平成二十五年東京都議会会議録第二号

平成二十五年二月二十六日(火曜日)
 出席議員 百二十四名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番大場やすのぶ君
四番和泉 武彦君
五番近藤  充君
六番福士 敬子君
八番野上ゆきえ君
九番佐藤 広典君
十一番中村ひろし君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番松葉多美子君
二十番小宮あんり君
二十一番吉住 健一君
二十二番桜井 浩之君
二十三番山崎 一輝君
二十四番鈴木 章浩君
二十五番くりした善行君
二十六番山内れい子君
二十七番小山くにひこ君
二十八番淺野 克彦君
二十九番新井ともはる君
三十番佐藤 由美君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番伊藤こういち君
三十七番大松あきら君
三十八番中山 信行君
三十九番高倉 良生君
四十番菅  東一君
四十一番田中たけし君
四十二番鈴木 隆道君
四十三番宇田川聡史君
四十四番高橋 信博君
四十五番中屋 文孝君
四十六番鈴木あきまさ君
四十七番柳ヶ瀬裕文君
四十八番星 ひろ子君
四十九番滝沢 景一君
五十番中谷 祐二君
五十一番笹本ひさし君
五十二番山下ようこ君
五十三番神野 吉弘君
五十四番鈴木 勝博君
五十五番興津 秀憲君
五十六番岡田眞理子君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番上野 和彦君
六十番吉倉 正美君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番矢島 千秋君
六十五番高橋かずみ君
六十六番三宅 正彦君
六十七番早坂 義弘君
六十八番相川  博君
六十九番山加 朱美君
七十番吉原  修君
七十一番林田  武君
七十二番西崎 光子君
七十三番伊藤 ゆう君
七十四番原田  大君
七十五番尾崎 大介君
七十六番山口  拓君
七十七番伊藤まさき君
七十八番松下 玲子君
七十九番西岡真一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番吉田 信夫君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番鈴木貫太郎君
八十七番服部ゆくお君
八十八番こいそ 明君
八十九番きたしろ勝彦君
九十番高木 けい君
九十一番神林  茂君
九十二番遠藤  衛君
九十三番三原まさつぐ君
九十四番田島 和明君
九十五番古賀 俊昭君
九十六番泉谷つよし君
九十七番くまき美奈子君
九十八番大西さとる君
九十九番今村 るか君
百番増子 博樹君
百一番いのつめまさみ君
百二番小沢 昌也君
百三番石毛しげる君
百四番大津 浩子君
百五番清水ひで子君
百六番ともとし春久君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番三宅 茂樹君
百十一番山田 忠昭君
百十二番村上 英子君
百十三番野島 善司君
百十四番川井しげお君
百十五番吉野 利明君
百十六番宮崎  章君
百十七番比留間敏夫君
百十八番門脇ふみよし君
百十九番斉藤あつし君
百二十番大塚たかあき君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番和田 宗春君
百二十六番馬場 裕子君
百二十七番大山とも子君

 欠席議員 一名
  七番 土屋たかゆき君
 欠員
    十番  八十番

 出席説明員
知事猪瀬 直樹君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
教育長比留間英人君
東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
知事本局長前田 信弘君
総務局長笠井 謙一君
財務局長中井 敬三君
主税局長新田 洋平君
生活文化局長小林  清君
警視総監西村 泰彦君
スポーツ振興局長細井  優君
都市整備局長飯尾  豊君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長川澄 俊文君
産業労働局長中西  充君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長松田 芳和君
交通局長中村  靖君
水道局長増子  敦君
消防総監北村 吉男君
下水道局長小川 健一君
青少年・治安対策本部長樋口 眞人君
病院経営本部長塚田 祐次君
中央卸売市場長塚本 直之君
選挙管理委員会事務局長影山 竹夫君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長岳野 尚代君
監査事務局長松井多美雄君
収用委員会事務局長醍醐 勇司君

二月二十六日議事日程第二号
第一 第一号議案
  平成二十五年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  平成二十五年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  平成二十五年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  平成二十五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  平成二十五年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
  平成二十五年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
  平成二十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
  平成二十五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
  平成二十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
  平成二十五年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
  平成二十五年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
  平成二十五年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
  平成二十五年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
  平成二十五年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
  平成二十五年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
  平成二十五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
  平成二十五年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
  平成二十五年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
  平成二十五年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
  平成二十五年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
  平成二十五年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  平成二十五年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  平成二十五年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  平成二十五年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  平成二十五年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  平成二十五年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  平成二十五年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金条例
第二十九 第二十九号議案
  東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例
第三十 第三十号議案
  東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  東京都職員互助組合に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
  東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  東京都知事等の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都新型インフルエンザ等対策本部条例
第四十五 第四十五号議案
  東京都防災会議条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  東京都災害対策本部条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
  東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
  東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  障害者自立支援法施行条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京都障害者支援施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  東京都障害者介護給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都障害児通所給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
  東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
  東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
  東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京都立多摩療育園条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
  東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
  東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
  東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
  東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
  東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
  東京都地域自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
  東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
  東京都介護福祉士等修学資金貸与条例を廃止する条例
第八十九 第八十九号議案
  東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
  東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
  東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
  東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
  東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
  食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
  食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
  墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
  東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
  東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
  東京都営空港条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
  東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
  東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
  東京都道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
  東京都立公園条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
  東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
  東京都給水条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
  東京都が設置する水道の布設工事監督者に関する資格等を定める条例
第百十一 第百十一号議案
  東京都公共下水道及び流域下水道の構造並びに終末処理場の維持管理の基準に関する条例
第百十二 第百十二号議案
  東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
  警視庁の警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
  警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
  東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
  特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
  都営住宅二十四H─一一四東(江戸川区船堀一丁目第二)工事請負契約
第百十九 第百十九号議案
  都営住宅二十四H─一一〇東(北区神谷二丁目)工事請負契約
第百二十 第百二十号議案
  都立足立高等学校(二十四)改修及び改築工事請負契約
第百二十一 第百二十一号議案
  都立荏原看護専門学校(二十四)改築工事請負契約
第百二十二 第百二十二号議案
  都立日比谷高等学校(二十四)校舎棟改修工事請負契約
第百二十三 第百二十三号議案
  東京消防庁八王子消防署庁舎(二十四)新築工事請負契約
第百二十四 第百二十四号議案
  平成二十四年度十号地その二多目的内貿岸壁(-(マイナス)八・五m)桟橋整備工事請負契約
第百二十五 第百二十五号議案
  環二勝どき高架橋(仮称)鋼けた及び鋼製橋脚製作・架設工事(二十四 一─環二築地)請負契約
第百二十六 第百二十六号議案
  包括外部監査契約の締結について
第百二十七 第百二十七号議案
  東京都と神奈川県との境界にわたる町田市と相模原市との境界変更について
第百二十八 第百二十八号議案
  境界変更に伴う財産処分に関する協議について
第百二十九 第百二十九号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可について
第百三十 第百三十号議案
  土地の買入れについて
第百三十一 第百三十一号議案
  平成二十五年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百三十二 第百三十二号議案
  平成二十四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百三十三 第百三十三号議案
  東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定について
第百三十四 第百三十四号議案
  多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三十五 第百三十五号議案
  荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百三十六 第百三十六号議案
  平成二十四年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第百三十七 第百三十七号議案
  平成二十四年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十八 第百三十八号議案
  平成二十四年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百三十九 第百三十九号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第百四十 第百四十号議案
  平成二十四年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百四十一 第百四十一号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百四十二 第百四十二号議案
  平成二十四年度東京都一般会計補正予算(第四号)
第百四十三 第百四十三号議案
  東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
第百四十四 第百四十四号議案
  東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第百四十五 諮問第一号
  地方自治法第二百六条の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
第百四十六 諮問第二号
  地方自治法第二百六条の規定に基づく審査請求に関する諮問について

   午後一時開議

〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(中村明彦君) これより質問に入ります。
 百二十一番酒井大史君。
   〔百二十一番酒井大史君登壇〕

