平成二十二年東京都議会会議録第十六号

平成二十二年十二月七日(火曜日)
 出席議員 百二十五名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番山崎 一輝君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
八番土屋たかゆき君
九番山内れい子君
十番くりした善行君
十一番小山くにひこ君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番大松あきら君
二十番鈴木 章浩君
二十一番菅  東一君
二十二番きたしろ勝彦君
二十三番田中たけし君
二十四番鈴木 隆道君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番中村ひろし君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番中山 信行君
三十七番高倉 良生君
三十八番橘  正剛君
三十九番松葉多美子君
四十番神林  茂君
四十一番早坂 義弘君
四十二番高木 けい君
四十三番宇田川聡史君
四十四番鈴木あきまさ君
四十五番矢島 千秋君
四十六番山加 朱美君
四十七番西崎 光子君
四十八番滝沢 景一君
四十九番中谷 祐二君
五十番笹本ひさし君
五十一番山下ようこ君
五十二番神野 吉弘君
五十三番鈴木 勝博君
五十四番興津 秀憲君
五十五番岡田眞理子君
五十六番伊藤 ゆう君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番伊藤 興一君
六十番吉倉 正美君
六十一番上野 和彦君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番吉原  修君
六十五番山田 忠昭君
六十六番三宅 正彦君
六十七番石森たかゆき君
六十八番高橋 信博君
六十九番服部ゆくお君
七十番こいそ 明君
七十一番原田  大君
七十二番佐藤 広典君
七十三番尾崎 大介君
七十四番伊藤まさき君
七十五番山口  拓君
七十六番松下 玲子君
七十七番野上ゆきえ君
七十八番西岡真一郎君
七十九番今村 るか君
八十番吉田康一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番中屋 文孝君
九十一番林田  武君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番くまき美奈子君
九十六番大西さとる君
九十七番いのつめまさみ君
九十八番門脇ふみよし君
九十九番小沢 昌也君
百番石毛しげる君
百一番花輪ともふみ君
百二番大津 浩子君
百三番大塚たかあき君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番川井しげお君
百十一番高橋かずみ君
百十二番野島 善司君
百十三番三宅 茂樹君
百十四番吉野 利明君
百十五番宮崎  章君
百十六番比留間敏夫君
百十八番斉藤あつし君
百十九番増子 博樹君
百二十番泉谷つよし君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番和田 宗春君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
九十番  村上 英子君
 欠員
百十七番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監都市整備局長兼務河島  均君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長比留間英人君
財務局長安藤 立美君
警視総監池田 克彦君
主税局長荒川  満君
生活文化局長並木 一夫君
スポーツ振興局長笠井 謙一君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
建設局長村尾 公一君
港湾局長中井 敬三君
会計管理局長新田 洋平君
消防総監新井 雄治君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
病院経営本部長川澄 俊文君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長宮川 雄司君
人事委員会事務局長多羅尾光睦君
労働委員会事務局長山本 洋一君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長藤井 芳弘君

十二月七日議事日程第二号
第一 第百五十六号議案
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百五十九号議案
外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百六十四号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百六十七号議案
保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百六十八号議案
東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
第六 第百六十九号議案
プール等取締条例の一部を改正する条例
第七 第百七十号議案
東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百七十一号議案
東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例
第九 第百七十二号議案
東京都営空港条例の一部を改正する条例
第十 第百七十四号議案
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第十一 第百七十五号議案
東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百七十六号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百七十七号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十八号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十九号議案
警視庁鮫洲運転免許試験場庁舎棟(二十二)改築工事請負契約
第十六 第百八十号議案
都立三鷹中等教育学校(二十二)改築及び改修工事請負契約
第十七 第百八十一号議案
都立北地区総合学科高等学校(仮称)(二十二)改築及び改修工事請負契約
第十八 第百八十二号議案
東京国際展示場(二十二)東展示棟改修工事請負契約
第十九 第百八十三号議案
東京国際展示場(二十二)西展示棟改修工事請負契約
第二十 第百八十四号議案
東京国際フォーラム(二十二)ガラス棟改修工事請負契約
第二十一 第百八十五号議案
東京国際フォーラム(二十二)電気設備改修工事請負契約
第二十二 第百八十六号議案
東京都島しょ農林水産総合センター漁業調査指導船「みやこ」製造請負契約
第二十三 第百八十七号議案
妙正寺川鷺の宮調節池工事請負契約
第二十四 第百八十八号議案
環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十二 一―環二愛宕工区)請負契約
第二十五 第百八十九号議案
街路築造工事(二十二 二―環五の一千駄ケ谷)請負契約
第二十六 第百九十号議案
高瀬橋(仮称)PCけた製作・架設工事請負契約
第二十七 第百九十一号議案
東京都人権プラザの指定管理者の指定について
第二十八 第百九十二号議案
当せん金付証票の発売について
第二十九 第百九十三号議案
東京体育館の指定管理者の指定について
第三十 第百九十四号議案
東京武道館の指定管理者の指定について
第三十一 第百九十五号議案
東京辰巳国際水泳場の指定管理者の指定について
第三十二 第百九十六号議案
東京都立埋蔵文化財調査センターの指定管理者の指定について
第三十三 第百九十七号議案
東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
第三十四 第百九十八号議案
東京都立心身障害者口腔保健センターの指定管理者の指定について
第三十五 第百九十九号議案
東京都障害者総合スポーツセンター外一施設の指定管理者の指定について
第三十六 第二百号議案
東京都練馬就労支援ホーム外一施設の指定管理者の指定について
第三十七 第二百一号議案
東京都江東通勤寮の指定管理者の指定について
第三十八 第二百二号議案
東京都大田通勤寮の指定管理者の指定について
第三十九 第二百三号議案
東京都葛飾通勤寮の指定管理者の指定について
第四十 第二百四号議案
東京都豊島通勤寮の指定管理者の指定について
第四十一 第二百五号議案
東京都立川通勤寮の指定管理者の指定について
第四十二 第二百六号議案
東京都町田通勤寮の指定管理者の指定について
第四十三 第二百七号議案
東京都立東大和療育センターの指定管理者の指定について
第四十四 第二百八号議案
東京都立産業貿易センターの指定管理者の指定について
第四十五 第二百九号議案
東京都立食品技術センターの指定管理者の指定について
第四十六 第二百十号議案
東京都しごとセンターの指定管理者の指定について
第四十七 第二百十一号議案
晴海客船ターミナル外二施設の指定管理者の指定について
第四十八 第二百十二号議案
竹芝客船ターミナルの指定管理者の指定について
第四十九 第二百十三号議案
竹芝ふ頭船舶給水施設外六施設の指定管理者の指定について
第五十 第二百十四号議案
東京都立東京港野鳥公園の指定管理者の指定について
第五十一 第二百十五号議案
東京都立有明テニスの森公園の指定管理者の指定について
第五十二 第二百十六号議案
東京都立大井ふ頭中央海浜公園外十七公園の指定管理者の指定について
第五十三 第二百十七号議案
東京都立辰巳の森海浜公園外六公園の指定管理者の指定について
第五十四 第二百十八号議案
東京都立お台場海浜公園外十公園の指定管理者の指定について
第五十五 第二百十九号議案
東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
第五十六 第二百二十号議案
二見漁港岸壁外九施設の指定管理者の指定について
第五十七 第二百二十一号議案
東京都小笠原ビジターセンターの指定管理者の指定について
第五十八 第二百二十二号議案
東京都立東白鬚公園外八公園の指定管理者の指定について
第五十九 第二百二十三号議案
東京都立日比谷公園外七公園の指定管理者の指定について
第六十 第二百二十四号議案
東京都立戸山公園外五公園の指定管理者の指定について
第六十一 第二百二十五号議案
東京都立狭山公園外三公園の指定管理者の指定について
第六十二 第二百二十六号議案
東京都立長沼公園外四公園の指定管理者の指定について
第六十三 第二百二十七号議案
東京都立武蔵野中央公園外十公園の指定管理者の指定について
第六十四 第二百二十八号議案
東京都立陵南公園外四公園の指定管理者の指定について
第六十五 第二百二十九号議案
東京都立夢の島公園外一施設の指定管理者の指定について
第六十六 第二百三十号議案
日比谷公会堂外一施設の指定管理者の指定について
第六十七 第二百三十一号議案
東京都立大神山公園の指定管理者の指定について
第六十八 第二百三十二号議案
東京都立木場公園外十一公園の指定管理者の指定について
第六十九 第二百三十三号議案
東京都立浜離宮恩賜庭園外八公園の指定管理者の指定について
第七十 第二百三十四号議案
東京都立神代植物公園の指定管理者の指定について
第七十一 第二百三十五号議案
東京都立潮風公園外一公園の指定管理者の指定について
第七十二 第二百三十六号議案
東京都立横網町公園の指定管理者の指定について
第七十三 第二百三十七号議案
東京都多磨霊園外七霊園の指定管理者の指定について
第七十四 第二百三十八号議案
東京都青山葬儀所の指定管理者の指定について
第七十五 第二百三十九号議案
東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
第七十六 第二百四十号議案
東京都八重洲駐車場外四駐車場の指定管理者の指定について
第七十七 第二百四十一号議案
東京都板橋四ツ又駐車場の指定管理者の指定について
第七十八 第二百四十二号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び三鷹市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第七十九 第二百四十三号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び稲城市公共下水道使用料徴収事務の受託について

   午後一時開議

○議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。

○議長(和田宗春君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(和田宗春君) これより質問に入ります。
 百二十二番酒井大史君。
   〔百二十二番酒井大史君登壇〕

