一番 | 小林 健二君 |
二番 | 加藤 雅之君 |
三番 | 小宮あんり君 |
四番 | 吉住 健一君 |
六番 | 福士 敬子君 |
八番 | 野上ゆきえ君 |
九番 | 佐藤 広典君 |
十一番 | 中村ひろし君 |
十二番 | 西沢けいた君 |
十三番 | 田中 健君 |
十四番 | 関口 太一君 |
十五番 | 畔上三和子君 |
十六番 | 斉藤やすひろ君 |
十七番 | 栗林のり子君 |
十八番 | 遠藤 守君 |
十九番 | 松葉多美子君 |
二十番 | 桜井 浩之君 |
二十一番 | 山崎 一輝君 |
二十二番 | 鈴木 章浩君 |
二十三番 | 菅 東一君 |
二十四番 | 田中たけし君 |
二十五番 | くりした善行君 |
二十六番 | 山内れい子君 |
二十七番 | 小山くにひこ君 |
二十八番 | 淺野 克彦君 |
二十九番 | 新井ともはる君 |
三十番 | 佐藤 由美君 |
三十一番 | たきぐち学君 |
三十二番 | 田の上いくこ君 |
三十三番 | 島田 幸成君 |
三十四番 | しのづか元君 |
三十五番 | 大島よしえ君 |
三十六番 | 伊藤こういち君 |
三十七番 | 大松あきら君 |
三十八番 | 中山 信行君 |
三十九番 | 高倉 良生君 |
四十番 | 鈴木 隆道君 |
四十一番 | 宇田川聡史君 |
四十二番 | 高橋 信博君 |
四十三番 | 中屋 文孝君 |
四十四番 | 鈴木あきまさ君 |
四十五番 | 矢島 千秋君 |
四十六番 | 高橋かずみ君 |
四十七番 | 柳ヶ瀬裕文君 |
四十八番 | 星 ひろ子君 |
四十九番 | 滝沢 景一君 |
五十番 | 中谷 祐二君 |
五十一番 | 笹本ひさし君 |
五十二番 | 山下ようこ君 |
五十三番 | 神野 吉弘君 |
五十四番 | 鈴木 勝博君 |
五十五番 | 興津 秀憲君 |
五十六番 | 岡田眞理子君 |
五十七番 | 古館 和憲君 |
五十八番 | かち佳代子君 |
五十九番 | 上野 和彦君 |
六十番 | 吉倉 正美君 |
六十一番 | 橘 正剛君 |
六十二番 | 野上 純子君 |
六十三番 | 谷村 孝彦君 |
六十四番 | 山加 朱美君 |
六十五番 | 吉原 修君 |
六十六番 | 三宅 正彦君 |
六十七番 | 早坂 義弘君 |
六十八番 | 相川 博君 |
六十九番 | 林田 武君 |
七十番 | 服部ゆくお君 |
七十一番 | 野田かずさ君 |
七十二番 | 西崎 光子君 |
七十三番 | 伊藤 ゆう君 |
七十四番 | 原田 大君 |
七十五番 | 尾崎 大介君 |
七十六番 | 山口 拓君 |
七十七番 | 伊藤まさき君 |
七十八番 | 松下 玲子君 |
七十九番 | 西岡真一郎君 |
八十番 | 吉田康一郎君 |
八十一番 | たぞえ民夫君 |
八十二番 | 吉田 信夫君 |
八十三番 | 小磯 善彦君 |
八十四番 | 長橋 桂一君 |
八十五番 | 藤井 一君 |
八十六番 | 鈴木貫太郎君 |
八十七番 | こいそ 明君 |
八十八番 | 遠藤 衛君 |
八十九番 | きたしろ勝彦君 |
九十番 | 高木 けい君 |
九十一番 | 神林 茂君 |
九十二番 | 三原まさつぐ君 |
九十三番 | 田島 和明君 |
九十四番 | 古賀 俊昭君 |
九十五番 | 泉谷つよし君 |
九十六番 | くまき美奈子君 |
九十七番 | 大西さとる君 |
九十八番 | 今村 るか君 |
九十九番 | 増子 博樹君 |
百番 | いのつめまさみ君 |
百一番 | 小沢 昌也君 |
百二番 | 石毛しげる君 |
百三番 | 大津 浩子君 |
百五番 | 清水ひで子君 |
百六番 | ともとし春久君 |
百七番 | 東村 邦浩君 |
百八番 | 中嶋 義雄君 |
百九番 | 木内 良明君 |
百十番 | 三宅 茂樹君 |
百十一番 | 山田 忠昭君 |
百十二番 | 村上 英子君 |
百十三番 | 野島 善司君 |
百十四番 | 川井しげお君 |
百十五番 | 吉野 利明君 |
百十六番 | 宮崎 章君 |
百十七番 | 比留間敏夫君 |
百十八番 | 門脇ふみよし君 |
百十九番 | 斉藤あつし君 |
百二十番 | 大塚たかあき君 |
百二十一番 | 酒井 大史君 |
百二十二番 | 山下 太郎君 |
百二十三番 | 大沢 昇君 |
百二十四番 | 中村 明彦君 |
百二十五番 | 和田 宗春君 |
百二十六番 | 馬場 裕子君 |
百二十七番 | 大山とも子君 |
欠席議員 一名
七番 土屋たかゆき君
欠員
五番 十番 百四番
知事 | 石原慎太郎君 |
副知事 | 安藤 立美君 |
副知事 | 猪瀬 直樹君 |
副知事 | 秋山 俊行君 |
教育長 | 比留間英人君 |
東京都技監建設局長兼務 | 村尾 公一君 |
知事本局長 | 前田 信弘君 |
総務局長 | 笠井 謙一君 |
財務局長 | 中井 敬三君 |
主税局長 | 新田 洋平君 |
警視総監 | 樋口 建史君 |
生活文化局長 | 小林 清君 |
スポーツ振興局長 | 細井 優君 |
都市整備局長 | 飯尾 豊君 |
環境局長 | 大野 輝之君 |
福祉保健局長 | 川澄 俊文君 |
産業労働局長 | 中西 充君 |
港湾局長 | 多羅尾光睦君 |
会計管理局長 | 松田 芳和君 |
交通局長 | 中村 靖君 |
消防総監 | 北村 吉男君 |
水道局長 | 増子 敦君 |
下水道局長 | 小川 健一君 |
青少年・治安対策本部長 | 樋口 眞人君 |
病院経営本部長 | 塚田 祐次君 |
中央卸売市場長 | 塚本 直之君 |
選挙管理委員会事務局長 | 影山 竹夫君 |
人事委員会事務局長 | 真田 正義君 |
労働委員会事務局長 | 岳野 尚代君 |
監査事務局長 | 松井多美雄君 |
収用委員会事務局長 | 醍醐 勇司君 |
九月二十六日議事日程第三号
第一 第百五十八号議案
特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第二 第百五十九号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第三 第百六十号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第四 第百六十一号議案
東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例
第五 第百六十二号議案
東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例
第六 第百六十三号議案
東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例
第七 第百六十四号議案
東京都軽費老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第八 第百六十五号議案
東京都婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例
第九 第百六十六号議案
介護保険法施行条例
第十 第百六十七号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第十一 第百六十八号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十九号議案
東京都工場立地法地域準則条例の一部を改正する条例
第十三 第百七十号議案
東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十一号議案
東京都暴力団排除条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十二号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第十六 第百七十三号議案
警視庁大塚警察署庁舎(二十四)改築工事請負契約
第十七 第百七十四号議案
都立練馬工業高等学校(二十四)改築工事請負契約
第十八 第百七十五号議案
都立江戸川地区特別支援学校(仮称)(二十四)増築工事請負契約
第十九 第百七十六号議案
都立第三商業高等学校(二十四)改修及び改築工事請負契約
第二十 第百七十七号議案
東京国際フォーラム(二十四)ガラス棟改修工事請負契約
第二十一 第百七十八号議案
東京都監察医務院(二十四)本館改築その他工事請負契約
第二十二 第百七十九号議案
東京消防庁武蔵野消防署庁舎(二十四)新築工事請負契約
第二十三 第百八十号議案
妙正寺川鷺の宮調節池工事(その四)請負契約
第二十四 第百八十一号議案
トンネル本体築造工事及び擁壁築造工事(二十四 四─放三十五)請負契約
第二十五 第百八十二号議案
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期目標について
第二十六 第百八十三号議案
特種用途自動車(災害時医療支援車)の買入れについて
第二十七 第百八十四号議案
磁気共鳴断層撮影装置(MRI)の買入れについて
第二十八 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求控訴事件の上告受理の申立てに関する報告及び承認について
第二十九 平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第三十 平成二十三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都教育委員会委員の任命の同意について(二四財主議第二六一号)
第二 東京都公安委員会委員の任命の同意について(二四財主議第二六二号)
第三 議員提出議案第十一号 東京都犯罪被害者等基本条例
第四 議員提出議案第十二号 東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
午後一時開議
〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(中村明彦君) 次に、日程の追加について申し上げます。
議員より、議員提出議案第十一号、東京都犯罪被害者等基本条例外条例一件、知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件一件がそれぞれ提出されました。
これらを本日の日程に追加いたします。
〇議長(中村明彦君) 昨日に引き続き質問を行います。
四十九番滝沢景一君。
〔四十九番滝沢景一君登壇〕
〇四十九番(滝沢景一君) 減災対策と地方分権について一般質問をさせていただきます。
まず、減災対策であります。
三・一一東日本大震災を踏まえ、これまでの想定地震や想定津波が各地で見直されてきています。
大災害から都民の命、そして財産を守るために、行政が何ができるのか、何をすべきか、また、都民は何をすべきか、ふだんの議論が必要であると考えます。
八月二十九日、内閣府の有識者検討会は、駿河湾から日向灘の南海トラフを震源域とするマグニチュード九・一の最大級の地震が起きた場合、最大二十二万三千人が死亡し、二百三十八万六千棟が全壊、焼失するとの被害想定を公表しました。一方で、対策が行き届き、津波からの迅速な避難や建物耐震化で、最悪のケースの死者を六万一千人に減らせると内閣府は説明しています。
すなわち減災対策の必要性を訴えているのであります。地震発生頻度は極めて低いですが、防災対策の必要性の周知を公表の主目的とされています。
東日本大震災が発生するまで、地震の想定規模は過去の地震に基づいて算出されてきたと認識をしていますが、今回は、科学的に起き得る地震であれば被害想定や長期予測を行うという方針に転換したものであります。東日本大震災で当たり前のように発せられた想定外をなくすことであります。
被害数値を見て、悲観するのではなく、国民一人一人が冷静に地震に向き合い、何ができるか、備えることが重要であると思います。
東京を中心に、一八五五年の安政江戸地震、一九二三年には関東大震災と、これまでも巨大地震に見舞われてきました。本年三月三十日には、文部科学省は首都直下地震防災・減災特別プロジェクトにおける震度分布図を公表しました。
また、四月十八日に東京都防災会議は、首都直下地震等による東京の被害想定報告書を発表しました。
平成十八年に公表した被害想定の見直しであります。新たな被害想定は、客観的なデータや科学的根拠に基づいて、可能な限り実際に起こり得る、最大被害像の把握に努めるものになっております。しかし、被害の規模を小さくするために、想定外を想定する想像力が求められてきます。想定結果の特徴は、最大震度七の地域が出るとともに、震度六強の地域が広範囲に、また、東京湾沿岸部の津波高は、満潮時で最大T.P.二・六一メートル、そして、東京湾北部地震の死者が最大で約九千七百人であります。被害想定の結果を踏まえ、東京都地域防災計画は修正作業に入っております。当然に、東京都の地域防災計画が修正されれば、区市町村の地域防災計画も速やかに修正されなければなりません。
そこで、多摩地域における被害が最大となる多摩直下地震の被害想定の一部を平成十八年と比較しながら紹介いたします。
人的被害のうち死者数は六百十二人から二千百六十九人と約三倍に、また避難人口は五十二万四千四百七十七人から八十七万九千四百三十七人と、帰宅困難者にあっては四十六万一千二百四十六人から七倍の三百二十三万人になっております。加えて、震災廃棄物は、三百五十三万トンから一千五十万トンと三倍もふえております。
市町村は、これらの被害数値から、地域防災計画を策定することになります。しかし、冒頭に述べたように、被害数値を低くする自助、互助、公助による減災対策が求められております。そこには、都民一人一人が日ごろから地震に対する意識を持つ、すなわち自助領域を確認することにあります。
そして、行政は、その意識を行動に結びつけていく減災政策に取り組むことが重要になってきます。
例えば、地震時の被害軽減に向け、木造密集地域での防災、減災対策があります。法律では、新築住宅の固定資産税、都市計画税は、課税される年度から三年間、二分の一に減免しますが、都は二十三区を対象に上乗せして全額減免をしております。また、耐震改修についても全額減免することで、自助に対する政策誘導を行っております。
多摩地域においては、税制からの政策誘導を行っているのは、三鷹市での新築住宅に対するものだけであります。
都市整備局が平成二十年二月に公表した地震に関する地域危険度測定調査は、震災対策条例に基づき、多摩地域を含む都内の市街化区域の五千九十九町丁目について、各地域における地震に対する危険性を、建物の倒壊及び地震による火災について測定したものであります。加えて、平成二十四年には、東京の最大の弱点として木密地域の改善を加速させるため、木密地域不燃化十年プロジェクトの実施方針を策定しているところであります。
しかし、このプロジェクトは二十三区内にとどまっております。過去の一般質問で、三多摩格差について質問してきましたが、多摩地域においても、地域危険度測定調査で、火災危険度、建物倒壊危険度の判定が高い地域が存在しております。八月三十一日の読売新聞、備えは今と題して、多摩地域での木造住宅密集地への対策を問題提起しております。
都は、二十三区を対象に新築、改修に対し税制上の支援を行っていますが、耐震化、あるいは建てかえを促進させていくために、税制上の配慮は有効な手段と考えます。
このことを念頭に置いて、広域行政を行う都においては、二十三区だけでなく多摩地域を含めた木造住宅密集地域の改善を図る取り組みは必要と考えますが、見解を伺います。
次に、地方分権について質問をいたします。
平成十三年に行政部が発行した多摩の将来像二〇〇一からの引用でありますが、社会経済状況の変化や住民ニーズが多様化する中で、これまでの中央集権による全国一律の行財政運営に限界が生じています。そのため、地方分権が推進され、身近な行政は住民に身近な自治体で行うという理念のもとで、地域住民の多様なニーズにきめ細かく対応し、地域に密着したまちづくりを進めることが重要になっています。
今後、国や都道府県、市町村との役割分担を明確にして、国から都、都から市町村への権限や財源の移譲が不可欠になっています。この地方分権の考え方は、発行から十一年たっていますが、今も変わらず、都の地方分権の姿勢であると受けとめております。
また、平成二十一年作成の多摩振興プロジェクトにおいても、地方分権の時代にあって、市町村の役割はますます高まっている、都は広域的自治体の立場から、今後も各種支援策を着実に推進するとともに、まちづくりなどに共同して取り組んでいく効果的な事業展開を図っていくと明記しております。
このように都の地方分権の姿勢は、事務処理特例によって具体化され、多くの事務事業が市町村に移譲してきていると推察します。
そこでお聞きしますが、市町村への事務事業を移譲するに当たって、それに対応する財源の移譲基準、移譲の考え方について伺います。
また、都は国への要望の中で、権限の移譲にあわせて、必要な財源を確実に措置することと明記しています。都が市町村に事務事業を移譲するに当たって、ルールとして、国への要望を実践していると考えますが、あわせて伺います。
多摩二十六市のうち普通交付税の交付団体は二十市に及び財政力の格差がそれぞれの自治体のサービス水準の差になってきているのが実態であります。
さきの防災対策から、そのサービス水準の差を紹介しますと、マンションの耐震化への助成は、二十三区はすべての区で導入しておりますが、二十六市は武蔵野市と町田市の二市だけであります。また、新築住宅に対する税制上の配慮をしているのは三鷹市の一市だけであります。移譲される事務事業を厳しい財政力だからといって、市町村間によって実施する、しないという判断は、多摩地域の都民にとって移譲サービスの格差につながっていきますので、引き続き都で実施してくださいということになります。
そのような判断、決断ができないからこそ、市町村長は厳しい財政であっても、独自の、あるいは既定のサービスを見直し、財源の捻出をしているのが実態であります。逆にとらえれば、財源を伴わない事務事業の移譲は基礎自治体の自由度を低減させていることになります。
次に、市町村長が都知事の権限に属する事務の一部を処理したいと都に要請し、都が移譲した場合、この事務にかかわる財源移譲の考え方を伺います。
都が提供しているサービスの中から、それぞれの市町村が、地域の特性を生かし、よりよいサービスが提供できると確信した場合、事務権限の移譲を都に要請すべきは地方自治の本旨であり、当然のことと考えます。
具体的な事例になりますが、平成十六年、景観法が制定され、市区町村は都の景観計画及び景観条例の適用を受けることになりましたが、平成二十四年三月現在、多摩地域では府中市、町田市、八王子市の三市が景観行政団体に移行しています。都条例の傘から離れ、独自の景観条例及び景観計画によって景観行政がなされるようになりました。要請による景観行政のような事務移譲は、都の補助制度の趣旨から離れ、それぞれの市で独自に実施するということであります。
したがって、都としては、これに関する補助金は交付しませんという理屈は成り立つことになります。しかし、冷静に考えると、個人都民税は都が実施するサービスの対価として負担している税金であります。そうしますと、市町村が都にかわってサービスを提供するとなれば、そのサービスに係る個人都民税は、そこの市町村に納めるという理屈が成り立ちます。
地方分権は、受益と負担の関係を明確にすることから、住民自治が促進されることでもあります。都道府県と市町村間の権限移譲には、国と地方の関係以上に財源移譲が議論されやすいと認識をしております。都においても、国に対し、地方分権に資する国庫補助負担金改革の実現を要求しています。地方の自由裁量の拡大、自主財源の充実を求めるものであります。
同様に、市町村が都に対して事務権限の移譲を要請した際に、その自治権を正当に評価し、税法上税源移譲ができない場合には、国が導入している過渡的な措置である地域自主戦略交付金のような制度を新たに創設することも考えられます。市町村の権限移譲を進めていくさまざまな支援が必要と考えますが、ご見解をお伺いいたします。
あるいは、現行の市町村総合交付金の算定に反映するといった地方分権を推進する先進的な取り組みを期待しております。これまで、都から市町村への権限や財源の移譲について伺いました。
国政では、民主党政権のもとで地方分権に関する第一次、第二次一括法が成立し、国の出先機関改革の議論も行われています。
このような状況を踏まえて、最後に、地方分権改革について石原知事の見解を伺いまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 滝沢景一議員の一般質問にお答えいたします。
地方分権改革についてでありますが、明治以来の中央集権体制は、もはやその有効性を失っていると思います。それゆえ、国家全体に活力を取り戻すために、地方を霞が関のくびきから解き放って、その持てる力、個性を十二分に発揮させる必要があると思います。
例えば、ハローワークを権限、財源とともに、地方の実情をよく知る地方に移管することで、地域の強みを生かした産業支援と、企業ニーズに基づく職業訓練の実施あるいは人材紹介までを一体的に行うことが可能になります。
しかし、民主党政権は、地域主権改革を一丁目一番地として掲げてきましたが、いまだに、その省益を墨守する霞が関の抵抗を排除できずにいます。
現在、政府内で検討されている国の出先機関改革案では、人員削減規模が明示されないなど、三・五万人の人員削減を盛り込んだ地方分権改革推進委員会の勧告とは、ほど遠い内容となっております。
都はこれまでも、大都市の実態を踏まえた都独自の認証保育所制度なども創設しまして、あるいは排気ガス規制、あるいは新しい会計制度、とにかく、国の認可制度のもとでは進まなかった保育所の新設も促進しましたし、具体的に取り組んできました。
また、その実績をもとに国への提言も行ってきましたが、しかし、国の官僚は、その独善性から、地方で成功をしたことについて決してまねをしませんな。今後も志を同じくする地方とも連携して、具体の政策を構えながら、地方分権改革の実現を国に迫っていきたいと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁します。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 多摩地域での木密改善の取り組みについてでございますが、都は、防災都市づくり推進計画において、地域危険度が高く、老朽化した木造建築物が集積し、かつ、市街地の燃えにくさを示す不燃領域率が一定水準に満たない地域を整備地域に指定いたしまして、施策を重点化してまいりました。
一方で、お話の多摩地域においても、土地区画整理事業や市街地再開発事業など、地域の防災性の向上に寄与する取り組みが行われてきておりまして、都は、これらを技術的、財政的に支援してまいりました。
地元市町が主導するこのようなまちづくりを引き続き支援することにより、安全な市街地の形成に取り組んでまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、市町村への事務事業移譲に係る財源の移譲基準等についてでありますが、法令上、都の権限とされた事務を市区町村に移譲する主な手法といたしましては、条例による事務処理の特例制度に基づく権限移譲と、個別法の規定に基づく権限移譲があります。
事務処理の特例制度に基づき移譲された事務の経費につきましては、地方財政法の規定により、都道府県が必要な措置を講ずることとされております。
このため、都は、市区町村との十分な協議を経た上で、事務処理特例交付金等により、確実に財源措置を講じております。
一方、個別法による権限移譲の場合には、その財源については、地方交付税により国が措置することとなっております。しかし、不交付団体にとっては、事実上の財源措置にならないことから、都は国に対して、必要な財源を確実に措置するよう強く求めております。
次いで、市町村長から権限移譲の要請があった際の財源措置についてでありますが、事務処理の特例制度に基づく権限移譲の場合であっても、個別法に基づく権限移譲の場合であっても、都から市区町村に権限を移譲する際には、先ほど答弁したとおり、それぞれのルールに従って財源措置がなされるものであります。
こうした財源措置につきましては、当該事務の移譲が市区町村からの要請によるものか、あるいは都からの提案によるものかによって、その取り扱いが変わるものではございません。
最後に、権限移譲の際の都の支援についてでありますが、事務処理の特例制度による権限移譲の場合には、都は、市区町村との十分な協議を経た上で、必要な財源措置等を講じております。
一方、個別法による権限移譲の場合には、国が地方交付税で措置することとなりますが、都は過渡的な措置として、必要に応じ、人的、技術的、財政的支援を実施しております。
具体的には、八王子市や町田市の保健所政令市への移行、立川市や国分寺市などの特定行政庁への移行に当たって、各市が新たな事務を確実に執行できるよう、専門職員の派遣、市職員に対する実務研修の実施、事業経費の補助などの支援を一定期間行ってまいりました。
今後とも、権限移譲を円滑に推進していくため、市区町村と十分調整を図りながら、適切に対応してまいります。
〇議長(中村明彦君) 四十一番宇田川聡史君。
〔四十一番宇田川聡史君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇四十一番(宇田川聡史君) 国は、中小企業円滑化法を本年度末で打ち切るとしています。この法律は返済のリスケジュールをしている間に、経営を立て直すことを目指すというものでしたが、本来なすべき経営改善や、事業再生などのための支援については有効なる対策を講じることなく法律をつくったものの、単に延長を繰り返しただけといった状況で現在に至っております。
その結果、経営改善を果たせずに、厳しい経営を強いられている企業が実に多く存在しているのが現状です。国はソフトランディングをと表明してはおりますが、着地に向けた実効性ある対応はまるで見えてきません。今後の資金繰りに対して中小企業の不安は募るばかりであり、責任ある対応を求める切実な経営者の声を頻繁に耳にしております。
東京の産業、経済を支えている中小企業が、円滑化法の幕引きのまずさによって、窮地に追い込まれるようなことは、何としてでも避けなければなりません。
これまで中小零細企業支援に力を注いできた石原知事ですが、円滑化法の終了を控えた今、知事の率直なご所見をお伺いいたします。
世界経済の影響、歴史的円高、電力料金の値上げなど、都内企業はかつてない厳しい経営環境にあります。昨日の我が党の代表質問では、経営改善に取り組む企業に対して、専門家による相談体制などの強化を検討するとの答弁がありました。専門家の支援があっても、業績の回復には一定の時間を要する企業も少なくありません。懸命に経営改善に取り組む企業が着実に再生を果たしていくためには、各企業の経営実態をしっかりと把握し、より具体的な支援策を展開する必要があります。
中小企業金融円滑化法の終了を見据えるならば、さらに厳しい経営環境となる可能性も大いにあり、このことを踏まえると、一歩踏み込んだ、さらなる支援の拡充が必要だと考えます。見解を伺います。
我々、都議会自民党は、これまで商店街振興のための支援を充実させるべく力を尽くしてまいりました。しかし、大型小売店の進出や、後継者問題などにより、以前の活気が消えてしまった商店街も少なくはありません。ことし三月の予算特別委員会の場でも申し上げましたが、そもそも、元気を出せというのは、こうした商店街の復活の意味もあったと私はそう思っております。その際に、力の衰えつつある商店街に対しても、適切な支援が必要だと考えている、こういった趣旨の答弁がありました。
都内のあらゆる商店街の活性化に資するためには、より幅広い事業展開について、きめ細やかなる支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、液状化対策についてお尋ねいたします。
昨年の東日本大震災では、震源地から遠く離れた地域でも、広く液状化現象による被害が生じました。都内では区部東部などにも被害があったわけですが、浦安市では広域に被災し、被害総額は七百億円にも上りました。現地に何度も足を運びましたが、民家は一目で傾きがわかるほどであり、道路は噴出した砂や浮上したマンホールによって人も車も通行が阻害され、上下水道などのライフラインの復旧には数カ月を要しました。
四月に都が公表した被害想定の見直しでは、液状化のおそれがある地域は広範囲に拡大し、国の有識者会議においては、南海トラフ巨大地震が発生した場合、都内で一千棟が液状化によって全壊するとの想定が公表されました。
液状化現象は、東京湾北部などの首都直下地震などに限られることではありません。だとすれば、今後の被害発生の確率は首都直下地震よりも応分に高くなることとなります。
都は、建築物の耐震性向上や不燃化促進に努めてきておりますが、同様に液状化対策にも力を注がなければなりません。
そこでまず、大地震発生時の液状化被害のリスクについて都の認識を伺います。
液状化の可能性ありと公表された地域に住まう住民は、どのように対策を講じればよいのか、多くの方が不安を抱えております。地元の江戸川区南部においては、そうした不安が風評被害にも似た状況を生み出し、不動産価格を下落させ、浦安市においては、東日本大震災以来、転居による人口減少がいまだに続いているのが実情です。東京都建築物液状化対策検討委員会では、本年五月に、中間のまとめを発表し、その後も検討を続けているとは聞いておりますが、一刻も早く対策を明らかにして、住民の不安を払拭しなければなりません。
都は、木造住宅などの建築物の液状化対策を今後どのように進めていかれるのか、お尋ねをいたします。
液状化による被害は、建物の倒壊や傾きにのみ影響を及ぼすものではありません。河川の堤防や港湾施設などについては、耐震化とともに液状化対策工事がなされているとのことですが、公共物のすべてが液状化対策を完了しているわけではありません。特に、避難経路となる道路など命に直結するインフラについては、相応の対策を講じるべきです。発災直後には、噴出した砂により道路通行が極めて困難になり、高齢者や車いす利用者などにとっては、身動きがとれない状況になる可能性が大いにあるのです。こうした命に直結する都道における液状化への対応について、都の見解を伺います。
ライフラインは生活の基盤であり、必要不可欠です。さきの東日本大震災においても断水やマンホールの浮上など、各地に甚大な被害をもたらしました。上下水道が使用できない避難生活の厳しさ、復旧活動に必要な車両通行を妨げる、ライフラインの復旧には長時間を要するだけに、その影響ははかり知れません。
四月公表の被害想定の見直しにおいて、液状化危険度の高い地域の断水率は六〇から七〇%台となっており、他地域の二〇%以下と比べれば、その偏在は顕著であります。水道局は、私道内給水管のステンレス化など耐震化を積極的に進めておりますが、液状化対策に有効だといわれている耐震継ぎ手化の重点的整備もしっかりと取り組んでいくべきだと考えます。所見を伺います。
阪神・淡路大震災、新潟中越地震、そして東日本大震災、液状化被害を報じるときには、必ずといっていいほどマンホールの浮上が象徴的に映し出されてきました。下水道被害のみならず、応急復旧活動の妨げともなるマンホールの浮上対策にも備えを講じなければなりません。
昨年の発災直後には、浦安市内において、背丈ほどに浮き上がったマンホールが乱立した光景に戸惑う住民が多数おりました。都内では幸い下水道に支障が出るような被害はありませんでしたが、そのすべてに対策が講じられているわけではありません。液状化に備えた下水マンホールの浮上抑制対策の現状と、今後の取り組みについて伺います。
次に、入札契約制度についてお尋ねいたします。
国は、公共事業関連経費を減額し続けるという間違った方向に進んでいる一方、都は、投資的経費を八年連続増として、必要な社会資本の整備費確保に努めてまいりました。貴重な財源を投じる公共工事においては、公平性、透明性はもとより、品質確保が重要であることはいうまでもありません。
都は、我々都議会自民党の入札・契約制度改革PTの提言を受け、総合評価方式の拡大を進めてまいりました。価格だけによらず技術力等を評価することは、品質の確保や業者の育成にもつながるものであり、徐々に成果が上がってきていると認識しております。このことは、土木建設に限ることではなく、さまざまな業種の入札においても総合評価方式を取り入れることによって、不良不適格業者の排除や極度の低入札改善など、一定の効果を期待できるのではないでしょうか。今後、なお一層の拡大を図るべきと考えますが、所見を伺います。
いざ災害が発生したとき、民間の協力は不可欠です。東日本大震災においても土木建設業者等が応急復興やインフラ復旧の担い手として地元に貢献いたしました。
都も、さまざまな業種、団体と災害協定を締結し有事に備えているわけですが、協定に基づいた役割を十分に発揮できるかといった実効性が殊さら重要だと考えます。と同時に、機能を果たし得る業者や団体に対しては、適切に評価を加えていくべきことも必要なのではないでしょうか。所見を伺います。
最後に、公衆浴場支援についてお尋ねいたします。
公衆浴場は、利用者の減少、経営者の高齢化など経営環境の悪化により、平成十八年度に一千件を割り込んで以来、減少の一途をたどっており、現在七百五十件余りとなりました。地域コミュニティの場として高齢者の見守りを行ったり、生活習慣病予防も含めた健康増進の場を提供したり、社会的な役割を果たしてきたことに加え、さきの東日本大震災などの災害時にも被災者支援に貢献をしてきました。こうした公共性を持つ自負があるからこそ、経営環境が厳しい中においても、入浴料を据え置きながら努力を続けているわけです。
