平成二十二年東京都議会会議録第八号

平成二十二年六月八日(火曜日)
 出席議員 百二十五名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番三宅 正彦君
四番吉住 健一君
五番桜井 浩之君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
九番山内れい子君
十番くりした善行君
十一番中村ひろし君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤 興一君
二十番鈴木 章浩君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番星 ひろ子君
二十六番小山くにひこ君
二十七番柳ヶ瀬裕文君
二十八番淺野 克彦君
二十九番新井ともはる君
三十番佐藤 由美君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番大松あきら君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番松葉多美子君
四十番早坂 義弘君
四十一番高木 けい君
四十二番石森たかゆき君
四十三番高橋 信博君
四十四番中屋 文孝君
四十五番村上 英子君
四十七番西崎 光子君
四十八番滝沢 景一君
四十九番中谷 祐二君
五十番笹本ひさし君
五十一番山下ようこ君
五十二番神野 吉弘君
五十三番鈴木 勝博君
五十四番興津 秀憲君
五十五番岡田眞理子君
五十六番伊藤 ゆう君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番中山 信行君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番高橋かずみ君
六十五番山加 朱美君
六十六番山崎 一輝君
六十七番菅  東一君
六十八番宇田川聡史君
六十九番山田 忠昭君
七十番林田  武君
七十一番原田  大君
七十二番佐藤 広典君
七十三番尾崎 大介君
七十四番松下 玲子君
七十五番山口  拓君
七十六番伊藤まさき君
七十七番野上ゆきえ君
七十八番西岡真一郎君
七十九番今村 るか君
八十番吉田康一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番三宅 茂樹君
八十八番遠藤  衛君
八十九番吉原  修君
九十番野島 善司君
九十一番鈴木あきまさ君
九十二番三原まさつぐ君
九十三番田島 和明君
九十四番樺山たかし君
九十五番斉藤あつし君
九十六番泉谷つよし君
九十七番くまき美奈子君
九十八番大西さとる君
九十九番増子 博樹君
百番いのつめまさみ君
百一番門脇ふみよし君
百二番小沢 昌也君
百三番花輪ともふみ君
百四番大津 浩子君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番古賀 俊昭君
百十一番こいそ 明君
百十二番服部ゆくお君
百十三番川井しげお君
百十四番吉野 利明君
百十五番宮崎  章君
百十六番比留間敏夫君
百十七番相川  博君
百十八番石毛しげる君
百十九番大塚たかあき君
百二十番和田 宗春君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番田中  良君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 二名
 八番   土屋たかゆき君
 四十六番 矢島 千秋君

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監都市整備局長兼務河島  均君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長中田 清己君
財務局長安藤 立美君
警視総監池田 克彦君
主税局長熊野 順祥君
生活文化スポーツ局長並木 一夫君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
建設局長村尾 公一君
港湾局長比留間英人君
会計管理局長新田 洋平君
交通局長金子正一郎君
消防総監新井 雄治君
水道局長尾崎  勝君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長泉本 和秀君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長野口  孝君

六月八日議事日程第二号
第一 第百二十号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百十六号議案
平成二十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)
第三 第百十七号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第四 第百十八号議案
東京都組織条例の一部を改正する条例
第五 第百十九号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第六 第百二十一号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第七 第百二十二号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第八 第百二十三号議案
都立大泉高等学校・附属中学校(二十二)改築工事請負契約
第九 第百二十四号議案
東京国際展示場(二十二)会議棟改修工事請負契約
第十 第百二十五号議案
警視庁青梅警察署庁舎(二十二)改築工事請負契約
第十一 第百二十六号議案
東京国際展示場(二十二)ビル管理設備改修工事請負契約
第十二 第百二十七号議案
城山トンネル(仮称)整備工事(西―城山の五)請負契約
第十三 第百二十八号議案
中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その二)請負契約
第十四 第百二十九号議案
公立大学法人首都大学東京中期目標について
第十五 第百三十号議案
東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定について
第十六 第百三十一号議案
心臓衝撃装置(自動体外式除細動器)外一種の買入れについて
第十七 第百三十二号議案
東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第十八 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
議事日程第二号追加の一
第一 第百三十三号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例

   午後一時一分開議

○議長(田中良君) これより本日の会議を開きます。

○議長(田中良君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(田中良君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 平成二十二年六月四日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案一件の送付がありました。
(別冊参照)

○議長(田中良君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第百三十三号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(田中良君) これより質問に入ります。
 百二十一番山下太郎君。
   〔百二十一番山下太郎君登壇〕

○百二十一番(山下太郎君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 去る五月十四日、鈴木俊一元東京都知事がご逝去されました。鈴木元知事は、戦後日本の地方自治の礎を築かれ、さらに副知事、知事として、東京都の発展に偉大な貢献をなされました。同三十日には、戦後の日本のスポーツの発展に尽力された青木半治日本陸上競技連盟名誉会長がご逝去されました。ここに謹んで故人のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げます。
 さて、今月四日、前民主党都連会長であった菅直人衆議院議員が、第九十四代総理大臣に選出をされました。ここ東京から総理大臣が誕生するのは、鳩山一郎総理以来であり、多摩地域から初の総理大臣であります。私たち都議会民主党も、菅総理とともに、国民の生活が第一の政治の実現に努めることを表明させていただきます。
 初めに、補正予算について伺います。
 当初予算成立直後の補正予算は、都単独のものとしては珍しく、昭和四十八年以降、最小規模の増額補正となっています。今回は、緊急対応が必要なものに限って予算上の措置をするとして、東京マラソンの運営主体の法人化、上野動物園へのジャイアントパンダの導入、財団法人東京都道路整備保全公社からの寄附が上げられています。いずれも、今回の予算のみならず、都における監理団体のあり方や、動物園の運営などとも密接にかかわるものであり、将来の都政を見据えて、議論を深めていく必要があります。
 最初に、東京マラソンの運営主体の法人化について伺います。
 東京マラソンは、既に四回開催され、倍率も年々ふえ、本年度は八・九倍にも及ぶなど、都民の間で定着してきています。そうした中での法人化です。その根拠として、都は、運営主体を法人化することで安定した事業運営や責任の明確化、幅広い事業の展開などが可能になると説明しています。
 しかしながら、これまでも東京マラソンは成功裏に進められてきております。特段、運営に問題はなかったと考えられないでしょうか。あえて税金から八億円を出資し、運営主体を法人化するというのであれば、それだけの問題が今まであったということを示すとともに、法人化することで東京マラソンがどう変わるのか、その八億円に見合った都民へのリターンは何かをはっきりと都民に示す必要があります。東京都の見解を伺います。
 単にマラソンの運営主体を法人化する必要があるというのであれば、何も新たに設立せず、既存の団体を活用することはできないでしょうか。国においては、政権交代以降、事業仕分けによって独立行政法人や、公益法人に対する天下りや、それにかかわる随意契約、補助金の問題にメスを入れており、国民の関心は非常に高いものがあります。都においても、監理団体の廃止を含め、その見直しを進めてきました。
 このような折も折、新たに監理団体を設立することは、一見すると、これまでの行政改革の流れと逆行するかに見えます。現在の団体、東京都スポーツ文化事業団を活用すれば、管理費などを削減でき、より効率的な運営が可能になるのではないでしょうか。
 なぜ新たに団体を設立する必要があるのか、お伺いをいたします。
 新たに監理団体がふえれば、都の職員の再就職、いわゆる天下りに対する都民の懸念もあります。この点についても、ここではっきりとさせておく必要があります。新たな財団に都からの天下りはないといい切れるのでしょうか、お伺いをいたします。
 都議会民主党は、かねてから、監理団体について、その公益性を含めた見直しや経営情報の積極的な開示など、主権者である都民の視点に立った監理団体改革を推進していくことを求めてまいりました。しかし、現時点で、各監理団体がその使命を果たしているのか、税金のむだ遣いの温床になってはいないかという都民の懸念に十分にこたえているとはいえません。
 都は、マラソンの運営主体を法人化、監理団体化することで、責任の所在を明確にすると説明しますが、それは監理団体の改革が進むことが前提であります。そのためには、団体の自律性を高める天下りの削減や契約実態の公開の推進などを都民に対して、より示していかなければなりません。監理団体の改革をさらに進めていくために、都としてどのように指導監督していくのか、伺います。
 次に、道路整備保全公社からの寄附金に関連して伺います。
 去る二月に公表された道路整備保全公社にかかわる包括外部監査において、都有地の駐車場運営などの収益が原資となっている三十億円以上の積立金は、将来の使途が明確ではない特定資産であり、公益法人認定で遊休財産制限に触れる懸念があるとの指摘を受けました。今回の寄附金は、この指摘を受けて、道路整備保全公社が早急に事業計画を変更し、公益事業として都に十億円を寄附すると判断したものであります。
 では、公社は、どのような考えに立って、都に十億円を寄附するという判断に至ったのでしょうか、見解を伺います。
 道路整備保全公社は、本年度中に、五年間で電気自動車用急速充電設備の都内設置など、残額二十億円の使用計画を策定していくとのことですが、ここで改めて監理団体が行うべき事業、適当な事業とは何かを考える機会であると考えています。漫然と基金を積み立てるのではなく、事業計画を立て、団体の公共目的に沿って事業を実施していくことが重要と考えますが、監理団体が行うべき事業とは何か、都の見解を伺います。
 包括外部監査の対象となった道路整備保全公社以外にも、収益を積立金として抱え込み、有効に活用されていない、いわゆる都の埋蔵金は、他の監理団体にも存在するのではないでしょうか。
 監理団体は、本来、公共性の高い分野において、質の高いサービスを効率的かつ効果的に都民に提供するために存在するものです。こうした監理団体設置の趣旨からも、都の埋蔵金については、金額の大小にかかわらず、公益事業に使用する計画を明確に立て、しっかりと都民に還元していくべきであります。
 都は、こうした積立金、特定資産の実態を把握し、そのあり方はどうあるべきかと明確にしていく必要があります。そして、将来の使途が明確でない積立金の都への返還も含め、速やかに都民のために還元するよう監理団体に対して指導すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ジャイアントパンダの導入に関連して、動物園の運営について伺います。
 ことしは国際生物多様性年ということで、都立動物園においてもさまざまな啓発イベントが開催されているところであります。動物園は、小さな子どもから大人まで、生物の多様性を身近に感じられる絶好の場であり、より多くの都民に多様な動物に触れていただくことで、多様な生物とその生育環境を守り、これを将来に伝えていくことの重要性を理解していただくことにつながるものと考えます。
 今回のパンダ導入は、都民の皆様や地元の高い期待にこたえたものであり、上野動物園の入場者数増加の起爆剤となることが期待されていますが、一方で、パンダのような人気がある動物がいなくても、さまざまな展示の工夫によって、動物園の魅力を向上させることも大切です。都立動物園が都民だけでなく、より広く国民全体にとって親しみやすく、魅力あふれたものにするためには、今回のパンダの復活を契機に、園の創意工夫によって展示方法を一層魅力あるものにしていくなど、取り組みが求められると考えています。
 加えて、大幅な税収減に直面するなど、厳しい財政環境の中にあっては、入場者数の増加だけでなく、コストの見直しなど、都民の税金だけに頼らない、効率的で魅力ある動物園経営のあり方も問われており、より一層の経営努力が必要であると考えますが、見解を伺います。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 都は、これまでもスポーツ振興基本計画を策定し、スポーツ都市東京の実現に取り組んでまいりましたが、今回、各局に分かれているスポーツ関連部署を統合し、新たに条例局、スポーツ振興局をつくるとしています。都の調査によると、全くスポーツを行わない都民が二割を超え、その六割が仕事、家事などが忙しく時間がない、機会がないとしています。
 こうした中で、都は、運動、スポーツによる健康増進などのスポーツの持つ効果をどう都民に浸透させ、企業などにもその重要性を一層周知させていくかが課題といえます。また、子どもたちがスポーツに親しむため、学校との一層の連携も重要であります。
 この新組織は、都民の健康増進を図るなど、スポーツ振興の推進にどのような相乗効果をもたらすのでしょうか、都に見解を伺います。
 都では現在、平成二十五年開催予定の国体と全国障害者スポーツ大会の開催準備を担う体制づくりを行っており、今年度は開催の正式決定と実行委員会の設立を予定しています。
 また、地域振興の観点からも、両大会を契機として、多摩や島しょの市町村振興が一層推進されていくことも期待されています。
 都は、スポーツ振興と地域振興の双方から、両大会をいかにこれまでにない国内最高の総合スポーツ大会と障害者スポーツの祭典にしようと考えているのでしょうか。都は、スポーツ振興局を新設することによって、国体、全国障害者スポーツ大会にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、まちづくりについて伺います。
