一番 | 小林 健二君 |
二番 | 加藤 雅之君 |
三番 | 吉住 健一君 |
四番 | 桜井 浩之君 |
五番 | 山崎 一輝君 |
六番 | 野田かずさ君 |
七番 | 福士 敬子君 |
九番 | 山内れい子君 |
十番 | くりした善行君 |
十一番 | 小山くにひこ君 |
十二番 | 西沢けいた君 |
十三番 | 田中 健君 |
十四番 | 関口 太一君 |
十五番 | 畔上三和子君 |
十六番 | 斉藤やすひろ君 |
十七番 | 栗林のり子君 |
十八番 | 遠藤 守君 |
十九番 | 大松あきら君 |
二十番 | 鈴木 章浩君 |
二十一番 | 菅 東一君 |
二十二番 | きたしろ勝彦君 |
二十三番 | 田中たけし君 |
二十四番 | 鈴木 隆道君 |
二十五番 | 星 ひろ子君 |
二十六番 | 柳ヶ瀬裕文君 |
二十七番 | 淺野 克彦君 |
二十八番 | 新井ともはる君 |
二十九番 | 佐藤 由美君 |
三十番 | 中村ひろし君 |
三十一番 | たきぐち学君 |
三十二番 | 田の上いくこ君 |
三十三番 | 島田 幸成君 |
三十四番 | しのづか元君 |
三十五番 | 大島よしえ君 |
三十六番 | 中山 信行君 |
三十七番 | 高倉 良生君 |
三十八番 | 橘 正剛君 |
三十九番 | 松葉多美子君 |
四十番 | 神林 茂君 |
四十一番 | 早坂 義弘君 |
四十二番 | 高木 けい君 |
四十三番 | 宇田川聡史君 |
四十四番 | 鈴木あきまさ君 |
四十五番 | 矢島 千秋君 |
四十六番 | 山加 朱美君 |
四十七番 | 西崎 光子君 |
四十八番 | 滝沢 景一君 |
四十九番 | 中谷 祐二君 |
五十番 | 笹本ひさし君 |
五十一番 | 山下ようこ君 |
五十二番 | 神野 吉弘君 |
五十三番 | 鈴木 勝博君 |
五十四番 | 興津 秀憲君 |
五十五番 | 岡田眞理子君 |
五十六番 | 伊藤 ゆう君 |
五十七番 | 古館 和憲君 |
五十八番 | かち佳代子君 |
五十九番 | 伊藤 興一君 |
六十番 | 吉倉 正美君 |
六十一番 | 上野 和彦君 |
六十二番 | 谷村 孝彦君 |
六十三番 | 野上 純子君 |
六十四番 | 吉原 修君 |
六十五番 | 山田 忠昭君 |
六十六番 | 三宅 正彦君 |
六十七番 | 石森たかゆき君 |
六十八番 | 高橋 信博君 |
六十九番 | 服部ゆくお君 |
七十番 | こいそ 明君 |
七十一番 | 原田 大君 |
七十二番 | 佐藤 広典君 |
七十三番 | 尾崎 大介君 |
七十四番 | 伊藤まさき君 |
七十五番 | 山口 拓君 |
七十六番 | 松下 玲子君 |
七十七番 | 野上ゆきえ君 |
七十八番 | 西岡真一郎君 |
七十九番 | 今村 るか君 |
八十番 | 吉田康一郎君 |
八十一番 | たぞえ民夫君 |
八十二番 | 清水ひで子君 |
八十三番 | 小磯 善彦君 |
八十四番 | 長橋 桂一君 |
八十五番 | 藤井 一君 |
八十六番 | ともとし春久君 |
八十七番 | 遠藤 衛君 |
八十八番 | 三原まさつぐ君 |
八十九番 | 中屋 文孝君 |
九十番 | 村上 英子君 |
九十一番 | 林田 武君 |
九十二番 | 田島 和明君 |
九十三番 | 樺山たかし君 |
九十四番 | 古賀 俊昭君 |
九十五番 | くまき美奈子君 |
九十六番 | 大西さとる君 |
九十七番 | いのつめまさみ君 |
九十八番 | 門脇ふみよし君 |
九十九番 | 小沢 昌也君 |
百番 | 石毛しげる君 |
百一番 | 花輪ともふみ君 |
百二番 | 大津 浩子君 |
百三番 | 大塚たかあき君 |
百四番 | 相川 博君 |
百五番 | 大山とも子君 |
百六番 | 鈴木貫太郎君 |
百七番 | 東村 邦浩君 |
百八番 | 中嶋 義雄君 |
百九番 | 木内 良明君 |
百十番 | 川井しげお君 |
百十一番 | 高橋かずみ君 |
百十二番 | 野島 善司君 |
百十三番 | 三宅 茂樹君 |
百十四番 | 吉野 利明君 |
百十五番 | 宮崎 章君 |
百十六番 | 比留間敏夫君 |
百十八番 | 斉藤あつし君 |
百十九番 | 増子 博樹君 |
百二十番 | 泉谷つよし君 |
百二十一番 | 山下 太郎君 |
百二十二番 | 酒井 大史君 |
百二十三番 | 大沢 昇君 |
百二十四番 | 中村 明彦君 |
百二十五番 | 馬場 裕子君 |
百二十六番 | 和田 宗春君 |
百二十七番 | 吉田 信夫君 |
欠席議員 一名
八番 土屋たかゆき君
欠員
百十七番
知事 | 石原慎太郎君 |
副知事 | 佐藤 広君 |
副知事 | 猪瀬 直樹君 |
副知事 | 吉川 和夫君 |
副知事 | 村山 寛司君 |
教育長 | 大原 正行君 |
東京都技監都市整備局長兼務 | 河島 均君 |
知事本局長 | 秋山 俊行君 |
総務局長 | 比留間英人君 |
財務局長 | 安藤 立美君 |
警視総監 | 池田 克彦君 |
主税局長 | 荒川 満君 |
生活文化局長 | 並木 一夫君 |
スポーツ振興局長 | 笠井 謙一君 |
環境局長 | 大野 輝之君 |
福祉保健局長 | 杉村 栄一君 |
産業労働局長 | 前田 信弘君 |
建設局長 | 村尾 公一君 |
港湾局長 | 中井 敬三君 |
会計管理局長 | 新田 洋平君 |
消防総監 | 新井 雄治君 |
交通局長 | 金子正一郎君 |
水道局長 | 尾崎 勝君 |
下水道局長 | 松田 二郎君 |
青少年・治安対策本部長 | 倉田 潤君 |
病院経営本部長 | 川澄 俊文君 |
中央卸売市場長 | 岡田 至君 |
選挙管理委員会事務局長 | 宮川 雄司君 |
人事委員会事務局長 | 多羅尾光睦君 |
労働委員会事務局長 | 山本 洋一君 |
監査事務局長 | 三橋 昇君 |
収用委員会事務局長 | 藤井 芳弘君 |
二月十七日議事日程第四号
第一 第一号議案
平成二十三年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十三年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十三年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十三年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十三年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十三年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十三年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十三年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十三年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十三年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十三年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十三年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十三年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十三年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十三年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十三年度東京都病院会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十三年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十三年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十三年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十三年度東京都港湾事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十三年度東京都交通事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十三年度東京都高速電車事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十三年度東京都電気事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十三年度東京都水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十三年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
平成二十三年度東京都下水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第三十号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都固定資産評価審査委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
東京都固定資産評価員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
東京都新しい公共支援基金条例
第四十七 第四十七号議案
保険業法に基づく特定保険業の認可審査に係る手数料に関する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都消費者行政活性化基金条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
東京文化会館及び東京芸術劇場条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
東京都地域自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
東京都妊婦健康診査支援基金条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例
第六十三 第六十三号議案
医学系総合研究所の助成等に関する条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都国民健康保険広域化等支援基金条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都認定こども園の認定基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
東京都婦人保護施設条例を廃止する条例
第六十九 第六十九号議案
東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都中山間地域等農業活性化支援基金条例を廃止する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都立公園条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
東京都暴力団排除条例
第八十三 第八十三号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
都立板橋学園特別支援学校(仮称)(二十二)改築工事請負契約
第八十六 第八十六号議案
東京芸術劇場(二十二)改修工事請負契約
第八十七 第八十七号議案
東京消防庁金町消防署庁舎(二十二)新築工事請負契約
第八十八 第八十八号議案
中央環状品川線南品川換気所建築工事請負契約
第八十九 第八十九号議案
東京芸術劇場(二十二)改修電気設備工事請負契約
第九十 第九十号議案
東京芸術劇場(二十二)改修空調設備工事請負契約
第九十一 第九十一号議案
警視庁鮫洲運転免許試験場庁舎棟(二十二)改築空調設備工事請負契約
第九十二 第九十二号議案
白子川地下調節池工事(その五)請負契約
第九十三 第九十三号議案
環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十二 一─環二汐留工区)請負契約
第九十四 第九十四号議案
古川地下調節池取水施設工事請負契約
第九十五 第九十五号議案
包括外部監査契約の締結について
第九十六 第九十六号議案
公立大学法人首都大学東京が徴収する料金の上限の認可について
第九十七 第九十七号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター定款の変更について
第九十八 第九十八号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターが徴収する料金の上限の認可について
第九十九 第九十九号議案
平成二十三年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百 第百号議案
平成二十二年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百一 第百一号議案
平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第百二 第百二号議案
平成二十二年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百三 第百三号議案
平成二十二年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百四 第百四号議案
平成二十二年度東京都母子福祉貸付資金会計補正予算(第一号)
第百五 第百五号議案
平成二十二年度東京都農業改良資金助成会計補正予算(第一号)
第百六 第百六号議案
東京都廃棄物条例の一部を改正する条例
議事日程第四号追加の一
第一 東京都収用委員会委員の任命の同意について(二二財主議第五二九号)
第二 東京都収用委員会委員の任命の同意について(二二財主議第五三〇号)
第三 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(二二財主議第五三一号)
午後一時開議
〇議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(和田宗春君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(和田宗春君) 次に、日程の追加について申し上げます。
知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件二件が提出されました。
これらを本日の日程に追加いたします。
〇議長(和田宗春君) 昨日に引き続き質問を行います。
七十六番松下玲子さん。
〔七十六番松下玲子君登壇〕
〇七十六番(松下玲子君) 公共交通の安全対策として、また、だれもが安全で安心して鉄道を利用するために、ホームからの転落事故を防止することは非常に重要であると考えますが、私の地元を東西に走るJR中央線ではまだ実現されておらず、安全対策は十分とはいえません。
平成十八年度の予算特別委員会で、私は、鉄道自殺防止の観点からホームドアの整備促進について質問をし、さまざまな提案を行いました。その後の平成十八年十二月に都が策定した「十年後の東京」計画では、ホームドア、ホームさく、転落探知マット等を都内すべての駅に設置し、ホームからの転落事故を防止すると取り上げられました。
平成二十二年度の予算特別委員会でも同様に取り上げ、JR及び私鉄のホームドア整備を進めるべきであると質問し、都が補助を行うことも提案いたしましたので、平成二十三年度予算案に、初めて都のホームドアに対する補助が計上されたことは、提案し続けてきた立場としても一定の評価をいたします。
昨年からの進捗状況も確認したいので、現在の都内の地下鉄駅とJR及び私鉄の駅でのホームドア等の整備状況について、実数と割合について伺います。
つい先月、JR目白駅でホームから転落した視覚障害の方が亡くなるという痛ましい事故が起こりました。また、私が日々利用している中央線でも、人身事故による不通がしばし起きています。
国土交通省の発表によると、都内における駅ホームでの事故と自殺の件数、おのおのの死亡者の数は、平成十七年と二十一年を比較しても、ホームからの転落事故死亡者は二倍の二十二人、自殺による死亡者も約一・五倍、百十八人という数です。ホームの安全対策を行い、都民の命を守ることは東京都の緊急課題であると考えます。
これまで、都がホームドアの整備費補助を民間の鉄道事業者に行ったことはなく、全く初めての事業であるホームさく等整備促進事業が計画され、二十三年度予算案に計上されています。この事業の目的と補助の仕組みについて伺います。あわせて、対象駅とその選定理由についても伺います。
試行事業として位置づけられていますが、今後どの駅に実施するのか、乗降客数やこれまでの事故の現状も踏まえて、駅や路線の優先度を定めて、計画的に継続して取り組んでいただきたいと要望します。
また、先月の事故の後、国交省は調査や会議を行いました。鉄道事業者とともに検討会議を設け、第一回の会合も行われています。
こうした国の動向もしっかりと把握した上で、都として整備に取り組んでいただき、計画を進めるためには、可動式ホームさくやホームドアと、ばらばらな名称を統一する必要があると考えます。物事を進めていく上で、だれもが同じ名称を使うことは重要であると考えます。可動式階段というよりもエスカレーターといえば、だれもが同じものを思い浮かべることができるはずです。可動式ホームさくではわかりにくい面もあるので、ホームドアと名称を統一することを提案いたします。
私は、都民の命と移動を守る安全対策として、ホームドアの整備を促進するべきと六年前から提案し続けてきました。一たび人身事故が起きた場合は大切な命が失われます。かつ都民生活に与える損害は甚大です。通勤や通学に鉄道を利用している人たちは、大都市特有の問題、満員電車にも苦しんでいるのです。さらに人身事故による鉄道の不通では、我慢が限界であると考えます。今後、補助事業が拡大継続し、都内すべての駅、ホームに安全対策が実現することを強く要望し、次に、連続立体交差事業に関して伺います。
昨年十二月、JR中央線の三鷹─立川間のすべての高架化が完成しました。長年の悲願である踏切がなくなった現在、次は周辺の道路整備や高架下のまちづくり等、中央線の連続立体交差事業の最終段階にも入っているといえます。
地元からは、高架下の利用に関してさまざまな意見が出ておりますが、中でも駐輪場の設置希望が高く、高架下利用への期待も高まっています。
かつて環境・建設委員会で、高架下利用における地元市との調整について伺いましたが、改めて、JR中央線三鷹─国分寺間の高架下利用の現状と今後の取り組みについて伺います。
次いで、外かく環状道路地上部街路、外環ノ2について伺います。
昨年の予算特別委員会で質疑した際には、外環ノ2については調査中とのことでした。そして、その成果を示して地元に説明をするといった答弁でした。外環ノ2に関してこれまでどのような調査を行ったのか、そして調査結果はどうだったのか、お答えください。
先日、都は、外環予定地近くの都道である武蔵野三・四・一一号線、通称女子大通りで交通量調査を行いました。歩行者や自転車も調査対象となっているようですが、この調査の目的と、どういった利用をするのか伺います。
女子大通りは歩道がとても狭く、拡幅予定もある概成道路です。平成二十一年四月に公表された対応の方針におきまして、外環ノ2の検討に際し、女子大通りなどの拡幅を含め、周辺道路の整備のあり方について検討することと書かれています。優先整備路線として位置づけることを含め、調査結果を利用する際には、女子大通りを今後どうするのかといった視点で用いていただきたいと要望します。
東京都が実施している武蔵野市における外環ノ2の話し合いの会が先月行われ、私も傍聴いたしました。その中で、これまで廃止された都市計画道路について、話し合いの会の参加者からの質問を受けて説明が行われました。廃止された都市計画道路の名称や場所、廃止理由や代替機能を確保したかどうかお答えください。
外かく環状道路地上部街路、外環ノ2の計画決定は昭和四十一年です。予定地は現道のない閑静な住宅街であり、外環本線が地下化に決定した後、地上部の都市計画道路がどうなるのかいまだ明確になっておらず、地域住民の不安は払拭されていません。
また、昨年末には武蔵野市議会で、外環及び外環ノ2に関する意見書が全会一致で可決されています。話し合いの会が持たれていることに一定の評価は示すものの、外環ノ2に全面廃止案を加え、正確な情報の公開とともに、引き続き地元住民、自治体との協議、対話を重視し、解決に努めることが東京都に要望されました。
決定から四十四年、制限がかかっている中で暮らし、いつか道路になるかもしれないと住民は不安を抱え生活をしています。沿線住民の安全を確保するため、外環ノ2の全面廃止を含めた見直しを早急に行うべきであると要望します。
緊急輸送道路の耐震化に関して、新規の条例案が提案されています。法律を上回り、民間の建物の耐震化を義務づける条例案は全国でも初めてです。また、本条例案では、緊急輸送道路約二千キロメートルのうち、特に沿道の建築物の耐震化を推進する道路を特定緊急輸送道路に指定し、その沿道の建築物を対象とすることになっています。
特定緊急輸送道路をどのようにいつ決定するのか、決定方法とプロセスについて伺います。
また、仮に、この特定緊急輸送道路が未完成の都市計画道路だった場合には、その沿道の建築物で耐震診断を実施し、耐震性が不足すると判定されても、耐震改修助成が手厚くされる期限となっている平成二十七年度までに建てかえができないようなケースが発生する可能性があります。そこで、特定緊急輸送道路の指定と都市計画道路の整備方針との関係をどのように考えているのか、見解を伺います。
特定道路に指定されるか否かで、耐震化の所有者負担が大きく異なるため、税金で対象建物の耐震化を進める上では、その必要性や意義について広く都民に理解してもらう必要があります。
さらに、新たな規制を進めていく上で、建物所有者に対しては、地元区市と東京都が一体となって個別訪問や説明会を実施するなど、より丁寧な取り組みが重要となってくると考えられます。新たな条例に基づく施策の普及啓発をどのように行うのか伺います。
公益的な視点から、補助を手厚くするとはいえ、特定緊急輸送道路の地上に建物を有する民間に耐震診断を義務づけ、耐震改修を促す以上、同じ道路の地下部、上下水道管の耐震改修も公の責務として早急に進めなければならないと考えます。
「十年後の東京」実行プログラム二〇一一には、下水道設備の耐震化が今年度末に完成予定と書かれています。災害時の水の重要性は、阪神・淡路大震災等過去の経緯からも明らかでありますが、給水面のみならず、緊急輸送道路として機能するかどうかといった視点からも、水道管の耐震化は重要であると考えますが、見解を伺います。
子育て支援について伺います。
ちょうど今は、認可保育所の申込結果が各自治体で発表となる時期です。結果を心待ちにしつつも入園希望がかなわず、子どもをどこに預けるか悩み苦しんでしまう可能性もあり、結果を待つご両親の気持ちを察し、同じく子どもを育て働く一人の母親として、待機児童解消に向けた対策をよりスピードを上げて進めなければならないと考えます。
待機児童解消に認証保育所も一定の役割を果たしていることは認めますが、根本的な問題の解決には認可保育所の増設や定員増が欠かせません。
安心こども基金の効果もあり、平成二十二年は認可保育所の運営を目的とする社会福祉法人の設立件数がふえているようです。平成二十一年度と二十二年度の認可保育所関係の社会福祉法人設立数と、その法人が運営する保育所の定員をお答えください。
社会福祉法人は、社会福祉事業を行うために必要な資産を備えなければならず、施設の用に供する不動産は基本財産としなければなりません。当然、新たに社会福祉法人を設立する際の審査に基本財産は必須です。基本財産をどのように整えるかはケース・バイ・ケース、土地がだれの所有だったかで異なりはしますが、例えば会社所有だった場合に、共同募金会の受配者指定寄附金制度を活用することで、寄附者企業の税制上の優遇措置もあります。こうした制度があることも含めて、社会福祉法人設立時にも情報提供するべきと考えますが、見解を伺います。
最後に、青少年健全育成について伺います。
私たち都議会民主党は、昨年十二月再提出された青少年健全育成条例案に関して、委員会や本会議での質疑、部会や総会での議論を尽くした結果、付帯決議を付し条例案に賛成しました。
条例改定の付帯決議を尊重し、条例の運用のあり方、青少年健全育成審議会のあり方を見直す必要があると考えます。つまり、打合会や審議会の実態を明らかにし、都民への情報公開を積極的に行うべきと考え、以下質問いたします。