そうした中、都は、公衆浴場の役割を理解し、耐震化やクリーンエネルギー化のための助成を行ってきたところですが、よりきめ細やかな支援をすべきと考えます。クリーンエネルギー化の推進はもとより、コージェネレーション設備や既存施設のメンテナンスなど新たなメニューも含め、浴場経営者のニーズに即した使いやすい柔軟な制度とするなど、これまで以上に支援体制を充実すべきであります。見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 宇田川聡史議員の一般質問にお答えいたします。
中小企業金融円滑化法についてでありますが、この法律は、リーマンショックや大震災などの危機に直面した中小零細企業が、返済負担を減らすための手だてとしての一定の効果はありました。
しかし、国はこの間、経済の再生に向けて余り有効な施策を打ち出せずにおりまして、いまだ多くの事業者が業績回復を果たせずに苦しんでおります。
この法律の終了に当たりまして、高度で多様な技術力やすぐれた人材を擁する東京の中小零細企業の資金調達のすべを絶つようなことがないよう、国が責任を持って、今後、万策を尽くすのは当然であります。この過程でもなお、大銀行は、いわゆる中小企業に対する融資を非常に渋りまして、むしろ、大銀行にとってみれば高額の融資をほうり出して倒産させても、これを切り捨てるという姿勢を基本的に示していました。
これに比べて、東京がつくりました銀行は、小さいなりにリスケ、つまり、借金の借入金の返済のスケジュールというものを延期しながら、そのためには、こういう手だてを講じなさいという非常にきめの細かい相談をしてきましたが、こういった、要するにリスケという、銀行が当然すべき弱い者に対する手だてというものを、大銀行は余りしませんでしたけど、これは、一層、今後は野方図になっていくんではないかと懸念しております。
都は、かねてより、地域の金融機関の目きき力を活用した都独自の融資制度の創設、ファンドの活用など、現場を預かる立場から、事業者のニーズに即したさまざまな金融支援を行ってきましたが、今後も、中小零細企業の資金繰りの実態などをつぶさに把握した上で、必要な手だてをきめ細かく講じていきたいと思っております。
他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 都道における液状化への対応についてでございますが、都道は、首都東京の都市生活や経済活動を支えるとともに、災害時の避難や救援活動に不可欠な都市基盤でございます。
さきの東日本大震災では、地震発生後、直ちにすべての都道を点検した結果、江東区や江戸川区の歩道の一部で、液状化により噴出した砂や歩道ブロックのずれなど、数カ所確認しましたが、通行に支障はなく、舗装構造に大きな被害はございませんでした。
道路整備に当たりましては、現地の地盤を調査し、軟弱な沖積層に厚く覆われている東部低地帯などでは、舗装構造を支える地盤の改良を必要に応じて実施した上で、大型車の交通量など、交通状況を踏まえた強度を有する舗装構造を採用しております。
また、完成後は、日常的な巡回点検により、道路の状況を的確に把握し、維持管理工事を実施しております。
さらに、道路のひび割れぐあいなどを調べる定期的な路面性状調査の結果により、必要な箇所での舗装のたわみ量調査などに基づき、舗装構造の健全度に応じた路面補修工事を実施しております。
今後とも、平時はもとより、災害時においても、都市の生命線である都道が、十全にその機能を発揮するよう、整備と管理、保全に全力で取り組んでまいります。
〔産業労働局長中西充君登壇〕
〇産業労働局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業の事業再生支援についてでございますが、すぐれた技術やノウハウを有しながらも、抜本的な経営の立て直しが求められる中小企業に対しては、より踏み込んだ支援が必要でございます。このため、中小企業振興公社では、事業の再生が必要な中小企業に、相談対応や財務、経営分析を行い、再生方針の策定とその実施を支援いたします事業承継・再生支援事業に取り組んでおります。
長引く円高や金融円滑化法の終了など、厳しさを増す経営環境の中で、すぐれた技術や製品を有する中小企業が事業の再生を実現するためには、より継続的で効果的な支援を行う必要があると認識しております。意欲的に事業の再生に取り組む中小企業への支援拡充に向けて、今後、早急に対応策を検討してまいります。
次に、商店街振興施策についてでございますが、商店街は、地域住民にとって、買い物の場であるとともに、住民の便利で快適な生活を支える重要な役割も果たしており、都はこれまで、新・元気を出せ商店街事業により、さまざまな支援を行ってまいりました。
こうした中、店舗数や売り上げが減少して、自己資金を十分に確保することができず、都の補助事業の活用が困難な商店街があることから、従来の補助率をより高めて助成いたします特別対応を開始いたしました。
このような商店街が、買い物客をふやし、住民生活をサポートする拠点として活力を回復できるよう、商店街のニーズを十分に踏まえ、さまざまな取り組みを実現する効果的な支援を検討してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 液状化のリスクについてでございますけれども、首都直下や南海トラフなどの大規模地震が発生いたしますと、区部の低地帯を中心に液状化の被害が広がるおそれがございます。
液状化で住宅が傾きますと、居住が困難となるほか、道路や上下水道等のライフライン施設への被害により、都民生活や都市機能に重大な支障が生じることから、都や区市町村、事業者、都民、それぞれが液状化の危険性を十分認識し、具体的な取り組みを推進する必要があります。
このため、今回の地域防災計画の修正素案でも、液状化にかかわる上下水道施設等の耐震対策や、民間建築物の所有者等への地盤調査データの提供などを盛り込んだところでございまして、今後、関係局や区市町村などと連携して、液状化への備えを講じてまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 木造住宅など建築物の液状化対策についてでございますが、本年七月開催の地盤工学の専門家等による建築物液状化対策検討委員会では、土地の履歴の把握や都民への相談体制の確立が重要であるとの見解が示されました。
このため、都は、地盤調査データに加え、新たに過去の地形図についても情報提供を行いますため、国土地理院と協議を始めたところでございます。
また、都民からの相談に対し、地域の状況に即して適切に対応していくため、液状化対策に関し、必要な知識を有するアドバイザーの紹介や、今後作成する液状化対策の指針の活用などについて、区市と検討を進めてまいります。
引き続き、検討委員会における審議と並行して、今年度末までに具体的な対策を取りまとめ、都民が安心して液状化に備えていけるよう取り組んでまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 水道管の耐震継ぎ手化の重点的整備における取り組みについてでありますが、水道局では、耐震強度にすぐれ、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への取りかえを積極的に進めてきております。
こうした中、東日本大震災の発生や、液状化面積拡大などの都の被害想定の見直しがあり、今後は、これらを踏まえたより重点的な耐震化施策が必要となっております。
このため、断水被害を軽減できるよう、想定される地震動や液状化の危険度、耐震継ぎ手化の進捗などを考慮した優先的な整備について検討し、新たな耐震継ぎ手化十カ年事業に反映してまいります。
これにより、水道管路の耐震継ぎ手化事業を効果的に推進し、震災時の給水確保に全力で取り組んでまいります。
〔下水道局長小川健一君登壇〕
〇下水道局長(小川健一君) 下水道マンホールの浮上抑制対策についてでございますが、震災時に下水道機能や緊急車両の通行を確保するため、液状化の危険性が高い地域の道路を対象に、独自に開発した浮上抑制技術に基づく対策を実施しております。
既に、緊急輸送道路約五百キロメートルにつきましては、平成二十二年度までに対策を完了させており、昨年度からは、緊急輸送道路と避難所などを結ぶアクセス道路に拡大し、実施してきております。
また、今後は、大規模なターミナル駅や、災害復旧の拠点となる国、都、区の庁舎などと緊急輸送道路を結ぶ道路、さらに、発災時に多くの人がとどまる地区内残留地区に対象を拡大し、実施してまいります。
江戸川区内では、環状七号線につながるアクセス道路など約百三十キロメートル並びに地区内残留地区である西葛西地区約百四十ヘクタールを対象に進めてまいります。
今後とも、被災時の液状化に備え、下水道マンホールの浮上抑制対策を着実に進めてまいります。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
〇財務局長(中井敬三君) 入札契約制度にかかわる二点のご質問にお答えいたします。
まず、総合評価方式についてでありますが、総合評価方式は、価格に加え、企業の技術力も評価して落札者を決定するものであり、ご指摘のとおり、工事の品質確保等に寄与するものであると考えております。
都では、平成二十一年度に入札契約制度改革の実施方針を策定し、技術実績評価型を新たに設けて四つの類型を整え、適用の拡大を図っております。今年度は、競争入札案件の約二割に総合評価方式を適用するよう取り組んでいるところでございます。
今後は、工事における総合評価方式の一層の適用拡大に取り組みながら、より適切に技術力を評価できるよう、評価方法のさらなる改善を検討するとともに、工事に関連する幅広い業務においても良好な品質が確保されるよう努めてまいります。
次に、入札契約制度における災害協定等についてでありますが、民間団体等と締結している災害協定等については、現在、比較的大規模な工事を対象とした総合評価方式において、企業の信頼性や社会性を評価する項目の一つとして加点の対象としております。
今後は、より小規模な工事を対象とした総合評価方式においても、評価項目の一つとして導入してまいります。
お話の災害協定等の評価方法については、ご指摘を踏まえ、関連部局と協議しながら、より適切な方法を検討してまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕
〇生活文化局長(小林清君) 公衆浴場に対する支援についてでありますが、公衆浴場は、単に都民の方々に入浴の機会を提供するだけでなく、住民同士の憩いの場などとして地域における重要な存在であり、都は安定的な経営を確保するため、これまでさまざまな支援を行ってまいりました。
しかし一方で、東日本大震災の経験を踏まえた施設の耐震化、省エネやクリーンエネルギー化の一層の促進による経営の効率化、地球温暖化対策など、社会経済状況の変化に応じた新たな経営ニーズも発生してきております。
こうした状況を踏まえまして、厳しい経営環境のもとでも、多くの公衆浴場が新たな課題により積極的に取り組むことができるよう、今後、太陽光発電やコージェネレーション設備の導入等による補助メニューの拡大など、浴場経営の実態に即した支援の充実を図ってまいります。
〇副議長(ともとし春久君) 七十九番西岡真一郎君。
〔七十九番西岡真一郎君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
〇七十九番(西岡真一郎君) 都の災害協定について伺います。
東日本大震災以降、全国の自治体では、自治体や民間も含め、災害時応援協定の締結が加速しています。都が示した東京都地域防災計画修正素案においても、広域連携体制の構築として重要視されています。災害が発生した後に、協定に基づく支援がしっかりと機能するよう、対策を講じておかなければなりません。
一方、国では、ことし六月に改正災害対策基本法が可決成立され、東日本大震災の教訓を踏まえ、被災自治体支援のありようが規定されました。
都では、全国知事会や九都県市などによる災害時相互応援協定のほか、二十一大都市との協定や水道事業に関する協定など、他の地方公共団体と広域的な相互応援協力に関する協定を締結しています。
また、民間団体との協定も重要で、民間団体との間では、災害時における応急対策業務に関する協定や帰宅困難者支援に関する協定、傷病者の搬送業務に関する協定、緊急物資の受け入れなどに関する協定などを締結し、災害時にこうした団体の積極的な協力が得られるような仕組みを構築してきました。
しかし、協定の中には、締結してから一定期間が経過しているものがあり、東日本大震災を踏まえ、こうしたすべての協定を総点検し、見直し、更新していくことが必要なのではないでしょうか。新たな協定の拡充も求められております。
また、都だけでなく、区市町村においてもそれぞれ独自に災害協定を締結しており、都として、こうした区市町村の協定締結状況の全容を把握の上、災害時には区市町村と十分連携を図り、迅速な応急復旧活動に当たる必要があります。都には区市町村の取り組みにさまざまな格差が生じないよう調整しておくことが求められます。
そこで、東日本大震災などを踏まえ、都が目指す災害時支援協定の今後の方向性について伺います。
また、多摩振興など、もろもろの大きな効果をもたらす軍民共用化を実現しなければならない横田基地に関し、東日本大震災発生後に、上空の飛行機の危機的状況が発生したことなども踏まえ、基地近隣地域や、都にとって有効となる横田基地との災害協定の締結も目指されるよう要望しておきます。
次に、児童生徒の防災教育について伺います。
東日本大震災から一年半が過ぎました。将来の東京を担う子どもたちへの防災教育を一層推進していかなければなりません。
私の地元小金井市は、東日本大震災発生以前から地域防災に力を入れています。特に小金井消防署と協力して、子どもたちに、自助、共助の力を育てる実践的な防災訓練を実施し、注目されました。このような取り組みが全都に広がることを願い、私は、平成二十年第一回定例都議会で、東京消防庁と連携した防災訓練の実践を広げる必要があると質問し、都教育長からは、東京消防庁とより一層連携した災害のボランティア訓練を普及していくとの答弁をいただきました。
東日本大震災以降、都教育委員会は、防災教育補助教材「三・一一を忘れない」を新たに作成し、被災地での東京消防庁職員の活躍や地域防災訓練への積極的な参加も紹介しています。このような教材を用いた防災の学習とともに、東日本大震災から日本人が感じたことを忘れないためにも、避難訓練や防災訓練などの充実が重要であります。
そこで、東日本大震災を踏まえた公立学校の具体的な防災教育の取り組みについて伺います。
次に、福島県への支援について伺います。
福島は、地震、津波に加えて原発の影響があることから、復旧、復興はまさに息の長い事業となります。乗り越えなければならない数多くの課題を粘り強く解決しなければなりません。そのためには福島に対する国民的理解、オールジャパンでの継続支援が何よりも不可欠です。福島には、長い間、東京を支えていただきました。
今後も、これまで同様の支援を継続していくために、福島の置かれている実情や取り組みを、国民の記憶から風化させないようにしなければなりません。この間、私もさまざまな機会で福島を訪問し、現地の声を伺ってまいりました。
都は、早い段階から被災地支援に取り組み、現在も現地事務所を通じ、オール都庁でさまざまな支援を行い、また、七千名を超える福島県からの避難者を現在も支えています。都の取り組みは福島県民の心にも響いていると思います。
震災から一年後に発表されたふくしま宣言では「この一年、福島県民は、深い悲しみや悔しさを抱えながら、ある人は、住み慣れた土地を追われ、ある人は、少しでも元の暮らしを取り戻そうと汗を流し、またある人は、家族離れ離れの生活を選びました。見えない放射線への不安とも闘いながら、それぞれが必死に毎日を生き抜いてきました。皆さんの支えと県民の努力があって、このふくしまにも、今ようやく復興の芽が出始めました。ふくしまが選んだ道は、決して平坦な道ではありませんが、県民は、すでに前を向いて立ち上がり、歩き始めています。」と述べられています。
そのために、福島においては、福島の災害を風化させないこと、福島を正しく理解してもらうこと、福島の安全性を正確に峻別してもらうこと、福島へのリピーターをつくっていくことが重要であります。こうした観点から、今後とも、息の長い都の先導的な取り組みが求められています。
福島への支援に取り組んできた都として、現在の福島への支援に関する現状認識や課題について伺います。
福島の課題である風評被害の解決には、息の長い支援が必要でありますが、最大の障害となるのは、時間とともに人々の関心が薄れていくことです。大消費地である東京には、さまざまな民間団体、メディアが多数存在していますが、これらの力を活用しながら、被災地福島の風化を防ぐ風評被害対策を積極的に展開すべきと考えますが、都の見解を伺います。
また、消費者が放射性物質の検査体制、検査結果など、正確な情報をもとに客観的な判断ができるようにすることも重要です。都がコーディネーター役となって、県が首都圏の消費者や、消費者に身近な小売商などに直接説明する機会を持ち、福島県産品の安全性などを都民に知っていただけるような場を、さらに積極的に構築できる取り組みを強く要望しておきます。
一方、都内には、現在も七千七百名もの福島からの避難者の方々が都営住宅などで生活をしています。都は、震災直後から積極的に避難者を受け入れてきました。震災から一年半が経過し、原発警戒区域内の方もいらっしゃることから、今後も長期化が想定されますが、継続支援が求められます。長期化する避難生活への支援について都の見解を伺います。
次に、薬物乱用防止対策について伺います。
現在も、覚せい剤、大麻、MDMAなどの違法薬物全般にわたる乱用が、大きな社会的問題となっており、昨今、脱法ハーブと呼ばれる、あたかも合法かのような誤った印象を植えつけ、法の規制をかいくぐった、絶対にやってはいけない薬物が、若者を中心に乱用され、痛ましい事件に発展している事例が発生しております。
違法薬物の乱用は命までをも奪いかねず、さらに家族の人生をも壊しかねません。これらの違法薬物を我が国に流出させている外国のやみ社会や、国内販売や製造などにかかわりのある人たちの行動は、私たち日本人の命と尊厳を脅かす、まさにテロ行為そのものであります。
都は、脱法ドラッグ条例をいち早く策定し、国に先駆けた独自の取り組みを行うとともに、東京都薬物乱用対策推進計画に基づき、さまざまな対策を講じてきました。私自身も地元の薬物乱用防止活動と啓発活動などに取り組んでいます。とても困難な課題ではありますが、決して屈してはいけない課題であり、幅広く連携した取り組みが重要です。
薬物の乱用により一度薬物依存の状態に陥ると、そこから脱却するのは容易ではなく、現状では覚せい剤の乱用者の半数以上が再乱用者となっています。再乱用防止のためにも、薬物乱用者へのさらなる都の支援の充実が必要と考えますが、都の取り組みと所見を伺います。
化学式を一部変えただけの脱法ハーブなどの販売が横行している状況を受け、厚生労働省は、違法脱法ドラッグの規制強化の一環として、欧州で危険性が指摘され、国内ではまだ流通が確認されていない新種の脱法ドラッグを、薬事法で禁止される指定薬物に指定することとなりました。水際で防ぐ上でも大きな前進です。
そして今後、何としても欠かせない規制は、禁止されている指定薬物成分を包括的に禁止する包括規制であります。
違法ドラッグは、合法ハーブなどと称して販売されていますが、麻薬、覚せい剤などの依存性の強い薬物への入り口となることから、若者に対する啓発を強化することが必要です。あわせて、一層の規制強化に向けて、国における包括規制の早期導入が必要と考えますが、都の取り組みと所見を伺います。
平成二十一年第三回定例会における都議会民主党の代表質問では、薬物の乱用防止には、学校での薬物に対する学習と自分の身を守るすべを習得していくことが重要、都内公立学校での薬物乱用防止教育の実施率は小学校で六二%、中学校で七三%、高校で八一%と、一〇〇%には至っていない、すべての公立学校において、薬物乱用防止教育が実施されるように取り組まなければならないと提言しました。この薬物問題には、小さいころからの適切な教育、学校における児童生徒の地道な啓発と薬物乱用防止教育も重要です。
そこで、薬物乱用防止教育の推進状況について伺います。
次に、ちょうど一年後の来年九月、五十四年ぶり三回目の東京での開催となるスポーツ祭東京二〇一三、第六十八回国民体育大会について伺います。
ことしの八月には、公開競技の一つであるトライアスロンのリハーサル大会が三宅村で開催され、私も、競技主管である競技団体の役員として、かつ無謀にも百人を超える選手の一人として参加をさせていただきました。
三宅村は、私の地元小金井市の唯一の友好盟約都市でもあります。三宅村では、既にプレ国体を四回開催し、今回、国体のリハーサル大会の冠をつけた開催となり、大会誘致にかかわってきた者として大変うれしく思っております。
私も久しぶりに選手として大会に参加し、三宅島のトライアスロンの魅力を肌で実感し、また、何とか完走できたことで、感動もひとしおでありました。島の復興につながる事業の一つとして定着しつつあることを確信しました。
一方、交通規制の方法、島特有の悪天候時の対策、宿泊や交通輸送など、来年の本大会に向けた幾つかの課題もあります。これも国体並みの規模でのリハーサル大会を開催した結果、判明したことであります。
三宅村に限らず、地元の小金井市でも、六月には弓道、七月にはバスケットボールのリハーサル大会が全国大会規模で開催されました。大勢のスタッフの方々が真剣に運営に当たっていました。このように、来年の本大会に向けて同規模のリハーサル大会を開催することは重要です。
そこで、競技別リハーサル大会の意義と開催状況、既に開催された区市町村からはどのような成果や課題が上がっているのか伺います。
リハーサル大会が終わっている区市町村では、発生した課題などを踏まえ、本大会への準備が進められると思いますが、対応に苦慮している自治体もあるのではないでしょうか。
また、悪天候時の課題など、一部の区市町村でしか経験できなかったものもあると思います。都内それぞれの区市町村で発生した課題や対応状況をそのままにしておくのではなく、他の区市町村にも生かすため、オール東京で情報を共有し、準備を進めることが有益と考えます。
来年の国体における各競技会の成功に向け、区市町村が得た成果や課題を集約するなど、都が調整の役割を担い具体的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
一方、スポーツ祭東京二〇一三を開催する意義には、オリンピック・パラリンピックの東京招致、地域の活性化や振興策につなげていくという大きな意義もあります。各自治体では、地元の経済団体や観光協会などと連携し、さまざまな取り組みが企画されています。
こうした東京国体とリンクした地域のアイデアや発想が、地域振興や活性化につながることはとても意義のあることです。
最後に、区市町村では現在、地域の団体と連携してどのような取り組みが行われているのか。また、都はどのような対応をしているのか伺い、私の一般質問を終えます。(拍手)
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 西岡真一郎議員の一般質問にお答えをいたします。
まず、公立学校の防災教育の取り組みについてでありますが、小中学校では、予告なしで行う避難訓練や、AEDを用いた応急救護訓練、地震後の出火を想定した初期消火訓練などを実施しております。
また、都立高校では一泊二日の宿泊防災訓練を全校で行い、東京消防庁などと連携した普通救命講習や負傷者搬送訓練など、防災意識を高める取り組みを実施しております。
さらに、都立高校防災教育推進校十二校を指定し、消防学校での宿泊訓練などを通じて、自校の防災と近隣住民の安全を支え、社会貢献への意欲と実践力を持つ人材の育成を図っております。
都教育委員会は、今後とも、区市町村教育委員会及び都立学校に対して、こうした体験的、実践的な防災教育を継続し定着させていくよう指導してまいります。
次に、薬物乱用防止教育の推進状況についてでありますが、児童生徒は、学校における保健の授業で薬物乱用について学習をしております。これに加え、都教育委員会は、警察職員等を講師に招いた薬物乱用防止教室を年一回行うよう学校を指導しております。
現在すべての学校で薬物乱用防止教育が行われており、さらに、小中学校における実施率が、平成二十三年度にはともに九五%となるなど、平成二十年度に比べ約二〇%から三〇%向上しているところでございます。
近年、新手の脱法ドラッグが流通、販売されていることから、これまで以上に薬物の有害性と危険性を認識させ、健全な価値観や規範意識を育成するなどして、児童生徒が脱法ドラッグ等の誘惑に負けることのないよう、薬物乱用防止教育を推進してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 四点のご質問にお答えをいたします。
まず、災害時の協定についてでありますが、協定は、都や市区町村、関係団体等の連携の確保や広域的な支援の円滑化を図る観点から有効であるというふうに考えております。
このため、都は、東日本大震災を踏まえ、民間団体等との協定について内容の確認を行い、災害時の燃料確保に関する石油業界団体との協定を見直し、調達方法を変更するなど、実効性を確保する取り組みを行ってまいりました。
また、各市区町村が締結しております協定についても、事前に調査、把握し、発災時に各自治体の応急復旧体制を踏まえた円滑な対応が図れるようにしております。
さらに、震災の教訓を生かし、都道府県相互の広域連携を一層強化するため、全国知事会による協定について、被災県ごとに支援の担当府県を定めるなど、実効ある支援体制の構築に向けた改正を行ったところでございます。
今後とも、こうした協定が有効に機能するよう、さまざまな観点から検証するとともに、協定に基づく関係機関との連携を確保することにより、発災時の災害対応力を強化してまいります。
次いで、福島支援に関する現状認識や課題についてでありますが、都はこれまで、震災後直ちに福島県に現地事務所を設置して職員を常駐させ、被災地が真に必要とするニーズの把握に努めてまいりました。これを踏まえ、昨年八月からの専門技術を有する職員の派遣、本年九月からのまちづくりの即戦力となる一般任期つき職員の採用、派遣、そして商談会や物産展の開催など、被災地の実情に根差した多くの取り組みを行ってまいりました。
また、発災直後から、原発事故のために避難を余儀なくされた多くの方々を都営住宅などで受け入れ、現在に至るまで生活全般をきめ細かくサポートしております。
震災の発生から一年半が経過いたしましたが、福島においては、今なお農産物等への風評被害や避難生活の長期化などの課題を抱えております。
都は、今後とも、現地事務所を活用し、被災地のニーズを的確にとらえ、関係各局等と十分連携しながら、被災地や被災者が復興に向けて踏み出す歩みを力強く後押ししてまいります。
次いで、福島の風評被害対策についてでありますが、原発事故に伴う風評被害に今なお苦しむ福島の早期復興を図るため、その払拭に向け、国内最大の消費地である東京が全国の先頭に立って行動することが重要であると考え、都は、福島の県産品と観光地を継続的にPRする、ふくしま東京キャンペーンを展開しております。
具体的には、JRや東京メトロなど鉄道事業者と協力し、集客力の高い都心の駅構内での産地直売市の開催、トレインチャンネル、テレビ、ラジオ、また、都の福島支援の専用ホームページ等を活用いたしまして、福島の食材や観光地の魅力を広く都民に伝え、福島への関心を呼び起こしております。
今後とも、大都市東京の特性を最大限に生かし、さまざまな民間団体とも連携をしながら、各種媒体を活用したPRを積極的に実施するなど、一人でも多くの方が福島への応援の気持ちを持ち続けるよう、広くキャンペーンに取り組んでまいります。
最後に、福島県からの避難者への支援についてでありますが、都はこれまで、各局や関係機関と連携し、さまざまな情報の定期的な提供、相談窓口の設置、就労、就学支援、区市町村等が実施する孤立化防止への支援など、生活全般にわたりきめ細やかな取り組みを行ってまいりました。避難生活が長期化している現在、これまでのさまざまな取り組みに加え、避難者が今後の生活再建を見通す上で、避難元自治体のインフラ復旧や除染の動向、国や東京電力による賠償基準といった、被災地をめぐる詳細な情報がこれまで以上に必要とされております。
都といたしましては、引き続き避難生活を安心して送るための生活支援に鋭意取り組むとともに、避難者が今後の生活再建に役立つ必要な情報を入手できるよう、避難元自治体による都内での説明会の開催を支援するなど、福島県や避難元自治体との連携をより一層強化し、避難者支援のさらなる充実に努めてまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点の質問にお答えいたします。
まず、薬物乱用者への支援についてでありますが、薬物依存からの回復には長期間を要することから、相談、医療、リハビリテーションなど、関係機関が連携し、きめ細かな支援を行っていく必要がございます。
そのため、都は、相談に携わる保健師やケースワーカー等に対する研修を実施するとともに、都立松沢病院における専門医療の提供や、精神保健福祉センターにおける再発防止プログラムの実施など、薬物乱用者の回復の段階や家族の状況に応じたさまざまな支援を行っております。
また、麻薬中毒者等に対しましては、専門の相談員が治療後のケアや社会復帰に向けた相談を行っており、現在、麻薬以外の薬物乱用者に対する支援の拡大を検討しているところでございます。
今後とも、関係機関の連携を強化し、薬物依存からの回復に向けた支援の充実を図ってまいります。
次に、違法ドラッグ対策についてでありますが、近年、若者を中心に違法ドラッグの乱用が広がっており、若者への啓発と規制の強化が急務の課題となっております。このため、都は、今年度新たに若者向けのリーフレットやポスターを作成し、繁華街でのイベントやネットカフェ、学校等で配布や掲示をするなど、啓発活動を強化しているところでございます。
また、警視庁と連携して、都内の違法ドラッグ販売店への集中的な立入調査を行うとともに、条例に基づいて五つの薬物を新たに禁止薬物に指定するなど、規制強化に努め、国に対しても、成分構造が類似している薬物を一括で規制する包括指定や、海外での使用実績等を踏まえた事前規制を講ずるよう提案要求してまいりました。
現在、国では薬物の包括指定の検討が進められており、今後とも国に対し、早期導入を求めてまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、第六十八回国民体育大会競技別リハーサル大会についてでございます。
この大会は、来年の本大会に向けて、会場地の区市町村及び競技団体が、競技運営能力の向上と機運醸成を図ることを目的に開催するものでございます。本年四月の武蔵野市で開催されたラグビーフットボールから始まり、八月をピークに、四十競技中二十七競技が五十六の会場において既に開催されております。
リハーサル大会を終了した区市町村からは、成果として、競技団体や地元の体育協会等と大会を運営することにより一体感が生まれた、また、連携がとれたなどが挙げられております。
一方、本大会に向けた課題として、全体の動きの把握が不十分であったために適切な対応ができなかった、試合時間が大幅に延びた結果、シャトルバスの運行時間の変更調整に苦慮したなどのケースが明らかになったところでございます。
次に、リハーサル大会の成果や課題を生かすための都の役割についてでございます。
来年行われる国体の競技会を主催する区市町村の運営レベルに差が生じないよう、リハーサル大会で得た成果や課題を生かしてレベルアップを図り、質の高い大会となるよう調整することが都の役割であると認識しております。
このため、都としては、リハーサル大会が終了した区市町村から、大会における取り組み内容や成果、課題とその対応策について集約し、区市町村連絡会議などの場を通じ、情報提供をしております。
さらに、今後は、国体運営調整会議を設置いたしまして、区市町村とともに競技運営、輸送対策など、課題別に解決策を検討し、大会の成功に向けて万全を期してまいります。
最後に、地域を挙げた取り組みでございます。
スポーツ祭東京二〇一三を成功させるためには、地域の団体が区市町村と連携し、積極的に大会にかかわっていただくことが重要であると考えております。各区市町村では、リハーサル大会での物産展の開催、商工会と共同したPRポロシャツの作成、地元特産品を取り扱った飲食店マップの作成など、地域の団体と連携したさまざまな取り組みが行われているところでございます。
都としては、今年度より新たに開始したスポーツ祭東京二〇一三機運醸成、開催記念事業費補助制度等により、各区市町村が実施するこうした取り組みを積極的に支援し、都全体での盛り上げを図ることにより、スポーツ祭東京二〇一三を成功に導いてまいります。
〇議長(中村明彦君) 十八番遠藤守君。
〔十八番遠藤守君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇十八番(遠藤守君) 秋の彼岸を迎えたこの週末、全国の霊園、墓地公園には多くの墓参者が訪れました。東京都公園協会によれば、都内八カ所の都立霊園でも約三十七万人の来園者が訪れ、故人に深く思いをはせました。
