平成二十二年東京都議会会議録第九号

平成二十二年六月九日(水曜日)
 出席議員 百二十六名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番三宅 正彦君
四番吉住 健一君
五番桜井 浩之君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
八番土屋たかゆき君
九番山内れい子君
十番くりした善行君
十一番中村ひろし君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤 興一君
二十番鈴木 章浩君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番星 ひろ子君
二十六番小山くにひこ君
二十七番柳ヶ瀬裕文君
二十八番淺野 克彦君
二十九番新井ともはる君
三十番佐藤 由美君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番大松あきら君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番松葉多美子君
四十番早坂 義弘君
四十一番高木 けい君
四十二番石森たかゆき君
四十三番高橋 信博君
四十四番中屋 文孝君
四十五番村上 英子君
四十七番西崎 光子君
四十八番滝沢 景一君
四十九番中谷 祐二君
五十番笹本ひさし君
五十一番山下ようこ君
五十二番神野 吉弘君
五十三番鈴木 勝博君
五十四番興津 秀憲君
五十五番岡田眞理子君
五十六番伊藤 ゆう君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番中山 信行君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番高橋かずみ君
六十五番山加 朱美君
六十六番山崎 一輝君
六十七番菅  東一君
六十八番宇田川聡史君
六十九番山田 忠昭君
七十番林田  武君
七十一番原田  大君
七十二番佐藤 広典君
七十三番尾崎 大介君
七十四番松下 玲子君
七十五番山口  拓君
七十六番伊藤まさき君
七十七番野上ゆきえ君
七十八番西岡真一郎君
七十九番今村 るか君
八十番吉田康一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番三宅 茂樹君
八十八番遠藤  衛君
八十九番吉原  修君
九十番野島 善司君
九十一番鈴木あきまさ君
九十二番三原まさつぐ君
九十三番田島 和明君
九十四番樺山たかし君
九十五番斉藤あつし君
九十六番泉谷つよし君
九十七番くまき美奈子君
九十八番大西さとる君
九十九番増子 博樹君
百番いのつめまさみ君
百一番門脇ふみよし君
百二番小沢 昌也君
百三番花輪ともふみ君
百四番大津 浩子君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番古賀 俊昭君
百十一番こいそ 明君
百十二番服部ゆくお君
百十三番川井しげお君
百十四番吉野 利明君
百十五番宮崎  章君
百十六番比留間敏夫君
百十七番相川  博君
百十八番石毛しげる君
百十九番大塚たかあき君
百二十番和田 宗春君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番田中  良君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
 四十六番 矢島 千秋君

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監都市整備局長兼務河島  均君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長中田 清己君
財務局長安藤 立美君
警視総監池田 克彦君
主税局長熊野 順祥君
生活文化スポーツ局長並木 一夫君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
建設局長村尾 公一君
港湾局長比留間英人君
会計管理局長新田 洋平君
交通局長金子正一郎君
消防総監新井 雄治君
水道局長尾崎  勝君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長泉本 和秀君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長野口  孝君

六月九日議事日程第三号
第一 第百二十号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百十六号議案
平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)
第三 第百十七号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第四 第百十八号議案
東京都組織条例の一部を改正する条例
第五 第百十九号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第六 第百二十一号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第七 第百二十二号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第八 第百二十三号議案
都立大泉高等学校・附属中学校(二十二)改築工事請負契約
第九 第百二十四号議案
東京国際展示場(二十二)会議棟改修工事請負契約
第十 第百二十五号議案
警視庁青梅警察署庁舎(二十二)改築工事請負契約
第十一 第百二十六号議案
東京国際展示場(二十二)ビル管理設備改修工事請負契約
第十二 第百二十七号議案
城山トンネル(仮称)整備工事(西―城山の五)請負契約
第十三 第百二十八号議案
中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その二)請負契約
第十四 第百二十九号議案
公立大学法人首都大学東京中期目標について
第十五 第百三十号議案
東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定について
第十六 第百三十一号議案
心臓衝撃装置(自動体外式除細動器)外一種の買入れについて
第十七 第百三十二号議案
東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第十八 第百三十三号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第十九 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都人事委員会委員の選任の同意について(二二財主議第七六号)
第二 東京都収用委員会委員の任命の同意について(二二財主議第七七号)
第三 東京都収用委員会委員の任命の同意について(二二財主議第七八号)
第四 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(二二財主議第七九号)
第五 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(二二財主議第八〇号)

   午後一時一分開議

○議長(田中良君) これより本日の会議を開きます。

○議長(田中良君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(田中良君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都人事委員会委員の選任の同意について外人事案件四件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(田中良君) 昨日に引き続き質問を行います。
 五十四番興津秀憲君。
   〔五十四番興津秀憲君登壇〕

○五十四番(興津秀憲君) それでは、一般質問をさせていただきます。
 昨日、民主党、菅直人内閣が発足いたしました。本日から本格始動が始まることと存じます。菅首相は最小不幸社会を目指すとし、政治の役割は貧困や戦争など国民や世界の人が不幸になる要素をいかに少なくしていくかだと意気込みを語っていらっしゃいます。まさしく国民の期待にこたえる内閣であろうと思いますし、私も微力ながら応援させていただくものであります。
 東京都知事におかれましても、国とのちょうちょうはっしの議論もさることながら、国と都が切磋琢磨し、都民の幸せをこれからも増進をしていただきたいと思います。東京都からの総理大臣は戦後二人目、多摩地域からは初めての総理大臣であります。多摩選出の都議会議員として、これほど力強く思うことはございません。
 それでは、多摩地域の諸課題から質問に入ります。
 多摩地域は、昭和四十年以降、急激な人口増加と都市化により、さまざまな問題が発生しました。市町村の懸命な努力にもかかわらず、行政サービスが都市化に追いつかず、区部との間に、都市基盤を初めとする生活の利便性においてさまざまな格差が生じました。
 昭和五十年に制定された三多摩格差八課題についてはかなりの部分で解消されたと思います。先人の永年にわたる努力に感謝するものです。
 しかしながら、現在、新たな行政課題、多摩格差ともいえる状況が生じているのではないかと思います。この行政課題は多種の施策にまたがるので、今回は幾つかの事例を示し、一点について質問したいと思います。
 まず、財政面の事例として、平成二十年度普通会計決算において、経常収支比率平均は特別区が七六・一%、市町村では九一・七%、財政調整基金の現在高は特別区合計が四千二百九十七億円余りで、住民一人当たりにすれば約五万円、市町村合計が七百三十一億円余りで、住民一人当たりにすれば一万八千円となり、大きな隔たりがあります。
 もちろん、一概に単純な比較はできない面もありますが、市町村は厳しい財政状況にあります。毎年、市長会などから、南北幹線道路などの道路整備、東京国体を契機とした多摩地域の発展支援、義務教育就学児医療費助成事業の所得制限など子育て環境の充実に向けて等、懸案事項に対する要望書が都知事あてに提出されています。
 このように、少子高齢化等の社会状況の変化や住民ニーズの多様化により、新たな行政課題が生じてきています。この状況において、都として、多摩地域の発展や魅力ある地域づくりに向けて、今後どのように多摩の振興に取り組んでいくのか。また、市町村が厳しい財政状況にある中、個性と魅力を生かしたまちづくりを実現するために、都は、市町村との緊密な連携を図りながら、引き続き、多摩の振興に向け財政面など効果的な支援を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、地域医療です。
 財団法人自警会という警視庁職員を会員とする団体があります。この団体は国分寺市と府中市にまたがる地に西東京警察病院という病院を経営されています。今般、自警会はその理事会において、この病院閉鎖を決定しました。非常に残念であります。しかしながら、この決定を尊重させていただき、今までの地域医療に貢献されたことに感謝を申し上げます。
 さて、この病院閉院を受け、地元国分寺市、国立市、府中市の三市長と三市議会から、それぞれ財団法人自警会に病院継続への要望書が提出されています。要望書は民間財団に提出されているので、都は関知するところではないのですが、三自治体からの要望書は非常に重い意味を持っていると思います。
 三市長は現行の診療体制のもとで存続されるよう要望する、三市議会は現在地での存続を求める要望とあります。また現在でも、多摩総合医療センターより年間七十人から百人程度の患者さんをリハビリ機能回復に向けて紹介されています。市長、市議会の要望は、あくまで現在地に病院を求めるということが願意であります。
 そこで質問ですが、今後、都として、この地に病院を継続して残せる可能性のある場合には適切な指導をお願いするとともに、喫緊の課題として、西東京警察病院に入院、受診されている方々の行き場がなくなり、さまようことのなきように、適切な対応をいただきたいと存じます。所見を伺います。
 次に三番目、道路問題です。
 多摩地域の都市計画道路の整備率は五三%と、区部の六〇%と比較しておくれております。都民の安全で快適な生活を支える幹線道路の整備が喫緊の課題となっています。
 一点目として、多摩地域の総合的見地に立って、幹線道路ネットワーク整備の取り組みについてお伺いいたします。
 二点目として、国立市、甲州街道の日野バイパス入り口以西は、道路管理を国から東京都に移管され都道となりました。ここはかつて二車線から四車線へと変更された道でありますが、歩道が非常に狭く、日曜日のテレビ番組でも取り上げられたほどであります。
 都としても、現状道路、歩道の改善の必要性は認識していると伺っています。地域住民からはこの四車線道路を以前の二車線へと戻し、人に優しい道路としていただきたいと国立市議会に陳情書が出され、採択もされています。平成十五年十二月の多摩北部地域の幹線道路検討会報告書にも、将来の二車線化が報告されており、地元市民の期待は大変高いものがあります。
 都では、二車線化に向けての現状を機会をとらえて説明をしているとしていますが、歩道の改善などを含んで目に見える改善は図られていないため、地元市民の理解を得られず、都に対し不信感を抱いている状態であります。当該区間の二車線化について、今後の対応をお伺いいたします。
 次に、中小企業支援です。
 また、今、中小企業に求められている施策は、事業資金の融資制度、企業合併、買収、事業継承、創業、ベンチャー支援、事業転換時の支援、ビジネスマッチング、技術、製品の国際標準化の積極的推進、海外展開推進支援、インキュベーション支援、そして人材育成など、多岐にわたります。
 企業にとって効果的な支援策を打ち出すためには、本当に必要で真に役立つ支援を、中小企業に寄り添う発想を持って施策を実施することが重要であります。
 都は「十年後の東京」等を策定し、毎年のようにローリングし、アップ・ツー・デートすることにより、戦略的な中小企業支援策を先んじて行っていくべきであると思います。
 そこで第一点目は、現在行われている都の中小企業支援策が非常に多岐にわたり、一定の成果も上がっていると思います。それであればこそ、この支援策をもっと知らしめるべきであると思います。
 都ではインターネット等で告知しているとしていますが、具体的な事例が相談者の身の回りで起きない限り、この施策を感じることはないでしょう。都の中小企業支援策を知ってもらい、利用しやすくし、利用してもらうためには、より一層の工夫を求めますが、いかがでしょうか。
 二点目に、地域の商店主さんなどは、中小企業振興公社のある秋葉原まで相談に出かけるのでも、ほぼ一日仕事になってしまう場合もあります。例えば、現在行っている中小企業診断士の経営診断、相談などを、いわゆる出前事業として現場の商店まで出かけて、診断、相談するなど、より細やかな施策が求められると考えます。
 企業には、大小を問わず、必ず存在の意義、社会性があると私は信じていますが、企業の立場に立って施策を実施するのであるならば、企業を訪問し、実態を把握した上で各種相談をし、企業にとって実効性のある支援を行うことが重要と考えます。この出前事業の推進は有効な施策であると思いますが、今後の方針を伺います。
 三点目として、今聞こえてくるのは、仕事がない、仕事が欲しいという、まさしく直線的な要求となっています。仕事を確保するために必要なことは、既存の販路の保全と拡大、それとともに、販路拡大に向けて新しい得意先の確保も必要であります。仕事を供給する観点からビジネスマッチングも求められています。東京都はこの企業の声を踏まえ、中小企業の販路拡大、販路開拓支援に力を入れるべきだと思います。所見を伺います。
 四点目として、都は、中小企業融資制度として、信用保証協会を通じて大きな役割を果たしています。この経済状況の中、優秀な企画あるいは技術を持っているものの、資金繰りに苦しんでいる中小企業を速やかに支援する必要があります。
 現在では、地域の金融機関と連携した新たな融資制度が昨年十月より始まっていると聞いています。そこで、資金調達が困難な事業者に対して、どの程度資金供給がなされたのか、その実績についてお伺いいたします。
 五点目として、この制度は、国の信用保証補完制度によらない都独自の制度でありますが、地元企業から金利、保証料が高いと指摘されています。実態を伺います。
 六点目、今回の制度は申し込み時点において、取扱金融機関とのお取引が一年以上あることが条件とされています。つまり、地元の金融機関に一年以上の取引の実績のない企業は、この制度の活用ができないということでもあります。したがって、より多くの都内の中小企業がスムーズに使える制度にするためにも、それぞれの中小企業の地元の金融機関を速やかに増大させるべきであると考えます。今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、教育問題です。
 本年二月、私も含めまして都議会民主党五名は、フィンランドを初めとする欧州諸国の教育問題等を視察いたしました。現在、報告書は印刷に入っていますので、もう少しでお届けできると思います。
 PISA世界一となったフィンランドの特徴は、〔1〕、教員養成の充実、〔2〕、個のニーズに対応した教育、〔3〕、学習面でつまずいてしまった子どもへの個別教育対応の充実の三点が特筆する内容でありました。この三点目の学習面でつまずいてしまった子どもたちへ、学習の楽しさ、おもしろさ、そして学力が伸びていくことによる個人の自己実現を助けていくことは、都の責務であると考えます。
 葛飾区葛美中のがんばらナイト、大阪府の公立小中学校では、地域の人材が中心となって、ボランティアとしての補習を行うなど、地域が参画した取り組みが行われています。都教育委員会では、子どもたちの学力向上に向けて、公立小中学校土曜日補習の充実にかかわる外部指導者活用支援事業もまさにスタートしたところであります。学校だけでなく地域も積極的に参画しながら、子どもたちの育成を図っていくことが必要であると考えます。
 そこで、学校支援ボランティア推進協議会を設置し、地域の教育力を積極的に導入する取り組みが行われていると聞いていますが、この取り組みについてお伺いいたします。
 本年は、定時制高校の追加募集が行われました。例年にはない追加募集であり、急遽の対応に追われた都教育委員会、受け入れ校の努力に感謝を申し上げます。
 本年、定時制高校一次募集の入学試験では、定員数に応募数が届いていない状況であり、さらに二次から四次募集も実施したと事前説明を受けました。しかしながら、入試で残念な結果になってしまった子どもが、多摩地区では定時制の追加募集は普通高校定時制はなく、商業高校一校となり、地域的に通うことが難しい場合等もあり、進学に希望が持てないということはいかがでしょうか。
 高校授業料実質無償化となる現在、公立高校に与えられた使命は高いものがあるはずです。次年度に向けて、高校進学を希望する者の努力が、高校進学を可能とするように要望いたしますが、所見をお伺いいたします。
 今や一千三百万人という人口を抱えている東京は、世界第一位の域内人口規模であり、域内総生産、GRPも、二〇〇八年調査において世界一、さらに二〇二五年の都市別予測GRPにおいても東京が世界一であります。
 現在の東京を世界的に俯瞰したとき、国際都市東京として発展させていくという責務が都にはあります。東京の都市づくりビジョンには、今後の課題として国際競争力の強化が示されています。国際都市東京として、世界の都市間競争に勝ち抜くための戦略的施策を具体的に進めていくべきであろうと考え、何点かお伺いいたします。
 一点目として、航空運輸施策において、アジアのハブ空港の地位を韓国の仁川空港に奪われつつある現状から見れば、東京の地位は相対的に下がりつつあるのではないでしょうか。一度そのようなハブ化への動きが加速してしまうと、その動きをとめることは容易ではありません。国際都市として、いかに維持発展させていくかとの観点から、アジアの国際ハブ空港の中で仁川空港と比較した首都圏空港の現状について見解を伺います。
 二点目として、世界からのアクセス能力の低い空港では、観光業の発展など望みようもありませんし、人、物、金、そして情報の集積、経済活力の確保、文化交流は制限されてしまいます。
 本年十月二十一日、羽田空港D滑走路の供用開始に伴う二十四時間国際拠点空港化を生かし、成田空港との連携も含めて、首都圏の空港のハブ機能をどのように高めていくべきと考えるか、都の見解を求めます。
 三点目として、アジア各国への乗り継ぎ便で、羽田空港でストップオーバーし、東京で短期滞在する外国人旅客をふやすことは有効な施策と考えます。
 東京都の調査によると、平成二十年に東京都を訪れた外国人旅客は約五百三十四万人に上り、過去最高を記録しました。都内で消費した金額は三千三百四十七億円となり、一人単価は六万二千円にもなります。
 こうした経済効果の高い外国人旅客誘導に対して、その利便性を高めるためには、空港二十四時間化に伴う早朝、深夜の遠距離移動手段の確保等、空港アクセス整備、深夜の空港周辺の宿泊環境の整備が求められる施策であると思います。これら具体策に対する都の取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、文化の視点からお伺いいたします。
 東京には上野文化会館、池袋芸術劇場、サントリーホールなど、数々の世界に誇れるホールが整っています。また、都には、国内で一定の評価のある東京都交響楽団があります。この都響を文化資源として積極的に活用し、アジア地域等、海外からの観客を呼び込めるように、有名な指揮者の招聘、優秀な楽団員の育成などの支援を行ったらどうかと思います。
 これには時間もかかるし、財源もかかります。しかし、評価の高いオーケストラに成長すれば、通年で数多くの聴衆が海外から東京にお越しになるでしょうし、経済効果もあり、文化交流の地、世界の東京が実現できると思います。海外においても評価の高いオーケストラに育てるべく支援を行ったらどうかと思います。所見をお伺いいたします。
 最後に、私をこの場にお送りいただきました方々に感謝の気持ちを持ちながら、一般質問とさせていただきました。ありがとうございます。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 興津秀憲議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、学校支援ボランティア推進協議会についてでございますが、変化の激しいこれからの社会において、確かな学力、豊かな人間性、健康、体力など、子どもたちの生きる力をはぐくむためには、地域が持つ教育力を学校の教育活動に効果的に取り入れ、多様な体験活動など、幅広い教育を行うことが重要でございます。
 学校支援ボランティア推進協議会は、地域全体で小中学校の教育活動を支援することを目的として区市町村が設置するものでございまして、地域住民が学校支援ボランティア、または地域コーディネーターとして配置されております。
 学校支援ボランティアは、国語や算数の授業の補助のほか、読み聞かせ、子どもの安全確保などの活動に参加し、地域コーディネーターは、学校ニーズに応じた地域人材の発掘、紹介、学校との調整などの役割を担っております。
 都教育委員会では、広域的な観点から、地域コーディネーターの養成を行いますほか、先進的な活動事例や、企業、NPOと連携した教育支援プログラムの情報提供などを行っており、今後とも多くの学校で地域の教育力を活用した教育活動が行われるよう、区市町村を支援してまいります。
 次に、都立高校における生徒の受け入れについてでございます。
 都立高校は生徒の多様な適性や能力に対応できるよう、全日制、定時制を問わず、さまざまな学科やコースを設置しております。
 今回、定時制の第二次募集において、応募人数が募集枠を上回ったのは、公立、私立の全日制高校不合格者が、例年以上に定時制の第二次募集に応募したためでございます。
 定時制においては、一人でも多くの生徒を受け入れるよう、欠員の状況により、第二次募集から第四次募集まで実施しているところでございますが、今年度はさらに追加募集を行うなど、中学生の受検の機会を確保し、生徒の受け入れに努めたところでございます。
 都教育委員会は、各都立高校の教育活動の特徴や具体的な入学者選抜方法等について情報提供を行い、適切な進路選択を支援いたしますとともに、生徒数の推移や中学生の志望傾向等を踏まえて、一人でも多くの生徒を受け入れることができるよう、募集枠の設定に努めてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、甲州街道の二車線化についてでございますが、甲州街道の日野バイパスから新奥多摩街道までの区間につきましては、平成十五年の多摩北部地域の幹線道路検討会報告書において、周辺道路の整備が進み、交通の転換が図られれば、将来、二車線での再整備が可能であるとしております。
 平成十九年に日野バイパスが開通し、交通の一部転換が図られましたが、甲州街道の本区間の一日当たり交通量はいまだ三万二千台と、二車線で処理できる交通量を大きく上回っているため、現段階で二車線化する状況にはございません。
 都といたしましては、今後も多摩地域の道路ネットワーク形成を積極的に進め、これによる交通の転換状況を見きわめた上で、将来の再整備の方向性を決定してまいります。
 次に、アジアの中の首都圏空港の現状についてでございますが、首都圏の羽田空港と成田空港が一体となって、国際ハブ空港としての機能を担うことは、我が国の経済を活性化させ、国際競争力を高める上で重要であります。
 韓国の仁川空港と、成田、羽田を合わせた首都圏空港の機能を、平成二十年のデータで比較いたしますと、国際線旅客数は、成田、羽田が約三千五百万人で、仁川の約三千万人を上回っており、国際線から国際線への乗り継ぎ客は、成田、羽田が仁川の約一・三倍となっております。国際線の就航先について見ると、仁川はアジアへの路線が多く、成田は欧米やオセアニアへの路線が多いという特徴を有しております。
 ただし、国際線旅客数の伸び率は最近の六年間で、成田、羽田の約一〇%に対して、仁川が約四四%と上回っており、このままの状態が続けば仁川が成田、羽田をしのぐという状況にあると認識しております。
 次に、首都圏空港の国際ハブ機能の強化についてでございますが、羽田空港は本年十月に、昼夜各三万回、さらに数年後には昼三万回増加して、計九万回の国際定期便が就航することになります。また、その就航先はアジアのみならず、欧米にも広がることになり、都心との近接性を生かした二十四時間利用可能な国際ハブ空港としての機能を備えることとなります。
 一方、成田空港の発着枠につきましては、現在の二十二万回を三十万回にふやすことについて地元協議が行われており、これが実現すれば、従来からの国際ハブ空港としての機能がさらに強化されることになります。
 このような羽田と成田の両空港がそれぞれの特徴を生かしながら、一体的な運用を図ることにより、国際的にも競争力のある首都圏における国際ハブ空港としての機能を一体的に高めていくことができると考えております。
 最後に、羽田空港の二十四時間化への対応についてでございますが、羽田空港では、本年十月から深夜、早朝時間帯にも多くの国際線が発着することとなります。このため、バスを含めた公共交通の運行時間帯の拡大や本数の増加などについて、国が中心となって、交通事業者や都も参画して設置されたワーキンググループにおきまして、検討、調整を進めており、十月の供用開始に合わせて、深夜、早朝便に対応した使いやすい公共交通を確保していく予定でございます。
 また、深夜、早朝時間帯などの宿泊ニーズに対応するため、国際線ターミナルに隣接する空港跡地において、宿泊施設の導入を検討するとともに、空港周辺地域でも開発などに合わせて、宿泊機能を含め、空港と連携する機能の導入を促進する必要がございます。
 今後とも、国や地元区とも連携を図りながら、羽田空港の二十四時間化に伴って求められる機能の確保充実に取り組んでまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 多摩振興と市町村への支援についてお答えいたします。
 都は、都市基盤の充実など、多摩地域のさまざまな課題を踏まえ、多摩振興プロジェクトや、「十年後の東京」への実行プログラムにおきまして、首都圏の中核拠点としての発展に向けた取り組みを推進してまいりました。
 また、多摩の発展のためには、都と市町村が有機的な連携を図りながら施策を展開するとともに、地域の特色を生かしたまちづくりなどに対し、適切な支援を行うことが重要であると認識しております。
 今後とも、多摩振興プロジェクトなどにかかわります事業を着実に実施するとともに、市町村の実情を踏まえながら、効果的な財政支援などを通じ、引き続き多摩地域の振興を図ってまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 西東京警察病院についてでございますが、都はこれまでも、病院の廃止に当たりましては、入院あるいは通院されている患者さんの医療が継続して確保されるよう、病院の開設者に対し、他の医療機関への転院や紹介を行うよう指導しており、西東京警察病院におきましても適切に対応してまいります。
 なお、同病院が所在する北多摩西部医療圏内で、新たに病院開設を希望する医療法人等があれば、医療法の規定に基づいて病院開設等を指導してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 多摩地域の幹線道路ネットワーク整備の取り組みについてでありますが、多摩地域の道路整備は、交通の円滑化はもとより、多摩地域の自立性向上や都市間連携の強化を図る上でも重要です。
 このため、都は、三次にわたる都市計画道路の事業化計画などを策定し、南北主要五路線を初めとする骨格幹線道路や、多摩川中流部橋梁の整備、連続立体交差事業などを重点的に実施してまいりました。
 一方、国の公共事業予算が大幅に削減されるなど、道路整備の財源は極めて厳しい状況にありますが、引き続き必要な財源の確保に努め、地元の理解と協力を得ながら、多摩地域の幹線道路ネットワーク整備に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 中小企業支援に係る六点のご質問にお答えします。
 都の中小企業支援施策の周知についてでありますが、施策の利用を進め、その効果を高めていくためには、それぞれの中小企業のニーズに合わせた支援策を的確に紹介していくことが肝要であります。
 具体的には、商工会議所を初めとする中小企業支援機関が、経営相談などを通じて、個別の中小企業の実情を把握した後、その実情に合った各種助成など適切な事業メニューを提供することが重要であります。このため、各支援機関へ都の支援策の周知徹底を図るなど、さまざまな取り組みにより施策が効果的に活用されるよう努めてまいります。
 次に、経営診断や経営相談の進め方についてであります。
 中小企業を取り巻く環境が厳しい中、個々の企業を直接訪問し、その実情を把握し、経営上の課題の解決に結びつけることは重要であると認識しております。
 都はこれまでも、中小企業支援機関と連携し、企業に対する巡回指導を実施してまいりましたが、昨年度は新たに、商工会議所等の経営指導員が中小企業診断士とともに企業に出向いて経営診断を行いました。これにより、企業の経営課題の解決が進むなど、着実に成果が上がっております。
 今年度も引き続き訪問診断を実施するなど、中小企業の実情を的確に把握し、きめ細かい経営支援に取り組んでまいります。
 次に、中小企業への販路開拓支援についてであります。
 アジアを中心とした景気回復に比して、我が国の回復速度は緩慢であり、中小企業の経営環境は依然として厳しいことから、販路を開拓し、新たな仕事を確保することが重要となっております。
 都はこれまで、八都県市合同商談会や中小企業支援機関等と協力した商談会を開催するなど、販路開拓の機会の確保に努めてまいりました。
 また昨年度から、中小企業の経営診断を実施し、その結果、新たな販路開拓が必要とされた企業に対しまして、展示会出展等の助成を行っております。
 さらに今年度は、アジアでの販路開拓に取り組む企業に対し、情報提供などの支援も開始いたしました。こうした取り組みにより、中小企業の販路開拓支援に努めてまいります。
 次に、地域の金融機関と連携した新たな保証つき融資制度についてであります。
 本制度は、地域の金融機関の目ききの力と保証機関の審査ノウハウを活用しながら、高い技術力やすぐれたビジネスプラン等を有しているにもかかわらず、当面の事業継続に必要な運転資金等の確保に困窮する中小企業の資金需要にこたえるため、都独自に創設したものであります。
 昨年十月の取り扱い開始から本年三月末までの保証承諾実績は九百九十七件、九十億円となってございます。
 次に、本制度の金利、保証料についてであります。
 厳しい経営環境の中、緊急保証制度をもってしても十分な資金調達が困難な中小企業が存在しておりまして、本制度はそうした中にあって、将来的に展望が開ける企業を見出し、資金面から支援していくことを目的としております。
 このように比較的信用リスクが高い企業をも対象としているため、一般的に金利、保証料は高くなりますが、本制度では都から取扱金融機関に対して貸付原資を預託するとともに、個別の債務不履行が発生した場合には、都が損失を補助することによりまして、金利や保証料の軽減を図っております。
 その結果、金利、保証料を合わせました中小企業が負担するオールインコストは、三%前半から五%後半の水準に抑制されております。
 最後に、本制度におけます取扱金融機関の拡大についてであります。
 本制度は都内に本店を置く地域の金融機関を幅広く対象としており、準備の整った金融機関から順次取り扱いを開始し、現在、十五の金融機関において融資の受け付けを行っております。
 景気は持ち直しの動きが見られるものの、都内中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況にございます。したがいまして、引き続き取扱金融機関の拡大を図り、都内中小企業を資金面から支援していく考えであります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 東京都交響楽団への支援についてでございますが、東京都交響楽団の評価を海外においても高めることは、東京のプレゼンスの向上に寄与するとともに、都民の誇りともなり得るものでございます。
 東京都交響楽団は、これまで国や民間からの資金の獲得や、能力、業績を反映する人事制度の導入など、さまざまな改革を実施してまいりました。こうした改革により、エリアフ・インバル氏の常任指揮者への就任、ヨーロッパで活躍中の大野和士さんなどの著名な指揮者の招聘、優秀な楽団員の確保が実現され、昨年、ソウルとシンガポールでの公演を成功させまして、アジアなど海外での評価を高めてまいりました。
 都といたしましても、こうした体制強化の取り組みを今後とも支援してまいります。

