平成二十二年東京都議会会議録第十二号

平成二十二年九月二十八日(火曜日)
 出席議員 百二十四名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番山崎 一輝君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
八番土屋たかゆき君
九番山内れい子君
十番くりした善行君
十一番小山くにひこ君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番大松あきら君
二十番鈴木 章浩君
二十一番菅  東一君
二十二番きたしろ勝彦君
二十三番田中たけし君
二十四番鈴木 隆道君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番中村ひろし君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番中山 信行君
三十七番高倉 良生君
三十八番橘  正剛君
三十九番松葉多美子君
四十番神林  茂君
四十一番早坂 義弘君
四十二番高木 けい君
四十三番宇田川聡史君
四十四番鈴木あきまさ君
四十六番山加 朱美君
四十七番西崎 光子君
四十八番滝沢 景一君
四十九番中谷 祐二君
五十番笹本ひさし君
五十一番山下ようこ君
五十二番神野 吉弘君
五十三番鈴木 勝博君
五十四番興津 秀憲君
五十五番岡田眞理子君
五十六番伊藤 ゆう君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番伊藤 興一君
六十番吉倉 正美君
六十一番上野 和彦君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番吉原  修君
六十五番山田 忠昭君
六十六番三宅 正彦君
六十七番石森たかゆき君
六十八番高橋 信博君
六十九番服部ゆくお君
七十番こいそ 明君
七十一番原田  大君
七十二番佐藤 広典君
七十三番尾崎 大介君
七十四番伊藤まさき君
七十五番山口  拓君
七十六番松下 玲子君
七十七番野上ゆきえ君
七十八番西岡真一郎君
七十九番今村 るか君
八十番吉田康一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番中屋 文孝君
九十番村上 英子君
九十一番林田  武君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番くまき美奈子君
九十六番大西さとる君
九十七番いのつめまさみ君
九十八番門脇ふみよし君
九十九番小沢 昌也君
百番石毛しげる君
百一番花輪ともふみ君
百二番大津 浩子君
百三番大塚たかあき君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番川井しげお君
百十一番高橋かずみ君
百十三番三宅 茂樹君
百十四番吉野 利明君
百十五番宮崎  章君
百十六番比留間敏夫君
百十八番斉藤あつし君
百十九番増子 博樹君
百二十番泉谷つよし君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番和田 宗春君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 二名
四十五番 矢島 千秋君
百十二番 野島 善司君
 欠員
百十七番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監都市整備局長兼務河島  均君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長比留間英人君
財務局長安藤 立美君
警視総監池田 克彦君
主税局長荒川  満君
生活文化局長並木 一夫君
スポーツ振興局長笠井 謙一君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
建設局長村尾 公一君
港湾局長中井 敬三君
会計管理局長新田 洋平君
消防総監新井 雄治君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
病院経営本部長川澄 俊文君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長宮川 雄司君
人事委員会事務局長多羅尾光睦君
労働委員会事務局長山本 洋一君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長藤井 芳弘君

九月二十八日議事日程第二号
第一 第百三十四号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第二 第百三十五号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第三 第百三十六号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第四 第百三十七号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百三十八号議案
味の素スタジアム(二十二)第一種陸上競技場化改修工事請負契約
第六 第百三十九号議案
都立羽村特別支援学校(二十二)増築及び改修工事請負契約
第七 第百四十号議案
都立練馬地区特別支援学校(仮称)(二十二)改築及び改修工事請負契約
第八 第百四十一号議案
東京国際フォーラム(二十二)ホール棟改修工事請負契約
第九 第百四十二号議案
東京都八丈支庁舎(二十二)改築工事請負契約
第十 第百四十三号議案
警視庁月島警察署庁舎(二十二)改築工事請負契約
第十一 第百四十四号議案
警視庁有家族待機宿舎桜木住宅(二十二)改築工事請負契約
第十二 第百四十五号議案
東京国際フォーラム(二十二)空調設備改修工事請負契約
第十三 第百四十六号議案
公立大学法人首都大学東京に対する出資について
第十四 第百四十七号議案
公立大学法人首都大学東京定款の変更について
第十五 第百四十八号議案
土地の信託の変更について
第十六 第百四十九号議案
建物の売払いについて
第十七 第百五十号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
第十八 第百五十一号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
第十九 第百五十二号議案
個人防護具(ガウン等セット)外六点の買入れについて
第二十 第百五十三号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第二十一 第百五十四号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
第二十二 第百五十五号議案
土地の買入れについて
議事日程第二号追加の一
第一 平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第二 平成二十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について

   午後一時開議

○議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。

○議長(和田宗春君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(和田宗春君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成二十一年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)

○議長(和田宗春君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(和田宗春君) これより質問に入ります。
 百二十三番大沢昇君。
   〔百二十三番大沢昇君登壇〕

○百二十三番(大沢昇君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 バブル崩壊から約二十年、この長期にわたって我が国を覆っている閉塞感、将来への漠然とした不安を吹き飛ばし、未来に対して希望を持つことができる新しい日本を始動することが、民主党に与えられた最大の使命であります。
 菅内閣においては、元気な日本の復活のため、経済、財政、社会保障の一体的な立て直しや、戦後行政の大掃除の本格実施を掲げ、新成長戦略や地域主権戦略大綱などの方針のもと、さまざまな施策を打ち出そうとしております。
 都議会民主党は、新成長戦略や地域主権戦略大綱で示された基本的な考え方を評価し、東京の元気を回復することによって、日本の元気を回復させるという気概を持って、菅総理とともに全力を尽くしていくことを、まず表明をさせていただきます。
 同時に、国に対しても、福田政権下で導入された法人事業税の暫定措置の速やかな廃止を求めるとともに、都財政に影響を与えかねない国庫補助金の一括交付金化や法人実効税率の引き下げなどの動きに対しては、地方自治の現場の声を反映させるよう積極的に働きかけ、外環道や国際コンテナ戦略港湾の整備についても着実に進めていきます。
 今後も政権与党の一員として、批判は謙虚に受けとめつつも、都政の前進のために努力をしてまいる決意であります。
 こうした中で、石原知事の任期も残すところ半年余りとなりました。この十一年余の中で石原知事は、横田基地軍民共用化、都職員給与削減、都立高校学区制廃止、首都移転反対、ディーゼル車規制、銀行税導入、都立病院改革、不正軽油撲滅、外環道建設、企業会計の導入、カジノ構想、宿泊税導入、そして新銀行東京の設立などなど、インパクトのあるさまざまな施策を打ち出してこられました。その評価はさまざまであるにしろ、東京都政に一つの時代を記したことは明らかであります。
 築地市場再整備や新銀行東京など、いまだ懸案となっている課題はありますが、私たちも、これらの課題の解決を先送りにしようなどとは考えておりません。できることならば、石原知事の任期中に解決することを望むものであります。
 そのためにも、知事の出処進退をめぐる思惑が交差することによって、いたずらに混乱を生じさせ、無用の混迷に陥ることは避けなければなりません。そろそろ石原知事の出処進退について、その意思を明確にすることも必要な時期に来ているものと考えます。知事の所見を伺います。
 さて、先日十日に発表した、四月から六月期の実質GDP成長率は〇・四%増、年率換算で一・五%増と、速報値からは大幅に上方修正されました。しかし、それでも一月から三月期の五%から大幅に縮小し、円高進行や輸出減速などで先行き不透明感も根強く残っております。
 また、都民一人一人の生活に目を向ければ、四月から六月期の完全失業率は六・三%で、前年同期に比べ一・五ポイントも上昇し、都民は厳しい経済環境の中で、あすをも知れぬ不安を抱えているのが現状です。
 こうした状況だからこそ、今後とも、雇用対策や緊急搬送など、都民の不安感を解消する施策や、東京ひいては日本全体に活力をもたらすような波及効果の高い施策を、間断なく着実に進めていかなければなりません。
 しかし、急激な景気悪化や法人事業税の暫定措置による影響などにより、都税収入は平成二十一年度決算で前年度実績を約一兆円下回るなど、厳しい状況にあります。
 また、都税の基幹税目である法人二税は、企業の繰越欠損金の累積などにより、引き続き税収の急激な回復を期待することはできません。
 このように、限られた財源の中で、平成二十三年度予算編成に向けて、都民の不安感を解消し、生活を支える施策を実現していくためにも、より一層施策を厳選し、最も効果的な施策に予算を重点化していかなければなりません。所見を伺います。
 なお、国においては、景気の自律回復に向けた事業強化や若年、新卒雇用対策などについて、具体的な追加経済対策に着手しています。
 都においても、国の経済対策の趣旨も踏まえた対応を臨機応変に行うことを求めておきます。
 次に、中小企業対策及び雇用対策について伺います。
 まず、雇用対策について伺います。
 さきに述べた追加経済対策のうち、当面の対応であるステップ1では、経済危機対応・地域活性化予備費を活用し、雇用に直接焦点を当てた対策や、即効性の高い施策により、投資や消費といった民間需要を喚起する施策、さらには、迅速に実施できる地域の防災などの施策を展開し、雇用を下支えするとしております。
 この中で、雇用対策の一つとして盛り込まれている重点分野雇用創造事業の拡充については、全国で一千億円規模の実施が予定されており、今後、各自治体にその内容が示されることとなります。
 この重点分野雇用創造事業は、介護、医療、農林、環境エネルギー、観光、地域社会雇用などの分野における新たな雇用機会の創出、地域ニーズにこたえた人材育成を推進するものであり、現在の経済雇用情勢を踏まえるのであれば、その効果が非常に期待されているところであります。
 そこで、私たちは、国の動向を見定めつつ、都としても今の段階から区市町村と連携を図り、早期に重点分野雇用創造事業が実施できるよう準備を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 厳しい経済状況が続く中、この間の急激な円高は、特に輸出に軸足を置く中小企業にとって極めて影響が大きく、早急に力強い対策が求められております。
 また、将来に向けて環境や観光、健康、介護などといった成長産業を育成していく重要性もますます高まっており、今後、これら東京の産業基盤を支える中小企業の支援についても、迅速な対応が求められております。
 東京都においては、この間、セーフティーネット保証制度などを通じて、業況が悪化している中小企業への支援や地域の金融機関と連携した新たな金融支援制度の創設などに取り組んでいるところですが、足元の厳しい経済状況を考えれば、さらに強化していくべきと考えます。
 特に、今回の円高による影響は、輸出向け企業だけでなく、こうした企業と取引をしている零細企業こそ深刻であり、セーフティーネットという視点から、保証料補助率の引き上げなど、さらに手厚い支援策を講じていく必要があるのではないでしょうか。
 今後の中小企業に対する金融支援に向けた東京都の所見を伺います。
 次に、海外販路開拓について伺います。
 都議会民主党は、さきの代表質問において、海外販路開拓支援事業の充実を主張してまいりました。九月に行った各種団体からの予算要望ヒアリングなどにおいても、海外展開に対する支援を真っ先に挙げる団体もあり、その必要性をますます認識したところであります。
 海外販路開拓支援事業では、商社OBである海外販路ナビゲーターが、機械や金属、電子機器などといった分野を対象に、きめ細かく相談に対応しながら専門商社へのマッチングなどを行っているところでありますが、こうした支援体制をさらに充実させていくべきだと考えます。
 また、海外で販路を開拓する上で、中小企業がこれまで取引が全くない現地に出向いて、展示会や見本市に出展して商談をまとめていくきっかけをつくることは極めて重要と考えます。そうした展示会に関する情報を海外でしっかりと収集し、中小企業に対してどのような時期にどの展示会に出向いていくのが効果的か、展示に当たってはどのような事前準備が必要かなどについてしっかりとアドバイスを行う取り組みも欠かせません。
 私は、これら海外販路の開拓に向け、東京都として積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、知的財産について伺います。
 去る五月二十一日、政府において、知的財産推進計画二〇一〇が策定され、民主党政権初の知的財産の基本計画として注目されました。我が国の持つ技術力や文化力、いいかえれば、ものづくり力と表現力の総合力を生かすことを目的に三つの戦略と百の施策を掲げております。
 海外特許の出願費用助成制度の拡充やワンストップ相談窓口の各都道府県への設置など、民主党政権となり初めて盛り込まれた施策もありますが、既にこれら施策に取り組んでいる東京都としては、国の施策の上乗せ、横出しを図るなど、より積極的に知的財産の保護、育成、活用に取り組んでもらいたいと考えます。
 また、昨今では、中小企業が、せっかく専門家を交えて知的財産戦略に向けた社内体制を構築したとしても、その後の実践が伴わなかったり、経営環境の変化に対応できなかったりと、知的財産経営の定着が課題として指摘されております。
 東京都における今後の知的財産政策に向けた取り組みについて、所見を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 九月十日、日本振興銀行が破綻をいたしました。我が国にとっては初めてのペイオフ発動であり、その影響については、しっかりと見きわめていきたいと思います。
 今回、金融庁がペイオフに踏み切った理由は、振興銀行が取り扱っている預金がすべて定期預金であり、その多くが金利目当ての預金者であると思われること、また、振興銀行が銀行間市場で資金調達をしておらず、全銀ネットや日銀ネットにも未加盟で、他の金融機関に影響を及ぼす可能性が低いなどといわれています。
 中小企業向け融資を専門とする金融機関として、どこか新銀行東京とも似ているように思います。
 東京都は、新銀行東京への四百億円の追加出資の際、既存融資先やその取引先、従業員やその家族、預金者などに重大な影響を及ぼす、特に、整理回収機構への債権売却の影響ははかり知れず、連鎖倒産、取りつけ騒ぎの可能性もあり、国民経済上、多大な損失が発生することは疑いない、信用不安や金融不安、東京発の金融恐慌のおそれがあるなどと説明しておりました。
 そこで、今回の振興銀行破綻による影響を踏まえ、今なお、当時の説明や判断は正しかったと考えているのか、所見を伺います。
 次に、観光振興について伺います。
 羽田空港では、新滑走路がいよいよ来月、供用開始されます。四本目の滑走路の供用開始により、発着回数が増加するとともに、国際定期便の就航も始まります。
 円高が続くものの、長い目で見れば、羽田の国際化は我が国の首都東京にとって大きなビジネスチャンスになるのです。
 さきの代表質問において、私たちは、観光振興の一つとしてMICEを積極的に誘致することなどを求めてまいりました。
 東京都の管理下には、江東区の有明南にある東京ビッグサイト、あるいは有楽町の国際フォーラムがありますが、特にビッグサイトについては、国際競争力という視点から、機能拡張が求められるという指摘があります。
 六月議会ではビッグサイトで約十七億円、今定例会では国際フォーラムで約三十三億円の改修工事などの契約案件が提案されておりますが、いずれも耐震や温暖化のための工事であり、将来のコンベンション機能の拡充に向けた戦略的なものではありません。
 私は、MICE推進のためには、国際的にも脆弱といわれる東京のコンベンション機能の強化に向けて、ビッグサイトなどの機能拡張を視野に入れながら、民間事業者がコンベンション機能を拡充する際の支援策の検討など、東京のコンベンション機能の充実に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、レセプション会場として、都内商工団体などからは、美術館、博物館などの公的施設の使用を求める要望が上がっております。諸外国では、レセプション会場として、美術館、博物館などを利用できるようですが、日本では手続が極めて煩雑であったり、また、開放されている施設も限られているのが現状であります。
 一方、都内には、都立施設だけでも、江戸東京博物館や現代美術館など、レセプションを行うにふさわしそうな施設があり、実際に、現代美術館では、過去にレセプション会場として使われたことがあります。
 これら特色のある公的施設を開放することで、日本への好感度がアップすることも期待されます。今後、都立の美術館や博物館のレセプション利用などを進めることにより、東京の観光振興の一助とすべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、メディカルツーリズムについて伺います。
 外国人に日本の医療機関で医療サービスを受けるのを目的に観光に来てもらう、いわゆる医療観光、メディカルツーリズムの機運が高まっております。
 国内でも、他の自治体や各病院において、人間ドックと温泉、PET検査と観光を組み合わせた外国人患者の誘致を始めていますが、先行国に比べて、日本はかなり出おくれていて、その日本国内でも、東京の取り組みはなきに等しいのではないでしょうか。
 もちろん医師不足といわれている現状の中で、やみくもに外国人を受け入れろというつもりはありません。
 しかし、空港からのアクセスや集積する高度医療、診療基盤、観光資源など恵まれた立地条件を生かし、場合によっては、観光医療特区の創設などを含めれば、その実現可能性は極めて高いものだと考えております。
 国の成長戦略を見据えながら、東京都としても、メディカルツーリズムの導入に向けて積極的に検討すべきだと考えますが、所見を伺います。
 次に、観光振興の視点から東京マラソンについて伺います。
 東京マラソンの枠組みを発表した平成十六年九月三日の定例会見で石原知事は、世界じゅうから注目を浴びる魅力的な大会をぜひ東京で実現させたい。皇居、銀座、都庁、国会、レインボーブリッジなど、景観のすばらしい名所をずっとつないでいくようなコースをとりたいと述べるとともに、ニューヨークやロンドンなどの大都市では、世界的に有名な大会を実施して、同時に、非常に大勢の観光客を呼び込んで、莫大な経済効果を上げていると、その意義を強調しておりました。
 創始者である石原知事の意思を踏まえるのであれば、例えば、東京マラソンの招待枠に外国からの賓客を加えたり、旅行会社と連携をして外国人枠を設けるなど、観光振興という視点から、より戦略的な東京マラソンの運営が必要なのではないでしょうか。
 応募倍率が十倍近いということではありますが、将来の定員枠増も勘案しながら、観光振興の視点も含め、東京マラソンに、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 都は、千棟を超える緊急輸送道路の沿道建物に対して、耐震診断費用の五分の四を補助する助成事業や低利融資制度など、手厚い財政支援を行うとともに、個別訪問により、直接、耐震化の早期実施の働きかけを行ってきています。
 しかし、現在の法律では、既存の建物の耐震化は努力義務にとどまっており、その実施は所有者の意思にゆだねられております。そのため、なかなか具体的な行動に結びつかず、これまでの取り組みだけでは目標の達成は困難であります。
 本年三月の予算特別委員会において、都は、耐震化を進めるためには、従来の普及啓発や支援策に加え、これまでより一歩踏み込んだ規制誘導策を構築し、各施策が一体となった取り組みを展開する必要があるとの認識を示しております。
 そのため、建物の耐震化に関する取り組み状況の報告や耐震診断の実施を義務づけることなど、実効性のある施策の検討を専門家の意見を聞きながら鋭意進め、今後、年内を目途に方向性を取りまとめていきたいとの考えを表明いたしました。
 この答弁の後、耐震化促進施策に関する専門家会議が立ち上げられ、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するための施策について検討がなされていると聞いております。
 しかし、この専門家会議での議論は、緊急輸送道路の沿道建物だけが対象となっていますが、私たちは、このような議論だけでは不十分と考えております。建築物の耐震化を促進するための施策を検討するに当たっては、緊急輸送道路の沿道以外の木造住宅やマンションなども含め、建築物の全般について議論がまず基本にあるべきと考えますが、所見を伺います。
 私たちは、耐震化の促進支援策の検討に当たっては、これまでより手厚い助成制度を用意することが不可欠であると考えております。
 そのためにも、耐震診断や耐震改修に対する公費の支出による助成について、これまでの私有財産の形成に当たるなどの見解に基づいた公的支援のあり方を改めて考え直す必要があると考えますが、所見を伺います。
 現在、都では、耐震診断や耐震改修の費用に対する区市町村の助成事業に対して支援を行っています。しかし、区市町村によっては、制度の内容はかなり違っているため、建物所有者の自己負担割合は区市町村によって異なっているのが実態であります。
 今後、新たな耐震化促進制度を検討するに当たっては、このような不公平感を解消するような制度設計を行うとともに、区市町村と都が、それぞれ担うべき役割について、改めて整理し直すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩・島しょ地域の振興について伺います。
 まず、市町村の行政運営に大きくかかわる市町村総合交付金について伺います。
 平成十八年度より、それまでの市町村振興交付金、市町村調整交付金及び多摩島しょ底力発揮事業交付金を統合し、市町村の行財政を総合的に支援する財政補完制度として、市町村総合交付金が創設されています。現在、本制度は市町村の財政運営にとって欠くことのできない重要な財源となっております。
 しかしながら、市町村においては、厳しい財政状況の中、社会資本整備、維持管理、空調設備などの教育施設の整備など、依然として行政水準の維持向上のために財源確保に苦慮している状況が続いております。
 これまでもその交付額は年々増加され、市町村にとってもその自主性、自立性の向上に大きな役割を果たしているところですが、私たちは、長期安定的な財源確保に向けて、より一層の総合的財政補完制度の充実が必要であると考えており、今後も引き続き強く求めてまいります。
 そこで伺います。各市町村への配分に当たっては、市町村と協議を綿密に行い、個別の事情が的確に反映できるものとすること、また、さらに、安心感を持って中期的に予見可能性のある財政運営ができるような弾力的な仕組みや事務の簡素化が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、三宅島の振興について伺います。
 去る九月四日、三宅島において噴火による全島避難の解除から五周年を記念した式典が行われました。帰島から五年を経た現在も、三宅島住民の皆様が、火山ガス放出や長期避難の後遺症ともいえるさまざまな障害と対峙しながら、着実に復興への歩みを進めておられる姿には頭の下がる思いがいたします。
 さて、三宅島においては、最近、五百年間では、平均五十年の間隔で十三回の噴火が起き、明治時代以降だけで五回の噴火を数え、近年では、ほぼ二十年のサイクルで噴火火災が発生しています。
 こうした中で、三宅村長は、三宅島住民が自然災害から生き残るための戦略として選択したのは、観光を中心とした農業、漁業、林業、商工業、そして感謝業をリンクさせた島の地域振興と村のホームページで述べられております。
 こうした状況を踏まえ、四回目を迎えるバイクイベントの評価、また、今後の中長期的な展望の中で、三宅島への支援体制について、都の所見を伺います。
 次に、築地市場の再整備について伺います。
 石原知事は、所信表明の中で、都議会において検討されている現在地再整備の可能性について、一刻も早く結論が得られるようと述べられました。私たちも、この問題をむやみに長引かせようとは考えておらず、付帯決議に基づき、一定期間内に検討結果をまとめるために積極的に取り組んでいるところであります。
 一方、付帯決議の第二項では、土壌汚染対策について触れ、継続的にオープンな形で検証することを求めていますが、この間の東京都の対応はとてもオープンとはいえず、都合の悪いことを隠していると思われても仕方がありません。
 土壌汚染対策の実証実験の問題では、中央卸売市場は、三月の中間報告では、四万三千倍のベンゼンについても無害化できることが実証されたとしていましたが、実験に使った検体の初期値が二・七倍であったことを七月まで公にしようとはしませんでした。
 また、豊洲の盛り土から汚染物質が検出された問題では、二千立米に一回の割合で搬入土の土壌汚染調査をすると定めた内規に違反していたこともマスコミに指摘され、都市整備局は初めてこの事実を認めました。
 私は、みずからの都合の悪い情報であっても、積極的にオープンにしていくという姿勢があって初めて都民の信頼が得られるものと考えます。土壌汚染対策に対するさまざまな情報の提供について、都の所見を伺います。
 現在、都議会では、現在地再整備の可能性について検討しているところですが、議会での検討に協力するために、東京都においても市場再整備検討チームが設けられています。私は、東京都が培ってきた幅広いノウハウを生かして、現在地再整備の検討に本気で協力していただけるのであれば、その可能性はさらに広がるものと考えております。
 例えば、晴海地区に仮設市場を建設することに対して、今回の検討チームの中間報告案では、晴海ふ頭などの代替地の確保や近隣住民の合意形成は大きな課題であるとしていますが、メーンスタジアムを計画をした二〇一六年の東京オリンピック招致を参考にすれば、それほど大きな課題ではないはずであります。また、事業費やスケジュールについても、さまざまな工夫が可能であります。
 私たちは、オリンピック時のノウハウの活用も含めて、築地市場の現在地再整備を検討した上で、豊洲移転案と現在地再整備案とが、公正公平に評価されることが必要であると考えますが、担当副知事の所見を伺います。
 都議会で検討している現在地再整備案に関しては、九月二十六日の参考人招致では、市場関係者から意向調査の実施を求める要望が出されました。私たちも、大方の事業者の意向を把握するために、ただ単に移転か再整備かを問うといった単純なものではなく、移転、再整備の特徴や課題、その解決策を示した上で意向調査が必要であると考えております。
 今後、特別委員会における意向調査の議論を踏まえた上で、私たちは、平成二十二年度予算に計上されている豊洲関連予算の考え方について明らかにしていきたいことを申し上げ、次の質問に移ります。
 次に、交通政策について伺います。
 この間、東京メトロと都営地下鉄、両地下鉄の一元化が各種メディアにおいて、にわかにクローズアップされております。しかし、私たちは、地下鉄一元化については、私鉄との相互乗り入れやJRとの関係、あるいは羽田空港の二十四時間空港化などとの関係など、東京の交通政策を議論する中で、ごく一部にすぎないと考えております。
 そのような近視眼的な議論を始める前に、まずは首都圏全体を視野に入れた東京の交通政策をどのように展開していくのかの議論が前提としてなされるべきと考えますが、所見を伺います。
 私たちは、地下鉄一元化については、地下鉄利用者の利便性向上のため、例えば乗り継ぎ割引制度の拡充や情報案内の統一など、都営地下鉄と東京メトロの地下鉄サービスの一体化をより一層推進すべきと考えています。しかしながら、現在の地下鉄一元化の議論は、唐突に経営統合の話が持ち出されるなど、一体何を目的に議論がされているのか、極めて不透明なように思われます。
 そこで、地下鉄一元化に関する国などとの協議では、何を目指して議論しているのか、所見を伺います。
 地下鉄一元化を議論するのであれば、りんかい線のあり方についても並行して検討すべきではないでしょうか。りんかい線は、東京都が九一%を出資する東京臨海高速鉄道株式会社が所有する路線で、新木場から大崎駅までの十二・二キロメートルを営業しています。
 この路線は、そもそも国鉄の貨物予定路線だったものを、東京臨海高速鉄道株式会社が買い取ったこともあり、現在、新宿・恵比寿方面からは埼京線が乗り入れるなど、JRとは関係の深い路線でもあります。
 しかし、JRとは経営主体が違うため、例えば、品川区のJR五反田駅から江戸川区のJR葛西臨海公園駅まで行く場合、普通にりんかい線を使えば新木場駅で乗りかえを含めても、JRだけを使うより五分ほど早く着くことができます。しかし、運賃は六百六十円と、JRだけを使った場合の三百八十円より二百八十円も割高になるため、JRの経由地である東京駅での混雑を誘発するとともに、料金徴収のため、わざわざ新木場駅に改札口を設けるなど、利用者に不便を強いている実態が放置されております。
 JRと東京メトロにおいては、例えば通過連絡運輸制度を使って利用者負担の軽減に努めていますが、東京都が大株主である東京臨海高速鉄道株式会社においては、利用者負担の軽減を図るという姿勢が見られません。
 りんかい線のJRへの売却や通過連絡運輸制度の導入などを含め、利用者の利便性の向上及び首都圏の交通ネットワークの強化を図る観点から、りんかい線の将来のあり方について所見を伺います。
 次に、羽田空港に関して伺います。
 新滑走路供用開始に伴う国際定期便については、昼間だけでなく、騒音問題によって成田空港が閉鎖されている二十三時から翌六時の深夜、早朝時間帯にも就航させ、成田空港とあわせて首都圏空港を一体として国際空港機能の二十四時間化、いわゆるハブ空港化の実現が目指されています。
 しかし、私たちは、空港機能だけが二十四時間化されているのでは、都市の交通機能全体としては不十分であり、鉄道やバスなど、公共交通機関もこれに連動して二十四時間化すべきではないかと考えます。
 そもそもどれだけの需要があるのかどうか、ペイするのかどうか、どの路線のどの区間を運転すればよいのか、あるいは鉄道であれば保線時間の確保など、さまざまな課題があることは承知しておりますが、これらの課題を含め、羽田空港のハブ化に伴う深夜、早朝便に対応した空港アクセスについて検討すべきと考えます。
 本年第一回定例会でも確認させていただいたところではありますが、新滑走路供用開始後の当面の対応について、その後、どのような検討がなされ、今後、どのように対応していくのか所見を伺います。
 羽田空港の国際化によって、成田空港を補完する形で、海外旅行経路の選択肢が拡大するなど、飛行機を利用する方々の利便性の向上や物流の効率化が図られることは間違いありません。同時に、ビジネスや観光目的での外国人旅行者の増大も期待できると考えます。
 東京の国際競争力を強化し、首都圏経済、ひいては日本の経済の活性化をさせるという観点でいえば、羽田空港の国際化とともに、この八月に国が国際コンテナ戦略港湾として選定した東京、横浜、川崎の京浜三港の国際物流機能を強化することも極めて重要だと考えております。
 そこで、私たちは、これに加えて、幹線道路網をさらに充実させることによって、陸海空のいわば三位一体による広域的な交通物流ネットワークを構築していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、路上駐車規制の一部緩和措置について伺います。
 荷さばき車両などに配慮した路上駐車規制の見直しについて、都議会民主党は、昨年十二月の第四回定例会以降、毎定例会で、具体的にどのような状況になっているのか、継続して警視総監に伺ってまいりました。
 この間の答弁では、新駐車対策法制が施行される以前から見直しを行っており、貨物自動車などを対象に段階的に規制緩和が実施されてきたこと、その後もさらなる規制緩和の要望があることを受け、都内一円で実態調査を行ってきたこと、その結果、規制緩和の必要性が高いと思われる約四十区間を抽出し、これらの区間について、実施の可否などについての詳細な調査も終了し、規制緩和が妥当と認められた区間については、地域住民及び物流事業者との意見調整を行い、荷さばき駐車のルールなどに関する合意が整った区間から順次実施していくことなどの説明がありました。
 そこで、このような意見調整の結果、路上駐車禁止規制について、今後どのような規制緩和を行っていくのか、また、規制緩和によって予想または期待される効果について、どのように考えているのか、あわせて警視総監にお伺いをいたします。
 なお、警視庁では、現在のところ、地域を限定した上で、貨物自動車などを対象に規制緩和の見直しを実施する方向のようでありますが、私たちは、それだけでは実態が必ずしも十分に反映されていないと考えております。
 例えば、定期的な利用客の多い、主として生鮮食料品などを取り扱う宅配事業者や介護福祉事業者あるいは医療廃棄物の収集運搬事業者などでは、抽出されたような地域以外での業務が多いために、駐車場使用や車両への同乗員確保など、路上駐車規制対策経費の負担が非常に大きくなっているという声もあるのが実態です。
 このような実態も勘案し、今後、さらなる路上駐車規制の見直しを行っていただきたいと、この場で強く要望をしておきます。
 次に、高齢者の医療と介護について伺います。
 介護保険制度が始まって間もなく十年を迎えようとしています。次回介護保険制度の見直し時期は、医療保険制度の診療報酬改定と同じ年になる大規模な改定であります。施設から地域へというスローガンのもと進められてきた近年の施策ですが、地域で暮らす高齢者を真に支え得るものとなっているのか、徹底した検証と施策の強化充実が求められております。
 まずは、医療保険制度と密接に関係する療養病床の整備促進について伺います。
 急性期重視の入院医療を充実していくのであれば、その後のリハビリテーションや療養病床、在宅医療、そして介護までをセットでとらえ、全体の流れを考えなければなりません。医療費削減を主眼としたこれまでの不毛な議論から脱却し、急性期医療を立て直しながら、高齢者をしっかりと支え、病気やけがからの回復期に行き場のない方が出ないようにしていくため、医療療養病床の整備を今まで以上に促進することが必要と考えますが、所見を伺います。
 入院、療養後の在宅生活でまず必要となるのは、適切な介護サービスと医療サービスの利用であります。特に、すぐには医療と切り離せず、そのまま長期にわたり医療的ケアを受けながら過ごす高齢者は少なくありません。
 調査をしますと、多くの方が在宅生活を希望されておりますが、都内は、特に住宅や道路事情の悪さも手伝ってか、いざそのときになると、在宅生活が困難であるとして、何とか入院、入所先を探してということになります。
 また、訪問診療、訪問介護を行っている事業所もまだまだ普及しておらず、在宅での生活を支援していく体制が整っているとはいえません。在宅医療の体制整備を推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 要介護度が上がってくると、介護保険サービスを利用しても、家族の負担は大きく大変重くなります。ショートステイは、できるだけ長く住みなれた自宅で暮らせるよう、また家族のレスパイトのためにも必要なものです。
 しかし、なかなか整備が進まず、希望どおりに利用しにくいのが現状であります。ショートステイの利用促進のための支援策の一層の強化が必要と考えますが、都の所見を伺います。
 介護の中でも、認知症の場合、時に、いわゆる問題行動といわれるBPSD、すなわち不穏状態に陥って、大声を出したり暴力を振るうなど、家族だけでは対処できない、あるいは介護施設でも介護職のみでは対応が困難となることがあります。
 こうした場合の危機的介入としての救急要請がふえてきているといわれており、今後、さらにふえることも予想されます。結果、認知症による精神症状への専門的治療を必要とする方の多くが迅速に医療を受けられていない現状があります。特に、夜間においては、老人性痴呆症も含めた精神科救急の受け入れ可能な病床が非常に限られております。
 精神科救急については、昼間から徐々に増悪し、夜の救急要請になることが多いといわれますが、「ひまわり」の精神科専門相談は夜間のみであり、昼のうちに医療につなげるコーディネートを担う機能が求められております。現在、「ひまわり」で行われている精神科救急の相談事業を医療施設が開いている昼間にも拡充し、患者の受け入れをスムーズにすることが必要と考えますが、所見を伺います。
 続いて、認知症高齢者の身体合併症受け入れ医療体制について伺います。
 精神症状、行動障害があるために、体の病気での入院医療が必要であるにもかかわらず、入院先がないという状況が慢性的に続いており、介護する家族は大きな負担を強いられております。
 一方、認知症治療病棟入院中の患者の七四%に、治療が必要な身体合併症があるとの調査結果もあり、認知症身体合併症に対する適切な医療提供が課題であります。都の所見を伺います。
 在宅介護では、高齢者虐待が起こると、外からの目が届きにくい分、なかなか通報、対応には至りません。平成二十年度の虐待判断件数は全国で一万四千八百八十九件であり、介護など放棄による致死を含め、二十四名の方が亡くなっております。また、虐待者は、実の息子、娘が多く、合わせて五五%という結果が出ています。虐待の早期発見と適切な対応は喫緊の課題と考えますが、都の所見をお伺います。
 次に、ヒトT細胞白血病ウイルス一型の母子感染撲滅について、一言申し上げます。
 このウイルスの感染経路は、主として母親から子どもへの母乳によるものと考えられております。感染者は全国に百二十万人いるといわれておりますが、その大半は発症せず、健康に暮らしているといわれております。
 しかし、低い確率とはいえ、感染者の一部は四十から六十年以上たってから、白血病のほか、慢性進行性の両下肢麻痺などの重篤な症状を発症します。避けることが可能な病気を知らなかったばかりに、我が子に、しかも、本来、滋養となるべき母乳を介して感染させてしまった母親の思いは筆舌に尽くしがたいものがあります。
 こうした悲劇を起こさないため、菅総理は、母子感染防止の保健指導マニュアルを十六年ぶりに改定し、公費負担による妊婦抗体検査を本年度内に始める方針を表明いたしました。あわせて、感染が判明した妊婦への告知や心のケアなど、円滑に進めるための取り組みも行われることになりました。
 一方で、母乳は新生児に必要な栄養はもちろん、免疫などを付与する大切なものであり、一般には母乳による子育てが推奨されております。ウイルスキャリアの母親が母乳を与えた場合でも、防止のための適切な授乳方法をとれば、子どもへの感染率をかなり下げられることが明らかとなってきました。
 東京都は、人口が多いため、結果として、感染者が全国最大の自治体になるのではないかとの指摘もあります。また、関東地区には専門的な知識を持った医療関係者が大変少ないともいわれております。医療従事者への啓発と教育、専門的知識に基づき、きちんとしたカウンセリング体制の構築が緊急かつ重大な課題であります。無用な混乱を避け、しっかりと実施できるよう取り組むことを強く求めておきます。
 次に、教育施策について伺います。
 初めに、特別支援教育について伺います。
 都教育委員会が平成十六年に策定した東京都特別支援教育推進計画の基本理念には、発達障害を含む障害のある子どもの社会的自立を図ることのできる力や、地域の一員として生きていく力を培い、共生社会の実現に寄与することが掲げられています。障害のある子どもが地域の一員として生き抜いていくためには、学校在学中に、自立と社会参加に必要な力を身につけるとともに、障害の有無にかかわらず、だれもがともに支え合う地域社会の形成に向けて、障害のある子どもの理解促進を十分に進めていくことが大切であると考えます。
 本年七月、都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画の締めくくりである第三次実施計画案の骨子を発表いたしました。
 そこで、この計画の基本理念にある共生社会の実現に寄与するために、障害のある子どもの自立と社会参加に向けた教育のあり方について、第三次実施計画ではどのような方向性を示していくのか、基本的な考え方を伺います。
 次に、今回の骨子においては、すべての学校で実施する特別支援教育の推進が掲げられ、小中学校における特別支援教室構想を初め、高等学校における特別支援教育の充実などの事業が示されています。すべての学校において、特別支援教育を着実に進めていくためには、専門性の高い教員の育成と確保が何よりも重要です。その意味で、第三次実施計画の成否は教員の資質の維持と向上にかかっているといっても過言ではないと考えますが、都教育委員会の所見を伺います。
 現在、知的障害特別支援学校の現状は、児童生徒の増加によって普通教室が不足し、特別教室を転用したり、カーテン教室で何とか教室を確保しています。骨子では、障害のある子どもたちの将来推計について、平成三十二年には、知的障害特別支援学校に在籍する子どもたちが約二千五百人もふえると予測されております。この規模は、学級編制の基準が六人から八人の特別支援学校では、十校以上の学校が必要になる数字であります。
 こうした状況から、骨子では、第三次実施計画における必要な計画期間を当初の三年から六年に延長し、知的障害特別支援学校の再編整備、学校建設などの施設整備計画を打ち出しています。
 しかしながら、計画の具体的な内容が示されていないため、保護者からも、どのように進むのか見えないので不安であるとの声が聞かれております。このため、十一月に示される第三次実施計画では、具体的内容を明確に示していくことが重要であると考えますが、都教育委員会の所見を伺います。
 次に、校務改善の取り組みについて伺います。
 小学校、中学校では、子どもの学習指導だけでなく、いじめや不登校への対応、児童の安全対策や学校運営などに係る地域との連携、食育やしつけなど家庭教育に関する保護者対応など、さまざまな新たな課題への対応が求められており、教員、とりわけ業務が集中しているといわれている副校長の多忙感が深まっております。
 したがって、この状況を打開するためにも、教員が子どもと向き合える時間を十分に確保できるよう、また、副校長が学校経営に専念できるよう、主幹教諭や事務職員との役割分担の見直しをも含め、校務を改善していくことが急務と考えております。
 我が会派は、昨年来、この問題を取り上げ、都教育委員会の基本認識や対応策をただしてきましたが、改めてこの問題に対する都教育委員会の取り組み状況を伺います。
 次に、高校の道徳教育の充実について伺います。
 教育は、人格の完成を目指すものであり、みずからを律しつつ、他者とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性をはぐくむことは、学校教育の基本であります。そして、学校における道徳教育は、子どもたちに社会生活を送る上で、人間として持つべき規範意識、自他の生命の尊重、自尊感情や他者への思いやりなど、子どもたちの内面に根差した道徳性を育成する上で重要な役割を果たしております。
 現在、小中学校においては、自分自身に関すること、他の人とのかかわりに関すること、自然や崇高なものとのかかわりに関すること、集団や社会とのかかわりに関することの四つの視点から示されている内容について、道徳の時間をかなめとして、学校の教育活動全体を通じて道徳教育を行うこととされております。
 新学習指導要領では、高等学校においても、小中学校における道徳教育も踏まえつつ、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の一層の充実が求められています。
 そこで、都教育委員会は、都立高校における道徳教育の充実に向けて、今後どのように取り組まれるのか伺います。
 次に、行財政改革について伺います。
 昭和六十二年、都は、淀橋浄水場跡地の一部を公有地活用スキームである賃貸型土地信託方式で民間信託会社に貸与いたしました。信託会社は、賃貸用事務所ビルとして新宿モノリスビルを建築、信託財産を管理運用してまいりました。当初の予想信託配当は、合計二千四百十六億円と算出されていましたが、配当実績は五百三十三億円と、大きく予想を下回りました。
 同じく都や監理団体が入居するハイジア、コスモス青山などの他の事例も含めて、民主党は、三月の予算特別委員会においても、土地信託は失敗といわれても仕方がないのではないかと指摘をしてまいりました。他の自治体における土地信託では、事業収支の見通しが甘かった、運用管理に問題がある、債務に対する責任割合が不明確な契約だったなど、問題が顕在化しております。
 都は、新宿モノリスビルの信託について、専門家に総括、検証を委託しましたが、いずれも適切な範囲内での結果であったとしています。
 また、今後、契約を見直すこととなる公共・収益施設併設型土地信託についても、そのスキームの変更が予測されますが、土地信託の総括、検証と今後の見通しについて、都の所見を伺います。
 公共調達は、住民に良好な品質のサービスを提供することが求められております。しかし、この間の厳しい経済状況のもとで、公共サービスの効率化、コストダウンの要請が高まり、事業者間の厳しい受注競争と相まって、低価格契約がふえています。
 これらのしわ寄せは、ともすれば、働く人たちに押しつけられ、官製ワーキングプアなどという批判を浴びることにもなっています。
 こうした中で、公共調達に従事する労働者が、官製ワーキングプアに陥ることのないよう、千葉県野田市は公契約条例を施行し、川崎市、国分寺市や多摩市では、同様の条例制定の準備を進めています。
 豊かで安心して暮らせる地域社会を実現するためには、良好な公共サービスの提供とともに、都民が適正な労働条件のもとで働き、生活基盤を安定させることが不可欠であります。
 これらのことから、東京都は、受注事業者とともに、公共調達に係る社会的責任を改めて自覚し、その品質の確保に努めるとともに、事業者が適正な労働条件を確保し、その社会的責任を果たせるよう努める必要があります。そのことが、結果として、都民に質の高い公共サービスを提供することにつながります。都民と東京都、事業者、労働者がともに発展する公共調達制度を構築していくことについて、都の所見を伺います。
 民主党は、これまでにも監理団体の存在意義の検証や各事業の見直しなど、監理団体改革を進めようと求めてまいりました。今回、東京都監理団体活用方針が公表されましたが、特命受託契約の公表拡大のほかは、石原都政における監理団体改革を示した内容で、目新しさは感じられません。また、すべての監理団体の位置づけを改めて検証したとのことですが、設立目的の有効性や、業務の代替性、経営状況など、検証すべき視点が明確に示されず、検証結果も不十分と考えます。天下りや財政支出の削減など、都の関与の一層の適正化も言及されておりません。公益法人制度改革に関しても、道路整備保全公社が都へ積立金を寄附しなければならなかったことなど、引き続き取り組みが必要となっております。監理団体をどのように検証し、今後の改革につなげていくのか、都の所見を伺います。
 東京都は、このほど都庁版人材バンクの整備を掲げられました。こうした組織は公にあっせんを認めるものではなく、情報を求める団体に対しては情報提供に限ることが原則と考えます。そして、各団体は情報に基づき退職予定者と面接などを行い、採用するかどうかを決定する、人材バンクにはその採否を報告するようにすべきです。再就職など規則違反行為の調査、勧告や例外承認を行う第三者機関の設置も必要であると考えております。都職員の退職管理における求人団体への原則情報提供と、再就職などの監視を行う第三者機関の設置について、都の所見を伺います。
 国の行政透明化検討チームは、オープンガバメントの実施に向けて、さらなる情報の公開が国民に保障される制度を導入すべきとして、抜本的な見直し案を取りまとめ、この取りまとめの中で、商業的開示請求を例外として、開示請求手数料を原則として廃止することを明記いたしました。
 昨年、民主党は、東京マニフェストにおいて、情報公開の徹底により、公正な都政を実現するためにも閲覧手数料の廃止を訴えてまいりましたが、都は昨年、民主党の質問に対して、過半数を超える営利目的の開示請求が課題であると答弁し、今年度の審議会においても、手数料が議論の対象となっているところであります。今後、国の動きを踏まえて、閲覧手数料を改めて廃止すべきと考えますが、都の所見を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 なお、答弁によっては再質問を留保します。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大沢昇議員の代表質問にお答えいたします。
 都政の混乱、混迷を避けるために出処進退を明らかにせよとの質問についてでありますが、現在首都を預かる知事として、都民から負託された職責を果たすべく全力を尽くしております。私の出処進退によって都政が混乱、混迷するとのご懸念には全く及ばないと思います。
 それにしても、選挙を含めて、政治は一寸先はやみですぞ。ただいまの質問で築地市場の問題について、解決を先送りしないとの発言がありました。再三申し上げているとおり、築地の老朽化は限界に達しておりまして、我々に与えられた時間は多くはありません。無用の混乱、混迷を避けるためにも、一日も早く議会としての検討結果を出していただきたいと思います。
 他の質問については、副知事、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事佐藤広君登壇〕