急速な高齢化により、都の霊園行政に対する都民の関心そして期待、これが高まっていることから、初めに、この問題について質問をいたします。
都立霊園は、平成十六年度から、霊園本来の機能である故人をしのぶ空間としての役割を保持したまま、地域の特性や自然、歴史資源を生かし、墓地公園へと再生を図っております。
再生事業に共通するコンセプトは、景観を重視した多機能空間の創出でありますが、リーディングプロジェクトの青山霊園では歴史の森をテーマに、続く谷中霊園では寺町の風情と緑陰を、そして直近の染井霊園はソメイヨシノのふるさとにちなんで桜をテーマとし、それぞれ、霊園と公園の共存化が図られております。
メモリアルパークとして世界的に有名なアメリカのスプリング・グローブ霊園は、墓地を野外美術館にをスローガンに、高い美の基準にのっとり、園内を本格的にデザイン、一九〇〇年のパリ国際博覧会で、アメリカの最もすぐれた景観デザインとして金賞を受賞し、後の都市公園、郊外住宅地の模範となりました。
都立霊園の今後の再生に当たっても、例えば、一級の設計家に園内のデザインをゆだねたり、園を美しく保つための徹底した維持管理システムを導入したり、さらには、箱根の彫刻の森美術館のように、園内に多彩な彫刻やモニュメントを配置するなど、より明るく開放的な墓地公園を目指し、創意工夫を凝らすべきであります。見解を求めます。
ところで、都は、本年、都立霊園初となる樹林墓地を小平霊園に整備いたしました。七月に利用者を公募したところ、平均倍率は約十六倍、最も人気だった申込区分は三十一倍という高倍率になりました。
背景には、人間も自然の一部であり、死後は自然に帰りたいという強い憧憬がある一方で、お墓の承継者がいない、一般墓地に比べて使用料が格段に安い等の社会的、経済的理由が存在するものと思われます。
先日、私もこの樹林墓地を視察してまいりましたが、こうした都民の要請を満足させると同時に、厳かな雰囲気と良好な緑環境を備えた質の高い施設であると実感をいたしました。
そこで、小平霊園の樹林墓地の公募数をふやすとともに、他の都立霊園にも拡大すべきであります。答弁を求めます。
次に、精神科医療の充実について質問をいたします。
厚生労働省の全国調査によると、うつ病を初めとする気分障害の患者数は、平成八年の四十三万人から、平成二十年には百四万人と、十二年間で二・四倍に激増しております。都においても、同じ期間で六万三千人から十万四千人へと増大をしております。
うつ病は、自殺の大きな要因であることも明らかになっており、その対策に都民の大きな期待を寄せております。
こうした中、最近、新聞などで、うつ病患者の過量服薬や多剤投与の問題をクローズアップした記事を見かけます。
もちろん、医師の多くは、患者に真摯に向き合っており、誤った認識は禁物であります。しかし一方で、私が相談を受けた患者のご家族からは、長年多くの薬を飲んでいるにもかかわらず症状はほとんど改善されないといった声や、副作用が強くかえって症状が悪化したなどの訴えを耳にいたします。
国は、この過量服薬という課題を認識しておりますが、都としても、必要な対策を講じるべきであります。見解を求めます。
この問題の解決に向けては、医療機関と患者、双方の視点から対策を打つことが必要であります。
まず、医療機関側で重要なのは、身近なかかりつけ医である一般診療科における対応であります。うつ病患者の方は、多くの場合、心身両面にわたる不調があることから、精神科を受診する前に、内科等の一般診療科を訪れる傾向にあるそうです。診療初期のこの段階で、一般診療科の医師と精神科の専門医との間で、適切な連携が図られれば、過量服薬のリスクは軽減されるものと考えます。
以上のことから、都は、都議会公明党の提案を受け、一般診療科医師に対する精神科分野の研修事業を開始しましたが、こうした取り組みなどを通じ、精神疾患の理解を一層充実させるべきと考えます。答弁を求めます。
一方、患者側からこの問題を見ると、症状が改善されず、やむなく薬の量や種類がふえたり、安易に医師に処方を求めてしまうケースがあります。
こうしたケースに対しては、院外処方で薬を処方する薬局や心の悩みに対応する相談施設など、患者の身近にある機関と医療機関との連携が有効であり、その仕組みを早急に構築することを強く求めておきます。
次いで、妊婦の感染症予防について質問をいたします。
近年、報道等でも大きく取り上げられているウイルスに、サイトメガロウイルスという名称のウイルスがあります。このウイルスは、人間の唾液、血液などの体液中に存在しているヘルペスウイルスの一種であり、私たち成人でも子どもでも、ほとんどの場合、感染しても症状はありません。しかし、妊娠中に初めて感染した場合、胎児に母子感染し、生まれてきた子どもに脳障害や難聴などを引き起こす可能性があり、最悪の場合は、流産や死産のリスクが高まるといわれております。
最近、日本小児感染症学会が行った調査によれば、このウイルスが原因で、脳障害や難聴などになった乳幼児は、この十五年で二倍にふえているとあります。このウイルスは一度感染すると免疫ができ、その免疫があれば、妊娠中に再度感染しても胎児に影響することはほとんどない、このように専門家は指摘をしております。ところが、従来、九〇%といわれていた抗体保有率は、最近では、妊娠可能な年齢の女性で七〇%台、あるいはそれ以下に減少していることが報告されており、妊娠中に初めて感染するリスクが高まっていると考えられます。
私たちの身の回りには多くのウイルスが存在しており、母子感染のリスクを減らすために、妊婦が感染症予防についての正しい知識を持つことが重要であり、そのための支援がぜひとも必要であります。
都は、妊婦に対して、サイトメガロウイルスを含む感染症の予防について、積極的な注意喚起を行うべきです。具体的な取り組みについて答弁を求めます。
最後に、新公会計制度の普及について質問をいたします。
石原知事は、我が党の提案にこたえ、平成十八年度に、全国自治体に先駆けて、複式簿記・発生主義会計による新公会計制度を導入し、本定例会には、六回目の財務諸表が提出をされました。
都は、制度導入後、従来以上に正確かつ迅速に財務状況を把握し、都議会や都民に対する説明責任を果たすとともに、事業評価では、この制度も活用して、発生主義の観点からきめの細かい分析を行い、予算編成に生かしております。
一方、国は、改訂モデル、基準モデルという二つの全く異なる公会計モデルを示し、全国の自治体に財務諸表の作成を要請しております。現在、全国自治体の約八割が、改訂モデルで財務諸表を作成しておりますが、大半は、官庁会計決算の数値を事後的に組み替えて財務諸表を作成するため、作成時期が大幅にずれ込むとともに、精度にも難点があり、予算編成にほとんど活用できていない、このようになっております。
また、基準モデルは非常に独特な考え方によるもので、専門家でも理解するのが困難といわれております。国の動きが遅々として進まない中、公会計制度改革の先駆者として、今後の取り組みに対する知事の力強い決意をお伺いいたします。
今後は、国の動きを待つことなく、東京都と同様の新公会計制度をさらに普及拡大させていくことが極めて重要であります。
都内では、町田市がいち早く制度のメリットに注目し、東京都方式を導入しましたが、おひざ元である都内で、さらに導入の実績をつくっていくことができれば、それが全国自治体への普及にもつながっていくものと考えます。
今後とも、必要な情報提供を行うとともに、区市町村の実情を踏まえた普及活動を強力に進めるべきと考えます。
また、その一方で、全国に向けた普及についてでありますが、これまでも都は、大阪府とともにシンポジウムを開催し、公会計改革白書を作成するなど、積極的に普及活動を展開してきました。昨年十二月には、都は、我が党の提言に速やかにこたえ、大阪府、新潟県、愛知県、町田市とともに新公会計制度普及のための連絡会を立ち上げました。
今後は、この連絡会議の五団体が緊密に連携し、全国自治体に対し、制度導入に役立つ情報をさらに効果的に発信していくべきと思います。
今後の都内区市町村や全国の自治体への普及について答弁を求め、私の一般質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 遠藤守議員の一般質問にお答えいたします。
新公会計制度についてでありますが、私は父が急死しました後、父の先輩にいわれて、公認会計士という新しい仕事につきなさいということで、一橋という大学を選びまして、そこで一年間勉強しましたが、簿記会計というのは私に全くそぐわない学問だと思ってあきらめました。
しかし、少しはその蓄積がありますけれども、この複式簿記・発生主義による新公会計制度の導入は、金利感覚やコスト意識の欠如した、これ、現行の政府がやっております太政官制度以来続いております時代おくれの官の体質を根本から変えるものでありまして、効率的な行政運営を実現するための切り札となるものだと思っております。
知事に就任しましてから、当時、私の非常に親しい友人でもありました当時の公認会計士協会の会長の中地さんと相談しまして、新しい会計制度をつくりたいということで、彼も努力をしてくれまして、最初は機能するバランスシートという新しいバランスシートの方式をつくってもらいましたが、それをベースにして、今日、東京が採用している会計制度ができたわけであります。
いずれにしろ、先進国の中で、単式簿記なんてばかなことをやっているのは、ほとんどありません。日本の周囲の国を眺めましても、単式簿記をやっている国は、北朝鮮、パプアニューギニア、フィリピン、マレーシアぐらいでありまして、あとはどこも、発生主義・複式簿記をやっているわけでありますが、日本だけは依然として単式簿記であります。
ゆえに、この民主党の政権も、それに気づいてかわかりませんが、結局、財務省の圧力で方向転換しまして、事業仕分けなどというばかなことをやりましたが、あんなもので、何の欠点も出てくるわけではないわけでありまして、いずれにしろ、この近代社会、現代社会の中で、投資家がどこかの会社に刮目して、その会社の株を買おうと思っても、財務諸表のないような会社の株をだれも手をつけるわけはないわけでありまして、この日本には、健全なバランスシートがない。財務諸表もない。ゆえに、非常に不透明な特別会計などが憶測されて、随分お金を隠しているようですけれども、そういったものも出てこない、いろんな弊害があるわけであります。
いずれにしろ、この新しい会計制度をつくるときには、いろいろ苦労しましたが、例えば、地方自治体が持っているアセット、資産の中には、鉄道のようなものもあります。東京の一番古い地下鉄は、戦前にできた渋谷から浅草までの地下鉄ですけど、これは普通の法律でいきますと、四十年たつと償却されるものでありますが、しかし、これいろいろな手を加えて商店街も地下にできたり、いろいろな形で付加価値がついて、依然として資産としての価値がある。これをどう評価するかということを非常に中地さんも苦労されましたが、いずれにしろ、今日の非常に合理的な公会計制度ができたわけであります。
これを、私はやはり全国に普及したいなと思っておりまして、これに呼応して、大阪の、かつて知事でありました橋下さんが、これを採用してくれましたし、私たち無償でこれに協力しました。新潟県も愛知県もこれに呼応してくれました。また都下では、町田のようなまちがこれを採用してくれるようになりましたが、いずれにしろ、こういった合理的な会計制度というものを採用しませんと、官僚が何をしているか、よくわかるようでわからない。
国は、地方の自治体には法律で決めて、外部監査も入れろということをいっておりますけれども、何で国は外部監査を入れないのでしょうかね。会計検査院なんて、役人が役人を調べるったって、こんなもの何の役にも立たない。いずれにしろ、私たちは、健全な財政というものを保持するために、こうした合理的会計制度を必要とするわけでありまして、こういったものを全国に展開していきたいと思っております。
現今、経済の先行きが非常に不透明で、国家財政や地方財政が危機に瀕しておりますが、まず行うべきことは、事業仕分けなどというものではなくて、財政のむだをあぶり出す公会計制度の改革であることを国が認識すべきだと思っております。
今後とも、都は、制度導入の先駆者として、志を同じくする自治体と緊密に連携しながら、日本全体の会計制度の改革を牽引していきたいと思っております。
他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都立霊園の再生についてでございますが、都立霊園は、社会状況の変化や都民ニーズにこたえながら、墓所の供給と、訪れる方々も安らぐことができる緑豊かな快適な空間の提供を行ってまいりました。
区部の霊園におきましては、平成十六年度から、墓所の返還や移転の促進により、まとまった空地を生み出し、都民が快適に墓参りや散策を楽しむための園路、広場を整備する再生事業を実施しております。
今後とも、都市環境の保全や良好な景観の形成といった公園的な機能と、静ひつな霊園を共存させるよう創意工夫を重ね、都民に親しまれる霊園づくりを進めてまいります。
次に、小平霊園の樹林墓地についてでございますが、都はこれまで、将来の管理や承継の心配のない合葬式墓地や狭小な敷地を有効に活用した立体式墓地などを供給してまいりました。
合葬式墓地の一つである樹林墓地は、死後は自然に帰りたいという都民の思いにこたえ、緑豊かな樹林のもとに設けられた納骨施設に多くの遺骨を埋蔵する形式の墓地でございます。
小平霊園の樹林墓地におきましては、今年度から募集を開始いたしましたが、この応募状況を踏まえ、来年度からは募集数をふやすとともに、他の都立霊園への樹林墓地の拡大についても検討してまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、過量服薬への対応についてでありますが、国は平成二十二年に薬物治療のみに頼らない診療体制の構築に向けて、過量服薬への取り組みを公表いたしました。
この中では、当面の対策として、診療ガイドラインの作成、普及啓発の推進や、一般医療と精神科医療の連携強化など、五つの取り組みを挙げるとともに、今後検討していく対策として、向精神薬に関する処方の実態把握、分析など五つの事項を示しました。
このうち、処方の実態把握、分析につきましては、実態調査等の研究結果を本年一月に報告書として取りまとめ、睡眠薬などの処方における注意喚起を行っております。
都は、こうした国の取り組みについて、都内の関係団体に周知を図っており、今後とも、国の動向を踏まえながら適切に対応してまいります。
次に、精神疾患に対する一般診療科医師の理解の促進についてでありますが、都は、昨年度、一般診療科医師向けに、精神疾患の症状や精神科医師との連携のポイント等を記載したハンドブックを作成するなどの取り組みを行いました。
また、このハンドブックを活用し、日常診療における精神症状の診方などに関する研修と、かかりつけ医と精神科医師が連携して治療を行った事例についての合同症例検討会を、医師会と協力して都内八地区で開催し、今年度は、実施を希望する地区が昨年度を上回る状況にございます。
今後とも、こうした研修や検討会などを通じて、一般診療科医師と精神科医師との連携を図るとともに、精神疾患に対する理解を促す取り組みを着実に推進してまいります。
最後に、妊婦の感染症予防についてでありますが、感染症は、ウイルスや細菌が人や動物等から感染し発症いたします。お話のサイトメガロウイルスについても、唾液や尿を介して感染するため、乳幼児のいる家庭では、おむつ交換の際の手洗いの徹底が予防に有効でございます。
妊娠中は、母子感染で胎児に影響を及ぼす可能性があることから、妊婦がこうした感染症の予防のための正しい知識を持つことが重要でございます。そのため、区市町村では、母子健康手帳に、感染症予防について記載するとともに、母親学級等での保健指導の際にも注意喚起を行っているところでございます。
都は、区市町村が適切に啓発や保健指導が行えるよう、保健師などを対象に研修や会議で情報提供を行っており、今後も最新の情報を迅速に提供してまいります。
〔会計管理局長松田芳和君登壇〕
〇会計管理局長(松田芳和君) 新公会計制度の普及についてでございますが、新公会計制度を、まず足元である都内区市町村へ普及させていくことは重要な視点でありますが、都内では、既に町田市が今年度から新公会計制度を導入しており、さらに今般、江戸川区が導入を決定したところでございます。
都はこれまで、区市町村に対し適宜個別訪問を行ってきたほか、本年八月には、財政や会計部門の担当者を対象に合同説明会を開催し、制度の特徴や財務会計システムの活用などの理解を深める取り組みを行いました。
また、都と区市町村が共同で立ち上げた研究会で、制度導入に当たり区市町村が直面する実務的な課題について検討を進めており、こうした普及活動にさらに積極的に取り組んでまいります。
一方、全国自治体に対しましては、この四月に、大阪府、新潟県、愛知県など、先行五団体で構成する連絡会議でホームページを開設し、継続的に情報を発信しているところでございます。
さらに、本年十一月には、全国の自治体関係者等を対象としたセミナーを東京ビッグサイトで開催し、五団体の多様な導入、活用事例を紹介するとともに、公会計の専門家を交え、参加者との意見交換を行う予定でございます。
今後とも、都は、連絡会議内の連携を密にし、さらなる情報発信を行うなど、普及活動に努めてまいります。
〇副議長(ともとし春久君) 六十七番早坂義弘君。
〔六十七番早坂義弘君登壇〕
〇六十七番(早坂義弘君) 防災を考える上で最も重視されるべきは、命を守ることにあると私は考えます。現在、防災対策として論じられているものには、帰宅困難者や食料備蓄、仮設住宅などいろいろあります。それらは重要な論点ではありますが、あくまで生き残った後の話です。防災対策は多岐にわたります。それゆえに、その対策は、命を守るためのものなのか、それとも生き残った後のものなのか、そのどちらなのかをきちんと意識した上で論じるべきです。
本日、私は、首都直下地震からいかにして命を守るかに絞って質問をいたします。
結論から申し上げると、首都直下地震では、火災対策こそが命を守るというのが私の主張です。
さて、東京都が、本年四月に発表した首都直下地震の被害想定で、私が何よりも恐ろしく感じたのは火災の発生です。冬の十八時、風速毎秒八メートルの東京湾北部地震の場合、品川区では、区内すべての建物のうち、何と三〇%が焼失するとされています。以下、数字が多い方から順に、大田区二五%、目黒区、杉並区、墨田区がそれぞれ二〇%です。東京都全体の死者九千六百人のうち、焼死と建物倒壊による圧死、窒息死がほぼ半分ずつとなっているところが、四百ページにわたるこの被害想定のポイントだろうと思います。
ここで、過去の大震災による犠牲者の死亡原因を見ると、さきの東日本大震災では九〇%が溺死、阪神・淡路大震災では八〇%が建物倒壊による圧死、窒息死、関東大震災では九〇%が焼死でした。この数字を考えれば、首都直下地震に備える今、私たちが学ぶべき教訓は、大正十二年関東大震災にあります。
そこで、関東大震災がどのようなものであったか、簡単に振り返ってみたいと思います。
一九二三年九月一日午前十一時五十八分、神奈川県相模湾沖を震源としたマグニチュード七・九の大地震が発生、死者十万五千人という甚大な被害が発生をいたしました。地震発生から四十二時間もまちは燃え続け、今の山手線の内側に相当する東京市の半分が焼失しました。現在、江戸東京博物館があるところは、当時本所区と呼ばれており、火災が迫ってきたこの地域の住民は、率先して被服廠跡に避難しました。被服廠とは、軍服の製造工場のことですが、地震の三年前、赤羽に移転し、ここは樹木もほとんどない二万坪の空き地となっており、絶好の避難場所だと思われていたのです。
しかし、皆さんご存じのとおり、この広大な空き地に避難した人の九五%、実に三万八千人がこの場所で焼死をしたのです。
ここで一つ大きな疑問が生じます。私たちは通常、火災から避難するには、広大な空き地に逃げます。しかし、東京ドームの一・五倍もの広さを持つ空き地であったにもかかわらず、ここに避難した人の九五%が焼死したということは、空き地への避難では、火災から命を守れないのか、そういう疑問です。
当時の状況を詳しく調べると、被服廠跡での惨劇は、午後四時から五時までの一時間に発生しています。ここに持ってまいりましたが、吉村昭のノンフィクション「関東大震災」には当時の様子が生々しく描かれています。また、北原糸子編写真集「関東大震災」には、焼死したご遺体がむき出しで山積みにされている写真も載っています。どちらも余りに残酷過ぎて、今ここで引用することも、パネルとしてごらんいただくことも、とてもできません。ですが、先ほどの疑問に対する答えが、この本と写真集に隠されています。
それは、避難者が携えてきた荷物です。地震の発生から火災による避難まで数時間という猶予があったこともあり、住民は、たくさんの荷物をこの被服廠跡に持ち込みました。中には、大八車で持ち込んだ人もおり、一坪に二人、二万坪に四万人という避難者に加え、それぞれが運んできた膨大な荷物で敷地はあふれ返りました。そこに火災が延焼したのです。
翻って今日、火災からの避難の際、持ち込む荷物を極力減らせという指導がなされてはおりません。
さらに、木造住宅の火災燃焼温度は、三メートル離れたところでも八百四十度になるといわれています。延焼火災が発生した木造住宅密集地域の中がどういう状態なのかを私たちは知っておく必要があります。
東日本大震災は、千年に一度の災害でしたが、関東大震災は、わずか九十年前の出来事です。私たちは、今こそ関東大震災のさまざまな教訓に学ぶべきであります。
そこで知事に、首都直下地震対策は、火災に重点を置くべきだという私の考えに対するご見解を伺います。
地震に起因する火災対策で最も本質的なものは、防災まちづくりであり、その代表が木造住宅密集地域の解消です。これについては、昨日の我が自民党代表質問で触れておりますので、私はこれに言及しません。しかし、防災まちづくりには長い時間を必要とします。切迫する首都直下地震から命を守るには、今すぐできる身近な対策が不可欠であり、それは初期消火と避難であります。
まず、初期消火についてです。平時であれば、一一九番に電話をすれば、消防隊がすぐ駆けつけてくれます。しかしながら、首都直下地震は、同時多発の火災であり、かつ道路が寸断されていることが予想されるため、消防隊の応援は期待できず、初期消火には、消防団と地域住民が当たらなければなりません。町会や自治会には、D級ポンプと呼ばれる小型消防ポンプが配置されており、地域の皆さんがその訓練に当たっています。しかし、どれだけ熱心にD級ポンプの訓練を行っても、火災現場の近くに水がなければ火は消せません。にもかかわらず、水をどこから持ってくるか、すなわち水利に対する意識を持つ人は極めてまれであります。
一方で、市民が初期消火に使うために開発されたスタンドパイプは、その弱点を補う画期的なものです。すなわち、消防隊が使う消火栓にごく簡単な操作で取りつけるだけで、三階建ての高さの火災にも対応できます。水道管自体に圧がかかっているため、ポンプを使用しなくても水が三階まで届くのです。取りつけは、か弱い女性でも二人いれば十分可能です。
都内には、おおむね百メートル四方に一つ消火栓が設置されています。その数は、都内全体で十三万、これに加えて、木造住宅密集地域に多く設置されている排水栓が二千、水道管の断水率を減らし、この水利を活用した初期消火ができるかどうかが、首都直下地震から命を守れるかどうかの生命線だと私は考えます。
だれかが守ってくれるのを待つのではなく、都民一人一人がみずからと家族と地域を守る気概を持たなければなりません。スタンドパイプの設置状況は、我が杉並区でいえば、すべての小中学校に、ようやく一つずつ配置したばかりです。一日も早い整備を望みます。
そこで、消防総監に、震災による火災被害軽減のため、都民に対してどのような訓練指導を行っているのか伺います。
関東大震災では、着衣着火による焼死も報告されています。当時と違い、今日の素材には化学繊維がふえています。このことが被害を大きくするかもしれません。アメリカでは、着衣着火に対する身の処し方として、ストップ・ドロップ・アンド・ロールという言葉を教えています。すなわち、衣服に火がついたとき、駆け回ると火をあおることになるから、ストップ、立ちどまれ、次にドロップ、倒れろ、そしてロール、転がって衣服の火を消せという実践的な教えです。
また、昭和二十年三月十日の東京大空襲による火災の記録を見ると、四つ角に飛び出した瞬間に、熱風で目や肺をやられることもあるようです。
冒頭、私は、防災で最も大切なのは命を守ることだと申し上げました。不幸にして延焼火災が発生し、初期消火もできないとなると、最後に身を守るのは避難です。首都直下地震から命を守るには、こういった実践的な避難方法に対する研究と普及啓発が必要です。東京消防庁など、関係ご当局のさらなるご努力を心から期待します。
次に、下水道の浸水対策について伺います。
近年、各地で集中豪雨が頻発しています。舗装が進んだ都市部で、このような集中豪雨が発生した場合、地下にしみ込まなくなった雨水が大量に下水道に流入し、内水被害をもたらすおそれがあります。
実際、私自身も、七年前に、地元杉並区で発生した一時間に一一二ミリの集中豪雨の際、腰まで水につかる経験をいたしました。このような中、浸水被害が頻発していたJR阿佐ケ谷駅周辺において、被害を軽減させる下水道貯留管が予定を前倒しして完成いたしました。
しかしながら、都内には、いまだ数多く浸水の不安を抱えた地域があります。例えばその一つに、昔河川であったところをそのまま下水道幹線として暗渠で使っているところが挙げられます。こういった箇所を初めとして、浸水対策の抜本的強化である下水道幹線などの施設整備なくして、都民の安全は守れません。そこで、その取り組み状況について伺います。
一方で、施設整備には、どうしても時間がかかります。そこで、現在の施設能力を上回る降雨に対しては、都民みずからが主体的に豪雨への備えを行うことが不可欠です。そこで、浸水対策における都民の意識啓発について伺います。
次に、都営地下鉄のバリアフリー化について伺います。
これまで、交通局は、さまざまなバリアフリー対策に取り組んできました。その中で、地下鉄については、すべての駅に、地上からホームまでをエレベーターを利用して平面だけで移動できる、いわゆるワンルートが確保できるよう整備を進めています。その取り組みは着実に進んでおりますが、それが乗りかえなどの場合に遠回りになることもあり、より一層の改善を求める声があります。
そこで、だれもが利用しやすい都営地下鉄を目指すために、これまでの取り組みに加えて、さらなるエレベーター整備が必要だと考えます。ご見解を伺います。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 早坂義弘議員の一般質問にお答えいたします。
火災に重点を置いた首都直下地震対策についてでありますが、東京は、大空襲と大震災によって、過去百年の間に二度も焦土と化し、十五万人を超えるとうとい命が奪われたという歴史を持っております。江戸時代も含めれば、明暦、明和、文化の三大大火の発生した事実がありまして、一つの都市が、これほど頻繁に火に焼かれたという史実は世界にも類例がないと思います。この理由は、やはり、日本のまち、江戸のまちそのものが、資材の関係もあって、ほとんど木造でできているということになると思います。
例の有名な振りそでの火事でも、それが飛んで江戸城の本丸が焼け落ちたという事例もありますし、当時の江戸で活躍した火消しの連中も、これは消火が決してメーンの仕事ではなくて、むしろ今日東京も努力しておる、類焼を防ぐために、まだ焼けていない家をとにかく引き倒して平地にするという、そういう方法をとっていたようでありますが、今もなお、とにかく戦前から残された古い木造のまちがありまして、戦後の無秩序な開発がもたらした木造住宅密集地域という大きな弱点を抱えているわけであります。
我々は、こうした過去の苦難の歴史を忘れることなく、東京の脆弱性の克服に向けて、火に対する危機意識を都民と共有して、大震災による火災への備えを固めていかなければならないと思います。
よく、木密地帯に視察に行きまして、まちの方と話しますと、あなたね、これ危ないよというと、いや、うちは大丈夫だと、なぜか何の根拠もなしに答える人が多いんですが、倒壊はしなくても、結局類焼するおそれがあるわけでありまして、こういった認識を私たちはきちっと持ち直す必要があると思います。
そのため、延焼遮断帯となる道路の整備などハードの対策はもとより、阪神・淡路大震災における火災の事実も伝えて、住民の危機意識を喚起するとともに、水道の排水栓を活用して、住民による初期消火の体制を整えるなど、ソフト対策も推進していきたいと思っております。
火災のリスクを見据えた手だてを着実に講じて、東京を、壊れない、燃え広がらないまちへと生まれ変わらせていかなければならないと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁します。
〔消防総監北村吉男君登壇〕
〇消防総監(北村吉男君) 地震火災による被害を軽減するための訓練指導についてでありますが、さきに公表された首都直下地震等における被害想定では八百十一件の火災の発生が予想されていることから、地域住民による初期消火が極めて重要であると認識しております。このことから、当庁では、軽可搬消防ポンプやスタンドパイプなどによる初期消火訓練指導の強化を図ってまいりました。
また、新たに、延焼拡大の危険性が高い木造住宅密集地域を重点に、狭隘道路に設置されている排水栓を活用した初期消火訓練を実施しております。
今後とも、消防団及び関係機関等と緊密に連携した実践的な防災訓練を推進し、地域の初期消火体制の強化に努めてまいります。
〔下水道局長小川健一君登壇〕
〇下水道局長(小川健一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、下水道の施設整備による浸水対策についてでございますが、平成十七年の集中豪雨を受け、東京都として策定した豪雨対策基本方針に基づき、下水道幹線やポンプ所の整備などに取り組んでいるところでございます。
浸水の危険性の高い対策促進地区二十地区では、平成二十九年度までに一時間五〇ミリの降雨に対応できる施設の整備完了を目指し、昨年度までにすべての地区で着手し、五地区で対策を完了いたしました。
また、浸水被害が発生するとその影響が大きい大規模地下街では、整備済みの新宿駅など四地区に加え、新たに東京駅丸の内口など五地区で、七五ミリの降雨に対応できる貯留施設などを整備することとし、既に渋谷駅東口で工事に着手したところでございます。
お話の、かつて河川があった地区では、大雨で下水道幹線内の水位が上昇すると、地盤の低い箇所に雨水が逆流し、浸水被害が発生しやすくなっております。そのため、既存の幹線の下に新たに幹線を整備するなど、効果的な対策を前倒しして実施してまいります。
具体的には、神田川流域の桃園川幹線など三流域で、今年度、新たな幹線の設計に着手します。
次に、浸水対策の都民への意識啓発についてでございますが、浸水被害の軽減に向け、都民みずからの浸水に備える取り組みも重要であるため、降雨や浸水に関する情報提供の充実などに取り組んでいるところでございます。
具体的には、東京アメッシュにより、降雨状況をリアルタイムにホームページや携帯電話で提供しており、昨年度は約五千万件のアクセスがございました。今年度は、急に降り出す局地的な大雨も把握できる新型レーダーへの更新に着手し、情報のさらなる精度向上を図ってまいります。
また、下水道光ファイバーネットワークにより、下水道幹線内の水位を把握し、いち早く関係区へ提供しており、この情報は地域の水防活動に活用されているところでございます。
さらに、六月を浸水対策強化月間とし、地下室のあるお宅を戸別訪問し、注意喚起するなど、豪雨への備えをお願いしております。このほか、浸水予想区域図の作成や区市町村のハザードマップ作成への支援を行っております。
今後も、都民や区市町村との連携を強め、ハード、ソフトの両面から、浸水対策の充実に全力を挙げてまいります。
〔交通局長中村靖君登壇〕
〇交通局長(中村靖君) 都営地下鉄におけるエレベーターの整備についてでございますが、交通局は、人に優しい公共交通機関を目指し、地下鉄のすべての駅において、エレベーターなどによるホームから地上までのワンルートの確保に取り組んでまいりました。これまでに、全百六駅のうち百一駅で整備を完了し、一〇〇%整備に向け、現在、残り五駅の工事を進めております。
ご指摘のとおり、ワンルート確保を達成した後も、駅のバリアフリー化を図る観点から、引き続きエレベーターの整備を進めていくことが重要であると認識しております。
今後は、階段を避けるため遠回りを余儀なくされるなど、利用が不便な他路線との乗りかえ駅などにおいてエレベーターの整備に努め、だれもが利用しやすい都営交通を目指してまいります。
〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時五分休憩
午後三時二十五分開議
〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
三十三番島田幸成君。
〔三十三番島田幸成君登壇〕
〇三十三番(島田幸成君) まず最初に、次世代を担う人材育成についてお伺いいたします。
中国や韓国と日本との間で尖閣諸島や竹島の領有問題が発端となり、それぞれの国との関係が悪化しております。各国の国益が絡み、良好な関係を構築することは大変難しい状況でありますが、今後、経済、文化で密接な関係にあるアジア諸国と良好な関係を維持しながら、一方で、国として主張すべきことはしっかりと主張すべきと考えております。