○百二十二番(酒井大史君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長に伺います。
 まず、国の補正予算に関連して、都の対応について一言述べさせていただきます。
 国においては、十一月二十六日、補正予算が成立しました。国費で四兆八千五百十三億円、公共事業の前倒し分を加えて約五兆九百億円の補正予算となっています。今回の補正予算は、急激な円高や依然として厳しい経済環境を踏まえ、予備費を活用したステップ1から間を置かずに策定されたもので、その目的は、スピードを重視した需要や雇用の切れ目ない創出にあります。
 特に、新卒者、若者の雇用支援の強化や、エコ住宅、エコ家電の普及促進など、雇用や需要創造効果の高いものに重点的に配分されており、補正予算を通じて年明け以降の景気や雇用のリスクに対し先手を講じたものです。
 一方、東京の状況を見ても、中小企業の資金繰りの悪化や、全国平均と比べて失業率が高どまりするなど、厳しい状況に置かれています。今後、国の補正予算の具体的な内容や都への配分額が順次国から明らかにされることと思いますが、都議会民主党としても、日本の成長の牽引役である東京から日本の元気を回復させるという気概を持って、国に対して必要な財源の確保を積極的に働きかけてまいります。
 都においても、今回の国の補正予算の趣旨を踏まえ、現下の都民生活の窮状に対し、速やかに、かつ的確に対応していくよう強く求めておきます。
 さて、日本経済は、世界経済の減速や円高の影響による輸出の低迷などにより、経済の回復テンポは減速してきています。雇用情勢は十代から二十代の若者の雇用が悪化、失業率は昨年春以来五%を超えた状態が続いており、消費者マインドの上向きにはほど遠い状況にあります。二十一年度都税収入は、企業収益の悪化で大幅な減収となりましたが、本年度もさらに減収が進みかねない状況にあります。
 一方で、この景気停滞は年度いっぱいで、二十三年度上期には再び回復基調に復するとの見解もありますが、今後の都税収入の見通しについてどのようにお考えか、見解をお伺いいたします。
 こうした中で、平成二十三年度東京都予算編成も最終盤を迎えています。来春には東京都知事選挙を控え、次期都知事を過度に縛ることはできませんが、今こそ都民の生活を下支えしなければ、加速度的に状況は悪化します。
 来年度も都税収入の大幅な好転が見込めない中、都内中小企業の資金繰りを支え、雇用を守り、未来につながる安心・安全の東京を築いていかなければなりません。そのためには、真に必要な施策を厳選し、徹底的にむだをなくした上で財源を最も有効に活用し、東京の財政力を維持していく必要があります。
 そこで、平成二十三年度予算編成に当たっての都の見解を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 回復の兆しを見せていた国内景気も、夏以降、円高基調が続き、先行きの不透明さが増しています。こうした中、企業の多くは、今後の景気動向を見守りつつ、新規の雇用を抑制しています。十一月三十日に総務省が発表した十月の完全失業率は、四カ月ぶりに悪化し五・一%となり、また、十一月二十五日の東京都発表による東京の労働力調査でも、ことし七月から九月の都内の完全失業率が五・七%と、前年同期に比べ〇・五ポイントも悪化しています。
 この間、東京都は、雇用の創出や雇用就業支援、生活安定化総合対策事業といった緊急雇用対策に取り組んできましたが、こうした雇用情勢の数値を見る限り、まだまだ十分とはいえないのではないでしょうか。石原知事は所信表明において、雇用部門と福祉、産業振興、教育部門との有機的連携が可能だと、横ぐしの可能性を強調するなど、現場だからこそできる就労、生活支援対策に言及しました。
 そこで、石原知事は、未曾有の雇用危機といわれる中で、どのように雇用就業対策を進めていくつもりか、知事の見解を伺います。
 九月議会での代表質問で、私たちは、国の追加経済対策に盛り込まれていた重点分野雇用創造事業の拡充について質問し、早期に事業が実施できるよう準備を進めるべきだと主張してきました。雇用危機といわれる中、緊急雇用創出事業やふるさと雇用再生特別基金事業を初め、これら基金事業を活用し、雇用の創出に効率的かつ積極的に取り組んでいくことが必要です。また、せっかくの基金事業を一過性の雇用で終わらせることなく、人材育成の観点から、新たに雇用をした上で必要な知識や技術を習得させ、働き続けることが可能となるような事業の展開に取り組んでいくべきだと考えます。
 今後、緊急雇用創出事業などを活用した雇用の確保についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 十一月十六日に厚生労働省と文部科学省とが発表した大学の就職内定率は、十月一日現在で五七・六%と、現在の方法で統計をとり始めた一九九六年以降最悪となっています。既にバブル崩壊後の就職氷河期を上回る水準となっており、新たな就職氷河期の到来をこのまま座していてはなりません。
 現在、東京都は、都内の経済団体などを通じて新規学卒者の採用促進を要請していると聞いていますが、三十社、四十社と面接を受けても、いまだ内定に至らない多くの学生がいるのです。東京都としても、経済団体だけではなく、直接、個別企業に対して営業に出向くなど、さらに踏み込んで雇用の掘り起こしを行うべきです。
 東京都として、雇用の掘り起こしに向けたさらなる取り組みについて、見解を伺います。
 また、新卒未内定者はもとより、若年者を対象としてセミナーの開催や合同面接会の拡充などの対策を新たに実施するなど、雇用就業支援について積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、低所得、離職者対策について伺います。
 年越し派遣村以降、国は第二のセーフティーネットによる住宅手当緊急特別措置事業や緊急雇用創出事業を実施し、年越し派遣村をやらずに済むよう、年末年始だけではなく常時支援体制をとることとなりました。さらに、都は十一月八日から、国の第二のセーフティーネットと緊急雇用創出事業を活用して、国と連携して求職中の住居喪失者に対する支援を強化し、生活や住宅、住宅手当支給などの相談を行っています。
 こうした取り組みに加えて重要なのは、常日ごろからの身近な市区町村での相談支援体制です。しかし、都において従来から実施してきた生活安定化総合対策事業は、その多くが国において事業化されたことを受け、再構築するものと聞いています。都の生活安定化総合対策事業TOKYOチャレンジネット事業は、三年間の期限つきで立ち上げられたものですが、この間の社会経済情勢から、その必要性はますます高まっております。
 チャレンジ支援貸付事業や各種生活相談は、各市区町村が足並みをそろえて実施してこその対策であり、引き続きすべての市区町村で実施できるように、都としてしっかりと支援するとともに、TOKYOチャレンジネットについても引き続き実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、産業振興と中小企業対策について伺います。
 多摩の産業振興を図っていく上で、アジアを代表する産業拠点を目指した多摩シリコンバレーの形成は極めて重要ですが、これを大きく進めるためにも、横田基地の活用が欠かせません。石原知事は所信表明で、横田基地においても、共用化の一歩としてビジネスジェットの受け入れ実現に向け、日本政府やアメリカ政府などに働きかけていく旨述べられました。
 ビジネスジェットは、特権的な人だけが使うぜいたくなものであるという印象が強いようですが、世界的にもビジネスジェット機の運航機数は大幅な増加が見込まれ、このままでは、日本を素通りして他国へ向かうジャパンパッシングに拍車がかからないとも限りません。私たちは、是は是、よいものはよいという立場から、この提案には拍手を送り、ともに政府に強く働きかけるなど、その実現に向けて労を惜しまないつもりです。
 改めて、横田基地におけるビジネスジェットの受け入れ実現に向けた取り組みについて、石原知事の見解を伺います。
 私は、多摩シリコンバレーの形成とあわせ、多摩市町村と連携して、地域の特性や資源を生かした産業集積を図っていくことも重要であると考えます。既に東京都では、創造的都市型産業の育成として、環境や健康関連産業、あるいはアニメやコンテンツ産業などの集積を図ろうとする市区町村に対して支援していますが、これまで承認した八つの自治体のうち、多摩地域は一つしかありません。ぜひとも東京都として、多摩地域のニーズを十分に掘り起こしながら、事業の充実を図るべきだと考えます。
 地域における創造的都市型産業の集積の創出に向けた取り組みについて、東京都の見解を伺います。
 次に、新製品の開発、販売への支援について伺います。
 石原知事は所信表明の中で、ことしのベンチャー技術大賞について触れ、いかにすぐれた技術があっても、商品化することができなければ石ころにすぎないと述べました。まさに日本人が世界で生きていくためには、例えば大賞を受賞した、人間に必要なほぼすべての栄養素をつくり出すことができるとのことでサプリメントや化粧品として商品化されているミドリムシの大量培養という驚くべきアイデアを商品化していくことも欠かせません。
 一方で、現在、東京都においては、新製品や新技術の開発に対しては、研究開発に係る経費の一部助成などの支援策を実施していますが、アイデアの製品化だけではなく、販売体制のない中小企業に対しては、販売までも含めた一体的な支援策も必要ではないかと考えます。都内の中小企業の開発した製品や技術が、販売のノウハウや営業体制がないために日の目を見ずに終わることは、あってはなりません。
 私は、新製品のアイデアがある中小企業に対しては、新製品の開発支援から販売までの各段階に応じた支援策を新たに創設するなど、新製品の開発、販売を積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 石原知事は十一月十九日の定例会見において、新銀行の中間決算についての質問に対し、これからセカンドステージというものを積極的に考える時期だと思うと述べるとともに、この十月、十二月に中国に行って、さしで話そうと思ったなどと答えています。私は、質問もされていないことにあえて石原知事が答えたこと、しかも、その相手があの中国であったことに驚きを隠せません。
 しかし、今回の発言も、これまで石原知事が繰り返し述べてきた思わせぶりな発言と同様、結局、何もなかったことを披瀝しただけの人騒がせで無責任な発言なのではないでしょうか。まさか、そのようなことはないと思いますが、石原知事がセカンドステージと繰り返しておっしゃるのであれば、石原知事みずからが任期を終える前に新銀行東京を総括しセカンドステージなるものを示すべきだということを、六月議会を含め、再三申し上げてまいりました。
 このまま任期満了を迎える前にセカンドステージを示すつもりがあるのか、ないのか、あるとすれば、いつごろ示したいと考えているのか、石原知事の見解を伺います。
 私たちは、事業譲渡や株式の売却などを含め、早期に新銀行から撤退することを求めていますが、石原知事は、今回の中国行きに当たっては、当然、新銀行のセカンドステージについての方針や考え方を持って交渉に当たろうとしたはずです。
 六月議会での私たちの代表質問に対し石原知事は、セカンドステージの姿について、その性格上お答えできないと答弁していますが、定例会見という場で、かつ聞かれもしない質問にみずから切り出したのは石原知事自身です。少なくとも、この本会議場において、その方針、考え方について、都民に対し説明責任を果たすべきです。
 セカンドステージに向けた方針、考え方はどのようなものなのか、また、中国ではどのような交渉をする予定だったのか、石原知事の見解を伺います。
 今回の中国との交渉は、一体だれがどのような方針を立て、だれが主体となって交渉に臨んでいるのでしょうか。私たちは、石原知事がセカンドステージについて将来像を明らかにしない中で、再びトップダウンにより、都民が望まない新銀行の将来像が示されるのではないかと大変危惧するものです。
 そこで、今回の業務提携については、どこが方針を立てて、どこがおぜん立てをして石原知事の中国行きを設定したのか、所管局である産業労働局は、今回の中国行きの目的も含め、石原知事のいうセカンドステージについて協議し、連携して取り組めているのか、見解を伺います。
 次に、青少年健全育成条例について伺います。
 都議会民主党は、青少年の健全育成を達成していくために、保護者や学校、地域社会、行政が青少年の成長をしっかりと支援する教育や相談事業等のサポート、性的被害に対する保護、回復といった総合的な取り組みが必要だと考えています。
 それは、メディアが発達し、迷惑、勧誘メールや有害サイトも多く存在する情報社会で、青少年が正しい情報を取捨選択して取得し発信するといった、情報社会における倫理や法の理解と遵守、危険性の理解を学ぶとともに、情報を活用する能力を高める支援をすることです。また、青少年の発達段階に応じて、病気も含めた性に関する知識を理解させるとともに、人を尊重する健全な性の考え方に基づいて望ましい行動をとることを身につけ、自己決定能力をはぐくむことを支援することです。
 都内公立学校において、情報リテラシー、モラル教育や性教育を教える上で、専門家や医師など外部人材を招聘し、子どもたちを守るための教育を充実させていくことが必要だと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 一たび、性的虐待や、それに準ずる心身に有害な影響を及ぼすような子どもの権利の侵害が起きてしまうと、回復には非常に時間がかかります。虐待は、子どもに対し、大人になってもいやされない傷を抱かせる重大な犯罪です。都は、虐待を受けた子どもに児童精神科医や心理職員などによる心のケアを行っていますが、本当に一人一人に向き合い時間をかけるケアには至っていません。こうしたケアの充実については、さきの定例会でも質問し、今回も拡充を強く求めているところです。被害に遭う子どもを一人でも少なくするために取り組むべきだと考えます。
 今回の条例改正案を含む都の取り組みによって、都は、子どもたちの権利を擁護するため、都民に対する普及啓発にどう取り組み、青少年の性的被害をどのように防いでいくのでしょうか、都の見解を伺います。
 都における図書類の不健全図書指定は、現在、青少年健全育成審議会において、自主規制団体からの意見聴取を行った後、出版関係者も含めた委員の皆さんが一冊一冊を青少年に見せるべきではないものかどうかを審議、その結果を踏まえて、都が不健全指定を行っています。
 指定に当たっては、意見聴取と出版関係者が審議を行うことで客観性を担保するものであり、改正案があいまいで意味不明だと懸念を抱く方々に対する保障にもなるため、今後、審議会の運営をより丁寧に行っていくことが重要と考えます。
 また、個別指定は、東京の地場産業である出版、販売業界の産業振興のためにも有効な制度です。そのため、都がページ数や全体の分量という一定の基準をもって自動的に不健全図書類を指定する包括指定の導入は慎重であるべきと考えます。
 今後も、都における不健全図書の審議は個別指定方式で行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 前回否決された条例改正案において規定されていた青少年性的視覚描写物の蔓延の抑止は、青少年への閲覧などを規制する健全育成の目的を超えた、成人も含めた図書類に対する販売規制であり、表現の自由を侵すものではないかといった懸念が多くの方々から提起されました。議会においても大きな議論となり、我が会派議員からも疑義が示されました。
 今回の条例改正案では、この青少年性的視覚描写物の蔓延の抑止に関する条文がすべて削除され、青少年の健全育成の範囲が限定されましたが、多くの方々からの懸念を都はどのように受けとめたのか、都の見解を伺います。
 都議会民主党は、最も憎むべき犯罪である強姦や児童買春を不当に賛美して描いている図書類について、それらを青少年が容易に読むことはよくないと考えています。また、今回の条例改正に関して、表現の自由を殊さら強調されている方もおりますが、私は、表現の自由を主張する者は、その表現に対して社会的責任を負わなくてはならないと考えています。しかしながら、一部出版社から不健全指定となる図書類が発行されている現状があるため、それらの図書類が青少年の健全育成を阻害するか否かを審議することが必要とも考えています。
 今回、都は、現状をどう認識し、現行条例での対応ではなく条例改正を行わなければならないと考えているのか、都の見解を伺います。
 各業界も青少年の健全育成のために自主規制に取り組んでいます。私たち都議会民主党も、出版、販売関係だけでなく、映画や放送、映像ソフト、家庭用ゲームソフト、コンピューター用ソフトの倫理団体や審査機関の取り組みを視察し、各業界の取り組みに対する見識を深めてまいりました。
 出版、販売関係業界は、青少年に見せたくないコミックに対する自主規制の徹底を行うと述べるとともに、映画業界等で行っているレーティングのような新たな自主規制の検討を始めています。都は、出版業界と日ごろから十分な連携をとるとともに、業界の取り組みへの支援も行うべきです。青少年の健全育成のために、都は出版など関係業界の自主的取り組みを尊重し、ともに協力して取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 平成十一年に成立した児童買春・児童ポルノ禁止法における都の責務は、児童買春や児童ポルノの頒布などの行為を未然に防ぐための教育及び啓発、行為の防止に資する調査研究の推進に取り組むことです。
 今回、児童ポルノの根絶に向けた都の取り組みを改めて都条例に規定する上で、国会において議論が継続している、新たに免罪を生むのではないかと我が会派が懸念していた単純所持の規定を見送ったことの理由について、都はどのように考え、結論に至ったのか、都の見解を伺います。
 都は、インターネット利用にかかわる事業者の責務において、青少年インターネット環境整備法に定められている有害情報の範囲を超えない修正を行うとともに、有害情報の基準設定に干渉するおそれがある規定を削除しました。
 また、現実に、青少年の不適切なインターネット利用が、青少年の売春や犯罪の被害、いじめなど、さまざまな問題を生じさせていることから、関係事業者等がフィルタリングサービスの開発や性能の向上、利用の普及を図っていくとの留意義務を追加する規定を加えました。
 青少年がインターネットを適切に利用できるようにするために、都は、自主的な取り組みを行う民間事業者などとより連携し、実効性あるものとしていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、行財政改革について伺います。
 まず、指定管理者制度について伺います。
 都の施設の管理運営に民間のノウハウを活用し、都民サービスの向上や経費の節減を図る指定管理者制度は、五年目を迎えました。この間、都は、管理業務の内容の精査や事業内容に見合った委託料の算出、都の関係者が半数を占めた選定委員会の構成に対して、外部委員を過半数含むよう見直すべきなど、監査や包括外部監査の指摘、意見を受けて、制度の改善に向けた取り組みを図ってきました。
 選定を受けた監理団体等の事業者においても、管理や事務処理の不適正な点、利用者の満足度調査の不十分さ、再委託における随意契約の見直しといった課題があるとして、意見が付されているところです。
 そうした中でも、指定管理者制度の導入により、官民の協働による豊かな公の構築や都民サービスの向上、効率性の追求といった目標はどのように具体的に達成されてきたのでしょうか、都の見解を伺います。
 指定管理者の指定において、防災公園グループと文化財庭園グループ、臨海副都心地区公園グループの選定で公募が行われず、監理団体である東京都公園協会と東京臨海副都心グループがそれぞれ特命選定を受けました。しかし、国は、国立東京臨海広域防災公園の運営維持管理業務を公募し、民間事業者が落札しました。都も、この民間事業者を隣接する都立東京臨海広域防災公園の指定管理者として最適と認め、第二回定例会で議決をいたしております。防災公園も民間事業者で管理できるのではないでしょうか。
 そして、文化財庭園に関しては、広島県の縮景園や、愛媛県の松山城・城山公園、島根県松江市の松江城・城山公園、奈良県の吉城園、大阪府岸和田市の五風荘などは、指定管理者制度で公募、競争の上、民間事業者が選定されています。いずれも歴史ある公園、庭園です。
 臨海副都心地区における公園に関しても、幕張新都心にある千葉県立幕張海浜公園では、公募、競争の上、民間事業者が選定されています。幕張でできて、なぜ臨海副都心でできないのでしょうか。
 国や他自治体においては、意欲ある事業者が応募し、競争の上、選定が行われている現状で、東京都公園協会が防災公園グループと文化財庭園グループの指定管理者の特命選定を受けるに値する、都民も納得する正当な理由は一体何なのか、都の見解をお伺いいたします。
 また、東京臨海副都心グループが臨海副都心地区公園の指定管理者の特命選定を受けるに値する、都民も納得する正当な理由とは一体何なのか、都の見解を伺います。
 次に、監理団体について伺います。
 厳しい経済情勢の中で、都は安心・安全の東京を築いていくために、施策を厳選し、財政力を最も有効に使っていかなければなりません。監理団体は行政の業務の一部を推進するための役割を担っており、都は、公の施設の管理業務などアウトソーシングが可能な業務の相当部分を監理団体に委託するとともに、昨年度予算で二千三百八十五億円の財政支出をしています。
 東京都公園協会も、平成二十年度決算において七十二億円の受託事業を受け、特命契約を二百四件締結しています。東京都公園協会は、特命選定を受ける予定の防災公園グループや文化財庭園グループの各種委託契約において、競争入札回避というべき随意契約、特定契約を行うなど、透明性、経済性の視点が欠けた制度運営を行っていました。
 今年度、都議会民主党は、決算特別委員会や各常任委員会において、都を支援、補完する監理団体を検証し、その活用について都側のチェックが不十分な事例を確認してきました。
 都においては、総務局と各団体を所管する各局とが監理団体に対する問題意識を共有し、議論を踏まえ、継続的に見直していくことが必要と考えています。中でも、監理団体が都から特命で受託する事業については、都の事業を代行して実施していることから、監理団体は、その事業の効果とともに、税金の使途をさかのぼって広く明らかにしていく必要があります。
 また、監理団体の情報の開示に関する取り組みなどの観点からも、経営の透明性の向上を図り、都民への説明責任を果たしていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、入札契約制度改革について伺います。
 現在、都は、公共調達の公平性や透明性の向上を図るとともに、品質確保を中心とした入札契約制度改革を推進しています。それは、都民に信頼される制度を目指すものですが、このたび、市場や港湾施設の工事契約において、最低制限価格の設定を誤って入札を行ったミスが公表されました。中には、工事がほとんど完成し、事業への影響が大きいことから契約の見直しができないものもあります。誤った契約事務手続は、応札した全事業者、そして落札が可能であった事業者に多大な迷惑をかけ、都の契約制度に対する都民の信頼も失いかねないのではないかと考えるものです。
 都の入札契約制度改革に対する期待や、公平かつ公正な競争を今後確保していく上でも、過誤を犯した契約事務の反省を踏まえた今後の再発防止に向けた取り組みが重要となりますが、都の見解を伺います。
 次に、犯罪被害者等支援について伺います。
 ことしも犯罪被害者週間と人権週間の季節になり、犯罪被害者支援シンポジウムを初め、さまざまな周知に向けた取り組みが行われました。だれもが犯罪被害者になり得る環境の中、都は、国の動きに合わせて五年間の新たな犯罪被害者等支援計画素案を提示しました。
 計画は、被害者の立場に立つ、都の状況に応じた支援拡充、そして明確な数値目標があるべきで、新たな計画についても検証が必要です。また、都が青少年の健全育成において取り組みを強化する児童ポルノ等による性的虐待への保護、回復についても、子どもの権利を守る立場からしっかりと対応する決意を示すべきです。
 被害者の相談に関しては、刑法犯の認知件数や交通人身事故の発生件数に対する相談件数三千三百四十二件から見ても、被害者に対する相談窓口のさらなる周知が必要と考えます。現在、警視庁によって被害者の手引が配布され、今後は、医療機関等に総合相談窓口と支援策の情報提供を進めるとしていますが、以前作成した医療機関向け対応マニュアルの活用と実施状況に関しての検証と今後の方針がないため、一過性の対応ではないかとの感がぬぐえません。
 また、手引の配布に関しても、犯罪のショックが大きい事件直後では相談できる状態ではなく、アメリカのペンシルベニアで実施されている、被害者が相談したいと思ったときに、各種相談窓口や警察の担当者名など必要事項が記載された、お財布に入る程度の大きさのカードを手渡しておくような取り組みも検討すべきだと考えます。被害者の皆さんが相談しやすい環境整備に向けた取り組みについて、都の見解を伺います。
 私は昨年、市区町村への支援を行い、犯罪被害に遭った都民がひとしく同水準の支援を受けられるようにすべきと訴えました。被害者支援を行う自治体の窓口は四十三カ所になったとしていますが、残りの十九自治体において窓口設置が進まない理由である、支援精通人材の確保や被害者の実態の把握、ニーズの把握、予算確保などの課題解消を図り、取り組み体制の充実を図っていかなければなりません。
 また、自治体における相談事業の実態を都が把握して、今後の被害者支援事業の展開に資するべきと考えます。そこで、市区町村における相談窓口の設置と機能充実に向けた支援を行うとともに、多摩地域にも都の被害者相談窓口を設置すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 犯罪被害者等の実態に関する調査において、都の支援策の存在など、具体的な内容について周知されていなかったというアンケート結果があり、都も周知啓発を予定していますが、都民の理解を深めるためには、支援条例の制定が不可欠であると考えます。
 本年四月に内閣府が公表した調査報告書によれば、犯罪被害者施策に関する規定を含む条例は全国で百五十三条例、犯罪被害者等に特化した条例は全国で二県、五十七市区町村で制定されています。都が条例を制定することによって、都民に、だれもが犯罪被害者になり得る環境にあり、犯罪被害者支援の推進が急務であるとのインパクトを与え、支援策や都民に被害者の皆さんが置かれた現状を理解させるべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、児童虐待について伺います。
 虐待で幼い命が奪われる痛ましい事件が後を絶ちません。十年前の平成十一年度には一千三百十五件でしたが、平成二十一年度には三千三百六十六件あり、二・六倍にふえています。
 そうした中で、児童福祉司一人当たりの新規相談受理件数は九十七・二件と、児童福祉司を増員したこともあり、百二十件近くに上っていた平成十七年度よりは減少していますが、困難ケースの増加によるものか、一件当たりの相談回数は七・四回と一回増加しており、継続調査案件を含めると、相変わらず大変な業務量となっています。
 引き続き児童相談所の虐待対応力を充実強化するために、都としてどのように取り組むのか伺います。
 児童相談所による直接的な相談、指導に加えて、虐待による一時保護の後に家庭復帰した場合や、要支援、要注意家庭への支援を行っているのは市区町村です。児童虐待の予防的支援や家庭復帰後の見守りをより一層きめ細かく行っていくためには、市区町村における対応力強化が必要です。
 子ども家庭支援センターを中心としたサポートや見守り機能が徐々に充実してきており、虐待対応などの付加的事業を行う先駆型子ども家庭支援センターの設置も進んでいます。子育て相談、一時保育や育児ヘルパーの派遣など在宅サービスの調整など、一般的な子ども家庭支援サービスに加えて、虐待が認められる家庭の見守りなどの、より高度、専門的な仕事を担う先駆型子ども家庭支援センターにおいては、児童相談所による専門的支援強化を求める声や、要支援家庭等の増加に伴い対処し切れないといった声も聞かれます。
 そこで、児童相談所の機能強化に加え、さらにすべての先駆型子ども家庭支援センターの虐待ケースの調整を行うコーディネート機能の強化、虐待ワーカーの増配置などを行うなど、市区町村の対応力強化に向けた支援策強化が必要と考えますが、見解を伺います。
 虐待など、さまざまな理由から児童養護施設に入所する子どもは、年々増加しています。特に身体的虐待を受けた子どもは、その後、他人とのコミュニケーションがうまくできない、感情の抑制ができないなど、精神的に不安定な状態が続き、中には身体的発達におくれが出る場合もあります。施設職員との信頼関係や他の入所児童との関係が築けない、さらに、学校や近隣でのトラブルになるなど社会とうまくいかない経験がたび重なってしまうと、心身に大きな傷を抱えたまま成長することとなってしまいます。つらい経験を乗り越えて社会に出る力をつけていくためにも、措置児童に対する専門的ケアを強化拡充することが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩・島しょ地域の振興について伺います。
 現在の東京都の観光振興プランでは、多摩地域は広域観光ルートを開発するとともに、特色ある多摩の魅力を発信、また、島しょ地域は島ごとの特色を生かし、季節ごとの体験メニューの開発や魅力ある宿泊施設への改善などを図っていくこととしています。こうした行動指針のもと、観光を重要な産業として位置づけ、種々の観光振興策に取り組んできたところですが、現状では、目途とする平成二十三年度に、その期待された効果が十分にあらわれるとはいいがたい状況です。
 同地域は、山と海の豊かな自然に恵まれ、多摩には歴史的な建造物やアミューズメント施設、各所に点在する各種の博物館、資料館、公園、動植物園、温泉など、多くの観光資源があります。また、島しょは、伊豆諸島や小笠原諸島という固有な自然や文化、歴史を持つ島々です。
 しかし、依然として、これらの地域の観光は低迷傾向にあり、これからの社会経済状況を見ても、産業の中核として、自立した地域経済を築き上げる観光への期待は高まっています。
 一方では、同地域には首都圏三千万人のポテンシャルがあり、このことは、恐らく他の観光地から見れば垂涎の的であるにもかかわらず、この利点を活用し切っていないのが現状です。
 また、観光産業は民間の力も大きな要素となりますが、多摩の幾つかの市町村や島しょの町村では、民間の力は期待できず行政の支援が必要です。また、さらに総合産業としての観光には、単に観光を担当する部局だけではなく、関連する部局での横断的な体制による支援が必要と考えます。PRを初め、観光客の多様化するニーズに対応した施設整備、例えば増改築したり、エアコンやトイレのウオシュレット化など、必要最小限の整備に対する経費の一部負担や低利融資など、投資に対する補助制度の創設、また、島しょ地域では交通費の低廉化に対する支援策が必要になっていると考えます。
 これからは、多摩・島しょ地域の振興の柱は観光であるという認識のもと、地域の自立に結びつくような取り組みをする市町村には、積極的な支援をしていくという姿勢が重要であると考えております。観光に対する支援策の現状、また、今後の支援策のあり方について都の見解を伺います。
 小笠原諸島は、二〇〇七年に世界自然遺産の候補地として暫定リストに掲載され、登録のための取り組みがスタートしました。小笠原の自然を保全していくためには、地元関係機関の合意形成の場である地域連絡会議や、学識経験者等で構成する科学委員会が設置され検討を重ねることで、これまでは弊害となっていた縦割り行政を払拭したさまざまな協力連携が行われてきています。
 そして、自然の保護という世界自然遺産の本来の目的と、観光という地域経済へのメリットというバランスを、かねてから都が進めてきた東京都版エコツーリズムにより保っていくなど、適正な管理のあり方が管理計画にまとめられました。
 その後、本年一月には、日本政府から推薦書が事務を担当する国連教育文化機関、ユネスコに提出され、来年夏ごろに開催される世界遺産委員会での正式決定に期待が高まっているところでもあります。
 そこでまず、小笠原諸島の世界自然遺産登録の進捗状況について伺います。
 小笠原諸島は、島の発生以来、一度も大陸とつながったことがない海洋島のため、独自の生態系が形成され、多くの固有種や希少種が存在しており、この生態系をしっかり守っていく必要があります。そのためには、既にユネスコに提出した管理計画を、登録前から着実に実行することが最も重要と考えます。
 管理計画には、島ごとの戦略的な生態系の保全、各種事業での環境配慮の徹底、エコツーリズムの推進などが盛り込まれています。管理計画の推進に当たっては、国や村だけではなく、地元の方々が参加する地域連絡会議との密接な連携が重要であると考えます。
 来年夏の世界自然遺産登録に向けてはもちろんのこと、登録後も、国、村、地域の方々と連携して、管理計画に基づき、小笠原諸島の自然環境の保全を一層推進していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 初めに、多摩のスポーツ振興について伺います。
 スポーツは、人格の形成、体力の向上、健康長寿の基礎であるとともに、地域の活性化など、明るく豊かで活力に満ちた社会を形成する上で欠かすことのできない存在です。また、スポーツ大会やスポーツイベントには大きな集客力があり、地域でさまざまなスポーツが実施されるようになれば、地域の活性化にもつながります。
 都は、本年七月にスポーツ振興局を設置し、スポーツ施策に一体的に取り組んでいく体制を整備しました。これまでも、東京マラソンなどさまざまな事業を展開していますが、スポーツ振興に一層積極的に取り組むことが求められます。
 しかし、民間、行政も含め、スポーツイベントの開催やスポーツ施設は都心部に集中しているなど、多摩地域は、スポーツに親しめる機会が必ずしも十分であるとはいえないのが実情です。東京都全体でスポーツを盛り上げ、スポーツ都市東京を実現するためには、この実情を改善しなくてはなりません。
 多摩は、多様な自然環境に恵まれた緑あふれる地域が特色であり、例えば、御岳渓谷におけるカヌーや多摩川沿いでのサイクリング、奥多摩や高尾山などにおけるトレッキングなど、スポーツを通じて、都心では得ることのできない爽快感を味わうことができる魅力的なエリアがそろっています。
 東京都全体のスポーツを盛り上げるために、このような都心部とは異なる多摩地域の特色を生かし、スポーツ施設の整備やスポーツイベントの開催など、多摩地域におけるスポーツ振興を一層推進すべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、子どもの体力向上施策について伺います。
 子どものときから規則正しい生活習慣を心がけ、外遊びやスポーツなどの運動習慣を身につけ、体力向上を促すことは、学ぶ力や規範意識を高める上にも、また、将来の成人病予防の観点などからも非常に重要であります。
 子どもの体力向上は、都教育委員会にとどまらず、関係する部局とも連携を図り、積極的かつ総合的に取り組むべき施策です。例えば、校庭の芝生化を初めとした東京の緑地化により、身近で子どもが遊ぶ場、運動する場を環境局や都市整備局と連携し確保していくことや、スポーツ振興局と連携した地域スポーツクラブの活用など、子どもの体力向上に資するあらゆる対策を図ることが重要と考えます。
 そこで、都教育委員会は、子どもの体力向上に向け、関係各局と連携を深め、情報の共有化やその他相互の支援を通し、プロジェクトの推進を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 また、子どもの遊ぶ場が減少している問題や、交通事故や不審者に対する安全対策等の都内の環境条件から、体を動かせる場の制約がある中で、都教育委員会として、子どもの体力向上に対してどのくらいのプライオリティーを置いて取り組み、具体的にはどのような施策を講じているのか伺います。
 次に、教育政策について伺います。
 初めに、食育について伺います。
 食育は、特定の教科で指導が行われるものではないため、ともすると、食育の授業や食農体験は一過性のものとなってしまうことが考えられます。そのため、現在、都内公立学校で実施されている食育の取り組みによって、児童生徒のふだんの食生活に影響を与えられるように、都教育委員はどのような工夫、取り組みを図っているのか伺います。
 次に、食育の一環として、小中学校の児童生徒による農業体験について伺います。
 食育における農業体験の教育的効果は、食料自給率問題、エネルギー供給問題に対する自発的な関心を呼び起こすと同時に、生産者の苦労の理解、自然への感謝、勤労の意義といった情操教育に寄与するものと考えます。さらに、都市農業の発展という観点から、農地の有効活用にもつながるという、さまざまな効果も考えられます。
 平成十七年七月に食育基本法が施行され、学校における食育推進体制の整備が求められることになりました。それを受けて都教育委員会では、平成十八年七月に公立学校における食育に関する検討委員会を設置して、学校における食育に関するさまざまな事項を検討し、その結果をまとめた報告書には、学童農園などの生産体験学習を積極的に実施することが求められるとしています。
 現在、東京都は、都市農地保全に向けた施策を実施しています。そのような中で農業体験の重要性や効果を考えますと、都教育委員会が産業労働局等との連携を図り、小中学校の児童生徒の農業体験を積極的に進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、道徳教育について伺います。
 前回の代表質問では、都立高校における道徳教育について、本年度から道徳教育の重点目標や各教科や特別活動等と道徳との関連を示した指導計画を作成するよう指導しており、今後も充実化に努めるという答弁をいただきました。
 また、主に小中学校における道徳教育については、来年度の予算要求における都教育委員会の新規事業として、東京の子どもたちの豊かな心を育成するための道徳教育の充実を掲げております。
 このような道徳教育の充実化を図る動きの中、徳育の中でも、特に自発的に社会に役立とうとする公共心の涵養が重要と考えます。その点で、都立高校における教科「奉仕」は、実践型の体験を通した学びであり、机上で情報を受け取る授業より、生徒の意識に浸透しやすい効果がある教育であり、地域の人々からも、よい取り組みだとの声を聞きます。
 一方、道徳の授業に関しては、読み物資料を使った授業を通して児童生徒に考えさせ、理解を促すという方法が主流であります。徳育の充実を今後一層図るのであれば、頭での理解にとどまらないよう、奉仕の実践活動のように、児童生徒の道徳的実践力の涵養が図れるような取り組みについて検討していくべきだと考えますが、都教育委員会の所見を伺います。
 次に、都立高校では平成二十四年度より日本史必修となる予定ですが、我が国の歴史と文化を知ることは郷土愛につながり、ひいては日本人としての自覚を養うことにつながると考えます。特に江戸時代は、歴史に残る未曾有のことと絶賛されるほど、約二百五十年も長く続いた平和、また、江戸に住んでいた人々の識字率が七〇%から八〇%に達していたという教育水準の高さや暮らし向きのよさなど、誇りにすべき歴史、文化が数多くあります。
 高校生がこうした我が国の誇るべき歴史を学び、将来、歴史を踏まえた日本の立場や考えをしっかり主張できるようになることが大切だと考えます。
 そこで、日本史の必修化においては、我が国の誇るべき歴史を学ぶことで、国際社会に生きる日本人としての自覚を高めていくような教育、これからの社会の担い手として国際社会で活躍していこうとする高い気概を持てるような、魅力ある教育を行っていくべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、住宅政策について伺います。
 ことし九月、都は、住宅施策と福祉施策が連携し、総合的に施策を推進するため、高齢者の居住安定確保プランを策定しました。
 この中では、バリアフリー化など、住宅の質を確保するとともに、緊急通報や安否確認など質が確保された生活支援サービスを提供し、高齢者が適切な負担で入居できるような高齢者向けケアつき賃貸住宅を、東京モデルとして、平成二十六年度末までに約六千戸供給することが目標として示されています。
 高齢者向けケアつき賃貸住宅の整備に向け、現在、都は高齢者向け優良賃貸住宅供給助成事業や、サービスつき適合高齢者専用賃貸住宅供給助成事業を実施していますが、これら事業は市区町村が事業者募集や補助を行い、都は、市区町村に対して補助を行っているものです。
 しかし、平成二十一年度末現在、都内の適合高齢者専用賃貸住宅は、六区六市で七百五十四戸が整備されているにすぎません。民間事業者による高齢者向け優良賃貸住宅も、九区三市でわずか六百六戸が整備されているのみとなっています。
 私たちは、計画に示された供給量の目標を達成することはもちろんのことですが、既に整備された住宅の入居率などの実態についても、さらに詳細に分析し、制度の充実改善を図るとともに、市区町村による高齢者向けケアつき賃貸住宅の整備に向けた積極的な取り組みを促し、多くの市区町村で整備を進めていくことが必要だと考えます。都の認識と今後の取り組みについて所見を伺います。
 都は、子どもの安全確保や子育て支援施設の併設等に配慮した子育て世帯向けの民間賃貸住宅をモデル的に供給するため、東京都子育て世帯向け優良賃貸住宅供給助成事業モデル事業を今年度から開始しています。
 この事業では、平成二十四年度までの三年間にわたり、新規住宅供給型及び既存ストック改良型の合計三百戸のモデル住宅を供給することとなっています。
 私たちは、この取り組みを否定はしませんが、住宅供給のあり方として、子育て世帯向け住宅だけ、あるいはさきの高齢者向け住宅だけに特化した事業には違和感を持っています。
 事業性を考えれば、ある程度のボリュームで同じサービスを受けられるようにまとまっていることが望ましいことは理解していますが、もっと多様な世代が集まって生活できる地域コミュニティの形成を目指すような事業スキームを組み立てるべきと考えます。
 このようなコミュニティバランスに配慮しつつ、少子高齢化に対応した住宅供給のあり方について所見を伺います。
 ことし十月五日、国土交通省の検討会において、独立行政法人都市再生機構、URの今後のあり方について報告書がまとめられ、URの今後の組織形態としては、完全民営化、政府一〇〇%出資の特殊会社、新しい公的法人のいずれかにすることが望ましいと提示されました。
 ただし、完全民営化については、最も有効な組織形態ではあるが、繰越欠損金が三千四百九十五億円、有利子負債が十三兆五千百九十九億円と、借金が多過ぎて現実的ではないとされたため、これを受けて、国土交通大臣は、後者二案を軸に改革を進める方針を示しました。
 一方、東京都は、都の監理団体である東京都住宅供給公社、JKKの民営化について、さきの決算委員会において、現実的ではないとの見解を示しました。
 同時に都は、JKKが、包括外部監査における指摘を踏まえ、東京都からの借入金について早期償還計画を策定し、従来の予定よりも百年前倒しして償還することなどを明らかにしています。
 これについて、私たちは、JKKの財務体質が極めて健全であることを示しているものであり、JKKの民営化には経営上の障害はないものと受けとめています。
 また、JKKの主な事業は、公社賃貸住宅の管理と建てかえ、都営住宅など公営住宅の管理受託などであり、これらの事業は、仮にJKKを民営化しても、公社賃貸住宅は民間賃貸住宅事業として、また公営賃貸住宅は引き続き管理受託事業として継続が可能と考えます。
 ことし九月に示された東京都監理団体活用方針では、JKKを引き続き監理団体として活用していくことが示されていますが、JKKを公社として存続させる理由、また民営化に向けた課題について、あわせて所見を伺います。
 最後に、築地市場の再整備について伺います。
 石原知事は、今定例会の所信表明に先立ち、十月二十二日の定例会見において、豊洲移転を進めていくことを決断したと発言し、あわせて、議会が決めかねるから決断した旨発言しました。
 十月二十二日という時期に、石原知事が豊洲移転を決断しなければならない必然性がどこにあったのか、それこそ強引な決断であったといわざるを得ず、私たちは大変な怒りを感じています。
 石原知事は、所信表明でも、現在地再整備は十数年かかる致命的な事実が明らかになったと発言していますが、石原知事がいう十数年というのは、現在地再整備が完成するまでの期間でしかなく、仮設に移転をした時点で、大雨による浸水被害も含め、老朽化のリスクは解消するのです。
 また、石原知事は、現在地再整備の可能性についての議論は、第三回定例会で尽くされたと思いますと、感想らしきことを述べられていますが、特別委員会での報告は、あくまでも中間報告です。都議会での取り組みを勝手に解釈し、強引に豊洲移転を進めるのであれば、今後の関連議案について、都議会の合意を得ることは困難になります。
 また、その後、地元中央区からの要望が提出されたことや、水産仲卸の総代選での結果などだけを見ても、現在、東京都が強引に進めようとしている豊洲移転案にも、合意があるとは到底思えません。それにもかかわらず、十月二十二日に豊洲移転を決断するまでに至った石原知事の見解を伺います。
 石原知事は、十月二十二日の定例会見で、業界の意向調査について聞かれ、さんざんしましたと述べていますが、一体、いつ意向調査を実施したのでしょうか。
 十一月二十四日に行われた水産仲卸の総代選挙では、五十二対四十八で、いわゆる移転反対派が過半を占めたと聞いていますが、これこそ、石原都政が業界の大方の合意を得ようとしてこなかったことのあらわれです。
 そもそも、この選挙戦を前に、石原知事が豊洲移転を宣言したり、その内容を書面にして全組合員に配布したり、投票日にあわせて豊洲移転サポート相談室の開設を発表したり、選挙介入を思わせる行政にあるまじきやり方が、この間の市場関係者の根強い不信感となっているのです。
 私たちは、業界の大方の合意を得るために、市場関係者に対する意向調査を実施すべきと主張してきましたが、東京都の一方的な方針を既成事実として押しつけようとするやり方こそ、強引であるといわざるを得ません。
 今回の総代選挙を踏まえ、水産仲卸業者の意向がどのようなものであると認識しているのか、見解を伺います。
 十月二十七日には、地元自治体である中央区から、中央区長並びに区議会自由民主党、公明党、友愛中央、民主党区民クラブの各幹事長の連名による築地市場移転問題についての要望書が提出されました。
 要望では、平成十六年十二月にも築地市場地区の活気とにぎわいビジョンを策定し、都知事あてに検討、協議をお願いしたとのことですが、今回、地元中央区が改めて要望してきたということは、石原知事が何年もの間、地元自治体の要望をさんざん無視し、豊洲移転だけを強引に進めてきたことの証左にほかなりません。
 石原知事は、十月二十九日の定例会見で、論外、論外、こういう機能は一カ所に集約して初めて機能が上がると述べていますが、地元中央区からの要請さえもまともに聞かず、門前払いするような姿勢では、大方の合意形成を図っていくことは困難です。
 東京都においても、地元中央区などの要望について真摯に対応すべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 なお、答弁の内容によっては再質問を留保いたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 酒井大史議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、今後の雇用就業対策についてでありますが、長引く景気の低迷の中、失業率の高どまりや前年度よりさらに悪化している大学生の就職内定率など、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。
 この問題の本質的な解決のためには、国が、正確な成長戦略のもとに、実効性のある経済対策を進め、雇用を創出することが不可欠でありますが、国は、いまだに有効な対策を打ち出しておりません。
 都はこれまで、雇用創出や職業訓練の大幅な拡充、さらには就職支援の強化など、切れ目のないさまざまな雇用対策を打ち出してきました。
 今後も、これらの対策などを強化し、機を逸することなく、重層的に雇用就業対策を実施してまいります。
 次いで、横田基地におけるビジネスジェットの受け入れについてでありますが、世界が非常に時間的、空間的に狭小となった今日、空からのアクセスは、国家の繁栄、成熟のために極めて重要な意味を持つと思います。
 首都圏の空港機能を補完する横田基地の軍民共用化は、我が国の国際競争力を強化するため不可欠であるとともに、多摩地域の活力も増大させるものであります。
 しかし、米側は、首都東京にある膨大な横田基地を、かつての世界大戦の勝利の記念品と称しております。
 日本の力が集中集積する首都圏には、多くのビジネスチャンスが存在しまして、世界をまたにかけて活動する企業の経営層は、ビジネスジェットの乗り入れを熱望しております。にもかかわらず、羽田、成田両空港では容量に限界がありまして、とても十分な受け入れができません。現況では、ビジネスジェットの乗り入れについては、二月前に申請しないと許可が得られないという、非常に厄介な状況にありますが、このため、横田基地においては、平時はほとんど使ってない滑走路などを活用しまして、ビジネスジェットの受け入れを図ることは、極めて合理的でありまして、また米国企業にも大きなメリットがあるため、軍民共用化を実現する上での突破口となり得ると思います。
 トム・ドナヒューという、今、アメリカの商工会議所の会頭、私、友人でありますが、彼なども、口酸く、なぜ横田をあけさせないんだというから、おまえたちが頑張って、国防総省にかけ合って横田をあけろと、そういう会話を年じゅう交わしております。
 今後とも、我が国政府や米国政府を初め、広く経済界などに対しても働きかけまして、首都東京、ひいては日本の将来のために、軍民共用化の早期実現を目指してまいります。
 次いで、新銀行のセカンドステージに向けた方針など考え方についてでありますが、これは事が交渉案件でありまして、従来申し上げているとおり、事柄の性格上、今の段階で詳しくお答えできるものではありません。
 それから、新銀行東京の今後についてでありますが、新銀行東京は、親身に取引先の経営相談に乗るなど、きめの細かい対応を行うとともに、貸付条件の変更を行う、いわゆるリスケジュール、リスケ、これをほとんどの銀行は行っておりません。わずかな貸し金なら倒産させてしまえということで、倒産を続出させていますけれども、放置して。新銀行は、経営陣が非常に頑張って、きめの細かい対応を行っておりまして、他行に先駆けたそういう努力をすることで、小零細企業の支援を行いながら、懸命に再建に取り組んでおりまして、実績も上がってきました。
 こうした努力の結果、平成二十二年中間決算においても黒字を計上しておりまして、再建は着実に今進んでおります。
 新銀行東京が黒字決算を継続していけば、信用度も上がり、その結果、セカンドステージが開かれます。
 セカンドステージの姿については、前にもお話ししましたが、実は、新経営陣が着任する前にも、ヨーロッパのイギリス、そしてドイツの有力な銀行が、東京の将来を見込んで、ぜひ協力をしたいということをいってきて、かなり緻密な交渉をしたんですが、リーマンショックで、この二つの銀行は倒れちゃうということで、逆に、その一つは、新銀行東京に助けてくれと、ちょっと主客転倒したオファーもありましたが、いずれしろ、そういう紆余曲折を経てこの段階まで来まして、新銀行東京自身が立ち直ってきました。
 これから、違った形でセカンドステージというものを考えて銀行を補強していかなきゃならぬと思いますし、そうすることで、当初の目的である小零細企業への融資も濶達に行われると思います。議員の皆さんも、反対だけではなしに、ひとついい知恵があったらかしていただきたい。
 次いで、築地市場の豊洲移転についてでありますが、築地市場は、わずかな揺れの地震でさえ、屋根の一部が落下するまで、施設の老朽化がきわまっております。先日の大雨でも、市場の至るところが冠水し、売り場では停電が発生して、エレベーターに人が閉じ込められるなど、市場業務に大きな支障が生じました。
 このように耐用年数の限界を大きく超えた施設では、産地、顧客が求めるニーズへの対応もままならず、市場業者はますます疲弊して、じり貧となるなど、その経営環境も一段と悪化するのは必至であります。
 現在地での再整備は、仮にすべてが順調に進んでも十数年かかりまして、前提となる晴海ヘの仮移転は二重投資となるなど、到底容認できないというのが業界の声でありますし、常識で考えても当然のことでしょう。
 こうした現実を直視し、現場に即して柔軟かつ冷静に判断すれば、現地再整備が全く選択肢たり得ないことは明白であります。にもかかわらず、議会としての結論は、先の展望も示されぬままに先送りされました。
 業界団体の大多数も、早期の豊洲移転を望んでおりまして、現場に先の見えぬまま待つ不安、焦燥、混乱を強い続けるわけには、行政側としてはできません。慎重な検討なる美名のもとで議論をいたずらに継続し、現地再整備に固執することこそ、強引であるとのそしりを免れないと思います。
 これに似た案件の八ッ場についても、新任の大臣は、非常にクールに現場を見て、ある大きな決心をしたと思いますが、いずれしろ、現場をもう少し詳細に見て、現場の人の声を本当に聞いて、この問題を判断していただきたい。
 豊洲移転の決断は、首都の行政を預かる主体者の責任として、首都圏三千三百万人の食生活を支える新市場の整備にしっかりと道筋をつけることでありまして、昭和からの宿題にここで区切りをつけるものです。
 現在、議会でもさまざまな議論はありましたが、よりよい豊洲移転に向けて、ともに知恵を出し合っていく時期に来ているんじゃないでしょうか。
 他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、外部人材を活用した情報リテラシー、情報モラル教育や性にかかわる教育についてでございます。
 現在、各学校においては、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じて情報リテラシー、情報モラル教育や性にかかわる教育を適切に行っているところでございますが、必要に応じて、外部人材等と連携した取り組みを進めることは重要でございます。
 これまでも都教育委員会は、情報リテラシー、情報モラル教育に関しましては、民間委託による学校非公式サイトの監視や、警視庁や東京都青少年・治安対策本部との連携によるハイテク犯罪対策シンポジウムを行うとともに、すべての公立学校が実施するセーフティー教室を外部人材の協力を得て開催するなどしてまいりました。
 また、学校における性にかかわる教育に関しては、児童生徒の人格の完成を目指す人間教育の一環として、児童生徒の発達段階を踏まえ、学習指導要領に基づき組織的、計画的に行われており、都教育委員会は、東京都医師会や東京産婦人科医会の協力のもと、都立高校に産婦人科医を派遣して、生徒、保護者及び教職員に対する相談活動や講演会を行う専門医派遣事業を実施しております。
 今後とも、こうした外部人材を活用した取り組み等を通して、子どもたちが被害者にも加害者にもならないよう、情報リテラシー、情報モラル教育や性にかかわる教育を充実させてまいります。
 次に、子どもの体力向上に向けた関係各局との連携によるプロジェクトの推進についてでございます。
 体力は、知力や気力の源であり、子どもが健全、健康に成長していく上で必要不可欠なものでございます。東京都の子どもの体力が長期的に低下傾向にある原因や背景には、子どもを取り巻く環境、外遊びやライフスタイルの変化等さまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
 このため、都教育委員会は、平成二十一年五月、福祉保健局や環境局等関係各局の協力を得て、子供の体力向上推進本部を設置したところでありまして、引き続き、スポーツ振興局を初めとして、関係各局との連携のもとに、子どもの体力向上の推進に努めてまいります。
 次に、子どもの体力向上に対する具体的施策についてでございます。
 都教育委員会では、子どもの体力向上は、学力向上や健全育成と同様に、教育指導上の最重要課題であると考えております。子供の体力向上推進本部においては、子どもの体力の現状や低下の原因を分析し、今後の目標設定や取り組みの方向性等について、平成二十二年七月、総合的な子供の基礎体力向上方策第一次推進計画を策定いたしました。本推進計画では、子どもの体力向上に取り組むための仕組みづくりや環境整備を主要な取り組みの一つと位置づけております。
 今後とも、健康づくりやスポーツ振興、校庭の芝生化等、関係各局、関係機関と連携協力した施策展開により、局横断的に子どもの体力向上の実現に努めてまいります。
 次に、都教育委員会の食育の工夫、取り組みについてでございます。
 近年、偏った栄養摂取、朝食欠食といった食生活の乱れなど、子どもたちの健康を取り巻く問題が深刻化している中、食育の推進は、望ましい生活習慣を身につけさせ、学力、体力の向上にもつながることから、極めて重要であると考えております。
 児童生徒のふだんの食生活を望ましいものとするためには、家庭との連携が不可欠でありますことから、都教育委員会は、公立小学校入学前の子どもの保護者全員に、生活習慣の確立に向けた啓発資料を配布しております。
 また、都内公立学校では、栄養教諭や食育リーダーが中心となって作成した食に関する指導の全体計画に基づき、さまざまな教科で食育に関する授業を実施いたしますとともに、保護者を対象とした食育の授業公開や親子料理教室の実施、食育便りの発行等、多様な取り組みを進めまして、食育の趣旨の浸透を図っているところでございます。
 次に、小中学校の児童生徒の農業体験についてでございます。
 食生活が自然の恩恵の上に成り立つことの理解を深め、生命及び自然を尊重する態度を養う農業体験は、食育を推進する上で重要でございます。
 都内公立小中学校では、地域の実情に応じて、学校給食の食材提供者や学校近隣農家、農協、NPOなどと連携し、コマツナ、大根、米などの種まき、田植えから収穫までの農業体験が実施されております。
 また、本年度は、都内公立小学校の二十五校で、産業労働局と連携し、子どもたちに自然や命のとうとさ、環境や食べ物の大切さを伝える生産体験の推進事業にも取り組んでおります。
 こうした農業体験を通じて、作物を栽培する上での苦労を身をもって味わうことにより、勤労を重んじる態度の涵養ができたとの報告や、食への感謝の念が生まれ、学校給食での残菜が少なくなったとの報告がございます。
 都教育委員会は、関係各局等と連携をして、区市町村教育委員会等を支援し、引き続き農業体験を通じた食育の充実に努めてまいります。
 次に、道徳教育の充実についてでございます。
 小中学校における道徳教育は、児童生徒が豊かな心を持ち、自分の生き方についての考えや自覚を深め、道徳性を養うことをねらいとするものであり、そのためには、ご指摘のように、机上での学習にとどまらず、奉仕活動を初め、さまざまな体験活動を通して、道徳的実践力を育成していくことが重要であると認識しております。
 このため、都教育委員会はこれまで、都内すべての公立小中学校において、保護者や地域の人々との連携を図りながら、道徳授業地区公開講座や奉仕体験活動を推進するトライ&チャレンジキャンペーンを実施し、児童生徒に対して、公共の精神や規範意識、思いやりの心など、豊かな心をはぐくむための取り組みを行ってまいりました。
 また、都内の公立小中学校では、道徳の時間との関連を考慮しながら、総合的な学習の時間や特別活動などにおいて、例えば地域の清掃活動やアルミ缶の回収といったリサイクル活動などの社会に貢献する体験活動を行うことで、児童生徒に、人間としてよりよく生きていくために必要な道徳性を涵養する取り組みを行っております。
 今後とも、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携を図りながら、学校における体験活動を通した児童生徒の道徳的実践力の育成に努めてまいります。
 最後に、都立高校における日本史必修化についてでございます。
 都教育委員会は、自国の歴史と文化の価値を十分理解させ、国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りを身につけさせるためには、高等学校においても継続して日本史を学ばせることが必要であると考えております。
 現在の学習指導要領においては、中学校では日本史を中心に学習することとされておりますことから、高等学校では世界史が全生徒の必修となっており、日本史については地理との選択制になっております。そのために、都立高校生のうち、約四分の一の生徒が日本史を学習しないまま卒業しております。
 これらの現状を踏まえまして、都教育委員会は、平成二十三年度から日本史必修化の試行に取り組み、平成二十四年度から完全実施することといたしました。
 江戸時代は、商品経済が発達し、五街道が整備され、寺子屋などの教育システムが整うなど、世界に誇るべき社会が江戸を中心に形成されておりました。また、ライプニッツやニュートンに先んじて、微分積分といった高等数学を考えついた関孝和など、すぐれた才能が開花いたしました。江戸期に成熟した独特の感性や高い文化、教育水準は、その後の時代に大きな財産として受け継がれ、日本が急速な近代化を遂げ、国際社会において確固たる地位を確立していく原動力となりました。
 こうしたことを踏まえまして、江戸開幕以降の歴史を江戸東京の変遷を切り口に学ぶ東京都独自の日本史科目「江戸から東京へ」を開発し、すべての都立高校生が近代以降の歴史を学べるよう、日本史を必修化したところでございます。
 今後、都立高校生に、近代以降の日本の歴史の学習を通して、日本の伝統や文化とその価値に対する理解を深めさせることで、日本人としての自覚と誇りを身につけさせてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 住宅政策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者向け賃貸住宅の整備についてでございますが、高齢化が急速に進行する中、高齢者が多様なニーズに応じた居住の場を選択でき、住みなれた地域で安心して暮らすことができる環境の整備が重要でございます。
 このため、都では、少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチームの検討結果に基づき、緊急通報などの生活支援サービスつきの高齢者向け賃貸住宅を位置づけ、その供給促進を図っております。
 また、こうした動きなどを受け、国におきましても、高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正を検討しております。
 高齢者向け賃貸住宅の供給を促進するに当たっては、地域の実情を把握している区市町村の役割が重要であると認識しております。
 このため、今年度から、都の支援を強化して、高齢者向け優良賃貸住宅の整備費や家賃減額等について、助成事業の実施主体である区市町村の負担軽減を図っております。
 現在、高齢者向け優良賃貸住宅の供給につきましては、平成二十一年度までに整備された約六百戸に加え、さらに約二百戸の工事や計画が進められております。
 この動きを加速させるため、都は、区市町村との連絡会等を通じて、施策実施に関するさまざまな情報や意見を交換するなど緊密な連携を図りながら、より多くの区市町村で高齢者向け賃貸住宅の整備が行われるよう、積極的な取り組みを促してまいります。
 次に、コミュニティバランスに配慮した住宅供給のあり方についてでございますが、年齢や世帯構成に偏りのないバランスのとれたコミュニティの形成は、地域活力の維持向上などに寄与する重要なことであり、地域のまちづくりの中で配慮されるべきものと認識しております。
 子育て世帯向け優良賃貸住宅供給助成事業や高齢者向け優良賃貸住宅供給助成事業は、住宅市場において供給されにくい良質な賃貸住宅の供給を促進する観点から実施しているものでございます。
 これらの事業は、子育て世帯や高齢者のみならず、だれもが住みやすい、安全面や使いやすさに配慮された住宅ストックを形成するものでございまして、特定の世帯しか住めない住宅を集中的に建設することを目的とするものではございません。これらの事業実施に当たっては、例えば、高齢者向け住宅について、子育て世帯向け住宅や子育て支援施設を併設したり、多様な世帯が居住する住棟の一部として設置するなど、コミュニティバランスの形成に資するさまざまな供給形態に柔軟に対応しております。
 また、都営住宅の建てかえによる創出用地を活用した勝どき一丁目プロジェクトでは、民間賃貸住宅の一部として、子育て世帯向け住宅を供給するなど、コミュニティバランスに配慮した取り組みを進めております。
 今後とも、こうした取り組みを通じ、多様な人々がともに暮らすバランスのとれた地域コミュニティの形成に努めてまいります。
 最後に、東京都住宅供給公社の民営化等についてでございますが、公社は、地方住宅供給公社法に基づき設置される公共住宅の供給主体として、中堅所得者層向けの良質な賃貸住宅の供給を行ってまいりました。現在、少子高齢社会への対応が求められる中、公社では、新たに少子高齢対策室を設置し、一般賃貸住宅の建てかえに合わせた子育て世帯や高齢者向け住宅の整備などの検討を進めております。
 今後とも公社は、都の住宅政策を推進する上での重要なパートナーとして、少子高齢社会や環境問題への対応など、市場では十分に供給されにくい住宅の供給を基本としながら、公的な役割を積極的に果たしていくべきものと考えております。
 また、公社は、都営住宅や区市の公営住宅の管理を受託し、公営住宅の特性を十分に理解しつつ、行政と緊密な連携を図りながら、きめ細かに居住者への対応を行っております。
 民営化につきましては、今後も公社がこうした公的役割を果たしていく必要があることに加え、大きな税負担が発生するなど課題が多いと認識しており、考えておりません。
   〔主税局長荒川満君登壇〕

