一番 | 小林 健二君 |
二番 | 加藤 雅之君 |
三番 | 三宅 正彦君 |
四番 | 桜井 浩之君 |
五番 | 山崎 一輝君 |
六番 | 野田かずさ君 |
七番 | 福士 敬子君 |
九番 | 相川 博君 |
十番 | 山内れい子君 |
十一番 | 関口 太一君 |
十二番 | くりした善行君 |
十三番 | 西沢けいた君 |
十四番 | 田中 健君 |
十五番 | 畔上三和子君 |
十六番 | 斉藤やすひろ君 |
十七番 | 栗林のり子君 |
十八番 | 松葉多美子君 |
十九番 | 伊藤 興一君 |
二十番 | 鈴木 章浩君 |
二十一番 | 菅 東一君 |
二十二番 | きたしろ勝彦君 |
二十三番 | 早坂 義弘君 |
二十四番 | 高木 けい君 |
二十五番 | 星 ひろ子君 |
二十六番 | 小山くにひこ君 |
二十七番 | 柳ヶ瀬裕文君 |
二十八番 | 淺野 克彦君 |
二十九番 | 新井ともはる君 |
三十番 | 佐藤 由美君 |
三十一番 | 中村ひろし君 |
三十二番 | たきぐち学君 |
三十三番 | 田の上いくこ君 |
三十四番 | 島田 幸成君 |
三十五番 | 大島よしえ君 |
三十六番 | 高倉 良生君 |
三十七番 | 上野 和彦君 |
三十八番 | 吉倉 正美君 |
三十九番 | 遠藤 守君 |
四十一番 | 高橋 信博君 |
四十二番 | 中屋 文孝君 |
四十三番 | 村上 英子君 |
四十四番 | 矢島 千秋君 |
四十五番 | 高橋かずみ君 |
四十六番 | 山加 朱美君 |
四十七番 | 西崎 光子君 |
四十八番 | しのづか元君 |
四十九番 | 滝沢 景一君 |
五十番 | 中谷 祐二君 |
五十一番 | 笹本ひさし君 |
五十二番 | 山下ようこ君 |
五十三番 | 神野 吉弘君 |
五十四番 | 鈴木 勝博君 |
五十五番 | 興津 秀憲君 |
五十六番 | 岡田眞理子君 |
五十七番 | 古館 和憲君 |
五十八番 | かち佳代子君 |
五十九番 | 大松あきら君 |
六十番 | 中山 信行君 |
六十一番 | 橘 正剛君 |
六十二番 | 野上 純子君 |
六十三番 | 谷村 孝彦君 |
六十四番 | 山田 忠昭君 |
六十五番 | 林田 武君 |
六十六番 | 小宮あんり君 |
六十七番 | 吉住 健一君 |
六十八番 | 神林 茂君 |
六十九番 | 野島 善司君 |
七十番 | 服部ゆくお君 |
七十一番 | 伊藤 ゆう君 |
七十二番 | 原田 大君 |
七十三番 | 佐藤 広典君 |
七十四番 | 西岡真一郎君 |
七十五番 | 尾崎 大介君 |
七十六番 | 山口 拓君 |
七十七番 | 伊藤まさき君 |
七十八番 | 松下 玲子君 |
七十九番 | 野上ゆきえ君 |
八十番 | 今村 るか君 |
八十一番 | たぞえ民夫君 |
八十二番 | 吉田 信夫君 |
八十三番 | 小磯 善彦君 |
八十四番 | 長橋 桂一君 |
八十五番 | 藤井 一君 |
八十六番 | 鈴木貫太郎君 |
八十七番 | こいそ 明君 |
八十八番 | 遠藤 衛君 |
八十九番 | 田中たけし君 |
九十番 | 宇田川聡史君 |
九十一番 | 鈴木 隆道君 |
九十二番 | 三原まさつぐ君 |
九十三番 | 田島 和明君 |
九十五番 | 吉田康一郎君 |
九十六番 | 斉藤あつし君 |
九十七番 | 泉谷つよし君 |
九十八番 | くまき美奈子君 |
九十九番 | 大西さとる君 |
百番 | いのつめまさみ君 |
百一番 | 小沢 昌也君 |
百二番 | 石毛しげる君 |
百三番 | 大津 浩子君 |
百五番 | 清水ひで子君 |
百六番 | ともとし春久君 |
百七番 | 東村 邦浩君 |
百八番 | 中嶋 義雄君 |
百九番 | 木内 良明君 |
百十番 | 古賀 俊昭君 |
百十一番 | 吉原 修君 |
百十二番 | 鈴木あきまさ君 |
百十三番 | 宮崎 章君 |
百十四番 | 川井しげお君 |
百十五番 | 三宅 茂樹君 |
百十六番 | 吉野 利明君 |
百十七番 | 比留間敏夫君 |
百十八番 | 門脇ふみよし君 |
百十九番 | 増子 博樹君 |
百二十番 | 大塚たかあき君 |
百二十一番 | 酒井 大史君 |
百二十二番 | 山下 太郎君 |
百二十三番 | 大沢 昇君 |
百二十四番 | 中村 明彦君 |
百二十五番 | 馬場 裕子君 |
百二十六番 | 和田 宗春君 |
百二十七番 | 大山とも子君 |
欠席議員 一名
八番 土屋たかゆき君
欠員
四十番 九十四番 百四番
知事 | 石原慎太郎君 |
副知事 | 佐藤 広君 |
副知事 | 猪瀬 直樹君 |
副知事 | 吉川 和夫君 |
副知事 | 村山 寛司君 |
教育長 | 大原 正行君 |
東京都技監建設局長兼務 | 村尾 公一君 |
知事本局長 | 秋山 俊行君 |
総務局長 | 笠井 謙一君 |
財務局長 | 安藤 立美君 |
警視総監 | 樋口 建史君 |
主税局長 | 新田 洋平君 |
生活文化局長 | 井澤 勇治君 |
スポーツ振興局長 | 細井 優君 |
都市整備局長 | 飯尾 豊君 |
環境局長 | 大野 輝之君 |
福祉保健局長 | 杉村 栄一君 |
産業労働局長 | 前田 信弘君 |
港湾局長 | 中井 敬三君 |
会計管理局長 | 松田 芳和君 |
消防総監 | 北村 吉男君 |
交通局長 | 野澤 美博君 |
水道局長 | 増子 敦君 |
下水道局長 | 松田 二郎君 |
青少年・治安対策本部長 | 樋口 眞人君 |
病院経営本部長 | 川澄 俊文君 |
中央卸売市場長 | 中西 充君 |
選挙管理委員会事務局長 | 影山 竹夫君 |
人事委員会事務局長 | 多羅尾光睦君 |
労働委員会事務局長 | 加藤 英夫君 |
監査事務局長 | 塚本 直之君 |
収用委員会事務局長 | 細野 友希君 |
二月二十九日議事日程第三号
第一 第一号議案
平成二十四年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十四年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十四年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十四年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十四年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十四年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十四年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十四年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十四年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十四年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十四年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十四年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十四年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十四年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十四年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十四年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十四年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十四年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十四年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十四年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十四年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第二十九号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第三十号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
東京都帰宅困難者対策条例
第三十八 第三十八号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
東京都新しい公共支援基金条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
東京都消費生活条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
計量法関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
東京都計量受託検査条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
東京都高等学校等生徒修学支援基金条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都立図書館条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
東京都建築審査会条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
東京都養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第六十一 第六十一号議案
東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例
第六十三 第六十三号議案
東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例
第六十四 第六十四号議案
東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都認定こども園の認定基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例
第六十八 第六十八号議案
興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
旅館業法施行条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都妊婦健康診査支援基金条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京都障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京都子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
東京都障害児通所給付費等不服審査会条例
第八十六 第八十六号議案
東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
東京都知的障害者援護施設条例を廃止する条例
第八十九 第八十九号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例を廃止する条例
第九十 第九十号議案
東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
東京都立肢体不自由児施設条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
東京都工場立地法地域準則条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
東京都森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
東京都森林整備地域活動支援基金条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
東京都浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
警察参考人等に対する費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
都立小岩高等学校(二十三)改修及び改築工事請負契約
第百十九 第百十九号議案
都立板橋看護専門学校(二十三)改築工事請負契約
第百二十 第百二十号議案
都立鷺宮高等学校(二十三)改築及び改修工事請負契約
第百二十一 第百二十一号議案
都営住宅二十三H─一〇七東(葛飾区高砂四丁目)工事請負契約
第百二十二 第百二十二号議案
都営住宅二十三H─一〇四西(世田谷区下馬二丁目)工事請負契約
第百二十三 第百二十三号議案
環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十三 一─環二新大橋工区)請負契約
第百二十四 第百二十四号議案
包括外部監査契約の締結について
第百二十五 第百二十五号議案
全国自治宝くじ事務協議会への熊本市の加入及び全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第百二十六 第百二十六号議案
土地の信託の変更について
第百二十七 第百二十七号議案
平成二十四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百二十八 第百二十八号議案
平成二十三年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百二十九 第百二十九号議案
ヘリコプター用エンジンの買入れについて
第百三十 第百三十号議案
平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百三十一 第百三十一号議案
平成二十三年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十二 第百三十二号議案
平成二十三年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百三十三 第百三十三号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第百三十四 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について
午後一時開議
〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(中村明彦君) 昨日に引き続き質問を行います。
十二番くりした善行君。
〔十二番くりした善行君登壇〕
〇十二番(くりした善行君) 私からは、まず、都内における公有土地水面の管理について質問いたします。
東京は、戦後の高度経済成長期を経て、世界でも指折りの都市に成長いたしました。特に都心部においては、土地価格の上昇に伴い、わずかな面積の土地においても、その所有権については極めて厳密な扱いを受けてきました。しかし、そのまさに都心のど真ん中に、五十年の間、広大な敷地が正式な手続のもとに扱われてこなかったという特異な問題が存在をいたします。
市ヶ谷や飯田橋に面している皇居外堀においては、釣り堀やレストランといった、水上に地面を設けて商業利用している事業者が数件存在をいたしますが、それらの事業者は、一九四六年のオリンピックを直前にして利用許可が出されなくなって以来、約五十年の間、事実上、水上を不法占拠している状態となってしまっております。
外堀は国有地でありますが、国有財産法に基づいて、かつては千代田区が許可業務を行い、東京都がその使用料を得ておりました。しかし、一九六二年に許可が出されなくなって以来、一切の使用料を伴わずに無償で水面を商業利用し続けている状況であります。千代田区は、今でも、年一回程度、配達証明という形で警告を出しているそうでありますが、事業者に対して具体的な話し合いに臨むには至らず、解決の糸口はいまだ見えません。
私も、実際にそこで商売を営む事業者の方とお話をしてきましたが、区や都からこれまで具体的に立ち退きや使用料の話をしてきたことはなく、かつての使用料の金額で法務局に供託を続けているとのお話でありました。当然、時代背景があるとはいえ、公有地を法から逸脱した形で放置をし続けることが、自治体としてふさわしくないことは明白であります。
まず、外堀において事業者が事実上不法占拠状態にあるこの状態を、都はいつから把握をしていたのか、お伺いをいたします。
また、外堀には、それらの事業者が利用を行うほかにも、東京電力やNTTの配管等が通っており、それらについては、水面の利用と同じスキームに従い、現在でも都が使用料を得ているそうでありますが、外堀における使用料の算定基準は、都のどの条例に示されているのか。また、今年度、都は外堀で使用許可を受けた者からどれだけの使用料を得ているのか、お伺いをいたします。
事実上不法占拠状態となってしまっているこれらの施設は、ガイドブックに載るような人気スポットであり、もともとは、後に東京市長となった後藤新平の呼びかけで、都民の娯楽のためにボート場や釣り堀がつくられたという経緯もあります。
不許可の原因となった東京オリンピックを目前にしたしゅんせつ事業が滞りなく終了したのであれば、方針を再度点検し、正常な許可のもと、営業を続けてきてもらうことが最も適切であったのではないかと思っております。
外堀における許可業務は、不許可となる以前から、東京都が特別区に委任をしていた状態でありましたが、二〇〇〇年の地方分権一括法施行に伴い、地元区である千代田区と周辺の二区に対して譲与が行われ、使用料についても地元区が活用できるようになるはずでありました。
しかし、現在においても譲与のめどは立っておらず、イレギュラーな状態での運用が続けられているとのことでありますが、千代田区外二区への外堀の譲与がなぜ進展をしないのか、お伺いをいたします。
現在の法令のもとにおいては、東京都と特別区は対等な立場とされていますが、この不法占拠の問題が、区が都の内部団体であったころ、区長が公選で選ばれなかったころから始まっていることや、本来都民福祉のために活用され得た使用料を毀損し続けてきたことを考えれば、またそれが地方分権の障壁になっているのだとすれば、東京都も当然無視のできない問題であります。
これまでも、不法占拠問題の解決に向けての協議は、東京都と関係する特別区との間で長期間にわたって続けられてきたとのことですが、残念ながら具体的な進捗は見られていない状態でありますので、地元である千代田区外二区と連携をして、この問題の解決に向けて、また最終的には外堀の譲与に向けて、今まで以上に努力すべきと考えますが、都の見解をお伺いし、次の質問に移ります。
第二に、都有地を活用した土地信託事業について質問をいたします。
都は、昭和の終わりから平成の初めにかけて、数々の土地信託事業をスタートさせてまいりました。時はまさにバブル時代の絶頂ともいえる時代であり、その配当予測は、いずれも地価が右肩上がりに上昇することを前提としてつくられたものでありました。
しかし、バブル崩壊による地価下落も大きく影響し、結果として、これらの事業の配当は予想を大幅に下回ってしまっていることは、既に周知のとおりであります。
とりわけ、ことしの七月に期間満了を迎える両国シティコアについては、期間中に返済できなかった借入金が約三十億円残ることとなってしまいました。この両国シティコアの今後については、住宅部分を十三億円余りで特別会計で買い取り、オフィス部分は土地信託契約を五年間継続し、賃料収入から残り十七億円を返済するというプランが既に示されております。
バブル期に始まった公有土地信託事業全般が、各地の地方自治体でほとんどよい結果を出していないことを考慮すれば、この結果についても理解の余地はあると考えますが、残ってしまった負債については、確実に返済していかなくてはなりません。今後の五年間のプランについて確認をさせていただきたいと思います。
まず、新たに結ぶ土地信託契約のキャッシュ・フローを試算する中で、どのような点について留意をされたのか、お伺いいたします。
また、これまでの土地信託契約締結の際には、借入金債務等が残った場合においては、そのときに委託者と信託銀行との間で協議するとされており、委託者である東京都と信託銀行間の責任分担があいまいであるとの指摘がなされてきましたが、信託契約延長の末、再び負債が残ってしまった場合には、どのような処理をする取り決めがなされているのか、お伺いをいたします。
両国シティコアは、都の行う五つの土地信託事業の中で、初めて債務を残す結果に終わったわけでありますが、今後次々と満了を迎える三つの土地信託事業を控えて、都として、土地信託事業のここまでの結果をどのように総括するのか、お伺いをいたします。
各地の地方自治体の中で、土地信託事業が期間満了を迎え、負債の処理をめぐって裁判となるケースも出てきております。
とりわけ兵庫県の青野運動公苑土地信託事業では、事業の中で生じた損失七十八億円の支払いは、委託者である兵庫県が負担をするべきという判断が最高裁で示され、遅延損害金を含めた百五億円の支払いを自治体側が行うこととなっております。
この制度が全国の自治体で一斉に活用されることとなったバブル景気のころには、土地を運用して負債が生まれること自体想定外であり、それが落とし穴となってしまったわけでありますが、両国シティコアや各地の自治体の失敗例を生かして、今後、新規に土地信託契約を結ぶ場合には、その際、負債の処理方法についても取り決めを行い、リスクを低減することも検討すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
先日、国においても法改正が行われ、土地信託制度活用の自由度が向上するということもありましたが、経済の先行きが不透明な近年において、公有土地信託制度の活用に際しては、極めてシビアな収支予測と信託銀行の事業経営に対して厳しいチェックを行うことも必要であると考えますが、都として、土地信託事業の活用に際しては、どのような課題があると考えているのか、お伺いをいたします。
最後に、海洋資源開発に関連して質問をいたします。
今月より、地球深部探査船「ちきゅう」が、愛知県渥美半島沖で、メタンハイドレートの世界初の海洋産出試験に向けて事前の掘削作業を開始し、多くの注目を集めております。平成三十年度の商業化に向けていまだ多くの課題が残されているものの、日本の消費量の約百年分ともいわれるこの膨大なエネルギーの活用が可能になれば、資源小国といわれてきた我が国の長年の悲願が達成されることとなります。
また、レアメタルを含有する海底熱水鉱床やコバルトリッチクラスト開発のさらなる加速に向けて、新たな海洋資源調査船「白嶺」が今月に入り就航されるなど、日本における海洋資源開発は、まさに日進月歩の速さで実用化に向けて走り出そうとしております。
我々も、昨年、野田総理大臣に対して、領土と主権の保全に関する申し入れをし、レアアースなど戦略物資についての確保などについて強く要望してまいりましたが、国もこれらの取り組みを重要視し、来年度予算に設ける七千億円の首相枠の中で海洋分野の優先事業を推進する方針を示す等、この分野に今まで以上に注力することを宣言してまいりました。
昨年十月の一般質問でもございましたが、沖縄や南海トラフと並び、大きな期待を集めているのが東京の海であり、伊豆・小笠原諸島周辺では大規模な海底熱水鉱床の、沖ノ鳥島、南鳥島周辺ではコバルトリッチクラストの存在が報告をされております。
先日、経済産業省に出向き、話を聞いてまいりましたが、これまで余りスポットライトの当たらなかった伊豆・小笠原諸島近海の調査についても、来年度は力を入れていくとのことであります。
また、一昨日に開催された海洋技術フォーラムシンポジウムにおいて、レアアースの専門家である加藤東大准教授が、初めて南鳥島海域にこれまで報告されてこなかったレアアースが大量に賦存をしている可能性について言及されました。
これらの海底に含まれる資源を活用できることになれば、これまで多くの部分を輸入に頼り、資源ナショナリズム外交に翻弄されてきた日本の脆弱性を改善する一助になることが期待をされます。
しかし、隣の中国もこれらの海洋資源をねらい、周辺の海洋調査を進めるとともに、二〇二〇年にこの海域を含む軍事的防衛ラインである第二列島線を構築するという目標に向けて着々と準備を進めております。
日本経済の自立性を確立するとともに、国防上重要な海域の主権を守っていくという二つの意味において、沖ノ鳥島や南鳥島を含む東京の海の開発を進めていくことは、極めて重要な意味を持っているといえます。
国においては、ことし一月より、沖縄県、尖閣諸島周辺を含む無人島の名づけ作業を進めるなど、排他的経済水域の確保に向けて新たな一歩を踏み出しました。中国は、これを理由に外交会談をキャンセルするなど圧力を強めてきておりますが、これに屈することなく、次はこれらの島々における実効統治を強める策を推進していかなくてはなりません。
これらは、第一には国の問題でありますが、かつて知事が小笠原諸島の漁業組合と協力し、島しょ振興と沖ノ鳥島周辺における主権強化を両立させたように、都として対応が必要な課題に取り組むと同時に、海洋資源獲得や国防に資する取り組みを行っていくことは検討の余地が残されていると考えます。
かねてより海洋開発及び海底探査は、大型機器と莫大な資本を必要とする分野でありましたが、東京都のまち工場から生まれた技術が、まさにこの常識を今塗りかえようとしていることをご紹介いたします。
葛飾区、大田区、墨田区の小さなまち工場がそれぞれの技術を持ち寄って開発を進めている海底探査機「江戸っ子一号」は、従来重厚なケーブルを伴っていた探査機を無線化することによって、数億円かかっていた探査機を約二千万円程度のコストで実現をしようとしております。
私も、その発起人の一人であります杉野社長にお話を伺ってまいりましたが、従来、機器の数々をアメリカやノルウェーの独占企業で開発されたものを彼らのいい値で購入していたことに対して、これらの供給をストップされれば日本の海底探査を行うことができなくなってしまう、また、国内で低価格でつくれるようになれば、海洋開発の自立性確保とともに、日本の中小ものづくり企業に元気を与えることができるという思いでプロジェクトを立ち上げたとのことであります。
まさに日本の海洋開発に対する思いと、そしてまち工場の持つ技術への誇りが彼らを動かしたのであります。
当初は、関係者のだれもが不可能だと断言したそうでありますが、自分たちの身を削って開発費を捻出し、昼間の仕事が終わった後に夜を徹して開発を重ねた結果、ことしの夏に予定をされている水深八千メートルでの耐用試験を経て、「江戸っ子一号」の実用化はもはや目前に迫っております。
この技術が完成をし、さらなる低コスト化が進めば、都の持つ船や大学、一般の漁船でも、海洋探査機を購入して調査を進めることも十分に可能となります。
例えば、これらの開発された技術がより広く活用されるように、産学官の連携の仕組みをつくる等、間接的な補助を行えば、東京都発の将来大きな成長が見込まれる新たな産業を生み出すことになりますし、活発に海洋調査が行われれば、小笠原海域に投資を呼び、雇用を増進し、島しょ振興にも結びついていくこととなります。
そこで、改めて知事にお伺いいたします。
現在、都には海洋資源を所管する部署がありませんが、海洋資源の開発を前進させると同時に、東京都の活性化につながる取り組みの検討に向けて、積極的に情報収集と研究を始めるべきと思いますが、知事のご所見を伺います。
知事は、さきの質問に対して、国が重い腰を上げるのであれば、都としてこれに協力をすることはやぶさかではないとおっしゃいました。私も国がやらなくてはいけないことはまだまだ残されていると思いますが、新たな海洋立国に向けて、何とかその一歩を踏み出そうとしております。また、私を含めた幾人もの都議が、引き続き国に対しても働きかけを行っていくつもりでおります。
ぜひとも、この日本の未来をこの首都東京から切り開いていただけるようお願いを申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) くりした善行議員の一般質問にお答えいたします。
海底資源についてでありますけれども、まさに日本は資源小国であり、しかし同時に海洋大国でもあります。日本にとって海底資源は極めて重要なものでありまして、とりわけ我が国の排他的経済水域の四割を占める東京の海には、大きな可能性が眠っていると思います。
昨年の第三回定例会ですか、民主党の伊藤議員からも、海底資源についての質問がありましたが、そのときに私は、みずからの領土を守る国の姿勢が最重要であって、ここでの質問だけではなくて、ぜひ民主党としても、日本の海洋資源を守るために国の政府を実際に動かしていただきたいと答えたと思います。
要は、政府の姿勢でありますけれども、これは何も民主党の政府だけじゃなしに、歴代の自民党の政府もそうでありましたが、この問題を、間接か直接かわかりませんけれども、大事な部分を担当している外務省が、とにかく腰抜けでありまして、東京の領海のようなものでしたら彼らは異存ないと思いますが、東シナ海のような、際どい国境線というものを構えている地域での開発には、全く及び腰で、もう話にならない。
現に、今も、シナが東シナ海でガス田を次々に勝手に開発していることに対して、抗議だけで済ませているわけでありまして、海底資源の収奪が現実になっているのに、指をくわえている間に事態がどんどん悪化しております。
国民の生命、財産を体を張ってでも守るという、まず国の強い姿勢が必要でありまして、日本の領海をシナの潜水艦が無断で通過しても、抗議をするだけで、爆雷による威嚇などということは絶対にやらない。
もし仮に日本の潜水艦が、シナなり、ロシアなり、北朝鮮の領海に侵入したら、これ即座に爆雷で攻撃されて沈められるでしょう。恐らく友国とされている韓国に日本の潜水艦が無断で潜水しても、これはやっぱり同じ報復を受けると思いますが、いずれにしろ、とにかく当たり前の防衛行為すらとらないようでは、いかに豊かな海でもその可能性が花開くはずもないと思います。
東京のかけがえのない豊穣な海を守るために国が動くのであれば、可能な限りの協力はしますし、現に、多分、恐らくだれも議員が行ったことのない南鳥島をこの間、昨年時間をかけて行ってまいりましたが、ああいうふうにぽつっと離れて、しかもそれを中心に円を描く排他的水域というものも非常に重要な意味を持ちまして、また、ほかの新しい戦略兵器の時代にも、あれはとっても大事な意味を持つんですが、とにかく港湾も不整備でありますし、飛行場も短くてジェット機は飛べないというていたらくであります。
とにかく何党の政権であろうと、この日本を代表する政権であるならば、やはり自分の手で自分の国を守るという、そういう姿勢というものを、現民主党政権もしっかりと持って機動してもらいたい。それを、同党の議員からの質問でありますから、改めて民主党にも期待するわけであります。
他の質問については、東京都技監及び財務局長から答弁します。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 四点のご質問にお答えします。
初めに、外堀についてでございますが、公有土地水面である外堀は、国有財産であり、都は、法定受託事務として土地境界確認など財産管理の一部を行っております。
公有土地水面における使用許可など日常的な維持管理は、都区制度開始から平成十二年に地方分権一括法が施行されるまでの間は東京都区長委任条項、それ以降は特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例に基づき、特別区が行うこととなっております。
外堀は千代田区、港区、新宿区の三区にわたって位置するため、三区の協議により、千代田区が一括して使用許可などの事務を行っております。
当該占拠者に対しては、昭和三十七年三月末まで千代田区が許可をしておりましたが、その後更新していないと区から聞いております。
次に、外堀の使用料についてでございますが、使用料は、東京都公有土地水面使用料等徴収条例により規定されております。また、使用料の徴収事務は、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例により特別区が行うこととなっております。
公共目的で許可を受けて設置されている地下鉄や通信管などの平成二十三年度使用料は、総額約二億円となりますが、都は、区に対して外堀の日常的な維持管理に必要な経費を特別区事務処理特例交付金として負担しております。
なお、外堀が国から関係三区へ譲与された場合には、使用料はすべて各区に帰属することとなります。
次に、国有財産である外堀の譲与についてでございますが、外堀などの法定外公共物は、地方分権一括法に基づき区市町村が申請することにより、国から譲与を受けることになっております。
外堀の譲与申請につきましては、千代田区、港区、新宿区の三区の区域にまたがるため、三区が一括して行うこととなりますが、区が行うべき不法占拠の解決に対して、各区の間で意見が統一されていないなどの課題があり、三区は譲与の手続を行っておりません。
最後に、譲与に向けた取り組みについてでございますが、譲与の課題となっている不法占拠への対応は区の権限でありますが、都は関係三区と調整の場を設けて、国に対する区の譲与申請を促してまいりました。
引き続き、不法占拠への是正指導などを行う千代田区を初め、申請主体である関係三区に対し、国有財産である外堀について区が譲与申請を行うよう働きかけてまいります。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
〇財務局長(安藤立美君) 土地信託に関する五点についてお答え申し上げます。
まず、両国シティコアの土地信託契約延長後の収支についてでありますが、両国エリアにおけるオフィスの賃貸事例や競争環境など不動産市況を踏まえ、現在のテナントの入居状況、賃料水準をベースといたしまして賃料収入を見積もるとともに、想定されます修繕工事の精査、管理費のさらなる縮減を図るなど、今後の収支を確実に見積もったところでございます。
次に、再び借入金が残った場合の処理でございますが、オフィスにつきましては、今後も安定した賃料収入の確保が可能なことから、今回の対応により借入金の返済は確実に行っていけるものと考えております。
なお、現在の信託契約の条項では、借入金債務等が残存する場合は、受託銀行と協議の上処理することとしておりまして、契約延長後も同様の取り扱いとなります。
次に、土地信託事業のここまでの成果についてでありますが、バブル経済の崩壊など社会的経済状況の変動によりまして、マイナスの面も出ていることは承知をしております。
一方、都が実施をいたします五つの土地信託事業について総体として見るならば、民間の知識、経験を利用した土地活用という視点に立ちまして、地価高騰の要因とならない都有地の有効活用を進めるとともに、継続的に安定した収入を確保し、これまで合計で約五百六十九億円の配当を受けることができております。したがいまして、所期の目的は達成してきているものと考えております。
次に、信託契約を結ぶ際の負債の処理方法でありますが、土地信託制度が導入されました当時は、バブル経済の中で地価の急激な下落をなかなか想定し得ない状況でありましたことから、各地の地方自治体で負債が残ってしまうケースがあることは確かでございます。
今後、新たに土地信託契約を結ぶ検討をする場合は、さまざまなリスクを想定いたしまして総合的に勘案していくものと考えてございます。
最後に、土地信託事業の活用における課題についてでございますが、都有財産は都民の負託を受けた貴重な財産でございまして、財産価値を最大限に発揮させる必要があります。
土地信託の活用に当たりましては、信託のメリットを踏まえるとともに、社会経済状況の見通しや費用対効果の検証、そして事業用定期借地、これは両国の土地活用を検討している当時はなかった制度でございますけれども、この方式など他の土地活用の手法とも比較するなど、さまざまな観点から課題を検討し、その上で、都にとって最も有利な利活用方策を選択することになるというふうに思っております。
〇議長(中村明彦君) 二十四番高木けい君。
〔二十四番高木けい君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇二十四番(高木けい君) 高度防災都市づくりについて伺います。
東日本大震災によって、改めて非常事態における我が国の根源的な欠陥が浮き彫りになりました。それは、非常時の法体系がないということであります。
法治国家において、想定される危機に対して法整備を怠ることは、とりもなおさず立法府の怠慢と不作為ということになりますが、代議制、主権在民の我が国にあって、政治が国民の意識と乖離したまま立法行為をすることは不可能ですから、半分が政治の責任なら、半分は国民の責任でありましょう。
いずれにしても、かねてから最高法規としての憲法に非常事態の規定がないことの異常性は指摘されていたことであり、占領軍に押しつけられた憲法とはいえ、戦後一貫してそれを墨守、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してという空虚で空想的な平和主義に安住し、そうした法体系整備の努力を忌避し続けてきたツケが、このたびの東日本大震災でいみじくも露呈しました。
例えば、発災から十一カ月たって、ようやく復興庁なる組織が立ち上がった我が国と、お隣の台湾で起こった一九九九年の台湾大地震の際、台湾政府がとった行動を比較すると、それは一層鮮明に見えてきます。
例えば台湾では、発災後四日目に総統の非常時大権である緊急命令が発令され、翌年三月までの六カ月間、現行法の制約を受けずに行政措置がとれることとなりました。このときの緊急命令は十一項目、直ちに発効し、さまざまな復興策が実現しました。
例えば、八百億台湾元の特別公債の発行権限、復興に必要な土地や財産の強制借用と公共財産の民間活用、被災地再建のための中央銀行から市中銀行への一千億台湾元の低利融資枠の供与、復興作業のための軍の動員、被災家族の成人男子への徴兵期間の短縮、被災者が喪失した公的書類の再発行の簡素化、期間中の物資買い占めや便乗値上げ、詐欺、強盗などの犯罪に対する罰則の強化などでありました。
昨年夏、私は、大地震から十二年たった台湾中部震源地のまち、集集を視察してきましたが、倒壊した寺院が一つモニュメントとして残っている以外、震災の傷跡は全く感じられず、清潔で整然と整ったまち並みに台湾政府の復興策が成功したことを確認してまいりました。
このように、震災などの非常時には、平常時と違った優先順位があるにもかかわらず、我が国にはそうした法体系がありません。この状態を続けていると、非常時に迅速で効果的な対策をとろうとすれば、超法規で行わなければならないことが続出し、法治国家の体をなさなくなることは明らかであります。