 現在、政府の地域主権戦略会議において、地域のことは地域に住む住民が決める地域主権の観点から、地域主権戦略大綱の策定に向けた検討が進められており、その中で、三大都市圏における用途地域等の決定などの事務権限を市町村に移譲することが挙げられています。
 しかし、私たちは、特別区においては、地域に身近なまちづくりの権限は既に相当部分が移譲されており、その上で、さらに広域の見地から決定すべき都市計画権限を都から特別区に移譲することは、市街地の連担する地域における良好な都市づくりに支障を来す可能性があると考えています。
 例えば、現行制度においても、区境において、一方の区では都市計画法による絶対高さ制限がかけられているにもかかわらず、もう一方の区ではそのような網がかかっていないことから、建物高さをめぐる建築紛争が発生するといった問題も現実に起こっています。
 そのため、私たちは、単純に検討されているような権限移譲を行うのではなく、市街地の連担性の観点から、メガロポリスとしての都市構造計画は東京都が担い、コミュニティのまちづくり、都市計画については特別区が担うよう、都市計画制度全体の事務権限を改めて整理し直す必要があるのではないかと考えています。
 このような用途地域等の決定などの事務権限の特別区への移譲に対する都の認識を伺います。
 都は、昨年七月に改定した東京の都市づくりビジョンを効率的に実現していくための指針として、先月、東京における市街地整備の実施方針を策定しました。この方針は、サブタイトル、公と民、公と民の連携によって実現する質の高いまちづくりに端的に示されているとおり、公共と民間のパートナーシップを重視しています。
 そこで、今後、市街地整備に当たっての公共と民間のパートナーシップのあるべき姿について、どのように認識し、都は、その中でどのような役割を果たそうとしているのか、お伺いをいたします。
 市街地整備の実施方針では、これまで市街地整備が事業完了までに重点が置かれていたことから、完了後における地区の魅力の維持増進を図る視点が十分でなかったとの反省に立ち、今後は質の高い市街地の形成と、その持続に向け、計画の初期段階から事業完了後の管理運営までを見据えてまちづくりを進めることが重要としています。
 そのために、事業を担う主体に対して、事業完了後は関係住民や企業が主体となって地域の管理運営を行っていくエリアマネジメントの導入を働きかけていくことが明示されました。
 私たちは、地域の良好なコミュニティの形成、再生という観点からも、この取り組みは極めて重要と考えますが、今後のエリアマネジメントの導入に向けた都の具体的な取り組みについて所見を伺います。
 次に、築地市場の再整備について伺います。
 築地市場については、平成二十二年度中央卸売市場会計予算に対する付帯決議に基づき、現在地再整備の可能性について検討することになっています。
 私たち都議会民主党は、より多くの都民の皆さんのアイデアを募るべく、去る四月十三日から募集を行い、その結果については、五月の三十一日に公表したところでありますが、実に四十五件ものアイデアが寄せられました。その内容も、本当に一人一人が築地市場のことを真剣に考え、築地市場のことを愛してやまないんだなということを実感させられるものでありましたし、建築の専門家を初め、市場関係者などからも本当に熱心なアイデアをいただきました。
 今後、私たち都議会民主党は、寄せられたアイデアを類型化しながら、都議会に提示し、検討材料として役立てていきたいと考えています。
 付帯決議では、知事は、議会における検討結果を尊重するとなっており、また、予算特別委員会の締めくくり総括質疑でも、石原知事は、議会における現在地再整備の検討結果について真摯に受けとめると答弁するとともに、執行機関として、現在地再整備の組織を設けていくと答弁されたところであります。
 そこで、東京都におけるこれまでの取り組みと今後の対応についてお伺いをいたします。
 私たちは、さきの予算特別委員会において、議会での検討結果が出され、その必要性が認められるまで、予算の執行についても凍結すべきであると主張し、これに対して石原知事も、議会の合意に示された意思を尊重する旨答弁されました。
 付帯決議にあるように、現在地再整備の可能性について検討し、一定期間内に検討結果を得るためには、付帯決議に賛成をした会派を初め、都議会の皆様方のご協力が不可欠であります。この場をおかりして、皆様方のご協力をお願いし、次の質問に入ります。
 次に、産業政策について伺います。
 東京都が平成十九年十二月に策定した産業振興指針は、三年目の今年度をもってその計画期間が終了することとなっています。この指針は、同年夏以降に顕著になったサブプライムローン問題や、翌二十年九月のリーマンショックがある中でも、それなりの意義のある指針であったと考えていますが、来年度以降、東京都の産業政策は、さらに目的の明確化を図り、選択と集中を強めていくべきだと考えます。
 政府においても、この六月に成長戦略を示すことになっていますが、環境、健康、観光といった分野へのさらなる重点投資がその一例であります。
 また、アジアを見据えた国際市場への対応、あるいは地域における産業の集積化、集約化の促進、そして、これらを実現するための税制やまちづくりなどを含めた総合的な支援も、より充実させていく必要があります。
 加えて、政府における中小企業憲章の制定を見据え、経済活力の源泉である中小企業がその力を思う存分発揮できるような施策の展開も求められております。
 私は、こうした視点を踏まえて、東京都の産業施策を積極的に展開していくべきと考えますが、今後の取り組みについて見解を伺います。
 次に、海外企業の誘致についてであります。
 国際社会における都市間競争が熾烈さをきわめる中で、東京が国際ビジネス拠点としての地位を高めていくためには、これまで以上に企業の誘致に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。
 既に東京都では、外資系企業やその家族を対象に、ワンストップで相談、情報提供ができる東京ビジネスエントリーポイントを運営していますが、大阪府の外国企業誘致センター、O―BICが誘致実績を公表したり、静岡県浜松市が世界的なクラスターであるドイツのイエナ市との事業連携を進めているものに比べると、まだまだといった感があります。
 東京という都市が、国際ビジネス拠点としての地位を高めていくためには、先端産業の集積、高度化を国際的な視点から図っていくべきだと考えますが、外国企業の誘致に向けた取り組みについて見解を伺います。
 また、経済成長が著しく、将来の巨大マーケットとして期待されている中国を初めとするアジア市場について、販売ルートをつくり上げていく中小企業の取り組みを支援していくことも重要であります。
 現在、東京都では、海外販路開拓支援事業を立ち上げ、アジア地域を初めとする海外の情報収集力や販売ノウハウが不足する中小企業を支援しようとしています。しかし、海外に販路を拡大するといっても、取引先のいる現地情報の入手さえままならず、不安ばかりが先行し、なかなか商談に踏み切れない中小企業も多いと伺っております。東京都としても、中国などに現地事務所を設け、情報収集に当たらせるくらいの積極的な意気込みを示し、販路拡大の支援に取り組むべきではないでしょうか。
 私は、中小企業がアジアで販路を広げるためには、現地の情報収集にとどまることなく、さまざまな取り組みを幅広く展開することも重要と考えますが、今後、中小企業の海外販路開拓支援事業をどのように進めていくのか、見解を伺います。
 さて、我が多摩地域においても、アジアを代表する産業拠点を目指して多摩シリコンバレーの形成が求められています。二月二十二日にオープンした産業サポートスクエア・TAMAでは、この六月一日からインキュベーションオフィスの入居が始まり、先端的ものづくり分野や研究開発型企業の創業が進んでいます。
 一方、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇では、今年度の取り組みとして、多摩シリコンバレーの中核となる研究開発型企業の世界的な集積に向けて検討することになっていました。
 私は、こうした取り組みを着実に進め、多摩シリコンバレーの形成を積極的に進めていくべきだと考えています。研究開発機能の強化も含めた多摩シリコンバレーの取り組みについて、見解を伺います。
 さらに、羽田空港の国際化を契機に、東京における国際コンベンションやイベント、見本市などの誘致をさらに積極的に進めていくべきと考えています。
 現在、東京都では国際コンベンションの誘致強化に向けて積極的に取り組んでおり、この間、国際コンベンションの開催回数は大きく伸びています。例えば、日本政府観光局が発表している国際会議統計でも、国際的な都市の比較において二十位後半を前後していた東京が二〇〇七年には八位、二〇〇八年には六位と大きく飛躍しています。
 しかし、昨今では、観光振興を図る観点から、MICEの必要性も指摘されています。MICEとは、企業等の会議を示すミーティング、企業の行う報奨研修旅行のインセンティブトラベル、国際コンベンションのコンベンション、イベントということで頭文字をとって訪日外国人の増加や経済効果などが見込めるものをもっと幅広く誘致しようというものであります。
 私は、羽田空港の国際化を契機に、こうした国際コンベンションを初めとするMICEの誘致に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行東京についてお伺いをいたします。
 五月二十一日、新銀行東京の平成二十二年三月期決算が発表されました。当期利益が十五億円と開業以来初の黒字を達成しましたが、本業の収益をあらわす実質業務純益は改善されているとはいえ、なお二十億円の赤字であります。信用コストの圧縮やリストラ等による経費削減もこれまでのように期待ができなくなる中で、寺井社長によれば、今年度の実質業務純益は若干の赤字で着地する計画と考えているとのことであります。
 では、一体、いつ新銀行東京のセカンドステージなるものが明らかになるんでしょうか。
 次の決算が明らかになるのは来年の今ごろであります。石原知事は、二〇二〇年の東京オリンピック招致については、次の知事が決めればいいといっておりますが、新銀行東京のセカンドステージも次の知事に任せるということでよろしいのでありましょうか。私たちは、事業譲渡や株式の売却などを含め、早期に新銀行から撤退することを強く求めておりますが、石原知事がセカンドステージと繰り返しておっしゃるのであれば、石原知事みずからが任期を終える前に新銀行東京を総括し、セカンドステージなるものを示すべきだと考えますが、石原知事の見解を伺います。
 また、新銀行東京による旧経営陣二名に対する訴訟については、私たちも裁判を傍聴するなど、その行方を注視しているところでありますが、ややもすると石原知事の任期満了を待って和解してしまうのではないかといった不安さえよぎります。
 私たちは、この間、東京都としても失敗の原因と責任について徹底的に検証すべきだと主張してまいりましたが、都は、司法の場で明らかになることが重要だとしてこれを拒否してきました。
 一方、さきの予算特別委員会の締めくくり総括質疑では、旧経営陣と東京税務協会とが交わした顧問契約書が既に破棄をされていることが明らかになり、関連する書類の管理に大きな不安を抱きました。
 また、追加出資の際にも議論となった内部調査報告書の全文のように、都が閲覧しただけで新銀行に返却したとされるような書類も、いつ破棄されてしまうかわかりません。裁判の先行きや書類の管理などの状況を踏まえれば、私はこれらのすべての書類あるいは関係者の証言なども含め、まずは東京都の所管局が責任を持って収集し、適切に管理するとともに、あわせて失敗の原因と責任について徹底的に検証すべきだと改めて主張するものですが、見解を伺います。
 さらに、仁司氏及び丹治氏を除くその他の取締役七名に対する報酬の自主返納について、全員の返納が終わっていないことに対しても、東京都は、新銀行みずからが主体的に決めたことで、新銀行が引き続き全員の自主返納に向けて取り組んでいるので、この取り組みを見守っていくと答弁していました。
 そこで、報酬の自主返納についてどのような状況になっているのか、何を理由に報酬の自主返納を拒んでいると聞いているのか、見解を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 本年四月、都は国内では初めて本格的なキャップ・アンド・トレード方式による温暖化ガス排出量取引制度をスタートさせました。対象は都内の約千三百事業所となっていますが、本制度は事業所に対して義務を課すものであり、制度に対してうまく対応できている事業所もあれば、何をすればいいのか戸惑っている事業所もあるのではないかと推察され、都も円滑な義務の履行に向けたバックアッププロジェクトを実施しています。キャップ・アンド・トレード方式による温暖化ガス排出量取引制度は開始してまだ二カ月余りでありますが、本制度の対象となる事業者の反応について、都の見解を伺います。
 さて、国におけるキャップ・アンド・トレード方式の導入に関する議論は、環境大臣の諮問機関、中央環境審議会の国内排出量取引制度小委員会で行われていますが、この小委員会で今月一日、東京都などからのヒアリングが実施されました。この場で都は、温室効果ガス排出枠の設定方法について、エネルギー効率の改善を義務づける原単位方式ではなく、排出量そのものを減らす総量削減義務の導入などを改めて提案しています。
 一方で、同じ日に行われた石油連盟などの産業界からのヒアリングでは、国内排出量取引制度の導入について懐疑的な意見が相次いだとも報道されています。温室効果ガスの排出量取引制度設計には、産業界の協力と理解が不可欠ですので、都独自の制度設計の経験やノウハウを踏まえ、国への提言を積極的に行うべきと考えますが、所見を伺います。
 また、都は、本年四月から、CO2排出総量削減義務のない中小規模事業所に対する地球温暖化対策報告書制度によって自主的な対策を促すほか、省エネ設備の導入を支援する省エネ促進・クレジット創出プロジェクトを開始しています。このプロジェクトでは、中小企業の省エネ設備購入に補助金を出すことにより、中小企業のCO2削減対策を普及させることをねらいとしていますが、制度がどれだけ活用されるのかが極めて重要であります。
 そこで、中小企業がこの事業によって具体的にどのようなメリットが得られるのか、また現時点において事業の状況を、あわせて所見を伺います。
 次に、若年者の精神保健福祉と教育について伺います。
 精神疾患は生涯を通じて五人に一人はかかるといわれており、健康推進のための主要課題の一つであり、早期発見、早期受診が必要であります。にもかかわらず、私たちの多くは、精神疾患をタブー視してはいないでしょうか。
 例えば、私たちは友人や同僚の様子が気になれば、ごく自然に、病気じゃない、早目に病院に行った方がいいよといいます。しかし、知識不足もあり、心の病気じゃない、早目に精神科に行った方がいいよとはいいにくいですし、仮に自分がいわれたら侮辱と受けとめる人も多いのではないでしょうか。
 こうしたことは、我が国に限らず先進諸国共通であり、中でも若者の精神病知識の不足、ドラッグやアルコール依存の低年齢化、自殺などへの対応を進める上で乗り越えなければならない課題とされてきました。
 そこで、疫学調査で得られた、一、精神疾患が初めて発症する時期は、十代から二十代前半に集中している、二、統合失調症患者の多くが十代早期から精神病理的問題を抱えていた、三、早期支援がより重要な若者が最も助けを求めたがらないといった事実に基づき、若者を対象とした精神保健啓発を非常に重要視した取り組みを開始しているとの報告もあります。
 例えばイギリスではワン・イン・フォーというキャッチコピーにより、若者の四人に一人は精神疾患を抱えているとの啓発キャンペーンを行いました。さらに、一時的なキャンペーンにはとどまらず、若者に対する啓発を最重点課題とし、学校教育での一貫したカリキュラムを構築しました。
 また、WHOでは、二〇〇四年に、学校に通う十五歳のすべての若者が精神病に対処し得る知識を身につけるべきであるという宣言を出し、各国の取り組みを促しています。
 知識不足という点で日本の若者は例外ではありません。学習指導要領には、精神疾患に関する教育内容について明確な記述がなされていないこともあってか、十分な教育が行われておりません。しかし、成人の精神障害者の約七〇%が十八歳までに、約五〇%が十五歳までに精神病理的問題を抱えていたとの調査結果があり、年齢に応じた精神病知識の付与が喫緊の課題であります。学校でのメンタルヘルスリテラシーの育成が急務と考えますが、所見を伺います。