○主税局長(荒川満君) 今後の都税収入の見通しについてお答えいたします。
 まず、今年度の税収ですが、十一月末に申告された法人二税の状況を見きわめる必要はありますが、これまでの税収実績を踏まえれば、ほぼ当初予算の水準は確保できるものと考えております。
 一方、今年度前半の企業収益は改善傾向にありましたが、現在は海外経済の減速、円高の影響など、マイナスの要素も出てきております。こうしたことから、来年度の都税収入の見込みについて申し上げれば、国の税制改正の影響が不透明なところはありますが、繰越欠損金による税収の減なども考慮いたしますと、伸びは期待できないものと認識しております。このような状況を踏まえ、的確に算定してまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 二点についてお答えをいたします。
 まず、平成二十三年度予算についてでありますが、現在の社会経済情勢のもと、都民の生活に深くかかわる喫緊の課題に的確に対処するとともに、東京の可能性を引き出す中長期的な取り組みにつきましても、継続的かつ積極的に進めることを予算編成の柱の一つとして、十月までに各局から予算要求を受け、現在、編成を進めているところであります。
 一方、都税収入の大きな好転が期待できないなど、厳しい財政環境に直面する中で、都政が役割をしっかり果たしていくためには、都民の税金がいかに効率的、効果的に活用されているかを今まで以上に検証し、施策を厳選することも必要でございます。
 こうした取り組みを行った上で、都債や基金を計画的に活用し、財政の健全性を堅持した予算を編成してまいります。
 次に、契約事務の誤りの再発防止についてであります。
 公共調達は、都民及び事業者から信頼されるものでなくてはなりません。このたび最低制限価格の設定に当たり、算定方式を取り違えたことを踏まえ、当該局のみならず、全庁的な契約事務の責任者の会議を臨時開催し、事務処理の相互チェックや自己点検の徹底を図るなど、各職場の実情に応じたあらゆる取り組みを強化することといたしました。
 また、各局の契約事務担当者に対しましても、最低制限価格等の算定に関する具体的な説明会を開催し、改めて徹底を図りました。
 今後とも、工事担当課と契約担当課の間でチェックポイントを共有するなど、その連携を強化し、事務処理の相互チェック体制の充実を図ることにより、誤りの再発防止に向けて万全を期してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急雇用創出事業などを活用した人材育成と雇用の確保についてでありますが、都は、本年度の新たな枠組みとして、重点分野雇用創造事業を実施し、都と区市町村で約四千人規模の雇用創出に取り組んでおります。
 本事業においては、介護、観光、環境など、今後の成長が期待される分野について、臨時的なつなぎの雇用の場を提供するとともに、職場でのOJTや講座の受講などを通じて、失業された方々に対し、次の仕事につなげるための人材育成にも取り組む地域人材育成事業を実施しております。
 今後とも、基金を最大限に活用しながら、さらなる雇用創出や人材育成に積極的に取り組んでまいります。
 次に、雇用の掘り起こしに向けた取り組みについてであります。
 新卒者を取り巻く雇用環境が厳しい中、都は、本年六月に続き十一月にも、国と連携して都内経済団体に対し新卒者等の雇用拡大要請を行い、団体傘下の会員企業への周知を依頼したところであり、各団体を通して会員企業への周知が図られております。
 また、個別企業に対しては、ハローワークが行う求人需要の掘り起こしとともに、東京しごとセンターにおいても、事業を委託している民間職業紹介事業者を通じて、企業が活用できる採用助成金等の情報を提供しながら求人開拓を実施しております。
 今後とも、国と連携して求人の確保に努めるとともに、大学とも連携を図り、一人でも多くの新卒者等が就職できるよう取り組んでまいります。
 次に、若年者を対象とした雇用就業支援についてであります。
 若年者の雇用環境は、他の年齢層より高い水準にある失業率や新卒者の就職率の悪化など、厳しい状況にあり、都はこれまでも、積極的に対応を進めてまいりました。東京しごとセンターにおいては、個別担当制によるキャリアカウンセリング、就職に必要な基礎能力を養うグループワークや多種多様なセミナー、企業での職場体験、企業採用担当者との交流会など、支援内容の工夫や充実を図り、若年者への支援を強化しております。
 さらに、昨年度からは、国と連携し、十一月と二月に、新規学卒者等向けの合同就職面接会を開催し、今年度は、参加企業規模を拡大して実施しております。引き続き若年者の雇用就業支援について適切に対応してまいります。
 次に、地域における創造的都市型産業の集積の創出に向けた取り組みについてであります。
 今後成長が見込まれる創造的都市型産業の集積を促進していくためには、都が実施いたします広域的視点に立った施策とともに、地域の産業特性等を生かした区市町村の主体的な取り組みが重要であります。
 このため、都は、平成二十年度から創造的都市型産業集積創出助成事業を開始し、都の基本方針に沿って産業集積の創出や活性化に取り組む区市町村を重点的に支援しております。
 多摩地域では、八王子市が事業開始の初年度から制度を活用し、精密機器分野など最先端のものづくり産業の振興に取り組んでいるほか、現在、五つの市が都との間で集積創出に向けた意見交換を続けております。
 今後とも、都と区市町村が重層的に支援を行うことで、地域における新産業の集積の創出を図ってまいります。
 次に、新製品の開発販売への支援についてであります。
 中小企業が新製品等を開発し、それを商品として販売することで経営の向上を図ることは重要と考えております。
 都はこれまでも、中小企業が新製品や新技術の開発に取り組む場合、その研究開発に要する経費の一部を助成するなどの支援を着実に進めてまいりました。
 こうした新製品等を開発の後に広く販売していくためには、市場のニーズを踏まえた営業活動を的確に行うことが必要であります。
 このため、都では、中小企業が新製品などについて、企画や開発から販路の開拓までの一連の過程で必要となる各種のノウハウを提供する支援を検討しております。今後とも、中小企業の新製品の開発やその販売を適切にサポートしてまいります。
 次に、新銀行東京についてであります。
 業務提携についてということでご質問いただきましたが、新銀行東京に限らず、こうした事柄については、民間企業における経営上の判断であり、その内容は当該企業によって発表されるものであります。ましてや交渉事というものは相手があることであり、事柄の性格上、そのプロセス等については明らかにするものではございません。
 新銀行東京は、平成二十三年度までの再建計画に基づき、中小零細企業支援という本来の役割を果たせるよう懸命に再建に取り組んでおり、都としては、今後も知事の指揮のもと、再建が果たせるよう監視と支援に努めてまいります。
 最後に、多摩・島しょ地域の観光に対する支援についてであります。
 地域における観光振興のためには、それぞれの地域が特色ある観光資源を生かした取り組みを自主的、主体的に展開していくことが重要であり、これは多摩・島しょ地域についても同様であります。
 都では、こうした取り組みを支援するという考え方に基づき、市町村、団体が行う観光施設整備や各種イベント開催の補助、アドバイザー派遣などを行ってまいりました。また、バリアフリー化を行う宿泊事業者に対して、工事費の助成を実施してきております。
 今後とも、主体的に観光振興に取り組む市町村、団体などに対しましては、こうしたハード、ソフト両面からの支援を継続してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 四点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、生活安定化総合対策事業の再構築についてでありますが、都は、生活に困窮している都民の方々が、みずから生活安定への道を切り開けるよう、平成二十年度から、区市町村等と連携し、緊急総合対策三カ年事業として、生活、就労支援や学習塾受講料等の貸し付けなどを重層的に実施してまいりました。
 こうした都の取り組みは、国を動かし、第二のセーフティーネットの整備に結びつくとともに、低所得者、離職者等の生活の安定や、子どもたちの学習機会の確保につながるなど、成果を上げてまいりました。
 厳しい経済雇用情勢は依然として続いており、都は、これまでの成果を踏まえ、区市町村の取り組みに対する支援や住居喪失不安定就労者等への支援について、現在、検討を行っております。
 次に、児童虐待に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童相談所の虐待対応力の強化についてでございますが、都では、児童福祉司を、平成十三年度から二十一年度までの八年間で六十六名増員いたしまして、百七十二名とするとともに、チーム制を導入し、対応いたしております。
 また、すべての児童相談所に虐待対策班を設置するとともに、平成二十二年度には、児童相談センターの児童福祉相談専門課長を二名に増員し、困難事例へのスーパーバイズを行うなど、児童相談所の職員の専門性の向上に努めております。
 今後、こうした取り組みを一層充実させ、児童相談所の虐待対応力を強化してまいります。
 次に、子ども家庭支援センターの体制整備についてでありますが、都は、平成十五年度から、児童虐待に対応する地域の総合的な拠点として、虐待対策ワーカーを配置した先駆型子ども家庭支援センターの設置を進めており、現在、四十九区市町に設置されております。
 平成二十一年度からは、虐待対策ワーカーを増配置した場合に補助金の加算を行い、今年度は、児童福祉司任用資格認定講習会の規模を拡大し、困難事例の対応やケースの進行管理を適切に行える職員の育成を図るなど、区市町村の相談体制強化を支援いたしております。今後も、子ども家庭支援センターの機能のさらなる充実に努めてまいります。
 最後に、児童養護施設に入所している被虐待児へのケアについてでありますが、虐待を受けた児童は、対人関係に不調を起こすなど、情緒、行動面に深刻な課題を抱えている場合が多く、児童の状況に応じた専門的なケアが必要となっております。
 このため、都においては、児童養護施設に心理療法担当職員を配置するほか、少人数の生活単位で、きめ細かなケアを行う小規模グループケアを推進し、現在、五十二施設で実施をいたしております。
 さらに、精神科医と治療指導担当職員を配置する、都独自の専門機能強化型児童養護施設制度を平成十九年度に開始いたしまして、現在、三十四施設まで拡充をしております。
 今後とも、こうした取り組みを進め、虐待を受けた児童に対するケアの充実に努めてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、青少年の性的被害を防ぐための都の取り組みについてであります。
 都においては、警視庁等関係機関と連携し、性的被害を含めた青少年の犯罪被害防止のため、防犯リーフレットによる啓発や小中学校のセーフティー教室における犯罪被害防止教育等を行うとともに、児童ポルノにつきましては、関係団体と連携し、STOP児童ポルノ官民合同会議を設置して、被害防止に向けた普及啓発などを行ってまいりました。
 今回の条例改正案におきましては、児童ポルノを根絶するための環境の整備に努める都の責務を規定しており、児童ポルノの根絶に資するさらなる広報啓発活動を通じ、児童ポルノの被害防止を図ることとしております。
 さらに、青少年が児童ポルノの対象とならないよう、また、十三歳未満の青少年が、水着や下着姿等で扇情的な姿をとらされる写真集等の対象とならないよう、保護者が責任を持つ規定を置くほか、事業者に対しても、青少年がこのような写真集等の対象とならないように努める責務を置き、青少年が性的対象として扱われることによる心身への有害な影響の防止を図ることとしております。
 今後とも、関係機関等と連携し、青少年の性的被害を防止し、青少年がその尊厳を保って成長できるように努めてまいります。
 次に、不健全図書の個別指定方式に関する都の見解についてであります。
 都においては、条例制定以来、不健全指定基準に照らして個別の図書類を審査し、第三者機関である青少年健全育成審議会に指定の是非を諮った上で指定を行う、いわゆる個別指定制度をとることで、慎重かつ公正性、客観性の高い指定手続をとってきたところであります。
 一方、包括指定制度は、区分陳列の対象となる図書類について、性的描写の分量のみによる基準に基づいて判断する制度であり、その判断は、図書類販売業者が行うものであります。これにより多種多様に販売される図書類を幅広くかつ迅速に区分陳列の対象にできる一方で、図書類販売業者の取り組み次第で区分陳列の取り扱いにばらつきが生じ得るものであります。
 都としては、現在の個別指定制度は、図書類発行業者等が自主的に取り組む表示図書制度と相まって有効に機能しているものと考えており、包括指定制度を導入することは考えていません。
 次に、蔓延の抑止に関する条文についてであります。
 さきの改正案におきましては、青少年の健全育成を図る観点から、青少年をみだりに性的対象とする図書類を、青少年が容易に閲覧することのないよう、その蔓延を抑止するための環境の整備に努める都の責務を定めていました。
 しかし、蔓延の抑止という文言が、青少年にとどまらず成人に対する流通や、そのような図書類の創作自体の規制を企図しているように見えるとの意見が、これまでの議会での議論などで示されたところであります。これを踏まえ、蔓延の抑止に関する規定を設けないこととしたものであります。
 次に、都の図書類についての現状認識と条例改正の必要性についてであります。
 現行基準の著しく性的感情を刺激しとは、閲覧する子どもの性的感情の刺激度合いに着目するものであります。
 一方、強姦や児童買春、近親相姦等をあたかも社会的に是認されているものであるかのように描写したり、これらの性行為が特別なものではなく、通常あり得ることとして受けとめられるほど必要以上に詳細に、または執拗に反復して描写する漫画等は、閲覧する青少年に対し、そのような性行為に対する抵抗感を著しく弱め、健全な性的判断能力を著しく妨げるおそれがあるものであります。
 しかし、このような漫画等は、必ずしも性的感情を刺激する度合いが強いとは限らず、現状においては、青少年が容易に手にとることができる一般書棚に陳列されています。このため、そのような漫画等については、性的感情の刺激度合いに着目した現行基準とは別に新たに基準を設けて、区分陳列の対象としていくことが必要であると考えたものであります。
 また、このような漫画等に関する区分陳列への取り組みを進めるに当たっては、従来と同様、関係業界の自主的な取り組みが重要であります。
 しかしながら、現行基準に基づいて、平成十六年度以降現在まで不健全指定された図書類の約五一%は、自主規制団体に属さない、いわゆるアウトサイダーの出版社により発行されたものであります。このようなアウトサイダーについては、積極的な自主的取り組みが期待できないものであることから、自主規制団体による自主規制だけでは十分ではありません。
 これらのことから、条例を改正し、青少年の健全な性的判断能力の形成を妨げるおそれのある漫画等についての区分陳列を、実効性をもって推進しようとするものであります。
 次に、出版等関係業界の自主的取り組みについてでありますが、都では、条例制定時より、図書類発行販売業者等による自主規制を基本とし、自主規制から漏れた中でも、著しく悪質なものに限って都が不健全指定を行う仕組みをとっており、出版等関係業界の自主的な取り組みを尊重してまいりました。このため、出版、販売業界において、青少年への図書類の販売等に関する適切な自主規制が徹底されること、さらに他のメディア業界の取り組みを踏まえた新たな取り組みを検討することは望ましいことであります。
 今後とも、関係業界による自主的な取り組みの成果が上がるよう、図書類の実態に関する意見交換や、都の取り組みに関する情報提供等をきめ細かく実施することで、関係業界と協力し、青少年の健全育成に努めてまいります。
 次に、児童ポルノの根絶についてであります。
 さきの改正案においては、何人も児童ポルノを所持しない責務を有するとの規定を設けていましたが、児童ポルノの所持を処罰する規定は設けていませんでした。しかし、国の児童ポルノ法改正論議と相まって、さまざまな議論があったところであります。
 こうした経緯を踏まえ、今回の改正案において、児童ポルノの根絶に向けた責務を設けるに当たっては、都が教育、啓発活動等を行うのみならず、都民みずからも児童ポルノを根絶することについて理解を深め、さまざまな取り組みを積極的に行うことが重要であることから、このような自主的な取り組みを進める努力を都民に求める規定に改めたものであります。
 最後に、青少年のインターネットの適切な利用に向けた民間事業者等との連携についてであります。
 都においては、これまでも、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、事業者とも連携して、フィルタリング等に関する普及啓発や教育を行ってまいりました。
 改正案においては、青少年のインターネットの利用により、青少年の犯罪被害等さまざまな問題が生じている実態を踏まえ、関係事業者や関係機関に対しフィルタリングの性能及び利便性の向上等に努めることを求める規定を置いたところであります。
 これを踏まえ、都の相談窓口等を通じて把握した青少年のインターネット利用に関する被害やトラブルの実態について、関係事業者等に対し適切に情報提供を行うことなどにより、事業者の取り組みの実効性が高まるよう連携協力に努めてまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、指定管理者制度導入の成果についてでございます。
 指定管理者制度の導入により、これまで公共的団体や出資法人などに限定されていた施設の管理者に民間事業者なども加わり、それぞれの主体が創意工夫を凝らし、都民サービスの向上に取り組んできました。
 具体的には、公募に際し施設運営に質の高い提案がなされ、また、監理団体と民間事業者との連携による柔軟な運営方法の採用などにより、事業計画に掲げた施設の利用者増や都民満足度の向上といった目標について、着実に取り組みが進むとともに、経営の面からも、管理経費の一割縮減など成果は上がっているものと考えております。
 一方、指定管理者制度の検証を行うため、平成二十年度に、全指定管理者を対象としたアンケート調査を行うとともに、事業者に対するヒアリングや施設の現場調査などを実施いたしました。
 この結果から、政策との連動性が高い施設については、公的性格を持つ団体が担う必要があることや、質の高い行政サービスを安定的に供給するとともに、人材育成を図るためには継続的な管理が必要なことなどが明らかになったため、今回、必要な制度運用の見直しを行ったものでございます。
 次に、監理団体の経営の透明性の向上についてでございます。
 先般策定した東京都監理団体活用方針では、都政を支える重要なパートナーとして監理団体を位置づけるとともに、都民への説明責任を果たすため、さらなる経営の透明性向上に取り組むこととしております。
 具体的には、都から特命で受託した事業等については、契約情報の公表範囲を二百五十万円以上に拡大することとし、さらに、このうち監理団体が特命で契約を行ういわゆる特定契約については、二百五十万円未満の契約も含めて全件公表をしていきます。
 また、団体の情報開示の適切な運用を確保するため、情報公開審査会が未整備の団体に設置を求めていくとともに、審査会に外部委員の登用を図るよう指導してまいります。このような情報公開の取り組みを通じて、監理団体の自主性、自律性を踏まえつつ、都民への説明責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
 次に、犯罪被害者等の相談環境の整備についてでございます。
 これまで、被害者には、警察の担当者名や連絡先を記入した被害者の手引を警察官から配布するとともに、リーフレットなどにより、総合相談窓口の紹介や支援の情報提供を行ってきました。
 被害者支援の取り組みを進める上で、被害者が早期に、かつ必要なときに相談窓口に連絡をとり、相談できる環境をつくることは重要でございます。このため、計画の改定に当たっては、これまでの取り組みに加え、被害者に提供する資料の工夫や医療機関でも相談窓口の情報を得られるようにするなど、より相談しやすい体制整備を目指してまいります。
 次に、被害者相談窓口についてでございます。
 犯罪被害者等が身近な区市町村で相談ができることは重要であることから、今回の計画の素案では、全区市町村における相談窓口の設置を目指しており、引き続き区長会や市長会などの場を通じてその開設を働きかけてまいります。
 また、都の総合相談窓口で、区市町村の研修生を受け入れるほか、都の相談員が訪問し、支援のノウハウを助言することで、区市町村の取り組みのさらなる充実に向けてサポートをしていきます。こうした方策により、都全体の相談事業の充実強化を図ることとしており、都の総合相談窓口は、都内全域のセンターとしての役割を果たしてまいります。
 最後に、条例の制定など被害者支援に対する都民の理解を深める手法でございます。
 都においては、犯罪被害者等基本法の趣旨を踏まえて策定した東京都犯罪被害者等支援推進計画に基づき、さまざまな事業を実施してきました。今後も、新たに策定する計画を着実に推進していくことにより、犯罪被害者等を支援してまいります。
 特に、啓発に関しては、犯罪被害者等支援に関する都民の認識はいまだ十分とはいえない状況にあることから、今回の素案では、区市町村や民間団体と一体となって啓発を行うなど、さらにきめ細かな取り組みを行うこととしております。
 今後、この素案をもとに、都民の声を幅広く聞きながら、来年一月を目途に新たな計画を策定いたします。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 防災公園グループと文化財庭園グループの指定管理者の特命選定の理由についてでございますが、まず、お話の東京臨海広域防災公園における指定管理者の業務は、基本的には平時のみであり、発災時には閉園し、国直轄の首都圏広域防災拠点となるため、指定管理者は関与いたしません。
 一方、都の防災公園は、発災時には、避難場所と防災拠点という極めて重要な二つの役割を担っており、指定管理者には、避難場所における行政の救援活動を支え、防災拠点となるオープンスペースを確保するという行政の応急復旧活動の一翼を担う能力が必要でございます。
 監理団体である公益財団法人東京都公園協会は、昭和六十一年度から都立公園の管理を行ってきた実績とともに、現在は、防災公園グループの指定管理者として、都の代行者としての役割を積極的に果たしてきており、発災時には迅速な初動活動ができる体制を、これまでも整えてまいりました。
 防災公園における発災時の対応力を常日ごろより維持向上し、都民の生命と財産を守るという都の政策を実現していく能力と実績をあわせ持つ団体は公園協会をおいてほかになく、特命することといたしました。
 次に、文化財庭園グループについてでございますが、都立の九庭園は、いずれも国や都の文化財指定を受けた世界に誇る高い文化財的価値を有する庭園として、お話の他県の公園、庭園とは一線を画すものであると認識しております。かけがえのない都立庭園を確実に保存していくことは、都に課せられた重要な責務でございます。
 公園協会は、平成九年度に都立庭園の管理を開始して以来、それまで都が長年培ってきた技術力を受け継ぎ、都の代行者として、江戸から続く庭園文化を具現化できる人材を育成し、高い技術力で管理を行うなど、積極的にその役割を果たしてまいりました。
 江戸から続く都民共有の財産である都立庭園を、次世代へ確実に継承していくという都の責務を果たしていくために求められる質の高い管理能力を有する唯一の団体が公園協会であり、これに特命することといたしました。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

○港湾局長(中井敬三君) 東京臨海副都心グループを指定管理者として特命する理由についてでございますが、臨海副都心開発は、東京都が主体となって実施する政策であり、にぎわいにあふれ、高度な防災機能を持つ都市として開発を進めております。
 その中で、臨海副都心エリアの海上公園は、通常の公園機能に加えて、地域全体を一体的に結びつけ、まちの骨格を形成するものでありまして、にぎわいの舞台や防災避難広場となるなど、政策的に極めて重要な機能を担っております。
 一方、臨海地域のエリアマネジメントを推進し、地域の発展の中核を担うことを目的として設立された臨海ホールディングスグループは、都の代行者として、こうした海上公園の管理も含め、臨海副都心開発における都の政策の具体化に多くの実績を上げてきております。
 また、臨海副都心では、東京都とのパートナーシップのもと、進出事業者がまちづくり協議会を組織しており、臨海副都心のまちのにぎわいづくりや、防災対策に不可欠な存在となっております。
 臨海ホールディングスグループは、進出事業者の立場で、開発当初からこの協議会に中心的なメンバーとして参画し、まちづくりを牽引してきております。このエリアの海上公園の指定管理者は、臨海副都心における都の政策を確実に実現できる能力と、まちづくり協議会との緊密な連携により、効果的かつ円滑に事業実施できる機能をあわせ持つことが必要であります。
 このような団体は、監理団体として都の政策実現の代行者であるとともに、協議会の運営において多くの実績を持っている東京臨海副都心グループをおいてほかにはなく、特命することとしたものであります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

○環境局長(大野輝之君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、小笠原諸島の世界遺産登録の進捗状況についてございますが、本年七月に、世界遺産委員会の諮問機関でございます国際自然保護連合の調査員によりまして、二週間の現地調査が行われ、外来種対策の成果などが高く評価されました。九月には、追加的な情報提出の要請がございまして、外来植物の分布状況などを回答いたしました。現在、こうした調査に基づく評価が行われております。
 来年五月ごろには評価報告書が取りまとめられ、六月にバーレーンで開催される世界遺産委員会で、登録の審議が行われる予定でございます。今後も、国や村などと連携いたしまして適切に対応し、確実な登録を目指してまいります。
 次に、小笠原諸島の自然環境の保全についてでございますが、小笠原の自然環境を守るためには、環境保全と観光の両立や外来種対策の推進など、保全管理の基本的な方針を定めました世界自然遺産候補地小笠原諸島管理計画に基づいて、取り組みを確実に推進していくことが重要でございます。
 都はこれまでも、南島などで、利用人数や利用ルート等の制限を定めました東京都版エコツーリズムを推進してまいりました。また、各島に生息しておりましたノヤギの排除を進め、聟島列島や兄島に続き、弟島でもほぼ根絶するなど、外来種対策を着実に進めてきております。
 今後とも、国や村、地域の方々と連携いたしまして、小笠原の貴重な自然環境を将来にわたりしっかりと保全してまいります。
   〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕

○スポーツ振興局長(笠井謙一君) 多摩地域におけるスポーツ振興についてでございますが、四百万都民が暮らす多摩地域において、身近なところでスポーツに親しめる環境を整備することは、スポーツ都市東京を実現していく上で重要でございます。
 こうした観点から、調布基地跡地に五万人を収容する味の素スタジアムを建設し、現在、サッカーJリーグやラグビー、アメリカンフットボールの試合会場などとして、多くの都民に親しまれております。
 また、隣接地にはスポーツ祭東京二○一三に向け、補助競技場を整備するとともに、平成二十八年を目途に、屋内アリーナや五十メートルプールなどを備えた武蔵野の森総合スポーツ施設を着実に整備してまいります。
 今後、これらの施設を国際スポーツ大会の会場として活用するなど、多摩地域の一大スポーツ拠点にするとともに、豊かな自然や歴史を満喫できる多摩地域において、多くの都民が親しみながら参加できるスポーツイベントを充実させるなど、多摩地域の地域特性に応じた取り組みを展開してまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水産仲卸業者の意向についてです。
 築地市場の移転につきましては、業界六団体のうち水産仲卸組合は意見が分かれているものの、それ以外の五団体は移転を強く望んでおります。これら五団体は、先般も、議会における現在地再整備に関する検討の結論が先送りされたことを受けまして、平成二十六年度の新市場開場を求める要望書を提出するなど、一致団結して豊洲新市場の一日も早い実現を求めております。
 都といたしましては、市場業者が抱える課題、心配、不安に丁寧に耳を傾け、移転についての理解を深めることが重要であると考えております。このため、十一月末に、築地市場内に、豊洲移転サポート相談室を開設し、より多くの方々からの質問や要望などに常時的確に対応できるよう体制を整えました。
 今後、こうして把握した意見、要望等を踏まえ、円滑な移転に向けた効果的な支援策を具体化することによりまして、水産仲卸業者も含め、市場業者の一層の理解が得られるよう努めてまいります。
 なお、今回の総代選挙の結果につきましては、都が見解を申し上げる立場にはありません。
 次に、築地市場の移転に関する地元中央区などからの要望についてです。
 都はこれまで、中央区に対し、豊洲新市場の整備に関して、節目節目で情報提供や説明を行うとともに、双方で意見交換を行ってまいりました。
 先般、十月二十七日に、中央区から、市場の仲卸機能の一部を築地に残すことなどを内容とする要望書が提出されました。本要望は、そもそもすべての機能を豊洲へ移転する都の方針とは相入れないものであり、また、機能を分散することは、物流コストの上昇を招くとともに、至近距離に二つの市場を整備する二重投資となるなど、極めて問題が大きく、受け入れることはできないことを区に対して説明してございます。
 一方、跡地利用につきましては、平成十六年十二月に、築地市場が豊洲へ移転した場合を想定した中央区からの築地市場地区の活気とにぎわいビジョンに関する要望書に対しまして、都は、跡地利用については、立地特性を十分生かし、都民全体の貴重な財産として、東京のまちづくりに貢献するものとなるよう、今後、慎重に検討していく旨の回答を行っております。
 今後とも、跡地利用につきましては、こうした観点に立ち、豊洲新市場整備の財源とすることを前提といたしまして、関係者と十分な意見交換を行い、都全体で検討してまいります。

○議長(和田宗春君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩

   午後三時二十分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十一番高橋かずみ君。
   〔百十一番高橋かずみ君登壇〕