千年に一度といわれる東日本大震災を経験し、しかも、近い将来、かなり高い確率で首都東京に大地震が起こるといわれている現在、施政方針演説で、日本再浮上の道筋をつけるといわれ、先日の記者会見では現行憲法の破棄と新憲法の制定を主張された石原知事に、都民、国民の生命と財産を守るための本質的、根源的な法体系のあり方、またそこに至る道筋について所見を伺います。
災害時、東京の大きな弱点は、およそ一万六千ヘクタールといわれる木密地域の存在です。そこで、このたび発表された木密地域不燃化十年プロジェクトに期待がかかります。
まず、不燃化特区の選考のスケジュールと要件、また、特区指定による特別の支援策にはどのようなものが考えられるのか伺います。
次に、木密特区の中にある延焼遮断帯を形成する都市計画道路は、特定整備路線として五十路線程度指定し、十年後に一〇〇%の完成を目指すと聞いています。多額の事業費が見込まれ、国と都の負担割合がそれぞれ五〇%としても、国はその負担とスピード感についていけるのでしょうか。
また、今後十年という、いまだかつてないスピードで都市計画道路を完成させるには、町会、自治会やまちづくり協議会、地権者、借地人、借家人など、相当数の関係者の理解が不可欠であります。そのための特別の支援策も検討されるべきと考えますが、その内容と十年で特定整備路線の一〇〇%完成を目指す決意を伺います。
さらに、特定整備路線とともに、現在事業中の都市計画道路も予定どおりに進めていただかなければなりません。あわせて見解を伺います。
次に、昨日の我が党の代表質問にもあった災害時の支障となる踏切の解消、連続立体交差化事業について伺います。
私の地元北区のJR埼京線十条駅周辺には、木密地域の中心に、災害時には支障となるおそれのある踏切が六カ所あります。当該区域は、既に踏切対策基本方針で、八カ所の事業候補区間の一つとして除却すべきものと位置づけられていますが、木密十年プロジェクト及び現在都市計画決定の案件提出に向けて鋭意取り組み中の十条駅西口再開発と歩調を合わせて、一層の対策促進に努力すべきと考えます。現在の進捗状況と今後の見通しについて所見を伺います。
次に、緊急輸送道路沿道建物の耐震化について伺います。
この間、私も幾つかのケースで相談を受けましたが、この取り組みをより進めていくためには、さらに制度を充実させる必要があります。
一つには、緊急輸送道路全体の安全性の確保、少なくとも環状七号線内側の緊急輸送道路は、第一次、第二次、第三次の区別なく、条例で指定した緊急輸送道路と同じ条件で沿道建築物の耐震化を進めていくこと、二つには、耐震補強ではなく、この際建てかえたいという要望もあり、耐震補強の助成では資金的に困難な場合、特別の低利融資や利子補給制度をつくることであります。以上二点は、早急なる改善の検討を要望しておきます。
さらに、耐震補強の工法によっては、建物内の利用可能面積が減少いたしますが、このような場合は税制面で何らかの手当てがなされるべきと考えます。見解を伺います。
防災の最後に、中小企業の防災対策について伺います。
製造業など工場や設備を抱える企業にとっては、防災対策に必要な資金は多額となるだけに、計画性のある対応が必要です。
都は、昨年四定で、我が党の提案を受け、災害時の事業継続の計画、いわゆるBCPを策定する中小企業への支援に加え、その計画の実現をモデルとして取り上げ、サポートする考え方を明らかにしています。中小企業の防災対応力を高めるための具体的な施策展開について見解を伺います。
次に、産業振興、小売商業後継者育成開業支援事業について伺います。
昨今、商店街や小売商業の後継者難が著しく進んでいるといわれています。しかし、今や商店街は、商業という枠にとどまらず、地域コミュニティの核として住民生活を支える重要な役割を果たしていることから、後継者の育成はもとより、将来商店街で出店にチャレンジする人材、あるいは小売商業にベンチャー的挑戦をする意欲ある人材を育成、確保することが不可欠です。
昨年、我が党が本会議で主張したとおり、かつての徒弟制度やのれん分けのような、商人を育てるすぐれた仕組みも参考にしながら、現代的で新しい支援策を早急に立ち上げる仕組みが必要であろうと考えます。所見を伺います。
次に、市場政策、まず豊洲新市場について伺います。
二十四年度予算に、土壌汚染対策費を含む豊洲新市場建設費約六百億円が盛り込まれ、二月七日には、移転反対を主張していた東卸から、組合長名で豊洲移転計画に組合として関与していく旨の文書が出されました。
かねてから私たちは、土壌汚染対策に万全を期すことを前提に、豊洲に新しい市場を建設することこそ都政の責任であると訴えてきました。
新市場建設が明確に見えてきた今、ようやく次のステップに進むときが来たと考えます。それは、土壌汚染対策と新市場の建設がハードのプラットホームづくりとするならば、市場内部の商品の物流を合理化、高度化するためのソフトのプラットホームづくりに取りかかることであります。
例えば、魚については、通常、卸、仲卸、買い出し人という三段階の取引になりますが、商品が産地から卸へ来た段階で最初の伝票が発生します。そうして次々と商品が動くたびに伝票が作成され、買い出し人に届くまで合計五回書かれることになります。さらに、市場内物流が合理化されないことで、余分なコストがかかり、この手間の多さと余分なコストが市場業者の経営の大きな負担になっていると聞いています。
世界レベルを目指す豊洲新市場は、こうした物流を合理化、高度化させるソフトのプラットホームが必須であると考えますが、都の所見を伺います。
次に、市場の衛生管理について伺います。
私は、昨年五月、被災地視察の一環として青森県八戸市を訪ねました。
八戸の魚市場は、震災による津波で、オープン間近の新しい施設が大きな被害を受けましたが、驚いたのは、その魚市場の建物全体がHACCP対応で、主にEUへの輸出を目指してつくられた衛生基準、安全基準の完璧な鮮魚加工工場のような設備だったことです。
HACCPという基準がすべてとはいいませんが、たまたま私が目にした八戸の最新式魚市場がそうであったように、既に地方市場は、築地などを通さずに直接海外への販路拡大を模索しています。
東京の目指すすべての市場の将来像は、衛生基準、品質ともに、すべからく世界に通用することが共通認識でなければならず、東京の商品が安全・安心、高品質であることを発信できる、魅力ある市場でなければならないと考えます。所見を伺います。
最後に、防災教育について伺います。
関東大震災の翌年、時の東京市長永田秀次郎は、東京市の復興に向け、市民にも大きな犠牲を求める大規模な都市改造案を発表いたしました。このとき永田は、市民諸君に告ぐと題した声明を発表し、この事業は、実に我々市民自身がなさなければならぬことであり、これを他人の仕事として苦情をいったり、批評をしたりしてはいられませぬ、後世子孫に対する我々の当然の義務でありますと、復興事業は、広く世のため、そして後世のためにもなし遂げなければならない義務であると訴えました。
さらに永田は、東京市民の敵は我々の心中の賊、我々はまずこれに打ちかたねばならぬとして私利私欲を戒め、我々市民の自覚により、我々市民の了解によってこれを実行したいと、市民一人一人の自主性に呼びかけました。
この帝都復興事業は、市民一人一人が高い意識と使命感を持った結果、震災の焼失面積の約九割に当たる三千百十九ヘクタールの区画整理事業をなし遂げるという、世界の都市計画史上例を見ない壮挙となりました。
延焼遮断帯としての昭和通り、清洲橋等の耐震耐火構造を持つシンボル性の高い橋梁、モダンな設計の小学校、防災とコミュニティの両面を備えた公園等緑のスペース、上下水道の整備、義援金でつくられた同潤会による鉄筋コンクリートづくりのアパートなど、まさに現在の首都東京はこのとき形成されたといっても過言ではありません。
この様子は、都教育委員会が発行した日本史教科書「江戸から東京へ」に詳しく書かれており、これは防災教育の教材としても大変すぐれていると思います。
そこで、この教科書を活用し、まずは先人が江戸東京の災害をいかに克服し、繁栄につなげてきたかを高校生に学ばせるべきであると考えます。教育長の所見を伺います。
次に、このたびの東日本大震災を受け、都立高校改革推進計画の重点的な取り組みの一つとして、世のため人のために尽くす人材の育成、防災教育の推進が本会議に提案されています。世のため人のために尽くす人材の推進をどのように進めるのか、教育長の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 高木けい議員の一般質問にお答えいたします。
国家の非常事態と憲法の問題についてでありますが、敗戦後、かつて占領下に、占領軍に一方的に押しつけられた現憲法には、ご指摘のとおり、大災害あるいは外国からの武力攻撃、テロなどへの対応を想定した非常事態条項があるはずもなくて、国家の危機に臨んでも、みずからの手でみずからを守ることすらできない状況であります。
例えば、世界が非常に時間的にも空間的にも狭くなってきて、はるか遠隔の地で起こっているいろいろな出来事が一つの危機として日本にも大きな影響を与えると。そういう事態にも、日本はそれを集団で防ごうとする善意の国家と連帯して集団自衛をすることが憲法の拘束でできない。あのインド洋での給油もばかげた理論で中止せざるを得ないと、そういうていたらくでありました。
この憲法によって、アメリカのもくろみどおり、日本人には他力本願がしみついたわけでありますが、この実に巧みな、この国を骨抜きにする占領政策によって、国民の心の奥には、今でも、他力本願といいましょうか、アメリカにすべてを結局リファーし、依存するというあしき習慣が抜け切れずにいると思います。
いずれにしろ、北朝鮮に同胞が誘拐、拉致され、殺され、シナに領土、領海を侵されようとも、あるいは今回の大災害が起きても、国家が自発的に動いて有効の手がなかなか打ち切れない。多くの国民もこうした危機を我がこととして考えようとしないという、こういうある意味では自堕落な国家になり果てたわけでありますが、こういう問題を反省して考えるためには、出直すためには、やっぱり国家そのものをこういう形でいろいろ規制している、国家の基本ともいえる憲法というものを考え直す必要があると思います。
ともかく世界の歴史を眺めても、占領下で占領軍が統治のためにつくった法律が、日本の場合にはサンフランシスコ条約で独立を果たしたわけですけれども、その後も占領軍がつくった占領のための国家基本法が有効で生きているというこういう事例は、これは法律的に無効とかそんなことの問題じゃなくて、人間の歴史を振り返ってみてもあり得ないことなんですね。
それがいまだに続いていることそのものが面妖な話でありますけれども、そういう意味では、私たちやっぱり、この現憲法がどう考えても歴史的に無効だという判断をすべきだと思う。
これは、これが誕生したときに、例えば、かつての美濃部達吉博士、これは亮吉さんじゃないですよ、そのおとっつぁんの方でありますが、あるいは清瀬一郎とか、あるいは共産党の野坂参三氏までが、これはやっぱり無効であると、これはやっぱり速やかに変えなくちゃいかぬという発言をしているわけですね。
私はやっぱり、そういう点で、この憲法を、いかなる政権であろうと、本気で見直して、歴史的に無効であるという判断をしたらいい。判断をするということは、この憲法を捨て去るということです。破棄することです。
破棄という言葉は激しいから、みんな顔を背けるかもしれませんが、歴史的に無効な法律を六十数年間、とにかく拝受して続けている国家、民族というのは、私は、世界に例はないと思いますね。ですから、アメリカの知人なんかとこの問題を話しても、彼らがびっくりするのは、ともかく日本は、私たちがつくって占領したんだ、占領のための手だてでつくった憲法をいまだに続けているのかねといって、驚くのはアメリカ人の方なの。
そういう意味で、私は、ご指摘のとおり、この憲法というものに大きな疑義を抱いて、何党の政権であろうと、これを歴史的に無効だと判断して、まず、これを破棄することから始まらないと、この国は立ち上がれませんよ。そういう点で、私たち、やっぱり本気で憲法というものを見直して、同じことを私、間もなく出る自分担当のコラムに書きましたが、古くなって靴ずれを起こしている靴は、掃いて捨てたらいいんだ、こんなものは。それが人間の道理ではないでしょうかね。私は、この今の憲法なるもの、歴史を振り返ってみれば、こんなものをいまだに歴史的に無効なまま拝受して続けている国家、民族は、かつての歴史にどこにもないということを、私たち、これを考え直すことで、この国の再生、再建というものは可能になってくると思います。
他の質問については、教育長及び技監、関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、江戸東京の災害の歴史を高校生に学ばせることについてでございますが、江戸時代の明暦の大火や安政の大地震、近現代の関東大震災や東京大空襲から江戸東京は目覚ましい復興を遂げており、そこには私利私欲を捨て、復興に尽力した人々の姿があったことを高校生に理解させることが重要でございます。
都教育委員会が作成した独自教科書「江戸から東京へ」では、関東大震災後の復興に取り組んだ後藤新平や、東京を水害から守る荒川放水路の建設に尽力した青山士を取り上げ、江戸東京の災害の歴史を学ぶだけでなく、現在の東京の繁栄を築いた人々の功績も学べるように工夫しております。
今後は、「江戸から東京へ」で取り上げた災害からの復興の過程を通して、後世の人々のために尽くした先人の業績を学ばせ、都立高校生の社会貢献意識を高めてまいります。
次に、世のため人のために尽くす人材の育成についてでございますが、都教育委員会は、来年度、すべての都立高校で、生徒の防災意識や社会貢献意識を高めるため、学校における宿泊を伴う防災体験活動を行わせます。その際、各学校は、消火訓練や被災地で救援活動に従事した方の防災講演会を行う等、東京消防庁はもとより、警視庁、自衛隊、気象庁、大学等と連携を図ってまいります。
さらに、来年度指定する十二校の防災教育推進校では、防災活動支援隊を結成し、地域と協力してリーダーとなる生徒を育成するとともに、東京消防庁と連携して、消防学校等で一週間程度の宿泊体験活動も行ってまいります。
このような取り組みを通して、地域で消防団や災害時支援ボランティアとして活躍する等、自助、共助の精神を持って社会貢献できる生徒を育てる防災教育を推進してまいります。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、木密地域不燃化十年プロジェクトの特定整備路線及び現在事業中の都市計画道路の整備についてでございますが、特定整備路線の整備は、延焼遮断帯の形成や沿道建物等の不燃化を促進し、震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域の早期改善に大きな効果を有する事業でございます。
このため、関係権利者の移転先確保や残地取得の弾力的運用など、特別な生活再建支援策を講じることで、十年で特定整備路線の一〇〇%整備を目指してまいります。
また、現在事業中の第三次事業化計画の優先整備路線などにつきましても、引き続き早期完成を目指し、着実に整備を推進してまいります。
今後とも、これら事業に対する財源を安定的、継続的に確保し、確実に配分するよう国に対して強く求め、東京の道路整備に全力で取り組んでまいります。
次に、JR埼京線十条駅付近の鉄道立体化についてでございますが、連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで、道路ネットワークの形成を促進し、地域の防災性の向上にも寄与する極めて効果の高い事業でございます。
都は、補助第八五号線との交差部を含む六カ所の踏切がある十条駅付近を事業候補区間に位置づけており、平成二十三年度は、踏切除却の効果を調査するなど、事業化の可能性について検討を進めております。
平成二十四年度は、事業範囲や構造形式について、国費を導入し、調査を実施する予定であります。
引き続き、駅西口再開発や関連する道路など、地元のまちづくりの取り組み状況を踏まえ、区や鉄道事業者と連携し、鉄道立体化の検討を進めてまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 不燃化特区制度についてでございますが、この制度は、市街地の不燃化に従来よりも踏み込んだ取り組みを行う区に対し、都が特別の支援を行い、木密地域の改善を一段と加速することをねらいとしております。
制度の構築に当たっては、先行実施を行うこととしており、都は区からの提案を受けて、地域の課題解決への効果的な取り組みや他の地域への波及効果などを総合的に検討し、本年八月ごろに実施地区を選定することとしております。
また、特別の支援策については、例えば不燃化助成の上乗せや税の減免、都有地の提供、執行体制確保のための支援などが想定されますが、今後、区からの提案を踏まえながら具体化を図ってまいります。
都は、こうした取り組みにより、実効性のある制度を構築し、木密地域の不燃化に取り組んでまいります。
〔主税局長新田洋平君登壇〕
〇主税局長(新田洋平君) 耐震補強を施した建物に対する税制上の対応についてでございますが、建築物の耐震化は都の喫緊の課題であり、他の政策手段と組み合わせながら税制の活用を図ることは重要であると認識しております。
特に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は、路線全体で一体的に進めていく必要があることから、耐震改修を施した事業用建築物につきましては、固定資産税等の減額などの税制上の優遇措置を講じるよう国へ提案要求することを関係局と検討してまいります。
また、耐震改修工事の工法によっては、家屋の床面積が減少する場合があり、その際の固定資産評価上の取り扱いについては研究してまいりたいと考えております。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業の防災対応力の向上についてでありますが、中小企業が、震災が生じても迅速に事業を再開するため、事前にBCPをつくるとともに、事業所等の耐震性を高めていくことが重要であります。
都はこれまで、中小企業に対しましてBCPの策定を支援し、その成果を広くPRしてまいりました。その上で、さらにBCPの実効性を高めていくためには、企業の建物の耐震化などを先行事例として紹介していくことも重要と考えております。
このため、来年度、都の支援によりBCPを策定した企業のうち、建物等の耐震診断や補強を行う十社を選びまして、一千万円を上限にモデル的に支援いたします。
これにより、中小企業の防災対応力の向上を実現してまいります。
次に、商店街の新たな担い手の育成等についてでありますが、お話のように、商店街の後継者や新しく出店する意欲のある人材の育成を適切に支援していくことは重要と考えております。
このため、都は来年度から、東京都小売商業後継者育成・開業支援事業を開始いたしまして、商店街での開業を希望する人材の育成等を支援してまいります。
具体的には、商売に不可欠な仕入れのノウハウや経営知識を学ぶ研修に要する費用や、研修終了後に商店街での出店等にめどがついた際に、開業に必要な資金の一部を助成いたします。
こうした取り組みにより、新たな担い手の育成と確保を通じて、商店街の活性化につなげてまいります。
〔中央卸売市場長中西充君登壇〕
〇中央卸売市場長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、豊洲新市場における物流効率化のためのソフト面の取り組みについてでございますが、新市場が、首都圏の基幹市場として産地や顧客ニーズに的確にこたえていくためには、商品の品質を保持する閉鎖型で温度管理された施設整備など、ハード面の充実はもとより、取引業務や物流といった施設の運用面、ソフト面においても、効率化に向けた新たな仕組みを構築していくことが重要でございます。
ご指摘のとおり、卸売市場における取引業務においては、現在も人手を介した紙伝票のやりとりが多く、事務作業の情報化がおくれているとともに、築地市場においては、荷の搬入から搬出までに複数の場内物流業者が関与しておりますので、場内での荷の移動に伴うコストの増大を招いています。
情報化による取引業務の効率化については、水産物の卸売業界において、電子データによる伝票のやりとりを考慮に入れ、産地からの伝票様式を標準化する取り組みを始めております。
都は、こうした状況を踏まえ、豊洲新市場において光ファイバーケーブルを用いた市場内LANを敷設するなど、情報通信インフラを整備することとしています。
また、移転を契機に、業界団体が行う情報化の取り組みに対する支援について、今後検討してまいります。
さらに、場内物流の効率化、コスト低減の仕組みの構築に向けて、荷役業務等の共同化やマニュアル化などに、関係業界と連携して積極的に取り組んでまいります。
次に、東京の卸売市場が目指す将来像についてでございますが、東京の卸売市場は、世界を代表する都市東京の魅力ある食文化を支える市場として、将来にわたり、豊富で魅力ある生鮮食料品等の品ぞろえを維持するとともに、食の安全・安心を確保していくことが重要であると認識しております。
都が開設する十一の卸売市場について見ると、豊富な品ぞろえにより都民の豊かな食生活を支えている一方、品質衛生管理の面では、閉鎖型で温度管理された海外の先進的な市場などと比べた場合、多くの課題が残されていることも事実でございます。
こうした状況を踏まえ、都は、まず、豊洲新市場を今後の卸売市場に必要なHACCPの視点に立った高度な品質衛生管理施設を整備するなど、先進的な生鮮食料品流通を実現できる卸売市場としてまいります。
豊洲新市場におけるこうした取り組みを初めとして、それぞれの市場が、特色、特性を生かしながら、品質衛生管理の高度化を着実に進め、世界に食の安全・安心を発信することができる魅力的な市場を目指してまいります。
〇副議長(ともとし春久君) 二十九番新井ともはる君。
〔二十九番新井ともはる君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
〇二十九番(新井ともはる君) まず初めに、都民のための情報通信の確保に向けた情報提供ツールの活用についてお伺いします。
発災時に何より重要なのは、情報通信の確保です。とりわけ、都民の安全・安心を確保するための情報確保策を充実させる必要性があります。東日本大震災が発生した昨年三・一一当日の通信の混乱は、今なお、強く印象に残っています。通信事業者も、無線LANのアクセスポイントの増設や携帯電話の基地局における電源確保の機能強化などの取り組みをしていますが、こうした事業者の動きも、連携を図る必要性があると考えています。都は、Wi-Fiの実証実験を行うとのことですが、ぜひ実のある検証を行うよう要望いたします。
また、大震災当日、公衆電話が有効に機能したことを踏まえれば、こうした特設電話を活用することも視野に入れる必要性があります。被災地では、防災科学研究所が構築した復興クラウドが、デジタル地図などと組み合わされて有効に活用されていますし、参考にすべきです。
こうした取り組みの一環として、せんだって、二月三日に行われた帰宅困難者対策訓練を視察いたしました。私が伺った新宿会場では、さまざまな通信手段を使った情報提供が行われていましたが、エリアワンセグをうまくチューニングできない人も多く、さまざまな手段の普及も課題だと感じました。こうした課題を今後の対策に生かしていく必要性も重要なことと考えます。
そこで、都は、発災時における都民のための通信確保に向け、新たな情報提供ツールの活用も含めて、今後どのように取り組むのか見解を伺います。
次に、都民に対する歯科保健事業についてお伺いします。
歯と口腔、いわゆる口の中の健康は、全身の健康保持、増進にとても重要な働きをすることがわかっています。特に、歯が少ない、または入れ歯の状態の悪い高齢者においては、身体的健康状況が悪化するといわれています。そのため、国と日本歯科医師会が、八十歳になっても自分の歯を二十本以上保とうという八〇二〇連動を提唱し、これまでに自治体や全国の歯科医師会が、さまざまな事業を取り組んでいます。
さて、高齢期になっても口の中の健康を保つには、乳幼児からの歯と口腔の健康管理が非常に大切です。母子保健法では、一歳六カ月と三歳児の歯科健診が義務づけられています。
また、学校保健安全法では、小学校入学時から高校まで、やはり学校での歯及び口の健康診断が義務づけられています。
しかし、それ以降、歯科健診は健康増進法に基づく歯周疾患検診の努力義務規定があるだけです。口腔ケアが特に必要になる高齢者についても、歯科健診に関して何ら規定はありません。
歯周病にかかる人の割合は、年齢が進むに従ってふえていきます。厚生労働省の調査によると、六十五歳以上では、九〇%以上の人に何らかの所見があるというデータもあります。
私の地元の日野市歯科医会の先生方の話では、歯と口腔の健康維持のためには、歯科疾患の予防のため定期的に歯科医院に通院するのが理想的なのだが、実際には、痛みなどの自覚症状が生じて初めて歯医者さんに来るケースも多いと聞いています。特に歯周病は、自覚症状があらわれてから受診した場合、症状がかなり進んでいることが多いそうです。
口腔の健康を増進し、トータル的な医療費の増加を抑えるには、都は、定期的に歯科健診を受診する都民をふやすための対策をとるべきと思いますが、見解を伺います。
次に、中学校武道必修化に向けた安全対策について伺います。
中学校では、学習指導要領の改訂により、平成二十四年度から保健体育の授業において、すべての中学生が、柔道、剣道、相撲などの武道を学習することとなっています。
武道には、礼に始まり礼に終わるという伝統的な行動の仕方があり、激しい戦いの中であっても、みずからの心を律する克己心や、戦う相手を尊重する考え方を大切にしています。子どもたちが、国際社会をたくましく生きていく日本人として、我が国、日本固有の伝統的な考え方や行動の仕方を正しく身につけていくためには、武道の学習が適切かつ安全に行われることが大切です。
さて、最近の新聞報道などでは、この二十八年間で全国の百十四人の子どもが柔道で死亡するという事故が発生していることから、必修化を危惧する指摘がなされています。確かに、こうした数字を聞けば、危険性が高いように感じられますが、授業と部活動が混同されており、柔道の技そのものが危険であるという誤解を招く可能性があります。こうした状況では、これから武道を学ぼうとする生徒や保護者を、不安な気持ちにさせてしまうことはいうまでもありません。
スポーツには、けがはつきものですが、どのような場合でも、重大事故を発生させないよう、安全対策を講じる必要性があります。特に、武道を指導する中学校の保健体育の先生は、武道本来のよさや特性を十分に理解するとともに、重大事故を発生させないよう安全な指導方法を確実に身につけておくことが不可欠です。
しかし、指導する先生の指導力を疑問視する声があります。特に、柔道を含めたコンタクトスポーツの過去の事故を分析すると、頭部に外傷や打撲がなくても、頭蓋骨と脳の硬膜の間に損傷を与える加速損傷という現象が起こることが医学的にわかってきました。こうした医学的知識を踏まえて、安全な指導を行うことが必要ではないかと考えます。
そこで、武道必修化に向けた安全対策について、次の五点について質問します。
まず、新聞報道などで指摘されていますが、実際に全国の中学校で柔道の授業中に発生した死亡事故の状況についてお伺いいたします。
第二に、武道必修化といわれますが、平成二十四年度から中学校では具体的にどのような柔道の授業が行われていくのか、そして、柔道の授業と部活はどのように違うのかお伺いいたします。
第三に、都教育委員会は、中学校保健体育での武道必修化に向けて、どのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。
第四に、報道等で指摘されているような危険性に対し、都教育委員会は、今後どのように安全対策を充実させていくのかお伺いいたします。
第五に、万が一、重大事故が発生した場合の再発防止策についてお伺いいたします。
最後に、武道の授業を実施するに当たっては、事故防止に関する医学的知識を普及啓発することや、専門的な指導力を有する外部指導員を導入することなどを通して、教員の指導力の向上を図るべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺い、次の質問に移りたいと思います。
次に、多世代交流を推進するための住宅政策についてお伺いします。
私の地元であります日野市では、市長が先頭に立って、市を挙げて多世代交流の推進に取り組んでいるところです。今日、日本の社会では、核家族化が急激に進み、かつては当たり前だった三世代同居は減少しています。このことが、ひとり暮らしの高齢者、ひとり親、待機児童などの社会のゆがみを生じさせる一因となっており、この傾向は、少子高齢化が進行していくことを考えると、さらに進んでいくものと予想されます。
一方、こうした状況にあっても、高齢世代と若年世代の世代間の交流が盛んになれば、例えば子育てに悩む母子世帯に経験豊富な高齢者がアドバイスを与えることや、身寄りのないひとり暮らしの高齢者を若年世代が見守ることなど、双方にとってメリットがあり、さらには、先ほど述べた核家族化による社会のゆがみを戻していく力にもなるのではないかと考えます。
日野市内にあるUR都市再生機構の多摩平団地では、団地再生事業に伴い空き家となった建物を活用し、民間事業に貸し出し、大学生や若い社会人を対象としたシェアハウス、子育て世帯やアクティブシニアを対象とした菜園つき賃貸住宅、高齢者を中心とした多世代向けのコミュニティハウス及び高齢者向け住宅として生まれ変わりました。
昨年末、たまむすびテラスとして、新たにまち開きが行われたところです。多摩平団地にお住まいの方からのお話によりますと、異なる世代の間での交流が実際に始まっているということでした。東京都においても、多世代交流が生まれやすく、育ちやすい環境の住宅、住まいづくりを行っていくべきだと考えますが、そこで、今後、住宅政策における多世代交流の取り組みについてお伺いします。
最後に、交通政策についてお伺いします。
初めに、交差点部における自転車の安全対策についてお伺いします。
自転車は、広く都民に利用される手軽な交通手段として、特に多摩地域では、鉄道やバスなどの公共交通機関を補完する手段として活用されています。
さて、昨年、平成二十三年、警視庁が発表した調査結果によれば、東京都内の自転車事故もしくは自転車が関係する事故の発生状況は、交通事故全体の約三七%を占めていますが、これは全国平均の約二〇%を大きく上回っています。
そこで、歩行者と自転車が、安全で安心して通行できる環境の整備を推進していくことが重要と考えます。特に自転車の交通事故は交差点において発生することが多く、都内では約七割が交差点周辺で発生しています。このような事故に対し、栃木県宇都宮では、交差点の道路運用を変更する実験が行われるなど、交差点における自転車の安全確保に向けた取り組みが進められていますが、都においても、同様の取り組みを推進していくべきです。
そこで、今後、交差点部における自転車の安全対策について、道路構造上の取り組みをお伺いいたします。
次に、大規模地震発生時の都営バスの役割についてお伺いします。
東日本大震災発生時には、首都圏の鉄道が運行を中止し、多くの帰宅困難者が発生したことは記憶に新しいところですが、いざ首都直下地震が発生した場合には、鉄道の運行再開までには、かなりの日数がかかることが予想されます。
せんだって、二月三日に行われた帰宅困難者対策訓練では、大地震が発生してから数日間が経過し、鉄道がまだ運転再開されていないという前提のもと、バスと船舶による代替輸送を行う訓練が行われました。約千五百台の車両を有している都営バスも訓練に参加いたしましたが、帰宅困難者の輸送に関し、都営バスは大きな役割を担うことが期待されます。
そこで、帰宅困難者の輸送など、大規模地震発生時の都営バスの役割について見解を伺いまして、私からの質問を終わりにします。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 新井ともはる議員の一般質問にお答えいたします。
まず、柔道の授業中に発生した死亡事故の状況についてでございますが、新聞等で報道されております平成二十二年度までの二十八年間に全国で発生した百十四件の柔道の死亡事故のうち、百二件は、中学校や高校の柔道部の活動中に発生したものでございました。授業中のものとしましては、中学校で一件、高校で十一件の死亡事故が発生しており、中学校の一件は、いわゆる突然死によるものでございました。
なお、東京都では、この十年間で、中学、高校の柔道の授業や部活動のいずれにおいても、死亡事故は発生しておりません。
次に、柔道の授業と部活動との違いについてでございますが、新学習指導要領により、平成二十四年度から、中学校では、柔道、剣道、相撲の中から一つを選択し、すべての生徒が、一、二年生の間に、いずれかの武道を学習することとなっております。
中学校の保健体育では、各学年、年間百五時間の授業時数の中で、陸上や球技等八つの運動領域をすべて学習しますために、武道は十時間程度の授業時数となり、柔道を選択した場合には、その歴史や特性、礼法、基本動作や技術の基礎を学習することとなります。
これに対し、柔道部では、段位を取得することや試合に出場することなどを目標に、一人一人の部員が体力や技能に応じて練習を積み重ねていきますために、体力、技能ともに競技性が高い点で柔道の授業とは大きく異なります。
次に、武道必修化に向けての取り組みについてでございますが、学習指導要領の改訂を受け、都教育委員会は、これまで区市町村教育委員会と連携して、武道必修化の意義やねらいを中学校に周知徹底いたしますとともに、生徒向け実技のDVD視聴覚教材や、武道指導事例集を作成、配布するなど、武道必修化に向けて指導の充実を図ってまいりました。
また、学校体育実技講習会、運動部活動指導者講習会及び体育系大学と連携した武道の専門的な研修会を毎年開催するとともに、二年間にわたり、外部の専門家を活用した武道指導のモデル事業を実施し、教員の指導力向上に努めてきたところでございます。
次に、今後の安全対策の充実についてでございますが、都教育委員会は既に、部活動中の重大事故防止のためのガイドラインを作成し、事故防止に努めてまいりましたが、さらに、専門家による技術委員会を設置して、柔道指導に内在する危険性を分析し、安全指導の一層の充実を図ってまいります。
また、この技術委員会の委員を講師として、すべての保健体育科教員を対象とした安全指導のための実技講習会を地区別に開催いたしますとともに、区市町村教育委員会の要請に応じて、中学校への特別な指導訪問を行い、安全指導のさらなる徹底を図ってまいります。
次に、重大事故が発生した場合の再発防止策についてでございますが、学校の教育活動中に死亡事故や後遺障害が残るなどの重大事故が発生した場合、学校はもとより、当該の教育委員会は、事故調査委員会等を設置して事故の原因を究明するとともに、事故の再発防止策を講じてまいります。
その際、事故の態様に応じて医療や運動の専門家等から意見を聴取するなど、より正確に原因を分析し、重大事故を防止するための具体的な対策を明示することによって、安全指導の徹底を図ってまいります。
次に、教員の指導力の向上についてでございますが、過去の事故を教訓に、指導内容や方法を見直したり、武道の専門家の指導を仰いだりすることは、武道指導を安全に進めていく上で極めて有効でございます。
このため、都教育委員会は、これまでの取り組みに加え、過去の重大事故から見出された医学的知見等を踏まえ、すべての保健体育科教員を対象とした実技講習会等を通じて、安全に配慮した授業の進め方の指導をさらに充実させてまいります。
また、これまで進めてきた外部の専門家を活用したモデル事業の成果の普及を通して、教員の指導力を向上させ、安全指導のより一層の徹底を図ってまいります。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 道路交差点における道路構造上の自転車安全対策への取り組みについてでございますが、自転車は、近年、その利用が広がっており、交通が集中する交差点部における自動車との接触事故の防止など、自転車の安全対策を図っていくことが重要であります。
交差点部における自転車の動線の分離や滞留空間の確保など、自転車にとって安全な交差点の構造については、既に交通管理者と連携して検討を進めております。
今後とも、歩行者、自転車、自動車がともに安全で安心して利用できる道路空間の整備に努めてまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 都民のための情報通信の確保についてでございますが、発災時に一斉帰宅を抑制するとともに、都民の不安を和らげ冷静な行動を促すためには、家族との安否確認や、行政などによる迅速な情報提供が不可欠でございます。
このため、都は、猪瀬副知事と内閣府政策統括官を共同座長とする帰宅困難者等対策協議会を設置し、通信事業者を交えて、発災時の情報通信の確保に取り組むとともに、都営地下鉄の駅構内や列車内でのメールやインターネットの利用が年内に順次可能となるよう、整備を進めております。
また、東日本大震災では、携帯電話が通じにくくなった一方で、インターネットを通じた情報共有に効果が認められており、都はこうした教訓を踏まえ、二月三日の帰宅困難者対策訓練において、ツイッターやエリアワンセグなど多様な通信ツールを活用した情報提供を試みました。
今後、訓練成果の検証を踏まえ、ソーシャルメディアや特設公衆電話の活用、地図による情報提供も含めた東京都防災ホームページの機能強化など、発災時の安定的な情報通信の確保に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 歯科健診の受診促進につきましてお答えを申し上げます。
都は、成人期にかかりつけ歯科医で定期健診等を受ける都民の割合につきまして、平成十二年に策定をいたしました西暦二〇一〇年の歯科保健目標において、具体的な数値目標を定めておりまして、講演会やイベントなどを通じて都民への普及啓発を図ってまいりました。
その結果、四十歳以上で目標値を大きく超えるなど、定期健診を受けている都民は着実に増加いたしております。
また、区市町村が実施しております歯周疾患検診等につきましても支援を行っておりまして、五十七の区市町村で既に実施されております。
昨年一月に策定いたしました新たな歯科保健目標でございます、いい歯東京におきましても、健診の目標を定めておりまして、今後とも、区市町村や東京都歯科医師会等関係団体と連携して取り組みを進めてまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 住宅政策における多世代交流についてでございますが、年齢や世帯構成等に偏りのないバランスのとれたコミュニティを形成することは、多様な人々の交流を促進し、地域活力の維持向上に寄与すると認識しております。
都はこれまでも、都営住宅において、子育て世帯の入居機会拡大を図ったり、建てかえによる創出用地を活用し、保育所や子育て世帯向け住宅、高齢者福祉施設の整備を促進するなどの取り組みを行っております。