改定青少年健全育成条例の施行までの間に、審議会の前段階でもある諮問候補図書に関する打合会の位置づけを明確化するなど、青少年健全育成審議会及び打合会の運用を改善する必要があると考えますが、どのように取り組んでいるのか伺います。
また、青少年健全育成審議会における諮問図書の審議に際しては、作家や漫画家、創作者等の意見を聞くべきであるとの意見があります。これについて、都は、青少年健全育成条例第二十条の二にも明記されている専門委員制度の活用を出版業界に提案しているようですが、専門委員の位置づけや人選、何人選定できるかなどを含め、専門委員についての都の見解を伺います。
青少年健全育成審議会運営要領には、審議会は公開で行うものとする、ただし、審議会の決定により非公開とすることができると書かれており、審議会は公開が原則であり、委員の決定によって例外的に非公開とできるとされているにもかかわらず、現状は長年非公開ですが、それはなぜでしょうか。運営要領どおりに審議会は公開で行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
付帯決議の趣旨を十分に踏まえて、関係者と真摯な議論を行い、運用に努めていただきたいと強く要望し、私の質問を終わります。(拍手)
〔東京都技監河島均君登壇〕
〇東京都技監(河島均君) 松下玲子議員の一般質問にお答えいたします。
八点のご質問にお答えいたします。
まず、都内の駅におけるホームドア等の整備状況についてでございますが、今年度末見込みで、地下鉄駅におきましては、六路線八十六駅でホームドア等が整備され、総駅数二百三十一駅に占める割合は約三七%でございます。また、JR東日本及び私鉄駅では、七路線六十五駅で整備され、総駅数四百八十七駅に占める割合は約一三%でございます。
次に、ホームさく等整備促進事業についてでございますが、駅のホームにおける安全対策は、これは転落事故に対するものも含めまして、本来鉄道事業者がみずからの責任で取り組むことが基本でございます。
既存駅における可動式ホームさくの設置につきましては、車両扉の位置の異なる列車への対応やホーム幅の減少、停車時間の増大による輸送力の低下、さらには膨大な投資費用などの課題があり、なかなか整備が進んでいないのが現状でございます。
事故が繰り返され、社会的要請も強いこともございまして、整備に慎重な鉄道事業者の積極的な取り組みを促すために、都は来年度から、既に報道されておりますが、小田急線新宿駅、京王線新宿駅及び東急大井町線大井町駅の三駅におきまして、ホームさく設置費に対する補助を試行的に実施し、ホームさく等の整備を進める上での課題を検討することといたしました。
これらの駅は、大規模な駅改良を伴わず早期整備が可能であるとともに、乗降客数が多くホーム上での混雑があるなど、先ほど述べました課題の検討に適していることから、鉄道事業者や地元区と協議して選定をいたしたものでございます。
本事業は、ホームさく設置に係る経費のうち、国が三分の一、都と区でそれぞれ六分の一ずつを補助する予定でございます。
次に、外環ノ2に関する調査についてでございますが、外環ノ2は、昭和四十一年に目白通りから東八道路までの区間が、外環の地上部街路として都市計画決定されました。
外環ノ2については、環境、防災、交通、暮らしという四つの視点で、その必要性やあり方などの検討を進めることとしておりまして、この検討に必要な基礎的なデータを得るために調査を行っております。
これまでの調査では、外環ノ2の周辺道路の交通量などの現況を把握するとともに、外環ノ2を整備した場合及び整備しない場合における、周辺道路の将来交通量の変化を推計いたしました。また、外環ノ2を整備した場合の交通の円滑化による環境改善や、消防活動困難区域の縮小などの整備効果についても取りまとめております。
これらの関係資料につきましては、昨年十一月開催されました練馬区における話し合いの会で公表しており、今後武蔵野市における話し合いの会でも公表する予定でございます。
次に、女子大通りの交通量調査についてでございますが、武蔵野三・四・一一号線、通称女子大通りは、八メートル以上の現道がある都市計画道路、いわゆる概成の道路でありまして、平成二十七年度までに優先的に整備すべき路線には選定されておりません。
お話のとおり、都は平成二十一年四月に公表した対応の方針において、女子大通りの拡幅を含め周辺道路の整備のあり方について検討し、必要な対策を進めるよう努めることとしております。この検討に必要な資料を収集するため、本年二月に、女子大通りの歩行者、自転車及び自動車の詳細な交通量調査を実施いたしました。今後、この調査結果と沿線地域の将来交通量推計などを踏まえ、女子大通りなど周辺道路の整備のあり方について検討を進めてまいります。
次に、廃止された都市計画道路についてでございますが、武蔵野市における外環ノ2の話し合いの会において、都市計画道路を廃止した事例として、補助線街路第一八三号線について説明を行いました。
本路線は荒川区東日暮里四丁目を起点とし、台東区下谷三丁目までの延長約七百メートルが計画されておりましたが、昭和五十六年の東京都市計画道路の再検討の結果、全線が廃止された唯一の道路でございます。
この再検討は都市防災の強化、都市機能の確保、地域環境の保全、都市空間の確保といった四つの基本目標に照らし、既定の都市計画道路のネットワーク等について行われました。
本路線につきましては、当時の資料によりますと、震災復興事業及び戦災復興事業により、既に周辺の都市基盤整備が進んでいたこと及び交通処理や道路網の構成上、必要性が認められないことを理由として廃止がなされております。すなわち、この道路を廃止しても、周辺の道路網により、廃止される道路の機能を担えるとの結論に至ったと考えられます。
次に、特定緊急輸送道路の決定方法等についてでございますが、大地震から都民の生命と財産を守り、首都機能の低下を防ぐためには、震災時の広域的な救援活動や、復旧、復興の大動脈となる緊急輸送道路を早期に確保する必要があります。そこで、緊急輸送道路のうち、主要な防災拠点を結ぶなど、集中的に取り組む必要のある特に重要な道路を特定緊急輸送道路として、本年六月ごろを目途に指定してまいります。指定に当たっては、区市町村の意見を聞くとともに関係機関と調整を行い、地域防災計画等との整合を図ってまいります。
次に、特定緊急輸送道路の指定と都市計画道路の整備方針との関係についてでございますが、特定緊急輸送道路は、既に指定されている緊急輸送道路のうち、主要な防災拠点を結ぶなど、特に重要な道路を指定するものでございます。一方、都市計画道路は、人や物の円滑な移動を確保するとともに、防災性の向上や良好な都市空間の形成を図る上で不可欠な都市基盤でありまして、整備方針を策定し、道路ネットワークの形成を計画的に進めております。
こうしたことから、特定緊急輸送道路として指定される路線には、都市計画道路の幅員の一部が未整備となっている、いわゆる概成区間も含まれる可能性があり、拡幅予定の都市計画道路区域内に対象建築物が存在することも想定されます。
しかしながら、本条例の対象となる建築物は、新耐震基準が適用された昭和五十六年以前の建築物であり、その当時、都市計画道路の区域内の建築物は、原則として二階までに制限されておりました。
したがって、今回の条例案により耐震診断が義務づけられる、道路幅員の二分の一以上の高さの建築物が、都市計画道路の区域内に存在することは極めて少ないと考えております。仮にこうした建築物があった場合には、条例に基づき適切に対応してまいります。
最後に、新たな条例案に基づく施策の普及啓発についてでございますが、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に当たっては、広く都民が関心を持ち、社会全体で機運を高めていくことが重要であります。このため、条例の施行に合わせ、「広報東京都」などさまざまな媒体を活用した情報提供や、耐震キャンペーンの開催等を通じた普及啓発を効果的に実施してまいります。
また、所有者に対しましては、地元区市とともに従来から行ってきた個別訪問や説明会の場を活用するなど、条例の内容や支援策について十分周知するとともに、所有者が安心して耐震診断や改修に取り組めるよう、診断技術者や改修工法の紹介、相談への対応などの技術的支援を行い、所有者の積極的な取り組みを促してまいります。
〔建設局長村尾公一君登壇〕
〇建設局長(村尾公一君) JR中央線連続立体交差事業の高架下利用についてでございますが、本事業により新たに創出される高架下の空間は、地域のまちづくりの視点からも有効に活用することが重要であります。
このため、都は平成十六年度に、沿線六市及び鉄道事業者と高架下利用検討会を設置し、まちづくりとの整合や地元要望を総合的に勘案しながら主体的に調整を進めております。
お尋ねの三鷹駅から国分寺駅までの区間では、平成二十二年三月に、区域ごとの利用に関する基本方針を取りまとめ、現在、この方針に基づいて、地元市や鉄道事業者が施設の内容、規模、配置などの具体的な検討を進めております。
今後、これらの結果を踏まえ、検討会において、地域のまちづくりに資する利用計画を、都が調整役となり策定してまいります。
〔水道局長尾崎勝君登壇〕
〇水道局長(尾崎勝君) 緊急輸送道路における水道管の耐震化についてでございますが、当局では管路の取りかえを計画的に実施してきており、靱性や強度にすぐれたダクタイル鋳鉄管などへの取りかえをほぼ完了しております。
平成七年の阪神・淡路大震災において、管路継ぎ手部の抜け出しによる断水被害が多発したことから、平成十年度から、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への全面的な取りかえを進めております。
さらに、このような取り組みに加え、今年度から、地震による断水被害の縮小と復旧日数の短縮を目的とし、管路の取りかえを大幅に前倒しする水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業に取り組んでおり、緊急輸送道路における水道管路の耐震化についても、この事業において早急に実施してまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 子育て支援についての二点のご質問についてお答え申し上げます。
まず、社会福祉法人の設立数についてでございますが、新たに設立された社会福祉法人のうち、認可保育所を運営する法人数とその保育所定員でございますが、平成二十一年度は四法人三百五十人、平成二十二年度は十法人七百八十五人の見込みでございます。
次に、社会福祉法人設立時の情報提供についてでございますが、都は、社会福祉法人の設立を考えている方を対象に説明会を開催しておりまして、社会福祉法人設立の手引を用いて、法人設立に必要な要件や手続を説明いたしております。
その際、社会福祉法人への寄附に関する税制上の特例措置につきましても、租税特別措置法に定める非課税承認制度を紹介し、詳細は税務署に問い合わせるよう助言をいたしております。今後、手引をさらに充実し、より丁寧な情報提供に努めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕
〇青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、改正青少年健全育成条例の施行に向けた取り組みについてでございます。
都は、条例の規定に基づき、不健全図書として指定しようとする個別の図書類について、青少年健全育成審議会の意見を聞くときは、必要に応じ自主規制団体に意見を聞くこととなっております。このため、都は、出版関係の自主規制団体から成る諮問候補図書に関する打合会を設けておりますが、この会における意見の聴取は審議会への諮問を前提としたものであり、聴取した意見はその理由も含め、すべて審議会の諮問時に全委員に提示し、その判断の参考とされているものでございます。
改正条例には付帯決議が付されており、その趣旨を踏まえ、審議会の運用について審議会委員や自主規制団体等と具体的な議論を開始したところであり、あわせて打合会の運用のあり方についても議論を進めることといたしております。
次に、専門委員についてでございます。
青少年健全育成条例は、専門の事項を調査するため必要があるときは、審議会に専門委員を置くことができると規定しております。
都は付帯決議の趣旨を踏まえ、審議会における審議に際し、専門委員として漫画に見識のある方に諮問図書に関する意見を表明してもらうこと、その人選については、漫画家団体または出版関係自主規制団体の推薦を踏まえて決定することについて、審議会委員や自主規制団体等に提示し、意見を聞いているところでございます。また、運用の詳細などについても、十分に意見交換を行いながら検討してまいります。
次に、青少年健全育成審議会の公開についてでございますが、審議会運営要領により、審議会は公開で行うものとする、ただし、審議会の決定により非公開とすることができるとされております。
昨年十月からの第二十四期の審議会におきましては、諮問図書類を個別具体的に審議するに当たり、委員が自由に発言できる環境が必要であること、非公開にした場合においても、会議の結果及び会議録は公開とされていることなどを踏まえ、審議会の全会一致で非公開と決定されたものでございます。
公開を含めた審議会の、より一層の透明性の確保のための方策につきましては、現在、さまざまな観点から審議会の委員の間でご議論をいただいているところでございます。
〇議長(和田宗春君) 九十九番小沢昌也君。
〔九十九番小沢昌也君登壇〕
〇九十九番(小沢昌也君) 初めに、住宅省エネ化について伺います。
都は平成三十二年までに、平成十二年比二五%の二酸化炭素排出量削減を目標としていますが、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一では、住宅の省エネ化の推進として、冷暖房用途に起因するエネルギー使用量を減らし、二酸化炭素排出量を削減するため、専門家を家庭に派遣し、住宅の断熱化等の改修を支援するとともに、講習会等による普及と改修業者の育成をうたっています。
一方、平成十九年三月に改定された第四次となる東京都住宅マスタープランでは、新築住宅について、次世代省エネ基準達成率を平成二十七年度までに六五%とすること、また、既存住宅を含む全住宅ストックについては、一定の省エネ基準対策を講じた住宅ストックの比率を平成二十七年度までに四〇%とすることを、それぞれ政策指標として定めています。
しかし、これらはあくまで住宅の供給量に関する指標にすぎず、これらの目標を達成することによってどれだけの省エネルギー化や二酸化炭素削減が図られるのか、具体的に示されていないのが現状です。
これに対し欧州では、一九八七年より建築物に関する省エネ化の取り組みが始まり、EU加盟国が野心的な目標を作成して、各国で規制を設置するよう努めてきています。
フランスの取り組みを例に挙げますと、二〇〇九年及び二〇一〇年に新たな法律が制定され、新築、既存を問わず、建物のエネルギー消費削減に関して、まず建築許可や工事の申告など、総合的な規制を制定、続いて具体的な個別規制が制定され、建築業界に義務が課せられました。
RT二〇一二基準と呼ばれるこの基準は、フランス国内に新築されるすべての建物に、二〇一三年一月一日から適用が開始されます。具体的には、住宅の単位一次エネルギーを二〇二〇年までに一九九〇年比三八%削減、二〇五〇年までに七五%削減するというものであります。この目標を達成するためには、既存建築物に対する規制が不可欠なことから、フランス政府は二〇二〇年までに、環境性能が悪い公共住宅を八十万戸、その他の住宅を四十万戸改修することを政府の公約としています。
日本とフランスでは、気候風土や既存建築物の状況、習慣の違いもあり、一概に比較できるものではありませんが、フランスが掲げている省エネ目標の高さと実現に向けて取り組んでいる現実に、我が国と比較して、環境に対する取り組み姿勢の違いを強く感じます。
我が国は、空調設備や給湯設備、家電など、機器類の省エネ化は年々進歩しておりますが、住宅自体に対する断熱を初めとするエネルギーを逃がさないという対策については、大きくおくれをとっているものといえるでしょう。また、都内の二酸化炭素排出量は、全体としては平成十二年比で減少してはいますが、家庭部門では増加しているという現実があります。
都は、住宅省エネ化政策として、断熱性能、機密性能、換気性能、日射遮へい性能などの性能が高い住宅供給をさらに積極的に推し進めると同時に、既存住宅の省エネ改修を図っていくべきであると考えます。
また、住宅マスタープランにおける政策指標を達成することによって、どれだけの省エネ化、二酸化炭素削減が図れるのかを、せめて所管局が把握できるように努めていただきたいと強く要望をいたします。
その上でまず、第四次東京都住宅マスタープランを設定してから五年が経過し、見直しの節目に当たりますが、新築住宅及び全住宅ストックにおける住宅の省エネ化目標に対する達成状況と今後の取り組みについて伺います。
住宅の省エネ化を推進するためには、民間の取り組みとともに、公共住宅から率先して省エネ対策に取り組むことが重要であります。
都内には二十六万戸の都営住宅があり、毎年三千戸を超える建てかえが行われています。この都営住宅の省エネ対策を促進していくことは、都が推し進めていく環境対策の上で意義あることと考えます。
都営住宅においては、平成二十年に断熱対策の見直しを行っている旨お聞きしておりますが、都は、都営住宅の建てかえに際し、省エネ化対策を初めとする環境対策にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
私は、住宅を初めとする建築物の省エネ化政策に実効性を与えるためには、法的規制と経済的インセンティブを付与することが有効であると考えております。一方、自治体においては、公共建築物に対しての省エネ化を、法的規制の有無にかかわらず積極的に展開すべきと思います。
都営住宅は、一度建設すると五十年から七十年使い続けることになります。例えば、現行の断熱基準を次世代省エネ基準にレベルアップした場合、初期の投資コストは高くなりますが、耐用年数を分母に置いて長期的な環境対策という視点で考察すれば、それが決して過剰な投資にはならないことが導き出されると考えます。
住宅省エネ基準のさらなるレベルアップを積極的に展開することを要望し、次の質問に入ります。
伝統工芸など伝統技術、伝統文化の振興について伺います。
私の地元墨田区は、繊維や機械金属、ガラス加工など、製造業が集積する都内でも有数のものづくり産業の拠点となっていますが、それに加えて、江戸時代から歴史と伝統を誇る工芸品の生産地域としても知られています。
墨田区の伝統工芸品は、ガラス工芸の江戸切り子や、みこしの金具などの飾り彫刻金具、べっこう工芸を初め、季節の節目を飾る縁起物として有名な江戸押し絵羽子板のようなものまで、幅広い製品がつくられています。特に、押し絵羽子板は各地の羽子板市に出品されて、その制作を長年にわたり続けてこられた西山鴻月さんは名誉都民にもなられています。
こうした伝統工芸は、長い歴史の中で受け継がれた技術を使って、手づくりによる工程を経て商品が生産される方式が主流であることから、売り上げを大幅に伸ばすことは難しく、新たな後継者を確保するのも大変で、技能の伝承をどのように実現していくかが課題にもなっています。
墨田区では、区内の産業の活性化に向けて、昭和六十年からすみだ3M運動を展開し、すぐれた商品を生み出す方をすみだマイスターとして認定をしたり、製造業の貴重なコレクションを展示する小さな博物館や、製造現場と販売店舗を兼ねた工房ショップなど、伝統や技術を後世に残す運動を行い、区として伝統工芸品の振興に力を入れていますが、施策の充実に向けた工夫の余地がまだあるのではないかと感じています。
東京都でも、伝統工芸品産業の支援に向けて、観光情報センターで工芸品の実演や販売を行ったり、功労者の表彰などを行っているようですが、この産業が次世代につながるよう、振興施策のレベルアップに積極的に取り組んでいくことが重要と考えます。
そこで、伝統工芸品の振興に向けた、都としての今後の対応策について所見を伺います。
次に、都教育委員会では、全国に先駆けて、平成十七年度から都内の公立学校を対象に、日本の伝統文化理解教育を推進していると伺っていますが、我が国ならではのすぐれた伝統文化を学校教育に取り入れ、日本人として誇りをはぐくむことは大変重要であります。都立高等学校における、これまでの日本の伝統文化理解教育の取り組みと今後の展開についてお伺いいたします。
また、熟練したものづくり技能者が減少している現状では、伝統文化とともに、ものづくりの熟練した技能を継承することが求められています。伝統技術を初めとする日本が誇るものづくりの技術を、熟練技能者から次世代を担う若者に継承していくことが必要と考えますが、都教育委員会としてどのような取り組みを行っているか、お伺いいたします。
伝統文化は、一方で貴重な観光資源になると思われます。国内外からの観光客において、伝統工芸は非常に関心の高い分野になっています。国際観光都市としてさらなる観光の振興を目指す東京都において、観光資源としての伝統工芸をどのようにとらえ、今後どのようにPRしていくのかを伺います。
最後に、万引き対策についてお伺いいたします。
今定例会初日の警視総監治安状況報告にあるように、昨年の都内における刑法犯認知件数は八年連続して減少しています。しかしながら、万引きで検挙、補導された少年は一昨年比八%増加しており、さらなる対策が求められるところです。
昨年の万引き犯罪の実態は、認知件数で二万九百余件、検挙件数一万五千三百余件、検挙人員は一万六千百余人となっており、年齢別では、十四歳の八百五十九人を筆頭に、十三歳から十八歳の少年が突出しているとともに、相対的に高齢者が多い傾向にあります。
万引きは刑法上窃盗に当たりますが、警察庁では窃盗をその手口の内容によって分類し、万引きを、店員のすきを見て商品を窃取するものと定義づけています。
一方、万引きという言葉は、軽微な犯罪というイメージが世間に定着してしまっているように思えてなりません。一向に減少しない万引きについて、万引きは窃盗犯罪であるという認識を広め、万引きを許さない社会の機運を醸成していく必要を強く感じます。この際、万引きという言葉、表現を撤廃して、例えば店舗内窃盗と改名するとか、新たな名称を公募するなど、軽微な犯罪というイメージを払拭するための方策を検討してもよいかと思っているところです。
そこで、万引き犯罪を減少するためには、万引き犯罪の発生状況を的確に調査分析して、原因と社会的背景をもとに対策を講ずるべきと思いますが、警視総監の所見を伺います。
また、万引き犯罪は、特徴として再犯率が高いことです。これも万引きは窃盗犯罪であるという認識が薄いことが要因の一つであると考えます。そこで、初犯者に対する再犯防止指導や、再犯者に対する徹底指導が必要と考えますが、その対策について所見を伺います。
万引き犯罪を防止するためには、小売店の商品陳列の改善や、防犯アナウンスの実施、また、地域での万引き情報の共有や広報活動など、犯罪を行いづらい環境を整えることが重要であります。小売業界や地域社会との連携も必要であり、万引きは窃盗犯罪であるという認識を、業界はもとより地域に啓発していかなければならないと考えますが、所見を伺います。
また、少年の万引き犯罪を防止するためには、家庭や地域での指導はもとより、やはり学校教育の場で指導が重要と考えます。
犯罪を行い補導された少年の多くは、心に深い傷を負います。ゲーム感覚で安易に犯罪に手を染めないよう、犯罪予防の指導が必要と考えます。都教育委員会は、警視庁や青少年・治安対策本部と連携を図った上で、万引き防止の指導に一層取り組む必要があると考えますが、所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔警視総監池田克彦君登壇〕
〇警視総監(池田克彦君) 小沢昌也議員の一般質問にお答えいたします。
初めに、調査分析に基づいた万引き対策についてであります。
警視庁におきましては、万引きの実態を詳細に把握するため、平成二十一年四月から六月までの間、万引きの発生状況、その原因、背景等について調査を実施するとともに、同年七月には、外部の有識者で構成する調査研究委員会を設置し、同年八月に同委員会から調査結果の分析、検証を踏まえた、万引き防止対策に関する総合的な提言をいただいております。
提言では、少年はゲーム感覚で万引きに及ぶ者が多く、成人や高齢者による万引きの背景には、孤独ないし生きがいのなさなどがあることを指摘の上、規範意識の醸成と社会環境づくりが重要であると述べられております。
そこで、この提言に基づき、平成二十一年九月に、万引き防止のためのアクションプログラムを策定し、万引きをしない、させない環境を構築するため、官民一体となった諸対策を継続的に推進しているところであります。
次に、再犯防止に向けた指導についてであります。
再犯を防止するためには、まず何よりも、犯行を行った本人に対して万引きの重大性を実感させ、強い感銘力を与えることが肝要であると考えております。
