平成二十二年東京都議会会議録第十三号

平成二十二年九月二十九日(水曜日)
 出席議員 百二十四名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番山崎 一輝君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
八番土屋たかゆき君
九番山内れい子君
十番くりした善行君
十一番小山くにひこ君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番大松あきら君
二十番鈴木 章浩君
二十一番菅  東一君
二十二番きたしろ勝彦君
二十三番田中たけし君
二十四番鈴木 隆道君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番中村ひろし君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番中山 信行君
三十七番高倉 良生君
三十八番橘  正剛君
三十九番松葉多美子君
四十番神林  茂君
四十一番早坂 義弘君
四十二番高木 けい君
四十三番宇田川聡史君
四十四番鈴木あきまさ君
四十六番山加 朱美君
四十七番西崎 光子君
四十八番滝沢 景一君
四十九番中谷 祐二君
五十番笹本ひさし君
五十一番山下ようこ君
五十二番神野 吉弘君
五十三番鈴木 勝博君
五十四番興津 秀憲君
五十五番岡田眞理子君
五十六番伊藤 ゆう君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番伊藤 興一君
六十番吉倉 正美君
六十一番上野 和彦君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番吉原  修君
六十五番山田 忠昭君
六十六番三宅 正彦君
六十七番石森たかゆき君
六十八番高橋 信博君
六十九番服部ゆくお君
七十番こいそ 明君
七十一番原田  大君
七十二番佐藤 広典君
七十三番尾崎 大介君
七十四番伊藤まさき君
七十五番山口  拓君
七十六番松下 玲子君
七十七番野上ゆきえ君
七十八番西岡真一郎君
七十九番今村 るか君
八十番吉田康一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番中屋 文孝君
九十番村上 英子君
九十一番林田  武君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番くまき美奈子君
九十六番大西さとる君
九十七番いのつめまさみ君
九十八番門脇ふみよし君
九十九番小沢 昌也君
百番石毛しげる君
百一番花輪ともふみ君
百二番大津 浩子君
百三番大塚たかあき君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番川井しげお君
百十一番高橋かずみ君
百十三番三宅 茂樹君
百十四番吉野 利明君
百十五番宮崎  章君
百十六番比留間敏夫君
百十八番斉藤あつし君
百十九番増子 博樹君
百二十番泉谷つよし君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番和田 宗春君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 二名
四十五番 矢島 千秋君
百十二番 野島 善司君
 欠員
百十七番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監都市整備局長兼務河島  均君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長比留間英人君
財務局長安藤 立美君
警視総監池田 克彦君
主税局長荒川  満君
生活文化局長並木 一夫君
スポーツ振興局長笠井 謙一君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
建設局長村尾 公一君
港湾局長中井 敬三君
会計管理局長新田 洋平君
消防総監新井 雄治君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
病院経営本部長川澄 俊文君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長宮川 雄司君
人事委員会事務局長多羅尾光睦君
労働委員会事務局長山本 洋一君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長藤井 芳弘君

九月二十九日議事日程第三号
第一 第百三十四号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第二 第百三十五号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第三 第百三十六号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第四 第百三十七号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百三十八号議案
味の素スタジアム(二十二)第一種陸上競技場化改修工事請負契約
第六 第百三十九号議案
都立羽村特別支援学校(二十二)増築及び改修工事請負契約
第七 第百四十号議案
都立練馬地区特別支援学校(仮称)(二十二)改築及び改修工事請負契約
第八 第百四十一号議案
東京国際フォーラム(二十二)ホール棟改修工事請負契約
第九 第百四十二号議案
東京都八丈支庁舎(二十二)改築工事請負契約
第十 第百四十三号議案
警視庁月島警察署庁舎(二十二)改築工事請負契約
第十一 第百四十四号議案
警視庁有家族待機宿舎桜木住宅(二十二)改築工事請負契約
第十二 第百四十五号議案
東京国際フォーラム(二十二)空調設備改修工事請負契約
第十三 第百四十六号議案
公立大学法人首都大学東京に対する出資について
第十四 第百四十七号議案
公立大学法人首都大学東京定款の変更について
第十五 第百四十八号議案
土地の信託の変更について
第十六 第百四十九号議案
建物の売払いについて
第十七 第百五十号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
第十八 第百五十一号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
第十九 第百五十二号議案
個人防護具(ガウン等セット)外六点の買入れについて
第二十 第百五十三号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第二十一 第百五十四号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
第二十二 第百五十五号議案
土地の買入れについて
第二十三 平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二十四 平成二十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都公安委員会委員の任命の同意について(二二財主議第三〇七号)
第二 東京都公安委員会委員の任命の同意について(二二財主議第三〇八号)
第三 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(二二財主議第三〇九号)
第四 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(二二財主議第三一〇号)
第五 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(二二財主議第三一一号)
第六 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(二二財主議第三一二号)
第七 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(二二財主議第三一三号)
第八 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(二二財主議第三一四号)
第九 東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(二二財主議第三一五号)

   午後一時開議

○議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。

○議長(和田宗春君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(和田宗春君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意について外人事案件八件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(和田宗春君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十二番佐藤広典君。
   〔七十二番佐藤広典君登壇〕

○七十二番(佐藤広典君) 九月二十一日の所信表明で知事は、東京の地下鉄の一元化等に関する協議会を通じ、利用者の利便性の向上はもとより、世界に誇る地下鉄ネットワークにふさわしい姿を目指してまいりますと、一元化に言及しておりましたが、私は、一元化の是非を論ずるに当たって、議論を十分に尽くす必要があると考えております。その一つが東京メトロのインフラ更新費用です。
 東京メトロのキャッシュ・フローは約千四百億円、一方、都営のキャッシュ・フローは約六百億円であり、その額が潤沢だという意見もあるかもしれません。ただ、地下鉄の減価償却については、六十年で減価償却するトンネルが最長であり、一九三九年に全線開通した銀座線ではほぼ全線、また、一九六二年に全線開通した丸ノ内線では一部でトンネルの減価償却も終わっている状況です。
 しかしながら、古い路線というのは、コンクリートの耐用年数もあるため、将来的なインフラ更新の費用も見込まなければなりません。都の試算では、十年後には二百橋の建てかえで一・二兆円が必要となるとしておりますが、同じように、メトロのインフラ更新にも莫大な費用がかかるのではないでしょうか。
 以前、山陽新幹線でトンネルの崩落事故が相次ぎました。コンクリートに海砂がまざっていたなどと指摘されたようではありますが、崩落が起きるような事態となる前に、まずは、しっかりとしたインフラの状況調査を行い、長期修繕計画とその資金調達計画をつくる必要があるのではないでしょうか。
 今申し上げたように、将来的な負担も考慮した上で一元化の是非について議論すべきと考えます。そこで、東京メトロは、今後更新の必要なインフラについて、どのように把握し計画的な更新を行うつもりなのか、インフラ更新の見込み額とあわせて伺います。
 メトロの株主でもある都市整備局がインフラの状況調査を行い、長期修繕計画とその資金調達計画をつくる必要があると株主総会で提案してはどうかと考えます。また、地下鉄は公共交通である以上、とめて工事をすることは、多くの利用者にとって不便となることはいうまでもありません。しかし、根本的な改修が必要となった場合、いかなる措置をとるのか、対策を検討しておくべきと考えます。
 都営地下鉄と東京メトロが経営統合を目指すとしても、それが実現に至るまでには多くの課題があることは周知の事実です。そこで、経営統合を視野に入れた場合、解決すべき課題はどんなものがあると認識しているのか、現段階における都営地下鉄の経営事業局としての見解を伺います。
 社会インフラの更新のためには、多くの費用が必要であり、インフラが改修期を迎える中、その事業実施方法と資金調達方法の検討が今後さらに重要となってきます。昨今、公共インフラの整備にPFIを使った手法がふえておりますが、PFI事業については、何点か改善しなければならないことがあると考えております。特に、予算額の多い都立三病院のPFI事業について伺います。
 今回の事業では、都が特別目的会社、SPCと契約し、SPCがそれぞれの協力企業と契約し、契約を履行する仕組みとなっております。三事業の契約金額を合計すると、約五千八十七億円にも上ります。また、SPCに支払う約五千八十七億円とは別に、アドバイザリー企業に支払う費用が必要です。
 平成十四年度の導入可能性調査から平成二十年度まで集計した場合、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターでは四億五千百三十三万円、駒込がん・感染症医療センターでは約五億八百四十八万円、精神医療センターでは約三億七百四十九万円となっておりました。
 今回の三事業において、導入可能性調査を行ったアドバイザリー企業との契約が続いているわけですが、アドバイザリー企業との契約を打ち切る目安は、どの時点になるでしょうか。
 また、今回の三事業は、PFI事業といっても、民間資本金を導入せず、開設初期に必要な施設整備及び解体撤去費、医療器械調達費と、運営にかかってくる経費である維持管理費及び運営費、薬品調達費、診療材料等調達費を一つにした契約であるわけです。
 そのうち、建設と医療器械の調達は、契約の初期段階で相当額の支出をするわけです。精神医療センターの場合、予定価格七百三十五億円のうち、開設初期に必要な施設整備及び解体撤去費、医療器械調達費の費用として約二百十六億円が計上されておりました。三事業の予定価格をもとに合計すれば、施設整備及び解体撤去費、医療器械調達費の費用としては約千百四十九億円になります。
 ちなみに、三事業の契約金額などを申し上げると、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターは契約価格二千四百九十一億円、落札率九六・一%、駒込がん・感染症医療センターは契約金額約一千八百六十一億円、落札率九九・九八%、精神医療センターは契約金額約七百三十五億円、落札率九九・九八%という落札状況でしたから、開設時に必要な建設と医療器械調達については、通常の単年度契約とした方が、入札における競争性が発揮され、都の負担も減ったのではないかという気もします。
 都とSPCの契約において、事業者提案金額より実際の調達金額が安かった場合、差額が出てくるわけです。以前、厚生委員会で、この差額について質疑した際には、差額が発生した場合にはケース・バイ・ケースでSPCと協議する、運営や調達に使うだけでなく内部留保や配当も可能といった趣旨の答弁があったわけです。
 今回の三事業において、建設と医療器械の調達は、事業者提案金額の枠を使い切って調達したわけですが、契約書には、医療器械の調達に関しては差額のことについて記載はありませんでした。これは、値引き提示された事業者提案金額で医療器械を購入したので、差額はないという都の見解なのでしょうが、私は疑問を持っています。なぜ契約書に明記しないのでしょうか。どの契約で幾らの差額が発生し、その取扱方法がどうであったか、詳細な記録を残しておくべきと考えます。見解を伺います。
 また、SPCの業務の中でも、薬品調達費や診療材料等調達費については、事業者提案金額と調達額との間に差額が出た場合、都とSPCで差額を半分ずつ分け合うということになっていると聞きました。
 平成二十年六月の厚生委員会に出された精神医療センター整備運営事業に関する予定価格及び参考価格によると、薬品の調達と診療材料の金額は合計で約二百十億円であり、合計金額七百三十五億円全体の約二九%に上ります。
 また、三事業の薬品の調達と診療材料の金額は、予定価格をもとに合計すると、約二千二百八十三億円にもなるわけです。この二千二百八十三億円の契約の中に差額が内包されていて、差額を都とSPCで分け合うのです。
 また、今回の契約で気になったのが、三事業ごとに個別の契約を結んでいるために、それぞれの病院によって薬品の調達と診療材料の金額が異なることです。従来のPFI運営手法を用いていない都立病院では、共同購入を行っていたわけですし、約二千二百八十三億円もの調達規模ですから、三事業で共同購入した方がスケールメリットを発揮して安くなるのではないかと考えるわけです。都がSPCに指導して、協力企業がそれぞれ調整するといった、三事業で共同購入できるような工夫ができないか伺います。
 そもそも、医療器械の購入については、予定価格が二億円以上の入札については議会報告案件でもあります。しかし、今回の三事業では、議会には都とSPCの契約しか出てきません。内部監査や包括外部監査の対象となるのは病院経営本部の事業運営のみであり、SPCは対象外です。都でもPFI事業がふえていることもあり、SPCと協力企業の監視ができるような契約内容に変えるべきではないでしょうか。
 今回の三事業の医療器械購入に当たっての事業者提案金額と調達金額の総額を伺うと同時に、議会に提示し検証すべきと考えます。また、今回の事業者提案金額の妥当性については、外部の審査委員会にかけてはいるようですが、医療の専門家等を使って検証業務を行う必要があるのではないでしょうか。見解を伺います。
 SPCと協力企業の契約は、業務水準を達成しさえすれば業務設計はSPCの工夫と経営上の判断に任せているといった理由から、都は、SPCと協力企業との契約金額と内容は出せないと説明しているわけですが、これだけの予算を使っておきながら、それでよいのでしょうか。
 二○○七年には、高知県で行われたPFI事業である高知医療センターにおいて、施設整備をめぐり院長が逮捕されるといった事件が発生しました。このような事件を未然に防止するためにも、また、協力企業が受注した仕事を下請に丸投げするといった事例を防止するためにも、契約内容の把握は欠かせないと考えます。
 先ほどから伺ってきた入札予定価格と契約金額との差額については、従来の都立病院では契約差金として処理されてきたわけですし、財務局も依命通達等で契約差金の慎重な取り扱いを求めておりました。しかし、都とSPCの契約では、総価契約であることを理由に、先ほどお話ししたように差額の扱いを契約書に明示せず、ケース・バイ・ケースで処理することもあるわけです。
 先ほど、薬品の調達と診療材料の調達において、三事業の調達額約二千二百八十三億円の差額を都とSPCが分け合うといった取り決めになっていると伺った話をしましたが、PFI事業には、差額が内包される契約になっております。三事業の事業総額五千八十七億円のうち、四五%の契約で差額が発生するわけですから、差額を都とSPCがどういった割合で分配するのかについて、財務局としても、PFI三事業に共通する見解を示す必要があるのではないでしょうか。
 今回の三事業や、今後、都が行うPFI事業の事業者提案金額と調達金額との差額の扱いを厳正にすべきではないかと考えますが、民活手法検討委員会を主宰している財務局の見解を伺います。
 また、都では、予定価格が五十億円以上になる施設整備事業については、民活手法の妥当性について検討するために、民活手法検討委員会に付議を行うこととなっておりますが、今、申し上げてきたように、PFI事業を実施することは、差額の問題やSPCと協力企業との契約といった、都民から見て見えにくい契約がふえることを意味しております。都民に対して、契約内容が公開されるような制度改善が実施されるまでは、現在、五十億円以上になる施設整備事業が自動的に民活手法検討委員会に付議する仕組みを見直すべきと考えますが、財務局の見解を伺います。
 また、三事業の契約を受けているSPCの構成を確認したところ、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターの契約を受けているSPCは、ゼネコンの出資が九五%、精神医療センターの契約を受けているSPCは、プラント建設企業の出資が九○%となっております。
 そこで伺いますが、SPCが十分な病院運営の知識を持ってサービス提供をするかどうか疑問がありますが、見解を伺います。
 また、SPCが協力企業の選定や医療器械の契約を行うわけですから、病院の事務の職員が行ってきた仕事が軽減されることを意味しております。効率的な事業運営のためにも、職員配置の見直しを検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 PFI事業は、医療の周辺支援業務であり、医療の質を高めるためにも医師の確保には引き続き尽力しなければなりません。予算を割くべきは、医師や看護師といった人的資産であって、今後も医療の質を高めるためにご尽力いただくようお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 佐藤広典議員の一般質問にお答えいたします。
 東京メトロのインフラ更新についてでございますが、東京地下鉄株式会社は、トンネルなどすべてのインフラを対象に、履歴管理や定期点検、検査等を通じて施設の健全度や対策必要箇所を把握し、計画的な修繕や更新を行ってきております。これまでに、銀座線の老朽化対策や丸ノ内線、東西線等の耐震補強工事などを行い、今後も引き続き計画的に必要な工事を実施していくとのことでございます。
 また、車両を除くインフラ更新のための設備投資につきましては、同社の中期経営計画で、平成二十二年度から二十四年度までの三年間に約六百億円を見込んでいると聞いております。
   〔交通局長金子正一郎君登壇〕

○交通局長(金子正一郎君) 都営地下鉄と東京メトロの経営統合を検討する際の課題についてのお尋ねでございますが、東京の地下鉄は、二つの事業者によって運営され、お客様の利便性を損なっている面があるため、利用者サービス向上の観点から地下鉄の一元化を進める必要があると認識しておりまして、現在、国とともに設置した東京の地下鉄の一元化等に関する協議会で議論を進めているところでございます。また、協議会とあわせて、東京の地下鉄を考える懇談会を設置し、東京の地下鉄の課題や改善策等について有識者と意見交換を行っております。
 経営統合を検討する際には、企業形態のあり方を初め、事業資産の取り扱いなどが課題になると考えておりますが、その内容は、前提となる統合の手法に応じて大きく異なってまいります。
 いずれにしましても、実際に地下鉄を経営している交通局といたしましては、運行の安全確保、お客様サービスの維持向上を第一に対処してまいります。
   〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕

○病院経営本部長(川澄俊文君) 都立病院のPFI事業について六点の質問にお答えいたします。
 初めに、アドバイザーとの契約についてですが、PFI事業では、入札手続や契約協議における交渉、業務委託や施設整備の具体的内容の検討、各業務のチェック手法の検証等を行うため、設計、財務、法務、医療の各分野に詳しい専門家、いわゆるアドバイザーから法的、技術的な助言や支援を受けながら事業を推進してきております。今後も必要に応じてモニタリングの仕組みの構築、運営手法のチェックや実効性の確認などについて、アドバイザーを適宜活用してまいります。
 次に、事業契約における差額の取り扱いについてですが、PFI事業契約は総価契約であり、内訳金額を固定せず、医療環境の変化などに応じて変動が可能な構造としております。業務水準を達成するために、各業務にどれだけの費用をかけるのかについては、SPCの創意工夫に任されているところでございます。医療機器の調達業務においては、医療水準の高度化等により、当初想定していた経費と実際に要した経費に差が生じた場合には、事業全体の中で調整することとなっております。
次に、PFI三事業における医薬品や診療材料の共同購入についてでございます。
 三事業につきましては、既に医薬品と診療材料の調達を含むそれぞれの事業ごとの契約を締結しているところでございます。事業の実施に当たっては、事業者の持つ経営ノウハウや専門知識を活用し効率化を図っております。今後とも、各事業の特性に応じた効率的な調達が行われるよう指導してまいります。
 次に、事業者提案金額と調達金額の総額の提示及び事業者提案金額の検証についてでございます。
 医療機器の調達業務につきましては、都が選定した機器が調達されていることを確認した上で、事業者提案金額の範囲内で経費を支払うこととなっております。事業者提案金額につきましては、民間事業者の権利、競争上の地位、その他、正当な利益を害するおそれがあることから公表しておりません。
 また、PFI事業では、総合的に落札者を決定する総合評価一般競争入札をとっており、医療の専門家等の外部委員を含む審査委員会において、事業者の提案内容や金額について審査をしております。
 次に、SPCの病院運営の知識やサービス提供体制についてですが、選定された事業者は、審査委員会において、医療や病院運営に対する理解度及び考え方、統括マネジメント業務を担う能力等について高く評価された企業でございます。
 また、SPCの構成員の中には、病院事業に関するコンサルタントやマネジメントの経験を有する者が起用されております。
 さらに、医療支援業務を担う協力企業につきましても、従来から医療事務を初めとする医療サービスを受託してきた企業が活用されているところでございます。
 最後に、職員配置の見直しについてでございます。
 職員の配置につきましては、それぞれの組織における業務量等を勘案して行われるものであり、既に職員定数の見直しを図ってきております。今後とも、引き続き効率的な職員配置を行ってまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 二点についてお答えいたします。
 まず、PFI事業における事業者提案金額と調達金額との差額の扱いについてでありますが、PFI事業は、事業ごとに多様性があるため、その契約内容は、民活手法検討委員会の検討を経て、個別要素を踏まえながら契約約款を定め、運用しているものであります。
 なお、都立病院のPFI三事業の事業契約書においては、医薬品、診療材料等調達費について、当初想定していた経費と実際に要した経費とを比較し、毎年度、その差額を調整する旨を規定しており、この規定については、病院経営本部において適切に運用されていると認識をしております。今後とも、それぞれのPFI事業の特殊性に合わせた契約となるよう、事業実施局に対し支援を行ってまいります。
 次に、施設整備事業を民活手法検討委員会に付議する仕組みについてでありますが、PFI手法は、事業コストの削減を初め、民間のノウハウによる良質な都民サービスの提供が可能になるといったメリットがあるため、一定規模以上の大規模な公共事業について、この手法を含め多様な整備運営手法の採用を検討すべきと考えております。このため、予定総事業費が五十億円以上の大型の施設整備事業などについて、民活手法検討委員会の付議の対象としております。
 検討に当たりましては、ご指摘のように、バリュー・フォー・マネーの数値だけで直ちにPFI手法の採用の可否を決定しているものではなく、民間の創意工夫を発揮する余地の有無や、行政が事業に直接関与する必要性など、さまざまな要素を総合的に勘案しながら判断しているところであります。今後とも、PFI手法の採用につきましては、引き続き適切に対応してまいります。

議長(和田宗春君) 六十四番吉原修君。
   〔六十四番吉原修君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○六十四番(吉原修君) まず、国際競争力について伺います。
 日本は、バブル経済崩壊以降、産業構造、金融システムといった国の根本を支える仕組みの再構築に多大な時間を要してきています。こうした間に東アジア新興国に急速に追い上げられ、アジアの中心としての輝きを失いつつ、かつての強力な競争力が低迷してきています。
 資源の少ない日本が今後いかに活路を見出し、国際競争力を身につけ、世界に秀でた位置を確保し続けるために、さまざまな魅力が凝縮され、可能性を有する日本の中心である東京の役割は、今後とも大きなものがあります。
 知事はこれまで、東京から日本を変えると訴え、都民福祉の向上はもちろんのこと、日本の発展のために、国に先駆けた数々の施策を強力に実行してこられました。今まさに、疲弊した日本の牽引役として積み重ねてきた都の政策の上に、さらに東京の秘められた力を発揮し、存在感を戦略的に示す必要があると考えますが、世界に評価される今後の東京の目指すべき方向について知事にお尋ねいたします。
 人材育成について伺います。
 東京、そして日本が国際社会の中で再び輝きを放つためには、世界的に通用する技術者や研究者などはもちろんのこと、さまざまな分野で国際感覚を持って活躍できる人材を育成していかなければなりません。
 特に、大学における教育は、グローバルな人材育成の場として大変重要だと思います。大学時代に同世代の外国人とともに学び、異文化に直接触れることは国際的な感覚を養い、実社会で広い視野や専門的知識を持って活躍できるきっかけになるのではないでしょうか。
 しかし、こうした人材育成において先駆的な役割を果たすことを期待される首都大学東京においてさえ、学生交流協定に基づく交換留学制度を利用して海外に留学している学生は、過去四年間で二十名、昨年は何とたった三名しかおりませんでした。
 昨今の経済情勢に加え、若者の海外離れを象徴した数字だと思いますが、今後は、経済的負担の軽減を図るなど留学制度をより充実し、学生の留学意欲を引き出せる支援を行うとともに、国際共同研究には学生の参加を促し、先進的な研究に触れる機会を提供するなど、教育や研究の両面から取り組んでほしいと考えます。
 首都大学東京を通じて、次代を担う学生の意欲を引き出せる機会をつくり出し、グローバルな人材育成へ東京都はさらなる取り組みをすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、障害者の就労支援について伺います。
 平成二十一年の都内民間企業の実雇用率は七年連続で微増したものの、規模別に見れば、五十六人以上三百人未満の中小企業では低水準にとどまっています。こうした現状の中にあって、新たな雇用先の開拓、身近な地域での就労支援の充実など、障害者の一般就労の機会拡大に向けた多様な取り組みがますます必要であります。
 一方、地域に根差した障害者雇用のためには、区市町村就労支援センターや障害者就業・生活支援センターの存在が不可欠であります。こうした就労支援機関への登録者数は年々増加していますが、就職実績は横ばいというのが現状であります。
 そこでまず、障害者を企業等での就労につなげていくための取り組みを一層充実する必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
 ことし七月、改正障害者雇用促進法が施行されました。法定雇用率未達成の場合の納付金の対象が拡大されるなど、中小企業での障害者雇用がますます重要になると考えますが、経営者からは、障害者雇用の必要性はわかるが、具体的な取り組み方がよくわからないという話をよくお聞きいたします。
 こうした中、就労支援機関は、これまでにも区市町村やハローワークなどと連携してきましたが、一層の雇用促進を図るため、今後は、雇用納付金の対象企業はもとより、もっと小規模の企業も集まる、例えば商工会議所や商工会、青年会議所などのような地域の身近な団体との連携が重要だと考えます。このため、東京都の施策についても、就労支援機関や事業主団体との連携を進め、さらに両者の間で連携が進んでいくのが望ましいと思います。
 そこで、障害者の就労支援について、今後、地域の就労支援機関や事業主団体とどのように連携していくのか、都の見解を伺います。
 教員の職務環境について伺います。
 我が党は、これまで教師の質の向上や学級運営など、教育問題に対しさまざまな提案を行ってまいりました。しかしながら、学校は移り変わる社会の変化に影響されやすく、日々新たな課題が出てきています。
 その一つに、教員のメンタルヘルス不調の問題があります。平成二十年度の心の病を理由に休職した都の職員は五百四十名、平均すると四校に一人の教員が心の病で休職し、特別支援学校では何と一校に一人が休職していることになります。
 この事態は、保護者の方々にとっても極めて大きな心配事ではないでしょうか。担任の先生の休職が学級崩壊につながるのではと不安が横切るわけであります。公立学校に通う児童生徒の保護者の方々が安心して子どもを学校に送り出すためには、教員のメンタルヘルス不調に東京都は正面から取り組む必要があると思います。
 そこでまず、教員のメンタルヘルス対策についての基本的な認識とその取り組みについて伺います。
 ところで、国の職場におけるメンタルヘルス対策検討会では、職場におけるストレス検査の義務化を提言しています。教員より休職率が低いといわれている民間企業の労働者をも対象としているくらいなのでありますから、定期健康診断にストレス検査を義務づけるべきと考えますが、見解を伺います。
 一方、教員の職務は大変厳しいものとなっております。今や子どもの生活環境は、ここ十年で劇的に変化し、加えて保護者の教育に対する関心も多様化しており、学校に対し、さまざまな要望が寄せられている現状もあります。
 一人一人の児童生徒に対するきめ細やかな教育を実施し、保護者の信頼にこたえようと管理職である校長や副校長は孤軍奮闘しているのは承知しておりますが、そうした教員も心の病にかかってしまうと最終的なしわ寄せは子どもたちに及ぶことになります。
 特に副校長は、職務が多岐にわたり役割や責任も重く、校長の倍以上の率で心の病を理由に休職しているとも聞いており、これまでにない対策を講じる時期に来ているのではないでしょうか。
 そこで、カウンセリングと研修をリンクさせたり、副校長同士の情報交換の場を設定するなどして、不調を訴えてこない教員に対しても積極的に働きかける対策をとるべきであると考えます。見解を伺います。
 次に、命の大切さに関する教育について伺います。
 新しい学習指導要領が小学校では平成二十三年度から、中学では平成二十四年度から全面実施されることになっていますが、今回の学習指導要領の改訂においても、生命や自然を大切にすることの重要性が示されております。
 子どもたちの問題行動や規範意識の低下が叫ばれる中で、命の大切さを理解させ、命を大切にする態度を身につけさせることは喫緊の課題でありますが、大変難しい問題でもあります。
 小中学校などでは、道徳教育において命の大切さに関する指導を進めていることは十分理解していますが、現状をかんがみると、さらに一歩深めた新たな取り組みが必要ではないでしょうか。
 例えば、動物の飼育体験などは、大変意義のあることです。擬似的な体験ではなく、命ある動物と直接触れ合う体験は、子どもたちに生き物への慈しみの心をはぐくむとともに、命のとうとさを学ぶことにつながると思います。
 しかしながら、都会の住宅事情や生活環境からは、動物と触れ合う機会は少なくなり、学校における取り組みが一層重要になっています。これらの教育活動の充実を図るためには、動物の生態や飼育の方法などを正しく理解し、命の大切さを学ぶために、専門的な知識や医術を有する獣医師を小学校の授業などで活用すべきであると思います。
 そこで、都教育委員会では、動物との触れ合いを通した命の大切さに関する教育の充実についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 次に、小中学校の暑さ対策について伺います。
 ことしの夏は、近年に見られないような猛暑が続き、冷房設備のない学校の教室では三十八度に達するという新聞報道がありました。これは、国の学校環境衛生基準で最も望ましいと定める、夏季では二十五度から二十八度を大幅に上回る室温です。三十八度にもなれば、もはや子どもたちが学習に集中できる限界を超えており、教員を含め健康を害する危険も危惧される室温であります。
 都内の高校、大学の冷房化は約一○○%。また、公立の区立小中学校においても一○○%に達しようとしている中にあって、市町村立校の冷房設備は、飛行機の騒音対策など限られた地域に設置されており、何と一七・六%と驚くほど低い設置率であります。
 つまり東京では、一般家庭はもとより、高校、大学、公共施設を初め、各事業所、商業施設などを含め、ほとんどの家庭や施設で冷房化がなされている時代にあって、市町村と二十三区の税の徴収制度の違いはあるにせよ、三多摩の子どもたちが日中の大半を過ごす小中学校の八割を超えて、いまだに冷房設備がないのが実態であります。
 学校によっては、夏季に暑さ対策で短縮授業がふえ、そのしわ寄せが二学期以降の授業カリキュラムにも大きく影響を及ぼしかねないなど、学校運営上も暑さ対策は急務な課題であります。
 東京都は、これまでにも子どもたちに安全・安心で学習しやすい快適な学校の環境づくりを進めていくために、耐震化を初め、校庭の芝生化など学校施設の整備を進めてきました。
 本来であれば、国及び市町村の役割において整備すべきことと十分承知しておりますが、学校で学ぶ子どもたちのことを考えると、東京都として三多摩の小中学校の冷房化の実態を見過ごすことはできないと思っています。こうした現状について、知事に所見をお伺いいたします。
 最後に、新銀行東京について伺います。
 昨日の民主党の代表質問において、日本振興銀行の破綻を論じた上で、平成二十年の新銀行東京への追加出資に際して、既存融資先の保護など、当時の都の説明や判断に対して疑問を呈する発言がありました。それに対する都の答弁は、借り手である多くの小中零細企業の立場を重視した、至極当然のものでありました。
 いうまでもなく、銀行の破綻処理は、預金者のみならず、取引先にも大きな影響を及ぼすことが避けられない最後の手段です。当事者である国の金融当局でもない者がこれに触れる場合は、慎重の上にも慎重を重ねるべきではないでしょうか。
 このことは信用問題です。金融機関の破綻例を持ち出して、現に営業している金融機関について発言することは、不見識きわまりないといわざるを得ません。
 そこで伺いますが、金融機関の破綻処理は、預金者や取引先企業にどのような影響を与えるのか。また、一金融機関の破綻を引き合いにして、他の金融機関の経営について軽々に論じることは許されないと考えます。
 見解を伺い、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉原修議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、国際競争力の強化についてでありますが、国際競争力、つまり国力というものは、非常に複合的、重層的なものでありまして、いろいろな可能性を束ねてこそ、相手国をしのぐ力となるわけであります。
 日本の歴代政府は、これまで縦割り行政を是とする、国家官僚のいうままに引きずられてきて、こういった、各省が管轄しているそれぞれの分野における力というものを束ねる努力をほとんどしてきませんでした。つまり、その結果、国を挙げての強い主張ができなくなりました。
 いずれにしろ、成長のてことなるインフラの整備でも、文明工学的な視点を持たずに来たわけでありまして、ようやく羽田の空港に新滑走路が完成しましたが、外環道を初めとする道路ネットワークの整備が伴わなければ、この新しい空港も十全に生きてこないわけであります。港湾にしてもそうであります。
 また、一方、小惑星探査機の「はやぶさ」が、何と四十億キロの長い距離を数年かかって飛行して、しかも、そのエネルギーは、全部太陽の光線のエネルギーによって飛翔した。こういった新しい試みを日本の技術が実証するということは、やっぱり一つの大きな力でありますし、日本人が考えている以上に、実は、この「はやぶさ」の成功というものは各国が刮目しているわけでありまして、この新しい核時代に、核兵器は簡単にできます、ある能力まで――それを運搬する手段は、文明の進展によって随分変わってきましたが、恐らく今日の「はやぶさ」の成功に垂涎の関心を示しているのは、アメリカであり、中国であると私は思いますけれども、こういったものを逆に、逆手にとるようなことも一つの国力の表示だと思います。
 いずれにしろ、日本には最先端の技術を有する小零細企業が数多くありますが、これを決して埋もらせてはならないと思います。
 厳しさを増す国際競争を勝ち抜くためには、みずから持つ力を冷静に認識して、効果的に発揮させる必要が絶対にあります。そのためにも、引き続き東京から日本を変えるべく、日本経済の屋台骨を支えるインフラを整備し、小零細企業の海外販路開拓を後押しするなど、揺るぎなく取り組んでいきたいと思います。
 また、一方、東京の上下水道が培ってきた世界最高水準の技術、運営ノウハウを生かして、国際貢献ビジネスとして展開もしたいと思います。
 羽田空港が一段と国際化する機会をとらえて、多彩な食や歴史、文化の堆積、アニメなど、東京ならではの魅力を世界に強力に発信していきたいと思っております。
 いずれにしろ、日本の多々なる力が集中、集積する首都東京から未来を切り開いていきたいと思っております。
 次いで、小中学校の暑さ対策についてでありますが、区市町村立学校の冷房については、各区市町村が学校の設置者として、それぞれの考え方に基づいて対応しているわけであります。
 一方、ことしの夏は、まさに記録的な猛暑でありました。小中学校の冷房化率が大きな話題となりました。この問題については、都教育委員会が各区市町村に対して、小中学校の冷房化の現況など、今後の対応について調査しておりまして、それを踏まえて検討することとなると思います。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、教員のメンタルヘルス対策についてでございます。
 児童生徒の教育を担い、学校経営を支える教職員の健康の保持増進を図ることは、極めて重要であると認識しております。都教育委員会は、今年度からメンタルヘルス対策を主要施策として位置づけ、精神科医や臨床心理士による相談、精神保健講習会等の充実とともに、着実な職場復帰のための訓練を実施するリワークプラザ東京を全国に先駆けて新設いたしました。
 また、精神科医などの専門家、区市教育委員会の教育長、校長及び教育庁の理事等をメンバーとしたメンタルヘルス対策会議を設置し、原因分析から復帰後のケアまで、総合的に取り組んでいるところでございます。
 次に、ストレス検査の義務づけについてでございます。
 うつ病などの精神疾患は、本人の自覚がないままに重篤化することが多いことから、心の病の自覚を促すことで、受診や相談につながるストレス検査は、重要なメンタルヘルス対策の一つと考えております。
 そのため、都教育委員会は、今年度より試行として定期健康診断の機会を活用し、チェックシートを用いたストレス検査を教員の一割に相当する約六千名に対して実施しております。
 今後は、今年度の成果を検証しつつ、より効果的な早期自覚、早期対処のメンタルヘルス対策を推進してまいります。
 次に、副校長に対するメンタルヘルス対策についてでございます。
 副校長の職務は、教育活動のほか、人事管理や施設管理など多岐にわたっており、業務の集中による多忙感からストレスも大きいといわれております。実際、平成二十一年度実績では、心の病を理由とする副校長の休職率は、校長と比べて二・四倍と高く、都教育委員会は、今年度から副校長昇任者に対してカウンセリングの機会を設けるなどの対策を講じております。
 今後は、事務能力の向上や孤立化の防止など、ストレス不調を予防する観点から、ご提案の人材育成とメンタルヘルス対策との連携も含めて、副校長に焦点を当てたさらなる対策に力を入れてまいります。
 次に、動物との触れ合いを通した命の大切さに関する教育の充実についてでございます。
 子どもたちが学校生活を通じて学校飼育動物と触れ合うことにより、命の大切さを理解し、生命尊重の態度を身につけることは重要でございます。現在、都内の多くの小学校では、小動物と触れ合う教育を行っており、そのうち約五割の小学校でウサギを、また約二割の小学校で鶏を飼育しております。
 しかしながら、授業などで子どもたちに動物の生態や飼育の方法などを正しく理解させ、命を大切にする態度をはぐくむ取り組みについては、必ずしも十分とはいえない状況でございます。
 都教育委員会では、これまで動物飼育に関し、教員を対象とした研修会を実施するとともに、獣医師会が作成した資料を区市町村教育委員会を通して各学校へ提供してまいりました。
 お話のように、子どもたちが疑似的な体験ではなく、実際に学校飼育動物に直接かかわることは、命のとうとさを学ぶ上で非常に意義深いことから、今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会や動物飼育に関する機関と連携し、生命尊重の視点に立った教育活動の一環として、子どもたちが学校飼育動物と触れ合う機会をより多く持てるよう取り組みを推進してまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 首都大学東京を通じたグローバル人材の育成についてでございます。
 先般、都が公立大学法人首都大学東京に示した第二期の中期目標では、グローバルな視点に立った教育研究の推進を重点事項と位置づけ、広く国内外で起きているさまざまな事象に関心を持ち、大都市の課題に先駆的に取り組む人材を積極的に育成していくこととしております。
 この目標に基づき、今後、法人が策定する中期計画で、グローバル人材育成に向けての具体的な取り組みを明らかにしてまいりますが、留学へのインセンティブが働く学修、生活の両面にわたる支援の拡充や、国外の大学等との共同研究、人材交流の一層の促進など、世界の大都市の課題解決に向けてリーダーシップを発揮する人材を輩出できるよう、都は法人とともに、さらなる検討を進めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 障害者の就労支援についてのご質問にお答え申し上げます。
 障害者を企業等での就労につなげていくためには、障害者雇用に対する企業の理解を深めていくことが何よりも重要でございます。そのため、都は、法定雇用率未達成の企業等におきまして、就労経験の少ない障害者の職場実習を進めており、ショッピングモールや駅前商店街等で実習を行っております。また、各区市が設置しております障害者就労支援センターに就労先企業を開拓いたします地域開拓促進コーディネーターを配置できるよう、支援を行っております。
 今後、こうした取り組みを一層進めるとともに、障害者就労支援センターと商工会議所等、経営者団体との連携が図られますよう区市に働きかけるなど、身近な地域における障害者の就労機会の一層の拡大に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者の雇用促進に向けた就労支援機関や事業主団体との連携についてでありますが、障害者雇用の促進のためには、行政が障害者の日常生活上の支援も担う就労支援機関や、雇用の受け皿となる企業の集まる事業主団体と十分連携することが重要であります。
 このため、都は、これまでも東京しごと財団を通じて、障害者就業・生活支援センターなどの就労支援機関と連携し、職場見学会や企業合同説明会等を実施しております。さらに、就労支援機関が独自に行う職場体験実習に対しても、保険料を負担する支援を行ってまいりました。
 加えて、今年度からは、より多くの就労体験機会を確保するため、東京しごと財団が構成企業への説明会や広報誌への情報掲載などを通じて、商工会議所などの事業主団体と連携を図り、実習先企業の開拓を進めております。
 今後は、これによって得られた実習先企業の情報を、就労支援機関に対し、より効果的に提供する方策等について検討してまいります。
 こうした取り組みを通じ、就労支援機関や事業主団体との連携を強化し、障害者雇用の促進に努めてまいります。
 次に、金融機関が破綻した場合の影響等についてであります。
 まず預金者ですが、ペイオフが発動されると、一千万円までの預金の元本とその利息分は保護されますが、一千万円を超える部分は原則として全額は保護されません。
 なお、この預金保護の費用は、国内の金融機関が預金残高の一定割合を拠出する保険料、つまり、他の金融機関を含む全預金者のコスト負担により賄われます。
 次に、取引先企業に及ぼす影響でありますが、貸出債権などの資産は、査定により受け皿銀行に引き継がれるものと、不良債権とみなされ整理回収機構に売却されるものとに分けられることになります。
 赤字、債務超過先企業に対する貸出債権については、後者とみなされることが多いと考えられ、これまでの例によれば、整理回収機構に売却された場合、他の金融機関との取引が行いにくくなり、資金繰りに窮して事業継続が困難という結果になる可能性が高いと承知しております。
 ご指摘のとおり、公の場における金融機関の経営についての発言は慎重を期すべきであり、安易な発言が時に風評被害を誘発しかねないことは、これまでの歴史の教訓でもあります。
 日本振興銀行の破綻は、同行特有の事情が主たる要因と金融当局は公表しており、新銀行東京であれ、他の金融機関であれ、現に営業している金融機関と関連して論じることは避けるべきものと考えます。

