一番 | 小林 健二君 |
二番 | 加藤 雅之君 |
三番 | 三宅 正彦君 |
四番 | 桜井 浩之君 |
五番 | 山崎 一輝君 |
六番 | 野田かずさ君 |
七番 | 福士 敬子君 |
九番 | 相川 博君 |
十番 | 山内れい子君 |
十一番 | 関口 太一君 |
十二番 | くりした善行君 |
十三番 | 西沢けいた君 |
十四番 | 田中 健君 |
十五番 | 畔上三和子君 |
十六番 | 斉藤やすひろ君 |
十七番 | 栗林のり子君 |
十八番 | 松葉多美子君 |
十九番 | 伊藤 興一君 |
二十番 | 鈴木 章浩君 |
二十一番 | 菅 東一君 |
二十二番 | きたしろ勝彦君 |
二十三番 | 早坂 義弘君 |
二十四番 | 高木 けい君 |
二十五番 | 星 ひろ子君 |
二十六番 | 小山くにひこ君 |
二十七番 | 柳ヶ瀬裕文君 |
二十八番 | 淺野 克彦君 |
二十九番 | 新井ともはる君 |
三十番 | 佐藤 由美君 |
三十一番 | 中村ひろし君 |
三十二番 | たきぐち学君 |
三十三番 | 田の上いくこ君 |
三十四番 | 島田 幸成君 |
三十五番 | 大島よしえ君 |
三十六番 | 高倉 良生君 |
三十七番 | 上野 和彦君 |
三十八番 | 吉倉 正美君 |
三十九番 | 遠藤 守君 |
四十一番 | 高橋 信博君 |
四十二番 | 中屋 文孝君 |
四十三番 | 村上 英子君 |
四十四番 | 矢島 千秋君 |
四十五番 | 高橋かずみ君 |
四十六番 | 山加 朱美君 |
四十七番 | 西崎 光子君 |
四十八番 | しのづか元君 |
四十九番 | 滝沢 景一君 |
五十番 | 中谷 祐二君 |
五十一番 | 笹本ひさし君 |
五十二番 | 山下ようこ君 |
五十三番 | 神野 吉弘君 |
五十四番 | 鈴木 勝博君 |
五十五番 | 興津 秀憲君 |
五十六番 | 岡田眞理子君 |
五十七番 | 古館 和憲君 |
五十八番 | かち佳代子君 |
五十九番 | 大松あきら君 |
六十番 | 中山 信行君 |
六十一番 | 橘 正剛君 |
六十二番 | 野上 純子君 |
六十三番 | 谷村 孝彦君 |
六十四番 | 山田 忠昭君 |
六十五番 | 林田 武君 |
六十六番 | 小宮あんり君 |
六十七番 | 吉住 健一君 |
六十八番 | 神林 茂君 |
六十九番 | 野島 善司君 |
七十番 | 服部ゆくお君 |
七十一番 | 伊藤 ゆう君 |
七十二番 | 原田 大君 |
七十三番 | 佐藤 広典君 |
七十四番 | 西岡真一郎君 |
七十五番 | 尾崎 大介君 |
七十六番 | 山口 拓君 |
七十七番 | 伊藤まさき君 |
七十八番 | 松下 玲子君 |
七十九番 | 野上ゆきえ君 |
八十番 | 今村 るか君 |
八十一番 | たぞえ民夫君 |
八十二番 | 吉田 信夫君 |
八十三番 | 小磯 善彦君 |
八十四番 | 長橋 桂一君 |
八十五番 | 藤井 一君 |
八十六番 | 鈴木貫太郎君 |
八十七番 | こいそ 明君 |
八十八番 | 遠藤 衛君 |
八十九番 | 田中たけし君 |
九十番 | 宇田川聡史君 |
九十一番 | 鈴木 隆道君 |
九十二番 | 三原まさつぐ君 |
九十三番 | 田島 和明君 |
九十五番 | 吉田康一郎君 |
九十六番 | 斉藤あつし君 |
九十七番 | 泉谷つよし君 |
九十八番 | くまき美奈子君 |
九十九番 | 大西さとる君 |
百番 | いのつめまさみ君 |
百一番 | 小沢 昌也君 |
百二番 | 石毛しげる君 |
百三番 | 大津 浩子君 |
百五番 | 清水ひで子君 |
百六番 | ともとし春久君 |
百七番 | 東村 邦浩君 |
百八番 | 中嶋 義雄君 |
百九番 | 木内 良明君 |
百十番 | 古賀 俊昭君 |
百十一番 | 吉原 修君 |
百十二番 | 鈴木あきまさ君 |
百十三番 | 宮崎 章君 |
百十四番 | 川井しげお君 |
百十五番 | 三宅 茂樹君 |
百十六番 | 吉野 利明君 |
百十七番 | 比留間敏夫君 |
百十八番 | 門脇ふみよし君 |
百十九番 | 増子 博樹君 |
百二十番 | 大塚たかあき君 |
百二十一番 | 酒井 大史君 |
百二十二番 | 山下 太郎君 |
百二十三番 | 大沢 昇君 |
百二十四番 | 中村 明彦君 |
百二十五番 | 馬場 裕子君 |
百二十六番 | 和田 宗春君 |
百二十七番 | 大山とも子君 |
欠席議員 一名
八番 土屋たかゆき君
欠員
四十番 九十四番 百四番
知事 | 石原慎太郎君 |
副知事 | 佐藤 広君 |
副知事 | 猪瀬 直樹君 |
副知事 | 吉川 和夫君 |
副知事 | 村山 寛司君 |
教育長 | 大原 正行君 |
東京都技監建設局長兼務 | 村尾 公一君 |
知事本局長 | 秋山 俊行君 |
総務局長 | 笠井 謙一君 |
財務局長 | 安藤 立美君 |
警視総監 | 樋口 建史君 |
主税局長 | 新田 洋平君 |
生活文化局長 | 井澤 勇治君 |
スポーツ振興局長 | 細井 優君 |
都市整備局長 | 飯尾 豊君 |
環境局長 | 大野 輝之君 |
福祉保健局長 | 杉村 栄一君 |
産業労働局長 | 前田 信弘君 |
港湾局長 | 中井 敬三君 |
会計管理局長 | 松田 芳和君 |
消防総監 | 北村 吉男君 |
交通局長 | 野澤 美博君 |
水道局長 | 増子 敦君 |
下水道局長 | 松田 二郎君 |
青少年・治安対策本部長 | 樋口 眞人君 |
病院経営本部長 | 川澄 俊文君 |
中央卸売市場長 | 中西 充君 |
選挙管理委員会事務局長 | 影山 竹夫君 |
人事委員会事務局長 | 多羅尾光睦君 |
労働委員会事務局長 | 加藤 英夫君 |
監査事務局長 | 塚本 直之君 |
収用委員会事務局長 | 細野 友希君 |
二月二十八日議事日程第二号
第一 第一号議案
平成二十四年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十四年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十四年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十四年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十四年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十四年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十四年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十四年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十四年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十四年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十四年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十四年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十四年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十四年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十四年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十四年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十四年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十四年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十四年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十四年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十四年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第二十九号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第三十号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
東京都帰宅困難者対策条例
第三十八 第三十八号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
東京都新しい公共支援基金条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
東京都消費生活条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
計量法関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
東京都計量受託検査条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
東京都高等学校等生徒修学支援基金条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都立図書館条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
東京都建築審査会条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
東京都養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第六十一 第六十一号議案
東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例
第六十三 第六十三号議案
東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例
第六十四 第六十四号議案
東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都認定こども園の認定基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例
第六十八 第六十八号議案
興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
旅館業法施行条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
公衆浴場の設置場所の配置及び衛生措置等の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都妊婦健康診査支援基金条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京都障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京都子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
東京都障害児通所給付費等不服審査会条例
第八十六 第八十六号議案
東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
東京都知的障害者援護施設条例を廃止する条例
第八十九 第八十九号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例を廃止する条例
第九十 第九十号議案
東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
東京都立肢体不自由児施設条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
東京都工場立地法地域準則条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
東京都森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
東京都森林整備地域活動支援基金条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
東京都浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第百七 第百七号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百八 第百八号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百九 第百九号議案
東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百十 第百十号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百十一 第百十一号議案
東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十二 第百十二号議案
警察参考人等に対する費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第百十三 第百十三号議案
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第百十四 第百十四号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十五 第百十五号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百十六 第百十六号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第百十七 第百十七号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
都立小岩高等学校(二十三)改修及び改築工事請負契約
第百十九 第百十九号議案
都立板橋看護専門学校(二十三)改築工事請負契約
第百二十 第百二十号議案
都立鷺宮高等学校(二十三)改築及び改修工事請負契約
第百二十一 第百二十一号議案
都営住宅二十三H─一〇七東(葛飾区高砂四丁目)工事請負契約
第百二十二 第百二十二号議案
都営住宅二十三H─一〇四西(世田谷区下馬二丁目)工事請負契約
第百二十三 第百二十三号議案
環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十三 一─環二新大橋工区)請負契約
第百二十四 第百二十四号議案
包括外部監査契約の締結について
第百二十五 第百二十五号議案
全国自治宝くじ事務協議会への熊本市の加入及び全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第百二十六 第百二十六号議案
土地の信託の変更について
第百二十七 第百二十七号議案
平成二十四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百二十八 第百二十八号議案
平成二十三年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百二十九 第百二十九号議案
ヘリコプター用エンジンの買入れについて
第百三十 第百三十号議案
平成二十三年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百三十一 第百三十一号議案
平成二十三年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三十二 第百三十二号議案
平成二十三年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百三十三 第百三十三号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第百三十四 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した固定資産税等の過徴収に係る損害賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について
午後一時開議
〇議長(中村明彦君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(中村明彦君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(中村明彦君) これより質問に入ります。
百二十二番山下太郎君。
〔百二十二番山下太郎君登壇〕
〇百二十二番(山下太郎君) 私は、都議会民主党を代表いたしまして、都政の主要課題について、知事並びに関係局長に伺います。
質問に入る前に、先日ご逝去なさった名誉都民松平康隆様のご冥福を心よりお祈りいたします。
さて、都議会民主党が、我が民主党東京都連の対政府最重点要求に盛り込み、導入時から今日まで、あらゆる機会を通じて撤廃を求めてきた法人事業税の暫定措置については、さきの社会保障・税一体改革大綱において、撤廃に向けた方針が明記されました。しかしながら、今なお地方自治の原則をもわきまえない異論が残されており、私たちも撤廃が完全に実現するまで手綱を緩めることなく、国に対して引き続き取り組みを進めていくことを、まず表明させていただきます。
では、都政運営、「二〇二〇年の東京」計画について伺います。
人口減少、高齢化社会が進む我が国では、成熟社会への新たな対応を模索してきましたが、昨年の東日本大震災、原発事故の発生により、日本はますます重大な局面に立たされました。
そこで国は、希望と誇りある日本を取り戻すため、日本再生の基本戦略を策定し、経済成長と財政健全化の両立した経済運営を実現するとともに、経済の土台の立て直しに取りかかることとなりました。
一方、都においても、「十年後の東京」計画策定から五年が経過する中、都政環境の変化を踏まえた都市戦略「二〇二〇年の東京」計画を発表しました。
今後、国内産業の活性化とともに、外国企業、研究機関を誘致し、アジア地域の一大国際拠点を目指して、その活力を取り込むことが重要であります。また、日本の中枢である首都東京が、災害時においても、行政や病院、そしてライフラインや物流、情報通信、銀行などの都市機能を維持し、それら業務の継続が可能となるように、関係機関とともに整備を進めていくことが、都民生活を守り、復旧、復興を促進し、投資を呼び込む大きな原動力になります。
二〇二〇年、いかに東京が都民にとって望ましい安心・安全の持続可能な都市として機能し、それを実感し得るかが重要と考えますが、知事の所見を伺います。
「二〇二〇年の東京」には、都市戦略を支える十二のプロジェクトがあります。こうした戦略の実現を目指すには、市区町村との連携が大変重要であります。
緑あふれる都市東京の実現を目指した高井戸公園や練馬城址公園などの都市計画公園の整備は、地域のまちづくりに大きな影響を与えるもので、整備促進への要望が強いものや望ましいと考えるものなど、さまざまな意向があります。
また、燃え広がらないまちを目指す木密地域不燃化十年プロジェクトでは、都の支援と各区の主体的な事業提案、住民などへの働きかけ、合意形成が整備進捗に欠かせないものとなります。
都は、みずからの都市戦略と市区町村の取り組みを整合させ、東京のさらなる発展に取り組み、都民福祉の向上を実現すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、平成二十四年度予算案について伺います。
未曾有の国難であった東日本大震災は、都政運営に大きな政策転換の機会を与えました。都民の意識も変化し、世論調査では、東京は災害に強い都市ではないと思うと述べる割合が約八割を占め、防災への要望が最も高くなりました。計画停電や夏期の電力逼迫の経験から、災害時に首都機能と東京の経済、都市機能を保持するため、いかにエネルギーを確保するかといった必要にも迫られています。
一方で、これからのグローバル化を見据えて、東京をアジアヘッドクオーター特区、MICE拠点として発展させ、起業支援や次世代の人材育成を推進する戦略が求められています。
平成二十四年度予算案は、東京、そして都民が安心・安全を着実に取り戻し、今後を展望する予算であるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
一方、平成二十四年度の都税収入は、海外経済の減速や円高の影響による企業収益の回復のおくれから、五年連続の減収となりました。今後も、景気動向から見ても、税収の好転は見込めない厳しい財政環境にあります。
都政においては、団塊世代が高齢化するなど、福祉と保健分野の経費がふえる傾向にあります。主要施設の維持やインフラ整備といった投資的経費の増や、オリンピック招致も含めた中長期にわたる「二〇二〇年の東京」戦略もあり、今後の財源確保が大きな課題であります。それには、社会情勢の変化に対応した中長期的な財政運営の考え方を示していくことが必要ではないかと考えます。
将来計画の推進と強固で弾力的な財政運営を目指して、税収見込みを検討し、次世代の福祉も考えたバランスのとれた起債と適正な基金活用などを考えていかなければなりません。
東京において持続可能な安心・安全社会を実現するために、緊張感を持った方針に基づいた財政運営を行う必要があると考えますが、都の所見を伺います。
次に、防災対策について伺います。
戦後最大の人的被害をもたらした東日本大震災からの復旧、復興に取り組んでいる現在、首都東京で想定されている首都直下型地震が実際に発生し、被災することは、日本にとって最悪のシナリオであります。
その首都直下型地震の地震動は、震源となる首都圏地下のプレートが従来の想定よりも浅いことが判明しました。都内において震度六強の揺れの範囲が広がるとともに、震度七の揺れが起こる危険が出ると考えられています。日本の中枢機能の被災、建物被害や人的被害、日本経済全体への損害が大きくなると懸念され、減災対策のさらなる推進が不可欠です。
そこで、首都直下地震対策の推進について、知事の見解を伺います。
また、東日本大震災によって、都内では約三百五十二万人の帰宅困難者が発生しました。当日は東京は停電せず、水道などライフラインも使用できる状況にありました。交通機関も当日夜半から運行を開始、帰宅支援や自治体による一時滞在支援が行われたため、混乱も翌日にはおさまりました。
しかし、首都直下地震発生時には、火災や道路の寸断、交通、ライフラインの長期停止、人命の救援、救護、情報の途絶など、多くの被害が想定されます。帰宅困難者自身も、駅などにおける集団転倒や建物からの落下物など二次災害の危険が及ぶことから、社内などで一時待機し安全確保を行うことが望まれます。
阪神・淡路大震災直後、倒壊家屋の下敷きになった人々の多くを救ったのは近隣住民でありました。いち早く救助活動を展開して、多くの人々のとうとい命が救われたことから、みずからの安全を確保した帰宅困難者が、災害時にそうした救助活動を行う事態があるのではないかと考えます。災害時の地域力を向上させる自助、共助そして公助を組み合わせた取り組みが重要です。
今回の訓練も踏まえて、帰宅困難者対策に今後どう取り組むのでしょうか、知事の見解を伺います。
都は、帰宅困難者対策条例案を提案しました。これに基づき、企業の協力を得て、帰宅困難者対策をさらに充実させる考えであります。
しかし、三月十一日に多くの帰宅困難者を緊急に受け入れた事業所に対して、都から備蓄品補てんが行われたことはありません。
また、都は広域自治体として、主体的な立場で総合的対策を講じることが求められていますが、市区町村や事業者間において、役割分担が明確になっておりません。一時滞在施設の指定はこれからです。災害弱者、外国人対策や避難時の安全確保の責任、補償といった環境整備も必要であります。
国は、全国の大規模駅周辺の帰宅困難者対策を進めるため、規制緩和や補助金制度を通じて、備蓄倉庫や非常用発電設備の整備を促すとしています。都においても、利用者や通過者対策を推進するため、企業協力に対する物資供与や助成など、誘導策を講じる必要があります。
多くの課題への具体的な対応が必要な中、都民、事業者に対策を義務づける条例を今制定することが、帰宅困難者対策の実効性を上げる最も有効な手段となるのでしょうか、都の見解を伺います。
各区における帰宅困難者対策の取り組みも進んでいます。港区は、六本木や青山一丁目、台場などで駅周辺滞留者対策推進協議会を設置し、対策の実施をするとしています。豊島区は、一時滞在施設の例示や備蓄を進める帰宅困難者計画を策定しました。渋谷区も受け入れ施設を二十六カ所に拡充しました。
一方で、各区が指定する小中学校などの避難所は、首都直下地震時には被災した区民向けとなっています。区部での避難所収容人数は避難者想定数に足りないことや、区において避難者と帰宅困難者が避難先で共存することは困難ではないかと考えていることから、区は、避難所に指定されていない公民施設を一時滞在施設として指定する考えです。
しかし、帰宅困難者が、緊急時に都が設定した帰宅支援ステーションと避難所の違いを認識することは現実には困難で、今回避難したような避難所に向かう可能性があります。実際、帰宅困難者が避難所に来た場合、ある区では受け入れざるを得ないと述べています。
都としては、災害時の検証から、一時滞在施設の指定のあり方や、都民や事業者などへの周知方法を検討、実施すべきであります。
また、都議会民主党が行った防災アンケートによると、帰宅困難者対策は、広域にわたる都市型災害のため、都は市区から主体的な立場で対策を講じること、隣接区との調整などが求められています。
そこで、都が一時滞在施設の指定推進や備蓄強化、九都県市間の協力、避難時の安全確保の責任、補償といった環境整備など、帰宅困難者対策により主体的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
首都直下型地震による被害は日本経済全体への損害につながることから、東京駅周辺、新宿駅周辺、品川駅周辺など都内主要地域では、災害時に都市機能を維持し、早期復旧後に持続的な発展を図ることを目標として、まちの防災機能を高める活動や災害時における協力体制づくりを行っています。
二月三日、震災における帰宅困難者の大量発生を踏まえるとともに、首都直下地震に備えて、東京駅周辺、新宿駅周辺、池袋駅周辺の事業者協議会が、都や地元区と連携して帰宅困難者対策訓練を行いました。新宿駅周辺では、地域関係者が連携して、混乱防止のための情報収集伝達と避難誘導訓練を行うとともに、高層ビル街において大量の傷病者が発生したことを想定した応急救護やトリアージ、搬送訓練を行いました。
災害への対処のため、平常時から官民の連携と協働の取り組みを推進し、地域全体としての業務継続計画を策定する取り組みが進んでいます。都は、こうした主要ターミナル駅を初めとした地域の防災組織が行う帰宅困難者対策の取り組みを支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、津波対策について伺います。
東日本大震災における想定を大きく上回った津波により、被災地以外の沿岸地での津波等の水害軽減対策が課題となっています。東京湾沿岸地域には都市機能が集積しているため、都は、津波低減効果がある防潮堤や水門などの耐震、耐水化を進めています。
東京都防災会議地震部会の被害想定の見直しでは、元禄関東地震による津波のシミュレーションは、堤防は機能するが水門は機能しない最悪の場合を想定しています。
昨年十一月、江東区においては、区民の安心のため、企業と津波等の水害時安心協定を結び、一時避難施設の提供を受けることとなりました。区はこれからの企業と帰宅困難者支援の協定も結んでいます。
津波避難ビル、マンションなどの指定に当たって、課題は夜間、休日の対応や避難者の安全管理、指定後の管理費用、防犯性、プライバシー確保などです。
東京都は、安全な津波避難ビル、マンションなどの指定に向けた支援を初め、東京湾沿岸地域における津波等の減災対策に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
島しょ地域の地震津波対策も再構築が必要です。
都は、海岸保全施設や港湾漁港施設の浸水対策に加えて、関東地震の津波第一波到着までに避難が困難な大島岡田港に津波タワーを整備していくとしています。また、国においても新たな津波の被害想定が行われ、都は浸水域を見直した新たなハザードマップ基本図を策定します。これによって各町村は避難体制の確保を行います。
大島町では、三原山噴火、全島民避難から二十五年を経過し、高齢化に対応した自主防災組織の再構築や、防災無線受信機の検討、避難場所の再編などが課題となっています。避難施設や避難経路の確保、定期航路の不能に対する対策も必要です。
新たなハザードマップや周辺環境の点検を踏まえた避難とともに備蓄を充実するなど、都民が生き延びる施策が重要です。だれがどう逃げ、そしてどう生き残るかといった地震津波対策を地域全体で取り組む必要があると考えますが、所見を伺います。
次に、消防力の強化について伺います。
東京消防庁は、一般的な災害に出場するポンプ隊に加え、複雑な救助に対処する専門の教育を受けた特別救助隊が二十三隊、さらに、大地震を初め、建物の倒壊や土砂崩れなどの大規模な災害に対処する消防救急機動部隊、ハイパーレスキューが四隊設置されています。その他、水難救助隊六隊、山岳救助隊が四隊、日々都民の人命救助に当たっています。また、昨年の東日本大震災には、消防救助機動部隊を中心とした部隊を派遣し、緊急消防援助隊として消火及び人命救助活動を行っていたことは、まだ記憶に新しいところであります。
この東日本大震災の経験を踏まえて、東京都防災対応指針では、より一層の発災時の災害能力の向上、首都東京の消防力の徹底強化を求めています。
平成二十四年度予算では、五番目の消防救助機動部隊の設置や、ヘリコプターの配置等、東京消防庁の体制強化が盛り込まれておりますが、今後、都民、国民の期待にどのようにこたえていかれようとお考えか、所見を伺います。
次に、地域防災力の向上政策について伺います。
震災時、木造住宅密集地域などにおいて、火災の延焼拡大防止を図るには、地域住民等による初期消火活動が迅速に行えることが必要であり、そのためには、実効性のある体制を整えていくことが必要であります。
東京消防庁では、こうした体制の確保に向け、小規模な地域コミュニティを単位とした実施方法に工夫を凝らした訓練の実施や、使いやすい消火資器材と水利を活用した市民による活動を、世田谷区と杉並区の二カ所でモデル事業として実施し、検証しているところであります。私は、こうしたモデル地区での検証を踏まえ、積極的に地域防災力の向上を図っていくべきだと考えます。
また、モデル事業の中では、木造住宅密集地域の消防水利の確保策として、震災時多機能型深層無限水利、深井戸の整備も行い、その効果を検証するとのことでありますが、木造住宅密集地域の防火対策の一つとしても大変貴重な取り組みであります。
東京消防庁では、こうしたモデル地区の検証を踏まえ、この取り組みを都内全体に拡大するなど、積極的に取り組んでいくべきと考えます。
そこで、モデル事業における取り組みとそのねらいについて見解を伺います。
次に、東京湾及び周辺河川における放射性物質対策について伺います。
東京都内の河川には、国が管理する江戸川や荒川などの河川と、都が管理する隅田川や旧江戸川など、合わせて百七の河川が流れています。
既に各種調査でも明らかなように、江戸川と荒川の河口付近で高いレベルの放射性セシウムが検出されています。ことし一月十五日の報道番組では、そのメカニズムとして、淡水と海水とがまざり合う際の凝集という状態が影響していること、それがゆっくり移動して、東京湾のセシウムが最大になるのは二年二カ月後であること、東京湾の汚染は十年以上続くことなどが指摘されました。
こうしたことから、放射性物質が東京湾に流れ込み拡散しないよう、しゅんせつや除染等の対策や役割分担など、あらかじめ検討、協議するなどして、国のガイドラインが示された段階で速やかに対策が実施できるよう、東京都としても積極的、主体的に取り組んでいくことが求められます。
都議会民主党は、政府に対して要望書を提出し、都内河川におけるモニタリングの実施など、積極的な対応を求めてまいりましたが、都は今後どのように対応していくのか、見解を伺います。
次に、エネルギー政策について伺います。
東日本大震災直後の計画停電では、医療機関等の人の命にかかわる施設やライフライン施設の機能に大きな影響が生じ、事業継続に支障を来すケースが発生しました。
一方、高効率に発電を行い、街区内に電力を供給する特定電気事業者の取り組みが注目されましたが、このような自立分散型エネルギーを持っている施設はまだまだ限られています。
首都直下地震等が発生したときに、都民生活を守り、都市機能を維持するとともに、できる限り低炭素な自立分散型エネルギーの確保を進めていく必要があります。このような自立分散型エネルギーの確保に向けた今後の取り組みについて所見を伺います。
都は、キャップ・アンド・トレード制度や太陽光発電など、家庭でつくるエネルギー、創エネルギー機器導入支援などにより、再生可能エネルギーの普及を促進していますが、私たちは、東日本大震災を踏まえた低炭素分散型のエネルギー確保という観点から、再生可能エネルギーのさらなる普及に取り組む必要があると考えます。
再生エネルギー利用の普及拡大に向けた今後の取り組みについて所見を伺います。
都は、建築物環境計画書制度やキャップ・アンド・トレード制度、マンション環境性能表示制度等により、建築物の省エネ化を推進するとともに、地域におけるエネルギーの有効活用に関する計画制度により、地域冷暖房のエネルギー効率の向上などを進めています。その結果、東京には、先端的な省エネ技術を取り入れた低炭素型のビルなどが多く建設されるようになってきています。
しかし、排熱を最大限に利用するコージェネレーションシステムによる地域への効率的なエネルギー供給は十分には進んでいないのが現状です。また、エネルギー需給の両面から最適制御を図る仕組みの構築など課題となっています。さらには、清掃工場等の排熱等の未利用エネルギーも多くあります。
こうした状況を踏まえ、都市づくりでの面的エネルギー利用の最適化に向けた今後の取り組みについて所見を伺います。
昨年夏に懸念された電力不足に対処するため、都は、昨年五月に東京都電力対策緊急プログラムを策定しました。このプログラムに基づき各種取り組みを進めた結果、都内の事業所や都民の皆様のご協力のもと、また、電力会社の電力供給力の積み上げ努力や、機動的な電力融通等の対応もあり、計画停電や需給逼迫による停電を回避することができました。
東京都自身も、民間の取り組みを牽引する率先行動として、都の施設において照明の間引きやエレベーターの二分の一休止などの対策や、出勤時間の分散化、いわゆるサマータイムなども実施しました。昨年夏の節電の経験は、だれもが体験したことのない大きなものであります。昨年限りで終わらせることなく、これを分析し今後に生かしていくことこそ、あの夏を経験した者の責務であると考えます。
そこで改めて、都関連施設における節電の取り組みをどのように今後生かしていくのか、所見を伺います。
現在の電力の供給状況では、ことしの夏も再びピーク電力不足が懸念されます。計画停電や電力の使用制限を回避するためにも、生活や業務などに支障を来すことのない、無理のない範囲での合理的な節電とさらなる省エネルギー化を推進していく必要があると考えますが、今後の取り組みについて所見を伺います。
次に、産業振興について伺います。
昨年十二月二十二日、東京都が申請していたアジアヘッドクオーター特区において、国からの指定の決定がありました。
この間、東京都の評価が極めて低いと伺い、都議会民主党としてもさまざまなルートを通じて政府に働きかけてまいりました。今回の決定に安堵することなく、さらに気を引き締めて、国と協議しながら計画策定や規制緩和を進めるとともに、減税を初めとする都独自の取り組みを果断に実施し、目標である五年間で五百以上の外国企業の誘致に積極的に取り組んでいかなければなりません。
そして私は、外国企業の誘致というのは、五年間という目標の中にあっても、新たな雇用の創出や経済活力の向上という面で、いかに早く成果が出せるかといった視点も極めて重要だと考えています。総合特区を活用した外国企業の誘致に向けた取り組みについて見解を伺います。
次に、多摩シリコンバレーの振興について伺います。
平成二十二年六月の代表質問で、研究開発機能の強化も含めた多摩シリコンバレーの取り組みを強く求めるなど、この間、機会あるごとに多摩の振興策を私どもは求めてまいりました。
しかし、区部においてはアジアヘッドクオーター特区の指定を初め、未来に希望の持てる施策が打ち出されていますが、多摩地域の産業振興にもより一層の力を入れていくべきだと考えています。
来年度予算では、多摩シリコンバレー形成の核となる半導体・電子デバイス、計測・分析器、ロボットといった分野の産業振興を図るため、産学公金のネットワークから生まれる共同開発や販路開拓などを支援し、中小企業の新事業創出を促進することとしていますが、多摩シリコンバレーの振興に向けて具体的にどのように取り組む考えであるのか、見解を伺います。
次に、ものづくり産業の振興についてであります。
現在、全国各地で産業の空洞化に対する危機意識が高まっており、これまでの地域の雇用確保に向けた工場誘致にとどまることなく、空洞化対策として、産業立地を目的として補助金や優遇措置を打ち出すような事例も出ています。
実際に、自動車産業を中心にものづくり工場が数多く集まる中部地域では、空洞化対策として、立地補助金や研究開発の助成にかなりの思い切った多額の予算を計上する自治体もあると聞いています。
都内でも、円高などによる採算の悪化から大規模な自動車工場が閉鎖されることとなり、従業員の雇用問題だけではなく、自動車部品の製造を支える周辺中小企業への発注がなくなって、その集積が崩れ去るのではないかとの懸念が強くなっています。区部のまち工場に限らず、多摩地域においても、ものづくりを担う中小企業の集積をどう確保していくのかが、今後は大きな課題になるものと考えます。東京のものづくり産業が空洞化することなく、将来に向けて確実に発展していくためには、やはり都内の中小の製造業の集積をしっかりと守り抜いていくことこそが必要であると考えます。
そこで、都は産業空洞化への対策として、中小の工場集積の確保に向けてどのように対応していくのか、見解を伺います。
次に、中小企業に対する金融支援策について伺います。
都議会民主党は、昨年二月の代表質問などにおいて、中小企業に対する金融支援でも、環境や観光、健康や福祉といった成長産業を育成するという視点、あるいは海外販路を拡大していくといった視点も求められていると述べてまいりました。
しかし、東京都の平成二十四年度の予算は、制度融資の目標額を過去最高と同額の二兆二千億円としていますが、内容的には戦略的なものが感じられません。
例えば、福岡県では、海外にビジネス展開した中小企業の現地での資金調達を促進するため、現地金融機関の融資に対し国内金融機関が保証する、現地借入保証型のアジアビジネス展開支援資金制度を実施しています。また、大阪府では、金融機関がそれぞれの特徴や得意分野を生かし、商品設計したものを府と連携して支援する金融機関提案型融資を実施し、ものづくり、海外展開、地域活性化、地域医療・福祉、開業支援などの分野を対象として融資を実施しております。このように、各自治体においては、セーフティーネットワークにとどまらない未来志向の金融支援策が始まっています。
私は、東京都としても、成長産業の振興や海外展開支援という観点から、今後、中小企業に対する金融支援策のあり方について検討していくべきだと考えます。
東京都は、中小企業に対する金融支援について、今後どのように対応していこうとお考えなのか、見解を伺います。
また、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策について、二十四年度予算案では、融資規模を六百億円から四百億円に引き下げています。十二月十四日、金融庁が金融円滑化法の一年に限った再延長を発表したこともあり、二十四年度中に融資規模が大きく伸びることは想定されませんが、せっかくの金融支援策であるにもかかわらず、取扱金融機関が制度融資の四分の一程度にとどまっています。
私は、取扱金融機関の拡大や信用保証料の引き下げなど、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策について、中小企業にとってさらに利用しやすい制度となるよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、築地市場の移転問題について伺います。
二月七日、築地市場のある地元中央区と東京都が、築地のまちづくりに関する合意を交わしました。
私たち都議会民主党は、関係者の合意がない中で築地市場の移転を強引に進めることは反対であると主張してまいりました。その意味から、今回の中央区との合意については、関係者のご努力を多とするものであります。
さらに、今回の合意を受けて、築地地区には鮮魚マーケットのような食文化の拠点となる施設が建設され、築地市場内の勝どき門駐車場の活用なども含めて、これまでのにぎわいを途絶えさせることなく、食文化の拠点としての継承が図られなければなりません。
合意書では、平成二十四年度中に都区検討会を設置する等、早期に検討に着手するとありますけれども、築地のにぎわいをいっときたりとも途絶えさせないためには、市場関係者との協議や施設の整備など、早急な取り組みが求められております。
そこで、都区検討会における課題やスケジュールなどを含め、築地地区において食文化の拠点を継承していく上での今後の取り組みについて見解を伺います。
また、現在地再整備を機関決定し、豊洲移転に反対の立場をとっていた水産仲卸業者、東卸についても、同じく二月七日、理事長名で、新市場に対する取り組みについてといった方針が報告されました。その第一に、今後、豊洲新市場整備計画に対しては、組合の責任において、東京都及び関係団体との協議に積極的に取り組んでいくことが掲げられております。
先日、東卸の理事長から直接そのお考えを我が会派は伺いましたけれども、この方針は、東卸が一致団結しなければならないという理事長の思いから打ち出されたものだと感じました。
そこで、東京都としても、今回の東卸組合の方針を踏まえ、築地地区での食文化の拠点継承という選択肢も視野に入れながら、支援のあり方について、東卸と真摯に協議していくべきと考えますが、見解を伺います。
さて、豊洲の土壌汚染問題について、私たちは昨年九月の代表質問でも、土壌汚染対策工事の途中経過を報告することや、その検証作業を市場関係者や学識経験者等で構成する協議会とともに実施することなどを求めてまいりました。
これに対して東京都は、工事の最終段階には処理結果について技術会議に報告することや、対策後の二年間の地下水モニタリングなどを対象に、情報の共有化等を図るなどと答えていますが、都民や市場関係者の理解と安心を得るためにはまだまだ不十分であります。少なくとも、工事の最終段階や土壌汚染対策後などではなく、施工計画の策定や工事の作業状況など、もっと早い段階から市場関係者を含めた協議会を設置し、その取り組みが検証、確認できる体制を構築すべきであります。
東京都が今まさに進めている土壌汚染対策工事の状況等を広く共有していくことこそが、食の安心・安全に対する都民や市場関係者の理解につながると思いますが、見解を伺います。
次に、雇用対策について伺います。
二月二十日、総務省が発表した二〇一一年における労働力調査の速報結果によれば、十五歳から二十四歳の若年層における完全失業率は九・八%と、昨年より改善されているとはいえ、他の年齢層と比べても極めて高い水準にあります。
私たちは、昨年十二月の代表質問など、機会あるごとに未就職卒業者緊急就職サポート事業の拡大を求めてまいりました。二十四年度予算案では、当事業の規模拡大や、環境や健康など今後成長が見込まれる産業分野における就業支援を新たに実施することなどが盛り込まれています。