そのために、万引きを行った者が少年であれば、本人に保護者ともども、二度と万引きしてはならないということを訴えるDVDを視聴させた上、本人に対しては、万引きは犯罪であり、自分や周りの人すべてを傷つける行為であるということを認識させ、保護者に対しては、少年が再非行に走ることがないよう、家庭での教育のあり方について指導助言を行っているところであります。
また、成人や高齢者に対しても同様に、万引きが重大な犯罪であることを強調し、二度と万引きに手を染めることのないよう指導助言を行っているところであります。
最後に、小売業界や地域社会との連携についてであります。
まず、犯罪は犯行の機会が与えられることによって誘発されるという側面がありますので、このような機会をなくすような対策をとる必要があると考えております。
そのため、警視庁におきましては、平成二十一年十二月、行政、各業界団体、関係機関、団体等を構成員とする東京万引き防止官民合同会議を設置し、万引きの発生状況等に係る情報の共有や、万引き防止ガイドラインの作成、活用、小売店舗等における万引きしにくい店舗づくりの促進等、業界や店舗側の総合的な対策を推進しているところであります。
また、万引きは、たかが万引きとする社会全体の意識の低さや、万引きに手を染めた者に対する対応の甘さが、さらなる犯行を助長しているという状況も見受けられます。
したがいまして、万引きは窃盗である、窃盗という犯罪であり悪性が高いものであることを広く社会に認識させる必要があります。そのため、地域ごとに警察、行政、事業者、学校関係者、地域住民等を構成員とする万引き防止連絡会を設置し、毎月二十日を万引きゼロの日と定め、それぞれの地域において各種キャンペーンを行うなど、地域と一体となった万引き防止対策を推進しているところであります。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、都立学校における日本の伝統文化理解教育の取り組みと今後の展開についてでございます。
都教育委員会は、平成十八年度に、和の心や未来に伝える日本の伝統文化などの指導事例を示した都独自のカリキュラムや教材等を開発し、全都立学校に配布して、日本の伝統文化理解教育に取り組むよう指導してまいりました。
平成二十二年度には、五十校の都立学校が、日本の伝統文化を学校設定教科・科目として教育課程に位置づけまして、都独自のカリキュラムに基づいた特色ある教育指導を展開しており、また、このうちの十校を世界に発信する日本の伝統文化推進校として指定し、外国人との交流の機会を通して、日本の伝統文化を紹介する取り組みを推進しております。
今後とも、都教育委員会はこうした取り組みを一層充実して、その成果を全都に普及するなどして、郷土や国に対する愛着や誇りを持つとともに、他国の伝統や文化を尊重して、互いに文化交流のできる人材の育成を推進してまいります。
次に、若者への伝統技術の継承についてでございます。
団塊世代の退職により、日本のものづくりを支える若者の育成が喫緊の課題となっております。とりわけ我が国の貴重な財産である伝統技術の次世代への継承は重要でありまして、そのためにも都立工業高校の果たすべき役割は大きいと認識しております。
都教育委員会では、高度な実践的技術力を持った人材の育成や技術の継承といった産業界のニーズにこたえるために、平成二十一年に策定したものづくり人材育成プログラムの一環として、都立工業高校六校にものづくり企業の技術者等を講師として招聘する取り組みを行っております。
この取り組みにより、伝統技術については、大工技能者から、木造建築の屋根や壁の骨組みをくぎなどを使わずにつくり上げる組み物の専門的知識、技術を、そして機械切削加工の技能者からは、千分の一ミリ単位の高い精度の平面を手作業で削り出すきさげの技術を直接学ぶといった、これまで工業高校においては教えることが難しかった高度な技術を生徒に身につけさせる指導が可能となりました。
今後とも、都教育委員会は、工業高校において、伝統技術を初めとするものづくり技術を継承できる人材を育成してまいります。
次に、学校における万引き防止の指導についてでございます。
都教育委員会では、児童生徒の万引きを含めた問題行動を防止するため、具体的な指導事例を示した非行防止に関する指導資料を各学校に配布するとともに、警視庁等と連携し、すべての公立学校において犯罪防止教育を推進してまいりました。また、万引き、自転車盗や暴力行為などの犯罪を児童生徒にみずからの問題としてとらえさせるため、都教育委員会は警視庁と連携して、平成二十二年三月に、児童生徒がみずから考える活動を取り入れた参加型のDVD教材を全国で初めて作成し、すべての公立小中学校等に配布いたしました。
現在、各小中学校においては、この教材を小学校五年から中学校三年までの道徳の授業や学級活動のほか、保護者会や地域懇談会の場においても活用しております。
今後とも、都教育委員会は、各学校で家庭、地域と一体となった指導が行われるよう、警視庁や区市町村教育委員会等と連携して、万引きを初めとする犯罪防止教育の充実を図ってまいります。
〔東京都技監河島均君登壇〕
〇東京都技監(河島均君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、住宅の省エネルギー化についてでございますが、都内における住宅の省エネルギー化率は、住宅マスタープランで目標を定め取り組んでおります。新築住宅における次世代省エネ基準達成率は、平成二十七年度目標六五%に対して、新設住宅着工統計等によりますと、平成二十年度時点で二八%となっており、ほぼ順調な増加を示しております。
また、全住宅ストックにおける一定の省エネ対策を講じた住宅の比率は、平成二十七年目標四〇%に対して、住宅・土地統計調査によりますと、平成二十年時点で一四%であり、目標に対する伸びが低くなっております。
都はこれまでも、住宅の省エネルギー化に向けた取り組みとして、省エネリフォームガイドブックの作成、長期優良住宅の認定、エネルギー使用の合理化に関する法律に基づく指導などを行ってまいりました。今年度はこれらの施策に加え、既存住宅の省エネルギー化をより一層促進するため、専門家を一般家庭に派遣し省エネ改修の提案等を行う省エネ改修支援事業を実施しております。
今後とも、引き続き住宅の省エネルギー化に向けた施策を推進してまいります。
次に、都営住宅の建てかえにおける環境対策への取り組みについてでございます。
都営住宅の管理戸数は約二十六万戸であり、建築物のCO2排出量の削減や緑の充実などに取り組んでいくことは重要と認識しております。都営住宅の建てかえに際しては、従来、屋上や外壁に断熱材を設置し、一般的なレベルの省エネ対策を実施しておりましたが、平成二十年に、「十年後の東京」への実行プログラムに基づく都庁の率先行動の一環として仕様の見直しを行い、断熱材を厚くすることにより、例えば最上階の角の住戸の場合、冷暖房負荷を二割程度低減するなど、省エネ性能の向上を図っております。
このほかにも、建てかえ後のすべての住棟の屋上への太陽光発電設備の設置や団地内の一層の緑化、通路や駐車場等における透水性舗装の導入などを進めております。
今後とも、断熱や省エネ技術等の開発動向やコストなどを勘案しながら、環境対策に取り組んでまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
伝統工芸品産業の振興についてでありますが、伝統工芸品は、江戸時代から続くものづくりのすぐれた蓄積を現代に伝えるものであり、こうした地域に根差した特色ある産業を将来に引き継ぐことは重要であります。
都はこれまで、伝統工芸品の魅力を広く伝えるため、毎年度、東京都伝統工芸品展を開催し、多くの来場者を集めるとともに、都庁舎の観光情報センターでのPR活動や、伝統工芸品産業の振興に貢献された方への表彰などを行ってまいりました。これに加え、来年度から、伝統工芸の後継者を対象として、商品の開発や販売戦略の知識などを学ぶための支援を実施する予定であります。
今後とも、都内の伝統工芸品産業の活性化に向け、着実に取り組んでいく考えでございます。
次に、伝統工芸を活用した観光振興についてであります。
江戸切り子や江戸押し絵羽子板など伝統工芸品は、長い歴史や文化を脈々と受け継ぎながら、今日もその価値を輝かせているものであり、これらを東京の観光振興に活用していくことが重要と考えます。海外においても、ベネチアングラスやインドネシアのバティックなど、各地の伝統工芸がその地域における重要な観光資源となっております。
こうした認識のもと、ウエブサイトなどの情報提供に加え、観光プロモーションの機会を通じて、伝統工芸を初めとする東京の伝統文化を海外にPRし、外国人旅行者の誘致に向けた取り組みを展開しております。
今後も、東京が世界に誇る伝統文化を貴重な観光資源と位置づけ、さまざまな機会をとらえ、積極的に国内外に発信し、東京の観光振興を推進してまいります。
〇議長(和田宗春君) 二十四番鈴木隆道君。
〔二十四番鈴木隆道君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇二十四番(鈴木隆道君) まず初めに、都市外交についてお伺いをいたします。
二十一世紀は都市の時代といわれて久しくなりますが、その本当の意味が果たして理解をされているのでありましょうか。
今、日本は閉塞感に包まれ、真に親しい国と呼べる国が見当たりません。また、資源を持たない日本の命綱は、海外の国々との交流、協力、そして貢献への道であるはずです。今、その命綱とも思われる関係や、特に信頼関係が損なわれているといっても過言ではありません。
このような我が国の状況にもかかわらず、東京は世界の各都市から尊敬を集めています。世界の国々、とりわけ台湾、ベトナム、インド、モンゴル等々、日本に非常に好意を持っており、日本を範として世界経済成長の道を歩んでおります。彼らは現在でも日本から、とりわけ東京から学ぶために、東京との交流をより一層促進したいと望んでいるのが現実であります。
国交がない台湾とも、経済、文化、スポーツなど、さまざまな分野で都市間の交流を行うことができます。たとえ国家間の交流が停滞していても、都市外交を推進することにより、企業が持つすぐれた技術や製品を活用することが相手方の都市の発展につながり、ひいては東京の産業の発展にもつながるといったウイン・ウインの関係を構築する、まさに都市と都市との草の根の交流こそが最も重要な役割を果たすことができるのであります。
本来、国の役割であった外交を都市も担う、真の都市の時代が到来してきたといっても過言ではありません。
この都市の時代におけるアジア地域との交流の重要性にいち早く着目し、アジアの諸都市との都市外交を推進してきたのが石原知事であります。知事は、各国の大都市とアジア大都市ネットワークを立ち上げて共同で課題に取り組み、アジアの発展に大きく貢献をしてまいりました。また、知事の強力なリーダーシップによって実現した羽田空港の国際化により、東京とアジアの結びつきはより一層強固になりました。
昨年十月に、私は都議会の同志二十三名とともに、羽田発の一番機で羽田から出発し台北を訪問いたしました。恐らく参加した全員がこのことを強く実感したものと思います。
我が国が国際的に孤立することも懸念される今、知事の強力なリーダーシップと全庁を挙げての取り組みによって、都市外交を通じた国同士の真に親しい関係を構築し、アジアの時代をつくり上げていくことが、今、求められています。
そこで、アジア大都市ネットワークの将来展望を見据えて、このネットワークをさらに深化させていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
また、石原知事は、平成十七年九月にオリンピック招致に名乗りを上げられました。それ以来、知事は、北京オリンピック、ベルリン世界陸上選手権などの主要な国際スポーツイベントに参加をし、招致活動を行いました。二〇一六年の開催都市を決定するコペンハーゲンでのIOC総会においては、私も現地に赴きましたが、知事みずからが先頭に立ってプレゼンテーションを行い、東京の魅力や世界への貢献をアピールされました。非常に残念ながらオリンピック招致の実現には至りませんでしたが、東京の存在感を十分に世界に示したことは紛れのない事実であります。まさにこれは石原知事の都市外交の実績といえるものであります。
都市の時代において都市外交を積極的に推進し、アジアはもとより、広く国際社会にアピールをして、東京の存在感をさらに高めていくことが、我が国を覆う閉塞感を打ち破る起爆剤になるものと思います。
また、今後は、水道、下水道、さらにはごみの問題といったような分野で、東京が持つ高い技術力が広く世界に必要とされています。こうした分野での国際貢献は、今後、東京がオリンピックに再度名乗りを上げる場合にも、大いに力になるものと私は信じるところであります。
これからは、アジアに限らず、世界の大都市との草の根の都市外交を積極的に行っていくべきと考えますが、東京には既に、世界の主要大都市との友好関係を結んできた姉妹友好都市があります。世界の大都市との連携を目指し、まずその手始めとして、姉妹友好都市との連携をより一層強固にしてその活用を図るべきと考えますが、所見を伺います。
次に、首都大学東京について伺います。
首都大学東京は、全く新しい大学をつくるという石原知事の強力なリーダーシップのもと、都民にその存在意義を明確にできる大学として設立をされました。その結果、都や区市町村との連携も進み、社会への貢献という面で成果を出していることは、私も大変評価をしているところでもあります。
しかし、首都東京をうたう大学として設立された以上、今のこの時代において、首都東京の大学だからこそ果たすべき使命があるのではないでしょうか。その一つは、さきに私が申し上げたことに関連する都市の深化のあり方について具体的に展望を示すことであり、もう一つは、明確な世界観を持って海外で活躍できる人材を輩出することだと思います。
特に首都大学東京には、世界じゅうに人材を送り出し、世界の至るところに必ずOBがいるというような大学を目指してもらいたいものであります。昨年、ノーベル化学賞を受賞した根岸英一氏は、内向き志向が指摘される日本人に対して、若者よ海外に出よ、日本を外側から見る経験は何にも増して重要だと述べています。
ところが、大学三年生から始まる今の就職活動は、学業をおろそかにさせるばかりでなく、海外への留学をちゅうちょさせ、若者から見識を広げる貴重な機会を奪っております。これでは、みずからの将来をじっくりと考え、海外に目を向けることなどできるはずもありません。
経済界においても、日本商工会議所の岡村正会頭が、先般、大学生の採用時期について、四年生の夏休み以降に選考活動に入るのが正常な姿だと述べ、現状よりも採用活動をおくらせるべきとの見解を示されました。大学側もこれに対応して、大学の四年間、じっくりと学生を育てるべきだと考えます。とりわけ、首都大学東京はいち早くこれに対応し、今までにない斬新な取り組みをすべきと考えます。
首都大学東京は、世界に羽ばたく人材の育成に腰を据えて取り組むとともに、キャンパスには常に海外からの求人情報があふれ、学生は海外企業への就職を当然のように選択できるような、そんな環境づくりに私は早急に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
次に、高校生の海外派遣について伺います。
海外に留学する学生の中には、中学、高校時代に海外に行った経験を持つ方が多いと聞いています。そこで、私は、若者の内向き志向を打破するためには、まずは高校生のうちに海外を体験させることが有効だと考えます。十日間程度であっても、みずみずしい感性を持った高校生の時期、異文化に接し、さまざまな物の見方、考え方に触れて、訪問した国の人たちと言葉の壁を乗り越えて直接交流することは、その後の彼らの生き方に大きな影響を与えていくと確信しています。
私の母校の小石川高校を母体校としてできた小石川中等教育学校では、二年次に英語だけを使う環境で国内語学研修を行い、三年次にはオーストラリアで現地校の授業参加等を初めとした海外語学研修を行い、五年次には課題学習を取り入れた海外修学旅行を行っています。
昨年、この学校の生徒が、高校生国際物理学論文コンテストにおいて、ノーベル物理学賞への第一歩というすばらしい賞を獲得いたしました。生徒が世界を舞台にして果敢にチャレンジした結果が、世界で五名だけが受賞したこの賞の獲得につながったのだと思います。このことは、海外での活動を積極的に取り入れたこの学校の教育活動の大きな成果の一つであると確信をしています。
このように、無限の可能性を持つ高校生の時期に海外を体験したり、自国を離れ志を持って日本で学んでいる海外からの留学生と直接交流したりすることが、高校生に夢と希望を持たせ、内向き志向を打破することにつながると考えます。
私は、都内の高校生全員に、在学中に一度は海外を体験させてもよいのではないか。あえていえば、チャーター便を使って世界じゅうに子どもたちを送ってしまう、このような壮大な事業ぐらいを考える。本来、これは国がやるべきことだと思いますが、首都東京が国や他の都市の先陣を切って積極的に取り組んでいってもよいと思います。
そこで、高校生の海外派遣を通して国際交流を積極的に行うべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
次に、特発性正常圧水頭症について伺います。
特発性正常圧水頭症という病気をご存じでしょうか。これは認知症の一種でありますが、物忘れに加え、歩行障害、尿失禁の症状が出る病気であります。この病気の治療に熱心に取り組み、都内の多くの医師とも治療のネットワークを既に構築をし、テレビ等、NHK等でも紹介されておりますが、東京共済病院院長の桑名医師から話を聞き、私は本当にびっくりしました。そして、国が本来の役割を果たさず、この病気に真剣に取り組まない現下の状況を見て、都がしっかりやっていくべきと考え、この質問をすることにいたしました。
本人やご家族が認知症と診断されても、この病気であれば、簡単な検査と一時間程度の手術で劇的に症状が改善します。しかも、東北大学の調査によれば、高齢者の約一%が罹患し、認知症高齢者の何と十人に一人はこの病気の可能性があるとの調査結果も出ています。アルツハイマー病やパーキンソン病と診断されている患者の中にも、特発性正常圧水頭症の方がいるそうです。桑名医師の経験では、ある優秀な税理士さんがパーキンソン病と診断され、治療薬を処方されましたが、薬を飲んでも一向によくならない。しかし、桑名医師のもとで検査をし、この病気であることがわかり、手術で症状が改善し、数カ月後には一日一万歩も歩けるような状況に戻ったとのことであります。
桑名医師のもとに、特発性正常圧水頭症かもしれないと思った患者さんが、全国から多数やってきます。手術して尿失禁がなくなるとおむつが要らなくなって、病院に寄附をするという家族も多いそうであります。
また、何度でも転倒する人には、この病気の可能性が高いそうであります。転倒による骨折で要介護状態や寝たきりになる高齢者がたくさんいます。桑名医師の推計によりますと、都内には約二万八千人の特発性正常圧水頭症の可能性のある方々がおり、適切な手術を行うことにより、五年間で三百億円以上の介護費用が削減できるとの話でありました。この病気の存在を知っていれば、歩行障害や尿失禁、物忘れなどがあった場合、この病気を疑い、専門医療機関で正しい検査を受け、正しい治療を受けることができます。
特発性正常圧水頭症について、医師や介護スタッフなどの専門職も含めたさまざまな普及啓発を行い、専門医療機関への早期受診につなげていくべきと考えますが、都としてどのように取り組むのかを伺って、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 鈴木隆道議員の一般質問にお答えいたします。
アジア大都市ネットワーク21についてでありますが、昨今の我が国を見ますと、真に友好国といえる国があるだろうかという感じがいたします。ただ仲よくしましょうといって儀礼的に交流しても、あるいは経済力に任せた援助をしても、これは真の友人、真のパートナーは得られないと思います。共存共栄を目指して、具体の課題に連携して取り組み、目に見える成果を協力の中で上げてこそ、双方の間に強固な連帯感、強固なきずなが築かれていくと思います。
アジア大都市ネットワーク21は、世界の第三の極でもありますアジアの共存共栄を先導するとの思いで私が提唱し、これまで都市間の協力関係を深めてきました。
具体的な例を挙げますと、アジア製のジェット機の開発というものをしようじゃないかということで、国産ジェット旅客機MRJの設計、製造には、台湾、インドの企業の参加が実現しております。これを足がかりに、十年後をめどにさらに大きな、今、恐らく世界じゅうで一番需要のある百三、四十人の乗客、いってみれば観光バス二台の乗客がそのまま乗り込める旅客機を開発しようということで進めておりますが、加えて災害対策での協力の体制や、あるいはいつ発生するかわからないインフルエンザを、情報を互いに提供し合って素早い対処をしようというネットワークもつくりつつあります。
ネットワークの発足から十年が経過し、幾つかの成果も上がってきましたが、深刻化するこの環境問題など、アジアにはいまだ克服すべき課題が山積しております。今後、東京が持つ技術や経験、とりわけ中小企業が持っているすぐれた技術を活用して、官と民が連携しながら、幅広い分野で都市間の交流を強力に進めるつもりでおります。都市だからこそできる外交によって、アジアの繁栄と発展を牽引し、日本にとっての真の友人を東京の努力でつくっていきたいと思っております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 高校生の海外派遣を通した国際交流についてお答え申し上げます。
高校生が海外に出て、外国の文化や生活等に直接触れることは、多様な物の考え方を知るとともに、世界のさまざまな国や地域の人々と望ましい関係を維持していくことの大切さを考える上で重要であり、若者の内向き志向を打破し、世界を舞台に果敢にチャレンジしようとする姿勢をはぐくむことにつながる有効な機会であると考えます。
都教育委員会では、留学に関する手引や海外修学旅行実施ガイドライン等を策定いたしまして、留学や海外修学旅行の実施等について指導助言を行っております。
都立高校では、平成二十年度、五十五校百十五名が海外に留学し、十三校が短期留学生二十名を受け入れ、二十八校千六百七十名が海外語学研修や海外修学旅行に参加いたしました。今後とも、都立高校が行う海外修学旅行や、国際都市東京の利点や自校の特色を生かして行うさまざまな国際交流の取り組みを指導助言するなどして支援してまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
〇知事本局長(秋山俊行君) 姉妹友好都市についてでございますけれども、都はこれまで、世界の都市との交流が都市の発展と友好関係の増進、ひいては国家間の良好な関係や世界平和の実現に貢献するという基本理念のもとに、ニューヨーク市を皮切りに、北京市やパリ市など、世界の十一都市と姉妹友好都市提携を行ってまいりました。
最近の具体的な取り組みといたしましては、ベルリン市との提携十五周年記念事業を現地で開催しますとともに、知事とベルリン市長との会談で合意をいたしました現代アートなどの交流を進めておりまして、また北京市とは、平成二十一年に締結した合意書に基づきまして、水及び環境分野における技術協力や人材交流を実施しているところでございます。
今後も、姉妹友好都市との連携協力がより一層図られるよう、これまで築いてきた信頼関係を礎に、さまざまな機会をとらえて相互理解を深め、各都市との間で具体的な課題を通じた交流を進めてまいります。
〔総務局長比留間英人君登壇〕
〇総務局長(比留間英人君) 首都大学東京の教育研究の国際化についてでございます。
首都大学東京は、これまで外国人教員による実践的な語学教育の実施や、海外の六十六の協定校との学生の交流など、教育研究の国際化を進めてきました。こうした取り組みを一層進めるため、都は第二期中期目標において、グローバルな視点に立った教育研究の推進を重点事項として示しております。
これを受け、首都大学東京では、平成二十三年度から新たに夏季休業期間等を利用した短期留学制度を創設するほか、海外で活躍する社会人を招いて現地での就労体験などを語ってもらう、グローバルキャリア講座を実施することとしております。
今後とも、首都大学東京が世界で活躍できる人材を輩出する大学として発展するよう、都として一層支援をしてまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 特発性正常圧水頭症についてのご質問についてお答えいたします。
認知症の中には、お話のとおり、特発性正常圧水頭症など、早期に発見し治療を行えば症状が大きく改善するものがございます。都は、かかりつけ医、介護職員を対象とした研修や、認知症のポータルサイトでございます「とうきょう認知症ナビ」などにおきまして、早期発見、早期治療の重要性について普及啓発を行っております。
来年度は、都内全域の方を対象に実施いたしております東京都健康長寿医療センターの公開講座のテーマに、特発性正常圧水頭症も含む認知症を取り上げ、広く都民に情報発信をいたしていきます。また、新たに設置いたします認知症疾患医療センターにおきましても、医療、介護の従事者等を対象とする研修を実施するなど、特発性正常圧水頭症を含む認知症の正しい理解の普及に努めてまいります。
