島の農業の活性化のためにも何とか活用できないものかと思っています。
 都では、農地を再生する取り組みへの支援を進めていますが、規模を拡大したい農業者の声もまだまだあると聞いております。
 そこで、今後、都は島の遊休農地の解消に向けてどのように取り組むのか伺いまして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 三宅正彦議員の一般質問にお答えします。
 八丈島における地熱発電の大幅拡大の意義についてでありますが、震災後間もない一昨年の七月に、今後のエネルギー政策を考えるために、八丈島の地熱発電所を自分の目で確かめました。そのポテンシャルの大きさを実感したところであります。
 今回のプロジェクトは、このポテンシャル豊かな地熱発電を最大限活用し、電源を東京電力のみに頼らず多角化できるという点で、電力エネルギー改革の一環として位置づけられたものであります。
 また、この取り組みは、今後の我が国では拡大が期待される再生可能エネルギーである地熱発電によって、島という一つのエリア全体をほぼ賄い、電力の地産地消を図るという先駆的な取り組みであります。既に、八丈町を初め地元関係者や東京電力、専門家をメンバーとした検討委員会を立ち上げています。
 具体化に当たっては、最新の地熱発電の方式を用いて、おっしゃられたような臭気対策を確実に行い、住民の不安を解消するとともに、観光資源ともなる、そういうメリットもアピールしながら、地元の理解を得ていくつもりであります。
 この取り組みをリーディングプロジェクトとして進め、さらに各島におけるポテンシャルの調査を行い、島しょ地域全体における再生可能エネルギーの導入を促進したいと思っています。
 なお、その他の質問については、都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 道路災害防除事業についてでございますが、島しょ地域や多摩山間部の都道は、地域の生活や産業経済を支えるとともに、災害時には避難、救援活動の生命線ともなる極めて重要な社会基盤でございます。
 このため、都では、斜面の崩落や落石などによる通行への影響を未然に防止するため、日常的な巡回点検に加え、専門技術者により、斜面の安定度を評価する五年に一度の定期点検、大雨などの際に行う異常時点検などにより、斜面の状況を的確に把握いたしまして、緊急度の高い箇所から計画的に対策を実施しております。
 本年一月には、この道路災害防除事業をアクションプログラム二〇一三に位置づけ、経年劣化が進んだモルタル吹きつけ斜面の対策に加え、擁壁や落石防護さくの設置など多様な対策を、現道の拡幅や代替ルート整備とあわせて効果的に推進し、総合的に道路の防災性を高めていくことといたしました。
 平成二十五年度には、島しょ地域において、大島の下地波浮港線など八路線、十七カ所で、多摩山間部におきましては、国道四一一号など十路線、三十二カ所で対策工事を実施いたします。
 引き続き、道路災害防除事業を全力で推進し、地域の生命線である都道の安全・安心を確保してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、小笠原諸島の交通アクセス改善についてでありますが、小笠原へのアクセス改善は、島民生活の安定と産業の振興を図る上で極めて重要でございます。都は航空路について、平成二十年に小笠原航空路協議会を設置し、検討を行ってまいりましたが、自然環境への影響を初め、費用対効果、運航採算性などさまざまな課題があることから、引き続き慎重に課題整理を進めてまいります。
 一方、航路につきましては「おがさわら丸」の経年劣化に加え、世界自然遺産登録に伴う観光客の増加やニーズに対応するため、東京都離島航路地域協議会に新たに部会を設置し、小笠原航路の改善と次代の定期船のあり方について検討を開始いたしました。
 来年度は、現在の航路の課題のほか、効率性や採算性の高い運航形態などについて調査委託を行う予定であり、引き続き部会を通じて、小笠原村や運航事業者などと検討を進め、早期の具体化を図ってまいります。
 次いで、離島振興についてでありますが、都はこれまで、島しょ地域の自立的発展に向け、港湾施設や道路などインフラ整備や、離島の地域資源を生かした産業振興などに取り組んでまいりました。しかし、人口減少や基幹産業の低迷に歯どめがかからず、東日本大震災を教訓とした防災対策などの課題も生じており、その解決のため、今後十年間の振興の方向性を示した新たな離島振興計画を策定することといたしました。
 先般公表いたしました素案では、今後の離島振興策として、農漁業の強化や新たな視点の観光振興、津波避難施設の整備、再生可能エネルギーの活用、島づくりのリーダー育成などについて重点的に推進することを掲げております。
 計画策定後は、全庁一丸となった体制のもと、事業主体の町村と連携して進行管理やフォローアップを行うことにより、計画の実効性を確保し、島しょ地域の定住促進と持続的発展に向けた振興策を確実に推進してまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、伊豆諸島における港湾漁港の整備についてでありますが、伊豆諸島は、我が国でも特に厳しい気象海象条件にあり、これまでも港の整備を着実に進めてきましたが、全国の離島に比べて就航率はいまだ低い水準にあります。また、漁港でも、荒天時には港内の波浪が大きく、漁船が他港に避難を余儀なくされているのが現状でございます。
 島しょの港は、島の方々の生活を支え、島の自立的発展、活性化に不可欠な役割を担う重要な拠点でございます。そのため、定期船や漁船が安全に利用できるよう、岸壁の整備を推進するとともに、港内の静穏度を向上させるための防波堤の整備を進めてまいります。
 今後とも、港湾や漁港施設の整備に全力で取り組み、島の産業の活性化や生活における安全・安心、利便性の向上に寄与してまいります。
 次に、伊豆・小笠原諸島の港湾漁港における津波対策についてでありますが、比較的発生頻度が高いレベル一津波と、最大クラスのレベル二津波を想定し、対策を進めることといたしております。
 レベル一津波に対しては、港背後の集落等への浸水を防護するため、海岸保全施設等を整備するとともに、津波の襲来を受けても損傷しない強度を備えた港湾や漁港施設の整備を進めてまいります。
 また、レベル二津波に対しては、避難を前提に、津波到達までの時間が短い港に避難施設を設置いたします。あわせて、津波軽減効果が期待できる防波堤を粘り強い構造に改良し、施設の被害の最小化に努めてまいります。
 こうした考え方に立って整備計画を策定し、今後とも、津波に備える港湾や漁港施設の建設、改良を進め、安心して働き、活動できる港づくりに取り組んでまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、島しょ地域の観光振興についてでございますが、都は、各島が特徴ある資源を生かし、主体的に取り組む観光振興事業への支援を行っております。
 今年度の代表的な取り組みとして、新島では、独特の景観を持つ抗火石の採石場跡地を新たに散策ルートに加え、ほかの島々を一望できる展望台を整備しています。また、三宅島では、溶岩が一面に広がるエリアを散策するための遊歩道の設置を行っております。さらに神津島では、アドバイザー派遣事業を活用し、海の魅力に手軽に触れられるよう、水中の地形や観察できる生物等を紹介する新たなマップの作成を進めております。
 今後も、島しょ地域の観光振興に向け、それぞれの島がその特徴を最大限発揮できるよう、ハードとソフトの両面からきめ細かな支援を効果的に行ってまいります。
 次に、島しょ地域の観光連携についてでございます。
 島しょ地域のさらなる観光振興のためには、各島独自の取り組みに加え、自然観察やマリンスポーツ、食などをテーマに、島同士が連携し、東京の島を一体としてその魅力を広く発信することが効果的です。そのため、都は新年度から、それぞれの島が参加する新たな協議会の設立を支援し、連携した観光振興の取り組みについて検討を開始いたします。また、各島が共同して行う研修など、観光振興を支える人材を育成する体制を強化してまいります。
 さらに、多くの観光客が島の情報を容易に収集できるよう、島の魅力を総合的に紹介するポータルサイトの整備を支援いたします。このサイトでは、宿泊予約サイトと連携するなどの工夫を行い、効果的な情報発信を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、島しょ地域の観光振興を着実に展開してまいります。
 次に、島しょ地域の農業の担い手育成についてでございます。
 都はこれまで、島の環境に合った栽培技術の習得を目的に、町村が研修を行う際、ハード、ソフトの両面から支援を行ってまいりました。八丈町による研修施設の整備に対して補助を行うとともに、講習会において都の普及指導員が実践的な技術指導などの支援を行い、新たに二名の方が営農を開始いたしました。また、神津島村においても、新年度から研修を開始することから、今年度、都は研修施設の整備に助成するとともに、研修カリキュラム策定への助言を行っています。
 今後とも、こうした支援により、島しょ地域における担い手育成を着実に進めてまいります。
 最後に、島しょ地域の遊休農地の解消についてでございます。
 都は、これまでも農業への新規参入者や耕作面積の拡大を図る農業者のために、遊休農地の再生を支援してまいりました。その結果、四年間で約十三ヘクタールの遊休農地を解消し、島の特産品であるアシタバやフェニックスロベレニーなどの生産に寄与しています。
 しかし、いまだ遊休化した農地が多数残っている一方で、耕作面積の拡大を望む農業者も多いことから、都は新年度、支援の規模を拡大し、遊休農地の再生のスピードをさらに高めて、その利活用を促進することといたしました。
 今後とも、遊休農地の解消に一層取り組み、島しょ地域の農業の活性化に努めてまいります。

〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十二分休憩

   午後五時四十分開議

〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十一番笹本ひさし君
   〔五十一番笹本ひさし君登壇〕