○百十一番(高橋かずみ君) 平成二十二年第四回都議会定例会に当たり、都議会自民党を代表して質問をいたします。
 政治の責任、役割は、国民の生命、財産を守り、安全で安心な生活を確保することであります。しかし、民主党政権はどうでしょうか。何よりも尖閣諸島や北方領土をめぐる対応から、国を守る意思も能力もないばかりか、国民の誇りまでも傷つけております。
 また、国家財政が危機的な状況の中、ばらまき四K、すなわち子ども手当、高校無償化、個別農家所得補償、高速道路無償化が子どもたちに多大なツケを残すことを国民は大変心配しております。
 民主党は野党時代、後期高齢者医療制度を現代のうば捨て山と批判し、廃止を主張しました。確かに現行制度は、導入の際の説明不足もあり、誤解を招き、批判も受けました。しかし、民主党が示した新制度案は、七十五歳以上の高齢者の医療費を切り離して別勘定にするなど、現行制度と本質的に何ら変わりません。
 公約との整合性を図るためだけに制度をいじることは、朝日新聞の社説で、こんな改革は要らないと酷評されたように、現場に無用の混乱や、むだを引き起こすだけであります。
 政治に求められているのは、既に社会保障給付費が九十四兆円に達し、今後も増加する現実に対し、医療、年金、介護を、税制の抜本改革や、むだ排除ともあわせて幅広く議論し、持続可能なものにすることであります。
 国政の停滞を乗り越えるには、都民、国民の期待に真にこたえる現場発の政策を石原知事とともに東京から実現するしかありません。
 都議会民主党の皆さんも、首都東京の政治家として、都民、国民のために、ともに頑張っていこうではありませんか。
 さきの所信表明で知事は、政治の責任と役割を説かれ、少子高齢施策や次代を担う若者の育成への意気込みを語るとともに、治安対策、耐震化、治水対策について新たな施策を示されました。我々も全く同感であります。
 そして、平成二十三年度予算は、混迷する日本に活路を示す予算でなければなりません。知事には、政治が今果たすべき責任と役割を踏まえて、どのように「十年後の東京」への実行プログラムを改定し、それを盛り込んだ予算を編成して、都民、国民の将来への不安を払拭していくのか、所見をお伺いいたします。
 景気低迷の出口が見えず、失業率も高い水準にある中、都民、国民の不安を払拭するためにも、ただ立ちすくんでいてはなりません。資源の乏しい日本が何を武器にして世界と渡り合い、社会の課題を解決し、豊かさを増していくのか、今こそ自分たちの力を見詰め直すことが必要であります。
 知事は常々、技術の重要性を説かれ、「十年後の東京」でも各分野で先端技術の活用を示されました。我々も、ベンチャー技術大賞を見るにつけ、日本はまだまだやれるとの思いを強くしております。
 環境、医療、上下水道など、東京という大都市が培ってきた技術の力を最大限に活用するならば、日本の活路は開かれると思います。技術をてこにした日本再生について、知事の所見を伺います。
 都は、東京という現場を踏まえて、日本の未来を切り開く気概で政策を推進すべきであります。一方、国の動向も懸念されます。
 都は先般、さきの定例会での我が党の主張を踏まえ、リーフレットを発表し、地方財政をめぐる国の動きに問題提起を行いました。内容は、地方の真の自立に向けた建設的な議論を発信するもので、まさに時宜を得たものであります。
 これらの取り組みを通じ、法人事業税の暫定措置の即時撤廃はもちろん、国の施策により都の財源が不合理に奪われないよう、さらには地方税財源の拡充の早期実現を、都と議会が一体となり国に強く主張していくべきであります。
 こうした中、現在、来年度の予算編成作業が進行しています。来年度予算は、税収の大きな好転が期待できませんが、めり張りをつけ、必要な事業は積極的に進めるものでなければなりません。それには、東京が持つポテンシャルを実質的に高め、都民が将来にわたり安心を実感できる施策を構築し、こうした事業に財源を重点的に投入することが重要であります。
 一方で、中長期的な視点に立ち、将来にわたり都政の役割を果たすべく、いわば筋肉質な都財政を維持することも重要であります。多くの重要課題に対し、都はこの二年、大幅な税収減の中でも基金や都債の発行余力を適切に活用し、必要な事業を着実に実施しました。しかし、こうした対応力も限度があり、あるだけ使うような財政運営はあり得ません。
 こうしたことを踏まえ、今後も厳しい財政環境が続く中、財政の健全性を維持しつつ、東京の将来を見据えた施策を着実に進めていくという観点から来年度予算を編成する必要があると考えますが、都の所見を伺います。
 次に、監理団体についてお伺いいたします。
 我が党は、監理団体が都政の一翼を担う重要なパートナーであるとの認識のもと、これまで議会での議論を深め、昨年六月には党のPT報告書として提言を取りまとめました。その中で、監理団体は、公益性を最優先する行政と経済効率性を最優先する民間の間に立つ一・五セクターであり、双方の力を発揮し、都民福祉の向上に寄与していくべきであることを提言いたしました。
 加えて、行政サービスの提供と効率性の確保が求められる公の施設の管理運営については、都の政策との連動性の高い施設を都と一体となって担っていくことで、都民サービスをより安定的に提供することが可能となると主張してきたところであります。
 本定例会に提出された指定管理者の指定議案は、こうした我が党の主張が政策へと反映され、評価できる内容となっております。
 そもそも都は、これまで多くの現場をアウトソーシングしてきましたが、安定的で質の高い行政サービスを都民に提供していくためには、監理団体を都政の重要な現場として活用し、技術、ノウハウの継承や人材育成を進めていくことが必要であります。
 監理団体に求められることは、情報公開など経営の透明性確保は当然でありますが、最も重要なのは、都のコントロール責任のもと、不断の改革を進める中で、行政支援、補完機能を発揮させていくことであり、この点が国の外郭団体と大きく異なるところであります。
 そこで、今回の指定管理者選定も含め、これからの監理団体の活用について、知事の所見をお伺いいたします。
 知事が所信表明で述べたように、都民の安全・安心の確保は何よりも優先する課題であります。そこでまず、東京の治安対策についてお伺いいたします。
 警視庁では現在、暴力団排除条例を検討しており、先般、条例の骨子案に対する都民からの意見募集がありました。
 全国の暴力団勢力は減少傾向にあるものの、都内においては逆に増加しており、東京に利権を求める暴力団が集まってきていると聞いております。既に福岡県を初め他府県においては暴力団排除条例が制定されておりますが、経済の中心地である東京が他県よりもおくれをとるようなこととなれば、東京への暴力団の進出が一層加速することが懸念されます。
 こうした情勢にかんがみ、現在の暴力団情勢及び今後の暴力団対策のあり方について、警視総監の所見を伺います。
 また、条例の骨子案によれば、事業者が暴力団等に対し、暴力団の威力を利用する目的、または暴力団の活動を助長、運営に協力する目的で利益を供与することを禁止するとあります。
 確かに、暴力団といわば持ちつ持たれつで、その威力を利用し、経済活動を不当に有利に進めている事業者もおります。暴力団の資金源を断ち、健全な経済活動を促進するとの観点に立てば、この考え方には賛成でありますが、実際には、暴力団とは知りながら報復を恐れ仕方なく取引を続けたり、そもそも暴力団と知らずに交際している事業者が多数を占めると思われます。こうした一般の事業者に対して何らかの制裁をかけることは厳し過ぎるのではないかと感じるのも事実であります。
 事業者の暴力団に対する利益供与に係る規制のあり方について、所見を伺います。
 次に、犯罪被害者等への支援についてお伺いいたします。
 都は先月、東京都犯罪被害者等支援計画の素案を公表しました。警視庁の発表による都内の刑法犯の認知件数は平成十四年をピークに減少傾向にありますが、依然、年間二十万件を超え、全国最多であり、都民のだれもが犯罪被害者となる可能性は否定できません。だれもが安心して暮らせる社会を実現するためには、犯罪を予防することはもちろんのことでありますが、犯罪被害者やそのご家族が一日も早く平穏な生活に戻ることができるよう支援していくことが重要であります。
 都は今後、どのように支援に取り組んでいくのか、伺います。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお伺いいたします。
 平成七年の阪神・淡路大震災では、建物の倒壊により幹線道路が寸断されたことで、救急車や消防車が目的地に到着できず、救急活動のおくれから被害が拡大しました。
 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は、その建物を利用する人々の命を守るだけではなく、広範囲な都民の安全や首都東京の機能の確保にかかわる重要な課題であります。
 先般、都は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けた新たな規制誘導策に関する基本的な考え方を公表いたしました。この中で、現行法令では耐震化は建物所有者の意思にゆだねられていることから、取り組みの進展には限界があり、こうした状況を打開するためには、条例化も視野に入れた耐震診断の義務化等が必要であるとしています。
 我が党は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するため、一刻も早く思い切った施策を講じるべきと主張してまいりました。知事はこれにこたえ、今議会の冒頭で条例化に取り組むことを表明されましたが、現在、都が考えている施策のねらいについて伺います。
 緊急輸送道路の沿道には、民間のオフィスビルやマンションが数多く存在しております。耐震診断の義務づけ導入に当たっては、建物所有者に対する相談体制の整備や情報提供の充実が重要であります。また、診断費用も相当額になることから、費用負担の軽減を初めとする支援策の充実強化が不可欠であります。沿道の建物所有者の理解と協力を得るためにも、支援策を充実していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 近年、東京において局地的な集中豪雨が頻発しております。また、市街化の進展、人口や資産の集積、地下鉄や地下街など土地利用の高度化等により、浸水リスクが増大しております。本年七月には石神井川があふれ、約四百六十世帯に及ぶ浸水被害が発生いたしました。
 このような状況を踏まえ、知事は本定例会の所信表明において、浸水の危険性が高い地域への緊急豪雨対策を講じると表明しました。このことは、我が党の主張と合致するとともに、時宜を得た施策と高く評価いたします。知事はかねてより、治水は政の根幹と発言されており、中でも河川事業は治水対策のかなめとなる重要な施策であります。
 そこで、緊急的な豪雨対策とはどのようなものなのか、とりわけ河川事業の具体的な対策についてお伺いいたします。
 河川整備とともに豪雨対策で重要なのは、東京の全域に網の目のように張りめぐらされた下水道の整備であります。政治経済の中枢であり、都市機能が高度に発達した首都東京において、汚水の処理はもとより、雨水の排除という重要な役割を下水道は担っております。
 これまでも、都市の発展に合わせ下水道幹線やポンプ所などの施設整備を進め、浸水被害の軽減を図るとともに、浸水の危険性の高い地区に重点化し、効果的に整備を進めてまいりました。しかし、さらなる都市化の進展や地下街の発達など、浸水被害のリスクが高まっております。
 今回の緊急対策においては、貯留管などの対策を増強していくとのことでありますが、下水道事業における緊急豪雨対策の具体的な内容はどのようなものか、伺います。
 次に、都営地下鉄へのホームさく設置についてお伺いいたします。
 都内ではいち早く導入した都営三田線に続き、東京メトロの丸ノ内線やJR山手線の恵比寿駅などにも設置されており、現在、大江戸線においても全駅設置に向けた準備が進んでいると聞いております。
 一方、相互直通運転を行っている路線では、鉄道各社の車両のドア位置が異なる等の課題があり、進展が見られないのが現状であります。都営地下鉄でも、新宿線や浅草線は、京王電鉄や京浜急行などの車両が乗り入れているため、ホームさくの設置にはさまざまな課題があることは承知しております。
 利用者の安全を守るためにも、交通局は、これまでの経験やノウハウを生かし、ホームさくの設置拡大に向け、次のステップに踏み出すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、青少年健全育成条例の改正についてお伺いいたします。
 本改正案は、インターネット上の有害情報の蔓延や、子どもへの強姦などを描いた漫画などを子どもでも容易に手にとることができる現状から子どもを守るため、本年第一回定例会において提案されたものであります。
 我が党は、子どもを取り巻く環境を改善することを目的とした本改正を全面的に支持しましたが、残念ながら継続審査となり、さらに、その目的を実現すべく公明党とともに提出した修正案も第二回定例会において否決されることとなりました。
 しかし、その後もインターネットに関連する子どもの被害が頻発するなど、子どもを取り巻く環境に依然として大きな問題があり、一刻も早い改善が望まれる状況にあります。
 こうした中、改めて青少年健全育成条例改正案が提出されたところでありますが、幾つかの団体から、表現の自由を侵害するといった反対の声が上がっています。
 そもそも、子どもに見せたくないとだれもが思うような漫画等を成人コーナーに区分陳列して販売することは、最高裁判決でも合憲とされており、決して表現の自由を侵害するものではありません。尊重すべきは次代を担う子どもたちの育成であります。改めてこのことを肝に銘じ、都議会として結論を出さなければなりません。
 そこで、改正案提出に当たって、知事の基本的な考え方について伺います。
 次に、中小企業対策についてお伺いいたします。
 十月末には十五年ぶりの円高水準を記録するなど、夏以降の急激な円高により、ものづくり産業を初めとする都内中小企業は、さらなる危機に直面しております。
 そもそも為替政策は、明確な国家戦略のもと、国が責任を持ってかじを取るべきものであります。こうした戦略を示し得ない現政権のもとでは、為替に対する有効な対策を期待すべくもありません。
 国の経済失政によってしわ寄せを受けるのは中小企業であります。今回の円高は、これまでと違って短期間で回復しないといわれています。このままでは、東京の産業を支える中小企業はさらに体力をすり減らし、経営を維持できなくなる企業がふえるなど、東京の産業活力の低下が懸念されます。
 こうした厳しい経済状況を踏まえ、我が党は先月二十六日、都に対して緊急要望を実施しました。知事は、かねてより日本のダイナモである東京の経済を支えているのは中小企業であるという認識のもと、これまでも中小企業の振興策を強力に推進してきました。
 しかし、円高が長引けば産業の空洞化が一層進み、日本のものづくり産業の集積が失われるおそれがあるなど、東京、そして日本の中小企業の将来が問われかねません。こうした中小企業を取り巻く現状に対する知事の見解を伺います。
 我が党の要望の内容は、中小企業に対する相談体制の強化、下請対策の拡充、資金繰り対策など、現場の声を反映させた切実なものであります。こうした現場の声を真摯に受けとめ、どのような支援策を講じるのか、具体的な取り組み内容についても伺います。
 次に、中小企業の新製品や新技術の開発から販売に至る支援のあり方についてお伺いいたします。
 都内の中小企業は、みずからの技術を高めて、すぐれた新製品を生み出していくため、日々懸命に努力しております。そうした中小企業の意欲的な活動をサポートするため、都では新技術や製品開発に向けた企業のすぐれた計画を選び、国の優遇措置を受けられるようにしたり、開発経費に助成を行うなどの対応を進めてきたと聞いております。
 都によるこうした支援は着実に成果が出ていると仄聞していますが、その一方、新製品の販売に当たってのマーケティング体制や、営業に精通した人材不足などで販売活動をしっかりと進めることができないという実情があるとも聞いております。
 また、取引の前提になる国内外の各種の規制をクリアしていることの証明や、公的機関からの性能評価の取得などの対応が十分にできない企業も多いと思います。新技術や製品によって中小企業が事業を立ち上げ、軌道に乗せるのは並大抵のことではなく、販売活動をも含めた一連のプロセスを総合的に下支えする取り組みこそ重要になるものと考えます。
 そこで、こうした新製品や技術開発に取り組む中小企業をより効果的に支援するために、どのような考え方で施策展開を図るのか伺います。
 国内市場が成熟し、縮小に向かうといわれる状況にあって、東京の中小企業は、国内ばかりでなく海外にも目を向けて販路を開拓していくことがより一層求められております。特に成長著しいアジア等の地域は、中小企業にとっても魅力的な市場だと思います。
 日本とは文化も商慣行も異なる外国で販路を開拓するためには、都の支援とあわせて、取引相手の企業を一層深く理解するとともに、企業自身のセールスポイントもしっかりと説明していくことが重要になると考えます。
 そのためには、国内外の企業がそれぞれの持つすぐれた技術や製品について理解を深めることのできる交流の機会や場を幅広く確保していくことが不可欠であります。
 都は、毎年秋に、中小企業による国内最大級の展示会である産業交流展を開催しております。先月行われた産業交流展には、八百を超える企業、団体が出展し、数多くの方々が来場するなど、企業の交流の場として揺るぎない評価が確立していると考えます。
 この産業交流展に、今年度は初めてアジア諸都市の企業を集めたアジアゾーンを設け、規模や内容の充実を図ったと聞いております。
 今後とも、都内中小企業が将来に向けて発展していけるよう、産業交流展の機会を活用し、都内企業と海外企業との交流を促進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 雇用を取り巻く環境は厳しさを増していますが、特に深刻なのは新卒者の就職状況であります。先ごろ国が発表した、ことし十月一日時点の大学卒業予定者の就職内定率は、五七・六%にとどまっております。
 政府が有効な対策を打てないまま景気が足踏み状態となっていることが新卒者向け求人の減少に拍車をかけています。このままでは学生の卒業時の就職率が過去最低となるおそれもあるといわれており、強い危機感を感じております。現下の厳しい状況の中でも活動を継続している学生の就職を実現するために、全力を挙げた取り組みが急務であります。
 都は、学生が卒業を迎える三月までの間に、さらに新卒者への就職支援を強化すべきですが、都の見解を伺います。
 次に、年末年始対策についてお伺いいたします。
 昨年、都は、国の強い要請を受け、年末年始の生活総合相談、いわゆる公設派遣村を設置いたしました。この事業は、政府の場当たり的発想で急ごしらえに実施したもので、利用者の多くが住宅手当など第二のセーフティーネット施策による支援や、就職決定に結びつくに至らず、単にベッドと食事の提供の場になってしまいました。
 結果として、利用者のうち多くの方が生活保護を申請したわけでありますが、生活保護はあくまで最後のセーフティーネットであります。いわゆるモラルハザードを防止するという観点からも、働ける人にはその意欲を喚起し、できるだけ早く就労に結びつけるような支援を、年末年始に限らず年間を通じて実施していくことが重要であると考えます。
 都は先般、より幅広い雇用機会を創出するため、民間企業等を対象に緊急雇用創出事業の公募を実施していますが、こうした現状を踏まえた迅速な対応を評価しております。昨年のいわゆる派遣村のような事態にならないよう、こうした取り組みにより生まれた雇用に一人でも多くの求職者を確実につなげていくことが重要であります。
 都は、働く意欲のある人を支援するため、民間企業等を対象にした緊急雇用創出事業とあわせ、十一月から再就職や住居確保に向け支援を強化しているとのことでありますが、具体的な取り組みについて伺います。
 次に、都市農業の振興についてお伺いいたします。
 都は、ことしの十月、都内産の食材を使用する飲食店を、とうきょう特産食材使用店として九十九店舗を登録しました。この登録店を核として、都内産の農林水産物の魅力を広く消費者に発信していくとのことであり、都市農業の振興のために大変意義のある取り組みと考えます。
 これまでも我が党は、東京の都市農業が生活に密着した重要な産業であるという観点から、都議会において、農業経営対策や都内産農産物の生産流通対策、学校給食への供給拡大など、幅広い提案を行ってきました。
 特に学校給食への供給についてでありますが、私の地元練馬区では、都市化が進む中でも、まだ農地が広がり、農家の協力のもと、区内で生産された農産物が学校給食に提供されており、子どもたちからも好評と聞いております。
 しかし、多くの区部の子どもたちは、新鮮で安全・安心な都内産農産物を学校給食で食べる機会が少ないことから、多摩地域から区部への農産物の提供が大切であると考えます。都内産農産物の区部の学校給食への供給の取り組み状況について伺います。
 次に、生産緑地の買い取りのための制度の創設についてお伺いいたします。
 東京の農地は年々減少を続けており、都市計画に定めた生産緑地でさえ、この十年間で四百ヘクタールも減少しています。相続に伴い買い取り申し出が出されても、区市が買い取ったり、他の農業者へあっせんされることは少なく、宅地開発される場合がほとんどであります。
 買い取り申し出のあった生産緑地が農地として存続できることが最善でありますが、基金の創設などにより、都や区市の買い取りを促進し、公園緑地や市民農園として整備することが望まれます。
 都は、生産緑地の買い取りを積極的に進めることができるよう、新たな制度の創設を検討する必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、水事業の国際展開についてお伺いいたします。
 衛生的な水を利用できない人口が世界で十億人近く存在していると国連は報告しております。
 我が党は、発展途上国を中心とする水問題への貢献はもとより、日本経済を活性化するためにも、水ビジネスの重要性を指摘してきました。現在、都では、東京水道サービス株式会社を活用した国際貢献ビジネスに取り組んでいます。
 こうした中で、国際展開に意欲的な民間企業も数多くなってきたと思いますが、企業が個別に活動していては、その力を十分に発揮することができません。今後は、東京水道が接着剤となり、企業連合を後押しする新たな官民連携の仕組みづくりが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、下水道事業における国際展開についてお伺いいたします。
 ことしに入ってマレーシアやサウジアラビアの大臣が相次ぎ訪問するなど、諸外国から都の下水道施設への視察が増加しているとのことであり、また、昨年度の視察や研修生の受け入れは延べ六十九カ国、二千五百人以上にも上っていると聞いています。これは、東京の先進的な下水道技術に対する海外からの大きな期待のあらわれであると思います。
 東京の下水道は、首都東京の都市機能が高度に集積し、しかも人口が稠密であるという困難な状況の中で、下水道の整備を比較的短期間でなし遂げるとともに、世界的に見ても大規模かつ膨大な下水道施設を効率的に運営しております。
 また、老朽化した下水道管を更生するためのSPR工法や、合流式下水道の改善を図る水面制御装置など、既に世界に展開している技術を有しています。
 これらの経験や技術を生かし、さらに積極的な国際展開を進め、海外の国や地域からの期待にこたえることが日本の国際社会におけるプレゼンスを高めることになると考えます。
 そこで、下水道事業における国際展開の基本的な考え方と今後の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、多摩地区の水道についてお伺いいたします。
 本定例会において事務委託廃止の関連議案が提案されていますが、これをもって二十五市町への事務委託解消の手続が完了します。長年にわたる市町での業務運営が継続したため、課題も多いことと思います。
 我が党は、本会議において再三にわたり、水道施設のレベルアップと地元事業者の活用を求めてきました。これに対し、施設整備の充実とともに、工事契約等の見直しについて段階的な見直しを行うという答弁をいただいており、今後は具体的な取り組みが求められます。
 また、水道局では、震災対策の強化に向けて取りかえ事業の倍増を計画しています。この対応も含め、地元事業者の活用について、いつ、どのような取り組みを行っていくのか、具体的に伺います。
 次に、豊洲新市場の整備についてお伺いいたします。
 知事は、築地市場を取り巻く情勢は政治の不決断を全く許していない、行政の主体者としての責任で大きく歯車を回すしかないとして、豊洲移転を進める決断をされました。
 知事の決断以降、都は即座に環境影響評価手続に着手するとともに、土壌汚染対策工事や市場施設の設計手続も開始していますが、平成二十六年度中の新市場開場を確実なものとするためには、今後、移転整備のあらゆる面において、スピード感、スケジュール感を持って、この一大事業を着実に進めていく必要があります。
 豊洲新市場の整備は、単に市場施設を建設することにとどまらず、円滑な移転に向けては、市場業者が抱える課題、心配、不安に耳を傾けると同時に、効果的な支援策を打ち出すことが重要となってきております。
 そのためには、豊洲新市場整備について、一市場の問題としてとらえるのではなく、知事が常々述べているとおり、横くしを刺して、都全体としての取り組みをさらに強化することが必要であると考えます。
 こうしたことを踏まえ、二十六年度中の豊洲新市場の開場に向けた知事の決意を改めて伺います。我が党も、豊洲新市場の整備を待ち望んでいる業界団体とともに、これまで以上に全力を挙げて本事業に取り組んでいく決意であることを改めて表明しておきます。
 次に、地球温暖化対策についてお伺いいたします。
 メキシコ・カンクンで開催されているCOP16では、新たな気候変動対策の枠組みづくりについて交渉が行われていますが、包括的な国際合意をまとめることは困難な状況にあります。
 一方、国内でも、国家政府による実効性の高い排出削減に向けた取り組みは遅々として進んでおりません。こうした中では、準国家政府として自治体の役割が極めて重要であります。
 都は、八年間に及ぶ地球温暖化対策計画書制度の運営のノウハウを生かし、四月から世界初となる都市型キャップ・アンド・トレードの運用を開始しました。
 歩みの遅い国にかわり、国内の地球温暖化対策を牽引していくためには、都のこれまでの取り組みにより、大規模事業所対策が円滑に進んでいることを実例をもって示すとともに、都の制度運営上のノウハウを他の自治体に積極的に提供していくことが重要だと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、微量PCBの処理についてお伺いいたします。
 トランス等の絶縁油をリサイクルする過程で、PCB絶縁油が誤って混入されてしまい、汚染された電気機器は全国に百二十万台、都内でも十万台程度といわれています。社会問題ともなった高濃度PCB廃棄物については、国が全国五カ所に処理施設を整備しました。
 一方、微量PCBについては、これまで処理スキームが定められず、汚染が判明しても保管し続けるしかありませんでした。ようやく昨年、微量PCBを無害化できる焼却施設に対する認定制度が国により創設され、都内の民間施設でも認定の申請が本年十月に出されたとのことであります。
 微量PCBの処理工程は、PCB濃度の分析から始まり、油の抜き取り、収集運搬を経て処理となります。処理を委託する中小事業者にとっては、作業ごとに契約し、経費を支払うのでは手間もコストもかかると思い、処理をちゅうちょしてしまうと危惧されます。
 微量PCBの処理を適切かつ計画的に進めるため、都としても中小事業者の処理が円滑に進むような後押しが必要と思いますが、所見を伺います。
 次に、外かく環状道路についてお伺いいたします。
 本年十一月に国土交通省は、地元地権者の生活再建や事業促進の観点から、緊急性の高い案件の用地取得に対応するため、大泉、中央、東名の三つのジャンクション地区の道路区域を決定しました。
 これにより地元では、用地の買い取りを求める声や外環の早期整備への期待がこれまで以上に高まっており、我が党は、こうした地元の要望に迅速かつ的確にこたえるために積極的に行動してきました。
 国は、外環の重要性、地元地権者の生活再建にこたえ、その責任において整備を進めるべきであり、都においても、外環の早期完成に向け、引き続き積極的に対応すべきと考えますが、改めて今後の事業推進に向けた知事の決意を伺います。
 外環を初めとする首都圏三環状道路の整備の進捗により、周辺の地域では、高速道路へのアクセス性の向上、交通渋滞の解消、まちづくりの促進などに対する地元の期待は大きく高まっております。このような地元の期待にこたえていくためには、三環状道路とともに、周辺の幹線道路の整備を進めることにより、その整備効果を最大限に発揮していくことが重要であります。
 都では、これまでにも圏央道アクセス道路等の整備を進めてきましたが、今後、より一層、三環状道路周辺の幹線道路整備を推進していくことが必要と考えます。
 そこで、三環状道路を生かす幹線道路整備の今後の取り組みについて伺います。
 次に、首都圏におけるビジネス航空についてお伺いいたします。
 羽田空港は本年十月、新滑走路と国際線ターミナルがオープンし、国際定期便が就航する本格的な国際空港として、まさに歴史的な一歩を踏み出しました。
 一方、小型ジェット機を用いたビジネス航空は、世界で急速に利用が拡大していますが、首都圏での受け入れは極めて限定的なものにとどまっています。
 ビジネス航空は、時間価値を重んじる国際的な企業活動にとって、今や不可欠なものとなっており、米国を初め諸外国から日本への乗り入れ要望も大変強いと聞いています。今後、世界の企業のトップ層が国際的なビジネスの場として我が国を選択せず通り過ぎてしまう、いわゆる日本パッシングを回避しなければなりません。
 先日、都は、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制強化に向けた取り組み方針を公表し、国への働きかけを行ったと聞いています。まさに時宜を得たものであり、ぜひこの取り組みを進めて、首都圏の空港においてビジネス航空をもっと受け入れやすくする環境整備を図る必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、八ッ場ダム事業についてお伺いいたします。
 知事は、十月に他県知事とともに八ッ場ダムの現場を訪れ、事態打開に向けて、現地の状況を確認するとともに、地元と意見交換を行いました。
 我が党からも八ッ場ダム推進議員連盟の三原会長と宇田川都議が出席しましたが、既に全体の八割方の事業が進んでいる一方で、民主党マニフェストによるダムの中止方針のため、住民が先行きに全く見通しを持てず、その窮状を訴える姿を見て、政治家としてとても見過ごせないとの報告がありました。
 その後、石原知事の発言に応じる形で国土交通大臣も現地を視察し、来年の秋までに検証結果を出すと発言しましたが、ダム本体の建設については、いまだ何ら明らかになっておりません。
 万が一、残りわずかで完成するダム事業が中止になれば、莫大な投資がむだになり、治水、利水の効果は当然発揮されません。地元住民にとっても、長年の苦労が報われる最後の段階ではしごを外されることは、まさに生存権のじゅうりんであり、暴挙といえます。
 政治がなすべきことは、八ッ場ダムを予定どおり完成させることであります。改めて八ッ場ダム建設事業の推進に向けた知事の決意を伺います。
 次に、周産期医療についてお伺いいたします。
 近年の晩婚、晩産化等を背景としたハイリスク分娩や低出生体重児の増加等により、周産期医療へのニーズはさらに高まっています。都民が安心して出産できる環境をつくるよう、我が党はこれまで周産期医療体制の充実を強く主張してきました。
 これを受けて、都は、母体救命が必要な妊産婦を必ず受け入れるスーパー総合周産期センターの創設や、妊産婦や新生児の搬送先の選定を円滑に行うための周産期搬送コーディネーターの設置に取り組んできました。
 これらの取り組みにより、都全域における搬送が円滑に行われるなど、大きな効果があらわれていることは大いに評価するものであります。しかしながら、分娩取扱施設の減少や、産科や新生児を専門に診療する医師不足等は深刻な状況にあります。
 都は今般、周産期医療体制の充実に向け、東京都周産期医療体制整備計画を策定しましたが、この計画に基づき、今後どのように体制を強化していくのか伺います。
 次に、児童虐待防止についてお伺いいたします。
 全国各地で児童の虐待事故が依然として後を絶たない中、我が党は今般、児童虐待ゼロを目指し、子育て中の親が孤立しないよう地域全体で支えていく活動を全国で展開していくこととしました。
 児童虐待の早期発見のためには、こうした地域のきずなの強化はもとより、児童相談所と区市町村が今まで以上に連携を図っていくことが急務であります。児童虐待を防止するために、今後どのように取り組んでいくのか、都の所見を伺います。
 また、昨今の児童虐待をめぐる情勢にかんがみて、児童相談所のあり方そのものについても、今後十分に検討していくよう強く要望しておきます。
 次に、地域がん登録についてお伺いいたします。
 我が国では、現在、二人に一人ががんにかかるといわれ、東京都でも年間約三万人ががんで死亡するなど、都民の健康への重大な脅威となっています。
 都のがん対策推進計画では、がんの死亡率の減少を全体目標として掲げ、その達成に向けて、検診の受診促進や高度医療の提供など、さまざまな対策が講じられています。
 がん対策推進には、データに基づく施策の有効性の評価が重要で、そのため、罹患率や生存率を把握する地域がん登録の実施が求められます。全国の人口の一割を占め、高度ながん治療を行う医療機関の多い東京都で地域がん登録が開始されれば、国全体のがん登録の精度向上に大いに資することが期待されます。
 都では、がん診療拠点病院等で院内がん登録が行われていますが、都道府県が地域内のすべてのがん患者の情報を登録する地域がん登録はこれまで実施されていません。計画では、院内がん登録を拡大した上で地域がん登録につなげていくとしており、地域がん登録を早急に実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、高齢者を地域で支える体制の整備についてお伺いいたします。
都市化や核家族化による地縁、血縁関係の希薄化が進む東京は、巨大な無縁社会といえます。このような状況下では、高齢者はますます地域内で孤立していくことが懸念されます。
 これまで都は、ワンストップの相談窓口であるシルバー交番の設置を進めるほか、ひとり暮らし高齢者の安否確認や見守りなど、区市町村が行うさまざまな事業を支援してきました。
 今後、単身や夫婦だけの高齢者世帯の増加が見込まれる中、地域における支え合いの仕組みづくりを行うことが重要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、子どもの体力向上についてお伺いいたします。
 首都東京では、約九十四万人の児童生徒が公立学校で日々勉学に励んでいます。この児童生徒一人一人が二十一世紀を力強く生き抜いていく力を備え、将来の日本を支えるたくましい人材として育っていくことは、都民共通の願いであります。しかし、現代の若者たちは草食系といわれるなど、厳しい国際社会の中で生き抜くことができるのか、不安でなりません。
 戦後六十年ぶりに改正された教育基本法では、これまでの普遍的な理念を大切にしつつ、新しい時代の教育の基本理念が明示されました。その中においても、知、徳、体の調和がとれ、生涯にわたって自己実現を目指す自立した人間の育成が掲げられています。知事もお話しされているように、子どもたちに日本人としての誇りを持たせるとともに、耐えることや脳幹を鍛えることが重要であると考えます。
 とりわけ、体力は子どもたちが成長していく上で、知力や気力の源として必要不可欠なものであり、道徳心や規範意識を根底で支え、たくましく生き抜くための基盤であると考えます。
 そこで、知事は、これからの時代を担う子どもの体力の重要性についてどのようにお考えなのか、所見を伺います。
 これまでも都教育委員会は、知、徳、体のバランスがとれた人材の育成について、さまざまな施策を積極的に推進してまいりました。
 例えば、東京都のスポーツ教育推進校に指定されたある中学校では、朝の体力づくりに取り組んだところ、小学生、保護者や高齢者の方々まで集まり、中学生の生活習慣も規則正しくなり、学力向上にもよい効果が出ていると地域で大変な評判になっております。このように、学校での取り組みが地域に広がり、小中学校で培われた人としての基礎が社会に出てからの支えになっていくことが大切であります。
 児童生徒の体力向上のためには、学校だけでなく、家庭や地域と連携を図るとともに、総合的に対策を講じていく必要があると考えますが、教育長の所見を伺います。
 次に、優秀な小学校教員の確保についてお伺いいたします。
 これまで我が党は、教員の大量退職に伴う大量採用が続く中、一定の力量のある学生を採用し、職として安定させた上で、みずからの資質を一層向上させる教員免許の更新制を初め、優秀な教員を育成していくための施策を提案し、実現してきました。
 しかし、現政権の民主党は、このシステムを全く逆転させようとする教員養成課程の六年制を昨年のマニフェストに掲げました。その後、民主党では、六年制とはいわなくなり、修士課程を前提とした四年制プラスアルファの政策提案を行っていますが、修士課程卒業生数からいって、全く現実性のない計画であることが明らかになっております。
 平成二十二年第一回定例会代表質問で、我が党の川井議員から教員の資質向上について質問したところ、教育長は、都教育委員会として、小学校教諭教職課程カリキュラムを作成し、それを各大学に提示していくと答弁され、先般、これが公表されました。
 そこで、この小学校教諭教職課程カリキュラムの内容について伺います。
 都教育委員会が全国をリードしてカリキュラムを作成したことは大いに評価したいと思います。しかし、そもそも大学の教員養成課程は、教育職員免許法に基づいて行われており、大学が課題意識を持って主体的に取り組まなければ改善は到底進むものとは思えません。今回公表されたカリキュラムの内容を実現していくためには、カリキュラムを大学に示し、大学と連携して教員を目指す学生にメッセージを送っていくことが重要だと考えます。
 そこで、今後、都教育委員会は、この小学校教諭教職課程カリキュラムをもとに、各大学に対してどのように働きかけていくのか伺います。
 次に、小中学校の冷房化についてお伺いいたします。
 学力向上のため、夏季期間にも教育活動の充実を図る区市町村もある中、ことしの異常な猛暑により、冷房設備のない教室においては、もはや子どもたちが学習に集中できる限界を超える状況となりました。
 都教育委員会の行った最新の調査結果では、都内公立小中学校の冷房化率は、区部で九六%、市町村部では二二・五%となっています。冷房未導入の多くの市町村から、その理由は財政上の問題であると聞いております。
 公立小中学校の施設は、各区市町村が地域の実情、特性等を踏まえ、計画的に整備を行ってきましたが、ことしの夏の異常な暑さのため、冷房化という新たな課題に直面することとなりました。
 公立小中学校の冷房化については、国がその導入経費の三分の一を補助する制度はあるものの、残りは設置者である各区市町村の負担となります。また、補助単価と実勢単価との乖離もあり、多額の設置者負担が生じております。
 このため、我が党は、去る十一月四日、小中学校の冷房化を進めるための財政支援策の実施について、知事に要望したところであります。子どもたちにとって学習しやすい快適な学校の環境づくりを進めていくために、都として、市町村への財政支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、高等学校授業料の無償化についてお伺いいたします。
 国は、本年度から、公立高等学校を無償化するとともに、私立高校生には就学支援金を支給することとしましたが、この制度により、公私格差はある意味でさらに広がったといわざるを得ません。
 公立に通う生徒は、授業料が無償になる一方、私立に通う生徒には授業料と支援金との差額の負担が残り、私立の生徒、保護者は、これまで以上に不公平感を感じるようになりました。公立と私立には制度上の差異があるのはやむを得ないとはいえ、こうした格差はとりわけ所得が低い世帯には深刻な問題となっております。
 このため、都は、我が党の要望にこたえて、二十二年度の国の就学支援金制度新設を踏まえ、従来から独自で行っていた特別奨学金について、所得階層ごとにめり張りをつけて、より低所得者世帯の負担感を和らげるように制度を見直しました。
 その後、国は就学支援金の所得区分等に変更を加えたと聞いていますが、厳しい経済環境が続く中、都は国の制度変更を踏まえ、保護者の負担の実情を考慮しながら、より都民生活の実態に即した力強い支援を講じていくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、文化財の保存についてお伺いいたします。
 森記念財団の都市戦略研究所が毎年発表している世界の都市総合ランキングで、東京は、ニューヨーク、ロンドン、パリに次いで第四位にランクされていますが、その評価の中でも文化交流は重要な要素になっています。今後とも、文化都市東京として、最先端の文化だけでなく、我が国固有の文化にも光を当て、世界に発信していく必要があります。
 中でも、東京には、大名庭園を初めとする九つの都立庭園がありますが、いずれも我が国を代表する重要な文化財であり、東京の貴重な観光資源ともなっております。都立庭園においても、かつての庭園の姿を保存、復元して、文化財としての価値をさらに高めるとともに、その価値を将来に確実に伝え、残していくことが重要と考えます。
 都は、都立庭園の保存、復元にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 最後に、スポーツ振興についてお伺いいたします。
 本年七月、国に先駆け、スポーツ行政を一元的に所管するスポーツ振興局が発足しました。スポーツ振興局では、区市町村などと密接に連携して、三年後のスポーツ祭東京二〇一三の準備はもとより、ジュニアの競技力向上や地域スポーツクラブへの支援、ウオーキングなどの都民参加型イベントの実施、さらに障害者スポーツの充実など、だれもが生涯を通じてスポーツを楽しめる社会の実現に向けた施策を総合的に推進しています。
 この取り組みは、我が党が推進してきた地域からのスポーツ振興、子どもの健全育成や高齢者の生きがいづくり等の面からも大変すばらしいことであり、大いに期待しています。
 ところで、都には、スポーツ祭東京二〇一三のメーン会場となる味の素スタジアムを初め、競技大会の会場として日常的に親しまれている施設が多くあります。都道府県では初となる、スポーツの名を冠する局が設立されたわけでありますから、組織一元化のメリットを生かして、利用者にとってのわかりやすさなど、サービス向上策を講じることができるのではないでしょうか。
 都民のさらなるスポーツ振興を推進する観点から、今後の取り組みについて、都の所見をお伺いいたします。
 以上で私の代表質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高橋かずみ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、政治の責任、役割についてでありますが、治安、医療、福祉、教育、環境、あるいはさらに震災対策など、あらゆる手だてを講じて、各分野で都民の生命と財産を守りながら、将来への確たる展望を示すことが政治の責任であり、役割だと思います。
 しかし、国政の現況を見ますと、これまでは官僚の独善により省益が国益に優先され、厄介なことは先送りにされ、政治の多くはその走狗に成り下がってきました。
 私が国政を、あえて決別したのもそれが理由でありますが、昨今は、政治主導のかけ声は大変勇ましいんですが、尖閣諸島をめぐるあの事件を眺めましても、政治主導どころか地方検事、次席検事に責任転嫁して、犯人を釈放するなどという荒唐無稽なことをあえて行うていたらくで、果たして政府が国土を守り、国民を守ることについて本当に厳しい認識を持っているのかと疑わざるを得ません。
 内政でも、日本をどこに導きたいのかさっぱりわからないというのが現況でありまして、最優先のはずでした地方分権も遅々としておりまして、この高齢社会に直面して、例えば年金制度なども破綻したきりでありまして、まさに混沌としたままで、財政も待ったなしの状況にありながらなお、大きなてこになるはずの消費税についての議論も一向に進んでおりません。
 場当たりで過ごしてきた自民党時代から、先送りから一向に決別できていない国政に、果たして国民が希望を負託できる政治と呼べる本物の営みがあるのかどうか非常に疑わしい感じがいたします。
 一方、都政におきましては、いろいろ立場が違いましても、やはり理事者と、かつ議会の皆さんが協力して、厳しい現場を踏まえながら、東京だからこそできる知恵と工夫においても、焦眉の問題に対して果断に対処し、国がやらない人員の整理も、あるいは給料の減給もあえて行いまして、財政を再建することができました。
 現場を踏まえた独自の具体的な政策を構えて、政策低迷や少子化を東京からこそ何とか乗り越えていきたいと思っております。首都の治安を守り、地震や集中豪雨などの自然災害に対しても十分な備えをしていきたいと思っております。
 今後、政治のあるべき姿を東京から体現し、都民、国民の不安を何とか払拭していきたいものだと思っております。
 次いで、技術の力をてこにして日本の再生をしようということでありますが、文明の進展は必ず新しい技術によってもたらされるものでありまして、技術力こそ国力そのものであります。
 現在の日本は、少子高齢化や長引く景気の後退などによりまして、国民の心がいささかなえておりますが、例えば「はやぶさ」という、あの六十億キロを回遊して、本当は四年のつもりが七年かかってようやく日本に戻ってきた。国土に戻ってきた。あの快挙を眺めますと、まだまだこの日本は世界に比類のない技術を持っておりますし、その可能性も秘めております。
 あの「はやぶさ」のチームリーダーの川口さんと先日長いこと対談させてもらいましたが、実にさわやかな人物で、ただ、彼がやっぱり一番苦労したのは、一時期、あの宇宙船が行方不明になって、返事がなくなったときに、行方不明になりましたということを正直に報告したら予算がもらえないんじゃないかという、そういうほかの外国では余りない低次元な心配も彼らはうまく乗り越えたわけでありますが、いずれにしろ、当の日本人自身がみずからの技術、ひいてはそれを生み出すみずからの能力や独自な民族的感性といいましょうか、情念といいましょうか、そういったものを正当に認識し切れていないという感じがいたします。
 これはいささか宝の持ち腐れでありまして、かつてもそういう例がありまして、近世において比類のない成熟を示した、江戸時代の成熟がもたらした浮世絵なども、西洋文明が押し寄せてきますと、非常に自分を卑下して、これを非常に安価で売り払うような、そういうばかなこともしました。
 日本人というのは、某新聞もそうでありますけれども、卑下をすることが何かインテリのエクスタシーのような、マゾヒスティックなところがありまして、私はこれは体質的に全く嫌いという、受け入れられないんですけれども、どうもその傾向があります。
 そういうことが、例えば東京の中小企業が開発している技術と国とのかかわりでも、幾ら口酸くいっても、昔の通産省、今の経産省は、これを国を代表する一つの可能性として外国に喧伝して商売をする、商品にする、これで要するに、まあとにかく国がもうけると、そういう意欲はないですね。
 いずれにしろ、ようやく日本の東京の水道技術が認識されまして、先般も日本航空の社長が来まして、羽田から正式に最初のヨーロッパへのフライトを飛ぶときに、飛行機にぜひ「東京水」を乗せさせていただきたいというんで、数百本寄贈いたしました。それやこれやは、こういった技術がやっぱり、「東京水」が表象するあの東京の水道の技術というものがようやく認められまして、今、外国でいろいろ引き合いがありますけれども、いずれにしろ、こういったものを支えている我々の同胞である無名の技術者というものの英知というものを、私たちはもっともっととにかく評価しなくちゃいかぬと思います。
 就任以来、衆議院議員のときも随分苦労しましたが、一向に報いられませんでしたので、アメリカのジャンクボンドのマーケットをまねしまして、ハイリスク・ハイリターンではありますが、CLO、CBOという社債担保証券、ローン担保証券を設けまして、これによって大体このマーケットが八千億ぐらいのマーケットになりました。
 今、延べ一万六千二百八十八社が活用しておりますが、そのうち七十四社が株式を上場いたしました。また、東京が設けておりますベンチャー技術大賞でも受賞者、受賞の企業が九十二社。これはもう全部、受賞の会社は売り上げを上げておりますが、そのうち五社が上場にこぎつけるという、そういうポテンシャルというものを東京の技術は持っているということを、やっぱり私たちはもうちょっと周知して、これを育てる努力を国と争ってでもしていかなくちゃいかぬと思っております。
 次いで、監理団体の活用についてでありますが、都の強みは、何といっても、間近に生々しい現場を持っていることでありまして、監理団体もまた、その現場の一翼を担う重要な役割を果たしていかなければなりません。
 このため、知事就任以来、国が法律で決めました外部監査の実施、これもただ実施するだけじゃなくて、対象にした案件について、一年後に果たしてそれがどこまで改良されているかという、そういうリチェックもしてもらえていまして、非常にみんな真摯にそれに従って改良が行われておりますが、どうしてこれを国がやらないんでしょうかね。国はやりませんな。民主党政権もやりませんな。
 外部監査、入れたらいいんじゃないですか。組合なんか、でたらめなことをしているんだから。日教組、見てごらんなさい。あんなもの、外部監査を入れたら、一遍にひっかかりますよ。役人の給料も下げない。議員の給料も下げない。やってもらいたいね、民主党政権に、自民党がやらなかったことを。
 現在、監理団体は……(発言する者あり)大いに結構だ、民主党もそうだという声が聞こえたから。お互い日本の政治家なんだから。現在、監理団体は、蓄積された技術、ノウハウを生かして都市づくりや産業振興、福祉医療など幅広い分野で、まさに都政運営には不可欠なパートナーとなっております。
 今回の指定管理者選定においては、こうした監理団体の役割を踏まえて、防災やまちづくりといった都の重要な政策と密接に関連する施設については、監理団体を特命で選定する見直しを行いました。
 今後とも不断の改革に取り組みつつ、監理団体を政策推進のパートナーとして一段と機能させるよう、都政のさまざまな領域で積極的に活用していきたいと思っております。
 次いで、青少年健全育成条例改正案提出に当たっての基本的な考え方についてでありますが、子どもたちを取り巻く状況を一刻も早く改善することが必要であるということは、ご指摘のとおりであります。今回の条例改正案も、さきの改正案について議会の議論を聞きまして、わかりやすく明確になるようにしたものであります。
 子どもを守ることは、私たち大人の、ひいては社会の責任でありまして、子どもを取り巻く現況の改善にこれ以上猶予の余地はないと思います。改めて、ゆえにも、条例改正を提案したものであります。
 私の体験を踏まえて申し上げますと、先般、オリンピックの問題で何度かドイツを含めての北欧に参りました。北欧というのは趣味が少ないせいか非常に性的な開放が進んでいますが、こういった性風俗に関する商品を売っている雑誌、本も含めて、あるいは映像も含めて、これはかなり日本に比べると進んでいるというか、驚くほど開放的でありますが、子どもを対象とした変質的な製品は全然ないですな。これはやっぱり、ある意味で向こうの宗教がしっかりしているから、宗教に基づいた倫理観がはっきりしているというか、私はさっきも総監に申し上げましたけど、日本とヨーロッパの対比というものを、向こうの担当者に意見を聞いて、向こうがどういう原理原則、どういう信念で子どもに関するこういう出版物、映像というものを禁止しているかということを対比的に説明することで、わけのわからぬ反対をしている、わけのわからぬやからにも説得が及ぶんじゃないかと思っております。
 次いで、中小企業を取り巻く現況についてでありますが、ことしの夏以降の急速な円高は、これまでの円高と異なりまして、通貨安競争と呼ばれる世界各国の戦略的な為替政策の所産でもありまして、今後もかなり長引くことが懸念されております。
 こうした円高が続けば、東京の活力の源泉である中小企業に極めて深刻な影響を及ぼすだけではなく、ものづくりを初めとする我が国の産業基盤を揺るがしかねません。
 国はこうした危機を正面から受けとめて、将来を見据えた為替政策に取り組むべきでありますし、それを強く求めますが、どうもこの国は、世界の流れが変質してきた、その大きな流れの質がどう変わったかということを見定めながら、それを踏まえて国の戦略を立てる、その能力が欠けていますね。
 政治家は本当にないし、役人もそれが欠けて、企業は企業なりにこれは悪戦苦闘しています。ですから、企業から見れば本当に、かつての自民党政権も含めて、今回の政権は最もですけれども、もう歯がゆくてしようがないというのがみんなの本音ですよ。
 都は、現下の事態に対応するために、既存の中小企業施策の着実な実施に加えて、金融支援や経営支援を内容とする緊急円高対策を速やかに実行することとしております。来年度予算においても、今後の景気動向を見きわめながら実効性のある対策を講じ、日本の宝ともいうべき東京の中小企業の支援に万全を尽くしてまいりたいと思っております。
 次いで、豊洲新市場の整備についてでありますけれども、築地市場は施設の老朽化がきわまりまして、市場業者の経営環境も厳しさを増しております。こうした現実を直視し、この問題の二十五年以上にわたる経緯、都民、国民生活への影響、財政面などもあわせて総合的に判断し、豊洲への移転を決断いたしました。
 今後、豊洲移転に全力を挙げ、平成二十六年度中の開場を目指してまいります。そのためには、都市計画決定手続を初め、アクセス道路などのインフラ整備や、土壌汚染対策工事、市場施設の建設を短期間のうちに計画的に実施していく必要があります。
 また、移転に向けては、経営や後継者などさまざまな問題に直面しておりまして、市場業者に対して効果的な支援を講じていくことも重要であります。
 こうしたことから、担当部局だけでなく、都の各部局が組織の垣根を超えて、これまで以上に緊密に連携し、知恵を出し合い、一丸となった取り組みを推進していきます。
 首都圏三千三百万人の食生活を支える、新たな時代の拠点市場の整備を遅滞なく着実に前へ進めていくために、都の総力を結集していきたいと思っております。
 今、政局がいろいろ混乱しつつありますが、政界は再編成されますよ。そのときに、反対、反対、反対といって挙げた手が引っ込まなくなったら、余り体裁のいいものじゃない。もうちょっとこの問題は都民の側に立って冷静に考えて、ひとつみんなで力を合わせて進めようじゃないですか。
 次いで、外環道についてでありますが、私は就任以来一貫して、外環道の早期整備を都政の――共産党は政界編成に関係ないよ。私は就任以来一貫して、外環道の早期整備を都政の最重要施策として、国も動かし、これまで四十年間凍結状態でありました外環道を事業化させました。
 外環は、社会工学的に最も優先事項の高い案件でありまして、これは決して都のためじゃないんです、むしろ、国全体のため、首都圏のため、国全体のためのものでありまして、そういう認識をぜひ政府も、担当している役所も、まあ役所はわかっているんですが、認識してもらいたい。
 しかし、外環道は国政の混乱のあおりを受け、将来的な財源確保の枠組みがいまだに定まっていません。
 我が国の国際競争力を高め、経済を再び成長軌道に乗せていくためには、首都圏の陸海空の交通、物流の強化が不可欠であります。羽田空港の国際化や京浜港の機能強化におくれることなく、高速道路ネットワークのかなめである外環道の整備を可及的速やかに進めていかなければならないと思います。
 都では、現場を持つ強みを生かしまして、用地取得などの精鋭を現地につぎ込み、積極的に事業の展開を図っております。国に対しても、一刻も早く工事に着手して、早期完成をさらに強く求めてまいります。
 次いで、首都圏におけるビジネス航空についてでありますが、ビジネスジェット機は欧米はもとより、中東、アジアでも利用が非常に拡大しておりまして、スピード感を持って世界的な活動を展開する企業の上部の経営層などにとっても欠かせないビジネスの道具であります。
 にもかかわらず、利用ニーズの高い首都圏の羽田、成田両空港では、専用の発着枠や施設などの受け入れ体制が不十分でありまして、使い勝手が悪く、日本が素通りされる、まさにジャパンパッシングを、これはだんだんディッシングになりつつありますが、誘発する原因にもなっております。
 現在のままでは、我が国は世界の中で取り残されて、多くのビジネスチャンスを失いかねない。このため、都は過日、国を動かすべく受け入れ体制強化に向けた提案を行い、これを受けて国土交通大臣も積極的に取り組んでいく旨を表明しました。
 都心に近い羽田空港では、その利便性を生かして、ビジネスジェット機専用の施設整備を行うとともに、何より横田基地において、平時は余裕のある滑走路などを――余裕といいますか、ほとんど使っていない滑走路を活用して、受け入れを図ることは極めて合理的であります。
 米国企業もビジネスジェット機の首都圏の利用を強く求めておりますが、横田基地の活用は日米のウィン・ウィン関係の構築に資するものでありまして、軍民共用化を実現する上での一つの突破口になるんではないかと思います。
 ただ、これは、単に限られた数のビジネスジェットのために横田をあけたって、これに付随して道路の整備とか新しい線路を引き込めということになれば、取引としては余り得ではないね、こんなものは。
 ですから、やっぱりやるならあそこも普通の旅客機もおりるようにできる、そういう空港に当然すべきでありますが、これはもう本当に政府がどこまでそれを認識して日本の利益を守るか、その心がけ一つだと思います。
 次いで、八ッ場ダムの建設事業の推進についてでありますが、先日、八ッ場ダムの早期完成を求めるために、関係する五県の知事とともに馬淵国交大臣と会食いたしました。馬淵さんには、まず現場を自分の目で見るべきだから、それからじゃなきゃ会わないよといって別れましたが、その後、本当は五県の知事と一緒に行くはずが、向こうの都合がありまして、彼はその後一人だけ現地に行きましたが、大変結構なことと思います。
 その後、とにかく改めて会おうということで、国会や都県の議会が開催されている最中でありましたけれども、関係者全員がそろう時間を調整して集まりました。
 この場で一都五県の知事は、八ッ場ダムの予定どおりの完成を強く求めました。また、ダムの検証は来年秋よりも最大限早く、かつ我々が納得できる結論を出すように強く申し入れました。
 これに対して大臣は、中止の方向には言及せず、一切の予断を待たずに検証を進めると繰り返して申しました。これは、あのとき会話の内容からいって、前任者に対する心配りだとありますが、実質的に中止の言明を撤回したと私は思います。解釈しています。まさにそのとおりです、どう解釈しても。
 八ッ場ダムは何としても建設しなければならない施設でありまして、直ちに本体工事を着工すべきであります。
 絶対にあってはならないのが、万が一、あとわずかで完成するダムを中止する場合には、これらの関係県は訴訟をして、国の責任を徹底的に追及しますし、当然弁護士とも相談しておりますが、必ず勝ちます。
 引き続き関係県の知事と一致団結して、予定どおり、平成二十七年度までに八ッ場ダムを完成されるように……(発言する者あり)何だ、聞こえないよ。八ッ場ダムを完成されるように国に強く求めてまいります。
 次いで、子どもの体力の重要性についてでありますが、子どもが人生を強い人間として生き抜いていく、その力の土台は体力にあります。健全な肉体を育て、脳幹を鍛えることで、みずからを律する強い心や、どのような事態にも対応できる柔軟で強靭な精神、つまりこらえ性が培われるわけであります。
 子どもにとってスポーツは、健全な肉体をつくるだけではなく、そこに健全な精神を涵養していく点で非常に大事な人間鍛錬の方法であると思います。
 ゆえにも、日本の将来を託せる人間、強靱な肉体とこらえ性のある子どもを育てることが教育に課せられた最大の課題であり、都教育委員会にはあらゆる方策を駆使して、引き続き子どもの体力向上に邁進してもらいたいと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長並びに技監、関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