私は、これら事業を積極的に進めることで、若年者の就業対策、とりわけ正社員化が進むことを大いに期待するものでありますが、若年者の就業対策に向けた取り組みについて見解を伺います。
次に、シルバーハローワークについて伺います。
昨年十二月二十二日に発表された「二〇二〇年の東京」では、東京しごとセンターの機能を拡充し、高齢者専門の就業支援窓口として、東京都版シルバーハローワークを創設することが打ち出されています。そして、その年次計画では、二十四年度、二十五年度に検討、準備を行い、二十六年度には開設する予定となっています。
しかし、既に東京しごとセンターの中に、五十五歳以上を対象としたシニアコーナーがあり、都内十五カ所には市区町村が設置するアクティブシニア就業支援センターがあります。
その昔東京都には、しごとセンターの前身であるシニアワーク東京の高年齢者就業センターを初め、都内各所に高年齢者就業相談所がありましたが、平成十四年度以降、当時の高齢化社会の到来や年金制度改革、地方分権などの流れを受けて、市区町村が主体的に就業支援を行えるように枠組みを変えてまいりました。この流れから、地域での就業支援策を支援、強化していく方が、これからの高齢者の就業支援のあり方としては望ましいのではないかと考えています。
そこで、東京都版シルバーハローワークを創設する意義、問題意識について見解を伺います。
次に、東京しごとセンター多摩の移転整備について伺います。
「二〇二〇年の東京」では、東京しごとセンター多摩の移転整備が新たに打ち出され、多摩地域における就業支援機能を強化するため、東京しごとセンター多摩の移転に着手することが明記されました。
施設規模の拡大にあわせて、就業支援の機能が強化されるのは望ましいことではありますが、一方で、労働相談機能については、国分寺の労働相談情報センターを立川に移転するのにあわせ、八王子の労働相談情報センターを廃止、統合するとも伺っています。
現在の厳しい雇用情勢の中で、解雇や賃金不払いなどの相談を身近な場所でできることは労働者にとっても心強い限りであり、仮に統廃合によって多摩地域の労働相談機能が後退するようなことがあれば、断じて容認することはできません。
そこで、今回の東京しごとセンター多摩の移転整備について、多摩地域にどのようなメリットをもたらすのか、労働相談機能も含めた基本的な考え方や移転のスケジュールなどについて見解を伺います。
次に、多摩・島しょ地域の振興と将来像について伺います。
多摩地域は、都全体の半分以上の面積、一千百六十平方キロメートルに四百万人を超える人口と、それぞれの特色や地域事情を抱える三十の自治体があります。そして、この三十の市町村がこれまで独自の自治体経営を進めてきており、広域的な課題に対しては一部事務組合等によって対応してきました。
しかし、十年後、二十年後の多摩地域を展望すると、全国的な人口減少、高齢化の進展の中で確実に人口減少期を迎え、財政的にも厳しくなることは避けられません。
現在、都では、多摩振興プロジェクトによる六十の事業を実施し、広域的な多摩振興に取り組んでいるところでありますけれども、多摩地域の各自治体は、急速な高齢化や生産年齢人口の減少に伴い生じる新たな課題にも対応していかなければなりません。これまで以上に積極的な市町村の連携や協力体制が必要になると思われます。
こうした時代に向けて、圏央道や多摩南北道路を初めとする道路ネットワークの整備を初め、産業支援、森林再生や災害対策等々、多岐にわたる多摩地域振興策に取り組んでいかなければなりません。隣接する県を含む各自治体の広域的な連携や官民協働が不可欠なものとなります。
新たな時代を迎え、都のさまざまな事業を進める上では、多摩地域の将来に向けたトータルビジョンを明確にすべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、多摩の振興とスポーツ祭東京二〇一三について伺います。
昨年九月の一般質問において、我が会派のたきぐち学議員が、スポーツ祭東京二〇一三に関連し、主な来場者が選手と関係者だけという状況から脱するために、会場となる六十を超える自治体と連携して、観光要素を付加した複合的なスポーツツーリズムとして集客モデルをつくり出していくべきだと主張してまいりました。
多摩地域でかつて実施されたTAMAらいふ21とそれに伴うレガシー事業があったように、スポーツ祭東京二〇一三においても、開催機運の上昇に向けたさまざまなスポーツイベントや大会の開催が、多摩地域の振興にもつながっていくと考えています。
多摩の地域振興のためにも、都はスポーツ祭東京二〇一三の開催機運の醸成に向けてどう取り組んでいくのか、見解を伺います。
次に、森林の保全について伺います。
平成二十二年の夏ごろから、埼玉や山梨、長野、岡山県などの全国各地の水源に近い山林において、中国などの外国資本が買収の打診をしているということが明らかになりました。
都議会民主党では、平成二十二年九月に政府に対して、水資源確保の観点から、国内水源林が外国籍を有する者の所有地にならないよう、法整備を進めることなどを求める申し入れを行い、また、同年十二月都議会においても、我が会派の尾崎大介議員が、森林を含めた国土を売買する際の制限について国に求めていくことや、東京都が率先して対策を立てていくべき旨の質問を行っていました。
この質問に対して石原知事は、本来、国土資源の保全については国が対応すべきことと述べ、都は、森林に関する情報を十分に把握するとともに、関係各局が連携しながら保全に取り組むとの答弁にとどまりました。
国においては、昨年四月森林法を改正し、新たな森林の土地所有者となった者に届け出義務を課したところであります。
一方で、森林に限っていえば、埼玉県では土地取引の事前届け出制を柱とする水源地域保全条例案を二月二十日に県議会に提案したところであり、北海道でも、同趣旨の制度を盛り込んだ水資源保全条例の提案に向けて取り組んでいるところであります。
このような中、東京都としても、より一歩踏み込んで森林の保全に向けて、条例制定を含め対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、小笠原諸島の生態系保護対策について伺います。
海洋島である小笠原諸島には、限られた種群を起源として独自の進化を遂げた多くの希少固有種群とその生息、生育地、また、島ごとに独自の発展を遂げた生態系、加えて豊かな海洋生物や亜熱帯性の海鳥の繁殖地等であり、適切に保全を図るとともに、必要な再生を図る必要があります。
小笠原諸島の世界自然遺産登録が認められましたが、生態系を脅かす外来種対策が十分な成果を上げなければ、危機遺産になるばかりか、遺産登録が取り消される事態になりかねないと地元の方々も危惧されております。
東京都では、外来種対策として、現在は観光客の水際での対策を実施していますが、観光客が五割強も増加し、大型客船の寄港も多く予定されている中、具体的にどのような対策をとられていくのか、所見を伺います。
また、これまでの例では、国は世界遺産登録後、拠点となる遺産センターを整備してまいりました。環境省の回答では、小笠原の遺産センターについては、施設内容や運営方針も含めてこれから検討するとのことでありますが、遺産センターに野生鳥獣の保護施設や獣医療ができる設備を整備することとともに、獣医師が常駐できるよう、都として計画作成や運営に携わり、調整を図ることが必要と考えますが、都の見解を伺います。
また、小笠原固有の生態系を支えながら、そこに暮らす島民の皆様方の社会、生産、経済活動が将来にわたって健全に維持されるよう、自然再生にかかわるさまざまな取り組みと地域の生活や経済活動とを密接に結びつけていくこと等を通じて、エコツーリズム等の自然と共生した地域振興に取り組んでいく必要があります。そして、自然再生にかかわるさまざまな取り組みを自然環境教育の推進に活用しながら、地域の理解の醸成を図っていく必要もあります。
島民を初めとする小笠原を愛する多くの関係者が、誇りを持って持続的に自然の保全と再生に取り組んでいけるよう、多くの関係機関の参画を得て、相互の連携による仕組みや体制を構築する必要があります。また、海洋島という特異な自然環境のもとでの自然とのつき合い方に関して、小笠原に住み、小笠原を訪れるだれもが守るべき規範となる、小笠原独自のルールを確立することが必要だと考えますが、都の見解を伺います。
次に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
東京都は去る二月十三日、IOC本部において、申請ファイルを提出しました。また、十六日に、ファイルの内容を公表するに当たって、復興専門委員会の中間報告をあわせて発表しました。
これらには、私たち都議会民主党が要望してきた既存施設の活用や、被災地の復興支援としての一校一国運動、被災企業への優先発注、被災地での聖火リレーの実施なども盛り込まれており、一定の評価ができる内容となっています。
また、七月末にはロンドン・オリンピックが開催されます。開催期間中のジャパンハウスを初めとして、あらゆる機会で訴求力のある招致活動の展開が重要となってまいります。
私たち都議会民主党は先月、オリンピック・パラリンピック招致に向けた第一次提言をまとめ、その提言の中で大江戸ルネッサンスというテーマを提案させていただきました。
二百六十五年間続いた江戸の社会が持続可能な循環型社会を実現していたこと、そして、その根底には日本の古来から伝承されてきた自然を畏敬する精神文化があったことなどが、二〇二〇年の未来を描く上でヒントになると考えているからであります。江戸文化のすぐれた部分を見直し、未来につなげることは大変意義があり、また、五輪招致のテーマとして海外に向けた訴求力ある発信になると考えます。
そこで、招致活動において、そのような日本独自の誇るべき文化や精神を積極的に取り入れていくべきと考えますが、都の所見を伺います。
次に、パラリンピックと招致活動について伺います。
東京都は、全国に先駆けて、障害者スポーツに関する計画、東京都障害者スポーツ振興計画の原案を発表しました。その計画の中では、障害のある人と支える人へのスポーツ関係情報の不足や、障害のある人が身近な地域でスポーツ活動をする場の不足など、合計五つほどの課題が挙がっています。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催は、これらの課題解決の大きな推進力になるに違いありません。計画原案にはパラリンピックという言葉が載っておりませんが、そういった理由からも、ぜひ計画の中にパラリンピックの意義を入れていただきたいと思います。
また、障害者スポーツ、パラリンピックにちなんだバリアフリー社会の実現、だれもが安心して暮らせる社会の実現は、だれもが望むところであります。よって、都は、二〇二〇年オリンピック招致活動において、パラリンピック開催の意義をもっと前面に出し、支持を訴えるべきではないでしょうか。招致活動においてパラリンピックをどのようにアピールしていくのか、都の見解を伺います。
ことしの夏に開催されるロンドン・オリンピックに向け、ロンドンでは、公共交通機関の輸送力増強や、オリンピック開催に関する重要な施設をつなぐ既存道路ネットワークの整備、ウオーキングとサイクリングの推進、ヒースロー空港の改善といった交通施策が計画的に進められています。
二〇一〇年の五月には、ロンドンのボリス・ジョンソン市長が、ロンドン市の交通戦略構想を発表しました。この政策目標は、短期的にはロンドン・オリンピックの交通需要対策の一つとして位置づけられ、市民や観光客の足としての機能を期待するとともに、中長期的には、二〇三〇年を目標に、運輸交通部門における環境改善、市民の健康増進、地域経済の活性化、市民生活の向上を同時に達成することにあります。
具体的には、鉄道、バス、船舶等の公共交通機関の調整、整備、拡充とともに、自転車を都市交通の重要なファクターとして取り組むことなどが明記されています。
一方、東京都では、計画的にとはいいつつも、道路網整備、鉄道網整備、航空政策、物流対策等が個別に進められており、自転車や歩行者を含めた総合的な交通施策が示されているとはいえない状況にあります。
そこで、二〇二〇年のオリンピック招致に名乗りを上げた今だからこそ、東京の交通政策をどのように展開していくのかを示すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、教育施策について伺います。
初めに、日本、世界を牽引する次世代リーダーの育成について伺います。
今日、東日本大震災の復興、経済危機の真っただ中にある日本において、現状を打破し、困難を乗り越えていくための次世代リーダーを輩出する教育施策を早急に進める必要があると思います。
そもそもエリートとは、学歴やキャリアといった表面的な部分でしか見られませんが、真の意味は、社会の奉仕者としての使命感のもと、私事を捨て、公に尽くす精神を備えた者であり、教育水準の底上げとともに、このような社会的リーダーを育てないと、日本も立て直しがきかなくなると考えます。
日本の江戸期を振り返ると、各地域に設けられた藩校、私塾、寺子屋などが特色あるすぐれた教育を施し、学術ではなく、精神的修養をもとにした人格教育が施されておりました。そこでは、官民双方のバックアップのもと、養成された優秀な青年は、強い使命感と情熱とを持って学術や芸術の道に精進し、日本のリーダーとして時代を切り開いてきました。
破壊的教育改革をうたう知事は、そのような時代の教育システムの見習うべきところを取り入れつつ、学術だけではなく人格教育にも力点を置いた、学歴エリートではない、日本、世界を牽引する人材の育成を進めていくべきだと考えますが、所見を伺います。
次に、次世代リーダーを育成するための海外留学支援について伺います。
昨年六月の一般質問にて我が会派の関口議員が要望した、都立高校における海外留学の支援が、来年度予算案に計上されました。この支援を通じて、都立高校から日本、そして世界を牽引するリーダー、真の国際人が多く輩出されることが期待されます。
そして、公費で留学支援を実施する以上、生徒一人一人が都立高校の代表で行くのだという使命感を持たせることも重要になります。
例えば、海外留学の準備段階として、日ごろから、必修となった日本史や道徳の授業にて、日本の誇るべき歴史と文化、そして多大な功績を残した日本の偉人について、しっかりと学んでもらい、海外で出会う人々に自信を持って自国のことを発信できるようにしてもらうことが大事であります。さらには、選ばれた生徒の使命感を高めることが重要であり、来年度、道場に入門した生徒については、都が海外へ派遣する第一期生として、都全体で出発を激励することや、帰国してからもリーダーとしての資質を磨き続けさせることが最も大事なことと考えます。
そこで、都教育委員会は、次世代リーダー育成道場で、生徒の使命感を高めるためにどのような取り組みを行うのか伺います。
次に、情報活用能力の育成について伺います。
昨年の東日本大震災の発生直後、災害情報や安否確認などでリアルタイムに情報を共有できるツイッターなどが活躍した一方、原発事故に関する情報や食料不足の情報を初めとして多くの情報が錯綜し、風評被害が多々見られました。
二十一世紀は知識基盤社会ともいわれる中、日々生活する上での情報ツールを駆使する能力の育成が重要であると同時に、緊急時、人々が混乱し、二次災害とならないためにも、私たちがこれまで求めてきたように、主体的に情報をとらえ、その情報が正しいかどうかを判断する能力、本質を見抜く力であるメディアリテラシーの育成を早急に進めていかなければなりません。
昨年四月に出された文科省の教育の情報化ビジョンでは、情報の主体的な収集、判断、処理などや発信、伝達能力等の情報活用能力をはぐくむことが生きる力の育成につながると記されています。さらには、情報活用能力をはぐくむために、情報活用の実践力、情報の科学的理解、情報社会に参画する態度の三つの観点が重要であると指摘されています。
そこで、このような指摘を踏まえ、私たちの復活予算で計上された情報活用能力向上推進事業について、子どもたちのメディアリテラシーなど情報活用能力をどのように育成していこうと考えているのか、都教育委員会の見解を伺います。
次に、福祉保健施策について伺います。
まず、社会的養護についてであります。
昨年、杉並区内で里親による虐待によって幼い命が失われました。措置下での死亡という最悪の事態を防げなかった事実は大変重く、里親、里子の孤立化防止、支援体制づくりについて、第三回定例会でも求めたところであります。
都においては、社会的養護を必要とする子どもの約一割が里親委託されておりますが、子どもたちが家庭的な環境で養育、ケアされて成長するには、相談支援を充実させ、里親、里子をしっかりと見守り、支える基盤を強化しなければなりません。
虐待を受けたり、発達障害があるなどの難しい子どもと出会ってから子育てに自信がつくまでには、相当な時間と葛藤を経なければならないともいわれており、継続的な支援が必要であります。また、里父はもとより里母も就労している方がふえており、また、子どもは夜に問題を起こすことも多いため、夜や土日の時間帯の支援も必要であります。
里親、里子がきめ細やかな支援を受けられるようなサポート体制構築に向けた取り組みについて、見解を伺います。
里親への委託や児童養護施設への入所といった社会的養護、児童福祉法に基づく措置は、原則として十八歳までとなっています。
しかしながら、措置期間の終了にあわせて、急に実親がその役割を果たせるようになるわけでもなく、就職にも進学にも、部屋を借りるにも保証人が必要であったり、一人前の大人になるには、職場のこと、生活のこと、さまざまな悩みや戸惑いと向き合い、先達から支えや教えを受けて成長していくものであります。特に、施設での養育環境においては、現実的なロールモデル、大人像を持ちにくいため、実生活での自立に困難が伴うといわれております。
措置解除後も里親や児童養護施設職員が折に触れて相談に乗るなど、支援を続ける例はこれまでも多くありました。自立に向けた早期からの支援、手厚いアフターケアを制度として行う必要性が長年指摘されてきました。
より多くの子どもたちが自立に向けた支援を受けられるようにしていくために、今後どのように取り組むのか伺います。
次に、がん対策について伺います。
二〇〇九年の都民のがん死亡率は、人口十万人当たり八五・四人で、最も死亡率の低い長野県七一・一人より、また全国平均よりも高いのが現実であります。
都のがん対策推進計画においては、死亡率低減目標、検診受診率とともに具体的数値目標を掲げており、がん対策基本法制定時には検診受診率の目標値がなかったことからしますと、大変意欲的と評価しています。
しかしながら、がん対策の究極の目的ともいえるこの目標は、例えば、現在掲げている平成二十七年度の死亡率到達目標七五・一を達成したとしても、平成二十一年の長野県の値にも及ばないのであります。さらには、死亡率低減に寄与する喫煙率の低下の目標値が定められておらず、検診受診後も都民の実態を十分把握できておりません。
決して順位を競い合う争いではありませんけれども、高齢化率が全国よりも高く推移することが見込まれている東京ならではの実情や、都民の状況をつぶさに検討した上での、真に目指すべき目標とはなっていないのではないでしょうか。東京都の特性に合わせた真に目指すべき到達目標を設定すべきと考えますが、見解を伺います。
緩和ケアの推進については、緩和ケア支援センターの整備や緩和ケア人材の育成等々、これまでにも求めてまいりました。こうした専門人材の育成支援については、緩和ケア指導医は百名以上、研修修了医師数は二千五百名を超すなど取り組みは進んでおりますが、実際にすべての患者が治療の早期から、がんによる苦痛の軽減、緩和ケアを受けられているかといえば、まだまだ十分ではありません。
日本医療政策機構が行った調査では、現に治療を受けている患者、家族のうち、受けられると知らなかった方は二八・八%、受けたくても受けられなかった方は九・九%であります。
緩和ケアチーム、緩和ケア外来が数多く運営され、機能していくためには、心の痛みに対応する精神科医の確保や、看護師、薬剤師といったコメディカルの育成も進めていかなければなりません。看護師等のコメディカル緩和ケアの人材育成支援について見解を伺います。
また、医療の複雑化、高度化によって、医師はもちろんのこと、看護師においても、がん医療の高い専門性が必要とされています。
例えば、都立病院においては、認定看護師六十六人、専門看護師十二人がその専門性を生かして働いています。
認定、専門看護師は、分野ごとの専門教育課程が確立されております。がんに関係する認定としては緩和ケア、がん化学療法などがありますが、認定看護師、専門看護師は大病院や公的病院に多く、一般の病院に勤める看護師が仕事を続けながら専門性を高めるには、学費や本人の給与に加えて代替職員の確保が必要であることなどの理由から、困難であるといわれてまいりました。
都議会民主党は、看護職員の専門性の向上のため、認定看護師、専門看護師の育成を支援すべきと主張してきたところでありますが、来年度予算案においては、認定看護師の育成支援が計上されました。認定看護師の育成支援はどのように取り組むのか、お伺いいたします。
東京の地域がん登録は全国でも最後尾での実施となりました。東京ならではの困難さもあったことは事実でありますが、平成十六年のがん対策基本法制定以前から実施していた自治体も多々あり、国でも事業化され、既に他の道府県ではほとんど実施されております。
地域がん登録情報は、都民がどの地域でどのようながんにかかっているか、性別や年齢によるがんのかかりやすさ、どのような治療を受けてどれぐらいの生存率か、実態に対応した対策を立てるための唯一の情報源であります。しっかり機能すれば、都のがん対策のエビデンスとして、二次保健医療圏ごとの傾向と対策、さらには市区町村との対策に生かせるような情報提供が期待でき、あるがんのハイリスク群など、特性に対応したきめ細かい対応につなげ、一人でも多くの命を救うための処方せんとなります。
そうした意味では、都の地域がん登録開始がおくれた分だけ、都民に還元できるデータの蓄積がないということであり、しんがりを務める東京都には、今後のがん登録情報の集積、解析をしっかりと行っていただいて、日本の、世界の、どのがん情報よりもすぐれたものを提供できるようにしていただきたいと強く強く思うところであります。
登録数の確保、予後調査や登録精度の確保など、地域がん登録の課題への取り組みを伺います。
さて、都議会民主党は、今定例会に東京都がん対策推進条例の議員提案に向けて準備いたしております。これは、毎年三万人もの方が亡くなっているがんについて、ひとり暮らしの高齢者が多いといった東京の特性に合ったがん医療、療養対策を進めたいという思いからであります。
都が施策を推進しているのはもちろん承知をいたしておりますが、それでもなお、東京のがん死亡率は全国で三十四位、早期発見、早期治療のために重要な検診受診率も三割台に低迷いたしております。男性の二人に一人、女性の三人に一人ががんにかかるといわれる中、すべての都民ががんについて学び、考え、みずから予防と早期発見につながる行動を率先してとれるような機会をつくっていきたい。そして、がんにかかっても、適切な医療を選び、苦痛を軽減し、住みなれた地域で良質な医療が受けられるよう、がん対策を一段と加速し拡充するために、議会も大きな役割を果たすことが必要であると確信をいたしております。皆様方のご理解とご賛同をどうかお願い申し上げるものであります。
次に、迷惑防止条例の改正について伺います。
最近は、盗撮にも使用可能な撮影機材の高性能化、小型化が進み、だれもが容易に購入することが可能となっています。こうした購入者の中には、盗撮目的にこれらを使用する者も少なくなく、結果として盗撮の被害者もまたふえ続けているのが現実であります。しかもこれが、撮った映像をインターネット上に公開されたり、DVD等で販売するなどの営利目的に使用されるなど、二次被害として著しいプライバシーの侵害を引き起こしています。
盗撮場所も、トイレや更衣室、ホテル、公園、車中、エスカレーター等々のさまざまな場所に及び、その手口も、撮影と同時にその映像を他の場所に転送して証拠を隠滅したり、撮影機材に送信機をつけて他の場所で見たり、暗やみでも赤外線投光器をつけて撮影するなど、ますます巧妙になっています。
こうした中で、個々の具体的な規制場所に加え、未遂的行為をも規制するのが今回の迷惑防止条例改正であります。これらは、ここまでモラルが低下した現状では、盗撮に対する抑止効果も含めて、必要な措置であると考えます。
しかしながら、これが卑劣な犯罪であるがゆえに、誤認逮捕による社会的ダメージも、普通の生活を送っている人にははかり知れないものがあります。未然防止の観点からも必要とされる未遂的行為の規制に当たっては、なおのこと慎重にならなければなりません。
今回、警視庁は、改正を通じて、盗撮の抑止に向けてどのように取り組もうとお考えか、所見を伺います。
また、今回の改正では、押し買いの規制の新設も予定されております。
リーマンショックから欧州経済危機へと続く世界的な信用不安により、金の価格が高騰してきたことから、金や指輪、あるいはネックレスなどの貴金属を買いあさる悪質な業者がふえてきています。しかも、高齢者の自宅を訪れ貴金属を強引に買い取るなど、その被害は都民一人一人に及んでいます。
こうした中で、消費者庁も押し買いの法規制を検討しているようでありますけれども、法令との整合性も含め、押し買いの抑止に向けて今後どのように取り組もうとお考えか、見解を伺います。
なお、盗撮同様に悪質化、巧妙化している盗聴行為に関しても、対策を検討されるよう要望いたしておきます。
以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
なお、答弁によっては再質問を留保いたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 山下太郎議員の代表質問にお答えいたします。
まず、「二〇二〇年の東京」計画についてでありますが、都はこれまでも、「十年後の東京」計画を構え、東京の進化を加速させてきましたけれども、大震災がもたらした危機を乗り越えて日本の再生を確かなものにするために、この計画を充実強化した新たな都市戦略であります「二〇二〇年の東京」計画を策定しました。この計画を羅針盤にしまして、ハード、ソフト両面における防災力の向上や、エネルギーの安定供給体制の構築などを進め、東京の都市機能を十全なものにしたいと思っております。
また、環境、福祉、教育など、さまざまな分野において先進的な取り組みを戦略的に展開することで、都民、国民の安全・安心を確保していくつもりであります。さらに、発展目覚ましいアジアの活力を我が国の成長に取り込むべく、外国企業のアジア拠点を誘致し、日本再浮上のよすがともしていきたいと思っております。
大震災から一年がたとうとしておりますが、危機感の欠如した国政は、いまだにこの国の進むべき針路を示すことができておりません。お話の日本再生の基本戦略なるものを見てみましたが、すべてに優先する国家財政の見直しやエネルギー戦略をとってみても、具体な策が一向に見えてきません。政府には、国家存続の瀬戸際にある我が国の現実を冷静に把握して、将来を見据えた決意を持って国家運営のかじ取りに当たってもらいたいものだと思います。
次いで、平成二十四年度予算についてでありますが、今回の予算編成では、財政環境が厳しさを増す中にあって、大震災が浮き彫りにした、首都東京が抱える新たな課題をいかに克服していくかが最大の焦点でありました。
そのために必要な施策を厳選して、木密地域の不燃化や防災隣組の構築など、防災力強化に資する重層的、複合的な対策を進めるとともに、都独自のエネルギー対策にも果敢に取り組んでまいるつもりであります。
もとより、少子高齢化対策、雇用対策など、都民の不安を払拭する方策に対しても重点的に財源を振り向けておりまして、また、都市インフラの整備や外国企業の誘致に向けた基礎づくりなど、東京の可能性を引き出す戦略的な取り組みも、足踏みすることなく着実に進めてまいります。
この予算をてことして、都民生活に安心と活力をもたらし、首都東京の発展につながる確かな流れをつくり上げていきたいと思っております。
次いで、首都直下型の地震対策の推進についてでありますが、最近の研究では、首都の直下でぶつかりひしめき合っている複数プレートのうち、フィリピン海プレートが想定よりも十キロメートル浅いところにあるということが明らかになりました。これにより、首都直下地震の被害が従来の想定より大きくなることがわかってはきましたが、肝心なことは、いたずらにその危機感をあおり立てることではなくて、リスクを冷静に見詰めた上で、具体的な手だてを着実に講じていくことだと思います。
先般、都の最高幹部たちが、東大の地震研究所の主任教授でしょうか、平田氏の講義を受けましたが、そのときも、ひと月ほど前でありますけど、いろいろ説明がありましたが、それをさらに集約して、先般、同人物は、四年の間に七〇%ですか、かなりの地震が起こるという発表をされましたけれども、これは学者として、事実を事実として報道されたのかもしれませんが、その受け取り方というのは、私たちやはり問題があると思うんです。一犬実をほえて万犬虚を伝えるようなことになってはならないので、万々々が一の災害というものに、万全ということを期することは至難と思いますけれども、いかにできる限りの対処をしていくかということが必要であると私は思います。
都はこれまでも、防災上重要な建築物の耐震化や、護岸、堤防の整備など、災害に強い都市の実現に向けた取り組みを進めてきましたが、東日本大震災を踏まえて、改めて最近の科学的知見や客観的データに基づいて被害想定を見直し、その内容を都民に正確に伝えていきたいと思っております。
平田教授の説明では、東京湾の中に震源地がかなり浅い形で存在するということでありましたけれども、東京湾といってもどの地域なのか。概念的にいえば、三浦半島の先端の三崎と房総半島の先端の野島崎を結んだ、その内側が東京湾になるはずでありますが、しかしこの三浦半島というのは非常に短い半島でありまして、房総はそれに比べてかなり長い大きな半島でありますが、その房総沖、三浦半島の先端から野島崎を結んだその線の中にある海域といっても、これは非常に大きな海域でありまして、それをもって東京湾という表現をすることは、私はこれはやっぱり非常に不安をあおる、余り正確ではない報道の仕方だったと思います。ならば、一体どの地点に、今日の科学をもってすれば、そのプレートが重なっている危険なポイントがあるかということがわかるはずでありますから、そういうものをしっかりと確かめてもらった上で、私たち、やはりいろんな想定をしていく必要があるんじゃないかと思います。
これまでも、防災上の重要な建築物の耐震化や護岸、堤防の整備など、災害に強い都市の実現に向けた取り組みを着実に進めてきましたが、今回の大震災を踏まえて、改めて今申しましたような正確な科学的な知見やデータに基づいて、被害想定を見直して、その内容を都民に正確に伝えていきたいと思っております。
また、被害想定を踏まえた災害拠点病院や水門等の耐震化、三環状道路を初めとする道路ネットワークの整備、さらには、自助、共助の取り組みであります防災隣組の構築や帰宅困難者対策の内容を深化させて、地域防災計画の修正に反映してまいります。
これはひとり東京のためではなしに、何といっても日本の首都でありますこの東京であるがゆえに、日本全体のために、自助、共助、公助のすべての備えを固め直して、首都東京の防災力を高度化させていきたいと思っております。
次いで、帰宅困難者対策についてでありますが、東日本大震災では、東京は被災地に比べはるかに小さな揺れだったにもかかわらず、都市機能が麻痺しました。
帰宅困難者の問題は、ふだんは当たり前と思っている都市機能の脆弱性の象徴だったと思います。災害に虚弱な都市が国際的な信用を得られることはあり得ませんし、こうした大混乱を東京で二度と繰り返さないためにも、対策を根底から見直していく必要があると思っております。このため、総合的に帰宅困難者対策を推進する条例を本定例会に提案いたしております。
都民には、一斉帰宅の抑制を徹底するとともに、日ごろから家族との安否を確認する手段について習熟していただきたいと思っております。もちろん、みずからの安全を確保されれば、地域の防災活動にも協力してもらうわけであります。
また、東京に存在するすべての主体に、みずからが責任を持って行動をとるということを求めてまいりますし、企業には、食料等の備蓄はもとより、一時滞在施設として、周辺の帰宅困難者の受け入れに協力をしてもらいます。駅や集客施設には、利用者を保護することを徹底していきたいと思っておりますし、学校等にも、児童や生徒の安全を確保すべく徹底してもらいたいと思います。
こうした帰宅困難者対策を、社会全体で機を逸することなく推し進めることで、都民の生命と財産を守るとともに、一刻たりとも東京という日本の頭脳、心臓がとまることのないように万全を期していきたいと思っております。
次いで、日本、あるいは日本から世界を牽引する人材の養成についてでありますが、一番、中世において、世界の中で最も成熟を示した江戸時代の、特に元禄のころには、独自の教育理念に支えられた数万の学校が全国にありました。この比類のない文化的な成熟の中で培われた日本人の教養水準の高さについては、これによって日本の近代化の成功はもたらされたと思っております。
開国して、日本にやってきた外国人が、まちで粗末な草履ぐらいしかはいていない子どもたちで、なお、彼らが本を読んでいるということに感嘆したという記録が残っておりますが、いずれにしろ、明治以来行われてきた近代教育は、その今までの経緯というものを西洋的に、要するに発想してひっくり返すことで、ある意味で成功したかもしれませんけど、しかし、この国を牽引するごくごく限られた人材を集中的、効率的に育てることを主眼としてまいりました。ゆえに、一つの能吏としての官僚を育てることには成功しましたし、その中には立派な人物もたくさん輩出しましたが、しかし、それがそのまま踏襲されることで、戦後の日本は、逆に国家の官僚によって停滞を余儀なくされているといううらみがございます。
いずれにしろ、我々、これから努力をしまして、高い使命感と発想力を持った、そういう官僚も含めて社会全体のリーダーを輩出させる努力をしなくてはならないと思っております。
いずれにしろ、戦後通じてきたこの画一的な教育が惰性として続いておりまして、現代の若者を見ていましても、官僚にしてもそうでありますが、何かその彼らから、日本人としての国家というものを意識した自覚の志を感じることが少なくなりました。
教育の再生は一朝一夕には成らないと思いますが、まずは若者を鍛え直して、正当な歴史観も身につけさせて、相対的に世界を眺めながら、日本について誇るものは誇る、足りないものは足りないものとして自分たちの力でそれを補足し充実させていく、そういう自覚というものを取り戻させることが必要だと思っております。その上で、個々の人間の個性、能力に応じたひらめきや、豊かな創造力を備えた人材の育成に取り組んでいかなければならぬと思います。
世界が非常に時間的、空間的に狭小になる中で、日本は、厳しい国際競争に打ち勝たなければ、とても一流の国家として存続することはできないと思います。これを可能とするには、やっぱりしたたかでたくましい若者を育てなきゃならぬと思いますし、今後、こうした危機感を社会全体で共有して、日本の教育におけるパラダイムを転換すべく、ある意味では破壊的な教育改革に取り組んでいきたいものだと思っております。
そのためにも、これはやっぱり衆知を集めなきゃいけませんし、それをさらに具体的に、着実に、いかに実践していくかという、その施策もみんなで討論して構えていきたいと思っております。
他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁します。
〔警視総監樋口建史君登壇〕
〇警視総監(樋口建史君) 二つのご質問でございました。
最初のご質問でありますけれども、今回の迷惑防止条例の改正内容のうち、盗撮行為の規制に関する部分について申し上げます。
まず、条例改正の中身でありますけれども、現行条例では、盗撮の発生が懸念される公衆便所等の場所に規制が及んでいないものですから、こういった場所を新たに規制対象として取り込むことといたしております。
それから、もう一点ございまして、盗撮の目的で写真機等を差し向けまたは設置する行為、つまり、盗撮目的でカメラをスカートに差し入れる行為につきましても、こういった行為は、現行の条例でも卑わいな言動の一態様として規制可能ではあるのですけれども、規制の実効性を確保する等の観点から、今回、規制対象行為として条文に明記することとしております。
それから、今後の警視庁の取り組み方針につきましては、盗撮は被害者の心を傷つける卑劣な犯罪でありますけれども、ご指摘のように、事実の認定を誤らないことが非常に重要でありまして、適正で緻密な捜査が重要な課題であります。客観証拠の収集にこれまで以上に努めまして、事実関係の認定に誤りなきを期してまいりたいと考えております。また、こうした厳正な取り締まりが盗撮行為の抑止につながっていくものと考えております。
それから、二点目のご質問でありますけれども、押し買いの規制に関する部分の条例改正について申し上げます。
いわゆる押し買いにつきましては、都民生活の平穏保持の観点からも、また財産被害防止の観点からも、早急に対処しなければならない課題であります。
ご質問の中にございましたけれども、消費者庁におきましても、特定商取引に関する法律の改正を念頭に置いて、クーリングオフの対象に取り込むなどの検討が行われているものと承知をいたしております。けれども、この特商法は業としての行為の規制であるのでありまして、それに対しまして迷惑防止条例であれば、何人によるものであれ、迷惑行為を規制するということになりますので、東京都の迷惑防止条例におきましても、訪問買い取りに当たっての迷惑性の高い行為を規制することができるように、改正の必要があると考えているところでございます。
ちなみに、四十二の道府県では、既に、同様の観点から条例で規制が行われているところであります。
それから、押し買いの抑止につきましては、やはり、何事もそうなんでありますけれども、厳正な取り締まりと広報啓発の二本柱でやっていきたいと考えております。条例を改正していただきましたならば、厳正、適正かつ効果的に運用してまいりたいと考えております。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、次世代リーダー育成道場に参加する生徒の使命感を高めるための取り組みについてでございますが、次世代リーダー育成道場は、意欲ある高校生を選抜し、海外に派遣して、みずから定めた目標に対して果敢に挑戦させ自己実現させることを目指しております。
このため、事前研修では、講義等を通して我が国の歴史や文化をしっかり理解させ、留学の目的を明確にして、海外での生活や学習への意欲を高めさせてまいります。また、留学中には、海外の高校を初めさまざまな場面で、みずからの意見や我が国の魅力等を積極的に発信するなど、日本の若者の代表としての役割を担わせます。
こうした取り組みを通して、自己の目標を達成しようとする高い使命感やリーダーとしての素地を養い、将来さまざまな分野で活躍できる人材を育成してまいります。
次に、児童生徒の情報活用能力の育成についてでございますが、都教育委員会は、これまでも情報活用の実践力や科学的な理解の向上に努めてまいりましたが、活字媒体、電子媒体を問わず、不確かな情報を安易に信用するなど、児童生徒のリテラシーに課題がありますことから、新たに情報活用能力向上推進事業を実施することといたしました。
本事業では、情報教育の専門家を全都立学校及び希望する小中学校に派遣をいたしまして、児童生徒に、情報モラルやメディアリテラシーに関する指導を直接行わせるとともに、情報の選択や発信等について学習できる電子教材を開発し、児童生徒に体験させるなどいたしまして、適切に判断できる力を身につけさせてまいります。
本事業を通して、児童生徒の情報活用能力の一層の向上を図ってまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
〇知事本局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都の都市戦略と市区町村の取り組みとの整合についてでございますけれども、「二〇二〇年の東京」計画で描いた都市を実現するためには、市区町村との連携が不可欠でございます。
このため、計画の策定に当たりましては、都内すべての市区町村に対して、計画策定に向けた意向調査を実施いたしました。市区町村からは、少子高齢化社会への取り組みや中小企業振興などに加え、今般の大震災を踏まえ、建築物の耐震化や帰宅困難者対策、住宅への太陽光発電の導入に対する支援など、数多くのご意見をいただき、それらを十二のプロジェクトなどに積極的に取り入れたところでございます。
また、政策展開の具体化に当たりましては、三カ年のアクションプランでございます実行プログラムを毎年度策定することとしておりまして、今後、この実行プログラムの改定過程などの機会をとらえ、市区町村と緊密な連携を図りながら、「二〇二〇年の東京」計画実現に向けた取り組みを推進してまいります。
次に、総合特区を活用した外国企業誘致についてでございますが、昨年末に特区の指定を受けたことで、今後、できるだけ早い時期に多くの外国企業誘致を実現し、その効果を、東京のみならず広く日本全体に波及させていく考えでございます。
そのためには、都が求めておりますビジネス支援や生活環境整備などに係る規制緩和を実現することが必要でございまして、国と具体的な協議を始めたところでございます。
また、アジアヘッドクオーター特区の取り組みを世界に向けて発信することが重要でございますことから、本年一月には、ドイツで都が行った海外企業誘致セミナーにおきまして、特区の内容や取り組みをPRいたしました。
また、本年三月、九十カ国、約千八百社が参加し、フランスで開催されます国際不動産見本市に民間事業者やジェトロと連携して出展し、都独自の減税策や東京の魅力など、外国企業誘致のためのPR活動を展開する予定でございます。
今後とも、さまざまなツールを活用し、官民一体となった外国企業誘致を進め、グローバルな都市間競争時代における強い東京の復権を果たし、日本経済の活性化につなげてまいります。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
〇財務局長(安藤立美君) 今後の財政運営についてでございますが、都税収入は、企業の繰越欠損金などが足かせとなっておりまして、この先も好転を期待しにくい厳しい状況にございます。
一方、今後ますます増加する社会保障関係費や、防災力の強化など東京が直面する新たな課題に的確に対応するためにも、今まで以上に中長期的な視点をしっかり持って、財政の健全性に配慮することが重要になってございます。
そのため、事業評価等によりむだを排除するとともに、一つ一つの施策の効率性、実効性を一層向上させる努力を、緩めることなく継続していく必要がございます。
その上で、将来を見据え、都債や基金を適切に活用するなど、時期にかなった施策の展開を支えることができる強固な財政基盤の堅持に引き続き努めてまいります。
法人事業税の暫定措置につきましても、当初約束したとおりの確実な撤廃を求めてまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 六点のご質問にお答えをいたします。
まず、帰宅困難者対策条例の制定についてでありますが、帰宅困難者対策は、いつ来てもおかしくない大震災に備えて、都民、事業者がそれぞれの役割と責任を理解し、社会全体で取り組まなければならない課題であります。
このため、都民の関心が高いこの機をとらえ、まず条例を制定し、企業での備蓄や駅での利用者保護など、都民や事業者、そして行政が取り組むべき基本的責務を明らかにすることといたしました。
その上で、条例で規定した内容を実施するための具体的な手順等について、事業者や関係機関と十分に調整を行い、必要な支援策とともに、今後、実施計画で定めてまいります。
こうした取り組みを通じて、実効性ある帰宅困難者対策を推進してまいります。
次いで、帰宅困難者対策への都の取り組みについてでございますが、帰宅困難者は首都圏で広範にわたり発生することから、国や区市町村、九都県市、民間事業者等がそれぞれの役割分担に基づき連携協力して対策を進めていく必要があります。
こうしたことから、都が主導して設置した帰宅困難者等対策協議会において議論を積み重ね、各主体の役割分担や連携について定めた一斉帰宅抑制の基本方針を取りまとめました。