 高知県で高校生を調査したところ、過去六カ月以内に苦痛感を伴う幻覚、妄想症状を複数回経験している若者が全体の約三・四%おり、そのうち三九%は保健室を複数回利用していたそうであります。しかし、みずから進んで保健室の先生や担任に相談する子どもはそのうち約六%にすぎず、問題を自覚していながらもだれにも相談できていない子どもは三四%もいるということであります。
 しかし、現状では、精神疾患の知識を持つ教員やカウンセラーは少なく、学校医も内科医がほとんどであります。保健室を複数回利用する子でも、あるいは学校で気になる子や問題児として幾ら一生懸命相談に乗ってあげたり指導しても、精神的不調や精神疾患を抱える子どもに必要な助言や支援はできず、対処できないほど悪化して初めて周囲も気づき、精神科を受診することにならざるを得ません。
 早期発見、早期支援を行っていくためには、教師やカウンセラーが精神疾患を正しく理解し、正しい知識を持っていかなければなりません。さまざまな研修の中で、こうしたカリキュラムを実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
 現在、都内を見渡してみても、若者への早期支援を行うための地域医療機関や福祉サービス資源、サポート体制がほとんどありません。
 メタボや介護の予防は、その効果に対する評価は別として、近年大規模な予算を投入して実施されてきました。しかし、精神疾患については、早期発見と軽度の人への支援、精神的不調の発生から医療機関受診までの期間をなるたけ短くしていく予防への対応が十分とはいえないのではないでしょうか。これは当事者の生活の質改善と同時に、社会的損失を抑制することにもつながるものと考えます。都の精神保健における予防、増悪を防止するための取り組みについてどのように考えているのか、見解を伺います。
 どんな病気でも、ここまで進行する前に受診してくれたらというケースはあると思います。精神科医療では特に受診のおくれが目立つといわれ続けてきました。冒頭申し上げたとおり、生涯を通じて国民の五人に一人がかかる疾病ではありますが、だれもがかかる可能性のある疾病として位置づけられた体制がありません。子どもの発達に沿った、家庭、学校、地域、一般クリニック、精神科クリニック等での早期発見、早期支援体制の構築が急務と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、医療政策について伺います。
 東京都はこれまで多摩の小児医療再編計画の中で、限られた医療資源の中で、一次、二次、三次医療機関がそれぞれの役割を果たし、連携し合うことが必要であるとしてきました。もちろん連携が重要であることは間違いありませんが、私は本当の連携というのは、ただ単に東京都が担ってきた役割を地域病院や開業医に担わせるということではなく、それぞれがお互いの要望を話し合い、助け合うことだと思っております。
 そこで、何点かご提案させていただきたいと思います。
 まず、いうまでもなく、小児医療は保護者に負担が非常に大きく、それを軽減するためにも地域で診療が完結することが理想であります。しかし、今すぐ重症症例に対応する三次医療機関を全地域に設立することは困難であり、地域中核病院で重症化している患者さんは速やかに多摩小児総合医療センターに搬送し、また容体が落ちついたら地域に戻すというシステムづくりが求められていると考えています。
 周産期医療について申し上げれば、既存のNICUを増床する努力はもちろんですが、あわせてNICUから出られた子どもを収容する後方病床、いわゆるGCU機能を地域中核病院に確保すべきであります。また、GCU機能を地域病院に移転することで、多摩小児総合医療センターにも余裕ができ、NICU機能強化にもつなげることができます。既に欧米では一般化しているシステムではあります。都としても積極的に推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、地域中核病院と開業医との連携で申し上げれば、この十数年の間に、多摩地域では小児科を標榜する医療施設は、病院で二十二、診療所で百施設も減少していることからも、地域に診療所を誘致する方法や、今後流行が懸念される強毒性インフルエンザ対策などについて、地域中核病院の観点からの診療所に対する要望や、反対に開業医から中核病院に何を望むかなど積極的に話し合い、検討するためにも、地域中核病院や地区医師会などの代表で構成する委員会を立ち上げるべきと考えますが、所見を伺います。
 都議会民主党は、都立八王子小児病院、清瀬小児病院の統廃合に伴い必要となる各地域での医療機能確保を強く求めてまいりました。一方の当該地である八王子市においては、八王子小児病院跡地の移転登録が完了し、小児救急、重症心身障害児通所施設や発達障害者支援事業の実施に向けて着実に進捗していると伺っております。
 また、NICUについては、先ほど申し上げたとおり、機能強化のための取り組み、地域の皆様の安心をしっかりと確保していただくことが絶対に必要だと申し上げておきます。
 さらに、市内での新たな救急整備についても、六月一日より南多摩病院に小児救急がオープンするなど確実に実施してきています。こうした後医療について地元としっかり連携し、今後の実施状況を注視して地域医療の強化に全力を挙げていただきたいと思います。
 清瀬小児病院の後継医療機関としての多摩北部医療センターは、入院を必要とする救急搬送等への対応、夜間救急外来への対応、そして軽症のケースでの救急受診を減らすための地域貢献という三つのニーズへの対応が求められています。
 まず、入院についてでありますが、小児の入院病床をふやし、医師、看護師を増員するなど、救急患者の受け入れ体制を強化し、多摩小児総合医療センターの特別連携病院となり、その実績も、昨年六月には二十人強だったものが十月には百人を超えるなど、増加しています。
 さらに、内分泌、代謝、呼吸器、腎臓、アレルギー外来を開設、また福祉支援医療として重症心身障害児を積極的に受け入れるなど、地域医療に大きく貢献しようと努力されています。
 しかしながら、こうした地域医療への貢献がこれまでさまざまな小児医療現場で起きてきたような医師の数十時間にわたる連続勤務や看護師の休憩時間の短縮など、現場の犠牲によるものであってはなりません。北部医療センターでしっかりと小児の地域医療を診てくださる常勤医師を増員する必要があると考えますが、所見を伺います。
 また、昨年十一月に、私たちが行った多摩地域における小児医療に対する緊急要望に対し、病院経営本部は三月一日から小児救急を平日夜間、休日の救急二系列体制を整備すると回答され、その言葉どおり二系列が整備をされ、現在も維持されています。このことは、いまだ清瀬小児病院廃止後の地域医療を心配されている住民が非常に多い中で、本当に清瀬小児病院が果たしてきた役割を担うことができるのか、北部医療センターは本当に信頼できるのかなどの声にこたえるために必要な条件であります。
 また、清瀬小児病院が受け入れてきた患者数からすると、まだまだ潜在化しているニーズもあると考えられ、今後も、私たちに約束した救急二系列維持が地域住民の安心確保のためにもしっかりと継続されるべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、従前の清瀬小児病院の救急にかかっていた方のニーズとして忘れてはならないのは、結果として軽症かもしれないけれど、不安なので診てもらいたいという方々であります。コンビニ受診だからけしからぬという話で終わらせてはならず、根本的な解決のためには、疾患や救急時の対応に対する保護者の知識不足を解消する必要があります。シャープ七一一九などの電話対応だけでは、保護者の責任で判断しなければならないという現実があり、ふだんから保護者に知識を提供していくことが不可欠であります。
 そこで、小児医療病棟のスタッフに余裕を持たせ、勤務として地域の啓発活動に従事してもらい、医療知識の啓発や子育て支援に当たっていただくことで、地域住民のさらなる安心につなげることができないか、お伺いをいたします。
 次に、不妊治療について伺います。
 現在、全夫婦の約一〇%から一五%が不妊症だといわれています。二年以上正常に夫婦生活を営んでいるカップルでありながらも妊娠せず、タイミング療法などの一般不妊治療を行っても妊娠が困難と診断された方が体外受精や顕微授精、いわゆる特定不妊治療を行うわけですが、結婚年齢の上昇や特定不妊治療の費用の高さから、高齢になって治療を受ける方が少なくないと伺います。
 また、特定不妊治療は夫婦双方に体力的、精神的、経済的な負担を伴います。特に女性にとっては毎日注射を打つなど肉体的な負担が非常に重くなります。さまざまな負担を背負って治療して、結果的に子どもが生まれる確率は約一四%であります。元気な子どもを抱くことができれば困難を乗り越えたがゆえに喜びも一層大きいでありましょう。しかし、十四組の幸せな夫婦の陰には、大変な治療を頑張って乗り越えても着床しない方や、着床しても流産や死産といったつらい体験をされる八十六組の夫婦もいるのが現実であります。
 このように、特定不妊治療は大きな負担や困難が伴う治療でありながら、助成を受ける指定医療機関となるための設置基準のみで、治療の対象や方法、回数については統一した基準がなく、各医療機関の判断にゆだねられております。治療費も九万円から六十三万円まで非常にばらつきがある自由診療となっております。
 そこで、まずは安心して治療を受けていただくためにも、しっかりとした診断基準や治療方法を確立し、保険の適用範囲を一層拡大することを国に求めることが必要だと思いますが、都の所見を伺います。
 保険適用を拡大することは目標でありますが、その前提として、診断、治療方法の確立が必要であり、時間がかかります。しかし、就職超氷河期を経験し、非正規雇用の増加、派遣切りといったような過酷な時代の波にもまれ、結婚や妊娠、出産を先延ばしにしたといわれる団塊ジュニア世代が妊娠可能性の高い年齢を超えてしまうまでには時間的猶予が余りありません。
 子どもが生まれた後には、子ども手当や保育所整備、無償の義務教育、高校無償化などさまざまな支援策が行われております。子どもの誕生を切に願う不妊カップルに対して、せめて経済的な負担を都が国に先んじてさらに軽減してあげることができないものでありましょうか。
 特定不妊治療助成は、現在、国事業で年二回まで、一回十五万円で通年五年までとなっていますが、平均の治療費は約三十四万円であります。これに対し、都独自に上乗せをし、負担を軽減することを求めるものでありますが、所見を伺います。
 次に、メディアリテラシー、情報モラル教育について伺います。
 多様な価値観と情報ツールが錯綜する高度情報通信ネットワーク社会において、メディアリテラシーと情報モラルを早期に子どもたちに身につけさせるための教育施策を東京都は高いプライオリティーを置いて取り組んでいくべきと考えています。
 情報の受け手として身につけていくべきメディアリテラシーは、メディアを通じて流れる情報はすべて発信者によって加工されているものであることを前提としてとらえ、特に重要と思われる情報に対しては、5W1Hをもとに、あらゆる角度から情報を分析し、その情報が正しいかどうかを判断する能力、本質を見抜く力であると考えます。
 知事は今議会の所信表明において、若者の活字離れと多くの若者がはんらんする情報におぼれている環境にあることを指摘されました。まさにこのような状況で、子どもたちが情報の本質を見抜く能力、メディアリテラシーを身につける必要があると思いますが、知事の見解をお伺いいたします。
 近年、フィルタリング規制やネット監視等の対策は進んでいるものの、依然として出会い誘引を含む投稿や、顔写真を初めとした個人情報の安易な投稿、青少年がわいせつな動画を公開する等の問題が存在し続けており、規制による対策だけでは限界があります。
 より重要なことは、情報を発信する側として、子どもたちに相手の立場を思いやるマナーや、不用意に個人情報を流さないといったルールを身につけさせる情報モラル教育をメディアリテラシー教育とあわせて徹底して行っていくことが必要と考えます。それが学校の使命であると考えますが、教育長の所見を伺います。
 さきの平成二十二年第一回定例会の代表質問で、都教育委員会におけるメディアリテラシー、情報モラル教育の取り組みについて質問しました。
 情報に特化した教科は高校にしかなく、現在、情報A、B、Cという三つの教科で構成されているようですが、平成二十五年度からは新学習指導要領に従って、「社会と情報」、「情報の科学」で構成されると聞いております。すべての高校生に必要なメディアリテラシー、情報モラルに関する教育は、今後「社会と情報」、「情報の科学」という科目の中でどのように行われていくのかお伺いいたします。
 メディアリテラシーと情報モラルは、子どもたちにとって欠くことのできないものであります。その重要性を認識していただき、さらなる取り組みを要望いたします。
 次に、特別支援教育について伺います。
 東京都は本年度、東京都特別支援教育推進計画の第三次実施計画を策定していく予定であると伺っております。都立の知的障害特別支援学校では、在籍する子どもたちが年々増加してきたことから普通教室が不足しており、特別教室を普通教室として利用したり、カーテンなどで間仕切りすることで教室の確保を行っている状況があります。教育活動の場となる教室は、学校教育における最も基本的な教育条件であり、知的障害、特別支援学校の教室整備は、第三次実施計画の最重要課題であると考えます。
 都教育委員会はこれまで、第一次、第二次実施計画を策定するたびに、児童生徒数の将来推計を実施してきましたが、いずれも実際の子どもたちのふえ方は推計値を大幅に上回っております。第三次実施計画においては、これまでの増加傾向を踏まえ、知的障害特別支援学校の在籍数の将来推計を精緻に行い、今後の子どもたちの増加に十分対応できる教室数の確保を行っていくべきであります。
 その場合、第三次実施計画で予定されている三年という計画期間では、その後の知的障害のある子どもたちの増加に対応できないことも予想されることから、計画期間の延長も視野に入れて、今後の子どもたちの増加に対応した具体的な教室確保策について検討を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、島しょ振興策について伺います。
 現在、伊豆諸島は、平成二十四年度までを対象期間とする離島振興計画のもとで種々の事業が実施されています。この計画のもと、平成十七年度から年間二百億円を超える事業費が計上されておりますが、ハード関連事業に偏重しており、保健、医療、福祉サービス、生活環境、産業の振興などは手薄になっています。
 これは、これまでの離島振興策が本土との格差是正を目的に主にハード面の社会資本整備にウエートが置かれてきた結果なのですが、現計画では伊豆諸島全体を非日常的いやし空間とも位置づけ、地域資源のポテンシャルを引き出し、活用していくとともに、持続的に発展させ、地域の自立を実現していくこととしています。
 しかし、現在実施されている離島振興施策が計画目標としている地域の自立的発展を期間内に達成できるとはいいがたい状況であります。
 真の島しょ振興を実現するためには、港湾整備など引き続き必要がある事業ももちろんありますが、ハード関連事業に偏ることなく、医療、保健、福祉など生活関連や産業振興の施策もバランスよく織りまぜることが重要だと考えます。
 東京の島々が自立的な発展と持続可能な地域社会を築き上げていくためには、島しょ地域に暮らす住民の方々が、まず、みずから果たすべき役割を認識していただいて、自助努力を尽くしていただくとともに、各町村が連携して地域づくりに取り組んでいくことが必要だと考えます。また同時に、都がそれぞれの町村の実態に即したきめ細やかで、より実効性の高い支援策を積極的に講じていく必要があると考えています。
 そこで、より地域住民の生活の視点に立った、島の自立的発展に向けて、今後どのような島しょ振興策を行っていくのか、都の基本的な見解を伺います。
 次に、島しょ貨物運賃補助について伺います。
 この貨物運賃補助は、島の暮らしに実効性のある支援策として、現在、島しょ地域で高い評価を得ています。ついては、従来から多くの島しょ町村が要望し続けているガソリン等に対象品目を拡大し、時代の要請に即したものに見直していくことが必要だと思いますが、見解を伺います。
 次に、小笠原諸島における課題について申し上げます。
 私たち都議会民主党は、世界自然遺産登録の候補地である小笠原諸島に視察団を派遣しました。来月にはユネスコの世界遺産委員会の諮問機関、国際自然保護連合が小笠原の現地調査を行う予定であり、私たちは国や都、小笠原村の取り組みを見てまいりました。日本の世界自然遺産は、森林生態系の博物館である白神山地や、亜熱帯から亜高山帯までが凝縮された屋久島、そして、海から山まで生命のつながりをはぐくむ知床の三カ所が登録されており、屋久島では、世界自然遺産の島に生活している自覚を島民に普及させ、自然資源の恵みを生かした循環型社会のまちづくりを進めるといったビジョンを持っています。