このように流動的な世界情勢の中で、特に次世代のリーダーとなる若者にとっては、幅広い視野や歴史観、日本人としての誇り、使命感を持った人材育成が重要と考えております。
知事は、次世代のリーダーとなる若者にとってどのような資質が重要と考えるのか、見解をお伺いいたします。
都教育委員会では、平成二十四年度から次世代リーダー育成道場を開設し、グローバル化の進展する社会で生きる次世代育成プログラムを開設しております。その中で、これからのリーダー像として、世界に活躍できるたくましさ、英語力、多様な文化の理解、チャレンジ精神、使命感などを挙げ、海外に留学生を派遣するとしております。
先ほど私は、主張すべきことはしっかり主張することが大切だといいましたが、人材育成において大事なのは、自分の意見や主張をはっきりといえる人材を育成することではないかと考えております。次世代リーダー育成道場を意義あるものとするためには、留学だけでなく、事前研修を充実させることが重要と考えます。
次世代リーダー育成道場の事前研修はどのような点を重視して実施しているのか、お伺いいたします。
次世代育成道場において、オーストラリア、アメリカ、カナダ、ニュージーランドなど四カ国へ百五十名の留学生を派遣し、コースAでは、平成二十五年一月から同年の十一月下旬の予定でオーストラリアへ五十名を派遣するとしております。
オーストラリアは、歴史的に見ると、大戦中敵国であり、当時、日本軍は本土を攻撃した事実もあります。現在は日本と大変友好的な国で、オーストラリアのギラード首相は、東日本大震災でいち早く来日し、被災地にも訪れ、支援を行いました。昨日、ニューヨークの国連本部で野田首相とギラード首相との首脳会談が行われ、アジア・太平洋地域の平和と繁栄のため、お互いに協力すると一致したということで、すばらしいことだというふうに思っております。
前回も質問しましたが、オーストラリア・カウラには戦時中、捕虜収容所があり、日本兵の脱走によりその多くが亡くなり、戦後、地元の方々が墓地をつくり、毎年慰霊をしていただいております。この史実に、私は、過去の歴史を乗り越え、未来志向の関係を築く重要な要素があると考えております。
次世代を担う若者にとっては、歴史の教訓に学びながら、各国の方々と友好な関係を築く必要があると考えますが、次世代リーダー育成道場において、我が国だけでなく、留学先の歴史や文化を十分理解させることが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
国と国が対立しているときだからこそ、国際交流の窓口を広く開くことが重要であります。次世代を担う人材が世界の方々と未来志向の関係を築くためにも、留学生の派遣、受け入れを促進すべきであります。
また、近年、東京大学を初め多くの大学で秋入学の制度を導入することにより、海外からの留学生の受け入れを促進することを検討しております。今後は、各教育レベルでグローバル化が一層進んでいくと考えられますが、都立高校における留学生の受け入れについて、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
次に、高齢者の見守りについてお伺いいたします。
都内で孤立死が相次いでおります。ことし三月には、立川市の都営住宅の一室で九十五歳と六十三歳の母子が、その後、七月に豊島区の都営団地で、八月には多摩市の都営団地で同様の事件が発生いたしました。また、都監察医務院のデータによると、二十三区における六十五歳以上のひとり暮らし高齢者の自宅での死亡者数は、平成十九年から四年連続で二千人を超えております。
高齢者の中には、町会、自治会や老人クラブ等の地域活動に積極的に参加する元気な方や、みずから必要な医療や介護の情報を収集できる方がおり、こうした方々は地域とつながっておりますが、一方で、自宅に閉じこもり、地域とのつながりが希薄で、必要なときに必要な支援が受けられない高齢者もおります。
こうした方の孤立死を防ぐためには、地域の見守りネットワークを構築し、介護、宅配、電気、水道、ガスなどさまざまな民間事業者の力も最大限に活用しながら、地域全体で孤立しがちな高齢者を見守る仕組みを、より強固なものにすべきであります。
地域で孤立しがちな高齢者を見守り、支える取り組みを推進していくために、都はより有効に機能するネットワークの構築に向けて取り組むべきであります。所見をお伺いいたします。
東京には、二十三区のようにマンションや戸建て住宅の多い地域もあれば、多摩ニュータウンのように大規模集合住宅が多い地域もあります。私の選挙区である西多摩地区は、マンションや戸建て住宅の建設が進む一方で、昔ながらの田園風景の広がる農村地帯もあります。多様な地域特性を持つ東京において、一つの手法で効果的な見守りを行うことは困難であります。東京の多様な地域特性を踏まえた効果的な見守りの手法が必要と考えます。所見をお伺いいたします。
高齢者が住みなれた地域で安心して生活し続けるためには、医療、介護、予防、住まい、そして地域における支え合いを一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が急務であります。高齢者の見守りは、この地域包括システムを構築する上で極めて重要な取り組みであります。
見守りは、介護や疾病リスクの早期発見につながり、予防の観点からも大変有益であります。また、高齢者に見守りの担い手になっていただき、支えられる側ではなく、支える側として活躍してもらうことで、活力ある生活の維持向上につながるなど、在宅で元気に暮らし続ける高齢者をふやす効果もあります。元気な高齢者がふえれば、地域は活気に満ち、増大する一方の社会保障費の抑制にもつながります。
見守りネットワーク構築に対する都のさらなる支援を要望して、次の質問に移ります。
次に、監理団体改革についてお伺いいたします。
監理団体には、都職員のOBの再就職、いわゆる天下りの問題、情報公開、経営の健全化、透明性など、まだまだ改革すべき点は多いと考えます。私も昨年、決算特別委員会において、水道局と監理団体、水道サービス株式会社や株式会社PUCにおける契約で、随意契約の占める割合が多いことに触れ、官から民へという言葉がありますが、民間に回せる業務はないかなど指摘してまいりました。
そこで、監理団体にかかわる契約について、諸課題を質問いたします。
監理団体にかかわる契約という中で、大きく二つに分けられると考えます。一つは、各局が監理団体と結ぶ契約で、もう一つは、監理団体がその他の民間企業と結ぶ契約であります。
一つ目の、各局が監理団体と結ぶ契約に関して質問いたします。
昨年、水道局と局の監理団体との契約で、随意契約の割合が多いことを指摘いたしました。今回、水道局以外の各局が監理団体と結ぶ契約状況を調べたところ、同様に随意契約が多いことがわかりました。
都から業務を受託した監理団体においても、さらにその団体が同じ業務を外部委託する場合もあると聞きます。これは、監理団体が行わなければならない業務もある一方で、民間に直接発注できる事業も含まれているということではないかと考えます。
私は、こうしたことが民業の圧迫につながっているのではないかと懸念しているわけでありますが、今後は、契約内容の一層の精査を行い、民間にできることは民間に任せるよう、都が監理団体と契約する事業については見直していくべきと考えますが、都の考えをお伺いいたします。
二点目の、監理団体が民間企業と結ぶ契約に関してお伺いします。
現在、監理団体の契約情報に関する公表については、都から特命で受託した事業等に係る契約は二百五十万円以上となっておりますが、その他の契約については一億円以上の案件を公表する基準となっております。都から財政支出、人的支援を受けている監理団体である以上、公正性、透明性の向上は欠かせないと考えており、契約額が一億円以下のものについてもできる限り公表すべきであります。
二年前に設立したマラソン財団に対しては、公道を使うという極めて公益性の高い事業を実施していることから、私は、契約額が一億円以下の案件についても公表すべきだと主張してまいりました。また、みずから積極的に公表を行っている団体に対してはきちんと評価し、その取り組みを他の団体と分かち合いながら改革を進めていく環境をつくるべきだと考えております。
そこで、契約額が一億円以下の案件の公表を実施している団体の状況をお伺いするとともに、公表に関する自主的な取り組みを後押ししていくことについて、都の考えをお伺いいたします。
最後に、多摩振興についてお伺いいたします。
さきの予算委員会でも質問させていただきましたが、多摩地域の産業振興は大変厳しい状況であります。工場移転が相次ぎ、産業の空洞化が進み、地域のまちづくりに悪影響を及ぼす懸念が上がっております。都は、多摩地域の産業の発展のために、これまで以上、インフラ整備、商工業の創業支援など、さまざまな対策を積極的に講じるべきであります。
今回、特に多摩地域の物流拠点整備についてお伺いいたします。
平成十八年に都が示した物流ビジョンにおいて、物流効率化に向けた取り組みの一つとして、首都圏を支える物流拠点整備の推進を示しており、多摩地域での物流機能強化を図っていくこととしております。
現在、多摩地域では道路網の整備が進められておりますが、特に多摩西部地域においては、ことし三月に圏央道高尾山インターチェンジから八王子ジャンクションまでが開通し、来年には圏央道が海老名ジャンクションまで開通いたします。東名高速から圏央道を利用し、多摩地域への直接のアクセスが可能となり、今後首都圏の人、物の流れが大きく変化することが予想されます。
一方、幹線道路であっても、大型貨物が走行できない箇所や局所的な渋滞発生箇所など、物流ボトルネックが存在しております。
そこで、多摩西部地域での物流ビジョンにおける物流ボトルネック解消のための取り組み状況についてお伺いいたします。
現在、都内には大田、板橋、足立、江戸川において、流通業務地区、いわゆる物流拠点が整備されており、既に更新期を迎えております。一方で、多摩地域にはこのような物流拠点が一つもなく、産業振興に支障を来しております。
このため、都は、東京都西南部の物流拠点について、平成二十年五月に整備方針を策定し、その中で、候補地とされている八王子市と青梅市が整備に向けて取り組んでおりますが、まだ整備に至っておりません。
私は、多摩地域における物流拠点については、早急に整備すべきと考えます。
一方で、二十四年四月に発表された首都圏の地震による被害想定の見直しでは、これまでの被害想定を大きく上回る被害が想定されております。物流拠点は、区部、特に臨海部に集中しておりますが、大地震、その後の津波が襲ったとき、都の物流輸送の主要な拠点が機能しなくなることも考えられます。都民が生きていくのに必要な水や食べ物が十分供給できなくなることも懸念され、大きな問題であります。東京の防災、特に物流ネットワークの分散化という視点でも、多摩地域における物流拠点整備は喫緊の課題であります。
都は西南部物流拠点の整備に向けて今後どのように取り組んでいくのか、見解をお伺いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 島田幸成議員の一般質問にお答えいたします。
次世代のリーダーとなるべき今日の若者の資質についてでありますが、昨今の若者の気質、かたぎの象徴でしょうか、一流の商社に入りながら外国勤務は嫌だという新入社員がいるようであります。また、あるゼネコンの社長から聞きましたが、新入社員に、君はうちの会社に入って土木に行くか建築かといったら、両方とも嫌です、企画をさせてくださいという、現場も知らずにそういうばかなことをいう新入社員がふえているようですけれども、慨嘆していましたが、何というんでしょうか、チャレンジ精神に欠けて、安全、安定志向に流れたというか、非常に虚弱な人間性を感じさせられてなりません。
また、失敗や傷つくことを恐れて、あるいは携帯電話やネットといったバーチャルな世界に耽溺するなど、生身の人間関係を築けないでいる若者が多いようであります。
私が昔からやっております外洋帆走のヨットでも同じことが起こっていますが、この間、IOCのロゲと、彼もまたセーラーですけれども、ヨット乗りですけれども、オーバーナイトの激しいレースにクルーを集めようとすると、若いやつは来ないと慨嘆したら、ヨーロッパでも同じことが起こっていると。やってくるのはプロの、金を払って雇うクルーでしかなくて、どうしてこんなことになったんだろうかと慨嘆したら、彼が、三つのスクリーンのせいだと。一つは携帯電話だ、一つはテレビだ、もう一つはコンピューターだといって笑っていましたが、あながちそれだけのせいでもないと思いますけれども、いずれにしろ、世界が激変して、国際競争も厳しさが一段と増している中で、戦後手にした繁栄も夢になりかねない、泡と消えかねないようなこの現行を解消し、閉塞を打ち破っていくには、これはやっぱり若者たちが発奮しなければならないと思います。
これはどの国でも同じことだと思いますが、外の世界にみずから積極的に飛び出して、文化や価値観の違う人々とあえてまみえて、そういった摩擦、相克の中で、明確に自分のアイデンティティーというものを磨き上げ、強い意思表示をしながら独自の才能を開花させるような、そういう若者たちを私たちは育てていかないと、この国はもたないというような気がいたします。
健全な肉体を育てて、脳幹を鍛えることで、つまりトレランス、耐性を培うことで、みずからを律する強い人間になれるわけでありまして、柔軟でしたたかな精神を養うためにも、体力づくりやスポーツに取り組ませる必要があると思います。
国際化の時代に必須な論理的な思考力や、他者と十二分に意見を交わすために必要な言葉の力も身につける必要があると思います。
こうした事柄を通じて、首都東京から、知力、体力、人間力を備えた、自信と誇りを持って世間と渡り合える人材を育てていきたいものだと思っております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 三点のご質問にお答えをします。
まず、次世代リーダー育成道場における事前研修についてでありますが、留学では、我が国の歴史と文化を学び、日本人としての自覚と誇りを高めた上で、留学先の文化や生活などに直接触れ、人々と積極的にかかわることが重要でございます。そのため、事前研修では、歴史の学習や先端技術施設訪問などを実施し、我が国の理解を深め、その魅力を積極的に発信する力を育成するとともに、相手の意図や考えを的確に把握し、論理的に説明できるコミュニケーション能力や、憶せず意見を主張する力を身につけることに重点を置いております。
こうした研修により、研修生が海外での生活や学習に必要な技能等を身につけ、留学先での成果を最大限に引き出せるよう指導しております。
次に、次世代リーダー育成道場において、我が国と留学先の歴史や文化を理解させることについてでございますが、研修生が相手の立場や考え方の違いを理解し、互いの信頼関係を深め、現地における学習活動を円滑に行うためには、事前に我が国と留学する国の歴史や文化を学ぶことが重要であります。そのため、研修生は、史跡等におけるフィールドワークや伝統文化の体験学習などを行い、我が国の歴史や文化について学んでおります。また、留学先の大使館職員などによる講義や、留学先の歴史、文化、自然などについての課題研究を行い、我が国との関係を含め、留学する国について理解を深めております。
こうした取り組みを通して、留学先での研修を充実させ、将来、さまざまな分野で活躍するリーダーを育成してまいります。
次に、都立高校での留学生の受け入れについてでございます。
都立高校生が外国からの留学生と勉学や生活をともにするなど、直接交流することは、我が国と異なる伝統や文化を知るとともに、世界のさまざまな国や地域の人々と望ましい関係をつくることの大切さを理解する上で重要でございます。平成二十三年度には九カ国、二十二名の留学生が、都立高校十二校でともに学びました。また、三十三カ国、六百三十五名の海外からの高校生が、都立高校二十七校を短期間訪問し、交流を実施いたしました。
留学生を幅広く受け入れることは、学校の教育内容の充実につながることから、各学校がその意義を理解し、留学生との交流が広がるように努めてまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、高齢者を見守る地域のネットワークづくりについてでありますが、都はこれまで、民生委員や自治会、町会などによる高齢者の見守りを行う区市町村に対して、包括補助を通じて支援するほか、関係機関と連携して見守り活動を行うシルバー交番設置事業を実施し、地域の見守り拠点の充実を図ってまいりました。
現在、見守りの担い手である地域包括支援センターの職員、民生委員等から成る、区市町村の高齢者見守り体制充実に向けた関係者会議の中で、これまでの取り組みの検証や先駆的な事例の分析を行っており、今後、こうした地域における見守り活動のネットワークがより効果的に機能するよう取り組んでまいります。
次に、地域特性を踏まえた見守り活動についてでありますが、関係者会議においては、個人情報の取り扱いやライフライン事業者との連携に加え、戸建て住宅、マンション、大規模集合住宅など、居住形態ごとの有効な見守り手法や新たな担い手の育成など、地域におけるさまざまな課題についても検討しているところでございます。
検討結果は区市町村や地域包括支援センター等に提供し、各地域における効果的な見守りの取り組みが一層進むよう支援してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、監理団体と契約する事業の見直しについてでございますが、監理団体が担う業務につきましては、都の施策や社会経済状況に応じて常に変化するものであることから、不断に検証していくことが不可欠であります。
都は、事業成果やコストなどを評価、検証し、施策の見直しなどにつなげる継続的な取り組みとして事業評価を実施しております。平成二十二年度からは、監理団体に委託している事業等について、事業効果や効率性のみならず、団体が実施することの妥当性についても検証を行っております。
今後もこうした取り組みなどにより、監理団体と民間事業者の役割分担について、効率性や都民サービス向上の観点から、適時適切に見直し、都政を支える重要なパートナーとして監理団体を活用してまいります。
次いで、監理団体における契約情報の公表についてでありますが、都は現在、一億円以上のすべての契約を公表対象とすることに加え、都から特命で受託した事業等において再委託等を行う場合は、二百五十万円以上の契約のほかにも、団体から特命で契約を行う、いわゆる特定契約のすべてを公表対象としております。既に一部の監理団体では、みずからの判断で一億円以下の契約案件を公表対象としており、東京マラソン財団においては、平成二十三年度契約締結分から、公表対象を一億円以上から五千万円以上に改めました。
今後とも、毎年度実施する経営目標の達成度評価制度などを活用し、団体のこうした自主的な取り組みのうち、特筆すべき内容については適正に評価をしてまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、多摩西部地域における物流ボトルネック解消についてでございますが、平成十八年に策定した総合物流ビジョンでは、効率的な輸送を阻害する物流ボトルネック箇所を早期に解消することを、取り組むべき対策の一つとしております。
そのため、都は、新奥多摩街道など、通行車両の重量制限を緩和した重さ指定道路を拡充するとともに、国に働きかけて、国道一六号松原地区においては、上下二車線を四車線化するなど、大型貨物車の走行円滑化を進めてまいりました。
引き続き、関係機関と連携しながら、多摩西部地域における物流ボトルネックの解消に努めてまいります。
次に、西南部物流拠点の整備についてでございますが、多摩地域における物流拠点の整備は、東京及び首都圏の物流を支えるとともに、災害時の救援活動を円滑に行う上でも重要であり、西南部物流拠点の整備方針の中で、八王子市川口地区と青梅市今井地区を候補地としております。
都は、両市とともに、西南部物流拠点整備検討協議会を設置し、これまで整備手法の検討などを行ってまいりました。また、それぞれの市において、基盤整備や企業誘致などの調査を行うとともに、土地利用計画や農業政策等との調整を図りつつ、整備計画の策定作業を進めております。
都としては、関係機関と連携し、こうした市の取り組みを支援することにより、多摩地域の物流機能の強化に取り組んでまいります。
〇議長(中村明彦君) 四番吉住健一君。
〔四番吉住健一君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇四番(吉住健一君) 最初に、都市間交流について伺います。
現在、国レベルにおいては、中国や韓国とは領土にかかわる課題で友好関係が揺らいでいます。両国は隣接国ということもあり、日本の歴史上、古代からのつき合いのある国々です。古代日本の情報は中国の古文書によってうかがい知ることができますし、遣隋使や遣唐使の派遣により、文化的、先進的な事象を大陸から日本へと導入してきたことも事実であります。朝鮮半島の諸国とも、百済や高句麗の時代には、政治的、文化的な交流が始まっていました。
近年でも、二〇〇二年には日本と韓国がワールドカップサッカーを共催しました。また、二〇〇八年の四川大震災における日本の消防レスキューチームの献身的な働きは、中国国民に深い感銘を与えたことは記憶に新しいところです。
しかし、先般の竹島にかかわる出来事や、今上陛下に対する韓国大統領の不適切かつ誤った発言により、日韓双方の国民感情はかつてなく悪化しています。また、尖閣国有化を契機とした中国各地の暴動によって、日系企業は破壊、略奪の被害を受けました。
こうした事態を受けて、我々は、改めて近隣国との関係の築き方というものを考え直す時期に来ていると思います。
例えば、新宿の大久保では韓流ブームがもてはやされ、住民や行政が対応できないスピードでまちは変化していきました。ひところは、区で招聘した学識経験者による懇談会の提言で、アジアンタウンと名づけ、観光地化しようという動きもありましたし、テレビの情報番組等で取り上げられたことにより、住民が自分の家にたどり着くことも困難なほどのにぎわいになりました。
しかし、表層的で、単に流行に乗り、金を稼ごうという姿勢では、足をすくわれることになります。観光施策を推進し、外貨を稼ぐことは悪いことではありませんが、特定の国に偏り過ぎると、その国だけのコミュニティやネットワークができ上がり、地元の活性化にはつながりません。先日は、竹島上陸に抗議するデモ隊が韓流店舗の店員と口論になり、看板を破損するトラブルになった事件もありました。
これまで我が国では、隣国との親善というと、とかく儀礼的で、上辺で目先だけ仲よくすれば事足れりとしてきました。しかし、グローバルな競争や利害対立が高まり、それゆえ過激というか、熱狂的な民族感情、国家意識に容易に火がつきやすくなった今日、真の意味での信頼関係をいかに築いていくかを考えなくてはなりません。
アジアの重要性がどんどん増す一方で、その不安定化が深く憂慮されておりますが、知事に、今後の海外との交流のあり方について、ご所見を伺います。
続いて、都内、区市町村等への新公会計制度の普及について伺います。
石原知事は、公会計制度を変えたことが一番本質的な改革だとおっしゃっています。都では、制度改革以来、正確な財務諸表を迅速に作成し、都民や議会への説明責任の充実に努めるとともに、作成した財務諸表などを活用し、予算編成の一環として行う事業評価で、より多面的な検討を行い、事業の改善等に役立てるなど成果を上げています。
新公会計制度は、自治体が行政運営の効率化を図る上で極めて有効なツールとなっており、このツールをほかの自治体へ普及させていくことは、東京都の先駆者としての役割であると考えます。
都はこれまでも、全国の自治体に対する説明会の開催や視察の受け入れなど普及活動に力を入れてきましたが、足元である都内区市町村での普及はまだまだ途上にあり、力を注ぐべきだと思います。
そこで、都内区市町村における新公会計制度の普及状況を伺います。
また、これまでの都の活動により、制度導入の意義については多くの自治体に相当程度浸透してきたと思います。新宿区においても、ことしの第一回定例会において、総務省モデルの導入を前提とした議論ではありましたが、制度導入の意義や課題について議論が行われていました。
そこでの議論を見ると、実際に新公会計制度を導入する際には、乗り越えなければならない実務的な課題が幾つかあるようです。特に、制度導入の準備段階では、財務諸表作成の前提として、固定資産を洗い出し、評価を行い、それらの結果を取りまとめておくことが重要ですが、評価に関するノウハウがなく、事務作業の負担が大きいことなどから、取り組みが余り進んでいないと聞いております。
新公会計制度をさらに普及させるためには、こうした実務的な課題の解決を支援していくことが必要になると思われます。
今後、都内区市町村を初めとする他の自治体で、新公会計制度の円滑な導入が進むような取り組みを一層強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、商工政策について伺います。
都内の中小企業は、世界的な経済の減速の影響や歴史的な水準となった円高に加えて、電力料金の値上げなどにより、かつてないほど厳しい経営状況に直面しています。
都内には、商工会議所や商工会を初め、日ごろから各地域においてそれぞれの中小企業の経営相談を受ける中小企業支援機関がありますが、こうした支援機関が単独でなくそれぞれの団体が持てる力を結集して、個々の中小企業の課題を解決し、都内中小企業の経営基盤の安定を図る仕組みを充実強化させる必要があります。
都が平成二十一年度から二十三年度まで実施した経営力向上TOKYOプロジェクトは、私の地元の経営者からも高く評価しているとの声を聞きますが、その再開を求める要望がさまざまな団体からも出されております。経営診断を受けた企業からは、単に経営上の相談だけではなく、販路拡大などに結びついたことに感謝しているとの声も聞いております。厳しい経営環境に置かれている都内中小企業にとって、将来に向けて的確なアドバイスをしてくれる専門家の存在は非常に心強いものがあります。
こうした状況を踏まえ、経営の専門家による経営診断の復活を強く求めますが、所見を伺います。
続いて、中小企業への技術開発の支援について伺います。
東京には、環境問題を初め、大都市特有の解決すべき課題が数多くあります。中小企業がこれらの課題解決に取り組んで、ビジネスチャンスに結びつけることができるよう、行政として積極的に後押しをしていくことが重要です。
人的資源や情報が限られている中小企業にとってみれば、社会の最新のニーズに対応した製品や技術を正確に把握することは難しい場合が多いものと考えます。また、自社にとって活用可能な研究成果に関する情報の入手も容易ではありません。
中小企業にとって有望な開発テーマや活用しやすい研究成果を示して、製品開発などにつなげることもできるサポートこそが大切です。潜在的な開発力を持った中小企業が、その力を発揮し、新たな製品開発につながると考えるからです。
都はこれまで、首都大学東京や都立産業技術研究センターとも協力して技術開発の支援に取り組んだ例も多いと聞いております。技術開発には、幅広い知識やノウハウが必要なだけに、他の大学や民間の研究機関などとの連携を広げていくような工夫もしっかりと進めていくべきです。そうした取り組みに対する都としての考え方を伺います。
続いて、駐車場ルールについて伺います。
新宿駅東口周辺では、地元商店街とともに、地域の実態に即した駐車場のルール策定を進めています。第一回定例会において、この地域ルールが策定されるよう、今後の取り組みについて質問をしました。災害対策を進めるために、耐震が必要な中小のビルの建てかえを促進しなくてはならないと考えたからです。
その後、東京都の支援もあり、地域ルール策定の検討が着実に進んでいると聞いていますが、構想段階から現在まで五年の期間を要しており、その間、例えば新宿中村屋のように、建てかえに着手できないという課題がありました。しかし、新宿区においては、ルールの策定協議会と協議しながら、都条例の認定制度を活用して暫定的なルールを定め、建てかえが可能になったと聞いております。
戦後早い時期に復興を果たした駅周辺など、人が集まる地域には、老朽化した中小のビルが多く建っています。現状のルールでは建てかえが困難になるケースは、新宿駅東口周辺の事例で取り上げてまいりましたが、都内にはほかにも、こうした新宿駅東口周辺と同様な課題を抱えた地域が数多くあると聞いています。今後、このような地域において、地域ルールを策定していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
また、不動産関連の団体から、特に大規模事業所において、駐車場にあきがあるとの指摘があります。分譲マンションにおいても、ディベロッパーなどの供給サイドから、建てかえに当たって駐車場を減らせないかとの声があります。都市部での生活実態を見ると、公共交通の発達などから、車がなくても不便を感じないこともあるのでしょうが、若者層の車離れや、高齢者が車を手放すなど、車を持たない世帯もふえてきているようです。
大規模施設の周りに駐車場待ちの渋滞が発生してしまうようでは困りますが、設定された駐車場が利用されていない状況があるとすれば、都内の限られた土地での有効利用に支障が生じます。
そこで、耐震化のための建てかえを円滑に進めるためにも、都内のこうした建物の駐車場の利用実態を把握し、基準を見直すなどにより対応すべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、自転車のルール、マナーの問題について伺います。
都内で発生した交通事故のうち、三件に一件は自転車が関与した事故であり、また、交通事故死の数は、全体では減少傾向にあるものの、自転車乗用中の死者数だけは減少していないと聞いております。
私は、第一回定例会の一般質問で、自転車利用者がルール、マナーを遵守し、責任を持って利用するよう、都としてさらなる対策を進めるよう指摘をいたしました。イヤホンをしての運転、携帯電話を操作しながらの運転、車道の逆走や信号無視、夜間の無灯火運転といった自転車のルール違反には、目に余るものがあります。自転車が関与する交通事故の原因がすべて自転車利用者側にあるとはいえないでしょうが、自転車利用者の危険な運転が大きな問題であることは間違いないと考えます。
こうした状況の中、警視庁において、街頭における自転車利用者に対する指導、警告等を強化しているとのことですが、自転車利用者自身がルール、マナーを守るという自覚と責任感を持つことが何より求められるのではないかと思います。
都は、このたび、東京都自転車対策懇談会から、自転車問題の解決に向けてという提言を受けました。提言にはさまざまな内容が盛り込まれており、ナンバープレート制度等も責任感の醸成という意味で一つの方法として考えられますが、あわせて、自転車利用者に対する安全教育の充実が必要であると考えます。無謀な自転車走行が引き起こす事故の実態、具体的には被害の状況、接触した相手に与えるけがの重大性など、危険な運転がもたらした結果について、自転車を利用する人に周知すべきと考えます。
都では、利用者のルール、マナーの向上に向け、条例の制定を図るとのことですが、条例においては、安全教育の充実についてどのような視点で盛り込むことを検討するのか、見解を伺いまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 吉住健一議員の一般質問にお答えいたします。
今後の海外との交流のあり方についてでありますが、そもそも外交の本質というものは、国と国との熾烈な国益の摩擦でありまして、今回のシナや韓国との摩擦を通じて、国同士の友情や誠意などというものが、口ではいわれても、現実の国際社会ではほとんど通用しないということを思い知らされた日本人は多かったと思います。
あなたの質問の中で、日本人による韓国大統領の竹島上陸に抗議するデモの話もありましたが、シナで起こったような大規模な騒動は、あれはもはや、もうデモではなくて、テロ、暴動のたぐいであると思います。もっとも、そのやっている人間のほとんどが政府から給付を受けた連中でありまして、大学を卒業しながら仕事につけないアリ族、あるいは地方から出てきて建設事業に携わっていたが、バブルがはじけた後、仕事にあぶれたネズミ族などといわれている手合いと聞いております。
共産党の一党独裁政治に不満を持つ人々のエネルギーの発散の場でもあったんでしょうが、いびつな成長によって、形としては世界第二の経済大国にもなったシナも、この暴動によって国際社会におけるみずからの地位をおとしめることになったと思います。その報いは結局自分に返ってくるでしょう。
私たち日本人の多くは、たとえ国同士のあつれきであろうと、日本の法律を守って善良に暮らす外国人には暴力を振るうようなことは恥ずべきであるということを熟知しております。
一方、都市と都市との間では、それぞれが直接の現場を持っているがゆえに、国同士とは違って、もっと緻密な、現実的な関係を築くことも可能だと思います。これが都市外交ならではの強みでもあると思います。
私は、前任者までの儀礼的な外交を廃しまして、アジア大都市ネットワーク21の創設をいたしまして、アジアの大都市に共通する課題の解決に具体的に取り組んできました。例えば、感染症の分野では、病気の発生状況をいち早く把握して、都市同士で症例や対策などの情報を交換する仕組みを既に構築しております。