この方針に基づき、都は、総合的に帰宅困難者対策を推進する条例を制定し、一時滞在施設の確保に向け、都立施設の指定準備を進めるとともに、備蓄のあり方など、民間施設に協力を求める場合の体制整備についても検討いたしております。
また、都内の災害時帰宅支援ステーションの確保に当たっても、九都県市で連携して事業者団体に働きかけていくなど、広域的な取り組みを進めております。
今後とも、都は、関係機関との密接な連携のもと、主体的に帰宅困難者対策を推進してまいります。
次いで、地域の帰宅困難者対策の取り組みへの支援についてでございますが、大規模災害発災時における帰宅困難者による混乱を防止するためには、多くの人が集まるターミナル駅や大規模な集客施設周辺での滞留者対策が必要であり、こうした地域での取り組みを後押しすることが求められております。
このため、都は、去る二月三日に、新宿駅、東京駅、池袋駅周辺において、駅前滞留者対策協議会等と連携して、駅及び集客施設における利用者保護や、一時滞在施設への帰宅困難者の受け入れを初めとする帰宅困難者対策訓練を実施いたしました。
今後は、訓練の成果を検証するとともに、その結果を他の地域の取り組みに反映させることで、都内各所における帰宅困難者対策の取り組みを支援してまいります。
次いで、東京湾沿岸部の津波対策についてでありますが、都民の生命を守り、都市機能の維持を図るため、都はこれまでも、東京湾沿岸部における水門、防潮堤などの整備を進めてまいりましたが、あらゆる事態を想定し、浸水時に備えた避難対策を講じておくことは重要でございます。
このため、都は、現在、東京都防災会議の地震部会において、最新の科学的知見に基づき、津波による被害想定の検証を進めております。
住民の避難につきましては、主たる役割を担う各区において、津波避難ビルの確保などさまざまな対策が講じられておりますが、都としても広域行政の立場から、避難対策に関する検討部会を設置し、津波、高潮の際の避難先の確保や広域的な避難の方策などについて検討してまいります。
次いで、島しょ地域の津波対策についてでありますが、関東地震など海溝型の大規模地震が発生いたしますと、島しょ地域では高い津波に襲われるおそれがあります。このため、各島においては、迅速かつ的確な避難が行われるよう、具体的な避難先や避難経路を定め、訓練を行うなど、対策を十分に講じておく必要があります。
こうした取り組みを支援するため、都は、先ほど申し上げた検討部会におきまして、東日本大震災の被災地における実際の避難の状況を検証するなど、効果的な方策について検討を進めてまいります。この検討結果を都の地域防災計画に反映させるとともに、関係町村と連携して、各島の特性に応じた避難対策に生かしてまいります。
最後に、多摩地域の将来に向けたトータルビジョンについてでありますが、都は、平成十三年に多摩の将来像二〇〇一を策定し、豊かな自然と大きな発展の可能性を持つ多摩地域の特性を生かしながら、活力と魅力にあふれた多摩の創造を進めていくこととし、翌年度には、重点的な取り組みを示した多摩アクションプログラムも取りまとめました。
その後、都の取り組みを明確にした多摩リーディングプロジェクトを示し、新たな課題に的確に対応してまいりました。
平成二十一年二月には、ハード事業に加え、ソフト事業も取り入れた総合的な振興策を推進するため、多摩振興プロジェクトを策定し、首都圏の中核をなす多摩の実現を目指すという方向性を示し、都市基盤の整備や産業振興、福祉、医療の充実などの六分野、六十事業を着実に推進しております。
今後も、多摩地域を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、多摩の目指す方向を明確に示しながら、市町村とも連携し、幅広い取り組みを進めることで、多摩の一層の振興を図ってまいります。
〔消防総監北村吉男君登壇〕
〇消防総監(北村吉男君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、消防力の体制強化についてでありますが、東日本大震災を踏まえ、大規模かつ複合的な災害に対処するためには、消防活動体制等のより一層の強化が必要であると認識しております。
このため、平成二十四年度では、ハイパーレスキュー隊の増設に加え、機動性の高い大型消防ヘリコプターの更新、救助車やポンプ車などの消防車両を増強し、最新鋭の資器材を拡充いたします。
こうした消防活動体制の強化を図るとともに、すべての消防部隊の活動能力の向上に努め、迅速な人命救助と消火活動のさらなる実現に向けて、都民の期待にこたえてまいります。
次に、地域防災力向上方策に係るモデル事業における取り組みとそのねらいについてでありますが、震災時における同時多発する火災については、地域住民等による初期消火が大切であり、かつ、防災行動力の向上と防災意識の高揚を図るための取り組みは重要でございます。
このため、今回実施しているモデル事業では、自主防災組織が取水しやすい防火水槽、狭隘道路における消火栓等の整備を促進するとともに、スタンドパイプ等を使用した実践的訓練のあり方や、大容量の水利である深井戸の多目的な活用などを検証しております。
今後は、この結果を踏まえ、地域住民や関係機関と連携した自助、共助による地域防災力の向上を図ってまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 九点のご質問でございます。
まず、都内河川における放射性物質対策についてでございますが、国は、原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任にかんがみとして、昨年、総合モニタリング計画を策定し、みずから統一的な調査を行っております。
しかし、都内の河川につきましては、これまで調査が行われていませんでした。都は、このような状況や都議会各会派のご意見も踏まえ、荒川及び隅田川などで調査を行うよう、環境省や文部科学省など国に対して緊急要望を行い、その結果、二月十七日、調査が行われました。
今回調査対象とならなかった河川などにつきましても、統一的な観点から、国が同様に実施すべきものでございまして、引き続き強く働きかけを行ってまいります。
次に、自立分散型エネルギーの確保についてでございますが、現在、臨海副都心への分散型エネルギーネットワークや防災公園への発電機の設置に向けた取り組みを進めておりまして、来年度には詳細な調査を実施する予定でございます。
また、民間の都市開発と連携して、新たな助成制度等の手法も活用しながら、エネルギー効率の高いコージェネレーション発電の導入を推進してまいります。
次に、再生可能エネルギーの普及拡大についてでございますが、今後、さらなる普及拡大を進めるためには、七月に開始されます固定価格買い取り制度の実効性を担保することがまず必要でございますが、国においては、制度の根幹となる買い取り価格を決定する第三者委員会の開催に至っていないのが現状でございます。
都は、震災後に開始した創エネルギー機器導入支援事業によりまして、住宅用太陽光発電の一層の普及拡大を進めるとともに、太陽熱市場を再構築するための補助事業も開始しており、今後、固定価格買い取り制度の動向も踏まえまして、さらなる普及拡大に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、エネルギー利用の最適化についてでございますが、都はこれまで、建築物環境計画書制度などによりまして、大規模建築物の設計時から運用開始後に至るまで、継続的に建築物の環境性能の向上とエネルギー利用の効率化を誘導してまいりました。
東日本大震災後は、自立分散型エネルギー源の確保に向けた取り組みを強化するとともに、オフィスビルが集積する大・丸・有地域では、エネルギー需給の最適化に向け、新たな調査を開始しております。
今後とも、未利用エネルギー等の活用も視野に入れながら、こうした取り組みを推進してまいります。
次に、都施設における節電の取り組みの活用についてでございますが、昨年夏に講じた対策のうち、照明照度の合理的な見直しなど、業務に支障を与えない対策は、夏の電力規制終了後も継続して実施をしておりまして、その結果、例えば新宿都庁舎におきましては、前年に比べ一五%程度の消費電力量の節減が継続しております。
今後とも、こうした賢い節電の手法を都の施設全体に広げていくとともに、都民、事業者にも周知をしてまいります。
次に、合理的な節電と省エネルギー化についてでございますが、昨年夏の節電の成果を踏まえ、多くの事業所では、運用面での対策に加え、エネルギー使用量の見える化、高効率照明、空調の導入など、設備面での対応を計画的に行い、合理的な省エネ、節電に向けた取り組みを進めております。
都は、こうした動きと連携しながら、事業所や家庭におけるスマートな節電の継続を誘導し、夏季の電力需要の抑制を図ってまいります。
次に、世界自然遺産登録後の観光客増加に伴う保全対策の強化についてでございますが、小笠原の自然を保全するには、観光客に遺産としての価値等を普及啓発するとともに、外来種持ち込みに対する監視を強化することが必要でございます。
このため、現在、父島と母島に合計六名いるレンジャーを一名増加するとともに、都の職員を現地に派遣しまして、レンジャーの活動を支援することで、体制を強化いたします。
さらに、植物の種子や虫など新たな外来種が持ち込まれることを防ぐ上で最も有効な手段として、従来、母島上陸時に靴底洗浄を実施してまいりましたが、この二月からは、東京竹芝桟橋の乗船時にも開始をしております。こうした取り組みを通じまして、小笠原の貴重な自然を将来にわたり保全してまいります。
次に、国が整備を検討する遺産センターについてでございますが、これまでも屋久島や白神山地など、世界自然遺産に登録された地域に環境省が遺産センターを設置してまいりました。
都は、昨年秋に実施しました平成二十四年度国の予算要求におきまして、自然遺産センター整備計画の策定に取り組むことを提案要求しております。今後も、遺産センターに関する国の整備計画策定に協力し、調整を図ってまいります。
最後に、関係機関の連携体制の構築及び自然環境保全のための小笠原独自のルールの確立についてでございますが、平成十八年、観光や漁業等の団体、NPO、国、都、村等の連携体制として地域連絡会議が設置されまして、そこでの検討事項がユネスコに提出した推薦書等に反映され、遺産登録に結びついております。
また、小笠原には既に、自然環境保全の独自のルールとしまして、小笠原カントリーコードや、鯨、ウミガメへの接近方法を定めた自主ルールなどが策定されております。
今後とも、地域連絡会議やこれらの独自ルールを活用しながら、小笠原の豊かな自然環境の保全を進めてまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 八点のご質問にお答えいたします。
まず、多摩シリコンバレーの振興についてであります。
多摩地域の中小企業が、さまざまな機関と連携して技術水準の向上などを図りまして、すぐれた製品を生み出すことは必要であります。
これまで都は、多摩地域で大学や研究機関に加え、金融機関の力を活用して、中小企業のものづくりの力を高める取り組みを行ってまいりました。具体的には、都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業によりまして、産学公金のネットワークをつくり、製品開発の検討などを支援しております。来年度は、製品化の見込める開発テーマについてサポートを行う体制の充実を図ってまいります。
次に、中小製造業の集積確保に向けた取り組みについてであります。
東京のものづくりを支える高度な技術を持つ中小企業の集積を地域に確保することは重要であり、産業の空洞化が無秩序に進んでいくことを防ぐ必要がございます。
このため都は、来年度からものづくり産業集積強化支援事業を創設いたしまして、生産設備等の充実や、工場周辺に配慮した対策に取り組む企業への助成などを行う区市町村の事業を支援してまいります。
次に、中小企業に対する金融支援についてであります。
都は、都内中小企業のさまざまな資金ニーズにこたえるため、これまでも多様な金融支援策を講じてまいりました。
制度融資では、震災や円高に対応した経営支援融資の拡充を図る一方で、産業力強化融資により、海外事業展開や事業の多角化などに取り組む企業を支援しております。
さらに、創業間もない企業の成長に必要な資金を供給するベンチャーファンドに加え、都独自の新保証つき融資制度など、さまざまな手法による金融支援に取り組んでまいりました。
来年度におきましても、制度融資の目標額を過去最高と同規模の二兆二千億円とし、中小企業の資金調達の円滑化を図るとともに、新たなベンチャーファンドを創設いたします。
今後とも、こうした取り組みにより、東京の産業基盤を支える中小企業の資金繰りに万全を期してまいります。
次に、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策についてであります。
都は、本制度について、取扱金融機関の拡大に努めるとともに、中小企業にとってより利用しやすい制度となるよう、利用要件の見直しなどを保証機関に働きかけてまいりました。
こうした取り組みにより、昨年の八月には借りかえ制度を新設し、融資を利用した中小企業の月々の返済額の負担軽減を図るとともに、申し込み要件を緩和しております。加えて十二月には、資金需要が増加する年度末までの保証料率の引き下げを実施しております。
来年度におきましても、中小企業の資金ニーズにこたえる融資規模を確保するとともに、引き続き取扱金融機関の拡大やさらなる利便性向上に取り組んでまいります。
次に、若者の就業対策についてであります。
若者を取り巻く雇用環境は、やや改善したものの、高い水準にある失業率など依然として厳しい状況にございます。この問題の本質的な解決のためには、国が実効性のある経済対策を進め、雇用を創出することが不可欠であります。
都といたしましては、正規雇用を望む意欲ある若者に対し、東京しごとセンターにおけるきめ細かい支援などに加え、今年度から、研修と企業での就労体験を組み合わせた未就職卒業者緊急就職サポート事業を開始いたしました。来年度は、事業規模を拡充するとともに、この事業の仕組みを活用し、今後、成長が期待できる産業分野でモデル事業を開始いたします。
今後とも、こうした対策を通じ、意欲にあふれ、正規雇用を望む若者の就業を支援してまいります。
次に、東京都版シルバーハローワーク、仮称でございますが、これについてでございますが、高齢者を社会的に支える現役世代が減少していく中で、元気で行動意欲の高い高齢者には、就労や地域活動などに取り組み、これからの超高齢社会を支える担い手役として活躍していただくことが期待されております。
就労意欲が高い高齢者の活動範囲は広域にわたることも多いと考えられますことから、今後、都としては、地域における就業支援に加え、東京しごとセンターの機能を拡充し、高齢者専門の就業支援窓口である東京都版シルバーハローワークの創設に向けた検討を進めてまいります。
次に、しごとセンター多摩の移転整備についてであります。
都は、就業支援サービスを提供する東京しごとセンター多摩を平成十九年に国分寺の労働相談情報センターの施設内に開設いたしまして、これまで七万八千人を超える利用者に対し、きめの細かい支援を実施してまいりました。
しかし、事業スペースが狭隘で、近年建物も老朽化しているため、平成三十年度を目途に、立川駅前に移転整備することでその機能を拡充いたします。同時に、労働相談情報センター国分寺事務所と同八王子事務所を、交通の利便性の高いしごとセンター多摩と同一施設内に移転統合し、スケールメリットを生かして労働相談事業などを拡充、展開してまいります。こうした取り組みにより、多摩地域における雇用就業施策の強化を図ってまいります。
最後に、森林の保全についてであります。
多摩の森林は、水源の涵養や土砂流出の防止等の多面的な機能を持つ、かけがえのない都民共有の財産であるため、森林整備を通じて保全を図ってまいりました。
北海道において、外国資本による森林買収の問題が報じられましたため、地元情報に詳しい森林組合等の関係団体や市町村の協力を得るとともに、関係各局とも連携して、広く森林売買に関する情報の把握に努めてきております。
これまで、外資による買収事例は確認されておりません。
この問題は、全国各地で取りざたされておりますが、本来、国が対応すべきであり、国会において、超党派で議員立法による法案提出の動きがあると承知しております。
都は、国や他県との連携を密にして、引き続き売買情報の把握に努めてまいります。
〔中央卸売市場長中西充君登壇〕
〇中央卸売市場長(中西充君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、中央区との合意を受けた都区検討会についてでございます。
築地地区は、都心や銀座に近接した極めて高いポテンシャルを有するまちであり、築地市場を中心とした食文化の拠点として、食のプロや観光客からの支持を集めることでにぎわいを生み出しており、市場移転後におきましても、このにぎわいを引き継ぎ、発展させていくことが重要でございます。
このため、都は、今年度、区の協力を受け、築地場外市場の実態調査を行うとともに、観光客などの築地市場来街者の意識調査を実施しております。また、区におきましても、区有地を活用し、築地市場移転前までに仮店舗を開店することとしており、平成二十四年度予算案に設計費を計上しております。
今後、都区検討会を四月にも立ち上げ、築地市場移転と整合をとったスケジュールを都区双方で共有し、築地地区のにぎわいを途絶えることなく継承するよう、結論を取りまとめてまいります。
次に、移転支援のあり方に関する東卸組合との協議についてでございますが、ご指摘のとおり、過日、組合理事長が、新市場について東京都及び関係団体との協議に積極的に取り組む方針を示し、組合内に豊洲新市場整備計画検討チームなどの設置を表明いたしました。
今般、都は、具体的な移転支援策を策定し、公表しましたが、詳細な支援策を検討していく上で、引き続き業界団体と協議していくことが重要でございます。特に、東卸組合の組合員である水産仲卸業者については、今後の事業継続に関してさまざまな立場からの要望が想定されることから、組合が移転に向けての協議に積極的な態度を表明し、その窓口を設置することは、今後、具体的に協議を進める上で有意義でございます。
都は、こうした市場業者の事情を考慮しながら、各事業者が抱えるさまざまな不安や要望に耳を傾け、移転に伴う支援策について、東卸組合を初め各業界団体と真摯に協議してまいります。
最後に、土壌汚染対策工事に対する理解促進への取り組みについてでございます。
都はこれまでも、工事に着工する前に、汚染物質の処理方法などについて技術会議の確認を経て、その内容を広くホームページで公開することに加え、地元住民に対し工事説明会を開催するとともに、市場関係者に対しては適宜情報提供を行っております。
ご質問の市場関係者や学識経験者などを構成員とした協議会については、対策工事後ではなく、工事の進捗を踏まえた適切な時期に設置することを考えており、具体的には、仮設土壌処理プラントの整備が完了し、処理後の結果をお示しすることが可能となる時期を予定しております。
また、汚染土壌処理後の分析結果などを広く都民に公開していくとともに、処理プラントの見学会を開催することも予定しております。
都としては、こうしたきめ細やかな取り組みを引き続き行うことで、都民や市場関係者の理解と信頼を得ながら、土壌汚染対策工事を確実に進め、安全・安心な市場を整備してまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、スポーツ祭東京二〇一三についてでございます。
多摩・島しょを中心に東京都全域で開催いたしますこの大会を成功させるためには、広く都民に大会を知っていただき、開催機運の醸成を図ることが極めて重要でございます。
このため、本年四月から各市区町村において開催される競技別のリハーサル大会や、さまざまなスポーツイベント等で、マスコットキャラクター、ゆりーとの活用など、積極的な広報活動を推進してまいります。
また、全国から訪れる選手や観客など多くの人々をおもてなしの心で歓迎するため、都民が栽培した花によるまちの装飾や、大会ボランティアとしての参加を呼びかけるなど、都民運動を展開することとしております。
今後とも、市区町村と連携し、スポーツ祭東京二〇一三の成功に向けて、開催機運の醸成を図ってまいります。
次に、オリンピック・パラリンピック招致活動における日本独自の文化や精神についてでございます。
オリンピック・パラリンピックの招致は、国と国とが、すぐれた計画、それを支えるインフラ、経済力、そして、開催都市としての魅力をもって競う総力戦でございます。そのため、招致活動において、日本のよさ、強みを積極的にアピールしていくことは極めて重要と認識しております。
その際、フェアプレーの精神や勤勉さなど、日本人が古くから持つ文化や精神はアピール材料の一つでございまして、今回の申請ファイルでも、日本ならではのおもてなし、友情、地域社会との交流などをうたっているところでございます。
今後、各種の国際スポーツ会議やロンドン・オリンピック・パラリンピックの際も、その場にふさわしい方法で、日本独自の文化や精神をアピールしてまいります。
最後に、パラリンピックのアピールについてでございます。
障害者スポーツの抱えるさまざまな課題を解決するためには、パラリンピックという最高峰の大会の招致、開催を通じて、人々の認知度を高めることが最も有効な手段の一つであると認識してございます。そのため、招致活動のあらゆる場面で、パラリンピックをオリンピックと同等にアピールするよう努めております。
例えば、「二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを日本で」のスローガンなどで両大会名を併記することや、記者発表などの機会に、オリンピアン、パラリンピアン双方に参加してもらうことなどもその一例でございます。
今後は、バリアフリー化の加速など、申請ファイルに記載したパラリンピック開催の効果についても、都民、国民にわかりやすくアピールしてまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 東京の交通政策の展開についてでございますが、都はこれまでも、東京の都市づくりビジョンにおいて、広域交通インフラの強化を基本戦略の一つとするなど、交通施策を体系的に位置づけ、陸海空を結ぶ交通、物流ネットワークの強化に取り組んできております。
このたび策定した「二〇二〇年の東京」計画においても、これをさらに推進することとしております。例えば、羽田空港や京浜三港の機能の拡充を図るとともに、それらと首都圏との連絡を強化する三環状道路など広域的な道路ネットワークの整備を推進してまいります。また、ターミナル駅の再編整備をまちづくりと一体的に行い、利便性や安全性の向上などを図ってまいります。
今後とも、快適で機能的な交通、物流ネットワークの構築に向け、重層的、複合的に交通施策を展開してまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問にお答えを申し上げます。
まず、養育家庭へのサポート体制についてでございますが、都は、来年度、里親からの相談に対応する民間団体等を活用した里親支援機関事業をすべての児童相談所に拡大いたしまして、夜間、休日の相談にも対応するとともに、定期的な養育家庭への訪問を実施いたします。
また、社会的養護を必要とする児童を養育しております乳児院や児童養護施設に専任の職員を配置いたしまして、養育家庭からの相談に対応をいたします。
児童相談所におきましても、これまで実施してまいりました児童福祉司の家庭訪問や来所による指導に加えまして、定期的に里子の心理面接を行うなど、里親、里子に対する支援を強化してまいります。
次に、社会的養護のもとで育つ児童の自立についてでございますが、都はこれまで、児童養護施設を退所した児童に生活や就労に関する相談や指導を行う施設に対し、独自に補助を行うなど支援を行ってまいりましたが、昨年実施した児童へのアンケートでは、措置解除後も、相談相手として施設や養育家庭に寄せる期待が大きいことが改めて明らかになりました。
このため、来年度から、児童養護施設に、退所した児童の相談に対応する専任職員を新たに配置いたしますとともに、委託期間を終えた里子の自立に向けて、養育家庭が行う援助に対しましても必要な経費を支援いたします。
こうした都独自の取り組みにより、社会的養護のもとで育つ子どもたちの自立に向けた相談支援体制を強化してまいります。
次に、東京都がん対策推進計画における目標についてでございますが、都は、平成十九年四月のがん対策基本法施行を受け、同年五月には、学識経験者や関係団体、患者代表などにより構成いたします東京都がん対策推進協議会を立ち上げ、がん対策推進計画策定に向け検討を開始いたしました。
協議会では、がん患者数が全国に比べ突出していることや、高度ながん医療を提供する医療機関も多いなどの都の特殊性を踏まえまして、分野別施策や個別目標について議論を行い、計画に反映をさせております。
具体的には、国に先立ちまして、がん診療連携拠点病院の指定要件に、外来化学療法やセカンドオピニオンの実施などを追加いたしまして、都独自に創設する東京都認定がん診療病院についても同様に実施を求めることにいたしました。
また、二次保健医療圏を超えて受診するがん患者が多いことを踏まえ、地域連携を推進するために、全都で統一の地域連携クリティカルパスを作成することとし、現在、東京都医療連携手帳として活用されております。
今後、都が計画に基づき推進してきた施策の成果や国の動向を踏まえまして、東京都がん対策推進協議会において、都の特性を反映した数値目標やその達成に向けた施策などについて検討し、来年度改定をいたします推進計画において定めてまいります。
次に、緩和ケアの人材育成についてでございますが、都は、緩和ケアの普及拡大と質の向上を図るため、医療従事者等を対象にシンポジウムを開催いたしますとともに、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院におきまして、がん性疼痛の管理に関する講義や緩和ケアチームの臨床実習など、実践的な研修を実施いたしております。また、患者、家族の精神的苦痛にも対応できるよう、医師を対象にがん患者の心理状態などについての研修も実施いたしております。
今後は、こうした研修に加えまして、二次保健医療圏ごとに職種別の症例検討会を実施するなど、緩和ケアに携わる医師、看護師や薬剤師などの人材育成を推進してまいります。
次に、認定看護師の育成支援についてでございますが、都は、平成二十年度から、医師の勤務負担軽減を図りますとともに、質の高い看護を提供するため、救命救急センターや周産期母子医療センターなどにおいて、救急看護、新生児集中ケア等の認定看護師の育成を支援してまいりました。現在、都内の認定看護師は千百三十一人となっており、全国で最も多くなっております。
来年度からは、これまでの取り組みに加えまして、地域医療の中心となる中小病院における看護師の定着促進と看護の質の向上を図るため、研修受講料や認定審査料を補助するなど、新たな支援策を設けまして、認定看護師の資格取得を引き続き支援してまいります。
最後に、地域がん登録についてでございますが、都は、本年七月の地域がん登録の開始に向け、より多くの医療機関の協力が得られますよう、都内の医療機関に対する説明会を二回開催いたしました。説明会には、院内がん登録が義務づけられておりますがん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院を初め、約百五十の医療機関から関係者が参加いたしております。
また、患者の予後状況の確認に必要な人口動態統計の情報を正確に提供してもらえるよう、区市への説明会も今月二日に実施をいたしておりまして、現在、各自治体は、個人情報に関する審議会への付議など、情報を都に提供するために必要な手続を進めているところでございます。
今後とも、医療機関や区市町村への説明を行い、地域がん登録の充実と精度向上を図ってまいります。
〇議長(中村明彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二分休憩
午後三時二十一分開議
〇副議長(ともとし春久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
百十三番宮崎章君。
〔百十三番宮崎章君登壇〕
〇百十三番(宮崎章君) 風邪を引いておりまして、聞きにくいところはお許しをいただきたいと思っております。
平成二十四年第一回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
我々が生きている日本列島は、地震、津波、台風や活発な火山活動など、数限りない天変地異に見舞われてきました。こうした過酷な国土にありながら、我々の先祖は、たぐいまれな忍耐、自己犠牲の精神で、強いきずなで助け合う社会を築き、たくましく生き抜いてきました。今日の豊かで成熟した社会は、決して偶然ではありません。
今から千四百年前の「隋書倭国伝」で、既に、日本人は、性質直にして雅風ありと記され、明治に我が国を訪れたエドワード・モースが、善徳や品性を日本人は生まれながらに持っていると評したように、自然と歴史が培ってきた国民、国家の有形無形の底力があってこそであります。
そして、今、我々は大震災の痛手に苦しむ岩手、宮城、福島を初めとする被災地の復興を全力で支えていかなければなりません。それを可能にするのも、日本人自身が自然と歴史の中で培ってきた底力であります。被災地とのきずなをしっかりと固く結んで、一段と力強く再起を後押ししていこうではありませんか。これは、戦後日本人が置き去りにしてきた同胞意識や郷土愛、祖国愛を取り戻し、我が国の混迷停滞を根本から断ち切ることにもつながると思います。
被災地のため、そして、日本の未来のために、東京は先頭に立つべきと考えますが、知事の所見を伺います。
知事は、かねてより、東京は日本の牽引役であると述べられています。我が国が未曾有の危機にもかかわらず、政府がこの国の将来の姿を示すこともできずにいる今、首都東京が、日本を覆う閉塞感を打ち破り、都民、国民に希望を与える展望を指し示すことが求められております。
先般、都は、計画期間の半ばを迎えた「十年後の東京」計画を充実強化した新たな長期ビジョンとして、「二〇二〇年の東京」計画を公表しました。大震災後の都政運営の中長期的な道筋を明らかにしましたが、この新たなビジョンに込めた知事の決意を伺います。
昨年は石原都政が三期十二年の間培ってきた都財政の底力が遺憾なく発揮された年であると思っております。
大震災を受けての補正予算編成など、対応が後手に回る国をよそに、効果的な手だてを迅速に講じることができたのは、知事と我が党が手を携え、徳俵に足のかかった財政を立て直し、その後も堅実な財政運営に徹してきたからこそであります。
税収が都政史上初めて五年連続で減収するなど、かつてない厳しい状況の中で編成された二十四年度予算編成について、東京のさらなる成長発展と強固な財政基盤の堅持という、二兎を追うような課題に立ち向かうものであり、高く評価をするものです。
とりわけ注目すべきは、東京に活力をもたらし、経済の波及効果や雇用創出効果の高い公共事業に予算を重点的に配分している点でございます。
都は、歳出総額を抑制しつつ、事業進捗や事業終了による当然減がある中で、我が党の主張を十分に酌み取り、投資的経費を八年連続伸ばしてまいりました。確たる理念もなく、公共事業関係費を削減し続けている国とは極めて対照的であります。
そこで、このようなめり張りをきかせた予算を編成された知事に、平成二十四年度予算に込めた思いを伺います。
次に、高度防災都市東京への取り組みについて伺います。
昨年十一月に、都は、我が党の防災対策強化に向けた提言を踏まえ、今後の防災対策の方向性を示した防災対応指針を策定しました。遅々として進まない国の防災対策に比べて評価はできますが、問題は、これをいかに具体化していくかです。
知事は、大震災で浮かび上がった帰宅困難者の問題に対して、大規模で実践的な訓練を実施し、全国で初めてとなる条例を今定例会に提案されました。迅速かつ具体的に対策を進めるこうした姿勢を高く評価するとともに、最近、首都直下地震について、その切迫性が一段と指摘されています。首都直下地震は、いつ来てもおかしくない状況にあるという認識のもとで、高度防災都市への歩みを進め、発災時の対応力を高める取り組みを直ちに具体的に進めなければなりません。
まず、首都直下地震に対してどのように備えていくのか、知事の決意を伺います。
防災対応指針を具体化するために、現行の地域防災計画の抜本的な見直しが必要です。特に、国、区市町村、警察、消防、自衛隊、インフラ事業者等の連携協力に向け、それぞれの役割や手順を明確化するなど、具体的に被害状況を想定した上での実践を重視した取り組みが求められております。
都は、首都直下地震への備えを固めるため、地域防災計画の修正にどのように取り組むのか、見解を伺います。
大震災当日は、都内で三百五十二万人の帰宅困難者が発生し、混乱をいたしましたが、国の調査によれば、首都直下地震が発生した場合にも、半数の人が徒歩で帰宅すると答えており、震災時の帰宅抑制の徹底は、首都東京の機能を維持する上での喫緊の課題でございます。
我が党は、かねてより、都民の意識が高く、大震災での経験が風化しないうちに実効性ある対策を速やかに打ち出すことを求めてきました。
今回の条例案は、従業員の施設内待機や駅等における利用者保護など、主要な対策が盛り込まれており、評価しますが、条例の施行に向けては、都民への周知とともに、関係者の行動マニュアルの策定など、具体化に取り組む必要があります。事業者との十分な話し合いや適切な支援策を講じていくことが必要です。
都は、今回制定する条例に基づき、帰宅困難者対策をどのように具体化していくのか伺います。
また、都営地下鉄の帰宅困難者対策については、大震災の際にも、大江戸線がいち早く運行を再開するなど、都民の足を確保する責務を果たしたと評価しております。
さらに、耐震対策を強化するとともに、帰宅困難者の対応についても推進していくべきです。例えば、JRやメトロも駅に水や毛布の備蓄を進めていると聞いておりますが、都営地下鉄では駅に滞留するであろう帰宅困難者向けの備蓄について、どのような取り組みを進めているのか伺います。
次に、発災時には、何といっても自助と共助が重要です。これをいかに社会全体に浸透させ、地域の防災力を向上させていくかが課題でございます。
都内には多くの防災組織が存在します。大震災の被災地で献身的な活動をした、地域に根差した消防団を忘れてはなりません。そして、何といっても、町会、自治会を中心とした地域の自主防災組織が発災時に機能するかどうかがかぎでございます。高齢化や後継者不足などにより、こうした活動が停滞している地域も多い一方で、意欲的な取り組みを積極的に進めている団体もあります。
我が党は、防災隣組の取り組みを進めるに当たっては、町会、自治会、消防団を中心として、地域に根差した既存の組織の活性化を図っていくことが重要だと提言しました。
そこで、地域の防災力の強化に向けて、防災隣組の構築を具体的にどのように進めていくのかお伺いをします。
さきの第四回定例会における我が党の質問に対し、災害医療体制の充実に向け、災害医療コーディネーターの配置について検討するとの答弁がありました。災害医療コーディネーターについては、選任を行ったとのことであり、迅速な対応については高く評価をいたします。
これは、今回の大震災で得た教訓を踏まえ、被災地で実際に医療救護活動に従事した方や被災県に派遣している都職員の現場の経験をもとに創設するもので、都の防災力を高める施策として大いに期待をいたしております。
今後、都において、この災害医療コーディネーターをどのように活用し、災害医療体制の充実に取り組んでいくのか所見を伺います。
次に、我が党は、大震災で活躍したハイパーレスキュー隊を中心に消防力の整備をさらに進めるべきと強く訴えてきました。ハイパーレスキュー隊は、都内で発生する対応困難な災害や国内各地の震災はもとより、ニュージーランド地震などでの活躍は記憶に残るところで、また、大震災に伴う福島第一原子力発電所での活動など、人命を守ることとするその活躍は、都民、国民の周知のところであります。
そこで、新たに設置するハイパーレスキュー隊の配備の考え方や内容について伺います。
次に、災害に強いまちづくり関連の質問をいたします。
初めに、木密地域不燃化十年プロジェクトについて伺います。
我が党は、これまでも、木密地域の改善には、従来の考え方にとらわれない大胆な発想や地元区の積極的な取り組みが不可欠であると主張してまいりました。
都は、先般、不燃化特区、そして、特定整備路線を柱とする木密地域不燃化十年プロジェクトの実施方針を公表しましたが、その内容はまさに我が党の考えとも一致しておるものであり、意欲のある区と連携して具体化に取り組んでもらいたいと思っております。不燃化特区については、先行実施地域の募集も始まり、複数の区が応募を表明するなど、高い関心が集まっています。
そこで、まず、不燃化特区制度の構築に今後どのように取り組むのか、所見を伺います。
また、特定整備路線の整備が必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
次に、住宅政策についてです。
一月に公表された住宅マスタープラン素案では、高度防災都市づくりに向けた取り組みが最重要課題として位置づけられ、さらに、木密地域の改善のほか、我が党の提案を受け、マンション建てかえ等に関する国への提案要求などが行われました。
これに加え、既存住宅ストックの有効活用が住宅政策の大きな柱として挙げられました。都内六百八十万戸の住宅ストックを適切にリフォームしながら流通させていけば、都民の住宅ニーズへの対応などに有効であるとともに、沈滞する経済全体への波及効果も期待できます。現場で実務を担う業界の方々と十分に連携しながら取り組みを進めることが必要です。
そこで、今後、既存住宅ストック活用をどのように進めていくのか伺います。
次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
緊急輸送道路は、震災時の避難、救急、救援や緊急物資の輸送など、首都東京の生命線であり、沿道建築物の耐震化を一日も早く進める必要があります。都は、昨年の条例制定後、区市町と連携して、所有者への周知や対応を積極的に行い、この結果、耐震診断の相談件数が条例制定前に比べ大幅に増加していると聞いております。
この機をとらえ、所有者が耐震診断を実施するよう、都としてさらなる働きかけを行っていく必要があると考えますが、見解を伺います。
一方、建築物の耐震性能を確保し、都民の生命と財産を守るために、診断結果を耐震改修に結びつけることが不可欠です。また、耐震改修には行政の取り組みだけでなく、民間の力も活用して進めることも重要です。
そこで、今後、どのように耐震改修につなげていくかを伺います。
次に、街路樹について伺います。
都市の中で身近な緑である街路樹は、都市空間に美しさと潤いを与え、災害時には火災から都民を守るさまざまな役割を担っており、街路樹倍増計画で都内街路樹を百万本にふやして育てることは重要なことと考えます。
今回、都は、「二〇二〇年の東京」の中で、新たに災害に強い街路樹へと回復、更新する大径木再生大作戦を展開するとしていますが、今後の取り組みについて伺います。
津波、高潮対策について伺います。
大震災は、巨大地震と、それにより引き起こされた大津波など、我が国がこれまでに経験したことのない複合災害であり、かつてその被害は東日本一帯に及びました。都では、これまでの想定を超える地震や津波等に対応するため、関係局が連携して委員会を立ち上げ、耐震性や耐水性の強化など、技術面の検証が進んでいるとのことであります。
そこで、東部低地帯における河川施設の耐震施策について伺います。
また、高度に都市機能が集積する東京の沿岸部を守るために、東京港における津波、高潮対策の強化が必要であると考えますが、見解を伺います。
さらに、防災を担うインフラの中で、下水道は、地震時においても、その機能を確保し、快適な都市生活や企業活動を支えるとともに、水害から首都を守るために必要不可欠であり、いかなるときもその機能を発揮することが求められております。
そこで、下水道施設の耐震化や耐水化の今後の取り組みについて伺います。
次に、東京外かく環状道路の整備推進について伺います。
外環は、首都圏の交通渋滞の解消や環境改善などの効果だけではなく、交通物流拠点を連携させることにより、低迷する日本経済を活性化するなど、欠くことのできない重要な幹線道路であります。大震災において、高速道路が迅速な救命、救援活動など大きな役割を果たすことが改めて認識されたところです。
我が党は、党派を超えた都議会外かく環状道路建設促進議員連盟とともに、国に対して、一日も早く外環を完成させるよう、要請活動を強力に行ってまいりました。
昨年十二月には、国から、二〇二〇年のオリンピック開催に向け、来年度早々にもトンネル立て坑工事に着手し、あらゆる手段を尽くして、できるだけ早く完成させたいとの発表がありました。また、平成二十四年度の直轄事業計画では、二百から三百億円の計上見込み額が示されました。
こうした中、都においても二〇二〇年までの完成のため、今後の外環事業をいかに推進していくか、その取り組みについて伺います。
多摩地域の都市計画道路について伺います。
多摩地域では、平成二十七年度までに優先的に整備する路線を定めた第三次事業化計画に基づき、道路整備が進められた結果、整備率は約六割となりました。南北主要五路線の整備や中央線連続立体交差化などにより、以前と比べるとスムーズに移動できるようになったことは実感しているところでございます。
しかしながら、道路の整備は道半ばであるため、ターミナル駅周辺などでは慢性的に渋滞をしています。また、広域的な視点で見ると、産業振興の面でも重要となる隣接県との往来には時間を要し、必ずしも便利とはいえません。さらに、大震災の教訓を踏まえると、防災性の向上に資する道路の一層の整備推進が求められます。
そこで、今後の多摩地域の都市計画道路ネットワークの充実強化について、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
次に、連続立体交差化事業でありますが、都内には、いまだ千百三十カ所もの踏切が残されております。特に震災時には、踏切による道路の遮断が緊急、救急活動の支障となり、深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
都民の生命、財産を守る安全な都市を実現するためには、道路ネットワークの整備を推進するとともに、震災時に支障となる数多くの踏切を一挙に解消する連続立体交差化事業の推進が必要不可欠であります。
そこで、連続立体化交差事業の推進に向けた取り組みについて伺います。
さらに、水道事業について伺います。
さきの大震災では、震源から遠く離れた東京でも、管路の抜け出しや計画停電による断水など、さまざまな被害を受けました。水道は、発災直後の消火活動や復旧、復興を支える上で不可欠であることから、想定を超える事態が生じようとも、水は供給し続けなければなりません。
こうした状況を踏まえ、都では、大規模浄水場の一斉更新を見据えた水道施設の再構築のあり方の検討を進め、このほど基本構想の素案が策定されました。水道施設の再構築に当たっては、耐震性の向上はもとより、一部の浄水場が停止しても、他の浄水場や水道管路のネットワークでカバーするなど、幾重もの対策が必要です。
そこで、将来におけるさまざまなリスクに対して、首都東京を守る水道の備えのあり方について見解を伺います。
次に、都市の血液ともいえるエネルギーの対策で伺います。
東京はこれまで、福島や新潟など遠隔地に電気を依存することで成り立ってきました。エネルギー確保、電力の安定供給策は、国家存立のための戦略そのものであります。今、我が国は原発事故という未曾有の事態を受けて、電力の安定供給をいかに図り、社会経済をどのように維持するかという問題に直面しております。そうした冷静な視点に立って、エネルギー問題の全体像をとらえることが肝要です。
それゆえ、我が党は、一部に見られる東京電力をたたいて世論にこびする動きとは明確に一線を画すと申し上げます。また、先の見通しもなく、脱原発を唱える勢力にくみすることも決してありません。ましてや、迷走とその場しのぎに終始する政府の姿勢を看過できません。