〇副議長(鈴木貫太郎君) 三十二番田の上いくこさん。
〔三十二番田の上いくこ君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
〇三十二番(田の上いくこ君) 新たな水源が必要か否かについてはこれまでにも多々議論されてきましたが、当然ながら正確なデータに基づいた判断が必要です。現行の水需要予測は、平成十五年から十年間の長期予測、二十五年までのもので、残り二年となる中、改めて水需要予測の見直しを求めるものです。
昨年末に、将来の首都東京にふさわしい水道施設の再構築を考える会の第一回会議が開かれました。水道システム全体の安全度を向上させ、将来にわたって安定給水を確保することを目的に、首都東京にふさわしい水道施設の再構築に向けた基本構想を策定するためのものです。
今後の水源や施設整備に当たっては長期的な視点が求められ、当然に水需要予測が必要です。考える会では、二〇一一年度じゅうに構想をまとめるとのことですが、当然、検討の前の判断材料として、年度内しかるべきときに新たな水需要予測が示されるのでしょうか。
水源開発においては当然に費用がかかり、水道料金にかかってくるものとなります。八ッ場ダムの開発に当たっては、東京都の負担金が二〇一五年までで六百三十五億円、水道の利水分だけで四百七十二億円ですが、起債の利子分があるので、実際の事業費負担額は七百九十一億円になります。
水道料金におけるこの建設コストの負担分は、二十二年度分で一立米当たり〇・七九二円で、暫定豊水水利権の分も含まれています。昭和四十五年から水道料金への負担が課され、六十二年から起債がありますが、毎年の起債額により影響額はその都度異なります。〇・一円に満たない年もあれば一円を超える年もあります。いわゆる標準家庭の一カ月当たりの水道使用料は二十四立米とされていますが、仮に影響額を一円で計算すると、一カ月二十四円の値上げになります。
工事の進捗によって事業費がさらに膨らむことも考えられますが、現在の推計では、この先事業費負担分は、元利も含めてどれぐらいで償還されるのでしょうか。さらに、今後新たな水源、すなわち八ッ場ダムが完成し、安定水利権となった場合の給水原価に含まれる負担はどれくらいなのでしょうか。
水源施設全体では、二十一年度分、一立米二十五・八四円を占めています。先ほどの標準家庭の例では、一カ月六百二十円強です。利用者に負担がかかるのですから、新たな水源開発においては、水需要予測を含め、慎重に検証されなければなりません。
多くの都民は水源、すなわちダムと、かかる負担の関係をよく知らないのではないかと考えます。ダムに関しては、今回取り上げた利水だけではなく、治水分の負担、また、上水があるならば当然に下水料金にかかる負担もあります。利水、治水の必要性と、コストと負担の関係から、具体的な料金への影響を公に示すことが水源開発を考える上で必要です。新たな水源を開発すればそれだけ負担が増す、つまり水道料金に影響があるということを都民に告知したことはあるのでしょうか。お尋ねいたします。
次に、北小岩一丁目東部土地区画整理事業です。
平成十六年より江戸川区におけるスーパー堤防事業についての話し合いが始まり、北小岩一丁目東部地区では、平成十八年から五年に及ぶ議論が続いています。この土地区画整理事業は、スーパー堤防と一体化した事業とされていましたが、昨年十月末の国の事業仕分けで、治水事業であるスーパー堤防事業は事業廃止の判定があり、二十三年度予算案にも新規事業として計上されていません。
国の見直しに伴って、区は、高規格堤防事業の有無にかかわらず、土地区画整理事業の施行に当たっては盛り土造成を行い、隣接地との高低差を解消することが必要であると方針を変更し、スーパー堤防がなくとも盛り土を伴う区画整理が必要としています。
都の都市計画審議会での審議に先立って、都市計画については、当然、江戸川区の都市計画審議会を経ているわけですが、区の都市計画審議会の議案書では、事業の実施については国土交通省の高規格堤防事業と共同で行う予定であるとしていました。また、区の都市計画素案説明会でも、スーパー堤防事業工事が区画整理工事より先に着工されるという事業スケジュールが示され、事業はまさにスーパー堤防を前提としていました。
ところが、今回の施行者の見解では、高規格堤防の有無にかかわらず盛り土造成とあるのですから、区が諮った都市計画と都で審議される事業計画案の内容が異なるわけです。現在の事業計画案を変更することなく、そのまま審議を進めることができるのでしょうか。ご見解を伺います。
都の都市計画審議会では、三月に意見書の採択が行われます。ところが、提出された意見書も、十二月に行われた口頭陳述も、スーパー堤防に関するものばかりです。事業計画書案では、本地区は国の治水事業である高規格堤防事業の対象河川の江戸川沿川に位置し、本地区のほとんどが高規格堤防の施行範囲内に位置するとだけされていますが、その内容のまま審議が行われると、それらの意見は事業計画以外に関することに分類され、審査の対象になりません。
区が複数年にわたり説明し、都市計画にも示してきた、スーパー堤防との共同事業として理解している住民は、当然、スーパー堤防についての意見をしますが、それがすべて審査の対象外になってしまうことには疑問を感じざるを得ません。審査におけるスーパー堤防事業の扱いについて、改めて都の見解を求めます。
土地区画整理事業とは、基本的に、用地買収をせず、土地の権利を変更することなく、換地等はあれども、仮住まいから地域に戻ってくるものと認識しています。ところが、この地域においては土地の先行買収が行われ、八十八名の地権者のうち十九名が既に手放している状況です。平成十六年に行われた平井七丁目のスーパー堤防事業でも、四割がもとの土地に戻ることはありませんでした。盛り土をすることにより、通常の区画整理事業が一、二年とすれば、四年はかかる、二度の移転を強いられるなど、住民の負担が多くなってしまいます。
スーパー堤防と切り離してまでなぜ盛り土が必要なのかは、合理的な説明がなければ納得できるものではありません。都は、スーパー堤防と離れて住民の負担を強いてまで盛り土を行う必要性をどのように認識しているのでしょうか。
国では見合わせることになったスーパー堤防事業ですが、新聞記事によると、江戸川区長は、都の都市計画審議会で、近く北小岩地区の事業化が決まる見込み、国にはやってもらわないと困る、どこまでも押していくと話しているとあります。都の事業認可をきっかけに、区が、国のスーパー堤防事業が進むことを期待しているということです。区の目的と東京都の審議内容、また、国の判断がそれぞれ異なることになります。このような状況の中で、東京都が単なる土地区画整理事業として認可の手続を進めることには疑問があります。ご見解を伺います。
数年前、突然降ってわいた事業案に、この地域の住民は、賛否でまちが分断され、隣の人と目を合わせられないようなコミュニティの崩壊を感じています。役所の人は何年かでかわってしまうけれども、私たち住民はずっとここに住んでいくのだという切実な思いを聞きました。住民が蚊帳の外に置かれたまま事業だけが進んでいく状況をつくってはならないと強く申し上げます。
東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画で目をみはるのは、知的障害の生徒の増加と、情緒障害等の通級指導学級の利用者の増加です。障害のある児童生徒数の将来推計にもあるように、情緒障害等の生徒数は、平成十六年度千八百三十一名から二十一年度で倍増、三十二年度の推計値では四倍強となり、著しい増加傾向です。
こうした中、都は、小中学校における発達障害の児童生徒に対する新たな特別支援推進教育体制として、通級等の整備の考え方を示しました。しかし、義務教育での発達障害については記述があるものの、特別支援学校における発達障害の生徒に関してはほとんど触れられていません。本来、知的障害の特別支援学校に発達障害のみの生徒はいないとされていますが、知的障害の生徒のクラスに発達障害の生徒が入る例が見られます。発達障害と知的障害の重複と思われますが、発達障害の側面が大きく表に出てしまうようです。
私の地元の白鷺特別支援学校の例では、愛の手帳を持っていない生徒は中学部で三・六%、高等部で八%ほどです。障害の重複によって知的障害が軽いなど、手帳取得に至らない生徒の割合だと推測いたします。
第三次計画の中では、発達障害の生徒一人一人の状態は一様でないことが示され、きめ細かい支援が必要になるとされています。発達障害に伴って精神医療を受けている生徒も見られます。また現場では、教員が多動なパニックを起こしやすい自閉症の生徒の対応に追われ、すべての生徒に教育が行き届かないのではないかなど、保護者の懸念が聞こえてきます。知的障害特別支援学校において、知的障害と発達障害をあわせ持つ児童生徒がふえ、さまざまな課題がある現状をどのように認識し、今後配慮が必要な児童生徒に対してどのように指導を行っていくのか、対応についてお伺いします。
第三次計画では、ふえていく生徒数に対応するため、併置や改築などご努力をされていることは理解しながらも、抜本的に対応していく必要があると考えます。この五年間は併置や改築で間に合うかもしれませんが、その後はどうでしょうか。
特別支援学校の高等部に入学する生徒は、義務教育である中学校の特別支援学級に通っていた生徒が約七割とされています。すべての学校における特別支援教育の充実としながらも、高等部においては、おおむね特別支援学校に任せている現状があります。障害者にとっての一貫した教育を考えたときに、小中学校だけでなく、都立高校における特別支援学級設置も視野に入れ、今後の特別支援教育の充実を考えていくべきではないでしょうか。今後の見通しについて伺います。
社会的養護について伺います。
厚生労働省の児童相談所運営指針では、原則的に、一時保護の期間は二カ月を超えてはならないとされています。しかしながら、一時保護所で子どもが過ごす期間は長くなる傾向にあり、中には二カ月を超えるケースもあると聞きます。
保護期間が長くなると、子どもの通学の問題も当然に発生してしまいます。東京都では、一時保護の長期化についてどのように認識をされているのでしょうか。
少子化ではあるものの、社会的養護の六割ともいわれる虐待による保護児童がふえています。都がこれまで一時保護所の定員を百六十八名までに拡大してきたことには理解しつつ、一時保護所の状況により、家庭からの緊急保護ができないのではないか、懸念いたします。虐待等の通告による保護に問題が生じていないのか、状況と対策について伺います。
児童養護施設開設は、資金面や地域での理解の問題があり、容易ではありません。都の養護児童グループホームの推進は、施設分園型グループホーム事業として長年取り組まれてきた事業だと思いますが、本園の近くでの設置となるため、どうしても地域偏在してしまいます。
都内に児童養護施設は四十カ所以上ありますが、江戸川区や江東区には一つもありません。そういった地域の子どもたちは、もともと住んでいたところを離れての施設生活になります。中には、自然環境に恵まれた都外施設でのケアを必要とするケースや、虐待等何らかの事情によって離れた地域を選択するケースもあるでしょうが、基本的には家庭復帰や社会的、経済的自立をしていくために、地域とのかかわりが重要です。
家庭復帰できない子どもは原則十八歳で施設を離れていきますが、地域性のないところでほうり出される格好となってしまいます。高校中退などしようものなら、十八歳未満の年齢で社会にほうり出されるわけです。
東京都児童福祉審議会は、就労に向けた支援として、地域の企業と連携した取り組みの強化や、自立後も挫折しがちな若者を継続的に支援する仕組みの構築などを提言しており、都も取り組みを進めていますが、こうした取り組みも、生活基盤を置く地域から遠い施設に措置された場合には利用しにくいものになってしまいます。それまで住んでいた地域に近い施設を利用する必要性について、また就労支援やアフターケアについて都の認識を伺って、質問を終わります。(拍手)
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 田の上いくこ議員の一般質問にお答えいたします。
まず、知的障害特別支援学校における発達障害の児童生徒についてでございます。
近年、知的障害特別支援学校では、知的障害が軽度で発達障害をあわせ持つ児童生徒が増加していることから、発達障害の特性を踏まえた指導を適切に行っていくことが重要であると認識しております。
都教育委員会は、平成十七年度から、発達障害の中でも児童生徒数の多い自閉症に関する教育課程の研究を進めまして、自閉症の小学部児童が適切な行動や望ましい対人関係を身につけるための指導書を作成するとともに、講習会を開催するなどして、教員の資質向上に努めてまいりました。
現在、各知的障害特別支援学校においては、教員が発達障害の特性について理解し、それぞれの児童生徒の状態に応じた指導を行っているところであり、特に医療が必要な場合には、関係機関と連携し、対応しております。
都教育委員会は、平成二十三年度からは、中学部、高等部生徒の自閉症教育の研究にも着手することといたしまして、発達障害をあわせ持つ児童生徒の特性に応じた指導の充実に取り組んでまいります。
次に、都立高校における特別支援教育の充実についてでございます。
都立高校、特にチャレンジスクールやエンカレッジスクールなどには相当程度の発達障害の生徒が在籍しているものと推測されることから、こうした生徒への支援の充実が重要な課題であると考えております。都教育委員会では、これまでもすべての都立高校において特別支援教育コーディネーターを指名するとともに、特別支援教育に関する委員会を設置するなど、校内支援体制の整備に取り組んでまいりました。
東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、チャレンジスクール等の中からモデル校を指定し、個別指導計画の作成、活用による学習支援や進路指導体制の充実等を通して、特別な支援を必要とする生徒に対する適切な指導、支援のあり方について実践的研究を行うこととしており、これらの成果を踏まえ、都立高校における特別支援教育を充実させてまいります。
〔東京都技監河島均君登壇〕
〇東京都技監(河島均君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、都市計画審議会の審議の対象についてでございますが、北小岩一丁目東部区画整理事業のような区が施行する土地区画整理事業の場合、東京都都市計画審議会は、土地区画整理法第五十五条の規定に基づき、縦覧に供された事業計画案に対し提出された意見書について審査を行うこととなっておりまして、事業計画案の内容そのものを審議するわけではございません。
次に、スーパー堤防事業に関する意見の取り扱いについてでございますが、江戸川区が作成した北小岩一丁目東部土地区画整理事業の事業計画案は、当該地区における高規格堤防事業、いわゆるスーパー堤防事業の実施を前提とするものではなく、これに関する記載もなされておりません。このため、スーパー堤防事業に関する意見は、事業計画以外に関する意見として分類し、都市計画審議会に付議しているものでございます。
次に、北小岩一丁目東部地区の盛り土の必要性についてでございますが、本地区は、蔵前橋通りとJR総武本線の盛り土及び江戸川の堤防によって三方が囲まれたくぼ地状の地形となっており、地区内へ車両が進入できる道路は二本しかございません。また、地区内の道路の九割以上が幅員四メートル未満の狭隘道路であり、加えて、旧耐震基準の建物などが密集していることから、防災上の課題を有しております。
区では、この地区が抱えるまちづくりの課題を早急に解決するため、土地区画整理事業を実施することとし、この中で、盛り土によって周辺地盤との高低差を解消し、防災機能の向上や宅地の利用増進を図ることとしております。都としては、地区のこのような状況を踏まえると、盛り土を行うことについて十分合理性があると認識しております。
なお、江戸川区では、仮移転が長期に及ぶことに対する住民の不安が解消されるよう、希望者に対して土地の先行取得を実施しております。
最後に、認可の手続についてでございますが、区は、施行者として土地区画整理事業を行う場合、土地区画整理法に基づいて、設計の概要、事業の期間、資金計画などを内容とする事業計画を作成する必要があります。都は、この事業計画の内容のうち、設計の概要のみについて、環境や防災などの技術的な観点から審査し、適当と認められる場合には法に基づいて認可を行うこととなっております。
北小岩一丁目東部土地区画整理事業の認可については、こうした手続に基づき、適切に行うこととなります。
〔水道局長尾崎勝君登壇〕
〇水道局長(尾崎勝君) 三点のご質問にお答えします。
まず、水道施設の再構築に向けた基本構想における水道需要予測についてございますが、この基本構想では、施設の耐用年数である五十年から百年先を見通し、将来にわたって首都東京を支える水道システム全体の安全度を踏まえ、水道施設の再構築のあり方を検討することとしております。水道システムの安全度の検討に当たっては、水道需要、水源確保、施設整備等が密接に関係することから、水道需要の見通しにつきましては、平成二十三年度内に策定する基本構想の中で示してまいります。
次に、八ッ場ダムに係る企業債の償還期限及び給水原価への影響についてございますが、八ッ場ダムに係る企業債の最終償還期限につきましては、企業債が最長三十年間で償還されることから、平成二十七年度のダム完成から三十年後の平成五十六年度に終了することとなります。
また、原価を対象水量で除して算出する給水原価につきましては、平成二十一年度実績で、一立方メートル当たり二百三円でございます。
給水原価を算出する同様の方法によって、今後の八ッ場ダム負担額の影響を、平成二十二年度東京都水道局事業評価委員会で示した事業費をもとに算出すると、企業債の償還が完了する平成五十六年度までは〇・一円から一円程度、維持管理費のみとなる平成五十七年度以降は〇・〇一円程度になる見込みでございます。
最後に、八ッ場ダムなどの水源開発に係る負担額の広報についてでございますが、渇水に対する安全度を格段に向上させる八ッ場ダムなど水源開発に係る費用は、事業評価制度による費用対効果分析や、活動ごとに原価を算出するABC分析などの経営管理手法によって定期的に分析し、公表しております。また、水源開発の事業費総額及び各年度の負担額につきましては、経営計画策定時のほか、予算審議や決算認定を行う議会において明らかにしています。こうした情報は、都民へわかりやすい内容で広くお伝えするため、「水道ニュース」などの広報誌やホームページなどの媒体を利用してお知らせしています。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 社会的養護につきまして、三点のご質問についてお答え申し上げます。
まず、一時保護についてでございますが、虐待や非行の相談件数の増加とともに、心身の状況や家庭環境に複雑な問題を抱える子どもたちの保護がふえております。こうした子どもや家庭が抱える問題を総合的に判断し、援助方針を決定するためには、家庭調査や心理診断、行動観察などを十分に行うため、一定の保護期間が必要でございます。
都は、保護した子どもたちの速やかな援助方針の決定に努めるとともに、一時保護所におきましては、子どもの心のケアに対応する心理職員や学習支援を行う専門スタッフの配置に加えまして、平成二十二年度から、夜間の体制を手厚くするため、一時保護対応協力員を配置するなど、保護期間中の適切な援助に努めております。
次に、一時保護の状況と対策についてでございますが、児童相談所では、児童虐待の通告に基づき、迅速に児童の安全を確認し、必要な場合には親から分離して一時保護を行っております。保護すべき児童が一時的に集中した際には、緊急対応用の居室での保護や児童養護施設等への保護委託を行うなど、児童の速やかな安全確保に努めております。
今後、仮称でございますが、子ども家庭総合センターの開設や、墨田児童相談所の移転改築にあわせまして、計画的に一時保護所の定員拡充を進めてまいります。
最後に、児童養護施設の選定及び入所児童への支援についてでございますが、児童が入所する施設の選定は、児童の年齢、兄弟の有無、虐待の程度など、児童と家庭の状況を考慮して行っており、必ずしも住んでいた地域に近い施設が適切というわけではございません。また、入所児童が自立した生活を送れるようにするためにはさまざまな支援が必要であり、児童が就労自立を目指す場合には、施設と学校、児童相談所などが連携し、本人の意向を踏まえながら就労先選定等の支援を行っております。今年度からは、就職準備セミナーや就労体験を行う就業支援事業も実施いたしております。
施設退所後につきましても、児童の相談指導や就職先への訪問などを実施する施設に対しまして、都独自の補助を行い、児童が安定して自立した生活を継続できるよう支援を行っております。
〇議長(和田宗春君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十一分休憩
午後三時十一分開議
〇副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
一番小林健二君。
〔一番小林健二君登壇〕
〇一番(小林健二君) 初めに、文化芸術振興について質問いたします。
今から十年前、私たち公明党は、二十一世紀の日本は文化芸術大国でなければならないとの視点から、「文化芸術立国・日本をめざして」と題する政策提言を発表し、今日まで文化芸術振興を推進してまいりました。
一九三〇年代、世界恐慌下にあったアメリカでは、ルーズベルト大統領によるニューディール政策において、文化芸術政策が一つの柱として位置づけられ、不景気に沈んでいたアメリカ国民を文化によって奮い起こしていきました。
また、一九四六年には、第二次世界大戦後の荒涼としたイギリスを文化芸術で復興させていこうと、経済学者のケインズが初代議長となった英国芸術評議会が設立されました。
いずれも、文化によって、国を、国民を鼓舞していく取り組みでありますが、文化や芸術は人間の心を潤し、創造力を高め、困難にも負けない活力を生み出していくものであると思います。
東京においても、都民の心に潤いを送る一層の文化政策を推進し、世界の文化都市に遜色のない首都東京を構築していくべきと考えます。そのためにも、都が平成二十年度より開始した東京文化発信プロジェクトを着実に推進し、プロジェクトの柱である世界の主要都市と競い合える芸術文化の創造発信、芸術文化を通じた子どもたちの育成、東京における多様な地域の文化拠点の形成という三つの柱の実現が大切であります。文化芸術を基軸に据えた東京の活性化について、知事の所見をお伺いします。
文化の振興は短期間でなし遂げられるものではなく、長期的な視野で取り組むとともに、専門的な知見が必要であり、行政において文化政策を推進していくには、政策の継続性や専門性といった要素が求められます。文化芸術に精通し、かつ、現場の実情をよく知り、その声を反映させていける専門家の起用により、文化政策の企画立案、推進を一体的、継続的に取り組んでいくことが可能になると考えます。実効的な政策を実現していくために、芸術家や文化団体と行政をつなぐ専門家を活用することを検討してはどうかと考えます。見解を求めます。
先日、私は、企業によるメセナ活動、すなわち、芸術文化支援活動の活性化を推進している公益社団法人企業メセナ協議会の方とお会いし、ご意見を伺ってきました。二〇〇九年にメセナ協議会が実施した民間企業のメセナ活動実態調査によれば、現在、メセナ活動を継続する上で課題と感じることというアンケート調査に対し、メセナ活動の評価が難しく、成果をアピールしにくいがトップで四六・三%、続いて、経営状況の悪化で、見直し、削減の方向にあるが四〇・一%でした。また、今後もメセナ活動を行う理由は何かとの問いに対しては、七〇%の企業が、活動が定着しており、継続への期待が高いとの回答でありました。
メセナ協議会の方のお話では、各企業の担当者は、経営状況の悪化で予算が厳しい中でも、活動を続けていくためにあらゆる知恵を絞って取り組んでいると話しておられました。行政が進めていく文化振興とともに、民間企業が取り組んでいる文化芸術支援は、東京においても文化芸術の多様性や文化基盤の底上げに大きく貢献しているものと思います。企業が課題と感じている、メセナ活動の成果をアピールしにくいという課題を払拭し、文化貢献をしている企業に追い風を送るために、都としても、企業が行っているメセナ活動の成果を広く都民に紹介するなど、企業メセナ協議会と連携することで文化芸術振興のすそ野を広げていくべきです。見解を求めます。
次に、都立高校における日本史の必修化について質問いたします。
歴史は未来への知恵の宝庫であります。次代を担う高校生が自国の歴史を知り、そこから東京を、そして日本を変えゆく知恵を学びゆくことは大変に重要なことであります。都立高校生の約四分の一が日本史を履修せずに卒業していく状況の中、都では平成二十四年度から、全都立高校における日本史の必修化を行うことを決定し、このたび東京都独自の日本史科目の教科書「江戸から東京へ」が作成されました。