○警視総監(池田克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、現在の暴力団情勢及び今後の暴力団対策についてであります。
 暴力団情勢を見ますと、全国の暴力団勢力は約八万九百人となっており、都内ではその二〇%に当たる約一万六千八百五十人を把握しております。
 また、昨年中における暴力団によると見られますけん銃発砲件数は、全国では二十二件、都内ではその二七%に当たる六件が発生しています。
 暴力団員等の検挙人員でございますが、全国は二万六千五百三人、都内ではその一七%に当たる四千七百四人を検挙しています。
 それから暴力団対策法に基づく中止命令の発出件数でございますが、全国では二千百十九件、都内ではその約二五%に当たる五百三十二件を発出しています。
 これらの暴力団の活動を示す指標は、いずれも全国に占める東京都の人口の割合であります約一〇%を大きく上回っており、極めて深刻な状況だと受けとめております。
 このような都内における暴力団の状況は、東京が極めて大きい経済力を持っているということによるものでありまして、具体的な活動実態を見ると、いわゆる暴力団関係企業、あるいは共生者を利用するなどして、金融、証券、建設等、あらゆる業界に進出し、巧妙な資金獲得活動を行っております。
 警視庁では、組織を挙げて暴力団の壊滅に向け徹底した取り締まりを行っておりますけれども、こうした現下の厳しい暴力団情勢に的確に対応するためには、社会全体で暴力団を排除することが必要不可欠であると考えて、暴力団排除活動を盛り上げるための条例を早期に制定すべきであると考えております。
 次に、事業者の暴力団員等に対する利益供与に対する規制のあり方についてであります。
 警視庁では、暴力団対策法などの法令に基づき暴力団排除に取り組んでおりますけれども、例えばマンション建設に当たり、事業者が暴力団を利用し、周辺住民の反対活動を抑え込むなど、いわば暴力団と持ちつ持たれつの関係にある事業者がいる現状にかんがみますと、このような事業者に規制をかけないと、実効のある暴力団排除はできないと考えております。
 そこで、このような事業者に対しましては、勧告、公表、命令といった行政手続を通じ、改善できる機会を与えた上でなお改善されない場合には、罰則を適用するということを検討しております。
 しかしながら、事業者の多くはそのような関係にあるわけではなく、一律に規制を科すということは適当でないと考えられますので、例えば、つき合いたくないのにやむなく暴力団と取引をしているという事業者には、公安委員会にその旨を報告などしていただいて、以後、同種の違反行為は行わない旨を誓約していただくということで、その後の制裁に向けた手続を行わないとする適用除外を設けることを検討しております。
 この規定により、大半の事業者は自主的に暴力団との関係を遮断することができ、これを契機として、警察による情報提供や保護を必要に応じて受けられることとなります。
 このように、条例は事業者を規制することを主眼とするものではなく、事業者による自主的な関係遮断を促進し、事業活動から暴力団を排除するものであるということをご理解いただければと思います。
 警視庁といたしましては、都民の皆様の平穏な生活と健全な事業活動の発展が確保されるように、実効のある条例の制定に向けて努力してまいる所存でございます。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、子どもの体力向上に向けた対策についてでございます。
 体力は、子どもたちが成長していく上で知力や気力の源であり、規範意識を根底で支え、子どもたちがたくましく生き抜くための基盤でございます。
 東京都の子どもの体力は長期的な低下傾向にあり、さらに全国平均よりもはるかに低いという憂慮すべき状況に陥っております。このため、都教育委員会は、東京都の子どもの体力を、平成二十四年度には全国平均にまで、そして平成三十一年度には、戦後、子どもたちの体力がピークであったとされる昭和五十年代の水準にまで向上させることを目標に、平成二十一年度に子供の体力向上推進本部を立ち上げ、ことし七月に総合的な子供の基礎体力向上方策第一次推進計画を策定したところでございます。
 推進計画における具体的な取り組みにつきましては、既に昨年度から中学生東京駅伝大会を開催いたしますとともに、今年度からは一校一取り組み運動を開始し、十月を東京都体力向上努力月間と定めまして、大規模な体力テストを行うなどして、本推進計画の着実な実現に着手したところでございます。
 しかし、子どもの体力向上は教育委員会や学校のみで達成することが難しいことから、本推進計画には都民への啓発、家庭、地域との連携、関係団体や民間企業からの協力に係る取り組みの推進を位置づけておりまして、引き続き社会総がかりで取り組むための仕組みづくりや環境整備に努めてまいります。
 次に、小学校教諭教職課程カリキュラムの内容についてでございます。
 昨年五月に、都教育委員会が採用後間もない教員とその管理職を対象に行いましたヒアリングで、板書の仕方や子どもへの話しかけ方など、大学で本来身につけておくべきことを教えてもらえていないなどの現場からの声があり、任命権者である東京都教育委員会が大学と協働し、すぐれた教員の養成に取り組むことが必要であると認識いたしました。
 このため、都教育委員会では、ことし二月に大学の教員養成に係る検討委員会を立ち上げ、実際に三十の大学を訪問し、授業観察と学生及び大学関係者へのヒアリングなどにより得られました知見をもとに、小学校教諭教職課程カリキュラムをことし十月に作成し、公表いたしました。
 このカリキュラムでは、小学校教員として学部段階で身につけるべき最小限必要な資質、能力を、教師のあり方、各教科等における実践的な指導力、学級経営の三つの領域、十七の項目に整理いたしますとともに、各大学における四年制の教員養成課程を通して到達すべき目標を具体的に提示いたしました。
 また、教育実習は、学校現場における実践を通して、学生自身の適性や大学での学習の成果を検証する貴重な機会であるにもかかわらず、学生の到達度が評価できないことや、教育実習への大学側のかかわり方が十分ではないという現場の校長先生からの声がありました。
 こうしたことから、都教育委員会は、統一様式として評価票の様式を全国に先駆けてお示しし、大学と一体となって教育実習の改善充実を図ることとしたものでございます。
 次に、各大学へのカリキュラム活用の働きかけについてでございます。
 大学が教員養成課程の改善充実を図るためには、大学と都教育委員会が一層の連携を図り、都教育委員会が作成した小学校教諭教職課程カリキュラムの趣旨と内容を大学に理解していただき、積極的に活用してもらうことが重要であると考えております。
 こうしたことから、既に十月には、都近郊の小学校教員養成課程を持つ大学に対しまして説明会を実施し、趣旨の周知を図ったところでございます。
 また、東京都は全国から教員を採用しておりますために、全国の小学校教員養成課程を持つ大学や道府県教育委員会にこのカリキュラムをお送りいたしまして、広く活用を促したところでございます。
 今後とも、大学に対して一層の周知と理解を求めますとともに、都内の小学校で教育実習を希望する大学に対しては、都教育委員会で作成した教育実習に関する評価票を必ず使用していただくよう働きかけてまいります。
 また、こうした取り組みに加えまして、学生が積極的に教員としての資質向上に取り組むことができるよう、本カリキュラムの内容を踏まえました学生向けハンドブックを今年度末までに作成し、東京都の小学校教員を目指す学生に配布してまいります。
 さらに、小学校教諭教職課程カリキュラムの内容を反映できるよう、東京都の教員採用選考の見直しを図り、優秀な小学校教員の確保に努めてまいります。
 次に、公立小中学校の冷房化についてでございます。
 学校の施設設備の整備は学校の設置者が行うこととなっており、公立小中学校の普通教室の冷房化については、設置者である区市町村の権限と責任において行うことが原則でございます。
 各市町村は、学校の施設設備の整備に関し、耐震化や老朽化対策といった重要な課題を抱える中、冷房化という新たな課題も加わり、限られた財源の中でその対応に苦慮しておられます。
 公立小中学校の冷房化に対しては、国の補助がございますものの、内容が十分とはいえず、多額の設置者負担が生じている現状にあり、都教育委員会では国に対し、補助率及び補助単価の引き上げについて提案要求を行ったところでございます。
 ことしの夏が記録的猛暑となった状況を受けまして、市長会、町村会等からも要望があったところでございまして、良好な教育環境の確保のために、学校設置者にとって実効性のある財政支援策を新たに検討してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな建築物の耐震化施策のねらいについてでございますが、高度に都市化した東京では、建物の所有者はみずからの生命と財産を守るだけではなく、周囲へ被害を与えないよう、その耐震性能を確保する社会的責務がございます。
 とりわけ緊急輸送道路において沿道建築物が震災により倒壊した場合、広域的な救援活動や復旧、復興の大動脈としての機能を大きく低下させることから、その耐震化は極めて重要であります。
 しかし、現行法では、耐震診断、改修とも努力義務にとどまり、その実施を所有者の意思にゆだねていることが大きな壁となっております。
 都としては、震災時において広域的な道路ネットワークを確保するため、緊急輸送道路のうち特に重要な道路沿道の建物所有者に対して、耐震診断を義務づけることが必要であると考えております。
 建物の耐震性能が明確になることで、耐震改修に向けた所有者の自覚と行動が促されるとともに、行政としても個々の所有者に対して具体的な指導や助言等を行うことが可能となります。
 また、不動産取引における重要事項説明において、診断結果に関する説明義務が法律上規定されていることから、耐震性が不足する場合には、改修等の措置が講じられていくものと考えられます。
 これらのことから、耐震診断の義務づけは、耐震化を推進するための効果的な施策であると考えておりまして、現在実施しておりますパブリックコメントなどの機会を通じ、社会的な合意形成に努めながら、条例化に向け検討を進めてまいります。
 次に、建物所有者への支援策の充実についてでございますが、耐震診断を早期に着実に進めていくためには、診断の義務づけにあわせ、必要な支援を的確に行っていくことが重要であると認識しております。
 このため、建物所有者が安心して診断に取り組めるよう、診断方法に関する情報提供や相談への対応、診断技術者の紹介など、技術的な支援を実施してまいります。
 また、費用負担につきましても、耐震診断の義務づけの対象となる緊急輸送道路におきましては、その機能を確保することの公共性や緊急性が特に大きいことから、耐震化に向けた所有者の取り組みがより一層促進されるよう、支援策の充実について検討してまいります。
 こうした支援策と耐震診断の義務づけが相まって、沿道建築物の耐震化を着実に推進できる実効性のある制度を構築し、災害に強い首都東京を実現してまいります。
 最後に、生産緑地に関する制度の創設についてでございますが、東京に残る農地は、都民に新鮮な野菜などを供給する場であるとともに、潤いのある景観や良好な住環境の形成にも資する貴重なオープンスペースとなっております。都は、こうした農地の多様な機能を積極的に評価し、区市による生産緑地の追加指定を促進してまいりました。
 しかし、相続等を契機として農地の減少が続いていることから、現在、本年五月に策定した緑確保の総合的な方針の施策の一つとして位置づけた農の風景育成地区制度の創設に取り組んでおります。
 この制度は、農地が比較的まとまって残された地区におきまして、区市と連携して、散在する農地を一体の都市計画緑地等として指定し、農地を中心とした潤いのある地域景観の維持を図るものでございます。
 これにより、将来、営農継続が困難となった場合には、区市が既存の補助制度を活用して、公園等への整備のために農地を取得することが可能となります。
 今後、関係局などとも連携し、年度内の具体化に向け検討を進めてまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 来年度の予算編成についてお答え申し上げます。
 二十一年度に大きく減少いたしました都税収入は、来年度におきましても大きな好転は期待できずに、厳しい財政環境は今後も続くものと見込まれるところでございます。
 こうした中におきましても、雇用確保や中小企業への支援など、都民が直面する喫緊の課題に迅速に対応するとともに、東京の将来を切り開く施策を積極的に進めていかなければなりません。
 そのためには、現在、予算編成のさなかにございますが、五年目となる事業評価の取り組みなどを通じ、効率性や実効性の面で施策の質を一層高め、その上で都民に真に必要な事業へ、経済効果なども考慮しつつ、限りある財源を重点的に振り向けていくことが重要であると認識をしてございます。
 これらの取り組みにより、財政の健全性を堅持しながら、都政の諸課題に着実に対処し、将来にわたって都民の期待にこたえ得る予算を編成してまいりたいと存じます。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 犯罪被害者等支援の取り組みについてでございます。
 都は、平成二十年に東京都犯罪被害者等支援推進計画を策定し、被害者の支援に取り組んできました。本年実施した実態調査によれば、支援の取り組みが進んだとの評価が寄せられている一方、相談事業等の充実と被害者に対する理解を深める啓発が求められております。
 今回改定する支援計画の素案では、こうした意見を踏まえ、全区市町村で相談窓口の開設を進めるほか、被害者が治療先の病院でも相談窓口の情報を得られるようにするとともに、被害直後の一時的な居住場所の提供対象者の拡大を検討いたします。また、区市町村や町会などの民間団体と一体となって、被害者が置かれている状況や支援の重要性について啓発に努めることとしております。
 今後、この素案をもとに、都民の声を幅広く聞きながら、来年一月を目途に新たな計画を策定いたします。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急豪雨対策についてでございますが、今回の対策は、近年の局地的な集中豪雨の増加を踏まえ、浸水の危険性が高い地域を中心に、迅速かつ集中的に実施すべき施策を取りまとめたものでございます。
 このうち河川事業については、新たな取り組みとして、二つの異なる流域の河川から取水し、一つの調節池に貯留することで治水安全度を高めることといたしました。具体的には、白子川と石神井川に取水口を設け、両河川から白子川地下調節池に洪水を流入させることにより、それぞれの流域で発生した局地的な集中豪雨に対処してまいります。
 この調整池の整備に当たっては、最新のシールド技術を導入するなど、さまざまな工夫を行うことにより、約一年の工期短縮を目指します。
 さらに、水位計や監視カメラを増設し、監視体制を強化して、水位上昇が極めて速い都市河川のはんらん警戒情報などをいち早く周知する新たな仕組みをつくり、地元区市と連携して、都民の迅速な避難に結びつけてまいります。
 一方、その他の豪雨対策としましては、下水道施設の整備を前倒しするほか、大規模地下街において、止水板の設置や避難経路への誘導方法など、具体的な浸水対策計画の策定を支援いたします。
 また、学校、公園などの公共施設の用地を活用して、一時貯留施設などの設置を促進してまいります。
 今後とも、関係局や地元区市などと連携し、緊急豪雨対策に全力で取り組み、安全で安心な東京の実現を目指して取り組んでまいります。
 次に、三環状道路を生かす幹線道路の整備についてでございますが、高速道路全体のネットワークを効果的に機能させ、東京の最大の弱点である交通渋滞の解消のみならず、我が国の国際競争力向上や首都圏の環境改善などを実現するためには、三環状道路の整備が不可欠でございます。
 あわせて、その整備効果を最大限発揮させる骨格幹線道路や地域幹線道路のネットワークを充実させ、アクセス機能の強化や周辺交通の円滑化などを図ることが極めて重要でございます。
 このため、都は、圏央道アクセス道路の新滝山街道や外環のアクセス道路である放射第七号線などについて、地元の理解と協力を得ながら、早期完成に向け事業推進に取り組んでおります。
 また、主な路線として、中央環状線周辺では、放射第三六号線などについて来年度に事業着手するとともに、外環の中央ジャンクション付近では、新たに三鷹三・四・一二号線などの事業化を図ってまいります。
 今後とも、必要な財源確保に努め、三環状道路の整備を促進するとともに、周辺の幹線道路の整備を積極的に推進してまいります。
 最後に、都立庭園の保存、復元の取り組みについてでございますが、都立庭園は、江戸から続く歴史と文化が蓄積した貴重な都民共有の財産で、いずれも名勝や史跡の指定を受けており、都の責務として、次世代へこれらを継承することが重要であります。
 都立庭園は、長い歴史の中で、歴代当主の庭に寄せる思いなどにより、時代ごとにその姿が変化しており、保存、復元に当たっては、庭園が最もすぐれた価値を有していた年代を歴史的な考証に基づき判断し、往時の庭園美を忠実に再現することが極めて重要であると認識しております。
 例えば、浜離宮恩賜庭園は、三百有余年の歴史の中で、江戸文化が熟成した文化文政期、徳川十一代将軍家斉の時代に最も隆盛を誇っており、この往時の姿を目指して、松の茶屋を初めとする複数の趣の異なる茶屋を再現し、海水を引き込んだ潮入の池と一体となって織りなす風景をよみがえらせることなどにより、庭園の価値をさらに高める取り組みを行っております。
 今後とも、都立庭園の保存、復元に努めることで、江戸から伝わる比類なき日本の庭園文化のすばらしさを世界に発信してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

○下水道局長(松田二郎君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道事業における緊急豪雨対策の取り組みについてでございます。
 浸水被害による影響の大きい大規模地下街などへの対策として、これまで整備している新宿駅や池袋駅周辺などの四地区に加え、新たに新橋駅や銀座周辺などの五地区を対象に、これまでの整備目標水準の一時間五〇ミリを超える、一時間七五ミリの降雨に対応できる貯留管などの整備の前倒しを図ってまいります。
 さらに、近年たびたび浸水被害が発生しております神田川、石神井川、白子川の三流域において雨水排除能力を増強するため、既設の下水道幹線に加えて、新たに整備する下水道管や雨水調整池などの調査設計に今年度着手し、整備を前倒しいたします。
 都民の生命と財産を守り、安全・安心な東京の実現に向けて、浸水被害の早期軽減が図れるよう、今後も河川整備事業や地元区などによる雨水流出抑制対策と密接に連携しながら、下水道事業を着実かつ積極的に進めてまいります。
 次に、下水道事業における国際展開についてでございますが、基本的な考え方といたしましては、東京下水道が長年にわたって培ってきたすぐれた技術やノウハウ、人材などを活用することにより、国際展開を積極的に推進し、水、衛生問題に直面する国や地域の発展に寄与するとともに、下水道関連企業の海外展開を後押しすることで、東京、ひいては日本における下水道事業の活性化や産業力の強化に貢献をしてまいります。
 取り組みを進めるに当たりましては、国内企業の海外展開とも歩調を合わせ、当局の所管する監理団体であります東京都下水道サービス株式会社と、適切な役割分担のもとに一体的に対応してまいります。
 また、国や自治体、下水道関連企業などで構成しております、海外ニーズ調査などの活動を行っております下水道グローバルセンターなどとも連携して取り組んでまいります。
 具体的な取り組みといたしましては、お話のございました老朽化した下水道管を更生するためのSPR工法については、昨年度末までに、海外八カ国で三万メートルを超える施工実績があり、特にこの三カ年で実績が急増しております。
 また、合流式下水道の改善を図る水面制御装置につきましては、先日のドイツと韓国の企業とのライセンス契約に続き、北米の企業との間でも契約に向けた準備を進めているところでございます。
 今後は、これら個別技術の海外展開の拡大に加えまして、相手国、地域などのニーズや要請に応じ、施設の建設から維持管理にわたる下水道全般の技術支援など、積極的に国際展開を進めてまいります。
   〔交通局長金子正一郎君登壇〕

○交通局長(金子正一郎君) 都営地下鉄のホームさくの設置拡大についてお答えをいたします。
 ホームさくの整備は、ホーム上のお客様の安全を確保する上で極めて有効な方策であり、交通局では、平成十二年に、営業中の路線として全国で初めてホームさくを三田線に設置し、現在、平成二十五年度中の完成を目指して、大江戸線への設置を進めております。
 残る新宿線及び浅草線につきましては、他の鉄道会社と相互直通運転を実施しておりまして、現在、新宿線には京王電鉄の車両二十編成が、また、浅草線には京急電鉄や京成電鉄など四社の車両二百七編成が乗り入れております。
 ホームさくの整備に当たっては、乗り入れ各社の車両にも定位置に停止させる装置や、車両のドアとホームさくを連動させる装置を搭載する必要があるなど、技術面や輸送面の課題を相手方の協力も得ながら解決していく必要がございます。
 このため、交通局としては、諸状況を勘案し、まず、京王電鉄と共同で新宿線のホームさく整備に向けた課題を検討する場を設置し、協議を進めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 五点の質問にお答えいたします、
 まず、緊急円高対策の具体的な取り組み内容についてでありますが、夏以降の急激な円高については、今後、中小企業への影響の広がりが懸念されますことから、より踏み込んだ対策が必要となっております。
 このため、東京商工会議所等と連携して、中小企業診断士などの専門家が企業を訪問し、経営の立て直しのアドバイス等を今月より集中的に実施しております。
 加えて、下請企業への支援策として、親事業者団体に対し受注確保等の要請や商談会を行うなど、対策を強化いたします。
 また、年末、年度末の中小企業の資金需要に対しては、国の緊急保証制度に対応し、最優遇金利を適用した制度融資メニューである経営緊急に加え、円高対応のためのメニューを拡充し対応しております。あわせて、年末には経営や資金繰りの相談を受ける特別相談窓口を開設いたします。
 これらの取り組みにより、円高の影響を受ける中小企業を支援してまいります。
 次に、新製品や新技術の開発から販売に至る支援についてであります。
 中小企業がみずからの力で開発した製品や技術によって新たな事業を展開し、経営の向上につなげていくことは重要と考えております。
 都はこれまで、中小企業が新製品などを開発するためのすぐれた計画を承認し、国の優遇制度の対象としたり、研究開発に要する費用を助成するなどの支援を行ってまいりました。
 しかし、企業が新たな製品などの開発に成功しても、その成果を実際の販売活動に結びつけるには、市場のニーズを的確につかんだ営業活動を行ったり、環境や安全の面の各種基準を確実に満たすなど、数多くの課題を解決していくことは不可欠でございます。
 このため、都では、中小企業の新製品などの企画や開発から販路の開拓までを含めた一連の事業活動で必要となる知識やノウハウを提供したり、商品としての安全性などについて証明や認証を受ける取り組みをサポートすることを検討しております。
 今後とも、中小企業が開発した新たな製品や技術が実を結ぶよう、多面的な支援を行ってまいります。
 次に、都内中小企業と海外の企業との交流促進についてでありますが、中小企業が成長著しいアジア等の海外の企業と理解を深め合うことにより、商談の機会を確保し、ひいては販路の開拓に結びつけていくことが重要と考えております。
 このため、都では、中小企業の海外販路開拓の支援を行うとともに、商談成立の基礎となる現地企業と都内中小企業との交流の機会をふやす取り組みを進めております。
 具体的には、中小企業のすぐれた技術、製品を紹介し、企業間の交流を図る産業交流展におきまして、今回、アジア大都市ネットワーク21と連携し、東京の企業とアジアの諸都市、企業との交流を促進し、相互の理解を深めるためのアジアゾーンを設けるなどの取り組みを行いました。同ゾーンには、ベトナムや台湾などから三十一の出展者が参加し、今後の商取引の展開に向けた貴重なきっかけづくりを行うことができたと考えております。
 また、開催期間中、アジア市場への進出や販路開拓を考える企業のため、専門家によるセミナーを開催したり、個別の相談に応じるなど、中小企業の海外展開のためのノウハウの提供も効果的に実施いたしました。
 今後とも、産業交流展でアジアゾーンを設けるなどの取り組みを通じて、都内中小企業と海外企業との交流を促進し、中小企業の販路開拓への支援を強化してまいります。
 次に、新卒者への就職支援の強化についてであります。
 都は、新卒者の厳しい就職状況を踏まえ、都内経済団体への新卒者採用要請を行うとともに、十一月には国と連携し、新規学卒者向けの合同就職面接会を開催するなど、取り組みを進めてまいりました。
 しかしながら、現在も未内定の学生が多数に上っていることから、さらなる支援強化が必要と認識しております。
 このため、来年一月には飯田橋のしごとセンターとしごとセンター多摩に新卒特別応援窓口を開設し、キャリアカウンセリングやセミナー等を通じたきめ細かい支援を実施いたします。
 同窓口には、国の協力を得て、新たに学生専門の相談員であるジョブサポーターを配置するなど、新卒者向け求人紹介の体制を充実いたします。
 さらに、来年二月には、今年度第二回目となる新規学卒者等を対象とする合同就職面接会を開催し、未内定の学生に企業との面接の機会を提供いたします。この面接会の直前には、しごとセンターにおいて模擬面接セミナーを開催し、学生の事前準備を支援することとしております。
 こうした取り組みを着実に進めることにより、意欲ある新卒者が一人でも多く卒業までの間に就職内定を得られるよう支援してまいります。
 最後に、都内産農産物の区部の学校給食への供給についてであります。
 学校給食に地元の農産物を供給することは、地産地消の拡大に加え、子どもたちの農業や農産物への関心を高めるなど、食育に関する効果も大きいと考えます。
 しかしながら、農地の少ない区部では、こうした機会に恵まれていないのが現状であります。このため、都は今年度から、八王子市大谷町の都有地を活用して、東京げんき農場を開設し、地元のJAや農業者などの協力のもと、生産供給方式のモデル事業をスタートさせております。
 現在は、農地や農業用施設の整備に取り組みながら、本事業に参加する農業者やJAなどと栽培作物や作付面積など、来年度の生産計画について検討を行っております。
 また、学校給食の関係者とも、供給する農産物の種類や出荷の方法などについて意見交換を行うなど、生産供給体制の整備を行っております。
 来年の春には作付を開始し、順次区部の学校給食に農産物を供給するとともに、農場での子どもたちの農業体験など、農業現場ならではの食育を実施していく予定であります。
 こうした取り組みを着実に推進し、地産地消の一層の拡大を図り、都内産農産物の新たな販路拡大につなげ、東京農業の振興に寄与してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 五点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、求職者等に対する支援の強化についてでございますが、厳しい雇用情勢が続く中、働く意欲がありながらも就職できず、住居、生活に困窮している方が一刻も早く就労し、安心して年末を迎えられるようにするためには、昨年度のような年末年始における一時的な対応ではなく、総合的な支援を強化することが必要でございます。
 このため、都は国に強く働きかけ、都内十七カ所の全ハローワークにNPO法人等による相談体制を整備することとし、先月八日から、生活や住居に困窮している求職者の方を対象に、区市等とも連携しながら、きめ細かな生活、住宅相談を実施いたしております。
 この取り組みにおきましては、相談者の個々の生活状況に応じて、生活資金貸付など支援情報の提供や住宅手当の手続支援等を行っており、これまで約二百名の相談に対応いたしております。
 今後とも、事業の周知を徹底し、国や区市等関係機関と密接に連携しながら、働く意欲のある人が職を得て、安定した生活を送れるよう支援してまいります。
 次に、周産期医療体制の強化についてでありますが、都は、安心・安全な周産期医療体制の確保を図るため、本年十月、東京都周産期医療体制整備計画を策定し、中長期的な視点に立って体制整備を進めてまいります。
 具体的には、低出生体重児の増加等を踏まえ、NICU三百二十床を整備するとともに、母体、胎児の集中治療対応の強化を図るため、M‐FICUについてもより一層の設置を進めてまいります。
 また、周産期医療を担う人材を確保、育成するため、産科、新生児科医師の勤務環境の改善を図るとともに、院内助産や助産外来の導入を推進してまいります。
 さらに、NICU等に長期入院している子どもの在宅移行を支援するため、病院内の体制整備や、退院後の在宅医療を支えるための保健、療育、福祉機関との早期からの連携などを促進していきます。
 今後とも、本計画に基づき、さらなる体制の整備に努めてまいります。
 次に、児童虐待の防止についてでありますが、児童虐待の通告件数は年々増加しており、今年度の八月までに児童相談所が受理した件数は、昨年度の三○%増、千八百件を超えております。こうした状況の中、児童相談所は、区市町村の子ども家庭支援センターと連携して、その対応に全力で取り組んでおります。
 これまで都は、平成十三年度から二十一年度までの八年間で児童福祉司を六十六名増員し、児童相談所の体制強化を図るとともに、子ども家庭支援センターに対しても、虐待対策ワーカーの配置や職員の研修など、その体制整備や専門性の向上を支援してまいりました。
 今後、児童相談所と子ども家庭支援センターの連携強化を初め、都や区市町村における体制を一層充実し、児童虐待防止に向けた取り組みを強力に進めてまいります。
 次に、地域がん登録についてでありますが、地域がん登録は、がんに罹患した人の診断、治療等に関するデータや死亡情報等を集約し、罹患率や生存率等を把握する仕組みであり、予防から治療に至るがん対策全般の評価や、企画立案に重要な役割を果たすものであります。
 地域がん登録を実施するためには、既に院内がん登録を行っておりますがん診療連携拠点病院を初め、多数の医療機関の理解と協力を得て、正確なデータを集めることが必要であります。
 このため、都は、有識者や関係機関で構成されますがん登録推進検討会を設置いたしまして、個人情報の取り扱いやデータの収集等について検討を行うなど、実施に向けた準備を進めております。
 今後、データベースシステムの整備や医療機関との個別調整等に着手し、平成二十四年度からの開始を目指してまいります。
 最後に、地域の支え合いの仕組みづくりについてでありますが、ひとり暮らし高齢者などが地域で安心して暮らし続けるためには、これらの方々を社会全体で見守り、支える体制の強化が重要であります。
 都はこれまでも、町会、自治会等が中心となって在宅の高齢者を訪問し、見守りや声かけを行う高齢者地域見守り事業などの取り組みを区市町村包括補助制度により支援をしてまいりました。
 東京には、このような活動の担い手となり得る元気で活力にあふれる高齢者や、多種多様に活躍するボランティア団体等が数多く存在するという強みがございます。
 今後、こうした方々の豊富な経験や知恵を生かし、区市町村等とも連携しながら、地域の支え合いの仕組みづくりを一層推進してまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、国際貢献ビジネスにおける新たな官民連携の仕組みづくりについてでございますが、当局では、国際貢献ビジネスの推進により、これまでミッション団の派遣や積極的な情報発信、ヒアリング対策企業からの海外情報により、相手国のニーズや案件等の貴重な情報を数多く入手してきており、これらを海外情報データベースとして構築してまいりました。
 一方、多くの民間企業が水ビジネス分野での海外展開の取り組みを活発化しておりますが、例えば、事業の受注者の立場であることや、各企業が個別に対応していることなどから、案件情報が限定的となり、それぞれの専門分野での取り組みにとどまっております。
 そこで、海外展開を目指す企業の登録公募制度を新たに導入するとともに、登録した企業に海外情報データベースを活用して情報を提供し、それぞれの企業の持つ強みを有効に組み合わせてまいります。それにより、相手国のニーズに的確にこたえられるコンソーシアム、すなわち企業連合が形成できるよう支援してまいります。
 こうした新たな官民連携の仕組みを構築することで、今後とも国際貢献ビジネスを一層推進してまいります。
 次に、多摩地区における地元事業者活用についてでございますが、これまで多摩地区の水道を担ってきた地元事業者は地域の事情に精通しており、管工事の推進や事故対応等において、今後ともその協力を得ることが不可欠でございます。
 そこで、八月に策定した多摩水道改革計画におきまして、震災対策の強化等に向け、配水管のネットワークの整備や管路の取りかえ工事を精力的に推進し、地元事業者の一層の活用を図ることといたしました。
 事業の推進に際し、多摩地区には中小事業者が多いという特徴があるため、十月、局内に多摩地区管工事推進委員会を設置し、中小地元事業者を活用した管工事の実施や地元事業者の育成方法などについて検討を進めてきたところであります。
 具体的には、平成二十三年度から、事業者の規模に配慮した工事の発注を三年程度試行するとともに、工事請負単価契約等につきましては、平成二十四年度以降、特段の配慮をしつつ、都の契約方法へ段階的に見直しを進めてまいります。
 こうした業務実施や事業者の育成状況等を勘案した上で、より円滑な事業の推進に向けたさらなる改善策を講じてまいります。
 このような取り組みにより、地元事業者を積極的に活用し、配水管の新設や取りかえ工事を精力的に進め、多摩地区の給水の安定性向上を図ってまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