 一方、ことしの一月、国は世界遺産委員会あてに、小笠原の世界遺産としての価値を掲げた推薦書を提出しました。小笠原においては、今までも議論を重ね、管理計画やアクションプランを作成しましたが、国や都、小笠原村はこれらを踏まえ、具体的なビジョンを持って島づくりをしていくことが重要と考えます。中でも世界自然遺産登録を契機に、その価値を生かして発展が期待される観光振興に当たっては、エコツーリズムの推進など、環境に配慮した小笠原独自の取り組みが必要と考えますが、都はどのような取り組みを進めていくのか、見解を伺います。
 次に、東京都における個人情報の漏えい、紛失事故について申し上げます。
 この問題については、私は平成十九年第四回定例会において、さらには昨年の予算特別委員会において繰り返し取り上げてまいりました。しかしながら、東京都における個人情報の流出、紛失事故は平成十九年度三十件、二十年度十八件、二十一年度は二十五件と、一向に減少する気配がありません。これだけの情報社会の中で、本来民間を指導監督する立場の東京都が、都にしか持ち得ない個人情報を一体どれだけ垂れ流し続ければ気が済むのでしょうか。私には全く理解ができません。もし、自分もしくは自分の家族、友人、恋人などの身近で大切な人の個人情報が紛失もしくは流出してしまったとしても、同じように何の反省もなく事故を繰り返すことができるのでしょうか。
 東京都におけるこれらの事故は、その多くが学校現場や医療機関で起きています。つまり、テストの成績や単位の取得状況など、生徒の将来に大きくかかわる個人情報や、患者の病名、投与した薬、病気の進行状況などの命にかかわる情報が、大変多く流出または紛失しているということであります。
 とりわけ、ことしに入ってからは、都立松沢病院において、医師が患者の氏名、生年月日、性別、病名、治療概要、投薬内容などの個人情報を紛失した事故を初め、医療現場において、二月、三月、四月、五月と、毎月一件ずつ事故が起き続けています。しかし、これまでの事故の当事者に対する都の対応は、口頭注意や、訓告を行ったにすぎません。ましてや、その責任者の緊張感はほとんどうかがえないと申し上げておきたいと思います。
 責任者の陣頭指揮のもと、情報管理システムの早急な改善とともに、個人情報を取り扱う職員一人一人の意識改革が求められています。私は、事ここに至っては、各組織の責任者の謝罪はもちろんのこと、その責任者や、事故を起こした当事者への減俸など、実質的なペナルティーを強化することから始めること以外、方法はないのではないかとすら考えています。所見を伺います。
 最後に、青少年の健全育成について述べます。
 条例改正案は、青少年にとって、携帯電話を介したインターネット上の有害情報や、書店における図書類での性表現などは憂慮すべき問題として、都が対策としてまとめたものであります。ところが、石原知事自身は、改正案が継続審査となると、実は精読していなかったと告白するとともに、非実在青少年という言葉はわけがわからない、どんどん変えるべきだと発言をされています。要するに、この改正案は、知事みずからが責任を持てないものを議会に提出したということと同じことになります。余りに無責任に過ぎるといわなければなりません。私たちは、こうした知事みずから不備を認める議案については、これを撤回し、改めて責任の持てる案を提出するよう求めるものであります。
 また、私たちは、子どもたちが社会で健全に育つことを願い、携帯電話販売店や、フィルタリング会社、モバイルサイトの審査機関、書店などを視察し、現状調査に努めるとともに、出版業界に対し、自主規制の徹底や、青少年の健全育成に対する新たな取り組み、児童ポルノによる青少年被害者の救済に努力するよう求めました。
 出版業界からは、本日、児童ポルノをつくってはならない、あってはならないという共通認識のもと、性表現が過激なコミックがほかのコミックとまざった状態で販売されている現状を認識し、より一層自主規制を徹底していくこと、区分陳列のためのきめ細かいレーティングの検討をしていくこと、警視庁が新設をする児童ポルノの情報を求めるホットラインに協力していくことなど、青少年の健全育成に対して今後とも努力を尽くしていくとの返答を得ました。
 都議会民主党は今後も、青少年の健全育成のために取り組んでまいります。都には改めて、改正案の速やかな撤回を要望するものであります。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 なお、答弁によっては再質問を留保いたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山下太郎議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新銀行東京の今後についてでありますが、新銀行東京の再建計画は、もともと平成二十三年度までを目標に取り組んでいるものであります。現経営陣は、大銀行と異なり、親身に取引先の経営相談に乗るとともに、大手が余り行っていない貸付条件の変更を行うリスケジュールを先駆けて積極的に実施するなど、小零細企業への支援を行いながら、懸命に再建に取り組んでおります。
 こうした渾身の努力の結果、平成二十一年度決算において開業以来初の黒字を達成するなど、再建は順調に進んでおります。
 今、我々がなすべきことは、小零細企業を支援するという役割を再び十全に果たせるように、新銀行東京の再建を進めることであります。
 なお、そのためのセカンドステージの姿についてのご質問でありますが、これは幾度聞かれましても、外国資本を含めて、他の金融セクターとのかかわりがあります。それゆえに、その性格上、お答えできるものではありません。
 次いで、情報の本質を見抜く能力についてでありますが、情報がはんらんする現代では、子どもは、現実の世界ではなくバーチャルな世界で多くの疑似体験をしているにすぎません。その結果、自分が、それぞれが非常にたくさんのものを知って、認識しているつもりでおりましても、実は本質的に何もとらえてないという、非常にこっけいな、危険な現象が起こっております。
 例えば、子どもたちは、過剰に摂取した情報の整理、価値判断までも情報に頼るという、いわば判断停止の状況に陥っております。その結果、若者たち、子どもたちが健全な思考、したたかな思考を遂げていくために必要な、その過程で当然起こり得る考え違い、思い違いというものが、これが淘汰されてしまう。
 ゆえにも、次代を担う子どもたちに大事なことは、自分の足で現場に立ち、自分の目で現実の世界を見定めることであります。それによって培われた強い個性、強い感性は、これからまみえる社会的現実との戦いの中で子どもたちを支えるものとなります。
 子どもたちは、現実世界で戦っていく上での心の血液ともいうべき知識を、読書を通じて得た経験により摂取でき、自分で考える力を養い、豊かな感性や情操をはぐくむことができるわけであります。
 したがって、活字離れ対策は、子どもに読書習慣を付与する上で非常に重要であると思います。
 他の質問については、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事佐藤広君登壇〕

○副知事(佐藤広君) 中央卸売市場の再整備についてでございますが、平成三年から八年の六年に及びまして、築地市場の現在地再整備に四百億円という経費を投じて実施をいたしましたが、結局中断することとなりました。その後、業界の方々を交え、さまざまな検討を行い、最終的に豊洲移転の方針を決定したものでございます。
 築地市場の老朽化などの待ったなしの状況を踏まえると、早期に新市場を開場する必要がありますが、実現するに当たっては、なお解決すべき課題が多いことから、議会として現在地再整備の可能性について、大方の事業者の合意形成に向け検討し、一定期間内に検討結果をまとめるものとすることとされたところでございます。
 都は、議会での検討に協力をするとともに、議会の審議に対応し、執行機関として必要な検討を行うために、四月十六日に私をチームリーダーとする市場再整備検討チームを設置いたしました。今後、議会としての検討結果が早期に取りまとめられることが何よりも重要と考えております。その立場から、議会の検討に協力してまいります。あわせて、市場事業者の合意形成など、新市場整備が直面しているさまざまな状況を打開するための有効な方策を検討してまいります。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、年齢に応じた精神病知識の付与についてでございます。
 高等学校の学習指導要領におきましては、精神の健康の学習内容の一つである大脳や神経系の機能については、必要に応じて扱う程度にとどめることとされており、医師による高度で専門的な診断を必要とする精神病の個別の疾患名や症状等につきましては、学習することにはなっておりません。
 しかしながら、学校においては、児童生徒が、国民の疾病構造等の変化にかかわって深刻化している心の健康問題を初めとして、心身の健康の保持増進のための基礎を学習することは重要でございます。小中高校の学習指導要領においては、児童生徒に、生涯を通じてみずからの健康を適切に管理し改善していく資質や能力を育成することとされております。このため、既に小中高校の保健の授業において、児童生徒は、精神機能の発達、心と体の関係、欲求やストレスへの適切な対処方法等の精神の健康について学習をしております。
 今後とも、都教育委員会は、こうした学習指導要領の趣旨に基づき、精神の健康に関する学習を適切に行うよう学校を指導してまいります。
 次に、教員に対する研修等の支援についてでございます。
 学校においては、教職員が児童生徒一人一人の言動や様子等を観察し、心や体の変化、子どもの発するさまざまなサイン等を受けとめ、適切に対応することが重要でございます。このため、東京都教職員研修センターにおきましては、思春期・青年期の心理の理解と児童・生徒対応の事例研究という研修講座を初めといたしまして、児童生徒の精神保健に係る問題への対応について、教員研修の充実を図っております。
 また、文部科学省の事業を活用して、精神科医を都立高校に派遣し、担任教員や養護教諭などに対し、精神保健に関する講演や具体的なケースに対する助言を行いますほか、学校が組織的に対応できるよう、校内連携の援助を行っております。
 今後とも、こうした教員研修や精神科医の派遣を通じまして、児童生徒の心の健康課題の改善が図れるよう、学校を支援してまいります。
 次に、情報リテラシー、情報モラル教育についてでございます。
 高度情報化社会に生きる現代の子どもたちには、メディアから得られる情報を適切に評価し、必要な情報を主体的に選択し、適切に活用できる能力を身につけさせることが必要でございます。小学校の学習指導要領では、児童がコンピューターになれ親しむとともに、その基本操作や情報モラルを身につける学習活動を行うことが、中学校の学習指導要領では、生徒が情報モラルを身につけるとともに、コンピューターを主体的、積極的に活用できるようにするための学習活動を行うことが、それぞれ示されております。
 例えば、小学校では、総合的な学習の時間でのインターネットを活用した調べ学習ですとか、道徳の時間でのコンピューターの扱い方についての学習を行っております。中学校では、技術・家庭の時間での個人情報や著作権の保護に係る学習や、理科の時間での実験結果のデータ処理、グラフ作成などの学習を行っております。
 また、都教育委員会は、すぐれた実践を指導事例集やリーフレットにまとめ、教員研修などにおいて広く普及啓発を図っております。
 今後とも、子どもたちがみずから考え、行動していくことのできる自立した個人として、たくましく生き抜いていけるよう、情報に係る教育を推進してまいります。
 次に、情報に関する新科目についてでございます。
 新たに告示されました高等学校学習指導要領では、これまでの教科「情報」における三つの科目が、「情報の科学」と「社会と情報」の二つの科目に再編されます。生徒は、学校が設定するいずれか一科目を選択し、ご指摘のありました情報モラルとか情報リテラシーを学習することになります。
 新科目「情報の科学」では、情報化が人間に果たす役割と及ぼす影響ですとか、あるいは情報社会の安全性を高めるために個人が果たす役割と責任について、また新科目「社会と情報」では、情報の特徴とメディアの意味と理解や、情報の信頼性、信憑性及び著作権などが新たに学習する内容として示されております。
 特に新科目「社会と情報」におきましては、情報化の影の部分の影響を少なくし、光の部分の恩恵をより多く享受するためには、情報技術の適切な活用、法律の整備とその遵守、制度上のさまざまな工夫が必要であることを生徒に理解させることになります。
 次に、知的障害特別支援学校における教室確保策についてでございます。
 都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画第一次及び第二次実施計画における児童生徒数の推計と実際の児童生徒の増加数が乖離していることなどを踏まえまして、第三次実施計画の策定に向けて、改めて将来推計を行っております。その推計に基づき、各学校で必要な教室数の見込みを立て、学校の再編整備、通学区域の見直しによる学校間の教室の過不足の調整や校舎の増改築など、教室確保のためのさまざまな対応策を第三次実施計画において具体化してまいります。
 なお、児童生徒の増加傾向が当初の想定を超えて長期間になる見込みでございますことや、校舎の増改築には、設計期間を含め、工事施行に当たり相応の期間を要することなど、三年間という実施計画期間では適切な教室確保が困難であることも予想されますことから、その延長についても考慮してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) まちづくりに関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、用途地域等の権限移譲についてでございますが、国が設置した地域主権戦略会議では、基礎自治体への権限移譲等が議論されておりまして、現在、都が持つ用途地域等の決定権限につきましても移譲が検討されております。
 都市計画は元来、地域のまちづくりから広域的な都市づくりまで、対象が多岐にわたるため、都道府県と区市町村が法に基づく適切な役割分担のもとで定めることになっております。特に用途地域等につきましては、都市のあり方を方向づける基本的な都市計画でございまして、現行法では、広範囲にわたり一体的な市街地が形成されている三大都市圏においては、都府県または政令市が決定、運用することとなっております。
 これまで都は、地元自治体による地区計画の策定などに合わせて協議や調整を行い、東京全体のバランスを考慮しながら用途地域等を決定してまいりました。このような運用により、地域の意向を反映しながら、大都市東京の一体性を確保する都市づくりが効果的に進められておりますので、現在のやり方は変える必要はないと考えておるところでございます。
 次に、市街地整備に当たっての公共と民間のパートナーシップについてでございますが、東京の市街地整備は、組合施行の区画整理や再開発などのように、その多くが公と民の連携で進められてまいりました。今後、環境や景観といった新たな課題に対応しながら、安全で活力と魅力ある、より質の高いまちづくりを進めるためには、公が民に働きかけ、民間部門の持てる力を最大限に引き出していくことが一層重要となります。
 このため、例えば都が事業の種地として都有地を提供し、これを受けて民間事業者が、防災性の向上や緑の確保といった地域の課題解決に協力しながら迅速な事業展開を図るなど、公と民が協調または補完し合う取り組みをこれまで以上に強化していく必要があると認識しております。
 このような認識のもと、都は、関係者の利害を調整し計画を取りまとめる機能を十二分に発揮するとともに、事業施行者としての経験やノウハウ、さらには技術力を備えた人材の活用により、民間事業者等の取り組みを支援することを通じて、公と民の連携による市街地整備を一層推進してまいります。
 最後に、事業完了後のエリアマネジメントの導入についてでございますが、区画整理や再開発などによって整備されたそれぞれの市街地において、事業完了後も良好な環境を維持し、まちの価値を高めていくためには、地域が主体となってまちの運営に取り組むことが重要でございます。
 これまで都内においては、地権者から成るまちづくり組織が道路の管理を初め地域のイメージアップに取り組んでいる汐留地区や、防災訓練、防犯パトロールに地区を挙げて取り組んでいる白鬚西地区などで先駆的な活動が行われております。