〇百二十一番(酒井大史君) 私は、都議会民主党を代表して、当面する都政の主要課題について、猪瀬新知事並びに関係局長に伺います。
 まず初めに、都政運営について伺います。
 猪瀬知事は、選挙公約において、自助、共助、公助で一人一人が輝く首都をという理念を掲げ当選されました。また、猪瀬知事が選挙戦で掲げた、強者が弱者を、余裕のある人がない人を助ける、女性が働きやすい職場をつくる、互いに助け合う東京をみんなでつくろうというメッセージは、私たち民主党が掲げる生活者、消費者、働く者の立場に立った公平公正な社会の実現という目標と軌を一にするものであり、今後の取り組みに大いに期待するものです。
 しかし、一方で、猪瀬知事になって初めて策定された「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三は、時間的な制約もあり、これまでの「二〇二〇年の東京」に一部猪瀬カラーともいえる施策が加わったものの、猪瀬新知事の基本理念を総合的に示す体系的なものになっているとはいえません。
 そこで、私は、東京都の新しい知事として、より幅広い視点から東京の将来像を示していくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、平成二十五年度予算案について伺います。
 猪瀬知事のもとで最初に編成された平成二十五年度予算案については、総じて東京都の不安定な税収構造と将来の財政負担を考慮した堅実な予算案であると考えます。猪瀬知事は、国を動かし、民間活力を引き出しながら、新たな東京モデルを発信していく予算案だと述べていますが、公約で掲げていた南鳥島近海の資源開発に関する予算は見られず、電力エネルギー改革でも、仕組みの検討や導入の可能性の調査にとどまるなど、平成二十五年度予算案ではその苗を植えたという段階で、今後の取り組みが期待されるところです。
 そこで、猪瀬知事は、今回の予算案を通じてどのように国を動かし、民間の活力を引き出しながら新たな東京モデルを発信していくつもりなのか、今後の取り組みも含めて見解をお伺いいたします。
 次に、地方分権改革について伺います。
 安倍政権は、緊急経済対策の中で一括交付金を廃止し、ひもつき補助金を復活させる方針を打ち出すなど、地方分権改革に逆行し、中央政府による地方支配を進めようとしています。特に地方公務員の給与削減問題では、これまで国以上に削減してきた自治体の努力に何ら配慮をしておりません。このような地方交付税を盾に一方的に強要するような政府の姿勢は、断じて容認できません。
 私は、保育所の面積基準やハローワークの移管といった問題にとどまらず、より幅広い視点から地方分権改革に積極的に取り組んでいくべきだと考えます。地方分権改革推進委員の一員として中央官僚体制とも戦ってきた猪瀬知事は、地方分権改革に向けてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 また、法人事業税の暫定措置の撤廃も都政にとって大きな課題です。石原前知事と当時の福田首相とによる地方税の原則を無視した合意により、東京都は平成二十五年度までの間に、累計で約八千億円もの減収を余儀なくされています。
 私たち都議会民主党は、この間、東京都とも連携しながら、暫定措置の撤回に向けて積極的に取り組み、社会保障・税一体改革関連法において抜本的に見直しを行うことを明記させました。猪瀬知事としても、前任者として暫定措置を受け入れ現在国会議員となっている石原慎太郎氏の協力も得て、自民党、公明党に働きかけるなど、暫定措置を撤回し、地方税財源全体を充実強化させるために積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、尖閣諸島活用基金条例についてお伺いをいたします。
 同条例は、東京都尖閣諸島寄附金として寄せられた都民等の意思を受け、国による尖閣諸島の活用に関する取り組みのための資金とするため、地方自治法の規定に基づき設置をされるものです。これらの寄附金は、昨年の石原前知事の沖縄県尖閣諸島購入発言を受けた、当時副知事であった猪瀬知事のまさにつぶやきを契機として、尖閣諸島の購入、活用のために、都民、国民より寄せられたものです。この間、自治体東京都がどこまでをその所管とするのか、その基本的役割を問われていますが、幸いにして民主党政権による昨年九月の国有化により、都が購入するのではなく、本来の役割である国が購入することになり、その活用もまた国による取り組みが求められるものです。
 一方、猪瀬知事は、知事選挙における公約において、南鳥島近海のレアアース資源開発を支援しますともされました。尖閣諸島の問題を含めて、東京都の基本的役割について、猪瀬知事はどのようにお考えなのか、その基本的見解をお伺いいたします。
 本条例案では、国による尖閣諸島の活用に関する取り組みのための資金とするため、その全部または一部を処分することができるとされています。基金に積み立てるに当たって、寄附金を厳格に管理することもその要因の一つになっています。そうであるならば、当然のこととして、その処分もまた厳格に判断をされなければなりません。
 都は、この処分の対象として、国によるどのような取り組みを想定されているのか、どのような事業をもって活用と評価をされるのか、見解をお伺いいたします。
 次に、防災対策について伺います。
 昨年十一月、東京都地域防災計画が修正されました。この計画では、東京を高度防災都市に生まれ変わらせるため、四十七の減災目標を、二〇二〇年のオリンピック開催年、もしくは十年後までに達成するとしています。知事も、東日本大震災の問題が起きて、東京の安全・安心ということがもう一度強く求められていると述べています。
 自助の備えを講じている都民の割合を一〇〇%に到達させる目標に対して、都民は防災訓練や災害時要援護者の把握など、共助活動を都内各所で行っています。一方、昨年の都民世論調査では、震災を受け、自宅の耐震化や耐震診断の実施をした人は七・七%、地域の防災活動に参加をしている人は一五・七%にとどまり、同じ都民でも防災に備える取り組みがいまだ十分でない人たちも見受けられます。
 知事は、その突破力、解決力によって、公助である社会インフラの耐震、耐水化などの目標を着実に達成するとともに、都民が自助の意識を高めて、災害に備え、助け合う共助を推進していくことをいかに後押しして、安全・安心の東京をつくり上げていくのでしょうか。見解をお伺いいたします。
 次に、広域応急体制の構築について伺います。
 昨年四月、東京都防災会議は被害想定を見直し、最大震度七の地域が出るとともに、震度六強の地域が広範囲に発生するとした首都直下地震等による東京の被害想定を発表しました。国では、平成十六年に、東京湾北部地震によって、特に東京都や神奈川県、千葉県、埼玉県の一都三県、三十から四十キロメートル圏の南関東地域で、死者一万一千人、全壊、焼失棟数八十五万棟、経済被害百十二兆円などの大きな被害が出ると想定をしております。そして現在、最新の科学的知見に基づいた首都直下地震の新たな被害想定を検討しています。
 これらを踏まえ、首都直下地震による膨大な被害、障害物、危険物を想定して、平常時から自衛隊や他県の警察、消防、各ブロック知事会、関西広域連合などによる陸海空から応援をいかに受け入れ、発災後七十二時間以内にいかに被災者の保護を図っていくのか、その対策を構築していかなければなりません。
 都は、国や被災想定自治体、応援関係機関と連携して、広域応急体制をシミュレートし、首都直下地震に備えることが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、立川断層帯地震についてお伺いをいたします。
 この断層帯については、殊さら立川が強調されますが、正確には、関東山地東部埼玉県飯能市の名栗断層と武蔵野台地西部の東京都青梅市から府中市へと至る立川断層から成る活断層です。立川が強調される余り、風評被害に困惑し、地域住民からは名称を変えてほしいとの声も上がっておりますが、本断層帯の最新活動時期は約二万年前から一万三千年前と考えられています。
 地震調査委員会は、約二千あると推定される全国の活断層のうち、百十の主要活断層帯について震災後の影響を評価し、立川断層帯など五つの断層について地震発生確率が高くなっている可能性を発表しました。
 そこで、今年度から三年間かけて、東大地震研究所や首都大学などが立川断層帯の現地調査を行い、その後、国が調査評価を行います。私たちはこの調査結果を冷静に見きわめるとともに、災害に備えていくことが重要と考えます。
 都としては、この調査で解明する地殻構造や活動履歴、強震動予測などといった基礎資料に基づいて、立川断層帯地震の被害像の把握に努め、防災対策に生かしていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、防災対策工事における都民意識の向上について伺います。
 新たな首都直下地震等による被害想定では、都内河川、港湾の水門、堤防が万一破損すると、電気、機械設備が浸水するおそれがあるとしています。そこで、都は河川堤防、海岸保全施設、下水道施設などの地震、津波に伴う水害対策の整備計画を策定しました。現在、大田区昭和島の森ヶ崎水再生センターでは、塩素接触槽の耐震対策を行っています。また、東京港の高潮対策センターでは、平成二十七年度の新センター稼働による二拠点化を目指し、防潮堤の補強なども行います。
 また、東日本大震災から間もなく二年が経過し、東京で防災の意識が少しずつ薄れいく中で、都が行う耐震、耐水工事において、例えば、防災教育を推進するため、地元小中学校などを対象とした現場見学会を行うことや、お知らせビラなど、地域住民への丁寧な対応など、これまで以上に都民の防災意識の向上を図る必要があるのではないでしょうか。
 東部低地帯や沿岸部において、河川施設などの耐震、耐水対策を推進する中での都民の防災意識の向上について、都の見解をお伺いいたします。
 次に、都内避難者対策について伺います。
 東日本大震災からの復興への取り組みが進められていますが、今なお三十一万五千人の方々が全国自治体に避難しています。今後もこうした方々を国、都道府県や受け入れ自治体と被災自治体が連携して支えていかなければなりません。
 先月、東雲住宅において、福島から避難されていた男性が死後一カ月たってから発見されました。国は、都とともに、長期化する広域避難者の孤立化防止に引き続き努めていくべきです。
 そこで、都は、故郷から遠く離れた東日本大震災からの都内避難者の支援体制を点検し、再度、孤立死が起こらないような取り組みを行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、都の事前復興について伺います。
 阪神・淡路大震災や東日本大震災の経験から学んだ課題は、日本全体、首都東京の課題でもあります。都は、被災地派遣職員の皆さんの現場経験を踏まえ、震災の教訓などを整理し、震災前における復興検討、事前復興に生かすべきと考えます。
 今回の東日本大震災では、断熱性能が悪い仮設住宅への対応として、戸建ても含めた木造仮設住宅が地場産業によって建てられたことや、中小企業の公的支援が、阪神・淡路大震災時には融資かもしくは利子補給だったものが、施設復旧費用の四分の三を国の補助金が受けられるようになるなど、被災者目線による復興支援制度の改善が図られたケースが出てきています。
 阪神・淡路大震災のその後の復興や東日本大震災の復興状況を受け、首都直下地震に備える都の事前復興の取り組みを見直すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、特別区の消防団活動についてお尋ねいたします。
 一昨年発生した東日本大震災発生時において、地元消防団員は、みずからも被災者であるにもかかわらず、だれよりも先に災害現場に駆けつけ、人命救助活動を行いました。一方で、多くの消防団員が犠牲となったことも記憶に新しいところです。
 国の総務省消防庁においては、東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会を設置し、昨年八月には、装備資機材の充実や消防団員の惨事ストレス対策などの提言をまとめました。
 私たちも、昨年の第三回定例会において、消防団員を地域に最も身近な防災の担い手と位置づけ、消防団活動を強化すべきであると求めました。
 首都直下地震の発生が危惧される中、特別区の消防団員への期待はますます高まっており、特別区消防団員が震災時等の大規模災害時に効果的に消火、救助活動等を行うためには、木造住宅密集地域や津波による浸水など、地域特性に応じた災害に対応することも必要だと考えます。
 東京都においては、特別区ごとに設置されている特別区消防団運営委員会において、東日本大震災を踏まえ、地域特性に応じた即時性の高い消防団活動についてを諮問事項とし、我々も各区で審議を重ねてまいりました。
 そこで、特別区消防団運営委員会の答申を踏まえた東京消防庁の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、高度防災まちづくりについて伺います。
 これまで木造密集地域の不燃化について、多くの区が取り組みを進めてきましたが、合意形成に長い年月を要してきました。
 今般、その取り組みを加速化するための不燃化特区制度案が公表されました。いつ起こってもおかしくないといわれる首都直下地震に備え、格段にスピードアップして不燃化を進めようというこの特区案には、安全なまちづくり、住民負担の軽減や事業期間の短縮などに向けたさまざまな推進方策が盛り込まれました。この特区制度を活用して不燃化に取り組むためには、道路用地や種地確保、空き家の除去一つにも、限られた期間内で費用はもちろんのこと、交渉、調整の手間暇が通常時の何倍もかかることになります。
 密集市街地整備事業では非常に長い年月を要している地区が多く、中には所期の成果を上げる前に事業を完了させてしまう事例も出ているといわれています。既に都民からは、十年以内に終了させようという意欲的な目標に対して、十年で完了できなかった場合どうなってしまうのか、引き続き支援は受けられるのかといった声も聞かれています。こうした不安を払拭し、しっかりと事業をやり切っていけるよう、強力に推進をしていただきたいと考えます。
 先行実施地区として手を挙げ、選定された十二地区に加えて、今後五十地区に拡大していくとのことですが、着実かつ加速化した取り組みを推進するため、都は区の支援をどのように行うのか、お伺いをいたします。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物耐震化についてお伺いをいたします。
 都議会民主党は、耐震化施策は原則として地域を限定せずに実施すべきだと考えており、これまでも繰り返し、耐震化にかかわる助成は都全域を対象として行うべきと主張してきました。ただ、中でも特に集中的に取り組む方策として、耐震化推進条例に基づく特定緊急輸送道路沿道建築物耐震診断の義務化と建物所有者の実質負担ゼロ化については、かねてより私たちが求めてきたことでもあり、都が所有者負担の原則を大転換したものとして一定の評価をしたところです。
 緊急輸送道路はいわば東京の大動脈であり、輸送ネットワークを保持するため、道路閉塞が許されない重要な道路です。都は特定沿道建築物の耐震診断を平成二十五年度で完了し、三年後には緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を完了するとしています。耐震性が不足する建物を残さないよう、耐震化の取り組みを強化する必要があると考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、エネルギー戦略について伺います。
 東京全体でのエネルギーマネジメントを実現するためには、まずはオフィスビルや家庭向けのエネルギー管理を最適化するエネルギーマネジメントシステムの導入を進めることが必要です。東京都は、平成二十五年度予算案において、スマートエネルギー都市推進事業として、ホームエネルギーマネジメントシステムやビルディングエネルギーマネジメントシステムの導入を条件として、コージェネレーションや蓄電池、電気自動車等を用いて蓄電するビークル・ツー・ホームシステム等への補助を盛り込みました。
 「二〇二〇年の東京」アクションプログラムでは、三年後の到達目標として、創エネルギー、エネルギーマネジメント機器の普及拡大、オフィスビルにおけるエネルギーマネジメントの普及等を掲げています。本事業ができる限り活用され、普及が進むよう十分な配慮が必要と考えますが、本事業のねらいと具体的な仕組みについてお伺いをいたします。
 さらに、個々のエネルギーマネジメントシステムの普及に加えて、それぞれを階層的に束ねることで、単位ごとの管理を行えるようにすることはもちろん、地域のデマンドレスポンスによってピークカットに取り組む地域エネルギーマネジメントの普及拡大が必要です。都はこの点について、二十四年度に大規模なオフィスビル集積地域への適用可能性について予算をつけ、既に大・丸・有地区で実現可能性調査を行っています。
 消費電力量も多く、まとまって取り組めるオフィスビル集積地域において、再開発や都市再生にあわせて取り組むことは、事業効率もよく、都市部のモデルづくりとなります。また、低炭素化の推進という従来からの課題に加えて、エネルギーの安定確保による高度防災都市実現に向けての取り組みとしても評価するものです。
 私は、これに加え、東京全体のエネルギーの安定確保の観点から、都心のビル群だけではなく、マンションや多摩の住宅街などさまざまな地域においても、地域ごとの特色に応じた取り組みを誘導すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 東京都は二〇二〇年の温室効果ガス排出量を、二〇〇〇年比で二五%削減することを目標に掲げており、さまざまな地球温暖化対策を実施しています。都庁自身も、温室効果ガス削減都庁率先行動計画を策定し、積極的に取り組んでおります。
 しかし、まだまだ公有施設等には、再生可能エネルギーを導入する余地があるのではないでしょうか。みずから初期投資を行って再エネ機器を設置する方法のほか、例えば屋根を太陽光発電のために民間事業者などに貸し出す屋根貸しは、既に全国で幾つかの自治体が有償または無償で行っています。民間の屋根だけでなく、都有施設や公営企業の施設、市区町村保有の施設、あるいは公民館や保育園などでも積極的に行っていくことが可能です。
 小水力発電も、マイクロ水力と呼ばれる出力百キロワット以下のものもあり、市町村が持つ施設においても、より積極的に太陽光、熱利用や小水力発電を導入していくことが可能です。さらには、廃棄物発電も、固定価格買い取り制度の対象となったことから、廃棄物発電の高効率化を図ることでも、未利用エネルギーの活用と温室効果ガス削減等により、環境負荷を低減することができます。
 環境負荷を低減するため、公有施設等においては率先してあらゆる場面で再生可能エネルギー、未利用エネルギー導入を促進していく必要があると考えますが、改めて見解をお伺いいたします。
 都は、「二〇二〇年の東京」で、世界で最も環境負荷の少ない、最先端の低炭素都市を実現し、二〇二〇年の姿として、最先端の環境技術を駆使しながら、カーボンマイナスを東京全体で展開、都市づくりにおけるエネルギーマネジメントが普及、エネルギー需要の最適制御と再生可能、未利用エネルギーの利用が進んでいるという未来図を示しました。また、一月に発表されたアクションプログラムでは、太陽エネルギーなど再生可能エネルギーの普及拡大やスマートシティーの実現に向けた取り組みとして、家庭やオフィスビル等のエネルギーマネジメントシステムの普及に向けた取り組みを掲げています。
 知事が力を入れて進めている電力の供給側である電力システム改革については、たびたびその取り組み、意欲が発信されております。しかし、低炭素社会の実現に向けて電力の安定供給を確保し、都全体でのエネルギー需給の最適な制御を行うには、エネルギーの供給を受ける側、需要側の施策についても政策を進化させることが必要と考えますが、知事の決意をお伺いいたします。
 次に、産業振興について伺います。
 脱デフレに向け、安倍政権は物価ターゲットの金融緩和方針を決め、市場は期待感から株価上昇となり、輸出企業で業績が回復しています。一方、円安は灯油やガソリン、食品などの生活必需品、電気料金の大幅な引き上げにつながり、被災地を初めとして国民生活、事業者に負担の増大をもたらしています。
 国内の消費者物価を押し下げている要因の一つには、新興国企業との相対的な競争力低下によって、テレビやパソコン、冷蔵庫などの製品価格を値下げせざるを得なくなったこともあり、金融緩和策だけでは現状を改善することができません。国は、規制改革や現実的な成長戦略に沿って、企業の生産性、創造性を高め、内外の需要を取り込む必要があります。
 都では、外資系企業五百社を誘致するアジアヘッドクオーター特区の取り組みを始めています。特区推進においては、野田前首相とオバマ大統領が合意した日米入国審査手続簡素化を今後実現するなど、国は外国から優秀な人材を集め、海外進出企業が国内立地を考えるようなビジネス環境、産業競争力の改善に向けた税制改革や規制緩和を大胆に進めていかなければなりません。そして、都はこうした取り組みを着実に東京の産業振興に結びつけていくことが不可欠です。
 知事は、今後、東京を輝く国際都市とするとしていますが、外国企業の誘致促進を含め、成長産業の育成や中小企業のイノベーションなどの産業振興をどう図っていくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、成長産業支援の強化について伺います。
 企業成長には、新たな市場への販路戦略が重要です。日本企業は世界各国において商品特許や商標登録を進め、技術貿易収支を伸ばしています。例えば大手電機メーカーは、南アメリカ地域に合った冷蔵庫を売り出すため、現地の家庭を回って、必要な性能や使い勝手、先行する他企業製品の研究を行うなど、顧客志向の製品開発に取り組んでいます。
 中小企業においても、新製品や主力商品を海外へ売り込むためには、海外市場を熟知して行わなければなりません。産業力強化には、国際化に向けた中小企業に対する知財戦略や販路開拓など、専門性の高い経営支援がより重要になると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、中小企業金融円滑化法終了に伴う課題について、二点お伺いをいたします。
 金融円滑化法終了後の中小企業への支援について、私たちはかねてから、金融支援とともに専門家による財務面での対策、事業譲渡や会社の分割など、多様な手法を活用した支援を行っていくべきと主張してきました。現在、金融円滑化法の終了を踏まえ、東京都中小企業再生支援協議会や東京都事業引継ぎ支援センター、都中小企業振興公社などが経営支援ネットワークを構築し、経営改善計画の策定などを初めとした課題解決や経営改善を進めるとともに、事業再生や事業承継など最適な解決策の提案を行っています。しかしながら、こうした公的機関の支援を受けている企業はまだまだ少ないのが現状です。
 金融円滑化法終了後のソフトランディングに向け、都は中小企業の経営改善から事業再生、継承まで、支援を充実させていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、金融支援について伺います。
 金融円滑化法に基づき、中小企業が貸付条件の変更を受けたのは、昨年九月末時点の累計で約三百四十四万件、返済猶予額は約九十六兆円に上ります。同法を使った支援の大半は、地方銀行や信用金庫など地域の金融機関が行っており、不良債権がふえれば地域経済に大きな影響を与えます。金融機関は、将来性ある中小企業の事業立て直しに協力して、企業が事業を立て直すとともに、借り入れ返済を行う流れを定着させる必要があります。
 国は金融機関に新自己資本規制を導入するとともに、金融機関が中小企業の経営改善などに積極的に関与するよう求め、その具体例などを定期的に開示することを義務づける方針と聞きます。いかに多くの中小企業が経営改善に向けて取り組みを進めることができるのかが、東京の地域金融安定のかぎとなります。
 昨年十月、都は国の保証制度に合わせて、経営力強化融資を新設するとともに、平成二十五年度は特別借りかえ融資による金融支援を始めます。都は金融円滑化法の終了を見据え、地域経済や中小企業振興に重要な役割を担う金融機関の協力を得て、都内中小企業の経営改善に向けた金融支援をいかに推進していくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、新銀行東京について伺います。
 私たちは事業譲渡や株式の売却などを含め、新銀行から早期に撤退すべきだと主張してきましたが、猪瀬知事はこの間、マスコミなどの取材に対しても、新銀行の今後のあり方についての言及を控えています。
 一方、石原前知事は、新銀行東京への追加出資以前から、セカンドステージについて、いろいろ考えている、追加出資が決まれば即日次へ動く旨の発言をし、再建計画期間中である平成二十二年十一月には、これからセカンドステージというものを積極的に考える時期だと思うと述べ、中国での交渉にさえ言及していました。
 そこで、新銀行東京の今後の方向性について、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、雇用、就業環境の改善について伺います。
 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する日本社会において、企業が生産性を保ち、創造性を向上させていくためには、産業を支える年齢や性別などにとらわれない多様な人材の活用が必要と考えます。知事は、公約で雇用を守るとし、民間企業の給与が上がるような政策を東京都が打たなきゃだめなんだと述べています。
 現在の労働状況は、国内で非正規労働者が三五%近くの割合を占めるなど、給与は一九九〇年以降で過去最低となっています。現在、景気回復に期待が集まりますが、結果、雇用が拡大し、正社員だけではなく、非正規社員も含めて給与がふえなければ、国内消費は減退し、真の回復には至らないと考えます。
 少子高齢社会の中であっても、都民の安全・安心を追求するため、都は雇用を守り、民間給与を上げるような取り組みを行っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、若年者雇用について伺います。
 ことし開催された世界経済フォーラム、ダボス会議では、先進国を中心に深刻化する若者の失業問題をめぐって活発な議論が行われました。国内においては、昨年春卒業した大学生の就職率は九三・六%、また今春卒業予定の大学生の昨年十二月時点の就職内定率は七五%と、依然厳しい状況が続いています。
 先月末、東京しごとセンターで新卒者向け合同企業説明会が行われましたが、学生の皆さんは、企業の人事担当者が発する言葉を聞き漏らさないように真剣に耳を傾けていました。また、大卒者の三年間の離職率は全体で三人に一人となるなど、高どまりしているのが現状であり、対策が求められます。
 若年者の就業問題を解決するためには、安定した雇用と定着が重要と考えますが、都の若年者就業対策の強化について見解を伺います。
 次に、女性の就業促進とキャリアアップについて伺います。
 厚生労働省の調査によれば、日本女性の就業率はいまだ二十九歳から四十五歳の間に緩やかなM字カーブを描いて落ち込んでおり、潜在的労働力との差が大きく存在しています。このカーブの解消には、働く意欲のある女性が、結婚後、出産前後も継続して就業できるようにする取り組みが重要です。
 また、日本の就業者の中で女性の比率は四二%ですが、女性管理職の比率は一一・九%と欧米諸国を下回り、フィリピンやシンガポールなどアジアの国々にもおくれをとっています。内閣府によれば、女性の労働参加率が高い国ほど労働時間当たりのGDPが高いとのことで、女性の活躍の場を広げる取り組みが必要です。
 都においても、女性が継続して働くことができる職場環境づくり、ワークライフバランスの活用や、女性の積極登用を図る能力開発などの取り組みを推進していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、高年齢者雇用について伺います。
 人口減少社会における高年齢者の雇用対策は、労働力の減少ペースを和らげるとともに、シニアの消費を活発にするなど、大変重要であります。ことし四月から改正高齢者雇用安定法が施行され、厚生年金が六十五歳支給に引き上げられることに合わせて、各企業は段階的に六十五歳前の希望者全員を雇用することが義務づけられます。
 制度変更に対しては、再雇用制度よりも、給与水準を高めて従業員の士気を高める企業や、新たに高年齢者の積極活用を目的とした新会社を設立する中小企業が出てくるとともに、製造業においては、若手への技術伝承を進めていく、社外へ技術が不正に持ち出されることを防ぐなどのねらいもあると聞きます。
 しかしながら、六十五歳までの雇用継続のために現役世代の賃金上昇を抑えることを決めた企業の制度変更が発表されるなど、若年者雇用や社員の待遇悪化につながりかねない取り決めも出されています。
 そこで、こうした実態を踏まえつつ、高年齢者が持つ経験を生かすとともに、安心して働き続けられるような取り組みを進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 一月八日、東京都は、これまで平成二十六年度中としてきた豊洲新市場の開場時期を一年延期し、平成二十七年度とすることを発表しました。都はその理由として、土壌汚染対策工事の工期延伸を挙げ、処理土量が一・五倍にふえたことなどを挙げています。しかし、そもそも都は、有楽町層は水を通しにくく、汚染されている可能性は低いと述べていたわけですから、今回の汚染土量の増大については真摯に向き合っていただきたいと思います。
 かつて猪瀬知事は、移転がおくれるほどじり貧化するとも語っていましたが、そうではあっても、今回、開場延期を決断したことは、私たちが平成二十四年度の関連予算の賛否に当たり付した付帯決議に基づき、食の安全を優先した結果であると受けとめています。
 また、関係者との合意について、かつて石原前知事が、豊洲も築地もともにブランドとして並び立つような妙案をと述べていましたように、現在中央区が進めている取り組みは、東京都と中央区とが知恵を絞った結果であり、猪瀬知事としても、築地地区での食文化の拠点継承に向けて積極的に協力していくべきと考えます。
 そこで、築地市場の移転問題における食の安全・安心確保と食文化の拠点継承について、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、自転車対策について伺います。
 自転車対策にかかわることし一月のパブリックコメントでは、自転車利用を規制するような内容の条例は再考すべきなどとする厳しい意見も寄せられていましたが、条例案はこういった意見にもこたえようと、必要な修正を加えています。私たちは、この条例を制定することによって、自転車の安全で適正な利用に向けて、東京都の施策を初め、社会環境が大きく前進するものと考えています。
 また、条例案には、自転車道、駐輪場等の整備のため、東京都が市区町村等と連携した措置を実施していくことや、東京都における技能、知識の習得機会の提供などが盛り込まれています。私は、こうした施策を積極的に進めることに加え、自転車を都市の有効な交通手段ととらえ、自転車を都市計画やまちづくりの中に位置づけるなど、自転車の利用をさらに促進していくべきと考えます。
 そこで、自転車という交通手段を明確に位置づけた都市像を描いていくことについて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、自転車におけるナンバープレート制度の導入について伺います。
 今回の条例案では、そもそもナンバープレート制度の導入を予定していなかったこともあり、パブリックコメントでは、制度への直接的な意見は少ないように見受けられます。私たちは、昨年十月の代表質問で、条例に盛り込むべき施策のメリット、デメリットを明示して、都民の合意を図りながら検討を進めるべきだと主張してきたところであり、ナンバープレート制度についても、まずはメリット、デメリットを都民に対して明示していく必要があるものと考えます。また、車体ナンバーの認識に向けては、プレート形式ではない方策など、関係者と協議をしながら最善の方策を模索していくことも必要です。
 そこで、昨年九月の自転車対策懇談会の提言で検討が求められていた自転車のナンバープレート制度についてどう考えているのか、見解をお伺いいたします。
 次に、駐輪場確保について伺います。
 今回の条例案では、違反事業者に対する勧告、公表制度は見送られましたが、事業者が自転車通勤をする従業員のための駐輪場確保、またはその従業員が駐輪場を確保していることの確認義務は課せられることになります。
 しかし、例えば、駅前では駐輪場の絶対数自体が不足している中で、東京都が市区町村と協力して駐輪場整備を進めたとしても、その完成には五年、十年と時間がかかり、また、これまで自転車通勤を禁止していなかった事業所も、物理的な理由で自転車駐輪場所が確保できない場合も想定されます。もちろん、違法駐輪を容認しているわけではありませんが、結果として自転車利用が抑制されるのは本意ではありません。
 駐輪場の確保や確認の義務を課すのであれば、東京都としても駐輪場の整備に向けて積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 スポーツ都市を目指す東京としては、何としてでも、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致を実現させなければなりません。知事は就任直後ロンドンまで出向き、オリンピック招致の記者会見を行って、オリンピックを東京で行うことの強みを世界各国にアピールしてきました。
 三月にはIOC評価委員が訪問する予定ですが、そのときの対応は招致決定に大きく影響するものと考えます。国や民間団体などと密に連携をとりながら、一体となってIOC評価委員の日本訪問の対応や国際プロモーション活動を積極的に展開をしていくべきと考えます。
 そこで、今後の招致に対する取り組みについて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、スポーツ推進について伺います。
 スポーツは、それ自体が喜びや楽しさをもたらすだけではなく、心身の健康を含めた生活の質の向上にも寄与するものです。都が昨年十月に実施した都民のスポーツ活動に関する世論調査によれば、二十代から四十代のいわゆる働き世代、子育て世代において、スポーツを週一回以上実施する人の割合が低い傾向にあります。
 超高齢社会を迎える東京において、都民がいつまでも健康で生き生きと暮らせる社会を創出するためには、幅広い世代で多くの都民がスポーツに親しみ、スポーツを生活の中に浸透させるような環境づくりが必要です。
 都が先月公表した東京都スポーツ推進計画中間のまとめでは、年齢や生活環境等にかかわらず、だれもがスポーツに親しめるよう、ライフステージに応じたスポーツ活動を支援していくとしていますが、都は今後、どのようにライフステージに応じたスポーツ活動を推進し、身近にスポーツを楽しめる環境を整備していくのかお伺いをいたします。
 一昨年、超党派の議員立法で制定されたスポーツ基本法では、地域スポーツからすぐれた選手がはぐくまれ、その選手が地域スポーツに寄与することは、我が国のスポーツの発展を支える好循環をもたらすとしています。
 さきの中間のまとめにおいても、地域スポーツとトップスポーツの融合として、トップアスリートを地域スポーツの指導者として迎え、その経験や技術を地域スポーツの推進につなげる仕組みを構築するとしています。
 トップアスリートの高い技術や人間的な魅力は、地域や学校における活動ではぐくまれ、競技団体など周囲のサポートのもと、本人のたゆまぬ努力により培われた社会的な財産となります。よって、その財産を地域に還元するという都の取り組みは、積極的に推進されるべきものと考えます。
 そこで、都は、今後どのように地域スポーツとトップスポーツの好循環を図っていくのかお伺いをいたします。
 次に、教育施策について伺います。
 初めに、知事の教育再生に対する見解をお伺いいたします。
 石原前知事は、破壊的教育改革に向けて、教育再生・東京円卓会議を開き、今後の教育のあり方について多角的な議論を行ってきました。しかしながら、前知事は、昨年の都知事最後の定例会見に臨んだ際、手がけたいと思っていたができなかったことがある、教育の破壊的改革、これが心残りだと述べていました。
 猪瀬新知事は、生きる力、支え合う力を教育再生の基本とすることを選挙公約に掲げ、教育の再生を訴えています。
 そこで、知事は、東京都の教育の充実に向け、特に何を重視していくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、少人数学級について伺います。
 民主党政権時に策定された平成二十九年度までの五年間で三十五人以下学級を実現させる計画案が、安倍政権になって見送られ、文科省が当初、来年度予算に要求していた三十五人以下学級の拡大に向けた教員加配がなくなりました。
 これまで都教育委員会は、中一ギャップ対策として、平成二十二年度に教員加配を開始し、学級編制の算定基準を、初年度三十九人、二十三年度三十八人、二十四年度三十七人としてきました。平成二十四年三月に出されたその効果検証の報告では、いじめ発生の減少や全般的な基本的生活習慣の定着、授業中の学習態度の改善など、三十一項目ほどで顕著な効果が見られたという結果が出ています。
 教員が、一人一人が児童生徒に向き合い、きめ細かな指導を行っていくことで、学力の向上を初め、いじめの早期発見につながるなど、児童生徒が充実した学校生活を行っていく上では、少人数学級の推進は欠かせない施策と考えます。
 このような状況を踏まえ、国に先駆け、中一で三十五人学級を行おうとする都教育委員会に、今回実施に踏み切った理由と少人数学級の有効性について見解を伺います。
 次に、いじめ対策について伺います。
 都教育委員会は、都内全公立小中高等学校にスクールカウンセラーを配置することとしました。これらのスクールカウンセラーには、いじめの予防、早期発見、事後対策としての児童生徒の心のケア、自殺にまで発展させないなど、深刻化を防ぐこと、また教師から心理面に関する相談を受けることなど、さまざまな役割が求められます。
 また、配置するに当たっては、相談時間が現在の週一回、七・四五時間で有効なのか、いじめられていることをだれにもいえない子どもに対してはどう対応するのかといった活用策について、あらゆる角度から分析し、さらなる有効な活用方法を考案していくべきと考えます。
 そこで、都教育委員会は、配置に当たって、いじめ対策におけるスクールカウンセラーの有効性をどのように十全に発揮させ、活用を図っていくのか、見解をお伺いいたします。
 なお、各市区町村の公立小中学校の中には、その学校の実情に合わせてスクールカウンセラーを独自に配置をしている学校がありますが、その取り組み等がさらに生かされるような形で配置を行っていただくことも要望しておきます。
 次に、体罰問題について伺います。
 大阪市立桜宮高校の体罰事件をきっかけに、都教育委員会は、都内公立小中高校の全校に体罰実態調査を実施しました。そして、二月八日、都立高校二校で部活指導における体罰があったことが発覚したと発表されました。内容は、部員に対し平手打ちやひざげりを行い、体罰を受けた部員は口の中を負傷したとのことです。
 そもそも体罰は、学校教育法十一条により、懲戒を加えることはできるが体罰を加えることはできないとして、法律でも禁止されており、絶対にあってはならないことです。
 部活動の指導は、部員の技術における長所をいかに伸ばし、課題部分をいかにカバーし、またそれを本人が自発的に探究し、技術向上を図っていくよう促すなど、より客観的で効果的な技術指導、生徒指導であるべきと考えます。体罰に関する調査結果はこれからですが、都教育委員会は、それをもとに効果的な指導方法をしっかり分析し、教員に周知徹底していくことが必要であります。
 このたびの大阪市立桜宮高校の体罰事件を受けた直後の対応を伺うとともに、今後の対応の方向性についてどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
 次に、医療、福祉施策について伺います。
 知事は、選挙公約において子育て支援を掲げ、特に周産期医療とリスクの高い小児医療の充実を図るとともに、子育てしながら働く女性を応援するとしています。来年度予算案では、これら公約の実現に向けた第一歩として、子どもと子育て家庭への支援のため、周産期医療対策、小児医療対策、社会的養護などの充実に対する予算が計上されました。私たちも都議選マニフェストで、NICUの充実や、小児救急医療対策、待機児童の解消などを掲げており、こうした施策の充実は歓迎をするところです。
 知事の考える子育て支援のあるべき姿について、基本的な認識をお伺いいたします。
 また、知事は同じく選挙公約において、東京ER体制を進め、緊急医療ネットワークを充実し、二十四時間の安全を確保するとしています。救急医療の充実については、前回の都議選における私たちの選挙公約でもあり、ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいと考えています。
 救急医療が十分に機能するためには、患者を受け入れる医療機関に空きベッドが確保されている必要がありますが、それが困難な状況もあると聞きます。
 そこで、知事の選挙公約である東京ER体制を進め、緊急医療ネットワークを充実するについて、どのように救急医療体制を充実していくのか、知事の見解をお伺いいたします。
 知事の選挙公約では、もう一つ、都民の健康増進により医療費負担を減らし、福祉充実に充てるとの記述があります。
 昨年、国では、国民の健康づくりの指針となる健康日本21(第二次)を公表しました。この中では、介護を受けたり病気になったりせず、日常生活に制限のない期間を健康寿命と新たに定義し、この期間を延ばす考え方を打ち出しています。例えば、八十歳まで生きた人の場合、入院して日常生活に制限が生じて一年、さらに介護に二年を要した場合の健康寿命は七十七歳となるという考え方です。
 国は、この健康寿命の伸び幅が平均寿命の伸び幅を上回ることを目指しています。平均寿命と健康寿命の差が縮まれば、健康で元気な高齢者がふえ、結果として医療や介護など、年々膨らむ社会保障費用を抑える効果が期待され、私たちもこの考え方を支持するものです。
 現在、都は、今年度で計画期間が終了する東京都健康推進プラン21の次期計画の策定作業を行っているところですが、特にどのような観点を重視して策定を進めているのか、見解を伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 都が平成二十三年に行った調査では、都内の認知症患者は約三十二万人で、六十五歳以上人口の一二・五%と推計されています。また、このうち四分の三に当たる二十三万人が、見守りまたは支援が必要な認知症高齢者であるとされています。今後さらに高齢化が加速する中で、認知症高齢者の急増が予想されています。
 認知症対策としては、早期の診断による発見や診断結果に基づく早期の治療が重要といわれていますが、認知症の疑いのある高齢者の中には、みずから受診しようとしない方もいるため、こうした方への訪問による早期の診断と対応が必要です。認知症は精神疾患の一つですが、若い世代において発症することが比較的多いとされている統合失調症等と比べて、認知症疾患患者は高齢の方々が多く、早期の診断や介護との連携がより必要になります。そのため、認知症に詳しい医療スタッフによるアウトリーチが有効であり、今後注力すべきと考えます。
 来年度予算でも認知症対策のための予算が計上されていますが、認知症対策の基本的な考え方と今後の取り組みについて見解を伺います。
 次に、孤立死防止について伺います。
 ここ数年、地域で亡くなられたことに近隣の方々が気づかず、かなりの日数を経過してから発見される、いわゆる孤立死という大変痛ましい報道が後を絶ちません。都も来年度予算案では、高齢者の孤立を防ぐため、高齢者の見守りネットワークの構築の支援等のための予算を計上しています。
 しかし、最近の孤立死に対する報道は、高齢者だけの世帯に限らず、世帯内の生計中心者もしくは介護者が急になくなったことにより、その援助を受けていた方も死に至ったケースや、三十代、四十代の家族が同居しているにもかかわらず、家族全員が死に至っているケースも発生しています。
 このような高齢者を初めとした地域で孤立している方々に対し支援を行う市区町村の取り組みを一層推進すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、障害者施策について伺います。
 都は、今年度から平成二十六年度までの三カ年を計画期間とする第三期障害福祉計画に基づき、障害者施策に取り組んでいます。中でも、福祉施設に入所している障害者が地域生活に移行する人数について、国の基本方針に基づいた具体的数値目標として、平成二十六年度末までに基準時点となる平成十七年十月一日時点の施設入所者の三割以上、二千二百四人が掲げられています。第三期障害福祉計画では、目標達成のために市区町村の取り組みを促すとともに、新たな取り組みを進めることとしています。
 しかし、これまでの状況から推計すると、現在のままでは、平成二十六年度末までに基準時点の施設入所者の三割には到達しないことが予想されます。
 そこで、障害者の地域生活移行者数の目標達成に向けた取り組みについて、見解を伺います。
 次に、犯罪被害者等支援の推進についてお伺いをいたします。
 悲惨な事件により生命を奪われ、あるいは重大な傷害を負わされてきた犯罪被害者の皆さんの切実な訴えを受けとめ、民主党、自民党、公明党が合意して犯罪被害者等基本法を制定してから九年がたちます。
 東京は、地下鉄サリン事件や秋葉原無差別殺傷事件など、多くの犯罪被害者が生じた重大事件の発生地であり、性犯罪を初めとした犯罪発生水準や交通事故発生件数は高い水準にあります。都の相談、支援件数も、毎年増加傾向にあります。都は、都民のだれもがいつでも犯罪の被害者になり得る現状を重視して、犯罪被害者等支援を東京の社会全体の問題として認識し、犯罪被害者の権利利益の保護に向けて一層努めるべきと考えます。
 昨年、私たちは、すべての犯罪被害者がその被害から肉体的、精神的、そして経済的に回復する権利を持っているという考えから、条例提案を行いました。この基本的な考えについては皆さんも異論がないのではないかと考えます。
 イギリスには、被害者憲章、ビクティムチャーターがあり、我が国には基本法もありますが、犯罪被害者等の支援をさらに推進し、都民の理解を深めていくために、東京都が犯罪被害者を支えるその姿勢を明確に示す、東京都犯罪被害者等権利章典といった都としての宣言を策定する必要があると考えますが、互いに助け合う東京をみんなでつくろうと考える知事に見解を伺います。
 昨年四月、都内の市区町村に犯罪被害者への相談、問い合わせ窓口が設置されました。これからは、被害に遭われた犯罪被害者の皆さんが、都内のどこの自治体に相談に訪れてもきめ細かな支援が受けられる、都内全域が一体となっての支援体制の構築が推進されることが重要と考えます。
 都は、都内に犯罪被害者等に便利でわかりやすい総合相談窓口を設置し、相談事業を行うとともに、心的外傷その他犯罪等により受けた影響から早期に回復できるように、精神科医や臨床心理士などによるカウンセリングも実施しています。窓口における支援の実績は、平成二十年以降、毎年増加傾向にあり、昨年度は五千六十件にも上っています。
 そこで、多摩地域にも犯罪被害者等の皆さんを支援する拠点を新設し、犯罪被害者等の皆さんを支え、市町村と一体となった支援体制の構築を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、多摩・島しょ振興について伺います。
 多摩地域の振興策については、平成十三年に多摩の将来像二〇〇一が策定されました。以来、この基本構想に基づき、平成十五年の多摩アクションプログラムを初めとするさまざまな実施計画により、重点的施策への取り組みが行われてきました。
 こうした取り組みにより、多摩の生活や産業を取り巻く環境は改善されつつありますが、新たな多摩ビジョンでは、多摩地域の将来をしっかりと見据えた暮らしや産業のビジョンが描かれなければなりません。あらゆる視点から多摩が持つ資源を掘り起こし、その可能性を探りながら、快適で活力ある地域をつくり上げていかなければならないと考えます。
 そこで、多摩地域の振興に対する知事の基本的姿勢についてお伺いをいたします。
 また、八丈島では、都と町が連携し、地熱発電等の再生可能エネルギーの利用拡大や地産地消への取り組みも始められています。都議会民主党では、これまでもエネルギー政策について、私たちが視察したアイスランドなど諸外国の例も取り上げ、太陽光や地熱、水力を初めとする再生可能エネルギーの普及促進を訴えてきました。
 多摩地域には、太陽光、風力、小水力、バイオマスなど多彩な再生可能エネルギー源があり、こうした資源を最大限に活用し、環境スマートシティー実現に向けた多摩地域ならではのエネルギー戦略を構築していくことが可能です。電力制御技術とICT、情報通信技術を組み合わせた電気の有効利用に加え、未利用エネルギーも含めたエネルギー全体の需要供給体制の構築、さらには地域の交通システムや市民のライフスタイルの変革までも幅広く含むエリア単位での次世代エネルギー、社会システムを構築する、こうした地域づくりは、さまざまなサービス提供という形でビジネスチャンスを生む絶好のフィールドを提供することにもなります。
 多摩地域が持つ多彩な再生可能エネルギー源という潜在的資源を生かし、環境スマートシティーづくりを多摩ビジョンに位置づけ、積極的に進めていくことが重要であると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、小笠原諸島の航空路問題について伺います。
 小笠原村では、一九六八年、小笠原諸島が日本に返還されて以来、空路の開設を要望し続けてきました。これまでの空路開設への経過を見ると、さまざまな計画案が出されては、その都度、環境への影響、経費の増大等の理由からとんざし、四十年余りが経過をいたしております。そして、現在では、父島の洲崎地区の旧海軍の飛行場跡地案、防衛省の滑走路がある硫黄島案、水上飛行艇案が浮上し、協議会等で議論が行われています。
 村民の皆さんの中には、世界自然遺産登録によって空路開設のハードルが一つふえたという認識を持たれている方もいます。しかし、住民側から見ると、急な病気やお産といった緊急時、また、一たん上京すると帰りの船を待つのに十日もかかってしまう、こうした経済的、肉体的な負担が大きいという現状に、ライフラインとしての航空路を求める声は強いものがあります。
 小笠原諸島の航空路について、いま一度小笠原村住民の意向をお聞きし、確たる方向性を示すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 酒井大史議員の代表質問にお答えします。
 東京の将来像についてでありますが、日本は今、停滞感、閉塞感に覆われています。こうした心のデフレ状態を突破する、打破するためには、日本の心臓である東京をおいてほかにありません。
 この都市がたどってきた、近代からの歴史の軸を心に構え、東京の生きた現場から、東京モデルとも呼ぶべき新しい政策を展開することで、日本全体に改革のうねりを巻き起こしていきたい。そして、改革の先に実現する、一人一人が輝く社会こそが、私の思い描く東京の将来像であり、その実現に向け、これまでの都政の方向を継承しつつ、改革を加速させていきます。
 東京都では、一昨年の十二月、「二〇二〇年の東京」を策定し、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を目指す東京の姿とそれに向けた政策展開を示しました。
 副知事として策定にかかわったこの長期ビジョンを踏まえて、先月、「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三を策定しました。就任から一カ月という短い期間でありましたが、選挙で都民の皆様にお約束したことについて、政策展開の基本的な方向性を示すとともに、直ちに取り組みが可能な政策を具体化しました。
 これらの計画を羅針盤として、東京を二十一世紀にふさわしい都市へ進化させ、世界一の都市に押し上げていく、そういうつもりであります。
 平成二十五年度予算についてでありますが、日本を支え、変えていくためには、日本の心臓である東京が率先して行動を起こすことなどが必要であり、今回の予算編成においては、国を動かし、民間活力を引き出しながら、新たな東京モデルを発信していく取り組みを行い、さらに都民の安全・安心を守る取り組みに財源を重点的に投入することとしました。
 幾つか例を挙げれば、国に先駆け、小規模保育に対する補助制度、東京スマート保育を創設したほか、家庭用蓄電池等への新たな補助や、ソーラー屋根台帳の作成、公表などにより、エネルギー産業の市場拡大にも取り組んでいく、こういうことであります。
 就任から短期間での予算編成になりましたが、選挙で約束したことについては、このように直ちに取り組み可能なものをしっかりと具体化するとともに、時間を要する事業については、政策展開の方向性を示して、精力的に検討していきます。
 今後とも、現場を持つ強みを生かし、知恵を出し合い、費用対効果の高い新たな施策を展開することで、霞が関の壁を打ち破り、日本全体に改革のうねりを巻き起こし、東京からこの国の将来を切り開いていきます。
 次に、地方分権改革についてであります。
 施政方針で申し述べたとおり、我が国は明治維新以降、一貫して官僚主権であります。しかし、この体制はもはやその有効性を失っており、国全体に活力を取り戻すために、地方を画一的な基準から解き放ち、その持てる力を十二分に発揮させる改革が必要であります。
 こうした認識のもとで、地方分権改革推進委員会の委員として、内閣総理大臣に対し、四次にわたる勧告を行ってきました。しかし、地方を縛る義務づけ、枠づけの見直しは骨抜きにされ、国の出先機関の三万五千人の職員削減も全く進んでいません。まずは地方分権改革推進委員会の勧告どおりに実施すべきでありました。
 また、これまで東京都は、認証保育所など生きた現場から、発想力を駆使した東京モデルとも呼ぶべき新しい政策を展開してきました。さらには、厚労省のハローワークが持つ職業紹介機能を東京都へ移管させることで、職業訓練、職業紹介、実際の就職という流れが一体となった雇用施策を展開することが可能となるわけであります。こうした具体的な政策の実現もあわせて、国からの権限移譲や関与の撤廃など、地方分権改革を東京から進めていきます。
 法人事業税の暫定措置についてであります。
 この措置は、受益と負担という地方税の原則に反し、地方自治を侵害する極めて不合理な制度であります。もとよりこの措置は、税制の抜本的な改革までの間の暫定ということでありますから、今回の消費税率の引き上げにあわせて確実に廃止し、地方税として復元するとともに、総体としての地方税財源の拡充という本質的な課題に取り組むことが必要であります。政府に対して引き続き、都議会の皆様と一緒に一体となって強く働きかけていきたい、そう思っております。
 東京都という首都の基本的な役割ですが、東京は、いうなれば一つの国であります。官僚は都道府県のことを地方公共団体と、団体と呼ぶんですが、憲法の原文では、ローカル・セルフ・ガバメント、すなわち地方公共団体ではなくて地方政府と書いてある。翻訳がおかしい。アメリカはユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカといいますが、残念ながら日本はユナイテッド・ミニストリーズ・オブ・ジャパンです。縦割りの省庁の連合体が政府となっている。だから、首都である東京都は、戦前戦後一貫して続くこの国の官僚主権を打破し、地方政府としての、首都政府としての範を示す必要があります。
 同時に、東京のためだけの地方政府であってはならないということで、常々都庁職員に対しては、君たちは首都公務員であって、満点は百点じゃないよ、百二十点満点だよと。あとの二十点は、世のため、人のため、地方のため、国のために力を尽くすということで、仕事をしていただいているつもりです。この姿勢は職員の心構えにとどまらず、都政運営の大原則というふうに考えていただければというふうに思います。
 首都東京は日本の心臓であり、みずからの力強い鼓動によって日本を支え、日本を変えていくという大きな役割を担っています。国家を背負う気概を持って、東京のみならず、日本全体を俯瞰し、都民、国民の利益のために、東京独自の政策を積極的に展開していく、そういうふうに考えております。
 防災対策についてであります。
 未曾有の被害をもたらした東日本大震災は、我々に多くの教訓を与えました。行政、企業、住民は、日本列島で災害を生き抜いてきた共通の記憶を持つ一員として、リスクを直視し、そしてそれぞれが責任とコストを分かち合い、自助、共助、公助を重ね合わせた対策を進める必要があります。
 まず、公助を担う行政が社会的な役割を果たすのは当然であります。水門、堤防などの耐震、耐水対策や、学校、病院等の耐震化はもとより、ツイッターの活用や地下鉄における通信環境の整備など、ハード、ソフト両面における対策を着実に進めていきます。
 一方で、災害への備えをすべて行政任せにしないよう、自助、共助の担い手となる住民や企業の意識を高め、その取り組みを後押ししていきます。消防少年団員を、三カ年で現在の三千人から六千人へと倍増させ、すべての都立高校で宿泊防災訓練を実施するなどにより、地域の防災の担い手を今から育てていく。スタンドパイプを活用した初期消火訓練も推進し、都民の防災力も向上させていく。
 企業の取り組みについては、本年四月の帰宅困難者対策条例の施行を見据えて、帰宅困難者保護のための備蓄の一割上乗せを呼びかけるとともに、備蓄品への補助など、そういう支援を通じて、その取り組みを加速化させていくということです。
 副知事時代に帰宅困難者対策協議会の座長を務めまして、その対策を推進してきましたが、これから行政、企業、住民それぞれが、利害や事情を抱えていても責任を全うすることで、壁を突破し、解決していきます。こうしたことを通じて、日本の心臓である首都東京の防災力を高めるとともに、お互いを思いやり、助け合う、一人一人が輝く社会を実現させていきたいというふうに思っています。
 次に、エネルギー政策についてでありますが、副知事在任中から、市場における新電力のシェアを三割にするという具体的な目標を掲げながら、東京都は独自の取り組みを進めてきました。これまでに、電力会社の独占体制に風穴をあけるため、都庁舎の電力の一部切りかえ、都立中央図書館や東京武道館での電力の複数契約の導入、都営の水力発電事業における新電力の買い取り参入に向けた条例改正など、極めてリアルな取り組みを次々と実現してきています。
 また、東京電力自体の改革を進めるため、会社の経営改革本部と定例会合を持ちながら、改革の進捗をチェックするとともに、新電力から需要家への供給が十分に進んでいない実態を明らかにし、バックアップ電源の供給を東京電力に求めました。
 こうした電力システム改革を進めると同時に、家庭や企業でもみずから電気を生み出し、賢く使っていく都市を構築する、そういう必要があります。そこで、家庭や企業における電力の使用状況の見える化を進めるとともに、燃料電池や蓄電池、コージェネレーション設備の設置を促進する新たな補助制度を来年度開始いたします。
 このように、エネルギーの供給側、需要側の両面から、一体的な取り組みを進め、都市の成長を支えるエネルギーバランスの確保を図っていく、そういう方針でやっています。
 東京の産業振興についてでありますが、日本の再生を牽引し、新たな発展を実現させるためには、世界的に事業活動を展開する外国企業を東京に誘致するとともに、首都東京を支える産業を活性化し、東京をアジアのビジネス拠点として形成しなければいけません。
 そこで東京は、海外からの投資を呼び込むため、法人税の減免や規制緩和を図るとともに、外国人の生活環境を整備し、戦略的に外国企業を誘致するアジアヘッドクオーター特区の取り組みを始めたところであります。これを積極的に推進していきます。国は法人税を下げ、東京都は法人事業税、地方税を下げるんです。
 一方、国内市場の飽和や少子高齢化の影響により、我が国の企業は、ビジネスモデルの転換やイノベーションを迫られています。
 東京都では、環境、エネルギーなど今後成長が見込まれる産業分野を振興するとともに、中小企業の海外展開、技術開発、そして経営革新を支援していきます。こうした産業振興施策を着実に進め、活気ある東京を取り戻し、輝く国際都市にしていきたい、そう思っています。
 新銀行東京についてでありますが、新銀行東京は、現経営陣のもと、再建に向けて懸命な努力を重ね、連続して黒字を計上し、純資産も五百十四億円まで積み上がっています。しかし、まだリハビリ状態にあり、再生に向けては道半ばであります。
 新銀行東京の今後の方向性については、新たな提携先などを含め、さまざまな可能性も考えられますが、その前提として、新銀行東京の企業価値を高めていく必要があります。まずは安定的に黒字を確保して、経営基盤をより一層強化することが先決となります。
 雇用についてであります。
 東京の有効求人倍率は、平成二十四年四月に一倍を上回り、現在は一・一六倍まで持ち直したにもかかわらず、失業率は四・八%と依然高どまりしています。仕事があっても職につけない状態は一刻も早く打開すべきでありまして、来年度も引き続き意欲ある若者に、実際の就労体験を経て中小企業とのマッチングを進めるなど、効果的な施策を展開していきます。
 雇用の確保や労働条件の改善は、成長産業の育成を推進する産業政策と軌を一に進めるべきものであります。都としては、中小企業の意欲ある取り組みへの支援を一層充実させることにより、東京の経済を活性化させていきます。
 また、日本経済が活力を喪失してから多くの年月が費やされてきましたが、この間、人々に蔓延した心のデフレを克服するためにも、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致の成功を目指して、全力を挙げていきます。三月の初めにIOCの調査団が参りますので、プレゼンテーションをきちんとやりたいと、今その準備をしています。
 豊洲新市場についてでありますが、副知事就任早々に築地市場に足を運び、現状を目の当たりにいたしました。築地市場は、施設配置が鉄道時代のもので、トラック輸送が主流の現在の物流に対応していません。産地等からの多くのトラックや買い出し人の車で場内が錯綜し、駐車場所も足りないため、十分な営業活動ができない状態であります。その上、施設の老朽化が著しく、顧客ニーズに対応可能な新たな施設設備も困難です。流通環境の変化や、これらのことが原因で取扱量が減少しており、このままでは卸売市場の機能が損なわれるおそれがあります。こうした状況を考えれば、一刻の猶予も許されないという状態であります。
 しかし、都民の食の安全・安心の確保は最優先されなければならず、新市場用地の土壌汚染対策に万全を期すことにいたしまして、このため、今回、開場を一年延期することにしました。
 築地は、海外にも広く知られておりまして、多くの観光客でにぎわうなど、食文化の拠点としてのブランドを確立していることは事実でありますので、石原前知事も述べていましたが、市場移転後も、築地と豊洲がともにブランドとして並び立つことが重要であるというふうに考えております。築地のにぎわいは成熟した文化でありまして、中央区が取り組む食文化の継承について、引き続き協力してまいります。
 自転車の利用促進についてであります。
 自転車は環境負荷が少なく、都市における有効な移動手段の一つであります。東京は、鉄道の発展によってつくられた都市であります。一方、道路は、都市機能の急速な集積に、空間の確保がいまだに追いついていない。このため、自転車が安全に走行するための空間が決定的に不足しています。
 そこで、まず自転車の利用を促進するためには、交通ルール、マナーを守った安全な利用が欠かせないことから、本定例会に、自転車を安全で適正に利用するための条例案を提案いたしました。
 一方で、外環道を含む三環状道路の整備を促進し、都心に用のない自動車の流入を大幅に減少させることにより、慢性的な渋滞が発生している現在の東京の道路環境を一変させ、道路利用者の可能性を広げていきます。
 こうした取り組みなどにより、より快適で魅力的な都市空間を創出し、東京を輝く都市につくり変えていきます。
 オリンピック・パラリンピックの招致についてでありますが、間近に迫ったIOC調査団の訪問は、国際プロモーションの重要な機会の一つと位置づけています。開催計画内容の優位性をアピールし、歓迎ムードを最高潮に高めて、東京開催への熱意を示します。
 今回の調査結果が全IOC委員に報告されることから、報告書で高評価を獲得することを目指して、万全の体制で臨んでいって、今準備してやっています。
 今後の国際プロモーション活動では、都知事自身みずからが、盤石な財政基盤、宿泊、交通といった世界有数のインフラ、洗練された都市としての魅力、そういうものをプレゼンテーションして訴えます。
 加えて、スポーツ界の国際的なつながりを活用するきずな作戦、関係省庁や民間企業など国際ネットワークを活用する友達作戦、そういうものを駆使して、百一人いるIOC委員に迫っていくんです。
 このように、国家の総力を挙げて戦略的に東京の票を獲得して、招致レースを戦い抜いていきます。
 東京都の教育の充実についてであります。
 急速に変化し多様化する現代社会において、我々が直面する課題は一層複雑なものになっています。これからの厳しい時代を子どもたちが生き抜くためには、生きる力と支え合う力の育成を重視しなければならない。まず、子どもたちに、どん欲に疑問を持ち、徹底的に解を求める姿勢や、社会問題と向き合い、社会に積極的に貢献しようとする意識を身につけさせる必要があります。
 フランスの哲学者アランは、悲観主義の根底は意志を信じないことである。楽観主義は全く意志的であると書いています。アランの定義集です。気分による悲観主義は何も生みません。何も変えません。新しいものをつくり出すのは、いつの時代も意志、楽観的な意志がなければ動きません。
 さらに、このような挑戦意識、社会貢献意識を成果に結びつけるためには、事実やエビデンスなど根拠を挙げながら説明する。感情に走らず、形容詞を使わず、百かゼロかにならない議論ができる力を育成する必要があります。正しい現状認識を共有しながら他者と議論を積み重ねていけば、複雑な課題であっても結論を導くことができます。
 これらの力を育成するため、来年度、言葉の力を育成する言語能力向上推進校を百三十校から約二百校に拡充するとともに、首都圏の高校生を対象に、高校生書評合戦首都大会、これは仮の名称ですけれども、去年、ビブリオバトル首都決戦、約百の大学でやりましたが、今度は東京の高校生、首都圏の高校生を対象に、書評合戦首都大会を開催いたします。本を読まないとしゃべれないという、これが書評合戦です。
 また、高校生の挑戦意識や価値観の異なる他者と対話する力を高めるため、都立高校生の留学支援を拡充するとともに、新たに私立高校についても支援を開始します。
 さらに、去年からやりましたが、全都立高校で実施している一泊二日の宿泊防災訓練の内容をさらに充実させて、高校生の社会貢献意識を高めていきたい。
 資源のない我が国の存立基盤は、人であります。日本の心臓である東京が、日本を支え、変えていくために、さまざまな課題と向き合い、乗り越え、次代を切り開いていく人間を育成していきたいと思います。
 子育て支援のあるべき姿についてでありますが、かつて祖父母や近隣住民に助けられ、多くの人とかかわりながら子育てをすることが可能だった時代には、親は周囲の人から子育ての知恵を学ぶことができました。
 しかし、子育て世帯の九割近くが核家族となり、地域社会とのつながりも希薄になった現在の東京では、子育て家庭の孤立化が問題となり、子育てに対する不安や負担を感じる親も少なくありません。
 子どもはみんなそれぞれ個性や能力を持ち、将来への限りない可能性を秘めています。どんな社会環境であっても、すべての子どもたちを次代の後継者として、ひとしく健やかに育てていくことは、親だけでなく、社会全体の責務であり、子どもを産み育てることを望む人たちが安心して子育てできる環境を、住民団体やNPOなどの地域の力、企業など民間の力と連携して整備していくことが行政の役割であります。
 そのために、まず来年度の予算で、東京スマート保育の創設を初めとした保育サービスの拡充、こども救命センターにおける退院支援コーディネーターの配置など小児医療の充実、この四年間で二百三十一床から二百九十一床まで整備が進んだNICUのさらなる増設など、子育て支援のための新たな施策を盛り込んでいます。
 今後とも、こうした具体的な施策を積み重ねながら、子育てしながら働く女性を支援し、安心して子育てができる東京をつくっていきたいというふうに思っています。
 救急医療体制の充実についてでありますが、病気やけがは、いつどこで起きるか予測できません。どんなときでも、だれもが症状に応じた適切な医療を受けられる体制をつくることが救急医療の基本であります。
 そのため、初期、二次及び三次救急医療の体制を整備し、三次救急医療を担う救命救急センターを都内で二十六カ所指定しています。また、広尾病院など四つの都立病院には、東京都独自の東京ERを設置し、地域の医療機関と連携しながら、初期、二次、三次救急医療を一体的に提供しています。
 さらに、専門医による対応が必要な小児や妊産婦に関しては、こども救命センターや総合周産期母子医療センターなどを整備し、緊急を要する患者を確実に受け入れる体制を整えています。
 患者の搬送についても、救急医療の東京ルールを定め、東京消防庁に搬送コーディネーターを配置して医療機関への迅速な搬送に努めており、来年度はこうした取り組みに加え、ひとり暮らし高齢者など搬送調整に時間を要する患者を受け入れる病院をふやし、救急搬送患者を受けとめる仕組みを強化いたします。
 救急医療は、都民の安全と安心を守るとりでであります。今後とも、医療機関の現場の声を聞きながら、都における救急医療体制を一層充実させていくつもりでいます。
 犯罪被害者等権利章典の策定についてでありますが、犯罪被害者やその遺族が、犯罪により生命、身体を直接的に脅かされるだけでなく、その後も身体的、精神的あるいは経済的に過酷な状況に置かれることは、まことに理不尽であります。過酷な状況に直面した犯罪被害者の切実な思いにこたえる、社会全体で被害者の人権を守り支えていくことが必要であり、ニーズに即した具体的な支援を迅速に行うことが何よりも重要であります。
 お話に出たイギリスの被害者憲章は、犯罪被害者が有する基本的権利等について政府が宣言したものであります。我が国でも、犯罪被害者等基本法などにおいて同様の内容が明記されており、東京都が改めて犯罪被害者等権利章典を策定する必要はないというふうに考えます。
 今後とも、犯罪被害者等基本法にのっとり、被害者や関係団体の声を受け、支援施策を総合的かつ体系的に示した東京都の計画に基づいて、区市町村、民間団体とも連携して、被害者支援に積極的に取り組んでいきます。
 今後の多摩振興についてでありますが、多摩地域は、戦後の高度成長に伴う人口の増加を吸収し、東京の人口の三分の一を擁するまでになりました。また、最先端産業や数多くの大学、研究機関が集積し、製造品出荷額では区部を上回るなど、東京の発展の一翼を担うとともに、奥多摩を初め豊かな自然環境に恵まれた多様な魅力を持つ地域であります。
 一方、多摩地域は、区部に先行した人口減少局面の到来、大規模団地や都市インフラの老朽化、大規模工場の相次ぐ撤退などの課題も発生していることは認識しています。
 こうした時代の変化に対応するため、多摩地域の特性を最大限に活用し、あらゆる世代が交流する暮らしやすいまちづくりや成長産業への参入など、これからの多摩の方向性を示す新たな多摩のビジョンを今般策定いたします。そのビジョンに基づいて、各市町村とも十分連携して、魅力と活力にあふれた多摩の実現に向けて取り組んでいきます。
 なお、その他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 三点のご質問にお答えをします。
 まず、中学校第一学年の学級編制についてでありますが、中一ギャップ問題に対応するため、平成二十二年度から計画的に教員の加配を拡大し、来年度、三十五人以下学級編制を可能とする教員の加配制度を完成させます。この加配は、学級規模の縮小のみならず、少人数指導、チームティーチングなど、各学校の実情に即した最適な方法を選択できるよう、弾力的な制度として実施をしており、今後ともこの方針を維持してまいります。
 中学校第一学年は、入学直後の環境の変化により、学習、友人関係、生活などに関する不安やストレスを抱え、学校不適応を起こしやすく、いじめの認知件数も最も多い時期であります。今回の加配の拡大は、こうした中一ギャップの予防、解決に効果が大きいと考えております。
 次に、スクールカウンセラーの活用についてでありますが、都教育委員会では、臨床心理に高度な専門性を有するスクールカウンセラーを平成七年度から順次配置し、学校における教育相談の充実を図ってまいりました。
 配置校からは、スクールカウンセラーへの児童生徒の相談がいじめの早期発見につながり解決した事例や、いじめている児童生徒に対してもカウンセリングを行うことで、いじめの再発防止につながった事例などの報告があり、いじめ問題の対応に成果を上げております。
 今後、期待される役割の徹底を図るため、手引を活用し、すべてのスクールカウンセラーを対象とした研修や、各学校における教員向けの教育相談に関する研修などの実施を通して、いじめ問題の解決に向けた取り組みを充実し、スクールカウンセラーの一層の活用を図ってまいります。
 次に、体罰問題への対応と今後の方向性についてでありますが、都教育委員会は、大阪市立高校の体罰事件を受け、一月十七日、適切な部活動指導の推進について通知するとともに、体罰の実態調査を開始いたしました。現在、都内公立学校において調査を進めており、三月末に概要を取りまとめる予定であります。
 都立学校における重大な体罰について、都教育委員会は調査チームを派遣し、適切に対応するとともに、外部委員を含めた体罰調査委員会において、実態や背景を解明することといたしました。
 今後、緊急に教員用パンフレットを作成し、顧問教諭対象の研修会を開催して、改めて体罰禁止の徹底を図ってまいります。
 また、部活動指導のあり方を検討する委員会を早期に立ち上げ、総合的な対策を講ずることにより、体罰の根絶に向け、学校と一体となって取り組んでまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 耐震、耐水事業における都民の防災意識の向上についてでございますが、事業の実施に当たりましては、都民に工事の内容や事業の必要性、効果などをわかりやすく周知することにより、防災に対する意識を高めていただくことも大切でございます。
 都はこれまでも、住民説明会の実施や工事広報看板を現地に設けるほか、大規模工事などにおきましては、事業をPRするインフォメーションセンターの設置や、地元区と連携した町会や小中学校を対象とする現場見学会などを実施しております。
 今後とも、だれにでもわかりやすいイラストや映像、さらにはツイッターなどを活用した広報など、なお一層の情報発信や普及啓発に努め、防災意識の向上を図ってまいります。
   〔知事本局長前田信弘君登壇〕

〇知事本局長(前田信弘君) 尖閣諸島活用基金を国に託す上での考え方についてのご質問にお答えいたします。
 島々は国の所有となりましたが、今後は、その活用を図ることが肝要であります。昨年九月、国の所有に先立ちまして、東京都は現地調査を行い、地元漁業者のための施設の設置や自然環境の保護などの必要性を確認いたしました。
 今後も、国に対して島々の活用に資する取り組みについて提案等を続けてまいります。
 いずれにせよ、基金を託すに当たりましては、寄附者の志が生かされることが重要であり、国の動向を見きわめながら適切に判断してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、防災の広域的な応援体制についてでありますが、首都直下地震などの大規模災害に備え、広域応援を担う自衛隊、警察、消防との連携強化はもとより、他県市との相互支援体制を確保していくことが重要であります。
 このため、まず、全国から集結する自衛隊、警察、消防との連携について、初動時の各機関の活動内容をあらかじめ定めた対処要領を策定し、都内各地で応援部隊の受け入れと活動が迅速に展開できるようにしてまいります。
 また、職員派遣や支援物資、資機材の提供など、他県市との相互支援の強化に向け、全国知事会では、あらかじめ被災県ごとに支援担当府県を定めるとともに、九都県市においても、関西広域連合との意見交換を踏まえ、首都圏を超えた応援体制について検討を進めております。
 こうした取り組みを加速するとともに、自衛隊等の応援部隊や他県市と共同で実践的な訓練を行うなど、広域的な観点に立ち、首都直下地震への備えを強固にしてまいります。
 次いで、立川断層帯地震についてでありますが、立川断層帯地震は、首都直下地震と比較して発生頻度はまれであると考えられますが、文部科学省から、東日本大震災の影響で発生確率が高まった可能性もあると指摘されたことから、都は、昨年四月、被害想定を策定いたしました。
 今回、文部科学省は、より詳細な断層帯の実像を把握するため、三カ年のプロジェクトとして、大規模なトレンチを掘削して地層を観察するなどの調査を進めております。
 都といたしましては、このプロジェクトに協力し、関係市町とも連携して、都民に的確に情報を伝えていくとともに、今後得られる調査、観測の成果を踏まえ、防災対策の充実につなげてまいります。
 次いで、都内避難者への支援についてであります。
 都はこれまで、各局や関係機関と連携し、さまざまな情報の定期的な提供、相談窓口の設置、就労、就学支援、孤立化の防止など、生活全般にわたりきめ細やかな取り組みを行ってまいりました。
 このうち、孤立化防止については、区市町村や社会福祉協議会などと連携し、戸別の訪問活動や避難者同士の交流の場の提供など、さまざまな取り組みを進めております。
 こうした取り組みに加え、今回の東雲住宅における事例を受け、避難者に身近な自治会などとも連携し、情報を共有し合うなど見守り活動の充実を図ってまいります。また、区市町村の避難者支援担当者を対象とする連絡会を開催し、効果を上げている戸別訪問の事例紹介を行うなど、避難者の孤立化を防ぐ取り組みを強化しております。
 都といたしましては、避難元自治体とも十分に連携し、避難者が安心して生活を送れるよう、避難者支援に引き続き積極的に取り組んでまいります。
 次いで、復興対策についてでありますが、大規模災害から速やかな復興を果たすため、都は、各局の役割分担や復興事業の執行手順等を示した震災復興マニュアルを策定し、事前の備えに取り組んでまいりました。
 とりわけ、発災後早期の生活再建に不可欠な罹災証明発行業務について、発行手続や被災者台帳構築などを迅速化するシステムを国と共同して開発するなど、平時から復興対策を推進してまいりました。
 国は現在、東日本大震災の特別復興対策を今後の大規模災害でも発動できる制度として検討しているところであり、また一方で、被災された各県では復興に向けた具体的な取り組みが進められております。
 都といたしましては、こうした国の動きや各県の復興状況から得られる教訓を踏まえ、今後さらなる復興対策の強化に取り組んでまいります。
 次いで、多摩地域の犯罪被害者支援体制についてであります。
 都は、区部と同様に、多摩地域の被害者に対しても、都と共同で総合相談窓口を設置している被害者支援都民センターによる電話や面接での相談、精神的ケア、検察、裁判所等への付き添いのほか、被害者のところへ出向いての相談支援も行っております。
 また、被害者が身近な市町村で相談し、支援を受けられるよう、市町村の相談窓口機能の充実にも取り組んでおります。
 具体的には、都と都民センターが連携して市町村職員への研修を行うとともに、市町村訪問や情報交換、助言を実施しております。
 今後とも、都民センターや市町村と連携し、こうした取り組みを着実に推進し、一体となって多摩地域における被害者支援体制の構築を図ってまいります。
 次いで、再生可能エネルギー源を生かした多摩のまちづくりについてであります。
 多摩地域を安全で魅力あるまちとするためには、地域の強みである豊かな自然環境を生かしたエネルギー創出の取り組みなど、環境に優しいまちづくりを進めていくことも必要であります。
 このため、新たな多摩のビジョンでは、多摩地域が有する豊かな自然など多様な資源を活用した再生可能エネルギーの普及や、スマートシティーのモデル構築などを今後の多摩地域の重要な方向性として位置づけました。
 今後、市町村はもとより、さまざまな主体とも連携しながら、ビジョンで掲げた低炭素で自立分散型エネルギーのまちづくりの推進に取り組んでまいります。
 最後に、小笠原諸島の航空路についてであります。
 小笠原諸島への交通アクセスの改善は、島民生活の安定と産業振興を図る上で極めて重要と認識をしております。このため、都は、平成二十年に都と小笠原村で構成する小笠原航空路協議会を設置し、これまで航空路開設についてさまざまな検討を行ってまいりました。
 航空路開設に当たっては、ご指摘の三案を中心として、陸域、海域への影響や希少な動植物の生態に与える影響に加え、費用対効果、運航採算性、安全性の確保、最新の航空機材の技術開発動向などを勘案し、実現可能な航空路案の取りまとめに向け、慎重に課題整理を行っております。引き続き、自然環境との調和を初め、さまざまな課題について幅広く検討をしてまいります。
   〔消防総監北村吉男君登壇〕