また、お話の都市再生機構、URの多摩平団地の建てかえに当たっては、市やURと連携して保育所、高齢者福祉施設、集会施設などを備えたまちづくりを支援することで、多様な人々の交流を促進しております。
今後とも、こうした取り組みにより、多世代がともに暮らすバランスのとれた地域コミュニティの形成に努めてまいります。
〔交通局長野澤美博君登壇〕
〇交通局長(野澤美博君) 大規模地震発生時の都営バスの役割についてでございますが、都営バスは、大規模地震発生時に、交通規制が行われる区域においても通行できる緊急通行車両となっており、東京都地域防災計画に基づいて、負傷者、医療スタッフのほか、帰宅困難者の緊急輸送を担うことになります。
現在、関係機関と首都直下地震の発生時における、より具体的な帰宅困難者の輸送体制について検討しておりまして、この結果等を踏まえて、震災時において都営バスが機動的な輸送手段としての役割を果たせるよう努めてまいります。
〇議長(中村明彦君) 六十一番橘正剛君。
〔六十一番橘正剛君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇六十一番(橘正剛君) 初めに、自治体間の災害時応援協力体制について質問します。
東日本大震災では、自治体相互で結ばれている応援協定などに基づいて、全国規模で活発な支援が展開されました。東京都も、全国政令都市による大都市災害時相互応援協定や、全国知事会の都道府県広域応援協定等に基づいて支援を実施し、都の物心両面にわたる大規模かつ継続的な支援には、被災地から多くの感謝が寄せられております。
その一方で、今回の応援では幾つかの課題も浮き彫りになりました。都に関係する応援体制で見ますと、その一つは、全国知事会による支援です。同じ東北ブロック内で予想を超えた多くの県が同時に被災したこともあって、調整に手間取り、初動対応がおくれてしまったといわれております。
また、首都圏の九都県市による支援では、協定内容が九都県市域外の自治体の支援を想定したものではないことから、各自治体が独自に支援を行わざるを得ず、広域力を生かすことができなかったことなどが指摘されております。
こうした中で注目されているのが、広域行政組織、関西広域連合によるカウンターパート方式です。応援する側が担当する被災県や自治体を決めて支援する方式で、我が党が、今月、調査のために訪問した宮城県の防災担当者によりますと、被害の全体像が把握できない大混乱の中で、自主的に応援に入る自治体を決めて支援に取り組んでもらったことが、結果的に切れ目のないスムーズな支援につながったとのことでありました。
都が参加する相互応援協定については、こうした分析も踏まえ、地域ブロック単位で広域支援体制をつくるなど、相互応援体制を再構築すべきです。
あわせて、九都県市が協定域外の支援についても協力連携して実施できるよう、都が見直しを推進すべきと考えます。見解を求めます。
さらに、首都直下地震、三連動地震など、連続する巨大地震の可能性も指摘されており、太平洋岸一帯が、広域にわたって機能不全に陥る事態も想定しなければなりません。
首都東京がこうした事態に迅速的確に対応するためには、国内に加え、海外との連帯の強化も不可欠です。
特に、これまで深めてきたアジアの大都市との結びつきは重要であります。アジア大都市ネットワークを提唱し、人間の連帯の重要性を訴え行動されてきた石原知事に、防災対策における海外との連帯の強化について所見を伺います。
次に、災害医療について質問します。
首都直下地震の切迫性が指摘される中で、災害拠点病院等の事業継続計画、BCPの策定は一段と緊急性が高まっております。BCPが策定されていないと、初動の対応、医療提供の継続性、院内の医療スタッフの役割分担等があいまいになり、いざというときに大混乱を招きかねません。また、病院内における不備な部分や、改善しなければならない分野等も明確にならないからであります。
昨年の第二回定例会の一般質問で、私は、災害時に災害拠点病院が機能を十分発揮できるよう、建物や設備を詳細に再点検すべきと提案いたしました。都はこれを受けて、再点検を実施すると同時に、水や燃料の確保状況など、BCPに必要な点検項目も調査しており、現在、まとめ段階に入っていると聞いております。
この結果を踏まえ、災害拠点病院それぞれがBCPを策定しやすくなる情報として集約し、病院側に提供すべきと考えます。見解を求めます。
さらに、災害拠点病院のみならず、そのほかの病院においても、BCP策定を急がなければなりません。東日本大震災の被災県における医療機関の被害状況と医療活動の関連を見ますと、多くの医療機関が被災し機能が低下すると、被害の小さい医療機関に患者が集中し、結果的に地域全体の災害医療機能が低下するケースが見られました。
災害時に同様の事態が都内で多発しないように、BCP策定の働きかけを一般病院にも広げ、災害拠点病院と一般病院の緊密な連携体制を医療圏ごとに構築すべきと考えます。見解を求めます。
次に、災害廃棄物、いわゆる震災瓦れきの広域処理について質問します。
都内では、瓦れきの受け入れと清掃工場での焼却等について、二月から都内各区で住民説明会が行われております。説明会では、被災地の現状や現地での仕分け作業、放射線測定体制などを紹介したDVDが放映され、瓦れき処理に対する地域住民の不安解消や広域処理への理解に役立っていると聞いております。
私も十数分に編集されたこのDVDを見ましたが、映像による処理作業の紹介は、見えない放射線への対応を見える形にしており、非常にわかりやすくなっていると思います。
しかし、都内清掃工場での本格処理がまだ始まっていないため、このDVDには、都内に搬入された後の処理工程や放射線測定の部分が盛り込まれておらず、説明会では、これまでの試験処理段階で撮影した写真が使用されております。
都民にとっては、都内の処理工程も大きな関心事であることから、都内清掃工場で三月二日から始まる本格処理の様子を動画に収録し、被災地から都内までの一連の処理工程を都民に紹介すべきと考えます。見解を求めます。
二十三区では、今月いっぱいで住民説明会が終了します。説明会に出席しDVDを見た都民や清掃工場周辺地域の町会、自治会等からは、より多くの方に見せてもらいたいとの声も寄せられております。このため、このDVDを広く配布し、都民が自由に活用できるようにするほか、要請があれば、瓦れきの受け入れを検討している全国の自治体にも配布して、広域処理推進の一助にすべきと考えます。見解を求めます。
次に、中小企業支援について質問します。
厳しい経営環境にある多くの中小企業は、生き残りをかけて懸命の努力をしておりますが、自社のみでの対応には限界もあります。そこで、複数の中小企業がグループをつくり、仕入れや発注などを共同で行ってスケールメリットを確保しようという動きが広がりを見せております。
都は、三年前から基盤技術の担い手である中小企業がグループを結成した場合、アドバイスを行う専門家を派遣したり、助成金を出す支援事業を実施しました。グループ化の成果をより高めようとする中小企業にとっては、心強い支援策となっております。
そこでまず、この三年間の中小企業グループに対する支援の成果とアドバイス事業の充実について見解を求めます。
グループ化と同様に、同じ業種を中心とした事業組合によるスケールメリットを生かす手法として、同業種組合が官公需の受注資格を取得する官公需適格組合があります。この適格組合は、単独では大きな官公需を受注できない中小企業が、組合として結集することによって、予算規模の大きい官公需の受注資格を得ることができるという利点があります。
しかし、適格組合の理事長など関係者から話を伺うと、必要とされる組合としての技術力強化や組合内の調和が難しいといった課題を抱えておりました。こうした状況を乗り越えるためには、組合に加入する個々の中小企業の技術や経営問題の解決を図る専門家によるサポートが極めて有効であります。
特に、適格組合の構成員である中小企業経営者に対しては、会社の現場に専門家が出向いて相談に応じるきめ細かな支援が不可欠であると考えます。都の取り組みについて見解を求めます。
次に、東京都保健医療公社豊島病院と地域医療連携の強化について質問します。
私の地元板橋区にある豊島病院は、平成二十一年四月に、都立病院から保健医療公社に移管されました。移管後、全国的な医師不足、看護師不足に悩まされるなど、病棟の運営に大変な苦労を背負いながらも、地域医療の充実に貢献してきたことは大いに評価したいと思います。
公社移管から間もなく三年がたとうとしておりますが、地域医療連携を中心とする病院の取り組みが、公社移管のメリットを生かしてどのような成果に結びついたのか所見を求めます。
地域医療連携は一段と重要性を増しております。すなわち、患者の高齢化に伴い、継続的に医療を必要とする人が増加している一方で、医療機関や療養施設の受け入れ能力は限られていることから、在宅医療を含め、地域連携の充実が重要になります。在宅医療を担うのは診療所等の医師や看護師であり、この活動を支えるのが地域医療の中核病院であります。
こうした観点から、豊島病院では、在宅医療を提供している診療所等とも紹介、逆紹介という相互連携や、地域包括支援センターとの調整などが密に行われており、区部西北地域の地域医療充実に大きな役割を担っております。
これまで、地域医療連携のノウハウを積み重ねてきた豊島病院は、地元医師会や行政との連携をさらに強化し、医療連携のモデルとなる取り組みを進めていくべきと考えます。これを支援する都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 橘正剛議員の一般質問にお答えいたします。
防災対策に関する海外との連帯の強化についてでありますが、東日本の大震災では台湾、タイ、韓国などのアジアの各国のほか、ブータンやツバルなどの小さな国に至るまで、多くの国々が救助隊や医療支援チームの派遣をしてくれまして、救援物資や義援金を送り日本を支援してくださいました。
震災のような非常時において、最も力を発揮するのは信頼と連帯のきずなでありまして、これは都市と都市との間においても変わらないと思います。
これまでも、みずから提唱し、創設したアジア大都市ネットワークを通じて、アジア危機管理会議を開催し、国境を越えた恒常的な協力体制を構築するなど、儀礼的な外交とは一線を画した実質的な交流を深めてまいりました。
また、都は台湾地震やインドネシア・スマトラ沖地震など、海外の災害に対しても、義援物資の提供、ハイパーレスキュー隊の派遣などの支援を行ってきておりまして、先般、大洪水に見舞われたバンコクに対しても、真の友人として義援金や飲料水を送付いたしました。
今後とも、海外の諸都市との結びつきを深めて、有事の際には積極的に支援をするなど、連帯に裏打ちされた安全な都市を実現していきたいと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 災害時の相互支援についてでございますが、発災時には、救出救助活動にかかわる人的支援、食料等の物的支援を円滑に行う必要があり、自治体間の相互支援が果たす役割は極めて大きいものと思っております。
しかしながら、今回の震災では、全国知事会による初動時の調整や九都県市が一体となった被災地支援が困難であったなどの課題が明らかになりました。この教訓を踏まえて、全国知事会では、複数ブロックによる広域応援や事務局体制の強化などの検討が進められております。
都といたしましては、今後、発災時に有効に機能する広域支援体制の構築に向けて、他県との効果的な協力体制の確保や具体的な支援内容などについて検討を進め、全国知事会に働きかけるとともに、域外自治体への支援も含めた協定への見直しを九都県市に提案してまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 災害医療に関します二点のご質問にお答えを申し上げます。
まず、災害拠点病院におけるBCPについてでございますが、都はこれまで、災害拠点病院に対しBCPの基本的な考え方や策定に当たってのポイントを明示するなど、その策定を促してまいりました。
今回の東日本大震災では、他県からの医療救護班等の円滑な受け入れ、水や燃料、そして医薬品の長期的な供給不足などの課題が明らかになりましたことから、これらへの対応をBCPに加えるため、都は現在、改めて各病院における人員配置計画やライフラインの確保対策などについて調査を実施いたしております。
各災害拠点病院がより実効性のあるBCPを策定できますよう、この調査結果も踏まえまして、必要な記載項目のほか、先駆的な対策事例等も盛り込んだ、仮称でございますけれども、BCP策定ガイドラインを本年三月中に作成をいたしまして、その周知徹底を図ってまいります。
次に、災害拠点病院とその他の病院の連携についてでございますが、首都直下地震など大規模災害が発生した場合、都は地域防災計画に基づきまして、被災を免れたすべての医療機関を後方医療施設として位置づけまして、災害拠点病院を中心に、継続的に必要な医療を提供することといたしております。
このため、都は、今回作成をいたしますBCP策定ガイドラインを災害拠点病院のみならず、すべての病院に周知しBCPの策定を促してまいります。
さらに、災害拠点病院とすべての病院が緊密に連携をいたしまして、傷病者への医療提供を迅速かつ効果的に行えますよう、東京都災害医療協議会、二次保健医療圏ごとに設置をいたします地域災害医療連携会議で具体的な方策を検討いたしまして、地域の実情に応じた災害医療体制の充実強化を図ってまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 災害廃棄物の広域処理に関する住民説明についてでございますが、都が区市町村と共同で実施をしている住民説明会では、被災地女川町での放射線量の測定状況や、選別の方法、女川町長や町民の声などを入れました動画と、都内での処理工程を示した写真入りの資料を使い、都民の理解を求めております。
三月からの本格搬入開始後は、実際の処理を担う区市町村の協力をいただきまして、ご提案のように、都内清掃工場での処理工程や放射能測定等の様子を撮影し、被災地の状況から都内での処理までのすべてのプロセスを含む新たな動画を作成し、一層わかりやすい説明に努めてまいります。
また、作成した動画は、区市町村を通じて清掃工場周辺の町会、自治会等にもDVDとして配布するとともに、環境局のホームページに掲載し、広くユーチューブからも閲覧できるようにしてまいります。
また、被災地の女川町では、あした処理現場の見学施設が開設されますので、視察に訪れる全国の自治体向けに活用するほか、都に相談があった他県の自治体に対しても配布して、広域処理の促進に努めてまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 中小企業支援に係る二点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業のグループへの支援についてでありますが、中小企業がグループをつくり、生産や販売等を共同で行い、受注の増加につなげることは重要であります。
都は、平成二十年度から、基盤技術産業グループ支援事業によりまして、中小企業のグループが共同受注の体制を充実する取り組みに対し、三カ年で十八グループ、七十五の企業に専門家を派遣し、受注システム開発などの経費を助成してまいりました。
今年度より、製品の開発から生産や営業までを協力して行うグループを支援する新たな事業を開始いたしまして、これまで以上に幅広い課題の効果的な解決に向け、さまざまな分野の専門家のチームによるきめ細かいサポートを実施しております。
次に、官公需適格組合の企業への支援についてでありますが、事業協同組合などが抱える課題の解決に向け、加盟されております個々の中小企業に対しまして、専門家が企業の現場で相談に応じサポートすることは効果的であります。このため、中小企業振興公社では、経営の専門家などが継続的に企業を訪問いたしまして、アドバイスなどを行う事業を実施しております。
利用者の評価は高くなっておりまして、相談実績の増加が見込まれますため、派遣の規模を四百八十回から七百六十回に拡充をいたします。こうした取り組みにより、中小企業の経営課題の解決を的確に支援してまいります。
〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕
〇病院経営本部長(川澄俊文君) 二点の質問にお答えいたします。
まず、移管後の豊島病院の取り組みについてでございますが、豊島病院では、地域の医療機関との患者の紹介、逆紹介を積極的に推進するとともに、地域の医療従事者に対する研修を行うなど、地域医療連携の取り組みを強化し、平成二十二年八月には、地域医療支援病院の指定を受けたところでございます。また、二次救急医療を適切に提供するとともに、地域に不足する産科医療につきましても、月五十件程度の分娩を安定的に行っているところでございます。
さらに、看護師不足に対しましては、PR活動や病院見学の実施など、さまざまな対策に力を注いだ結果、必要な人員を確保することができ、平成二十三年六月には、長年の懸案であった一般病床の全面開設を果たすなど、体制の充実を図ることができたところでございます。
次に、豊島病院の在宅医療への支援についてでございますが、豊島病院では、退院後に在宅で療養している患者が急変した場合には、救急で対応しております。また、緩和ケア病棟では、退院後、在宅で療養しているがん患者の受け入れにも対応しているところです。地域の在宅医療の関係者とは、区医師会主催の在宅療養ネットワーク懇話会への参画や、ケアマネジャー研究協議会との連携を図りながら、協力関係を築いているところでございます。こうした取り組みを継続し、在宅医療に関するニーズを把握しながら、病院の機能を生かしたさらなる支援のあり方を検討してまいります。
〇副議長(ともとし春久君) 四十二番中屋文孝君。
〔四十二番中屋文孝君登壇〕
〇四十二番(中屋文孝君) 昨年末、国は、全国の七地域を国際戦略総合特区に指定し、東京都も外国企業を誘致するアジアヘッドクオーター特区に指定されたことは大変にうれしく感じております。しかし、東京の特区は七つのうちの一つという安易な位置づけに甘んじては、決してならないと強く申し上げたい。特区構想の実現に当たっては、東京が全国をリードしていくという強い気構えを持って臨んでほしいのであります。
特区に選ばれた対象地域は、新宿と渋谷、六本木、丸の内、さらには臨海部まで。何でここに文京区が入っていないのか、まことに残念ではありますが、今申し上げた場所は、日本経済を牽引する代表的なエリアであります。
注目すべきは、臨海副都心地域です。かつて二十年前に始まった臨海副都心開発は、青島元都知事が、都市博を無謀にも中止し、停滞を余儀なくされた時期もありました。その後、石原都知事を中心に、都職員の努力の結果、今日では、東京ディズニーリゾートを凌駕するほどの人気となりました。本当にすばらしいことです。
そこで知事に強く要望いたしますが、石原都知事四期目の総仕上げとして、東京のあらゆる知恵と頭脳を結集して、臨海副都心を世界に冠たる安心・安全なMICE、エンターテインメントシティへと、知事の手で実現していただきたいと思っております。そうすることで、必ず日本全体に新たな風貌と元気が出てくるものと確信をしております。
以上のような思いを込めて、以下、特区について伺ってまいります。
東京は、今回の特区指定を受けて大変な注目を浴びることになります。東京の産業振興はもちろん、対日投資の促進が日本全体に大きな波及効果をもたらすことが期待されるからです。
例えば、MICE振興に際しても、国際観光の視点に加え、アミューズメント施設を整備することによって、復興財源の一部を賄い、東京から被災地を支援し、低迷している日本経済を復興させるぐらいの大胆な提案を、私なら発信したい。総合特区制度は、それぐらい大胆な施策を行える可能性を秘めているはずです。
そこで伺いますが、MICE振興のための拠点づくりなど、総合特区の対象地域について、どのような将来構想を描いた上で、今回のアジアヘッドクオーター特区を推進しようとしているのか。また、外国企業を東京に誘致することで、東京だけではなく、日本全体にどのような効果をもたらすのかを積極的に発信していくべきと思いますが、見解を伺います。
また、MICE振興のためには、国際観光機能も重要な要素であります。
MICE先進都市であるシンガポールやソウルなどは、MICE機能のほか、アフターコンベンション機能の充実にも取り組み、高級ホテル、テーマパークや劇場、カジノなど、国際都市としての魅力ある観光資源を開発しています。これにより多くのMICEの誘致に成功しているのです。
とりわけカジノは、大きな経済波及効果や雇用創出効果も期待でき、既に百二十以上の国や地域で実施されています。しかし、日本では、法整備に関する国政の議論は遅々として進まず、いまだ実現の見通しは立っていません。ここは利用者を限定するなどの仕組みで課題を解決し、スピード感を持って実行に向けた第一歩を踏み出すべきです。
いずれにしても、MICE、国際観光機能を充実させるためには、民間の豊かな発想力を活用することが重要です。臨海副都心開発におけるこうした点からの取り組みについて所見を伺います。
次に、舟運ルートの開発と防災船着き場の利用について伺います。
かつて江戸東京は、水の都といわれましたように、まちを縦横に流れる河川を使って人や物が行き交い、水辺の文化が花開きました。現在、ことし二月に開通した東京ゲートブリッジや五月開業予定の東京スカイツリーなどは、新たな水辺の観光スポットとして注目を浴びています。
こうした観光機運の高まりを受け、水辺のさらなるにぎわいのためにも、新たな舟運ルートの開発が必要だと思いますが、見解を伺います。
また、都、国や区では、震災発生時に救援物資などを輸送することを目的に、中小河川を含めた防災船着き場を整備してきました。こうした中小河川を含めた防災船着き場を、ふだんから観光舟運などに活用することができれば、災害時には、船着き場の利用が容易になるとともに、平常時には、都民にとっても、川に親しむよいきっかけになると考えます。
そこで、都内の中小河川を含めた防災船着き場の平常時利用について伺います。
次に、横断歩道橋について伺います。
震災時の歩道は、避難者など、日常より多くの都民の利用が想定され、歩行者空間の確保が重要となりますが、例えば、歩道橋の柱や階段が通行の支障となっている場合もあるのではないかと感じております。
都が管理している六百余りの歩道橋は、これまで、児童が通学路として利用するなど、歩行者の安全確保に大きな役割を果たしてきました。これらの中には、地元が要望して設置してきたものも多くありますが、利用者が減少している歩道橋もあります。
そこで、都は、そうした既に役割を終えた歩道橋については、道路におけるさまざまな改良工事にあわせて撤去を検討するなど、さらに歩道橋の撤去を進めるべきと考えますが、都の所見を伺います。
また、撤去を進める一方で、高齢者や障害者の利用が多い歩道橋もあり、スロープやエレベーターを設置するなど、歩道橋のバリアフリー対策を進めるべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
私の地元文京区の根津、千駄木は、台東区谷中とともに谷根千の名で親しまれ、昔ながらの商店、歴史ある神社仏閣などがまちの魅力を引き立て、郷土愛豊かな土地柄であります。一方で、木造住宅の密集地域であり、震災時には、火災が発生すれば延焼のおそれが心配な地域でもあります。
東京消防庁では、水道局と協力して、水道施設を利用したり、住民が使いやすい水利や消火器具を活用した訓練をモデル地区で実施していると聞きます。こうした取り組みを谷根千のような木造住宅密集地域から速やかに導入し、全都へと広げて、広く都民の不安を解消すべきと考えます。
そこで、地域防災力の向上を目指したモデル地区での取り組みと今後の展開について伺います。
次に、安全で安心できるまちづくりに関して伺います。
先日の樋口警視総監の報告にもありましたが、都内における刑法犯認知件数は減少しておりますが、ひったくりなど身近な犯罪はまだまだ多く、昨年の都民生活に関する世論調査の要望では、治安対策が依然上位にあり、治安改善を望む都民の声は今も大きい状況があります。
この世論調査の中で、治安に対する効果的な取り組みとして、防犯カメラの設置が第一位となっており、防犯カメラに対する都民の期待が大変高いことがわかります。
文京区では、今年度、都の補助金を活用し、地域の方々が防犯カメラを整備しましたが、最近、都内各地で地域団体による防犯カメラの整備が広がってきております。東京の治安改善のためには、防犯カメラの整備を初めとした地域における防犯の取り組みをしっかり支援していくことが必要と考えますが、所見を伺います。
今後も、都民が治安の改善を実感していくためには、大規模な繁華街のみならず、町会や自治会が行う取り組みが重要であり、それらの取り組みを強力に後押ししていく必要があります。
そこで、都として、町会、自治会などが取り組む防犯カメラの整備に対し、きめ細かく支援していくべきと考えます。所見を伺います。
次に、子どもの体力向上について質問します。
都教育委員会はこれまで、子どもの体力向上を図るため、子どもの生活活動のガイドラインを一万五千歩と具体的に定め、取り組みを開始するとともに、平成二十三年度に大規模な歩数調査を実施したと聞いています。
そこで、このたびの歩数調査の意義と結果について伺います。
また、社会全体が体を動かさなくても済むような便利な世の中になってくると、一人一人が運動不足を自覚し、少しでも体を動かすように心がけることが重要となってまいります。
そこで、このたびの調査結果を踏まえ、東京都柔道接骨師会などの専門機関と連携を図り、運動の専門的知見を取り入れるなどして、より一層工夫した体力向上の取り組みを展開すべきと考えますが、所見を伺います。
来年は、いよいよ五十四年ぶりの東京国体、スポーツ祭東京二〇一三が開催されます。この大会の盛り上げのためには、東京都選手団が活躍し、国民体育大会において総合優勝を果たすことが必要です。都では、過去最高得点で総合優勝を果たすことを目標とし、ジュニアアスリート発掘・育成事業など、ジュニア選手に対しさまざまな競技力向上を取り組み、その結果、一定の成果を上げていると聞いています。
しかしながら、東京都が国体で総合優勝を果たすためには、何より東京都選手団に対する都民を挙げた応援が欠かせません。
そこで、私は、子どもたちのスポーツへの関心を高めるとともに、子どもたちに国体競技を肌で体験させ、興味を持ってもらえるような取り組みが欠かせないと考えます。所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 中屋文孝議員の一般質問にお答えします。
まず、このたびの歩数調査の意義と結果についてでございますが、我が国では歩数計を用いた子どもの身体活動量についての大規模統計調査がなく、子どもの発育、発達に必要な運動量を規定するための基礎研究が不十分でございました。このため、都教育委員会は本年度、都内全地域一万六千人の児童生徒に対する大規模な広域歩数調査を実施いたしました。
本調査は、統計学上信頼性のある規模での実施、科学的データを得るための調査方法の工夫、小中高校全学年別の集計分析等の特徴があり、世界的にも例がないために、今後の統計調査の基準になり得るものと考えております。
調査の結果、歩数は年齢が上がるにつれて減少している、あるいは高校生は男女の差がない、一日の歩数は授業以外の時間の影響を受けている、あるいは小中学校期では歩数と体力の間に相関関係があることなどの実態が明らかになったところでございます。
次に、歩数調査の結果を踏まえた取り組みについてでございますが、調査結果から、運動や医療の専門機関等と連携し、児童生徒の生活実態に応じて、家庭、地域や学校がそれぞれ具体的な対策を講じていく必要性が明らかになりました。このため、都教育委員会は、家庭、地域に対して、授業以外の時間や、休日に運動していない子どもの現状への警鐘を鳴らしますとともに、身体活動量の増加プログラムを開発し、望ましい活動のあり方を啓発してまいります。
また、学校に対しては、児童生徒一人一人の生活実態に応じて、一日当たりの歩数の目標値を設定させたり、休み時間や体育の授業における活動量を増加させたりするなど、東京都柔道接骨師会等の専門機関からの知見も得ながら、さまざまな具体策を講じて、子どもの体力向上を図ってまいります。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
初めに、防災船着き場の平常時の利用についてでございますが、都では、東京の河川をにぎわい豊かな水辺空間とするため、東京都公園協会の水上バスの運航に利用するほか、国や区に先駆けた独自の施策として、隅田川の越中島と明石町防災船着き場の一般開放も行っております。
平成二十二年度には、千四百隻を超える民間船が利用し、各種クルーズの新たな発着拠点となっております。また、近年、神田川や日本橋川などの中小河川でも小型観光船が増加しており、観光舟運のネットワーク拠点として、防災船着き場の利用が期待されております。
都としては、今後も利用ニーズを踏まえつつ、地元理解を得ながら、防災船着き場の開放を進めるとともに、国や区が管理する船着き場についても開放を促し、水辺のにぎわいを創出してまいります。
次に、横断歩道橋の撤去についてでございますが、横断歩道橋は、交通安全対策上の緊急措置として、昭和四十年代に集中的に整備してまいりました。しかし、利用者の減少、近傍における横断歩道の設置、さらには通学路指定の解除など、当時とは利用状況や周辺環境が変化した歩道橋もあります。
これらについては、役割を終えた歩道橋として、交通管理者と調整の上、地元と合意が得られたものから撤去を進めており、平成二十二年度までに、六十二橋を撤去いたしました。
このうち十七橋は、道路拡幅を伴う街路事業や交差点改良事業などにあわせて実施しております。引き続き、歩道橋の利用実態を踏まえ、他事業との連携も含めて、必要に応じてその撤去を進めてまいります。
最後に、歩道橋のバリアフリー対策についてでございますが、都では、既設歩道橋のうち、高齢者や障害者などの利用が多く、エレベーターやスロープの設置を優先的に実施する必要が特に高い歩道橋を対象に、歩道における空間が確保できるなど、構造基準を満たせる箇所において、バリアフリー新法などに基づき対策を実施しております。
今年度には、JRの貨物線を横断する南千住駅前歩道橋においてエレベーターを設置いたしました。今後とも、バリアフリー化の必要性が特に高い歩道橋については、エレベーターやスロープの空間確保に努めながら、バリアフリー対策に取り組んでまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
〇知事本局長(秋山俊行君) 総合特区対象地域の将来像と外国企業誘致が日本全体に及ぼす効果についてでございますが、アジアヘッドクオーター特区の具体化に当たりましては、その前提といたしまして、外国企業誘致の目的や手法、日本全体に及ぶ効果等を明らかにし、戦略的に取り組む必要があるというふうに考えております。
このため、特区区域の目指すべき姿や、ハード、ソフト両面からの東京の都市としての総合力と、その向上のための基本戦略を盛り込んだ域内ビジョンを、特区推進する組織でございます地域協議会として策定することとしております。
この中で、MICEは、ご指摘のとおり、企業誘致と都市の魅力のPRのための有効なツールであることから、外国企業誘致の大きな柱の一つとして位置づけ、臨海副都心をMICE拠点とするためのグランドデザインも描いてまいります。
また、既に、日本に進出している外国企業の事業展開を見ますと、例えば、ある外資系技術コンサルティング会社は、東京へまず拠点が進出し、その後、数年で地方に営業所を構え、現在は、関西全域で営業活動を展開しているといった事例もありますことから、東京へ誘致した外国企業が地方での雇用を誘発し、地方企業とのコラボレーションを生むなどの全国への波及効果も期待できるというふうに考えております。
過去に行った外国企業の環境整備に関する調査データ、これをもとにした試算では、外国企業五百社を誘致することで、全国への経済波及効果として約一兆円、雇用誘発効果として約九万人を見込んでおりますが、現在、最新のデータに基づく再試算に着手しているところでございます。
今後、東京はもちろんのこと、広く日本全体に効果が発揮できるよう、外国企業誘致の取り組みを推進してまいります。
〔港湾局長中井敬三君登壇〕
〇港湾局長(中井敬三君) 臨海副都心における民間の発想力を生かしたMICE、国際観光機能のさらなる充実についてでありますが、国内外の多くの人々でにぎわう地域として発展するためには、グローバルニーズに適合したMICE機能と魅力的な新しい観光資源の創出が必要であり、そのためには、ご指摘のとおり、民間の創意工夫を効果的に引き出すことが重要であります。
そこで、来年度、臨海副都心MICE拠点化推進事業を新たに創設し、MICE機能の充実、アフターコンベンション機能の形成、外国企業の進出促進に資する先駆的な事業に対して補助金を交付してまいります。
民間の豊かな発想力を最大限に活用する仕組みを整備し、実行していくことで、臨海副都心ならではの事業の展開や、外国人観光客へのサービス向上、多様な交通手段の提供など、この地域の発展に必要な機能の充実を図ってまいります。
これにより、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化を促進させ、東京のみならず日本全体の活性化につなげられるよう全力で取り組んでまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 新たな舟運ルートの開発についてでありますが、都は平成十八年度から、関係局が連携し、魅力的な水辺空間の実現に取り組む中で、カフェや桟敷の設置などにより、水辺の観光資源化を図ってまいりました。
近年、川から見る風景は、ふだん目にするものと違う新しい発見があると、都心の河川や運河を運航するツアーに関心を寄せる人が増加しております。こうした状況も踏まえまして、来年度は、これまでの取り組みを発展させ、新たな舟運ルートの開発やその事業化を目指して、水辺活動団体などが実施する実証実験や、にぎわい創出事業に対して助成を行います。
これにより、隅田川や神田川下流地域などにおいて、観光客の回遊性を高める取り組みを促進し、水辺のさらなるにぎわいにつなげてまいります。
〔消防総監北村吉男君登壇〕
〇消防総監(北村吉男君) 地域防災力向上モデル事業の取り組みと今後の展開についてでありますが、お話のような木造住宅密集地域における震災時等の火災被害の軽減を図るためには、発災初期における地域住民による消火活動が重要でございます。
東京消防庁では、地域住民による初期消火体制等の強化に係るモデル事業を行っておりまして、水道局と連携いたしまして、狭隘道路における消火栓等や自主防災組織による取水が容易となるよう、ふたに改良を加えた防火水槽の整備を初め、大容量の水が確保できる深井戸の多目的な活用を検証しております。あわせて、スタンドパイプや軽可搬消防ポンプを使用した地域住民が主体となった街区における実践的な訓練のあり方についても検証しているところでございます。
今後は、その結果を踏まえ、延焼危険度の高い木造住宅密集地域から早急にこうした施策を展開し、地域防災力の向上を図ってまいります。
〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、地域における防犯の取り組みへの支援についてでありますが、東京の治安改善のためには、それぞれの地域における防犯カメラの整備や防犯パトロールなど、ハード、ソフト両面合わせた取り組みが重要であります。
そのため、都は、地域における見守り活動支援事業により、地域団体による防犯パトロール活動を促進し、また防犯カメラなどの整備に対して、区市町村とともに補助を行っております。
今年度、防犯カメラについては、昨年度の補助実績四百九十五台を大幅に上回る七百二十五台の補助申請があり、防犯カメラ整備への地域の要望は高まっておりますが、都といたしましては、このような要望にこたえられるよう、来年度、防犯カメラの整備を初め、地域団体による防犯の取り組みに対する支援をさらに充実してまいります。
次に、防犯カメラの整備に対する支援についてでありますが、安全で安心な東京の実現には、繁華街、住宅街など、それぞれの地域の実情に応じて防犯活動を支援していく必要がございます。特に、都民の体感治安の向上には、町会、自治会が行う防犯活動についても、さらに支援する必要がございます。そのため、町会、自治会が単独で行う防犯カメラ等の整備を、新たに地域における見守り活動支援事業の補助対象に加え、地域負担の軽減を図ることとしております。
さらに、災害に強いソーラー式防犯カメラ等への補助枠を設けるなど、補助制度の充実を図ることで、地域による防犯カメラの整備等をきめ細かく支援し、より多くの地域で安全で安心なまちづくりを推進してまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) スポーツ祭東京二〇一三についてでございます。
大会成功のためには、東京都選手団が総合優勝をかち取るとともに、それを応援いたします都民、とりわけ子どもたちに、スポーツのすばらしさや楽しさを実感してもらい、スポーツのすそ野を広げていくことが何よりも重要でございます。
都は、今年度より、国体競技の魅力を広めるため、区市町村が競技団体と協力して実施する普及啓発事業に支援を行っております。これまで、小中学生を対象としたトップアスリートによる実演や指導、体験教室など、五十一事業が実施され、地元の子どもたちからの好評を得ております。
今後とも、この制度の活用を促進いたしまして、ことし行われるリハーサル大会を初め、都や区市町村が主催するイベントなど、さまざまな機会をとらえまして、スポーツの魅力をさらに広め、スポーツ祭東京二〇一三の開催機運の醸成を図ってまいります。
〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二十分休憩
午後三時三十五分開議
〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
八十番今村るか君。
〔八十番今村るか君登壇〕
〇八十番(今村るか君) 二〇一一年十二月、東京都は「二〇二〇年の東京」計画を発表した。「二〇二〇年の東京」計画は、東日本大震災後の新たな社会経済状況に対し、中長期的な視点から的確に対応し、日本の再生と東京のさらなる進化を目指して策定された新しい都市戦略である。
それでは、二〇二〇年の東京の未来図を、パネルを使って皆さんにイメージしていただき、その実現のために東京都はどう取り組みを進めるのか伺います。
東京には、たくさんの総合型地域スポーツクラブがあり、子どもたちは間もなく開催される東京オリンピックにわくわくしながら、いつか自分もオリンピックに出場することを夢見て練習に励んでいます。
建てかわった新国立競技場が見えてきました。オリンピック開幕直前の東京のまちには、それはそれは大勢の外国人観光客があふれ返っています。空には江戸の花火も美しく上がっています。
言葉が通じないはずの世界じゅうの人々が、実に、とても楽しげに観光をしています。だれもが眼鏡をかけています。耳にはばんそうこうのようなものがついています。よく見ると、ばんそうこうではありません。接着携帯電話だそうです。接着携帯電話からは、外国人観光客一人一人に、自分の国の言葉で案内ナビをしてくれています。メガネスコープで見ると、まちじゅうの日本語がすべて自分の国の言葉になって見えます。行きたい場所には画像で案内もしてくれます。