副議長(鈴木貫太郎君) 三十四番しのづか元君。
   〔三十四番しのづか元君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○三十四番(しのづか元君) 私からは、教育行政について、まちづくりについての二点を質問いたします。
 まず、持続可能な社会の担い手をはぐくむ教育についてお伺いいたします。
 東京都教育委員会では、第二次の東京都教育ビジョンを初めとして、将来に向けて目標を持って教育施策を進めています。今後の社会情勢や世界情勢などを踏まえると、どのような人材を育てるかは、国や東京都の将来も左右し得る非常に大きな課題です。
 現在、いじめや不登校、学級崩壊など、学校や家庭が抱える問題や、フリーター、ニート、衝撃的犯罪など、地域や社会の抱える多くの課題があります。それらの原因の一つとして、子どもたちが自然や家族、地域や社会から隔絶され、実体験やさまざまな立場の人たちとのコミュニケーションが不足していることなどが考えられます。
 OECD、経済協力開発機構が行っている国際的な学力調査、PISA調査の結果でも明らかになったように、今、日本の子どもたちの聞く力、考える力、問題解決する力、表現する力、学ぶ意欲などの低下が問題視されています。
 そこでまず、東京都は、子どもを取り巻く社会全体の環境の変化についてどのように認識し取り組みを進めているのか、お伺いいたします。
 現代の社会は、地球規模の環境破壊や貧困、紛争など、持続不可能な問題が山積しています。将来の日本、そして東京の子どもたちには、その延長線上の社会において、みずからの考えを持ち、新しい社会秩序をつくり上げることが求められます。だからこそ、地球的な視野で身近な暮らしを変え、地域づくりに参加する市民を育成する教育が必要だと考えます。その教育が持続可能な社会の担い手をはぐくむ教育です。
 新しい学習指導要領が来年度から小学校で全面実施され、順次、高等学校まで導入されます。校庭の芝生化やエコスクール、CO2の削減など、東京都では先進的な取り組みも行われていますが、こうした学校での取り組みをさまざまな形で地域に広げ、それぞれの状況を踏まえた上で、子どもと大人、地域と行政などがともに取り組む必要があります。
 環境教育や自然保護、国際理解教育や人権やさまざまな文化などに造詣のある地域の人材を学校教育に取り入れ、学校や教員を支援して、実践的に子どもたちが社会に参画できるようにしていくことが必要です。
 具体的な例として、都内のある学校では、この夏、二○五○年の大人づくりをスローガンにして都の緑の東京募金に参加し、地域の人々と協力して、ノリ養殖用のリデュース網を使い、緑のカーテンでゴーヤを栽培し、気温の変化を調査しました。育った苗を地域のひとり暮らしの高齢者に配って安否確認をしたり、実ったゴーヤを地域のレストランに配り、新しいレシピを学校と協力してつくるなど、学校と地域とのパートナーシップの上にこの教育を実践しています。
 この活動を通じて、子どもたちは省エネルギーや環境負荷が少ない生活を工夫したり、高齢者との会話で日ごろの食生活を見直したり、海外の食文化に触れ、その多様性や和食のすばらしさに改めて気づくなど、さまざまな経験や学習の成果を上げていると聞きます。
 ユネスコ憲章の理想を実現するため、平和や国際的な連携を実践する学校としてユネスコスクールがあります。このユネスコスクールは、持続可能な社会の担い手をはぐくむ教育であるESDの推進拠点となっています。改正教育基本法に基づき制定された教育振興基本計画においても、その増加を目指し、支援することが明示されています。
 子どもたちの主体性や自主性、社会参加への意欲など、計算問題や漢字の書き取りなどとは違い、すぐに結果は出にくいものです。しかしながら、社会やグローバルな課題に対して立ち向かっていけるような首都東京の子どもたちを育てていくためには、この持続可能な社会の担い手をはぐくむ教育の推進が重要であると考えます。
 この持続可能な社会の担い手をはぐくむ教育に関して、東京都教育委員会の見解と現状及び今後の取り組みについてお伺いいたします。
 持続可能な社会の担い手をはぐくむ教育の推進は、学校単独で行えるものではありません。学校と地域のかかわりを深め、地域への支援体制を強化することが重要です。既にある学校支援地域本部の取り組みは、この教育を進める上で極めて有効な手段だと考えます。今後の国の施策との関連も含め、東京都として、学校支援地域本部の取り組みをさらに充実させる手段が講じられることを期待します。
 この学校支援地域本部のコーディネーター育成においても、持続可能な社会の担い手をはぐくむ教育の視点を導入することが重要だと考えますが、見解をお伺いいたします。
 大学など高等教育機関は、持続可能な社会の担い手をはぐくむ教育に関するすぐれた教育資源を提供できる能力があります。現在、この教育の推進のために、全国で十一の大学がユネスコスクールとの連携を進めています。
 しかしながら、関東圏では玉川大学のみの参加となっていて、東京都でこの取り組みがいま一つ進んでいない原因であるとも考えられます。ぜひともこの教育の推進のために、首都大学東京とユネスコスクールとの連携を進めていただくよう要望いたします。
 また、二○一四年には、ユネスコスクールが推進している持続可能な社会の担い手をはぐくむ教育に関する十年の成果と発展を踏まえた世界的な祭典が日本で開催される見通しであると聞いています。
 宮城県などがその誘致に既に乗り出しているようですが、世界的に注目される次世代育成の好機であり、日本の首都東京の教育水準の高さと先進性を知らしめるいい機会であると考えます。ぜひこの祭典を東京で開催することを強く要望し、次の質問に移ります。
 多摩地域のまちづくりの諸課題についてです。
 多摩の心育成・整備計画の改定版として、昨年八月に多摩の拠点整備基本計画が策定されました。この計画では、以前からの八王子、立川、多摩ニュータウン、青梅、町田の五つの核都市に、生活拠点として新たに七地区が拠点整備地域として加わり、計画的かつ重点的にまちづくりを推進することによって、活力と魅力にあふれ、自立して一層の発展を遂げる多摩地域の実現をうたっています。
 しかしながら、十年前の計画に描かれた五つの核都市の整備状況を見ても明らかなように、依然として計画どおりにはまちづくりが進んでいません。社会経済状況の変化や都市づくりを取り巻く環境など、さまざまな要因はあるものの、東京都として、例えば、以前あった多摩都市整備本部のような組織体制で、集中して各自治体とともに取り組まなければ、この多摩の拠点整備の計画の実現にはなかなかたどり着けないようにも思われます。
 この計画を実行していくに当たって、都市づくりだけではなく、産業や福祉など多岐にわたる政策の推進が求められますが、これらをどのように取りまとめて計画を推進していくのか、所見をお伺いいたします。
 私の生まれた昭和四十一年に開発が始まり、多摩ニュータウンはことしで入居開始から四十年が経過しました。ことしの三月二十八日に、多摩ニュータウンの初期入居地区である諏訪二丁目団地で住民の二十年以上の取り組みの結果、住民の九割以上の合意をもって建てかえ決議が成立しました。ようやくニュータウン再生に向けての、その第一歩を踏み出そうとしています。
 しかし、特にこの諏訪二丁目を含む初期開発地域においては、建てかえによる都市インフラの更新だけではなく、住民の急速な高齢化への対応、そして、これまでの住宅都市から職住近接の複合都市への転換など、困難な課題が山積しています。
 この新たな課題への対応は、とても地域や地元自治体だけの力では解決できません。かつての施行者である東京都としても、都市再生へ向けてのニュータウンの再生ビジョンを地元自治体や国など関係機関と連携して立案、確立していくことが求められます。そのためにも、進行中の事業や未整理の懸案事項に関して、解決能力のある責任所管を明確化し、窓口を一本化するなどの対応が必要だと申し上げておきます。
 このようなニュータウン再生の取り組みを支援していくことは、将来の東京の都市再生や住宅政策を考える上でも重要なモデルケースになり得ると考えます。多摩ニュータウンは今後、都営住宅、公社住宅を含む大規模団地のさらなる更新や、用地買収後四十年間、一向に整備の進まない南多摩尾根幹線の整備、地域の活性化など、あらゆる課題に総合的に取り組んでいかなければなりません。
 多摩ニュータウンの再生、発展に向けて、整備の手法も含めて、今後のまちづくりのあり方を総合的に再検討していく時期に来ていると考えますが、見解をお伺いいたします。
 ことしの十一月に、JR中央線の三鷹から立川の間の立体交差化が実現します。このJR中央線の高架化と同時進行で、JR南武線の第二期の立体交差事業も平成二十二年度完成予定で進められていました。
 しかし、都はこれまで、事業のおくれを心配する、同時に土地区画整理事業を進めている地元市の声にも計画の変更は伝えず、計画をあと一年残した昨年十一月になって、突然五年もの工期延長との見通しを示しました。
 それまでずっと計画どおりで完了見込みという東京都の言葉を信じ続けてきた地元にとってはまさに寝耳に水の出来事で、大きな混乱を招きました。半年、一年ならまだしも、五年もの長期の計画変更への対応がなぜこんなにおくれたのか、疑問でなりません。
 この事業に協力して、仮換地移転を余儀なくされている方も多数います。施行者である東京都として、地元住民はもちろんのこと、関係機関とも十分に意思疎通をして、一日も早い工期短縮に努めるべきです。
 その後、地元住民に対して説明会が開かれましたが、この大幅な工期延長についての対応がおくれたことによって、この先の事業の見通しについても地元の不安は解消されていません。
 そこで、このJR南武線連続立体交差事業について、改めて計画がおくれたそもそもの理由と原因、その後の関係機関との協議の内容、工期短縮の見通しについてお伺いいたします。
 多摩地域はもちろんのこと、都内では多くの未利用となっている都有地があります。都有財産は最大限活用することが必要です。未利用になっている場合は、その土地の管理に多額の経費がかかっています。
 例えば、その未利用地を地元自治体と連携して暫定的に市民農園化するなどの活用を進めてはどうでしょうか。そうすることによって東京の緑政策が広がり、結果的にその手数料収入で財政的にも寄与することになります。
 このように住民ニーズを踏まえた未利用の都有地の暫定活用などを積極的に進め、少しでも有効活用を図るべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 まちづくりを進めるために、都市計画を目的に課税されているのが都市計画税です。都市計画税は、地方税法によって、都市計画区域内の土地や建物に市町村が条例で課税できることになっています。東京都では、多摩地区が市町村の課税、東京二十三区においては東京都が都税として課税し、交付金として特別区に配分されています。
 大正八年に制定されたこの都市計画税が最後に見直されたのは昭和三十一年で、実に半世紀を過ぎ、当時と今とでは社会環境が大きく変化しています。都市計画から都市再生へ、スクラップ・アンド・ビルドからストックマネジメントへと考え方が変わってきている今日において、依然として下水道や道路など都市インフラの更新には、この都市計画税の使途としては充てられないことになっています。例えば、都市更新税など新たな課税も考えられますが、これ以上の住民負担は考えにくいと思います。
 都市化が進み、これから先、多くの都市インフラの更新期を迎える東京都として、市町村とともに、この都市計画税の運用面での見直しを国に対して働きかけていくべきと考えます。
 見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) しのづか元議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、子どもを取り巻く社会環境の変化への認識と取り組みについてでございます。
 少子高齢化、情報化の一層の進展、グローバル化、地球環境問題の深刻化など、子どもを取り巻く社会環境にさまざまな変化が生じており、こうした社会の変化に主体的に対応し、日本の未来を担う子どもたちを育成する教育を推進することが重要であると認識しております。
 こうした認識に立ち、都教育委員会は、平成二十年五月に東京都教育ビジョン(第二次)を策定し、家庭や地域の教育力の向上を支援する、教育の質の向上・教育環境の整備を推進する、子ども・若者の未来を応援するという三つの視点に基づいて施策の展開を図っております。
 具体的には、家庭の教育力の向上、確かな学力の定着と伸長、子どもの心と体の健やかな成長、子どもの社会的な自立への支援、首都東京、国際社会で活躍する日本人の育成などの取り組みを着実に進めているところでございます。
 次に、地球的な視野で社会の担い手をはぐくむ教育についてでございますが、国際理解や環境等にかかわる地球規模の諸問題に対応する教育は、我が国の教育振興基本計画を初め、来年度から全面実施となる新学習指導要領にも盛り込まれておりますが、東京都においては、既に東京都教育ビジョン(第二次)にその重要性を示しているところでございます。
 こうしたことから、現在、都内の公立小中高等学校等におきましては、東京都教育ビジョン(第二次)を踏まえ、社会科や理科、総合的な学習の時間や特別活動を中心として、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
 お話のユネスコスクールは、平成二十二年三月現在、全国に百三十六校、都内には十三校ございまして、そのネットワークを活用した教育に取り組んでおります。
 都教育委員会は、本年八月、日本ユネスコ国内委員会との共催により、教員研修を実施いたしました。また、今後は、十月に開催予定のユネスコスクール全国大会について、小中高等学校等の校長会や区市町村教育委員会に周知をしてまいります。
 次に、学校支援地域本部のコーディネーターの育成についてでございます。
 これからの学校教育においては、学校と地域との連携により、教育活動を活性化させていくことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会では、地域住民がボランティアとして学校の教育活動を支援することを目的に、区市町村における学校支援地域本部の設置を促進いたしますとともに、その中核を担うコーディネーターの養成研修を実施しております。
 この養成研修におきましては、環境教育等の充実の観点が盛り込まれております新学習指導要領を研修プログラムとして取り上げているところでございます。
 子どもの主体性や自主性、社会参加の意欲などをはぐくむためには、地域の人材を活用した多様な体験活動など幅広い教育活動が行われることが重要であるために、各学校における実践事例を取り上げるなど、コーディネーターの養成研修の充実に引き続き努めてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩の拠点整備基本計画の推進についてでございますが、本計画は広域的な拠点である核都市に加え、より身近な生活拠点についても整備の方針と具体的なプロジェクトを示し、これにかかわる各主体が個別の事業計画等を策定する際の基本的な指針となるものでございます。
 計画の推進に当たりましては、何よりも地元市町の積極的な取り組みが重要でございますが、都も広域的な都市基盤の整備等を行うとともに、地元市町などが主体となるまちづくりに対しまして、計画段階や事業実施段階において、今後とも技術的支援などを積極的に行ってまいります。
 また、庁内関係局、地元市などで構成する核都市や生活拠点の整備に係る連絡会議を設置しておりまして、こうした場を活用して、拠点整備に係る各主体の連携協力を図りながら、引き続き本計画に即したまちづくりを推進してまいります。
 これらの取り組みにより、これからも活力と魅力にあふれ、自立して一層の発展を遂げる多摩地域の実現を目指してまいります。
 次に、多摩ニュータウンの再生についてでございますが、多摩ニュータウンは昭和四十一年の事業開始以降、住宅のほか、業務、商業、文化施設の充実など多様な機能を備えた先導的なまちづくりが進められてまいりました。
 その一方で、入居開始から約四十年が経過し、この間、高齢化への対応や地域の活性化など、さまざまな課題が顕在化していると認識しております。
 都としては、東京の都市づくりビジョンや、多摩の拠点整備基本計画を踏まえ、地元市などとの適切な役割分担を基本に、相互に連携を図りながら、時代の変化により生じたまちづくりに関する課題に引き続き取り組んでまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) JR南武線連続立体交差事業についてでございますが、本事業は、稲田堤駅から府中本町駅間を高架化し、鶴川街道など十五カ所の踏切を除却することで交通渋滞や地域分断が解消される極めて効果の高い事業であります。
 このうち、稲田堤駅から矢野口駅付近までの区間については、平成十七年十月に高架化を完了させ、八カ所の踏切を除却いたしました。
 また、矢野口駅付近から府中本町駅までの区間については、現在、高架橋工事を進めております。
 本区間については、用地取得の難航による工事着手のおくれ、列車運行の安全管理強化による作業時間の制限、土地区画整理区域内のため搬入路が限られ、作業効率が低下したことなどから事業期間の見直しが必要となり、本格的な高架橋工事に先立ち、昨年十一月に平成二十七年度までの工期延伸を明らかにいたしました。
 現在、工程調整会議などを通じ、稲城市やJR東日本と連携し、工期短縮についての具体策を検討しております。
 これらの内容につきましては、これまでも議会などあらゆる機会をとらえてご説明してまいりました。引き続き、地元の理解と協力を得ながら、本事業の推進に努めてまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 都有地の有効活用についてお答え申し上げます。
 都の財産は、都民から負託された貴重な財産でありますことから、これを最大限有効活用していく必要がございます。
 これまでも、当面利用予定のない都有地につきましては、地元自治体や民間事業者への貸し付けにより、暫定活用を推進してまいりました。
 地元自治体の行政施策に連動させて都有地を活用することは、都民サービス等の向上にもつながりますので、今後とも、地元自治体から事業内容や使用期間を明確にして暫定活用の申し出があった場合には、その使用方法について十分に協議するなど、連携を図りながら都有財産の有効活用を推進してまいります。
   〔主税局長荒川満君登壇〕

○主税局長(荒川満君) 都市計画税についてでございますが、都市計画税は、都市計画の重要性にかんがみ設けられた都及び市町村が課することのできる目的税であり、現在の地方税法では、都市計画事業及び土地区画整理事業の費用に充てることとし、それ以外の費用には充てることができないとされております。
 今後、都市インフラについては、新たな整備に加え、更新も重要になってくることはご指摘のとおりでございます。
 しかしながら、税制度面から見れば、都市計画税を都市計画事業以外の手法による更新事業の費用に充てることができるよう、税の設置目的を超えて運用面で対応することは困難であり、さらに、法そのものの改正を行うべきかどうかについても、これからの都市づくりと費用負担のあり方などを踏まえて判断されるべきものと考えます。

議長(和田宗春君) 三十六番中山信行君。
   〔三十六番中山信行君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十六番(中山信行君) 最初に、建築物の環境性能の向上策について質問します。
 環境局が平成十四年に建築物環境計画書制度を導入したことにより、都内には省エネ法の基準をクリアする大規模建築物が既に三百近くも存在しています。いわば東京は、環境性能にすぐれた建築物の世界的な総合展示場となっています。
 全世界の約四割のCO2が建築物から排出されているとの推測もあります。日本製の低公害車が世界市場を大きくリードしているように、これからは東京発の環境建築技術が日本経済の新たな牽引力と育つ可能性があります。知事の所見をお伺いします。
 従来から私は、環境局に対し、建築学会などと連携し、すぐれた環境建築技術の活用を促す取り組みの充実を求めてまいりました。都は、ことし七月三十日に初の環境建築フォーラムを開催、私も大変な盛況ぶりに感激しました。
 環境建築フォーラムでは、都民に身近な工夫を取り上げていくことも大切です。私の地元、足立区六町では、エコアパートという取り組みがマスコミの関心を集めています。太陽光や雨水などを積極活用して、光熱水費を大幅に抑え、CO2も三割削減、入居希望者が相次いでいます。
 そこで、改めて環境建築フォーラムの成果を伺うとともに、環境配慮型の生活スタイルへの移行を先取りする意味で、都のマンション環境性能表示制度の先進事例を環境建築フォーラムでも積極的に取り上げていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、都施設の省エネについて質問します。
 現都庁舎は、我が国超高層ビルの代表事例の一つですが、空調などの設備更新が迫っています。一般的にも、超高層ビルはエネルギー消費量が多く、設備更新においても省エネに細心の注意を払う必要があります。
 まして、都は、超高層ビルのオーナーとしての責任と、環境行政の先進自治体としての使命を同時に果たさなければなりません。
 その意味で、現庁舎の設備更新においては、先進環境技術の積極導入、ランニングコストなどトータルな視野での計画立案、そして、民間ビルでは敬遠されがちな設備更新データの公開などに取り組むことが重要です。
 都は、国内外の超高層ビルの設備更新の模範となる取り組みに挑戦するべきと考えますが、見解を求めます。
 また、業務継続中の設備更新という困難にどう立ち向かっていくのか、施工方法上の工夫について見解を求めます。
 都は現在、都施設の環境性能基準である、省エネ東京仕様二○○七を改定中です。省エネ設備の導入には、常に総論賛成、各論反対の危惧がつきまとい、設計過程で次々と予算が削られてしまいがちです。その意味で、省エネ東京仕様の改定後に建築する都施設においては、都の環境貢献意欲の本気度が問われることになります。民間ビルの環境性能を大きく上回る模範的環境建築に挑むべきです。現在の改定状況とあわせ、都の見解を求めます。
 次に、ものづくり教育について質問します。
 日本が世界に先駆けて取り組む低公害型社会や低炭素型社会への移行は、すぐれた技術力に裏打ちされて初めて可能となるものです。その技術力の育成を担う重要な柱の一つが、都立工業高校です。
 しかし、都立工業高校の募集定員を見ると、平成元年の約七千五百人に対し、二十二年四月時点では同種校を含めても約三千二百人にすぎません。定員減少の背景には、少子化の進行だけでなく、子どもたちのものづくり離れの影響も大きいと考えます。
 例えば、私の地元の足立工業高校では、この不景気下でも直近の求人件数は就職希望者数の約七倍と多く、依然として中小企業側の期待が大きいことがわかります。就職率の高さ、社会人として身につけるべき素養の習得などを考え合わせれば、都立工業高校への進学は魅力的な学校選択としてより評価、活用されていくべきです。中学生やその家族に対するPR方法の工夫について、見解を求めます。
 先日、私は江東区の都立科学技術高校を訪問しました。卒業生の七割強が現役で四年制大学に進学、八割強が理系学科を選択しています。この背景には、入学後に急激に成績が向上する、同校独自の工夫があります。最高水準の工作機械の取り扱いを一年生に体験させたり、研究、実験などの応用編の授業を早くから取り入れたりしています。これらの取り組みにより、理系学業を通じて得られる仕事の夢が膨らみ、学習意欲が向上しているのです。
 科学技術高校の取り組みは、高額の費用をかけずとも推進できるものも多く、他の工業高校にも十分応用可能と考えます。都庁各局との連携も含め、見解を求めます。
 次に、キャリア教育について質問します。
 工業高校を初めとする専門高校は、教育課程の全体がキャリア教育といっても過言ではありません。問題は、普通科高校であり、小中学校です。
 神戸女学院大学教授の内田樹氏は著書「下流志向」の中で、現代社会の病根を、子どもたちが成熟の最初の段階で、消費主体としての人格を形成してしまい、幼くして自己形成を完了してしまうことにあると分析しています。逆に、労働主体としての人格の形成を図る場合には、働きぶりに対する周囲の評価を得ることから人生が始まるとし、その第一歩として、子どもたちが家庭や地域で一定の役割を果たしていくことの重要性を強調しています。
 この視点に立てば、例えば人格形成の根幹をなす小学校においては、今般、文科省が作成したキャリア教育の手引きの具体的な活用が有効です。授業における教員の語り口を整理して、教科ごとのモデル的な指導案として取りまとめ、全授業を通じてキャリア教育を推進し、労働主体としての人格形成にも取り組むべきです。
 また、普通科高校においては、仕事や労働による自己実現を高校生活全体を通じて考察する機会として、毎年、課題論文として取り組ませることが私は有効と考えます。
 都は今後、体験学習の充実だけでなく、小中高の全教育活動を通じてキャリア教育を推進する取り組みを強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 私は、キャリア教育の成果を発表する機会の充実を求めてまいりました。これを受け都は、平成十八年から四回にわたり、児童生徒自身が成果を発表するキャリア教育推進フォーラムを開催、私も参加し、その重要性を改めて認識しました。
 キャリア教育推進フォーラムは二十一年秋の開催をもって一たん終了しましたが、さらなる推進を図るためには、産業界など、より幅広い応援が必要です。都は、キャリア教育推進フォーラムにかわる新たな取り組みを打ち出すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、雇用対策について質問します。
 都内は今、完全失業率が六・三%にも及ぶ厳しい雇用情勢下にあります。そうした中、都の職業能力開発センターは、企業が求める人材のスキルと求職者が持ち合わせるスキルとのミスマッチの解消に向け、地域の産業特性や人材ニーズに応じた職業訓練を提供し、高い就職率を維持しています。
 私の地元、足立区綾瀬の都立城東職業能力開発センター足立校も、地域の産業の支援拠点として住民から親しまれてきました。塗装科生徒の実習などを利用して、老朽化した外形を何とか維持してきましたが、このたび、ようやく改築されると仄聞します。城東地区全体の中小企業に対し、人材の育成など質量とも豊かな支援を提供できるような改築内容とするべきですが、見解を求めます。
 足立校の改築に当たっては、地域特性に応じた訓練科目の充実はもとより、地域のものづくりを支える中小企業が研修や訓練を実施する場合には、訓練施設を無料で貸し出していくなど、人材育成に関する支援機能の充実を図ることが重要です。見解を求めます。
 最後に、公的住宅の住まいやすさの改善について質問します。
 都営住宅では名義人が六十五歳以上である世帯が半数を超え、高齢化が進行しています。その結果、団地内のコミュニティ機能が低下し、都の支援策が待ち望まれています。
 都は第二回定例会の我が党の代表質問に、巡回管理人の業務内容や共益費の徴収などについて検討し、支援策を来年度から試行、すなわちモデル実施すると答弁しました。そこで、現在、都が検討している支援内容について説明を求めます。
 団地内のコミュニティ機能を支援する上では、団地ごとに実情が異なることを踏まえ、住民理解を前提に進めることが重要です。モデル事業の具体的な実施方法とモデル事業後の見通しについて見解を求めます。
 我が党は、少子高齢社会の進展に伴い、都営住宅の入居収入基準を超える世帯においても、東京都住宅供給公社が都全体の住宅政策の中で独自の役割を果たすよう求めてきました。これを受け、同公社は、今年度より少子高齢対策室を設置、子育て世帯や高齢者向けの住宅の検討を開始しています。取り組みが大きく前進することを期待します。
 既存の公社住宅には、高齢者にとって使い勝手の悪い居室が多いのも現状です。居室内設備のバリアフリーに関する取り組みと今後の推進について見解を求めます。
 エレベーターが設置されていない古い公社住宅においては、高齢者が毎日の階段の上りおりで苦労しており、我が党は階段室型の公社住宅へのエレベーター設置を強く要望してきました。階段室型という悩ましい条件に立ち向かい、バリアフリー化の最重要課題であるエレベーターの設置に向け、公社は積極的に役割を果たしていくべきと考えます。見解を求めます。
 近年、広くAEDの設置が進んでいます。都営住宅や公社住宅への設置には課題も多いと思いますが、居住者や周辺住民の高齢化が進む中、いざというときに備えた準備も重要であります。公的住宅の役割の視点から、AEDの設置推進を要望し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中山信行議員の一般質問にお答えいたします。
 建築物の環境性能の向上についてでありますが、都市における大幅なCO2削減のためには、建築物対策の強化が絶対に必要であります。このため、都は、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度とともに、建設段階から環境性能の向上を求める建築物環境計画書制度を導入してきました。
 こうした都の政策の展開を受けて、東京においては、先端的な省エネ機器の導入ときめ細かい制御手法の駆使により、CO2を半減するビルが建設されるなど、すぐれた取り組みが開始されております。
 都の先駆的な施策と我が国の高度な環境建築技術は、ともに相まって世界の都市におけるCO2削減に貢献し、また、日本の環境ビジネスに新たな市場を生み出し得るものであると思います。
 このため、官民挙げて、東京の建築物CO2の削減の取り組みを十一月のアジア大都市ネットワーク21東京総会において発表するほか、今後、実施が予定されているアジア諸国とのさまざまな交流事業の場を活用するなど、積極的に海外に向けても発信していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立工業高校のPR方法の工夫についてでございます。
 日本のものづくり産業を支える人材を育成し、技術を継承し発展させていくために、工業高校の果たすべき役割は重要であると認識しております。
 都立工業高校は、地域の産業界とのつながりを生かすとともに、生徒一人一人に応じた進路指導を行っており、雇用環境の厳しい中にあっても、就職希望者のほぼ全員を就職させることができました。また、都立産業技術高等専門学校への編入や大学進学への道も開かれております。
 都教育委員会は、こうした工業高校の魅力を、これまで都立高等学校等合同説明会やリーフレットなどを通じて、中学生と保護者に発信してまいりました。今後は、都立工業高校における就職状況や進学実績、資格取得状況などをよりわかりやすく伝えられるよう、リーフレットを改定し、進路選択を意識し始める中学二年生の冬に配布することによりまして、一層効果的にPRしてまいります。
 次に、工業高校の生徒の学習意欲を向上させるための取り組みについてでございます。
 生徒の学習意欲の向上を図っていくためには、生徒がものづくりに関する興味、関心を深め、自分の具体的な将来像を描けるように、授業や実習を工夫、改善することが重要でございます。さらに、生徒が学習成果を発表し、評価を受ける場を設定することは、生徒のプレゼンテーション能力を高め、達成感を与えられることから、都教育委員会は、東京都工業校長会と共催で、毎年、工業科生徒研究成果発表会を実施しております。
 今後、この発表会を、首都大学東京や都庁各局、民間企業等の協力を得て、より充実させるとともに、都立科学技術高校の実践例をこの発表会を通じて他校に広めるなど、各工業高校における教育活動の魅力の向上を図ってまいります。
 次に、キャリア教育を推進する取り組みについてでございます。
 児童生徒が将来社会で自立して生きていくためには、働くことの意義を理解し、望ましい勤労観、職業観を身につけていくことが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、小学校では働く人々の職業調べ、中学校では職場体験の実施など、それぞれの発達段階に応じた計画的なキャリア教育を実施するよう、区市町村教育委員会と連携して各学校を指導してまいりました。
 また、高等学校では、小中学校の取り組みを踏まえ、キャリア教育の年間指導計画を作成し、教育活動全体を通じてキャリア教育に取り組むよう指導しますとともに、資料集の作成配布や実践連絡協議会の開催等を通して、すぐれた実践事例の普及啓発を図ってまいりました。
 今後は、授業実践のポイントが示されている文部科学省発行の手引きを活用して、教員がこれまで以上に具体例を盛り込んだ指導案を作成することができるよう、教員研修を実施してまいります。
 さらに、学習指導要領改訂の趣旨を踏まえまして、小中高等学校を対象としたキャリア教育に関する開発委員会を設置いたしまして、すべての教科、領域等において、キャリア教育の視点に立った指導方法や指導内容を研究開発するなどして、各学校のキャリア教育を充実させてまいります。
 次に、キャリア教育推進フォーラムにかわる新たな取り組みについてでございます。
 キャリア教育をさらに充実させていくためには、学校が家庭や地域、企業などと密接に連携していくことが不可欠であり、それぞれが役割を担い、一体となって取り組むことが極めて重要でございます。
 このため、都教育委員会は、平成十七年度から中学生の職場体験発表会を、平成十八年度からキャリア教育推進フォーラムを実施して、小中高等学校のすぐれた実践事例の紹介などを通して、キャリア教育の意義や必要性について広く都民に普及啓発してまいりました。
 今後は、中学生の職場体験発表会の取り組みに加え、都教育委員会が設置する開発委員会において、家庭、地域、企業などの代表者を交えて、小中高等学校それぞれの発達段階に応じた具体的な連携のあり方について協議を行うことにより、キャリア教育の一層の推進に努めてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅のコミュニティ機能の支援策についてでございますが、都営住宅では、今後、居住者の高齢化が一層進行すると予想されることから、自治会活動などのコミュニティ機能が維持されるよう、地域福祉の担い手である地元区市町や自治会、居住者と役割分担を図りながら、適切に支援していくことが必要でございます。
 都としては、各団地の実情に応じて触れ合いの場づくりや防災活動など、自治会によるコミュニティの活性化に向けた具体案の作成に協力することや、自治会の事務負担の軽減を図るため、都が直接徴収する共用部分の管理経費の範囲を見直すことなどの支援策を検討しております。
 次に、コミュニティ機能の支援のために試行する事業の実施方法などについてでございますが、都営住宅では団地や居住者の実情が多様であることから、試行に当たっては自治会や居住者の合意があることを条件といたしまして、年内に対象となる団地の募集を行う予定でございます。その後、対象団地の選定を進め、来年度から試行を行うことを考えております。試行後につきましては、その成果を検証し、都営住宅のコミュニティ機能の充実に向けて取り組んでまいります。
 次に、公社住宅のバリアフリー化の取り組みについてでございますが、これまで公社では計画的な修繕等を実施し、建物や設備の維持向上に努めてまいりました。特に高齢者世帯などに対しましては、居住者の希望を受けて、手すりの設置や浴室扉の取りかえなど、きめ細かい改善を行っております。
 今後ともバリアフリー化を進めるため、こうした制度について、広報紙である「公社だより」等により、居住者への一層の周知に努め、その利用促進を図るとのことでございます。
 また、公社では、新たな取り組みとして、居住者の転出の機会をとらえ、床の段差解消や介護に配慮した間取りへの変更など、より抜本的なバリアフリー化を進める住戸改善を試行的に実施していくこととしております。
 最後に、公社住宅へのエレベーター設置についてでございますが、公社では既存住宅ストックを再生する手法の一つとして、今後、個別の住戸にとどまらず、住棟単位で設備などの改修を行う住棟改善を試行的に実施することとしております。その中で、これまで実施してきた廊下型住棟へのエレベーター設置に比べ、費用負担等の面で難しい階段室型住棟へのエレベーター設置についても検討しており、来年度以降、モデル工事を予定しております。
 今後、公社では、モデル工事を通じて改修にかかわる技術やコスト、工事期間中の騒音、振動の影響等を検証し、その結果を踏まえながら、エレベーターの設置など住棟改善に取り組んでいくこととしております。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