〇五十一番(笹本ひさし君) 初めに、知事の国家観、領土に対する考え、安全保障を踏まえ、東京における米軍基地との関係など、知事の政治姿勢についてお伺いをいたします。
 昨年、東京都が尖閣諸島を購入しようとしたことで、多くの方から寄附金が寄せられました。国家、領土を守ろうという多くの方々の思いを感じました。
 さて、ここで知事にお伺いしたいのは、国を守るということを強く意識した国家観、海洋国家である日本、そして東京が領土に対してとるべき態度と考え、日米同盟、安全保障を踏まえて米軍基地への考えについてです。
 強気な国家の姿勢というのは、軍事力の誇示や声高な姿勢ではないはずです。いかなる政権であろうが、周辺諸国が日本の発言に対し、耳を傾け認められる態度をとることでしょう。
 軍事アナリストの小川和久氏は、講演の中で、海に守られ島国で生きてきた日本は、アメリカに占領されるまで危機に遭遇した経験がなく、危機に対するセンスを備える機会を持ち得なかったといいます。外交、安全保障、危機管理が得意とはいえないのに、日本でしか通用し得ない論理をいい続けては日本は滅びてしまう。領土問題を対処してこそ一人前の国家と述べております。
 都内には横田基地を初めとする八カ所の米軍基地及び施設があり、米軍専用施設の面積は一千三百二十ヘクタール、味の素スタジアム三百七個の広さに相当し、日本の米軍基地の四・三%に相当します。国家を防衛する尺度は軍事力にいいかえられますが、小川氏によれば、日本の安全と平和の実現には自衛隊と日米同盟の二つが柱となって実現ができるとし、日米同盟の理解こそが肝要と述べております。
 アメリカは、インド洋のすべて、太平洋の三分の二の海と沿岸で活動する米軍を日本列島の基地が支え、自衛隊との役割分担ができています。このような戦略的根拠地としてアメリカを支えることができるのは日本以外存在し得ません。経済や資金などの国力が充実した国家でしか不可能です。かりそめにも安全保障をやめてしまうと、アメリカは地球の半分の八〇%の軍事力を下支えする能力を失うことになり、現実的ではありません。ロシア、中国、韓国、インドがアメリカの意向に一目置く根拠ともいえるでしょう。アメリカが日本を戦略的根拠地として軍事力を配備、展開していることを周辺国は理解していないわけはありません。
 以上を踏まえ、三点についての質問です。
 一つ目は、日本が平和的な国際関係を保ちながら国を守るということを意識した国家観、二つ目は、海洋都市である東京が領土に対してとるべき態度と考え、三つ目は、日米同盟、安全保障を踏まえて、東京に所在する米軍基地に対する知事の基本的な姿勢について見解を伺います。
 二つ目は、作家でもある知事は、日本の未来を切り開くかぎは言葉の力と明言をされます。私に言葉の力が備わっているかはともかく、読書によって言葉の力を養うことにつながるという言葉をかみしめ、知事の著作「東京レクイエム」を拝読し、質問をさせていただきます。
 私は、個人的には、三島由紀夫伝の官僚機構の歴史や、現実などに深く切り込んだ、近代日本の挫折である原敬暗殺についても書かれた「ペルソナ」に聞きどころがあるのですが、今回はまちづくり、都市計画の点から質問いたします。
 「東京レクイエム」より抜粋、引用をご紹介します。多分一番早く未来にたどり着くのは、ニューヨークやパリやロンドンではなく東京かもしれない。欧米の都市は余りに正しいプロセスを踏み過ぎている。初めに過去があり、さらに未来が展望されているように。東京にはそうした時間軸が希薄である。都市計画のない大都会では、進むこと戻ることは瞬時に入れかえができるといわれています。
 さらに、東京になぜか都市計画が育たないかということの回答は困難だとし、政策もまた文化の反映なのだから、一筋縄ではいかないといっています。欧米の都市に共通しているのは、王の権力集中が結果的な都市づくりの基礎を提供してきたとしています。
 そこでお伺いするのは、東京の無秩序を秩序ある都市へと変貌させていくのは、都市計画を着実なものとして実行、育てることとしています。政策は、文化の繁栄とは近代民主主義の理念にも符合するでしょう。
 日ごろから迅速な政策の具体化を標榜される知事ですが、一方、都市計画の具体化には膨大な時間がかかります。これに関して知事の所見を伺います。
 次に、児童相談所の事務移譲、移管について伺います。
 知事は、施政方針の中で、東京を世界一の都市に押し上げる政策展開で、雇用就業支援において施策の効果を最大限に発揮するためには、一体となった展開が不可欠と明言されました。そのために、国のハローワークの持つ職業紹介機能の移管に向け戦略的に取り組むとも宣言をされています。
 二〇一〇年、江戸川区では小学校一年生の児童が両親からの暴行による虐待死亡事件が起きました。小学校、子ども家庭支援センター、児童相談所、相互の連携不足が原因による事件として報告されました。
 児童相談所は、都区のあり方検討委員会では移管の方向性が一致したが、事件をきっかけに区長会から、連携不足などあってはならない事故が発生したとして、早急に区に移管して体制を整えるべきとし、先行移管を都に提案、要望をしました。
 児童相談行政のあり方については、それを担う都と区が協力し、都区間や体制などについて幅広く検討すべき課題となりました。このため、都区のあり方検討委員会とは切り離れて別途整理されていくことが確認され、六回の部会と二回の検討会により議論が重ねられ、現状確認や問題意識の共有などが図られてきたといいます。
 第三十次地方制度調査会専門小委員会では、大都市制度のあり方について、児童相談所については区の意向に沿った考えが示されました。事務移譲、移管については、調査会が都から区に移譲すべき事務として児童相談所などを示し、専門職確保などの観点から、小規模区の間で連携をするなど工夫して移譲が考えられるとの意見が示されました。区長会側も、特別区という制度のもとでスムーズな意思決定が可能となると調査会の案を歓迎しました。
 複雑で深刻化する環境を専門的、広域的に対応できる環境整備を進めることは区市町村には不可欠と思いますが、子どもを取り巻く環境が緊迫していたり命の危険にさらされるような深刻な事案が存在する以上、スピード感のある都政改革が望まれています。
 ハローワークにおいては、都は、一体となった雇用政策を実現のために、国の持つ機能の移管に戦略的に取り組むということですが、児童相談所の行政機能と子ども家庭支援センターの機能など、仕事の流れの一体化は迅速な政策効果の発揮に寄与すると思います。児童相談所の特別区への事務移管、移譲について見解を伺います。
 次に、木密地域不燃化特区制度についてお伺いします。
 知事は予算案発表時に、不燃化特区五十カ所ということ自体が本格的にやるというメッセージと述べ、また施政方針においても、スピード感ある解消は急務としました。首都直下地震の発生確率がいわれる今、木密地域不燃化特区十年プロジェクトの着実な実行は防災対策の最優先と思います。先行実施地区に選定された十一区の十二地区では、事業化開始に向けて都区が一体となった整備プログラムが進められ、今後も都区の連携は事業の成否にかかわってくると思います。
 江戸川区の先行実施地区、南小岩七丁目、八丁目周辺地区は、JR小岩駅再開発事業をコア事業として不燃化対策を推進されています。また、境界線となる千葉街道と柴又街道が特定整備路線に指定されており、不燃化特区との相乗効果で木密地域の整備が加速されることに期待をします。
 先行実施地区の要項の見直しに当たっては、地元区からの意見が出されたと仄聞します。都区の連携、コミュニケーションに事業の成否がかかってきます。
 そこで、今後の不燃化特区を拡大させていくために、区の要望等も踏まえて取り組みやすい制度にしていくことが必要だと思いますが、都の見解をお伺いします。
 次に、京成本線高砂駅から江戸川駅間の連続立体交差の事業化についてお伺いします。
 都が施行する連続立体交差事業は現在八区間で事業中であり、間もなく事業に着手予定の準備中の区間が三区間ありますが、事業区間のうち、多くは今後数年間で事業完了の見込みとなっております。
 事業中の八区間には、京成押上線の押上駅から八広駅間と四ツ木駅から青砥駅の二区間も含まれていますが、それぞれの区間については、既に高架化に着手した区間や事業に必要な用地取得を進めている区間があります。
 一方、京成本線高砂駅から京成小岩─江戸川駅間については、平成二十年度の事業候補区間の一つに位置づけられ、東京都では平成二十一年度から二十三年度までの三カ年にわたり、国庫補助を受けながら連続立体交差事業に向けた調査が実施をされました。
 周辺まちづくりにおいても、十年以上にわたって調査検討を進め、機運を醸成するなど、一体となった取り組みを展開してまいりました。
 あわせて、事業化に当たって最大の課題とされてきました高砂車庫の移転については、平成二十二年度に、移転先や移転規模などについて、葛飾区、京成電鉄の関係者間でより現実的に検討がなされていると聞きます。
 財源の見通しができれば高砂車庫の移転の問題は前に進めると考えます。京成小岩駅周辺まちづくり協議会では、平成二十三年度にまちづくり構想を策定するまでに至っています。
 東京都として、京成本線高砂駅から江戸川駅間の連続立体交差化の事業化について、今後の展開及び事業化への課題についてお伺いします。
 次に、東部低地帯における水害、高潮対策について伺います。
 東部低地帯には人口約三百万人が、そのうち満潮面以下であるゼロメーター地帯には半数の約百五十万人が生活しています。この地域は、万が一の高潮や河川の増水、地震による護岸堤防の決壊などで甚大な被害が予想されます。