○環境局長(大野輝之君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、大規模事業所の地球温暖化対策についてでございますが、本年四月の総量削減義務制度の開始を受けまして、都内の企業では、CO2を半減するビルの建設や省エネ性能の高い照明、熱源設備への更新、データセンターでの高効率空調設備の導入など、意欲的な取り組みが始まっております。
 CO2の総量削減に向けました東京の企業のこうした積極的な取り組みや、都の制度構築及び運営のノウハウを全国に発信することは、地方自治体の地球温暖化対策の強化や歩みの遅い国の取り組みを促進する上で大変重要でございます。
 こうした観点から、都は、キャップ・アンド・トレードの普及に向けまして、本年の九月に協定を結びました埼玉県等とも協力し、大規模事業所への計画書制度を導入しています全国三十余りの道府県、政令指定都市等を招き、来年二月に地球温暖化対策自治体会議を東京で開催いたします。
 この会議におきまして、先駆的な省エネ技術を活用して大幅なCO2削減を進める東京の企業の取り組みや、制度運営に関する都の経験とノウハウを提供するなど、地方自治体の取り組みの強化を図ってまいります。
 次に、微量PCB処理の促進についてでございます。
 PCBによる環境汚染を未然に防止するためには、無害化処理施設が整備されるこの機会をとらえまして、微量PCBの処理を促進していくことが極めて重要でございます。
 一方、ご指摘のように、事業者が保有する微量PCBを処理するためには、成分分析、油の抜き取り、収集運搬など、幾つもの作業工程を踏むことが必要となることに加えまして、処理経費もかさむことなどから、中小事業者等の負担の軽減が課題となっていると認識してございます。
 今後、都は、無害化処理の認定事業者や電気保安協会など関係機関との調整を進めまして、処理が円滑に進むような仕組みづくりも含め、都内の中小事業者等が保有する微量PCBの処理促進策を早急に検討してまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 私立高校生に対する特別奨学金についてでございますが、都はこれまでも、公立高校に通う生徒と私立高校に通う生徒との格差の是正を図るという観点から、一定所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を補助する都独自の特別奨学金制度を実施してまいりました。
 景気の足踏み状態が続き、失業率も高水準にあるなど、経済環境が一層の厳しさと不透明感を増している中、子どもたちの修学機会を確保するために、より一層保護者負担の実態に即した支援を行っていくことが必要でございます。
 したがいまして、今後、国の就学支援金制度を踏まえつつ、都独自の特別奨学金について、制度の充実を図ってまいります。
   〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕

○スポーツ振興局長(笠井謙一君) 今後のスポーツ振興についてでございますけれども、スポーツはみずからすることはもちろんのこと、トップアスリートの卓越したわざを実際に見ることで大きな感動を得られるものでございます。身近な場所で競技をし、観戦できる機会がふえることは、スポーツへの関心を高めることにつながるものでございます。
 ただいまご指摘いただいたとおり、都にはスポーツ祭東京二○一三のメーン会場となります味の素スタジアムや、大規模な国際大会の開催が可能な有明コロシアムを初めさまざまな施設があります。
 スポーツ振興局といたしましては、それらの施設を積極的に活用することとしておりますが、都民サービスのさらなる向上を図るために、一元的に管理運営することは極めて有意義であると考えております。
 今後、庁内各局はもとより、スポーツ関係団体や区市町村との連携をより一層図り、都議会の皆様のご協力もいただきながら、スポーツを専管する当局ならではの事業を展開し、スポーツ施策を強力に推進してまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後五時三十三分休憩

   午後五時五十分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番東村邦浩君。
   〔百七番東村邦浩君登壇〕