○環境局長(大野輝之君) 建築物の環境性能の向上についてでございますが、本年七月に建築学会等の後援を得て開催いたしました環境建築フォーラムにおきましては、現在、都内で建設が進められておりますCO2を半減するオフィスビルの開発実例などを建設会社からご報告いただきました。これからの低炭素時代において新築ビルに求められる環境性能の水準について、認識を広げることができたと考えております。
 また、当日は、建設、設計関係はもとより、金融や不動産取引関係の企業からも多数の参加がありまして、不動産市場において環境性能のすぐれた建築物を高く評価する機運の醸成にも貢献することができたものと認識をしております。
 今後は、一般の都民にも関心を広げていくため、オフィスビルのみならず、マンションなど住宅用途のすぐれた取り組みにつきましても紹介を行い、環境性能のすぐれた建築物が評価される市場の形成を一層促してまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
 まず、都庁舎の設備更新における省エネの取り組みについてでありますが、本年四月、都における温室効果ガス総量削減が義務化をされ、都庁舎は目標達成に向けて先導的な役割が求められております。
 これまで都庁舎は、平成三年の開庁以来、さまざまな省エネルギー、省資源対策に率先して取り組み、CO2年間排出量を約三○%削減するなど、環境負荷低減に努めてまいりました。
 今回の設備更新に当たりましては、ライフサイクルコストに配慮し、費用対効果を検証しながら、各種設備の省エネ機能を大幅に向上させるよう取り組んでまいります。特に都庁舎のCO2排出量の約六割が空調関係で占められていますことから、空調設備の改修につきましては、学識経験者の意見も取り入れながら、より省エネ効果が高くなるよう、設備の設計を進めてまいります。
 また、設備更新のみならず、設備の効率的な運転など、これまで蓄積した維持管理のノウハウを積極的に活用し、都庁舎のCO2排出量削減を図るとともに、こうした取り組みを都民や民間事業者にわかりやすく発信してまいります。
 次に、都庁舎の設備更新における施工方法についてでありますが、都庁舎の設備更新は、業務を継続しながら実施していくため、都民サービスや議会活動への影響を最小限にとどめることが重要であります。
 都庁舎におきましては、空調機がすべての階の天井裏に設置をされていることなどから、改修時には、天井を全面撤去し、そのフロアを閉鎖して工事を行う必要があります。このことから、都庁舎の原則すべてのフロアにおいて執務室の閉鎖、移転を順次繰り返し、工事を進めていくことを予定しております。
 したがいまして、工事時期の設定等、全庁的な合意形成に努めるとともに、工事に際しましては、天井撤去時に照明や防災設備などを同時に施工するなど、業務への影響を最小限にするよう施工方法を工夫してまいります。
 最後に、省エネ東京仕様二○○七の改定についてでありますが、都は、主要施設十カ年維持更新計画に基づく施設の改築、改修に当たり、この省エネ仕様を適用し、東京都建築物環境計画書制度で定める省エネ評価の最高段階を目指した取り組みを行っております。
 省エネ仕様の改定作業につきましては、学識経験者の知見を得ながら、現行仕様に基づき整備した建物の検証とともに、ライフサイクルコストと効果を分析し、最新の省エネ技術の導入についても検討を進めております。
 また、新たに導入する仕様については、今年度から先行的に具体的な施設の設計にも適用するなど、民間のモデルとなるよう、都有施設の一層の省エネ化を推進してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 都立城東職業能力開発センター足立校に係る二点のご質問にお答えいたします。
 まず、職業能力開発センターにつきましては、施設の老朽化の状況等を踏まえつつ、校の整備や中小規模校の集約などにより、効果的、効率的な職業訓練を実施することが求められております。
 今回の足立校の改築も、施設の老朽化に対応することに加え、同様に老朽化の著しい城東職業能力開発センターと統合することにより、施設の大規模化を図るとともに、専門職員や訓練機器等の訓練資源を集約することで、ものづくり系科目を中心とした訓練内容を充実していくことを目的として行うものでございます。
 新たなセンターの訓練定員については、統合前の両校の規模を確保するとともに、足立校改築に係る工事期間中においても訓練を休止することなく継続して実施してまいります。
 こうした考え方に基づき、平成二十六年度の開設を目指して改築計画を着実に進めてまいります。
 次に、改築に当たっての機能の充実についてでありますが、ご指摘のとおり、ものづくり産業を支える地域の中小企業に対して、人材育成に関する支援機能を強化していくことが重要であります。このため、新たなセンターでは、小規模製造業が集積する城東地域の産業特性を踏まえた在職者向けの訓練科目を幅広く設定するなど、企業の人材育成ニーズに対応してまいります。
 また、地域における中小企業従業員の育成のための総合サービスを行う大規模な人材育成プラザを新たに設置いたします。この人材育成プラザでは、中小企業がみずから実施する従業員教育の場として無料で実習場や教室の貸し出しを行うなど、新たなセンターの機能を拡充してまいります。
 こうした取り組みを通じて、城東地域の中小企業に対する人材育成支援策を強化してまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 四十二番高木けい君。
   〔四十二番高木けい君登壇〕

○四十二番(高木けい君) 先般、我が国固有の領土である尖閣諸島沖で起こった中国漁船の乱暴ろうぜきは、紛れもなく、我が国の主権侵害であり、無礼で野蛮な許しがたい事件であります。にもかかわらず、民主党政権は、逮捕した漁船船長を突然処分保留のまま釈放し、検察の判断とうそぶいて、政治主導はおろか、法治国家の根本理念をかなぐり捨てたばかりか、中国から謝罪と賠償まで求められる事態を引き起こしました。
 中国の行為は、まさに知事が喝破したように、やくざと同じであり、それを唯々諾々と許している民主党政権は、中国人の行動様式のイロハもわからぬ、無知で無能な許しがたい最悪の政権とすらいえます。中国には、やわらかい土は掘れるだけ掘れということわざがあるとおり、譲歩すればするほど、そこにつけ入ってくるのが、かの国のやり方であります。
 漁船船長釈放以降、既に日中中間線付近には、十隻以上の海洋調査船が集結しており、東シナ海における海洋権益確保への示威行動が、いまだかつてない規模で展開されています。このままいけば、次は軍艦が展開されることでしょう。我が国領土が蚕食される危機感を極めて強く感じます。
 今回の事件は、偶発的に起こったことではありません。昨年の政権交代以来、極度に日米関係を悪化させた民主党政権のもとで、この機会を見計らって、中国が周到な準備のもとに引き起こしたことを見逃してはなりません。つまりこの事件は、日米安保体制の現状と、両国の出方を探るために仕組まれたもので、普天間問題を政争の具にし、日米関係をずたずたにしたところから醸成されてきたといわざるを得ません。
 数年前、都政においても、中国の横暴な振る舞いによって被害を受けた事件がありました。アジア大都市ネットワーク21の開催都市をめぐって、突然の北京市の脱退でありました。こうした中華思想に基づく中国の傍若無人な振る舞いに対して、知事はどのような思いをお持ちか、また、都政の今後の政策展開の中で、中国とどのようにつき合っていくつもりなのかお尋ねいたします。
 続いて、八ッ場ダムと今後の水需要について伺います。
 人間の体の約七○%は水でできているように、私たちは水なしで生きることはできません。歴史的に見ても、四大文明は、水の恵みが得られる地域で発展してきましたし、今後の首都東京の発展にも水は欠かすことのできない重要な資源であります。
 我が党は、都民の安全・安心を守るため、八ッ場ダム推進議連一都五県の会を立ち上げ、治水、利水の両面において、ダム建設継続の活動をしてきました。
 民主党は、昨年の衆議院選挙のマニフェストで、コンクリートから人へという方針を示しましたが、水を治め、水を利用して都市が発展してきた歴史を全く顧みていません。水道施設の整備に当たっては、首都東京の将来の人口、経済、気候変動の状況なども十分考慮すべきであり、水の需要と供給のあり方を踏まえた新たなプランづくりが必要です。
 あわせて、こうしたことを都民にわかりやすく示していくことも重要です。都の見解を伺います。
 次に、河川治水対策について伺います。
 七月五日の局地的な集中豪雨による石神井川の洪水で、北区堀船地区では約四百六十世帯に及ぶ浸水被害が発生しました。
 同地域では、平成十七年九月にも首都高速株式会社の工事事故による水害が発生しており、五年間に二度も大規模な水害に見舞われています。被災された方々に衷心よりお見舞い申し上げます。
 浸水被害を受け、北区、都、首都高の三者による緊急対策として、大型土のう等によるかさ上げが直ちに実行されたことは高く評価しています。
 一方、七月三十日に行われた地元説明会では、出席した三百名余りの参加者の中から、工事を行っている首都高や都の責任だとの発言も相次ぎました。
 そこで、現在、石神井川においてどのような整備がなされ、下流部の工事区間では、どのような安全策がとられているのか伺います。
 石神井川は、王子駅より上流区間の地形的特性から左岸右岸の高さが違う区間が存在したり、川より低い低地部に居住者がいるなど、水害発生時の対応が危惧される現状にあります。
 このため、地域の特性に応じて、調節池の設置や下水道の整備も含め、河川への流出を抑える対策などを至急検討する必要があります。
 私は、下流への負担を早期に軽減させるためには、まず、現在建設中の白子川地下調節池を活用することが有効な手段であると考えていますが、白子川地下調節池を活用した石神井川からの取水の有効性について、都の見解を伺います。
 さらに今回、浸水被害が多発した石神井川下流域における下水道事業の取り組みについて伺います。
 下水道局はこれまで、浸水被害が多発していた北区西ヶ原地区や岸町地区などで雨水を一時的に貯留する施設の整備、ポンプ所や幹線管渠などの基幹施設を整備した結果、浸水被害を大幅に軽減させました。このことは、地域住民からも高く評価されています。
 しかし、さきの石神井川の洪水では、堀船地区で多くの方が被災されたことに加え、滝野川地区を初め、他の地域でも内水はんらんによる浸水被害が多発しました。
 このため、ゲリラ豪雨など都市型水害の解消は急務であり、積極的な対応を講じていくべきと考えます。
 そこで、今回の浸水被害を踏まえ、石神井川下流域の下水道事業における浸水対策の取り組みについて伺います。
 次に、産業政策について伺います。
 東京の産業を活性化させる方策の一つとして、創業支援が挙げられます。米国では、地域中小企業再投資法に基づいて、特に創業間もない地域の小企業に対する銀行の融資を促したり、千百を超える支援機関が創業期の企業に経営、技術支援を行うなど、創業支援の体制が充実しています。
 都においても、同様の取り組みが必要であり、インキュベーション施設は重要です。現在のインキュベーション施設の多くは、製造業種が中心という印象があり、小売やサービス業の育成にも力を入れていくべきものと考えます。
 まずは、施設をふやすことで創業の苗床を整備し、その上でそれぞれの施設で提供するサービスのレベルアップが重要です。都のインキュベーション施設整備に向けた考え方を伺います。
 続いて、商店街活性化について伺います。
 地域住民の生活や交流の場である商店街は、地域に必要不可欠なインフラとして重要な役割を果たしています。
 都はこれまでも、商店街の活性化に加え、都のさまざまな政策課題の解決に貢献する取り組みに対し、特定施策推進型商店街事業を進めてきました。
 特に同事業によって環境対策として支援を行った街路灯のLED化は、地域住民からも環境問題に対する前向きな姿勢が高く評価されています。
 今後は、LED街路灯を含め、太陽光発電や風力発電など、さまざまな環境対応の仕組みを商店街の中に取り入れるとともに、地球温暖化対策の必要性を地域にしっかりと伝えていく取り組みを都が総合的に支援していくことが必要です。都の見解を伺います。
 次に、鉄道事業者の本来的な役割と駅ナカ課税について伺います。
 駅舎は近年、猛スピードで商業施設化しています。私の地元、JR赤羽駅でも利用者の利便性向上という美名のもと、新たな駅ナカが事業展開されようといたしています。そもそも、まちは鉄道駅を中心に形成されており、集客面での駅の優位性は独占的地位にあるといえます。
 そうした鉄道事業者が展開する駅ナカビジネスは、間違いなく駅周辺の商店街や小売店舗の経営を圧迫し、結果として日常的に駅を利用しない高齢者等の生活利便性をも奪っています。
 このような手法は、独占禁止法にいうところの優越的地位の乱用に当たる上に、商業道徳に反し、鉄道事業本来の姿ではないと考えます。したがって、何らかの規制が必要です。
 そこで伺います。駅ナカビジネスは、通常の大規模小売店舗と違い、大店立地法の規制にかかりません。JR赤羽駅の事例でも、二千平米に及ぶ店舗面積を持ちながら、鉄道事業者と行政や地域住民、また地域の商店街などは話し合いのルールすらありません。
 JR品川駅でスプリンクラー未設置の事例があったように、安全性への検証も必要であります。こうしたことを野放しにしてよいとは思えませんが、都の見解を伺います。
 駅ナカの拡大で新たな収益構造がつくられているにもかかわらず、JRの社会貢献は極めて消極的です。
 例えば、JR赤羽駅前の放置自転車台数はここ数年全国一ですが、集客主体であるJRによる改善対策の取り組みは聞いたことがありません。駅ナカ課税は、制度創設以来既に四年が経過しており、鉄軌道用地の商業転用に対して、近隣商業地等との公平性から、応分の固定資産税評価が必要との考え方が基本となって生まれました。
 さらにその根本は、鉄道事業者が駅という独占的、優越的資源を使って新たな商業ビジネスに参入するなら、一層の社会貢献が税制面でも必要であるということと私は理解しています。
 そこで伺います。
 私は、駅前が一等地ならば、駅ナカは特等地とかねてよりいい続けてきました。駅ナカ課税は、それぞれの条件をさらに精査した上で、強化すべきところは特等地として課税を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、文化事業について伺います。
 都は、ヘブンアーチストや文化発信プロジェクトなどにより、都民が気軽に芸術文化に触れる機会を提供し、世界と競い合える芸術文化の創造、発信を積極的に行っています。
 これに関連し、音楽のあるまちづくりを進めてみてはいかがかと思います。諸外国では、まち角でクラシックやジャズなどの生演奏をよく目にしますが、東京では日常的に生の音楽に触れる機会はそれほど多くありません。音楽のあるまちづくりの推進は、芸術文化の創造、発信に大きく寄与し、東京の文化都市としての新たな一面を開花させる可能性を持つと考えますが、所見を伺います。
 音楽のあるまちづくりを進めるに当たっては、都有施設の有効活用も必要です。とりわけウオーターフロントの美しい景観と音楽との融合による臨海地域の活性化、海の玄関口から東京を訪れる方々への芸術文化を発信するという観点からは、晴海、竹芝を初めとする客船ターミナル施設などの活用が考えられます。
 東京港は、これまでも外国客船の誘致を積極的に進め、東京港の発展と東京の観光振興への取り組みを進めてきています。こうした取り組みに音楽のあるまちづくりという視点を取り入れ、例えば晴海客船ターミナルにおいて自主的活動を展開する音楽家への活動の場を提供し、船で東京を訪れる観光客を音楽で迎えることができれば、外国客船誘致策としても有効であると思われます。都の見解を伺います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高木けい議員の一般質問にお答えいたします。
 先般の尖閣諸島における問題についてでありますが、一連の中国政府の振る舞いは、まさに言語道断であると思います。
 国際的ルール、常識を大きく逸脱しております。彼らが主張する尖閣に中国が領土権を持っているという主張は全く荒唐無稽でありまして、かつての太平洋戦争、第二次大戦における日本に対する勝者は、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、そして中国でありました。その同じ戦勝国のアメリカが、長らくあの沖縄を、尖閣を含めて占有し、しかも返還後も一時期、尖閣を爆撃演習のターゲットにしていた。しかもその所有者であります古賀花子さんという沖縄在住の方に、使用料も払っておりました。そういう事実がありながら、なぜ同じ戦勝国としてアメリカに、自分の国の領土の一部を射爆場にすることを抗議しなかったんですか。
 一方、我が国政府の対処には全く失望いたしました。菅総理はしゃんとしていると思ったけど、この問題について話すとき、何であんなにおどおどした顔になるんですかね、本当に。このままでは、我が国政府は、圧力にすぐ屈する、そういう国、そういう政府だと世界から侮られて、中国の脅威にさらされているベトナム、フィリピン、その他、他のアジアの国からの信頼を失いかねないと私は思いますね。
 この国の命運を左右しかねない判断というものを、三権分立という原則を無視して、素人にもわかることですけれども、一地方の検事に押しつけて、そしてそのせいにして逃げ回るという、これはまさに責任転嫁というか、売国につながりかねない、私は政府の行為だと思いますね。
 これはですね、私たち日本人全体が反省しなくちゃいけませんが、これまでの我が国が外交も含めて防衛も含めて、すべてアメリカの顔色をうかがい、アメリカ任せ、しかも中国の顔色もうかがって、主体性も戦略も全くもってこれに、要するに対してこなかった、そのツケだと思います。
 我が国は、自国の領土も(発言する者あり)何か文句は後でいえよ。我が国は、自国の領土も国民の生命、財産も、みずから守ることなく他国の手にゆだねながら、平和という理念ともつかぬいたずらなセンチメントにおぼれてきたんです。
 トインビーが「歴史の研究」という有名な本の中でいっていますけれども、いかなる超大国も衰弱し、滅亡もすると。国が滅びる原因はいろいろあるけれども、それに気がつけば、ほとんどの問題はリカバリーができる。回復できる。しかし、一番厄介なことは、自分のことを自分で決められなかった、そういう国はあっという間に衰弱し、滅亡するといっておりますが、これは下手をすると日本に当てはまりますな。
 日本は、今回の事態を転機として、何から何までアメリカに頼らずに、例えば、この尖閣でもっと大きく紛争が拡大したときに、アメリカが日本を守りますか。守れますか。先般、アメリカのハドソン・インスティチュートの主席研究員であります、かつてNHKのワシントン支局長をしていました日高君が帰ってきまして、非常に親しくしておりますけれども、ワシントンでは、本当に二百人ぐらいの人が動かしていますが、その社交界に入れるのは、日本人では彼だけですけれども、帰ってきて、私、その一月ほど前に、テレビで、皆さんごらんになったかどうかわかりませんが、日本の代表的な外交評論家で、かつては外務省のエリートであった岡本行夫君に同じ質問をしました。アメリカは、本当にいざといざというときに、尖閣を日本のために守るかといったら、二人とも、守りません、守れませんといいましたな。理由はいろいろあるでしょうけれども、私たちそれについて本気で考える時期に来たんじゃないでしょうか。
 いずれにしろ、トインビーの言葉をかりるまでもなく、私たちは今回の事態を転機として、この厳しい現実に冷静に正面から向かうべきだと思います。人間の世の中というのは、当たり前の原理で動いている、それは、古人がいったように、天はみずから助くる者のみ助く、そうじゃないんですか。こういう人間社会の原理に従って、自分の安危にかかわる問題について、我がこととして真剣に考えることが、私たち今問われていると思います。そのためにも、国政を預かる政治家は、現実的で理にかなった実効性のある外交戦略、安全保障を構えて、国家としての自己主張をしていく必要があると思います。今の政府にも、菅総理にも、それを望みます。
 なお、東京と北京市は、長年にわたる友好都市でありまして、近年では水や環境などの分野で相互に協力関係を築いておりますが、現場を持つ都市同士は、国家同士と異なった協力、友好の形もあり得ますけれども、またこれを継続、発展させることはやぶさかではありませんが、しかし、その親元の中国政府が、このやくざの縄張り争いに似たあこぎなやり方で、我々の領土を侵犯するんだったら、これはとにかく、都市の友好も何もあったものじゃないね。都市同士の友好も何もあったもんじゃない。私たちは、この国が第二のモンゴル、第二のチベットになることを、絶対に好まない。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 水需要と供給のあり方を踏まえた水道施設の再構築に向けた基本構想の策定についてでございますが、将来にわたる首都東京の発展を支える安定給水を確保していくためには、八ッ場ダムによる水源確保はもとより、渇水に対する安全度や気候変動などのリスクを十分考慮することが重要であります。一方、都の膨大な水道施設は、間もなく一斉に更新時期を迎えることになります。
 これらのことから、水道システム全体の安全度などを考慮した需要と供給のあり方を十分踏まえて、将来の東京にふさわしい水道施設に再構築していく必要があります。
 そこで、再構築に向けた基本構想を策定するための検討組織を速やかに立ち上げ、この中で、諸外国における施設の安全度など、例えば、ロンドンにおける渇水に対する安全度が五十分の一などに関する調査を行うとともに、外部専門家の意見も聞きながら、今後の経済動向、人口動態、気候変動など、施設整備に必要な将来の見通しや最新の知見を取り入れるなど、幅広い角度から検討を進めてまいります。
 策定過程におきましては、都民の意見を広く求めるとともに、その内容について、都民にわかりやすく説明してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、石神井川の整備についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、中小河川の整備を効果的に進め、早期に安全性を向上させていくことが重要でございます。
 現在、石神井川では、一時間五○ミリの降雨に対応するため、下流から順次、河川の拡幅を実施しており、上流部の未整備区間に設置した調節池の効果とあわせて、計画延長に対する治水安全度は八六%となっております。
 また、下流部の工事についてでございますが、現在、溝田橋付近では、首都高速道路王子線の整備に伴う石神井川のつけかえ工事や、都の高潮対策工事を実施しておりますが、この区間でも既に五○ミリ降雨対策は完了しております。
 工事の実施に当たっては、それぞれの施行者において水理実験やシミュレーションを行い、施工段階ごとに必要な流下能力を保ち、工事期間中においても安全性を確保しております。
 次に、白子川地下調節池を活用した石神井川からの取水についてでございますが、この調節池は、白子川の五○ミリ降雨対策として設置する施設であり、平成二十七年度の暫定取水を目指し、現在、整備を進めております。
 同様のトンネル構造である環七地下河川調節池では、当初計画した神田川と善福寺川に加え、妙正寺川からも取水することにより、この付近から下流の水害を軽減することができました。
 この事例を踏まえると、白子川地下調節池において、石神井川からも取水することにより、下流部における洪水被害の軽減が期待できることから、その具体的な効果の検証などを進めてまいります。
 今後とも、さまざまな工夫を重ね、安全で安心なまち東京を目指し、中小河川整備を全力で推進してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

○下水道局長(松田二郎君) 石神井川下流域における浸水対策の取り組みについてでございますが、これまで浸水被害の状況に応じて下水道管の一部を先行的に整備して雨水を貯留するなど、浸水被害の軽減に努めてまいりました。
 今後は、浸水対策促進地区に位置づけております北区堀船や東十条において、下水道幹線やポンプ所など基幹的な施設の整備を進めてまいります。
 具体的には、王子西一号幹線は、平成二十五年度の完成に向けまして、本年三月に工事に着手いたしました。また、王子第二ポンプ所は、過日、地域住民の方々のご理解を得るために地元説明会を実施したところでございまして、早期の完成に向けて着実に取り組んでまいります。
 さらに、その他の地域につきましては、雨水を排除する能力を増強するため、地元区と密接に連携し、道路上の雨水ますの増設を図るとともに、貯留施設の整備など、有効な対策を鋭意検討してまいります。
 今後とも、浸水被害の軽減により安全・安心なまちづくりに貢献できるよう積極的に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まずインキュベーション施設の整備についてでありますが、東京の産業を活性化するため、将来に向け発展の見込まれる事業分野等で新しい企業の力を伸ばす創業の促進が求められております。
 このため、創業間もない企業などが経営に必要なノウハウや資金力が不十分な中で直面するさまざまな課題を克服できるよう支援を行うインキュベーション施設の充実は、極めて重要であると考えております。
 行政による取り組みといたしまして、都では平成十八年度の五カ所の施設を八カ所までふやしましたが、区市町村では、同じ時期に五施設の増加にとどまっております。このため、今後は区市町村と民間が協力して施設の開設を進めることも必要と考えております。
 また、都の八施設のうち、企業経営にとって重要な販路開拓や資金調達についてアドバイス等を行うインキュベーションマネジャーを配置いたしました三施設では、入居企業の多くで売り上げが伸びるなど、着実な成果が上がっており、こうしたソフト面の支援を他の施設にどう広げていくかを検討することも重要と考えております。
 こうした状況を踏まえ、インキュベーション施設につきましては、整備箇所を着実にふやしていくとともに、施設のサービス内容の向上を検討するなど、質と量の両面から創業への支援を的確に進めてまいります。
 次に、環境対策の推進による商店街の活性化のご提案についてでありますが、商店街が環境に配慮した設備を導入して地球温暖化対策に寄与することは、商店街のイメージを向上し、集客効果を高めることにつながると考えております。
 また、地域コミュニティの核である商店街の情報発信力を活用し、環境対策とその成果をアピールすることで、地域社会での環境配慮の取り組みが広がるものと認識しております。
 都はこれまで、特定施策推進型商店街事業において、都の施策であるCO2削減に効果の高い街路灯のLED化を支援してまいりました。今後、これに加え、さまざまな地球温暖化対策の方法を商店街から地域に向け積極的にPRしていくため、ご提案の太陽光発電や風力発電を活用した街路灯の設置などを含め、商店街の環境対策についての先駆的な取り組みに対する総合的な支援について検討してまいります。
 最後に、駅構内における商業施設、いわゆる駅ナカについてでありますが、一般的に商業施設が出店を行うに当たり、周辺住民の生活環境を損なうなどの影響を少なくして、施設と地域社会との良好な関係を確保することが望ましいことでございます。
 このため、大規模な商業施設につきましては、大規模小売店舗立地法により、一千平方メートルを超える面積の店舗を開設しようとするものに届け出を求め、説明会を行うことを義務づけるとともに、区市町村からの意見の聴取を通じて、地域で生じる課題の解決に努め、生活環境の保持を目指しております。
 しかし、駅ナカのうち、改札の内側、改札内にあるものについては、国の法令解釈によれば、駅利用客の通行のための通路によって分割された区画ごとに一店舗として扱うこととされておりまして、その面積が一千平方メートル以下となるため、同法が適用にならない事例が生じております。
 こうした事例につきまして、現行の大店立地法では対応することができない状況となっております。
 都は、駅改札内の商業施設の出店によって課題が生じる場合について、法令上の取り扱いを初め、地域に身近な区市町村との役割分担のあり方を含めて、どのような対応が可能であるか研究してまいりたいと考えております。
   〔主税局長荒川満君登壇〕

○主税局長(荒川満君) いわゆる駅ナカ課税についてでございますが、都は鉄軌道用地の評価の見直しについて国に強く働きかけ、平成十九年度に固定資産評価基準が改正されました。
 この改正により、鉄道施設と商業施設等が混在した土地のうち、商業施設等で利用されている部分については、近接の土地の価格と同等とする新たな評価方法が導入されました。この方法に基づき、土地の評価及び課税の大幅な見直しを行い、駅周辺の商業地等との税負担の均衡が図られたものでございます。
 しかしながら、お話のとおり、駅ナカ施設の高度化、大規模化はますます進んでおります。今後、利用状況等について、改めて必要な調査、制度の検証等を行い、適正かつ公平な課税に努めてまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 音楽のあるまちづくりについてでございますが、ご指摘のとおり、日常生活の中で音楽に触れる機会をふやすことは、東京の芸術文化の創造発信に大きく寄与するものと考えております。
 そこで、都は、東京文化会館での多彩な公演や東京都交響楽団の演奏活動などを通じまして、質の高い音楽を提供いたしますとともに、東京文化発信プロジェクトの中では、合唱活動が盛んな東京ならではの参加、育成型の新たな事業展開を行っております。
 また、都民に最も身近なまち中で、ヘブンアーチストによる公園や駅などの公共空間での演奏活動が都民にも浸透してきてございます。
 今後、さらにこうした機運を的確にとらえ、新たな事業展開も含め、各種事業の充実を図り、音楽のある都市東京を目指してまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

○港湾局長(中井敬三君) 客船ターミナルにおける音楽のあるまちづくりへの取り組みについてお答えいたします。
 東京港ではこれまで、晴海客船ターミナルにおいて外航客船の入港時にブラスバンドによる歓迎演奏を行うなどの取り組みを行ってまいりました。
 客船ターミナル施設を音楽のあるまちづくりに活用するとのご提案は、東京港のにぎわい創出につながるとともに、客船誘致にも資するものと考えます。
 今後、晴海及び竹芝の客船ターミナル施設を対象に、地元の方々の理解も得ながら、指定管理者である東京港埠頭株式会社とともに、事業実施に向けて取り組んでまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時二十二分休憩