 また、近い将来の脅威として、東京湾北部断層に由来する直下型地震の際の津波、高潮は大きな脅威です。
 都では早くから、堤防、水門整備を進め、東日本大震災を踏まえ整備計画も策定しました。
 そこで、東部低地帯における河川高潮対策並びに地震津波対策について、現状と今後の取り組みについて伺います。
 最後に、都立篠崎公園の整備方針について伺います。
 東京都は、篠崎公園を盛り土により高台化し、防災拠点としての整備を進めることを発表しました。今後、防災面についての整備計画はどのようになっているのか、見解をお伺いします。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 笹本ひさし議員の一般質問にお答えします。
 国防や領土に関する認識についてでありますが、日本にとって良好な国際関係の中で平和と独立を維持することが国家存立の基本であることは自明の理であります。アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中、日米安保体制は我が国の安全とともに地域の平和と安定にとって不可欠なものであり、在日米軍基地はその一翼を担うものと認識しています。
 一方、防衛上の必要性や地域への影響の観点から、基地の整理、縮小、返還も絶えず検討されるべきであって、こうした認識のもとで、東京都では、多摩地域にある米軍のゴルフ場やキャンプ施設などについては速やかに返還を求めています。
 また、横田基地については、地域の発展に資する軍民共用化を推進するとともに、これは大事なんですが、航空主権の観点から、米軍が管理する広大な横田空域は速やかに返還されるべきものと考えています。
 航空主権というものは日本に与えないというのがアメリカの占領政策でありまして、日本に飛行機を持たせたら怖いという、そういう感覚があるんですね。ですから、航空主権を制限してきて、実際にかなり、日本の空域は米軍からまだ返還されていません。
 YS11、昔ありましたが、あれは結局アメリカにやめさせられたような側面もあります。ボーイング787、今回新しい飛行機ができましたが、部品はかなり、ほとんどが日本であっても、とにかくその飛行機そのものは日本のものではない、全体はアメリカのものであるというふうな考え方で、日本に航空主権を全面的に渡さないというのがアメリカの占領政策の延長だというところは、これは非常に重要な考え方として僕は持っています。
 ここはこれから大事な、横田空域の返還をさらに求めていきますけれども、国がちゃんと独立しているということを証明する必要があるためにも、航空主権は取り戻すべきだと、こういうふうに思っています。
 最後に、領土、領海についてでありますが、東京都の島しょ地域は日本の排他的経済水域の約四割を占めており、我が国の海洋権益を守る上でも重要な役割を果たしています。
 漁業を初め、島しょ地域の振興を図ることは、国益の維持、領土の保全にも資するものと認識しています。
 次に、東京の都市づくりについてでありますが、ヨーロッパの諸都市においては、王の権力の集中によって、絶対王政ができることによって結果的に計画的な都市づくりの基礎が提供されている。翻って東京はどうかといえば、都市の急膨張に私鉄のビジネスモデルが合致して、鉄道沿線に巨大な都市ができていくという、そういう形での近代都市が形成されたわけです。
 東京を、そういう意味では独自の、無秩序といえば無秩序、独自の秩序であるといえば独自の秩序でありますが、そういう、東京には、ある意味ではいろんなものをそしゃくして飲み込む能力は、ヨーロッパの都市よりも東京の方が深い力があるというふうに思っています。
 ヨーロッパの都市は、基本的には左右均衡、人工的、芝は刈り込むと、こういう形で自然を制御する。日本の庭園を見ればわかるけれども、日本の庭園は、ある意味では左右均衡ではなくて、あえてアンバランスにしている。これは日本文化ですから、ヨーロッパ近代文化と日本の都市の発達というのは、微妙に重なり合いながら、東京という独自な、世界でもまれな、そういう大都会が生まれたと、そういう認識であります。
 それで、そういうためには──自由度は非常に高いわけです。ただ、自由度の高いところで都市計画を定めるにはいろんな問題もあるけれども、だから民間の資金やアイデアを生かして、これから迅速に市街地の更新を図っていかなければいけない。のみ込む力はすごくありますね。
 また、道路や公園など事業の優先度を定めて、効率的かつ効果的な整備を進めていきます。
 今後も時代の文化を反映させながら、成熟都市です、成熟都市にふさわしい東京モデルをつくって、世界独自であり世界一である輝く都市、それをこれから目指していきたい。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックも、そこにきちんと照準を当ててやっていきたい、こう思っております。
 その他の質問については、東京都技監及び関係局長に答弁させます。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、京成本線高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化についてでございますが、本区間は都市計画道路が三カ所で交差し、踏切十カ所のうち、あかずの踏切が二カ所あるなど、鉄道立体化の可能性を検討する必要があると認識しております。
 都はこれまで、事業範囲や構造形式などを調査し、検討を進めてまいりましたが、本区間には、京成高砂駅に隣接する車両基地の取り扱いなど、解決に時間を要する課題がございます。
 そのため、現在、地元区が中心となり、周辺まちづくりの中で車両基地を移転し、機能確保する案を検討しております。
 今後とも、地元区や鉄道事業者と連携し、課題解決の状況などを踏まえ、検討を進めてまいります。
 次に、河川における高潮や津波への対策についてでございますが、東部低地帯において都民の命と暮らしを守るには、高潮に対する備えに加えて、堤防、水門などの耐震対策を進めていくことが重要でございます。
 都はこれまで、高潮対策につきましては、国内で過去最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風を想定し、これに対応できる堤防や水門の整備をほぼ完了しており、この整備により、東京都防災会議が想定した最大津波高を上回る高さを確保しております。
 耐震対策につきましては、既存堤防の補強を初め幅広い取り組みを進めてまいりましたが、最大級の地震が発生した場合には、一部の堤防などにおいて部分的な損傷の可能性があることから、新たな耐震対策が必要となります。
 引き続き、高潮対策を進めるとともに、昨年十二月に策定しました地震、津波に対する整備計画に基づき、積極的に耐震対策の推進を図ってまいります。
 最後に、都立篠崎公園の防災に関する整備計画でございますが、篠崎公園は計画面積約八十六・八ヘクタールの広域的な利用を図るべき公園であり、平成二十四年現在、約三十・三ヘクタールが開園しております。
 整備計画では、川の手の広域レクリエーション拠点と憩いの森の創出や防災拠点の整備などを方針としていまして、スポーツや憩いの拠点となる広場の創出を図るとともに、災害時の救出救助活動の拠点など、防災機能向上に資する整備を行うこととしております。
 さらに、震災時のみならず水害時にも対応できるよう、広場の高台化と避難動線の確保を図り、国が進める江戸川の高規格堤防へ避難者を誘導することとしております。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 児童相談所の特別区への事務移譲についてでありますが、児童相談所は、虐待や非行など困難ケースに対応できる専門性と、施設への入所調整など広域的な対応が不可欠であり、家庭復帰までの一貫した対応が求められます。
 現在の特別区は、人口約五万人の区から八十万人を超える区までさまざまでありますが、仮にすべての区へ事務移譲するとなれば、児童福祉司や児童心理司を初め、保健師、医師、弁護士といった専門人材をそれぞれの区で確保する必要があります。
 また、都内外の児童養護施設等への入所調整に当たっては、新たに、特別区相互、あるいは引き続き市町村部を担うことになる都と特別区との間で連携協力が必要となるなど多くの課題があります。
 なお、国の地方制度調査会では、児童相談所の移譲を検討すべきとする一方、特別区の区域の見直しについても検討することが必要と指摘されております。
 今後とも、児童虐待防止など子どもたちの健全な育成環境を実現していくという観点で、特別区と児童相談行政のあり方などについて幅広く議論をしてまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 不燃化特区制度についてでございますが、現在、十二の先行実施地区において、区とともに整備プログラムを作成しており、積極的に現場で取り組む区の後押しや、住民の建てかえ意欲が高まるような環境づくりに資する支援の実施を検討しております。
 今般公表した不燃化特区制度案では、区域の要件の緩和や都市計画事業以外もコア事業とするなど、区が取り組みやすい制度案としております。
 今後、制度内容の説明だけでなく、現場の実情に応じた制度の活用方法を提案するなど、区が応募しやすいように働きかけ、不燃化特区の拡大を図ってまいります。

