一番 | 小林 健二君 |
二番 | 加藤 雅之君 |
三番 | 三宅 正彦君 |
四番 | 桜井 浩之君 |
五番 | 山崎 一輝君 |
六番 | 野田かずさ君 |
七番 | 福士 敬子君 |
八番 | 土屋たかゆき君 |
九番 | 相川 博君 |
十番 | 山内れい子君 |
十一番 | 関口 太一君 |
十二番 | くりした善行君 |
十三番 | 西沢けいた君 |
十四番 | 田中 健君 |
十五番 | 畔上三和子君 |
十六番 | 斉藤やすひろ君 |
十七番 | 栗林のり子君 |
十八番 | 松葉多美子君 |
十九番 | 伊藤 興一君 |
二十番 | 鈴木 章浩君 |
二十一番 | 菅 東一君 |
二十二番 | きたしろ勝彦君 |
二十三番 | 早坂 義弘君 |
二十四番 | 高木 けい君 |
二十五番 | 星 ひろ子君 |
二十六番 | 小山くにひこ君 |
二十七番 | 柳ヶ瀬裕文君 |
二十八番 | 淺野 克彦君 |
二十九番 | 新井ともはる君 |
三十番 | 佐藤 由美君 |
三十一番 | 中村ひろし君 |
三十二番 | たきぐち学君 |
三十三番 | 田の上いくこ君 |
三十四番 | 島田 幸成君 |
三十五番 | 大島よしえ君 |
三十六番 | 高倉 良生君 |
三十七番 | 上野 和彦君 |
三十八番 | 吉倉 正美君 |
三十九番 | 遠藤 守君 |
四十番 | 石森たかゆき君 |
四十一番 | 高橋 信博君 |
四十二番 | 中屋 文孝君 |
四十三番 | 村上 英子君 |
四十四番 | 矢島 千秋君 |
四十五番 | 高橋かずみ君 |
四十六番 | 山加 朱美君 |
四十七番 | 西崎 光子君 |
四十八番 | しのづか元君 |
四十九番 | 滝沢 景一君 |
五十番 | 中谷 祐二君 |
五十一番 | 笹本ひさし君 |
五十二番 | 山下ようこ君 |
五十三番 | 神野 吉弘君 |
五十四番 | 鈴木 勝博君 |
五十五番 | 興津 秀憲君 |
五十六番 | 岡田眞理子君 |
五十七番 | 古館 和憲君 |
五十八番 | かち佳代子君 |
五十九番 | 大松あきら君 |
六十番 | 中山 信行君 |
六十一番 | 橘 正剛君 |
六十二番 | 野上 純子君 |
六十三番 | 谷村 孝彦君 |
六十四番 | 山田 忠昭君 |
六十五番 | 林田 武君 |
六十六番 | 小宮あんり君 |
六十七番 | 吉住 健一君 |
六十八番 | 神林 茂君 |
六十九番 | 野島 善司君 |
七十番 | 服部ゆくお君 |
七十一番 | 伊藤 ゆう君 |
七十二番 | 原田 大君 |
七十三番 | 佐藤 広典君 |
七十四番 | 西岡真一郎君 |
七十五番 | 尾崎 大介君 |
七十六番 | 山口 拓君 |
七十七番 | 伊藤まさき君 |
七十八番 | 松下 玲子君 |
七十九番 | 野上ゆきえ君 |
八十番 | 今村 るか君 |
八十一番 | たぞえ民夫君 |
八十二番 | 吉田 信夫君 |
八十三番 | 小磯 善彦君 |
八十四番 | 長橋 桂一君 |
八十五番 | 藤井 一君 |
八十六番 | ともとし春久君 |
八十七番 | こいそ 明君 |
八十八番 | 遠藤 衛君 |
八十九番 | 田中たけし君 |
九十番 | 宇田川聡史君 |
九十一番 | 鈴木 隆道君 |
九十二番 | 三原まさつぐ君 |
九十三番 | 田島 和明君 |
九十五番 | 吉田康一郎君 |
九十六番 | 斉藤あつし君 |
九十七番 | 泉谷つよし君 |
九十八番 | くまき美奈子君 |
九十九番 | 大西さとる君 |
百番 | いのつめまさみ君 |
百一番 | 小沢 昌也君 |
百二番 | 石毛しげる君 |
百三番 | 大津 浩子君 |
百五番 | 清水ひで子君 |
百六番 | 鈴木貫太郎君 |
百七番 | 東村 邦浩君 |
百八番 | 中嶋 義雄君 |
百九番 | 木内 良明君 |
百十番 | 古賀 俊昭君 |
百十一番 | 吉原 修君 |
百十二番 | 鈴木あきまさ君 |
百十三番 | 宮崎 章君 |
百十四番 | 川井しげお君 |
百十五番 | 三宅 茂樹君 |
百十六番 | 吉野 利明君 |
百十七番 | 比留間敏夫君 |
百十八番 | 門脇ふみよし君 |
百十九番 | 増子 博樹君 |
百二十番 | 大塚たかあき君 |
百二十一番 | 酒井 大史君 |
百二十二番 | 山下 太郎君 |
百二十三番 | 大沢 昇君 |
百二十四番 | 中村 明彦君 |
百二十五番 | 馬場 裕子君 |
百二十六番 | 和田 宗春君 |
百二十七番 | 大山とも子君 |
欠席議員 なし
欠員
九十四番 百四番
知事 | 石原慎太郎君 |
副知事 | 佐藤 広君 |
副知事 | 猪瀬 直樹君 |
副知事 | 吉川 和夫君 |
副知事 | 村山 寛司君 |
教育長 | 大原 正行君 |
東京都技監建設局長兼務 | 村尾 公一君 |
知事本局長 | 秋山 俊行君 |
総務局長 | 笠井 謙一君 |
財務局長 | 安藤 立美君 |
警視総監 | 樋口 建史君 |
主税局長 | 新田 洋平君 |
生活文化局長 | 井澤 勇治君 |
スポーツ振興局長 | 細井 優君 |
都市整備局長 | 飯尾 豊君 |
環境局長 | 大野 輝之君 |
福祉保健局長 | 杉村 栄一君 |
産業労働局長 | 前田 信弘君 |
港湾局長 | 中井 敬三君 |
会計管理局長 | 松田 芳和君 |
消防総監 | 北村 吉男君 |
交通局長 | 野澤 美博君 |
水道局長 | 増子 敦君 |
下水道局長 | 松田 二郎君 |
青少年・治安対策本部長 | 樋口 眞人君 |
病院経営本部長 | 川澄 俊文君 |
中央卸売市場長 | 中西 充君 |
選挙管理委員会事務局長 | 影山 竹夫君 |
人事委員会事務局長 | 多羅尾光睦君 |
労働委員会事務局長 | 加藤 英夫君 |
監査事務局長 | 塚本 直之君 |
収用委員会事務局長 | 細野 友希君 |
九月二十八日議事日程第二号
第一 第百三十号議案
災害時において応急措置の業務に従事した者の損害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百三十一号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第三 第百三十二号議案
東京都スポーツ振興審議会に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百三十三号議案
東京都高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料条例の一部を改正する条例
第五 第百三十四号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六 第百三十五号議案
東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百三十六号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百三十七号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百三十八号議案
警視庁志村警察署庁舎(二十三)改築工事請負契約
第十 第百三十九号議案
警視庁有家族待機宿舎東大和住宅(仮称)(二十三)新築工事請負契約
第十一 第百四十号議案
中央環状品川線中目黒換気所建築工事請負契約
第十二 第百四十一号議案
都立第五商業高等学校(二十三)校舎棟改築工事請負契約
第十三 第百四十二号議案
東京消防庁日野消防署庁舎(二十三)新築工事請負契約
第十四 第百四十三号議案
黒目川黒目橋調節池工事(その十)請負契約
第十五 第百四十四号議案
国分寺陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(二十三北北─国分寺三・二・八)請負契約
第十六 第百四十五号議案
都庁舎(二十三)昇降機設備改修工事その三請負契約
第十七 第百四十六号議案
都庁舎(二十三)昇降機設備改修工事その四請負契約
第十八 第百四十七号議案
首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第十九 第百四十八号議案
防護服セット外一種の買入れについて
第二十 第百四十九号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第百五十号議案
東京都立学校における誤えん事故に伴う損害賠償の額の決定について
議事日程第二号追加の一
第一 平成二十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二 平成二十二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
午後一時開議
〇議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(和田宗春君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(和田宗春君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。
〇議事部長(鈴木省五君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成二十二年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)
〇議長(和田宗春君) 次に、日程の追加について申し上げます。
知事より、平成二十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
これらを本日の日程に追加をいたします。
〇議長(和田宗春君) これより質問に入ります。
百十九番増子博樹君。
〔百十九番増子博樹君登壇〕
〇百十九番(増子博樹君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
八月末から九月にかけて、四国、中国地方を縦断した台風十二号による豪雨は、紀伊半島などで、死者、行方不明者が百人を超えるなど、平成に入って最悪ともいえる被害をもたらしました。さらに、列島を縦断したさきの台風十五号も、多くの被害をもたらしました。
亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様、ご家族の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
さて、我が国は、グローバル化した経済、多極化した国際政治の中で、難しいかじ取りが求められていますが、このほど国会は、そのかじ取りを若き野田政権にゆだねました。この道は決して平たんなものではなく、これまでに失った信頼を取り戻し、新たに信頼を獲得しつつ進まなければならない、後のない道であります。私たちは、この野田政権を支えるとともに、福田政権において導入された法人事業税暫定措置の即時撤廃、防災対策の強化や外環道の建設促進など、東京の重要課題については、積極的に働きかけていくことを表明させていただきます。
また、知事は、さきの所信表明で、建設的で質の高い議論とも述べられていましたが、その一方で、民主党を、何でも反対、是々非々ではなく非々非々だと誹謗中傷しておられるようでは、とても建設的で質の高い議論などできないのではないでしょうか。建設的で質の高い議論を求められるのであれば、まず知事ご自身が範を示すべきであると申し上げておきます。
まず、東京の防災対策について伺います。
現在、国の地震調査研究推進本部は、さきの超巨大地震を分析する中で、海溝型大規模地震にかかわる長期評価の見直しを順次実施しています。防災科学技術研究所の藤原氏によると、江戸元禄期に起きた関東地震は、マグニチュード八・一の大きさで、東京湾内に二メートル、大島に十メートルの津波を起こしたと述べています。そして、こうした過去の経験を、今後に生かすことが重要とも語っています。産業技術総合研究所においても、房総半島南東沖の海溝型地震が繰り返し発生してきた可能性があると研究結果を発表しています。
都は、防災対策において、マグニチュード八級の元禄型関東地震の再来、相模トラフ沿いの地震も想定していくべきと考えます。そして、国の長期評価の見直しに先駆けて暫定想定を行い、都民に対し、防災への確固とした姿勢を示していくべきと考えますが、所見を伺います。
大震災によって、千葉県の京葉臨海中部地区の液化石油ガスタンクが倒壊、引火し、十日間にわたり燃え続け、また、東京湾に液体アスファルトが流出するなどして、周辺住民約千三百名が避難する事態となりました。
東京湾沿岸には、石油コンビナート等特別防災区域が広がり、多くが建設後約三十年を経過しており、早急な屋外貯蔵タンク等の耐震性向上と長周期地震動対策が求められています。また、新技術基準として、地盤は液状化しない堅固なものでなければならないとされており、護岸の耐震化、海上流出対策を含め、防災対策も急がれます。
首都直下地震の際に、東京湾は、緊急物資の輸送や人員の搬送等を行う重要な海路となります。被災に伴い、石油など大量の危険物が東京湾に流出した場合、それらの活動を大きく阻害する要因となります。
こうした東京湾内の危険物除去や、近県の石油コンビナート火災の消火及び冷却活動への支援など、今後起こると想定される首都直下地震や三連動地震時の都の対応について伺います。
また、広域防災の視点から、都は、石油コンビナート等の防災対策を、国や関係県市、事業者などとともに、強化して取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
次に、帰宅困難者対策について伺います。
震災時、東京都心部では、多くの帰宅困難者が発生し、首都直下地震の被害想定においても、東京では四百四十八万人が帰宅できなくなるとされています。都は、帰宅困難者を一時待機施設に受け入れる考えで、官民施設を幅広く確保していく方針です。
震災後の被災した建築物については、応急危険度判定を行い、必要な措置を講じる必要があります。民間では、震災時の建物倒壊の危険性をはかる建物被災度判定システムを導入する事業者が出始めています。これは、超高層ビル内に設置した地震計のデータから、構造物が致命的なダメージを受けたかどうかを判定するもので、大手ディベロッパーも導入しています。実際、東日本大震災後に、世界貿易センタービルでは、これらに基づき被害がないことを確認し、浜松町駅に滞留していた帰宅困難者を七百人受け入れました。
都は、帰宅困難者の一時待機施設の安全性に配慮しながら、都内各所に多くの施設を確保していくべきと考えますが、所見を伺います。
東日本大震災発災から二日後、関西広域連合は、現地連絡所を岩手県、宮城県に設置し、また、十六日には福島県に設置して、被災地支援に取り組み始めました。二十三日には太平洋沿岸市町の大被害を確認して、気仙沼市などにも支援本部を設置し、市町レベルでも連携して支援に当たりました。
全国の都道府県間では、災害時の広域応援に関する協定を締結していますが、今回、十分に機能したとはいえませんでした。そのため、広域大災害への備えとして、都は、知事会や各ブロック知事会、広域連合などと首都圏を超えた広域応援体制を検証、再構築していくべきと考えますが、所見を伺います。
今回の東日本大震災で今までの想定を超える津波被害などが発生し、防災対策の再検討が、国や各自治体で進められています。この東京においても、複合災害の最悪想定の一つとして懸念するのは、これから政府が検討を始める三連動地震などのような大規模地震が発生し、満潮時に台風による高潮が重なって従来の規模を超える高潮が東京に達し、東京東部のゼロメートル地帯で溢水、冠水することです。
東京の江東内部河川を初めとしたゼロメートル地帯を中心とする低地帯では、満潮面以下の地域に約百五十万の人々が生活しています。従来のように、まちに水が入らないように取り組んでいくことは当然ですが、想定外の事態により、万々が一、海水などが浸入してしまった際に、被害を最小限に抑え込んでいく減災のために、都は早急に想定と対策を検討し始めるべきです。所見を伺います。
東日本大震災後、初めての防災の日となった九月一日には、多くの自治体などで防災訓練が行われました。地域においては、関係機関が連携して訓練を行いましたが、多くの都民が参加し、防災意識を向上させる取り組みとするには、いまだ十分ではありません。
災害に強い持続可能な都市東京をつくるためには、より多くの都民一人一人が防災意識を高め、平時の訓練に参加すること、地域コミュニティの維持強化によるネットワークづくりを進めること、そして、行政とともに地域の防災体制の確立に取り組むことが重要です。
地域の自主防災活動を活性化する事業として、愛知県や横浜市などでは、防災科学技術研究所と協力し、パソコンによるe防災マップづくりを推進しています。地域オリジナルの防災地図を作成し、地域の防災力や問題解決能力の向上に資するオープンソースのウエブシステムは、被災自治体の災害対応業務支援や災害ボランティアセンターの活動支援などにも使用されています。こうした災害リスク情報システムの積極活用を区市町村に促すことも必要だと考えます。
これらも踏まえ、都は、都民の防災意識を向上させ、その意識を風化させないよう、地域防災力の向上に一層取り組むべきだと考えますが、所見を伺います。
現在、福島県から県外への避難者は五万六千二百八十一人で、東京都には六千八百二十三人が避難しています。原発事故の収束の見通しが立たない中、長期化する避難生活に、特に母と幼い子どもだけの母子避難者の生活には不安感が募っています。都においては、引き続き避難者の皆さんへのきめ細かな支援を求めるものです。
今回の大震災では、都内の災害時要援護者も帰宅困難者となり、大きく体調を崩す事例や、計画停電の影響を受けた事例など、さまざまな問題があったことから、医療や障害者、PTA団体からは、高齢者や在宅療養者への医療の確保や各団体と連携した防災訓練の実施、学校による通学途上も含めた対策の構築といった災害時における支援の要望が多く出されました。
区市町村に、災害時要援護者対策を働きかける都において、大震災で災害時要援護者が受けたさまざまな事例から、支援策が実際機能するのかといった把握、検証が必要と考えますが、所見を伺います。
現在、福島県においては、順次、県民の被曝検査を行っております。また、全国各地の原発立地自治体には、原発事故対応のための医療が確保されていますが、原発事故、放射能災害が現実のものとなった今、原発立地道府県のみならず、東京都としても災害対策として、ホールボディーカウンターの購入、技師、医師の確保による放射能医療体制の確保について、積極的に検討すべきと考えますが、所見を伺います。
石巻市の日赤病院では、今回の震災時、災害時用の簡易なオーダリングシステムを急遽構築し、迅速、円滑な処方に努めました。また、気仙沼市立病院では、NCOといわれる方法で広域医療搬送の情報管理を行い、地理的に離れた組織間で横断的にネットワークを経由した情報共有、受け入れや遠隔地への搬送調整が行われたとのことです。
遠隔バックアップなどでデータ損失を防ぐ、災害にも耐え得るネットワーク整備など、今回の震災時に機能した事例を参考として、さまざまな課題に対処していかなければなりません。
災害時において医療機関の情報を他の医療機関、消防、行政が共有するシステムについても、積極的に検討すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、放射能対策について伺います。
大震災によって誘発された福島第一原発事故により飛散した放射性物質は、遠く離れた東京にまで到達しました。この放射性物質の問題は、事例が少なく、その影響がよくわかっていないため、正確な情報を提供するとともに、都民の被曝量、都内の放射性物質を可能な限り低減する対策を講じ、都民の不安払拭につなげていかなければなりません。
都内施設における放射性物質対策については、都内の下水処理施設で採取された下水汚泥、また、その焼却灰から高濃度の放射性物質が検出され続けており、都は現在、この高濃度の焼却灰を中央防波堤処分場に埋めています。都の調査によれば、埋め立て以来、高い線量を記録し続けており、処分場の安全管理の徹底が求められています。
そのような中、東京都は、震災瓦れきを三年間で五十万トン受け入れると表明しました。震災復興に向けて、できることはやるという姿勢は大事です。しかし、それはあくまでも都民の健康が守られるということが前提でなければなりません。現地の状況としては、岩手県、宮城県の中でも、放射性物質によって高濃度に汚染されている地域、そうでない地域があると聞いています。
この震災瓦れきの取り扱いを決めるに当たっては、慎重な検討と、都民に対する丁寧な説明が必要だと考えますが、所見を伺います。
放射性物質の環境中への降下、その影響による農林水産物の放射能汚染は、食品中の放射性物質に対する不安を都民に抱かせました。また、この数年、新型インフルエンザ、中国産冷凍ギョーザへのメタミドホス混入など、感染症や食品衛生にかかわる検査機器、それに携わる専門職の重要性を知らしめる事態を経験しました。
東京都には、この放射能汚染の検査に関して実績があります。今から二十四年前、チェルノブイリ原発事故の際には、ヨーロッパの食材を中心に放射能濃度の検査を実施しました。以来、この検査を続け、都民の食の安全を守ってきました。このような努力の積み重ねで、東京都は都民の安全を守ってきたのです。
PCR検査だけ、冷凍食品だけ、その時々に単品で騒ぐのではなく、平常時から総じて専門職の確保、育成等について留意することは、健康と安全を下支えする営みなのだということを、改めて確認し実行すべきです。
食品の安全に対する信頼が揺らぐ中で、安全な食品がしっかりと流通、消費されるようにするためにも、食品検査体制の強化が必要と考えますが、所見を伺います。
食の安全の中でも、子どもについては特に気を使う必要があります。先般、放射性物質に汚染された稲わらを給与したために、暫定規制値を超える牛肉が学校給食に使用されていたことが判明しました。こうした事態を受けて私たちは、八月三十日に石原知事に対し、子どもの内部被曝ゼロを目指すための緊急要望を行いました。
その内容は、学校、幼稚園、保育所等の給食において、食材の放射能検査の実施や放射能濃度が低い食材の利用、食材産地の公開、各区市町村との連携と情報提供、費用補助の支援、栄養士等への必要な研修の実施などであります。
また、都が価格及び納入業者を決定している牛乳に関しては、品質確保のため、納入メーカーや学校給食会に対し、検査の実施など適切な対応を求めること、そして、食品の放射能汚染については、リスクコミュニケーションの場を設けることや、都民に対し、わかりやすく正確な情報を提供することなどを求めました。
児童生徒の保護者からは、本当に給食が安全なのかといった不安の声も多く聞き、また、各区市町村においては、独自に給食食材の放射能検査を行っている地域もあります。
そこで、福島第一原発事故後、学校給食の安全確保と保護者の不安解消のための取り組みに関し、都教育委員会は、これまでどのような対応を行い、今後どう対応していくのかを伺います。
次に、八ッ場ダムについて伺います。
九月十三日に開かれた八ッ場ダム建設事業関係地方公共団体から成る検討の場で、関東地方整備局から検証結果の案が示されました。その内容は、治水、利水の両面で、八ッ場ダム案が代替案に比べてコストが圧倒的に安く、最有力案であるというものでした。
しかし、検証の中身を見ると、予断を持たずに客観的、科学的に八ッ場ダムの是非を検証するはずであったものが、事業継続の結論が先にありきの検証になっているように感じられます。
まず、利水について検証しなければならないことは、各利水予定者が八ッ場ダムに求めている水量が本当に必要なのか、その根拠となっている水需要の予測が、実績や実態を踏まえたものになっているかどうかです。ところが今回の検証では、各利水予定者が八ッ場ダムに求める水量がそのまま積み上げられ、その要求水量を前提にその水量を確保するため、それも非現実的とも思える四つの利水代替案との比較で八ッ場ダムが最適だという判断がされています。
その一つは、静岡県の富士川河口部から導水することを中心とする代替案です。
富士川から東京まで導水するという壮大なこの代替案の場合、費用は一兆三千億円にもなっています。このような案と比較すること自体に対する疑問の声があります。関東地方整備局が、水需要予測の妥当性について全く検証していないとする指摘もあり、その要求水量を満たす代替案なるものとの比較のみを行ったことについて、都の見解を伺います。
東京都全体の水道の一日の最大配水量は平成四年度の六百十七万立方メートルからほぼ減少の一途をたどり、二十二年度には四百九十万立方メートルと、この十八年間で二割も減っています。
これは節水型機器の普及などにより、一人当たりの使用水量が減少してきたからであり、今後も続くであろう人口減少や節水型機器の普及などを踏まえれば、今後の水需要が増加傾向に転ずることは、考えがたいのではないでしょうか。
東京都水道局は、平成二十五年度に必要となる一日最大配水量は六百万立方メートルと予測しています。ところがこの予測は、今から八年も前の平成十五年に、それも昭和六十一年度から平成十二年度までの十五年間の実績値を用いて行ったものであり、今、直近の水使用実績データに基づいて予測のやり直しを行えば、予測値が大きく低下することも予想され、その場合には、八ッ場ダムに新規水源を求める必要はなくなることも考えられます。
したがって、都は、直ちに最新の水需要予測の結果を採用すべきであると考えますが、都の見解を伺います。
さらに、八ッ場ダムが大渇水のときに必要だという意見がありますが、八ッ場ダムは、渇水が起こることがある夏季は、利水容量が二千五百万立方メートルしかなく、完成しても利根川水系ダム全体の夏季利水容量は五%程度しかふえません。渇水時の状況は、八ッ場ダムがあってもそれほど変わらないのです。
また、今回の八ッ場ダムの検証において、治水面でも八ッ場ダム案が代替案より費用が格段に安く最適案だとされていますが、これは、八ッ場ダムの治水効果を従来の数字より大幅に大きくしたことによるものとの意見も聞きます。
最後に、電力供給に関して、八ッ場ダムに群馬県営の発電所が併設されるため、電力事情を改善するためにも八ッ場ダムが必要だとの意見がありますが、これは、重要な前提を見落とした間違った認識ではないかという疑念の声もあります。
ダム建設予定の吾妻川には、流れ込み式の水力発電所が古くから数多くあって、かなりの発電が行われています。八ッ場ダムが完成すると、ダムに水をためるために、現在水力発電所に送られている水の大半を吾妻川に戻さなければならず、その発電量が大幅に減少するともいわれています。八ッ場ダム併設の発電所によって生み出される発電量は、失われる発電量の約五分の一にすぎないという試算結果も発表されています。
そこで、八ッ場ダムの建設により吾妻川流域の発電量が大幅に減少するということについて、都の見解を伺います。
次に、築地市場の移転問題について伺います。
私たちは、豊洲の安全性の確認と関係者の合意なくしてこの問題の解決はないと何度も述べてきました。このような中、東京都はこの八月三十日に、豊洲の土壌汚染対策工事として、ゼネコン系の三つのJVと合計約五百四十二億円の契約を交わしています。
しかし、そもそも土壌汚染の実態調査が不十分だとの指摘もあり、また、結果として環境基準を超える砒素や鉛が残ることについては安全性を疑問視する声もあります。今回の土壌汚染対策工事でも、工事全体の監理はだれの責任で行われるかなど、懸念がないわけではありません。
一方、土壌汚染対策工事を通じて、例えば工事の途中の状況を議会に報告する、あるいはその検証作業を市場関係者や学識経験者等で構成する協議会とともに行う、あるいは汚染の有無を確認する指定調査機関の公正さを確保することなどの取り組みも考えられます。
今回の土壌汚染対策工事を進めるに当たって、都民や市場関係者が安全・安心だと実感できるようになるのか、所見を伺います。
関係者との合意では、地元中央区との課題も残されています。石原知事がかつて、豊洲も築地もともにブランドとして並び立つような妙案をと述べていましたが、まさに知恵を絞り、東京都、地元自治体、業界団体の意見の一致を見ることが重要です。
このようなことから、私は都議会民主党を代表して、ことし三月七日の予算特別委員会の締めくくり総括質疑で、築地のまちづくりについて質問しました。
東京都が、場内、場外とが一体となってはぐくんできた食文化の拠点としての活気とにぎわいを引き継ぐという観点から、中央区など関係者と協議を行うと答弁したのに対し、私は、一歩前進だが、合意にはまだ時間がかかりそうだと指摘をしておきました。
そこで、現時点における中央区との検討状況と合意に向けた課題について、東京都はどのように認識しているのか伺います。
次に、環境、エネルギー政策について伺います。
私たちは、さきの東日本大震災の経験も踏まえつつ、これからの東京は、低炭素型でかつ高度な防災都市づくりを目指すべきと考えています。そのために、地域分散型エネルギーシステムの導入促進、再生可能エネルギーや未利用エネルギーも含めた電気及び熱エネルギーのベストミックス、全体最適利用を推進することが求められます。
石原知事はさきの所信表明で、新政権があらゆるエネルギーの最適な組み合わせを追求した現実的かつ複合的なエネルギー戦略を構築すべきと述べられました。同様に、都としても、東日本大震災の経験を踏まえたエネルギー戦略の再構築が求められており、さきの第二回定例会で可決された都議会民主党が提案した条例にも、都に対して省エネルギーの推進と、エネルギーの安定的な供給の確保に関する長期的な総合計画の策定を義務づけています。
東京都として独自のエネルギー総合計画の策定が必要と考えますが、知事の所見を伺います。
先月、都庁内部に東京天然ガス発電所プロジェクトチームが設置され、発電効率が高く、他の化石燃料と比べて格段に環境負荷が少ない天然ガスを燃料とする、百万キロワット級の発電所の整備に向けた検討が開始され、既に用地の一次スクリーニングまで行われています。
第二回定例会でも申し上げましたが、天然ガス発電所の新規建設に当たっては、民間事業者にゆだねるべきであると改めて申し上げておきます。
また、私たちは、災害時のリスク分散のため、省エネルギーや低炭素化にも配慮しながら、六本木ヒルズの自家発電設備クラスの地域分散型の発電機導入を積極的に推進すべきと考えますが、今後の課題も含め所見を伺います。
また、このような地域分散型の発電機導入のための手法の一つとして、既存の地域冷暖房施設に発電機能を導入することが考えられます。熱供給にあわせて電気も供給することで、災害時は業務継続、平常時は省エネルギーや低炭素化、電力負荷の平準化等に貢献することが可能となります。
現在、都内に地域冷暖房施設は七十七カ所ありますが、発電と冷暖房機能を備えた施設は十二カ所しかありません。都内の地域冷暖房施設への発電機能の導入に対する後押しが必要と考えますが、所見を伺います。
次に、東京の国際競争力の向上について伺います。
東京都では、平成十八年に策定した「十年後の東京」計画を改定するとしており、その改定方針の第一に、都市の活力を取り戻し、アジアのヘッドクオーターとしての地位を確立することを掲げており、私たちも、こうした施策について積極的に取り組んでいきたいと考えています。既に東京都は、昨年九月の政府の提案募集に応じて、アジア域内ヘッドクオーター特区の創設を初め、国際コンテナ戦略港湾などの特区の提案をしていますが、総合特区の創設は、東京の国際競争力の向上を図る上でも、その起爆剤となる重要な課題です。
現在、総合特区の指定は九月三十日に申請が締め切られ、その後の検討会を踏まえ、十二月にも指定が行われる見込みですが、国の方針では、国際戦略特区は指定数は五カ所程度とされ、かつ初年度においては絞り込んで指定を行うとされていることから、厳しい競争も予想されます。
東京がアジアのヘッドクオーターになるべく、国際戦略特区の指定に向けた取り組みも含めた東京都の今後の取り組みについて伺います。
次に、MICEの推進についてです。
六月六日、IMF、国際通貨基金が、来年十月のIMFと世界銀行の総会を東京で開くと発表しました。これは、当時の野田財務大臣が関係各国に申し入れて実現したもので、加盟百八十七カ国の財務大臣を初め、関係者二万人近くが訪れるともいわれています。
私は、IMF、世界銀行総会などを契機に、積極的にMICEを推進すべきだと考えますが、そのためには、東京のコンベンション機能の強化という視点も欠かせません。
既に報じられているように、大田区が羽田空港移転跡地において計画している床面積四万六千平米の国際展示場が実現しても、東京での国際展示場の床面積は、ビッグサイトの八万平米と合わせても十二万平米程度です。
一方、国際的には、例えば、ドイツ・ハノーバーの四十六万六千平米を筆頭に、中国では広州の三十四万平米など、東京の展示場規模は十分とはいえません。MICEそのものが、一般的な旅行者と違って経済的な波及効果も大きく、単に施設の稼働率だけをもって評価できないとの指摘もあります。
私は、MICE推進のためには、ビッグサイトなどの機能拡張を視野に入れた、東京のコンベンション機能の充実などに積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、雇用対策について伺います。
東日本大震災と急激な円高などによる影響で、雇用情勢は依然として厳しく、八月三十日に総務省が発表した岩手、宮城、福島の三県を除く全国完全失業率は、七月で四・七%と、二カ月連続で悪化しています。
国の第三次補正予算では、全国都道府県に置かれている雇用対策基金が二千億円積み増されるといわれていますが、国の補正予算案が成立するのを待っていては、年末あるいは年度末の厳しい雇用状況に的確かつ迅速に対策を打ち出せない事態も想定されます。
ことしの予算議会でも、私たちは、既に平成二十四年度まで延長された緊急雇用創出事業の基金を使って、成長分野において切れ目のない、かつ厚みのある雇用創出事業を実施することを求めてきましたが、例えば国の補正予算を見据えるならば、平成二十四年度までの分として積み置かれている基金を前倒しして執行するような意気込みを持って事業に当たる必要があります。
そこで、これから区市町村とも十分に連携しつつ、年末、年度末に向けて緊急雇用創出事業を的確かつ迅速に実施していくべきだと考えますが、所見を伺います。
次に、ワークライフバランスに配慮した労働環境の整備についてです。
東京都は、平成十九年より中小企業両立支援推進助成金事業を実施しており、平成二十三年度までに二千社を目標に、仕事と家庭生活との両立支援に取り組む中小企業に対して支援を行っているところです。
ことし四月一日以降、次世代育成支援対策推進法の改正を受けて、次世代育成支援に向けた行動計画の策定が、従業員百一人以上の企業にまで義務づけられました。さらには、東日本大震災後、多くの企業で、省エネや節電などへの対応に伴い、業務のあり方が見直しされているこの機会を生かし、平成二十四年度の事業終了が見込まれる両立支援推進助成金事業を再構築するなどして、より一層のワークライフバランスの推進を図っていく必要があるのではないでしょうか。
東京都は、今後とも、中小企業における仕事と家庭生活の両立支援について積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、公契約条例について伺います。
現在、厳しい経済状況が続く国内において、公共調達の投資額は減少の傾向にあり、契約受注競争は激しさを増しています。そして、この低価格競争の影響が、公共調達に従事する労働者の賃金低下、官製ワーキングプアに結びつかないよう、賃金水準の確保に向けた動きが進んでいます。
昨年十二月、川崎市は、契約条例改正案を市議会で全会一致により成立させました。阿部市長は、改正の目的は、市が発注する事業の品質の確保と労働者の就労環境の維持を目指したものだと述べており、自治体発注の公共事業が低価格で落札される結果が、労働者の賃金低下につながるとしたら本末転倒であり、受注業者が採算割れで倒産することがあってはならないとも語っています。
平成十七年、都議会においては、公共工事における建設労働者の労働条件確保等に関する意見書を国に提出しており、都においても、その実現に向け取り組む必要があると考えます。
これまで都も、入札契約制度改革に取り組んできましたが、公共工事などの質を確保し、公共サービスに従事する労働者の適切な労働条件を確保するために、改めて公契約条例の策定を検討していくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、医療政策について伺います。
国民の死因の三割を占める病気ががんです。都民が自分や家族のがんと向き合ったときには、適切な選択に基づき医療が受けられ、がんを克服するために、あるいはよりよい最期を迎えられるようにするためには何が必要か、都民、都議会、都庁、医療者とともに考え、すべての人が納得できるがん医療、サポート体制づくりを目指していかなければなりません。私たちが繰り返し求めてきたがんの部位別医療連携手帳、いわゆる東京都がん手帳の策定、発行は、東京の地の利を生かし、がん医療を牽引するような医師が参加して作成し、試行されました。
一方で、都は、認定、拠点病院の指定拡大を図ってきており、現在三十四病院が指定されています。これら拠点病院等と地域医療機関の双方が、治療経過等きめ細かい情報を共有し、シームレスながん医療を提供するために、この手帳が大きな役割を果たします。
東京都がん手帳は、医療機関同士、医師同士の緊密な連携に加え、患者自身が治療を理解したり、自分らしいがんとの向き合い方を考えることにも役立つものであり、すべての地域でこの手帳が活用され、より多くの地域医療機関における参画を確保していくよう取り組む必要があると考えますが、所見を伺います。
がんになったら、痛み苦しみは避けられない、緩和ケアは積極的治療を断念した後のものなど、がんや緩和ケアに都民が抱くイメージは非常にネガティブです。しかし、多くのがんでは、疼痛や副作用の管理もかなり可能となっております。また、治療初期から痛みを適切にコントロールすることが、療養上重要であるということも知られておらず、痛み軽減対策が十分でないのにもかかわらず、ひたすら我慢する方もまだまだいらっしゃると聞きます。
がん医療の均てん化の中では、患者のQOLに加えて、がんそのものの予後にも影響のある痛み、苦痛のコントロールが重要であり、緩和ケアの実施に当たっては、医師、看護師を初めとした医療スタッフが一体となって患者を支える体制が必要であります。がん医療に携わるどの病院、どの医師にかかっても緩和ケアが受けられるよう、緩和ケアへの取り組みを強化することが必要と考えますが、所見を伺います。
東京都のがん検診受診率は、職域を含めると高いものの、区市町村における受診率は低迷しています。がん検診受診率は、区市町村ごとに八割から一割まで非常にばらつきがあります。より多くの方が検診を受けやすいような、平日夜間や土日休日の実施、保育つき検診などにより、一層の受診率向上支援策が必要と考えますが、所見を伺います。
また、がん医療の発展には欠かせない基礎データである地域がん登録についても、日本は先進国の中で非常におくれをとっています。他府県では、既に地域がん登録が実施されておりますが、都においても、がん基本法制定から五年を経て、ようやく地域がん登録が実現しようとしています。地域がん登録については、情報を蓄積し、長期、十年スパンで研究、政策に生かしていくという側面もありますが、短期的には都内のがん実態を把握し、二次医療圏ごとの特性や課題に応じたがん医療向上方策を立てることも活用法であります。
しかし、情報として活用するには、より多くの患者情報を登録することが必要です。患者の生死にかかわる情報は最もナイーブな個人情報の一つであるため、がん登録の意義、目的を明確に広報するなど、都民や関係者の信頼性を担保し、実施、発展させていくことが重要と考えますが、都としての取り組みを伺います。
五大がん以外のさまざまながんについても、もっと早く発見できていればというケースが多くあり、機会をとらえて、普及啓発に取り組むことが必要です。
例えば、口の中にできる口腔がんは、年間約三千人が死亡されているとされますが、余り耳にすることはありません。口内炎だと思って放置したり、歯科医師にかかった場合でも、自己判断で通院を中止したために診断、治療がおくれることもあり、定期的に検診を受けたり、きちんと治り切るまで診てもらうこと、歯科医師の研修も重要です。当然、発見が早ければ生存率もよく、特に、社会生活上重要な発話や飲食機能、顔への外見的ダメージも低く抑えられます。口腔がんの社会的認知と早期発見に向けた取り組みについて所見を伺います。
現在の東京都がん対策推進計画は、平成二十年に策定された都のがん対策を総合的に推進するためのものであり、検診受診率の五〇%以上、七十五歳未満のがん死亡率二〇%減少など、具体的な数値目標を盛り込んだ意欲的なものとなっております。この計画も折り返しに来ていますが、現在までの進捗状況について、またその進捗状況に照らして、計画、施策の見直し、強化拡充が必要ではないか伺います。
次に、虐待対策について伺います。
先日、杉並区内で里親が虐待により死亡させた疑いで逮捕されるという、大変ショッキングな事件が発覚しました。この事件の全容は不明ですが、幼い命が失われることを防げなかったのは事実であり、里親の孤立化防止、支援体制づくりを進めることが必要です。
近年、社会的養護を必要とする子どもたちの中には、虐待を受けた経験があったり、発達障害のある子どもの割合が増加しております。東京都養育家庭制度による、養子縁組を前提としない里親に委託される子どもたちにおいても、さまざまな専門的知識が必要となることから、里親認定研修の日数をふやす、委託後も研修や家庭訪問、面談などを充実強化することが必要と考えますが、所見を伺います。