 都は今後、こうした地域の活動が他の地区にも広く普及することを目指して、先進事例の情報提供や推進役となる人材の育成など、エリアマネジメント促進のための取り組みを進めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 補正予算に関します三点の質問にお答えいたします。
 初めに、東京マラソンの法人化の意義についてでございますが、平成十九年に誕生いたしました東京マラソンは、三十一万人を超えるランナーから申し込みがあり、国内外からも注目を集める、日本を代表するスポーツイベントに成長いたしました。
 この東京マラソンを将来にわたって安定的に開催いたすとともに、さまざまな要望や期待にこたえ新たな事業展開を図り、さらに発展させていくためには、これまでの実行委員会方式の課題を見直し、機動的な運営体制の確保を初め、自律的な財政基盤の確立、都民の理解を得るための大会運営の透明性の向上が不可欠でございます。今回の法人化は、こうした課題にこたえ、世界標準の大会運営を実現するために行うものでございます。
 法人化による具体的なメリットといたしまして、第一に、恒常的な組織を整備することにより、年一回のマラソン大会だけでなく、年間を通じた多彩なランニングイベントを開催し、三万五千人という定員の制約から参加できなかった多くのランナーのニーズにこたえることができます。また、ボランティアや医療救護など、東京マラソンが持つノウハウを他のマラソン大会に提供したり、収益の一部を地域のスポーツ振興に役立てるなど、大会の価値を広く社会に還元していく取り組みも可能となります。
 第二に、法人化によりまして、運営主体の対外的な信用力が確立するとともに、大会の主催と運営を東京マラソン財団に一元化し、責任体制が明確となることで、経営の自律化や効率化が促進され、都の財政負担の縮減が図られます。
 第三に、都の指導監督が及ぶ監理団体となることで、現在の組織委員会では対象とならない契約に関する情報などにつきましても情報公開の対象となるとともに、都の監査や議会報告を通じまして、都民への説明責任を果たしてまいります。財団が行う契約につきましても、公正なルールに基づきまして実施してまいります。
 このような取り組みを通じまして、大会をより一層活性化させ、これまで以上に多くの都民が参加し、楽しめるイベントとなるよう、東京マラソンの魅力をさらに向上させてまいります。
 次に、新たに監理団体を設立する必要性についてでございますが、東京マラソンは、三万五千人の大規模市民マラソンと世界のトップランナーによるレースが融合した大会であり、東京都を初め日本の陸上競技を統括する日本陸連、テレビ放映など報道を担う共催メディアが一体となって開催することで成立しております。
 このうち、トップランナーによるレースは、前身の東京国際マラソンの時代には日本陸連とメディアが主催しており、現在でもその存在が大会価値の向上と協賛企業の獲得に貢献しております。
 大規模市民マラソンとの融合に当たりましては、こうした経緯を踏まえ、都、日本陸連やメディアが中心となって構成する組織委員会が大会を運営してまいりました。今回の法人化に際しましても、これまでと同様、都、日本陸連、メディアを中核とする理事会が大会の重要事項の決定に当たることが不可欠でございます。
 お話の東京都スポーツ文化事業団のような既存の団体では、このような東京マラソンの持つ特性を踏まえた枠組みを受け入れることが困難であることから、新たに東京マラソンの開催を目的とする法人を設立することといたしました。
 最後に、新たな団体への都からの再就職についてでございますが、監理団体などには、都で培った知識、経験、能力などを生かし、団体の適正な運営に寄与するよう、都の判断で適切な人材を推薦しております。
 一方、今回設立いたします東京マラソン財団は、多彩な事業展開を通じまして東京マラソンの発展を目指すことを目的としており、有給の役員には、世界のマラソン大会やランニングスポーツに高い見識を持つ人物を充てることにしております。したがいまして、都職員の退職者が財団に再就職することはございません。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 七点のご質問にお答えします。
 まず、監理団体改革推進のための指導監督についてでございますが、監理団体改革につきましては、団体の統廃合、都の財政支出や都派遣職員数の削減、役員退職金の廃止、役員報酬の引き下げなど、行財政改革の大きな柱の一つとして積極的に推進してまいりました。
 監理団体は、都政の現場を担うパートナーでございまして、行政運営を支援、補完する重要な機能を担っていることから、都政で培った知識や、さまざまな経験を有する都OBの活用は意義のあることと考えております。
 一方で、都からの受託事業に係ります契約情報につきましては、都並みに透明性を高めていく必要があると考えており、個人情報の保護等にも留意しつつ、その対象の範囲など、都に準じた情報公開をさらに推進してまいります。
 今後とも、こうした観点から、団体ごとの存在意義を検証した上で活用方針を策定し、一層の公共性を発揮させることによって、都民に貢献する団体となるよう改革を進めてまいります。
 次に、監理団体が行うべき事業についてでございますが、監理団体は都政の一翼を担うものであり、具体的には、都の行政目的達成に必要な公共性の高い事業や、民間市場が未成熟で、現時点では民間にゆだねては都民に必要なサービスが十分に提供されないおそれがある、こういった事業等を主として行っております。
 こうした団体の事業を着実に進めるために、具体的な使途を定めて計画的に基金を積み立て、活用することは当然でございますが、加えまして、新たなニーズや不測の事態への柔軟な対応のためには、一定の余剰資産を保有することは団体の健全運営には不可欠でございます。
 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律におきましても、法人の収入源が途絶えた場合でも一年程度は公益目的事業が継続できるよう、公益目的事業費一年分相当額までは、使途の定まっていない財産を保有することが認められております。
 今後とも、監理団体が行政支援、補完機能を発揮する都政の重要なパートナーとしての質の高いサービスを効率的かつ効果的に提供していけるよう、指導してまいります。
 次に、監理団体の積立金、特定資産等についてでございますが、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則におきましては、公益目的事業を行うために必要な財産の保有や、将来の特定の事業費、管理費に充てるために積み立てる資金も認められております。
 また、さきに述べましたとおり、公益法人は、公益目的事業費一年分相当額までは使途の定まっていない財産を保有することが認められております。
 このたび、平成二十一年度の包括外部監査の結果を踏まえ、各監理団体につきまして、これらの公益認定要件を念頭に、基金、積立金等の調査を実施したところ、現時点で、道路整備保全公社以外は保有限度額を超えるおそれがないことがわかりました。
 総務局では、今後とも、監理団体の公益法人移行に向け、団体の自主性を尊重しつつ、法の趣旨を踏まえ、指導を継続してまいります。
 次に、スポーツ振興局の設置によるスポーツ振興の推進への効果についてでございますが、都はこれまでも、都民のだれもが、いつでも、どこでもスポーツを楽しむことができる社会の実現に向けまして、スポーツ振興に取り組んでまいりました。
 スポーツ振興局は、スポーツの重要性と本年七月に正式決定される東京国体の開催準備の本格化を踏まえまして、スポーツを所管する組織を可能な限り一元化し、条例局として設置するものでございます。
 スポーツ振興局の設置を契機に、統合する各部門の連携を一層緊密なものとするとともに、福祉部門、教育部門など関連する部署との連携を強化してまいります。スポーツ都市東京の実現に向けた総合的、体系的なスポーツ振興策を展開するべく、組織統合によるメリットを最大限に発揮してまいります。
 次に、スポーツ振興局の設置による東京国体及び全国障害者スポーツ大会への取り組みについてでございますが、平成二十五年に開催される東京国体及び全国障害者スポーツ大会は、スポーツ振興はもとより、多摩・島しょ地域の振興を図る上でも極めて重要な役割を担っております。
 スポーツ振興局の設置に際しましては、両大会の開催準備の本格化にあわせまして、競技運営や施設整備等の準備業務に適切に対応するために必要な体制を着実に整備してまいります。
 今後は、スポーツを所管する組織を一元化することによる相乗効果を十全に発揮するとともに、引き続き地域振興に向けた関係部署間の連携協力を図り、最大限の環境配慮や、両大会を一つの祭典として開催することなど、東京ならではの大会の開催を目指し、開催準備を確実に進めてまいります。
 次に、島しょ地域の振興についてでございます。
 島しょ地域の自立的発展のためには、豊かな自然環境を初めとする地域資源を活用し、観光産業と農水産業などの連携を強め、産業の活性化に取り組むことが重要でございます。
 加えまして、島しょ地域特有の台風や冬の強い季節風、平たん地が少ない、こういった厳しい自然環境の中では、島民生活の安定や産業の振興を推進していく上で、港湾や道路、防災などの基盤整備を進めていくことが必要不可欠なものと認識しております。
 都はこれまで、町村の意見を十分踏まえ、町村が主体となって取り組むべき自立した島づくりのために離島振興計画を策定し、ハード関連事業だけではなく、観光や医療、福祉分野にも積極的に取り組むことで、島しょ地域の自立的発展に必要な成果を着実に上げてまいりました。
 今後とも、町村や国などと連携を図りながら、離島振興計画に沿いまして、厳しい自然環境にある島しょ地域の自立的発展のために積極的に取り組んでまいります。
 最後に、個人情報の紛失事故についてでございますが、都は、個人情報の適正管理及び情報セキュリティー確保を徹底する視点から、電子情報の暗号化など情報管理のルールづくり、内部監査、自己点検の実施、職員の意識啓発のための説明会などの取り組みを行ってまいりました。
 紛失事故が発生した際には、速やかに事実関係を公表し、組織の責任者が謝罪を行うとともに、平成十九年度には懲戒処分の指針を改正し、当該職員に対しては、非違行為の内容に応じまして、停職、減給などを含めた地方公務員法上の懲戒処分を実施してまいりました。
 しかしながら、学校現場や医療機関を中心に、いまだに個人情報の紛失事故が発生していることにつきまして、当該情報の対象となる方々にはおわび申し上げるとともに、広く都政の信頼を損ねるに至ったことを反省しております。
 今後も、職員一人一人の意識改革を促し、再発防止策に取り組むとともに、職員に対する懲戒処分につきましては、民間企業における対応など社会情勢の変化も踏まえながら、適正に対応してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、財団法人東京都道路整備保全公社からの寄附金についてでございますが、今回の寄附金は、東京都における道路行政を補完する公社の設立趣旨に沿って、都民生活と社会へ貢献するため、広域的な都民還元に資する公益事業として、道路事業に充てるよう使途が指定されたものでございます。
 公社は、包括外部監査の結果及び公益財団法人の認定要件を考慮し、積立金の活用計画として、電気自動車用急速充電器の都内設置などとともに、道路施設の改修など、広域的な都民還元としての公益事業による活用を検討してまいりました。
 その結果、道路施設の改修などの工事は、道路管理者である東京都が行う方がより広く都民に還元できると判断し、積立金の一部を道路事業へ指定寄附することとなったものでございます。
 都としましては、公社からの寄附金を目に見える形で迅速に都民に還元するため、当初予算で計上しております安全性の向上や環境改善に資する歩道や自転車走行空間の確保など、交通安全施設事業などの実施に活用してまいります。
 次に、都立動物園の経営努力についてでございますが、都立動物園は、種の保存、調査研究、教育普及、レクリエーションの四つの機能を有し、とりわけ種の保存及び調査研究において日本の動物園の中心的役割を果たしております。
 例えば、国のトキの保護増殖事業に長年にわたり指導的立場で取り組み、平成二十一年九月、都立動物園生まれの四羽を野生復帰させました。
 また、これまで明らかになっていなかった冬眠中のツキノワグマの生態を日本で初めて解明し、これを活用して冬眠中の姿を展示することに成功いたしました。
 さらに、水族園では、クロマグロの水槽内産卵に世界で初めて成功し、現在、その技術を特許出願中でございます。
 一方、より多くの方々に野生動物について楽しみながら学んでいただくことが重要であることから、入園者増にも取り組み、平成二十一年度入園者数は、前年度に比べ、四園で約二十一万人増加させることができました。
 現在、ビジット・ズー・キャンペーンを展開し、観光資源としての動物園のさらなる魅力向上を目指し、開園時間の延長、開園日数の拡大などを初めとして、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
 今後とも、都立動物園、水族園の新たな魅力創出に努め、生物多様性保全への貢献と環境教育を推進することにより、日本の動物園のリーダーとしての役割を果たしてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 七点のご質問にお答えいたします。
 初めに、産業施策における今後の取り組みについてでありますが、東京の産業力を維持し、今後の発展を実現していくためには、産業力の源泉であります中小企業の経営基盤をより強固なものにするとともに、将来の成長に向けた施策を重層的に展開していくことが重要であります。
 このうち、将来の成長に向けた施策については、環境、健康、航空機などを成長産業分野として位置づけ、重点的かつ戦略的に育成しております。
 また、経済成長著しいアジアを中心に、国際市場へ積極的に対応を図ることといたしまして、海外への販路開拓を目指す中小企業への支援等を展開しております。
 引き続き、東京の産業力の維持強化に向け、多面的かつ重層的な施策を着実に展開してまいります。
 次に、海外企業の誘致についてであります。
 海外の企業を東京へ誘致することは、都内中小企業のビジネスチャンスを広げ、産業の活性化につながる重要な取り組みであると認識しております。そのため、都はこれまでも、東京のすぐれたビジネス環境をPRする海外企業誘致セミナーを海外で開催し、東京への進出に関心のある企業の発掘を行うとともに、そうした企業が都内中小企業と商談を行う機会を設けるため、産業交流展への出展を継続的に働きかけるなどの工夫を進めてまいりました。
 さらに、東京ビジネスエントリーポイントで、年間七百件を超える相談を通じまして、東京への進出に必要な情報提供や商談のアレンジ等を行うとともに、定着に向けたサポートなど、きめ細かな対応を行ってまいりました。
 今後とも、海外企業の誘致に向けた取り組みを効果的に行ってまいります。
 次に、中小企業の海外販路開拓支援についてであります。
 近年、中国、インドなどを初めとするアジア諸国の成長は著しく、世界経済において重要な地位を占めつつあります。そのため、都は今年度から、アジア市場を目指す中小企業を支援するため、現地の市場動向の情報収集や提供などをタイムリーに行う体制を商社のネットワークを活用して整備するとともに、商材の目ききや取引先の発掘などを担う専門家を配置するなどの取り組みを展開しております。
 こうした取り組みにより、すぐれた技術力や製品を持つ都内中小企業のアジアにおける販路開拓をきめ細かく支援してまいります。
 次に、多摩シリコンバレーの取り組みについてであります。
 多摩地域は、大学や研究機関、先端技術を有する企業が多数集積しておりまして、こうしたポテンシャルを最大限引き出して産業の活性化を図ることが重要であります。
 このため、本年二月に開設いたしました産業サポートスクエア・TAMAにおきまして、多摩地域の産業特性に応じた最新鋭の機器を導入するとともに、計測・分析器などの産業分野で、企業、大学、公的機関及び金融機関によるネットワークの形成を図るなど、地域の研究開発機能を高めながら、新事業の創出に向けた支援を強化したところでございます。
 こうした取り組みを展開することで、多摩シリコンバレーの形成を目指してまいります。
 次に、MICEの誘致についての取り組みについてでありますが、国際コンベンションを初めとするMICEの誘致は、東京の国際的な存在感の向上が図られるとともに、訪都外国人旅行者の拡大や大きな経済波及効果が期待できます。
 都はこれまでも、国際コンベンションの誘致資金や開催資金の助成制度を創設し、その誘致を図るとともに、誘致のための専門知識やスキルを備えたMICE人材の育成を通じて、海外企業の会議や報奨旅行などの誘致を積極的に支援してまいりました。