○副知事(佐藤広君) 築地市場再整備についてお答えを申し上げます。
 オリンピック時のノウハウの活用を含めた現地再整備案の検討についてでありますが、本年四月に、私をチームリーダーとして市場再整備検討チームを設置し、専門的で公平公正な立場から、議会での検討に協力をしてきたところでございます。お尋ねのありました晴海地区を市場として活用する場合の合意形成について、さまざまな工夫が可能であるというご指摘でありますが、市場再整備案とオリンピックスタジアムでは、合意形成プロセスなどで異なる点がございます。
 具体的には、晴海地区を卸売市場として活用する場合には、市場整備計画を改定することとなりますが、その前提として、業界団体と詳細な調整が必要となります。また、市場として開場すれば、晴海地区において深夜、早朝の時間帯に相当数のトラック等が出入りすることから、慎重な地元調整が必要となります。このようにオリンピックスタジアムとは異なる点があり、中間報告書では、これらの特徴や課題を報告したものでございます。
 知事がただいま申し上げましたように、市場再整備の検討について我々に与えられた時間は多くございません。限られた時間の中で、今後とも従来どおり、議会での検討に専門的かつ公平公正な立場から協力してまいります。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

○警視総監(池田克彦君) 荷さばき車両に配意した駐車規制の見直しについてお答えいたします。
 これまでに行ってきた実態調査により、規制緩和の必要性が高いと判断されました約四十区間について、地域住民及び物流事業者等との意見調整を行った結果、千代田区の外堀通りの一部など、十区間において合意が調い、実施可能となりました。これらの場所については特定の時間帯に限って貨物自動車を駐車禁止の対象から除く交通規制とするため、現在、十月中の実施に向け、標識設置等の準備を行っているところであります。
 今回、実施できませんでした残りの約三十区間の中には、実施が極めて困難な区間も若干見受けられますが、その他の区間につきましては、引き続き地域住民等との意見調整を行い、荷さばき駐車のルールに関する合意が調った区間から順次実施していくこととしております。
 次に、規制緩和によって予測または期待される効果でございますけれども、特定の場所、時間帯に限り、荷さばきのための駐車規制を解除することによりまして、違法駐車の整序化が期待され、より良好な駐車秩序が確立できるものと考えております。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、障害のある子どもの自立と社会参加に向けた教育の基本的な考え方についてでございます。
 障害のある子どもの自立と社会参加に向けて、障害の種類と程度に応じた専門的な教育を行い、日常生活や社会生活、職業的自立に必要な意欲や知識、技能を育てることは、特別支援教育の重要な役割でございます。
 このため、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、これまで取り組んでまいりました施策の推進や、教育実践の継続、発展に努めるとともに、特別支援学校においては、職業教育の充実や多様な進路希望にこたえる教育を推進していくこととしております。
 また、小中学校や高等学校等におきましては、通常の学級に在籍し、学校生活や社会生活への適応に課題を抱える発達障害の子どもの自立と社会参加に向けて、すべての小中学校に特別支援教室を設置する構想の実現や、高等学校における進路指導体制の強化などにより、適切な指導と必要な支援の実施に努めてまいります。
 次に、特別支援教育に係る教員の資質の維持向上についてでございます。
 平成十九年の学校教育法の改正による特殊教育から特別支援教育への転換に伴い、発達障害の児童生徒も、新たに特別支援教育の対象に含まれることとなりました。そのため、特別支援学校や特別支援学級の教員だけでなく、すべての学校の教員に、特別支援教育に関する基礎的な知識や指導力が求められますとともに、各学校において、障害のある子どもの相談や支援、理解啓発などの中心になる教員の育成が重要となります。
 今後は、教員の育成のあり方について、特別支援教育の充実の観点から検討を行い、すべての教員の資質の維持向上と、より高い専門性を持つ人材の育成に努めてまいります。
 次に、知的障害特別支援学校における普通教室の確保対策についてでございます。
 第三次実施計画の策定に当たって実施いたしました障害のある児童生徒数の将来推計では、今後とも、知的障害特別支援学校の在籍者数の大幅な増加が見込まれております。そのため、今回の第三次実施計画案の骨子では、こうした児童生徒の増加に対応し、必要な教室数を確保していくために、計画期間を当初予定の三年間から六年間に延長し、知的障害特別支援学校の再編整備を行っていくことといたしました。
 具体的には、都立高等学校跡地の活用や、他の障害教育部門の学校への併置化などによる再編整備を行うこととしております。今後、再編整備の具体的な内容、スケジュールなどを明確化いたしまして、子どもの増加に対応した必要な教室数の確保に向けた実効性のある計画を策定してまいります。
 次に、小中学校の校務改善への取り組みについてでございます。
 学校においては、教職員は学習指導、生活指導、進路指導、部活動などの生徒指導に加えまして、地域との一層密接な連携、保護者へのきめ細かな対応、増加する若手教員の育成など、さまざまな新たな課題への対応が求められております。しかしながら、従来の校務分掌組織や役割分担が、機能の上からも意識の上からも、こうした課題に十分に対応しておらず、副校長や特定の教員に業務が集中する事態があり、都教育委員会としては、学校がより組織的に機能する仕組みを構築する必要があると考えております。
 そのため、現在、業務処理調査研究事業を実施し、業務内容や手順、また校務分掌と実態の乖離の状況など、校務の実態を現場で調査しております。今後、調査の結果を踏まえ、校務分掌組織のあり方を検討いたしますとともに、学校事務職員を含む教職員全体の役割分担を明確化し、効率的、効果的に業務を行うことのできる、校務運営の仕組みと方法を提示してまいります。
 次に、都立高校における道徳教育の充実に向けての取り組みについてでございます。
 道徳教育は、生徒に豊かな心を持たせ、人間としてのあり方、生き方の自覚を促し、道徳性を育成することをねらいとする教育活動であり、社会の変化に主体的に対応して生きていくことができる人間を育成する上で重要な役割を持っていると認識しております。このため、都教育委員会は、高等学校学習指導要領改訂の趣旨を踏まえまして、昨年度、道徳教育の指導計画の立て方や推進体制、指導内容や指導方法に関する研究開発を行い、各都立高校に対して研究成果を周知してまいりました。
 また、本年度から、各校がこうした研究成果に基づき、道徳教育の重点目標や各教科及び特別活動等と道徳との関連を示した指導計画を作成するよう指導しております。今後、都教育委員会は、各校が作成いたしました指導計画をもとに、道徳教育を計画的に進めるよう指導するなどいたしまして、都立高校における道徳教育の充実に努めてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 八点のご質問についてお答えいたします。
 まず、建築物の耐震化の促進についてでございますが、都は、耐震改修促進計画を策定し、区市町村等と連携して、建物所有者への普及啓発や相談体制の整備、耐震改修等に要する経費負担の軽減など、木造住宅、分譲マンション、緊急輸送道路沿道建築物などの耐震化施策を総合的に進めております。
 その中でも、緊急輸送道路は震災時の広域的な救援活動や、復旧、復興のための動脈でございまして、沿道建物の倒壊による道路閉塞を防ぐことは、多くの都民の生命、財産を守るとともに、首都機能を維持するために極めて重要でございます。このため、都は、緊急輸送道路沿道建築物に対する耐震診断費用の五分の四を補助する助成事業などの手厚い支援を実施するとともに、今年度は三千棟を超える建物所有者に対し個別訪問等を行い、耐震化の実施を直接働きかけております。
 しかし、現行法では、既存建物の耐震化の実施は所有者の判断に任せられていることから、実際の行動には容易には結びつかないのが実情でございます。緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めるためには、従来の施策に加えて、建物所有者の行動を促す新たな規制誘導策を構築する必要がございます。
 そこで、現在、建物の耐震化に関する取り組み状況の報告や耐震診断の実施を義務づけることなど、実効性のある施策の検討を進めているところでございます。
 次に、耐震診断や耐震改修への公的支援のあり方についてでございますが、民間建築物の耐震化は、自助、共助、公助の原則に基づき、建物所有者みずからがその必要性を理解し、主体的に取り組むことが重要でございます。このため、都は、耐震化に向けた所有者の積極的な行動を促すために、改修工法や事例の紹介、耐震化総合相談窓口の設置など、各種の普及啓発を実施しております。さらに、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化など、公共性の高いものに対しては、耐震診断や改修に対する費用助成などの公的支援を行っております。今後ともこうした考え方に基づき、耐震化の促進に取り組んでまいります。
 次に、耐震化における区市町村と都の役割分担についてでございますが、耐震化の促進に当たっては、区市町村は住民に身近な自治体として地域の特性を踏まえた取り組みを行い、都は、広域的な都市防災の観点から取り組みを行っております。
 こうしたことから、都は震災時に大きな被害が想定される防災都市づくり推進計画に定める整備地域内の木造住宅、震災時の広域的な救援活動や復旧、復興を支える緊急輸送道路の沿道建築物、合意形成が難しい分譲マンションなどに対して重点的に施策を講じております。
 今後とも、区市町村と十分な連携を図りながら、建物の耐震化を積極的に推進し、災害に強い東京を実現してまいります。
 次に、東京の交通政策の展開についてでございますが、鉄道や道路等の交通インフラは、東京の都市機能や利便性を向上させるだけでなく、首都圏全体の活性化にも不可欠な社会資本でございます。このため、都は、国や交通事業者等と連携し、さまざまな施策を展開しております。
 鉄道につきましては、さらなる利便性の向上を図るため、相互直通運転の拡大やターミナル駅の再編整備、駅のバリアフリー化などに取り組んでおります。
 道路につきましては、東京の最大の弱点となっている交通渋滞を解消するため、引き続き三環状道路を初めとした幹線道路の整備等を推進しております。
 今後とも、世界の範となる魅力とにぎわいのある東京の実現に向け、重層的、複合的に施策を展開し、快適で使いやすい交通ネットワークを構築してまいります。
 次に、地下鉄一元化に関する国との協議についてでございますが、東京の地下鉄は、高度成長期にその整備を急ぐため、東京メトロと都営地下鉄が二元的に建設、運営してまいりました。
 この結果、両者の間で異なる運賃体系や、乗り継ぎによる割高な運賃、二重改札などの問題が生じており、利用者にとってわかりづらく使いにくいものとなっております。国は、東京メトロの株式売却を急いでおりますが、都は、利用者全体へのサービス向上を図るため、地下鉄一元化の議論を先行すべきと考えております。
 そこで、都は国に働きかけ、東京の地下鉄の一元化等に関する協議会を設置し、これまで二回にわたり、一元化の必要性やサービス改善等について議論してまいりました。また、協議会にあわせて、東京の地下鉄を考える懇談会を設置し、東京の地下鉄の課題や改善策等について、有識者と意見交換を行っております。引き続き利用者の利便性向上はもとより、世界に誇る地下鉄ネットワークにふさわしい姿を目指してまいります。
 次に、りんかい線の将来のあり方についてでございますが、りんかい線を運営する東京臨海高速鉄道株式会社は、平成十六年度から、都による三百億円の財政支援などを受け、現在、経営再建に取り組んでおります。
 会社は、この間、埼京線との相互直通運転の拡大や、民鉄他社と連携した乗車券の発売などにより、利便性向上に努め、平成十五年度には十二万二千人だった一日平均乗車人員が、平成二十一年度には二十万一千人に増加し、平成十八年度からは営業収支が黒字に転じております。
 しかし、会社は平成二十一年度末で累積損失を五百四十一億円抱え、経常収支も赤字となっております。このため、現時点では、まず、さらなる集客努力に加え、安全への投資を確保しながら一層の経費削減を行うことにより、早期に経常黒字を達成し、経営安定化を図ることが重要であると考えております。
 次に、羽田空港の交通アクセスについてでございますが、来月、本格的な国際空港としてスタートする羽田空港では、深夜、早朝時間帯に多くの国際定期便が就航し、利用者の増加が見込まれるため、これに対応した公共交通手段を確保することが不可欠でございます。このため、国が中心となり、都や交通事業者などが参画したワーキンググループにおいて、輸送機関ごとに検討を行い、再拡張後の交通アクセスの利便性向上を取りまとめ、本年七月に公表いたしました。
 これに基づき、鉄道やモノレール事業者が深夜、早朝需要に対応した増便や、始発列車の繰り上げ、最終列車の繰り下げを行うほか、バス事業者も、主要ターミナル向けの深夜、早朝時間帯の運行を開始する予定でございます。今後、深夜、早朝時間帯における国際定期便の就航が一層進むことから、これに対応した空港アクセスの充実に向け、引き続き国や交通事業者と連携して取り組んでまいります。
 最後に、広域的な交通、物流ネットワークの構築についてでございますが、首都圏の発展を支え、国際競争力を強化するためには、羽田空港や京浜三港の機能を拡充するとともに、それらと首都圏との連絡を強化し、大型コンテナ車の走行も可能とする広域的な幹線道路ネットワークの構築が不可欠でございます。このため、都は、中央環状品川線や外環など、三環状道路の整備促進に努めるとともに、臨海地域を連絡する国道三五七号についても、東京港トンネル部に引き続き、多摩川トンネル部を早期に事業化するよう国に強く要請しております。
 今後とも、都は広域的な幹線道路網の充実に向けて積極的に取り組んでまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 三点についてお答えを申し上げます。
 まず、二十三年度予算編成に向けた取り組みについてでございますが、来年度の都税収入は大きな好転を期待することはできず、二十三年度予算は、厳しい環境のもとでの編成となるというふうに認識をしております。こうした中にありましても、現下の社会経済情勢のもと、都民の生活に深くかかわる喫緊の課題に対して、時期を逸することなく的確に対処するなど、都政に課せられた使命を確実に果たしていかなければなりません。
 そのため、これまでも堅実な財政運営に徹してまいりましたが、今後とも一層創意工夫を凝らすとともに、あらゆるむだを排し、一つ一つの施策をより効率的で実効性の高いものへと磨き上げていくなど、みずからを律する取り組みをさらに徹底していくことが重要となります。
 事業評価につきましても、対象範囲を拡大するとともに、新たな公会計の視点を一層活用するなど、評価手法の充実を図り、事業を検証する機能をさらに高めてまいります。こうした取り組みを不断に行い、都政の諸課題に着実に対処してまいります。
 次に、土地信託の総括と今後の見通しについてでございますが、本年十一月、新宿モノリスが期間満了日を迎えるに当たり、昨年より、当該土地信託について事業分析を行ってまいりました。
 まず、所期の目的でございます地価高騰の要因とならない都有地の有効活用、民間の知識、経験を利用した財源負担を伴わない土地活用という目的は達成することができたと考えております。加えて、建物、設備は適宜修繕を実施して良好であること、建設資金等の借入金は既に完済していること、信託配当につきましては、当初予算に比べ大幅に減額したとはいえ、継続的に安定した収入を確保してきたことなど、本件信託は、健全な資産運用であると考えており、専門家からも同様の評価を得ているところであります。
 これらを踏まえて、信託期間終了後における対応策として、信託の継続、都が所有して賃貸活用する、さらに売却するなどの方策を検討いたしました結果、当面、キャッシュ・フローを享受しながら信託を継続することが現時点における最も有効な選択肢であることから、新宿モノリスにつきましては、信託期間を五年間延長することといたしました。
 なお、その他の土地信託につきましては、それぞれの事業特性や地域性が異なることから、今後、専門家の意見を聞きながら、個別に信託期間満了後の取り扱いについて検討してまいります。
 最後に、公共調達制度の構築についてでありますが、都はこれまでも、我が国の法制度にのっとり、契約に当たって、最低賃金法や労働基準法などの法令遵守を義務づけることにより、労働環境の確保を図ってきたところであります。加えて、公共調達の品質確保に向け、入札契約制度改革に積極的に取り組む中で、低入札価格調査制度を導入し、調査対象者から、安全管理、材料の仕様、労務単価等について詳細に確認をするほか、必要に応じ現場点検を実施し、下請負人との契約状況等を確認しております。
 一方、野田市などの進めている公共調達の制度は、各企業が労使交渉で合意し決定した賃金とは異なる水準の賃金の支払いを契約により義務づけようとするものであります。こうした考え方をめぐっては、労働政策や産業政策の観点から整理、検討すべき課題が指摘をされております。さらに技術力があるにもかかわらず、経営余力が十分でないために、賃金水準を高くできない中小企業が結果的に入札から排除されてしまうおそれもございます。
 したがいまして、このような制度は、国の立法措置上の問題であり、今後とも国の検討状況を注意深く見守ってまいります。都は現行法令のもと、よりよい公共調達制度の構築に向けて、引き続き入札契約制度改革に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、重点分野雇用創造事業の早期実施に向けた取り組みについてであります。
 急速な雇用情勢の悪化に対応し、都は国の交付金による緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別基金事業の二つの基金事業を実施し、切れ目のない雇用の創出に取り組んでおり、今年度は合わせて約一万七千人規模の雇用創出を計画しております。このうち緊急雇用創出事業の新たな枠組みとして実施している重点分野雇用創造事業につきましては、都と区市町村で約四千人規模の雇用創出を予定しております。
 今般、国の重点分野雇用創造事業の拡充方針を受け、都としてはさらなる雇用創出が可能となるよう、区市町村とも連携を図りつつ、事業計画の策定を行い、国に対して交付金の必要額を要求するなど、事業実施に向けた準備を進めてまいります。今後とも厳しい雇用情勢に的確に対応するため、基金を最大限に活用しながら、引き続き雇用の創出に積極的に取り組んでまいります。
 次に、中小企業に対する金融支援についてであります。
 一昨年秋に端を発した世界的な経済危機の中、都は、厳しい経営環境に直面した都内中小企業の支援のため、制度融資に最優遇金利を適用した融資メニューである経営緊急を設置いたしました。特に、小規模企業者に対しては、保証料の二分の一を補助するという過去最高水準となる取り組みを行っております。
 また、昨年十月からは地域の金融機関と連携した新たな保証つき融資制度の取り扱いを開始し、貸付原資の預託や損失の補助といった財政措置により、金利や保証料の軽減を図り、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業を支援しております。このように、都は他の道府県に比べても格段に手厚い独自の措置を既に講じております。
 景気は、この間、持ち直しの動きを見せているといわれてまいりましたが、この夏以降の急激な円高により先行きの不透明感が強まっております。そうした中、引き続き中小企業の負担の軽減を図り、東京の産業基盤を支える都内中小企業の資金繰りを支援してまいります。
 次いで、海外販路開拓支援に向けた取り組みについてであります。
 アジア市場の発展は目覚ましく、今後も大きな成長が見込まれることから、中小企業の販路開拓支援を行うために、都は今年度から、機械、金属等の分野ごとに商社OB等による海外販路ナビゲーターを配置いたしました。
 ナビゲーターは、現地の商習慣や市場の動向などに関する多数の相談に応じるとともに、アジア各地に配置したビジネスデスクと連携し、現地の展示会に関する情報の収集、提供等も行っております。さらに、出展効果を高めるためのPR方法について助言を行い、出展準備の段階からきめ細かい支援に努めているところでございます。
 今後とも、本事業を通じて、すぐれた製品や技術を持つ中小企業の海外販路開拓支援を着実に行ってまいります。
 次に、知的財産に関する支援についてであります。
 都は平成十五年度に東京都知的財産総合センターを開設し、中小企業に対しまして、相談、啓発、助成事業など、知的財産にかかわるさまざまな支援を総合的に行う、いわゆるワンストップのサービスを提供してまいりました。さらに、都の各種支援事業を通じ、知的財産に関する企業の潜在的なニーズを発掘するなど、積極的な取り組みを行っております。
 また、平成二十年度から知財戦略導入支援事業を実施し、独自の高い技術を有する中小企業に対して、戦略の策定や社内体制の整備に加え、運用ノウハウの提供などの支援を継続的に行い、各企業における実施体制の定着を図っております。こうした取り組みにより、中小企業による知的財産の戦略的な活用を支援してまいります。
 次に、新銀行東京に関するお尋ねでございますが、新銀行東京の経営危機に際し、預金者及び既存融資先の保護や金融不安の回避の観点から、追加出資による再建を選択いたしました。この判断は、現在においても正しいものであると考えております。
 この追加出資により新銀行東京は業務を継続でき、平成二十一年度通期決算及び平成二十二年度第一・四半期決算において黒字を計上するなど、再建は着実に進んでおります。
 ご質問の中で、日本振興銀行の破綻について触れ、新銀行東京と比較しておりますが、新銀行東京は日本振興銀行と比べて、他行への振り込み等の決済機能を有していること、銀行間市場において資金の貸し借りを行っていること及び信用金庫と提携した保証を行っていることなどの点で、金融システムへ与える影響は大きく異なっております。
 今回の日本振興銀行の破綻処理については、当然のことながら、国の金融当局が慎重に判断を行った上での結論であると理解しておりますが、およそ金融機関が破綻した場合において、預金者や取引先に及ぼす影響は、軽微ということは決してあり得ません。
 借り手である小零細企業を初めとする中小企業への影響は、今後、資産査定が行われる中で明らかになっていくものであり、今の段階で、日本振興銀行の破綻の影響について軽々に論じることは適切でないと考えます。
 次に、MICE誘致の推進についてでありますが、MICEは東京の魅力を国内外にPRする機会となり、大きな経済波及効果が期待できることから、観光振興を図る上でも極めて重要であります。
 都はこれまで、国際コンベンションの誘致や開催資金の助成に加え、MICE人材育成など、積極的に誘致のための施策に取り組んでまいりました。こうした取り組みを通じて、国際コンベンションや報奨旅行を中心に東京へのMICE誘致の成功につながっております。
 引き続き、東京ビッグサイトなどの効率的な利用を図りながら、MICE誘致に向けた支援策を積極的に行ってまいります。
 次に、MICE誘致の推進に向けた公的施設の活用についてであります。
 都立の文化施設は重要な観光資源でもありまして、これを活用していくことはさらなるMICE誘致に加え、旅行者の誘致にもつながるものと認識しております。都立施設を活用するに当たっては、美術館や博物館などが本来持つ文化施設としての目的や機能を妨げない範囲で積極的に進めていくことが必要であります。
 今後、こうした施設を所管する生活文化局等と連携し、施設活用に向けた課題などを整理してまいります。
 最後に、メディカルツーリズムについてであります。
 既に一部の旅行会社が海外の富裕層を対象とした訪日医療観光ツアーを実施していることは承知しております。また、国は、観光立国実現に向けた取り組みとして医療観光に着目し、ワーキングチームを立ち上げまして、今後の展開について議論していると聞いております。その動向を注視していく必要があると考えております。
 しかしながら、医療観光を検討するに当たっては、保険診療と自由診療との関係、医療科の偏在等の医療資源への影響、医療安全面の配慮等、多くの課題があるものと認識しております。
   〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕

○スポーツ振興局長(笠井謙一君) 東京マラソンについてでございますが、東京マラソンはその構想段階から、マラソンの競技力向上や普及振興を図るとともに、東京の魅力を世界に発信し、国内外からの旅行者を誘致するなど、東京の観光振興に資することも目指してまいりました。
 海外からの参加は、ランナーが東京の魅力に直接触れ、それを広く伝えるなど、東京の観光振興に寄与するとともに、東京マラソンにとっても国際的な評価を高めることにつながるものと考えております。
 今後、主催者であります東京マラソン財団と協力し、東京のまちを走りたいという数多くのランナーの期待にこたえられるよう検討するとともに、これまで以上に海外からの参加申し込みが得られるよう努めてまいります。
 あわせて、チャリティーや多彩なランニングイベントの実施など、東京マラソンの価値を一層高め、名実ともに世界最高峰の大会に進化させてまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、市町村総合交付金についてでございます。
 市町村総合交付金制度の運用に当たりましては、各市町村の実情をきめ細かく把握するため、交付金の算定に際し、年間を通じ綿密な意見交換を行っております。
 また、これまで市町村の要望を踏まえ、手続の簡素化により事務負担の軽減を図るとともに、昨年度には、近隣自治体間での図書館の相互利用などの広域連携の取り組みや建築確認などの事務権限の拡大への支援など、制度の改善を行ったところです。加えて、市町村の安定的な財政運営に寄与するよう、まちづくりなど複数年度にわたる事業に対しても、継続的かつ弾力的な支援を行っております。
 今後とも、市町村の自主性、自立性の一層の向上に資するという、この交付金の趣旨を踏まえ、市町村の意向にも配慮しつつ、適切で安定的な制度運用に努めてまいります。
 次に、これまでのバイクイベントへの評価と今後の都としての三宅島への支援体制についてでございます。
 三宅島のさらなる振興を図るには、島の持つ魅力を強くアピールすることが必要であり、そのため、都はこれまでバイクイベントを積極的に支援をしてきました。
 過去三回のイベントでは、延べ二千五百人を超える方々が島を訪れるとともに、三宅島の魅力を全国に広く発信するなど、島の観光振興に大きな役割を果たしてきました。また、ことしの十一月には、三宅島を今まで以上にアピールするため、島ならではの地形、環境を生かしたオフロードのバイクレースを実施いたします。
 島民生活のより一層の安定を図るためには、三宅島みずからが島の特色を生かしたさまざまな取り組みを行っていくことが重要であり、都としては、引き続き三宅村と十分連携し、観光業を初め農林水産業、商工業など、三宅島を支える産業の振興を支援してまいります。
 次に、今後の監理団体改革についてでございます。
 監理団体の存在意義や事業内容については、社会経済状況の変化等に応じて、不断の検証が必要であると認識をしております。
 このため、今回策定した東京都監理団体活用方針では、都と監理団体と民間がどう役割分担をすべきか、あわせて、都が行政としての責任を果たしつつ、都民サービスの向上をどう図っていくかという観点から、監理団体の業務について改めて検証を行い、政策推進の一翼を担うパートナーとしての存在意義を明らかにいたしました。
 この方針に基づき、事業評価の充実や経営の透明性の向上を図るなど、新たな取り組みを進めるとともに、今後とも、監理団体の存在意義や担うべき業務について、適時適切に見直しを行い、引き続き改革に取り組んでまいります。
 最後に、都幹部職員の退職管理における原則情報提供と第三者機関の設置についてでございます。
 都幹部職員の再就職は、国の天下りとは異なり、定年またはその直前まで働いた後、在職中に培った知識、経験などを生かして社会に貢献するものであります。こうした観点から、都はこれまで、民間企業等へはその求めに応じて人材情報を提供する一方、監理団体等には出資者等の立場で適材を推薦してきました。
 これらの再就職情報を一元的に管理することで透明性を向上させるとともに、人材の有効活用を一層図ることを目的としたものが都庁版人材バンクであります。また、この人材バンクの整備により、再就職の手続や結果が都民に公開されることで、第三者機関の設置によらずとも、公正な都政運営は十分に確保されるものと認識してございます。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 土壌汚染対策の情報提供についてのご質問にお答えいたします。
 都は、今回の実験結果の評価、検証や盛り土の安全性の確保の検討に当たりましては、二回の技術会議を公開で行うとともに、すべての実験データや質問に対する回答を公表するなど、オープンな形での情報公開に努めてまいりました。
 また、実験結果等の説明会を地元住民団体や業界団体等に対して八月以降実施しており、さらに一般都民向けのわかりやすいパンフレットを作成中でございまして、近く配布していくこととしております。
 しかしながら、実験の初期値の問題に見られますように、都民に説明し、理解を得ることが十分でなかった点につきましては、反省すべきと受けとめております。
 今後は、情報を積極的に提供し、都民の信頼を得ていくことが重要であるとの観点から、丁寧な広報広聴に努めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 六点につきましてお答え申し上げます。
 まず、医療療養病床の整備についてでございますが、都はこれまでも、急性期を脱した後も医学的管理が必要な患者のため、一般病床からの転換も含め、療養病床の増床に取り組んできました。
 平成二十年度には、独自の施設整備費補助制度を立ち上げ、今年度は、補助率を二分の一から四分の三に引き上げました。また、療養病床を有する医療機関が患者の多様なニーズにこたえ、あわせて経営の安定化も図れるよう、がん患者の疼痛管理や在宅療養患者の緊急入院受け入れなどに関する研修を実施いたしております。
 今後、都は、療養病床を将来に向けて安定的に確保するため、国の方針を明確に示すよう求めるなど、引き続き国に対して働きかけを行ってまいります。
 次に、在宅医療の体制整備の推進についてでございますが、急速な高齢化が進み、地域での医療や介護を必要とする高齢者の増加が見込まれる中、都民が安心して在宅療養生活を送るためには、地域における医療資源を有効に活用していくためのネットワークづくりなどの体制整備が重要でございます。
 都はこれまで、入院患者が在宅療養に円滑に移行し、療養生活を継続できるためのモデル事業を実施するとともに、包括補助事業を活用して、区市町村における在宅医療の取り組みについても支援してきております。
 今後、東京都在宅医療推進会議におきまして、これまでの取り組みの成果を検証し、医療と介護の連携の仕組みづくり等について検討を行うなど、在宅医療の体制整備を推進してまいります。
 次に、ショートステイの整備促進についてでありますが、都はこれまで、特別養護老人ホームの整備に当たって、定員の一割以上のショートステイを併設することとし、独自に整備費補助を実施してまいりました。
 今年度からは、ショートステイのさらなる拡充を図るため、特養併設型に限定していた整備費補助の対象を単独で整備する場合や、有料老人ホームなどに併設する場合にも拡大をいたしました。
 また、地価の高い東京において小規模なショートステイの整備を図るため、人員配置基準の緩和などについて国に提案要求を行っております。
 次に、精神科患者の医療機関への受診についてでございますが、都は現在、精神科患者の受診を支援するため、平日日中は保健所や精神保健福祉センターなどで相談を受け付けるとともに、夜間及び休日は、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」で、都内全域を対象として、相談や患者受け入れに関する調整を行っております。
 今後、精神科患者の地域生活を支えていくためには、日中夜間にかかわらず、症状の変化に応じ、適切な医療をまず地域の中で円滑に受けられる仕組みを整備していくことが必要でございます。
 そのため、今年度から二カ年にわたり、地域精神科医療ネットワークモデル事業を区東北部と南多摩の二つの二次保健医療圏で実施をしており、都は、この実施状況を評価、検証しながら、地方精神保健福祉審議会での議論も踏まえ、精神科患者が必要なときに地域で受診できる医療体制の整備を進めてまいります。
 次に、認知症高齢者の身体合併症に対する医療についてでございますが、身体合併症を持つ認知症高齢者の場合、その治療状況や生活環境を把握しているかかりつけ医がまず対応を行い、緊急時には、急性期病院や精神科の専門医療機関と連携をして対応することが必要でございます。
 このため、都は、かかりつけ医の認知症対応力の向上を目的として研修を実施するとともに、急性期病院の協力のもと、精神科身体合併症医療事業等により、入院受け入れ体制の確保を図っております。これらの取り組みを通じ、今後とも、認知症高齢者の身体合併症に対する医療提供体制の充実に努めてまいります。
 最後に、高齢者虐待の早期発見と対応についてでございますが、高齢者虐待防止法においては、家族など養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに区市町村に通報し、それを受けた区市町村は、虐待の事実確認や保護などを行うこととされております。
 このため、都は、地域住民や事業者などを対象に、高齢者虐待防止に関する理解を深めるためのパンフレットを作成配布するとともに、区市町村職員などに対する高齢者権利擁護研修を実施いたしております。
 さらに、虐待を早期発見するためには、地域の実情に応じた高齢者虐待防止ネットワークの構築が有効であることから、包括補助制度により、こうした取り組みを実施している区市町村を支援いたしております。
 今後とも、区市町村と連携をいたしまして、高齢者虐待防止の取り組みを進めてまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 情報公開制度における閲覧手数料についてでございますが、都の公文書の開示に当たりましては、開示請求者に公平な負担を求める観点から、手数料を徴収しております。
 公文書開示をめぐりましては、公共工事の積算資料など営利目的と思われる請求の急増や、大量の公文書開示を求めながら、実際には閲覧しないというケースがあらわれるなど、さまざまな運用上の問題が顕在化しております。
 一方、国におきましては、手数料を含めた制度全体の見直しを進めているところでございます。
 こうした状況の中、都では本年二月から、東京都情報公開・個人情報保護審議会におきまして、現行制度における運用上の諸課題について審議を始めております。
 今後、審議会での論議を踏まえまして、制度全体の健全な運用について引き続き検討してまいります。

○議長(和田宗春君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十四分休憩

   午後三時開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十三番三宅茂樹君。
   〔百十三番三宅茂樹君登壇〕

○百十三番(三宅茂樹君) 平成二十二年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 来る十月二十一日、羽田空港は新滑走路と新国際線ターミナルが開業します。東京は世界と一段と深く結ばれ、国際都市として新たな段階に入ります。羽田が、我が国初の国営の民間航空専用飛行場として開設されたのは一九三一年のことであります。それから今日に至る約八十年の間に、東京と日本は目覚ましい発展を遂げましたが、それには幾多の先人の労苦があったことは、改めて申し上げるまでもありません。
 我が都議会自民党も、首都の議会人としての責任と誇りを胸に抱き、粉骨砕身、全国をリードする大都市東京の創造に取り組んでまいりました。
 そして今、二十一世紀の厳しい国際競争の時代にあって、羽田空港の再拡張、国際化の実現や三環状道路の迅速な整備など、日本の活路を開き、次なる発展を導くための礎となる政策を、知事と連携して推進しております。
 こうした交通インフラのネットワークは、東京の都市構造を従来とは全く異なる新たなステージに引き上げ、東京を含む首都圏を大きく変貌させるものであります。人、物、情報の交流を、国内はもとより国際的にも活性化し、産業力強化やビジネスチャンスを創出して、我が国全体の活力を高めるもととなります。
 さて、現下の民主党政権は、国家の根幹となる検察制度や外交の面で、日本は一体どうなるのかという不安を国民に与えているようです。
 都議会自民党は、日本が国家として生き残るため、また、都民、国民の未来を切り開くために不可欠な、長期的、大局的視点に立った政策を実現してきました。今後とも、都民、国民の期待にこたえる政策を実現してまいります。
 ところで、都政がしっかりとした政策を打ち出していく上で重要なのが財政です。
 予算編成の本格化を間近に控え、改めて都財政を取り巻く状況を見渡すと、二十一年度の都税収入が前年度から一兆円も減少するなど、非常に厳しい環境に直面しています。先を見据えても、当面、税収の大きな好転は期待できそうにありません。
 加えて懸念しているのは、国が検討している国庫補助負担金の一括交付金化などの動きが都財政に与える影響です。今後、いたずらに都の財源を奪い、負担を増すような動きがあれば、都民生活を守ることを最優先に、知事と都議会が団結し、主張することははっきりと主張していくべきことを、ここに強く申し上げます。
 このような厳しい中での来年度予算は、一見相反する二つの課題に、しっかりと対応するものでなければなりません。
 まず何よりも、山積する都政の諸課題に積極的に対処していくことです。都民や中小企業が直面している足元の課題に対応するとともに、少子高齢化対策やインフラ整備など、東京の将来を切り開く取り組みも着実に進めていかなければなりません。
 一方、基金など、限りある財政対応力を堅持することも大事です。今後も厳しい財政環境が見込まれる中、将来にわたって都がなすべき役割を果たしていくためには、中長期的に施策展開を支え得る強固な財政基盤が不可欠です。
 昨年度同様、難しい予算編成となりますが、この難題にこたえるには、国で行われているいわゆる事業仕分けとは違い、都独自の事業評価を通じ、施策の効果を一層高めるなど、これまでの堅実な財政運営で行ってきた取り組みをさらに進めていくことが重要であると考えます。
 そこで、財政対応力を堅持しながら、都政の諸課題に対処するために、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 また、都は、これまで「十年後の東京」で描いた近未来図の実現に向け、インフラ整備を初め、環境、産業、福祉など、幅広い分野で先進的な取り組みを着実に実施してきました。都財政は厳しい環境に直面していますが、こういうときにこそ、都民にとって真に必要な施策を果敢に実施し、都民に安心と希望を与え、東京がさらに機能的で魅力的な都市に生まれ変われるよう取り組みを加速化することが必要です。
 先般、都は、実行プログラムの策定方針を明らかにしましたが、平成十八年に策定した「十年後の東京」も、計画期間半ばに差しかかっています。これまでの取り組みを十分に検証した上で、目標の実現を確実なものにしていくべきと考えますが、実行プログラムの改定に当たっての考え方を伺います。
 一方、地方全体を見渡すと、地方財政が厳しい中において、超高齢社会の到来や地方分権改革の進展により、地方の役割はますます増加し、膨大な財政需要が発生することは避けられません。
 こうした状況を見据えると、地方税財政を分権時代にふさわしいものへと抜本的に改革することで、地方の財源そのものを拡充することが不可欠です。しかしながら、民主党政権は、このような本質的な問題に真正面から取り組もうとはしていません。
 比べて、国政における我が自由民主党は、さきの参議院選挙において、消費税を含めた税制の抜本改革を正々堂々とマニフェストに掲げ、終始一貫した主張を行ってきました。理念なきみずからの発言のぶれに右往左往する総理とは対照的でありました。
 さらには、現実から逃げない都議会自民党としては、地方税財源の拡充には、地方消費税の議論から目を背けてはならないと考えています。もとより、かねてから主張しているとおり、法人事業税の暫定措置のような小手先の手法では、何ら問題は解決しません。暫定措置は直ちに撤廃し、本筋の議論を進めていかなければなりません。
 知事も、先日の所信表明で、国は消費税の議論から逃げてはならないと発言されました。そこで、地方税財源の拡充に向けた知事のお考えを伺います。
 また、国庫補助負担金の一括交付金化など、国の動きについて都の見解を伺います。
 次に、アジアにおける都市外交について伺います。
 世界の成長センターとなり、国際経済を牽引するまでになったアジア地域にいち早く目を向け、就任後、速やかに都市間ネットワークの構築に取り組まれた知事の視点は、まさに炯眼であったと思います。
 地球環境問題やテロ、感染症対策など、東京が抱える問題は、東京や日本国内だけでは解決できず、国際的な取り組み、とりわけ地理的にも近接したアジア諸国との連携が不可欠であります。東京の持つ技術、ノウハウをアジア諸国に積極的に提供することは、日本の成長、発展にもつながります。
 我々都議会自民党は知事と手を携え、アジア大都市ネットワーク21の強化やオリンピック招致活動などを通じたアジア諸都市との積極的な交流に努めてまいりました。
 この十年間、アジアに貢献せんと取り組みを重ねてこられた知事に、今後、アジア大都市ネットワーク21を通じて、東京とアジアの発展にどう取り組んでいくのかお伺いします。
 アジア各都市で開催されてきたアジア大都市ネットワーク21の総会も、会員都市をほぼ一巡し、ことしは第一回総会以来、二度目の東京での開催となります。これまでの取り組みを総括し、ネットワークを新たなステージに飛躍させる節目の大会として成功させなければなりません。
 アジア大都市ネットワーク21は、都市と都市の連携を中心に進められてきましたが、アジアは、行政のみならず多くの主体によって動かされています。そうしたさまざまな主体のダイナミックな活動を引き出していくことが重要であると思います。
 アジアのさらなる発展につなげていくための絶好の機会ともなる東京総会に、どのように取り組んでいくか伺います。
 次に、監理団体改革について伺います。
 これまで我が党は、監理団体とは、公益性を最優先する行政と経済効率性を最優先する民間の双方の力を兼ね備えた都政の重要なパートナーであり、監理団体を行政の担い手として有効に活用していくことが、目指すべき都政の姿であると主張してきました。
 雇用や環境などの分野で、行政に求められる役割がますます高度化、複雑化する中、都民生活の向上に寄与する政策を実現していくためには、監理団体の持つ特性を生かし、効果的に施策を推進していく必要があります。
 例えば、公の施設の管理運営に関する指定管理者制度について、都は、政策との連動性や管理運営の特殊性等を考慮して、公の施設の運営主体として監理団体を活用できるように制度運用の見直しを行いました。
 このように行政の一翼を担う監理団体は、安定した経営基盤のもと、必要な人材育成や都との人材交流を活発にするなど、これまで以上に都と連携を深め、事業を運営していくことが求められています。
 今般、都が策定した東京都監理団体活用方針では、都政の一翼を担う監理団体の存在意義や活用の考え方が明確に整理されており、大変評価できるものとなっています。
 一方で、監理団体を積極的に活用するに当たっては、都民の理解を得るためにも、これまで以上の情報公開や公共性のアピールが重要となってきます。
 都は今後、監理団体の活用について、どのような取り組みを行っていくのか、改めて見解を伺います。
 次に、都幹部職員の再就職について伺います。
 早期に退職の勧奨を受け、渡りを繰り返す国の天下りとは異なり、定年、または、その直前まで働いた都の幹部職員が、退職後も、その在職中に培った知識や経験を社会のさまざまな分野で生かしていくことは、大変意義のあることと考えます。
 都政の重要なパートナーである監理団体や、都が出資等を行っている報告団体に対して、都はこれまでも、その責任において幹部職員の中から適任者を推薦し、団体の適切かつ効率的な事業運営に資するよう、人的に支援してきました。さらに、再就職した課長級以上の職員の氏名等を公表し、その結果も明らかにしてきました。
 また、民間企業への再就職についても、その求めに応じて有用な人材の情報提供を行っています。
 しかしながら、幹部職員の再就職について、いやしくも都政の公正な運営に疑念を持たれることのないよう、その手続の透明性や情報公開などを、これまで以上に徹底していかなければならないのはいうまでもありません。
 こうした我が党の主張を受け、このたび都が都庁版人材バンクを整備し、幹部職員の再就職状況について都民にわかりやすい形で明らかにしたことは大いに評価できます。
 そこで、都庁版人材バンクを通して、幹部職員の再就職の手続や結果の透明性をどのようにして確保するのか、その考え方を伺います。
 次に、公会計制度改革について伺います。
 厳しい財政状況が続く中で、自治体が、その説明責任を果たし効率的な行財政運営を行っていくためには、真の財政状況を把握し、住民に対し明らかにしていくことが強く求められており、複式簿記・発生主義会計による公会計制度改革への取り組みが不可欠であります。しかし、都の制度導入以降も、全国の自治体においては改革が十分に進んでいないのが現状であります。
 我が党のかねてからの主張を受け、都は他の自治体に対し、支援活動やさまざまな普及活動を行ってきました。大阪府が平成二十四年度から、都と同様の新公会計制度を導入すると発表したことは、こうした取り組みの成果であります。
 さらに都は、大阪府と立ち上げた共同プロジェクトを展開する中で、改革に意欲的な自治体を支援するなど、全国の公会計制度改革の推進に取り組んでいるところです。
 東京都と大阪府が展開する新たな取り組みは、必ずや閉塞した現在の状態を打破してくれるものと期待するものであります。今後、どのように取り組みを進めていこうとしているのか、所見を伺います。
 ところで、平成二十年度一般会計決算については、昨年の各会計決算特別委員会で不認定となりました。その結果、認定の際に付される意見がつかず、これまでなされていた改善措置の議会への報告が途切れることとなってしまいました。
 決算審査における議論や意見を行政に反映させるためにチェックするのは、議会の重要な役割であります。この役割を果たすため、我が党はみずから決算特別委員会で述べた意見に対する取り組み状況について調査を行いました。今後とも、我が党は議会としての責任を全うしていくことを申し上げ、次の質問に移ります。
 高齢者対策について伺います。
 七月以来、全国各地で所在不明の高齢者がいることが次々に明らかとなり、マスコミをにぎわしております。こうした問題の背景には、戦後六十五年を経る中で、国家への帰属意識、地域とのつながり、家族のきずなのいずれもが失われてきたことがあるといえます。一部には、今回の事件に事寄せて、行政がすべての面倒を見るべきだと主張する向きもありますが、行政による取り組みのみで解決できる問題ではありません。今必要なのは、家族のきずなを取り戻し、そして社会全体のきずなを再生することであります。
 これまで日本において、家族が果たしてきた役割と、最近の家族の意識の変化やそのありようについて、いかがお考えになられているのか、知事のご所見を伺います。
 一方、都内では、高齢者のみの世帯やひとり暮らしの高齢者が増加しております。これからは、こうした方々が安心して地域で暮らし続けるために、家族による支援に加え、地域での見守りを進めるべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、介護保険制度について伺います。
 介護保険制度は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みとして定着してきました。
 平成二十四年度には制度改正が予定されていますが、今後とも持続可能な制度としていくためには、供給するサービス量の確保とともに、それを支える財政面もあわせて慎重に検討し、さらなる高齢者人口の増大に備えていかなければなりません。
 とりわけ、地域の実情に応じて必要なサービスを安定的に確保していくことが重要な課題となります。現在、都内の介護事業者は、人材不足など厳しい経営を強いられています。その原因は、人件費や物価などが高い都市部の実情が介護報酬に反映されていないことにあります。
 次期の制度改正に向け、こうした東京の実態を踏まえ、必要な見直しを国に求めていくべきと考えます。
 都は先日、介護保険制度のあり方などに関する提言を国に行ったとのことですが、提言の趣旨と今後の取り組みについて伺います。
 次に、後期高齢者医療制度について伺います。
 後期高齢者医療制度は、超高齢社会に備え、我が国が世界に誇れる国民皆保険制度を将来にわたって堅持するため、高齢者の方々の医療費を社会全体で支える仕組みとして、十年にわたる議論の末に構築されたものです。
 しかしながら、国は、高齢者を年齢で区分するこの制度は廃止して、新たな高齢者医療制度を立ち上げるとし、昨年十一月に高齢者医療制度改革会議を設置し、先月二十日には中間取りまとめが行われたところです。
 しかし、その内容は、後期高齢者は国民健康保険と被用者保険のいずれかに加入し、国民健康保険の財政運営は都道府県単位にすると示したに過ぎません。高齢者の医療費が今後もふえ続けるにもかかわらず、財政負担や運営方法など、制度の根幹にかかわる部分は引き続き検討とされており、重要な問題を先送りにした極めて不十分なものとなっています。
 特に、国民健康保険は、加入者の多くが高齢者や低所得者であり、医療給付費の総額に見合った保険料収入の確保が困難なために、保険者である区市町村が一般会計から補てんすることで、どうにか運営が成り立っているという構造的な課題を抱えています。国民健康保険が破綻必至であることについては、改革会議で一切議論がされていません。国は年末には最終取りまとめを行うとしていますが、こうした根源的な問題が放置されたまま制度改正を行うことは、国民皆保険制度を危うくするものです。
 そこで、高齢者の医療制度のあり方に関する都の認識を伺います。
 次に、認知症疾患医療センターについて伺います。
 高齢者とその家族が地域で安心して暮らし続けられるようにするには、医療と介護の連携が重要であり、今後、増加が見込まれる認知症高齢者に対しても、医療と介護の両面からの支援を進める必要があります。
 国は、医療と介護の連携や一般開業医などへの認知症の理解促進に加え、認知症の周辺症状や身体合併症に対する医療を担う認知症疾患医療センター事業を進めています。この事業は、多様な医療資源を有する都の実情に必ずしも沿うものではなく、実施に当たってはセンターの役割などについて検討を要すると考えますが、医療と介護の連携を進める、この点には有効な施策であると考えます。
 都は、医療機関の実態を踏まえ整備を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、がん検診について伺います。
 我が国では、現在、二人に一人ががんにかかるといわれ、東京都においても、年間約三万人もの方ががんで亡くなるなど、がんは都民にとって重大な脅威となっています。がんによる死亡を減少させるには、検診で早期発見し、治療につなげることが重要です。
 都は、東京都がん対策推進計画に基づき、がん検診の受診を促進していますが、都民の検診受診率は、全国と比較しても依然として低い状況にあります。区市町村における住民検診はもとより、職場におけるがん検診の取り組みを進め、受診を一層促進すべきですが、都の所見を伺います。
 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 昨年四月に新型インフルエンザが海外で発生して以降、都は被害を最小限に抑えるため、二十四時間対応の発熱相談センターの設置を初め、医療資器材の備蓄や小児重症患者の入院受け入れ体制の確保など、さまざまな対策に取り組んできました。
 我が都議会自民党も、かねてより世界的大流行、パンデミックを見据えた医療資器材の備蓄や医療体制の整備を都に求めており、それを受けた都の取り組みとして、これらは高く評価するものです。
 先月十日、世界保健機関、WHOは、今回の新型インフルエンザの流行状況の段階をポストパンデミック、世界的大流行後とする旨を発表しました。しかし、パンデミックを過ぎても、感染拡大への警戒が必要な状況は変わりません。
 都として、秋以降の再流行、さらには今後の強毒型に備えるためにも、患者の発生動向やウイルスの変異を的確に把握することが重要と考えますが、調査、監視を行うサーベイランスの取り組みについて伺います。
 また、都民に適切な医療を提供するための医療体制の確保も重要と考えますが、再流行に備えた取り組みについて伺います。
 都における新型インフルエンザの医療提供体制を整備する上では、都立病院が果たすべき役割は大きいものがあります。的確な診断や合併症への対応など、都立病院は、新型インフルエンザの患者に適切な医療を提供するための十分な対策を講じておく必要があると考えます。
 そこで、都立病院の新型インフルエンザ対策の取り組みについて伺います。
 新型インフルエンザのほかにも、感染症は、人類、とりわけ大都市東京に住む私たち都民にとって大きな脅威です。一類、二類感染症のような高度な医療を必要とする感染症や希少感染症、大規模流行が懸念される感染症、どのような感染症が発生した場合であっても、拡大防止を図るために万全の体制を整備しておく必要があります。いざというときに柔軟、迅速な対応が可能となるよう、都立病院が感染症診療体制を強化していくことは、都民が大いに期待するところであり、重要な役割の一つであると考えます。
 そこで、都は、都立病院の感染症医療機能の強化についてどのように取り組むのか伺います。
 今月、都内複数の病院で、極めて高い薬剤耐性を持つ多剤耐性アシネトバクターによる院内感染が発生しました。アシネトバクターは土の中などに通常存在している菌であり、健康な方が感染してもほとんど無害です。多剤耐性菌が免疫力の低下した入院患者などに感染すると生死にかかわることもあります。院内感染を予防するには、まず、医療機関みずからが予防策に取り組むことが重要です。
 都は、医療機関における院内感染対策の徹底にどう取り組むのかを伺います。
 次に、産業、雇用対策について伺います。
 まず、現下の経済、雇用情勢についてであります。
 都議会自民党は、一昨年秋のリーマンショックによる経済危機に対し、中小企業への資金繰り対策や受注確保策に加え、雇用対策においても雇用創出策などの緊急対策を都に要請し、その実現を強く推進してきました。
 こうしたことから、東京の経済は厳しいながらも回復の途上にありましたが、八月には、十五年ぶりといわれる急激な円高となり、その影響が懸念されております。
 政府及び日銀は、ようやく今月十五日に為替介入を実施しましたが、欧米各国が、為替相場を通じて自国経済に有利な状況を戦略的に生み出そうとしているのとは対照的に、民主党政権は確たる戦略が見えないといわざるを得ません。いうまでもなく円高は、ようやく息を吹き返しつつあった企業業績を圧迫し、景気を下振れさせかねない大きな問題であります。
 都として、地域の中小企業などの現場の実情をしっかりと把握し、速やかな対応を行うべきと考えますが、現在の景気、雇用情勢をどのように認識し、どのように対応していくのか、所見をお伺いいたします。
 都は厳しい景気局面の中に、国に先んじて数々の中小企業支援策を打ち出してきました。とりわけ目指せ中小企業経営力強化事業では、我が党の主張を踏まえて、きめ細かい経営診断を受け、販路開拓が必要とされた企業に対して、展示会出展の助成を行った結果、新たな取引先や仕事を確保できた企業も数多いと聞いております。
 この事業を活用し、経営力の強化や展示会への出展を希望する企業が依然として多いという状況は、厳しい経営環境を積極的に乗り越えようとする経営者の意欲のあらわれであり、歓迎すべきことと受けとめております。現在、出展支援の対応が十分に追いついていないとの話も聞いていますが、やはり、前向きに頑張る中小零細企業の取り組みを、本事業によりしっかりと応援していくことが重要と考えます。
 都はこのような状況を踏まえ、中小企業が新たな販路を見出していくための支援を引き続き切れ目なく展開していくべきと考えますが、所見を伺います。
 国内の市場だけでなく、海外での販路開拓を進めていくことも重要です。特に、これからも高い経済成長が見込まれ、購買力が着実に拡大しつつあるアジア市場の需要を取り込もうとする都内中小企業を支援する施策の拡充が求められています。
 実際に都内中小企業から、自社製品をアジアでも販売したいが具体的にどうしたらよいかとの話もよく聞かれます。中小企業が海外企業との取り引きを展開するに当たっては、現地の商習慣や法律に関する情報をしっかりと集め、市場の動向を実感できる海外見本市に参加するなど、入念な事前準備が欠かせません。しかし、これらを中小企業が独力ですべて行うことは容易ではないのが実態であり、幅広い多種多様な商品分野を対象にした、行政によるきめ細かな支援こそが必要になるものと考えます。
 さらには、知的財産の侵害などのトラブルに見舞われるリスクを軽減しながら、アジア地域で戦略的に素早い事業展開が可能となるような取り組みを、しっかりと行政が支援することも重要です。
 こうした状況を踏まえ、都として中小企業の海外販路拡大の課題にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 雇用環境の厳しさは依然として続いています。特に懸念されるのが、これから社会に出ようとする新規学卒者の就職の問題です。国の調査結果では、この春卒業した大学生の就職率は九一・八%にとどまり、過去二番目に低い数字だといいます。さらに、来年春に卒業予定の学生の状況はさらに深刻化しています。民間の調査では、大卒求人倍率が前年よりも悪化していることに加え、就職できずに留年し、捲土重来を期す学生も全国で約八万人に達しているといいます。
 我が党は、この問題の本質的な解決のためには、政府が明確な成長戦略を示した上で、実効性のある経済対策を進め、雇用創出を図ることが不可欠と考えますが、現民主党政権においては、雇用が第一といいながら、いかに雇用を確保していくのかの道筋が見えないといわざるを得ません。新卒対策についても、企業への採用奨励金の増額や既存事業の規模拡大を打ち出してはいますが、小手先の対策にとどまっており、国として本腰を入れた取り組みとは思えません。
 都内には、世界に誇る技術を持ったものづくり企業を初め、成長力のある多様な中小企業が多数存在します。そうした企業は次代を担う人材を求めており、現在の状況を、優秀な人材獲得の好機ととらえるところもあります。現下の切迫した状況において重要なことは、そうした意欲ある企業と社会に出ようとする若者との橋渡しをきめ細かく行い、ミスマッチを解消することだと考えます。
 しかしながら、ミスマッチ解消のためには、若者本人の意欲や努力も重要です。社会人として仕事をして給料をもらうということには厳しさも伴います。現実は決して甘くはありません。若者には強い意志を持って就職を決め、社会的に自立してもらいたいと強く期待いたします。
 現在、新卒者をめぐる就職環境は、就職氷河期の再来ともいえる状況です。新卒者の就職支援について、都は、優秀な人材を求める中小企業と、厳しい現実に直面する新卒者との橋渡しに重点を置いた取り組みを進める必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、都市農業について申し上げます。
 都市農業の今後を考える場合、次代を担う若い農業者の活動が極めて重要になっています。先日、九月十五日に開催した都議会自民党都市農政を考える議員連盟と都内農業者の皆さん二百三十名との意見交換会の中で、若い農業者の活動実績発表があり、日々新しい感覚で都市農業に取り組む姿に大変感銘を受け、心強く感じました。
 その一方で、農地制度や税制度などに関する要望があり、都市農業が難しい課題を抱えていることを改めて痛感いたしました。制度にかかわる問題については、国に強く改善を働きかけることが必要ですが、農業経営の改善や地産地消の拡大などさまざまな取り組みを通じて、若い農業者の皆さんが希望を持って取り組める環境をつくらなければならないと考えますが、所見を伺います。
 次に、築地市場の移転、再整備について伺います。
 現在、特別委員会で検討されている現在地での再整備案については、少なくとも二十年以上にわたる工期、割高な施設建設費による使用料の大幅な上昇、売り場の重層化構造による業務効率の低下、さらに仮移転先の晴海については、今後の港湾施設への悪影響、都市計画変更や地元住民の合意形成の難しさなど、数多くの、しかも解決の見通しがつかない大きな問題点を抱えています。新市場整備に当たって大前提となるのは、そこで日々商売を行っている業界の理解を得るということです。
 しかし、今回の案について、業界団体の代表者は、さきに行われた参考人招致において、営業活動に深刻な影響を与えるものであり、しかも不確定要素が多く、実際に実現可能なのかさえわからない計画で到底容認できないと主張し、強い反対を表明されています。ただでさえ厳しい経営を圧迫し、実現可能性すら確信が持てない計画に対して、業界の理解が得られないのは当然のことです。今回、民主党から提案された現在地再整備計画案を一言で表現いたしますと、全く現実感のない、実現不可能な机上の空論といわざるを得ません。
 そもそも築地市場が抱える問題は、安全性の危機的状況や、産地、顧客ニーズに対応したコールドチェーンなどの品質管理、施設整備など、一刻の猶予もない課題なのです。今回の案では、その解決がこれから二十年以上も先送りされるということであり、全く論外の話です。
 次に、都議会の責任についてです。
 この問題に対する業界の意向については、過去、既に結論が出ており、ことしに入ってからも築地の業界六団体のうち、いわゆる五・五団体は、都議会に対し、豊洲新市場建設計画の推進に向けた声明を提出しています。今回の参考人招致でも改めて意向を確認しており、業界の意向は明白なのです。それにもかかわらず、さらに事業者一人一人への意向調査が必要という主張について、業界団体の代表者は、この間の努力を台なしにし、業界内部に大きな混乱をもたらすとして強く批判しています。事業者一人一人への意向調査という主張は、本来都議会が判断すべき責任を業界に押しつけるということになります。
 老朽化が限界に達している築地市場の現状、そして日々の業務に大変苦労しながら、これまで長い年月をかけて議論を積み重ね、移転への結論を出し、一刻も早い新市場の整備を待ち望んでいる業界のことを考えれば、この問題の先送りはできません。都議会としても、この問題に対する検討結果を早期に取りまとめることこそが、その義務であり、責任を果たすことになるのです。こうした状況の中で、都政を預かる知事の見解を伺います。
 我が都議会自民党は、残された少ない時間の中で、早期に検討結果をまとめ、二十六年度中の新市場開場を可能とするために必要な予算が速やかに執行されるよう、その実現に向けて全力を挙げる決意であることを表明いたします。
 国際化する羽田空港の一層の機能発揮について伺います。
 羽田空港は、来月の新しい滑走路と国際線ターミナルの供用開始によって、名実ともに本格的な国際空港として新しい時代を迎えることになります。世界の大都市で競争が激化している中、新たな羽田空港は、国際競争力を高める上で極めて頼もしい存在となるはずです。そのためにも、羽田空港の機能を十二分に発揮させていくことが重要であると考えます。今後の取り組みについて、知事の所見を伺います。
 さらに、羽田が本格的な国際空港として生まれ変わろうとしている今、空港の跡地についても、早期にまちづくりをスタートさせる必要があります。先月、都、国、地元区から成る羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協は、羽田空港跡地まちづくり推進計画の素案を公表しました。空港に隣接しポテンシャルの高いこの跡地について、今後どのようにまちづくりを進めようとしているのか、所見を伺います。
 次に、東京外かく環状道路の整備推進について伺います。
 本年四月に国土交通省は、外環の新たな整備手法を表明しましたが、その後の通常国会で、前提となる法律改正の審議が遅々として進まず、現在も法案は継続審議となったままであります。外環をどのように整備していくのか、いまだ不透明な状態です。このような閉塞感を打開するために、超党派で構成する東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟では、外環の早期完成を求め積極的に行動しているところであります。
 国は外環の重要性、地元地権者の生活再建の切実な願いにこたえ、その責任においてしっかりとした対応を行うべきであります。都においても、外環の早期完成に向け、引き続き積極的に対応すべきと考えますが、今後の都の取り組みについて伺います。
 東京の最大の弱点である交通渋滞を解消し、東京が日本を牽引する力を発揮していくためには、道路ネットワークの形成はもとより、交通のボトルネックとなっている踏切の解消が不可欠であります。都内にはいまだ千百四十カ所の踏切が残されており、交通渋滞や市街地の分断など、都市の活力の低下を招く要因となっております。
 こうした中、京浜急行本線・空港線連続立体交差事業により、一昨日、環状八号線の踏切が解消されました。我が党がこれまで幾度となく主張してまいりました、抜本的な踏切対策である連続立体交差事業をより一層推進していくことが重要であることを、改めて確信しております。
 そこで、連続立体交差事業の推進に向けた都の取り組みについて伺います。
 東京と神奈川を結ぶ道路は、交通渋滞の解消、防災性や安全性の向上のみならず、羽田空港、東京港や横浜港を連絡し、国際競争力の強化や都市の活性化を図るなど、我が国の経済を支える重要な社会資本であります。このため、放射第一号線の国道一号、放射第二号線の中原街道や、放射第四号線の国道二四六号などは、都県境を超えて整備されてきました。
 しかしながら、放射第三号線である目黒通りは、都心から川崎を経て横浜へ至る重要な骨格幹線道路であるにもかかわらず、多摩川にかかる橋梁が未整備であるため、都県境を超えたネットワークが形成されておりません。そこで、東京と神奈川を結び、新たなネットワークを形成する橋梁整備について伺います。
 次に、都営住宅団地の建てかえによる活力ある都市づくりの推進についてお伺いします。
 我が党では、都営住宅の建てかえを進めるとともに、用地を創出し、これを活力ある都市づくりに活用するべきであると主張してまいりました。これにこたえ、都は、建てかえに際して創出した用地に、各種の施設の整備や民活事業の導入を行うなど、地域の活性化に資する取り組みを進めてきました。
 十万戸を超える昭和四十年代建設の都営住宅団地のうち、既に中小規模の団地の建てかえは始まっていますが、これに加え、大規模団地の建てかえにも本格的に着手し、活力ある都市づくりを推進していくことが必要です。都では、四十年代建設の大規模団地の建てかえについて検討を行っていると聞いていますが、今後どのような考え方で進めていくのか、また、どの団地から着手していくのか伺います。
 次に、京浜三港連携について伺います。
 京浜港は、国土交通省から国際コンテナ戦略港湾に指定されましたが、今回の選定に当たっては、昨年十一月から九カ月にわたり、京浜港広域連携議員推進連盟も国交省へのたび重なる要請行動を行い、全面的な支援活動を展開してまいりました。今回、無事に選定されたことは喜ばしいことですが、「労多くして功少なし」では困ります。選定した立場の国は、みずから選んだ京浜港に対して、アジア諸港に対峙できるよう、しっかりとした支援を行うべきと考えます。
 そこで、国はどのような重点投資を行うつもりなのか、また、それを踏まえて都はどのように取り組みを行うのか伺います。
 多摩地区水道の経営改善について伺います。
 我が党では、さきの第二回都議会定例会において、多摩地区水道のレベルアップと地元事業者の活用について言及しました。平成二十三年度末の事務委託解消は間近に迫っており、広域的な施設整備や市町間の格差解消、市町の水道を長年支えてきた地元事業者の活用など、課題解決に向けた取り組みは急務と考えます。
 そこで、水道局では、新たな計画を策定しておりますが、具体的にどのような対応策を盛り込んだのか、また、今後しっかりと取り組んでいくべきと考えますが、決意のほどを伺います。
 次に、治水対策について伺います。
 今夏は中国甘粛省やパキスタンなど、世界各地で大規模な水害が発生しました。東京においても、七月の集中豪雨により、石神井川があふれ浸水被害が発生しています。また、本年は関東一円が浸水した明治四十三年の大洪水から百年の節目に当たります。先人は治水を百年の計としてとらえ、この洪水を契機に、首都東京を守るため、荒川放水路開削という偉業をなし、その恩恵を我々が今享受しております。
 近年、時間一〇〇ミリを超える局地的集中豪雨が多く発生していることを踏まえ、都の中小河川において、現在の河川の整備水準である時間五〇ミリを超える降雨にも対応していくなど、治水対策をさらに発展させるべきと考えます。今後、水害から都民を守るため、中小河川整備をどのように進めるのか、見解を伺います。
 河川整備による治水対策のほか、水害への備えとしては、内水はんらんの軽減のための取り組みも極めて重要であります。
 東京は、道路の下に下水道管が網の目のように張りめぐらされており、大きなものでは地下鉄が入るほどの規模であります。これらの下水道施設は、雨水の排除や貯留という重要な役割を果たすことで、日本の政治経済の中枢である東京の都市機能を、人の目に見えない地下から支えてきました。
 これまで一時間五〇ミリの降雨に対応できるよう、基幹施設の整備を着実に進めるとともに、局所的な集中豪雨に対しては、クイックプランなどに基づいて施設整備を進め、浸水被害の軽減に効果を発揮してきたことは評価します。しかし、最近のゲリラ豪雨による浸水被害の状況を考えると、さらなる浸水対策の強化が求められます。
 そこで、浸水被害の軽減に対して今後の下水道事業をどのように進めるのか、所見を伺います。
 次に、駐車問題について質問いたします。
 まず、駐車規制についてですが、平成十八年に民間の駐車監視員制度が導入されて以降、都内全域において、渋滞緩和や交通事故防止には一定の成果があらわれております。ところが一方で、路上での荷さばきなどの経済活動に支障を来すなどの弊害も出てきており、我が党はかねてよりこの問題に取り組み、過去の都議会での質問などで、駐車規制の緩和を求めてまいりました。これを受けて警視庁は、都民や周辺住民の意見を踏まえながら、荷さばき車両に配慮した駐車規制緩和区間を十カ所決定したと聞いております。
 今後、規制緩和を早急に実施できるよう準備を進めるとともに、さらなる緩和区間の見直しを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都民の日常生活や仕事をしていく中では、やむを得ない事情で短時間の駐車をすることがあります。しかし、幾ら短時間とはいえ、駐車禁止場所に駐車してしまえば、当然駐車違反ということになります。そこで我が党は、このような問題に対応するため、適切な場所に短時間の利用ができるパーキングメーターを設置することを提案したところであります。その後の警視庁における検討状況、今後の見通しについて伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 本年四月、都は、自主的取り組みに終始してきた我が国の温暖化対策にとって画期的な、国内初のキャップ・アンド・トレード制度を開始しました。今後、温暖化対策を真に根づかせていくためには、規制的手法の枠組みを活用しつつ、その対策が経済的なメリットも生み出し、さらに新たな環境ビジネスを育てていく好循環を実現することが必要であります。都は、本年度キャップ・アンド・トレードとともに中小規模事業所の省エネ設備の導入費用を助成し、この事業で生み出されたCO2削減量を大規模事業所の総量削減義務の履行に活用する省エネ促進プロジェクトを開始しております。
 こうした規制と誘導の組み合わせは、温暖化対策の推進はもちろん、中小企業にとっては設備更新の機会を拡大し、さらには新たな経済成長への波及効果も生み出す、まさに三方得の仕組みであると考えます。
 都は、規制の枠組みを経済活性化とともに両立させる、このような先進的な取り組みをさらに推進していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 私立幼稚園に対する補助について伺います。
 幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、私立幼稚園もその重要な役割の一端を担っています。とりわけ都内では、園児約十七万人のうち九割を超える園児が私立に通うなど、私立幼稚園に対する保護者などの期待は非常に大きいものがあります。
 ところが民主党政権は、国の就園奨励費を見直し、その対象園児の約七割を占める最大の階層で、保護者の負担を増加させる制度変更を行いました。我が党は、これに反対するとともに、都に対し激変緩和策を要望した結果、今年度限りの時限措置ではありますが、総額九億円に及ぶ私立幼稚園等就園奨励特別補助が創設され、保護者や幼稚園関係者から高い評価を得ております。一方、国の制度見直しに対しては、公平性に欠けると指摘する声が日に日に高まっております。
 国の来年度予算の概算要求を見ても、今年度、就園奨励費が減額された階層への補助単価は、若干増額されたものの、依然として大きな負担が残ることが懸念されます。このような一部の階層のみが負担増となる不公平な制度は是正されるべきものと考えますが、今後の都の対応について伺います。
 特別支援教育について伺います。
 平成十九年の学校教育法の改正により、特殊教育から特別支援教育に転換し、従来の特殊教育の対象であった視覚、聴覚、知的、肢体不自由、病弱の障害に加え、小中学校などの通常の学級に在籍する知的なおくれのない発達障害も、新たに対象に含まれることとなりました。
 また、特別支援学校に在籍する障害が重複する児童生徒の教育の充実を図るために、都道府県の実情に応じて、複数の障害に対応した特別支援学校を設置できるようになるなど、障害のある子どもの教育をめぐる状況は大きく変化しようとしています。これからの特別支援教育は、特別支援学校を設置する都道府県と特別支援学級を設置する区市町村とが、それぞれの役割分担に基づいて、障害のある子どものための教育環境を整備していくことが求められています。
 こうした中、本年七月八日に都教育委員会から東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画案の骨子が公表されました。そこでまず、都における障害のある子どもの教育を充実させていくために、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画の策定に当たっての基本的な考え方を伺います。
 次に、今回の骨子で示された障害のある児童生徒の将来推計によれば、平成三十二年度までに知的障害特別支援学校の在籍者が約二千五百人増加することが明らかになりました。都教育委員会は、これまでも東京都特別支援教育推進計画第一次、第二次実施計画において、特別支援学校の教室確保に努めてきましたが、今回の将来推計で、教室不足の状況はさらに厳しいものとなることが明らかです。
 今回の第三次実施計画は、東京都特別支援教育推進計画の締めくくりであると聞いております。したがって、骨子で示されている知的障害特別支援学校の再編整備は、これからの子どもの増加に十分に対応できるものとすべきと考えますが、見解を伺います。
 また、小中学校の通常の学級に在籍している発達障害の子どもは、知的なおくれはないものの友達とのかかわりがうまくとれない、こだわりが強い、落ちつきのないといったことから、学校生活上多くの課題を抱えています。各区市町村では、こうした子どもに適切な指導を行うため、情緒障害等通級指導学級の設置を進めていますが、今回示された障害のある児童生徒の将来推計によれば、平成三十二年度までに、同学級の在籍者が約四千人増加することが明らかになりました。
 こうした中、都教育委員会は、第三次実施計画において新たに特別支援教室構想を打ち出しました。この構想の実現に向けては、区市町村との緊密な連携が不可欠と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、スポーツ振興についてお伺いします。
 都は、スポーツ振興施策を一元的に推進し、一層の充実強化を図るため、スポーツ振興局を設置しました。従前からスポーツの持つ意義、魅力、影響力を強く訴え、スポーツ立国を第一に提唱してきた我が党としては、国に先駆けたこの取り組みを評価しております。
 スポーツ振興局の事業の中で、とりわけ平成二十五年の東京国体につきましては、都議会一丸となった招致活動もあり、開催が正式に決定し、いよいよ残すところ三年となっております。七月には大会の愛称やマスコットも決定したようであり、これから大会の開催機運を一気に盛り上げ、五十四年ぶりに首都東京で開催する国体を成功させなければなりません。
 全国障害者スポーツ大会とあわせ、今後、全都を挙げた開催への取り組みをどのように進めていくのか、実行委員会の会長でもある知事の所見をお伺いします。
 また、大会愛称やスローガン、マスコットキャラクターは、昨年来、制定作業を進めてきたものですが、東京国体ならではの特色やメッセージなどが込められているものと思います。そこで、これらがどのような考え方によって作成されたのか、お伺いします。
 続いて、都立スポーツ施設について伺います。
 都立スポーツ施設は、東京国体や国際スポーツ大会などの競技会場となるのみならず、都民が日常的にスポーツを楽しむ場としても重要な役割を担っています。また、スポーツを通じてにぎわいを創出し、地域を活性化する拠点ともなります。
 このほど、我が党がかねてから主張してきた区部における駒沢オリンピック公園総合運動場の改修、改築、そして多摩地域において新設される武蔵野の森総合スポーツ施設の基本計画が策定されました。東京のスポーツ拠点として、両施設の着実な整備を期待するものであります。
 そこで、今後、都は、この二つの施設を東京のスポーツ振興の中でどのように位置づけ、整備を進めていくのか、所見を伺います。
 結びに、東京都議会自由民主党は、今後とも、都民、国民の期待に真にこたえる政策を実現するべく、全身全霊をささげ、石原知事とともに進めてきた改革の原点、すなわち東京から日本を変えるという志を断固貫いていくことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三宅茂樹議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、地方税財源の拡充についてでありますが、地方の真の自立とは、地方がみずからの才覚と責任で地域を主宰していくことでありまして、そのためには、権限とそれに見合う財源を確保することが必要であります。
 社会保障など地方の役割がますます大きくなる中、一刻も早く地方消費税の引き上げを初め、税財源の拡充をすべきであります。
 破綻の危機に瀕した国家財政の立て直しは、遅々として進んでおりません。もとより、消費税の引き上げは不可欠であります。
 消費税の逆進性についていろいろ議論がありますが、課税対象の仕分けも含めて、これを決してタブーにせずに、いろいろ積極的な議論、検討をしていけばよろしいと思います。
 ゆえにも、国と地方とは、この問題に正面から向き合いまして、本気で取り組んでいきませんと、日本の未来はもうないと思いますね。
 いうまでもなく、かつては民主党の議員も国会で非常に強烈に反対をしておりました法人事業税の不合理な暫定措置は、本質的な問題の解決にはなり得ません。直ちに撤廃すべきだと思います。
 地方主権の理念を実現するために、東京の立場から、税財政制度の抜本的改革に早急に着手するように、国に強く迫っていくつもりであります。
 次いで、東京とアジアの発展についてでありますが、アジア大都市ネットワーク21は、各国の首脳部、心臓部であります都市が連携することで、アジアの可能性を花開かせ、新たなアイデンティティーを確立するとともに、アジアが世界を代表する新しい地域として自律的に発展することを目指してきました。
 アジア各都市が直面する問題を解決すべく、共同事業を推進しております。いろいろな事業を推進しておりまして、現場レベルでの技術、ノウハウの共有が進んでおります。
 東京は、みずからの成長、成熟の過程で獲得してきた数々の知識、経験を生かしまして、参加各都市との信頼関係を強固なものにしております。
 現実的、具体的な積み重ねこそが、アジアとの相互理解を推し進めるわけでありまして、東京が先導して、環境、経済、文化など幅広い分野での協力関係を築くことで、アジアの調和のとれた発展を目指していきたいと思っています。
 今まで何度も会議を重ねてまいりましたが、幾つか、その具体的な成果としてもたらされたものがございます。今、アメリカの妨害をはね返して、やっと三菱重工がつくろうとしている、世界で非常に需要度の高い中小型のジェット旅客機の開発、これは、この総会ではなしに、分科会で、三菱重工の専門家も含めた各国の航空機の専門家が合議してまいりまして、ようやく今度の計画の中に、台湾とインドがこの設計・製造部分に参加するということになりました。
 こういった国がさらに数多く参加することで、かつてYS11をアメリカが画策して東南アジアの販路をつぶしたという被害を避けて、アジア自身がつくったアジアのマーケットでこの飛行機が活躍するということを期待しております。
 さらに、危機管理ネットワークでは、アジアの危機管理会議で、災害に対する情報やノウハウを交換しまして、現に、先般の東京の災害対策の演習でも、ソウルや台北、シンガポールから専門家が参加してきておりまして、そのノウハウを持ち帰っております。
 また、さらに、アジア感染症プロジェクト、いつ爆発するかわからない鳥インフルエンザなどの感染症対策のためにも、情報共有のネットワークを整備しております。
 次いで、家族の重要性と社会の連帯の再生についてでありますが、人間はだれしも、他者とかかわることなしに生きてはいけません。家族は、そうした人間の人生を支える原理公理においての連帯の最小単位でありまして、しかし、最近の傾向として、高齢者の所在不明に関するいろいろな事象からも、家族は機能不全に陥っているということは、だれにも明らかであると思います。
 今日の日本は、残念ながら金銭が価値の第一になりまして、いたずらな権利主張が横行する一方で、社会や、国家や、あるいは自分の属している地域社会への帰属意識、責任感が失われつつあります。これは、家族が日本人の立場や世代というものを超えて継承していかなくちゃいけない垂直な価値の基軸というものを失いつつあるという証左だと思います。
 日本を立ち直らせるためには、家族を再生させ、社会の連帯も結び直さなくてはなりません。国民一人一人が、家族への愛着を持ち、社会、国家についても主体的に考えることが必要であると思います。まさに福沢諭吉がいったように、国を考えることは、公のことではなくて、私ごとであります。
 そうしたよすがともなるように、教育や青少年の健全育成、福祉、防犯などで、都民、地域がともに手を携える取り組みを都なりに進めてまいりました。
 長い年月を経て失ってきたものを、なかなか一朝一夕に取り戻すのは難しいと思いますが、しかし、日本人がかつて脈々と受け継いできたものを確かに伝えるべく、今後も多角的な取り組みを重ねていきたいと思います。
 先般、東京都で露見しました、三十年前に亡くなったおじいちゃんを弔いもせずにミイラ化して、その年金を詐取する、まして五年前に亡くなった連れ合いのおばあちゃんの、教員だった方の組合が家族を扶助する、それまで詐取したという、こういう人間としてまさに下劣な物の考え方、感じ方、生き方というのは、私は、本当に日本の民族そのものが、堕落して、衰弱してきた、その一つの典型的な証憑じゃないかと思います。
 次いで、築地市場の移転、再整備についてでありますが、築地市場は、施設の老朽化がもはや限界であります。耐震性やアスベストに不安を抱え、一たび震災に遭えば、市場機能が麻痺し、都民生活に甚大な影響を与えることになります。
 今、行政の責任として求められていることは、豊かで安定的な食の供給を将来にわたり確保するために、一刻も早く首都圏三千三百万人の食生活を支えるこの新市場整備を早期に進めていくことであると思います。
 現在、都議会において、現在地再整備の検討が行われておりますが、築地の置かれている厳しい現状を踏まえますと、もう残された時間は非常に少ないと思います。もはやこの問題をこれ以上先送りすることは許されません。
 勝手に振り上げたこぶしかもしれませんが、しかし、おろすことも国民のためでありまして、これは冷静にお互いに考える必要があると思います。
 既に、日本の最高権威の学者たちによって検証されているこの豊洲の土壌の汚染というものを、科学的、技術的に再生できるという証左があるわけですから、これを議会の方々も、冷静に、科学的に検査して、検証して、早急に結論を出し、都民、市場関係者に対して責任ある対応をすべきであると思います。
 その結果を踏まえ、市場に責任のある都として、この問題に対応してまいります。
 羽田空港の一層の活用に向けた取り組みについてでありますが、羽田空港は、いよいよ来月、新しい滑走路と国際線ターミナルの供用を開始いたします。東京の都心に極めて近い羽田が、国際線と国内線をあわせたハブ空港として本格的な国際空港に生まれ変わることによりまして、我が国の空のアクセスは新たな時代を迎えます。
 今後、この空港の持てる機能を十二分に発揮させることが不可欠でありますが、国も、一応体裁の上で、ようやく平成二十五年度には昼夜合わせた九万回を国際線に充てるとの方針を示しました。
 これは、しかし実際は、私が二期目のときに、当時の自民党の政調会長だった亀井静香君と図りまして、割と強引に調査費をつけまして、四番目の滑走路を決めた時点から、実は国交省は待ってたということでこれを受け入れまして、当然、この羽田を国際空港化し、二十四時間使用できるハブ空港にするつもりでございました。まさに東京都が主張していたとおりです。深夜、早朝枠に限定された欧州や米国便が、昼間の時間帯にも可能になるわけであります。
 ただ、これがいささかおくれたのは、工法に何通りかの案がありまして、それぞれそれに関係する業者の利権争いで、ちょっと合議がおくれたわけでありますが、ようやく今の形に決まりました。
 都はさらに、国内、国際線の割り振りが決まっていない残る二万七千回の発着枠についても、極力国際線に振り向けるように国に対して要請してまいります。
 都としても、都心から至近の距離にあります羽田の強みを最大限に生かすとともに、空港と首都圏全体との結びつきを強めるために、三環状道路を初めとする基幹的なインフラ整備の推進に取り組んでまいります。
 今後、首都東京が国際競争力の強化に資するこれらの新しいインフラを礎にして、東京はもとより、首都圏の活力を高め、我が国全体の発展を牽引していきたいと思っております。
 次いで、地球温暖化対策についてでありますが、ことしの記録的な猛暑や世界各地での異常気象は、地球の未来を危惧せずにはおられません。
 温暖化対策は、もはや一刻の猶予も許されない状況にあると思います。対策を実行する意思と能力を有する者が先行して取り組みを推進することが必要であります。
 都は、本年四月から、大規模事業所への総量削減義務制度を開始するとともに、これにあわせて中小事業所の省エネ投資を誘導する支援策にも着手いたしました。
 これらの施策は、最先端の空調機器や太陽光パネルなど、新たな投資を呼び起こす契機ともなりまして、省エネルギーや再生可能エネルギー分野の環境ビジネスをさらに発展させるものであると思います。
 都は、規制と誘導の的確な組み合わせによりまして、CO2の大幅削減と経済活性化の両立が可能であることを東京において示して、歩みの遅い我が国の地球温暖化対策を先導していきたいと思っております。
 東京国体と全国障害者スポーツ大会に向けた取り組みについてでありますが、国体は、多摩・島しょの豊かな自然や、歴史、文化、観光資源など、東京の多様な魅力を全国にアピールする絶好の機会であります。
 また、都においては、国体と全国障害者スポーツ大会を、全国で初めて一つの祭典として位置づけまして、スポーツ祭東京二〇一三としました。
 この大会は、障害の有無にかかわらず、すべての人がスポーツを楽しむことのできる社会を実現する契機となることを目指しております。
 こうした大会を成功させるために、都議会初め、区市町村、経済産業界、スポーツ団体など幅広い方々に参加をいただいて設立した実行委員会を中心として、開催準備に万全を期してまいります。
 他の質問については、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