〇消防総監(北村吉男君) 特別区消防団運営委員会の答申を踏まえた東京消防庁の今後の取り組みについてでありますが、昨年、各区の消防団運営委員会から、木造住宅密集地域や大規模商業施設が集中する地域などを対象に、その特性に応じた震災時の多岐的な消防団活動の必要性が答申されました。
 この答申を受け、当庁では、災害態様に即した新たな災害活動基準づくりや消防団員の安全確保対策を推進していくとともに、消防団活動に必要な資機材等の拡充に努めてまいります。
 さらに、震災時における被害軽減のため、消防団と地域住民、自主防災組織等とのより一層の連携強化による実践的な訓練を推進するなど、地域防災力の向上を図ってまいります。
 今後も、地域特性に応じた即時性の高い消防団活動体制の充実に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区制度についてでございますが、不燃化特区は、都区の緊密な連携が重要であり、積極的に現場で取り組む区への支援を重点的、集中的に行うこととしております。
 木密地域には、住民の高齢化や権利関係の複雑さなど、地域の改善が進みにくいさまざまな課題があり、これらにきめ細かに対応する必要がございます。このため、区の体制を強化する観点から、事業に必要な専門的な知識を有する弁護士や税理士等を活用する際に助成を行うことといたしました。加えて、区が独自に取り組む住民への助成制度に対して都も新たに支援を行うなど、区の後押しを進め、木密地域の不燃化を強力に推進してまいります。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、耐震診断については着実に進捗しており、今後は、補強設計や改修工事に速やかにつなげていくことが重要でございます。
 このため、区市町村や関係団体とも連携し、診断が完了した建物の所有者に対して、個々の事情を勘案しながら情報提供や助言を丁寧に行っていくとともに、助成制度を初めとするさまざまな支援策を講じていくことで、所有者の主体的な取り組みを促してまいります。
 また、個々の建物の状況や所有者の事情にも十分配慮しながら、条例に基づく指導や勧告などを適切に活用することも必要でございます。
 引き続き、都としては、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けて、全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 三点のご質問でございます。
 まず、スマートエネルギー都市推進事業についてでございますが、本事業は、家庭向けの燃料電池や事業所向けのコージェネレーション設備など、いまだ初期投資が大きい機器の設置費用を補助し、普及拡大を進めるとともに、エネルギー利用の効率化を誘導する施策でございます。
 国の補助制度に上乗せして活用することができますので、例えば蓄電池であれば、費用の三分の一を国が、六分の一を都が補助し、合わせて二分の一のコストで購入することができます。また、基金を造成して、家庭向けは五年間、事業所向けは七年間にわたる交付期間を設け、継続的に普及拡大と価格の低減を促進してまいります。
 次に、地域エネルギーマネジメントについてでございますが、都は昨年度から、都心部におきまして、コージェネレーション設備を活用した電気と熱の一体的な管理による地域エネルギーマネジメントシステムの構築に向けた調査を行っております。
 このシステムは、地域ごとのエネルギーの利用特性や供給可能性に応じた取り組みでございまして、業務系、住宅系など、各地域の特性に応じて電気と熱の最適な需給調整を行う必要がございます。
 今後、住宅系地域におきましては、関係局と連携しまして、コージェネレーション設備を活用した集合住宅の普及拡大を図るほか、新たな補助事業により、家庭におけるエネルギー利用の効率化を促進し、東京全体のエネルギー需給の最適化を図ってまいります。
 最後に、公有施設等における再生可能エネルギーなどの導入促進についてでございますが、再生可能エネルギーや未利用エネルギーを普及拡大する上で、公有施設で率先導入することは重要でございまして、浄水場のろ過池へのふたの設置に合わせたメガソーラーや、給水所への送水圧力を利用したマイクロ水力発電など、都施設への導入を進めてきております。豊洲新市場でも、二千キロワットの太陽光発電を設置する計画でございます。
 また、新築、大規模改修を行う都施設には、昨年度改定しました省エネ・再エネ東京仕様を適用し、建物の用途や立地条件等に応じ、原則として再生可能エネルギーを導入することを明確化しております。
 都は、今後とも、さまざまな手法を駆使し、都施設はもちろん、広く民間施設にも再生可能エネルギーなどが活用されるよう取り組んでまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の海外展開支援についてでございます。
 都はこれまで、海外展開を図る中小企業に対しまして、販路開拓の支援や知的財産の保護活用に関する支援を実施してまいりました。新年度は、販路開拓の分野で専門人材を確保いたしまして相談体制の充実を図るとともに、海外での知的財産のトラブルに対処するため、実用新案権の取得を助成対象に追加いたします。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、海外市場を目指す中小企業を支援してまいります。
 次に、金融円滑化法終了に伴います経営支援についてでございます。
 円滑化法により借入条件を変更中の中小企業が経営の改善や事業の再生などを着実に進めるためには、都が適切な支援を行うことが有効でございます。
 都は、経営改善に向けた計画の策定をサポートするための相談対応や、経営の専門家が会社の現場に出向いて助言を行う取り組みを進めております。
 また、中小企業振興公社において事業再生などの相談に対応いたしますとともに、内容が複雑な案件は、専門家などが解決の方針を示し、企業に提案を行っております。円滑化法の終了により、事業の抜本的な再生が必要な企業に対しましては、今後は継続的なサポートを行ってまいります。こうした取り組みにより、中小企業の経営支援を的確に進めてまいります。
 次に、円滑化法終了に伴います金融支援についてでございます。
 借入条件を変更中の中小企業が経営改善を進めるためには、金融機関が円滑な資金供給を行うとともに、企業の取り組みを後押しすることが重要でございます。
 このため、都は、制度融資におきまして、金融機関による中小企業への貸し出しの原資となる預託金を、新年度も引き続き十分に確保しております。
 また、昨年新設いたしました経営力強化融資は、国の認定を受けた金融機関等のサポートを受けながら経営改善に取り組む中小企業を対象といたします制度融資メニューであり、今後はその拡充を初め、金融支援の充実を図ってまいります。引き続き、金融機関と連携しながら、中小企業の資金繰りを支援してまいります。
 次に、若年者就業対策についてでございます。
 若者の雇用環境は、やや改善したものの、失業率はいまだ高い水準にあるなど、厳しさが続いています。
 このため、都は、東京しごとセンターにおいて、個別担当制によるキャリアカウンセリングやセミナー等のきめ細かい支援を行っております。
 これに加えて、紹介予定派遣制度を活用したプログラムを実施するなど、正規雇用を望む意欲ある若者の就職を後押ししてまいりました。新年度は、このプログラムの事業規模を拡大して実施いたします。また、若者の職場定着を促進するため、しごとセンターにおいて新たなプログラムを実施いたします。
 こうした取り組みを通じ、意欲ある若者の就業と職場定着を支援してまいります。
 次に、女性の就業促進についてでございます。
 働く意欲のある女性が能力を十分発揮できる機会を確保することは、企業経営の面からもますます重要となっており、そのためには社会的機運の醸成が必要です。
 都では、女性が結婚や出産後も継続して就業できる仕組みづくりなど、仕事と家庭生活の両立についてすぐれた取り組みを進める企業を認定し、その内容を広く発信するなど、ワークライフバランスの推進を図ってまいりました。
 また、出産等を契機に離職した女性の再就職を支援するために、保育サービスつきの職業訓練を実施いたしますとともに、企業向けに女性の能力発揮促進マニュアルを作成、配布するなど、その積極的登用も後押ししております。
 引き続き、こうした取り組みを通じまして、職場における女性の活躍を支援してまいります。
 最後に、高年齢者雇用についてでございます。
 本年四月に施行される改正高年齢者雇用安定法では、企業に対しまして、原則として、希望する従業員全員の六十五歳までの継続雇用措置を義務づけております。法の施行後は、高年齢者と若年者のそれぞれの長所を企業活動に生かしながら、その活用を進めることが望まれます。
 都では、労働相談やセミナーなどを通じて、改正法の趣旨と遵守につきまして助言や普及啓発を行っています。さらに、新年度は、改正法に係る都内企業の具体的な取り組み内容や従業員の意識などについて実態調査を実施し、その結果を取りまとめることとしております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、高年齢者が安心して働き続けられる職場環境づくりを促進してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車のナンバープレート制度についてでありますが、この制度は、自転車利用者のルールの遵守やマナーの向上に有効な方策であると考えられます。
 しかし、真に効果的な制度として円滑に運用するためには、防犯登録との関係の整理や都外から乗り入れる自転車の取り扱い、そして制度導入時の移行期間の設定のあり方など、検討、解決すべき事項もございます。
 都といたしましては、自転車の製造業者や販売業者、そして利用者などの意見も踏まえ、ナンバープレート制度の導入の是非やそのあり方について、引き続き検討してまいります。
 次に、駐輪場所の確保についてでありますが、自転車の安全で適正な利用を促進する条例案は、自転車の利用を抑制するものではなく、放置の防止も含め、安全で適正な利用を促進するためのものでございます。
 そこで、自転車の放置防止対策として、自転車通勤を認めている事業者にも一定の責任を担っていただくため、通勤用自転車の駐輪場所の確保等を求めることといたしましたが、都は、地域の実情を踏まえた駐輪場の整備が進むよう、今後も区市町村等に対して、情報の提供、関係者による協議の場の設定などの必要な協力をしてまいります。
 なお、都は、スマートフォン等を通じて駐輪場の位置情報を提供することを、民間事業者と協力して開始する予定でございます。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進についてでございます。
 都民がスポーツを実施するに当たっては、世代や生活環境、健康状態によってさまざまな課題がございます。
 このため、都は、新たに策定する東京都スポーツ推進計画に基づきまして、多世代の人々が身近にスポーツを楽しめる場である地域スポーツクラブの設立を推進するとともに、働く世代が参加しやすい時間や曜日の設定の工夫、イベント開催時における託児サービスの導入、そして高齢者対象のスポーツ教室の開催など、地域スポーツクラブが行う取り組みを支援してまいります。
 さらに、だれもが、スポーツをしたいときに、したい場所で楽しめるよう、ソーシャルネットワーキングサービスを活用した情報発信を強化することなどを通じて、幅広い世代のスポーツ実施をさらに推進してまいります。
 次に、地域スポーツとトップスポーツの好循環についてでございます。
 世界を舞台に活躍したアスリートが地域スポーツに貢献することは、住民のスポーツへの参加意欲を誘引するとともに、次世代のアスリートの発掘につながることが期待できます。また、アスリートにとっても、モチベーションの維持向上、引退後のセカンドキャリアの形成にもつながるものでございます。
 このため、都は、東京都スポーツ推進計画において、トップアスリートを地域の指導者として迎える仕組みの構築に取り組んでまいります。
 今後、地域、アスリート双方のニーズの把握や課題の検証を行うモデル事業を通じて、東京アスリートサイクルを構築し、人材の好循環を図り、一層のスポーツの普及促進に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、健康推進プラン21の改定についてでありますが、今回のプランでは、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を総合目標に掲げ、どこに住んでいても、生涯にわたり健やかに暮らせる社会の実現を目指し、都の特性や都民の健康状況を踏まえた目標を設定するとともに、その達成に向けた都民、東京都、関係機関の役割や取り組みを明確化しております。
 目標としては、がん、糖尿病、メタボリックシンドローム、心の健康など、特に対策が必要な十四分野を設定し、都民には、生活習慣の改善方法など、それぞれの目標達成に向けた取り組みをわかりやすく示したほか、関係機関には、効果的で具体的な取り組みの内容を明示しております。
 次に、認知症対策の基本的な考え方と今後の取り組みについてでありますが、都は、認知症になっても、できる限り住みなれた地域で安心して暮らし続けることができる社会の実現を目指し、認知症対策を推進しております。
 こうした考えに立って、都は、地域の関係機関のネットワークづくりや認知症疾患医療センターの設置など、認知症の状態に応じて早期に適切な医療、介護、福祉サービスが提供される環境の整備に取り組んでおります。
 来年度は、区市町村と認知症疾患医療センター等が連携して認知症の疑いのある方を訪問し、必要な支援につなげる仕組みを構築する等、地域における認知症の早期発見、診断、対応の取り組みを進めてまいります。
 次に、地域での孤立化防止に取り組む区市町村への支援についてでありますが、現在、区市町村では、高齢者等の安心・安全を確保するため、地域住民による声かけや配食サービスを活用した安否確認、緊急通報システムによる見守りなど、さまざまな取り組みを行っており、都は包括補助事業により、こうした取り組みを支援しております。
 また、今年度は、見守りの担い手である地域包括支援センターの職員、民生委員等から成る関係者会議を開催し、高齢者を初めとした、地域で孤立している方々への効果的な支援策を取りまとめているところでございます。
 今後、この成果も活用しながら、区市町村における取り組みが一層進むよう支援してまいります。
 最後に、障害者の地域移行へ向けた取り組みについてでありますが、都はこれまで、障害者の地域移行を進めるため、整備費の事業者負担を軽減する特別助成や定期借地権の一時金に対する補助を行い、グループホームや通所施設など、地域での生活基盤の整備を進めてまいりました。
 また、地域生活移行に向けて、本人や家族、区市町村、施設職員を対象にしたセミナーを実施するほか、支援者向けのマニュアルについても現在作成しているところでございます。
 来年度は、入所施設にコーディネーターを配置し、障害者への支援を行うこととしており、今後とも、区市町村や相談支援事業者と連携して、地域移行に向けた取り組みを一層強化してまいります。

〇議長(中村明彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十一分休憩

   午後三時三十分開議

〇副議長(ともとし春久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十三番野島善司君
   〔百十三番野島善司君登壇〕