議長(田中良君) 四十一番高木けい君。
   〔四十一番高木けい君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○四十一番(高木けい君) 我が国の危機管理が直接影響を及ぼす都政の課題について三点伺います。
 鳩山民主党政権が崩壊しました。昨年九月に発足以来、内政、外交を問わず、すべての面においてリアリティーのない政策と言動に終始したこの政権は、危機に直面する我が国にとって貴重な八カ月の時間を浪費しました。普天間問題で日米関係を極度に悪化させたことは、我が国の存亡とアジア全体の安全保障に直結することであり、不見識、不定見、不勉強で済まされることではありません。
 また、この政権が犯した最大の罪は、子ども手当や高校無償化に象徴されるように、ひたむきに努力することをとうとぶ国民の自助、自立の精神を失わせたことであります。
 天はみずから助くる者を助くとは、知事もよく引用されるサミュエル・スマイルズの「自助論」の有名な一節です。これは我が国近代国家建設に貫かれた重要な規範意識で、明治、大正、昭和を通じて、国民全体が意識することなく持っていた精神文化の一つでありました。国家も個人もそれぞれが直面する課題に対して、どのような選択と決定をするのか、みずから考え、みずから行動し、みずから問題解決を図り、その結果に対して責任を持つことこそが必要であるという哲学にほかなりません。
 しかるに鳩山政権は、そうした自助、自立という崇高な価値観を、選挙目当ての安易なばらまき施策で破壊してしまいました。まさに我が国解体を目指した、政治権力を使った犯罪的行為といわざるを得ません。
 こうした鳩山政権の不毛で無策な八カ月間は、都政に重大な影響を及ぼしています。例えば、横田空域の返還は、横田基地軍民共用化と並んで知事が積極的に進めてきた施策の一つであります。そのかいあって、一昨年九月に横田空域が一部返還され、ことし十月から羽田空港再拡張後の運用に対応できるようになりました。
 しかし、平成十八年五月に合意された再編実施のための日米ロードマップには、横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件の検討は本年三月に完了するとされていましたが、いまだその結果を国は明らかにしていません。つまり、この間、鳩山政権は、普天間問題にかかりきりで、とても横田空域の返還などに手が回らなかったと考えられます。大変残念なことです。
 しかし、そうはいっても、横田空域の返還はぜひとも実現すべき課題と考えます。そこで、この問題に対して、改めて知事の所見を問います。
 次に、中国の軍事的脅威にさらされている沖ノ鳥島及び周辺海域について伺います。
 鳩山民主党政権が日米関係を極度に悪化させたすきをついて、去る四月、中国が、我が国領土の最南端、沖ノ鳥島付近で露骨な軍事演習を、近来まれに見る期間と規模で行ったと報じられました。
 領土、外交、防衛問題は国の専管事項とはいえ、東京都の一部である同島周辺への軍事行動に、私たちは決して無関心でいてはなりません。現在、都の同島に関する政策は極めて個別の対応に終始しており、私はかねてから、これでは将来の総合的かつ積極的な展望を描くことが難しいと感じていました。この貴重な島と周辺海域の役割をより高め、国の意識をさらに強く喚起するためにも、都は一層充実した取り組みを考えるべきときに来ていると思いますが、知事の所見を伺います。
 危機管理の最後は、口蹄疫についてお尋ねします。
 四月に宮崎県で発生した口蹄疫は、急速に感染が拡大し、およそ十八万頭の家畜を殺処分せざるを得ない大変な事態となりました。時系列的に見て、これも民主党政権の危機管理のずさんさが招いた人災ともいわれています。
 口蹄疫は、家畜伝染病の中でも感染力が非常に強く、ひづめの数が偶数の動物に感染することから、畜産農家のみならず、動物園等での発生も懸念されます。したがって、宮崎県以外にも感染する可能性があり、都においても十分な注意が必要であると考えますが、都の対策についてお尋ねします。
 次に、高齢者施策について伺います。
 私の地元、北区では、ことしの特別養護老人ホーム入所希望者数、入所申込者数は既に九百人を超え、施設整備は喫緊の課題です。
 特養の整備に当たって、国はユニット型個室を基本としていますが、区議会や区民からは、低所得者も利用できる多床室の整備を求める要望が数多く寄せられています。特養で空室が発生しても、ユニット型個室では費用負担が重過ぎるとの理由で辞退する例もあると聞きます。
 このため、我が党は、昨年の第三回定例会代表質問で、こうした市区町村の実情も踏まえ、多床室を含む整備を検討すべきと提案し、都はこれを受け、今年度から新たに多床室での整備費補助を実施することとなりました。
 北区においても、閉校となった区立新町中学校跡地を事業者に貸し付け、定員百人のうち三〇%程度を多床室とする特養の整備を計画しています。
 しかし国は、新規に建設する特養では、多床室とユニット型個室の合築は一切認めない、仮に都道府県が設置を認めても、ユニット型個室部分の報酬については、従来型個室の低い単価を適用すべきとの解釈を唐突に示してきました。長妻厚生労働大臣は四月十六日、記者会見までして、従来どおりユニット型個室を推進するという大臣方針を発表する始末です。
 国の主張は、現場の実情を知らず、住民の要望とも遊離した、まさにリアリティーのない政策といわざるを得ません。
 そこで都は、地域の実情に応じて、多床室を含む特養の整備が可能となるよう、自治体の先頭に立って国に強く求めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 続いて、出生前後に重い障害を負った方々の入所施設である府中療育センターについて伺います。
 都立の療育センターは、私の地元である北区を含む都内四カ所にあり、重症心身障害者の方々の支援施設として重要な役割を担っています。北区にある北療育医療センターは、近年、大規模な改修が行われましたが、都立として最も古い歴史を持つ府中療育センターは、開設から四十年以上経過し、施設が老朽化、狭隘化していることから、利用者家族会等からも建てかえが強く望まれています。
 都では今般、府中療育センターの改築に向けた基本構想を策定したところですが、改築に当たっての基本的な考え方と今後の取り組みについて伺います。
 次に、都議会自民党がPTをつくり進めてきた外郭団体改革について伺います。
 外郭団体は、設立以来、都政の補完機能を果たしてきました。その結果、都政の強みである現場の多くが、現在、外郭団体のフィールドに属しています。
 知事が常々発言しているとおり、国と違って都には現場があるゆえに、そこで起きている課題を直視することができ、その結果、ディーゼル車規制や認証保育所などのさまざまな先駆的な施策に取り組むことができました。
 この現場力を将来にわたって都政が維持していくためには、数多くの現場を抱える外郭団体を、都の指導のもとにきっちりと組み込んでおく必要があるはずです。そのためには、団体と都の人事交流を初め、経済的、人的支援も含めて、都の意向を団体に十分反映できる仕組みをつくる必要もあります。
 ただし、一般論として、都による経済的、人的支援は少ないにこしたことはなく、中長期的には、団体がそうした都の支援に頼らなくとも事業運営ができるような体制の転換を進めていくべきでしょう。また、外郭団体がみずからの判断で収益事業を行う場合も、都からの支援は慎むべきであるし、こうした収益事業が結果として民業圧迫にならないよう、常に厳しくチェックしていく必要もあります。その結果、もはや民間の領域であると判断されたものは、潔く民間にゆだねるべきであることも申し上げておきます。
 要するに改革のポイントは、都が現場とどう向き合うかであり、その現場を担う外郭団体の事業を都がどのように評価していくのかということです。
 さきの第一回定例会で、都は我が党の代表質問に対し、事業評価の対象を監理団体にまで広げることを明らかにしましたが、都から支出を受けている団体は監理団体に限ったものではなく、報告団体の一部にも支出を受けているものがあることから、評価の対象を報告団体も含めた外郭団体一般にすることが当然必要であると考えます。
 そこで、日ごろより現場力の大切さを意識されている知事に、外郭団体改革における事業評価の活用の重要性について所見を伺います。
 最後に、鉄道事業者と地元のかかわり方について申し上げます。
 先日、京浜急行は、京急蒲田駅付近の改良工事にあわせて、品川―羽田間をノンストップで結ぶダイヤ改正を、改良工事の協力者である地元大田区に何ら相談なく、一方的に決めました。それぞれの立場でさまざまな事情があったことは推察いたしますが、前提条件の一方的な変更は、地域にとって取り返しのつかない損失を招くおそれがあります。
 私は平成十九年第四回定例会で、私の地元、JR王子駅南口駅前広場の完成を目前にして、南口改札口の開設時間を一方的に短縮した事件を例に挙げ、このようなことが起こるのは、まちづくりにおいて地元自治体と鉄道事業者の間の基本的なルールがないからであり、連続立体交差や再開発などの事業に税金を投入し、時には事業主体として大きな責任を持つ都が、お互いにそごを来さないためのルールづくりを急ぐべきだと主張しました。
 このたびの京急蒲田の事件は、そのときから既に予想されていたことであり、起こるべくして起こったといわざるを得ません。このときの答弁は、輸送サービスの変更などに際しては、地元や利用者に対して適切な情報提供を行うよう働きかけてまいりますというものでありました。つまり、京急蒲田の事件は、いみじくも、現在、都が全く無力であることを証明してしまったわけであります。
このままでは同様の事件が次々と発生します。都は、次に同じような問題が起こったときに、行政の不作為といわれないよう、まちづくりにおける鉄道事業者の責務と役割について、都を含む地元自治体との間の一定のルールづくりを急ぎ、ルールの不備による悲劇を防ぐべきであります。
 そのことを再度申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高木けい議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、横田空域の全面返還についてでありますが、在日米軍が管制を行っております横田空域は、一都八県にわたる非常に大きなエリアに広がっておりまして、民間航空機の運航の大きな支障になっております。
 現に、ヨーロッパ発でユーラシア大陸、ロシアの上を通過して日本海に出た飛行機は、残念ながら真っすぐ成田へ向かえませんで、西か東へ迂回して、この空域を避けて、とにかく成田にアプローチするという実態であります。
 ここで、彼らがその空域を占拠しているいわれであります米軍の空軍の演習が行われているかどうか、私、最近聞いたことありませんが、彼らはいまだにそれを固執しております。
 一昨年九月に行われた空域の一部返還によりまして、飛行時間の短縮や燃料の削減など多くの効果が得られましたが、さらに横田空域の全面返還を実現して、より合理的な航空路を設定することが絶対に必要であると思います。
 大体、我が国の空の管制が、非常に大きな部分、外国にゆだねられている現状はまことに異常でありますが、これは絶対に正さなくちゃいけないと思います。ただ、空域の占拠も含めて、彼らは非常に正直にいっておりますが、横田の問題は、我々、世界第二次大戦で日本に勝った戦勝の記念品であるということをいってはばからない。こういったものに対して、政権がかわろうとかわるまいと、政府はやっぱり腰を据えていうべきことをいわないと、なかなか相手は譲ってこないんじゃないかと思います。
 現に、先般、前原国交大臣がこの問題について聞きたいということで、あるところで会いました。この問題の参与をしてもらっております高瀬教授と一緒に一時間ほど詳しく説明いたしましたが、これを受けて、現政権がこの問題に、自民党の政権以上に積極的に取り組んでいることを私は望んでおります。
 嘉手納を含む沖縄の進入管制業務、嘉手納ラプコンは、本年三月末に我が国に返還され、那覇空港内で日本側による管制が行われております。嘉手納よりもはるかに使われていないというか、全く使われていない横田において、我が国が管制を行えないわけがないと思います。
 国に対し、米政権に強く働きかけて、横田空域及び管制業務の早期全面返還を実現するように、これからも強く求めてまいります。民主党の諸君もぜひこれに協力していただきたい。
 次いで、沖ノ鳥島とその周辺海域についてでありますが、沖ノ鳥島とその周辺海域は、グアムと沖縄を直線で結ぶまさに中間点にありまして、地政学的に極めて重要な意味を持つ場所であります。
 中国が最近、この水域をしきりに調査しているのも、これは西太平洋の覇権を、軍事的な覇権をねらった、潜水艦による戦略展開のための調査にほかなりません。
 加えて、沖ノ鳥島周辺の海には豊かな地下資源も眠り、豊穣な漁場が広がっております。都は、排他的経済水域における国益侵犯に対抗するために、国に先んじて船も新しくつくりまして、これを提供して、漁業活動を支援してまいりました。
 かつて小笠原の組合長、今、都全体の漁業組合長をしております菊池さんという、これはまさに気骨のある国士でありますが、彼が率先して乗り込んでいって、魚礁もつくり、漁港も考えておりまして、このごろは韓国、中国、台湾の漁船が姿を潜めたという現象は大変ありがたいと思っております。
 こうした国に先んじた取り組みは、いささか国益に鈍感な国の政府を突き動かして、今般の新しい法律の制定にもつながったと思います。
 国政の大眼目は、国民の生命、財産を守ることにありまして、国民の財産である領土と排他的経済水域を守ることは国の第一の責務だと思います。
 きのうも申しましたが、この日本列島が日本人のためだけのものではないというたわけた妄言は、私はやっぱり新政権によって撤回してもらいたいと、こう熱願しております。
 法律が制定されたとはいえ、今後、具体の策を持って、いかに国家として強い意思を示すかが重要でありまして、国の動きを刮目しつつ、必要とあらば、現場から注文すべきことをしっかりと注文してまいります。
 次いで、外郭団体に対する事業評価でありますが、都の強みは、まさに生々しい現場を持っていることでありまして、外郭団体もまた、その現場の一翼を担う重要な役割をしっかりと果たさなければなりません。
 これまでも外部監査を実施してきましたが、引き続きこうした外部の視点を活用するとともに、都みずからも税の使途を検証することを通じ、外郭団体の実施する事業をこれまで以上に厳しく評価する必要があります。こうした評価を徹底することで、現場に精通する団体の強みをさらに伸ばして、有効に活用していきたいと思います。
 今後とも、外郭団体を含め、現場に根差した発想力と行動力を最大限発揮することで、東京から国を変革する都政運営を行っていきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 口蹄疫に対する対策についてのご質問にお答えいたします。
 都は、四月二十日の宮崎県での発生確認後、直ちに都内畜産農家や動物園等に情報提供を行うとともに、対象動物約七千頭の緊急調査を実施いたしまして、すべて異常はないことを確認しております。
 あわせて、家畜の健康観察、立ち入り制限、消毒の徹底について注意喚起を行い、その後も引き続き情報提供を行っております。
 さらに、宮崎県に獣医を派遣して応援に当たるとともに、現地の実態の把握に努めております。
 都の体制については、発生直後から庁内で情報交換を進めてまいりましたが、宮崎県での感染が拡大したことに伴い、さらに関係局の範囲を拡大いたしまして、情報の共有化を図り、迅速な対応を確保できるよう連携を図っております。
 今後、都内で発生した場合には、東京都口蹄疫対策本部を設置し、全庁を挙げて対応することとしております。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、特別養護老人ホームの整備についてでございますが、特別養護老人ホームは、ユニット型個室の整備を基本としておりますが、都は今年度から、高齢者の多様なニーズへの対応や低所得者の負担軽減等のため、プライバシーへの配慮等を条件に、多床室が施設定員の三割以内であれば、新設の場合にも整備費補助を行うことといたしました。
 しかし、国は本年三月、新設の特別養護老人ホームについて、ユニット型と多床室の併設は認めないことを明らかにいたしました。
 このため、都は、九都県市首脳会議等を通じて、地方の実情に応じ、多床室を併設した整備を行うことができるよう要望しておりまして、今後とも他の自治体等と連携しながら、国に対し強力に働きかけてまいります。
 次に、府中療育センターの改築についてでございますが、今般策定した基本構想では、利用者の重症化、高齢化や在宅支援ニーズの増加などを踏まえ、センターが担うべき役割と施設の整備方針を明らかにしました。
 改築後のセンターにつきましては、超重症児者等への医療支援や、通所、短期入所などの在宅支援及び看護師等の人材育成と情報発信の拠点としての役割を担う総合的な療育支援施設としていくことといたしております。
 また、施設の整備につきましては、療育に必要な医療機器等の配置や適切な機能訓練への対応、災害発生時の安全性の確保などに配慮することにいたしております。
 今後、この基本計画に基づきまして、事業内容や建物の規模、施設配置等について検討を進め、今年度中に基本計画を策定してまいります。
 引き続き府中療育センターを初めとする重症心身障害児施設の運営の充実に努めてまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 三十三番島田幸成君。
   〔三十三番島田幸成君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○三十三番(島田幸成君) 私からは、都市外交と文化交流について、私学振興について、そして、日の出町の水道水異臭事故についてお伺いいたします。
 まず初めに、都市外交と文化交流についてお伺いいたします。
 日本の首都東京は、ニューヨーク、パリ、ロンドンと並んで世界的に見ても重要な大都市であります。外交は、基本的に国の仕事だと思いますが、大都市が抱える共通の問題を解決するため、日本の首都東京が世界の各都市と友好的な関係を築くことは大変重要だと考えております。
 国の間や都市間の友好関係構築が土台となって、その上に経済や文化、スポーツなどの交流が行えるものであります。東京は、二〇一六年オリンピック・パラリンピック招致に臨み、残念ながら失敗いたしましたが、引き続き海外諸国との良好な関係を日常的に築いていくことが重要であることは変わりありません。
 首都東京が日本の自治体のリーダーとして各都市との交流を積極的に進めていくべきだと考えますが、都市外交について都知事の基本認識をお伺いいたします。
 特に東京都は、ニューヨーク市、北京市、パリ市を初め、十一の都市と友好都市提携を結び、友好関係を築いております。石原都知事の時代となってからは、アジアとの関係構築を中心に、各国との関係を築いておりますが、友好都市関係を利用し、文化交流を盛んに行うべきだと考えております。
 以前、私は、東京都と友好都市関係にあるオーストラリア・ニューサウスウェールズ州にあるカウラ市を訪れたことがあります。カウラ市には、戦時中、捕虜収容所があったところであります。この収容所では、生きて虜囚の辱めを受けずという戦陣訓に従って、二百人を超える日本人が捕虜収容所から死を覚悟で脱走し、亡くなりました。
 オーストラリアは、連合国側として、日本とは敵対関係にありましたが、カウラ市では、戦後、亡くなった日本兵のために、市民が墓地をつくり、毎年、慰霊祭を行っております。私もこの慰霊祭に参加いたしましたが、遠い異国のオーストラリアで亡くなった日本兵のことを思うと、胸がいっぱいでございました。
 日豪との交流が進む中、その交流を象徴するものとしてカウラ日本庭園をつくる計画が持ち上がり、日本財界などの援助のもと、昭和五十三年に第一期工事を行いました。その後、五十九年の東京都とニューサウスウェールズ州の姉妹友好都市提携の記念として、東京都などの援助により第二期工事を行い、四ヘクタールの広大な敷地にカルチャーセンターなどを併設した日本庭園が完成いたしました。
 この庭園では、日本の生け花展や茶会が開かれるなど、日本文化に触れる場としてカウラ市民から愛され、大切に維持されております。また、日本の学生とカウラ市民との交流も盛んに行われるなど、文化交流に大きな役割を果たしております。
 日本庭園は日本文化を象徴するものであり、都市交流に有効な手段の一つと考えられますが、カウラ日本庭園のほかに海外交流の一環として日本庭園を都が整備した実績についてお伺いいたします。
 日本庭園を海外で広めることは一例でありますが、海外との交流を行う上で、もっと積極的に日本の伝統芸能を発信してよいのではと考えております。
 都立高校では、日本史の必修化が検討されておりますが、日本の若者は自国の歴史を余り知らないとか、うまく説明できないなどといわれることがあります。日本の文化をみずからが発信し、みずからの文化伝統に誇りを持つことが、これからの若者にとっては必要なことだと考えております。
 地域にはさまざまな伝統文化が残っております。私の住む西多摩地域でも、小学校の子どもたちが中心となり活動している秋川歌舞伎を初め、お祭り好きな地域風土もあり、お祭りには欠かせない太鼓やおはやし、獅子舞などを保存する活動が盛んに行われております。地域の伝統文化を大切にし、東京のまちづくりを進めていくべきだと考えております。
 東京都は、地域に残る文化をどのように保存し、あるいは地域文化を世界にどのように発信していくのか、東京都の見解をお伺いいたします。
 また、ここ数年は海外からの観光客がふえ、国も成長戦略の一つとして観光事業を発展させたいとしております。首都東京が日本文化を発信することは、東京への観光産業に寄与するものと考えております。
 経済も、やや持ち直しの傾向があらわれ、羽田空港にも国際便が就航し、海外から東京へダイレクトにアクセスが可能となります。今が海外からの観光客を誘致する絶好のチャンスであります。
 首都東京の魅力は、高層ビルが立ち並ぶ現代的なものの中に、古きよき日本の文化が今でもしっかり残っているということにあるのではないかと考えます。
 日本庭園を初めとして、今や全世界で知られているアニメ、日本食、柔道や相撲などの日本の国技など、日本文化を中心に海外に積極的に発信し、東京への観光誘致に結びつけたらいかがと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
 次に、私学振興についてお伺いいたします。
 四月に、公立高校の無償化法案が施行されました。私学にも年間十二万円の支援がなされます。この法案により、高校生の子どもを持つ保護者の負担が大きく軽減されました。また、ゼロ歳児から中学生まで支給される子ども手当の支給と合わせると、子どもを持つご家庭への教育負担は大きく緩和されたといえます。
 国は、就学支援金として、私立高校に通う保護者には、所得にかかわらず年間約十二万円の就学支援金を支給いたしますが、低所得者世帯には、さらに上乗せして支給されることから、東京都がこれまで実施してきた特別奨学金制度と合わせると、私立高校に通う低所得者世帯には、今までにない充実した支援体制が整うことになりました。これは大きな前進であります。
 ただ、これらの制度の運用が急がれたため、現場では混乱があるのも事実であります。東京都では、新たな制度に対応するため事務センターを設置し、日夜事務作業を行っております。また、私立学校においても、保護者への説明や新たな事務作業が発生し、対応に追われております。私もそれらの現場を実際に拝見させていただきましたが、頭が下がる思いであります。
 また、国の支援金制度と東京都の特別奨学制度では、支給対象が所得階層ごとに微妙に異なるため、複雑な制度となり、保護者にはわかりにくい制度になっております。
 いろいろ問題はあるものの、本年度四月より就学支援制度が導入され、既に就学支援金の一部は支給が始まっています。この就学支援金は、都道府県を通じて各高校に支払われますが、さきも述べたとおり、都はこれまでも特別奨学金を支給してまいりました。改めて就学支援金についての都の見解をお伺いいたします。
 前段では、私学に通う生徒の保護者の負担軽減について考えましたが、私学助成のもう一つの重要な柱は、東京都が実施している経常費の補助であります。この点について、委員会でも質問させていただきましたが、昨年度の東京における生徒一人一人のコストは、公立で約百二十八万円、私立で約百二十二万円、そのうち公費負担額は、公立百十八万円に対し私立は三十六万円で、私立は公費の負担が公立に比べるとかなり低いことがいえます。
 経常費の補助は、都内の公立高校の経常経費の決算値をもとに、私立学校の標準的な運営費を算出し、その二分の一を補助するものであり、土地や借入金に係る経費など、施設経費は含まれないことから、そのような補助額になっております。
 土地や建物は学校経営に不可欠な基本財産であり、自主性、自立性という観点から、みずから用意すべきという意見はもっともでありますが、私学の三分の二が赤字経営になっているという状況や、さらに景気不況で公立学校の競争率が高まっているという現状で、私立は苦戦を強いられているという声も聞いております。
 このような状況下で、都は経常費補助についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
 最後に、日の出町水道水異臭事故についてお伺いいたします。
 西多摩郡日の出町で本年二月四日、大久野地区と平井地区の一部の水道水から異臭がするという通報があり、水道局が対応したところ、数件で水道水から異臭が確認されました。
 この地区に配水しているのは浄水所内の地下水を供給源とする大久野浄水所であります。大久野浄水所は膜ろ過装置を導入した最新技術の浄水所でありますが、当時、浄水所内の地下水からも異臭が確認されたため、現在、大久野浄水所の使用を中止し、多摩川水系の浄水所を経由した文化の森給水所から配水を行っております。
 都には原因を調査してもらいたいわけですけれども、水道局の調査だけでは原因の解明は進まず、大久野浄水所の再開のめどは立っておりません。
 文化の森の給水所は大久野浄水所のバックアップ機能を持っている施設でありますが、この地区における漏水や災害等が発生した際のバックアップなどを考えると、一刻も早く大久野浄水所の再開が求められます。危機管理を含め対応を求められますが、日の出町の水道水異臭事故について、これまでの経緯、初期対応についてお伺いいたします。
 私も二月の段階からこの件に関し水道局の対応をお願いしておりましたが、この問題に対する水道局の対応が適切であったか疑問が残ります。四月になって地元の町議が中心となった水道水の安全を考える会が主催した説明会が行われ、水道局や町とともに私もこの会に出席しましたが、原因が不明なことや情報公開について、住民からは不満の声が数多く聞かれました。
 事故に対する水道局側からの配水世帯への説明は、事故当時は個別に対応したのみであります。大部分の配水世帯の方々には、事故から四カ月後の今月六月三日になって初めて、水道水に異臭があったこと、その後の調査結果を知らせた内容の文書を配布したのみの対応となっております。
 事故直後の日の出町広報三月号には、日の出町は都内でも有数の上質な水道水源を有しますが、平成十四年七月には、全国でも数少ない膜ろ過施設を建設するなど、常に安定した水道品質への取り組みがなされてきましたとの記述があり、この内容が逆に住民に不信感を与えたおそれもあります。
 事故当初、ほとんどの配水世帯には何も広報がなかったため、浄水所は切りかえましたが、地域によっては水道水をタンクに貯蔵して配水しているので、そのまま飲み水として使用していた方々がいる可能性もあります。
 異臭事故に対し、水道局は速やかに情報公開をし対応すべきだったと考えます。また、水道局みずから主催となり説明会を実施し、住民に理解を求めるべきだと考えますが、水道水異臭に関する調査内容を含めた住民への情報公開についてお伺いいたします。
 この問題が発覚した当初から、水源である北大久野川支流の西福寺川で強い臭気とともに川面に油の流出が確認されております。そのため、川の管理者である日の出町が川への流出を防ぐためホースでバイパスをつくり、また、川の底の土砂を排出し、石や土で埋め戻すなど、安全対策を行っております。
 これらの油の流出が一連の水道水異臭事故の原因かどうかはまだわかりませんが、大久野浄水所の水源である井戸は九・九メートルの深さの浅井戸で、河川の影響を受けやすく、異臭の原因である可能性もあります。
 また、大久野浄水所の近隣には二ツ塚広域処分場などがあり、住民の中には処分場と水道水の異臭との関連を危惧する声も聞かれますが、近隣にあるごみ処理施設などからの排水がこの異臭事故と関連していないのか、お伺いいたします。
 今回、水道水に異臭があり、水道局は浄水所を切りかえるなど対応を行いました。今後は原因究明を含め、浄水所の再開に向け対応していくことになりますが、浄水所の異臭事故を通じて、地下水の利用については、異物の流入、その場合の原因特定の難しさなどを初め、多くの課題があるということがわかりました。
 水道水は、特に我々が毎日飲むもので、安全・安心なものでなくてはいけません。東京都ではレベルの高い水道技術を海外に招聘しようとする計画も進行しております。我々が安心しておいしい水を飲めるよう水質調査、管理などを初め、今後の対応を期待し、質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 島田幸成議員の一般質問にお答えいたします。
 都市外交における基本認識についてでありますが、都はこれまでも、在京大使館との情報連絡会やシティーセールスなど、あらゆる機会をとらえて東京の魅力や先進的な政策を世界に発信するとともに、アジア大都市ネットワーク21やC40東京会議の開催など、単なる儀礼的な友好親善にとどまらない実質的な都市外交を推進してまいりました。
 また、文化、スポーツの分野においても、東京文化発信プロジェクトや東京国際ユースサッカー大会の開催など、さまざまな交流を通じて海外諸都市との良好な関係を構築してまいりました。
 例えば五月の連休に行っております、これはフランスのナントで発したラ・フォル・ジュルネでありますけど、これは日本に招いて、あそこでアマチュアのオーケストラも含めて、連日、音楽のパフォーマンスをやっておりますが、これはあの時期に閑散としている丸の内かいわいに、有楽町かいわいに十万を超す人々が集まって非常に盛況でありますし、フランス大使館も非常に喜んで、また、ストラスブールでやっておりましたマルシェ・ド・ノエルを日本にも招致しまして、クリスマス前後のにぎわいにさせております。
 いずれにしろ、今後ともこれら世界各都市との信頼関係を礎に積極的な都市外交を展開して、東京の存在感や国際的評価をさらに高めていきたいと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 海外で日本庭園を整備した実績についてでありますが、いわゆる銀閣寺の慈照寺庭園など、特別名勝と特別史跡の指定が重複する全国七カ所の日本庭園などのうち、都は浜離宮恩賜庭園と小石川後楽園の二庭園を有するなど、全部で九つの文化財庭園を管理しております。
 大正十三年に管理を始めました旧芝離宮恩賜庭園以来、長年にわたるこれら庭園の維持管理を通して培われた技術力と経験に基づき、文化財庭園の保存、復元に取り組んでまいりました。
 こうした伝統的な日本庭園における管理技術と経験がオーストラリアのカウラ日本庭園の整備や、平成四年度のカイロにおける東京庭園の整備の実現につながったものと考えております。
 カイロの日本庭園は、完成後十数年を経たため、現地からの修復支援の要請を受け、職員が現地技術者へ石組みや樹木の手入れなど実地指導を行うとともに、その修復を手がけ、平成二十一年度に完成いたしました。
 今後とも、文化財庭園を適切に維持管理し、次世代に継承するとともに、庭園技術の研さんに努めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 三点の質問にお答えいたします。
 初めに、地域伝統文化の継承と発信についてでございますが、伝統文化の継承のためには、都民が身近に触れ体験することで、その魅力を再認識し、誇りを持つとともに、特に地域に残された伝統芸能については、その上演機会をふやすことで活動を活発化させることが重要でございます。
 都は、地域の貴重な文化財でございます民俗芸能を広く一般に紹介する目的で、都内各地の民俗芸能が一堂に会する東京都民俗芸能大会を開催しております。
 また、東京文化発信プロジェクトでは、東京文化の国内外への発信の一環といたしまして、東京に集積いたしますすぐれた民俗芸能公演を国立劇場で開催しております。
 今後とも、これらの機会を通じ、区市町村とも連携しながら、地域の伝統芸能の継承と、その魅力の発信に努めてまいります。
 次に、私立高校における就学支援金制度についてでございますが、都では、私立高校生の保護者の経済的負担を軽減するため、学校への基幹的補助でございます経常費補助を通じて授業料の抑制を図るほか、特別奨学金制度や育英資金など幅広い修学支援策を実施し、その充実を図ってまいりました。
 今回の就学支援金のように、保護者負担の軽減に関しましては、国が新たな制度を導入するに当たっては、既に都道府県が行っている授業料軽減補助事業の実態や私学関係者の声をきちんと把握し、政策効果が十分発揮されるような制度とすることが必要でございます。また、学校や都道府県の事務の負担軽減を図ることも大切でございます。
 都としては、今後とも経常費補助を初めといたしまして、保護者負担軽減事業など幅広い施策を総合的に展開し、私学振興に努めてまいります。
 最後に、私立学校に対する経常費補助についてでございますが、都内の高校生の約六割が通う私立高校は、東京の公教育に大きな役割を担っており、少子化の影響など私立学校の経営状況が厳しい中、その経営の安定化を図ることは重要でございます。
 このため、都は、私立学校の教育条件の維持向上、生徒の修学上の経済的負担の軽減、学校経営の健全化を目的とする経常費補助を基幹的補助と位置づけ、充実を図ってまいりました。
 今後とも学校経営の柱となる経常費補助を中心に、私立学校の振興に努めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 海外への文化の発信と旅行者誘致についてのご質問にお答えいたします。
 外国人は、日本の伝統文化や伝統芸能とともに、アニメなどの現代文化に関心が高く、外国人旅行者の誘致に当たりましては、新旧の文化が共存する東京の魅力を発信していくことが重要であります。
 都は、これまでも海外でのプロモーションなどの機会に、庭園や浮世絵、武道、東京の食の豊かさ、アニメフェアの開催などの日本、東京ならではの文化に関する情報を発信してまいりました。
 今後も羽田空港の再拡張、国際化などの好機をとらえ、旅行エージェントとの商談会やセミナー、旅行博等の海外でのプロモーションの機会などの活用によりまして、伝統文化を初めとする東京の魅力を広く発信し、旅行者誘致を図ってまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、大久野浄水所の水質事故についてでございますが、日の出町のお客様から水道水に異臭があるとの問い合わせを受けたため、緊急に調査を行ったところ、大久野浄水所内において、わずかなにおいを確認しました。
 このため、当局が危機管理マニュアルとして定めるTOKYO高度品質プログラムに基づき、直ちに浄水所を停止するとともに、多摩川を水源とする小作浄水場系への系統変更を実施いたしました。あわせて、配水池や配水管の水を入れかえる作業を行いました。
 今回の事故では、合計で七件の問い合わせを受けましたが、断水などを起こすこともなく、迅速に対応したところでございます。
 次に、事故後の調査及び住民への情報提供についてでございますが、井戸水源の安全性を確認するため、水質調査を継続的に実施するとともに、四月から五月末にかけて、井戸水源周辺におきましてボーリング調査を行い、いずれも異常がないことを確認しております。
 当面は水質監視を継続し、小作浄水場系から給水することとし、このたびの調査結果や当面の対応について、給水区域のすべてのお客様宅に文書でお知らせいたしました。
 再開の際には住民説明会を開くなど、今後とも適宜適切な方法で住民の皆さんへの情報提供を行ってまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 大久野浄水所の水質事故と処分場との関連についてでありますが、東京たま広域資源循環組合が管理する二ツ塚と谷戸沢の二つの処分場からの排水は、水処理施設によって浄化され、放流基準内であることを確認の上、公共下水道に放流されております。
 また、処分場周辺の地下水につきましては、二十数カ所設置されているモニタリング井戸で定期的に検査されておりまして、循環組合からは異常値は確認されていないとの報告を受けております。
 地理的に見ても、二つの処分場周辺の雨水や地下水が流入する河川は、浄水所のある北大久野川より下流側に位置しており、浄水所に影響を与えることは地形的にも考えられません。