子育ては二十四時間、土日も祭日もありません。児童相談所においては、非常時の連絡体制がしかれているとはいえ、夜間や休日に困ったときでも、よほどの緊急事態でなければ、日ごろ多忙にしている職員を呼び出すことはためらわれると聞きます。
国では、将来的に社会的養護を、里親、グループホーム、施設の三分の一ずつにしていくべきとの提言がまとめられております。一方、都においては、里親委託が約一割という現状の中、家庭的養護について重点的に取り組むこととされています。社会的養護の必要な子どもたちを家庭的な環境で養育、ケアしていくためにも、里親の新規開拓や相談支援を充実させ、支える基盤をしっかりとしたものにしなければなりません。
都は、都内三カ所において、里親支援機関事業による里親のサポートや新規開拓などを試行しておりますが、こうした取り組みを含め、里親がきめ細やかな支援を受けられるようなサポート体制を全都に構築するよう、あらゆる資源を活用した取り組みを実施すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、犯罪被害者支援について伺います。
犯罪被害者等基本法が制定されて以来、国及び自治体において支援施策が展開され、少しずつ犯罪被害者にも光が当てられるようになりました。
しかし、いまだに被害者の人権にかかわるような報道が行われたり、心ない言葉で二次被害を受ける被害者も少なくありません。都が犯罪被害者等支援計画を改定し実行に移していることは評価しておりますが、施策の取り組みについて、実施スケジュール、すなわちロードマップが示されておらず、数値目標なども示されていないことから、スローガンのみにとどまっていることは残念です。
都内での被害者支援施策の周知が十分に進まない状況で、都民に対して都の犯罪被害者支援の姿勢を示すためにも、改めて条例制定を求めるものです。
条例制定については、平成十五年第四回定例会で知事は、犯罪被害者支援は、経済的給付を初め、本来は国が対応すべき問題ですが、都としても、ご提案の条例も含めて、国や区市、民間団体などとも相談、協力しまして、そういうものを考慮し、考え、支援活動を推進していきたいと思っておりますと答弁されています。それから八年、山形県や神奈川県など、他県では被害者支援に特化した条例制定が進んでいます。
現在、民主党では条例提案を視野に準備を進めておりますが、ぜひ知事の手によって先進的な条例を制定し、この東京から被害者支援の充実を格調高く推し進めていただきたいと考えます。所見を伺います。
都における性犯罪の認知件数は、平成二十二年に強姦が百六十件、強制わいせつが八百九十一件となっています。内閣府の調査によると、この種の経験をした女性のうち、警察に連絡、相談した被害者は四・一%となっており、認知件数は氷山の一角にすぎないことが推測されます。性暴力への誤解、偏見から、二次被害を受けることも少なくありません。そして被害者は、自力で支援を探してたどり着かねばならないなど、十分な支援を受けている人はほとんどいないと思われます。
また、平成二十二年における全国の強姦認知件数のうち、二十歳未満の被害者の割合は四二・四%であり、被害者への適切なケアは非常に重要な課題であります。
国連の女性に対する暴力を規制する法律制定のためのハンドブックでは、女性二十万人に一カ所の割合で、レイプクライシスセンターの設立を求めています。国の第二次犯罪被害者等基本計画においても、性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターの設置促進がうたわれており、大阪の民間運営による性暴力救援センターや、警察庁のモデル事業である愛知県内のハートフルステーション・あいちの取り組みも進められています。
そこで、都においても、性犯罪被害者ワンストップ支援センターを都内に設置し、性犯罪被害者に総合的支援を行う必要があると考えますが、所見を伺います。
次に、教育施策について伺います。
先月の新聞記事で、都教職員が心の病で休職した割合が全国平均よりも高いことが取り上げられていました。学級崩壊、集団のルールに従わない、友達がいない、学級の中で居場所がないなどの多様な課題があり、学校現場への要求がふえ、教職員はストレスで疲弊しています。
そうした状況で、スクールカウンセラーに求められる役割と期待は非常に大きく、例えば、前定例会の本会議において、大原教育長は、都内のエンカレッジスクールやチャレンジスクールにおける中途退学者の原因を、学習に対する興味、関心の欠如や規則正しい生活習慣が身についていないことなどと指摘されましたが、まさにそのような学習や生活面も含めた予防対応のできるスクールカウンセラーが学校現場で求められているのです。
また、カウンセリングは週に一回程度の予約制で、相談したいときに対応してもらえないことから、勤務日数や人員をふやしてほしいという要望も聞きます。ただ人員や勤務日数を増加させるのではなく、あわせてカウンセリング方法の改善を図るべきと考えます。
そこで、スクールカウンセラーによる教育現場の相談体制が、一部の子どもたちを対象とした事後対策型の心理臨床的な問題のみに対応するのではなく、アメリカにおけるスクールカウンセラーのような学業的発達、キャリア的発達、個人的・社会的発達の三つの領域において、子どもたち全員を対象とする総合的、開発的なカウンセリングを取り入れ、学習や生徒指導の問題が起きる前に予防し、より全体的な教育の効果を高めるようなスクールカウンセリングを行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
都留文科大学での、全国一万四千人の現職教師を対象に実施した調査によれば、小、中、高校と教師がカウンセラーに期待する活動内容が学校種別で異なる結果が出ており、また、各学校によっても違いがあると結論づけられています。現在、都教育委員会は、都内の公立学校に派遣する約七百名のスクールカウンセラーの採用を行っています。
そこで、採用時、学校側がどのようなスクールカウンセラーを採りたいか、各学校の具体的な要望を取り入れた形で採用を行うべきと考えますが、所見を伺います。
さて、数多くの調査や来客対応、電話対応などに追われている小中学校の副校長の多くは、依然として多忙感を抱いており、また、それをふだんから見ている若手教員は、その役職に魅力を感じず、なり手が減っている状況が続いています。
東京都は、全国に比べて精神疾患で休職する教職員の割合が高い中、抜本的な校務改善による円滑な組織運営を実現させ、教職員一人一人が能力を最大限に発揮できる環境、児童生徒がよりよい教育を受けられる環境を整備することが早期に求められます。
現在、校務改善の取り組みはモデル校において実施されていますが、来年度本格実施となった際に、真に実効性のあるものとするためにも、今後行われる検証が大変重要です。
そこで、校務改善の取り組み状況と今後の対応について伺います。
副校長の多忙に関連して、副校長の役割として、産休、育休、病欠等で一時期休職する職員の任用業務がありますが、これに多くの時間をとられ多忙の一因になっていると、多くの学校管理職の方々から聞いています。
現在、都では、その時間講師等の任用業務の効率化に向けた非常勤職員情報提供システムの開発を行っており、来年度に本格稼働を予定しています。
そのシステムの内容は、時間講師等を募集する学校側と応募する講師側とのマッチングが、サイト上で行われる双方向型のものと聞いていますが、そのサイトによって本当に作業の効率化が果たせるのか、所見を伺います。
また、あわせて、サイトの提供だけでなく、僻地においてなかなか人手を見つけるのに厳しい状況にある学校に対しては、都教育委員会が細かなフォローを行っていくべきではないかと考えますが、所見を伺います。
次に、特別支援学校併置校の課題について伺います。
都内の知的障害児生徒が年々ふえる中で、異なる障害種別を併置する学校が来年度一校開校し、第三次実施計画で六校が設置される予定となっています。
併置化における特有の課題として、障害種別が複数になることに対応した教員の専門性向上や、障害の異なる児童生徒がかかわる際のお互いの安全確保などがあります。加えて、来年度開校予定の府中の肢体不自由と知的障害の併置校においては、知的障害教育部門における児童生徒数の増加による大規模校化が、保護者の間で不安視されています。
府中地区特別支援学校は、知的障害教育部門における児童生徒数が、計画時の推定より約百名増の約四百五十名の大規模になり、保護者からは、十分な教室等の確保がなされるのか、教職員不足にならないのかといった懸念の声を聞きます。教職員の配置に関しては、仮に栄養士の数が生徒児童数に見合っていないと、食事のケアがうまく施されず、重度障害児生徒が誤嚥等の事故を起こしやすい環境が生じてしまう可能性も考えられます。このような命にかかわることは最優先で対応しなければなりません。
特別支援学校の併置による大規模化に伴い、教育の質の低下を招くことのないよう、副校長、養護教諭、栄養士等の正規の教職員の増員や配置、不足する施設の増築、改築など、適切な対応が必要と考えますが、所見を伺います。
最後に、二〇二〇年東京オリンピック招致について伺います。
東京都は、去る九月一日、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の立候補申請をIOCに行いました。
二〇一六年招致においては、百五十億円もの巨額な招致費用を投じ、計画自体は高い評価を得たものの、国内全体の招致機運が盛り上がることはありませんでした。これは、スポーツ界や都民の声を受けた招致ではなく、トップダウン、かつ政治色をまとった招致であったことと無縁ではありません。
こうした政治色を払拭し、都民一人一人のオリンピック招致につなげていくためには、今、なぜ二〇二〇年東京オリンピック招致なのか、この招致の意義を明確にし、都民、国民の皆様にしっかりとお示ししなければなりません。そして、計画策定段階から都民、スポーツ界の参加を求め、大勢の賛同を得つつ進めていくことが、真に人の心を動かし、国内世論を盛り上げ、招致成功に近づける道だと考えます。
そこでまず、都民、国民に示す二〇二〇年東京オリンピック招致の意義とは何か、知事の所見を伺います。
また、世界に向けて東京オリンピック招致の意義を示すには、知事が所信表明で述べた、オリンピックを通じて日本が立ち直った姿を世界に披瀝し、支援に対する感謝の気持ちを示す機会ということも重要なポイントではあります。
しかし、これにとどまらず、韓国が、平昌冬季オリンピックの招致活動で、雪が降らない熱帯や新興国のアジアの青少年を招待し、ウインタースポーツを体験できるドリームプロジェクトを実施したように、世界に向けて訴え、そして共感を呼ぶ発信力のある理念を柱とした招致活動が必要です。
国際世論を動かし、結果として、IOC委員の投票につながる理念を掲げなければならないとともに、招致の意義や理念を国内外に浸透させていかなければならないと考えますが、所見を伺います。
二〇一六年オリンピック招致においては、プレゼン費用やスポーツタレントの出演料を初めとした招致経費に多額のコストがかかりました。今回は、基本方針の一つとして、大幅な招致経費の圧縮が示されていますが、私たちは、ただ経費圧縮するのではなく、本当に成功するために必要な招致活動に対しては十分な予算を充て、余り効果の期待できない活動に対してはできる限り予算を削るという、めり張りのある効率的な予算の使い方をすべきと考えます。
また、都民、国民の盛り上がりの中での招致という観点からも、招致活動もその経費も民間が主体となり、東京都はこれを支援し、コーディネートしていくべきと考えます。都が負担する費用も、都民の税金ではなく、既に積み立てられたオリンピック基金の果実を充て、その負担割合も公費が民間資金を上回ることのないようにすべきと考えます。
そこで、招致活動経費及び財源区分について所見を伺います。
私たちは、二〇一六年招致の際も、メーンスタジアムを晴海とする東京都案に疑義を唱え、国立競技場の活用を訴えてきました。
国立霞ヶ丘競技場は、オリンピックのメーン会場としては、収容人数を五万四千二百人から八万人に広げなければならないキャパシティー面だけではなく、要人を迎える接客スペースが足りないといったホスピタリティー面での改修も必要です。一方で、政府は、二〇一九年ラグビーワールドカップに向けた改修を検討しているため、このタイミングで、オリンピックのメーンスタジアムとしても利用できるように改修すれば、新たな会場をつくらずに済みます。
私たちはこれまでにも、オリンピック招致を理由とした過大な社会資本整備は行わないことを求めてきました。メーンスタジアムについても、極力既存施設を活用すべきと考えますが、所見を伺います。
また、二〇一六年招致活動の際、私たちは、五輪招致レースに勝ち抜いた実績を持つ国際的な広告代理店やコンサルティング会社は複数存在するにもかかわらず、特定の一社に限定した事実上の広告代理店一社体制は問題ではないかと指摘してきました。
そこで、二〇二〇年の招致活動において、契約の改善をどう図るのか、所見を伺います。
繰り返しになりますが、知事は、さきの所信表明において、被災地での競技なども通じて、日本が立ち直った姿を世界に披瀝すると述べられました。一方、地元地域や世論調査などでは、オリンピックの招致予算を復興支援に回すべきだという都民、国民からの声も多く聞かれます。
そこで、被災地への配慮もしっかり行っていかなければならないという点で、オリンピック招致活動時や開催時には、被災地の経済的支援を含めた復興につながるような対応をとるべきだと考えます。
例えば、招致、開催事業の一部を被災した企業へ優先発注することや、競技の一部を復興後の被災地で開催することなどを検討すべきと考えますが、所見を伺います。
最後に、六・九億円の借入金について伺います。
二〇一六年招致活動の際、NPO法人オリンピック・パラリンピック招致委員会は、収入不足の六・九億円を広告代理店からの借入金という形で処理しました。その返済に当たっては、招致委員会がスポーツ振興活動に賛同する企業、団体からの寄附金、そういった収入や事業収入を充てて返済し、東京都の公金の投入は行わないとされています。
今後、新たにオリンピック招致を展開していくのに際し、この借入金をどうするのか、改めてはっきりさせなければなりません。そして、今後、招致予算の協賛企業を募る際、それぞれの企業に対し、この借入金について説明責任を果たす必要があると考えます。
この借入金について、現状そのままであると思いますが、今後はどう対応していくのか伺います。
以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
なお、答弁によっては再質問を留保します。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 増子博樹議員の代表質問にお答えいたします。
まず、都のエネルギー施策についてでありますが、エネルギーの確保は国家の発展のかなめでありまして、日本経済の再生に向け現実的なエネルギー戦略を構築すべきことを、先日、新内閣に対しても求めました。
東日本大震災後の電力危機を経験した今、大きな現場を持つ東京都に求められることは、新たな計画づくりに時間を費やすことではなくて、エネルギーの需要と供給の両面から実効性のある具体策を早急に実行することにあると思います。
都は、この夏の電力危機に際しては、実践的な対策を示すことにより、大幅な節電を達成しました。
また、電力の供給面においても、猪瀬副知事をリーダーとするプロジェクトチームを設置して、環境負荷の少ない百万キロワット級の高効率の天然ガス発電所の整備に向けて検討を進めております。さらに、六本木ヒルズにおいて新しい範を示した、地域分散型の発電の導入に向けた具体的な検討を新たに開始しております。
こうした実践的な行動により、電力の安定的確保に向けた都独自の取り組みを進め、我が国における環境エネルギー政策を牽引していくつもりであります。
次いで、犯罪被害者に対する支援でありますが、中世までは正当とされていたあだ討ち、復讐を、ルネッサンス以後、ヒューマニズムがこれを否定しまして、法律が裁いて刑を下すことになり、近代刑法なるものが確立したわけであります。
しかし、人権というものを過剰にとらえて、加害者の人権ばかりが尊重され、被害者の人権がないがしろにされるということは、これは決して好ましいものじゃありません。
犯罪被害者やその遺族が、犯罪により生命、身体を直接的に脅かされるだけでなく、その後も身体的、精神的あるいは経済的に過酷な状況に置かれることは極めて理不尽であります。
そうした理不尽さを正し、犯罪被害者に対して必要な支援をすることは、当然これは国の責任であります。しかしながら、国は、犯罪被害者給付制度の拡充を初めとする経済的支援の充実などについても、いまだに具体的な内容を定めておらずに、その歩みは極めて遅い感が否めません。
一方、都は、被害者の声を受けて、平成十九年度に支援計画を策定し、カウンセリングや裁判所への付き添いなどの支援を行う総合相談窓口を設置するなど、具体的施策を展開してきました。今年度からは、第二期の計画として、被害者に身近な区市町村での相談体制を強化し、社会全体で犯罪被害者を支えるべく、被害者の置かれた立場を多くの都民に伝える機会を拡充するなど、都ならではの取り組みを強化してまいります。
犯罪被害者の支援に当たっては、被害者の切実な思いにこたえて、確かに届く具体的な支援を迅速に行うことが何よりも必要で、重要であります。
今後とも、被害者の人権、本当の意味での人権を守っていくために、支援計画に基づき、体系的で実効のある施策を現場で着実にくみ上げて、積み上げてまいります。
次いで、オリンピック・パラリンピック招致の意義についてでありますが、スポーツには人に夢や希望、感動を与え、人々を結びつける無限の力があります。中でもオリンピックは、国際交流と相互理解により平和を希求する世界最大のスポーツの祭典でありまして、また、近年の大会では、開催を契機に都市環境問題の解決を強力に推進するという側面も有しております。
加えて、東日本大震災を経験した我が国にとって、二〇二〇年の大会招致は、これが実現できれば、スポーツの力で傷ついた国民の心もいやし、勇気を改めて与えるとともに、日本のダイナモである東京で大会を開催することが、復興を目指す沈滞した日本経済を牽引することにもなると思います。
今、この国に必要なものは、復興と再生に向けて国民が一つになれる夢にほかならないと思います。オリンピック・パラリンピック開催という共通の夢に向かって進む国民の意思が、必ず日本の再生の原動力になると信じております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 七点のご質問にお答えいたします。
まず、安全・安心な学校給食への取り組みについてでございます。
安全な学校給食を実施し、保護者の不安を解消するためには、食材の安全確保と、必要な情報の正確かつ迅速な提供が重要でございます。
そのため、都教育委員会は、都立学校及び区市町村教育委員会に対して、学校給食衛生管理基準にのっとり、食材の産地等を確認、記録し、それを保存するよう指導しております。
また、教職員に対して、保護者等からの質問に適切に対応できるよう、放射能に関する正しい知識を付与する研修を行っております。
今後も、関係機関との緊密な連携を図り、教職員の放射線に関する知識と認識をさらに高めつつ、適切な情報提供に努め、安全・安心な学校給食を提供してまいります。
次に、スクールカウンセラーの活動内容についてでございます。
現在、東京都が配置しているスクールカウンセラーは、児童生徒の問題行動の背景になっている不安や悩みへのカウンセリング、保護者や教職員への助言、援助など心の問題に関して、深く広範囲な活動を職務としております。
スクールカウンセラーは、校内での事後対策型の心理臨床的な対応はもとより、教員と連携して、学習や生活指導の問題が起きる前の予防的な対応など、さまざまな教育相談活動を日ごろから行っており、児童生徒の問題行動等の未然防止にも効果を上げております。
今後とも、スクールカウンセラーと教員が連携し、予防から実際の課題への対応、その後のケアまでの総合的な取り組みにより教育効果を高めていけるよう、スクールカウンセラー活用事業を推進してまいります。
次に、スクールカウンセラーの採用についてでございます。
学校で起きる問題は多種多様でありますために、学校は、特定の分野に特化したスクールカウンセラーを求めているのではなく、あらゆる課題に対応できる人材の配置を望むとともに、教員とは異なる立場にある心理の専門家からの助言、援助を求めております。
このため、東京都では、高度に専門的な知識と経験を持つ臨床心理士を採用し、これまでのスクールカウンセラーとしての経験年数や実績などを考慮しながら、各学校に配置しております。
今後とも、学校における教育相談の質の維持を図るため、学校のニーズに的確にこたえられる人材を安定的に確保し、配置してまいります。
次に、小中学校の校務改善への取り組みについてでございます。
都教育委員会は、本年二月、今後の校務改善の方向性をまとめ、現在、小学校十校、中学校十校の計二十校のモデル校において、副校長直轄の分掌組織である経営支援部の設置や学校経営を分掌する専任の主幹教諭の配置など組織的な校務運営に向けた改善に取り組んでおります。
また、八月には、副校長の多忙感の一因である調査事務の縮減、効率化のための指針を定め、都及び区市町村教育委員会が一体となって学校の業務負担の軽減に努めているところでございます。
今後、モデル校における効果を検証するため、その業務実態を実地に調査し、年度内に実効性のある校務改善策をまとめた上で、組織的かつ効率的な校務運営を目指す取り組みを全公立小中学校に広めてまいります。
次に、時間講師等の任用業務についてでございます。
一時的に教員に欠員が生じた場合には、時間講師等を確保するため、副校長が紙ベースの名簿をもとに、土日、夜間も含めて適任者が見つかるまで電話をかけ続けるなど負担の大きい業務となっております。
そのため、現在、都教育委員会は、任用業務を効率化するため、非常勤職員情報提供システムを開発しております。
このシステムは、学校が必要とする人材に関する情報をインターネット上で時間講師等に公開し、条件に合った時間講師等がこれに応募するという二十四時間稼働のシステムでありまして、その後の連絡も電子メールで行いますために、副校長の業務は時間的にも量的にも確実に軽減されると考えております。
次に、僻地の学校における時間講師等の任用業務についてでございます。
僻地における時間講師等の確保に当たりましては、地理的条件等さまざまな困難があると認識しております。これまでも都教育委員会は、町村教育委員会から講師任用の相談を受けた場合、最新の任用状況や本人の僻地勤務の希望等の情報を積極的に提供してきたところでございます。
今回開発する非常勤職員情報提供システムでは、僻地にある学校の募集状況も公開されることから、応募がふえることが期待されますが、システム導入後も、僻地の学校における時間講師等の任用についてはきめ細かく対応してまいります。
次に、特別支援学校の併置による大規模化についてでございます。
都教育委員会は、障害の重複化への対応と知的障害特別支援学校の規模と配置の適正化を図るため、複数の障害教育部門を併置する学校の設置を進めております。
教職員定数については、法律に基づき定めた都の基準により算定しております。具体的には、教諭は障害種別ごとの児童生徒数に応じた学級数に基づき算定し、教諭以外の教職員は学校単位で算定しておりますが、併置の場合や児童生徒数が一定規模を超える場合等には、増配置しております。
施設につきましては、増築、改築を含め、適切に整備を進めまして、児童生徒数に応じた教室の確保に努めているところでございます。
今後とも、大規模校における教育の質の充実のため、適切に対応してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 七点のご質問にお答えをいたします。
まず、東京の防災対策における被害想定についてでございますが、都は、平成三年に関東地震を対象とした被害想定を、平成十八年に東京湾北部地震及び多摩直下地震を対象とした被害想定を行い、これらの想定に基づき防災対策を講じてまいりました。
東日本大震災の発災により、その被害実態等を踏まえて、現行の被害想定の再検証を行う必要があることから、都は、専門的知見を有する委員から成る東京都防災会議の地震部会を去る九月二十一日に開催し、被害想定の見直しに着手したところでございます。
被害想定の対象とする地震につきましては、関東地震も含め、地震部会における専門家のご意見に基づき適切に決定してまいります。
次いで、東京湾岸の石油コンビナート対策についてでございますが、今回の震災において、都は、国の要請に基づき、緊急消防援助隊として消防隊や無人走行放水車を出動させ、迅速に消火活動及び冷却活動を行っております。
石油コンビナートなどの危険物施設等の安全対策は、本来、国と事業者に適切に対応すべき責務があり、九都県市ではこれまでも、石油タンクなどに被害を及ぼす長周期地震動対策等の一層の推進について、国に要望を行ってまいりました。
今回の震災による石油タンク等の火災被害を受け、国は、全国の被災した施設の実態調査を行い、本年十二月を目途に対策の取りまとめを行うこととしております。
都といたしましては、国の検討結果を踏まえ、九都県市で緊密な意見交換を行い、対策のさらなる充実を国に働きかけてまいります。
次いで、帰宅困難者の一時待機施設の確保についてでございます。
帰宅困難者対策におきましては、一斉帰宅の抑制や正確な情報提供に加え、一時待機施設の確保も重要であり、行政だけでなく、広く民間にも協力を求めていく必要がございます。
このため、都は国とともに、去る九月二十日、猪瀬副知事と内閣府政策統括官を共同座長とし、近隣自治体や経済団体等を含めた帰宅困難者等対策協議会を発足させました。
一時待機施設については、施設の安全性の観点から、耐震性などを十分考慮しつつ、官民の協力のもと、その確保策について検討を進めてまいります。
次いで、首都圏を超えた広域応援体制についてでありますが、首都直下地震の発生など広範囲に及ぶ被害が発生した場合には、都県域を超えた自治体同士の相互連携が重要であり、これまで九都県市では、物資支援や職員派遣など、発災時の情報連絡体制や相互連携の強化に努めてまいりました。
先日公表いたしました東日本大震災における東京都の対応と教訓においては、今回の震災を踏まえ、九都県市に加え、全国知事会等との連携の重要性を明らかにいたしました。
今後は、首都圏内では対応し切れない応急救護やライフラインの復旧支援などについて、九都県市にとどまらず、首都圏を超えた自治体との多様な連携策を講じてまいります。
次いで、複合対策についてでありますが、大地震と重なって台風による高潮などが発生する可能性もあることから、想定外の事態が生じた場合にも、被害を最小限に抑止するための対策を講じておくことは必要でございます。
都はこれまでも、減災の考えにのっとり、水門、防潮堤の整備などにより高潮、津波対策を講じてまいりました。
今後は、東日本大震災の教訓を踏まえ、万が一浸水が起きた場合の迅速かつ的確な情報提供や避難誘導体制の整備など、対策を一層充実させることにより、減災に取り組んでまいります。
次いで、地域防災力の向上についてであります。
都はこれまでも、地域の防災力の向上に向け、総合防災訓練等を通じ、町会、自治会、事業者など関係者間の災害時における連携を進めてきましたが、今回の大震災において、住民等による自助、共助の取り組みの有効性が再確認されたことを踏まえ、地域の防災力をより一層向上していく必要があります。
このため、地域における特色ある取り組みを発掘、後押しし、新たな取り組みを誘発する防災隣組の構築に着手いたしました。
都民の防災への意識が高まっているこの時期を逸することなく、区市町村と連携して、自助、共助による取り組みを活性化させ、東京全体の防災力向上を図ってまいります。
最後に、性犯罪被害者に対する支援であります。
性犯罪被害者への支援を迅速に行うことは大変重要であり、都は、東京都総合相談窓口を拠点に、相談員による自宅訪問や裁判所への付き添い、宿泊場所の提供、精神科医のカウンセリングなど、さまざまな支援を提供しております。
昨年度の性犯罪被害者に対する支援件数は、事業を開始した平成二十年度の四倍を超えるなど、総合相談窓口の利用が進んでおります。
お話のワンストップ支援センターにつきましては、さまざまな課題があると見込まれる中で、国は、昨年度に愛知県内で実施したモデル事業の検証及び開設、運営に関する検討を行うこととしております。
今後、国の検討状況なども見据えながら、被害者のニーズにこたえる支援について必要な検討を行ってまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 十二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、災害時要援護者対策についてでございますが、都は、高齢者や障害者など支援を必要とする人が災害時に迅速かつ円滑に安全な場所に避難できるよう、避難支援プランの策定や要援護者名簿の整備等を行う区市町村を包括補助事業等により支援をいたしております。
また、区市町村が日ごろから備えるべき事項を盛り込んだ災害時要援護者への災害対策推進のための指針などを策定し、要援護者の所在把握、地域住民による支援体制づくり、ボランティアやNPO等との連携、防災訓練、教育の実施、福祉避難所等の整備など、地域の実情に応じた要援護者対策を実施できるよう支援をしてきました。
今後、東日本大震災の教訓も踏まえまして、高齢者や障害者等への対応について、区市町村の現状や取り組みを改めて把握し、災害時要援護者対策の推進を働きかけてまいります。
次に、放射能医療体制の確保についてでございます。
現在、我が国の原子力発電所の事故等に係る緊急被曝医療体制は、国の防災基本計画に基づきまして、原子力施設の立地または隣接をする十九道府県において、各道府県が指定をいたします初期及び二次被曝医療機関と、国が指定をいたします高度専門的な医療を担う三次被曝医療機関により構成をされております。
この十九の道府県には、医療体制の確保に必要な診療資器材の整備等に要する費用として、原子力発電施設等緊急時安全対策交付金が交付されておりますが、都は対象となっておりません。
このため、都は、今回の福島第一原子力発電所の事故を受けまして、国に対し、緊急被曝医療体制の見直しを行うとともに、すべての都道府県にホールボディカウンター等必要な診療資器材を整備するよう提案要求をしており、今後とも国に働きかけてまいります。
次に、災害時に医療機関の情報を共有するシステムについてでございますが、災害時に被災をした医療機関の情報は、国が整備運営し、バックアップ機能も有する広域災害救急医療情報システム、EMIS──イーミスと呼んでおりますけれども──によりまして、全国共通で収集、共有する仕組みが構築されており、都も参加をいたしております。
しかしながら、今回の震災では、電話回線やインターネット回線の断裂によりまして接続が一時不能となったことなどにより、システムが十分な機能を果たせませんでした。
このため、国は、震災後に設置をいたしました災害医療等のあり方に関する検討会におきまして、イーミスの今後の課題等についても検討を行っており、都は、この会議での議論等を見守りながら、イーミスの活用方法について検討してまいります。
次に、食品の検査体制の強化についてでございますが、都は、健康安全研究センターを中心に、ノロウイルスや腸管出血性大腸菌などの大規模食中毒、中国産冷凍ギョーザの問題など、都民の健康を脅かす幾多の緊急事態に持てる能力を最大限に発揮し、的確に対処してまいりました。また、最新鋭の高度分析機器を導入するとともに、迅速かつ精度の高い検査法を独自に開発するなど、検査能力や体制を不断に強化してまいりました。
今回の食品の放射能汚染に当たっても、都内産農産物等の検査を初め他の生産県における検査にも協力を行うなど、最大限の検査を実施しており、検査体制については、今月、ゲルマニウム半導体核種分析装置を二台増設したほか、今後、シンチレーションスペクトロメーターを四台更新するなど、一層の強化を図ってまいります。
次に、がん対策に関しまして六点のご質問にお答え申し上げます。
まず、東京都医療連携手帳についてでございますが、都では平成二十二年二月から、肺や胃などがんの部位ごとに作成をいたしました東京都医療連携手帳の運用を開始し、患者、かかりつけ医、専門医の情報の共有化を図ってまいりました。現在、三十五の専門医療機関と、二千を超える地域の医療機関におきまして、手帳を活用した医療連携が行われております。この手帳を有効に活用するため、これまでがん診療連携拠点病院等において、地域の医療機関を対象とした説明会を開催いたしますとともに、現在、患者、医療機関それぞれに対する活用マニュアルを作成いたしております。
今後とも、東京都医療連携手帳の一層の普及を進め、がん診療の連携体制の強化を図ってまいります。
次に、緩和ケアの取り組み強化についてでございますが、都はこれまでも、がん診療連携拠点病院等による地域の医療機関への診療支援や、医師を対象とした緩和ケア研修などに取り組んでまいりました。また、今年度は、緩和ケア等に関するさらなる理解促進を図るため、がん医療に携わる医師、看護師等の医療従事者や都民を対象としたシンポジウムを開催いたします。
今後とも、都民が身近な地域で緩和ケアを受けられるよう、これら研修等の充実に努めてまいります。
次に、区市町村が実施するがん検診の受診率向上への支援についてでございますが、都は平成十九年度から、受診率向上に取り組みます区市町村に対しまして、包括補助事業を活用して支援をしてまいりました。また、平成二十一年度からは、検診対象者や未受診者への個別の働きかけなどを行う受診率向上事業を、包括補助事業のメニューとして新たに加えまして、二十二年度までの二カ年で九区市町がモデル的な取り組みを行っております。
さらに、受診率向上の効果が確認された取り組みにつきましては、具体的な事例といたしまして、全区市町村を対象とした報告会で紹介をいたしますとともに、実施方法や手順を記載した手引きを作成し、他の区市町村での取り組みを支援いたしております。
今後とも、より多くの区市町村で受診率向上の取り組みが進むよう支援してまいります。
次に、地域がん登録の普及啓発についてでありますが、都は、地域がん登録が円滑に実施できるよう、適正かつ安全な情報の収集管理の手法や、都民に対する普及啓発の内容につきまして、医療機関や区市町村などの関係機関と検討を進めております。
今後、来年度からの実施に向けまして、医療機関や区市町村に対して説明会を実施し、登録制度の意義を改めて周知するとともに、情報の適切な管理を促していきます。また、都民の理解を促進するため、リーフレット等により、地域がん登録で得られたデータが、地域ごとのがん対策の企画立案に資することや、個人情報の保護が徹底されることにつきまして周知してまいります。
次に、口腔がんへの取り組みについてでございますが、がんは、お話の口腔がんを含めまして、患者の生命予後や生活の質の向上の観点から、早期に発見することが重要でございます。口腔がんのほとんどは、目で確認ができる口腔粘膜に発生するため、かかりつけ医、かかりつけ歯科医によって発見されることが多くなります。
このため、引き続き医師、歯科医師に対しまして、がんに関する研修への参加を促すとともに、都民に対し、口腔がんを含めたがんの早期発見の重要性について普及啓発を行ってまいります。
次に、がん対策推進計画についてでございますが、都では平成十九年度、東京都がん対策推進計画を策定し、全体目標といたしまして、七十五歳未満のがんの年齢調整死亡率の二〇%減少、そして、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の向上を定めております。
目的の達成状況は、東京都がん対策推進協議会におきまして評価、検証を行っておりますが、全体目標につきましては、計画策定時に比べまして着実に改善をいたしております。
引き続き、目標達成に向けて計画に基づく施策を実施していくとともに、現在、国で行われておりますがん対策推進基本計画の見直しを踏まえまして、都のがん対策の推進について検討をしてまいります。
次に、養育家庭制度の充実強化についてでございますが、都はこれまで、養育家庭を希望する方に対して、児童の心理や発達など、必要な知識全般に関する研修を行うとともに、児童委託後は、児童の状況に合わせた専門的知識を付与する研修を実施してきました。また、児童を委託している家庭に対しては、児童福祉司が定期的に家庭を訪問し、児童の発達状況や養育の状況などに応じて助言を行うほか、必要な場合には、心理司や医師による面談を行っております。
今回、養育家庭で起きた事件の重大性や、近年、虐待や発達障害など、さまざまな課題を抱える児童が増加していることを踏まえまして、今後、研修や家庭訪問の実施方法や内容について点検を行った上で、必要な方策を検討してまいります。
最後に、里親に対する支援体制についてでございますが、都はこれまで、養育家庭に対する相談や見守りの充実を図るため、養育家庭専門員を配置するなど、児童相談所における体制整備を進めますとともに、児童養育のノウハウを持つ民間団体などを活用して、里親に対する相談支援を行う里親支援機関事業を実施してきました。
養育家庭において、里親と児童が安心して生活していくためには、これまでの支援を強化いたしますとともに、地域における見守りの充実も必要でございます。こうした考え方に立ちまして、今後、都は、里親支援機関事業も含めた児童相談所による支援の充実を検討するとともに、養育家庭が日常的にかかわりのある学校や保育所など関係機関との連携を強化してまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 三点の質問にお答え申し上げます。
まず、災害廃棄物の受け入れについてでございますが、災害廃棄物の処理につきましては、被災地でも最大限の取り組みが進められておりますが、早期復興を可能とするため、全国の自治体に支援が要請されております。
都は、こうした要請に積極的にこたえるため、岩手県及び宮城県からの災害廃棄物の受け入れの準備を進めております。災害廃棄物の受け入れに当たりましては、国が本年八月に策定しました災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドラインを踏まえまして、搬出側での放射性物質濃度の再確認や受入施設におけるモニタリングを行い、その測定結果等をわかりやすく公表してまいります。
次に、地域分散型発電の導入推進についてでございますが、大震災に伴う計画停電では、病院などライフライン施設の機能が麻痺し、都民生活に大きな影響を及ぼしました。都市機能の維持に不可欠なライフライン施設等に必要な電力を電力会社だけに頼ることの危うさが、改めて明らかになったと考えております。
こうした教訓を踏まえまして、本年七月、庁内に分散型発電ワーキンググループを設置し、既に具体的な検討を開始しております。
今後は、いかに環境負荷が少なく、効率の高い発電機を導入するかが課題でございますが、都有施設のみならず、民間の都市開発とも連携しながら、地域分散型発電の設置を進め、災害時のリスクの分散を図ってまいります。
最後に、地域冷暖房への発電機能の導入についてでございますが、地域冷暖房は、大規模な都市開発等におきまして、地域内のプラントで冷水や温水、蒸気などをつくり、複数の建物に供給し、エネルギーを効率的に利用するシステムでございます。
地域冷暖房に発電機能を導入する場合におきましても、エネルギーを効率的に利用することが必要でございますが、このためには、地域内に発電で生じる大量の排熱を有効に活用できるホテルや病院など、熱需要の大きい施設が立地していることが要件となります。
都はこれまで、エネルギー有効利用計画制度を活用し、地域における効率的なエネルギーの利用を促進してまいりましたが、地域冷暖房に発電機能を導入する場合におきましても、この制度を活用し、事業者との調整を進め、地域のエネルギー特性に応じた施設整備を進めてまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、八ッ場ダム建設事業の検証についてでございますが、今月十三日に国が示した評価では、これまで一都五県が主張してきたとおり、ダム案が最も有利との結果でありました。この検証は、国がみずから作成したダム事業の検証にかかわる検討に関する再評価実施要領細目に基づきまして実施したものであり、水需要予測の妥当性についても、この細目に従って確認されております。
八ッ場ダムは、首都東京の将来にわたる安定給水に必要不可欠であり、直ちにダム本体工事に着手し、基本計画どおり完成させるよう、引き続き国に強く求めてまいります。
次に、水需要予測についてでございますが、これまでも都の長期構想により、将来の人口や経済成長率等の基礎指標が示された場合など、水道需要予測の見直しを適宜適切に実施してきております。
都では、間もなく浄水場等の大規模施設が一斉に更新時期を迎えることから、施設の耐用年数である五十年から百年先を見据え、気候変動による積雪の減少や大規模災害の発生など、さまざまなリスクに対応できるよう、現在、水道施設の再構築に向けた基本構想について検討を進めております。この検討に当たっては、水道システム全体の安全度を考慮する上で、渇水を踏まえた水源確保、事故等に備えた施設整備、水道需要等が密接に関連するため、将来の水道需要の見通しにつきましては、今年度内に策定する基本構想の中で示してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 八ッ場ダム建設に伴う吾妻川流域の発電量でございますが、国は、一切の予断を持たずに検証するとして決めた手続に従い、検証作業を続けております。