○百七番(東村邦浩君) 都議会公明党を代表して、知事並びに教育長、東京都技監、関係局長に質問いたします。
 政権交代から一年、政治主導により国を変えるというスローガンに国民は欺かれ、現政権は統治能力のなさを露呈、特に日本の外交、安全保障、まさに危機的状況にあることが多くの国民の周知の事実となりました。
 他方、経済政策においても、長引くデフレ状態の中での急激な円高に対し、九月初めに我が党が対策案を発表してから一カ月以上もたってから緊急経済対策を打ち出しました。しかも、その財源となる補正予算案も、臨時国会から一カ月以上経過して提出する始末です。外交、安全保障だけでなく、経済対策においても危機感が全く乏しいとしかいいようがありません。
 また、現政権は三段構えの経済対策を掲げておりますが、第一段階の円高、デフレ対策ですら既に行き詰まっており、仮に第二段階の機動的な対策がうまくいったとしても、第三段階の新成長戦略の中身は、医療ツーリズムなどの既にタイなどの諸外国で実施をしている後発的な政策ばかりで、諸外国に太刀打ちできる新経済成長戦略ではありません。
 今、手を打たなければならないのは、保育や介護など今後も超過需要が見込まれる分野、さらには都市の集積、コンパクトシティー化などの都市再生、観光など海外需要の拡大が見込まれる分野と日本の技術革新を連動させることであります。
 そこで、国がやらないのであれば東京からやるという一貫した姿勢を貫いてきた首都東京の知事として、世界で最先端の技術の導入や快適性、安全性をより高めていくなど、東京をアジアで最も魅力的なハブ地域にしていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次いで、経済成長戦略について質問します。
 これから加速する高齢化社会を考えた場合、それに対応していく新たなシステムの整備が急務であります。そのためには、需要が膨らんでいく医療、介護の分野と、これまで中小企業が培ってきた高い技術力を結びつけていく視点が必要です。
 先日視察をした福岡県のある会社では、以前はベルトコンベヤーを製造していましたが、その技術力を生かして新たにロボット産業に参入し、医療、介護、警備、災害レスキューなどの時代が求めるあらゆる分野において次々とロボットを研究開発し、製品化しています。中でも福祉分野においては、従来の後ろ向きで腰をおろす車いすから発想を転換し、前向きで楽に乗車でき、身体障害者や高齢者が介護者の手をかりずに移動できる電動車いすロボットの開発や、ひとり暮らしを見守るための家庭用見守りロボットなど、ロボット技術を活用した取り組みが実用化されていました。
 しかし、こうした日本の高いロボット技術について、国を挙げて大きな関心を寄せているのは、新たな産業開発に目を輝かせるアジア諸国と欧米先進国であり、逆に、企業任せでほとんど戦略的な育成、そして支援が及んでいないのが我が国であります。特に現政権になってからは、支援が一段と後退いたしました。
 都議会公明党が視察したまさにそのとき、アジアの国家関係者が、その会社が開発した、人と同様に歩行するロボットを買いたいと、商談のために来日していました。このとき、ロボットの開発者たちは私たちに、海外諸国はロボットに組み込まれている日本の高い技術に着目し、それを求めていると訴えておりました。
 多くの技術が海外に流出してしまった今、日本において世界の最高水準にあるのはロボット技術であるといわれていますが、このように国外に流出する危機的状況にあります。
 本来、こうした新たな成長戦略は、国が積極的に支援をしていかなければなりませんが、国が取り組もうとしない現状を考えると、都が福祉分野などに活用し、あわせて関連産業を育成していくべきであります。
 そこで、第一に、ロボット産業に参入を求める複数の中小企業が、得意とする技術を集積し、ロボット研究の第一人者が学長を務める首都大学東京などの学術研究機関と共同して研究開発から製品化するまでのプロジェクトをネットワーク化し、資金面からも支援するとともに、ロボット産業を支援する拠点を都内に設けるなど、総合的に取り組むべきであります。見解を求めます。
 第二に、ロボット産業の実用化、普及に向けた環境整備についてであります。
 多くの人たちに知ってもらい、理解を深めてもらうためには、先進的な福祉ロボットなどを展示会において情報発信をしたり、都関連施設においてモデル的に使用するなど、販路開拓や量産効果が高まる取り組みを後押しすべきであります。見解を求めます。
 第三に、実用化したロボットの、国内はもとより海外への販路開拓についてであります。
 海外への輸出については、ロボット製品を単に販売するだけでなく、他の国ではまねができない、日本人の特性である繊細さや気配り、優しさが生かされた福祉ロボットなどを開発し、ロボット産業を成長産業として位置づけ、世界にも通用する東京ブランドとして海外にも売り込んでいけるよう、育成を図っていくべきであります。
 東京の将来を支える新たな産業の創出と育成について、知事の所見を伺います。
 次に、雇用対策について質問します。
 現在、大学生の就職難は深刻化し、大きな社会問題となっています。文部科学省と厚生労働省が先月発表した来春卒業予定である大学生の就職内定率は五七・六%であり、また高校生の就職内定率は、全国で四〇・六%、東京で三三・七%となりました。これは、就職氷河期といわれた平成十五年の内定率を下回っています。さらに、本年十月の有効求人倍率は全国で〇・五六倍、都の有効求人倍率は〇・七倍と公表されました。このように、来春に向けた就職戦線はかつてない厳しい状況に置かれています。
 就職氷河期に社会に出た世代は、失われた世代と呼ばれ、今も非正規社員として不安定な働き方を余儀なくされている人が多いといわれています。第二の失われた世代をつくらないためにも、新卒者の就職支援に全力を挙げるべきと考えます。知事の決意を伺います。
 現在、都は我が党の主張を受け、東京しごとセンターにおいて、高校生の就職支援も新卒緊急応援窓口で対応したり、交流会を開催したりしています。しかし、今年度の厳しい状況に対応するためには、しごとセンターで待っているだけでは改善しません。一人でも多くの高校生が就職できるよう、しごとセンターが高校の就職担当者と連携をとり合って高卒者向けの求人情報を提供するなどの支援策を行うべきであります。見解を求めます。
 有効求人倍率が一・〇を下回る中、従業員三百人以下の中小企業の大学新卒の求人倍率は四・四一倍と高い状況にあります。都内には、すぐれた技術や技能を持ち、採用意欲のある中小企業がたくさんありますが、学生の大企業志向、安定志向が壁となり、人材を確保できないというミスマッチが生じています。
 こうしたミスマッチを解消するために、都は、産業交流展の機会をとらえ、東京ビッグサイトで中小企業の合同就職面接会を開催しました。年が明けると、さらに新卒者の就職は厳しくなってきます。そこで、再度、都が音頭をとり、中小企業と新卒者の合同就職面接会を開催すべきであります。そして、その情報を学生に発信していくべきであります。見解を求めます。
 また、企業が既卒者に新規採用の門戸を閉ざしているところがいまだ多く、我が党はこれまで、新卒要件を卒業後三年まで緩和すべきと主張してきました。今後、都は、しごとセンターを通じた情報提供や、既卒者を積極的に採用するよう企業に働きかけるなど、既卒者の就職支援を進めるべきであります。見解を求めます。
 次に、緊急雇用創出事業について質問します。
 総務省が先日発表した労働力調査によれば、働く意欲がある十五歳以上の失業者の完全失業率は五・一%であり、依然として高い水準となっています。国は、公明党の強い推進によって、求職者や失業者の働く場を確保するため、緊急雇用創出事業を創設し、都はこの制度を活用し、二年間着実に事業成果を上げてきました。
 しかし、いまだ続く厳しい経済、雇用状況の打開について何ら明るい展望が見えない中、都はこれまで以上に即効性のある緊急雇用創出の拡充に取り組まなければなりません。事業開始から三度目のチャンスとなる来年は、一時的な雇用就業機会を創出することはもとより、基金事業のプラスアルファの効果を最大限に高めていくべきであります。
 そこでまず、本事業の成果を検証するとともに、今後は、緊急雇用から正規雇用へと円滑に移行できるよう支援を強化し、安定した雇用に誘導していくべきであります。見解を求めます。
 また、緊急雇用創出事業を都の重要課題施策や都民サービスの向上に直結させていく視点も重要です。
 例えば、近年、公共施設や高速道路のパーキングエリア、またショッピングセンター、コンビニなどの一般商業施設などに障害者用駐車スペースの整備が進んでいます。しかし、せっかく設置された障害者用駐車スペースに健常者が駐車しているケースも多く、その場所を本当に必要とする車いす使用者などが利用できないという実態があります。
 その対策の一つとして、パーキングパーミットという制度が注目されています。この制度は、身体障害や難病、また、高齢で歩行が困難な方に加えて、けが人や妊産婦など一時的に歩行が困難な方に対しても、共通する障害者用駐車場の利用証を交付することで、専用駐車枠を利用できる人を明らかにし、駐車スペースを確保するという制度です。
 こうした制度の導入に当たっては、まず、制度を理解し、駐車スペースを提供してくれる協力事業者を拡大し、理解を求めていく専従のスタッフを多数確保しなければなりません。都は、こういったところに緊急雇用創出事業を活用して、障害者用駐車場の適正利用に向けた取り組みを推進すべきであると考えますが、見解を求めます。
 次に、障害者の雇用、就労について質問します。
 全国には法定雇用率を大きく上回る障害者の雇用を実現し、業績を大幅に伸ばしている中小企業が少なからず存在しています。都議会公明党が視察した名張市と旭川市の企業もその代表例です。
 名張市の製造会社は、知的障害者の作業チームが自動車の製品製造の検品作業に従事し、健常者より返品率を減少させ、会社の収益を上げていました。旭川市のリネンサプライの会社では、全社員二百名の約三割を知的障害者が占め、健常者と同じ作業に、同等の作業効率で、同額の作業給を得ながら働いていました。これらの企業の成功の秘訣は、障害福祉に詳しいキーパーソンが、作業工程や人事管理に工夫を凝らし、障害者が働きやすい環境を整えている点にあります。
 都が現在行っている障害者の就労支援策として、福祉保健局が各区市町に設置を促進する障害者就労支援センターと、産業労働局が所管するジョブコーチがあります。障害者就労支援センターのコーディネーターは、働く障害者を就労、生活の両面から支援し、産業労働局は、障害者を雇う企業にジョブコーチを派遣しています。
 そこで、今後は福祉保健局のコーディネーターと産業労働局のジョブコーチがチームを組んで、障害者の雇用、就労の取り組みを協議、計画し、雇い入れから雇用の継続に至るまで一貫した取り組みを行い、障害者の就労を推進すべきであります。都の見解を伺います。
 一方、障害者の就労の安定を図る上では、名張市や旭川市の事例を見ても、働く障害者同士が励まし合い、悩みを相談し合う体制を整えることが効果的です。しかし、大企業であれば自社内での実施も可能ですが、中小企業が多い都内ではさらなる工夫が必要です。
 そこで、都は今後、都内の障害者が働く中小企業の違いを超えて、交流、連携し合えるように、障害者就労支援センターなどが拠点となる仕組みを工夫すべきと考えます。都の見解を求めます。
 さらに、都は今後、障害者をより多く雇いたいと考える中小企業を都内に具体的にふやしていく取り組みを強化するとともに、合同就職面接会などを実施し、企業と働く意欲を有する障害者とのマッチングの充実に努めるべきと考えます。都の見解を求めます。
 次いで、本年六月十八日より施行された改正貸金業法のその後の影響について質問します。
 今回の改正により、事業者や消費者の資金繰りは、よくなるどころか悪化の一方をたどっています。他方、一部の弁護士や司法書士は、テレビコマーシャルや電車の車内広告を打ってまでもうけようとしています。一体だれのための改正であったのか、疑問を呈さざるを得ません。
 こういった状況をいち早く予測した大阪府は、全国に先駆けて、本年三月に、貸金業利用者のヒアリング調査を実施し、改正貸金業法施行後の八月にも緊急の影響調査を実施しました。その結果、ノンバンクを利用している事業者の二人に一人、消費者の三人に一人が、新規借り入れを断られたり、借入枠を減額されるなどの影響を受けていました。そして、そのうち事業者で七人に一人、消費者で八人に一人は、ヤミ金などで資金調達を実行または検討している実態が明らかになりました。
 私も、従来からノンバンクを利用していた事業者を、大阪府が実態調査を委託した調査会社の協力を得てヒアリングしてまいりました。
 ある会社では、つなぎ資金でノンバンクを利用していたけれども、法改正による処置ということで、従来から利用しているノンバンク数社から新規融資にストップがかかったとのことでした。その社長は、出資法の上限金利二九・二%を高いという人がいるが、ノンバンクから二九・二%でつなぎ資金として最大五百万円を一カ月借りたが、利息は十二万円ぐらいで、保証協会のつなぎ融資を申し込んで一週間以上待つことを考えると、会社の資金繰りの上からは決して高くないと話してくれました。
 その会社は、いいとは思わないが、会社を存続させるためにやむを得ずつなぎ資金として、十日で二割のヤミ金からお金を借りたとのことで、帰り際に、この法律がさらに続くならば会社は半年後に倒産してしまうとまでいわれました。
 東京都は、改正貸金業法の施行に伴い、相談窓口を設置しましたが、事業者からの相談は余りないとのことです。しかし、せっぱ詰まってヤミ金からお金を借りてしのいでいる事業者がわざわざ相談に来るとは思えません。待っているだけで本当の実態がつかめるはずはありません。まず、ノンバンクを利用していた事業者のヒアリングを含めた実態把握を行い、それを踏まえて対策を検討すべきであります。都の見解を求めます。
 こういった状況を打開しようと、大阪府は、小規模金融特区を国に提案しました。この特区は、返済能力のある人までが一律に借りることができないという改正貸金業法の弊害を解決するために、規制緩和するだけでなく、同時に多重債務問題を解決するための債務整理ができるADRのスキームを大阪府が用意し、このADRのコストを貸金業者が利息の一部から負担金として拠出するという制度であります。こうした小規模金融特区は非常に有効な手段でありますが、国が受け入れない現状を考えると、他の手段による多重債務問題への取り組みが必要となります。
 そこで、多重債務者が過払い請求を行うに当たって、一部の弁護士や司法書士の犠牲にならないように、都が金融ADRを活用してこうした問題に対応すべきと考えます。都の見解を求めます。
 いわゆる無縁社会によって、孤独死などへの不安が広がり、高齢者が身近な地域で安心して暮らすことのできる、医療、介護、住宅などが連携した施策の充実が求められています。まず、介護保険制度の改正について質問します。
 現在、国において、法改正に向けた議論が大詰めを迎えています。中でも、新たに創設される訪問介護と訪問看護が連携した二十四時間地域巡回型訪問サービスが注目を集めています。これは、公明党が新・介護公明ビジョンで提言した二十四時間三百六十五日対応の訪問介護サービスによって進める在宅介護の支援強化にかなうものです。
 しかし、新たなサービスであるがゆえに、制度設計や報酬設定がしっかりしていなければ、平成十八年度に創設された夜間対応型訪問介護サービスのように、事業所数が伸びない事態になりかねません。国が創設を予定している二十四時間地域巡回型訪問サービスについて、都は区市町村や介護事業者などの声を踏まえて、国に要望していくべきと考えますが、見解を求めます。
 続いて、医療、介護が連携した住宅整備について質問します。
 本年十月二十五日に、都の医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル事業の第一号、風のガーデンひのが竣工しました。これは、高齢者専用の賃貸住宅に医療と介護のサービス拠点を併設させたもので、その充実は大きな期待を集めています。
 都は平成二十二年度においても、医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅の予算を計上していますが、建設が進まないのが現状です。ネックとなっているのが、用地の確保であります。特に都心部では、高い用地費がそのまま家賃にはね返ってきます。
 そこでまず、遊休都有地を減額貸付できるように制度設計をすべきであります。都の見解を求めます。
 また、都内には多くの未利用国有地を抱えています。都内の国有地についても、区市町村と協力して活用の有効性を具体的に提示し、国に迫るべきと考えます。同時に、未利用都有地の情報についても積極的に提供すべきです。見解を求めます。
 都営住宅や公社住宅の建てかえに際しては、余剰地が創出されます。こういった創出余剰地を活用し、医療、介護などの生活支援サービスつきの高齢者向け賃貸住宅の整備を促進させるべきであります。見解を求めます。
 他方、都営住宅における孤独死対策も大切です。これまで我が党が求めてきたコミュニティ支援を具体的に推進するとともに、都は孤独死対策を強化すべきです。特に夜間や休日における問い合わせ電話に対する音声ガイダンスにおいて、高齢者などの安否確認に対応できる案内を新たに設けたり、問い合わせ先の団地内掲示を図るなど、高齢者と離れて暮らす家族の不安や、身近で心を砕く自治会にも配慮すべきであります。コミュニティ支援の具体化の状況とあわせて見解を求めます。
 次に、全国に百万人を超えるキャリアがいるといわれるHTLV―1ウイルス対策について質問します。
 この対策は、第三回定例会代表質問でも取り上げましたが、十月六日に厚生労働省から、妊婦健診において抗体検査を実施する通知が各自治体になされました。抗体検査は、母体がウイルスを持っているかどうかを検査するものです。このウイルスの主な感染経路は母乳であるため、検査結果をもとに的確な情報提供と授乳指導を行うことで、感染予防が可能になります。
 また、ウイルスを持っているとされた方々は、ATLという重篤な白血病や、HAMという脊髄疾患を発症する可能性があります。そうした不安に対処するため、抗体検査とセットで、きめ細やかな相談やケア体制を整えることが極めて重要であります。
 我が党の質問を受けて、都は既に母子健康手帳交付時にHTLV―1に関する情報提供をするなどの区市町村の取り組みを支援することを明らかにしています。今後さらに、抗体検査の実施に向けた相談、ケア体制の整備や、医療、母子保健関係者への情報提供など、必要な取り組みを早期に進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 このウイルスは九州地方に多いといわれていましたが、現在では全国に拡散しており、都における実態把握も必要であります。このウイルスによって発症するATLという白血病の治療法はまだ確立されていないことから、今後は感染者対策として、診療拠点病院の整備や治療薬の研究促進など、疾病対策を含めた総合対策を進めていくべきであります。都の見解を求めます。
 次に、自殺対策について質問いたします。
 警察庁によれば、平成二十一年に自殺した人は三万二千八百四十五人と、過去五番目に多く、十二年連続で三万人を超え、自殺対策は待ったなしの状況にあります。
 この自殺の原因として最も多いのがうつ病とされており、都議会公明党は、先日、自殺対策について先進的な取り組みを行っている鹿児島県を視察してまいりました。鹿児島県では、自殺対策としてのうつ病対策を強化しており、その中で認知行動療法を活用した取り組みを進めています。自殺やうつ病の相談を受ける相談員が研修を受講し、ノウハウを学ぶなど、自殺対策として認知行動療法を位置づけているのが特徴です。
 取り組みを進めた結果、受講前はうつ病患者への接し方がよくわからなかった相談員も、研修後には適切な対応ができるようになり、特定健診時のスクリーニングにおいて成果が出るようになったとのことです。その結果、県の自殺率は大幅に改善したとのことであります。
 都としても、保健師や自殺相談の相談員等に研修を実施し、認知行動療法のスキルを学習することにより、相談者への対応力を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 また、都は、この四月から自殺相談ダイヤルを開設しました。開設当初は相談件数が余り多くなかったようですが、夏以降、相談件数も徐々にふえていると聞いております。自殺死亡者のうち七割の方は、死亡する直前にいずれかの相談機関に行っていたことがわかっており、自殺に関する相談支援体制の充実が求められております。
 都では、ことしの自殺対策強化月間において、自殺相談ダイヤルの相談時間を九月六日から一週間に限って延長しましたが、今後、年間を通して相談時間を延長するなど、相談体制の充実を図るべきです。見解を求めます。
 次に、教育環境の整備について質問します。
 桐生市で発生した小学六年生の女子児童の自殺は、まさに衝撃的事件でありました。報道によれば、自殺した児童の学級は長らく崩壊状態にあり、女子児童はひとりで給食をとる異様な日々の窮状を、担任以外の教員に対しても泣きながら訴えていたそうです。さまざまにSOSが発信されていたにもかかわらず、なぜいじめ解消などの抜本的対策が講じられなかったのか、この点が問題です。
 いじめに起因する自殺は、ここ数年、各地で散見され、後を絶たず、どの地域においても発生し得ると考えるべきです。こうしたいじめの発生を訴える声などを学校が適切に対処できていない場合、都教育委員会はSOSを適切に感知し、学校に対して問題解決に必要な支援を講じる体制を整備すべきであります。見解を求めます。
 いじめだけでなく、不登校や保健室通学する児童生徒の心のケアに取り組むのがスクールカウンセラーです。その配置、活用が国の委託事業から補助事業へと変更され、国費も減る中、都は我が党の要請を受け、都内公立中学校への全校配置を実現いたしました。しかし、いまだに小学校や高等学校での活用は一部にとどまっています。
 都は今後、小学校や高等学校へのスクールカウンセラーの配置を拡大すべきであります。見解を求めます。
 また、児童生徒が抱える問題は、虐待や家庭機能の崩壊など、学校外の出来事に起因する場合もあります。スクールソーシャルワーカーは、教育分野だけでなく、社会福祉などにも精通した人材として、学校外の機関と連携して問題の解決に当たります。都内でも、保護者の窮状にまで適切に対処し、評価されています。
 児童生徒が抱える問題はより複雑化してきており、スクールソーシャルワーカーの必要性はますます高まってきております。都はこれまでの成果を踏まえ、スクールソーシャルワーカーについても、一層配置の拡大を図るべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、少人数指導の教員加配について質問します。
 国の定数改善のもとで実施されてきた少人数指導など、習熟度に配慮した手厚い指導体制は、都内の公立小中学校の学力向上に貢献し、地域、保護者からも歓迎されています。ところが、三十五人学級への移行を理由に、二十三年度はこの少人数指導の教員加配がなくなり、学校経営のめどが立たなくなるとの不安の声が広がっています。
 少人数指導は効果の高い学力向上策であり、都はこの少人数指導の教員加配を守るため、区市町村と協力し、国に強く制度の維持充実を要望すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、学校の冷房化について質問します。
 ことしの夏は記録的な猛暑、冷房のない教室はまさに蒸しぶろ状態で、教育効果にも重大な影響が出ました。特に多摩地域の公立小中学校では、市町村の財政難から冷房化が進まず、都議会公明党は、九月十四日に都知事あてに申し入れを行い、第三回定例会においても取り上げ、都は調査の分析結果や市町村の動向も踏まえ、検討するとしました。その後、市町村からは、都からの財政支援を求める要望書や意見書が提出されました。
 こういった状況を踏まえ、緊急の課題である小中学校の冷房化を推進するために、都として市町村への財政支援を直ちに実施すべきと考えます。見解を求めます。
 一方、都立高校の普通教室の冷房化は一〇〇%完了していますが、特別教室は部分導入にとどまっています。保護者が文化祭で理科教室や調理室を訪れた際、その暑さに驚いたという話もお聞きしました。特別教室は、補習や部活動でも使用します。暑さが注意力の散漫を招き、重大事故を引き起こしかねません。
 都立高校の特別教室も、原則として冷房化すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、新銀行東京について質問します。
 十一月十九日に新銀行東京の中間決算が発表され、当期利益は四・九億円の黒字となりました。再建計画では、今年度の当期利益はプラス・マイナス・ゼロとのことでありましたが、中間決算ではこれを上回る業績を上げています。中小企業向け貸出残高についても、全国の銀行が前年同期と比べ横ばいとなる中、新銀行東京は二〇%増となっており、リーマンショック以来の厳しい経済金融情勢の中で、中小企業支援にも配慮しながら、着実な再建を進めております。
 今後も企業価値を高める努力をするとともに、情勢の変化に応じた適切なリスク管理を行うなど、より一層着実な経営に努める必要があります。そうした点を踏まえ、本業の収支である実質業務純益の黒字化を含めた平成二十二年度の業績見通しについて、都の見解を求めます。
 再建計画について、都議会公明党は、単年度黒字化した後には追加出資四百億を回収または保全することを繰り返し主張してまいりました。明年は再建計画の最終年度を迎えますが、本業の収支である実質業務純益の黒字化を達成し、企業価値を高めた後には、新銀行東京の役割を見きわめつつ、事業譲渡または業務提携への具体的な取り組みを進め、追加出資を回収もしくは保全していくべきであります。知事の見解を伺います。
 次に、外郭団体改革について質問します。
 都では、本年九月に東京都監理団体活用方針を策定し、監理団体をこれまで以上に活用していくことといたしました。都議会公明党でも、外郭団体改革推進プロジェクトチームを立ち上げ、さらなる改革を推進していくため、各所管局へのヒアリングなどを通じ、公益法人制度改革や指定管理者制度などについても検討を重ねているところであります。
 そのような中、都は、制度導入後五年間の実績を踏まえ、百六十八施設の性格、位置づけを検証し、三十三施設については、公募から監理団体への特命に変更しました。これは、防災対策や文化財の継承、一体性のあるまちづくりなど、都の重要な政策と密接に関係する施設について、公的性格を持つ監理団体が蓄積してきた行政ノウハウや、施設運営にかかわる技術、知識の有効な活用を図るために必要な措置であることは、理解できるものであります。
 他方、三十三施設以外の施設においては、公募に当たって、長年、施設の管理運営を担ってきた監理団体と新規参入を目指す民間を競わすことになったわけですが、これまでの管理実績がある監理団体に優位性があり、結果として競争性が働かないおそれがあります。今後の個々の施設特性を定義づけした上で、公募すべき施設の管理運営については、より一層の競争性を高め、民間が参入しやすい仕組みを検討すべきであります。都の見解を求めます。
 また、今回、監理団体に特命となった施設については、監理団体が政策目的の実現に向けた機能を着実に発揮しているのか、また適切に運営を行っているのかを、毎年度、しっかりと検証していく新たな視点が必要であると思います。見解を求めます。
 また、もう一つの外郭団体である報告団体については、第三回定例会で我が党の代表質問に対し、年内を目途に、すべての報告団体について事業内容や都との関連性を精査し、位置づけを明確にした上で、その類型化に取り組むと答弁しております。報告団体について、着実に改革を進めていくことを改めて要望しておきます。
 次に、東京の治水対策について質問します。
 昨年九月の政権交代によって突如打ち出された八ッ場ダム建設中止の表明以来、ダムにかわる治水対策や中止に伴う地域住民の生活再建策が何ら示されることなく、関係する一都五県と地元は、政府の身勝手さと無策に翻弄され続けております。
 ところが、生活再建事業が停滞していることについて、馬淵国土交通大臣は、一都五県からの直轄事業負担金及び利水者負担金の支払いを留保されていると、責任があたかも関係都県にあるかのような国会答弁を行っております。一方的にダム建設を中止しておきながら、ダム建設を前提に支出する負担金を一都五県に求めること自体、矛盾しております。
 こうした状況の中で、十二月一日に馬淵大臣と一都五県の知事が会談し、席上、関係知事側から、今年度の負担金支払いの留保を解除する方針を示したと聞いております。しかし、負担金の支出はダム本体の建設が前提であり、当初の計画どおり建設するのかどうか、政府の対応を十分見きわめて判断すべきと考えます。石原知事の見解を伺います。
 また、馬淵大臣は、八ッ場ダム建設の是非について再検証を行い、来年秋までに判断するとの方針を示しておりますが、再度の検証にさらに一年も費やす必然性は全くありません。ダム本体の建設を早急に決断するよう、政府に強く求めるべきであります。都の見解を求めます。
 一方、先般の行政刷新会議の事業仕分けで、スーパー堤防事業が一たん廃止と判定されました。仕分け人は、二百年に一度の水害を防ぐのに四百年かかるのでは本末転倒と批判しましたが、これはまさに詭弁であります。四百年とは、全国六河川、延長八百七十二キロメートルすべてが完成する年数であります。整備において河川ごとに優先順位があるのは当然であり、すべての河川が完成するまで効果が発揮されないものではありません。
 例えば、最も優先度の高いゼロメートル地帯の江戸川、荒川計画延長は約五十二キロ、全体の六%に当たり、数十年の整備年数で極めて大きな事業効果を発揮できます。洪水や高潮の甚大被害をこうむってきたゼロメートル地帯の実態を直視せず、廃止するということは、まさに東部低地帯に住む約百五十万人の命を危険にさらすことになります。
 そこで、都は、都民の命を守る洪水、地震、高潮対策の推進のために、国に対してゼロメートル地帯のスーパー堤防事業の存続を強く求めるべきであります。また、都が独自に実施している隅田川などのスーパー堤防についても、計画どおり推進すべきであります。あわせて見解を求めます。
 最後に、小笠原航空路開設に向けた取り組みについて質問します。
 先月、都議会公明党は、航空路開設に向け、現地に調査団を派遣し、村民の方々の意向を聞き、意見交換を行ってまいりました。東京から一千キロ離れ、隔絶した離島である小笠原にとって、交通アクセスこそ生命線であり、昭和四十三年の返還以来、航空路開設は村民の悲願であるとの熱い思いを伺ってまいりました。
 現在、都は、航空路協議会を設置し、先月まで五回開催して、空港整備に必要な手続であるPI実施計画書の策定や、候補地の絞り込みなどを行ってきました。しかしながら、空港建設や最新の技術開発の動向などの課題については慎重に検討を進めていくとしています。
 航空路の早期開設を願う村民の中には、過去、平成八年の兄島案、平成十三年の時雨山案のとんざで、行政への不信感を強くしています。島民生活の安定のためには、小笠原航空路はぜひとも必要です。早期に課題を整理し、専門家の知見を聞くなどして航空路案を取りまとめ、航空路の開設に向けた取り組みを促進すべきであります。
 都の見解を求め、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、東京をアジアで最も魅力的な都市としていくことについてでありますが、東京はこれまでも日本の頭脳部、心臓部として、我が国を牽引してきました。その東京をより高い次元で発展させるために、環境、福祉、安全、観光など、多岐にわたり先進的な施策を展開しているつもりでございます。
 都市インフラの整備にしても、羽田のD滑走路を建設することでの国際的なハブ化や、環状道路では、文明工学的な視点を致命的に欠いた国を動かしてきたつもりであります。失態を重ねる現行の国政に対して、国民はあきらめすら感じるようになっておりますが、迷走する国政に羅針盤を示すこともまた、首都東京の役割であると思います。
 東京には、豊穣な歴史と文化に加えて、技術や人材といった日本の強みが大都市という現場によって鍛えられ、磨かれ、集中集積をしております。天はみずから助くる者のみ助くという人間社会の歴史の公理に従いまして、みずからの強みを信じ、武器にもするならば、東京はおのずと二十一世紀にふさわしい成熟を遂げることができると思います。
 ご質問にもあるように、アジアで最も魅力的な都市として世界の範となるに違いないと思います。東京が率先して変革を遂げることで、我が国の航路も切り開いていきたいと思っております。
 それにしても、東京をアジアのハブにしたいとは思いますが、国そのものがもう少しやはり強い自己主張をしないと、その努力も生きてこないんじゃないかと思います。
 次いで、東京の新たな産業の創出と育成についてでありますが、東京の産業力を強化していくためには、将来を見据えて、東京ならではの成長産業の育成を図っていく必要があります。
 東京には高度な技術力、多様な産業の集積、洗練された大きなマーケットなどの潜在能力がありまして、こうした中から、ロボットを初め、環境、健康など、今後成長が期待される産業分野での新たな取り組みが活発に行われてきております。これらの中から、他の追随を許さない画期的な技術の創出を促進していくことが必要であると思います。
 都はこれまでも、新規性の高い製品開発への支援や、産学公に金融機関を加えたネットワークの構築によりまして、将来性の高い技術の開発を支援してきました。また、先進的で高度な技術を有する企業をベンチャー技術大賞によって表彰しまして、国内外に広く紹介するとともに、成長著しいアジア市場における都内中小企業のすぐれた製品の販路開拓を支援しております。
 今後とも、成長産業の育成に積極的に取り組み、東京の産業を一層開発させていきたいと思います。
 例えば、先般、二年ぐらい前でしょうか、ベンチャー技術大賞を受けましたどこかの企業が開発した、川の上に浮かべて、このテーブルより小さい箱で、それが発電機になっていまして、川の流れを活用して、一種の水車みたいな発電をするわけですが、これは日本のような国では用途はありませんけれども、水の流れがあっても電気が来ていない途上国には非常に有効だと思うんです。日本の政府はそれを相手にしませんでしたが、先般、東芝の西田会長と会食しましたとき、その話をしましたら、東芝というのはウェスティングハウスを買収して、今世界で、とにかく最も力のある、原子力発電に関する企業ですけれども、その会長が非常に関心を示しまして、つまり自分のところは原発も外国に売りはするけれども、そういったものもぜひ扱いたいということで、早速その設計図を届けました。
 いずれにしろ、そういったものが、国が無為にほうっておくままに海外に流出して、国の利益として還元されないというのも残念なことであります。そういうものを見て、東京は東京なりの努力をしていきたいと思っております。
 次いで、新卒者の就職支援についてでありますが、長引く景気低迷の中に、新卒者の就職環境は非常に厳しい状況にありますが、これから社会に出ようとする意欲のある若者が門戸を閉ざされるようなことはあってはならないと思います。
 新卒者の雇用確保のためには経済の成長が不可欠でありまして、一義的には国の責任でありますが、この問題に対して国が適切な対応をし切れないならば、若者本人にとって不幸なだけではなく、社会的にも大きな損失となります。
 こういう中で、都はこれまで、就職先が決まっていない学生向けの合同面接会や、東京しごとセンターでのきめの細かい支援など、対策を強化してまいりました。
 中小企業は、学生の目にとまりにくい存在でありますけれども、ものづくりの魅力にあふれておりまして、例えば経団連の調査などによりますと、これは企業によってでありますけれども、その初任給の格差というのはだんだん、ほとんど見劣りしないというところまで来ているわけでありまして、企業によりますけれども、今後とも、人材確保に悩む中小企業と新卒者を結びつける取り組みを強化するなど、新卒者の就職支援を進めてまいります。
 次いで、新銀行東京の今後についてでありますが、新銀行東京は、今回の中間決算においても引き続き黒字を計上するなど、再建は着実に進んでおりまして、純資産も、追加出資の四百億円を百億円以上上回る水準を確保しております。今後とも黒字決算を継続していけば、信用度も上がりまして、現に預金もふえておりますし、その結果、セカンドステージが必ず開かれていくものと思います。
 こうした展開の前提となるものとして、新銀行東京は、現在、実質業務純益の黒字化に向けて懸命に努力をしております。新銀行東京がその企業価値を高め、着実に再建を果たすよう、都は全力を挙げて支援していきたいと思っております。
 次いで、八ッ場ダム建設事業の負担金についてでありますが、八ッ場ダムは、繰り返すまでもなく、首都圏の治水、利水にとって必要不可欠な施設であります。しかし、事業主体である国は、政権交代後、全く理由も示さずにダムの建設の中止を揚言しました。その後、検証するといいながら、何もせずに時間をかけるばかりで、一向に完成の見通しを明らかにしないために、一都五県は今年度の負担金支払いを留保しました。
 先日、関係県の知事とともに、国交大臣と会いまして、ダム本体の早期完成を求めて、検証は来年秋よりも最大限早く、かつ我々が納得のできる結論を出すように強く申し入れました。大臣は、中止の方向性には言及せず、一切の予断を待たずに検証を進めるとともに、一刻も早く結論を得られるように努めると明言しました。私たちは、これは前任者に対する配慮もあるでしょうけれども、これは建設中止を撤回したと、要するに、白紙に戻って物を考えるというスタートに立ち直したと理解しております。
 この発言は、中止の言明の撤回と解釈しておりますし、それゆえに、今年度の生活再建に係る負担金は、群馬県の地元住民の厳しい状況も踏まえまして、支払うことにしましたが、この支払いはあくまでもダム本体の完成を前提とするいわば前払いでありまして、前金を払って品物が来なければ、当然、前金は戻してもらう。これは裁判ざたになりましょうけれども、弁護士とも相談しておりますが、必ず我々が勝つはずだと思います。
 ゆえにも、絶対にあってはならない、万が一、あとわずかで完成するダムを中止するなどという場合はそういうことになると思いますし、そういうことに必ずなりますし、その限りで国の責任を徹底的に追及するわけであります。
 引き続き、関係県の知事と一致団結しまして、予定どおり平成二十七年度までに八ッ場ダムを完成するよう、国に強く求めていきます。
 東京の場合には利水あるいは治水の問題もありますが、現にゼロメートル地帯がありますし、埼玉県のごときはかなり長い距離にわたって、つまり川の水面が渇水時でもなお、住民の住んでいる地面よりも低いという状況が続いているわけでありまして、そういうことを国も強く認識して、冷静な検証をして、事業に取り組んでもらいたいと思っております。
 なお、他の質問については、教育長、技監及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童生徒等からのいじめ等の訴えを把握して対応するための取り組みについてでございます。
 学校は、児童生徒や保護者からのさまざまな悩みや相談を受けとめるよう努めておりますが、他の機関に相談したいと願う児童生徒や保護者もおりますことから、直接、他の相談機関等に相談できるシステムを構築することは必要なことであると認識しております。
 こうした認識に立って、都教育委員会では、平成十九年二月から二十四時間対応の東京都いじめ相談ホットラインを開設し、安心して学校以外の機関に相談できるよう、その電話番号を記したカードを児童生徒に配布し、周知しているところでございます。
 また、寄せられた相談につきましては、その緊急性や内容に応じて、区市町村教育委員会を経由して学校に情報提供するとともに、その対応が適切に行われているか把握し、問題解決に向けた支援を行ってまいりました。
 今後とも、都教育委員会は、こうした相談機関について各学校に周知を図るなど、児童生徒やその保護者が気軽に相談できる環境を整えてまいります。
 また、学校の問題解決の取り組み状況の一層の把握に努め、必要に応じてアドバイザリースタッフ等を派遣するなど、学校の迅速かつ適切な対応が行われるよう支援してまいります。
 次に、スクールカウンセラーについてでございます。
 スクールカウンセラーは、児童生徒の不安や悩みへのカウンセリング、子育てに関する保護者への助言、援助、また、学校における相談体制を充実させる上で、極めて重要な役割を果たすものであると認識しております。
 これまで、スクールカウンセラーの配置につきましては、お話がございましたように、平成十五年度に全公立中学校に配置したのを初め、都立高等学校及び小学校への配置の拡大を図ってきているところでございまして、こうした取り組みにより、配慮の必要な児童生徒とその保護者への対応が充実し、学校に対する信頼感が高まるなど、配置校における教育相談体制等の充実に効果を上げております。
 スクールカウンセラーの配置拡大につきましては、現在、国は平成二十三年度予算概算要求において、小学校については拡大する方向で検討していると聞いておりまして、今後、都教育委員会としては、こうした国の動向を注視しつつ、充実に向けて検討してまいります。
 次に、スクールソーシャルワーカーについてでございます。
 児童生徒の健全育成上の問題の背景には、家庭環境が影響している場合もございますことから、福祉分野における専門性などを生かし、関係機関等とのネットワークを活用して、児童生徒の問題の解決に向けた支援を行いますスクールソーシャルワーカーの果たす役割は大きいものと認識しております。スクールソーシャルワーカーの配置地区では、児童虐待が疑われるケースを児童相談所による対応につなげた事例などがございまして、大きな成果を上げております。
 こうしたことを踏まえまして、今年度、都教育委員会としては、関係機関と連携して課題解決が図られた事例などをリーフレットにまとめるなどいたしまして、広く全都に普及啓発を図っていく予定でございます。
 お話のスクールソーシャルワーカー配置の拡大につきましては、国は平成二十三年度予算概算要求において、配置地区を拡大する方向で検討していると聞いておりまして、今後、都教育委員会としては、こうした国の動向を注視しつつ、充実に向けて検討してまいります。
 次に、少人数指導のための教員加配に関する国への要望についてでございます。
 基礎学力の向上を目指し、きめ細かな指導を行っていくためには、教科等の特性に応じた多様な集団を編成できる少人数指導が有効であり、このための教員加配は不可欠であると認識しております。したがって、現在措置されている少人数指導加配の定数を三十五人学級実現のための原資に転用することのないよう、今般、国に対して重点要望を行ったところでございます。
 今後とも、区市町村と協力し、少人数指導加配の維持充実を強く要望してまいります。
 次に、公立小中学校の冷房化についてでございます。
 学校の施設設備の整備は学校の設置者が行うこととなっており、公立小中学校の冷房化については、設置者である区市町村の権限と責任において行うことが原則でございます。
 ことしの記録的猛暑により、冷房化という緊急の課題が生じ、各区市町村は限られた財源の中で、その対応に苦慮しております。市長会や町村会、市議会などからも普通教室冷房化について要望があったところでございまして、夏季における良好な教育環境が早期に確保されるよう、学校設置者に対する新たな財政支援策の検討を早急に進めてまいります。
 最後に、都立高等学校の特別教室の冷房化についてでございます。
 都教育委員会は、都立高校の暑さ対策に加えまして、生徒の学力向上を目指した夏期の補習、講習を充実させるために、平成十九年度に全都立高校の普通教室等の冷房化を実施いたしました。また、特別教室につきましては、防音性が求められる音楽室、視聴覚教室や、OA機器を設置しているパソコン室、LL室などについて、これまで計画的に冷房化を行ってまいりました。
 理科系教室や家庭科室などその他の特別教室については、普通教室と比較し利用率が低いこと、また冷房化済みの他の教室で授業を行うこともある程度可能なことから、原則として冷房化しておりませんが、教室の配置や周辺環境など配慮すべき事情がある場合には、今後とも冷房化の必要性を個別に判断し、適切に対応してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅などの用地を活用した高齢者向け賃貸住宅の整備促進についてでございますが、高齢化が急速に進行する中、住宅のハードと生活支援サービス等のソフトを組み合わせながら、高齢者が安心して暮らせる住まいを実現していくことが重要でございます。
 都では、区市町村と連携し、こうした住宅の整備促進に努めておりますが、用地の確保が課題の一つとなっております。これまでも、都営住宅の建てかえにより生み出された用地を活用し、高齢者在宅サービスセンターなどの福祉施設の整備を促進してまいりましたが、本年九月に策定した高齢者の居住安定確保プランにおきましては、新たに都営住宅などの用地を活用し、高齢者向け賃貸住宅等を整備することとしております。
 今後、都営住宅や公社住宅の建てかえにより創出した用地を活用し、地元区市や関係局とも連携しながら、多様な主体による生活支援サービスつきの高齢者向け住宅などの整備を促進し、高齢者の居住の安定確保に取り組んでまいります。
 次に、都営住宅における夜間などの問い合わせへの対応と、コミュニティ機能の支援についてでございますが、夜間や休日の問い合わせにつきましては、現在、漏水などの緊急修繕が必要な場合に電話での受け付けを行っております。近年、都営住宅において単身の高齢世帯が増加していることから、今後は、家族などからの高齢入居者に関する緊急を要する問い合わせにも対応する必要があると考えております。
 このため、夜間や休日の電話問い合わせの音声アナウンスを、これまでの修繕に加えて、こうした高齢入居者に関する問い合わせにも対応できるようにして、現地での確認が迅速に行えるようにしてまいります。さらに、自治会などにもわかりやすいよう、問い合わせ先を団地内に掲示するなどして、二十四時間三百六十五日を通じた適切な対応を行ってまいります。
 また、コミュニティ機能の支援につきましては、触れ合いの場づくりや防災活動など、自治会によるコミュニティの活性化に向けた具体案の作成に都が協力するほか、住宅使用料とともに、共用部分の電気料金などを都が直接徴収することにより、自治会の事務負担の軽減を図る支援策の試行を来年度から予定しております。このため、先月から試行の対象となる団地の募集を開始しており、年度内には対象団地を選定してまいります。
 最後に、八ッ場ダム本体の建設についてでございますが、国は昨年、一方的に八ッ場ダムの建設を中止し、その後、事業の検証方法を決めるのにことしの九月までかけ、結論を出す時期は来年秋としました。しかし、ご指摘のとおり、既に約八割まで工事が進捗しておりまして、残りわずかで完成する事業の検証にさらに一年近く費やすことは余りに遅過ぎます。
 ただいま知事からの答弁にもございましたとおり、先日、一都五県知事が国土交通大臣に強く申し入れたところ、大臣は、来年秋にこだわることなく、一刻も早く結論を得られるように努めると述べております。
 こうしたことから、今後、国は一日も早く一都五県が納得できる検証の結論を出し、そして直ちに本体工事に着工すべきであります。
 都は引き続き関係五県と連携し、予定どおり八ッ場ダムを完成させるよう、国に強く求めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 十点のご質問にお答えいたします。
 まず、ロボット産業の総合的な支援についてでありますが、ロボット産業は高い成長性と経済波及効果が期待できるため、東京都産業振興指針の中でも、都として戦略的に育成することとしております。
 都では昨年、多摩シリコンバレー形成の核となる産業分野の振興の取り組みであります都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業におけます三本柱の一つとして、ロボット産業推進機構を立ち上げました。この推進機構には、現在、多摩地域を中心に、大手企業、中小企業、首都大学東京を初めとする大学、金融機関など百四十五団体が参加し、これら団体間の人材交流や連携を促進するセミナーやイベントのほか、具体的な共同開発に向け、ロボットを組み込んだ健康福祉分野でのビジネスモデルの検討などを行っており、今後ともこうした取り組みを着実に積み重ねてまいります。
 また、ロボット技術の開発促進に向け、新製品・新技術開発助成事業等により、技術開発に必要な資金の確保をサポートするとともに、産業技術研究センターにおいて、来年五月、江東区青海に開設します新本部と多摩テクノプラザを拠点として、ロボット技術の中核をなしますメカトロニクスに関する効果的な技術支援を行ってまいります。
 これらの取り組みを総合的に実施することで、ロボット産業の研究開発を着実に支援してまいります。
 次に、ロボットの実用化と普及に向けた環境整備についてでありますが、ロボット技術のPRについては、産業交流展におきまして、昨年度は全国新エネルギー及びロボット技術・製品展示ゾーンを設け、全国の二十一の事業者の先進的なロボット技術を紹介いたしました。また、今年度は、ロボット産業推進機構のPRを行うブースを設置し、ロボットの展示や実演を行うとともに、同推進機構に参加する企業のロボット技術をわかりやすく紹介する冊子を作成し、配布いたしました。今後も積極的にロボット技術のPRを行ってまいります。
 さらに、開発した製品の普及支援について、中小企業の新製品のうち新規性の高いものを認定するとともに、その一部を購入し、使用結果を評価することで販路開拓につなげます東京都トライアル発注認定事業を活用し、都の施設への試験的な導入を積極的に検討してまいります。このような取り組みにより、ロボット産業の発展を着実に支援してまいります。
 次に、高校生に対する就職支援の強化についてであります。
 高校生の就職活動支援は、学校現場がハローワークと連携して行うことが基本でありますが、高校生の就職状況は依然として厳しく、さらなる支援が必要と認識しております。
 このため、六月に教育庁、学校関係者等と産業労働局で構成されます、高校生の就職支援に関する検討部会を新たに設置いたしまして、学校現場に対する支援策について検討いたしました。この検討結果を踏まえ、学校現場と密接に連携して、しごとセンターの模擬面接セミナー等の周知を図り、希望する生徒がサービスを利用しやすいようにする取り組みも開始しております。
 また、卒業までの就職活動を緊急に支援するため、昨年度よりも時期を前倒ししまして、来年一月に、飯田橋のしごとセンターとしごとセンター多摩に、新卒特別応援窓口を開設いたします。その窓口には、国の協力を得て、学生専門の相談員であるジョブサポーターを配置し、高校新卒者向けの求人情報提供も新たに実施いたします。こうした取り組みを着実に進め、高校新卒者が早期に就職できるよう支援してまいります。
 次に、中小企業と新卒者のミスマッチ解消に向けた取り組みについてであります。
 すぐれた業績を上げ、人材を求める中小企業は多数存在いたしますが、ご指摘のとおり、学生の大企業志向などにより、就職に当たってミスマッチが生じております。
 このため、新規学卒者等向けの合同就職面接会を実施し、多くの中小企業と新卒者が面接する機会を提供しており、去る十一月の開催に続き、来年二月には東京国際フォーラムで実施することといたしまして、現在準備を進めております。
 また、東京しごとセンターでは、中小企業についての理解を深める企業研究セミナーや、企業の採用担当者との交流会のほか、企業で就業体験を行うインターンシップなどを実施しております。これらに加え、今年度は新たに、企業が自社の特徴や職場の魅力を新卒者等に直接アピールし、交流を図る企業説明会を実施したところでありまして、来年二月にも再度開催いたします。
 また、都では、中小企業の魅力を学生に伝えるための取り組みとして、企業の現場を訪問する仕事体験ツアーを実施しているほか、去る十一月の産業交流展にあわせて開催したものづくり就職フェアでは、学生が出展企業の実情を知る魅力体験ツアー等を実施いたしました。
 今後とも多様なマッチングの機会を設けるとともに、人材を求める都内中小企業の情報を新卒者等に伝えることにより、就職につなげてまいります。
 次に、既卒者の就職支援についてでありますが、現行の雇用慣行のもとでは、既卒者の新卒採用枠への応募機会は限定されておりまして、卒業後の正社員就職が困難な状況にありますことから、国は十一月に雇用対策法に基づく青少年雇用機会確保指針を改正し、学校卒業後三年以内の既卒者の新卒採用枠での応募受け付けを事業主の努力義務といたしました。
 これを受け、都は都内の四経済団体に要請を行い、既卒者の応募受け付けにつき積極的な対応を依頼しております。
 また、十一月に開催した新規学卒者等向けの合同就職面接会には、既卒者も約四百名が参加しており、来年二月に実施します合同就職面接会におきましても、しごとセンターを通じた情報提供や広報の充実等により、既卒者の参加を促進してまいります。
 さらに、来年一月からしごとセンターに開設します新卒特別応援窓口では、学校卒業後三年以内の既卒者も新たに利用対象と位置づけ、一人一人の状況に応じたきめ細かい支援を行うとともに、国の既卒者トライアル雇用制度等も活用するなど支援を強化いたします。
 今後とも、厳しい状況に置かれている既卒者の正規雇用での早期就職を支援してまいります。
 次に、雇用創出事業における成果と正規雇用化への支援の強化についてであります。
 都は、失業者の増大に対応して、短期的なつなぎの雇用の場を提供する緊急雇用創出事業を実施し、区市町村と連携しながら、平成二十一年度までに、福祉や環境を初めとした多様な分野において約一万一千人の雇用創出など、着実な成果を上げてまいりました。
 正規雇用を拡大していくためには経済の活性化が最も重要でありますが、本事業における雇用期間が最長一年間でありますことから、雇用期間が終了した方を、正規雇用など次の仕事へつなげる取り組みも必要であります。
 このため、緊急雇用創出事業に従事する方に対して、都の就業支援策をまとめたパンフレットを定期的に配布し、東京しごとセンターで実施しているキャリアカウンセリングや就職支援セミナー、就職面接会等の積極的な活用を勧めるなど、正規雇用化に向けたきめ細かい支援を実施しております。
 また、ふるさと雇用再生特別基金事業では、失業者を正社員として受け入れた事業主に対し、採用一時金を支給しております。加えて、緊急雇用創出事業においては、本事業での雇用期間終了後に、引き続き当該企業等に正社員として雇用された事例も見られることから、今後、本事業を受託する企業等の参考になるよう、「TOKYOはたらくネット」を通じて、こうした事例について情報を発信してまいります。
 今後ともこうした取り組みを通じ、雇用創出事業に従事した方々の正規雇用化を支援してまいります。
 次に、東京ジョブコーチと障害者就労支援センターのコーディネーターとの連携についてであります。
 東京ジョブコーチは、企業や就労支援機関等の要請に基づいて事業場に赴き、個々の企業の実情に応じて職場環境の調整や作業能力向上に係る助言等の支援を実施しております。
 一方、障害者就労支援センターのコーディネーターは、障害者の方に寄り添った生活面を含めた支援を実施しております。
 現在も、ジョブコーチは必要に応じ、障害者就労支援センターのコーディネーター等と連携して企業現場での支援を実施しておりますが、今後、こうした連携を一層密にし、個々の障害者及び企業の実情に応じた雇用管理の改善を進めまして、生活面から就労定着までの効果的な支援につなげる必要がございます。このため、コーディネーター等を所管する地域の就労支援機関とジョブコーチを所管いたします東京しごと財団との間で、それぞれの取り組みについて情報交換を進めるなど、両者が一体となって連携できるよう取り組んでまいります。
 次に、中小企業における障害者雇用の促進についてであります。
 障害者雇用促進法の改正によりまして、障害者雇用納付金制度の対象が中小企業にも拡大する中で、早期に都内中小企業に対し障害者雇用の促進について働きかけていく必要がございます。
 このため、都は障害特性や雇用に当たって留意するポイント、各種制度等をまとめた、障害者雇用促進ハンドブックを作成し、配布するほか、関係局と連携した企業向け普及啓発セミナーを実施するとともに、東京しごと財団においても中小企業を対象としたセミナーを実施するなど、障害者雇用について理解を促しております。
 また、中小企業と障害者とのマッチングにつきましては、東京しごと財団を通じて、地域の就労支援機関や東京障害者職業能力開発校等と連携し、企業と障害者との出会いの場であります企業合同説明会を実施しております。
 今後は、中小企業を対象としたセミナー等において周知を進めるなど、中小企業の参加拡大に努めてまいります。これらの取り組みを通じて、中小企業におけます障害者雇用を促進してまいります。
 次に、改正貸金業法の事業者に対する影響の把握と対応についてでございます。
 本年十一月、日本貸金業協会は、六月の法改正により、個人事業者の四分の三が希望どおりの借り入れが困難となっており、そのうちの約六割は事業資金の補てんを必要としているといった内容の調査結果を取りまとめております。
 都も、貸金業に関する苦情や相談を通じまして、こうした実態を把握しておりますが、個人事業者につきましては、事業計画書等を提出することにより返済能力が確認されれば、改正法の総量規制の例外として借り入れを行うことが可能となることから、事業計画書等の作成に当たっての助言を含め、資金調達や経営に関する相談を行っております。
 引き続き、国や関係団体の調査の活用や相談事例の蓄積を行うことに加え、今後は日本貸金業協会等と連携して、資金需要者の声を直接聞くなど、改正貸金業法の影響について、より一層の把握に努めてまいります。
 最後に、新銀行東京に関するお尋ねでありますが、新銀行東京は懸命に再建を進めており、その結果、平成二十二年度中間決算において、当期利益は四・九億円となり、平成二十一年度通期に引き続き黒字を計上いたしました。
 また、新銀行東京は、本中間決算にあわせて、二十二年度通期の業績見通しについて、当期利益を五億円の黒字と公表しております。実質業務純益については、今年度末に月次で均衡、来年度には黒字化を目指すとしておりまして、これまでの経営努力を続けることにより、これらの目標の達成は可能であると考えております。
 しかし、ご指摘のとおり、新銀行東京は再建に向け重要な時期に差しかかっており、都としては、予断を許さない現在の経済、金融情勢の中にあっては、なお一層慎重なかじ取りが必要と考えております。新銀行東京がその企業価値を高め、着実に再建を果たしていくよう、都として引き続き経営の監視と支援に努めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 九点のご質問についてお答えを申し上げます。
 まず、障害者用駐車場の適正利用についてでありますが、障害者や高齢者などが駐車場を利用しやすくするためには、福祉のまちづくり条例で定める基準に沿った整備とあわせ、その適正利用を図るための取り組みが必要であります。そのため、都は多様な広報媒体を活用し、普及啓発を行うとともに、今年度から内部障害者や歩行が困難な方なども駐車できる思いやり駐車区画の整備を、区市町村包括補助事業により支援をしております。
 お話のパーキングパーミットを大都市部で導入するには、対象者の多さや駐車区画の不足などさまざまな課題がありますが、障害者用駐車施設の適正利用のための有効な方策の一つであると考えております。
 このため、都は今年度の緊急雇用創出事業を活用して、障害者用駐車施設の利用実態調査を実施し、課題を整理することといたしております。この調査結果も踏まえ、障害者用駐車施設の適正利用に係る仕組みづくりについて検討してまいります。
 次に、働く障害者が交流する仕組みについてでありますが、障害者が意欲を持って働き続けるためには、お話のように、互いに相談し、励まし合える場を提供することが有効であります。都が設置を促進している区市町村障害者就労支援センターにおいても、勤務後の居場所づくりやレクリエーションの企画、長期勤続者を対象とした表彰式の開催など、さまざまな企業で働く障害者の交流を支援する独自の取り組みがなされており、就労継続への意欲の喚起につながっていると聞いております。
 都は、こうした支援を一層充実するよう、担当者連絡会やセンター職員に対する研修などを通じて、区市町村に働きかけ、就労支援センターを中核とした障害者の交流を積極的に進めてまいります。
 次に、二十四時間地域巡回型訪問サービスについてでありますが、これは、介護保険制度の見直しに伴いまして、現在、国において議論されているサービスであり、訪問介護と訪問看護の連携により、定期的な巡回訪問に加え、利用者からの通報に応じて必要な対応を行うものであります。この仕組みにより、介護サービスと看護サービスの一体的な提供が促進され、重度の要介護者などが在宅生活を継続できるようになると見込まれております。
 現時点では、制度の詳細が明らかになっておりませんが、都は今後、国の制度設計の状況を注視しながら、介護現場の実情が十分に反映されるよう、具体的な提案要求を行ってまいります。
 次に、都有地の貸し付けについてでありますが、お話の医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル事業は、高齢者専用賃貸住宅に医療や介護の事業所を併設し、入居者に対してサービスを提供する住宅であり、高齢者の住まいのあり方を検証するために、平成二十一年度から二十三年度までの事業として創設をしたものでございます。この事業におきましては、併設する医療事業所や介護事業所の整備、緊急時対応や生活相談等基本サービスを行うためのスペースの設置などに対してのみ、整備費を補助しております。
 一方、都有地を事業者に貸し付ける都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業では、その貸付対象を介護保険法など法に基づくサービスとしております。
 民間事業者が整備する高齢者専用賃貸住宅の都有地活用につきましては、現行の法制度や住宅施策との整合性を図る必要があることから、モデル事業を検証しながら、今後十分な検討を行ってまいります。
 次に、未利用の都有地や国有地の活用についてでありますが、都は、介護保険施設などの施設整備のため、福祉インフラ整備事業により、事業者に対し未利用の都有地を減額して貸し付けを行っております。また、国有地についても、定期借地権に基づく貸付制度が開始されましたが、事業者が介護保険施設などの整備に活用しやすくなるよう、貸付料の減額について、国に対して提案要求を行っております。
 都は、今後とも地元区市町村の利用意向を十分に踏まえ、利用可能な都有地に関する情報をより迅速に区市町村に提供するとともに、国有地の一層の活用促進に向けて積極的な情報提供を行うよう、国に強く働きかけてまいります。
 次に、HTLV―1に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、抗体検査についてでありますが、国は抗体検査を妊婦健康診査の標準的な検査項目に追加するとともに、公費負担の対象としましたが、検査の実施に当たっては、母子感染等に関する母子保健や、医療の関係者への正しい知識の普及や、検査で感染が判明した妊婦に対する心身のケアなどの課題がございます。
 都は現在、区市町村や医師会等関係機関を委員とする検討会を設置し、開始時期を初め、検査に当たっての留意点や相談、ケア体制の整備などについて検討を進めております。
 今後、検討結果を踏まえ、年内にも区市町村に情報提供を行いますとともに、今年度中に母子保健や医療の関係者等に対して研修を行うなど、検査の実施に向けた必要な取り組みを進めてまいります。
 次に、HTLV―1ウイルスの総合対策についてでありますが、このウイルスは、発症した場合、お話のATLやHAMといった重篤な症状を引き起こすものの、いまだ有効な治療法が確立されておりません。
 このため、国は効果的な予防方策等の検討を行うHTLV―1特命チームを本年九月に設置をいたしました。現在、特命チームを中心に、患者や専門家を交え、正しい知識と理解の普及、予防、治療の研究開発、相談、診療体制などの総合的な対策について検討が進められております。
 都としても、特命チームの検討状況を初め、国の動向を注視するとともに、医師会等関係機関の意見も聞きながら適切に対応してまいります。
 次に、自殺対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、認知行動療法の活用についてでありますが、認知行動療法は精神疾患に対する有効な治療法の一つであり、相談機関の担当者がこの療法の考え方を習得することで、精神疾患を持つ相談者により適切に対応できることが期待されております。
 都では、認知行動療法に関する知識や活用方法等について、区市町村や保健所の保健師に対する研修の中で取り上げるとともに、企業の人事担当者などを対象としたシンポジウムでも紹介をしております。
 今後、認知行動療法について、保健師に対する研修等を一層充実するとともに、新たに自殺相談ダイヤルの相談員への研修カリキュラムに加えるなど、相談担当者の対応力の向上を図ってまいります。
 最後に、自殺に関する相談体制についてでありますが、自殺の背景には、経済、生活問題、健康問題など、さまざまな要因が複合的に絡み合っていることから、相談に当たっては、一人一人が抱えている問題にきめ細かく対応する必要がございます。
 このため、都は、本年四月に自殺に関する総合相談窓口として自殺相談ダイヤルを設置し、相談者の悩みに応じて適切な機関へつなぐことにより、問題の解決が図れるよう支援を行っております。
 お話のとおり、自殺相談ダイヤルの相談件数は増加しており、開設当初に比べて、一月当たりの相談件数は約三倍となっております。こうした状況を踏まえ、今後、自殺に関する相談支援体制の拡充に向けて検討を進めてまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 多重債務にかかわる金融ADRの活用についてでございますが、都はこれまで、消費生活総合センターにおいて多重債務相談を行い、法的手続が必要な場合には法律専門窓口に確実につなぐなど、対応してまいりました。
 本年十月から、金融分野における裁判外紛争解決手続を行う、いわゆる金融ADRがスタートし、銀行や保険などの業種ごとに、国の指定を受けた紛争解決機関が、消費者と金融機関とのトラブルについて、低廉な費用で迅速に解決する制度が整えられました。
 このため、都は引き続き、消費生活総合センターにおきまして、多重債務問題の解決に向け適切に対応していくとともに、今後、過払い金返還請求などの紛争につきましては、相談の内容に応じまして、貸金業務を取り扱う金融ADR機関を紹介するなど、積極的に連携を図ってまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、公募による指定管理者選定の競争性確保についてでございます。
 今回の選定に当たりましては、制度導入後の実績と検証を踏まえ、都の重要な施策と密接に関連する施設については、公募によらず特命により監理団体を管理者として選定できることとしました。一方、公募による選定を行う施設においては、包括外部監査の指摘などを踏まえ、競争性を確保するため、複数の施設をグループとして選定する場合の規模の見直しや、公募期間を適切に確保するなど、運用の見直しを行いました。
 今後とも都の政策との連動性など、施設の特性を踏まえつつ、公募により選定を行う場合には、地理的条件や管理コストなどを考慮したグループ規模の検証を行うなど、指定管理者選定のあり方について継続的に検討し、適宜必要な見直しを進めてまいります。
 次に、今回監理団体に特命した施設の検証でございます。
 政策との連動性が高い施設の管理運営に当たっては、その特性を十分に踏まえ、新たな視点に基づく評価を行うことが必要と認識しております。
 例えば、文化財庭園における次世代継承に向けた人づくりや、防災公園における発災時の迅速かつ機動的な初動体制の構築など、政策目的の実現のため管理者が取り組むべき事項を新たに評価項目として設定をいたします。さらに、これまでの単年度ごとの評価にとどまらず、指定期間全体の事業計画における進捗度を評価し、その結果を次年度以降の施設運営に反映するなどの手法を導入いたします。
 こうした取り組みを通じて、特命選定を受けた監理団体がその役割を十全に発揮しているかを検証し、都民に対する説明責任を果たしてまいります。
 最後に、小笠原航空路の開設に向けた取り組みについてでございます。
 小笠原諸島への交通アクセスの改善は、島民生活の安定と産業振興を図る上で極めて重要でございます。
 一方、航空路の開設には、自然環境への影響、費用対効果、運航採算性、安全性の確保など多くの課題があります。そのため、現在、航空路開設に必要な手続であるPIの実施に向け、都と小笠原村で構成する小笠原航空路協議会において課題の検討を行っており、先月開催した協議会では、気象・海象観測調査結果をもとに、空港整備に与える影響について議論をいたしました。
 今後とも、小笠原特有の動植物への影響や、最新の航空機材の技術開発動向などについて、専門家の知見も活用し、積極的に課題を整理していくことが重要であると考えております。
 引き続き、自然環境との調和に十分配慮した航空路の開設について検討を進めてまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) スーパー堤防についてでございますが、スーパー堤防には、都が実施するものと、国の直轄事業がございます。国の事業は、直轄河川において、計画を超える洪水に対しても、水流により堤防本体が壊れることがないよう、河川の背後に奥行き最大三百メートル程度の堤防を整備するものであり、現在、都内では荒川、江戸川、多摩川で事業中でありますが、本年十月の事業仕分けにおいて、一たん廃止との判断を受けました。
 都としては、スーパー堤防は水害から都民を守り、東京の都市づくりを進めていく上で極めて重要な事業と認識しており、十一月に国土交通省に対し事業の継続を強く申し入れたところでございます。
 お話の四百年というのは、全国のスーパー堤防の完成までの期間を単純に試算したものであります。堤防事業は、河川ごとにその整備効果を考慮する必要があると考えておりまして、特に東部低地帯は、過去にたびたび水害に見舞われ、安全性の確保が強く求められていることから、重点的に整備を進める必要があり、今後とも引き続き事業推進を求めてまいります。
 一方、都のスーパー堤防は、隅田川や中川などの既に高潮防潮堤の高さが確保されている河川において、防潮堤の耐震対策に加え、良好な景観の形成、親水性の向上を目的とし、民間開発などと一体的に整備するもので、奥行き最大六十メートル程度の盛り土を行うものでございます。例えば、隅田川では、市街地整備事業を実施した大川端や白鬚西地区など、既に堤防延長の約三割の区間が完成しております。
 引き続き、都はこの事業を着実に実施し、安全でにぎわいのある東京の都市づくりを進めてまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 十五番畔上三和子さん。
   〔十五番畔上三和子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○十五番(畔上三和子君) 私は、日本共産党都議団を代表して質問いたします。
 まず、築地市場についてです。
 知事が所信表明の冒頭で、築地市場の豊洲移転を強権的に推進する立場を表明したことは、都民と都議会の意思を踏みにじるもので、断じて許されません。つい最近も、東京魚市場卸協同組合の総代選挙では、移転に反対する人たちが多数になったではありませんか。専門家や市場関係者の多くが、都の土壌汚染対策に不信を抱き、豊洲移転に反対しているのです。
 もともと有害物質で汚染された豊洲の東京ガス跡地は、市場用地としては検討に値しません。その上、豊洲の土壌処理対策は科学的裏づけに乏しい欠陥対策であり、適用実験もごまかしに満ちたものです。実際、我が党の事実を示した批判に対し、まともな答弁はできなかったではありませんか。知事、権威ある学者のお墨つきをひたすら振りかざすのでは都民は納得しません。知事、どうですか。
 さらに、これまでの調査結果及び今後進める汚染処理工事設計については、情報を全面公開し、環境学会など専門家の検証を受けるべきです。そもそも都が不十分ながら有楽町層までの土壌汚染のボーリング調査をしたのは、敷地全体の三分の一にすぎません。しかも、ほとんどの地点が、ベンゼンやシアンなど一種類ずつの調査でしかありません。有楽町層より深いところは全く調査されていません。
 このため、汚染が広範囲に隠されている可能性が強く、今後、有楽町層の下までくいを打ち込む工事などで地中深くの土壌が掘削されるなら、汚染が拡散する危険が濃厚です。どうですか。
 先ほども知事は、築地市場の老朽化を豊洲移転の理由にしていますが、天につばするものです。この十二年間、業者の声を聞かずに耐震改修、メンテナンスを怠ってきたのは、知事、あなたではありませんか。知事が市場問題で何をおいてもやるべきことは、老朽化対策、耐震化を怠ってきたことを反省し、緊急対策を講ずることです。
 知事は、このままだと業者はじり貧になるともいっていますが、その原因は何より、競り原則取引廃止などを進めてきた国と都にあるのです。豊洲新市場化計画は、大手量販店などの物流センター化するものであり、移転を強行すれば、仲卸業者は大手企業の下請と化す危険が強まります。公正な価格形成に欠かせない競り売りを初め、市場本来の機能を取り戻すことや、仲卸業者への十分な経済的支援を行うことで、都民も業者も安心できる卸売市場づくりに転換することこそ求められているのです。どうですか。
 現在地再整備については議論が尽くされていません。我が党は、過大な施設計画の見直し、都負担による整備、仮移転の場合の費用負担などによって、業者が合意できる、よりよい現在地再整備計画を、都自身の責任でつくることを重ねて求めますが、答弁を求めます。
 さて、都民の暮らし、雇用がますます深刻化しており、この事態を打開することが、都政にとって最重要課題です。ところが、知事は所信表明で、首都東京の政治家の使命を果たすなどと述べたにもかかわらず、今議会に補正予算も組まず、所信表明でも見るべき具体策を示しませんでした。都民は、なぜ知事は私たちの暮らしを顧みてくれないのかと失望しています。私は、今こそ知事が政治家としてのあり方を正し、都民の痛みに思いを寄せることが必要だと思います。
 その一つが、知事の海外出張です。
 前回の都知事選のとき、知事の豪華海外出張に対する都民の批判の声が高まったため、知事は、説明不足だった、反省していると述べざるを得ませんでした。
 ところがどうでしょうか。私は改めて知事選後の海外出張を調べて驚きました。知事はこれまでみずからの海外出張に、わかっている二十八回分だけでも四億六千六百万円以上の税金を使いましたが、反省したはずの今期になってからはどうかといえば、今期の海外出張は既に十三回を数え、使った税金は二億二百万円を超えています。昨年度の決算を調べたら実に一億五千万円、予算の四倍も使っているではありませんか。まさに予算の枠などどこ吹く風です。
 その中身もひどいものです。宿泊費は条例で定められた上限額などあってないごときであり、一泊十万円を超える宿泊費は当たり前で、北京オリンピック開会式に参加したときは、夫人とともに一泊二十四万円もするデラックスルームに宿泊しています。ローザンヌ出張のときは、昼食を食べるためにわざわざ新幹線で美食の都リヨンに寄り道をする。シンガポール出張では、空港からわずか二十分から三十分の移動のために一日二十四万円も払い、ガイドには一時間一万六千円の時給を払うといったぐあいです。
 その一方で、都民に対してはどういうことをやっているでしょうか。
 聴覚障害者のための要約筆記者派遣事業三百五十五万円や、お年寄りの孤独をいやす高齢者安心電話事業九百六十万円という、予算額はわずかでも大切な役割を果たしてきた福祉の事業を無慈悲に廃止するなどということが常態化しているではありませんか。
 知事、みずからの税金のむだ遣いをどう認識しているのですか。むだ遣いを今こそ改め、税金を都民のためにこそ使うべきだと思いますが、どうですか。
 雇用対策はどうでしょうか。失業率は高どまりし、派遣労働者など非正規切りが今も続き、高校生、大学生の就職は超氷河期という深刻な状況から見れば極めて不十分です。
 この問題でも知事の基本姿勢が厳しく問われています。例えば、幾つかの府県では知事みずからが乗り出して雇用をふやそうとしているのに、石原知事にはそうした姿勢は見られません。知事、あなたは、雇用をめぐる深刻な実態をどう認識しているのですか。東京の知事として、都民の雇用拡大にどう責任を持つのですか。知事自身が経済団体や大企業に対し、雇用拡大を求めるべきではないですか。答弁を求めます。
 ある中小企業団体のアンケートでは、二割以上が人手が足りないと答えています。都内で行われた大学連携の合同面接会に参加した多くの学生が、インターンシップを利用し、現場実習を通じて、正社員として採用されたといいます。七十社落ちた学生がこの取り組みで就職できた例も聞きました。中小企業も大学も、こうした制度の拡充を求めています。都として、受け入れ企業への財政支援や受け入れ中小企業の開拓などを行うことを提案します。
 知事は、都は先駆的な総合対策をやっているから、場当たり的な派遣村には協力しないなどといっていますが、とんでもない認識です。今のままでは、ことしも年越し派遣村が必要になることは明らかです。知事のいう総合対策は要件が厳しく、貸付中心で活用しにくいものです。抜本的に改善、拡充することこそ必要です。どうでしょうか。
 派遣切りなどで住居を失った人の場合は、本当に深刻です。緊急の住まいの確保のために、多くの県や市では公営住宅を提供しています。都も、都営住宅の提供をチャレンジ介護に限定せず、必要な人に提供すべきです。さらに民間アパートの借り上げを拡大することを求めます。
 中小企業の資金繰りへの緊急支援も強化すべきです。都が年末に円高対策を実施することは重要ですが、限られた支援です。緊急保証については都の上乗せ助成を行い、信用保証料の補助や、金利の引き下げや、返済を十五年に引き延ばす措置を講ずるとともに、債務の返済条件の変更を行った業者にも柔軟に対応し、新たな融資ができるようにすることが必要です。
 都が実施する緊急雇用創出事業は、短期雇用が中心です。しかし、多くの労働者の願いは、期間の定めのない、賃金の安定した正社員です。都は、正規雇用の拡大にこそ総力を挙げるべきです。
 そのためには、東京の雇用の七五%を占める中小企業への支援と雇用創出を一体で進めることが重要ですが、いかがですか。
 具体的な二つの提案を行います。
 第一に、特定分野で強みを持つ企業のさらなる技術力の高度化、強化、販路拡大をすることで、ニッチトップ企業、すなわちこれまで目をつけられなかった分野に取り組む先端企業などを育成し、雇用機会の拡大をセットで進め、事業者への支援を強めることです。既に幾つかの県ではこうした取り組みが始まっていますが、東京でも、大田区などの企業が持っている技術力、製品開発力を生かした新産業、新製品などが生み出されつつあります。こうしたものづくりに光を当て、都の資金援助によって、中小企業の事業発展と雇用創出を一体で進めることです。
 第二に、製品開発、売り上げの向上などを計画している中小企業に対して、資金の助成、専門家の派遣、低利融資などの支援をすることです。それぞれお答えください。
 全国で百六十余りの自治体に広がった住宅リフォームへの補助金制度は、建設業者など仕事が大幅にふえ、雇用拡大につながっています。都として住宅リフォームなどの助成制度の創設を求めるものです。
 暮らしの問題では、国民健康保険加入者の負担を軽減することが差し迫った課題です。区市町村国保は、そもそも高齢者や失業者など多くの低所得者が加入するものですから、手厚い公費の投入がなければ成り立ちません。しかし、国は、八四年には約五〇%だった国庫負担を二五%にまで減らしました。特別区国保については、かつては、都が財源不足額を補てんしていたため、全国で保険料が一番安かったのに、石原知事のもとで都からの財政支援を大幅に減らしたために、一人当たりの保険料は、政令市で比べると八番目という高さになってしまいました。
 国保料の滞納率は過去最高となり、二十三区だけで約十三万七千世帯が正規の保険証を取り上げられています。医療団体の調査では、保険証がなくて、自営業、無職、非正規などの方々が我慢に我慢を重ね、受診したときには手おくれで死に至ったと報告された事例が、昨年一年で三十七件に上ります。
 厚生労働省は、国民健康保険について、現在の区市町村単位から都道府県単位に広域化する方針を示しましたが、国や都、区市町村の公費負担はほとんどふやさないものです。しかも、区市町村の一般財源の投入を抑える方向です。これでは、都民の負担はますます大きくなり、困難に拍車をかけることは必至です。
 このような広域化には反対であることを国にはっきり表明すべきですが、どうですか。
 こうした中で、二十三区では、来年度から保険料計算の方法を変更しようとしています。もしこの変更が実施されると、低所得者、ひとり親世帯、障害者がいる世帯などが保険料値上げになるのです。激変緩和措置がとられたとしても、低所得者などの負担増の仕組みに変わりはありません。国に対し、国庫負担をふやすよう求めるとともに、都は区市町村への財政支援を思い切って強め、値上げを防ぐべきです。どうですか。
 ことし、文部科学省はようやく四十人学級を見直し、学級規模を小さくする方針を公式に採用しました。小学一、二年生は三十人学級、小学三年生から中学校までは三十五人学級とするための教職員定数の改善計画を策定し、来年度から順次進めるとしています。我が党は一貫して三十人学級を提案してきた党として、前進と評価しています。
 少人数学級を進める立場に立った文科省の方針を都としてどう受けとめていますか。都独自にでも本格的に少人数学級の実施に踏み出すことを求めますが、それぞれ見解を求めます。
 小中学校の普通教室の冷房化は待ったなしです。都自身の調査でも、設置率は二十三区で九六%となる一方、市町村は二二・五%と、格差は歴然としています。都の調査は、今後の施策に生かすためとしているのですから、どう生かすのか明らかにしてください。
 都として、市町村立小中学校普通教室の冷房化推進へ、財政支援を直ちに実施することを求めますが、見解を伺います。
 都政には、雇用や福祉、教育など、都民要求を実現できる財源はあるし、ふやすこともできます。何よりも、オリンピック招致の名目で三本もの環状高速道路の建設を一気に進め、一メートル一億円も外環道建設にかけるなどという巨大開発推進を最重点にした予算の使い方を見直すことです。
 オリンピック基金四千億円は、都民の暮らしと雇用、福祉、食の安全の確保などに計画的に使うべきです。見解を求めます。
 同時に、都税収入を確保することが重要です。この点で、政府税調で法人税率減税に向けた議論がにわかに具体化していることは見過ごせません。これまで法人税や法人事業税の税率の引き下げを中心とした税制改定が何度も行われてきたことによって、都の法人二税は大きく落ち込んでいるのです。この十数年間の初年度ベースの影響額を積み重ねただけで、東京都は八千億円以上の減収になっているのです。
 また、法人事業税の一部国税化という不当な措置でも三千二百五十億円もの減収になります。その上、今後、経済産業省が主張する方向で法人実効税率の引き下げが行われれば、都は、実に年間五千百億円もの減収が加わるのです。知事、それでもいいというのでしょうか。政府に対し、法人税引き下げ反対の立場をきっぱりと表明すべきです。
 また、国の法人事業税吸い上げを即刻やめさせ、これまでの分も取り戻すべきです。それぞれ見解を伺います。
 さらに、都民のための財源を確保するために、引き下げられてきた大企業に対する法人事業税の超過課税の税率を上限まで引き上げることを求めますが、見解を伺います。
 最後に、青少年健全育成条例の改定案についてです。
 前回の改定案は、広範な都民、国民の皆さんと、漫画家、作家、出版界、そして法曹界などからも強い反対の声が上がり、否決されました。今回、再び提出された改定案は、行政による恣意的な判断によって図書規制の対象を拡大し、創作活動の萎縮をもたらす危険、インターネットや携帯電話について、家庭教育に行政が介入する危険が強く、前回案と本質的に変わらないものです。現に知事自身が、実質的には前と同じと発言しているではありませんか。
 知事、多くの批判を浴びた問題点を反省していないのですか。議会が否決したものと実質的に同じ条例案を再び出すのは、都民と議会の意思を無視するということではないですか。
 さらに、今回の改定案では、規制の基準に刑罰法規を持ち込んだために、青少年健全育成条例のいわゆる淫行処罰規定までが適用され、青少年の性や愛を描いた作品がどこまで規制されるのかわからなくなります。また、不当に誇張した描写という規制基準も、漫画表現を強く萎縮させることになります。これでは、創作表現活動を前回改定案以上に抑制することになるではありませんか。
 知事は、表現を拘束するわけではない、目に触れないところに置けといっているだけだと発言しました。しかし、漫画家の皆さんは反対表明で、新たな規制により作品が一般の販売場所から撤去されるのではないかと心配すること自体が創作活動の萎縮につながるんだと訴えています。新聞の社説も、産業でもある漫画は、流通にかかる圧力が表現にはね返りやすいと指摘しています。だからこそ、作者も読者も強く反対しているのです。
 そもそも表現の自由には、発表、出版の自由の保障が不可欠です。知事の見解を伺います。
 知事は、所信表明で、目に触れさせてはならない漫画が店頭に置かれている状況の改善は猶予は許されないと強調されました。しかし、日本PTA全国協議会が実施したアンケートでも、父母が望んでいるのは自主規制が第一で、有害図書等の範囲を現状より拡大するは最下位でした。規制第一ではなく、中高校生が自分で考え、判断する力をいかに培うかにこそ力を注ぐべきではありませんか。
 今回の改定案に対し、日本漫画家協会、日本ペンクラブ、出版倫理協議会、日本弁護士連合会を初め、広範な皆さんがこぞって反対しています。先ほど、知事は反対している方々を、わけのわからぬ反対をしているやからと発言しましたが、とんでもない暴言です。撤回すべきです。知事、反対の声を真摯に受けとめ、改定案は取り下げるべきです。
 知事の答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 畔上三和子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、築地市場の豊洲移転についてでありますが、築地市場は施設の老朽化がきわまり、市場業者の経営環境の厳しさも増しております。現在地再整備についてはかつて試みられましたが、とんざして終わりました。
 今回、議会みずからが行った再検討の中でも、十数年かかるという致命的な事実が明らかとなりまして、選択肢たり得ないことは明白であります。
 にもかかわらず、議会としての結論は、先の展望も示されぬままに先送りをされました。業界団体の大多数も早期の豊洲移転を望んでおりまして、現場に先の見えぬ状態のまま、それを待つ不安、焦燥、混乱を強い続けるわけにはいきません。
 豊洲の移転予定地の土壌汚染対策については、我が国最高権威の学者の方々の英知もおかりして、日本のすぐれた先端技術を活用した汚染除去手法を編み出しました。現地での実験も済ませておりまして、汚染を克服できることが科学的なデータによっても証明されております。
 世界に誇る日本の先端技術を、それを開発した日本人が信用しないで一体どうするんでしょうかね。この技術を駆使することで、市場用地としての安全・安心の確保は十分に可能であります。
 現実を直視し、この問題の二十五年以上にわたる経緯、都民、国民生活への影響、財政面などもあわせて総合的に判断し、首都圏三千三百万人の食生活を支える新しい拠点市場を整備するために、豊洲移転を決断したものであります。
 次いで、雇用についてでありますが、高どまりする失業率や、大学生の就職内定率の悪化など、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。雇用拡大には、国が実効性のある経済対策を進めていくことが本質的な処方せんであります。
 都はこれまでも、切れ目のない雇用の創出や職業訓練の拡充、就業支援の充実など、さまざまな雇用対策に積極的に取り組んでいるほか、都内経済団体に対し、新卒者を初めとする雇用の拡大要請をきめ細かく行っております。
 今後とも必要な施策を時期を逸することなく、重層的に実施してまいります。
 次いで、青少年健全育成条例の改正案の提案についてでありますが、大人の責任で子どもたちを守っていくという条例改正のねらいは、今回の改正案においても変わっていません。
 あなたはどういう家庭か知らぬけど、自分の子どもにあんなものを読ませられるんですか。(発言する者あり)これまでの議会での議論や、関係各方面の意見などを踏まえ、わかりやすく明確に改めて提案したものでありまして、都民と議会の意思を無視するようなものでは毛頭ありません。
 この改正案は、インターネットや図書類に関する環境を改善するためのものでありまして、子どもを守るためにぜひとも必要であります。改正案の取り下げは全く考えておりません。
 他の質問については、教育長及び技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、少人数学級に関する文部科学省の方針についてでございます。
 都教育委員会は、小一問題及び中一ギャップに確実に対応し、教員が子どもと向き合う環境をつくるために、教員を加配して学級規模の縮小も可能とするなどの施策を平成二十二年度から講じております。この施策の実施に当たりましては、四十人学級のメリット、すなわち生活集団としての学級の教育効果、切磋琢磨による社会的適応能力の育成について十分配慮しており、学級編制基準の四十人は変更しておりません。
 都教育委員会は、学習指導や生活指導の両面から、児童生徒一人一人の特性を十分理解し、個に応じた指導を行う必要がございますことから、これまでも国に対して教職員定数を一層充実すべき旨の提案要求を行っており、引き続き国の動向を注視してまいります。
 次に、少人数学級の実施についてでございますが、都教育委員会は従来から、学級の生活集団としての教育効果を考えた場合、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定規模が必要であると考えているところでございます。
 次に、公立小中学校の冷房化に関する調査についてでございますが、この調査は、都内公立小中学校の冷房化の現状について把握し、今後の施策の検討に生かすために実施したものでございます。
 次に、公立小中学校普通教室の冷房化についてでございます。
 学校の施設設備の整備は、学校の設置者が行うこととなっており、公立小中学校の冷房化については、設置者である区市町村の権限と責任において行うことが原則でございます。
 ことしの記録的猛暑により、冷房化という緊急の課題が生じ、各区市町村は限られた財源の中でその対応に苦慮しております。
 こうした状況を踏まえて、良好な教育環境の確保を目的として、学校設置者に対する財政支援策を検討してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、離職者に対する都営住宅の提供についてでございますが、現在、離職者のうち、介護職への就労支援事業の対象となった方の一時住宅として、都営住宅を十戸提供しております。都営住宅は応募倍率が高く、恒常的な空き家がないことに加え、高齢者や障害者などの入居希望者も多数いることから、単に離職者という理由だけで都営住宅を提供することは極めて困難でございます。
 次に、住宅リフォームについてでございますが、都は良質な住宅ストックの形成のため、消費者向けには、住宅リフォーム相談窓口の設置やガイドブックの作成、事業者向けには、事業者行動基準の作成や講習会の支援などを行っております。
 また、マンション共用部分を対象とした改良工事への助成を行うなど、既にまちづくりの観点から必要な対策を適切に実施していると考えております。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、土壌汚染対策の情報公開や専門家による検証についてでございます。
 これまでも、土壌汚染対策に関するすべての調査結果、会議の資料や報告書、実験データ等につきましてはプレス発表し、適宜記者会見も行った上で、ホームページ上で公表しております。
 また、詳細設計や今後進める対策工事につきましては、必要に応じ、技術会議委員など、専門家に内容を確認しながら進めていくこととしております。
 今後とも、環境影響評価の地元説明会などでわかりやすく説明し、質問には丁寧に回答していくなど、きめ細かな情報提供を行い、市場関係者や都民の信頼と安心が得られるように努めてまいります。
 次に、土壌汚染の拡散についてです。
 豊洲新市場予定地における汚染状況につきましては、十メートル区画で敷地全域の表層土壌調査と地下水調査を行い、さらに、汚染が確認された地点で深度方向に調査を行うことで、汚染の全容を確実に把握してございます。土壌汚染対策につきましては、こうした調査結果に基づきまして、操業に由来する土壌や地下水の汚染物質をすべて除去した後、液状化対策などを行ってまいります。
 市場施設のくい打ち工事につきましては、このように汚染物質をすべて除去した後に行うことに加えまして、通常、打ち込んだくいは周辺の粘性土と密着しているのが普通であるとの見解を技術会議の委員から得ており、汚染を拡散させることはないと考えてございます。
 次に、築地市場の施設の老朽化についてです。
 築地市場は、開場から既に七十五年を経過しており、築四十年以上の建物が五割を超えるなど老朽化が著しく、市場機能を維持するには限界があります。また、平成八年度以降行いました場内施設の耐震診断におきまして、十分な耐震性を有しない施設が十棟あることが判明してございます。このため、築地市場では毎年約二百件、金額にして二億円以上の修繕工事を継続して実施してきておりまして、この十二年間の合計では三十億円を超え、他の市場と比較しても格別に多い額となってございます。
 また、耐震改修工事も耐震診断後、順次実施してきておりまして、その結果、四棟の耐震性が確保され、三棟は耐震性が向上し、残る三棟につきましても、現在、市場業者と工事の調整中でございます。
 このように、都は、築地市場の老朽化対策、耐震化に最大限努めてきておりまして、緊急対策を怠ってきたというご指摘は当たらないと考えてございます。
 次に、都民も業者も安心できる卸売市場づくりへの転換についてでございます。
 築地市場における取扱量の減少や、経済不況に伴う市場業者の経営悪化という状況のもとで、都は、市場関係者が差別的な取り扱いを受けることなく、公正、効率的な取引の機会を確保し、公正な価格形成が実現できるよう、条例に基づきまして、取引の監視指導を行っております。
 また、経営に苦しむ市場業者に対しましては、きめ細かな財務検査ですとか経営改善指導、新規の事業展開を行う際の補助制度の創設など、経営基盤の強化に向けてさまざまな支援を行ってございます。
 しかしながら、都民や市場業者が安心できる卸売市場とするためには、ソフト面の対応では限界があり、豊洲新市場への移転によりまして、施設の老朽化、狭隘化等の課題を解決し、品質管理の高度化や加工等の新たな顧客のニーズの機能を加えるなど、抜本的な対策が不可欠であります。
 最後は、築地市場の現在地再整備計画についてです。
 先ほど知事がご答弁しましたとおり、この問題の二十五年以上にわたる経緯、都民、国民生活への影響、財政面などもあわせて総合的に判断し、豊洲移転を決断したものでありまして、都として現在地再整備計画をつくる考えはありません。
 築地市場は、施設の老朽化が限界に達しており、市場業者の経営環境も極めて厳しい状況に置かれてございます。
 現在地再整備につきましては、過去四百億円を投じ、工事を推進いたしましたが、営業への深刻な影響などからとんざしました。今回、議会みずから行った再検討の中でも、十数年かかる致命的な事実が明らかとなってございます。
 今後、都は、首都圏三千三百万人の食生活を支える豊洲新市場の整備に全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