〇議長(中村明彦君) 三番大場やすのぶ君
   〔三番大場やすのぶ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇三番(大場やすのぶ君) 初めに、都立公園の整備について質問します。
 都市における緑は、都民に安らぎやレクリエーションの場を提供するとともに、道路の緑と相まって風格ある都市景観を形成しています。
 また、昨今の集中豪雨の原因ともいわれるヒートアイランド現象を和らげ、都市環境の改善に寄与するとともに、野鳥や昆虫など多様な生物の生息場所となり、生物多様性の保全に資するなどさまざまな役割を果たします。
 このような観点から、都市における緑の核となるのは都立公園のような大規模な公園だと私は思います。
 さらに、都立公園のような大規模な公園は、震災時に地域住民の避難場所や、消防、自衛隊などによる救援、復興活動の拠点となるなど、重要な役割を果たします。このように、都市において重要な施設である都立公園の整備を推進していくべきと考えます。
 都は「二〇二〇年の東京」で、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを目標にし、都立公園の整備を進めています。
 しかし、その一方で、丘陵地や崖線などに残る貴重な樹林地、住宅地に残る屋敷林や農地などが開発により減少している現状も生じております。
 このような状況にある東京において、都立公園の整備による緑とオープンスペースの拡大はますます重要になっています。
 今後、どのように都立公園を整備しようとしているのか、伺います。
 私の地元、世田谷区には、都立祖師谷公園があります。昭和十八年に旧都市計画法の都市計画緑地、祖師ケ谷緑地として計画され、その後、祖師ケ谷公園として昭和三十二年に都市計画決定されていますが、整備率はまだ二割弱です。
 旧教育大学農場跡地を中心に都立公園として整備されたものですが、仙川を挟んで左岸にはテニスコートやゲートボール場などの運動施設が、右岸のなだらかな傾斜には大きな原っぱ広場や花見のできる広場があり、地域の皆様に親しまれる憩いの場になっております。
 祖師谷公園は、現在の公園区域をはるかに超える広大な計画があり、公園の完成までには長期間かかるのではないかという地域の皆さんの声もあります。
 また、公園計画区域の中にお住まいの方からは、道路などの整備状況も悪く、防災面での不安や、公園事業がどのように進むのか知りたいとの声も聞いています。
 そこで、都は、祖師谷公園の整備をさらに進めるべきと考えますが、祖師谷公園の整備状況と今後の整備について伺います。
 次に、障害者雇用について伺います。
 本年四月から、障害者の法定雇用率が二%へと引き上げられ、また、法定雇用率未達成の場合に不足する障害者数に応じて一人当たり月額五万円を納付しなければならない納付金制度の適用対象が、平成二十七年度からは従業員百人を超える企業にまで拡大されることが予定されております。
 このような中で、都内の民間企業において雇用されている障害者数、実雇用率とも過去最高となるなど、障害者雇用は着実に進んでいますが、従業員三百人未満の企業では実雇用率〇・九三%と、法定雇用率一・八%を大きく下回っております。
 中小企業は、身近な地域で自立した生活を求める障害者の雇用の受け皿として重要な役割を担っていますが、どんな仕事を任せたらよいのか、どう接したらいいのか、どんな支援が受けられるのか、どのように募集、採用したらいいのかなど、具体的な取り組み方がわからず悩んでいる企業も少なくないと考えます。
 このように、大企業に比べ中小企業では、雇い入れに際しての経験やノウハウがないことなど、取り組みが進んでいない原因と考えられます。制度改正が予定されている中、中小企業に対し、なお一層の障害者雇用に向けた支援が急務です。
 そこで、障害者雇用の経験や受け入れノウハウがない中小企業に対して、都はどのような支援を行っていくのか伺います。
 また、中小企業においては、障害者の雇用管理に関するノウハウも少ないことから、障害者を採用しても、結果として離職につながってしまうケースも少なくないと考えられますが、中小企業では職場定着のための支援体制を企業内で確保することは難しいのが実情です。また、経営基盤が脆弱な中小企業で障害者が長く働き続けられるようにするためには、負担軽減のための経済的なサポートも必要です。
 中小企業での障害者の職場定着を支援していくために、都としてどのように取り組むつもりなのか、見解を伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 東京の水道水は、かつて、においがありおいしくないといわれていた時代もありました。このため、平成四年度の金町浄水場を皮切りに、三郷、朝霞、三園、東村山といった利根川水系の浄水場に、順次、高度浄水処理の導入を進めてきました。
 この結果、東京の水道水は以前と比べてとてもおいしくなったと私自身も高く評価しております。
 この東京の水道水の品質とおいしさは、世界に誇れる技術力を示すものであり、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致においても、東京という都市の魅力を伝える一つのアピールポイントになるものと考えます。
 先日発表された東京水道経営プラン二〇一三では、平成二十五年度中に利根川水系の全量を高度浄水処理するとしており、このような施策は一刻も早く実現することが期待されます。
 そこで、具体的にいつから全量高度浄水処理になるのか伺います。
 また、高度浄水処理され、格段においしくなっている水道水ですが、水道局が毎年実施しているお客様満足度調査では、高度浄水を知っている人は、意外にも半数に達しておらず、この結果は驚きであるとともに、とても残念に思います。
 しかし、この調査の内容を見てみると、高度浄水を知らないと回答した人のうち、飲み水としての水質に満足している人の割合は約四割にとどまっているのに対し、高度浄水を知っている人では、この水質に満足している人の割合が約七割にまで高まります。つまり、高度浄水をよく知っている人ほど、飲み水としての水質に満足している割合が高い傾向にあるわけです。
 私は、二十四日の東京マラソンのフルに参加し、完走いたしました。ゴール地点では、水道局がブースを出して、水道水とミネラルウオーターとのおいしさを比較していただく飲み比べキャンペーンなど、さまざまなPRを行っていました。
 このように、多くの人々が集まる場所でPRを行うことは、水道水のおいしさをじかに実感してもらう非常に有効な取り組みだと思いました。より多くの方に水道水のおいしさを実感していただくためには、こうした飲み比べキャンペーンを初め、高度浄水についてのPRをさらに行うなど、東京の水道水をもっと知ってもらうための取り組みが必要なのではないでしょうか。
 そこで、高度浄水処理一〇〇%を機に、PRを積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、自転車の安全利用条例について伺います。
 自転車は、環境に優しく健康にもよい、手軽で身近な交通手段です。都民生活に欠かせない乗り物であり、特に、一昨年の東日本大震災以降は、通勤などでの都心への移動手段としても注目されるなど、都市において重要な役割を果たしています。
 一方、交通ルールを無視する自転車利用者の存在が社会問題になっており、私の地元、世田谷区でも、昨年、自転車に乗るときの心構えとして、区民の皆様の意見を聞きながら、区民自転車利用憲章を制定するなど、安全利用に向けた取り組みを進めています。憲章にもあるとおり、思いやりの精神と譲り合う心に基づき、ルールを学び、マナーを守り、ゆとりの心で自転車を利用することが大切ですが、こうした利用が社会に広まるようにするためには、社会全体での取り組みも欠かせません。子どもたちは家庭や学校で、通勤で自転車を使う人には職場でといったように、自転車に関する交通安全教育が広く行われるようにすべきと考えます。信号や一時停止を守るといった基本的なルールは心がけの問題ですが、大きな交差点の右折の方法や歩道を通行することができる例外の場合など、自転車のルールには複雑なところもあり、こうした内容を行政としてわかりやすく示すべきと考えます。
 都は、このたび、自転車安全利用条例を提案されました。まさに利用者の自覚と責任を促すものであり、条例をきっかけに都内全域で安全利用が進んでいくことが期待されますが、都はどのような取り組みを進めるのでしょうか。
 条例案には、都が自転車の安全利用の指針を作成することが明記されていますが、指針作成の目的や指針に盛り込む具体的な内容についてお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 大場やすのぶ議員の一般質問にお答えいたします。二点のご質問ですが、まず、都立公園の整備についてでございます。
 都立公園は、首都東京の魅力を高め、震災時には避難場所や救出救助活動の拠点になるなど、安全で快適な都民生活に欠くことのできない都市施設でございます。
 「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三におきましては、防災機能の充実などを図るため、都立公園の計画的、重点的な整備を行い、震災時のオープンスペースを確保することとしております。
 また、水と緑の豊かな都市空間を創出するため、石神井川沿いの東伏見公園、放射五号線内の玉川上水や神田川に接する高井戸公園などの整備を行いまして、二〇二〇年までに、日比谷公園約十個分に当たる百七十ヘクタールの都立公園を開園してまいります。
 次に、都立祖師谷公園の整備についてでございますが、祖師谷公園は、昭和三十二年に都市計画決定された面積約五十三・三ヘクタールの総合公園であり、平成二十四年度現在、約九・六ヘクタールを開園しております。
 祖師谷公園は避難場所として指定されるとともに、医療機関に近接しているヘリコプター活動拠点となっており、防災上重要な公園の一つでございます。都は、都市計画公園・緑地の整備方針におきまして、本公園に平成三十二年度までに事業に着手する優先整備区域を設定しており、住民の理解と協力を得ながら事業を進めてまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者雇用に向けた中小企業支援についてでございます。
 大企業に比べ、障害者の実雇用率が低迷している中小企業に対し、雇用促進に向けた支援を行っていくことは重要でございます。
 このため都では、障害者の雇用に当たっての留意点等をまとめたハンドブックを作成、配布するほか、中小企業の経営者や人事担当者に対し、好事例を紹介し、ノウハウを提供するためのセミナーを実施しています。
 また、障害者を雇用した経験のない中小企業等を対象として、支援制度の紹介や業務の選定についての助言、採用手続のサポートなど、個々の企業の実情に応じたきめ細かな支援を行うモデル事業を実施しております。
 さらに、中小企業と障害者のマッチングを支援するため、企業合同説明会も行っているところでございます。
 次に、中小企業での障害者の職場定着についてでございます。
 障害者が職場で働き続けるためには、企業現場の実情を十分に踏まえたきめ細かな支援が必要です。このため、東京ジョブコーチが企業に出向き、障害者の職場適応支援や職場環境に関する助言等を実施しております。
 また、障害者の雇い入れに対する国の助成金の支給終了後も、都は職場定着支援のため、二年間、独自の助成を行っております。
 法定雇用率を達成していない中小企業が多い現状に加え、今後、雇用率の引き上げや納付金制度の対象拡大といった制度改正が行われることから、新年度は、東京ジョブコーチを増員することに加え、本年度で終了予定でありました助成事業についても五年間延長して実施するなど、支援を拡充いたします。
 こうした施策により、中小企業での障害者の雇用促進と職場定着を支援してまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、利根川水系の全量が高度浄水処理になる時期についてであります。
 水道局では、平成四年から、利根川水系を水源とする五つの浄水場に高度浄水処理を順次導入してきております。
 平成二十五年度には、工事中の三つの浄水場の施設がようやく完成し、高度浄水処理一〇〇%は、金町浄水場の給水区域である区部東部地域は本年四月、都内全域では本年十月に実現いたします。
 次に、高度浄水処理の積極的なPRについてであります。
 今年度、PRの一環として実施した水道水とミネラルウオーターとの飲み比べでは、一万四千人を超す人々に参加していただき、四五%の方が水道水の方がおいしいと回答しており、おいしさを実感していただいております。高度浄水処理一〇〇%を機に、水道水のおいしさをさらに実感していただくよう、積極的なPRを実施してまいります。
 具体的には、水道水とミネラルウオーターとの飲み比べにつきましては、より多くの方に参加していただけるよう、実施箇所数をふやすなどにより、二万人以上を目標に行ってまいります。
 また、「水道ニュース」の発行回数を年四回から五回にふやし、毎号、高度浄水処理一〇〇%の記事をシリーズ化して一面に掲載してまいります。
 さらに、ホームページ、電車内で放映するトレインチャンネル、ツイッター、地域広報の充実、マスメディアへの積極的な情報提供など、あらゆる広報手法を活用し、PRに全力で取り組んでまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 自転車の安全利用の指針についてでございますが、自転車が安全に利用されるためには、まずは利用者の規範意識が求められます。また、家庭、学校、事業所等における安全教育などの取り組みも必要でございます。
 このため、都は、利用者が自転車を安全で適正に利用する上で身につけておくべきルールなどをわかりやすく示した安全利用の指針を作成するものでございます。
 具体的な内容といたしましては、道路交通法等に定められた交通ルールや交通事故に遭わないための乗車方法など、利用者が習得すべき知識、技能のほか、利用者の年齢等に応じた効果的な安全教育の方法なども盛り込みます。
 都といたしましては、指針を踏まえた教育が広く社会で行われ、利用者の規範意識が高まり、安全で適正な自転車利用が促進されるよう、必要な取り組みを進めてまいります。