とりわけ、国において何の戦略もないまま、電気料金の値上げがあくまで一企業の経営の問題として論議されていることは容認できません。すなわち、社会全体の問題という点で、例えば、都民の命を支えている病院を初めとする医療関係団体、障害者や高齢者を預かる福祉施設等にとっては、人間としての尊厳を守る生活の担保として、エネルギーの問題は重大であります。
同時に、歴史的な水準の円高と景気低迷のもとで、日本の宝である中小企業はもだえ苦しんでおり、料金値上げがさらなる打撃となることは必至です。製造業を国内から追い出すことにもなり、空洞化が一段と進めば、雇用は失われ、地域は疲弊し、日本経済はますます落ち込みます。
こうした状況で、中小企業への配慮なしに料金を値上げすることは、昨年の夏、都民、国民が率先して行った節電への協力に対して、まさに恩をあだで返す仕打ちにほかなりません。
知事には、電気料金の値上げの動きに対する所見と、ご自身の文明観、歴史認識に基づくエネルギー論について伺います。
次に、知事がかねてより提唱し、昨年十二月に創設を公表した官民連携インフラファンドについて伺います。
知事は、来年度の新規事業の一つとして、官と民が連携したインフラファンドの創設を予算案に計上しました。このファンドは、短期間で整備できる十万キロワット級のガス火力発電事業を初め、再生可能エネルギー事業も投資対象となっていると聞いています。
政府がいまだ明確なエネルギー政策を示せない中、都がこれからの日本のエネルギー政策の先鞭をつけることになる当ファンドの創設は、都民、ひいては国民に安心を与える取り組みとして、我が党も大いに期待をしています。
そこで、改めて、官民連携インフラファンドの創設のねらいについて、知事の所見を伺います。
次に、都は、昨年夏の経験を生かし、良好な執務、居住環境を維持しながら合理的な省エネを継続するとともに、防災力の強化をねらった自立分散型、低炭素なエネルギーの確保に向けた戦略をいち早く打ち出すなど、国をリードする取り組みを進めてまいりました。
東京の活力と国際競争力を維持向上させるためにも、最大の電力需要部門であるオフィスビル等が都と連携し、省エネと職場環境の快適性を両立できるスマートな省エネモデルを東京から発信すべきと考えますが、見解を求めます。
エネルギーの安定供給を確保し、事業活動、都民生活の安全・安心を支えるという明確なメッセージを発することも重要です。
都は、供給面の対策として、百万キロワット級の天然ガス発電プロジェクトの推進や臨海副都心における自立分散型電源確保に向けた取り組みを進めていますが、電力供給体制を強化するためには、既存の老朽化した火力発電所をリプレースするという手法も有効です。
例えば、都内にある大井火力発電所は、運転開始からおおむね四十年が経過しており、原油を燃料とする効率が低く環境への負荷も大きい発電所です。
こうした火力発電所を優先的にリプレースすべきと考えますが、見解を伺います。
次に、産業振興について伺います。
歴史的な円高といわれて以来、半年、無策のまま時間が経過をしました。国は、なぜこれほどまでに時間の流れに無反応だったのでしょうか。最近、日銀の金融緩和政策が講じられ、やや戻ったとはいえ、依然として高値にとまったままであります。
円高にはメリット、デメリットがありますが、こと中小製造業についていえば重大な脅威です。まず、国は一刻も早く抜本的な空洞化対策を講じるべきであります。
また、都としても、空洞化の危機に対処する必要があると考えます。ものづくり産業の空洞化への対応について、基本的な考え方を知事に伺います。
次に、ものづくり産業の集積確保に向けた取り組みについて伺います。
都内のものづくり産業の強みは、すぐれた基盤技術を有する中小企業が地域の中で集積して、さまざまな部品や加工技術をしっかりと提供できる仕組みにあります。
こうしたものづくり企業が設備更新などを進めることができず、周辺の住宅に配慮し十分な操業ができないため、廃業や海外移転を迫られることは製造業の競争力に深刻な影響を及ぼすものと考えます。
そのため、都は、ものづくりを基礎から支える製造業の集積の維持と発展に向けた重点的な支援を展開すべきと考えますが、所見を伺います。
また、商店街振興についてですが、商店街は、地域の商業活動の拠点であるとともに、地域コミュニティの担い手として、住民の便利で快適な生活を支える重要な役割を果たしています。
こうした商店街が、日常の買い物に不便の生じている買い物弱者の問題に取り組む場合、行政として効果的なサポートを行うことが必要と考えます。
我が党は、このような新しい課題について、現状をしっかりと把握し、その結果を踏まえた施策をモデル的に展開すべきとの具体的提案も行っています。
これを受けて、都は、昨年末に実態調査を取りまとめ、新年度の予算案にモデル事業を計上しております。一連の着実な対応を高く評価したいと思います。
都が実施した調査の結果と、今後の事業展開について伺います。
次に、観光産業の活性化に向けた取り組みについて伺います。
大震災直後、外国人旅行者は大幅に減少しました。最近では、アジアを中心に回復が顕著です。先日の東京マラソンにおいても、多くの外国人ランナーが東京のまちを疾走するなど、明るい話題もふえてきました。
こうした機をとらえ、外国人旅行者を積極的に誘致し、東京の魅力を直接発信することが、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック招致にもつながると考えます。
また、五月には東京スカイツリーが開業するなど、新たな観光スポットも誕生します。
そこで、この好機を生かし、来年度は観光産業の一層の活性化に向け、どのような取り組みを重点的に展開していくのか伺います。
被災地応援ツアーについて伺います。
来年度は、福島県を対象に被災地応援ツアーを実施することになりましたが、我が党が要望した日帰り旅行が追加されたことを評価します。桜の時期に合わせた開始を望むものでありますが、日帰り旅行の実施の考え方、内容、あわせて開始時期について伺います。
次に、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化についてですが、アジア地域での国際会議は、最近五年間で二倍以上の伸びとなっております。
シンガポールや韓国、中国などはMICE分野の高い成長性と経済効果に着目して、大規模なMICE施設が次々と整備され、日本は後塵を拝する状況となっております。
都では、昨年、アジアヘッドクオーター特区構想を掲げ、全庁的に取り組みを進めています。特に東京ビッグサイトやホテル、商業施設などが既に集積している臨海副都心は、戦略上極めて重要なエリアであります。
今後、臨海副都心のMICE、国際観光拠点に向け、都はどのように取り組みを進めていくのか伺います。
さらに、雇用対策について伺います。
若者の雇用情勢は、完全失業率がほかの年齢層より高いなど、深刻な状況にあります。
一方、都内経済を支える中小企業では、多くの企業が人材確保に悩んでいます。
我が党は、若者が中小企業にも目を向け、強い意思を持って社会に出て自立することの重要性を指摘してきました。また、企業が将来を担う優秀な人材を確保するためには、十分に人材を見きわめることも必要です。
都は、若者と都内中小企業とを結びつける取り組みとして、未就職卒業者緊急就職サポート事業を今年度から開始いたしました。
来年度には、本事業を拡充するとともに、新たに環境など、今後、成長が期待できる分野への若者の就業を促すとのことですが、こうした取り組みのねらいについて伺います。
多摩地域では、しごとセンター多摩が地域の中小企業団体などと連携して、人材確保に寄与したところは評価いたします。
さきの定例会で多摩地域の就業支援策を拡充すべきとした我が党の主張を受け、都は実行プログラム二〇一二で、しごとセンター多摩の就業支援拠点としての機能を強化すべく、その移転に着手するとされました。
その移転を機に、雇用面からのサービスのワンストップ化を図り、企業の抱えるさまざまな課題解決を総合的に支援することが重要であると考えますが、見解を伺います。
次に、福祉保健施策について伺います。
まず、後期高齢者医療制度ですが、この制度は、超高齢社会に備え、国民皆保険を堅持するために構築された制度です。
その財源は、一割を被保険者の保険料で、残り九割を公費及び現役世代からの支援金で賄うことが原則でございます。
現行制度の廃止を方針とする現政府は、二年前の保険料改定時にこの原則をゆがめ、財政安定化基金を活用して、保険料の上昇率を抑制するよう都道府県に要請をしました。
その後、制度廃止についての検討は遅々として進んでおりません。将来見通しが立たない中、保険料改定の時期を迎えますが、都はどのように対応するのか伺います。
現在、都は、高齢者施策の基本となる東京都高齢者保健福祉計画の策定を進めています。東京都では、高齢化率が平成二十七年に二四・二%、四十七年には三〇%を超え、都民の三人に一人が六十五歳以上となる見込みです。ひとり暮らしの高齢者、平成二十二年の六十万世帯が平成二十七年には七十一万世帯と、一九%増加すると推計されております。
これらの高齢者が、たとえ介護が必要な状態や認知症となったとしても、できる限り地域での自立した生活を送ることができるよう、的確な支援を行っていく必要があります。
そのためにも、特別養護老人ホームなど施設の整備はもちろん、グループホームなどの身近な地域に根差したサービスの充実が不可欠です。
都は、広域的自治体としての基盤整備を強力に進めるべきと考えますが、所見を伺います。
都の調査によりますと、高齢者の約三割が、長期療養が必要となった場合に在宅での療養を希望しています。こうした希望をかなえるため、医療と介護が有機的に連携したサービスを提供し、高齢者の在宅療養を支えていく体制を構築することが極めて重要です。
都は、高齢者保健福祉計画の中で、在宅療養をどのように位置づけようとしているのか伺います。
また、介護保険財政安定化基金について、平成二十四年度に限って取り崩すことができ、都道府県はこのうちの三分の一を介護保険に関する事業に充てるよう努めることとする法改正がなされました。
我が党は、第三回定例会において、こうした財源は、中長期的な視点に立って将来を見通した施策に活用すべきであると指摘しました。都として、実際にこの財源をどのように活用していくのか伺います。
次に、障害者施策について伺います。
障害者が地域で安心して暮らせる社会を目指し、平成十八年に障害者自立支援法が施行されました。都は、これに基づいて東京都障害福祉計画を策定し、グループホームなど地域生活に必要なサービス基盤の確保に努めてきました。
第二期計画は、今年度末をもって終了となりますが、今後も障害者が地域で安心して生活するための基盤を引き続き整備すべきものと考えます。都はどのように取り組むのか伺います。
次に、保育サービスについて伺います。
大都市特有の保育ニーズにこたえるため、都が創設した認証保育所は、本年で十年を迎えました。零歳児保育や十三時間開所を義務づけるなど、大都市特有の保育ニーズに的確に対応した本制度は順調に拡大を続け、待機児童解消にも寄与してまいりました。
しかしながら、現政権はいまだ認証保育所の実績を認めようとしません。十周年を迎え、都民から大きな信任を得ている認証保育所について、改めて知事の所見を伺います。
都は、保育サービス緊急三カ年事業などにより、これまでも保育サービスの充実を図ってきましたが、昨年四月の待機児童は七千八百五十五人と依然として高水準にあります。
待機児童解消に向け、引き続き計画的な施設整備を進めるとともに、利用者ニーズに即した取り組みをこれまで以上に促進することが重要と考えますが、今後どのような取り組みをするのか伺います。
保育サービスの総量をふやす一方、転居や育児休業明け等、年度途中に発生するニーズに対して、既存施設を有効に活用し、柔軟に対応していくことも大切です。
今回、都が提案する認可保育所の設備、運営基準を定める条例で、我が党が支持してきた認証保育所の成果を踏まえた面積基準の弾力化を認めることも施設の活用を促すものと考えますが、所見を伺います。
次に、養育家庭について伺います。
昨年八月、都が委託した養育家庭の児童が死亡した件について、里親が逮捕されるという事件がありました。
都が昭和四十八年度から国に先駆けて取り組んできた養育家庭制度は、親元で暮らすことができない子どもたちを家庭的な環境のもとで養育するもので、児童の健全育成を図る上で重要な役割を果たしてきました。
今後、この制度をさらに促進するために、今回の事件も踏まえ、養育家庭に対する支援を一層充実する必要があると考えます。
都は、第三回定例会で、我が党の質問に対して、児童福祉審議会において改善策の検討を行った上で、必要な支援策を講じると答弁しました。
先月、児童福祉審議会から提言がありましたが、都は、養育家庭への支援強化に向けてどのように取り組むのか伺います。
次に、学校給食用食材に対する放射性物質の検査について伺います。
国は、学校給食に関し、より一層の安全・安心を確保する観点から、学校給食用食材に対する放射性物質検査機器の整備に対する補助制度を創設しました。我が党は、昨年十二月、都教育委員会に対して、国の補助も活用しながら、学校給食に対する保護者の不安を払拭するよう要望書を提出しました。給食の安全・安心確保の観点から、都教育委員会はどのように対応していくのか伺います。
次に、教育の諸課題について伺います。
我が国が激しい国際競争に打ち勝っていくには、次代を担う人材の育成に本気で乗り出さなければなりません。
今月、教育再生・東京円卓会議の第二回会議が開かれ、科学技術と教育をテーマに具体的に議論が行われたと聞いております。出席者の一人でありますJAXAの川口淳一郎教授は、国民に感動を与えた「はやぶさ」プロジェクトのリーダーです。
この「はやぶさ」に象徴されるように、世界に誇るべき技術立国日本ではありますが、日本の若者の理数系離れが進み、数学、科学分野での応用力の低下が懸念されます。急速な成長を続けている中国や韓国などに負けないためにも、今こそ国を挙げて科学技術分野の人材育成に取り組まなければならないと考えます。
このたびの円卓会議の成果について、知事の所見を伺います。
都立高校改革について伺います。
都教育委員会は、新たに都立高校改革推進計画を先日公表し、生徒に知、徳、体を確実に習得させ、一人一人の潜在能力を顕在化し、伸ばす教育を実践するとしています。
さきの大震災では、多くの人々が被災地支援に従事する姿を見て、私たちは社会の一員として奉仕することの大切さを改めて認識しました。今後は、次代を担う若者が、災害時のボランティア活動はもとより、日ごろからみずから先頭に立って社会貢献することが重要になります。
そこで、社会貢献に必要な実践力を都立高校生に身につけさせるため、どのような取り組みを行っていくのか伺います。
来年度から実施する次世代リーダーの育成について伺います。
我が国を取り巻く国際情勢が厳しさを増す中、閉塞感を打ち破り、国家の希望となる若者の育成は喫緊の課題となっています。
昨年末の第四回定例会でも、我が党は高校生を海外に派遣し学ばせるなどして、諸外国の人々と臆することなく渡り合える、国際感覚を備えたたくましい若者の育成の重要性を指摘しました。
今回の計画の中で、世界に伍して活躍する人材を育成するため、次世代リーダー育成道場を開設していくとされていますが、そこで、この次世代リーダー育成道場の具体的な内容について伺います。
次に、私学振興について伺います。
東京の私立学校は、建学の精神と独自の教育理念に基づき、子どもたちの個性に応じた特色ある教育活動を実践し、多くの優秀な人材を輩出してきました。東京の私学は、公教育において極めて重要な役割を担っております。今後もその役割を果たしていくことが期待されます。
このような私立学校の教育活動をより一層振興、支援していくことが必要であると考えますが、都において私学振興の取り組みについての見解を求めます。
我が党は、こうした人材の育成を進めるため、かなめとなる教育環境の整備を重視し、これまでも私学における耐震化の推進やICT環境の整備などに取り組んできました。
今後とも、これらの取り組みを充実させていくことは重要でありますが、さらに、昨年発生した大震災は、子どもたちの命を守るという最も基本的な課題を改めて浮き彫りにし、教育現場における安全・安心の確保が一刻の猶予もならないことを再認識させられました。
この大震災の教訓を踏まえ、都は、私立学校における安全対策にどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
次に、スポーツ振興について伺います。
先日の東京マラソンでは、三万六千名余りのランナーが、全力で東京都心を駆け抜けました。副知事も完走したという報道もございましたが、知事が立ち上げた東京マラソンは、ランナー、ボランティア、観客までが一体となる、日本を代表するスポーツイベントに成長しました。今年は、外国人ランナーが家族などと楽しむフレンドシップランも開催するなど、内容も年々充実しています。
さらに、十キロの部に、被災地から高校生百名を招待しており、子どもたちの心に思い出を刻み、勇気づけることにも大いに貢献したのではないでしょうか。
スポーツは、このように人々に元気と感動を与えることができるものであり、震災で疲弊した日本を、復興に向けて後押ししていく力を秘めております。
昨年、スポーツ基本法が施行されましたが、都では、国に先駆けてスポーツ振興局を設置し、来年度のスポーツ予算は国を上回る二百三十八億円余を提案するなど、東京が日本のスポーツ行政を牽引しているといえます。
今後は、だれでもスポーツに親しめる施策の一層の推進が必要であり、障害者はもとより、高齢者がいつまでも生き生きと活動できる地域社会を構築するため、我が党が主張するシニアスポーツの振興にも力を入れるべきと考えますが、見解を伺います。
また、震災からの日本の復興、スポーツ祭二〇一三の開催、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの招致など、スポーツを通じた大きなムーブメントを繰り広げていくためにも、東京都スポーツ振興基本計画を改定し、新たな推進指針を策定すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、スポーツ祭東京二〇一三について伺います。
スポーツ祭東京二〇一三の開催まで、残すところあと一年余りとなりました。本大会は、スポーツの力を実感することはもとより、多摩・島しょの豊かな自然、歴史、文化、観光資源など東京の多様な魅力を全国にアピールする絶好の機会となり、スポーツのすばらしさやさまざまな可能性を訴える、意義ある大会とすべきです。
近年の国体では、開会式が午後二時ごろに開催されていますが、日暮れの時間帯を活用し、効果的な演出を行うなど、東京だからこそできる印象的な開会式としていく必要があると考えます。スポーツ祭東京二〇一三の成功に向けた知事の所見を伺います。
最後に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
我が党は、前回二〇一六年招致の際には、各会派に呼びかけ、都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟を設立するなど、招致に向けて積極的に取り組んでまいりました。
今回の二〇二〇年招致は、東日本大震災から約一年を経た今、いまだ閉塞感のある我が国を、再び元気に躍動する日本に再生するため、国民全体が一丸となってかち取らなければなりません。都民、国民の理解、支持を得るために、オリンピックを日本で、そして東京で開催する、オリンピック招致の理念を明確にする必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
また、今回、招致をかち取るためにも、東京の強みを強調すべきと考えますが、東京はどのような大会を目指すのか伺います。
この一年間、未曾有の事態が次々と押し寄せ、そのたびに、大都市東京の経営を知事とともに担う都議会自民党は、事態の解決に向けて責任ある対応をしてきたと自負を持っております。
これからも、防災はもとより、幅広い分野で血の通った政策を打ち出し、確実に実行することを通して、責任政党としての役割を全うする決意を申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 宮崎章議員の代表質問にお答えいたします。
まず、被災地の再起と日本の未来のために東京が果たすべき役割についてでありますが、東日本大震災から既に一年がたとうという今、ようやく復興庁が創設されるという事例を一つ見ても、被災地の懸命な努力をよそに、政府はスピード感を致命的に欠いているという印象を否めません。
かつて、後藤新平は関東大震災から一月もたたないうちに帝都復興院をつくって、単なる復興にとどまらない、今日のモータリゼーションの隆盛を見越した、いわゆる昭和通りでしょうか、ああいったものも創設して復興計画を推進しましたが、これとは大分違うなという感じが否めませんが、要するに発想力と行動力の能力の違いじゃないでしょうか。
一方、国民も、アメリカ依存の平和に安住してきて、物質的な繁栄を謳歌してきたために、その結果、何を得て何を失ったのか、私はどうも失ったものの大きさを考えますと慄然とせざるを得ませんが、ともかく東京にも事例はありましたけど、自分を産んで育ててくれた親の弔いもせずに、その年金を三十年にわたって詐取するというやからも、世界じゅうにこの日本にしかいないんじゃないでしょうか。
そういう日本人の質的な変化の中であの震災が起こったわけでありますが、とにかくこの大震災からの復興は、日本人が一丸となって取り組まなければなし得ないことは論をまちませんけれども、日本人同士の連携、つながりの中で最も基本的な単位であります家族というきずなですら、さっき申しました事例が明かすように、あのていたらくでありました。
大震災で日本人も変わったといいましょうか、本来の美しい姿を取り戻したという向きもありますが、しかし、これは本当に一部の現象であって、被災地の復興を阻んでいる瓦れきの処理も、どういうわけですかね、全く震災に関係ない、影響を受けなかった他の地域の全国の自治体の協力が一向に得られずにおります。
これは本当に残念な兆候でありまして、やはり国民一人一人が同じ日本人という、そういう意識の上で、傷ついた仲間の手助けに一歩、二歩、三歩、もっと積極的に乗るべきだと思います。
私は、瓦れきの問題をとらえて考えましても、一種の戦でありますが、何で総司令官の総理大臣がもっと大きな号令を出さないのでしょうか。地方自治体でこれを拒んでうろうろしている首長に、総理大臣がもっと強い言葉で叱責し、協力を促すのが私は本来あるべき政治家の姿じゃないかと思います。
国がみずからの役割を果たしていないのならば、日本のダイナモであります東京がこの国を牽引する使命を果たすしかないと思いますが、各県が現地事務所を引き払っている中で、東京都は今も事務所を構えて、被災県からの要望を直接酌み取り、支援をしております。
被災県の要請を受け、警視庁の警察官を初め、四百人を超える都の職員が東京を離れて被災地で活動しているわけでありまして、風評被害にも対応すべく、被災地への旅行に助成する応援ツアーも実施し、来年度も原発事故に苦しむ福島を対象に継続してまいります。
被災地からの瓦れきも、区市町村や民間とともに、三年間で五十万トンを受けるつもりでありまして、都は、これからも全国の先頭に立って被災地の復興を強力に後押ししていきたいと思っております。
昨日も、福島県の代表の方から、あれは新聞でしたか、取材を受けましたが、やはり放射線に関係のない、かつて非常に盛んであった観光地にも、本当にこのごろは人影がないということで、ならば、この次の関東知事会ぐらいは、私はやっぱり福島県の裏磐梯あたりでもう一度どうかとこれから関東知事会に提案するつもりでありますけれども、いずれにしろ、同胞への惜しみのない支援を通じて、かつての日本人の姿をもう一度取り戻したいものだと思います。
次いで、「二〇二〇年の東京」計画についてでありますが、これまでも都は、都市戦略であります「十年後の東京」計画を構え、千ヘクタールの緑の創出や三環状道路の整備など、具体的な施策を重層的、複合的に展開してまいりました。
一方で、国は、昨年の大震災の発生により、国家の危機がますます深刻化しているにもかかわらず、どうも国家発展のかなめであるエネルギー戦略一つをとっても、この国の進むべき道筋を描くことができずにおります。
このままでは、この国は沈没必至でありまして、残された猶予は余りないような気がいたしますが、ならばこそ、この国家の危機に臨んで大震災の痛手から立ち上がらんとしているこの日本の再生を牽引すべく、「二〇二〇年の東京」計画を策定いたしました。
この計画を羅針盤に、これまでの取り組みをさらに加速するとともに、大震災により明らかになった防災力の向上やエネルギー政策など、新たな課題にも都が率先して行動していきたいと思っております。
具体的には、東京をやがては襲うであろう大震災に、大地震に耐え得る都市に改造するために、都市施設を徹底して耐震化するとともに、三環状道路を完成させ、日本の東西分断を防ぐという交通ネットワークを構築していきたいと思います。
また、都市開発と連動して自立分散型発電を充実するなど、エネルギーの安定供給に向けた大都市ならではの取り組みを都独自に推進してまいります。
東京が都市のあるべき姿を世界に発信して、先陣を切って行動を起こすことでこの大震災を乗り越えて、日本の再浮上につながると、そういう努力をしたいと思っております。
次いで、平成二十四年度予算についてでありますが、今回の予算は、都税収入が五年連続で減少しまして、財政環境が非常に厳しい中で、いかにして都民の不安を払拭し、東京の活力を高めていく手だてを講じていくか、非常に難しいかじ取りが求められた編成作業でありました。
そのため、新たな公会計の視点も一層活用しまして、徹底的にむだを排除するなど、全体の支出を抑制する一方、防災力強化や少子高齢化対策など、必要な施策を厳選して、限られた財源をめり張りをきかせて重点的に振り向けました。
とりわけ経済波及効果の高い、これはもう経済学の通念でありますけれども、公理でありますけれども、公共事業については現下の厳しい景気状況も踏まえて、外環を初めとした都市インフラの整備や公共建築物の耐震化など、積極的に推進しております。
編成に当たっては、場当たり的ではなくて、中長期的な視点で対策を講じることや、現場からの発想を生かして、先進的かつ効果的な施策に積極果敢に取り組むことに心がけました。
この予算を原動力として、首都東京を成長と発展の軌道に乗せ、東京から日本の再生を牽引するべく全力を尽くしてまいりたいと思っております。
次いで、首都直下地震に対する備えについてでありますが、いつ発生するかわからない大震災に対して、決して人任せにせずに、自分の命を守るためには備えを急がなければなりません。
我々は、複数のプレートがぶつかり、ひしめき合っているという非常に危険な地勢学的な条件のもとに暮らしているわけでありまして、ゆえに、地震が起こっても自分だけは大丈夫だとわけもなく単純に考えることはなしに、地震を自分のこととしてとらえなければならないと思います。
自分の身の安全を確保したら、次は共助といいますか、ご近所に目を配るという、そういう姿勢も絶対に必要だと思います。
先般、記者会見で、あるベテランの記者が、共助というよりも近助じゃないですかと、なかなかうまいことをいいまして、それは確かに近所の近は近くで、所は助けるにして、これは新しい言葉だなと思いますが、いずれにしろ、ご近所がどうなっているかということを、次いで気を配るということが必要だと思います。
木密地域の住民による消火隊やレスキュー隊など、意欲的な取り組みを防災隣組として認定し、新たな取り組みを立ち上げる地域には専門家を派遣して支援することにより、身近な者同士で命を守る取り組みを広めていきたいと思っております。
また、東日本大震災当日の多量の帰宅困難者の発生や駅での締め出しといった事態を決して繰り返すことのないように、これはこの間も強くJR東日本の社長を呼びつけてしかりましたが、企業での備蓄や、駅での利用者保護などを定めた帰宅困難者対策条例を制定いたします。
都民、事業者がそれぞれの責任を果たしつつ、ともに助け合う社会の実現に向けて、東京が一体となって取り組みを進めていきたいと思っております。
さらに、緊急輸送道路の沿道建築物や東京湾沿岸での水門等の耐震化など、都市防災力高度化に向けたハード対策はもとより、被災地で有効に機能した災害医療コーディネーター、これは現地に派遣した都の職員が持ち帰った、既に地震の多い、多発する東北では実現されていたシステムでありますけれども、非常に参考になりました。災害の際の医療コーディネーターを大都市の特性を踏まえた独自の仕組みとして導入していきたいと思っております。
加えて、決死の放水活動によって、原発事故の危機的な局面を打開したあのハイパーレスキュー隊も八王子に増設するなど、公助の充実も図っていきたいと思っております。
発災時に首都としての機能を維持して速やかな回復を図ることは、日本全体にとっても死活的な問題だと思っております。
いつ来てもおかしくない大震災に対して、東京の総力を結集し、自助、共助、近助、公助のすべてにわたり備えを固めていきたいと思っております。
次いで、エネルギーの問題でありますけれども、現在、東京電力の料金値上げの問題が議論されておりますが、事実上、独占企業である東京電力が都民、国民に料金値上げをお願いするのであれば、まず会社が情報を公開して、いかなる資産をむだに持っているかということを公開して、その理由も明らかにし、そういったむだを徹底してそいで合理化することなど、まずやるべきことをやるのが当然でありまして、その上で仮に値上げがやむなしということになったとしても、東京電力において地域の経済活動への必要な配慮が当然なされるべきだと思います。
しかし、電気料金値上げの議論を引き起こした原発に関する一連の問題を冷静にとらえますと、政府は東京電力の構造改革を徹底して進めるのは当然だとしても、この問題を一会社だけの問題に矮小化することはできないはずであります。
歴代政権は、自民党も含めてでありますけれども、国策として、ともに原発を推進し、最も大事な原発の管理にも一緒に携わってきました。これはいろいろ問題を含んでおりまして、フランスなどの方式と違って、日本の場合にはこの原発の推進、遂行体制というものが非常に複雑で、多岐にわたって、私は決して好ましいものではないと思います。
そもそもエネルギーの安定的な確保は重要な国家戦略でありました。その確保をめぐっては、時としては戦争の原因にもなるという、そういう国益そのものでありました。
かつて我が国は、心ならずも、とにかく戦争に追い込まれた。あの原因は、資源を求めて南方に進出し、そして、アメリカは対日石油禁輸を実行したわけでありますが、あのハル・ノートで、明治以来、日本が戦争で獲得した領土を全部返さなければ、一切とにかくエネルギーの供給を断つと。これはもう日本は資源が全くない国でありますから、これは致命的な通告でありまして、結局、日本はあの戦争に引きずり込まれたと。
今も核開発をめぐって、アメリカ主導の経済制裁に反発するイランが原油を盾に抵抗し、その重要な輸送路がありますホルムズ海峡の封鎖も予告するなど、資源をめぐっての国際情勢は緊迫度を増しておりますが、エネルギーの議論をいたずらにもてあそびますと、国そのものが滅びるということにもなりかねない。
今求められることは、原子力に対するこのセンチメントな、センチメンタルな原発廃止論ではなくて、原発推進か反対かという単純な二者択一論じゃなくて、こうした主張を展開する一部の人々におもねることでもなくて、我が国が置かれた国際情勢を冷静に分析し、地球温暖化の問題を念頭に置きながら、これからの技術の進歩を見据え、現実的な期間を想定して、その間、我々がどの程度の生活水準を望み、そのためにいかなるエネルギーをどれだけ確保していくかという、政府の手による徹底した大きなシミュレーションというものをやっぱり行わなきゃだめだと思います。その結果、政治が責任ある決断を下すべきだと思います。
このままでは、四月に国内すべての原発が停止するわけでありまして、国は、震災から一年半近くたつこの夏までに、今申しましたように大きなシミュレーションを踏まえてエネルギー戦略をきちっと立てると。その必要がありますが、やっていることが非常に悠長で、あんまり現実性がない。もう一刻も早く決断をして、新たなエネルギー戦略を打ち立てるべきだと思っております。
官民連携インフラファンドの創設のねらいについてでありますけれども、国と地方の債務残高は、GDPの二倍に当たる一千兆円にも上っておりまして、もはや借金に頼った行政運営は限界であります。
仮に日本がこの財政事情を抱えながら新規にEUに参加しようと思っても、これは不可能だと、そういう財政状況でありますが、別にEUに参加することはそれほど日本にとっても大事なことではありませんけれども、EUもあのていたらくでありますから、それは論外であります。
一方、国内の社会資本は高度経済成長期に集中的に整備されまして、四十年以上たった今、更新時期に来ている施設が膨大にあります。この更新を官だけで支えるのは不可能でありまして、民間資金の活用が欠かせません。
しかるに、銀行は、国債保有額を大きく増加させる反面、企業への貸し出しは伸び悩んでおりまして、本来の機能を発揮しておりません。海外では、広く内外のマーケットから資金を集めるインフラファンドが活用されておりまして、海外の主要なファンドの過去五年間での投資額は、公表されているものだけでも十二兆円に上っております。
これまでこのインフラファンドを活用するよう、幾度も国に提言してきましたが、国の動きは非常に鈍いと思います。そのため、都が先導役になりまして、社会資本投資における長期的かつ安定的な資金循環システムとして、我が国初の官民連携インフラファンドを創設することといたしました。
現在、首都圏では、老朽化した火力発電所が故障の危険も抱えながら稼働しておりますが、喫緊の課題であります電力の安定供給にも直接貢献すべく、このファンドを使って発電事業に集中的に投資していきたいと思っております。
経済危機や電力危機への対応は、何よりもまず実践が肝心でありまして、国に電力の真の制度改革を迫ることはもとより、こうした新しい資金循環システムを現実に示すことで、我が国の経済の活力を取り戻すきっかけとしていきたいと思っております。
次いで、ものづくり産業の空洞化への対応についてでありますが、いつの時代にも経済の進歩は新しい技術の開発によってもたらされてきました。これは歴史の原理であります。時代のニーズに合った新たな産業も、その基盤となる技術があってこそつくり出されるわけでありまして、六十億キロもの旅路から無事帰還し、世界を震撼させたあの「はやぶさ」の小惑星イトカワへの軟着陸を可能にしたのは、都内中小企業が持つアルミ加工技術でありまして、八千メートルの深海探査に挑む「江戸っ子一号」の開発も、防水ゴムやプレスなど優秀な技術を持つ東京の下町のまち工場が結集して始まりました。
もとより、円高にはメリット、デメリットもありますが、事中小の製造業にとってはデメリットが大きく、このまま手をこまぬいていたら、高度な技術を持つ中小企業の集積も失われ、二度と取り戻すことができなくなります。
先般、試写を見せてもらいました、渡辺謙君が主演した「遙かなる帰還」でも、大田区の中小企業のおっさんが、自分の技術でつくり出したパーツを提供して、会社がつぶれかかっているのに、日本人としての強い感動を覚えるために、内之浦まで行って娘にからかわれるというような、結局その企業は倒産してしまうんですけれども、あの映画が、すばらしい日本の技術の成果、快挙というものを映したと同時に、東京にある中小企業がいかに残酷、薄命にさらされていることも映し出してくれたことは、私非常によかったと思っております。
こうした空洞化の危機に対しては、都は、新製品、新技術開発への支援に加えて、新たな産業の担い手をふやすためのベンチャーファンドの創設や、区市町村と連携し、新たに基盤技術の集積を維持する事業に取り組んでいきたいと思っています。
これらの施策を重層的に講じることによって、競争力の高い企業の立地を確保し、ものづくり産業の集積を維持していくつもりであります。
次いで、認証保育所についてでありますが、十年前、皆で知恵を出して大都市の保育ニーズにこたえるサービスとして、都独自の認証保育所制度を創設しました。最初はわずか三カ所から始まった認証保育所は、多くの都民の皆様の支持を得て、今や六百二十四カ所、定員は二万人を超えて、東京になくてはならない保育サービスにまで発展しました。
この現実を見ながら、国の役人は規約を変えて、こういった認証保育所に、いわゆる認可保育所と同じような援助をしようとしない。これは本当に国の役人の通弊で、現場を知らない、現場を見ない、現場に踏み込まない、こういったばかな停滞というものが、新しい世代を育てるために大きな大きな障害になっているわけでありまして、これは何としてでも、この厚生省のばか役人どもが構えているバリアを東京からやっぱり破りませんと、東京の子どもたち、都市の子どもたちは救われない。皆さんもひとつ与野党──どれが与党か野党か知らないけれども、皆さんの議会挙げての協力をお願いしたいと思いますね。
しかし、とにかく、現在検討している子育て支援の新たな仕組みでも、保育士の配置や児童一人当たりの面積など、全国一律の基準を変えないでいるわけで、例えば、看護師さんは病院でかなり複雑な治療に協力するわけですから、専門性を必要とするでしょうが、子どもや年寄りのシッターといいましょうか、介添えは、これは日本語がたどたどしくても、言葉の数がたくさん要るわけじゃありませんから、もっともっと外国人を登用したらいいと思いますけど、こういった障害をやっぱり東京から取っ払って、子どもの保育と老人の手当て、保育のために、私は、その意思のある非常に心の優しい外国人がたくさんいるわけでありまして、そういったものをもっと受け入れやすいような体制をできればこの東京からつくっていきたいと思っております。
いずれにしろ、国家の未来を揺るがす少子化を打破するにも、安心して子どもを産み育てられる環境が必要でありまして、そのために都は、潜在ニーズも含めて、待機児童を抜本的に解消すべく、区市町村と連携して、人材の登用も含めて、保育サービスを大幅に拡充していきたいと思っております。
その柱として、またこれから子どもを持ちたいと願う家庭の不安を解消するためにも、認証保育所の取り組みは一層強力に推進していきたいと思っております。
次いで、円卓会議の成果についてでありますが、文明の進展は必ず新しい技術によってもたらされて、技術の力こそが国力であると思います。個々人の旺盛な知的好奇心、たゆまぬ努力と研ぎ澄まされたひらめきや創造性が一つに結集されて、日本人ならではのあの「はやぶさ」のようなプロジェクトが完成され、遂行されるわけであります。
日本は、世界に比類のない技術力を備えるに至りましたが、翻って、昨今の若者の状況を見ますと、理数系離れが進んで、日本の持つ技術力に暗雲が立ち込めていることは否めないと思います。
今月、教育再生・東京円卓会議を開きまして、すぐれた科学者や数学者を交えて、人材育成について議論いたしました。我が国の科学技術の基盤を担う人材を育成するためには、まず知的な好奇心をはぐくみ、その上で創造性やひらめきを引き出すための環境づくりが重要であるとの思いを一層強くいたしました。
具体的な提案として、家庭や学校で日常的に科学の魅力に触れる機会を提供するなど、筆記試験でははかれない学生の創造力を評価する新たな仕組みを導入することなどのアイデアが出されまして、非常に参考になりました。
今回の会議で得られた具体的な意見や提案も踏まえて、若者の存分な好奇心と斬新な発想力を伸ばす教育改革に取り組み、日本の輝きを何とか取り戻していきたいものだと思っております。
次いで、スポーツ祭東京二〇一三についてでありますが、この大会は、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を我が国で初めて一つのスポーツの祭典として開催するものでありまして、障害のあるなしにかかわらず、すべての人々がスポーツを楽しめる社会を実現することを目指しております。
スポーツには、人々を結び、元気づける力がありまして、それを広く発信するためには、これまでの大会のあり方にとらわれずに、都民、国民に感動を与える新しい大会の姿を造形していく必要があると思います。
このため、大会の象徴となる総合開会式を薄暮から夜間にかけて開催することによりまして、光や火を効果的に活用し、スポーツの持つ夢と感動や、震災から立ち上がる日本の姿を力強く表現していきたいと思います。
今後、すべての区市町村とともに、一丸となりまして東京ならではのスポーツ祭東京二〇一三を成功させ、東京オリンピック・パラリンピックへとつなげていきたいと思っております。
次いで、オリンピック招致の理念についてでありますが、大局観を欠いた国政や停滞する日本経済など、我が国は強い閉塞感に覆われております。加えて、国は東日本大震災からの復興への明確な道筋をいまだに示せずにおります。
今こそスポーツが持つ夢、希望、目標を生み出す力、さらには限界までに挑戦する勇気を持って、この国を活気づけることが重要でありまして、先日の東京マラソンでも、多くの市民ランナーがゴールを目指して自分自身の限界に挑み、おくれて入ってくる人ほど私にとっては感動──美しく見えましたが、このスポーツの力を、とりわけ次代を担う若者たちが体感することで、自信と誇りを取り戻し、みずからの可能性に挑戦することが重要であります。
しかし、東京のあのマラソンを見ていますと、年配者が走って、その息子たちが、子どもたちが横で応援しているという奇妙な現象を随分見ましたな。いずれにしろ、世界最大のスポーツの祭典でありまして、震災復興の目標ともなるオリンピックを招致し、日本の再生を牽引していかなければならないと思います。
東日本大震災からの復興を果たしたこの日本で最高の大会を開催することは、困難に直面した世界じゅうの人々に勇気と生きる力を与えるに違いないと思います。招致は非常に厳しい厳しい戦いでありまして、国家の総力を挙げて、日本のダイナモである東京が何としてでも招致をかち取っていきたいと思っております。
他の質問については、教育長、技監及び関係局長から答弁します。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答えを申し上げます。
まず、学校給食用食材の安全・安心の確保についてでございますが、食品の安全に関しては、生産、流通の各段階で、既に関係諸機関において食品の放射性物質検査を実施しており、学校給食の安全は確保されているものと認識しております。
さらに、昨年十二月にいただいた要望を踏まえまして、学校給食に対する保護者の不安払拭のため、都教育委員会は、食品の放射線検査機器を今年度内に購入し、都内公立学校を対象に一校当たり年間三回程度、調理前の給食用食材四品目を前日までに検査できる体制を整備いたします。検査に当たりましては、各区市町村教育委員会等の意見を聞きながら実施してまいります。
次に、社会貢献に必要な実践力の育成についてでございますが、これまで都教育委員会は、すべての都立高校に「奉仕」の授業を導入し、例えば地域清掃などの環境保全活動や、高齢者の介護補助といった福祉施設での活動等、各学校が工夫したさまざまな体験活動を行ってまいりました。
来年度は、防災教育を通して、社会貢献に必要な実践力を身につけさせるため、都立高校十二校を防災教育推進校に指定し、東京消防庁消防学校等で一週間程度の共同生活を通した災害時支援活動訓練等を行います。さらに、学校や地域の核となる防災活動支援隊を結成し、それらの成果を全都立高校に普及してまいります。
こうした取り組みを強化することによりまして、社会貢献意識を持ち、互いに助け合う共助の主体となって、みずから考え、行動できる生徒を育成してまいります。
次に、次世代リーダー育成道場についてでございますが、この事業では、すべての都立高校から意欲ある生徒を選抜し、国内外での研修を実施してまいります。
国内での事前研修では、我が国の伝統や文化を学ばせますとともに、英語による講義や各界の著名人等の講演を通して、海外で通用する英語力や広い視野を身につけさせ、果敢に挑戦する意欲を醸成してまいります。
その後の一年間の海外留学では、ホストファミリーとの生活や現地の高校での学習に加えまして、大学や研究機関等での課題研究やインターンシップなど、異なる文化や生活習慣の中でさまざまな学習や体験を行わせます。
こうした都独自のプログラムにより、生徒を鍛え、将来、さまざまな分野で活躍するリーダーを育成してまいります。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 五点のご質問にお答えいたします。