これは、東京都が多摩地域に集積をしている中小企業の英知と技術力を結集し、つくり上げたもので、現在世界じゅうに輸出されています。
東京の至るところでは、子どもたちが外国人観光客ととても楽しげに笑い、拍手を受けています。向こうでは、子ども歌舞伎におはやし、獅子舞。あちらでは野点でお茶のお手前、生け花教室。こちらでは紙芝居ですね。震太郎の紙芝居。そう、震太郎君は二〇一一年三月十一日に生まれたので、震災に負けない心の強い男の子になるようにと、震災の震という字をお母さんがつけてくれたのです。
東京都教育委員会は、伝統芸能や郷土芸能を学校で教えています。ほとんどの児童生徒は、都が認定している東京オリンピックアンバサダーに登録をして、おもてなしの心の実践を行っています。もちろん、きょうまで国際化に対応できるようにと続けてきた、グローバル人材育成教育の成果があることも忘れてはいけません。
東京を訪れた外国人観光客は、ヘブンアーチストの大道芸を楽しみ、東京から見る美しい富士山の眺めや、長周期地震動にもびくともしない高層ビル、最先端の技術力やまち中にあふれる伝統文化の薫りにだれもが満足げです。東京観光の後、外国人観光客は被災三県を訪れ、美しく復興したまちに感動して母国に戻ったとのことです。もちろん、東京オリンピックが大成功したことはいうまでもありません。
東京都はこれまで、文化振興条例をもとに、知事の附属機関として東京芸術文化評議会が設置をされ、さまざまな文化政策を進めてきました。過去五年の文化振興政策に係る予算を見ると、厳しい財政状況にあるにもかかわらず、大規模修繕などを除いた予算は着実にふえていることは評価をします。
また、今回策定した「二〇二〇年の東京」でも、東京ならではの文化の創造、発信が活発に行われることにより、才能ある芸術家が活動拠点にするなど、アジアの文化の中心地になっていることを「二〇二〇年の東京」の姿として掲げ、芸術文化の創造、発信を支える新たな展開を図るとしています。
そこで、文化の振興に対する基本認識について、石原都知事に見解を伺います。
さて、東京の文化政策の中でも、我が国の歴史や伝統を継承していく上で、伝統芸能は、有形無形を問わず、しっかりとした目的を持って継承発展させることが重要です。
これまで連綿と受け継がれてきた伝統芸能の多くは、後継者不足などで年々その活動が少なくなっているともいわれています。オリンピック・パラリンピック招致活動においては、その都市、国固有の伝統文化、伝統芸能などを積極的にアピールしていくことなど、文化プログラムの評価が重要な要素になります。さらに、招致が決まった後は、開催までの期間、東京の文化、伝統芸能を世界にアピールする大きなチャンスになります。
そこで、都は東京の伝統芸能の魅力を世界に積極的に発信していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
東京には、地域の方々に受け継がれてきた多くの無形民俗文化財が伝承されています。中には、都や市区町村指定の無形文化財に指定されているものもありますが、ほとんどの場合は、地域の有志の方々の努力によって、公の支援もほとんどない中で受け継がれており、現状は大変厳しい傾向にあります。今後、東京じゅうにどんな無形文化財があるか、はっきりと調査をした上で、支援のあり方など検討することが重要と考えます。
そこで、都の無形民俗文化財に対する保存と継承の支援について、東京都の取り組みを伺います。
保存と継承で大切なのは、いうまでもなく、次世代の子どもたちへどのように伝承していくのかということです。そのため、子どもたちへ教育を通じた継承発展の取り組みが大変重要です。学校における郷土芸能に係る教育について、都教育委員会の見解と取り組みについて伺います。
なお、以前より親しんできた富士見坂と呼ばれる場所からの富士山の眺望が年々失われています。富士山をめでることも広義では文化といえます。日暮里の富士見坂はICOMOS保全決議がされたとの新聞報道もありましたが、日本人だけではなく、世界じゅうの方たちに東京から見る富士山の美しさを伝えられるよう、東京じゅうの富士見スポットを紹介するなどし、こうした眺望を可能な限り保全できる仕組みづくりの検討を行うよう要望しておきます。
今週は東京マラソン二〇一二が行われ、世界にも放送されました。来年にはスポーツ祭東京二〇一三が開催され、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致に向け、東京からのスポーツムーブメントも大きな盛り上がりを見せています。
国は昨年、スポーツ振興法を五十年ぶりに全部改正し、スポーツ基本法を制定しました。この法律には、総合型地域スポーツクラブの推進や、プロスポーツの活用、協力などについても触れられています。
地域スポーツクラブは、多世代、多種目、多志向という特徴を持ち、都民が気軽にスポーツに親しめる入り口となるものです。この地域スポーツクラブが各自治体にきめ細やかに設立されれば、スポーツ人口は飛躍的に伸び、オリンピック招致の大きな力となります。
また、子どもたちにとっては、自分に合ったスポーツを選ぶことができて、その子の特性を生かして競技スポーツを目指すことも可能です。近い将来、オリンピック選手が出てくることも夢ではありません。
しかし、都内には地域スポーツクラブがいまだ設置をされていない地区もあると聞きます。都は、この地域スポーツクラブの設立促進をどのように取り組んでいくのか伺います。
東京には、読売巨人軍を初めとする野球やサッカーなどのプロスポーツチーム、団体があり、多摩地域を拠点に活動する団体もあります。
オリンピックと同じような夢と感動を与える技術レベルの高いプロスポーツの支援、育成は、もはやスポンサーなど民間だけの問題ではありません。
私の地元町田市は、以前から少年サッカーの盛んなまちで、今ではサッカーJ2に昇格したゼルビア、フットサルFリーグのペスカドーラ、ラグビートップリーグに昇格したキヤノンイーグルスがあります。
また、フウガすみだや葛飾ヴィトアード、東京23フットボールクラブなど、東京二十三区内にプロチームをつくろうとの動きも活発化しています。昨年震災後、活動を休止したバスケットボールBJリーグの東京のチームも、今復活に向け準備が進んでいます。
このように、プロスポーツチームを目指したり、仮にプロチームになっても、実際にはスポンサーやオーナー企業によってその活動や支援に大きな差が生じる場合があります。子どもたちの夢をはぐくむプロスポーツチームとの協働、関係、支援のあり方を早急に検討すべきと考えます。
また、二〇一六年までの計画となっている東京都のスポーツ振興計画の目標年度を、二〇二〇年の東京オリンピック開催まで延長し、内容も拡充し、改正を行う必要性を指摘し、さきに述べたように、都はプロスポーツチームをどう応援すべきと考えているのか、所見を伺います。
世界が最も注目するナショナルイベントであるオリンピックは、東京の、日本の技術力、特にものづくりの技術をアピールする絶好の機会となり、産業育成に大変重要です。そのためには、二〇二〇年に向かってしっかりとした目標を持って取り組む必要があります。
世界じゅうの人々が、さすがはメード・イン・ジャパン、メード・イン・トウキョウと口をそろえる、夢の舞台で注目されるような技術力を高める挑戦が必要と考えます。
最近では、スマートフォンを利用した情報伝達、コミュニケーションツールの利用法が広がっており、有機ELを活用した折り曲げ可能な電子ペーパーなど、技術の進歩は日々進んでいます。多摩地区にも、世界に誇る高い技術を持つ多くの中小企業が集積しています。
今後、国や公的機関など、財政、技術支援などを初め、ありとあらゆるものを利用して、東京を初めとする企業の技術力を着実に成長させるべきです。
そこで、東京のものづくりを支える中小企業の技術力をどのように向上させ、産業活性化に結びつけていくのか、都の所見を伺います。
昨年、東大では、グローバル化に対応した取り組みと優秀な人材を確保していくために、秋入学の検討を始めると表明しました。
既に、新規採用の八割が留学生だったパナソニックや五割のユニクロを初め、日本の企業でも次々にグローバル採用が進み、社内の公用語英語化をシャープや楽天などが次々に発表しています。
現在では、ニュースの報道後、他大学を初め、企業なども推移を見守っているところと、グローバル化、国際化に合わせ、通年採用や英語の公用化などを進めているところがあるとの報道がされています。
急速に進むグローバル化の流れや秋入学問題は、職員採用や児童生徒への教育に影響がないのか、国際人として求められる能力をどう育成し、英語教育をどう充実するのかなど、都教育委員会は検証すべきと考えます。
そこで、都は国際化が急速に進展する社会で活躍できる人材をどのように育成するのか、所見を伺います。
東日本大震災から間もなく一年を迎えます。都教育委員会はこの間、防災副読本「地震と安全」の緊急配布、新たな防災教育補助教材「三・一一を忘れない」を作成、配布し、さらに来年から、全都立校で宿泊防災訓練や防災教育推進校の指定などを予定しており、防災教育の充実には誠意取り組んでいることを高く評価いたします。東日本大震災の教訓を決して忘れることなく、これからも引き続き、児童生徒の防災意識を高めていく必要があると考えます。
そこで、全公立学校において、地元の消防団や消防署との連携した防災教育など、一層推進すべきと考えますが、所見を伺います。
東日本大震災では、地域の中で最も早く活動したのは地元の消防団員でした。しかし、残念ながらその活動中に、二百五十四名ものとうとい命が失われてしまいました。
災害時に消防団は最も早く活動を行い、その後、消防署隊の指揮下や、警察、自衛隊とも協力し活動を行う、最も地域を理解している存在としてなくてはならないものです。このように、東日本大震災でその役割が改めて多くの国民に理解され、期待が高まっており、消防団に対する問い合わせもあると聞いています。
しかし、都政において、二十三区の消防団については消防庁が所管をし、三多摩の消防団は市町村が所管をすると消防組織法により規定されています。しかし、広域自治体である東京都は、消防庁とともに、多摩地区の消防団とも平時から連携を密にし、いざというときには十分な力を発揮しなければなりません。
そこで、都は、三多摩地域の消防団への支援をどう取り組んでいるのか、所見を伺います。
以上、オリンピックムーブメントの向上のためには、一つは、子どもたちをしっかりと教育をしていく、そのことを最後に申し上げまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 今村るか議員の一般質問にお答えします。
文化の振興に対する基本認識についてでありますが、東京は江戸開府以来はぐくまれてきた日本の伝統文化に、現代美術や演劇、ファッションなども加わり、世界的に見ても比類のない東京としての魅力を放っていると思います。
この東京ならではの文化資源を活用して、次世代を担う輝かしい才能を世界的に飛躍させるために、ワンダーウオールに始まって、トーキョーワンダーサイトを立ち上げてきました。今では、コンテンポラリーアートの世界のサーキットの中にしっかりと入っている存在になりました。
かつての国連大学の職員のドミトリーを活用したアーチストのレジデンスも大人気でありまして、いつも満杯で、皆、外国のアーチストがそこで一生懸命仕事をしておりますが、このワンダーサイトの主催で行っているコンテストで入賞した、毎年十人の人たちを表彰するわけですけど、そのときにいつも私がいってるのは、諸君はげてものだと。げてものこそが実は新しい文化をつくっていくんであって、そういわれることを決しておそれちゃいけないし、人のまね、人と同じことをやったら、結局何も新しいものはできないぞということをいってるんですが。
いずれにしろ、その他に、五月の連休に子ども連れで鑑賞できる音楽祭として、これは、シンフォニーを聞きながら赤ん坊が泣いてもみんながそれを許容して、みんなでシンフォニーを楽しむ、そういう性格の音楽会ですけれども、これも大成功しまして、ラ・フォル・ジュルネとして大成功して、原産地のナント以上の盛況を呈しておりますし、同時に、排斥されがちだった大道芸人を、クオリフィケーションを与えて、資格審査をしまして、公共空間を開放すべく、ヘブンアーチストという制度もつくりました。
今回の東日本大震災でも、直ちに東京都交響楽団を初めとして、さまざまな芸術家を派遣するなど、東京の持つ文化の力を結集して被災地の復興を支えてきました。
オリンピック・パラリンピック招致も見据えて、東京の都市の力を高めていくためには、文化面における都市のプレゼンスを確立していくことが不可欠であると思っております。
今後とも、各界の第一人者で構成する東京の芸術文化評議会からの提案も踏まえて、これまでにない文化政策を実現し、東京ならではの魅力的な文化を、戦略的に発信していきたいと思っております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
ついでに聞きますけど、さっきの漫画で、何で私は舌出しているんですかね、あそこで。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、学校における郷土芸能に係る教育についてでございますが、都教育委員会は、全国に先駆け、日本の伝統文化理解教育を推進し、啓発資料の作成や実践発表会の開催など、その成果を普及してまいりました。
現在、公立学校では、地域の保存会等と連携し、獅子舞、はやし、神楽、三味線や和太鼓の演奏等の体験を通して、技能はもとより、地域に伝わる郷土芸能の歴史やそこに込められた人々の思いを学ばせるなど、児童生徒の郷土に対する愛着を深め、誇りを高めております。
都教育委員会は、今後ともこうした取り組みを充実させ、学校の郷土芸能に係る教育を支援し、伝統文化を発展させていこうとする意欲を高める教育を推進してまいります。
次に、無形民俗文化財の保存と継承についてでございますが、都教育委員会では、祭礼行事、神楽、獅子舞、うたや踊りなどの無形民俗文化財を、都指定文化財として現在五十二件指定し、保存に当たっている団体に対して、後継者育成の取り組みや継承のために必要となる衣装、道具の新調、修理等に対する補助を行っております。また、地域で伝承されている未指定の民俗芸能についても、その実態を把握するため、現在、東京都民俗芸能調査を実施しております。
今後とも、都教育委員会は、保存事業の実施や東京都民俗芸能調査結果の公表等の取り組みを通じて、無形民俗文化財を次世代へと引き継いでまいります。
次に、国際社会で活躍できる人材の育成についてでございますが、都教育委員会は、都立高校の国語や地理、歴史等の授業において、批評、論述、討論等を実施させ、生徒の思考力、判断力、表現力の向上に取り組んでおります。
来年度、英語の授業におけるスピーチやディスカッション等の活用方法や、授業を英語で行っていく上での効果的な指導方法を、高等学校英語科の教育研究員に研究をさせまして、その成果を都立高校に普及啓発してまいります。
また、新たに開設する次世代リーダー育成道場では、都立高校生を対象に、広い視野を持ち、海外で通用する英語力を兼ね備え、将来、さまざまな分野で活躍することのできる人材を育成してまいります。
次に、消防署や消防団と連携した防災教育の推進についてでございますが、都教育委員会はこれまでも、防火、防災の専門機関である地域の消防署や消防団の協力を得まして、各学校においてAEDや消防ポンプの使用訓練、起震車体験など、実践的な防災訓練等を実施してまいりました。
東日本大震災を踏まえ、それらをさらに充実させるために、都内公立学校の避難訓練や防災訓練等において、避難場所運営訓練等、地域の消防署や消防団と連携を強化し、自助、共助の力を育てる防災教育を推進しております。
こうした取り組みを通じて、子どもたちに、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに、自分たちのまちは自分たちで守るという地域貢献の意識を高める防災教育を、全公立学校において一層推進してまいります。
〔生活文化局長井澤勇治君登壇〕
〇生活文化局長(井澤勇治君) 東京の伝統芸能の魅力の発信についてでございますが、都は、文化都市としての東京のプレゼンスを確立するため、新たな文化の創造、発信を目指したさまざまな文化施策を展開してまいりました。
とりわけ東京には、さまざまな伝統文化資源が集積しており、都としても、伝統芸能などの文化を通じて、東京の魅力を海外に発信していくことが重要であると認識しております。
これまでも都は、平成二十年度から開始した東京文化発信プロジェクトで、舞踊家など第一線の実演家による公演や、キッズ伝統芸能体験、東京大茶会など、伝統芸能の魅力を内外に発信する取り組みを実施してまいりました。
今後とも、引き続きこうした施策を展開していくとともに、伝統芸能の魅力をさらに高める方策について、東京芸術文化評議会などで検討を進めてまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点の質問にお答え申し上げます。
まず、地域スポーツクラブの設立についてでございます。
都民が身近にスポーツに親しむ場として、地域スポーツクラブの果たす役割は極めて重要でございます。
都は、東京都スポーツ文化事業団に広域スポーツセンターを設置し、情報提供や人材育成などの支援を行うとともに、地域スポーツクラブ設立モデル事業を実施し、地域特性に応じたノウハウの提供を行ってきました。こうした取り組みにより、今年度、都内のクラブ数は目標とする百クラブに到達したところでございます。
今後も、地域スポーツクラブ支援アドバイザーによる個別相談を実施するとともに、区市町村担当者やスポーツ推進委員を対象としたセミナーを開催するなど、地域スポーツクラブの設立を積極的に推進してまいります。
次に、プロスポーツの振興についてでございます。
トップレベルのスポーツ競技を間近で見ることは、多くの人に夢と感動を与えるとともに、都民がスポーツを始めるきっかけにもなります。
このため、都はこれまでも、東京に本拠地を置くプロスポーツチームと連携し、都内で行われる試合に都民を招待する観戦招待事業を行ってきたところでございます。また、体育の日に行われるスポーツ博覧会などの参加型スポーツイベントにおいても、東京のプロチームの選手をスポーツ教室の講師として招聘し、子どもたちとの交流の場をつくってまいりました。
今後とも、こうした取り組みを通じてプロスポーツチームと連携し、東京のスポーツムーブメントの創出を図ってまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 中小企業の技術力の向上についてでありますが、中小企業が技術のレベルを高め、新たな発想による製品を開発することは望ましいことと考えます。そのため、中小企業による技術開発やさまざまな機関との連携をサポートすることは効果的であります。
これまで都は、新たな製品や技術の開発に取り組む中小企業に助成を行いまして、経費面の負担軽減を図るとともに、中小企業が大学や公的機関などと協力して製品の共同開発を行う取り組みを支援してきております。
こうした施策により、中小企業の技術力を高めて、産業の活性化につなげてまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 消防団への支援についてでございますが、首都直下地震の切迫性が指摘される中、地域の消防、防災の担い手として、消防団は大変重要な役割を担っております。
消防団に関する事務は、消防組織法の規定により市町村が行うこととされており、市町村みずからが、団員の確保と必要な資機材の配備を行っております。
都は、広域行政の立場から、消防訓練所を設置し、団員の教育訓練を実施するとともに、すぐれた消防団及び団員に対する表彰の実施や、技能向上を目指した消防操法大会に対する補助など、消防団の人材育成にかかわるさまざまな支援を行っております。
引き続き、消防団が地域の消防、防災の担い手として活躍していけるように、市町村と十分連携してその活動を支援してまいります。
〇議長(中村明彦君) 五十四番鈴木勝博君。
〔五十四番鈴木勝博君登壇〕
〇五十四番(鈴木勝博君) 昨年の十月末、世界の人口は七十億人を突破しました。食料や水、そしてエネルギー問題で、世界じゅうに貧困層が激増し、飢餓や貧困で命を失う途上国の深刻な現状があります。
一方、先進諸国でも時を同じくして、ニューヨークのウォールストリートでは、一%の富裕層が支配し、九九%の私たちが犠牲になってもいいのかとのスローガンを掲げた大規模な失業者のデモが行われました。先進国では、経済的格差の拡大が社会問題として大きくクローズアップされております。
資本主義社会である以上、市場原理を導入し成長する中で、格差は努力した者が正当に評価された結果生じるもので、格差がある社会自体は否定されるべきものではありません。しかし、格差が拡大することで社会の悪であるとはっきり認識できるようになった背景は、私は、格差の拡大が社会で貧困を生むことになるからと認識をいたしております。
新自由主義の行き過ぎがアメリカ発の金融危機を招き、リーマンショック以降、国内でもますます貧困層が厚くなり、日本を支えてきた中間層が薄くなっています。そして、多くの若者がワーキングプアとして不安定な生活を余儀なくされ、若年世代の先行きの見えないストレスは日本の将来を暗く覆っています。
日本は、このままアメリカ型の資本主義国家を続けていくべきなのか、それとも欧州型の社会民主主義国家を目指すべきなのか、独自の二十一世紀の日本の姿をこれから求めていくのか、政治は国民に国家の向かう方向を示さなければなりません。
石原知事は、国民のために都知事の四期目を引き受けられたと記者会見でお話をされていますが、まさに東京から日本を変えていくという気概の中で、これからの日本はどのような国家を目指していくべきなのか、そしてまた、東京から日本をどのように今後改革しようとしているのか、知事の見解をぜひお伺いいたします。
さて、格差が貧困を生む要因は、幾つかの社会の変化にあると考えております。
第一に考えられるのは、雇用環境の変化です。
国内では、電気や自動車などの輸出産業の工場移転が始まり、製造業などの雇用が縮小していく中、サービス産業がアルバイトやパートとして雇用を吸収しました。また、規制緩和により派遣社員が常態化し、二〇一〇年には全雇用者の三四・四%、何と一千七百万人が非正規社員として働いております。こうした変化にもかかわらず、同一労働同一賃金はいまだ守られていず、彼らは非正規社員として常態化し、所得格差が貧困を生んでいく構図となっています。
二つ目は、教育環境の変化です。
戦後、高度成長期を支えてきた親世代は、子どもを最終学歴の大学まで進学させ、安定した大企業に就職させることを教育目標としてきました。受験戦争も過熱化し、一流大学に進学するには公立学校の授業のみでは難しくなり、塾に行かせるため、保護者の資力が学力に如実に反映されるようになり、親の所得格差が子どもの教育格差に連動するという格差の連鎖が生まれています。
一方、大学の数はふえ、勉強しなくても希望すれば大学に入学できる大学全入時代を迎えております。
そして三つ目は、家庭環境の変化です。
大家族で夫が外で働き、妻が専業主婦として家事をこなすというモデルが主流であったころは、企業の終身雇用制度と相まって、老後は家族が支えることも可能であったことから、貧困は顕在化しませんでした。しかし、この家庭モデルは、核家族化や離婚の増加による母子家庭化によって壊れ、家庭環境が格差の大きな要因になっております。
すなわち、これまで日本の発展を支えてきた雇用、教育、福祉のシステムと社会の実態との間にゆがみが生じ、格差是正のための富の再分配機能がうまく機能せず、格差が広がり、相対的貧困率を高めています。
今こそ、これまでの日本社会を支えてきたシステムを根本から見直し、低成長社会、超高齢化社会を生き抜く新たなシステムを構築するときです。
国で議論されている税と社会保障の一体改革は、まさに国家としての社会保障システムを根本から見直し、日本の将来の世代間格差を是正する作業です。日本を支える首都東京も、当然今の社会の変化に合わせて、さまざまなシステムを見直す必要があると思っております。
そこで、格差是正の観点から、何点か質問をさせていただきます。
まず、所得格差是正のためには雇用政策が重要です。若年雇用者の失業率が一〇%を超えている現状や、大学を卒業しても正社員として働くことのできない新卒者の急増、また、フリーターとして年を重ね、未婚でいる三十代、四十代の若者などの急増は、社会の深刻さを増しています。
民主党政権下での非正規労働者への失業手当の支給や職業訓練による早期就業への法改正は、若年雇用者へのセーフティーネットとして大変有意義ではありますが、都は現場を持つ立場から、若年雇用者へ具体的にどのような雇用政策をとられてきたか、それによりどのような成果が上がっているのか、お伺いいたします。
また、リーマンショック以降の世界同時不況により、世界的に失業者の増大が続いています。雇用問題は、どこの国でも自治体でも、最優先の解決すべき課題となっています。
特に多くの就業者と産業を抱えている首都東京は、雇用政策で日本の経済を牽引していく責任があると考えます。東京の完全雇用をどのように実現するか、都民の労働生産性をどう高めるか、新たな産業の担い手としてどのような教育訓練をすべきかなど、厚生労働省にかわって東京の雇用を考える、シンクタンク的な機能を持つ部署が必要ではないでしょうか。
スウェーデンの労働市場省は、積極的労働市場政策で国の経済成長に大きく貢献しました。これからの雇用政策は、新たな成長産業を担う人材の育成を中心に考えていく必要があります。東京の成長戦略に資する東京ならではの雇用教育局を創設し、人材育成重視の雇用政策を検討する必要があると思いますが、都の見解をお伺いします。
次に、家族の変化による貧困の問題です。
国の統計によれば、五〇%を超えるひとり親世帯が相対的貧困世帯となっています。近年の離婚率の増加により、ひとり親世帯が東京でも約十七万世帯となっており、ひとり親世帯への支援は急務であると思われます。特に母子家庭の場合は、母親が専業主婦であったり、働いた経験があってもブランクがあるなど、就職ではスタート時点で厳しい状況に置かれる場合が少なくありません。また、就業している場合でも、アルバイトやパートで働く人が五割を占めており、貧困に陥りやすい現状があります。
そこで、ひとり親世帯に対して、都はどのような政策で貧困に陥らないよう自立に向けた支援をしているのか、お伺いいたします。
単身高齢者は、身寄りがいないことや所得が少ないことなどから、貧困世帯が多いといわれています。行政サービスが行き届かないことや、ひっそりと孤独死する現状がありますが、絶対に避けなければならないことです。
私の地元足立区でも、自治会の会長とお話をさせていただくと、必ず単身高齢者の見守りの問題で苦慮されております。
一方、高齢者世帯でも深刻な問題が生じています。高齢者が高齢者を介護する老老介護や、認知症の症状がある方が認知症のある方を介護する認認介護などは、支援がなければ家庭崩壊につながる例も多く見聞きいたします。
現在、都内の特別養護老人ホームの入所定員は三万八千名ですが、これに対し、四万人を超える多くの方が申し込みをしている状況です。
そこで、単身高齢者に対して、どのようなセーフティーネットの構築に取り組んでいるのか、また、要介護高齢者を抱える家庭崩壊を防ぐために、都はどのような在宅サービスを充実させていこうとしているのか、見解をお伺いします。
また、在宅介護を推進していくためには、二十四時間のケアサービス導入やショートステイなどのさまざまな制度が必要とされていますが、私は、家族がそれぞれ自立しながら介護ができる環境を整えることが重要であると認識をしています。そのためには、企業への介護休業制度の導入こそが、介護の基本となるべきです。
殊に、介護を担う世代は、職場では働き盛りの中堅社員や管理職層が多く、仕事と介護の両立は重要な課題です。
都内企業の介護休業取得率は、直近のデータではわずか〇・〇六%にすぎません。介護休業制度などを有効に活用し、仕事と介護が両立するように、企業への働きかけなどの支援が必要であると考えますが、都の見解をお伺いします。
貧困に陥りやすいひとり親世帯や単身高齢者世帯は、核家族化する社会の変化にありました。そうであるならば、離れた家族を再度つなぐための施策が行われるべきであると考えます。
今回の住宅マスタープランでは、高齢化に備えて、特に単身者を地域社会で支えるさまざまな施策が盛り込まれています。もちろん、地域の力で高齢者を見守ることも重要ですが、まずは家族が面倒を見ることができれば、それにこしたことはありません。
高齢者となった親を迎え入れる家族に対しては、空き家となっている民間賃貸住宅でより広い部屋に入居できる情報提供などの住宅支援や、都営住宅の建てかえ時に、大家族で住めるような部屋を提供するなどの住宅施策が考えられると思いますが、これらの施策を含め、都は、二世代、三世代が同居できる住宅施策についてどのように考えるのか、所見をお伺いします。
次に、教育の機会均等の観点から質問をいたします。
教育は、すべての都民に平等に機会が与えられなければなりません。
民主党政権下で高校の授業料無償化が実現され、だれもが高校進学まで希望がかなうことになっています。しかし、さきにも述べたとおり、親の経済的格差により、子どもの教育格差が生じることが問題になりました。
足立区では、経済的な理由で塾に通うことのできない優秀な生徒を区の運営する塾に通学させる足立羽ばたき塾を二〇一二年度からスタートさせます。また、都においても、特色ある都立高校を目標に、さまざまな制度に取り組んでいると聞いています。私の地元の都立江北高校でも、早稲田大学へ数名が現役合格するなど、進学校としての特別カリキュラムなどが整備され、実績を積んでいます。
重要なことは、親の所得格差が子どもの教育格差にならないように、公立の小、中、都立高校の改革を進めていただき、教育の機会均等が担保されることです。
また、今までの親の子どもへの教育目標が、一流大学に進学し、そして一流企業に就職するという大変狭い目標であるならば、子どもの機会を奪うばかりか、自立する力まで奪うことになりかねません。子どもの自立する強い力を身につけるために、東京都教育委員会は都立高校でどのような教育改革を進めていくのか、見解を伺います。
最後に、治安対策について質問させていただきます。
私の地元でも、高齢化していくまちの治安について不安の声が強くなっております。特に、繁華街から離れた明かりのない住宅街や都営住宅の方々からは、ポリスボックスを設置してほしいという陳情が多く寄せられております。
足立区は不名誉なことに、二十三区刑法犯認知件数がワーストワンとなってしまっています。このたび、区と警視庁の治安対策会議を開催し、青バイを導入し、三月から区内のパトロール時間、パトロール範囲を広げるなどの対策を打ち出したところです。さらに、警視庁から、防犯抑止には防犯カメラが有効とのアドバイスを受け、合計四百台の防犯カメラの設置を検討しています。
防犯カメラは、人手では補えない部分をなくし、いわゆるまちから死角をなくすことで、まちの安全・安心を実現できると聞いております。
そこで、警視総監に、防犯カメラの設置効果についてお伺いいたします。
また、カメラの設置については、住民のプライバシーについての配慮が必要であると思います。足立区においても、足立区街頭防犯カメラの設置及び運用に関する要綱を昨年三月から施行して、住民の合意を得ながら設置をしています。
そこで、今後、防犯カメラの設置場所や住民への説明など、自治体ごとのルールづくりが必要になると思いますが、これに対して警視庁の見解をお伺いして、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 鈴木勝博議員の一般質問にお答えいたします。
目指すべき社会、国家のイメージについてでありますが、私は、アメリカが世界じゅうに喧伝して押しつけようとしている、マネーゲームで人間の実直さを毀損し、株式至高の価値観に立っているあの市場原理主義を、決して是とはいたしません。国会議員でいるときから、私は特にこの問題について異論を唱えてきたつもりでありますが、小泉内閣のころでしたか、竹中君の唱道で、あの内閣はしきりに市場原理主義を唱えていた時期でありますが、ある番組でアメリカの、若造といっても五十前のやり手なんでしょうけれども、ファンドマネジャーが、日本のある企業、これもダイヤモンドを使って物を工作する、非常に特殊な技術を持つすぐれた会社で、その年配の、多分私と同世代か、それよりちょっと若いぐらいの白髪の社長に、ぜひお宅の株を放出しなさい、それが株主にとっても非常に有利なもうけをもたらしますよと説得しているのに対して、その社長が、君のいうことは違うと。会社は株主のものではない、会社は社員のもののためだと。それから次いで、これは社会のためのものだ、君のいうことは私は絶対に是としない、うちの株は絶対君のいうままに放出しないということで、いい切るのを見て、非常に心強い思いをいたしました。
あなたの質問を聞いておりますと、現在の日本の格差が容易ならざる事態のようにも聞こえますが、私は、まだアメリカと比べて、この社会の、到来しつつある格差というもの、拡大しつつある格差というものは、救いようがあると思っております。ウォール街での大規模なデモが行われた、あれは私は当然のことだと思うし、あのデモを行った若い連中たちの意識がいささかおくれて到来したんじゃないかという気がいたします。
日本の経済も戦後の成功の余禄を食いつぶしながら今日まで来たわけでありますけれども、先般も円高について外国のエコノミスト、アナリストと話をしたときに、三人ほどの人間が同じことをいいましたが、自分たち外国人から眺めると、日本の政府の借財はGDPの二倍という膨大なものですけれども、その対象が国内であるために、総体的に眺めると、日本の経済というのはまだまだ安定しているし救いようがあると思う、ゆえにも私たちはマネーゲームの中で円を買わざるを得ないということをいっておりまして、これはありがたいようなありがたいような話でありますが。
いずれにしろ、このまま日本の経済が推移しますと、超高齢化社会に突入して、もはや非常に徹底した高福祉というものは、今のような低負担では絶対に成り立ち得ない。彼らも、日本人は利口だからそれをわかっているだろうし、やがては消費税を上げざるを得ないし、上げるだろう。ただ、その前にすべき措置というものを政府がしていないために、非常に片手落ちな印象を受けている。今の与党の政権の中にもいろいろ異論があるようでありますけれども、いずれにしろ、私たちがこれから望むべき社会というものは、本来の日本人の価値観にのっとった、やっぱり、我々が伝承しなくちゃいけない価値の基軸というものが一本しっかり通った、そういう意識の中で構築されていく経済社会であるべきだと思っております。
いずれにしろ、日本は、日本人そのものは、この戦後の繁栄といっていいんでしょうか、これが今没落しつつあるわけですけど、その中で、かつての日本人と違った資質を備えるようになりました。いつもいうことですけれども、おととしの暮れに、最初東京で見つかって、日本じゅうで見つかって、政府はぐあい悪いから正確な報道をしていませんが、とにかく自分を生んで育ててくれた親が死んでも弔いもせずに、最初の例などは三十年間布団をかぶせてミイラにして、その年金を詐取していた。こういう人間というのは、私はアメリカにもヨーロッパにも、途上国にもアフリカの蛮地にもいないと思いますね。これはやっぱり、日本人の非常に本質的な堕落というものを表象する、非常に嫌な出来事だと思います。
アメリカには、あの甚だしい格差をもあえて是認する、アメリカの一つのアイデンティティーがあります。これは自由です。これを彼らは徹底して唱道する。ゆえに、アメリカンドリームを認めるし、それに及ばない賤民も、要するに決して気の毒と思わずに放置する。
フランスの場合には、あの革命で獲得した自由と平等と友愛ですか。公共の施設に行きますと、フランスのどこでも、金属のプレートにリベルテ、エガリテ、フラタニテという言葉が刻まれて飾っておりますが、しからば、日本における日本人の今の共通の、何というんでしょうか、理念といいましょうか、日本人のアイデンティティーは何かというと、私は我欲でしかないと思いますね。こういったものを、私たちはこれから淘汰して、何ていうのでしょう、かつての日本人が持っていた倹約にも表象される一つの控え目、こういったものを私たちは、あるいは自己抑制ですね、こういったものを取り戻していかないと、この国は内側からも荒廃して社会として栄え得ないという気がいたします。
いずれにしろ、私たちの子孫のためにも、今の時点で国民の一人一人が甘えを捨てて、我欲を抑制して、国家の体質というものを一人一人が心がけることで根本的に変えていかないと、この国は本当に立っていけないんじゃないかという気がいたしてなりません。
そういう、何ていうのでしょう、他人行儀といいましょうか、我欲をいたずらに主張する体質そのものが政治もゆがめて、政治家そのものも我欲に走って、自分の保身という我欲のために歴代の政府がポピュリズムに走る、こういったものの基本的な反省をしませんと、私はこの国は立っていかないんじゃないかと懸念しております。
他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁します。
〔警視総監樋口建史君登壇〕
〇警視総監(樋口建史君) 防犯カメラについて二点ご質問でございました。
まず、防犯カメラの効果でありますけれども、防犯カメラは、まずは犯罪を行おうとする者に対して、防犯カメラ、ステッカーも表示するわけでありますけれども、防犯カメラの存在を意識させ、犯行を思いとどまらせる効果があると思います。加えて、犯罪が不幸にして発生した場合には、犯人のまずは特定、そして犯行の立証にも活用されているところであります。
また、防犯カメラの設置地区では、犯罪が現に減少いたしております。減少し、住民のみならず、外からやってくる人々も安全で安心できるということで、地域の振興でありますとか、まちの活性化にも役立っているのではないかと思われるところであります。
特に、警視庁がみずから設置している街頭防犯カメラについて、若干付言いたしたいと思いますが、この警視庁設置のカメラは、平成十四年に歌舞伎町地区に五十台設置しまして以降、順次、地区や設置台数を拡大してきておりまして、現在、五つの地区において合計百八十五台設置されております。これらのすべての地区において、刑法犯認知件数が減少しているところであります。
これ、設置の年がそれぞれ違うものですから、全部平均してはなかなか申し上げられないものですから、具体例といたしまして、平成十六年にカメラが設置されました渋谷と池袋の両地区について申し上げますと、設置の前年、つまり平成十五年と、昨年平成二十三年の刑法犯認知件数を比べてみますと、都内平均が、この十五年から二十三年までが減少率が三七・七%なんですけれども、渋谷地区ではマイナス五〇・六%でありました。池袋地区ではマイナス四六・三%でありました。これがすべて防犯カメラの効果かどうかというところはやや乱暴なところがありますけれども、そういう状況であります。
それから、警視庁設置の街頭防犯カメラが犯罪検挙に活用された件数について申し上げますと、昨年一年間で、罪種は殺人、強盗、傷害、暴行等でありますけれども、百九十件でございました。