先般のシンガポールの総会では、さらに範囲を広げて、モンゴルのウランバートルや、あるいはウラル山脈以東には広大な領土を持っている、ロシアの、アジア圏に属するトムスクという大都市が新たに加わりまして、さらにネットワークが強化されたと思います。
相変わらず北京は、台北とのあつれきで脱退したままでおりますけれども、今後も実りのある都市外交を積み重ねることで、国民同士の真の意味での相互理解につなげて、アジアの発展にも貢献していきたいと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁します。
〔会計管理局長松田芳和君登壇〕
〇会計管理局長(松田芳和君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、都内区市町村における新公会計制度の普及状況についてでございますが、都は、都内区市町村において新公会計制度の導入が進むよう、個別相談や説明会を行うとともに、本格導入までの過渡的な取り組みとして東京都方式簡易版の作成支援を行うなど、きめの細かい普及活動を行ってまいりました。その結果、都内では町田市がいち早く導入を決め、平成二十四年度から本格的に運用を開始しております。
今般新たに、江戸川区が二十三区では初めて、都と同様の新公会計制度の導入を決定いたしました。今後、円滑な導入が図れるよう、江戸川区と緊密に連携し、職員の派遣、会計基準の策定やシステム構築など、区側の要望を踏まえながら、都としてできる限りの支援を実施してまいります。
次に、新公会計制度の円滑な導入が進むような取り組みの強化についてでございますが、固定資産を洗い出し、評価を行い、その結果を台帳として整備しておくことが新公会計制度の円滑な導入の前提でございまして、ご指摘のとおり、大半の自治体においてこうした固定資産台帳の整備がおくれているのが実情でございます。
これは、特に固定資産の多くを占める道路、橋梁等のインフラ資産の評価に際しまして、適切に活用できる指針がないことが主な要因でございまして、この問題の解決が実務上大きなポイントとなっております。
このため、現在、都が昨年、都内区市町村に呼びかけて立ち上げた研究会におきまして、簡易かつ円滑な資産評価が行える手法を、区市町村の意見を反映させながら取りまとめておりまして、公認会計士など専門家の意見も聞いた上で、固定資産台帳整備の基本手順として、この秋に公表する予定でございます。
今後とも、都は、自治体の実情把握に努めながら、新公会計制度の円滑導入に必要な課題の解決を支援するなど、普及活動に全力を尽くしてまいります。
〔産業労働局長中西充君登壇〕
〇産業労働局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業の経営力向上に向けた取り組みでございます。
都内中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しく、さまざまな課題の解決に向け、都と中小企業の支援機関が協力して対応することが重要でございます。
都はこれまで、経営力向上TOKYOプロジェクトを三年間実施し、支援機関との連携により、経営の専門家を企業の現場に四千回派遣してまいりました。経営診断を受けた中小企業への調査では、約九割から、診断内容に満足しているとの回答を得ています。
今年度は、これまでの成果を幅広く普及するフォローアップ事業を実施しておりますが、同プロジェクトの再開を求める声が多く上がっていることは、私どもも認識しております。
今後は、こうした状況を踏まえ、中小企業の経営強化を図るため、都と支援機関の協力による取り組みについて検討してまいります。
次に、中小企業の技術開発についてでございます。
環境や危機管理など、今後成長が見込める分野で、中小企業が大学や研究機関と連携をして、新たな技術や製品を生み出していくことは重要でございます。都は、都市課題解決のための技術戦略プログラム事業で、中小企業の技術開発の方向性を示すとともに、首都大学東京と産業技術研究センターの研究成果を中小企業での実用化につなげる取り組みを実施しています。
この事業からは、新たに、製造ライン向けの製品検査用LED照明器具などが生まれており、連携の取り組みは着実に進んでおります。
ご指摘のとおり、市場の変化や技術革新により柔軟に対応できるよう、今後は、ほかの大学や研究機関などの知識や技術も中小企業が幅広く活用できる仕組みを検討してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、駐車場条例に基づく地域ルールについてでございますが、地域ルールは、駐車場を集約して設置するなど、地域特性に応じた駐車場の附置義務基準を定めるもので、特に中小のビルの多い駅周辺地区において地域ルールの策定を進めていくことは、ビルの建てかえを促進し、耐震性を進める上でも有効でございます。
地域ルールは、これまで銀座地区、大手町、丸の内、有楽町地区及び渋谷地区で策定されており、新宿駅周辺地区においては、地元区である新宿区が策定に向けた取り組みを進めるとともに、お話の暫定ルールを定め、建築物の建てかえを促進しております。
今後、都は、池袋や中野などの地区において早期に策定協議会が立ち上がるよう働きかけるとともに、新宿駅周辺地区における地域ルール策定のノウハウなども活用しながら、区市の策定に向けた取り組みを支援してまいります。
次に、駐車場の附置義務についてでございますが、駐車場条例に定める附置義務は、建物から発生する駐車需要に対応することを目的としており、道路交通の円滑化に寄与しております。しかし、渋谷地区や新宿駅周辺地区における地域ルール策定の調査などから、ご指摘のような、附置義務に基づいて設置された駐車場の中には、利用率が低い事例もあることが明らかになっております。
こうしたことから、都としては、今後、建築物から発生する駐車需要について調査を行い、実態を把握して、条例で定めている附置義務の基準を検証してまいります。
〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 自転車利用者への安全教育についてでありますが、自転車対策懇談会の提言を踏まえ、都といたしましても、自転車利用者のルール、マナーを遵守するという意識を高めるため、自転車の安全で適正な利用に関する条例を制定し、安全教育の充実を図る必要があると認識しております。
そのためには、社会全体で安全教育に取り組むとの視点に立ち、行政、家庭、学校、事業者等の交通安全教育の責務を明確にするとともに、これら関係者による交通安全教育が効果的に行われるよう、そのマニュアルを都が作成することも必要であると考えております。
都といたしましては、こうした内容を盛り込んだ条例を早期に提案できるよう、関係者や都民の幅広い意見を踏まえ、検討してまいります。
〇副議長(ともとし春久君) 十二番西沢けいた君。
〔十二番西沢けいた君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
〇十二番(西沢けいた君) 行政委員会及び附属機関に対する行政改革の必要性について質問いたします。
行政委員会は知事から独立した組織で、主に教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、公安委員会、労働委員会、収用委員会などがあります。その報酬については、委員長や会長が月額五十二万五千円、委員が四十三万円、つまり年収約五百万円から六百万円となっております。
調べてみたところ、その委員会の開催は、例えば教育委員会では、平成二十二年度及び二十三年度で年間二十二回の開催、大体三十分から二時間くらいの会議が多いようです。人事委員会は、平成二十二年度で三十一回の開催、口頭審理の開催が九回、会議は一時間から四時間くらいです。つまり、一見すると、約週一回、数時間程度の会議で、年収五百万円から六百万円と見ることができ、経済や雇用の厳しい状況が続く中、都民に理解を得られないように思われてしまいます。
もちろん、行政委員は、会議に出席するだけでなく、事前に資料を読み込んだり、調査研究のための時間が必要であります。単に会議の回数や時間で報酬を議論するのはなじまない部分もあります。
例えば、収用委員会について、平成二十二年度、大体三十分から三時間くらいの会議が年間四十六回開催されております。会議の回数だけを見れば週一回弱となりますが、このほかの現地調査、審理、打ち合わせを合わせて三百十一件の活動があるということで、当然、会議だけが仕事ではないということは理解ができます。
しかし、昨年十一月一日の財政委員会で、我が党の鈴木勝博議員から、収用委員会について、委員によっては年間一日の活動もない委員がいると聞いているとの発言に対し、収用委員会事務局長は、たまたま平成二十二年度においては、指名された案件で現地調査や審理が行われず、活動日数のカウントとしていなかったと答弁し、委員会出席以外の活動がほとんどなかったことを認めております。行政委員会によってさまざまな状況があるということがいえます。
こうした中で、全国の自治体でも、これまで月額が一般的でしたが、報酬の見直しが進んでおります。二〇一〇年から神奈川県と静岡県では原則日額に、ほかにも青森県や熊本県など、全国の都道府県のうち三十自治体で、主な行政委員会の日額化や、月額と日額の併用化が進められております。
常勤である代表監査委員に日額制はなじみませんが、行政委員会の委員によって活動量が違う状況がある中、一律に月額制をとるのはおかしいのではないでしょうか。
行政委員は、職務において必要性が高ければ、逆に非常勤ではなく常勤として勤務していただき、報酬だってさらに高額にしてもよいのかもしれません。また、そうでない場合は非常勤として日額制としていくべきであり、検討の余地があります。
さらに、行政委員会の事務局体制についてです。
知事から独立しているとはいえ、事務局は東京都が担当しております。非常勤という立場で週一回、二回の活動では、結果的に事務局の意向に流されてしまうということがあるのではないでしょうか。
例えば、人事委員会は、東京都職員の給与の決定にかかわる報告や勧告をするわけですが、人事委員には元副知事が任命をされており、その事務方を東京都職員が行うわけですから、うがった見方をすれば、なれ合いといわれかねません。監査事務局についても、監査をする側の事務方と監査をされる側が同様に東京都の職員ですから、こちらも同様の懸念があります。
九月十九日に発足した原子力規制委員会で、独立性を強化するために出身省庁へ戻ることを禁じたノーリターンルールがあるように、別組織とする、プロパー職員とするなど、東京都から新たな組織のあり方を提言するべきと考えます。
行政委員会については、その委員会ごとに所管が分かれるため、網羅的になかなか議論ができません。各局ごとの議論で積み上がっていくものではなく、知事の考えが大きな突破口となります。
委員の報酬、運営のあり方など、行政委員会は幾つもの課題を抱えていると思いますが、今後のあり方について所見を伺います。
続いて、附属機関について伺います。
専門的な知識や経験を都政に反映させるために、東京都には法律や条例、要綱などで定められている審議会や審査会などの附属機関などが二百九十もあります。こうした附属機関などでの議論は都政に多大な影響を与えます。
そこで、議会局を通じて、附属機関などの構成状況、開催状況、出席状況、発言状況など調べられる範囲で調査をいたしました。その結果、議論が積極的、活発に行われているかどうか、疑わしいものが幾つもありました。
東京都国土利用審議会で直近に行われた平成二十二年度の開催では、二十三人の委員中十八人の発言がありません。発言した方の割合は約二一・七%。東京都国民健康保険委員会は、二十七人の委員中二十一人が会議で発言がなく、約二二・二%でした。東京都総合治水対策協議会は、二十二年度、二十三年度ともに、五十九人の委員中五十三人の発言がなく、発言者率は約一〇%です。東京都水防協議会は十五人の委員で構成され、水防計画を策定する重要な会議だと思いますが、平成二十二年度の質疑をされた方はゼロ人、二十三年度は一人、二十四年度も一人のみでした。
全体の附属機関などの委員数と、発言を一度もしていなかった方の割合を単純に計算し、発言者がどれくらいいたかを計算すると、約七〇%から八〇%の発言者率となることから、こうした会議は大変発言の少ない会議であるといえます。
また、平成二十二年度の住宅政策審議会では、委員三十人のうち三分の一に当たる十一人が欠席、都議会議員枠や区市町村長枠を除いた、都が選任している学識経験者でいえば、二十人のうち九人と、約半数が欠席してしまっています。せっかく委員に選任されても欠席が多い会議はほかにも幾つも見られます。
その一方で、スポーツ振興審議会など、欠席も少なく、出席委員全員が発言している会議など、活発に発言がされているような会議ももちろん多くあります。当然、単純に発言の多い少ないで議論の中身を決めつけることはできません。もともと、ただ追認だけの会議であったり、報告会のような意味合いが強い会議もあることでしょう。しかし、数字を見れば、形骸化した運営となっている附属機関などがあるということは明らかであります。
委員の選定には、関係団体からの推薦や公募なども一部あります。しかし、区長が選任する消防団運営会議などを除くと、有識者や学識経験者の選任はおよそ九割、つまり、ほとんどが専門性を理由に局が選任しています。私は、それに偏ることなく、委員の公募を積極的に進めるべきだと考えます。
やる気のある方に積極的に入っていただくことは、出席率や発言率を高めることにつながります。人材活用の幅を広げ、附属機関を活性化していくべきと考えますが、所見を伺い、次の質問に移ります。
東京都自転車対策懇談会、自転車問題の解決に向けてには、自転車ナンバープレート制度やデポジット制度などの新たな仕組みづくりの必要性が提言されています。しかしながら、多額の時間や税金が投入されるそのような制度以前に、自転車を安全に運転するためのルールやマナーをすべての大人が身につけることが必要ではないでしょうか。
提言の中には、取り締まりの強化やマナーの向上がうたわれております。自動車に比べ、信号無視をする自転車を多く見かけます。また、アルコールを飲む機会に、きょうはお酒を飲むから車を置いて自転車で来たということをいう方がいると聞きます。自転車は軽車両です。したがって、飲酒して自転車に乗ってはなりません。それを知らない、または知っているけどこれくらいは大丈夫だと認識の甘い大人が多くいるのではないでしょうか。警視庁には、悪質な違反者の取り締まりを厳しくしていただきたいと要望いたします。
自転車マナーの悪さについては、利用者が自発的にルール、マナーを守れるようになるためには、取り締まりだけでなく教育が重要です。自転車利用者は子どもから高齢者まで幅広く、社会全体での取り組みが必要と考えますが、行政としてどのように取り組んでいくのか、伺います。
また、行動範囲が広がる小学校三年生ぐらいになると、自転車による事故が増加し、ことしも重大事故が発生していると聞いています。
そこで、都教育委員会では、東京の児童生徒のために、特に自転車交通安全教育をどのように推進しているか、伺います。
次に、尖閣諸島に関する寄附金についてです。
現地時間四月十六日、ワシントンでの石原知事の発表を受け、日本国じゅうだけでなく、海外からも多くの寄附金が持ち寄られました。こうした国を思う気持ちに動かされ、東京都は四月二十七日に寄附金の受け入れ口座を開設し、多くの人の協力も得て、現在十万件を超える、都民、国民から約十五億円の寄附金が集まっております。
ところが、九月十一日、尖閣諸島は国有化されました。もともと国がやるべきと知事も発言されているように、国有化という流れ自体は基本的に必然ともいうべきと考えております。
一方で、尖閣諸島寄附金の取り扱いについて、寄附をした私の地元の方々や知人から、国有化された後の寄附金の行方はどうなるのかといった不安の声も一部耳にします。こうした不安の声を払拭し、多くの都民、国民の方々に安心をしていただきたいとの立場から質問をいたします。
まず、九月十一日の尖閣諸島の国有化以降、寄附金に関する問い合わせが寄せられたと思いますが、事務局にはどれだけの問い合わせがあったのか、また、そのうち、東京都が買わなくなったのだから寄附金を返還してもらいたいという声がどれだけあったのか、お伺いをいたします。
尖閣諸島寄附金は、購入だけでなく、その活用に充てられるということは当初から想定されているところであります。その上で、先日の所信表明においても、石原知事は、寄附金を島の活用を国に迫る原動力としていくという方針を示しております。
一方で、我が都議会民主党は、野田総理あてに、尖閣諸島の国有化についてと題した申し入れを先般行いました。ここでは、今回の国有化は基本的に評価するとした上で、国有化が国有化のみにとまってしまってはその意義が失われることから、自国領域維持の観点から、義務履行としての種々の行為が不可欠であり、さらに具体的な実効支配を強化することが必要との基本的見解を明らかにした上で、灯台、警戒監視レーダーなどの設置や避難港の整備などの具体的な申し入れをしております。この点、方向性は同じであると認識しております。
こうしたことについて、寄附者に対して丁寧に説明することも極めて重要であります。
そこで、都はホームページなどで、尖閣諸島寄附金は地方自治法に定める負担つきの寄附として受けるものではないとしていますが、尖閣諸島寄附金の基本的性質についてどう認識しているか、お伺いいたします。
その上で、国有化を踏まえ、今後の寄附金の活用が重要になりますが、今後、寄附金をどのように活用していくのか、あわせて伺います。
今月初め、都が実施した尖閣諸島の現地調査の映像は、多くのマスメディアを通じて、広く国民の注目を集めました。日本の領土を強く意識した方々も多数いると思います。
東京都の行動に対する都民、国民からの揺るぎない信頼を得るためにも、この寄附金をしっかり活用していくよう願い、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 西沢けいた議員の一般質問にお答えします。
行政委員会のあり方についてでありますが、行政委員会は、みずからの判断と責任で、公正中立な立場から業務を執行する機関でありまして、行政運営上、重要な役割を担っております。
とりわけ日本の心臓部、頭脳部であります東京においては、膨大な行政需要とともに、我が国が直面する課題が最も先鋭的にあらわれておりまして、それは行政委員会の業務にも顕著に反映されております。
例えば、労働委員会にかけられる労使紛争や、あるいは収用委員会で取り扱う土地収用の件数は、他の道府県に比較して格段に多く、また、公安委員会が担当する東京の治安や教育委員会が所管する都の学校教育においても、増大する課題が重層的に絡み合って、大都市ならではの複雑さを呈しております。
このように、都の行政委員会の業務は、質、量ともに密度が極めて高いことから、そのかじ取りを担う委員の責任は非常に重く、任期中、常にその職責を果たすことが求められております。
今後とも、こうした行政委員会の特性を十分に踏まえつつ、都政へのさらなる貢献の観点から、委員の報酬や運営方法なども含めて、そのあり方について不断に検討していくつもりであります。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 自転車交通安全教育の推進についてでありますが、都教育委員会では、平成二十年度から安全教育プログラムを作成し、都内公立学校全教員に配布して、その活用を図ることで、交通安全教育の充実に努めてまいりました。
各学校では、このプログラムを踏まえ、特に二人乗りや傘差し運転、携帯電話を利用しながらの運転の禁止や、車道、歩道の走行方法など、自転車走行時に守るべき規則やマナーについて具体的に指導しております。
さらに、都の安全教育推進校では、スタントマンが児童生徒の前で自転車による交通事故を再現し、交通事故の恐ろしさや自転車走行時のルールを守る必要性を実感させる交通安全教室を実施しております。
今後も、安全教育プログラムに基づき、実践的な自転車交通安全教育を一層推進してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 附属機関の活性化についてでありますが、附属機関の運営に当たりましては、幅広く各方面の人の意見を聞くことが求められることから、附属機関等設置運営要綱の取り扱いにおいて、可能な場合は都民からの公募を積極的に行うように努めることを定めており、既に十の附属機関で公募委員を登用しております。
また、社会経済状況の動向等に的確に対応するためにも、委員の選任に当たりましては、常に新鮮な人材の登用を図り、積極的なご発言をいただき、議論を十分に尽くしていただくことが望ましいと考えており、委員の任期は原則二年としております。
今後とも、こうした方針に沿って、附属機関の活性化に努めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 自転車の安全教育に関する取り組みについてでありますが、自転車の危険な運転をなくし、交通事故を一件でも減らすためには、すべての自転車利用者が、自転車は車両であり、ルール、マナーを遵守する必要があるとの意識を持つことが重要でございます。
都といたしましては、警視庁、教育委員会、区市町村等の行政機関だけでなく、自転車販売店等の民間事業者とも連携し、さまざまな年齢層を対象とした交通安全教室の開催などにより、ルール、マナーを遵守した自転車の安全な利用が促進されるよう、引き続き取り組んでまいります。
また、家庭、学校、事業所など、社会全体で安全教育が推進されるよう、自転車対策懇談会の提言を受けて、条例において必要な規定を盛り込むことを検討してまいります。
〔知事本局長前田信弘君登壇〕
〇知事本局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、尖閣諸島寄附金に関する問い合わせについてでありますが、ことしの四月以来、昨日現在で、都民、国民から十万二千九百三十三件、十四億七千五百十三万円の拠金が寄せられております。また、直近におきましても毎日お寄せいただいておりまして、累計も日々増加をしているという状況でございます。
知事本局に対する問い合わせの件数は、尖閣諸島が国の所有となりました九月十一日から昨日までの約二週間で五百八十六件ございました。このうち、東京都が購入しないのなら寄附金を返還してほしいという意見は百九件でありまして、これらの意見は日を追って大幅に減少しているという状況でございます。
次に、この寄附金の基本的性質についてでありますが、この寄附金は、本年四月、知事が尖閣諸島を購入する方針を打ち出された後、数多くの問い合わせが寄せられたことを受けまして、島々の購入と活用のために充てる旨をお示しして受け入れを始めたものでございます。
寄附金の使途につきましては、島の購入はもとより、島々を有効に活用するため多様な調査を実施するとともに、地元自治体の意向も取り入れつつ、広範な活用方策を検討する必要がありました。また、都民、国民から幅広く受け入れることも考慮いたしまして、他の自治体の事例なども参考にして、使途が制約を受ける負担つきの寄附ではなく、一般的な寄附として受け入れているものでございます。
最後に、この寄附金の活用についてでありますが、ただいま申し上げましたように、東京都は島々の購入とその活用に充てるため、この寄附金を受け入れてまいりました。尖閣諸島は国の所有となりましたけれども、その活用について、国は何ら明らかにしておりません。また、現政権は何もしないとも伝えられております。
都は、九月二日に洋上から島に接近して現地調査を行いましたが、ヤギの被害から貴重な動植物を守るなど自然環境の保全を図ることや、漁業者のための船だまりや無線中継基地、できれば有人の気象観測施設などの、地元石垣市も強く要望しております施設を設置することが、都に寄せられた貴重な志を生かすとともに、尖閣諸島の実効支配の強化につながるものと考えております。
都は今後、都民、国民の志であります寄附金を基金とすることを考えておりまして、地元石垣市とも連携しながら、島々の有効活用を国に強く求めてまいります。
〇議長(中村明彦君) 十六番斉藤やすひろ君。
〔十六番斉藤やすひろ君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇十六番(斉藤やすひろ君) 初めに、自転車政策について質問します。
自転車は、本来だれもが気軽に移動に利用できる車両であり、都民生活に不可欠な交通手段です。同時に、環境負荷の軽減、交通渋滞の緩和、健康増進、観光振興の観点からも利用促進を図るべきと考えます。
我が国では、ママチャリと称される自転車が普及しております。また、都内においては、近年、ロードレーサーという自動車並みの長距離走行に適した自転車で通勤するツーキニストと呼ばれる方々もふえています。
一方で、近年、交差点内を中心に自転車と歩行者の事故が顕在化し、都内全体の交通事故が減少する中で、自転車関連の事故がふえています。被害に遭っているのは、高齢者や子ども、障害がある方々です。
私は、平成二十三年の第一回定例会予算特別委員会以来、自転車の安全利用を徹底し、歩行者の安全を守るために、一貫して東京都自転車条例の制定を提案してまいりました。都は、我が党の提案を受け、平成二十三年六月に自転車総合検討委員会を設置し、さらに本年五月には、学識者や民間事業者、自転車利用者を含めた東京都自転車対策懇談会が設置され、先日、石原知事あてに提言が手交されました。昨日の我が党の代表質問に対して、都は、この提言を受けて、条例制定の意思を明確にしたことを高く評価いたします。条例制定を急ぐべきです。
そもそも自転車事故増加の原因は、第一には、利用者のマナーの欠如、交通ルールへの無関心があり、悪質なルール違反運転に対する取り締まりの強化や教育マニュアルの作成は重要だと思います。
しかし、一方で、自転車を歩行者と混同させてきた走行空間のあり方にも問題があると考えます。自転車走行空間の整備形態には、自転車道、自転車レーンのほか、自転車歩行車道において、自転車と歩行者のエリアを色や構造物で分離する二タイプを加えた四タイプがあります。
都道においては、歩道を広くとって自転車の走行空間を歩道上に確保するタイプがふえておりますけれども、このタイプは自転車と歩行者が混在しやすいために、交差点付近などでの自転車事故が懸念されます。
他方、歩行者の安全確保を第一に考慮すれば、自転車を完全に歩行者と自動車から分離する、いわゆる自転車道が一番安全なのですが、道路幅員が限られている中、新たに自転車道の空間を生み出す必要があり、都心部で自転車道を整備することは困難です。
これらに比較して、車道に自転車専用の車線を整備する自転車レーンは、自転車と自動車それぞれがルールを守り合うことで、車道を柔軟にシェアし合うことができます。
そこで、今後、都道における自転車の走行空間の確保に当たっては、自転車レーンの有効性を認識して整備を進めるべきと考えます。
都の見解を求めます。
次に、生物多様性地域戦略について質問します。
都は、本年五月、生物多様性地域戦略の性格を持つ緑施策の新展開を公表しております。海の森や都市公園の整備、街路樹の倍増、校庭の芝生化など、緑の量を確保する取り組みに加え、生物多様性の保全など、緑の質を重視した新たな緑施策の方向性を明示しています。
東京に暮らす私たちは、衣食住のすべてにわたり生物多様性の恩恵を享受しておりますが、首都東京が、将来にわたり生物多様性の恩恵を受け続けられる都市であるためには、まず、都民、企業、NPO、行政の各主体が、身近な地域の生物多様性を支える緑の保全や創出に取り組むことが重要です。
ことし、区制施行八十周年を迎える地元目黒区では、記念事業として、みんなで選ぶめぐろのいきもの80選を実施しており、区民に、未来に伝えていきたい、戻ってきてほしい生き物を募集しています。その結果を目黒区生物多様性地域戦略に活用することになっています。
また、NPO法人菅刈ネット21が委託管理している区立菅刈公園には、武蔵野の貴重な自然が残り、カワセミやオオタカなど多くの野鳥も集まり、ビオトープには蛍のえさとなるカワニナもいます。こうした都市の貴重な自然は、多くの区民や子どもたちに親しまれております。
このように、生物多様性に配慮した都市づくりを進める上で、住民に最も身近な区などの基礎的自治体が果たす役割は大きいと思います。
そこで、都は、今後、緑施策の新展開で示した方向性の具体化に当たり、都心の区などとの連携や情報交換を強化するための新しい仕組みを構築すべきです。都の見解を伺います。
都民が身近に生物多様性を実感できる貴重な場所として水族館があります。水族館は、生命の大切さを伝え、自然環境を守る教育の場としての役割を担っています。
過日訪問いたしました都立葛西臨海水族園では、オリジナルの教育活用ガイドブックを作成し、子どもたちが魚などの生息環境への理解を深め、命の大切さを学び、豊かな心をはぐくむ教育普及活動を実施しておりました。
また、メダカやカエル、ハゼなど、東京で身近にいた水生生物を学校へ持参して出張事業を実施するほか、多くの都民に野生生物保全への理解を深めてもらうために、地域のお祭りや催事にも飼育生物を持参し、移動水族館を実施しています。移動水族館を本格的に行っている水族館としては、沖縄の美ら海水族館が有名です。
障害や病気などで水族館や海に出かけることが困難な方々に対して、専用車両を用いた移動水族館を行っており、この活動は水族館のPRにもなっています。
生き物には、人々をいやす効果があります。長期間病院に入院することを余儀なくされたり、福祉施設に入所していたりして水族館に来ることが困難なため、生き物に接する機会が少ない子どもたちのためにも、ぜひ沖縄美ら海水族館のような専用車両を活用した移動水族館を行うべきと考えます。
そこで、都は、このような点を踏まえ、葛西臨海水族園に都立水族館ならではの移動水族館を本格的に導入すべきです。都の見解を求めます。
防災、減災対策について伺います。
さきの東日本大震災から、はや一年半が経過しました。私たちの住む日本は、古くから多くの大震災に見舞われてきました。それは、長い歴史の中で、日本人の文化や社会の中に有形無形の記憶を刻み込んできたと思います。未曾有の大震災を経験した今、そうしたものをもう一度思い出し、将来を見据えた防災対策、減災対策に生かしていく必要があるのではないでしょうか。知事の率直なご感想をお伺いいたします。
今月一日に、都と目黒区合同の総合防災訓練が実施されました。
駒沢オリンピック公園では、自衛隊、警察、消防が連携した公助の救出救護訓練が大々的に行われた一方で、西小山駅周辺では、東京屈指の木造密集地域における住民共助訓練として、目黒区や品川区の方々が救出救護や初期消火訓練に参加しておりました。
今回参加した地域の町会の皆さんからは、大規模な防災訓練で大変によかった、初期消火のバケツリレーは、戦時中空襲による火災の消火経験があるので、若い方にやり方を教えてあげたいなどの声が上がっておりました。
木密地域での初めての総合防災訓練としては非常に注目されましたが、住民共助訓練では、消防団とともに、自分たちのまちは自分たちで守るという住民の熱意と気概が強く感じられ大変に感銘を受けました。
こうした防災訓練などを契機とした住民意識の高まりを逃すことなく、木密地域対策に結びつけることが重要です。
そこで、木密地域不燃化十年プロジェクトの不燃化特区の拡大を図るため、住民との双方向のコミュニケーションをとる機会として、これまで都が実施してきた地域密着集会を東京消防庁などと連携させ、充実を図るべきと考えます。都の見解を求めます。
今回の訓練で、私は、水道局の仮設給水栓の活用を体験させていただきました。
消火栓にスタンドパイプを差し込み、工具を使わずに、あっという間に組み立てられた仮設給水栓からは、おいしい東京水を取水することができました。
実際に消火栓を活用した応急給水を実施するためには、都の職員の現場派遣には限界があります。確かに、資器材を確保し、実施には訓練が必要となります。住民が主体となって活用できれば、必ず災害時には役立ちますが、資器材の管理や訓練を実施できる体制などの課題もあり、確実に実施できる区市町と都が連携を図る必要があると考えます。
そこで、災害時の対応として、まずは住民にとって身近な小中学校などの避難所で活用すべきです。
本来、避難所は区市町の所管ではありますが、都としても、消火栓を活用した応急給水への支援をするべきと考えますが、都の見解を求めます。
さきの総合防災訓練には、地域住民の代表の一つとして、品川区の東京防災隣組に認定された町会も参加しておられました。都は、地域で意欲的な防災活動を展開している団体を東京防災隣組として認定し、広く社会に発信していくとしています。
そこで、都は、九月一日の訓練に見られるような東京防災隣組の取り組みを、ぜひ防災活動の普及啓発の教材に取り入れて、地域防災の手本としていくべきと考えます。都の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 斉藤やすひろ議員の一般質問にお答えいたします。
日本人の中にある災害の記憶と将来を見据えた災害対策についてでありますが、未曾有の大震災によって、国民は、我々の国土がいかに危うい構造の上にあるかを改めて思い知らされました。今回の経験を経るまでもなく、文献その他の知識によっても、日本が世界最大の火山脈の上にあることはもう自明のことであります。それについての危機感を欠いた我が国の政府や電力会社などは、幾たびもの大地震に見舞われてきた我が国の地勢学的条件を強くしんしゃくせずにきました。