初めに、特定整備路線の今後の取り組みについてでございますが、木密地域における都市計画道路の整備は、延焼遮断のための空間確保のみならず、沿道などの土地利用を転換し、地域内の建物の不燃化促進の起爆剤ともなる極めて効果の高い事業でございます。
このうち、震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域の早期改善に大きな効果を有する路線を特定整備路線に指定し、都営住宅などの活用による移転先確保や残地取得の弾力的な運用など、関係権利者に対する生活再建のための特別な支援策を講じることにより、整備を加速いたします。
特定整備路線の候補区間につきましては、現在実施している基礎調査の結果などに基づき、本年六月を目途に公表いたします。
今後とも、財源の確保などに努め、地元区と連携を図りながら、燃え広がらないまちの実現に向け、都市計画道路の整備を全力で推進してまいります。
次に、大径木再生大作戦についてでございますが、都市景観を形成し、都民に潤いや安らぎを与える街路樹は、震災時には沿道建物の車道への倒壊防止や延焼遮断などの防災機能を発揮いたします。
このため、今後十年間で都市防災上重要な環状七号線や八号線など三十七路線において、幹回り九十センチメートル以上の大径木五万本を対象として、新たに根の張りぐあいや根腐れを調査項目に加えた街路樹防災診断を実施し、土壌改良などによる樹勢回復や不健全な樹木の植えかえを着実に行ってまいります。
このことにより、災害に強い大径木を再生するとともに、風格のある美しいまち並みを創出してまいります。
次に、東部低地帯における河川の耐震対策についてでございますが、都はこれまで、スーパー堤防整備や水門など河川施設の耐震補強などを進め、一定の安全性を確保してまいりました。
これらに加え、東京都防災会議で示されたマグニチュード八クラスの海溝型地震などを想定し、水門、排水機場等の耐震性能の確認結果や、今後受ける技術検証委員会からの提言、国の検討状況などを踏まえ、対策の範囲や優先度などについて、基本方針を早急に取りまとめてまいります。
平成二十四年度は、新たな整備計画を策定し整備目標を示すとともに、優先度の高い水門については、速やかな工事実施に向け設計に着手いたします。
今後とも、安全で安心な都市東京の実現に向け、全力を挙げて耐震対策に取り組んでまいります。
次に、外環整備の今後の都の取り組みについてでございますが、外環は、首都東京の交通渋滞の解消のみならず、首都圏の陸海空の要衝を結ぶ重要な幹線道路であります。切迫する首都直下型地震や東海地震においても、日本の東西交通の分断を防ぐなど、その整備効果は多岐に及ぶものであり、外環の早期完成は喫緊の課題であります。
このため、都は、大泉ジャンクション地域の用地取得をより一層加速させるとともに、外環の事業進捗状況やその効果について、広く都民に情報発信を行い、事業への理解と協力を得られるよう取り組んでまいります。
また、外環の二〇二〇年夏までの完成に向け、国に対して、東名ジャンクション地域における大深度地下トンネル立て坑工事の早期着手を強く働きかけてまいります。
最後に、連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することで、道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化に資するとともに、都市の防災性の向上にも寄与する極めて効果の高い事業でございます。
現在、七路線八カ所で事業を進めており、本年八月に京王線調布駅付近を地下化するとともに、十月には、京浜急行線京急蒲田駅付近を高架化して、最大七百八十メートルの交通渋滞を起こしていた第一京浜の踏切を含め、これら二路線で四十二カ所の踏切すべてを除却いたします。
また、二路線四カ所で事業化に向けて諸手続を進めており、平成二十四年度は西武新宿線中井駅から野方駅間の事業認可を取得し、京王線笹塚駅から仙川駅間及び西武新宿線東村山駅付近の都市計画決定を行う予定でございます。
今後とも、必要な財源の確保に努め、区市や鉄道事業者と連携しながら、連続立体交差事業をより一層推進してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、地域防災計画の修正についてでございますが、東日本大震災の教訓を踏まえ、現行の地域防災計画をより具体的で実践的な内容へと見直す必要がございます。
見直しに当たりましては、防災会議の下に関係各局や防災機関が参加して、安全な都市づくりや交通、ライフラインの確保など、課題に応じた九つの検討部会を設置いたしました。
各部会におきましては、最新の科学的知見に基づき作成いたしました被害想定を踏まえ、災害へのあらかじめの備えや、発災時における各主体の役割や連携の手順など、被害を軽減するための具体的な対策、首都機能の早期復活への道筋などを検討してまいります。
検討内容は九月までに素案として取りまとめ、広く都民の意見を聴取するためにパブリックコメントを実施いたします。
地域防災計画の見直しを通じて、いつ発生するかわからない首都直下など大規模地震への備えを固めてまいります。
次いで、帰宅困難者対策条例についてでございますが、首都直下地震の切迫性が指摘される中、帰宅困難者対策の一層の充実には、まず、都民や事業者が取り組むべき基本的事項を条例で明文化し、都民や事業者に理解と協力を求めていく必要がございます。
その上で、条例で規定した事項の具体化に向け、事業者や関係機関と十分に調整し、本年秋を目途に、帰宅困難者対策を総合的に推進するための実施計画を策定してまいります。
この実施計画には、従業者の施設内待機や利用者保護の具体的な手順、事業者が帰宅困難者対策を実施するに当たり必要となる支援策等を盛り込んでまいります。
さらには、こうした取り組みを首都圏の自治体と連携して広域的に進めることにより、実効性ある帰宅困難者対策を推進してまいります。
最後に、防災隣組の構築についてでございますが、地域における自助、共助の力を強化していくためには、町会や自治会を中心とした既存の自主防災組織などを支援、活性化し、他の地域の新たな防災活動の誘発へとつなげていくことが重要でございます。
具体的には、発災時における近隣住民の安否確認の仕組みづくりや区民レスキュー隊の結成など、意欲的な防災活動を行っている組織を三月に防災隣組として認定し、その活動をさまざまな媒体を通じて広く発信してまいります。
あわせて、新たに防災活動を始める地域をモデル地区として指定し、その活動を支援するため、地元の町会等の関係者から成る地区連絡会を立ち上げ、地域の防災活動をサポートしている専門家を派遣して、きめ細かいアドバイスを行ってまいります。
防災隣組の構築に向けた取り組みを、地元の区市町村や消防署など関係機関と連携して幅広く展開することにより、地域の防災力の向上を図ってまいります。
〔交通局長野澤美博君登壇〕
〇交通局長(野澤美博君) 都営地下鉄における帰宅困難者向けの備蓄についてでございますが、首都直下地震が発生した際には、帰宅困難者による混乱を防止するため、一斉帰宅の抑制を徹底する必要がございます。
そのため、交通局では、都営地下鉄の各駅において、利用者を一時的に駅構内で保護するために必要な物資を備蓄することとし、当面、今年度末までに帰宅困難者が多く滞留すると見込まれる十駅に、合計で約一万人分の飲料水及び防寒用シートを備蓄いたします。
さらに、これに加え、今月三日に行われた帰宅困難者対策訓練の結果を踏まえまして、必要な物資を検証した上で、来年度早期に全駅に合計で約五万人分の物資を備蓄いたします。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 九点のご質問にお答え申し上げます。
まず、災害医療体制の充実についてでございますが、先月選任をいたしました東京都災害医療コーディネーターは、首都直下地震等の発生時に限られた医療資源を効率的、効果的に運用するために、都全域の被害状況や医療資源の状況に関する情報を集約し、東京DMATや全国から参集をいたします医療チーム等を広域的かつ効果的に配置をする役割を担っております。
また、東京都地域災害医療コーディネーターは、区市町村や関係機関と連携いたしまして、医療チームの配置、医薬品の配分、傷病者の受け入れ先の確保など、地域の実情に応じた調整を行うことといたしておりまして、二次保健医療圏ごとに早期に選任をいたします。
こうした災害医療コーディネーターが災害時により有効に機能をいたしますよう、現在、東京都災害医療協議会におきまして、発災直後から中長期に至る各段階で必要な医療体制、その際のコーディネーターの具体的な役割やサポート体制などについて検討を進めております。
今後、この検討結果を踏まえまして、関係機関と協力し、コーディネーターを活用した訓練及び検証を重ね、大都市東京にふさわしい災害医療体制の充実強化を図ってまいります。
次に、後期高齢者医療の保険料改定についてでございますが、都は、前回改定時の対応や保険料の増加抑制に基金の活用を求める東京都後期高齢者医療広域連合からの強い要望も踏まえまして、特段の措置として財政安定化基金を二カ年で二百六億円活用し、保険料の急激な上昇を緩和することといたしました。
お話のとおり、本制度の財源につきましては、一割を被保険者の保険料とし、残りの九割を公費及び現役世代からの支援金で賄うことを原則としておりますが、国は、前回の保険料改定時に臨時的措置として基金の活用を要請したのみで、その後何ら必要な対策を講じておりません。
都としては、今後とも国に対し、保険料の増加抑制のために新たに生じる財政負担につきましては、地方公共団体に転嫁することなく、国の責任で措置すべきことを強く提案要求してまいります。
次に、介護サービス基盤の整備についてでございますが、介護サービス基盤の整備は、高齢者が可能な限り住みなれた自宅や身近な地域で安心して生活できるようにするために大変重要でございます。
そのため、現在策定中の第五期高齢者保健福祉計画におきましては、平成二十四年度からの三年間で、認知症高齢者グループホームを約三千人分ふやし、定員一万人整備いたしますとともに、ショートステイについても大幅にサービス量を伸ばします。また、特別養護老人ホームにつきましても、約五千人分ふやし、四万五千人余のサービス量を確保いたします。
計画達成に向けまして、今後とも整備の進んでいない地域への補助単価を加算するなど、都独自の制度を活用し、区市町村と連携しながら、高齢者の生活を支える介護サービス基盤の整備に積極的に取り組んでまいります。
次に、在宅療養の推進についてでございますが、第五期高齢者保健福祉計画では、重点的に取り組む分野の一つとして、在宅療養の推進を位置づけ、医療と介護の連携強化によります二十四時間の安心を目指すこととしております。
そのために、医療や介護の関係者など多職種による協議会の設置、病院から在宅への円滑な移行と在宅医療の継続を調整するための窓口の設置など、区市町村の取り組みへの支援に加え、来年度からは、医療と介護の連携に重要な役割を果たす訪問看護ステーションの拠点整備やサービスを支える人材育成等を一層推進することといたしております。
こうした取り組みによりまして、高齢者が地域の中で安心して療養生活を継続できる環境を整備してまいります。
次に、介護保険財政安定化基金の活用についてでございますが、都としては、保険者でございます区市町村の意見も踏まえまして、第五期高齢者保健福祉計画の計画期間でございます平成二十四年度から二十六年度の三年間で取り組みます六つの重点的取り組み分野にこの財源を集中的に投入いたしまして、新規事業の立ち上げや事業の拡充を図ることといたしております。
来年度は、介護サービス基盤の整備ではショートステイの整備、また在宅療養の推進では訪問看護ステーションの拠点整備や人材確保支援の拡充、さらに高齢者の住まいの確保では、医療・介護連携型サービスつき高齢者向け住宅モデル事業の推進などに充当いたします。
今後とも、医療や福祉、住まいなど多様なサービスを日常生活の場で切れ目なく提供していくという、地域包括ケアの実現を目指しまして、財源を有効に活用してまいります。
次に、障害者の地域生活基盤の整備についてでございますが、都はこれまで、障害者が希望する地域で安心して暮らせるよう、第一期及び第二期の東京都障害福祉計画の中に、地域生活基盤の整備促進策を盛り込み、グループホームや通所施設等の整備を進めてまいりました。
こうした取り組みを一層推進するため、現在策定中の第三期計画では、障害者の地域移行・安心生活支援三か年プランを新たに定めまして、整備費の事業者負担を軽減する特別助成や、定期借地権の一時金に対する補助制度の創設などにより、平成二十四年度から三年間で、障害者の地域生活基盤を約四千八百人分整備をしてまいります。
また、入所施設からグループホームへの移行支援や、生活相談など単身生活を支援する仕組みづくりなども進め、障害者の地域生活を支える取り組みを推進してまいります。
次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでございますが、都はこれまで、保育サービス拡充緊急三カ年事業や少子化打破緊急対策事業によりまして、区市町村や施設整備を行う事業者の負担を独自に軽減するなどの取り組みを行い、平成二十年度からの三年間で保育サービスを二万四千六百十三人分整備をいたしました。
この取り組みをさらに進め、保育を必要とする人がニーズに応じて利用できるよう、平成二十四年度からの三年間で保育サービスを二万四千人分ふやすことといたしております。
この目標の達成に向け、これまでの施策に加えまして、駅ビルなど既存施設を活用した保育所等の整備や、家庭的保育の共同実施、病児保育の充実などにも新たに取り組み、利用者ニーズを踏まえたサービスの提供を促してまいります。
次に、認可保育所の面積基準の弾力化についてでございますが、お話のように、転居や育児休業からの復職など、都民の保育ニーズは年度途中にも生じますことから、これらに柔軟に対応していくためには、新たな施設の整備だけでなく、区市町村が地域の実情に応じて既存施設を有効に活用していくことも大変重要でございます。
そのため、今定例会に提出をいたしております認可保育所の基準を定める条例案では、利用者から高い評価を得ております認証保育所の実績を踏まえ、特にニーズの高いゼロ歳児、一歳児を年度途中に入所させる場合に、保育の実施主体でございます区市町村の判断で、児童一人当たりの基準面積を弾力的に運用できるようにいたしております。今回の条例案は、待機児童解消に向けた区市町村の取り組みの選択肢を広げる効果があるものと考えております。
最後に、養育家庭への支援についてでございますが、都は、本年一月に出された児童福祉審議会の提言も踏まえまして、養育家庭の認定から児童の委託後まで、養育家庭に対する支援体制を強化いたします。
まず、養育家庭の登録に当たっては、聞き取りの項目や申請様式を見直し、生活実態等をより詳細に把握いたします。また、児童と候補家庭との事前交流の際には、児童を預かっている施設と児童相談所の間で、交流状況等を相互確認する場を設けるなど、情報の共有化をこれまで以上に図り、児童にふさわしい養育家庭への委託につなげてまいります。
委託後におきましては、来年度から児童相談所に十一名増員をいたします児童心理司を活用いたしまして、すべての里子に対しての心理面接を定期的に行い、子どもの発達状況に応じて支援内容を見直し、養育上の助言等を里親に対して行ってまいります。
また、児童養育のノウハウを持つ民間団体等を活用いたしまして、里親に対する相談支援を行う里親支援機関事業を現在の三カ所から十一カ所のすべての児童相談所に拡大いたしますとともに、新たに夜間、休日の養育相談や、委託中の家庭に対する定期的な訪問などを行ってまいります。
加えて、乳児院や児童養護施設に養育家庭からの相談に対応する専任の職員を新たに配置をいたします。これらによりまして、養育家庭が抱えるさまざまな悩みを受けとめ、気軽に相談できる体制を強化してまいります。
さらに、児童相談所、子ども家庭支援センター、地域の関係機関の連携を強化いたしまして、児童への支援に必要な情報の共有化を図りながら、地域全体で養育家庭を支える仕組みを構築してまいります。
〔消防総監北村吉男君登壇〕
〇消防総監(北村吉男君) 新たに設置を予定しているハイパーレスキュー隊の配備の考え方及び内容についてでありますが、東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故など、大規模な複合災害となった教訓から、NBC災害にも対応できるハイパーレスキュー隊を八王子市において早期に増設いたします。
この部隊には、放射能を遮へいする機能を持った特殊災害対策車を初め、高所から大量の泡剤を放射できる屈折放水搭車などの最新鋭の機能を備えた車両や資器材を整備いたします。
これにより、既存のハイパーレスキュー隊との相互補完体制を確立するとともに、多摩地区の地域特性などを考慮し、林野火災や土砂災害にも幅広く対応してまいります。
新たなハイパーレスキュー隊は、いつ発生するかわからない大地震に備え、平成二十四年度を目途に、仮隊舎での発隊を予定しており、さらに平成二十七年度の本隊舎での運用を目指し、計画的な整備に取り組んでまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、不燃化特区制度についてでございますが、この制度は、木密地域の中でも特に改善を必要としている地区を対象に、強制力を持った事業を活用するなど、従来よりも踏み込んだ取り組みを行う区に対し、都が不燃化助成の上乗せや都有地の提供などの特別の支援を行い、市街地の不燃化を強力に推進するものでございます。
都は、実効性ある制度を構築するため、区と協力して制度の先行実施を行うこととし、先ごろ実施地区の募集を開始いたしました。今後、区からの提案を受けて地区の選定を進めてまいります。
都としては、先行実施における取り組みも踏まえ、平成二十四年度中に制度を構築し、地元区の積極的な取り組みを支援しながら、木密地域の不燃化を加速してまいります。
次に、既存住宅ストックの活用についてでございますが、約六百八十万戸存在する住宅ストックを有効に活用するためには、リフォームを含め、消費者が安心して取引できる市場を整備し、既存住宅市場の活性化を図ることが重要でございます。
このため、既存住宅のリフォームや流通にかかわる市場の拡充強化に向け、市場の実態、消費者の意識、事前検査の実施状況の把握など、関係業界の意見も踏まえながら、これまでにない幅広い調査を実施いたします。
この調査結果も踏まえ、既存住宅の検査項目や住宅履歴情報の内容の標準化を進めるとともに、売買時における情報提供方法の確立等、関係団体とも連携しながら、新たな実効性のある方策を実施してまいります。
次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、都は、条例制定後、所有者が速やかに耐震診断に取り組めるよう、義務化に先立ち、約五千棟を対象とした休日や夜間を含む個別訪問や説明会の開催を行い、条例や助成制度の内容等について周知してまいりました。
この結果、所有者からの事前相談件数は大きく伸びており、特定沿道建築物の診断助成件数も大幅に増加しております。
診断義務化が施行される四月からは、個々の所有者の事情に応じた具体的な相談や建築士のあっせんなど、診断の実施に向けたきめ細かな働きかけを行ってまいります。
さらに、区市町村や診断を実施する建築士の団体との連絡会議を設置し、関係者間の連携を緊密にすることで、耐震診断を円滑かつ迅速に進めてまいります。
次に、耐震改修の促進についてでございますが、耐震診断の結果を耐震改修工事に向けた所有者の主体的な取り組みに的確につなげていくことが重要でございます。このため、診断が完了した所有者に対しては、区市町とも連携して、適宜、補強設計や改修工事に関する必要な情報提供や助言を行うとともに、実際に行われた改修工事の事例をわかりやすく紹介するなど、技術的な支援を充実させてまいります。
また、すぐれた技術力や豊富な実績がある施工業者の紹介や、工事全般に関する専門的な相談に対応できるよう、建設業の関係団体との新たな連携の仕組みの構築に向け取り組んでまいります。
今後とも、こうした取り組みを強力に推進し、災害に強い首都東京を実現してまいります。
最後に、多摩地域の都市計画道路についてでございますが、多摩地域が活力と魅力にあふれ、一層の発展を遂げるためには、南北道路やJR中央線を初めとした立体交差化など、これまで整備してきた基盤を生かしつつ、効果的な道路ネットワークを形成することが不可欠でございます。
また、広域的な人や物の流れを円滑にするため、都県間を結ぶ道路を一層充実させるとともに、立川や八王子など拠点の育成や利便性の向上などに資する道路の整備が重要でございます。さらに、地震等への対応力を備えるためにも、迅速な救助救援活動や緊急物資輸送を支える道路ネットワークの充実が欠かせません。
そこで、これらの視点も踏まえ、今後、都市計画道路のあり方について調査検討に着手し、第三次事業化計画以降を見据えた次の都市計画道路の整備方針の策定に向けて取り組んでまいります。
〔港湾局長中井敬三君登壇〕
〇港湾局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、東京港における津波、高潮対策の強化についてでありますが、首都東京の沿岸部を守るため、津波や高潮に対する備えをさらに強化することは、都における喫緊の課題であると認識しております。
技術検証委員会におけるこれまでの議論を踏まえ、新たに、水門、排水機場の出入り口を防水扉にするなどの耐水対策に取り組むとともに、水門に引き続き、排水機場等についても、液状化対策など耐震性の強化を進めてまいります。
また、緊急時のバックアップ機能を一層強化するため、高潮対策センターを現在の辰巳に加え、港南にも配置し、いずれかが被災によって機能不全になっても、もう一つの拠点から遠隔操作を可能とする体制を整備してまいります。
さらに、通信網の多重化や連絡手段の複数化を進め、津波に迅速かつ確実に対応できる体制も構築してまいります。
こうした取り組みとともに、今後公表される東京都防災会議や国における津波高の検討結果等を踏まえ、東京港の津波対策を推進し、東京の防災機能を一層高めてまいります。
次に、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化の取り組みについてでありますが、アジア諸都市との厳しい競争を勝ち抜くためには、臨海副都心ならではの特色ある開発を進めることが必要であります。そのためには、都のみならず、民間事業者も含めた多様な主体による知恵と努力がかぎとなってまいります。
そこで、来年度、MICE、国際観光機能等の充実に資する事業に補助金を交付する臨海副都心MICE拠点化推進事業を創設し、民間事業者の進出意欲や創意工夫を引き出してまいります。
また、地域一体でにぎわいを創出し、多くの来訪者を引きつける努力も重要であります。昨年の東京モーターショーに引き続き、現在、東京臨海ホールディングスグループや進出企業が協力して、「ゆりかもめ」とりんかい線の一日乗車券の提示で、東京国際アニメフェア二〇一二のオリジナルグッズや、周辺施設の料金割引等の特典が受けられる取り組みを展開しております。さらに、魅力的なイベントも新たに誘致していくこととしております。
今後は、アジアヘッドクオーター特区の指定による規制緩和や税制支援も活用することで、臨海副都心をMICE、国際観光の一大拠点へと発展させ、日本経済を牽引する重要な国際戦略拠点として成長させてまいります。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕
〇下水道局長(松田二郎君) 下水道施設の耐震化、耐水化の取り組みについてのお尋ねでございます。
基幹施設であります水再生センターやポンプ所について、技術検証委員会の議論を踏まえ、地震、津波への対策を強化をしてまいります。
まず、耐震対策について、これまでは、関東大震災クラスの地震を想定し耐震補強を進めてまいりましたが、今後は、東京都防災会議で示されたマグニチュード八クラスの地震動などに対しても、機能を保持するために必要な対策を再構築などにあわせて計画的に実施をしてまいります。
耐水対策につきましては、豪雨による浸水への対策を実施してまいりましたが、今後は、想定される津波に対しても機能が確保できるよう、止水壁や防水扉の設置など、新たに必要となる対策を速やかに実施してまいります。
また、津波発生時に緊急に閉鎖しなければならない高潮防潮扉について、区部の下水道管内に敷設をして利用しております八百キロに及ぶ光ファイバー網を有効に活用し、操作の安全性と迅速性を確保するための遠隔制御化を行ってまいります。
さらに、関係局と連携し、既存の通信網を相互に活用することで、情報の共有化や通信網の多重化を図るなど東京の防災力のさらなる強化に貢献をしてまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 水道の備えのあり方についてでございますが、東京の水道は、高度経済成長期に急増した需要を背景に施設の整備拡充に努めてまいりましたが、こうした施設の多くが、間もなく一斉に更新時期を迎えます。
このため水道局では、大規模災害や気候変動などのリスクに対応できるよう、水道施設の再構築のあり方について検討を重ね、現在、その基本構想の素案を公表し、広く都民に意見を求めております。
この素案では、将来起こり得るさまざまなリスクに対し、耐震性の向上や能力の増強など個別対策を強化するとともに、それらを緊密に連携させ複合的な備えを講じ、水道システム全体で対応していくという新たな安全度の考え方を基軸に据えております。
具体的な取り組みについてでございますが、厳しい渇水にも対応できるように水源を確保してまいります。また、施設の更新時や災害時などにおきましても、給水に影響を与えないよう、先行して境浄水場などの能力を増強するとともに、全浄水場で電力の自立化を推進いたします。さらに、多摩南北幹線などの主要幹線や給水所の整備により、水道システム全体のネットワーク化を進め、バックアップ機能を強化してまいります。
こうした取り組みを着実に進め、あらゆるリスクに直面しても水の供給を途絶えさせない新しい水道へと再構築することにより、都民の暮らしの安全と安心並びに首都東京の都市活動を将来にわたり支え続けてまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
まず、東京の活力と国際競争力の維持向上に向けた省エネモデルの発信についてでございますが、オフィスビルなどの業務部門は、東京の経済活力の源泉の一つでございます。低炭素型で防災性にすぐれるとともに、知的生産の空間として執務環境の快適性をも備えたオフィスビルの東京モデルを構築し、普及拡大を図っていくことは、東京が都市間競争の中で人や企業に選択され続けるアジアのヘッドクオーターとして発展していく上でも重要な課題でございます。
東京では、多くの都市開発事業者等が、昨年夏に取り組みました照明や空調温度の見直しなど、運用面の対策に加えまして、エネルギー使用量の見える化を図りながら、LED照明や高効率空調システム等の導入を進めております。
さらに、照明、空調のきめ細かい個別調整が可能なタスク・アンド・アンビエント技術の活用によりまして、個々のオフィスワーカーが自分にとって快適な執務環境をつくり出し、オフィスの知的生産性を高めることのできる先進的なエネルギーマネジメントの実現に向けた取り組みも開始されております。
三月十二日には、メディアや都市開発事業者等と連携いたしまして、節電の先のスマートエネルギーシティーへと題するセミナーを開催し、こうした取り組みを広く紹介してまいります。
さらに、ことし春には、中長期的に取り組むべき具体的な省エネルギー対策を示す行動方針を策定して、東京発のエネルギーマネジメントのあり方を提示してまいります。
これらの取り組みを発展させ、執務環境にもすぐれ、スマートな節電が可能で、かつ防災性も備えました次世代型のオフィスビルの東京モデルの構築を促進し、国内外に発信してまいります。
次に、老朽化した火力発電所のリプレースについてでございますが、石油火力など老朽化した火力発電所は、発電効率が低く、大気汚染への影響やCO2排出量の面でも環境性能の低いものとなっております。
そこで、昨年秋、都は九都県市共同の取り組みとしまして、低炭素かつ高効率な火力発電設備へのリプレースの推進に向け、民間事業者の活用を図ることを国に対して要請いたしました。
ご指摘のとおり、大井火力発電所も含め、老朽化した火力発電所をリプレースし、ガスコンバインドサイクル化することによりまして、発電効率や環境性能の向上に加え、発電能力の増強にもつながり、首都圏におけるエネルギー供給体制の強化に大きく貢献することができます。
このため、猪瀬副知事をリーダーとするプロジェクトチームで百万キロワット級天然ガス発電所の建設とあわせて検討いたしまして、外部資金の活用も含め、国や東京電力に対し、既存の老朽化した火力発電所の優先的なリプレースの実現を申し入れてまいります。
こうした取り組みによりまして、都は、民間事業者の参入促進を進め、電気事業における地域独占の弊害を打破するとともに、首都圏におけるエネルギー需給の安定化を図ってまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、ものづくり産業の集積確保に向けた取り組みについてであります。
空洞化の危機に直面する中で、東京のものづくりを支える高度な基盤技術を持つ中小企業の集積を確保し、製造業の競争力の維持向上を図ることは重要でございます。
このため、都は、来年度からものづくり産業集積強化支援事業を創設し、地元の自治体と連携して地域の産業集積確保のための支援を展開してまいります。
具体的には、対象地域を設定して、生産設備等の充実に取り組む企業への助成や成長企業の誘致のための補助に加え、工場周辺に配慮した環境対策のハード整備などに取り組む区市町村の事業を対象といたします。最大で年間一億円の経費を都が補助することによりまして、基盤技術の担い手である中小製造業の集積の維持と発展を効果的にサポートしてまいります。
次に、商店街を活用した買い物弱者への対応についてでありますが、買い物弱者の実態を正確に把握した上で、商店街による効果的な対応方法を検証するモデル事業を着実に進めていくことは重要であります。
都の行いました調査では、高齢者のうち買い物に不便を感じる方は全体では一割半程度ですが、約三割と高い地域もあります。不便を感じる方は、買い物に行く店舗、お店まで時間がかかる傾向があり、商店街に対しても宅配サービス等を望む割合が高くなっております。
来年度開始いたします買い物弱者支援モデル事業では、今回の調査結果を踏まえ、買い物弱者へのサポートとなる配達業務などですぐれた成果を期待できる商店街の取り組みをモデルとして選び、地元の区市町村と協力して助成を行うなど、円滑な事業の運営を支援してまいります。
次に、観光産業の活性化に向けた取り組みについてでありますが、観光は、人々の動きや交流を生み出すことで経済活動を刺激し、平成二十二年の都内生産波及効果は九・八兆円に上っております。
ことしは、大規模な国際会議の開催や東京スカイツリーの開業などがあり、さらに来年は、スポーツ祭東京が開催されるなど、東京の観光にとりまして絶好の機会が続きます。
そこで、平成二十四年度は、アジア、欧州等でプロモーション活動を積極的に展開するとともに、オリンピック・パラリンピック東京招致の機会も通じまして、東京の魅力を世界に発信してまいります。
一方、都内では、海外メディアを招聘して取材を支援するほか、MICEの機会をとらえて集中的なPRを行ってまいります。
また、注目の集まる東京スカイツリーを初めとした新たな観光資源を生かす取り組みとして、地域の観光事業者等とも連携し、観光情報の一体的な提供や新たな観光ルートの開発促進を支援するなど、旅行者の回遊性を高めてまいります。
こうした取り組みにより、観光産業のさらなる活性化を図り、東京の地域経済の発展に寄与してまいります。
次に、日帰りによる被災地応援ツアーについてでありますが、福島県は、東京からの日帰り旅行圏でもあり、都内の旅行事業者が数多く日帰りツアーを催行しております。
こうしたことから、来年度は宿泊旅行に加え、新たに日帰り旅行も対象といたします。
具体的には、旅行事業者が造成する日帰りツアーへの申込者一人につき一千五百円、一万五千人分の助成といたしまして、時期については、四月からの開始に向けて準備を進めております。
日帰り旅行も対象に加えることにより、観光を取り巻く状況が依然厳しい福島県の復興に貢献してまいります。
次に、若者と企業とを結びつける取り組みについてでありますが、都は、厳しい雇用情勢に対応して、今年度から、若者と企業とのマッチングを支援する未就職卒業者緊急就職サポート事業を開始しております。
参加した若者は、研修を通じて職業観の醸成や中小企業への理解を深めた上で就労体験を行い、これまで約半数が正規雇用に結びつくなど成果を上げております。
また、企業にとりましては、十分な時間をかけて、求める人材を見きわめられるなどの効果がありました。
このため、来年度は事業規模を七百五十人から千人に拡充いたします。
さらに、この仕組みを活用いたしまして、環境、健康など今後成長が見込まれ、重点的に人材を確保する必要があると考えられる産業分野でモデル事業を開始いたします。
これらの取り組みを通じまして、就業面での若者と中小企業のミスマッチを解消し東京の産業振興にもつなげてまいります。
最後に、しごとセンター多摩の移転とサービスの向上についてでありますが、都はこれまでも、地域のニーズに即した職業訓練や就業支援、労働相談などの事業を通じまして、企業の人材育成、確保や雇用環境の整備等をサポートしてまいりました。
その拠点の一つである国分寺のしごとセンター多摩は、狭隘で近年建物も老朽化してきております。
このため、平成三十年度を目途に、同センターを立川駅南口に移転整備し、機能の拡充を図ることといたしました。これにより、地域の求人、求職ニーズに的確に対応し、企業の人材不足の解消に資してまいります。
同時に、企業の雇用環境整備を支援する労働相談情報センター国分寺事務所と八王子事務所を移転統合し、スケールメリットを生かした事業展開を図り、サービスをワンストップで提供する拠点としてまいります。
こうした取り組みにより、多摩地域の中小企業が抱えるさまざまな雇用問題の解決に向けた支援の充実強化を図ってまいります。
〔生活文化局長井澤勇治君登壇〕
〇生活文化局長(井澤勇治君) 都における私学振興の取り組みについてでございますが、東京では、高等学校の生徒の約六割、幼稚園に至っては園児の九割以上が私立学校に通学しており、都は、私立学校が東京の公教育に果たしている役割が極めて大きいことから、私学振興を都政の重要課題と位置づけております。
そのため、都では、教育条件の維持向上や児童生徒等の修学上の経済的負担の軽減、学校経営の健全化を目的とした、私学助成の基幹的補助である経常費補助を初めとして、学校の施設、設備に対する補助や保護者負担軽減策など、幅広い私学振興策を展開してまいりました。
少子化の進行などにより、私学を取り巻く環境は依然として厳しい状況にございますが、私立学校が今後も有為な人材を育成すべく質の高い教育を確保していくため、学校運営に対する支援の柱となる経常費補助を中心として、来年度も私学助成の充実を図り、引き続き、私立学校の振興に努めてまいります。
次に、私立学校における安全対策の取り組みについてでございますが、都はこれまでも、私立学校に通学する子どもたちの生命を守るため、特に小中学校については平成二十五年度までに耐震化を完了させるという目標を掲げ、すべての私立学校を対象に、最大で補助率五分の四となる耐震化補助を実施するなど、安全確保に取り組んでまいりました。
東日本大震災から得た教訓を踏まえ、さらなる私立学校の防災力向上を図ることとし、建築士の派遣などにより耐震化を一層促進するとともに、設備については、災害発生時の電力不足に備えるため、太陽光発電設備等の整備に対する補助を拡充いたしました。
また、多くの児童生徒等が安全に学校で過ごすことができるよう、水や食料等の防災備蓄物資について、各学校の要望も踏まえ、備蓄状況に応じた整備が可能となるメニュー方式による補助を実施いたします。
今後も、私立学校における児童生徒等の安全・安心の確保に向け、総合的な施策を推進してまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、シニアスポーツの振興についてでございます。
だれもがいつまでも健康に過ごせるよう、高齢者がスポーツに取り組める環境を整備することは極めて重要でございます。
都はこれまでも、シニア健康スポーツフェスティバルの開催や全国健康福祉祭、ねんりんピックへの東京都選手団の派遣など、高齢者がスポーツに親しむことによる生きがいづくりや健康づくりを進めてきたところでございます。
およそ四十年後には、全国の高齢化率は約四割となるとのことでございまして、一層の高齢社会の進展を見据え、今後、新たに、シニアスポーツ振興事業に着手いたします。
地区体育協会などによる高齢者を対象としたスポーツ競技会、講習会などの実施を支援し、高齢者がスポーツに参加する機会を創出することで、さらなる高齢者の健康の維持増進、スポーツ振興を図ってまいります。
次に、スポーツ推進のための指針策定についてでございます。
ご指摘のように、震災を契機に、スポーツが被災地の復興、経済の復興、そして何よりも日本人の心の復興に大きな力を発揮することが改めて認識されてきたところでございます。
また、スポーツ基本法の施行を初め、高齢社会の急速な進展や障害者の社会参画など、東京のスポーツを取り巻く環境は大きく変化しております。
こうした状況を踏まえ、スポーツを通じて日本の復興を後押しするとともに、スポーツ祭東京二〇一三から二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックへと、都民が一層スポーツに親しめる環境を整備していけるよう、東京のスポーツ推進の指針となります計画の改定に取り組んでまいります。
最後に、オリンピック・パラリンピックについてでございます。
東京は、世界有数の公共交通網を初め、質、量ともに充実した宿泊施設など、十分な都市インフラを有するとともに、世界の中で最も安全で治安のよい都市でございます。
こうしたことから、東京においては、世界最大のスポーツイベントでございますオリンピック・パラリンピックを、都心から離れたオリンピックパークという隔離された空間を設けることなく、大都市の市街地の中で既存の都市空間と融合して開催することが可能でございます。
このように大都市の中心で大会を開催することにより、選手や観客などが高度に発達した都市の利便性を享受しつつ、世界に誇る食文化や伝統芸能、地域住民との交流によるおもてなしの精神や礼節など、東京、そして日本の魅力を体感できる大会といたします。
また、地域住民にとっては、身近なところで大会観戦が可能となるとともに、東京に集う世界のすべての人々と交流できる、またとない機会ともなります。
二〇二〇年東京大会は、このような成熟した都市における新しいオリンピックのモデルを披瀝するものでございまして、これをIOC委員初め関係者に強く訴え、必ずや招致をかち取ってまいります。
〇副議長(ともとし春久君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時四十三分休憩
午後六時開議
〇副議長(ともとし春久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
百八番中嶋義雄君。
〔百八番中嶋義雄君登壇〕
〇百八番(中嶋義雄君) 公明党を代表して質問をいたします。
初めに、平成二十四年度予算案と財政運営について質問をいたします。
石原知事は、過日の所信表明において、五年連続の都税収入減収に危機感を表明いたしました。確かに平成十九年度にはおよそ五兆五千億円に上った都税収入は、現在では四兆一千億円台に激減をしております。
しかも、日本を取り巻く経済状況は、失われた二十年を惜しむどころではなく、現代資本主義はもはや自壊したなどと指摘する論評まであらわれ、経済構造の根源的な転換なくしては日本経済の再生はあり得ず、財政の好転など望むべくもないという認識が広がっております。
しかも、それは経済の問題にとどまることなく、政治、経済、社会全体すべての構造転換が不可欠との深刻な認識に発展をし、現在の国政への抜きがたい不信感、絶望感につながっております。しかし、絶望ばかりしている場合ではありません。
こうした中にあって、東京都の平成二十四年度予算案は、公会計制度の改革、つまり複式簿記・発生主義会計の導入による事業評価によって約二百二十億円の財源を生み出し、さらに事業費の精査によって、およそ千百六十億円の財源を確保するなどの取り組みによって、雇用や中小企業支援、景気対策に密接に連動する投資的経費を八年連続で増加させ、さらに保健と福祉の分野を、その額、構成比とも過去最高とするなど、苦心と苦労、努力の跡がうかがえる予算案となっており、評価をいたしたいと思います。
しかし、それにしても問題は、依然として厳しい経済状況が続く今後の財政運営であります。東京は、今まさに都市の更新時期に差しかかり、防災、環境、福祉に最大限に配慮した中長期にわたる都市インフラの再整備は待ったなしの課題であり、加えて、加速度を増す高齢化に伴う諸施設、住宅などの環境整備、また、都市間競争に打ち勝つための官民挙げての大胆な都市再生の積極的な展開も避けて通ることはできません。まして、東日本大震災の被災地への復旧、復興支援は、さらに息の長い取り組みが不可欠であります。
ここで、東京都の抱えるすべての課題を挙げて論ずることは不可能でありますが、いずれにしても重要なことは、まず第一に、今後の財政のかじ取りであります。都政史上初の五年連続の都税収入減収に危機感を表明した石原知事の今後の財政運営にかける意欲と決意、そして、より根源的な解決策として、財政自主権の確立を中心とした本格的な地方分権への取り組みについて、まず所見を伺いたいと思います。
続いての質問は、東日本大震災の被災地支援であります。
政治に携わる者の一員として、千年に一度の大災害に遭遇した重みを断じて忘れてはならない、これが発災以来の我々都議会公明党の合い言葉でありました。
発災直後から、警視庁、東京消防庁、そして自衛隊の皆様が必死の活動を展開されたことは、日本国民全員の称賛の的となりました。石原知事も、東京都としてできることは何でもやるとばかり、うろたえる国をしり目に支援、救援に当たったことは、これも高く評価すべきであります。
我々都議会公明党も、被災地から悲鳴にも似た支援の要請を連日のように受け、総務局の総合防災部を初め関係各局の局長、部長、課長の皆さんと、時にはきつい言葉のやりとりを交わしながら、一つ一つの支援策の実現に取り組んでまいりました。
その結果、例えば、被災三県への旅行者に対して、一泊三千円、五万泊分の補助の実施や、来年度における福島県への旅行者に対する助成の実現など、被災地から大変に歓迎される成果も上げることができました。
間もなく被災から一年を迎えますが、いまだ国は復興庁の本格的な始動もできないお粗末な状態にあります。したがって、東京都の果たすべき復旧、復興支援の必要性は、いささかも減じるものではありません。
都議会公明党は、昨年来の数次にわたる被災地訪問に引き続き、二月の十二、十三の両日、福島、宮城、岩手の被災三県に議員団を派遣し、県や市町、商工団体、あるいは被災住民から実情をつぶさに聞いてまいりました。
やはり最大の課題は、水産業、農業の壊滅的被害による地元経済の崩壊、雇用の喪失であります。地元商工会議所などからは、地元産の物産は何としても確保し、必要量を必ず集めるから、大規模な被災地物産展を連続して実施してほしいなどと強く要請をされました。
都は、昨年十二月、東京国際フォーラムで三日間にわたり被災地復興応援フェスタを開催いたしました。このイベントには、岩手、宮城、福島の被災三県の物産展や伝統工芸品の制作実演、また、販売コーナーなど三十八の店舗が出店し、三日間の来場者が延べ二万四千人を超えるにぎわいの中、物産を完売できた店舗も少なくありません。
出店者からは、こうした応援イベントは大変にありがたいとの数多くの声が上がっておりました。都は、今後も、ぜひともこのような取り組みを大規模に、しかも連続して実施すべきであります。
また、同じ物産展でも、小規模なイベントなどの場合、交通費や宿泊費などの費用が収益を上回り、赤字になる例が少なくないといいます。