それから、もう一点でございますが、街頭防犯カメラ、防犯カメラ設置のルールづくりについてでございます。
防犯カメラは、今申し上げましたとおり、安全・安心まちづくりには欠かせないものでありますけれども、設置に際しましてはプライバシー保護等の観点から、設置方法や管理運用方法などについて、十分な配慮が必要であると私どもも考えております。
現に、設置されております街頭防犯カメラにつきましては、設置主体が商店街や自治会であることが多いわけでありますけれども、プライバシー保護と安全・安心の確保と、この二つのバランスを考慮の上で設置場所が選定され、防犯カメラ作動中のステッカーが掲出され、かつまた管理運用基準が定められているものと承知をいたしております。
なお、杉並区、足立区、立川市、三鷹市におきましては、それぞれの条例等で、防犯カメラの管理運用基準として定められるべき項目が、この条例等において示されているところでございます。
以上です。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 生徒の自立に向けた都立高校改革についてでございますが、都立高校生を対象とした調査によりますと、約四〇%の生徒が、将来について必ずしも明確な目標を持っておらず、都立高校では、社会的、職業的自立意識の低下が大きな課題となっております。
このため、新たに策定した都立高校改革推進計画に基づき、キャリア教育を通じて生徒に将来の明確な目標を持たせ、その実現に向けて、自立の基盤となる学力の定着を図るとともに、人間関係の構築に必要なコミュニケーション能力など、社会人としての基礎的な力を育成してまいります。
さらに、今後、企業、NPO等と連携し、生徒が体験的な学習を通じて社会や職業を実感できる実践的教育プログラムを新たに開発、実施し、生徒が社会人、職業人として生活していくために必要な力を育成してまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、若者への就業支援と成果についてでありますが、少子高齢化が進み、また若者の雇用環境が厳しい中、次代を担う若者の意欲や能力を高め、安定した雇用につなげていくことは重要であります。
都では、東京しごとセンターにおいてきめ細かく就業を支援しているほか、合同就職面接会を開催し、若者と企業とのマッチングを促すとともに、紹介予定派遣制度を活用いたしまして、既卒者の正規雇用化も支援しております。さらに、職業能力開発センター及び民間教育機関等におきまして、技能習得を希望する若者に対し、即戦力となる訓練を実施し、企業現場に送り出してまいりました。
こうしたさまざまな取り組みを通じまして、例えばしごとセンターでは、開設以来延べ三十六万三千人の若者を支援し、二万三千人を超える方々を就職に結びつけたところでございます。
次に、雇用政策についてでありますが、まず、基本的な考え方といたしまして、国は、雇用政策全般にわたり必要な施策を総合的に講ずるものとされておりまして、都は国の施策と相まって、日本経済の中心地であり、また中小企業が集積するというこの東京の特性を踏まえた雇用対策を、産業振興も視野に入れて適切に実施していくこととしております。
このため、都はこれまでも、東京しごとセンターにおいて、求職者の個々の適性等を踏まえ、カウンセリングなどを通じた就業支援を行うとともに、来年度は、今後成長が期待される分野への若者の就業を支援する取り組みも開始いたします。
また、職業能力開発センターにおきましては、求職者及び在職者に対し、地域の企業ニーズに即した訓練を実施するなど、人材育成と産業振興を図ってきたところであります。
今後とも、引き続き、都民の安定した雇用の実現に向け、都における施策展開の基本的な考え方に基づき、対策に万全を期してまいりたいと考えております。
最後に、仕事と介護の両立支援についてでありますが、本格的な高齢社会を迎え、今後ますます家族介護に直面する労働者の増加が見込まれますことから、仕事と介護の両立が可能な雇用環境を整備することは重要であります。
育児・介護休業法の規定によりまして、労働者は介護のために休業することなどが認められているところでありますが、本年七月より全事業者に介護休暇の規定が適用されるなど、拡充が図られておりまして、この法制度の浸透を図ることが求められております。
都はこれまでも、使用者等を対象に仕事と介護の両立に関するセミナーを実施するとともに、パンフレット等を作成し配布することで、企業に対する普及啓発に努めてまいりました。
今後とも、こうした取り組みを通じ、仕事と介護の両立に向けた企業への働きかけを行ってまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、ひとり親家庭への支援についてでございますが、都は、ひとり親家庭の自立と生活の安定、向上を図るため、ひとり親家庭自立支援計画を策定いたしまして、就業支援や生活全般に関する相談体制の整備など、総合的に取り組んでおります。
就業支援につきましては、就業経験の少ない方を対象にしまして、キャリアカウンセリングや就職後のフォローを行いますとともに、病気の子どもを抱えるなど在宅での就業を望む方に対しては、スキル習得のための研修を行うなど、家庭状況に応じたきめ細かな支援を提供いたしております。
また、子どもの養育や住まいなどの相談につきましては、ひとり親家庭の当事者団体のノウハウを活用しながら助言いたしますとともに、必要に応じて地域の子育てサービスの紹介などを行っております。
次に、ひとり暮らし高齢者や要介護者を抱える家族への支援についてでございますが、都は、ひとり暮らし高齢者などが地域で安心して暮らし続けられますよう、支え合いマップの作成や、町内会、自治会などが中心となって行う自宅訪問による安否確認など、地域におけるさまざまな取り組みを区市町村包括補助制度により支援をいたしております。
また、家族介護者の負担軽減を図るため、高齢者が一時的に利用するショートステイや小規模多機能型居宅介護につきまして、土地所有者がみずから建設し、事業者に貸し付ける場合にも、都独自に補助を行うなど、設置促進を図っているところでございます。
今後とも、こうした取り組みを進め、高齢者とその家族が、可能な限り住みなれた自宅や地域で安心して生活することができる環境を整備してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 多世代で同居できる住宅施策についてでございますが、多様化する都民のニーズに対応した住宅が市場において的確に供給されるためには、住宅市場の活性化が重要であると認識しております。
都はこれまでも、多世代向けの良質な住宅を借り上げて貸し出す、民間団体が行う事業について普及を図ってまいりました。また、都営住宅の建てかえに当たっては、従前居住者の世帯構成に応じた住宅を適切に確保する観点に立って基準を設け、それぞれに対応する規模の住宅を提供しております。
さらに、都営住宅においては、高齢者世帯が子ども世帯の近くで生活できる住みかえ制度を設けており、安心して支援が受けられるよう取り組んでいるところでございます。
〇議長(中村明彦君) 四番桜井浩之君。
〔四番桜井浩之君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇四番(桜井浩之君) 最初に、石原知事へ、大都市のあり方について質問をいたします。
本年五月二十二日、いよいよ東京スカイツリーが開業いたします。
大ヒットとなった映画「ALWAYS三丁目の夕日」で建設途上の東京タワーが登場しますが、高度成長期の象徴である一九五八年完成の東京タワーが、その後の五十年余りの東京の発展と成熟によって役割を終え、スカイツリーと交代することは、極めてシンボリックな出来事だと思います。
しかし、新しいシンボルを持つことになった東京と日本の現実を見ると、東京タワーが完成した当時の活気、将来への期待感を感じることはできません。経済の低迷や国際競争の激化、さらには少子化や社会保障制度への不安など、枚挙にいとまがないからです。
山積する課題を乗り越えるべく、十三年前、石原知事は、東京から日本を変えるというスローガンを掲げられ、当選されました。以来、東京は日本のダイナモだ、心臓部だと訴え、国を動かし、羽田の再拡張を実現、外環道の整備を再開させるなど、らつ腕を振るわれてきました。
しかし、国政では、都市再生についての取り組みが行われていますが、過去長きにわたって続いてきた均衡ある国土発展路線が完全に切りかえられたとは思いません。ことしの国家予算でも、危機的な財政状況にありながら、地方整備新幹線の新たな着工が認められました。
また、介護保険では、大都市の土地の高さや賃金水準の高さを反映しない不合理な仕組みが、東京都の再三にわたる要求にもかかわらず、一向に是正されません。法人事業税の暫定措置も続いております。
停滞する日本が再生するためには、東京や大阪、名古屋といった大都市が経済成長の牽引役となって、新たな富を生み出していかなければなりません。そこで働き暮らす人々をしっかりとした福祉、医療、教育などで支えて、その力を限りなく引き出し、活力を生んでいく必要があります。大都市の戦略的な強化こそが、日本の再生の道だと思います。
そうした観点から、国は発想を大転換し、例えば、中央リニア新幹線の建設をJR東海という一企業に任せ、名古屋開業が二〇二七年、大阪開業が二〇四五年になるのではなく、国家の総力を挙げて、東海道新幹線東京─大阪間を五年半で完成させたのと同じくらいの情熱を持って取り組んでいくべきです。
東京タワーが廃墟から立ち直った東京と日本の象徴であるように、東京スカイツリーも二十一世紀の豊かで成熟した東京と日本の象徴にしていくのは、我々の役目です。
そのために必要な大都市の戦略的な強化について、「二〇二〇年の東京」という将来ビジョンを掲げて、二十一世紀のあるべき大都市の姿をつくり上げようとされている石原知事にご所見を伺います。
次に、まちづくりについて、防災という切り口から質問いたします。
都は、先般、木密地域不燃化十年プロジェクトを発表し、不燃化特区と特定整備路線という新しい制度を構築いたしました。
私の地元墨田区は、都が公表している地域危険度調査において、最も危険性が高い地区の一つであり、とりわけ鐘ヶ淵地区は早急に改善が必要であります。
この地区に位置する補助一二〇号線は、防災性向上の骨格となる道路であり、水戸街道からの一期区間は、現在、都が沿道一体整備事業を行っていますが、一期区間から先の墨堤通りまでの区間はいまだ事業化に至っておりません。この道路が二十メートルの幅員で整備されれば、災害時に延焼遮断帯としてだけでなく、避難道路としても活用でき、地域にとって極めて重要な道路であり、早急に整備する必要があります。
都は、補助一二〇号線の残りの区間の整備を今後どのように進めていくのか伺います。
また、木密地域不燃化十年プロジェクトでは、都は、整備プログラムを実施する区に対し、期間限定、地域限定で特別の支援をしていくとしています。木密地域では、移転先の確保が困難であることなどにより、高齢者が事業に協力しようと思ってもなかなか進まない現実があり、この問題の解決が重要です。
そこで、木密地域不燃化十年プロジェクトも踏まえ、高齢者向けの生活再建策の充実強化に努めるべきと考えますが、見解をお伺いします。
都市の安全性を高めるためには、高度経済成長期に建設され、老朽化が進み、高齢化も進行している大量の団地の耐震化や建てかえを促進し、さらに、多様な世代が居住することによってコミュニティを活性化し、防災に対する自助、共助の力を高めていくことが重要です。
都は、一月に公表した東京都住宅マスタープラン素案で、公共住宅の適切な維持更新や高齢者の居住の安心の確保などを目標として掲げています。
とりわけ、多摩ニュータウンについては、昭和四十年代に入居が始まった初期入居地区において、こうした問題が先鋭的にあらわれてきている一方で、今年度で特別会計が終了いたします。
今後、多摩ニュータウンの再生にどのように取り組んでいくのか伺います。
また、現在、墨田区では、都営住宅の文花一丁目アパートの建てかえが進んでおります。今後、築年数の長い大規模な都営住宅団地の建てかえを推進し、耐震化や創出される用地を避難場所として確保するなどにより、地域の防災性を高めていくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、区部東部の避難対策について伺います。
東京の区部東部には海抜ゼロメートル地帯が広がっており、万が一の水害に備えた対策を検討しておくことが必要です。
例えば、各区が指定している避難所の中には、一階に備蓄物資を保管しているところも見受けられ、万が一、浸水が生じた際には、その物資を損失するおそれがあります。そもそも、現在指定している避難所は地震を想定したもので、津波などによる浸水時に安全に避難できる場所として確保されているものではありません。近くに安全な公共施設がない地域では、民間のビルなどに逃げ込めるような避難場所確保が必要です。
こうした検討には時間がかかりますが、一方で、待ったなしの災害に備えて、今できることを直ちに進めていく必要があります。
都は、東日本大震災を踏まえ、区部東部における避難対策を推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、被災地支援について伺います。
東日本大震災で被害を受けた東北の産業復興は、一年を経過しようとする現在でも容易ではないと聞いております。特に、東北三県の製造業はダメージからの回復がおくれ、せっかくの技術力を発揮できない例も多いとのことです。
こうした状況を乗り越えるため、都内の中小企業と東北の中小企業とが協力し、お互いの技術を提供し合って、新たな製品開発に取り組むための支援が必要と考えますが、所見を伺います。
被災地の中小企業は製造業を含めて、新規の取引の確保に向け、市場規模の大きな東京への進出を希望する場合も多いと聞きます。そうした会社が東京に営業拠点をつくり、都内の中小企業と展示会などを通じ商談をまとめることは効果的な方法であると考えますが、都としての支援策について伺います。
次に、連続立体交差事業について伺います。
まず、東武伊勢崎線業平橋駅付近の踏切対策です。
本年五月に開業する東京スカイツリーの東側には、東武伊勢崎線押上二号踏切が残っており、交差する区道の桜橋通りでは踏切による慢性的な交通渋滞が発生し、これにつながる都道にも大きな影響を及ぼしています。このままでは、スカイツリー開業後、交通量がさらに増加することにより、周辺環境の悪化、観光客の回遊性の障害にもなります。
この問題については、一昨年の予算特別委員会で取り上げましたが、墨田区は、昨年秋、区施行による鉄道の連続立体交差化の実施を決定いたしました。連続立体交差化が進捗すれば、地域のポテンシャルが大きく向上し、税収アップを含め、地元墨田区にとどまらず、広く東京全体にも効果が及ぶものと考えます。
多額の事業費を要する連続立体交差を早期に実現するため、都は、墨田区を積極的に支援する必要があると考えますが、都の今後の取り組みについて伺います。
次に、京成押上線連続立体交差事業について伺います。
京成線の押上から八広駅間では、連続立体交差事業の工事の進捗が目に見えるようになってきました。また、京成曳舟駅周辺では、まちづくりが大きく進展するなど、本事業は、墨田区の活性化にとって欠かせません。地元住民の方々は一日も早く、踏切がなくなるとともに、鉄道による地域分断が解消されることを強く望んでいます。
そこで、京成押上線の押上駅から八広駅間の連続立体交差事業の今後の取り組みについて伺います。
次に、土地信託事業について伺います。
旧両国国技館跡地に建設された両国シティコアは、平成四年に竣工して以来二十年、まちのシンボルとして存在してきましたが、本年七月に契約満了を迎えます。
先に契約を延長した新宿モノリスは五百億円の配当を上げましたが、両国シティコアは三十億円の借入金債務が残ることが明らかになりました。
そこでまず、両国シティコアが厳しい経営状況となった要因と、都が行ってきたこれまでの取り組みについて伺います。
このまま契約が終了すると、債務は全額都に承継されると聞いております。その清算のために、江戸時代から勧進相撲が行われてきた回向院に旧国技館が建てられたという歴史のある、また地元住民も愛着を持つ貴重な都有地を手放すようなことになってほしくありません。
今定例会には、住宅部分を都に戻し、オフィス部分の信託を五年延長するための議案が提出されるとともに、費用負担として十三億円が予算計上されております。
そこで、今回取りまとめた対応について、どのような基本的方針のもとで検討を進めてきたのか伺います。また、契約満了に当たり、今回取りまとめた具体的な対応策を確認し、借入金債務の早期解消に向けた都としての決意を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 桜井浩之議員の一般質問にお答えいたします。
大都市の戦略的強化についてでありますが、現代は、大都市のあり方が国家の命運を左右する、まさに都市の時代となりました。しかし、歴代政権は国家官僚に実質的に支配され続けていまして、地方分権のかけ声ばかりで、太政官制度以来の中央集権体制を温存し、政治家は、国家ではなくて自分の選挙区だけを背負った感じで、縦割り行政を是とする国家官僚に引きずられたままで来ました。
それゆえ、国は日本の有する力を、それぞれの地方の力を束ねて国力を涵養し、それを伸ばすという認識も戦略も欠いたまま、形としては、例えば本州と四国を結ぶ三つも大きな橋をつくって、ばかなことをやってきましたが、逆に大都市への投資はおろそかにしてきました。
さらに、あろうことか、国は東京を初めとする大都市から法人事業税の一部を一方的に奪い続けているわけでありまして、私も知事就任以来、文明工学的視点を欠いたこの国を何とか動かし、東京から日本を変える試みを進めてきたつもりであります。長きにわたって放置されてきた環状道路の整備を進め、羽田空港の再拡張、国際化も実現いたしました。
今後は、アジアの成長を日本に取り込むべく、外国企業のアジアの拠点を誘致して、企業活動の不安を払拭すべく、東京産の電力も倍増させていきたいと思っております。
さらに、東京の防災上の弱点であります、これはもう致命的な弱点であります木造住宅密集地域の解消も強力に進めるなど、新たに構えた「二〇二〇年の東京」計画を確実に実行し、日本のダイナモであります東京の機能に磨きをかけていきたいと思っております。
同時に、日本の再生のためには、東京だけではなくて、首都圏を構成している九の都県市や、リニア新幹線でやがて結ばれることになる大阪、愛知など、太平洋沿岸の大都市の活力も取り戻さなくてはならないと思います。他の都市とも手を組みながら、国を揺さぶって中央集権体制を打破して、日本の富を生み出す大都市が十分に活動できる環境を整えることで、国全体の発展につなげていきたいものだと思っております。
他の質問については、技監及び関係局長から答弁いたします。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 京成押上線連続立体交差事業についてでございますが、本事業は、押上駅から八広駅までの区間を高架化し、明治通りを含む八カ所の踏切を除却することで、交通渋滞や地域分断の解消を図るものでございます。現在、上り線の工事を進めており、平成二十五年度に高架化いたします。これにより、明治通りの交通渋滞の大幅な緩和が図られます。その後、踏切除却に向けた下り線の工事や側道整備などを行ってまいります。
地元では、本事業を契機に再開発事業が進捗し、約千戸の高層住宅や大規模商業施設が完成するなど、まちが変貌しており、地域の活性化にも大きく寄与しております。
引き続き鉄道事業者や地元墨田区と連携し、地域住民の方々の理解と協力を得ながら、本事業を推進してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、補助第一二〇号線の整備についてでございますが、鐘ヶ淵地区を貫くこの路線は、第三次事業化計画の優先整備路線に位置づけられており、お話の一期区間から墨堤通りまでが未着手となっております。この区間の事業の具体化に当たりましては、木密地域である鐘ヶ淵駅周辺のまちづくりなどの検討が必要であることから、地元墨田区では、先ごろまちづくりの素案を住民に説明し、また、鉄道との立体化の検討も進めていると聞いております。
都としても、区のこうした取り組みと連携して沿道の地権者に直接働きかけるなど、街路整備を契機としたまちづくりの機運醸成に取り組んでいるところでございます。
都は、木密地域の不燃化を一段と加速させていく観点から、この路線の早期事業化に取り組んでまいります。
次に、木密地域における高齢者の生活再建策についてでございますが、木密地域の建てかえを進めていくためには、高齢化が進む従前居住者の移転先を確保し、生活再建に十分配慮していくことが重要と認識しております。
都はこれまでも、沿道一体整備事業等において、都営住宅のあっせんや民間賃貸住宅の情報提供などに取り組み、また、地元区においても、コミュニティ住宅の整備等移転先の確保に努めてまいりました。
木密地域不燃化十年プロジェクトの推進に当たりましては、地元区の提案も踏まえながら、公共住宅や都有地の活用など、高齢者の居住安定のための支援策について検討を進め、より実効性のある不燃化特区制度の構築に取り組んでまいります。
次に、多摩ニュータウンの再生についてでございますが、多摩ニュータウンにおいては、計画的に整備された緑や公園、道路などが貴重な財産となる一方、昭和四十年代に入居が始まった初期入居地区では、施設の老朽化や住民の高齢化などが進んでおります。
そこで、都は、学識経験者や地元市などの意見を聞き、良好な既存ストックを生かしながら、初期入居地区が抱えるこうした課題などを解決し、再生していくための手引きとなる、多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドラインを取りまとめました。
今後、都は、地元市や住民、都市再生機構など関係する主体と連携し、ガイドラインを活用しながら、具体的な再生方針の策定を促進することなどにより、再生に取り組んでまいります。
次に、大規模な都営住宅団地の建てかえによる地域の防災性の向上についてでございますが、都営住宅の建てかえを契機として、耐震化など建物の安全性の向上とともに、敷地の有効活用を図り、周辺地域も含めて防災性を高めていくことが重要と考えております。
これまでも建てかえによる創出用地を活用し、道路や公園など避難に役立つオープンスペースの確保や、防災倉庫、防火水槽、さらには総合治水対策の一環として調節池や一時貯留施設等の整備に取り組んでまいりました。
現在、首都東京にふさわしい高度な防災機能を備えた居住の実現を目指して、住宅マスタープランの策定作業を進めており、今後、このマスタープランも踏まえ、都市計画道路の整備や木密地域の改善に創出用地を活用するなど、防災都市づくりの推進に寄与してまいります。
最後に、東武業平橋駅周辺の踏切解消についてでございますが、東武伊勢崎線第二号踏切は、平成十六年度に都が策定した踏切対策基本方針において重点踏切の一つに選定され、鉄道立体化以外の対策を検討する区間に位置づけられておりました。その後、本地区においては、東京スカイツリーに合わせて、地元墨田区が土地区画整理事業などのまちづくりに取り組み、昨年秋にはみずからが施行者となり、鉄道の連続立体交差化や関連する道路整備を行うことといたしました。
都としては、こうした地元区の主体的な取り組みを踏まえ、技術的支援や鉄道事業者等関係機関との調整を行うなど、鉄道立体化の実現に向け、積極的に協力してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 東京湾沿岸部の津波対策についてでございますが、海抜ゼロメートル地帯に暮らす都民の方々を水害から守るため、水門、防潮堤の整備などハード対策に加え、避難などのソフト対策を講じておく必要がございます。
住民の方々の避難につきましては、主たる役割を担う各区においてさまざまな対策が講じられておりますが、都といたしましても、広域行政の立場から、東京都防災会議のもとに避難対策に関する検討部会を設置し、水害時の避難先の確保や広域的な避難方法も含めた避難対策について検討してまいります。
この結果を都の地域防災計画に反映させるとともに、関係区とも連携し、先進的な取り組み事例の普及や避難場所のさらなる安全確保を図るなど、区部東部を初めとする東京湾沿岸部の津波対策に万全を期してまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 被災地支援に係る二点のご質問にお答えいたします。
まず、東京と被災地の中小企業の協力についてでありますが、被災地の産業の復興に向け、東京と東北三県の中小企業が協力し、新たな技術や製品の開発に取り組むことは重要でございます。
このため、都は来年度、都内と東北三県の中小企業の連携の仕組みをつくり、高付加価値の技術や製品を開発し、新たなビジネスの展開に結びつける取り組みを実施いたします。
具体的には、東京都と東北三県の中小企業振興公社がすぐれた技術を持つ企業をグループ化し、大企業の注文に対応できる共同開発の体制をつくり、試作品の生産の受注等につなげてまいります。企業訪問やセミナー等を効果的に行い、中小企業のグループや大企業との協力関係を着実に生み出すことによりまして、それぞれの地域の企業の力を活用した被災県の産業復興を後押ししてまいります。
次に、被災地企業の販路開拓支援についてでありますが、被災地の企業が東京の巨大な市場で販路を開拓しようとする場合、営業拠点などの確保が重要であります。
都は、地方の企業が東京に営業拠点を設ける取り組みを支援するブリッジヘッド事業を活用いたしまして、被災地の企業に無料で事務用の場所を貸し出しております。現在は十二の区画に対して十一の被災地企業が入居しており、来年度は区画を拡充して、最大で十八の企業の受け入れを予定しております。
また、東京の事業協同組合などが被災地の中小企業の販路開拓につながる展示会を開く場合、新たにその開催経費の一部を助成いたします。
こうした取り組みにより、被災地の企業の販路拡大を図り、産業復興を着実にサポートしてまいります。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
〇財務局長(安藤立美君) 土地信託、両国シティコアについて、三点お答えいたします。
まず、両国シティコアが厳しい状況となった要因などについてでありますが、この土地信託はバブル景気の最中である昭和六十三年に計画されたものでありまして、建築資材の物価騰貴などの影響により、建物の建設費が約三十五億円増加したことに加えまして、地価の下落により賃料が低調のまま推移したことなどが、厳しい経営状況となった要因であるというふうに認識をしております。
これに対しまして、都としては、借入金金利の引き下げや徹底した維持管理コストの縮減など、受託銀行に努力を求め、実施をしてきたところであります。
次に、今回取りまとめた対応についての基本的方針であります。
このまま土地信託契約が終了いたしますと、土地、建物がテナントつきでそのまま都へ返還され、借入金の債務も都に承継されることとなります。現時点での資産価値は約九十二億円でありますので、ここで売却をすれば借入金債務を解消できるわけですが、信託財産は都民の負託を受けた貴重な都有財産でありますので、売却処分はせず、現在の資産価値を最大限発揮し、収益を確保することにより、税金を投入することなく債務の早期解消を目指すとともに、住宅居住者の居住の安定と継続を図っていくことを基本的な方針といたしました。
そして最後に、具体的な対応策と借入金債務の解消についてでありますが、オフィスにつきましては、経営努力により今後も安定した賃料収入の確保が見込めることから、五年間信託契約を延長することといたしました。
また、住宅は入居者の居住の安定と継続を図るため、都へ返還後、引き続き公共住宅として管理をしてまいります。
これらの対応により、信託事業を継続する中で十七億円を返済する一方、都は住宅部分の特別会計への有償所管がえによる財源を活用し、十三億円を清算することで、三十億円の債務を税金を一切投入しないで解消することが可能となります。
こうした方策を講じることは、この土地を手放さず、将来新たなまちづくりの視点に立ち、都の主体的な判断により利活用を進めることを可能とするものでもございます。
両国シティコアを取り巻く環境は、引き続き厳しい状況が予想されておりますけれども、今後、受託銀行に対しまして、あらゆる創意工夫によるテナントの誘致やさらなるコスト縮減を求めるなど、確実に借入金債務が解消できるよう全力で取り組んでまいります。
〇副議長(ともとし春久君) 六十番中山信行君。
〔六十番中山信行君登壇〕
〇六十番(中山信行君) 初めに、防災対策について伺います。
私は先日、東京駅周辺での避難誘導訓練に参加しました。建造物内で地震発生の合図を受け、まずは身の安全としゃがみ込んだ際、真っ先に目についたのが天井であります。
近年、建物の躯体自体はかなり堅牢になっております。しかし、つり天井や照明などが落下すれば、瞬時に多くの死傷者が発生するほか、避難誘導も困難になってしまいます。
国は、十勝沖地震などを機に、平成十五年、天井の崩落を防ぐ技術指針を策定。二年後の宮城県沖地震では、その対応におくれた建築物で落下被害が発生しました。今回の東日本大震災では、被災三県のほか、都内の九段会館や川崎市の音楽ホールでも天井落下事故が発生しており、今後、指針が改正される可能性があります。
一方、都市整備局は、平成十五年策定の現行指針に対してすら未対応な建築物が、いまだ都内に存在していることを把握していると聞きます。あわせて、首都直下型地震の切迫性であります。次の指針改正には迅速かつ徹底的に対応すべきです。大規模空間の天井落下を防ぐ、今後の都の取り組みを伺います。
さらに、地震の発生に伴う危険は、大規模商業空間の陳列物や装飾品、広告物にも当てはまります。商業空間は日ごろから買い物客でにぎわうのみならず、災害時には避難路としても大切な役割を担います。
そこで都は、駅周辺など滞留者が多く発生する空間だけでも、安全確保のため、関係者による速やかな自主点検と改善を促していくべきと考えますが、見解を求めます。
災害時の避難誘導では、情報提供が重要です。今回の訓練では、きめ細やかな情報提供手段であるツイッターやエリアメールなどが有効であったほか、民間の大型ビジョンが、外国人などにも伝わりやすい映像による情報提供手段として大いに役立ちました。
しかし、民間大型ビジョンについては課題があります。一つは、都内での設置数は、ある広告会社の営業契約数で四十四カ所ですが、都が非常時の活用を前提に提携しているものは、そのうちの四カ所にすぎません。また、四十四カ所といっても、十カ所もある駅もあれば、未設置ないし一つしか設置されていないターミナル駅もあります。その意味で、乗降客数や乗降口数など、一定規模以上のターミナル駅での大型ビジョンの活用促進を、上程中の帰宅困難者対策条例の実施計画に定めることが必要です。
今後、都は多様な情報提供手段を確保し、効果的な避難誘導を期すべきと考えますが、見解を求めます。
次に、ひきこもり状態にある若者や精神疾患患者へのアウトリーチについて伺います。
未来を託す次の世代が、みずから能力発揮の機会を放棄してひきこもることは、家族や社会にとって大きな損失です。同様に、精神疾患と思われる症状にありながらも、診療拒否や通院中断の場合があり、これまた周囲の大きな悩みの種になっています。ともに、社会参加や診療に向けて閉じられた心の扉を開く、専門家のアウトリーチが求められています。
そこで、ひきこもり支援に取り組む青少年・治安対策本部と精神障害者への支援を展開する福祉保健局に対し、都内のより広範な地域で専門チームによる訪問活動などを活発化させ、より本格的な支援に導く取り組みを強化するよう求め、見解を伺います。
一方、ひきこもりに取り組むNPO団体にとって、精神疾患的症状への対応が課題となっています。気軽に相談できる医療機関の紹介や、適切に対応するための研修が必要です。見解を求めます。
私の知人に、財団法人メンタルケア協会の認証資格である精神対話士の存在を知り、子どもへの支援を依頼した事例があります。衰弱死寸前のうつ状態から救い出したものの、実家でも家族と口をきかなかった子どもが、精神対話士の一度目の訪問で会話が成立、二度目の訪問で外出に成功、後に医療機関での治療を経て、大学に復学を果たしています。精神対話士は、榊原記念病院など各地の総合病院で活用が始まっています。
精神障害は症状の変化が激しく、通院していても突如自殺に至る場合があります。そのため、診療に結びつけるとともに、日常的に精神障害者を支えていくことが大切であります。
そこで、都は今後、専門家やメンタルケアの研修を経た身近な人々などを活用し、心の不調を訴える人々への支援機関のネットワークを広げ、地域全体で精神障害者を支えるべきと考えますが、見解を求めます。
次に、キャリア教育の充実と公立小学校の学力向上について質問します。
二月二十日、東京都教職員研修センターで開催された都立高校を中心とするキャリア教育の会合に、私も参加させていただきました。日々の教科別の授業の中でキャリア教育を行うことは、具体的な学習内容への意欲、関心の増進に役立つものと考えます。しかし、若手教員グループの報告によると、文系科目に比較し、理系科目では、示唆に富む逸話の取り入れが難しいなどの課題があるようであります。
そこで、都はキャリア教育の視点を取り入れた標準的な教科別指導案の作成を急ぎ、参考として提示すべきです。見解を求めます。
さらに、学校と企業などとを結びつける仕組みづくりは、学校側の負担が減り、持続可能なキャリア教育の推進に役立ちます。
そこで、都は、校種別に課題を整理し、外部人材の活用促進策を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
先日、あるベテラン教員から、教師が児童から尊敬される秘訣は、この教科の指導だけはだれにも負けないという得意科目を持つことだ、児童との関係が深まり、学級崩壊も起きない、一つの科目を徹底的に磨き上げれば、他の科目の指導もおのずと上達すると伺いました。都立教育研究所は廃止されましたが、教員同士が連携し合い、教科別の指導方法を磨き合う機会をふやすことは、今でも十分可能なはずであります。
都は、改めて教科ごとの指導力の育成に力を注ぎ、公立小学校の学力向上を期すべきと考えますが、見解を求めます。
山口県の山陽小野田市では、学習への集中力を高めるため、市内全小学校の百三十一学級で週三日、一時限目を百ます計算や声に出して本を読む音読に充てて、十五分間ずつの三こまに分けて取り組む、いわゆるモジュール授業を実施。一年間で全児童の知能偏差指数の平均が一〇二から一一一へと伸展。算数でも九〇%以上の学級で平均偏差値が伸びており、その成果は、「学力は一年で伸びる」との衝撃的なタイトルの本にまとめられています。
こうした取り組みの結果を踏まえ、山陽小野田市では、モジュール授業の手法開発については一応の決着をつけ、次の段階の学力向上の取り組みに力を入れ始めています。
一方、都内の公立小学校における学力向上の取り組みは、既にさまざまに試みられているようでありますが、その具体的な進捗を都民は余り実感できていないように感じます。原因にはPR不足もあるでしょうが、根本的には、数多くの手法が学校に紹介されていながら、どの手法がどの程度有効なのかが客観的に検証されていない点にあります。
都内の公立小学校の管理、執行権は区市町村教育委員会にあり、本来、都は関与するところではありません。しかし、ただ単にさまざまな手法が試みられているというだけでは、五年前も今も同じ、何年たってもその状況に変化なしということになりかねません。
今後、都は、区市町村教育委員会ごとに客観的に検証可能な形で、公立小学校の学力向上への取り組みが実践され、その伸展を具体的に確保して都民に明示するよう、広域的な立場から導くべきと考えます。見解を求めます。
次に、都内の中小企業の発展に必要な人材育成、技能継承について伺います。
左官業は、建造物の大小を問わず、建築工事に欠くことのできない大切な技術職ですが、通常は極めて零細な経営状態にあり、職人の高齢化というタイムリミットに直面しています。私の地元の足立区には、常時百名以上の左官職人を抱える専門の会社があり、社宅も備えて、ベテランから若手への技能継承に懸命に取り組むほか、都の職業能力開発センターによる多角的な支援に期待を寄せています。また、都が成長産業分野に位置づける情報産業においても、ウエブサイトのプログラミング技術と画面デザイン力の双方を兼ね備える即戦力の確保に苦慮しております。しかし、現状の技能訓練では、これら二つの技能をあわせて指導する仕組みになっておらず、改善が必要です。
ものづくり産業の環境は厳しく、職業能力開発センターにおける人材育成、技能継承に関する柔軟かつ積極的な支援展開が急務となっています。遅きに失することがないよう対応を図るべきと考えますが、見解を求めます。
都の職業能力開発センターの就職率は高く、不登校状態にあった若者が皆勤して卒業し、就労するなど、目覚ましい成果を上げています。しかし、その利用価値はいま一つ周知されておらず、科目分野によっては就職上の有利さと応募がミスマッチになっております。
若者のものづくりへの関心を高めるためにも、産業労働局は学校教育との連携をさらに拡充すべきと考えますが、見解を求めます。
就職難は中高年も同じであります。この点、都の職業能力開発センターでは、未経験者の五十代の訓練生が図面作成の技術を磨き、建築事務所での正規採用を果たすなど、明るい話題を提供しています。都は中高年者にも求人の多い資格分野において、より効果的な職業訓練を展開すべきと考えますが、見解を求めます。
最後に、都内中小企業の技術力を、だれよりも高く評価する石原知事に、人材育成、技能継承に寄せる決意を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 中山信行議員の一般質問にお答えいたします。
中小企業における人材育成と技能継承についてでありますが、機械化、自動化が進展した今日においても、電子顕微鏡の心臓部の微細加工やロケットの先端をつくるへら絞りなど、高い精度と研ぎ澄まされた感覚が求められる分野は、熟練技能者の精緻なわざに大きく依存しているわけでありまして、私のかつての選挙区にも、二人だけで小さな工場をやっている夫婦がいまして、削りの名人という、岩井さんというんですが、あるとき行きまして、何を削っているんですかといったら、これは孫請で、実は原子炉のしんを削っているというんですね。そういう日本の経済構造といいましょうか、これはいいような悪いような、本当に、その奥さんなんかも機械に挟まれて、片手が動かなくなって、二人だけでそういう仕事をしておられましたが、いずれにしろ、こうした日本人の持つ繊細なものづくりのわざというのは世界に類を見ないものであると思います。アメリカの新しい戦闘機、ミサイルの、要するに先端の技術も、設計はできても彼らはできませんから、全部日本が原型をつくってやって、彼ら、型を起こすわけですからね。
長年の研さん、経験によって蓄積されたこの職人わざは、東京のものづくり産業の基盤でありまして、これを受け継ぐ人材を不断に育成するとともに、現場に息づく技能が将来にわたり途切れることなく継承されることが重要であると思います。しかし、これはなかなか困難になってきましたな。