ある地質学者が、清少納言の父親の、千年前の貞観年間につくられた歌を読んで、千年前に仙台にすごい大きな津波が来たということを歴史的に知りまして、この現代に、わずか数年前でありますけれども、仙台の奥地を調査しまして、今回以上に大きな波が奥地まで訪れたということを地質学的に証明して、政府や東電に建言したそうでありますが、そういった一顧も顧みられることなしに、今回の悲劇になったわけであります。
一方、今回の震災をこうむった三陸地方では、今までの歴史的な経験を踏まえて、てんでんこという言葉があるそうです。これは、地震が来たら、家族のことさえ気にせずに、てんでんばらばらに、まず自分の命を守るために、一人でとにかくすぐ避難しろと、一家全滅、共倒れになることを防げという意味のいい伝えがあるそうでありますけれども、昔からこうしたいい伝えに従って、実は多くの命が助かってもきたわけであります。
しかし、多くの日本人は、みずからのDNAに刻み込まれてきた過去の大災害の記憶に対する真摯な心を見失っていたのではないかという気がいたします。
コンクリートから人へなる、非常に耳ざわりのいい言葉が躍りまして、スーパー堤防や八ッ場ダムといった必要な事業が中止に追い込まれそうになったことも、その証左であると思います。私たちは、真摯に反省しなければならないと思いますね。将来への視座を持って、インフラの整備をしっかりと進めながら、助け合いの精神など、かつて日本人の多くが持っていたよい部分を呼び起こして、将来また必ず来るであろう震災に備えていくことが肝要だと思います。
他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えします。
まず、自転車レーンの整備についてでございますが、自転車は、都市内の有効な交通手段の一つであり、歩行者、自転車、自動車、それぞれの安全・安心を確保しながら、自転車走行空間の整備を進めることが重要でございます。
このうち、自転車レーンは、限られた車道幅員の中で、歩行者などと分離された自転車走行空間を確保できる有効な整備手法でございます。
都は、沿道店舗の荷さばきやパーキングメーターなどの施設の対応、違法路上駐車の排除など、関係者間の合意形成を図りながら、停車帯などを活用して、渋谷区内の旧玉川水道道路や千葉街道などで整備を進めてまいりました。
今後とも、交通管理者と連携を図りながら、地域の実情を踏まえ、自転車レーンなど、だれもが安全で安心して利用できる自転車走行空間を積極的に整備してまいります。
次に、葛西臨海水族園への移動水族館の導入についてでございますが、都はこれまで、学校の授業との連携や地域の要請に対応し、水族園の教育、レクリエーションの機能を十全に発揮させ、園外で広くPRするため、小型の水槽などを用いて小学校などで生き物を観察できる移動水族館を行ってまいりました。
こうした取り組みに加え、病院に入院している子どもたちや、さまざまな理由により水族園へ来られない方々が、生き物との触れ合いを通じて、命のとうとさや生きる喜びを体感できるようにすることも、都立水族園の役割として重要であると認識しております。
都としても、移動水族館について、沖縄美ら海水族館やふくしま海洋科学館アクアマリンふくしまの取り組みを参考に、より多くの方々へ生き物や自然のすばらしさと重要性を伝え、その理解を深めていくため、対象とする地域や訪問する施設、実施する方法など、幅広く検討してまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 生物多様性の保全に向けた区市町村との連携についてでございますが、緑施策の新展開では、都市で活動するすべての主体の行動様式を生物多様性に配慮したものに転換していくことを、今後の方針の一つとして提起いたしました。
こうした展開を進めていく上で、例えば小中学校にビオトープを設置し、子どもたちが生き物に触れる場を確保するなど、地域に暮らす人々が生物多様性の重要性を実感できる取り組みは、住民に身近な区市町村においてこそ、きめ細かな対応が可能でございます。
このため、都はこれまでも、地域と連携した環境政策推進のための区市町村補助制度を活用し、生物多様性の保全に向けた計画の策定や、これらの計画に基づいて行う希少な動植物の保全などに取り組む区市町村を支援してまいりました。
今後とも、この取り組みを着実に進めるとともに、区市町村の緑施策や生物多様性を担当する部署との意見交換の場を設置するなど、地域の自然環境保全活動に携わるNPOなどに最も近い区市町村との連携を強化し、地域の取り組みのすそ野をより一層広げてまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 木密地域不燃化十年プロジェクトにおける地域密着型集会の充実についてでございますが、本年八月、都は、先行実施地区を公表いたしましたが、これに先立ち、都はこれまで、九地区で地元区と連携して地域密着型集会を開催し、地域住民の生の声を聞くとともに、阪神・淡路大震災の教訓を伝えるなどの取り組みを行い、区が先行実施地区へ応募する契機ともなってまいりました。
今後とも、東京消防庁など関係機関との連携を深め、地域密着型集会を充実させ、区や地域住民がより主体的に木密地域の改善策を考えるよう促し、不燃化特区の拡大につなげてまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 消火栓を活用した応急給水への支援についてでありますが、応急給水は、主に給水所などの応急給水拠点において、区市町と連携し実施することとなっております。消火栓を活用した応急給水は、これまでの応急給水拠点より数も多く、補完的な活用ができると考えております。
応急給水拠点より身近な小中学校などの避難所において、消火栓による応急給水が実施できれば、震災時における水の確保が容易となります。
今後は、この方式を拡大していくために、スタンドパイプなどの資器材を水道局が調達し、避難所を所管する区市町に管理していただく方向で協議を進めてまいります。また、区市町や自治会、町会などと連携強化を図り、避難所での応急給水訓練を実施してまいります。将来的には、自治会、町会などが主体となって取り組めるよう、積極的に支援してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 東京防災隣組の防災普及啓発への活用でありますが、自助、共助の取り組みを推進していくためには、地域で防災活動を担う団体が、他の団体の具体的な取り組みやノウハウを知り、地域特性に応じて自身の団体にうまく取り入れていくことが効果的であります。
とりわけ、地域防災の牽引役が期待される東京防災隣組の意欲的な取り組みは、他団体における防災活動の充実に大きな参考となると考えられます。このため、東京防災隣組の活動映像や現場でのインタビュー、総合防災訓練の様子などを盛り込んだ冊子とDVDを作成し、都内全域に配布するとともに、防災リーダーを育成する研修の教材としても活用してまいります。防災隣組の紹介を通じて、より実践的な地域防災活動の展開を図ってまいります。
〇副議長(ともとし春久君) 二十番桜井浩之君。
〔二十番桜井浩之君登壇〕
〇二十番(桜井浩之君) 最初に、災害対策の観点から、石原知事へ、自治体と自衛隊との連携強化について伺います。
昨年の東日本大震災では、自衛隊は十万人という空前の規模で被災地での救助、探索活動に従事し、大活躍をしたのは、全国民が知るところであります。雪の降る中、黙々と行方不明者を探索したり、避難所の皆さんに温かいおふろや食事を提供したりと、その献身的な姿に心を打たれた方も多いのではないでしょうか。
そして、首都直下地震の発生時にも、こうした自衛隊の災害派遣部隊の活躍を大いに期待するものであります。そのためにも、都や都内の市区町村は、日ごろから自衛隊との密接な連携を図っていく必要があります。
都はこれまでも、総合防災訓練などで毎年度、警視庁や消防庁とともに、自衛隊をも含めた訓練を実施しております。この積み重ねが顔の見える関係をつくり、いざというときの連携に役立つのではないでしょうか。
自衛隊側も自治体との連携を重視し、去る七月、首都直下地震を想定した二十三区への展開訓練を初めて行いました。各区では、自衛隊との通信訓練や仮宿泊への協力がなされたと聞きます。
しかしながら、一部の市民が、こうした協力を行わないよう声高に叫んでいる姿や、区役所に対して電話での抗議等が実際あったと聞いております。彼らは、災害発生時に自衛隊の支援協力がなくてもよいとでもいうのでしょうか。
都民の命を預かる都や市区町村は、こうした声にひるむことなく、積極的に自衛隊との連携を強化すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、自転車走行空間の整備について伺います。
ことしの夏に開催されたロンドン・オリンピックのテーマは、環境保全や持続可能な発展を目指す地域レベルの活動を強化し、気候変動のような地球規模の問題への取り組みにつなげようとするものであります。その取り組みの一つとして、ロンドンでは、自転車利用を促進して二酸化炭素排出量を削減するため、市街地と郊外を結ぶ自転車レーンの整備が進められております。
東京においても、低炭素都市の実現や経済成長と環境の両立などを目指し、低公害、低燃費車の導入促進や、自動車から公共交通への利用転換など、さまざまな施策が展開されております。
とりわけ自転車は、環境に優しく近距離の移動にすぐれ、地域内に点在する観光スポットを気軽にめぐることができることから、観光振興にも寄与することが期待されます。また、都民にとって身近な交通手段となっているため、自転車にかかわる交通事故防止の観点からも、自転車走行空間の整備に都民の関心が高くなっております。
都は、「二〇二〇年の東京」計画で、二〇二〇年までに新たに百キロメートルの自転車走行空間を整備するとしておりますが、優先して整備する路線の選定など、取り組み状況についてお伺いをいたします。
次に、水道の国際展開について伺います。
東京水道は、長年にわたり養ってきた高度な浄水処理技術や、漏水率三%を達成したすぐれた漏水対策のノウハウを有しております。こうした技術を活用した途上国での取り組みは、東京水道の存在感を世界に示すとともに、日本の産業の活性化にもつながるものであり、私もこれまで強く応援してまいりました。
海外には、水に関するさまざまなニーズがありますが、ビジネスの場においては、相手国や現地のニーズに的確にこたえることが重要であります。
我が党は、海外へ進出する企業との連携に取り組むべきと提唱し、水道局は昨年、民間企業支援プログラムを創設いたしました。この取り組みは、企業からの情報収集を通じて相手国のニーズを知る機会でもあります。また、水道局はこれまで海外で技術協力を行うとともに、百を超える国々から視察団などを受け入れております。これらもニーズをとらえるよい機会であると考えます。
そこで、これらの取り組みによって得られた各国のニーズはどのようなものなのか、お伺いいたします。
次に、アジアの途上国では、漏水などにより収入にならない水の割合が二〇%から、高い地域では五〇%に及んでおります。漏水対策に関しては、先日の新聞報道にもありましたが、東京水道サービスがタイで実証試験を行ったところ、漏水率が大幅に下がるなど、大きな成果を上げております。これは、東京水道の技術力の高さを示すよい事例といえるのではないでしょうか。
今後の海外展開に当たっては、相手国のニーズとみずからの強みが一致する領域に重点を置いて、取り組みを進めていくべきと考えますが、水道局の見解を伺います。
そして、こうした取り組みは海外で日本企業が活躍する場を創出することにつながるものであり、積極的に推し進めていただきたいと思います。
次に、観光産業振興としてMICEの誘致についてお伺いいたします。
東日本大震災の影響により大きく落ち込んだ外国人旅行者数の回復を図るため、都は、昨年の第二回定例会における我が党の代表質問を受け、海外の旅行事業者等の招聘や国際会議の機会を通じて、東京の魅力をアピールする取り組みを行ってきました。
こうした中、この十月には参加者が二万人ともいわれるIMFと世界銀行の総会が開催されます。都の協力のもと、この会議が成功すれば、MICE開催都市としての東京の存在感を世界に示すことができます。
都は、この好機を活用して東京の魅力を存分にPRするとともに、この会議の開催を通じて得られるさまざまな経験を、今後のMICE誘致施策にも生かすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、第二十九回全国都市緑化フェアTOKYOについて伺います。
緑と花の祭典である緑化フェアですが、いよいよ三日後の九月二十九日から開催されます。開催を心待ちにしていた一人として、大変うれしく思っております。先ほど触れたIMFと世界銀行の総会は、緑化フェアの会期中に行われるものであり、緑あふれる都市東京の魅力を国内外にしっかりとPRしていただきたいと考えます。
開催を間近に控え、地域や民間事業者との連携も積極的に図られていることと思いますが、フェアの成功に向けた意気込みをお伺いいたします。
次に、スポーツ祭東京二〇一三について伺います。
来年九月二十八日から、スポーツ祭東京二〇一三本大会が開催されます。東京においての国民体育大会はおよそ半世紀ぶりで、また、全国障害者スポーツ大会は初めての開催となります。
今年度は、各競技会場でのリハーサル大会が開催されており、私の地元墨田区でも、ハンドボール競技が行われました。競技会場では、地元の団体やボランティアが一丸となって協議会を運営しており、大変盛り上がっておりました。他の競技会場においても同様のことと思います。こうした各地の盛り上がりを都内全域に広げ、来年の本大会にしっかりとつなげていくことが重要であります。
そこで、大会開催まで残り一年となった今こそ、都民に対する広報活動を計画的、効果的に展開し、大会開催に向けた機運の醸成を図っていかなければなりません。今後のスポーツ祭東京二〇一三に対する広報の展開について見解をお伺いいたします。
次に、水辺のにぎわいづくりに向けた都の取り組みについて伺います。
この五月にオープンした東京スカイツリーの天望デッキには、江戸時代の絵師、鍬形恵斎がかいた江戸一目図屏風のレプリカが展示されております。このびょうぶには、江戸城を中心に、遠くは富士山まで、あたかも飛行機に乗って航空撮影したかのように当時の江戸のまちが描かれ、手前には大きく隅田川が流れている様子がかかれております。その隅田川では、江戸庶民を乗せた船や物資を運ぶ船など多くの船が行き交い、江戸時代、舟運が盛んであったことがわかります。
一方、現代に目を向けますと、特にスカイツリー開業後は、隅田川だけでなく、北十間川など江東内部河川でも、水上バスやカヌーなどにより、水辺を楽しむ人がふえてまいりました。
都は、このような水辺のにぎわいづくりのため、これまで隅田川テラスや小名木川での塩の道整備などに取り組まれるとともに、先般、隅田川の防災船着き場の開放や、江東内部河川で船舶の通航ルールの見直しなどを行ったと聞いております。
そこでまず、特に舟運を活用した水辺のにぎわいづくりに向けた最近の河川管理者の取り組みについてお伺いいたします。
次に、北十間川の整備の取り組みについて伺います。
東京スカイツリーの足元を東西に流れる北十間川の源森川水門と北十間川桶門の間、いわゆる西側区間は、現在、耐震対策に未着手であり、整備が急がれます。また、この区間は、東京スカイツリーのすぐ西側に位置し、良好な水辺を整備することにより、人々でにぎわう場が創出されるなど、新たな観光資源となることも期待されます。地元の墨田区も、北十間川水辺活用構想を策定し、にぎわいや文化が楽しめる水辺景観を目指すこととしております。
そこで、北十間川西側区間の整備の取り組みについて伺います。
最後に、白鬚東防災拠点についてお伺いいたします。
墨田区は、木密地域が大規模に広がり、延焼危険度も非常に高い地域です。こうした地域において、住民を火災から守り、安全な避難を実現するために、都は、昭和四十年代に地域開発構想をまとめ、長い時間をかけて白鬚東地区に大規模な防災団地をつくりました。これは、防災公園や三千立方メートルに及ぶ貯水槽などを設けた立派な施設であります。
しかしながら、時代が下るにつけ、この施設の位置づけは地域防災計画からなくなり、そして施設の老朽化に伴い、貯水槽の維持更新が大きな課題となっております。
そこで、本年八月、墨田区選出の都議会議員、さらには墨田区長、区議会議長、地元区議や住民の皆さんと、オール墨田のメンバーで、白鬚防災団地を地域防災計画にしっかりと位置づけ、貯水槽などの防災設備の維持更新、都立公園の設備の充実、災害時の行動マニュアルの作成などについて都に要望させていただいたところであります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 桜井浩之議員の一般質問にお答えします。
自衛隊と自治体との連携についてでありますが、災害とは、まさしく有事であります。常に有事を想定して活動し、インフラが壊滅した状態でも、物資や燃料等を独自に調達して、自己完結的に行動できる自衛隊こそが、東日本大震災でその能力を大いに発揮したわけでありまして、被災地住民から感謝されたことは周知の事実でもあります。
首都直下地震の被害を最小限に抑えるためには、速やかに自衛隊の大規模な部隊展開を実現する必要があります。そう思って、私は就任直後の災害演習のときに、自衛隊に要請しまして、あのときはかなり大規模な自衛隊の出動がありまして、橋が壊滅したことも想定して、緊急に、船を並べて橋をかける特殊部隊が、北海道の石狩川の川沿いからわざわざ出動してくれました。朝日新聞という愚かな新聞が、それを見て、写真入りで、災害対策の特殊車両が機関銃を積んでいるわけでありますけれども、銀座に戦車という題名で、ばかな写真を出して反対キャンペーンをしていました。
それに刺激されて、その次の年も、左翼の共産党系の連中が大騒ぎしましたが、結局市民に無視されて、三年目からは鎮静しましたけれども、いずれにしろ、まことに愚かな話であると私は思います。
この七月には、首都直下地震を想定して、陸上自衛隊が二十三区への展開訓練を行い、都庁では陸海空の三自衛隊が参集し、五日間昼夜を通しての図上訓練を実施するなど、これまでも都と区市町村は、自衛隊との緊密な関係を築き上げております。
さらに、東日本大震災の被災地において救援活動の陣頭指揮を行った陸上自衛隊の元陸将を危機管理監に任命しまして、その経験を自衛隊との連携や防災対策の強化に生かしていきたいと思っております。
こうした、たゆまぬ関係づくりを通じて、発災時における臨機の対応力を備えた危機管理体制を構築していきたいと思っております。
なお、他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁します。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 四点のご質問にお答えします。
初めに、自転車走行空間の整備に関する取り組み状況についてでございますが、自転車は、環境への負荷が少ない手軽な交通手段として利用が拡大しており、歩行者、自転車、自動車それぞれの安全・安心を確保する自転車走行空間の整備を進めることが重要でございます。
都は、「二〇二〇年の東京」計画に位置づけた約百キロメートルの自転車走行空間の整備を実現するため、道路の幅員や利用状況に応じた自転車道や自転車レーンなどの整備手法と、安全性、利便性向上の視点から選定した優先整備区間などを取りまとめた計画を来月策定いたします。
この計画により、既設道路におきましては、自転車交通量が多い葛飾区の平和橋通りや、上野、浅草、スカイツリーといった観光スポットを結ぶ浅草通りなど、平成三十二年度までに計画に位置づけました百キロメートルの自転車走行空間を整備していくほか、調布保谷線などの新設、拡幅道路におきましても、整備に取り組んでまいります。
今後とも、自転車走行空間の整備を積極的に推進し、だれもが安全で安心して利用できる道路空間を創出してまいります。
次に、第二十九回全国都市緑化フェアTOKYOについてでございますが、緑の風がふきぬける東京をテーマとし、上野恩賜公園、井の頭恩賜公園、日比谷公園、浜離宮恩賜庭園、海の森、国営昭和記念公園をメーンの六会場に、地元区市の共催や民間企業など百四十四団体からの協賛を得て、目標入場数五百万人を目指して開催いたします。
上野恩賜公園では、東北六県から提供を受けた稲穂が風に揺れ、色とりどりの野菜や果樹が実る東北「農」の庭、井の頭恩賜公園では、畳約六百畳に及ぶ大温室の天井一面が六百株の花で埋め尽くされる空中花壇、花の庭など、最新の緑化技術を駆使した展示により、緑と花の魅力を体感していただきます。
また、都立公園や区市の公園など百九カ所をサテライト会場とするほか、屋上や壁面の緑化に取り組んでいる民間オフィスビルなど二百八十六カ所をサテライトグリーンとし、街路樹や河川の緑とあわせて都心の緑をめぐるツアーを実施するなど、東京ならではの広がりのあるフェアとしてまいります。
このフェアを契機に、東京のさまざまな緑の魅力を国内外に発信し、二十一世紀にふさわしい水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の創造を加速してまいります。
次に、舟運を活用した水辺のにぎわいづくりについてでございますが、東京の河川をにぎわい豊かなものとするには、親水テラスの整備などにより水辺の魅力を高めるとともに、水上からまちを眺め、親しめるようにすることも重要でございます。
このため、都は、各種クルーズの拠点として隅田川の越中島と明石町の防災船着き場に加え、浅草に近い桜橋防災船着き場でも、五月から試験的に一般開放を行っております。また、墨田区の北十間川の水深が浅い一部区間では船舶の通航を禁止しておりましたが、船の喫水や長さ、幅を制限した上で、小型船舶の通航が可能となるよう、東京スカイツリーの開業前に運航ルールを改正いたしました。
これらの取り組みにより、開放している船着き場での発着回数が、昨年に比べ、例えば越中島で二倍を超えるなど、着実に増加するとともに、江東内部河川を通航する観光船やカヌーが昨年に比べ約三倍となるなど、観光舟運が大幅に活性化しております。
今後とも、舟運ニーズを踏まえつつ多様な施策を展開し、さらなる水辺のにぎわいを創出してまいります。
最後に、北十間川西側区間の整備の取り組みについてでございますが、北十間川では、東京スカイツリー付近から東側の水位低下区間で、護岸の耐震化や散策路となるテラスの整備などを進めております。
一方、西側区間につきましては、耐震護岸の整備の早期着手に向け設計を進めており、この区間が隅田川とスカイツリーを結ぶ動線上にあることに配慮して、連続した広い歩行空間の確保や、舟運利用のための船着き場の設置ができるよう検討を行っております。
今後とも、地元区や関連事業者などと連携を図りながら、都民に親しまれる水辺のにぎわいづくりを進めてまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、これまでの取り組みによって得られた水に関する各国のニーズについてであります。
水道局では、民間企業支援プログラムや海外での技術協力、視察団の受け入れ、ミッション団の派遣など、さまざまな機会を通じ各国のニーズの把握に努めてまいりました。
タイ、台湾、マレーシアなどの多くの国では漏水防止技術、また、ベトナムでは濁りのひどい河川水にも対応できる浄水処理技術への関心が高く、技術者の育成支援などの要望もあります。中でも、漏水など収入にならない水の削減、いわゆる無収水対策に高いニーズがあります。これらは、東京水道の強みを生かせる分野であり、ニーズに対して十分にこたえることが可能であります。
次に、今後の海外展開についてでありますが、アジアの多くの国では、無収水の削減が喫緊の課題となっております。こうした中、東京水道サービスがタイのバンコクで行った実地試験では、東京ならではの技術を生かして、限定したエリア内ではありますが、無収水率を二八%から三%に下げるという成果を上げ、タイの首都圏水道公社から高く実力を評価されました。
また、タイ国との間では、長年にわたる技術協力で築いてきた信頼関係もあり、近々、東京水道サービスは、タイの水道公社と無収水対策の契約を締結する運びであります。この分野での海外の水道事業体からの契約は初めてとなります。
今後、この成果を生かして、台湾やマレーシアなど他の国においても、国際貢献ビジネスの取り組みを広げてまいります。
〔産業労働局長中西充君登壇〕
〇産業労働局長(中西充君) MICEの誘致についてのご質問でございます。
来月開催される予定のIMFと世界銀行の総会は、各国の要人が多数訪れる世界最大級の国際会議であり、東京の存在感や魅力を世界にアピールする絶好の機会でございます。
都は、国や関係機関などと協力し、円滑な会議運営に向けたサポートに取り組んでおります。
会議開催期間中、参加者に対しましては、都内観光ツアーに加え、都のインフラ施設や、すぐれた技術力を持つ中小企業を見学する機会を提供いたします。さらに、イベントを紹介する冊子や都内の交通機関や博物館等と連携したフリーパスを配布するなど、東京の持つさまざまな魅力をPRしてまいります。
都は、こうした取り組みを通じて得た会議開催支援のノウハウや幅広いネットワーク等を今後のMICE誘致に積極的に生かしてまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) スポーツ祭東京二〇一三についてでございます。
大会開催までこれからの一年間は、開催機運の醸成を図るために、ご指摘のとおり極めて重要な時期であると認識しております。これまで以上に広報活動を充実、強化していきます。
具体的には、大会開催一年前の機会をとらえて、都民参画による大規模なイベントの実施やカウントダウンボードの設置、広報拠点としてのスポーツカフェの開設を行います。
また、大会開催までの間、子どもから大人まで都民の皆さんが参加できる、ゆりーとダンスコンテストや都内産の食材を活用したグルメ紹介イベントなどを継続的に実施していきます。
こうした取り組みに加え、ツイッター、フェイスブックによるインターネットでの情報の交流等を積極的に行いまして、区市町村の取り組みとも連携して大会開催に向けた機運を高め、スポーツ祭東京二〇一三の成功につなげてまいります。
〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時三十一分休憩
午後五時五十分開議
〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行します。
百番いのつめまさみさん。
〔百番いのつめまさみ君登壇〕
〇百番(いのつめまさみ君) ロンドン・オリンピック・パラリンピックが閉会しました。選手たちからはたくさんの感動をもらいましたが、まだまだ日本は女性とスポーツへの理解が足りないと感じました。
なぜかというと、サッカー女子選手の往路はエコノミークラスでした。往復ビジネスの男子選手との差別が物議を醸しました。ロンドン・オリンピックは全競技が男女で行われた記念すべき史上初の大会でした。男女差別があったのは残念です。JFAの規約によるものだそうですが、規約よりも選手のコンディションを優先するべきです。
そして、日本のメダリストへの報奨金は、他国と比較し低いです。もちろん選手の皆さんは報奨金目当てではなく、日本代表として頑張ってくれています。長年にわたる努力に対して敬意をあらわすためにも、もう少し手厚くしてほしいものです。
質問に入ります。
霞ヶ丘地域の再開発について伺います。
霞ヶ丘地域は、港区と渋谷区に隣接する地域です。東京体育館、国立競技場があります。国立競技場については、国が建てかえを行うことにしており、オリンピック招致が実現した際には、メーンスタジアムとなることが見込まれています。
また、この地域には築五十年以上の都営霞ヶ丘アパートがあります。エレベーターはなく、耐震もされていない団地が十棟、二百三十一世帯、約四百名が居住されています。
八月、ここの住民の方々に、国立競技場の建てかえに伴う移転についてと記載された文章が配布されました。概略は、国がラグビーワールドカップの開催に向け、国立競技場の建てかえを行うことが決まりました、その計画に霞ヶ丘アパートが含まれており、移転していただかなければならない、移転時期は平成二十六年度ごろが想定されていますというものです。
居住者の中には、昔からこの地域に住んでいた方がいます。東京オリンピックによって国立競技場が必要となり、霞ヶ丘アパートに移転されました。そして、また、今回の移転です。人生で二度、国立競技場のために移転を強いられる方がいます。お気の毒です。
このアパートも高齢者が多く、移転により生活環境が変わるのは心配です。希望者が同じアパートに、ご近所さん同士、お仲間で移転できれば、コミュニティは存続でき、心強いと思います。
居住者の皆さんは、今後どうなるのか、不安をお持ちです。全世帯の方の希望を伺い、丁寧な対応が必要です。具体的なことはまだ決まっていないとのことですが、いつ具体的になるのか、受け皿はあるのか、今後のスケジュールを早期に明確にすることが重要です。今後の取り組みについて伺います。
次に、新宿駅西口について伺います。
新宿駅はかつて、ギネス世界記録で世界一の乗降客を記録し、現在も一日三百四十万人の乗降客を誇る駅です。
南口にはJR東日本の線路上空に約一・四七ヘクタールの人工地盤で、緑の広場、タクシーや一般車の乗降エリア、高速路線バス関連施設などの総合的な交通結節点として、二〇一六年に完成予定です。
また、本年九月から、二〇二〇年開通の新宿駅東西自由通路工事が始まり、回遊性の高まりが期待されています。
このように、周辺の開発が進むと、新宿駅西口駅前広場の整備が望まれるようになってきました。西口ロータリーは主に都道です。歩行者より車が優先された時代の整備です。地下と地上の二重構造で、歩行者広場がありません。地下のタクシー乗り場がオープンのため、大きな穴状態で駅前を分断しています。周囲の植え込みも、環境配慮とはいえません。路線バスへのアクセスにも問題があります。
昨年三月十一日、新宿駅周辺は帰宅困難者であふれていました。まちの方からは、災害時の避難場所になるような広場が必要だと要望されています。広場でイベントができれば、まちのにぎわいにつながるといわれました。ふたをして平面になれば、新宿駅と西口のビル群へのアクセスが簡単になります。
二〇二〇年オリンピックまでに、広場内のバリアフリー化や歩行者空間を創出し、時代に合った西口駅前広場の再整備が必要と考えますが、都の取り組みについて伺います。
次に、都営住宅跡地について伺います。
都庁の西側に都営角筈アパートがありました。現在は取り壊され、五年間の期限つき暫定利用で民間に年間一億円で貸し、二〇〇九年九月から環境配慮型の住宅展示場となっています。しかし、契約者である民間会社が、出展者であるハウスメーカーと幾らで契約しているか、都は認識をしていない。知る必要もないということです。単なる又貸しビジネスにしないためにもルールが必要だと考えます。
地域の皆さんは、旧都営角筈アパート跡地を考える会を立ち上げました。民間にアパート跡地が売却されるのでは、住宅展示場がもう一期延長されるのではと心配されています。考える会は、跡地の活用方法の方向性を地域の方に周知するために広報誌を発行され、孫と子と親の三世代社会をコンセプトに、環境に配慮した高齢者施設などの提案がありました。
都は、考える会の意見をよく聞いてほしいと要望するとともに、新宿区と協議し、跡地の有効利用を検討すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
増加する廃墟について伺います。
最近、老朽化した木造住宅の空き家がふえています。総務省統計局の平成二十年の調査によると、全国の総住宅数五千七百五十九万戸に対し、空き家は七百五十七万戸、空き家率は一三・一%と過去最高を記録し、東京都は一二・三五%です。
近隣の住民は、倒壊、崩壊、屋根、外壁の落下、犯罪の誘発、ごみの不法投棄、衛生面での悪化、悪臭の発生、風景、景観の悪化などを心配しています。災害時は、燃えくさになり、とても危険です。
地権者がいないケースもありますが、地権者がいても解体しないケースも多くあります。地権者が解体しない理由は、解体費用がかかることと、解体後、更地になると固定資産税が高くなることが原因になっています。廃墟対策として、固定資産税の改正は今後の国の課題だと思います。
現在、都と区市とでできる、特に木密地域の空き家対策を提案させていただきます。地方税法では、行政が無償で借りた土地は非課税になります。防災拠点や防災倉庫、延焼防止として有効利用が可能です。借り上げる土地の上物の解体費用を助成すれば、一石二鳥と考えます。行政の三〇%が空き家対策を講じています。都は老朽空き家が除去されない課題をどのように認識しているか伺います。
次に、不妊治療について伺います。
厚生労働省が公表した平成二十三年度の人口動態調査によると、東京都の合計特殊出生率は一・〇六と、全国平均の一・三九と比較して低い水準にあり、少子化が進展しています。片や、不妊治療患者は五十万人といわれています。
都では、現在、体外受精と顕微授精に対し、十五万円を五年間十回まで助成しています。民主党政権になってからの施策です。しかし、残念ながら人工授精はまだ自費です。
毎月の通院、エコーによる診療、漢方薬や薬を飲む、排卵検査薬を使用するなど、不妊治療の経済的負担は大きいものです。若い夫婦が経済的な理由から子どもをあきらめざるを得ない残念なこともあります。