〇副議長(ともとし春久君) 十七番栗林のり子さん
   〔十七番栗林のり子君登壇〕

〇十七番(栗林のり子君) 初めに、人と動物の共生社会について伺います。
 少子高齢社会において、動物を育てることは大変効用があるといわれています。子どもには命の大切さを学ぶ機会となり、ひとり暮らしの高齢者には、孤独感の解消や認知症防止にもつながるといわれています。
 都も、都立公園にドッグランを十年間で当初の予定を上回る十二カ所を整備し、課題とされていた飼い主のマナー向上にもつながってきているようです。
 また、都内三カ所の動物愛護相談センターでは、動物愛護精神と適正飼育の普及啓発、動物の保護と管理、健康危機管理等を柱とし、人と動物とが共生できる社会づくりを目指しています。
 昨年九月に動物の愛護及び管理に関する法律が改正され、動物取扱業の適正化や、飼い主の終生飼育の努力規定、行政が引き取り、収容した犬や猫の致死処分がなくなることを目標に、飼い主への返還や、新たな飼い主への譲渡に努めることなどが盛り込まれました。
 都は、犬や猫の致死処分数の減少には力を入れ、平成十八年六千九百五頭から、二十三年には二千五百七十三頭と、六年間で四千頭以上減少させています。しかしながら、現在、二千頭以上が致死処分されています。改正法でもうたわれている人と動物の共生社会の実現を目指す上で、致死処分の減少をさらに進めていくことは重要な課題であります。
 そこで、東京都における致死処分数の減少に向けたさらなる取り組みについて、都の見解を伺います。
 また、飼い主がどうしても飼うことができなくなった場合や、捨てられた動物などの譲渡先が見つかるまでの間、面倒を見てくれるシェルター機能のあるドイツのティアハイムのような施設が設置できるよう要望しておきます。
 次に、東京スマート保育について伺います。
 仕事と育児の両立を図ることを希望する方が急増する現在、早急な環境整備が求められています。
 都は、平成二十二年から二十六年までの五年間で保育サービス三万五千人増を計画し、待機児数は二年連続で減少したものの、依然として高い水準となっています。
 私の地元世田谷区では、昨年度、待機児が七百八十六人となったため、待機児解消に向け、昨年一年間で認可保育園六園、認証保育所七園など、九百人の定員増を図りました。しかし、いまだ待機児解消には至っていません。特に、ゼロ歳から二歳を対象とした保育サービスは量が絶対的に不足しています。
 都は新たに、ゼロ歳から二歳を対象とした小規模保育施設の整備を進める補助事業、東京スマート保育を創設するとしています。三歳からは園庭つきの認可保育園での保育を希望する方が多いとしても、ゼロ歳から二歳は、小規模で家庭的な保育を希望する方も多くいます。
 私は、平成二十一年第三回定例会の一般質問で、保育室など小規模保育の拡充を求めてきただけに、大いに期待するところです。
 しかしながら、国の小規模保育事業に先駆けて二年前倒しで実施するとのことですが、国制度の詳細が示されるのもこれからです。待機児を多く抱える区市からは、本事業に対する大きな期待と同時に、施設設備の基準や職員の配置基準等、制度設計の詳細がいまだ示されていないということから、不安も寄せられています。
 本事業が待機児解消として早急に取り組めるよう、本事業創設の目的と制度の周知について伺います。
 また、本事業の実施規模は、都全体で、二年間、五十五カ所、千四十五人となっております。本事業の実施により、待機児解消のさらなる取り組みを進めるべきであります。本事業に対する都の取り組み姿勢について見解を伺います。
 ところで、待機児の九割を占めるゼロ歳から二歳児については、認証保育所、認定こども園、保育室、保育ママ、そして新たに開始する東京スマート保育など、多様な保育サービスを拡充し、待機児解消に向けて取り組みが進む方向です。
 しかしながら、三歳以上の待機児の親は、育児休業から復職を希望している方や、二歳までは保育ママや認証保育所に預けていたけれども、子どもの成長に合わせ、より大きな集団での保育を希望し、認可保育園への移行を希望するなど、さまざまな事情を持っています。
 こうした方々のため、三歳からの受け入れ枠がきちんと確保されなければ、安心して働くことができません。三歳以降の行き先がなくなってしまうことになれば、利用する方にとっては死活問題です。
 毎年、進級の際に不安がつきまとうようでは困ります。新事業の東京スマート保育もゼロ歳から二歳が対象です。切れ目なく、安心して移行ができる保育環境を構築することが求められています。三歳以上に対する適切な保育サービスの提供について、都の見解を伺います。
 次に、薬物乱用防止について伺います。
 昨年、大阪や横浜で、脱法ハーブによる暴走運転や吸引後の呼吸困難による死亡事例など、悲しい事件が相次ぎ起こりました。
 薬物乱用防止活動を行う日本薬物対策協会は、昨年秋に、中高生六千百五十人を対象に、脱法ハーブを含む薬物に対する意識調査を行いました。その結果、余り危険ではないので法律で規制されていないという誤った認識があるということもわかり、また、使うのは個人の自由と答えた人が一三%という恐ろしい結果も出ていました。
 私も以前より、地域の若い方たちと薬物乱用防止のボランティア活動をしており、ことし一月にも、夜回り先生こと水谷修先生を迎え、シンポジウムを開催し、身近な地域から危険性を訴えました。
 都は今月、知事指定薬物も八薬物を新規指定し、国に先駆け規制強化に取り組んでいることは高く評価するところです。
 また今回、我が党の要望で、違法、脱法ドラッグ緊急啓発事業に復活予算二千万円計上されました。若者をターゲットとし、違法、脱法ドラッグによる健康被害、死亡事故の増加に対応するための乱用防止に向け、緊急的に普及啓発を実施するものです。
 今回は、緊急啓発というところを強調し、若者の心に届くような、わかりやすくインパクトのある斬新な方法で取り組む必要があると考えます。都の見解を伺います。
 次に、芸術文化を活用した被災地支援について伺います。
 都は芸術文化を通しての被災地支援として、東京都交響楽団による演奏会、ヘブンアーチストの派遣、バリアフリー映画上映会やアートプログラムを実施し、支援しています。
 三・一一東日本大震災より、もうすぐ二年を迎えようとしていますが、いまだ被災地では厳しい現実と向き合い、復興に向け頑張られています。本当に支援が必要なのは、むしろこれからです。
 都議会公明党は、継続的に、岩手、宮城、福島と、被災地の視察を行っています。昨年十月、私は岩手県大槌町を訪ねました。その際、町長を初め行政関係者との懇談の折、感動を受けたお話がありました。
 大槌町には「ひょっこりひょうたん島」のモデルになった島があり、この震災でも形も変わらず、小さな島が残ったそうです。昭和三十九年から放送されていた人形劇「ひょっこりひょうたん島」のテーマ曲に、苦しいこともあるだろうさ、悲しいこともあるだろうさ、だけど僕らはくじけない、泣くのは嫌だ、笑っちゃおう、進め──とあります。
 この歌は、この災害に負けないでみんなで頑張ろうと立ち上がるための歌だったのだと共感を呼び、この「ひょっこりひょうたん島」をシンボルに頑張ろうと皆さんが奮起し、そして、ひょっこりひょうたん塾をつくり、地域の人材を育てる事業を立ち上げたそうです。その塾をつくり、支援しているのが、東京都の芸術文化を活用した被災地支援だったのです。
 年六回、全国各地で活躍する芸術家やコミュニティデザイナーなど、芸術とまちづくりの研究や実践を行う方を講師として招き、まちづくりを学び、将来的には、芸術文化による地域人材輩出タウンおおつちを、まちの新たなブランドとして全国発信することを目指しているとのことでした。この都の芸術文化を通しての支援が、今、復興のエネルギーになっているのです。
 そこで、芸術文化の力と復興支援について、知事の所見を伺います。
 また、このような支援は三年、五年と長期間支援する必要があります。ぜひとも、芸術文化を活用した被災地の支援を継続していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、都営住宅の建てかえに合わせたまちづくりについて伺います。
 現在、老朽化した団地の建てかえが計画的に進められています。私の地元でも七年前に、都営成城八丁目アパートの建てかえ計画が発表されました。周辺の地域住民と団地住民とで協議会を立ち上げ、団地を中心にコミュニティをつくり、防災の協力体制、そして建てかえ後に生まれる余剰地についての要望なども協議し、私も後押しをしてまいりました。
 都と区が協議を続けた結果、一昨年、団地が完成後、敷地内のあいたスペースに、特別養護老人ホーム、障害者のグループホームと生活介護事業所、そして百五十人定員の認可保育園が整備されることに決まりました。保育園は待機児解消に向け、何とこの四月からのスタートです。地域住民からも、要望が反映され、大変喜ばれています。
 今後は、このような都有地を有効利用し、地元区市のニーズにも対応することが求められています。今後の都営住宅の建てかえに合わせたまちづくりの展開について、都の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 栗林のり子議員の一般質問にお答えします。
 芸術文化の力と復興支援についてどうするかという話でありますが、芸術文化は、東日本大震災の被災者の未来に向けた心のよりどころとなり、生きる希望や活力を与えると、そう思っています。
 東京都は、現場で培った人的ネットワークやノウハウを活用して、芸術文化による復興支援を行ってきました。お話のように、岩手県大槌町では、復興への思いを「ひょっこりひょうたん島」のひょうたん島のモデルで、地元のシンボルである蓬莱島に重ねて、実践的なまちづくり講座を実施し、人材育成に取り組んでいます。
 また、宮城県石巻市では、津波により失われた雄勝法印神楽の舞台を再生して、地元の人々のきずなを取り戻すなど、これまで多くの具体的な成果を上げてきています。
 直接の被災地支援ではありませんが、先日は、ゆうばり映画祭がありましたけれども、夕張にもヘブンアーチストを送ったりとか、いろんなアートの力を東京から送り込んで支えにしてもらっています。
 そういう意味で、東京都の職員というのは、首都公務員として、百点満点じゃなくて百二十点満点で、百点は東京のために全力を尽くすんだが、日本全体のために二十点残して百二十点満点だと。そのぐらい働かなければいけない。特に東日本大震災に対しては、持てる力、特にアートの力というのは東京が一番持っていますから、そういう力を生きる糧にしてもらうために、さらにもっと続けてやりたいと思っております。
 その他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、犬や猫の致死処分数減少に向けた取り組みについてでありますが、ペットを生涯にわたり適正に飼養することは飼い主の責務であり、都は、イベントやパンフレット等により、飼い主責任の徹底を図っております。
 また、やむを得ない理由により引き取り、収容した犬や猫については、動物愛護相談センターにおいて譲渡会を開催するほか、飼育経験が豊富で実績のある団体等と連携し、譲渡の拡大に取り組んでおります。
 さらに、致死処分の六割以上を占める子猫対策として、飼い主のいない猫の不妊去勢手術などに取り組む団体等を、区市町村を通じ、包括補助により支援しております。
 今後とも、致死処分数の減少に向け、こうした取り組みを進め、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指してまいります。
 次に、小規模保育への支援についてでありますが、都はこれまで、地域の実情に応じて多様な保育サービスの整備を行う区市町村を支援してまいりました。その結果、待機児童数は二年連続して減少したものの、依然として七千人を超えており、その九割を三歳未満児が占めております。
 そのため、都は、来年度から、区市町村が行う三歳未満児を対象とする定員六人から十九人までの小規模保育についても新たに支援することで、待機児童解消の取り組みを強化いたします。
 この事業は、区市町村がこれまで独自に実施してきた制度も支援の対象とするものであり、今後、説明会の開催や個別の相談などにより、広く制度を周知し、活用を促してまいります。
 次に、小規模保育事業への取り組みについてでありますが、都は、待機児童を解消するため、認可保育所、認証保育所、家庭的保育など、多様な保育サービスを拡充し、平成二十四年度から三年間で、保育サービス利用児童数を二万四千人ふやすこととしております。
 来年度から新たに実施する小規模保育への支援は、こうした待機児童解消の一環として取り組むものであり、区市町村においては、空き家、空き店舗等の活用により、機動的な整備が可能になると考えております。
 今後とも、待機児童の解消に向け、小規模保育の整備も含め、区市町村が積極的に保育サービスを整備できるよう支援してまいります。
 次に、三歳以上の児童に対する保育についてでありますが、お話のように、三歳以上の児童についても、平成二十四年四月現在、三歳児が六百十三人、四歳以上の児童が百一人、計七百十四人の待機児童が存在しております。
 都は、今後とも、待機児童の解消に向けて保育サービスを拡充するため、安心こども基金の活用に加え、区市町村や施設整備を行う事業者の負担を軽減する都独自の補助制度や、未利用都有地の貸し付けなどを通じて、区市町村が地域の実情に応じて行う認可保育所、認定こども園、定期利用保育などの整備を支援してまいります。
 最後に、違法、脱法ドラッグの乱用防止に向けた若者への普及啓発についてでありますが、都はこれまで、中学生を対象としたポスター、標語の募集や、高校生会議の開催、繁華街でのイベント、若者向けのリーフレットやポスターの作成など、薬物乱用防止に向けた普及啓発に取り組んでまいりました。
 来年度は、薬物乱用の若者への急速な広がりを受け、緊急啓発対策として、若者に人気のあるタレントが出演する映像を作成し、山手線などのトレインチャンネル、新宿、渋谷の街頭ビジョンや映画館など、若者が多く集まるところで放映をいたします。
 また、大学生と連携し、学園祭でタレントを起用したイベントも開催する等、若者をターゲットとした啓発活動を重点的に展開し、薬物の危険性を強く訴えてまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 芸術文化を活用した被災地支援についてでありますが、都は、震災後速やかに、被災三県にヘブンアーチストや東京都交響楽団を派遣しました。
 また、地元のニーズを踏まえたアートプログラムなどを実施してまいりました。
 具体的には、人々の心に安らぎを与えるとともに、地域のきずなを深めるため、仮設住宅の住民と地域の復興を語り合うプロジェクトや、子どもたちが参加する手づくりのワークショップなどの事業に取り組んできております。
 また、お話のひょっこりひょうたん塾は、まちの特性を活用しながら、地域でのネットワークの形成を通じて地元の復興につながっております。
 こうした取り組みを含め、今後とも、地元自治体との連携を強化しながら、芸術文化を活用した被災地支援に継続して取り組んでまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 都営住宅の建てかえに合わせたまちづくりの展開についてでございますが、都営住宅においては、老朽化した住宅の建てかえを推進し、バリアフリー化された住宅に更新するとともに、敷地を有効利用して用地を創出し、地域のまちづくりに活用することが重要と考えております。
 これまでも関係局や区市町と連携しながら、建てかえにより創出した用地を活用し、子育て支援施設や高齢者福祉施設の整備、木密地域の整備と連携した集合住宅の導入など、取り組みを行ってまいりました。
 今後も、都営住宅の建てかえにおいて、地域の特性やニーズを踏まえながら創出用地の活用を進め、まちづくりに寄与してまいります。