東京には、往時をしのぶ文化財や史跡などの文化遺産が数多く残されています。日本史学習においては、教科書で学ぶだけではなく、東京に残されている文化遺産に触れる機会をふやし、歴史への興味や関心を高めていくような取り組みが必要です。
例えば、江戸東京博物館を活用して、高校生のための江戸東京展などの企画展示を行ったり、毎年、都の取り組みとして行われている東京文化財ウイークを「江戸から東京へ」の教科書とリンクさせて高校生向けにアレンジするなどの取り組みをすべきです。平成二十三年度には、この教科書を使用した授業が試行されますが、一年間の試行成果を十分に反映して、さらなる日本史への関心を高める取り組みが必要です。今回作成された教科書で工夫されている点と今後の活用について見解を求めます。
また、実際に指導に当たる教員が一層の創意工夫ができるような環境整備も大切です。「江戸から東京へ」の教科書には、さまざまなコラムが掲載されていますが、庶民の食事を支えた江戸野菜とのコラムには、私の地元練馬区の練馬大根が紹介されていました。このように自分の住む地域にかかわる歴史に触れることは、歴史を身近にし、一層の関心を促す一助となり、それぞれの地域にかかわりの深い歴史を広く紹介していくべきと思います。
東京には、江戸東京の歴史に関連した博物館や資料館、図書館などが数多く存在し、このような施設を活用することも重要です。また、江戸の古地図と現代の東京を見比べてみたり、幕末になって残されている江戸のまち並みや人物の写真を数多く活用するなど、多様な資料や補助教材を準備して意欲的に学んでいける工夫も大切であります。都として、多角的な資料、教材を集積して活用していけるように提供していくなど、現場の教員に対する取り組みが必要と考えます。見解を求めます。
次に、古紙リサイクルについて質問いたします。
現在、新聞などの家庭系古紙回収は、行政回収や住民団体の運営による集団回収が行われており、回収業者によって収集された古紙は問屋に流れ、問屋から製紙メーカーへと流れてリサイクルされます。
平成十一年度以降、都内において行政回収が本格化し、古紙回収量が増加する一方で、大きな問題とされているのが古紙の持ち去り問題であります。行政回収や集団回収で集められた古紙は、本来、各地域の再生資源を回収、リサイクルする業者によって収集されますが、これらの正規に委託された業者が回収する前に、集積所に集められた古紙を不正に持ち去る業者が横行している現状があります。
社団法人東京都リサイクル事業協会の昨年度のデータによると、都内における持ち去り率は多摩地域で一四・五%、二十三区では三四・四%であり、中には七一・六%にも達している区もありました。被害総額は約十五億円にも上っております。私も関係者の皆様から、持ち去り被害による窮状をお聞きし、解決に向けた要望をいただいております。都内各自治体では、十七区六市が持ち去り禁止条例を制定し、パトロールを強化するなどの対策を講じていますが、条例が制定されていない地域で持ち去りをするなど、被害はいまだ根絶できず、住民による行政回収への協力意欲の低下や、回収業者に対する信用低下などの大きな問題に発展しています。
都では、この状況に対し、昨年十一月より、古紙持ち去り問題対策検討協議会を設立し、持ち去り行為の根絶に向けた協議を開始しましたが、不正を看過せず、古紙のリサイクルを推進していくという視点で、都も対策を強化すべきであります。見解を求めます。
最後に、地域医療支援について質問いたします。
医療資源において、病床数の確保は大変重要な課題であります。基準病床数については、二次保健医療圏ごとに定められており、私の地元練馬区は、豊島区、北区、板橋区とともに、区西北部医療圏を形成していますが、練馬区はかねてより医療過疎地といわれ、病床数が著しく不足をしております。
平成二十一年十月一日現在のデータによりますと、人口十万人当たりの病院の病床数は、二十三区平均が八百二十七床であるのに対し、練馬区は二百七十六床と二十三区で最低であります。人口七十万人を超える都内で二番目に人口の多い区であるにもかかわらず、人口に比較して極端に少ない病床数であります。練馬区にとっては病床数の確保、医療機能の拡充など、医療環境の整備は喫緊の重要課題であり、これまでも区民や区議会と一体となって、区内の病床確保が可能になるよう、国や都に対し活動を行ってまいりました。
平成二十三年度には、区の地域医療の将来を見据えた区独自の地域医療計画を策定する予定であります。東京都保健医療計画では、地域医療の確保については、基礎的自治体である区市町村が取り組むこととされていますが、著しい医療過疎状態である練馬区の地域医療確保の取り組みについては、都としても積極的に協議に応じ、必要な支援策を講じていくべきであります。見解を求めます。
また、区西北部医療圏では、板橋区に病院が集中しており、同じ二次保健医療圏の中でも医療資源の偏在が見られます。練馬区民の皆様からも、身近な生活圏における医療不足への不安の声も大変に多く寄せられております。病床確保に当たっては、二次保健医療圏内の実情を踏まえて、適正かつ柔軟な対応がなされるよう、都としても取り組んでいただくよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 一番小林健二議員の一般質問にお答えいたします。
文化芸術を基軸に据えた東京の活性化についてでありますが、変化の激しい四季を持つ日本の風土は、日本人独特の細やかな感性を培ってきました。ハンチントンのいうように、どのカテゴリーにも属さない日本独特の文化の体系というものをつくったわけでありますが、世界最古の国民歌集の万葉集や世界最古の長編小説の源氏物語を生みました。さらに、混乱をきわめた足利時代には、逆に、幽玄なさびのある芸術を生みました。世界で最も短い詩形であります俳句や短歌もつくり出しました。
こうしたその日本の伝統文化に、現代美術や演劇、ファッションなども加わって、東京は世界的に見ても比類のない魅力を放っております。
そこで、これまでにない文化政策を実現するために、芸術文化に造詣の深い各界の第一人者で構成する東京芸術文化評議会という、国にもない会議を立ち上げております。その独創的で斬新な提言に基づきまして、東京の潜在力を解き放つべく、戦略的に文化創造、発信に取り組んできました。
また、次の時代を切り開くような若いみずみずしい才能を見出し、世界に飛躍させるために立ち上げたトーキョーワンダーサイトは、今ではコンテンポラリーアートの世界のサーキットの中にしっかりと入りました。
今後も、文化政策を都市戦略の重要な柱に位置づけ、産業や観光の振興ともリンクさせながら、東京の活力を高めるとともに、世界の人々を魅了していきたいものだと思っております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、東京都独自の日本史教科書「江戸から東京へ」の作成上の工夫についてでございます。
都教育委員会は、都立高校生に、日本の近現代史の学習を通して、国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りを身につけさせる必要があると考え、東京都独自の日本史教科書「江戸から東京へ」を作成いたしました。
この教科書では、歴史的事実を客観的かつ公正に記述して、歴史の持つ重層性や複合性を生徒に考えさせ、理解させるとともに、各学習項目の冒頭に、江戸東京の変遷を切り口として、課題や意味などを問いかける学びの窓を設け、歴史を深く学ぶ動機づけを図っております。
また、地図や写真等の資料を多く掲載し、生徒の視覚に訴えて、近代史の歴史事象の理解を一層促進するとともに、東京に今も残る身近な史跡や文化財などを取り上げ、生徒が歴史を肌で感じ取り、学習意欲を高められるよう工夫いたしました。
今後、この教科書については、本年四月に在籍するすべての都立高校生に配布し、日本史等の授業で活用してまいります。
次に、「江戸から東京へ」を指導する、各都立高校の教員に対する取り組みについてでございます。
新学習指導要領日本史には、文化遺産、博物館や資料館の調査、見学などを取り入れることが示されており、生徒に実物資料などに触れさせることは、知識、理解の定着や歴史の考察を深めるために有効でございます。
こうしたことから、都教育委員会は来年度、「江戸から東京へ」の教員向けの指導書を作成し、江戸東京博物館や都立中央図書館などの施設の活用法を初め、旧江戸城等の史跡や東京駅等の歴史的建造物などの文化財を活用した指導法を紹介してまいります。
また、東京各地の史跡や文化財の情報を収集し、新たにデジタルコンテンツを作成して、各学校の教員が補助教材として活用できるようにしてまいります。
今後、都教育委員会は、これらの取り組みを通して、「江戸から東京へ」を指導する教員の力量を高めてまいります。
〔生活文化局長並木一夫君登壇〕
〇生活文化局長(並木一夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、芸術家や文化団体と行政とをつなぐ専門家の活用についてでございますが、都は、平成十八年に東京芸術文化評議会を設置し、芸術文化に対する支援や文化施設のあり方などに関してさまざまな提言をいただき、文化施策の企画立案に当たって、専門家の意見を積極的に取り入れてまいりました。
これにより、東京文化発信プロジェクトや東京舞台芸術活動支援センターの開設など、これまでにないさまざまな施策に取り組むこととなっております。
これらの施策は、海外への発信力をより高めていくために、事業の質的向上を図るなど、さらなる充実が求められております。そのために、文化に対する知見を有し、事業経験の豊富な専門家を、事業を実施する中でも活用することが有効と考えております。
今後、都としても、芸術文化評議会における議論も踏まえ、専門家の活用方策について検討してまいります。
次に、企業メセナ協議会との連携についてでございますが、芸術文化の創造発信が活発に行われていくためには、官と民それぞれの立場で多様な支援を行っていくことが重要でございます。
とりわけ、多数の企業が集積する東京におきましては、企業が芸術家や文化団体を支援するメセナ活動が、芸術文化の発展に重要な役割を果たしてまいりました。こうしたメセナ活動の状況やその成果をより広く社会に紹介し、認知させることにより、企業の社会貢献活動について評価を高めていくことは、芸術文化に対する支援の継続、充実に非常に有効でございます。
都といたしましても、こうした観点から、企業メセナ協議会を初めとする民間団体等との間で、広報や情報提供などに関する連携を図ってまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) リサイクルについてのご質問でございます。
組織的な古紙の持ち去り行為は、本来の資源回収ルートを断ち切り、地域のリサイクルシステムの崩壊につながるものであるため、容認することはできないと考えております。
そこで、都は、古紙の持ち去りを防止するため、昨年十一月に区市町村や古紙回収業界の代表、日本製紙連合会等で構成する、古紙持ち去り問題対策検討協議会を設立いたしました。本協議会では、現在、罰則つきの区市町村条例の制定の拡大や、持ち去り情報の共有化のあり方など、実効性のある新たな対応策につきまして精力的に検討を行っております。
今後、協議会としての意見を取りまとめまして、行政と各業界が一丸となって、この問題に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 地域医療確保に取り組む自治体への支援についてお答えをいたします。
東京都保健医療計画では、住民に身近な地域医療の確保は区市町村の役割としており、都は、こうした区市町村の主体的な取り組みに対して支援を行うことといたしております。
このため、練馬区から都に対して、地域医療の確保に向けた支援の要請があった場合には、十分に意見を聞いた上で、病床の不足状況など詳細な医療実態を把握した上で、具体的な計画書が提出された際には、二次保健医療圏の基準病床数の範囲内で公正な病床配分を行うことになります。
また、当該病院からの申請に基づき、救急や災害などの行政医療に必要な施設整備について支援を行ってまいります。
〇副議長(鈴木貫太郎君) 二十三番田中たけし君。
〔二十三番田中たけし君登壇〕
〇二十三番(田中たけし君) まず初めに、水道事業についてお伺いいたします。
阪神大震災から十六年目を迎えた本年一月十七日の朝刊に、水道管の耐震化が一七%しか進んでおらず、東京においても、管路の耐震化率は二六%にとどまっていると報じられました。東京での大規模地震の切迫性が指摘される中、震災時の給水確保のための取り組みは急務であります。
水道局では、管路の取りかえ計画を大幅に前倒しし、耐震化を推進する水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を今年度より実施しております。事業二年目となる平成二十三年度は、現場での工事が本格化し、これまで以上に断水や交通規制など日常生活への影響が大きく、都民の理解を得ることが不可欠であります。また、事業を円滑に実施するには、請負業者を確保することも重要であります。
そこで、工事の本格実施に向けた水道局の取り組みについてお伺いをいたします。
震災時に都民に確実に水を届けるためには、水道本管だけではなく、給水管の耐震化が重要であります。私は平成二十一年の本会議で、私道に多くの給水管が埋設されておりますが、漏水などの問題が生じていることから、私道内給水管の整備も必要であると指摘いたしました。これを受け、私道内の給水管を整理統合し、配水管を布設する私道内給水管整備事業の対象範囲を拡大するとの答弁をいただきましたが、この事業は、漏水防止だけではなく、震災時の給水確保の観点からも非常に効果が高い事業であります。
そこで、本事業に対する取り組みの決意をお伺いをいたします。
次に、交通施策について伺います。
本年八月一日、都営交通創業百周年を迎えますが、これまでの高度経済成長や首都東京の発展に鉄道網の整備が大きく貢献してまいりました。そして、成熟した首都東京のさらなる発展には、東京圏の鉄道ネットワークをさらに充実させることが重要と考えます。
現在の東京圏の鉄道整備は、旧運輸省の平成十二年に出された運輸政策審議会答申第十八号を基本に路線の整備が進められてきております。一方、答申に位置づけられていながら、未着手となっている路線も多く残っております。中でも、練馬区では大江戸線の延伸を、江東区や墨田区などでは有楽町線、半蔵門線の延伸を地元区と住民が一体となって求めております。また、私の地元品川区内では、東海道貨物線の旅客化にも大きな期待が集まっております。鉄道整備は、鉄道事業者が主体となり実施することが基本でありますが、都としても、その実現に向け積極的に取り組むべきと考えます。
また、リニア中央新幹線が二〇二七年、名古屋へ、二〇四五年、大阪への開業が予定されており、都内にはその始発駅が設置されます。こうしたことも踏まえ、新たな時代の鉄道ネットワークを考えていくことが必要となります。
このような中、運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられた未整備路線に対し、今後の都の取り組みについてお伺いいたします。
新幹線は、日本の高度経済成長の象徴であり、大きな役割を果たしてきましたが、特に東京─新大阪間はダイヤ過密状態であり、さらなる増便が不可能な状況にあります。一方、リニア中央新幹線は、東京─大阪間を最速で六十七分で結ばれ、今後の日本の発展に大きく寄与する新しい国土軸となり、その早期開通が望まれます。
そこで、リニア中央新幹線の整備効果について、都の考えをお伺いをいたします。
都内には、リニア中央新幹線の始発駅が設置されますが、始発駅周辺のまちづくりに大きな影響を与えるものと考えております。JR東海は品川駅を始発駅にしたい旨、都に申し入れを行ったと聞いておりますが、品川駅であれば、拡張された羽田空港へのアクセスも容易であり、航空路線との連携が可能となるなど、品川駅始発には、首都東京のさらなる発展に大きく貢献するものと期待できます。
そこで、リニア中央新幹線の始発駅はどのような観点から決められるべきと考えているか、都の見解をお伺いをいたします。
次に、都営地下鉄の安全対策について伺います。
交通局は、我が党の要望にこたえ、平成二十五年度の全面稼働に向けて、都営地下鉄の総合指令の整備に取り組んでいます。これは、運行管理を行う三つの運輸指令所と電気の供給を一括して管理する電力指令所を統合するもので、事故発生時の応援や信号など重要施設の監視機能を充実させ、トラブル発生時には、利用者へ迅速かつ的確な情報提供を行い、早期の運転再開につなげていくものであり、安全性とサービスの向上に寄与するものであります。
一方で、統合することにはリスクも伴い、先般、新幹線の運転を集中制御するシステムがダウンし、JR東日本の五つの新幹線がストップしてしまいましたが、統合システムには、一つのトラブルが全線に影響する可能性があり、また、災害や不審者の侵入などにも十分備えが必要であります。
そこで、総合指令の整備に当たり、危機管理の観点から、リスク対策をどのように講じていくのか、所見をお伺いいたします。
次に、行財政運営について伺います。
これまで石原知事は、東京から日本を変える公約のもと、ディーゼル車両規制、大規模事業者へのCO2排出削減の義務化や排出権取引制度の導入、複式簿記・発生主義会計を取り入れた公会計制度の導入などを行い、また、待機児童の解消に向けた認証保育所の創設や羽田空港の再拡張、横田空域の一部返還など、本来、国が行うべき事業にも取り組み、まさに東京から日本を変え、多くの成果を上げてまいりました。
一方、今日の国政では、首都圏住民の生命、財産を守る八ッ場ダム建設を凍結し、都心部の交通渋滞の解消のために必要な外かく環状道路の建設の凍結、また、災害発生時の避難場所としても活用する小中学校の校舎の耐震化も立ちおくれ、子ども手当の財源や私立幼稚園就園奨励費負担を自治体に押しつけるなど、都民福祉の低下につながる政策ばかりであり、今こそ、さらに東京から日本を変える必要があると強く感じております。
また、特に行財政改革への取り組みにおいて、国と都では大きな違いがあり、対照的であります。国では、事業仕分けが導入され、大きな反響を呼びましたが、現実は、仕分けにより三兆円の財源を捻出するとしながら、初年度は埋蔵金を入れても二兆円と目標に及ばず、今回の予算編成での歳出削減額では、たったの三千億円であります。結局は成果のない、話題性だけのパフォーマンスでしかなかったと思います。
象徴的な事例がジョブカードであります。民主党政権が目玉政策として位置づけ、拡充を閣議決定した施策が、何と仕分けの結果、廃止と判定されてしまいました。ところが、その後、政府はこの結論をひっくり返し、結局存続されることになりました。何のために仕分けを行ったのか、民主党自身が事業仕分けの限界を世にさらけ出した事例ではないかと思っております。
事業仕分けでは、役人の説明を遮り、結論を一方的に押しつけるシーンも見られ、短時間で結論を出すなど一面的な議論に終始し、物事の本質を踏まえた是非の判断やあるべき姿の提示はほとんどないといわざるを得ません。どこまで責任ある議論がなされているのか甚だ疑問であり、事業仕分けの課題と限界は、その仕組みや手法そのものにあるのではないかと考えております。
一方、都においては、五年目となる事業評価は着実な成果を上げております。財政再建団体に転落する寸前に就任された石原知事は、徹底した内部努力で財政再建を達成し、そこでの取り組みを事業評価という制度に発展させました。都が行っている事業評価の大きな特徴は、廃止、削減という財源捻出のためだけになされるものではなく、評価の結果、充実拡大される事業も多くあるということであります。
私は、この事業評価は、既に財政再建をなし遂げたという経験に裏打ちされた成熟した財政運営の手法であり、このような着実な取り組みにより、一兆円もの減収にも耐え得る健全な都財政をつくり上げ、石原知事の先駆的な施策を支えてきていると高く評価しております。これらの成果は、都知事就任以来の、東京から日本を変える、知事の強い責任感と使命感によるものであると考えております。
そこで、これまで着実な成果を上げてきた事業評価を導入したことに対する知事の思いをお伺いいたします。
今日の国難の時期だからこそ、これまで力強くリーダーシップを発揮し、東京から日本を変えてきた石原知事へのさらなる期待が高まってきていると確信をしております。今後の都政を託すに足る人材が見当たらない今日、石原知事の地元でもありました品川区民の方々から、ぜひとも石原知事に引き続き都知事として東京から日本を変えてほしいという声を多く伺っております。多くの都民が待ち望む石原知事の一刻も早い決意表明を期待をいたしまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 田中たけし議員の一般質問にお答えいたします。
事業評価の取り組みについてでありますが、国では事業仕分けが声高に叫ばれておりますけれども、そもそも、その国の会計制度の欠陥から、見直しの重要なツールである財務諸表が存在しないわけで、それゆえにも結果は最初から知れたものだと思います。
都は、国よりはるかに先んじて、都議会の協力のもと、身を削るような努力をしながら歳出を切り詰めるとともに、歳入の確保にも努め、瀕死の状態にあった都財政を今日まで立て直してきました。
都の事業評価は、こうした財政再建の成果の上に立って、施策の検証機能を強化し、効率性や実効性を高める制度としてつくり上げたものであります。この間も非常に厳しい外部監査を導入するとともに、新しい公会計制度の活用と相まって、事業評価の充実を図り、これを、自己改革を当然に進める仕組みとして都庁組織に組み込んできました。
今回の予算においても、厳しい財政環境のもとにあっても、財政の健全性を堅持しつつ、都政の課題に積極果敢に取り組むことができたのは、まさにこうした取り組みを着実に重ねてきた成果にほかならないと思います。この先も都税の大きな伸びを期待できない状況でありますが、事業の徹底した検証を不断に続け、現場に根差した発想力と行動力を最大限発揮しながら、東京から日本の活路を切り開いていきたいものだと思います。
他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
〔東京都技監河島均君登壇〕
〇東京都技監(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、未整備の鉄道路線に対する取り組みについてでございます。
都市の機能や利便性を高めていく上で、鉄道ネットワークの充実を図ることは重要でございます。このため、都は、国や鉄道事業者等と連携し、運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられた路線の実現に向け、取り組んでおります。
この答申の中で、平成二十七年までに開業することが適当とされた都内の十六路線につきましては、既にすべて開業または事業中となっております。
一方、平成二十七年までに整備着手することが適当とされた路線につきましては、事業主体や採算性などの課題があり、現時点では未着手となっております。
都としては、将来の輸送需要の動向などを見据えながら、これらの未着手路線の整備につきまして、国や関係自治体と鉄道事業者とともに検討してまいります。
次に、リニア中央新幹線の整備効果についてでございますが、リニア中央新幹線は、お話のとおり、東京─大阪間を最速で六十七分で結ぶことが予定されており、三大都市圏の交流、連携の一層の緊密化により、経済活動が活性化され、我が国の国際競争力の強化に大きく寄与すると考えられます。
また、東京─大阪間の航空需要がリニア中央新幹線に転換することにより、羽田空港の国内線の発着枠に余裕が出るものと見込まれますが、これを活用して国際線枠を拡大すれば、羽田の国際空港としての機能を一層強化することができます。
さらに、東海地震などの災害が発生した場合にも、東海道新幹線のバイパスとして三大都市圏を結ぶ大動脈を途切らせることなく、我が国の経済活動の停滞を防ぐことができます。
こうしたことから、都としては、リニア中央新幹線は早期整備を図るべきであり、その際、大阪までの早期開業が必要であるとの意見を国に申し入れているところでございます。
最後に、リニア中央新幹線の都内の始発駅の選定についてでございますが、今お答えを申し上げましたとおり、リニア中央新幹線は、三大都市圏の交流を一層緊密化し、我が国の経済を活性化させるなどの多大な整備効果があることから、始発駅は国内外の多くの利用者にとって便利であること、駅及び周辺における効果的な都市開発が実現できること、建設工事を進める際に、特に支障がないことといった観点から選定されるべきと考えております。
昨年七月、建設、営業主体となることを予定しているJR東海は、始発駅を品川に整備したい旨を都に申し入れております。現在、都は、これらの観点から始発駅の位置についてJR東海から資料の提供などを受け、鋭意検証を進めているところでございまして、その結果を踏まえ、都としての考え方を明らかにしてまいりたいと考えております。
〔水道局長尾崎勝君登壇〕
〇水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