そこで、東京都は、商工会議所やJAなど民間にも協力を求め、収益が上がり、被災地の雇用にもつながるような物産展の実施を検討すべきでありますが、これも見解を求めたいと思います。
他方、宮古市では、特産品を初め、現地の産業に精通した県外の企業が、現地の人を雇用しながら市の産業支援センターと連携し、一軒一軒の店舗や事業所を回り、無理のない範囲で物産品を集めては、東京のイベント会場や店舗で販売を行い、消費者と結びつける努力を行っておりました。こうした現地における身の丈に合った丁寧な支援も重要であり、陸前高田市でも同様の支援が検討されておりました。
このような企業などが東京で販路拡大をしやすくできるよう、まずは都が活動拠点を提供するなどの支援策を講じるべきであります。
また、都内各地に散在する商店街の空き店舗を活用し、被災地支援のため、企業やNPOがアンテナショップなどを出店できるよう、新たな仕組みや支援策を考えるべきであります。あわせて、都の見解を求めたいと思います。
被災地では、国の第二次補正などでライフラインの復旧予算が約四倍にふえたものの、専門職員が決定的に不足し、大幅に予算の執行が滞っていると、現地の県庁の主要な幹部から聞いてまいりました。
同様に、復興にかかわる各種補助金の申請への対応、また、津波ですべてを流された地域での土地の権利関係の確定や区画整理などの専門家も大幅に不足をし、復興の足かせとなっているそうであります。
都は、これまでも被災地支援のための職員派遣に取り組んでまいりましたが、今後も現地で必要とされる専門職員の中長期にわたる支援が不可欠であります。都の継続的で力強い対応を求めたいと思いますが、見解を伺います。
次いで、災害廃棄物、いわゆる瓦れきの処理であります。
被災地では、行政関係者を初め、実に数多くの人々から、瓦れき処理の受け入れを開始した東京都に対する尽々の感謝の言葉が寄せられました。五十万トンの瓦れきの処理の受け入れの表明は、まさに誇るに足る東京都の英断であります。
被災地で最も大量に瓦れきが集積しているのは石巻市であります。ここには被災三県の瓦れき総量の四分の一が集積しており、しかも、いまだ手つかずの一万数千棟に及ぶ被災家屋の解体が進むと、さらに瓦れきの総量が増大すると現地で説明を受けました。
したがって、まずは表明した五十万トンの処理を迅速に進めることが何よりも肝要であり、さらには宮古、女川に次ぐ処理計画を早急に明らかにすべきであります。都の見解を求めます。
一方、問題は、国が本来音頭を取るべき広域処理が全く進展しないことであります。ここにも現政権の当事者能力の致命的な欠如があらわれておりますが、しかし、これも放置はできません。
公明党は、昨年、山口代表を中心に全国各地選出の国会議員およそ二十名で大田区城南島の処理工場を視察し、その現場で山口代表から各国会議員に対して、それぞれの地元において瓦れきの処理の受け入れを強く促すよう求めました。
我々公明党も引き続き全国の議員と連携して広域処理の推進に努力してまいりますが、ここはぜひとも発信力の強い石原知事と東京都が一肌も二肌も脱ぐべき局面ではないかと私は思います。
瓦れきの処理は、ただ単なる廃棄物の処理ではなく、被災者の心に突き刺さった大厄災のとげを抜くことにもつながりますと現地の方から伺いました。知事の見解を伺いたいと思います。
また、瓦れきの輸送には運搬車両の調達や廃棄物専門のコンテナの確保など、大変な苦労があると聞いていますが、瓦れきの処理を本格化させるためには、さらに輸送力を高める必要があります。
現在、車両と鉄道輸送が主流ですが、大量処理を推進するためには、いずれ船舶の活用も検討すべきと思います。見解を伺います。
被災三県の中でも、特に福島県における除染が重大な課題です。現在、国と福島県が除染の効果を検証するモデル事業を実施していますが、汚染土壌の仮置き場の確保など、課題が尽きません。
都議会公明党は、JA福島中央会やJA全農福島の方々とも意見交換してまいりましたが、国の対応がおくれる中で、JAグループとして独自の除染マップの作成を進めるとの話もありました。
広い耕作地でのマップづくりには多くの人手が必要であります。また、マップを作成した後に、それに従って除染を進めるにしても、また多くの人手が不可欠であり、県外への数多くの避難者を抱え、深刻な人手不足に陥っている福島県では、極めて困難な課題となっております。
また、福島県農業総合センターでは、果物の樹木の除染講習会も視察をしてまいりました。高圧洗浄機を使っての作業は非常に手間がかかり、やはりこれも人手が必要であります。
そうした実情を知れば知るほど、我々も頭を抱えてしまいましたが、瓦れきの処理と同様、ここはやはり東京都の底力を発揮して、支援の検討に乗り出すべきであります。
既に首都大学東京放射線学科の大谷浩樹准教授と研究室の学生さんたちが、ボランティアで郡山の除染活動を行っている例もあります。除染支援に関する都の見解を伺いたいと思います。
次に、木密対策について質問いたします。
東日本大震災では津波で甚大な被害が出ましたが、首都直下型地震における最大の脅威は建物の崩壊と二次災害の火災であります。
現在、災害に対して脆弱な木密地域には約百五十万世帯の都民が居住しております。これは放置できません。しかし、木密対策は三十年以上も前からの課題でありながら、一向に解決のできない難題でありました。
そこで、このたび東京都が木密対策十年プロジェクトに着手をすると発表したことは高く評価し、期待するところ大でありますが、しかし、問題がなくはありません。つまり、都の不燃化助成制度は、あくまで意欲ある区が主体となり、都は、その意欲ある区に対して支援を行うとしている点であります。これでは、意欲はあるが財政が厳しい区や執行体制が脆弱な区においては、意欲がないと置き去りにされかねません。
木密対策は、地元自治体の意欲の多寡にかかわりなく、必要のあるなしを最優先に判断すべきであります。そこまで都が踏み込んでいくことが重要であります。
さらに、対策が必要なすべての自治体が行動を起こすためには、従来の不燃、耐震助成だけではなく、民間の資金を活用する都市計画上の工夫が必要であります。例えば、潜在的なポテンシャルを持つ木密地域の未利用容積をアジアヘッドクオーター特区エリアに移転、売却する制度を構築すれば、木密地域の整備費用を民間から新たに調達することが可能となります。いわゆる空中権、容積率の移転であります。
現実に、東京都は平成十四年に、大手町・丸の内・有楽町地区を容積率の移転可能地域といたしました。その結果、JR東日本は東京駅の空中権を民間に譲渡、売却し、駅舎の復元、保存や駅周辺整備費のうち約五百億円の資金を調達できたという事実があります。
残念ながら、従来の耐震助成などは、特に高齢世帯における本人負担が障害となって、普及が進みませんでした。また、木密地域における再開発なども、各地で反対運動に遭って進展せず、その後提唱された修復型まちづくりも、住民合意形成の困難さ、あるいは資金の不足、住民の転居先の問題、さらに土地の権利関係の複雑さなど、さまざまな理由から目立った成果は上がりませんでした。同じことの繰り返しでは意味がありません。
そこで、先ほど述べた容積率の移転、売却による民間資金の活用や、さまざまな経験を積んで進歩した民間の再開発のノウハウを利用しつつ、一兆円といわれる資金を確保し、大胆な都市経営の手法で木密対策を進め、高度防災都市東京を実現すべきであると考えますが、知事の見解を伺いたいと思います。
また、木密対策を進めるためには、地元自治体の執行体制の強化が大切であります。そのためには、都は技術的支援や人材育成、マンパワーの提供など、ソフト面で地元自治体の支援を行うべきであると考えますが、これも都の所見を求めたいと思います。
木密地域における初期消火体制の確立も同時に重要であります。木密地域には狭隘道路が数多く存在しており、こうした地域の消防水利の整備や、地域住民による初期消火体制を強化することが極めて重要であります。
現在、東京消防庁では、水道局と連携して、狭隘道路における水道施設である排水栓の消火用水への活用や、住民が使いやすい防火水槽の整備、あるいはまたスタンドパイプなどによる消火活動の訓練をより実践的に実施するなど、地域住民の初期消火活動の効果を高める取り組みを世田谷区などのモデル地区において検証していると聞いております。
地域住民による初期消火の能力の向上に加えて、細かい路地の奥で新たに排水栓という消火用水源が確保できれば、木密地域の消火活動を強化、補充することが可能であります。
今後、都内の木密地域において、震災時の防災力を総合的に向上させるため、こうした新たな消防水利の整備などを進めるべきと考えますが、東京消防庁の見解を求めたいと思います。
続いて、景気、観光対策について質問をいたします。
現在、日本経済再生のかぎとして注目されているのが、東京をアジアのヘッドクオーターへと進化させることであります。東京が国際戦略総合特区を活用してグローバル企業を誘致し、アジアのヘッドクオーターへと発展して、アジアを初め海外の成長活力を日本に取り込むことこそが、日本経済を再生させる大きな原動力にほかなりません。
アジアや欧米の企業を東京に誘致するには、まず都市としての高度な防災性能を確保し、安定したエネルギーを供給するための自立分散型システムを導入し、さらに文字どおり大胆な都市計画上の規制緩和を行って、国内外のディベロッパーの投資意欲をかき立てる必要があります。
それと同時に、これも大胆に税制、金融面での優遇策を実施し、世界トップレベルのビジネス環境を整備することは当然の前提であります。そうした前提の上で、ここではアジア、そして世界のヘッドクオーターたるためのソフト面の整備、わかりやすくいえば、海外のビジネスマンが、本人たちだけでなく、その家族もともに安心、快適に生活できる環境の整備を強調したいと思います。
海外では、誘致した企業の社員の教育費の負担を軽減したり、あるいは彼らの母国語で子育て支援や教育サービスを提供している例も存在いたします。教育に限らず、医療、介護の面でも同様であり、さらにシンガポールの空港では、ホテル、コンベンション施設のほか、スポーツ、ゲーム、カジノなどのアミューズメント施設まで空港と連動して整備され、ビジネスだけでなく家族もともに楽しめる工夫が凝らされております。
これを可能とするものこそが特区制度であり、特定都市再生緊急整備地域でもあります。都市の国際間競争に勝ち残るためにも、こうしたハード、ソフト両面での多様な取り組みが必要であると考えますが、都の見解を求めます。
また、特区の活用は、東京の中小企業の活性化につながるものでなければなりません。海外に優秀な日本製品を売り込んでいくためには、誘致した企業の持つ海外販売網と東京の中小企業のものづくりを連動させることが重要であります。
多くの外国企業には、日本でつくる商品のプロトタイプは間違いなく海外で高い評価を受けるとの認識があるといいます。特区制度を活用して、中小企業の海外販路の拡大を図るなどの活性策を具体的に展開すべきであります。都の見解を求めます。
同様に、景気対策としてアジアのヘッドクオーター構想とともに重要なのが観光産業の活性化であります。都は国に先駆けて観光を成長産業としてとらえ、平成十三年に観光産業振興プランを策定し、以来、積極的な外国人旅行者誘致の取り組みを展開し、東京への外国人旅行者数を十年間で二倍以上に増加させました。
しかし、昨年の東日本大震災以来、歴史的な円高なども加わって、観光客が減少しております。この状況を打開し、新たな観光需要を掘り起こすためには、外国人の目線で新たな魅力ある観光ルートの開発が不可欠であります。
そこで、都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致を視野に入れて、外国人旅行者のニーズを的確に把握するとともに、外国人の目から見て魅力的な東京の観光資源を新たに発掘し、それを積極的に世界に向けて発信していくなど、外国人の視点を重視した戦略的な旅行者誘致策を展開すべきと考えます。都の見解を求めます。
次に、高齢者を地域で支える仕組みづくりについて質問いたします。
現在、第五期東京都高齢者保健福祉計画の策定が進められておりますが、先般取りまとめられた中間のまとめでは、在宅療養の推進及び認知症対策の総合的推進の二点が今後の重点事項として掲げられております。
いうまでもなく、高齢者の多くは、医療や介護が必要になっても、住みなれた地域での生活を望んでおります。こうした在宅高齢者の療養生活を地域で支えるためには、医療機関、介護専門員、いわゆるケアマネジャー、介護サービス事業者等が連携して、一体的なサービス提供を行う必要があります。
しかしながら、高齢者が安心して在宅療養ができる医療と介護の連携は、いまだ不十分であります。多忙な医療機関に対してなかなか気軽に相談できないというケアマネジャーの悩みは、いまだ改善されておりません。
したがって、医師、看護師、介護職員等が互いの専門分野を理解し合い、意思疎通を図るなど、高齢者を中心とした顔の見える関係を構築するための具体的な取り組みを進めていく必要があります。
そこで、都は改めて、在宅療養の推進のため、各専門分野間のコミュニケーションの核となる人材の育成を強化すべきと考えますが、都の見解を求めます。
一方、現在、約三十三万人に上ると推計される認知症患者の医療と介護の両面にわたる支援の体制づくりも急務であります。認知症では、物忘れなど認知機能の低下や徘回だけでなく、肺炎など多様な症状への対応も必要であり、かかりつけ医やケアマネジャーなどのさまざまな支え手が密接に情報を共有する仕組みを構築せねばなりません。
都は、高齢者保健福祉計画の中間まとめにおいて、認知症疾患医療センターを各二次保健医療圏ごとに一カ所整備を行い、地域の医療機関では対応が困難な認知症についての専門診断や、身体合併症を持つ患者の入院の受け入れのほか、地域における医療、介護連携の推進役とすると定めております。
そこで、都は、ますます増大する認知症高齢者の地域生活を支える仕組みづくりを推進するとともに、現在、医学総合研究所で行っているアルツハイマー病DNAワクチン療法の実用化など、認知症の予防や治療法の開発を加速すべきであると考えますが、見解を求めたいと思います。
次に、介護人材の確保と外国人介護士の活用について質問をいたします。
高齢社会の進展で、介護や見守りの必要性が一層増加するのに対して、高齢者を支える労働可能人口は長期的に減少する傾向にあります。加えて、福祉、介護サービス分野では離職率が高く、厚労省は、平成三十七年には七十万人以上の介護職の不足が発生すると試算をしております。
都は、平成二十年度から二十三年度までの四年間で八千四百人の介護人材を育成、確保していくことを目標に掲げ、そのために都福祉人材センターによる就労支援など、さまざまな取り組みを行っております。
さらに都は、国に対して、介護施設で働く人材の定着、確保には施設経営の安定が重要であるとして、さらに介護従事者の処遇改善に直結する介護報酬の地域加算の見直しなどの提案を行い、今回の介護報酬改定に盛り込まれました。
そこで、都は、今般の介護報酬改定の効果について検証するとともに、安定的に介護サービスを提供するための人材確保に向けて、さらに取り組みを強化すべきであると考えますが、これも見解を求めます。
去る一月二十九日、インドネシアとのEPAに基づく外国人介護福祉士候補九十五名が三年間の実務経験を経て、初めて国家試験に挑戦をいたしました。日本人でも合格率は五〇%といわれており、当初、国は一回限りとしていた受験の機会を二回に広げたものの、不合格なら強制帰国という理不尽な姿勢を改めておりません。
受験者は、母国において大学や専門学校を卒業し、看護師や介護士資格を持っており、過去に受け入れを実現した介護施設では、明るくて親身に接してくれる、勤勉などと評判も極めて良好であります。
グローバル化が進行する中にあって、このような優秀な外国人の獲得に日本が消極的な姿勢を続けていては、今後、国際的に優秀な人材はすべて他の国々に奪われていくことになりかねません。これは、大幅な人口減少社会を迎える日本にとって大きな打撃となります。
さらに、良質で多様な外国の人材を迎え入れる体制を整え、アジアの将来を担う優秀な人材の育成に貢献し、また、その人材を受け入れていくことも、国際都市東京の重要な役割であります。既に首都大学東京では、EPAで来日した看護師候補者に対する支援にも取り組み、一定の成果を上げていると聞いております。
そこで、かつて東京が待機児童解消のために規制緩和を行って認証保育所を全国に先駆けて設立したように、EPAに基づく看護師、介護福祉士候補者に対して、都として大胆かつ先進的な支援を行うべきであると思いますが、見解を伺います。
次に、がん対策について質問をいたします。
現在の日本人は、二人に一人ががんになり、三人に一人ががんで亡くなるという、まさにがん大国であり、がんは、もはや国民病であるといっても決して過言ではありません。
都は、平成二十年三月に、がん対策推進計画を策定し、今日まで、がん診療連携拠点病院や認定病院の整備、がん検診受診率の向上を初め、早期からの緩和ケアの実施、がん登録の拡大などに取り組んでまいりました。その結果、現在では、都内に三十四カ所の拠点病院、認定病院が整備され、最新の放射線治療や化学療法が行われるようになっております。
その上で、さらに東京都は、いよいよ本年七月から地域がん登録を開始すると聞いております。がんの予防、検診、治療から緩和ケア、がん登録に至るまでの一貫した流れを構築し、都が総合的ながん対策に取り組んできたことを評価し、一連のこの対策をさらに進めることを強く求めたいと思います。
そこで質問の第一は、地域がん登録についてであります。
がん登録とは、個人情報を保護しながら、発生したがんの種類、進行度のほか、治療方法とその結果などを詳しく登録、分析して、がん対策に活用する仕組みであります。がん登録の推進により、がん治療の基本的データが充実していけば、がんのタイプや進行度に応じた治療法や治療の予後の対策など、より有効ながん対策を整えていくことが可能となります。
地域がん登録の基礎となるデータは各医療機関からの患者情報であり、地域がん登録を推進するためには医療機関の協力が欠かせません。しかし、医療機関は、退院後のがん患者の状況調査を行う際、照会先の区市町村から住民票の照会を拒否されたり、照会費用を請求されたりするなど、情報収集に苦労しています。
また、都単独のがん登録では、他県の医療機関を利用する都民や、都内の医療機関を利用する他県の患者のデータが漏れてしまうという課題があります。
そこで、都は今後、地域がん登録を推進していく上で、このような課題を解消するための具体的な対策を講じるべきであります。
また、都道府県を超えた患者情報を収集するため、全国統一のがん登録制度の構築を目指すべきであり、そのため東京都は国に対して法制化を強く訴えるべきと考えますが、都の見解を求めたいと思います。
さらに、地域がん登録を進めるには、各医療機関において、医師だけでなく、登録票への記載など実務を担う職員の確保、育成が不可欠であり、これも見解を求めたいと思います。
続いて、放射線治療の普及であります。
先日、我が党は都立駒込病院を視察し、我が党の提案により新たに導入された放射線治療機器を視察し、国内で最高レベルの治療環境が整ったことを実感してまいりました。
問題は、患者の医療費の負担であります。例えば、効果的ながん治療として重粒子線治療や陽子線治療がありますが、保険が適用されていないため、治療費は三百万円前後に上ります。
そこで、駒込病院に新たに導入された放射線治療機器の機能とその効果を明らかにするとともに、費用についても保険適用が可能かどうか答弁をいただきたいと思います。
あわせて、この最先端の放射線治療機器を多摩総合医療センターなど他の都立病院にも導入すべきでありますが、見解を伺いたいと思います。
早期発見は最も効果的ながん対策であり、したがって、がん検診の受診率向上が何より重要であります。
公明党は、受診率向上に向けて、その突破口を開こうと、乳がん、子宮頸がん検診の無料クーポン券の配布や、子宮頸がん予防ワクチンの公費助成の実現を全力で推進してまいりました。こうした取り組みの結果、子宮がん、乳がんの受診率は着実に上昇し、効果が明確にあらわれております。
都は、がん対策推進計画に基づき、平成二十四年度末までに、がん検診受診率五〇%達成を目指していますが、目標達成に向けて、さらなる積極的な取り組みを求めたいと思います。
個人への意識啓発とあわせ、検診事業の実施主体である区市町村や企業に対して、受診率向上を促すためのさらなる支援策を検討すべきであります。あわせて見解を求めます。
この項の最後に、緩和ケアについて質問をいたします。
日本においては、歴史的にモルヒネに代表される医療用麻薬に対する忌避感が強く、緩和ケアがおくれたといわれております。しかし、がん治療の現場からは、不必要な苦痛、痛みを取り除く緩和ケアを行うことによって、治癒率も生存率も高くなるとの報告があります。また、緩和ケアでモルヒネを使用して中毒になった例はないとも聞いております。したがって、緩和ケアは、がん治療の効果を拡大する可能性が極めて高いといえます。
そこで、都は、医療用麻薬を有効に活用するよう医療機関に協力を求めるとともに、患者や家族、都民に周知を図るべきであります。緩和ケアにおける医療用麻薬の普及啓発について、具体的な都の対策を伺いたいと思います。
次に、この三月にマスタープランの改定を予定する都の住宅政策について質問します。
都はこれまで、都営住宅の総管理戸数を抑制してきた理由の一つとして、都内における民間住宅の増大を挙げてまいりました。しかし、都議会公明党の住宅政策プロジェクトチームの調査によると、平成二十年時点で、家賃三万円未満の都内の民間賃貸住宅は十万戸を超えるものと推定されております。
これは一体何を意味するかといえば、これらの低廉な家賃の民間住宅のほとんどが、居住空間が極端に狭いか、あるいは老朽化、バリアフリー、安全性、快適性などの点で問題があるということにほかなりません。
現に私も、エレベーターのない民間賃貸住宅に居住する高齢者が、さびついた急な階段を、日々、買い物や通院のために、はうようにして上りおりする光景を目にすることがたびたびあります。
さらに、家賃七万円未満の都内の民間賃貸住宅は約八十四万戸と推定されています。七万円の家賃とは、都営住宅の収入上限、すなわち、政令で定める方法で算定した月収が十五万八千円未満の世帯にとって支払い可能な家賃の上限とされる額であります。民間住宅で七万円の家賃といえば、恐らく三DKに住むことは不可能であり、子ども二人の標準世帯の住宅としては全く不適切であります。
つまり、都内において民間住宅の供給が需要を上回っているといっても、その実態は、劣悪な賃貸住宅が依然として数多く存在し、すべての都民に快適で安定した住居を提供できるという状況には、いまだほど遠いということであります。
居住の安定こそがすべての行政サービスの基盤であり、ベースであると我々は考えています。かつて、国や自治体の住宅政策においては、低廉な家賃の住宅を供給するだけではなく、良質な公共住宅を供給することによって、民間の賃貸住宅の水準を向上させることも大きな政策目的となっていたはずであります。
改めて、都の住宅政策の中で公共住宅の良質な水準を維持し、あわせて民間賃貸住宅の実態把握に努め、その水準の向上に努めるべきであると考えますが、都の見解を求めたいと思います。
一方、この数年の毎回の都営住宅の募集では、世帯向けで約五万件、単身者向けとポイント募集では、それぞれ一万数千件ずつの申し込みがあります。抽せん倍率は三十倍から五十倍と高い一方で、当選後に収入面で失格する事例はほとんどありません。つまり、申込者の大半が、ほとんどが都営住宅に入居できる資格を有し、現に、その必要性に迫られながら、しかし、入居できない状態が何年も続いているということであります。
高齢化や単身世帯化が進み、同時に、景気後退や雇用形態の変化による低所得化が深刻になっております。住宅セーフティーネットとしての都営住宅の必要性は高まる一方であり、少なくとも今後十数年間は同様の状況が続くと想定されます。その意味で、老朽化した都営住宅の建てかえに際しては、従前戸数の確保を図るとともに、新規募集を行うための増戸も必要に応じて行うべきであります。
都は、当面の間、都民福祉に果たす都営住宅の役割を重視して、その柔軟な運用を図るべきと考えますが、見解を求めたいと思います。
都はこれまで、低廉な費用で入居できる賃貸住宅の供給など、住まいに関する高齢者の負担を軽減するため、さまざまな施策を講じてきました。民間住宅における安心居住制度も、その一環であります。
しかし、この制度の利用は、十年間で四百九十二件と伸び悩んでおります。その理由の一つは、入居時に支払う、本人死亡時のためのいわば準備金五十万円にあります。これは、入居者の万が一の場合に備え、葬儀費用や遺品の整理費用に充てるためのいわば保証金のようなものでありますが、この負担が利用を阻む原因であり、見直しが必要であります。
利用を促進するためには、金額を低く抑え、同時に割賦払い制を導入する必要があります。高齢者の居住の安定のため、早急に検討すべきと考えますが、見解を求めます。
住宅関係の最後に、住宅政策に取り組む体制整備について伺います。
今回の改正素案では、民間賃貸住宅の空き家活用策としてのルームシェア用のリフォーム助成や、大都市特有の課題であるマンション問題に関しても、さまざまな取り組みを打ち出しました。これらの制度は我が党が求めてきたものであり、高く評価しますが、これらを実効性のある施策に高めていくためには相当の困難が伴います。
したがって、重要なことは、都単独で取り組むのではなく、区市町村にも協力を呼びかけ、わかりやすく役割分担を説明して、協働で施策の構築と展開に取り組む体制を整えるべきであります。見解を求めます。
いずれにしても、今後は都の住宅政策部門の強化が不可欠であります。改めて、近い将来の住宅局の復活など、体制の強化を求めたいと思いますが、都の見解を求めます。
続いて、教育問題。
都立高校生の中には、世界に目を向けて、広範な学習に意欲を持っている生徒がいる一方、いじめや不登校から立ち上がり、ぎりぎりの思いで通学している生徒など、さまざまな子どもたちが存在します。
高校時代は人生の中で感受性の豊かな時期に当たり、この時期に経験したことは、その後の人生で大きな意味を持ちます。したがって、この時期の教育は重要であります。
そこでまず、都の次世代のリーダー育成に関連して質問します。
一般に、若者たちが内向き志向にあると指摘される中で、都が積極的に留学支援を行い、長期的な人材輩出を心がけていくと表明したことは高く評価します。そこで、その支援策の具体的な内容をまず明らかにすべきであります。また同時に、多くの生徒が世界に目を向け、留学の意義を自覚することも重要であります。
そのためには、高校生や都民に留学の魅力と意義をわかりやすく、具体的に伝えるためのフォーラムを開催したり、海外留学経験をまとめた冊子を発行するなど、その成果を広く還元する必要があると思いますが、所見を伺いたいと思います。
次に、チャレンジスクールの進路未決定の生徒への対応について質問をいたします。
都教育委員会は、生徒の多様なニーズにこたえ、魅力ある学校づくりを進めるため、平成九年に都立高校改革推進計画を策定し、これまで総合学科高校やエンカレッジスクールの設置などを推進してまいりました。その中でも、我が党がその必要性を強調してきた、不登校や中途退学の生徒等を主に受け入れるチャレンジスクールは、入学者選抜の応募倍率が毎年高倍率になるなど、特に高い評価を得ています。一方で、進路が決まらないまま卒業する生徒も数多く存在すると指摘されております。
先日、都教育委員会は、新たな都立高校改革推進計画を策定しましたが、チャレンジスクールの生徒に対して、学ぶことや働くことの意義を理解させ、卒業後の進路につなげていく教育が必要であると考えますが、これも見解を伺います。
次に、盲ろう者支援について質問いたします。
我が党が長年要望し、知事の英断で実現した東京都盲ろう者支援センターは、二〇〇九年五月の開設から、ことしで三年を迎えます。利用者も年々増加傾向となっており、センターの役割の重要性がうかがえます。
都内には、およそ二千三百人の盲ろう者の方がおられると聞いておりますが、一方で、都の通訳介助者派遣事業に利用登録している人はわずか百人程度であり、音も光もない状況の中で、孤立した生活を送る盲ろう者が少なくないのが実態であります。
以前、私が相談を受けた事例では、後天的に視覚と聴覚を失い、金融機関での職も失って、親ともコミュニケーションがとれず、長年、自宅の部屋に閉じこもったままというケースがありました。一人でも多くの人を支援センターにつなげるには、身近な窓口となる区市町村の対応が最も重要であります。荒川区では、区の職員と盲ろう者支援センターの職員がペアを組んで対象者を個別訪問し、生活相談を受けたり、生活状況を把握する事業を展開しています。
このような支援の手が必要な人に届くよう、区市町村との連携を強化すべきと考えますが、都の見解を求めたいと思います。
一方、アメリカには、盲ろう者のためのリハビリセンターとして、国立のヘレン・ケラー・ナショナルセンターがあり、対象者に応じた訓練が受けられます。みずからも盲ろう者である東京大学先端科学技術研究センターの福島智教授は、長期にわたってアメリカに滞在し、このヘレン・ケラー・センターに通い、アメリカにおける盲ろう者支援の取り組みについて調査研究されたと聞いております。その研究成果なども伺いながら、盲ろう者支援に一貫して取り組んできた我が党として、国に対して、日本版ヘレン・ケラー・センターの設置を強く働きかけていきたいと決意をしております。
国に先行して取り組みを開始している東京都としても、国にナショナルセンターの設置を強く求めるべきと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。
次に、自転車政策について質問いたします。
先般、東京都は、我が党の提案を受けて設置されました自転車総合政策検討委員会の報告書を公表いたしました。行政はもとより、自転車利用者や民間事業者の責任を明確にし、関係機関相互の連携体制を整備するなど、社会全体で自転車対策を推進するとの基本的な考え方は、我が党の主張に沿ったものであります。特に、利用者の責任を明確にするための防犯登録データの改善や、エリア内での走行空間のネットワーク化に向けた調整の仕組みを打ち出したことは高く評価いたします。
防犯登録制度は、盗難被害の回復を目的として、自転車法で設けられた制度でありますが、自転車の適正な管理や安全な利用について、利用者の責任と自覚が求められている中にあっては、同制度を活用し、車両の所有者としての責任を問うべきであると考えます。
そこで、都は、国に先駆けて自転車の所有関係を明確に反映できるよう、制度の改善を行うべきであります。見解を伺います。
また、自転車走行空間の整備に当たっては、バス、タクシー、トラック業界など多様な業界の合意と協力が不可欠であります。これらの関係者や自転車利用者、また、保険業界なども加わった、新たな検討の仕組みを構築すべきであります。
さらに、今回の報告書を単なる理念の宣言に終わらせず、実効ある施策につなげていかなくてはなりません。そのためにも、我が党が一貫して主張してきた東京都自転車条例の制定が必要と考えます。あわせて都の見解を求めます。
最後に、暴力団排除条例について質問いたします。
昨年十月、東京都が暴力団排除条例を施行したことにより、四十七都道府県すべてにこの条例が適用されることになりました。この条例は、企業や一般市民に、暴力団とはつき合わない、利益を提供しないということを強く求めております。
そこで、当初から危惧されていたことは、追い詰められた暴力団関係者からの報復行為であります。報道によると、昨年十一月には、暴力団と関係を絶とうとした企業経営者がピストルで射殺される事件が発生、また、本年一月にも、建築会社の社長が銃撃される事件が起き、昨年からことしにかけて同様の事件が二十八件に上っているそうであります。しかも、犯人逮捕は二件のみで、証拠の乏しさが事件の解決の障害になっているといいます。
暴力団排除条例の成否は、暴力団との関係を本気で絶とうとする企業や一般市民を警察力で安全に守り抜けるかどうかにかかっております。暴力団排除条例の本来の目的を達成するために、企業、一般市民の徹底した保護対策を実行すべきであります。警視総監の見解を伺い、私の代表質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔傍聴席にて発言する者あり〕
〇副議長(ともとし春久君) そこで騒いでいる人、ご静粛に願います。従わないときは退場を命じます。
〔傍聴席にて発言する者あり〕
〇副議長(ともとし春久君) そこで騒いでいる人、退場を命じます。
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 中嶋義雄議員の代表質問にお答えいたします。
今後の財政運営についてでありますが、いかなる社会状況、経済状況にあっても、将来への展望を指し示し、なすべき施策を着実に展開していくことが行政を預かる者の責任であると思います。
そのための土台は、いうまでもなく強固な財政力でありまして、都は、財政再建を達成した後も新しい公会計制度を駆使しながら、むだの排除を徹底してまいりました。
今日の厳しい財政環境の中にあって、活用可能な基金残高を八千三百億確保することができたのも、こうした取り組みの成果であると思います。
この先も都税収入の好転は期待しにくいですが、手綱を緩めることなく自己改革を推進することで、東京が直面する新たな課題にも的確に対応できる強固な財政基盤を堅持して、強い決意を持って都民の負託にこたえていきたいと思っております。
また、既得権益を墨守しようとする霞が関の抵抗と、それをまた簡単に許してしまう国政のふがいなさも相まりまして、分権改革は遅々として進んでおりませんが、何よりも都民、国民のために、引き続き国に権限と財源の移譲を迫るとともに、法人事業税の暫定措置についても当初約したとおり確実な撤廃を求めてまいります。
これ、政府は態度を決めたようですけれども、先般の全国知事会では、某県の知事が、財政多端なんで、東京からの収奪を続けてくれという、そういう動議をしたそうで、これは実にけしからぬ話でありまして、自治というものを尊重すべき知事が、自分で自分の首を絞めるみたいなばかなことが起こっているわけですが、これは絶対に皆さんの協力で阻止したいと思っております。
次いで、災害廃棄物の広域処理についてでありますが、未曾有の大震災から間もなく一年が経過しますけれども、多量の瓦れきが被災地の復旧、復興を阻んでいる現状であります。
都は、被災地を支援するために、岩手県宮古市と宮城県女川町の瓦れきを受け入れておりますが、都の動きを受けて埼玉県や静岡県などでも瓦れきの受け入れの取り組みが始まっていますが、まだまだこれは全国的な広がりには遠く及ばないと思います。
大震災以降、原発事故の対応が後手に回りまして、放射能汚染の調査や情報開示がおくれ、国に対する信用が地に落ちた節がございますが、このことが広域処理の実現への大きな障害となっていることを国は深く自覚すべきだと私は思います。
国は、瓦れき処理が被災地の復興のかぎであることを肝に銘じて、岩手、宮城両県についても、国みずからにその処理責任があることを明確にして、覚悟を決めて臨むべきだと思います。
先ほど申しましたが、この緊急事態に対処する一種の戦いの最高司令官は総理大臣ですから、総理大臣がもうちょっとはっきりと各都道府県に瓦れきの処理について協力しろという号令を下すべきだと私は思います。
これを忌避している県は、国から交付金をもらっているんですからね。つまりそういう立場というものを考慮しろということを総理大臣が強くいい切って、とにかく強制とはいいませんけれども、やっぱり国民全体の共感を得るような号令を私は下すべきだと思っております。
都は、都内の区市町村や民間事業者とも力を合わせて、瓦れきの受け入れ処理を先頭に立って進めるとともに、これまで培ってきたノウハウを提供して、広域処理の促進に力を尽くしてまいりたいと思っております。
次いで、大胆な手法による木密対策についてでありますが、私もたびたび現地を訪れ、自分の目で確かめましたが、木密地域というのは非常に人情が細やかで、独特の風情がありまして、震災のときの自助、共助、公助という、要するに共助、向こう三軒両隣の連帯というのが一番とりやすい、そういう雰囲気のある地域でありますけれども、同時に、これは震災に一番弱い構造を持っていて、非常に皮肉な存在でありますけれども、一方では、災害時は、とにかく木密地域は甚大な被害が出る、そういう構造になっています。
首都東京の防災力を強化する上でも、最大の弱点となっているわけでありまして、この地域の改善を加速させていくには、強制力を持った事業手法の活用や、新しい建物の整備に民間の創意工夫を引き出して都市づくりに参加させることなど、これまでにない取り組みが必要だと思っております。
今後も新たに創設する不燃化特区の制度で、助成の上乗せや都税の減免など、さまざまな施策を総動員して、都や区、民間が連携して、倒れず燃え広がらないまちを何とか実現していきたいと思っております。
他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔警視総監樋口建史君登壇〕
〇警視総監(樋口建史君) 保護対策の取り組みについてお答えいたします。
ご指摘のとおりでございまして、東京都暴力団排除条例を本当に実効のあるものにするためには、都民の方々や事業者等の保護対策に万全を期することが極めて重要であると考えております。
警視庁の取り組みでありますけれども、条例の施行に合わせまして、本部の組織犯罪対策第三課という担当課がございますけれども、担当課に保護対策専門の係を設置いたしました。とともに、二百数十名になりますけれども、身辺警戒員を新たに指定いたしまして、実践的な訓練を重ねているところであります。
また、必要があらば、状況によって機動隊につきましても活用することといたしております。その他、防犯カメラでありますとか資機材の整備につきましても、予算措置を図っているところであります。
いずれにいたしましても、暴力団排除の活動に取り組んでいただいている方々が危害を加えられるといったことの決してないように、また、いかなる状況にも、いかなる不安の声にも的確に対処できるように万全を期してまいりたいと存じます。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、留学の魅力と効用のアピール、そして還元についてでございますが、留学した生徒が得た知識や経験は個人にとどめず、他の生徒や都民に広めていくことが重要でございます。
そのため、帰国後、生徒には、在籍する学校で海外での学習の成果や体験を報告させるとともに、他国の生徒等との国際交流に関する取り組みの中心的役割を担わせます。
さらに、留学した生徒による体験発表等を行うフォーラムの開催や、海外での生活や学習の様子等を掲載した冊子の作成、ウエブページの開設により、広く都民に事業の趣旨や成果、海外経験の有用性を発信してまいります。
こうした取り組みによりまして、すべての都立高校生に海外への関心を持たせ、より高い目標に挑戦しようとする意欲を引き出すとともに、社会全体で若者の海外チャレンジを促進する機運を高めてまいります。
次に、チャレンジスクールにおける進路実現のための教育についてでございますが、チャレンジスクールでは、学び直しのための基礎科目の設置や体験学習の重視など、生徒を学校に定着させる取り組みにより一定の成果を上げてまいりましたが、進路未決定者が卒業生全体の三割を超えているなどの課題もございます。
このため、キャリア教育を通じて、生徒に将来への明確な目標を持たせ、その進路実現に向けて必要となる基礎学力の定着や、基本的な生活習慣の確立に向けた指導をより一層充実してまいります。
さらに、今後、企業、大学、NPO等と連携し、生徒が体験的な学習を通じて社会や職業を実感できる教育プログラムを新たに開発、実施し、生徒の社会的、職業的自立に必要な力を育成してまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、農業団体などと協力した被災地支援についてでありますが、都は、東日本大震災の被災地復興を応援するため、農業団体などと連携し、被災地の農畜産物を販売する応援キャンペーンなどを重ねて開催してまいりました。
これらのイベントは、都が会場を提供するほか、共催団体も費用の負担を行っているもので、多くの都民の皆様が来場してお買い上げいただくことにより、被災地にも収益をもたらしております。
来月も、九日に新宿駅西口広場において、都が農業団体などと共催する東京農業フェアの場の活用を予定しておりまして、今後も被災地の農林水産物を販売し、応援してまいります。
次に、被災地の商品の販路開拓支援についてであります。
被災地の企業がその商品を東京で販売しようとする際、営業の拠点を確保することは重要であります。
都は、地方の企業が東京に営業拠点を設ける取り組みを支援するブリッジヘッド事業を活用いたしまして、被災地の企業に事務用の場所を貸し出しております。現在は、十二の区画に十一の被災地企業が入居しておりまして、来年度は区画を拡充いたしまして、最大で十八の企業の受け入れを予定しております。
こうした取り組みにより、被災地の商品の販路拡大を効果的に支援してまいります。
次に、空き店舗を活用した被災地支援についてでありますが、被災地の商品の販売を通じ、震災の被害を受けた地域を支援していくことは重要であります。
このため、都では、被災地の商品の販売を行う意欲と力のある中小企業やNPO法人等が空き店舗を活用する場合、その取り組みに要する経費に対して支援を行っております。店舗の内装や借り上げ等に必要な費用の三分の二を助成し、開業時の資金負担などを減らしまして、円滑な販売活動をサポートしております。
今後とも、こうした取り組みを適切に実施し、商品の販売を促進して、被災地の復興につなげてまいります。
最後に、外国人旅行者の誘致についてでありますが、東京を訪れる外国人旅行者を増加させていくためには、外国人旅行者のニーズを的確に把握し、戦略的に誘致施策を進めていくことが重要であると、このように認識しております。
そのため、都は来年度から、東京を訪れました外国人旅行者の行動特性について、国別を初めとして、きめ細かく把握するための調査を行うこととしております。
あわせて、今年度に引き続きまして、海外の旅行事業者を東京に招聘し、実際の東京を肌で感じてもらうとともに、海外メディアの取材を支援するなど、外国人の視点を活用して東京の魅力や安全性を世界に発信してまいります。
さらに、オリンピック・パラリンピック東京招致の機会も活用して、外国人旅行者の誘致に積極的に取り組んでまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、被災地への職員の派遣についてでございますが、都は、これまで延べ三万人を超える職員を派遣いたしまして、総力を挙げて被災地支援に取り組んでまいりました。
震災後、およそ一年が経過し、被災地が支援を必要とする業務は、地域を支えるインフラの本格復旧、被災者の生活再建など、復興を見据えた取り組みへと移行してまいりました。
これを受けまして、都の人的支援も、まちづくりの専門技術や行政経験を有する職員の中長期派遣にシフトをいたしまして、現在、約百五十名の職員が被災地で支援業務に携わっております。
来年度につきましても、都は、現地事務所などを通じて被災地の状況を的確に把握するとともに、ニーズに即した職員を中長期で派遣し、被災自治体の業務の一翼を継続的に担うことで早期復興に貢献してまいります。
次いで、福島県の除染活動への支援についてでございますが、都はこれまで、福島県の要請等を踏まえ、除染モデル事業など、除染対策を所管する部署に都職員を派遣するとともに、首都大学東京が福島県と共同して汚染土壌の回復等のための研究を実施するなど、必要な支援を行ってまいりました。
ご指摘のように、除染活動には、汚染土壌の仮置き場の問題ですとか、モデル事業の検証結果に基づく効果的な除染方法の確立ですとか、除染作業に当たるマンパワーの確保など、非常に難しい課題が残されております。
今後、都は、国等の対応の動向や福島県の意向等を十分に踏まえながら、関係局と連携いたしまして支援策を検討し、福島の復興を全力で後押ししてまいります。
最後に、都の住宅政策部門の強化についてでございますが、都では、その時々の行政課題に応じて、常に効果的、効率的な執行体制の確保に努めてまいりました。
都市整備局は、まちづくりと一体となった住宅政策を推進するため、平成十六年四月に関係部局を再編統合し設置されたものでありまして、その後も住宅担当理事の設置など、さらなる組織体制の強化を行ってきたところでございます。