○警視総監(池田克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、荷さばき車両に配意した駐車規制の見直しについてであります。
 これまで行ってきた実態調査により、規制緩和の必要性が高いと判断された約四十区間について、地域の住民及び物流事業者等との意見調整を行った結果、千代田区内などの十区間において、貨物自動車を対象とする規制時間の緩和について合意が調い、実施可能となりました。現在、十月中の実施に向け、標識設置等の準備を行っているところであります。
 今回実施できなかった残りの約三十区間の中には、実施が極めて困難と見られる区間も若干ありますが、その他の区間につきましては、引き続き地域住民等との意見調整を行い、荷さばき駐車のルールに関する合意が調った区間から、順次実施していくこととしております。
 今後とも、地域住民及び物流事業者等のご意見やご要望を十分に踏まえ、交通の安全と円滑を確保しつつ、荷さばき車両に配意した、よりきめ細かな駐車規制を推進してまいります。
 次に、短時間利用者のためのパーキングメーターの設置につきましては、本年第一回定例会でご提案をいただき、前向きに検討する旨お答えしたところでございます。
 現在、パーキングメーターの利用状況を把握するため、実態調査を実施中でありますが、調査の過程で、ご指摘のとおり短時間駐車の需要がある場所もございましたところから、駐車可能な時間を現行より短い二十分としたパーキングメーターを設置する方向で検討しております。
 今後、調査結果を踏まえ、場所の選定、現行手数料の見直し、標識の変更、パーキングメーター機器の改修等を行ってまいりたいと考えております。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画の策定に当たっての基本的な考え方についてでございます。
 障害のある子ども一人一人の可能性を最大限に伸長し、自立と社会参加を目指すためには、障害の種類や程度に応じた教育の場の整備と適切な就学の推進が重要でございます。
 このため、都と区市町村が役割を分担し、緊密な連携を図りながら、障害のある子ども一人一人の教育ニーズに応じた学校、学級の整備を進めてまいります。
 また、これまで以上に、小中学校と都立特別支援学校間の連携を強化するとともに、専門性の高い教員の育成などに努め、すべての学校において、特別な支援が必要な子どものための教育内容、方法の充実を図ってまいります。
 次に、子どもの増加に対応する知的障害特別支援学校の再編整備についてでございます。
 都教育委員会はこれまでも、第一次実施計画及び第二次実施計画の推進を通しまして、知的障害特別支援学校の教室確保に取り組んでまいりました。
 第三次実施計画の策定に当たりまして実施した障害のある児童生徒数の将来推計では、今後とも知的障害特別支援学校の在籍者数の大幅な増が見込まれておりまして、引き続き、あらゆる対応策を講じて教室確保に努めていく必要がございます。
 そのため、今回の第三次実施計画案の骨子では、知的障害特別支援学校の再編整備について、新設二校、増改築十三校及び他の障害教育部門の学校への併置化四校を提案しているところでございます。
 今後、具体的な再編整備の内容、スケジュールなどを明確化し、子どもの増加に対応した必要な教室数の確保に向けた実効性ある計画を策定してまいります。
 次に、特別支援教室構想の実現に向けた、区市町村との連携についてでございます。
 平成十九年の学校教育法の改正による、特殊教育から特別支援教育への転換に伴い、発達障害の児童生徒も新たに特別支援教育の対象に含まれることとなりました。
 現在、発達障害の子どもの教育の場として、小中学校に情緒障害等通級指導学級を設置して教育を行っておりますが、通級指導学級は在籍校を離れて通学しなければならないために、授業を抜ける不安や通学負担、学級担任と通級指導学級教員の連携のあり方などの課題が指摘されております。
 すべての小中学校に特別支援教室を設置する今回の構想は、これまでの通級指導学級のように児童生徒が在籍校を離れることなく、専門性の高い教員による巡回指導を受けられる体制を整備し、在籍校において適切な指導と支援を実施するものでございます。
 本構想の実現には、小中学校の設置者である区市町村の理解と協力が不可欠であるため、第三次実施計画では複数年をかけてモデル事業を実施することとしておりまして、その事業を通じて、巡回指導体制のあり方、専門性の高い教員の確保、育成など、区市町村と緊密な連携を図りながら、特別支援教室のあり方について研究、検証を進めてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港跡地のまちづくりについてでございますが、この跡地は、空港に接する希少な空間でございまして、今後、国際空港機能が一層強化される羽田をサポートするため、空港と一体となった利用を図ることが重要でございます。
 先月公表したまちづくり推進計画の素案は、このような視点から取りまとめたものでございます。
 具体的には、国際線ターミナルに接する第二ゾーンでは、環状八号線を多摩川沿いに移設して、空港と跡地の一体性を高め、民間の資金やノウハウを活用しながら、空港利用者のためのホテルや商業施設を早期に整備いたします。
 また、既成市街地に近い第一ゾーンでは、国際空港としてのポテンシャルや周辺の産業集積を生かし、産業交流施設などを導入いたします。
 さらに、空港に直結する第三ゾーンにつきましては、当面の土地利用を留保し、将来における空港関連施設等のニーズに柔軟かつ的確に対応してまいります。
 今後、羽田空港が本格的な国際空港としてスタートする十月に合わせて推進計画を取りまとめ、国、地元区と連携しながら、計画の早期具体化に向けて、鋭意取り組んでまいります。
 次に、昭和四十年代建設の大規模な都営住宅団地の建てかえについてでございますが、都営住宅については、老朽化した住宅の建てかえにより、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するとともに、敷地の有効利用を図って用地を生み出し、地域のまちづくりや都市再生に活用していくことが必要と考えております。
 四十年代建設の大規模団地についても、今後、こうした観点に立って、建設年次や老朽化の度合い、設備やバリアフリー化の状況、地域のまちづくりとの連携や周辺市街地の状況などを勘案して、早期に建てかえに着手すべき団地を選定し、建てかえ事業を実施してまいります。
 このような考え方に基づき、現在、住宅戸数が千戸を超える大規模団地の建てかえについて検討を進めておりますが、その中でも、有楽町線辰巳駅に近接して立地する辰巳一丁目団地は、建設年次が古く、建物や設備の機器、配管等の老朽化が進行し、また、ほとんどの住棟にエレベーターが設置されていないことなどから、今後、地元との調整も図りながら、速やかに建てかえ事業に着手いたします。
 本団地では、建てかえにより住宅の集約を行った後、用地を創出し、辰巳駅周辺にふさわしい都市機能の導入や都市基盤の整備などを進めてまいります。
 この辰巳一丁目団地に続き、他の大規模団地の建てかえ事業にも、順次着手してまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 二点についてお答えをいたします。
 まず、財政運営上の今後の取り組みについてでございます。
 二十一年度に一兆円もの減収となりました都税収入は、来年度においても大きな好転が期待できず、厳しい財政環境が今後も続くと見込まれております。
 こうした状況におきましても、都民生活が直面する課題に的確に対応するとともに、東京の可能性を引き出す中長期的な取り組みを継続的かつ積極的に展開をしていかなければなりません。そのためにも、引き続き堅実な財政運営に徹し、財政対応力を堅持する必要がございます。
 したがって、これまで以上に創意工夫を凝らすとともに、事業評価を一層強化するなど、あらゆるむだを排し、一つ一つの施策をより効率的で実効性のあるものへと磨き上げていく取り組みを徹底してまいります。
 このようなみずからを律する取り組みを不断に行った上で、都債や基金を、将来を見据えて計画的に活用し、基金残高をできる限り確保するなど、財政対応力を堅持しながら、都政の諸課題に着実に対処してまいります。
 次に、地方財政をめぐる国の動きについてでございますが、地方主権の理念を実現するためには、税財政制度の抜本的改革に早急に着手すべきでありますが、地方消費税の引き上げを含めた地方税財源のあるべき姿は、いまだ提示をされておりません。
 一方、来年度の国の予算編成や税制改正に向けて、国庫補助負担金の一括交付金化や法人実効税率の引き下げなどについて、議論が進められようとしております。こうした検討課題につきましては、都財政、ひいては地方財政に影響を与えかねないものもございます。
 例えば、国庫補助負担金の見直しに当たっては、本来国の関与をなくすべきものについては、これを原則廃止し、権限と財源を地方に移譲すべきでございます。
 ましてや、一括交付金化が、国の財源捻出や地方間の財政調整の手段として利用されてはならないというふうに考えております。
 また、法人実効税率の引き下げについては、地方財政に影響を与えないよう、国において十分な配慮が必要でございます。
 このように、地方財政をめぐる国の動きについては多くの課題があることから、都は時期をとらえて、国に対して必要な主張を積極的に行ってまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