   午後五時十分開議

○議長(和田宗春君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十六番松下玲子さん。
   〔七十六番松下玲子君登壇〕

○七十六番(松下玲子君) 保育所入所待機児童数が七月に発表されました。発表データは、保育サービスの中に認証保育所等を含む新定義で過去最高の八千四百三十五人です。しかし、認証保育所は、その設立理念において保育に欠ける要件を求めておらず、実際には待機児童解消の受け皿となり得てはいますが、保育を必要とするすべての人を対象にしており、入所の優先順位も定めていません。今のまま優先順位を定めず、保育を必要とする利用者と施設の自由契約を続けている限り、認証保育所を幾らふやしても待機児童は解消しないと考えます。
 ことしの四月に発表された東京都保育計画には、計画が目指すものとして、保育を必要とする人すべてが必要度に応じてサービスを利用できるよう、保育サービスの拡充に取り組んでいますと示されました。
 では、必要度に応じてとは、どういうことでしょうか。また、認証保育所では、どのように必要度を定め、サービスを利用できるようにしているのか伺います。
 認可保育所のように必要度の基準を定めてサービスを利用するようにしなければ、どんなにサービスを拡充しても充足はしません。私には、現在、認証保育所が必要度の基準を定めているようには思えません。保育計画で保育サービスの拡充を目指すというのであれば、どれくらい必要なのかを明確にすべきです。必要量と整備すべき量とを両方一体で示さずに、必要ならば整備するでは、砂漠に水をまくようなもので、どんなに保育サービスを拡充しても待機児童は解消されません。
 都として、保育の必要量をどのくらいと定め、それをいつまでに整備していくのか伺います。
 私は、認証保育所制度を肯定し、十三時間開所などは評価していますが、早急に待機児童を解消するためには、解消されるまでの間、一部、運用を見直しすべきであると考えます。
 旧定義の待機児童数は公表されてはいませんが、調べたところ一万七千八百四十八人と新定義の二倍以上、驚くべき数です。旧定義と新定義の差の内訳、つまり、認可に申し込み、認可に入れなかった人たちがどうしているのかを分析すると、最も多い数が認証保育所の四千四百四十六人です。
 しかし、認証保育所の定員は約一万七千人のはずです。認可保育園の入所希望をせずに、直接、認証保育所に入所している人が約一万二千人もいる現状です。
 現状を把握するために、認証保育所の利用者の実態や状況について調査を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 実態を調査して、短時間利用が可能であれば、新制度の定期利用保育に移行するなど、政策誘導すべきです。もちろん、認可は最初からあきらめてしまい、申し込みをせずにいる人もいるかもしれません。短時間利用している人も、幼稚園のかわりに利用している人も、いろいろな人がいるかもしれませんが、調査をしなければ実態はわかりません。
 認証保育所が、福祉サービスたる保育サービスであり、待機児童が新基準でも八千人を超えた危機的な現状、どこにも入れずに本当に困っている人がいる以上、本当に必要としている人から利用できる仕組みに変えるべきであると私は考えます。
 保育サービス全体で待機児童解消に取り組むのであれば、さきにも述べたとおり、認証保育所の利用者実態調査を行い、定期利用希望者を新たな制度に誘導していく必要があると考えます。認証保育所約一万七千人の定員に対して、実際に待機児童解消としての役割を果たしている数が四千人の現状をかんがみると、待ったなしの待機児童解消には、認可保育園の定員増や分園の設置を進めることが急務と考えます。
 待機児童解消のためにつくられた安心こども基金は今年度末終了予定ですが、次年度以降も継続するよう求めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 安心こども基金ではなく待機児童解消基金と名を変えて、より目的を明確にして継続していただくよう求めていただきたいと要望します。
 学童クラブ事業ガイドラインは、平成十八年七月、七万人の児童が通う学童クラブのサービス向上を目指して策定されています。しかし、望ましいサービス水準の提示にとどまっており、強制力はありませんでした。
 今回、利用者のニーズにこたえ、小一の壁を超えるためにも、補助要件に全国に先駆け生活スペースに有効面積一・六五平方メートルを明記したこと、開所時間を午後七時以降までとする新たな都型学童クラブ事業の制度が創設されたことにより、政策誘導型のガイドラインが新たに作成されたとも受け取れると考えます。
 学童クラブでも、保育園同様、待機児童が問題となっていますが、質の確保も、子どもを預ける親たちは当然願っています。施設全体の約七割を占める公設公営は制度対象となっていませんが、小一の壁の解消を目指す都型学童クラブ事業制度の影響は、どのように考えているか見解を伺います。
 今後、新制度の影響や効果を検証していただき、その上で、学童クラブの質を高めるため、小一の壁を克服するための補助事業や政策誘導型の補助要綱も伴うガイドラインを公設公営に対しても作成していただきたいと要望し、次に移ります。
 次に、青少年健全育成について伺います。
 知事所信表明では、子どもたちはインターネット上にはんらんする有害な情報や悪質な性行為を描いた漫画等を容易に手にすることができる現状にあり、これを放置すべきでないことはだれの目にも明らかです、現在、各方面と議論を重ねており、早期に青少年健全育成条例の改正を議会に提案したいと考えておりますと、発言がありました。
 悪質な性行為を描いた漫画等とは、具体的にどのようなものでしょうか。また、これらを容易に手にすることができる現状とは、どういうことを指しているのか伺います。
 知事の発言をそのまま読むと、容易に手にすることができる現状とは、自主規制の対象図書が区分陳列されていないから子どもが容易に手にすることができるという現状なのか、自主規制すべきと思われるものが規制されていない現状が問題なのか、どちらなのかわかりかねます。区分陳列されていないのであれば、するように指導すればよいことであり、まさに知事のいうとおり、各方面と議論を重ねているさなかに、自主規制や不健全図書指定制度の取り組みなど、これまでの取り組みを否定するとも思えるような発言、問題である状況に東京都内じゅうがなっているとも受け取れる発言は、事実とは異なるのではないかと考えます。
 そもそも、何より現状が大問題であるという、都民から声が多数上がっているのでしょうか。図書類の現状を改善すべきという都民からの具体的な意見は、どれくらい寄せられているのか、青少年問題協議会二十八期への諮問から今日までの期間でお答えください。
 青少年健全育成のため、子どものために条例改正を行おうとするのであれば、まず第一に、現状のままでは子どものためにならない、改善すべきだという意見が都民から多く寄せられ、次に、では現状を改善するためには、現行条例の運用で対応するのか、条例を改正しなければできないのかは方法論で意見が分かれるところであるため、各方面と議論を行い、都民にも判断してもらわなければならないと考えます。
 もし仮に、不健全図書指定が減少している現状ではあるが、自主規制の取り組みがなされていないことが問題だと考えるのであれば、健全育成審議会に不健全図書指定の諮問を諮り、もっと審査してもらえばよいのではないでしょうか。
 青少年への性的刺激が著しく高いものに該当すると委員が判断すれば指定は可能であり、現行条例のまま運用することに問題はないはずであると考えますが、いかがですか。
 第一回定例会で議会に提出された青少年健全育成条例改正案は、継続審議を経て第二回定例会で反対多数で否決となりました。
 条例改正案のもととなっている青少年問題協議会の答申案には多くのパブリックコメントも寄せられ、その多くが答申案に反対のものでした。議会の条例改正案の否決、条例改正案に反対であった多数の都民の声、自主規制に取り組んできている業界や作者の声、どこまで真剣に、これらの現状や声に耳を傾けているのか疑問と思われることがあります。
 この間、否決となったはずの青少年健全育成条例改正案や漫画を用いて警察署で警察関係団体を対象に説明会を行っているようですが、説明会の名前と目的、何のために行っているのかお答えください。あわせて、説明会を何回、都内のどの地域で行ったのか伺います。
 漫画を示して説明し、あわせて、否決されたはずの条例改正案を説明するということは、現状が問題で、改善するためには条例改正するしかないという意図を説明しているのではないかと私は考えました。そのように都民に思われても仕方がないと考えます。これでは、余りに偏ってはいないでしょうか。説明会を開くのであれば、もっとオープンな形で、さまざまな意見に耳を傾ける姿勢を持つべきです。
 改正案の審議過程で、総務委員会では参考人招致、質疑も行われました。有識者の方々も、賛成、反対と全く異なる意見をお持ちでした。改正案を再度提出されるのであれば、現在の協議会の委員をかえ、賛否両論、しっかりと議論できる会にかえた上で答申を出し直すところから始めるべきであると考えますが、見解を伺います。
 毎期二年ごとに協議会ができており、第二十八期の任期は間もなく終了します。まさに今、十二月には協議会を再編する時期のはずです。
 青少年の健全な育成はだれもが望むことであり、異論はないと考えますが、目指すべき健全な育成の姿や方法論をめぐって議論が分かれるところです。条例改正なのか、現行条例に基づく自主規制なのか、子どもの育ちという視点と、芸術文化の振興という視点を対立させることなく、どちらも重要なテーマであり、首都東京として、都民とともに考えていかなければならないと考えます。
 また、子どもの育ちを考える上では、青少年の定義が十八歳未満と広く、ゼロ歳から十七歳までの子どもが一くくりであることには違和感を覚えます。子どもの年齢に応じた多方面からの取り組みが必要であると考えます。
 実際に都が、この間二回行っている関係者との意見交換会でも、出版業界は区分陳列のためのさらに詳しいレーティングができるか検討に入ったと報告があったようです。業界や保護者、教育関係者との意見交換は重要であり、今後も続けていただきたいと思いますが、意見交換会の目的と、会で出た意見を今後どのように活用しようとしているのか伺います。
 条例改正案を今後再提出するお考えであるならば、各方面から出た意見に耳を傾け、反映させていくべきであると述べ、最後に、外かく環状道路地上部街路、外環ノ2について伺います。
 これまでも何度も質疑を行っていますが、いまだに外環ノ2の必要性を検討するための基礎的なデータは提示されていない現状です。しかも、そもそも外環ノ2に関する都の方針は、現在策定中のはずです。
 三月の予算の質疑で、将来に向けて地域の望ましいまちづくりを進めるためには、生活道路への通過交通が流入することや、延焼遮断帯が未形成であるなどの問題を解決することが必要であり、外環ノ2を廃止する場合には、外環ノ2が果たす役割の代替機能が確保されることが必要であるとの考えが示されました。
 これは、あくまで都の方針ではないかと私は意見を述べましたが、まず、そもそも将来に向けて地域の望ましいまちづくりを進めるためには、外環ノ2のみならず、周辺の概成の都市計画道路をどうするのか、地域を総合的にとらえる必要があるはずです。
 外環ノ2から一キロ以内に未完成の都市計画道路が南北に一本、拡幅をしていない東西道路が二本あります。これらの武蔵野市内における未着手の都市計画道路は、どのように扱っているのか伺います。
 また、外環ノ2についての交通量の調査中とのことでしたが、データは一体いつ公表となるのか、また、その際に、概成の都市計画道路の将来推計はどう扱っているのか伺います。
 地域の望ましいまちづくりを進めるために、武蔵野市域では東京都主催の話し合いの会も開催されており、話し合いの会の意見を踏まえ、外環ノ2の検討を行い、都市計画に関する都の方針を取りまとめていくと予算で答弁いただいていますが、一方では、都市計画をつかさどる立場から単純に廃止できないとも答弁があり、矛盾を感じます。
 都の方針は、まだ決まってないはずでありますが、改めて外環ノ2に対する都の方針を伺います。
 地元では、外環ノ2の話し合いの会の開催について、広報が不十分ではないかという意見があります。例えばコミセン便りという広報紙に掲載したいと思っても、開催日程が直前にならないと決まらない、まだ公表できないなどの理由で掲載に間に合わない等、沿線の住民に周知を行うことが難しく、住民の努力によってポスティングを行っているのが現状です。
 こういった現状を都はどう考えているのか、これから他の地域でも開催の予定のようですが、話し合いの会の広報をもっと積極的に行うべきと考えますが、見解を伺い、答弁によっては再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 松下玲子議員の一般質問にお答えいたします。
 四点のご質問がございました。
 まず、武蔵野市における外環ノ2周辺の都市計画道路についてでございますが、お話の南北に計画されている武蔵野三・四・一三号線は、現道がない都市計画道路でございまして、東西に計画されている武蔵野三・四・一一号線、通称女子大通りなど二路線は、八メートル以上の現道がある都市計画道路、いわゆる概成の道路であり、いずれの路線も優先的に整備する路線には選定されてございません。
 都は、平成二十一年四月に公表した対応の方針におきまして、外環ノ2の検討に際し、女子大通りなどの拡幅を含め、周辺道路の整備のあり方について検討することとしております。
 次に、外環ノ2に関する交通量の調査についてでございますが、外環ノ2の必要性やあり方などにつきましては、環境、防災、交通、暮らしの四つの視点で検討を進めることとしております。
 このため、沿線地域の現道の交通量や狭隘道路の状況などの現況を把握するとともに、外環ノ2が整備された場合の周辺道路への影響などについて調査を実施し、現在、最終的な取りまとめを行っております。
 また、概成している都市計画道路につきましては、現況幅員の場合と拡幅整備された場合の二つのケースを想定して検討しております。
 こうした調査の結果につきましては、取りまとめができ次第、公表してまいります。
 次に、外環ノ2に対する都の方針についてでございますが、外環ノ2は、昭和四十一年に、目白通りから東八道路までの区間が外環の地上部街路として都市計画決定された道路でございます。
 外環本線を地下化する方針が出された後、都は、外環ノ2の今後の取り扱いについて、三つの方向で検討することを基本的な考え方として示しております。
 第一の方向は、現在の都市計画の区域を活用して緑豊かな道路として整備する、第二の方向は、都市計画の区域を縮小して車道と歩道を整備する、第三の方向は、代替機能を確保して都市計画を廃止するというものでございます。
 この基本的な考え方をもとにして、沿線の区市ごとに、外環ノ2の必要性やあり方などについて広く意見を聞くため、現在、武蔵野市、練馬区で話し合いを進めております。
 今後、話し合いの場における意見などを踏まえ、外環ノ2の検討を進め、都市計画に関する都の方針を取りまとめてまいります。
 最後に、話し合いの会の広報についてでございますが、話し合いの会の開催に当たっては、構成員に対して、おおむね三週間前に日程等を通知し、さらに、都及び市のホームページでも同様の内容を公表しております。
 また、住民に対しては、会の構成員と周知の方法について意見交換を行った上で、市の広報紙への掲載や、外環ノ2に関係するコミュニティセンターの窓口に開催案内のチラシを置くなど、広く周知を図っております。
 今後とも、話し合いの会や地元区市の意見を踏まえ、適切な周知に努めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、保育サービスの必要度についてでございますが、利用者の保育ニーズは、保護者の就労形態や就労時間、家庭環境、周囲からの援助の有無などにより多様でございます。必要度とは、利用者が保育所に求めるこうしたさまざまなニーズのことを意味しております。
 認証保育所におきましては、利用者のニーズに的確にこたえるため、認可保育所のように保育に欠ける要件などの入所基準は定めず、利用者と事業者との直接契約を導入し、利用者本位のサービスを提供いたしております。
 次に、保育サービスの必要量についてでございますが、東京都保育計画では、平成二十二年度から二十六年度までの今後五カ年間で、保育サービス利用児童数を三万五千人ふやし、さらに、国の新待機児童ゼロ作戦の最終年度である平成二十九年度までに、就学前児童の保育サービス利用率を四四%程度まで引き上げることにしております。
 この目標は、就学前児童を持つ家庭約五万世帯を対象に、各区市町村が実施いたしました保育サービスに関するニーズ調査の結果に基づき、潜在需要も考慮した上で設定したものでございます。
 次に、認証保育所の利用者に関する調査についてでございますが、認証保育所は、認可保育所とは異なり、保護者の就労の有無等にかかわりなく、子育てに困難を抱える人など、広く保育を必要とする人が利用可能なサービスを提供するものでございます。この認証保育所制度の基本的なコンセプトは今後も変える考えはなく、現時点で利用者の就労等の状況調査を実施する予定はございません。
 次に、安心こども基金についてでございますが、平成二十三年度以降の基金の取り扱いにつきましては、九月十日に閣議決定されました新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策の中で、基金による事業実施期限の延長等を検討すると示されておりますが、国からいまだ具体的な方針が出されておりません。
 保育所整備については、現在、基金を財源とした補助制度となっており、都は、国に対しまして早急に方針を示すとともに、必要な財源を確保するよう提案要求を行っております。
 最後に、都型学童クラブ事業についてでございますが、この事業は、保護者の時間延長ニーズに対応し、午後七時以降までの開所とあわせ、指導員に保育士等の有資格者を配置することなどを義務づけ、その運営に係る経費を都独自に補助する事業でございます。
 本事業の創設によりまして、サービス向上に積極的に取り組む民間事業者が参入することで、区市町村が直接設置運営する学童クラブのサービス向上を促す効果もあると考えております。
   〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、知事所信表明中の悪質な性行為を描いた漫画等などについてでありますが、悪質な性行為を描いた漫画等とは、例えば、子どもに対する強姦や近親相姦など、著しく反社会的な性行為を不当に賛美、誇張するように描いた漫画やアニメーションといったもののことでございます。
 また、これらを容易に手にすることができる現状とは、これらの漫画のうち、著しく性的感情を刺激するという不健全図書指定基準や十八禁マークをつけるべき表示図書の基準に該当しないものは、現在の条例のもとでは、成人コーナーに区分陳列を義務づけられていないため、一般書棚で売られ、子どもが容易に購入できる状況にあるということであります。このような状況は、現に都の担当職員が不健全指定の候補図書を都内各地の書店で購入する際に、毎月多くの書店において確認をしております。
 次に、図書類の現状改善に関する都民の意見についてでありますが、まず、青少年問題協議会におきまして、都民から公募した委員を含め、青少年問題について幅広い見識と関心を有する委員の方々が議論を重ね、児童を性的対象とする図書類等についての現状を改善すべきという答申がまとめられたことを重く受けとめております。
 また、悪質な性行為を描いた漫画等のうち、実際に青少年が閲覧、購入できる現物を見た都民の方々からは、一様に、このような漫画等を青少年が容易に見ることができる現状は改善する必要がある旨のご意見やご感想をいただいております。
 このほか、第一回定例会に提出した青少年健全育成条例の改正案の審議の過程におきまして、保護者等から、子どもを取り巻く図書類の現状の改善を求める四万四千名を超える署名が、都議会議長あてに提出されたものと承知をしております。
 なお、条例に基づく知事への申し出として青少年健全育成審議会に報告した、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある図書類に関する都民の申し出の数は、お尋ねの第二十八期青少年問題協議会への諮問が行われた平成二十年十二月から平成二十二年八月までの間で、合計で五十二件、一月平均では二・五件でございます。
 次に、現行の不健全図書指定基準での対応の可能性についてでありますが、現行条例の基準は、閲覧する子どもの性的感情の刺激度合いに着目するものであります。他方、例えば子どもに対する強姦や近親相姦などの著しく反社会的な性行為を不当に賛美、誇張するような漫画等は、そのような性行為が社会的に許容されていると子どもに誤解させるおそれがあります。
 しかし、そのような漫画等は、必ずしも性的感情を刺激する度合いが強いとは限りません。そのため、そのような漫画等については、性的感情の刺激度合いに着目した現行基準とは別に、反社会的な性行為に着目した新たな条例上の基準を設けることにより、現行条例では対応できないものについても区分陳列の対象とすることが適切であると考えています。
 次に、都民への説明についてでありますが、子どもに対する強姦や近親相姦などの著しく反社会的な性行為を不当に賛美、誇張するように描いた漫画等を、子どもでも容易に購入できる現状があることについて、家庭や地域でも知っていただいた上で、子どもの教育や見守りに取り組んでいただくことが重要であると考えています。
 また、議会においても、そうした家庭や地域での取り組みの重要性について、ご指摘をいただいております。
 こうしたことを踏まえ、保護者や青少年の健全育成、子どもの見守りに携わっている方々に対し、都の職員が、漫画等の現物を示して説明することができる機会があるときは、その機会をとらえて、青少年を取り巻く現状を正しく理解していただくよう努めているものであり、都が特別に説明を行うための会を開催しているわけではございません。
 なお、その際に、それまでの都の取り組みの経緯として、条例改正案を提出したことについて触れることもございます。これまで、都の職員が、都の施設や都内各地域の区市の施設、警察署等において、漫画等の現物を示しながら現状をご説明したケースは延べ約六十回であり、今後ともさまざまな機会をとらえて実施してまいります。
 次に、青少年問題協議会への再諮問についてでありますが、第二十八期青少年問題協議会による、メディア社会が広がる中での青少年の健全育成についての答申は、さまざまな分野の有識者委員が、関係者からのヒアリング等も行いながら、一年以上かけて議論し、取りまとめていただいたものであります。
 都は、この答申を踏まえ、さまざまな検討を加えた上で、責任を持って条例改正案を策定し、本年の第一回定例会に提出したものでございます。
 都議会におきましては、第一回定例会閉会中の総務委員会における継続審査及び第二回定例会を通じ、参考人からの意見聴取も含め、長期にわたり多角的な議論を行っていただいたところでございます。
 このような経緯にかんがみれば、改正案の再提出につきましては、早期に子どもを取り巻く現状の改善を図るためにも、議会での議論や関係者の意見を踏まえて、建設的にその案を得るべき時期に至っていると考えております。したがって、青少年問題協議会への再度の諮問は考えておりません。
 最後に、青少年健全育成のための図書類の販売等のあり方に関する関係者意見交換会についてでありますが、その目的は、青少年健全育成の観点に立った図書類の適切な販売等のあり方について、創作、出版等関係者及び青少年健全育成関係者が、漫画等の出版及び自主規制等の現状を踏まえ、忌憚のない意見交換を行うことであります。
 このような意見交換を通じ、それぞれの立場で、青少年の健全育成への取り組みをさらに進めていただくことを期待しているものでございます。

議長(和田宗春君) 三十番中村ひろし君。
   〔三十番中村ひろし君登壇〕

○三十番(中村ひろし君) 四つの項目について一般質問を行いますので、ご答弁よろしくお願いします。
 初めに、地域主権について質問します。
 ことし六月に地域主権戦略大綱が閣議決定されました。民主党の代表選挙では、両候補者とも地域主権を主張した上で菅総理が選出されましたので、今後進展すると思われますが、自治体議員の一人としては、自治体の声もしっかりと聞いて進めるよう働きかけをしていきたいと思います。
 さて、地域主権の時代を迎えるに当たり、東京都みずからの民主主義の確立のためには、団体自治だけではなく住民自治も大切です。近年、区市町村では、自治基本条例を制定する自治体がふえ、都道府県でも制定する自治体があります。これは、自治体みずからが統治機構の役割を規定し、住民の権利と責務を明記するとともに、住民参加や情報公開、他の自治体との関係等を定めるものであり、東京都も今後制定を検討すべきと考えます。
 今後、少子高齢化が進む中、財政状況も厳しいため、すべての住民ニーズにこたえることが困難であり、サービスの集中と選択が進み、都民には権利とともに責任も求められます。
 そのためには、住民参加の促進は必要であり、その前提として情報公開による行政の透明化は必要です。都民の信頼を得るには、よい情報だけでなく、悪い情報も出すことがリスクマネジメントにつながり、かえって信頼度を増すものと考えられます。改めて全庁的に都民への説明責任について検証することが必要です。
 地域主権における都政において、住民自治を確立するため、より一層の住民参加の促進と説明責任などを実現するために、自治基本条例を制定することについての所見を伺います。
 とりわけ、住民自治の拡充強化には、都政運営への都民参加が必要であり、政策や個々の施策に都民の意思がより広く反映されなければなりません。多数の人々の声が的確に行政に届き、施策に生かされることが重要です。そのために、まずは行政情報が個々の情報公開請求をまつまでもなく積極的に公開、提供され、それが都民に広く共有されることが必要と考えます。
 こうした観点から、都民が都政情報を容易に入手できるよう、都の情報公開をさらに充実強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 基礎的自治体である市区町村では、それぞれの地域に特有の多様な行政ニーズにこたえるために、広域行政による一律、画一的なサービスでは賄い切れない、きめ細やかな対応が必要です。行政に対するニーズがより細かく高度になっている現在、市区町村の果たす役割はより重要なものになってきています。
 地域主権戦略大綱では、主権者たる国民が、みずからの住む地域のことはみずからの責任で決定し、活気に満ちた地域社会をつくっていくために、住民に最も身近な行政主体である基礎的自治体に事務事業を優先的に配分することを定めています。このように、国においては、国と地方の役割分担について抜本的な見直しの議論が進められています。こうしたことから、都と市区町村の役割分担を踏まえた上で、市区町村がより大きな権限と財源を持って住民に向き合うことが求められています。
 そこで、こうした動きを踏まえ、都と市区町村の役割分担について所見を伺います。
 基礎的自治体が住民の期待にこたえ、その役割をしっかりと果たしていくためには、相応の財源が必要です。そのためには、都と市区町村の役割分担を明確にし、都の政策的必要性がある施策については都が行い、それ以外のものについては市区町村に任せるという観点から制度を検証し、市区町村の自主性、独自性が発揮できるよう、財政支援のあり方も見直していくべきです。
 都独自の制度である市町村総合交付金については、すべての市町村が施策を展開する上で、より自主性、独自性を発揮しやすいものへと進化させていくべきだと思いますので、そのことを要望して次の質問に移ります。
 次に、まちづくりについて質問します。
 都市計画道路を決定されてから約半世紀が経過したところですが、都市計画道路の整備率はいまだに五六%程度です。家が少なかった時期に立てた計画で、これまでも整備に困難な状況でしたが、今後はさらに困難になると予想されます。このため、都市間を結ぶ広域交通とは別に、地域交通を分担する都市計画道路については、地域の事情などを踏まえて適宜見直すことにより、事業が円滑に進む場合もあると考えます。
 例えば、現在、地域における主要な道路が都市計画道路でなく、近隣に線だけ引かれ未着手の都市計画道路がある場合、現在の道路の拡幅が望まれたとしても、なされにくい状況にあります。未着手の都市計画道路を廃止し、現在の道路の拡幅など、その整備を中心にした道路交通網に変更した方が、整備が進む場合もあると思います。
 現在、優先整備路線を定めて事業が行われていますが、その際に、区部で見直し候補区間に選定された路線が五路線、多摩では要検討区間に抽出された路線が十路線となっていますが、全体に比べれば少ないと感じます。
 そこで、今後の都市計画道路網の整備と廃止を伴う見直しについての所見を伺います。
 次に、医療政策について伺います。
 我が国は、国民皆保険制度のもと、だれもが安心して医療を受けることができる医療制度を実現し、高い保健医療水準を達成してきました。しかしながら、急速な高齢化の進展により、医療費が増加傾向にあります。そのため、平成二十年三月に医療費適正化計画を定め、今年度行う中間評価に向けて準備を進めていると聞いています。しかし、その当時とも状況が変わり、国でも介護療養病床の廃止の見直しなど、政策変更がなされていますので、今後、都としても状況を分析し、課題の抽出をしていただきたいと思います。
 しかし、医療費の効率化でできる部分は効率化していくことは重要ですが、単なる絶対額の圧縮では受診抑制につながりかねません。経済的な格差が、そのまま都民の医療格差につながらないよう、都民の心身の状態に応じた必要な医療サービス等が受けられる体制確保が何よりも大切であると考えています。
 医療費については、今後、診療報酬などを含め、国での抜本的な改革が望まれます。現状では、個々の患者の動向がどのように医療費の適正化につながるかも重要ですが、一方では、限られた医療資源において、多様な患者へのニーズにどのように対応するか、また、最良の医療を受けたいという当然の患者の思い対してどうこたえていくのかを、調整を図らなければならない難しさがあります。
 患者が望む医療を提供するという点で、例えばがん医療において、緩和ケアは患者の療養生活の質の維持向上に不可欠なケアです。がん患者が増加している都においては、緩和ケアのニーズはますます高まるものと考えられます。緩和ケアの充実に対する取り組みを伺います。
 また、どんな症状でもとりあえず大病院に行ったりとか、タクシーがわりに救急車を使用していては、医療資源が生かされません。強制することができないため、都民の意識をどのように変えていくのかという点が課題としてあります。学校教育や社会教育を含め、都民に対し、医療機関、特にかかりつけ医へのかかり方についての意識啓発や普及を行う必要があると考えますが、都はどのような政策を行っているのか伺います。
 次に、精神保健福祉行政について質問します。
 ストレスが多い現代社会において、多くの方が精神疾患を患い、都内でも三十万人以上がいると推計されています。毎年全国で三万人以上の方が自殺で亡くなられていますが、そのうち精神疾患の方は、自殺者の約三割がうつ病との調査データもあり、関連性があると推測されます。精神保健福祉の充実はもとより、そうした社会背景の改善により、とうとい命を守ることが大切です。精神疾患は特別な病気ではなく、だれもがかかり得るものです。特に十代から二十代にかけての若い世代で発症する方も多く、早期に発見することで早期の治療につなげ、未支援、未治療の期間を短縮することで、重症化、慢性化を防ぐことが必要です。
 そこで、教育現場における精神疾患への対応を伺います。
 学校では、日常、生徒と接する教師が異変について、その信号を受けとめることが大切です。もちろん大変判断は難しいのですが、まずは精神疾患に対する知識を持つことが大切であり、研修の充実が求められます。もちろん判断が大変難しく、レッテルを張ることになってしまう危険もありますので、そうしたこともあるため、教師が一人で抱え込むのではなく、生徒に兆しがあった場合、学校としてどのように対応するのか、さらには、医療機関などを含めてどのようにつなげていくのか、学校としての体制を整えていく必要があります。
 家庭と学校との役割分担というものはありますけれども、日常の多くを生徒が過ごすのは学校であり、教育と福祉の連携が求められます。学校における生徒の精神疾患への対応について、早期発見、早期支援につなげる体制を整備することが必要と考えますが、教育長の所見を伺います。
 また、地域で生活する精神障害者への対応が求められます。訪問による支援体制、つまりアウトリーチの体制を早急につくる必要があります。本年五月に国に出された、こころの健康政策構想会議提言書においては、多職種チームによるアウトリーチ、つまり訪問型の支援の実現の必要性を強く打ち出しています。
 現在、都でも、訪問型支援についてモデル事業を実施しているところです。アウトリーチ支援に当たっては、行き過ぎた訪問が患者の監視につながらないよう、権利擁護の視点も必要です。また、本人への支援だけではなく、患者を抱える家族の心のケアも必要です。
 このような観点も踏まえて、早急に全都に拡大することが求められますが、所見を伺います。
 精神保健を扱う保健所の重要性はいうまでもありません。多摩地域の保健所が、二次医療圏に合わせて統廃合されましたが、身近なところでの保健行政を求める声も多く、再編の見直しの意見もあります。新型インフルエンザなどの対応もあり、危機管理上、人員体制の拡充が必要です。精神保健に関する相談については、市町村に業務を移しつつありますが、保健所のある区と違い、市町村だけでは対応が難しい面もあり、今後、保健行政の体制強化が求められます。
 市町村が実施する精神保健相談に対する保健所の一層の支援が必要であると考えますが、所見を伺います。
 最後の項目として、児童虐待の対応について質問します。
 悲惨な事件が繰り返し起こる中、しっかりとした体制が必要です。社会的に子どもの貧困という問題が顕在化し、親の所得格差も深刻になる中、子どもを守るための社会的なコストとしては、日本は諸外国に比べると少ないといえます。児童虐待が起こる社会的要因を取り除くことも重要です。
 子どもの養育は、第一義的には親の責任ではありますが、さらに一層児童虐待への対応についての施策の充実を求めます。そのためにも、児童相談所の体制拡充が必要ですが、所見を伺います。
 また、児童虐待の発見については、住民に身近な各市区町村の対応が大切です。各市区町村の虐待防止ネットワークがますます充実することが必要です。どのように考えますか、お伺いいたします。
 また、親の病気や虐待などの理由により、親元で暮らせない子どもを家庭に迎え入れて育てている里親については、さらにふやしていくべきですが、根本的に里親に対する社会の認知が不十分であると考えます。社会の認知は、里親になる人をふやすためだけではなく、親元で暮らせない子どもへの差別をなくすための啓発活動にもつながります。もっと広報普及活動が必要ではないでしょうか、所見を伺いたいと思います。
 児童虐待の対策として、子どもの権利をしっかりと保障することが大切です。大人の都合ではなく、本来子どもが持つ権利を保障するためには、子どもの権利条例の制定が必要と考えます。
 条例には、子どもの権利を明記し、都民として子どもを守ることを共通の認識とするとともに、子どもの権利を守るための第三者機関の設置や施策を盛り込むことも考えられます。既に児童の権利を保障するさまざまな施策を、計画を策定の上実施していることは承知をしていますが、各市区町村で子どもの権利条例制定の動きもあるのですが、東京都として、条例制定に先導的に取り組むことも大切であると考えますが、所見を伺いたいと思います。
 以上で質問を終わります。ご答弁の方をよろしくお願いいたします。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 中村ひろし議員の一般質問にお答えします。
 生徒の精神疾患への対応についてでございます。
 学校においては、生徒の心身の健康状態を把握するために、担任教員等が生徒一人一人の言動や様子を広く観察し、心や体の変化、発するさまざまなサインを読み取るとともに、養護教諭やスクールカウンセラー等と連携しながら、適切に対応することが重要でございます。
 このため、東京都教職員研修センターにおきましては、思春期、青年期の心理の理解と児童生徒対応の事例研究という研修講座を初めとして、児童生徒の精神保健に係る問題への対応について、教員研修の充実を図っております。
 また、精神科医を都立高校に派遣し、担任教員や養護教諭などに対し、精神保健に関する講演や具体的なケースに対する助言を行うなど、校内連携の援助を行っております。
 今後とも、こうした教員研修や精神科医の派遣を通して、学校が生徒の心の健康に係る課題の改善に向けて、組織的に対応できるよう支援してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 都市計画道路網の整備と見直しについてでございますが、都市計画道路は、人や物の円滑な移動を確保するとともに、防災性の向上や良好な都市空間の形成を図る上で不可欠な都市基盤として、法に基づく都市計画に位置づけることにより、計画的な整備を図るものでございます。
 都は、区市町とともに、平成十六年には区部について、平成十八年には多摩地域について都市計画道路の整備方針を策定いたしました。
 その際、道路整備の基本目標でございます活力、安心、環境、暮らしに照らして各路線の必要性の検証を行い、見直しを検討することとした一部の路線を除き、都市計画道路の必要性を確認いたしました。そのため、必要性が確認された路線については、現時点で廃止を伴う見直しを行うことは考えておりません。
 今後とも、快適で利便性の高い都市生活の実現に向け、計画的、効率的に都市計画道路網の整備を進めてまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