〇百十三番(野島善司君) 平成二十五年第一回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 初めに、北朝鮮のこのたびの核実験に対し、強い抗議と怒りを表明します。このような行為は断じて許されないもので、我が国は地下核実験を繰り返し、ミサイルの開発に狂奔する、核をもてあそぶ隣国の脅威にさらされている危機感を国民全体で共有しなければなりません。このような愚劣きわまりない行為は、自国民を苦しめるのみならず、国際社会への重大な挑戦にほかなりません。
 これに対し、我が自由民主党は、唯一の核被爆国の国民、都民の強い怒りと抗議の意思を呈して、過日の決議を提案いたしました。
 政府・自民党と力を合わせ、今後もミサイルと核の開発を北朝鮮に放棄させ、一日も早く拉致問題を全面解決すべく全力を尽くしてまいります。
 昨年十二月の総選挙で、我が党は政権に復帰いたしました。衆議院の過半数を得たにとどまらず、公明党と合わせて三分の二を超える議席を得たのは、政権を担った経験の豊かな政党による、安定感のある、決めることを決める政治を国民が強く望んだからだと思います。
 民主党政権の三年余りは、経済も外交も敗北の連続であり、日本は土台から揺らぎ、がけっ縁に立たされています。しかし、苦難の連続である歴史の坂道を、先人たちは歯を食いしばって上ってきました。国家を立て直し、国力を回復させることは並大抵のことではありませんが、私たちはその困難を克服しなければなりませんし、克服できると信じています。
 中小企業を苦しめに苦しめてきた円高は、安倍政権の誕生で急速に是正され、日経平均株価は急上昇しました。何よりも、民主党政権下の沈うつなムードが払拭されました。
 さきの訪米でも、安倍総理は、我が国の安全保障の根幹をなし、アジア地域の安定にも欠かすことのできない日米同盟の信頼ときずなの完全復活を宣言し、懸案となっていたTPP問題では、聖域なき関税撤廃が前提条件ではないことを共同声明という文書で確認しました。このことは、我が国とアジア地域全体にとって極めて明るい将来展望をもたらすことになりました。
 我々都議会自由民主党も、都民、国民の期待に政権政党として全力でこたえる第一歩とすべく、先日、国の各省に対して、首都東京を支え、日本経済の発展に不可欠なインフラの整備や次世代を担う子どもたちの教育にかかわる制度改革など、民主党政権が停滞させていた政策の大幅な改善を申し入れました。
 都民、国民の期待にこたえるために今なすべきは、物事をしっかり決め、前に進める政治です。これは、まさに我々都議会自民党が進めてきた都政運営のありようでもあります。
 国政で大問題となっている行政改革も財政再建も、都政では既に実行済みです。企業や都民の皆さんと協力して実現したディーゼル車排ガス規制や認証保育所の整備など、硬直した霞が関に風穴を次々とあけました。東日本大震災でも、東北の被災地を全力で支援するとともに、木密地帯の不燃化など、首都東京における備えを緊急に充実させました。
 こうした取り組みを引き続き発展させていくには、国を動かし、日本を変える気概が必要です。
 それゆえ、猪瀬知事には議会と車の両輪となって、意思と情熱を持って都政を進めていただきたい。そして、現代社会が直面するさまざまな課題を多面的に分析した上で、都政の現場感覚を大事にしながら、奥行きと深みのある総合的な処方せんを示し、都民、国民に将来への希望を指し示していただきたいと希望するものでございます。
 我々都議会自民党は、これまで同様、都民、国民のために、東京と日本のために行動することを根本に据え、時には厳しい注文をいたしながら、都政を前に進めるべく協力していきます。
 猪瀬知事に、どのような都政運営を行う考えか、冒頭お伺いを申し上げる次第でございます。
 次に、尖閣諸島寄附金について伺います。
 前政権の大局観を欠いた国政運営により、国境の島々では我が国の主権が脅かされ、国民は強い危機感を抱きました。
 昨年四月、都が尖閣諸島の魚釣島など三島を購入、活用する方針を発表し、寄附金の口座を開設すると、都民、国民から十五億円もの熱い志が寄せられました。これは、島々の実効支配の強化を望む気持ちの発露であります。
 我が党では、こうした国民感情を酌み取り、昨年六月、無人国境離島管理法案を国会へ提出し、都議会自由民主党においては、尖閣諸島公有化推進政策研究会を立ち上げ、精力的に議論を重ねてまいりました。
 三島は九月に国の所有となりましたが、法案の趣旨や研究会での議論を踏まえ、都民、国民の志にこたえるべく、会派として尖閣諸島に関する基本方針を明らかにいたしました。本定例会に基金化の条例案、補正予算案が提出されたことは、我が党の方針にもかない、了とするものであります。
 そこで、基金化に当たっての都の基本的な考え方を伺います。
 次に、民間事業者と連携したインフラ整備について伺います。
 橋や道路、トンネルといった私たちの日常生活に欠かせない公共インフラの老朽化が国内各地で進んでいます。今、我が国は税収入の伸びが見込めない中にあって、膨大な老朽インフラへの対応が迫られるという大変厳しい事態に直面しています。
 こうした中、都は新たなインフラ整備手法として、官と民が連携し、民間の資金やノウハウなどを活用する、いわゆるPPP事業の仕組みづくりへの着手を明らかにいたしました。
 既に都は、発電事業を投融資先とするインフラファンドを立ち上げ、インフラ投資に民間資金を活用するモデル事業を開始していますが、大規模なPPP事業の実施には専門的知見に基づく意思決定や事業の検証など、厳しいリスク管理体制の構築が不可欠です。
 従来型行政の域を超えた新たな仕組みづくりの視点が欠かせませんが、来年度に予定する調査の概要と方向性について伺います。
 次に、財政運営について伺います。
 民主党政権での失われた三年半を取り戻すべく、安倍政権は経済の再生を一丁目一番地と位置づけ、円高、デフレ脱却に向けて策定した緊急対策の実施に伴う補正予算と二十五年度予算を一体として、切れ目のない財政出動を行う、いわゆる十五カ月予算を編成いたしました。加えて、多くの国民が景気の変化を実感できるよう、経済三団体のトップに対して業績が改善している企業の賃上げを要請いたしました。
 こうした国の予算の趣旨などを踏まえ、都においても景気回復に万全を期し、東京の活力を呼び戻すための施策を迅速に展開していくことが重要です。
 同時に、都政には防災力強化に向けた取り組みや老朽化した社会資本の維持更新、急速に進展する少子高齢化への対応など、中長期にわたる取り組みを着実に進めていくことも求められています。
 これら短期、中期的両面から都政の役割を確実に果たすとともに、こうした施策展開を支え得る堅実な財政運営を行っていくべきと考えますが、知事に所見をお伺いいたします。
 東日本大震災から間もなく二年、あの日から、我が党は被災地への支援とともに、首都東京の防災対策を早期に再構築すべく、具体的な提言を二度にわたり示すなど、執行機関と手を携えて全力で取り組んできました。
 一昨年十一月に対策全般の指針が、昨年四月に科学的根拠に基づいた新たな被害想定が示され、これらを踏まえ、昨年十一月に東京都地域防災計画が修正されました。都民の命を守るためにスピード感を持って対策を推進するという姿勢を高く評価するものでございます。
 平成二十五年度予算では、地域防災計画に基づく多くの対策が盛り込まれています。今後は、まさに実行がキーワードでございます。
 そこで、これまでの我が党の提言を踏まえ、具体的な実行策について伺ってまいります。
 知事は、副知事時代から帰宅困難者対策協議会の座長を務め、帰宅困難者対策の具体化を先導するなど、防災対策に積極的に取り組んでこられました。首都東京の防災は、まさに我が国の命運を左右する大きな課題です。初動体制の確保に加え、耐震化、不燃化の推進などにより東京を強靱な防災都市へと変貌させなければなりません。
 まず、首都の防災を預かる知事としての決意を伺います。
 大地震から都民の命を守るためには、発災直後の七十二時間が勝負です。地域防災計画の中でも、自衛隊、警察、消防等の機関を統合的に運用するための対処要領の策定が盛り込まれました。各機関が直ちに動き出せるよう、自衛隊との情報ネットワークの確保や十分な訓練を行うなど、万全の体制を構築すべきです。
 実効性ある初動体制の確立に向けてどのように取り組むのか伺います。
 また、初動体制や被災者支援を効果的に行うためには、民間の協力を得ることも重要です。
 例えば、災害拠点病院や緊急車両通行に必要な燃料の確保や、避難所への迅速な物資提供などは、行政のみで対応できるものではなく、卸、小売、流通などの民間事業者が持つ供給力やノウハウを活用すべきです。
 災害時の物資確保や供給における民間事業者との連携について、今後の取り組みを伺います。
 都が全国に先駆けて制定した帰宅困難者対策条例は、発災時の首都東京の混乱を防止する重要な施策です。四月に迫った条例施行を見据え、一斉帰宅の抑制や三日分の備蓄など、都民や事業者への一層の周知が求められています。
 また、行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保が大きな課題であり、都立施設の体制整備に加え、民間施設の協力が得られるよう、実効性の高い支援策が必要です。
 帰宅困難者対策の推進に向けた取り組みについて伺います。
 発災時の被害軽減には、地域の自助、共助が欠かせません。我が党は、町会や自治会を中心とした地域の防災活動のすそ野を広げるため、積極的な支援を求めてまいりました。また、こうした活動の牽引役である東京防災隣組の第二回認定を早期に行い、その浸透を図ることも求めています。
 東京防災隣組を初めとした、地域の自主的な防災活動への支援について伺います。
 また、我が党はかねてから、地域の担い手である町会、自治会の役割を重視し、その活性化を図るために地域の底力再生事業助成を実現させ、制度の充実を求めてきました。都が本事業を今年度から本格実施し、地域の防災活動を初めとして制度の充実を図っていたことは大いに評価するところです。
 来年度予算案では、予算額を一億円から一億五千万円に増額することとしています。都は、より多くの町会、自治会がこの制度を活用することで、安全で安心な東京の実現に努めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、地域の防災力のもう一つの核である消防団の活動強化も重要です。
 我が党は、人材確保、活動のための装備の充実などの課題を指摘し、区部や多摩・島しょの区別なく消防団を活用できる環境整備を強く求めてきました。
 消防団の活動強化に向けた都の具体的な取り組みを伺います。
 震災時に住民が消火栓などを応急給水に活用したり、排水栓を消火用水源として活用することが減災のために有効です。
 我が党は、平成二十五年度予算要望の中で、スタンドパイプなどの応急給水用資器材や初期消火に用いる消火用ノズルを都から区市町村に配布するよう強く要望してきました。震災はいつ起こるかわかりません。地元の町会などから、こうした資器材を早期かつ十分に配備するよう要望が多く上がっており、これにこたえるべきです。
 そこで、今回の我が党の要望を受け、今後どのような措置をとられるのか伺います。
 また、水道施設をさらに活用するなど、あらゆる手段を尽くして初期消火に資する施策を検討していくべきと考えますが、見解をあわせて伺います。
 次は、高度防災都市づくりの実現に向け、ハード対策について多岐にわたり伺います。
 東京の都市基盤は、首都機能を支える都市活動や都民生活に不可欠であるとともに、切迫する首都直下地震などから都民の生命と財産を守る重要な役割を担っており、積極的な整備が必要です。
 そもそも、我が国の都市基盤は高度成長期に整備されたものが多く、都においても橋梁等の老朽化対策などが喫緊の課題となっています。我が国の経済が成長を続け、国土強靱化を図るためにも、適切な維持管理と更新を通じ、良質な都市基盤を次世代に引き継いでいかなければなりません。
 今後、東京の都市基盤整備にどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、不燃化特区について伺います。
 都心部を囲むように広範に広がる木造住宅密集地域は、首都直下地震の切迫性からも待ったなしの対策が必要な地域であることはいうまでもありません。
 都は、本年一月に不燃化特区の制度案を公表し、木密地域の改善に向けた本格的な取り組みがようやく緒につきました。
 知事は、就任以来さまざまな場面において木密地域の危険性に言及され、その解消に向けた取り組みが重要であることを発言されております。
 そこで、まず木密地域の解消に向けた知事の決意を伺います。
 次に、不燃化特区には各地域の事情があります。それぞれの事情に対応した支援を行い、区の取り組みを加速させることが重要です。
 そこで、不燃化特区制度では区をどのように支援していくのか伺います。
 次に、木密地域における特定整備路線の整備について伺います。
 都は、震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域約七千ヘクタールにおいて、延焼遮断などに大きな整備効果が見込まれる主要な都市計画道路を特定整備路線に指定し、平成三十二年度までに一〇〇%の整備を行うとしています。
 都は、昨年、特定整備路線の候補区間と関係権利者に対する特別の支援策の骨子策を公表したところです。
 今後、平成三十二年度までの実質約八年間という限られた期間でこれらの路線を整備していくためには、この支援制度を積極的に活用し、関係権利者の理解と協力を得ることが不可欠です。
 そこで、特定整備路線の整備に向け、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は、防災対策の中でもとりわけ都民の生命、首都東京の安全にかかわる重要な課題です。
 条例によって昨年四月から耐震診断の義務化が施行され、所有者への個別訪問などさまざまな取り組みの結果、本年一月までの診断作成の申請件数は約千七百件と大幅に伸びたと聞いております。
 耐震診断については着実に進捗しているものと評価いたしますが、建築物の安全・安心を確保するためには、一刻も早く耐震化を進める必要があります。
 我が党は、これまで所有者の厳しい実情を踏まえ、耐震化をさらに後押しするような支援策を講じるよう、再三訴えてきました。
 これにこたえ、支援策を充実するとのことでありますが、その内容と今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 次に、都市計画道路の整備について伺います。
 都市計画道路は、都市活動を支える最も基本的な都市基盤であり、東京の魅力づくりや国際競争力の強化に加えて、震災への備えなどの観点からも極めて重要であります。
 これまで、都は、三次にわたり都市計画道路の事業化計画を策定し、例えば区部環状、多摩南北道路の整備を中心として進めるなど、効率的な道路整備を推進してきました。しかしながら、都内の都市計画道路の整備率を見ると、まだ六割程度と不十分であり、依然として交通渋滞の解消や都市間連携の強化などの課題を抱えております。
 現行の第三次事業化計画は、平成二十七年度に計画が終了すると聞いております。第三次事業化計画以降を見据えた新たな都市計画道路の整備方針の策定に向けた都の取り組みについて伺います。
 東日本大震災は、生命を左右するインフラの整備の必要について教訓を残しました。東京の約三分の一に当たる四百万人を超える人口を擁する多摩地域は、首都機能に隣接することによる利便性と、人、物及び情報の結節点として一層の発展と個性の発揮が期待されます。そのためには、幹線道路ネットワークを形成し、防災の強化にも資する多摩南北道路主要五路線を初めとした骨格幹線道路の整備が必要不可欠であります。
 我が党は、これまで多摩南北主要五路線の整備推進を要望してきており、八王子村山線については平成二十年度に全線開通いたしましたが、その他の四路線についても、防災、減災の観点からも一日も早い完成が求められています。
 そこで、多摩南北主要五路線のうち、とりわけ重要な府中清瀬線及び調布保谷線の整備状況について伺います。
 次に、都は昨年十二月に地震、津波に伴う水害対策に関する整備計画を策定しました。以下、各施設の具体的な対策について伺ってまいります。
 江東デルタ地帯のような低地帯や沿岸部においては、堤防や水門等について、地震、津波に対する備えを早期に講じていくことが求められます。
 そこでまず、東部低地帯を守る河川の堤防や水門等の耐震対策について、目的達成に向けた都の取り組みについて伺います。
 さらに、東京の沿岸部には多くの都民が生活し、都市機能も高度に集積しており、いざというときに浸水を防ぐ水門や防潮堤等の海岸保全施設の整備が急務でございます。
 海岸保全施設の新たな整備計画について、計画の内容と事業費の見込みについて伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 東京の水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える最も重要な都市インフラです。我が党は、これまで震災対策を初めとしたハード対策やソフト対策に至るまで、さまざまな提案を行ってきました。さらに、高度経済成長期に整備した施設の老朽化などの課題は山積しています。
 そこで、こうした課題を乗り越え、今後の水道事業をどのようにかじ取りしていくのか、見解を伺います。
 また、水道の耐震化についてです。
 さきの大震災で、被災地では断水が長期に及びました。また、都の被害想定においても多くの断水被害が発生すると報告されています。こうした中、都はさらなる耐震化に向けて、今後十年で五千キロメートルの取りかえを行う水道管路の耐震継ぎ手化十カ年事業を新たに策定しました。
 そこで、この事業を進めることにより、十年後の耐震継ぎ手率と、その結果として水道管の復旧日数がどの程度短縮されるのか、具体的に伺います。
 次に、下水道管の再構築についてです。
 下水道は平成六年度に区部で一〇〇%の普及概成を果たし、その直後から下水道管の老朽化対策にあわせて雨水排除能力の増強などを図る再構築事業を進めています。
 一方、一万六千キロメートルに及ぶ区部の下水道管は、二十年後には半分の八千キロメートルが法定耐用年数五十年を超えるため、より一層のスピード感を持って再構築を進めていくことが重要です。
 そこで、下水道管の再構築の今後の取り組みについて伺います。
 また、都では、避難所などからの排水を受ける箇所を対象に下水道管の耐震化を進めております。しかし、東日本大震災の際は、都内の駅などにも多くの帰宅困難者があふれました。このため、対象地区の拡大を図るなど、対策を一層強化することが重要です。
 そこで、下水道管の耐震化の取り組みと今後の対策について伺います。
 さらに、震災時においても、浸水を防ぐため下水道の排水機能を確保することが求められます。
 そこで、水再生センターやポンプ所などの下水道施設における耐震、耐水化の進め方についても伺います。
 次に、東日本大震災では、学校が地域住民の避難所となる重要な役割を果たしました。その観点から、校舎の構造体だけでなく、非構造部材の耐震化を早急に実施することが重要です。
 我が党は、平成二十五年度予算編成に当たって、校舎などの耐震化支援の延長に加え、新たに天井材等の非構造部材の耐震化も区市町村と連携を図りながら促進すべきと要望しました。
 都は、すべての学校の非構造部材の耐震化の促進を図るため、区市町村を財政、技術の両面で支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、私立学校の防災対策も重要です。都内の高校生の約六割、幼稚園においては実に九割以上が私立に通うなど、私立全体で現在四十万人を超える児童生徒が通学しています。都は、これまでも校舎の耐震化を促すための支援などに積極的に取り組んできましたが、防災対策に終わりはありません。学校現場の実態を踏まえながら、きめ細かく対応していく必要があります。今後の私立学校の防災対策の推進について伺います。
 次に、都営地下鉄の安全対策について伺います。
 我が党がこれまで求めてきた都営地下鉄の安全性向上のためには、地下鉄施設のさらなる耐震対策が必要です。また、老朽化したトンネルについては、点検とともに長寿命化をも考慮した計画的な維持補修、修繕を実施すべきです。
 今後、地下鉄施設の耐震対策及び老朽化対策にどのように具体的に取り組んでいくのか伺います。
 次に、木造住宅など建築物等にかかわる液状化対策について伺います。
 新たな被害想定では、東京湾北部地震が発生すると、液状化により約六万四千棟の建築物に被害が生じるとされております。
 これまで我が党は、都民が建築物の液状化に備えるために必要な対策に関する情報を提供すべきであると指摘してまいりました。このたび東京都建築物液状化対策検討委員会の報告が公表され、地盤データの提供の必要性などについて提言されています。
 都は速やかに実効性のある取り組みを講じていくべきと考えますが、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 一方、高度防災都市を実現する上で、ライフラインを含めた橋梁などの公共施設の液状化対策が不可欠であります。
 東日本大震災を受け、都は昭和六十一年度に作成した東京の液状化予測図の見直し作業を行っておりますが、現在の状況と今後の予定について伺います。
 次に、東京都駐車場条例に基づく建物への駐車場の附置義務について伺います。
 この制度は、路上駐車を減少させ、公共駐車場の整備とともに交通渋滞の緩和に寄与してきました。しかし、近年、公共交通ネットワークの発達や若者の車離れなどにより、建物の駐車需要も大きく変化してきています。
 このような状況を踏まえ、昨年の第三回定例会では、我が党の吉住議員が建物の有効利用や建てかえの支障とならないよう、附置義務の基準を見直す必要について質問をしました。都からは、駐車需要の実態を調査し、現在の基準を検証するとの答弁がありました。
 そこで、どのような調査結果が得られ、その結果を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、自転車条例について伺います。
 近年、自転車利用者のルール、マナーが大きな社会問題となっています。今後、自転車利用者の規範意識を高める上で、具体的な施策を社会全体で着実に展開していくことが極めて重要です。
 このたび提出された自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例は、自転車安全利用の取り組みを大きく進めるものと期待しています。
 そこで、本条例のねらいについて知事の所見を伺います。
 次に、豊洲新市場について伺います。
 我が党は、築地市場が既に限界に達しているとして、高度な品質、衛生管理を実現した豊洲新市場への早期移転を強く求めてまいりました。
 昨年十一月には、業界と合意された豊洲新市場建設工事施設計画が公表され、いよいよ本格的な移転に向けて具体化してきたことを実感しておりますが、本年一月、豊洲市場の開場時期の延期が発表されました。
 もとより、我が党としては、食の安全・安心の確保は何よりも優先されるべきであり、土壌汚染対策に万全を期すことは当然のことと考えております。
 この一年の延期については、老朽化が進み、限界を迎えている築地市場のメンテナンスも必要であり、また、この一年を有効に使って豊洲新市場をよりよいものにして整備する必要があると考えます。
 コールドチェーン維持のための温度設定、市場内物流の円滑化、高度化は世界を相手にする新市場の生命線ともいうべきものです。所見を伺います。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 日常生活や経済活動を支えるエネルギーを賢く使う都市をつくるには、エネルギー使用の見える化に加え、需給の最適制御を行う仕組みを都市づくりの中に組み込んでいくことが必要です。
 東日本大震災後、HEMS、太陽光発電、燃料電池等を装備し、自動制御による節電が可能なスマートハウスの販売は加速化しています。また、オフィスビル向けにはBEMS設置と省エネ支援をセットにしたサービスが始まっています。
 一方、スマートハウスの購入には、初期投資が大きいことや、オフィスビルの中でも特に中小規模のテナントビルでは、設備投資に踏み切れない等の課題があるのも事実です。
 こうした設備機器は、まさに我が国が誇る省エネ技術を凝縮した製品であり、その普及を都が積極的に支援し、賢くエネルギー利用をコントロールするスマートエネルギー都市の実現をすることが必要と考えますが、所見を伺います。
 都は、平成二十二年度から大規模事業所に対する全国初のキャップ・アンド・トレード制度を導入し、着実に運用してきました。事業所の熱心な取り組みにより、二十三年度には平均二三%と、既に第一期計画期間の削減義務率以上の削減が進み、多くの事業所で義務達成のめどが立ったといえます。
 一方、二十七年度からの第二期の削減義務率は一七%の見通しが示されていますが、中小企業が所有する事業所や、生命や健康の維持、回復に不可欠な病院及び中学、高校が併設されるなどの多様な施設が立地する大学の一部において、義務履行が困難なところもあると聞いております。
 第二期計画の開始まであと二年余りとなりました。事業者の準備を考えますと、そろそろ新たな義務率等を明らかにする必要があると考えますが、どのように検討していくのか、また、いつごろまでに示すのか伺います。
 あわせて、今月二十日に都に対し緊急要望したとおり、義務達成が困難な中小企業や病院、大学には配慮が必要と考えますが、その対応について伺います。
 次に、産業、景気対策についても伺います。
 中小企業の振興について伺います。
 我が国の経済は、新政権による経済再生に向けた矢継ぎ早の政策により円高が修正され、株価も上昇基調に転じ、明るい兆しが見え始めました。しかし、中小企業は依然として厳しい状態が続いています。
 我が党は、中小企業がこの苦境を乗り越え、将来にわたって力強く発展していくことが重要だと主張し、ものづくり産業の支援などさまざまな中小企業対策を強力に推進してきました。
 東京が日本を牽引していくためには、何よりも産業を支え、地域を活性化し、雇用機会を提供する中小企業の活力を高めていくことが大切です。
 都の中小企業振興の基本的な考え方について、知事の所見を伺います。
 中小企業にとって、これまでにない厳しい経営環境が続く中、三月末には中小企業金融円滑化法が終了します。この法律は、借入金返済の猶予期間内に企業の業況改善を目指すものですが、事業者の中には経営立て直しの第一歩となる経営改善計画をつくれないまま、条件変更を繰り返す企業も多いと聞いています。
 新年度予算案には、円滑化法終了に対応するさまざまな施策が盛り込まれておりますが、これらの対策の一刻も早い実現に向け、我が党は新年度を待たずに前倒しすべきとの緊急要望をしました。都はこれを受け、二月から既に相談体制の強化に取り組んでおります。
 しかし、窮状にある中小企業を救うためには、新年度から実施予定の新たな借りかえ制度を我が党の要望どおり前倒しするとともに、あらゆる手だてを講じ、新年度も切れ目なく支援すべきと考えます。見解を伺います。
 東京の経済再生には、個々の中小企業の経営力を強化する取り組みも不可欠です。都が平成二十一年度から三カ年実施した経営力向上TOKYOプロジェクトは、その再開を求める要望がさまざまな団体から出ています。我が党は、昨年の第三回定例会でその取り組みの復活を提案し、これを受けて都が新年度の予算案に計上したことは高く評価します。
 また、中小企業の売上高の減少に対応した販路開拓支援のさらなる充実が必要です。加えて、事業承継税制を初めとする税制改正の動き等を十分に踏まえた相談サポートも重要です。
 都は、中小企業の経営力強化にどのように取り組むのか所見を伺います。
 新政権は、経済再生に向け、成長戦略の重視を打ち出しています。国の成長戦略では、イノベーションや世界最先端の産業などが重要な観点ですが、日本経済の根幹を支える東京がその先導役となるべきと考えます。
 大きな潜在力を持った中小企業がその力を一層発揮できるよう、都は国の成長戦略と歩を一にして取り組みを強力に進めるべきですが、都の考え方を伺います。
 中小企業が今後、持続的に成長していくためには、戦略的に海外展開を図り、アジア新興国など、拡大する海外の需要を積極的に取り込むことが重要です。
 しかし、言葉の問題や法律、商慣習の知識がないために海外展開に踏み出せない中小企業が多いのも実情です。また、海外取引では模倣被害や技術流出を防ぐための知的財産への配慮は欠かせません。さらに、海外の製品規格への対応も重要となっています。
 中小企業の海外への積極的な展開の確実なサポートに向け、都は各国の実情に即したさまざまなきめ細かな支援を展開する必要があると考えます。見解を伺います。
 次に、商店街施策について伺います。
 都内各地の商店街では、地域のにぎわいの創出に取り組むとともに、都政の重要なテーマである省エネやCO2削減に役立つ街路灯のLED化など、都民の日々の暮らしを支えるまちづくりに向けて数多くの努力をしています。
 我が党は、これまで商店街振興施策の充実を一貫して主張してまいりました。新年度の予算原案に対しても、新・元気を出せ商店街事業を初めとする商店街振興予算の大幅な復活を強く要望したところでございます。
 都は、商店街の振興を今後もしっかりと支援していくべきと考えます。所見を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 現下の雇用情勢は大変厳しいものがありますが、少子高齢化の進展で中長期には労働力の不足が見込まれます。今後の中小企業の発展には、経営資源としてのすぐれた人財の確保が不可欠です。
 先般、東京都雇用・就業対策審議会の答申が出されました。審議の過程では、少子高齢化への対応を初め、若年層の就業支援や中小企業における雇用環境の改善など、大所高所から活発な議論が行われたと聞いております。
 こうした議論を受け、答申では、中小企業の実情に即した人材確保の支援策を強化すべきとの提言もなされています。
 都は、答申を踏まえ、今後どのように中小企業の人材確保を支援していくのか見解を伺います。
 次に、臨海副都心の開発について伺います。
 今、アジアの諸都市はMICE、国際観光機能の充実強化に力を注ぎ、大きな発展を遂げています。現に、シンガポールではカジノ併設の統合リゾートが二〇一〇年に開業して、海外からの来訪者が前年比で約二〇%増加し、国の経済成長を下支えしています。
 都でも、「二〇二〇年の東京」計画により、厳しい都市間競争に打ち勝つ取り組みを進めています。国際会議など、MICEの活性化や魅力的な観光資源の充実といった取り組みは、東京の国際競争力を強化し、日本経済を牽引する重要な施策です。
 日本最大の展示面積を持つ東京ビッグサイトがある臨海副都心は、開発余地のある戦略上極めて重要なエリアであります。この臨海副都心の開発の意義について、知事の所見を伺います。
 また、シンガポールやソウルでは、大規模な統合リゾートを開発する事業者の誘致や国際会議場と商業施設等の多機能な施設の整備など、特色のある開発を進めております。
 今後開発予定の青海地区北側の土地は、これらの諸都市と伍していくための新たな成長に向けて非常に貴重な存在です。ばらばらに売り急ぐことなく、より幅広い視点で開発すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新たな多摩のビジョンについて伺います。
 都は、今般、新たな多摩のビジョンの素案を公表しました。これは、我が党の提案に応じ策定するものでありますが、スポーツ祭東京二〇一三の開催や、多摩東京移管百二十周年となる節目の年に都がこのような多摩振興の新たな羅針盤を明らかにしたことは高く評価します。
 素案では、地域の成り立ちの違いによる多様な特性を有する多摩地域の状況も踏まえ、多摩都市モノレールの延伸の検討を初めとする交通ネットワークのさらなる充実や産業の活性化など、ハード、ソフト両面から骨太の方向性が示されています。
 今回のビジョン策定はあくまでも出発点であり、ビジョンに基づく多摩振興の実現に向け、都の総力を挙げて取り組んでいくことが必要であります。
 そこで、改めて今回のビジョン策定の意義を伺うとともに、このビジョンに基づきどのように多摩振興を進めていくのか所見をお伺いいたします。
 なお、都が多摩のイノベーションの活性化に向け整備を予定している八王子の産業交流拠点は、産学公連携の核としての役割が期待されており、着実な整備を要望しておきます。
 次に、農業振興について伺います。
 東京には、大都市特有の問題を抱えながらも、新鮮で安全・安心な農産物を求める都民の期待にこたえようと頑張る農業者が数多くいます。また、大消費地を身近に抱えるメリットを最大限に生かした新たな経営を目指す意欲的な農業者もいます。
 このように、東京の農業は今後の発展に向けた高い可能性を持っており、都はこうした農業者を強力に支援して産業力を高めていく必要があります。また、農地は環境保全や防災機能など、特に都市に必要な多面的機能を有することから、農業が継続できるよう地域ぐるみで守っていくことが必要です。
 これらを踏まえ、今後、都がどのように農業を振興していくのか伺います。
 次に、福祉、保健、医療関係について伺います。
 少子高齢化が急速に進む中、都内の高齢者は現在の五人に一人から、平成四十七年には三人に一人となり、これまでに経験したことのない、まさに超高齢社会の出現が見込まれています。
 こうした状況に的確に対応し、高齢者を初め、次世代を担う子どもたちや障害者、すべての都民が安心して生活できる社会を実現することは、都の責務であります。
 今後、福祉施策の拡充にどのように取り組んでいくのか、知事の基本的な考え方をお伺いいたします。
 次に、現在、改定が進められております東京都保健医療計画に関連して、二点お伺いいたします。
 都は、さきの震災の教訓を踏まえ、医療機関の耐震化や災害医療コーディネーターを核とした情報連絡体制の整備など、災害医療体制の強化にいち早く取り組んできました。
 また、すべての医療機関を災害拠点病院、災害拠点連携病院、災害医療支援病院、診療所等に分類しましたが、総力を挙げて多くの負傷者等を確実に受け入れることが重要です。
 改定後の計画における災害医療の位置づけと、今後どのように災害医療体制整備に取り組んでいくのか伺います。
 平成二十三年の国の調査によれば、精神疾患の患者は全国で三百万人を超え、都内では二十八万人となっており、精神疾患は都民にも広くかかわるものであります。精神疾患に罹患した方が早期に確実な治療を受け、地域で安心して生活できるようにするためには、症状に応じて必要な精神科医療が提供される体制の構築が重要と考えます。
 今回の保健医療計画の改定では、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾患に精神疾患が追加されますが、精神疾患についてどのような観点から取り組むこととしているのか伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 都民の三人に一人ががんで亡くなるなど、がんは都民の健康にとって大きな脅威です。都は、法に基づき、平成二十年にがん対策の基本となるがん対策推進計画を策定し、がん検診の受診率の向上や都独自の認定がん診療病院の整備などを着実に進めてきました。高齢化に伴い、がん患者の増加が見込まれる中、がん対策の一層の充実が必要です。
 現在、都はがん対策推進協議会での議論や都民等の意見を踏まえ、計画を改定していますが、今回の計画の特徴について伺います。
 都は、これまでも都民、関係団体の意見を踏まえ、目標を定め、その達成に向けた計画を策定し、具体的かつ確実にがん対策を実施して成果を上げてきたものと受けとめております。
 今後とも、法の趣旨を踏まえ、実効性のある取り組みを着実に実施していくよう要望しておきます。
 次に、高齢者対策について伺います。
 都は、昨年三月に策定した東京都高齢者保健福祉計画に基づき、さまざまなサービスの組み合わせや地域での支え合いにより、高齢者の生活を複層的に支える体制づくりを進めています。
 高齢者の八割は、元気とはいえ、ひとり暮らしや夫婦のみの世帯など、支援が必要な高齢者もふえています。都内には、電気、ガスなどのライフライン事業者と住民の異変について通報協定を結ぶなど、さまざまな機関の協力を得て見回りを実施している区市町村があります。
 高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、都はこうした区市町村の取り組みを後押しし、都内全域で高齢者の見回り活動のより一層の充実を図っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、ケアつき住まいの供給促進について伺います。
 今後、高齢化が急速に進展する中、我が党は二年前に少子高齢プロジェクトチームを立ち上げ、高齢者が安心して暮らせる住宅の供給が喫緊の課題であると報告書を提出いたしました。
 都は、ケアつき住まいを平成二十六年度までに六千戸供給するとしてきましたが、今回、目標を一万戸まで引き上げることとしています。この目標達成に向け、供給を促進していくためには民間事業者の多額の初期投資などの課題に適切に対応していくことが必要であります。
 また、高齢者が住みなれた地域で安心して生活していくためには、地元区市町村との連携が不可欠で、地元区市町村の後年度負担の軽減を支援するルールづくりも必要です。
 こうしたことを踏まえ、今後のケアつき住まいの整備に当たり、都として目標を引き上げた理由と供給を促進する方策について伺います。
 次に、保育サービスについて伺います。
 都は、これまで我が党が推進してきた認証保育所や認可保育所などにより、保育サービスを積極的に拡充してきました。しかし、昨年四月の待機児童数は七千二百五十人で、この二年間で約千二百人減少したものの、依然高い水準が続いています。
 待機児童を解消していくため、保育の質も確保しながら、利用者ニーズに的確に対応した取り組みをさらに進めていく必要があると思いますが、所見を伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 本年四月から障害者自立支援法が障害者総合支援法と改正されますが、障害者が安心して暮らせるよう地域生活を支える行政の役割は何ら変わるものではありません。
 都は現在、施設整備費の特別助成を行い、グループホームや通所施設等、地域生活に必要なサービス基盤の拡充を図っています。
 同時に、障害者が入所施設から地域生活に安心して移行できるよう支援していくことも必要と考えますが、どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 都は、いつでも、だれでも、安心して医療を受けられることを理念に、患者中心の医療の実現のため、改革マスタープランを策定し、都立病院改革を進めてまいりました。医療を取り巻く環境は、超高齢社会の到来、都内病院数の減少や在宅療養における医療支援への期待など、急激に変化しています。
 都立病院は、今後とも民間病院では対応が困難な医療の分野の充実強化を図るとともに、医療環境の変化に着実に対応していくことが重要であります。
 そこで、策定中である次期計画の基本的な考え方について伺います。
 次に、教育、スポーツ振興について伺います。
 まず、東京都教育ビジョンについてです。教育は、いつの時代にあっても国家、社会の発展の礎であります。
 近年、グローバル化の進展など社会環境が急速に変化しており、将来を見据え、教育を不断に見直ししていかなければ、我が国は世界から取り残されてしまいます。
 都は、都立高校における日本史必修化など、全国に先駆けた教育改革を実行してきました。引き続き、首都東京が我が国の教育再生を牽引していかなければなりません。
 東京都教育委員会が今般改定する東京都教育ビジョンに、変化する社会環境に対応した施策を盛り込み、教育改革をより一層推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、中一ギャップへの対応について伺います。
 都では、我が党が主張してきたように、小中学校の入学当初の時期に限って都独自の取り組みとして、学級規模の縮小や少人数指導等も可能にする小一問題、中一ギャップの予防、解決のため、教員の加配に取り組み、成果を上げてきました。
 来年度、国においては、教職員の定数改善計画の実施が見送られることとなりましたが、学校現場ではいじめや不登校など、依然としてさまざまな課題があります。都は独自に中一ギャップ加配を拡充するとしていますが、これらの課題に向け、考え方を伺います。
 次に、部活動での体罰問題について伺います。
 昨年十二月、大阪市立高校の部活動において、顧問教諭の体罰により生徒が自殺するという痛ましい事件がありました。また、今般、都が実施した調査において、都内公立学校でも部活動における体罰が判明しました。部活動をより一層推進するためには、こうした体罰問題の解決にしっかり取り組んでほしいと考えます。
 そこで、都教育委員会は、今後、体罰のない部活動指導に向けどのような対策を講じていくのか伺います。
 次に、スクールカウンセラーについて伺います。
 いじめや不登校などの課題解決のために、子どもの心のケアに当たるスクールカウンセラーの役割はますます大きくなってきています。我が党がかねてより主張してきたスクールカウンセラーの全校配置が来年度予算案に盛り込まれたことは高く評価します。
 スクールカウンセラーは、児童生徒の心の悩みを個別にケアすることから、その業務は相談室内でのカウンセリングが中心になりがちです。公立小中高等学校への全校配置を機に、教員との積極的な連携や、児童生徒等のさまざまな問題への対応など、スクールカウンセラーの専門性を一層生かした活用を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次は、私学振興について伺います。
 都内の私立高校では多くの学校が建学の精神に基づく独自の留学制度によって、高校生を海外に派遣し、世界に通用するグローバル人材の養成に積極的に取り組んでいます。
 我が党は、私立高校のこうした取り組みを支援し、一人でも多くの意欲のある高校生の留学の夢を実現させることが、日本の将来を担うチャレンジ精神にあふれた若者の育成に必要であることをかねてより主張してきました。
 昨年の第三回定例会で我が党は、私立高校がこれまで培ってきた取り組みを踏まえ、学校現場と十分に意見交換を行った上で、効果が高く、きめの細かい支援策を構築すべきことを求めました。今回提案されている支援制度にどのように反映されているのか伺います。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 本年はスポーツイヤーです。一月の冬季国体から始まり、一昨日の東京マラソンでは三万六千人ものランナーを初め、大会を支えるボランティア、観客など、百七十四万人もの人々が参加し、大成功をおさめました。今後は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催都市決定、スポーツ祭東京二〇一三の開催へと続いていきます。
 スポーツは、青少年の心身の健全な発達や健康増進など、都民生活の質の向上や都市の活性化にも寄与する大きな力を持っており、その果たす役割はますます大きくなっています。
 現在、都は、昨年の第一回定例会における我が党の提案を受け、東京の新たなスポーツ推進指針となる東京都スポーツ推進計画の策定に向けた準備を進めています。東京のスポーツを推進する上で大変重要なこの年に、長期的な視点に立った都としての新たなスポーツ推進計画をアピールできることはまさに時宜を得たものと評価します。
 今後は、二〇二〇年に向けて、この計画を着実に推進し、スポーツ都市東京を実現することが求められます。
 そこで、都は、本計画に基づき、具体的にどのような施策を展開していくのか伺います。
 次に、スポーツ祭東京二〇一三について伺います。
 去る一月二十六日から七日間にわたり、冬季国体のスケートとアイスホッケー競技会が開催されました。国立代々木競技場で行われた開始式は、満員の来場者であふれ、スポーツ祭東京二〇一三の幕あけとしてさい先のよいスタートを切ったといえます。
 スポーツ祭東京二〇一三の開催を契機に、多摩・島しょ地域をより一層発展していく上でも、この大会を一過性のイベントに終わらせることなく、地域の活性化や都のスポーツ振興につなげていかなければなりません。
 そこで、スポーツ祭東京二〇一三の成功に向け、どのような大会にしていくのか伺います。
 最後に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 今、我が国に必要なのは、未来への夢と希望であります。二〇二〇年大会の日本招致は、東日本大震災からの復興のシンボルともなり、都民、国民に元気と夢、希望を与えます。
 先般、招致委員会が実施した支持率調査では、我が党の呼びかけにより行った東京都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟による全国の署名活動などの成果が着実にあらわれ、支持率がついに七〇%を超えました。
 しかし、この支持率は、マドリード、イスタンブールにはいまだに及んでおらず、本年九月七日、IOC総会での開催都市決定をかち取るまで、引き続き国内の支持獲得に努めなければなりません。
 知事には、オールジャパンの体制をより強固にして取り組んでいただきたいと思います。今後の招致レースに向けた知事の決意を伺います。
 また、東京の計画は、高品質かつ豊富な宿泊施設、高い運営能力、また、世界で最も安全な治安のよさなどが高く評価されております。今後は、そのような立候補ファイルに盛り込まれた東京の強みを国際的に訴えることが重要です。所見を伺います。
 我が党も、この国の輝かしい未来を切り開く契機となるよう、招致実現に向けて、最後まで全力を尽くして戦う決意であることを申し上げておきます。
 さて、都議選の投票日は六日二十三日に決まりました。我々都議会自民党は、日々都民の暮らしの中に肌で触れ、有権者の声をじかに聞く中で、いわば現場から都政における責任政党として、国に対して主張すべきは主張し、都政のすべての分野にわたり、打つべき政策を着実に実行してまいりました。
 来るべき選挙戦には、この間に発生した未曾有の東日本大震災を踏まえたインフラ、防災対策はもとより、都内企業の活性化や雇用の確保などを初めとする経済再生、学力や規範意識をはぐくむ教育再生、都民生活の安心・安全を確保する福祉、社会保障など、暮らしの再生の実現に向け、引き続き全力を傾注してまいります。
 最後に、知事は施政方針の中で、人々や企業が、自分の個性と才覚を最大限発揮でき、強い人が弱い人を助け、余裕のある人がない人を助ける、そうした東京を目指していくとしています。これが世にいう新自由主義とは決別した主張とするならば、我が都議会自民党の一貫してとってきた立場でもあります。
 内憂外患の困難な時代にあって、都民の生活、仕事を守り、将来の展望を切り開いていくため、山積する課題の本質を見きわめながら都政をリードしていくことが我々に課せられた責務であり、都民にこたえる道でもあります。
 都民の皆様のご理解をいただき、公認候補全員があすの東京づくりの参画を目指す決意であることを表明して、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 野島善司議員の代表質問にお答えいたします。
 今後の都政運営についてですが、きょうは、くしくも二月二十六日でありまして、今から七十七年前、青年将校たちが一千四百人以上の兵士を率いて、首相官邸や警視庁などを襲った二・二六事件ですね。大蔵大臣高橋是清や内大臣齋藤實を殺害し、鈴木貫太郎侍従長に重傷を負わせた上、岡田啓介首相は危うく難を免れたが、しばらく行方不明でありました。
 あの事件以降、政治は完全に機能不全に陥って、政治家は軍部、官僚をコントロールできないまま昭和十六年の日米開戦に突入し、三百万人ものとうとい命が犠牲になりました。
 軍部や官僚をコントロールできない戦前の政治状況は、バブル経済崩壊以後の政治、小泉首相の五年五カ月を除いて、総理大臣が平均一年ごとにかわっていった国政の混迷とよく似ています。この数年は特に、与党も野党も政局に明け暮れ、こうした国の政治に嫌気が差していた国民が多かったのではないでしょうか。
 昨年末誕生した安倍総理は、再登板ゆえ、政治主導を掲げた前政権よりも、霞が関の使いこなし方もよく理解されていると思います。さきの日米首脳会談でも、日米間の信頼の回復を十分に果たされた。これからは大変期待しています。
 ところで、オバマ大統領と安倍総理が暖炉の前で会談している映像が映りましたが、安倍さんのここ、気がつきましたか。オリンピックのバッジをきちんとつけています。皆さんもぜひつけてください。ついていない人がいるんです。スポーツ振興局長はちゃんと背広を着がえてもいいように、幾つも渡しておいてください。この辺はついているんですけれどもね、ちょっとついてないところがあるんです。
 官僚主権と決別しなければいけないという話に戻りますが、日本を沈没から救うことは官僚主権ではできない、そう確信して、首都東京のかじ取りを担う決意をしました。アメリカがユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカなら、日本は、十二の省がばらばらに自分の利益を追求するユナイテッド・ミニストリーズ・オブ・ジャパンだというふうにいえます。
 そうした中で、東京だけが唯一、霞が関の壁を超えられる東京ステート、東京国ともいっていい存在だと思って、皆さんも一緒にやりたいと思いますが、東京からこの縦割りの壁を打ち破って、東京モデルとも呼ぶべき新しい政策を展開して、日本じゅうに改革のうねりを巻き起こしていく。上辺だけのあるべき論や理想論では何も変わらない。現実に真正面から向き合って、複眼的な思考であらゆるところに目配りしながら、リアルな改革を進めていくつもりであります。
 もとより、こうした改革は都知事だけでは進めることはできません。同じ首都東京の政治家である都議会の皆さんと一緒に建設的な議論を交わしながら、ともに改革を前に進めていきたい。そして、この東京を世界一の都市へとしていきたい。ご協力をぜひともお願い申し上げます。
 財政運営についてでありますが、都政には、都民の暮らしを守り、東京の活力を高める施策を着実に実施することはもとより、日本の心臓として、先駆的な取り組みにより国を動かし、全国を牽引していくことが求められています。
 このため、平成二十五年度予算では、都民の安全・安心を守る取り組みや、新たな東京モデルを発信していく取り組み、そこに財源を重点的に投入し、とりわけ経済波及効果の高い投資的経費については、九年連続で増加させることにしました。
 さらに、国の平成二十四年度補正予算に対応し、都としても追加の補正予算を編成しました。
 このようにして編成した予算を着実に執行するとともに、引き続き国の動きを注視しつつ、必要な措置を迅速に講じていきます。
 一方、なすべき施策を機動的かつ継続的に実施していくためには、自己改革をたゆみなく進め、将来にわたり財政の健全性を堅持していくことも不可欠であります。
 このため、中長期的な視点から都債の発行を抑制し、基金残高をふやすなど、財政基盤の一層の強化を図ることにしました。
 今後とも、都民の負託にこたえる積極的な施策展開と、それを支える強固な財政基盤の堅持、この両面に目配りした財政運営を行うことで、都政に課された使命を確実に果たしていきたい。
 首都東京の防災についてであります。
 首都直下型地震が発生したとき、対応は一刻を争います。完璧な情報の収集と分析を待って対策を検討するいとまはない。そういうとき、東日本大震災の当日、わずかな情報のもとで、即座の判断と東京消防の機動力によって、気仙沼の公民館から四百四十六人の人々を助け出すことができました。
 限られた情報をもとに、まずは走り出すことが必要であります。発災後、即座に人命救助や傷病者の搬送を行う救出、救助拠点の立ち上げに着手する。自衛隊、警察、消防の全国の部隊が持つヘリコプターや船舶の機動力を結集し、ヘリサインを八百カ所から千六百カ所に倍増します。
 これは、この間、神津島からヘリコプターで戻ってくるときに、防災訓練ですが、上から見るとヘリサインの数が非常に少ないんです。前にも、小金井に防災訓練で行くときにもヘリに乗りましたが、やはり多摩地区の方も少ないんです。東京都心も少ない。だからこれを二倍にして、東京に救出、救援に来るヘリコプターが、ここはどこなんだと上からわかるように、そういうヘリサインを二倍にする、こういうことであります。
 そういうことも含めて、刻々と変化する状況に、走りながら考え、臨機応変に指示を出すことで、一人でも多くの都民の命を救い出すということに全力を傾けたい。
 また、危機に備えて、日ごろからスピード感を持ってやるべきことを積み重ねることも、災害に強い都市を築く上で重要であります。
 大都市東京が抱える課題を解決するために、木造住宅密集地域の不燃化特区の大幅な拡大、全国で初めての帰宅困難者対策条例による一斉帰宅の抑制や、備蓄の一割の上乗せの呼びかけ、さらにはツイッターによる都民への情報発信など、発災時に首都が混乱に陥ることがないような仕組みを社会全体で、つまり、行政だけじゃなくて民間も含めていろんな形でつくり上げていく、それがこの三・一一の大きな教訓です。
 いざというときに備えて、ふだんからやるべきことをやり、そのときが来たら果敢に決断し先手を打つ。こうした平素の備えと発災時の対応により、首都東京の防災力を必ず向上させていかなければいけないと、こういうふうに思っています。
 木密地域の解消についてですが、木密地域は、不燃化特区十二だったんですが、五十にしようということで五十地区、そういう目標を掲げて、東京都が不燃化特区制度を通じて木密地域の解消に本格的に取り組むという、区や住民に対するメッセージ、これが大事です。木密地域を解消するには、今取り組んでいる十二地区では絶対不十分。これは、東京都が五十だということで区が本気になりますから、都と区で協力して、取り組みを大幅に拡大していくことが重要であります。
 そもそも、二十世紀の負の遺産ともいうべき木密は、戦前からそのまま残された古い木造のまちに加えて、戦後の急速な復興の中で無秩序な開発が進んだことによって形成されてきたわけです。現在では、細くて入り組んだ道路や古い家屋がひしめき合っており、大地震の際には、建物の倒壊や延焼のおそれがある危険な地域となっています。
 木密地域は、比較的利便性の高い都心周辺部にあるにもかかわらず、こうした危険性により地域経済を滞留させ、地域の価値も低下させています。
 入り組んだ路地の先にある古い家屋を取り壊すこと、燃えにくい建物に建てかえることや道路を広げていくことなどで安全・安心のまちを実現し、ひいては地域の価値も高めることができるということであります。
 このために、東京都がまずリーダーシップを発揮して、目標と道筋を示すことはもちろん、官民の英知を集めた取り組みとなるような方向性を誘導する必要があります。
 木密地域の現場では、積極的に取り組む区の後押しをするというほか、地域の実情にたけた民間のノウハウを活用するなど、総力を挙げ、短期間で実効性の上がる木密対策となるように取り組んでいきます。
 自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例案のねらいについてですが、自転車は環境負荷も少なく、健康増進にも役に立つ交通手段であります。通勤通学や買い物などさまざまな用途に利用され、都民の生活に密着しています。
 しかし、最近では、危険で無謀な運転や違法な放置が後を絶たず、自転車利用のあり方が社会的な問題となっている。
 こうした状況を解決するには、まず、自転車の利用者自身が規範意識を持つことが大切。そのため、条例案では、交通ルールの習得と利用者の責務を定めて、家庭、学校などにおいて利用者に対する安全教育が推進されるようにしています。
 また、放置自転車対策として、企業などに駐輪場の場所の確保などを義務づけました。東京は、駐輪場の整備が需要に追いつかない区域もありますが、オフィスビルの屋上に駐輪場を確保するといった新たなビジネスも民間に生まれています。
 条例案は、こうした民間の創意工夫による新たな力、発想を引き出すことも期待できるものでありまして、条例の制定を契機として、自転車利用者の規範意識が高まるとともに、社会全体で自転車の安全で適正な利用が促進されることを目指します。
 中小企業振興についてであります。
 東京の経済活動の規模を示す都内総生産八十五兆円、国内総生産の二割を占め、東京が我が国経済の命運を握っています。東京が発展し、日本が飛躍するためには、東京都内の企業の九九%を占める中小企業の力を高めていくことが重要な役割である、そういう考えで臨みます。
 東京の中小企業には、独創的な技術や熟練した技術を持つ企業が数多く存在いたします。例えば、社員十数人の会社ですが、東京都ベンチャー技術大賞優秀賞を受賞した流水式小水力発電装置は、全く新しい水力発電システムで、フロート型の水力発電装置を川に浮かべて、水の流れをエネルギーに変換する、そういうものであります。ですから、下水道処理施設や、工場や農業用水路などで発生する排水もエネルギー源として活用できます。これが低炭素型社会の実現に寄与する技術だと、こういうお宝技術がたくさんあります。
 東京都は、こういう中小企業の経営力の強化や、新製品、新技術開発の支援を行っておりまして、昨年十月には、海外市場への販路拡大を後押しするため、海外の規制などに関する情報提供や評価試験の実施を行う広域首都圏輸出製品技術支援センターを都立産業技術研究センター内に開設しました。
 来年度は、海外規格に適合させるための認証取得や、知的財産の保護、活用など、意欲ある中小企業の成長に向けた支援を一層強化していきたいと思っています。
 こうした施策を通じて、中小企業の振興を図り、東京の新たな発展を実現させたいと思っています。
 臨海副都心の開発の意義についてであります。
 都市の世紀といわれる今世紀において、世界じゅうから人、物、情報が集まるMICE、国際観光機能の充実は、都市の競争力の強化に貢献し、東京のみならず、首都圏や日本全体に大きな経済波及効果をもたらします。
 また、都市の洗練された文化やホスピタリティーの向上にもつながることから、東京を初め、今の日本を覆う心のデフレ脱却にも役に立つと。
 臨海副都心は、既に一定のMICE機能が集積はしています。かつ、都心に残された数少ない開発用地を有することから、さらなる機能強化で世界トップクラスのMICE、国際観光拠点に発展する可能性が十分あるわけです。
 そこで、今後は、臨海副都心に東京ビッグサイトと連携、補完するMICE施設とともに、カジノのような大人の社交場が存在しない日本においては、国際的な集客力を持つ新たな観光資源を誘致して、東京をきのうと違う世界に発展させていきたいと、そう思っています。
 福祉施策の拡充に向けた取り組みについてでありますが、日本では、世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでいます。東京でも、昨年初めて死亡者数が出生数を上回り、二〇三五年には三人に一人が高齢者という超高齢社会が到来すると、こういうふうに予想されています。
 今後の福祉政策は、この東京の未来を見据え、自助、共助、公助の取り組みを適切に組み合わせながら、都民ニーズにこたえる具体的な施策をきめ細かく、かつスピードを加速させて展開していく必要があります。
 こうした考えに立って、今回初めて編成した来年度予算において、高齢者のためのケアつき住まいの整備、認知症の早期発見、診断、治療のための新たなシステムの構築、それから、六人から十九人の小規模保育を支援する東京スマート保育の創設、それから、障害者が地域で暮らすグループホームの増設、そういう費用対効果の高い新しい施策を盛り込みながら、過去最高の一兆円を超える福祉と保健の予算を組みました。
 今後とも、効果的な福祉施策を充実させ、一人一人が輝く、年を重ねるごとに輝いていくということができる東京に、互いに助け合って、だれもが安心して生活できる東京につくり変えていかなければいけない、そういうつもりでこの問題に取り組んでいきます。
 オリンピック・パラリンピック招致についてであります。
 長く閉塞感が続くこの日本社会において、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックを開催することは、人々の心のデフレを解消していくきっかけとなると思っています。目標があると、その目標に向かって夢を、希望をつくっていくということができます。平成生まれの人は、ずっと目標がないまま、若者は生きていますが、二〇二〇年があるよということをやはり確実に示していきたい。
 去年、僕は東京マラソン、四十二・一九五キロ、六十五歳で初めて走りました。これからの招致活動は、そのときに、今まで最高十キロメートルしか走ったことなかったんだが、四十二・一九五に挑戦するに当たって、やっぱり逆算してみなきゃいけない。三十キロから四十二キロを時間のあるときにちょっと走ってみた。そこからどうやって完走するかという逆算をしていって、それで走ったんですが、そういうマネジメントの発想で、九月七日のブエノスアイレス、それに対して、ロンドンの記者会見から始まってどういうステップでいくか逆算しながら、三月の初めにIOC調査団が来ますが、IOC調査団が来て、そこでプレゼンテーション、これは第二ステップ。第三ステップがスイスのローザンヌ。逆算しながら、今何をすべきかということを考えながらやっています。
 招致レースというのは、マラソンレースとよく似ています。どこに、今何をやらなきゃいけないかというポイントを、常に、その場所その場所で考える。来月、もうあと一週間もないです。IOCの調査団が来ます。東京のソフィスティケートされた、洗練された世界とかおもてなしの持っている魅力とか、そういうものをぜひプレゼンテーションで伝えたい。
 一昨日の東京マラソンでも、新宿で荷物を預けたら、マラソンフィニッシュしたら、ビッグサイトで荷物をもらえるんです、自分の服を。そして帰れる。これ、ホテルのサービスと同じです。これをボランティアがやっている。すごいことです。これは外国では考えられない。一つ一つ間違いなく、フィニッシュ終わった人に服を渡して、服を着がえて帰れる、こういうホスピタリティーとは何かということをどうやってプレゼンテーションであらわすか、それを一生懸命考えています。
 もうちょっとつけ加えますが、東京で開催する大会、これは単に東京だけのものではなくて、被災地を聖火ランナーが走り、宮城スタジアムでサッカーの予選をやり、日本全体のオリンピックであると。プレゼンテーションに安倍総理にも出てきてもらいます。国を挙げて、そして、もちろん東京の力を、東京都も、そしてJOCの竹田会長も、みんながこのプレゼンテーションに集中して、元オリンピックの選手も出ます。招致を獲得するためには、経済界、それから町会連合会、いろんな人たちが力を与えてくれていますが、行政も、あるいは国も東京都も民間も、みんな一丸となって、国家の総力を挙げて臨まなければ、この招致レースは勝てないと、そういう厳しい認識でやっています。
 みずから先頭に立って、リーダーシップを発揮して強いチームをつくり、オリンピック・パラリンピック招致というレースの中で、これを必ず成功させるというふうに、そういう決意で──もう来週、IOC調査団が来ますから、プレゼンテーション、四、五日かかります。徹底的に東京のメリットを説明します。
 なお、その他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁していただきます。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、非構造部材の耐震化に対する区市町村への支援についてでありますが、学校施設には、児童生徒の安全確保に加え、地域住民の避難所としての役割が求められております。このため、天井材等の非構造部材の耐震化は喫緊の課題であり、早急に対策を進める必要があります。
 小中学校の非構造部材の耐震化対策は、震災被害や実証実験等から得られた知見を生かすことが有効であり、専門家の点検を踏まえることが重要でございます。
 都教育委員会は、技術面での指導等を継続するとともに、国が創設した技術者登録制度の活用を促してまいります。
 また、耐震化費用については、区市町村に対する新たな補助制度を創設し、耐震化対策が確実に実施されるよう、区市町村を支援してまいります。
 次に、東京都教育ビジョンについてでありますが、今般改定をいたします教育ビジョンは、変化の激しい時代における、みずから学び考え行動する力や、社会の発展に主体的に貢献する力の育成を重点施策としております。
 例えば、子どもたちの内向き志向を打破し、世界を舞台に活躍する能力を高めるため、高校生の海外留学支援の拡充や、海外大学進学資格を付与する国際バカロレアの認定を目指す取り組みを行います。
 また、科学に関心を持つ生徒の能力を伸ばすため、理数系コンテストの開催など、理数教育を充実いたします。
 さらに、よりよい社会の実現に向け行動する力を育成するため、全都立高校において、体験活動と一体的に実施する道徳を必修化いたします。
 今後、新たな教育ビジョンに基づき、さらなる教育改革を総合的に推進してまいります。
 次に、中一ギャップへの対応についてでありますが、入学当初の生徒の学校不適応などに対応するため、都教育委員会は、中学校第一学年について、平成二十二年度から計画的に教員加配を拡大してまいりました。平成二十三年度に行った、中一ギャップ加配の効果検証では、学習規律が確保できたなど、生徒の学校生活の改善に効果があると各学校から報告があったところです。
 中学校第一学年では、いじめの認知件数が最も多いなど、依然として課題があることから、来年度、都独自で三十五人以下学級編制を可能とする中一ギャップ加配を完成させ、学級規模の縮小のみならず、少人数指導、チームティーチングなど、各学校の実情に即した最適策を選択できる弾力的な学級編制方針のもと、引き続き、中一ギャップの予防、解決に努めてまいります。
 次に、体罰のない部活動に向けた対策についてでありますが、現在、都内全公立学校で調査を実施しておりますが、この過程で、一部の学校において指導者の体罰が判明をいたしました。体罰は、いかなる場合においても絶対にあってはならないことであり、体罰を指導の一環とする認識や、厳しい指導も必要と容認する風土等を一掃する必要があります。
 このため、緊急に教員研修用パンフレットを作成し、三月中に都内全公立中学、高校の顧問教諭を対象とした研修会を開催し、改めて体罰禁止の徹底を図ります。
 さらに、スポーツ指導者等による部活動指導のあり方検討委員会を立ち上げ、暴力容認の背景や望ましい指導のあり方を早急に検討し、総合的な対策を講じてまいります。
 こうしたことにより、体罰の根絶に、学校と一体となって全力で取り組んでまいります。
 最後に、スクールカウンセラー活用事業についてでありますが、臨床心理に関する高い専門性を有するスクールカウンセラーが、児童生徒等からの相談に応じる中で、いじめや不登校などの問題解決に成果を上げてきました。
 来年度、スクールカウンセラーを千四百人程度に倍増し、全公立小中高等学校へ配置をいたします。
 あわせて、学校から期待される役割や、教員との連携上の留意点などを周知徹底するため、すべてのスクールカウンセラーに対し、教育相談の手引を改訂、配布するとともに、三月までに、実績のある経験者を講師とする新たな研修を実施いたします。
 さらに、児童生徒への相談業務に加え、教員への研修の実施を通して学校全体の相談技術や相談機能を向上させるなど、スクールカウンセラーの一層の活用を図ってまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 五点のご質問にお答えいたします。
 初めに、首都東京の都市基盤整備についてでございますが、東京のインフラは、都市の安全・安心の礎を築くとともに、円滑で効率的な都市活動を支え、首都としての成熟した風格を創出する重要なストックでございます。その効用は国全体に及び、国際的な都市間競争が激化する中、東京のインフラの充実なくして我が国のさらなる成長はありません。
 こうした認識のもと、首都圏三環状道路の整備、羽田空港のさらなる国際化、東京港を初めとする京浜三港の機能強化などにより、陸海空の交通ネットワークを構築してまいります。
 既存のインフラにつきましても、全国に先駆けて導入した橋梁のアセットマネジメント手法を活用するなど、戦略的な更新を行うとともに、堤防や水門などの徹底した耐震化を図り、高度防災都市へと進化させてまいります。
 今後とも、安定的な財源確保に努め、技術力を結集しながら、先人から受け継いだストックのさらなる充実を図り、我が国を牽引する活力ある国際都市東京を築いてまいります。
 次に、木造密集地域における特定整備路線の取り組みについてでございますが、都は、特定整備路線のすべての候補区間を公表した昨年十月以降、順次、地元説明会を開催し、測量に着手するなど、早期事業化に向けた取り組みを進めております。
 事業推進に当たりましては、整備を加速するためのかぎとなる関係権利者の建物再建や移転先の確保に向け、すべての関係権利者の意向を速やかに確認し、用地取得への第一歩といたします。
 あわせて、路線ごとに、民間の専門事業者を活用した相談窓口を設置し、一人一人の事情に応じた丁寧なサポートを行うとともに、移転先となる民間賃貸住宅の確保や、移転資金貸付金の金利優遇などの多様な支援策も実施してまいります。
 これらの支援策の内容につきましては、測量や用地補償の地元説明会など、あらゆる機会を通じて十分周知し、きめ細かな対応を行いながら用地取得を図り、早期整備に努めてまいります。
 今後とも、地元区とも連携を図り、燃え広がらないまちの実現に向け、特定整備路線の整備に全庁を挙げ、全力で取り組んでまいります。
 次に、多摩南北主要五路線のうち、府中清瀬線と調布保谷線の整備状況についてでございますが、多摩地域における自立と都市間連携の強化を推進するためには、交通円滑化はもとより、防災性の向上を図る必要があり、都は、多摩南北主要五路線を代表とした骨格幹線道路ネットワークの形成を重点的に進めてまいりました。
 府中清瀬線につきましては、唯一の未開通区間である府中市内の約五百五十メートルの区間で現在事業を行っており、来月には交通開放をする予定でございます。これにより、川崎街道から埼玉県境までの延長約十八キロメートルの全線が開通することとなります。
 また、調布保谷線は、青梅街道から西東京三・四・一一号線までの約二キロメートルの区間を、本年四月に交通開放する予定でございます。
 残る区間につきましては、平成二十六年度の全線開通を目指して事業を進めてまいります。
 今後とも、地域の発展に寄与し、非常時には救命救急活動に大きな役割を担う骨格幹線道路を全力で推進し、都民の生命と財産を守ってまいります。
 次に、河川の耐震対策の取り組みについてでございますが、首都直下地震の切迫性が指摘される中、東部低地帯の安全性向上を図るには、スピード感を持って対策を講じていくことが極めて重要でございます。
 昨年十二月には、具体的な整備計画を策定し、最大級の地震が発生した場合でも津波などによる浸水を防止するため、対策の実施箇所などを提示し、このうち、水門の全箇所と水門外側の堤防などにつきましては、二〇二〇年までに完了させることといたしました。
 事業推進を早期に図るため、既に、優先度の高い隅田川下流部などの四水門の設計を進めており、また、堤防につきましても、来月初旬には設計に着手いたします。
 今後とも、民間技術の活用などさまざまな工夫を行いながら、全力で事業の推進を図り、地震、津波に対する都民の安全・安心の確保を早急に実現してまいります。
 最後に、液状化予測図の見直しについてでございますが、液状化予測図は、公共施設や民間建築物などの液状化対策検討の基礎となる重要な資料でございます。
 東日本大震災を踏まえ、現在、東京都土木技術支援・人材育成センターが予測図の見直しを行っており、これまで約五十年にわたって蓄積してきた約二万本の地質調査データを用いまして、地下水位や砂層の分布状況を詳細に把握し、予測精度を高めております。
 この予測図は三月末に発表し、引き続き公共施設の液状化対策に活用するほか、新たに民間建築物の液状化対策を検討中の都市整備局にも情報提供してまいります。
 あわせて、ホームページを拡充し、住所による検索を可能とするとともに、予測に用いた地盤の解析データや地形の変遷に関する図面も閲覧できるようにいたしまして、液状化に関する地域の情報を幅広く、速やかに発信してまいります。
 今後とも、高度防災都市の実現に向け、関係部署と連携し、液状化に関する情報提供に努めてまいります。
   〔知事本局長前田信弘君登壇〕