○知事本局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、実行プログラムについてでございますが、これまで都は、「十年後の東京」計画で掲げた目標を実現するため、三カ年の到達目標と年次計画を明示した実行プログラムを毎年度改定し、実効性のある取り組みを展開してきたところでございます。
 実行プログラムの今回の改定に当たりましては、引き続き、社会情勢の変化や都政をめぐる新たな課題に対し、的確かつ迅速にこたえていく必要がございますが、この点に加えまして、東京を二十一世紀に真にふさわしい成熟した都市へとさらに進化させていくためには、これまでの取り組みを十分に検証した上で、将来につながる政策展開の方向性を提示していくことも必要であるというふうに考えております。
 こうした基本的な考え方のもとで実行プログラムを改定し、東京の魅力や機能をより高める取り組みを加速してまいります。
 次に、東京総会についてでございますが、アジア大都市ネットワーク21は、これまで多角的な共同事業を通じまして都市間の連携を深めてきたところでございますが、ただいまご指摘がございましたとおり、今後は、企業や住民などの各界各層が一段と相互に結びつく、次なるステップへと発展させていく必要がございます。
 そこで、総会のレセプションで、都内中小企業のすぐれた技術を会員都市の企業に紹介いたしますとともに、会議の中でも、アジアにおける官民連携の広がりについて討論する予定としております。
 さらに、産業交流展を総会と連動して開催することで、各都市の企業と東京の中小企業との交流を図りますとともに、会員都市の文化の紹介など、相互理解を深めるイベントも開催をいたします。
 この総会を足がかりに、多様な主体の活力を取り込み、アジアの連携をより強固にするよう取り組んでまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、今後の監理団体活用の取り組みについてでございます。
 今般作成した東京都監理団体活用方針に基づき、都は、政策推進の重要なパートナーとして、監理団体を一層活用するとともに、都民への説明責任を高めるため、経営の透明性をより向上させるなど、さまざまな改革に取り組んでいきます。
 具体的には、監理団体の締結する契約について、現行の公表基準を見直し、都から特命で受託した事業等にかかわる契約については二百五十万円以上といたしました。また、事業評価を充実し、都が監理団体に委託している事業等について、事業効果や効率性のみならず、団体がその事業を実施する妥当性等についても精査を行っていきます。今後とも、不断に改革に取り組み、都民に貢献する団体として、監理団体を積極的に活用してまいります。
 次に、都庁版人材バンクの整備についてでございます。
 退職する都幹部が在職中に培った知識や経験を活用し、社会に貢献していくことは有意義なことであります。今回新たに整備する都庁版人材バンクは、民間企業等も含め、幹部職員の再就職情報を一元的に管理して、人材の有効活用を図るとともに、都民から、公正な都政運営に疑念を持たれることのないよう、手続や結果の透明性、納得性の向上を図るものです。
 具体的には、民間企業等から新たに求人票を徴取するとともに、これまでも要請してきた営業活動の自粛について、書面での確認を求めるなど、企業等との関係をより厳正に保っていきます。また、再就職状況の公表につきましては、人材バンクの整備により、新たに民間企業等を加え、対象を部課長級にまで拡大をいたします。
 幹部職員の再就職につきましては、この都庁版人材バンクを適切に運用し、透明性の確保にこれまで以上に努めてまいります。
   〔会計管理局長新田洋平君登壇〕

○会計管理局長(新田洋平君) 今後の公会計制度改革の推進についてでございますが、これまで都は、意欲ある自治体に対し、職員の派遣やノウハウの提供など、さまざまな支援活動を単独で支援してまいりましたが、都と同様の制度導入に踏み切りました大阪府というパートナーが加わり、新たな局面に入ってまいりました。
 現在、都は首都圏において、大阪府は近畿圏を中心に、それぞれ知事会議等の場を通して、複式簿記導入の必要性のアピールを行うなど共同した取り組みを進めております。今後は地方における新たな公会計のさらなる推進を目的として、今月三十日に設置されます国の研究会に対し、積極的に意見を反映してまいります。
 さらに、この十一月に、公会計制度改革シンポジウムを共催して、全国にメッセージを発信し、複式簿記導入に向けた機運の盛り上がりを一層高めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 八点につきましてお答え申し上げます。
 まず、高齢者の見守りについてでありますが、ご指摘のとおり、今後増加が見込まれるひとり暮らしや高齢者夫婦のみの世帯が、家族の支えがなくても地域で安心して暮らし続けるためには、こうした方々を見守り、支え合う仕組みをつくることが重要であります。
 都はこれまで、区市町村包括補助事業を通じて、町内会、民生委員、ボランティアなどによる声かけや、配食サービスを活用した安否確認など、地域の実情に応じた取り組みを支援いたしております。
 さらに今年度からは、在宅の高齢者への訪問活動や相談対応などを行うシルバー交番設置事業を開始し、この事業の理解を深めるために、来月には、先進的な事例報告会の開催も予定しております。今後とも、区市町村と連携して地域におけるさまざまな取り組みを一層推進してまいります。
 次に、介護保険制度に関する国への提言についてでございますが、本年十一月に予定されております介護保険制度改正の基本的な考え方の取りまとめに、東京都の意見を反映させるため、今般、国に対して緊急提言を行いました。
 緊急提言では、大都市東京の地価や人件費の実態に見合うよう、介護報酬を抜本的に見直すこと、現在、都がモデル事業で実施しております認知症デイサービスセンターでの延長利用や宿泊サービスの提供について制度化を行うこと、施設の指定基準等を自治体の裁量と責任において定められるようにすることなど、二十五の提言を行っております。
 今後とも、平成二十四年四月の介護保険制度改正に向けまして、大都市東京の介護現場の実態を踏まえた具体的な提案を、あらゆる機会を通じて行ってまいります。
 次に、高齢者の医療制度についてでありますが、医療保険制度は、我が国の社会保障制度の柱の一つであり、将来にわたり国民皆保険を維持するためには、世代間の負担が公平で安定的に運営される持続可能な制度を構築することが必要でございます。
 しかしながら、高齢者医療制度改革会議の中間取りまとめでは、財政負担や制度の運営の仕組みなど、制度の根幹に係る部分は明らかにされておらず、現在の国民健康保険制度の問題点を放置したまま、区市町村国保の広域化という結論だけが先行いたしております。
 新たな制度の創設に当たっては、国の責任において、関係団体等の意見を踏まえ、十分に議論を尽くすべきであり、都としても、全国知事会と連携をしながら、国に働きかけを行ってまいります。
 次に、認知症疾患医療センターについてでありますが、センターは、認知症に関する専門医療を提供するとともに、地域の医療や福祉との連携の中核を担う医療機関として位置づけられておりますことから、整備に当たっては、東京の認知症医療や介護サービスの実態を踏まえ、センターが担う役割を明確にする必要がございます。
 このため、東京都では、東京都認知症対策推進会議のもとに、外部の専門家等から成る部会を設け、センターとして整備する医療機関の数、センターが取り組む具体的な事業内容、地域の医療機関との役割分担や連携方法等につきまして、本年八月から検討を行っております。今後、年内を目途に検討結果を取りまとめ、東京の地域特性に即した認知症疾患医療センターを整備してまいります。
 次に、がん検診についてでありますが、がん検診の受診率向上のためには、地域住民を対象とした区市町村の検診に加え、企業等が実施する従業員の検診においても受診を促進することが重要でございます。
 このため、都は昨年度、企業や健康保険組合等に働きかけ、検診の重要性について意識の向上を図りました。今年度は、従業員への受診勧奨や都民への普及啓発に積極的に取り組む企業を東京都がん検診推進サポーターとして認定し、独自に支援金を交付するなど、主体的な活動を促進する事業を立ち上げております。六月に募集を開始し、これまで生命保険会社や百貨店など十社を認定いたしております。今後も、がん検診の受診率向上のため、職場におけるがん検診の取り組みを促してまいります。
 次に、新型インフルエンザのサーベイランスについてでありますが、都は、患者の発生動向等を迅速に把握するため、サーベイランス体制の充実に努めております。
 具体的には、都内二百九十の医療機関を定点として、発生動向を把握するとともに、ウイルスの遺伝子分析等により、毒性の変化や薬剤耐性等を常時監視をいたしております。また、今月からは、秋冬の再流行に備え、学校、保育所で実施をしております早期探知のための集団サーベイランスの対象範囲を、高齢者や障害者施設などに拡大をいたしております。
 さらに、流行の拡大が予想された場合には、都内二十六の病院において都独自の入院サーベイランスを実施し、重症患者の迅速かつ的確な状況把握を行うなど、流行の動向を十分に監視してまいります。
 次に、再流行に備えた医療提供体制の確保についてでありますが、昨年の経験を踏まえ、既に都では、医療機関等の協力を得て、入院受け入れが可能な医療機関リストを作成し、患者の重症度に応じて受け入れ可能な病床数を把握いたしております。その数は、過去最大の季節性インフルエンザの流行規模にも対応可能であり、人工呼吸管理などが必要な小児重症患者に対応できる病床は、昨年の一・五倍の数を確保いたしております。
 また、外来診療を行う診療所などに対しては、患者の重症度に応じて適切に入院搬送先を選定できるよう、医療機関リストを配布するとともに、東京消防庁の救急医療情報システムを活用した迅速な搬送体制を整備いたしております。さらに蔓延期には、区市町村と連携し、休日、夜間等の外来診療体制も強化することとしております。
 今後とも、新型インフルエンザが再流行した場合、都民に適切な医療が提供できるよう、医師会、医療機関、区市町村等と十分に連携しながら、医療提供体制の確保に万全を尽くしてまいります。
 最後に、院内感染対策についてでありますが、医療機関には、細菌やウイルスによる院内感染を予防するため、医療法に基づきまして、院内感染対策委員会の設置や研修の実施等が義務づけられております。
 このため、都は、定期的な立入検査の際に、手洗いや消毒など基本的な予防策の徹底、委員会や研修の実施状況などについて確認をいたしまして、必要な指導を行っております。
 今回、発生をいたしました多剤耐性アシネトバクターの院内感染では、発生病院に対しまして緊急に立入検査を実施し、拡大防止策について指導するとともに、都内全病院に対して注意喚起を行い、対策の徹底を図るよう指示するとともに、立入検査においても薬剤耐性菌対策を重点的に確認することとしております。
 さらに、明日と来月三日には、都内全病院を対象とした講習会を開催をいたしまして、院内感染防止対策や発生時の対応方法について、改めて周知徹底を図るとともに、本年十月中には、院内感染予防対策マニュアルを改定するなど、医療機関における対策の強化を図ってまいります。
   〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕

○病院経営本部長(川澄俊文君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立病院の新型インフルエンザ対策についてですが、病院経営本部では、都立病院新型インフルエンザ対応マニュアルにおいて、入院、外来診療機能を確保するための医療用資器材等の備蓄、流行段階別の各病院の対応や、医療従事者の安全確保対策などを定め、強毒型の発生を視野に入れて新型インフルエンザ対策を進めております。
 また、感染が拡大した場合に、一般病室を陰圧管理に切りかえることが可能な感染症緊急対応病床を、多摩総合医療センター、小児総合医療センター及び駒込病院に整備したところです。今後とも、福祉保健局と連携し、新型インフルエンザ流行時における入院病床の確保など都内の流行段階に応じた対策を実施してまいります。
 次に、都立病院の感染症医療機能の強化についてですが、感染症医療は、都立病院の基本的役割である行政的医療の中でも、特に重要な医療課題であると認識しており、ハード面とソフト面の両面から対策を進めております。
 駒込病院においては、新たにエボラ出血熱、ラッサ熱などの患者を受け入れる病床を二床整備し、この五月に、第一種感染症指定医療機関の指定を受けたところです。
 墨東病院では、他の病棟から独立した感染症外来、感染症指定病床を整備する予定であり、また、地区医師会や保健所と協力し、感染症地域ネットワークを構築するなど、ソフト面の対策についても推進してまいります。
 さらに、今年度から、すべての都立病院に、感染管理看護長を配置し、院内の多剤耐性菌などによる感染症発生動向を常時調査分析し、必要な情報を周知するなどといった院内感染対策の充実を図っております。
 こうした多角的かつ重層的な対策を進めることにより、都立病院の感染症医療機能を引き続き強化してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、景気、雇用情勢の認識と対応についてでありますが、ご指摘のとおり、急激な円高は、輸出の減退や製造業の業績悪化を通じて中小企業の仕事が減少し、さらには雇用の縮小につながるおそれがございます。また、現下の円高水準が続けば、都内中小企業や雇用にとって大きな問題となりかねないと認識しております。
 都が行いました東京商工会議所等の中小企業団体へのヒアリングでは、製造業を中心に、受注単価の切り下げや受注の先行きへの懸念の声が多数ございました。
 こうしたことを踏まえ、産業労働局及び東京都中小企業振興公社において、円高対応特別相談窓口を新たに設置いたしまして、今回の円高に直面して、資金繰りや収益確保に苦しむ中小企業の相談に対して迅速かつ的確に応じてまいります。
 また、厳しい雇用情勢に対応するため、今月十四日、副知事を座長とする緊急生活・雇用対策連絡会議を開催し、雇用創出事業について都における対応を促進するとともに、早期実施を区市町村に要請いたしました。今後とも、経済情勢を注視するとともに、政府の追加経済対策の動向を把握し、適切に対応してまいります。
 次に、中小企業の販路開拓に対する支援についてでありますが、都が中小企業支援機関と連携して今年度から開始いたしました、目指せ中小企業経営力強化事業は、都内中小企業に経営診断を行い、経営上の問題点を明確にした上で、その解決に向けて都のさまざまな支援策を活用して対応を進めており、その中で販路開拓が必要な場合には、展示会出展の助成などを行ってきております。
 この展示会出展の助成などについては、八月末までに、今年度に想定していた二百件を上回る二百二十八件の申し込みを受けておりまして、現在新規の申込受け付けをお待ちいただいている状況にあります。
 今後も、経営診断により、みずからの経営力を高めたいとする企業や、診断に基づき展示会出展等の支援の活用を希望する企業が見込まれますため、展示会出展の助成件数の拡大を図るなど、本事業を通じて的確な中小企業支援を実施していく考えであります。
 次に、海外販路拡大の課題への取り組みについてでありますが、中小企業が海外で販路開拓を進める上で、現地の情報収集を単独で行ったり、さまざまなリスクをみずからの力だけで回避することは困難な場合が多いため、行政による着実な支援は極めて重要と認識しております。
 今年度から開始した海外販路開拓支援事業において、中小企業にアドバイス等を行う海外販路ナビゲーターが既に数多くの相談を受けております。具体的には、当初想定しておりました機械、金属、生活産業等に加え、精密機械、環境エネルギー、情報サービスなどの分野の相談も含まれており、今後は、より広い分野について情報提供や相談対応の充実が必要と考えております。
 相談案件のうち販路拡大が見込まれる製品については、ナビゲーターが海外の見本市に同行いたしまして、商談の成立に向け、きめ細かなサポートを行うなどの取り組みをより一層充実させていくことも必要でございます。
 また、海外における知的財産保護の面では、近年、中小企業から模倣を防止し、有利なビジネス展開を図るアジア各地域を対象とする知的財産戦略の策定など、複雑で高度な相談が増加しており、東京都知的財産総合センターによる適切な対応が不可欠になると考えております。
 今後とも、海外販路の開拓に取り組む企業を支援するため、的確な事業展開を行ってまいります。
 次に、新卒者の就職支援についてであります。
 ご指摘のとおり、都内にはすぐれた人材を求める中小企業が多くあり、こうした中小企業の魅力を新卒者に伝え、就職に結びつける取り組みを進めるとともに、新卒者の職業意識の醸成を図ることが重要と認識しております。
 このため、東京しごとセンターでは、新卒者がみずからの職業適性を見きわめ、社会人としての心構えや職業意識を養うためのセミナーや企業での就業体験などを行っております。加えて、企業との交流会、説明会等を通じたきめ細かいマッチング支援を実施しております。
 また、十一月と来年の二月に新卒者向けの合同面接会を開催いたします。今年度は、参加企業数を昨年度より百社ふやして合計四百社とし、多くの中小企業と新卒者が面接する機会を提供いたします。
 さらに、採用意欲のある企業と交流の場を設けるために、十一月の面接会につきましては、産業交流展二○一○と同時開催するとともに、今後就職活動に入る学生も対象としたものづくり就職フェアをあわせて実施いたします。この就職フェアでは、すぐれた技術や製品を持つ出展企業から学生が直接説明を聞き、進路選択の参考にできる見学ツアーなどを新たに実施いたします。
 今後とも、新卒者に中小企業の魅力を発信するとともに、多様なマッチングの機会をさらに充実させることにより、厳しい就職環境の中にあっても、意欲ある新卒者が社会人としての第一歩を踏み出せるよう全力を挙げて支援してまいります。
 最後に、都市農業の振興についてでありますが、農地制度や税制度について、都はこれまで、生産緑地制度や相続税制度の改善を国に強く要望してまいりました。一方、若い農業者が都市農業を安心して継続していくためには、経営力の強化が重要であります。
 このため、都は、今年度から新たに、農業経営の改善に積極的に取り組む農業者に対し、施設整備などの支援とあわせて経営の専門家などを派遣する都市農業経営パワーアップ事業や、都内産農産物の都心への流通ルートを構築していくため、学校給食をモデルとして、食の安全・安心地産地消拡大事業をスタートさせました。
 今後も、こうした取り組みにより、若い農業者が希望を持って農業経営が行える環境づくりに積極的に取り組んでまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、外環整備に対する今後の都の取り組みでございますが、外環は、東京の最大の弱点である交通渋滞の解消のみならず、広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路であります。近年のアジア諸国の急速な成長の中で、我が国の国際競争力を高め、経済を再び成長軌道に乗せていくためには、首都圏の陸海空の交通物流ネットワーク強化が喫緊の課題であります。
 国際化の進む羽田空港や国際コンテナ戦略港に選定された京浜港とともに、そのネットワーク効果を発揮させる外環は、極めて重要なインフラであり、可及的速やかに完成させなければなりません。
 このため、都は、全国屈指の用地取得の経験と実績を生かし、外環大泉事務所において、地元地権者の方々からの相談や具体的な質問にお答えするなど、積極的に対応を行っております。
 本年八月、道路区域が決定され、今月には、都が受託している大泉地区と国がみずから実施している三鷹地区において、初めての用地取得の契約を締結したところであり、地元では、用地の買い取り要望や早期完成への機運が大きく高まっております。
 今後とも、都はこうした期待におこたえするべく、必要な事業費の確保と、一日も早い工事の着手を国に強く申し入れていくとともに、都民の理解と協力を得ながら、全精力を傾注し、外環の早期完成に向けて事業を加速させてまいります。
 次に、連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することにより、道路ネットワークの形成を促進するとともに、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業でございます。
 現在、七路線八カ所で事業を進めており、このうち京浜急行本線・空港線京急蒲田駅付近では、平成二十四年度の全区間高架化に先立ち、一昨日の二十六日に、環状第八号線と交差する下り線を高架化いたしました。これにより四カ所の踏切を除却し、環八に唯一残されていた踏切では、最大約七百十メートルあった渋滞が解消しました。
 また、JR中央線では、昨年末に高架化した三鷹駅から国分寺駅間に引き続き、本年十一月に、西国分寺駅から立川間の上り線を高架化し、五カ所の踏切をすべて除却いたします。これにより三鷹駅から立川間の全区間において高架化が完了いたします。
 一方、新規箇所につきましては、二路線四カ所で事業化に向け、諸手続を進めております。このうち京王線八幡山駅から仙川駅間では、国の交付金を活用し、本年度から着工準備に取り組んでおり、都心側の隣接する笹塚駅から八幡山駅間と一体的に、都市計画及び環境アセスメントの手続などを、より一層積極的に進めてまいります。
 また、西武新宿線では、中井駅から野方駅間の都市計画案及び環境影響評価書案の説明会を本年十月に開催する予定であり、東村山駅付近においても、都市計画等の手続の着手に向けて関係機関と調整を図ってまいります。
 今後とも、必要な財源の確保に努めるとともに、区市や鉄道事業者と連携し、連続立体交差事業をさらに推進してまいります。
 次に、東京と神奈川を結び、新たなネットワークを形成する橋梁整備についてでございますが、東京と神奈川を結ぶ道路は、都市間を連携し、交通の円滑化や緊急輸送路としての防災性の向上はもとより、京浜三港や羽田空港などを結ぶ広域物流ネットワークの形成を図る上で必要不可欠な都市施設でございます。
 このうち、放射第三号線は、港区白金台一丁目から世田谷区玉堤二丁目に至る延長十キロメートルの都市計画道路であり、さらに新横浜駅に至る重要な骨格幹線道路でございます。このため、多摩川の橋梁を含め、都県境の整備について、都は川崎市と協議を重ねてきており、現在、川崎市は、放射第三号線に接続する道路について、都市計画変更の手続を行っております。
 橋梁部の新設に当たっては、都が整備主体、市が管理主体となり、それら費用は双方が負担することで川崎市と協議を進めており、今後、基本協定を締結し、地質調査など具体的な検討を行い、未整備区間の早期事業化に向け、積極的に取り組んでまいります。
 最後に、今後の中小河川整備の進め方についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、中小河川の整備を効果的に進め、早期に安全性を向上させていくことが重要でございます。
 都はこれまで、一時間五〇ミリの降雨に対処できるよう河川の拡幅や調節池、分水路の整備を進め、計画延長に対する治水安全度を七五%まで向上させました。また、現在、古川や白子川の地下調節池、入間川分水路の整備を進めるなど、五〇ミリ降雨対策のスピードアップを図っております。
 さらに、近年多発している局地的集中豪雨の増加などを踏まえ、今後の河川整備のあり方について検討を進めており、例えば、複数の地下調節池をトンネルで連結し、流域を超えて相互に活用できる広域調節池など、局地的かつ短時間の集中豪雨などにも有効な河川施設を検討しております。
 今後とも、都民が安心して暮らせる東京の実現を目指し、中小河川の整備に全力で取り組んでまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

○港湾局長(中井敬三君) 国際コンテナ戦略港湾に対する国の重点投資と都の取り組みについてお答えをいたします。
 国土交通省は、今回選定した国際コンテナ戦略港湾に対し、直轄事業で港湾施設を整備する場合の国費負担の拡充、ガントリークレーンへの補助制度の創設、新たな港湾経営主体を対象とした優遇税制の創設などを実現すべく、取り組みを進めていると聞いております。
 都といたしましては、こうした国の取り組みが確実に実施されるよう、引き続き強く働きかけを行ってまいります。
 また、こうした国の支援措置をてこにして、中央防波堤外側における新たなコンテナターミナルの整備を進め、東京港の機能増進を図るとともに、川崎港、横浜港と協力して、東日本全体からの貨物集荷策を強化していくなど、国際競争に伍していける港づくりを、さらに積極的に進めてまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 多摩地区水道の新たな計画についてでございますが、当局では、これまで多摩地区水道の経営改善に取り組んでまいりましたが、その中で顕在化した区部との施設整備水準等の格差につきまして、今後五カ年の間で可能な限り解消することとし、先月、緊急的な措置も含めた多摩水道改革計画を策定いたしました。
 具体的には、喫緊の取り組みとして、広域的なバックアップ機能を強化するため、市町域を超えた配水管のネットワーク化などの施設整備を積極的に進めるほか、検針、収納業務などの格差を解消してまいります。
 また、工事請負単価契約等につきましては、効率性や透明性を確保する観点から、平成二十四年度以降、都の契約方法へ段階的に見直していくこととしておりますが、これまでの歴史的経過を踏まえ、当分の間、特段の配慮をしつつ実施してまいります。契約の見直しに際しては、地元事業者に対して技術力強化のための資格取得支援などを充実してまいります。
 さらに今後、施設整備が本格化し、業務量が増大することから、これまで地域の水道を担ってきた地元事業者の積極的な活用を図ってまいります。都営水道にふさわしい広域水道としてのメリットをより一層発揮できるよう、市町や地元事業者など関係者と協力しながら、計画の着実な推進に向けて全力で取り組んでまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

○下水道局長(松田二郎君) 下水道事業における浸水被害の軽減についてのお尋ねでございます。
 雨水整備クイックプランでは、世田谷区上馬など四十二地区で、雨水を貯留する施設の整備など緊急的な対策を実施し、浸水被害の軽減を図ってまいりました。
 現在、浸水の危険性の高い二十地区に重点化をし、雨水を排除する能力を増強するため、下水道幹線やポンプ所など基幹施設の整備を進めております。
 さらに、浸水被害による影響の大きい大規模地下街などへの対策として、これまで整備している新宿駅や池袋駅周辺などの四地区に加えまして、新たに上野駅や新橋駅周辺などの五地区を対象に、一時間七五ミリの雨に対応できる貯留施設などの整備を進めてまいります。
 加えて、石神井川流域など七つの河川流域のうち、地盤が低く浸水被害が発生しやすい地域について、雨水を排除する能力を増強するため、貯留施設の整備など、新たな施設計画を順次検討してまいります。今後とも、浸水被害を軽減するため、地元区や河川整備と連携を図りながら、下水道事業を着実かつ積極的に推進をしてまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 私立幼稚園にかかわる就園奨励費についてでございますが、国は、本年四月、制度対象園児の約七割を占める世帯年収三百六十万円を超え、六百八十万円以下の階層で、補助単価を三割減額するなどの見直しを行いました。
 このため、都は国に対し、すべての階層区分において補助単価を減額しないことを緊急要望するとともに、本年度限りの時限措置といたしまして、都独自の特別補助を創設し、激変緩和を図ったところでございます。
 国の制度変更による保護者の負担増は、本来、国の責任で是正すべきものでありますが、来年度予算の概算要求では、減額された階層への補助単価を四千円引き上げるものの、依然として、昨年度に比べ一万四千六百円の負担が残る状況でございます。
 就園奨励費は、保護者の経済的負担の軽減を図り、人格形成や学力、能力の基礎を培う幼児教育を推進するための重要な制度でございまして、都は引き続き補助単価の改善を国に働きかけるなど必要な対策を行ってまいります。
   〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕

○スポーツ振興局長(笠井謙一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京国体及び全国障害者スポーツ大会の愛称等についてでございますが、愛称、スローガン及びマスコットキャラクターは、昨年十一月から公募を行いまして、多くの方々のご応募をいただき、その作品をもとに必要な修正を加えて作成いたしました。
 大会の愛称は、国体と全国障害者スポーツ大会を一つのスポーツの祭典として表現するため、スポーツ祭東京二○一三といたしました。
 スローガンは、「東京に 多摩に 島々に 羽ばたけアスリート」といたしまして、多摩・島しょを中心に、東京都全域でアスリートが活躍するというメッセージを込めているものでございます。
 マスコットキャラクターは、都民の鳥であるユリカモメをかたどり、夢や目標に向かって力強く羽ばたく姿を表現しております。今後、これらを大会のシンボルとして活用いたしまして、積極的な広報活動を展開することにより、開催機運の盛り上げを図ってまいります。
 次いで、都立スポーツ施設の整備についてでございますが、これらのインフラ整備は、スポーツ人口の拡大や競技力の向上を図ると同時に、スポーツが都市を躍動させるというスポーツ振興基本計画における都市づくりの観点からも重要でございます。
 今回、基本計画を策定した二つの施設は、全都的な施設であり、各種の競技大会や大規模イベントの会場として地域の活性化にも貢献するものであります。
 さらに、身近なスポーツ活動の場である区市町村の施設と連携しながら、子どもから高齢者、また、障害の有無にかかわらず、すべての都民が安心してスポーツを楽しめる施設としてまいります。
 駒沢オリンピック公園総合運動場と、武蔵野の森総合スポーツ施設のエリアには、ともにさまざまなスポーツ施設が集積していることから、それぞれ東京のスポーツの一大拠点として、施設整備を着実に進めてまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の 都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後五時五分休憩

   午後五時二十一分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十五番藤井一君。
   〔八十五番藤井一君登壇〕