流量算定につきましては、日本学術会議の検証も受けながら作業を進めておりますが、国は、その手続の一環として、去る十三日、八斗島地点の流量一万七千立方メートル毎秒を確保することを基本とすれば、コストについて最も有利な案はダム案であると関係自治体に伝えたもので、都としても当然の結果であると受けとめております。
国からは、この検証を進めているため、東京電力との交渉を中断しており、八ッ場ダムの建設による吾妻川の水力発電に及ぼす影響については、現時点で確定していないと聞いております。
〔中央卸売市場長中西充君登壇〕
〇中央卸売市場長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、豊洲新市場の土壌汚染対策工事についてでございます。
豊洲新市場予定地の土壌汚染対策は、我が国を代表する専門家が、人が生涯この地に住み続けても健康への影響がないことを目指し、敷地全域にわたり十メートル区画で四千百二十二地点に及ぶ綿密な調査に基づき、自然由来の物質の存在も考慮に入れた上で、生鮮食料品を取り扱う市場用地としての安全・安心を確保する万全なものとして提言しており、法の求める対策をはるかに上回っております。
さらに、ここで採用した技術、工法は、実際に現地の汚染土壌や汚染地下水を用いた実験を行い、技術会議によりその有効性について既に実証されています。
今回発注した工事の内容は、こうした提言に基づくとともに、三月十一日に発生した東日本大震災に伴う噴砂への対応も含んでいます。
今後は、この土壌汚染対策工事を確実に実施していくことが何よりも重要です。
都としては、工事や汚染物質の処理が適切に行われるよう、綿密な施行計画を策定し、技術会議の確認を得た上で、直接、工事を監督するとともに、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関の公正さの確保を求めてまいります。工事の最終段階には、処理結果についても技術会議に報告していく予定です。
また、工事の進捗状況や汚染物質の処理状況などを都民や市場関係者に十分理解していただくため、工事現場見学会の開催やホームページへの掲載など、積極的な情報提供に努めてまいります。さらに対策後の二年間の地下水モニタリングや開場後の地下水管理を対象とし、市場関係者や学識経験者等で構成する協議会を設置し、情報の共有化や意見交換を図っていきます。こうした取り組みにより、都民や市場関係者のさらなる理解と信頼を得るよう努めてまいります。
次に、築地のまちづくりに関する中央区との検討状況等についてでございます。
築地のまちは銀座に隣接する極めて高いポテンシャルを有しており、築地市場を中心として、場外市場など周辺とのかかわりの中でにぎわいを生み出し、独特の伝統文化を継承してまいりました。築地市場移転後も、こうしたまちの特徴を引き継いでいくためには、まちづくりの検討に当たり、地元中央区との話し合いが重要であると認識しております。
既に都と中央区では、部長級による実務的な検討を開始しており、その中で区は、食文化継承の核となる施設の必要性を主張しています。現在、市場移転後も、どのようにしたら、まちのにぎわいが途絶えることなく築地の伝統文化を継承していくことができるか、中央区と検討を進めております。
こうした中、中央区長は、区議会の第三回定例会で、移転が明確となったことは重く受けとめている、これまで本区は、現在地再整備に向けてさまざまな活動を行ってきたが、今後は、現在地再整備ではなく、移転という現実に即し、市場移転後も築地の活気とにぎわいを確実に継承し、さらなる発展につなげられるよう区の総力を挙げる、新市場を支える基幹道路は既に工事が進められており、本区としてもこの動きに即して周辺のまちづくりを進めていく必要があると答弁されています。
今後とも、中央区と鋭意協議を進めてまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
〇知事本局長(秋山俊行君) アジアヘッドクオーターへの取り組みについてでございますが、世界規模で都市間競争が激化する中で、東京がアジアのリーダーとしての地位を持続するためには、国際競争力の向上が不可欠であるというふうに認識しております。
そのための効果的な方策といたしまして、今回、海外企業を積極的に誘致するための大胆な規制緩和や税制優遇を可能にする国際戦略総合特区の指定申請を行ったところでございまして、申請に当たりましては、民間の創意工夫を生かした内容となるよう、民間事業者に広く提案募集を行い、その結果、七事業者から八つの提案が寄せられ、グローバル企業のアジア拠点誘致に向けた戦略的取り組みや入国審査など、規制緩和に関する具体的なアイデアをいただいているところでございます。
あわせて、外国企業等に対しまして、日本で事業を行い、また生活する際の課題等についてもヒアリングを実施いたしまして、特区の制度設計の参考にいたしました。
今後、こうした民間の知恵と外国企業からの声などを生かし、そうした取り組みを実現するために、国に強力に働きかけて、確実に特区指定をかち取り、東京をアジアのヘッドクオーターへと進化させてまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、MICE誘致の推進についてであります。
MICEは、東京の魅力を国内外にPRする機会となり、大きな経済波及効果が期待できるとともに、観光振興を図る上でも極めて重要であります。
都はこれまで、国際コンベンションの誘致や開催資金の助成に加え、MICE人材育成など積極的に誘致のための施策に取り組んでまいりました。また、東日本大震災の影響により、訪日外国人旅行者が大幅に減少している中、東京の魅力に加え、安全性をPRするため、東京で開催される国際会議の機会を積極的に活用してきております。来年秋に東京で開催されますIMFと世界銀行の総会も、東日本大震災後の東京及び日本にとって意義のあるものと考えております。
引き続き東京ビッグサイトなどの効率的な利用を図りながら、MICE誘致に向けた施策を積極的に行ってまいります。
次に、緊急雇用創出事業についてであります。
今年度は、昨年度の事業計画を一千人以上上回る約一万八千人の規模で雇用創出に取り組んでおり、このうち今後成長が見込まれる分野に関しては、介護、環境など七分野に都独自の安全・安心など三分野を加え拡大実施しております。一方、四月から六月期の都の完全失業率は四・九%と、全国平均を上回るなど、依然として深刻な状況にありますことから、今後、年末、年度末に向け、区市町村とも緊密に連携し、地域の実情に即した事業を追加実施することとしております。
都としては、今後も、さらなる雇用創出が可能となるよう、国に対して交付金の必要額を要求するなど、厳しい雇用情勢に的確に対応してまいります。
次に、中小企業における仕事と家庭生活の両立支援についてであります。
労働者が生き生きと働きながら子育てや介護など、家庭における役割を果たすためには、仕事と家庭生活の両立が可能となる雇用環境を整備することが重要であります。このため、都は平成十九年度から、中小企業両立支援推進助成金事業によりまして、社内体制の整備など、仕事と家庭生活の両立を図るための経費の一部を助成することで、中小企業の雇用環境の整備を支援してまいりました。この事業を利用した企業は、本年度末には二千社を超える見込みでございます。
また、ワークライフバランスの推進に向けた社会的機運の醸成を図るため、平成二十年度から、両立支援に関するすぐれた取り組みを進める中小企業を認定し、広く社会に紹介してきております。
さらに昨年度からは、ワークライフバランスについて考え実践するきっかけとなるよう、東京しごとの日を設け、ことし八月の実施に当たりましては、大震災後の電力不足に伴う対応が企業に求められる中、働き方を見直すことの大切さについても発信いたしました。
今後とも、こうした事業を着実に実施することで、仕事と家庭生活の両立に配慮した雇用環境の整備を支援してまいります。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
〇財務局長(安藤立美君) 公契約条例の策定の検討についてお答えを申し上げます。
都はこれまでも、我が国の法制度にのっとり、契約に当たって最低賃金法や労働基準法などの法令遵守を義務づけることにより、労働環境の確保を図ってきたところであります。加えて公共調達の品質確保に向け、入札契約制度改革に積極的に取り組む中で、低入札価格調査制度を導入し、調査対象者から、安全管理、材料の仕様、労務単価等について詳細に確認をするほか、必要に応じ、現場点検を実施し、下請人との契約状況等を確認しております。また、関係部署と連携し、契約約款により法令遵守を求めているところでございます。
いわゆる公契約条例は、受注した各企業に対し、労使交渉で合意し、決定した賃金とは異なる水準の賃金の支払いを、契約により義務づけようとするものと理解をされます。こうした考え方をめぐりましては、労働政策や産業政策の観点から、整理検討すべき課題が指摘をされております。
さらに、経営余力が十分でないことなどにより、賃金水準を高くできない中小企業が、結果的に入札から排除されてしまうおそれがございます。したがいまして、このような公共調達制度は、国の立法措置上の問題であり、都は今後とも国の検討状況を注意深く見守ってまいります。
都は、現行法令のもと、よりよい公共調達制度の構築に向けまして、引き続き、入札契約制度改革に取り組んでまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) オリンピック・パラリンピック招致関係六点の質問にお答えいたします。
まず、国際世論を動かす理念とその浸透についてでございますが、国際世論を動かすには、まず困難に直面した世界じゅうの人々に対して、スポーツがいかに大きな力を持っているかを、震災から復興した日本でオリンピック・パラリンピックを開催することで、感謝の念を持って世界に示していくこと、また、二〇二〇年東京大会は、国際交流の進展と世界平和の促進に加えて、震災後に日本人が示した助け合いの精神や礼節、震災を契機に開発される環境技術などと相まって、アスリートに最高の舞台を提供するもので、IOCからの共感を得られるものと考えます。
先ほど知事が申し上げた招致の意義や、こうした理念について、国やスポーツ界、経済界が一体となり、あらゆる機会をとらえて国内外に浸透を図ってまいります。
次に、招致活動経費についてでございます。
今回の招致活動においては、前回の招致活動で得られた有形無形の財産を最大限活用するとともに、めり張りのある効率的な予算の使い方とすることで、前回の招致活動経費から半減させることも可能と考えております。
招致活動経費の財源については、都費と民間資金の費用負担を明確化し、招致委員会への都費負担は行いません。経済情勢が厳しい中においても、協賛企業等の獲得に努め、都費を上回る民間資金が集まるよう、JOCなどとも協力し、最大限の努力を行います。
次に、オリンピックスタジアム計画についてでございます。
本年制定されたスポーツ基本法では、スポーツに関する基本理念を定め、国の責務として、スポーツ推進のためのスポーツ施設の整備や、国際競技大会の招致がうたわれております。こうした中、国立霞ヶ丘競技場について、二〇一九年に開催されるラグビーワールドカップなど、国際大会での活用を視野に、八万人収容のスタジアムに建てかえていく方針であると報道されているところでございます。
今後、国が国立霞ヶ丘競技場の建てかえ方針を決定した場合には、都としても、オリンピックスタジアムとして活用していくことを考えてまいります。
次に、契約の改善についてでございます。
今回の招致活動は、都としては二度目の招致挑戦でございまして、前回招致の経験やノウハウを十分に蓄積しております。そのため、前回、実績や専門性から特命随意契約をしていた部分についても、分野ごとの分割発注や広く競争を行うことを検討し、より一層の効率化や透明性の確保を図ってまいります。
次に、被災地への復興支援についてでございます。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は、東日本大震災で傷ついた被災地にとって、九年後に復興した姿を支援していただいた世界じゅうの方々にお見せできるまたとない機会でございます。このため、現在、サッカー予選の開催や、聖火リレーなどを被災地で実施することを考えております。また、招致期間中においても、被災地と連携してアスリートを派遣し、子どもたちの心をケアするなど、精神的な支援のほか、経済的な視点も含め、具体的な支援策を検討してまいります。
最後に、借入金についてでございます。
前回の招致で生じた借入金は、平成二十年秋の世界的な金融危機、いわゆるリーマンショックを契機とした日本の経済社会状況の急激な変化により、予定していた資金調達が不足し、それが借入金となったものでございます。
今後、企業に対し、理解を求めながら、前回培ったノウハウや経験を有効に活用することにより、効率的、効果的な執行に努め、必要な招致経費を確保しつつも、同時に借入金を返済できるものと考えております。
〇議長(和田宗春君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十一分休憩
午後三時十分開議
〇副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
百十二番鈴木あきまさ君。
〔百十二番鈴木あきまさ君登壇〕
〇百十二番(鈴木あきまさ君) 平成二十三年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
東日本大震災から半年が経過いたしました。被災地には、未曾有の大災害のつめ跡が依然として残り、被災された方々の苦難が続いております。東京にも、約八千人の方が避難を余儀なくされております。
今ほど政治の存在価値が問われるときはありません。夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。吉田松陰が、次の世代を担う若者たちに教えた言葉ですが、私は野田新首相に贈ります。新内閣には、国家、国民のために頑張ってもらわなければいけません。日本は、まさにがけっ縁に立ち、正念場を迎えているからです。
今月九日、石原知事が突きつけた新内閣への建言は、新政権にとって、我が身を振り返り、みずからを正すきっかけになることを期待します。この建言の中でも、とりわけ重要なのは、一度は都議会自民党と知事とのタッグマッチで消し去ったはずの首都機能移転が再燃しないようにくぎを刺し、法人事業税の暫定措置を即時撤廃し、日本の頭脳、心臓である東京の防災力強化に充てることを宣言されたことであります。
民主党政権には、国家を成長させ、国を富ませるという視点が決定的に欠けていると思います。日本がじり貧になる中で、事業仕分けなるパフォーマンスよりも、将来の発展の芽をはぐくむことこそ不可欠です。
そうした新たな可能性の宝庫が東京であり、東京の機能を弱めることが日本の衰退につながるという極めて重要なことを改めて国には肝に銘じてもらわなければなりません。地震が起きたから東京の機能を分散させるというのは余りに短絡的で、大都市が国家を引っ張っていくという二十一世紀の常識を無視した暴論であります。
常に国家を憂い、日本の将来を見据えて発言し、行動されてきた知事に建言に込めた思いを伺います。
これまで、都では「十年後の東京」計画を未来図に、さまざまな先進的な政策を着実に展開してきましたが、先般、この「十年後の東京」計画を改定することを明らかにしました。
「十年後の東京」計画では、水と緑の回廊で包まれた都市、世界で最も環境負荷の少ない都市といった夢のある将来像を描き、その実現を目指し施策を推進してきましたが、今回の改定においても、発生が危惧されている大地震に備え、東京を高度防災都市へ生まれ変わらせるとともに、震災を乗り越え発展していく東京の新たな都市像を示し、東京から日本を牽引していく力強い将来像、将来展望を示すべきと考えます。
こうした東京の将来を描く上では、地元区市町村の声を十分に反映することも必要です。都でも今回の計画の改定に向けて、区市町村に意向調査を実施したとのことですが、どのような要望が寄せられているのか、また、計画策定に向けてこうした要望をどう生かしていくのか伺います。
次に、力強い将来展望を支える財政についてです。
都財政は、これまでの堅実な財政運営により健全性を保っているものの、我が国の景気の先行きは、円高や海外景気の減速、国の復興対策のおくれなどにより、不透明となっており、景気の影響を受けやすい都財政は決して安泰といえる状況にはありません。
とりわけ、リーマンショックの影響で前年度から一兆円も減収となった都税収入が、平成二十二年度決算においても回復することなく三年連続の減収となる中、法人事業税の暫定措置については、首都東京の防災力強化に向けた取り組みを加速させていく上でも大きな足かせとなっております。
国、地方ともに巨額の長期債務残高を抱え、財源不足が深刻化している状況において、税制の抜本改革の先送りが許されないことは明らかです。今こそ国は真剣に税制の抜本的改革に取り組むべきであり、その議論の前提として、法人事業税の暫定措置は直ちに撤廃するべきであります。
今後、暫定措置の撤廃に向けた取り組みを一層強化していく必要があると考えますが、所見を伺います。
東日本大震災の復旧、復興と防災対策について伺います。
我が党は、東日本大震災復旧・復興対策推進本部のもとに二つのワーキングチームを設置し、ハード、ソフト両面からの多面的な議論を積み重ねているところであり、今後、高度防災都市づくりに向けて積極的な提言をしてまいります。
とりわけ、高度防災都市づくりに取り組むに当たっては、これまでの取り組みのスピードアップやブラッシュアップに加え、新しい都市のモデルを具現化するという視点も不可欠です。
例えば、電力供給が制約される新しい局面に対応し、多様なエネルギーの確保に加え、最新技術により電力需給をコントロールし、省エネルギーで活動できる都市、また、水や食料等の備蓄倉庫、発電や通信の設備を備えた防災拠点を整備し、企業や住民が安心して過ごせる都市など、未来型の防災都市を構想していくことです。
こうした都市は、一朝一夕には築き上げられませんが、こうした時代の先を見据えた大局的な観点を持ちながら取り組んでいただきたいと思います。
都は今般、東日本大震災における東京都の対応と教訓を取りまとめ、今後取り組むべき課題を整理し、十一月に取りまとめる東京都防災対応指針で、その取り組みの方向性が明らかにされますが、まず、インフラ整備など都がやるべきものはしっかりと盛り込み、精力的に進める必要があります。
次に、東京の防災力の強化には、国や区市町村、民間企業、都民、あらゆる関係者の総力を結集する必要があります。
まず、首都東京の防災対策の目指す方向を明確に示すためには、国と連携して、あるいは国をリードして、全体の枠組みを提言していくことが求められます。また、避難誘導などの担い手である区市町村の取り組みを支援するため、都が広域自治体として、コーディネーターの役割を果たすことも必要です。さらに、防災対策の基本は自助、共助であり、都民や事業者の多様な取り組みを応援し、活性化していくことも重要です。
指針では、こうした総合的、重層的な視点に立って、それぞれの対策を打ち出すべきです。こうした観点から、東京の防災対策について具体的に伺っていきます。
まず、都が行うべきインフラ整備等のハード対策についてです。
木造住宅密集地域の改善は、東京を高度防災都市とする上で最重要課題の一つです。大地震が発生し、この地域が延焼した場合、首都東京の都市機能に多大な影響を及ぼすだけではなく、我が国全体の危機にもつながりかねず、今の状態を放置しておくわけにはいきません。
知事は所信表明で、今後十カ年で木造住宅密集地域の不燃化の取り組みを加速させることを明らかにしました。これまで都と区が取り組んできた経験をもとに、地域の状況に応じた有効な施策を組み合わせることにより、木造住宅密集地域の改善をより一層促進させることが必要です。
東日本大震災が発生した今こそ都がリーダーシップを発揮して、木造住宅密集地域の改善に取り組むべきと考えますが、知事の所見を伺います。
木造住宅密集地域を改善するためには、延焼遮断帯となる道路の整備や、街区の中の建物の不燃化を一体的に進めることが重要です。都市計画道路の整備は、焼けどまりの空間を確保するとともに、それを契機に土地利用の転換が図られ、沿道建物などの不燃化促進も期待される重要な事業です。
そこで、都市計画道路の整備による木造住宅密集地域の延焼遮断帯の形成について伺います。
また、地域内における建物の不燃化を進めるため、今後、都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
次に、建築物における液状化対策についてお伺いをいたします。
東日本大震災により、都内では埋立地だけではなく、内陸部においても、液状化が発生し、木造住宅を中心として、建築物が傾くなどの被害が生じました。いつ起きてもおかしくない首都直下地震や、連動の可能性が指摘されている東海、東南海、南海地震の発生に備え、今回の大震災による被害や地盤の状況を調査し、その実態を明らかにして、都民の不安を解消していく必要があります。
我が党は、さきの定例会において、液状化対策を的確に講じていくことが重要であると指摘し、都は早速専門家を含めた検討委員会を立ち上げました。今後、木造住宅などの建築物の液状化対策について、どのように取り組んでいくのか伺います。
東京港と島しょ港湾での津波対策についてお伺いをいたします。
都民の生命と財産を守る上で、東京港の防潮堤の役割は極めて重要です。こうした中で、水門、陸閘については、災害時に停電、交通渋滞、一般の通信手段の不調などがあっても滞りなく本来の機能を果たせることが求められています。また、島しょについても、東海地震や東南海、南海地震の対策が必要な地域に指定され、津波による浸水被害が現実に想定されています。
今回の大震災の経験を踏まえ、こうした課題に対して、見直すべきところは直ちに見直し、必要な改善、拡充等をしっかりと行うべきと考えますが、見解を伺います。
東日本大震災では、都内でも四百五十カ所の水道管に被害が発生しました。このうち、大多数がお客様に給水するための給水管からの漏水であり、耐震性が十分といえない塩化ビニール管からの漏水が多かったと聞いています。
都内には、生活道路として利用されている私道が多数あり、そこには給水管として、多くの塩化ビニール管が使用されています。我が党ではこれまで、出水不良の解消や、漏水防止に加え、耐震性の向上の観点から、私道内給水管の整備に取り組むよう提言してきました。
これに対し、都では一定規模以上のものについては、配水管を敷設し、配水管のステンレス化を行う私道内給水管整備工事を実施しています。首都直下地震の切迫性も懸念される中、私道内給水管の耐震性強化が求められますが、整備工事の対象とならない多数の給水管が存在しています。
そこで、私道内給水管の耐震化についての今後の取り組みを伺います。
大震災でも見られたように、首都東京を地下から支えるライフラインである下水道の機能が失われた場合、汚水の滞留や未処理下水の流出による公衆衛生被害や雨水排除機能の喪失による浸水被害の拡大のほか、企業活動の停滞など、社会経済活動や都民生活に与える影響は、はかり知れないものがあります。
阪神・淡路大震災で過去に甚大な被害を受けた神戸市では、下水処理場が被災し、約百日間も水処理機能が停止したことを教訓として、五つの処理場をネットワーク化する取り組みを進め、ようやくことしの五月に完成したとのことです。
これまで区部においては、水再生センター間を結ぶ送泥管を整備するとともに、バックアップルートの確保を行っていると聞いています。今回の大地震を受け、新たな視点に立ち、下水処理も含めたさらなるネットワーク化が必要と考えますが、所見を伺います。
次に、多様な関係機関と連携して行うソフト対策について伺います。
まず、帰宅困難者対策については、さきの第二回定例会でも議論し、一斉帰宅の抑制、一時待機施設の確保、情報を確実に知らせる手段の確保、安全に帰宅できるための支援、以上の四点がポイントであることが明らかになりました。都は、国や民間事業者を含めた協議会を立ち上げ、具体的な議論を進めていると聞いております。
こうした取り組みを実効性あるものとするためには、国との連携はもとより、民間事業者の協力を得て進めていくことが不可欠です。鉄道事業者を初めとして、大規模な商業施設、オフィスビルなどにおいて、従業員や顧客をしっかりと保護するために、一定の備蓄なども必要になります。
また、大震災当日に大きな課題となった携帯電話など通信の確保については、ぜひともこの協議会の中で、通信事業者の協力を得ていかなければなりません。まさにこの協議会は、国や民間事業者を巻き込んで、官民挙げての防災対策をつくり上げていく上での試金石ともいえるものであります。
そこで、都は、帰宅困難者対策の推進に向けて、国、民間事業者を含めた協議会にどのように取り組み、その成果をどのように生かしていくのか伺います。
次に、都民に不可欠な物資の確保についてです。
第二回定例会で、我が党は備蓄対策を再構築することを求めました。災害時に必要となる物資は、都みずからが備蓄するものと、民間事業者との協定等を通じて調達するものなどがあります。
このうち、都みずからが備蓄するものについては、今回の対応と教訓でも、実際のニーズを踏まえた備蓄物資の種類の整理や、発災時に迅速的確に物資を輸送するための備蓄拠点の配置などについて検証の必要性を明らかにしており、しっかりとした計画のもと、確実に確保するよう求めておきます。
一方、燃料については、都みずからが備蓄することが適当でないことから、業界団体との協定に基づいて、必要に応じて調達することとなっています。しかしながら、大震災の直後に物資不足が生じたことを踏まえれば、必要なところに確実に行き渡る何らかの方策が必要です。こうしたことから、今後、燃料をどのように確保していくのか伺います。
次に、避難対策について伺います。
都民の生命を守るためには、いかに迅速かつ的確に避難を行うかが重要です。今回の東日本大震災のように、想像を超える災害が起きることを考慮すると、ハード面の対策に加え、ソフト面、つまり効果的な避難の体制を確立していくことが求められます。
対応と教訓においても、大規模水害等に備え、住民の避難対策を着実に進めていく必要性が述べられていますが、今回の震災の教訓も踏まえ、従来の避難対策を再検証することが必要であると考えます。
住民の避難対策は、基本的にそれぞれの区市町村が担うものですが、膨大な人口を抱える大都市東京においては、避難誘導の方法や避難所の運営などについて、各区市町村単独の取り組みだけでは対応が困難であり、都が区市町村のコーディネーターの役割としての力を発揮するべきです。
こうしたことから、都は、大規模災害発災時の避難のあり方や具体の方策について、区市町村を支援する立場から、取り組みの充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
震災から半年が過ぎ、被災地では、業務の立て直しに数多くの中小企業が必死に取り組んでいます。こうした中、事業の継続に必要な手順をあらかじめ定めた事業継続計画、いわゆるBCP作成に取り組んだ中小企業では、いち早く活動を再開し、地域経済の復興をリードするような会社も出ていると報じられております。
この東京にも、直下型地震の危険にとどまらず、新型インフルエンザの流行やゲリラ豪雨の発生など、企業活動を困難とする数多くのリスクがあります。都内の中小企業がBCPを策定することの大切さと行政による支援の必要性については、さきの都議会第二回定例会の代表質問において強調したところです。BCPの導入は、中小企業では容易ではない実態もあり、経営者の方の話を伺うにつけ、その意義を正確に理解するための機会がいまだ十分でなく、その導入成果の実例に身近に触れることがないことが、策定が幅広く進まない原因の一つであるとも私は感じております。
都として、BCP策定支援の拡充に合わせて、BCPの重要性などについての普及啓発にも力を入れていくべきものと考えますが、所見を伺います。
防災対策の最後に、都民の自助、共助の取り組みの推進について伺います。
首都直下地震が東京を襲ったとき、行政機関は全力を挙げて都民の皆さんの救援、救護に取り組みますが、すべての被災現場に同時に駆けつけることは現実的には不可能です。発災時には、やはり住民一人一人がみずからの命をみずから守る心構えを持ち、相互の連帯に基づいて助け合うことが必要です。
都内でも、昔から自治会や町内会を基礎とした自主防災組織が存在し、地域の特性に応じたさまざまな活動をしています。住民の高齢化などのさまざまな課題に直面しながらも、共助の取り組みは今なお息づいており、また企業による隣組など、新たな共助も芽生えています。
知事は、こうした自助、共助の取り組みの必要性を説き、防災隣組として新たな切り口から光を当てようとされておりますが、人と人とのつながりが希薄になっている現代の東京においては、非常に有意義なことだと考えます。
一千三百万都民が暮らす大都市東京において、自助、共助を推進することは容易ではありませんが、一方で、人口が集積する東京であればこそ、一人一人の防災力の向上が、東京全体の防災力を大きく高めることにもつながります。
そこで、大都市東京において、都民を巻き込んだ自助、共助の取り組みをどのように推進していくのか、知事の見解を伺います。
次に、東日本大震災の避難者への支援について伺います。
大震災の発災後、まず、緊急的に避難所が必要となりました。都では、我が党の要望により、都内の物価水準を踏まえ、国の基準に加算した事業構築を行い、都内のホテル、旅館を活用して、多くの避難者の方の受け入れを行ってまいりました。協力いただいたホテル、旅館は、被災され住むところを失った方々の避難先として大きな役割を果たしてまいりました。
しかし、震災から半年が経過して、被災地でも緊急的な取り組みから復旧、復興に向けた取り組みが進んでおります。都内でも避難所としてのホテル、旅館での受け入れは終了の時期に来ています。今後は、避難者の自立した生活に向けた支援が必要と考えます。
そこで、都内でのホテル、旅館における避難者受け入れの実績と今後の生活再建の基礎となる雇用の確保に向けた支援について伺います。
次に、放射性物質による汚染拡大の問題があります。
国は、福島原子力発電所事故の対応において、縦割り行政の弊害もあり、後手に回り続けました。発電所そのものへの事故対応を初め、牛肉汚染問題や汚泥汚染の問題、また、大気測定への対応など、数え上げれば切りがありません。国においては、今般やっと放射性物質汚染対処特別措置法が成立するなど、対策の枠組みができたところです。
しかし、その具体的な中身はこれからであり、早急な対応を望む都民、国民の不安は一向に解消されていません。放射能対策は第一義的に国が責任を負うべき問題であります。国は、都の建言にもあるとおり、放射能対策の抜本強化に速やかに取り組むべきであります。
また、放射能による影響は、今後長期にわたることが想定されることから、都は、国がいかに歩みが遅くとも、現場ならではの方策で、都民不安の解消のため、一丸となって対応していくべきであります。今後どのように取り組んでいくのか伺います。
また、暫定規制値以上の放射性セシウムを含む牛肉が全国的に流通した問題もあり、放射能対策の中でも、食に対する信頼の回復は急務であります。農産物等の安全確認は、生産地において出荷前に検査を行うことが最も確実でありますが、都として、食の安全・安心の確保に今後どのように取り組んでいくか伺います。
次に、学校での安全についてであります。
放射性物質に関する情報は、毎日のように報道され、保護者の間に不安の声があります。放射線に対する感受性が高い子どもたちが長時間にわたり過ごす学校においては、高い安全性が求められます。都教育委員会はどのように取り組んでいるのか伺います。
ことしの夏の電力危機を踏まえた今後のエネルギー政策のあり方について伺います。
節電の夏が終わりました。東電管内におけることしの夏の最大電力使用量は、昨年、ピークを記録した日よりも暑かったにもかかわらず、約一千万キロワット低くなりました。これは企業や家庭による節電のたまものであり、電力需要をコントロールすることの重要性を極めて実感する夏であったといえます。
一方、ことしの夏は、電気事業者による大規模かつ一極集中型の電力供給に頼るのではなく、六本木地域のように、特定の地域内の電力を全量自前で賄う事例が注目を集めました。このように、ことしの夏の経験を踏まえ、今後は電力の需要と供給の両面から最適化を図るとともに、災害発生時にも対応できるエネルギー源を確保することが重要です。
そこで、節電の夏を教訓とした、今後、東京に求められるエネルギー政策のあり方について、知事の基本認識を伺います。
ことしの夏の電力危機に対応するため、都は、五月に策定した電力対策緊急プログラムに基づき、都民や事業者に対し具体的な行動を促してきました。また、都庁自身も率先行動として、徹底した節電に取り組んでおります。
また、事業者の取り組みとして、テナントビルで入居テナントごとのエネルギー消費量を見える化した事例や照明のLED化、省エネ型空調等の導入を集中的に実施する事例など先進的な取り組みが多数行われました。
しかし、一方で、電力の一律の使用制限による中小企業の生産活動への影響や、エアコンの過度な使用抑制による健康影響などの報道があったのも事実であります。
そこで、ことしの夏の企業、家庭等の取り組みを総括し、ことしの冬以降に向けて、都はどのようなスタンスで省エネ、節電を促していくのか、お伺いをいたします。
電力問題を取り上げるとき忘れてはならないのは、都市としての防災、危機管理機能をどのように確保していくのかという視点です。災害時に送電網に影響が及んだ場合においても、都民の生命と経済活動を支えるライフライン施設等が確実に事業を継続するためには、一定の電源を確保することが必要です。今後、都として、どのようにして災害時の電源確保に取り組んでいくのか伺います。
さらに、電力の需要と供給のバランスを安定化し、都市におけるエネルギー利用効率を高めるためには、スマートメーターといった、ICT技術を駆使した電力使用量の見える化と、需要調整機能を持つスマートグリッドシステムを東京において導入することが重要と考えます。都は今後、どのような取り組みにより、電力の需要と供給の両面から最適化に取り組んでいくのか伺います。
また、都内の電力の一%を消費する事業者である下水道局の節電、電力確保に向けた取り組みが重要であると考えますが、ことしの夏における取り組みと今後の対応について、あわせてお伺いをいたします。
知事は所信表明で、我が国の経済全体の底上げを図るため、東京ならではの成長戦略を実行し、そのために、外国企業にとって魅力的な環境を整え、東京をアジアのヘッドクオーターへと発展させると述べられました。
まさに今の日本は、外国企業にとって魅力に乏しい国に映っており、再び力強い成長軌道に乗せることが必要であります。そのためには、すぐれた都市インフラの整備とともに、海外から優秀な企業や人材を呼び込み、日本の強みである高度な技術力とかけ合わせることが不可欠であります。
都は昨日、特定都市再生緊急整備地域と連動させた総合特区の指定申請を行ったと聞いております。この特区では、外国企業を誘致するという観点から求められているさまざまな都や民間の取り組みを示し、そのために必要な国の規制緩和策を打ち出しており、東京をアジアのヘッドクオーターへと発展させる道筋が示されております。
そこで、アジアのヘッドクオーターの実現に向けた知事の決意を伺います。
次に、特定都市再生緊急整備地域について伺います。
都内では、知事のリーダーシップのもと、平成十四年以来、都市再生緊急整備地域の制度を活用し、これまでも東京駅周辺を初め、民間の創意工夫を生かしたさまざまなプロジェクトを実施してまいりました。その結果、首都東京の再生に大きな成果を上げてきました。
知事が所信表明で述べられていたとおり、今回法改正で導入された制度による申請を昨日行ったと聞いております。我が党としても、この制度を活用し、羽田空港の玄関口であり、リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅の周辺を含め、都市再生をさらに推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
今回の大震災では、被災地への救援活動や救援物資輸送を可能とし、迅速な復旧、復興に資する道路ネットワークの重要性が再認識されました。このため、首都直下地震が懸念される東京においては、道路ネットワークの整備を推進することが重要であり、財源確保は不可欠であります。
しかし、今年度の国土交通省所管の地方に対する公共事業費の当初配分額は、昨年度と比較して約九割であり、さらに政府は来年度、一割削減する方針を示しています。
また、一括交付金については、昨年度、都議会が国に対して制度内容の検討を求めた意見書を提出しましたが、その動向次第では、都への配分額がさらに削減されることが懸念されます。
そこで、道路整備の推進に向けた財源確保の取り組みについて伺います。
次に、連続立体交差事業についてでありますが、都内には、いまだ約一千百三十カ所もの踏切が残されており、首都東京の最大の弱点である交通渋滞や市街地の分断といった都市の活力の低下を招く要因となっております。
特に、震災時には、踏切による道路の遮断が緊急救急活動の支障となり、深刻な影響を及ぼすことも懸念されております。
都民の生命、財産を守るためには、道路ネットワーク整備を推進するとともに、震災時に支障となる数多くの踏切を一挙に解消する連続立体交差事業の推進が必要不可欠であります。我が党は、これまでも幾度となく、本事業の推進を訴えてきたところであります。
そこで、連続立体交差事業の推進に向けた都の今後の取り組みについて伺います。
三月十一日に発生した東日本大震災では、発災直後から全国各地からの救援隊や物資輸送に、とりわけ首都圏の高速道路が極めて重要な役割を果たしました。このことからも、事業中の東京外かく環状道路は、平時のみならず、首都直下型地震などに備えた防災力強化のかぎとなることが改めて明らかになりました。
このため、我が党は先般、超党派の都議会外かく環状道路建設促進議員連盟と連携し、国に対して、いざというときのためにも外環を早期に完成するよう、緊急の要請活動を行いました。
都も、今回の大震災を教訓として、外環の整備を一層促進するためどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、多摩地域の交通インフラについて伺います。
これまで、関係市町村による促進協議会などの熱い期待を受けて、都議会自民党として基盤整備の充実に取り組み、その結果、南北道路の整備とともに、多摩川中流部橋梁や鉄道の立体交差化、多摩都市モノレールなど、基盤整備が着々と進められてきました。
昨年十一月には、JR中央線の三鷹─立川間の全線高架化が完了し、今年度、圏央道が高尾山インターまで開通する予定となっています。これにより、拠点相互の結びつきが強まるとともに、世界に誇るべき先端技術産業や大学、研究機関が集積する多摩地域の自立性向上に大いに寄与することが期待されます。
一方、依然として道路交通渋滞や深刻な鉄道混雑が発生しているなど、課題が多く残されていることも事実です。こうした中、多摩地域の骨格を形成する基盤整備をさらに進め、都心や他県との連携を強化することが地域のさらなる発展のために必要と考えます。
都は、多摩地域の交通インフラの充実強化にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
今月の台風十二号とそれに続く台風十五号は、大雨により日本各地に甚大な被害を及ぼしました。特に十二号による大雨では、和歌山県や奈良県などで土石流やがけ崩れなどの土砂災害が発生し、多数の死者、行方不明者が出ております。
また、土砂が川をせきとめてできた土砂ダムが何カ所もあり、住民を不安に陥れています。都内においても、土砂災害が発生するおそれのある危険な箇所が多く存在することから、都民の生命、財産を土砂災害から守るため、備えを講ずるべきであります。
そこで、土砂災害に対する東京都の取り組みについて伺います。
昨年秋、政府の行政刷新会議で、国のスーパー堤防事業が、コストや四百年かかる等の理由で一たん廃止と判定されました。これを受け、抜本的な見直しを行ってきた国が設けた検討会は、対象をゼロメートル地帯等に大幅に絞り込む内容の取りまとめを行ったと聞いています。
このような中、今般の大震災により被災地では、地震や大津波により河川の堤防や水門等が壊滅的な被害を受けました。都はこれまで、耐震性にすぐれた独自のスーパー堤防事業などを進めていますが、東部低地帯には約三百万人が、そのうちゼロメートル地帯と呼ばれる満潮面以下の土地には約百五十万人もの人々が生活をしています。
過去にたびたび甚大な水害を受けてきた東部低地帯に住む人々の命と暮らしを守るためには、国と都のスーパー堤防事業を進めることが不可欠であります。
そこで、スーパー堤防事業への取り組みについて、知事の所見を伺います。
八ッ場ダム事業についてお聞きします。
今月の台風十二号と十五号による各地の水害を目の当たりにし、自然の脅威に対する備えの必要性を再確認したことはさきにも述べました。
一方、国は、今月十三日、八ッ場ダム建設が代替案と比較して最も有利であるとの評価案を示しました。これは、我が党が繰り返し主張してきたことを認めたことにほかならず、今さらながら当然の結果です。民主党政権がいまだに何の根拠も示さず、一都五県との共同事業であることさえも理解せず、一方的に八ッ場ダムの中止をマニフェストに掲げたことが全くの誤りであったことが明らかになりました。