まず、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業における、工事の本格実施に向けた取り組みについてでございますが、工事量が大幅に増加することから、断水や交通規制によるお客様への影響や請負業者の確保などを、これまで以上に考慮することが必要であります。
このため、断水時間を大幅に短縮できる仮配管方式を積極的に推進するとともに、事業の内容や意義、重要性を示したリーフレットやホームページを活用して、工事に対する理解を深めてまいります。
また、請負業者に対しては、事業の目的や規模を周知し、体制づくりを促すとともに、計画的な工事発注を推進して、安定的な受注機会を提供してまいります。
これらの取り組みにより、水道管路の耐震化を着実に推進し、震災にも強い高水準な水道を構築してまいります。
次に、私道内給水管整備事業に対する取り組みについてでございますが、この事業は、ご指摘のとおり、漏水防止、出水不良の解消だけでなく、耐震性向上の観点からも効果が高いものであり、当局の重要な施策として位置づけております。また、事業の対象範囲を拡大したことにより、区部では、今年度の施工延長が、平成二十年度と比較して約一五%増加する見込みであります。
今後も、事業を円滑に進めるため、耐震性の向上など、事業効果を具体的に記載したリーフレットなどを用いて、私道の地権者や近隣住民の皆様へわかりやすく説明し、一層の理解を求めてまいります。
さらに、区役所の私道助成工事などとあわせて実施することや、工事発注の平準化を図るなどの工夫を行い、私道内給水管整備事業を積極的に推進してまいります。
〔交通局長金子正一郎君登壇〕
〇交通局長(金子正一郎君) 都営地下鉄の総合指令のリスク対策についてお答えをいたします。
現在、地下鉄の安全で安定的な運行を確保していくために、平成二十四年度の運用開始、二十五年度の全面稼働を目指して、総合的、効率的に運行管理業務を行う総合指令の構築を進めております。構築に当たりましては、システム及び施設の両面でさまざまなリスクを想定した対策を講ずることとしております。
具体的には、主要なシステムであります列車運行制御装置を四つの路線ごとに独立させ、一つの路線に障害が発生しても、他の路線に影響が及ばない設計にしております。この列車運行制御装置を初めとした電力管理、通信設備などの重要なシステムは、回線や電源を二重化することにより、リスク対応を図ってまいります。
また、施設面では、総合指令の庁舎は、大規模な地震を想定した免震構造を採用するとともに、平成十二年に発生した東海豪雨並みの集中豪雨にも耐えられる設計にしております。
さらに、不審者の侵入にも備え、高度なセキュリティーシステムにより入退室管理を行うこととしており、今後とも、ご指摘の総合指令のリスク対策には万全を期し、着実に整備を進めてまいります。
〇副議長(鈴木貫太郎君) 七十七番野上ゆきえさん。
〔七十七番野上ゆきえ君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
〇七十七番(野上ゆきえ君) 近代国家の土台となった「学事奨励に関する被仰出書」から成る我が国の教育制度は、「邑に不学の戸なく、家に不学の人なからしめん事を期す」にあらわされているように、国民皆学の理念を掲げています。学ぶ場としての学校の必要性が認識され、階級社会において大部分を占めていた資本を持たない下層出身者でも、学校というルートを通じて、上昇的な社会移動を遂げられるシステムが整備されるとともに、人が皆、夢を抱くことを許され、個人の志の実現が国家の繁栄につながると考えられたのが我が国の教育の原点です。
我が国は、教育を国づくりの礎として、国家の地位向上を達成し、ここ首都東京は、集積した人的資源を効率的に吸収し、経済的成功をおさめ、世界を代表する都市に発展してまいりました。
今、教育には、未来を担う子どもたち一人一人の個性や能力を伸ばし、生涯にわたってたくましく生きていく基盤を身につけさせることとともに、国際都市東京に住む一市民として、また国家、社会の形成者として必要な資質、能力を育成することが求められています。
子どもたちは、より幸福な社会生活、職業生活を送っていくことができるための学力を身につけ、現状の世代のニーズを担う世代継承のみならず、次世代の未来を切り開く力を育成することが学校、そして教育の役割であると私は考えます。
しかしながら、現状はどうでしょうか。十五歳から三十四歳までの若年人口のうち、就業も家事も通学もしていない、いわゆる若年無業者が平成二十一年において約六十三万人存在している状況や、新規学卒者が三年以内に離職する割合が平成十九年において、高等学校卒業者で約四〇%、大学卒業者で約三一%といった状況があり、学校から社会や職業生活に出ていくプロセスにおいて、どこかに課題があるといわざるを得ません。
また、経済格差が学校教育に持ち込まれることがあるとしたら、それこそゆゆしき問題です。
今、改めて学校教育の使命とは何かという原点に立ち返り、子どもたちが生涯にわたってたくましく生きていく基盤となる資質、能力をはぐくむ教育を行っていくことが求められていると考えますが、見解を伺います。
教育は人なりといわれているように、教育の直接の担い手である教員の指導力がその成否を決めるといっても過言ではありません。専門性を持った質の高い教員による質の高い教育によって、子どもたちの能力が開花していくものと考えます。
教員は、採用されるとすぐに教壇に立ち、いわば一国一城のあるじとして、児童生徒を前に授業を行います。教室の中では大人は教員だけであり、普通の職業と比べると、上司や先輩から指導を受けたり、顧客からの苦情や評判を受けとめたりしながら、みずからを高める機会が少ないものと考えられます。だからこそ、教員がみずから教育内容、教育方法、教育成果を自己検証できる能力や仕組みが必要であると考えます。
教員個人の自己研さんだけに頼っていては、資質、能力の向上を図ることは到底難しく、組織的、計画的な育成を図るべきと考えます。都教育委員会の見解を伺います。
さらに、教員の資質、能力の向上が学校教育の質の向上に資することはもちろんではありますが、教育に対する高い期待とさまざまなニーズが存在する現在においては、教員だけですべてを担おうとせず、専門性を持った外部からの人材も含めて、分野ごとにベストな人材を活用する視点も重要であると考えます。
その一つが学校経営の分野です。校長には、教育に関する理解や見識を有し、地域や学校の状況を踏まえつつ、今、本当に何が求められているのかという観点から、歴史や時代を見据えて課題を的確に把握し、関係機関との連絡、折衝を適切に行い、学校を運営することができるすぐれた資質を備えた人材を確保する必要があります。
教育界の内外から経営手腕を持った熱意あふれる人材が登用され、従来にない手法で学校全体を活性化していけば、他の校長も大いに刺激になり、教員や生徒、地域社会等にもよい影響を与え、大きな相乗効果をもたらすことができると考えます。
都立高校においては、既に八人の民間人校長を登用してきましたが、これまでの実績を踏まえ、今後どのような考え方で民間人校長を登用していくのか、都教育委員会の見解を伺います。
また、外部からの人材の確保が期待されるもう一つの分野は、専門的な教科指導の充実が求められる分野であります。
学校経営を担う人材だけではなく、各分野でベストな教育を行える多様な人材が必要です。例えば、理数教育や科学技術の分野では、大学教授や企業、研究機関の第一線で活躍している研究者から直接授業を受ける機会を得ることで、子どもたちの学習意欲は大いに喚起され、学問へのあこがれや夢、さらには将来への展望を持つきっかけになると考えます。また、教員にとっての刺激にもなり、研究活動や自己啓発に一層精進していくことが見込まれます。
そこで、都立高校において、専門的指導の充実が求められる分野ごとにベストな人材が教壇に立てるよう、より積極的に外部人材を活用していくべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
次に、都の施策を担う職員の人材育成について伺います。
世界のグローバル化は進み、国際社会におけるアジア地域の重要性が高まっています。アジア地域では経済成長を背景に、域内の対応すべき課題も政治的、経済的なものから、技術的、文化的なものまで多様化しております。刻々と変化する状況の中で、将来のよりよい地域の発展を見据え、都においては、環境や産業など各分野で、アジア地域を視野に入れた政策立案が求められています。このために今必要なのは、現地にネットワークを持ってリアルな情報をつかみ、みずから状況を的確に判断していく体制の充実です。
都は、これまでアジア大都市ネットワークにおいて、各都市と連携した共同事業により、課題解決の取り組みを行ってきました。この協力関係をさらに強め、事業展開に活用していける生きたネットワークとするためには、より具体的に各事業の内容に踏み込んだ職員の交流が重要だと考えます。
今後は、アジア地域の各都市への職員派遣や研修などを一層促進し、人材の育成を図るべきと考えますが、見解を伺います。
国際人材の育成として、自国の歴史や文化を深く理解し、その上で、経済、社会、文化など、背景が異なる相手方と対等に協議、交渉し合意を得るという世界に通用する説得力を身につけることもまた重要と考えます。今年度の初め石原知事は、知事と同じく言葉を職業とする猪瀬副知事をリーダーとし、局を横断した言葉の力再生プロジェクトを発足させました。
昨年十一月に公表されたプロジェクトの報告書によると、世界標準の技術である言語力を身につけることで、国際社会の中で、日本人の視点から世界に貢献していくことができるとされており、都職員を対象に、言語力の向上を目的とした研修を実施したとなっております。プロジェクトのリーダーである猪瀬副知事が、これまで、世界に通用する都職員を育成するために、言葉の力再生プロジェクトとしてどのような取り組みを行ってきたのか、また今後の取り組みについて伺います。
さて、猪瀬副知事がリーダーを務める水ビジネスのみならず、清潔で機能的な都市東京を維持している廃棄物処理技術についても、成長著しいアジア諸国から大変注目されているところです。アジア新興国では、経済成長や人口増加により廃棄物発生量が急増し、廃棄物の適正処理が追いつかず、環境汚染が深刻化しています。
環境省の試算では、アジア都市でのごみ処理市場は二〇二〇年で約六百億ドルにも上るとされ、既に限界が来ているといわれている国内市場とは異なり、アジアには巨大な廃棄物処理、リサイクルの潜在的市場が大きく広がっています。深刻な公害問題とその克服を経験した東京都こそ、世界に誇る技術や連携システムをもって、静脈産業を国際貢献ビジネスとして展開できると考えます。
今後、さらなるこの分野での国際展開、事業、人材交流についても期待したいところです。
次に、リサイクルに関し、環境面での定量的評価について伺います。
これからのリサイクルに当たっては、単に最終処分量を減らすだけではなく、気候変動対策に資する方法を選択していくことが不可欠です。そのためには、リサイクルによるCO2削減効果を定量的に評価し、比較することが重要となります。リサイクルにより天然資源採取に伴う多量のCO2を削減することができ、またサーマルリサイクルでは、発電や熱供給によりCO2を削減することができます。
しかしながら、リサイクルに取り組む企業がばらばらな方法でCO2削減効果を算出したのでは、どれがすぐれているのか、一般の排出者にはわからなくなってしまいます。大消費地である東京においてこそ、地球温暖化対策と資源循環を統合的に進めるため、リサイクルによるCO2削減効果の見える化に先導的に取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。
また、リサイクルを進める上での環境面の評価としてもう一点は、天然資源消費量の抑制についてです。
私たちが自然界から天然資源を取り出す際には、大きな環境負荷が生じており、リサイクルによってこれを削減することが可能になります。例えば鉄鉱石を採掘する際には、多量の土砂等を掘り出す必要があり、そこから鉄を製錬するためには、大量の石炭を投入する必要があります。
建築物等の新築、解体が多い東京では、鉄、アルミ、セメントなど大量の建設廃棄物が発生しており、これらのリサイクルを促進することは、天然資源の消費を抑制していくことにつながります。
このような天然資源採取に伴う環境負荷について、定量的な情報を広く提供し、企業や都民の行動を促していくべきだと考えますが、見解を伺います。
さて、一昨日の我が会派の代表質問で、都が進めている世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度が順調にスタートしていることがわかりました。過日、私が参加した日韓排出量取引セミナーでは、韓国では既に地球温暖化対策基本法が成立し、国レベルで排出量取引の具体化に向け、活発な議論が行われていることが紹介されていました。
都の制度は、世界的に先駆的な制度であり、その経験やノウハウは、CO2削減に取り組む海外の都市や地方政府にとって貴重な情報に違いありません。
今、急速な経済成長と都市化が進行しているアジア諸都市では、都市のエネルギー消費とCO2排出をいかに抑制するかが課題となっています。昨年十二月に世界銀行が発表した報告書でも、二〇五〇年に世界人口の七〇%は都市に集中すると予測しており、それゆえ、国の枠組みのみならず、都市が気候変動対策において中心的な役割を果たすと報告をしております。
都は、そうした海外諸都市に都の経験やノウハウを活用してもらうために、海外へ向けてキャップ・アンド・トレード等に関する情報を積極的に発信していくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、海外販路開拓支援について伺います。
国際的にも注目を集め、成長著しいアジア市場を目の前に、果敢に挑戦したいと考える都内中小企業の声を多く耳にします。
しかし、すぐれた技術や製品を持ち、国内における販売実績がありながらも、言葉の問題や貿易実務がないこと、現地の商習慣、市場動向、さらには規制、規格などに関する情報が入手できないことなどから、そうした中小企業が海外との取引に簡単には踏み出せないのが実情です。
さらに、海外の取引先候補との正式な契約締結に至るまでには、正確かつ迅速なコミュニケーションや粘り強い交渉を重ねる必要があることなどからも、現地の実情や貿易実務、各種手続などに精通した専門家のアドバイスが欠かせません。
こうしたことからも、行政として、企業の海外販路開拓をきめ細やかに支援していくことは重要です。都として一層の支援を進めるべきと考えますが、都の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔副知事猪瀬直樹君登壇〕
〇副知事(猪瀬直樹君) 野上ゆきえ議員の一般質問にお答えします。
言葉の力再生プロジェクトにおける職員の育成についてでありますが、日本を牽引する首都公務員たる東京都職員にとって、グローバル時代に不可欠な論理的思考力や、他者と十二分に意思を交わし、豊かな人間関係を築くための技術である言葉の力を向上させることが重要であります。
そこで、言語学や心理学、脳科学などの各分野の専門家を招き、言語力について最新の知見を得るために、職員向けの有識者勉強会を開催しました。また、新規採用職員や教職員、若者の就業支援者といった、特に言語力の向上が求められる職員を対象に、新たな言語力、言語技術研修を実施しました。さらに、自身の言語力を把握する機会として、職員の自己啓発セミナーに言語力検定を取り入れるなど、さまざまな職層の職員に対して言語力の向上を図っております。
この四月には、すべての新規採用職員を対象とした言語力研修を実施するなど、今後も東京から始めた言葉の力の再生に向けた取り組みを拡充し、国際化、情報化が進む現代社会を生き抜くために、必要な技術と感性、そして情熱を身につけることができるよう、必要な施策を講じていく考えであります。
なお、東京から言葉の力を再生するというこの報告書は、皆様にお配りしてあります。また、都庁のホームページでも公開しております。ぜひお目通しいただけるようよろしくお願いいたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
まず、子どもたちが生涯にわたってたくましく生きていく資質、能力をはぐくむ教育についてでございます。
次代を担う子どもたちが将来への夢や目標を持ち、主体的に未来を切り開いていけるよう、学校教育においては、児童生徒の発達段階に応じた体系的、組織的な教育を行うことにより、知、徳、体をバランスよくはぐくむとともに、社会的、職業的自立に向けた基盤となる能力や態度を身につけさせる必要がございます。
一方、子どもたちの現状を見ると、大学等への進学に対する十分な心構えができていないことから、進路意識や目的意識が希薄なまま、とりあえず進学する者が増加していることが指摘されております。
また、ご指摘のように、学校から社会や職業生活に出ていくプロセスにおいて課題を抱えているほか、社会の一員となることへの自覚や責任感の希薄さ、みずから考え行動する自主性や、勤労観、職業観の未熟さ、社会的、職業的生活を営む上での基本的能力の不足等が指摘される状況にございます。
子どもたちを自立した人間へと育成していくためには、学校教育の充実に加え、学校と家庭、地域、企業等が連携し、社会人、職業人としての経験が豊富な人材の学校教育への参画を得ていく必要があります。家庭や地域の教育力の低下が叫ばれている今だからこそ、その調整者となる学校の役割は非常に重要でございます。
このような考えのもと、都教育委員会は、今後とも、学校現場と一体となって、子どもたちの自立に向けた取り組みのさらなる充実に努めてまいります。
次に、教員の組織的、計画的な育成についてでございます。
教員は、教室において、上司や先輩から日々直接指導を受けることは難しく、また、さまざまな生活指導上の課題を一人で抱え込みがちな環境にございます。教員を孤立させず、教員の資質、能力を向上させるためには、職場研修と通所研修を体系的に実施していく必要がございます。
このため、現在、職場においては、校長を責任者と位置づけ、職場研修の計画を作成し、管理職や主幹教諭などによる日常的な指導を通じて、教員の育成に組織的、計画的に取り組んでおります。
また、東京都教職員研修センターにおける通所研修では、教員の経験や職層に応じた研修を実施し、組織の一員として求められる力を育成するとともに、教科や教育課題への対応など、教員としての専門性を高める研修を実施しております。
例えば、初任者を対象とした研修では、民間企業の講師を活用して、社会人としての接遇に関する研修などを実施しております。また、専門性を高める研修では、平成二十二年度に実施した百三十一講座中九十の講座で、大学教授等の外部人材を活用し、教員の実践的指導力の向上を図っております。
今後とも、職場研修を推進するとともに、効果的な通所研修を実施し、教員の人材育成を組織的、計画的に推進して、教員の資質、能力の向上を図ってまいります。
次に、都立高校における民間人校長の登用についてでございます。
これまでに採用した校長は、企業経験を生かしたキャリア教育を展開し、生徒の進路選択の拡大を図ったり、学校経営に民間の経営手法を取り入れて、教員の意識改革を促したりするなど、顕著な実績を上げております。
教員とは異なる経験を持つ民間企業の管理職経験者などを校長として任用し、新しい視点から教育改革に取り組むことは、都立高校全体の活性化に寄与するものと考えておりまして、平成二十三年度にも新たに一名を任用する予定でございます。
今後とも、実社会と連携した活動や、学校の特色に応じた教育を展開するために、学校外からも適切な人材を登用してまいります。
次に、都立高校における外部人材の活用についてでございます。
これまで都教育委員会では、キャリア教育や部活動など専門的指導が求められる分野において、すぐれた外部人材を積極的に都立高校に招聘し、その道の専門家ならではの質の高い教育を推進してまいりました。
例えば都立高校では、キャリア教育の一環として、ノーベル賞受賞者や大学教授、企業経営者など、それぞれの分野の第一人者から、真理を探求する姿勢や、世界を舞台に経営を展開していくやりがいや誇り、責任などについて語っていただき、生徒に心躍る感動と生きる希望や目標を与える取り組みを行っております。
また、部活動においても、オリンピック選手から直接指導をしていただき、日本代表として競技に臨む誇りとプレッシャーに打ちかつ強靱な精神力について語っていただくなどして、生徒に、より高い目標に挑戦しようとする意欲を喚起する取り組みを行っております。
今後とも、各都立高校が、関係機関との連携や人材バンクモデル事業の活用などにより、専門的指導が求められる分野の卓越した外部人材を活用し、質の高い教育を一層推進するよう指導してまいります。
〔総務局長比留間英人君登壇〕
〇総務局長(比留間英人君) アジアを重視した職員の人材育成についてでございます。
これまで都は、環境対策や産業振興など、さまざまな分野で国際的な事業展開を担う人材を育成するため、米国大学院への派遣研修や、政策課題の調査研究を行う海外研修のほか、外務省など各機関を通じた海外への職員派遣に取り組んでまいりました。
近年、アジア大都市ネットワーク21の共同事業を初めとして、都政のさまざまな分野において、アジア地域における関係がより一層緊密になっております。
今後、アジアに関する政策課題をテーマとした海外研修や、アジア各都市への職員派遣の拡大についても検討するなど、アジア地域の重要性を踏まえた国際ネットワークづくりの観点から、職員のグローバルな人材育成を進めてまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
〇環境局長(大野輝之君) 三点のご質問でございます。
まず、廃棄物のリサイクルによる温室効果ガス削減効果の明確化についてでございますが、今後の廃棄物、リサイクル対策の実施に当たりましては、最終処分量の削減に取り組むとともに、地球温暖化防止にも積極的に寄与していくことが必要となっております。
そのため、まずリサイクルの品目や方法ごとに、どれだけの量の温室効果ガスが削減されるかを定量的に示し、比較可能にすることが必要でございます。
こうした削減効果の定量化に当たりましては、計算方法や基準の統一を図る必要があるため、都は現在、ルールの確立に向けた技術的な検討を進めております。
次に、天然資源の採取に関する情報の提供についてございますが、資源循環型社会の構築のためには、工業製品の生産に必要な天然資源の採取などが地球に与える影響の大きさについて、広く認識を共有していくことが重要でございます。
例えば、鉄などの金属素材を生産する際には、原料となる鉱石だけでなく、製錬に要する石炭などのエネルギー資源も地中から採取され、またこれに伴い、多量の土砂も採掘することとなります。これらの合計量を示すものとして、関与物質総量という指標が開発されてきておりまして、例えば鉄一トンの関与物質総量は八トン、アルミの場合は四十八トンとされております。
このような情報を広く都民、事業者に提供しまして、製品の生産、さらには消費が自然界に与える影響の全体像を正しく認識してもらい、リサイクルの取り組みを推進してまいります。
最後に、東京の気候変動対策の海外発信についてでございますが、気候変動対策に関する国際合意は、昨年のCOP16でも先送りとなりまして、国家レベルの対応がおくれる中、都市や地方政府の役割の重要性に対する認識が高まっております。
中でも、都市レベルで唯一キャップ・アンド・トレード制度を実施している東京の取り組みに高い注目が集まっておりまして、これまでも世界大都市気候先導グループ等で紹介をしてまいりました。特に最近では、韓国、台湾、中国、シンガポールなど、アジア各国から東京のキャップ・アンド・トレード制度の紹介の依頼が増加をしてきております。
今後とも、さまざまな機会に、アジア諸都市を初め世界の都市や地方政府に、都のノウハウと経験を発信してまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 海外販路開拓支援についてのご質問にお答えいたします。
今後も大きな成長が見込まれるアジア市場での販路開拓の支援に向けまして、都は、機械、金属等の分野ごとに海外販路ナビゲーターを配置いたしまして、現地のビジネスデスクからの現地情報を活用し、中小企業の相談に応じているところであります。
来年度につきましては、精密機械等の分野でも商取引のニーズが高いことから、ナビゲーターの数を倍増するとともに、販路開拓の効果の高い海外展示会への出展機会の拡充も図ることといたしました。
また、アジア大都市ネットワーク21と連携し、引き続き産業交流展において、都内中小企業が海外企業と交流する場を設けまして、販路開拓につなげてまいります。
〇議長(和田宗春君) 六十六番三宅正彦君。
〔六十六番三宅正彦君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
〇六十六番(三宅正彦君) 今私たちが便利で豊かな生活を送ることができるのも、これまでの化石燃料のもたらす膨大なエネルギーを消費して現代社会を構築してきたからです。