○知事本局長(秋山俊行君) 自治基本条例についてでございますけれども、基礎自治体でございます市区町村にあっては、その約一割が制定をしておりますけれども、広域自治体の都道府県では、二団体にとどまっている現状にございます。このことは、住民参加の観点から見た基礎自治体と広域自治体のあり方が異なることの一つのあらわれではないかというふうに思っております。
 また、制定された条例の内容もさまざまで、抽象的な理念やプログラム規定にとどまっているものも多く、その効果を疑問視する声も聞かれるところでございます。
 一方、都におきましては、都民生活に関する世論調査や都政モニターアンケート等を通じまして、幅広い意見要望をさまざまな施策に反映しているほか、何より、全国に先駆けて新しい公会計制度を導入し、財政状況をわかりやすく示すなど、都民への実効性ある説明責任を果たしてきたものというふうに考えております。
 今後とも、首都東京の広域自治体としての役割をより一層果たしていくため、情報公開や広報広聴の個々の制度を十分活用し、都民の声を反映した施策を充実させるとともに、適切な情報提供に努めてまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 情報公開の充実強化についてでございますけれども、都民に対する説明責任を果たし、都民による都政への参加を進める上で、情報公開の推進は重要であります。
 都は、これまでも情報公開条例に基づき、公文書の開示制度だけでなく、重要な基本計画、審議会の議事録など、公表や環境、保健衛生、防災などの都民生活と密接な関係のある情報の提供により、情報公開の総合的な推進を図ってまいりました。
 今後とも、情報公開の身近な媒体でございますホームページや広報誌に、より見やすくなるような工夫を加えるなど、都民が都政情報を容易に入手できるよう努めてまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 都と区市町村の役割分担についてでございます。
 都はこれまで、平成十二年に策定した第二次東京都地方分権推進計画に基づき、区市町村に対して、住民に身近な事務権限の移譲を着実に進めてきました。今般、国において閣議決定された地域主権戦略大綱では、基礎自治体への権限移譲をさらに進めることとされておりますが、その具体化に当たっては、必要な財源が国により確実に措置されなければならないと認識をしております。
 また、都から区市町村への分権の推進に当たっては、東京の実態、地域特性を十分に踏まえ、大都市特有の行政課題を総合的、一体的に解決するという視点が不可欠でございます。
 今後、国の地域主権改革の動向を見据えつつ、東京の特性を踏まえた適切な役割分担について、区市町村と十分に協議し、分権の推進を図ってまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 八点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、緩和ケアの充実についてでございますが、がん患者やその家族が抱える身体的、精神的な苦痛を軽減し、療養生活の質を維持向上させるためには、治療の初期段階から緩和ケアを提供していくことが重要でございます。
 都では、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院におきまして、医師、看護師、医療心理職等、多職種で構成する緩和ケアチームを設置し、治療の早期から緩和ケアを提供いたしますとともに、地域でも安心して療養ができるよう、かかりつけ医等も対象といたしました医師向け緩和ケア研修を実施し、人材育成を行っております。
 今後とも、拠点病院等を中心に、地域の医療機関と連携を図りながら、広く緩和ケアの充実に取り組んでまいります。
 次に、都民の受療行動に関する意識啓発についてでございますが、都は、都民向けテキスト「知って安心 暮らしの中の医療情報ナビ」を作成いたしまして、医療の仕組みについての正しい理解と医療機関の適切な利用を促進いたしております。
 テキストにおきましては、まずは、かかりつけ医と十分相談をすることが適切な治療につながるなど、医療機関へのかかり方についてもわかりやすく解説をしており、区市町村や教育機関等へも配布をいたしております。
 また、都民に広く意識啓発を図るため、区市町村職員や民生委員などを対象に医療に関する研修を実施し、地域において正しい知識を普及するとともに、救急医療や小児医療などについて、都民と医療従事者との相互理解を深めるためのシンポジウムを開催いたしております。
 次に、精神障害者に対する訪問型支援についてでございますが、都は、今年度から、医療の中断により症状が悪化し、地域での安定した生活が困難な精神障害者に対し、精神保健福祉センターの医師、保健師等による専門職チームが、区市町村や保健所等と連携をして訪問等の支援を行うモデル事業を実施いたしております。
 支援に当たりましては、対象者の状況に応じ、弁護士から法的な助言を受けながら適切な医療につなぐなど、障害者本人の人権に十分配慮をいたしております。
 また、家族に対しましては、症状に応じた対応方法の助言を行い、不安の軽減を図るなど、心理面への支援も行っております。
 今後、これらの取り組みも含め、モデル事業の評価、検証を行い、本格実施を目指してまいります。
 次に、市町村の精神保健相談への支援についてでございますが、地域における精神保健相談に関しましては、市町村が一般的な相談、保健所が専門的な相談に対応いたしております。
 また、保健所では、市町村の要請に応じまして、家庭訪問に同行したり、事例検討などを行うケース会議において医療上の助言を行っております。あわせて、市町村職員が精神保健に関する専門知識を得られるよう、講演会等も開催をいたしております。
 今後も、精神保健福祉センター等の関係機関とも連携をしながら、精神保健相談について市町村を支援してまいります。
 次に、児童相談所の体制についてでございますが、都では、児童福祉司を平成十三年度から二十一年度までの八年間で六十六名増員をいたしまして、百七十二名とするとともに、チーム制を導入し、複数の児童福祉司で協議をしながら対応いたしております。
 平成二十二年度には、児童相談センターの児童福祉相談専門課長を二名に増員いたしまして、困難事例へのスーパーバイズや業務研修を充実するなど、各児童相談所の職員の専門性の向上に努めております。
 今後、こうした取り組みを充実させ、児童相談所の体制を強化してまいります。
 次に、区市町村における虐待防止のためのネットワークの充実についてでございますが、平成十七年度に要保護児童への支援のために、関係機関が連携する場として要保護児童対策地域協議会が法的に位置づけられました。平成二十一年度には、島しょ部を含む全区市町村に協議会などが設置され、子ども家庭支援センターや児童相談所を中心として、民生・児童委員や学校などで構成するネットワークが整いました。各区市町村の協議会では、児童虐待の対応を学ぶ研修会や情報交換、支援策の協議を行うケース検討会議等を行っております。
 今後とも、児童虐待の早期発見、早期対応を進めるため、こうした地域のネットワークを充実させてまいります。
 次に、養育家庭制度の普及啓発についてでございますが、養育家庭の登録数をふやし、養育家庭とそこで育つ子どもたちが安心して生活できる社会をつくるためには、都民の理解が不可欠でございます。
 都は、十月、十一月を里親月間といたしまして、区市町村と連携しながら、養育家庭がみずからの子育てを語る体験発表会の開催や、ポスターや広報紙、テレビ、ラジオ番組を活用した普及啓発などを集中的に展開しております。
 今後とも、多様な手法を用いながら、養育家庭に対する都民の理解促進を図ってまいります。
 最後に、子どもの権利条例の制定についてでございますが、子どもの福祉を増進するためには、実効性のある具体的な施策に取り組んでいくことが必要であり、都では、次世代育成支援東京都行動計画に基づき、総合的かつ効果的な施策を進めております。
 具体的には、児童相談所の体制強化、子ども家庭支援センターにおける相談機能の充実、子ども本人から直接相談を受ける子どもの権利擁護専門相談事業など、実践的な取り組みを通して子どもに係るさまざまな問題に対応いたしております。
 お話の権利条例の制定につきましては、権利のとらえ方を含め、多様な意見がございまして、慎重な対応が必要と考えております。

議長(和田宗春君) 二十番鈴木章浩君。
   〔二十番鈴木章浩君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○二十番(鈴木章浩君) 重ねて申し上げます。国家の主権を守り抜く気概なき政党に国民の生活を守ることができるのか。危機迫る今日、政治パフォーマンスに明け暮れ、機能不全の国を変えていくためにも、政治が果たすべき役割を改めて問い直し、東京からこの困難に立ち向かっていかねばなりません。
 初めに、中小企業支援についてお伺いいたします。
 一昨年九月のリーマンショックに端を発した世界同時不況は、東京の経済、とりわけ数多くの中小企業に大きな傷跡を残しました。ことしに入り、大企業の中では業況に持ち直しの動きが見られるものの、中小企業は終始一貫厳しい状況に置かれており、都内中小企業の八月の倒産件数は約二百十五件と、ピーク時の約三百五十件から減ってはいるものの、依然として厳しい経済状況が続いております。
 また、私の地元大田区が公表している「大田区の景況」によれば、製造業の経営上の問題として、売り上げの停滞、減少が七四%と最も多くを占め、仕事がないという切実な声が上がっております。
 こうした状況に追い打ちをかけるように、八月以降に急激な円高が進み、さらに大幅な需要不足による低価格競争が広がり、大田区の下請企業では収益が圧迫されるなど死活問題となっております。
 しかしながら、このような状況を深刻に受けとめることもなく、国政においては、万全を期して措置した追加景気対策を否定し、凍結しただけで、それ以降何ら有効な手だてを講じることもなく、いたずらに時を費やしております。
 経営に待ったはありません。現下の厳しい状況を踏まえ、都として、中小企業をしっかり支援していく必要があると考えます。
 そこで、中小企業を取り巻く厳しい状況について、知事の見解をお伺いいたします。
 東京の産業を支えているのは、紛れもなく、私の地元大田区のまち工場に代表されるような数多くの中小企業であります。東京の産業が将来に向けてさらなる発展を遂げていくためには、こうした中小企業の企業家精神を支えていくことが極めて重要であります。
 都はこれまで、我が党の主張を受け、数度にわたり、適宜、緊急経済対策を実施し、制度融資の充実や受注開拓支援等により苦境に立つ中小企業を強力に支援してきました。
 こうした取り組みは大変評価できるものでありますが、先行きが見えない景況においては、例えば、来年三月に切れる緊急保証制度はどうなるのかなどといった、さまざまな中小企業からの不安の声もよく伺います。不毛な時間を費やすことなく、国においては、中小企業支援策を初めとした経済対策を一日も早く確立すべきであります。
 一方、都としては、現在行っている緊急対策を引き続き強力に展開していく必要があると考えますが、これまでの実績と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 厳しい経済状況を受け、大企業からの受注の縮小が続く中、大田区では、この二十年間で製造業の事業所がほぼ半減しております。これらの中小企業の中には、他にはまねできないすぐれた技術を持つ企業が多く、このままではこのすぐれた技術が失われてしまいます。
 もちろん企業も危機感を持っておりますが、では、どのような分野に活路を見出せばいいのか、個々の企業の試行錯誤だけに任せて放置したのでは、取り返しのつかない事態となりかねません。このためには、すぐれた技術を持つ中小企業が、この荒波を乗り越え新たな事業を創出していけるよう、都が積極的に技術開発や事業化を支援すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
 さらに、中小企業の技術力を維持し、発展させていくためには、経営面での支援に加えて、人材という側面から支援していくことが重要な課題となっております。
 特に中小企業は、大企業に比べて、採用に当たって事業規模や知名度等において不利な状況にあることに加えて、採用できたとしても、勤務時間などの労働条件が希望と合わず、若手社員がなかなか定着しないといった状況にあります。
 こうした中小企業の人材確保や育成への支援は、行政が地域の企業等と連携しながら、企業の求める人材を積極的に確保するとともに、その確保した人材を優秀な技能者として育成していくことが不可欠となっております。
 私の地元大田区にも、地域の企業の人材確保や人材育成を支援とする城南職業能力開発センター大田校がありますが、多くの若者が、技術を身につけて就職をしようと真剣に職業訓練に取り組んでおります。
 こうした都の職業能力開発センターでは、ものづくりからITまで、多様な職業訓練を実施するとともに、東京ものづくり名工塾として、企業の中堅社員に対して、ものづくりの高度熟練技術を伝授するなど、地域の産業を支える中小企業の人材の確保や育成に着実に成果を上げております。
 今後は、この職業能力開発センターの機能を十分に発揮し、中小企業が求める人材の確保と育成に向けて強力に支援していくことが求められると考えますが、現在の状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 在宅医療の推進について伺います。
 高齢化の進行に伴い、高齢者に対する医療をどう確保していくか。とりわけ、人としての尊厳の保持という観点も踏まえ、終末期医療を含む在宅医療をどう確保していくかは、医療改革の大きな柱であり、患者の生活の質の維持向上の観点から、幼児から高齢者まで全世代を対象とした推進がなされるべきであり、その環境整備は今後ますます重要になってまいります。
 都はこれまで、モデル事業を実施するなど、国に先駆けた取り組みを進めておりますが、都全体を見回すと、いまだ地域によって取り組みに差があります。都として、在宅医療を取り巻く現状について、どのように考えているのかお伺いいたします。
 二十四時間三百六十五日の対応が求められる医療現場は、一部の熱心な医師、看護師の頑張りだけでは状況が難しくなってきております。
 ひとり暮らしの高齢者や夫婦のみの世帯がふえていく中、介護分野も含め、さまざまな専門職、機関が信頼関係のもとで連携し、患者の生活全般を支えていく仕組みをつくることで、安定して継続できる基盤が整います。
 今年度、モデル事業として実施する在宅医療連携推進事業は、区市町村の地区医師会に連携調整窓口を設置して、病院側や介護などの関係機関と在宅医療との調整役となり、適切な連携が構築されるよう支援する取り組みであり、大田区の三医師会も積極的に取り組んでおりますが、期間がことし一年限りと聞いており、その後の運営に多くの不安を抱えております。
 今後、医療と介護を連携し、都民の在宅療養生活を支えていくには、区市町村の主体的取り組みが不可欠です。
 現在、各地で芽生え始めた活動を継続発展させていくためには、引き続き都の支援も重要であります。都として、在宅医療の推進に、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 アスベスト問題について伺います。
 廃コンクリート等をリサイクルしてつくられる再生砕石に、アスベストを含んでいるスレート等が混入している問題が新聞で報道されております。
 建物の屋根や天井、壁等に広く使われているスレート等の多くにはアスベストが含まれておりますが、日常的には飛散の危険性は少ないようです。しかし、建物を解体する際に破砕してしまうと、アスベストが飛散するおそれがあります。
 解体工事を行う前には、アスベストを含むスレート等が使用されていないかどうか把握し、使用されている場合には、できる限り破砕しないように注意して撤去し、しっかり分別して、アスベストを含む廃棄物として適切に処理することが重要であります。
 アスベストを含むスレート等の撤去または処分に関係する法令は、労働安全衛生法や建設リサイクル法、廃棄物処理法など複数あり、所管する行政機関は異なります。解体に際しては、非飛散性のアスベストの場合、処理方法などの届け出で済んでしまうため、今回のような事例が発生しないようにするためには、中小零細が多い解体工事業者に対し、そうした関係法令の内容について啓発を行い、取り組みの徹底を行っていく必要があります。見解をお伺いいたします。
 また、廃コンクリートを材料とする再生砕石の利用を進めることは、建設廃棄物のリサイクルという点で大変重要であります。今回の問題は、再生砕石への不信を招き、リサイクルの流れを断ちかねません。このような観点からも、再生砕石へのアスベストを含んだスレート等の混入を防止する必要があります。
 この間、都は、再生砕石製造業者に対する立入指導を速やかに始めたと聞いており、その点は評価しております。しかしながら、再生砕石の安全性を継続的に確保するためには、再生砕石製造工場での品質管理の徹底が重要と考えます。見解をお伺いいたします。
 水辺の環境づくりについて伺います。
 日本の玄関口である羽田空港は、いよいよ本年十月に四本目の滑走路の供用が開始され、空港周辺地域も国際化の一層の進展に対応した環境整備が求められております。
 これを契機にして、大田区では、空港臨海部構想の中で、水と緑で結ばれた環境に優しい潤いのあるまちという将来像を描いており、東京の新たな観光スポットとして、羽田空港を取り囲む臨海部において、親水施設の整備を初めとした水と緑のネットワークの形成に取り組んでおります。
 都では、「十年後の東京」の実行プログラムにおいて、これまでも、緑があふれ、都民に親しまれる水辺の実現に向けてさまざまな施策を実施しております。
 こうした中、運河の老朽化した護岸を整備する際には、遊歩道の連続性を考慮したランニングやウオーキングが楽しめる安全で魅力ある水辺空間づくりに向け、都としても積極的に取り組んでいく必要があると考えます。見解をお伺いいたします。
 また、都では、水辺空間のさらなる魅力向上に向け、運河ルネッサンスを展開しております。芝浦や天王洲などでは、テラス桟橋や水上レストランが整備され、地元住民や商店街による運河祭りが開催されており、地域を主体としたにぎわい空間が水辺に生み出されております。
 このような水辺のにぎわいをつくり出すためには、下水道の継続的な整備はもとより、運河における汚泥しゅんせつなどの水質浄化に向けた取り組みにより、潮風や緑の香りを感じながら人々が水辺で憩える、日本の首都東京にふさわしい、よりよい環境を整備していくことが重要であります。
 今後とも、運河に集う多くの人々が、より快適に水と触れ合い、より一層水辺に親しんでもらうため、水質の改善にさらに積極的に取り組んでいただく必要があると考えます。
 そこで、運河における水質改善への取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、羽田空港の基盤整備について伺います。
 昨日の代表質問でも触れられたように、十月に跡地まちづくり推進計画が策定されると聞いております。羽田空港の跡地利用を早期に実現していくには、とりわけ、跡地を高潮から守るための護岸や上下水道などのライフラインについて、国や都が主体的に取り組んでいく必要があると考えます。
 都の前向きな見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木章浩議員の一般質問にお答えします。
 中小企業を取り巻く厳しい現況についてでありますが、東京には、世界の最高水準の技術を持ち、新たな技術の創造にもチャレンジする、ごくごく小さな企業が数多く存在しておりまして、東京だけでなしに、日本の産業そのものを支える力の源泉となっております。
 しかし、小零細企業は、一昨年来の未曾有の経済危機による深刻な痛手から、いまだ立ち直れておりません。これは、ずっと続いてきた小零細企業の、非常につらい、気の毒な体質でありまして、不景気の冷たい風は真っ先に吹いてくる、景気がよくなってもあったかい風は最後にしか吹いてこない。そういう状況について、例えば大企業の組合だのは、非常に冷淡な姿勢でしかありませんでした、同じ労働者といいながら。
 加えて、このところの急激な円高の影響が懸念されるなど、このままでは東京全体の活力が失われかねない危機にあると思います。
 国は、現政府にも限らず、こうした小零細企業の状況というものに、今まで、決してその有効な手だてを積極的に講じることがなしに来たと私は思います。企業経営者からは、国の無策ぶりといいましょうか、冷淡な姿勢に、非常に嘆く声も出ておりますが、いずれにしろ都は、それでも国に先駆けて、緊急経済対策を実施し、小零細企業の支援に努めてきました。
 今後も、企業現場の実情に即した複合的かつ重層的な施策を展開して、東京の産業力を維持強化していきたいと思っております。
 他の質問については、東京都技監並びに関係局長から答弁します。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 羽田空港跡地における基盤整備についてでございますが、跡地の土地利用を進めるには、高潮から跡地などを守る護岸や都市活動を支える上下水道などの整備が不可欠でございます。
 空港に隣接する多摩川の護岸整備につきましては、国は、都からの強い要請を受けて、今年度ようやく事業化をしております。また、さきに公表した羽田空港跡地まちづくり推進計画の素案では、跡地に隣接する多摩川の残る護岸につきましては国が、さらに海老取川については都が、それぞれ主体的に検討することといたしておりております。
 上下水道につきましては、開発に合わせて必要な施設を適切に配置することや、開発主体が管理者と協議していくことなどを示しております。
 今後、国、地元区などと連携しながら、都としても計画を具体化し、跡地利用の早期実現に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 中小企業支援に関する三件のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急対策の実績と今後の対応についてでありますが、厳しい経営環境に置かれた中小企業に対して、都は、資金繰りや仕事の確保に加え、経営体質の強化なども含めた多様な施策を緊急に実施してまいりました。
 金融の面では、平成二十年十月に、国の緊急保証制度に対応し、制度融資のメニューに経営緊急を創設し、本年八月末までの保証承諾実績は二兆一千三百七十三億円となっております。これに加え、地域の金融機関と連携した新たな保証つき融資制度を開始するなど、都独自の中小企業の資金繰り支援策を実施してきております。
 また、中小企業支援機関との連携のもと、昨年度は、二千社を超える中小企業の訪問診断を行い、経営の改善を図るとともに、三百件を超える展示会出展等の助成を行ってまいりました。
 今年度も、引き続き、経営診断や販路開拓支援を通じて中小企業の支援に取り組んでいるところでございます。
 さらには、受注体制の強化などを協力して実現するため、六十二の中小企業グループに支援を行うとともに、下請取引のトラブル解決に向け、専門家が七百三十八件の相談にきめ細かく対応するなど、着実な支援も行ったところでございます。
 今後とも、資金繰りや販路開拓の支援を切れ目なく行うとともに、経営の強化等、不況を克服するための取り組みも適切にサポートするなど、中小企業対策に万全を期してまいります。
 次に、中小企業による新たな事業の創出に向けた支援についてでございます。
 個々の中小企業にとって、将来の産業の動向を見きわめ、みずからの技術が新たな事業につながるよう開発分野を選定するということは容易ではございません。このため、都がこのような分野を示して、中小企業を的確に支援していくことが重要であります。
 特に、将来にわたり成長が期待できる環境、医療、福祉などの分野で、中小企業の製品開発や事業化を支援していくことは、東京の産業の発展と大都市東京の課題解決にもつながるものと考えております。
 こうした考え方を具体化するため、都は今年度から、都市課題解決のための技術戦略プログラムを開始いたしました。今月九日には、最初の取り組みとして、環境分野について、省エネ機器や運河の水質改善などのテーマを示した技術戦略ロードマップを策定いたしました。
 今後は、ロードマップに掲げた方針に沿って、中小企業による新技術や新製品の開発に対して助成を行うとともに、製品の実用化に必要な実証データの収集を庁内各局と連携して実施するなどの重点的な支援を行ってまいります。
 このような取り組みを着実に実施することで、中小企業の技術や製品の開発を積極的に支援してまいります。
 最後に、中小企業が求める人材の確保と育成に向けた支援についてでありますが、ご指摘のとおり、中小企業が技術力を維持発展させていくためには、企業が求める人材を積極的に確保、育成できるよう支援していくことが重要であります。
 このため、都内十五カ所の職業能力開発センターでは、求職者や在職者に対して、年間約二万四千人の規模で職業訓練を実施しております。また、各企業を訪問し、人材育成に関する相談や情報提供等を行う人材アドバイザーを配置しているほか、企業に出向いて実情に応じて訓練指導を行う現場訓練支援事業も実施しております。
 今後も、例えば大田区に集積している機械金属工業のように地域に根差した産業分野や、成長が期待され、人材需要が見込まれる環境分野の訓練を拡充するとともに、職業訓練を効果的に実施していくための体制を整備してまいります。
 来年四月には、産業振興施策との連携を強化するため、産業支援機関の集積する産業サポートスクエア・TAMAに多摩職業能力開発センターを移転、開設いたします。また、老朽化の著しい城東職業能力開発センターと足立校について、両校を統合の上、施設を大規模化するとともに、人材育成プラザを付設した新たなセンターを平成二十六年度に開設するため改築計画を進めてまいります。
 このような取り組みを通じて、東京の産業を人材面から積極的に支援してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、在宅医療を取り巻く現状についてでございますが、都が昨年度実施した意識調査では、長期療養が必要な場合に、都民の約三五%は、在宅で療養したいというふうに思っておりますが、そのうち約六〇%は、実現が難しいというふうに考えておりまして、その理由は、家族に負担をかけるということが最も多くございました。
 その背景には、医療と介護の連携が十分には進んでいないことなどの課題があり、病院から在宅医療への円滑な移行を進めるとともに、在宅療養生活を送る患者とその家族を地域全体で支える仕組みを整えることが必要でございます。
 このため、都は、地域の医師会や病院を拠点といたしまして、ネットワークづくりなどの在宅医療を支えるための取り組みを七カ所で試行してきており、今後、その成果を他の地域にも広げていく必要があると考えております。
 次に、在宅医療推進に向けた今後の取り組みについてでございますが、在宅医療の環境を整備するためには、住民に身近な区市町村が、地域の医療資源と介護サービスを総合的にコーディネートすることが必要でございます。
 都は現在、病院と在宅医療、介護関係者が、お互いの方針や技術などについて理解を深め、地域において顔の見える連携体制を構築できるよう在宅医療相互研修を実施いたしております。
 また、東京都在宅医療推進会議におきまして、医療機関や介護関係者などと先行事例を評価、検証し、そこで得られた成功要因等を区市町村に示すことによりまして、区市町村の主体的な取り組みを促進してまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

○環境局長(大野輝之君) アスベスト廃棄物に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、アスベスト廃棄物の適正処理についてでございますが、アスベストを含むスレート等の建材は、破砕処理をしてしまいますと、その際に、アスベストが飛散するおそれがあるため、リサイクルルートに混入させないことが重要でございます。
 既に、都に登録しておりますすべての解体工事業者に対し、アスベストを含むスレート等の分別を徹底するよう通知をいたしましたが、さらに十月初めには、関係機関とともに説明会を開催し、改めて関係法令の内容や除去作業、分別における注意事項等について周知を図ってまいります。また、産廃Gメンによる解体工事現場への立入調査においても、スレート等の分別、保管などが適正に行われるよう指導を強化してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、解体工事業者に対し、アスベスト廃棄物の適正処理の徹底を図ってまいります。
 次に、再生砕石の品質管理の徹底についてでございますが、都は先月から、コンクリート廃材を原料とする再生砕石の製造事業所四十カ所に立入調査を行いましたが、スレート等が搬入されている事例はございませんでした。さらに現在、立ち入り時に、再生砕石から採取したサンプルにアスベストが含まれていないか、精密な成分分析を行っております。
 今後、都は、再生砕石製造業者に対する指導を強化いたしまして、製造業者自身による搬入禁止の周知や搬入物検査の徹底などを求めてまいります。
 また、新たな取り組みといたしまして、万が一、スレート等が確認された場合には、都へ通報いただくこととし、この通報を受け、都は速やかに運搬業者や排出事業者に立ち入り、改善を指導してまいります。
 これらの取り組みを進めまして、再生砕石の品質を確保し、コンクリート廃材のリサイクルの推進も図ってまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

○港湾局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、運河の護岸整備における、魅力ある水辺空間づくりに向けた取り組みについてでありますが、東京港の運河は、大都市に残された貴重な水辺空間であり、都民にとって、親水性豊かな場として再生していくことが重要であります。
 このため、都では、これまでも京浜運河や平和島運河などにおいて、緩やかな傾斜の石積み護岸を整備するとともに、その上部を遊歩道として開放するなど、地元区と協力して、水際の散策路の確保に努めてまいりました。
 また、大田区昭和島地区の護岸整備においては、既存の緑道公園との連続化に加え、緑化ブロックや植栽の配置など、景観にも配慮した取り組みを進めております。
 今後とも、地元区と連携し、良好な水辺環境づくりに努め、水と緑のネットワークの形成を推進してまいります。
 次に、運河における水質改善への取り組みについてでありますが、都では、運河に堆積した汚泥のしゅんせつを継続的に実施するとともに、護岸整備に当たり、生物の持つ水質浄化能力に着目したミニ干潟を設置するなど、水質改善に向けたさまざまな取り組みを実施してきております。
 その結果、ハゼやスズキといった多くの魚が見られるようになるなど、水質の改善は着実に進んでおり、芝浦地区では、NPOなどと連携し、親子が一緒に水辺に親しむ環境学習も行われております。
 また、今年度は、勝島運河において、水流発生装置を用いた浄化実験を開始するなど、新しい手法にも取り組む予定であります。
 今後とも、関係機関や都民と協力連携を図りながら、より一層の水質改善に積極的に取り組んでまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 十七番栗林のり子さん。
   〔十七番栗林のり子君登壇〕