こうした評価が明らかになった以上、国は直ちにダム本体工事に着手すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
京浜港は、昨年八月に国際コンテナ戦略港湾に選定され、国際競争力強化に取り組んできましたが、東日本大震災によりその状況が一変しました。東北地方太平洋側の港湾については、仙台塩釜港を初めとする港湾施設が想定を超えた津波による被害を受け、物流機能が麻痺し、現在もその機能の完全な回復には至っていません。
また、京浜港への集荷の対象としている東日本の貨物が釜山港等へ流出している動きも見えることから、国際コンテナ戦略港湾の実現のため、早急な対応が求められているところです。
こうした状況を踏まえ、今後、京浜三港でどのような取り組みを進めていくのか、所見を伺います。
次に、景気対策について伺います。
震災から半年余りがたち、ようやく企業活動が回復に向かいつつある中、今度は円高が我が国を襲っています。これは、震災後の血のにじむような企業の努力を水の泡にもしかねない大きな問題であります。私の地元大田区でも、円高に困惑する中小企業の声が多く聞かれています。
こうした状況に対し、政府は八月四日に為替の単独介入などを行うとともに、同二十四日には円高対応緊急パッケージを公表していますが、全く十分とはいえません。今月九日に開かれたG7でも、為替市場の鎮静化に向けた具体的な協調策が打ち出されず、首相が交代しても、相変わらずの政府の無策ぶりには目を覆うばかりで、まさに川底に潜っているドジョウのようであります。
円高対策は、本来、国が責任を持ってしっかり打ち出していくべきものであります。しかし、円高によってとりわけ大きな痛手を受けるものづくりの中小企業が多く集積する東京としては、見過ごすことができないものと考えます。
そこでまず、今回の円高とそれが経済に与える影響について、知事の基本的な所見を伺います。
円高によって強く懸念されるのは、ものづくり企業が廃業に追い込まれたり、海外に出ていくことで、都内の製造業が空洞化することであります。中小企業に仕事を発注する大手の製造業では、現在の円高水準が続けば、その半数が生産拠点を海外に移すとの衝撃的な報道すら出ています。実際に、海外に生産工場を移すしか生き残りの道がないとする中小企業の経営者の切実な声を耳にする機会もふえております。
工場の海外移転による製造業の空洞化が進むことで、これまでの東京のものづくりを支えてきた基盤技術が失われて、そうした力のある中小企業の集積が守れるかどうかの事態に直面しているものと考えています。
産業の空洞化は先進国共通の課題ですが、都としても、無秩序な空洞化を防ぎ、地域社会への影響が生ずることのないよう、地元の区市町村とも協力しながら、速やかに対応策を検討すべきです。都の所見を伺います。
次に、商店街支援のあり方について伺います。
地域の商業活動の拠点であり、コミュニティの中心である商店街は、住民の便利で快適な生活を支える重要な役割を担っています。
こうした中、全国的に身近な場所に商店がなくなり、交通手段も確保できず、日常の買い物が困難となる事例、いわゆる買い物弱者の問題が生じているとされています。買い物弱者については、さきの第二回定例会の我が党の質問に対し、都は、必要な調査を行い、商店街の活用方策の検討をするとの方針を示しました。
最近の報道においても、買い物弱者に対応する商店街の事例として、空き店舗に拠点を設け、買い物の代行や配送を行ったり、ボランティアが付き添いをする取り組みも紹介されています。こうした商店街の工夫と努力を検証し、今後広げていくためのモデルとなる事業に都として支援を行うべきです。
また、将来、商店街がさまざまな取り組みを行う上で、その担い手となる後継者を着実に育成することは重要なテーマです。かつては、徒弟制度のような仕組みで、経営のノウハウを身につけながら、地道にのれん分けに必要なお金を蓄えていく方法もありましたが、現在では困難です。今の時代に合った後継者育成の方法を、行政として新たに生み出していくことも重要と考えます。
商店街の新しい担い手を育成するため、商売に必要な知識を身につけたり、開業時の支援について、都として取り組むべきと考えます。商店街における買い物弱者への対応や人材育成への支援のあり方について所見を伺います。
次に、高齢者など、都民の足として期待されている都営バス事業について伺います。
今回の震災の影響を受け、東京電力の株式配当が見込めないことにより、配当収入を充当していた都営バス事業の経営は非常に厳しいものになっているのではないかと懸念されています。
都営バス事業については、さまざまな経営努力を重ねながらしっかりと運営をしていただきたいと思っています。
そこで、今後の都営バス事業の経営について伺います。
次に、若者の雇用対策について伺います。
この春に大学を卒業した若者の就職率は過去最低となり、就職できない若者は数万人にも上るといわれています。さらに、民間の調査によれば、来春の大学卒業予定者に対する求人倍率はさらに低下しており、このままでは多くの若者が就職できず、就職氷河期の再来ともいうべき事態が強く危惧されるところです。
こうした問題を解決するため、本質的な処方せんは、国が明確な成長戦略を示した上で、実効性のある経済対策を進め、雇用創出を図ることが不可欠だと考えます。しかし、これまでの民主党内閣は、有効な経済対策を打ち出せず、景気を回復させ、雇用創出に向けた本格的な取り組みとしては不十分といわざるを得ません。
これまで都は、大震災以降、平成二十三年度予算や補正予算を通じて、被災者の方も含め適切な若年者の雇用対策を講じてきました。
しかしながら、厳しい雇用情勢が今後も続く状況にあっては、都として社会に出ようとする意欲ある若者を強力に支援し続ける必要があると考えますが、見解を伺います。
次に、福祉医療の諸課題について伺います。
まず、地域がん登録について伺います。
我が国では現在、二人に一人ががんにかかるといわれ、都では年間約三万人が死亡するなど、都民の健康に重大な脅威となっています。
平成十八年に我が党の政権下で成立したがん対策基本法では、がんの克服を目指し、総合的な研究を推進するとともに、予防、治療等にかかわる技術の向上や研究の成果を活用し、適切な医療を受けられるようにすることも基本理念として掲げています。
都は、この法に基づき、がんの死亡率減少を全体目標とするがん対策推進計画を策定し、検診の受診促進や高度医療の提供など、目標達成に向けてさまざまな対策を講じています。
こうしたがん対策を進める上では、がん登録により罹患率や生存率を把握して、施策の有効性を評価することが重要です。全国の人口の十分の一を占め、高度ながん治療を行う医療機関も多い首都東京において、地域がん登録が開始されれば、国全体のがん登録の精度向上に資することも期待されます。
我が党は、昨年の第四回定例会で、地域がん登録を早急に実施すべきと強く主張しました。都は、平成二十四年度から地域がん登録の開始を予定していますが、実施に向けた取り組み状況についてお伺いをいたします。
次に、介護保険制度について伺います。
介護保険制度は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みとして定着してきましたが、高齢者が可能な限り住みなれた地域で自立した生活を送るためには、引き続き介護サービス基盤を強化するとともに、包括的な支援を進めていくことが必要です。
こうした観点から、国においては、来年四月に二十四時間対応の定期巡回、随時対応型サービスの創設や、いわゆる高齢者住まい法の改正により創設されるサービスつき高齢者住宅と介護サービスを組み合わせた仕組みの普及などの制度改正とあわせて、介護報酬についても改定を予定しています。
このような動きを踏まえ、東京都においても、現在、第五期の高齢者保健福祉計画の策定を進めていますが、ここで改めて、介護保険制度改正に向けた都の基本的な考え方と取り組み内容について伺います。
また、都道府県が設置する財政安定化基金について、今回に限り介護保険料軽減などのためにも取り崩せる旨の法改正がなされました。こうした財源は、中長期的な視点に立って活用すべきと考えますが、法改正の概要と都の所見をあわせて伺います。
なお、基金を取り崩した場合には、その三分の一を国に納付することとされていますが、国においても、介護保険制度の趣旨を踏まえ、将来を見通した施策に活用すべきであると申し添えておきます。
次に、子育て支援について伺います。
昨年八月、杉並の養育家庭で、東京都が委託した児童が死亡するという痛ましい事件が発生し、先月二十日には里親が傷害致死の容疑で逮捕されました。
さまざまな事情で親と一緒に暮らすことができない子どもが、家庭的な雰囲気の中、里親との密接な関係を築きながら、信頼や愛着をはぐくむことができる養育家庭は、子どもの成長にとって非常に重要なものです。
多くの養育家庭の熱意と努力を今回のことで無にしてはなりません。都は、養育家庭において子どもたちが健やかに成長できるよう、状況把握に努めるとともに、手厚くサポートする必要があります。
東京都として、今回の事件を受けて、養育家庭の支援に今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
次に、災害時の障害者支援に関し伺います。
さきの第二回定例会において、我が党は、災害時における障害者団体との協力体制について質問し、都は、連携の方策について積極的に検討していくとの答弁をいたしました。
今回の東日本大震災では、都内を拠点に活動する複数の障害者団体等が、被災地へ人材を迅速に派遣し、相談業務を行うなど、積極的に被災地支援を行っています。
また、東京都知的障害者育成会では、会が運営する事業に対して、震災時の状況、課題についてアンケートを実施しています。障害者の置かれている状況やその程度はさまざまであり、一人一人の特性に応じた支援を行うためには、こうした関係団体の経験や意見を参考にすることも重要と考えます。
今後、首都東京での災害における障害者への支援に向け、どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
次に、暴力団対策について伺います。
本年第一回定例会において、東京都暴力団排除条例が可決され、来月から施行されます。都内の事業活動から暴力団を締め出すために、この条例を実効性あるものとすることが重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
都立高校改革について伺います。
行き過ぎた個人の権利尊重など、戦後教育のゆがみを正し、新しい時代に必要な教育理念を明確にするため、平成十八年、自民党政権下において教育基本法が改正されました。平成二十五年度から、教育基本法の改正を踏まえた新しい学習指導要領がすべての高等学校で実施されます。都立高校においても道徳性や自律心、公共の精神を持ち、社会の要請に的確にこたえる人材の育成が求められています。
都教育委員会はこれまで、都立高校改革推進計画に基づき、学区の撤廃や新しいタイプの高校設置などを行ってきたところですが、今後、教育基本法改正を踏まえ、真に社会人として自立した人間を育成するため、新たな取り組みなどにより着実に改革を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
次に、子どもの体力向上について伺います。
体力はあらゆる活動の基盤です。しかし、東京の子どもの体力が全国的に低水準にあることは極めて遺憾であります。これまで都教育委員会は、抽出による体力調査、中学生東京駅伝大会や一校一取り組み運動等、子どもの体力低下に対する問題提起や意識啓発に重点を置く施策を展開してきました。
しかし、これからは全体平均値の底上げという発想から、子どもたち一人一人の体力向上を重視するという発想へと転換していくべきと考えます。平成二十三年度からは、すべての子どもを対象とした統一的な体力調査を実施したと聞いています。
そこで、この結果を活用し、一人一人の子どもが体力向上をみずからの課題として努力していくことができるようにすることが必要と考えますが、都教育委員会はどのような施策を講じていくのか伺います。
また、生涯にわたって運動に親しむ習慣を身につけるためには、小さいころから体を動かすことの楽しさを実感させることが大切です。特に小学校は、その後の運動やスポーツとのかかわりに重要な時期であり、教員の指導力が大きく影響します。
しかしながら、現在、小学校においては新規採用教員がふえ、教員の若返りが進んでいると聞いていますが、若くて元気で体力があるからといって、運動好きで体育の指導力が高いとは限りません。
そこで、都教育委員会は、小学校教員の指導力の向上についてどのように取り組むのか伺います。
次に、スポーツ振興について伺います。
我が党は、さきの第二回定例会の代表質問で、二〇二〇年の復興オリンピック・パラリンピックを強く訴えたところです。次世代の子どもたちや、障害を持ちながらスポーツに取り組む人たちに夢と希望をもたらす大会の日本開催は、都議会はもとより、スポーツ界、経済界、そして何より国が中心となって、必ずやかち取らなければなりません。
そこで、今後の招致活動を進めるに当たっての知事の基本的な考えを伺います。
スポーツが人々を元気づける力を持っていることは、さきのなでしこジャパンの活躍が日本じゅうに感動を呼んだことからも明らかです。二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催は、スポーツの力で東日本大震災からの日本の復興を後押しすると同時に、支援いただいた世界じゅうの人々に九年後の復興した日本の姿を見ていただくことになり、極めて大きな意味を持つことになります。
そのため、オリンピック・パラリンピック実現に向けて、被災地の復興促進につなげるため、具体的にどのような取り組みを行う考えなのか、お伺いをいたします。
最後に、平成二十五年の冬の国体について伺います。
日本体育協会と文部科学省から、都に対し開催要請があったと聞いています。要請に基づき、東京で大会を開催するばかりでなく、一部競技を東日本大震災で被害を受けた地域の施設で実施すれば、スポーツの力で東北の人々を勇気づけることができるのではないでしょうか。
平成二十五年は、スポーツ祭東京二〇一三の開催年であり、被災地の復興を支援する取り組みを交えて、都が冬の国体を開催することは大変意義のあるものと考えますが、所見を伺います。
「みほとけの うつらまなこに いにしへの やまとくにはら かすみてあるらし」、歌人、會津八一の歌です。この歌は、過去を顧みることによってインスピレーションを受け、過去からもたらされ、現在もなお保持しているものを大切にせよと示しています。
東日本大震災は、私たちからとうとい多くのものを奪いました。しかし、今ここにある大きな危機を乗り越える力を日本は携えていると私は信じます。
都議会自民党は、石原知事を支えて、引き続き日本を牽引する原動力となることをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 鈴木あきまさ議員の代表質問にお答えいたします。
まず、新内閣への建言に込めた思いについてでありますが、原発事故への対応など、国の政がかつてなく混迷し、国民は先が見えない不安を募らせております。
それゆえ、新内閣は、まず何よりも速やかな東日本大震災からの復旧、復興、原発事故の収束と放射性物質対策に全力で取り組むことが求められております。
同時に、日本の頭脳部であり心臓部である東京の機能のあり方を論ずることは、日本の国の行く末をも左右するものだと思います。
新内閣は、国家を牽引する東京の果たす重要な役割を十分認識して、この国のかじ取りを行わなければならないと思います。
しかるに、東京の機能を見誤り、首都の防災をどうすべきかを熟慮もせずに、バックアップと称して副首都の建設や、あたかも首都移転と結びつけたかのような器の議論に終始すれば、むだな箱づくりにつながりかねず、国力はますます衰退をすることでありましょう。
また、国は、地方財政のありようをどうするかという本筋の議論をかつても避け、その場しのぎのこそくな手段で東京の財源を一方的に吸い上げてきました。ゆえにも、法人事業税の暫定措置を即時撤廃して、日本の盛衰を左右する首都東京の防災力強化に、東京みずからの金を東京がみずから使えるように正すべきだと提案をしました。
今回、首都の知事として、強い危機感に立って、現場を踏まえて緊急になすべきことを幾つか建言をいたしました。近々、総理にも直接会うつもりでありますが、今後、日本再生に向けて速やかに行動して、都民、国民の不安を振り払ってもらいたいものだと思います。
次いで、木造住宅密集地域の改善についてでありますが、日本のダイナモであります東京を、高度な防災力を備えた都市へと進化させていくために、最大の弱点である木造住宅密集地域の改善を一段と加速させることといたしました。
先日、現場を見てきましたが、何度見てもなかなか厄介な存在で、よくいえば、モロッコのカスバのごときものでありますけれども、これが石じゃなしに木でできているために、非常に危険なまちだと思います。人情は細やかなまちでありますが、しかし、震災時に一たん火がついたら、これはとんでもない被害が頻発すると確信いたします。
震災対策の基本は、いつも申しているように、自助、共助、公助の原則によって進めるべきものでありまして、都は、近く防災の専門家により、阪神・淡路大震災の惨状をありのままに伝えるなど、これは映像として伝えるなど、都民の意識に訴える取り組みを開始いたします。
私も、あの震災、地震の直後に現地に視察に参りましたが、被害の多かった長田区、東灘区を見ましたところ、鉄骨鉄筋の家は全部残っておりましたけど、木造の住宅は完全につぶれて焼けてしまっておりました。
こういった情報をてこに、地元区も巻き込みながら、都が先導する十年プロジェクトを立ち上げていきたいと思います。法人事業税の暫定措置も撤廃させまして、東京の金を東京が東京自身の防災力強化に使えるようにしたいと思っております。
まちづくりの施策や税制、建てかえの時期の生活支援など、さまざまな施策を総動員した新たな手法も編み出して、延焼の遮断帯となる道路整備や建物の不燃化を重点的に進め、東京を壊れず燃え広がらないというまちに変えていきたいものだと思っております。
次いで、都民の自助、共助の推進についてでありますが、日本の国土は、ご存じのように、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピンプレートという三つの大きなプレートがひしめき合ってぶつかっている、そういう地政学的な条件でありまして、先日、東大の地震研究所の平田教授に幹部で詳しく話を聞きましたが、この東京湾にも、実はその三つのプレートがぶつかっている地点があって、これは優に何かのはずみに震源になり得るということでありましたが、いずれにしろ、日本は世界最大のファイアリング、火山脈の上にある地震国でありまして、国民もそれを意識して、常にその準備を怠ってはならないと思います。
大津波に襲われた岩手県の釜石では、中学生が年下の子どもたちを助けながら、みずからの判断で高台へ駆け上がってみんなを助けたという釜石の奇跡がありました。まさしく一分一秒を争う大災害では、まず、みずからの身を守り、次に、身近な同士で助け合うことが一人でも多くの命を救うことになると思います。
しかし、その人々のきずなが希薄になっているこの大都市では、発災時に自助、共助がなかなか有効に機能しにくい。ゆえに、助かるはずの命が失われてしまうという懸念があります。そのために、大震災により防災への関心が高まっている今、このときを逃すことなく、防災隣組の構築に着手をいたしました。
まずは、被災者などの震災に直面した方の生のお声や、共助の効果的な取り組みの事例を集めて、専門家の知見や映像も用いながら、都民にわかりやすくこれを伝えて、危機意識を喚起する必要があると思います。
また、区市町村とも連携して、地域ではぐくまれたさまざまな共助の取り組みを掘り起こし、それを後押しすることで、新たな活動を誘発していきたいと思っております。
さらに、企業に対しても、自助、共助の取り組みを求めていくとともに、備蓄を推進する条例の制定など、実効ある手だてを講じていきたいと思っております。こうした都民や企業の自助、共助に加えて、公助の取り組みにも万全を期すことで、東京全体の防災力を高めていきたいと思っております。
次いで、今後、東京に求められるエネルギー政策のあり方についてでありますが、電力の安定化は国家発展のかなめでありまして、我が国が厳しい国際競争に勝ち抜いていくために、電力の需要と供給の両面から現実に即した具体的な取り組みを進めることが不可欠であります。
原発の是非について議論がかまびすしいようでありますが、その前提に、我々はこれから先、どれぐらいのタイムスパンで、どれだけの容量の、どれだけの大きさの経済を持ちたいか、持つべきかということを踏まえませんと、これはそれをかなえるための現実的なエネルギー論にはならないと思います。
いずれにしろ、どうも国の対応はまことに場当たりでありまして、この夏の電力危機に際しても、抽象的なというか、ただ節電のパーセンテージの数字を示しただけで、より具体的な手段による需要の抑制を一向に行いませんでした。
担当の大臣が来ましたが、前例もあることだから、政令を出したらいかがですかと申しましたけど、政令の存在について、どうもご存じないようなことでありまして、また、いささかお粗末な感じがいたしました。
例えば、私にとってみると、いささかぜいたく、むだに過ぎると思う、夜間でもこうこうとついているあの数の多い自動販売機、あるいは日中から多大な電力を使ってネオンもともしてやっているパチンコ屋の電力の消費というのは、これはこういう時期に当然制限されてしかるべきだと思いましたが、一向に政府がいわないもんですから、隣県の首都圏の他の知事とも話して、この申し入れをしましたが、する前に、既にそれを仄聞した業界は自粛をして、実際にパチンコ業界も自動販売機も節電をやってくれました。
いずれにしろ、この需要の抑制をただ抽象的に求めるだけではなくして、また加えて、供給面でも、電力会社にこれを任せるだけではなくて、何ら実効性ある具体的な対策を示してこなかったこの責任は政府に明らかにあると思います。
こうした中、この夏、都は、都庁舎において二五%を超える削減を達成したほか、経済界や区市町村等とも連携しまして実践的な対策を進め、大幅な節電を実現いたしました。
また、供給面においては、猪瀬副知事をリーダーとするプロジェクトチームを設置しまして、環境負荷の少ない百万キロワット級の、今日、あちこちにガス田が開発されて、多量な供給が可能になった、非常に高率な天然ガスの発電所の整備について、既に都内では数カ所の適地を選定しておりまして、今後、アセスもかけまして詳細な調査を行っていきたいと思っております。
さらに、災害時にも都市機能を維持するために民間の都市開発とも連携して、例えば六本木ヒルズの事例もありますが、自立分散型のエネルギー源の導入を進め、高度防災都市の実現に向けた取り組みを推進していきたいと思っております。
東京は、こうした具体的な行動によって、都市におけるエネルギー政策のあるべき姿を国に提示し、我が国の電力供給体制を変える突破口としていきたいと思っております。
次いで、アジアヘッドクオーターについてでありますが、国際社会における我が国のプレゼンスは、今や残念ながら風前のともしびでありまして、このまま手をこまねいていては停滞、衰微するばかりであります。
世界が時間的、空間的に狭くなって、企業が活動拠点とする国家を世界規模で選択するようになった現在、日本が国家として生き残るためには、東京が激化する都市間競争を勝ち抜いて、アジアのトップランナーの座を守り、我が国を牽引していかなければならないと思います。
大胆な規制緩和と税制優遇を可能にする総合特区制度と、高い防災対応力やエネルギー自立分散型の都市づくりに対する都市計画上の優遇措置が可能な都市再生制度を活用し、重層的に講じることは、そのための重要な手法であると思います。
総合特区制度に対しては、民間からも既に多くのアイデアが寄せられておりまして、こうした知恵と現場を持つ東京都の強みを融合させた東京ならではの特区申請を行いました。
今後、高度な経済集積や、発達した都市インフラといった東京が有する高いポテンシャル、可能性を背景に、これらの制度を一体的に活用しまして、世界じゅうから、人、物、金融、情報を引き寄せて、東京をアジアのヘッドクオーターへと発展させていきたいと思っております。
次いで、スーパー堤防事業についてでありますが、急峻な、狭隘な我が国の国土において、水害への備えはまさに政の根幹となってきました。かつての古い時代においては、政は直截に水をいかに抑えるか、治水ということでありましたが、これが、その当時のリーダーたちの宿命でもありました。
国の事業仕分けで担当大臣が、蓮舫さんですか、二百年に一回の大洪水に備えるために、今後四百年かけなきゃならない、そんな現実的でない事業は認めないということでしたが、千年に一度といわれる大震災を経験した今です。自然の脅威に備え、万全を期さなければならないことはもう明らかでありまして、政治をつかさどる者はその責任を全うすべきであります。
私も現場に出向いて直接確認しましたが、東京には区部のゼロメートル地帯という防災上の大きな弱点があります。スーパー堤防は、想定を超えるような大洪水からも都民の生命と財産を守り、首都東京の機能を維持する上で極めて重要な事業であります。これは決して彼女がいったように、スーパーなむだではありません。こういったものを、歴史というものを踏まえながら短兵急に認めないというのは、非常に軽率な、危険な判断だと思います。
また、温暖化によって、NASAのハンセン教授が指摘しているように、北極海の氷がどんどん解けている。彼の計算だと、あと十二、三年しかもたない。海面の水位の上昇もどんどん進んでおりますし、それによって、日本に限らず世界じゅうに異常気象が頻発して、この日本は、ことしも昨年も集中豪雨に悩まされました。こうした地球規模の異常な環境変化というものを踏まえて、東京の安全を考えなければならないと思います。
都は、独自に隅田川などでスーパー堤防事業に取り組んでおりますが、国の責任で整備すべき荒川の堤防が決壊すれば、区部のゼロメートル地帯は水没を免れずに、東京を大洪水から守ることはできません。
高度な防災力を備えた東京の実現を目指し、都独自の事業を着実に進めるとともに、国に対しても、この首都が実はいかにもろい形のものであるか、それを認識させて、当初の計画どおり事業を推進することを強く求めてまいります。
次いで、八ッ場ダム事業についてでありますが、八ッ場ダム建設の是非を検証してきた国は、ようやく一都五県に対して、治水、利水の両面においてダム建設が最も有利であるとの評価を示しましたが、これは極めて当然の結論が出たにすぎません。
これを受けて、民主党の前原政調会長は、この検証結果に不快感を示しているようでありますが、国土交通省の検証に基づき大臣がこれを判断するといったのは、当時、国交大臣の前原君じゃないんですか。自分でいっておいて、立場が変わったら結論が気に食わないというのは、これはわがままというか、うぬぼれというか、国民にとってみたらこんなに不愉快な話はないんだ。
思いつきによるダムの中止宣言から今日までの二年間は、関係都県や地元住民を生殺しにして、全くむだな時間が費やされただけじゃなくて、この間、国は……(発言する者あり)うるさいな、黙って聞け。君らの頭を冷やすためにいっているんだから。この間、国は、国民の生命、財産を守る責任を放棄してきました。国家の大計に立って、真に必要な社会資本を整備することこそ、政治の責任であります。
一昨日、関係知事らとともに新しい国交大臣に会いまして、八ッ場ダムの早期完成を強く申し入れましたが、どうもよくわからぬことをいいましたね。三・一一の問題もありますかというか、これは三・一一が起こる前の、もっと長きにわたる大問題でありまして、三・一一に対する対処も国家としての責任で大きなものでしょうけど、しかし、それ以前から存在する、ちぐはぐになったこの問題を早期に解決することが、これまた新しい、決して新規の問題じゃなしに、国にとっての古い古い責任の問題だと思います。
いずれにしろ、検証結果が出た以上、今、国がすべきことは、一刻も早くダム本体工事の着工を決断し、直ちに実行することであると思いますが、新任早々の大臣でありますから、かつての前々任者の馬淵君にもいいましたけれども、まず、大臣が人間としての目で現場を見て、人間としての耳で現場の人たちの声を聞くということとともに、物を判断する前に必ず現場に行ってこいと。行かないで話をしないでくれということを申しました。
都は、引き続き関係五県と一致団結して、国に対し、八ッ場ダムを予定どおり平成二十七年度までに完成するように強く求めてまいります。
今回の円高と経済に与える影響でありますが、一ドル七十六円台という為替水準は、欧米の政府債務危機の再燃などによるものでありまして、我が国の経済実態を一向に反映しておりません。
円高が長引けば、製造業を初めとして影響を受ける中小企業も非常に数多いと思います。中小企業は、日本経済の屋台骨を支えております。これが失われれば、日本の経済の再生はありません。それを防ぐためにも、まずは政府による為替政策や新たな成長戦略の構築などのマクロ的な政策が必要だと思います。
一方では、円高のデメリットだけではなしにメリットもあるわけでありまして、例えば円高による購買力を活用すれば、海外での企業買収の促進など、さまざまな構想が成立します。問題は、国として多面的、複合的な見方で為替に関する戦略を構えることができずにいるということが情けない。
こうした中で、現場を預かる都は、既に円高による深刻な影響を受けております中小企業に向けて、制度融資の特別枠による金融支援や専門家の派遣による助言など、現実に即した取り組みを展開しております。
また、世界と伍して戦おうという企業には、新製品、新技術開発、海外販路開拓に対する支援や、独自のノウハウを守るために、知財戦略の策定支援などによって後押しをしてまいります。
今回の円高に対して、国には、世界経済を的確に俯瞰し、一刻も早く総合的な手だてを講じることを強く求めます。
都としても、為替水準や経済状況を注意深く見守って、これに対応した重層的な施策を講じることによって、懸命に努力をしている中小企業を全力で支え、東京の産業を維持発展させていきたいと思っております。
最後にオリンピック招致活動についてでありますが、招致は、もはや都市同士の戦いではなくて国家間の熾烈な競争であります。外交力と政治力を駆使して勝ち抜かなければなりませんし、国やスポーツ界、経済界などを束ねた国家を挙げての総力戦が不可欠であります。
そのため、新政権には、招致担当大臣の新設や、関係省庁の招致委員会への参画を強く求めております。
かつて、東京にオリンピックが実現したときの池田内閣は、自分の後継者となった、内閣の中でも非常に重要な存在であった佐藤栄作氏を、当時は何大臣でしたのかな、通産ですか、とにかく彼を兼務してオリンピック担当大臣にしましたが、そういう措置が、私はこれから必要だと思います。
とにかく、日本全体が一つとなってオリンピック招致に取り組むことを期待しております。
二〇二〇年大会の開催は、東日本大震災からの復興にとっても大きな意味を持つと思いますし、我が国の復興と再生のために今必要なものは、まず国民が一つになれる夢を持つということだと思います。
今後、招致活動や計画策定などにおいて被災各県とも連携し、九年後、復興を遂げた日本の姿を──遂げるでありましょう、遂げなくてはなりませんが、それを世界に披瀝するために、招致を何とかかち取っていきたいものだと思っております。
他の質問については、警視総監、教育長、技監及び関係局長から答弁いたします。
〔警視総監樋口建史君登壇〕
〇警視総監(樋口建史君) 暴力団対策についてお尋ねでございました。警視庁におきましては、この制定していただきました暴力団排除条例を真に実効性のあるものにするために、主として次の四点の施策を進めていきたいと考えております。
一点目でございますが、都民や事業者への周知徹底でございます。
警視庁では、条例が制定されまして以降、金融業、不動産業、小売業等の各業界団体に対しまして説明会を実施いたしましたほか、チラシやリーフレットを多数配布するなど、条例に対する理解を深めていただくための取り組みを鋭意進めてまいりました。
また、現在は、放送事業者や音楽事業者等が所属する業界団体に対しまして、条例に対する理解を深めていただき、所要の措置をとっていただくべく、意見交換等を進めているところでございます。
条例は十月一日から施行されますけれども、その後も引き続き、より積極的に、粘り強く、各業界団体等に対する周知徹底と暴排活動を推進してまいりたいと考えております。
二点目でございますけれども、青少年に対する指導、教育であります。
青少年が暴力団に加入したり、暴力団員による被害に遭うことのないようにするために、これまでも学校警察連絡協議会等の機会を用いまして、教育委員会や学校関係者に対して条例の趣旨等について説明をしてまいったところでございます。
現在は、この青少年向けのビデオ等の教材も作成しているところでございまして、引き続き青少年の健全育成に資する取り組みに力を入れていかなければならないと考えております。
三点目でございますが、重要な対策でありますが、保護対策であります。
暴力団排除活動を進めていくための、いわば環境整備という位置づけでございますけれども、例えばドアスコープカメラ等、保護対策に資する資機材の充実、そういったことを図りますとともに、より重要でありますが、保護対策に従事する警察官の体制を強化することといたしております。保護対策に万全を期してまいりたいと存じます。
最後、四点目でございますけれども、違反行為に対する条例の積極的な適用であります。
本条例には、その中心規定として、暴力団員等に対する利益供与の禁止等の規定がございます。違反行為者に対しましては、勧告、公表等の措置を講ずることと定められているところでございます。
警視庁といたしましては、条例施行後は、事業活動の健全性を阻害するような、こういった条例の違反行為に対して厳格に対処することは、これはもとよりのことといたしまして、条例の厳正かつ適正な運用に努めてまいる所存でございます。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
まず、放射線に関する学校の安全対策についてでございます。
未来を担う子どもたちへの教育活動が安全な環境において実施されることは、学校教育の基本でございます。
都教育委員会は、公的機関が計測している空間放射線量、降下物や水道水の放射能の測定結果を注視し、校庭やプールの水等が安全であることを日々確認しております。
また、学校給食については、都立学校及び区市町村教育委員会に対し、食品の放射性物質検査情報の確認や産地の記録など、安全な食材を調達するよう指導しております。
さらに、関係機関との緊密な連携を図り、教職員に放射線に関する知識を付与する研修会を開催するとともに、適宜適切な情報提供を行っております。
今後とも、これらの対策を継続的に実施することにより、児童生徒の安全・安心な学校生活を確保してまいります。
次に、新たな都立高校の改革についてでございます。
都教育委員会は、平成九年度に策定いたしました都立高校改革推進計画に基づき、高校の再編整備などの改革を進めてまいりましたが、この間、改正された教育基本法の理念の実現や新しい学習指導要領への確実な対応が求められております。
また、今般公表した都立高校白書で明らかにいたしましたように、現在も都立高校には、基礎的、基本的学力や規範意識を初め、社会の形成者として必要な資質、能力が十分身につかないまま卒業するなど、個々の生徒を見たときには解決すべき課題がございます。
そのため、都教育委員会は、広く都民の声を聞きながら、新しい都立高校改革推進計画を策定し、学校の設置目的に応じた育成すべき生徒像を明確にして、教育内容の充実に全力で取り組んでまいります。
次に、一人一人の子どもの体力向上についてでございます。
体力向上のためには、児童生徒一人一人が自己の体力の現状を認識し、みずからの課題を意識して運動やスポーツに取り組めるようにすることが重要でございます。
このため、都教育委員会は、都内全公立学校に在籍するすべての児童生徒約九十万人を対象に、東京都統一体力テストを実施いたしました。現在、全国平均や東京都平均等との比較や今後の取り組みポイント等を示した体力診断カードを児童生徒一人一人に配布いたしまして、児童生徒及び保護者が個々の課題を認識し、学校や家庭においても目標を持って体力向上に取り組めるようにいたしました。
今後、調査結果の詳細な分析をもとに、さらに一人一人に着目した体力向上のプログラム開発や体力、気力を鍛錬する実効性ある方策等を実施してまいります。
次に、小学校教員の指導力の向上についてでございます。
児童に運動の楽しさを実感させ、積極的に運動に取り組む意欲や態度を育てていく指導力が小学校教員に求められております。
そのため、都教育委員会では、体育大学と連携して、児童が楽しく学び、体力が向上する指導のあり方をねらいとした実技研修会等を実施しております。
さらに今年度は、このような研修の一環として、来年四月採用予定者約千六百人を対象に、児童とともに体を動かす楽しさを実感し、児童を運動好きにさせていくための指導に関する講習会を全国で初めて実施いたします。
今後とも、こうした取り組みを通して、みずから楽しく運動する児童の育成に向けまして、小学校教員の指導力の向上に努めてまいります。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 五点のご質問にお答えします。
初めに、都市計画道路の整備による木造密集地域の延焼遮断帯の形成についてでございますが、都市計画道路は、都市の骨格を形成し、機能的な都市活動や安全で快適な都市生活を実現する上で極めて重要な都市基盤施設であり、これまで都では、三次にわたる事業化計画を策定し、計画的に整備を進めてまいりました。
阪神・淡路大震災では、老朽化した木造住宅の割合が高く、狭小な敷地が多い住宅地においても、幅員十二メートル以上の道路で延焼が阻止され、道路による延焼遮断効果が改めて確認されました。
このため、都は、木造住宅密集地域の特性を踏まえ、都市計画道路整備を加速する新たな生活再建の方策などの検討を進め、延焼遮断帯の形成を図ることで、東京の弱点の一つである木造密集地域の改善に努め、高度防災都市の実現を目指してまいります。
次に、道路整備の推進に向けた財源確保の取り組みについてでございますが、我が国の経済の活性化、国際競争力の強化とともに、震災時に救援活動や緊急物資輸送を支え、首都の中枢機能を守るためにも、三環状道路の整備に加え、骨格幹線道路ネットワークの形成や連続立体交差事業などを重点的に推進する必要がございます。
しかし、国からの交付金などが大幅に削減されたため、今年度の都の道路整備への充当額は、昨年に比較して約七割となっております。
また、国の社会資本整備総合交付金などの一部が地域自主戦略交付金として一括交付金化されましたが、例えば道路については、既存の道路延長などを配分指標としているなど、将来の都市の発展に寄与する新規の事業計画が考慮されていない算定となっております。
このため、国に対し、真に必要な事業に対する財源を安定的、継続的に確保するとともに、日本の再生を担う東京の道路整備の重要性を適切に評価し、確実に財源を配分するよう強く求めてまいります。
次に、連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することで道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消して地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業であります。
また、震災時には、列車の緊急停止などに伴い、長時間にわたって幹線道路の踏切が閉鎖され、緊急、救急活動の妨げとなるおそれがあることから、踏切を除却する本事業は都市の防災性の向上にも大きく寄与いたします。
現在、七路線八カ所で事業を進めており、平成二十四年度には、京浜急行本線・空港線京急蒲田駅付近及び京王線・相模原線調布駅付近で、第一京浜などに残された踏切四十二カ所すべてを除却いたします。
また、JR南武線では、矢野口駅付近から府中本町駅間の下り線を年内に高架してまいります。
一方、新規箇所につきましては、二路線四カ所で事業化に向けて諸手続を進めており、このうち、西武新宿線東村山駅付近については、平成三十六年度の完了を目指し、来月に都市計画案及び環境影響評価書案の説明会を開催いたします。
また、西武新宿線中井駅から野方駅間については、年内に用地測量説明会を開催し、平成二十四年度に事業認可を取得して、平成三十二年度の完了に向けて取り組んでまいります。
今後とも、必要な財源の確保に努め、区市や鉄道事業者と連携しながら、連続立体交差事業をより一層推進してまいります。
次に、外環整備に対する今後の都の取り組みについてでございますが、国難ともいうべき東日本大震災では、発災後二十時間で復旧した東北道と被災が軽微であった首都圏の高速道路を利用して、首都圏のみならず、西日本からも救援隊や救援物資が被災地に向けて迅速に搬送されました。
危惧されている首都直下型地震などの発災時においても、首都機能を堅持し、日本の東西交通の分断を防ぐターミナル機能を担う三環状道路の整備は急務でございます。そのかなめとなる外環は、高度防災都市形成のために、まさに命綱であると認識しております。
大深度地下方式へと構造変更した外環は、既に確保されている立て坑用地を利用してトンネル本体工事に着手し、整備を推進することが物理的に可能となっております。
このため、都は、国に対し、今年度補正予算への用地費の計上と、来年度予算におけるトンネル立て坑の工事国債の措置など、必要な事業費の確保を強く求め、外環の早期完成を図ってまいります。