しかし、その代償としてCO2の排出により、地球規模での気候変動をもたらし、深刻な異常気象を発生させてしまったことは、もはや疑う余地もありません。破滅へと向かう化石燃料依存の社会から一刻も早く脱却し、低炭素型社会へと誘導するためには、全国に先駆けて環境施策を積極的に実践してきた東京が、先頭に立って道しるべを指し示していくべきです。
東京の潜在的な力はまだまだ未知数であり、新たなエネルギー資源の開拓や探求は、新しい社会経済構造を構築するための勇気ある一歩であると思います。そこで、こうした考え方に立ち、自然エネルギーの活用について質問します。
現在、八丈島では、東京電力による離島初の地熱発電所が平成十一年に、翌十二年には風力発電所が運転を開始しております。同じ施設内に地熱発電所と風力発電所が設置されているのは、全国でも八丈島だけだと聞いております。島しょ地域は、太陽光、風力、地熱など自然エネルギーの宝庫であり、中でも地熱エネルギーの活用については、安定的な供給が期待できることから、今後、他の島でも事業化の可能性を秘めていると思います。
都が進める低炭素型社会を構築するためにも、こうした化石燃料にかわる自然エネルギーの開発が不可欠です。さらには、こうした自然エネルギー活用の取り組みにより、新たな産業や観光資源が生み出され、島しょの発展にもつながると思います。私は、島しょ地域こそが自然エネルギー活用の可能性を秘めた大きな舞台であると考えますが、知事の見解を伺います。
次に、島しょ地域の観光振興について伺います。
都では「十年後の東京」において、平成二十八年までに、東京へ一千万人の外国人旅行者誘致を目指しております。東京には外国人に関心の高い食文化や伝統文化、歴史的建造物など、魅力ある観光資源が豊富に存在します。都は、こうした多彩な魅力ある観光資源を観光プロモーションなどにより、海外に向け効果的にPRするとともに、外国語によるハンディーガイドの作成など、受け入れ体制の整備を進めてきた結果、外国人旅行者の増加に着実な効果を上げてきたと聞いております。
先月の政府観光局の発表では、昨年の訪日外国人旅行者数は、過去最高の約八百六十一万人となりました。今後も、羽田空港の発着枠拡大などにより、外国人旅行者の増加が見込まれています。
一方、島しょ地域では、農林水産業と観光業を大きな柱としておりますが、観光面で見ると、旅行者の入り込み数は長期的に減少傾向にあり、厳しい状況が続いています。今後の島しょ振興を考えるとき、観光産業の活性化が不可欠です。すぐれた自然環境を有する島しょ地域の旅行者数をふやすためには、国内旅行者に加え、新たに外国人旅行者を広く誘致していくことが効果的だと考えます。そこで、島しょ地域における外国人旅行者の誘致に向けた支援策について伺います。
次に、小笠原諸島には、ハハジマメグロやオガサワラオオコウモリなど、そこにしか生息しない固有の動植物が多く、近海には多数の鯨やイルカが生息するなど、貴重な自然にあふれています。世界自然遺産登録も視野に入れた小笠原の観光振興の取り組みについて伺います。
次に、島しょ地域の水産業振興について伺います。
東京都における平成二十一年の漁業生産は、速報値によれば、生産量約三千九百トン、生産金額約三十三億円となり、生産量では平成十六年に次ぐ低い水準でした。漁業燃油価格の高どまり、魚価の低迷も依然として続いており、特に生産環境の厳しい島しょ地域では、漁業者や漁業協同組合は厳しい経営を強いられています。こうした状況に加え、漁業就業者の高齢化と後継者不足が進行し、深刻な問題となっています。
このような状況のもと、東京都においても、平成二十一年三月に策定した水産業振興プラン(海編)に基づき、水産業振興に努力されていますが、島しょの水産業は新鮮で安心・安全な水産物の供給を通じて、豊かで健康的な都民の食生活を支えるとともに、島しょ経済にとって重要な産業です。このため、漁業経営の安定化に向けた取り組みや、漁業協同組合への支援を今後とも着実に実施していくことが必要です。
そこでまず、漁業者の経営の安定化について伺いますが、経営の安定化を図るためには、操業の効率化や経費の圧縮などにより、安定した漁業収益を確保できる体制を整えることが必要です。
また、漁業者が安心して生産活動を行うためには、漁業生産を支える共同利用施設の整備などに支援を講じる必要があると考えますが、漁業者の経営の安定化を図り、漁業者の生産活動を継続するため、都はどのような取り組みを行っていくのか伺います。
また、島しょ漁業の生産を担う漁業就業者数は、昭和六十三年に比べ、平成二十年の時点で半数近くにまで減少しています。また、六十歳以上の漁業者が占める割合も四割に達しており、高齢化と担い手不足が深刻化しています。このままいけば、島しょ漁業の存続が危ぶまれる事態も予測されますが、漁業の担い手の確保について、都はどのような取り組みを行っていくのか伺います。
次に、小笠原の情報基盤整備について伺います。
本土と島しょ地域の地理的な制約の軽減を図る交通アクセスの改善に加え、情報基盤の整備は、本土との距離を克服する有効な手段となってきています。とりわけ、本土からおよそ千キロメートル離れ、交通手段が片道二十五時間以上もかかる船便しかない小笠原にとっては、情報通信基盤の整備は極めて重要です。
しかしながら、小笠原では、テレビ視聴やインターネット接続など、通信容量に限りのある衛星回線で行っているため、住民は、地上デジタル放送をフルハイビジョンで視聴したり、高速インターネットを利用することができない状況となっています。さらに、衛星回線は、気象条件によりテレビ画像が乱れたり、インターネット接続が途切れるなど、情報通信が不安定になる問題が生じています。
このような本土との情報格差を是正するため、現在、都が進めている海底光ファイバーケーブルは、衛星回線にかわる新たな情報基盤として早期完成が望まれているところです。また、本年七月に予定されている地上デジタル放送への完全移行に対応するため、整備を速やかに完了していただきたいと思います。
そこで、小笠原の海底光ファイバーケーブルの整備について、都のこれまでの取り組み状況と工事の完了時期について伺います。
次に、自然災害から島民を守る砂防事業について伺います。
島しょ地域は、火山噴火や地震、台風、集中豪雨に襲われるなど、厳しい自然条件のもとにあり、土砂の流出やがけ崩れなどの災害を幾度となく受けています。平成十二年七月から始まった三宅島の火山活動は、島全体に大きな被害をもたらし、全島避難に至りましたが、道路復旧や砂防堰堤の整備などの復興対策により、平成十七年二月に避難指示が解除され、帰島が可能となりました。
さらに、この四月からは、最後まで規制が残っていた坪田高濃度地区でも条件つき居住が可能となります。ここで、これまで三宅島の復興に尽力された関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。
ところで、九州の新燃岳では、先月より火山活動が活発化し、予断を許さない状況となっていますが、火山活動はいつどこで起きるか、予測が困難です。
私の地元、大島の三原山では、全島避難を余儀なくされた昭和六十一年の噴火から二十五年余りが経過しています。過去にも一定周期で噴火が発生していることから、大規模噴火に対する不安を常に抱えています。
こうした火山噴火から島民の安全・安心を確保するため、現在、都では、総合溶岩流対策事業として、砂防堰堤や導流堤などを整備していますが、このようなたゆまない努力をしていくことが不可欠であると考えます。
そこで、大島における総合溶岩流対策事業のこれまでの取り組みと今後の予定について伺います。
次に、道路整備について伺います。
島内の人や物の移動は、道路を利用する以外手段がなく、道路は島にとって大変重要なインフラです。大島には、都道大島循環線という島を一周している最も重要な道路がありますが、噴火などの非常時には、島を循環する都道はまさに命綱ともいえる道路です。
平成二十年二月に、筆島付近において大きな落石があり、現在も通行どめとなっています。都は直ちに対策工事に乗り出しましたが、付近には波浮港などの観光地があり、また町民の日常生活の面からも、地元からは早く通れるようにしてほしいとの要望を受けております。この道路は生活に、そして観光にもなくてはならないものです。島の暮らしを守り、振興を図るため、必要な道路の整備は進めていかなくてはなりません。
そこで、落石箇所で実施している五郎川橋整備事業の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
最後に、離島港湾の整備について伺います。
伊豆諸島では、この冬、異常気象ともいえる強い季節風が吹き荒れ、例えば御蔵島では、定期便や貨物船が連続して欠航し、生鮮食料品はもちろん、プロパンガスまで不足するなど、島民生活の維持すら危ぶまれる状況でした。
島の自立や島民生活の安定のためには、いまだ十分とはいえない離島の港湾の整備を着実に進め、就航率を向上させていくことが非常に重要な課題です。しかし、現政権は、平成二十二年度には、離島港湾関係の補助金の大幅な削減を行い、また平成二十三年度政府予算案では、全国の港湾整備事業費を国費ベースでほぼ前年並みを維持したのに対し、離島分は前年比八四%とさらに削減するなど、離島港湾の計画的、継続的な整備に支障を来しかねない状況にあります。
私も強い危機感から、島しょの町村長とともに、国への要請を再三行い、平成二十二年度補正予算において、一定の事業費を獲得することができましたが、それでも将来に対する島民の不安を払拭できていません。
そこで、都は今後、離島航路の就航率向上と、そのための港湾整備の財源確保をどのように進めていくのか、所見を伺いまして質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 三宅正彦議員の一般質問にお答えします。
島しょ地域の自然エネルギーについてでありますが、東京の島しょ地域は、美しい自然に恵まれた、それぞれの島が違った個性を持っておりまして、まさにストリング・オブ・パールズと外国人はいっておりますが、真珠の首飾りにも例えられるすばらしい、都民にとっての憩いの空間でもあります。
一方、富士火山帯に属する島しょ地域は、その特有の厳しい自然環境の中で、風力や太陽エネルギー、地熱エネルギーなど、自然エネルギー活用の大きな可能性を秘めております。都は既にこうした点に着目し、大島での温泉熱の再利用や、御蔵島での島内すべての公共施設への太陽エネルギー利用設備の導入など、特色のある取り組みを支援してまいりました。
青ヶ島では、カルデラの中から多量の水蒸気が噴出しておりまして、これまでも、これを使ったひんぎゃの塩という非常においしい塩でありますが、塩の製造などに利用してきましたが、地熱エネルギーのさらなる活用を調査検討するなど、取り組みを進めております。
今後とも、観光資源の創出や産業振興という観点も含めて、島しょ地域の特性を生かした自然エネルギーの活用を推進していくつもりであります。
他の質問については、関係局長から答弁します。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
〇産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、島しょ地域における外国人旅行者の誘致についてでありますが、東京の島しょ地域は、島の持つ自然の美しさはもちろんのこと、加えて島の至るところに静寂な空間を有し、都会の喧騒とコントラストをなす、外国人にとっても魅力ある地域でございます。それぞれの島がこうした魅力を生かして外国人旅行者を誘致することは、島しょの観光振興を図る上で有効であると認識しております。
都ではこれまで外国人旅行者を迎え入れるために、地域が取り組む観光ウエブサイトの多言語化や観光案内標識の設置などに対して支援を実施してまいりました。最近では、在日外国人向けの英語雑誌や海外での有名旅行ガイドブックに島しょ地域が取り上げられるなど、島しょの観光に対する外国人の関心の高まりも見受けられます。
今後とも、こうした動きをとらえ、地元町村や関係団体等による外国人旅行者誘致に向けた取り組みに対する支援を行いますとともに、都としても海外メディアへの働きかけを積極的に行うなど、さまざまな機会を活用して島しょの魅力を国内外に発信し、旅行者の誘致に努めてまいります。
次に、小笠原諸島の観光振興についてであります。
小笠原諸島は、島の成立以来、一度も大陸と接したことがない海洋島で、多くの固有種、希少種が生息するなど、世界的にも貴重な自然を有しております。こうした小笠原諸島における観光のあり方は、島の貴重な自然環境の保全を図りながら、持続的観光の実現を目指すことにあります。
世界自然遺産もまた人類共通のかけがえのない財産として、今日に生きる人々が共有し、将来の世代に引き継いでいくべきものとされておりまして、都は既に、このような考え方に基づいて、地元が行う受け入れ体制整備などの取り組みに対し、専門家派遣などにより支援を行ってまいりました。
また、豊かな自然が学びの宝庫であることから、地元では教育旅行の誘致に力を入れており、都ではリーフレットや受け入れ対応マニュアルの作成などの支援を行っております。
来年度は、旅行者向けに自然保護に配慮しつつ、小笠原の魅力が満喫できる自然体験プログラムの充実を図るとともに、観光スポットの紹介とあわせて、環境保全の注意喚起を促すDVDを作成する予定であります。
今後とも、自然環境の保全と観光利用を両立させるという立場に立って、地元と連携を図りながら、小笠原諸島の観光振興を推進してまいります。
次に、漁業者の生産活動への支援についてであります。
漁業は島しょ地域の基幹産業であることから、都はこれまでも、魚礁の設置等による漁場造成や漁業共同利用施設の整備等により、島しょ地域の漁業振興を図ってまいりました。
来年度、平成二十三年度は、大島、利島、神津島、八丈島周辺海域において、従来の漁場造成を続けて行うとともに、八丈島周辺海域では、効率的な操業を可能とする漁場の水温、流速、風向等の観測データを即時提供できる観測機能つき大型ブイを整備する予定であります。
あわせて、小笠原漁業協同組合、小笠原母島漁業協同組合が整備する冷凍冷蔵施設などの施設の整備更新についても、適切に対応してまいります。今後とも、こうした漁業生産に不可欠な基盤を整備してまいります。
最後に、漁業の担い手対策についてであります。
島しょ地域の漁業は、全国同様、漁業者の減少と高齢化が進んでおり、漁業を継続していく上で、担い手の確保は重要であると考えております。これまで都は、国等の制度を活用し、就業希望者に対する漁業体験や情報の提供等を実施してまいりました。しかし、島しょ地域では地理的な要件から、就業希望者が独立するまでの経済的負担が大きく、なかなか定着が進まない状況にあります。
このため、都は、平成二十三年度から独自の取り組みとして、面談の場の提供、半年間の実地研修、資格取得の取り組みに対し支援を実施する予定であります。これらの取り組みを地元町村や漁業団体との連携により着実に進め、就業希望者、漁業者の負担軽減を図り、担い手の円滑な確保、育成を図ってまいります。
〔建設局長村尾公一君登壇〕
〇建設局長(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、小笠原までの海底光ファイバーケーブルの整備についてでございますが、海底光ファイバーケーブルの敷設は、地上デジタル放送の視聴や高速インターネットの接続を可能とし、本土との情報格差を是正するとともに、遠隔医療の実現など、住民生活の向上や地域の振興を図る上で大きな効果がございます。
都は、八丈島から小笠原までの未整備区間約八百キロメートルについて、海底光ファイバーケーブルを敷設する事業を進めており、敷設工事については、昨年十一月に海洋部が、本年一月には陸上部が完了いたしました。現在、八丈島及び父島、母島の各地上施設内において設備工事等を行っており、年度内にすべての設備工事が完了する予定でございます。
次に、伊豆大島における総合溶岩流対策についてでございますが、大島ではこれまでもたびたび火山噴火が繰り返されており、噴火による災害から島民の方々の命と暮らしを守ることが不可欠でございます。
このため、都は平成二年度から、伊豆大島総合溶岩流対策事業として、元町地区と野増地区の五渓流で溶岩導流堤や砂防堰堤などを整備してきております。
これまでに、島内における最も人口の多い元町地区では、空港、発電所などの重要公共施設も立地することから、土石流をとどめる十基の砂防堰堤と、土石流を導くための一・八キロメートルの流路を整備してまいりました。また、山頂噴火により溶岩流が到達するおそれのある野増地区では、一キロメートルの溶岩導流堤の整備を行いました。
今後は、これら両地区において八基の砂防堰堤等を整備するとともに、平成二十三年度からは、重要な避難港を抱える岡田地区において、新たに砂防堰堤一基の整備に着手いたします。
引き続き、島民の安全・安心を確保するため、総合溶岩流対策事業に全力で取り組んでまいります。
最後に、大島循環線五郎川橋整備事業についてでございますが、都道大島循環線は、島内の集落や港湾、空港などを結び、島民の日常生活や産業振興、観光などの経済活動を支えるとともに、自然災害等緊急時には、主要な避難路となるまさに大島の生命線ともいえる道路でございます。
平成二十年二月に、本路線の波浮港地区の五郎川付近で大規模な落石が発生したため、直ちに通行どめとし、町道による迂回路の確保を行い、五郎川を橋で渡る新たなルートの整備に着手いたしました。
現在、橋脚、橋台工事等を進めており、本年夏に橋げたを架設した後、平成二十三年度末の開通を目指し、橋梁前後の取りつけ道路工事を進めてまいります。これにより、本整備区間の安全性が向上するとともに、島内の循環線の機能が回復いたします。
今後とも、島民の命綱ともいえる島しょ地域の都道の整備を積極的に進めてまいります。
〔港湾局長中井敬三君登壇〕
〇港湾局長(中井敬三君) 離島航路の就航率向上と港湾整備の財源確保についてでありますが、離島航路は島民の生活や島の活力を支える生命線であり、その就航率の向上は極めて重要な課題であります。
このため、これまで一島二港方式の採用などにより、風や波に強い港湾の整備を進めてまいりましたが、事業はいまだ途上にあり、今後も着実な離島港湾の整備を進める必要がございます。
離島に暮らす住民の生活の安定と福祉の向上を図ることは、国の重要な責務であり、離島が我が国の領域及び排他的経済水域の保全や海洋資源の利用などの国家的役割を担っている事実からしても、離島に対し、国は積極的に国費を投入すべきであります。
今後も、地元町村とも連携し、財源の確保を国に強く働きかけるとともに、就航率の向上を目指す港湾整備を計画的に進めるなど、島民の安全・安心で豊かな生活の実現に全力で取り組んでまいります。
〇副議長(鈴木貫太郎君) 二十五番星ひろ子さん。
〔二十五番星ひろ子君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
〇二十五番(星ひろ子君) 初めに、大都市における緑のあり方について伺います。
知事は、無秩序に開発、建設された東京では、美しさが感じられないと嘆き、景観条例を改正して美しい風格ある首都東京に再生していきたいと繰り返し力説されました。美しいまち東京の実現は都民にとっても希望するものであり、一歩一歩それに近づいてほしいものですが、美しい景観形成には、建物の色や形だけでなく、緑が占める割合が大きいと思われます。
都市の緑は、ヒートアイランド対策や防災機能など、都市環境の改善だけでなく、美しい景観の創出により、都民に潤いや安らぎを与えており、また生態系の保全からもとても重要です。しかし、高度経済成長やバブル経済などによる都市化の進展で、東京の緑は希少となっています。
都は、平成十八年に策定した「十年後の東京」において、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを掲げ、これを受け、平成十九年に、全庁横断型の戦略組織である緑の都市づくり推進本部を設置し、緑の東京十年プロジェクトを推進してきました。東京を成熟した都市にするためにも、大切な緑を守り、育てていかなくてはなりません。このことは、緑豊かな都市づくりを掲げる生活者ネットワーク・みらいの主張とも一致するものです。
都はこれまでも、緑の創出や保全に向けたさまざまな取り組みを行ってきましたが、都市の緑は都市化の影響に常にさらされています。この取り組みが滞れば、またいつ都市の緑が失われるかわかりません。水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させるに当たり、大都市における緑のあり方について知事の所見を伺います。
次に、住民生活に光をそそぐ交付金についてお聞きします。
今回、国は補正予算として三千五百億円の地域活性化交付金を計上し、そのうちの一千億円は、住民生活に光をそそぐ交付金として計上されました。これを受け、都は、消費者行政の強化やDV対策、自殺予防対策等を実施するため、補正予算に五億円を計上しています。
そこで、確認ですが、そもそもこの住民生活に光をそそぐ交付金の趣旨と交付対象事業について、国からはどのように示されているのか、お伺いをいたします。
この耳なれない交付金は、今後の継続も定かでない中、大変短い期間で計画を提出しなければならなかったという問題はありますが、今回の補正予算案に計上された事業については、都でこれまでにも取り組んできている事業、いいかえれば、既に光が当たっている事業であるという印象すら受けます。
都議会生活者ネットワーク・みらいとしては、弱者対策、自立支援の分野にはいまだ光が十分に当てられていない、本来、光を注ぐべき事業がさまざまにあり、都として取り組む事業はほかにもあると考えます。
そこで、具体的な分野として、目の不自由な人への対策についてお伺いをいたします。
眼鏡をかけても視力〇・三未満の弱視児については、文字を大きくした拡大教科書が必要です。二〇〇八年六月に成立したいわゆる教科書バリアフリー法では、文部科学省が定めた標準規格に基づく拡大教科書の発行の努力義務が出版社に課せられ、小中学校の全検定教科書の大半に拡大版が発行されています。
視覚障害者教育の専門機関である盲学校においては、拡大教科書の使用も可能となりましたが、普通高校に通う弱視生徒は、製作コストの点から大きな自己負担を余儀なくされています。
ことし一月、国は、高校の拡大教科書の標準規格を策定し、教科書会社に拡大教科書の発行を促すとともに、ボランティア団体に教科書デジタルデータを提供、さらに高等学校、特別支援学校高等部もデジタルデータの提供が受けられるよう実施要綱を改正しました。これにより、学校が文科省へ届け出をすれば、データの提供を受け、拡大教科書を学校で作成することが可能となっています。
こうした流れを受けて、都教委は、都立高等学校の弱視の生徒の実態をとらえるとともに、拡大教科書の普及、使用について、生徒、学校を支援すべきと考えますが、所見を伺います。
また、見えにくい人は、盲人、弱視者に限りません。だれもが年をとり、老眼鏡が必要な老後の時期は長くなっており、低視力の高齢者は、全国で百数十万人いると推計されています。
これまでバリアフリーといえば、建物や交通機関など、ハード面では配慮が進んでいますが、情報入手や読書などのソフトの部分ではまだまだ認識が広まっていないのではないかと思われます。視力低下を来すと、日常生活の中で、新聞はおろか、手紙や行政からのお知らせも読めず、契約書や手続の書類が滞るなどの問題も起きています。ソフトのユニバーサルデザインの観点から、視力低下を含め、視覚に障害のある方でも円滑に情報を入手可能とする取り組みが重要と考えますが、都の見解を伺います。
これから一層進んでいく高齢社会において、身体的な不都合をカバーするだけでなく、高齢になっても文化的な日常生活が保障されるために、読み書きサービス、代読、代筆サービスを公的なサービスと位置づけることが重要です。
今後、地域の福祉計画において、こうしたサービスを検討する自治体も出てくるものと思われますが、都としてもサービスを担う人材の育成、研修等を支援し、すべての都民にサービスが行き届くよう強く要望をいたします。
次に、新しい公共についてお聞きします。近年日本においても、事業を通して社会問題を解決することを目的とした社会的企業や、障害者の就労の場として、最低賃金を保障、社会保険にも入る新たな障害者雇用のあり方としての社会的事業所と呼ばれるNPOや市民事業を立ち上げる人がふえています。
これまで、行政、営利企業、地域のそれぞれが高齢者福祉や子育て・子育ちなどの公共サービスを担ってきましたが、そこに当てはまらないはざまにいる人々への支援が大きな課題になっています。
例えば、子どもに対しては、行政は学校や保育園、児童館、福祉事務所などを用意し、企業や民間は私立の学校、幼稚園、また各種の習い事や塾などを提供し、地域では親や家族、近所の人、子ども会などが育ちを担ってきました。しかし、不登校やいじめ、虐待、自殺などのさまざまな社会的課題があり、その解決のための支援の一つとして、プレーパークや子どもシェルターを運営するNPOなど、地域の中に必要な機能を市民みずからがつくり出してきました。
これからの地域課題に対しては、公的措置としての対策ではなく、当事者に寄り添うことを大事にした活動こそが新しい公共であると生活者ネットワーク・みらいは考えています。そして、このような社会的事業所をふやすことにより、市民が暮らしの視点の尺度を持ち、地域独自の問題解決を図りながらまちづくりを行うことが必要です。