このため、そのわざをきわめた都内の技能者を東京マイスターとして表彰しているほか、こうした熟練技能を受け継ぐ中堅青年技術者を育成する取り組みとして、東京ものづくり名工塾も設けております。しかし、なかなか人材というものは集まらないうらみがございます。
今後とも、ものづくりの新たな担い手となる人材の育成を何とか強力に推進して、すぐれた技能を継承することにより、東京のものづくり産業を将来に向けて発展させていきたいと思っております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
まず、キャリア教育の視点を取り入れた教科の指導についてでございますが、キャリア教育は、日々の教育活動全体で行うことが重要であることから、都教育委員会は、全都立高校でキャリア教育の年間指導計画を作成し、各教科や特別活動、総合的な学習の時間を通じて取り組むよう指導しております。
学校では、例えば総合的な学習の時間を活用して、社会人などによる進路講演会や大学への体験入学などを行い、成果を上げておりますが、各教科では、指導内容と実社会との関連が十分に教えられていない現状がございます。
今後は、キャリア教育開発委員会で、教科の内容と実社会の具体的な課題とを結びつける事例等を提示するとともに、それらを活用した具体的な指導方法を開発し、キャリア教育を一層充実させてまいります。
次に、キャリア教育における外部人材活用についてでございますが、都教育委員会では外部人材を活用するため、地域教育推進ネットワーク東京都協議会を設置し、企業、大学、NPO等と連携する仕組みづくりを進めてまいりました。公立小中学校においては、児童生徒がさまざまな職業や仕事を知ることが重要であるため、本協議会において、地域の企業等と学校とをつなぐコーディネーターの養成研修を充実してまいります。
都立高校においては、生徒に社会活動や職業を体験、実感させることが重要であるため、本協議会を活用して、企業関係者等を社会人講師として組み入れた教育プログラムを開発するなど、企業等のキャリア教育への参画を促進してまいります。
次に、小学校教員の教科指導力の育成についてでございますが、小学校教員にとって一つの教科で専門性を高めることは他の教科指導にも応用でき、極めて有効でございます。都教育委員会では、教職員研修センターにおいて専門性向上研修を実施し、教員に求められる専門性を確実に身につけられるよう、教員の個々の能力や課題に応じて適切な講座を受講するよう指導しております。
また、平成二十二年度に教科研究のリーダー育成を目的に設置いたしました教育研究員制度では、来年度から宿泊研修において、教員による学校種を超えた討議を通して情報の共有や連携を図らせまして、その研究成果を報告書等により全国に広めてまいります。
このような取り組みを通して、小学校教員の専門性を高め、児童の学力向上に資する指導力を育成してまいります。
次に、学力向上施策の推進についてでございますが、今年度から都の学力調査においては、児童生徒の個票に加えまして、学級や学年の学力の定着状況等を記した資料、区市町村別の正答数分布を教科ごとにあらわしたグラフ等を提供することにより、学校や区市町村教育委員会における学力向上施策の検証を図る取り組みを支援しております。
また、学力調査の結果を踏まえた指導上の留意点等を示したリーフレットを、公立小中学校の全教員へ三月末までに配布して、授業改善に向けた取り組みを一層推進してまいります。さらに、来年度は、学力向上に係る取り組みの成果を保護者や地域に説明している学校の例を全都に紹介するなど、各学校の取り組みが一層理解されるよう支援してまいります。
今後とも、都教育委員会は、お話の広域行政の役割を踏まえまして、公立小中学校での学力向上施策を推進してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 建築物における天井の落下防止対策についてでございますが、都はこれまでも、建築基準法の定期報告制度により、国の基準に基づき、床面積が五百平方メートル以上の大規模空間の天井で落下のおそれがあるものについて、建築物の所有者等に対して改善を指導してまいりました。
しかし、さきの大震災では、この規模に満たない天井が落下し、死傷者が出たことから、都は直ちに四百平方メートル以上の天井の点検を所有者等に対して要請いたしました。さらに、震災後は、定期報告についても調査対象をこの規模まで広げて、必要に応じ是正を指導しております。
現在、国は天井に関する基準を見直しており、今後、この動向も注視するとともに、年二回の建築物防災週間などを含め、さまざまな機会をとらえて落下防止対策を徹底することにより、建築物の安全性を確保してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、事業者等の自主的な滞留者対策についてでございますが、多くの人が集まるターミナル駅周辺などで施設や避難経路などの安全性を確保していくことは、ご指摘のように、駅周辺の滞留者の円滑な避難誘導を行う上で大変重要でございます。
都はこれまで、都内八カ所のターミナル駅において、鉄道事業者、店舗、学校、行政機関などから成る駅前滞留者対策協議会を区市とともに設置し、避難誘導訓練などを通じて、施設や避難経路などの安全確認を行ってきましたが、東日本大震災を踏まえ、駅周辺等において滞留者対策のさらなる充実を図る必要性が明らかになってまいりました。
このため、今後都は、各地域の協議会を集めた連絡会において、事業者等に対して安全点検の徹底と定期的な訓練での検証などを求めていくことにより、自主的な滞留者対策への取り組みを促してまいります。
次いで、帰宅困難者に対する多様な情報提供手段についてでございますが、東日本大震災の当日は、駅周辺などに多くの帰宅困難者が滞留し、混乱が発生したことから、首都直下地震等に備え、一斉帰宅抑制のための家族との安否確認や一時滞在施設への誘導に必要な情報の提供に向け、多様な手段を用意しておくことが重要でございます。
このため、都は、猪瀬副知事と内閣府政策統括官を共同座長とする帰宅困難者等対策協議会を設置し、通信事業者を交え、発災時の多様な情報提供手段の確保に取り組むとともに、都営地下鉄の駅構内や列車内でのメールやインターネットの利用が年内に順次可能となるように整備を進めております。
さきにターミナル三駅で実施した訓練においても、一時滞在施設の開設状況等について、大型ビジョンやエリアメール、ツイッターなどさまざまな手段を用いて情報提供を行ってまいりました。
今後、実施計画の策定に当たりましては、訓練の成果を検証した上で、お話の大型ビジョンを初めとするさまざまな情報提供手段の活用方策等について検討してまいります。
〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、ひきこもりの若者への訪問による支援についてでありますが、訪問支援を広範な地域で実施するには、実際に支援を行うNPO法人等の育成と、住民との接点を多く持つ区市町村における支援体制の整備が不可欠でございます。
そこで、都では、訪問による相談支援をひきこもり等の若者支援プログラムの一つと位置づけ、支援プログラムを適正かつ継続的に実施するNPO法人等を登録し、支援技術や経営面をサポートする事業を今年度開始いたしました。
また、登録を受けたNPO法人等と連携して訪問等の支援に取り組む区市町村に補助を行う事業を開始し、今年度は四区市町が本事業を活用した支援を実施したところでございます。
来年度も支援に取り組む区市町村をさらにふやすため、本事業の活用を働きかけるとともに、四区市町が引き続き地域の状況に応じた取り組みを進めることができるよう、今後も情報提供等を行ってまいります。
次に、精神疾患を抱える方等への対応についてでございますが、都では、訪問相談を行うNPO法人等の職員を対象に、精神保健に関する知識や、訪問時に本人の状況を把握する技能等を習得するための実践的な研修を実施しております。
また、登録を受けたNPO法人等が対象者の支援計画の検討に当たり相談できるよう、今年度新たに精神科医等の専門家を確保いたしました。
今後、こうした専門家の助言に基づく具体的な支援事例を紹介するなどして、その積極的な活用を促してまいります。
都では、これらのサポートを通じてNPO法人等の育成を図るとともに、区市町村における支援体制整備を進めることにより、ひきこもりの若者への支援の充実に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 精神障害者に関する二点のご質問にお答えを申し上げます。
まず、精神障害者に対する支援についてでございますが、都は今年度から、精神保健福祉センターに医師、保健師等の多職種の専任チームを配置いたしまして、区市町村、保健所と連携しながら、都内全域を対象に訪問型支援を実施いたしますとともに、支援対象者の症状の変化に応じ速やかに受け入れる短期宿泊事業をあわせて開始いたしました。
今後、センターが関係者と合同で行います事例検討会等を活用しながら、地域で訪問型支援に携わる区市町村や医療機関などの支援力の向上を図ってまいります。
また、短期宿泊につきましては、適切な利用によりまして症状の悪化を防ぎ、地域生活への復帰が可能となる成果も得られていることから、将来民間などでも実施できる仕組みを検証するため、来年度は、民間事業者を活用した短期宿泊のモデル事業を実施してまいります。
次に、精神障害者を地域で支える体制についてでございますが、精神障害者の地域生活を支えるためには、症状の変化に応じ適切な医療が受けられるよう、地域の医療機関や保健所、相談支援機関等が連携して取り組むことが重要でございます。
都は現在、区東北部と南多摩の二つの二次保健医療圏で、地域の関係機関のネットワークによるモデル事業を実施しておりまして、来年度はこうした連携をより強化するため、地域連携パスを作成し、試行を実施いたします。
また、東京都地方精神保健福祉審議会におきましても、精神障害者の地域生活の支援体制について審議をいたしておりまして、その中では、当事者や家族会など身近な人々による相談支援等の活動についても議論が行われております。
今後、モデル事業での成果や審議会での議論を踏まえまして、精神障害者を支える地域連携体制について検討し、来年度の東京都保健医療計画の改定にも反映させてまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、人材育成と技能継承への支援についてでありますが、中小企業の熟練技能者が高齢化する中、次代を担う人材の育成と技能継承を効果的に進めるためには、各企業の実情に合わせた支援が重要でございます。
このため、都は、これまでも職業能力開発センターにおきまして、個々の企業の求めに弾力的に応じるオーダーメード訓練を実施するとともに、随時、訓練科目を見直し、企業ニーズに的確に対応した在職者訓練を行うことで人材育成を支援してまいりました。
また、来年度からは、企業からの要望を受け、熟練技能の継承を支援する、ものづくり名工塾の基礎コースともなる、いわゆるプレ名工塾を新設いたします。
今後とも、こうした取り組みの充実に努め、中小企業の人材育成と技能継承を積極的に支援してまいります。
次に、学校との連携についてでありますが、次代を担う若者のものづくりへの関心を高め、実践的技能が習得できる職業訓練を通じて就職につなげることは、ものづくり人材を確保する上でも重要な取り組みでございます。
このため、職業能力開発センターでは、中学、高校生向けの体験入校の実施や、学校に対する訓練内容や取り組みのPRを随時行っております。また、実習を通じて職業訓練への関心を高め、ものづくり現場の情報を提供いたします、高校生向け実習講座を開講しており、来年度はその規模を百五名から二百四十名へと大幅に拡大して、より多くの高校生に受講してもらうこととしております。
今後とも、職業訓練の体験を通じて、若者のものづくりへの関心が高まるよう、学校との連携を強化してまいります。
最後に、中高年に対する職業訓練についてでありますが、中高年求職者の雇用環境は厳しいものがございますが、求人ニーズの高い分野での資格取得は、就職に際し効果的であります。
このため、都は、ボイラーや警備関連など中高年の就職に有利な資格取得が可能な訓練科目を設定し、職業訓練を実施してまいりました。
来年度は、地域の求人ニーズを踏まえて、城東職業能力開発センターに空調や給排水設備の施工技能を習得する建築設備施工科を新設し、施工に附帯する電気工事士等、資格取得に必要なカリキュラムを整備いたします。
今後とも、こうした取り組みを通じて、中高年求職者の就職を支援してまいります。
〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時四十一分休憩
午後六時開議
〇議長(中村明彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
五十六番岡田眞理子さん。
〔五十六番岡田眞理子君登壇〕
〇五十六番(岡田眞理子君) 初めに、築地のまちづくりについて伺います。
二月七日、東京都は、地元中央区と築地のまちづくりに関する合意を交わしました。その直後の二月十五日に開かれた中央区議会の特別委員会では、この合意について、区は同意するという文言はあるが、都は合意するという文言がないとして、このことへのある種の不平等条約であるかのような指摘もありました。
そこで私は、東京都としても、この合意を締結するに当たり、食文化の拠点として築地がはぐくんできた活気とにぎわいを継承していくことの重要性を認識しつつ、あわせて、地元中央区とともに、食文化の拠点の形成に向けて検討していくことについても同意しているのではないかと考えますが、東京都の基本認識について見解を伺います。
また、合意文の第二項では、築地のまちは、銀座に隣接する極めて高いポテンシャルを有しており、また、築地市場を中心として、場外市場など周辺とのかかわりの中で独特の伝統文化を生み出し、にぎわいを創出してきたという特質を持っているとした上で、築地のまちづくりにおいては、これらの特質等をどのように引き継いでいくかという観点も含めて、検討を行っていくとしています。
このような中で、築地におけるまちづくりは、ほかの再開発で見られるような地元自治体や周辺地域とのまちづくりの整合性を欠いた再開発ではなく、土地処分についてもこれまでのように細かく切り売りをせずに、食文化の継承というコンセプトに基づいた上での一体的なまちづくりを進めていくことが望まれます。都の見解を伺います。
次に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの選手村予定地である晴海に関連して伺います。
晴海は、最寄り駅が都営大江戸線の勝どき駅しかなく、勝どき駅は朝夕大変なラッシュで、乗りおりできない人たちは隣の月島駅を利用するため、今では月島も大変な混雑となっています。二年前の私の一般質問に対して、都は現在、その打開策としてホームの増設に着工していますが、それでも解消策としては不足しているといわれています。
また、晴海地区には、ここ数年でも次々と新しく高層マンションの建設が予定されており、人口の著しい増加が見込まれる中、新たな交通システムが必至であると考えます。
そこで、まずは、ヨーロッパなどで導入が進んでいる新しい路面電車であるLRTや、バスレーンを連節バスなどで快適に走行するBRTの新設が考えられます。現在、地元中央区では、晴海地区と銀座方面などを結ぶLRTやBRTについて検討が行われており、地元から期待の声が上がっています。このLRTやBRT構想に関しての都の基本的認識について伺います。
続いて、晴海の客船ターミナルについて伺います。
晴海地区の東京湾に面した突端には立派な客船ターミナルがありますが、毎年五月に行われる東京消防庁による水の消防ページェントと、毎年八月に行われる中央区による東京湾大江戸華火祭の、年に二回は大勢の人で大変なにぎわいを醸しますが、それ以外は閑散としている状態です。稼働率を聞いてみますと、肝心な客船が到着するのは月に一、二回程度ということです。
美しさがひときわ目立つ立派な施設ですから、テレビドラマや雑誌のロケ地としてお目にかかることは多いのですが、客船ターミナルとして活性化を促進する努力をするべきと考えますが、見解を伺います。
さて、先日の知事施政方針では、東京が日本の首都としての存在感を高めるためには、風格のある都市を造形しなければならないと、首都の玄関口である東京駅丸の内周辺の整備に言及されています。東京駅から行幸通り、江戸城のたたずまいを残す皇居周辺が一体となった風格ある景観は、後世に残る我が国の財産になると思いますと述べられていました。
これを伺い、私が思い出したのは、パリのまちを世界一美しいまちにしたいと、十九世紀半ばにナポレオン三世が、道路の区画整備やバルコニーの高さを一律にそろえ、まち並みを整備し、今のあの美しいパリをつくったという話です。
東京を風格ある都市にとの知事の声は、東京のまちづくりに大きな影響を与えるものと期待しております。
そこで、私が述べさせていただきますのは、同じ東京駅の対の玄関口である八重洲側のまちづくりについてです。歴史をひもとけば、八重洲の地名は、江戸時代に徳川家康の国際情勢顧問や通訳として活躍し、この地に屋敷を与えられたオランダ人のヤン・ヨーステンの和名、耶揚子から来ているそうです。
八重洲は、東京駅前という立地のよさから主にオフィス街として機能し、兜町も近く、しにせの料理屋も多く、商業地域としても発展しています。丸の内側が江戸城のたたずまいを残すとすれば、こちら八重洲側はお江戸日本橋に至る庶民の暮らしが息づいているまちといえます。
しかしながら、丸の内側と比べますと、東京駅前広場を筆頭に、再開発が非常におくれています。駅前は雑然としており、タクシーおり場は無断駐輪場と化し、安全上の問題が指摘されています。また、周辺のビルは老朽化しており、耐震性も不備であり、景観上も安全上も含めて早急の整備が求められます。
東京駅は、全国から人々が集積できる場所ですから、八重洲を日本のこれからの産業を支える拠点として、例えば、知的集積の高い産業の芽を育てる場所として活用するなど、立地のよさを生かした再開発が必要と思われます。羽田もハブ空港化し、全国から、そして、世界からの来街者が多く訪れる東京駅前として、品格あるまち並みに再生していくことが必定と思われますが、風格のある都市づくりの観点から、八重洲側のまちづくりについて所見を伺います。
次に、特別支援教育に関連してお伺いいたします。
平成十四年に国が行った調査の結果によれば、小中学校の通常の学級には特別支援を必要とする児童生徒が六・三%在籍していると報告されています。近年、発達障害の児童生徒に対する教育内容、方法の充実は急務であり、今や小中学校等に勤務するすべての教員に、発達障害などの高発生頻度障害についての基本的知識を有することが求められているといえます。
文部科学省の調査結果では、平成二十二年度に都立特別支援学校に新規に採用された教員のうち、特別支援学校教諭免許状保有者の割合は四五・七%であり、小中学校の特別支援学級の教員の場合は約三割程度ということです。障害のある子どもの教育を専門とする特別支援学校や特別支援学級でさえこのような状況であれば、小中学校等の教員に発達障害に関する基本的な知識理解を期待することは極めて困難といわざるを得ません。
こうしたことから、今後、都における特別支援教育の充実を図るためには、勤務する学校の校種にかかわらず、すべての教員が発達障害に関する一定程度の知識を身につけ、その上で特別支援学級や特別支援学校に勤務する教員は、それぞれの障害種別に応じた指導の専門性を身につけることができるようなシステムの工夫が必要であると考えます。
そこで、特別支援教育にかかわる教員の専門性の育成について、都教育委員会の見解を伺います。
同じ都内にありながら、区市町村によって特別支援教育の状況にいろいろな差が見られます。中でも、幼児期から学童期に継承される個別の教育支援計画書というものがありますが、これは、その子どもの障害の程度や実態を理解、把握し、適切な教育支援を実施していくための極めて教育支援上の指針として重要なものです。
しかしながら、この教育支援計画書の書式が学校や地域によって異なるため、支援を受ける子どもが保護者の転勤などで転校するたびに新しい支援計画書がつくり直されることになります。子どもに一貫性のある支援を行うことが目的で定められたものなのですから、地域や学校が変わっても一貫性のある支援を行うためには、個別の教育支援計画の書式を都として統一して活用を図るべきと考えますが、見解を伺います。
障害には、目に見える障害と、見えない、周囲に理解されにくい障害があり、その代表的なのが学習障害、LDだといわれています。そして、そのLDの一種であり、知的能力や一般的な理解能力には特に問題が見られないにもかかわらず、文字の読み書き学習に著しく困難を抱える障害にディスレクシアがあります。
ディスレクシア、美んちゃんの場合というドキュメンタリー映画を先ごろ見てまいりました。高校を終え、イギリスの美術専門学校に行き、そこでディスレクシアを指摘され、初めて自分の障害に気づき、その後、就職しては解雇されることを幾度も繰り返し、悩み苦しんだあげくに、やっと得意な料理の腕を生かしてお弁当屋さんを開業するに至った、自立して生きる主人公の姿がありました。彼女のように、成人近くになってから自分の障害がわかり、苦労の末に自分に合った仕事で生きていけるのは、まれな幸せなケースであり、もっと早くに学童期にわかっていたらと考えると、学校教育の責任の大きさを痛感します。
私が実際に体験した例では、小学二年生の男の子でしたが、算数の文章題が苦手だと母親から相談を受け、面談をいたしました。わからないという文章題を読んで聞かせてやると、さっと立式し、正解が出せました。もしやと思い、幾つかの問題と国語の読解問題も読んで聞かせると、理解が進み、正解へと導くことができました。専門医を紹介し、ディスレクシアと診断された子の例です。
障害の早期発見、早期支援は重要な課題です。通常の学級に在籍する読み書きに障害のある児童生徒に対して、障害の現状を早期に把握し、適切な支援が受けられるように対応すべきと考えますが、見解を伺います。
さて、一昨日の夕刊に、発達障害のある受験生が入試でパソコンの使用を認められ、鳥取大学に合格した旨の記事がありました。筆記試験や小論文では、頭の中に答えがあっても、書いて表現できない、パソコンでならできる、そうした発達障害のある受験生への明るいニュースでした。
新聞によりますと、米国では大学生のうち、障害のある学生は一割を超えているそうですが、日本ではわずかに〇・二七%ということです。そして、米国では、障害を理由とした排除を禁止する連邦法があり、教育機関は、入試などで個別の障害に合わせて配慮する義務があるということです。
日本では、昨年八月にやっと改正障害者基本法で、障害者の社会的障壁を取り除くため合理的な配慮が必要であることが記載されましたが、学びたい、働きたい、そうした意欲を持っているすべての障害者にとって生きやすい社会をつくっていかなければなりません。
私たちは皆、生まれてから成長するにつれていろいろなことができるようになりますが、あるときを境に少しずついろいろなことができにくくなり、しまいにはできなくなります。障害があるというのは人ごとではなく、いつかは自分の身に認めざるを得なくなるわけですから、想像力をフルに発揮して、障害者支援を考えていくことが肝要であります。
先日、東京都発達障害者支援センターを視察いたしました。問い合わせや相談申し込みが増加する一方で、年齢、内容ともに多様化しているとのことで、著しいニーズの高まりに職員の方々の熱心な業務姿勢でも対応し切れていない状況には、需要と供給のアンバランスを感じました。
東京都は、包括事業の中で、各市区町村における発達障害者への支援体制の充実を図っているとのことですが、青年期や成人期への支援体制の拡充を一層に推進すべきと、この点は要望させていただきます。
乳幼児期から学童期までは、学校や公的機関からの支援があっても、青年期や成人期においての就労支援へと継続してつながらずに途切れ、そのことがひきこもりへの引き金となっている状況も多く指摘されています。
障害者にとっては、一生を通じての自立して社会で生きていけるような支援が必要不可欠でありますから、それぞれのライフステージへの支援の受け渡しが重要なかぎとなります。都では、この点をどう認識し、対策を講じているのか、所見を伺います。
かつて私が特別支援教育に携わっていたころ、東京都の特別支援教育は全国に先駆けた実践をしており、他の道府県から羨望の声が届いていました。障害のある子どもたちのために、実となるような心のこもった支援策がこれからも大切であります。東京都がぜひ率先して日本の特別支援教育を牽引していくことを希望いたしまして、私の質問を終わりといたします。ありがとうございました。(拍手)
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 岡田眞理子議員の一般質問にお答えいたします。
まず、特別支援教育にかかわる教員の専門性の育成についてでございますが、都教育委員会はこれまで、採用後に特別支援学校教諭免許状を取得する講習の実施や障害種別に応じた研修の充実等により、教員の専門性の向上に努めてまいりました。
また、現在、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、学識経験者等の外部有識者を加えた検討委員会において、すべての学校における特別支援教育の推進充実に向けて、採用、異動、研修など、総合的な観点から人材育成のあり方に関する検討を行っております。
今後は、本委員会の検討結果等を踏まえ、すべての教員が発達障害の子どもに対する理解を深めるとともに、特別支援学校等の教員が障害種別に応じた専門性を高めることができるよう、必要な取り組みを進めてまいります。
次に、個別の教育支援計画の活用についてでございますが、都教育委員会は、障害のある児童生徒が学校や地域の関係機関から一貫した支援を受けられるように、個別の教育支援計画の標準的な書式を都内全公立学校に周知してまいりました。区市町村教育委員会の中には、それぞれの判断により、都教育委員会の定めた書式に独自の項目を付加するなどの工夫を行っている場合もございます。
今後も引き続き、障害のある児童生徒が進学や転学の際に、情報が途切れることなく、一貫した支援が受けられるよう、区市町村教育委員会とも連携して、都内全公立学校に対する指導助言を行ってまいります。
次に、読み書きに障害のある児童生徒への対応についてでございますが、都教育委員会は、読み書きに障害のある児童生徒が学習全般におくれが生じやすいことから、研究校を二校指定いたしまして、小学校の早い段階から障害を把握し、適切な指導を行うための研究に取り組んでおります。
具体的には、児童生徒の学習のつまずきの状況から、その原因が読み書きにかかわる障害に起因するか否かを教員が把握する方法について、また、読み書きに障害のある児童生徒に対して、専門性の高い教員や心理の専門家等と連携した支援のあり方について研究しております。
こうした研究の成果につきましては、公立小中学校のすべての教員に周知し、読み書きの障害を早い段階で把握し、適切な支援に結びつけてまいります。
〔中央卸売市場長中西充君登壇〕
〇中央卸売市場長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、築地のまちづくりに関する中央区との合意についてでございますが、築地地区は昭和十年の築地市場開場以来、市場とその周辺に集積した食に関連した店舗とのかかわりにより独特の食文化が発達しており、海外の旅行ガイドブックにも記載され、多くの観光客が訪れるなど、食文化の拠点としてのブランドを有しております。
そのため、さきの都区合意の中では、今後の築地地区のまちづくりに当たり、築地のまちの独特の伝統文化を生み出してきたこうした特質をどのように引き継いでいくかという観点も含め検討を行っていくとしております。
既に都は、今年度から場外市場の実態や来街者の意識調査に着手しており、一方で中央区は、食文化の拠点として築地がはぐくんできた活気とにぎわいをいっときも途絶えさせないため、勝どき門駐車場などの活用を計画しております。本年四月にも設置する都区検討会においては、築地地区のにぎわいを途絶えることなく継承するという観点に立って、都としても協力してまいります。
次に、築地地区のまちづくりについてでございます。
豊洲移転後の築地市場の跡地は、銀座に隣接した都市機能が集積する極めて高いポテンシャルを有しております。こうした都心に残る二十三ヘクタールという数少ないまとまった土地として、その活用は今後の東京のまちづくりを進める上で極めて重要な課題でございます。
一方で、築地地区がはぐくんできた食文化とそのブランドは、この地区の強みであり、これを生かして地区全体のにぎわいを確保することも課題の一つでございます。そのため、庁内における築地地区のまちづくりの検討に当たっては、このようなさまざまな地区の特質を考慮しながら、全庁横断的に検討を進めてまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、晴海地区と銀座方面などを結ぶLRT、BRT構想についてでございますが、お話の新しい交通システムは、地域交通を担う公共交通機関として有効ですが、導入に当たっては、導入空間の確保や自動車交通に与える影響、事業採算性など、さまざまな課題がございます。
地元中央区では、臨海部と都心部とを結ぶこうした構想の実現に向けた調査検討を行っており、このような地元区の主体的な取り組みに対して、都は、必要な技術的支援や情報提供などを行ってまいります。
次に、東京駅八重洲側のまちづくりについてでございますが、当地域は東京駅に隣接する極めて利便性の高い立地にありますが、古くからのまち割りを継承しているため、街区が細分化されており、丸の内側のような街区単位のまとまった市街地の更新を進めにくい状況でございます。
このため、都は、東京の都市づくりビジョンにおいて、民間の開発等を通じて、計画的に街区再編や機能更新を進めることにより、首都東京の玄関口にふさわしい風格あるまち並みを形成することとしております。
当地域では、これまでも日本橋二丁目地区等において優良な都市再生プロジェクトが具体化しており、都は、引き続き、こうした取り組みを適切に誘導し、国際的な業務、商業機能などの集積を図り、日本を代表する東京駅の駅前にふさわしい市街地の実現に取り組んでまいります。
〔港湾局長中井敬三君登壇〕
〇港湾局長(中井敬三君) 晴海客船ターミナルの活性化についてでありますが、都はこれまで、施設使用料を減免するインセンティブ制度を設けて、クルーズ客船の誘致を図るとともに、クリスマスイベントやフリーマーケットなど、さまざまなイベントを開催し、施設の有効活用やにぎわい創出に努めてまいりました。
現在は、震災後の外国人観光客の減少の影響もあり、客船の寄港が減っておりますが、今後は、入港コストをさらに低減する取り組みを行うとともに、これまで以上に積極的に誘致活動を展開することで、クルーズ客船の寄港増加につなげてまいります。
また、指定管理者である東京港埠頭株式会社や地元区と連携したイベントを開催するとともに、観光バスツアーを呼び込む取り組みなども行ってまいります。
このように多種多彩な取り組みにより、晴海客船ターミナルのさらなる活性化を図ってまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 発達障害者の支援についてのご質問にお答えをいたします。
発達障害者が身近な地域で安定した生活を送れるようにするためには、ライフステージごとの支援体制を整備いたしますとともに、乳幼児期から成人期まで継続的に支援を行うことが重要でございます。
都は、発達障害の支援に取り組む区市町村を包括補助により支援をいたしております。その中では、当事者本人が受けた支援の情報を蓄積するサポートファイルを作成いたしまして、家族や相談機関、学校などで情報の共有を図りながら、成長段階に応じて切れ目なく支援をする取り組みも始まっております。
今後、こうした先駆的事例を広く区市町村に紹介するなど普及啓発に努め、区市町村の取り組みを支援してまいります。
〇議長(中村明彦君) 六十九番野島善司君。
〔六十九番野島善司君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇六十九番(野島善司君) 最初に、多摩四百万都民の安全・安心の確保の観点から、流域下水道について伺います。
東日本大震災では、東北地方沿岸部を中心に下水処理施設が壊滅的な被害を受けました。東京において、このような地震に見舞われ、下水道の機能が失われるような事態が生じた場合、都民生活への影響ははかり知れないものが考えられます。
流域下水道では、多摩川を挟んで向かい合う二つの水再生センター同士を連絡管で結ぶという取り組みを進めてきております。この取り組みは、震災時で処理機能に支障を来したとしても、お互いの施設がバックアップし合う画期的で先見性のある取り組みであると評価をいたしております。
そこで、流域下水道の連絡管整備について、具体的な成果と今後の予定を伺います。
また、東日本大震災の際、避難所などでは仮設トイレなどのし尿の処理が十分にできず、劣悪な生活環境が問題化いたしました。流域下水道では、市町村と連携し、災害時の仮設トイレの設置やし尿処理など、衛生環境を確保するための取り組みを進めておりますが、その具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
次に、水道事業について伺います。
東京都では、一定規模以上の私道を対象に、平成六年から配水管を布設し、給水管のステンレス化を行う私道内給水管整備工事を実施しております。
さきの第三回定例会で、我が党の代表質問において、生活道路として使用されている私道内の塩化ビニール管の耐震化の必要性をも指摘したところ、塩化ビニール管をステンレス管に取りかえる新たな取り組みについて検討を進め、早期に事業化を行う旨の答弁がありました。
そこで、これまでの私道内給水管整備工事の実績と今後実施する新たな取り組みの事業規模など、具体的な内容について伺います。
また、私道内給水管整備工事では、水道管を布設するときに、私道所有者の許可が必要となります。公道と異なり、所有者が複数存在することなどから、許可を得るのに長時間を要する場合も聞いております。
私道内給水管の耐震化をさらに推進していくためには、所在不明への対策や所有者、近隣住民等へのPRを十分に行うなどのさまざまな工夫が必要と考えます。
私道内給水管整備工事を円滑に進めるための見解について伺います。
次に、都市型高齢者サービスのあり方について伺います。
現在策定中の東京都高齢者保健福祉計画においては、地域包括ケアシステムの実現が大きな柱となっており、その目指すところには賛意を示すものであります。
しかしながら、身近な地域でデイサービスもショートステイも、できれば特養もというのは、この地価の高い、また、土地利用が進んだ東京ではなかなか困難なことでもございます。区市町村も学校跡地の活用などの努力をしておるようでありますけれども、都においても都有地の活用を一層推進してほしいと常々考えております。
私は、そういった土地を活用して、これからふえていく高齢者のために、それも元気な人から介護が必要な人まで、さまざまな人々が集い、交流できる都市型ともいうべき高齢者サービス拠点がつくれないかと、こんな理想を持っております。
デイサービスと一緒にショートステイの施設があれば便利でしょう。さらに、もっと要介護度が重くなったときのために、特養もあれば安心です。小規模多機能に対して、大規模多機能とでもいえるかもしれません。こうしたことは民間主導ではなかなかできません。そこはやはり行政の関与が必要不可欠と考えております。
そこで、東京都の十年後、二十年後を見据え、こうした都市型の高齢者サービス拠点や活動拠点の整備について、都の所見を伺います。
次に、小児総合医療センターについて伺います。
小児総合医療センターは、開設後間もなく二年を迎えます。小児科医が全国的に不足する中、清瀬小児病院、八王子小児病院及び梅ケ丘病院を統合再編し、加えて、医療機能を充実強化することで、小児病院が移転した地域を含めて、多摩地域の方々が安心して出産から子育てまでをできる医療環境を整備したものと理解をいたしております。
小児総合医療センターでは、こども救命センター、さらにスーパー総合周産期センターの指定を受けており、都民の期待と果たすべき役割は、統合前の小児病院に比べて格段に大きくなっております。
そこで、小児総合センターが都民に期待されている役割を果たしているかどうか、都の認識を伺います。
また、多摩地域、とりわけ北多摩北部地域の小児科医の数は、区部と比較して少ないというのも実情でございます。このため、限られた医療資源を最有効利活用させる仕組みづくり、すなわち、初期、二次、三次それぞれの医療機関が医療機能の役割分担を確実に担うとともに、多摩北部医療センターを中心とした二次医療と初期医療の連携、そして、小児総合医療センターにおける三次医療と二次医療の連携といった横の結びつきを強化することにより、小児医療体制のさらなる充実を図っていくことが重要と考えます。
そこで、多摩地域、とりわけ北多摩北部地域の小児医療を一層充実させるために、医療連携体制の確保に向けてどのように取り組んでいくのか、都の考え方を伺います。
また、地元では、清瀬小児病院跡の今後について関心が高まっております。跡地周辺は、武蔵野の原風景を思わせる緑豊かな土地が広がっており、恵まれた自然を守っていこうという清瀬市の強い意向があります。
一方で、この地域には歴史的な経緯もあり、病院や老人ホーム、福祉系の大学など医療資源、福祉資源が数多く存在をしております。このことから、跡地について、地元には、緑を守りつつも、まちづくりの上で貴重な位置づけをしていきたいとの強い思いがあるわけでございます。
ついては、跡地の利活用方法の検討に際しては、東京都だけの課題としてとらえるのではなく、地元清瀬市の緑やまちづくりの視点等を十分に把握する中で進めるよう、強く要望しておきます。
次に、産業振興について伺います。
多摩地域の中小企業が、大学や研究機関などと協力し、生み出した製品を国内外の市場で販売するためには、販路の開拓も重要です。
昨年十二月に開催されました都の産業交流展、ここに参加した多摩の精密加工の会社経営者の話を伺いますと、展示会を通じた販路拡大の効果の高さや出展者同士の情報交換や交流の重要性を強調しておりました。
こうした事例から見ても明らかでございますが、多摩の産業振興を図る上で、展示会等の開催を通じ、販路の開拓や企業間の交流を活発にして、地域の中小企業の製品や技術のレベルの高さを広く発信する機会と場の確保が必要不可欠でございます。
都では、多摩地域の中小企業振興に向けて、産業交流拠点を八王子市に整備するとの方針を明らかにしております。この拠点については、産業交流や情報発進の役割の面では、八王子市はもとより、多摩地域全域からの大きな期待が寄せられておりますが、これまでの取り組みと今後の予定について伺います。
多摩地域には、日本のものづくりを代表する自動車産業を支える部品製造の会社や精密機器などを扱う中小企業が数多く存在しております。こうした企業の持つ技術力が、周辺の大学や研究機関の知識や技能と一体となることで、海外の企業では簡単にまねのできないハイレベルの製品を生み出すことも可能になると考えます。