 こうした取り組みの結果、例えば一万人規模の参加者が見込まれる国際建築家連合大会の二〇一一年東京開催が決定されるなど、大規模な国際コンベンションの誘致に成功しております。
 本年十月の羽田空港の国際化を機会に、さらに都内民間事業者等との連携を強化し、MICEの東京誘致に向けた取り組みを促進してまいります。
 次に、新銀行東京に関する文書の管理と経営悪化の検証についてでございます。
 まず、文書の管理については、新銀行東京が経営再建中であることや、旧経営陣に対し損害賠償請求訴訟を提起したことなどを踏まえまして、当局において必要なものは適切に管理しております。
 次に、経営悪化の検証につきましては、新銀行東京が本年一月二十九日に旧経営陣に対し損害賠償請求訴訟を提起しており、現在、裁判所で審理が進められております。
 都として、司法の場で明らかになることは重要であり、改めて検証を行う必要はないと考えております。
 最後に、新銀行東京の旧経営陣の責任についてでありますが、新銀行東京は、当時の取締役に対して報酬の自主返納を求めておりますが、現時点では全員の返納が終わったとの報告は受けておりません。
 また、個別の理由につきましては、株式会社新銀行東京とその経営陣であった当事者との問題であることから、都としては承知しておりません。
 新銀行東京は、自主返納を求めることをみずから主体的に決定し、今後も重ねて返納を働きかけていくとしておりまして、都としてはこれを見守ってまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 キャップ・アンド・トレード制度における事業者の反応についてでありますが、都は、数々の説明会を開催し、制度の周知を図ってきましたが、これまでに延べ一万五千名という多くの事業者の皆さんに参加をいただいております。また、具体的な制度運営にかかわるさまざまなご質問も寄せられており、ヘルプデスク等の場におきまして、きめ細かな対応を行ってきております。
 既に対象事業所では、既存のビルに比べ、CO2排出量を五〇%削減する次世代型省エネビルの建設や、既存の事業所での高効率な設備機器の導入による省エネ改修など、積極的な取り組みも始まっております。
 今後とも、省エネセミナー等を通じた対策事例の紹介など、さまざまなバックアッププロジェクトを実施し、対象事業所の義務履行をサポートしてまいります。
 次に、キャップ・アンド・トレード制度に関する国への提案についてでありますが、都は、二〇〇七年六月に気候変動対策方針で、キャップ・アンド・トレード導入の方針を提起し、その後、経済界、NGO、学識経験者等の参加を得たステークホルダー会議での議論を踏まえ、実効ある制度を構築してまいりました。
 現在、全国的な制度のあり方について、中央環境審議会の国内排出量取引制度小委員会で議論が行われていますが、都は、国からの要請を受け、同小委員会への審議にも参加しております。
 都は、国に先んじて、実際にキャップ・アンド・トレード制度を構築し、運用を開始している経験を生かしまして、この小委員会の議論に積極的に貢献するなど、実効ある全国制度の実現のために努力してまいります。
 次に、省エネ促進プロジェクトにおけるメリットについてでございますが、省エネ設備導入には、本来、光熱費の節減というメリットがありますが、その効果の大きさは十分に知られておらず、中小企業の省エネ対策は立ちおくれた状況にあります。
 今回のプロジェクトは、対象となる中小企業に対し、最大四分の三の高率な助成を行うことにより、中小企業の省エネ改修に弾みをつけることを目指しております。本プロジェクトの実施を通し、省エネ投資には継続的な光熱費節減のメリットがあることを明らかにしてまいります。
 先日、募集説明会を開催し、千五百名以上の事業者の参加がありました。今後、都内中小クレジット事業化サポートセミナーの開催や、業界団体等と連携した事業周知を進め、この八月から募集を開始する予定であります。
 最後に、小笠原における環境に配慮した取り組みについてでありますが、小笠原諸島の自然環境を守るためには、自然に配慮した観光を推進していく必要があり、世界自然遺産登録を機に、さらに充実させていく考えであります。
 このため、自然ガイドの質の向上を目指し、講習で遺産価値と保全策を十分習得させるなど、南島などで実施している東京都版エコツーリズムを一層推進してまいります。
 また、ホエールウオッチングのルールなど、自主ルールの遵守の徹底とともに、自然環境の理解促進を図るため、自然体験やボランティア活動などを組み込んだ参加型の観光や案内人つきツアーの奨励などを進めてまいります。
 今後とも、村や観光事業者と連携しまして、環境に配慮した独自の取り組みを推進し、小笠原の貴重な自然を保全してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、若年者の精神疾患の予防等についてでございますが、精神疾患の予防や悪化防止のためには、都民に正しい知識を普及し、適切な相談支援を行うことが必要でございます。
 こうしたことから、都では、疾患ごとの症状や相談機関などを区市町村の窓口等を通じて周知に努めております。
 また、精神保健福祉センターや保健所において、本人及び家族を対象とした思春期、青年期相談を実施し、対人関係や、ひきこもりの問題等について助言指導を行っております。
 今後も、さまざまな機会をとらえて普及啓発を行い、心の問題を抱えた若者が早期に相談機関や医療機関につながるよう取り組んでまいります。
 次に、精神疾患の早期発見、早期支援についてでありますが、若年の精神疾患の方を早い段階で支援に結びつけていくためには、関係機関の連携や対応能力の向上が重要であります。
 このため、精神保健福祉センターでは、区市町村職員や教職員等を対象として、ネットワークづくりやスキルアップを目的とした研修や事例検討会を開催いたしております。
 また、現在、東京都地方精神保健福祉審議会におきまして、地域における精神科医療提供体制の整備について審議しており、この中で、精神疾患の早期発見、早期支援に向けた、より効果的な取り組みについても検討を行っております。引き続き、関係機関の連携に努めてまいります。
 次に、多摩地域における新生児医療についてでありますが、低出生体重児などのハイリスクの新生児については、NICUでの集中治療の後、GCUでの回復、地域の医療機関等への転院を円滑に行うことがNICUの機能を確保するためにも重要でございます。
 このため、現在、多摩地域においても、急性期の医療とその後の医療を切れ目なく確保することを目的に、総合周産期母子医療センターを中心に、病院や診療所がネットワークグループを構築しており、今後、新たに指定する多摩新生児連携病院の機能も活用して、リスクに応じた連携に取り組んでまいります。
 こうした取り組みにより、周産期母子医療センターのNICUの機能を強化してまいります。
 次に、地域の中核病院と開業医との連携についてでありますが、限られた小児医療資源を最大限活用していくためには、初期、二次、三次の小児医療施設がその機能を十分に発揮するとともに、それぞれの役割に基づき重層的に連携することが重要でございます。
 このため、都は、医療機関、区市町村及び東京都医師会等の参加を得て、新たに設置する東京都小児医療協議会のもと、こども救命センターを中心とした四つのブロックごとに部会を設け、それぞれの地域における連携の仕組みづくりなど、具体的な取り組みを進めてまいります。
 さらに、多摩地域においては、都立小児総合医療センターと多摩北部医療センターとの間で遠隔診断支援システムの導入などを図るとともに、地域の中核病院と診療所等とがお互いに話し合い、連携を深めるためのネットワーク会議や症例検討会を実施する小児医療ネットワークモデル事業に取り組んでまいります。
 次に、不妊治療に対する医療保険適用についてでありますが、都はこれまでも、大都市衛生主管局長会等を通じて、不妊治療について医療保険適用の範囲を拡大するよう要望してまいりました。
 また、本年一月に取りまとめた少子化打破緊急対策最終報告におきましても、特定不妊治療等の治療内容及び費用の標準化を図った上で、公的医療保険の適用対象とするよう国に求めており、引き続き、提案要求を行ってまいります。
 最後に、特定不妊治療費助成事業についてでございますが、ただいまお答えしたように、都としては、不妊治療を必要とする人が安心して治療を受けられるよう、国において特定不妊治療等の有効性等についてさらに検討した上で、治療内容及び費用の標準化を図り、医療保険の適用対象とすべきものと考えております。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩北部医療センターにおける常勤医師の確保についてでありますが、当センター小児科では、現在、保健医療公社の常勤医師六名のほかに、小児総合医療センターから三名の医師の派遣を受け、診療体制を確保しております。
 今後とも安定した診療体制を維持するためには、公社常勤医師をふやしていくことが望ましいと考えており、引き続き、公社と密に連携をとり、常勤医師の確保に向けて取り組んでまいります。
 次に、多摩北部医療センターの救急医療体制についてでありますが、清瀬小児病院移転後の地域の小児医療を確保するため、都は、当センターの夜間、休日の救急診療を含め、さまざまな対策を講じ、万全の体制で臨んでまいりました。
 今後も救急二系列の継続を初め、地域住民の安心が確保されるよう、適切に対応してまいります。
 最後に、多摩北部医療センターの地域啓発活動についてでありますが、当センターでは、これまでも、地区医師会との症例検討会や学校関係者等を対象とした研修会など、地域に向けた普及啓発の取り組みを積極的に行ってきております。
 さらに、これに加え、地域住民からの電話による受診相談に看護師が適切なアドバイスをするなどして、住民の不安解消等にも努めております。
 今後も、医療スタッフによる啓発活動に一層の工夫を行い、例えば、保育園の行事等の機会に看護師が育児相談を受けるなど、地域住民の安心につながる具体的な取り組みを引き続き行ってまいります。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 島しょ貨物運賃補助対象品目の見直しについてでございます。
 貨物運賃補助の対象となる品目は、島民の日常生活に不可欠な品や、島の産業を支える特産品の中から、補助の効果が高く、かつ、その効果が幅広く島民に還元される品を地元町村など関係者と調整の上、指定をしてございます。
 ガソリンにつきましては、島と本土との価格差のうち、貨物運賃が占める割合は、価格差が大きい御蔵島、三宅島などで三〇%程度と小幅であり、価格差の大宗は、販売量の少ない島向けに小口輸送するための経費や、小売り段階での手数料などにより生じてございます。このため、運賃補助の効果が小さいことから対象品目としてこなかったものでございます。
 今後とも、貨物運賃補助制度の運用に当たりましては、各島の理解が得られるよう努めてまいります。

○議長(田中良君) この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十九分休憩

   午後三時十分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十一番こいそ明君。
   〔百十一番こいそ明君登壇〕

○百十一番(こいそ明君) 質問に先立ちまして、元東京都知事、鈴木俊一さんのご逝去に当たり、心からお悔やみ申し上げ、ご冥福をお祈りいたします。
 それでは、都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 あの政権交代から八カ月、迷走、逆走、そして暴走をし続けた民主党鳩山政権はついに首相の座を投げ出しました。沖縄普天間問題に見られるように、国家を背負うはずの政権が、日本をいかにして守るかという理念も、安全保障に関する哲学もないことに、国民の多くは大きく失望をしてしまいました。
 まさに我が国は危急存亡のときにあります。マニフェスト至上主義に拘泥され、高速道路料金の無料化、子ども手当に代表される放漫きわまりない政策は、国民に国家の将来への強い不安を与えています。前のめりの政治主導や場当たり的なパフォーマンスを国民は既に見抜いています。根本的な社会資本整備や社会保障制度への定見も持たずに、軽佻浮薄なスローガンを掲げるだけでは、とても政治とはいえず、政権など運営できるものではありません。
 我が党は、新たに誕生する民主党菅政権にも、政治とは、国家の運営とはを厳しく追及してまいります。
 国のあり方を左右するような重大な決断は、政治というものの持つ責任をしっかりと意識して実行されるべきものであり、我が国の進むべき方向性の理念や哲学をもとに、数々の重大な問題に対処しなければならないのであります。
 政治とは、まさに決断と判断の重さにそのすべてが凝縮されているものであります。孟子に、みずから省みてなおくんば、千万人といえども我行かんという言葉があります。まさに揺るぎなき政治哲学と責任感を持ち、真剣に事に当たる覚悟こそが、我々が政治を行う上での行動規範であります。
 これは都政においてもしかりであり、我が都議会自民党は、石原与党として都政に明確な責任を果たしてきました。今回の首相交代劇を見るにつけ、改めて政権とは何たるや、執行権を有する為政者として、その覚悟とは何たるやについて、まず知事の所見をお伺いいたします。
 民主党政権が美辞麗句を並べながら、我が国存立の礎石に亀裂を入れ、崩壊させようとしていることに極めて強い危機感を感じます。
 例えば、夫婦別姓です。この制度が自由で合理的との主張がありますが、家族のきずなという日本社会の土台を崩壊してしまいます。
 外国人への地方参政権付与も同様で、国民主権という国家の最も根源的部分を改悪しようとしています。この地方分権の時代に、本当にこんなことをしていてよいのでしょうか。
 既に各地方議会や全国知事会において、極めて強い懸念が、また反対の声が広がっています。四月十七日には、全国地方議員緊急総決起集会が開催されました。また続き、武道館に一万人を超える各界各層の国民の皆さんが集まり、断固反対という意思表示がなされました。
 税金を払っているとの声もありますが、税金は行政サービスの対価にすぎません。みんな仲よくしようといっても、国民主権にかかわる参政権は次元が別です。地域主権を掲げる民主党政権ではありますが、皮肉なことに地域の意味、主権の意味を全く理解していません。
 かつて知事は、沖ノ鳥島の重要性を訴え、周辺海域での漁業活動などを支援してこられました。日本の最南端、沖ノ鳥島や最東端の南鳥島があってこそ、領土の面積は世界第六十位のこの日本が、領海とEEZ、排他的経済水域を合わせた広さでは世界第六位になります。
 鉱物資源や漁業資源など、海にははかり知れない可能性があり、これに目を向けさせ現場から国を動かしたのが、この石原知事と我々都議会自民党であります。
 去る五月二十六日には、遅まきながらでありますけれども、日本の国益を守るため、沖ノ鳥島等の保全を図る新しい法律が全会一致で可決成立しました。
 このように知事や我々地方議員が、現場感覚、皮膚感覚に基づいて国にメッセージを発信し、果敢に行動しなければ、この日本を真に守ることはできません。
 そこで、これまで常に国家の行く末、都民、国民の安全と安心のために力を尽くされてきた石原知事に、日本を根幹から揺るがしかねない外国人への参政権の付与について所見を伺います。
 次に、中小企業支援について伺います。
 現在、我が国の経済は、一時期の低迷期を脱しつつあるものの、諸外国に比較して立ち直りの速度が緩慢であり、中小企業は依然として厳しい状況にあります。
 これに対して、都は我が党の主張を踏まえて、中小企業経営力向上支援事業により、中小企業診断士などによるきめ細かい経営の改善向上に取り組むとともに、新たな販路開拓に向けた展示会出展等を支援する受注開拓緊急支援助成事業にも取り組んできました。
 これらの支援を受けた経営者から、我が党に対して数多くの感謝の声が寄せられるほどの反響の大きい事業となっておりますが、なお中小企業は景気の回復を感受するには至っておりません。
 都は、本年度も、目指せ中小企業経営力強化事業により、経営力の強化や販路開拓の支援を継続して行うとのことでありますが、昨年の成果を踏まえ、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 販路開拓は、事業再生を目指す企業にも必要な支援であり、再生を目指す企業は、経営の効率化に向け血のにじむような努力をしていますが、それにも限界があります。新たな取引先をふやす努力も必要であり、そうした取り組みなくしては、事業の継続、売り上げの拡大などは困難であります。