〇副議長(ともとし春久君) 九十八番大西さとる君
   〔九十八番大西さとる君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇九十八番(大西さとる君) 二十三区で最も低いといわれた足立区の教育レベル、これを引き上げるために、私は幾度となく、この本会議場で質問を行い、政策提案をしてまいりました。その結果、頑張る足立区の子どもたちを応援するために、地域的な要素を考慮して、足立区の江北高校を進学指導推進校に指定いたしました。そして、今回、その期間も五年間延長することが受け入れられました。本当にありがたく思っております。
 私はその後も、その効果や中学校への周知、競争率などの課題を指摘してきました。この施策がどのくらい効果があり、学力向上に寄与しているのか、今後の方向性を含め、都の所見を伺います。
 今、足立区では、教育のレベル以外に大きな課題、その一つに治安の問題があります。足立区は、平成十八年から四年間、都内の刑法犯発生件数が新宿区に抜かれてワーストワンになったことから、区長を中心に、平成二十二年に足立区治安再生アクションプログラムを策定し、警視庁などと協働して、足立区の治安再生事業を推進しています。
 その一つに、ビューティフルウインドーズ運動があります。これは、ニューヨークのジュリアーニ市長が実践した、割れた窓を放置していくとまちが汚れ、汚さから犯罪の温床になってしまう。一方、その割れた窓を修復し、きれいにすれば、犯罪自体がなくなっていくという、そういう考えのもとで、ニューヨークも地下鉄をきれいにするなどして、犯罪の発生を大きく抑制しております。
 その成果は足立区でもあらわれております。昨年の刑法犯発生件数は九千百四十一件、前年比千二百件も減っております。しかし、新宿区に再びワーストワンを譲っただけで、足立区はワーストツーになったという厳しい状況が続いております。
 新宿区には、歌舞伎町という日本一の歓楽街があります。しかし、足立区には、北千住や竹の塚といった、どこにでもある地方都市の飲み屋街しかありません。どうして新宿区と張っているのか、私は悲しい思いでございます。
 今、足立区は安心して住むことができるまちにするため、区を挙げて頑張っておりますが、やはり治安の再生は、警視庁の応援なくしてはなし得ないものと考えます。ぜひとも足立区の治安回復に強く応援をいただきたいと考えます。よろしくお願いします。
 そこで、足立区治安再生アクションプログラムに協働してきた警視庁のこれまでの取り組みと、今後、足立区の治安再生に向け、どのような対策を実施していくのか所見を伺います。
 ことしはインフルエンザが流行いたしました。その原因の一つに、子どものインフルエンザが法定接種から任意接種に変更になったことを指摘するお医者さんもいます。最近のインフルエンザは、新型、ソ連型、香港型などさまざまなタイプが検出されており、予防接種の効果自体が疑問視されている側面があるのは承知していますが、接種されない子どもは、家庭事情、家庭環境にて、同じ子どもに特定されているという傾向も存在します。これはもちろん、親の対応に問題があるわけですが、苦しむのは子どもです。
 その対処方法として、小学校での集団接種の再開を望む声も多くあります。日本の集団接種は、メディカルトリビューンでも高く評価されています。都の見解を伺います。
 一見、何の損傷もないご遺体。しかし、皮膚をめくってみると、絞められた指の跡がはっきりと内出血として残っている、こんな写真を見ました。外表検査では異常がなく、病死とされた事例が、解剖によって犯罪死体であることが証明された事例はたくさんあります。
 東京都の解剖案件は、他県と比べるとはるかに進んでいます。警察庁の集計によれば、平成二十四年の解剖率は、千葉県の四・二%に対して、東京都全体において一八・二%となっています。これは東京都監察医務院の存在のおかげです。解剖率の高さに加え、エコノミー症候群や熱中症による死亡の実態解明など、死因究明に大きく貢献していると聞いております。
 石原前知事も死因究明の必要性は認識されておられましたが、改めて新知事に所見を伺います。
 内閣府は、死因究明を推進する計画を作成するため、死因究明等推進会議を設置。その委員に、都の副知事が選任されています。死因究明制度の中で、監察医務院の果たす役割は大きいと考えます。
 近年、検案数、解剖数ともに年々増加傾向にあり、二十三区では三十年前に年間五千件だった検案件数が、昨年は一万四千体と三倍近くにふえています。しかし、ここ三十年、医師を含めた職員体制は余り変わってないと聞きます。
 現在、東京都監察医務院は、来年春を目指し、施設の建てかえを進めておりますが、他県をリードする死因究明の体制づくりを強化するため、この施設の建てかえにあわせ、人員体制の充実も含めた今後の充実強化が必要だと考えますが、所見を伺います。
 私は、ここ数年、青少年健全育成審議会の委員として活動しています。同審議会の活動目的は、青少年に対する不健全図書の指定と青少年に見せるべき推奨映画の指定です。不健全図書の指定は、毎月数冊ずつ指定されています。
 一方、推奨映画でありますが、青少年の健全育成に寄与するようなよい映画かどうかを審査します。この審議会では、年間五、六本の映画の推奨の依頼を受け、審査しています。しかし、推奨映画と認定されても、東京都推奨映画と記すことができたり、東京都のホームページで掲載されるぐらいで、子どもたちや父兄に対してほとんど宣伝されていません。
 そこで、私はここ数年、よい映画については学校にポスター掲示を促すよう提案をしてまいりました。諸事情により、なかなか進まない施策でした。昨年十二月、「だいじょうぶ三組」という、あの「五体不満足」の乙武洋匡さんのすばらしい映画の推奨が決定いたしました。この映画が第一号となり、今、都内の小学校にポスターが張り出されています。これがその写真です。学校の中に張っていると。公的な学校に映画のポスターが張られる。宣伝効果というのは、これは多分、絶大なものだと思います。この状況を東京都はどのように感じているのかお伺いいたします。
 これを先例として、今後、多くの映画が東京都の推奨を得んがため、申請されることが予想されます。ただし、子どものお小遣いはたかが知れてます。申請がふえたときに、すべてひとしく推奨するのがよいのか悩んでいるところです。そのような場合、推奨するものの、ポスターは掲示しないなど、周知方法を工夫するべきと考えますが、見解を伺います。
 交通問題は、個々に事例を検証し、解決する必要があります。例えば、幹線道路の渋滞緩和のために違法駐車をなくすことを目的として創設された駐車監視員制度、通称緑のおじさんともいいますが、この幹線道路の違法駐車が激減した昨今、対象が生活道路周辺になりつつあります。公衆便所の前でトイレ使用中に取り締まられたといった声まで寄せられています。この個別事例に対して、都は、路上パーキングの二十分百円制の一部導入により、その解決を図ろうとしています。
 一方で、タクシーの降車場の問題があります。タクシー乗り場は、相当数が整備されており、主要な場所では見つけることに苦労はしません。乗ればおりる必要があるわけですから、降車する場所を整備していくのはこれからの課題だと思います。そこ、そこ、そこの交差点でとめてくれ、こういう経験を多分皆さんもされたことは多いと思います。交差点でおりる方、よく見られる光景です。しかし、運転手さんが交差点の周辺で車をとめたら、これは検挙対象になってしまいます。まず、人やバス、タクシーなどが集中する駅前では、タクシーの駐車スペースを計画的に整備することが必要だと考えますが、都の所見を伺います。
 また、こんな事例もあります。バスの運転手が、飛び出してきた自転車を避けるため急停止。衝突は避けられたものの、乗客が車内で転倒してけがをしてしまった。自転車はそのまま行っちゃった。運転手は後日、反則切符を切られたという話も聞いています。
 この事例の解決の策としては、ドライブレコーダーの設置が有効です。最近は、運転手に過失がないことが明白になったため、処罰がなくなった事例も見受けられます。安全度が高まり、運転手を守ることになるドライブレコーダーの設置、都営交通ではすべての車両に行き渡っていますが、他の民間バス会社への普及はいまだ一〇〇%ではありません。民間路線バス事業者によるドライブレコーダーの設置の促進をすべきだと考えますが、都の所見を伺います。
 築地市場の豊洲への移転が一年延期されました。安全な土壌での移転は前提条件であり、しっかりやっていただきたいと思います。思い返せば、ここ数年、築地の豊洲移転は都議会の大きな課題でした。特別委員会も設置され、多くの議論がなされました。しかし、しかし、卸売市場は築地だけではありません。青果は九市場も都内に存在します。鮮魚も大田や足立にあります。
 私の地元の足立市場は、施設の老朽化に苦しんでいます。今年度の東京都の施設整備、修繕の経費予算ですが、土壌汚染対策費用を含まない築地関係では五十四億円、大田は、青果、花きを含みますが十九億円。一方、足立市場は二億円。これは余りにも少ない気がするのは私だけではないと思います。
 取扱量は、大田が三十トン、足立は八十二トン、倍あります。当然、築地市場は多くて千八百二十一トンあります。しかし、大田が十九億円、築地が五十四億円、足立が二億円、余りにもひどいんじゃないかと私は思います。
 足立区には、北市場も存在します。このような市場の整備の必要性を強く強く訴えたいと考えますが、都の所見を伺い、私の一般質問を終了させていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 大西さとる議員の一般質問にお答えします。
 死因究明の必要性についてでありますが、死因究明を適切に行うことは、死者の尊厳や権利を守るとともに、公衆衛生や臨床医学に寄与し、現代医学の進歩に貢献するものであります。
 東京都には監察医務院があります。これは、GHQが昭和二十一年に申し入れして、昭和二十三年に監察医務院ができたんですね。いろいろ、GHQのもたらしたもので、いろんないいものと悪いものがあるけれども、やっぱりきちんとエビデンスに基づいて原因を究明していくという姿勢は、これは非常によかったと思っています。そういう意味で、東京だけ監察医務院があるんです。
 政令で指定されて、二十三区の検案、解剖を行うほか、多摩地域においても検案活動を実施しております。隠れた犯罪死や事故死の発見など、社会秩序の維持に、この東京監察医務院は大きく貢献しています。
 医師の診察を受けずに死亡した死体について、医師が死因究明のために見分する検案や解剖は、人が受ける最後の医療という位置づけで、そこで得られた知見により、一人の死が万人の生につながっていくと、こういうふうに考えてよいと思います。
 今後とも、監察医務院の役割をきちんと果たして、死因の究明というものに力を注いでいきたい、そう思っています。
 なお、その他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監西村泰彦君登壇〕