実際に、企業と大学が連携する、いわゆる産学連携により、多摩地域の中小企業が最新鋭の医療機器を次々に開発するような事例も聞いております。こうした取り組みに、行政のサポートや金融機関による資金面からのフォローが加われば、研究開発から製品化までを一貫して行うことがさらに容易になるものと考える次第でございます。
都では、多摩地域で、計測分析器やロボットといった分野を対象に、産学に加えて行政や金融も加えた強固なネットワークをつくり、新製品の開発プロジェクトの立ち上げを支援する取り組みを進めてまいりましたが、今後はこの取り組みをさらに一歩進め、集中的に商品にまで完成度を高めていくような展開が必要かと考えます。
そこで、多摩の産業振興に向けた、都としての取り組みの進め方についてお伺いをいたします。
今まで、多摩の課題を中心にるる述べてまいりました。多摩地域は、多くの先端技術産業や大学等の集積、緑あふれる豊かな自然環境など、区部とは異なる個性と独自性を有する、発展の可能性に満ちた地域です。
平成二十五年には、多摩・島しょ地域を中心に、都内全域でスポーツ祭東京二〇一三が開催されますが、多摩地域が明治二十六年に、神奈川県から当時の東京府に移管されて百二十年の節目の年でもございます。
都は、先般、新たな長期ビジョンとして、「二〇二〇年の東京」計画を発表されましたが、東京が東日本大震災を乗り越え、日本の再生を牽引していくためには、多摩地域の持つ潜在力を存分に生かすという視点が欠かせないと思います。多摩地域の将来像について、知事の見解を伺い、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 野島善司議員の一般質問にお答えいたします。
多摩地域の将来展望についてでありますが、東京は、区部と多摩地域、さらには世界自然遺産にも登録されました小笠原諸島を初め、島しょ地域という異なった個性が連帯、融合することによりまして、世界にもまれな首都を形成しております。
何年かに一度、在日の大使たちをヘリコプターに乗せて、東京の上を飛んで、東京の外観を知ってもらおうと思って努力していますが、そのたんびに彼らが驚くのは、一つの首都として、これだけ大きな変化を持った都市というのは考えられないということでありますが、とりわけ多摩地域は、既に多くの先端技術産業が集積し、さまざまな大学や研究機関も立地しておりますが、今後、交通ネットワークがさらに整備されることによりまして、首都圏の中核拠点となる可能性を有しております。
十年後の二〇二〇年には、圏央道を初め三環状道路が完成して、東京の最大の弱点であります渋滞も解消され、我が国を代表する物流拠点やものづくり産業拠点となることが期待されております。
一方では、ミシュランのグリーンガイドで三つ星の観光地と評される高尾山に代表される緑あふれた豊かな自然は、都会近接の安らぎと潤いの空間であると同時に、CO2の削減や水源確保の面からも極めて貴重な我が国の財産であると思います。
こうした都市機能と自然環境が調和した多摩地域の多彩な魅力を、来年開催されるスポーツ祭東京二〇一三の機会などを効果的にとらえて国内外へ発信することにより、東京で最もポテンシャルの高い多摩地域をさらなる発展へ導き、東京の進化につなげていきたいと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕
〇下水道局長(松田二郎君) 多摩地域の流域下水道についての二つのご質問にお答えをいたします。
まず、水再生センター間の連絡管についてでございます。
連絡管は、施設整備や維持管理の効率化と、お話のように震災時などのバックアップ機能の確保を目的として整備するものでありまして、全国でも先駆的な取り組みでございます。既に、多摩川上流水再生センターと八王子水再生センター間は、平成十八年度から稼働しておりまして、下水や汚泥を相互融通することで、設備の補修などを効率的に実施しております。
また、昨年の計画停電の際には、汚泥処理が停止したセンターから対岸のセンターに汚泥を送ることによりまして、処理に支障を来すことはございませんでした。
現在、二本目となる北多摩一号水再生センターと南多摩水再生センター間で、来年度の完成に向け工事を進めているところでございます。
また、三本目の北多摩二号水再生センターと浅川水再生センター間についても、来年度には工事に着手し、早期の完成を目指してまいります。
次に、災害時に衛生環境を確保するための流域下水道の具体的な取り組みについてでございます。
避難所の仮設トイレなどから出るし尿については、各市町村が収集、運搬し、流域下水道の各水再生センターで受け入れ、処理することとなっております。東日本大震災では、避難所などから出るし尿の処理が問題化したことを踏まえまして、都では目標を四年前倒しして、このたび、すべての市町村との間で、し尿の運搬、搬出、各水再生センターの受け入れなどについて定めた覚書の締結を完了いたしました。
今後も、各市町村と連携し、実践的で効果的な訓練を実施するなどして、災害時における下水道機能確保のための相互支援体制を充実してまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えします。
まず、これまでの私道内給水管整備工事の実績と今後実施する新たな取り組みについてでございますが、水道局では現在、給水管が三本以上、またはお客様が十世帯以上ある私道を対象に、配水管を布設して塩化ビニール管をステンレス管に取りかえる工事を実施しております。
平成二十二年度までに配水管延長で約七百キロメートルを施工し、今後も約八百キロメートルの整備を予定しております。
新たな事業は、東日本大震災で給水管が多くの被害を受けたことを踏まえ、給水管の一層の耐震化を推進するため、これまで対象となっていなかった小規模な私道の給水管に対しても、既設塩化ビニール管をステンレス管に取りかえてまいります。その規模は、総延長で約八百五十キロメートル、約七百億円の事業費を見込んでおり、平成二十四年度上半期からの事業開始を目指します。
次に、私道内給水管整備工事の円滑化についてでございますが、ご指摘のように、事業への理解を得ることと私道所有者の了解手続の改善が重要と考えております。
そこで、リーフレットを活用して、私道の所有者や近隣住民等の皆様に対して、給水管の耐震性や水圧が向上すること、さらに、新たに設置される排水栓により、震災時等の応急給水にも利用できることなどをわかりやすく説明し、工事の円滑な推進を図ります。
一方、所有者の一部の方が所在不明のため、工事に至らなかった事例も多数ございます。この事態を打開するため、今般、法律上の整理を行うとともに、取り扱い手続を策定し、所在が不明で了解を得られなくても工事が可能となるよう、平成二十四年度から対応してまいります。
これらの取り組みにより、私道内給水管整備工事の推進を図り、震災時における水道水の確保に努めてまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 高齢者のサービス拠点や活動拠点の整備についてお答え申し上げます。
お話にございましたさまざまな高齢者が利用できるサービス拠点等の整備は、今後急速に高齢化が進む大都市東京におきまして、高齢者サービスのあり方を検討する上での一つのリーディングモデルであると考えるものでございます。
本年三月に策定いたします第五期高齢者保健福祉計画では、多様なサービス提供主体が存在する東京の特性を生かしまして、施設サービス、在宅サービス等の基盤をバランスよく整備するとともに、社会参加に意欲的な高齢者の活動の場を確保することといたしております。
今後、計画の実施状況を逐次検証いたしますとともに、区市町村の意向や他県の取り組み等も把握しながら、将来を見据えた大都市にふさわしい高齢者のサービス拠点等の整備のあり方について、幅広い観点から検討を行ってまいります。
〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕
〇病院経営本部長(川澄俊文君) 二点の質問にお答えいたします。
まず、小児総合医療センターについてでございますが、今年度は、十二月までの実績で、一日当たりの入院患者数は四百三十五人、外来患者数は六百十四人、救急外来患者数は百十五人と、三病院統合前の患者実績の合計よりも受け入れ数が増加している状況にございます。
また、こども救命センターでは、二十二年度実績で、都内でもトップクラスの八十六人の重症患者の搬送があり、小児集中治療室、PICUはフル稼働の状態でございました。
さらに、周産期医療に関しましては、母体救命措置が緊急に必要な妊産婦を必ず受け入れており、NICU及びGCUの病床利用率は、今年度十二月までの実績で、それぞれ九九・五%、九二・一%と、ほぼフル稼働となっております。
こうした実績から、小児総合医療センターは、多摩地域における三次医療機関としての役割を着実に果たしていると認識しております。
今後とも、一人でも多くの命を救う努力を行い、多摩地域の小児医療及び周産期医療を担う最後のとりでとしての役割を確実に果たし、都民の期待にこたえてまいります。
次に、医療連携体制の確保に向けた取り組みでございます。
限られた医療資源を最大限活用するためには、一次から三次までの各医療機関が役割に応じた機能分担を確実に担うとともに、密接な連携を図ることで、重層的な医療体制を構築することが重要でございます。そうした意味で、一次医療と二次医療の連携及び二次医療と三次医療の連携のかなめとなる多摩北部医療センターの役割は極めて大きいと考えております。
このため、都は、多摩北部医療センターに専門医を派遣するなど、小児医療体制の強化を図ってきており、地域の期待にこたえてきたものと認識しております。
また、二次医療と三次医療との連携につきましても、多摩北部医療センターで対処できない重症患者を小児総合医療センターで確実に受け入れるとともに、逆搬送についても着実に件数をふやすことで、重篤な患者の受け入れ体制を整えているところでございます。
今後とも、多摩北部医療センターの医療機能を確固たるものにするため、小児総合医療センターとの必要に応じた人的交流や搬送及び逆搬送の双方向の連携などを着実に進め、小児医療のさらなる充実を図ってまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、産業交流拠点の整備についてでありますが、多摩地域の中小企業がものづくりの力を高めるため、企業同士の交流や大学などの産学公連携を図るとともに、そのすぐれた技術と製品を広く紹介する取り組みは重要であります。
そのため、都は、多摩地域の代表的な産業集積エリアの一つであります八王子市に産業交流や情報発信の拠点を整備することとしております。
これまでに拠点に必要となる機能を調べ、まちづくりと一体となった整備のあり方について関係局や地元市と協議を行ってまいりました。今年度は、民間活力の導入を含めたさまざまな整備手法の比較に利用するデータを取りまとめます。来年度は、まちづくりの方針との整合性を図りつつ、施設内部の具体的なレイアウトや効率的な管理運営の方法を検討してまいります。
次に、多摩地域の産業振興についてでありますが、先端的な技術を持つ多摩地域の中小企業が、大学や公的機関に加え、金融機関とも連携してすぐれた製品を生み出すことは重要な取り組みであります。
そのため、都は平成二十一年度より、都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業によりまして、産学公金のネットワークをつくり、製品の共同開発に向けた検討などを支援してまいりました。参加団体は七百を超え、検討中の開発テーマからは、車いすの転倒を知らせるシステムなど、製品化の見込める事例が出ております。来年度、これらを市場に出すさまざまなサポートをいたしますプロジェクトマネジャーを配置して支援体制の充実を図ってまいります。
こうした取り組みを通じて、多摩地域の産業活性化を着実に進めてまいります。
〇副議長(ともとし春久君) 百三番大津浩子さん。
〔百三番大津浩子君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
〇百三番(大津浩子君) 渋谷地区の盛り場総合対策の現状につきまして、平成二十一年第一定例会で警視総監に質問いたしたところ、条例を整備して客引き行為の規制強化や無料風俗店案内所に対する規制を図るなど、盛り場の環境浄化に努めておりますとの答弁をちょうだいいたしました。
以降、警視庁の重点的かつ戦略的な盛り場総合対策により、渋谷地区における治安は改善されつつあるものの、最近でも地元からは、無料風俗案内所や客引きをもとから絶ってほしいという声を多く聞きます。
空き店舗跡に数メートルごとに入った無料風俗案内所や、夜八時、九時台から風俗の客引きが道玄坂にたむろする状況は、まちの治安や周辺商店街の活性化を悪化させるだけでなく、渋谷の明るい若者と大人のまちのイメージが崩れてしまうのではないかとの懸念があります。
そこで、現在の渋谷地区の環境浄化への推進状況について、警視総監にお伺いいたします。
次に、防災対策について伺います。
東日本大震災で被害をこうむった岩手県陸前高田市に何度か向かわせていただきました。大津波が市役所に襲来しても、防災課の職員全員は防災資器材から離れなかったのだそうです。津波に飲み込まれてしまった殉職でした。防災の手引やパソコンもすべて流される。防災行政無線もつながらない。すべてが根こそぎ持っていかれてしまう。大震災に遭うということは、こういうことだ。ゼロから素手で立ち上がった復興だったのです。
東京は、この約百五十年間で、安政の大地震、関東大震災、そして東京大空襲と、三度も焼け野原になりました。三月十日、平和の日、そして三・一一、震災から一年がたとうとしています。
今回の大震災直後から、多くの都民、企業、団体、学校や、そして消防庁、警視庁、都庁職員が被災現地に入り、支援復興に当たっています。図らずも、こうした過程で得られた経験、知見は貴重なものです。
初めに、被災地への支援を通じて得た教訓を踏まえ、都民の命と安全を守るため、五十年、百年後まで見据えた、都民の総力を結集し、そして高度な防災都市づくりへ向けた石原知事のお考えをお伺いいたします。
今回の震災では戸籍情報も流されたため、来年度からは、国は全国三カ所の法務局で副本を保全する仕組みを導入することになりました。
千三百万都民にかかわる情報財産や首都機能の存続のため、情報システムやデータのバックアップ体制には、万が一、都庁の下の震源地であるとしても、万全な二の矢、三の矢を放っているのでしょうか。災害時に都庁の機能を存続させるため、基盤システムのバックアップ体制の確保が重要と考えますが、見解をお伺いします。
陸前高田市では、避難所に指定されていた市役所の屋上まで冠水をしてしまい、避難所マニュアルもすべて津波で失いましたが、自宅が高台にあり流されなかった職員が、万が一に備えて自宅に置いてあった、たった一冊の避難所運営マニュアル、この避難所運営マニュアルを見ながら、防災課の職員ではなかったのですが、体育館での避難所を一から立ち上げました。
災害時に体育館等で最初に避難する人たちが生活をするための避難所運営マニュアルの作成は、大切な基礎的な備えの一つではないでしょうか。
東京都内の現在の避難所マニュアルの作成状況について伺います。
未整備の区市町村については早急に準備すべきと考えます。都は、広域的な視点で助言や支援をすべきと思いますが、所見を伺います。
助かった後に命をつなぐ次の重要な局面は、環境衛生です。
避難所生活、仮設住宅での生活、個人住宅での衣食住での衛生環境を保持し、伝染病の蔓延など二次、三次の被害を未然に防止することが大切です。
オオクロバエやある種のハエ類は、消化器感染症の伝播に密接にかかわっています。ちょうど瓦れきや被災建物を撤去した後にあらわれてくる排水だまりや浄化槽のたまり水は、冬の間はいいのですが、これから春になると蚊の幼虫などの発生源となります。
専門家は、ことし、これから暖かくなるとこうした衛生害虫類が大量発生する可能性も否定できないとしております。現在では、専門家も不足しており、さまざまな機関の協力や、ニーズに応じた適切な情報提供や薬剤使用実習などを進めることが急務となっております。
東京で震災等大規模な災害が発生した際、都民の健康と安全を守るために、どのような環境衛生対策を講じるのか、区市町村と、そして専門家と連携をし、地域での具体的な取り組みを進めていくことが重要と考えますが、所見を伺います。
被災地の団体から、体育館などの避難所の話として、男性は、体育館皆家族、きずなだという、女性は、そうはいっても間仕切りが欲しいというように、着がえ、ふろ、トイレ等を通じて、避難所運営リーダーの中には女性の登用も必要だという話を聞いてまいりました。
東京都の最高審議会である防災会議の構成委員を見ても、六十一名全員が男性で、女性委員はゼロが現状です。東京を初めとする女性委員がいない防災会議は、十二都道府県あります。
それでは、防災会議以外の防災関連の委員会には女性委員が入っているのかを、都を除く四十六道府県に調査をしてみました。すると、三十四道府県から資料提供がございまして、うち女性委員が関連委員会にいた道府県数は十九ありました。いずれも女性が入りにくい要因は、充て職で構成されているためです。
国全体でいえば、全国の民間企業において決定権のある立場にある部長以上の管理職への女性の登用率は、四・二%と極めて低いレベルにあります。
昨年十二月、国の男女共同参画基本計画の改正で、男女共同参画の視点を取り入れた防災体制を確立する必要があると閣議決定、既に都の地域防災計画でも、男女平等参画審議会の最終報告でも、同様の明記がありました。
男女ともに尊重し合い、助け合い、補い合うことで、より質の高い防災対策が施せるはずです。
計画の段階から復興に至るまで、男女平等参画の視点に立った審議会を運営するために、防災会議の委員に女性を複数登用してほしいと考えますが、見解をお伺いします。
今回の震災において、関東地方一都六県九十六市町村で液状化が発生し、浦安市を初め都内の木造住宅が傾くなど、深刻な被害を受けております。都においても、建築物液状化対策検討委員会で被害が生じた地区の地盤調査等の検討を始め、液状化対策の指針を策定するとしており、これに基づく的確な液状化対策を早急に講じることが望まれます。
その上で、都市の公共構造物の地震対策について伺います。
江戸時代から今日まで埋め立ててきた埋立地や、河川の護岸、昭和三十年代から四十年代にほとんどがつくられた水門、防潮堤、防波堤、そして、避難通路の確保にも重要な橋梁など都市の公共構造物についても、災害時における安全を確保することが極めて重要です。
耐震基準のわかりやすい建築物と違って、都市の公共構造物の強度はどうも見えにくいようです。大丈夫、大丈夫とはいっても、一体どういう基準で、どのクラスの地震までなら安全に構造されているのかとよく聞かれます。
これらの都市の公共構造物についての安全基準と対策についてお伺いします。
五百七十八年前、永享の伊豆大島近海地震では、利根川の水が逆流をしたとの記録がありましたが、今回の震災時には、利根川の銚子では二・四六メートルの津波が観測されています。
気象庁では、晴海で高さ約一・五メートルの津波が観測されていましたが、都や国の公表では、東京の河川にも津波の影響があらわれていました。
神田川の飯田橋で〇・七五メートル、隅田川の小台で〇・六九メートル、東京湾内の江戸川、妙典では一・〇七メートル、多摩川の河口で〇・九五メートルの水位上昇が、この津波に伴って確認されました。
渋谷川の水位観測所は、工事のためデータ欠損となっていますが、天現寺橋を境につながる渋谷川・古川の津波高に対する安全性についてお伺いいたします。
さて、三陸海岸には、地震があったら津波の用心と記された石碑が至るところで見られるそうです。実は、都内でもそうした石碑があります。
例えば、都の指定有形文化財にもなっている江東区の波除碑ですが、この碑は寛政三年、深川洲崎一帯を来襲した高潮によって付近の家屋がことごとく流され、江戸幕府が建立したものです。そこには、一定地域での居住を禁じる内容が記されていたとのことです。都市の防災を考える上で、こうした文化財の存在や意義を語り伝えていくことは重要です。
東京都には島しょ、西部には山間部と、地域ごとに災害の歴史があり、そこに住む人々、とりわけ子どもたちが土地の由来やいい伝えを過去の教訓として学ぶことは、防災の視点からも、地域への愛着を深める意味でも必要なことです。子どもたちがやがて親となり、また親から子へと受け継ぐことで防災文化が継承されるわけです。
そこで、教育長にお伺いします。波除碑のような防災の教訓を今に伝える文化財について、学校教育で積極的に活用し、将来のまちづくりを担う人材を育成するべきと考えますが、所見を伺います。
陸前高田市の広田地区では、海近くに保育園、小学校、中学校、高校が隣接をしていました。津波に襲われそうになったとき、中学生が隣の保育園に入り、園児をおぶいながら裏の高台へ避難し、全員の命が救われました。勇気ある行動と、日ごろから顔の見えるまちで育つ優しさ、人々の結びつきや地域の強さがひしひしと伝わってくるのでした。
次に、消費者保護行政についてお伺いします。
平成二十二年に都内で不慮の事故で亡くなられた方は二千八百七十七人、ここに含まれる厚労省発表の交通事故死亡者三百二十五人の約八倍の方が、衣食住の事故を初めとする不慮の事故で亡くなられています。
東京消防庁管内で、平成十八年からの五年間で、ライターの火遊びによる火災は二百三十二件も起こっており、都は、いち早く国にライターの安全対策について要望し、昨年九月に消費生活用製品安全法により、チャイルドレジスタンス機能がついていない旧使い捨てライターは販売ができなくなりました。
せっかく法律が整備されたといっても、やはり土を敷き、水をかけないと、法律をつくっただけのことになってしまいます。
都内で処分されずに残っていた旧型ライターによる火遊びが原因と思われると報じられる火災事故で、また幼い子どもが犠牲になりました。この悲劇をもう繰り返さないよう、使い捨てライターの危険から消費者を守るため、都はどのように取り組んでいくのかお伺いします。
介護ベッドの挟まれ事故や、コンニャクゼリーがのどに詰まった、また、このライター、いずれも日常生活に潜む危険の芽を摘み取り、日常生活に潜む危害、危険から都民の生命を守ることは、都の責務でもあります。
おととしの第二回都議会定例会では、石原知事から、消費生活の安全と安心の確保は都政の基本的な役割との認識が示されました。
消費者安全法の制定により、重大事故が発生した場合、これまで規制が及ばなかったすき間事案については、知事は業者に対する立入調査を行うことができることとなり、この伝家の宝刀ともいうべき知事の権限を活用して消費者を救済することができるのです。
こうした中、昨年十二月、消費者の被害救済の充実に向けた消費生活条例改正の提案がありました。
消費者被害救済委員会の役割は、個別被害の救済にとどまらず、紛争解決の経過と結果を都民に広く周知するところにより、第二、第三の被害を未然に防止するところに大きな意義があります。
消費者被害救済委員会は、これまで契約、財産事案を主に解決してきましたが、今回の機能強化を機に、製品等に起因する事故についても積極的に取り組むとともに、知事の権限も最大限活用しながら、危険、危害の防止に努めていくべきと考えますが、見解を伺います。
早い解決方法は、家庭から旧ライターを排出しやすくすることです。この際、丁寧で粘り強い排出指導や、わかりやすい周知が必要です。
まずは、東京全域で家庭に配られている資源とごみの分け方出し方、このようなパンフレットに、安全規制をされた、法に触れたライターの出し方を写真入りで早急に書き込むべきです。広報以外にも、収集所以外での収集キャンペーンや、親に呼びかけていくなど、実際に排出する行動に結びつけるきっかけを仕掛けていくべきです。
使い捨てライターのように着火しやすいという製造段階から危ないものは、ごみ収集車がライターの回収により火災、爆発事故を起こすように、最後まで危ないのです。廃棄物という出口から、改めて都民の命と安全を守るために、何をどうしたらいいのか、製造段階から廃棄まで一貫したものづくりを廃棄物行政から考えていくことで、技術立国日本の力を発揮できるのです。
そこで、昨年九月二十七日に使い捨てライター安全規制の法律が施行され、旧型ライターの製造、輸入はもとより、販売禁止が義務づけられた後の旧ライターの排出状況についてお伺いします。
また、排出しやすい方法と回収への早急な取り組みについてもお伺いします。
東京消防庁は、救急搬送の現場から都民の命と安全を守るだけでなく、救急搬送の回数にかかわらず、こうした衣食住や生活の中の事故の防止のために、一貫して危険を発信してこられた活動を、大変評価しています。また、東北被災時には、消火を初めとする支援にも敬意を表したいと存じます。
消防庁の救急搬送の現場から見た都民生活事故防止に関する取り組みの具体的な内容について、消防総監にお伺いします。
また、旧ライターの販売規制のかかった昨年九月二十七日以降における子どもの火遊び火災の発生状況と、そして、防止対策にかかわる東京消防庁の取り組みについてお伺いいたします。
以上で質問を終えます。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 大津浩子議員の一般質問にお答えいたします。
高度防災都市の構築についてでありますが、東北の大震災からの復興に被災地は全力で取り組んでおりますけれども、その道は、今なお途上でありまして、都は、全国の先頭に立って被災地の瓦れきを受け入れるほか、上下水道や港湾等のインフラの復旧、学校教育など、被災地の復興を専門性のある職員を送って強力に後押しをしております。
こうした支援を通じて、我々は将来を見据え、東京自身の防災力を根底から向上させるための現実に根差した多くの教訓を学ぶことができました。
発生直後の困難な状況の中で、被災した方同士が相互に気遣い、支え合う姿は、人々の連帯によって成り立つ人間社会の本来の姿を都から派遣した若い職員たちに鮮烈に示してくれたと思います。
こうした住民の連帯に基づく支え合いを大都市東京においてもきちっと再生させ、普遍させるために、住民同士による意欲的な活動である防災隣組を広く波及させていきたいと思います。これ、何よりも大切な、何よりも効果的なものは、やはり人間の連帯であります。
また、被災地で医療活動に従事した医者たちは、現地で既に導入されていた災害医療コーディネーターの有効性を学びまして、これを東京に持ち込んで、準備していきたいと思っておりますが、被災地におけるこうした取り組みを東京の特性を踏まえた独自の仕組みとして導入して、災害時の医療体制も強化していきたいと思っています。
被災地支援という現場から得た教訓を実効ある防災対策へと昇華させて、東京の防災力を高度化させていくつもりであります。
他の質問については、警視総監、教育長及び技監から答弁をいたします。
〔警視総監樋口建史君登壇〕
〇警視総監(樋口建史君) 渋谷地区における盛り場対策の取り組み状況についてお答えを申し上げます。
渋谷地区につきましては、平成十七年十二月から、歌舞伎町、池袋、六本木と合わせまして、四地区特別対策として盛り場環境の浄化に取り組んでいるところであります。
特に、平成十七年の迷惑防止条例の改正を契機に取り締まりを強化いたしておりまして、渋谷地区では、昨年はこの迷惑防止条例に規定する客引き行為等といたしまして、違反としてとらえられている形態でありますが、三十五件、三十五名を検挙しているところであります。
それから、渋谷地区の風俗案内所についてでありますけれども、これが条例でとらえられましたのは平成十八年でありまして、平成十八年のいわゆる風俗案内所条例の制定以降、性風俗店のビラ等を配布した風俗案内所の従業員をこの条例違反で検挙するなど、取り締まりを強化しているところでございまして、本年一月現在で、かつては、往時には十二店舗あった風俗案内所が、この一月現在では九店舗となっているような状況であります。
ただ、これは、これまでの経緯と現状は今申し上げたところでありますけれども、まだまだ問題が多いとのご指摘でありますので、引き続き実態把握をきちっとやりたいと思いますとともに、この条例が規制対象として定めております届け出等の義務違反でありますとか、時間規制に関する違反、さらには、条例の施行規則で定められているところでありますけれども、施行規則に定められているたぐいの写真や絵、その他の物品の表示といった違反行為が認められた場合には、いささかも看過することなく、条例を厳正に運用して取り締まりを強化してまいりたいと考えております。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 災害の教訓を今に伝える文化財を活用した将来のまちづくりを担う人材の育成についてでございますが、自然災害に見舞われながらも、先人がその苦難を乗り越え、自然の脅威や災害への備えを教訓として今に伝えている文化財が各地に保存されております。
児童生徒がそれらを見学したり、その故事来歴について地域の方の話を聞いたりすることは、防災に関する知識の習得にとどまらず、まさに先人が後世に残してくれたまちづくりにかかわる貴重な教訓を学ぶことであり、郷土に対する関心と愛着を高める重要な教育活動であると考えます。
今後とも、児童生徒がこうした先人のメッセージに込められた精神を受け継ぎ、人々が安心し快適に生活できるまちづくりに、多様な分野で貢献できる人材として成長するよう取り組んでまいります。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都市の公共構造物の安全基準と対策についてでありますが、河川構造物や橋梁など、それぞれの施設で国の基準に基づいて対策を実施してきております。
堤防や水門などの整備に当たりましては、関東大震災時の震度に対して耐震対策を行い、一定の安全性を確保してまいりました。
現在、これらの対策に加え、マグニチュード八クラスの海溝型地震等を想定して、各施設の耐震性の確認を進めるとともに、東京都防災会議の下に設けられた地震、津波の第一人者から構成される地震部会などで検討を行っており、これらを踏まえて新しい整備計画を策定してまいります。
緊急輸送道路等の橋梁につきましては、マグニチュード八クラスの海溝型地震と阪神・淡路大震災級の直下地震を考慮して耐震対策を行っております。
次に、渋谷川・古川における津波高に対する安全性でありますが、都は、津波や高潮の想定高に基づき、防潮堤などの整備を行っております。
これまで想定していた最大の津波高は一・二メートルであります。一方、高潮の高さは、渋谷川の下流に位置する古川で二・五メートルであり、津波より高い高潮に対して整備を行っていることから、安全性は確保されております。
なお、震災の当日、古川では、港区南麻布の四之橋付近で最大一・一メートルの水位が観測されており、渋谷川の最下流の天現寺橋付近では、護岸天端まで約五メートル程度の余裕があったものと推定されます。
今後は、都が見直しを進めている津波の想定高を踏まえ、必要な対策を行ってまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、基盤システムのバックアップについてでございますが、情報システムやデータを災害などから守るための取り組みは重要と認識いたしております。
都では、四万五千台の端末を接続する基盤システムについて、災害時やシステム障害時にもシステムが停止することなく稼働できるよう、システム構成の二重化を図るほか、データの定期的なバックアップを実施しております。
また、災害発生時におけるシステム部門の職員の非常参集やシステムの応急復旧手順などを定めた危機管理マニュアル兼事業継続計画書を作成し、それに基づく訓練も実施いたしております。
今後とも、費用対効果の観点も踏まえ、災害時におけるシステムの安定稼働の確保に向け、必要なバックアップ等に努めてまいります。
次いで、防災会議における女性委員の登用についてでございますが、東京都防災会議は、災害対策基本法に基づき設置される機関であり、その委員については、国の地方行政機関の長やライフライン事業者の役員など、充てるべき委員が法により定められております。
一方で、防災分野における男女共同参画の視点については、都の地域防災計画でも、男女双方の視点に配慮した防災を進めるため、防災に関する政策方針決定過程及び防災の現場における女性の参画の拡大を掲げております。
このため、今回の地域防災計画の修正に当たり設置いたしました検討部会は、女性も含めた構成としたところであり、今後とも、男女双方の視点に立った防災対策の構築に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、避難所の管理運営マニュアルについてでございますが、震災等大規模な災害が発生し、多くの都民が自宅等からの避難を余儀なくされた場合、区市町村は、東京都地域防災計画に基づきまして、避難所を速やかに設置することとされております。
避難所の運営を円滑に行うためには、食料の供給や衛生管理など、具体的な管理運営手法について、関係者があらかじめ認識を共有しておくことが重要でありますことから、都は、区市町村が地域の実情を踏まえたマニュアルを作成する際の指針を示し、整備を支援いたしております。
本年二月現在、マニュアルを作成済みの区市町村は三十五で全体の約六割、また、策定中または策定予定の区市町村は十五と聞いております。
今後とも、マニュアルを早期に策定するよう働きかけてまいります。
次に、災害時における環境衛生対策についてでございますが、災害時に、都は、避難所等の衛生的な環境を確保するため、区市町村に対し、飲み水の管理や室内環境の保持、害虫の防除などについて、広域的、専門的な立場から技術的助言や人的な支援、薬剤配布等の物的支援を行うことといたしております。
このため、平常時から、避難所の環境調査に必要な資器材や調査票等を保健所に配備するほか、関係団体と薬剤供給について協定を締結するなどの取り組みを行っております。
また、来月には被災地で活動した専門家の協力も得まして、害虫防除対応に関します区市町村向け講習会を開催いたします。
今後とも、区市町村を初め、事業者や研究機関等の専門家とも連携しながら、災害時における環境衛生の確保を図ってまいります。
〔生活文化局長井澤勇治君登壇〕
〇生活文化局長(井澤勇治君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、ライターの安全対策についてでございますが、都は、消費生活用製品安全法の指定によりまして、子どもが簡単に操作できないようにする、いわゆるチャイルドレジスタンス機能がない使い捨てライターが販売されないよう、定期的に販売事業者に立入検査を行い、監視しております。
しかし、家庭内にはいまだに旧型のライターが処分されずに多く残されていることから、これまでもライターの取り扱いについて注意喚起を行ってまいりましたが、今回の火災事故を受け、ホームページ等で緊急危害情報を発信し、旧型ライターの適切な廃棄を呼びかけました。
今後も、特に小さな子どもがいる家庭を対象に、旧型ライターの危険性や早期処分について、消費生活情報誌「東京くらしねっと」や、東京都提供番組等、さまざまな広報媒体を通じて注意喚起してまいります。
次に、消費者被害救済の取り組み強化についてでございますが、今回の消費者被害救済委員会の機能強化により、反復被害や緊急性がある事案についても新たに委員会の審議対象としていくとともに、区市町村に寄せられた案件についても受け付けるなど、被害救済の間口を広げることといたしました。これにより、製品等に起因する事故や、美容やエステ関係など、これまで以上に幅広く消費者被害からの救済を図ることができるものと考えております。
さらに、事業者に対して、製品やサービスの改善等の措置をとるよう働きかけを行い、あわせて、都民へ適切な情報を発信してまいります。
また、こうした取り組みとともに、消費者安全法による立入調査権の活用も含め、都民の消費生活におけるさまざまな危害、危険の防止に努めてまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 使い捨てライターの排出についてのご質問でございます。
まず、法施行後の排出状況についてございますが、スーパーやコンビニ、たばこ店等の販売店では、法施行前から在庫処分を進めてきておりまして、廃棄物処理事業者によりますと、最近の処理依頼はないとのことであります。
一方、家庭からの排出につきましては、一般廃棄物の処理を担う区市町村からは、法施行後は増加傾向にあると聞いております。
次に、排出方法についてですが、ごみ収集車の火災防止の観点から、原則、中身を使い切ってごみ集積所等に排出することになっておりますが、中身を使い切れない場合やライターが多量にある場合は、区市町村に相談をして、ライターとわかるように表示して排出する方法も可能でございます。
これまで都は、「広報東京都」やホームページ、ラジオ放送などで使い捨てライターの取り扱いの注意点や排出方法を繰り返し周知してきております。
今後、都は、区市町村が作成するごみ出し日や分別方法を記載したごみカレンダーやパンフレットに、使い捨てライターの排出方法をわかりやすく掲載するよう区市町村に働きかけるなど、都民への周知に努めてまいります。
〔消防総監北村吉男君登壇〕
〇消防総監(北村吉男君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都民生活事故防止に係る取り組みについてでありますが、東京消防庁ではこれまで、日常の生活において生ずる事故から、熱中症や一酸化炭素中毒事故などの社会的に影響の大きい事案や繰り返しの発生が危惧されるものについて、時期を逸することのない情報発信を行い、その再発防止に努めてまいりました。
今年度は、過去五年間の救急搬送データに着目して、都民生活事故を分析し、新たに発生要因別の傾向と事故防止のポイントをまとめるとともに、特に発生の多い乳幼児の転落や高齢者の入浴中の事故などを注意喚起するための資料を作成し、広くマスコミやホームページなどを通じて広報しております。
今後も、関係各局や国等と十分に連携し、都民生活において生ずる事故の未然防止に積極的に取り組んでまいります。
次に、ライターによる子どもの火遊び火災の発生状況と、東京消防庁が取り組む防止対策についてでありますが、昨年九月の使い捨てライターの販売規制以降、十二月末までの間にライターによる子どもの火遊び火災は四件発生しております。
これまで、当庁で作成した危険予知シートなどの教材を活用し、保育所や幼稚園、小学校低学年の子どもを対象に、直接、消防職員が火の怖さや火遊びの危険性について教えてまいりました。
また、保護者等に対しましても、都民防災教育センターなどにおいて、事例を踏まえた具体的な注意喚起を行っており、今後も、関係機関と連携して、子どもの火遊びによる火災の低減に努めてまいります。
〇議長(中村明彦君) 十九番伊藤興一君。
〔十九番伊藤興一君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇十九番(伊藤興一君) 初めに、高度防災都市東京の実現に向けて、都の取り組みについて質問します。
東日本大震災以降、首都直下地震、三連動地震の切迫性が指摘される中、先日は、文科省の調査により、これまで想定していなかった震度七の揺れが、都心部を襲う可能性があると報道されました。