 回復への光明が差し始めている今こそ、都は、目指せ中小企業経営力強化事業の中で、事業再生を目指す中小企業をも販路開拓支援の対象に含めて支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、産業振興に当たっては、アジアの成長を取り込むことも大きな課題であります。実際に都内の中小企業では、市場の拡大が期待されるアジアにビジネスチャンスを見出そうという機運が高まっています。
 しかし、中小企業にとっては、アジア市場へのアプローチは大きなリスクを伴うという厳しい現実も見なければなりません。輸出や海外進出を行った中小企業の中には、生産性や利益の向上などの成果を得る企業がある一方、法制度や商慣行などさまざまな課題に直面した企業も多いと聞いています。
 アジアの市場拡大を確実に都内中小企業の発展に結びつけていくには、海外販路の開拓に当たって、事前の情報収集や取引のリスク回避など、きめの細かい支援が重要であると考えます。具体的にどのように取り組んでいくのか、伺います。
 次に、来週十八日に完全施行される改正貸金業法について伺います。
 この改正内容により、貸金業者に対する規制が厳しくなる一方で、利用者に対しては、上限金利の引き下げとともに、年収の三分の一を超える額の新規借り入れができなくなってしまいます。
 千二百万ともいわれる利用者に大きな影響を及ぼす法改正にもかかわらず、その中身は十分知られていないのではないでしょうか。改正貸金業法の完全施行を控えて、都の対応についてまず伺います。
 貸金業の利用者である消費者や個人事業者を取り巻く環境は、依然厳しい状況です。都内中小企業者は、いまだ不況を脱せず、深刻な雇用状況のもとで、個人の給与も不安定で、今回の完全施行の影響が危惧されます。
 新聞報道によると、貸金業者においては貸し渋りが起こっており、昨年度の成約率は三割に低下したとのことであります。収入がない専業主婦の方などに対しては、大部分の大手の貸金業者は貸し出しから撤退するとしています。このように、資金調達が今後さらに厳しくなる事態も懸念されます。
 都は、こうした状況をどのように認識をされているのか。とりわけ、貸金業を利用している個人事業者を含め、東京の経済を支える中小企業者に与える影響について所見を伺います。
 そもそも改正貸金業法は、多重債務問題の解決を図るためのもので、国においては、附則第六十七条に基づき、完全施行後の影響も含めて、改正後の規定を円滑に実施するために講ずるべき施策の必要性について検討されてきました。
 しかしながら、現状を見る限りは、利用者や貸金業の業者の実態を十分に把握しているか疑問であり、議論が不足しているといわざるを得ません。また、今後講ずるとされている方策についても、利用者に対して十分な説明と配慮がされているとは思えません。
 したがって、我が党としては、改正貸金業法の完全施行により、資金の借り手への影響が抑えられ、円滑な実施の見通しが立つまでは、完全施行を見合わせることが必要であることを表明しておきます。
 次に、新銀行東京についてであります。
 先月末に発表された新銀行東京の平成二十一年度決算は、十五億円の黒字でした。新銀行東京の再建に際し、四百億円の追加出資を決断したのは、石原知事も我が党も苦渋の選択でありましたが、新銀行東京の努力によって、再建計画二年目で通期黒字決算となりました。
 新銀行東京の懸命な努力を評価するとともに、これまでの無責任な意見に対する明快な、これは答えだと思います。
 一方で、中小零細企業の支援を十分に行うことこそがこの銀行の本来の使命であることを、これも肝に銘じなければなりません。そのためには、着実に新銀行東京の再建を進めることが必要です。本業の収支を示す実質業務純益は、改善傾向ではあるものの、依然として赤字です。まずは実質業務純益の黒字化に全力を傾けることが重要と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、スポーツ振興局について伺います。
 スポーツを通じた成功、挫折の体験や、家族や地域の指導者とのコミュニケーションの促進は、子どもたちの心身の成長を促すとともに、希薄となってしまった家族のきずなや地域のきずなを再生へと導きます。スポーツ振興は、個人の健康増進はもとより、子どもの健全育成や地域の活性化という観点からもその重要性を増しています。
 とりわけ、国体開催を三年後に控えたこの時期にスポーツ振興を一層推進することは、多摩・島しょ地域を大きく活性化させます。
 都は、一体的に開催される障害者スポーツ大会を含めて、準備体制を十全に整え、国体成功に向けて全力で取り組んでいただきたい。
 また、スポーツ振興策を進めるに際しては、幅広い対象者に対して、ソフト、ハード両面からの施策を有機的に連携させながら展開することが肝要です。都が関係部署を一元化してスポーツ振興局を設置し、スポーツ施策を一層充実することは大いに意義のあることであります。
 そこで、改めて今回のスポーツ振興局の設置の意義と、今後のスポーツ振興策の展開について、知事の所見を伺います。
 次に、東京マラソンの法人化について伺います。
 知事の強いリーダーシップのもと、二〇〇七年に誕生した東京マラソンは、四回目となる二〇一〇年大会では三十一万人を超えるランナーが申し込むほどの人気の大会になりました。この機会をとらえ、この大会をさらに発展させていくことが重要であります。
 今回の法人化によって恒常的な組織が整備され、年一回のマラソン大会のみならず多様なニーズにこたられるような取り組みが期待されます。
 さらに、海外のメジャーなマラソン大会では、法人が年間を通じてさまざまなイベントを開催していると聞いています。今回の法人化は、東京マラソンを発展させる上で、まさに時宜を得たものだと思います。
 そこで、法人化を契機に、東京マラソンをどのように発展させていくのか、知事の所見を伺います。
 また、東京マラソンは、単なるマラソン大会の枠を超えて、日本を代表するビッグイベントに成長し、東京の観光振興や地域振興に極めて大きな意義を持つものと考えます。今回の法人化により、大会は財団が責任を持って安定的な運営をすることとなると考えます。都は、財団と連携を図り、この東京マラソンというイベントを全力で支援し、都民の期待にこたえていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、首都大学東京について伺います。
 知事は、旧弊を廃した新しい東京の実現を目指して、平成十七年に公立大学法人首都大学東京を立ち上げました。以来、課題解決能力の養成をねらいとした現場重視型教育の実践や、大都市の課題を踏まえた新たな分野への進出など、首都東京の将来を支える人材を育成するため、意欲的な取り組みを進めてきました。
 今回、首都大学東京の今後の方針となる中期目標が示されましたが、国立大学が不透明な財政運営を余儀なくされる中で、都として法人が目指す目標を明らかにしたことは、在学生や都民にとって心強いことと思います。
 この目標のもと、地域の環境保全活動からアジアを初めとする大学との交流まで、都が設置した大学として世界をリードする先進的な取り組みを行い、意欲と個性あふれる自立した人材を育成してくれることを期待します。
 そこで、これまでの成果を踏まえ、今後、首都大学東京に何を求めるのか、中期目標における都の考え方を伺います。
 次に、体力向上について伺います。
 報道によると、文部科学省の全国学力調査は本年度から三割程度に、全国体力テストは二割以下の抽出調査に縮減されました。
 学力と体力で抽出割合が異なり、しかも学力テストは希望すれば参加することは可能ですが、体力テストは抽出調査による参加のみしか認められていません。こうした統計調査は、国が全面的傾向を把握するためであれば抽出で事足りるものでありますが、都道府県や区市町村、そして学校や子どもの現状を把握することはできません。
 統計調査が悉皆になったり抽出になったりと、時々の考えに左右されれば、困るのは学校現場と教師であり、子どもたちも甚だ迷惑な話です。たとえ国が全国体力テストの規模を縮小しても、都独自に昨年度と同規模に実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 これまで都教育委員会は、学校体育の充実を通して、子どもの体力向上に取り組んできました。都内のある中学校では、体力テストの結果が都平均より相当低かったことから、学校を挙げて持久力向上に取り組んだ結果、東京都平均値を上回るだけではなくて、全国平均に迫るところまで向上したと聞いています。
 我が党は、この中学校のように、都内の小中高校すべての学校が問題意識を持って取り組むことが大切であると考えます。そのためには、すべての学校で体力テストを実施し、体力向上の取り組みを評価し、子ども一人一人の体力の向上を図るべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、特別支援教育について伺います。
 平成十九年の学校教育法の改正により、我が国は特殊教育から特別支援教育へと移行しました。特別支援教育では、視聴覚障害、聴覚障害などの従来の障害種別に加えて、小中学校、高等学校の通常の学級に在籍する学習障害、注意欠陥多動性障害やアスペルガー症候群といった発達障害も対象に含まれることになりました。
 また、障害のある子どもたちの教育の場も、養護学校などの特別な場だけではなく、通常の学級も含めて、すべての学校で実施することが示されました。これは、養護学校義務制の実施に次ぐ新たな時代の到来ともいえます。
 これまで発達障害のある子どもたちは、クラスの中では手間のかかる子ども、困った子どもとして扱われ、ややもすると学級崩壊の一因にと誤解されるなど、子ども自身も保護者も疎外感や焦燥感を感じてきました。
 こうした発達障害のある子どもたちのために、週数時間の特別な指導を行う通級指導学級の整備や教育内容、方法の充実が図られています。本年じゅうに策定予定の東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画においては、発達障害のある子どもたちへの適切な指導と必要な支援をより一層充実する方策を明確に打ち出すべきと考えますが、所見を伺います。
 近年、知的障害特別支援学校の児童生徒が急増傾向にあり、深刻な教室不足の状況にあります。障害の程度に応じた専門的な教育を行うことは、都の当然の責務であり、新たな学校の設置や特別支援学校全体の再編整備を含めて、教室確保対策に全力で取り組むべきと考えます。その際、児童生徒の通学時間にも十分に配慮することはいうまでもありません。
 第三次実施計画においては、必要な教室の確保のため、抜本的対応策を明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、我が党がこれまでも主張してきた肢体不自由特別支援学校における外部人材の導入について伺います。
 肢体不自由特別支援学校に在籍する障害の重い子どもたちに対して、適切な指導と必要な援助を行っていくには、教育と福祉、保健、医療等の専門家の連携による指導体制を構築することが大切であると考えます。
 現在、都教育委員会では、我が党の主張を踏まえて、永福学園などで介護などの複数の分野の専門家と教員が連携し、協力した指導体制の試行を行っています。従来の教員のみの教育現場に多様な分野の専門家を導入することは、教育内容、方法の充実の観点から意義あることです。
 第三次実施計画において、こうした取り組みをさらに広げるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、救急医療の東京ルールについて伺います。
 昨年八月から取り組みを開始した東京ルールは、地域で救急患者を受けとめ、救急医療を守るため、都民、医療機関、行政機関が協力、協働して取り組んでいくものです。
 開始後九カ月が経過し、地域救急医療センターを中心とした医療機関相互の連携や、救急患者受け入れコーディネーターによる広域調整などの仕組みが着実に定着していると聞いております。
 安心できる医療供給体制の確立に取り組む我が党としても、救急医療の迅速的確な運営は不可欠と考えており、東京ルールの運用について随時確認していきたいと思います。
 そこでまず、東京ルールのこれまでの実績について伺います。
 さて、東京ルールは、搬送困難な患者の受け入れ促進だけを目的に創設されたものではありません。救急医療の現状は、限られた医療資源の中で個々の緊急医療機関の使命感や努力のみでは限界があることを直視し、真に必要とする患者に迅速かつ的確な医療を提供すること、そして、緊急医療全体の底上げを図ることであったと認識をしております。
 今後、東京の救急医療が東京ルールによってどう向上したのか、課題はあるのか、全体の状況を含めた実証、検証が必要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、小児医療について伺います。
 都が地域の医療課題の解決に向けて、昨年度策定した地域医療再生計画にも多くの小児医療施策が盛り込まれ、一層の充実強化を図ることとしています。
 こうした取り組みの柱の一つとして、こども救命センターの創設が挙げられます。昨年の第四回定例会では、高度な三次救急医療施設として、二十四時間体制で重篤な状況となった子どもの救命治療を行うとともに、小児救急医療の中核としての役割を担っていくと答弁をいただきました。
 新たに創設するこども救急センターと救命救急センターが連携して、お互いの機能を十分に発揮していくことが、子どもの命を守るためにも重要であります。都としてどのような取り組みを行っているのか、伺います。
 改めていうまでもなく、多摩地域の小児医療水準は、都立小児総合医療センターの開設により、地域全体として向上しています。しかしながら、高度専門的な医療提供を行う小児総合医療センターの円滑な運用とあわせて、二つの小児病院が移転した地域の小児初期及び小児二次の救急医療体制が十分確保されていることも必要です。
 都立小児病院再編後の医療提供体制はどのように確保されているのか、伺います。
 近年、我が国の医学の進歩、医療水準の向上は目覚ましいものがあり、病院の医療機能は一層の高度化、専門化が進んでいます。こうした中、都立病院は多摩総合医療センター、小児総合医療センターをことし三月に開設したほか、駒込病院、松沢病院で再編整備事業を推進するなど、小児救急医療、周産期医療、がん医療、感染症医療、精神医療といった都民にとって欠かせない高度専門医療の充実を図っております。
 一方、公社病院は、昨年四月に移管した豊島病院を除く五病院が地域医療支援病院の承認を受け、その設立目的である地域医療連携を一層推進し、地域の中核病院としての機能を強化してきました。
 こうした都立病院と公社病院とが互いの強みを生かして機能的に連携すれば、それぞれの医療資源をより効果的に都民に提供できるものと考えます。現に私の地元にある公社多摩南部地域病院は、消化器内科、リューマチ膠原病科などの分野で都立多摩総合医療センターと人材交流を進め、相互に医療機能を有効活用していることを承知しています。
 このような医療連携の取り組みをぜひ都立、公社病院全体に拡大して、都民の期待にさらにこたえてほしいと考えます。
 そこで、都立病院と公社病院の連携を今後どのように進めていこうとしているのか、伺います。
 また、とりわけ都民の関心が高い周産期医療の分野では、墨東病院や大塚病院を核とした地域医療連携が進んでいると聞いています。産科医師、助産師の絶対的な不足など、医療資源が極めて限られた状況の中で、地域と連携した都立病院の取り組みは高く評価できるものです。
 しかしながら、都民が真に安心できる周産期医療体制を実現するためには、都立病院として一層の体制の充実を図る必要性があります。
 そこで、今後の都立病院における周産期医療の充実に向けた取り組みについて伺います。
 次に、子育て支援策について伺います。
 我が党は、少子化問題は経済的給付だけで解決する問題ではなく、子育てサービスの充実や働き方の見直し等も必要であるとの認識に立ち、国、都、区市町村、民間事業者などと積極的な意見交換を行い、都に具体的な提言を行ったところであります。
 その中の一つが、待機児童解消に向けた認証保育所の定員拡大であり、認証保育所運営費補助の単価区分の細分化と、最も有利とされる定員三十人までの運営費補助単価を定員四十人までの事業所に拡大適用することでありました。
 都は、我が党の提案を受けた取り組みを平成二十二年度から展開していますが、その進捗状況について伺います。
 ところで、知事は先日の庁議において、縦割りに陥りがちな行政に横ぐしを刺すことの大切さを述べられておられました。少子化について、局横断的な対策本部を存続することは無論でありますが、対策のかなめである福祉保健局がその事務機能を一層充実し、事業の進捗状況を把握するとともに、各局と連携して施策の推進に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 少子化の流れを反転させるには、長時間労働の解消、育児休業を取得しやすい職場づくりなど、労働環境の整備を進める必要性があります。特に我が国は、出産、子育てと仕事の二者択一を迫られ、子育て期に離職する女性の割合が高いのが現実です。