議長(田中良君) 三十八番吉倉正美君。
   〔三十八番吉倉正美君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十八番(吉倉正美君) 初めに、東京の中小零細企業に対する振興策について伺います。
 世界経済が急速に悪化する中、外需に依存している我が国の実体経済は、大きな打撃を受けております。一部では、景気の底打ちも近いとの見方も出ておりますが、中小零細企業の現場では、景気回復など、ほとんど実感できないのが現実であります。
 特に製造業では、機械類は使用されないまま放置され、せっかくの技術力を生かす場もなく、このままでは廃業しなければならないとの悲痛な声が上がっております。
 こうしたときこそ政治が強力なリーダーシップを発揮し、厳しい局面の打開をすべきでありますけれども、失政を繰り返す現政権には、たとえ看板を変えても期待ができないことは明白であります。
 国が機能不全に陥っている状況の中、都が国に先駆けて、東京から中小零細企業の成長戦略を果敢に打ち出すべきであります。すなわち、中小零細企業みずからが、すぐれた技術を存分に発揮することで競争力ある製品を生み出していく。そうした取り組みを都が強力に支援していくことが極めて重要であります。
 そこで、東京の産業を振興させ、発展させるための方策について、知事の所見を伺います。
 厳しい経済情勢を反映し、中小零細企業の方々より寄せられる相談の多くは、親企業との不適正な取引であります。仕事が減少する中で、ようやく受注した仕事は、納期は短く、コストも安い。しかし、家族全員で必死に取り組む中、突然、親企業より、規格変更を理由に、一方的に仕事が打ち切られる。予定していた収入が途切れ、途方に暮れているとの切実な声がありました。
 下請でも四次、五次に当たる会社では、収入が一定しないため、従業員も雇えず、家族だけで仕事をこなしております。また、親企業との契約も無理を強いられることも多く、弱い立場の実態がなかなか表に出ない状況が続いております。
 都は、このような不適正な取引に苦しむ中小零細企業の現状を正確に認識すべきであり、取引の適正化への役割を積極的に果たすべきであります。見解を求めます。
 中小零細企業が経営基盤の安定強化を図り、より一層の成長を果たしていくためには、発注元の親事業者と下請中小零細事業者との間に適正な取引が行われることが必要であります。
 この両者が共通の認識を持って適正取引を実現していくために最も必要なことは、都が仲介役を果たし、親事業者と下請事業者がより平等な立場で契約を結べるような場を提供していくことであります。見解を求めます。
 次に、鉄道駅のバリアフリー対策について伺います。
 駅のバリアフリー化は、高齢者や障害者を含むすべての人が利用しやすいユニバーサルデザインの観点から、社会的要請が強い取り組みであります。
 国においては、平成十八年度に、いわゆるバリアフリー新法を制定し、平成二十二年までに、乗降客五千人以上のすべての駅にエレベーター等を整備することとしております。ことしは、この整備目標の最終年となりますが、JR及び私鉄における平成二十年度末時点でのエレベーター等の整備率は約八六%であり、達成に向けて最終段階に入っております。
 ただ、残された未整備駅については、駅舎やホームが狭隘であることや設置のスペースを確保できないことなどが課題となり、整備が進んでいないのが現状であります。しかし、こうした未整備駅こそ、都が積極的に整備に関与していくべきであります。見解を求めます。
 今月六日、JR鶯谷駅で全盲の男性がホームから転落する事故がありました。幸い救助されましたが、このような事故を未然に防ぐためには、ホーム上の安全対策が必要であり、ホームからの転落防止対策としての可動式ホームさくの整備は極めて効果的であります。
 東京都盲人福祉協会副会長の時任基清さんは、ひとり歩きの盲人の九八%がホームからの転落を経験していると語り、駅のホームは、盲人にとって欄干のない橋のようなものだと、その危険性を指摘しております。可動式ホームさくについては、設置されたホームでは一件の転落事故も発生していないと、その必要性を強調しておりました。
 現在、都営地下鉄を初め、東京メトロなどの地下鉄には可動式ホームさくの整備が進められておりますが、JRなどの鉄道には、国や都の支援スキームがないため、ほとんど整備は進んでおりません。今回ようやくJR東日本では、山手線の恵比寿駅、目黒駅に可動式ホームさくの整備を自主的に始めておりますが、しかし、一日当たり約三百五十万人の乗降客を数える新宿駅や、過去に転落による死亡事故が発生した新大久保駅など、緊急性、必要性の高いJR山手線の駅がまだ未整備のままであります。
 そこで、一刻も早く転落防止の抜本的対策である可動式ホームさくの整備に取り組むべきであります。見解を伺います。
 ところで、現在、都では駅のエレベーター整備を福祉保健局、自由通路整備による駅の改良や地下鉄駅のバリアフリー化を都市整備局が所管しております。両局が連携して取り組むことは当然でありますが、駅のバリアフリー化をより強力に推進するためには、両局の施策を統合し、効果的、効率的に進めるべきであります。このことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、使い捨てライターによる事故防止について質問します。
 最近、子どもの使い捨てライターの火遊びが原因と見られる火災で、幼い命が犠牲になる悲劇が相次いでおります。
 ことし二月に、東京練馬区のアパートで発生した火災では、二歳と三歳の幼児が死亡。出火元と見られる和室の押し入れ付近からライター五、六個が見つかり、原因は幼児の火遊びと見られております。ライターの火遊びによる火災で子どもが犠牲になるケースは、このほか、北海道や宮城、川崎などでも相次いで発生しております。この悲惨な事故を防げない原因の一つは、使い捨てライターなどに安全規制がなく、幼児でも簡単に着火できることにあります。
 国内で一年間に約六億個流通しているライターの九割は使い捨て型で、八割が輸入品だといわれております。
 このため、都は昨年、法律による規制を国に要望し、その結果、国では現在、子どもが簡単に着火できるライターの製造、販売の禁止に向けて法令改正の作業を進めており、来年夏には規制が実施される予定と聞いております。都のいち早く鳴らした警鐘と、国会における公明党の主張が大きな力となって、子どもたちの安全のための着実な一歩を踏み出したものと考えております。
 今後、緊急に求められるのは、現在流通している六億個を超える使い捨てライターの危険性の注意喚起であり、各家庭にある使い捨てライターを安全装置つきライターに買いかえを促す告知であります。
 そこで、第一に、今年度の都の広報キャンペーンの重点テーマに、使い捨てライターの注意喚起の告知を当てはめ、あらゆる広報媒体を活用して、啓発活動を強化すべきであります。
 第二に、子どものライター火遊びをなくすために、幼稚園や保育園の場で、火遊びや火災の恐ろしさを学べる安全教育を進めるべきであります。それぞれ見解を求めます。
 また、安全装置つきライターが販売されても、家庭内に使い捨てライターが残されている限り、子どもたちへの危険はなくなりません。そこで、今後、販売禁止となる使い捨てライターについて、回収する仕組みを検討すべきであります。見解を求めます。
 最後に、私の地元の飯田橋駅と飯田橋交差点の歩道橋について伺います。
 飯田橋駅は、JR中央線など五つの鉄道が交わる交通結節点であり、千代田区、新宿区、文京区の三区の区境に位置し、駅東口にある飯田橋交差点は、外堀通り、目白通り、大久保通りが交差する交通の要衝であります。
 飯田橋は、江戸文化を色濃く残す東京名所の地域にもかかわらず、三区にまたがることから多くの未解決の問題を抱えております。
 その第一は、飯田橋歩道橋の揺れと幅員の狭さに加えて、歩道橋の経年劣化による危険性が心配されるということ、第二は、JR飯田橋駅が湾曲しているため、ホームと電車のすき間が著しく大きくあいており、落下事故の危険性が高いということ、第三は、飯田橋駅ガード下の歩道が狭くて暗く、危険だということであります。
 こうした点について、私は昨年、環境・建設委員会でも改善整備に向けた指摘をいたしましたが、問題解決の一番の方法は、飯田橋駅と飯田橋交差点を歩行者デッキによって一体的に整備を進めることであります。立川駅や町田駅では、駅と周辺の建物が歩行者デッキで効率的に接続されるなど、駅前広場が整備されております。
 この歩行者デッキこそ駅と交差点を結ぶ一体的整備の核となるものと考えますが、計画のためには何が課題となるのか、見解を求めます。
 さらに、飯田橋地域は三区にまたがることから、それぞれが取り組むまちづくりを、広域的な立場から総合的に事業を推進できる都がイニシアチブをとって前へ進め、JR東日本などの鉄道事業者との調整もリーダーシップを持って行うべきであります。
 そこで、飯田橋駅と歩行者デッキの一体的整備の実現に向けた都の取り組みについて伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉倉正美議員の一般質問にお答えいたします。
 東京の産業を発展させる方策についてでありますが、東京には他の追随を許さないすぐれた技術を持つ小零細企業が数多く集中、集積しておりまして、東京のみならず我が国の産業力の源泉となっております。
 小零細企業がいまだ厳しい経営環境を乗り越えて、将来にわたって発展していくには、高度な技術とそれを実用化する力を最大限に発揮し、新たな事業に結実させていくことが極めて重要であります。
 これまでも都は、ベンチャー技術大賞などにより、先進的で高度な技術を有する企業を積極的に支援してまいりました。特にベンチャー技術大賞受賞企業のすぐれた技術については、外国語の冊子にもまとめまして、海外に対して広く紹介をしております。
 非常に多岐にわたる新しい技術が開発されておりますが、これは日本では有効でなくても、途上国の国情によっては非常に有効な技術というか発明がたくさんございます。
 例えば、川の表流というものを利用して、川の流れの表につなぐことで、この机の半分ぐらいのものでも川の流れを利用して発電をして、大体東京の一つの家庭がテレビや電気掃除機、あるいは冷蔵庫といったものに使う電力というものを賄えるような、そういった非常にコンパクトな発電機の発明がございますが、これは日本では余り有効性はございませんけれども、川の流れがあって電力のない途上国などでは非常に有効なものだと思います。
 あるいは、その他、日本のような先進国でぜいたくな食べ物を知っている人たちに多い、糖尿病の足が腐ってくるような、そういう患者さんの足を防ぐために、たった二人の研究所が開発しているような特殊な技術がございますが、こういったものは水もろくに飲めない、ご飯もよく食べられない途上国では必要ないことでありましょうけれども、いずれにしろ、非常に多岐にわたる発想というものがいろんな技術になってあらわれていまして、これを本来なら国がまとめてセールスにかけるということが必要だと思いますけど、残念ながらやってまいりませんでした。
 これを東京都がかわりにやろうと思ってやってまいりましたが、さらに首都大学東京や都立産業技術研究センターなどの英知を結集しまして、環境など成長が期待されている分野において技術戦略ロードマップを策定し、技術開発から実用化までの道筋を示すとともに、これに沿った小零細企業の取り組みを支援していきたいと思います。
 今後とも、懸命に努力をする小零細企業の技術開発を全力で支援しまして、東京の産業をより一層発展させていきたいと思っております。
 他の質問については、技監並びに関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、駅舎やホームが狭隘な駅におけるバリアフリー化についてでございますが、これらの駅では既存の駅施設内でエレベーター等を整備することが困難であるため、駅舎の橋上化を初めとした大規模な駅改良や、駅周辺整備と一体となった対策などが必要でございます。
 都はこれまでも、JR御茶ノ水駅などにおきまして周辺のまちづくりを契機に、駅前広場や自由通路整備とあわせたエレベーター等の整備に対し技術的支援を行うなど、駅のバリアフリー化を推進してまいりました。今後ともだれもが安心で快適に移動できる都市を目指して、関係機関と連携しながら駅のバリアフリー化に積極的に取り組んでまいります。
 次に、鉄道駅における可動式ホームさくの整備についてでございますが、可動式ホームさくは、ホームからの転落や列車との接触などの事故防止に有効な鉄道の安全対策施設であるとともに、高齢者や障害者等の移動の安全性の確保に資する施設であると認識しております。
 既存駅への設置に当たりましては、車両扉の位置の異なる列車への対応、ホーム幅の減少、停車時間の増大による輸送力の低下などのさまざまな課題があり、可動式ホームさくの整備が進んでいないのが現状でございます。
 駅のホームにおける安全対策は、鉄道事業者がみずからの責任で取り組むことを基本としつつ、都におきましても、だれもが安全に安心して鉄道を利用できるよう、可動式ホームさく等の課題を整理し、整備促進に向けた検討を行ってまいります。
 次に、歩行者デッキを計画するに当たっての課題についてでございますが、お話のあった立川駅周辺の歩行者デッキは、ターミナル機能の強化と回遊性のあるまちづくりを目的とした土地区画整理事業等で、また、町田駅周辺の歩行者デッキは、小田急線とJR線の両駅間の連絡強化等を目的とした市街地再開発事業で、いずれも地元市が行うまちづくりの一環として円滑な歩行者ネットワークの形成を図るために整備されたものでございます。
 こうした事例に見られるように、歩行者デッキの計画を進めるに当たっては、まず地元自治体が綿密な検討を行い、まちづくり計画における位置づけや必要性を明確にすることが課題となります。
 さらに、建物や駅との接続方法等、具体的な整備計画の技術的な検証を行うことや、整備手法、整備主体等、実現可能な事業スキームを関係者と十分な協議、調整を行い作成することなどの課題があると考えております。
 最後に、飯田橋駅と歩行者デッキの一体的整備についてでございますが、本地域は鉄道五路線が結節し、幹線道路三路線が交差する交通の要衝であり、こうした特性を生かした再開発事業等の動きが見られる地域でございます。
 お話の一体的整備の実現に向けては、本地域が三区の区域界にあることから、まず地元の三区が協力して駅周辺地域のまちづくりの方向性を定め、その上で駅前広場などの基盤整備のあり方を検討する必要があります。
 このため、都と地元三区が駅周辺の開発動向を見ながら、まちづくりの課題を共有し、基盤整備のあり方を議論する場として、本年二月、行政間の連絡調整会議を設置いたしました。
 今後も、都は広域的な観点から、連絡調整会議の場などを通じ、地元区や関係事業者が行うまちづくりの取り組みに対し、さまざまな技術的支援を行ってまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 中小企業対策に係る二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の取引適正化についてでありますが、下請代金の支払い遅延や減額要求など、下請に係る不適正な取引は中小企業の経営に影響を及ぼすなど切実な問題であると認識しております。
 このため、都は、下請法の講習会や下請センター東京の相談員の企業巡回などにより、下請法や裁判外紛争解決手続、いわゆるADRの周知を図るとともに、法令に抵触する事案には調停や公正取引委員会等への通知等の対応を行っております。また、昨年度には相談員を増員いたしまして、下請取引の適正化に、より一層努めているところでございます。
 さらに昨年六月には、親企業団体の協議会と下請企業団体の協議会の両者の合同会議を開催し、都を含めた三者で下請取引の適正化に向けた共同宣言を行い、取引の改善に努めていくことといたしました。今年度も引き続き相互協力が進むよう、両協議会の合同会議を開催いたします。
 今後とも下請法やADRの普及に取り組み、下請取引の適正化を推進してまいります。
 次に、親事業者と下請事業者の共通の認識による取引の適正化についてであります。
 現下の厳しい経済状況を乗り切っていくためには、親企業と下請企業の双方が適正な取引が必要であるという認識を共有することは極めて重要であります。
 都は、昨年六月に開催された合同会議の場で、親企業と下請企業が協力することの意義を強く訴えまして、両者が同じ考え方を持つように働きかけを行い、その内容を共同宣言として取りまとめました。
 この共同宣言の内容を具体化するため、都では発注をする親企業と下請の中小企業を対象として、下請法等に精通した取引適正化相談員を配置した新たな商談会を今月下旬にも全国に先駆けて開催いたします。
 今後も親企業と下請企業の協力関係の構築を図り、下請取引の適正化を実現するため、着実に取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 使い捨てライターに関する注意喚起についてでございますが、都はこれまで、子どもの保護者向けに約七十万部のリーフレットを配布するなど、使い捨てライター事故防止のための注意喚起を行ってまいりました。
 今後は、新たな法規制の内容やライターの安全な取り扱いについて幅広く都民に伝えていくとともに、子どもたちに火の怖さを教える取り組みを進めることが重要と考えております。
 このため、社会全体で子どもたちを守るためにも、ご指摘の今年度の東京都の重点広報テーマの一環といたしまして、テレビ、ラジオ、「広報東京都」等も活用した広報キャンペーンを展開してまいります。
 また、消防庁と連携をし、幼稚園や保育園に通います子どもたちに、マスコット人形などを使用した幼児向けの教材を用い火の危険性をわかりやすく教えるなど、事故の未然防止にも取り組んでまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 使い捨てライターの回収についてでありますが、現在、区市町村において不燃ごみや有害ごみとして収集し、破砕処理しております。
 今後、子どもが簡単に着火できるライターの販売禁止に伴い、使い捨てライターの廃棄がふえることが考えられます。
 このため、都は、国に対して使い捨てライターの安全な廃棄の方法について、広く普及啓発を行うよう働きかけるとともに、関係業界や区市町村と連携しまして、適正な回収や処理が実施できるよう積極的に取り組んでまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 六十八番宇田川聡史君。
   〔六十八番宇田川聡史君登壇〕

○六十八番(宇田川聡史君) 初めに、水道事業についてお尋ねをいたします。
 知事は今定例会の所信表明において、水道事業の国際展開について言及され、上水道、下水道ともに東京はトップクラスの技術を誇ると評価されました。
 第一回定例会の我が党の代表質問に対しても、世界最高の水道技術を海外で活用することによって、発展途上国の水事情改善に貢献するとともに、日本経済活性化のためにも、東京の技術を世界に示していきたいと大変前向きな答弁をされました。
 水道局は海外事業調査研究会を立ち上げるなど、積極的な取り組みを展開しておりますが、国は場当たり的発想の中で、人のふんどしで相撲をとっているような状況でしかありません。
 今後、日本の水ビジネスを軌道に乗せ、国際貢献を果たしていくためには、東京が先導し、手本を示していくことこそが重要だと考えますが、知事の率直なご見解をお伺いいたします。
 水ビジネスの市場規模は、十五年後には百兆円になるともいわれており、南アジアや中東、北アフリカなどの地域では年間の成長率が一○%以上、他の地域を見ても五%以上とのことです。
 これほどに高い成長が見込めるビジネスではありますが、先進国ではインフラ整備が進んでいるのに対し、開発途上国では資金力に乏しいなど、対象地域によってその環境は大きく異なるものと考えます。
 したがって、都はこのような観点もとらえ、対象地域に合致した戦略展開をしていくことが極めて肝要です。こうした地域戦略の基本的な考え方についてお伺いをいたします。
 開発途上国では、安全な水を口にすることができず、そのために今なお多くのとうとい命が失われております。今後の経済発展や人口の増加によっては、一層の逼迫が懸念されます。所得水準が高くないこともあり、こうした国々の採算性は低く、水メジャー企業が撤退していった過去もあると聞いております。
 しかし、世界最高水準を誇る都の技術により、実情に合ったビジネスモデルを設定し、展開していくことは可能なことではないでしょうか。開発途上国のそれぞれのニーズ、実情に合ったビジネス展開をどのようにしていくのか、お伺いをいたします。
 さて一方で、都民に対して、より安全で、よりおいしい水を供給していくことも重要です。今まで行ってきた高度浄水処理や直結給水の普及、貯水槽の適正な維持管理を引き続きしっかりと進めていただきたいと思います。
 こうした取り組みの一つに、小中学校の水飲み栓直結化の推進があります。我が党は、直結給水化を私立学校にも拡大してほしいとの要望を踏まえ、推進していくべきだと主張をしてまいりましたが、その後の検討状況、実施に向けた都の対応についてお伺いをいたします。
 次に、地域医療についてお尋ねいたします。
 現在、都内においては、十一の病院が地域医療支援病院として承認を受けております。それぞれの医療機関がその機能を最大限発揮しつつ役割分担を行い、効率的な医療提供体制の構築を図ることを目的としている制度であり、承認を受けるための高いハードルが設定され、厳しい運営規定のもとで各病院は自主的に努力を重ねているところです。
 しかし、その目的を全うするためには幾つかの課題が存在し、地域の医療現場においては、残念ながら、この制度が定着するには至っておりません。病院が独自の開催で研修会などを実施し、地域の診療所、いわゆるかかりつけ医等に対し医療の効率的連携を呼びかけても、多くが集まることはなく、理解されていないのが現状です。
 この制度を有効に活用し、地域医療の充実に結びつけるためには、地域医療支援病院の重要性をしっかりと踏まえた上で、その目的や意義を広く各医療機関に周知徹底し、医療従事者の理解をきちんと得て、病診連携の推進を図ることが重要だと考えます。都のご見解を伺います。
 このような医療機関の効率的な連携のためには、ITを積極的に活用していくことも必要だと考えます。クリーブランドクリニックというアメリカ・オハイオ州にある病院は、独自のシステムの運用により、全米屈指の医療機関として多くの信頼を得ているとのことです。
 このシステムは、まちの診療所や離れた地域の医療施設、さらには患者ともネットワークを結び、ウエブを使って、すき間なく高度な医療サービスを提供するというものです。医療情報の共有は切れ目のない医療連携の推進とともに、島しょ医療などの遠隔地の対応にも非常に有効であり、限られた医療資源で効率的な医療提供をも可能にするものではないでしょうか。
 このようなITを活用した医療連携を都としても積極的に取り入れていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、スポーツ振興についてお尋ねをいたします。
 東京マラソンは、最高位の格付ゴールドラベルを獲得したように、今や日本を代表するスポーツイベントに成長しました。私もこのマラソンに二度ほど参加をさせていただきましたが、当日の盛り上がりはいうまでもなく、都民のスポーツ振興を図る上では絶好の機会だと考えます。
 しかし、年齢制限などにより、スポーツの楽しさや感動を直接子どもたちに体験させることができないのが残念でなりません。
 ことしの大会では、東京マラソンファミリーランを開催し大変に好評でしたが、このように、子どもたちが参加し、感動や現場の臨場感を味わえる、夢を与えることができるような取り組みを今後とも継続していくことはもちろんのこと、さらに拡充すべきだと考えますが、所見を伺います。
 東京マラソンをきっかけにランナーが飛躍的に増加し、過去、地味な存在だったランニングに日が当たりました。このような、だれにでも気軽に始められる身近なスポーツは数多く存在しています。
 例えば、ローラースケート。ほとんどの方は、子どものときに一度は体験したことがあると思いますが、レクリエーションとしてだけではなく、競技としても欧米ではメジャーなスポーツであり、スピード、フィギュア、ホッケー、スラロームなど多様性を備え、ロンドン・オリンピックの競技選考にも最終段階まで残っていたほどです。
 日本国内での競技人口は寡少であっても、潜在的な人口が見込める気軽なスポーツはほかにもあり、競技環境の整備なども必要です。
 このような気軽に楽しめる身近なスポーツとの出会いや、触れ合うことができるさまざまな機会を創出していくことも、スポーツ振興にとって大変に重要だと考えます。都のご所見を伺います。
 先ほど東京マラソンについて申し上げましたが、ローラースケートマラソンもヨーロッパでは人気競技の一つです。フルマラソンの記録は五十分台、そのスピード感は見ている人たちにも爽快感が生じることだと思います。いつの日にか東京マラソンの場でローラーマラソン大会も同時開催をとの願いもありますので、要望とさせていただきます。
 次に、耐震化について伺います。
 緊急輸送道路の沿道建築物は、一たび倒壊すれば通行が遮断され、避難、救急、物資輸送、復旧活動などに多大な影響を及ぼし、その耐震化は極めて重要です。
 さきの予算特別委員会の我が党の質問に対して、これまでの普及啓発や財政的支援に加え、耐震診断の義務化など、一歩踏み込んだ規制誘導策を検討し、年内に取りまとめを行うことを明らかにいたしました。都民の生命と財産を守るためには、早期の検討と推進が必要です。
 一方で、沿道建築物の所有者の負担軽減や規制誘導策の実効性確保など、課題もあるのが現状です。専門家の意見を聞くなど、耐震化施策に関する議論を重ねているとのことですが、どのような方向で検討が進んでいるのか、お尋ねをいたします。
 最後に、港湾の機能強化、国際競争力強化についてお尋ねいたします。
 東京港は首都圏四千万人の経済を支えている重要なインフラ施設です。海に囲まれた我が国において港湾はまさに生命線であり、アジア諸港の目覚ましい躍進の中で、港湾の国際競争力強化は喫緊かつ大変重要な施策の一つです。
 都は、既に東京港埠頭を民営会社とし、効率化を図ったところではありますが、国際競争力強化のためには、経営面で独立した港湾経営体、いわゆるポートオーソリティーの構築を早期に行い、さらに規制緩和など自由競争を進める必要もあるのではないかと考えます。このような基本的構想、港湾の全体戦略について、都はどのようにお考えなのか、ご見解を伺います。
 釜山港や上海港などアジア主要港は広大な港湾用地を備え、大量の新規ふ頭整備を計画し、さらなる貨物獲得のために積極的な展開をしております。
 一方、狭小なる我が国においては、このような広大な新規ふ頭整備は不可能であり、個々のふ頭の生産性を高め、質で勝負していくしかありません。
 世界同時不況により伸び悩み状態だった貨物量も徐々に増加傾向となり、一時鎮静化していたふ頭周辺の交通渋滞も再び顕在化しております。大井ふ頭も青海ふ頭も施設容量は限界に来ており、もはや抜本的な解決策をとらなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
 今後、中央防波堤外側埋立地及び新海面処分場に計画されているコンテナふ頭を整備することを契機に、老朽化が目立ってきた既存ふ頭の根本的な再編による物流の確保、機能強化にしっかりと取り組んでいくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、ふ頭の生産性向上と同時に進めるべきは、コストの縮減です。アジア諸港と比べ高い港湾コストがかかっている現状を打破していくためには、港湾関係者ともきちんと協議を重ねていく必要があります。ペーパーレス化などとともに、その低減をしていく必要性についてもあわせて見解を伺います。
 東京港は、もはや日本国内での争いをしている場合ではありません。釜山、上海、高雄、シンガポールなど、大型船対応の整備を進め目覚ましい発展を続けるアジアの有力港をしっかりと視野にとらえ、ハード、ソフトの整備充実はもとよりですが、国際基幹航路は今後東京港が支えていくんだ、こういった大きな気概を持って取り組んでいかなければなりません。
 世界に誇れる港湾としての高い目標を据え、時期を逸することなく、しっかりと推進を進めていただきたい、このことを強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 宇田川聡史議員の一般質問にお答えいたします。
 水ビジネスにおける東京の役割についてでありますが、日本には世界に比類のない技術が多くありながら、それを展開する戦略がなく、国際競争でも苦戦を強いられております。水ビジネスでもしかりでありまして、国はスピード感もなく、なかなかその重い腰が上がりません。
 水というのは本当に人間の生命存続、人生にとって非常に不可欠な、非常に貴重なものでありまして、例えばその証左に、いつかテレビで見ましたが、アフリカのある部落で神様のようにあがめられている、日本のNPOでしょうか、とにかく、海外協力隊でしょうか、一人の女性がいまして、その女性が非常に死亡率の高いその村に行きまして、何を寄附したかというと、鋳物でできている蛇口ですね。これをたくさん持っていきまして、それで水がめみたいなのがあるわけですけど、そこで使われている水は、家畜のし尿も流れている近くの川の水をそのまま持ってきているわけで、一たんそれを煮沸させて、その水がめにためて、そして、その蛇口を使って飲料のものだけをそこから摂取するという、それを教えただけで子どもの死亡率は激減したということで、神様のようにあがめられておりましたが、もうすべて、水というのはそれほどの致命的な、大事なものだと思います。
 とにかく水道に限りましても、蛇口をひねって、そのまま水が安心して飲める国というのは、世界で十一カ国しかございません。日本もその一つでありますが、最近の経産省の報告によりますと、地球上の水を家庭用のふろに張った水に例えると、人類が利用可能な淡水源、つまり河川や地下水は大さじ一杯のものでしかない。その非常に貴重な水の活用、利用について、やはり地方自治体も国もタッグを組んで、せっかく持っている技術を人類のために活用するための努力をもっと積極的にすべきだと思います。
 とにかく東京の水道水には、世界に誇る高い技術力やノウハウに裏打ちされた総合力があります。現にビジネスの場でも高く評価されていまして、オーストラリアでコンサルティング業務を手がけることになりました。
 今後も東京の水道の持つ可能性と潜在力を武器に、民間企業とチームを組んで世界の水道事業に参画し、東京が先頭に立って日本を牽引することで国際社会に貢献するとともに、東京と日本の経済を活性化していきたいと思っております。
 案外、本当に今まで気づかなかったのでありますが、水というものは一つのそれを供給する事業としても、高度の技術というものを添えれば大きなビジネスになるということを最近痛感しております。
 先般、ニューヨークで行われましたC40の会議に行きましたが、非常にみんな観念的にしかいっておりませんでしたけれども、東京から同伴しました水道局長が東京の水道についてるる説明をしましたら、みんなが襟を正して聞き入って、彼に質問が集中したのを非常に印象的に覚えています。
 いずれにしろ、私たちの持っている努力の結果である技術を持ちぐされにしないような、これを世界に普遍することが、何といいましょうか、日本が掲げている国際関係の理念というものを成就していくための大きな手だてになると思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 耐震化に関する新たな規制誘導策についてのご質問にお答えいたします。
 現在、学識経験者等から成る専門家会議を設置いたしまして、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化をより一層促進するための施策について、さまざまな議論を行っているところでございます。
 専門家会議では、耐震化施策の全体状況の把握を行うとともに、耐震診断の義務づけなど新たな施策の有効性や、それを導入した場合の法的な課題、建物所有者への支援策のあり方など、幅広い検討を進めております。
 都としては、専門家会議での検討に加え、区市町村とも連携して基本的な考え方を整理した上で、秋ごろを目途にパブリックコメントを実施するなど、都民や関係団体等の意見の反映に努めてまいります。
 今後とも、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するため、実効性のある規制誘導策の構築に向けて鋭意取り組んでまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域戦略の基本的な考え方についてでございますが、四月に設置した海外事業調査研究会におきまして、民間企業や政府系機関など五十社へのヒアリングを実施し、海外の水事情や水ビジネスのさまざまな実態がより明らかになりました。
 先進国や一部の新興国では、既に水メジャーと呼ばれる欧州の巨大企業が進出しており、東京水道が参入していくためには、技術力、経営力はもとより、地域に精通した人とのつながりや情報力が極めて重要となります。
 一方、開発途上国では、今なお安全な水にアクセスできない人々が多い状況の中で、東京水道の強みである漏水防止技術、浄水処理技術及び運営ノウハウなどに対し、途上国からの期待が極めて高いことが改めて判明いたしました。
 こうした国々の実情を踏まえ、関係局と連携した都市間レベルでの情報収集に加え、商社などヒアリング実施企業のネットワーク網を最大限活用していくとともに、当面は東南アジアや南アジアを中心とした途上国におきまして、国際貢献ビジネスを積極的に展開してまいります。
 次に、開発途上国のニーズ、実情に合ったビジネス展開についてでございますが、途上国の中には、水源の不足や脆弱な技術力などによる高い漏水率のため、時間給水を余儀なくされ、コストに見合った料金収入が得られず、経営効率の悪い国もございます。
 その結果、投資資金が不足し、施設の改善が進まないなど、事業運営上の負の連鎖を生じております。
 そこで、東京水道の強みである技術、ノウハウを生かした漏水率の低減策などを講じ、二十四時間給水といった給水サービスの向上と、水道料金の増収による事業収支の改善を図ることによって、計画的な設備投資などにつなげていきたいと考えております。
 今後、こうした成長型のビジネスモデルをベースに、途上国のニーズ、実情に合ったモデルを設定し、八月以降に派遣を予定している東京水道国際貢献ミッション団で広く提案してまいります。
 最後に、水飲み栓直結給水化モデル事業の私立学校への取り組み状況についてでございますが、本事業は、安全でおいしい水を一層浸透させるための施策の一環として、平成十九年度から公立小学校を対象に実施してまいりました。
 これまで実施した学校の子どもたちや教職員から高い評価を得たことや、区市町からの要望等も踏まえて、公立中学校も対象に加えるなど、順次拡充してきたところでございます。
 ご指摘のとおり、直結給水化された水のおいしさを、私立学校で学ぶ子どもたちにも実感してもらうことの重要性を踏まえ、対象を私立学校にも拡大することとし、この夏休みに工事を希望する学校に対応できるよう取り組んでおります。
 これらを着実に実施することにより、蛇口から直接、水を飲むという日本が誇る水道文化を次世代へ継承してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、地域医療支援病院についてでございますが、都は、病院とかかりつけ医との医療連携を地域に定着させるため、その中核を担う地域医療支援病院の確保を図っております。
 この地域医療支援病院は、脳卒中などの疾病別医療連携や救急医療体制の推進においても、連携の核となる重要な役割を果たしております。
 また、それぞれの地域において、高度医療機器の共同利用や症例検討会等を実施しております。都は、東京都医師会の協力を得まして、こうした取り組みにかかりつけ医が積極的に参加するよう働きかけてまいります。
 さらに、地域医療支援病院の果たす役割や機能を十分周知し、緊密な病診連携の一層の推進に取り組んでまいります。
 次に、ITを活用した医療連携についてでございますが、都は、脳卒中など疾病別の医療連携を支援するため、インターネットによる医療機関案内サービス「ひまわり」の医療関係者向けサイトにおきまして、各医療機関の専門分野や実施可能な治療方法等の情報を提供いたしております。
 また、連携の促進にも資する電子カルテの導入など、医療機関のIT化につきまして一層の推進を国にも働きかけております。
 また、島しょ地域におきましては、都立広尾病院と島しょの医療機関とを結ぶ画像伝送システムを整備いたしまして、専門医がエックス線画像を通じた診療支援を行っております。
 本年十月には、このシステムの画質や伝送速度を向上させるとともに、ウエブ会議機能を新設いたしまして、リアルタイムでの症例検討会を可能とする予定でございます。
 また、多摩地域におきましては、小児医療確保への支援のため、小児総合医療センターと多摩北部医療センターとの間で、情報システムを活用した診断支援などの医療連携にも取り組んでまいります。
 このように、医療におけるIT活用は、連携手段として今後ますます重要となると考えておりまして、引き続き積極的に推進してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 二点の質問にお答えいたします。
 初めに、東京マラソンへの子どもたちの参加についてでございますが、次代を担う子どもたちに東京マラソンのすばらしさを体験してもらうことは重要でございます。
 本年二月の東京マラソンでは、今回初めて、大会当日に小学生と保護者のペアで、実際に東京マラソンが行われているコースの一部を走ることができる、東京マラソンファミリーランを開催いたしました。五百組千人の定員に対しまして十倍を超える応募があり、実際に参加した親子からは大変好評でございました。
 今回の法人化を契機に、ご提案の東京マラソンファミリーランの参加定員の拡大や、新たに中学生や就学前の子どもを対象といたしましたイベントの開催を検討するなど、一人でも多くの子どもたちに東京マラソンの魅力を感じてもらう機会の創出に努めてまいります。
 次に、スポーツに親しめる機会の創出についてでございますが、都民がスポーツを気軽に楽しめる環境を整えることは、スポーツ都市東京を実現するために重要でございます。
 都は、平成二十年に東京都スポーツ振興基本計画を策定いたしまして、スポーツに親しむきっかけや環境づくりに取り組んでおり、これまでに東京の魅力を体験しながら歩くTOKYOウオーク、多彩なスポーツを体験することのできるスポーツ博覧会など、都民参加型スポーツイベントを開催してまいりました。
 今後もお話のローラースケートを初め、気軽に楽しめるさまざまなスポーツに触れる機会をスポーツ博覧会や東京大マラソン祭りにおけるランナー応援イベントで提供するなど、都民がスポーツを始めたくなるきっかけづくりを図ってまいります。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 東京港に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京港の国際競争力強化に向けた基本的な戦略についてでございます。
 躍進著しい東アジア諸港と競い、基幹航路を維持していくためには、貨物量の増加を図ることが不可欠でございます。東京、横浜、川崎の京浜三港は、我が国のコンテナ貨物取扱量の約四割を扱う国内首位の港でございまして、京浜三港が協働し、さらなる貨物集荷に努め、まず、釜山港に対峙する日本のハブポートを目指していくことが重要であります。
 そこで、今後、三港連携の取り組みを一層深め、将来のポートオーソリティーの設立も視野に入れ、京浜港を一体的に経営する港湾経営主体の構築を図り、スケールメリットの発揮と適切な機能分担による投資の最適化を実現していきます。
 また、利用者ニーズにこたえ、マーケティング力や営業力の向上を図り、効率的な経営を実現するため、京浜港の港湾経営主体に、民間人材の登用を初め可能な限り民間活力を導入してまいります。
 次に、既存ふ頭の再編とコスト縮減についてでございます。
 東京港の主力ふ頭である大井ふ頭及び青海ふ頭は、貨物量が増大する一方で、用地の制約、経年による施設機能の低下により処理能力が限界に近づいており、このため周辺地区に交通渋滞が発生するなどの課題が生じております。
 このため、現在、中央防波堤外側に新たなコンテナふ頭を整備中であり、完成後は、大井ふ頭と青海ふ頭と一体となって、東京港の貨物量の増加に対応してまいります。
 さらに、新たなコンテナふ頭の整備を契機に、ふ頭全体の再編に着手し、一バース当たりの面積の拡大と必要な施設の更新を行い、ふ頭機能の高度化と生産性の向上を実現していきます。
 また、港湾の国際競争力の強化を図るには、港湾コストの縮減が不可欠でありますことから、東京港埠頭株式会社や民間事業者とともに努力をし、ターミナル賃料等の低減を早期に具体化してまいります。
 あわせて、お話の港湾諸手続のIT化の推進、強制水先案内の規制緩和などにつきまして、横浜港、川崎港と連携をして取り組んでまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十二分休憩