〇警視総監(西村泰彦君) 足立区における治安対策についてお答えいたします。
 初めに、これまでの取り組みについてであります。
 警視庁は、平成二十一年十二月に締結した、足立区の治安再生に関する覚書に基づきまして、足立区内における犯罪実態の分析結果を踏まえ、足立区と協働して、平成二十二年四月に、先ほどお話のありました足立区治安再生アクションプログラムを策定いたしました。
 そして、効果的な抑止対策及び取り締まりの強化を初めとする総合的な治安対策の推進、街頭防犯カメラなどの設置促進を初めとする防犯設計による犯罪抑止対策の推進、少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動を初めとする社会における規範意識の向上に向けた対策の推進などの基本方針のもと、足立区や民間ボランティア団体に対する犯罪情報の提供や事業計画の企画立案などに関する助言、支援などを積極的に行ってまいりました。
 また、ひったくり、乗り物盗、侵入窃盗の三罪種については、具体的な重点対策罪種と定め、検挙と抑止の両面から集中的な対策を実施してまいりました。
 その結果、平成二十一年と比較しまして、平成二十四年には、重点対策罪種を中心に、刑法犯認知件数を約二千件減少させまして、年間一万件未満とする目標を達成するなど、一定の効果を上げたところであります。
 次に、足立区の治安をさらに改善させるための今後の取り組みについて申し上げます。
 警視庁と足立区は、当初三カ年の計画であった、足立区治安再生アクションプログラムの期間を延長し、平成二十五年度の重点目標としまして、刑法犯認知件数を年間九千件未満に抑える、刑法犯認知件数に占める自転車盗の割合を三割未満に抑えるとすることなどを定めました。
 警視庁としましては、本アクションプログラムに基づきまして、引き続き足立区と協働し、自転車盗抑止対策、防犯カメラの設置促進、ひったくり防止対策、振り込め詐欺対策を重点的に推進していきたいと考えております。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 進学指導推進校の効果と今後についてでございますが、都教育委員会は、平成二十二年度に江北高校を進学指導推進校に指定し、予備校講師による授業改善の助言や公募制による教員人事などの支援策を実施してまいりました。
 この指定を受け、これまで学校は、全教科の教員により生徒の学力を分析し、それを授業の改善に生かすなど、指導体制の改善と教育内容の充実に取り組んできており、今後はさらに、生徒の習熟度に応じた指導や進学指導に関する教員の技術向上などに取り組む必要がございます。
 都教育委員会は、地区の教育委員会や中学校に学校の取り組みをより一層積極的に周知するとともに、学校が設置する特進クラスの運営に対する指導助言や、指導力にすぐれた教員OBが活用できるようにすることなどにより、進学実績の向上に向け、学校を支援してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、子どものインフルエンザの予防接種についてでありますが、予防接種を受ける子どもの身体の状況は個人によって異なり、また、時間とともに変化を来すことがございます。
 このため、予防接種の実施方法は、重篤な副反応の発生を可能な限り防止することを目的として、子どもの個人的な体質等をよく理解したかかりつけ医が、ふだんの健康状態、当日の体調等を的確に把握した上で行う個別接種が基本となっているところでございます。
 次に、東京都監察医務院の充実強化についてでありますが、監察医務院では、全国的に法医学の医師が少ない中、常勤医師に加え、大学医学部等の協力を得て非常勤医師を採用し、後継医師の確保に努めているところでございます。
 また、平成二十二年から、医師会や大学の法医学教室と連携し、検案実技も取り入れた研修を実施し、地域の検案医を育成するなど、都において死因究明を担う人材の育成、確保を担っているところでございます。
 現在、監察医務院の建てかえを進めておりますが、新たな施設では、解剖前に異常が疑われる部分を画像で確認でき、死因究明に有効とされるCTを導入し、また、化学分析装置も更新するなど、設備の充実を図ることとしております。
 今後、新たな施設、設備を十分に活用しながら、監察医務院の機能強化に努めてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、優良映画のポスターの掲示についてでありますが、事業者から推奨してほしいとの申請があった映画は、青少年健全育成審議会において、推奨するにふさわしい映画か否かについての審議を行い、その答申を受けて、都は優良映画の推奨を行っております。
 優良映画を周知するため、都は、平成二十三年二月から、希望する学校へポスターの配布を開始いたしましたが、お話の映画につきましては、審議会からご提案をいただき、また、事業者側も対応が可能であったため、都内の公立小学校全校にポスターを配布いたしました。
 学校にポスターが張られることにより、子どもやその保護者等の目にとまり、優良映画を鑑賞するきっかけになると思われ、青少年の健全育成に資するという推奨制度の趣旨に沿うものと考えております。
 次に、優良映画の周知方法についてでありますが、都が推奨した映画につきましては、希望する学校へのポスター配布とともに、今後は、児童生徒及び保護者が、実際に鑑賞するかどうか判断する上で参考となる情報、例えば作品のねらいや対象学年などの情報も提供されるよう、事業者に働きかけてまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、駅前におけるタクシーの駐停車スペースについてでございますが、鉄道駅周辺においては、乗りかえ利便性の向上を図るため、路線バスやタクシーの乗降場や駐車スペースを確保することが重要でございます。
 都では、これまでにも、駅前広場を整備する場合には、関係機関と協議しながら、需要に応じ、そのスペースを確保してまいりました。
 高度に都市化が進展した東京では空間が限られていることから、駅周辺のまちづくりなどの機会を的確にとらえて駅前広場を整備し、その中で必要な駐停車スペースを確保するよう努めてまいります。
 次に、民間路線バス事業者によるドライブレコーダー設置の促進についてでございますが、ドライブレコーダーは、事故原因の究明に役立つとともに、事故映像を通して乗務員に必要な指導を行うことにより、安全意識や技術の向上に資するものでございます。
 この民間路線バス事業者によるドライブレコーダーの設置を含む安全対策については、事業者がみずから取り組むべきものであり、都は、事業者を指導する立場にある国と連携し、関係団体に対して適切に対応してまいります。
   〔中央卸売市場長塚本直之君登壇〕

〇中央卸売市場長(塚本直之君) 足立市場などの整備についてでありますが、東京の中央卸売市場は、築地市場や大田市場などの基幹的な市場と、足立市場などの地域のニーズに対応した役割を担う市場、合わせて十一の市場が相互に補完しながら、その機能を発揮し、都民の日常生活に欠かせない生鮮食料品の安定供給という責務を果たしております。
 これら十一の市場の整備については、その特色、特性を生かしながら計画的に実施しておりまして、足立市場についても、冷蔵庫棟冷凍機改修工事など、これまで多様な整備を行っているところでございます。
 加えて、都と市場関係者とが一体となった活性化への取り組みについても現在進めております。
 今後も、こうした取り組みを都と市場関係者とが協力しながら進め、食の安全・安心などの都民ニーズに的確に対応してまいります。