首都東京の最大の弱点である木密地域の不燃化は、都政の最重要課題として取り組みを全力で加速しなければなりません。
都は、木密地域不燃化十年プロジェクト実施方針を示しました。その中で、不燃化促進の誘導策として、不燃化特区制度を創設したことは評価します。
しかし、これまで木密地域整備促進事業が計画どおりに進まなかった地域に共通する課題として、建てかえは住民の経済的負担が大きいこと、共同化は合意形成に長い時間を要することが明らかであり、こうした誘導策だけでは早急な改善は困難であります。
そこで、整備地域の不燃化プロジェクト推進に当たっては、これまでの施策に加え、燃えにくい、燃え広がりにくい建物に強化することが可能な上、比較的安価で施工でき、住民の合意形成が不要となる耐火改修、リフォームや耐火塗装による延焼防止策も事業の対象とすべきであります。
また、整備地域と整備地域以外もあわせて、街区の内側、中心部の不燃化も重要であります。
私の地元品川区には、街区の内側、中心部が木密となっており、消防車が入れないどころか、人が通るのがやっとという地域が点在しており、大災害が発生すれば瞬く間に炎が燃え広がることが危惧されることから、長年にわたって懸念の声が上がっています。こうした地域も迅速な避難、救援活動が行えるよう、被害を拡大させないための不燃化対策が必要な、公共性の高い地域であります。
そこで、都は、不燃化促進の対象を街区の内側、中心部も含めたすべての木密地域とした事業を創設すべきであります。
さらに、災害時に逃げおくれが心配される高齢者世帯や障害者がいる家屋の不燃化に対しては、都として優遇策を講じるべきであります。あわせて見解を求めます。
次に、津波、高潮対策について質問します。
想定をはるかに超えた地震、津波により甚大な被害をもたらした東日本大震災以降、居住地の安全性や標高、避難方法について、多くの都民、国民の関心が高まっています。
こうした中、品川区では、今年度、高潮・津波対策検討基礎調査を委託、実施し、航空機によるレーザー測量で土地の高さを計測して、わかりやすく色分けした標高図を公開しました。これをもとに、今後、区民と協働して津波ハザードマップやマニュアルを作成するほか、電柱など区内五百カ所にその地点の海抜を表示します。
これは、居住者やその地域を訪れた人たちが、津波や高潮による避難が必要となった場合に、みずから迅速な避難行動を起こせる貴重な情報源となり、また、まち中で常に標示を目にすることで、自助、共助の防災意識も高まります。
しかし、この取り組みが単独の区事業におさまってしまえば、広域に往来する多くの人たちにとっては、行政区を超えれば効果が失われてしまいます。こうした取り組みこそ、広域的な観点から統一的に構築していくべきであります。
そこで、都民、国民が標高や避難する方向などを正しく認識し、迅速な避難行動をとれるよう、広域行政を担う都が、東京湾に隣接する沿岸地域、低地部の関係区と連携を図り、わかりやすい避難、誘導策を構築していくべきであります。見解を求めます。
次に、災害から子どもたちを守るため、学校施設の安全強化について質問します。
このたびの震災では、震源地から遠く離れた東京においても、民間施設の天井の一部が崩落し、甚大な被害が発生しました。公立学校施設においては、天井材、外壁、ガラス、照明器具などの非構造物の被害が報告されています。
いうまでもなく、学校は、子どもたちが一日のほとんどの時間を過ごす活動の場であり、災害時には地域住民の避難場所になることから、その安全性の強化は極めて重要であります。
都はこれまで、校舎の耐震化を強力に推進し、都立学校は一〇〇%、公立小中学校は約九五%が耐震化されましたが、今後は、非構造部材の耐震対策も早急に実施する必要があります。
なぜなぜならば、非構造部材の被害は、建物自体の損傷が軽微な場合であっても生じており、将来ある子どもたちを天井材やガラスの落下などによる被害から何としても守ることが私たちの責務であるからであります。
国は、昨年七月に東日本大震災を踏まえた学校施設の整備に関する検討会による緊急提言をまとめましたが、非構造部材の耐震対策について、具体的な達成時期、目標は示されておりません。
そこで、都は、まずは都立学校が率先して非構造部材の点検を開始するとともに、学校施設の整備基準を検証し、早急に対策を講じるべきであります。
また、小中学校の耐震化一〇〇%を進めるのと同時に、校舎の耐震化が完了した学校から順次、速やかに非構造部材の耐震強化を図るべきであります。あわせて見解を伺います。
次に、帰宅困難者対策について質問します。
本定例会に、東京都帰宅困難者対策条例が提案されました。大規模災害の発生により、パニックや二次災害を回避するためにも重要な条例案であります。この中の第五章には、帰宅支援に関する条項があります。
私は、三・一一東日本大震災の日には、都民の安全を確認するため、深夜まで品川区内を調査に回る中、国道の歩道からあふれながら歩いて家路を急ぐ多くの帰宅困難者の姿を目の当たりにしました。
その折、寒空の中、身を縮めて歩くOLやサラリーマンの方々が、国道に沿った商店街の一角で湯気の立った温かい汁物をいただいている光景がありました。それは、ある八百屋さんが自発的に炊き出しを行い、それを地域の住民が手伝い、帰宅困難者を支援していたのであります。
しかも、その真心の支援は、その先の商店街、またその先の商店街へと伝播しており、私は、江戸東京の心意気、ここにありと感動しました。
これまで、都による災害時帰宅支援ステーションの指定は、都立高校を初めとする都施設、また、コンビニやガソリンスタンドなど、広域な都内に点在しておりましたが、今後、都は、その点と点を線で結び、区市、そして都県を超えても支援が続く帰宅支援ラインを形成できるよう企業、団体などに呼びかけ、帰宅支援ステーションの大幅な拡充を図るべきであります。見解を求めます。
次に、魅力ある東京のまちづくりについて質問します。
品川駅の南地域は、新幹線品川駅の開業や羽田空港の国際化に加え、リニア中央新幹線の始発駅に決定されるなど、東京の新拠点、表玄関としてにぎわいを備えた新たなまちづくりに期待が寄せられております。
一方、アジアヘッドクオーター特区と特定都市再生緊急整備地域が指定され、この地域に隣接するエリアが選定されました。
国と都による位置づけの中には、整備の推進に関し必要な事項として、運河、自然、歴史等の特性を生かした地域の顔となる魅力的な景観形成に配慮した都市開発事業を誘導するとしています。
まさしく、品川駅の南地域は、屋形船や釣り船が並ぶ品川浦を初め、運河が縦横に形成されており、その横には江戸幕府の第一宿、品川宿があった旧東海道が走るなど、豊かな水辺の自然と歴史の特徴がある魅力的な地域であります。
そこで、今後の地域整備については、地元品川区や住民の意向を重視しながら、周辺と調和のとれたまちづくりが進められるよう、都として柔軟に支援していくべきと考えます。見解を求めます。
最後に、交通施策について質問します。
都内の交通事故の件数は減少傾向にある一方、自転車による事故が後を絶ちません。先日は、私の知人が自転車同士の衝突事故に遭い、骨盤を骨折する重傷を負いました。
自転車は最も身近な交通手段でありますが、一たび事故になれば、自転車利用者は一瞬にして被害者にも加害者にもなってしまう危険性があります。
高齢社会が加速する東京において、こうした交通事故を防止するための取り組みはますます重要となります。
都が示した「二〇二〇年の東京」には、交通渋滞の解消、自転車道や街路の整備、ITS技術の活用など、多面的な取り組みを行うとしています。
そこで、都は、人と自転車ともに安全で優しい都市、東京を構築していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
都議会公明党はこれまで、自転車利用の安全対策の強化を繰り返し都に求めてきました。そして、都は、条例制定も視野に検討委員会が報告書をまとめ、安全に連続して走ることができるよう、走行空間のネットワーク化を促進する必要性を挙げています。
こうした中、警視庁は今月、自転車ナビマークを制定し、モデル実施を開始しました。これは、自転車が通行すべき部分と進むべき方向を明示したもので、法定外表示ではあるものの、自転車利用者のみならず、都民にとってわかりやすい取り組みであります。
加えて、自転車利用のルール、マナーの向上と都民意識の醸成や自転車走行空間の連続性、ネットワーク化を促進するために大いに活用できる施策であると考えます。
そこで、自転車ナビマークについて、今後期待できる効果を警視庁に伺うとともに、都や区市町村と連携して取り組みを加速、拡充すべきと考えます。所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 伊藤興一議員の一般質問にお答えいたします。
東京における自転車の利用についてでありますが、環境負荷が少ない自転車は、都市における有効な移動手段の一つでありまして、欧州の諸都市では広く普及していることはよく承知しております。
しかし、国土が平たんで、その多くが可住地であるいわゆるインハビタブルプレースを持っている欧州各国に比べて、急峻な山々が大部分を占める日本は、可住面積が全国土の三割にも満ちませんで、自転車利用上、大きな地勢学的なハンディキャップを負っております。
先般も、オリンピックの用事でベルリンを訪れまして、日本大使館を出て、ホテルまでウンターリンデンを歩いていました。随分幅の広い歩道だなと思ったら、実はその半分が自転車の専用道路で、間もなくやってきた自転車に乗っている男にどなられましたが、非常にうらやましい気がいたしましたけれども。
特に日本の東京では、自転車の数に比べて、とにかく地面が狭小で、自転車が安全に走行できる空間が決定的に不足しておりまして、今後、自転車の利用を拡大するには、何よりもまず二十世紀の負の遺産であります渋滞解消のための道路整備が不可欠であると思います。
「二〇二〇年の東京」計画で示したとおり、今後十年間で外環道を含む三環状道路を整備し、都心に用のない自動車の流入を大幅に減少させることによって、東京の道路を取り巻く環境を一変させていきたいと思います。
いずれにしろ、東京でよく見かけますが、ママチャリとみんないっていますけれども、前後にお子さんを乗っけ、中には生まれたての赤ん坊を背負って、とにかく親子で四人で乗っている自転車というのは、本当にこれ、ちょっと、ひっくり返ったらえらいことになるんじゃないかと思うんですが、こういった懸念も防ぐべく、都市インフラの整備の成果を十分に生かせられれば、東京における道路利用の可能性が広がると考えておりまして、今後とも、より快適で魅力的な都市空間を創出していきたいと思っております。
他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁します。
〔警視総監樋口建史君登壇〕
〇警視総監(樋口建史君) 自転車ナビマークというのは、車道の左端に一メートル余りでありますが、幅を青く塗りまして、一定間隔で自転車のマークも刷り込んであるわけですね。自転車が走行する場所を明示するとともに、方向も明示する、そういうものでありますけれども、この自転車ナビマークの意義や効果については、今、議員みずからご指摘いただきまして、ほとんどつけ足すことはないのでありますけれども、一応申し上げたいと思います。
これは、去年の十二月に警視庁では自転車総合対策推進計画というのを策定しまして、大きくは二本柱でなっておりまして、一つは、現状のままでも自転車利用者のルール、マナーがやはり悪いと。これを指導取り締まりを強化する、これが一つですね。
それと、これは手間も暇もいろいろなことが、条件が整わないとなかなか進まないんですけれども、自転車通行環境の確立も警察としてもきちんと責任を果たしていこうと、この二本柱であります。
自転車ナビマークというのは、現状のままでもできることをやろうじゃないかという一環であります。強いていいますと、自転車通行環境の確立の一環として始めたことであります。今冒頭に申しましたけれども、左端を青く塗りまして、自転車がどこを通行すべきか、その方向はどっちの方向を通行するんだよということを明示するというものでありますが、これはもう当たり前の話ですけれども、交通ルールの周知徹底に効果があるものと考えております。とともに、そういうことをきちんと示すことが、自転車利用者に対する指導取り締まりを強化する上でも、その前提として非常に有用なものであると考えておるところであります。
期待される効果は、これ、ご指摘あったとおりでありまして、何度ももう既に申し上げているんですけれども、東京は交通事故に占める自転車の関与した事故の比率が非常に高い。三七%ほどになるわけでありまして、この自転車関与事故の減少が期待できます、できると考えています。それと、自転車利用者のマナー向上の効果を期待しているところであります。
それから、この自転車ナビマークの設置場所は、現在のところは二カ所でありまして、江戸川区の西葛西地区と小平市の小平駅南口地区でありますけれども、今後は効果検証をきちんとやっていきまして、これは自転車走行空間整備の現状のままでもできる手近な一手法でありますので、地域住民の方々の意見も十分に踏まえまして、また道路管理者等ともきちんと連絡をとり合った上で、さらに広げていきたいと考えております。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都立学校の非構造部材の耐震化についてでございますが、東日本大震災による都立学校の非構造部材の被害は、幸いにも重大なものはございませんでしたが、天井材のはがれや照明器具のずれ等、軽微なものが都立学校二百四十五校で延べ三十三件ございました。
都教育委員会では、震災後、速やかに職員による非構造部材の緊急点検を実施し、必要な補修を行ったところでございます。
来年度は、全都立学校を対象に、天井高が高く、照明器具等の耐震対策にふぐあいがあると、地震発生時に重大事故につながるおそれがある体育館を優先いたしまして、今度は専門家による総点検を行い、その結果に基づき、所要の落下防止対策を実施するとともに、非構造部材の耐震化について、都立学校の施設整備標準に盛り込んでまいります。
次に、区市町村立小中学校の耐震化についてでございますが、区市町村立小中学校の建物の耐震化につきましては、国の補助制度に加え、都独自の補助も実施しております。これによりまして、区市町村立小中学校の建物の耐震化率は、平成二十三年度末には九六・五%となる見込みであり、今後とも着実に進めてまいります。
また、非構造部材の耐震化につきましては、建物の耐震化とあわせて実施する場合には都の補助対象とするとともに、専門家による非構造部材の耐震化対策等の講演会を実施してまいりました。さらに、天井材の落下や備品の転倒等についての危険性と対応方法についても情報提供してまいりました。
今後は、都立学校における点検等の具体的取り組みを広く紹介する等によりまして、非構造部材の耐震化についても区市町村を支援してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、木密地域の不燃化についてでございますが、今回の木密地域不燃化十年プロジェクトは、震災時に甚大な被害が想定される整備地域を対象に、不燃化特区などの施策を重点的、集中的に行い、木密地域を燃えない、燃え広がらないまちにすることを目指しております。
不燃化特区は、木密地域の改善に積極的に取り組む区に対し、期間と地域を限定して都が特別の支援を行い、不燃化を強力に推進するものであり、今後、区からの提案なども踏まえながら、制度の具体化を図ってまいります。
お話のあった耐火改修等による延焼防止策や高齢者等への優遇策など、さまざまな提案が区からなされるものと考えており、都としては、区とも協議しながら実効性ある制度を構築し、木密地域の不燃化を効果的に進めてまいります。
次に、品川駅の南地域のまちづくりについてでございますが、この地域は、本年一月に国が特定都市再生緊急整備地域に指定した品川駅、田町駅を中心とした地域に隣接しており、都が策定した品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインにおいて、品川宿の面影や品川浦の水辺など、観光や歴史的資源を生かしたまちづくりを進める地域としております。
都としては、住民や地元区が中心となり、魅力ある地域特性を生かしたまちづくりの計画が進められるよう、引き続き支援してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、都民にわかりやすい避難誘導策についてでございますが、高潮や津波などの水害による被害を軽減するためには、都民の的確な避難行動を促す必要がございます。
避難誘導の主たる役割を担う各区では、お話の標高図のほか、区域内を流れる河川水位をリアルタイムで表示するなど、地域の実情に応じた取り組みが行われております。
都は、今後、防災会議のもとに設置した関係機関も参加する避難対策に関する検討部会におきまして、水害時における広域的な避難誘導について検討を進めてまいります。
そして、この検討部会では、品川区の海抜表示の事例など、各区における取り組み状況等を調査し、その結果を踏まえて、住民にわかりやすい効果的な取り組みをほかの区にも広く普及させるなど、関係区と連携しながら実効ある避難誘導策を構築してまいります。
次いで、災害時帰宅支援ステーションの拡充についてでございますが、都は、これまで九都県市と連携して事業者団体等との協定締結により、災害時帰宅支援ステーションの拡充を進めてまいりましたが、ご指摘のとおり、主要道路沿いにさらに多くの災害時帰宅支援ステーションを確保し、徒歩帰宅者が安全に帰宅できるよう、切れ目のない支援を行っていく必要がございます。
このため、都といたしましても、引き続き企業や事業者団体等に対して協力を求めるとともに、新たに区市町村とも連携して、地域の企業や店舗等を指定する取り組みを進めることで、災害時帰宅支援ステーションのさらなる拡充を図ってまいります。
〇副議長(ともとし春久君) 六十七番吉住健一君。
〔六十七番吉住健一君登壇〕
〇六十七番(吉住健一君) 初めに、防災対策についてお伺いします。
昨年の大震災以来、都内でも首都直下型地震などの発生に対する危機感が高まっています。文部科学省の研究成果などが報道で取り上げられ、高い関心を呼んでいますが、都でも今回の大震災を踏まえ、首都直下型地震などの被害想定の見直しをしているとのことです。
地震の発生を防ぐことはできませんが、減災対策や災害対応の準備はすることができます。
そうした中で、地震の発生時に都民の避難場所や被災した人々を救出、救助する活動の拠点となる都立公園の役割は重要となります。防災公園の整備を進めていくとの方針を伺っていますが、昨年三月の東日本大震災の際には、日比谷公園や上野恩賜公園などの都立公園に多くの都民が一時的に避難したと聞いています。いつ起こるかわからない災害に備え、都立公園の防災機能を高めることが重要と考えますが、所見を伺います。
また、災害時に防災公園としての機能を発揮するためには、地域の人々との連携が不可欠と考えます。地域と連携し、どのような取り組みをしているのか伺います。
次に、新宿駅東口周辺における駐車場の地域ルールについて伺います。
東京都駐車場条例は、建物から発生する駐車需要に応じた駐車場の附置義務を課すことにより、路上駐車の解消など道路交通の円滑化に寄与しています。とはいえ、都内では必ずしも同じルールで駐車場を確保できる環境にはありません。そこで、地域の実態に即した駐車場ルールを策定する取り組みが各地域で行われています。
新宿駅東口周辺では、中小のビルが老朽化し、建てかえの時期を迎えていますが、耐震化のための建てかえをする際に、駐車場条例に基づく駐車場の附置義務による制限が壁となり、実行に移すことができません。中小のビルが個別に駐車場をつくろうとすれば、最も大事なにぎわいスペースである一階に駐車場の入り口を設けなくてはならなくなるからです。
新宿区は、昨年二月に新宿駅東口まちづくり構想を策定し、老朽化した建物を建てかえて活気あるまちづくりを進めるため、地域ルールの導入を取り組みとして位置づけています。明治以来のしにせを初め、新宿中村屋など魅力ある店舗が建ち並ぶ東口周辺においては、建物単位でなく、地域全体で必要な駐車場を確保することが必要です。
これまで、銀座地区などに続き、昨年は渋谷地区においても地域ルールが策定され、都内で策定の動きが広がっています。現在、新宿EAST推進協議会という地元組織では、急ピッチでルールについての議論を進め、意見の集約を目指しています。地域内において、昭和五十六年以前の耐震基準で建てられた建物が半数に達している状況に危機感を持っているからです。東日本大震災でのダメージもあり、既に建てかえ計画が検討されているビルもあると聞いていますが、そうしたビルが新たなルールの枠組みに参加できるよう、地域ルールの策定は待ったなしの状況となっております。
新宿駅東口周辺における地域ルールは一日も早く策定すべきと考えておりますが、都がどのように取り組んでいくのか見解を伺います。
続いて、JR新大久保駅周辺の道路環境について伺います。
JR新大久保駅は、かつては山手線内では利用客の少ない駅の一つでした。しかし、近年の韓流ブームにより多くの観光客が利用するようになり、平日の昼間でも多くの人でにぎわっています。
その反面、新大久保駅周辺の道路には観光客を中心とした歩行者があふれ、一部店舗等における違法看板設置など道路の不適正利用もふえ、一般の方、住民の方の通行を阻害する場面も見られます。
現在、大久保通りでは、地元と道路管理者である東京都が歩道を安全に通行できるよう取り組みを実施しているとお聞きしています。どのような取り組みを実施していらっしゃるのかを伺います。
昨年来の状況を抜本的に改善するためには、都だけの取り組みで済むものではございません。地元自治体を初め、交通の面、防災の面も含めた総合的な取り組みが必要だと考えております。今後とも、関係行政機関の力強いご協力を期待しております。
次に、自転車対策について伺います。
私は、都議会自民党の視察団の一員としてブエノスアイレスを訪問してまいりました。その際印象に残ったのは、市内各所に自転車レーンが整備されていたのですが、市当局にヒアリングをしたところ、自転車レーンの整備は、既存の交通インフラが飽和状態であったことから、自転車通勤への利用転換を図るために行われたとのことでありました。
いいかえれば、自転車が安全に走行できる空間を整備すれば、自転車の利用が促進されるということであり、東京都においても、自転車走行空間の整備を推進し、健康や環境にも優しい自転車の利用促進を図るべきと考えます。
そこで、都の自転車走行空間整備の取り組みについて伺います。
また、自転車事故の状況について伺ったところ、逆に日本のような折り目正しい国でどうして事故が多いのかと聞き返され、困惑をいたしました。平成二十三年中に都内で発生した交通事故のうち、自転車が関与したものの割合は三七・三%、およそ三件に一件は自転車が関与していることになります。自転車の交通安全対策は急務であります。
東京とブエノスアイレスでは交通事情は異なり、単純な比較はできませんが、自転車を利用する都民一人一人がルールやマナーを守り、責任を持って安全利用に努める必要があることはいうまでもありません。
先日、東京都は自転車総合政策検討委員会報告書を公表し、関係機関相互の連携体制を整備する等、社会全体で自転車の安全利用対策を推進する方向性を打ち出しました。
そこで、今後、自転車利用者に対するルール、マナーの徹底に向けて、関係者とどのように連携して取り組んでいくのか伺います。
自転車走行空間の環境を整備することと、利用者のルールやマナーを徹底することは車の両輪であり、さらなる対策を求めます。
続いて、産業振興について伺います。
都内の中小企業は、東日本大震災による売り上げの低迷や、民主党政権下でのいわゆる六重苦といわれるさまざまな課題に直面しており、これまでになく厳しい経営環境に見舞われています。
地元の経営者の方の話では、今回の状況を乗り切るために、根本から経営のあり方を見直したいという意向もあれば、当面の課題に素早く対応しなければ会社が立ち行かないとするものまで内容はさまざまですが、今までにない切迫感があります。
こうした経営上の問題の解決を図るためには、まずは専門家による適切なアドバイスが重要と考えますが、多忙な経営者が相談に出かけることもままならない中、現場の状況を実際に見てもらいながら、ポイントを押さえた助言をしっかりとしてほしいというのが共通の要望です。
東京都でも中小企業に出向いて経営相談を行う事業はありますが、こうした方式を充実して経営者の意向に的確にこたえていくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、東京の地場産業である農林水産物の地産地消について伺います。
都内で安全・安心で新鮮な農林水産物が生産されていることは皆様ご存じのことですが、流通量が少なく、都心部などでは農地もないという理由で、一般の消費者が都内産農林水産物を食べる機会は限られています。
もっと一般の消費者に都内産農林水産物のよさを知ってもらい、食材として利用してもらうことは、農林水産業を振興する観点からも重要であると考えています。
また、一般の飲食店で都内産農林水産物を利用してもらうことは、品質のよさをアピールするとともに、食材として提供する機会をふやし、地産地消を推進し、後継者の意欲増進にもつながるのではと考えております。
こうした中、都内産農林水産物を使用する飲食店を東京都が登録し、PRする、とうきょう特産食材使用店登録制度が行われています。
都は、とうきょう特産食材使用店を既に百四十二店登録し、このたび登録した飲食店のガイドブックを作成しましたが、登録店の数をふやすことも、都内産農林水産物のPRにつながっていくことと思います。
今後も、地産地消を進めるために、とうきょう特産食材使用店登録制度をどのように展開していくのか伺いたいと思います。
次に、スポーツ振興について三点伺います。
先月行われた新宿シティーハーフマラソンには一万人以上が参加し、中でも六十歳以上の部において二百八十八人のシニアランナーがハーフマラソンを完走しました。エネルギーに満ちた元気な高齢者の姿に、改めてスポーツの偉大さ、すばらしさを実感いたしました。スポーツは心身の健康の保持増進に大きく寄与するものであり、本格的な高齢社会を迎えるに当たって、健康で活力に満ちた高齢者がふえていくことはますます重要であります。
今定例会における我が党の代表質問に対し、都は、今後新たにシニアスポーツ振興事業に着手すると答弁されましたが、具体的にはどのように高齢者スポーツを振興するのか、取り組みについて伺います。
なお、初めて実施する事業ですので、実際に着手して把握できる実情もあろうかと思います。シニアスポーツの現場の意見を聞きつつ、愛される事業に育てていただきたいと思います。
次に、オリンピック・パラリンピックの施設計画について伺います。
二月十六日IOCに提出された申請ファイルの内容が公表されました。今回の東京の計画は、一九六四年大会のレガシーである国立霞ヶ丘競技場が八万人収容の最新鋭スタジアムに改築され、オリンピックスタジアムとなります。有明北地区とされていた選手村は、より広い用地が確保できる晴海地区に配置し、有明北地区は体操やバレーボールなどの競技会場とするなど、コンパクトな会場配置をより強調する大きな改善点が見られます。
その中でも、大会計画上最も重要な役割を担うと思われる選手村については、都はどのような施設計画の方向性を持っているのか伺います。
最後に、オリンピック・パラリンピック招致について、復興の観点から質問します。
昨年、都議会自民党の調査団は、ブラジルのリオデジャネイロを訪問しました。施設を視察すると同時に、オリンピック委員会も訪問させていただき、さまざまな説明を受けました。一番記憶に残っておりますのは、親日家の渉外理事が出ていらっしゃって、とにかく投票権を持っているIOCの委員に接触し、なぜ東京に招致するのかをアピールした方がいいですよということでございました。
また、ブラジルでお会いした日系人社会の方々からは、東日本大震災や日本国内の政治の混乱をニュースで見ながら、遠く離れた祖国日本の行く末を心配している話や、日本が復興する兆しとして二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを実現することへの期待感を伺ってまいりました。日系人社会の方々も熱望していたように、震災からの復興、そして日本の復活を世界じゅうが望んでいます。
一方、日本国内では震災から一年がたち、人々の間では震災の記憶が薄れつつあります。そうした中、オリンピック・パラリンピック大会の開催を目指すことは、震災復興に資するものがあると考えますが、知事の所見を伺います。
現地のガイドの方からこんな話を伺いました。ブラジルで最大規模の銀行が創立九十周年の折に、記念事業として東洋人街の商店街のひさしを日本風の屋根がわらに似たものにつけかえたという話です。日系人社会の人々が融資を受けた際に、期日を守り、利息も支払い、きちんとした取引をしてくれたおかげで銀行が発展することができた恩返しとのことでした。
地球の裏側で日本の信用を高めてくれた同胞の方々がいて、その人々が今の日本を憂えている現状を率直に申しわけなく思いました。オリンピック・パラリンピック招致を契機に、日本の復興を実現し、期待に添いたいとの思いを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 吉住健一議員の一般質問にお答えいたします。
オリンピックの開催と震災復興についてでありますが、未曾有の被害をもたらした東日本大震災から一年となりますが、国においてはようやく復興庁が創設されたばかりでありまして、復興への取り組みはいまだ、はるけきものがあるという感じがいたします。
そうした中で開催された先日の東京マラソンでは、被災地から高校生を百三名招待して走ってもらいましたが、多くのランナーがそれぞれの思いを胸に東京を駆け抜けて、沿道からは盛大な声援が送られ、大きな感動と一体感に包まれたと思います。
世界最大のスポーツの祭典でありますオリンピック・パラリンピック大会の開催は、復興を目指す我が国に明確な目標と連帯感をもたらし、震災からの復興の大きな後押しとなると思います。
二〇二〇年大会では、サッカー競技の一部や聖火リレーなどを被災地で行うことによりまして、興奮と感動で、被災地はもとより、日本じゅうの人々を励まし、勇気づけるとともに、震災から見事に立ち直った姿を世界に披瀝したいものだと思っております。
オリンピック・パラリンピック大会開催という都民、国民の夢を何とか実現して、大震災の被害を乗り越えていくためにも、全力で招致をかち取りたいと思っております。
他の質問については、技監及び関係局長から答弁いたします。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 四点のご質問にお答えいたします。
初めに、都立公園の防災機能についてでございますが、都立公園は都民に安らぎや潤いを与える貴重なオープンスペースであるとともに、災害時には避難場所や防災活動拠点としての役割を担っております。
このため、都立公園八十公園のうち、避難場所や防災活動拠点などに位置づけられている六十公園において、防災公園としての整備を進めており、これまで主要園路の強化、拡幅などを行うとともに、防災トイレやソーラー式公園灯を設置いたしました。
今後、大規模救出救助活動拠点となる防災公園には非常用発電設備の設置を検討するなど、都立公園の防災機能を一層高め、都民の安全と安心の確保に全力を尽くしてまいります。
次に、防災公園における地域との連携についてでございますが、都の防災公園には、発災時に救援活動や応急復旧活動を支える役割があります。
このため、日ごろから地域住民や警察署、消防署などとの連携を図り、迅速的確な対応をとることができるよう取り組んでおります。
例えば、舎人公園では、地元消防署との共催による防災訓練を実施し、戸山公園では、地域住民が実際にテントで宿泊を体験する防災キャンプなどを開催しております。
今後も、こうした取り組みを積み重ね、都立公園としての防災対応力の向上を図ってまいります。
次に、大久保通りにおける歩行者の安全な通行の確保についてでございますが、新大久保駅周辺では、表通りはもとより、裏通りにまで住宅と商店が混在する地域でありまして、近年、新たな東京の名所として多くの観光客が訪れております。それに伴い、違法な路上看板の増加やごみの不法投棄などで通行の支障となる状況が生じております。
都は、歩行者の安全や円滑な通行などを確保するため、町会、商店会、警察署、新宿区と連携して、道路パトロールを毎月実施しております。違法看板や放置自転車の撤去指導、路上ごみの清掃などを行っております。
今後も、だれもが安全に通行できる歩行空間を確保するとともに、地域全体の良好な道路環境を維持できるよう、新宿区、地元住民等と連携して取り組んでまいります。
最後に、自転車走行空間整備の取り組みについてでございますが、自転車は都市内の有効な交通手段の一つであり、歩行者、自転車、自動車それぞれの安全・安心を確保しながら、自転車走行空間の整備を進めることが重要でございます。
都は、これまでに整備した百キロメートルに加え、「二〇二〇年の東京」計画において、新たに十カ年で百キロメートルを整備し、延長を倍増させることといたしました。
この実現に向け、国や交通管理者を交えた検討委員会で、自転車交通量が多く安全性を向上させる必要がある区間など、優先して整備する箇所の選定を進め、車道の活用を基本に、道路交通状況に合わせた整備の検討を行ってまいります。
今後とも、自転車走行空間整備を積極的に推進し、だれもが安全で安心して利用できる道路空間を創出してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 駐車場条例に基づく地域ルールについてでございますが、地域ルールは、建物から発生する駐車需要に対し、駐車場を建物ごとに設けるのではなく、集約して整備するなど、地域全体で必要な駐車場を確保するものでございます。
区は、お話の新宿駅東口まちづくり構想を踏まえ、昨年四月に駐車場整備計画を改定し、十一月には商店街代表も加えた地域ルール策定協議会を設置しており、都もこれに参画しております。
協議会では、駐車場の立地や利用状況等の調査結果を分析しており、都は、今後の見通しを踏まえた集約化や附置義務の緩和等について技術的助言を行っております。
引き続き、他地区のルール策定で蓄積したノウハウも活用し、平成二十四年度のできる限り早い時期にルールが策定されるよう、地元の取り組みを積極的に支援してまいります。
〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 自転車のルールやマナーについてでありますが、自転車利用者に対するルール、マナーの啓発は、これまでも区市町村、警視庁、学校等と連携し、子どもから高齢者まで幅広い層を対象として取り組みを進めてまいりました。
さらに、今後は自転車事故の当事者となることが多い二十代、三十代を対象に重点的な働きかけを進める必要がありますが、そのためには民間事業者との積極的な連携が不可欠であり、例えば業務等に自転車を利用する企業、団体に対し、安全教育の充実を求めることや、大規模商業施設等に啓発活動への協力を要請するなどの取り組みが有効と考えております。
都は、こうした取り組みにより、ルールやマナーに関する啓発の機会を拡充するとともに、多くの都民がその習得に努めるように促し、自転車の安全利用を促進してまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業に対する相談事業の充実についてでありますが、中小企業が豊富な知識を持つ専門家に会社の現場で相談し、経営課題の解決を図ることは効果的であります。
都は、今年度、円高や震災の影響の克服を目指す中小企業に対し、専門家を派遣し相談に応じております。経営の抜本的な見直しでは十回まで、課題の速やかな解決を図る場合は三回まで派遣相談を行っております。
新年度は、円高や震災以外の理由による経営課題も幅広く対象として派遣相談を行います、経営変革・中小企業危機突破支援プログラムを実施いたします。
また、中小企業振興公社の専門家派遣事業につきましては、利用者の評価が高く相談実績の増加が見込まれるため、派遣の規模を四百八十回から七百六十回に拡充するなど、中小企業の経営課題の解決を総合的に支援してまいります。
次に、とうきょう特産食材使用店登録制度の展開についてでありますが、都内で生産されている農林水産物の地産地消を推進していくためには、都民が都内産農林水産物のおいしさや新鮮さに接する機会をふやし、その認知度を高めていくことが重要と考えております。
そこで、都は、昨年度から地産地消を進める取り組みの一つとして、とうきょう特産食材使用店登録制度を実施してまいりましたが、このたび、登録された飲食店百四十二店と、代表的なメニューなどを広くPRするガイドブックを作成いたしました。マスコミの関心も高く、都民からも好評をいただいているところであります。
今後とも、登録店の拡大やガイドブックの充実など、とうきょう特産食材使用店登録制度を積極的に活用して、都内産農林水産物の地産地消を推進してまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、高齢者スポーツ振興についてでございます。
一層の高齢社会の進展を見据え、高齢者がいつまでも健康に過ごせるよう、地域に根差した高齢者スポーツを振興していくことは極めて重要でございます。
このため、都は来年度から、シニアスポーツ振興事業を実施いたします。具体的には、地区体育協会や地域スポーツクラブが、六十歳以上の都民を対象として実施いたしますスポーツ競技会やスポーツ講習会などに対しまして、開催に必要な会場使用料や講師謝礼などの経費を、東京都体育協会や東京都スポーツ文化事業団を通じて支援をいたします。
こうした取り組みを通じまして、高齢世代におけるスポーツ実践層の拡大、元気な高齢者の増大を図ってまいります。
続きまして、選手村の施設計画の方向性についてでございます。
今回の計画は、半径八キロ圏に設定されたコンパクトな会場計画の中心に選手村を配置いたしまして、選手が各競技会場に短時間でアクセス可能となるなど、IOCの意向に的確にこたえたものとなってございます。
晴海地区では、十分な用地を活用することで、宿泊棟や食堂等の施設に加え、選手がゆったりとくつろげる広場やジョギングコースなどの計画を盛り込むことも可能でございまして、今後、具体的な施設配置等を検討してまいります。
検討に当たりましては、都市計画やまちづくりに係る関係機関との調整や、地元関係者の意見を聞きながら、将来のまちづくりにも寄与する計画としてまいります。
〇七十四番(西岡真一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
〇副議長(ともとし春久君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇副議長(ともとし春久君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後八時二十六分散会
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