   午後三時四十一分開議

○議長(田中良君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百四番大津浩子さん。
   〔百四番大津浩子君登壇〕

○百四番(大津浩子君) 介護ベッドで落下防止さくの六センチのすき間に首を挟まれ亡くなられた事故、ベビー用おやつ等を食べたにもかかわらず窒息死亡事故を起こした乳幼児。なぜ、寝ている間に、食べている間に、大切な命が失われなくてはならないのでしょうか。
 都では平成二十年、二千五百七十一人の方が、こうした不慮の事故で亡くなられています。この数には、交通事故による死者数三百三十七人の方々も含まれています。多いと見られている交通事故は全体の一割強なので、それを除く衣食住の中での事故の方が約七倍と圧倒的に多いことがわかるのです。
 私は、これまでも機会をとらえて、安全の問題について、使い捨てライター、毛染め、海上コンテナトラックの首都高速道路横転事故などを取り上げてきました。例えば、子どもの火遊びによる火災の七割以上はライターが原因で、相次いで幼い命が奪われています。
 このライターの問題は、形は小さいのですが、製品の安全規制だけではなく、我が国のものづくり、消費や廃棄のあり方、そして救命救急の取り組み、教育のあり方など、幅広い観点からとらえるべき問題として、安全、救急、物の廃棄、教育など、さまざまな角度から質問をさせていただきます。
 初めに、都民が安心して日常生活を営めるために、衣食住における身近な商品による不慮の事故を防止し、また消費生活上のさまざまな被害に巻き込まれることのないよう、都民の命と安全を守る首都東京づくりについて、石原知事の見解を伺います。
 都は、ライターの火遊びによる火災事故が起きたことを憂慮し、昨年十一月、いち早く国に対し法による安全規制を提言しました。国は都の提言を受け、経済産業省が検討を開始し、来年の夏からライターの着火ボタンに、子どもが簡単に操作できないようにするチャイルドレジスタンス機能を義務づけるよう安全規制を行うことになりました。海外では既に平成十八年からEU加盟国二十五カ国で、米国では平成六年に規制を義務化していますが、日本も世界基準となりました。
 しかし、消費生活の中には、介護ベッドやコンニャクゼリーなど、いまだに危険の芽が摘み取れない事例が幾つもあります。
 介護ベッドの手すりの六センチのすき間に首が挟まれ亡くなられた方は、製品評価技術基盤機構事故情報では、平成十四年から二十年の七年間で十名も亡くなられています。コンニャクゼリーを食べた窒息事故は、国民生活センターによると、平成七年から二十年までの十三年間で二十二名もの方が亡くなられました。一方、パロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故では、昭和六十年から平成十七年までに二十一名が亡くなられましたが、年間の死亡事故頻度から比較すると、パロマよりも介護ベッドやコンニャクゼリーの死亡事故の方が一・五倍も多いのです。
 東京消防庁の統計からは、平成十八年から三年間に、介護ベッドにかかわる事故で百六十人の方が病院へ搬送されました。そのうち約九%近くは、手すりやさくや可動部に挟まれた事故で十四人にも上りました。
 にもかかわらず、介護ベッドは今も首が挟まれた手すりの六センチのすき間は変わらずに販売されており、昨年三月に手すり部分をJIS改正してもなお、悲しいことに、ことし五月、千葉県で介護ベッドの同じく手すりのすき間に首が挟まれた状態で発見されました。転落防止のための、そのさくによって、なぜ命を奪われなくてはならないのでしょうか。
 日本がものづくりの技術立国として、人の命と安全、環境への負荷を置き去りにしては、世界の安全性のグローバル規格からも取り残されることになるのです。業界団体への現時点での規制をちゅうちょしていることにより、製品、食品による事故で次々と人命を失うことは、行政の失態と業界団体、ビジネス界の失墜にもなりかねません。
 すべて安全なものだけが市場で販売されるべきです。安全のために消費者の声を製品の設計段階から反映し、良質な物を適正な価格で都民、国民へ提供する理念が企業のまことの繁栄につながってくるのではないでしょうか。
 事故が起きて人が亡くなってからの後追いの対策では遅いのです。そのための消費者行政の役割は大きい。都は、日常生活に潜んでいる身の回りの危害、危険を未然に防止するため、中立の立場から行政権限をフルに行使するなど、さらに一層、強力に取り組んでほしいと都民は期待していますが、所見を伺います。
 そして、大人が目を離しても子どもが危険な行動をしない体制づくりのためには、その根底にある教育に目を向けるべきではないでしょうか。普段の消費生活においても、子どもたちが成長し、消費者意識やモラルの高い大人たちがどんどんふえていくことが、将来的に消費者保護行政にかかるコストを少なくさせる要因にもなると考えます。
 子どもたちの発達段階に応じた消費者教育が重要と思いますが、見解を伺います。
 実は、ライター火災は、子どもの火遊びによる火災だけではありませんでした。渋谷区内で平成二十年十二月、二五〇ccのスクーターから出火、幸い煙に気づいて消しとめられた火災がありました。出火原因は、運転者が電子ライターをしまっていた座席シート下の収納ボックスの中に、ヘルメットを収納し、そして、ふたを閉めた際に、ヘルメットが勝手に電子ライターのスイッチを押して着火をした火災でした。
 衣食住での思いがけない事故に真っ先に駆けつけてくれる救急隊。事故の現場にこそ予防策のかぎが隠されているのです。
 救命救急の観点から、こうした都民生活において生じる事故を防止するため、救急の立場から貴重な事故情報をどのように危険予防に活用されているのか、危険の芽を摘み取り、事故を防止していくための東京消防庁の取り組みについて、消防総監に伺います。
 最初から危ない物は最後まで危険なのです。ライターの処分ですが、二十三区では不燃ごみとして排出をされ、小型プレス車で搬送され、東京湾埋立地にある不燃ごみ処理センターで破砕処理されます。多摩の市町村では、主に有害ごみの区分として排出され、平ボディー車やパッカー車などで運搬され、各市町村の中間処理施設で分解や破砕処理されます。これら最後の出口でも、ライターによる火災が起きていたのです。
 ライター等の不燃ごみまたは有害ごみを収集搬送する清掃車の火災です。件数を見ると、平成十八年から二十年の三年間で五百件もあり、うちライターによる火災は一〇・八%も占めていました。清掃車火災の主な出火原因は、エアゾール缶四三・八%、カセットボンベ二七・二%、そして、ライターが三位であったことが消防庁の統計でわかりました。
 廃棄物の現場で働く人の命と安全も守らなくてはなりません。使い捨てライターは日本に年間六億四千万個流通しており、国民一人当たり六本所有している計算になります。現在のチャイルドレジスタンス機能のないライターは来年夏から販売規制がかかるため、今後、大量の旧タイプのライターが処理場へ運ばれてくることが予想されます。
 そこで、消費された物の出口からさかのぼって、ものづくりのあり方を、生産から処理処分、リサイクルまでのライフサイクルととらえ、都が積極的に区市町村、関係業界をリードできる廃棄物行政であってほしいと考えます。所見を伺います。
 教育と社会生活は深い関係にあり、消費者行政がうまく機能するかどうかは、幼少期からの、特に家庭、そして学校、社会での教育がかぎを握ってくるのです。記憶偏重の日本の教育ですが、こうしたらどうなるのかをみずから考える力、これを徹底して教育することにより、犯罪の起きない国、事故に遭わない社会生活を持続可能にしていく成熟した社会をつくり出すこと、これが東京の今後の重要な方向性ではないでしょうか。
 消費者教育とも通じますが、犯罪も同様で、ただやってはいけないと教え込むのではなく、なぜ犯罪を犯してはならないのか考えさせる教育が必要と考えますが、都の教育委員会の認識を伺います。
 次に、東京独自の生物多様性と川について質問します。
 ことしは国連の生物多様性の年であり、十月には名古屋で生物多様性条約第十回締約国会議、いわゆるCOP10が開催されます。
 東京は、東西約千九百キロ、南北はニューヨーク市の約四十倍もある約千七百キロメートルにも及ぶエリアを有し、年平均気温は、小河内十一・九度から父島二十三・三度と気温差が十二度も広がる、世界でもまれな首都です。都も生物多様性地域戦略の策定に着手していますが、単に国のガイドラインに従うことなく、シカやツキノワグマの生息する奥多摩からクジラの回遊する小笠原諸島までの地理的、歴史的、文化的側面など、東京の独自性を生かした戦略とすることが必要です。
 また、都はシンポジウムの開催、普及啓発に努めるとしております。しかし、イベントの開催や情報提供も大切ですが、それにとどまることなく、この機会をとらえて、都民や企業が、多様な生物や生育環境を守る、実際の行動に結びつけていくための参加型の戦略づくりとする視点も必要と考えますが、所見を伺います。
 人類や多様な生物が生きる基盤である川。東京は多摩の森林づくりなど、川上から川下、そして東京湾までを一体として水循環をとらえ生物多様性を意識した都市のまちづくりをしていくことができるのです。
 コンクリート三面張りで五〇ミリ降雨整備を行っている東京の中小河川は、渋谷川、目黒川、八河川もあります。渋谷川は落合水再生センターからの下水高度処理水であり、ドジョウやヒメダカなどが確認されましたが、三面コンクリートの表面はアルカリ性になるために、生物は繁殖をできません。
 アオコを出さない方法として、炭と鉄を接触させ水中の燐濃度を下げることの、その技術の開発に成功した国立群馬高専の小島教授に、繁殖条件を尋ねました。それには、川底や壁は生物親和性の素材で、かつ生物が生息しやすい穴やすき間が不可欠な条件ということでした。
 生物親和性が豊かで、住みやすい穴を持つ素材、例えば炭素材、木炭、活性炭、軽石、溶岩などを使い、安全で力強い土木技術とのコラボレーションで、渋谷川が唱歌「春の小川」の面影を少しでも感じられるような河川復活を望む声が大きいのです。
 水害から都民の命を守りながらも、川底を自然に近づける検討を進めていただきたいと思いますが、見解を伺います。
 そして、二年前の平成二十年第二回定例会で、渋谷川の拠点整備について質問したところ、区立恵比寿東公園などの河川と隣接する公共用地の活用を検討するとの答弁をもらい、三月に工事が始まりました。この都会のいやされる空間となる河川の環境づくり、そこで、恵比寿東公園と一体となった河川整備の状況について伺います。
 続いて、水道事業の世界展開について質問いたします。
 東京の水道は、漏水率が三・一%など、世界に誇る高い技術を有しています。一方、世界の十億人以上が安全な水が利用できません。こうした都が誇る水道技術は大いに推進すべきと考えますが、都民が支払ってきた水道料金で培ってきた人と技術の水道事業でもありますので、スポンサーである都民の理解と協力こそが、世界展開への推進力になると考えます。
 その上で、水道としては、いうまでもなく都民に安くて安全でおいしい水を将来にわたって供給し続けることが第一でなければならないと思います。海外への事業展開が都民にどのような恩恵をもたらし、また、事業に伴うリスク評価を具体的にどのように行うかなど、わかりやすく情報提供していくことが重要と考えますが、所見を伺います。
 次に、安くて安全でおいしい水道を供給する上で、近い将来、上水道の古くなったインフラの更新時期を控え、一層、効率的、効果的な事業運営と技術力の継承と、例えば水道管から水の漏れる音を聞き分けるのに十年はかかるといわれる音のたくみの職員などの人材の育成が急務と考えます。どのように対応されるのか、都の見解を伺います。
 最後に、交通政策についてお伺いいたします。
 先日、都内の車両駐車の実態を見てまいりました。都会の朝は、歩行者、自転車、バイク、車、貨物車、トラックと、あらゆる動線が慌ただしく交錯しておりました。
 我が党の交通政策の質問に、昨年十二月、駐車禁止規制の見直しを行っていきたい、ことし三月、規制緩和の要望を受け、規制緩和の必要性の高い四十区間を抽出し、さらに詳細な調査を行っている――この進捗状況並びに悪質、危険性、迷惑性の高い違反の取り締まり推進状況、そして歩行者の安全確保、公共交通に支障を来さないことを前提に、規制緩和の要望地域をどこでどのように集約されているのか、以上を警視総監にお伺いをいたします。
 終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大津浩子議員の一般質問にお答えいたします。
 消費者行政の重要性についてでありますが、国は消費者庁を設置し、消費者行政の司令塔としての役割を打ち出しましたけれども、既存省庁の縦割りの壁を突破することができずに、いまだに具体的な成果を上げてはおりません。
 我が国最大の消費地であります首都東京には、悪質商法による消費者被害や中国産冷凍ギョーザ事件など、商品の安全性に対する信頼を揺るがす事件が顕在化しておりまして、消費生活の安心と安全を確保することは、都政の最も基本的な役割であると思っております。
 都はこれまでも、縦割りに陥りがちな行政に横ぐしを刺して、警視庁や関係各局の連携協力体制のもと、悪質事業者の取り締まり強化や、調理冷凍商品の原料原産地表示など、国に先駆けた施策を展開してまいりました。また、消費者行政は、現場に根差し、都民、国民の求めに応じて機動力を発揮してこそ、その使命を果たし得るために、最前線の現場である消費生活総合センターの相談機能を充実し、強化してまいりました。
 今後とも、現場を持つ都の強みを最大限に発揮しまして、だれもが安心して生活できる東京を実現していきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長並びに関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

○警視総監(池田克彦君) 三件のご質問にお答えいたします。
 初めに、駐車規制の見直しについてでございます。
 既に会派に経過説明しておりますとおり、荷さばき車両に配意した駐車規制の見直しにつきましては、これまでに浮上している規制緩和の必要性が高いと思われる約四十区間について、実施の可否等を詳細に調査してまいりました結果、必要な調査はほぼ終了したところでございます。
 その過程で実施が困難な場所も見受けられましたが、今後、規制緩和が妥当と認められた区間について、地域住民及び物流事業者等との意見調整を行い、荷さばき駐車のルールなどに関する合意が整った区間から、順次、実施していくこととしております。
 次に、違法駐車取り締まりについてでございます。
 違法駐車につきましては、従来から、重大交通事故を誘発する違反や著しい交通渋滞を招く違反などの、悪質、危険性、迷惑性の高い違反に重点を指向した指導取り締まりを行ってまいりました。
 また、新たな駐車対策法制が施行された平成十八年六月からは、このような違反に、より重点指向するため、駐車実態に応じた取り締まり活動ガイドラインを策定し、このガイドラインに沿った指導取り締まりに努めているところでございます。
 今後とも、交通の安全と円滑を図るため、悪質、危険性、迷惑性の高い違反に重点を指向した違法駐車の指導取り締まりを推進してまいります。
 最後に、規制緩和の要望の集約についてでございます。
 規制緩和につきましては、交通関係機関、団体、物流事業者及び地域住民の方々が参加する会合等の機会に幅広くご意見を伺っているところでございます。このようにして寄せられたご意見、ご要望は、すべて警視庁交通部において集約し、必要な検討を行い、適切に処理しているところでございます。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 犯罪について考えさせる教育について、お答え申し上げます。
 日常生活において、安全と安心を実感する社会を実現することは、すべての都民が望んでおられることでございます。これまで都教育委員会は、犯罪は犯してはならないと指導することを基本とした非行防止・犯罪被害防止に係る指導資料を各学校に配布し、児童生徒の発達段階に応じた具体的な指導事例を示すなどして、犯罪防止教育を推進してまいりました。
 犯罪防止等の指導に当たりましては、幼少時から、悪いことは悪いと毅然として繰り返し教えることが大切でございます。こうした指導に加えて、お話がありましたように、児童生徒に、みずからの問題として気づかせる工夫も重要でありますことから、都教育委員会は本年三月、児童生徒がみずから考える活動を取り入れた参加型のDVD教材を、全国で初めて作成し、すべての公立小中学校等に配布いたしました。
 この教材では、子ども同士の暴力や器物損壊などの暴力行為、悪いことだとはわかっていてもつい犯してしまう万引きや自転車盗という三つの犯罪を取り上げ、子どもたちが被害者の気持ちになって話し合ったり、ドラマの主人公に手紙を書いたりする活動を取り入れるなど、考える力を育てるための工夫をしております。
 今後は、小学校五年から中学校三年までの道徳や学級活動のほか、保護者会や地域懇談会の場においてもこの教材を活用し、家庭、地域と一体となって犯罪防止教育の充実を図るよう、区市町村教育委員会と連携して各学校を指導してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 二点の質問にお答えいたします。
 初めに、商品などに起因する危害、危険防止についてでございますが、都はこれまでも、子ども用衣料、アクセサリー、折り畳みいす、ベビー用おやつ、使い捨てライターなど、身の回りの商品に起因する事故を分析いたしまして、国や業界団体等に提案、要望を行うとともに、都民にも注意を喚起してまいりました。
 今回、消費者安全法の制定により、重大事故が発生した場合、これまで法規制が及んでいなかった、いわゆるすき間事案について、知事は、業者に対する立入調査等を行うことができることとなりました。都としては、今後、こうした知事の権限を有効に活用するとともに、緊急課題に迅速的確に対処するため、商品等の安全対策についても、関係局と連携して横断的に特別対策班を設置し、消費者生活におけるさまざまな危害、危険の排除に努めてまいります。
 次に、子どもたちの発達段階に応じた消費者教育についてでございますが、商品事故、契約トラブルなどの被害を未然に防止するためには、幼少期から消費者教育を行い、みずから考え、主体的に行動できる消費者を育てることが重要でございます。
 このため、都は、小中学生に正しい消費者意識を身につけてもらうことを目的といたしまして、昨年度から金融経済教育モデル事業を開始いたしました。具体的には、小中学生向けの教材を開発し、区市の協力を得てモデル校を選定いたしまして、金銭の価値や契約の意味などについて授業を行ってまいりました。今年度は、事業の効果を検証するとともに、さらに規模を拡大して実施いたします。
 今後もこうした取り組みによって、幼少期から消費者教育についても積極的に取り組んでまいります。
   〔消防総監新井雄治君登壇〕

○消防総監(新井雄治君) 都民生活において生じる事故を防止するための取り組みについてでありますが、東京消防庁では、製品にかかわる火災や日常生活で発生する救急搬送事案など、年間約十一万件の事例から、重大な事故や同種事案の発生が危惧されるものを抽出して、速やかに情報を発信し、その再発防止に努めています。
 これまでに、子どものライターによる火遊びなどの火災を初め、エスカレーター、遊具などによる事故の発生状況を調査分析し、事故防止のポイントをマスコミやホームページを通じて広く都民にお知らせするとともに、関係機関や業界団体等に通知し、製品の改良やより安全な環境づくりを促してまいりました。
 また、幼児期からの発達段階に応じた災害対応力や危険回避能力を育てるため、当庁が推進しております総合防災教育において、火災や事故の調査分析結果を反映させた教材を活用し、子どもたちに直接、その危険性や身を守る動作などを指導しております。
 今後も、関係各局や国等と十分に連携し、都民生活において生じる事故の未然防止に積極的に取り組んでまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、廃棄物行政についてでありますが、製品の生産、使用、そして廃棄、リサイクルまで、一貫したライフサイクルとしてとらえることは、今後の3R施策を進め、循環型社会を形成する上で重要な観点と認識しております。
 都はこれまでも、拡大生産者責任の考え方に基づきまして、エアゾール缶の業界に働きかけ、缶に残ったガスを簡単に排出できる仕組みとするなど、環境や安全性に配慮した製品開発を促進してまいりました。
 また、デジタルカメラなどに使われている充電式の電池につきましても、事業者による回収、リサイクルを業界と協力して進めてまいりました。
 今後とも、区市町村と連携して、廃棄物の視点からさかのぼって上流の製造事業者や国に積極的に働きかけてまいります。
 次に、多様な生物を守る取り組みについてでありますが、東京における多様な生物とその生育環境を守り、これを将来世代へ伝えていくためには、さまざまな主体の参画による幅広い取り組みが必要であります。
 そこで、例えば、東京における野生動植物の状況を把握する東京都版レッドデータブックの改訂作業に当たりましても、都民、NPO等から広く情報を募集し、より広範なデータの収集を行っております。
 また、生物多様性に係る最新の動向や、企業の取り組み事例などの把握に当たりましては、生態系、まちづくり、経済など、幅広い分野の有識者や産業界との意見交換を進めております。
 今後、生物多様性に関する理解を深めていただくよう、都民が参加する身近な生き物調査なども実施してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 河川についての二点のご質問にお答えします。
 初めに、川底を自然に近づける検討についてでありますが、渋谷川は都市化が進んだ限られた空間の中で、一時間五〇ミリの降雨に対応するため、川底をコンクリート構造とし滑らかにすることにより、流下能力を確保してまいりました。
 一方、魚や鳥などの生息環境の向上や水辺における生物多様性確保の観点から、川底を自然の状態に近づけることは有効な手段であります。
 今後とも、地元区などと連携を図り、住民の意見を聞きながら、その可能性を検討してまいります。
 次に、公園と一体となった河川整備の状況についてでありますが、河川の整備においては、治水機能を確保しつつ、潤いのある豊かな水辺空間を創出することも重要であります。渋谷川の恵比寿東公園沿いでは、護岸の表面を、溶岩を使って仕上げることにより、植物が生育しやすい環境を整えるとともに、公園用地を活用して階段を設けるなど、水辺に親しめる護岸を整備することとしております。
 現在、渋谷区による公園の再整備と時期を合わせて事業を進めており、河川については、平成二十二年度末の完成を予定しており、また、区立公園については二十三年度の完成と聞いております。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、海外展開における都民の皆様の理解についてでございますが、今回の国際貢献ビジネスは、深刻化する世界の水問題に対し、ビジネスベースでの貢献を行うものでございます。
 このため、事業展開に当たりましては、事業収支計画の精査により、損失の回避を図るとともに、さまざまなリスクの分析、評価を実施し、必要に応じて、相手国政府の債務保証や貿易保険の活用等、リスク回避のための方策を講じてまいります。
 また、その成果につきましては、東京水道における給水サービスの向上に生かしてまいります。
 今回の取り組みに当たりましては、その内容をプレス発表やホームページを活用して公表してきましたが、今後とも、都民の皆様に対する適時適切な情報提供に努めながら、国際貢献ビジネスを推進してまいります。
 次に、水道技術の継承、人材育成についてでございますが、水道局では、約百年前から数世代にわたり引き継ぎ向上させてきた音聴技術や、独自開発した漏水発見機器に加え、管路の効率的な取りかえ等、体系的な漏水防止技術を確立してきました。また、あらゆる水質に対応できる浄水処理技術等を培ってまいりました。
 これらの技術は、首都東京の都市活動と都民生活を支えることはもとより、国際貢献ビジネスを進める上での東京水道の強みであることから、将来にわたり継承していくことが重要であると認識しております。このため、高い技術を持つ経験豊富な職員を認定し、将来を担う若手職員の育成に活用する、東京水道技術エキスパート制度等の取り組みを行っております。
 今後とも、こうした取り組みを通じ、東京水道が有する高度な技術の継承と人材育成に努めてまいります。