〇議長(中村明彦君) 四十一番田中たけし君
   〔四十一番田中たけし君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇四十一番(田中たけし君) まず初めに、防災対策について伺います。
 一昨年発生した東日本大震災から、私たちは多くの教訓を学んでまいりました。そして、その教訓を踏まえ、昨年、被害想定の見直しが行われ、特に木密地域において、火災による被害が広範囲に発生することが想定されました。私の地元品川区では、三〇%以上の地域で火災による被害が発生することが想定され、また首都直下型地震が三十年以内に七〇%の確率で発生するとの予測もあり、一刻も早い対策が望まれます。
 木密地域の対策として、特定整備路線の整備は、震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域の延焼遮断帯となり、防災力の向上を図る上でも重要な都市計画道路であります。特に品川区を通る補助二九号線は、このたび指定された二十八カ所の特定整備路線の候補区間中、延長約三千五百メートルと最長の都市計画道路であります。この補助二九号線には、複数の商店街や私立幼稚園、神社の参道なども重なり、また、戸建て住宅やアパートなどの共同住宅も多く含まれております。
 昨年十二月、都は、住居の移転など再建の進め方に不安のある人や、住みなれた地域で暮らし続けたい人に対する不安解消、移転先の確保など、用地買収における生活再建に向けたサポートを充実させる骨子案を公表いたしました。補助二九号線では事業開始に向けた説明会も始まり、道路計画に係る住民は生活再建に不安を感じています。
 そこで、特定整備路線の関係権利者の生活再建に向け、具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 木密地域の対策を進める上で、特定整備路線とともに、面的対応からの木密地域不燃化十年プロジェクトの推進にも期待をしております。先月、不燃化十年プロジェクトの不燃化特区制度案が公表され、従来よりも踏み込んだ取り組みを行う区に対する都の特別支援策が明らかになりました。このたび、先行実施地区として取り組んでいる地元品川区の東中延一、二丁目、中延二、三丁目地区は、品川区の中でも木造住宅がまさに密集している地域であり、この地区での取り組みは防災対策上効果的であり、さらに、ここで得られた成果を周辺地域にも早期に展開することで広域的な防災力の強化につなげるべきと考えます。
 そこでまず、先行実施地区として取り組んでいる東中延一、二丁目、中延二、三丁目地区の現在の検討状況と今後の不燃化特区の展開についてお伺いいたします。
 震災発生時に被害を最小限に食いとめ、早期復旧、復興を可能にするためにもライフラインの確保が求められ、水道施設の震災対策は喫緊の課題であります。東京水道経営プラン二〇一三では、その震災対策が示されており、水道管路の耐震化の新たな施策として、空気弁の耐震化が打ち出されています。東日本大震災において、水道管路の抜け出しによる漏水だけでなく、空気弁などの附属施設の損傷による漏水被害が多く発生し、復旧に時間を要したと伺っております。空気弁は水道管の幹線に附属し、管内の空気を排出する設備であり、これが損傷すれば水道施設全体に大きな影響を及ぼします。首都直下型地震への備えとして水道管路の耐震化が必要ですが、取りかえに長期間を要します。一方、空気弁の耐震化は短期間で効果が期待できることから、早急に進めることが重要と考えます。
 そこで、空気弁の震災時における被害予測と耐震化事業の具体的内容及び効果についてお伺いいたします。
 地域住民にとって、防災力の強化は安全・安心を実感する重要な施策でありますが、地域医療体制の充実も地域の安全・安心のために求められる課題であります。
 都は、平成元年に東京都保健医療計画を策定し、現在、第五次改定作業が大詰めを迎えております。この間、国は、高度の医療サービスの提供などを行う特定機能病院やかかりつけ医を支援し、地域医療連携の推進を図る地域医療支援病院などを制度化し、都は、東京発医療改革を掲げ、三百六十五日二十四時間の安心と患者中心の医療の実現に向け、医療施策に取り組んできました。
 一方、東京の高齢者人口は平成二十七年まで急速に増加し、その後、緩やかに増加すると見込まれており、今後は高齢者の視点から医療提供体制を考えるべきと認識をしております。
 高齢者になっても、病気になっても、都民が住みなれた地域でその方らしい療養生活を送り、人生を全うできる社会の実現が求められており、身近な地域における医療の充実が重要であります。
 そこで、都は、東京の高齢社会にふさわしい医療体制を構築するため、まず地域医療の現状を把握した上で新たな施策を検討する必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
 都民の死亡原因一位であるがんの対策について、都は、東京都がん対策推進計画を平成二十年に策定し、がん予防、がんの早期発見、高度ながん医療の総合的な展開、がん登録などの各分野で積極的に施策を実施し、そのがん対策推進計画の第一次改定作業も行われております。都民の三人に一人ががんで亡くなっている現状と高齢化の進展を踏まえる必要があります。
 そこで、高齢社会における地域のがん医療提供体制について、計画改定の考え方をお伺いいたします。
 次に、交通政策についてお伺いいたします。
 交通ネットワークは、都市の動脈として重要な役割を担っており、鉄道や道路は、人や物の流れを支える根幹的な交通インフラとして、首都東京の発展に大きく貢献し、安全なネットワークを形成しておりますが、鉄道各線において、朝のラッシュ時には大変混雑している状況にあります。また、都心を走る地下鉄も、都営地下鉄と東京メトロの二つの事業体により運営されているため、両者の間にある壁がサービスの低下につながり、料金体系も別々であるため、わかりづらく、相互に乗りかえる際に、割引制度はあるものの新たな料金が発生しており、都民を初め多くの利用者に不便を強いている現状にあります。
 一方、都内の道路についても、都市計画道路の整備率がいまだ約六割にとどまっており、慢性的な交通渋滞が発生し、時間的、経済的損失を招いています。
 停滞感、閉塞感のある今日の現状を打破するため、これら課題を解消する具体的な手だてを、時期を逸することなく講じていくことが必要です。このため、根幹的な都市基盤である鉄道や道路の整備を積極的に推進し、国際競争力を強化し、環境や防災などの視点を一層重視した都市づくりを進めていくことが重要と考えます。
 そこで、今後、鉄道や道路などの都市基盤づくりにどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、鉄道ネットワークの充実について伺います。
 東京圏の鉄道整備については、平成十二年の運輸政策審議会答申第十八号を基本に、平成二十七年を目標年次として、路線の整備が進む一方、答申に位置づけられながら、未着手となっている路線も多く残っています。
 地元品川区では、東海道貨物支線の貨物と旅客の併用化が今後整備について検討すべき路線として位置づけられています。先月、調査列車に試乗し、沿線地区の旅客化に対する期待を強く感じました。また、リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅へのアクセスも可能となり、さらには交通機関の少ない品川区八潮地区の新たな交通手段の確保にもつながり、旅客化が期待されております。
 また、リニア中央新幹線の開業に向け、品川駅への新たな鉄道アクセスの確保の観点から、例えば、五反田駅が終点となっている東急池上線を地下化し、品川駅への延伸も効果的であるなど、新たな時代の鉄道ネットワークを構築することが必要であると考えます。
 こうした中、今後、都は、鉄道ネットワークのさらなる充実に向け、どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、環境政策のうち、水辺資源の活用の視点から伺います。
 地元品川区は、羽田空港と品川駅の間に位置することから多くの観光客が訪れ、その観光資源として、河川や運河などの水辺が憩いの場となっています。地元品川区では、目黒川やその河口周辺での水質改善や観光船の航路確保などが進むと、一層観光事業が推進すると期待しております。
 観光資源として期待している勝島運河では、埋め立てなどによって水の流れが滞留しやすく、また合流式下水道のため降雨後に水の汚れが目立つ状況にあります。
 そこで、下水道局では水質改善とあわせて浸水被害の軽減にも寄与するプロジェクトを立ち上げ、勝島ポンプ所などの整備に着手し、既に対策の効果が発揮されています。このプロジェクトの完成に向け、工事に困難を伴うことも予想されます。
 そこで、勝島運河の水質改善に向けた事業の進捗状況と今後の取り組みについて伺い、私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 田中たけし議員の一般質問にお答えいたします。
 特定整備路線の関係権利者の生活再建へ向けた取り組みについてでございますが、移転や再建などへの不安を早期に払拭するため、用地取得の第一歩となる用地の説明会の段階から、新たにすべての関係権利者の意向調査を実施し、現地の実情に応じた具体的なニーズを把握いたします。
 あわせて、移転や再建、権利関係の調整など、一人一人の事情に応じた支援を丁寧に行うため、民間専門事業者を活用して、気軽に相談できる窓口を路線ごとに設け、移転先となる賃貸住宅の確保など、きめ細かく対応してまいります。
 また、都営住宅のあっせんや代替地の提供など、既存制度の拡充のほか、移転資金の貸し付けにつきましても優遇金利で実施いたします。
 今後とも、地元区とも連携を図り、燃え広がらないまちの実現に向け、全庁を挙げて全力で取り組んでまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区についてでございますが、現在、品川区においては、東中延一、二丁目、中延二、三丁目地区で、先行実施地区として整備プログラムの作成を進めております。この地区では、建てかえができない未接道敷地の区による取得や、高齢化している建物所有者の経済的負担を軽減するため、建てかえ時の設計費の一部助成など、支援策の活用を検討しております。
 区は、その他の地区においても、新たな不燃化特区の取り組みとして、地元のまちづくり協議会や民間事業者との連携などについて、具体的な検討を始めており、都も区からの相談に応じております。
 都は、こうした区の取り組みを支援することで、不燃化を強力に推進してまいります。
 次に、都市基盤づくりについてでございますが、鉄道や道路等の交通インフラは、東京の都市機能や利便性を向上させるだけでなく、首都圏全体の活性化にも不可欠な社会資本であり、都は、国や交通事業者等と連携し、さまざまな施策を展開しております。
 鉄道については、利便性や安全性の向上を図るため、相互直通運転の拡大、ターミナル駅の再編整備、駅のバリアフリー化、鉄道施設の耐震化等に取り組んでおります。
 道路については、渋滞の解消、物流の円滑化、防災性の向上を図るため、ミッシングリンクや物流拠点周辺の道路整備、延焼遮断帯の形成等に取り組んでおります。
 今後とも、国際競争力を備えた快適で機能的な都市の実現に向け、重層的、複合的に施策を展開してまいります。
 最後に、鉄道ネットワークについてでございますが、都市の機能や利便性を高めていく上で、鉄道ネットワークの充実を図ることは重要でございます。
 都は、国や鉄道事業者等と連携し、運輸政策審議会答申に位置づけられた路線の実現に向け取り組んでおります。この答申で、平成二十七年までに開業することが適当とされた都内の十六路線は、既に開業または事業中でございます。一方、平成二十七年までに整備着手することが適当とされた路線については、事業主体や採算性などの課題があり、現時点では未着手となっております。
 都としては、将来の輸送需要の動向などを見据えながら、未着手路線の整備について、国や関係自治体、鉄道事業者とともに検討していくことに加え、鉄道ネットワークに関する国の動向を踏まえ、適切に対応してまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 空気弁の震災時における被害予測と、耐震化事業の内容及び効果についてであります。
 都内に約九千カ所ある空気弁は、水道管の幹線に附属し、管の中にたまる空気を排出するための重要な設備でありますが、さきの大震災では、空気弁の破損を原因とする漏水被害が都内八十カ所で発生いたしました。
 首都直下地震の際には、三割に当たる二千七百カ所の被害が予想され、震災後の給水活動及び復旧活動に大きな支障となります。このため、これらの空気弁すべてを、新たに開発された耐震性にすぐれる空気弁へ取りかえてまいります。
 空気弁は、マンホール内に設置されているため、道路の掘削をせずに取りかえることが可能であることから、短期間で漏水被害を最小限に抑える効果が期待できるものであり、この耐震化事業を平成二十五年度から五カ年計画で実施してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢社会における医療体制についてでありますが、高齢社会にふさわしい医療体制を構築するためには、急性期から回復期、在宅療養に至る医療サービスを地域ごとに切れ目なく確保していくことが必要であり、地域の医療機関が果たす役割が極めて大きいものでございます。
 そのため、現在、都内全病院を対象に、提供可能な医療の内容、地域の診療所や訪問看護ステーションとの連携、在宅療養患者への支援の状況等についてアンケート調査を行い、地域の医療機関が提供している医療サービスの状況を改めて把握しているところでございます。
 今後、調査結果をもとに、関係機関とも十分協議しながら、高齢者が住みなれた地域で適切な医療を受けられるよう、地域医療体制の確保に向けた検討を進めてまいります。
 次に、高齢社会でのがん医療提供体制についてでありますが、高齢化の進展に伴い、がん患者が増加する中、がん医療を充実させていくためには、個々の医療機関の質の向上を図るとともに、医療機関相互の連携を進めていくことが必要であります。
 こうした観点から、今回改定するがん対策推進計画では、これまでの都の取り組みを踏まえた上で、がん診療連携拠点病院等と地域の病院や診療所との効果的な連携のあり方や、それぞれの医療機能や専門性を生かした役割を改めて検討することとしております。
 今後、診断、急性期の治療、在宅療養、緩和ケアの提供などについて、各医療機関の具体的な役割分担を検討し、患者の望む場所で適切な医療を切れ目なく受けられる環境を整備してまいります。
   〔下水道局長小川健一君登壇〕

〇下水道局長(小川健一君) 勝島運河の水質改善の取り組みについてでございますが、勝島運河には、立会川への吐き口、浜川ポンプ所及び鮫洲ポンプ所の吐き口から雨天時下水が放流されておりました。
 このうち、鮫洲ポンプ所については、昨年度、勝島ポンプ所を一部完成させ、放流先を水の流れのある京浜運河へ変更するとともに、ポンプ所内に降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を稼働させました。
 現在、浜川ポンプ所の放流先変更に必要な浜川幹線について、来年度の完成に向けて鋭意整備を進めておるところでございます。
 今後は、立会川に注ぐ吐き口の対策として、延長約七百五十メートルの立会川幹線雨水放流管について、地元区などの協力により工事に必要な用地を確保することができ、今年度中に工事に着手する予定でございます。
 今後も勝島運河の水質改善に向け、全力で取り組んでまいります。

〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

〇副議長(ともとし春久君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇副議長(ともとし春久君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時三十三分散会

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