〇知事本局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、尖閣諸島寄附金の基金化についてでございますが、昨年四月、都が設けた口座には、都民、国民の方から約十万四千件、十四億円を超える寄附金が寄せられました。これは、島々を公の所有として安定させ、活用してほしいという願いが志として寄せられたものと受けとめております。
 こうした中、昨年九月に、島々は国の所有となりました。このため、都は、国に尖閣諸島の活用について働きかけることとし、会計年度を越えて寄附金を管理するために基金を造成することといたしました。
 今後は、この基金を国に託すため、石垣市など地元自治体とも連携し、国への提案などを行いつつ、お話の無人国境離島管理法案など国の動向を見きわめながら、都民、国民の志が生かされるよう対応してまいります。
 次に、インフラ整備をいわゆるPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップ事業により実施するための調査についてでありますが、PPP事業は、民間事業者が事業の企画立案段階から参画するため、民間の資金やノウハウなどを生かしやすい手法とされており、海外では既に多くの活用事例がございます。
 来年度の調査は、将来のPPP事業への参画に向けた一里塚となるもので、都が確立すべきガバナンスとなる官民連携政策投資システムの構築を目的とするものです。
 このために、まず、都が保有する主なインフラ資産の現状や将来見通しなどの把握を行うとともに、国の内外におけるインフラ整備に当たり、民間資金を活用した先進事例に関する調査を行います。あわせて、民間資金の活用に適したインフラ分野を選び、実際にこの分野を対象にした事業投資などに関するシミュレーションなどを計画しております。
 また、こうした調査を踏まえた上で、専門の有識者等の知見を得ながら、金融、法律、会計などの専門家による第三者的な検証のあり方や、プロジェクトへの参加の是非の判断を行う意思決定の仕組みなどを整理することとしております。
 今後とも、将来のインフラ整備のためのPPP事業の実施に向けて、万全な調査の実施と十全な検討に努めてまいりたいと考えております。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、防災の関係で、実効性ある初動体制の確立についてでありますが、大規模災害発生時には、発生から七十二時間の対応が極めて重要になることから、自衛隊、警察、消防を初めとする関係機関との連携の方法や手順をあらかじめ整理した対処要領を策定することといたしました。
 例えば、発災直後の情報収集については、都庁の高所カメラに加え、各機関のヘリコプターによる映像や、都内の道路や河川に関係機関が設置しているカメラ映像を相互に交換して、被災地域の状況把握を行います。同時に、都内の各地に救出救助拠点を構築し、そこを軸として災害拠点病院と連携し、ヘリコプターによる負傷者の広域搬送を実施いたします。
 また、首都直下地震発生時に、陸海空の三自衛隊の統合的な運用を担う東部方面総監部と都との連携体制についても明確に示してまいります。
 対処要領では、こうした活動における各機関相互の動きをわかりやすく結びつけてまいります。
 この要領を基礎として、さまざまな局面を想定し、庁内各局はもとより、各機関との連携協力のもと、図上訓練や実動訓練を積み重ねることで、初動時の災害対応力を強化してまいります。
 次いで、燃料や物資の確保に向けた民間との連携についてであります。
 燃料や物資の供給について、民間事業者は、流通拠点を中心としたネットワークや消費者のさまざまなニーズに対応するための供給能力を有しており、こうした民間の力を活用することが災害対策においても重要であります。
 このため、災害時に確実に燃料を確保できるよう、東京都石油商業組合と連携して、流通在庫を活用した備蓄を行う仕組みを整え、今月から実施いたしました。
 また、被災者の多様な物資ニーズに対応するため、メーカー、流通、小売の事業者で構成される企業グループとの間で、効率的な物資調達の方策について検討、調整を進めており、年度内に新たな仕組みを確立してまいります。
 今後とも、民間団体等との強固な連携体制を構築し、東京の総力を結集して大震災への備えを強化してまいります。
 次いで、帰宅困難者対策の推進についてであります。
 発災時の混乱防止に向け、一斉帰宅の抑制を徹底するとともに、行き場のない人を保護する一〇%余分の備蓄や一時滞在施設の確保を社会全体で進める必要があります。
 このため、民間団体等への説明会に加え、トレインチャンネルやホームドアシート、防災ツイッターなど多様なツールを活用し、集中的な広報活動を実施してまいります。
 また、一時滞在施設としてご協力いただく事業者には、帰宅困難者受け入れに必要な備蓄品購入費用の六分の五を補助する新たな制度を創設するとともに、都立の滞在施設には、家族との安否確認のための特設公衆電話やWi-Fi環境を整備し、機能向上を図ってまいります。
 帰宅困難者対策条例の施行を間近に控えたこの機をとらえ、さまざまな取り組みを展開し、社会全体に帰宅困難者対策を浸透させてまいります。
 次いで、地域の自主的な防災活動への支援についてであります。
 地域の自助、共助を推進していくためには、地域防災の担い手である町会、自治会等の活動の活性化を図るとともに、意欲的な取り組みを普及することが重要であります。
 このため、来年度から新たに、町会、自治会等を対象として学習交流会を開催いたします。防災活動の専門家を派遣し、ハザードマップの作成など、地域のニーズに応じた講義や住民同士の交流の機会を提供してまいります。
 さらに、東京防災隣組については、区市町村と連携して意欲的な団体の掘り起こしを行うなど、第二回認定に向けた作業を進めております。認定団体を大幅にふやし、その活動を広く発信することで、さらなる普及を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、地域の自主的な防災活動を活性化し、東京の地域防災力を高めてまいります。
 次いで、消防団活動の強化についてであります。
 大規模地震の発生時に住民の迅速な救出、救助や初期消火を行うためには、地域に根差した消防団が果たす役割は極めて重要であり、地域防災計画においても、都は、消防団の人材確保や技能向上に向けた多面的な支援を強化することとしております。
 このため、消防団の人材確保に向け、都内鉄道各線での広告を東京消防庁と連携して実施するとともに、団員の技能向上に向け、消防訓練所の資器材を拡充し、講習内容の充実を図ってまいります。
 さらに、特別区消防団の資器材の充実はもちろん、来年度、多摩・島しょ地域の消防団の資器材整備に対する補助を新たに行い、都内全域を視野に、消防団活動の支援に全力で取り組んでまいります。
 最後に、これからの多摩振興の進め方についてであります。
 今回策定する新たな多摩のビジョンは、人口減少社会の到来や大規模工場の相次ぐ撤退など、多摩地域を取り巻く厳しい状況変化に対し、地域にかかわるさまざまな主体が一丸となって道を切り開いていくことが必要との認識のもと、交通ネットワークのさらなる充実や成長分野への中小企業の参入促進による産業の活性化など、多摩地域の進むべき大きな方向性を示したものであります。
 本ビジョン策定後、都は、全庁横断的な組織である多摩島しょ振興推進本部を中心として、多摩振興の実現に向け、全庁を挙げて取り組み、早急に施策の具体化を図ってまいります。
 また、本ビジョンは、都の施策の方向性にとどまらず、多摩の市町村、地域で活動する民間企業やNPOなど、さまざまな主体の活動の方向性も示すものであり、今後、これらの主体と一体となって、目指すべき姿として掲げた、魅力にあふれ、活力に満ち、安全・安心な多摩を実現してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域の底力再生事業助成についてでありますが、地域社会における結びつきを強化し、共助を推進するため、都内全域の町会、自治会活動の底上げを図ることは、都の重要な役割と考えております。
 今年度から、本事業助成を本格実施したことにより、前年度を約四割も上回る四百二十五件の申請があり、この事業をもとに活発な地域活動が展開されたことに大きな手ごたえを感じております。
 とりわけ、多くの町会、自治会による避難、通信訓練や応急救護講習会などの防災活動に関して支援を行ってきており、こうした活動内容の充実や助成実績の増加に基づきまして、来年度予算の増額を提案させていただいております。
 今後とも、制度の周知等に努め、さらに多くの町会、自治会に本事業助成を活用していただくことで、災害に強いまちづくりに向け、地域力の向上が図られるよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、私立学校の防災対策の推進についてであります。
 都はこれまで、すべての私立学校を対象に、最大で補助率五分の四となる耐震化補助を実施するなど、安全・安心の確保に取り組んでまいりました。
 さらに、東日本大震災の教訓を踏まえ、建築士の派遣などにより、耐震化を一層促進するとともに、太陽光発電設備の整備、水、食料等の防災備蓄物資の購入、防災マニュアルの改定など、さまざまな支援を行ってきております。
 来年度は、こうしたこれまでの施策の実績や学校現場からの要望を踏まえ、天井材などの非構造部材の耐震対策について、新たに補助制度を創設するとともに、物資の保管場所が不足している幼稚園に対しまして、防災備蓄倉庫の設置に対する補助を実施いたします。
 今後も、都全体の防災対策と連動させながら、私立学校の防災対策に着実に取り組んでまいります。
 最後に、私立高校生の留学支援についてであります。
 制度の構築に当たりましては、私学団体や現場の先生方から、海外留学の現状について丹念にヒアリングを重ねてまいりました。その結果を踏まえ、各学校が蓄積したノウハウや教育方針を生かしつつ、費用負担の大きい長期間の留学に対する支援策ということで、各学校が留学制度の新設や充実に取り組みやすい環境を整えることといたしました。
 具体的には、学校がその実施内容に責任を持つ海外留学プログラムのうち、おおむね三カ月以上の留学を対象に、期間に応じた段階的な単価を設定し、補助することで、生徒、保護者の費用負担の軽減を図ってまいります。
 本制度を活用することで、より多くの東京の私立高校生が海外留学を経験し、世界を舞台に活躍する国際感覚豊かな人材に成長できるよう支援をしてまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、スタンドパイプなどの資器材配布の今後の具体的な措置についてでございますが、震災時には、住民みずからが消火栓や排水栓を活用し、応急給水や初期消火を行うことが重要であります。
 そのため、応急給水用スタンドパイプと仮設給水栓、そして消火用ノズルなどの資器材を、平成二十五年度は五百セット、三カ年で二千六百セットを調達し、希望する区市町に配布する計画であります。
 配布計画につきましては、ご指摘の点を踏まえまして、区市町からの要望状況を見て、前倒しや配布数の拡大を検討してまいります。
 あわせて、水道局と東京消防庁、区市町が連携して訓練を行うことにより実効性を確保し、自助、共助への支援強化を図ってまいります。
 次に、水道施設のさらなる活用による初期消火についてでありますが、これまで、消火栓と同じ構造の排水栓につきましては、東京消防庁及び多摩地区の都営水道二十六市町と覚書を締結し、震災時の初期消火に活用していくこととしております。
 今後、私道の末端などに設置してある都内約七千カ所の簡易排水栓につきましても、東京消防庁などと連携し、詳細にわたってその活用を検討してまいります。
 次に、今後の水道事業のかじ取りについてでありますが、このたび水道局では、二十五年度からの三カ年を計画期間とする経営プランを策定いたしました。
 この経営プランでは、震災対策を大きな柱と位置づけ、水道管の耐震継ぎ手化の一層の推進や、消火栓、排水栓を活用した応急給水体制の充実など、ハード、ソフト両面から取り組みを強化することといたしました。
 また、安全でおいしい水を供給するための高度浄水施設の整備や、世界の水問題を解決するための国際貢献ビジネスを推進してまいります。
 さらに、将来にわたる安定給水のため、大規模浄水場の更新に備えた代替浄水施設を整備していくとともに、多摩地区などにおいて、給水所の新設に向けた調査を実施してまいります。
 都民一千三百万人の暮らしの安全と安心、そして、首都東京の都市活動を支えていくため、差し迫った課題への対応から将来を見据えた取り組みまで、経営プランに掲げた施策を着実に実施し、お客様に喜ばれる水道を実現してまいります。
 最後に、水道管路の耐震化についてでありますが、水道局は、さきの震災や被害想定を踏まえ、耐震継ぎ手化を一層推進する新たな十カ年事業に取り組むことといたしました。
 この事業は、被害が大きいと想定される地域や災害拠点病院、小中学校等の避難所、主要な駅などへの供給ルートを優先して耐震化するものであり、取りかえ延長約五千キロメートル、事業費は約八千億円を見込んでおります。
 これにより、耐震継ぎ手率を現在の二九%から、オリンピック・パラリンピックの開催を目指す二〇二〇年に五〇%、十年後には五四%まで向上させることとしております。
 この取り組みの結果、震災時における水道の復旧日数は、現在の三十日から、十年後には十八日まで大幅に短縮いたします。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区制度における区への支援についてでございますが、不燃化特区では、都区連携のもと、積極的な取り組みを進める区の後押しや住民の建てかえ意欲が高まるような環境づくりを集中的、多角的に行うこととしております。
 支援の考え方としては、第一に、細くて入り組んだ路地裏の土地を地域整備に活用するなど、住民みずからでは解決できない課題に着手する。
 第二に、弁護士や建築士等の専門家の助言を得ながら生活再建プランの提示を行い、不燃化に踏み出せる環境づくりを行う。
 第三に、区が新たな事業に取り組むための人材やノウハウの提供により、現場の体制を強化することといたしました。
 今後は、区に不燃化特区への取り組みを働きかけることや、取り組みを始める地区の整備プログラムへの助言を行うことにより、施策の実効性を高め、延焼による焼失がほぼゼロとなる不燃領域率七〇%を目指してまいります。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の所有者に対する支援策についてでございますが、耐震化を今後さらに加速させていくためには、これまで得られた耐震診断の結果や所有者のニーズに応じて必要な支援を的確に行っていくことが重要でございます。
 そこで、厳しい社会経済情勢の中、費用負担の軽減を求める所有者の意向など、現場の実態を踏まえ、従来の支援策に加え、耐震性能が著しく低い場合の改修工事の助成単価を割り増すとともに、低利融資について融資上限額を大幅に引き上げるなど、所有者が耐震化により一層主体的に取り組めるよう、支援策を拡充することといたしました。
 今後は、区市町村等とも連携し、こうした支援策を総合的に実施していくことで、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を強力に推進してまいります。
 次に、都市計画道路についてでございますが、都市の再生を牽引し、東京のさらなる発展を実現するためには、都市活動を支える道路ネットワークの強化が不可欠でございまして、その実現に当たりましては、さまざまな課題に対応するため、効果的、計画的に整備を進めていく必要がございます。
 そこで、都は改めて、平成二十七年度に策定予定の新たな都市計画道路の整備方針の調査検討に着手いたしました。その中で、ミッシングリンクの解消、区部と多摩地域の連携強化、首都直下地震への備え、広域的な産業交流の活性化など、さまざまな課題への対応を検討いたします。
 来年度の早い時期に、学識経験者で構成する委員会や、区部及び多摩地域のそれぞれについて地元自治体を含めた検討会を設置して、都市計画道路の整備方針について検討を進めてまいります。
 次に、木造住宅など建築物の液状化対策についてでございますが、都は、東日本大震災の発生以降、建築物液状化対策検討委員会を設置し、検討を進めてまいりました。
 委員会からは、建て主や建物所有者みずからが液状化による建物被害に備えるため、都は、情報提供や相談体制の整備などを行うべきであると報告されております。
 これを踏まえ、来月、地盤調査の方法や対策工法等を解説した手引を作成し、広く情報提供してまいります。
 また、来年度早々には、都や区市等の窓口におきまして、地盤調査データや過去の地形図を閲覧できるようにするとともに、都民からの相談に適切に対応していくため、アドバイザー制度を創設いたします。
 こうした取り組みを区市等とも連携を図りながら進めることにより、建築物の液状化対策を推進してまいります。
 次に、駐車場条例に基づく附置義務についてでございますが、都はこれまで、建築物から発生する駐車需要に対応して駐車場の附置を義務づけ、路上における荷さばきや駐車の解消を通じて、道路交通の円滑化を図ってまいりました。
 近年、公共交通が充実した駅周辺の地域などにおいて駐車場の利用率が低い事例もあることから、昨年十一月、建物所有者等へのヒアリングを含め、改めて利用状況を調査いたしました。
 その結果、区部の共同住宅や大規模な事務所では、最大利用台数の平均が附置義務基準を下回るなどの傾向が見られました。
 今後、この調査結果を踏まえるとともに、都民や不動産関係団体などの意見も聞きながら、駐車需要の実態に即して附置義務基準の見直しを検討してまいります。
 最後に、ケアつき住まいについてでございますが、高齢者が可能な限り自立して暮らしていくことのできる機能やサービスを備えた住まいへの需要がますます高まっていることを踏まえ、今回、その整備目標を六千戸から一万戸に引き上げ、来年度から補助制度を拡充いたします。
 具体的には、国、都及び区市町村の三者の補助事業について、都の補助率をふやすとともに、区市町村の負担がない場合でも都費を充当して事業を行うことができるよう、制度を充実いたします。
 また、医療、介護サービスの事業所と連携する場合は、現行の国の直接補助に、区市町村の同意を得た上で、都が国と同額を加算するよう制度の拡充を図ることといたしました。
 事業を進めるに当たっては、地元の区市町村と十分連携し、ケアつき住まいの供給促進に取り組んでまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京港海岸保全施設の整備計画についてでございますが、新たな計画では、東京都防災会議が想定した最大級の地震が発生した場合においても、津波による浸水を防ぐよう防潮堤等の耐震対策を実施するとともに、水門、排水機場の電気、機械設備が浸水しないよう耐水対策を実施してまいります。
 具体的には、防潮堤及び内部護岸約四十三キロメートルについて、水辺環境にも配慮しながら耐震対策を行ってまいります。また、水門及び排水機場十六施設の耐震、耐水対策なども行ってまいります。
 さらに、高潮対策センターの二拠点化を進めるとともに、陸こうの削減等により、安全性の向上にも取り組んでまいります。
 概算総事業費は、計画十年間で約千五百億円を見込んでおります。
 今後、最大級の地震や台風に備え、水害から都民の生命、財産、首都東京の中枢機能を守るため、本整備計画に基づき、早急に事業を推進し、防災力を強化してまいります。
 次に、青海地区北側の開発についてでございますが、臨海副都心のMICE、国際観光機能の充実に当たっては、都心に残された貴重な開発用地である青海地区北側の十四ヘクタールの土地をいかに有効に活用して開発するかが重要でございます。
 開発に当たっては、会議場や展示場などのMICE機能と集客力のある国際観光機能の双方を充実させ、その相乗効果を最大限に発揮できる複合的なMICE拠点の実現を目指してまいります。
 そのためには、従来のような区画ごとの募集だけではなく、民間の創意工夫をより一層生かせるよう、まとまった区画を一体的に開発する進出事業者の誘致も検討するなど、より効果的な開発に努めてまいります。
   〔下水道局長小川健一君登壇〕

〇下水道局長(小川健一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道管の再構築の取り組みについてでございますが、高度成長期に集中整備した管の老朽化が進んでおります。
 このため、アセットマネジメント手法を本格的に導入し、予防保全型の維持管理により、法定耐用年数より三十年延命化して、経済的な耐用年数八十年程度で再構築するとともに、中長期的な事業の平準化を図りつつ、計画的に再構築を進めてまいります。
 また、道路を掘らずに下水を流したままで、管の内側から補強する更生工法をこれまで以上に活用してまいります。
 これらにより、これまでと同程度の事業費で整備ペースを約二倍にアップし、整備年代の古い都心部について、平成四十一年度までの再構築の完了を目指してまいります。
 次に、下水道管の耐震化の取り組みについてでございます。
 震災時においてもトイレ機能を確保するため、避難所や災害拠点病院などから優先的に下水道管の耐震化を実施しており、対象とする約二千五百カ所を、計画を前倒しし来年度完了いたします。
 今後は、東日本大震災の状況を踏まえ、対策を拡大してまいります。
 具体的には、帰宅困難者が滞留するターミナル駅や、災害復旧の拠点となる国や都の庁舎など約一千カ所へと対象を拡大し、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック前の平成三十一年度までの完了を目指します。
 このうち、ターミナル駅約四十カ所については、平成二十五年度からの三カ年で実施してまいります。
 また、発災時に多くの人がビル内等にとどまる地区内残留地区においても、優先度を定めて対策を実施してまいります。
 次に、水再生センター等の耐震、耐水化についてございますが、耐震化については、想定される最大級の地震動に対し、水をくみ上げる揚水、簡易処理及び消毒など、震災時においても必ず確保すべき機能について、九十八カ所を対象に、平成三十一年度までに対策を完了してまいります。
 耐水化につきましては、電気設備などの浸水を防ぐため、建物の出入り口など開口部の水密化について、最大津波高さより地盤が低い三十四カ所を対象に、平成二十八年度末までに対策を完了してまいります。
 また、津波の下水道管内への逆流を防ぐ高潮防潮扉の操作については、下水道管内に敷設している光ファイバー通信網を活用するなど、遠方制御による自動化を図り、閉鎖の迅速性、安全性を確保することとし、平成二十八年度末までに対策を完了してまいります。
 今後とも、下水道施設の震災対策の強化や再構築のスピードアップにより、安全・安心な東京の実現に貢献してまいります。
   〔交通局長中村靖君登壇〕

〇交通局長(中村靖君) 都営地下鉄の安全対策についてでございますが、耐震対策につきましては、これまでに阪神・淡路大震災を受けて国が定めた基準に基づく対策は、すべて完了しております。
 さらに、東日本大震災での教訓を踏まえまして、運行の早期再開の観点から国の方針に先駆けて、一歩進んだ対策に取り組むことといたしました。
 具体的には、高架部の橋脚や地下鉄の中柱など約三千八百本について、東京都地域防災計画で想定した大地震が発生しても、大きな損傷を受けることなく機能を保持できるよう補強工事を実施いたします。
 次に、トンネルの老朽化対策につきましては、法令に基づく目視や打音による定期検査に加え、独自に頻度を高めた点検や補修などを行っております。
 一方、開業から相当期間が経過したトンネルもあることから、予防保全型の管理手法を導入し、長寿命化を計画的に進めることが重要であると考え、浅草線に続き来年度から三田線においても、剥落及び漏水対策などの大規模修繕工事を開始いたします。
 これらの対策を、新たに策定した経営計画に基づき着実に実施し、より安全・安心な地下鉄を目指してまいります。
   〔中央卸売市場長塚本直之君登壇〕

〇中央卸売市場長(塚本直之君) 豊洲新市場の整備についてでございますが、築地市場は、ご指摘のとおり施設の老朽化が著しいため、市場の機能維持については、施設点検の箇所や回数を増加させてふぐあい箇所の早期発見に努めるとともに、必要な保全対策を行うことにより、新市場に移転するまでの間、支障なく市場が運営できるよう全力を尽くしてまいります。
 豊洲新市場は、土壌汚染対策工事に万全を期すために延伸しました時間を有効に活用して、温度管理が可能な閉鎖型施設や十分な駐車、荷さばきスペースなど、ハード面の整備とあわせて高度な衛生管理の実現や場内物流の効率化など、ソフト面の検討も進めてまいります。
 また、円滑な移転を実現するため、業界と連携して財務、業務の側面から移転準備を促進する指導助言を行うなど、支援の一層の充実を図ってまいります。
 生鮮食料品の安定供給という卸売市場としての機能を十分に発揮するとともに、都民や市場関係者の期待に十分こたえ得る競争力を備えた首都圏の基幹市場として、また、国際的にも通用する市場として、豊洲新市場を着実に整備してまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
 まず、スマートエネルギー都市の実現についてでございますが、これからの都市づくりに当たりましては、あらゆる主体においてエネルギー使用の見える化を図り、需給の最適な制御を行うエネルギーマネジメントの推進が必要でございます。
 家庭の電力需要の管理を行うHEMSを中核に、燃料電池等を活用するスマートハウスの導入も始まっております。
 こうしたスマートハウスは、二〇二〇年に現在の約二・五倍の三兆六千億円を超える市場拡大が見込まれるなど、新たな技術開発の進展や大きなビジネスチャンスを生み出す成長産業としても期待が高いものでございます。
 都は、初期費用の軽減を図るため、燃料電池等の設備導入への補助制度を創設し、家庭におけるエネルギー利用の効率化と市場活性化の双方を後押ししてまいります。
 一方、オフィスビルにおきましては、震災後、特に高度の省エネ、節電機能や自前の発電機能を備えた高機能ビルへの需要が高まるなど、その選択基準が大きく変わってきております。
 都は、この機をとらえまして、環境性能の高いコージェネレーション設備や中小テナントビルへのエネルギー管理システム、BEMSの導入を支援する制度を創設し、普及を図ってまいります。
 このように、家庭、オフィスの双方で新たな施策を展開し、東京におけるエネルギー利用の効率化、最適化を促進し、低炭素で快適性、防災力を同時に備えたスマートエネルギー都市を実現してまいります。
 次に、大規模事業所に対する総量削減義務制度についてでございますが、平成二十二年度から開始しました第一計画期間の削減義務率は、六%または八%となっておりますが、大規模事業所におきましては、義務履行に向けた対策の推進により、円滑に震災後の節電に取り組めたこともありまして、昨年度の削減実績は、平均二三%となっております。
 また、こうした大規模事業所の取り組みはその後も定着してきておりまして、九割以上の対象事業所で、第一計画期間の義務達成の見込みが立っております。
 平成二十七年度から始まる第二計画期間の義務率につきましては、対象事業者が長期的な投資計画を立てやすくするため、制度の創設当初に、見込みとして一七%と公表しております。
 事業者からは、第二計画期間まで二年余りとなり、その準備のため、早期に義務率等を確定してほしいという声もいただいているため、専門家の意見も聞きながら、今年度末に向けて検討してまいります。
 また、第二計画期間の義務履行に向けては、大規模な省エネ改修が必要な場合もあり、中小企業の所有する大規模事業所には厳しい状況もございます。
 こうした中小企業に加え、ご指摘の点につきましても、必要な配慮を早急に検討してまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、金融円滑化法の終了に伴う支援策についてでございます。
 都の調査による推計では、借り入れ条件を変更中の中小企業の数は約三万社であり、このうち約一万に上る会社が経営改善計画を未策定と考えられます。こうした企業が早期に計画を策定し、経営改善を図ることが重要でございます。
 そこで都は、緊急対応として、まず、この二月から、経営改善計画の策定とその実施をサポートいたします特別相談窓口の開設や、経営の専門家を派遣する事業を拡充いたしました。
 また、この三月には、制度融資の新メニューでございます特別借りかえ融資の取り扱いを開始いたします。本制度により、複数の保証つき融資を一本化し、返済期間を延長することで、借り入れ企業の月々の返済負担の軽減を図ります。小規模の企業には、保証料の二分の一を補助する措置も講じます。
 新年度には、円滑化法終了に対応した専門家の派遣を新たに六百回分設けるとともに、そのうち資金繰りが逼迫した企業には無料の派遣も実施いたします。
 さらに、事業の抜本的な再生が必要な企業に対しましては、事業承継・再生支援強化事業により、一定期間の継続的な相談を行うなど、サポートの充実を図ってまいります。
 制度融資においても、昨年十月に新設いたしました経営力強化融資について、小規模の企業への保証料補助を開始して支援を充実いたします。
 こうした経営と金融の両面からの総合的な取り組みにより、直面する課題の克服を目指す都内中小企業の支援に万全を期してまいります。
 次に、中小企業の経営力強化についてでございます。
 中小企業の抱えるさまざまな経営課題の解決のため、新年度から、都を中心といたしまして、商工会議所や商工会に加え、中小企業団体中央会などの支援機関が協力し、新・経営力向上TOKYOプロジェクトを立ち上げ、経営診断などの支援を実施いたします。
 また、中小企業の展示会出展などをサポートいたします、目指せ中小企業経営力強化事業では、昨年十二月に、過去に助成を受けた企業も二回目の利用ができる仕組みといたしましたが、新年度は助成件数を大幅にふやし、販路開拓の支援の充実を図ってまいります。
 さらに、承継税制を含む税制改正や国の経済対策の動きについても十分に把握した上で、経営相談を的確に実施してまいります。
 こうした施策を効果的に展開し、中小企業の経営力強化を着実に進めてまいります。
 次に、成長分野での産業支援についてでございます。
 東京の産業が将来にわたる発展を実現するため、中小企業や新規の創業者が、高い成長の見込める分野で新たなビジネスや製品を数多く生み出すことが重要でございます。
 このため、都は、創業支援を行う施設同士の連携等を強化いたしますインキュベーションHUB推進プロジェクトを開始し、創業のサポートの充実を図ってまいります。
 また、連携イノベーション促進プログラムにより、中小企業が大学や研究機関の研究成果を活用し、都市課題の解決に役立つ製品を開発する取り組みに対しまして、重点的な支援を行ってまいります。
 さらに、金融機関独自のノウハウを活用し、成長分野での中小企業の資金ニーズにも対応する制度融資の新たなメニューを設けるなど、中小企業の積極的な事業展開を資金面からも支援いたします。
 こうした総合的な取り組みを通じて、成長分野の産業振興を積極的に展開してまいります。
 次に、中小企業の海外展開支援についてでございます。
 これまで都は、中小企業の海外取引をサポートするため、総合的な情報提供を初め、知的財産の保護や販路の開拓に加え、海外規格に適合する製品開発など、さまざまな面から支援を行ってまいりました。
 新年度は、アジア新興国での知的財産をめぐるトラブル等に対処するため、実用新案権の取得経費を助成の対象に加えるなど、支援の充実を図ってまいります。
 また、中小企業の製品が海外の基準や規格を満たすための製品改良や認証取得などの経費への助成を開始し、負担の軽減を図ります。
 さらに、各国の貿易実務や技術動向に詳しい専門人材を確保いたしまして、相談体制の充実を図るなど、販路開拓の支援の強化を行います。
 こうした取り組みを総合的に展開し、海外市場を目指す中小企業を強力に支援してまいります。
 次に、商店街の振興についてでございます。
 商店街は、地域の買い物客に日常生活で必要な商品などを提供する商業活動の拠点であるとともに、住民が安心して日々の暮らしを送るための地域コミュニティの核として重要な役割を果たしています。
 このため、都は、地域ににぎわいを創出するイベントや、都の重要課題の解決に役立つ取り組みの支援に向け、新・元気を出せ商店街事業を初め、さまざまな商店街振興施策の充実を図ってまいりました。
 新年度は、節電やCO2の排出抑制に向け、街路灯にLEDランプを導入する取り組みや、行政区域を超え、商店街が協力して行う事業などの支援を充実してまいります。
 今後とも、商店街の意欲あふれる多様な取り組みを的確に支援してまいります。
 次に、中小企業の人材確保についてでございます。
 労働力の減少が見込まれる中、効果的な雇用就業施策を実施することは、産業振興を図る上からも極めて重要な課題でございます。
 このため、都は、これまでも東京しごとセンターでのきめ細かい就業支援を初め、女性の再就職のサポートや仕事と家庭の両立支援、産業の動向に即した職業訓練の実施など、さまざまな施策を展開してまいりました。
 今回の答申も踏まえ、来年度から、若者を対象に研修と企業での派遣就労を組み合わせたこれまでの就業支援施策を再構築いたしまして、その実施規模を拡大するとともに、新たに民間情報サイトを活用したマッチング事業を展開いたします。
 また、雇用環境の整備に自主的に取り組む中小企業に対し、業界団体等を通じた助成事業を新たに開始するほか、国の補助制度では対象とならない企業内訓練について、都独自の助成制度を創設することといたします。
 こうした取り組みを通じ、中小企業の人材確保を強力に支援し、東京の活力の維持と向上を実現してまいります。
 最後に、今後の農業振興についてでございます。
 ご指摘のとおり、農業の産業としての力を高め、農地の保全を図ることは、今後、東京の農業を振興していく上で重要なポイントであり、都としても積極的な施策展開を図ってまいります。
 このため、新年度から、農業経営をソフト面でサポートいたします東京農業の産業力強化支援事業を開始し、収益性の向上や農業経営の多角化等に取り組む農業者のニーズに対応して、経営や流通に加えまして、食品加工等の専門家を派遣するなどの支援により、東京農業の産業力を強化してまいります。
 また、農業者と地域住民等による農地の保全をサポートいたします農業・農地を活かしたまちづくり事業について、より小規模なエリアでも事業の実施が可能となる仕組みといたします。これにより、農道や農業用水を活用した散策路を整備するなど、農地の多面的機能を一層発揮させることで、その保全を効果的に実現してまいります。
 さらに、多摩や島しょ地域において、遊休農地の再生を図るなど、その利活用の促進を図る取り組みも充実いたします。
 今後、こうした取り組みを総合的に展開することで、東京農業が持つ潜在力を最大限に引き出し、着実な振興を図ってまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害医療体制の整備についてでありますが、今回の保健医療計画の改定では、災害医療体制の充実を重点課題の一つに位置づけ、施策目標として災害医療コーディネーターを中心とする情報連絡体制の強化、医療機関ごとの役割分担の明確化と受け入れ体制の確保、東京DMATの体制強化などを盛り込んだところでございます。
 改定計画に基づき、まず、来年度は重症者の医療を担う災害拠点病院を五カ所追加して七十五施設に拡充するほか、中等症者を受け入れる災害拠点連携病院を新たに指定し、負傷者の受け入れ体制の充実を図ってまいります。
 また、産科や透析等の専門医療を提供する診療所に対し、自家発電装置の整備を都独自に支援してまいります。
 今後、こうした取り組みを一層進め、区市町村や関係機関とも連携しながら災害医療体制の強化を図ってまいります。
 次に、保健医療計画における精神疾患への取り組みについてでありますが、精神疾患は発症や病状の変化に気づきにくく、対人関係など生活面の障害と疾病が共存する特性がございます。
 そのため、患者を地域で支える社会を実現していくためには、一般診療科と精神科の連携、地域の関係機関の連携、医療と保健福祉の連携の三つの連携が重要であります。
 こうした考え方のもとに、今回の保健医療計画では、日常診療体制の構築、精神科救急医療提供体制の安定的な確保、地域生活支援の取り組みの推進を三つの柱に位置づけ、精神疾患の医療体制を整備することといたしました。
 今後、かかりつけ医と精神科医による合同症例検討会の開催、精神科医療機関と救急医療機関との連携の強化、関係機関が連携した地域移行、地域定着への支援などに取り組み、地域での体制づくりを進めてまいります。
 次に、東京都がん対策推進計画の改定についてでありますが、今回の計画改定では、これまでの施策の成果や、がんを取り巻く状況の変化、都の特性等を十分踏まえながら、予防、早期発見、健康教育の推進、高度ながん医療の総合的な展開、患者、家族の不安の軽減、がん登録と研究の推進を施策の柱に据えたところでございます。
 具体的な取り組みでは、地域の中で安心して緩和ケアを受けられる体制の整備、小児がん診療連携ネットワークによる高度な医療の提供、がんポータルサイトによる総合的な情報の発信、就労を含めた相談支援体制の強化など、新たな施策を盛り込んでおります。
 今後、がんになっても自分らしく生活できる社会の構築に向け、都民や関係機関等と一体となって実効性ある施策を展開し、東京都のがん対策を一層推進してまいります。
 次に、高齢者の見守り活動の充実についてでありますが、お話のように、現在、区市町村は民生委員や町会、自治会、NPO法人、ライフライン事業者等と連携しながら、さまざまな高齢者の見守り活動を行っております。
 都は、こうした取り組みを包括補助により支援するとともに、シルバー交番設置事業により地域の高齢者を見守る拠点の充実を図ってまいりました。また、今年度は、見守りの関係者会議を開催し、現在、具体的かつ効果的な見守り手法を盛り込んだ見守りの手引を取りまとめているところでございます。
 来年度は、地域の住民が高齢者を日常的に見守る、見守りサポーターの養成についても新たに区市町村を支援することとしており、見守りの手引も活用しながら、区市町村と連携し、地域資源を活用した高齢者の見守り体制の一層の充実を図ってまいります。
 次に、保育サービスの拡充についてでありますが、都は、保育の実施主体である区市町村が認可保育所や認証保育所、認定こども園、家庭的保育など、さまざまな保育サービスの整備を進められるよう、安心こども基金の活用に加え、区市町村や施設整備を行う事業者の負担を軽減する都独自の支援策を実施しているところでございます。
 来年度は、こうした取り組みを進めるとともに、区市町村が地域の特性を踏まえ保育サービスをさらに拡充できるよう、空き家や空き店舗など既存の資源を活用した小規模保育に対しても新たに補助を行ってまいります。
 また、区市町村が実施する障害児保育や食育などの専門性の向上を図る研修に加え、保育施設が人材定着のため独自に行う研修を新たに支援するなど、保育人材の確保、育成に向けた取り組みを充実してまいります。
 最後に、施設入所者の地域生活への移行についてでありますが、お話のとおり、都はこれまで、グループホームなど障害者の地域生活基盤の整備を進めるとともに、地域生活に移行した障害者に対してグループホーム等が行う相談援助等について、包括補助により支援してまいりました。
 また、本人や家族、区市町村、施設職員を対象にした地域移行の取り組み事例を紹介するセミナーを実施し、現在、支援者向けマニュアルを作成しているところでございます。
 こうした取り組みに加え、来年度は、都独自に地域移行促進コーディネーターを入所施設十カ所に配置いたします。
 コーディネーターは、入所者の状況や希望を踏まえ、移行経験を聞く場やグループホーム等での生活を体験する機会を提供するとともに、区市町村や相談支援事業者と連携して地域生活に必要なサービスにつなげる等、支援体制づくりを進めることとしております。
 今後も、施設入所者が安心して地域移行できるよう、本人や家族への支援を充実してまいります。
   〔病院経営本部長塚田祐次君登壇〕

〇病院経営本部長(塚田祐次君) 都立病院の次期計画の基本的な考え方についてでありますが、これまで都立病院は、都民の安全・安心を支える質の高い患者中心の医療を実現するため、大規模な再編整備等による医療機能の強化を図り、都における良質な医療サービスの確保に取り組んでまいりました。
 次期計画では、これまでの改革の成果を最大限活用し、医療の質と患者サービスの向上、都立病院を支える人材の確保と資質の向上、迅速で的確な危機管理体制の強化及び経営力の強化を四つの柱として、これまで以上に質の向上を図ります。
 具体的には、医療環境の変化に対応した東京ERの機能強化、周産期、小児医療の充実強化などに加え、各都立病院において患者支援体制の充実を図り、区市町村や在宅医療機関である地域の医療機関等との協働を推進するなど、都民の医療ニーズに的確に対応してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都スポーツ推進計画についてでございます。
 お話のとおり、ことしは一月の冬季国体から重要なスポーツ関連イベントが続くスポーツイヤーでございまして、東京のスポーツをさらに推進する好機でございます。
 このため、都では、東京都スポーツ推進計画を策定し、世界トップレベルのスポーツ実施率七〇%という、さらに高い目標を設定してさまざまな施策を推進してまいります。
 主な取り組みとしては、ソーシャルネットワーキングサービスの積極的な活用を初めとしたスポーツ関連情報の発信強化などを通じて、気軽に多様なスポーツが楽しめる環境づくりを進めます。
 また、高齢者のスポーツ活動への支援や障害者スポーツの場の開拓を進めるほか、ジュニア層に対しては多様な競技の体験を通じて新たな才能を発掘し、短期間でトップクラスに育てるトップアスリート発掘・育成事業を拡充するなど、幅広い競技で競技力を向上してまいります。
 さらに、日本の首都として、スポーツを通じて被災地の復興を牽引し、我が国の復興の過程や復興後の姿を世界に発信してまいります。
 このような取り組みを通じて、スポーツの力により、東京だけでなく日本全体の活性化に寄与してまいります。
 次に、スポーツ祭東京二〇一三についてでございます。
 この大会は、国内最大のスポーツの祭典として、都内六十二すべての区市町村で競技を実施いたします。トップアスリートが活躍する姿や、障害のある人がスポーツに打ち込む姿を身近な地域で多くの都民に観戦していただき、スポーツのすばらしさや楽しさを実感できるような大会といたします。
 さらに、都民が競技に参加できるデモンストレーションとしてのスポーツ行事を五十七行事、全国障害者スポーツ大会のオープン競技を十七競技と過去最大規模で実施することにより、さまざまなスポーツに親しみ、スポーツのすそ野を広げる契機としてまいります。
 また、全国から訪れる選手、監督、観客の皆様を地域を挙げて温かくお迎えし、多摩・島しょを初めとする東京の多様な魅力を全国に発信してまいります。
 スポーツ祭東京二〇一三の成功に向け、区市町村とも連携し、開催準備に万全を期してまいります。
 最後に、オリンピック・パラリンピック招致についてでございます。
 都議会のご協力を得て、全国の招致決議や百五十万もの署名が集まるなど、招致機運は高まってきておりまして、ことし一月には支持率は七三%になっております。しかし、油断することなく、招致獲得までさらに国内の支持拡大に全力で取り組んでまいります。
 同時に、本年一月の立候補ファイル提出後、国際招致活動が解禁となりました。立候補ファイルには、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるコンパクトな会場配置、世界有数のインフラ、洗練された都市としての魅力など、東京の強みを数多く盛り込んでおります。
 来月初めのIOC評価委員会訪問では、プレゼンテーションや質疑応答等により、こうした東京の開催計画の優位性と運営能力の高さに関する理解を得ていくとともに、シティードレッシングなどによりまして歓迎ムードを創出することで、おもてなしの心を最大限アピールしてまいります。
 その後も、都や招致委員会はもとより、JOCを初めとしたスポーツ界や国、経済界、国家の総力を挙げて、さまざまな国際会議など、あらゆる機会をとらえて東京、日本の強みをアピールし、九月のIOC総会での招致獲得を目指します。

〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後六時八分休憩

   午後六時二十五分開議

〇副議長(ともとし春久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百八番中嶋義雄君
   〔百八番中嶋義雄君登壇〕

〇百八番(中嶋義雄君) 都議会公明党を代表して質問をいたします。
 都政の課題は実に幅広いものがありますが、本年は、特に被災地の復旧、復興支援の継続、東京の震災対策の再構築、強化、そして何といっても景気の回復、デフレ脱却が我々の最大の関心事であります。
 被災地の支援に関しては、瓦れきの処理、職員の派遣、被災地応援ツアーなど、引き続き現地の要望に沿った取り組みを継続すべきでありますし、翻って、都内の震災対策の強化、再構築に関しては、地震の二次災害、火災対策が極めて重要であります。
 東日本大震災では、津波で甚大な被害を出しましたが、首都直下型では火災が最大の脅威であります。したがって、とりわけ火災に弱い木造住宅密集地域への取り組みを、ありとあらゆる方策を総動員して強化すべきであります。これについては、後ほど具体的に質問したいと思います。
 一方、景気対策は、第一義的に国の課題ではありますが、考えてみれば、総額十二兆円超の予算を動かす東京都の財政が、一国経済に影響を与えないわけはありません。
 従来、自治体の経営と国の経済成長を関連づける考えは、余りなじみがありませんでした。しかし、もしも本気で東京から国を変えるというのであれば、改めて首都東京の財政運営、自治体経営が、いかに国の経済を動かすのかに意を払うべきであります。
 昨年末の政権交代で、一夜にして世の中の雰囲気が変わりました。政治の持つ役割について、改めて感慨深いものがあります。しかし、より重要なのは、この明るい雰囲気を雰囲気にとどめることなく、実体のある展望へと転化させることであります。
 そのために、東京はいかなる役割を果たせるのか。産業労働局を初めとした各局が取り組んでいる個々の政策も重要でありますが、東京都総体として、あるいは、十二兆円超の規模を持つ東京都の財政が、総体として国の経済成長にいかに影響を与え得るのか、新たな視点で考える必要があると思います。まず最初に、知事の所見を伺いたいと思います。
 具体的な課題の最初に、木造住宅密集地域対策について質問をいたします。
 区部を中心に、都内各地に広がる木造住宅の密集地域対策、いわゆる木密対策は、最重要の課題の一つでありながら、その進捗ははかばかしくありません。かつて抵抗の多い再開発型から修復型のまちづくりに転換したものの、その歩みは依然として遅々としております。今や大胆な発想の転換が必要であります。
 その意味で注目すべきは、特例容積率移転適用地区制度であります。この制度を利用して、大手町・丸の内・有楽町地区では、東京駅上部の容積を同一地区内で他の敷地に移転して、地区内の高度利用を図ることにより、都市再生を現に進めております。
 都議会公明党は、昨年の第一回定例会においても、木密地域の建てかえのために、この容積移転制度を活用した大胆な取り組みを強く求めております。
 幅員四メートルに満たない狭隘な街路に囲まれ、現状としては、他の地域に移転できるほどの容積の余剰に恵まれない木密地域であっても、延焼遮断帯となる道路やオープンスペースの整備が進めば、間違いなく活用可能な容積率が増大いたします。
 しかし、たとえ整備が進み、耐震不燃化が実現した後であっても、低層な住宅街の維持を望む住民の方々も数多く存在をします。
 そこで、もし仮に、拡大された容積率を将来的にも使用しないとの住民合意が成立する地域があり、その一方で、余剰となった容積の受け入れを望む地域が存在するのであれば、論理的には容積率の移転は可能であります。さらに、活用可能な容積率がふえた地域では、民間資本の導入による開発も選択肢の一つとして浮上してまいります。
 つまり、先ほど述べた大手町・丸の内・有楽町地区と同様の取り組みが、工夫によっては、木密対策として展開できることになります。従来の行政の発想からは、荒唐無稽に映るかもしれません。しかし、民間には、行政の想像力を凌駕したまちづくりのノウハウが蓄積されております。
 そこで、木密地域においては、まず、適正な配置と規模を持った公共施設や道路、オープンスペースを整備して、加えて、大胆な都市計画の工夫と緩和を行い、地域内の容積の移転を可能として、木密地域対策に民間資本の参入を促していくべきであると考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。
 この特例容積率移転適用地区制度は、隣接しない街区間でも容積率の移転を可能とするものであり、木密対策だけでなく、新たなまちづくりや再開発の選択肢を広げます。世界における都市間競争に打ち勝つためにも活用すべき制度であります。
 都市計画の新たな展開に向けて、都が積極的に条件整備に努めていただきたいと強く要望をしておきます。
 また、木密対策が進みにくい要因の一つに、住民合意の形成の困難さがあります。
 都は先ごろ、我が党の要請にこたえて、木密地域不燃化十年プロジェクトを推進するための不燃化特区制度を、この三月末にも創設すると公表しました。この特区制度においては、住民合意の形成に向けて、効果的な支援策が不可欠であります。
 あわせて、この特区制度においては、区の人材の不足を補うため、専門家を派遣するとしています。しかし、木密対策は中長期にわたる取り組みが必要であり、専門家を派遣するだけではなく、専門的な区職員の養成が求められており、人事交流も含めた都の支援を必要としています。
 住民合意の形成、そして区の人材育成策への支援に関する都の見解を求めたいと思います。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について質問をいたします。
 都は、平成二十三年に耐震診断を義務づける条例を制定し、平成二十七年までに耐震化を完了することを目指しました。耐震診断については、既に対象建築物五千件のうち、耐震診断の助成申請を含めて五〇%まで完了したことは評価します。
 しかし、問題は診断のみにとどまるのではなく、耐震設計、耐震改修、あるいは建てかえへとつなげていくことにあります。現状ではその成果はおよそ三百件、沿道建築物の所有者は資金的に余裕のない中小企業や相続などの課題を持つ高齢者も多く、改修、建てかえなどを阻んでおります。
 耐震診断から本格的な改修、建てかえへと事業を進めるためには、こうした個々の課題について幅広く対応していく必要があります。沿道建築物の耐震化を進捗させるための、所有者が抱える個別課題への対応について都の見解を求めます。
 また、緊急輸送道路の沿道には、細長いペンシルビルや不整形な敷地の建物が少なくありません。耐震化を進めることを契機に、質のよいストック、魅力あるまち並みを形成していくためには、こうした建物を単独で建てかえるのではなく、共同化や街区再編などを積極的に進めていくべきであります。見解を求めたいと思います。
 耐震診断の助成は平成二十五年度で終了し、補強設計の助成は平成二十六年度、改修工事の助成は平成二十七年度で終了する予定であります。本格的な改修を行うには、残された期間はあと三年しかありません。
 一方で、テナントとの調整や分譲マンションにおける区分所有者間の合意形成などにはさまざまな困難が伴い、時間がかかります。果たしてこれで間に合うのかどうか。
 先ほど述べたとおり、平成二十七年度までに耐震化を完了することが目標であります。この目標を達成するためには、本人負担の一層の軽減策とともに、合意形成などの困難な事例については、一定の配慮が必要であります。見解を求めます。
 次に、河川及び海岸施設における耐震、耐水対策について質問をいたします。
 平成二十三年第三回定例会において、都議会公明党は、耐震対策とあわせ、耐水性の一層の強化を主張いたしました。
 これを受けて、都は、最大級の地震が発生した場合においても、各施設の機能を保持し、津波等による浸水を防止するという目標を定め、昨年十二月に、整備対象箇所や目標年次を示した整備計画を策定いたしました。具体的な計画が示されたことは評価をいたします。
 先般の東日本大震災では、津波による浸水によって電気設備等の機能が失われ、多くの住民が生活に支障を来しました。その経験に照らして、河川の堤防や水門等における耐震対策はもとより、電気設備等の耐水対策を早急に進めていかなくてはなりません。整備計画に基づく今後の都の取り組みを具体的に示していただきたいと思います。
 次いで、首都の都市機能、中枢機能を守るためには、東京の沿岸部において、津波や高潮に対する防潮堤等の海岸保全施設が重要であります。
 都は、先般、海岸保全施設の新たな整備計画を策定し、津波、高潮対策を強化すると発表いたしました。そこで重要なのが優先順位であります。都市の中枢機能を守ると同時に、当該地域の住民の安全を確保するという両面が必要であります。整備計画の優先度について見解を求めたいと思います。
 次に、下水道管の耐震化及び老朽化対策について質問いたします。
 下水道局では、避難所などの機能を確保するとの観点から、その周辺箇所を優先的に下水管の耐震化や液状化対策を進めております。しかし、首都直下型地震などへの対応のためには、避難所にとどまらず、帰宅困難者への対応や災害復旧拠点となる官公署の施設などもいうまでもなく重要であります。
 したがって、下水管の耐震化、液状化対策の優先施設の拡大を図るべきでありますが、見解はいかがでありましょうか。
 また、早期に整備された下水道の老朽化が課題であります。中でも規模が大きく、大量の下水を集める下水道幹線が老朽化し、震災時に機能を失った場合、その影響ははかり知れません。
 下水道局では、老朽化した幹線の再構築を進めていますが、実は耐用年数前でも損傷が著しい幹線の存在が懸念されています。将来にわたって安定的に下水道の機能を確保するためには、これらの幹線の老朽化対策を重視し、対策を強化すべきであります。見解を求めます。
 続いて、学校における非構造部材の耐震化について質問します。
 学校施設本体については、都立学校は平成二十二年度までに一〇〇%、都内小中学校については平成二十三年度末までに九七%が耐震化されました。
 しかし、東日本大震災において、新たな問題として浮上したのが、いわゆる非構造部材の耐震化であります。天井が崩落し、あるいは窓ガラスや壁材といった非構造部材が落下して、切実な被害を出したことは記憶に新しいところであります。
 まず、都立学校での非構造部材の耐震化について、今後の具体的な対応策について明らかにしていただきたいと思います。
 また、区市町村立の公立小中学校については、昨年九月四日、都議会公明党として、知事に対して、区市町村と連携を図りながら耐震化を促進することを強く要望いたしました。これにこたえて、都は、来年度から非構造部材耐震化に対する補助制度を創設いたしました。
 そこで課題は、その運用であります。新たな補助制度の実施に当たっては、区市町村の耐震化の取り組みが具体的に促進されなくてはなりません。同様に、私立学校に対しても非構造部材の耐震化への支援が必要であります。
 公立小中学校への補助制度の効果的な運用について、また、私立学校への支援について、あわせて見解を求めたいと思います。
 続いて、東日本大震災の被災地に対する継続的な支援についてであります。
 我が党は、東日本大震災の発生以来、被災地の視察を継続的に実施してまいりました。現地の復旧、復興状況をじかに確認し、関係者から直接意見、要望等を聞くことによって、被災地や被災者のニーズに合った支援策を講じることができるからであります。
 こうした視察を通して、我が党が推進した被災地応援ツアー、東京都中央卸売市場や都内商店街等での物産販売応援フェア、さらに、復興を支援する技術系の人材派遣など広範かつ継続的な支援には、感謝の声が随所で聞かれました。
 被災地は、これから本格的な復興が始まります。被災三県に現在も継続して現地事務所を置いている都は、この三カ所の事務所を通して、引き続き現地のニーズを的確に把握し、物心両面にわたる息の長い支援を行っていくべきであります。今後の被災地支援のあり方について知事の見解を伺いたいと思います。
 次に、新銀行東京について質問いたします。
 一時、破綻の危機に陥った新銀行東京は、二〇〇八年四月に都が四百億円の追加出資を行い、経営再建を目指してきました。その結果、直近の四半期決算においても、引き続き黒字を計上し、純資産も五百十四億円を確保する状況となっております。これによって、四百億円が毀損する事態は回避することができたと考えております。
 今後の対応について、都議会公明党は、経営再建を実現した段階で業務提携、もしくは事業譲渡を行い、追加出資の保全、回収をすべきであると一貫して主張してまいりました。
 都は、経営状況の推移や将来的な経済状況を見据えた上で、新銀行東京のあり方について明確にしていく必要があると考えますが、知事の認識を伺いたいと思います。
 次に、エネルギー政策について質問をいたします。
 東日本大震災以降、国の無策によって二年余りにわたり、エネルギー政策の展望が見出せないまま、各地の老朽火力発電所がフル稼働し、膨大な国内の電力需要を支えております。
 こうした心もとない電力供給が続く中でも、首都圏の主な電力供給を担う東京電力は、福島第一原発事故にかかわる多額の賠償債務を抱えており、これら老朽発電所を更新するための資金調達がままならず、安定した電力供給体制構築に向けた道筋はいまだに見えてまいりません。
 こうした状況下で都は、首都圏を中心とした電力の安定供給と新電力事業者の起業を側面から支援するため、発電事業を投融資先とした日本初の官民連携インフラファンドを立ち上げました。
 その後、昨年秋から今年にかけて、東京湾岸の十万キロワット級の火力発電所や、熊本県芦北町のメガソーラーの建設資金等に対する投融資を相次いで実施しています。
 事業立ち上げから短期間のうちに平均的な一般家庭の使用電力、約七万三千世帯分に当たる発電量を確保し、都のスピード感ある取り組みを評価するところではありますが、その一方で、エネルギー政策は、その安全保障も含めた国の専管事項という色合いが濃いのも事実であります。
 一定の税金が投入されて行われる本事業を今後も都が進める以上、その前提として、都の将来にわたるエネルギー政策の全体像を明確に提示する必要があります。知事の見解を求めたいと思います。
 また、知事は、電力供給のあるべき姿として、地産地消であると常々発信されております。しかし、ファンド事業による発電が、東京から遠く離れた熊本県芦北町のメガソーラーであることは、地産地消と矛盾しないかとの指摘があります。
 ファンド事業の今後の展開に当たっては、政府の中長期的なエネルギー政策の議論を踏まえ、事業実施のあり方や、国、民間との役割分担などを含め、十分な検討が必要であります。
 また、ファンドによる投融資先については、少なくとも首都圏内を対象とすることが整合的であると考えられます。都の見解を求めたいと思います。
 次に、成長産業への支援について質問いたします。
 政権交代によって、国の経済の先行きに明るさが見えてきたといっても、よく指摘されているとおり、成長戦略の有無が今後の成長のかぎを握っております。
 具体的には、安全・安心や環境エネルギーなど、大都市の課題を解決するための成長分野を新たに開拓することが喫緊の課題であります。
 そこでまず、安定的な電力供給を確保し、経済成長を支えていくという観点から、省エネルギー、再生可能エネルギーの普及を成長戦略として位置づけ、これら我が国が誇る環境技術を、より一層活用することが重要であります。
 都議会公明党は、これまでHEMSを構成する燃料電池、蓄電池、ビークル・ツー・ホームなどの活用を支援し、いわゆるスマートハウスの市場拡大を推進するよう強く要請をしてまいりました。都がこれに応じ、二十五年度予算案でスマートエネルギー推進事業として、新たな補助制度の創設を打ち出したことを歓迎したいと思います。
 さらに、この補助事業による経済波及効果は九百億円を超えると見込まれており、事業の効果を一層高めるためには、戸建て住宅だけではなく、マンションなどの集合住宅にも適用できるよう工夫をする必要があると考えますが、都の見解を求めたいと思います。
 また、かつてに比べ太陽光発電をめぐる状況は大きく変化をしました。都はこうした状況に対応し、屋根貸しにより太陽光パネルを普及させるため、建物の屋根ごとにその導入ポテンシャルを定量的に地図表示するソーラー屋根台帳を来年度開発するという新たな取り組みを開始いたしました。
 さらに、これまでの補助事業により飛躍的に拡大した住宅用の太陽光発電については、設置コストの低減も踏まえて、今年度で補助事業を終了させる方針であります。しかし、その結果、太陽光発電の普及を減速させてはなりません。
 都は、従来の補助事業にかわる新たな普及スキームを構築すべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 同様に、安全・安心にかかわる分野の新技術の開発、導入を強く求めたいと思います。近い将来、東京は全国で最もひとり暮らし高齢者、あるいは高齢者のみ世帯が多くなると指摘をされています。したがって、孤独死問題への対応など、高齢者の見守りが大きな課題となっております。
 この見守りに大きな力を発揮するのがセンサー技術であります。ある企業は、大学や研究機関に蓄積された高齢者の健康に関する研究成果を活用し、遠隔地であっても、センサー技術を活用して、高齢者の健康状態をきめ細かく確認できる見守りのシステムを開発しました。また、身体の障害や機能の衰えをサポートする器具の開発などは多彩な技術を有する中小企業が大いに活躍できる分野であります。
 そこで、解決すべき課題が山積する医療や福祉、介護などにおいて、センサー技術やニーズへの対応力の高いロボット技術の開発などに都内中小企業と大学等の知見を結びつけ、開発のスピードを加速させていくシステムの構築を目指すべきであります。都の見解を求めます。
 さて、リーマンショック以降のかつてない厳しい経済情勢の中で、中小企業の資金繰りを支えてきた中小企業金融円滑化法が、この三月末をもって終了することになりました。
 都議会公明党は、この円滑化法の終了が、業況が回復せず、経営改善の進まない中小企業に大きな影響を及ぼすとの懸念から、昨年来、経営改善計画の策定支援や資金繰り支援の拡充を強く求めてまいりました。
 今回、都が新たに実施を打ち出した特別借りかえ融資は、複数ある借入金を一つにまとめて、毎月の返済負担を減らすことが可能であり、中小企業の資金繰りを支えるために、大変効果的な支援策であると評価します。
 しかし、多くの金融機関が、この三月にも金融円滑化法終了を見越した対応に出てくると予測されており、この特別借りかえ融資については、できるだけ早く取り扱いを開始すべきであります。見解を求めます。
 これまで円滑化法の適用を受け、条件変更等により辛うじて苦境をしのいできた中小企業が数多く存在しますが、経営改善に向けた取り組みが難航している企業もいまだ多数に上ります。
 小規模な会社の経営者は、身を削るような努力を続けておられるものの、経営改善の計画づくりやその実践にはふなれなことも多く、意欲と実力はありながら、経営改善が十分でないとされて、資金調達の道が閉ざされてしまう場合も少なくありません。中小企業が経営基盤の強化を着実に進めていくためには、やはり専門的な知見やノウハウを持った外部の専門家のサポートが不可欠であります。
 そこで、専門家派遣事業の大幅な拡充を図り、中小企業を強力にバックアップしていく必要があると考えますが、都の見解を求めたいと思います。
 次に、雇用対策について質問いたします。
 大学生の就職内定率は、リーマンショック後に大きく低下しましたが、昨年の十二月一日時点では、対前年比で三・一ポイント上昇し、新規学卒者の雇用環境は、やや改善傾向がうかがえます。しかし、若年層の失業率は、他の年齢層と比較して高い水準で推移しており、若年者を取り巻く雇用環境は依然として厳しい状況にあります。
 特にリーマンショック後、就職先が決まらないまま大学等を卒業し、いまだ安定した仕事につけない人が数多く存在をします。不安定雇用の期間が長期化すると、正規雇用化が困難になるおそれがあり、こうした若年者に対する就職支援は極めて重要であります。
 これまで都は、給料を肩がわりした上で、一定期間の試行的雇用の後に本採用に結びつけていく紹介予定派遣を活用した未就職卒業者緊急就職サポート事業などを卒業後間もない人たちを対象に行ってきました。
 しかし、リーマンショック以降、不本意ながら、不安定雇用に甘んじてきた世代にも十分な支援を行うためには、既存の紹介予定派遣を活用した事業を柔軟に見直し、一段と踏み込んだ就業対策を推進すべきであると考えます。都の見解を求めたいと思います。
 また、若者に対する就業支援の実施に当たっては、就職活動の変化を踏まえながら対応していくことが必要であります。近年、若年者の就職活動は大きくさま変わりし、企業への応募方法は手書き、郵送から、ウエブサイトでのエントリーに変わり、また、最近の就職活動においては、スマートフォンが必須であると聞いております。
 こうした中、就職活動における情報収集の手法も変化しており、民間の就職情報サイトの存在感も高まっております。
 一方で、都内中小企業は、若年者の採用に当たり、公的な就職支援機関に大きく依存しており、中小企業の情報が十分に届いていないことが懸念をされております。さらに、求人情報がはんらんする中で、どの企業にターゲットを絞って就職活動をしたらよいのか、よくわからない若年者も少なくないのが現状であります。
 若年者就業対策の実効性を高めるためには、こうした実態に十分目を向けながら、民間のノウハウも活用して、就職支援事業の多角化など、対策の充実を図っていくべきであると考えますが、都の見解を求めたいと思います。
 次に、がん対策について質問いたします。
 都は、平成二十年にがん対策推進計画を策定し、がんの予防、検診、治療から緩和ケア、がん登録に至るまで一貫した流れを構築し、総合的ながん対策を進めてまいりました。
 そして、平成二十五年度から五年間の次期がん対策推進計画に我が党が主張してきたがん教育、あるいは小児がん対策などを盛り込みました。
 そこでまず、がんを予防するための健康教育について質問をいたします。
 がんは、都民の病気による死亡原因の第一位であります。今後はさらに高齢化が進み、ますますがんにかかる人がふえることが見込まれ、がん予防はまさに都民共通の重要課題であります。
 区市町村においては、小学校でがん教育を実施したり、がん検診の個別受診勧奨の際には、年齢や関心度に応じた情報提供に努め、また、地元企業などと連携して、がん予防に関するシンポジウムを開催するなど、さまざまな工夫を凝らしております。
 今後は、こうした取り組みをさらに拡充させ、すべての都民ががんを予防するための健康的な生活習慣やがん検診について正しい知識を身につけることができるよう、がん予防のための教育に積極的に取り組むべきであります。都の見解を求めます。
 次に、小児がん対策について質問をします。
 全国で年間約二千人が新たに小児がんに罹患し、現在一万六千人近くの子どもたちが小児がんと闘っております。
 また、小児がんの種類は多岐にわたり、それぞれ治療方法が異なっている上に、専門分野が医療機関ごとに分かれているため、最適な医療が迅速に提供されているかどうか不安があります。
 一方、小児がんは、患者の約七割が治癒しますが、発育、発達障害や臓器障害などの合併症を発症するケースがあり、その合併症に対する治療、または、それに伴う精神的な不安などの問題があります。
 そのため、成長、発育に伴って、長期にわたるさまざまな支援が必要であり、都議会公明党は、平成二十一年第三回定例会代表質問でもこの問題を取り上げ、その後もこうした小児がん対策について繰り返し主張、提案を行ってまいりました。
 過日、厚生労働省は、小児がん拠点病院の指定を行いましたが、小児がん患者とその家族が抱える問題に適切に対応していくためには、豊富な医療資源とそれに関連する環境が整っている都の特性を生かし、東京ならではの効果的で総合的な小児がん対策を進めていく必要があります。都の見解を求めたいと思います。
 また、小児がん拠点病院として指定された全国の十五病院の中に、都立小児総合医療センターが選ばれました。小児がん拠点病院は、再発がんや完治が難しいがんにも対応する病院であります。
 そこで、小児総合医療センターにおいて、さまざまな課題に対応可能な質の高い医療提供体制を整備すべきであります。見解を求めたいと思います。
 次に、がん患者の就労支援体制について質問をいたします。
 がんは、生涯のうちにおよそ二人に一人がかかる可能性があると推定されております。一方、がん医療の進歩とともに、がん患者、また、がん経験者の中には、治癒後はもとより、治療中にも働く意欲を持つ人が少なくありません。
 しかし、仕事と治療との両立が難しく、仕事をやめざるを得なくなった方も多く、また仕事をやめ、社会とのつながりを失ったことに不安を抱く人も多いのが現状であります。
 実際にがんになったことより、解雇を含め退職を余儀なくされたことに、より以上ショックを受けたとの話を伺うこともたびたびございます。
 こうしたことから、都は、就労可能な働く世代のがん患者が治療を受けながら仕事を継続できるよう対策を講じていく必要があると考えますが、都の見解はいかがでありましょうか。
 次に、救急医療体制について質問をいたします。
 平成十七年をピークに減少傾向にあった救急搬送患者数は、平成二十二年から再び急増し、特に高齢者の搬送患者の増加が顕著な状況であります。
 その一方で、患者を受け入れる医療機関は、平成十年の四百十一施設から平成二十三年には三百二十八施設と二〇%以上減少しております。
 限られた医療資源の中で、個々の医療機関の使命感や努力のみでは限界があることを踏まえて、救急医療全体の底上げを図っていかなければなりません。
 都議会公明党はこれまで、救急医療体制の充実強化に積極的に取り組んでまいりました。昨年の予算特別委員会では、都が独自に行っている救急医療機関への補助については、救急受け入れ件数に応じた補助制度とし、受け入れ体制の強化を促す必要があると提案しました。
 これに対し、福祉保健局長は、救急医療対策協議会に諮問するとの答弁を行いました。この質疑から一年がたちますが、平成二十四年の救急搬送件数は前年を上回る状況にあると聞いております。
 今後の急速な高齢化の進展など、将来を見据えて救急医療体制の見直しを早急に進めていくべきと考えますが、現在の救急医療対策協議会における検討状況を含め、都の今後の取り組みに関する見解を求めたいと思います。
 次に、高齢者の住まいについて質問をいたします。
 都内における高齢者人口の急増が見込まれる中で、住まいの確保は最重要の高齢者施策であります。
 都議会公明党はこれまで、高齢者が適切な負担で入居でき、安否確認や生活相談などが受けられるサービスつき高齢者向け住宅の必要性を繰り返し訴え、都もこれにこたえ、平成二十六年度末までに六千戸の目標を掲げて整備を進めてまいりました。
 こうした中、さきの知事選で、このサービスつき高齢者向け住宅の拡充を猪瀬知事が公約に掲げ、その結果、目標を一万戸に上方修正したことは、我が党の昨年十二月の代表質問の趣旨に沿ったものであり、評価したいと思います。
 居住の安定こそ、すべての行政サービスの基盤であるともいえます。高齢者であれ、障害者であれ、住の安心、安定は、都市生活者にとって不可欠の要件であります。
 まず、サービスつき高齢者住宅の目標達成に向け、全庁的に取り組みを開始すべきであります。関係局長の答弁を求めたいと思います。
 一方で、これらサービスつき高齢者向け住宅だけでは、急激な住宅需要には到底対応できません。
 都は、平成二十四年度に、新しい高齢者の居住安定確保プランを策定しています。これを着実に推進するとともに、都営住宅を建てかえ後の住戸と用地の活用、さらに、民間住宅市場の活性化など、政策を総動員して高齢者のついの住みかを確保すべきであります。都の見解を求めます。
 次に、障害者への支援策について質問します。
 障害者が地域社会において自立した生活を送るためには、生活の場と食事を提供するグループホームが欠かせません。現在、都内にある障害者グループホームには、約五千五百名の方が入居しております。
 こうしたグループホームで暮らす障害者のニーズはさまざまであり、例えば、結婚を機に一般住宅で自立した生活を送りたいと希望する知的障害者もおられると聞いております。
 今後は、こうした障害者のニーズにも対応できる支援策の検討が必要でありますが、多様なニーズに適合した支援策の実施について都の見解を求めます。
 また、重症心身障害児者は、都内に四千人以上いると推計され、その多くの方は在宅で生活をされています。特に医療的なケアが必要な重い障害を持っている重症心身障害児者を在宅で介護する家族は、大変なご苦労をされております。
 そこで、都は、重症心身障害児者に対して、在宅でも医療的なケアが可能な対策を進めるべきでありますが、都の今後の方針を明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、現在、都内の重症心身障害児者の入所施設は約一千百床しかありません。一方で、入所を希望する待機者は六百名以上に上っています。親の高齢化が進み、親亡き後の対策の必要性が強調されているにもかかわらず、入所施設が絶対的に不足をしております。
 都は現在、重症心身障害児者の新たな入所施設の整備計画はないとしていますが、果たしてこのままでよいのか疑問があります。
 都が直接入所施設を整備しないにしても、そうした施設整備に意欲を示す社会福祉法人等があるならば、それを積極的に支援すべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 続いて、認知症高齢者対策について質問をいたします。
 現在、全国の認知症高齢者は三百万人を超え、六十五歳以上の人口の一割を占めております。
 都内においては、支援が必要な認知症高齢者が二十三万人を超え、平成三十七年には三十八万人に達すると予想されております。
 ますますひとり暮らしの高齢者や高齢者のみ世帯がふえ続ける東京において、認知症高齢者対策は緊急かつ重要な課題であります。
 そこで最初に、認知症高齢者を地域で支える拠点として、認知症高齢者グループホームの役割を重視すべきであります。このホームでは、家庭的で落ちついた雰囲気の中、少人数による共同生活を送ることにより、認知症の進行を和らげる効果があると認められております。
 都はこれまで、認知症高齢者グループホーム緊急整備事業を実施するなど、グループホームの整備に取り組んでまいりましたが、今後も引き続き認知症高齢者の増加に対応するため、グループホームの整備をスピードアップせねばなりません。具体的な今後の対応策について都の見解を求めます。
 次に、急激にふえ続ける認知症高齢者とその家族を地域で支えるために、区市町村、地域住民、医療機関、介護事業者が連携した対応策、またはそうした問題意識を共有できる地域づくりが欠かせません。
 そのためには、地域の認知症対応力の向上や、認知症に対する地域住民の知識、理解度の深化、さらには医療、介護にわたる人材の育成等が急務であります。認知症高齢者を地域で支える体制づくりに関して都の見解を求めたいと思います。
 次に必要なのが、認知症を予防、改善するための新たな取り組みであります。
 我が国では、認知症になると自立生活が不可能との認識が一般的です。確かに認知症は放置しておけば進行し、自立生活は困難になります。しかし、最近の知見では、適切な支援策によっては生活改善が可能とされ、自立に向けた取り組みも試みられております。
 埼玉医科大学の森隆准教授の研究によると、運動と娯楽、そして社会的なコミュニケーションの維持など、三つの療法の組み合わせが認知症等の予防と改善に効果があるとされております。
 また、我が党は先日、認知症に対して症状の改善効果があるといわれている心身機能活性運動療法の現場を大田区と中野区で視察してまいりました。この療法は、運動と娯楽、そして人づき合いの三要素を組み込んでおり、脳と心と体を総合的に活性化して、認知症を改善し、健全な日常生活を取り戻すことを目標にしております。
 東京都としても、このような認知症を予防、改善する取り組みを把握して検証を行い、積極的に取り組む区市町村を支援すべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 次に、教育問題について質問いたします。
 いじめや体罰で自殺をするという事件が相次ぎ、さまざまな教育改革の議論が行われておりますが、制度の一部を変えて解決できるような問題でないことは明らかであります。子どもは大人の姿を映す鏡といわれるように、社会が抱える課題が凝縮されて教育現場にあらわれております。
 教育問題を特定の学校の問題として、個別の教員の責任を追及するだけでなく、社会全体の問題として見詰め直していかなければなりません。こうした視点に立ち、子どものために、学校、家庭、地域社会が協力し合う教育のための社会づくりを目指していくべきであります。
 そのためには、迂遠に見えても、家庭、地域社会が協力して学校を支援していく体制の強化が必要でありますが、まず、東京都教育委員会の見解を求めたいと思います。
 その上で、教育を再生するためには、その最前線である学校の機能を強化しなければなりません。本来、学校は現実の社会環境がいかに厳しいものであっても、そこに行けば希望があり、未来があり、子どもたちに生きる力を与える場所でなくてはなりません。
 ところが、実際の学校の多くは、近年の社会情勢を反映してか、抱え込む課題、問題が複雑化、深刻化し、医療や法律などの専門的なケアまで求められ、解決するためには、教職員だけでは対応できないケースがふえております。
 そこで、医療、心理面からも、いじめや不登校に対処するスクールカウンセラーの公立小中高校への全校配置や、各種行政機関などと連携を図るスクールソーシャルワーカーの配置の拡大を進め、児童生徒の問題行動の解決のために、こうした外部人材と学校、教員の連携を一層強固なものにしていくべきと考えますが、見解を求めたいと思います。
 次に、教員自身の教育力の向上に向けた取り組みを支援していくべきであります。
 教員は、日々子どもと向き合い、試行錯誤を繰り返しながら奮闘しております。また、授業力を磨き合い、後輩に教育技術を伝える取り組みをされております。
 こうした現場の創意工夫を生かせるように、また、教員の日常的な努力を支えるために、東京都教職員研修センターにおける教科研究の内容を見直し、充実していくべきであります。見解を求めます。
 次に、多摩の新しいビジョンについて質問をいたします。
 都が公表した新たな多摩のビジョンでは、多摩の将来像二〇〇一に掲げた基本理念やこれまでの取り組みの成果、課題などを踏まえ、ハード、ソフト両面から、これからの多摩地域が進むべき方向性を明らかにしました。
 多摩地域においては、今後、人口減少や少子高齢化が急速に進展する自治体もあり、それぞれの地域では、買い物弱者の発生や、ひとり暮らし高齢者の増加など、地域や年代ごとに異なるさまざまな課題が存在をしております。
 このような中、ビジョンに基づく多摩振興策の実現に際しては、あらゆる世代、あらゆる人々が充実した生活を送るための環境整備を目指して、それぞれの自治体や地域の実情と課題に即した対応を行うことが求められております。
 そのためには、都の全庁を挙げた取り組みはもとより、市町村とも十分に連携を図り、地域の実情を踏まえた取り組みを進めていかなくてはなりません。都の見解を求めたいと思います。
 次に、自転車対策について質問いたします。
 自転車は、だれでも気軽に利用できる車両であり、都民生活に不可欠な交通手段であります。同時に、環境負荷の低減、健康増進、観光振興の観点からも利用の促進が望まれます。
 一方で、近年、交差点内を中心に自転車と歩行者の事故が多発し、都内全体では、交通事故が減少する中で、逆に自転車関連の事故は増加をしております。被害に遭っているのは、高齢者や子ども、障害がある方々であります。その原因は、自転車利用者のマナーの欠如、交通ルールへの無関心があります。
 したがって、悪質なルール違反運転に対する取り締まりの強化や教育マニュアルの作成は重要であります。それと同時に、自転車の走行空間の整備がおくれていることも問題であり、今後は自転車レーンなどを積極的に整備し、自転車の走行空間を確保すべきであります。
 こうした認識を踏まえ、我が党は、一昨年の第一回定例会以来、一貫して自転車総合対策の策定を主張し、東京都自転車条例の制定を求めてまいりました。その結果、今定例会において、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例案が議案として上程されました。
 しかし、一部の人から、本条例は自転車の利用を抑制するもので、自転車が持つ利便性が損なわれるのではないかといった懸念の声が寄せられております。
 都の総合対策と条例は、いたずらに自転車利用を抑制するものではなく、むしろその安全で快適な利用を促し、歩行者の安全、道路の安全を向上させるものでなくてはなりません。
 そこで、知事の自転車総合対策と条例化について所見を伺いたいと思います。
 最後に、東京の安全・安心について質問いたします。
 このたび、首都東京の治安維持の重責を担う警視庁のトップに、樋口建史警視総監の後を受け、西村泰彦警視総監が就任されました。
 過日の本会議開会日には、西村警視総監より治安状況報告がなされ、特に犯罪抑止総合対策では、指定重点犯罪など数多くの課題に取り組まれる中、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺など、新たな治安攪乱要因への対策も警視庁として最重要の課題であると強調をされました。
 現在、東京都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致活動に取り組んでおり、三月にはIOC評価委員に対するプレゼンテーションも予定されております。
 そこにおいてはいうまでもなく、東京の治安のよさが占めるウエートは極めて大きく、招致の結果を左右するかぎであるといっても決して過言ではありません。
 それだけではなく、東京の治安は、我が国全体の安定と活力の維持、さらには国民生活全体の安全と安心にとって、文字どおり不可欠な条件であります。
 招致活動が本格化し、日本再生のスタートに当たるこの時期に、改めて東京の安全・安心の確保、治安の維持に向けた警視総監の所信を伺い、都議会公明党の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 中嶋義雄議員の代表質問にお答えします。
 財政運営についてでありますが、日本のGDPの約二割を生み出し、スウェーデンの国家予算に匹敵する財政規模を持つ東京は、いわば国家の中の国家というべき存在だというふうに自負してよいと思います。
 東京の動向は、国家の命運に直結しており、東京の再生なくして日本の回復はあり得ない。だから、縦割り行政に対していうべきことをいい、そして、そういう基本認識のもとに必要な投資は要求します。
 そして同時に、東京都は、日本の成長のエンジンとしての自覚があって、国全体を力強く牽引していくということが我々に求められている。
 そのために、成長産業の育成や国際競争力の向上に資するインフラの整備、産業を支える人材の育成など、東京の持つ可能性や潜在力を引き出して、新たな成長と発展の軌道に乗せるための施策を中長期的な視点に立って揺るぎなく進めていく、そこは変わりありません。
 木密地域の解消に向けた民間参入についてでありますが、首都東京の防災上の最大の弱点である木密地域を解消するために、区と協力し、不燃化特区の取り組みを大幅に拡大していく、そういう決意であります。
 このたび提案した特区制度は、入り組んだ道路の先にある古い家屋の除却や道路の拡幅などにより、安全・安心のまちの実現だけでなく、地域の価値を高めるものでもあります。
 入り口が狭くて細い道の奥の土地には資産価値、値段がついていない。そこに値段がつくようになるような土地利用の高度化を目指して、民間事業者の参入意欲を高めていく、そういうことが重要だと思います。容積移転なども活用しまして、細分化された敷地の統合や建物の共同化などを積極的に進めていく。
 東京都がリーダーシップを発揮して、目標と道筋を示しつつ、官民の英知を集めた取り組みを誘導して、木密地域の解消を加速させ、安全な市街地を実現していきたい、そういう決意で本当に五十の特区を決めました。
 被災地支援についてでありますが、震災発生から間もなく二年を迎えます。被災地には大震災がもたらしたつめ跡が依然として残っており、復興への道のりは険しく、息の長い支援の取り組みが必要となります。
 この歴史的困難を乗り越え、復興に向けて懸命な努力を重ねる被災地を、日本の心臓部である首都東京が全力で支援することは当然であります。
 東京都は、これまでもいち早く現地事務所を開設し、被災地の状況や要望を的確に把握しながら、全国に先駆けて震災瓦れきの受け入れを行い、即戦力となる行政OBや民間経験者を採用、派遣するなど、機を逸することなく現地の実情に即した支援を行ってきました。
 今後も、引き続きこうした支援のほか、被災地応援ツアーや都内での特産品販売の実施、市場関係者による被災産地の視察、スポーツ、文化の交流など、被災地が真に必要とするニーズを的確にとらえ、さまざまな分野で被災地支援に取り組んでいく。これはやってきましたが、これからも被災地支援のために、その責務を果たしたいと思っています。
 新銀行東京についてでありますが、新銀行東京は、二〇一〇年度決算以降、連続して黒字を計上し、純資産も追加出資の四百億円を百億円以上上回る五百十四億円を確保しております。
 これは、追加出資を受け、新銀行東京が現経営陣のもと、徹底したリストラや厳格な与信管理など、懸命な経営努力を行ってきた成果ではあります。しかし、まだ、繰り返しますがリハビリ状態でありまして、再生に向けては道半ばです。
 新銀行東京の将来展望については、よいパートナーとの提携を模索するなど、さまざまな可能性を視野に入れていきますが、そうした展開の前提として、新銀行東京が金融機関としての企業価値を高めていく必要がまずはあります。安定した黒字体質を継続して、経営基盤をより一層強化するということが先決で、まだその段階にあります。
 東京都のエネルギー政策についてでありますが、現在、もうほとんど東京電力管内は脱原発状態になっております。
 今後の原発を含めたエネルギー政策の基本については、この夏に施行予定の原発の新安全基準と、その対策を踏まえた国の判断を待つしかない、そういう状況です。
 首都圏の電力は、いつ壊れるかわからない東京湾にある三十五年から四十年過ぎた老朽火力発電所、千六百六十万キロワットに支えられています。そこに依存しています。
 こうした中で、都民生活や都市の活力を維持できるよう、東京都が取り組める具体的なエネルギー施策を国に先駆けて実施しているわけであります。電力の安定供給については、老朽火力発電所のリプレースに加えて、広域的な観点も含めて、日本全体の問題も考えなきゃいけない。
 そういう中で、中嶋議員ご承知のように、官民連携インフラファンドで、首都圏の十万キロワット級の火力発電所をまず一つやる。それから熊本県のメガソーラー、これも迅速な投資を行って、既に約二十二万キロワットの電源確保につなげたところです。
 まずはすぐできる、こうしたリアルな取り組みを、国のエネルギー政策の先の見えない段階でやらなければいけない。だからそれをやる。
 さらに、原発にかわるベース電源をどう確保するかということが、これは大変な課題なんです。だから、今、東電改革本部と会合を重ねていますが、東電の分社化、発電所ごとに会計を整理する、そういうことを今進めているところです。その東電の発電所ごとの分社化がきちんとできると、新電力と競争する条件が整ってくる。
 今、シェールガス革命のさなかですから、そういうときに東京都が常にそれを提案し、そして具体的に東電改革本部に対してそれをいう、あるいは経済産業省に対して東京都がいう。常に東京都はうるさいぞ、常に監視しているぞ、そして先駆けて具体的に電力改革を進めているぞと、こういう提案が東京モデルだし、全体の日本の電力改革を含めて、電力会社の改革、そういうことにつながっていくと、そう信じてやっています。
 自転車総合対策と条例化についてでありますが、自転車は、通勤通学や買い物など、子どもから高齢者まで年齢を問わず、さまざまな用途に利用され、都民の生活に密着しています。また、環境負荷もなく、健康増進にも役立つ交通手段であり、その利用を促進するための総合的な取り組みを進める必要があります。
 そこで、自転車安全利用条例案では、利用者に対して交通ルール等の知識の習得や自転車の点検整備の実施などを求めるとともに、東京都や、国や地元自治体、事業者などの関係者が協力して──全体で協力するということは今までなかった、そうした中で、自転車の走行空間や駐輪場を確保するための協議会を設置するということを定めています。
 今後、この条例を契機として、国、区市町村、民間事業者等と連携を密にして、自転車の安全で適正な利用が促進される社会を目指していきたい。これも東京モデルになると、こう思っております。
 なお、その他の質問については、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監西村泰彦君登壇〕