議長(田中良君) 二十八番淺野克彦君。
   〔二十八番淺野克彦君登壇〕

○二十八番(淺野克彦君) まず初めに申し上げます。
 さきの定例会において、青少年健全育成条例改正案が継続審議となった際に、都の職員であれば切腹だという一部報道がありました。これは、都が議会に提案した案件は完璧であり、そのまま通らなければならないという認識が当たり前になっているということだと思います。
 しかし、人にはミスがあるものですし、違った視点で見れば、もっといい案が見つかる場合もあるでしょう。その可能性を否定するような認識は非常に危険であります。行政の無謬性といいますか、修正や、場合によっては撤回するなどの柔軟な対応が、むしろ当たり前であることの方が、現代のような価値観の多様化した時点においては歓迎されるのではないでしょうか。今後、執行部も議会も、そしてマスメディア、一般都民の皆様も含めて、ぜひそういう考えも頭の隅に置いていただければと思っております。
 そのような考えに立ち、今回の補正予算について見ると、疑問を持たれるようなやり方は歓迎できるものではありません。今のような、一般都民からのチェックも厳しいときには、予算の組み方でさえ見られていることを意識し、ときにメッセージを込めたり、理念が反映されるような組み方にすべきだと思います。今回の補正予算は、見せ方というところに限っていうと、とても褒められたものではないといわざるを得ません。
 また、今年度当初予算においても、私の地元練馬区では、大江戸線の延伸を期待する住民の皆様は、都道二三〇号線の新規部分の予算計上が見送られたことで非常に落胆しておりました。今回のように、道路整備保全公社からの予期せぬ寄附があったのなら、そういう路線を復活させることもできたのではないかと思います。まだ社会資本整備基金に積み上げた分もあるようですから、ぜひご検討いただくことを強く要望して質問に入ります。
 まず、監理団体について伺います。
 東京都は、いわゆる公益法人改革に対応するため、監理団体は原則として公益法人に移行するよう指導しております。確かに監理団体が公益法人でない法人、すなわち一般財団法人になるということは、その監理団体が収益性のある事業を行うということですが、そうした収益性のある事業は、原則、民間に移譲すべきであると私は考えます。
 ところが、本議会で議論されている東京マラソンの運営主体は、監理団体でありながら、一般財団法人として始める予定だとのことです。きのうの我が党の代表質問に対し、都側は、監理団体に指定する意義を答弁しましたが、公益法人改革対応という視点に立てば、マラソンの運営主体は監理団体でありながら公益法人ではないという、極めて例外的なもののように見えます。東京都の監理団体で公益法人にならないのは、このマラソンの運営主体だけなのか、明快な答弁を求めます。
 一方、監理団体イコール公益法人ということになれば、それをもってしてすべてが丸くおさまるというものでもありません。政権交代により我が民主党が実現した行政刷新会議が事業仕分けという形で切り込んだように、国の公益法人は、今となっては民間でもできる事業を相変わらず公益事業としての理屈をつくり、天下りのために延々と事業を実施しているケースが極めて多いように思われます。
 要は、現時点では公益事業であったものが、今後の社会経済情勢の変化の中で、普通に民間企業が事業として行われるようになった、すなわち、公益性のある、なしをきちんと見きわめていくことが重要なのではないでしょうか。
 したがって、今の時点では公益法人である監理団体も、今後の社会状況の変化に伴い、公益事業が収益事業になる中で、一般財団法人に変わっていくことがあり得ると考えますが、東京都としては、そうした状況変化の中で監理団体をどのように指導していくのか、また、一般財団法人に移行した段階で監理団体の指定を外すのか、見解を伺います。
 そして、東京都として、道路整備保全公社に対して出された包括外部監査の指摘を受けて、今後、同様の視点での特定資産の内容と具体的な使途について、すべての監理団体に報告させるべきであると考えますが、あわせて見解を伺います。
 次に、学校における部活動支援について伺います。
 これまで都は、文化、スポーツの振興に力を入れてまいりました。今回、スポーツ振興局を新設することも、その流れの一環であると思います。そのやり方の是非はともかく、文化、スポーツの振興を推進することは大いに賛同するところであります。ただ、エリート育成だけが文化、スポーツの振興ではなく、生涯を通じて親しみやすい環境を整備することが大切です。
 きのうも知事は、スポーツと体育の違いについて熱弁を振るっておられましたが、学校における運動部は、体育のような教育とスポーツをつなぐ最適なものだと思います。
 一方で、部活動を受け持つ教職員には、相当の負担が生じるのも事実です。もちろん教職にある方々には熱意を持って取り組んでいただきたいものですが、熱意だけに頼っていては、いずれ疲れ果ててしまいます。教職員の方々が積極的に顧問を引き受けられるように、分業にして振り分けやすくするなど、さらなる支援体制を考えることも必要だと思います。またそうすることで、廃部、休部を減らし、新しい部が創設されやすくなることも期待できます。
 そこで、改めて、学校における部活動の位置づけと、部活動にかかわる教職員への支援について答弁を求めます。
 そして、部活動においては、主に技術的な専門指導を行う外部指導員の存在も大きくなってきております。運動部においては、特に技術指導において、選手生命の長さにも大きな影響が出るため一層重要な存在であります。そういった意味では、各スポーツや文化活動において、その外部指導員が指導員資格を持っているのかどうか確認をすることも必要だと思います。
 また、顧問ハンドブックや外部指導員のための指導の手引を見ると、外部指導員は、技術指導を担当するという印象が強いように思えます。しかし、技術指導を通して生徒と信頼関係が構築されますし、また教育効果も大きくなってくるという中で、それであるならば、外部指導員には教育理念をしっかりと持ってもらう必要があると思います。例えば、教育という観点での研修を受けることを義務化するなどの仕組みを考えてみてもいいのではないでしょうか。
 そこで、外部指導員に対して、技術面だけではなく、教育的側面についても指導していくべきではないかと考えますが、所見を伺います。
 また、今年度、地元の練馬区にあります都立大泉高校は、中高一貫教育への移行により、校舎などの工事を行っております。これにより、グラウンドなどの施設が、一部、長期間使用できなくなります。大泉高校にかかわらず、都立高校がさまざまな事情により工事を行う際に、工事期間中はどうしても部活動、特に運動部は活動への制約が発生します。
 そこで、都立高校の工事期間中の部活動に対してどのように支援しているのか伺います。
 次に、ペットと社会活動の共生について伺います。
 最近、ペットを飼う方がふえてきております。犬については、東京都動物の愛護及び管理に関する条例において、狂犬病対策として、犬が人をかむ咬傷事故の報告義務を飼い主に課しております。そして都も、この義務について周知徹底を図ってきたようでありますが、しかしながら、飼い犬を登録していない飼い主や、そもそも犬を飼っていない一般都民の皆様には、まだ十分に知られていないのが現状ではないでしょうか。
 また、水道、電気、ガスなどの検針員の方々、郵便や宅配業者など戸別訪問される方々の中には、咬傷事故や事故につながりかねない場合など、その対応に悩んでいるところがあるとも聞いております。
 事故が起こったのならともかく、企業としても把握し切れない、事故につながるおそれがあるような場合は、それなりに数がふえているのではないでしょうか。もちろんかませないようにすることが最も大切ですが、それを飼い主のマナーに頼るだけでは、いささか心もとないと思います。
 実際、咬傷事故の報告も、かまれた側からの方が割合が多いと伺いました。であるなら、かまれた側からも情報を得る努力をすべきでありますし、そうするためには、飼い主の報告義務について、罰則があることも含めて、飼い主以外にも広く周知する必要があると思います。そうすれば、仮に、狂犬病が発生した際にも、拡散防止になりますし、咬傷事故の発生にも大きな抑止力になると思います。その上で、将来的に必要であれば、被害者からの報告も義務化する、そういったことも検討していけばいいのではないでしょうか。
 まずは、各保健所を通じて、戸別訪問をするような業種を中心に、不適切な飼い方も含めた情報提供の協力を呼びかけてみてはいかがでしょうか。さらに労災申請の際など、行政として情報を得られる機会をどん欲に活用し、咬傷事故や事故につながりかねない案件の実態を把握するような取り組みを、今後さらに充実していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、島しょ地域の諸問題について伺います。
 本年四月に、民主党島嶼振興等調査会として、小笠原諸島の視察に行き、島民の方々が生活されている環境を直接見てまいりました。離島という環境ではありますが、同じ都民として、安心・安全は守る必要があります。
 その中で現在、小笠原の航空路については、PIでの協議を待つ形となっておりますが、交通アクセスの改善により解決が期待される諸課題については、PIの結論を待つだけでなく、積極的に解決のための実現可能性を探るべきではないでしょうか。
 例えば、航空路であれば、ヘリの活用というところの案もあるようです。海上自衛隊が持つ最大の輸送ヘリは、航続距離が最大で二千七十キロ可能であるという情報もございます。またあるいは、航空路だけでなく、このたび海底光ケーブルの設置を受けて、インターネットを活用した産業振興や遠隔医療のさらなる充実など、改善できるところはまだ多いと思います。
 今挙げたのは一つの事例でございますが、こういったさまざまな情報を主体的に集め、必要ならPIに提案する、もしくは暫定措置として活用するなど、前向きな取り組みを期待したいところであります。
 そこで、このような提案を踏まえて、これまでの小笠原への取り組みの成果と今後の展望について見解を伺います。
 次に、硫黄島について伺います。
 現在、硫黄島は、自衛隊の基地となっており、その管理は防衛省の所管となっております。一方、硫黄島にはまだ約一万三千柱のご遺骨が残されており、遺骨収集については厚生労働省が所管しております。いうまでもなく、この残されたご遺骨の収集については、国が第一義的な責務を有しており、防衛省、厚生労働省にわたる調整も含め、官邸主導での早期解決が必要だと私は考えております。
 このたび東京から新しく首相になられた菅直人総理は、平成十八年に硫黄島を直接視察されており、アメリカ公文書館に対しても、占領下におけるご遺骨の処置について、精力的な調査をされておりました。早期解決に向け、これ以上ない内閣の誕生であると私は期待するところでもあります。
 また同じく、平成十八年の第三定例会において、知事は、我が党の西岡議員の質問に対し、硫黄島の歴史を語り継ぎ、島全体が国民にとっての象徴的な慰霊の地となるようにすべきと答弁しております。またさらに、硫黄島に対する国としての位置づけも、基本的に考え直す必要があるとも述べられておりました。
 私自身、この四月に小笠原諸島に視察に行き、ご遺族の方から直接お話を伺う中で、さきの知事の答弁にありましたような、象徴的な慰霊の地という考え方には賛同できるところであります。
 そこでまず、平成十八年の知事答弁を受け、この四年間、遺族や関係者の要望も踏まえた中で、都としてどのように慰霊の充実を図ってきたのか、その成果をお答えいただきたいと思います。
 また、ご遺族の高齢化が進む中で、これまで以上に早く遺骨収集を完了させなければなりません。本年度の国の予算においても、前年比で二倍の予算を計上されており、国としてもその姿勢を示していると思います。その中で、自衛隊の滑走路など、まだまだ取り組むべき場所も残されております。国の責務ということではありますが、都としても早期の遺骨収集を政府に積極的に働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、諮問機関について伺います。
 都では、知事の諮問機関として、さまざまな審議会などを設置しておりますが、その委員の方々は、専門的な知見を活用して都の施策に反映させるために、都の委嘱に基づいて委員に就任していただいたはずでございます。審議会などの諮問機関を設置する趣旨からすれば、各委員の方々には、みずからの知見に基づいて自由に意見を表明していただくことこそが重要なことであります。
 しかしながら、昨今、青少年健全育成条例や市場移転の問題に関連しまして、審議会などの委員の方々が、ネット上でいわれのない中傷にさらされている事態が生じてしまいました。
 私は、ネットを利用した個人の中傷は絶対にあってはならないと考えております。ただ、今回のネット上の書き込みを見ますと、委員の選任にバランスを欠いていたという主張がなされており、またそのような協議会の出した答申内容は信頼がおけないという論調になっておりました。もちろん選任された委員の方々が自由な意見表明を行うことは当然であります。
 今回の問題については、都が委員選任の公平性について十分な説明をしないことが、結果としてネット上での個人攻撃にまでつながってしまったものだと考えます。
 協議会や審議会の委員については、客観的に見て公正な議論がなされていたことを担保するためにも、偏りのない公正な選任がなされるべきであると考えております。価値観が多様化する現代、審議会などの委員の選任に当たっても、今まで以上に、透明性、客観性を確保することが求められております。
 都は、公平性を担保するための取り組みを行うべきだと考えますが、見解を伺いまして私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 淺野克彦議員の一般質問にお答え申し上げます。
 まず、部活動の位置づけと教職員への支援についてでございます。
 部活動は、生徒の個性や豊かな人間関係をはぐくむ上で重要な教育活動であり、都教育委員会では、東京都立学校の管理運営に関する規則において、部活動を教育活動の一環と位置づけております。
 教職員が、土曜日や日曜日などに部活動指導を行った場合には、週休日等を振りかえることを可能としているほか、やむを得ず週休日の変更を行うことができない場合などには、部活動指導手当を支給しております。
 なお、この部活動指導手当につきましては、本年四月から額を引き上げたところでございます。
 次に、外部指導員の教育的指導についてでございます。
 学校で顧問教諭とともに生徒の指導育成に携わる部活動の外部指導員は、単に専門的な知識や技術だけでなく、生徒の人格形成に資するための豊かな人間性が求められますために、部活動の教育的意義を十分に理解した上で指導に当たることが大切でございます。
 このため、都教育委員会は、外部指導員に対しては、部活動の適切な指導のあり方を示した外部指導員のための部活動指導の手引を、顧問教諭に対しては、外部指導員との協力のあり方を示した部活動顧問ハンドブックを、それぞれ配布し、指導力の向上に努めてまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを通して、外部指導員が顧問教諭と連携して、生徒の指導育成に当たるよう各学校に働きかけ、指導員の資質、能力の向上に努めてまいります。
 次に、都立高校の工事期間中の部活動に対する支援についてでございますが、工事により部活動に一定の支障や制限が発生するために、可能な限り最短の工事工程となるよう計画しております。
 工事により、グラウンドや体育館が使用できなくなる場合、これらを使用する部活動は、学校敷地内の他のスペースを活用したり、他校での合同練習をしたりするほか、近隣の運動施設などを借用し、可能な限り活動の場所を確保しております。外部の有料施設を使用するための経費は、都教育委員会から学校に配布し、継続して部活動ができるよう支援しているところでございます。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、監理団体の経営形態についてでございますが、監理団体は、都政の一翼を担うとともに公共性の高い事業を行ってきていること等から、現在、監理団体に指定している財団法人は、公益財団法人への移行に向け準備中、もしくはこれを完了しており、団体ごとの実情に応じた指導、支援を行っております。
 東京マラソン財団は、大規模市民マラソン大会を主催、運営する日本で初めての法人となるため、その運営を柔軟に行っていく必要性から、一般財団法人として設立するものでございます。
 しかし、新たな公益法人制度のもと、一般財団法人となっている団体であっても、その事業が都の施策と密接なかかわりを有していれば、監理団体に指定し、都の行政目的を達成するために活用することは何ら問題がないものと考えております。
 監理団体は、都の行政支援、補完機能を果たすという役割を十分に発揮していくために、公益財団法人、一般財団法人、株式会社など、さまざまな経営形態で運営されることが望ましく、今後も、その団体の特性に応じた指導監督を都として適切に行ってまいります。
 次に、今後の監理団体の経営形態の変化に伴う指導及び指定についてでございますが、監理団体は、都政の一翼を担うものであり、具体的には、都の行政目的達成に必要な公共性の高い事業や、民間市場が未成熟で、現時点で民間にゆだねては都民に必要なサービスが十分に提供されないおそれがある事業、こういったものを主として行っております。こうしたことを踏まえまして、監理団体に対しましては、常にみずからの存在意義を確認するとともに、状況の変化に対応して、実施すべき事業の見直しを行っていくよう指導しております。
 なお、先ほども答弁したとおり、監理団体の指定に関しましては、一般財団法人、公益財団法人等の経営形態にかかわらず、主として団体が実施している事業が、都の施策と密接なかかわりがあるか否かといった観点に着目して実施しております。
 次に、監理団体の保有する特定資産の内容と使途の報告についてでございますが、公益法人は、法令によりまして公益目的事業を行うために必要な財産の保有や、将来の特定の事業費、管理費に充てるために積み立てる資金とともに、公益目的事業費一年分相当額までは使途の定まっていない財産を保有することが認められております。
 平成二十一年度の包括外部監査の結果を踏まえまして、各監理団体につきまして、こうした法の趣旨を念頭に、基金、積立金の調査並びに使途の特定等の指導を実施したところでございます。現在、公益財団法人への移行を準備している監理団体に対しましては、今後とも、この公益認定要件を踏まえた指導を継続してまいります。
 なお、公益認定を取得した監理団体につきましては、毎年、財産目録等、所定の書類を行政庁に提出することが義務づけられておりまして、これに基づき、必要に応じて指導してまいります。
 次に、小笠原振興のこれまでの成果と今後の展望についてでございますが、都は、昭和四十三年の小笠原諸島の返還以来、島民の生活に必要な社会基盤整備を重点的に進めてまいりました。
 現在、平成二十一年十二月に策定しました小笠原諸島振興開発計画のもと、国や村と連携しつつ、航空路を含む交通アクセスの検討、産業振興や医療、教育の充実など、さまざまな施策を展開しております。
 重要な課題でございます航空路の検討に当たりましては、透明性、客観性の確保や、関係者との円滑な合意形成を図るため、国土交通省のガイドラインを踏まえましてPIを実施することとしております。
 PIに諮る各航空路案につきましては、自然環境への影響、費用対効果、運航採算性、安全性などを十分に調査研究し、慎重に検討を進めております。
 一方、産業振興などにつきましては、現在整備中の海底光ファイバーケーブルにより、大容量かつ高速通信が可能となることから、観光PRの充実、島内産品の販路の拡大、遠隔医療の充実などの活用策につきまして、村を初めとする関係機関と検討を進めております。今後とも、自然環境の保全と産業振興の両立による自立的発展を目指し、小笠原諸島の振興を積極的に実施してまいります。
 最後に、審議会等の附属機関の委員の選任についてございますが、都の附属機関は、専門知識の導入や公正の確保、民意の反映等を特に必要とすることから設置されるものでございまして、附属機関の委員の選任に際しましては、その設置の趣旨に照らし、公正性が担保されることが必要であると考えております。
 このため、都は、附属機関等設置要綱及び同要綱の取り扱いに係る通知におきまして、委員の選任につきましては、委員が特定の団体に所属する者に偏るなど、附属機関の公正性を疑われるような委員の選任をしないように十分留意することと定めております。また委員の長期在任の回避についても規定しております。
 今後とも、附属機関の委員の選任の公正性が担保されるよう、同要綱の趣旨を関係局に周知徹底してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 三点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、飼い犬による咬傷事故についてでございますが、都内では、動物愛護条例に基づく咬傷事故の届け出が年間約四百件前後ございますが、このうちお話の検針員や宅配業者などの戸別訪問時の事故は一割程度となっております。
 都は、事故の届け出や事故につながりかねない飼い犬の情報を受けた場合には、飼い主に対し速やかに犬のしつけの徹底や防護さくの設置の指導を行っているところでございます。また、戸別訪問を行う事業者からの求めに応じまして、咬傷等の被害防止対策や事故発生時の対応につきまして講習会を実施いたしております。
 今後とも、飼い主に対しまして、咬傷事故の発生防止を指導するとともに、事業者などから事故や不適切な飼育に関する情報の収集に努めてまいります。
 次に、硫黄島における慰霊の充実についてでございますが、第二次世界大戦の大激戦地であった硫黄島で戦没者を慰霊し、その歴史と追悼の思いを次世代に伝えることは、私たちの重要な使命でございます。
 都におきましては、戦没者追悼式の実施に当たりまして、従来の配偶者、父母、兄弟、子に加え、歴史を次世代に語り継ぐという観点から、戦没者の孫についても参列できるよう、対象者の拡大を図っております。また、国の慰霊巡拝では、平成十九年から民間機を利用し、より多くのご遺族が参加できるよう配慮しております。
 今後とも、ご遺族や関係者のご意見を踏まえまして、より一層の慰霊の充実が図られますよう、引き続き国に働きかけてまいります。
 最後に、硫黄島での戦没者の遺骨収集についてでございますが、これまで国は、滑走路等を除くほぼ全地域で調査、収集作業を実施しております。しかし火山活動による地形の変化などによりまして、遺骨が埋没している地下ごうの発掘が難しく、また、高い地熱により地下ごう内の作業が困難であることから、収集の実績は戦没者の四割程度にとどまっておりまして、都はこれまでも国に対し、調査漏れ箇所の解消を要求してまいりました。
 現在、国におきまして、調査の行われていない滑走路地区の遺骨収集について検討していると聞いておりまして、都といたしましても、引き続き遺骨収集の促進を国に働きかけてまいります。

議長(田中良君) 六十七番菅東一君。
   〔六十七番菅東一君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○六十七番(菅東一君) それでは、観光振興についてお尋ねをいたします。
 都では、「十年後の東京」計画を策定し、東京の魅力、文化を世界に発信しつつ、年間一千万人の外国人旅行者が訪れる世界有数の観光都市づくりを、国に先駆けて積極的に進めております。
 国の新成長戦略では、観光は日本の成長を支える有力な産業分野と位置づけたところですが、欧州を初めアジア各国でも観光振興に力を入れており、残念ながら日本は競争に乗りおくれつつあります。
 海外からの訪問客は近年増加傾向にありましたが、世界的な景況の悪化や新型インフルエンザの影響から、平成二十一年は、平成二十年の八百三十五万人から六百七十九万人へと大きく減少しております。
 こうした中、国会においても、観光産業振興に向け、四月に、都選出の下村衆議院議員ら超党派の国会議員約七十人で構成する国際観光産業振興議員連盟、いわゆるカジノ議連が結成されました。現時点でカジノを設置する地域は未定でありますが、今後早ければ秋の臨時国会に、議員立法でカジノ法案を提出、成立を目指す動きがあります。また、各県の知事なども積極的に検討を始めるなど、カジノを取り巻く社会情勢は大きく変化しております。
 カジノは、新たな観光資源の一つであるとともに、新たな雇用の促進や産業振興にも大きな効果が期待でき、私も、東京にカジノを誘致すべきと考える一人であります。また、長引く景気の停滞による閉塞感を打破していくためにも、我が国の成長エンジンである首都東京が全国に先駆けて積極的にカジノ誘致を進めるべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、私は、平成十九年の第三回定例会において、地球温暖化対策について質問し、その中で、地球温暖化対策と経済活性化の両立の重要性について指摘いたしました。
 この四月から都は、世界初の都市型キャップ・アンド・トレードを開始しましたが、これにより、規制対象となる大規模事業者を初めとする民間企業の省エネ投資が新たな需要を生み、停滞している我が国の経済によい刺激を与えることが期待されます。
 しかしながら、都内の経済を支える中小零細事業者の環境対策については、厳しい経済状況の中にあって、残念ながらいまだ低調のままであります。都も中小規模事業所に対する補助金を今年度新たに開始しますが、この新規事業は、クレジットという形で、温暖化対策と経済活性化の両立するモデルを示すことで、中小規模事業所の省エネ投資の起爆剤になるものと思います。
 しかし、都内七十万にも及ぶ中小零細事業者をカバーすることは、物理的にも、マンパワーの面からも限界があります。こうした意味からも、私は、区市町村の温暖化対策におけるきめ細かな取り組みに対する期待は極めて大きいと考えます。
 私の地元板橋にも中小零細事業者が多く集積しており、板橋区では、中小事業所の省エネルギー化の推進の取り組みを積極的に進めているところであります。また、板橋区議会自民党でもPTを立ち上げ、地域の発想から温暖化対策の政策提言を行っております。
 都が推し進める温暖化対策を都内全域に広げていくためには、中小企業や家庭における対策の一層の充実が必要であります。そのためには、都と区市町村とが密接に連携することで、中小零細事業者の温暖化対策など、地域に根差した取り組みが進められると思いますが、知事の所見を伺います。
 次に、若者の就職支援について伺います。
 先日、厚生労働省が発表した、この春の新卒者の就職率は、大学が九一・八%、高校が九三・九%にとどまり、内定取り消しが問題となるなど、厳しかった昨年度の結果をさらに下回るものでありました。大学については、過去二番目に悪い数字だということであり、就職留年する学生も珍しくないと聞き及んでおります。まさに就職氷河期に逆戻りともいえる状況であります。
 一方、新卒者の問題にとどまらず、三十四歳までの若年層の失業率が他の年齢層と比べても高い水準にあることや、パート、派遣、契約社員等の非正規雇用で働く人の割合が高いなど、若者の雇用には大きな課題があることも見逃せません。
 こうした状況を放置するならば、次代を担う若者の経済的な自立や職業能力形成の機会が失われることになります。また、安定した職につけないことにより、結婚したくともできない、子どもを持ちたくても踏み切れない若者もふえているといわれ、少子化の加速につながることが懸念されます。
 このように、若者の雇用の問題は社会にとっても大きな損失につながり、我が国の将来を揺るがすような重大事と考えますが、都のこの問題に対する認識と基本的な考え方について伺います。
 若者が職業経験を積み、その能力を磨くべき貴重な時期に、安定した就業機会に恵まれないのは本当に不幸なことであり、しごとセンターにおいては、若者の目線に立ってさらにしっかりとした取り組みを進めてもらいたいと考えます。
 また、私が重要と考えることは、若者自身が主体的、積極的に就職活動に取り組む意欲を持つことであります。特に、職業や働くことの意義について考え、就労意欲を高めるとともに、やりたいことや適性をみずから見きわめることが最も大切だと考えます。こうした意識づけ、動機づけをしっかりと行うことで、希望や能力に応じた就職を実現するとともに、せっかく就職したのにすぐ離職してしまうというようなことも防ぐことができるのではないでしょうか。
 都は、しごとセンターの開設以来五年以上にわたり、若者向け就職支援サービスの充実を図ってきたと思いますが、真に若者のためになる就職支援策という観点から、具体的にどのような取り組みを進めているのか伺います。
 冒頭でも新卒者の就職率に触れましたが、昨年来、新卒者の就職環境は非常に悪化しております。来年度の企業の採用動向も引き続き厳しさが見込まれており、こうした状況が続けば、第二のロストジェネレーションを生み出しかねないのではないかと強い危機感を感じるところであります。
 都では、こうした厳しい状況を受け、昨年度の後半二回にわたり、大規模な新規学卒者対象の合同就職面接会を開催していますが、二月の面接会には二千四百人を超える学生が集まったと聞いております。卒業が間近に迫った時期にもかかわらず、そんなに多くの新卒者の就職が決まっていないということが事態の深刻さをあらわしております。
 しごとセンターにおいては、こうした二十二年三月卒業者の厳しい就職状況を踏まえて、対策を強化したと聞いています。その具体的な取り組み状況について伺います。
 次に、地上デジタル放送への完全移行に向けた取り組みについて伺います。
 平成二十三年七月の地上デジタル放送への完全移行まで、残すところ一年余りとなりました。テレビは、教養、娯楽のみならず、報道や災害情報の提供などについても、都民生活に必要不可欠な存在となっております。アナログ放送からデジタル放送への切りかえという国の電波政策の都合により、テレビを視聴できなくなる都民が生じるようなことはあってはならないと考えます。
 私は、昨年の第一回定例会の一般質問においてこの問題を取り上げ、正確な情報や各種の支援策が都民に広く円滑に行き渡るよう、とりわけ高齢者などの社会的弱者へのきめ細かな情報提供の必要性などを指摘したところであります。その後、テレビのスポット放映などで都民の認知度も高まり、エコポイントの追い風も受けて、地デジ対応テレビの普及もかなり進んできております。
 地デジへの完全移行の円滑な実施に向けた対策は、本来、国と放送事業者の責任で行われるべきものでありますが、都民生活に密着した問題でもあることから、まず、都としてこの問題にこれまでどのように取り組んできたか伺います。
 先ごろ発表された国の調査によりますと、本年三月時点で、地デジ対応テレビの受信機の普及率は、東京では八四・五%となっており、全国平均の八三・八%を上回っております。しかしながら、地デジ放送を見るためには、テレビの買いかえだけではなく、アンテナの取りかえも必要であり、資材の不足もあって、アパート、マンションなど集合住宅のアンテナの改修がまだまだ進んでいないと聞いております。
 そこで、こうした集合住宅への対策を初めとして、都民が安心して地デジ放送を見られるようにするため、残る一年間で一層の取り組みが必要と考えます。今後の課題と対応について所見を伺います。
 次に、大山地区のまちづくりと都市基盤整備についてお聞きいたします。
 都は、先月策定した東京における市街地整備の実施方針において、当地区を、道路整備と沿道まちづくりを一体的に進め、防災性の向上を図る検討地区として位置づけました。
 当地区の東武東上線大山駅周辺には、都内有数の商店街があり、毎日大変なにぎわいを見せておりますが、地上を走る鉄道により、まちの一体感が損なわれていることや、駅周辺にはあかずの踏切が多数あること及び駅前広場もないため、地域住民やこの駅を利用している通勤通学の方々は、日々の生活で大変不便な思いをしています。
 また、まちづくりを進める上で大きな役割を果たす補助二六号線は、板橋区内では東武東上線の東側は整備済みでありますが、川越街道の西側についても現在事業中であることから、東武東上線と川越街道の間だけが未整備となり、整備方針も明確になっておりません。
 私は、この地域の発展のために、まちづくりと補助第二六号線の整備及び二六号線と鉄道の立体化を総合的に取り組むべきと考えております。
 そこで、大山地区のまちづくりと都市基盤整備に対する都の所見を伺って、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 菅東一議員の一般質問にお答えいたします。
 地域における地球温暖化対策についてでありますが、気候変動の危機を回避するには、低炭素社会への転換が不可欠でありまして、こうした認識のもとに都は、世界初の都市型キャップ・アンド・トレードの導入など、先駆的な施策に取り組んでおります。
 温暖化対策をさらに強化していくためには、区市町村が展開している施策とも連携し、都民一人一人や地域の中小零細企業者にも取り組みを拡大していくことが必要であります。要するに、きめの細かい積み上げが絶対に必要だと思います。
 このため、都は昨年度、区市町村への温暖化対策に係る財政支援を開始し、さらに今年度は、より活用しやすいように制度の拡充にも努めております。
 今後、区市町村との連携もこれまで以上に強化することによりまして、地域における取り組みを推進し、地球温暖化対策をより広範なものとしていきたいと思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 大山地区のまちづくりと都市基盤整備についてのご質問にお答えいたします。
 板橋区の大山地区は、駅周辺にまとまった規模の商業集積が見られ、文化や医療などの公共施設もあることから、今後、これらを生かして、安全で活力とにぎわいのあるまちを目指すべき地区と認識しております。
 この地区のまちづくりの課題といたしましては、踏切対策基本方針で鉄道立体化の検討対象区間とされた東武東上線の踏切解消、都市計画道路の優先整備路線に位置づけられた補助第二六号線の整備、この計画路線が横断する商店街の再編整備などが挙げられます。
 こうした課題を解決するには、まず、地元において、まちの将来像が共有されていることが必要でございます。このため、昨年六月、板橋区によって地域住民による協議会が発足し、現在、同協議会において、将来のまちづくりについて検討が行われております。
 都は、こうした地元の取り組みを勘案しながら、補助第二六号線の整備と沿道のまちづくりを一体的に進める方策や、二六号線と鉄道の立体化のあり方について、地元区と連携して検討を進めてまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

○知事本局長(秋山俊行君) カジノの誘致についてでございますが、カジノは、広く日本全体の観光資源となるとともに、経済波及効果や雇用創出効果が期待できるものでございまして、多くの国で開設され、広く認知されたものとなっております。
 一方、我が国では、刑法で規制をされておりまして、カジノを実現するためには、何よりもまず国が法整備を行うことが必要になっております。そのため、都はこれまでも国に対しまして、必要な法整備を行うこと、また、地域の実情に即した運営が可能な仕組みとするなど、地方自治体の意向を十分踏まえることを提案要求してきているところでございます。
 今後も、ただいまお話のございました国会などの動きを注視しながら、引き続き国に対して働きかけをしてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 雇用対策にかかわる三点のご質問にお答えいたします。
 まず、若年者雇用に関する認識と支援の基本的な考え方についてであります。
 ご指摘のとおり、若年者を取り巻く雇用環境は、他の年齢層と比べて高い水準にある失業率や新卒者の就職率の低下等、厳しい状況にございます。将来的に労働力人口の減少が見込まれる中で、こうした状況を放置すれば、若年者自身の職業的自立、キャリア形成に支障が生じることはもとより、産業や社会の活力低下につながりかねない重大な問題だと認識しております。
 この問題の本質的解決のためには、国が明確な成長戦略のもと、実効性ある経済対策を進め、雇用の創出につなげていくことが不可欠でありますが、現下の情勢を踏まえ、都としても可能な限りの対応をする必要がございます。
 このため、都は、新卒未就職者や就業経験の少ない若年者の雇用ミスマッチを解消し、正規雇用などの安定的な雇用につなげるため、職業意識の醸成や就労意欲の喚起を図るとともに、本人の希望や適性を踏まえた多様なサービスを提供するなど、きめ細かい支援を実施することとしております。
 次に、若年者向け就職支援の具体的な取り組みについてであります。
 若年者については、就業経験や社会経験が少ない方が多いことから、面接対策や職業紹介等に加えまして、一人一人の状況に応じたサービスを行うことが重要であります。
 このため、都は、しごとセンターにおきまして、個別担当制によるきめ細かいキャリアカウンセリング、就職に必要な基礎能力を養う少人数のグループワーク、企業での職場体験、企業の採用担当者との交流など、支援内容の工夫や充実を図り、若年者への就職支援を強化してまいりました。
 こうした取り組みによりまして、しごとセンターの開設以来、これまで約四万三千人の若年者を支援し、約一万五千人の就職を実現しております。今後とも、実効性ある若年者の就職支援に取り組んでまいります。
 最後に、しごとセンターにおける新卒者対策の具体的な取り組みについてでありますが、新卒者の厳しい就職状況を受け、ことしの三月十五日に、飯田橋と多摩のしごとセンターに新卒緊急応援窓口を設置し、卒業後も就職活動を継続する未就職者に対する緊急支援を開始いたしました。
 具体的には、個別カウンセリングや職業紹介を行うほか、各種グループワークやセミナーについて、新卒未就職者の受講特別枠を設定し、受け入れを図っております。加えて、就職活動の基本を再度確認したいという学生さんを対象とした就活応援講座等を実施しております。これら窓口の利用者は、開設以来五月の末日までに、大学や短大の卒業者を中心に約四百人に上っております。
 こうした実績を踏まえ、今後とも、新規学卒者に対するきめ細かな支援を実施してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 地上デジタル放送に関します二点のご質問にお答えします。
 まず、地上デジタル放送への完全移行に向けたこれまでの取り組みについてでございますが、都は、さまざまな機会をとらえまして、国に対し、説明、相談体制の強化や支援策の充実などを要求し、テレビ受信者支援センターによるきめ細かな説明会の開催や、外出が困難な高齢者などへの戸別訪問、各種の助成制度の創設、拡充などが実現いたしました。
 これに加えまして、「広報東京都」や都のホームページなどを通じまして、地デジ放送視聴のために必要な対応や、相談窓口、支援制度等につきまして、広く都民へ周知を図っております。
 さらに、地デジ移行に係ります都と区市町村の連絡会議に、国や放送事業者、家電販売事業者などの参画を得まして東京地区連絡会議へと発展改組し、本年三月には、東京の地域特性を踏まえました行動計画を策定し、現在、これに基づきまして、関係機関が協力連携し、円滑な移行に向けました多様な取り組みを展開しております。
 次に、地上デジタル放送への完全移行に向けた今後の課題と対応についてでございますが、都内では、受信機器の普及率は全国平均を上回って順調に推移している一方、都市部の特徴として、ご指摘の集合住宅やビル陰等による受信障害対策の共聴施設が多く、それらのデジタル化対応がおくれていることから、今後、重点的な取り組みが必要と認識しております。
 このため、引き続き関係機関が連携し、集合住宅のオーナーや受信障害の原因者等を対象とした情報提供、訪問調査、専門家による相談などの取り組みを強化するほか、今後、国へさらなる対策の充実を働きかけるとともに、都みずからも、テレビ、ラジオを含むさまざまな媒体を活用しまして、関係者への一層の周知に努めるなど、都民がテレビを見られない事態が生ずることのないよう、適切に対応してまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 三十六番大松あきら君。
   〔三十六番大松あきら君登壇〕