一方、今日の住宅行政では、防災対策の観点から、既存住宅の耐震化や木造住宅密集地域の整備促進など、多くの重要かつ困難な課題が山積いたしております。
そのため、再編統合した局のメリットを最大限に生かしつつ、今後とも、直面する課題により迅速かつ的確に対応できるよう、事業の展開に合わせた組織のあり方を検証してまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
まず、災害廃棄物の受け入れの方針についてでございますが、都は、昨年五月に策定しました東京緊急対策二〇一一におきまして、被災地の災害廃棄物を三年間で五十万トン受け入れることを表明しております。
発災直後から都の職員が被災地の岩手、宮城両県に繰り返し足を運びまして、どこからどのような廃棄物を受け入れできるか、地元市町村とともに調整を行ってまいりました。こうした積み重ねの上に、昨年十一月から岩手県宮古市の災害廃棄物の受け入れを始め、新たに現在、四月以降の受け入れ処理事業者の募集も行っております。
また、宮城県女川町の災害廃棄物につきましては、これまで約二十回の住民説明会を行っておりまして、この三月から本格的な受け入れを始め、平成二十四年度末までに十万トンを受け入れます。
五十万トンの受け入れを目指しました宮古市と女川町以外の災害廃棄物の処理につきましては、現在、岩手、宮城両県におきまして、対象地域と搬出量の検討を行っております。都は、都内処理施設の受け入れ基準に合った選別方法や運搬方法に関しまして、両県に赴きまして、速やかな受け入れが進むよう調整を行ってまいります。
また、岩手、宮城両県のみならず、被災市町村とも協議を進め、また実際に処理を行う都内の区市町村や民間処理業者とも連携して災害廃棄物の処理を進め、被災地の復興を加速化してまいります。
次に、災害廃棄物の輸送についてでございますが、輸送方法の決定に当たりましては、安全性、効率性、即応性などを比較しております。
現在行っております鉄道コンテナ輸送は、被災地での積み込み後、都内受け入れ施設まで密閉した状態で運搬して安全性が確保でき、かつ被災地から夜間に搬出した場合、翌朝には都内に到着するなど、定時運行率も高く、効率的な輸送が可能でございます。また、既存のターミナル基地を直ちに使用できることから即応性もございます。
船舶は大量輸送が可能というメリットがございますが、清掃工場に搬入可能な小型コンテナや、そのコンテナを運搬し、荷おろしできる車両の調達等の調整が必要でございます。
今後とも、さまざまな状況を勘案しまして、複数の輸送手段の中から適切な輸送方法を選択してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、木密対策における地元自治体の執行体制についてでございますが、木密地域の整備改善は、地域のまちづくりや住民の生活に直結した課題であり、地元区の果たす役割が重要でございます。こうした役割を果たしていく上で、建てかえや生活再建の支援など、きめ細かく対応することが必要でございます。
今回の木密地域不燃化十年プロジェクトの実施に当たり、区からはまちづくりのノウハウを持つ人材の育成や、執行体制の確保に関する意見や要望が寄せられており、都としてもそうした課題があると認識しております。
今後、不燃化特区の制度構築に当たりましては、都の特別の支援策として、事業執行体制の確保などについても検討を進め、区と連携して木密地域の不燃化を推進してまいります。
次に、民間賃貸住宅の水準向上等についてでございますが、都は、五年ごとに実施している住宅・土地統計調査により民間賃貸住宅の築年数、床面積等を把握しております。平成二十年に実施したこの調査によりますと、民間賃貸住宅は都内の住宅ストックの約四割を占め、都民の居住の場として大きな役割を担っており、その居住環境の向上は都民の豊かな住生活の実現に欠かせないものと認識しております。
都はこれまでも、住生活の向上や質の高い住宅ストックの形成を図るため、長期優良住宅の普及促進や住宅リフォームに関する情報提供等を行ってまいりました。今後はこうした取り組みに加え、空き家改修工事に対する助成制度により民間賃貸住宅の活用を図るため、関係団体との協議の場を設け、意見交換や情報提供を行ってまいります。
次に、都営住宅の運用についてでございますが、都営住宅については、これまで既存ストックの有効活用を図ってまいりました。また、公平な入居機会を確保するため、より困窮度の高い世帯が入居できるポイント方式による募集や、子育て世帯が優先的に入居できる募集を実施するなど、都営住宅の適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。
今後、社会経済情勢が変化する中で、重要な役割を果たしている都営住宅につきましては、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
次に、安心居住制度の改善についてでございますが、高齢化の進展の中で、安心居住制度を利用しやすく改善していくことは重要であると考えております。
このため、契約時に費用を一括して支払う従来の方式に加え、新たに保険制度を活用し、利用者の一時的な負担を軽減する月払い方式を導入することについて、事業主体である財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターとの協議を行っており、早期の実施を目指してまいります。
今後も関係団体等との連携を図りながら、高齢者の一層の居住の安定確保に努めてまいります。
最後に、住宅政策における区市町村との連携についてでございますが、高齢者の居住の安定確保や大都市特有の課題であるマンション問題等に取り組んでいくためには、都と区市町村の協力は不可欠なものと認識しております。
このため、これまでも都は、区市町村の参画を得て、東京都地域住宅計画協議会を組織し、地域における住宅に対する多様な需要に応じた公的賃貸住宅や民間住宅の整備等に関する地域住宅計画を立案し、施策を実施してまいりました。
このたびの住宅マスタープランの策定に当たっても、区市町村の意見を十分に聴取しており、その実現についても緊密な調整と連携を図り、住宅政策を総合的に展開してまいります。
〔消防総監北村吉男君登壇〕
〇消防総監(北村吉男君) 地域防災力を総合的に向上させるための消防水利の整備などについてでありますが、震災時には木造住宅密集地域における初期消火活動が重要であり、特に消防車両が進入できない狭隘道路においては、地域住民が使いやすい消火用水を確保することが必要であると認識しております。
このため、関係機関と連携し、狭隘道路における消火栓等の整備を促進するとともに、自主防災組織による取水が容易となるよう、ふたに改良を加えた防火水槽などを整備してまいります。
また、これにあわせてモデル事業の検証結果を踏まえ、多様な消火用水を活用した軽可搬消防ポンプやスタンドパイプによる地域住民の実践的な初期消火訓練をより一層推進し、地域防災力の向上に努めてまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
〇知事本局長(秋山俊行君) 三点の質問にお答えいたします。
まず、外国企業誘致に当たっての外国人社員と家族の生活に係る取り組みについてでございますけれども、外国企業のトップが他国への拠点設置を決める際には、インフラの整備状況といったハードウエアの面だけでなくて、税制、金融などのビジネス支援や、外国人家族が安心して快適に暮らせる環境など、ソフトウエアの面も含めて総合的に判断するものという認識をしております。
このため、東京は大気汚染のレベルが低く、高度な医療機関が集積し、治安もよいなど、アジアの他の都市と比べて優位性を有していることをより積極的にPRをしてまいります。
また、今後、電気事業法に係る規制緩和等によって、高い防災対応力や自立分散型エネルギーを備えたオフィスビルの供給を促進するなど、安心して仕事ができる環境を提供し、あわせまして外国人家族の生活相談や各種手続の代行などをワンストップで行う生活コンシェルジュを民間との連携のもとに設置し、外国人家族の生活をサポートしていく計画でございます。
さらに、公立学校において外国語で授業を受けられる教育環境の整備など、都みずからも積極的な対策を講じてまいります。
こうしたハード、ソフトの両面にわたる多様な対策を戦略的に講じることで、東京が外国企業に選ばれる都市となるよう、総合特区の取り組みを推進してまいります。
次に、総合特区による中小企業の活性化についてでございますが、高い経営ノウハウやグローバルに展開する販売網を持った外国企業を誘致することで、都内中小企業がこれらのすぐれた経営資源にめぐり会うチャンスが拡大するものというふうに考えておりまして、都が提案いたしましたアジアヘッドクオーター特区では、誘致した外国企業と高い技術力を誇る中小企業とのコラボレーションを促進し、新規需要や高い付加価値の創出を促すことを目指しているところでございます。
このため、ビジネス支援をワンストップで行うコンシェルジュを設置し、企業マッチングや交流会等を行い、外国企業と国内企業との業務提携を促進させ、この提携によって生まれる技術、新製品開発に対しては、都としても財政支援を行い、東京の中小企業の活性化にもつなげてまいります。
今後とも、さまざまな産業振興施策と連携を図りながら、特区制度活用して、都内中小企業の活性化につながる取り組みを推進してまいります。
最後に、経済連携協定、いわゆるEPAに基づく看護師、介護福祉士候補者への支援についてでございますが、これまでEPAに基づく看護師及び介護福祉士候補者は約千三百人が来日しておりますが、国には合格までの十分な制度設計がなく、昨年までに行われた三回の看護師国家試験における合格率は数%と非常に低い状況となっております。
これに対し、都は、平成二十二年六月に試験内容の見直しや受験回数の拡大等を国へ強く要望いたしまして、一部改善も図られてきたところでございます。さらに、都独自の取り組みとして、受け入れ施設に対する研修経費の支援を行ってまいりました。
また、首都大学東京では、NPO法人が実施する国家試験対策学習会に協力し、昨年行われた看護師の国家試験では、全国の合格者十六名のうち、その受講者が七名、四割を占める実績を上げております。
そこで、これらの取り組みを活用し、都は、まず国家試験の合格者をふやすために「二〇二〇年の東京」計画の中で、アジアの将来を担う人材の育成事業として位置づけ、介護福祉士候補者にも支援を拡大していく予定でございます。
また、総合特区において外国企業を誘致するに当たり、外国企業社員や家族が安心して生活できる環境をつくるため、EPAで来日した看護や介護福祉の人材をベビーシッターなどの業務に従事する人材としても活用できるよう、国に対して在留資格の付与などに関する規制緩和を求めてまいります。
友好的に我が国に人材を提供しようとするアジアの国々や、日本での就職を夢見て人生をかけて来日される若者の思いにこたえるため、今後、合格率の推移や規制緩和の状況などを踏まえながら、都として先駆的な取り組みも検討していく必要があるものというふうに考えております。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 九点のご質問にお答え申し上げます。
まず、在宅療養に係る人材の育成についてでございますが、これまで都は、病院から在宅療養への円滑な移行を図りますため、病院スタッフと在宅療養に従事するスタッフとの相互研修を実施いたしますほか、今年度からは新たに、地域における医療と介護の連携を強化するため、医師、看護師、介護従事者が合同で参画する症例検討やシンポジウム等を開始いたしました。
また、介護支援専門員に対しまして、医師や看護師等と情報を共有し、適切なケアプランを作成できるよう、認知症や脳卒中等に係る医療的知識を習得するための研修を平成二十一年度から三年間行ってまいりました。
第五期高齢者保健福祉計画の計画期間内におきましても、この研修事業に積極的に取り組み、平成二十六年度までの六年間で約二千八百人の在宅医療サポート介護支援専門員を養成いたしまして、すべての居宅介護支援事業所で医療と介護が連携をした適切なケアマネジメントができる体制を構築してまいります。
今後とも、こうしたさまざまな取り組みを進めながら、在宅療養を支える人材を積極的に育成してまいります。
次に、認知症対策についてでございますが、都は認知症高齢者の地域生活を支えるため、地域における医療と介護の連携の推進役となり、認知症の専門医療を提供する認知症疾患医療センターを今年度中に指定する予定でございます。
また、医療、介護等関係者間の情報共有の仕組みづくりにつきましても、東京都認知症対策推進会議のもとに設置をいたしました認知症ケアパス部会で検討いたしておりまして、その結果を地域での取り組みを進める手引きとして、三月末までに取りまとめることにしております。
来年度は、こうした今年度の成果のもとに、区市町村や医師会等関係機関、関係団体が認知症疾患医療センターと連携をして進めます地域における支援体制の仕組みづくりを、財政面も含め、積極的に支援をしてまいります。
また、認知症の予防や治療法の開発につきましては、現在、医学総合研究所におきまして、認知症の原因となるたんぱく質を標的とした治療薬候補物質の特定を進めております。お話にありました安全性の高い非ウイルス性DNAワクチン療法につきましても実用化を目指しておりまして、既に特許申請を行い、今年度は臨床治験を米国内で行うための事前協議を米国の食品医薬品局と開始いたしております。
来年度は、ワクチン療法の実用化に向けた臨床治験の正式申請を目指すなど、認知症の予防や治療法の研究開発を一層推進してまいります。
次に、介護報酬改定の効果と人材の確保についてでございますが、都は昨年七月、質の高い介護サービスを提供するために、必要な人材を確保できるよう、大都市にふさわしい介護報酬のあり方について、国に緊急提言を行いました。
今回の介護報酬の改定では、地域加算の区分見直しなど、都の提案の一部が反映されておりますが、今後とも、改定の事業者への影響や効果を的確に把握し、機会をとらえて国に提案要求をしてまいります。
また、都は現在、新卒学生等に対する資格取得の支援や、有資格者の再就職支援研修等によりまして介護人材を育成いたしますとともに、事業者の採用を支援するため、大規模な就職説明会や地域での面接会等を行っておりまして、東京都福祉人材センターを通じて就職した方は、二十二年度までの三カ年で四千人を超えております。
さらに、人材の定着を図りますため、介護従事者が介護福祉士資格を取得するための支援や、研修受講機会を確保するための代替職員派遣の支援も行っております。
今後とも、関係機関と連携し、事業者が質の高い介護人材を確保できるよう支援してまいります。
次に、地域がん登録についてでございますが、都は、予防から治療に至るがん対策全般の評価や企画立案に資するため、本年四月、都立駒込病院内に地域がん登録室を設置いたしまして、七月から地域がん登録を開始いたします。登録室では、医療機関から提出をされますがんに罹患した方の診断、治療情報を集約いたしますとともに、区市町村から生存状況に関する情報を収集し、照合して登録をいたします。
これによりまして、地域がん登録に参加する医療機関には、がん患者の退院後の生存状況について情報を提供することが可能になります。また、他県の医療機関を受診しております都民の情報や、都内医療機関を受診している他県の患者情報につきましては、その取り扱いについて、近隣県と検討を進めているところでございます。
今後、がん登録を一層推進していくためには、お話のように全国統一の制度が必要でございまして、都はこれまで、がん登録について、法律上明確に位置づけ、積極的に推進するよう国に提案要求を続けておりますが、今後とも法制化を国に強く要望してまいります。
次に、地域がん登録に係る職員の育成等についてでございますが、都はこれまで、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院における院内がん登録実務者の育成を支援いたしておりまして、平成二十三年九月現在、国立がん研究センターが実施いたします研修修了者は百十六名となっております。
地域がん登録を進めていくためには、こうした院内がん登録の取り組みを実施している病院に加えまして、さらに多くの医療機関の参画が必要となります。そのため、今月二十二日、がん診療を実施するすべての医療機関の実務者を対象に、登録票の記載方法などについての都独自の研修を実施いたしまして、約二百名が参加をいたしました。
今後、事例演習なども加えた、より実践的な内容の研修を継続的に実施するなど、実務者の育成を推進し、地域がん登録の充実と精度向上を図ってまいります。
次に、がん検診についてでございますが、都は、東京都がん対策推進計画に基づきまして、がん検診の受診率の向上に向け、さまざまな取り組みを進めてまいりました。都民に対しては、リーフレットやホームページを活用して、がん検診の意義や受診方法を普及啓発いたしますとともに、Tokyo健康ウオークなどのイベントを通じまして、検診の重要性を訴えてまいりました。
また、がん検診の実施主体でございます区市町村に対しましては、都が提案いたしました個別の受診勧奨など効果的な受診率向上策に取り組む際に、包括補助事業を活用して支援してまいりました。
また、職域におきましては、都独自にがん検診に積極的な企業をがん検診推進サポーターに認定し、従業員への受診勧奨や都民への普及啓発などの活動を支援してまいりました。こうした取り組みによりまして、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんのいずれにおきましても、検診受診率は計画策定時と比較して七%から一五%上昇いたしております。
来年度は、中高年の自営業者をターゲットに、ラジオを活用した新たな取り組みを実施するなど、より一層効果的な普及啓発を行うとともに、区市町村や企業の取り組みを積極的に支援してまいります。
次に、緩和ケアにおける医療用麻薬に関する普及啓発についてでございますが、がん患者の療養生活の質を高める上では、早期から緩和ケアを導入し、適切な疼痛管理を行うことが重要でございます。
このため都は、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院におきまして、がん医療に携わるすべての医師を対象に、医療用麻薬を用いたがん性疼痛の治療法を含む緩和ケア研修を実施いたしておりまして、昨年十二月末現在で二千八百九十一名が研修を修了いたしております。
今後、東京都在宅緩和ケア支援センターが実施する講演会におきまして、都民に対しても医療用麻薬の有効性や安全性など、正しい知識を提供いたしますとともに、来年度、都民向けパンフレットにも新たに盛り込むなど、その普及啓発に努めてまいります。
次に、盲ろう者支援センターと区市町村との連携についてでございますが、都はこれまで、盲ろう者の社会参加が一層進みますよう、研修会や各種会議など、さまざまな機会をとらえ、区市町村に対して支援センターの活用を働きかけてまいりました。
また、支援センターにおきましても、区市町村職員などに盲ろう者が使用するパソコンを初めとしたさまざまなコミュニケーション手段を体験する機会を提供するなど、普及啓発や事業の周知に努めており、区市町村では、お話の荒川区の取り組みのほか、盲ろう者の交流会を支援センターと共同して開催するなどの取り組みが行われております。
本年四月には、都が主催いたしまして、福島教授による講演会も開催する予定でございまして、今後ともさまざまな機会を通じて区市町村に支援センターとの連携を働きかけてまいります。
最後に、盲ろう者の支援に関する国への働きかけについてでございますが、都はこれまで、盲ろう者への支援策の充実について国に提案要求を行いますとともに、国が平成二十一年度に設置をいたしました盲ろう者支援に関する勉強会に支援センター職員とともに参加し、具体的な支援策の検討を行ってまいりました。
この勉強会での検討結果をもとに、国は、平成二十二年度から盲ろう者の生活訓練等のためのモデル事業を実施しており、来年度は、その成果検証と本格的な事業化に向けての検討を行うことといたしております。
米国では、国立のヘレン・ケラー・ナショナルセンターで、盲ろう者の個々の状態に合わせた多様な訓練が行われておりまして、都としても、国に対し、盲ろう者の支援策を一層充実するよう強く働きかけてまいります。
〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕
〇病院経営本部長(川澄俊文君) 都立病院における放射線治療についてですが、駒込病院では、がん細胞に放射線を照射して治療する、いわゆるリニアックを三台活用して放射線治療を行ってまいりましたが、今回の改修工事において新たに三台の機器を導入し、機能強化を図ったところでございます。
具体的には、頭部や頸部のがんにピンポイントで放射線を照射できるサイバーナイフのほか、がんの形状に合わせた照射技術とCTの技術を組み合わせた高精度な照射を行うことができる機器、さらには、呼吸に応じて揺れ動くがん細胞を追尾して照射する動体追尾機能を装備した機器を新たに導入いたしました。このうち一部の機器は、既に一月から稼働を開始しており、今年度内にはすべての機器が稼働する見込みでございます。
これらの機器による治療は保険適用の対象でありまして、すべての機器がそろっているのは国内で駒込病院のみであることからも、効果的に活用することにより、がん患者の病態に応じた治療や身体的負担が少ない治療の一層の充実を目指してまいります。
また、駒込病院に今回導入した機器による治療実績等も踏まえながら、多摩総合医療センターなど、他の都立病院における最先端の放射線治療について、研究、検討してまいります。
〔青少年・治安対策本部長樋口眞人君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、自転車の所有関係の明確化についてでありますが、自転車のルールやマナーの問題が社会的な関心を集める中、都が国に先駆けて、利用者が責任を持って自転車を管理、利用する環境を整えるため、自転車の所有関係を明確にすることは意義があると考えております。
自転車の所有者の登録制度といたしましては、防犯登録制度がございますが、購入時に登録されましても、その後、住所の移転や自転車の譲渡、廃棄などに伴う変更登録が必ずしもなされていないのが実態でございます。
このため、関係行政機関や防犯登録を行っている東京都自転車商防犯協力会とも連携して、防犯登録に自転車の所有関係をより正しく反映させるための方策について検討し、利用者の責任の明確化を図ってまいります。
次に、自転車条例の制定等についてでありますが、自転車の安全利用に向けては、ルールやマナーの徹底、自転車走行空間の確保や、新たな条例による自転車の安全な利用環境の整備など、さまざまな取り組みが考えられますが、自転車は多くの都民が利用するものであり、その問題の解決に向けては、社会的な合意形成が不可欠であります。
その上で、都民、民間事業者、行政が責任を分担し、関係機関相互の連携体制を整えるなど、社会全体で取り組みを進めていく必要がございます。
このため、条例も含め、さまざまな自転車対策のあり方について、利用者はもとより、自転車関連業界やバス、タクシー、トラック等の運輸業界など、幅広い関係者による検討と合意形成の場を新たに設け、実効性ある自転車対策を進めてまいります。
〇副議長(ともとし春久君) 八十二番吉田信夫君。
〔八十二番吉田信夫君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
〇八十二番(吉田信夫君) 日本共産党都議団を代表して、今日の石原都政が抱える重大問題をただし、今後の都政が進むべき方向を明らかにする立場で質問します。
周知のように、東京都は一つの国家並みの大きな財政力を持つ自治体です。しかし、その力が都民の暮らしを守るために生かされない、ここに今日の都政の大問題があります。しかも今、地震に強い東京をどうつくるかが差し迫った課題になっているにもかかわらず、防災の名のもとに、これまで以上に大型開発につぎ込もうとしているのです。
石原都知事が昨年末発表した長期計画「二〇二〇年の東京」は、東京をアジアの司令塔にするという方針のもとに、二〇二〇年オリンピック招致をてこに、外環道をこの十年で完成させる、過大な港湾整備を進めるなど、大型開発をさらに加速させようとしています。
三カ年計画では、こうした事業に実に三四%もの事業費を充てています。その一方、超高齢社会の到来を強調しながら、高齢者対策はわずかに四・二%、少子化対策はさらに少なく三・一%、障害者施策に至っては〇・九%です。
知事、このような計画で都民の福祉、暮らしが守れるのですか。今求められていることは、東京都が自治体本来の役割に立ち返り、切迫した防災、放射能対策とともに、暮らしと福祉を守る手だてを尽くし、経済の主役である中小企業への支援を強化することです。
初めに、防災対策です。
東日本大震災から一年がたちますが、東大地震研究所の研究チームがマグニチュード七クラスの首都直下型地震の確率が四年で五〇%以内と発表し、文科省調査で東京湾北部地震の震度が都心部で七とされるなど、従来の想定を超える危険性が次々と指摘されています。それだけに都民の不安が広がっています。しかし、都の防災対策は他県と比べても大きく立ちおくれています。
まず、津波対策です。
既に多くの県が、新たな津波予測図の作成、湾岸施設の強化対策、避難施設の確保と耐震化を進めています。神奈川県と千葉県では、それぞれ東京湾の奥に位置する横浜市、千葉市で最大五メートルの津波を想定し、ハード、ソフト両面の対策の検討をしています。
神奈川県では昨年五月に立ち上げた津波浸水想定検討委員会が、今月初めに新たな予測図の案を発表しています。その作成に携わった学者は、東京湾は津波が湾内を反射して長時間とどまり、地盤が低いところから浸水が広がっていくと分析し、東京のゼロメートル地帯などでも大規模な浸水が起こり得ることを指摘しているのです。
ところが、東京都は、昨年九月にようやく学者の専門委員から成る地震部会をスタートさせ、津波の想定見直しはまだ論議が始まった段階にすぎません。対策を検討する別の委員会もいまだに具体策を示していないのです。この立ちおくれた現状を放置していいのですか。知事は震源地によって東京を津波が直撃し、甚大な被害になるおそれがあるといったではありませんか。東京の津波対策のおくれをどう認識し、対応するのですか。
都として津波対策の位置づけを高め、早急に新たな津波予測図の作成と区市町村への情報提供、地震と津波の両面からの護岸施設などの緊急強化対策、さらに避難施設の確保と整備への支援を進めるべきです。
また、都の現行の被害想定は震度六強が最大です。河川堤防などの都市施設は、中規模程度の地震を想定したレベル一対応にすぎず、阪神・淡路大震災など、巨大地震に対応した強度にする計画すらつくられていないのです。そればかりかレベル一の耐震化さえ実施されていない河川堤防は、東部地域だけでも六十八キロ残され、来年度は四・五キロの耐震化を進めるにすぎません。このペースでは完了まで十五年もかかります。
知事、このような状況で高度な防災都市の実現などといえるのですか。都が直接責任を持つべき都市施設の耐震化が立ちおくれている事態をどう認識しているのですか。緊急計画をつくって、震度七クラスにも耐え得るレベル二対応の強化策に踏み出すべきです。
木造住宅の耐震化が立ちおくれていることも重大です。
最大の原因は、都が自己責任第一の立場をとり、ごく限られた地域を除けば木造住宅への助成を行っていないことです。
知事は昨年十一月の記者会見で、自分の生命、自分の財産を守るというのは自分の責任じゃないですか、行政はそんなもの負うんじゃない、とてもじゃないけど、そんな財政力ありませんとまでいい放ったのです。知事の発言は、住民の生命、財産を守ることを地方自治体の根幹的な責務として位置づけた地方自治法や災害対策基本法にも、もとるものです。知事、そう思いませんか。
木造住宅は、高齢世帯、低所得世帯が多いだけに、自己責任だけでは耐震化は進みません。我が党が実施した防災対策に関する調査に対し、二十三区の七割が耐震改修助成対象地域の拡大を要望しています。また、助成額の拡充、さらに簡易な耐震改修も助成の対象とするよう求めています。こうした要望をどう受けとめますか。改善を図るべきではありませんか。
とりわけ、都内で一万六千ヘクタールに及ぶ木造住宅密集地域の安全対策は、最重要課題の一つです。現在の都の想定でも、地震火災による死者は全体の五割を超える三千五百人と推計されていますが、巨大地震による被害はさらに増加する可能性が高いのです。
ところが、都の不燃化十年プロジェクトの目玉は、整備地域内で未整備の幹線道路を十年間ですべて整備するというものです。また、大幅な支援を行うという不燃化特区も〇・五ヘクタール以上の法的拘束力を持つ再開発事業などを必須要件としています。
これでは、幹線道路建設や再開発の推進で、住民追い出しにつながりかねないではありませんか。地元との信頼関係を全く考慮せず、強制事業を要件とすることには、事業者である区として違和感を持たざるを得ないなど、多くの区から批判の声が寄せられています。都は、この声をどう受けとめますか。
木造住宅密集地域の耐震改修助成は、対象を整備地域で、かつ六メートル以下の道路に面しているという極めて狭い要件がネックになっており、大幅な見直しと拡充が必要です。
墨田区では、高齢化が進み、耐火建築への建てかえが困難な中で、高齢者、低所得世帯でも改修に取り組める壁面や窓、軒裏など、部分的耐火改修に一律百万円を来年度から助成します。区市町村のこうした取り組みこそ支援し、普及を図るべきではありませんか。
前面道路幅員が狭隘なために建てかえができない問題の改善も急務です。専門家から、これらの規制が逆に建物の新陳代謝を困難にして、防災に逆行する結果を招いていると指摘されています。
既に京都市や神戸市では規制緩和の検討が始まっています。特区というなら、こういう地域こそ指定して、一定の条件を設けた上で規制を緩和して、幅員の狭い地域でも建てかえができるよう緊急に検討すべきです。見解を伺います。
住宅数の四割を占める二百三十五万戸のマンションの耐震化の支援も極めて不十分です。我が党の調査に対して、区市は、賃貸マンションも助成対象として補助額を拡充するよう求めています。また、簡易な耐震改修や部分的改修も助成対象とするよう要望しています。いかがですか。
ピロティーなど、共用部分については公共的施設と位置づけ、居住者負担なしに耐震化できるよう検討することが重要です。また、阪神・淡路大震災で大問題となったスプリンクラーなどの破損を防ぐための耐震化が図られるよう対策をとるべきではありませんか。
長周期地震動対策の強化も重要です。都内には六十メートルを超える超高層マンションは三百五十棟ありますが、診断と対策を実施するための合意や費用負担など困難を抱え、対策が進んでいません。長周期地震動に対応した建物の診断や補強への支援が必要ですが、いかがですか。また、家具の固定化など、室内の安全対策の普及促進を図ることを求めます。
東京都の放射能対策が他の自治体と比べて大きく立ちおくれていることも重大です。その大もとにあるのは、知事の放射能問題についての間違った認識です。知事は最近も新聞紙上で、福島原発事故以来、原発廃止論の論拠なるものの多くが、放射能への恐怖というセンチメントに発していることの危うさだといい、一度の事故で否定するのは無知に近い野蛮なものでしかあり得ないなどと発言しているのです。
原発事故は一度どころか、ここ三十年ほどの間にスリーマイル、チェルノブイリ、そして福島と三度にわたり重大事故が起きているのです。チェルノブイリではレベル七、被災者は隣接三カ国で九百万人。放出された放射能が世界じゅうに影響を及ぼしました。今回の福島原発事故は、一年近くたってもなお収束のめどが立たず、歴史的にも最悪な事態を招いているといわれています。
これらの事実は、原子炉の事故リスクが極めて高いこと、放射線の封じ込めという最も重要な課題を現代の技術は達成していないことを示しているのです。知事は、これまでの原発事故の実態をどう認識しているのですか。あなたの発言は間違っていたと認めるべきです。どうですか。
知事、今問題なのは、低線量の内部被曝が、五年、十年後にがんを初めとしたあらゆる健康障害をもたらす危険、それも子どもたちにより影響が大きいという問題です。多くの専門家が疫学的な調査などによって、そのことを指摘、警告しているのです。
低線量被曝の影響について、未知の部分があることも確かです。しかし、何よりも重要なことは、これ以下なら安全ということが医学的に明らかになっていないという事実です。内部被曝を無視してきたICRPでさえ、閾値はない、少なければ少ないほどよいという見解です。こうした中で、住民の安全に責任を持つべき行政としては、被曝を最小限に抑えるという立場にしっかりと立つことこそが求められていますが、どうですか。
我が党が二月十五日に都立水元公園の落ち葉、土壌等を採取し、放射線量を測定しました。その結果、地上一メートルで〇・二四マイクロシーベルトから〇・七四マイクロシーベルトの地点で、セシウム濃度は落ち葉で一キログラム当たり最高八千二百九十ベクレル、土壌では二万ベクレル以上でした。これは、下水道汚泥など、飛散を防止する処理を行う基準とされる八千ベクレルを超える値です。
今、放射性物質が雨などによってたまりやすいポイントに集まっており、各地にこうしたミニスポットがある可能性が強いのです。都は危機意識を持って調査し、除染すべきです。それとも、子どもたちが、このような放射性レベルの土の上で転げ回って遊んでも問題ないというのですか。都が測定も除染も行わない根拠としているのは、文科省の放射線測定ガイドラインです。しかし、このガイドラインは、人間への影響を防ぐための科学的根拠に基づくものなのですか。
日本共産党都議団は、東京に隣接する六県五政令市のアンケート調査を行いました。どこも県立高校や公園など、県及び市有施設での空間線量の測定を行っています。除染基準も、川崎市では地上五センチメートルで〇・一九マイクロシーベルト以上としているのです。
また、我が党の調査では、都内の区市町村も八割が除染の独自基準を定めています。どの自治体も住民の不安にこたえ、面的な汚染だけでなくても除染に努めているのです。もちろん我が党は、隣接県市や都内区市町村の対応が十分だと思っているわけではありません。しかし、それと比べても東京都の放射能対策は大きく立ちおくれています。そう思いませんか。
都が除染基準を地上一メートルで毎時一マイクロシーベルト以上としていることに対し、都内の区市町村から安全といえる根拠を示してほしい、市民、区民の理解を得られにくいなどの意見が寄せられています。
都有施設における測定や除染を行わないことに対しても、住民に説明できないなどの厳しい意見を上げ、対策を求めています。都は、こうした都内区市町村の声に背を向けるのですか。お答えください。
次に、福祉都市東京を目指す課題について提案します。
緊急課題の一つは、来年度に介護保険料、後期高齢者医療保険料、国保料の値上げがそろって予定されていることです。都内の多くの自治体の基準介護保険料が二〇%以上上がり、月額五千円台に突入します。廃止のはずだった後期高齢者医療の保険料も二年ごとに上がり続けています。国保料も相次ぐ値上げで、払いたくても払えない状況が広がっています。
私は、母子家庭のお母さんから、パートで必死に働いても年収が二百万しかないのに、国保料は毎月二万円近く、年収の一割が国保料でなくなってしまうと訴えられました。我が党の調査では、区市町村からも、介護保険料や後期高齢者医療保険料について大幅な負担増になっている、収入増の見込みが少ない高齢者にとって、保険料の増加は死活問題などの声が寄せられているんです。
国民健康保険では、医療機関の窓口で全額負担となる資格証明書になっている世帯は都内で二万世帯を超えています。資格証や短期証、無保険者、さらに保険料は何とか払っても窓口負担が払えないなど、経済的理由で受診がおくれ、死に至ったと考えられる事例も後を絶ちません。
知事は都民のこうした実態、暮らしの深刻な困難をどう認識しているのですか。社会保障が充実したといって福祉切り捨てを行いましたが、今の社会保障についてどう認識していますか。これで高福祉低負担などというのですか。
都は、介護保険と後期高齢者医療保険料について、若干の値上げ抑制策を講じましたが、多くの区市町村が、都の制度として軽減措置を実施してもらいたいなど、さらなる対策を求めています。
国保についても、医療費の増加、低所得者が多く負担能力が低いという構造的課題を抱えている中、保険者の一般会計からの繰り入れは限界、国や都による保険料負担軽減を図られたいなど、支援の拡充を求めています。
都は、現場から上がっているこうした声をどう受けとめているのですか。介護保険料、後期高齢者医療保険料、国保料を一人五千円ずつ値下げする保険料負担軽減三点セットは、都が三百十億円の予算を振り向ければ実施できます。決断すべきときです。いかがですか。
国保料の滞納による差し押さえも深刻です。私たちの調査では、都内で六千人を超えています。理不尽ともいえる事例も明らかになっています。
例えば、三年前に勤め先が突然倒産して以来、アルバイトで何とか生活している四十代の男性は、朝食は抜き、昼食も百円のカップめんや菓子パンなどで過ごしてきたといいます。差し押さえられた口座にある現金はアルバイトの給与全額で、家賃、光熱費、交通費、食費など生活に必要なお金であり、全財産なのです。そのような窮状を訴えても、取りつく島もなかったといいます。
その背景に、東京都が国民健康保険財政安定化方針で、差し押さえを進めるため、保険者を指導、支援するとしている問題があります。悪質なケースへの厳正な対応は当然ですが、滞納している人の多くは、払いたくても払えない実態にあるのです。生活を維持することさえ困難にするようなやり方は許されないと思いますが、どうですか。都として差し押さえ事例の調査を行い、是正を図るよう求めるものです。お答えください。
知事は施政方針で、認知症高齢者グループホームを一万人分にふやすといいましたが、この目標は区市町村の計画を合計したものにすぎません。大体、都のグループホーム整備率は、要介護認定者に対してわずか一%程度で全国最低水準ですから、一万人分ふやしてもまだ圧倒的に足りません。小規模多機能施設の整備率も全国最低です。認知症高齢者グループホームや小規模多機能施設への支援を抜本的に強化し、大幅増設と利用者の負担軽減ができるようにすることを求めるものです。
特別養護老人ホームの待機者は、都内で四万三千人を超えており、九十歳の夫を八十代の妻が介護するといった超老老介護が広がっています。施設整備は急務です。我が党が実施した区市町村アンケートでも、特別養護老人ホーム整備促進に向け、用地確保への支援を求める要望が多く寄せられました。現場の要望にこたえ、用地費助成の復活、都有地活用や定期借地権利用に対する支援の拡充などに取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
「二〇二〇年の東京」の待機児解消策は、駅ビルなどの駅ナカ保育などを中心に進めるというもので、保育の質の後退を招く危険があります。また、今定例会に提案された認可保育所の面積基準緩和も、子どもが育つ環境を後退させるものであり、反対を表明するものです。
兵庫県では、政令市、中核市も合わせて待機児童が千人ですが、来年度は二千人分の認可保育所を整備する予算を組んでいるのです。施設的にも職員配置も充実した認可保育所の大幅増設で、子どもたちの豊かな育ちを保証することを基本に、待機児を解消することこそ必要です。答弁を求めます。
知事、都民の暮らしや福祉を守る財源はあるではありませんか。豪華海外出張や過大な都市施設整備など、むだ遣いをやめればいいのです。
今、最大のむだ遣いといえるのは外環道路です。本体部分である地下高速道路の事業費は一兆二千八百億円という巨額なものです。しかも、事業費の七割から九割を国の事業としてやろうというのです。外環道は有料の高速自動車道事業なのに、なぜ国や都が肩がわりをするのですか。もともと有料道路事業として成り立たないからではありませんか。そのような高速道路をつくる必要はありません。お答えください。
仮に九割を国直轄事業とすると、八千六百四十億円が国、三千二百億円が都の負担になります。同じように地下道路を主体とした中央環状新宿線は、当初五千億円といわれた事業費が二倍に膨れ上がりました。外環道も恐らくさらなる巨額の事業費に膨れ上がるでしょう。その上、知事も知らなかったようですが、外環ノ2という地上部道路まで都がつくろうというのです。合わせて二兆円を大きく上回るでしょう。
国や都は、外環道で都心の渋滞緩和や環境を改善するといいますが、既に中央環状線や圏央道の建設を進めています。このこと自身、都民の厳しい批判を受けています。その上、外環道です。東京地裁も判決で、三本もつくる必要はないとする趣旨を述べているのです。三本でも、少なくとも四兆二千億円もかけようというのです。それでも大した事業費ではないというのですか。こんなお金があるなら、それこそ防災や福祉に回すべきではありませんか。
大体、渋滞緩和という高速道路建設の大義名分は、少なくとも大都市では成り立たないというのが国際的な常識です。
イギリスでは、かつて環状道路建設に取り組みましたが、結局、高速道路をつくれば新たな交通を誘発し渋滞は緩和しない、際限のない道路建設になることから、道路容量に見合う自動車交通量を抑制するという方向に切りかえたのです。
ロンドンでは、三本の環状高速道路計画のうち、つくったのは一本だけで、交通量を抑制し、公共交通の利用者をふやすという方向に切りかえました。バーミンガムやオックスフォードも同様です。ひたすら道路をつくることから、ロードプライシングなど自動車交通を抑制する政策に転換したイギリスなどの教訓をどうとらえているのですか。
さらに、知事は、日本の再生を牽引するためと称して、法人事業税の免除など、大幅な減免を行うなどによって、外国企業を五百社以上呼び込もうというアジアヘッドクオーター構想を進めようとしています。
しかし、こうした発想自体、間違った経済対策だといわなければなりません。外国企業への大幅減税という手段についてですが、かつてOECDは、税の低減競争の有害性を指摘しました。各国の競争がその国や都市の財政を破綻に導くことになるからにほかなりません。こうした問題をどう考えるのですか。
また、神奈川県の外国企業誘致について出された報告書では、外資系企業の立地は短期間に競合する既存企業との間で激しい競争が起こり、場合によっては競争劣位の企業が淘汰されるおそれがあると中小企業への影響を危惧しています。外国企業の進出には見過ごすことのできない大問題があるのです。
さらに、全国各地で、減税して企業を誘致したものの失敗した経験が少なくありません。こうした大問題について、どう認識し検討したのですか。
また、この間、東京に大企業と人、物、金を呼び寄せるという知事が進めた東京一極集中政策によって、地方は一体どうなっているのか考えたことがありますか。ほとんどの地方は疲弊してしまったではありませんか。東京に外国企業を集めればうまくいくというのは、幻想にすぎません。ましてや、東京をアジアの司令塔とするなどという経済覇権主義ともいえる方針がアジア諸国からどう受けとめられるか、知事は考えたことがありますか。
今、東京が目指すべきことは、アジア諸国や国内地方都市との共存共栄、そして対等平等の関係を築き、お互いに発展し合うことではありませんか。知事、お答えください。
現在、東京の経済が停滞している最大の理由は、社会保障の切り捨て、雇用破壊で都民の購買力が落ち込んでいることです。
東京では、この十年間に正規労働者が五万三千人減る一方、非正規労働者は五十八万二千人も激増しており、年収二百万以下の低賃金で生活も成り立たなくなっているのが現状ではないですか。これでは内需が冷え込み、景気が回復するわけがありません。この現実をどう認識しているのですか。これを是正する必要があると思いますが、どうですか。
都としても労働、雇用対策の拡充が求められているとき、来年度予算では雇用対策予算を四割も減らしています。また、東京全体での雇用確保の目標が掲げられていません。静岡県では三万人の新たな雇用の創造、京都府では一万人の雇用創出事業など、明確な目標を掲げているのです。都としても目標と具体策を明確にし、予算を大幅にふやして取り組むことを求めるものです。
知事は施政方針で、若者の就職難に対し、正規雇用をふやし成長が見込まれる産業分野における中小企業の人材確保を支援すると述べました。しかし、その規模は、今年度八百人程度、来年度千四百人程度です。これでは、今日の失業率から見ても、内定率の低さから見ても不十分です。正規雇用拡大の取り組みを抜本的に強めるべきではありませんか。