例えば、多嚢胞卵巣症候群という卵子が育ちにくいケースには、糖尿病の薬が効く人がいます。糖尿病患者が服薬すれば保険適用ですが、多嚢胞卵巣症候群の方の服薬は自費です。薬代が高額になり、継続できない場合があります。
しかし、品川区では、一般不妊治療に年間十万円を上限に助成を行っています。区の単独事業です。
少子化対策にもなる不妊治療に対し、私はすべて保険適用にするべきと考えます。都も国に頼らず、品川区を見習い、独自の不妊治療の支援の充実を図っていくべきと考えます。見解を伺います。
不妊治療は、年齢への焦り、精神的に落ち込んだり、夫婦間がぎくしゃくしたり、身体的苦痛だけでなく、精神的な苦痛が伴います。いつか、その胸に赤ちゃんを抱く日を願って頑張る女性を社会全体で応援したいです。不妊治療者に対する精神的な支援とともに、夫や両親など家族への理解を深めることが必要です。都の見解を伺います。
次に、ホームドアについて伺います。
近年、鉄道の駅ホームからの転落防止を解決するホームドアに、国や東京都から補助金が交付され、設置が進められています。
京王線の新宿駅では二〇一三年度に、小田急線新宿駅地上急行ホームでは九月三十日より可動式ホームドアの使用が開始し、より安全になることは喜ばしいことです。
一方で、列車を寸分狂わず停止位置に停車させる必要が生じてきています。これに対して、自動的に停止位置で列車を停止させる列車の運転を支援する装置が開発されています。
しかしながら、この列車の運転を支援する装置には、国や東京都からの補助金がありません。
ホームドアを設置することで運転手への負担が増加し、安全面への影響も危惧されます。ホームドアの設置は、列車の運転を支援する装置の設置と一体化した補助制度の確立が必要だと考えますが、都の所見を伺います。
次に、迷惑メールについて伺います。
毎日何通も届く携帯電話への迷惑メールです。高収入の道、競馬が当たる方法、パチンコ必勝法、若い女性とつき合いませんか、悩みの相談に乗ってくださいなどなど、不愉快な文章が送信されます。受信だけでも料金がかかり、開けばまたかかり、拒否リストに加える作業が面倒です。むだな時間と労力が費やされます。
総務省の迷惑メール対策のホームページには、本文の冒頭に受信月日と送信者アドレスを追記し、転送するようになっています。手間がかかりますが、効果はあるのでしょうか。
また、配信停止メールを送信すれば、別の組織にメール情報が流れ、最悪な状態になります。迷惑メールは有害サイトへの誘導、詐欺行為、振り込め詐欺、メールアドレスの収集、チェーンメール、さまざまです。こちらは何も悪くないのに対応しなければいけないことに、ストレスと嫌悪を感じます。多くの人々に精神的な損害を与えて、もはや犯罪ではないでしょうか。厳しい取り締まりと対策が必要と考えます。都の見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) いのつめまさみ議員の一般質問にお答えします。
私からは、五点の質問にお答えいたします。
まず、霞ヶ丘アパートの移転についてでございますが、国は、施設の老朽化や競技の国際基準などへの対応を図るため、ナショナルプロジェクトとして国立霞ヶ丘競技場の建てかえを行うことを決定し、二〇一九年のラグビーワールドカップの開催に間に合わせることとしております。
建てかえの計画対象範囲には、霞ヶ丘アパートの敷地が含まれていることから、都は先般、アパート居住者を対象として、今回の決定と移転の必要性について説明を行いました。
今後、居住者への説明を続けるなど、適切に対応してまいります。
次に、新宿駅西口駅前広場の再整備についてでございますが、都は「二〇二〇年の東京」計画において、東京を高度な利便性と効率性を備えた国際都市とするため、新宿駅などで交通基盤を充実強化することとしております。
新宿区でも、昨年、新宿駅周辺地区整備ガイドライン二〇一〇を策定し、駅前広場を含めた駅周辺の回遊性の向上や、たまり空間の確保などを目指すとしております。
現在、都は、地元区と協力し新宿駅周辺の現況などを調査しており、この中で、西口駅前広場のバリアフリー化など課題を抽出してまいります。
次に、都営角筈アパート跡地についてでございますが、地域のまちづくりに活用するため、地元区等の意向も確認しながら整備の方向性について検討を進めましたが、具体的な活用策が定まるまでにしばらく時間を要する見込みであったことから、当面、平成二十六年度までの暫定利用を図っております。
暫定利用後における具体的な活用については、現在、方針が定まっていないことから、今後、関係機関と調整してまいります。
次に、木密地域における老朽空き家対策についてでございますが、都は、燃えにくいまち、燃え広がらないまちを目指し、延焼遮断帯の形成とともに、延焼遮断帯に囲まれた市街地について不燃化を推進する木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げ、先月、先行実施地区を公表いたしました。
先行実施地区に応募した区などからは、さまざまな課題の一つとして、老朽空き家対策の必要性が挙がっております。
都としては、現場を持つ区から、老朽空き家の状況や抱える課題などについて聞き取りを行ってまいります。
最後に、ホームドアと一体化した列車の運転を支援する装置への補助についてでございますが、駅ホームにおける安全対策や列車の定時性確保などは、鉄道の安全、正確な運行の責任を負う鉄道事業者がみずから取り組むことが基本でございます。
ホームドアの設置については、整備上の課題を検討して利用者の安全性確保に向けた鉄道事業者の積極的な取り組みを促すため、都では、昨年度から三年間三駅に限り補助を実施しております。
お尋ねの定位置停止装置など、運転を支援する装置の設置については、鉄道事業者みずからが判断し、実施すべきものと考えております。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点の質問にお答えいたします。
まず、不妊治療への支援についてでありますが、子どもを欲しいと望んでいるにもかかわらず恵まれない方々が、保険適用とならない不妊治療を行う場合に、都は、国の制度に基づいて特定不妊治療費を助成し、経済的負担の軽減を図っているところでございます。
都としては、不妊治療を必要とする人が安心して治療を受けられるよう、国において、全国の治療状況及び治療成績を考慮した上で、不妊治療の標準化を図るとともに、医療保険の適用対象とするよう求めており、引き続き、国に提案要求を行ってまいります。
次に、不妊に悩む方への精神的な支援についてでありますが、不妊治療を受けている方の中には、家族や周囲の理解不足や治療の長期化などにより、悩みや不安を感じている方も少なくありません。
そのため、都では、不妊・不育ホットラインにおいて、不妊に悩んだ経験を持つカウンセラー等が、さまざまな相談に応じるとともに、治療に関する情報提供等を行っております。
また、多くの都民の方に、不妊のことを理解していただくため、リーフレットを作成し、区市町村の窓口で配布するなど、普及啓発を図っているところでございます。
〔生活文化局長小林清君登壇〕
〇生活文化局長(小林清君) 迷惑メール対策についてでありますが、携帯電話等に一方的に届く、いわゆる迷惑メールに対しましては、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律に基づき、国が直接規制を行っております。
この法律では、あらかじめ同意のない者への広告、宣伝メールの送信などが原則禁止され、違反した場合は、国による措置命令が行われます。また、送信者が電子メールアドレス等を偽って送信した場合には、直接刑事罰の対象ともなります。
都は、迷惑メールによって不当請求等のトラブルが発生した場合には、消費生活総合センターにおける相談対応や事業者への指導、国等への情報提供を必要に応じて実施をしております。
今後とも、ホームページや広報誌等により消費者への注意喚起を行うとともに、国や電気通信事業者の専門相談窓口を紹介するなど、適切に対応してまいります。
〇議長(中村明彦君) 百二十六番馬場裕子さん。
〔百二十六番馬場裕子君登壇〕
〇百二十六番(馬場裕子君) 駐車監視員制度と駐車取り締まり規制の緩和について、お伺いをいたします。
平成十八年六月監視員制度の開始より六年を経過し、制度の周知と効果は十分発揮されてきていると受けとめております。
一方で、大都市東京都が抱えてきた道路交通状況の中で、規制により生じている課題については、これまでも検討をお願いしてまいりました。四年前の一般質問で、荷さばきに配慮した駐車規制の緩和区間の設置をお願いし、以後、これまでに四十カ所を設置していただきました。規制緩和区域の拡大や短時間利用パーキングメーター導入などの改善策に感謝申し上げます。
しかし、以前に増して取り締まりが強化された状況に対して、都民への生活サービスに携わる業務関係者からは、対策経費の多額な負担と違反認識に対する運転者の心理的負担増から、規制緩和要請がたくさん寄せられております。
最初に、道路交通法改正による放置駐車取り締まり規制強化の効果についてお伺いいたします。
現在、駐車規制除外の対象は、特定の人及び車両とされておりますが、改正から六年が経過し、渋滞対策に効果が出つつあるとの認識のもと、業務として訪問医療、介護などのサービス提供が求められる車両、例えば、助産師、介護士、ヘルパーなど、訪問先が多数であり、ある程度の所要時間が必要かつ道具ないし備品を携帯しなければならない業務などについては、規制対象から除外すべきと考えます。
また、近年、税金や公共料金の取扱委託により、銀行などに加えコンビニ店に設置されているATM機など、現金取扱箇所が急増しております。二人乗務でのATM機への現金装てんを伴う現金輸送時など、埼玉県で発生した銃を使用した襲撃事件の例もあり、危険にさらされているという緊張感は、民間人にとって精神的に重い負担となっております。
昨年、経団連から、犯罪の誘発または盗難、ATM等への現金供給の停止や被害拡大による社会経済機能の麻痺を防ぐためにも、警備会社が使用する、現金輸送用車両及び機械警備警報対応用車両を駐車規制対象除外車両として認めるべきとの要望が出されています。
現金輸送車などの危険を伴う警備輸送車両の安全確保のため、現金取扱場所から最短距離に駐車できるよう規制対象から除外すべきと考えます。
警視庁は、駐車規制除外車両の拡大をどのように考えておられるのか、ご所見を伺います。
警視庁では、放置車両確認事務の民間委託に伴い、従来以上に違反実態等に即した公平かつめり張りをつけた取り締まりを行うため、重点的に取り締まりを行う場所、時間帯を定めた駐車監視員活動ガイドラインを策定、公表し、ガイドラインに沿った取り締まりをするものとされております。
各署で作成する活動ガイドラインは、指定された最重点、重点路線並びに地域を監視員の活動範囲とし、範囲外であっても、活動場所に移動途中に悪質、危険性、迷惑性が極めて高い放置車両などは対象とすると規定しています。
高齢社会化が進む中、注文による個宅への配送などの営業や定時に指定地域に集配送を要請される業務など、日々、数十万台もの集配車両が運行しています。渋滞対策として広く制度の周知もできたところで、客の依頼で移動するこうした運輸車両の駐車については、渋滞が予想されず、悪質、危険、迷惑性の低い状況と判断できる場所については、駐車規制の緩和が強く求められております。
都民が必要と求める場所では、荷さばきスペースの拡充と駐車規制の緩和が必要と考えますが、警視庁のご所見を伺います。
限られた道路を安全で効率よく利用するには、さまざまな規則を守らねばなりませんが、自動車免許を持たない者、高齢者、子どもなど、標識や表示の意味を理解しているとは限りません。多種多様な条件で人と車が道路を利用します。交通事故や違反行為を未然に防ぐには、的確な指導と細心の見回りが求められます。
監視員による放置車両確認件数はこの六年で約二百五十六万件、委託経費は約二百五十億円です。放置車両の確認等の事務は、放置車両確認機関として三年間の契約で法人に委託し、駐車監視員は確認標章の取りつけのみが任務とされています。
ことしは、年間四百三十一ユニット、八百六十二人が常時巡回をしております。監視員は二日の講習の上、資格者証の交付を受け、公務に従事する職員とみなされます。国において道路交通法の改正が必要なことは承知していますが、今後は、知識や経験など一定の要件を備えた駐車監視員に交通専門指導の役割を付加することを検討されるよう、都民とともに期待をしております。
次に、オートバイ、観光バスなどを含めた総合駐車対策について伺います。
都は、平成十九年一月に路上駐車の削減を目指し、総合駐車対策マニュアルを作成しています。この中で、客待ちタクシー、自動二輪車、観光バス対策などが挙げられ、その後、行政や地域、警察などが連携協力し、数々の取り組みが進められてきました。
東京駅やスカイツリーなど、新たな観光名所ができましたが、依然、駐車対策に関して多くの要望を受けております。ほかにも荷さばき車両や自動二輪など、個別に見ると、さまざまな問題が残っております。
私は、平成二十一年の第四回定例議会一般質問で、荷さばき車両対策として、東京における地区物流効率化認定制度について質問いたしました。
そこで、この認定制度について、現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
渋滞対策などから、四輪車からの乗りかえが期待されたオートバイなどの自動二輪車は、駐車取り締まり強化後、所有台数がふえるどころか十万台も減っております。この六年間で、放置車両確認件数は約七十二万台、所有台数の六〇%を超えました。その原因の一つとして、自動二輪車の駐車場の絶対的な不足が考えられます。
都としては、都市計画駐車場など、公的駐車場における自動二輪車の駐輪場を設置促進しているとのことですが、数は足りていません。都はもちろん、区市の整備計画策定が進むよう、さらなる支援を要望しておきます。
次に、道路、歩道の安全対策について伺います。
九月十一日に川崎市内で発生した母子の自転車転倒事故は、自転車が道路右側の歩道を走行していてバランスを崩し、道路側へ倒れかかったところ、対向してきた車と接触し、一歳の子どもが死亡するという痛ましい事故でした。ニュースの映像では歩道も車道も狭く、段差が見られました。都内においても縁石などによる段差や、電柱や街路灯などにより歩道の幅が狭くなっているところが見受けられます。道路は都民生活において重要な基盤であり、安全で安心して利用できる道路環境を整備することが急務と考えます。
都道における道路の安全対策への取り組みについて伺います。
次に、東京の教育政策について伺います。
先般、都教育委員会より、平成二十五年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書と、入学者選抜実施要綱が提出されました。募集人員の約二六%を占める推薦選抜の改善についてですが、入試は高校にとっても、受検生にとっても重大な関門で、これにより生徒の学校選択や中学の入試、進路指導に大きく影響します。
都立高校入学者選抜における推薦選抜の改善点に関して、中学校への周知について伺います。
平成二十四年度入試では、延べ約七万人の受検生のうち、約三万人が落ちる経験をしたこととなりました。生徒への精神面でのフォローもお願いをいたします。
私は、これまで二十年にわたり日本語支援が必要な子どもたちへの学習環境の確保や、都立高校における在京外国人生徒の入学者選抜と入学後の学習支援についてお願いしてまいりました。平成二十年度の入試から、ルビをつけた学力検査問題による入試が導入されましたが、まだ十分とはいえません。
また、在京外国人生徒へ高校就学の機会を提供するため、現在、国際、飛鳥、田柄の三校で外国人生徒募集枠を設定し、作文、面接による選抜が行われております。
今般、都教育委員会は、学校が希望すれば、従前の方法にかえて学力検査を実施することができるとの方針を示されましたが、その理由について伺います。
特別支援学校に通う児童生徒が、通学中に災害やアクシデントに巻き込まれた場合には、特別支援学校に迅速な対応が求められます。また、東日本大震災の経験から、学校がどこまで通学時の生徒の安全を担えるかについて課題となりました。学校も、生徒も、保護者も、臨機応変に対処することが求められております。
特別支援学校への安全な通学は、学校の指導範囲と考えます。震災を含む通学中の事故、アクシデントなどの対策について伺います。
学校教育に直接かかわる業務委託について伺います。
外部人材を活用した教育関係の事業が年々増加しています。契約方法でいうと、給食調理や図書館司書は委託契約、特別支援学校のスクールバスは雇い上げ契約、栄養士や看護師等は非常勤職員として、ほかにスクールカウンセラー、介護職員、部活の指導員など、契約形態がいろいろあります。
安全な学校教育環境を守るため、特に直接生徒にかかわる教育関係部門の外部人材活用は、それぞれの事業内容に十分適した資格要件などの条件を設定し、履行内容の質の確保に細心の注意を払わねばならないと考えます。
今後、教育委員会における諸契約は、公契約として教育環境に十分適した契約条件を設け、適正な契約が継続されるよう、学校ごとの評価制度の設置に取り組むことを要望いたします。
八ッ場ダムについて伺います。
八ッ場ダム建設に関しての都の負担金は約八百七十億円とされています。ほかに、水源地域対策特別措置法に基づく事業負担金、また、利根川・荒川水源地域対策基金事業費負担金制度があります。
水特事業、基金事業は、それぞれこれまで都の負担額は幾らか、また、任意で設置されている基金事業の趣旨及び主な事業について伺います。
ことしは記録的残暑のため、九月十一日から利根川で一〇%の取水制限が始まりましたが、都では、多摩川水系を活用し、総量調整で乗り切り、都民生活への影響はありませんでした。この件で、今後の水不足を声高に申されるのは、機に乗じた発言といわざるを得ません。
都の水道料金は、電力と同じ総括原価方式で、コスト増は将来、利用者の負担となります。都民は節水により、今後予想される多額の負担を回避できるのであれば、これ以上のダムは不要と思われるでしょう。治水対策は、堤防の強化とゲリラ豪雨対策こそ急ぐべきであり、八ッ場ダム建設は中止すべきです。
以上で質問を終わります。(拍手)
〔警視総監樋口建史君登壇〕
〇警視総監(樋口建史君) 馬場裕子議員からの一般質問にお答えをいたします。
三点ございましたが、まず、法改正による放置駐車取り締まりの効果でありますけれども、平成十八年に改正法が施行されて六年になります。いろいろ効果があらわれておりまして、放置車両の減少、渋滞の緩和、それから平均走行時間の短縮であります。
計測しておりますのが、都内中心部の明治通り、新宿通りなどの主要十路線でありますけれども、改正法施行前と比べまして、放置車両が八一%の減少、渋滞の長さが五一%短縮、車両の平均走行時間が一三%短縮となっております。
引き続き、違法駐車の実態でありますとか渋滞の状況を踏まえまして、総合的な駐車対策を進めてまいりたいと考えております。
二点目でありますけれども、駐車規制除外車両を拡大すべきではないか、拡大の是非についてでございます。
駐車規制の除外車両につきましては、東京都道路交通規則等で定められているところであります。緊急自動車、その他公共性が極めて高く、緊急に広域かつ不特定な場所に対応することが必要な車両でありますとか、身体障害者等で歩行が困難な者が使用する車両、こういったものが細かく定められているところであります。これらの規定内容につきましては、全国的にほぼ同じであります。
具体的に若干申しますと、訪問医療や介護等に使用する車両につきましては、通常は緊急性を伴わず計画的な訪問が可能であるものと考えられますので、除外対象車両には当たらないものと考えております。その上で、具体的な必要が認められる場合には、警察署長が駐車許可証を発行して対応している状況であります。
なお、流産や早産等といった緊急やむを得ない場合には、この警察署長の許可も、口頭や電話により受けて対応することといたしております。
それから、現金輸送車についてもご指摘でありましたけれども、現金輸送車につきましては、五分以内の積みおろしであって、かつ運転者が直近にいる、そういった形態であれば、これはそもそも駐車には当たりません。一方、そういった形態を超えて駐車するとなりますと、防犯上の観点からも、それは、そういった形態の駐車には問題があるのではないかと思います。いずれにいたしましても、今、申し上げました除外対象車両の要件には該当しないものと考えております。
それから、機械警備警報対応用車両といったものもあるんですけれども、これは、一般的には特定の顧客の警備に従事するものでありますし、除外対象車両の要件とされておりますところの公共性が極めて高く、広域かつ不特定な場所に対応することが必要な車両とはいいがたいものと考えております。
以上が原則ではありますけれども、先ほども申し上げましたけれども、駐車禁止規制の対象となる道路に駐車せざるを得ない特別な事情が認められる場合につきましては、警察署長による個別の駐車許可により対応することとしているところであります。
最後でありますが、駐車規制の緩和についての考え方でありますけれども、実態でありますけれども、荷さばき車両等に配意した駐車規制の緩和につきましては、議員ご指摘のとおり、平成十八年の改正法施行から順次進めておりまして、昨年末までに都内四十カ所、四十区間で実施をいたしております。
本年も、地域住民等からの要望を踏まえまして、新たに三区間について規制緩和を実施することといたしております。
今後も、地域住民や物流事業者等のご意見、ご要望にも率直に耳を傾けまして、かつ交通の安全と円滑を確保しつつ、きめ細かな駐車規制を進めていきたいと考えております。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、都立高校入学者選抜の改善点の中学校への周知についてでございますが、都立高校を志望する中学三年生に対し、適切な進路指導を行うに当たっては、中学校の教員一人一人が、都立高校の入学者選抜の改善の趣旨や改善点などについて確実に理解することが大切でございます。
そのため、推薦選抜の基本的な考え方を定めた四月以降、中学校長会等において、改善に至った経緯や推薦選抜の目的などについて直接説明を行うとともに、中学三年生全員にリーフレットを配布して周知をしてまいりました。
現在、都内の全中学校を対象にした実施要綱説明会を開催し、具体的な実施方法等について周知を図っており、今後とも、都立高校合同説明会など、あらゆる機会をとらえて一層の理解促進を図ってまいります。
次に、在京外国人生徒募集についてでございますが、在京外国人生徒対象の入学者選抜は、出身国の成績証明書等と作文及び面接により行ってまいりました。
近年、受検生の出身国が多様化しており、それぞれの国によって成績評定の基準が異なることから、成績証明書により受検生の学力水準を統一的に評価することが難しい事例が生じております。
こうしたことから、受検生の本来の学力をより的確に把握するため、学校の判断で学力検査を実施できるよう改め、在京外国人生徒募集を行っている都立高校にその旨、既に通知をいたしました。
次に、特別支援学校の通学中の事故対策についてでありますが、スクールバス通学中に事故が起きた場合は、学校は直ちに現場に出向き、児童生徒の安全確保と保護者への連絡を行います。震災時には、速やかに救護に向かい、避難所への誘導等を的確に行ってまいります。
一方、児童生徒が一人で通学中に事故が起きた場合は、学校は保護者と連絡をとるとともに、直ちに現場に出向き、救護と状況確認を行います。震災時でございますが、震災時にはあらゆる手段を用いて情報収集を行い、一人一人の所在確認と安全確保に努めていきます。
また、発災後しばらくの間、通信手段が利用できないことも予想されるため、日ごろから児童生徒が周囲に対して援助を求め、安全な場所への誘導をお願いするなど、みずからの身を守るための行動を起こすことができるよう、安全指導を行っているところでございます。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 道路における安全対策についてでございますが、道路は、安全で快適な都市生活を実現する上で極めて重要な都市基盤でございます。
都はこれまで、歩行者、自転車、自動車それぞれの交通機能が確保された都市計画道路などの整備を推進し、安全性の確保に努めてまいりました。
既存の都道においても、車いすのすれ違いができる歩道の整備や、段差、勾配の改善を図る歩道のバリアフリー化を行ってきております。また、歩車道を分離する防護さくの設置や、歩行空間と分離した自転車走行空間を整備するなど、道路の安全性向上に取り組んでおります。
今後とも、都市計画道路などの整備を進めるとともに、既設道路における交通安全対策を推進し、だれもが安全、安心、快適に利用できる道路空間を創出してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、地区物流効率化認定制度の取り組み状況についてでございますが、本制度は、地域における物流効率化計画を認定し、共同配送などの自主的な取り組みを促進することにより、交通の円滑化や環境の改善を図ることを目的としております。
都はこれまで、制度周知のための区市等への説明会や、具体的な検討に入った地区への計画策定に対する技術的支援を行ってまいりました。
このたび、丸の内、神田、秋葉原地区等における食品中心の共同配送計画を、本制度の第一号として認定いたしました。これにより、当該地区に流入する車両の削減と、それに伴う路上駐車の減少が期待されます。
今後とも、本制度の活用等を積極的に働きかけながら、地区物流の効率化に取り組んでまいります。
次に、利根川・荒川水源地域対策基金などについてでございますが、都は、八ッ場ダム建設により水没地となる住民などを対象として、水源地域対策特別措置法に基づき、道路や下水道などの生活基盤の整備費を負担しており、その額は、平成二十二年度までに七十三億九千万円でございます。
また、この事業を補完するために、利根川・荒川水源地域対策基金を設置し、代替地などを取得する際の利子補給や生活相談員の設置、道の駅など、地域経済の活性化策などを進めており、平成二十二年度までに十七億一千万円を負担しております。
利根川の治水はもとより、ことしも含め、平成に入って七回もの渇水や、世界各地で多発する異常気象などを踏まえると、首都東京の利水安全度を高めるためには、八ッ場ダムの一日も早い完成が不可欠であり、そのためにも、今後とも関係県と連携しながら、採算性や効果などを勘案して基金事業を効率的に実施することにより、地域住民の円滑な生活再建を図ってまいります。
〇議長(中村明彦君) 七十二番西崎光子さん。
〔七十二番西崎光子君登壇〕
〇七十二番(西崎光子君) ロンドン・オリンピックとパラリンピックが終わり、知事は銀座のパレードが実現し、メダリストへの表彰も相次いで、オリンピック招致への支持率も上がったと大変満足しておられるようです。
ところで、オリンピック憲章では、スポーツによる一切の差別の解消、相互理解、平和共存をうたっており、ロンドンでは、参加したすべての国と地域から女性選手が出場し、女性の活躍が目立ちました。また、義足の陸上選手の活躍も注目を集めました。
その反面、政治的アピールをした選手がメダル授与の場から外されたり、人種差別的な発言をした選手が追放されたりしたことで、改めてオリンピックの意義を再認識しました。
そこで、二〇二〇年オリンピック大会の東京招致に向けて、オリンピックの持つ基本理念について知事のお考えを改めて伺います。
申請ファイルでは、オリンピックは二〇二〇年七月二十四日から八月九日、パラリンピックでは八月二十五日から九月六日となっていますが、ことし、皆が実感した高温多湿の日本の夏は、出場選手や観客には酷な時期であり、ただでさえ電力不足が懸念される時期でもあります。
前回東京オリンピックは十月開催で、秋晴れの、いかにも日本らしさを満喫できる時期だったことが強く印象に残っています。
この時期の開催でなくてはならない理由と対策について伺います。
東京都教育委員会は、大津市の事件を受け、突然、夏休み直前の都内の公立学校を対象にいじめの緊急調査を行いました。自治体との調整もないままの唐突な調査でしたが、いじめや、いじめの疑いのある事例が一万一千五百七件も報告されました。
東京都教育相談センターが行っているいじめ相談も、七月、八月の相談件数は、昨年と比べ二倍以上あったということです。定期的に実態調査を継続している自治体もある中で、改めて都が子どもたちの実態を適切に把握し、迅速に対応することが重要と考えますが、見解を伺います。
学校側は、これまでは自分のクラス、自分の学校にはいじめはないと、いじめの存在そのものを認めませんでした。しかし、いじめはどこにでもあるという観点に立ち、あなたの命は絶対守る、見放さないという真剣な態度で学校全体が取り組んでいくことが重要です。
先生が子どもと向き合う時間を確保し、養護教諭、スクールカウンセラーと日常的に連携しながら、いじめられる子どもはもちろん、いじめる側の子どもにも寄り添った対策を緊急かつ丁寧に行わなくてはなりません。
いじめの早期発見、早期対応に取り組むことこそ評価されるべきであり、学年会議等で問題を取り上げ、話し合い、解決に積極的に取り組む仕組みを構築する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
生活者ネットワークは、都立公園の災害時の役割については、多数の避難者が集まることを想定して整備を進めていくべきと考え、防災公園の見学や防災機能の実態調査を行っています。十五区市の延べ三十一都立公園の聞き取り調査では、十自治体では現状把握がされていません。災害時の応急給水体制などについて、多摩地域では、関係自治体と都の協議会を持ち、連絡体制をとっています。
都立公園でも、日常の管理は指定管理者が行う中で、いざというときのため、日ごろから情報の共有や連絡体制づくりが必要であると考えます。
そこで、都や指定管理者と各区市町村、さらにはNPO団体との連携や、都立公園が複数の自治体にまたがる場合の情報共有など、どのように考えているのか伺います。
東京都は、障害者雇用について、民間企業への就労や都庁でのチャレンジ雇用などを進めていますが、厳しい経済状況の中で、民間企業全体では法定雇用率の一・八%をいまだ達成していません。来年四月に法定雇用率が引き上げられることから、障害者が地域でごく普通に暮らす共生社会に向けた取り組みを進めていく必要があります。都内企業のうち、法定雇用率を達成している企業の割合は三割程度にとどまっています。
都内企業の障害者雇用を進めるために、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
この夏、視察した滋賀県の社会的事業所では、障害のある人もない人も対等で、一緒に働く形態の職場に対して、行政が運営経費の一部を補助するほかに、職員の名刺など印刷物や公園の清掃など、仕事の提供も行っています。
障害者の労働権という観点から最低賃金を保障し、賃金も十万から十五万円を得ることができ、障害者の就労の促進及び社会的、経済的自立支援をしています。これは、一般就労と福祉的就労の中間的な場といえます。
一方、現在、東京都における福祉的就労で障害者が受け取る工賃は低く、経済的に自立できるような状況にはなっていません。
そこで、今後どのように障害者の工賃アップに向けて取り組んでいくのか伺います。
障害者雇用の場の確保に向けては、都庁みずからが取り組む必要があります。例えばグリーン購入法に基づく調達方針には、環境配慮の物品等の使用を優先させる方向が示されています。
都では、昨年六月改正した技術力評価型総合評価方式試行要綱に、障害者雇用の実績点を入れましたが、雇用状況が厳しい時代だからこそ、政策入札の一つとして、契約における障害者雇用の取り組みを重視していくことが、社会的な要請としてますます求められています。都としての見解を伺います。
現在、都庁の清掃事業の一部をビルメンテナンス協会が行っており、知的障害者が働いています。調査委託とはいえ、知的障害者が働く場を都がつくることは大切なことです。ことし六月、ハート購入法が制定され、来年四月施行されます。今後、東京都も調達方針の策定に向けて関係局と連携し、障害者の自立支援に取り組むことを要望します。
ことし七月に始まった固定価格買い取り制度によって、再生可能エネルギーの拡大が期待されています。実際、メガソーラーが全国的な広がりを見せていますが、同時に、市民がお金を出し合って太陽光発電を導入する市民共同発電所など、市民が電気を消費するだけではなく、みずから電気をつくり出す活動も活発になってきています。集合住宅の屋根を使う市民共同発電所の動きもあるところです。
東京都は、これまでも積極的に太陽エネルギーの活用に取り組んできました。固定価格買い取り制度を活用した建物の屋根貸し事業など、新たなビジネスモデルが今後のさらなる普及につながると考えますが、見解を伺います。
質問の最後に伺います。
梅ヶ丘駅から代々木上原駅間では、現在、連続立体交差事業が進められています。鉄道地下化に伴い生じる線路跡地の利用について検討が進められてきましたが、東日本大震災の経験を踏まえ、世田谷区では、地域防災などの視点から追加、修正を行い公表しました。
しかし、先月の新聞報道によれば、震災前に三者で合意した内容を区が一方的に見直し、公表したことに東京都が抗議したと書かれてありました。震災以降、市民の防災に対する関心は高く、防災のまちづくりの観点で小田急線の上部利用について見直してみるのは当然と考えます。
そこで、小田急線の地下化に伴う地上部利用の取り組みについて、都の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 西崎光子議員の一般質問にお答えいたします。