○三十六番(大松あきら君) 東京都の人口は、ことし四月、初めて一千三百万人を超え、国内人口が減少する中で、東京への一極集中が浮き彫りになりました。そして、一時は今年度をピークに減少すると見込まれていた小学校の児童の数も、今後十年間で微増していくことになっています。
 巨大化する大都市東京にはさまざまな課題がありますが、公立の小中高、特別支援学校に在籍する約九十五万人の子どもの教育を担う責任は重大です。
 教育をよくするには、東京都教育委員会六万人の教職員の皆様方が、その力を遺憾なく発揮できる環境を整えることが必要です。そして、より優秀な教員を募り、育てていくことであります。
 現在、都は、教員の大量退職時代を迎え、毎年多くの新卒者を採用していますが、子どもの数が減らないとすれば、今後も大量採用を続けながら、急速な世代交代による教育力の低下を防がなければなりません。
 一方、教員の退職者が少ない他の県では、少数の採用枠しかなく、多くの有為な人材が教職につけずにいます。そこで、都は今年度から、他県と提携し、一次選考試験を共通化することで都採用への道も開く、協調特別選考を三県で始めました。都は来年度、協調特別選考を行う県をふやすなど、都外からも優秀な人材を確保する施策を推進していくべきです。所見を求めます。
 地方からの都採用志望者をふやすには、現地での選考試験が効果的です。同じく大量採用が求められている千葉県は、全国三会場で実施しています。都は今後、他県での試験会場をふやすなど、地方の人材獲得に力を入れるべきです。所見を求めます。
 人を確保するとともに、その教育力をどう磨き向上させていくのかが大切です。都は、学校現場での実習を重視した教職大学院と連携し、現役学生の養成と現職教員の育成に力を入れています。また、都議会公明党の提案で実現した東京都教育実践発表会も定期的に開き、全国の模範となっています。医学が臨床経験をもとに治療法を開発しながら進歩するように、教育も実践と研究の往復作業の中で磨かれるものと考えます。現場で奮闘する教員の体験や声を生かし、新しい教育技術や施策を開発し、普及していく取り組みを広げるよう要望します。
 その上で、子どもたちが活躍する舞台が、グローバル化が進む国際社会であることを展望し、教員の研修は、国内にとどめず海外にも展開するべきです。都は今年度、新たに教員二名、指導主事二名の合計四名を一年間、アメリカとカナダの大学に派遣する海外研修を始めました。そこで、今年度の海外研修の意義と内容について伺います。
 近年、OECDの学力調査、いわゆるPISA調査などが話題になり、日本だけでなく海外の教育にも国民的な関心が高まっています。教員や指導主事が海外の多様な教育のあり方を肌身で実感し、教育研究を深めていく意義は大変大きいものがあります。海外研修により、他国の教育ですぐれた技術や施策を取り入れながら、東京の教育力を磨き、全国をリードする取り組みを行うべきです。所見を求めます。
 今回の派遣は四名ですが、今後はより多くの教員が海外で研修できるよう、派遣の規模、内容を充実すべきです。また、海外の教育者も受け入れ、教育交流による国際貢献も検討するよう求めて、次の質問に移ります。
 今、日本の教育で課題になっているのが読解力の低下です。平成十五年のPISA調査では、日本は、数学、科学的リテラシーで上位グループの成績でしたが、読解力が平均程度まで下がりました。この読解力は、PISA型読解力と呼ばれ、文章や資料から情報を取り出すだけではなく、解釈、熟考、評価した上で自分の意見を論述する力まで含みます。
 調査結果を分析したところ、日本の子どもたちは、自由記述問題で答えを書かない無答率が高く、自分の考えを表現する力に課題があることがわかりました。調査の対象は高校一年生ですが、小中学生のときから読解力を含めた学力向上を図らなければなりません。そのためにはまず実態を正確に把握する必要があります。
 都は、平成十五年度から、表現する力を含む学力調査を実施し、授業改善に活用しています。その内容と成果について所見を求めます。
 また、都が今年度から実施する読み解く力に関する調査も大変重要です。その目的、内容、結果の活用方法について所見を求めます。
 一方、国は、PISA型読解力を意識した、思考力、判断力、表現力等の育成を学習指導要領に盛り込み、来年度から小学校で、再来年度から中学校で完全実施します。読んだことについて自分の考えを表現する読解力の育成は、国語に限らずすべての教科で行われ、授業全体の質を変えていく深く広い改革になります。
 今、学校では、いじめや不登校の問題、基礎、基本の学習の充実など、さまざまな課題を抱える中で、子どもたちに表現しようという意欲をどう起こさせていくのかなど、現場の教員は、知恵を絞り、読解力育成の授業の準備に汗を流されています。こうした現場の実践を一つ一つ積み上げながら、小中高校と段階的に授業を進められるよう、その指針を設定することが必要です。
 また、多くの教員自身が、子どものときにこうした授業を経験したことがありません。公開授業や模擬授業を積極的に行い、海外研修も含めて、教員が読解力を育成する授業を体験できる機会をつくっていくべきです。新学習指導要領に基づく思考力、判断力、表現力等を育成する授業がすべての学校で着実に進められるよう、都として学校、教員を支援していくべきです。見解を求めます。
 石原知事は、四月十六日、活字離れ対策検討チームを立ち上げられました。子どもの読解力が課題になっている今、大変時宜を得た提案です。ことしは国民読書年であり、また、電子書籍を読む新しい情報端末も話題になっています。読書のあり方がどう変わっていくのかは未知数ですが、人間は書籍を読むことを通じて自分で考える力を養ってきましたと、知事が記者会見でいわれたように、読書の本質的な意味に変わりはありません。
 特に青年時代は、良書を読み、深く考えることが大切です。そのためにも、子どものころから読書習慣を身につけることが必要であり、公明党は、親から子への読み聞かせ運動を推進してきました。
 知事は著作の中で、親は子どもに自分の愛読書を一冊与えようと提唱されています。子どもの読書の重要性について、知事の所見を伺います。
 次に、食育について伺います。
 食育は、早寝、早起き、朝ご飯を合い言葉に推進されていますが、学校から家庭にどう波及させていくのかが課題です。そこで効果が期待されるのが、学校で親子が一緒に食事をつくり、食べ、楽しむ行事です。家庭科室も活用でき、保護者も参加しやすく、各地で好評を博しています。
 そこで、都として、学校を活用し、親子がともに参加できる行事を広げるために、区市町村の教育委員会やPTAへの支援を強化するべきです。所見を求めます。
 次に、震災対策について伺います。
 先日、総務委員会として神戸市の被災地を視察し、都市部を襲う震災の恐ろしさを改めて実感しました。都においてもさまざまな震災対策を積み上げていますが、大切なことは、災害発生後も、施策を実行する行政機関がきちんと機能することです。阪神大震災では、市や県の職員自身が被災されながら、過酷な環境の中で被災者の救援に奔走されました。こうした教訓を受け、平成二十年、都が全国に先駆けて震災版BCPを策定されたことを高く評価します。
 一方、災害時、救援の最前線に立つのは区市町村ですが、国が四月に公表した全国調査では、BCPを策定している区市町村はわずかです。都内の区市町村のBCP策定状況、また策定を進める上での課題について、都の認識を伺います。
 被災地で食料や物資の提供、避難所の運営など重要な役割を限られた人員で行う区市町村こそ、BCPが必要です。一刻も早く区市町村で策定が進むよう、都として積極的に働きかけ、支援するべきです。見解を求めます。
 最後に、都道の整備について伺います。
 交通の安全や円滑化、また災害時の避難路や物資輸送のために、道路整備は着実に進めなくてはなりません。北区赤羽西の補助七三号線は、道幅が狭く、歩行者の安全確保が課題になっています。また、北区指定の避難路として防災性の向上も求められ、現在、住民の皆様方のご理解とご協力をいただきながら拡幅事業が進められています。
 沿道では、北区無形民俗文化財の稲付餅つき唄保存会の活動や、お祭りが活発に行われ、JR赤羽駅につながる商店街もあり、道路拡幅による地域活性化も期待されています。しかし、昨年の政権交代後、国の公共事業費が大幅に削減され、道路整備への影響を心配する声が上がっています。暮らしに身近な都道の整備はたゆみなく進めるべきです。補助七三号線について、事業の現状と今後の取り組みを伺うとともに、早急な整備事業の進行を強く求めて質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大松あきら議員の一般質問にお答えいたします。
 子どもの読書の重要性についてでありますが、メディアの多様化によって、読書をめぐる環境が大きく変化しておりまして、子どもの生活の中で読書の占める割合が著しく低下しております。マスメディアの発達した現代でも、読書は、人間が人間として生きていくための心の血液ともいうべき知識を摂取し、自分で考える力を養い、自分で想像する力も養い、その結果、豊かな感性や情操をはぐくむことができる非常に重要な営みであります。
 活字による叙述というものは、ある映像、ある情景というものを想像する、それを促す作用があると思いますけれども、いきなりテレビゲームのように映像が目に映ってしまえば、もうそこの限りのことでありまして、活字の効用というのは、そういう形で否定されるわけです。
 読書を習慣づけることによって、子どもがお菓子や甘い飲み物、あるいは奢侈な、ぜいたくな衣服などよりも、充実した内容の本に価値を置くようになれば、その子どもの知性は、人間として最高級になり得る可能性を会得したことにもなります。親や周囲の大人たちは、このような読書の重要性や読書によって得られる真の教養知識、それを養うための、培うための想像力というものを、次代を担う子どもたちのために伝えていかなければならないと思います。
 それが文化の伝播となり、その作業の中に初めて伝統というものが培われていくのでありまして、ゆえにも、子どもや若者に対して、読書の重要性を伝え、活字離れに根源的な手だてを講じるべく、猪瀬副知事を中心とした検討チームを設置し、局を超えて横断的に取り組んでいるところであります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 八点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、他県と連携した協調特別選考についてでございます。
 全国の教員採用状況を見ますと、地方によっては、採用枠が小さいために高倍率になり、優秀な人材が正規教員になりにくい状況がございます。
 このため、地方の教員志望者に正規教員となる機会を広げるとともに、都にとっても優秀な人材を確保することを目的として、秋田、大分、高知の三県と協定を締結し、これら三県の一次選考で一定の成績をおさめた者は、東京都の二次選考に進めるようにする協調特別選考を今年度から実施しております。これらの県では、多くの応募者が東京都を第二志望としていると聞いております。
 今後とも、地方の優秀な人材を東京都の教員として活用できるよう、教員採用選考の倍率の高い地域を中心に積極的に連携を働きかけてまいります。
 次に、地方の教員志望者の獲得についてでございます。
 受験者の利便性向上のため、昨年度、仙台会場で第一次選考を実施し、七百七十三名の応募がございました。今年度は九百名を超える応募がございました。さらに、今年度から福岡でも第一次選考を実施いたしますが、ここでは一千名を超える応募があり、地方会場での選考実施は、応募者の増加に大きく貢献するものと考えております。
 また、地方の大学への働きかけを強化いたしますとともに、学生が東京の教育の魅力を十分理解できるよう、学校見学バスツアーや説明会を実施しております。
 今後とも、こうした取り組みを積極的に進めることにより、地方の優秀な教員志望者を採用してまいります。
 次に、教員等の海外派遣研修の意義と内容についてでございます。
 教員や指導主事が、海外の大学等で諸外国の教育、文化等について学ぶことは、教員としての資質能力を向上させますとともに、東京都全体の教育の充実を図る上で極めて大切であると考えております。特に、近年、教育における国際競争力の比較や諸外国でのすぐれた教育施策などがメディア等で大きく取り上げられ、教育関係者などの関心が高まっており、その実態について、都教育委員会としても検証する必要性が生じてきております。
 こうしたことを踏まえまして、都教育委員会では、今年度から、諸外国の学校運営や教科指導法等に関する専門知識及び教育行政制度と、その運営の実態などについて調査研究するために、新たに教員等の海外派遣研修を実施することといたしました。
 教員は、大学で教科の指導方法等の専門知識を学ぶとともに、現地の学校等で授業見学、授業実践をすることで、教科指導法などについて調査研究を行います。
 また、指導主事は、大学で学校経営の専門的知識などを学ぶとともに、現地の教育委員会等において、日本と異なる教育行政制度及びその運営の実態について調査研究をいたします。
 次に、研修成果の還元についてでございます。
 海外派遣研修から帰国した教員と指導主事は、都教育委員会が開催する教職員を対象とした研修報告会等でその成果を報告することとしております。また、学校や教科等の研究団体などの研修会の講師を務めるなどして、海外派遣研修の成果を広く普及啓発してまいります。
 具体的には、教員は学んできた教科の指導方法等の専門的知識などを生かして、授業公開や若手教員への指導助言など、教科の指導技術の普及を図ってまいります。指導主事は、学んできた学校経営や、日本と異なる教育行政制度などの専門的知識を生かして、新たな教育施策の企画立案を行ってまいります。
 都教育委員会は、こうした取り組みを通して、教員及び指導主事の資質能力のより一層の向上を図り、東京都の教育の改革に努めてまいります。
 次に、都教育委員会がこれまで実施してきた学力調査について申し上げます。
 平成十五年度から十八年度までは、教科で学んだ知識や技能等の定着状況を把握するため、小学校五年生と中学校二年生を対象に、悉皆で、教科に関する学力調査を実施いたしました。
 次に、平成十八年度から二十年度までは、教科等で学んだ知識や技能等を日常生活で活用する力の定着状況を把握するため、小学校五年生と中学校二年生を対象に、悉皆で、問題解決能力等に関する調査を実施いたしました。また、平成十九年度からは、学力の定着が不十分な児童生徒の実態をより具体的に把握するために、小学校四年生と中学校一年生を対象に、抽出で、基礎的、基本的な事項に関する調査を実施しております。
 こうした都独自の学力調査につきましては、児童生徒一人一人に調査結果を還元いたしますとともに、各学校における授業改善推進プランの作成による授業改善を、区市町村教育委員会と連携して推進してきたことによりまして、児童生徒の基礎学力の定着が図られてきております。
 また平成二十年度には、それまでの学力調査の結果の分析に基づき、児童生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準でございます東京ミニマムを作成し、すべての児童生徒が義務教育終了時に身につけておくべき最低限の学力を確実に習得できるよう、各学校における学力向上の取り組みを強力に支援しているところでございます。
 次に、読み解く力に関する調査についてでございます。
 国や都の調査結果から、東京都の児童生徒には、長い文章を読んで内容を把握することや、情報を整理して判断することに課題があることが明らかになっております。そのため、読み解く力に関する調査は、必要な情報を読み取り、解釈しながら問題を解決する過程において、児童生徒がどの段階でどのようにつまずいているのかを明らかにすることを目的としております。
 本調査は、平成二十二年十月に、小学校五年生と中学校二年生を対象に、小学校では、国語、社会、算数、理科、中学校では、国語、社会、数学、理科、外国語について悉皆で実施いたします。
 また悉皆で調査を行う利点を生かしまして、児童生徒一人一人に対して個人票を返却することにより、学校と保護者が、児童生徒の学力の状況を共有しながら、一体となって学力の向上を図っていくことを支援してまいります。
 さらに、都教育委員会では、各学校に対して、都全体の傾向を分析した報告書を配布することにより、一人一人の教員が児童生徒の確かな学力の向上を図るための授業改善を推進できるように支援してまいります。
 次に、児童生徒の思考力、判断力、表現力の育成についてでございます。
 新学習指導要領の理念の一つである確かな学力を育成するためには、基礎的、基本的な知識、技能を確実に習得させることに加え、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等の能力をはぐくむことが重要でございます。
 これまで都教育委員会では、指導資料を作成して、区市町村教育委員会及び教員を対象とした説明会などを実施し、各学校に対して、新しい教育内容の趣旨の徹底を図ってまいりました。また、各学校では、この指導資料を活用して、新学習指導要領の理解を深めるとともに、その趣旨を生かした授業改善を図るために、校内研修などを実施しております。
 さらに、来年度から小学校で新学習指導要領が全面実施されることを踏まえて、今年度、都教育委員会は、児童の思考力、判断力、表現力をより一層伸長させるための実践的な指導内容や方法を開発し、実践指導事例集として取りまとめ、区市町村教育委員会や学校に提供するなどして、教員の指導力の向上を図ってまいります。
 次に、親子の食育推進についてでございます。
 現在、多くの小学校で、地域の伝統的な料理や地場産物を活用した料理をつくる親子料理教室の開催、親子でつくる料理のレシピを取り上げた給食だよりの発行、PTAの協力を得た調理実習など、親子が一緒に参加する食育の取り組みが進められております。
 都教育委員会は、学校におけるこうしたすぐれた取り組みやその成果を、広く区市町村教育委員会や学校関係職員、PTAに周知し、情報を共有することを目的として、毎年夏に、健康づくりフォーラムを開催いたしますとともに、栄養教諭による食に関する指導研究報告書を作成し、全学校に配布しております。
 また、すぐれた食育の取り組み事例を積極的に普及啓発していくとともに、栄養教諭による各学校の食育リーダーへの指導助言を通じて、お話のように、区市町村教育委員会や学校、PTAを支援してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 災害対策に関します二点のご質問にお答えします。
 まず、都内区市町村の地震のBCP策定状況と課題についてでございますが、ご指摘のとおり、災害時に都民の生命、生活を守るためには、都はもとより、基礎的自治体である区市町村が、事前対策として事業継続計画、いわゆるBCPを策定しておくことが極めて重要であると考えております。
 都内区市町村における策定状況でございますが、この五月末時点で、策定済みが三団体、策定中が十五団体となっております。
 また、BCP策定上の課題ですが、昨年都が行いました調査によりますと、策定上の課題として、災害を担当する部局以外では、BCPの意義がまだ十分に理解されていないこと、すべての事業等を調査検討するための全庁的な取り組み体制が整っていないこと、さらに策定のための具体的なノウハウが不足していることなどが挙げられております。
 次に、BCP策定のための区市町村への働きかけについてでございますが、調査で明らかになった課題を踏まえまして、都は、本年一月に、区市町村のBCP策定を促進するため、策定の意義や全庁的な体制づくり、優先業務の選定手順などを具体的に解説しました区市町村事業継続計画策定ガイドラインを作成し、概要を説明いたしました。
 また、今月六月下旬には、このガイドラインに沿いました具体的な策定手順についての説明会を複数回開催し、先進的な取り組み事例の紹介なども行い、BCP策定への理解をさらに深めてまいります。
 また、区市町村の要望や策定作業の進捗状況等に応じまして、直接に訪問して相談に応じるなど、きめ細かく対応し、区市町村が早期にBCPを策定できるよう、積極的に支援してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 補助第七三号線の事業の現状と今後の取り組みについてでございますが、補助第七三号線は、新宿区西新宿七丁目を起点とし、北区赤羽台三丁目を終点とする延長約十一キロメートルの都市計画道路でございます。防災性の向上や交通の円滑化、歩行者の安全確保など、地域生活を支える基幹的な道路であります。
 本路線のうち、北区赤羽西三丁目から赤羽西一丁目までの延長六百四十メートルの区間で、現道幅員約七メートルを二十メートルに拡幅する事業を実施しております。平成十四年二月に事業着手し、これまで約九割の用地を取得しております。赤羽駅寄りの二百三十メートル区間につきましては、一部街築工事を実施し、歩行者空間として既に開放するなど、事業効果の早期発現に努めております。
 引き続き、供用開始につながる用地の取得を重点的に進め、街築や電線共同溝などの工事を行ってまいります。
 国の公共事業予算が大幅に削減されるなど、道路整備の財源は極めて厳しい状況にありますが、今後とも必要な財源の確保に努めまして、地元の理解と協力を得ながら、本事業区間の早期完成に向けて積極的に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十八分休憩

   午後五時五十六分開議

○議長(田中良君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十番佐藤由美さん。
   〔三十番佐藤由美君登壇〕

○三十番(佐藤由美君) 佐藤由美でございます。発言させていただきます。
 まず初めに、きのう六月八日、市民運動から活動を起こしてきた菅総理のもと、新内閣が発足しました。人を不幸にする要素を最小化する社会に向け、改革が力強く進められていくものと確信しております。
 先月十三日、警察庁発表によると、昨年の自殺者数は全国で三万二千八百四十五人、十二年連続で三万人を超えるという厳しい状況が続いています。
 平成十八年に自殺対策基本法が制定されて取り組みが開始しているにもかかわらず、高どまりしています。うつ病など身体的な原因はもちろんですけれども、それに至るまでの自殺の要因は複合的であり、社会的な構造について注視し、改めて対策を見直すべきと考えます。
 緊急雇用対策の一環として年末年始に実施した、いわゆる公設派遣村では、臨時住宅とともに、就労までに当事者が必要とする心の相談、法律相談など、生活総合相談をワンストップで実施しました。石原都知事は、元日に現場を視察した閣僚について、あの程度の行事に行くべきじゃない、私は行かないと述べました。行事として位置づける認識でよいのでしょうか。
 先週四日付、都は国に対し、実効性あるセーフティーネットの確立に向けた国への緊急提案を出しました。セーフティーネットが脆弱であることが浮き彫りになった今、これを立て直すことは、国、自治体、双方の責務であると考えます。
 就労支援、ホームレス対策、自殺対策といった視点は事業の切り口の問題であって、その人にとっては、仕事がなくなれば家賃が払えなくなる、家がないから仕事も探せなくなる、人との関係も絶たざるを得なくなる、そして精神的に追い詰められ、健康を害する、多重債務を負う、一つの問題から次々に問題が派生をしていき、複合的に問題を抱えています。人が人間らしく生きるために何ができるのか、そうしたことを私たちは考えるべきではないでしょうか。
 社会的に排除されずに生きていける状況、人を中心にしてセーフティーネットにかかわるさまざまな施策、事業が横断的に行われていくべきと考えますが、見解を伺います。
 現在、非正規雇用は全体の三分の一にまで上がり、そして一九九〇年代以降、若年層は労働市場で安定した立場を得られない状況になっています。十五歳のときの暮らし向きが大変苦しいという、極めて人生の初期の段階における不利は、当事者のそれ以後の人生を左右する大きな影響を与えています。
 また、困窮するひとり親家庭では、ダブルワーク、トリプルワークをしても生活を維持していけるかどうかという、そして健康を損なう過酷な状況にあります。
 ワーキングプア、その世帯は全国で一九%、六百七十五万世帯と推定されています。年間所得が三百万円以下、逆に二千万円以上の所得階層が増加する一方で、中間階層は減少しています。相対的貧困率は一五・七%であり、ジニ係数は〇・三二一と上昇しており、所得配分機能は落ちています。
 この現状に対して構造的な転換を図ることが重要です。同時に、今の構造下でも、貧困層が固定化、世代間に連鎖しないように、非正規雇用から正規雇用への転換を後押しする政策が必要です。一定の生活を保障しながら必要な知識、技術を習得し、より良質な就労にアクセスできるよう支援することが重要と考えますが、都の取り組みを伺います。
 また、二〇〇五年のOECDによると、子どもの貧困率について、日本は再分配前所得における貧困率と再分配後の貧困率を比べた場合に、再分配後の方がより高くなるという逆転現象が起きています。保護者の経済状況に左右されずに、子どもの選択の幅を狭めることなく、高等教育や技能習得に向けた進学ができる体制を構築することが不可欠と考えますが、都の取り組みを伺います。
 都立高校には、家庭の経済状態から負担が少ないことを理由に入学する生徒もあります。経済的な格差が受ける教育の格差につながらないために、都立高校の質の向上が不可欠と考えますが、都の取り組みを伺います。
 これからの社会の担い手になる子どもたち一人一人が、社会的自立に向けて必要な基盤、能力を獲得することが必要と考えます。都の高校におけるキャリア教育を初めとする取り組みを伺います。
 また、定時制高校では勤労学生が減少する一方で、中途退学や不登校経験のある生徒などがふえており、その役割が変化しています。都はチャレンジスクールを設置しましたが、中途退学や不登校経験のある生徒の多くがチャレンジスクール以外の定時制高校に入学していることから、子どもが入学したどの高校でも的確に支援を受けられるような環境を整えるべきと考えますが、都の取り組みを伺います。
 次に、犯罪被害者支援について伺います。
 平成十六年に犯罪被害者等基本法が制定され、翌年、犯罪被害者等基本計画が策定されました。居住の安定、保健医療サービス、福祉サービスの提供などが定められています。これらは身近な市区町村でのサービスや社会資源がなくては支援ができません。都の犯罪被害者等支援推進計画でも、市区町村は被害者等への支援にとって重要な役割を担っていることを明記しています。
 しかし、その自治体の職員を東京都の早期援助団体に数カ月派遣をして、犯罪被害者の置かれる精神状況を踏まえて、総合支援窓口を設置の上、一時住宅の確保や日常家事支援などきめ細かな体制を整えている積極的な市区町村と、取り組みを開始していない市区町村とがあります。
 だれしもが被害者になる可能性があります。被害を受けたことにより、社会に包まれるべき被害者がこれまで社会から孤立してきたことは、基本法にも明記されているとおりです。確実に支援につながる体制を構築しなければなりません。被害者等に対する市区町村の支援体制を底上げし、促進すべきと考えますが、都としての取り組みを伺います。
 また、居住の安定を図るために、都は優遇倍率での抽せんを都営住宅にかけているという形での支援をしているという形ですが、抽せんでは、まさに被害によって住まうことができない被害者の居住の安定は確保されないと考えます。
 また、市区町村の公営住宅だけでは住所要件があって、区をまたいで転居することは難しい状況です。都として転居費用などの経済的な支援という形も含めて、被害者の居所の安定に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、性犯罪被害に対する治療、カウンセリング、被害届の受理等が一カ所で行える窓口を医療機関などに設けることが望ましいですが、都の見解を伺います。
 さらに、緊急避妊費用や初診料等の公費負担がありますが、このためには証拠保全の技術も必要です。被害直後に警察や支援団体から紹介される産婦人科医に行くことができる場合は格別、そうでない場合にはすべての産婦人科医が証拠保全手続などに精通していない現状で、性犯罪被害者が後から公費負担を申請しようとしても実現できない場合があります。医師に対する制度周知や技術研修が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、一人一人の参加が社会と乖離しないために、都政が社会と乖離しないために必要と考える観点から、住民自治の強化について伺います。
 これまで団体自治の拡充が進められてきたところですが、地方自治権は自己決定権に由来します。今こそ積み残されてきた住民自治の強化に向けて取り組むことが必要と考えます。住民の参画を可能にするためには、情報公開から情報共有へと転換する必要があります。そして、都民の意見を施策に反映させなければなりません。
 現在、計画、制度等の意思決定前における住民参画の手法は、審議会等への付議、公聴会などの実施がありますが、パブリックコメントはだれでも意見を提出できる広く開かれた手法です。現在、四十三道府県でパブリックコメント条例あるいは実施要綱が設けられています。
 さて、東京都情報公開条例三十一条には、計画中間段階に係る案について公表しなければならないと定め、その留意事項に、提出された意見等を考慮するとともに、提出された意見とこれに対する考え方を公にするように努めるとしています。
 都のホームページでは、計画案の策定に当たり意見募集したものが幾つか見られました。しかし、各局によって期間や都民への結果対応はまちまちです。こうした現状も踏まえ、情報公開や広聴制度について、住民の参画という観点から充実強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 平成十八年四月に施行された改正行政手続法で、行政運営の適正化を趣旨として、意見公募手続を行わなければならない旨明記されています。こうした仕組みについても都には存在していません。都として行政手続条例を改正するか、もしくは行政手続条例にパブリックコメントの一般規定を盛り込んだ上で、別途パブリックコメントの手続条例を制定し、都民の参画を制度的に保障することが不可欠と考えますが、見解を伺います。
 先週六月四日、「新しい公共」円卓会議では、支え合いと活気ある社会をつくるために、さまざまな当事者の自発的な協働の場を新しい公共とし、官が独占してきた領域を開き、公共を現代にふさわしい形で再編集し、国民が決める社会をつくると宣言しました。その実現には、公共への政府のかかわり方、政府と国民の関係のあり方を大胆に見直すことが必要としています。
 現在、環境や福祉、国際協力など、多様な分野で市民活動が活発に行われています。市民団体と都の関係は行政の効率化の流れの中で、公共サービスの代理人、下請という位置づけで業務委託される傾向が強い現状があります。
 しかしながら、こうしたボランタリー組織は、社会のニーズにきめ細かにこたえる活動を通じて制度や政策の問題点を把握しています。都政にはこうした団体の知見が欠かせません。今こそ協働を進め、公共サービスを提供する単なる代理人ではなく、政策形成過程への参画など、都との関係の再編成が必要です。
 また、こうしたNPOや市民活動団体の多くは財政が厳しく、また人が常勤で活動を支え、発展させることが困難な状況です。社会に不可欠なこうした活動を支え、公共の舞台づくりを進めることが必要ですが、都の取り組みを伺います。
 また、他の自治体では寄附金を活用したさまざまな財政上の支援策を講じています。都としてもNPOの寄附金に対する税制優遇措置を充実させることが必要と考えますが、所見を伺います。
 最後に、三件目に経済産業振興について伺います。
 葛飾区では、東京理科大学を誘致し、平成二十五年四月の開学に向けて準備を進めているところです。大学は地域の拠点として、経済の活性化、まちづくり、教育と幅広い可能性が期待されているところです。
 中でも、葛飾区は金属加工業など製造業を中心とする企業が集積し、東京を代表する工業集積地域です。産学連携が進み、大学の先端また独創的な研究成果と、区の中にある高い技術力を持つ中小企業が結びつくことで、共同で新製品、新技術開発などを行うなど、産業活性化に大きく寄与することが期待されています。
 現在、葛飾区では、地域産業活性化特別委員会が設置され、大学と地域との連携構築を丁寧に支援しているところですが、東京都としてこうした地域での取り組みを後押しし、一層促進させるべきと考えますが、所見を伺います。
 先日、この東京理科大の研究室の一つに伺いました。この研究室では、生活支援、社会福祉を目的とした実用的ロボットシステムの開発、画像処理技術、ロボット知能の多角的な基礎研究をメーンテーマに掲げています。
 例えば、現在数多くの高齢者が、食べ物の飲み込みが困難になる嚥下障害を抱えている中で、その嚥下障害が起きる構造を解明する研究や、身体的に喪失した機能を補う器具の考案、マッスルスーツという、介護する人の腰へかかる負担を軽減させる器具の開発などに取り組まれていました。
 昨年十二月、閣議決定された新成長戦略では、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、環境エネルギー分野あるいは医療、介護分野の革新を掲げています。また、都の「十年後の東京」計画でも、東京のポテンシャルを活用した成長が見込まれ、新しい技術や発想により社会的課題の解決や豊かな都市生活を実現する産業を創造的都市型産業と位置づけ、戦略的、重点的に育成していくとしていますが、都としてこのような社会的課題の解決につながるような中小企業の研究開発や事業化への支援について、どう取り組んでいくか伺います。
 最後に、我が国では資源エネルギーが乏しいことは周知のとおりです。昨今、エネルギーや金属資源などが世界的に逼迫しつつあります。我が国では、ものづくりに不可欠なレアメタル等の資源の大半を政情不安な国からの輸入に頼っています。こうした資源を安定的に調達するため、深鉱開発、リサイクル、備蓄といった施策と並んで、代替材料の開発は極めて重要です。
 国際都市であり首都である東京は、産業育成はもちろんのこと、資源エネルギー安全保障も視野に入れた上で、こうした領域における技術研究開発への助成を行うことも重要なことではないかと提言を申し上げまして、私からの質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 佐藤由美議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、都立高校の質の向上についてでございます。
 都立高校の生徒が自分の希望や適性などに合った教育を受け、その個性を豊かに伸ばすことができるよう、都教育委員会は都立高校改革推進計画に基づき、学校選択の拡大や入学者選抜方法の多様化を進めるとともに、中高一貫教育校やチャレンジスクールなどの新しいタイプの高校の設置、また進学指導重点校やエンカレッジスクールの指定など、特色ある学校づくりを行い、都立高校の個性化、特色化に努めてまいりました。
 これにより、都立高校では大学進学実績の向上、中途退学者の減少、卒業時に進路が決定していない生徒の減少など、着実な成果があらわれています。
 今後も生徒、保護者の期待にこたえる都立高校づくりが必要不可欠であることから、これまでの都立高校改革推進計画に基づく施策の成果検証を現在進めているところでありまして、その結果を踏まえ、さらなる質の向上に取り組んでまいります。
 次に、キャリア教育の推進についてでございます。
 生徒が将来にわたる生き方を考え、主体的に進路を選択していく能力と、望ましい勤労観や職業観を身につけることは重要でございます。
 都教育委員会は、平成十八年度から、専門高校だけでなく、普通高校などすべての都立高校に対し、キャリア教育の年間指導計画を作成し、卒業生などによる進路講演会や大学への体験入学、企業におけるインターンシップ等をこの計画に位置づけるなど、教育活動全体を通じてキャリア教育に取り組むよう指導してまいりました。
 また、キャリア教育の指導資料集の作成、配布及びキャリア教育実践連絡協議会やフォーラム等の実施を通して、すぐれた実践事例の普及啓発を図るなど、都立高校におけるキャリア教育の推進に努めてまいったところでございます。
 次に、中途退学や不登校経験のある生徒に対する教育についてでございます。
 都教育委員会は、都立高校改革推進計画に基づき、チャレンジスクール五校、チャレンジ枠を持った昼夜間定時制高校一校を設置しており、中途退学や不登校経験のある生徒、その保護者などから大きな期待が寄せられております。
 また、既設の夜間定時制高校では、中途退学や不登校経験のある生徒を初め、多様な課題を抱えた生徒が在籍しておりますことから、個々の状況に応じたきめ細かな指導を実施するとともに、チャレンジスクールと同様、少人数指導による丁寧な学習指導や、三年間で卒業を可能とする取り組みなどを進めております。
 今後も社会状況や都民ニーズの変化を踏まえ、夜間定時制高校においても引き続き生徒の課題に適切に対応してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、離職等により生活に困窮する方に対するセーフティーネットの横断的な取り組みについてでございますが、実効性あるセーフティーネットの確立は国の責任で実施すべきであり、これまで二度にわたり、都は国に緊急提案を行ってまいりました。国は本年五月、生活福祉・就労支援協議会を開催いたしまして、雇用部門と福祉部門の連携を図るための取り組みを始めたところであります。
 都は、国に先駆けまして、平成二十年度から区市町村や福祉、就労などの関係機関と連携をした取り組みを進めており、職業訓練や必要な資金の貸し付け等を行う生活安定化総合対策を実施いたしております。今後とも国に対しまして必要な提案を行うとともに、区市町村など関係機関との一層の連携強化に努めてまいります。
 次に、低所得世帯の子どもを支援する取り組みについてでございますが、都は、平成二十年度からチャレンジ支援貸付事業を実施いたしまして、将来の自立に向け意欲的に取り組む子どもたちを支援いたしております。
 この事業は、中学三年生、高校三年生がいる低所得世帯を対象といたしまして、学習塾等の受講料や大学等の受験料を無利子で貸し付けるものでございまして、高校、大学等に入学した場合には、その返済を免除しております。
 また、今年度から中学三年生の学習塾等の受講料にかかわります貸付限度額を引き上げるとともに、新たに高校受験料も対象とするなど、支援を拡充しているところでございます。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、所得が低く不安定な生活を送る方々に対する就労支援の取り組みについてでありますが、都は平成二十年度から、低所得の状態にある方々に対し、生活費を支給しながら職業訓練を行い、安定した就職につなげる就職チャレンジ支援事業を実施しており、パートタイマーやアルバイトといった非正規雇用で働く方々などが利用していらっしゃいます。
 本事業では、就職チャレンジ支援相談室においてキャリアカウンセリングを行い、一人一人の適性や希望を踏まえて、知識や技能を習得する職業訓練を実施するとともに、就職のためのセミナーや面接会、職業紹介などの支援を行っております。事業開始から本年五月末までに相談室に登録された方は約五千二百人で、このうち職業訓練受講者は約三千六百人でございます。
 このような都の先駆的な取り組みに続き、国も昨年七月から同様の緊急人材育成支援事業を開始しております。こうした取り組みにより、低所得の状態にある方々に対して、安定した就職に向け的確に支援してまいります。
 次に、産学公連携への支援についてでありますが、新産業、新技術の創出につながる研究開発を促進する上で、産学公の連携を進めることは有意義であります。
 このため、都は、都立産業技術研究センターに産学公連携コーディネーターを配置し、中小企業と大学による共同研究や共同開発などを推進するとともに、地域の産業特性を生かし、産学公連携などに取り組む区市町村に対しては、創造的都市型産業集積創出助成事業によりまして支援しております。今後とも、こうした取り組みにより、産学公連携を促進させてまいります。
 次に、社会的課題の解決につながる中小企業の研究開発等への支援についてであります。
 環境、医療、福祉などの成長分野で活用の期待できる中小企業の製品開発や事業化を支援していくことは、中小企業のすぐれた力で大都市東京が抱える課題を解決することに寄与するのみならず、東京の産業の発展にもつながるものと認識しております。
 このため、今年度から実施する都市課題解決のための技術戦略プログラムでは、まずは環境分野において、首都大学東京等の知見などを集約し、大都市の抱える課題の解決に資する開発テーマや目標を定めたロードマップを策定いたしまして、これに沿った中小企業の新製品、新技術の開発及び事業化を重点的に支援してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 五点のご質問にお答えします。
 まず、区市町村による犯罪被害者等支援の取り組みの促進についてでございますが、犯罪被害者等への支援が、被害者等により身近な区市町村で進められていくことは重要であると認識しております。
 このため、都は、従来から区市町村に対しまして、区長会や市長会の場などを通じまして、支援担当窓口の開設を強く働きかけてまいりました。この二年間で支援担当窓口を設置した区市町村は全区市町村の三分の二にまで拡大しております。
 今年度は、さらに一部の区市における職員の人材育成に向けた先進的取り組みの事例など、具体的な支援のためのノウハウや情報を提供するため、全区市町村で構成します東京都区市町村犯罪被害者等支援連絡会を設置し、すべての区市町村で犯罪被害者等に対する支援を受けられるよう努力してまいります。
 次に、犯罪被害者等のための居住支援についてでございますが、自宅が犯罪事件の現場となったことなどによりまして、転居を余儀なくされた犯罪被害者等に対しまして、一時的な居住先の確保などの支援は大変重要であると考えております。
 都では、犯罪被害者等の被害直後における早期立ち直りのため、一時居所の提供を行うほか、長期的な支援として都営住宅の入居において優遇抽せんを行っておりますが、今後はさらに区市町村が管理する公営住宅の提供につきまして、都から区市町村に協力を求めるなど、より一層安定的な住居の確保に努めてまいります。
 なお、転居費用等の経済的支援についてでございますが、都における既存の生活資金の貸付制度や、他の支援機関によるさまざまな貸付制度があり、今後ともこうした制度に関する情報の提供に努めてまいります。
 次に、性犯罪被害者の支援のための窓口についてでございますが、性犯罪被害者を対象とする窓口を設置することは、利用者が性犯罪被害者と特定されるおそれがあるなど、プライバシー保護等の観点から慎重に対応すべきであると認識しております。
 現在、都は医療機関や警察などからの連絡を受けまして、都の総合相談窓口を設置している社団法人被害者支援都民センターの相談員が被害者に付き添うなどの対応を行っております。
 都としては、性犯罪被害者に対する支援をより充実させるため、窓口のあり方を含め、引き続き関係機関と協議してまいります。
 次に、性犯罪被害者に対する支援に関する医療関係者への啓発等についてでございますが、医療関係者が、犯罪被害者等が置かれている状況を正しく理解し、早期に被害から回復するための支援の取り組みを進めることは重要でございます。
 都はこれまでも、犯罪被害者等支援に対する知識の付与や具体的な対応方法等を記載した医療機関向け犯罪被害者支援マニュアルを作成し、医療機関へ配布してまいりました。
 今後も関係機関や団体等と協議し、医療関係者に対するより一層の啓発に取り組むとともに、事件の捜査や医療費の公費負担に必要な証拠保全等に関する技術的向上策、こういったことに関しましても検討してまいります。
 最後に、行政手続法に基づくパブリックコメントについてでございますが、この制度は、行政機関が規則等を定めようとする際、事前に広く住民から意見を募り、その意見を考慮することで行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、住民の権利利益の保護に役立てるものでございます。
 地方公共団体における制度化につきましては、行政手続法でいわゆる努力義務とされておりまして、直接適用されるものではございませんが、対象となる規則、審査基準、処分基準、行政指導指針の現状を十分把握した上で、今後検討すべき課題の一つと考えております。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、情報公開や広聴制度についてでございますが、都は都民に対する説明責任を果たし、公正で透明な行政を目指すため、公文書の開示や都政情報の公表、提供を通じて情報公開を推進し、都民による都政への参加を進めております。
 また、広聴事業では、広く都政全般について都民から寄せられた幅広い意見、要望を集約し、施策へ反映しております。今後とも、都政情報の公表や提供のほか、都民生活や都政の課題に関する世論調査、迅速に実施できるインターネット都政モニターによる意見聴取など、情報公開や広聴事業の充実に取り組んでまいります。
 次に、行政と市民活動との協働の推進でございますが、都は、行政とNPO法人との協働、市民の参加の促進を図る観点から、都のホームページで都や区市町村における協働の状況、NPO法人の概要や活動などの情報を提供するとともに、毎年、都や区市町村の職員を対象に協働に関する公開講座を実施しております。
 また、東京ボランティア・市民活動センターにおきまして、市民や活動団体に対する相談、ボランティアリーダーの育成を行っております。今後とも、情報提供や人材の育成などに努め、多様な市民団体との協働を着実に推進してまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) NPOへの寄附金に対する税制優遇措置についてお答え申し上げます。
 NPO法人のうち、国税庁が一定の要件のもとで認定する、いわゆる認定NPO法人への寄附金につきましては、所得税等の税制優遇措置が講じられておりますが、その認定数は、全NPO法人約四万団体に対し、百数十団体にとどまっております。このため、現在、政府税制調査会におきまして、認定基準の見直しなど、NPO法人への寄附金に対する税制優遇措置の拡充が検討されております。
 ただ、申し上げるまでもなく、一口にNPO法人といっても、その活動内容は千差万別であり、行政との協働が可能であるものからそうでないものまで、さまざまな団体が存在することから、都といたしましては、過度な要件緩和を行うことは、税の公平性や他の公益法人等とのバランスを損なうおそれがあるなど、幾つかの課題があると考えております。今後、国における検討状況やこれらの課題を踏まえ、適切に対応してまいります。