○八十五番(藤井一君) 都議会公明党を代表して質問を行います。
 東京都は、平成二十一年度の都税収入が前年度比で一兆円減少するなど、都財政は厳しい状況に直面しましたが、十年来に及ぶ行財政改革の努力により培ってきた財政対応力を存分に活用し、都民サービスに支障を生じさせることなく、大幅な税収減に対応することができました。
 それを可能とした重要な要素の一つが、我が党の提案を受け、知事のリーダーシップのもと、全国に先駆けて導入した本格的な複式簿記・発生主義会計であります。
 制度導入をきっかけに、いわゆる隠れ借金の解消に向けた取り組みが急速に進んだ一方、減価償却の導入により、設備更新など将来の財政需要の増加に備えた基金の積み立ても充実しました。
 このように財政運営に新公会計制度を活用した都が成果を上げる一方で、国を初め、全国自治体での公会計制度改革のおくれは好対照をなしております。
 知事は本会議冒頭で、十一月に公会計改革白書を公表すると表明されました。そこで、この新たなツールとしての白書を活用しながら、例えば、新公会計制度を主要テーマとした大都市を擁する都道府県サミットを開催するなど、角度をつけたアプローチを積極的に行っていく必要があると考えます。知事の決意を伺います。
 さて、ただいま申し上げたとおり、都は新公会計制度を活用した堅実な財政運営を進めてきましたが、昨今の景気低迷の中、都財政を取り巻く環境は非常に厳しく、当面大きな好転を期待できない状況にあります。
 一方、医療、介護、環境などの行政需要は質、量ともに拡大、多様化してきており、これらを実際に担っていく都の役割は一層重要となっております。
 今後、都が期待されている役割を着実に果たしていくためには税財源のさらなる拡充が欠かせません。にもかかわらず、国は、こうした本質的な地方税財源についての議論を置き去りにしています。
 ましてや、法人事業税の暫定措置については、撤廃に向けた議論すら行っておらず、このような国の姿勢を見過ごすことはできません。地方税の原則をゆがめ、地方分権改革に逆行する暫定措置の即時撤廃を引き続き強く訴えていく必要があると考えますが、見解を求めます。
 次に、東京の国際競争力の向上に向けた取り組みについて質問します。
 東京は、世界でも類を見ない公共交通網の利便性、また、世界有数の安全かつ清潔な都市空間であるなど、海外の諸都市よりすぐれた特性を数多く備えています。
 その上で、今後、国際都市東京として発展させていくためには絶好のチャンスとなるのが、来月二十一日に迫った羽田空港の国際化と、先月、国から選定された京浜港国際コンテナ戦略港湾であり、その拠点が臨海副都心であります。
 臨海副都心は、二十四時間離着陸が可能となり、世界じゅうから年間一千万人が渡航する羽田空港から直線距離にしてわずか六キロメートルです。加えて、地下共同溝が張りめぐらされ、情報通信機能も世界最先端の技術が配備されており、海外の本社機能を十分に集積できる未来都市であります。
 そこでまず、臨海副都心に海外からの本社機能や投資を集積させ、新たな国際ビジネスチャンスの拠点となるよう思い切った税制優遇などの施策を講じ、経済特区として政策誘導を図るべきであります。見解を求めます。
 臨海副都心を国際ビジネスチャンスの拠点とするためには、羽田空港と直結させる交通インフラの整備が不可欠です。
 そこで、羽田空港跡地の地下に既設されている東海道貨物支線をりんかい線と結び、旅客用路線として羽田から臨海副都心への移動時間を短縮させるなど、公共交通アクセスの利便性を高めるべきであります。見解を求めます。
 また、東京港にコンテナを飛躍的に集積させ、ハブポートとして物流の活性化を図るためには、京浜港国際コンテナ戦略港湾に選定されたチャンスを最大限に活用し、利用者にメリットのある港湾整備とインフラ整備を加速させるべきであります。
 さらには、税制面の優遇措置や港湾利用料の引き下げなど、東京港の大きな魅力を発信し、利用者にインセンティブを与えることができるよう国に強く支援を求めるべきであります。あわせて見解を求めます。
 このように、国際都市東京を実現するためには、羽田空港や東京港を含め、臨海エリアについて、その潜在能力を最大限に引き出すべく、東京の国際競争力の強化に向けた都市戦略を進めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、災害対策について質問します。
 この夏、都内を集中豪雨が襲い、河川の洪水による住宅や事業所が浸水する被害や、下水道から雨水があふれ出す内水はんらんなど、各所で甚大な被害が発生しました。
 都議会公明党は、現場に駆けつけ災害状況を確認するとともに、翌日には都知事に対し、時間五○ミリをはるかに上回る局地的集中豪雨に対応できる河川整備の促進や、都民の生命、財産を守る万全の体制を強く求めました。
 現在、都は、時間五○ミリの降雨量を基準に河川の整備を進めていますが、一○○ミリを超える集中豪雨には対応できておりません。早期にこれらの降雨に対応できるよう対策を進めるべきです。今後の中小河川整備の取り組みについて、都の見解を求めます。
 住宅などが密集する都心部で河川の整備水準を引き上げるには、一時的に河川の水をためる調節池の活用が有効であり、東京都技術会議は六月二十八日の最終報告で、複数の調節池を連結する広域調節池の構想を提言しています。
 そこで、環七の地下に石神井川の調節池を新たに整備し、南側にある神田川・環七調節池と北側に建設中の白子川の地下調節池を連結すれば、各河川で対応力が大幅に向上します。今後の河川整備を進める上で、広域調節池は効果的な方策と考えますが、都の見解を求めます。
 浸水対策では、下水道から水があふれる内水はんらん対策も急がなければなりません。特に地下利用が高度に進む都心部では、地下街への浸水は地下鉄などの交通機能の麻痺や人命にかかわる深刻な事態を招きます。大規模な地下街を有する地区やくぼ地など、浸水による危険性の高い地区は優先的に集中豪雨対策を実施すべきです。都の見解を求めます。
 次に、耐震化の推進について質問します。
 都は、我が党のたび重なる主張もあって、首都直下地震や東海地震などの発生に備え、防災上の重要な建物や都市インフラを初め、木造住宅、マンション、緊急輸送道路沿道の建築物等の耐震化に取り組んできました。
 しかし、いずれも耐震診断や改修が所有者の意思にゆだねられている点や多額の費用負担などの点でなかなか進んでいないのが現状です。巨大地震発生の切迫性が指摘される中で、一刻も早く震災時における人的被害を極力抑え、都市機能を確保するための大胆な対策を講ずるべきであります。耐震化の状況を踏まえ、今後の建築物の耐震化施策の方向性について、知事の所見を伺います。
 次に、具体的な耐震促進策について質問します。
 まず、救急医療機関についてであります。
 これまで東京都指定二次救急医療機関の耐震化のおくれが課題となっておりましたが、一部を除いて耐震化された病院も含めると、ことし八月の時点でようやく八割の状況となりました。
 残りの二割の救急医療機関は、耐震化のための資金、移転建てかえや増改築に伴う用地の確保、工事期間中の来院、入院患者対策など多くの課題に直面していると聞いております。耐震化を進めるために、改めて病院ごとの課題について実態を調査し、対応を講じるべきと考えますが、見解を求めます。
 昨年度、国の補正予算で設けられた医療施設耐震化緊急整備事業には、都内で二十九病院が応募しましたが、国の採択は五病院にとどまりました。
 今回の経済対策にも病院等の耐震化対策臨時特例交付金が盛り込まれましたが、単年度限りであり、昨年度の一千二百二十二億円に対して、学校分も含め五百七十一億円と聞いており、半分にも満たない金額です。
 そこで、救急医療機関の耐震化を促進するために、国に対して本予算化を提案、要求すべきであります。また、国の状況にかかわらず、今年度拡充した都の支援策は継続し、耐震化を促進すべきであります。あわせて見解を求めます。
 次に、学校の耐震化について質問します。
 公立小中学校の耐震化について、都は、平成二十四年度末までに耐震化の完了を目標にしており、ことし四月一日現在で八八・四%まで到達しました。
 しかし、区市町村で耐震化率の格差が生じているほか、多摩地域を中心に耐震化のおくれが目立ち、現状では、平成二十四年度末までに一○○%耐震化の達成が危ぶまれる状況になっております。
 平成二十二年度の国の公立学校施設整備費当初予算では、耐震化等のために全国の公立学校で必要な経費を大幅に下回る予算となり、世論の強い批判を受け、慌てて予備費を充当するという腰の定まらない対応となりました。これでは自治体は安心して耐震計画をつくることができません。
 また、耐震対策として国は、地震防災対策特別措置法の特例措置により、倒壊の危険性の高い建物については国庫補助率をかさ上げしておりますが、この特例措置が平成二十二年度末で終了となります。
 そこで、都は国に対し、公立学校施設の耐震化予算の安定的かつ十分な確保や、補助率のかさ上げ特例措置の延長を要望すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、私立学校、私立幼稚園の耐震化についても、公立学校と同様に支援策を強化すべきです。見解を求めます。
 次に、震災時の応急給水における自治体との連携について質問いたします。
 切迫する首都直下地震が発生すれば、都市インフラは大きな被害を受けます。中でも水道施設の被害は大きく、一部地域では断水率は最大で約八○%にも達すると予測されています。
 都の計画では、住民への給水は、都が応急給水拠点を整備し、自治体が応急給水拠点で被災住民に水を配布することになっています。
 しかし、実際には水を配布する自治体の職員自身が被災してしまい、給水拠点に参集できないという事態も生じかねません。このため、区市町では、町会、自治会と協力し、震災時に不足するマンパワーを補う方策を模索しております。
 そこで、都が応急給水拠点で行われる活動計画を把握し、震災時の応急給水対策が十分に機能するよう取り組んでいくべきと考えます。見解を求めます。
 首都直下地震の場合、応急対策が一段落した後は、都市や産業の復興とともに住宅の再建など、都民の生活復興をスムーズに進めることが課題になります。
 その際の支援制度として、被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給や応急仮設住宅への入居、固定資産税の減免などの公的支援のほか、住宅ローンの支払い猶予など民間でも支援メニューが用意されると考えられます。
 被災者がそれらの援助を受けるためには、原則として区市町村が発行する罹災証明により、被災者であることや被災の程度を証明することが必要になります。
 三年前の新潟県中越沖地震に見舞われた柏崎市では、電子地図を活用した事務の軽減や円滑化に取り組み、従来は手作業で行っていた被害調査と住民登録データや家屋データの照合作業を大幅に効率化し、円滑な発行に効果を上げたと聞いております。
 都は震災復興マニュアルにより罹災証明の発行手順を定めていますが、数百万棟にも及ぶ住宅被害さえ予想される首都直下地震が発生した場合、区市町村が円滑に罹災証明を発行できるようにする新たな取り組みが急務と考えます。都の見解を求めます。
 次に、うつ病、自殺、児童虐待や高齢者の孤独死などの問題について質問します。
 公明党は、こうした課題解決に取り組む観点から新しい福祉を提案し、課題解決に力を入れているところであります。
 そこでまず、精神疾患の治療に有効とされる認知行動療法について質問いたします。
 認知行動療法は、精神疾患患者の考え方に注目し、対話を通してサポートする精神療法の一つで、薬物療法との併用で効果が高まることがわかっています。
 本年四月からは、公明党の推進もあり、認知療法、認知行動療法が新たに医療保険の対象になりました。あわせて、国においては、認知行動療法を普及するため、今年度から医師等に対する専門研修が開始されました。
 そこで、東京都においても、診療を希望する方がスムーズに受診できるように、医療保険の適用の有無も含め、実施医療機関の情報を把握し提供するなど認知行動療法の普及を進めていくべきであります。見解を求めます。
 また、保険適用が始まったものの対象が限定的であり、都は国に対し、保険適用範囲の拡大を要望すべきであります。見解を求めます。
 先日、都議会公明党は、都立中部精神保健福祉センターを視察いたしました。同センターでは認知行動療法を積極的に活用し、うつ病により失職、求職中の患者を対象にした通所訓練や若年者向け薬物療法乱用防止プログラムなどを実施しています。
 このうち、復職を目指すうつ病リターンワークコースでは、二○○五年度から五年間で利用者三百三十五人に対し、何と約九割の三百人が復職を果たしており、刮目すべき成果であります。
 こうした精神保健福祉センターで取り組んできた認知行動療法に関するノウハウを都内の医療、福祉の関係者に広く普及すべきであります。見解を求めます。
 さらに、都立病院においても認知療法、認知行動療法を先駆的に取り入れていく必要があると考えますが、見解を求めます。
 次に、単身高齢者支援について質問します。
 足立区に端を発した高齢者の所在不明問題は全国的な広がりを見せていますが、「単身急増社会の衝撃」の著者である藤森克彦氏によれば、単身世帯は人口集中地区に居住する傾向が見られ、二○○五年の都道府県別の男性の単身世帯比率はすべての年齢階層で東京都がトップであり、女性も二十代から六十代までは東京都がトップであります。
 大都市に暮らす住民にとって、孤独死はもはや他人事でなく、現在と将来にわたり、だれにでも起こり得る現実であります。そこでまず、大都市の社会的病理ともいえる孤独死の現状について、知事の認識を伺います。
 ところで、国や自治体だけでは十分に対処できない貧困や地域医療、要介護などの社会的課題に対し、近年その効力が注目されてきているのが、地域住民のネットワーク活動や相互信頼、自発的な協力関係等の地域の共同資源、すなわちソーシャルキャピタルによる解決であります。
 内閣府が二○○二年度に実施した都道府県ごとの調査によれば、ソーシャルキャピタルが豊かな地域ほど失業率や犯罪率が低く、出生率も高く、平均寿命も長いことがわかっています。
 今回の高齢者の所在不明問題は、大都市東京においてこのソーシャルキャピタルが低下していることを象徴した事件ともいえます。こうした新たな課題に適切に対応するために、都は現場を抱える区市町村の意見や要望を改めて把握し、支援を講じていくべきであります。見解を求めます。
 一方で、高齢者の見守りに当たっての課題は、個人情報保護法令との調整であります。
 例えば、災害時に高齢者や障害者らの避難を円滑にするため、全国の自治体では要援護者名簿の作成が進められていますが、総務省の調べでは対象者のほぼ全員の名簿を作成した自治体は三三%にとどまっています。
 その原因として、都民、自治体双方の個人情報保護法令に対する誤解や、そこから生じる過剰反応があると指摘されています。都は、都民、自治体双方に正しい理解が促進されるよう積極的な取り組みを行っていくべきであります。見解を求めます。
 次に、児童虐待対策について質問します。
 ことしの猛暑の中、大阪市の幼いきょうだいが母親に置き去りにされ、何も食べるものがない部屋で寄り添うようにして亡くなりました。
 悲惨な児童虐待から、かけがえのない子どもたちの命を何としても守らなければなりません。平成二十年には改正児童虐待防止法が施行され、児童相談所の家庭への立入調査の権限が強化されました。
 しかし、一方で、次から次へと発生する虐待事案に真正面から向かい合い、対応する児童福祉司の確保は不十分な状態です。一人の児童福祉司が人口約七万人もの区域を担当している東京では、虐待相談対応件数は平成十二年には一千八百六件であったのが、昨年度は三千三百三十九件と二倍に迫っています。
 そこで、人口集中都市東京において虐待から子どもの命を守るためには、児童福祉司の思い切った増員や専門性の向上に早急に取り組み、児童相談所の体制強化を図るべきであります。見解を求めます。
 また、一方では児童虐待を未然に防止していくことが重要であります。各区市町村が設置している子ども家庭支援センターでは、虐待を未然に防止する対策や児童相談所との連携などの取り組みが行われています。
 しかし、子ども家庭支援センターが十分にその機能と役割を果たしていない地域もあります。そこでまず、子ども家庭支援センターと児童相談所の連携を強化し、日常的な情報交換ができる仕組みを一層充実すべきであります。見解を求めます。
 また、子ども家庭支援センターに配置されている虐待対策ワーカーの専門性を向上させるため、児童相談所において、オン・ザ・ジョブ・トレーニングなどによって区市町村職員が実践の中で児童福祉司任用資格と能力を得られるよう育成、支援すべきであります。
 加えて、こうした専門性の高い虐待対策ワーカーを各支援センターに複数人配置していけるよう働きかけていくべきであります。あわせて見解を求めます。
 そして、児童虐待にこれまで以上に即座に対応することができるよう、児童相談所の配置の見直しの検討も含め、区市町村との連携を深めていくべきであります。見解を求めます。
 次に、重い白血病や脊髄症を引き起こすウイルス、HTLV―1の都民への啓発や感染予防対策について質問します。
 HTLV―1はヒトT細胞白血病ウイルス1型の略称です。かつては九州地方を中心に感染者が集中していましたが、人の交流が進むとともに全国に感染者が拡散しています。その数は百八万人に上ると推定され、B型、C型肝炎に匹敵するともいわれています。最大の感染経路は母乳を介した母子感染で、感染予防を進めるために妊婦健診での抗体検査が必要と指摘されてきました。
 公明党は、党難病対策プロジェクトチームを中心に、繰り返しこのウイルスの総合対策を主張してまいりました。都議会公明党も九州の患者団体と意見交換し、平成二十年第三回定例本会議で取り上げました。
 ことし三月には、厚生労働省の補助金を受けた研究班が全国に感染者が拡散している現状を踏まえ、全国で妊婦に抗体検査をすべきとして、従来の国の方針転換を促す報告書をまとめました。こうした中で、今月八日、国は全妊婦の抗体検査を全国一律、公費負担で行う意向を示しました。
 しかし、HTLV―1については、医療関係者でさえ十分に理解されているとはいえない状況があります。都として、医療や母子保健関係者などに理解を深めてもらう研修会などを早急に行っていくべきでありますが、見解を求めます。
 また、都民にとっても、十分な情報がないまま抗体検査が実施されると不安を招きかねません。そこで、母子健康手帳を渡す際に、このウイルスの情報も提供できるよう区市町村に働きかけるべきであります。また、全妊婦の抗体検査が行われる場合、感染者とされた人に対する相談やカウンセリング体制を整備していくことが重要であります。あわせて都の見解を求めます。
 今月二十日から二十六日は動物愛護週間でした。ことしのテーマは、「ふやさないのも愛」であります。
 都では、二十五年前には五万頭が致死処分されていた犬や猫を現在は約十分の一の約六千頭まで減少させることができました。動物愛護精神あふれる都民ボランティアや地域の皆様、行政の共同作業の結果であり、長年取り組んでこられた関係者の皆様に敬意を表するものであります。
 致死処分の約六千頭の内訳を見ますと、約九割が猫であり、新しい飼い主に譲渡もできずに致死処分されている実態があります。こうした不幸な猫をふやさないためには不妊、去勢手術を徹底するべきであります。
 区市町村の実施している飼い主のいない猫対策に対して、都は包括補助事業により支援をしていますが、具体的な施策を行っていない区市町村も多く存在します。そこで、都は、飼い主のいない猫対策について、包括補助の活用を含め、強く区市町村に働きかけるべきと考えます。
 あわせて、都は猫対策にとって重要な役割を担う動物愛護推進員の積極的な活用のためにシンボルマークを公募するなど、その存在や役割を広く都民に周知していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、犬に関しては、ここ十年で登録された犬のうち約三割弱の犬が狂犬病予防接種を受けていないという実態があります。狂犬病予防接種は本来、飼い主が責任を持って実施すべき義務ですが、この義務履行を実施させるためにも、まずは飼い主による犬の登録を徹底させることが重要であります。
 そこで、犬を販売する際に登録証を発行し、購入者情報を区市町村に通知、連絡するなど、犬登録東京モデルを構築すべきと考えます。都は、東京都獣医師会、区市町村及び動物取扱業者などと連携協議し、犬の登録率及び狂犬病予防注射接種率の向上を目指すべきであります。都の見解を求めます。
 次いで、教育環境の充実、なかんずく小中学校の冷房化について質問します。
 九月中旬まで三十五度を超える猛暑日が毎日続いた本年、冷房設備のない教室は蒸しぶろ状態となり、生徒は学習意欲を持続させることができず、本当につらい日々となりました。文部科学省の基準では、生徒が学習に集中できる教室の温度は夏季で二十五度から二十八度とされており、この夏はこの適正温度をはるかに超える異常な夏となりました。
 このような中、小中学校の普通教室冷房化の実態は、二十三区では既に九五%が冷房化し、来年度は一○○%達成されるのに対し、多摩地域を含む市町村では一七・六%と大きな格差が生じております。
 この格差の最大の原因は財源の問題であります。特別区の場合、都区財調の算定において小中学校の冷房化予算を基準財政需要額に算入しているのに対し、多摩の各市町村の場合、自主財源で賄わなければならず、とりわけ財政力の厳しい市町村は小中学校の冷房設備の設置に予算が回らないのが現状であります。
 本来、小中学校の施設整備は基礎的自治体である市町村の責務でありますが、小中学校校舎等の耐震化や校庭の芝生化など、知事の英断により都が積極的に支援をしている事業もあります。
 子どもたちの教育環境を整備し学習効率を上げるためにも、多摩地域の小中学校普通教室の冷房化に向けて実態調査を行い、その上で財政支援策を検討すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、特別支援教育について質問します。
 第二回定例会で公明党が主張した発達障害児への支援、教室不足への対応、職業学科の設置等が盛り込まれた特別支援教育推進計画の第三次実施計画案が七月八日に出されました。これを受け、二点質問いたします。
 第一に、すべての小中学校に特別支援教室を設置するためには、巡回指導をする教員の確保が課題となります。また、教員の高度な専門性も不可欠と考えます。見解を求めます。
 第二に、知的障害特別支援学校高等部における職業教育の充実についてでありますが、都は、軽度知的障害の子どもたちへの職業教育のさらなる充実策として、高等部単独校を中心に職業学科を順次併設するとしました。さらに、障害が軽度だけでなく中度の生徒の職業能力の開発や就労につなげる取り組みも本格的に行っていくべきであります。見解を求めます。
 次に、都営住宅の建てかえ促進について質問します。
 首都東京の魅力と活力の向上には、都心部、周辺区、多摩などの地域特性に応じた都市機能の充実が必要であります。その意味で、都内各地に点在する大規模都営住宅の建てかえが果たす役割は大きいといえます。
 とりわけ、江東区の辰巳一丁目団地は敷地面積十三・九ヘクタール、三千三百二十六戸と昭和四十年代に建設された都営住宅としては最大規模で、地元からは建てかえの早期実現とともに、駅前でのにぎわいの創出、新たな商業エリアの形成、人口の急増に応じた住民サービス施設の拡充を期待する声が広がっています。
 そこで、高層階化などにより、地域要望にこたえる模範的な建てかえ事業を早期に実施すべきと考えます。また、建てかえの完了には十五年前後の年月が必要なことから、従前居住者の居住の安定の確保、既存建物の適切な維持管理も大切であります。あわせて見解を求めます。
 また、辰巳一丁目団地のように昭和四十年代に建設された都営住宅は約十万戸と多く、次々と建てかえの時期を迎えます。
 大規模団地の建てかえ事業をさらに加速化させていかないと、使用可能な耐用年数を超えてしまいます。区や市がまちづくり上の具体的な構想を早期に立案できるよう、建てかえ事業の前倒し提示に取り組み、加速化を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、島しょ振興策について質問します。
 第一に、島しょ地域の医療用画像伝送システムによる診療支援事業についてであります。
 現在、都は都立広尾病院と八丈、大島、小笠原など十一カ所の診療料等の間に画像伝送システムを設置しています。我が党は機器を更新して島民が安心して受診できるよう訴えてまいりましたが、本年十月から機能が充実されると聞いております。そこで、画像伝送システムの機能充実と、その導入効果について説明を求めます。
 第二に、白内障の手術についてであります。
 八丈島は、現在高齢化率が三三%で、二○二○年には四三%になると予想されています。高齢化に伴い白内障の高齢者がふえています。
 しかし、八丈島では手術ができないため、島民は本土に付き添いの人とともに行くために多大な費用負担を強いられております。そこで、八丈島でも白内障の手術ができるよう都として支援すべきと考えます。見解を求めます。
 第三に、島の重要な観光資源であるスダジイの木が枯れる問題についてであります。
 これはカシノナガキクイムシという害虫によって引き起こされるもので、三宅島では約百三十本、御蔵島では約二百本、八丈島では約十万本の被害が発生しております。これに都として早急に対策を講ずるべきであります。見解を求めます。
 また、三宅島のオートバイレースについては、本来、三宅島ならではの地形を利用して初めてオフロードのバイクレースを実施いたします。
 都は、今回のバイクレースを年一回のレースに終わらせるのではなく、オフロードバイクの愛好者が通年で島を訪れるように工夫するなど、三宅島の観光振興策の拡充につなげるべきであります。今回のレースの内容とバイクを活用した観光振興について、都の見解を求めます。
 次に、外郭団体改革について質問します。
 我が党は外郭団体、とりわけ監理団体改革について全力で取り組んでまいりました。その結果、団体数の半減、役員退職金の全廃、都派遣職員の大幅削減、包括外部監査の導入などを進め、大きな成果を得てきたところであります。また、先般、党内に外郭団体改革推進プロジェクトチームを立ち上げ、監理団体に限らず、報告団体も含めたさらなる外郭団体改革に取り組んでいるところであります。
 都はこれと時を同じくして監理団体活用方針を発表しました。監理団体を取り巻く環境は、指定管理者制度における特命選定による活用や公益法人制度改革における公益目的事業の基準の見直しなど、大きな変化を来しております。こうした変化を踏まえ、今後の監理団体の活用とさらなる改革への取り組みについて見解を求めます。
 次に、外郭団体改革のもう一つの柱である報告団体について質問します。
 報告団体についても、都からの出資など都民の税金が投入されていること自体は監理団体と同様であります。現在、報告団体は五十一団体ありますが、中には都の報告団体として位置づけられていること自体に疑問を持たざるを得ない団体もあります。
 都は報告団体についても早急に精査を行い、広範な都民から理解の得られるよう、その位置づけを明確にすべきと考えます。見解を求めます。
 次に、築地市場の移転、再整備について質問します。
 築地市場の移転、再整備については、市場関係者から、ただでさえ厳しい状況にある経営に影響を与えない、負担の少ない計画となるよう要望されています。しかし、民主党提案の現在地再整備案については、仮移転のための仮設と本設の二つの施設の建設が必要となることなどから、施設建設費が増大してしまうという問題点があります。
 市場関係者にとっては、施設建設費が使用料の算定に直結しており、経営に大きな影響を及ぼします。特別委員会で視察を行った大阪の市場でも、使用料がはね上がり事業者の経営を圧迫していることが明らかとなっています。
 民主党提案の現在地再整備案でも、使用料の水準が豊洲新市場の約一・三倍から一・六倍にもなると試算されています。しかし、この試算では多層化構造に伴う増加分を加味していないため、使用料がさらに上昇し、事業者の負担が増大すると想定されますが、都の見解を求めます。
 ところで、使用料の算定のベースとなる今回の現在地再整備案の施設建設費は、最大で約千八百億円となっています。この額は、過去に現在地再整備の施設建設費として都が試算した三千四百億円とは、一見すると相当な開きがあり、実際に一部新聞等では、過去の試算額の半額で現在地再整備ができるとの報道がなされたために、都民や市場関係者に戸惑いを来しております。
 今回の現在地再整備案の施設建設費と過去に都が試算した建設費では、なぜこのような大きな乖離があるのか、都の見解を求めます。
 また、民主党提案の現在地再整備案は、工期の長期化、使用料の上昇、売り場の多層化が避けられず、仮移転先の住民合意など解決の見通しがつかない問題も抱えています。都議会公明党は、この問題に一刻も早く結論を出し、新市場の建設準備に早期に着手すべきであることを強く申し上げ、次の質問に移ります。
 駐車規制について質問いたします。
 第一回定例会において運送、配送事業者等の切実な声を受け、駐車規制の見直しを求めたところ、規制緩和の要望があり、荷さばき等の需要が多く、緩和の必要性の高い四十区間について詳細に調査を行っていると答弁があり、今回、そのうちの十路線について荷さばきに配慮した規制緩和がなされたことは評価するものであります。その上で、三十路線の進捗状況とさらなる規制緩和について、警視庁の見解を求めます。
 十八年六月に施行され、二十一年四月から都内全域に拡大された民間委託駐車監視員制度も四年経過し、都民の違法駐車に対する規範意識も高まってきていると思われます。この制度導入による違反件数の状況と今後の取り組みについて、警視庁の見解を求めます。
 関連して、近年特に多くなっている自転車事故について質問します。
 自転車と人、自転車と車、自転車同士の事故が最近ふえてきております。こういった自転車に起因する事故を防ぐために、今後は民間の力も活用しながら、自転車利用者に対するルール、マナーの遵守を働きかけていくべきであります。自転車事故撲滅に向けた取り組み状況について、警視庁の見解を求めます。
 次に、消防法令違反の公表制度について質問します。
 昨年十一月発生した高円寺の居酒屋での火災について、類似火災を発生させないよう防火管理や出火防止対策の指導、火災原因を踏まえた防火安全対策を検討すべきと本会議で提案をしました。
 その後、東京消防庁は緊急の立入検査や原因調査を行い、法令違反の指摘や再三の指導にもかかわらず、安全対策をとらなかったり、防火管理の重要性を意に介さないといった関係者も少なからずいる実態もわかりました。
 東京消防庁はこれらの調査結果を踏まえ、都民自身が危険を回避するとの視点から、違反情報に関する公表制度を創設することを決めたところであります。そこで、この公表制度の導入により、消防庁として防火策を強化していくべきであります。広報の仕方を含め、東京消防庁の具体的な取り組みを求めます。
 最後に、スポーツ振興について質問いたします。
 去る七月十六日、都にスポーツ振興局が新設されました。スポーツに関する所管部署を一元化した組織の設置は全国でも初めてであり、その役割と使命はまことに重要であると考えます。
 このような中で、都では東京スポーツ奨励賞が創設され、先日、第一回の表彰式が行われました。若きアスリートの活躍に知事も大いに期待されていると思います。スポーツ振興に対する知事の熱い思いと決意を伺います。
 平成二十五年開催の国民体育大会と全国障害者スポーツ大会をスポーツ祭東京二○一三として開催することは、健常者と障害者が垣根を取り払い、一つのスポーツの祭典をつくるという新しい試みであります。全国で初となるこの祭典の取り組みについて見解を求めます。
 都はスポーツ都市東京を目指し策定したスポーツ振興基本計画の中で基本理念としていますが、この障害者スポーツの振興を初め、理念を目に見える形としていくことこそ、スポーツ振興局が中心となって取り組む課題であります。見解を求め、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 藤井一議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、公会計制度の改革に向けた戦略的な取り組みについてでありますが、複式簿記・発生主義会計による新たな公会計制度の導入は、私が就任以来手がけてきた改革の中でも最も本質的で大事な改革であると思っております。
 日本のようにいまだに大福帳を用いている国は先進国には一つとありませんし、近隣諸国においてもわずか数カ国ですな。挙げるにパプアニューギニア、フィリピン、北朝鮮、タイ、マレーシアという国で、ほかの国は、アフリカは別でありますけど、どこでも発生主義・複式簿記をやっているわけで、それをやっていないから今の政権も改めて事業仕分けなんていうことをやらなきゃいけない。財務諸表がない近代国家というのは、日本だけじゃないでしょうかね。
 いずれにしろ、都は新公会計制度を事業評価や予算編成に活用し成果を上げてきましたが、それとともにほかの自治体への支援も行ってきた結果、大阪府や町田市なども進んで導入をしてくれております。
 現在、神奈川県に対して積極的にアプローチを行っておりますが、今後さらに白書も活用しながら、他の府県などに対しても戦略的に働きかけていくつもりであります。
 そのため、十月の関東地方知事会議や十一月の九都県市首脳会議などで会計制度改革をテーマとして取り上げて議論を進めていきたいと思っております。
 金利感覚やコスト意識の欠如した、太政官制度以来続いている時代おくれの官の体質を根本から変えるためにも、その切り札としての会計制度改革の機運を一段と高めて、この改革を日本全体へ広げていきたいと思っております。
 私、驚きましたのは、この間もあるところで二度ほど財界の要人と会いました。ともに経団連の会長をした人でしたけれども、一緒に、片方のときは前の日銀の総裁の福井さんもおられましたが、私がその話をしましたら、彼は知らないんですな。
 企業として当たり前のことをやっているわけですから、国が、公会計と企業のその会計制度、ちょっと違うところがありますし、東京もそれで苦労したんですけれども、そんなばかなといって、みんなびっくりする。
 たまたまそのときに前の日銀の総裁の福井さんが、たしか国はまだ単式簿記ですなといったら、周りの人が絶句している状況でありまして、やっぱりこういったものは日本の体質を変えるためにも変えていかなくちゃいけないと思います。
 とにかく金利感覚やコスト意識の欠如した、そういった制度が続いているわけでありますから、この改革の切り札としても会計制度改革の機運を一段と高めて、これを日本全体に広げていきたいと思っております。
 次いで、国際競争力の強化についてでありますが、国力が日に日に低下する中で日本の活路を開くには、我が国のヘッドクオーターであります東京が率先して行動して国を牽引していかなければならないと思っております。
 もとより東京には人材や技術、資本が集積しておりますし、中でも都心にほど近い臨海エリアは、職、住、遊のバランスのとれたまちとして大きな可能性を有しておりまして、羽田空港や東京湾の機能が強化されることで、その魅力はますます高まってまいると思います。
 東京が世界都市としてさらに発展を続けるためには、広く海外など多方面からの投資の誘発や、高度な技術を持った人材を集めるために、規制緩和を進めることが不可欠であると思います。
 政府もいろいろ、今、特区のことを考えているようでありますが、いずれにしろ、とにかく硬直した制度の中で、特例も設けながら、そういった可能性を模索していく必要が絶対あると思います。
 今後は、民間との協力や国への働きかけなど、さまざまな対策を講じながら、臨海エリアを一つの核に、都庁一丸となって東京の国際競争力を高めていきたいと思っております。
 次いで、建築物の耐震化施策についてでありますが、多くの建築物や多様な機能が高度に集積している東京において、一回大地震が起これば、その被害はもうはかり知れないものがあると思います。
 大地震から都民の生命と財産を守り、首都機能の低下を防止するとともに、都市として国際的な信頼性を高めるためには、事前の備えが必ず必要であります。肝要であります。
 このために、東京では「十年後の東京」計画に基づきまして、建築物の耐震化に全力で取り組んでおります。とりわけ、学校や病院など、防災上、特に重要な建築物や震災時の避難や、救援活動に及ぼす影響が多い緊急輸送道路沿道建築物については、引き続き重点的に施策を講じていきたいと思っております。
 今後とも耐震化施策を強力に推進し、災害に強い東京を実現したいと思っておりますが、要は個人の所有に関する建築物に関しては、その持ち主が命をとるか、金をとるかという判断をみずからしていただきませんと、これを全面的に補助することはとても不可能でありますから、そういった問題があちこちにあることは、ひとつ認識してかかりたいと思っております。
 次いで、孤独死の現況についてでありますが、ひとり暮らしの方がだれにもみとられずに亡くなることは、東京に限らず、先進国の大都市であちこちで起きているのが現実であります。
 これは文明社会が進む中で、家族のあり方や大都市における地域社会の人間関係が変容し、人と人のつながりが希薄になってきたことの証左ともいえると思います。
 この問題を解決することはなかなか難しいと思いますが、一種の文明批判としてとらえ直して、家族を再生させ、社会の連帯を結び直す取り組みを日本全体で進めていくことが一助となると思っております。
 都としても、都民や地域とともに手を携えて、高齢者家庭への訪問、見守りを初め、さまざまな取り組みを進めていきたいと思っております。
 しかし、こういった家族においてもなお、特に一つの近くのまち、自治体の中での連帯感の欠如というのは、やはりかつての日本人が持っていた価値観が摩擦消滅して、かわりに物欲、金銭欲といったものが軸に据わってきたという非常に好ましくない社会の根本的な価値観に関する状況のせいでありまして、これを克服するのはなかなか大変なことだと思います。
 次いで、スポーツ振興についてでありますが、スポーツを行うということは、健全な精神は健全な肉体に宿るという人生における一つの原理というものがありまして、スポーツによって培われた精神力、肉体は、人生をよい意味で支えてくれるものであります。
 先月、シンガポールで開催されたユースオリンピックや、アメリカで行われたリトルリーグ世界選手権においても、東京の若者が大活躍しました。新たに創設した東京スポーツ奨励賞を先日、彼らに贈呈しました。
 彼らはこの経験と誇りを胸に、日本の将来をたくましく担ってくれるでありましょう。この国の将来のために、また、強いしたたかな若者たちをよみがえらせるために、スポーツは極めて有効な手だてだと思います。
 そもそもスポーツ振興は、国が国家として進むべき方向を定めて、そのエネルギーを養成するために奨励すべきものだと思いますが、主導的にその牽引していくべき国が、今、この国をどこに導こうとしているかさっぱりわかりません。
 そのため、都は、国に先駆けて総合的、一元的にスポーツ施策を推進するスポーツ振興局を設置いたしました。今後とも、国を先導するスポーツ行政を展開して、それを起爆剤として日本の将来を切り開いていきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