最後に、土砂災害に対する取り組みについてでございますが、近年、局地的な集中豪雨や台風に起因する土砂災害が多発しており、都民の生命や財産を守るためには、ハード、ソフト両面から対策を推進することが喫緊の課題であります。
これまで都は、ハード対策として、土石流やがけ崩れの危険性が高い箇所、過去に災害が発生した箇所において、砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業などを実施してまいりました。
また、ソフト対策として、土砂災害の危険箇所を明らかにし、都民が安全な避難行動をとれるよう、土砂災害警戒区域などの指定を平成十七年度より西多摩地域から順次進めております。今年度は千三百五十カ所を指定し、年度末には指定箇所が四千を超える予定でございます。
さらに、気象庁と共同で土砂災害警戒情報を発表し、土砂災害の危険性が高まった場合には、区市町村による避難勧告や住民の自主避難などに役立てております。
今後とも、関係自治体と連携し、土砂災害対策を推進し、都民の安全確保に全力で取り組んでまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
〇知事本局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、「十年後の東京」計画の改定についてでございますが、都では、平成十八年に策定いたしました「十年後の東京」計画を都政運営の基本方針として、都市インフラの整備を初め、環境、産業、福祉など、幅広い分野におきまして成果を上げてまいりましたが、今回、計画期間の半ばを迎え、また、東日本大震災により新たな課題が浮き彫りになったことを踏まえまして、現在、計画の改定作業を進めているところでございます。
改定に当たりましては、「十年後の東京」計画に掲げていたこれまでの取り組み、これはもとよりといたしまして、特に高度防災都市の構築、自立分散型のエネルギー政策の推進、東京の国際競争力の向上の三点を強化していくこととしております。
また、こうした取り組みを進める上では区市町村との連携が不可欠でございますから、先般、計画策定に向けて、すべての区市町村に意向調査を実施いたしました。
基礎自治体として、日ごろから地域住民や地元企業の声を受けている区市町村からは、少子高齢社会への取り組みや中小企業振興などの要望が寄せられておりますが、これに加えまして、今般の震災を踏まえた建築物の耐震化や液状化対策等の防災力の強化、今回新たに問題となりました帰宅困難者対策、また、住宅への太陽光発電導入などの再生可能エネルギーの普及拡大に対する支援など、都が今後、特に推進するとしている事項にかかわる要望を数多くいただいているところでございます。
こうした要望につきましても、十分に検討しました上で計画に反映するなど、さらに機能的で成熟した都市へと東京が進化する道筋を描いてまいります。
次に、放射性物質への対応についてでございますが、都といたしましては、都民の健康と安全を守るために、原発事故後、総力を挙げて放射性物質対策に取り組んできたところでございます。
これまで都内百カ所で、直接、空間放射線量を測定したということを初めといたしまして、水道水、食品、工業製品など幅広く検査をし、また、都内の区市町村が、経常的に放射線を計測できるよう測定機器を貸し出しております。
測定検査の結果につきましては、街頭ビジョンやホームページで速やかに公開しますとともに、放射能について都民にわかりやすく解説したQアンドAを掲載しております健康安全研究センターのホームページには、この三月以降、八千万を超えるアクセスがあるなど、不安解消を望む都民、国民にこたえてきたものというふうに考えております。
さらに、都内にとどまらず、被災地における工業製品や食肉の検査にも協力をしてきております。
ご指摘ございましたように、原発事故後の国の対処が省庁縦割りでありましたことが、都民、国民の不安がいまだ去らない大きな原因だろうというふうに考えられることから、先般、統一的な安全基準の設定、国を挙げた検査体制の確立、最終的な処分方法の確立、これらがまさに三位一体として機能するように、放射性物質対策を抜本的に強化するよう国に求めたところでございます。
昨今、国は、ようやく原子力規制や除染などの対策を環境省に集約すべく動き出し、また、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく取り組みにも着手したと聞き及んでおりますが、都といたしましては、今後も、第一義的に責任を負うべき国に対して、東京の実情を踏まえた要求を強く行ってまいります。
また、モニタリングポストや検査機器を増設するなど、具体的な施策を拡充してまいりますとともに、こうした国の動きや、放射性物質の長期にわたる影響が想定されることを踏まえまして、庁内の組織横断的な連携体制を一層強化してまいります。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
〇財務局長(安藤立美君) 法人事業税の暫定措置についてお答えをいたします。
都の財源を一方的に奪いますこの措置は、受益と負担という税の原則に反し、憲法の定める地方自治を侵害するものでございまして、都は国に対し、これまでも一貫して即時撤廃を訴えてまいりました。
そもそも法律では、平成二十三年度末までに消費税を含む税制の抜本改革を行うことを義務づけておりまして、同時に、この暫定措置についても、二十三年度末までのものと位置づけております。にもかかわらず、この間、国において、撤廃に向けた議論が全くといってよいほど進んでいないということは極めて遺憾といわざるを得ない状況でございます。
また、大震災を受けて、建築物の耐震化や木造住宅密集地域の改善など、防災力の強化に向けた取り組みを加速させる財源を確保するためにも、暫定措置の撤廃は不可欠であると認識をしております。
平成二十四年度税制改正の議論が年末に向けていよいよ山場になりますが、国に対しましては、消費税を含む税制の抜本改革、そして暫定措置の撤廃について約束どおり確実に実行するよう、引き続き都議会のご協力をいただきながら、あらゆる機会をとらえて一層強く働きかけてまいる所存であります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、木造住宅密集地域の建物の不燃化でございますが、東京で大地震が発生した場合、木密地域の延焼により都市機能が大きく阻害されることは明らかでございます。今回の東日本大震災も踏まえ、不燃化の取り組みを強化するとともに、一層加速させる必要がございます。
そこでまず、防災の専門家による講演会や、阪神・淡路大震災の被災体験者らを招いた車座集会を実施し、木密地域の住民に、震災の怖さ、自助、共助の重要性を伝えてまいります。
また、建物の不燃化に有効な、条例に基づく防火規制の区域拡大を図るとともに、都有地等を活用した効果的な生活再建支援や、建てかえを促進するための建築規制の緩和など、新たな誘導施策の検討を進めてまいります。
これらを地域の実情に応じて組み合わせ、関係局や地元区と連携しながら重点的に実施することにより、高度防災都市の実現を目指してまいります。
次に、建築物における液状化対策でございますが、さきの東日本大震災では、震源から遠く離れた都内の内陸部においても液状化による建物被害が発生したことから、都は本年七月、地盤工学の専門家などから成る建築物液状化対策検討委員会を設置いたしました。
第一回検討委員会では、液状化被害の実態を把握することや、建築物の建て主や設計者に対して、液状化の可能性や具体的な対策などについて情報提供することが重要であるとの意見が出されました。
このため、建物に被害が発生した地区を対象に、地元区と連携してボーリング調査などを実施し、地盤の特性と建物被害との関係を把握いたします。さらに、都や区市、関係機関等が蓄積している地盤調査データを活用した新たな情報提供について検討してまいります。
今後、検討委員会において専門家の知見を踏まえながら検討を進め、液状化による建築物の被害の防止に鋭意取り組んでまいります。
次に、都市再生の推進でございますが、都はこれまで、質の高い民間の都市再生プロジェクトを積極的に誘導し、我が国の経済を牽引する国際ビジネス拠点の形成を進めてまいりました。
本年四月の法改正により、都市の国際競争力の強化を図ることを目的として、税制の特例などが手厚く受けられる特定都市再生緊急整備地域の制度が導入されました。これを受け、都は、都市再生緊急整備地域のうち、今後も多くの開発が見込まれる東京都心臨海地域などに加え、新たに品川駅、田町駅周辺地域などを特定都市再生緊急整備地域に指定するよう、昨日、国に申し入れたところでございます。
このうち、品川駅、田町駅周辺地域については、駅周辺に大規模な低未利用地が残されていることから、今後、この制度も活用して、基盤施設の整備と一体的に優良な民間開発を誘導することにより、国際化された羽田空港とリニア中央新幹線の結節点にふさわしい拠点の形成を図ってまいります。
引き続き国際競争力の一層の強化に向け、総合特区の施策とも連携しながら、東京の都市再生をさらに推進してまいります。
次に、多摩地域の交通インフラでございますが、多摩地域が活力と魅力にあふれ、自立して一層の発展を遂げるためには、拠点相互の結びつきなどを重視し、これまで充実させてきた基盤を生かしつつ、多摩地域を核とした首都圏の交通ネットワークを強化することが不可欠でございます。
このため、道路については、渋滞の効果的な解消や防災性の向上に向けた幹線道路ネットワークの計画的な形成、区部や隣接県とのさらなる連携強化を図ってまいります。
鉄道については、中央線三鷹─立川間の複々線化の実施に向けた検討を進めるなど、輸送需要の動向等を見据えながら、混雑緩和や都心へのアクセス向上などに取り組むとともに、調布や拝島等で駅前広場の整備などを促進し、駅の利便性を高めてまいります。
さらに、多摩地域の産業振興や首都圏の航空需要にこたえるためにも、ビジネス航空の受け入れを含めた横田基地の軍民共用化の早期実現を目指してまいります。
今後とも、多摩地域の自立した都市圏の形成に向け、さまざまな交通施策を重層的、複合的に展開し、交通ネットワークの充実強化に取り組んでまいります。
〔港湾局長中井敬三君登壇〕
〇港湾局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、東京港と島しょ港湾の津波対策についてでございますが、東京港においては、今回の津波による浸水等の被害はありませんでしたが、ご指摘のとおり、津波に対する備えは非常に重要であり、水門、陸閘等の一層の機能強化が必要と認識しております。
水門につきましては、高潮対策センターからの遠隔操作などにより、震災当日も支障なく全水門の閉鎖を完了しましたが、一層のバックアップ機能の強化など、さらなる改善に取り組んでいるところでございます。
また、陸閘については、一定の地盤高があることなどから、従来、水門ほどの即応体制にはしておりませんでしたが、想定を超える今回の津波の状況を踏まえ、即時閉鎖を可能とする人員体制の強化を図るとともに、停電時でも迅速に閉鎖可能な機器の導入、通信手段の不通時にも対応できる衛星携帯電話の配備などの対策を講じております。
一方、島しょについても、今回の震災での被害はほとんどありませんでしたが、引き続き津波軽減効果をあわせ持つ港湾、漁港施設の整備を進めるとともに、整備済みの施設の防護効果の再検証や避難施設の整備の検討に着手しております。
今後も、防災訓練などを通じてこうした取り組みにさらに磨きをかけ、災害から都民の生命と財産を守るという使命をしっかりと果たしていくとともに、国に対しても、首都東京の防災力を一層強化し、被災リスクの低減に向けた取り組みを促進するよう要求してまいります。
次に、京浜三港における今後の取り組みについてでありますが、東日本大震災発生後、京浜港は、被災地の代替港としての役割を果たすとともに、被災港との間を航行する船舶の入港料の免除など、被災地支援を実施してまいりました。
こうした中で、改めて災害時における港湾機能の重要性を認識し、今般策定した京浜港の総合的な計画の中にも、災害対応を含めた港湾機能の充実強化を盛り込んだところでございます。
具体的には、港湾の三港の役割分担のもと、東京港においては、耐震強化岸壁を有する中央防波堤外側コンテナターミナルの整備にあわせ、既存コンテナふ頭の機能強化、再編を進めてまいります。また、災害時に三港が相互補完を円滑に行うため、港湾BCPの策定などにも取り組んでまいります。
こうした取り組みにより、今後とも首都圏の生活と産業を支えるとともに、アジア諸港に伍していく我が国の基幹港湾として、その役割を全力で果たしてまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 私道内の給水管の耐震化についてでございますが、さきの東日本大震災において、都内の水道管の被害は、お客様の財産である給水管が四分の三を占め、主に塩化ビニール管における被害でありました。
現在、水道局では、一定規模以上の私道、具体的には、給水管が三本以上ある場合、または二本以下であっても、お客様が十世帯以上ある場合、配水管を布設して、塩化ビニール管などの給水管をステンレス化して耐震化を図る私道内給水管整備工事を展開しており、私道延長約千四百キロメートルを対象に事業を実施しております。
しかし、本事業の対象とならない小規模な私道に布設される給水管は、本事業に匹敵する規模が見込まれます。
このため、ご指摘を踏まえ、私道内の塩化ビニール管をステンレス鋼管に取りかえる新たな取り組みについて、新設する場合を含め、整備手法などにかかわる検討を進め、早期に事業化することにより、震災時における水道水の確保に努めてまいります。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕
〇下水道局長(松田二郎君) 二点のご質問にお答えをいたします。
水再生センター間のネットワーク化の推進についてでございますが、これまで区部においては、水再生センター間を結ぶ送泥管を整備し、汚泥処理の効率化を図り、信頼性を高めるため、送泥管のバックアップルートの確保を行ってまいりました。
また、多摩地域におきましては、多摩川を挟んで対面に位置する水再生センター間を結ぶ連絡管の整備を行い、施設整備や維持管理の効率化を図ってまいりました。
今後は、ご指摘のとおり、災害時においても下水道機能を確実に維持し、水再生センターの再構築を効率的に行うため、水再生センター間で汚泥や汚水、再生水などを相互に送ることができるネットワークを整備し、総合的なバックアップ機能を確保してまいります。
まずは、首都機能が集積をしている地区の排水を受ける芝浦水再生センターと、処理区域の面積が最も大きい森ヶ崎水再生センター間について、ネットワーク化に向けた連絡管を整備することとし、今年度、設計に着手をいたします。
続いて、荒川を挟んで対面に位置し、汚泥処理の集約施設があります砂町水再生センターと葛西水再生センター間について、今年度から調査検討を行います。
災害時においても水処理や汚泥処理をより安定的に行うため、ネットワークを拡充し、これまで以上に震災に強い東京の下水道の構築を進めてまいります。
次に、ことしの夏の電力不足への取り組みと今後の対応についてでございますが、この夏の取り組みとして、都の削減目標であります一五%に相当する四万二千キロワットのうち、下水道局では二万九千キロワットの電力使用量を削減しまして、都における受電電力の抑制に大きく貢献をいたしました。
引き続き下水道機能を確保し、厳しい電力需給の状況に対して積極的に貢献していくことも視野に入れ、非常用発電設備やナトリウム硫黄蓄電池などを増強してまいります。
非常用発電設備につきましては、燃料について、これまでの重油や灯油に加えまして、さらに都市ガスもあわせて利用できる方式の採用など、燃料の多様化を図ってまいります。
この夏の節電に大きな役割を果たしましたナトリウム硫黄蓄電池につきましては、これは夜間に電力を蓄電いたしまして、昼間のピーク時に活用するものでございますが、現在保有する設備能力二万キロワットから四万キロワットに倍増いたします。
さらに、電源の多様化を図るため、太陽光発電を葛西水再生センターに続き、他の水再生センターなどへの導入を進めてまいります。
今後とも、これまで培ってきた運転管理のノウハウを駆使し、さらなる節電に努め、設備の増強による電力確保や電源の多様化に向けて全力で取り組んでまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、帰宅困難者対策についてでございますが、今回の大震災で顕在化した課題を解決するためには、都民や事業者を含め、社会全体で対応を図る必要がございます。
このため、都は、国とともに、去る九月二十日、猪瀬副知事と内閣府政策統括官を共同座長として、近隣自治体を初め、経済団体、鉄道、通信事業者等を含めた帰宅困難者等対策協議会を発足させました。
この協議会において、一斉帰宅の抑制の徹底に向け、企業等の施設内待機や備蓄の推進、駅や商業施設等における利用者保護などの基本的なルールを取り決めるとともに、官民の協力により、帰宅困難者を受け入れる一時待機施設の確保を検討してまいります。
また、専門的な検討が必要となる通信手段の確保や広域的な体制が必要となる帰宅支援につきましては、協議会のもとにワーキンググループを設置し、集中的に検討してまいります。
今後、これらの検討結果につきましては、本年十一月策定予定の防災対応指針や地域防災計画に反映することで実効ある対策へとつなげてまいります。
次いで、燃料の確保についてでございますが、都はこれまで、災害時の応急活動等に必要な燃料を確保するため、業界団体との間で発災時に燃料の供給を受ける協定を締結しております。
しかしながら、東日本大震災では、製油所の操業停止や物流の停滞により一時的に燃料の大幅な不足が生じ、協定に基づく燃料の供給を受けることが困難な状況となったことから、災害時における燃料確保のあり方について改めて検討する必要が生じました。
今後、災害拠点病院の非常用発電機や緊急通行車両の燃料など、都民の生命を守るために必要不可欠な燃料について、業界団体と協議を行い、燃料の確保に向け、新たな仕組みを構築してまいります。
最後に、住民の避難対策における区市町村支援の充実についてでございます。
発災時の住民の避難につきましては、法令により、基礎的自治体である区市町村が主たる役割を担うこととされており、区市町村ごとに避難所の確保、運営、避難誘導などの対策を講じております。
しかしながら、人口が密集する大都市東京において、首都直下型地震のような大規模災害が発生した場合には、区市町村の区域を大きく超えた避難も想定されることから、都は広域行政の立場から、避難のあり方や具体の方策を講じていく必要がございます。
このため、東京都防災会議に区市町村や防災機関、学識経験者などから成る検討組織を設置し、都全域を視野に入れた効率的、効果的な避難の実現という観点から、避難誘導や避難者の受け入れ調整など、広域的な避難対策の検討を進め、区市町村への支援の充実に努めてまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業のBCP策定の支援についてであります。
都内の中小企業が災害などの影響を受けても事業を確実に継続することができるよう、事業継続計画、BCPとして策定していくことは極めて重要であります。
都は、昨年度から、中小企業のBCP策定を支援する取り組みを開始いたしましたが、東日本大震災の発災を踏まえ、今年度は支援する企業の数を四十社から七十社にふやすなど、施策の充実を図っております。
また、ご指摘のように、中小企業がBCPの必要性を理解するとともに、計画どおり事業継続に成功した事例を知ることができる工夫に取り組むことも重要でございます。このため、BCP策定について事例集を作成したり、ホームページを通じ取り組み内容を公表し、その重要性を幅広く発信することにも力を入れております。
今後は、より多くの中小企業がBCPを理解するきっかけや機会をふやすため、BCPの基本的内容を一日で学べるセミナーや、被災時の事業継続に成功した事例を紹介する発表会の開催を予定しております。さらには、企業の立地する周辺地域の実情に合ったBCPを策定できるよう、地元の区市町村と連携したセミナーの開催にも取り組んでまいります。
こうした施策により、BCP策定への理解を広め、中小企業の災害等への対応の力を高めてまいります。
次に、都内でのホテル、旅館における避難者受け入れの実績についてでありますが、都では、災害救助法に基づき、岩手、宮城、福島の被災三県からの要請によりまして、都内のホテル、旅館を活用して避難者の受け入れを行ってまいりました。
昨日、九月二十七日現在の受け入れ実績は、延べ四百二十六世帯、九百四十八人となっておりまして、開始以来の宿泊数としては延べ四万六千泊と、震災初期の対応として重要な役割を果たしてまいりました。
今般、より安定した生活を支援する観点から、被災県では避難所の運営を終了し、応急仮設住宅への入居を進めております。都におきましても、各県の意向を踏まえ、避難所として実施してまいりましたホテル、旅館での受け入れにつきまして、十月末日に終了する予定でございます。
なお、現在入居されている方につきましては、応急仮設住宅に順次お移りいただくこととしております。
次に、避難者の雇用の確保支援についてでありますが、避難者の生活の安定を図るためには、早期の就職実現が重要であると考えております。
このため、都は、主に都内での就職を希望する避難者向けに、八月から東京しごとセンター及び東京しごとセンター多摩におきまして支援窓口を開設し、専門のカウンセラーを配置するなど、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行っております。
一方、企業側に採用を促す仕組みとして、避難者を六カ月以上雇用した企業に原則六十万円の助成金を支給する制度を設けました。さらに、職業能力開発センターでは、十月入校生の募集から二百四十名規模の避難者優先入校枠を設けまして、多様な職業訓練の受講機会を提供しております。
また、被災地での就職を希望する方を主な対象として、復興事業に役立つ建設機械操作や、建築の基礎技術を習得する職業訓練を百八十名定員で実施しており、第一期募集定員四十名のところ、五十名の応募がございました。
こうした取り組みにより、避難者が早期に就職することで生活が再建できるよう、全力で支援を行ってまいります。
次いで、製造業の空洞化への対応についてでありますが、円高による採算の悪化などにより製造業が生産の拠点を海外に移す動きが出ている中、無秩序な空洞化を防止し、ものづくりの工程で不可欠な基盤技術の担い手である中小企業の集積を、地域社会の中でしっかりと確保し続けることは重要でございます。
都はこれまでも、創造的都市型産業集積創出助成事業によりまして、地域ごとの特性を生かした中小企業の集積支援に取り組んでまいりました。そうした施策に加え、今後は、基盤技術の面ですぐれた力を持つ会社の集まるエリアを対象に、その集積の維持や発展に役立つ支援を検討し、さまざまな基盤技術を活用するものづくり産業が都内で生産活動を続けることのできる環境の整備につなげてまいります。
具体的な支援に当たりましては、地域ごとの産業の実情を正確に把握している区市町村との連携を十分に確保してまいります。都内の各地域の産業集積を維持強化し、基盤技術の発展を実現することで、製造業の空洞化への対応を効果的に進めてまいります。
次に、買い物弱者に対する対応についてであります。
商店街は商業活動の拠点でありますとともに、地域コミュニティの中心となっており、買い物に制約や支障のある、いわゆる買い物弱者に対しまして、日常品を効果的に提供することが期待できます。
都では現在、東京における買い物弱者の実態を把握する調査を行っております。その結果を踏まえ、商店街が注文を受けた商品を届けたり、買い物を本人のかわりに行うような取り組みを対象に、地元の区市町村と協力して支援する事業を、モデルとして行うことを検討しております。
次に、商店街の後継者の育成についてでありますが、商店街の将来の担い手を確保するためには、商店街での開業に意欲のある人材をしっかりと育成していくための仕組みづくりを行うことが重要であります。
そのため、商売や商店の運営に必要な知識やノウハウを学びました上で、商店街での開業を実現するまでの過程で生じる負担を軽減するなど、後継者の育成と確保を効果的に行う具体的な支援のあり方について検討してまいります。
最後に、若年者の就業支援についてであります。
お話のとおり、平成二十三年三月の大学卒業者の就職率は過去最低の九一%となるなど、若者を取り巻く雇用情勢は依然として厳しい状況であると認識しております。また、都内には意欲あるすぐれた人材を求める中小企業が多くあるものの、若者の大企業志向などからミスマッチが生じておりまして、その解消も重要であります。
このため、都は今年度から、研修と中小企業での就労体験を組み合わせた未就職卒業者緊急就職サポート事業を新たに開始し、就職先が決まらないまま大学などを卒業した若者の就職を支援しております。現在、五百人を超える若者が本事業に参加し、正規雇用を目指して企業で就労体験中であります。
また、新規大卒者等合同就職面接会を、今年度は開催回数を年二回から三回にふやして実施いたします。第一回目として七月に開催した面接会には、百四十四の企業と一千四百七十八名の若者が参加いたしました。今後は、十一月と来年の二月に、規模を拡大した面接会を開催する予定であります。
加えて、ものづくりなど地域産業の実態にマッチした人材を供給するという観点から、新たに多摩職業能力開発センターと東京しごとセンター多摩が、自治体や経済団体等と連携して、訓練生や若者を対象とした合同就職面接会を十一月に開催いたします。
なお、大震災により被災地では就職が難しく、都内で就職を希望されます若者に対しましても、東京しごとセンター等でさまざまな支援を行っております。
今後とも、こうしたさまざまな対策を講じることにより、厳しい雇用環境に置かれた若者の就職を強力に後押ししてまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
まず、食の安全・安心の確保に向けた対応についてでございますが、都はこれまで、食の安全・安心を確保するため、生産地として都内農産物等の検査を計画的に実施いたしますとともに、他の生産県の検査にも最大限協力をしてまいりました。
また、電話相談窓口の設置やホームページによる情報発信、放射性物質と食品の安全性についてをテーマにした、食の安全都民フォーラムの開催など、都民に対する情報提供を積極的に行ってまいりました。
今後、食に対する信頼をより確かなものとするためには、検査体制を一層充実いたしますとともに、都民に正しい情報を適時適切に提供していくことが重要でございます。
そのため、今月、放射性物質を精密に測定いたしますゲルマニウム半導体核種分析装置を東京都健康安全研究センターに二台増設し、四台体制としたほか、十月の上旬には、簡易測定のためのシンチレーションスペクトロメーター四台を更新し、検査体制の一層の強化を図ってまいります。
また、牛肉につきましては、都の食肉市場における全頭検査の実施に向け、新たな検査機器を導入することとしており、中央卸売市場、市場の関係団体、芝浦食肉衛生検査所が連携をしながら、検査結果の速やかな通知も含めた体制づくりを進めております。
さらに、放射能に関します教員向け研修会や都民向けシンポジウムを開催するなど、情報提供の充実も図り、食の安全・安心の確保に努めてまいります。
次に、地域がん登録の取り組み状況についてでございますが、都は、予防から治療に至る総合的ながん対策の評価、企画立案に資するため、平成二十四年七月から地域がん登録を開始いたします。
そのため、医療機関等から収集する情報を登録、分析いたします地域がん登録室を、都のがん診療連携の拠点でございます都立駒込病院内に設置することとしており、現在、整備を進めているところでございます。
また、有識者やがん診療連携拠点病院、区市町村などの関係機関で構成をいたします東京都地域がん登録検討会におきまして、各医療機関が実施しております院内がん登録との連携や、区市町村からの患者情報の収集方法などについて、実務的な調整を行っております。
今後は、医療機関や区市町村の担当者を対象としたテキストを作成し、研修会を行うなど、地域がん登録を円滑に実施するための準備を着実に進めてまいります。
次に、介護保険制度改正に向けた都の基本的な考え方と取り組みについてでございますが、高齢者が可能な限り住みなれた地域で生活できるようにするためには、高齢者の住まいを整備するとともに、医療や介護、生活支援サービス等を日常生活の場で切れ目なく提供していくという地域包括ケアの考え方に立った施策を推進していくことが重要でございます。今回の介護保険制度の改正も、こうした観点から実施されるものと認識をいたしております。
都は、現在、NPOや株式会社等、多様なサービス提供主体が存在するという東京の特性を生かしまして、施設サービス、在宅サービス、ケアつき住まいなどのサービス基盤をバランスよく整備するための方策を検討しており、今年度末に策定予定の第五期高齢者保健福祉計画の中に盛り込んでいく考えでございます。
また、今回の制度改正では、介護報酬の地域区分についても見直しが予定されておりまして、都は既に、七月と八月の二度にわたりまして、大都市における地価や人件費等の実態を踏まえた抜本的な見直しを求める緊急提言を行ったところでございます。
来年度は、介護報酬と診療報酬の同時改定の年にも当たることから、今後とも必要な医療や介護サービスが確保できるよう、国に強く働きかけてまいります。
次に、介護保険制度の財政安定化基金についてでございますが、この基金は、保険者であります区市町村に財源不足が生じた場合、資金の貸し付け、または交付を行い、介護保険財政の安定を図ることを目的といたしまして、都、国及び区市町村の三者が均等に拠出するものでございまして、法に基づき都が設置をいたしております。
今回の法改正によりまして、平成二十四年度に限り、この基金の一部を貸し付けなどの目的以外に取り崩すことができることとされました。取り崩した基金は、都、国及び区市町村に三分の一ずつ配分し、区市町村は保険料率の増加の抑制のために活用し、都及び国は介護保険に関する事業に要する経費に充てるよう努めるものとされております。
現在、区市町村の意見も聞きながら、基金の取り崩し額等について検討いたしておりますが、都としては、今後ますます高齢化が進行する中で増大する介護ニーズに対応するため、サービス基盤の整備などに有効に活用していきたいというふうに考えております。
次に、養育家庭への支援についてでございますが、都はこれまで、児童相談所への専任職員の配置や、児童の養育や心理に関する専門機関等の活用などにより、養育家庭に対する相談支援体制の充実に取り組んでまいりました。
しかしながら、このたび東京都が委託をいたしました児童の死亡事件が起きたことは、まことに残念であり、重く受けとめております。
都は、昨年八月の事故発生後、直ちに子どもを委託しているすべての養育家庭を訪問いたしまして、養育状況の確認を行っております。また、里親の逮捕を受けて、各児童相談所において、養育家庭の方々に対し、この間の状況を説明いたしますとともに、改めて相談支援の現状に関する意見や要望を伺いました。
これらの意見等も踏まえ、里親と児童が安心して生活できますよう、相談体制の一層の充実、地域の関係機関との連携による見守りの強化、養育家庭相互の交流の場のさらなる活用などに早急に取り組んでまいります。
また、現在、児童福祉審議会におきまして、専門的見地から事件の検証と改善策の検討を行っておりまして、今後、認定から委託後までのあらゆる段階における支援のあり方などを総点検いたしまして、必要な方策を講じてまいります。
最後に、災害時における障害者への支援についてでございますが、お話のように、今回の震災では、多くの障害者団体や支援団体が被災地への職員の派遣や物資の提供など、さまざまな支援活動を行ってまいりました。
これらの団体からは、これまで都に対しまして、被災地での支援内容の報告にあわせ、今回の活動経験を踏まえた災害時の情報提供、安否確認などについての要望が数多く寄せられております。
災害時における障害者支援には、こうした声を反映させていくことが重要でありますことから、都は来月、災害時要援護者対策を行う区市町村に対しまして、団体との連携についての調査を実施いたしますとともに、障害者団体とのヒアリングを改めて行うことといたしております。
今後、障害者施策推進協議会などの意見も踏まえながら、障害者団体等との協力体制のあり方を取りまとめ、来年度の地域防災計画の修正に反映させてまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 三点のご質問にお答えします。
まず、この夏の電力対策の総括とこの冬以降に向けた取り組みの方向性についてでございますが、この夏、都内では、企業、家庭での創意工夫により、昨年に比べ二割から三割程度の電力を削減する大きな成果を上げることができました。
しかし、今回の国の電力使用制限は、一律に一五%削減を求めるという個々の事業所の特性への配慮を欠いたものであるとともに、節電に関する情報の提供も不十分なものでありました。このため、一部には、いわゆる我慢の節電を強いられた面があったことも事実でございます。
現在、都におきましては、この夏の節電の取り組みにつきまして、企業、業界団体、区市町村等からすぐれた取り組み事例を収集し、分析を進めております。
今後、無理のない効果的な節電手法を明らかにし、これらの知見を活用して、この冬以降は企業の事業活動や都民生活に大きな支障が生じないような、いわば賢い節電の促進により、需給バランスの最適化に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、ライフライン施設等における電源確保についてございますが、病院や社会福祉施設など、災害弱者を守る施設やライフライン施設、さらには災害時の避難拠点となる施設などは、都民の生命を守り、経済活動を支える大都市の生命線でございます。
こうした施設が災害時にも確実に活動を継続し、都市機能を維持していくためには、系統電力だけに依存しない自立分散型電源の確保を進め、災害時のリスクを分散することが必要でございます。
今後、これらの分散型電源の確保に当たりましては、コージェネレーション発電など、高効率で環境性能の高い設備の導入が促進されるよう努めてまいります。
また、民間の都市開発に合わせまして、分散型電源の整備などを後押しする仕組みを構築するなど、災害時における都市機能の維持を図ってまいります。
最後に、電力の需給両面からの最適化に向けた取り組みについてでございますが、いわゆるスマートグリッドは、電力需給データをリアルタイムで集約し、供給の逼迫時には需要を自動制御できる仕組みでございまして、地域における電力需給の最適化と需要者間での電力の融通を可能とするシステムでございます。
首都圏におきましては、大規模マンションにスマートメーターを設置し、昼間の電力消費を抑制した家庭に電力料金の支払いに利用できるポイントを付与することで、ピーク時の使用抑制を誘導するなど、先進的な取り組みが始まっております。
都は、この秋、都心部の業務集積地域を対象としまして、電力使用量のリアルタイムでの見える化と需給制御などを行うエネルギーマネジメントの事業化に向けました調査を、民間事業者の協力を得まして新たに実施する予定でございます。
こうした取り組みを通じ、都市における新たなエネルギーマネジメントシステムの導入を誘導してまいります。
〔交通局長野澤美博君登壇〕
〇交通局長(野澤美博君) 今後の都営バス事業の経営についてお答えいたします。
東京電力の株式配当収入を充当していた都営バス事業は、このたびの震災の影響を受け、配当が見込めないことから、当面、経常黒字を確保することが難しい状況にあります。
これまでも都営バス事業は、地下鉄等の開業による乗客数の減少や新規バス事業者との競争の激化など、幾度となく困難な状況に直面してまいりましたが、その都度、局を挙げた経営改善により乗り越えてまいりました。
配当が見込めないことによる減収額は大きなものでございますが、今回のことで運賃を値上げすることなく、乗客需要に応じた路線再編による収入増や一層の経費削減など、数年にわたる地道な取り組みにより収支改善に努め、引き続き都民の足としての役割を果たしてまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点の質問についてお答えいたします。
まず、オリンピック・パラリンピックにおける復興支援についてでございます。
議員お話しのとおり、オリンピック・パラリンピックの開催は、震災で傷ついた被災地の復興を大きく後押しするものでございます。このため、大会開催計画の策定等を行う招致計画委員会の中に被災県の関係者を加えた復興委員会を設け、被災地の支援案として、サッカー等の競技や聖火リレーに加え、大会開催期間中とその前後を通じて行われるさまざまな文化プログラムを東北地方で開催することを検討してまいります。
また、招致活動期間中においても、アスリートとのスポーツ交流などを通じて被災者を元気づける取り組みを行っていくほか、スポーツ界を挙げて被災地の経済的復興にもつながる取り組みも検討してまいります。
次に、平成二十五年の冬季国体についてでございます。
去る九月二十二日、公益財団法人日本体育協会と文部科学省から、スケート競技及びアイスホッケー競技の開催についての要請を受けたところでございます。
冬の国体を東京で開催することで、平成二十五年を、一月の冬季国体に始まり、東京マラソン、秋のスポーツ祭東京二〇一三と続く、まさにスポーツイヤーとすることにより、スポーツの感動や華やかさを多くの都民、国民に体感してもらい、スポーツを都民に普及させる絶好の機会とすることができます。
また、東京での開催が難しい一部競技を被災された県で開催することは、スポーツの力で人々を元気づけるとともに、被災地に活力を取り戻す有効な取り組みと考えます。
こうしたことから、平成二十五年の冬季国体については、都のスポーツ振興はもとより、被災地の復興支援という観点も踏まえまして、開催に向けた検討を進めてまいります。
〇副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時三十六分休憩
午後五時五十七分開議
〇副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
八十三番小磯善彦君。
〔八十三番小磯善彦君登壇〕
〇八十三番(小磯善彦君) 都議会公明党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
初めに、都心部を中心とした都市構造の再構築について質問します。
東京都は、このたびの大震災を受け、地震対策、非常時の電力の確保、都市間競争に打ち勝つ経済の活性化など、日本再生にも直結する幅広い取り組みを行う必要があります。大規模な取り組みなだけに、都民の共感を得られるコンセプトが重要であります。
都議会公明党は、「十年後の東京」で打ち出された、水と緑の回廊都市を改めて強調すべきと考えます。
かつての江戸の美しいまち並みは、元をたどれば、関東台地を流れる河川が織りなす砂州や沼地、入り江でした。それを埋め立て、世界に冠たる八百八町につくり上げたのが、中世日本の土木、建築技術であります。
今後は、例えば堅牢な埋立地、すなわち、液状化や水害の危険も克服できる人工地盤を広く形成するなど、現代日本の技術を駆使して、新しい東京を築くべきと考えます。建物の高層化を有効に活用すれば、空地の少ない都心部においても、人工地盤の地表に、世界に比類なき水と緑の公開空地を創出することができます。日本が誇る最先端の技術を活用して今後の東京の都市づくりを進めることについて、石原知事の所見を伺います。
次に、総合特区を活用した東京の経済再生について質問します。
東日本大震災に伴う原発被害と国政の混迷によって、外国資本だけでなく国内企業までもが日本脱出を図り始めています。日本離れを防ぐためには、世界の中から東京を選び取らせるインセンティブを高めなければなりません。
国はこのたび、大幅な規制緩和に、税制、財政、金融上の支援策を組み合わせた国際戦略総合特区を新設し、十二月にも第一回の選定を行う予定です。国内最大の消費力と技術力、世界でもまれな首都密接の港湾と空港に恵まれた東京こそ、総合特区の機を生かして、アジア経済の中心たる地位を高め、日本再生に大きく寄与すべきと考えます。総合特区の活用の効果について、都の見解を求めます。
この総合特区の効果を高めるためには、アジアでも一段と秀でたまち並みの再編が必要です。そこで、都は今後、国の新たな特定都市再生緊急整備地域制度を活用し、高さや容積率などの既成概念にとらわれることのない、斬新な都市構想を練る必要があります。
かつて、霞が関ビルや世界貿易センタービルの建設は、アジアにおける高層建築の夜明けを告げました。今後は高度防災都市、低炭素・環境先進都市としてアジアの模範となるべきです。
そこで、都心部などについては、都市計画に関して大胆な措置を講じていくとともに、新たなまちづくりを進めていくための方針を明確に示すことで、都市再生を推進していくべきです。見解を求めます。
次に、産業の空洞化対策について質問します。
金融や観光に重きを置く欧米都市と異なり、東京には、国内有数のものづくり拠点としての役割があります。都内中小企業にとって産業の空洞化とは、取引先が海外に移転することにほかならず、事態は深刻です。産業の空洞化について知事の所見を伺います。
こうした中、都は、産業面でのシティーセールスなどにより、都内中小企業の技術力やビジネス拠点としての東京の魅力を発信するとともに、都内中小企業が国内で将来にわたり事業を継続できるようなサポートにも取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