議長(田中良君) 三番三宅正彦君。
   〔三番三宅正彦君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三番(三宅正彦君) 島しょ地域について、都はこれまで港湾施設等のインフラ整備のみならず、島民生活の安定や福祉の向上を図るためにさまざまな事業を展開し、成果を上げてきました。しかし、離島という厳しい環境のもと、各分野にわたり課題は残されていますので、質問をいたします。
 初めに、島しょ医療について伺います。
 私は補欠選挙当選後、各島を回り、医療についてつぶさに見てまいりました。例えば八丈島の町立八丈病院は、離島という特殊な立地条件の中で、産婦人科、小児科、救急医療等の不採算部門の診療など、島民の多様な医療需要にこたえるべく医療を提供しているところですが、病院経営は非常に厳しい状況にあります。また、地理的条件などにより医師確保も難しい状況であるため、都による財政援助や人材確保のための支援を改めて強く感じたところです。
 島しょ町村は、町立病院や国保診療所を設置し、島民の期待にこたえておりますが、施設や医療スタッフの確保、高額化する医療機器の整備などの面で多くの困難な問題を抱えているのが実情であり、島しょ町村の脆弱な財政力では解決が困難となっております。
 都は、財政支援や自治医科大学卒業医師の継続的な派遣など、島しょ医療の充実に努められてきたことは十分承知しております。それでも、入院を必要とする医療や専門医療など、島しょ地域では対応できない医療については、本土に行き、入院や診療を受けることを余儀なくされています。急を要する場合は、私も経験いたしましたが、消防庁や海上自衛隊のヘリコプターなどで救急搬送されることもあります。
 昨年四月、知事は自衛隊による島しょの救急患者の搬送が昭和三十二年から平成二十年十一月までに千五百回に達したことから感謝状を贈呈されたと聞いております。こうした都を初めとする関係機関の取り組みもあって、島民は生活の中の安心を確保しているのであります。
 私は、島しょ選出の議員として、地域の医療の安定的な確保のために、今後とも引き続き都による財政援助と医師確保を中心とした島しょ医療の充実に努められることを強く望むところであります。
 石原知事は、島の振興に並々ならぬ力を注いでおられますが、島しょ地域の医療振興について、改めて基本的な認識をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、島しょ地域の交通基盤について伺います。
 昨今、公共事業の見直しが叫ばれ、一部の道路やダムについては事業が中止される例も見られます。しかし、事業の必要性などを厳格に検証すべきことは当然ではありますが、国民生活のために不可欠なインフラ整備は、不断に進めていかなければならないと思います。
 島しょの港湾も、厳しい自然条件の中で暮らしている島民の生活を支える、なくてはならない島の生命線ともいうべきインフラであります。今日まで計画的な整備が進められてきましたが、いまだに生活物資を運ぶ定期船が欠航になり、生鮮食品等が不足することもあります。複数の港がある三宅島や八丈島でさえ、年間三十日以上も定期航路が欠航となるのが現状です。島の方々にお会いしても、もっと風や波に強い港湾にしてほしいという切実な声が聞こえてきます。
 公共事業削減の風潮の中で、港湾の整備が進まなくなるのではないかと島の方々も不安を感じておられますが、定期船の就航率を向上させるため、今後とも計画的に整備を進めていく必要があると考えます。そこで、まず島しょにおける船の就航率向上に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、先日私は新島港船客待合所の完成式典に出席しましたが、そこでは待ち望んでいた施設の完成に対する島の方々の大きな喜びを感じることができました。島の住民にとって、船客待合所は最も親しみを感じる公共施設であり、島の顔として特別な重みを持った施設であるとともに、島への第一歩を踏み出す観光客にとっても、島の生きた観光情報などを入手できる観光の拠点となるべき施設であります。整備の仕方、利用の仕方を工夫することで、にぎわいの中心として島の発展にも大きく貢献することが期待できます。
 しかし、現在各島にある船客待合所は老朽化が進んでいるものや、多目的な利用にこたえられないものもあります。今後、船客待合所の建てかえに当たっては、観光やにぎわいづくりの拠点となるよう、地元の声や島の特色を生かしながら機能の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 島しょ地域の交通機関の中でも、航空路線は島民や観光客にとって高速アクセス手段として貴重な足であります。三宅島では、平成二十年四月に定期航空路線の一日一往復の運航が再開されましたが、その就航率は想定されていた約六〇%を大きく下回っています。私も何度も三宅島には行っていますが、一度も乗ることができず、残念な思いをしています。
 火山ガスは放出量が減少したとはいえ、現在も噴出し続けています。安全を最優先にすることは当然のことではありますが、復興にかける三宅島の方々の気持ちを考えれば、就航率を向上させることが最重要の課題であります。そこで、三宅島航空路線の就航率の向上に向けた都のこれまでの取り組みと今後の進め方について伺います。
 なお、島しょ地域の海上交通については、現在就航している船舶の更新も大きな課題です。伊豆諸島航路、小笠原諸島航路に就航している貨客船の多くは法定の償却期間を超え、老朽化が進みつつあります。今後一斉に更新が必要となることが想定されるため、都においては、更新に対する十分な支援を計画的に行っていただきたい旨、申し添えておきます。
 また、小笠原の航空路線については、都と村で設置した小笠原航空路協議会で航空路案の調査検討を進めていると聞いておりますが、今後も協議を通じて関係者間の円滑な合意形成に努めていただくことを希望します。
 次に、島しょ地域の観光振興について伺います。
 島しょ地域には豊かな海洋資源、変化に富んだ自然景観、固有の歴史と文化など、さまざまな観光資源があります。そして、経済面では農林水産業と観光産業に大きく依存しており、島の振興にとって観光産業の活性化が不可欠であります。
 島しょ地域への旅行者の入り込み数は長期的に減少傾向にあり、厳しい状況が続いていますが、魅力的な観光資源の活用や工夫次第で旅行者の増加を図ることが可能と考えております。そこで、これからの島しょの観光について都の見解を伺います。
 次に、小笠原の世界遺産登録について伺います。
 東京都議会第二回定例会のポスターには、小笠原諸島母島南崎の写真を背景に、東京の貴重な自然を次世代にと書かれています。来年夏の世界遺産登録を目指す小笠原諸島を紹介していただき感謝申し上げるとともに、東京都議会を挙げてのさらなる応援をお願いしたいと思います。
 さて、小笠原諸島は、世界自然遺産の項目のうち、地質・地形、生態系、生物多様性の三つもの項目に該当するといわれています。この世界的にもたぐいまれな小笠原の自然を適正に保全管理していくため、世界自然遺産登録の推薦に当たり、小笠原諸島管理計画が策定されました。
 その中では、外来種の駆除や侵入拡散の防止、東京都版エコツーリズムによる利用人数制限など、行政の施策に加え、小笠原諸島にふさわしい自然共生型のライフスタイルと産業の確立に向けて、農業やペットの飼育の際の外来種対策など、村民生活にかかわる事項も記載されています。
 この管理計画に掲げられている取り組みを着実に推進していくことが必要ですが、その際、村民の暮らしと自然環境の保全との両立を図っていくことが重要であり、そのためには行政機関だけではなく、村民やさまざまな関係者の協力が欠かせないものとなります。今後、どのように関係者の理解と努力を得ながら、世界遺産にふさわしい小笠原諸島の自然を守っていくのか、所見を伺います。
 次に、島しょ地域の農業、水産業の振興についてお尋ねします。
 島しょ地域では、農業と水産業が島の基幹産業となっています。しかし、強風や高波で農作物や漁業施設などがしばしば被害を受け、また輸送が安定しないなど、厳しい状況に置かれています。
 島しょ地域の農業者や漁業者は、このような厳しい自然環境のもとでも、みずから土地を耕し、漁に出て、生産を向上させ、生活を豊かにすることが、家族と島を守ることであると信じ、一生懸命に取り組んでいます。私は、こうした人々の営みをしっかり支えていくことが、島の産業振興にとって何より重要であると考えています。
 そこで、厳しい自然環境のもとで営まれている島しょ地域の農業に対し、都はどのような支援を行っているのか伺います。
 次に、水産業について伺います。
 島しょ地域では、昭和六十年代に比べ漁獲量が半減し、さらに価格の低迷などにより水産業は厳しい経営を強いられています。
 都では昨年三月に水産業振興プラン(海編)を改定しましたが、現在どのような取り組みを行っているのか伺います。
 ところで、近年、魚離れが進んでおり、水産物の消費も低迷しています。このような状況の中、島しょ地域の関係者は地元水産物の消費拡大を図るため、既に加工品の開発など、独自の取り組みを進めています。都としても、魚の食べ方やその魅力などについて情報を発信するなど、こうした島の取り組みを後押しすべきと考えます。
 そこで、都では、島しょ地域の水産物の消費拡大を図るため、どのような取り組みを進めているのか伺います。
 最後に、都市緑化について伺います。
 島から飛行機で調布飛行場に向かいますと、都会のところどころに緑が見られますが、その一つが都立神代植物公園です。都市の緑化を推進するためには、植物に親しみ、植物に対する知識を伝え、都市緑化の必要性を多くの都民に理解してもらうことが必要です。
 神代植物公園は昨年六月、世界バラ連合から優秀庭園賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を得ている植物園であり、年間七十万人もの来園者があると聞いています。こうした神代植物公園を活用し、都市緑化の重要性を伝えることは大変意義のあることと考えますが、所見を伺いまして質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三宅正彦議員の一般質問にお答えいたします。
 島しょ地域の医療についてでありますが、島しょ地域の医療は、遠隔地であるという地理的条件や、人口が極めて少ないなどの社会的条件による制約もありまして、非常に厳しい環境に置かれており、医師、看護師等を確保し救急医療、専門医療を提供していくためには、島しょ町村みずからの努力に加えて、やはり都の広域的な支援が必要であります。
 それにしても、島という天候次第によっては孤立する地勢的な条件がありまして、例えば私が非常に親しくしておりました八丈島在住の陶芸家の青木先生などは、心臓の病で倒れたんですけれども、ヘリが緊急に飛べずに一日待ったことで残念ながら亡くなったという経験もございます。
 このため、都は、大学病院等の協力による医師の派遣、東京消防庁や海上自衛隊のヘリを活用した救急患者の迅速な本土への搬送、画像伝送システムによる専門診断などの支援を行っております。
 引き続き、島しょの町村と連携して、医師確保はもとより、専門的、財政的支援を行うとともに、まさに都民の命綱ともいえる救急医療を支えるなど、島しょ地域に生活する方々の安全・安心を確保していかなくてはならないと思っております。
 やはり、同じ東京に住む同じ都民でありますが、島に住んでいらっしゃる方々が背負っているハンディキャップといいましょうか、そういうものを私たちも理解しなくちゃいけませんが、例えば、島の急患を受け入れる都立広尾病院など、せっかくヘリポートをつくっても、周りの住民が、ヘリが飛んでくるとやかましいからやめろという、ばかな要するにクレームがつきまして、それははねのけましたが、それ以前は、とにかく島から運んできた急患をわざわざ羽田でおろして、羽田から救急車で運ぶというばかなことをしておりました。
 これはやっぱり、同じ都民であります周りの住民の理解がそういうバリアをつくったわけでありますけれども、こういったものも反省して手直しいたしましたが、いずれにしろ、やはりいろいろなハンディキャップを背負って住んでいらっしゃる方々を同じ都民として、同じ国民として、市民として共感して支え合うことが私は必要だと思います。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、定期船の就航率向上の取り組みについてでございます。
 都はこれまで、一つの島に二つの港を、または一つの港に二つの突堤式岸壁を設け、風向きや波の大きさに応じて使い分けができるよう港湾整備を推進してまいりました。
 しかし、伊豆・小笠原諸島は、我が国でも特に厳しい気象海象条件のもとにあり、他県の離島と比較しても、交通アクセスの利便性はなお低い水準にあります。このため、利島、神津島では、岸壁を囲む新たな防波堤を整備し、高速船の就航率の向上を図っていきます。また、八丈島などでは、既存の防波堤を屈曲させて延伸するとともに、地形的に港湾の整備が困難な青ヶ島でも二本目の岸壁整備に着手し、貨客船の就航率を高めていきます。
 今後とも、港湾機能のさらなる向上に計画的に取り組み、島民の安全・安心で豊かな生活の実現に寄与してまいります。
 次に、船客待合所の機能の充実についてでございます。
 都では、港湾等の施設を最大限に活用し、観光振興やにぎわいの創出などを図るため、船客待合所の建てかえに当たり、さまざまな機能を持たせる取り組みを進めております。
 来月オープンする新島港船客待合所は、イベント等に利用できる開放感あふれるホールを設けるとともに、観光案内所の設置など、サービスの機能の充実を図ったところでございます。
 現在建てかえを検討中の三宅島阿古漁港の船客待合所では、二十五年度開催の東京国体でトライアスロン会場になることから、島のイメージアップが図れるようデザインに工夫を凝らすとともに、村の研修施設を合築し、島民等の交流拠点としての機能をあわせ持った施設といたします。
 今後、船客待合所の建てかえの際には、地元の要望や島の特性を生かし、島の活性化に寄与するよう努めてまいります。
 次に、三宅島航空路線の就航率向上についてでございます。
 都は、火山、気象などの学識経験者や運航事業者などから成る三宅島空港安全運航検討会を設置し、就航率の向上策について調査検討してまいりました。この結果、本年六月には、火山ガス情報提供システムをガス放出量の減少傾向を踏まえ改良し、ガス拡散予測シミュレーションをより実態に即した精度の高いものにいたしました。また、運航事業者である全日本空輸株式会社も運航判断時の予測時間短縮などを八月から行う予定であります。
 さらに今年度、ガス放出量をより正確に把握するため、ガスの常時観測など、観測体制強化を検討するとともに、ヘリコプターによるガス拡散状況観測を実施し、情報提供システムのさらなる改良に取り組んでまいります。
 就航率を大幅に改善するためには、ガスの放出量のより一層の低減が必要でございますが、現状でとり得るさまざまな方策を講じることにより、就航率の向上に努めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、これからの島しょの観光振興についてであります。
 島しょ地域は、ダイナミックな自然景観と豊かな生態系、島ごとに異なる歴史、文化など、多様な観光資源を有しております。
 今後、さらに島しょの観光を振興するためには、それぞれの島が特徴ある観光資源を生かした個性的な取り組みを一層展開していくことが重要であります。既に新たな観光資源として活用し得る、例えば大島のジオパーク認定や小笠原諸島の世界自然遺産の登録などの取り組みが各島で始まっております。
 都では、こうした各島の取り組みを支援するという考え方に基づき、これまでも島の個性的な魅力を生かして開催される各種イベント、郷土料理づくりなどの体験プログラムの開発、遊歩道の整備などについて、町村や団体が行う主体的な取り組みを支援してまいりました。
 今後とも、島しょ観光の活性化のため、新たな観光資源を活用したツアー開発やアドバイザーの派遣、施設整備などのハード、ソフト両面からの取り組みに対し、きめ細かな支援を積極的に行ってまいります。
 次に、島しょ地域の農業に対する都の支援についてであります。
 島の基幹産業である農業の振興は重要であり、厳しい自然環境に対処するとともに、生産性向上や安定出荷へ向けた対策を進めていく必要があります。このため、都では、農道や農地、農業用水の整備による生産基盤の強化、栽培用施設の設置による強風被害の緩和、保冷施設や輸送用の保冷コンテナの整備による出荷時の品質保持などの取り組みを支援しております。
 また、島しょ特産のアシタバにつきましては、価格が下落した場合に補給金を支払う都独自の支援を行っております。
 今後とも、各島の気候風土に適した農作物の導入支援や栽培加工技術の普及指導などにより、島しょ地域の農業振興を図ってまいります。
 次に、島しょの水産業の振興についてであります。
 都では、都民の食を支え、その生活を豊かにする水産業を目指して、昨年、水産業振興プラン(海編)を改定し、島しょの水産業振興に取り組んでおります。本プランに基づき、水産物の鮮度を維持するための冷凍冷蔵施設や保冷コンテナの整備、魚を集め漁業操業の効率化を図る魚礁の設置、水産資源の維持増大を図るための貝類、魚類の種苗放流などの取り組みに支援を行っております。
 さらに、新たな漁場開拓や漁業資源の調査研究、また、悪質化、多様化する違法操業を防止するための船舶、航空機による漁業取り締まり等にも努めております。
 今後とも、各島の置かれている自然環境や漁業の実情に応じてきめ細かな対策を講じ、島しょの水産業の振興を図ってまいります。
 最後に、島しょ地域の水産物の消費拡大についてであります。
 水産物の消費拡大を図るためには、魚離れの進んでいる若年層を中心に、魚を対象とした食育活動を進めていくことが大切であります。このため、都では昨年度から、水産業振興プランに基づき、区部、多摩地域を中心として、主婦層や子どもたちなどを対象に東京産水産物の魅力を直接伝えるぎょしょく普及事業を展開しております。
 このうち、島の魚を使った料理教室を行う東京の魚の食べ方プロデュースでは、主婦層を中心に千人を超える参加がございました。また、八丈島漁業協同組合の女性部の方々が講師となり、魚のさばき方や漁村の文化等を小学校の子どもたちに伝える、浜のかあさんと語ろう会では、五校で五百人以上の子どもたちに授業を行っております。いずれも好評でありまして、今年度は開催回数をふやすなど事業の充実を図っているところでございます。
 今後とも、東京産水産物の情報を直接都民に発信し、その魅力を伝えていくことで、将来の消費拡大につなげてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 小笠原の世界自然遺産登録についてお答えいたします。
 小笠原の貴重な自然を守るためには、村民や事業者のだれもが、そのすぐれた自然環境の価値とその保全管理の必要性を深く理解し、自然と共生したライフスタイルを推進していくことが必要であります。
 このため、世界遺産の推薦に当たり策定した管理計画の実施に当たりましては、村民や事業者などから意見や提案を幅広くお聞きし、自然環境の保全と暮らしとの両立が図られるよう調整していくとともに、地域連絡会議などのさまざまな機会を活用しまして、村民や事業者などの深いご理解と協力を得てまいります。
 こうした活動を通じまして、お話のように、関係者が共同して管理計画に掲げられた取り組みを着実に進め、小笠原の自然環境が適正に保全されるよう努めてまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 神代植物公園を活用した都市緑化の重要性の普及についてでございますが、都市緑化は、都市に安らぎと潤いを与え、ヒートアイランド現象の緩和や温暖化対策など、快適な都市環境を創出する上で不可欠でございます。
 神代植物公園は、バラや江戸時代に品種改良された貴重な園芸植物など四千八百種、十万本の植物を有している国内屈指の植物園であり、中でもバラの栽培技術は、四十一カ国が参加した世界バラ会議において最も栄誉のある優秀庭園賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けております。こうした技術を活用し、庭園や生け垣の見本展示、植物栽培に関する講習会を実施するなど、都市緑化の普及に大きな役割を果たしております。
 また、神代植物公園がこれまで取り組んでまいりました小笠原の絶滅危惧植物を守る活動を紹介する企画展や、花や緑の魅力を来園者に直接伝えるガイドツアーなどにより、一層魅力向上に取り組んでまいります。
 平成二十二年度は、限られた歩道空間にも植栽できる街路樹など、さまざまな需要にこたえる新たな樹種を展示する街路樹モデル園や、地産地消を奨励する都内産植木の市のための場を提供し、都市緑化のさらなる普及に努めてまいります。
 今後とも、神代植物公園のフィールドと技術力を一層活用し、都市緑化の重要性を広く伝えるとともに、その推進に貢献してまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 百二十四番中村明彦君。
   〔百二十四番中村明彦君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百二十四番(中村明彦君) それでは、質問いたします。
 本年十月十八日から、愛知県名古屋市でCOP10、生物多様性条約第十回締約国会議が開催されます。
 そのホームページから引用すれば、現在、世界じゅうで数多くの野生動物が絶滅の危機に瀕しております。IUCN、国際自然保護連合がまとめた二〇〇九年版のレッドリストには、絶滅のおそれの高い生物種として八千七百八十二種の動物や八千五百九種の植物がリストアップされております。
 日本においても、二〇〇六年から二〇〇七年に公表された環境省版レッドリストに三千百五十五種が絶滅のおそれのある生物種として掲載されております。
 このような状況により、現代は恐竜の絶滅以来の第六の大絶滅時代にあるといわれているのであります。しかも、一年間に約四万種といわれる現在の絶滅のスピードは、恐竜時代の絶滅速度よりはるかに速いのであります。
 こうした生物種の減少の原因のほとんどが開発や乱獲、外来種の持ち込みなど、人間の活動にあるといわれております。人間は、地球生態系の一員として他の生物との共存を求められているのにもかかわらず、一方的に生物に影響を与え、絶滅の危機を引き起こしているのであります。
 私たちの生活に必要な生き物でなければ別にいいと思われている方もいるかもしれません。しかし、すべての生き物はつながり合って生きており、思わぬところで私たちの生活に影響を与えるかもしれないのであります。
 東京都においても、平成二十三年度の生物多様性東京戦略の策定に向けて現在検討中であると聞いておりますが、緑施策だけではなく、このような生物多様性の重要性について都民に対して普及啓発の充実を図るなど、幅広い対策を展開していただきたいと思います。
 このような認識のもと、以下の質問をいたします。
 私は以前、平成二十年第三回定例会において、パンダの件で質問をさせていただきました。
 パンダも、さきに述べたIUCN、国際自然保護連合のレッドリストに掲載され、絶滅の危機にあるとされ、その保護育成が必要であるとされております。
 そこで、今回再度、ジャイアントパンダ導入についてお尋ねをいたします。
 昭和四十七年十月に日中国交正常化を記念して、ジャイアントパンダ二頭が上野動物園に来園しました。雄の名前はカンカン、雌の名前はランランと名づけられ、多くの日本の国民に愛されました。
 来園から二年目の昭和四十九年の年間入園者数、これは七百六十四万人を記録し、東京都内はもとより日本国じゅうがパンダ来園に沸き、地元商店街は活気にあふれ、パンダ来園の波及効果は高度経済成長の一翼を担ったものであります。
 以来パンダは上野のシンボルとなり、上野とパンダは切り離して考えることはできないほどとなりました。また、WWF、世界自然保護基金のシンボルマークとして活用されてもいます。
 平成二十年四月三十日にリンリンが死亡してから実に二年の間、上野動物園のパンダ舎にはジャイアントパンダが不在となり、パンダ舎にはレッサーパンダが居住をいたしております。そこを訪れる子どもたちは、パンダはどこにいるの、何でレッサーパンダなの、本当のパンダに会いたいという声が多く聞かれました。
 そこで、地元台東区では、パンダ再来園を切望して、署名活動や陳情書、小学生はパンダの絵や寄せ書きをして都知事にパンダを呼んでほしいと訴えました。また、二十三区議会議長会でも、東京都に対してパンダ導入の要望をいたすことがあったのであります。
 こうした多くの方々からの熱望を受け、都知事も交渉の端についたことは、さすがに都民目線で政治を行っているものと高く都知事を評価するものであります。
 そこで、現在中国側との交渉の中で、どのような協議を行っているのかをお伺いいたします。
 パンダは現在、国際自然保護連合が発表した絶滅のおそれのある生物リスト、レッドリストに掲載されていることはさきにも述べましたように、現在二千頭に満たない生息数というのが現状であり、保護育成が必要であるとされております。
 そのためには、パンダ保全の国際的な支援を行うため、中国ジャイアントパンダ繁殖技術委員会年会が毎年開催され、生息地の保全と繁殖を目的として、アメリカ、スペイン、オーストリア、タイ、オーストラリア、そして我が国日本の六カ国で十カ所の動物園がパンダを飼育し、中国に対して保護資金を提供しているのであります。
 そこで、中国側に提供するパンダ保護資金が具体的にどのように使われることになるのか、これをお伺いいたします。
 本年二月には、都知事は記者会見でこう述べられておりました。非常に強い要望があちこちからあった。子どもたちの人気が集中するようですから、それを備えることもやぶさかではないとして、パンダを受け入れようと発表されました。それ以来、都は積極的に中国側の中国野生動物保護協会と交渉を進めてまいりました。
 しかし、正式調印をしなければ、確実にパンダが上野動物園に来園すると決まったわけではありません。上野動物園がある地元や小学生たちも手放しで安心できるものでもありません。
 もちろん、相手が動物なので、雄、雌の相性を見きわめなければならなく、また、健康状態やワシントン条約に定められた国際手続の進め方など諸問題があることは十分承知しておりますが、早急に調印を行って子どもたちの願いを実現させ、安心させていただきたいと願うものであります。
 そこで今後、どのような準備をして、いつごろ導入されるのかをお尋ねいたします。
 また、パンダが導入されたときには、レッドリストに掲載されている希少動物の保全の大切さを訴える絶好の機会となります。温暖化による地球環境の破壊、CO2削減の推進など、動物を通して子どもたちから大人たちまでが、また外国からの観光客にも、地球を守り大切にすることの意義を伝え、環境保全の啓発につなげていかなければと考えます。その役割は、日本一の入園者数を有し、世界的にも優秀な飼育員を有する上野動物園だからこそできるのであり、積極的に取り組んでもらいたいと考えております。
 そこで、上野動物園では、希少な野生動物の保護育成、地球環境の保全について、パンダを通じてどのような啓発活動を行っていくのかをお伺いいたします。
 次に、小笠原諸島の世界自然遺産登録申請について質問をいたします。
 小笠原諸島については、平成十九年一月、世界に例を見ない地形、地質を有し、多くの固有種、希少種が生育する特異な島しょ生態系を形成していることから、政府ユネスコの世界遺産委員会へ自然遺産の暫定リストを提出いたしました。そして、本年一月二十六日には世界遺産委員会へ推薦書を本提出いたしました。
 本推薦書を提出するに当たっては、平成十八年十一月に小笠原諸島世界遺産候補地地域連絡会議、同じく科学委員会を設置し、会議を重ねてまいりました。科学委員会は、大学教授を中心とした学識経験者や行政機関で構成され、固有種の保護管理に関して、科学的な観点から現在まで十二回の会議を積み重ねてまいりました。また、地域連絡会議においては、地元小笠原諸島の商工会、観光協会やNPO団体を中心として、管理計画実行のための検討や外来種対策の検討を現在まで十二回の会議を開催されてきたと伺っております。推薦書の提出に至ることができたのは、その成果のたまものではないかと考えるところであります。
 現在、日本国内における自然遺産登録は、屋久島、白神山地、知床の三カ所であり、文化遺産は琉球王国のグスクを初めとして十一カ所が登録されております。
 小笠原諸島は、東京都では初の世界自然遺産登録申請となります。小笠原諸島は、オナガミズナギドリやカツオドリなどの海鳥の繁殖地にもなっており、国の天然記念物のシマアカネやオガサワラシジミ、オガサワラトンボ、オガサワラゼミなどが生息しております。これら島固有の動植物を守っていかなければならないと思います。
 世界遺産に登録された場合、観光希望者が今より多くなることは歴然といたしております。そのこと自体は拒むものではありませんが、観光客によって自然を破壊されるおそれや外来種を持ち込まれるおそれが生じてきます。そうならないための対処をどのように講じていくのかをお聞かせください。
 私は先般、環境・建設委員会で五月に白神山地のブナ林の視察をしてまいりました。平成五年に日本初の世界自然遺産として登録された地域であります。そこでの説明員の方、二名に案内されて行きましたが、青森県の職員を退職された後、ボランティアとして自然保護を生きがいとしている方々であり、一つ一つの動植物に対する強い情熱を感じ、深く感銘を受けたのであります。
 東京都では、平成十六年から自然公園を中心とした地域における自然の保護と適正な利用、管理を行う目的で、都独自のレンジャー制度を創設いたしました。正式名称は東京都自然保護員、いわゆる都レンジャーとして、現在十八名が多摩地域と小笠原地域で活動をいたしております。都レンジャーは九カ所の地域で活動いたしておりますが、秩父多摩甲斐国立公園、明治の森高尾国定公園、高尾陣場自然公園を初めとした多摩地域の国立公園、国定公園、都立自然公園に十二名が配置されております。そして、小笠原国立公園には六名が配置されています。
 小笠原諸島において都レンジャーの活動の一端を紹介させていただきますと、父島と母島に三名ずつ、計六名が配置され、観光客による固有種の盗掘等の不法行為の防止、過剰利用やマナー違反の注意、遊歩道や自然公園施設を安全に利用できるようにするための指導標識や案内板の補修、点検及び破損箇所や危険箇所の応急補修などを行っております。
 そして、近接する南島を初めとして、数多くの島の外来種の駆除や、固有動植物の生息状況の調査、外来種の生息状況の調査を行い、定期船の入出港の際にも立ち会い、小笠原からの違法な持ち出しや外来種の持ち込み警戒など、それは多岐にわたっての活動であります。
 世界遺産登録を目指す小笠原諸島においては、喫緊の課題である外来種対策や、観光客の増加による自然への影響を最小限に抑えるため、小笠原諸島における都レンジャーの役割がますます重要になると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、東京都では、都レンジャーを支援するボランティアとして、サポートレンジャーがおります。現在、多摩地域において百二十名余りの方々が活動していると聞いております。先ほど述べました白神山地は、範囲が広いとはいえ、陸続きの一つの地域であります。しかし、小笠原諸島は父島、母島など大小多数の島から成り、自然を保護管理していくには六名の都レンジャーでは余りにも面積が広く、行き届かなくなる面があるのではないでしょうか。
 そこで、都レンジャーの増員が必要であると考えますのと同時に、小笠原諸島にもサポートレンジャーの導入を図り、世界遺産に登録申請している小笠原諸島の自然を守っていく体制を構築していくべきと強く要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 中村明彦議員の一般質問にお答えいたします。
 ジャイアントパンダに関する四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中国側との協議についてでございますが、希少な野生動物の象徴であるパンダを導入し、繁殖への取り組みや展示を行うことは、種の保存や来園者の自然保護への理解を深める上で重要でございます。
 本年二月に、パンダ繁殖研究プロジェクトの実施期間や保護資金の額など、中国側と基本合意に至りました。これを受けまして、現在、協定書の調印に向け、パンダ繁殖研究プロジェクトの進め方や役割分担について、最終的な調整を行っております。
 次に、パンダ保護資金についてでございますが、この資金は、生息地を保全するための保護事業のサポート及び中国パンダ保護研究センターにおける繁殖や健康管理に関する科学研究業務などに使われるものでございます。
 次に、今後の準備と導入の時期についてでございますが、協定書締結後、受け入れ準備として、日中双方がワシントン条約に基づく輸出入の許可申請を行い、輸送に関する準備や検疫等を行います。並行して、パンダ舎の老朽化した設備の更新や改修を行うこととしており、このため、パンダの導入は平成二十三年早期を予定しております。
 最後に、希少な野生動物の保護等に関する啓発活動についてでありますが、これまでも都立動物園では、国内外の動物園や研究機関と連携し、希少な野生動物の保護増殖や生息地保全の支援に努めてまいりました。
 これらの取り組みをわかりやすく伝えるため、恩賜上野動物園を初めとする都立動物園では、ゴリラやトラの生息地の危機的な状況を解説するパネルや、オランウータンの保全活動に関するシンポジウム、小学生を対象にツシマヤマネコの生態を学ぶ講座など、希少な野生動物の保護に関する啓発活動を実施しております。パンダ導入に当たりましても、同様にパネルや映像を利用しまして、来園者に希少な野生動物の保護の必要性と生物多様性保全の重要性を伝えてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小笠原の観光客の増加への対応についてでありますが、小笠原の貴重な自然環境の保全管理を適正かつ円滑に進めるためには、世界自然遺産の推薦に当たって策定した管理計画を着実に実行していくことが必要であります。
 具体的には、観光客の増加による自然の破壊を防ぐため、利用人数や利用ルートの制限を定めた東京都版エコツーリズムを推進してまいります。また、観光客による希少動植物の捕獲や外来種の侵入を防止するため、東京都レンジャーによる巡回や指導を進めてまいります。
 今後も関係者と連携しながら、都独自の先進的な取り組みを推進し、観光とも調和を図りながら、小笠原の自然を守ってまいります。
 次に、小笠原における東京都レンジャーについてでありますが、世界自然遺産の価値である独自の生態系や固有種を守る上で、都レンジャーの役割は今後ますます重要となっていきます。そのため、外来種の侵入拡散防止に向け、都レンジャーによる定期船の発着時の荷物確認や、マットでの靴底洗浄の指導を徹底してまいります。
 また、観光客の増加による自然の破壊や盗掘を防止するため、観光事業者への指導、観光客への利用マナーの普及啓発を強化してまいります。さらに、都レンジャーによる自然環境の継続的な観測、監視を強化しまして、その状況の変化に対応した保全対策を的確に講じてまいります。
 今後も、都レンジャーの専門能力や機動力を生かして、世界自然遺産にふさわしい小笠原の自然を守ってまいります。