〇警視総監(西村泰彦君) 東京の安全・安心の確保、治安の維持についてお答えいたします。
 現在の都内の治安状況につきましては、警視庁が総力を挙げた犯罪抑止総合対策を初め、官民一体となった取り組みの結果、世界一安全な都市といわれた昭和四十年代の刑法犯認知件数を下回るなど、目覚ましい治安の回復が見られるところであります。
 議員ご指摘のとおり、世界的規模のイベントの開催には、その開催地の治安の良否が大きく影響することは十分に認識しておりまして、警視庁といたしましては、常に先を見据えた治安対策を講じてまいりたいと考えております。
 最近では、首都東京の空の玄関であります羽田空港の国際化により、外国人観光客等の増加が見込まれることから、昨年四月に空港警備の専従部隊を発足させ、国際テロ等の未然防止に努めております。
 また、犯罪の抑止や事件の解決に大きな効果を発揮しております防犯カメラの設置促進のほか、防犯ボランティア団体の結成や活動の支援を初めとした地域社会のきずなの再生に向けた取り組みなど、より時代に合った実効性のある施策を自治体や地域の方々と一体となって推進してまいります。
 警視庁は、日本警察の中核として、日本全体の治安のために総力を挙げてこれらの施策を着実に進め、都民、国民、加えて東京を訪れるすべての方々が治安のよさを肌で感じ、そして、安心していただける世界一安全な都市東京の実現を目指してまいります。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都立学校の非構造部材の耐震化についてでございます。
 都教育委員会は、今年度、都立学校全校を対象に、天井高が高く、耐震対策にふぐあいがあると地震発生時に重大事故につながるおそれがある体育館を優先して、専門家による点検調査を実施しております。この調査結果に基づき、来年度から三年間で体育館の非構造部材に関する耐震化改修工事を計画的に実施いたします。
 また、体育館以外の校舎棟や武道場棟などの施設につきましては、来年度、専門家による点検調査を全校で実施し、計画的に改修工事を実施してまいります。
 次に、公立小中学校の非構造部材の耐震化についてでありますが、都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、都立学校における取り組みを紹介するとともに、国の補助制度の活用を促してまいりましたが、耐震化に要する費用について、三分の一を国の補助で、二分の一を起債でそれぞれ確保いたしましても、不足分を区市町村が自主財源で確保する必要があり、これが課題の一つとなっておりました。
 このため、来年度から公立小中学校における非構造部材の耐震化に要する費用のうち、区市町村負担分に当たる六分の一を東京都が全額補助することとし、公立小中学校の非構造部材の耐震化を促進して、児童生徒の安全確保を図ってまいります。
 次に、家庭、地域社会による学校支援についてであります。
 子どもたちが変化が激しく、先行きが不透明な社会をたくましく生き抜く力を身につけるためには、社会全体で学校を支援することが必要であります。
 とりわけ、子どもの教育について第一義的責任を有する家庭と子どもたちと社会との接点になる地域が、それぞれの役割と責任を自覚し、学校と緊密に連携協力して実施するさまざまな体験活動等は、子どもたちの自立心や社会性をはぐくむ上で大きな効果があります。
 そこで、都教育委員会は、保護者や地域住民の参加による学校支援ボランティア推進協議会の設置促進などに加え、企業、大学、NPO等も含めたネットワークづくりも進め、社会全体で学校を支えていく輪が広がるよう、多様な教育支援活動を展開してまいります。
 次に、外部人材と学校、教員との連携についてでありますが、いじめや不登校などの解決には、問題の背景や要因が複雑な場合が多く、外部人材が専門性を発揮し、学校、教員と連携して対応していくことが重要であります。
 そのため、都教育委員会は、来年度から児童生徒等の心のケアを行うスクールカウンセラーを全公立小中高等学校に配置するとともに、児童生徒の問題行動の解決に向け、福祉面からも支援するスクールソーシャルワーカーの活用地区の拡大を図ります。
 これらの事業は、相互に関連をしておりますことから、外部人材との効果的な連携が図られている事例を紹介するリーフレットの作成、教員対象のシンポジウムの開催等を通じて、学校、教員と外部人材との組織的な取り組みを推進し、児童生徒の問題行動の解消を図ってまいります。
 最後に、教職員研修センターの教科研究についてでありますが、教職員研修センターでは、近年、子どもの自尊感情を高めるための教育や通常学級における特別支援教育等、直面する教育課題を研究の柱としてまいりました。
 一方、現在、ベテラン教員の退職に伴う大量採用の時期を迎え、若手教員を含めて一人一人の資質の向上が喫緊の課題となっていることから、今年度より二年計画で、教員の授業力を高めるための教科研究を開始いたしました。
 来年度は、各学校で確実に身につけさせるべき内容を明らかにした指導計画の作成、具体的、実践的な指導方法や教材の開発を行うなど、研究内容の充実を図ってまいります。
 また、この教科研究の成果は、指導資料の作成、配布や、研究発表会の開催などを通して全都に普及するとともに、研修センターの研修内容に反映させ、教員の指導力向上を図ってまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 地震、津波に対する河川の取り組みについてでございますが、多くの人口や資産が集積している東部低地帯を守るためには、耐震、耐水対策を速やかに実施していくことが重要でございます。
 昨年十二月に策定した整備計画では、具体的な実施箇所を提示し、水門や排水機場の全箇所と水門外側の堤防などは二〇二〇年までに完了させることといたしました。
 このうち、耐水対策につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、水門などの電気機械設備を想定される最大高潮高さより高い位置に設置するなどの対策を講じてまいります。
 来月初旬には、水門管理センターと木下川排水機場の二つの施設におきまして、設備の操作盤を移設し、ポンプ室入り口を防水扉にするなどの耐水対策に着手してまいります。
 今後とも、全力を挙げて耐震、耐水対策に取り組み、高度防災都市東京の実現を図ってまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化特区の支援策についてでございますが、木密地域は、住民の高齢化に加えて権利関係の複雑さ等の課題があり、改善が進みにくい状況にございます。
 このため、現地に相談窓口を設けることに加えて、弁護士や税理士のほか、住民の合意形成を促すコーディネーターを地域の要請に応じて派遣する制度を設けるなど、きめ細かな対応を図ることといたしました。
 また、区が用地折衝やまちづくりへの機運の醸成に専門家を活用する際の助成や、都の事業経験者による助言など、現場に即した支援を積極的に行い、ご指摘の点も視野に入れ、まちづくりに関する区の体制強化を後押ししてまいります。
 今後、整備地域を抱える区を対象に、それぞれの経験やノウハウを共有する場を設け、区が対策を考えやすい状況をつくるなどの支援を進め、不燃化特区の取り組みを加速してまいります。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の所有者への対応についてでございますが、所有者には、事業の継承、不動産の利活用、資金調達、相続などさまざまな事情があり、改修工事を進めるには、個々の状況に応じてきめ細かく対応する必要がございます。
 このため、建築士や建設業の団体との協力連携体制に加え、先月、金融機関と協定を締結し、不動産や融資全般に関する相談窓口を設置いたしました。さらに、来年度からは、法律や税などの専門的な相談にも対応できるよう、弁護士や税理士などの専門家を派遣する制度を開始いたします。
 今後は、所有者に対して、こうした相談窓口の利用を紹介するとともに、相談会やセミナーなどを定期的に開催するなど、積極的に取り組んでまいります。
 次に、耐震化に当たっての共同化などについてでございますが、緊急輸送道路の沿道には、敷地が狭隘な小規模なビルも少なくないことから、共同化など土地の高度利用や沿道にふさわしいまち並みに考慮しながら、耐震化を促進していくことが有効でございます。
 一方、共同化を進める場合、複数の所有者や権利者がかかわることから、権利関係の調整や合意形成などの課題もございます。
 このため、都としては、共同化や土地の売却予定など、所有者の意向を把握するとともに、建築や再開発などの専門知識を有するアドバイザーを派遣するなど、区市町村や関係団体とも連携しながら、共同化に向けた支援を行ってまいります。
 次に、目標達成に向けた今後の取り組みについてでございますが、耐震診断の結果を改修工事に速やかにつなげ、平成二十七年度までに耐震化を完了させることが重要でございます。
 このため、来年度から、低利融資の融資上限額の引き上げなど、所有者負担をさらに軽減することとしており、助成制度を初めとするさまざまな支援策を行っていくことにより、所有者の主体的な取り組みを促してまいります。
 一方、目標達成に向け、所有者の早期の取り組みを促すためには、個々の建物の状況や所有者の事情にも十分配慮しながら、条例に基づく指導や勧告などを適切に活用することも必要でございます。
 引き続き、都としては、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、高齢者の住まいへの取り組みについてでございますが、高齢者向け住宅の整備促進に当たっては、緊急時の対応や安否確認等に加え、高齢者のニーズに応じて医療や介護サービスも受けられることが重要でございます。
 都はこれまでも、医療、介護施設が併設されるサービスつき高齢者向け住宅に整備費の補助を行ってまいりました。これに加え、来年度からは近隣の医療、介護サービス事業者と協定を締結し、連携体制が確保される場合でも補助対象とする都独自の追加支援策を実施することといたしました。
 こうした取り組みにより、高齢者の住まいで提供されるサービスの確保を図りながら、平成二十六年度の目標一万戸の達成に向け、地元区市町村や関係局と連携協力し、全力で取り組んでまいります。
 最後に、高齢者の住まいの確保についてでございますが、都は昨年策定した住宅マスタープランにおいて、高齢者が地域、社会の中で安心して暮らせる住生活の実現を図ることを目標の一つとして掲げ、高齢者の居住安定確保プランに基づき、住宅施策と福祉施策が連携してケアつき住まい等の整備を進めております。
 また、都営住宅では建てかえに際して、エレベーターや手すりの設置などバリアフリー化を図るとともに、創出した用地において高齢者在宅サービスセンターやグループホーム等の導入を図るなど、高齢者の生活支援を重視した取り組みを推進しております。
 さらに、民間住宅では高齢者の入居を拒まない賃貸住宅を登録する都独自の制度や、見守りサービスを提供するあんしん居住制度等の普及を図っております。
 今後も、関係局や区市町村と連携しながら、こうした取り組みを総合的、重層的に展開し、高齢者が住みなれた地域で安心して住み続けられるよう取り組んでまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

〇港湾局長(多羅尾光睦君) 海岸保全施設整備計画の優先度についてでありますが、新たな整備計画では、最大級の地震が発生した場合においても、津波による浸水を防ぐよう防潮堤、内部護岸約四十三キロメートルの耐震対策等を実施してまいります。水門、排水機場については、電気、機械設備が浸水しないよう耐水対策も実施するとともに、水門の遠隔操作を行う高潮対策センターは二拠点化を図ってまいります。
 これらの取り組みは、優先度を勘案しながら今後十年間で実施する計画でございます。
 具体的には、沿岸部の第一線を防護する水門や防潮堤については早期の整備に取り組んでまいります。また、新設する二つ目の高潮対策センターについては、平成二十七年度の稼働に向けて設計を行っているところであり、来年度に着工する予定でございます。
 今後、本整備計画に基づき、津波、高潮対策を積極的に推進し、防災力を強化してまいります。
   〔下水道局長小川健一君登壇〕

〇下水道局長(小川健一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道管の耐震化の取り組みについてでございますが、震災時においてもトイレ機能を確保するため、避難所や災害拠点病院などから優先的に下水道管の耐震化を実施しており、対象とする約二千五百カ所を、計画を前倒しし来年度完了いたします。
 今後は、東日本大震災の状況を踏まえ、帰宅困難者が滞留するターミナル駅や災害復旧の拠点となる官公庁の施設など、約一千カ所へと対象を拡大してまいります。
 また、液状化の危険性の高い地域におけるマンホールの浮上抑制対策についても、ターミナル駅や官公庁の施設と緊急輸送道路を結ぶ道路に拡大し、下水道管の耐震化とあわせ、平成三十一年度までの完了を目指してまいります。
 次に、下水道幹線の再構築の取り組みについてでございますが、幹線内部の老朽化状況の調査結果に基づき、計画的に再構築を実施しております。区部の下水道幹線約一千百キロメートルのうち、昭和三十年代以前に整備され、老朽化が進んでいる四十七幹線、約百三十キロメートルについて再構築を進め、昨年度末までに約三十八キロメートルを完了いたしました。
 今後は、かつての川を下水道化した浅く埋設された幹線や、損傷箇所が多いなど対策が必要な幹線を新たに対象に加えるとともに、水位が高く対応が困難な幹線について、新たな幹線を整備するなど対策を強化し、平成二十五年度からの三カ年で約二十キロメートルを再構築してまいります。
 これらの取り組みを迅速かつ着実に進めることにより、安全・安心な東京の都市づくりに貢献してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 私立学校における非構造部材の耐震化についてでありますが、都は、私立学校に通学する子どもたちの安全・安心のため、校舎などの耐震化補助を実施してまいりました。
 しかし、東日本大震災では都内においても天井材や外装材などの非構造部材による被害が発生するなど、新たな課題が明らかになりました。このため、来年度は、非構造部材の耐震対策について新たに補助制度を創設し、国と都の制度を合わせて耐震対策費の三分の二を補助することなどにより、さらなる耐震化を促進してまいります。
 今後も、私立学校の取り組みを積極的に支援し、児童生徒等の安全・安心の確保に取り組んでまいります。
   〔知事本局長前田信弘君登壇〕

〇知事本局長(前田信弘君) 官民連携インフラファンドによる投融資先についてのご質問にお答えします。
 これまでに首都圏で二十万キロワット、その他地域で約二万キロワットの発電事業に投融資を行い、電力確保に努めてきたところであります。これは、さきの東日本大震災時に全国的に電力融通が行われたように、国内の電力需給は各地域が密接かつ相互に依存し合い、広域的視点が欠かせないこと、また、本ファンドのねらいの一つに、再生可能エネルギーの実現可能性を早期に実証することがありますが、そのためには、敷地や気象の条件などを満たす適地を全国に求める必要があることによるものでございます。
 今後は、今回のファンド事業で得られた知見、経験を踏まえながら、首都圏における電力確保に資するよう取り組んでまいりたいと考えております。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
 まず、スマートエネルギー都市推進事業についてでございますが、本事業の効果を一層高めるためには、戸建て住宅だけではなくて、都内の住宅ストックの約七割を占めますマンション等の集合住宅での活用を促進することが重要でございます。
 震災後、マンション等の開発におきましては、太陽光発電や蓄電池等を装備するとともに、高圧一括受電やHEMSを用いたデマンド管理サービスが受けられる、省エネで災害に強いマンションの供給が始まっております。また、機器メーカーは集合住宅向けの燃料電池や安価な蓄電池の開発を進めるなど、新たな商品展開と技術革新が大きく進展しております。
 そこで都は、来年度、新設する補助事業を戸建て住宅に加えまして、集合住宅にも適用いたします。
 具体的には、集合住宅の共用部だけでなく、各戸への燃料電池等の導入や、電気自動車を平常時はカーシェアリングとして利用しつつ、災害時等にはマンションの非常用電源としても活用するなどの新たな取り組みを支援し、市場拡大を誘導してまいります。
 加えて、本事業を通じ、新築の戸建て住宅への標準装備や既存住宅のリフォーム等の活用等を促進し、家庭におけるエネルギー利用の効率化を後押ししてまいります。
 次に、住宅用太陽光発電の新たな普及スキームについてでございますが、住宅用の太陽光発電は、都の補助開始前の平成二十年度に比べまして、導入速度が十倍以上に加速するなど飛躍的に拡大しておりますが、都内の住宅の屋根には導入ポテンシャルがまだまだ豊富に存在しております。
 これを最大限活用するための新たな取り組みといたしまして、まず都は、金融機関に働きかけて低利のソーラーローンの提供を促し、初期負担なく太陽光発電を設置できる仕組みを構築してまいります。また、多様な相談に応じられる相談窓口を開設し、太陽光発電の設置を検討する都民の疑問や不安を解消してまいります。
 さらに、この取り組みを効果的に推進し、太陽光発電を都民に一層身近なものとするため、都内に豊富な屋根のポテンシャルをキャッチコピーとして、屋根ぢからと名づけ、親しみのあるキャラクターを作成の上、ツイッター等を活用して情報発信を行ってまいります。
 これらの取り組みの第一歩として、今月から連携する金融機関の公募、選定を開始いたします。
 引き続き、来年度早期に相談窓口を開設するなど多様な取り組みを展開し、太陽光発電のさらなる導入を促進してまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、成長産業の支援についてでございます。
 すぐれた技術を有する中小企業が、成長の見込める分野でより高いレベルの製品開発に取り組むためには、大学や研究機関と連携することが効果的でございます。
 都は、新年度より連携イノベーション促進プログラムを実施いたしまして、環境や医療、福祉などの分野で都市課題の解決に役立つ技術開発テーマを示した上で、大学や研究機関等の研究成果を活用し、製品開発に取り組む中小企業に対しまして、その経費の一部を助成いたします。
 こうした取り組みにより、成長分野における中小企業の技術開発を的確に促進してまいります。
 次に、金融円滑化法終了に伴う金融支援についてでございます。
 借入条件を変更中の中小企業のうち、業況が回復せず厳しい状態が続く会社は数多くあると考えられます。こうした企業が経営改善を進めていく過程で、資金繰りに支障が生じることのないよう、適切な金融支援を行うことが重要でございます。
 このため、都は、この三月には、制度融資の新メニューである特別借りかえ融資の取り扱いを開始いたします。本制度により、複数の保証つき融資を一本化し、返済期間を延長することで、借入企業の月々の返済負担の軽減を図ってまいります。
 また、小規模の企業には保証料の二分の一を補助するとともに、本制度の利用促進に向け、さまざまな機会をとらえて中小企業への周知を図ってまいります。こうした取り組みを通じ、経営改善を進める中小企業の資金繰りを支援してまいります。
 次に、中小企業への専門家派遣事業についてでございます。
 経営改善に取り組む中小企業が経営上の課題の把握や解決を効果的にできるよう、東京都中小企業振興公社では、会社の現場で専門家の助言を行う専門家派遣事業を実施しております。
 円滑化法終了に伴い、経営改善計画の策定や実施に取り組む中小企業がふえることも予想されるため、派遣回数を新たに六百回分設けて対応いたします。そのうち、資金繰りが逼迫した企業には、無料の専門家派遣も実施いたします。
 こうした取り組みにより、経営改善を進める中小企業を的確に支援してまいります。
 次に、若年者就業対策の推進についてでございます。
 若者を取り巻く雇用環境は、やや回復の兆しがあるものの、不安定雇用を強いられている若者は依然として多い状況でございます。こうした若者の正規雇用化を後押しするためにも、紹介予定派遣の制度を活用するなど、きめ細かい支援が必要と認識しております。
 都は平成二十三年度から、卒業後間もない若者の正規雇用化を支援いたします未就職卒業者緊急就職サポート事業を開始いたしました。今年度は、この事業の規模を拡大いたしますとともに、非正規雇用歴のある若者を対象とした若年者正規雇用化プログラムを開始するなど、支援の充実を図ってまいりました。
 こうした取り組みの成果を踏まえ、来年度は、これら二つの事業を若年者緊急就職サポート事業に一本化し、リーマンショック以降の厳しい雇用情勢の中で、不安定就労が続いている若者に対する定員枠を大幅に拡大することといたします。さらに、派遣先の業種や職種に応じたきめ細かい事前研修を新たに実施するなど、支援内容を充実いたします。
 これらの取り組みを通じて、正規雇用を望む若者の就業を全力で支援してまいります。
 最後に、実効性のある若年者就業対策についてでございます。
 若者の多くは、民間の就職情報サイトを活用して求人情報を収集している一方、中小企業の多くは公的な就職支援機関を中心に採用活動を行っております。
 こうした情報のミスマッチを解消するため、都は新年度から、新たに民間の就職情報サイトを活用し、都内中小企業の求人情報を発信してまいります。掲載企業の選定に当たりましては、若者の関心が高い職場環境改善への取り組みを要件とすることにより、若者のニーズに合った求人情報を提供いたします。
 さらに、合同企業説明会を開催し、就職情報サイトの掲載企業と若者が直接交流する場も設けてまいります。
 こうした取り組みを通じて、若者と中小企業のマッチングを多角的に推進してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 十一点のご質問にお答えいたします。
 まず、がんを予防するための健康教育についてでありますが、都はこれまで、中高年を対象としたラジオ番組や若い女性を対象としたトークショーなどを通じて、都民に対し生活習慣の改善やがん検診受診の重要性を周知するとともに、包括補助事業などにより、予防や受診率向上事業に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 来年度からは、こうした取り組みに加え、区市町村や保健医療関係団体等が、地域の実情を踏まえながら、独自に取り組んでいる健康教育の実践例を集め、効果的な手法や先駆的な取り組みを広く紹介していく予定でございます。
 今後とも、都民ががんに関する正しい知識を身につけ、みずから予防や早期発見に取り組むことができるよう、関係機関と協力連携しながら、がんを予防するための普及啓発や健康教育に積極的に取り組んでまいります。
 次に、小児がん対策についてでありますが、小児がん対策を進める上では、がんの種別を速やかに診断し、適切な治療につなげるための医療体制の強化、合併症や成長障害への長期的なフォローアップ、患者や家族が抱える不安に適切にこたえるための相談支援体制の充実等を図っていく必要がございます。
 このため、今回のがん対策推進計画では、がんの種別や部位ごとに高度な小児がん医療を提供できる医療機関が多数存在するという東京都の特性を生かし、小児がん診療連携ネットワークを構築することとしております。
 まず、来年度は、東京都小児がん診療連携協議会を設置し、ネットワークが取り組む診療連携、人材育成、長期フォローアップ体制、相談支援等について具体的方策を検討する予定であり、今後、国が指定した小児がん拠点病院や地域の小児医療機関との連携も図りながら、都における小児がん対策を総合的に推進してまいります。
 次に、がん患者の就労継続への支援についてでありますが、がん患者の就労を支援していくためには、現在のがん治療の実態や患者への配慮を正しく事業主に理解してもらうとともに、患者が抱える不安や悩みを受けとめる相談体制を強化していく必要がございます。
 そのため、都は来年度、独自に実態調査を実施することとし、調査項目として、事業主からは福利厚生制度の適用状況、勤務形態の弾力化、従業員への相談支援の状況等、がん患者からは就労状況や収入の変化、福利厚生制度の利用状況、職場の理解度等を予定しております。
 この調査結果も活用しながら、今後、雇用継続や復職支援に関し、事業主に普及啓発を行うほか、がん診療連携拠点病院等の相談支援機能を強化することにより、がん患者や経験者の就労継続を支援してまいります。
 次に、救急医療体制の見直しについてでありますが、都では、高齢化の進展等を踏まえ、昨年七月、救急医療対策協議会に対し、社会構造の変化に対応する都の救急医療体制のあり方について諮問を行いました。
 協議会では、初期救急を支えるとともに、三次救急が機能を発揮する上で重要な役割を果たしている二次救急医療体制に焦点を当て、現行事業を検証しながら、休日・全夜間診療事業や東京ルールのあり方について、継続的かつ安定的な体制確保の観点から議論を行っており、年度内には答申を取りまとめる予定となっております。
 都としては、今後、協議会からの答申や、診療報酬制度を初めとした医療制度との整合性も踏まえながら、関係機関とも十分協議し、救急医療体制の見直しについて検討してまいります。
 次に、高齢者の住まいについてでありますが、高齢者の多くは、介護が必要になっても、可能な限り住みなれた地域で生活し続けることを望んでおります。都はこうしたニーズにこたえるため、施設サービスだけではなく、在宅サービス、ケアつき住まいなどのサービス基盤について整備を進めており、平成二十一年度からは、高齢者向け住宅に医療や介護の事業所を併設し、入居者にサービスを提供する東京都医療・介護連携型サービスつき高齢者向け住宅モデル事業に取り組み、既に十一件を選定しております。
 今後、関係局とも連携し、このモデル事業の詳細な検証を行い、医療、介護サービスが効果的に提供され、安心して住み続けることができる高齢者の住まいの整備について促進策を検討してまいります。
 次に、知的障害者のグループホーム等から一般住宅への移行支援についてでありますが、現在、グループホーム等では、利用者が世話人の支援を受けながら、買い物や食事の準備等を行っておりますが、利用者の中には、その経験を通じて自信が芽生え、一般住宅への移行を望む方もおります。
 そのため、都は今年度から、希望する利用者に転居先の確保、転居後に利用する財産管理や栄養管理等のサービスの調整、一般住宅転居後の生活相談等を行う単身生活移行モデル事業をグループホーム等の運営実績が豊富な社会福祉法人に委託し、実施をしているところでございます。
 来年度は、改めて事業者を公募し、新たな支援事例も幅広く集める予定であり、支援ノウハウを積み重ねながら、障害者のさまざまなニーズにこたえてまいります。
 次に、重症心身障害児者の在宅支援についてでありますが、重い障害があっても、可能な限り家庭で生活できる社会を実現していくためには、障害のある方や、介護する家族に対する支援を充実することが重要でございます。
 そのため、都はこれまで、都独自の特別助成により、整備費の事業者負担分を軽減し、日中活動の場である通所施設の設置を進めるとともに、短期入所の病床を整備し、在宅生活を支えるサービスの充実を図ってまいりました。
 また、来年度から、家族の休養と障害児者本人の健康の保持などを目的に、看護師が自宅を訪問し、家族にかわってケアを行う在宅レスパイト事業を区市町村包括補助の事業に新たに加え、支援することとしております。
 今後とも、区市町村や関係機関と連携し、重症心身障害児者の在宅支援の充実に取り組んでまいります。
 次に、重症心身障害児者の入所施設についてでありますが、入所施設は、医療ニーズの高い重症心身障害児者を受け入れ、療養上の看護や介護等を行うとともに、看護学生を受け入れて実習を行うなど、障害者の支援に携わる看護人材の育成を行っております。
 また、重症心身障害児者が地域で安心して暮らせるよう、その在宅生活を支える通所施設や短期入所を併設し、地域の療育拠点としての役割も担っております。
 都としては、入所施設がその役割を十分果たせるよう運営の充実を図っていくとともに、家庭の介護力や医療的ケアの状況に配慮しながら、必要な方が入所施設を利用できるよう努めてまいります。
 また、入所施設の整備について、社会福祉法人等から支援の相談があった場合には、補助制度について説明する等、適切に対応してまいります。
 次に、認知症高齢者グループホームの整備についてでありますが、整備は、第五期高齢者保健福祉計画に基づいて順調に進んでおります。本年二月一日現在の施設数及び定員数は四百七十三カ所、七千七百二十五人であり、平成二十六年度末までには定員一万人を整備することとしております。
 整備に当たって、都は、高齢者人口に比べて整備が進まない地域における補助額を一・五倍に加算するほか、未利用の都有地を減額して貸し付けるなど、独自の支援策を講じております。
 また、制度の周知を図るため、事業者団体や土地所有者団体の協力を得て、これまで説明会や相談会を実施してきており、三月にも開催いたします。
 今後も、こうした取り組みを推し進め、区市町村や関係団体とも連携しながら、認知症高齢者グループホームの整備に積極的に取り組んでまいります。
 次に、地域の認知症対応力向上に向けた取り組みについてでありますが、都はこれまで、介護事業所職員を対象とした認知症介護研修を実施するほか、認知症サポーターの養成等を行ってまいりました。また、今年度から、都内十二カ所の認知症疾患医療センターで、認知症の診断や治療等に関する研修をかかりつけ医等を対象に実施しております。
 来年度は、看護師向けに認知症の特徴や対応に係る研修を実施するとともに、認知症への多職種の連携を進めるためのカリキュラムを作成いたします。
 都民に対しては、シンポジウムの開催や認知症の疑いを家庭で判別するチェックシートの作成等を行い、認知症の普及啓発に進めてまいります。
 こうした取り組みにより、人材の育成や認知症への理解促進を図り、地域の認知症対応力を向上させてまいります。
 最後に、認知症対策に取り組む区市町村への支援についてでありますが、認知症の進行をおくらせるためには、医学的な治療などとあわせて、日ごろから生活のリズムを整え、体を動かし、家族等と楽しくコミュニケーションをとることなどを心がけることが有効であるといわれております。
 こうした観点から、区市町村においては、認知症予防事業として、さまざまな取り組みを行っており、お話の心身機能活性運動療法もこうした取り組みの一つと認識しております。
 来年度は、認知症予防プログラムの開発、普及に取り組んでいる東京都健康長寿医療センターとも連携して、認知症予防や生活改善の事例を広く収集し、区市町村に情報提供するとともに、包括補助事業も活用し、取り組みを支援してまいります。
   〔病院経営本部長塚田祐次君登壇〕

〇病院経営本部長(塚田祐次君) 小児総合医療センターにおける小児がんに対する医療提供体制の整備についてでありますが、小児がん拠点病院は、治療の難しい小児がんについて、手術療法、放射線治療、化学療法、緩和ケアなどを組み合わせた集学的治療を提供できる診療能力に加え、患者、家族への支援など総合的な体制が求められております。
 小児総合医療センターは、限られた医療資源を最大限有効に活用するため、都立小児三病院を統合し、さまざまな困難症例に対応するとともに、都の小児医療の拠点として、良質な医療の確保に取り組んでまいりました。今回の指定は、その高い診療能力などが評価されたものと考えております。
 今後は、都道府県の枠を超え、小児がんを診療する医療機関とのネットワークの中心的施設として、がん医療の質の向上を図ってまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 新たな多摩のビジョンについてでございますが、多摩地域が活力あるまちであり続けるためには、さまざまな世代の力により地域を支え、今後増加が見込まれる高齢者や次世代を支える子どもたちなどが安心して快適に生活できるまちづくりを進めていくことが重要でございます。
 このため、新たな多摩のビジョンでは、保育園と老人ホームの併設化などにより世代間の交流を促進するとともに、自治体と事業者との連携による高齢者の見守りネットワークの形成、宅配、移動販売サービスの充実など、それぞれの地域で安心して暮らし続けることができる環境の整備を進めていくことといたしました。
 今後、都は、本ビジョンに基づく多摩振興の具体化に向け、市町村と十分に意見交換を行うなど緊密な連携を図るとともに、地域の民間企業やNPOなどに対してもビジョンの観点に沿った取り組みを促し、暮らしやすいまちづくりの実現に向け、一丸となって取り組んでまいります。