今回、国の新しい公共としての市民、事業者、行政の協働を進めるために補正予算が組まれ、新しい公共の担い手となる特定非営利活動法人等の自立的活動を支援し、新しい公共の拡大と定着を図るため、基金を設置すると議案が出されています。
この基金を利用した支援事業について、都はどのように考えているのか、お伺いをいたします。
次に、福祉保健区市町村包括補助事業についてお聞きします。
福祉保健区市町村包括補助事業は、住民に最も身近な行政である市区町村が地域のニーズに応じたさまざまなサービスを提供することができるよう、都が支援し、都民の福祉の増進を図るものであり、市区町村が主体的に、みずからの発想と責任でサービスを展開していくという点で、分権時代にふさわしい事業であると評価し、さらなる充実を期待するものです。
しかし、この数年間の各自治体の予算、事業内容等を細かく調査してみると、本来の目的である分権の視点や新たなニーズにこたえるという積極的な取り組みをしている自治体と、そうでないところと活用状況に差があるのではないかと思います。
そこで、都として、この事業の実施についてどのように評価しているのか、また市区町村における活用を促進するため、どのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。
ある市の検討事例を申し上げますと、広い公園の中央にバリアフリートイレが設置されていましたが、乳幼児を連れて遊べる遊具の場所からは遠い距離にあったため、若い親たちが、小さな子どもたちが使いやすいトイレが欲しいという要望を出しました。
市は、公園整備内の設置基準は満たされているため困難であると判断しましたが、子育て支援という面から対応できないかという市民活動団体からの提案を受け、包括補助事業の活用を含め、再検討することになったと聞いています。
地域では、子育てサークルや高齢者支援のグループなど、住民による団体が柔軟な発想を生かしてさまざまな活動を行っています。行政担当者だけでなく、こうした住民が包括補助事業について知り、市区町村に提案していくことにより、役所の縦割りの発想では気づかないしなやかな視点を生かした包括補助事業の活用がなされるのでないかと考えます。
今後、都において、市区町村職員だけでなく、都民への周知を行うことも重要と考えますが、所見を伺います。
最後に、在宅医療についてお聞きします。
高齢化の進展に伴い、二十四時間三百六十五日、切れ目のない在宅サービスを必要とする方もふえ、医療、介護の連携強化が求められています。どんなに介護が必要になっても、おいしいものを食べたいという要求は当たり前のことであり、その意欲が生きる力につながるのです。人間にとって、食べることはまさに生きることそのものです。
ところが、要介護高齢者の中には、自分の歯があるにもかかわらず、かんだり飲み込んだりすることが困難な摂食・嚥下障害のある方が少なくありません。摂食・嚥下障害は、脳卒中の後遺症、神経障害等、さまざまな原因によって生じ、口から食べる楽しみを奪い、生活の質を損なうばかりでなく、低栄養、誤嚥性肺炎、窒息の原因ともなり、新聞報道によれば、患者数は都内で七万人以上もいるといわれています。
摂食・嚥下障害は、口から食べて飲み込むまでの一連の機能にかかわる障害であるため、医師、歯科医師、看護師、栄養士、言語聴覚士、歯科衛生士等、さまざまな職種がかかわる必要があります。摂食・嚥下障害に対応できる人材の育成が重要と考えますが、都の所見をお伺いをいたします。
摂食・嚥下機能支援の重要性については、残念ながら、広く都民に周知されているとはいえません。摂食・嚥下障害を疑ったとしても、地域の中で的確な評価、指導ができる医師、歯科医師を見つけにくいのが現実です。
その課題解決の糸口として、都はことし三月、東京都摂食・嚥下機能支援推進マニュアルを作成すると聞いています。在宅医療が進む中、在宅療養者の食を支えるには、摂食・嚥下リハビリテーションにかかわる関係者間の連携が必要であると思いますが、都の所見をお伺いをして質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
〇知事(石原慎太郎君) 星ひろ子議員の一般質問にお答えいたします。
大都市の緑についてでありますが、人類を初め酸素を必要とする生命体は、緑の存在なくして存在し得ないわけです。しかし、東京都の面積の約二十四倍の森林が、毎年、地球上から消滅しております。
東京の都心には、皇居、明治神宮外苑など、ニューヨークのセントラルパークの二倍を超える約七百ヘクタールもの大規模な緑地が存在しておりまして、先人たちの努力によりこれが守られてきました。
「十年後の東京」計画では、海の森を起点として、こうした大規模な緑地を街路樹で結び、グリーンロードネットワークを形成するとともに、都立公園の整備、校庭の芝生化、屋上、壁面の緑化などさまざまな工夫を凝らしながら、千ヘクタールの緑を新たに生み出す取り組みを展開しております。
さらに、多摩・島しょ地域における貴重な里山や森林を次の世代に継承できるよう、計画的に保全や植林を進めております。
緑を前にして心いやされない人はいないわけでありまして、緑の東京募金などを通じて、緑の育成に対する都民一人一人の意識を高めながら、従来の行政の枠を超えて、都民、民間企業、NPO法人などと協力し、緑のあふれる美しい都市東京の実現を目指していきたいと思っております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
〇教育長(大原正行君) 都立高等学校の弱視の生徒の拡大教科書についてでございますが、高等学校等においては、国の制度改正により、平成二十二年三月以降、教科書発行者が保有する教科書デジタルデータの提供を受け、このデータを拡大印刷することで、弱視の生徒一人一人に適した拡大教科書を提供することが可能となりました。
平成二十一年九月時点の調査によりますと、都立高等学校の弱視の生徒十三人のうち、拡大教科書の使用が望ましいとされる生徒は四人であり、この生徒については、本人の希望等も踏まえ、教科書や定期考査用紙を拡大するなど、個別に対応しております。
都教育委員会は、今後とも、教科書デジタルデータの提供が受けられることについて、都立高等学校へ周知を図るとともに、専門性の高い都立視覚障害特別支援学校が都立高等学校の支援を行い、弱視の生徒に適した指導の充実を図るよう努めてまいります。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
〇財務局長(安藤立美君) 住民生活に光をそそぐ交付金についてでございますが、国の要綱によれば、この交付金の趣旨は、これまで住民生活にとって大事な分野でありながら、光が十分に当てられてこなかった分野について、地域活性化等の速やかかつ着実な実施を図ることとされております。
具体的には、地方消費者行政、DV対策、自殺予防等の弱者対策、自立支援及び知の地域づくりが示されており、今回の都の補正予算におきましても、こうした趣旨を踏まえ計上しております。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
〇福祉保健局長(杉村栄一君) 五点のご質問についてお答え申し上げます。
まず、視覚に障害のある方が情報を円滑に入手するための取り組みについてでございますが、高齢者、障害者を含め、すべての人の社会参加を促進していくためには、必要な情報を必要なときに容易に入手できるようにすることが重要でございます。
このため、都が実施する広報等では、福祉のまちづくり推進計画に基づきまして、点字、音声、文字の拡大、IT機器等の多様な伝達方法による情報提供を行っております。また、都が作成する印刷物やホームページ等を見やすく、わかりやすいものとするため、色使いや色の組み合わせなど、色覚に配慮した色の使い方に関するガイドラインについて、現在検討をいたしております。
次に、福祉保健区市町村包括補助事業についてでございますが、都は、都民に最も身近な区市町村が、地域の実情に応じ、主体的に福祉、保健、医療サービスの向上を目指す取り組みを促進するため、包括補助事業を実施いたしております。
現在、子育て家庭、高齢者、医療、保健などの五つの施策分野で延べ四千六百件を超えるさまざまな取り組みが行われており、その中には、成年後見制度を普及する先駆的な取り組みが全都的に広がった事例も生まれております。
都は、対象事業や活用方法に関する説明会を実施いたしますほか、先駆的な取り組みが他の区市町村にも広がるよう、事例集の作成や事例発表会などを行っており、今後も引き続き区市町村における包括補助事業の積極的な活用を促進いたしていきます。
次に、包括補助事業の都民への周知についてでございますが、区市町村が地域のニーズをとらえ、きめ細かい福祉、保健、医療施策を展開していくためには、地域の意見や発想を生かした創意工夫あふれる取り組みを実施することが重要でございます。
このため、都は、都民の意見がさまざまな取り組みにつながるよう、ホームページに包括補助事業の目的や先進的な取り組み事例を掲載するなど、都民に対する情報提供を行ってまいります。
次に、摂食・嚥下障害に対応できる人材の育成についてでございますが、この障害に適切に対応するためには、医師や歯科医師が患者の摂食・嚥下機能の状態を適正に評価し、それに基づき、歯科衛生士や看護師、言語聴覚士、理学療法士等がチームでリハビリテーションを行う必要がございます。
このため、都は平成二十年度から、医師や歯科医師を対象に専門的な研修を実施しており、今年度は歯科衛生士等を対象に、飲み込みの訓練、姿勢の保持などリハビリテーションに関する研修を行ったところです。
来年度からは、これまでに開発した人材育成プログラムを活用し、都立心身障害者口腔保健センターにおきまして体系的な研修を行い、摂食・嚥下障害に対応できる人材を育成してまいります。
最後に、摂食・嚥下リハビリテーションにおける関係者間の連携についてでございますが、都は平成二十年度から二年間、北多摩西部保健医療圏におきまして、摂食・嚥下機能支援のモデル事業を実施いたしました。本事業では、地域の医師会、歯科医師会等が参加する連絡会や事例検討会を開催しながら、患者の症状に応じて関係職種が連携する仕組みづくりを進めてまいりました。
現在、こうした成果を盛り込んだ東京都摂食・嚥下機能支援推進マニュアルを作成いたしているところでございます。
今後は、マニュアルを活用し、地域の実情に応じた多職種連携の仕組みを普及させるとともに、都立心身障害者口腔保健センターや保健所において連絡会や事例検討会を開催し、関係者間の連携を強化してまいります。
〔生活文化局長並木一夫君登壇〕
〇生活文化局長(並木一夫君) 新しい公共支援基金を利用した支援事業についてでございますが、国は、新しい公共支援事業交付金の創設に当たりまして、都道府県に造成される基金の設置、運用等に関するガイドラインを定めております。
このガイドラインによりますと、基金を利用し、都道府県が行うべき事業といたしまして、公認会計士等専門家の派遣による個別指導など、NPO法人等の活動基盤の整備や、寄附募集についての広報など、寄附を受けやすい環境の整備、NPO法人等と地方自治体が協働するモデル事業への助成などが示されております。
今後、都は、このガイドラインに沿いまして、事業計画の策定や、支援対象者、支援事業の選定などについて具体的に検討してまいります。
〇議長(和田宗春君) 以上をもって質問は終わりました。
〇議長(和田宗春君) これより日程に入ります。
日程第一から第百六まで、第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算外議案百五件を一括議題といたします。
本案に関し、提案理由の説明を求めます。
副知事佐藤広君。
〔副知事佐藤広君登壇〕
〇副知事(佐藤広君) ただいま上程になりました百六議案についてご説明申し上げます。
第一号議案から第二十八号議案までは平成二十三年度予算案でございます。
平成二十三年度予算は、厳しい財政環境が続く中にあっても都政の使命を確実に果たし、中長期的に施策を支え得る財政基盤を堅持しながら、東京の新たな活力と成長へと結びつける予算と位置づけ、編成いたしました。
第一号議案は一般会計予算でございまして、総額六兆二千三百六十億円を計上しております。
第二号議案から第十七号議案までの十六議案は特別会計予算でございます。それぞれの事業に必要な経費として総額三兆六千三百九十億円を計上しております。
第十八号議案から第二十八号議案までの十一議案は公営企業会計予算でございます。病院、交通、水道、下水道などの経営に要する経費として、総額一兆八千八百九十二億円を計上しております。
第二十九号議案から第八十四号議案まで及び百六号議案の五十七議案は条例案でございます。
まず、新設の条例についてご説明申し上げます。
第五十七号議案、東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例は、沿道建築物が地震により倒壊して緊急輸送道路を閉塞することがないよう、これらの建築物の耐震化を推進する措置を講ずることにより、地震に対する安全性の向上を図るものでございます。
第八十二号議案、東京都暴力団排除条例は、都における暴力団排除活動に関し、都及び都民等の責務を明らかにするとともに、暴力団排除活動を推進するための措置や、その活動に支障を及ぼすおそれのある行為に対する規制等を定めるものでございます。
このほか、国の補正予算に基づく国からの交付金を受け入れるために新たに基金を設置するものが二件及び新たな手数料の設置に関するものが一件ございまして、新設の条例は合計五件でございます。
次に、一部を改正する条例でございます。
第二十九号議案、東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例は、東京都特別職報酬等審議会答申等を踏まえ、給料等の改定を行うほか、知事等の期末手当の規定を整備するものでございます。
このほか、給料、報酬等に関するものが十五件ございます。
第三十三号議案、東京都職員定数条例の一部を改正する条例は、二十三年度の職員定数を定めるものでございます。
このほか、職員に関するものが三件ございます。
第三十六号議案、都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例は、二十三年度分の特別区財政調整交付金の算定基準を定めるものでございます。
このほか、区市町村に関するものが四件ございます。
第四十二号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、小規模住宅用地の都市計画税の軽減措置を継続するものなどでございます。
第六十四号議案、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例は、受給者の第三者に対する損害賠償請求権を都に譲渡する規定等を整備するものでございます。
このほか、福祉に関するものが一件ございます。
第六十九号議案、東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例は、障害者自立支援法に基づく障害者支援施設等へ移行することに伴うものでございます。
このほか、組織、施設に関するものが七件ございます。
第七十二号議案、東京都立病院条例の一部を改正する条例は、都立病院における産科医確保のための処遇改善等を適正に分娩料に反映させるなどの観点から分娩料の引き上げ等を行うもの、第七十九号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例は、大規模事業所への温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度について、削減量口座簿に係る手数料の徴収等に関する規定などを整備するものでございます。
このほか、使用料、手数料に関するものが五件ございます。
また、基金に関するものなどが七件ございまして、一部を改正する条例の合計は五十件でございます。
次に、廃止の条例についてご説明申し上げます。
第六十八号議案、東京都婦人保護施設条例を廃止する条例は、社会福祉法人への移譲に伴うもの、第七十三号議案、東京都中山間地域等農業活性化支援基金条例を廃止する条例は、これまでの資金積立方式の廃止に伴うものでございます。
第八十五号議案から第九十四号議案までの十議案は契約案でございます。
都立板橋学園特別支援学校(仮称)(二十二)改築工事など契約金額の総額は約二百八十八億四千万円でございます。
第九十五号議案から第百号議案までの六議案は事件案でございます。
包括外部監査契約の締結についてなど、それぞれ地方自治法等の規定に基づき、議決をお願いするものでございます。
第百一号議案から第百五号議案までの五議案は、平成二十二年度最終補正予算案でございます。
一般会計及び特別会計を合わせまして総額二百五十七億円を減額するものでございます。
上程になりました百六議案の説明は以上でございますが、このほかに人事案を送付いたしております。
まず、東京都収用委員会委員でございます。
三月三十一日に任期満了となります鎌田薫氏の後任には池田眞朗氏を、熊澤光司氏の後任には岩谷眞氏を任命いたしたいと存じます。
次に、東京都収用委員会予備委員でございます。
三月三十一日に任期満了となります岩崎隆氏は再任いたしたいと存じます。
同意につきましてよろしくお願い申し上げます。
以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)
〇議長(和田宗春君) 提案理由の説明は終わりました。
なお、本案中、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十五条第四項の規定に該当する議案については、あらかじめ教育委員会の意見を徴しておきました。
議事部長をして報告いたさせます。
〇議事部長(鈴木省五君) 教育委員会の回答は、第五十一号議案について異議はないとの意見であります。
二二教総総第一六四一号
平成二十三年二月三日
東京都教育委員会委員長 木村 孟
東京都議会議長 和田 宗春殿
「都道府県教育委員会の権限に属する事務の一部を、市町村が処理することとする条例」に対する教育委員会の意見聴取について(回答)
平成二十三年二月一日付二二議事第四八二号により照会があった議案に係る教育委員会の意見は左記のとおりです。
記
一 提出議案
第五十一号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
二 意見
一について、異議ありません。
〇七十四番(伊藤まさき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
ただいま議題となっております議案のうち、日程第一から第二十八までについては、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。
〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十八までは、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を本議場に招集いたしますので、ご了承願います。
〔予算特別委員名簿は本号末尾(二〇五ページ)に掲載〕
〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
ただいま議題となっております日程第二十九から第百六までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、日程第二十九から第百六までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたします。
(別冊参照)
〇議長(和田宗春君) これより追加日程に入ります。
追加日程第一及び第二、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件
二二財主議第五二九号
平成二十三年二月八日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
このことについて、東京都収用委員会委員鎌田薫は平成二十三年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
記
池田 眞朗
略歴
現住所 東京都港区
池田 眞朗
昭和二十四年五月十一日生(六十一歳)
昭和四十八年三月 慶應義塾大学経済学部卒業
昭和五十年四月 慶應義塾大学法学部助手
昭和五十三年三月 慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了
昭和五十三年四月 慶應義塾大学法学部専任講師
昭和五十八年四月 慶應義塾大学法学部助教授
平成元年四月 慶應義塾大学法学部教授
平成三年四月 国土庁不動産鑑定士試験第二次試験委員
平成八年一月 法務省司法試験第二次試験考査委員
平成十一年五月 法務省法制審議会民法部会委員
平成十三年二月 経済産業省産業構造審議会臨時委員
平成十三年七月 東京都収用委員会予備委員
平成十四年一月 東京都収用委員会委員
平成十四年四月 東京都収用委員会予備委員
平成十六年四月 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
平成十八年十月 日本学術会議会員
現在 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
慶應義塾大学法学部教授
二二財主議第五三〇号
平成二十三年二月八日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
このことについて、東京都収用委員会委員熊澤光司は平成二十三年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
記
岩谷 眞
略歴
現住所 神奈川県相模原市
岩谷 眞
昭和二十五年八月十八日生(六十歳)
昭和四十八年三月 福岡大学法学部卒業
昭和四十八年四月 財団法人日本不動産研究所入所
昭和五十二年三月 不動産鑑定士登録
平成六年十二月 神奈川県相模原市固定資産評価審査委員会委員
平成十五年六月 名古屋国税局土地評価審議会委員
平成十五年六月 愛知県固定資産評価審議会委員
平成十六年十月 愛知県土地利用審査会委員
現在 不動産鑑定士
〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
本件は、いずれも知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。
〇議長(和田宗春君) 追加日程第三、東京都収用委員会予備委員の任命の同意についてを議題といたします。
〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について一件
二二財主議第五三一号
平成二十三年二月八日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
このことについて、左記の者は平成二十三年三月三十一日任期満了になるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
記
岩崎 隆
略歴
現住所 東京都千代田区
岩崎 隆
昭和二十五年十一月二十八日生(六十歳)
昭和四十八年三月 北海道大学工学部卒業
昭和四十八年四月 東急建設株式会社入社
昭和五十二年二月 一級土木施工管理技士資格取得
昭和五十九年三月 一級建築士登録
平成十二年二月 不動産鑑定士登録
平成十三年四月 加門鑑定事務所開業
平成十五年四月 社団法人東京都不動産鑑定士協会理事
平成十九年六月 社団法人日本不動産鑑定協会理事
平成二十年四月 東京都収用委員会予備委員
現在 不動産鑑定士
〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。
〇議長(和田宗春君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
受理いたしました請願二件及び陳情八件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)
〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
明十八日から二十一日まで四日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、明十八日から二十一日まで四日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
なお、次回の会議は二月二十二日午後一時に開きます。
以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後五時二十五分散会
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