○十七番(栗林のり子君) 初めに、幼児教育について伺います。
 本年四月より、都教育委員会は、小一問題を予防、解決するため、公明党の提案を受け、教員加配を行い、その効果検証を行うことは高く評価するところであります。このような取り組みとともに、就学前教育、つまり幼児教育の中身の充実も、より重要な時代に入ったといえます。
 都はことし三月に、就学前教育プログラムを完成させ、都内すべての保育所、幼稚園に配布し、その内容を周知する説明会も開催したようであります。また、新しい学習指導要領において、言語活動の充実ということに力を入れると聞いております。
 我が国には、代々受け継がれてきた美しい日本語があり、童謡や物語などの中に満ちています。それを楽しみながら読むことにより、日本人としての情緒を養い、生き方を学ぶことができてきたのです。しかし、こうした情緒もすっかり薄れ、反対に暴力行為の低年齢化という恐ろしい事態です。
 文科省のデータによると、昨年度の全国小中高の暴力行為は、過去最多の六万九百十三件。特に小学校の加害児童が、二〇〇六年と比べ約二倍となっており、教師への乱暴など、個人による衝動的な暴力がふえているのが近年の傾向です。感情のコントロールができない、コミュニケーション能力不足などと、キレる子どもの低年齢化が大きな問題です。
 フランスの文豪アンドレ・マルロー氏は、国滅びるときは、その国民がみずからの文化、歴史を忘れるときにほかならないと指摘をしています。こうした日本の文化、歴史に着目をし、私の地元世田谷区では、美しい日本語教育をテーマに教育特区の認定を受け、二〇〇七年四月から、新教科「日本語」の授業を全小中学校で開始しています。これが小学校一、二年生用の教科書用図書です。
 鉛筆の持ち方から始まり、日本語の響きやリズムを楽しむ俳句や漢詩、短歌、詩などがおさめられています。私が訪ねたある小学校では、この教材の中にあります宮沢賢治の雨にも負けずを、全員が暗唱に挑戦していました。家に帰ってから練習する子どもに刺激を受け、保護者も暗唱運動に参加し、最後は地域を巻き込んでの運動になっていました。文字どおり、雨にも風にも負けないたくましい心を植えつける第一歩となっています。
 幼児期においても、例えば、絵本や民話を通じて感じたことを言葉にあらわし、言葉による伝え合いができるような教育が大切であると考えますが、所見を伺います。
 現在、保育所や幼稚園において活用できる就学前教育カリキュラムを作成していると聞いています。このカリキュラムの内容と、今後の普及啓発の取り組みについて伺います。
 次に、東京都子ども家庭総合センターについて伺います。
 平成二十四年に完成する子ども家庭総合センターは、子どもと家庭を総合的、一体的に支援する拠点として開設される予定であり、福祉保健局所管の児童相談センターと児童会館の一部機能、教育庁所管の教育相談センター、そして警視庁所管の新宿少年センターが集まり、児童虐待、不登校、非行等の問題に取り組むという大変期待される施設です。
 平成十五年より、全国に先駆けてこのような取り組みを始めている、福岡市子ども総合相談センターえがお館を先日視察してきました。
 複雑多様化してきている相談などに総合的に対応するため、青少年センターには、福岡県警の警察官が配属され、児童相談所には、スクールソーシャルワーカーが配属されていました。同じフロアに各機関が配置されていることから、常に連携をとり、すぐに問題解決に当たることが可能になったとのことです。電話相談も二十四時間対応で行っており、年間約一万件以上の相談が寄せられるそうです。また、女の子専用電話相談も設置されており、思春期の悩みや問題に、女性の相談員が対応するという配慮がされていました。
 都においても、東京都子ども家庭総合センター基本構想でうたっているように、深夜も含め、二十四時間三百六十五日、緊急時にも、より迅速な対応ができるよう取り組みを強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 何といっても、相談が防止のかぎです。居場所をなくした子ども、そして不安を抱える親からのSOSをキャッチできるよう、今後は、相談範囲の拡充や複雑なニーズに多様な支援ができる体制をほかの機関とも連携をし、東京は、児童虐待ゼロを目指すとの決意で構築するよう要望いたします。
 次に、結婚活動支援について伺います。
 未婚、晩婚化が進んでいるといわれている現在、なぜこれまで結婚しなかったかとのアンケートの問いに、いつもトップに上がるのが、出会いがないからという理由だそうです。しかし、現在は一人でも、いつかは結婚したいと願う独身の割合は約九割に上っています。結婚するための活動を婚活と呼ぶようにもなり、この言葉もすっかり定着してきました。そのようなことが背景に、地方自治体でも出会いの場の提供に一歩踏み出すところがふえてきました。
 秋田県、群馬県、富山県、奈良県、徳島県、長崎県などや、また都内でも、品川区、文京区など、区市町村の取り組みもふえ関心が高まりつつあります。
 このうち品川区では、品川マリッジサポート事業をスタート、定員四十人に百人以上の申し込みがあり、大変好評のようです。年齢的には、三十歳代、四十歳代が多いとのことです。申し込みの主な理由は、区が行うので安心、出会いのきっかけとなるということだそうです。
 婚活に自治体が介入するべきではないという反論もあります。しかし、そうはいってはいられません。このままだと、二〇三〇年には、全世帯の三七・四%を単身世帯が占め、五十代、六十代男性の四人に一人がひとり暮らしになるといわれています。単身世帯の増加は、社会に大きな影響を与えることからも対策は重要です。
 国の安心こども基金による特別対策事業の中に、少子化対策の一つとして、結婚意欲を持った若者の出会いの場の提供や結婚相談員の配置等が対象事業になっています。今回は、基金の募集期間も短く、利用が間に合わない自治体も多いと聞いています。次年度も引き続き、この安心こども基金事業が予算化されるよう国に要望するとともに、区市町村が取り組む婚活資金をバックアップし、今後は検討会などの設置も要望いたします。
 また、未婚の若い世代の中には、乳幼児と接した経験がほとんどなく、子育ての大変さだけが意識されている場合や出産により女性の就労が中断されることから、子育てと仕事の両立は困難と考え、結婚、出産自体に消極的になっている人がいるとも聞きます。次世代育成対策、少子化対策を考えるには、このような結婚前の若い世代の意識を変えていく取り組みも必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、障害者の就労支援について伺います。
 世界的に有名になった盲目のピアニスト辻井伸行さんは、都立久我山青光学園の出身です。障害があっても文化、芸術の世界で才能を伸ばし、活躍し、また、さまざまな職業で能力を発揮できる環境は大変重要です。
 今月、障害者雇用・就労推進連携プログラム二〇一〇が策定され、連携プログラムの五十三事業も拡充し、障害者の一般就労に向けた取り組みが前進したことは高く評価するところです。障害があっても、きちんと仕事につき、収入を得て納税者となることを目標にしている方は多くいます。障害者の潜在的な力を引き出し、自立と社会参加を大きく前進させ、活躍の場を拡大していくことは、東京の活力を高めていくことにつながります。
 そこでまず、都として、今後の障害者の就労支援への取り組みに向けた知事の決意を伺います。
 就職した障害者と雇用主、双方のパイプ役となるのがジョブコーチであります。このジョブコーチの役割が大変重要であります。都の障害者雇用促進策、とりわけジョブコーチ事業についての見解を伺います。
 また、福祉的就労で、低い工賃の作業所にも、少しでも工賃アップが図れるよう支援が必要です。都内作業所のすぐれた商品を、展示即売会で広く都民に紹介し、販路を拡大することが必要です。
 フランスには、戦争未亡人と障害のある女性で構成された団体があり、器用な手仕事でつくられた刺しゅう入りのテーブルセンターや小物が、有名デザイナーたちの協力で高級ホテルや大使館などで使われるようになったことから、高い値がつき、結果、高級品としてのブランドと、それぞれが高収入を手にするようになるのです。このように、障害者が福祉的就労に従事する作業所の工賃アップを支援する独自の対策も必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、都民の利便性向上の観点から、都税納付手段の多様化について質問します。
 現在、一人が複数のクレジットカードを普通に持ち、さまざまな場面で、カードによる決済を活用しています。ポイントがたまりメリットがある上、自宅でインターネットに接続し、カードの番号を入力するだけで、簡単に買い物や各種支払いができてしまいます。
 都は既に、身近なコンビニで都税納付ができるようにするなど、納税者の側に立った取り組みを積極的に進めてきています。今後は、カード決済が普及している状況を踏まえ、クレジットカードによる都税納付を早急に導入することが必要と考えます。
 例えば、毎年五月末が納付期限となっている自動車税の課税件数は三百万件に上ります。一件当たり平均四万円になっています。納付期限の直後には、ボーナスの時期があり、クレジットカードによる分割納付が使えれば家計への助けにもなります。クレジットカードを使っての都税納付について、都の具体的な取り組みを明らかにすべきであります。
 見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 栗林のり子議員の一般質問にお答えいたします。
 障害者の就労についてでありますが、障害者の就労を支援することは、障害者が尊厳を持ってみずからの人生を決定できる足場を築き、一人一人が持つ人間としてのはかり知れぬ可能性を引き出すことになるはずであります。
 このため、「十年後の東京」計画では、三万人以上の雇用創出という目標を打ち出し、福祉保健、教育、労働の各分野が連携し、企業などの協力も得て、障害者の自立に向けた多角的な取り組みを進めております。
 現在、厳しい経済状況にもかかわらず、障害者の雇用数は着実に伸びております。今後とも、多様な企業が集中、集積する東京の持つ強みを生かしながら、障害者の就労支援の充実強化を図り、障害者が地域で自立して暮らせる社会を実現していきたいと思っております。
 なお、私、この問題については、かつて公明党の中嶋幹事長から、福島智さんという、余りご存じの方はないと思いますが、あるすばらしい人物を紹介され、この人は今、東大の先端技術の関係の研究所の教授をしておりますが、小学校のころからこの人は、片方の目ずつ、要するに失明して、さらに高校に入って、また片方の耳ずつ、要するに聴力を失って、完全に全盲全ろうになる。これはヘレン・ケラーのように、生まれつき熱病で、その記憶のなかったころに全ろう全盲になるのとは違って、きちっとした意識を持ちながら、そういう過酷な人生を経て、最後は、結局周りの人たちが理解してサポートしたために、かつての都立大学に初めて、全ろう全盲の人を迎える制度ができまして、受験も許されて、そして、それを卒業したあと、お母さんが、指で点字を打つ指点字という方法を瞬間的に子どものために思いついて、それが今全国に普遍しているわけですけれども。そして金沢の大学の教授になり、そしてその実績を認められて、東大の研究所に呼ばれて、准教授から教授になった。これは本当にすばらしい事例だと思います。
 この人のおかげで、東京都思いつきまして、台東区に、まだまだ隠れてたくさんやれるはずの全ろう全盲の方々に、互いにコミュニケートして、行政もそういったものを大変手厚く、何というか、導く手当てをする。そして、人生の機会を与えるそのよすがになればいいと思ってセンターをつくりました。まだまだこれビビッドには活躍しておりませんが、しかし、とにかくこの全ろう全盲の方々、非常に悲惨な人生を送っている方々が、どこにどれだけいるかというのはまだ全国に把握できない。とにかく東京でも千数百人の方がいらっしゃる。こういった方が、やっぱりどれだけ人間としての可能性を示すことができるかと、この福島さんは示されたわけでありまして、私は最近、小説に仕立てて書いたのですが、これは本当に、周りが理解をしサポートすれば、とんでもない才能が、実は、障害者の中に埋蔵されていることを見事に明かした人物だと思います。
 他の質問については、教育庁、関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、幼児期における言葉の教育についてでございます。
 近年、幼児については、他者とのかかわりが苦手である、自分で自分の感情を抑制できないなどの課題が指摘されていることから、経験したことや考えたことなどを、幼児が自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉による伝え合いができるようにしていくことが重要でございます。
 こうしたことから、都教育委員会は、昨年度、就学前教育に関する研究開発委員会を設置し、絵本や物語、詩などをもとに、自分の思いや考えを言葉で伝え合うなど、幼児の表現する力を養うための指導事例を作成して、保育所や幼稚園、小学校などを対象に説明会を行い、その趣旨の徹底を図ってまいりました。
 また、乳幼児期における絵本の読み聞かせの重要性を示した保護者向け資料「乳幼児期を大切に」を作成し、乳幼児健診などの機会をとらえて、乳幼児の保護者に配布してまいりました。
 今後とも、都教育委員会は、関係局及び区市町村教育委員会と連携し、幼児期の言葉による伝え合いを大切にした教育を推進してまいります。
 次に、就学前教育カリキュラムについてでございます。
 都教育委員会は、ゼロ歳児から五歳児の子どもの発達や学びの連続性を踏まえ、各年齢に応じた保育、教育の内容や方法などを示す就学前教育カリキュラムを、今年度開発しております。
 具体的には、例えば、あいさつをする、決まりを守るといった、社会生活における望ましい生活習慣や態度、感じたことや考えたことを言葉で表現する力、身近な環境に対する探究心や豊かな感性など、保育所や幼稚園において、小学校生活の基礎となる力を幼児が身につけるためのカリキュラムでございます。
 今後、平成二十三年三月に、都内のすべての国公私立の保育所や幼稚園及び公立小学校を対象に、就学前教育カリキュラムについての説明会を、関係局と連携して実施するとともに、来年度には、本カリキュラムを活用した保育所や幼稚園における取り組み事例に関するシンポジウムを開催いたしまして、全都にその成果を広げてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、仮称でございますが、子ども家庭総合センターにおきます緊急時等の対応の強化についてでございますが、都では、児童虐待に迅速に対応するため、児童相談センターに、土日祝日も相談窓口を設けまして、三百六十五日、切れ目のない相談体制を確保いたしております。また、夜間に緊急の対応を要する虐待通告などがあった場合は、児童相談センターから所管の児童相談所職員に連絡し対応することといたしております。
 子ども家庭総合センター(仮称)における具体的な対応策は、現在検討中でございますが、緊急時に、より迅速な対応ができますよう取り組みを強化してまいります。
 次に、結婚前の若い世代への取り組みについてでございますが、結婚や出産は、個人の価値観や人生観に深くかかわるものでございますが、結婚や出産を望む人たちが安心して家庭を築き、子どもを育てることができる環境を整えることは、社会全体で取り組むべき重要な課題でございます。そのため、都では、少子化打破緊急対策といたしまして、保育、医療、教育はもとより、働き方の見直しや住宅など、各分野にわたりまして、子育ての不安を解消するための具体的対策に総合的に取り組んでおります。
 また、子育て応援とうきょう会議では、大学生等がワークライフバランスについて考える活動などを行っておりまして、こうした取り組みを通じて、若い世代が、結婚や子育てへの理解を深めることを支援してまいります。
 最後に、作業所の工賃アップについてでございますが、作業所で働く障害者の工賃を引き上げるためには、作業所の意識改革や経営努力を促すとともに、意欲のある作業所の取り組みを支援する必要がございます。そのため、都は、平成二十一年度に東京都工賃アップ推進プロジェクトを策定いたしまして、生産性の向上に取り組む作業所の設備整備に対し補助を行いますとともに、販路拡大のために、複数の作業所による共同受注等を進める区市町村の取り組みを、包括補助事業を通じて支援をしてきました。
 今年度は、作業所の製品の展示即売会を初めて開催をいたしまして、実践的な展示販売の経験を通して、作業所の利用者や職員の意識改革を図りますとともに、新たな購買層の開拓を目指し、多くの都民や企業に製品の魅力をアピールしてまいります。
 今後とも、区市町村と連携をしながら、こうした取り組みを進めまして、作業所の工賃アップを支援してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 障害者雇用促進に向けた取り組みについてのご質問にお答えいたします。
 都は、障害者雇用を促進するため、普及啓発に加え、賃金の一部を補てんする助成金の支給による中小企業への支援や、障害者の職業能力を高めるための職業訓練等の施策を実施しております。
 ご指摘の東京ジョブコーチ支援事業は、この障害者雇用促進の一環として、平成二十年度より開始したものでございます。
 この事業は、研修により専門の知識を身につけたジョブコーチが、障害者を雇用する企業に出向き、障害者の職場への適応及び定着を支援するものであり、利用企業からは、障害者個々人の得意、不得意を見きわめた助言をもらえたなどの評価をいただいております。
 今年度は、ジョブコーチの人員を、昨年度の五割増しとなる六十人としたほか、新たに進行管理や困難事例への対応を行う統括コーディネーターを三名配置いたしまして、実施体制を充実させました。今後とも、ジョブコーチ事業を初めとした各種の施策を着実に実施し、障害者の雇用促進に努めてまいります。
   〔主税局長荒川満君登壇〕

○主税局長(荒川満君) クレジットカードによる納税についてお答えいたします。
 クレジットカードは、現在、都民生活に広く普及しており、これを都税の納付に導入することは、都民の利便性を高めるとともに、納税率の向上に資するものであると考えております。
 しかし一方で、導入に当たっては、都や納税者が負担する手数料について、コンビニや金融機関などを利用した他の納付手段との均衡を図ることが必要であるなどの課題がございまして、これまで検討を重ねてまいりました。
 その結果、都や納税者に新たな手数料負担が生じるものの、双方に大きなメリットがあることを踏まえ、税額が比較的少額であり、手数料が余り高くなく、かつ、納税件数が多く都民の暮らしに身近な税目となっている自動車税を対象に、平成二十三年度から導入したいと考えており、現在、詳細を詰めております。これからも納税者の利便性の向上に努めてまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後七時二分休憩

   午後七時二十一分開議

○議長(和田宗春君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十三番田中健君。
   〔十三番田中健君登壇〕

○十三番(田中健君) いよいよ来月末に羽田空港が国際化をされます。今回の都議会の告知ポスターも、写真は羽田空港、そして、「世界が近づく国際競争力の高い東京へ」と書かれています。羽田空港の国際化を機にした陸海空のまちづくりについてお聞きをしたいと思います。
 まず、跡地についてお聞きします。
 羽田の沖合展開事業及び再拡張事業によって発生した跡地に関しては、これまで何度にも及ぶ議論が国交省、都、大田区、品川区のいわゆる三者協でなされてきました。そして、ことし八月に羽田空港跡地まちづくり推進計画の素案が発表されたばかりであります。
 これによると、跡地を第一ゾーン、第二ゾーン、第三ゾーンと定め、それぞれを大田区、民間、国が計画を立てて今後の促進をしていくものとしました。が、今回まとめられた推進計画を見ても、またこれまでの経緯を聞いても、都が主体的に、またリーダーシップを発揮したとは感じられません。
 例えば第一ゾーンは、大田区が土地を取得し、再開発を進めていく方向で検討がなされていますが、都はこれに協力するとのことしか述べられていません。何をもっての協力というのかと尋ねましても、国交省に口ききをするという程度しか返答が返ってきませんでした。また、この第一ゾーンは、海老取川に面していますが、その海老取川をまだどのように整備、または利用を目指していくのかが見えません。第二ゾーンも民間事業者主導というばかりであります。
 もちろん、まだ未確定な部分は多く、具体的な話はこれからというのはわかっています。が、羽田空港の国際化を強く訴えてきた知事、都の力の入れように比べると、余りにこの跡地の開発に関しては存在感がありません。東京都のリーダーシップ、主体性がこの議論の中で発揮されてきたのでしょうか。
 推進計画の跡地の位置づけの中で都は、この跡地に関して東京湾の環状メガロポリス構造の骨格である東京湾ウオーターフロント都市軸に位置すると高らかにうたい、水辺の魅力を豊かな空港資源を生かした臨海部を結ぶ都市軸を形成すると書いてあります。都の取り組みの中からはその姿が見えてきません。これまでどのような形でこの三者協の中で役割を果たしてきたのか、また、さらに今後果たしていくつもりなのか、まちづくりの観点から、具体的にまずお答えいただきたいと思います。
 その中で提案ですが、これまでは三者協の中で跡地のあり方を議論してきましたが、今後は具体的な開発の段階に入るに当たって、行政だけではなく、民間を含めた新しい協議会の立ち上げが必要であると考えます。このたびの再拡張事業とともに新しく国際空港ターミナルができました。空港関連事業者からは、国際ターミナルはできたが、しかし目の前に広がる跡地はどうなるかわからないといった情報不足の声が上がっています。
 昨日の本会議の中でも、跡地そして空港が一体となった利用が求められるとの答弁もありました。地元区、空港関連事業者を加え、総合的な開発をするために新しい協議会等の場を都がつくっていくべきだと思います。そのような検討はなされていますでしょうか。また、その必要性をどう考えますか、都の見解をお聞きします。
 神奈川県は、県、川崎市、横浜市が連携をして羽田対岸を中心とした臨海部のまちづくりを、ライフサイエンスに特化した計画を掲げて現在推進を図っています。が、翻って都には、そのような目指すべき、つくり上げる具体的な姿がありません。
 羽田の跡地に関しては大田区が取り組むこともできましょう。また、臨海部もそれぞれ品川区、また港区も取り組めることでしょう。しかし、全体を包括して大きな都市の一部の形成をするには都の構想が必要です。
 羽田空港が国際化し、京浜港も国際港湾に選定がされ、まさに陸海空のハブを目指すこの臨海部のあり方を、総合的にもう一度明確に定義をするべきであると考えます。都の見解を伺います。
 羽田空港の国際化におけるまちづくりにおいては、跡地だけが重要ではありません。これから重要になってくるのは、増加が見込まれる空港周辺の車両混雑を緩和し、交通の利便性を向上させ、まちの活力を高めていくことです。環状線においては、都心から羽田に向かう際にあった環状八号線最後の踏切が二十六日に完全高架化されたばかりであります。これによって、慢性的な渋滞の解消が図られました。今後ますますふえる交通量への対応は、しかしながらこれでは不十分です。特に、国道三五七の川崎方面への延伸は、早期な整備が求められます。これまで何度もこの整備の推進が、この議場でも述べられてきたところであります。多摩川トンネルに関しても、整備を含め今後の計画をお聞きします。
 また、重ねて重要なことは、空港周辺の機能強化を図ることであります。世界じゅうからの訪問を迎えるためには、また引きつけるためには、商業施設、宿泊施設、ビジネス施設、アミューズメント施設が複合的に必要となります。これは羽田の跡地開発はもちろんのこと、近隣の主要駅でも開発が進んでいるところであります。その中でもアミューズメント施設として、カジノについてお聞きしたいと思います。
 カジノについては、国会においても超党派でカジノ議連が結成され、自治体においては、ことしの三月、千葉県が成田空港への設置検討を表明し、神奈川、和歌山、沖縄三県が五月に、さらには大阪は七月にそれぞれ検討会が発足しています。さらに国土交通省の成長戦略会議でも、最終報告の中で、カジノを含めた総合リゾート開発のポテンシャルについて検討すると言及がなされたところであります。
 もちろん、国の法改正が整わなければ前に進まないのはわかっていますが、今こそ、九九年、知事就任直後からカジノ構想を掲げた都が、この推進役を担ってほしいと思いますが、今後の展開、見通しについてお聞きします。
 羽田空港の国際化に伴うまちづくりについて述べてきましたが、これまでの課題である首都圏の空港容量不足が、これで解決するわけではありません。現時点でも、将来の発着枠は近々不足することはいわれており、さらなる対策が必要です。実際、そのポスト再拡張に向けての研究が始まっているとも聞いています。
 羽田空港にもう一本の滑走路をつくってはという話もあります。一方また、知事が進めてきた横田基地の軍民共用化の早期実現が求められます。これも知事の公約でありながら、いまだ合意に至っておりません。ぜひ政府とも歩調を合わせて、政府間折衝を進め実現を図ってもらいたいと思います。羽田の国際化に伴い、さらなる首都圏空港容量の拡大に向けた今後の都の航空政策について伺います。
 引き続き大田市場についてお聞きします。
 羽田の国際化に伴って必要なのは、全体を見通したまちづくりであることは先ほど述べましたが、その中で可能性を秘めている施設として、大田市場があると思います。もちろん市場は、都民の安全・安心な食の流通を支えることがその基幹業務でありますが、同時に築地の場外市場のように、多くの観光客が集まる可能性を持った施設でもあります。羽田が国際化され二十四時間化されると、世界じゅうから多くの観光客が訪れ、羽田の近隣でひとときを過ごす方が増加することは間違いありません。
 大田市場は、気軽に行けるような交通アクセスに乏しく、また、大規模なにぎわいスポットもないのが現状です。しかし、舟運のネットワークの活用などの工夫をすることにより、羽田から海路を通じ、大田市場、またその周辺にフィッシャーマンズワーフのような水辺で外国人が目当てとする食を楽しむことができる施設があれば、どれだけすばらしいことでしょうか。
 これは、都が目指すウオーターフロントの都市への基軸にも発展を可能にさせることができます。ぜひ、今後は、だれもが親しみやすい、また時間を過ごすことができる大田市場に向けての取り組みを検討していただきたいと要望します。
 都は、三十億円をかけて、昨年十月に屋根がけの駐車場をこの大田市場に完成をさせました。大田市場は設立当初から比べると、多くの売買参加者、仲卸業者が出入りするようになり大変込み合う状態が続いていました。そんな中で、物流改善計画に沿ったこの事業は、物流の効率化が図られるものとして多くの関係者が期待をしていました。
 平成三年以来、二十年弱の時間の経過の中で、各組合ともども組合員の減少や取扱高が大幅に減っていき、時代も大きく変わる中で、その時代に合った振り分けが必要とされていました。
 しかし、今回、この駐車場の振り分けに関して、都は各組合に古い台数の配分をそのままに振り分けてしまいました。もちろん私は、毎年のように見直すのがいいとは思っておりません。しかし、このように大規模な物流改善の中で、ちょうど見直しをするにも大変タイミングがよかったと思われる中、どうして見直しがなされなかったかは疑問であります。駐車場の分配について、これまでの経緯と今回の件について、都の見解をお聞きします。
 また、屋根がけの駐車場を含めハードの整備が進む中、市場の利用については、公平で公正であるべきだと考えます。今後のあり方について、都の見解をお聞きします。
 文化政策について、引き続き尋ねます。
 これまで日本の対外的な文化政策は、文化芸術を所管する文化庁、産業振興を担う経済産業省、国際交流を担当する外務省に分かれていました。縦割りの行政の中で、それぞれが自己完結で事業を行い、横の連携がとれていませんでした。そんな中、この六月に、経済産業省は、デザイン、アニメ、ファッションなどのクリエーティブ産業の海外進出の企画立案及び推進を行うクール・ジャパン室を設置したところであります。
 お隣韓国は、九〇年代から文化産業の育成に力を入れ、国家を挙げて海外戦略づくり、人材育成などに取り組んできました。
 また、中国においても、二〇〇七年の党大会において、文化のソフトパワーを重要国策の一つに位置づけました。それに比べると、日本の取り組みは遅く、経済やスポーツの分野で次々と日本の優位を奪ってきた両国が、文化の領域でも存在感を増してきているのが実情であります。
 今回、都はスポーツにおける所管部署を一元化し、スポーツ振興局を立ち上げたばかりであります。これには大変期待をしているところでありますが、ぜひ、文化政策においても、この考えを取り入れ、都の文化における所管部署を一元化し、新たな組織を立ち上げる必要があると考えます。
 国がクール・ジャパン室を立ち上げたとはいえ、専従はたったの六人だと聞いています。何といっても、デザイン、アニメ、ファッション、また映画など、日本の最先端の文化が集まっているこの東京だからこそ、その役割は大きく、文化を軸とした政策を展開すべきと考えますが、所見を伺います。
 最後に、ひとり親家庭支援についてお聞きします。
 都では、仕事と子育てを両立できる新しい道への支援として、二〇一〇年九月一日から、ひとり親家庭への在宅就業プログラムを始めています。国の二〇〇九年五月に成立した同年の補正予算に盛り込まれ、安心こども基金を活用して実施するものであり、母子家庭の母親らに訓練手当つきでIT関連の技能を教え、この研修中から仕事を紹介するというものです。
 今回、都は約二億円をかけてこの事業を行っていますが、場所は立川の一カ所、受講生六十名であり、財団法人東京都母子寡婦福祉協議会への委託により実施がされています。同じように取り組む名古屋市においては、三億九千万円で二百人を訓練しています。
 安心こども基金の仕組みでは、自治体が金額、事業規模、事業内容を独自に決定できることになっています。今回のこのプログラム、都はどのような考えのもと事業を実施しているのか、まず伺います。
 この在宅就業は、仕事と家庭の両立を図る就業形態で、働き方の選択肢が広がるという点では有効な手段なのかもしれません。しかし、現実はそんなにバラ色ではありません。在宅でのITの仕事の現実は大変厳しいものがあり、NPO法人のあごらの調べでは、二〇〇九年三月の在宅就業者の平均時給は三百四円、最低賃金の半分に満たず、実際は複数のパートをかけ持ちすることで生計を立てている場合も多い現実を聞いております。研修を受けて在宅就業に着手したとしても、他の仕事や子育てをしながら実際に生活していくことは厳しいと考えます。
 在宅就業プログラムはこの九月に始まったばかりですが、一年間という長い研修期間、拘束する以上、ひとり親家庭の人たちが、働いていた方がよかったと思うことがないよう、利用しやすく効果がある制度でなくてはなりません。
 さきに述べたように、このプログラムは六十人の研修に二億円近い予算が組まれております。研修は終わったものの働くことができず、事業者だけにお金が落ちて終わりでは、批判を生みかねません。ひとり親家庭の母親、父親や当事者団体との連携などにより、ぜひ利用者の立場に立った在宅就業プログラムを都がつくり上げていくことを期待したいと思います。
 今後のこの事業の進め方について都の見解を最後に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 田中健議員の一般質問にお答えいたします。
 五点のご質問のうち、まず羽田空港跡地に関する都の役割についてでございますが、都はこれまで、羽田の再拡張、国際化を積極的に推進してきましたが、今回の羽田空港跡地まちづくり推進計画の素案の策定に当たっても、今後、国際空港機能が一層強化される羽田をサポートするため、空港と一体となった跡地利用が実現できるよう、計画づくりをリードしてまいりました。
 また、都は、羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協の事務局として、計画策定のための共同調査を実施するとともに、国と地元区との間の調整を積極的に図るなど、計画の取りまとめの中心的な役割を担ってまいりました。
 今後とも、都は、跡地利用に必要な都市計画を定めるほか、跡地所有者である国に対して、推進計画の実現に向けた取り組みを促すなど、引き続き三者協も活用しながら、計画の早期具体化に向け、積極的に取り組んでまいります。
 次に、民間を含めた新しい協議会の立ち上げについてでございますが、羽田空港跡地まちづくり推進計画の素案では、国際線旅客ターミナルに隣接するゾーンにおいて、民間事業者からの提案を公募するなど、民間の知恵と資金も最大限活用しつつ、土地利用を実現することとしております。
 今後、まちづくりに参画する事業者が明らかになった段階で、国や地元区と連携しながら、事業推進に向けた適切な体制を構築してまいります。
 次に、臨海部全体のあり方についてでございますが、都は、東京の都市づくりビジョンにおいて、臨海部を東京湾ウオーターフロント活性化ゾーンとして位置づけ、空港、港湾を通じた国内外の人、物の活発な交流や、首都圏の発展に必要な新たな機能の導入等を図ることとし、このゾーンのエリアごとにそれぞれの将来像を示しております。
 こうした都市づくりを実現するため、国や地元自治体、民間事業者等と連携し、空港への交通アクセスや湾岸部における道路ネットワークの強化、空港や都心に近接する特性を生かした新たな産業ビジネス空間の創造などに戦略的に取り組んでおります。
 今後とも、このような都市づくりを積極的に推進し、水辺の魅力と豊かな空間を生かした、活力あふれる臨海部を形成してまいります。
 次に、国道三五七号の整備についてでございますが、国道三五七号は、羽田空港へのアクセスの充実のみならず、東京湾岸における都市間の連携強化、物流の円滑化に資する重要な道路でございます。
 現在、東京都内の区間では、東京港トンネルと多摩川トンネルが未整備のため分断された状態になっております。東京港トンネルにつきましては、国はかねてからの都の強い要請を受け、今年度、ようやくトンネル本体工事に着手することになりました。また、残る多摩川トンネルにつきましても、羽田空港の本格的な国際空港化に伴い、空港アクセスの改善を図る上で一層その重要性を増していることから、早期に事業着手するよう、既に国に強く申し入れているところでございます。
 最後に、首都圏の空港容量についてでございますが、羽田と成田の両空港において、現在計画されている発着枠の増加が行われても、近い将来、首都圏の空港容量は再び満杯になると予想されております。
 空港容量のさらなる拡大を図るためには、両空港において、管制の工夫などあらゆる角度からの方策を講じるとともに、横田基地の軍民共用化を実現し、平時は余裕のある横田基地の滑走路を有効活用することが最も合理的でございます。
 今後とも、伸び続ける航空需要への的確な対応を図るよう国に強く働きかけ、世界との緊密な交流を支える首都圏の空港機能の強化に取り組んでまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

○知事本局長(秋山俊行君) カジノについてでございますけれども、現在、我が国では、カジノは刑法で規制をされておりまして、これを実現するためには、何よりもまず国が法整備を行うことが必要でございます。
 そのため、都は国に対して、必要な法整備を行うこと、あわせて地域の実情に即した運営が可能な仕組みとするなど、地方自治体の意向を十分踏まえることを提案要求してきているところでございます。また、このようなこれまでの経緯を踏まえまして、アイデア募集のあった特区構想への提案も行ったところでございます。
 いずれの場合におきましても、国において新たな法律の制定が必要であることから、都としては国の動向を注視してまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 大田市場における駐車場のあり方についてですが、大田市場は、平成元年五月の開場以来、年々その取扱量がふえ、それに伴い入場車両の台数も増加するとともに、市場内の施設が車両の大型化などに対応できないため、駐車場や周回道路上におきまして荷積みや荷さばきが行われるなど、日常的に混雑が発生する状況となっております。
 こうした混雑状況を改善するための取り組みといたしまして、都は、平成十九年度から二十一年度にかけまして、買い受けた商品を荷積み、荷さばきする駐車場であります屋根つき積み込み場を整備し、また、現在、市場業者による立体荷さばき施設の整備が進められております。
 市場内におきます駐車場につきましては、これまで、すべての市場業者が参加する公的団体である社団法人大田市場協会に対し都が使用許可をし、同協会が各組合に割り当てておりまして、今回も、売買参加者などの組合ごとに、従前の積み込み場において割り当てられていた台数を基本といたしまして、現在の組合員数、取扱高を踏まえ、屋根つき積み込み場における割り当てを決定したものでございます。さらに、割り当て台数を定期的に見直すなど、適切に対応することとしております。
 都は、今後も、場内における物流改善などの取り組みを推進し、大田市場における取引のさらなる活性化が図られるように努めるとともに、駐車場その他、場内施設が引き続き適正に利用されるよう管理運営してまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 文化を軸とした政策の展開についてでございますが、文化や芸術の持つ創造性は、社会経済の成長と発展の原動力となるものでございます。
 東京には、伝統文化や現代美術などの芸術文化に加え、アニメやファッションなどのクリエーティブ産業の基盤が集積してございます。
 こうしたポテンシャルを最大限に活用し、東京が国際競争力を発揮するためには、創造産業や観光などとの政策横断型の戦略的な文化政策の推進が必要でございます。このため、都といたしましても、先般、東京芸術文化評議会の提言に基づき、文化政策の推進に関する緊急提案を国に対して行ったところでございます。
 今後とも、総合的な文化政策のあり方につきまして引き続き検討してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、ひとり親家庭等在宅就業支援事業についてでございますが、本事業は、ひとり親家庭に対しまして、在宅就業に必要なスキル習得のための研修を行いますとともに、研修期間中の手当金を支給することにより、就業や自立の促進を図るものでございます。
 都では、本事業により、一人でも多くのひとり親家庭を就業自立につなげるため、企業からの発注量が多く、一定の収入が見込まれるデータ入力やホームページ作成に対応できるITスキルの習得に重点を置いた研修プログラムを実施しております。さらに、研修終了後の仕事を確保するため、在宅就業の実施が可能な企業に対しまして働きかけを行い、受注業務を開拓してまいります。
 次に、ひとり親家庭等在宅就業支援事業の今後の進め方についてでございますが、今月から第一期の研修生六十名に対してITスキルの習得に向けた基本研修を開始しており、来年三月からは、実際に在宅で就労しながらスキルアップ研修を行うこととしております。
 来年四月からは、新たに六十名の研修生に対しまして研修を行う予定でございますが、研修プログラムについては、ひとり親家庭がより利用しやすいものとなるよう、第一期の研修生や当事者団体の意見を踏まえながら、内容を見直すなど、より効果的な在宅就業支援に取り組んでまいります。