知事が所信表明で触れられたナノレベルの微細加工器などと並び、ロボット産業は都内の有望な成長産業です。しかし、その具体的な活用の姿が見えないため、本格的な開発や投資が進みません。多摩地域に集積する精密機械産業の技術力を生かし、多摩シリコンバレーの整備を視野に入れ、研究開発を実用化に結びつけるため、ロボット産業の育成に向けて、中小企業へのサポートを充実させるべきと考えますが、見解を求めます。
なお、多摩シリコンバレーについては、総合特区の活用による効果も大いに期待できるものであります。今後の検討を要望します。
次に、電力エネルギー対策について質問します。
この夏は、都民や都内事業者は、さまざまな創意工夫によって節電した結果、七月から八月にかけての最大使用電力の推移は、国が示した一五%の削減目標を大幅に超え、二〇%から三〇%の削減を達成しました。今後は、この夏の経験を生かし、省エネ効果の高い節電手法を集約するなどして、電力多消費社会からの転換を図る必要があると考えます。
一方、電力の供給面では、大規模災害への備えを固めるために、多様で自立分散型のエネルギー源を確保していくことが重要です。しかし、小規模な発電設備は、CO2排出や発電効率等の面で課題があるとの指摘もあります。
そこで、自立分散型発電設備の導入に当たっては、環境性能と効率的なエネルギー利用の両立を図る視点から、設置者の立地条件等に適したアドバイスを提供できる体制を整えるべきと考えます。あわせて、電気事業に対する規制緩和も含め見解を求めます。
自立分散型エネルギーの普及拡大を図るためには、再生可能エネルギーの着実な導入促進も必要であります。
都はこれまで、太陽エネルギーの補助制度を導入し、それが国の補助制度の復活へと結びつくなど、着実な成果を上げてきております。
一方、再生可能エネルギーの導入促進策として、長野県飯田市では、初期費用が高いというハードルを乗り越え、太陽光発電をファンドの活用で、初期費用なしの月々一万九千八百円で設置できるようにし、米国では、太陽光発電の大規模共同購入やリース手法の活用による導入を促進しています。また、欧州では、大型ショッピングセンターなどの特定建築物の新築などの機に、太陽光発電の設置を義務づけ、普及拡大につなげている事例も見られます。
都は、再生可能エネルギーの全量買い取り法の成立を機に、国内外の動向を調査し、工夫を凝らして、再生可能エネルギーの導入拡大を促進すべきであります。今後の取り組みの方向性について見解を求めます。
また、新たな再生可能エネルギーの開発も重要です。我が党は、昨年の第二回定例会で波力発電の促進を訴えました。波力発電の面積当たりのエネルギーは、太陽光の約二十倍以上です。海外では、波力発電の豊かなポテンシャルに着目した商業規模のプロジェクトが既に開始されています。
都は、平成二十一年七月、大学や民間事業者に波力発電検討会の設置を呼びかけ、検証が行われました。検討会では我が国における可能性も示され、波の状況や係留技術の実証事業が伊豆諸島海域で行われ、地元関係者の意見も踏まえ、具体的な海域検討や課題調整等が実施されました。この取り組みを本格的に稼働すべきであります。見解を求めます。
次に、防災対策について質問します。
東日本大震災は想定されていなかった甚大な被害となり、国とともに都は防災力の抜本的強化が求められております。
都は今後、十一月に予定されている都の防災対応指針の策定や、地域防災計画の見直しに取り組むことになりますが、都民の安全確保を何よりも重視する視点から、今後の防災力強化について、石原知事の認識と決意を伺います。
都がこのほどまとめた東日本大震災の対応と教訓によると、主に地域防災力、住民の避難誘導体制、水防、津波対策、液状化対策などの強化が重要と指摘しております。
このうち、地域防災力の向上については、知事は本年の本会議で重ねて防災隣組に触れ、住民同士による共助の必要性を強調しております。しかし、高齢化の進展に伴い、共助の担い手のいない地域がふえているというのが実態です。
こうした状況下における防災隣組の具体化として、比較的若い人のいる事業所、商店、コンビニなどとの連携を検討すべきです。町会や自治会と地域内の事業所等が災害協定を結び、発災時に倒壊家屋の下敷きになったり負傷した住民を救助する仕組みは極めて有効であります。こうした形態の事業を、防災隣組の一つのモデルとして都が率先して取り上げ、区市町村の展開につなげていくべきと考えます。見解を求めます。
次に、住民の避難誘導対策について質問します。
東京は、都心部に大規模地下街や、区部東部にゼロメートル地帯が広がっており、巨大台風や想定を超える津波対策など、ハード対策だけでなく、都民の命を守る避難誘導対策が極めて重要であります。
そこで、大震災に加え大規模水害も想定し、自治体や学識経験者などを交えた避難誘導対策の検討組織を設置し、総合的に検討すべきと考えます。見解を求めます。
また、避難経路となる道路が寸断される場合などに備えた補完的避難ルートとして、河川が考えられます。都内を流れる河川の六十一カ所に設置されている防災船着き場の活用に着目すべきです。東京都地域防災計画には、震災時の物資の輸送拠点として防災船着き場を位置づけておりますが、住民の避難経路としての活用も検討すべきです。防災船着き場を避難住民や傷病者の避難誘導ルートとしても活用できるよう、明確に位置づけるべきと考えますが、見解を求めます。
次に、災害時におけるユビキタス技術の活用について質問します。
震災時にはターミナル駅周辺など、都市の各所で大きな混乱が生じることが改めて問題になっています。特に、大都市の地下街は複雑な構造をしており、非常時の避難対策が不可欠です。
都はこれまで、ユビキタス技術の実証実験として、観光案内や視覚障害者への移動支援などに取り組んできました。大阪の梅田周辺では、実写の写真と地図を組み合わせたパノラマビューを作成し、普及しているスマートフォンなどで、地下街の店舗やトイレの位置情報を提供したり、目的地までの最短ルートを案内するなど、バリアフリー案内に努めています。
今後、高度防災都市づくりの一環として、災害時の誘導と安全を期すため、映像や音声を取り込んだユビキタス技術の活用を、地下街を含めて検討すべきと考えます。
そこで、防災への活用を視野に入れた東京ユビキタス計画の今後の取り組みについて、見解を求めます。
次に、地震、津波対策について質問します。
都の水門、排水機場や防潮堤等の多くは、関東大震災級の地震に耐える整備を進めているものの、阪神大震災級の直下地震に耐える強度は十分とはいえない状況にあります。また、地震や津波等により、東部低地帯の水再生センターやポンプ所等の施設が排水機能を失った場合、区部面積の二割を占める海抜ゼロメートル地帯は、水が滞留し、ライフラインの復旧を阻むことは明らかであります。したがって、水門、排水機場や防潮堤等のさらなる耐震性の強化及び東部低地帯の水再生センター、ポンプ所や排水機場等に対する耐水性の一層の強化に取り組むべきと考えますが、都の見解を求めます。
また、先日の読売新聞には、国の一部の水門が、津波の第一波に対して閉鎖が間に合わなかったとの報道がありました。都の水門については、地震発生後速やかに対応したことは承知しておりますが、ゼロメートル地帯において万が一水門が閉鎖できないと、甚大な被害が発生することも考えられます。施設整備に加え、水門の迅速かつ的確な運用、関係機関との連絡体制をより強化すべきであります。見解を求めます。
次に、伊豆諸島の津波対策について質問します。
東日本大震災では、津波によって東北地方に甚大な被害が生じました。東京においても、特に伊豆諸島の島しょ部について、大規模な津波が襲ってきた際の対策を講じておくことが重要であります。今回の対応と教訓でも島しょ部の津波対策について検討されていますが、今後の具体的な取り組みについて見解を求めます。
また、三宅島の大久保海岸の海沿いに東京電力の火力発電所があります。この島内唯一の発電所が、津波や高潮によって機能を失うことが懸念されています。三宅島の発電所機能を守るため、早急に津波対策を講ずるべきと考えますが、見解を求めます。
次に、液状化対策について質問します。
国は、液状化の発生を見据えた有効な対策として、道路、下水道等の公共施設と隣接宅地等との一体的な液状化対策を講じる検討に入りました。都では、本年七月に建築物液状化対策検討委員会を設置し、木造住宅などの液状化対策を検討しております。
そこで、本検討委員会においても、公共施設と隣接宅地との一体的な液状化対策を新たな検討課題とするべきと考えますが、都の見解を求めます。
次に、災害救急医療対策について質問します。
初めに、ドクターヘリの拡充についてであります。
東日本大震災の翌日、岩手県に全国から十六機のドクターヘリが派遣され、一日で四十九名の救出活動に当たるなど、貢献しました。
公明党は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、ドクターヘリの導入を強力に推進してきております。現在では既に二十三道府県で実現しています。東京においては、我が党の推進により、東京型ドクターヘリが東京消防庁に七機配備されていますが、首都直下地震に備えるためにはまだ足りません。
そこで、都は、現在ある他県等との相互応援協定に基づき、他県から参集するドクターヘリによる人命救助を拡充すべきと考えます。そのための具体策について見解を求めます。
また、緊急の際、学校のグラウンドや広場など、臨時に離着陸できる場所を確保すべきであります。さらに、災害拠点病院のヘリポートでも夜間照明を備えていない施設もあるため、早急に整備すべきであります。それぞれ見解を求めます。
次に、ドクターシップについて質問します。
ドクターシップとは、負傷者などを船や港で治療したり、搬送したりする船をいいます。
我が国でもドクターシップを新たに建造する動きも見られましたが、平常時の活用などが課題となり、進んでいません。しかしながら、被災地に向かう船に医療機材を積み、港でおろした上で治療を行ったり、医療機材を積んだ船を港に停留させて、被災者に治療を行いながら船を避難所とすることは可能と考えます。
そこで、都は、東京港に寄港する旅客船を初めとする船舶を、災害時の医療対策における船舶として活用することを検討すべきと考えます。見解を求めます。
次に、被曝医療体制について質問します。
我が国の緊急被曝医療の体制は、原子力施設が立地、隣接する十九道府県が指定する初期、二次の被曝医療機関と、全国二カ所の国指定の三次被曝医療機関により構築されています。
国は、被曝医療体制を確保するため、原子力発電施設等緊急時安全対策交付金をこの十九道府県に交付していますが、東京都は対象外です。そのため、現在は都指定の初期、二次の被曝医療機関はありません。
こうした中でも、都は現在まで、都内病院の協力を得て、東京に避難された方々に対する放射線量検査に努めてきました。本来は、国の緊急被曝医療体制の対象が原発立地県や隣接県に限定されてきたという危機管理上の不備ではありますが、今後、都民の不安を払拭するためには、放射能汚染の検査や除染、診療を行える緊急被曝医療機関を、都が指定、整備する必要があると考えます。見解を求めます。
次に、災害拠点病院の機能強化について質問します。
今回の災害では、被災地の多くの病院で建物、ライフライン等の被害が発生し、医療機能に支障を来しました。
病院建物の耐震化や非常時の自家発電の整備は、補助金等の活用もあり、着実に進んでおりますが、対策の盲点となっているのが、災害時の手術や治療等に大量に必要となる医療用の水の確保であります。
都は、災害拠点病院に対し受水槽の整備、飲料水の備蓄等を促しているとのことですが、いずれも安定した確保策とはいえません。浄水装置を使った災害用井戸の整備や河川水等の利用など、多元的な水の確保策を支援すべきと考えます。都の見解を求めます。
次に、被災地支援について質問します。
震災から六カ月が過ぎてなお、八万人以上の方が避難生活を強いられています。甚大な被害が復興を目指す被災地と多くの被災者の前に立ちはだかっています。このようなときこそ、どこまでも被災者に寄り添い、被災地の目線から復興対策を迅速に進めなければなりません。
三宅島の全島避難の際に、コミュニティを大事にしながら、島の地場産業の継続にも配慮し、スムーズな帰島と島民生活の支援に取り組んだ都であるからこそ、この経験を生かし、被災地、被災者が真に必要とする支援を行うべきであります。
そこで、被災地支援及び被災者の生活再建に向けた知事の決意を伺います。
我が党は、第二回定例会代表質問において、被災地の子どもたちを東京に招待し、スポーツ観戦や交流試合等、スポーツに接する機会を提供すべきと提案しました。
そしてことし八月、墨田区と八王子市で野球とサッカーの交流試合が開催されました。我が党も会場に足を運び、子どもたちの声を聞いたところ、久々に思う存分プレーができた喜びを語っていました。夜はホームステイで東京の子どもたちと交流し、受け入れた側の保護者からも、助け合いの心がはぐくまれましたとの喜びの声が多数寄せられました。
こうした取り組みは、今後も会場と種目をふやして行うべきと考えますが、都の見解を求めます。
現在、都内の経済団体が、会員企業の持つ遊休機械設備を被災地の希望する中小企業に無償譲渡しようとする取り組みが行われています。現地では、生産を再開できるのであれば、旧式の機械であっても使用したいとの被災地の経営者の声も数多く上がっています。そうした要望にこたえるために、設備の運送等に必要となる費用を、公共部門で一定程度まで助成するような思い切った取り組みも必要です。見解を求めます。
次に、食の安全について質問します。
原発事故に伴う放射性物質の拡散と内部被曝への不安から、食の安全・安心が揺らいでいます。特に子どもの健康への影響を懸念する声が高まっています。また、事故に対する国の対応のおくれは、内部被曝への不安を招き、子どもの健康や食の安全・安心に深刻な影響を与えています。
とりわけ、いわゆる汚染稲わら肉牛の問題は、消費者の信頼を大きく損ねるものとなりました。加えて、取扱量が全国一多く、その取引価格が全国相場の目安となっている都の中央卸売市場食肉市場では、入荷頭数の激減や相場の低迷など、被災地などの畜産業者に大きな打撃を与えています。
こうした事態を打開するために、被災地などでは出荷牛の全頭検査に取り組み始めていますが、検査機器の確保や検査体制の確立が大きな課題となっています。畜産業者からは、首都圏の消費者に一番近く、全国に影響力を持つ都の食肉市場において放射能検査を行ってほしいと強い要望が寄せられています。
現在、都の中央卸売市場食肉市場では、関係業界が自主的に民間機関に委託して検査を開始しましたが、一頭当たり九千円程度かかる検査料は生産者が負担する現状にあります。都は、検査機材や人員を増強するなど、肉牛の全頭検査へ向けた体制を早急に整備すべきと考えます。あわせて、公的検査の結果を記した安全証明書を発行するなど、消費者への食の安心に努めるべきであります。見解を求めます。
次に、住宅政策について質問します。
昨年六月、知事は、東京都住宅政策審議会に対し、社会経済情勢の変化に対応した新たな住宅政策の展開について諮問しました。
都内では、高齢化の進展と非正規雇用の増大によって、都営住宅の増設を望む声が上がっており、総管理戸数の弾力的運用を図る必要性が高まっていると考えます。このほかにも、介護と医療の連携拠点としての住宅、無縁社会や単身者の増加に対応した家族近居や多子、多人数、多世代同居が可能な住宅、婚姻を望む中低所得単身者向けの住宅のほか、職住の接近化とバリアフリーの進展など、課題が山積しています。
都は、来年度予算の編成に向け、住宅政策の拡充を図るとともに、国際的都市間競争や都民の不安軽減に資する住宅政策の未来像を発信するべきであります。
そこで、明年三月をめどとする住宅マスタープランの改定においても、課題解決に的確に対応すべきと考えます。見解を求めます。
さらに、バリアフリーの模範を示すべき都営住宅で、制度上の要因からエレベーターの設置が進まない事例があります。例えば、エレベーターに乗らないという理由で設置に反対する声がある場合、今は入居者全員の賛同が得られていないとして設置できません。
都として、全員同意の要件を緩和し、既存の都営住宅へのエレベーターの設置を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
次に、福祉施策について質問します。
まず、高齢者の住まいについて伺います。
通常国会で成立した介護保険法の改正では、地域包括ケアシステムの推進が明確に示されました。
地域包括ケアシステムとは、高齢者が地域で自立した生活ができるよう、一、介護と医療との連携強化、二、介護サービスの充実強化、三、予防の促進、四、見守り、配食、買い物など生活支援サービスの促進、そして、五、高齢期になっても住み続けることのできる住まいの整備という五つの取り組みが、包括的かつ継続的に行われる体制のことであります。
都議会公明党は、介護と居住の連携を重視しています。理由は明快で、安心して住み続けられる居住空間があって初めて、さきに述べた各種サービス提供の土台が整うからであります。
この点、都の医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅のモデル事業は、有効な取り組みと評価します。しかし、これらの住宅の賃料は、厚生年金受給者で初めて支払いが可能な水準であり、より低所得な高齢者も利用可能な医療、介護つき住まいの供給を促進すべきです。見解を求めます。
次に、社会的養護のもとで生活する児童の支援について質問します。
親が抱える経済的問題や疾病、虐待等の事情により、親元で生活することができず、養育家庭や施設で生活する児童が近年増加しています。都は、こうした児童が家庭的な雰囲気の中で愛情に包まれ、養育が行われる養育家庭制度を推進してきており、我が党としても評価し、積極的に進めることを主張してきました。
しかし、先月、杉並区の養育家庭の母親が、養育していた里子に対する傷害致死の疑いで逮捕されるという極めて残念な事件が起こりました。今回の事件について、養育家庭の方々は、いろいろな不安を感じながらも、引き続き里親としての養育に努力していきたいとの心情を語っております。
こうした事件を二度と繰り返さないため、また、養育家庭の努力を支えるためにも、児童相談所の支援とあわせて養育家庭の悩みを的確に把握し、地域で孤立しないよう支援することが必要です。
この点、都が民間団体などに委託して実施している里親支援機関事業は、養育家庭が気軽に相談できる場として利用しやすいと聞いています。現在三カ所で実施されている本事業を、すべての児童相談所の管轄区域において、夜間を含めて実施すべきと考えます。都の見解を求めます。
次に、児童の自立支援について質問します。
施設や養育家庭で育つ子どもの多くは、施設などを出て社会に出た後、経済的にも精神的にも非常に大きな困難を抱えていると聞いております。
都は昨年度、全国的にも例のない、施設退所者に対するアンケート調査を実施しました。その結果を見ても、施設退所者の雇用形態が不安定な状況や、施設を退所した直後に孤独感、孤立感を感じた、生活費などに困ったなどの切実な声が寄せられています。また、施設退所後の困ったときに、親や家族に頼ることができず、施設職員に支えを求めている人が多いことも明らかになりました。
社会的養護のもとで育つ子どもが、施設を出た後に確実に自立できるよう、新たな支援策を検討していく必要があると考えます。都の見解を求めます。
次に、障害者施策について質問します。
このたび障害者基本法が改正され、八月に施行されました。その改正法における障害者の定義に発達障害が初めて明記されるとともに、共生社会の実現など、目的規定の見直しがなされました。
都は「十年後の東京」の中で、平成十九年から十年間で障害者の一般就労三万人増加の目標を掲げ、平成二十二年までに約二万人にまで達成しています。今回の法改正を受け、都は目標の三万人に向け、就労の場の拡大について企業等への働きかけをさらに強め、早期に達成すべきです。見解を求めます。
次に、障害者の就労拡大のためには教育が重要です。都教育委員会は、発達障害児の増加に伴い、全小中学校に特別支援教室を設置し、通級指導ではなく在籍校における教育の充実を目指しています。
しかし、教員の中には、発達障害がどういう障害なのか、教育支援の方法や配慮の内容についても、必ずしも理解は広がっていません。これらに関する研究を進め、すべての学校の教員の指導力の向上を図るべきです。また、高校における発達障害のある生徒への配慮や教育の充実とあわせて見解を求めます。
ところで、発達障害のある子どもの教育には、デイジー図書などICTの活用が有用とされています。スマートフォンやタブレット端末にもデイジー図書を再生できる機能が備えられるなど、障害者を支援するICT機器がふえてきています。また、音声の聞き分けなどで障害を抱える子ども向けに、集音器や周囲の騒音を低減するノイズキャンセリングヘッドホンなどは、既に特別支援学校で活用されています。
しかし、現在、小中学校ではこうしたテクノロジーがほとんど活用されていません。小中学校で障害児教育のためのテクノロジーが活用できるよう、研究を推進していくべきであります。見解を求めます。
また、入学前後に受けられるさまざまな配慮や支援は、入学選考時にも受けられるようにすべきです。都立高校の入試においては、ICT機器の使用などテクノロジーの活用を可能にするよう検討していくべきです。見解を求めます。
教科書バリアフリー法の制定や著作権法改正で、デイジー版の図書が制作されるようになりました。しかし、その制作はボランティアの力に支えられているのが実情で、認定教科書以外の副教材や子ども向けの書籍は入手しにくいのが現状です。
本が読めないことで自信をなくしていた、読み書きに障害のある子どもが、デイジー図書に出会い、お母さん、本が読めるよと喜んで読書に挑戦するようになったとの体験も数多く紹介されています。
都立図書館においても、発達障害のある子どもたちが本に親しめるよう、子ども向けのデイジー図書をふやすとともに、地域の図書館と連携して、デイジー図書を利用しやすくしていくべきと考えます。見解を求めます。
次に、警視庁による減災対策と自転車政策について質問します。
東京は、さきの東日本大震災の直後から、たび重なる計画停電を経験しました。そうした中、警視庁は非常用電源つき信号機を増設したほか、震災後に発生した大渋滞を踏まえ、九月一日には、主要交差点、幹線道路を十分間とめる大規模な交通規制訓練を初めて実施し、マスコミでも大きく取り上げられました。
そこで、今回の訓練で判明した課題やその改善策について、現時点での認識を伺います。
次に、都内交通事故件数は年々減少しているとの報告を受けていますが、自転車が関与する事故の割合は一向に減っていません。特に、ことし上半期の全事故件数の実に三八%に自転車が関与していると聞いていますが、とりわけ危険なのは、ブレーキ装置のない、いわゆるピスト自転車であり、都議会公明党は、これまでも自転車事故の防止策を含めた自転車条例の制定を提案してきましたが、改めて今後の強化策を伺います。
また、先日の道路交通法に基づく、いわゆる標識標示令の一部改正等により、自転車の一方通行規制標識が新設されたとのことですが、本改正の効果と今後の活用の方針について見解を求めます。
次に、東京消防庁の体制強化について質問します。
東日本大震災は、地震、津波、原発事故に人災も重なる複合災害となりました。こうした中、火災の消火、ヘリによる救助活動、原発事故でのハイパーレスキュー隊の放水活動等において、日ごろの訓練の成果を遺憾なく発揮されました。今後は、首都直下地震に備えた消防の体制を整え、都民の期待にこたえるべきであります。人的、物的両面における東京消防庁の体制強化について、所見を伺います。
被災地では、津波による浸水や瓦れきの堆積などが広範囲だったことから、航空機とバイクが役に立ったと聞いています。災害時に発生するさまざまな事象に即応性を持って対応するためには、例えば、救助隊と航空隊との連携や、機動性の高いバイク隊をほかの部隊などと相互運用させ、効果的な活動につなげていくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、消防団への支援について質問します。
消防団の献身的な日ごろの活動に深く敬意を表します。
消防団の震災時の活動拠点は分団本部であり、各種資機材は活動に不可欠です。そこで、東日本大震災を踏まえた消防団の資機材及び分団本部施設の整備について、まず、所見を求めます。
ところで、消防隊員は生業の傍ら、常に地域の災害対応に心を配っています。こうした消防団員に対して、火災指令や災害の情報などについて、携帯メール等を活用して伝達することは、災害への迅速な対応が図れるとともに、消防団員の負担の軽減につながると考えますが、見解を求めます。
一方、消防団員の退団理由の中には、家庭の事情などによるものがあります。消防団員を継続する意思がありながら、育児、介護などの諸事情により、やむなく一定期間活動できない団員が一時的に活動を休止できるよう制度を見直すべきと考えますが、見解を求めます。
以上、述べた点については、多摩の各市町村に対しても、都から適切な対応がなされるよう要望しておきます。
最後に、外郭団体改革について質問します。
都議会公明党は、これまで都政改革の重要課題である外郭団体改革に一貫して取り組み、監理団体数の半減や役員退職金の全廃を実現するなど、大きな成果を上げてまいりました。
こうした流れを受けて、都は昨年、監理団体を重要なパートナーとする東京都監理団体活用方針を策定し、その位置づけを明らかにしました。この取り組みについては一定の評価をするものであります。しかし、その一方で、もう一つの外郭団体である報告団体については、位置づけが不明確なままとなっております。
都議会公明党は、昨年、外郭団体改革推進プロジェクトチームを立ち上げ、公益法人制度改革や指定管理者制度なども視野に入れた検討を行ってまいりました。
現在五十一ある報告団体は非常に多様であり、時代の変遷とともに事業内容、都施策との関連の度合い等も大きく変わってきており、より一層の透明性を高めていく必要があります。また、名称だけを見ても、都の報告団体であること自体に誤解を招きかねないものもあります。加えて、現在は、所管局の指導、関与だけで終わらせております。
我が党は、外郭団体改革の総仕上げとして、昨年より報告団体改革に取り組んでまいりました。昨年の第三回定例会での我が党の代表質問に対し、都は、事業内容や都との関連性などから位置づけを明確にし、類型化に取り組んでいくと答弁しております。報告団体改革に対する都の検討内容と類型化の結果を明らかにし、また、都の関与のあり方についてもさらに見直すべきであります。
以上、二点について答弁を求め、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 小磯善彦議員の代表質問にお答えいたします。
まず、日本が誇る技術を活用した都市づくりについてでありますが、過去の歴史を眺めましても、いかなる時代の文明も人間が新しい技術体系を増設し、それを体得し、その活用をめぐってさらに新しい発想が生まれて進歩してきました。日本の技術は最高水準のものでありまして、世界に誇り得る見事なものだと思います。
東京はこれまでも、日本の抱える問題が最も先鋭的にあらわれる大都市という現場で、最先端の技術を大いに活用してまいりました。東京の致命的な弱点でありました渋滞を解消するために、外環道の整備では大深度地下方式を採用し、とまっていた時計を動かすことができました。国家発展のために不可欠な羽田空港の再拡張でも、従来の埋立方式に加えて、桟橋方式も採用させて早期な完成ができました。都市を襲う集中豪雨についても、環七を初め、東京の地下に巨大な貯水池をつくり対策を進めております。これは見た人が本当にびっくりするぐらい巨大な貯水池でありますが、こういったものがかろうじてこの東京を守っている大きなよすがになっていると思います。限られた空間の中に高度な都市機能を備え、快適な生活空間も確保されていることが必要だと思います。
ただいまのご質問にありました、人工地盤を活用して水と緑の回廊で囲まれた都市に再生するというのも、アイデアの一つだと思います。
この大深度に人工地盤をつくるというのは、今日では可能になりましたけど、私、運輸大臣をしているときに、ある私鉄会社が、走っている線路の下ではなくて、できれば直線で地下鉄をつくって複々線にしたいという申し出があったんですけれども、四十メートル以上の大深度の地下権というのは放棄させたらどうだといったんですが、これは不思議なことに、建設省は自動車がそんなところ走らないということで賛成したんですが、通産省がなぜか、その地下にウエアハウス、倉庫をつくるという、わけのわからぬ理由で反対しましてとんざしましたが、やっと最近になって、これの活用の道が開けてまいりました。
おっしゃることはこの現代でようやく可能になったと思いますが、いずれにしろ、この人工地盤を活用するというのも、東京ならではの大事な大事な一つの施策になり得ると思います。首都東京の都市づくりにも、我が国が誇る最高水準の技術をどう活用していくかの、今後もいろんな知恵を出していただきたいと思います。
次いで、産業の空洞化についてでありますが、現在、歴史的な円高水準にありまして、円高については、多面的、複合的な見方が必要だと思います。
円高は、海外貿易の、海外企業の買収によって世界シェアを大幅に拡大することや、資源を先物買いするとか、国際的に熾烈な資源の獲得競争を有利に展開することなどのチャンスでもあると思います。しかし、現在の円高が続きますと、大企業の多くが生産拠点の海外移転を検討すると報じられてもおりました。そうした中で、下請けとしてものづくりを土台の部分で支えてきた中小零細企業には、とりわけ深刻な影響が出ます。
この円高にどう対処するかということでありますが、調べてみますと、ヨーロッパの抱えている問題は非常に深刻でありまして、これは前のギリシャの政府はうそついていましたが、実際に調べると、あの国の抱えている負債というのはGDPの一五〇%近い。これは日本がGDPに比べて二〇〇%の、国が借金持っているというのは論外の話ですが、ただ、ギリシャにしろ、スペインにしろ、イタリアにしろ、彼らの抱えている国の借財というのは、結局、外国の銀行や外国がその国債を買ったりしているんで、なかなか身動きがとれないけれども、日本の場合には二〇〇%というべらぼうな比率でありますけれども、これを貸している人間が、つまり日本の国債を買っているのは日本の国民であったり国内の銀行ですから、そういう意味で、まあ外国はそれをどういうふうに評価しているかわかりませんが、そういう現況を踏まえて、円高というのが彼らの意図によって維持されているという、非常に厄介な現況だと思います。
しかし、現在の円高が続けば、大企業の多くが生産拠点の海外移転を検討するといっておりますし、そうした中で、下請けとしてものづくりを土台で支えてきた中小零細企業には、非常に深刻な影響が出ます。このように、円高はメリット、デメリットの両面がありますので、その両方をにらみながら、日本経済を強くしていく戦略が求められますけれども、残念ながら今の国には、日銀を含めて肝心な戦略が感じられない。この際、やっぱり国が責任持って速やかに、戦略的かつ総合的な手だてを講じるように、都としても強く求めていくつもりでおります。
こうした状況においてこそ、東京には世界最高水準の技術を持ち、新たな技術の創造にも挑戦するすぐれた中小企業が数多く存在していることから、先端技術を磨き上げ、円高などの経済環境に左右されない、確固とした力を養っていくことが、これまでにも増して重要であると思います。このためにも、都はベンチャー技術大賞による先進的で高度な技術の発掘や、産業技術研究センターにおける中小企業の技術力向上への支援など、重層的に施策を展開し、東京の産業を維持発展させていきたいと思っております。
次いで、今後の防災力強化についてでありますが、今回の東日本大震災によって、東京の都市としての脆弱性や、従来の直下型地震対策だけではなく、近い将来、非常に高いパーセンテージで到来するでありましょう東海、東南海あるいは南海三連動地震への備えが必要なことが明らかになってまいりました。
今回の大震災を重要な教訓として、都民の安全の確保に向け、災害に強い都市づくりを進めて、都民一人一人の心の備えを固めるためにも、これまでに増して総合的に取り組むことが求められていると思います。
先ほど申しましたが、東京に幾つかある木造住宅密集地域において、私自身もかつて阪神・淡路地震で、直後に視察に参りましたが、最大の被災地でありました東灘区、あるいは長田区を見ますと、住宅が壊滅しておりましたけれども、残っているのは、古い建物でも、鉄骨とか鉄筋の建物は全部残っておりましたが、木造住宅は完全にすべて倒壊しておりました。
東日本大震災の直後の今こそ、防災の専門家によって必ずやってくる地震の怖さを伝えるなど、都民の意識に強く訴える取り組みを開始するとともに、延焼遮断帯となる道路の整備や建物の不燃化、耐震性を加速させたいと思います。
また、大規模開発において地域エネルギー供給システムの導入を促進するなど、東京の隅々に発電装置を分散して配置して、発災地においても都市機能の維持に万全を期していきたいと思っています。
さらに、東京の防災上の弱点を克服しながら、いざというときに一人でも多くの命が救われるように、まず都民の自助、共助を強く求めてまいりますし、そのためにも、防災隣組の構築に取り組んでいきたいと思います。
こうした手だての一つ一つをたゆみなく講じて、都民の安全を守り、一刻たりとも日本の頭脳、心臓がとまらないように、東京の防災力を強化していきたいと思っております。
次いで、被災地支援及び被災者の生活再建についてでありますが、大震災発生直後、福島、仙台、盛岡に設置した現地事務所からの報告によりますと、いわゆる散乱瓦れきの一次仮置場への集積は進んできましたが、一方で、解体を必要とする家屋等はほとんど震災直後の状態のままに放置されておりまして、そういう状態です。
国の動きは残念ながら非常に鈍く、半年たったものの、インフラの本格復旧、被災地の産業再生や被災者の生活再建はとても進んでいるとはいいがたいものがあります。今こそ、現地の実情に即した手だてを果断に講じることが何よりも求められておりますが、ゆえにも都は、一日も早い復興に資するために、大きな現場を持っている東京でありますから、その強みを生かして、港湾施設、道路、河川等の災害復旧に当たる技術職員や、被災した学校の教育活動支援のための教員等を長期に派遣しております。
また、売り上げ減少が深刻な被災地の中小企業の受注回復につなげるための商談会を開催しておりますし、観光の再生にもなる被災地応援のツアーなどを通じ、現地の経済再建を支援しております。
都内に避難を余儀なくされた方々に対しては、かつての三宅島全島避難の経験からも、孤立化を防ぐための個別訪問や、生活の再建に不可欠な就業支援、若者たちに未来への希望を与えるための就学支援などが極めて重要だと思います。引き続き、生活全般にわたり目配りをきかせて、これらの方々を支援していきたいと思っております。
都は、今後とも復興に向けみずから踏み出し、困難を乗り越えんとする被災地、被災者を支援していくつもりでございます。現に、先ほど岩手の知事から、向こうの廃棄物を、瓦れきを、他県で初めて東京が引き受けて、東京の運搬手段でこれを運び込んで処理するということを決めまして、非常に丁重な感謝の言葉をいただきました。そういう努力をこれからも重ねてしていきます。
他の質問については、警視総監、教育長、技監及び関係局長から答弁いたします。
〔警視総監樋口建史君登壇〕
〇警視総監(樋口建史君) 交通の関係、三つご質問をいただきました。
まず、最初のご質問でございますが、九月一日に実施いたしました交通規制訓練によって判明した課題とその改善策ということでございます。
判明した課題は、いろいろあるのですけれども、主なものは三つでございます。
一つは、大震災が発生した際には、かなりな規模の交通規制を実施することになるわけでございますけれども、都民の方々がこの交通規制が実施されることについて、十分に知っているとはいえない現状にあるということが一つであります。
二つ目でありますが、交通規制を訓練してみたわけでございますが、交通規制に従事する側も規制されるドライバーの側も、手信号による指示や、防災型信号機というのがあるのですけれども、見なれないこの信号が出ますと、そういったものになれておりませんで、かなり戸惑いが見られたということが二点目。
三点目でありますけれども、この本番では、いわゆる緊急交通路の確保が不可欠になるわけでありますが、そのためには、やはり相当の人員体制を、警察の側も迅速に確立する必要があるなというところが三点目でございました。
これらの課題に対する改善策ですけれども、警視庁といたしましては、当然のことなのですが、今後あらゆる機会を通じて、大震災発生時に実施されることになる交通規制の内容、中身につきまして、さらなる周知徹底を図りたいと考えております。また、訓練も非常に重要でございまして、時間や場所などいろんな状況を想定いたしました上で、この緊急交通路を確保するための実践的な訓練を継続的に実施させていただきたいと考えております。
また、警視庁には震災警備実施計画がございますが、これにつきましても、今後、国そして東京都と連携の上で、きめ細かな見直しを、実際的な見直しを検討していくこととしたいと考えております。
それから、二点目でございますが、自転車事故防止の強化策についてお尋ねでございました。
この自転車利用のあり方につきましては、老若男女を問わず、都民の多くの方々が高い関心を持っておられるところでございまして、自転車の安全マナーの向上は、治安対策的な観点からいたしましても、社会における規範意識の向上にもつながる非常に重要なテーマであると考えております。警視庁も全庁挙げて総合的に取り組んでいく所存であります。
これまでも、各種メディアを活用した広報啓発活動でありますとか、自転車教室の開催、それからイベントの開催等を通じまして、自転車安全利用五則というのがあるのですけれども、この安全利用五則の周知に努めているところであります。
やや具体的に申しますと、自転車教室やイベントにおきましては、スタントマンを使いまして実際にあった交通事故を再現する、いわゆるスケアードストレート方式によりまして、事故の怖さと危険性を実感していただけるような工夫もしているところであります。
ことしの状況ですが、二十歳代と三十歳代の自転車事故が非常に多発しております。これを踏まえまして、各事業者や安全運転管理者に対しまして、通勤に自転車を利用している社員の通行ルールの遵守、そして安全マナーの向上のための指導を徹底していただくように働きかけもしているところでございます。
一方、違反に対しましては、的確な指導警告を警察官がきちんとやるということ、それから、悪質な違反に対しましては積極的に取り締まりをやる必要があると考えております。
ご質問の中にございましたけれども、ピスト自転車、これは制御装置のないものでございますが、このピスト自転車絡みのものを含めまして、昨年中は千四百三十八件の取り締まりを実施したところでございました。やや繰り返しになりますが、いずれにいたしましても、この自転車事故の防止は最も重要な課題でありますので、安全確保のための環境整備と指導取り締まりの両面から、積極的に対策を進めていきたいと考えております。
最後でございますが、自転車の一方通行規制についてでございますけれども、この規制は、自転車の交通量が多いところで、相互通行をする自転車が交錯することによって事故が発生する危険性が高いと認められる自転車道につきまして、相互通行から一方通行に改めたものでございます。この規制によりまして、自転車通行の整序化が図られますとともに、事故の減少を期待しているところであります。
今後でありますけれども、私どもといたしましては、自転車の通行実態等をよく見きわめました上で、道路管理者とも連携をして、今回導入したこの一方通行規制も含めまして、交通秩序のさらなる整序化について、検討をさらに進めていきたいと考えておるところでございます。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
まず、発達障害に対する教員の指導力向上についてでございます。
発達障害のある児童生徒は、すべての学校に在籍していると考えられるため、すべての教員が発達障害の特性を理解し、指導方法等を身につけていくことが大切でございます。
これまで都教育委員会は、発達障害のある児童生徒が学校生活や社会生活に適応し、自立と社会参加ができるようにするための研究や研修を行いますとともに、都内全公立学校の教員に対して、発達障害の特性や配慮事項等をまとめた資料を配布し、啓発に努めてまいりました。
さらに、発達障害のある多くの児童生徒に、読み書きに関する障害が共通して見られることから、こうした学習上の困難に対する指導方法の研究に取り組み、今後、その成果を広く小中学校に普及して、教員の指導力の向上を図ってまいります。
次に、発達障害のある高校生への配慮等についてでございます。
発達障害のある高校生は、学習面や生活面でのさまざまな困難に加え、自己の障害に対する悩みや将来への不安がより深くなるため、このような課題への配慮が必要でございます。
これまで都教育委員会は、すべての都立高校において、特別支援教育コーディネーターを指名して、障害の理解や校内の支援体制の構築、関係機関との連携のあり方等に関する研修を実施してまいりました。
今後、都立高校の特別支援教育コーディネーターの資質向上研修をさらに充実させるとともに、都立高校と都立特別支援学校との連携を強化し、都立特別支援学校が有する発達障害のある生徒への配慮や指導方法に関する知見を都立高校に広め、発達障害のある高校生への教育の充実を図ってまいります。
次に、テクノロジーの活用と研究についてでございます。