東京招致に向けたオリンピックの基本理念についてでありますが、オリンピックは世界最大のスポーツの祭典でありまして、世界二百以上の国と地域の人々が一堂に集まる平和の祭典でもあります。
肉体の限界に挑戦し、競い合うアスリートの姿は、見る者にも感動を与え、一人の人間としての輝きを見せてくれます。
こうした熱い戦いの姿を目の当たりにすることで、国民、とりわけ次代を担う若者たちが自信と誇りを取り戻し、みずからの可能性に挑戦する精神を呼び覚ましてもらいたいなと思っています。
加えて、世界じゅうから集まった人々と交流することで、何物にもかえがたい心の財産を得ることにもなります。
この国の未来を切り開くため、オリンピックを東京で開催することが不可欠であると思っております。国、経済界、スポーツ界が一体となって、総力を挙げて招致を獲得したいものだと思っています。
他の質問については、教育長及び技監、関係局長から答弁します。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) いじめに関する二点のご質問にお答えをいたします。
まず、子どもの実態把握と迅速な対応についてでありますが、都教育委員会は本年七月、学校がいじめと認知したものに加え、いじめの疑いがある事例までも含めて把握する独自の緊急調査を実施いたしました。現在、各学校においては、把握した約一万一千件すべてに全力を挙げて対応しているところでございます。
この調査は、いじめにかかわる情報を多面的、多角的に収集するとともに、一件一件に確実に対応することの重要性をすべての教員に徹底することをねらいとしております。
今後とも、児童生徒のわずかな変化も見逃さないよう、いじめの実態把握に努め、把握したすべての案件に適切に対応するよう徹底してまいります。
次に、いじめ解決へ向けた仕組みの構築についてでありますが、いじめ問題に迅速に対応するためには、個々の教員が問題を抱え込むことなく学校全体で情報を共有化し、組織的に対応することが重要であります。
都教育委員会はこれまで、各学校が学年会や生活指導部会等の校内組織を活用し、いじめなど児童生徒の問題行動に関する情報を教員間で共有し、一体となって対応するよう指導をしてまいりました。
すべての教員が、どの学校でも、どの学級でもいじめは起こるという危機意識を常に持ち、それぞれが把握したいじめに関する情報を学校全体で共有し、早期発見、早期対応に取り組むよう徹底してまいります。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えします。
まず、区市町村などとの連携や情報共有についてでございますが、避難場所である都立公園において、日ごろから地元区市などと情報を共有し、連携を図ることは、発災時に迅速な対応をする上で重要でございます。
都は、防災関連施設の整備に当たりまして、地元区市や地域住民の方々に整備内容について情報提供を行うとともに、地域と連携して防災訓練を実施しております。
例えば、舎人公園では区や地元町会、警察、消防などと合同で大規模な防災訓練を、葛西臨海公園では水上バスによる帰宅困難者の輸送訓練を、小金井公園においては地元四市と合同で総合防災訓練などを実施しております。
震災時の避難場所の運営は、東京都地域防災計画において基礎的自治体の責任で行うものと位置づけられておりますが、公園管理者としては、地元区市などと連携して、ハード、ソフト両面から都立公園における防災機能の強化に努めており、今後とも、引き続き高度防災都市の構築に取り組んでまいります。
次に、小田急線の地下化に伴う地上部利用の取り組みについてでございますが、小田急小田原線代々木上原駅から梅ヶ丘駅間の連続立体交差事業及び複々線化事業につきましては、平成十七年度に、都、世田谷区、渋谷区及び小田急電鉄で検討会を設置して協議を重ね、防災性にも配慮した地上部利用計画案のたたき台を示して住民意見を聞き、関係者で調整して、昨年三月に世田谷区が計画案を公表しました。
しかし、本年七月に、財源や費用負担について関係者間の合意形成のない修正案を世田谷区が独自に策定し、公表する意向を示しました。
このため、東京都は、土地所有者である小田急電鉄など関係者間の調整を得ずして公表することは、相互の信頼関係を損なうのみならず、地元にも混乱を招くことから、公表を見合わせるよう要請しましたが、区は公表に踏み切りました。
これを受け、都は直ちに検討会を招集し、在来線の地下化など工事工程に影響を与えないこと、費用負担を含めた実現可能な計画を立案すること、適切な手続に従って協議を進めることなどについて世田谷区など関係者と調整を進め、改めて認識の共有化を図ったところでございます。
今後とも、昨年三月に公表した計画案を踏まえ、必要な検討を加えた上、小田急線の地下化に伴う地上部が有効に利用されるよう積極的に取り組んでまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) オリンピックの開催期間等についてでございます。
二〇二〇年の夏季オリンピック競技大会の開催期間は、国際オリンピック委員会の定めによりまして、同年の七月十五日から八月三十一日までのいずれかと定められております。
過去に、国内ではこの時期に、一九九一年に東京、二〇〇七年に大阪で世界陸上競技選手権を開催するなど、国際競技大会の開催経験を有しており、気候については問題ないものと考えております。
電力供給についても、大会開催時に競技会場などで必要となる電気量は、供給力に対して極めて小さいと考えております。
さらに、省エネルギー型施設としての整備を推進するなどの対策によりまして、影響を限りなく少なくするように努めてまいります。
〔産業労働局長中西充君登壇〕
〇産業労働局長(中西充君) 都内企業の障害者雇用の促進についてでございますが、都はこれまでも、民間企業に対し、普及啓発を図るためハンドブックを作成、配布し、セミナー等を開催してまいりました。
また、職場体験や合同説明会の開催等を通じて、障害者と企業とのマッチングに向けた支援を実施しています。
加えて、昨年度からは、障害者を雇用した経験のない民間中小企業を対象として、採用前の環境整備から採用後の定着まで一貫して支援するモデル事業を開始したところです。
こうしたさまざまな施策を通じて、障害者雇用をさらに推進してまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 福祉施設における工賃アップについてでありますが、都は、平成二十一年度に東京都工賃アップ推進プロジェクトを策定し、生産性の向上に取り組む福祉施設の設備整備に対する補助を行うとともに、販路拡大のために共同受注等を進める区市町村の取り組みを包括補助を通じて支援してまいりました。
本年六月には東京都工賃向上計画を改めて策定し、自主製品販売や軽作業等、業務の特性に応じたきめ細かな取り組み手法に関する業態別研修を実施するなど、福祉施設の経営努力や創意工夫を促す事業を展開しているところでございます。
今後とも、区市町村と連携しながらこうした取り組みを進め、福祉施設の工賃アップを支援してまいります。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
〇財務局長(中井敬三君) 契約における障害者雇用の取り組みについてでありますが、現在、都においては、障害者の雇用に積極的な企業について、工事契約においては技術力評価型総合評価方式や技術実績評価型総合評価方式での実績点として評価するとともに、物品買い入れ等の契約において優先指名のための選定要素の一つとして評価しているところであります。
今後とも、契約の原則である公正性、競争性の確保を基本にしつつ、適切に対応してまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 太陽光発電の普及拡大についてでございますが、都は、固定価格買い取り制度の導入によりまして再生可能エネルギー分野への新規参入が期待される事業者を後押しするため、太陽光発電の屋根貸しビジネスにつきまして、昨日もご答弁いたしましたが、発電事業者と建物所有者のマッチングの場を提供する新たな取り組みを展開してまいります。
〇議長(中村明彦君) 七十一番野田かずさ君。
〔七十一番野田かずさ君登壇〕
〇七十一番(野田かずさ君) このたびの尖閣諸島購入をめぐって、強い憤りを禁じ得ません。
中国は、南シナ海で、ベトナムなどが領有権を主張する西沙諸島を奪い、その後、ベトナム、フィリピン、マレーシアなどが領有権を主張する南沙諸島を強奪し、今や東シナ海で我が国固有の領土である尖閣諸島を脅かしております。ついには、我が国の沖縄県ですら、琉球は日本のものではないなどといい出しております。
ある中国のデパートでは、客が商品購入の際に、尖閣は中国のものと発言すると商品価格の一〇%が割り引かれ、日本も中国のものといえば二〇%割引になるとの報道を目にしました。こうした中国の覇権主義は、間違いなく今後も増長されていくことでしょう。
しかし、我が国の対応はいかがでしょうか。歴代政権は、尖閣諸島を長年にわたって放置する不作為を続け、国が島を守る能力も気概もないことは明らかであります。
そのような国にかわって、日本の領土と誇りを守るために石原知事が立ち上がりました。私たちは尖閣諸島を守るために行動する議員連盟を立ち上げ、知事の英断に対する支持をいち早く表明し、石垣市長や八重山漁協長と意見交換を行い、実際に調査団を結成して尖閣に赴くなど、東京都の尖閣諸島購入を推進するための行動を続けてきました。
最終的には、国が都に横やりを入れる形で尖閣諸島を購入しましたが、国は領土を守り抜くという覚悟も具体的な方策もないのは、一連の報道で明らかになっております。むしろ政府の購入動機は、東京都の尖閣諸島購入を阻止し、実効支配を強めないためであり、歴代政権と同様に尖閣諸島をこのまま塩漬けの状態にし続けるためであります。
つまり、非常にばかばかしいのですが、日本政府は、中国政府が望む状態をつくり出すために、日本国民の血税を二十億五千万円も使ったのであります。被災地の復興もままならない中、日本人被災者より中国の国益を優先するというのは、一体何を考えているのでしょうか。
また、地権者の実弟である栗原弘行氏が、「サンデー毎日」のインタビュー記事の中で、政府関係者が尖閣に対して新たな土地収用法の成立をちらつかせ、東京都ではなく国に売るよう圧力をかけたとの証言をされております。このままでは、間違いなく尖閣諸島は第二の竹島になってしまいます。
私は今でも、尖閣諸島はまず東京都が購入し、石原知事の指揮下で実効支配を強化した後に、国が都から譲り受けるのが最善であったと確信しております。これら政府の行為に強く抗議をし、質問に入ります。
私たちは、日本の歴史や領土に関する正しい知識を子どもたちに教えなければなりません。大正九年に、当時の沖縄県石垣村の村民が遭難した中国漁民を救助しましたが、この行為に対して中華民国政府が感謝状を贈りました。この感謝状の中には、中華民国政府の外交当局によって、尖閣諸島のことを日本帝国八重山郡尖閣列島と明記されております。つまり、尖閣諸島を日本領と認めていた何よりの証拠であり、このような外交文書や公文書などを、例えば「江戸から東京へ」に掲載するなど、教育の場で積極的に活用すべきと考えます。
また、先月、韓国大統領が竹島上陸という暴挙を行いましたが、その理由として、我が国が従軍慰安婦についての反省が足りないなどといい、あげくの果てに天皇陛下に対し謝罪要求をするなど、もはや常軌を逸しているとしか思えません。そもそも、日本政府や軍が従軍慰安婦なるものを暴行、脅迫、拉致を行い、強制連行した事実はございません。そして、竹島は明確な我が国の領土であります。
しかしながら、これら捏造した歴史を、学校教育のみならずテレビドラマや映画などで日常的に影響を受け続けている中国人や韓国人に対して、日本人の多くは正しい近現代史を学んでいないため、十分に反論できないのが実情です。
そして現在でも、我が国の武道や茶道など日本古来の伝統文化までもが韓国発祥のごとく吹聴されております。我が国の固有の領土である対馬に対しても、韓国では自国領であるかのごとく主張をしております。
歴代政権の不作為によって、我が国は、領土や歴史、文化などあらゆる面で周辺国より侵食され続けております。周辺国が行うこれらの不当な主張や行為に対して明確に反論できるような正しい知識と正しい歴史観を東京都の子どもたちに教えるべきと考えますが、見解を伺います。
子どもたちに正しい日本の歴史を教えることで、より一層子どもたちは日本を愛し、日本人と生まれたことに誇りが持てるわけであります。
したがって、教育基本法に教育目標として規定された我が国と郷土を愛す態度の養成を、新たに東京都教育基本条例を制定し、その中で明確に位置づけることや、東京都の教育目標や教育振興基本計画に位置づけ、推進すべきと考えますが、見解を伺います。
中国でテロともいえる反日暴動が巻き起こると、中国政府の主張におもねる日本の財界や学者は、失った経済的損失を石原都知事の責任としてなすりつけ、あろうことか知事に賠償すら求める主張を展開しております。日本人の歴史認識、日本人としての価値観の軸がぶれてしまっているのではないかと強い危惧を抱いております。
ぜひとも石原知事におかれましては、日本再生のために、より一層国政に携わる形で、さらにご尽力をいただきますよう願ってやみません。
国民が我欲にまみれ、日本人としてのしんともいうべき価値を失っては、この国が自立していくことはできません。大人がそういう状況になっても、次代を担う子どもたちには正しい歴史認識、とうとい価値を継承しなければならないと考えております。
知事は、これまでの教育のあり方を問い直し、破壊的な教育改革を進めておられますが、こうした現状をどうとらえ、どのような教育改革が必要とお考えか、所見を伺い、質問を終了いたします。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 野田かずさ議員の一般質問にお答えいたします。
教育改革についてでありますが、かつてルース・ベネディクトが有名な日本論の「菊と刀」という本の中で描いたように、かつての日本には、節度、謙虚、潔さ、あるいは自己犠牲といった武士道に象徴されるさまざまな美徳が存在しました。
しかし、日本の戦後教育は、国民としての誇りや気概をみずから否定し、祖先から受け継ぐべき価値の基軸をも毀損して、日本全体を損なってきました。
また、若者たちは正当な歴史を教えられておらずに、この国の伝統文化、先人たちの足跡といった、継承されるべき教養の基盤も失われつつあります。
私が知己を得ました、かつての太平洋戦争のゼロ戦のエースでありました坂井三郎さんが、あるとき電車に乗っておりましたら、目の前で大学生がいろんな話をしている。瞑目して聞いていたら、片っ方が片っ方に、おい、おまえ知っているか、六十年前、日本とアメリカが戦争したんだってよ、うそ、本当だよといったら、じゃ、どっちが勝ったのといったそうですが、坂井さんはそれを聞いて暗然として、電車をおりてホームの端っこで気持ちを落ちつけるためにたばこを吸ったそうでありますが、そのていたらくであります。
あの戦争についてのいろいろ評価はあるでしょう。しかし、世界史全体から眺めれば、私がかつて若いときに会ったことのあるエジプトの二代目の大統領のナセルも、あるいはインドネシアのスカルノ大統領も同じことを期せずしていわれました。私たちが今日独立を果たしたのは、日本のおかげで私たちが発奮して第三次世界大戦を戦ったおかげだ、その三次世界大戦は何ですかと聞きましたら、私たちの独立戦争だといいました。
そういった大きな意味のある、私たちは歴史を持っているわけでありますけれども、それが忘却されたというか、全く知らないままに放置されているというのは、私たちの近い先祖たちにとって無念なことだと思います。
我が国の伝統文化を尊重して、郷土や国家を愛する心の涵養を図ることなくして、日本人としてのアイデンティティーは成り立ち得ないと思います。
次代を担う子どもたちに日本人としての価値を守り伝えるために、我々は具体的な手だてを今こそ講じていかなければならないと思います。
まずは、子どもたちに幼いころから、社会の規範、規律というものを、何かの形ですり込むという形で教育すべきだと思います。
また、正確に歴史として存在した事実を教えて、子どもたちに歴史の意味合いについてみずから考える力を身につけさせることだと思います。
尖閣諸島の取り組みに関しては、多くの方々から、まさに望外な拠金が寄せられました。改めて国家への日本人の、限られた方々かもしれませんけれども、熱い思いというものを感じさせられまして、非常にうれしい思いがいたしました。
立国は私なり、公にあらざるなりと、かつて福沢諭吉は説いておりますが、こうした日本人の国を思う気持ちを継承して、志を持った若者を一人でも多く輩出するべく、教育の大胆な改革に取り組んでいきたいものだと思います。
他の質問については、教育長から答弁します。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、歴史や領土に関する指導についてでありますが、生徒が日本人としての自覚と誇りを高めていくためには、我が国の歴史や領土に関する正しい知識を身につけることが大切であります。
歴史、特に近現代史の学習に当たっては、相異なる価値観や対立する立場の一方に偏らない客観性の高い資料に基づき、事実を正確に理解することが重要であります。
また、領土に関する学習に当たっては、我が国が正当に主張している立場に基づき、北方領土、竹島、尖閣諸島などをめぐる問題について、理解を深めることが必要であります。
生徒が我が国の歴史や領土に関する正しい知識を身につけられるよう、外交文書や国内公文書などの資料を適切に活用するなど、指導の工夫、改善を図ってまいります。
次に、我が国と郷土を愛する態度の養成についてでありますが、児童生徒に日本の伝統と文化に対する理解を深めさせ、国と郷土を心から大切に思い、その発展に寄与する姿勢を持たせることは極めて重要でございます。
平成十八年に改正された教育基本法においては、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うことが教育の目標として位置づけられております。
都教育委員会は、東京都の教育振興基本計画である東京都教育ビジョン(第二次)において、国や郷土の歴史、伝統文化に関する教育を重点施策としております。
次期教育振興基本計画においては、我が国と郷土を愛する態度の養成などの教育基本法の理念を、より明確に位置づけてまいります。
〇議長(中村明彦君) 以上をもって質問は終わりました。
〇議長(中村明彦君) これより日程に入ります。
日程第一から第二十八まで、第百五十八号議案、特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例外議案二十六件、専決一件を一括議題といたします。
本案に関し、提案理由の説明を求めます。
副知事安藤立美君。
〔副知事安藤立美君登壇〕
〇副知事(安藤立美君) ただいま上程になりました二十八議案についてご説明を申し上げます。
第百五十八号議案から第百七十二号議案までの十五議案は条例案でございます。
新設の条例は六件で、すべて地域主権改革に関するものでございます。
第百六十一号議案、東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例外五件ございまして、設備や人員などの基準が条例に委任されたことに伴い、新たに規定を定めるものでございます。
次に、一部を改正する条例は九件ございます。
第百五十九号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例は、東京都特別支援教育推進計画に基づき、東京都立志村学園を設置することに伴い、規定を整備するものでございます。
第百六十号議案、東京都営住宅条例の一部を改正する条例は、地域主権改革に関するもので、入居収入基準などの規定を整備するものでございます。
第百六十七号議案、食品衛生法施行条例の一部を改正する条例及び第百六十八号議案、食品製造業等取締条例の一部を改正する条例は、生食用食肉に関する営業施設等の基準を設けるなど、規定の整備を行うものでございます。
第百七十号議案、東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例は、東京都が多摩川の流水を利用して発電する電気の供給先を新電力等にまで拡大するため、規定の整備を行うものでございます。
第百七十二号議案、火災予防条例の一部を改正する条例は、電気自動車等に使用する急速充電設備の取り扱いについて、規定を整備するものでございます。
このほか、法令の改正に伴い規定を整備するものが三件ございます。
次に、第百七十三号議案、警視庁大塚警察署庁舎(二十四)改築工事請負契約など第百八十一号議案までの九議案は契約案でございます。契約金額の総額は約百五十八億四千万円でございます。
次に、第百八十二号議案から第百八十四号議案までの三議案は事件案でございます。
第百八十二号議案は、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターについて、平成二十五年度から新たに五年間の中期目標を定めるものでございます。
第百八十三号議案は、東京DMATの現場活動を支えるため、災害時医療支援車を買い入れるものでございます。
第百八十四号議案は、東京都リハビリテーション病院に設置するMRIを買い入れるものでございます。
次に、専決でございます。
都税の過徴収に係る損害賠償請求控訴事件について、上告受理の申し立ての期限までに議会を招集する時間的余裕がないと認め、専決処分を行ったものでございます。
上程になりました二十八議案の説明は以上でございますが、このほか人事案を送付いたしております。
まず、東京都教育委員会委員でございます。
十月十九日に任期満了となります木村孟氏につきましては、再任いたしたいと存じます。
次に、東京都公安委員会委員でございます。
十月二十三日に任期満了となります太田芳枝氏の後任には、北井久美子氏を任命いたしたいと存じます。
以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
(議案の部参照)
〇議長(中村明彦君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
お諮りいたします。
ただいま議題となっております日程第一から第二十八までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十八までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)
〇議長(中村明彦君) 日程第二十九、平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
〔別宮議事部長朗読〕
一、平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
二四財主議第二六四号
平成二十四年九月十九日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 中村 明彦殿
平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
このことについて、地方自治法第二百三十三条の規定により、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定をよろしくお願いします。
記
一 平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算書
二 平成二十三年度歳入歳出決算事項別明細書
三 平成二十三年度実質収支に関する調書
四 平成二十三年度財産に関する調書
五 平成二十三年度東京都各会計歳入歳出決算審査意見書
六 平成二十三年度主要施策の成果
七 平成二十三年度東京都決算参考書
八 平成二十三年度東京都決算参考書財務諸表
(決算書等省略)
〇七十四番(原田大君) 本件は、三十一人の委員をもって構成する平成二十三年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。
〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、三十一人の委員をもって構成する平成二十三年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第十二委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。
〔平成二十三年度各会計決算特別委員名簿は本号末尾(一七九ページ)に掲載〕
〇議長(中村明彦君) 日程第三十、平成二十三年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
〔別宮議事部長朗読〕
一、平成二十三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
二四財主議第二六五号
平成二十四年九月十九日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 中村 明彦殿
平成二十三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
このことについて、地方公営企業法第三十条第四項の規定に基づき、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定についてよろしくお願いします。
記
一 平成二十三年度東京都病院会計決算書及び同決算審査意見書
二 平成二十三年度東京都中央卸売市場会計決算書及び同決算審査意見書
三 平成二十三年度東京都都市再開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
四 平成二十三年度東京都臨海地域開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
五 平成二十三年度東京都港湾事業会計決算書及び同決算審査意見書
六 平成二十三年度東京都交通事業会計決算書及び同決算審査意見書
七 平成二十三年度東京都高速電車事業会計決算書及び同決算審査意見書
八 平成二十三年度東京都電気事業会計決算書及び同決算審査意見書
九 平成二十三年度東京都水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十 平成二十三年度東京都工業用水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十一 平成二十三年度東京都下水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
(決算書等省略)
〇七十四番(原田大君) 本件は、二十三人の委員をもって構成する平成二十三年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。
〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、二十三人の委員をもって構成する平成二十三年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第四委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。
〔平成二十三年度公営企業会計決算特別委員名簿は本号末尾(一七九ページ)に掲載〕
〇議長(中村明彦君) これより追加日程に入ります。
追加日程第一、東京都教育委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
〔別宮議事部長朗読〕
一、東京都教育委員会委員の任命の同意について一件
二四財主議第二六一号
平成二十四年九月十九日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 中村 明彦殿
東京都教育委員会委員の任命の同意について(依頼)
このことについて、左記の者は平成二十四年十月十九日任期満了となるため、再び任命したいので、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
記
木村 孟
略歴
現住所 東京都八王子市
木村 孟
昭和十三年三月八日生(七十四歳)
昭和三十六年三月 東京大学土木学科卒業
昭和三十九年三月 東京大学大学院修士課程土木工学専攻修了
平成五年十月 東京工業大学学長
平成十年四月 文部省(現文部科学省)学位授与機構長
平成十二年四月 文部省(現文部科学省)大学評価・学位授与機構長(学位授与機構から改組)
平成十六年四月 独立行政法人大学評価・学位授与機構長(大学評価・学位授与機構が独立行政法人化)
平成二十一年四月 文部科学省顧問
平成二十一年四月 独立行政法人大学評価・学位授与機構特任教授
平成二十一年六月 一般社団法人日本技術者教育認定機構会長
現在 文部科学省顧問
独立行政法人大学評価・学位授与機構特任教授
一般社団法人日本技術者教育認定機構会長
〇議長(中村明彦君) 本件は、起立により採決いたします。
本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(中村明彦君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。
〇議長(中村明彦君) 追加日程第二、東京都公安委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
〔別宮議事部長朗読〕
一、東京都公安委員会委員の任命の同意について一件
二四財主議第二六二号
平成二十四年九月十九日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 中村 明彦殿
東京都公安委員会委員の任命の同意について(依頼)
このことについて、東京都公安委員会委員太田芳枝は平成二十四年十月二十三日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、警察法第三十九条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
記
北井久美子
略歴
現住所 東京都中央区
北井久美子
昭和二十七年十月二十九日生(五十九歳)
昭和五十一年三月 東京大学法学部卒業
昭和五十一年四月 労働省入省
平成四年六月 労働省職業安定局地域雇用対策課長
平成六年六月 労働省婦人局婦人福祉課長
平成八年四月 労働省婦人局婦人政策課長
平成九年十月 労働省女性局女性政策課長(名称変更)
平成十一年七月 静岡県副知事
平成十三年八月 中央労働委員会事務局次長
平成十五年八月 厚生労働省大臣官房審議官
平成一七年八月 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長
平成一八年九月 中央労働委員会事務局長
平成十九年八月 厚生労働省退官
平成十九年八月 中央労働災害防止協会専務理事
平成二十三年六月 宝ホールディングス株式会社社外監査役
平成二十三年六月 株式会社NTTデータ経営研究所顧問
平成二十四年四月 弁護士登録(第二東京弁護士会)
平成二十四年四月 TMI総合法律事務所顧問弁護士
現在 弁護士
〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。
〇議長(中村明彦君) 追加日程第三及び第四、議員提出議案第十一号、東京都犯罪被害者等基本条例外条例一件を一括議題といたします。
案文は、お手元に配布いたしてあります。
(議案の部参照)
〇七十四番(原田大君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第十一号及び第十二号については、趣旨説明を省略し、第十一号は総務委員会に、第十二号は環境・建設委員会にそれぞれ付託されることを望みます。
〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十一号及び第十二号は、趣旨説明を省略し、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
〇議長(中村明彦君) 陳情の付託について申し上げます。
受理いたしました陳情九件は、お手元に配布の陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)
〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
明二十七日から十月三日まで七日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認めます。よって、明二十七日から十月三日まで七日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
なお、次回の会議は、十月四日午後一時に開きます。
以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後七時二十四分散会
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