〇副議長(ともとし春久君) 百五番清水ひで子さん
   〔百五番清水ひで子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇百五番(清水ひで子君) 日本共産党都議団を代表して質問いたします。
 猪瀬都知事は初めての施政方針表明を行いましたが、今、都民の皆さんが政治に求めていることは何かということに思いを寄せざるを得ませんでした。私が毎日のように都民の皆さんから訴えられることは、暮らしが苦しい、景気をよくしてほしいという思いです。
 そこで、私は、何よりもまず都民の暮らし、福祉の問題について知事の所信をただしたいと思います。
 今、安倍政権は、民主党との合意による消費税の大増税と社会保障の全分野での給付抑制、予算削減を本格化させています。知事は、石原前都政の方向を基本的に継承していくことを表明しましたが、石原前知事は、消費税増税は当然という立場でした。
 都民の収入が減り続けている中で消費税増税を行えば、暮らしも景気もますます落ち込むことは確実であり、断じて許されません。知事、この問題についてどう考えているのですか。
 福祉についても、石原前知事は、何がぜいたくかといえば、まず福祉だといって、老人医療費助成や寝たきり高齢者への一カ月五万五千円の福祉手当を廃止するなど、高齢者への福祉を切り下げました。高齢者一人当たりの老人福祉費は三割も減らされ、決算総額に占める老人福祉費の割合は、全国二位から四十四位へと最低クラスになりました。
 知事、東京の高齢者の国民年金の平均受給額は、月額五万四千円にすぎません。都独自のセーフティーネットであった医療費助成や福祉手当などがあれば、どんなに助かるでしょうか。知事は、このセーフティーネットをなくされた生活の困難はどんなものなのか思いをはせたことがありますか。
 知事は、石原前知事の、何がぜいたくかといえばまず福祉という立場も継承するのでしょうか。今こそ、所得の低い高齢者へのセーフティーネットを再構築し、住民の暮らしを守るという地方自治体としての役割を果たすことが求められていますが、知事の所見を伺います。
 毎年のように上がり続ける国民健康保険料、保険税が、区部でも市町村でも都民の重い負担になっています。区部では、特別区長会が来年度の国保料の値上げを合意しました。赤ちゃんから高齢者まで、家族一人一人にかかる均等割が千二百円上がります。二〇一一年度から行われた値上げを抑えるための経過措置も廃止されます。新たな減額措置が行われますが、対象者も金額も大幅に縮小されます。
 今回の値上げで、夫婦二人で夫の年収が二百万円の世帯の保険料は約十五万七千円になってしまい、三年前と比べて七二%もの値上げになるという深刻な事態です。市町村でも今年度、二十一市町村で値上げが行われ、来年度もさらなる値上げが懸念されています。
 そもそも区市町村国保の加入者は、三分の一以上が若者など非正規労働者です。そのほか年金生活の高齢者や中小零細の自営業者です。保険料が高過ぎて払えない滞納世帯が、東京では加入世帯の二三%に及びます。滞納により保険証を取り上げられて資格証になった方が二万六千世帯を超え、医療機関の窓口で全額支払わなければならないため、ぐあいが悪くても受診せずに、手おくれとなって命を落とす事態も各地で相次いでいます。
 知事は、国民健康保険をめぐるこうした深刻な事態をどう認識していますか。国に対し、削減してきた国保への国の負担の復元と拡充を厳しく求めるとともに、区市町村が国保料、国保税を値下げできるよう、都独自の補助の実施を決断すべきですが、いかがですか。
 急速に進む高齢化への本格的対応は、都が取り組むべき緊急課題です。知事は、施政方針で高齢者のケアつき住宅に言及しました。私たちは十二年前に、兵庫県尼崎市を初めとしたグループハウスなどの調査に基づき、新しいケアつき住宅を東京から発信するよう提案しました。ようやく東京都がケアつき住宅の整備に踏み出したことは重要であり、大いに改善、拡充していただきたいと思っています。
 例えば、ケアつき住宅の中心であるサービスつき高齢者向け住宅の家賃は、都内では平均で十万円を超え、食費や介護、医療サービスの負担も加わるため、厚生年金受給者でも入居は厳しい状況です。所得に応じた家賃補助制度もありますが、区市町村の財政負担が伴うことなどにより、都内で実施している自治体は少数です。低所得者も入居できるよう、また、介護、医療、見守りなどの多様なサービスを利用して安心して住み続けられるよう、さらなる拡充を進めることが求められていますが、いかがですか。
 低収入で介護を必要とする方の行き場がなく、施設を転々とせざるを得ない老人漂流社会ともいわれる深刻な状況が生まれています。高齢者人口当たりの特別養護老人ホームの整備率が全都道府県中四十一位、認知症高齢者グループホームは四十七位など、介護施設の整備が圧倒的におくれていることが、こうした深刻な事態を生み出しています。知事は、この老人漂流社会といわれる現状と、立ちおくれている介護施設整備の現状をどう認識していますか。
 とりわけ、都内で四万三千人に及ぶ特別養護老人ホームの待機者解消は急務です。何年も待ち続けて亡くなる方がたくさんいます。ところが、現行の高齢者保健福祉計画による特養ホーム整備の目標数は、二〇一四年度までの四年間で八千人分ふやすだけであり、少な過ぎます。私は、アクションプログラムに位置づけて、整備目標を抜本的に引き上げ、緊急に大増設を図るべきと思いますが、いかがですか。
 保育園に入れない待機児問題は深刻です。女性が子どもを産んでも安心して働き続けられるように、保育園を整備することは少子化対策にとって重要な課題の一つです。
 十八日には、小雨が降る中、杉並区役所前に認可保育園に申し込んだのに入れなかった子どもの保護者が大勢集まり、新聞やテレビでも報道されました。保育士などの職員数、施設の広さ、園庭などの環境が整っている認可保育園への入園を強く訴えているのです。
 ゼロ歳児を連れた母親は、両親ともにフルタイムで共働きなので、四月からの入園に合わせて職場復帰を考えていたといいます。それが、希望者多数のため内定できませんでしたの通知が来て、目の前が真っ暗になったそうです。
 我が党の調査によれば、現時点までに明らかになった都内十八区二十四市六町村で、来年度、認可保育園に入りたいと申し込みながら入れない子どもは、約二万二千人にも上ります。深刻なのは杉並だけではないのです。
 知事は、この問題について記者会見で、保護者がなぜ認可保育園を希望するのかに思いをはせることなく、厚労省の認可保育園重視に問題があるとする認識を示しました。しかし、保護者がよりよい環境の認可保育園を求めるのは当然のことです。
 厚生労働省は、認可保育園を極力つくらずに済ませようと、認証保育所などを利用できた場合には待機児から外すという定義の変更をしました。
 知事は、厚労省が変更した新定義に沿って、待機児は少ないといっているのです。厚労省を批判するなら、認可保育園への待機児がふえているにもかかわらず、少子化だから認可保育園は極力つくらないという立場をとってきたことこそ、厳しく批判すべきではありませんか。
 認可保育園に入れない待機児がふえているもとで、認証保育所や小規模保育所の補完的役割を否定するものではありません。しかし、これらの保育所の基準は認可より低い上、規模も小さいのです。我が党は一貫して認可保育園整備を求めてきましたが、この数年、国の安心こども基金などもあり、東京でも整備が進み始めました。この三年間で一万七千五百人分つくったのですから、やる気になれば、認可保育園も大幅に増設できるのです。
 都は、この方向こそさらに推進し、国有地や都有地なども活用し、区市町村とも協力して、都民が強く求める認可保育園の大幅増設をスピード感を持って進めることを求めるものですが、いかがですか、
 次に、雇用対策について伺います。
 我が党は、昨年から都内の若者・子育て世代実態調査を行っています。一番多かったのは、給料が安いという声でした。少ない月は五万円以下の給料だった、以前と同じ業務内容なのに年収百五十万円以上手取りが減った、これまで残業代で稼いでいたが、営業不振で残業代がなくなってしまい、これでは暮らせないなど、雇用環境にかかわる深刻な声が多く寄せられました。
 東京の労働者の現金給与総額は、この十数年間で年八十五万円も減少し、若年労働者の二人に一人は非正規雇用、その八割が年収二百万円にも満たないのです。三十代、四十代になっても不安定雇用から抜け出せず、年金など社会保険料が払えない労働者がふえれば、日本の社会保障制度は土台から崩れます。
 知事、こうした声、そして深刻な実態をどうとらえ、都としてどう対応するのですか。私は、働く者の雇用を安定させ、賃金をふやし、東京の明るい未来、経済の活性化を目指す提案を行います。
 第一に、雇用の確保、就労支援です。
 安心して働ける雇用環境、正規雇用への就労支援の拡充が求められるときに、知事が基本的に継承していくという石原前都政は、労政事務所の縮小、都立職業訓練校の縮小と授業料の有料化など、労働行政を後退させてきました。
 猪瀬知事による来年度の雇用就業対策も、学校を卒業しても就職できない人の就職支援や、非正規の若者の正規雇用化支援などの事業費の削減を初め、今年度比八十五億円の減額です。今年度最終補正予算を含めても十億円の減額です。知事、雇用対策を抜本的に拡充すべきです。
 そして、職業訓練校の施設内訓練の定員を大幅にふやし、有料化した授業料を無料に戻し、都の職業訓練機能を大幅に拡充すること、求人の掘り起こしと面接支援など、ハローワークと連携して、一体で若者の就労支援を進めることを提案するものですが、いかがですか、
 また、都として、教員や消防士、救急隊員の採用、環境、福祉、介護分野の職員などの増員を実施することを求めるものです。お答えください。
 第二に、賃金引き上げに取り組むことです。
 我が党の国会質問を受け、安倍首相が経団連など財界三団体トップに賃金引き上げを要請しました。大企業の本社が集中する首都の知事として、どのように受けとめますか。大企業がため込んでいる二百六十兆円もの内部留保の一%程度を活用すれば、多くの大企業で賃上げができます。東京都も知事を先頭に、財界、大企業に対し、賃金の引き上げと中小企業の賃上げのため、下請代金引き上げを初めとする公正な取引実現を申し入れるよう求めます。
 最低賃金時給千円以上への引き上げは労働団体の一致した要求となり、国の中央最低賃金審議会も目標として掲げています。都としても、最低賃金時給千円以上という明確な目標を持ち、実現のために力を尽くすことが重要です。知事の所見を伺います。
 そのために、中小企業に対しては助成が必要です。最低賃金を引き上げるために、フランスでは三年間で二兆二千八百億円もの支援を行い、アメリカでも五年間で八千八百億円の減税を行っています。ところが、日本は年間約五十億円にすぎません。国に抜本的な増額を求めるとともに、都としても中小企業への助成や支援を行い、最低賃金引き上げに取り組むことを求めますが、いかがですか。
 第三に、公共サービスや公共事業でのワーキングプアをなくすことです。
 地方自治体が契約する公共工事や委託事業に従事する労働者の賃金がその地域の標準的な賃金水準を下回らないように条例で規制し、労働者の生活できる賃金を保障する仕組みである公契約条例制定の取り組みが広がっています。東京でも多摩市、渋谷区、国分寺市で制定されています。
 経団連などの代表も加わった政府の雇用戦略対話ワーキンググループも、官公庁の公契約において最低賃金の引き上げを考慮すべきとしているのです。都としても公契約条例を検討することが重要だと思いますが、いかがですか。
 次に、中小企業対策についてです。
 石原前知事のもとで、中小企業問題などに専門能力を持った職員が相談に乗ったり、区市町村の産業政策づくりも支援していた商工指導所を廃止するなど、中小企業対策を大後退させ、一九九八年には六・二%の構成比を占めた商工費は、二〇〇六年には三・三%、全国平均の半分にまで下がりました。
 ここ数年、中小企業予算は回復してきましたが、まだまだ不十分です。
 東京の中小企業は、事業所数、従業者数、出荷額も売上高も大幅に減少しています。都道府県の商工費は全国平均で普通会計の八・九%ですが、東京は五・六%にすぎません。猪瀬知事が施政方針で掲げた中小企業施策も、デフレ不況の続く中、事業所数で九割、従業者数で六割を占める中小業者の要求にこたえるには極めて不十分であり、抜本的な拡充が必要です。
 預託原資などを除いた中小企業対策予算は二百四十億ですが、これを倍増して仮に商工費に当てはめると、その割合は約六%です。まず第一歩として、中小企業対策予算を倍増し、中小企業の活性化に全庁を挙げて取り組むべきだと思いますが、知事、いかがですか。
 中小企業金融円滑化法が三月末で打ち切られようとしていることは重大です。経営環境が厳しい中小企業の資金繰りだけでなく、住宅ローン利用者の支援としても喜ばれてきた制度です。助かったという業者が多くいますが、景気回復がないまま打ち切りが行われれば、倒産、廃業が続出し、地域経済にも大打撃を与えます。中小企業、国民にとって命綱ともいえる仕組みを断ち切ることは許されません。
 私は第一に、円滑化法の再々延長を国に申し入れることが必要だと考えます。
 第二に、経営や技術の専門家を配置した相談窓口を充実すること。
 第三に、仕事がなくてやっていけないわけですから、都として中小企業への官公需の発注を大幅にふやすとともに、仕事をあっせんすること。
 第四に、今政府が検討している支援機構は、企業の清算を進めるものになることが心配されています。きめ細やかな対策による企業の再生支援を強化することが重要です。見解を伺います。
 存亡の危機に瀕しているまち工場とその技術を守るために、経営が成り立つまでの支援策として、借り工場の家賃や機械、設備のリース代などへの直接補助を実施することを求めるものです。お答えください。
 コンピューター技術の発展を中小企業の製品化に役立てることが重要です。超高性能なスーパーコンピューター、スパコンは、これまで何年もかかっていた開発期間を大幅に短縮して製品を完成させることができるなど、二十一世紀の産業革命とまでいわれています。
 私は、スパコンがある東京工業大学で話を聞きました。活用はまだ大企業が中心ですが、設計開発期間の短縮ができた、開発コストが大幅に削減できたとの評価が出ており、ものづくりの幾つかの業種が集まって最終製品をつくる場合などの活用が期待されています。
 都は、大学などの持つスパコンを中小企業が活用できるよう、大学などの研究機関と連携して、ソフト開発など技術的支援や人材の育成、普及啓発を推進し、スパコンを活用した中小企業の製品開発を支援するなど、コンピューター技術の発展を中小企業振興に役立てることを求めるものです。見解を伺います。
 次に、買い物弱者と商業支援です。
 大型店の進出や撤退が野放しになり、消費の冷え込みなどで商店街が衰退し、その役割を果たせなくなっている地域がふえています。同時に、そのことなどによる買い物弱者が東京で五十一万人に及ぶことが社会問題になっています。知事は東京の商店街及び買い物弱者の現状をどう認識し、対応するのですか。
 我が党は、商店街を日常生活に欠かせない機能を持った地域の公共財産と位置づけ、この公共財産の再生こそ、買い物弱者を解消していく道と一体であると主張してきました。東京都が買い物弱者支援モデル事業を始めたことは重要であり、補助の期間を延長するとともに、補助対象地区及び対象事業の拡大、地元自治体や商店街を初め、事業者の負担軽減などの拡充を求めておくものです。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 現在、東京には、福島の原発からも、柏崎刈羽原発からも電力は来ていません。昨年の猛暑も、日本は原発なしで乗り切れました。知事は就任以来、東京は既に脱原発状態という発言をされています。そして、廃炉に向けた工程表が必要だとも述べています。
 その一方で、柏崎刈羽原発の再稼働については、国が決めることだと述べています。知事は、東京におけるエネルギー戦略として、石原知事と同じように原発は必要だという立場をとるのでしょうか。それとも原発ゼロの立場をとるのですか。明確な答弁を求めます。
 知事がいうように、東京湾岸にある老朽化した火力発電をより高効率な環境負荷の少ないものに置きかえることや、東京電力を初め、九電力会社の地域独占体制の改革を進めることは重要なことです。
 しかし、最も重要な再生可能エネルギー対策は立ちおくれたままです。都は再生可能エネルギー戦略で、二〇二〇年までに東京のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%にすると目標を掲げてきましたが、現状は〇・七%であり、都内での水力発電を含めても二・九%にすぎません。あと七年でどう達成させるのですか。
 この不況のときに百万円以上の負担をしてソーラーパネルを設置する意欲を高めるためには、初期投資負担の軽減が必要です。飯田市で実施しているような初期投資ゼロの仕組みをつくることが必要ではありませんか。都は、金融機関と連携して低金利制度を検討するというなら、他の自治体がしているようにゼロ金利に近い制度にすべきです。見解を求めます。
 エネルギーの最大消費地であるこの東京で、当面その二割を代替エネルギーに転化することができれば、原発ゼロ、安全で、クリーンエネルギー都市東京を切り開けます。何としても実現を図ることを強く求めておくものです。
 次に、震災対策への取り組みです。
 石原前知事は、防災対策について、都による予防対策重視から自己責任第一に変質させました。堤防など都市インフラの耐震化はおくれ、木造住宅密集地域の安全化も進んでいません。猪瀬知事は、石原前知事の自己責任第一という原則を継承するのですか。
 そもそも災害対策基本法は、住民の生命、身体及び財産を守ることを都道府県の責務として定めています。知事はこの責務をどう認識していますか。この立場に立って、被害軽減のための予防対策を重視し、住宅を含む都市インフラなどの耐震化に万全を尽くすことが重要だと考えますが、知事、いかがですか。
 巨大地震から都民の生命、財産を守るために都が今行うべきは、都市インフラなどとともに住宅の耐震化を強力に促進することです。都の地域防災計画でも、建物の耐震化で六割の命を救うことを掲げています。
 ところが、都の木造住宅耐震改修助成制度は、木造住宅密集地域の中で指定された整備地域内で、かつ一定の道路に面していないと受けられず、多摩地域では全く利用できません。他の府県では対象地域を限定せず、どの地域でも助成を受けることが保障されており、地域限定は東京都だけです。
 防災会議地震部会の副部会長を務めた中林一樹氏は著書の中で、住宅が壊れてからの支援より、壊れる前の補強への支援こそ大切であり、耐震補強の促進は、高齢化が進展する二十一世紀の最も基本的な災害を減らす課題だと重要性を強調し、避難所や仮設住宅の負担が軽減され、費用のむだ遣いにならないと発言しています。こうした指摘をどう受けとめますか。
 都民の生命、財産を守ろうとするなら、地域を限定せず住宅耐震改修助成を行うとともに、助成額を大幅にふやすことが必要です。お答えください。
 知事は専ら、幹線道路整備と再開発中心の不燃化特区による木造住宅密集地域対策を強調しています。しかし、墨田区では、従来のこうした施策を再検証し、主要生活道路の整備と地域内の耐震化、不燃化を促進すること、高い費用がかかる耐火建築への建てかえ中心ではなく、一律百万円の助成で住宅の部分不燃化を図る制度を昨年来からスタートさせ、注目を集めています。
 この制度づくりに参加した専門家は、負担を抑えることで住民の利用を促すとともに、効果の面でも、延焼を大幅におくらせるとともに、耐震性の強化や断熱効果もあり、一石三鳥の効果があると強調しています。こうした取り組みをどう認識していますか。都としても普及のための手だてをとることが重要だと考えますが、どうですか。
 防災対策の上で、地域に根差した消防団の役割は重要です。そのためにも、区部、市町村とも、団員の処遇向上や装備の充実強化を図ることが求められていますが、どう対応するのですか。お答えください。
 次に、社会資本整備と財政運営のあり方についてです。
 今、認可保育園や特養ホームなど、暮らしと福祉のための緊急整備とともに、東日本大震災や笹子トンネルの事故の教訓からも、社会資本の耐震強化と維持更新対策を抜本的に強化することが求められています。
 建設局は、水門、堤防の緊急点検を実施した結果、施設の耐震化、耐水化強化のために十年間で千八百億円規模の計画を進めることになりましたが、都市インフラの耐震強化のために莫大な財政投入が必要なことは明らかです。道路、橋梁なども含め、耐震強化のために今後必要となる事業費はどの程度と推計していますか。
 今後の維持更新のために必要な財政負担も明確にする必要があります。国の社会資本整備審議会の小委員会も、インフラの健全性診断の総点検を行い、国民への公表を提案していますが、都としても、管理する社会資本の緊急総点検を行い、その結果と維持更新計画、そのために今後どれだけの財政投入が必要かを明らかにすべきです。
 新潟県や広島県では、県単独事業については、維持補修と新規建設を区別して予算額を示していますが、既に維持補修が新規建設を大幅に上回っています。ところが、これまでの都の投資的経費は幹線道路の建設など新規事業重視で、耐震強化、維持更新は極めて不十分でした。都の来年度予算ではどうなっていますか。道路、橋梁事業について、維持補修事業費と新規整備事業費別に、国庫補助事業と単独事業費を明らかにしてください。
 知事、今こそ道路、橋梁などの都市基盤整備について新規、とりわけ大規模事業は最大限抑制し、耐震強化、維持更新重視に転換することが求められていると考えますが、いかがですか。
 とりわけ重大なことは、猪瀬知事が外環道について、関越─東名高速間については二〇二〇年早期に完成させること、東名以南についても具体的な検討を進めると述べたことです。
 これを進めるには、それこそ莫大なお金がかかります。外環本線の総事業費は、関越─東名高速間十六キロで一兆二千八百二十億円、東名以南は二十キロで、合わせれば総事業費は三兆円にも膨れ上がると思われます。今、今後三兆円もかかる事業を進める余裕はないではありませんか。
 外環道に投入する財源が国や都にあるというなら、その財源を福祉や防災対策に振り向ければ、相当なことができます。
 例えば、三万人分の認可保育園を整備するのに必要な事業費は七百八十億円で、東名以北の外環道の国と都の負担分の七・五%でできます。特養ホームなら、二万人分の整備に必要な事業費は二千六百億円で、同じく外環負担分の二五%で整備できます。維持更新や耐震改修でも、河川や港湾の護岸や水門、下水道施設の耐震、耐水対策の総事業費は三千八百億円であり、三七%で可能です。いかがですか。
 しかも、都には、八千七百億円を超える活用可能な基金もあります。基金の適切な活用を図れば、暮らしや福祉、雇用、中小企業対策などの充実は十分可能です。見解を伺います。
 最後に、知事の憲法に対する基本姿勢について伺います。
 石原前知事は、私はあの憲法を認めません、憲法違反で結構とまでいって、知事としての憲法尊重擁護義務を否定しました。この石原前知事の立場が、思想、信条の自由などの面で都政に否定的影響を与えたことは否めません。
 猪瀬知事は、こうした石原前知事の憲法に対する立場を継承した都政を進めるのでしょうか。明確な答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 清水ひで子議員の代表質問にお答えします。
 消費税の増税についてでありますが、我が国においては高齢化が急速に進み、今後、医療や介護などの社会保障に要する費用が増大していく中で、持続可能な社会保障制度の構築を図ることが喫緊の課題となって、そういう共通認識はあると思います。
 消費税、地方消費税も広く消費に負担を求め、世代間の公平が確保できるとされており、税率の引き上げにより社会保障財源の拡充を図ることは不可避であります。
 なお、消費税の引き上げに当たっては、軽減税率の導入が検討されているほか、現在、政府において、デフレ脱却や経済活性化に向けた総合的な施策が講じられているところであり、ご指摘は当たらないというふうに思います。
 高齢者施策見直しの都民への影響、都の責務についてということでありますが、今回、福祉と保健の分野が予算で初めて一兆円を超えました。まずはそういう事実を重く受けとめるところから始めていただきたい。
 お話にあった、今から十二年前の福祉施策の見直しも、当時の社会経済状況の変化や介護保険導入等の国の施策の充実等を踏まえ、経済給付的事業を見直す一方、在宅サービスを中心に福祉サービスの充実を図るため、都議会においてご議論いただいた上で行ったものであり、都民の理解は十分得られていると認識しています。
 また、老人福祉費にかかわる過去の決算額の比較についての話もあったが、この間、介護保険の導入や三位一体改革などにより、比較の問題となる制度が大きく変わっているということです。
 こういった点を考慮することなく、みずからの主張に都合のよい数字のみ取り上げて、政策の内容や効果ではなく、単純に高齢者一人当たりの老人福祉費の額について議論を繰り返すのは、余り意味がないというふうに思います。
 国民年金の平均受給額の話もありましたが、平成二十四年の高齢社会白書によると、高齢者世帯の一世帯当たり平均所得額は三百七万九千円、世帯主が六十五歳以上の世帯の平均貯蓄額は二千二百五十七万円となっているなど、高齢者の生活実態はさまざまであります。
 所得格差の是正や所得保障は、経済政策や社会政策の課題でありまして、社会経済状況が変化する中で持続可能な制度となるよう、負担と給付のバランスを考えながら、基本的に国の責任で対応すべきものであります。
 その上で、東京都が果たすべき役割は、この東京の未来を見据えて、自助、共助、公助の取り組みを適切に組み合わせながら、都民ニーズにこたえる福祉サービスの基盤整備に全力を挙げることであります。
 こうした考えのもと、平成二十五年度予算においては、高齢者のためのケアつき住まいの整備、認知症の早期発見、診断、治療のための新たなシステムの構築など、費用対効果の高い新しい施策を盛り込みながら、繰り返しますが、過去最高の一兆円を超える財源を福祉と保健の分野に充てることになった点を、よくご理解いただければというふうに思います。
 保育サービスの整備についてでありますが、保育の実施主体である区市町村が、地域の実情に応じて認可保育所や認証保育所、保育ママなどの施策を組み合わせながら、保育ニーズにこたえるような保育サービスの整備を積極的に支援してきたということです。
 この結果、この二年間で保育サービス利用児童数は約二万人増加し、待機児童数は二年連続で減少しています。
 認証保育所の施設基準は認可保育所と同等であり、すべての施設でゼロ歳児保育や十三時間開所を実施するなど、大都市特有の保育ニーズを踏まえたサービスを提供しています。
 一方、認可保育所におけるゼロ歳児保育の実施率は八割を下回り、二時間以上の延長保育実施率は二割に満たない。
 平成十三年の制度創設以来、認証保育所は、今や六百六十六カ所、定員は二万人を超えるなど、多くの都民の支持を得ています。
 先日の記者会見で厚労省を批判したのは、こうした実績を無視して、いまだに認証保育所を保育サービスとして認めない、かたくなな姿勢に対して批判したんです。
 今後とも、厚生労働省に認証保育所制度を認めるよう強く求めていきます。
 雇用問題についてでありますが、非正規労働者の増加と低賃金の問題は、経済のグローバル化の進展や長引く景気低迷がもたらしたものであります。
 東京都は、国に先駆けて、平成二十年度から生活費の支給と職業訓練を組み合わせた事業を東京モデルとして実施し、これが平成二十三年十月に創設された国の求職者支援制度につながったわけです。そういう事実を知っていただければありがたいと思います。
 昨年八月以降、改正労働契約法が順次施行され、企業における正規雇用へのルール化が図られるとともに、社内で非正規労働者であることを理由とした不均衡な処遇が禁止されました。非正規労働者の問題については、まずは厚労省がこれらの制度を運用することによって対処すべき問題だというふうに思います。
 東京都は、平成十六年度に東京しごとセンターを開設し、一人一人の状況に応じたきめ細かな就職支援を実施するとともに、正規雇用を望みながら、やむなく非正規で雇用された方々に対して、職業訓練の拡充や就職支援の強化など、安定的な雇用に向けた切れ目のない、さまざまな対策を講じてきています。
 最低賃金についてでありますが、都内の最低賃金は、毎年、最低賃金法に基づき、公益、労働者、使用者の三者の代表によって構成される東京地方最低賃金審議会での審議を経て──これは厚生労働省の東京労働局で決めるんです。したがって、その中身の決定に当たっては、都内の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮することとされているんですが、そういう最低賃金の決定に当たっては、東京都が関与できない仕組みとなっていて、ここは地方分権になっていないんです。
 したがって、厚労省の東京労働局だけじゃない、全国に労働局というのを持っていて、この出先機関を行政改革の対象として考えるならば、そして、東京都がそういう権限を与えられるならば、あなたと共闘してもいいんです。
 以上です。
 さて、中小企業の活性化についてでありますが、商工費が、全国は八・九%で東京は五・六%、比べると低いと。これは予算額の歳出総額に占める割合について、消防など大都市事務や都区財政調整制度を有している東京都と、財政構造の異なる他県との単純な比較をもって評価することは適切じゃないんです。
 来年度予算においても、中小企業対策について、海外展開の後押しや知的財産の保護、活用など、新規事業を含め必要な支援策を実施することとして、今回予算を組みました。
 原発についてでありますが、現在、既に東電管内は脱原発状態になっているんです。今後の原発のあり方については、まず、原子力規制委員会が新たに策定する安全基準に対して、電力会社が安全体制を確立し、その対策を踏まえ国が責任を持って判断する必要があります。
 これに加え、原発のごみの最終処分をどうするかという、そういう課題もあります。実際に、北海道の宗谷岬の近くの幌延に行ってきましたけれども、三百五十メートルもある立て坑があって、その一番下までおりてみました。二百万年前の岩盤をそこで使えるかどうか調査しているわけですが、数千年、数万年という長さで放射性廃棄物を安全に保管できるかどうか、それを日本だけじゃなくて各国がみんな研究しています。
 また、福島の廃炉プロジェクトを策定する必要があります。原子力技術を残さなければ、廃炉にできないというパラドックスを抱えているのだと、これが大事なところです。世界に約四百五十もの原発があって、いずれも寿命が来ます。日本は、高線量の現場で働くロボット技術の開発を含めて、世界一の廃炉技術をつくって世界に還元していく、やはりそういう姿勢がなければ、福島の廃炉はできません。原発の問題は感情論ではなくて、現場の実態を知り、国家戦略として決めていかなければいけない。
 これまで都民生活や都市の活力を維持できるよう、電力安定供給に向けて東電改革や老朽火力発電所のリプレースの推進などに取り組んできました。このような、まずは具体的に独自のリアルな取り組みこそが極めて重要であります。
 震災対策についてでありますが、石原前知事は、過去の大震災で住民相互の助け合いが有効に機能したという教訓を踏まえて、いざというときは、まず、みずからの身を守り、身近な者同士で助け合うことが大切であるということを都民に強く訴えて、そして、防災隣組などの自助、共助の取り組みを後押ししていたわけですが、同時に、三環状道路ネットワークの整備など、公助の取り組みも推進してきており、行政の責任として、防災対策全般の充実強化を図ったものと認識しています。
 都民の安全を確保するため、過去の教訓を生かし、自助、共助、公助を束ねて、直面するリスクを軽減する対策を講じることが首都を預かる知事の責務でありまして、石原前知事の取り組みを踏まえて、それを発展させ、深めていくつもりです。
 それは例えば、木密地域における不燃化特区を十二地区から五十地区へ、十二から五十へふやして、そして、水門、堤防の耐震、耐水対策などを既に打ち出したが、公助の取り組みを着実に進めていって、さらに帰宅困難者対策、民間にも義務を果たして、そして、民間企業も備蓄をちゃんとやってもらうと。木密地域の住民による初期消火活動の強化など、自助、共助の取り組みも進めて、行政、企業、住民の総力を結集して、東京の防災力を向上させるというのが今回の予算で、きちんと明記したことであります。
 次に、外環についてでありますが、ご質問のところで、総事業費が三兆円だというふうないい方がありましたが、お話の総事業費三兆円については、今はっきりしているのは一兆二千八百二十億円のみでありまして、三兆円というのは架空の話ということになります。
 外環は、まず、首都直下型地震などにおいては、東西の交通の分断を防いで、救援、復旧活動を支える重要な社会インフラとなることは確実であります。そして、関越道と東名高速間を二〇二〇年に確実に開通させることが、東京オリンピック・パラリンピックにも必要なことであります。
 東名高速の出口から練馬の関越の入り口まで、僕は自分で運転して一時間半かかったりしている。物すごい排気ガスが、それだけ環八の間に大変な量で出ているわけです。それを東名の砧のところから練馬までつなげば十五分。大気汚染の問題を考えただけでも、これは重要なインフラだというふうに考えていただきたい、こういうふうに思います。
 最後に、憲法についてでありますが、戦後六十年以上にわたって運用されてきた日本国憲法のもとで、平和で安定した国がつくられてきたことも事実だと思います。
 しかし、例えば、憲法九条の問題でいえば、戦争というものを想定外にしてきた。ということは、冷戦後の状況を考えると、これはやはりおかしいのではないかという考え方が出てきて当然であります。
 三島由紀夫が死ぬ少し前に、戦後民主主義とそこから生じる偽善、こういういい方をしました。また、旧制中学一年のときに敗戦を迎えた石原前知事は、まさに戦後体制の虚偽と、そういうやっぱり思春期に敏感に感じたことだと思います。日本国憲法に対する石原知事の発言は、石原さんの一流のレトリックだというところがあります。
 現実に合わないことに対して、ごく普通の感覚で憲法をとらえ、必要な改正を含めて国民全体で議論して決めていく、みんなで議論して決めていくのは当たり前のことじゃないですか。
 最後に申し上げますが、石原前知事が憲法の成立過程について、石原前知事なりのお考えを述べたことは承知しておりますが、しかし、思想、信条の自由という基本的人権を否定した事実は一度もないと、そういうふうに認識しています。
 以上です。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、道路、橋梁の維持、それから耐震化についての全体の費用は幾らかかるかのお話でございますが、橋梁の耐震化は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、緊急輸送道路などの橋梁四百一橋を対象にして進めております。今年度末までに約八割を、平成二十七年度末までにはすべてを完了させる予定でございます。
 耐震の事業費につきましても、毎年度、工事実施前に詳細な設計などを行い、試算しており、来年度予算は約四十億円を計上しております。
 それから、道路橋梁費の維持管理のための概算事業費についてでございますが、東京の発展を支えてきた重要な骨格幹線道路も維持管理、毎年のように日常的にやっておりますし、日々これを十全に機能を発揮させるためには、将来に向かって必要な都市基盤を支えていくことが東京の活力、発展を支え、日本を牽引していくことにとって重要だというふうに認識しております。
 事業費につきましては、毎年度、工事実施前に詳細な設計などを行い、算出しておりまして、個別の全体事業費というのは設定しておりません。
 次に、社会資本の維持更新についてでございますが、骨格幹線道路を初めとする東京のインフラ、これは都市の安全・安心を確保するとともに、都民生活や都市活動を支える重要なストックで、東京の発展を支えるものでございます。
 したがいまして、インフラの機能を十全に発揮するためには、日々の維持管理を行いながら、さらに基盤整備を促進していくことが重要だというふうに認識しております。
 それから、ちょっと細かいのですが、都の来年度予算における道路橋梁事業費の維持補修費と整備費について、国費と単独費に分けてお答えせよというご質問でございますので、維持補修費は九百二十六億円、整備費は二千四百二十四億円でございます。
 このうち、維持補修費では国庫補助事業が百二十五億円、単独事業費が八百一億円、整備費では、国庫補助事業費が千二億円、単独事業費が千四百二十二億円でございます。
 都の現在の都市計画道路の整備率だとか平均旅行速度を考えると、これからもなお一層、都市基盤整備を推進することが極めて重要だと考えております。それと並行しつつ、日々の維持管理をやっていくということだと考えております。
 最後に、今後の都市基盤整備についてでございますが、幹線道路を初めとするインフラは、都市活動を支え、日本を牽引していくために極めて重要だと認識しております。
 今後とも、既存インフラにつきましては、維持管理を行って守っていく、さらに、日本を牽引していくインフラも十全に整備していくことが重要だと認識しております。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、国民健康保険制度についてでありますが、国民健康保険制度の保険者は区市町村であり、保険料、保険税の賦課方式や料率は、それぞれの自治体の議会で審議され、決定されるものであります。
 現在の国民健康保険制度には、医療費が高く所得の低い高齢者や、失業者などの低所得者の占める割合が高く、保険料の確保が困難であるなど、構造的な問題があることは認識しておりますが、こうした課題には、国民皆保険制度を守るという観点から、制度設計者である国が責任を持って抜本的な解決策を講じることが必要であります。
 そのため、都は既に、国に対し、国民健康保険制度の見直しに当たっては、将来にわたり安定的で持続可能な制度になるよう、構造的な課題の解決、必要な財源の確保等について提案要求をしております。
 次に、保険料負担軽減のための補助等についてでありますが、都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき、各保険者に対する財政支援を既に行っております。
 都として、新たな支援を行うことや、国に対して国庫負担をふやすよう求めることは考えておりません。
 次に、介護サービス基盤の整備等についてでありますが、高齢者が要介護状態になっても、安心して住みなれた地域で暮らし続けることができる社会を実現するためには、施設サービスだけではなく、日常生活の場で、在宅サービスやケアつき住まいなどのサービス基盤をバランスよく整備することが必要であります。
 そのため、都は、介護保険の保険者である区市町村が、地域の介護ニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づき、高齢者保健福祉計画を定め、計画的に介護サービス基盤の整備を進めるとともに、医療、福祉の連携による在宅療養の推進、認知症対策の推進等、さまざまな取り組みを進めているところでございます。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてでありますが、都が第五期の高齢者保健福祉計画で定めた特別養護老人ホームの必要入所定員総数は、介護保険の保険者である区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づいたものであります。
 都は、高齢者人口に比べて整備状況が十分でない地域における補助額を最高で一・五倍に加算するほか、都有地の減額貸付や定期借地権の一時金に対する補助への加算など、独自の多様な手法を講じ、平成二十六年度末までに四万五千人余のサービス量を確保してまいります。
 最後に、保育サービスの充実に向けた取り組みについてでありますが、保育サービスは、保育の実施主体である区市町村が、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものであります。
 都は、待機児童の解消に向け、区市町村や事業者の負担を軽減する都独自の支援策や、未利用都有地の保育所用地の貸し付け、定期借地権利用に対する支援などを実施し、平成二十一年度から二十三年度の三カ年で、認可保育所一万七千五百十四人分を含め、保育サービス全体で約二万七千人分を整備いたしました。
 また、今年度から、三年間で二万四千人分の保育サービスの確保を目指し、整備を進めてまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ケアつき住まいについてでございますが、都は、中堅所得者層が適切な負担で入居できるケアつき住まいの整備を進めております。高齢者が可能な限り自立して暮らせる住宅への需要が高まっていることを踏まえ、今回、整備目標を一万戸に引き上げ、来年度から補助制度を拡充いたします。
 具体的には、国、都及び区市町村の三者の補助事業について、都の補助率をふやすとともに、区市町村の負担がない場合でも、都費を充当して事業を行うことができるよう制度を充実いたします。
 また、医療、介護サービスの事業所と連携する場合は、現行の国の直接補助に、区市町村の同意を得た上で、都が国と同額を加算するよう制度の拡充を図るなどして、ケアつき住まいの供給を進めてまいります。
 次に、住宅の耐震改修助成についてでございますが、都は、地震発生時の住宅の倒壊による道路閉塞や大規模な市街地火災を防止することを目的に、防災都市づくり推進計画に定める整備地域を対象に、区と連携して助成を行っております。
 都としては、木造住宅密集地域整備事業などとあわせて、引き続き整備地域に的を絞り、重点的に木造住宅の耐震改修助成を行ってまいります。
 最後に、住宅の不燃化についてでございますが、都はこれまでも、延焼を防止するという公共性の観点から、延焼遮断帯となる道路の沿道建築物の不燃化建てかえや老朽建築物の共同建てかえ等に対し、費用の一部を助成してまいりました。
 不燃化特区制度では、住民の建てかえ意欲が高まるような環境づくりや地域整備の仕組みづくりなど二十項目から成る支援策等により、区の不燃領域率を高める取り組みを後押しすることとしております。
 今後とも、こうした必要な支援を行ってまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、雇用対策についてでございます。
 新年度予算案では、雇用創出に関する基金事業における国の交付金の減などがございますが、都といたしましては、現在の雇用情勢に対応する施策を行うため、必要な予算額を計上しております。
 若者を対象とする事業につきましては、研修と企業での派遣就労を組み合わせました、これまでの就業支援策を再構築し、規模を拡大するなど、雇用就業対策をさらに充実させております。
 次に、職業訓練についてでございます。
 都は、厳しい雇用情勢にかんがみ、民間委託も活用しながら、職業訓練の規模を、リーマンショックのあった平成二十年度以降、八千六百人程度拡大し、おおよそ倍増させるとともに、求人開拓や合同面接会など、その機能の充実を図っております。
 なお、授業料につきましては、生活困窮者等に配慮した上で、受益者負担の観点から、一年以上の職業訓練について有料化したものでございます。
 次に、安倍首相の経済団体への要請についてでございます。
 首相が主要経済団体に対し、報酬の引き上げなどを要請されたことは承知しておりますが、これは、国のデフレ脱却に向けた取り組みの一環として行われたものと理解しています。
 次に、経済界、大企業に対する賃金引き上げ等の申し入れについてでございます。
 賃金の引き上げは、各企業の経営判断に基づき自主的に決定されるべきものであると考えます。
 なお、下請取引の適正化については、都はこれまでも、下請法等の講習会や相談員の企業巡回等により対応を行っております。
 次に、最低賃金の引き上げのための支援についてでございますが、東京都内の最低賃金は、法に基づく手続により、国において、労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を勘案して決められることとなっております。
 都としては、この制度が適正に運用されるべきものと考えております。
 次に、金融円滑化法終了に関する国への申し入れ等についてでございます。
 国は、三月末の法の終了に向け、経営改善等のための対策を実施するとしています。都といたしましても、必要な支援を行うこととしており、法の再々延長を申し入れる考えはございません。
 相談窓口については、既に特別相談窓口を設置して、適切に対応しております。
 また、官公需の発注については、従来から、分離分割発注などにより中小企業の受注機会の確保に努めております。
 なお、国が創設する予定の地域経済活性化支援機構は、中小企業の再生に軸足を置いた支援を目的としたものでございます。
 次に、借り工場の家賃等への直接補助についてでございますが、都は既に、経営困難な中小企業に対して、事業承継・再生支援事業で相談や経営支援を行うとともに、資金面でも制度融資により対応しております。
 したがいまして、お話の家賃補助などについて実施する考えはございません。
 次に、スーパーコンピューターを活用した中小企業の支援についてでございます。
 都は、産学公連携窓口を設け、さまざまな高度先端技術を中小企業が活用できるよう、適切な情報提供を行っております。
 最後に、商店街及び買い物弱者についての認識と対応でございます。
 商店街は、商業活動の拠点であるとともに、地域コミュニティの担い手となっており、都はこれまで、さまざまな支援を行ってまいりました。
 都は、買い物に不便を感じる住民に対応する必要があることから、今年度から買い物弱者支援モデル事業を実施しております。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、職員の採用や増員の実施についてでありますが、都の職員の採用や配置は、事業執行に必要な人員の確保や職員の退職動向などを総合的に勘案して行っており、今後とも、こうした方針に基づき、職員の採用や配置を実施してまいります。
 次いで、中林教授の著書での発言についてでありますが、教授は、当該著書の中で、防災まちづくりを動機づける基本は、個々の世帯での防災活動であり、防災家づくりの実践であるとも述べております。
 お話の発言は、それぞれの住宅の防災性の向上にとって、現在、自治体が行っている耐震診断、耐震改修などの公的支援が有効に機能していることを評価し、その重要性を指摘したものと理解をしております。
 最後に、消防団についてでありますが、昨年十一月に修正いたしました地域防災計画においても、都は、消防団の人材確保や技能向上に向けた支援を強化することとしております。
 このため、東京消防庁と連携した人材確保のための広報の実施、団員の技能向上に向けた訓練所の講習内容の充実、さらには、区部に加え、多摩・島しょ地域の消防団の資器材整備など、消防団活動の多面的な支援に取り組んでまいります。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

〇財務局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公契約条例についてでありますが、都はこれまでも、我が国の法制度に基づき、契約に当たり、最低賃金法等の法令遵守を義務づけるなど、労働環境の確保を図ってきております。
 お話の、いわゆる公契約条例につきましては、労働法制との整合性や、賃金水準を高くできない中小企業が入札から排除されるおそれなど、労働政策や産業政策の観点から、整理、検討すべき課題が指摘されているところであります。
 今後とも、現行法令のもと、入札契約制度の適切な実施に努めてまいります。
 次に、財政運営についてでありますが、外環道を初めとする都市インフラの整備は、都民の利便性や国際競争力の向上、東京の活力維持などに不可欠な取り組みであります。
 同様に、福祉や医療、防災対策、雇用や中小企業対策など、都民にとって必要な施策には的確に財源を振り向けているところであります。
 また、都財政は景気変動の影響を受けやすいことから、基金残高の確保も重要な課題であり、引き続き、財政の健全性に十分留意しながら、都民生活の向上に取り組んでまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
 まず、再生可能エネルギー普及の目標達成に向けた都の取り組みについてでございますが、七年前に都が策定しました再生可能エネルギー戦略は、二〇二〇年までの高い目標を掲げ、利用拡大に向けた施策の基本的方向を定めた点で、大きな意義を持つものでございます。
 その中でも、特に固定価格買い取り制度活用の必要性をいち早く提起し、その後、国に対して、自然エネルギー自動車などとともに導入を強く要求した結果、ようやく昨年七月から制度が開始されまして、再生可能エネルギーの普及が本格化する新たな局面を迎えております。
 都はこれまでも、住宅用太陽光発電の導入を十倍以上に加速する大きな成果を上げておりまして、今後とも、屋根貸し事業を初め、再生可能エネルギー拡大を加速する取り組みを展開してまいります。
 次に、太陽光発電の初期投資軽減に向けた取り組みについてでございますが、先ほどもご答弁いたしましたが、都は、金融機関に働きかけて、低利のソーラーローンの提供を促し、初期負担なく太陽光発電を設置できる仕組みを構築してまいります。
 これを初め、多様な取り組みを展開することで、太陽光発電のさらなる導入を促進してまいります。
   〔百五番清水ひで子君登壇〕

〇百五番(清水ひで子君) 猪瀬知事に再質問します。
 まず、保育に関する問題です。
 知事は、施設基準を持ち出して、認証保育所と認可保育園は同等などと答えました。しかし、認可保育園では、すべての職員が保育士でなければならないとなっているのに対し、認証保育所は、六割が保育士ならよいとするなど、認証保育所の基準が低いのは紛れもない事実です。
 また、園庭のない認証保育所が多い中で、ほとんどの認可保育園は園庭を有しているなど、現に認可保育園の方が環境が整っているのです。
 我が子に、よりよい環境で質のよい保育を受け、豊かに育ってほしいと願っている保護者たち自身が、認可保育園をふやすことを切実に求めているのです。
 私は、知事に、こうした訴えに真摯に耳を傾けていただきたいのですが、いかがですか。そして、ぜひ認可保育園増設に力を注いでいただきたいと思いますが、もう一度、答弁を求めます。
 第二に、高齢者の生活実態についてです。
 知事は、東京の高齢者の暮らしの困難に関する我が党の質問に対し、高齢者福祉の切り捨てを当然視した上、高齢者の平均所得額と貯蓄額のみを挙げ、高齢者は生活に困っていないかのような答弁をいたしました。しかし、高齢者の経済状態は格差が大きく、平均で考えることは適切ではありません。
 OECDの国際比較では、日本の高齢者の貧困率は二割を超え、一人世帯では五割近くなるなど、OECD平均を大きく上回っています。貯蓄のない高齢者は一割を超えています。
 東京都の高齢者保健福祉計画でさえ、高齢者世帯の二四%を占める一人世帯では、年収二百万円未満が六割を超えていることを認めているのです。
 知事、事実を直視し、貧困に苦しむ高齢者の生活に思いを寄せてください。国だけに任せていたら、らちが明かないからこそ、都がセーフティーネットを再構築する必要があるのです。お答えください。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点の再質問にお答えをいたします。
 認証保育所の施設基準の話でございますけれども、先ほど知事が答弁したのは、施設基準が認可保育所と同等であるということでございます。
 また、認証保育所は、すべての施設でゼロ歳児保育や十三時間開所を実施するなど、大都市特有の保育ニーズを踏まえたサービスを提供しており、一方、認可保育所におけるゼロ歳児保育の実施率は八割を下回り、二時間以上の延長保育実施率は二割に満たないというような状況もございます。
 次に、高齢者施策の話でございますが、先ほど知事がご答弁申し上げたとおり、都議会でのさまざまなご議論を踏まえ実施した十二年前の福祉施策の見直しも、常に都民の理解は得られていると認識しております。
 高齢者の生活実態はさまざまでございます。所得格差の是正や所得保障は、基本的には国の責任で対応すべきものであり、都が果たすべき役割は、自助、共助、公助の取り組みを適切に組み合わせながら、都民ニーズにこたえる福祉サービスの基盤整備に全力を挙げることであると思います。
 こうした考え方に立って、来年度予算は、費用対効果の高い、新しい施策を盛り込みながら、過去最高の一兆円を超える財源を福祉の予算に充てたというところでございます。

〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時二十三分散会

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