議長(和田宗春君) 三番吉住健一君。
   〔三番吉住健一君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三番(吉住健一君) 初めに、安全・安心への取り組みについて伺います。
 本年十一月に横浜市でAPEC首脳会議が開催されます。首都圏におきましては、東京サミット以来、実に十七年ぶりの大規模な国際会議の舞台となります。
 東京では、羽田空港の新国際ターミナルがオープンし、ますますの国際化が進むと期待されていますが、五年前の英国グレンイーグルズ・サミットでは、首都ロンドンで地下鉄やバスの同時テロが発生し、多くの犠牲者を出しました。
 東京は、都民の生活の場であると同時に日本の政治経済の中枢であります。万一、東京でテロが発生した場合、多数の犠牲者や大きな混乱が生じることが懸念されるとともに、世界都市東京の国際的な評価を下げることとなります。そのような事態は断じて避けなければなりません。
 都はこれまでも、都民の生命や財産を守るために、官民一体となったテロ対策の強化を進めてまいりました。そこで、APECに向けた、警視庁のテロ対策の取り組みについて伺います。
 次に、安全・安心にかかわる地域活動について伺います。
 多くの都民が、自分のまちは自分で守る、地域の課題は地域で解決するという自助、共助の精神で活動しています。防災では消防団、防犯では町会、学校ではPTAなど、さまざまな活動をしています。
 しかしながら、自己犠牲の精神や責任感を持った住民が、自分自身にとってもたまの休日の時間を使って防災機材の点検や訓練をすれば、うるさい、夜間にパトロールをすれば、うるさいと抗議を受けます。先日は、通学路を見守るPTAのお母さんが、交通規制の道路標識の前でドライバーに詰め寄られていました。
 地域を守る善意の人々が誇りを持って安心して活動できる文化が失われてきたと感じています。地域社会の中で、ともに助け合い、連携を築いていこうという人々の地域活動は、もっと評価されることはあっても、じゃけんにされる必要はないと思います。
 知事は、これまでも都民生活の安心と安全を守るべく全力で都政運営に当たってこられました。地域の人々が力を合わせて助け合いながら行っている行動について、知事の所見をお伺いいたします。
 続いて、水道事業についてお伺いいたします。
 水道は、人の生命や都市活動を支える、国家存立にとっての基盤施設といえます。世界では、安全な水にアクセスできない人が十一億人に達するとともに、水ビジネス市場は十五年後には百兆円規模に達するといわれています。
 我が党では、世界の水事情改善はもとより、日本経済の活性化にもつながる取り組みとして、水ビジネスの重要性を訴えてきました。そうした意味で、都が水道の国際貢献ビジネスに乗り出したことは評価できます。他の自治体でも海外展開の動きがあることは耳にしておりますが、都ではいち早く、民間企業等からのヒアリングや国への支援要請を行うなど、スピード感を持って取り組みを進めております。
 そうした東京発の取り組みは、他の範になるべきものであり、これを全国に広げ、我が国全体のうねりにしていくべきではないでしょうか。そのために都が中心的な役割を果たし、連携協力関係を構築していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、我が党は、水ビジネスの国際展開に当たっては、各国のニーズや実情をよく調査した上で、リスクを分析する必要があると指摘してきました。
 都は、アジア五カ国にミッション団の派遣を決定し、その第一弾であるマレーシアについては、都の提案に対し担当大臣から協力要請があるなど、一定の成果があったと聞きます。ミッション団がマレーシアと都の間の新しいパイプを築いたと考えられます。現地を訪れたことで多くの生の情報が得られたと思います。こうしたパイプや知見をさらに深め、相手国との信頼関係を構築しながら、官民連携してビジネス展開を進めることが重要です。
 そこで、今回のミッション団派遣で得られたものをいかにして今後の水ビジネス展開に生かしていくのか伺います。
 続いて、食文化について伺います。
 まず、都内農産物の地産地消について伺います。
 最近、都内産の農産物を食材として提供する、いわゆる地産地消の飲食店が取り上げられています。東京では、寺島ナスなど江戸東京野菜や、都が開発した豚、トウキョウX、島しょ地域特産のアシタバなど、魅力のある農産物が生産されており、私の地元でも、都内産農産物を使う飲食店が評判となっています。より多くの飲食店が都内産の新鮮で確かな品質の農産物を提供していくことは、都民の豊かな食生活や食育、また東京の農業の振興にもつながってまいります。
 しかし、特に区部の飲食店からは、農家と取引するルートがなかなか見つからないと、手に入りにくいという声も聞きます。
 都内産農産物をより多くの飲食店で使用していただくことは、農産物のPRだけでなく消費の拡大にもつながり、ひいては生産者の生産意欲を高めることになるのではないかと思います。都内産農産物の消費拡大のためにも、これらの農産物を積極的に使用したいという意欲のある飲食店と、よりおいしい農産物を都民に届けたいという生産者をつなげる取り組みも重要であると考えますが、ご所見を伺います。
 次に、第九次東京都卸売市場整備計画について伺います。
 第八次整備計画を実施している中で、その進捗や効果を検証しながら、第九次の計画を検討されています。
 都民の食の流通を守るためには、築地市場はもちろん、各市場の整備も欠かせないものです。各市場から要望も出ていると思いますが、長期的な計画が必要なものには複数期の整備期間の場合もあります。市場関係者にとって、将来を見通せる情報提供も必要と考えます。
 第九次整備計画の検討において、どのような手順で検討され、計画に盛り込まれていくのかお尋ねします。
 また、淀橋市場は昭和三十九年に建築され、老朽化した総合事務所棟では雨漏りがあり、私も水たまりを目撃しました。そのほか、青果物の卸売り場においては、夏には高温になるため青果物の傷みが早くなっていると聞いております。
 青果市場の機能を維持向上させていくために、市場関係者と協議の上、必要な施設整備を進めていくべきと考えますが、ご所見を伺います。
 続いて、福祉施策、保育サービスの拡充について伺います。
 まず、保育所の整備について伺います。
 現在、国においては子ども手当の上積みが検討されていますが、子ども手当については、そもそも恒久的な財源の裏づけもなく持続可能性に疑問があり、拡充ではなく見直しをすべきと考えます。実際に子育てをされている親御さんからは、現金給付より保育サービスの充実を望む声も聞かれます。
 我が党は、保育所を必要とする都民のニーズにこたえるため、保育所整備を拡充すべきと考え、都の取り組みを支援してきました。今後も、都有地の活用による保育所の整備を初め、保育サービスの拡充を積極的に進めていくべきと考えます。
 次に、学童クラブについて伺います。
 都においては、我が党の提言を受け、今年度予算に多くの先進的施策を盛り込んだところです。中でも、いわゆる小一の壁の解消や有資格指導員の配置など、児童のより一層の安全確保を目的とする都型学童クラブ事業の創設は、まさに時宜にかなったものといえ、大いに期待をしております。
 そこで、都型学童クラブ事業の現在の進捗状況について伺います。
 続いて、住宅分野での取り組みについて伺います。
 子どもを安心して産み育てていくためには、生活の基盤である住宅の整備、充実も重要です。このため、都では、子育て世帯向けの設備等を備え、保育所や学童クラブなどの子育て支援施設等と連携した住宅のモデル事業を検討していると聞いています。
 そこで、このモデル事業の取り組み状況を伺います。
 次に、児童虐待防止の取り組みについてお伺いいたします。
 都内では、本年一月に、父親の暴行により七歳の男児が死亡する痛ましい事件が発生しました。そして昨日は、六月に一歳の女の子を窒息死させた疑いで母親が逮捕されました。
 子育てを取り巻く家族のあり方が変わってきた中で、親が子を殺害する事件が後を絶ちません。我が党はこの事態を重くとらえ、児童相談所や児童福祉司の充実、一時保護所の拡充など機能強化を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、児童虐待の早期発見、防止には、各市区町村、児童相談所、医療機関等、地域における関係機関の情報連携や協力体制の構築が必要です。中でも、早期発見のためには医療機関の役割は大きいと考えますが、ご所見を伺います。
 続いて、肢体不自由児にかかわる特別支援学校について、教育長にお尋ねをいたします。
 現在、特別支援教育推進計画第三次実施計画の取りまとめが行われているところですが、学部の改編や学区域調整も検討されているとお聞きしています。
 従来から、通学負担の軽減のため通学時間の短縮は行われてまいりましたが、地理的な条件から、どうしても片道で一時間を超えて通学するケースもあります。実際の通学は通学バスでとなりますが、肢体不自由児はいすに固定されて移動します。健常者でも長時間同じ姿勢で座っていることは苦痛を伴いますが、身体に障害を持った生徒の場合はなおさらです。理想的には三十分ごとの体位変換をともいわれていますが、乗員の安全を考えると、走行中のバス内での対応は困難ではと考えます。
 現在、通学時間を短くするために、隣接する学区域の学校に通うことは認められていますが、通学バスを利用するためには、隣接する学区域の内側まで出かけていかなくてはなりません。
 そこでお尋ねいたします。都教育委員会では、これまでも東京都特別支援教育推進計画を通じて通学負担の軽減に取り組んでまいりましたが、計画の目標とする片道平均六十分程度の実現に向けて今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、特別支援学校への外部人材の活用について伺います。
 介護の専門家による学校生活への支援には一定の評価もあると同時に、新たな指導体制に向けて介護の専門家が導入されることについて、どのような教育効果が期待できるのかと知りたいという声もあります。
 現在は試行段階ということですが、介護の専門家の導入に当たっては、試行校における成果や課題を検証した上で、保護者への十分な説明をしていくことが必要だと考えますが、見解を伺います。
 以上で発言を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉住健一議員の一般質問にお答えいたします。
 地域の人々が力を合わせて助け合う活動についてでありますけれども、これをうるさいとする人間の気持ちが私はわからないですね。日本には、特に東京には、非常に組織化された機能的なまちの消防団があります。これはほかの先進国にはないような組織だと思いますけれども、これは日本人の一つの美風というものをあらわしている組織だと思います。いずれにしろ、かつての日本人は当然のこととして、節度、自己犠牲、責任感といった美徳を持ってお互いに支え合ってきました。
 しかし、今日の我が国には、自分のことしか考えない、非常に履き違えた自由と権利意識が蔓延しています。これは、アメリカにあてがいぶちでもらったまま、反省もせず直しもしなかった、読んでみますと、権利がおよそ七分、比べて義務が三割弱しかうたわれていないこの憲法のもたらした弊害だと思います、私は。
 こうした風潮の中で、自助、共助の精神で、みずからの地域の課題を解決するために奮闘されている都民の方々に、本当に心から敬意を表します。自助、共助があって初めて公助が生きるのでありまして、この三つのバランスが整った社会を構築していく必要が絶対にあります。
 都は、地域を支える多くの方々の活動を引き続き支援して、こうした方々とともに都民生活の安全・安心を守っていくつもりでございます。
 他の質問については、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

○警視総監(池田克彦君) APEC首脳会議に向けた警視庁のテロ対策の取り組みについてお答えいたします。
 警視庁におきましては、一般市民を巻き込む無差別テロから都民を守り、首都の安全を確保するとともに、会議の円滑な開催を図るため、昨年十一月、APEC警備対策委員会を設置しまして、全庁を挙げた体制を確立するとともに、各種の警備対策を鋭意推進しているところでございます。
 首脳会議は横浜市での開催でございますけれども、多くの要人が東京国際空港を利用いたしますし、また、都内における日程あるいは宿泊も予想されております。東京も警備の主戦場であると、そういう認識のもと、テロ関連情報の収集分析を初め、政府関連施設、公共交通機関、繁華街等に対する警戒警備を強化しているところでございます。
 また、平成二十年十一月に発足したテロ対策東京パートナーシップ推進会議参加の関係機関や民間事業者等との連携強化を図るとともに、各警察署におきましても、区市町村や地域住民の皆さんと連携したテロ対処訓練や連絡会議等を随時開催するなど、官民一体となった取り組みを推進しているところでございます。
 さらに、この十月五日には、東京都との共催により、関係機関や地域住民等との連携を確認するため、APECテロ防止東京都民会議を開催することとしております。
 警視庁といたしましては、今後とも、国際テロ等の未然防止に向けた総合対策を強力に推進しまして、警戒警備の万全を期してまいりたいと考えております。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、肢体不自由特別支援学校の通学負担の軽減についてでございます。
 都教育委員会では、これまでも、東京都特別支援教育推進計画第一次、第二次実施計画に基づき、学校配置の適正化やスクールバスの増車などによって平均乗車時間の短縮化を進め、児童生徒の通学負担の軽減に努めてまいりました。その結果、平成十五年度には七十四分であった平均乗車時間が平成二十二年度には六十四分に短縮されております。
 今後も、第三次実施計画において、通学区域の調整やスクールバス運行コースの設定の工夫などに努めまして、児童生徒の通学負担の軽減を図ってまいります。
 次に、肢体不自由特別支援学校における介護の専門家の導入についてでございます。
 都教育委員会では、障害の重度重複化に適切に対応するため、東京都特別支援教育推進計画に基づき、教員だけでなく、福祉、保健、医療等の複数の専門家との連携によるチームアプローチ体制の構築を進めております。
 その中で、介護の専門家については、肢体不自由特別支援学校の児童生徒の学校生活の安全の確保や教育内容の充実を目的といたしまして、都立永福学園と青峰学園において試行的に導入しております。
 現在、外部有識者や学校関係者、保護者団体の代表等で構成いたします検証委員会を設置し、試行校における導入の成果の検証や課題の整理などを進めております。
 今後は、検証委員会の検討結果等を踏まえまして、教員と介護の専門家の役割分担や教育効果を高める連携のあり方などにつきまして、保護者などへの十分な説明を行い、すべての肢体不自由特別支援学校への介護の専門家の計画的かつ円滑な導入が図られるよう努めてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 子育て世帯向け住宅のモデル事業についてでございますが、本事業は、保育所などの子育て支援サービスを提供する施設を併設するほか、子どもの転落や転倒の防止など安全確保等に配慮した良質な民間賃貸住宅の建設を支援し、これをモデルとして示すことにより、子育て世帯向け賃貸住宅の普及促進を図っていくものでございます。
 これまで、学識経験者等で構成される委員会などにおきまして、ハード、ソフトの両面から、子育て世帯にふさわしい住宅について幅広く検討を進めてまいりました。その結果を踏まえ、近日中にモデル事業の実施方針を発表するとともに、年内には募集条件の詳細を示す要項等を取りまとめて、事業者を公募し、子育てがしやすい住環境の整備に向けて着実に事業を推進してまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、水ビジネスの国際展開における自治体間の連携協力関係の構築についてでございますが、現在、アジア各国を初め世界の水問題が深刻化する中、東京都のほか幾つかの都市におきましても、個別に海外の水ビジネスに取り組んでおります。
 しかし、世界の水ビジネス市場の規模は非常に大きく、各国の課題、ニーズが多岐にわたっているため、ご指摘のとおり、全国の水道事業体の力を結集して取り組みを進めていくことは極めて有効と考えております。
 そこで、東京都が先導して、情報の共有、人材の相互活用を図るとともに、民間企業との情報交換や、国・政府機関等への政策提言に共同で取り組んでいくため、各事業体が連携できる基盤、プラットホームともいうべき体制を構築してまいります。
 次に、ミッション団派遣の成果を踏まえた今後のビジネス展開についてでございますが、今回のマレーシアへのミッション団派遣では、相手国政府との協力関係を深めるとともに、今後の事業展開に必要な貴重な情報をじかに把握することができました。特に、漏水防止など技術面での課題解決に加えて、経営面も含めた総合的なプランニングに対する支援が重要であることを改めて認識いたしました。
 そこで、今後の国際貢献ビジネスの展開に当たりましては、東京水道が培ってきた事業運営ノウハウを生かして、技術、経営両面の課題解決に向けた施策を提案してまいります。
 さらに、事業の実施に結びつく際には、東京水道サービス株式会社が中心となって、民間企業との連携を図り、それぞれの企業が相互に補完しながら、能力を最大限発揮できるような環境を整備してまいります。
 こうした取り組みを重ねながら、相手国政府や自治体等との信頼関係を築き、東京発の国際貢献ビジネスを戦略的に展開してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 都内産農産物について、飲食店と生産者をつなげる取り組みについてのご質問にお答えいたします。
 最近、都内産農産物に対する関心が高まっており、その魅力を広く消費者が知ることは、消費拡大や食育につながり、生産者にとっても大変有効であります。
 しかし、大きなマーケットである都心部などに都内産農産物を安定的に提供していくためには、都内産の認知度の向上、農産物の生産拡大、さらには集荷、配送の仕組みづくりなど、さまざまな課題がございます。
 都では、その解決への取り組みの第一歩として、都内特産の食材を使用した料理を提供する飲食店を登録し、来店者に都内産食材の情報を積極的に提供することなどを内容とする食の安全・安心地産地消拡大事業を今年度から開始いたします。これにより、新鮮で安全・安心な都内産農産物の一層のPRと需要拡大に努め、農業者の生産意欲の向上を図ってまいります。
 さらに、生産、流通の仕組みづくりについて、農業者や流通業者、飲食店など関係者との協議を重ね、課題の解決に努めてまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都卸売市場整備計画についてでございます。
 都は、卸売市場審議会に市場整備の基本方針について諮問し、その答申を受けた後、計画を策定、公表してまいりました。第九次の整備計画につきましても、本年六月二十五日に基本方針を審議会に諮問しておりまして、来年四月に答申を受け、同年中に策定、公表する予定でございます。
 審議会の議事を公開するとともに、中間報告や最終答申を初め、審議会の下部組織でございます計画部会の検討状況もホームページを通じ公表するなど、積極的に情報提供してまいります。
 また、計画の策定に当たりましては、基本方針で示されます品質管理などの今後の市場のあり方をもとに、各市場や市場関係業者などからのヒアリングを踏まえたものとしていく予定でございまして、業界からの要望ができるだけ反映されるよう対応してまいります。
 なお、卸売り場の全面的な改修など、計画期間をまたがるような長期的な取り組みを必要とする施設整備につきましても、基本方針に基づき、計画に位置づけるよう検討してまいります。
 次に、卸売市場の施設整備についてです。
 都は、市場施設を維持管理するために施設の改良工事を定期的に実施しているほか、日常的な修繕を適宜実施しております。特に、卸売り場につきましては、都はそれぞれの市場の実情に応じ、低温施設の整備に努めております。
 お話の淀橋市場には、卸売り場の一階には低温施設が合わせて約二千百平米設置されておりますが、二階には低温施設が設置されてございません。このため、市場業界の要望を踏まえまして、平成二十四年度をめどに建てかえる予定の仲卸業者棟におきまして、低温施設を約三百平米増設することとしております。
 また、総合事務所棟につきましても、屋上防水など定期的な施設改良工事を行うなど、必要な補修をその都度実施してございます。
 今後とも、都は、食の安全・安心を確保するために必要な施設整備を進めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、保育サービスの拡充についてでございますが、都は、保育サービス利用児童数を今年度から五カ年で三万五千人ふやすこととしており、この目標の早期達成に向け、現在、新規施設の設置促進、既存施設の定員拡大や定員の弾力化を区市町村や事業者等に働きかけております。
 また、保育所の整備を促進するため、区市町村に対しまして、都有地の未利用地に関する情報提供を行っておりますほか、現在、都立施設の跡地を活用した保育事業者の公募を実施いたしております。
 今後とも、保育を必要とする人がサービスを利用できますよう、保育所の整備を初め多様な手法を総動員し、保育サービスの拡充に積極的に取り組んでまいります。
 次に、都型学童クラブ事業の進捗状況についてでございますが、都は、保護者の多様な就労形態に柔軟に対応するとともに、児童が安心・安全に放課後を過ごすことができる場所を確保するため、午後七時以降までの開所や、指導員に保育士等の有資格者を配置することなどを独自に義務づけた都型学童クラブ事業を今年度から創設いたしました。
 この六月から、区市町村に対しまして説明会の開催や個別訪問によりまして、本事業の実施に向けた働きかけを行ってきており、現在のところ十八の区市町村が実施を予定しております。
 今後とも、さらに多くの区市町村が本事業を実施できますよう、さまざまな機会を通じて働きかけてまいります。
 次に、児童相談所の機能強化についてでございますが、児童相談所では、複雑困難な事例の増加に対応するため、児童福祉司を平成十三年度から二十一年度までの八年間で六十六名増員をいたしまして百七十二名とするとともに、チーム制を導入し、複数の児童福祉司で協議をしながら事例に当たっております。
 また、児童相談の経験を有する専門性の高い人材を確保するため、民間からの人材登用も行っております。平成二十二年度には、児童相談センターの児童福祉相談専門課長を二名に増員し、困難事例へのスーパーバイズや業務研修を充実するなど、各児童相談所の職員の専門性の向上に努めております。
 一時保護所につきましては、仮称でございますが、子ども家庭総合センターの開設や、墨田児童相談所の移転改築にあわせまして、定員拡充を計画的に進めてまいります。
 今後、こうした取り組みを一層充実させ、児童相談所の体制強化を図ってまいります。
 最後に、児童虐待の早期発見のための医療機関との連携についてでございますが、児童虐待を早期に発見する上で、子どもの診療を通じ、日常的に子どもに接する医療機関の果たす役割は大変大きいと認識しております。
 都では、病院が児童虐待の事例に適切に対応できますよう、平成十九年度から、都内の病院に勤務する医師、看護師、医療ソーシャルワーカーなどを対象とした研修を実施いたしますとともに、病院に働きかけ、院内虐待対策委員会の設置を促進してまいりました。
 また、これまで地区医師会単位で実施してまいりました医師、歯科医師向けの研修に、今年度からは児童相談所や子ども家庭支援センターの職員なども参加し、虐待に対する知識の共有を図り、連携を深めるなど、対応力の向上に取り組んでおります。
 今後とも、こうした取り組みを一層充実させ、児童虐待の早期発見、早期対応に努めてまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 九十五番くまき美奈子さん。
   〔九十五番くまき美奈子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○九十五番(くまき美奈子君) 先日、私の地元板橋区にある帝京大学病院で、複数の抗生物質が効かない多剤耐性アシネトバクター菌による院内感染問題が発生し、病院側の院内感染に対する認識の甘さを指摘する報道が連日のようになされ、社会的にも大きな衝撃が走りました。病院は、現在でも原則として救急車や新規入院患者の受け入れの自粛を余儀なくされている状況です。
 帝京大学病院は、特定機能病院として高度な医療を担い、救急医療にも力を入れるなど三次救急の指定も受けています。最先端の設備を誇る病院がなぜこのような事態に陥ってしまったのか、残念でなりません。
 その後、相次ぎほかの病院でも感染が確認され、国内での広がりが懸念されました。アシネトバクターは、どこにでも生息する毒性の弱い菌で、健康な人には問題がないようですが、抵抗力の弱った人が多剤耐性菌に感染すると重症化するケースがあるとのことです。高度な医療を行う病院ほど重症な患者が集まり、抗菌薬も多く使わざるを得ないため、耐性菌を完全になくすことは不可能だとしても、院内で感染が広がらないように対策を講じることが重要であると考えます。
 感染ルートの解明や対策の整備が急がれるところではありますが、患者の命を預かる病院において、患者がおざなりにされる対応があっては本末転倒になりかねません。
 そこで、この問題について都としてどのような対応をしてきたのか伺います。
 また、この多剤耐性アシネトバクターに対して、健康な人にも感染するといわれる新型の多剤耐性大腸菌が獨協医科大学病院で国内で初めて検出され、九州大学病院では多剤耐性肺炎桿菌が確認されています。世界的にはむしろこちらの耐性菌の方が問題視されており、今後、都は、多剤耐性菌の院内感染対策についてどのような取り組みを行うのか伺います。
 次に、板橋区の東京都健康長寿医療センターにおいて、本年四月から八月のわずか四カ月の間に三万四千錠もの向精神薬が所在不明となったことについて伺います。
 所在不明となった薬剤は、第三種向精神薬に類し、麻薬及び向精神薬取締法では記録管理が求められていないとのことですが、短期間にこれだけ大量の向精神薬が所在不明となっていたにもかかわらず、その異常に気がつかない薬剤のチェック体制はおろそかだといわれても仕方ありません。
 当センターは、高齢者の健康の維持増進に寄与するとともに、効率的な経営を目指し、地方独立行政法人化に踏み出したわけですが、その改革への取り組みに不十分な面があったのではないでしょうか。
 今回の向精神薬大量所在不明をどのように受けとめているのか、設立団体である都としての見解を伺います。
 また、東京都健康長寿医療センターは、平成二十五年度の開設を目指して新施設整備を行う計画があります。新施設においては、今回のことを踏まえた上でも、医薬品などの在庫管理が適切かつ効率的に行われることが必要です。都としてどのように考えるのか伺います。
 次の質問です。
 ことしの夏は記録ずくめの猛暑で、東京都心では熱帯夜の日数が観測史上最多記録を更新し、環境省では、二十一世紀までに最高気温が三十五度以上の猛暑日が現在より最大で年間約二十日ふえるなどと予測しています。
 温暖化の進展により、感染症を媒介する蚊の生息域や生息期間の拡大、生息密度の増加などが起こる可能性が指摘されています。ウエストナイル熱やデング熱など蚊が媒介する感染症は、飛行機や船舶によって都内に侵入する可能性が否めません。都内にも多数生息しているアカイエカ、ヒトスジシマカなどは、これら感染症を媒介することのできる蚊であり、病原体を保有、伝播し、感染症を発生させるおそれがあります。平常時からの対策と万一の発生時に備えた対策をとっておくことが重要です。
 温暖化に伴って高まる感染症のリスクに備え、感染症を媒介する蚊について、都として対策を講ずるべきと考えますが、所見を伺います。
 感染症としては、ほかにも、昨年世界的に流行した豚由来の新型インフルエンザが記憶に新しいところですが、日本の死亡率や重症例の発生が世界的に極めて低かったのは、早期に治療を受けた患者が多かったためと考えられています。これから再流行の可能性が危惧される中、油断が広まり、対策がおろそかになってはなりません。
 また、これ以前より、東南アジアを中心に強毒型の鳥インフルエンザが鳥から人へと感染する事例が報告されています。ウイルスの突然変異により人から人への感染も懸念されており、こうした事態も常に視野に入れ、都としても万全の体制を講ずることを要望して、次の質問に移ります。
 女性が乳がんにかかる確率は、平成十七年には二十二人に一人といわれていましたが、最新のデータでは十六人に一人とされ、近年増加を続けており、女性がかかるがんの中では最も多いがんとなっています。
 東京都の乳がんによる死亡率は、依然として全国で最も高い状況にあり、年間約千三百人の方が亡くなられています。
 乳がんの予防対策をさらに進めることが肝心とされる一方で、早期発見、早期治療につながる検診の受診率は低く、検診受診率の向上が乳がん対策における大きな課題となっています。
 私は、平成十七年第四回定例会において、乳がん対策の強化として、検診受診率の向上と質の管理など体制の整備を強く訴え、マンモグラフィー機器の整備や一定の能力を有する読影医師、撮影技師の確保などについて質問をいたしました。マンモグラフィー検診について、機器や読影などの実施体制を整備することは、都民が安心して乳がん検診を受けるために重要であり、今年度も計画的に進めていくべきと思います。
 平成二十年三月に策定された東京都がん対策推進計画においても、がん検診の受診率と質の向上が目標とされていますが、これらの目標を支えるマンモグラフィー検診の実施体制の充実について、この間どのように取り組まれてきたのか、まず伺います。
 また、都民の乳がん検診の受診率は、職場で検診を受ける人を含めても三〇・九%と目標には届いていません。特に、区市町村が実施する検診の受診率は九・一%と、全国と比較して低い状況です。
 平成二十年の東京都の調査によれば、乳がん検診を受けない理由の上位には、心配なときはいつでも医療機関を受診できる、忙しい、あるいは面倒くさい、健康に自信があるが挙げられ、乳がん検診の意義や重要性が十分に理解されていないことがうかがえます。
 乳がん検診の受診率向上のためには、こうした調査結果も踏まえ、対象者に対し、受診行動に結びつく効果的な働きかけを行うことが重要です。
 そこで、都として、乳がん検診受診率の効果的な向上方法を検討するなど、区市町村への支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 東京都では、毎年十月の乳がん月間を中心に、都庁舎のライトアップなどピンクリボン運動が行われていますが、今後は、さらに若い世代を含めて都民の理解や関心を深めていく普及啓発が重要であり、取り組みを一層進めていただくことを要望して、次に移ります。
 本年七月に改正臓器移植法が本格実施され、本人の意思が不明の場合でも、家族の意思により脳死下での臓器提供が可能となりました。
 マスコミの報道によれば、法改正以降九月二十八日までの時点で既に十一件、家族の意思による臓器移植が行われています。残された治療法が臓器移植しかない患者にとって、臓器移植は最後の望みであり、多くの方に臓器移植の重要性が理解されるよう求められています。
 臓器移植法では、国及び地方公共団体の責務として、移植医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされていることから、まず都民に対する普及啓発を進めることが肝要です。例えばピンクリボン運動などのように、移植医療のシンボルカラーであるグリーンで都庁舎をライトアップするなど、都は移植医療について積極的な普及啓発に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 しかしながら、都民への普及啓発に取り組んでも、それが都民の間に浸透するまでにはある程度の時間がかかることも確かです。特に、今回の法改正で新たに認められた十五歳未満の小児については、さらに時間が必要になるかもしれません。このため、脳死によらない移植医療の取り組みについても強化していく必要があると考えます。
 都では、ことしの三月に小児医療の拠点として小児総合医療センターを開設しましたが、センターに統合される前の清瀬小児病院は、小児の腎臓移植に重点的に取り組み、成果を上げてきました。
 そこで、小児総合医療センターにおいて、清瀬小児病院の取り組みがどのように継承され、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次の質問です。
 最近、メンタルヘルスに関する調査結果や国の検討会報告などが新聞紙上で大きく取り上げられ、メンタルヘルス対策のセミナーも数多く開催されており、メンタルヘルスという言葉を目や耳にする機会が多くなっています。
 先日、知り合いから、うつ病を発症したために休職していたところ、会社から退職を迫られるようになったとの話を聞き、メンタルヘルス不調者の職場における実態がいかに深刻であるのかを感じました。
 働く人の心の健康が失われると、本人は長期にわたって苦しみ、働く場を失うなど生活に深刻な影響を及ぼして、メンタルヘルス不調をきっかけに問題が連鎖的に発生していきます。専門研究機関が行った調査によると、メンタルヘルス不調のため一カ月以上欠勤、休職している社員がいるとする企業が増加しており、このような不調者の増加は社会的な課題となっています。
 そこで、都は、職場におけるメンタルヘルス不調者が増加をしている現状や背景について、どう認識されているのか伺います。
 また、職場におけるメンタルヘルス不調は、組織の活力やモチベーションの低下を招き、医療費などのコスト増にもつながるなど問題は深刻です。
 今月七日に厚生労働省は、自殺やうつ病での失業などによる二〇〇九年の経済的損失額が推計で約二・七兆円に上るとする調査結果を発表しました。本人のためにはもちろん、企業にとっても、メンタルヘルス不調者を一人でも多く減らし、その増加に歯どめをかけていくことが不可欠です。
 メンタルヘルスに対する企業の取り組み状況を見ると、六割を超える事業所が取り組んでおらず、その中には、取り組み方がわからないとする事業所が多いとの調査もあります。本来、メンタルヘルス対策は、安全配慮義務に基づき事業者が必要な措置を講ずることが求められていますが、多くの企業では、メンタルヘルスに対する知識やノウハウに乏しく、対応に苦慮しているのが実態です。企業が持続的に発展していくためには、労働者が心の健康を確保し、意欲を持って働くことができる職場を実現していくことが欠かせないと考えます。
 職場におけるメンタルヘルス対策について、都の企業への支援内容と今後の取り組みを伺います。
 次に、都立高校の学校図書館の運営について伺います。
 学校図書館法において、学校には学校図書館を設けなければならないと規定され、学習指導要領でも、学校図書館を計画的に利用し、その機能の活用を図り、児童生徒の主体的、意欲的な学習活動や読書活動を充実することと示されています。
 こうした法の規定からも、図書館の意義、重要性はだれもが認めるところですが、図書館に勤務する司書の能力によって、その図書館の活用状況も大きく変わるものだと考えられます。
 東京都では、昭和四十六年度に導入された学校司書制度も、今後三年間で約四五%の方々が定年退職することとなります。本年第一回定例会で、我が党、大西議員の質問に対して、教育長は、豊富な経験を持つ職員を定年退職後、再任用職員として活用すると答弁をしています。確かに退職者の活用は、学校図書館にとっても即戦力となる人材の活用という面で有効であると考えますが、一方で、その活用人数は再任用希望者の割合に大きく左右されることから、不安定であることも事実です。
 こうした状況において、今後、都教育委員会ではどのようにして学校図書館の運営を行っていくのか、その所見をお伺います。
 最後の質問です。タクシーの公共交通機関としての認知について伺います。
 タクシーは、鉄道やバスなど他の交通機関が限られた時間内に決められた場所から場所への輸送を分担しているのに対し、個々の利用者のニーズに対応して二十四時間営業するなど、都市活動に欠かすことのできない役割を果たしています。
 昨年施行されたタクシー適正化・活性化法においても、タクシーが地域の公共交通として位置づけられ、各自治体は、タクシーに対する認識を高めるよう求められています。今や、タクシーはバスや鉄道と並ぶ重要な公共交通の一つになっていると考えます。
 そこで、地域の公共交通を担うタクシーに対する都の見解と取り組みについて伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 都立高校の学校図書館の運営についてでございます。
 学校図書館は図書等を収集、保存し、生徒や教員に提供することによって、教育課程の展開や生徒の健全育成に資する設備として重要であると認識しております。
 各都立高校においては、司書教諭を中心とした全職員の協力体制により、学校図書館を活用した生徒の主体的な読書活動の充実に取り組んでおります。
 なお、学校司書につきましては、今後、多数が定年退職を迎えることとなりますが、これら退職者は経験豊富で有用な人材であることから、再任用職員として積極的に活用を図ってまいります。
 学校図書館につきましては、今後とも運営の方法や人的配置について必要な検討を行い、利用の促進を図ってまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) タクシーに対する都の見解と取り組みについてでございますが、昨年施行されたいわゆるタクシー適正化・活性化法においては、タクシーが地域公共交通として重要な役割を担うものとされております。
 都は、同法に基づき、国や区、市、タクシー事業者などとともに地域協議会を組織いたしまして、タクシーが公共交通機関として今後とも重要な役割を担い、その社会的な責務を果たすべきとの基本的な方針を定めた地域計画を策定しております。
 本計画では、事業者が主体的に行うべき乗車待ちタクシーによる渋滞の解消や安全性の維持向上などの取り組みを定めておりまして、都は、引き続きこうした取り組みに対し、渋滞対策などの交通政策を通じて協力してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 八点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、多剤耐性菌の院内感染事例へのこれまでの対応についてでございますが、今般、都内三カ所の病院で発生いたしました院内感染事例におきまして、都は報告を受けた後、直ちに立入検査を行い、拡大防止策を徹底するよう指導いたしました。このうち、帝京大学医学部附属病院の事例に関しましては、感染経路等の詳細な分析を行うため、国立感染症研究所に実地疫学調査を依頼いたしますとともに、同病院が設置する外部調査委員会にも参画することとしております。
 また、都内全病院に対しまして、薬剤耐性菌の院内感染に対する注意喚起を行い、対策の徹底を図るよう指示をいたしました。
 今後も引き続き三病院の状況を把握しながら、逐次必要な指導を行ってまいります。
 次に、新たに確認された多剤耐性菌への対策についてでございますが、多剤耐性大腸菌や多剤耐性肺炎桿菌など、新たな耐性菌が国内において確認されております。これら多剤耐性菌の院内感染を防止するための対策は、これまでと基本的に同様であり、多剤耐性菌の早期把握と情報共有を行う院内体制を確保し、医療従事者の手洗い、手袋、ガウンなどの適切な使用、施設や医療器具の衛生管理などの実施を病院全体で徹底することでございます。
 今後、定期的な立入検査の際に、こうした多剤耐性菌対策について重点的に確認いたしますとともに、講習会の開催や院内感染予防対策マニュアルの改定などにより、医療機関における対策の強化を図ってまいります。
 次に、健康長寿医療センターにおける向精神薬の所在不明についてでありますが、本件につきましては、現在、警察による捜査が行われておりますが、都としても重大な問題と受けとめております。
 事件発覚後、同センターでは、法令に定めのある第一種、第二種に加えまして、第三種向精神薬についても、調剤する都度、現品数量と記録簿の確認を徹底するとともに、複数の職員でその日の使用状況を確認するなど、直ちに管理方法の改善を図っております。また、緊急幹部会を開催し、日常の業務運営体制全般について再点検を行いました。
 都は、適正な病院運営が行われるよう、外部有識者で構成される評価委員会も活用しながら、適切な指導及び支援を行ってまいります。
 次に、健康長寿医療センター新施設における医薬品等の管理についてでありますが、健康長寿医療センターは、平成二十五年度の開設に向けまして、隣接地での新施設整備を進めており、その整備に当たっては、患者にとってより良好な医療環境を提供するとともに、業務運営の効率化を図ることなどを基本といたしております。
 新施設におきましては、医薬品を含めた物品の使用から発注、在庫把握までを集中して管理するシステムの新たな導入などを予定しておりまして、在庫管理の一層の適正化につながるものと考えております。
 都は、新施設開設に向け、こうした取り組みに対し必要な支援を行ってまいります。
 次に、感染症を媒介する蚊への対策についてでありますが、都では平成十六年度から、ウエストナイル熱を媒介する蚊の生息状況調査と病原体保有検査を定期的に実施いたしております。昨年度からは、調査対象の感染症にマラリア、デング熱、チクングニヤ熱を加え、監視体制を強化いたしております。また本年三月から、蚊を駆除するために必要な防疫用殺虫剤の備蓄を開始いたしますとともに、害虫駆除事業者で構成される東京都ペストコントロール協会と蚊の駆除業務に関する協定を締結し、防除体制を整備いたしました。
 このように、平常時からさまざまな対策を講じており、温暖化がもたらす感染症のリスクに備えております。
 次に、乳がん検診についてでありますが、都は検診の実施体制を強化するため、区市町村や職域の検診を受託する医療機関に対しまして、平成十七年度からマンモグラフィー機器の整備費補助を行っております。これまでに検診車三台、機器五十三台の補助を実施しており、今年度も引き続き補助を予定いたしております。
 また、機器整備にあわせまして、検診に従事する医師や撮影技師に対する養成研修を行い、検診の質の向上を図っております。
 今後とも乳がん検診の実施体制の拡充を図り、受診率向上に努めてまいります。
 次に、乳がん検診に係る区市町村に対する支援についてでございますが、都はこれまで、がん検診の受診率向上に取り組む区市町村に対しまして、包括補助事業を活用して支援を行ってまいりました。また、昨年度は四区市に対して、地域における検診の実態を踏まえた効果的な受診率向上策を提案し、それぞれの区市でモデル的な取り組みが実施されました。乳がん検診については、このうち二市で取り組みを行っており、個別通知による受診勧奨及び未受診者に対する再度の勧奨等が、受診率向上に効果があるとの結果が得られております。
 これらの成果について説明会等を通じて情報提供を行うなど、今後とも区市町村の受診率向上の取り組みを都として支援してまいります。
 最後に、移植医療についてでございますが、都は移植医療に対する都民の理解を深めるとともに、臓器提供に関する意思表示ができるよう、区市町村や患者団体などと協力をして、臓器提供意思表示カードを広く配布いたしております。また、都内二カ所の医療機関に移植コーディネーターを配置いたしまして、都民に対する正しい知識の普及や関係機関への情報提供等を行っております。
 今後ともホームページや広報誌等も活用しながら、移植医療の普及啓発に努めてまいります。
   〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕

○病院経営本部長(川澄俊文君) 小児総合医療センターにおける移植医療の取り組みについてでございます。
 小児総合医療センターを開設する前の清瀬小児病院では、昭和四十九年から腎臓移植医療に重点的に取り組み、三十六年間に四百二十七例の移植を行ってまいりました。
 小児総合医療センターでは、清瀬小児病院のこれまでの取り組みを引き継ぎ、さらに発展させるため、新たに臓器移植科を設置いたしました。また、子ども・家族支援部門に医師、臨床心理士やメディカルソーシャルワーカー等で構成する心理・福祉科を組織し、移植後のさまざまなサポートを行うなど、実施体制を強化したところです。
 今後とも、小児総合医療センターにおける移植医療の充実に向けて取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) メンタルヘルスに関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、職場におけるメンタルヘルス不調者の現状と背景についてでありますが、都は、労働相談情報センターにおいてメンタルヘルスに関する労働相談に対応しており、平成二十一年度の相談件数は五千百七十九件と、ここ五年間で約三倍に増加し、労働相談全体の約一割を占めております。また、国の調査においても、仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスがあるという労働者は、六割にも上っております。
 このようなメンタルヘルス不調者の増加について、国の検討会報告では、厳しい経済環境のもと、企業間の競争の激化、人事労務管理の変化等に伴う長時間労働などに起因しているといわれております。
 労働者が心身ともに健康で充実した職業生活を送り、企業が組織活力を維持向上させていくためにも、職場におけるメンタルヘルス対策の重要性は高まっている、このように認識しております。
 次に、企業のメンタルヘルス対策への支援内容と今後の取り組みについてでありますが、メンタルヘルス対策は、企業が従業員に対する安全配慮義務に基づき、職場の状況に応じてみずから取り組んでいくことが基本でありますが、多くの企業で取り組みがおくれている現状にございます。
 このため、都は労働相談において、メンタルヘルスに関する相談にも対応するとともに、企業の自主的な取り組みを支援するため、平成十八年度から事業主を対象とした、職場の環境改善や職場復帰への支援などを内容とする、働く人の心の健康づくり講座を実施しております。また、昨年度からは、メンタルヘルス推進リーダー養成講座を行い、企業現場においてメンタルヘルス対策を推進する中核的人材の育成を図っております。
 さらに、年内にはホームページ、働く人の健康サイトを開設し、企業はもとより、個々の労働者に対しましても、メンタルヘルスに関する法制度や専門窓口などの情報を広く提供してまいります。

議長(和田宗春君) 四十七番西崎光子さん。
   〔四十七番西崎光子君登壇〕

○四十七番(西崎光子君) まず初めに、自然との共生について伺います。
 この十月、生物多様性条約第十回締約国会議COP10が名古屋市で開催されます。
 東京都は大都市でありながら、多摩や島しょで多様な自然環境に恵まれており、こうした自然を保全し、共生していくことは、都民全体で取り組むべき課題です。都は子どもたちを巻き込んだ生き物調査を行うなど、さまざまな情報発信をしていますが、一過性のものに終わることなく取り組みを進めていく必要があります。
 そこで、小笠原の自然保護などにも関心の高い石原知事に、東京における多種多様な生き物をはぐくむ自然との共生について、見解を伺います。
 次に、雇用問題についてです。
 これまで、女性が出産を契機に離職することや、子育て世代の男性の労働時間の長さなど、子育てと仕事の両立が困難な状況が続いており、ワークライフバランスを推進し、安心して子育てができる環境整備が求められます。
 この夏、都は、社会全体で生活と仕事のあり方について考え、実践するために、新たに東京しごとの日を設けました。企業などでは、家族を職場に招待し、お互いの理解を深めようと取り組みを進めていますが、当日は夏休み中のお子さんと家族を連れた都庁の職員の姿も見かけられました。このような取り組みを評価するとともに、今後も企業と連携し、広く社会に発信することにより、ワークライフバランス推進に向けた社会的機運を高めていくことが重要です。
 そこで、本年度の取り組みとその成果をどのように社会に発信していくのか、伺います。
 この六月から施行された育児・介護休業法は、父親も子育てができる働き方を実現するために改正されました。男性の育児休業の取得はやや増加しているものの、その取得率は低い水準にあります。幾ら制度があっても、男性が使える制度になるかどうかは、管理職を初め現場の意識や支援体制にかかっており、企業みずからが職場における両立支援のための仕組みづくりや利用促進を図ることが求められます。
 そこで、男性の育児休業の取得実態はどのようになっているのか、また都として男性の育児休業の取得促進に向けどのように取り組んでいくのか、伺います。
 有効求人倍率の低下など、労働市場が停滞する中で、ひとり親家庭を取り巻く雇用環境も厳しさを増しています。子育てをしながら家計を維持していくためには、安定的で長期雇用が可能になる資格の取得は重要です。
 高等技能訓練促進費事業は、都内では、看護師や介護福祉士等の資格修得のため、二年以上養成機関で修業する場合に支給されています。この制度は、母子世帯の母に対する就労支援としては最も効果が上がっており、希望者も多いと聞きました。
 昨年度は、促進費の金額拡大や支給期間の延長により利用しやすくなりましたが、この制度拡充は、安心こども基金がある平成二十三年度までの入学者のみに適用される時限的措置です。
 そこで、高等技能訓練促進費事業の制度拡充を今後も継続して実施するべきと考えますが、都の見解を伺います。
 厳しい経済状況の中、東京都の高等学校卒業者の就職率は、平成二十年度九二・七%から平成二十一年度九一%と、一・四ポイントの減少となりました。生活者ネットワーク・みらいは、これまでも新卒で派遣、フリーターに陥ることを防ぐために、都は新卒時の雇用を確保するとともに、卒業後も切れ目なく相談できるような学校の相談支援の強化を行うべきと主張してきましたが、知事の所信表明で、高校生及び高校を卒業した者を含めた就労支援の方向性が示されたことは歓迎するものです。
 そこで、これを受けとめ、教育委員会としては今後どのような就労支援を行っていくのか、見解を伺います。
 次に、有害物の適正処理についてです。
 現在、特別委員会で審議されている築地市場の再整備の検討の中では、課題の一つにアスベストの問題が挙げられています。参考人招致の中で、そもそもアスベスト問題を再整備の課題とすべきでないこと、また都側が資料として作成したアスベスト残存施設図及び残存量が実態と違っているという指摘がされましたが、都が急遽行ったプレス発表は懸念を払拭するものではありませんでした。市場内には民間所有の大型冷蔵庫、冷凍庫がありますが、そのアスベスト実態も明らかになっていません。改めて市場内のアスベストの実態把握をすべきと考えますが、見解を伺います。
 いつ起きても不思議ではない首都直下型地震の東京の被害想定が報告されていますが、都民の台所である市場の安全確保は重要です。公共施設であり、食品を扱う市場のアスベスト対策が移転を見越して足踏みしているとすれば、あってはならないことです。
 都はこれまでも、食品を扱い、多くの市場関係者が働く場であることを考慮して、リスクコミュニケーションに基づく除去工事が進められてきたと伺いましたが、移転か再整備かにかかわらず、一刻も早く計画的に除去対策を進め、都民の不安を解消する必要があると考えますが、見解を伺います。
 埼玉の市民団体の調査で、埼玉県、東京都、神奈川県などの百三十三カ所で、道路工事を初めとする公共工事や駐車場などにアスベストを含む再生砕石が使われていることが報道されました。
 豊洲予定地では、盛り土についても汚染が問題になっていますが、アスベストについても、工事の際に仮設用の通路や一時的な作業帯などで地盤を固めるためにまかれた採石にアスベストが混入した再生砕石がまじっている疑いを払拭できません。アスベストの含有についても調査を求めるものですが、見解を伺います。
 ことし九月、足立清掃工場を初めとして、二十三区の四清掃工場で相次いで排ガス中に高濃度の水銀が観測され、焼却炉が停止しました。一方、昨年十二月には、稲城、狛江、府中、国立の四市で構成している多摩川衛生組合で、水銀を含む蛍光灯と乾電池を、効率化と経費削減のためという名目で焼却実験をしたことが、地域の生活者ネットワークの調査で明らかになりました。こうした事態を受けとめ、東京都は有害物質である水銀を含む廃棄物についてどのように認識し、どのように処理すべきと考えているのか伺います。
 一般廃棄物に含まれる水銀については、法令に基づく処理基準や都条例はなく、二十三区の清掃工場の排ガス中の維持管理項目として、自主基準値を設定しているだけです。
 私たちの生活では、電池や蛍光灯、エアゾール缶等に水銀などの有害な金属やさまざまな化学物質が使われています。このような家庭用品は、廃棄時点での安全かつ効率的な管理システムをつくり、できるだけリサイクルし、焼却しないことが重要です。一般廃棄物の処理は区市町村の責務とはいえ、製造事業者による回収、再資源化等の仕組みづくりは、区市町村単位では限界があります。広域自治体としての東京都の責務はどのように考えるのか、伺います。
 最後に、介護保険制度の改正について伺います。
 生活者ネットワークは、介護保険に関して地域で調査を行いましたが、地域包括支援センターの機能拡充や強化を求める意見が多く寄せられました。
 地域包括支援センターは、住みなれた地域で暮らし続けるための拠点としてその機能が期待されてきました。しかし現実は、予防プラン作成に追われ、本来事業である総合相談、権利擁護への取り組みはやっと着手されたばかりで、地域のネットワークづくりはまだ今後の課題です。在宅高齢者が今後ますます増加する中で、地域包括支援センターの機能強化は重要な課題と考えますが、介護保険制度改正に向けて都の見解をお聞きし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 西崎光子議員の一般質問にお答えいたします。
 東京における自然との共生についてでありますが、いかなる地域であろうと、人間は自然との共生なくしては存在し得ません。東京には、島しょや奥多摩のように……(発言する者あり)うるせえな。東京には、島しょや奥多摩のように動植物豊かな大自然がある一方、都心の公園や緑地にも、野鳥や昆虫などの生き物が生息するなど、多彩な自然があります。しかし、文明の進展は、それを明らかに破壊しつつあると思います。
 昭和三十年代、私がまだ若いころ、東京湾で大型のヨットのレースをやっているころには、東京湾には小さな鯨がいました。しかし、それも淘汰されていきましたが、都はこれまでも、世界に類のない小笠原の貴重な自然環境の保全、多摩の森林再生と里山の保全、また海の森の創出、街路樹の倍増、校庭の芝生化など、東京の多彩な自然を守り、新たに創出するための取り組みを進めております。
 今後とも、人間と自然とが共生し続けられる東京を目指して、これを将来の世代に伝えていきたいと思います。
 他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 都立高校生への就労支援についてお答え申し上げます。
 厳しい雇用情勢の中、就職を希望するすべての生徒の進路実現を図るために必要な支援を行うことは、喫緊の課題であると認識しております。
 こうしたことから、都教育委員会は各学校に対して、就職を希望する生徒を対象に、面接指導や小論文指導などの就職指導を行いますとともに、産業労働局が実施する高校生向けの求職活動支援セミナーや、厚生労働省が実施する就職ガイダンスなど、就労支援の取り組みを活用するよう指導してまいりました。
 今後ともこれらの取り組みを一層充実させ、就職を希望する生徒の支援に努めますとともに、希望していながら就職できずに卒業した生徒に対しても、引き続き、きめ細かく相談等に応じるよう、学校を指導してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 豊洲地区の再生砕石についてでございます。
 ただいまのご質問の中で、何を根拠に豊洲においてアスベストが混入した再生砕石がまじっている疑いがあるとおっしゃるのか、よくわからないのでありますが、現在、新聞報道などで問題となっている再生砕石は、材料となるコンクリート塊と、本来使用してはならないアスベストを含むスレート材等がまぜられ、つくられたものであります。
 他方、豊洲地区の仮設用の通路等に使用している再生砕石は、事業地内の建物を除却した後の基礎部分等のコンクリートを現場内に設置した専用の破砕機により破砕したものでありまして、アスベストを含むものではありません。
 こうしたことから、お話のような調査を行う必要はございません。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京しごとの日の取り組みとその成果の発信についてでありますが、本事業は、少子化打破緊急対策の一環として、企業や個人を初め、社会全体で仕事と生活の調和を図るワークライフバランスについて考え、実践するきっかけとなるよう、今回新たに実施したものでございます。
 本年度は八月六日を東京しごとの日とし、都庁舎において、セミナーやパネルディスカッション、企業の取り組みの紹介等を内容とするイベントを開催し、五千人を超える来場者がありました。また、約五十の企業、団体及び都庁において、八月六日を中心に、従業員の家族の職場訪問を受け入れるファミリーデーを実施し、従業員とその家族を合わせ約八千人のご参加をいただいております。
 参加企業からは、従業員に大事な家庭があることを再認識し、仕事と生活が両立しやすい職場づくりの契機となったという意見が多く寄せられ、社員からも、自身のワークライフバランスについて改めて考えたとの声が聞かれました。
 これらの内容と成果については、都のホームページで公表しているほか、新聞への広告掲載や、来年二月に開催いたしますワークライフバランスフェスタなど、さまざまな機会を活用し、広く社会に発信してまいります。
 次に、男性の育児休業取得の実態と促進に向けた取り組みについてでありますが、国の平成二十年度の調査によれば、育児休業制度を利用したいと思う男性の割合は三割強となっております。一方、育児休業の取得率は対象者の約一・二%であり、取得期間は一月未満が半数以上となっております。
 これについて、国のレポートでは、制度を利用したいと思っているものの、実際には利用していない男性が少なからずいると、このように指摘しております。
 こうしたことの背景には、育児休業中の賃金保障の低さや育児休業者の代替要員確保の困難さなどがあると考えられます。
 このため、都は平成十八年度から、雇用保険法に基づく育児休業給付の支給率の引き上げについて国に提案要求を行ってきております。また、平成十九年度には、企業における育児休業者の代替要員確保を支援するため、男性、女性ともに対象とした育児休業応援助成金を創設いたしました。加えて、平成二十年度から、両立支援に関するすぐれた取り組みを行っている中小企業を東京ワークライフバランス企業として認定し、その事例を広く紹介しておりまして、その中で、男性の育児休業や子育て参加に関する具体的取り組み事例も発信しております。
 今後とも、こうした施策によって希望する男性の育児休業取得が進むよう努めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、高等技能訓練促進費等事業の制度拡充についてでございますが、本事業は、母子家庭の母が看護師や保育士など、経済的に自立に効果的な資格を取得するため、訓練を受けている期間において訓練促進費を支給する事業であり、昨年度、促進費の増額や支給期間の延長が行われました。
 この制度拡充は平成二十三年度までの時限措置となっていることから、都は、他の自治体と連携し、平成二十四年度以降も制度拡充を継続するよう、国に要望いたしております。
 次に、地域包括支援センターの機能強化についてでございますが、地域包括支援センターは、高齢者や家族からの相談に応じるとともに、医療や介護などのサービスが適切に提供されるよう、関係者の連絡調整を行う機関でございます。しかしながら、要支援者に対する介護予防ケアプランの作成など、一部の業務に多くの時間を割かれ、高齢者の実態把握や地域のネットワークづくりなどの役割を十分に果たせておりません。
 介護予防ケアプランの作成につきましては、外部への委託が認められているものの、委託件数が制限されているため、業務負担の軽減につながらない状況にございます。そのため、都は、センターが地域の拠点として機能を発揮できますよう、この制限の撤廃を国に緊急提言を行っております。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、築地市場のアスベストの実態把握についてでございます。
 築地市場では、昭和六十三年度以降、都が定めたアスベストに関する対応方針に基づき、都有施設を対象として、室内外に直接露出している吹きつけアスベスト等の有無を調査し、除去が必要なものは既に処理してまいりました。また、市場関係業者が所有する大型冷蔵庫などにつきましても、都の施設と並行いたしまして、直接露出している吹きつけアスベスト等の有無を調査いたしましたが、これまで発見されておりません。
 現在、都は、大気中のアスベスト濃度の測定による監視を行っておりますが、これを継続するとともに、今後は、場内施設について、都と市場関係業者が協力して、アスベスト含有建材の劣化状況等を随時点検することで、実態把握に努めてまいります。
 次に、築地市場のアスベスト対策についてです。
 築地市場では、都の対応方針に基づき、室内外に露出している吹きつけアスベスト等を、市場関係業者の協力を得ながら、これまでに約三万二千平米、除去してまいりました。現在、場内に残されておりますアスベストは、状態が安定しているものや密閉されたもので、空中に飛散する危険性が低いため、都の対応方針から、直ちに除去を要しないとされてございます。また、場内では、大気中のアスベスト濃度の測定を定期的に実施しており、飛散していないことを確認しております。
 一方、築地市場で営業しながら残されたアスベストを除去する場合は、その分布範囲が広く、業務に密接な区域にあるため、工事によりまして、売り場や通路等が大幅に分断されるほか、店舗や駐車場等の仮移転先が確保できなくなるなど、市場業務に重大な支障が生じます。したがいまして、残されたアスベストの除去につきましても、都の対応方針に基づき、施設が撤去される新市場建設の際に除去することが、市場業務への影響や市場関係業者にかける負担が最も少なくなるため合理的であります。
 なお、新市場建設による施設撤去の前でありましても、アスベストを含む建材に劣化等が生じ飛散のおそれがある場合や、施設の改修等を行う際にアスベストが確認された場合は、これまでどおり市場関係業者の協力を得ながら、必要な箇所のアスベストの除去等を行ってまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

○環境局長(大野輝之君) 廃棄物処理に関する二点のご質問でございます。
 まず、水銀を含む廃棄物の処理についてでございますが、水銀は有害物質であり、大気中への放出を防ぐため、焼却処理は適切ではございません。各区市町村におきましても、水銀を含む蛍光管、血圧計、体温計は、有害ごみまたは不燃ごみとして処理し、焼却を行わないよう、ルールを定めております。
 都は、区市町村と連携し、都民や事業者に対し、改めて水銀を含むごみの正しい出し方を周知するなど、清掃工場への不適正な搬入の防止に努めてまいります。
 次に、製造事業者による回収等の仕組みづくりについてでございますが、有害物も含め、廃棄物につきましては、製品の生産、使用、廃棄までを一貫したサイクルとしてとらえ、拡大生産者責任の考え方に基づく対策を進めることが重要でございます。このため、都はこれまでも、国や関係業界に働きかけ、環境に配慮した製品開発や、製造事業者等による自己回収を推進してまいりました。
 今後とも、一般廃棄物の処理を担う区市町村と連携し、品目に応じた適正なリサイクルを推進してまいります。

○議長(和田宗春君) 以上をもって質問は終わりました。

議長(和田宗春君) これより日程に入ります。
 日程第一から第二十二まで、第百三十四号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例外議案二十一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事佐藤広君。
   〔副知事佐藤広君登壇〕

○副知事(佐藤広君) ただいま上程になりました二十二議案についてご説明申し上げます。
 初めに、第百三十四号議案から百三十七号議案までの四議案は条例案で、すべて一部を改正する条例でございます。
 第百三十四号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例は、王子総合高等学校及び品川特別支援学校の設置に伴い、規定を整備するものでございます。
 第百三十六号議案、火災予防条例の一部を改正する条例は、雑居ビル等の違反事実について都民に公表する制度を新たに創設するとともに、あわせて、法令等の改正に伴い規定を整備するものでございます。
 このほか、法令の改正等に伴い規定を整備するものなどが二件ございます。
 次に、第百三十八号議案から第百四十五号議案までの八議案は契約案でございます。
 第百三十八号議案、味の素スタジアム(二十二)第一種陸上競技場化改修工事請負契約など、契約金額の総額は約百七十五億八千万円でございます。
 第百四十六号議案から第百五十五号議案までの十議案は事件案でございます。
 第百四十六号議案及び第百四十七号議案は、公立大学法人首都大学東京に対して、産業技術高等専門学校荒川キャンパスの敷地を出資するとともに、同法人の定款を変更するものでございます。
 第百四十八号議案は、土地信託の受託者及び信託期間を変更するもの、第百四十九号議案は、建物を売り払うものでございます。
 第百五十号議案から第百五十二号議案までの三件は、新型インフルエンザ対策として抗インフルエンザウイルス薬及び個人防護具等を備蓄用として買い入れるもの、一方、第百五十三号議案は、新型インフルエンザ流行時に抗インフルエンザウイルス薬を速やかに医療機関等へ供給できるようにするものでございます。
 第百五十四号議案は、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターについて、平成二十三年度から新たに五年間の中期目標を定めるもの、第百五十五号議案は、都市計画公園事業の用地を買い入れるものでございます。
 上程になりました二十二議案の説明は以上でございますが、このほか人事案を送付いたしております。
 まず、東京都公安委員会委員でございます。
 十月十九日に任期満了となります仁田陸郎氏につきましては再任いたしたいと存じます。同じく十月十九日に任期満了となります安西邦夫氏の後任には、渡邊佳英氏を任命いたしたいと存じます。
 次に、東京都土地利用審査会委員でございます。
 十月二十四日に任期満了となります澤井英久氏、安倍澄子氏、池邊このみ氏、大村謙二郎氏、北川雅章氏、奥田かつ枝氏につきましては再任いたしたいと存じます。同じく十月二十四日に任期満了となります戸沼幸市氏の後任には、中川義英氏を任命いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(和田宗春君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第二十二までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十二までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(和田宗春君) 日程第二十三、平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について

二二財主議第三二一号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
 このことについて、地方自治法第二百三十三条の規定により、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定をよろしくお願いします。
       記
一 平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算書
二 平成二十一年度歳入歳出決算事項別明細書
三 平成二十一年度実質収支に関する調書
四 平成二十一年度財産に関する調書
五 平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算審査意見書
六 平成二十一年度主要施策の成果
七 平成二十一年度東京都決算参考書
八 平成二十一年度東京都決算参考書財務諸表
(決算書等省略)

○七十四番(伊藤まさき君) 本件は、三十一人の委員をもって構成する平成二十一年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、三十一人の委員をもって構成する平成二十一年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第十二委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。
〔平成二十一年度各会計決算特別委員名簿は本号末尾(一七一ページ)に掲載〕

○議長(和田宗春君) 日程第二十四、平成二十一年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、平成二十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について

二二財主議第三二二号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
平成二十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について
 このことについて、地方公営企業法第三十条第四項の規定に基づき、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定についてよろしくお願いいたします。
       記
一 平成二十一年度東京都病院会計決算書及び同決算審査意見書
二 平成二十一年度東京都中央卸売市場会計決算書及び同決算審査意見書
三 平成二十一年度東京都都市再開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
四 平成二十一年度東京都臨海地域開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
五 平成二十一年度東京都港湾事業会計決算書及び同決算審査意見書
六 平成二十一年度東京都交通事業会計決算書及び同決算審査意見書
七 平成二十一年度東京都高速電車事業会計決算書及び同決算審査意見書
八 平成二十一年度東京都電気事業会計決算書及び同決算審査意見書
九 平成二十一年度東京都水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十 平成二十一年度東京都工業用水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十一 平成二十一年度東京都下水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
(決算書等省略)

○七十四番(伊藤まさき君) 本件は、二十三人の委員をもって構成する平成二十一年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、二十三人の委員をもって構成する平成二十一年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第四委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。
〔平成二十一年度公営企業会計決算特別委員名簿は本号末尾(一七二ページ)に掲載〕

○議長(和田宗春君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一及び第二、東京都公安委員会委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都公安委員会委員の任命の同意について二件

二二財主議第三〇七号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都公安委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十二年十月十九日任期満了となるため、再び任命したいので、警察法第三十九条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     仁田 陸郎

      略歴
現住所 東京都杉並区
仁田 陸郎
昭和十七年二月九日生(六十八歳)
昭和三十八年九月 司法試験合格
昭和三十九年三月 東京大学法学部卒業
昭和三十九年四月 司法修習生
昭和四十一年四月 大阪地方裁判所判事補
昭和四十四年四月 福島地方・家庭裁判所会津若松支部判事補
昭和四十七年四月 最高裁判所刑事局付
昭和四十八年四月 最高裁判所人事局付
昭和五十一年四月 東京地方裁判所判事
昭和五十二年一月 最高裁判所経理局主計課長
昭和五十五年一月 最高裁判所経理局総務課長
昭和五十八年三月 東京地方裁判所判事
昭和六十一年四月 福岡地方裁判所判事部総括
昭和六十三年二月 最高裁判所秘書課長兼広報課長
平成三年七月   最高裁判所経理局長
平成九年三月   甲府地方・家庭裁判所長
平成十一年四月  東京高等裁判所判事部総括
平成十三年四月  横浜地方裁判所長
平成十四年六月  札幌高等裁判所長官
平成十六年十二月 東京高等裁判所長官
平成十九年二月  東京高等裁判所長官退官
平成十九年四月  弁護士登録(第一東京弁護士会)
平成二十年四月  明治大学法科大学院客員教授
平成二十一年六月 住友商事株式会社監査役
平成二十一年六月 東日本旅客鉄道株式会社監査役
現在       弁護士

二二財主議第三〇八号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都公安委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都公安委員会委員安西邦夫は平成二十二年十月十九日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、警察法第三十九条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     渡邊 佳英

      略歴
現住所 東京都港区
渡邊 佳英
昭和二十三年七月三十一日生(六十二歳)
昭和四十七年三月  慶應義塾大学工学部卒業
昭和 五十年九月  ランディス・アンド・ギア社入社
昭和五十二年一月  株式会社野村総合研究所入社
昭和五十五年七月  大崎電気工業株式会社入社 取締役
昭和五十九年七月  大崎電気工業株式会社常務取締役
昭和六十一年七月  大崎電気工業株式会社専務取締役
昭和六十二年六月  大崎電気工業株式会社代表取締役副社長
昭和六十三年十一月 大崎電気工業株式会社代表取締役社長
平成五年四月    財団法人日本オリンピック委員会評議員
平成十一年六月   東京経営者協会副会長
平成十二年十一月  アジアハンドボール連盟副会長
平成十二年十一月  国際ハンドボール連盟理事
平成十三年一月   厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会臨時委員
平成十五年三月   財団法人日本ハンドボール協会会長
平成十九年一月   経済産業省中小企業政策審議会委員
平成十九年三月   経済産業省独立行政法人評価委員会
          独立行政法人中小企業基盤整備機構分科会臨時委員
平成十九年十一月  東京商工会議所副会頭
平成二十一年一月  大崎電気工業株式会社代表取締役会長
平成二十一年八月  特定非営利活動法人東京都更生保護就労支援事業者機構会長
平成二十二年五月  内閣府消費者委員会専門委員
現在        大崎電気工業株式会社代表取締役会長

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 追加日程第三から第九まで、東京都土地利用審査会委員の任命の同意について七件を一括議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都土地利用審査会委員の任命の同意について七件

二二財主議第三〇九号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十二年十月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     澤井 英久

      略歴
現住所 東京都文京区
澤井 英久
昭和二十三年七月二十三日生(六十二歳)
昭和四十八年三月 一橋大学法学部卒業
昭和四十八年四月 最高裁判所司法修習生
昭和五十年四月  弁護士登録(第二東京弁護士会)
平成十四年十月  新四谷法律事務所代表
平成十五年四月  電気通信大学客員教授
平成二十二年四月 電気通信大学特任教授
現在       弁護士(新四谷法律事務所 代表弁護士)

二二財主議第三一〇号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十二年十月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     安倍 澄子

      略歴
現住所 神奈川県茅ヶ崎市
安倍 澄子
昭和二十三年十月二十七日生(六十一歳)
昭和四十六年三月 日本女子大学家政学部家政経済学科卒業
昭和五十年三月  東京教育大学大学院修士課程修了(農学研究科農政学専攻)
昭和五十二年十月 社団法人農村生活総合研究センター研究員
平成四年五月   社団法人農村生活総合研究センター主任研究員
平成十六年四月  社団法人全国農業改良普及支援協会主任研究員(社団法人農村生活総合研究センターが組織統合)
平成 二十年四月 日本女子大学家政学部客員教授
現在       日本女子大学家政学部客員教授

二二財主議第三一一号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十二年十月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     池邊このみ

      略歴
現住所 東京都新宿区
池邊このみ
昭和三十二年八月三十一日生(五十三歳)
昭和五十六年三月 千葉大学園芸学部造園学科卒業
昭和五十八年三月 千葉大学大学院修士課程修了(都市緑地計画学専攻)
昭和五十八年四月 千葉大学園芸学部研究生
昭和六十年四月  株式会社タム地域環境研究所協力社員
昭和六十二年四月 株式会社マヌ都市建築研究所研究員
昭和六十三年七月 株式会社住信基礎研究所研究員
平成十五年二月  株式会社ニッセイ基礎研究所上席主任研究員
平成二十年九月  千葉大学学位取得(学術博士)
現在       株式会社ニッセイ基礎研究所上席主任研究員

二二財主議第三一二号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十二年十月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     大村謙二郎

      略歴
現住所 東京都中野区
大村謙二郎
昭和二十二年十一月十四日生(六十二歳)
昭和四十六年三月 東京大学工学部都市工学科卒業
昭和四十六年四月 財団法人計量計画研究所入所
昭和五十二年四月 東京大学工学部都市工学科助手
昭和五十九年四月 建設省建築研究所室長
平成六年九月   筑波大学社会工学系教授
平成十六年四月  筑波大学大学院システム情報工学研究科教授
現在       筑波大学大学院システム情報工学研究科教授

二二財主議第三一三号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十二年十月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     北川 雅章

      略歴
現住所 東京都大田区
北川 雅章
昭和二十四年十月十四日生(六十歳)
昭和四十八年三月 慶應義塾大学経済学部卒業
昭和四十八年四月 小澤物産株式会社入社
昭和五十一年十月 株式会社東神不動産鑑定所入所
昭和五十六年四月 財団法人日本不動産研究所入所
平成十八年五月  財団法人日本不動産研究所調査企画部長
平成二十一年五月 財団法人日本不動産研究所理事企画部長
現在       不動産鑑定士
財団法人日本不動産研究所理事企画部長

二二財主議第三一四号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十二年十月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     奥田かつ枝

      略歴
現住所 東京都世田谷区
奥田かつ枝
昭和三十八年十二月二十八日生(四十六歳)
昭和六十一年三月 一橋大学法学部卒業
昭和六十一年四月 三菱信託銀行株式会社入社
平成九年一月   株式会社緒方不動産鑑定事務所入所
平成十二年十一月 株式会社緒方不動産鑑定事務所取締役
平成十八年二月  東京都地価動向調査委員会委員
平成十八年九月  郵政民営化承継財産評価委員会委員
現在       不動産鑑定士
株式会社緒方不動産鑑定事務所取締役

二二財主議第三一五号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都土地利用審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都土地利用審査会委員戸沼幸市は平成二十二年十月二十四日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、国土利用計画法第三十九条第四項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     中川 義英

      略歴
現住所 東京都世田谷区
中川 義英
昭和二十四年二月五日生(六十一歳)
昭和四十七年三月 早稲田大学理工学部土木工学科卒業
昭和五十六年三月 早稲田大学大学院博士課程修了(理工学研究科建設工学専攻)
昭和六十年四月  早稲田大学理工学部助教授兼大学院理工学研究科助教授
平成三年四月   早稲田大学理工学部教授兼大学院理工学研究科教授
平成十一年六月  東京都特別土地保有税審議会委員
平成十六年九月  早稲田大学理工学術院教授(組織変更による)
現在       早稲田大学理工学術院教授

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願十五件及び陳情十九件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 明三十日から十月六日まで七日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、明三十日から十月六日まで七日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十月七日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時二十四分散会

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