近年、障害のある児童生徒の意思の疎通を容易にし、学習に対する関心や意欲を高めるために、ICT機器等のテクノロジーが活用されてきております。
都教育委員会は、視覚障害や知的障害等の児童生徒の特性に応じたICT機器の活用が学習に有効であることから、これまで、都立特別支援学校にICT機器を配備するとともに、小中学校の特別支援学級でのICT機器の活用について啓発してまいりました。
現在、発達障害に関する指導方法の開発のため、二つのモデル地域を指定して研究を進めておりますが、この中でICT機器の活用についても研究に取り組み、区市町村教育委員会と連携して、今後設置を進めていく予定の小中学校の特別支援教室における指導に生かしてまいります。
次に、都立高校の入学者選抜におけるICT機器の使用についてでございます。
障害のある生徒が都立高校を受検する場合には、中学校におけるふだんの授業と同様の状態で受検できるようにすることが望ましいと考えております。
このため、現在、障害のある生徒に対して、保護者や中学校長の申請に基づき、検査時間の延長、問題用紙の拡大、補聴器やルーペ等の持ち込みなどの特別な措置を認めております。
今後、中学校の授業において、障害のある生徒に対するICT機器の利用が一層進み、都立高校の受検においてもICT機器を活用することで、生徒が中学校で培ってきた能力をより一層発揮できる場合には、その導入について検討してまいります。
次に、子ども向けデイジー図書についてでございます。
デイジー図書は、視覚障害者に加え、その他の理由で読書が困難な方を対象とする音声や画像データを活用した図書のことであり、市販品が十分に普及していない状況にございます。
このため、都立図書館では、子ども向けも含めたデイジー図書の増加に向けて、利用者のニーズに応じてみずから作成するとともに、都内公立図書館に対する作成研修会を実施しております。また、デイジー図書の協力貸出事業も本年四月から開始いたしました。
今後とも、都立図書館においてデイジー図書の作成や購入に努め、都内の公立図書館や公立学校を通じ、子ども向けデイジー図書の利用サービスの周知を行い、より一層の利用促進を図ってまいります。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、水門や防潮堤などのさらなる耐震性の強化……(「聞こえない」と呼ぶ者あり)済みません、及び東部低地帯の水再生センターや排水機場等の耐水性の一層の強化についてでございますが、多くの人口や資産が集積している東部低地帯を守るためには、地震などに対する対策が極めて重要であります。
このため、都はこれまで、水門、排水機場の耐震補強を行うなど、耐震性の向上を図るとともに、水再生センターなどについて耐水性の確保に努めてまいりました。
今般の大震災を踏まえ、今後の防災対策のあり方について提言を行うことを目的に設置しました技術検証委員会の中で、施設の耐震性や耐水性のさらなる強化について検証を進めてまいります。ここでの提言を受け、国や関係局との連携を図り、年度内を目途に、都としての基本方針をまとめてまいります。
今後とも、安全で安心な東京の実現を目指し、新たに必要となる施策を速やかに実施してまいります。
次に、水門の運用及び関係機関との連絡体制についてでございますが、水門の操作は、国や都などの管理者が、各施設の設置位置などを踏まえた操作規則に基づき、それぞれが行っております。
国が管理する水門については、洪水や高潮を対象に、河川の水位が上昇した場合に閉鎖することとしており、津波に関する明確な定めはありません。今般の大震災の際には、河川水位が基準に到達していなかったものの、現場の判断により閉鎖されました。国においては、津波を加味した操作ルールの整備などの対応を開始したと聞いております。
都が操作する二十九カ所の水門については、地震発生に合わせて速やかに閉鎖を実施いたしました。このうち河川の水門においては、本年四月より一元的に遠隔監視制御できる水門管理センターを開設し、より迅速かつ効率的な運用を行っております。東京港においては、高潮対策センターのバックアップ機能の強化など、さらなる改善に取り組んでおります。
また、関係機関との連絡体制については、これまでも東京都水防計画などにより、管理者間の情報の共有化を進めてきたところでございますが、より一層の連絡強化を図ってまいります。
さらに、本年十月二十九日の東京都総合防災訓練において、国や区、警視庁、東京消防庁などと合同し、地震時の停電を想定した初めての水門操作訓練などを実施し、関係機関との連携を徹底してまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
〇知事本局長(秋山俊行君) 総合特区制度の活用の効果についてでございますが、昨日、国に対しまして外国企業や研究機関の誘致を目的としたアジアヘッドクオーター特区の指定申請を行ったところでございますが、外国企業による直接投資は、すぐれた経済資源を呼び込み、高い生産性をもたらすということなど、東京の経済を活性化させることにつながるものというふうに認識をしております。
特に、東京が誇る高い技術を有する中小企業やベンチャー企業にありましては、外国企業とのビジネス交流を通じて、新たな技術、新たなサービスの開発や販路拡大が期待できるものというふうに考えております。
このため、総合特区の取り組みといたしまして、ビジネスコンシェルジュを活用いたしまして、誘致した外国企業と都内中小企業のマッチングを行いますとともに、新製品、新技術の研究開発にかかわる経費への助成なども活用しながら、都内中小企業を支援してまいります。
今後、総合特区制度を活用して、東京の産業の活性化を促し、東京の国際競争力を高め、日本の成長を牽引してまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、都市再生の推進でございますが、都はこれまでも都市再生緊急整備地域において、事業者からの優良な提案に対して、自由度の高い計画を可能とする都市再生特別地区を活用し、経済力を高める拠点の形成を進めてまいりました。
本年四月の法改正により、都市の国際競争力の強化を図ることを目的として、税制の特例などが拡充された特定都市再生緊急整備地域の制度が導入されました。これを受け、都は国に対し、昨日、国際競争力や防災力を強化する観点から、地域指定及び当該地域の整備方針案の申し入れを行い、国際的なビジネス機能の導入や自立分散型エネルギーの確保などに取り組んでまいります。
今後とも、総合特区と連携しながら、都市再生特別地区などを積極的に活用し、東京の都市再生を強力に推進してまいります。
次に、東京ユビキタス計画の今後の取り組みでございますが、これまで銀座地区などを対象に、まちの情報提供や移動支援に取り組んできており、今年度からは普及の進んできたスマートフォンを活用し、汎用性を高める取り組みを行う予定でございます。
一方、東日本大震災では携帯電話が利用不能となるなど、災害時における情報提供の難しさが明らかになりました。ユビキタス技術は、移動を支援する技術として有用性を確認しており、外国人、そのまちを初めて訪れる人、障害のある人など、いわゆる移動制約者に対する災害時の情報提供手段としても有効であると考えております。
今後、新たに地下街を含めた避難経路案内など、災害時における位置特定技術の活用について検討し、防災にも寄与するシステムの構築につなげてまいります。
次に、液状化対策の検討でございますが、東日本大震災では都内の内陸部においても液状化が発生し、建物被害が生じたことから、都は本年七月、建築物液状化対策検討委員会を設置いたしました。今後、検討委員会での検討を踏まえ、建物の所有者や設計者に対して、液状化の可能性や具体的な対策について情報を提供してまいります。
また、国においては、本年八月、液状化対策技術検討会議の検討成果を公表した際に、公共施設と隣接宅地等との一体的な液状化対策についても、今後検討していくことといたしました。
都の検討委員会においては、国の検討状況も勘案しながら、液状化対策の検討を進めてまいります。
次に、住宅マスタープランの改定でございますが、東京を今後とも国際都市として発展させていくためには、高度防災都市へと再構築することが求められており、住宅政策においては、木造住宅密集地域の不燃化やマンションの耐震化、建てかえなど、ストックを再生することにより、防災上の弱点を克服することが喫緊の課題でございます。また、少子高齢化が進む中で、高齢者世帯や子育て世帯が安心して暮らせる住まいや居住環境の整備が求められております。
こうした課題など、社会経済状況の変化にかかわる諸課題への対応について、現在、住宅政策審議会で議論いただいており、これを踏まえ、年度内に策定する新たな住宅マスタープランにおいて、今後の住宅政策の展開を示してまいります。
次に、既存の都営住宅へのエレベーター設置でございますが、都営住宅では、自治会からの要望がある団地を対象としてエレベーターを設置しておりますが、設置後に使用料が上がること、保守の費用や電気代の負担が生じることなどから、現在は居住者全員の同意を求めております。
しかしながら、居住者の高齢化がますます進行するなど、都営住宅のバリアフリー化の推進が急務となっており、既存住棟へのエレベーター設置の必要が一層高まっていると認識しております。
このため、今後は、全員同意を原則としつつ、エレベーターの使用や維持管理が円滑に行われていくと見込まれる場合などには、全員同意の要件について弾力的な運用を図ってまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問についてお答えいたします。
まず、東京のビジネス拠点としての魅力発信についてであります。
東京のすぐれたビジネス環境を外国に紹介して、海外企業の誘致を行い、都内中小企業の新たな事業展開に結びつけていくことは重要であります。
こうした観点から、都は海外企業誘致セミナーを欧州で開催いたしまして、都内中小企業のすぐれた技術を現地で直接PRするなど、東京の魅力を発信しております。あわせて、東京進出に関心のある海外企業に産業交流展への出展を働きかけ、都内中小企業との商談の機会を提供しております。
また、東京ビジネスエントリーポイントを通じまして、海外企業の東京進出に必要な情報提供や都内で営業を行うためのサポートをきめ細かく行っております。
さらに、昨日、アジアヘッドクオーター特区の申請を行ったところでありますが、こうした取り組みも含めまして、東京のビジネス環境の魅力の向上や発信を着実に進めてまいります。
次に、産業空洞化への対応についてでありますが、現在の円高がこのまま継続いたしますと、中小企業に与える影響が懸念されます。都内の各地域には、ものづくりの工程に不可欠な技術を持つすぐれた中小企業が数多く集積しておりまして、そうした会社、企業が、今後も東京で生産活動を続けることのできる環境の整備を検討してまいります。
次に、ロボット産業に対する支援についてであります。
ロボット産業は、多摩地域の中小企業のすぐれた技術力を生かして、高い成長性と経済波及効果が期待できるため、都として戦略的に育成することとしております。
都は、多摩シリコンバレー形成の核となる産業分野の振興を目指します都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業の中で、一昨年からロボット産業推進機構を立ち上げ、ロボット産業の育成を支援しております。
この推進組織では、多摩地域の大手企業、中小企業、首都大学東京などが参加いたしまして、交流や連携を促進するセミナーを行うとともに、ロボットを組み込んだ製品の開発やビジネスモデルの検討を進めてまいりました。現在は、健康福祉の分野でロボット技術を一部に活用した試作機をつくり、実証実験を行っております。
今後は、開発中のロボット技術の実用化に向けて、産業技術研究センターの研究員によるアドバイスや、新製品・新技術開発助成事業などを活用した資金面などでのサポートを行ってまいります。こうした取り組みを総合的に実施して、ロボット産業の育成を着実に支援してまいります。
次に、被災地への遊休設備等の提供についてであります。
全国各地の会社から使用していない設備を被災地の中小企業に提供し、事業の早期の復旧を図ることは効果的であります。
ご指摘の遊休設備等を被災地に提供する取り組みにつきましては承知をしております。全国からさまざまな設備を被災した企業に届け設置する仕組みが円滑に機能するためには、国が責任を持ち、サポートすることが必要であると考えます。
都は、被災した企業の復旧が確実に進むよう、遊休設備を輸送する経費等の負担軽減について、今後、国に働きかけを行ってまいります。
最後に、障害者の雇用拡大に向けた企業等への働きかけについてであります。
都はこれまでも、雇用の受け皿となる企業に対しまして、発達障害者を含めた障害者の特性や雇用に当たっての留意点などをまとめたハンドブックの作成配布のほか、関係局と連携した企業向けのセミナー等の実施など、障害者雇用について理解を促してまいりました。
また、東京しごと財団において、障害者の職場実習に対する支援や企業説明会を行うなど、マッチングを支援しているほか、障害者と企業の実情に応じて、職場環境の調整や作業能力の向上に関する助言を行う東京ジョブコーチ支援事業の拡充を通じて、障害者の適性に合った採用拡大を図っております。
これらに加えまして、今年度から、中小企業における障害者雇用拡大の機運を醸成するため、意欲のある中小企業を対象として、採用前の準備から採用後の定着まで一貫して支援するモデル事業を開始いたしました。
なお、就職に必要な技能、知識を習得するための職業訓練を、東京障害者職業能力開発校及び職業能力開発センターで展開するとともに、民間教育訓練機関等を活用して、個々の障害者の特性に配慮した訓練を実施しております。
こうした施策によりまして、都が掲げる障害者雇用の目標の早期達成に向け、関係機関と連携して企業での雇用促進を図ってまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 三点のご質問でございます。
まず、自立分散型発電の導入に向けた取り組みについてでございますが、自立分散型発電設備の導入に際しましては、電気と発電とともに発生する排熱の両方を上手に活用してエネルギー効率を高め、CO2の削減とエネルギーの有効利用を図ることが重要でございます。
都はこれまで、地域におけるエネルギー有効利用計画制度を活用し、開発時における効率的なエネルギーの利用を促してまいりましたが、今後、この制度の活用によって、より効率的な分散型発電の導入を促してまいります。
また、ご指摘のとおり、立地条件等に適した設備の導入を誘導するなど、民間の都市開発とも連携した高効率な分散型発電の整備を後押しする仕組みを構築してまいります。
加えまして、自立分散型発電の普及の支障となっております電気事業や熱供給事業に関する法律上の諸制度の見直しを国に対して求めてまいります。
次に、再生可能エネルギーの導入促進についてございますが、まず、来年度施行予定の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度につきましては、今後、具体化される買い取り価格及び買い取り期間が普及拡大の速度を大きく左右しますため、都は、適正な価格及び期間の設定を引き続き国に強く要望してまいります。
一方、都における今後の再生可能エネルギーの導入促進策につきましては、先日、開催いたしました東京都環境審議会におきまして、太陽エネルギー機器の設置をする際の初期費用の軽減方策や、特定の建築物に対する設置義務づけ制度、いわゆるソーラーオブリゲーション制度など、導入促進に資する国内外の先進事例について、活発な議論が行われました。
都は、このような先進事例も参考に、太陽エネルギーを中心とした再生可能エネルギーの一層の導入促進策の構築に向けて検討を進めてまいります。
最後に、波力発電についてございますが、ご指摘のとおり、都の呼びかけにより設置されました波力発電検討会における検討を踏まえまして、民間事業者によって、伊豆諸島の海域における波況の調査が既に実施されております。今後の実証実験の実施が可能な海域が把握されております。
一方、国におきましては、本年度から波力も含む海洋エネルギー技術の研究開発支援が開始される予定となっておりまして、現在、この制度を活用した海域への発電装置の設置による実証実験の実施が目指されております。
都は、波力発電に取り組む民間事業者と引き続き連携し、実験の進捗状況を的確に把握するとともに、必要な協力を行いながら、我が国における海洋エネルギー活用の実現に貢献してまいります。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 七点のご質問にお答えをいたします。
まず、地域と事業者との連携による防災力の向上でございますが、都内には住宅と事業所が混在する地域も多く、自助、共助の実現に向け、住民と事業者の連携を図ることが重要でございます。これまでも町会、自治会、事業者など地域の関係者が連携して、防災訓練の実施や消防水利の確保、近隣の福祉施設との災害時応援協定の締結など、さまざまな取り組みが各地域で行われております。
都は区市町村と連携して、ご指摘のようなこうした事業者と住民が協働した支え合いの取り組みについても発掘、後押しし、広く波及させることにより、地域における共助の取り組みである防災隣組の構築につなげてまいります。
次いで、避難対策にかかわる検討組織の設置についてでございます。
首都直下地震等の大震災や台風等の大規模水害が起こりますと、膨大な数の避難者が発生するとともに、災害により避難経路が寸断されるおそれがあります。このような大規模災害の発生に備え、ハード対策に加えて、避難誘導などのソフト対策を講じておくことが重要でございます。
都はこれまでも、国や関係自治体とともに、大規模水害時の広域的な避難のあり方について検討を進めてまいりました。
今後、避難の実効性をさらに高めるため、東京都防災会議に区市町村や防災機関、学識経験者などから成る検討組織を設置し、大震災や大規模水害を想定した総合的な避難対策を検討してまいります。
次いで、防災船着き場についてでございます。
大規模災害時における負傷者の後方医療施設への搬送や緊急支援物資の輸送につきましては、道路ネットワークだけでなく、都内の河川を活用していくことも重要であります。
都はこれまで、防災船着き場を主に物資の輸送経路として位置づけてまいりましたが、今後は、避難者や傷病者の避難経路としても活用することも可能と考えております。
しかしながら、発災時における防災船着き場の運用主体は区であり、実際の避難誘導も行うことから、区との調整を十分に図りつつ、防災船着き場の避難経路としての活用方策について検討してまいります。
次いで、島しょ部の津波対策についてでございます。
東日本大震災では、想定を上回る津波が発生し、甚大な被害をもたらしたことから、東京においても、島しょ部の津波対策を適切に講じていくことが必要であります。
都はこれまで、東海地震や東南海、南海地震に関する国の中央防災会議における被害想定に基づき、島しょ地域の津波浸水予測調査を行い、海岸保全施設等の整備を推進するとともに、島しょ町村のハザードマップ作成を支援してまいりました。
現在、国において、東海、東南海、南海三連動地震等に関する被害想定の見直しが検討されており、その内容も踏まえながら必要な対策を講じてまいります。
次いで、ヘリコプターの緊急時の離着陸場所の確保でございます。
都はこれまで、発災時におけるヘリコプターの有効活用を図るため、陸上輸送との連携等を考慮しながら、緊急時に離着陸できる場所を、都内におおむね二百カ所確保してまいりました。
今回の東日本大震災では、浸水地域からの住民の救助活動等を通じて、ヘリコプターによる活動の有効性が再確認されております。こうした経験を踏まえて、発災時におけるヘリコプターの機動性を十分に発揮できるよう、緊急時の離着陸場所の確保に向けた取り組みを進める必要があります。
今後、国、区市町村、関係機関と連携しながら、緊急時の離着陸場所の拡充に向けて取り組んでまいります。
次いで、報告団体の類型化についてでございます。
報告団体を個別に見ますと、団体の性格や事業内容などはさまざまであり、団体を取り巻く状況の変化や都との関連性に応じ、適切に関与していくことが重要であります。このため、類型化の検討に当たりましては、出資比率や都財政支出の割合などの定量面とともに、団体の成り立ちや経営の自律性などの定性面の両面から評価を行いました。
この結果、今後、監理団体として指導監督することが適切な団体として、財団法人東京都人材支援事業団を抽出し、引き続き報告団体とする中においても、都との関連性が高い団体及び低い団体を類型化いたしました。
なお、類型化の検討過程におきまして、社団法人東京労働者共同保証協会につきましては、関係団体への事業譲渡を決定し、本年六月に団体の清算に至っております。
最後に、報告団体に対する関与のあり方についてでありますが、今回の類型化を踏まえ、都との関連性が高い団体に対しましては、これまでの報告に財務状況や個別事業の内容が確認できる事項をさらに追加することで、事業の執行状況を詳細に把握していくとともに、関連性が低い団体につきましては、報告団体としての位置づけについて不断に見直しを行ってまいります。
また、都の財政支出を受け事業執行をしている団体につきましては、事業評価により、当該事業の必要性や効果、手法などに関して的確に検証してまいります。
今後も、報告団体みずからの経営責任による自主的な経営を踏まえつつ、都として事業執行の状況など団体の実態把握に努め、団体に対して適切に関与してまいります。
〔港湾局長中井敬三君登壇〕
〇港湾局長(中井敬三君) 三宅島における津波対策についてでございますが、お話の大久保港海岸の護岸は、現在想定されている最大の津波が満潮時に襲来した場合でも、干潮面からの高さは約四・三メートルと推算されており、現地の最小護岸高が十・二メートルであることや、地盤高も八・五メートルあることから、現在の想定を前提とすれば安全性は確保されていると考えております。さらに、前面には消波ブロックも設置し、万全を図っているところであります。
しかしながら、今回の東日本大震災を踏まえ、国の中央防災会議においては、新たな津波想定が検討されております。その結果などを踏まえながら、今後、都として適切に対応してまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 九点のご質問にお答え申し上げます。
まず、ドクターヘリによる相互応援についてでございますが、都では、大規模災害発生に備えまして、全国都道府県や九都県市などと、広域応援や相互応援に関する協定を締結しており、この中で災害時における救助等のための人員派遣や救援、救助活動に必要な車両、ヘリコプターなどの提供について規定いたしております。
東日本大震災では、全国から派遣されたドクターヘリが被災地の病院からの患者搬送等において活躍いたしました。
今後、都は、今回のドクターヘリの活動実績を踏まえまして、東京で災害が起きた場合に他県からのドクターヘリを円滑に運用できるよう、都内に集結する際の拠点、活動区域、指揮命令系統などにつきまして関係機関と調整をしながら、具体的な運用計画を検討してまいります。
次に、災害拠点病院のヘリポートへの夜間照明の整備についてでございますが、現在、都内では、緊急離発着場としてのヘリポートを設置いたしております災害拠点病院は二十施設ございまして、このうち十六施設には既に夜間照明が整備されております。
お話のように、災害時の医療活動につきましては、夜間運用も想定して対応することが必要でございます。
都としては、国と都が整備基準額の三分の一ずつを負担いたします緊急離発着場整備のための補助制度も活用しながら、今後、夜間照明のない災害拠点病院に対してその整備を働きかけますとともに、新たにヘリポートを設置する病院に対しても、夜間照明を含めた整備を支援してまいります。
次に、災害時医療における船舶の活用についてでございますが、船舶は陸路が寸断された場合でも、いっときに大量の搬送が可能であるという利点がございます。
こうしたことから、都では、災害時に被災者や救援者等の輸送や臨時宿泊施設として船舶を活用できるよう、関係団体と協定を締結しております。
また、ドクターシップについて、国におきまして、災害応急対策を実施する際に必要となりますさまざまな機能を有した災害時多目的船について調査検討すると聞いております。
今後、都では、国の動向も注視しつつ、首都直下地震に備え、宿泊施設となった船舶への医療救護班の派遣など、災害時における船舶を活用した効果的な医療救護活動について、関係機関とも連携をいたしまして、積極的に検討してまいります。
次に、緊急被曝医療体制についてでございますが、現在、我が国の緊急被曝医療体制は、国の防災基本計画に基づきまして、原子力発電所の所在地等の十九道府県にのみ構築されており、必要な診療資器材の整備等に要する経費として国から交付金が交付されておりますが、都は対象となっておりません。
そのため、都は、今回の福島第一原子力発電所の事故を受けまして、国に対し、国の責任において緊急被曝医療体制の見直しを行うとともに、すべての都道府県に必要な診療器材を整備するよう提案要求を行いました。
また、今回の事故に伴い、東京に避難してきた地域住民等の放射能への不安を払拭するため、保健所において健康相談に応じますとともに、医療機関が輪番で外部被曝した放射線量の検査を行ってまいりました。さらに、高線量被曝の可能性が高く、専門的な治療が必要な場合には、対応が可能な都内の医療機関に受け入れを要請いたしております。
緊急被曝医療体制の構築は国の責任で行うべきであることから、引き続き国に対し、体制整備について提案要求をいたしますとともに、専門的な治療が必要な場合に備え、医療機関との連携に努めてまいります。
次に、災害拠点病院における水の確保についてでございますが、災害拠点病院が災害時においても医療機能を維持し、傷病者の治療を継続するためには、ライフラインの確保に向けた事前の備えが重要でございます。水の確保につきましては、病院の規模や立地条件を踏まえ、使用量を最小限に抑える節減対策と必要な使用量の確保対策の両面から取り組む必要があると考えております。
都は、現在、災害拠点病院に対しまして、災害時のBCP策定を働きかけており、透析などの医療用水や飲料水など、用途別に通常時の使用量と災害時の最小使用量を把握するよう促しております。
また、国の災害医療等のあり方検討委員会では、災害拠点病院における水の確保が論点の一つに挙げられており、井戸水の活用についても議論されております。
都は、今後、災害拠点病院の水の確保につきまして、国の検討会での議論を踏まえながら、地域防災計画の修正にあわせ、検討を進めてまいります。
次に、牛肉の放射性物質の検査体制についてでございますが、現在、牛の出荷制限の対象となっていた福島県等の四県では、個々の農家の飼育環境を綿密に調査した上で、汚染稲わらを与えた可能性のある農家の牛については全頭、それ以外の農家に対しては一頭以上について、と畜した牛肉を検査し、安全を確認いたしております。
また、都の食肉市場では、産地にかかわらず、卸売業者が民間検査機関による自主的な検査を開始しており、安全性が疑われる測定結果が出た場合には、都が確定検査を行う体制を整えております。
今後、都は、牛肉に対する都民の不安を払拭するために、新たに短時間で多数の検査が可能な機器を導入するなど、食肉市場における全頭検査の実施に向けて検査体制の充実を図ってまいります。また、検査結果の都民への提供につきましても、中央卸売市場、市場の関係団体、芝浦食肉衛生検査所が連携しながら体制づくりを進めております。
次に、高齢者の医療、介護サービスつき住まいについてでございますが、高齢者の多くは、要介護状態になっても、可能な限り住みなれた地域や自宅で生活し続けることを望んでおります。
都はこうしたニーズにこたえるため、施設サービス、在宅サービス、ケアつき住まいなどのサービス基盤の整備を進めており、その中で医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル事業や、利用者の所得水準にも配慮して、居室面積や職員配置基準を緩和した都市型軽費老人ホームの設置に取り組んでおります。
現在、医療福祉サービスでは、低所得者対策として、保険料やサービス利用料の軽減策が実施されており、都営住宅においては、住宅施策として、所得に応じた家賃設定が行われております。
今回、高齢者住まい法が改正され、国土交通省と厚生労働省が連携をするサービスつき高齢者向け住宅制度が創設されましたが、都としても、福祉部門と住宅部門が連携し、高齢者が必要な医療、介護サービスを受けながら地域で暮らし続けることができる方策につきまして、十分な検討を行ってまいります。
次に、里親支援機関事業についてでございますが、都は、養育家庭が地域において孤立することがなく生活できるよう、児童養育のノウハウを持つ民間団体などを活用して、里親に対する相談支援を行う里親支援機関事業を平成二十年度より実施いたしております。
この事業では、児童の心理に係る内容には臨床心理士が、里親特有の悩みには里親経験者が、訪問や電話で対応しておりまして、養育家庭からは、相談しやすく安心感を得られるとの評価を得ております。
しかしながら、今回、養育家庭で発生いたしました事件の重大性を考えますと、児童相談所と関係機関が連携し、養育家庭が抱えるさまざまな悩みを、これまで以上に確実に受けとめることが重要であると認識をいたしております。
今後、児童相談所の支援を一層充実いたしますとともに、里親支援機関事業につきましても、その事業実績や養育家庭のニーズを踏まえながら、支援のさらなる充実に向けて検討してまいります。
最後に、児童の自立支援についてでございますが、児童養護施設等を退所した児童が社会で自立し、安定した生活を送るためには、入所中の指導はもとより、退所後についても必要な支援を継続していく必要がございます。
そのため、都はこれまで、退所した児童に生活、就労に関する相談や指導などの支援を行う施設に対し、独自の補助を行うほか、児童同士の交流を支援するなどの取り組みを進めてまいりました。
今回行った児童養護施設等で育った児童への調査では、退所直後に困ったこととして、孤独感や孤立感、金銭管理や職場での人間関係の悩みなどが多いこと、その相談相手として施設職員に寄せる期待が大きいことなどが改めて明らかになりました。
今後、社会的養護のもとで育つ児童の自立に向けて、こうした調査結果も踏まえ、児童養護施設等の入所中から退所後に至るまでの支援の充実を検討してまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) スポーツを通じた被災地復興支援についてでございますが、都は、岩手、宮城、福島、茨城の四県から合計百二十五名の子どもたちを招待し、お話の野球とサッカーによるスポーツ交流事業や、海外十三都市が参加してバドミントンと柔道で競い合うジュニアスポーツアジア交流大会に参加してもらうなど、被災地の子どもたちがスポーツに接する機会を提供してきました。招待された子どもたちは、思い切り汗を流すとともに、地域のお祭りや花火大会に参加することでさまざまなストレスを発散し、明るい笑顔を取り戻しておりました。
来月行われます世界体操選手権や、十一月に開催されます競泳ワールドカップなど、東京で開催される国際大会への招待事業などにも取り組み、被災地の子どもたちに勇気と希望を与えられるよう、これら事業を今後も積極的に推進してまいります。
〔消防総監北村吉男君登壇〕
〇消防総監(北村吉男君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、震災に備えた体制の強化についてでありますが、東日本大震災を踏まえ、大規模かつ複合的な災害に対処するため、ハイパーレスキュー隊や航空隊などの特殊部隊はもとより、個々の部隊及び隊員の活動能力の向上など、より一層消防活動体制を強化することは極めて重要であると認識しております。
このため、早急に整備が必要な装備資機材について、東京緊急対策二〇一一に反映いたしました。
今後は、震災を初め、NBC災害、局所的集中豪雨や土砂災害など、さまざまな災害により機動的に対応できるよう、人的、組織的な体制について幅広く検討するとともに、引き続き、部隊、車両、資機材等の消防活動体制の充実強化に努めてまいります。
次に、大規模な災害における効果的な消防活動体制についてでありますが、東日本大震災において、消防ヘリコプターは、情報収集に加え、津波等により消防車両が進入できない孤立した地域での人命救助などに極めて高い効果が認められました。
東京においては、首都直下地震などが発生した場合、消防ヘリコプターと救助隊や救急隊などの連携、機動性の高い消防活動二輪車の活用など、部隊の特性を相互に補完し合うことで、さらに多角的な消防活動が展開できると考えております。
今後、震災などの大規模複合災害に対処するため、部隊をより効果的に連携させるなど、総合的な運用方策について検討してまいります。
次に、東日本大震災を踏まえた消防団の資機材及び分団本部施設整備についてでありますが、これまでもチェーンソー、油圧式の救助資機材や分団本部施設を計画的に整備してまいりました。このたび東京緊急対策二〇一一により、消防団の震災活動資機材として、携帯無線機、電光標示器、新型防火衣などを拡充整備することにいたしました。
また、分団本部施設については、消防団の活動拠点として重要な施設であると再認識したところであり、分団本部の機能を維持するため、専用の非常用発電機を備えるとともに、今後も一層の耐震性等を考慮し、整備を進めてまいります。
次に、消防団員の携帯メールを活用した情報伝達による負担軽減についてでありますが、携帯メールによる情報伝達は、震災時等の情報伝達手段の二ルート化を図るため、従来の電話によるものに加えて、平成十九年十二月から導入しております。
今後も引き続き、災害出場の伝達のほか、管内の災害情報についても適宜情報提供するなど、携帯メールを活用した情報伝達の充実に努めてまいります。
最後に、消防団員の活動を休止する制度の見直しについてでありますが、現在、消防団員は、長期的な病気入院や海外出張などにより一定期間活動できない場合は、消防団活動を休止できることになっています。しかしながら、お話のとおり、近年、核家族化や高齢化など社会環境の変化により、介護、子育てなどの理由でやむなく退団に至るケースがあると認識しております。
今後、このような特別の事情がある場合においても、一時的に消防団活動を休止できるよう、制度を見直してまいります。
〇副議長(鈴木貫太郎君) 百二十七番大山とも子さん。
〔百二十七番大山とも子君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
〇百二十七番(大山とも子君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
東日本大震災から半年がたちました。今、都政に求められているのは、被災者、被災地支援とともに、放射能被害から都民の命と健康を守り、安全・安心の防災、福祉の東京をつくるために全力を尽くすことです。
まず、放射能の問題です。
福島第一原発から放出された放射性物質は、ウラン換算で広島型原爆二十個分という膨大な量です。この問題で重要なことは、低い放射線量でも呼吸や食べ物を通じて体内に入ると、内部被曝による晩発性障害を引き起こす危険があることを直視することです。そして、放射線の影響を受けやすい子どもや妊婦の命と健康を守り抜く立場に東京都がしっかり立つことだと思いますが、知事、いかがですか。
第一に、空間放射線への対策を強化することです。
原子力災害対策本部の除染に関する緊急実施基本方針によれば、年間被曝線量がおおむね一ミリシーベルト以下の地域についても、側溝や雨どいなど局所的に高線量を示す箇所の除染に必要な支援を行うとしています。都はこの方針を受け、どう対応するのですか。
日本共産党都議団は、専門家と協力して、都内の空間放射線量測定を行ってきました。その結果、保育園などの側溝、遊具下、雨水がたまりやすい場所など、明確にミニホットスポットというべき箇所が確認できました。
ある保育園の外階段をおりたところでは、子どもたちが触れやすい地表面で、毎時一・三五マイクロシーベルト、他の園でも一・〇八マイクロシーベルトなど、年間換算すると一ミリシーベルトをかなり上回るミニホットスポットが多数あったのです。この事実をどう受けとめますか。
都立学校、都立公園はもちろん、区市町村と協力して、保育園、幼稚園、小中学校などのきめ細かい調査、測定を直ちに実施し、必要な除染を行うべきです。見解を伺います。
第二に、食品による内部被曝を最小限にすることです。
食品に関する日本の暫定基準値への不安も広がっています。測定数も少な過ぎます。お米も、十五ヘクタールで一カ所の調査にすぎません。予備調査では五百ベクレルの放射線量が検出されたのですから、都民の不安が募るのは当然です。
都は、食品の放射能汚染対策の現状をどう認識していますか。大消費地東京にふさわしく、流通する食品について、最大限の放射能測定をする体制を都として構築するべきです。学校給食の食材の放射能測定のため、都として測定機器を購入することを含め、区市町村の取り組みへの支援を求めますが、いかがですか。
東日本大震災により都内に避難している被災者は八千人を超え、そのうち八割以上が原発事故による放射能災害からの避難者です。子どもへの影響を避けるなどのために自主的に避難してきた方々もいます。
避難生活が長期化し、将来の展望も見えず、多くの方が心身ともに疲れ果てています。都営住宅等に入居したものの、個人情報の壁もあり、同じ住宅でも、どこにだれが住んでいるのかわからない場合も少なくありません。ドアを閉めれば簡単に孤立してしまいます。夜、一人でいると涙が出てとまらなくなるという若いお母さんもいます。ひきこもりや認知症になる高齢者もいます。
避難している方々が安心して健康で文化的な生活ができるようにすることが必要です。都として区市町村と協力し、必要な情報を提供するとともに、避難している方々のコミュニティづくり、孤立させない対策を進めることを求めますが、いかがですか。
避難された方々は、都営住宅等の入居期限を来年七月末と区切られていますが、帰れる見通しもなく、不安に思っています。少なくとも災害救助法による仮設住宅設置期間である二年間は提供することはもちろん、その後についても転居を迫るようなことはしないと明確に伝えるべきです。
避難生活の長期化で経済的な苦しさも深刻です。中でも医療費は大きな負担です。都と区市町村が協力し、乳幼児や小中学生の医療費は、償還払いではなく、窓口負担をしなくて済むようにすべきです。
福島原発事故は、原子力発電所で炉心溶融などの大事故が起これば、時間的にも空間的にも放射能汚染の被害を食いとめられない事態になることを改めて知らしめました。
今、再生可能エネルギーへの転換を求める声が広がっています。都内では先日、さよなら原発集会が六万人の参加で開かれました。しかし、石原知事は、脱原発の動きを批判し、所信表明でもあらゆるエネルギーの組み合わせを追求すると述べるなど、あくまでも原発を存続する立場です。
原発による発電の過程で生み出される死の灰を封じ込めることや、核のごみを安全に処理する技術を、人類は持っていません。前定例会でこの事実に対する認識をただしたのに対し、知事は根拠も示さず否定しました。知事、根拠を示してください。
知事は、原発から撤退したらエネルギー不足で、日本は国際競争から脱落するかのような発言もしていますが、これも事実と異なります。ことしの夏は原発が八割停止しましたが、企業も家庭も節電を実施し、夏のピーク時の需要は政府予測を二千三百万キロワット下回りました。来年、全原発が停止して供給力がさらに一千万キロワット低下したとしても、省エネ機器に切りかえることなどによって、無理な節電をしなくても乗り越えられることを示しています。知事、どうですか。
今、都がやるべきことは、地産地消で地域経済の活性化にもつながる再生可能エネルギーの開発、普及の取り組みを加速化することです。都は、一度廃止した太陽光発電への助成を、今回の事態を受けて六月から復活しましたが、実績は三カ月で二千件にとどまっています。初期投資の負担の重さに見合った助成になっていないからです。
長野県飯田市や群馬県太田市では、市民基金の活用や設備のリース方式による初期投資をゼロにする取り組みで成果を上げています。都としても、初期投資の負担を抑えることで、太陽光発電の大量普及を図ることを求めます。
また、都立の文化スポーツ施設、都立学校への設置を促進するとともに、保育園や福祉施設への設置支援を行うこと、幼稚園、小中学校への設置支援を拡充することも必要です。地中熱を利用した冷暖房空調システムの普及も重要ですが、見解を伺います。
都内の中小企業の中には、太陽の動きに合わせて発電できる装置を開発したり、水の流れさえあれば発電できる小水力発電を実用化するなど、高い技術があります。再生可能エネルギーを安定的に供給するためには蓄電システムが重要であり、企業による開発も進んでいます。
問題は、市場化に苦労していることです。都は再生可能エネルギーを新しい産業振興の柱として位置づけて、企業のさらなる技術開発や市場化への強力な後押しをすべきと考えますが、いかがですか。
次に、防災対策です。
東日本大震災の教訓から何を学び、都の防災対策をどう見直すのかが問われています。都は、防災対応指針の策定に向けた東日本大震災における東京都の対応と教訓を発表しましたが、見過ごせない問題があります。それは知事の所信表明に端的に示されています。すなわち、行政による公助の限界と、みずからの身を守り近隣で助け合うという自助、共助が殊さら強調されていることです。
地域や住民の自主的な努力は重要なことです。しかし私は、行政の責任者たる者は、それをいう前に、地震や津波が起こっても被害を最小限に抑えるための予防対策を推し進めるのだという確固とした立場をこそ明らかにすべきだと思います。