議長(田中良君) 二十五番星ひろ子さん。
   〔二十五番星ひろ子君登壇〕

○二十五番(星ひろ子君) 二〇〇〇年の分権改革では、機関委任事務を廃止し、国と地方を上下、主従の関係から対等、協力の関係に変え、自治体の権限を拡大したとされています。しかし、現状はこれまでどおり、縦型の関係を払拭し切れないように見えます。
 地方分権はもとより国から一方的に与えられるものではなく、地域がイニシアチブを発揮することこそ重要です。都はこれまで、ディーゼル車の排出ガス規制などの環境政策を打ち出し、全国の自治体に先駆けて都独自の取り組みを実践してきていることは評価します。
 現在、国は区市町村への権限移譲、法令による義務づけなどの見直しや、出先機関改革などについて検討を行い、地域主権推進一括法の制定に向けた取り組みを進めようとしているところです。地方分権を進めるためには、国が地域の声を聞き、地域の実情に応じ、その意見を尊重すべきです。
 そこで、国に先駆けてさまざまな施策を展開している都として、国の地方分権改革への取り組みについて、知事のご見解を伺います。
 地域の実情に応じた施策を構築するためには、都政への市民参画をさらに推進することが重要です。しかし、都政における市民参画は基礎自治体よりもかなりおくれているといわざるを得ません。都政モニターや見学会など、都民の参加の場面は拡大されてきていますが、これだけでは参画としては不十分です。
 そこで、参画の場として審議会等への公募委員の登用について伺います。
 知事の諮問機関である審議会等は、法律や条例により、その制度を適正に運用していくために必要として設置されているものであり、都民目線での議論が求められます。今回、改めて一般都民の参画を調べてみると、公募で委員を募っている審議会等は余りに少ないことがわかりました。
 都は、一般都民の公募についてどのように考えているのか、また、公募に応じて審議会等に参加した都民委員が発言しやすい会議運営ルールをつくるなど、公募委員の積極的活用を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、いわゆる充て職の団体代表や特定の学識経験者を多用する審議会のあり方は再検討すべきであり、次代を担う若者の政治への関心を高めるためにも、青少年の参画の機会をふやすことを要望します。
 さて、生活者ネットワーク・みらいは、四月にイギリス、オランダに調査研究に行ってまいりました。そこから教育と精神保健について質問します。
 ユニセフの調査で、子ども自身が実感する幸福度が先進国で第一位というオランダは、教育の分権、自由化が確立し、モンテッソーリ、シュタイナー、イエナプランなどの教育ビジョンに基づき、地域主体で学校が設立、運営されています。高校まで公立、私立とも授業料はなく、大学入試もありません。私たちが注目したのは、徹底的な個別教育と学ぶ機会の保障、やり直しのできる教育環境です。中等教育、高等教育とも、子どもたちの力や希望によりさまざまなコースが選択でき、途中でコース変更も可能で、サポートも充実しています。大学に進むルートにも、直進、迂回路、敗者復活というさまざまな方法があります。子どもの境遇や育ちの進度の違いに十分配慮された仕組みで、そもそも落ちこぼれは存在しにくく、大いに参考になりました。
 一方、我が国においては、今日、経済格差と学力格差、不登校、ニートなど、子ども、若者をめぐる問題が山積しています。そこで、東京都の若者支援について、都立高校の現状と課題から質問します。
 東京都教育委員会は、三月二十六日の定時制二次募集試験で三百人以上の不合格者が出たことによる緊急の措置として、四月に入ってさらなる追加募集を行いました。しかし、今回の追加募集は、普通科、専門学科合わせて十校、各三十人ずつという限られたものであり、特に不合格者が多かった多摩地区では、商業科の一校しか追加募集がありませんでした。この結果、募集定員三百人のところ、応募者は百三十六人で、志願者のニーズとのミスマッチは明らかです。
 今後、経済不況、高校無償化などにより、都立高校は全日制、定時制とも志望者がふえる可能性があります。来年度はどうしていくのか、ご所見をお聞かせください。
 今日の定時制高校は、全日制を希望しても入れなかった生徒、不登校で学校生活になじめなかった生徒など、勤労青少年だけでないさまざまな若者の受け皿となっています。さらに、障害を持つ子どもたちも少なからず在籍していると聞いています。こうした特別の支援が必要な生徒がいる定時制高校に対して、都教委はどのような支援を行っているのか、お聞きします。
 ロンドン、アムステルダムの子ども、若者支援は、どちらも、リスクを抱えた子どもたちこそ十分な教育をというのが共通の考え方でした。高校無償化が実現した今、高校は、希望すればだれもが学べる場でなくてはなりません。障害のある子どもや不登校ぎみの子ども、さらには一たん退学しても再び学びたいという意欲を持った人へのやり直しを応援する、そうした学校は、定時制だけではなく、多様な受け皿が求められています。
 教育庁は、五年ごとに都立高校に関する都民意識調査を行っています。今後、高校改革の検証には社会の変化や都民意識の要望を取り入れるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 最後に、精神保健医療について伺います。
 イギリスでは、ブレア政権のとき、サッチャー政権下で荒廃した保健医療サービスの改革を行い、がん、心臓疾患、精神疾患を最優先課題とし、精神保健医療費を一・五倍に増額し、この十年間の取り組みを進めてきています。
 私たちは、ロンドン市にあるイギリス最大の当事者・家族会の支援団体リシンクの事務所を訪ね、これまでのリシンクの活動やイギリスの精神保健医療などについて聞いてまいりました。
 イギリスでは家族やユーザーの求めているサービスの開発に積極的に投資をし、早期介入サービス、危機対応サービス、家族支援サービスが政策として具現化されてきました。そのために専門家の養成に多くの予算をつけ、精神看護士、心理療法士、医師などチームで支援にかかわり、医療中心のシステムから精神保健を重点とした政策へ転換し、地域で生活する精神障害者を支えています。
 都としても、精神障害者が地域で安心して生活できるよう、地域における対応力向上のための人材育成に力を入れていく必要がありますが、見解を伺います。
 また、精神疾患の方は、病気にかかってから未治療期間が一般的に長いというふうにいわれています。統合失調症の場合など、子どもや青年が最初から精神科に来ることは少なく、早期に適切な医療機関につなげることにより、未治療期間を短くすることが非常に大切です。今後の取り組みの方向性として、速やかに適切な支援や治療を受けるための仕組みをつくっていくべきと考えますが、ご所見をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 星ひろ子議員の一般質問にお答えいたします。
 国の地方分権改革の取り組みについてでありますが、今からおよそ百四十年前、徳川幕府が倒れて、大名が払拭され、かわりに中央政府が命じた県知事が赴任していって、中央の指令のままに地方を牛耳る体制ができました。これは太政官制度というわけですけれども、まだ新憲法も発布される前のことでありますが、以来続けてきた中央官僚の全国支配にようやく批判というものが醸し出してきました。自民党の時代には地方分権、現政権になりましてからは、民主党政権は地方主権という大変耳ざわりのいい言葉が唱えられておりますけれども、しかし、依然としてその中央官僚の陰湿な実質的な支配が続いている感は否めません。
 副知事になってもらった猪瀬さんも苦労されてつくった丹羽さんの地方分権推進委員会の報告も、盛られた、削減すべき人間の数字、あるいは金目の問題なんかもすべてネグられていて、非常に抽象的な形でくくられている感じがいたしますが、今の政権も、あの地方分権推進委員会が勧告した内容を二番せんじで重ねて議論をしているという感じが否めません。そればかりか、政治主導といいながら、霞が関の抵抗をなかなか排除し切れずに、国が地方を縛ってきた義務づけ、枠づけの見直しなど全く不十分なまま、今続いているわけであります。
 さらに、東京の立場で申しますと、何を思いついてか、これからの住みやすい市街の形成をしていくために必要な用途地域というものを決定する権限を基本自治体に分与すると。耳ざわりはいいんですけれども、例えば東京の場合でいいますと、二十三区も区ごとにそれになるわけですが、これはこの間も原口君にもいったんですけれども、考えてみてくれと。二十三区の広さと独立した横浜市あるいは大阪市は全くほとんど同じ大きさでありまして、それとこの二十三区という、特別区というものを基本自治体としてとらえて、そこにこういう権限を分与しますと、もう都市の計画なんか実際にできなくなるわけでありまして、こういった前後左右とも見定めない、非常に軽率な思いつきというものは、私は東京にとって非常に迷惑千万なものであると思っています。
 地方の意向や実情を無視して、一方的に国の考え方を押しつけようとする姿勢というのは、まさにこれは中央集権的でありまして、とても見過ごすことはできないと思います。地方分権、地方主権がかけ声倒れにならないように、首都東京を預かる知事としても、今後も必要なことは国にはっきり申していこうと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立高校における生徒の受け入れについてでございますが、都立高校は、生徒の多様な適性や能力に対応できるよう、全日制、定時制を問わず、さまざまな学科やコースを設置しております。また、進学を希望する意欲と熱意のある生徒を一人でも多く受け入れることができるよう、地域バランスを考慮して十分な募集枠を設定しております。
 都教育委員会は、各都立高校の教育活動の特徴や具体的な入学者選抜方法等について情報提供を行い、生徒の適性や能力に合った適切な進路選択を支援するとともに、生徒数の推移や中学生の志望傾向等を踏まえて、希望する生徒を適切に受け入れるよう努めてまいります。
 次に、定時制高校における障害のある生徒の支援についてでございますが、すべての都立高校の定時制課程においては、特別支援教育コーディネーターを指名するとともに、校内に特別支援教育にかかわる委員会を設置して、障害のある生徒の指導方法や支援のあり方を研究するなど、適切な支援を組織的に行うよう、都教育委員会は各学校を指導してまいりました。また、学校の申請に応じて、平成二十二年五月現在、定時制二十校に必要な非常勤講師の時数も措置しているところでございます。
 次に、高校改革の成果検証についてでございます。
 都教育委員会は、都立高校に学ぶ生徒の多様化や社会の変化を十分に把握した上で、都民に信頼される魅力ある都立高校の実現を目指すため、平成九年、都立高校改革推進計画を策定し、これまで進学指導重点校やエンカレッジスクールを指定するとともに、チャレンジスクールを初めとする新しいタイプの学校を設置してまいりました。その結果、都立高校における大学進学実績の向上や、中途退学者、進路未決定者の減少を初めとする成果が上がっております。
 今後とも、都教育委員会は、都立高校改革推進計画の成果検証を着実に進めながら、社会状況や生徒、保護者を初めとする都民ニーズの変化を把握し、都民の期待にこたえる高校づくりを推進してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 審議会等への一般都民の公募及び活用についてでございますが、都は、附属機関等設置運営要綱の取り扱いにおきまして、附属機関の運営に当たりましては、幅広く各方面の人の意見を聞くことが求められるものであり、可能な場合は、都民からの公募を積極的に行うように努めることと定めております。この方針に基づきまして、審議会等の性格に応じまして公募委員を任命し、積極的なご発言をいただいていると考えております。
 今後もこの方針の考え方に沿いまして、審議会等の適正な運営がなされていくよう努めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、精神障害者を支える人材の育成についてでございますが、精神保健福祉センターでは、区市町村や地域活動支援センター等において、相談支援などに携わる職員を対象としたスキルアップのための研修を実施いたしております。また、地域の対応力を強化するため、今年度から実施しておりますアウトリーチ支援モデル事業では、精神保健福祉センターの医師、保健師等の専門職チームが、区市町村や保健所との密接な連携のもとに地域に出向き、精神障害者に対する支援を行うとともに、困難事例に適切に対応できる人材の育成を進めていくことといたしております。
 次に、精神疾患の早期発見、早期支援についてでございますが、精神疾患の方を早い段階で適切な支援に結びつけることは、症状の悪化を防ぎ、安定した生活を継続する上で大変重要でございます。
 このため、区市町村や保健所、精神保健福祉センターにおきまして、精神保健福祉相談を実施し、医療機関への受診等について助言指導を行いますとともに、困難事例につきましても早期受診につながりますよう、関係機関による事例検討会を開催いたしております。また、現在、東京都地方精神保健福祉審議会におきまして、精神疾患の早期発見、早期支援に向けた効果的な取り組みにつきましても検討を行っているところでございます。
 引き続き、早期に適切な支援につながるよう努めてまいります。

議長(田中良君) 八番土屋たかゆき君。
   〔八番土屋たかゆき君登壇〕

○八番(土屋たかゆき君) 初めに、教育の政治的中立について伺います。
 民主党日教組出身の輿石東参議院会長は、昨年の日教組新年会、七月六日の定期大会あいさつで、教育の政治的中立はあり得ない、政治を抜きに教育はないとあいさつをしています。この発言は、教育基本法、教育公務員特例法、さらに、いわゆる教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法に違反した発言であることは明白です。
 最後にご紹介した教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法は、山口県小学校日記事件など偏向教育が頻発したことを契機に国会で制定されたものですが、この事件は山口県教組の編さんによる、夏休みに児童が書く日記の欄外に書き込みがあり、それに対して児童が答えるという形式をとっています。
 その一例ですが、当時のソ連を、農民を苦しめたりしている資本主義とは正反対です、共産主義経済は利益を個人が我が物にすることは許されないと紹介し、アメリカや日本の資本主義とどこが違うのか、どこがよいのか、調べてくださいと書いてあります。つまり、ソビエト礼賛の一方、資本主義のよいところは飛ばして悪いところを調べろという、悪らつな生徒誘導の偏向教育の典型です。
 ここでお聞きしたいのは、こうした立法の趣旨からして、一般論として、教育の政治的中立はあり得ないとする見解は、これら教育関連法規の趣旨に反するものと思われますが、ご意見をお伺いします。
 さて、次に、外国人地方参政権について伺います。
 昨年行われた総選挙で、民主党は、政権交代の選挙、生活が第一といっていました。しかしながら、インデックス二〇〇九には、この外国人地方参政権や夫婦別姓法案など、国の形態を変え、家族の形態を変えるものが満載です。そのインデックス二〇〇九の背表紙には、議論の到達点と書かれていますから、この政策が民主党の目指す政策であることに間違いはありません。
 しかしながら、私が雑誌「WiLL」や「正論」で指摘したとおり、政権公約であるこのマニフェストにはそれらは触れられていませんし、国民を政府の監視下に置くファシズム法案、人権擁護法案などは文字を小さくし、目立たないように巧みにごまかしています。
 この外国人地方参政権について、選挙前から、当時の鳩山代表はインターネットサイトで、これはまさに愛のテーマ、日本列島は日本人だけのものではないと明言しています。では一体、この日本国はだれのものなんでしょうか。また、現在の岡田外務大臣も、外国人参政権の実現は悲願とまでいっています。ということは、当時の小沢幹事長も同様な発言をしていますから、選挙公約であるマニフェストに掲載するのは当然のことではないでしょうか。
 実際、選挙後、マニフェストに掲げられた公約は後ろにおいて、外国人地方参政権、夫婦別姓という主張が前面に押し出されました。それを知った国民の中から国民運動が盛り上がり、地方議会で反対決議が相次いだことで、一応、当面回避はしていますが、当時の山岡国対委員長は、参議院選後に、秋の国会では成立させると公言しています。
 では、参議院選のマニフェストに載せるかというと、五月七日、載せないと決め、インデックス二〇一〇もつくらないと、驚くべき決定をしました。批判を恐れて政党の政策集をつくらない政党があるのでしょうか。そして、秋には成立させると決意を述べておきながら、参議院選の争点になるから本来の主張を掲載しないマニフェストで選挙を戦うということは、国民を愚弄し、民主主義の原点である、政策を提示して政党間で議論を行い、国民の審判を仰ぐという基本ルールに反した行為といえます。
 さらに重要なことは、外国人参政権は民団への公約だと、一月十三日、当時の農水大臣である赤松氏が述べている点です。
 その中で赤松氏は選挙について触れ、全国各地でいろいろな形でお世話になったと述べています。一体、外国人の団体とどんな約束をして、どんな形のお世話を受けたのか、私たち日本国を構成する日本国民は説明を受けたいものです。
 竹島が不当に軍事占領されていることを民主党政府は抗議もせず、国家の主権に関することを外国人の団体と協議を進める。選挙でも支援をもらう。これも鳩山由紀夫氏の愛の政策であり、日本は日本人だけのものではないという主権意識欠落の延長なのでしょうか。
 ちなみに、最新の「週刊新潮」によれば、蓮舫大臣は参政権に反対だということであります。
 政策は正直にというのは当たり前のことです。その当たり前のことを書いただけで、私は不当に除名を受けましたが、こそくな方法で党の本心を隠すやり方は民主主義に反し、一方で、国旗・国家、皇室が大好きなスポーツ選手を候補者に擁立して話題を拡散するやり方は、国民の判断を誤らせるものです。
 さらに、民主党は、支持率の低下を回避するため、代表交代、小沢幹事長もかわりました。しかし、旧田中派七奉行の一人である小沢一郎氏は依然として党内にあり、代表の菅直人氏は、北鮮で英雄として切手になっている日本人拉致実行犯シン・ガンスの助命嘆願書にサインをし、また国旗・国家法案にも反対した人物であり、政権は革命政権としてさらにかじを左に切りました。知事のご見解をお伺いしたいと思います。
 次は、共産党による「赤旗」の勧誘についてお伺いします。
 これは、以前、自民党の鈴木一光議員が質問しておりますが、実際には改まっていません。
 一例を挙げます。○○先生から電話があり、ご昇任おめでとうございます、共産党○○局担当の○○です、「赤旗」日刊紙をとっていただけませんかといわれたと。断るのに勇気が要りましたといっています。これが実態です。自民党、公明党、民主党ではこのようなことは行っていません。自由意思で読んでいる方もいると思いますが、実際、議員からこうした勧誘を受けると職員は断りづらいというのが本音です。
 人権や内心の自由を殊さらに主張する一方、「赤旗」や「東京民報」などを押し売りして資金を得る。これは共産党の欺瞞的体質を端的に物語っております。いやしくも仮に共産党が民主主義の政党であるとするなら、議員を含め、このような行為は自粛するのが当然であります。(発言する者あり)
 以上、並びに石原慎太郎知事のご所見をお伺いいたします。ありがとうございます。反論があるなら、ディベートしましょうよ。提案します。だれでもいいからかかってきなさい。
   〔発言する者あり〕

○議長(田中良君) 土屋君に申し上げます。発言時間を既に超過しております。速やかにやめてください。

○八番(土屋たかゆき君) ディベートを提案しますよ。出てきなさい。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 土屋たかゆき議員の一般質問にお答えいたします。
 政治家や政党が国民に対してみずからの所信を示すことの重要性についてでありますが、政治家も政党も、みずからの理念、国家観を披瀝しつつ、国家としての針路や目指す社会の姿を国民に提起して、そのために必要な政策を示すのが当然の役割であり、また責任でもあります。
 今のご指摘をまつまでもなく、民主党にはちょっとそうした政治の基本が欠落しているような気がしてなりません。
 例えば、永住外国人の地方の参政権にかまけてでしょうが、鳩山総理は、日本列島は日本人のためだけのものではないということをいいましたが、これは、まあ言葉として非常に危険な、危うい、多くの疑問あるいは危険を招きかねない言葉だと思います。これは基本的に総理として、政権として国を守る意思も能力も欠いて、日本の安全を土台から揺るがすような言動だと思います。
 まあ、マニフェストというものはどれほどの拘束があるか、これは人によって判断が違うでしょうが、いずれにしろ、みずからが発した言葉にみずから拘束されて、いたずらに歳出を膨張させ、借金だけを置き土産にして、前首相は退陣したわけでありますが、一方で、質問にあるように、外国人参政権や夫婦別姓といった、国家や家族を根底から崩しかねない政策について、今回の参議院の選挙にはマニフェストにうたわないようでありますが、しかし、いずれにしろこれは、私は前から申しますが、絶対反対であります。
 今、こういう民主党の主張に乗っかって何が起こっているかと、皆さん凝視してもらいたい。例えば対馬、あそこに行きますと、近い釜山あたりから、地方の議員でしょうけれども、議員団もたくさん含めて、観光客がやってきますが、彼ら、特に議員たちがどういうTシャツを着ていますか。そろいのTシャツに何が書いてありますか。この対馬は韓国のものだと書いてある、そろいのTシャツを着て彼らは闊歩し、買い物をしている。こんな現象というのは、ほかの国のどこで起こりますか。
 こういった主権を侵害されかねない、そういう実情の中で、地方の参政権を永住している外国人に与える。その対象は恐らく韓国の人であり、北鮮の人であり、中国の人でありましょうが、私はこういった政策を殊さらに主唱するならば、それをはっきり今度の参議院の、ひとつ争点にしてもらいたい。国民は恐らくこれに反発するでしょう。
 いずれにしろ、選挙を前にして表紙を変えてみても、政党や政治家としての背骨を欠いて政策に裏表があるようでは、国民の信頼は得られないと思います。
 次いで、共産党の都の職員に対する「赤旗」の売り込みでありますけれども、これはやっぱり選ばれて出てきた議員さんに対する職員の立場というのは非常に弱いものだと思います。それにつけ込んで、一部でもとにかく「赤旗」を買えという強要があるとするならば、これは絶対に許されるべきものじゃないと思います。共産党も政党として、政治家として、当然の良識を取り戻し、みずからを厳しく律して、誤解や批判を招かないように、そうした行為を厳に慎むべきだと思います。
 他の質問については、教育長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 教育の政治的中立についてでございますが、教育基本法は、同法第十四条において、学校の政治的中立性を確保することを要請しております。とりわけ義務教育諸学校においては、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法により、教育職員に対し、特定の目的及び手段をもって党派的教育を行うよう教唆及び扇動することを禁止し、その違反者に刑罰を科すことをもって実効性を担保しております。
 この法律は、教育を党派的勢力の不当な影響または支配から守り、もって義務教育の政治的中立を確保するとともに、これに従事する教育職員の自主性を擁護することを目的として制定されたものでございます。こうした法の考え方を否定したり、ないがしろにするような見解は、法律の趣旨に反するものと考えます。

○議長(田中良君) 以上をもって質問は終わりました。

議長(田中良君) これより日程に入ります。
 日程第一から第十九まで、第百二十号議案、東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例外議案十七件、専決一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事佐藤広君。
   〔副知事佐藤広君登壇〕

○副知事(佐藤広君) ただいま上程になりました十九議案についてご説明申し上げます。
 初めに予算案でございます。
 第百十六号議案、平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)は、東京マラソン運営主体の法人化や、恩賜上野動物園ジャイアントパンダの導入など、一般会計予算で十億六千万円の補正を行うものでございます。
 第百十七号議案から第百二十二号議案まで及び第百三十二号議案、第百三十三号議案の八議案は条例案でございまして、すべて一部を改正する条例でございます。
 第百十八号議案、東京都組織条例の一部を改正する条例は、東京都のスポーツ行政をより総合的に推進するため、組織の整備を行うものでございます。
 第百十九号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、地方税法等の一部を改正する法律の施行に伴い、都たばこ税の税率を引き上げるとともに、環境負荷の大きい自動車に係る自動車税の税率の特例措置を二年間延長するものでございます。
 第百二十一号議案、東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例は、公立高等学校の授業料無償化に伴い、不徴収とすることが相当でない場合における都立学校の授業料の徴収対象者を定めるものなどでございます。
 第百三十二号議案、東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例は、保険料率の増加抑制のため、広域連合への交付事業を可能にするとともに、必要な基金積立額を確保するために拠出率を引き上げるものでございます。
 このほか、法令の改正等に伴い規定を整備するものなどが四件ございます。
 次に、第百二十三号議案から第百二十八号議案までの六議案は契約案でございます。
 第百二十三号議案、都立大泉高等学校・附属中学校(二十二)改築工事など、契約金額の総額は約百十三億九千万円でございます。
 第百二十九号議案から第百三十一号議案までの三件は事件案でございます。
 第百二十九号議案は、地方独立行政法人法に基づき、公立大学法人首都大学東京が達成すべき業務運営に関する中期目標が平成二十二年度に終了するため、新たに六年間の中期目標を定めるものでございます。
 第百三十号議案は、都立東京臨海広域防災公園の指定管理者を指定するものでございます。
 第百三十一号議案は、心臓衝撃装置、いわゆるAEDを交番等に設置するために買い入れを行うものでございます。
 次に、専決でございます。
 東京都都税条例の一部を改正する条例は、施行までの間に議会を招集する時間的余裕がないと認め、専決処分を行ったものでございます。
 上程になりました十九議案の説明は以上でございますが、このほか人事案を送付いたしております。
 まず、東京都人事委員会委員でございます。
 八月二十九日に任期満了となります岡田良雄氏の後任には、濱崎恭生氏を選任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会委員でございます。
 七月十二日に任期満了となります杉山美代子氏の後任には、相澤俊行氏を任命いたしたいと存じます。
 同じく七月十二日に任期満了となります金岡昭氏は、再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会予備委員でございます。
 七月十二日に任期満了となります相澤俊行氏の後任には、前川修満氏を任命いたしたいと存じます。
 同じく七月十二日に任期満了となります渡井理佳子氏は再任いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いいたします。
(議案の部参照)

○議長(田中良君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十五条第四項の規定に該当する議案については、あらかじめ教育委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 教育委員会の回答は、第百二十号議案について異議はないとの意見であります。
二二教総総第三二九号
平成二十二年五月二十六日
東京都教育委員会委員長 木村  孟
 東京都議会議長 田中  良殿
「都道府県教育委員会の権限に属する事務の一部を、市町村が処理することとする条例」に対する教育委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十二年五月二十五日付二二議事第一〇一号により照会があった議案に係る教育委員会の意見は左記のとおりです。
       記
一 提出議案
第百二十号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
二 意見
一について、異議ありません。

○七十四番(松下玲子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、第百二十号議案については、委員会付託を省略し、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、第百二十号議案は原案のとおり可決されました。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第二から第十九までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、日程第二から第十九までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(田中良君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都人事委員会委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都人事委員会委員の選任の同意について一件
二二財主議第七六号
平成二十二年六月一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 田中  良殿
   東京都人事委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都人事委員会委員 岡田良雄は平成二十二年八月二十九日任期満了となるため、後任として左記の者を選任したいので、地方公務員法第九条の二第二項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     濱崎 恭生

      略歴
現住所 東京都文京区
濱崎 恭生
昭和十五年一月二十八日生(七十歳)
昭和三十七年三月 京都大学法学部卒業
昭和三十九年四月 東京地方裁判所判事補
昭和四十九年四月 岡山家庭裁判所判事
昭和五十四年七月 法務省民事局参事官
昭和六十一年九月 法務省民事局第一課長
昭和六十三年六月 法務大臣官房審議官(民事局担当)
平成二年四月   法務大臣官房司法法制調査部長
平成五年七月   法務省民事局長
平成九年十月   千葉地方裁判所所長
平成十一年四月  東京高等裁判所部総括判事
平成十二年八月  東京家庭裁判所所長
平成十四年五月  名古屋高等裁判所長官
平成十七年一月  定年退官
平成十七年八月  公正取引委員会委員
平成二十二年一月 公正取引委員会委員退任
現在       現職なし

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 本件は、知事の選任に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(田中良君) 追加日程第二及び第三、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について二件
二二財主議第七七号
平成二十二年六月一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 田中  良殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都収用委員会委員 杉山美代子は平成二十二年七月十二日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     相澤 俊行

      略歴
現住所 東京都世田谷区
相澤 俊行
昭和二十五年四月二十三日生(六十歳)
昭和四十九年三月 慶應義塾大学法学部卒業
昭和五十五年九月 新光監査法人入所
昭和六十年三月  公認会計士登録
平成元年十月   税理士登録
平成二年一月   相澤公認会計士事務所開業
平成五年六月   東京都割賦販売許可業者調査員
平成七年七月   日本公認会計士協会東京会業務委員
平成十六年七月  東京都収用委員会予備委員
現在       公認会計士、税理士
二二財主議第七八号
平成二十二年六月一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 田中  良殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十二年七月十二日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     金岡  昭

      略歴
現住所 埼玉県ふじみ野市
金岡  昭
昭和十六年五月十七日生(六十九歳)
昭和四十年三月  島根大学文理学部卒業
昭和四十年四月  入都
昭和四十九年四月 司法修習終了
昭和五十年七月  東京都総務局法務副主幹
昭和五十五年八月 東京都総務局法務部法務第二課長
昭和六十年十二月 東京都総務局主幹
平成四年七月   東京都総務局訟務担当部長
平成六年八月   東京都総務局審査法務担当部長
平成八年七月   東京都総務局法務部長
平成十三年七月  東京都退職
平成十三年八月  弁護士登録
平成十四年四月  東京都収用委員会予備委員
平成十六年一月  東京簡易裁判所司法委員
平成十六年四月  東京簡易裁判所民事調停委員
平成二十年六月  東京都収用委員会委員
現在       弁護士

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(田中良君) 追加日程第四及び第五、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について二件を一括議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について二件
二二財主議第七九号
平成二十二年六月一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 田中  良殿
東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都収用委員会予備委員相澤俊行は平成二十二年七月十二日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     前川 修満

      略歴
現住所 埼玉県草加市
前川 修満
昭和三十五年七月二十九日生(四十九歳)
昭和五十八年三月 同志社大学商学部卒業
昭和五十八年四月 澁谷工業株式会社入社
昭和六十二年九月 港監査法人入所
平成三年三月   公認会計士登録
平成四年八月   公認会計士前川修満事務所開業
平成五年八月   税理士登録
平成十五年七月  日本公認会計士協会経営研究調査会・中小企業経営専門部会委員
平成十六年六月  日本公認会計士協会東京会常任幹事
平成十八年七月  日本公認会計士協会国際委員会委員
平成十八年八月  アスト税理士法人代表社員
平成十九年六月  日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長
平成十九年八月  東京税理士会税務会計学会経営部門委員
現在       公認会計士、税理士
二二財主議第八〇号
平成二十二年六月一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 田中  良殿
東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十二年七月十二日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     渡井理佳子

      略歴
現住所 東京都港区
渡井理佳子
昭和四十年十二月二十九日生(四十四歳)
平成元年三月   慶應義塾大学法学部法律学科卒業
平成五年六月   米国ハーバード大学法律大学院修士課程修了
平成六年九月   米国ニューヨーク州弁護士登録
平成七年三月   慶應義塾大学大学院法学研究科
         公法学専攻後期博士課程単位取得退学
平成九年四月   防衛大学校社会科学教室管理学科講師
平成十三年四月  防衛大学校人文社会科学群公共政策学科 兼 総合安全保障研究科助教授
平成十六年四月  日本大学大学院法務研究科助教授
平成十八年七月  小田原市市税滞納審査会委員
平成十九年四月  日本大学大学院法務研究科教授
平成十九年七月  東京都収用委員会予備委員
平成二十年三月  筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程修了
平成二十年四月  慶應義塾大学大学院法務研究科教授
平成二十一年四月 東京都情報公開審査会委員
平成二十一年四月 東京都個人情報保護審査会委員
平成二十二年三月 総務省自動車関係税制に関する研究会委員
現在       慶應義塾大学大学院法務研究科教授

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(田中良君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願二件及び陳情十三件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 明十日から十五日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、明十日から十五日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は六月十六日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時散会

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