東京の製造業は、約二十年間で事業所数も従業員数も半数以下になり、製造品出荷高は十三年間で二十兆円から十兆円へと半減しました。小規模小売業も約十年間で十二万店が十万店に減少しています。
東京の再生というなら、外国企業の呼び込みをいう前に、まず事業所の九割を占める中小企業の活力を活性させることにこそ力を注ぐべきです。商工費の割合を全国平均にまで伸ばせば二千億円もふえるのです。そして、これまで我が党が再三提案してきた再生可能エネルギーや医工連携による新産業の育成を抜本的に強める必要があります。
広島では、医工連携推進事業を既に実施していますが、今年度末から医療関連産業クラスター形成事業を本格実施し、医療とものづくりの関連の企画立案、医療産業集積の開発を必要な人員も配置して進めています。
都としても、持てる力を尽くし、ものづくり活性化のため、集中的投資を進めることこそ必要ではありませんか。
再生可能エネルギーや医工連携で新産業の成長を促進し、新たな仕事と雇用を生み出すための仕組みを創設するとともに、専門家の育成や委託研究開発事業の立ち上げや、仕事起こしへの支援を抜本的に拡充するよう求めるものです。
我が党は、都内商店街のアンケート調査を実施しましたが、商店街の現場を調査して、実情に合った指導が欲しい、街路灯などのメンテナンスコストを考慮してほしいなどの要望が出されています。
区市町村に対するアンケートでも、新・元気を出せ商店街事業の年度途中の申請受け付けを含む抜本拡充、補助要件の緩和、補助率の拡充、幅広い事業に利用できる補助事業の創設、買い物弱者支援事業の本格実施などの要望が寄せられました。
都は、こうした要望をどう受けとめますか。商店街支援予算を抜本的にふやし、直ちに商店街や区市町村の要望を踏まえた対策に踏み出すことを求めますが、いかがですか。
最後に、知事は最近、日本が核兵器を保有するか、少なくとも核兵器を持つシミュレーションを行うことで日本の発言力を強めよという主張を繰り返しています。
そもそも核兵器を持つことで発言力を強めようとすれば、それを危機と感ずる国は、さらに大きな核兵器を持とうとし、核兵器をめぐる歯どめない核軍拡競争を招きます。
核兵器のない世界をつくることが国際的な合意になりつつある今、そのときに知事の主張は、それに逆行するものであり、断じて許されません。
憲法を破棄せよとの暴言とあわせ、被爆国の首都の知事としての資格が根本から問われることを厳しく指摘をし、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 吉田信夫議員の代表質問にお答えいたします。
いささか順不同になりますけども、基本的な問題でありますので、まず、「二〇二〇年の東京」計画についてでありますが、相変わらず共産党は都市インフラの整備にやみくもに反対のようですけども、いつも申し上げているように、三環状道路にしても、港湾の整備にしても、基幹的な都市インフラの重点的な投資は、都市の効率性の向上に加えて、国の経済も活性させる、そして国際競争力の強化につながることにどうか気づいていただきたいと思います。
都はこれまでも「十年後の東京」計画を構えて、東京の進化を加速させてきましたが、大震災がもたらした危機を乗り越えて、日本の再生を確かなものとするために、この計画を充実強化した新たな都市戦略であります「二〇二〇年の東京」計画を策定したわけであります。
この計画を羅針盤にして、防災力の向上やエネルギーの安定供給体制の構築だけではなくて、福祉、環境、教育などあらゆる分野において先進的な取り組みを戦略的に展開し、都民、国民の安全・安心を確保していくつもりであります。
東京が都市のあるべき姿を世界に発信し、先陣を切って行動を起こすことで大震災を乗り越え、日本の再浮上を牽引していくことができると思います。
なお、事業費の多寡をもって施策の軽重を機械的に比較するような指摘がありましたが、そもそもハード整備を中心とする事業と仕組みづくりや区市町村の取り組みの支援などを中心とするソフト事業を同じ土俵の上で比較すること自体が何ら意味を持たないと私は思います。
いつも、何か声はいかにも物悲しげで猫なで声みたいな声で同じことをいわれますけど、もうそれはいいかげんにやめたらいいんじゃないですか。
新入社員がなかなかいないようで、だんだん、要するに新しい発想がなくなって、まことに時代おくれな話でありますけれども、私も長いこと国会におりましたが、国会の共産党の方がまだましですな。せめてテレビ討論に出て恥をかいたり、ばかにされないぐらいの見識を持ったらどうでしょうかね。
次いで、津波対策についてでありますが、いうまでもなく東京はこれまでも津波や高潮などの発生に備えて、これは隣県に比べてもはるかに進んだインフラを整備してきていまして、水門とか防潮堤の整備などの対策を着実に推進してきました。
ご指摘のように、東京の多くの部分は海抜ゼロメートルになっておりますけど、これを守るために長期の計画でスーパー堤防を計画してきましたが、現政府の何かわけのわからぬ閣僚が、スーパー堤防はスーパーむだだといって予算を削りましたけど、この責任は一体だれがいつとるんでしょうかな。
来年度の予算においても、これらの対策に加えて、高潮対策センターの二拠点化など、新たな対策を盛り込んでおりまして、津波対策がおくれているとのご指摘は当たらないと思います。
今必要なのは、単に被害想定の見直し時期の早さを競ったり、いたずらな不安をあおることでなくて、最新の科学的知見を踏まえて具体的な手だてを講じることであります。
このために、都は現在、地震、津波の第一人者たちによって、新たな被害想定の見直しを進めております。
この結果を踏まえて、自助、共助、公助すべての総力を結集して津波対策に万全を期してまいります。
次いで、防災対策全体についてでありますけれども、都は、これまでも日本のダイナモであります、この首都東京の防災力を強化するために実効性のある取り組みを積み重ねてきました。
日本の東西をつなぐ三環状道路を初めとした道路ネットワークの構築や、国に先駆けて制定した条例によって、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化も強力に推進しております。
最大の弱点である木造住宅密集地域の改善を一段と加速させるために、木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げました。
専門家を派遣して、必ず来るであろう地震の怖さを伝えて、住民の意識を変えていく取り組みも既に着々と実施しております。
私の言葉じりをとらえて、まるで私が自治体の長としての責任を放棄しているかの非難は、これは全く当たらないと私は確信しております。
そもそも、自分の住んでいる家の耐震性の問題は自分の命の問題でありますから、いざというときに大事なのは、まず自助、そして身近な隣近所で助け合う近助、共助でありまして、今後も自助、共助、公助の原則のもとにさまざまな施策を複合的、重層的に講じて、世界に誇れる安全な都市東京につくりかえていきたいと思っております。
次いで、原発の問題でありますけれども、質問を聞いておりますと、共産党の皆さんも私のコラムを読んでいただいたようでありますが、それでどうしてこういう質問が出てくるのか逆に聞きたいね。
日本人が世界唯一の被爆国としての放射能に対して持つ強いセンチメント、トラウマは私もよく理解しておりますが、こうしたときにこそ人間として備えた理性で物事を判断する必要があります。
この間も意外な発言を、私はある週刊誌で読みました。どちらかというと非常に反体制的な、左翼じゃありませんけれども、そういう人たちの強いリーダーである吉本隆明君が、要するにこの原発の問題について、技術というものは日々人間が手がけて進化させてきた。当然誤りもあった、間違いもあった、事故もあった。しかし、それを超克することで技術は洗練され、さらに本当の技術になっていった。それが近代というものをつくってきたというその近代精神を、この一事をもって原発をすべて否定するのは、これは人間の進歩を否定する、人間が猿に戻るみたいな話だということをいみじくもいっておりましたが、私も極めて同感いたしました。
やはり人間でありますから、人間として備えた理性で物事を複合的に、重層的に分析して判断する必要があると思います。この理性的な判断というのは、決して無責任に不安だけをまき散らして大変だ、大変だ、だからだめだという、そういう短絡的な判断とは全然違うと思いますな。
これは共産党の諸君は最も不得手なことかもしれませんが、もう少し物事を複合的にとらえて、せめて国会の共産党並みに冷静に物を判断することが必要なんじゃないでしょうか。
人間の進歩は、繰り返して申しますけれども、技術の改良、開発によってもたらされてきました。原子力の利用に関する技術もしかりでありまして、今回の事故は危険な日本の国土の地勢学的な条件を考えずに事を進めてきた。
現に、すぐれた学者は、貞観年間、はるかはるか昔に清少納言のお父さんがつくった和歌をもとにして、これが信憑性があるかどうかということで仙台まで赴いて、要するに今回の被害以上に遠くまで津波が押し寄せてきたことを地質学から検証している。これを政府に建言したのに、結局、これは当時の政府は自民党ですよ。それが通産省も一緒になって隠ぺいして対処してこなかったからこういうことになった。
地勢学的にも条件は違いますけれども、これがもし山の上にあったらあんな被害は起こらずに済んだ。そういうことも、私たちは、やっぱり短絡的に海水がとりやすいからとか、いろんなことで、ああいう海浜を立地として構えるということそのものが私は間違っていたと思います。それが証明されたわけで、原子力そのものが否定されたわけじゃ私はないと思いますね。
大体、共産党の諸君は一体いかなる社会、いかなる生活を望むのか。経済が生み出す富は、福祉、医療、防災、治安、教育などにも回って、高度に発達した社会の生活を支えているわけでありまして、それを保障するエネルギーをいかに確保するのか。そうしたことをしんしゃくせずに、現実を見ないままセンチメントだけで判断すれば、結局はみずからの首を絞めることになるんですよ。
化石燃料がもたらす地球温暖化の問題や、資源を海外に依存せざるを得ない我が国の実情というものを決して忘れてはならないと思います。エネルギーの議論をいたずらにもてあそぶと、結局国が滅びることになりますよ。皆さんも曲がりなりに日本人であるならば、そのことを考えて物を申していただきたい。
次いで、現在の社会保障に関する認識についてでありますが、我が国は世界一の長寿国として、世界にもまれな豊かな、平等な社会を実現し、相対的に高い生活水準を維持してきました。これは国民皆保険、皆年金など、社会保障制度がこれまで有効に機能して社会的リスクに対応してきたからであります。
しかし、いろいろ経済事情も変わってきて、こうした高福祉低負担のシステムが制度疲労を起こして、完全に行き詰まりを見せているのもだれの目にも明らかなことであります。
るる生活実態の話がありましたが、急激な高齢化が進むこの国で、医療や介護にかかる費用が増大することは自明の理でありまして、ゆえにも、給付と負担のバランスを顧みない高福祉低負担という社会保障制度は、到底今後は成り立ち得ない。
今なすべきことは、国民にいたずらにこびるのではなくて、あるべき国家の姿を国民に改めて示し、確固たる意思で新たな社会保障のありようを形づくっていくことだと私は思います。
行政による公助はもとより、自助、共助を有機的に組み合わせることで、だれもが自立して生活できる成熟した社会をつくらないと、我が国は世界のだれもが経験したことのない超高齢社会を乗り越えることができずに確実に衰退するに違いないと思います。
とにかく共産党の皆さんは、相変わらずばらまき福祉を主張していますが、行政への過剰な期待をかき立てるだけで、そんないい分は国民に幻想を振りまくだけで、まさに無責任としかいいようがないと私は思います。
次いで、東京への外国企業誘致が地方都市の経済やアジア諸都市との関係にいかなる影響を及ぼすかについてでありますが、話を聞いていると、外国企業を東京に誘致することが国内地方都市を疲弊させてアジアの諸都市から搾取を行うことであるように聞こえますが、これは全くこっけいないい分で、経済の仕組みというのを理解していない、やっぱりさすがに共産党だなという感じがいたします。
都市の世紀を迎えた今日、国家の力というものは、その成長の中心になる大都市の持つ力で決まるといっても過言ではありません。これは、現代的な文明の一つの原理であります。
今やアジア諸都市のみならず、世界の大都市が熾烈な都市間競争を繰り広げているわけです。我が国において国家を牽引する役割を担い得る大都市は、東京をおいてもほかになくて、東京が国際競争力を高め、グローバルな都市間競争を勝ち抜くことこそが、東京のためだけじゃなしに日本全体の再生につながることは明らかであります。
都が推進するアジアヘッドクオーター構想は、外国企業のアジア本社や研究機関を誘致して、外国の頭脳と東京の頭脳が刺激し合って、新たな価値を生む舞台を整えることで、東京に集中、集積するさまざまな力をさらに引き出し、束ねて、熾烈化する都市間の競争を勝ち抜くためのものであります。
都市と都市とが正当に競い合って、それぞれが持つ豊かな個性を磨いていく関係こそ真に対等な関係にほかならないと私は思います。これをもって経済覇権主義とする指摘は全くこっけいで的を外れていると私は思います。
東京は、アジアの諸都市との競争を勝ち抜き、アジアのヘッドクオーターの地位を確立することこそ日本の再生を牽引していくことができると思います。
ついでに、私の核に関する論について言及がありましたが、私の本をよく読んでいただきたい。読めばよくわかりますわ。
いずれにしろ、東京はアジアの諸都市との競争を勝ち抜き、そのために私は大都市のアジアのネットワークをつくった。これが結局、互いに刺激し合って大きな効果を生んでいるじゃないですか。
そして、まさにアジアのヘッドクオーターの地位を確立することで、私は日本の存在感というものをこれからも高めていくことができると信じております。
他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁します。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 四点のご質問にお答えいたします。
初めに、河川施設の耐震化についての認識でございますが、都はこれまで、耐震性を向上させるため、スーパー堤防整備や水門などの耐震強化、補強などの事業を行ってまいりました。
お話の残る六十八キロメートルの区間のうち六十六キロメートルにつきましては、民地側の地盤が満潮面より高い地域、または関東大震災時の震度に対する対策が完了している水門の内側にある地域でございます。一定の安全性を有しているものと認識しております。
既にマグニチュード八クラスの海溝型地震などを想定して、各施設の耐震性の確認を進めるとともに、技術検証委員会などで耐震性の向上策について検討を行っており、これを踏まえて、残る区間を含む新たな整備計画を策定し整備目標を示してまいります。
次に、耐震性の強化についてでございますが、これまで堤防や水門などの整備に当たりましては、国の基準に基づき、関東大震災時の震度に対して耐震対策を行い、一定の安全性を確保してまいりました。
これらの対策に加え、マグニチュード八クラスの海溝型地震等を想定して、各施設の耐震性の確認を既に進めるとともに、技術検証委員会などでの検討を踏まえて、新しい整備計画を策定してまいります。
次に、外環でございますが、外環は、平成二十一年五月に高速自動車国道として整備計画が決定され、国の直轄事業と有料道路事業により整備することとなりました。都は、国の直轄事業に対し、法令に基づき負担金を支出しております。
外環は、交通分散による渋滞の解消や、排出ガスの大幅な削減などの環境改善だけでなく、我が国の国際競争力を高め、経済を再び成長軌道に戻すなど、大きな整備効果が期待されております。
また、災害時におきましては、救命、救援や復旧活動に大きな役割を果たすほか、日本の東西交通の分断を防ぎ、首都機能を堅持するなど、その整備効果は多岐にわたり、都は引き続き国と連携し、全力で外環の早期完成を目指してまいります。
最後に、首都圏三環状道路でございますが、首都圏三環状道路は、首都圏に集中する放射状の高速道路を相互に連結し、交通の分散などを図ることにより、首都圏のみならず、広く国全体にその整備効果が及ぶ重要な幹線道路ネットワークを形成するものでございます。
ましてや、東日本大震災において改めて認識されたように、災害時における人や物資の輸送ルートの多重化や避難路など、都民、国民の生命、財産を守る命の道としての重要な役割を担っております。
なお、その費用便益は、いずれも事業費を大きく上回っております。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 津波対策についてでございますが、東京には区部東部を中心としたゼロメートル地帯など、津波、高潮等による震災被害が懸念される地域が存在しており、都は、これまでも水門や防潮堤の整備など津波、高潮対策を着実に進めてまいりました。
また、東日本大震災を踏まえ、震災のリスクを冷静に見詰めた上で、適切な対策を講じるため、東京都防災会議のもとに地震、津波の第一人者から成る地震部会を設け、最新の科学的知見や客観的データに基づいて、本年四月を目途に被害想定の見直しを進めております。
この結果に基づき、ハード、ソフト両面にわたり必要な対策を着実に講じてまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 十点のご質問にお答えいたします。
まず、旧耐震基準の木造住宅の耐震化助成についてでございますが、都は、防災都市づくり推進計画に定める震災時に大きな被害が想定される整備地域を対象として、住宅の倒壊による道路閉塞や大規模な市街地火災を防止するという公共性の観点から、区と連携し、公的助成を行っております。
また、簡易な耐震改修では住宅の耐震性能が十分向上せず、住宅が倒壊し、道路閉塞を引き起こす可能性があり、補助対象としては適切ではないと考えております。
都としては、財源を効率的、効果的に活用する観点から、引き続き整備地域に的を絞り、重点的に木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
次に、木密地域不燃化十年プロジェクトについてでございますが、木密地域は狭隘な道路や行きどまり道路など基盤が脆弱な上、狭小な敷地や接道していない敷地が多いといった課題がございます。
早期に安全なまちにつくり変えていくためには、延焼遮断帯を形成する主要な都市計画道路の整備や、建物の共同化による市街地の不燃化を促進することが必要でございます。
こうした住民の安全を守るという公共性の高いまちづくりを進める上では、地元の理解を得ながらスピード感を持って確実にやり遂げることが行政の責務でございます。
このような考え方に基づいて、木密地域不燃化十年プロジェクトの推進に取り組んでまいります。
次に、不燃化特区に対する区の意見についてでございますが、不燃化特区は、特に改善を必要としている地区について、従来よりも踏み込んだ取り組みを行う区に対し、期間と地域を限定して都が特別の支援を行い、不燃化を強力に推進するものであり、地区の設定や具体的な事業内容については、区の提案によることとしております。
既に多くの区から、不燃化特区に積極的に取り組む意向であると聞いております。
次に、耐震改修助成の対象についてでございますが、都は、地震発生時の住宅の倒壊による道路閉塞や、大規模な市街地火災を防止することを目的に、六メートル以下の道路に面している住宅を対象に耐震改修助成を行っております。
都としては、燃えない、壊れない、震災に強い都市の実現に向け、木造住宅密集地域整備事業などとあわせて、引き続き整備地域内の道路閉塞のおそれのある木造住宅を対象に耐震化助成を行ってまいります。
次に、地元自治体の取り組みへの支援についてでございますが、都はこれまでも、延焼を防止するという公共性の観点から、延焼遮断帯となる道路の沿道建築物の不燃化建てかえや老朽建物の共同建てかえ等に対し、地元自治体と連携して費用の一部を助成してまいりました。
今後とも、こうした必要な支援を行ってまいります。
次に、建築規制の緩和についてでございますが、不燃化特区の指定に当たっては、建てかえによる不燃化を確実に進めるため、現行の建築安全条例に基づく防火規制等の導入を前提とすることとしております。
都は、平成十四年に策定した用途地域等に関する指定方針及び指定基準において、木密地域における不燃化建てかえを促進する観点から、条例に基づく防火規制区域に指定した場合、建ぺい率、前面道路幅員による容積率制限、道路斜線制限の緩和を適用することができるとの考え方を既に示しております。
次に、マンションの耐震化助成についてでございますが、まず、賃貸マンションについては、事務所ビルなどと同様、基本的には事業者がみずからの責任で耐震化を行うべきと考えております。
一方、合意形成が困難な分譲マンションについては、耐震診断や耐震改修に一定の助成を行っておりますが、建築物全体を地震に対して安全な構造とすることが重要でございまして、改修を行っても十分な耐震性が得られない部分的改修等への助成は考えておりません。
次に、ピロティーなど共用部分に対する全額助成についてでございますが、建築物の耐震化は、所有者みずからが主体的に取り組むことが基本でございます。
したがって、分譲マンションの耐震改修について、区分所有者である居住者の負担なく全額助成することは考えておりません。
次に、長周期地震動対策についてでございますが、国は一棟ごとに超高層建築物の構造方法を認定しており、平成二十二年十二月、長周期地震動への対策試案を示しましたが、昨年の大震災を踏まえ、さらに検討が必要であるとしております。
都は、長周期地震動に対する都民の不安を解消するため、一日も早く対策を取りまとめるよう国に要望いたしました。
今後、国の対策が示された場合には、直ちに建築士や建設業の団体等に対して、構造上の安全性に対する検証方法を周知するなど、普及啓発を図ってまいります。
また、都独自の取り組みとして、専門家の知見を踏まえ、用途や構造など、建物の特性に適した補強方法の事例などについて、マンションの管理組合等に対し広く情報提供してまいります。
最後に、自動車交通施策についてでございますが、東京と海外の諸都市では、都市構造や交通基盤の整備状況が異なっており、海外の事例を東京にそのまま適用することは適切ではないと考えております。
東京の鉄道網は、世界の諸都市と比べて発達している一方、首都圏の環状道路の整備率は低い水準にございます。
東京を魅力とにぎわいを備えた環境先進都市とするためには、東京の最大の弱点である交通渋滞を解消し、人、物の流れを円滑にする交通ネットワークを整備することがまず不可欠であり、そのことにより効率的な自動車交通の流れを誘導することができます。
このため、整備がおくれている三環状道路を初めとした幹線道路ネットワークの整備を強力に推進してまいります。
〔消防総監北村吉男君登壇〕
〇消防総監(北村吉男君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、スプリンクラー設備などの耐震措置についてでありますが、東京消防庁では、これまで消防法令に基づき地震動に耐える措置として、配管等を壁、床、はり等に堅固に固定するとともに、配管のひずみや変形を防止するために、フレキシブルな継ぎ手を設けることとして対応しております。
今後も、引き続き防火対象物の関係者に対して、スプリンクラー設備などの消防用設備等のより一層の耐震措置について指導してまいります。
次に、長周期地震動における家具の固定などの室内安全対策についてでありますが、これまで東京消防庁では、家具類の転倒防止器具取りつけ講習会などを実施するとともに、映像、パンフレットを活用した普及啓発を積極的に推進してまいりました。
このたびの東日本大震災における都内の室内被害に関するアンケート調査では、約二割の住宅及び事業所において、家具類の転倒、落下や移動による被害が発生していることが判明いたしました。
このことから、昨年九月に長周期地震動等に対する高層階の室内安全対策専門委員会を設置し、揺れに対する事前の備えや身の安全の図り方について審議を行いました。
今後とも、本委員会で取りまとめた結果を広く都民や事業所に普及啓発するなど、地震時における総合的な室内安全対策を推進してまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 七点のご質問にお答え申し上げます。
まず、内部被曝への対応についてでございますが、内部被曝は放射性物質を含む空気、水、食品などを体内に取り込むことで起こりますが、主な要因でございます食品については、暫定規制値を超える農産物などが流通しないよう、生産地での検査結果に基づき、出荷制限等を実施する仕組みを国が構築いたしております。
都は、これに加えまして、都内小売店で流通をしている食品について、都民、特に子どもが日常的、継続的に摂取する乳製品などを中心にモニタリング検査を実施しており、これまでに暫定規制値を超えた例はございません。
四月には、より厳しい基準値が施行される予定であり、都では、今後とも健康安全研究センター等の検査体制を強化し、都民の安全・安心の確保に努めてまいります。
次に、保険料の軽減についてでございますが、国民健康保険、後期高齢者医療及び介護保険の各制度は、保険料や公費等によって運営することとされており、都は、法令等に基づき応分の負担を行っております。
今回、後期高齢者医療につきましては、前回改定時の対応や広域連合からの要望を踏まえまして、特段の措置として財政安定化基金を二年間で二百六億円活用し、保険料の急激な上昇を緩和することとしております。
また、介護保険につきましては、平成二十四年度に限り介護保険財政安定化基金を取り崩すこととし、区市町村への交付金は、法に基づき、保険料の上昇の緩和のために活用されることとなっております。
いずれも特別な措置でございまして、新たな支援を行うことは考えておりません。
次に、国民健康保険料の滞納処分についてでございますが、国民健康保険制度は、被保険者間の相互扶助で成り立つ社会保険制度でございまして、その財源となる保険料の収納確保は、制度を維持していく上での前提でございます。
保険者である区市町村は、滞納者に対しまして督促や催告を行っているほか、納付相談により生活状況を把握し、必要に応じて保険料の分割納付を案内するなど、きめ細かな対応を行っております。
そうした対応を行った上で、財産があるにもかかわらず保険料を納付しない場合は、被保険者間の公平性を確保する観点からも、法令に基づき差し押さえを行っております。
次に、国民健康保険料の滞納に伴います差し押さえ事例の調査でございますが、先ほど申し上げましたとおり、保険者でございます区市町村は、財産があるにもかかわらず滞納していると判断した場合について、法令に基づき保険者の責任で差し押さえを実施しており、東京都として調査を行う考えはございません。
次に、認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護の整備についてでございますが、都は、区市町村が整備を進める認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護について、国の交付金に加えまして、土地所有者がみずから建設し、事業者に貸し付ける場合にも補助を実施いたしますほか、グループホームの整備状況が十分でない区市町村を重点的整備地域に指定し、補助単価を一・五倍に加算するなど、独自の取り組みにより整備促進を図っております。
また、都有地を減額して貸し付けているほか、社会福祉法人等による利用者負担額軽減の仕組みを都独自に拡大して実施をいたしてございます。
次に、特別養護老人ホームの整備についてでございますが、特別養護老人ホームの用地取得費助成につきましては、国の規制緩和により、民有地の貸し付けや定期借地権制度の活用による整備が可能となるとともに、用地取得費に対する融資制度が充実されるなど、状況が大きく変化したことから、平成二十年度着工分をもって終了したものであり、復活することは考えておりません。
また、都有地の活用につきましては、福祉インフラ整備事業により、未利用の都有地を減額して貸し付けております。
さらに、定期借地権の利用に対する支援につきましても、定期借地権設定時の一時金に対する補助を平成二十二年度から国制度に独自に上乗せをして実施いたしております。
最後に、待機児童解消に向けた取り組みについてでございますが、保育サービスは、保育の実施主体であります区市町村が認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものでございます。
都は、待機児童解消に向けた区市町村の取り組みを支援するため、保育サービス拡充緊急三カ年事業や少子化打破緊急対策事業を実施し、平成二十年度から三年間で認可保育所一万四千八百三十二人分を含め、保育サービスを二万四千六百十三人分整備いたしました。
平成二十四年度以降につきましても、三年間で二万四千人分の保育サービスをふやすことといたしております。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 四点のご質問でございます。
まず、都内の除染についてでございますが、面的な汚染に関しましては、国の航空機モニタリング調査によりまして、都内の空間線量は関東地方の中でも高い水準にはないことが明らかになっておりまして、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく汚染状況重点調査地域に指定された地域は都内にはございません。
また、局所的な汚染に関しましても、昨年十一月、都内としては比較的空間線量が高いことが示されました区部東部三区を対象とし、文部科学省のガイドラインで放射性物質がたまりやすいとしているポイントを測定いたしましたが、このガイドラインの目安を上回る地点はございませんでした。
これらの結果から、これまでも申し上げておりますが、都内においては、都有施設全般にわたる調査や経常的な調査は基本的に不要と考えております。
お話の水元公園の調査では、セシウム濃度が土壌で最高二万ベクレル超としておりますが、発表された資料によれば、これは深さ約一センチメートルという土壌の表層部を集めて測定したものということであります。
こうして得られた二万ベクレルという数値を特別措置法の廃棄物の指定基準値である八千ベクレルと比較しておられますが、特別措置法の基準は、脱水汚泥や焼却灰などが数万トン単位で大量に集まり、放射性物質が総量として大きなものとなる埋立処分場などでの長時間の管理や作業に関するものでございます。これと、表層部だけを薄く集めて計算した数値を適用条件の違いも考慮せずに直接比較することは適切ではないと考えます。
そもそも国のガイドラインにおきましては、除染の判断は空間線量で評価することが妥当とされております。都が昨年十一月に実施した調査結果を見ましても、局所的に高い濃度があった場合でも、わずかに離れただけで空間線量は大幅に減衰していることが確認されております。
加えまして、都が水元公園で測定した一般的な調査ポイントでは、高さ一メートルの地点で、昨年十一月に毎時〇・二五マイクロシーベルトであったものが、本年二月の測定では毎時〇・二三マイクロシーベルトに減少しております。
昨年十一月にお示ししたように、都ではこうした時間的な減衰を把握するための継続的な調査を実施してまいります。
次に、文部科学省のガイドラインについてでございますが、このガイドラインは、文部科学省が、地方自治体等が地域住民のニーズに応じて、人、特に子どもの集まる公的スペース等において空間線量を測定する際の参考となるよう提示を行ったものでございます。
文部科学省からは、このガイドラインは、福島県外において放射線量が周囲よりも有意に高いと判断するための相対的目安であり、地域内の除染に当たって優先的に作業した方がよい箇所を示す当面の目安だと聞いております。
次に、都の放射能対策についてでございますが、都では、これまでも都内全域での空間放射線量の測定を初め、水道水、食品、工業製品など幅広く検査を行いまして、モニタリングポストや検査機器を増設するなど、具体的な施策を拡充してきております。都の放射能対策が立ちおくれているとのご指摘は当たらないと考えます。
また、先ほどの答弁のとおり、都内については面的な、あるいは局所的な除染を行う必要性は少ないものと考えております。今重要なことは、都内の放射性物質の状況を全体として正しく示すことでございます。全体の中での位置づけなしに断片的な数値を発表することは、無用な混乱を招くおそれがあると考えます。
こうした観点から、都は、局所的汚染と面的汚染に関するリスクの違いなども含めまして、放射線に関する正確な情報の提供を今後とも進めてまいります。
最後に、区市町村への対応についてでございますが、都は、昨年十二月に区市町村に対しまして、特別措置法と都有施設の対応の考え方に関して説明会を開催し、都有施設の調査結果についても詳細な説明を行いました。
また、日常の業務におきましても、区市町村からの技術的な相談や住民対応での問い合わせに対しまして、懇切丁寧に対応しております。
今後も、区市町村からの相談や問い合わせに関しましては、適切な対応をしてまいります。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
〇財務局長(安藤立美君) 財政運営についてでございますが、外環道を初めとする都市インフラの整備は、都民の利便性や国際競争力の向上、東京の活力維持などに不可欠な取り組みであります。
福祉や医療、教育、雇用、中小企業施策などには的確に財源を振り向けてきており、加えて来年度予算におきましても、大震災を受け、防災力の強化やエネルギー対策にも重点的に対応しております。
今後とも、財政の健全性に十分留意しながら、山積する都政の諸課題にしっかり取り組んでまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
〇知事本局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、総合特区制度を活用した法人事業税の減免についてでございますが、外国企業誘致は、国や都市の財政破綻を招くものではなく、むしろ対日投資が促進され、日本経済の活性化につながるものという認識をしております。
都の試算では、新たに東京に進出する五十社の外国企業のアジア統括拠点、研究開発拠点に対し、法人税や法人事業税を一定程度軽減することにより、国全体で年間約一千億円の増収を見込んでいるところでございます。
このように、外国企業の誘致はその効果が日本全体に及ぶことから、積極的に推進していく考えでございます。
次に、外国企業誘致と中小企業との関係についてでございますが、外国企業の立地はすぐれた経営資源の受け入れにつながるものであり、中小企業にとって販路拡大や新たなビジネスチャンスの創出、国際競争力の強化につながるものでございます。
このため、都では、ビジネス支援をワンストップで行うコンシェルジュを設置し、外国企業と都内中小企業とのビジネスマッチングを促進してまいります。
また、税の軽減措置だけでなく、外国企業へのヒアリング結果を踏まえ、ビジネス環境や生活環境の整備を戦略的に実施する考えでございます。
今後、こうした取り組みを具体化し、外国企業誘致を展開してまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、非正規労働者に対する認識と対策についてでありますが、正規雇用を望みながらもやむなく非正規で雇用された方々は、十分なスキルを習得できず不安定な就労を続けており、このことは本人にとっても不幸なばかりか、社会にとっても大きな損失であります。
このため、都は、意欲を持ち正規雇用を希望する方々に対し、東京しごとセンターできめ細かな就職支援を行うほか、多様な職業訓練の機会を提供するなどの支援を既に実施しております。
次に、雇用対策予算についてでありますが、来年度予算案では、雇用創出に係る基金事業における国の交付金の終了による減などがございますが、都としては、現在の雇用情勢に対応する施策を行うため必要な額を計上しております。
なお、都では、緊急雇用創出事業を通じて、平成二十年秋のリーマンショック後の制度創設から、来年度、平成二十四年度末までの間、実績と計画を合わせ約六万人の雇用を創出することとしております。
次に、若者の正規雇用拡大への取り組みについてであります。
この問題の本質的な解決のためには、国が実効性のある経済対策を進め、雇用を創出することが不可欠であります。
都はこれまでも、東京しごとセンターのカウンセリングやセミナー、合同就職面接会、職業訓練など、さまざまな事業を実施して、正規雇用を望む意欲ある若者を支援してまいりました。
また、今年度から既卒者を対象に、研修と中小企業での就労体験を組み合わせた未就職卒業者緊急就職サポートを開始しております。
来年度は、事業規模を拡充するとともに、今後成長が期待できる産業分野に就業先を重点化した取り組みなどを実施することとしております。
次に、中小企業対策に係る予算についてでありますが、都内中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しいことから、来年度予算においても中小企業対策について新規事業を含め必要額を計上しております。
なお、予算額の歳出総額に占める割合について、財政構造の異なる他県との単純な比較をもって評価することは適当ではないと考えます。
次に、新産業の成長に向けた支援についてでありますが、都は、今後の成長が期待できる環境分野や医療分野を重点的に育成するとの方針のもと、中小企業の製品開発や事業化を既に支援しております。
最後に、商店街に対する支援についてでありますが、都はこれまでも、商店街や区市町村からの要望を踏まえまして、毎年度必要な予算額を確保して施策を実施しているところでございます。
〔八十二番吉田信夫君登壇〕
〇八十二番(吉田信夫君) 知事に再質問いたします。理性的に質問をいたしますので、きちんと答えてください。
まず、津波対策です。
津波の想定と対策について、神奈川県や千葉県は国の防災基本計画の見直しを受け、いずれも第一線の科学者、専門研究者を結集し、いち早く進めていますが、知事はこれらの県が単に早さを競っているとか、いたずらに不安をあおっているとでもいうのですか。
いたずらに不安をあおるというなら、知事自身が、震源によっては津波が東京を直撃し甚大な被害になると発言していることは、それに当たらないのですか。みずからの津波対策のおくれを糊塗するために、悪罵を投げつけるのではなく、おくれを直視し、津波対策を急ぐべきです。答えてください。
二つ目に、アジアヘッドクオーター構想についてです。
私が質問したことに答えてください。
外国企業の誘致により各地で中小企業が淘汰される危険、誘致の失敗の教訓、東京一極集中による地方経済の疲弊状況、OECDも税低減競争の有害性を大問題にしたこと、東京をアジアの司令本部にすることへのアジア諸国の受けとめなど、どれ一つまともに答弁がありませんでした。
検証もせずに進めてきたとしたら無責任きわまりません。知事、我が党が指摘した問題についてどう検討したのか、明確に答えてください。
三つ目に、原発問題です。
知事は、理性、理性といいました。それではお伺いいたします。
知事は、原発廃止論を放射能への不安というセンチメントと決めつけましたが、知事は、重大事故が起きた場合、人類が放射線を封じ込める技術を持っていると思っているのですか。イエスかノーかで答えてください。
また、都民の不安は、ここまでの内部被曝なら安全だという科学的に確信した基準がないからです。知事は、科学的に確定した安全基準があるというのですか。答えてください。
また、私は、地上一メートルで毎時〇・二四から〇・七四マイクロシーベルト、セシウム濃度が土壌では二万ベクレルを超える地点で、子どもたちが転げ回って遊んでも問題ないというのかどうか聞きました。イエスかノーか、はっきりと答えてください。
最後に、社会保障に関する問題です。
知事は、社会保障制度の深刻な行き詰まりについて、まるで人ごとのような発言をし、専ら国民、都民に犠牲を押しつける姿勢を表明しました。とんでもないことです。
石原都政のもとで三環状道路や五輪招致が最優先にされる一方、国民皆保険の最後のとりでともいえる国民健康保険への国と都を合わせた財政支援は大きく削られたのです。その結果、毎年のように保険料が上がり、払いたくても払えない人が激増し、国民皆保険が機能不全に陥っているのです。
知事は、国民健康保険制度の行き詰まりへのみずからの責任をどう考えているのですか。はっきりと答えてください。
最後に述べさせていただきます。私が紹介をした都民の苦しみ、痛み、叫び、これがわからず批判をするようでは、私は知事としての資格が問われるものだといわざるを得ません。
また、批判されたからといって、まともな根拠を示すこともできず、ただ汚い言葉で誹謗する、こういう態度は発言者の品性や理性そのものが問われることだということを厳しく指摘し、再質問を終わります。(拍手)
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) まず、被害想定の見直しの時期の早さを争う、また、いたずらに不安をあおるという言葉でございますが、これはもとよりほかの県の被害想定などに言及したものではございません。
東京都では、先ほどご答弁申し上げましたように、東京都防災会議の下に地震、津波の第一人者から成る地震部会を設け、最新の科学的知見や客観的データに基づいて、本年四月を目途に被害想定の見直しを進めております。
この結果に基づき、ハード、ソフト両面にわたり必要な対策を着実に講じてまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
〇知事本局長(秋山俊行君) 二点の再質問にお答えいたします。
まず、特区による海外企業誘致の影響についてでございますけれども、先ほど知事が答弁されましたが、我が国において国を牽引する役割を担える大都市は東京以外になく、東京が国際競争力を高め、グローバルな都市間競争を勝ち抜くことが東京のためだけでなく、日本全体の再生につながるとの考えのもと、アジアヘッドクオーター構想を推進していくものでございます。
なお、具体的な検証の件でOECDの件が出ましたけれども、OECDの有害税制に関しましては、政府が総合特区による法人税の優遇措置について、有害税制に該当しないとの見解をOECDから得ているというふうに聞いております。
二つ目でございますけれども、原発問題に関する再質問でございますけれども、これも先ほど知事が答弁されましたが、今回の原発事故は人間による管理の問題でありまして、したがって適切に管理することで原子力を有効に活用することは十分可能だという趣旨でございます。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 水元公園における除染についてのお尋ねでございますが、再三ご答弁しておりますように、都内におきましては、局所的な汚染場所は限られておるものでありまして、少し離れただけで大幅な距離減衰を確認していること、その場所への滞留時間が少ないと見込めることから、除染など特段対応は必要ないものと考えております。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 社会保障制度についての再質問でございますが、先ほどお話がありました国民健康保険制度を初め、後期高齢者医療制度、それから介護保険等の各制度につきましては、保険料、そして公費等によって運営されることとされておりまして、東京都は法令に基づき応分の負担を行っているところでございます。
先ほど知事の答弁にもございましたが、そうしたシステムが制度疲労を起こしており、今後は公助はもとより、自助、共助を有機的に組み合わせるということで、新たな社会保障のありようを形づくっていくことが必要ではないかということでございます。
〇七十四番(西岡真一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
〇議長(中村明彦君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(中村明彦君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後九時二分散会
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