今回の大震災では、地形や地質、危険要因に見合った予防対策が大きな力を発揮しました。岩手県普代村では、防潮堤と水門が命を守り、仙台市などの宅地造成地では、地すべり対策の本格的実施が被害を軽減したのです。つまり、都が防災対策に生かすべき最大の教訓は、行政が主体となった予防対策こそがかなめだということではありませんか。知事の認識を伺います。
私はこの立場から、直ちに対策を強化すべき課題について提案します。
その第一は、住宅の耐震化を促進することです。
石原知事のもとで、東京都の防災対策は、今なお首都機能の確保が第一義的に強調され、幹線道路の維持が最重要視されています。しかし、自治体として最優先に取り組むべきは、都民の生命、財産を災害から守ることです。そのために行政と住民が力を合わせて、住宅の耐震化、木造住宅密集地域の安全化を促進することは急務です。
木造住宅密集地域のうち、整備地域の七千ヘクタールで耐震化されていない木造住宅は、約十三万棟と推計されています。知事は所信表明で、木造密集地域を徹底して耐震化、不燃化する、木密地域不燃化十年プロジェクトを新たに立ち上げると強調しましたが、それはどのような中身ですか。この十三万棟はどのように耐震化するのですか。新聞報道のように、住民の追い出しを促進するのですか。そうだとすれば、到底住民は納得しません。住み続けられること、住民合意こそ、原則にすべきです。
行うべきは、整備地域内の住宅建てかえに対する助成制度の対象と助成額の引き上げ、コミュニティ住宅、共同建てかえなどへの支援を拡充することですが、いかがですか。
昨年度の木造住宅耐震改修助成の執行件数は、目標の三分の一の九十九件、執行額は約二千万円にとどまっています。静岡県などのように、助成の対象をすべての木造住宅に広げるべきです。少なくとも直ちに一万六千ヘクタールに及ぶ木造住宅密集地域の木造住宅すべてを対象とし、助成額も大幅に引き上げることを求めます。
第二は、液状化を起こしやすい区部東部地域や地すべりなどが懸念される多摩丘陵部の造成宅地など、住宅の土台である地盤対策への支援です。
住民や住宅の建て主に、敷地の地盤や過去の埋め立て、施工、災害の履歴などの情報を提供することが必要です。都は、地質調査で得られた地質柱状図を公表はしていますが、空白の地域も多く、表層土の地質も明らかにされていません。都としてさらなる調査を行うなど、より精度の高い情報提供ができるようにすることが必要です。
地盤工学会は、戸建て住宅の販売会社が、購入しようとする人に対し、専門的技術者による地盤の品質説明を行うことを義務づける制度を提言しています。検討すべきではありませんか。
第三は、都市インフラ、ライフライン施設の耐震化の促進です。
堤防などの都市施設や、水道、下水道などのライフラインの耐震化がおくれています。水道管の継ぎ手耐震化は二六%、下水道のマンホールのうち耐震化されたのは数%にすぎず、耐震化の抜本的強化が求められています。どのように、いつまでに完成させるのですか。
海抜ゼロメートル地帯が広がる東部地域で、都が管理する堤防の耐震強化は急務です。堤防の強度はレベル一にとどまっており、それすら満たしていない堤防が、主な河川のかみそり堤防だけでも二十一キロメートルもあります。この実態をどう認識していますか。
また、堤防の地盤調査を含む点検と、レベル二に対応できる耐震化を進めるべきと考えますが、いかがですか。
以上、述べてきましたが、今、東京都が緊急に取り組むべき課題は山積しています。
ところが、知事が最重点に掲げている課題は何でしょう。東京都の新たな長期計画「二〇二〇年の東京」及び実行プログラムの策定方針の第一に掲げているのは、東京の国際競争力の向上を図るために、アジアのヘッドクオーター、すなわちアジアの司令塔としての地位を確立するということです。海外の大企業を東京に呼び寄せるために特区をつくったり、一メートル一億円の外環道や巨大港湾整備など、巨大な都市インフラ整備を進めるというのです。オリンピック招致は、そのためのてこにするものといわなければなりません。
今、都が財源を振り向けるべきは、被災者の生活再建、被災地の復興、放射能対策であり、地震に強い防災都市づくりと都民の暮らしへの応援ではありませんか。答弁を求めます。
知事はこれまで、オリンピック開催に向けて、三環状道路とともに、横田基地と都心を結ぶ高速道路多摩新宿線や羽田と築地を結ぶトンネル道路などの建設を打ち上げてきました。こうした道路整備だけで七兆円規模の事業費がかかると推計されるのです。それでも二〇二〇年を目指して整備を進めるのですか。
知事は、オリンピック招致という戦いに挑む限り、勝たなかったら意味がない、東京は汗かいて血みどろになって金つくるし、施設もつくるともいいました。知事、勝つために、招致関連経費や施設建設に湯水のようにお金を使おうというのですか。
オリンピック招致が日本の復興の目標になるということを、知事はセールスポイントにしてきました。ところが、先日開かれた東京ビッグトークで、それはきれいごとだと明言しました。驚くべき発言です。知事、都民や東北の被災者を欺いたことを謝罪すべきです。
都民の意見はどうでしょうか。
我が党の開示請求により、六月からの三カ月で、再立候補について都に寄せられた都民の声は四百二十件で、そのうち反対の意見は八二%を占めていることがわかりました。オリンピック誘致は原発問題が収束しないと無理、お金があるなら東北を助けなさい、今どき恥ずかしくないのか、この未曾有の大災害の復興には幾らお金があっても足りないなど、厳しい意見が大多数です。これらの都民の声を知事はどう受けとめたのですか。
知事、冷静に考えてください。福島原発事故でまき散らされた放射能汚染を収束させるにはまだ長い時間がかかります。スポーツの専門家も、放射能汚染の危険が取り除かれていない国で五輪を開催できるのだろうか、せめてその見通しが立った段階で立候補するのが良識ある判断ではないかと述べているのです。知事、いかがですか。
オリンピック招致は、被災者の生活再建、復興、放射能の除染、防災、福祉の都市づくりなどが軌道に乗った段階で、仮に都民、国民の声が広がるなら検討すればよいことであり、我が党は二〇二〇年オリンピック招致には反対です。
知事は、今、切実な都民要求が渦巻いていることをご存じですか。オリンピック招致をいう前に、この声にまず耳を傾けるべきです。
聴覚障害者の団体は、東京で開催される全国レベルのスポーツ大会に三十万円、腎臓病の患者団体は予防啓発のための集いに五万円でも十万円でも補助してほしいと求めています。すぐにこたえるべきではありませんか。オリンピック招致関連の活動というべき世界体操には五億円も補助金を出しているのです。都民団体のささやかな、しかし切実な要望に予算を振り向けるよう強く求めるものです。
国民健康保険料の負担軽減も急務です。
二十三区では毎年値上がりし、九九年度は、一人当たり年額六万九千円台が、今年度は九万八千円、一・四倍にはね上がりました。年金など収入が減少したり変わらないのに保険料は上がることに悲鳴の声が上がり、受診抑制も広がっています。加入者は高齢者が多いため医療費が高く、収入が少ないため保険料の負担は難しいという国民健康保険の構造的問題を、都はどう認識していますか。
区市町村は国保会計を維持するため、総額一千百億円の法定外負担をしています。例えば、その四分の一に当たる二百七十億円を都が追加支援すれば、すべての区市町村で一世帯当たり一万円の保険料軽減ができます。こうした方向に踏み出すことを強く求めるものです。
最後に、築地市場移転問題についてです。
中高濃度の土壌汚染がある豊洲予定地における液状化について、都は二人の専門家の見解を盾に、おざなりの調査で済まそうとしています。我が党が二人の専門家に行った公開質問に対し、一人は、豊洲予定地にかかわる質問には無回答、元職員であった方はすべて無回答、基本的に都が成りかわって回答するというありさまでした。
土壌汚染にまみれた市場予定地では、目視程度の調査などではなく、ボーリング調査を含めた全面的な調査を行うべきです。また、専門家としてのみずからの見解に責任を持たず、都に答えさせるという無責任な専門家のお墨つきで事を進めることは許されません。どうですか。
都は一貫して、意見の異なる専門家の現場検証を拒んできました。今こそ豊洲移転を凍結し、意見の異なる専門家の調査を受け入れ、公開討論を行うべきですが、見解を伺います。
再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 大山とも子議員の代表質問にお答えいたします。
私も十二年間、毎年毎年、共産党の質問を聞いてきまして、大分なれたと思うんですが、それでも一言一言、神経を逆なでするね。これは共産党以外の日本人はみんなそうなんじゃないでしょうかね。これは本当にお気の毒だけど、ここまでいくと共産党というのはだんだん化石になって、そのうち埋もれちまいますよ。
まず、放射性物質への対応についてでありますが、共産党に指摘されるまでもなく、東京都は原発事故以後、都民、国民の生活を守るために総力を挙げて放射性物質への対策を進めております。都内百カ所での放射線量測定を初め、水道水、食品などを幅広く検査し、測定結果を速やかに公表して、都民、国民の不安解消に努めております。また、都内区市町村に測定機器を貸し出して、被災地の工業製品や食肉の検査も請け負うなど、自治体の垣根を超えて最大限努力をしております。
国家の総力を挙げた対策が求められる中、残念ながら国の省庁の縦割りが足かせとなって、例えば放射線の被曝量の上限値についてもばらばらになって、こういったものが重なって、国民は不安を隠し切れませんが、いずれにしろ、これを含めて、対策の抜本的な強化を新内閣にも建言をいたしました。
今後も、モニタリングポストや検査機器の増設など、現場から具体的な施策を展開してまいります。
最後に一言申し添えますが、質問を聞いておりますと、今回の原発事故のように微量で長期にわたる放射性物質の影響と広島に投下された原爆を単純に比較しておりますが、これは果たして妥当な設定なんでしょうかね。風評被害に苦しむ生産者、事業者も多い中、殊さら危険を強調して、国民一人一人の努力をないがしろにするようなことだけは、政党としても慎んでいただくように忠告しておきます。
私が原発についての共産党の主張を否定する根拠についてでありますけれども、物事を複合的、重層的にとらえない政党というのは、これはあなた方にとっては理解するのは難しいかもしれませんが、現在の原発についての議論からは幾つかの大切な問題がはじき出されております。
まず、今回の原発事故の被害の拡大は、千年前に記録としても残っている、仙台を襲った大きな津波の事実というものを現代で地質学者が調べて建言したのに、原発の当事者もそれを聞き入れることはなかった。こういった人災というものが重なって被害が拡大した。特に総理大臣が視察するということで、肝心な風向きも勘案してのベントのおくれなどが、あの放射線をいたずらに人間の住む地域に拡散したという、こういった人災が重なったという認識がまず必要だと思います。
放射性物質が危険なことは論をまちませんが、廃棄物も含めて適切に管理することで原子力を有効に活用することは十分可能であります。現にフランスはそれをやっているじゃないですか。フランス人にできることが何で日本人にできないんですか。危険だけを喧伝していたずらに不安をあおる。あなた方のやり方はためにすることでしかないと私は思います。
共産党というのは一体、将来、この日本にいかなる社会、いかなる生活を望むのか、一向にわからない。果たして中国ですか。北朝鮮ですか。それともロシアなんですか。いずれにしろ、いかなる社会、いかなる生活を望むかをはっきりもせずに、経済が生み出す富というものは、防災、治安、福祉、医療、教育などに回って高度に発達した我が国の社会を支えているわけでありまして、その産業経済に不可欠なエネルギーを賄うために、いかなるエネルギーを、どの種類をどれだけ確保するかを、これから複合的、重層的に冷静に見きわめていかなきゃならないということをいっているわけです。
さらに、化石燃料がもたらす地球温暖化への影響や、資源を海外に依存せざるを得ない我が国の実情というものを忘れてはならないと思いますね。
こうした社会、経済への影響も顧みずに、初めに脱原発ありきという共産党のいい分こそ、国家の安危にかかわる大事な問題を我がこととして考えない、戦後のあしき習い性そのものだという気がいたします。
所信表明でも申し上げましたが、エネルギーの議論をもてあそべば、国家は必ず衰退します。共産党の皆さんも日本人の一人としてよくよく考えていただきたい。(発言する者あり)あ、そうか、日本人じゃないのか。
今後、都の防災対策に生かすべき東日本大震災の教訓についてでありますが、大津波に襲われた岩手県には、古来より津波てんでんこという言葉がありまして、津波が来たらまずみずからの身を守るという強い意識が代々受け継がれてきております。また、中学生が自発的に年下の子どもたちを助けながら避難した、こういった事例も今回もありました。いざというときは、まずみずからの身を守り、そして身近な仲間を助けるということが、結果として一人でも多くの命を救うことになることは紛れもない事実であります。
そうした生きた教訓を踏まえて、防災隣組という自助、共助の仕組みを、東京の中に改めてつくっていこうと思っているわけです。また、企業などの備蓄を促す条例も制定してまいります。
行政が主体になるか否かという、ためにする形式の議論で時間を空費するだけではなく、実効性のある取り組みを迅速に推進することは行政の責任であり、そうでなければ、とてもこれだけ膨大な都市で、膨大な数の都民の命をより多く守ることはできないと思いますね。
ご指摘をまつまでもなく、都はこれまでも、震災に備えて、他県に先んじてハイパーレスキュー隊のようなすぐれた機能というものを整備してきました。警察、消防の部隊を整え、医療チームを強化したほか、施設の耐震化や水門、防潮堤の整備、さらには災害時の物流の動脈として機能する三環状道路を初めとする道路ネットワークの構築など、まさに行政の責任として主体的に進めてきたんです。
今後も、自助、共助、公助のバランスのとれた、現実の教訓に立脚した防災対策を講じてまいります。
次いで、ビッグトークでの私の発言についてでありますが、あなたのいい分は、この国の一部の下劣なメディアがやると同じ、全体の文脈も一向に考えずに、片言隻句をとらえて事全体を非難する、まことにこそくで卑劣なやり方だと私は思いますね。全く、私自身があそこのシンポジウムでいったことは、あなた方もビデオで見てそれを全部承知していると聞きましたけれども、そうじゃなかったら全く無責任な話でありますが、オリンピックというのは、一回やってみて、いかにとにかく裏の裏の裏があるどろどろした、要するに招致運動かということを認識しました。これをまず知っている上じゃないと、きれいごとではこれでは勝てない、戦いに。
そのことを私はあそこでいったので、確かに日本を襲った大災害というのは悲痛なものだし、みんなの同情を買うでしょう。しかし、それだけをかざして票を集める。この投票権を持った国の友情、同情を買うことは絶対にできない。そういうメカニズムというものをだれがつくったか。これはサマランチですよ。この人がとにかくオリンピックをビッグビジネスにしてしまった。そのために大きな利権が発生した。これはみんな知っていることです。それを知らなかったらこの戦いに勝てないということを、私はあそこで申し上げた。そのためにも、この推進役であるJOCや、あるいは要するに日本の体育協会がもっともっと陣営を強化して進まなければ、これはなかなか難しい、困難な試みになりますよということをいったわけで、災害に対する同情もあるでしょう。しかし、それを盾に、私はとてもこの戦いは勝てないよということを警告したわけです。
オリンピックの招致が日本の復興の目標になるのは言をまちませんが、一方で、実際に招致をかち取るためには、熾烈な国家間の競争に勝ち抜く必要があるということも表現したわけであります。
他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 学校給食の食材の放射能測定への支援についてでございますが、食品の放射性物質検査は、本年八月四日付厚生労働省通知、農畜水産物等の放射性物質検査についてに基づき、対象自治体が実施しております。
食品衛生法の暫定規制値を超えた食品に対しては、原子力災害対策特別措置法に基づき、内閣総理大臣が地域、品目を指定して出荷制限の指示を行っており、国の責任において食品の安全が確保されていると認識しております。
都教育委員会は、区市町村教育委員会に対して、食材の産地等を確認、記録し、それを保存するよう指導していることから、個々の食材の放射性物質の測定に対し支援する考えはございません。
〔東京都技監村尾公一君登壇〕
〇東京都技監(村尾公一君) 二点についてお答えします。
まず、地質調査図の情報提供についてでございますが、都は公共工事に伴い実施した地質調査データを数多く保有していることから、民間建築などの際に参考となるよう、地盤情報を提供してまいりました。
具体的には、地域ごとの液状化発生の可能性を目安として示した東京の液状化予測図を、平成九年から都民情報ルームにおいて閲覧に供し、平成十八年度からは、東京都土木技術支援・人材育成センターのホームページ上に、液状化予測図とともに、約七千本の地質調査図を掲載しております。地質調査図については、地盤を構成する土質名、地盤のかたさを示す標準貫入試験の結果などの情報を忠実に表示しております。
今後とも、公共事業などの地質調査データを収集し、これまでと同様に広く都民に情報を提供してまいります。
次に、都が管理する堤防に対する認識と点検や耐震性の強化についてでございますが、東部低地帯に暮らす人々を守るためには耐震対策を進めることが重要であると認識しております。
このため、都はこれまで、スーパー堤防の整備や防潮堤の耐震補強を行うなど、耐震性の向上に努めてまいりました。また、今般の大震災を受け、直ちに堤防の緊急点検を実施するなど、必要な対応を行っております。
既に本年六月には地震や津波の専門家を含む委員会を立ち上げ、施設の耐震性などについて検証を進めており、この中で堤防の耐震性の強化についても検討しております。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 六点のご質問でございます。
まず、国の除染に関する緊急実施基本方針への対応についてでございますが、この方針によりますと、東京のようにおおむね年間一ミリシーベルト以下の地域は、放射性物質の半減期の関係及び風雨などの自然要因による減衰などを勘案しますと、基本的に市町村単位での面的な除染が必要な水準ではないとしております。
また、側溝や雨どいなど、局所的に高線量を示す箇所につきましても、国が県及び市町村と連携し、住民を含めた関係者が安全かつ効率的、効果的に除染を行えるよう、必要な支援を行うとしております。
さらに、この基本方針の策定後、放射性物質による環境汚染への対処について定める放射性物質汚染対処特措法が公布されておりまして、現在、この法律で定める除染等の措置について国で検討会を設置し、効率的な除染、収集運搬や保管の方法のあり方を議論しておりますので、これを注視し、対応を検討してまいります。
次に、子どもが利用する施設の調査測定及び除染についてでございますが、ただいまご答弁したとおり、現在、国では除染等の措置に関する検討会を設置しておりますので、子どもへの配慮のあり方も含め、汚染に対処するための基本的な方向性などの議論を踏まえて、対応を検討してまいります。
次に、電力需給についてでございますが、先ほどもご答弁したとおり、この夏は、企業、家庭による懸命の努力により、昨年に比べ二割から三割程度の電力を削減することができました。しかしながら、この節電は、企業における操業日の休日シフトや夜間操業など、いわゆる我慢の節電により達成できた部分が少なくないのも事実でございます。
したがいまして、今後も無理のない方法での節電を促進いたしますが、一方で、供給面におきましては、高度に発達した社会の基礎となる我が国の経済を支え、日常生活の安心を守り得る安定した電力の確保を行うことが重要と認識しております。
今後、都は、需給両面からの最適化に向け、都独自の取り組みを進めてまいります。
次に、太陽光発電の普及拡大についてでございますが、先ほどもご答弁しましたとおり、都は固定価格買い取り制度について、適正な価格及び期間の設定を引き続き国に強く要求するとともに、国内外の先進事例も参考に、太陽エネルギーの一層の導入促進策の構築に向け、検討を進めてまいります。
次に、太陽光発電の住宅以外の分野への普及についてでございますが、これにつきましても、固定価格買い取り制度について国に強く要求するとともに、国内外の先進事例も参考にして検討を進めてまいります。
最後に、地中熱利用システムの普及についてでございますが、都はこれまでも、建築物環境計画書制度などを活用して、東京スカイツリーや都心部のオフィスビルなどへの地中熱利用システムの導入を誘導してきております。
今後とも、こうした制度を活用しながら普及を図ってまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 七点のご質問についてお答え申し上げます。
まず、空間放射線量の測定値についてでございますが、同じ敷地内であっても空間放射線量は均一ではなく、放射性物質が付着しやすい場所においては線量が高くなる可能性があるものと認識をいたしております。
次に、食品の放射能汚染対策への現状認識についてでございますが、三月十七日に定められた食品衛生法に基づく放射性物質に関する暫定規制値につきましては、国の薬事・食品衛生審議会において、当面維持することが適当である旨の見解が示され、現在に至っております。都は国に対し、食品中の放射性物質による健康への影響評価を行い、早期に規制値を設定するよう提案要求をいたしております。
また、食品の検査につきましては、現在、生産地であります各都道府県が最大限の取り組みを行っており、都は国に対し、自治体における検査体制の整備強化についても提案要求をいたしております。
次に、食品の放射能測定体制の構築についてでございますが、農産物等の放射性物質を検査し、安全を確認するためには、作付状況や出荷時期が把握できる生産地において、出荷前に検査をすることが最も確実でございます。
都は生産地として、都内産農産物等の検査を実施いたしますとともに、他の生産県における検査にも協力を行うなど、最大限の検査を実施いたしております。また、今月にはゲルマニウム半導体核種分析装置を二台増設したほか、今後、シンチレーションスペクトロメーターを四台更新するなど、検査体制の充実強化も図っております。
次に、避難生活を送っております乳幼児や小中学生の医療費の窓口負担についてでございますが、現在、東日本大震災による被災者のうち、災害救助法の適用地域内の住民で家が全半壊となるなど、一定の要件に該当する方につきましては、国の通知に基づき、保険者から交付されます一部負担金等の免除証明書を提示することにより、窓口負担は免除されます。また、免除の対象とならない方であっても、住民票のある市町村における乳幼児等の医療費助成制度によりまして医療費の助成を受けることができますが、この場合は、制度上、窓口で一たん負担していただき、償還払いの手続を行っていただくことになります。
次に、腎臓病の予防啓発のための集いへの支援についてでございますが、都は平成十七年度より、腎臓病の患者団体からの申請に基づき、協定を締結し、腎臓病の予防等に関する講演会を共催いたしております。
都は、広報紙やホームページによる周知、ポスター等の関係機関への配布など普及啓発に努めております。
次に、国民健康保険についてでございますが、現在の国民健康保険制度には、医療費が高く所得の低い高年齢者や、失業者などの低所得者の占める割合が高く、保険料の確保が困難であるなど、構造的問題があると認識をいたしております。
都は、国民皆保険の観点から、制度設計者である国が責任を持って抜本的な解決策を講じるよう、既に提案要求を行っております。
最後に、国民健康保険料の負担軽減についてでございますが、都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき、各保険者に対する財政支援を既に実施いたしておりまして、保険料負担軽減のための新たな支援を行うことは考えておりません。
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) 避難者への支援についてでございますが、都はこれまでも、避難生活の長期化等により、避難者の孤立化が懸念されることから、被災地の行政情報や都の支援情報を定期的に提供するとともに、同じ県や市町村からの避難者をできるだけ同じ都営住宅などに受け入れ、地元区市や自治会への紹介をするなど、地域とのつながりや避難者間の交流を図ってまいりました。
今後とも、避難者のニーズを踏まえ、被災地に関する情報を的確に提供するとともに、孤立化を防止するための個別訪問を実施するなど、関係機関や各種団体とも協力しながら、避難者支援に取り組んでまいります。
〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕
〇都市整備局長(飯尾豊君) 七点のご質問にお答えいたします。
まず、応急仮設住宅としての都営住宅等の提供でございますが、応急仮設住宅は、被災県の応援要請に基づき、震災等により避難を余儀なくされている間、一時的に提供するものでございます。
都は、被災県とも調整し、応急仮設住宅としての都営住宅等の提供により、現在三千七百人の避難者の方々を受け入れており、受け入れ期間は、当面、平成二十四年七月末までとしております。
今後とも、被災県の意向等を踏まえ、避難者の方々の支援に適切に対応してまいります。
次に、木密地域不燃化十年プロジェクトでございますが、東京で大地震が発生した場合、木密地域の延焼により都市機能が大きく阻害されることは明らかでございます。
このため、木密地域不燃化十年プロジェクトでは、まずそこに住む人々が、我が身に迫る危険性をみずからの問題として認識する必要があることから、防災の専門家による講演会などを開催し、木密地域の住民に震災の怖さや自助、共助の重要性を伝えてまいります。
また、延焼遮断帯となる道路整備や、建物の建てかえによる耐震化、不燃化などに積極的に取り組み、木密地域の改善を加速させてまいります。
次に、木密地域不燃化の住民合意でございますが、木密地域は老朽建物が多いことに加え、狭隘な道路や行きどまり道路など基盤が脆弱であり、安全なまちにつくり変えていくためには、建物の不燃化とともに避難や延焼防止に役立つ道路、公園等の基盤整備を行うことが重要でございます。
こうした住民の安全を守るという公共性の高いまちづくりを進める上では、地元の理解を得ながら、スピード感を持って確実にやり遂げることが行政の責務でございます。
このような考え方に基づいて、木密地域不燃化十年プロジェクトの推進に取り組んでまいります。
次に、整備地域内の住宅建てかえ支援でございますが、これまで都は、防災都市づくり推進計画に定める整備地域において、延焼を防止するという公共性の観点から、延焼遮断帯となる道路の沿道建築物の不燃化建てかえや、老朽建築物の共同建てかえ等に対し、地元区と連携して費用の一部を助成してまいりました。
また、従前居住者の受け皿となる共同住宅を建設する地元区に対し、費用の補助を行ってまいりました。今後とも、こうした必要な支援を行ってまいります。
次に、木造住宅の耐震化助成でございますが、都では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により、避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあるなど公共性のある場合に、区と連携して公的助成を行っております。
耐震化を促進するためには、まず所有者みずからが必要性を認識し、主体的に取り組むことが不可欠でございます。
東日本大震災を受け、都民の関心も高まっていることから、この機をとらえ、所有者に対する普及啓発や技術的支援にさらに取り組んでまいります。
都としては、引き続き道路閉塞や延焼による被害の危険性の高い整備地域に的を絞り、木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
次に、地盤に関する情報提供でございますが、不動産取引の際、宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法に基づき、買い主に対して重要事項の説明を行うこととなっております。その中で都市計画法や建築基準法に基づく制限や、宅地造成等規制法の許可、地すべり等防止法等の制限がある場合は説明を行っております。
都としては、引き続き、宅地建物取引業法に基づき、宅地建物取引業者に対し適切に指導監督を行い、安全・安心の住宅市場の実現に努めてまいります。
次に、道路の整備でございますが、三環状道路は、首都機能の向上を図るばかりでなく、災害時においても、日本の東西交通の分断を防ぐ結節機能を担う重要な道路であり、その整備を推進してまいります。
また、東京の活力と魅力を高め、安全で利便性の高い都市を実現していく観点から、必要な道路については、今後とも調査検討を進めてまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 再生可能エネルギーに関する中小企業の支援についてのご質問にお答えいたします。
都は、既に環境分野を対象とした産業を重点的に育成するとの方針のもとで、さまざまな施策を展開しております。
再生可能エネルギーにつきましては、さきに公表された都政運営の新たな戦略の中で、エネルギー源の多様化を図ることとしておりまして、これに沿って対応してまいります。
〔水道局長増子敦君登壇〕
〇水道局長(増子敦君) 水道管の耐震継ぎ手化についてでございますが、水道局では、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への全面的な取りかえを、これまでも積極的に進めております。さらに、この取りかえを大幅に前倒しする水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を平成二十二年度から平成三十一年度を計画期間として、既に実施しております。
これにより、平成二十一年度末の耐震継ぎ手率二六%を平成三十一年度末の四八%まで向上させることとしております。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕
〇下水道局長(松田二郎君) 下水道のマンホールの耐震化についてでございますが、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震の状況を踏まえ、震災時における下水道機能や交通機能の確保などの観点から、必要な対策は実施をしております。
避難所などからの排水を受ける下水道管とマンホールとの接続部の耐震化については、既に約七割を完了しておりますが、残りの箇所の計画を二年前倒しし、平成二十五年度の完成を目指しております。
また、マンホールの浮上を抑制する対策については、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路など約五百キロメートルすべてを昨年度完了しました。
さらに、今年度から、避難所などへのアクセス道路に対象を拡大し実施をしております。また、これらの取り組みについては、ターミナル駅周辺などの対策エリアの拡大に向け検討をしているところです。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
〇財務局長(安藤立美君) 財政運営について申し上げます。
都はこれまでも、福祉や医療、教育、さらには雇用環境や中小企業に対する施策、都市機能の充実など都民にとって必要な施策を着実に実施してまいりました。
東日本大震災という未曾有の事態に直面する中にありましても、直ちに東京緊急対策二〇一一を策定し、必要な補正予算を組み、被災者、被災地への復興支援や放射能対策、東京の防災力の強化などの取り組みを迅速かつ着実に進めております。
今後とも、山積する都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいります。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、オリンピックの招致経費及び施設建設についてでございますが、限られた財源の中、招致活動を効率的、効果的に推進するのは当然のことでございます。また、施設計画に関しては、競技施設について既存施設の活用も検討してまいります。
次に、都民の声に対する考え方についてでございますが、都民の声に寄せられた意見については、真摯に受けとめるものでございますが、それらは都民からの自発的な意見を受け付けたものでございまして、いわゆる世論調査とは性格を異にするものでございます。
例えば、先般、東京新聞で発表されました日本世論調査会の調査では、オリンピックに関心のある人は七五%、東京へのオリンピック招致については、六二%の方々が賛成をしております。また、この調査によりますと、六割の方々がオリンピック開催は震災復興に役立つとしております。
次に、放射能の見通しとオリンピックへの立候補についてでございますが、我が国が東日本大震災から復興をなし遂げるためには、その目標ともなる夢や希望が必要でございます。
放射能汚染の早期収束は当然のこととして、今から九年後に当たる二〇二〇年までに、大震災から日本が立ち上がることは、被災地のみならず、すべての日本国民、そして世界じゅうが強く待ち望んでいることでございます。
そのため、都は、IOCへの申請期限である九月一日までに、オリンピックの立候補申請を行ったものでございます。
最後に、障害者スポーツ大会等に対する補助についてでございますが、都は、障害者団体にとどまらず、各種団体が主催するスポーツ大会のうち、都のスポーツ振興に資する大会等に対して、後援名義の使用承認を行い、全国レベルの大会について、施設利用の優先受け付けや一部利用料の減免を行うなど、その開催を支援しております。
〔中央卸売市場長中西充君登壇〕
〇中央卸売市場長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、液状化に関する専門家の調査についてです。
都は、地震発生後速やかに豊洲新市場予定地の現地踏査を行うとともに、技術会議の委員で、液状化や環境分野の専門家二人に噴砂の発生状況、噴出物の目視確認等を実施していただき、その後、専門家の指導のもとに噴砂の状況を的確に把握するため、発生箇所、噴砂量と面積についての詳細な現地調査を実施しました。
専門家の一人の安田委員は、国内では一九七八年の伊豆大島近海地震以来のすべての地震による液状化の調査を行っており、海外では二〇一一年ニュージーランド地震災害緊急調査団の団長として調査されるなど、日本を代表する液状化現象の権威でございます。
今回の地震により東京湾岸で発生した液状化についても、地震の翌日から広範囲の調査を実施されています。こうした高度な知見を有する専門家から、現地調査の結果に加え、今回の震災で液状化現象が発生した浦安などの東京湾岸埋立地の広範囲な調査結果や、これまで蓄積された専門的な知見に基づいて、噴砂は基本的に垂直方向の動きと考えられ、また、部分的で極めて小規模であり、工事に際して汚染状況を確認しながら対策をとれば十分対応が可能であるとの見解をいただいています。
これを踏まえ、今回契約の土壌汚染対策工事の中に噴砂への対応を盛り込み、万全を期しています。したがって、改めてボーリング調査を行う必要はないと考えます。
また、技術会議委員への日本共産党東京都議会議員団の公開質問は、液状化に関する一般的な質問と、豊洲新市場予定地における液状化と土壌汚染に関する質問に分けられます。
豊洲新市場予定地における土壌汚染対策に関する質問については、おのおのの専門家に確認の上、事業主体である都が責任を持って回答したものです。
液状化に関する一般的な質問については、この分野の専門家である安田委員の指示により、関連文献を添付して本人から直接回答していただきました。
次に、公開討論の実施についてです。
都は、新市場予定地の土壌汚染対策の策定に際して専門家会議を設置し、審議を公開し、委員と傍聴者との質疑応答の時間を設けるなど、透明性のある会議運営を行うとともに、広く意見募集を行い、その一部を報告書等や提言に反映させています。
専門家会議の提言を踏まえ設置した技術会議では、報告書を取りまとめた後、特許など保護しなければならない情報を除き、会議録、会議資料などをすべて公開しています。
さらに、東北地方太平洋沖地震に伴い発生した液状化による噴砂についても、技術会議の二人の専門家の指導に基づき、状況調査と結果や専門家の見解と対応方針を取りまとめ、ホームページで公開しました。
こうした取り組みに加え、汚染物質処理に関する現地での実験についても、その実施状況や分析結果を公開してきました。さらに、実験に関して質問などを募集し、都民や他の専門家の意見等についても丁寧に回答しています。
また、環境影響評価に係る都民意見に対しては、説明会を三回開催し、わかりやすく事業内容と環境対策を説明するとともに、疑問や質問に丁寧に答えてまいりました。
このように噴砂の状況も含めて、資料等はすべて公表し、疑問にも回答するなど、きめ細かい対応をしていることから、改めて他の専門家も加えた液状化の調査や公開討論を行う必要はないと考えています。
今後、土壌汚染対策工事を確実に実施することで、市場用地としての安全・安心を確保し、首都圏三千三百万人の食を支える新市場の整備を進めてまいります。
〔百二十七番大山とも子君登壇〕
〇百二十七番(大山とも子君) 知事に再質問します。
まず、防災についてです。
知事は、都が管理する施設の耐震化などについて、行政の責任として主体的に進めてきたと答えましたが、実態はどうでしょうか。都道にかかる橋の耐震化は、阪神・淡路大震災クラス想定のレベル二対応で、二二・二%にすぎません。
都の計画では、水道管の継ぎ手の耐震化は八年後でもまだ半数に届かず、下水道のマンホールの耐震化も全体の数%にすぎず、圧倒的に立ちおくれているではありませんか。都民には自分のことは自分でやれといいながら、みずからの責任に属することはこんなに低い水準です。知事、どう認識しているのですか、お答えください。
次に、築地市場移転予定地の液状化問題です。
都は、専門家の見解を盾に安全だといいますが、その専門家は、豊洲予定地に関するみずからの見解に対する質問に、みずから回答できないのです。中でも、土壌汚染問題の専門家とされる都の元職員の人は、みずからの研究論文すら示せません。土壌汚染対策実験の際、初期値を隠したまま、都が安全宣言を行ったときも、これを擁護し、今回も液状化で汚染が広がった可能性は否定できないと認めながら、噴砂の汚染状況すら調査しないのです。このような東京都いいなりの人物の見解を信頼しろといっても、都民は納得できません。お答えください。
五輪について、日本世論調査会の調査だけを持ち出しましたが、それですら都民の賛成は五割にとどまります。
朝日新聞の調査では、五輪開催に期待しないが八割に及びます。日経ビジネスのインターネット版読者の調査でも、七割が招致に否定的です。反対や期待しない理由は、いずれも経済的負担が大きい、被災地の復興が最優先など共通しています。この結果を知事はどう受けとめていますか。
以上三点、知事、はっきり答えてください。(拍手)
〔総務局長笠井謙一君登壇〕
〇総務局長(笠井謙一君) これまで都は、震災に備えまして、さまざまな施設の耐震化や水門、防潮堤の整備など、また、さらには災害時の物流の動脈として機能する三環状道路を初めとするいろいろな施設について、耐震性の準備をしてまいりました。まさにこれは行政の責任として主体的に進めてきたわけでございます。
今後も、自助、共助、公助のバランスのとれた現実の教訓に立脚した防災対策を講じてまいります。
〔中央卸売市場長中西充君登壇〕
〇中央卸売市場長(中西充君) 液状化に関する専門家についてのご質問でございますが、二人の委員のうち、先ほど申し上げました安田委員は、液状化など土木工学に関する専門家、長谷川委員は、環境分野の専門家でございます。
長谷川委員にいただいたご質問の中には、豊洲新市場予定地に関する質問と委員自身の研究実績に関するもののほかに、一部で専門外でございます液状化のメカニズムに関するものも含まれておりました。
したがいまして、この領域については、この分野の専門家でございます安田委員からお答えいただいたものでございます。
なお、長谷川委員の研究実績については、委員にお話を伺い、都の回答に含めてお答えをいたしました。無責任という指摘は当たらないと考えます。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
〇スポーツ振興局長(細井優君) 震災復興の目標ともなる二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催は、国民が一つにもなれる夢でもあり、日本再生の原動力にもなるものであると考えます。
さまざまな意見もありますが、オールジャパンで招致をかち取るため、その意義や理念を、今後とも国内外に幅広く訴えていきたいと思っております。
〇七十四番(西岡真一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(和田宗春君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後八時五十一分散会
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