○知事本局長(秋山俊行君) 知事の海外出張の経費についてでございますけれども、知事の海外出張は、いずれも都市外交を初め都政の重要課題に対応するものや政策実現のために必要な出張であることに加えて、適正な手続も経ていることから、支出は妥当なものであり、むだ遣いとの指摘は当たらないものと考えております。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 五点の質問にお答えいたします。
 インターンシップ受け入れ企業への支援や企業開拓についてでありますが、都は東京しごとセンターにおいて、企業での就業体験を行うインターンシップを実施しており、受け入れ企業に対しては、実習に伴う費用の一部を負担しております。また、インターンシップの受け入れ等に協力の意思のある若者ジョブサポーター企業の募集を行っており、現在、四百社を超える登録がございます。
 国においても、新卒者の厳しい就職環境を受け、新卒インターンシップ事業やトライアル雇用事業等を実施しております。
 引き続き、企業にこうした事業の周知を図るとともに、インターンシップ制度の利用を促進してまいります。
 次に、中小企業に対する資金繰り支援についてですが、都は平成二十年十月から、国の緊急保証制度に対応し、制度融資の最優遇金利を適用した融資メニューである経営緊急を実施しております。融資期間は、国が定める期間の上限である十年としており、特に小規模企業者に対しては保証料の二分の一を補助するという、都独自の対応を行っております。
 今回の円高に対しても、この経営緊急に加え、制度融資のメニューを拡充し、既に対応しております。
 次に、保証審査は、経営内容や事業の将来性、返済能力など、企業の経営実態を勘案して行われており、中小企業の運転資金の確保や既往債務の借りかえによる返済負担の軽減に利用されております。
 なお、条件変更について、国は、条件変更を行ったことのみをもって直ちに保証対象外となるわけではなく、保証協会において個々の実情に応じて判断するとしております。
 次いで、正規雇用の拡大に向けた中小企業への支援についてでありますが、緊急雇用創出事業は、失業者の増大に対応するため、臨時的なつなぎの雇用の場を提供するものであり、正規雇用を拡大していくためには、国が実効性ある経済対策を進め、雇用の創出につなげていくことが不可欠であります。
 都は、正規雇用の拡大に向けて、安定的な雇用機会の創出を図るふるさと雇用再生特別基金事業や、就職氷河期世代の正社員化を支援するネクストジョブ事業を既に実施しております。これらの事業で正社員として受け入れた企業等には、採用助成金を支給するなどの支援を実施しております。
 今後とも、雇用情勢を踏まえ、こうした取り組みを通じ、中小企業における正規雇用化を支援してまいります。
 次に、都の資金援助による中小企業の事業発展と雇用創出についてでありますが、都は既に、中小企業が行う新製品や新技術の開発に対し、経費の一部を助成する新製品・新技術開発助成事業など、各種の制度を整備し、支援を行っております。
 最後に、中小企業の製品開発などへの支援についてでありますが、都は既に、中小企業が行う新製品や新技術の開発などに対し、経費の一部を助成する制度を整備して支援を行っております。
 また、東京都中小企業振興公社で、中小企業からの依頼により専門家を派遣し、相談に応じております。
 さらに、都の制度融資では、新製品や新技術の開発などに取り組む中小企業を、最優遇金利が適用される産業力強化融資の対象としているところでございます。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 四点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、低所得者、離職者対策についてでありますが、都は、生活安定化総合対策事業におきまして、貸し付けのみならず、生活費の支給と一体となった職業訓練を実施するほか、きめ細かな生活、就労、住宅相談を行うなど、重層的な支援を行ってまいりました。
 これまで四千人以上の方が職業訓練を受講し、そのうち千人以上の方が生活資金の貸し付けを受けております。また、二千人以上の住居喪失不安定就労者などが、個々の状況に応じた支援を受けるなど、既に多くの方が利用しており、活用しにくいという批判は全く当たらないものと考えております。
 次に、緊急の住まい確保のための民間アパート借り上げについてでありますが、都は、住居を失った離職者等に対する介護人材育成支援事業や、ホームレスの自立支援システムの中で必要な民間住宅を確保し、活用いたしております。
 次に、国民健康保険の広域化についてでありますが、国民健康保険制度の見直しに当たっては、その構造的問題から生じる医療保険制度間における保険料負担の不公平や財政運営上の課題等につきまして、抜本的な解決策を講じるよう、既に国に提案要求を行っております。
 最後に、国民健康保険料についてでありますが、保険料の算定方式は、保険者である特別区がみずから定めるものでございます。
 都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき、各保険者に対する財政支援を行っております。今回の算定方式の変更に伴い、都として新たな財政支援を行うことや、国に対して国庫負担をふやすよう求めることは考えておりません。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
 まず、予算の使い方についてでありますが、外環道を初めとする都市インフラの整備は、渋滞の解消など、都民の利便性の向上だけでなく、国際競争力を高め、東京の活力を維持する上で不可欠な取り組みであることから、着実に進めていく必要があるものと考えております。
 今後とも必要な都市インフラの整備に対し、引き続き適切に財源を振り向けてまいります。
 次に、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金についてでありますが、この基金の取り扱いにつきましては、オリンピック・パラリンピック再挑戦についての今後の論議などを見定めつつ、適切に対応してまいります。
 なお、これまでも都は、福祉や医療、教育はもとより、雇用環境や中小企業に対する施策、都市機能の充実など、都民にとって必要な施策を着実に実施しているところであります。
 最後に、法人関係税についてでありますが、今後、法人実効税率の引き下げが実施されれば、地方財政、とりわけ都財政において大きな減収となるおそれもあることから、国が国家戦略として実効税率の引き下げを行うとしても、地方の行政サービスに影響を与えないよう十分な配慮を行うべきであると考えておりまして、都は従来からこうした立場を明らかにしております。
 また、法人事業税の不合理な暫定措置につきましては、これまでも、都は即時撤廃を求めてきたところであり、一日も早く地方税として復元するよう、国に対し引き続き強く働きかけてまいります。
   〔主税局長荒川満君登壇〕

○主税局長(荒川満君) 法人事業税の税率の引き上げについてでございますが、法人事業税における超過課税の税率は、地方の課税自主権に基づき、標準税率の一・二倍までの範囲で、条例により独自に定めることができることとされております。
 都においては、大都市特有の財政需要に対応するため、資本金等の額が一億円を超える法人に対して、標準税率の一・〇五倍相当の税率を定め、特別の負担を求めているところでございます。
 税率の再引き上げにつきましては、現在の我が国の経済情勢や法人の国際競争力等の状況を踏まえると適当でないと考えます。
   〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、創作表現活動への影響についてであります。
 いわゆる淫行処罰規定も含め、刑罰法規は社会生活において違反しないように努めるべき、最も明確で社会的合意の確立した規範であり、対象が不明確との指摘は当たらないと考えます。
 また、不当に誇張するように描写とは、例えば強姦の場面を全編大部分にわたり、必要以上に延々と微に入り細に入り描いたり、執拗に反復して描いたりし、そのため、読み手である青少年のこれらの性交等に対する抵抗感を弱めてしまうようなものであり、漫画において当然に伴う誇張的な描写、いわゆるデフォルメ一般について述べているものではありません。したがって、創作表現活動を抑制するようなものではありません。
 次に、発表、出版の自由についてでございますが、条例が定める仕組みは、青少年の健全な育成を妨げるおそれのある図書類を青少年の目に触れないよう区分陳列することであって、漫画等の発表の場をなくしたり出版できなくしたりするものでは全くありません。
 また、同種の仕組みは、長野を除くすべての道府県の条例に規定されており、岐阜県の同種条例に係る最高裁判決においては、このような仕組みについて、憲法第二十一条第一項に違反するものではないと判示しています。
 この区分陳列の仕組みは、条例制定以来、五十年近く第三者機関である青少年健全育成審議会への諮問などの慎重な手続を経て運用されており、今回の改正によってもこの慎重な運用に変わるところはございません。
 最後に、中高生の判断能力の形成についてであります。
 まず、ご指摘のアンケートは、全国のPTAとしての図書類に関する取り組みのあり方についての設問であって、そもそも東京都の条例改正について尋ねたものではありません。
 他方、今回の条例改正については、都内の多くのPTA関係団体から条例成立に向けた要望をいただいています。
 なお、都以外の道府県では、性的描写の分量による基準に沿って区分陳列の対象を図書類販売業者が判断する包括指定制度を導入しており、これらの道府県の保護者を含めたアンケートにおいて、業者による自主規制の徹底や強化を望む声が多いのは当然であります。
 さらに、このアンケートは複数回答であり、ご指摘の有害図書の範囲の拡大を求める回答のみならず、条例による規制を求める回答も含めると三六・二%に上るものであります。
 中高校生が自分で考え、判断する力を培うことは重要ですが、その力が培われる前に、大人が知らないところでその判断能力の形成を妨げるおそれのある図書類に触れないようにするため、条例改正を提案するものであります。
   〔十五番畔上三和子君登壇〕

○十五番(畔上三和子君) まず、青少年条例問題について、知事に二問、再質問します。
 第一に、知事は記者会見で、わけのわからない言葉を削除しましたが実質的には前と同じと述べました。ところが答弁では、条例改正のねらいは変わっていないと、ねらいにすりかえました。
 前回の改定案が否決されたのは、行政の恣意的な判断で漫画やアニメへの規制を拡大し、創作表現の萎縮をもたらすという問題を抱えていたからです。今回の案もこの本質は変わらず、さらに規制が拡大されます。口では幾ら否定しても、条文そのものは恣意的な規制ができるようになっています。
 国旗・国歌法が制定されたとき、小渕首相は国民に義務づけないと答弁しましたが、現実には、この法律ができたことによって、石原知事は学校現場での日の丸・君が代の強制を激しくしました。これと同じことが行われる危険が強いのです。知事、いかがですか。
 第二に、日本漫画家協会、日本ペンクラブ、日弁連などがこぞって反対しているのですから、知事は条例改定を強行するのではなく、みずからこれらの方々とひざを交えて議論する場を設けるべきではないでしょうか。知事、お答えください。
 次に、市場問題についてです。
 第一に、知事は豊洲の移転予定地について、安全・安心の確保は十分可能と答えました。しかし、豊洲の土壌汚染は、汚染がなかったはずが実はあったの繰り返しでした。実験を済ませたといいますが、環境基準四万三千倍のベンゼンなど、高濃度汚染の処理はやられず、実験状況もひた隠しにしました。これでは信用ができません。外部の専門家の検証を受けるべきです。知事、どうでしょうか。
 第二に、知事は現市場の老朽化はきわまるといい、市場長は老朽化対策は最大限やってきたという、一体どちらが本当なのでしょうか。知事が豊洲に移転させようとしたため、この十二年間、市場の万全な改修や耐震化が行われてこなかったわけです。市場再整備の時計もとまったのです。これを移転の理由にするには許されません。
 以上二点、知事の答弁を求めます。(拍手)
   〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 大人の責任で子どもたちを守っていくという条例改正のねらいは、今回の改正案においても何ら変わるものではございません。しかし、これまでの議会での議論や各方面から示された意見なども踏まえ、規制対象の明確化、法律との関係の明確化などを図り、改めて提出したものであります。
 この条例に定める区分陳列の仕組みは、条例制定以来、第三者機関である青少年健全育成審議会への諮問などの慎重な手続を経て運用されており、恣意的な運用をしているものではございません。今回の改正によってもこの慎重な運用に変わるところはございません。
 条例改正案に関する説明等でございますが、これまでにも各団体のご意見は承ってまいりました。条例の運用に当たりましては、施行前に必要に応じて丁寧に説明してまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) まず、土壌汚染対策の有効性についてでございますが、これまでも何度もご説明していますけれども、豊洲の土壌汚染対策につきましては、我が国の最高権威の学者の方々の英知をおかりして、日本のすぐれた先端技術を活用した技術でございまして、有効性については既に実証されているものでございまして、それを豊洲での実験で行い、さらに技術会議で有効性について確認されてございます。したがいまして、改めて技術会議のご報告をごらんいただきたいというふうに思っております。
 それから、築地市場の老朽化でございますが、開場から既に七十五年を経過し、築四十年以上の建物が五割を超えるなど、老朽化そのものについては限界を超えている、耐用年数を超えているということでございます。
 しかしながら、東京都といたしましては、この築地市場の機能を維持するため、金額にして毎年二億円以上の修繕工事を実施してきているというところでございまして、我々とすれば、できる限りの対策を築地市場に対して行ってきたというものでございます。

○七十四番(伊藤まさき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時十八分散会

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