○警視総監(池田克彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、現在推進中の荷さばき車両に配意した駐車規制の見直し状況についてでありますけれども、実施可能となった十区間につきましては、十月中の実施に向け、標識設置等の準備を行っているところであります。
 それ以外の約三十区間の中には、実施が極めて困難な区間も若干見受けられましたけれども、これらの区間以外の区間につきましては、現在、地域住民等と意見調整中であり、荷さばき駐車のルールに関する合意が調った区間から順次実施していくこととしております。
 今後とも、地域住民及び物流事業者等のご意見やご要望を十分に踏まえ、交通の安全と円滑を確保しつつ、荷さばき車両に配意した、よりきめ細かな駐車規制を推進してまいります。
 次に、都内の駐車実態につきましては、継続的な違法駐車の取り締まりや各種広報活動などによる抑止効果のほか、ご指摘のとおり、都民の規範意識の高まりなどにより改善されてきており、放置駐車違反確認標章取りつけ件数は、平成十九年の約九十万件をピークに、平成二十一年には約七十万件と減少傾向にあります。
 しかしながら、重大交通事故を誘発する駐車違反も決して少なくなく、また、駐車違反を繰り返し、まるで道路を駐車場がわりにするような悪質な違反者もいることから、警視庁といたしましては、今後とも安全で快適な交通社会の実現に向け、放置駐車確認事務の民間委託制度を有効に機能させながら、駐車違反の指導取り締まりを行ってまいります。
 最後に、自転車事故撲滅に向けた取り組み状況についてであります。
 警視庁におきましては、自転車安全利用五則など、基本的な自転車の通行ルールについて、警視庁のホームページや広報紙等を通じて広報啓発に努めているところであります。
 また、地域交通安全活動推進委員や民間ボランティアの協力も得ながら、交通安全教育や街頭における各種広報啓発活動にも取り組んでおります。
 一方、違反者に対しては、警察官が指導、警告を行うとともに、悪質なものにつきましては、積極的な取り締まりを行っております。
 今後とも、取り締まりを強化するなどとして、自転車のルール、マナーの向上を図り、交通事故の防止に取り組んでまいります。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、公立小中学校施設の耐震化についてでございます。
 学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であり、災害発生時には避難場所となるなど、重要な役割を担っており、耐震化を早急に完了する必要がございます。
 現在、国では、耐震対策の根幹となる地震防災対策特別措置法の特例措置によりまして、構造耐震指標であるIs値〇・三未満の倒壊等の危険性の高い建物について、国庫補助率を二分の一から三分の二にかさ上げしております。
 また、都においても、平成二十年度から区市町村に対して都独自の財政支援及び人的支援を行っており、特に市町村に対しては、国庫補助金と起債可能額を除いた設置者負担額の補助を行っております。
 これまでの区市町村の計画的な取り組み及びこうした支援事業の活用により、平成二十二年四月一日現在、都内公立小中学校の耐震化率は八八・四%となり、耐震化は着実に進捗しております。
 公立小中学校施設の耐震化の早期完了のためには、国の十分な財政措置が必要不可欠であり、都教育委員会は、国の来年度の予算編成に対し、耐震化事業の十分な財源確保及び国庫補助率のかさ上げ措置の延長を要望してまいります。
 次に、公立小中学校普通教室の冷房化についてでございます。
 学校の施設、設備の整備は、学校の設置者が行うこととなっており、公立小中学校の普通教室の冷房化については、設置者である区市町村の権限と責任において行うものでございます。
 一方、公立小中学校における空調設備の導入経費を対象に、地方交付税の交付団体にあっては国が三分の一を、不交付団体にあっては国が七分の二を補助する制度がございます。各区市町村がこれを活用しながら、それぞれの判断で空調設備の整備を進めております。
 現在、国において、全国の公立学校の空調設備の設置状況を調査中であり、都におきましても、各区市町村教育委員会に対し、その所管する小中学校の冷房化の現状と今後の対応について調査を行っております。これらの調査の分析結果や市町村の動向も踏まえ、検討してまいります。
 次に、特別支援教室構想における巡回指導を行う教員の確保と高度な専門性についてでございます。
 特別支援教室構想は、これまでの通級指導学級のように、児童生徒が在籍校を離れることなく、すべての小中学校に設置する特別支援教室で専門性の高い教員による巡回指導を受けられる体制を整備し、在籍校において適切な指導と支援を実現するものでございます。
 巡回指導を行う教員には、発達障害の児童生徒の指導のみならず、学級担任の指導力向上に向けた支援も求められますために、巡回指導担当教員の確保と専門性の維持向上は重要な課題でございます。
 そのため、特別支援教室の導入に向けて実施するモデル事業の中で、指導力向上のための研修の内容や実施体系、人事交流の促進等に関する研究、検証を行い、専門性の高い人材の育成に努めてまいります。
 次に、障害が軽度、中度の生徒の職業能力の開発や就労につなげる取り組みについてでございます。
 障害のある生徒の職業的自立を推進するためには、生徒一人一人の職業能力の開発や働く意欲、就労に必要な知識、技能の定着が極めて重要であります。
 このため、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、今後も見込まれる知的障害が軽い生徒の増加に対応するため、高等部職業学科のさらなる増設を行うこととしております。
 さらに、障害が中程度の生徒につきましても、働くために必要な知識、技能を体験的に学ぶ作業学習及び就業体験の工夫、中学部から高等部への一貫性のある教育の実施、民間企業や関係部局等との連携による企業開拓など、これらに努めまして、障害のある生徒の職業的自立を支援してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港と臨海副都心との公共交通アクセスについてでございますが、首都圏の発展を支え、国際競争力を強化するためには、羽田空港と臨海副都心を初めとする中核拠点を結ぶ交通インフラの整備を進めることが重要でございます。
 現在、鉄道輸送力増強のため、京急蒲田駅の改良事業を進めているほか、来月には京浜急行及び東京モノレールの国際線ターミナル新駅が開設される予定でございまして、羽田空港へのアクセスは格段に向上すると考えております。
 東海道貨物支線の旅客線化につきましては、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、今後整備について検討すべき路線として位置づけられております。
 これまでに、国や沿線自治体などから成る協議会に都も参加し、貨物線と旅客線の併用化について検討を行っておりますが、沿線の需要、事業採算性、貨物線ダイヤとの調整などの課題が指摘されており、今後とも関係機関とともに議論をしてまいります。
 次に、辰巳一丁目団地の建てかえについてでございますが、辰巳一丁目団地は昭和四十年代建設の大規模団地の中でも建設年次が古く、建物や設備の老朽化が進行し、ほとんどの住棟にエレベーターが設置されていないことなどから、早期の建てかえが必要と考えており、今後、地元との調整も図りながら、速やかに建てかえ事業に着手いたします。
 本団地では、建てかえにより、住宅の集約を行った後、用地を創出し、辰巳駅周辺にふさわしい都市機能の導入、都市基盤の整備などを進めてまいります。
 本団地の建てかえに当たりましては、居住者の移転先の確保につきまして十分に配慮するとともに、建てかえ事業の期間中においても、既存の各住棟について過去の修繕の実施状況や建てかえの着手時期を勘案して、必要な修繕工事を実施するなど、居住者が安心して生活を続けられるよう対応してまいります。
 最後に、大規模団地の建てかえ事業への取り組みについてでございますが、昭和四十年代建設の大規模団地の多くは、高層住棟と中層住棟が混在し、また、エレベーターがある住棟とない住棟が混在しているなどの特性を有しております。
 建てかえに当たっては、こうした点を踏まえ、建設年次や老朽化の度合い、設備やバリアフリー化の状況、地域のまちづくりとの連携や周辺市街地の状況などを勘案いたしまして、順次建てかえ計画を策定し、事業に着手してまいります。
 その際、地元区市に対しては、計画検討の早い段階から情報提供や協議、調整を行い、区市のまちづくりが円滑に進むよう取り組んでまいります。
 建てかえ事業の実施に当たっては、団地敷地内で住棟の配置や工区割りなどに工夫を凝らすことにより、建物の除却、建設や居住者の移転を円滑に実施し、事業の迅速な推進を図ってまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 法人事業税の暫定措置についてお答えをいたします。
 二十一年度に一兆円もの減収となりました都税収入は、来年度におきましても大きな好転は期待できませず、厳しい財政環境は今後も続くと見込まれております。こうした状況にありまして、将来にわたり、継続的かつ安定的に都政がなすべき役割を果たすためにも、この不合理な暫定措置は決して容認できないものであります。
 今求められておりますことは、地方税財政制度の抜本的な改革であり、暫定措置のような都市の財源を当てにした自治体間の財政調整では、地方の困窮という問題を根本的に解決することはできないと考えております。
 したがいまして、国は暫定措置を直ちに撤廃するとともに、地方税財源そのものの拡充を早急に進めるべきであり、都はその実現に向けて引き続き全力で取り組んでまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

○知事本局長(秋山俊行君) 臨海副都心での特区についてでございますけれども、臨海副都心は空港、港湾からの交通アクセスにすぐれ、コンベンションや研究施設、有力企業のビジネス拠点の立地など、ほかにない複合的な機能を備えておりまして、こうした特性をさらに発展することができれば、国際競争力の強化にも大きな貢献が期待できるものというふうに認識をしております。
 国は現在、特区構想の実現に向けた具体的検討に着手をしておりまして、地方自治体や民間企業などに対しまして、広くアイデアの募集がございましたことから、都といたしましても、臨海副都心を海外企業のアジア拠点とするための提案を行ったところでございます。
 この特区の実現には、今後、国におきまして具体的な制度構築などを進めた上で、新たな法律の成立が前提となりますことから、今後とも国の動向を見ながら必要な協議を行うなど、対応を図ってまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

○港湾局長(中井敬三君) 東京港における物流の活性化についてお答えをいたします。
 東京港の利用を促進し、一層の貨物集荷を進めるためには、コストの低減と利便性向上が重要であると認識しております。
 このため、都はこれまで、川崎市、横浜市と連携して、入港料の一元化やはしけを活用した三港のコンテナ輸送の効率化など、さまざまな取り組みを展開してまいりましたが、今般、国際コンテナ戦略港湾に選定されたことを契機に、ターミナル使用料のさらなる低減や、コンテナターミナル周辺の道路混雑の緩和など、東京港の魅力向上に向けた取り組みを一層強力に推進してまいります。
 また、国に対しても、ふ頭経営の主体となる埠頭会社を対象とした優遇税制や、ガントリークレーンの補助制度の創設を求めていくとともに、国道三五七号の整備事業や東京港臨海道路Ⅱ期事業の推進などについて、引き続き強く働きかけてまいります。
 こうした取り組みを通じて、今後ますます激化するであろうアジア主要港との熾烈な国際競争の中で確固たる地位を築いてまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、今後の中小河川整備の取り組みについてでございますが、首都東京を水害に強い都市とするためには、中小河川の整備を効果的に進め、早期に安全性を向上させていくことが重要でございます。
 このため、都は、東京都豪雨対策基本方針や東京都技術会議の報告を踏まえ、近年の局地的かつ短時間の集中豪雨も視野に入れ、平成二十一年度から今後の河川整備のあり方の検討を行っており、具体的には、過去の水害の分析や、これまでの河川整備の効果検証等を進めております。
 今後、学識経験者などの意見も聞きながら、河川のさらなる安全性の向上を目指し、必要となる河川施設について検討を深めてまいります。
 次に、広域調節池についてでございますが、中小河川の整備に当たっては、広範囲に一様に降る台風性の降雨や局地的集中豪雨など、さまざまな降雨に対応することが重要でございます。
 本年六月の東京都技術会議で提言のあった広域調節池は、複数の地下調節池をトンネルで連結し、流域を超えて相互に活用できる施設でございます。この調節池は、近年増加傾向にある局地的かつ短時間の集中豪雨の際、特に有効な施設と考えており、今後の河川整備の計画策定に向け、さらに検討を深めてまいります。
 今後とも、さまざまな工夫を重ね、安全で安心なまち東京の実現を目指してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

○下水道局長(松田二郎君) 下水道事業の浸水対策のご質問にお答えをいたします。
 地下街など浸水の危険性が高い地区における下水道施設の整備についてでございますが、これまで新宿駅や池袋駅周辺など四地区では、雨水を貯留する施設などを整備し、浸水被害の軽減に努めてまいりました。
 今後は、新たに上野駅や新橋駅周辺などの五地区を加えて、一時間七五ミリの雨に対応できる貯留施設などの整備を進めてまいります。
 さらに、浸水予想区域図などに基づきまして、浸水の危険性の高い二十地区では、下水道幹線やポンプ所などの基幹施設を整備することで、雨水を排除する能力の増強に努めてまいります。
 施設の整備に当たりましては、一部完成した施設に雨水を暫定的に取り込み、貯留するなどして、整備効果の早期発現を図ってまいります。
 今後とも、安全・安心な東京のまちづくりに貢献するため、浸水対策事業を着実かつ積極的に推進をしてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 初めに、救急医療機関の耐震化に関する二点の質問にお答えいたします。
 まず、耐震化の調査についてでありますが、都は昨年度、国の補正予算を活用して、耐震化緊急整備事業を創設するとともに、これらに加え、今年度から都独自の支援策を実施するなど、救急医療機関の耐震化の促進に努めております。
 こうした取り組みにより、本年八月現在、東京都指定二次救急医療施設二百五十四カ所のうち、約八割の施設は既に耐震化に取り組んでおり、すべての建物が耐震化の基準を満たしていない施設は四十三カ所となっております。
 今後、これらの施設の耐震化を進めるためには、お話のとおり、施設ごとに具体的な課題や問題点を明らかにすることが有効であることから、改めて詳細な調査を実施し、必要な対応策を検討してまいります。
 次に、耐震化に係る財政措置についてでありますが、国が平成十九年度に創設した医療施設耐震整備事業は、補助対象が耐震補強工事に限定されており、基準面積や補助単価も実態に即したものとなっておりません。
 また、平成二十一年度の補正予算で措置された耐震化対策臨時特例交付金は、新築建てかえを対象としたものの、単年度事業であることに加え、財源も不十分であったため、一部の医療機関しか活用できませんでした。
 このため、都は国に対し、耐震整備事業において新築建てかえを補助対象とするとともに、基準面積や補助単価を引き上げることなどについて提案要求をしており、今後とも国に強く働きかけてまいります。
 また、都が今年度創設した独自の補助制度については、救急医療機関の耐震化を着実に促進するため、引き続き実施してまいります。
 次に、認知行動療法に関する三点についてお答えをいたします。
 まず、認知行動療法を実施する医療機関情報の提供についてでありますが、都は本年四月から新たに認知行動療法が医療保険の対象となったことを受けまして、診療科目や対応可能な疾患等の情報を提供している医療機関案内サービス「ひまわり」に、医療保険適用となる認知行動療法を実施している医療機関の情報を追加いたします。
 また、区市町村、保健所等の職員に対しましても、都が実施する研修等の中で、認知行動療法を行う医療機関の情報を周知し、都民の相談にこたえてまいります。
 次に、保険適用の範囲についてでありますが、うつ病等の気分障害に対する認知行動療法は、今年度から新たに診療報酬の対象となったところであり、都としては、まず医療機関における認知行動療法の実施の状況を把握することが重要であると考えております。
 保険適用の要件等も含め、実施上の課題につきましては、医療機関や専門家の意見も踏まえながら、適切な時期に国に対して提案要求をしてまいります。
 次に、認知行動療法の普及についてでありますが、都はこれまで、精神保健福祉センターで培ってきたノウハウを活用し、企業の人事担当者などを対象としたうつ病休職者の職場復帰支援に関するシンポジウムや、区市町村の保健師等専門職を対象とした実務研修などで認知行動療法を紹介してまいりました。
 今後、認知行動療法を一層普及するためには、お話のように、幅広い医療や福祉の関係者の理解を深めていくことが必要なことから、現在実施しております実務研修の対象を医療機関の精神保健福祉士や看護師等にも拡大するなど、研修の充実を図ってまいります。
 次に、高齢者を地域で支える区市町村の取り組みへの支援についてでありますが、都はこれまで、区市町村包括補助事業を通じて、町内会、民生委員、ボランティアなどによる声かけや配食サービスを活用した安否確認など、地域の実情に応じた取り組みを支援してまいりました。
 また、今回の高齢者所在不明問題を受けまして、百歳以上高齢者の数と所在確認上の課題について、現在、区市町村への調査を行っております。
 今後、この調査結果も参考にしながら、関係各局と連携をいたしまして、区市町村が現場で直面している実態や課題を改めて把握し、地域において高齢者に対する取り組みを実施している区市町村を支援してまいります。
 次に、児童虐待に関する四点についてお答えをいたします。
 まず、児童相談所の体制強化についてでありますが、都では複雑困難な事例の増加に対応するため、児童福祉司を平成十三年度から二十一年度までの八年間で六十六名を増員いたしまして百七十二名とするとともに、チーム制を導入し、複数の児童福祉司が協議をしながら事例に当たっております。
 また、児童相談の経験を有する専門性の高い人材を確保するため、民間からの人材登用も行っております。
 さらに、平成二十二年度には、児童相談センターの児童福祉相談専門課長を二名に増員をいたしまして、困難事例へのスーパーバイズや業務研修を充実するなど、各児童相談所の職員の専門性の向上に努めております。
 今後、こうした取り組みを一層充実させ、児童相談所の体制強化を図ってまいります。
 次に、子ども家庭支援センターと児童相談所の情報交換の場の充実についてでありますが、児童虐待を早期に発見し、適切に対応するため、子ども家庭支援センターと児童相談所は定期的に会議を開催し、要保護児童に関して情報交換や支援方法の協議を行うなど、連携を図っております。
 また、個別事例について、子ども家庭支援センター職員が児童相談所の援助方針会議に参加したり、児童相談所職員がセンター職員の訪問に同行するなど、日常的な業務の中での連携も進めております。
 今後とも、子ども家庭支援センターの対応力の向上に向けて、センターと児童相談所との情報交換の場を一層充実してまいります。
 次に、区市町村職員の育成支援についてでありますが、子ども家庭支援センター職員の相談援助技術の向上を支援するため、児童相談所では区市町村から研修生の受け入れを行っており、これまで短期の研修については四十九の区市町村から、一年間にわたる長期派遣研修については五区から受け入れております。
 また、区市町村の職員を対象とした児童福祉司任用資格認定講習会の受け入れ人数を昨年度の八十人から今年度は百四十人に拡大をいたしまして、困難事例に対応できる職員の育成を支援しております。
 さらに、子ども家庭支援センターの虐待対策ワーカーにつきましては、平成二十一年度から増配置を行った場合に補助金を加算し、複数配置を促しております。
 今後、こうした取り組みを一層進め、区市町村の対応力を強化してまいります。
 次に、区市町村との連携を深める方策についてでありますが、平成十七年度に児童福祉法が改正され、区市町村が児童虐待を含む児童家庭相談の第一義的窓口となることが明確化されました。
 都ではこれに先駆け、区市町村の対応力を強化するため、児童虐待に対応する専任ワーカーを配置した先駆型子ども家庭支援センターの設置を推進し、現在、四十九の区市町村に設置されております。
 また、平成二十一年度には、島しょ部を含む全区市町村に要保護児童への支援を地域の関係機関が連携して行うための協議会等が設置され、子ども家庭支援センターや児童相談所を中心としたネットワークが整いました。
 今後は、こうしたネットワークを活用し、これまで以上に児童相談所と区市町村との連携を深めてまいります。
 次に、HTLV―1に関する二点についてお答えをいたします。
 まず、医療関係者等の理解の促進についてでありますが、HTLV―1の主要感染経路は母乳を介した母子感染であり、これを防ぐためには、母子保健や医療の関係者などが正しい知識を持ち、妊婦に対して健康診査や授乳方法についての指導を行うことが重要であります。
 このため、都は、関係者に対して母子保健研修等により、HTLV―1についての情報提供を行ってまいりました。
 現在、国においてはこの三月に公表された厚生労働科学特別研究事業の報告を受け、全国一律の抗体検査やカウンセリングの実施など、HTLV―1の総合的対策について検討を行っておりますが、今後、この検討結果を踏まえまして、都としても必要な研修を実施するなど、母子保健や医療の関係者などの理解促進に努めてまいります。
 次に、HTLV―1に関する情報提供や相談体制についてでありますが、母子感染を予防し、また、感染者に対する偏見を生まないためには、HTLV―1に関する都民の理解を促進することが重要でございます。
 また、お話のとおり、抗体検査で感染が判明した場合には、妊婦の心身のケアなどの取り組みが必要でございます。
 今後、都は、母子保健事業の実施主体であります区市町村が、母子健康手帳交付時の妊婦への普及啓発や、感染が判明した人へのケアなどを行えるよう、国の検討結果を踏まえ適切な対応を行ってまいります。
 次に、飼い主のいない猫対策についてでありますが、都は、平成十九年度から包括補助事業により、飼い主のいない猫対策を行う区市町村を支援しており、これを活用するなどして、三十六の区市町村が猫の不妊去勢手術について費用助成を行っております。
 今後、さらに多くの区市町村が対策に取り組むよう、動物愛護担当者会議で参考事例を紹介するなど、働きかけを行ってまいります。
 また、猫対策を初めとする動物の適正飼養の普及におきまして、身近な相談員でございます動物愛護推進員が果たす役割は大きいことから、ご提案も踏まえまして、制度や推進員一人一人の地域における取り組みについて、都民への周知方法を検討してまいります。
 次に、犬の登録率等の向上についてでありますが、都はこれまでも動物取扱業者に対し、販売時に犬の登録制度や狂犬病予防注射の必要性について説明するよう、監視指導や講習会等において周知をしてきました。
 また、犬の登録等の事務を行っている区市町村や東京都獣医師会等と連携し、動物病院でも犬の登録や注射に関する手続が行えるようにするとともに、飼い主に対する普及啓発を進めてきました。
 今後、動物取扱業者に対する監視指導の際に、犬の登録や予防注射の必要性を一層徹底するとともに、区市町村が動物取扱業者と協力をして、犬の登録率等の向上に向けたさまざまな取り組みを進められるよう支援してまいります。
 次に、島しょ地域の医療用画像伝送システムについてでありますが、来月から稼働するシステムは、画質や電送速度などの機能向上に加え、新たに双方向での情報交換が可能となるウェブ会議機能の追加を特徴としております。
 具体的には、現地の医療機関の医師と島しょ医療の基幹病院である都立広尾病院の医師とが、モニターで症例を確認しながら意見交換を行うことができるほか、広尾病院が行う臨床講義の聴講や研究会への参加が島にいながら可能となります。また、島しょ間においても、本システムを活用して一層の連携を深めることができるようになります。
 このシステムの導入により、医師が安心して医療に従事できる環境が整備され、島しょ医療がさらに充実するものと考えております。
 最後に、八丈町での白内障手術についてでありますが、都は、島しょ地域に生活する方々の安全・安心を確保するため、島しょ地域の医療の充実に努めております。
 八丈町についても、医師確保支援や町立病院の運営費等の補助を行うとともに、眼科や耳鼻咽喉科などの医療については、専門医療確保事業などを通じて支援をしております。
 お話の白内障手術の実施につきましては、町立病院における専門診療体制の見直しを視野に入れた上で検討すると聞いており、今後、町の意向も聞きながら適切に対応してまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 二点のご質問にお答えします。
 初めに、私立学校、私立幼稚園の耐震化についてでございますが、都は、私立学校等の耐震化を促進させるため、耐震診断については対象経費の五分の四を、耐震補強工事、耐震改築工事については対象経費の三分の二を、特に倒壊の危険性が高い建物につきましては五分の四の補助率とする私立学校安全対策促進事業を行っております。
 その結果、本年四月一日現在における都内私立学校等全体の耐震化率は約七三%となっております。
 都といたしましては、引き続き耐震化説明会や建築士による耐震相談などの耐震化普及啓発事業を通じて、補助制度の積極的な活用を働きかけていくとともに、生徒児童等の生命を震災から守るべく、私立学校等の耐震化をより一層促進するための運用改善などを検討してまいります。
 次に、個人情報保護法令に対する理解の促進についてでございますが、東京都の個人情報保護条例では、相当の理由がある場合などにおいて、個人情報の都の内部における利用や、国、他の自治体への提供ができると規定し、その活用に道を開いているところでございます。
 個人情報を保護しつつ、地域活動を円滑に進める上では、個人情報の保護と活用のバランスをとることが極めて重要でございまして、広く個人情報保護法令に対する正しい理解を浸透させることが必要でございます。このため、都におきましては、パンフレットの作成や説明会の実施により、個人情報保護法令の普及啓発に努めてまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを引き続き進めますとともに、新たに区市町村の職員に対しまして、個人情報保護に関する説明会への参加を呼びかけますとともに、個人情報保護法令の理解促進に向け、積極的に取り組んでまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 応急給水対策が十分に機能する取り組みについてでございますが、都民への応急給水は、応急給水槽や浄水所、給水所などの給水拠点における資器材の整備は都が行い、住民への給水は区市町が行う役割分担となっております。
 各区市町は、個々の給水拠点における応急給水のために活動計画を定めておりますが、職員が参集できないことも想定されますことから、町会、自治会を初めとする多様な主体と連携して、応急給水訓練を行うなどの動きもふえてきております。
 このような動きをさらに広げ、より実践的なものとするため、ご指摘を踏まえ、区市町の計画の現状を十分に把握し、連携の具体策の協議を行うとともに、町会や自治会などが活動しやすいような施設整備を進め、応急給水活動の一層の充実を図ってまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、罹災証明の発行に向けた取り組みについてでございます。
 都では昨年三月、区市町村向け復興マニュアルを策定し、その中で罹災証明の円滑な発行を図るため、発行手順や都の支援体制を示したところです。
 一方、国におきましては、電子地図やスキャナーの活用により、被害状況の調査から罹災証明の発行まで、作業を大幅に短縮する被災者支援システムの研究が進められております。
 しかし、都内の区市町村の多くは、罹災証明を発行する際に必要な消防の火災情報や固定資産税情報を所有しておらず、国のシステムではこのような東京都特有の課題に対応できません。そのため、現在、関係局や区市の代表から成る検討会を設置して、こうした課題について調査研究を行っております。
 今後、これらの成果を生かし、国と協力して東京都版システムの開発に向けて取り組みを進めてまいります。
 次に、三宅島のバイクレースの内容とバイクを活用した今後の島の観光振興についてでございます。
 ことしの十一月には、三宅島ならではの景観を生かし、国内でもトップクラスのライダーが参加する賞金をかけた迫力のあるバイクレースを実施いたします。
 また、このレースの模様をインターネットを使って中継するとともに、島民による郷土芸能や島の子どもたちによる応援により、島全体を挙げて取り組んでいくこととしております。さらに、これを契機に、今後もオフロードバイクの愛好家を広く受け入れるため、島の自然を生かしたツーリング環境の整備などについて、島の取り組みを支援していきます。
 こうした取り組みにより、島の持つ魅力を今まで以上に広くアピールすることで、三宅島の観光振興につなげてまいります。
 次に、今後の監理団体活用とさらなる改革についてでございます。
 東京都監理団体活用方針では、都政を支える重要なパートナーである監理団体の存在意義を明確にし、都施策推進のさまざまな場面において、より一層監理団体を活用することとしております。
 活用の具体例として、指定管理者制度においては、都との密接な連携による運営が求められ、かつ民間では対応困難な施設について、監理団体の特命での選定を可能とするなど、活用の幅を広げていくこととしました。
 あわせて、経営の一層の透明性の向上や事業評価の充実を図るとともに、監理団体の公益性を明らかにするため、公益法人への移行に向けた支援、指導を行っていきます。
 今後とも、都民サービスの一層の向上のため、監理団体を積極的に活用しつつ、不断の改革に取り組んでまいります。
 最後に、報告団体の位置づけの明確化についてでございます。
 報告団体は、公益性の観点から、都が出資者等の立場で関与を行っているものの、基本的にはみずからの経営責任のもと自主的な経営を行う団体でございます。
 そのため、都はこれまで、団体の決算や職員数など運営状況に関する報告を一律受けるにとどまっておりましたが、個々の団体を見ますと、出資比率、都財政支出、都施策との関係性など、その態様はさまざまであるため、各団体への関与のあり方について、改めて見直す必要があると認識をしております。
 今後、年内を目途に、すべての報告団体について、関係局とともに事業内容や都との関連性について精査し、位置づけを明確にした上で、その類型化に取り組んでまいります。
   〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕

○病院経営本部長(川澄俊文君) 都立病院における認知療法、認知行動療法の取り組みについてでございますが、都立病院では地域医療機関との役割分担に基づき、一般の精神科病院では困難な疾病に対応し、地域医療連携を軸とした精神科医療を推進しております。
 診療に当たっては、さまざまな精神科専門療法の中から適合するものを選択し、実施しております。
 認知療法、認知行動療法につきましても、ことし四月に診療報酬点数が新設されたことから、松沢病院と広尾病院において算定を開始したところでございます。
 引き続き、患者の病態に応じた治療法を選択し、患者中心の医療の実現に向け、最善を尽くしてまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

○環境局長(大野輝之君) 島しょ地域におけます森林被害の対応についてでございますが、本年七月、三宅島、御蔵島、八丈島におきまして、樹木の害虫であるカシノナガキクイムシにより、島しょに多く分布しているシイの木の一種、スダジイが枯れる被害の発生を都内で初めて確認いたしました。
 こうした被害が拡大いたしますと、島しょの貴重な自然や観光産業にも大きな影響を与える可能性があるため、直ちに現地調査を行い、当面の対応策を取りまとめました。
 来月には、被害状況をより正確に把握するため、航空機により上空からの三島の調査を実施いたします。
 また、この調査と外部専門家の意見を踏まえ、被害を受けた木に対する殺虫処理を行うとともに、観光資源ともなっている重要な巨木には被害の予防措置を行うなど、地元自治体とも連携し、被害の拡大を防止してまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、現在地再整備案の使用料についてです。
 市場の使用料は、用地費、用地取得と一体で考えるべき基盤整備費などを除き、施設建設費及び維持管理費を基本に算定することとしております。
 議会局によりますれば、維持管理費につきましては、基本設計まで行わなければ具体的な算出ができないため、現在地再整備案では、売り場面積等について豊洲新市場と同規模として計画していることから、豊洲新市場の維持管理費と同額としてございます。
 このため、主に施設建設費の違いが使用料の差としてあらわれており、建設費が高い現在地再整備案の使用料は、豊洲新市場の約一・三倍から一・六倍という結果となっております。
 加えまして、市場再整備検討に係る調査中間報告書によりますれば、現在地再整備案では、豊洲に比べ敷地が狭隘であるため、建物を多層化しており、昇降機の台数増や空調、換気設備の能力アップなどによる光熱水費等の増加、また、駐車場が地下化されていることによる給排気設備の運転費の上昇等が想定されております。
 このように維持管理費の増大が見込まれることから、現在地再整備案の使用料につきましては、今回の試算の水準をさらに上回ることが考えられます。
 次に、今回提案されてございます現在地再整備案の建設費と過去の建設費との乖離についてです。
 過去の建設費につきましては、卸売り場など都が整備する基幹施設と冷蔵庫、加工パッケージ、通勤駐車場などの民間が整備する施設との区分はなく、都が一括して整備することとしていたため、民間が整備する施設の費用が含まれてございます。
 また、再整備工事着手後、約五千平米の地下ターレ置き場の設置や、新たな営業動線の確保など、市場業界の要望を取り入れ、さらに建設用地を確保するため、築地川東支川埋立経費などを含め積算したものでございます。
 これに対しまして、今回提案された現在地再整備案は、建設費に民間が整備する施設の費用が含まれてございません。また、今後想定されます施設計画等への市場業界からの要望や意見を反映したものでないことなどから、過去の建設費とは大きな乖離が生じてございます。
 なお、再整備案のうち、晴海に全面仮移転して再整備を行う案では、民間整備費は約七百十億円となっており、土壌汚染対策費、埋蔵文化財調査費などを含めますと、その整備費全体は過去の建設費と同程度になると、特別委員会の質疑の中で明らかにされてございます。
 したがいまして、両者は試算の前提となる要素や条件が全く異なるものであるため、単純に二つの建設費を比較することは妥当ではないと考えます。
   〔消防総監新井雄治君登壇〕

○消防総監(新井雄治君) 防火安全対策に関するお尋ねでありますが、火災が発生した高円寺南雑居ビルの状況や、その後に実施した緊急一斉立入検査の結果、多くの雑居ビル等は立入検査により法令違反を一度是正させても違反が繰り返され、再び立入検査をするまで違反したまま営業していることが明らかになりました。
 こうした実態は、関係者の防火意識の希薄さによるところが大きく、約三十二万棟の建物を有し、小規模雑居ビルのテナントの入れかわりの激しい東京の特殊性を見れば、査察のみで関係者の防火意識を向上させることは困難な状況であり、潜在的な危険から都民の安全を担保しつつ、建物関係者の自発的な防火対策への取り組みを促す仕組みが必要であります。
 このため、都民みずからが建物の安全情報を入手し、利用を判断できるよう、立入検査で把握した違反を公表する制度を創設していきますとともに、公表した情報を積極的に商店街や関係業界に提供し、各団体の自発的な安全への取り組みも強力に促していくこととしております。
 今後は、こうした新たな制度の周知に努め、地域の商店街等とこれまで以上に連携し、広く都民と事業所の防火意識を醸成するとともに、徹底した違反是正に取り組んでまいります。
   〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕

○スポーツ振興局長(笠井謙一君) 二件のご質問にお答えいたします。
 まず、スポーツ祭東京二○一三についてでございますが、都におきましては、スポーツを通じて障害のある人とない人の連帯の輪を広げるため、国体と全国障害者スポーツ大会を全国で初めて一つの祭典として開催することとし、スポーツ祭東京二○一三という統一愛称を定めました。
 平成二十五年九月二十八日の国体開会から、十月十四日の全国障害者スポーツ大会閉会までの十七日間を一体的な会期として、それぞれの競技のほか、障害者もともに参加できるデモンストレーションとしてのスポーツ行事など、都民のスポーツへの関心を高めるさまざまな事業を都内全域で展開してまいります。
 今後、会場となる六十二のすべての区市町村との連携のもと、多くの都民参加を実現し、新たな国民スポーツの祭典の姿を全国に発信すべく、開催準備に万全を期してまいります。
 次いで、スポーツ振興の取り組みについてでございますが、だれもがスポーツを楽しむことができるスポーツ都市東京を実現するためには、年齢や障害の有無にかかわらず、スポーツに親しめる環境の整備が重要でございます。
 このため、平成二十年に策定した東京都スポーツ振興基本計画に基づき、地域スポーツクラブの設立、育成を支援するとともに、多くの参加者を集める東京マラソンやウオーキング大会を初め、さまざまなスポーツイベントを実施するなど、身近にスポーツを楽しめる環境づくりを進めております。
 また、スポーツ施設についても、スポーツ祭東京に向けた計画的な改修、改築をバリアフリー化を取り入れて進めるとともに、東京の新たなスポーツ拠点となる武蔵野の森総合スポーツ施設の整備に着手することといたしております。
 さらに、障害者スポーツの普及を図るため、関係団体とも連携し、障害者が身近にスポーツを実践できる場の開拓、地域のキーマンとなる人材の育成、そして積極的な情報発信などに取り組み、障害者がスポーツに親しめる環境を整えてまいります。
 今後、これらの取り組みを一層推進し、子どもから高齢者、そして障害者まで、だれもがスポーツのすばらしさと感動を共有できる社会を実現してまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 三十五番大島よしえさん。
   〔三十五番大島よしえ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○三十五番(大島よしえ君) 私は、日本共産党都議団を代表して質問します。
 ことしの夏は、熱中症で多くの高齢者が命をなくし、高齢者の所在不明も大きな社会問題になりました。若者の就職難など雇用問題も深刻です。
 貧困と格差を拡大し、社会保障を切り下げる政策を進めてきた国と石原都政の責任は重大であり、今こそ都政がかじを切りかえて、都民の暮らし、福祉を守るため、全力を尽くすときです。その立場から、以下、質問します。
 まず、高齢者福祉の充実です。
 二十三区だけで熱中症による死亡者は百三十六人に及び、その九割が高齢者でした。この問題は、高齢者の命を守るためには、特別の配慮や支援が必要であることを浮き彫りにしました。
 中でも、貧困が背景にあることは見落とせません。亡くなった方のうち、わかっているだけでも五十五人は、猛暑の中、部屋にクーラーがありませんでした。
 東京には、月三万円から五万円程度の国民年金のみで生活している高齢者がたくさんいます。わずかな年金から健康保険料や介護保険料が引かれ、食費を切り詰め、医療や介護サービスの利用を控えて、何とか暮らしているのです。電気代を月五百円に抑えている人もいます。
 知事は、東京の高齢者のこうした実態をどう認識していますか。
 都がまとめた地域ケア推進に関する報告書案骨子で、低所得の高齢者がふえていることを挙げ、解決に努める必要があると述べていることは重要です。都は、この問題にどう取り組むのか、明らかにしてください。
 中でも、七十五歳以上の医療費無料化は急務です。七十五歳にもなれば、多くの人は何らかの慢性疾病で治療を受けています。医療費は重い負担であり、命に直結しているのです。糖尿病のインシュリン治療やがんの治療も負担が重く、必要な検査や治療をあきらめる人が少なくありません。高齢者の医療をめぐるこのような現状をどう認識していますか。
 知事は、世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルをつくるといいますが、福祉先進諸国の多くは医療費は無料か、ごくわずかです。せめて七十五歳になれば、医療費の心配がない東京にすべきではありませんか。
 介護の問題も切実です。東京都社会福祉協議会が発表した介護保険利用者のアンケート調査で、同居家族がいると生活援助サービスが受けにくいことや、サービス回数や時間数をふやしたいが、経済的負担が重いという回答が多く寄せられています。こうした声を都はどう受けとめていますか。
 都も国に対し、支給限度額を超える場合、必要な介護サービスの種類や回数を減らすか、自己負担がふえることを指摘しています。都として、訪問看護などの負担軽減や、支給限度額を超える人の負担軽減に踏み出す必要があると思いますが、どうですか。
 石原知事は、高齢者は豊かになったなどといって、高齢者福祉の切り下げを進めました。知事が就任した一九九九年度普通会計決算の高齢者一人当たりの老人福祉費は十三万五千円でしたが、二○○八年度は八万二千円と六割まで落ち込んでいます。このような切り下げが高齢者を守るセーフティーネットを弱くし、貧困や孤立が広がる要因になっているのです。
 高齢者一人当たりの老人福祉費を九九年度並みに戻すと千四百億円の増額となり、思い切った対策が実施できます。知事、今こそ一人当たりの高齢者福祉予算を増額していくべきです。
 次に、熱中症対策についてです。
 私たちは、福祉はもちろん、ヒートアイランド対策なども含めた総合対策を都に申し入れました。都は来年度に向け、どう対応するのですか。高齢者世帯や低所得者、生活保護世帯に対し、クーラー設置や電気代への助成を行うことはとりわけ切実であり、実施を求めるものです。
 また、多摩地域の小中学校のクーラー設置も待ったなしです。二十三区では来年度でほぼ一〇〇%クーラー設置が完了するのに、市町村ではわずか一七・六%です。多摩地域のおくれの原因を緊急に明らかにし、必要な対策を検討することを求めますが、いかがですか。
 次は、児童虐待への対応です。
 痛ましい事態が相次ぐ中、私たちは提言をまとめ、早期発見、早期対応の促進や社会的養護体制の整備、子育て家庭の孤立と貧困の打開など、総合的対策の拡充を都に求めました。
 都として、この問題に全力を挙げて取り組む必要があると思いますが、知事の認識を伺います。
 児童虐待の通告を受け、対応する児童福祉司を抜本的にふやすことはとりわけ重要な課題です。この問題についてどう認識し対応するのか、お答えください。
 一時保護所の不足も深刻です。休止している墨田一時保護所の再開を初め、緊急に増設し、定員を大幅にふやすべきですが、どうですか。
 次に、若者を中心とした雇用対策についてです。
 東京の若者の失業率は一七・七%にもなり、ことし春の高校卒業生のうち約一割が就職できず、四年制大学では約二割、三万人もの卒業生が就職できないという深刻な事態となっています。
 知事は、雇用創出や職業訓練などを講じるといいますが、都の緊急雇用対策は原則六カ月という一時的な雇用創出にすぎず、国の交付金事業だけです。そればかりか、都立の職業訓練校、技術専門校は十八校から十四校に減らし、さらに武蔵野校、亀戸校を廃止しようとしているではありませんか。
 私は、知事が大企業に対し、正規雇用の拡大や労働条件の改善を直接働きかけるとともに、今、何よりも都の責任でできる手だてを尽くすべきだと思います。まず職業訓練校の廃止をやめ、逆に大幅にふやすべきです。
 第二に、都の福祉充実とセットで雇用を広げることです。
 定員百人の認可保育所を百五十カ所整備すれば、一万五千人の待機児を受け入れることができ、保育士など約四千人の新たな雇用が創出されます。同時にこのことは、子どもが保育所に入れないため、働けない方への就労支援に直結します。
 また、百人定員の特別養護老人ホームを百カ所整備すれば、一万人の待機者を受け入れることができ、約七千人の雇用も創出できます。しかも、建設業者や地域商店も潤います。まさに一石三鳥、四鳥ともいえる効果があります。
 知事、都が率先して福祉充実とセットで雇用を広げる取り組みを都政の重要課題に据えるべきと考えますが、どうですか。
 また、都自身が、不足している看護師、消防士、教員を初め正規職員採用を拡大すべきです。答弁を求めます。
 第三に、都が正規職員を削減する一方で非正規雇用を拡大し、不安定な身分と不当に低い給与で働かせているやり方を改めることです。
 都の臨時職員の時給は、交通費込みで約九百円です。月額は約十四万円。そこから交通費や国保料、国民年金を引けば、残るのは十万円程度にすぎません。まさに都がワーキングプアをつくり出しているのです。直ちに交通費は別途実費支給し、時給は千円に引き上げるなど、改善を図ることを求めます。
 臨時職員とは、一年以内に廃止される仕事に従事する職員とされています。雇用期間は一回二カ月以内、継続する場合は六カ月を超えることができないとされています。しかし、実際には、仕事の内容は一時的なものではなく、本来正規職員が担うべき恒常的な業務に何年にもわたって従事し、都政を支えている方が少なくないのです。
 例えば、都立施設の図書室で司書として勤務してきた方がいます。この方は、職員に対する専門的な情報、資料提供を職場でただ一人の司書として担ってきました。ところが、臨時職員であるために、毎年五カ月連続勤務しては一カ月失業、また五カ月連続勤務して一カ月失業という働き方を二十年間も続けさせられてきたのです。このような扱いはだれが見てもおかしい、そう思いませんか。
 この方は、二十年間、二カ月ごとの雇用期間更新のたびに承諾書を書かされることが悔しくてたまらなかったと語っていました。なぜ二カ月なのか。都の文書には、労働基準法の解雇予告手続や健康保険、厚生年金法の適用除外とするためと書かれていました。社会保険逃れのために、継続的に勤務する人にまで雇用期間を二カ月で細切れにするようなやり方は是正し、直ちに社会保険の加入を保障すべきです。
 今、石原知事の職員削減、総定数抑制政策が金科玉条とされているため、各部署は職員が足りなくても定数をふやせません。このため、ある局では、常時百五十人前後の臨時職員を出先事務所に雇用せざるを得ないのです。
 こうした実態があるにもかかわらず、都は継続的に勤務している臨時職員がどれだけいるのかさえ明らかにしていません。速やかに明らかにし、待遇改善を図るべきだと思いますが、どうですか。
 大阪府枚方市の非常勤職員の問題で大阪高裁は、形式的に非常勤職員として採用して、常勤同様の業務をさせざるを得ない場合には、常勤職員に該当すると判決しています。板橋区では、臨時職員を非常勤職員にするなどの改善も進んでいます。
 当面の改善策として、労働組合からは、任期の定めのない短時間公務員制度が提案されています。また、多くの自治体では、現業職など一般行政職とは別枠の職員制度があります。警視庁や新宿区などでは、今も技能職として別枠採用しているではありませんか。
 都としても、これらの事例や制度を積極的に検討し、非正規職員の方が都政に従事する自覚と誇りを持って、継続して安定して働けるようにすることを求めます。
 長引く不況のもと、円高によって中小企業はさらなる苦境に追い込まれ、仕事は激減、このままでは倒産するという悲痛な声が広がっています。幾つもの県が九月議会で円高対策のための補正予算を組んで、中小企業を支援しています。
 知事は、なぜ今議会に補正予算を提出しなかったのですか。十二月議会で補正予算を組むのはもちろん、直ちに支援を強化することを求めます。
 少なくとも、無担保、超低利、長期返済の円高対応緊急融資を立ち上げること、既存融資の返済について、返済の繰り延べ、金利の引き下げ、借りかえなどができるようにすること、輸出関連企業への資金繰り支援を行うことが必要です。また、貸し工場の家賃など固定費の直接補助を初めとする支援を緊急に行うべきです。それぞれ答弁を求めます。
 都財政の規模は、一般会計だけで六兆円を上回り、ため込み金の総額は二兆六千億円にも達する巨額なもので、お金の使い方を変えれば、都民の切実な要求を実現する財源はあります。
 一メートル一億円もかける外環道建設や、国際競争に勝つなどといって過大な港湾投資を進める政策を改めるなど、毎年一兆円という規模の投資型経費を適正な水準に戻すべきです。
 また、知事の豪華海外出張などのむだ遣いをやめることは当然です。税金の使い方を正し、暮らし、福祉、雇用を守るための予算を大幅にふやすことが必要だと思いますが、どうですか。
 さて、石原知事は、深刻な土壌汚染がある豊洲のガス工場跡地への築地市場移転をあくまで強行しようとしています。その理由としているのは、適用実験の結果、土壌汚染対策がうまくいくことが実証されたということです。
 しかし、都のいい分を信用したら、都民は百年の悔いを残すことになります。そもそも都の土壌汚染対策は、都が水を通さないと称している有楽町層及びそれより深い部分は汚染されていないと調査もしないで断定したり、地下水の流れなどの解明もせずに、地下水の管理ができるなどとする非科学的なものです。このため、専門家から絵にかいたもちと酷評されてきたのです。
 しかも、都は一貫してこの問題の真実を隠ぺいする態度をとり続けてきました。最近問題となった盛り土の汚染は、二年前の詳細調査で三十カ所の汚染が確認されていたにもかかわらず、都は健全な土だといい張ってきました。
 しかも、盛り土をどこから運んできたのか、ようやく場所だけは示したものの、それらの土地がこれまで何に使われてきたのかという履歴や、汚染のデータの全容はいまだに明らかにしません。知事、なぜ隠すのですか。
 中には、我が党が明らかにしたように、毒ガスを製造、保有していた旧陸軍の技術研究所に隣接し、毒ガスの実験場となっていたという戸山ヶ原跡地から持ち込まれたものもあります。しかも、その土地で基準を上回るダイオキシンが検出されているのです。直ちに全容を明らかにすべきです。
 適用実験もごまかしに満ちたものです。とりわけ、高濃度汚染の処理は実証されていません。例えば、都は三月十日の中間報告で、環境基準の四万三千倍のベンゼンの無害化が実証できたかのような発表を行い、そのことによって豊洲新市場の予算案通過に道を開きました。
 ところが、四カ月隠し続けて明らかになったのは、実験で使った土壌の初期値は基準の二・七倍にすぎなかったことです。二・七倍とは、五地点のサンプルを混合した値だといいます。値がこのように低いのに、都はその中に四万三千倍の値を示した土壌も含まれていると考えるのが妥当という専門家の助言を受けているから問題ないといい張っているのです。
 しかし、五地点の中に四万三千倍のベンゼンが含まれていれば、どう計算しても二・七倍という低濃度になるはずがないではありませんか。知事は、一体この事実をどのように認識しているのですか。現地での適用実験で四万三千倍のベンゼンが処理できたのですか。
 地下水も基準の五百二十倍のベンゼンなど、高濃度汚染のところを選んで浄化できるかどうか確かめる実験だったはずです。ところが、実験に用いたサンプルの初期値はすべて環境基準以下も含む低濃度汚染でした。実験は目的を果たさなかったのです。違いますか。
 また都は、汚染土壌は処理するから、地下水の再汚染はないといっていますが、これも成り立ちません。都が処理するのは、汚染されていると都が認定した土壌だけだからです。
 そもそも豊洲の新市場予定地は、中高濃度の局所的汚染が広範囲に存在していることが特徴なのです。このため、百平方メートルに一カ所、ごくわずかな土を調べるという程度では汚染の全容をつかみ切れません。だからこそ、これまでもきれいなはずの土壌が実は汚染されていたことが次々と明らかになっているではありませんか。
 今回の実験でも、ベンゼンが基準の十倍だったはずの土壌が、採取したら七百倍もあったという事実もありました。シアンが存在しなかったはずの地下水でも、実験の前後に最高十二倍のシアンが検出された事実もありました。つまり、豊洲の新市場予定地はどこも安全とはいえません。
 地下水も仮に一時的にきれいになったとしても、再汚染される危険が極めて強いのです。それとも、すべての土壌を入れかえるというのですか。豊洲の予定地は、食品を扱う場所には到底ふさわしくありません。
 知事、ガス工場跡地に市場を建設すること自体が誤りであったことを潔く認め、現在地再整備にこそ力を入れるべきです。答弁を求めます。
 現在地再整備については、晴海に全面仮移転するA案や、市場の一部機能を恒久的に晴海に移すB、C案の三案に基づいて議会の小委員会で議論されています。都や自民党、公明党などからは、不可能だ、無理だなどとする発言が相次いでいますが、私たちは別の角度から、現在の案には弱点があることを指摘してきました。
 現在地再整備案で重要なことは、欠陥を正し、都が責任を持って弱点を補い、業界との合意でよりよいものをつくることです。
 第一に、首都圏の拠点市場化や大型量販店対応型整備をやめ、膨れ上がった施設整備費を適正なものに正すことが必要です。それによって業者負担も軽減できます。
 第二に、建設費については、都がすべてを負担することが必要です。かつての現在地再整備計画も民間に負担を負わせないものでした。ところが今回は、A案でいけば七百十億円にも達する部分を民間に負担させてしまうのです。
 第三に、全面仮移転を行う場合は、都が費用を負担すること、魚と青果を分離させるような仮移転を避けるため、市場の上部に人工地盤をつくるなどの見直しをすることです。
 こうすれば、築地での現在地再整備は前に進みます。これらのことは、オリンピック基金の四千億円の一部を使うことでできるのです。今こそ、この十数年間にわたって再整備をおくらせ、業者、都民に苦労させてきた責任を都自身がとることが求められているのです。
 知事の答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大島よしえ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、高齢者への特別の配慮や支援についてでありますが、高齢者の生活実態はさまざまでありまして、所得格差の是正や所得保障は、経済政策や社会政策の課題であり、社会経済状況が変化する中で、負担と給付のバランスをいかにとるかという問題として、基本的に国の責任で対応すべきものであります。
 都が果たすべき役割は、少子高齢化社会において、新たな都民ニーズにこたえられる福祉サービスの基盤整備に全力を挙げることであります。こうした考え方は、これまでの都議会における議論の中で再三にわたって明らかにしております。
 高齢者の医療費助成についてでありますが、高齢者の医療費負担のあり方については、世代間の負担の公平性や負担と給付のバランスなどを考慮し、国において国民皆保険を堅持できる持続可能な制度として構築することが重要であります。都として、新たな医療費助成を実施する考えはありません。
 児童虐待についてでありますが、次代を担う子どもたちが、親や地域の人々の愛情に包まれて健やかに育つことは万人の願いであります。
 それにもかかわらず、痛ましい虐待事件が後を絶たない。これまで日本を支えてきた家族や社会の連帯は崩壊し、時代を超えて継承されるべき人間にとっての垂直な価値の基軸というものすら大きく揺らいでいる現況であります。
 児童虐待は、子どもの心に深い傷を残すだけでなく、かけがえのない生命を奪うこともありまして、決して許せるものではないと思います。いわれるまでもなく、都は虐待の未然防止のために、児童相談所の体制を強化し、地域での対応力を高めるために、総合的な取り組みを進めております。
 次いで、雇用の拡大についてでありますが、現下の厳しい雇用情勢の中で、都では切れ目のない雇用の創出に取り組んでいるほか、職業訓練の拡充や就業支援の充実など、さまざまな雇用対策を積極的に展開しております。
 しかし、将来にわたる雇用の場の拡大という課題に対しては、国が明確な成長戦略のもと、実効性のある経済対策を進めて、雇用の創出につなげていくことが本質的な解決策であります。
 福祉施設設備のお話がありましたが、これは福祉サービスの充足状況など、地域の実情に応じ計画的に行うべきものであると思います。
 築地市場の移転、再整備についてでありますが、豊洲新市場の予定地で実施してきた土壌汚染処理の実験結果については、先月、技術会議において汚染物質の無害化が可能となるとの評価をいただきました。都としては、それにのっとって処理対策を確実に実施することにより、市場用地として安全・安心を十分確保できるものと考えております。
 築地市場は、施設の老朽化がもはや限界でありまして、耐震性やアスベストに不安を抱え、一たび震災に遭えば、市場機能が麻痺し、都民生活に甚大な影響を与えることになります。私としては、豊洲移転がとり得る最善の策として、二十二年度に関連する予算を計上しました。
 現在、都議会において、現在地再整備の検討が行われております。この問題に対し、一刻も早く結論を出していただきまして、将来にわたり首都圏三千三百万の食生活を支える新市場の整備を早急に進める必要があると思います。
 他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 公立小中学校のクーラーの設置についてでございます。
 公立学校の施設設備の整備は、学校の設置者が行うこととなっております。公立小中学校へのクーラーの設置につきましても、各区市町村において、地域の実情、特性等を踏まえ、それぞれの考え方に基づいて対応しているものと考えております。
 現在、国及び都におきまして、公立学校の空調設備の設置状況等を調査中でございまして、これらの調査の分析結果等を踏まえ、検討してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 新市場予定地における盛り土についてでございますが、ご指摘の土地とは、都営住宅百人町四丁目の工事現場のことと思われます。
 この工事が実施された場所は、旧陸軍の技術研究所とは離れた位置にございまして、明治時代半ばから終戦まで、戸山ヶ原と呼ばれた演習場でありましたが、陸軍が使用していないときは一般の人に散策地として開放されておりました。こうした過去の土地の使い方をもととした当該地の土地利用の履歴等調査結果では、土壌汚染のおそれはない土地としております。
 なお、この工事で環境基準には抵触しておりませんが、受け入れ基準を上回るダイオキシン類が検出された土は、さきに発表したとおり、豊洲地区には一切搬入しておらず、安全面で全く問題はございません。
 また、盛り土工事のために搬入した土の全体的状況につきましては、八月二十四日に開催された連合審査会で説明したとおりでございますが、これらの土は実施したすべての化学性状試験の結果において、受け入れ基準の基準値を下回った建設発生土でございまして、汚染のおそれはないものと判断しております。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 九点につきましてお答え申し上げます。
 低所得の高齢者対策についてでございますが、お話の報告書案骨子は、民間委員で構成される東京の地域ケアを推進する会議でこれまで議論した内容を取りまとめたものであり、さまざまな委員の意見が盛り込まれているものであります。
 東京都は、地域ケアの推進を図るため、東京都高齢者保健福祉計画に基づき、これまでも介護基盤の整備に努めてまいりました。
 さらに、今年度より低所得の高齢者への対応として、地価の高い都市部において居室面積基準等を緩和した都市型軽費老人ホームの整備にも取り組んでおります。
 次に、高齢者の医療についてでありますが、七十五歳以上の高齢者が医療機関を受診した場合、窓口で支払う一部負担金は原則一割と低く抑えられております。
 また、医療費負担が高額になった場合には、高額療養費制度による軽減措置があり、現役世代に比べて高齢者に対する一層の配慮がなされております。高齢者も含め医療費負担のあり方については、社会保障制度全体の中で国の責任で対応すべきものと考えております。
 次に、訪問介護サービスの生活援助の取り扱いについてでありますが、生活援助の利用につきましては、国から同居家族等がいることのみを基準として、一律かつ機械的にその可否を決定することのないよう通知が出されております。
 都は、この通知に基づきまして、個々の利用者の状況に応じて具体的に判断するよう、区市町村に対して周知徹底を図っております。
 次に、介護サービスに係る利用者負担の軽減についてでありますが、都は国制度である社会福祉法人等による利用者負担額軽減の仕組みをもとに、訪問介護などを含め対象サービスを既に独自に拡大いたしております。
 また、事業主体についても、社会福祉法人以外の株式会社などに対象を広げて実施をしております。
 区分支給限度基準額につきましては、そのあり方を適正に見直すよう、既に国に対して緊急提言も行っております。都として、新たな負担軽減策を行う考えはございません。
 次に、高齢者福祉予算についてでありますが、平成十一年度と平成二十年度の普通会計決算の比較のお話がございましたが、この間、介護保険の導入や、三位一体改革などにより、比較の前提となる制度が大きく変わっております。
 こうした制度変更や長期的視野に立った政策などを考慮することなく、単純に普通会計決算における高齢者一人当たりの老人福祉費の額を問題にするのは意味のない議論であります。
 なお、第一回定例会でもご答弁したとおり、都の予算は、予算編成の過程を通じて具現化されますけれども、本年度予算におきましては、福祉と保健の予算割合は二○・〇%で過去最高となっております。
 その中で高齢者分野では、都独自の補助制度によります認知症高齢者グループホームの大幅な増設や、新しい高齢者の住まいの整備、地域における二十四時間三百六十五日ワンストップサービス窓口となるシルバー交番設置事業など、さまざまな施策を展開いたしております。
 次に、熱中症についてでありますが、熱中症は小まめな水分補給や適切な室温管理、外出時の諸注意などにより予防が可能でございまして、都民みずから健康を守るために予防策を講じることが基本でございます。
 都は、区市町村と連携いたしまして、ホームページによる注意喚起や保健所における相談等を通じまして、都民に対し正しい知識の普及啓発を行いますとともに、高齢者施設等にも熱中症予防策の周知徹底を図っております。
 次に、低所得者、生活保護世帯に対するクーラー設置や電気代助成についてでございますが、低所得世帯に対する所得保障は、基本的に国の判断と責任において実施されるものと認識をいたしておりまして、都として独自に実施する考えはございません。
 次に、児童福祉司の増員についてでありますが、都では複雑困難な事例の増加に対応するため、児童福祉司を平成十三年度から二十一年度までの八年間で六十六名増員いたしまして百七十二名とするとともに、チーム制を導入いたしまして、複数の児童福祉司が協議しながら事例に当たっております。
 また、平成二十二年度には、児童相談センターの児童福祉相談専門課長を二名に増員して、困難事例へのスーパーバイズや業務研修を充実するなど、各児童相談所の職員の専門性の向上に努めているところでございます。
 最後に、一時保護所の定員についてでありますが、都では一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を平成十七年度から二十一年度までの四年間で四十名増員いたしまして、百六十八名に拡大してきました。
 今後も、墨田児童相談所の移転改築に合わせ、一時保護所を開設するなど、定員増を計画的に行うことといたしております。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず職業訓練についてでありますが、都が進めている職業能力開発センターの再編整備は、老朽化が著しい施設の更新に合わせて施設を大規模化し、機能を拡充するものであります。
 武蔵野校については、多摩職業能力開発センターの移転開設に合わせて統合し、また、城東職業能力開発センターにつきましては、足立校の開設に合わせて統合しようとするものであり、いずれも訓練定員規模を確保しながら訓練内容を充実してまいります。
 また、急激な雇用情勢の変動等による訓練ニーズの増大に対しては、民間委託の手法を活用することにより弾力的に対応しております。
 昨年度からは、厳しい雇用情勢に対応するために、離職者向けの委託訓練を大幅に拡大して実施しており、公共職業訓練の充実に努めております。
 次に、中小企業に対する支援の強化についてであります。
 都は、一昨年秋のリーマンショック以降、厳しい経済環境を踏まえ、中小企業に対して制度融資や下請対策の拡充など、企業現場の実情に即した具体的な手だてを講じてきており、本年度についてもこの考えを継続しております。
 ことしに入り、中小企業の業況は、製造業を中心に緩やかながらも持ち直しを見せているものの、予断を許さず、また、今後円高の影響が懸念されることから、引き続き中小企業に対する支援を適切に行ってまいります。
 今後とも、経済情勢を注視しながら、中小企業対策を着実に展開してまいります。
 次に、新たな融資の立ち上げ等についてでありますが、都は平成二十年十月から国の緊急保証制度に対応し、制度融資の最優遇金利を適用した最長十年の融資メニューである経営緊急を既に実施しております。
 現在、原則として全業種の中小企業を対象に実施しており、運転資金の確保や既往債務の借りかえによる返済負担の軽減に利用されております。今回の円高への対応もこの経営緊急を中心に行う考えであります。
 また、既往債務の条件変更についても、制度融資全般で既に対応しております。
 お話のありました新たな融資制度をつくることは考えておりません。
 最後に、貸し工場の家賃補助等の緊急支援についてでありますが、都は既に経営困難な中小企業に対して、事業承継・再生支援事業で相談や経営支援を行うとともに、資金面でも制度融資により対応しております。
 したがいまして、お話の家賃補助などについて実施する考えはございません。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都職員の採用拡大についてでございます。
 都の事業は、基本的に都民の税金で賄われており、常に最少の経費で最大の効果を発揮することが強く求められております。都の職員採用は、事業執行に必要な人員の確保や職員の退職動向などを総合的に勘案して行っており、今後ともこうした方針に基づき、職員の採用を実施してまいります。
 次に、都の臨時職員の賃金についてでございます。
 都では、各局において具体的な業務内容等に基づき賃金単価を設定し、執行しております。
 なお、毎年度の予算見積もりに当たりましては、通勤費相当分を含めて算定した賃金の参考単価を、財務局が各局に通知しているところでございます。
 次に、臨時職員の勤務実態についてでございます。
 都では、個々の職務内容や業務量等を十分に勘案した上で、常勤職員、非常勤職員及び臨時職員等が的確に役割分担を行い、スリムで効率的な執行体制を確保しております。
 こうした中、臨時の職は、各局が業務の繁閑や職の臨時性を勘案し、必要に応じてその都度設定しているものであり、長期にわたる継続的な任用を前提としたものではございません。
 各局の事業執行において、一定期間、断続的に臨時の職が必要となる状況も想定されますが、その場合でも、臨時の職に常勤職員を採用することは、制度上認められないものでございます。
 なお、臨時職員の任用管理は、臨時職員取扱要綱に定める枠組みの中で適時適切に対応しております。
 次に、臨時職員の任期についてでございます。
 都では、短期または季節的な業務に従事するという臨時の職の性格を考慮してその任期を定めており、社会保険逃れという指摘は当たりません。
 次に、継続的に勤務する臨時職員の把握についてでございます。
 臨時の職は、長期にわたる継続的な設置を前提とするものではなく、短期または季節的な業務を担うという性格を踏まえた上で、業務の繁閑等を考慮し、必要に応じて設置しております。
 また、こうした臨時の職への任用につきましては、臨時職員取扱要綱に基づき適切に対応しており、継続的に勤務する人数を把握して待遇を改善すべきとの指摘は当たらないと考えております。
 最後に、非常勤職員の任用等についてでございます。
 都では、個々の職務内容や業務量等を十分に勘案した上で、常勤職員、非常勤職員及び臨時職員等が的確に役割分担を行い、スリムで効率的な執行体制を確保しており、今後も引き続きこうした体制を維持してまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 財政運営についてお答えをいたします。
 都市インフラの整備などへの投資は、国際競争力を高め、東京の活力を維持する上で不可欠な取り組みであり、現在の投資水準は適正な規模であると考えております。
 これまでも都は、こうした取り組みに加え、都民の雇用や生活への不安に対応する取り組みなど、都民にとって必要な施策に対して的確に財源を振り向け、都民の期待に十分こたえてきていると考えておりまして、今後とも、引き続き都政に課せられた使命をしっかりと果たしてまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、新市場予定地における土壌汚染処理実験についてでございますが、調査によりまして、環境基準値の四万三千倍のベンゼンが検出された区画の土壌を採取し、中温加熱処理によりまして、環境基準以下への浄化を確認いたしました。
 浄化の確認は、当該区画の土壌の中から五点の試料を採取し、処理後の分析値が環境基準以下となっていることにより行ったものでございます。
 また、高濃度の汚染物質の除去につきましては、専門家からの助言に基づき、同じ区画の土壌を用いまして、四万三千倍を超える二十万倍の高濃度の供試体を作成し、中温加熱処理の補完的な実験を行い、環境基準以下への浄化を確認いたしました。
 こうした実験結果から、技術会議は、処理技術は有効であり、高濃度汚染であったとしても環境基準以下に浄化することは可能であると評価してございます。
 次に、地下水浄化処理実験についてですが、実験は、ベンゼン、鉛などの重金属、シアン化合物により、地下水が高濃度に汚染されている地点を対象として実施いたしました。
 このうち、ベンゼンと鉛を対象とした地点につきましては、初期値が環境基準以下であったため、専門家からの助言に基づき、実験地点を追加いたしました。
 これら追加した二地点では、ベンゼンが環境基準値の三十九倍など、初期値が環境基準値を超えており、いずれの汚染物質につきましても環境基準値以下への浄化を確認できたため、地下水浄化処理は有効な処理技術であると技術会議は評価してございます。
 次に、土壌の汚染による地下水への再汚染についてです。
 都は専門家会議の提言を踏まえ、まず平面方向の汚染状況を把握するため、豊洲新市場予定地の敷地全体を、土壌汚染対策法が定める最小の調査区分でございます十メーターメッシュで区分した四千百二十二地点で、土壌に加えまして地下水も採取し分析する詳細調査を実施いたしました。
 汚染物質が地表から地下へ浸透していくことから、操業地盤面付近の土壌を採取することで地表近くの汚染を把握し、また、汚染物質が程度の差はあれ、地下水に溶け出すことから、地下水中の汚染物質を調査することで、地表から深い場所の汚染の把握が可能となります。
 さらに、詳細調査の結果、土壌または地下水で環境基準値を超えた場合は、深さ方向の土壌調査も行ってございます。
 こうした調査結果から、平面方向、深さ方向とも敷地全体にわたって汚染が広がっていないことを把握してございます。
 都の土壌汚染対策は、調査結果をもとに、環境基準値を超える操業に由来する土壌の汚染物質をすべて除去し、地下水につきましても、環境基準以下に浄化することから、ご指摘のような地下水への再汚染は起こらないと考えてございます。
 なお、ご指摘ございましたシアン化合物検出の件でございますが、これは、くみ上げた地下水を一時貯留し、排出基準以下に処理する前に検査した値でございます。このくみ上げた水の中には、シアン化合物も含む土壌汚染の処理実験で掘削した区画からしみ出た地下水も含まれているために検出されたものでございます。
 都は、これらのくみ上げた水につきまして適切に処理をし、下水へ放流してございます。
 最後は、市場再整備の責任についてでございます。
 先ほど知事がご答弁したとおり、平成二十二年度予算には、豊洲移転関連経費が計上されてございます。その計上の考え方は、土壌汚染対策に係る実験の結果を踏まえ、その有効性が確認された時点で速やかな事業執行を行うことにより、平成二十六年度中の開場を可能にするというものでございます。
 現在、議会において、現在地再整備の検討が進められておりますが、老朽化が著しい築地市場の現状を考えれば、新市場の整備を進めることが行政としての責任を果たすことであると考えます。
   〔三十五番大島よしえ君登壇〕

○三十五番(大島よしえ君) 最初に、臨時職員の問題について二点再質問します。
 第一に、臨時職員が二十年間も継続的に働いている事実を示したのに、総務局長は、制度解説をするだけで、まともに答えませんでした。私が指摘したような事実は、ただの一人もいないと断定できますか。イエスかノーか、明確に答えていただきたい。
 第二に、臨時職員の働き方が適切であるとなぜいえるのですか。都は調査すらしていないではありませんか。調査しないのは、待遇改善をするのが嫌だからだとしか考えられないではありませんか。
 以上、答弁を求めます。
 次に、豊洲の土壌汚染について伺います。
 第一に、適用実験の問題で、答弁では四万三千倍のベンゼンが検出された区画の土壌を採取したとしかいえませんでした。つまり、四万三千倍のベンゼンを含む土壌の処理実験ではなかったということですね。どうですか。
 第二に、だから二十万倍の土壌を人工的につくって、追加実験せざるを得なかったのです。しかしそれは、一度処理されたきれいな土壌にベンゼンを振りかけて、室内で実験したのです。つまり、現地の高濃度汚染や土質状況に即した適用実験は実施されなかったということです。違いますか。
 第三に、答弁によれば、地下水実験もせいぜい三十九倍の濃度にすぎず、五百二十倍の高濃度汚染処理実験はしなかったということになります。
 以上で明らかなように、適用実験は目的を達成しなかった。これが今日の答弁の帰結になるではありませんか。
 以上、三点への答弁を求めます。
 最後に、盛り土についてです。
 基準を上回るダイオキシンが検出され、毒ガス実験をしていたという危険な土地の土壌を、食の安全を最も重視すべき市場予定地に持っていくこと自体、あってはならないことではありませんか。都は誤りを認めるべきですが、どうですか。
 以上で終わります。(拍手)
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 二十年という例を挙げたことについてでございますけれども、都では個々の職務内容や業務量等を十分に勘案した上で、常勤職員、非常勤職員及び臨時職員等が的確に役割分担を行い、スリムで効率的な執行体制を確保しております。
 断続的な任用があったといたしましても、短期または季節的な業務につきましては、今後とも臨時の職として対応してまいります。
 次に、調査をすべきということについてでございますが、臨時の職はあくまで短期的または季節的な業務を担うものでございまして、その任用につきましても、都全体として臨時職員取扱要綱に基づき適切に運用しております。したがいまして、あえて調査を行う必要はないというふうに認識をしております。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず一点目の環境基準値四万三千倍を超えた土壌が処理されたのかということでございますが、調査によりまして、環境基準値の四万三千倍のベンゼンが検出された区画の土を採取いたしまして、その土をもって中温加熱処理によって環境基準以下への浄化を確認しております。したがいまして、先ほどもいいましたように、四万三千倍の含まれている土地の浄化が確認されたということでございます。
 それから、二十万倍の土ですが、これは先ほども述べましたように、豊洲の高濃度の土が、汚染が発見された土壌をもちまして供試体をつくっているということでございますので、全く、この土については、豊洲の土でやったことについてと同じでございまして、この実験の方法につきましては、専門家の指示に従ったものでございまして、また、実験結果につきましても、処理技術について有効であるとの確認をいただいておるところでございます。
 それから、もう一つ、地下水処理の実験でございますけれども、地下水は、高濃度で汚染されました地下水の処理につきまして汚染地下水をくみ上げ、清浄された水を注入して、土壌の地下水の汚染濃度を低下させて、最終的に環境基準以下へと浄化させるものでございます。
 したがいまして、いずれの環境基準におきましても、今回の場合では二週間程度で浄化が確認されておりますが、たとえご指摘のような高濃度で浄化されたといたしましても、こうしたサイクルを繰り返すことによって環境基準以下への浄化は可能であると、このように考えてございます。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) ダイオキシンが発見されているようなところの土を市場に持ってくること自体が誤りであると、それを認めろという、こういうご質問かと思いますが、先ほどもご答弁いたしましたとおり、当該の土地につきましては、土地利用の履歴等調査結果というものが環境確保条例の手続に基づいて出されておりまして、そういう中で、その土地利用履歴上も、先ほども申し上げましたように、それなりに離れている場所に陸軍の技術研究所があるということはもう周知の事実であるところでも、そういう土地利用履歴上は土壌汚染のおそれはない土地として認められているわけです。
 しかも、実際に、そういった土地でのダイオキシンを実際に調べたときに、先ほど申し上げましたが、環境基準には抵触はしておりませんけれども、受け入れ基準を少し上回るダイオキシン類が発見されたわけですから、それに対して追加試験をして、その土を持ち込まないように、これはまさに盛り土工事をするときに、そういうことをきっちりやっていくためにああいう基準を設けていたわけですから、それの基準の効果が発揮されて、運び込むことを防ぐことができた、そういうやり方で運び込むこと自体、全く誤りであるというふうには私はいえない。適切に処理されたというふうにいえるのではないかというふうに思います。

○七十四番(伊藤まさき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時一分散会

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