 育児休業が取得できる乳児期において、家庭や地域で安心して子育てを行い、育児休業取得後も円滑にもとの職場に復帰できることが極めて重要であり、このことにより、一つは家庭、地域での子育てを通じて、家族とのきずなや愛をはぐくみ、地域のつながりを深め、もう一つは優秀で多様な人材を確保して、企業の力を高めるという二つを同時に実現できるのではないかと考えます。
 我が党の主張を受け、都は新たに企業の先進的な取り組みに光を当て、それを支援することで、社会全体に波及させていく働き方の改革、東京モデル事業を本年度から実施しています。
 しかしながら、中小企業については取り組みが十分進んでいないという調査結果もあります。出産、子育てと仕事の両立を図り、真に働きやすい社会を実現するには、中小企業の取り組みにつなげていくことが重要です。
 都は、東京モデル事業を通じて、働き方の見直しをどのように浸透させていくのか、伺います。
 次に、高齢化対策について伺います。
 介護保険制度は、発足から十年が経過し、介護を必要とする高齢者を社会全体で支える仕組みとして定着したところです。
 今後、高齢化のピークは団塊の世代が七十五歳以上となる平成三十七年ごろと予測されており、財政面の裏づけをもって介護基盤の整備を着実に推進するとともに、地域の見守り機能の充実に努めていく必要性があります。
 平成二十四年度は、診療報酬と同時に介護報酬の改定年度であり、介護保険制度の大改正も想定されています。
 そこで、次期報酬改定を含めた今後の制度改正に向けて、都はどのように考えているのか、所見を伺います。
 次に、元気高齢者についてですが、高齢者が望んでいる活躍の場は、本格的な就労に加え、地域での短時間の就労、ボランティア活動への参加などさまざまであります。ひとり暮らし高齢者や認知症高齢者が急増し、社会全体で見守り、支える体制を強化する必要性がある中、地域活動に意欲があり、かつすぐれた経験やノウハウをお持ちの高齢者は貴重な存在です。
 地域社会の担い手として、元気高齢者の知識と技術を活用すべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、用途地域の権限移譲について伺います。
 国が設置した地域主権戦略会議において、現在都が持つ用途地域等の決定権限を区市町村に移譲する動きがあると聞いています。住民に身近なまちづくりを進めるために、地区計画や高度地区など、相当程度の制度が既に区市町村が決定主体となり、地域の意向を反映した運用が行われています。
 一方、用途地域等は、広域的な視点に基づき、市街地の土地利用を方向づける都市計画であり、都市全体が一体的な機能を発揮できるように、これまで都が決定、運用してきました。
 仮に区市町村ごとの方針でこの制度が運用されると、都市全体のバランスを考慮した広域拠点の形成なども困難となり、都市の一体性が損なわれ、東京ひいては日本全体の国際競争力が失墜することにもなりかねません。
 用途地域等の権限移譲に関する国の動きに対して、的確な対応が必要と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、東京外かく環状道路について伺います。
 外環は、ひとり東京のみならず、広く国全体に便益が及ぶ重要な幹線道路であります。昨年十二月に事業説明会が開催され、本年一月からは現地について地質調査などが実施されましたが、平成二十二年度の当初予算の配分がなされませんでした。
 これに対して、超党派で構成する東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟は、東京商工会議所を初めとした民間団体とも連携し、政府に対して平成二十二年度予算において、用地買収などに必要な事業費を早期に配分するよう強く求めてまいりました。
 これらの要請活動もあり、本年四月には、生活再建と事業促進の観点から、国の直轄予算約五十八億円が措置されたところであります。
 地元においては、予算がついたことで外環整備への期待が高まっており、早期の用地買い取りを求める声も強く上がっております。
 国は、外環の重要性、地元住民の生活再建への影響を十分認識し、国の責任において整備を加速させるべきであり、都においても地元の声に早期にこたえていくべきと考えます。
 そこで、外環整備に対する都の取り組みについて伺います。
 次に、羽田空港のさらなる機能強化について伺います。
 羽田空港は、新しい滑走路が十月二十一日に供用開始され、その十日後に国際定期便が就航することになり、本格的な国際空港として新しいスタートを切ることになりました。
 国土交通省は、さきの成長戦略会議において、昼間の国際定期便をさらに年間三万回上積みをして、世界の主要都市に就航させる方針を提示しました。多くの課題を乗り越えて羽ばたこうとしているこの羽田空港を、今後は我が国の国際競争力の強化などの観点から、しっかりと活用していくことが肝要です。
 まさに現在、羽田の再拡張が成り、国際化がここまで進展してきたのは、知事が先頭に立って尽力してきた結果だろうと思いますが、知事はこの状況をどのように受けとめ、さらにその上で、羽田空港の機能強化をどのように進めていこうとしているのか、所見を伺います。
 次に、東京における市街地整備について伺います。
 東京は、区部全体の四分の一が区画整理や再開発等により市街地として整備され、産業の発展や都民生活の向上に大きな役割を担ってきました。
 さきの予算特別委員会で、首都高の大橋ジャンクションについて知事が答弁されたように、東京のような稠密な市街地で大規模な都市基盤を整備するには、再開発などまちづくりと一体となって進めることが不可欠です。
 また、密集市街地において、延焼遮断帯となる道路を整備する場合にも、道路単独ではなく、沿道建物共同化など、地域のまちづくりと一体となって進めることで、より防火性にすぐれた質の高いまちを実現できます。
 さらに、都が目指す環境先進都市を実現するには、環境や景観といった新しい課題にも十分対応しながら、東京の市街地の再生に取り組むことが必要と考えます。
 こうした中、都は東京における市街地整備の実施方針を発表しましたが、策定の意義と今後の方向性について伺います。
 次に、住宅を中心としたまちづくりについて伺います。
 我が党は、成熟都市東京の実現に向け、住宅まちづくりを積極的に進めることが必要とこれまでも訴えてきたところであり、このために東京都、東京都住宅供給公社、都市再生機構等の公的主体の取り組みに加え、民間事業者など、さまざまな主体による重層的、継続的な取り組みが不可欠だと考えます。
 まず都営住宅についてでありますが、経済の低迷が長期化する中、住宅に困窮する世帯に対し、都営住宅を供給することが一層重要になっています。少子高齢化も急速に進んでおり、子育て世帯や高齢世帯が安心して暮らしていく上で、都営住宅には大きな期待が寄せられています。
 我が党はこれまでも建てかえ事業について、昭和四十年代建設の住宅まで対象を拡大し推進すること、子育てしやすいように間取りなどの見直しを行うこと、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居を拡大することなどを提言し、実現させてきました。
 今後、少子高齢化が一層進んでいくことを踏まえると、子育て世代の入居機会をさらに拡大することが必要です。また、建てかえに当たり、高齢世帯の生活実態などにも対応した、より使いやすい間取りの住宅を供給するとともに、福祉や環境対策など、地域のまちづくりに貢献していくことが必要と考えます。今後の都営住宅の供給や整備のあり方について、見解を伺います。
 次に、大規模な分譲団地の建てかえについてであります。
 都内では、今後、老朽マンションが急増すると予想され、まちづくりの上では、これらマンション、とりわけ大規模団地の建てかえの円滑化が重要と考えます。しかしながら、複数の住棟から成る大規模団地の建てかえでは、団地全体の決議とともに、棟ごとにも決議を経なければなりません。
 建てかえに対する考え方や世帯構成、年齢、経済状況も異なる多くの居住者の意見を取りまとめ、建てかえに向けた合意形成を図りながら建てかえを進めていくためには、居住者への説明や情報提供、居住者が抱くさまざまな不安への対応など、管理組合によるきめ細やかで粘り強い取り組みが不可欠であり、その際に外部の専門家の活用も必要となるなど、管理組合の人的、財政的負担も少なくありません。
 こうしたことから、都は、大規模団地型分譲マンションの建てかえの円滑化を図るため、管理組合を積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、核都市である多摩ニュータウンにおけるまちづくりについてですが、稲城、多摩、八王子、町田市の南多摩四市にまたがる多摩ニュータウンは、東京の人口急増による住宅難への対応と、区部周辺部のスプロール化防止を目的として、大量、良質な住宅供給とともに、道路、公園等の都市基盤が整備され、良好な市街地が形成されました。
 しかし、今日では、整備の当初段階には想定されなかった新たな課題が発生しています。多摩ニュータウンの高齢人口は、この五年間で五割も増加しています。特に多摩市の諏訪、永山といった初期入居地域は、高齢者人口比率が昨年十月で二四%に達し、都平均を上回っています。
 こうした状況の中、階段や急なスロープの多い道路やエレベーター未設置の住宅など、高齢者を初めとする生活者にとって必ずしも暮らしやすい住環境となっていません。さらに、活力を失いつつあるまちの再生や、世代を超えた交流促進に向けて必要な機能更新を進めるなど、時代のニーズに対応したまちづくりに取り組むことも重要です。
 そこで、都は、このような多摩ニュータウンのまちづくりの新たな課題について、どのように認識し取り組んでいくのか、所見を伺います。
 さて、まちづくりについては、多摩ニュータウンに限らず、三多摩地域の市町村においても、さまざまな努力や取り組みが進められているところであります。昨今の経済環境、雇用情勢の悪化などから、市町村を取り巻く状況はこれまで以上に厳しいものとなっています。
 都は、多摩地域の一層の振興に関し、本年の第一回定例会における我が党の代表質問に対して、多摩振興プロジェクトに関する事業促進に向けた国等への働きかけや市町村への支援とあわせて、都庁一丸となって取り組んでいくことの決意を述べました。
 このようなときにあるからこそ、都は率先して多摩振興プロジェクトの着実な推進に努めるとともに、これまで我が党が拡充を図ってきた市町村総合交付金などを活用し、効果的な財政支援を図りながら、市町村に対して適切に対応していくことが求められます。改めて、多摩振興の取り組みについて強く要望しておきます。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 現在、地球温暖化対策基本法案が国会で審議されていますが、その柱の一つである温室効果ガスの二五%削減目標は、すべての主要国が公平で意欲的な削減目標で合意することを前提条件としており、国内排出量取引制度の創設についても総量削減を基本としつつ、原単位方式も検討するとしているなど、法案はいわば基本的な方向が定まらないまま、目標数字や排出量取引という言葉だけが先走ったものとなっています。
 一方、都は、平成十九年六月に策定した気候変動対策方針において、大規模CO2排出事業所を対象としたキャップ・アンド・トレードの導入を提起し、本年四月には、日本初となる総量削減義務と排出量取引制度をスタートしました。
 制度構築では経済界とも幾度となく議論を重ね、東京をいち早く低炭素型都市へと転換し、省エネ技術の開発促進や需要拡大により、東京の成長活力をさらに高めようとしてきたのであります。
 また、国に対しては、国際的合意の有無にかかわらず、高い削減目標を明確にすることや、総量削減を中核とする実効あるキャップ・アンド・トレード制度を実現することなどを提言してきました。
 私は、こうした東京都の先駆的な取り組みを国際的にも発信し、世界の気候変動対策に貢献していくべきと考えます。来る六月十五日には、都市として初めて加盟したICAP、国際炭素行動パートナーシップ東京会議が開催されます。このICAP東京会議の開催を含め、都は今後、世界の気候変動対策にどのように貢献していくのか、知事の所見を伺います。
 次に、自然の水循環を回復するための取り組みについて伺います。
 都心では、冷暖房や車の排熱、雨水浸透機能の低下等によりヒートアイランド化が進み、その湿度は世界の乾燥地帯に近づこうとしています。こうした気温上昇を抑えるため、水の循環は重要です。
 昭和三十年代まで東京にも大規模な水田があり、玉川上水を通じて山々で涵養された水が農業用水、水道用水となり、多摩の山々から皇居、東京湾へという自然の水循環が存在をしていました。「十年後の東京」計画で示した水と緑の回廊を実現するためには、こうした自然の水循環を現在に回復させるための取り組みを推進することが必要です。
 都はこれまで、荒廃した森林を整備し、保水機能の高い森へと生まれ変わらせるための森林の再生事業、地下水、湧水の保全、涵養のための雨水浸透対策の推進など、さまざまな施策に取り組んできました。
 しかし、さらに自然の水循環の回復のためには、こうした取り組みを推進すべきと考えます。改めて、望ましい水循環の形成に向けた考え方について伺います。
 山から清流水がわき出、玉川上水を通じて皇居のお堀に流れ込む、さらに東京湾へと注ぐという自然の水循環の回復は、東京の環境という観点からも極めて有意義な施策です。しかし、現在の皇居のお堀は水量が少なく、アオコが発生するなど、水質も極めて悪いといわざるを得ません。また、玉川上水からお堀には導水されていません。
 玉川上水が復活できれば、何百年もの歴史を経た上水路として、世界遺産の可能性すら秘めた、夢のある事業であります。夢を現実のものにするために、また、みずみずしい首都東京の実現のためにも、関係各局の密接な連携のもと、各局横断的な取り組みを強く要請しておきます。
 次に、硼素、弗素の排水規制について伺います。
 メッキ産業は東京のものづくりを代表する地場産業であり、各企業も環境対策に努力していますが、狭隘な施設で事業を営んでいるため、新たな排水処理スペースが見出しにくい状況です。
 そのため、平成十三年に水質汚濁防止法に硼素、弗素の一律排水基準が設定されましたが、メッキ産業などは直ちに適用は困難だとして、三年の暫定基準が設定され、その後、二回にわたって延長されてきました。さらに今般、暫定基準が三年延長されることとなり、都でも環境確保条例の改正案が本定例会に緊急提案されることとなりました。
 中小企業が中心の東京のメッキ業界の現状にかんがみると、今回の延長は極めて妥当であると評価するところでありますが、このままでは三年後に暫定基準が終了し、より厳しい一律基準が適用されることになります。
 そこで、今回の暫定基準の延長に至る経過と、それが終了する三年後に向けての対応について伺います。
 次に、多摩地区水道の経営改善について伺います。
 都は、市町への事務委託を順次解消し、長年にわたり取り組んできた都営一元化が間もなく一応の完成を見ます。ここに至るまでの各市町や水道局関係者の努力に敬意を表します。
 これまで、管網等について市町域単位で整備を行ってきたため、市町境を越えた広域的な取り組みを十分に行うことができませんでした。その結果、バックアップが不十分なため、事故時には広範囲に断水や濁水が発生するおそれがあるなど、区部とは大分格差があります。また、エネルギー的にも非効率な水の配り方をせざるを得ない状況であります。
 都への業務移行が平成二十三年度末に完了することを踏まえ、給水の安定性の向上や省エネルギーに本格的に取り組むべきと考えます。
 また、市町ごとに料金収納など、業務水準が大分異なっていると聞いています。市町の業務を受け入れる過程で顕在化した新たな課題にも、しっかりと取り組む必要性があります。今後、どう経営改善に取り組むのか、所見を伺います。
 今後本格化する施設整備に、市町の水道を支えてきた地元事業者の協力は不可欠です。現在は、我が党の要請により、原則として市町の契約方法を平成二十三年度まで継続することとなっています。
 しかし、平成二十四年度以降、一気に現行契約方法を見直した場合、経営基盤が脆弱で、都の業務の習熟過程にある多摩地区の事業者を排除することになりはしないか、多摩の水道の将来について本当に不安を感じざるを得ません。
 そこで、事務委託完全解消後の地元事業者の活用について、所見を伺います。
 次に、下水道事業における震災対策について伺います。
 我が党は、都民の安全・安心確保のため、繰り返し震災対策の必要性を訴えてきたところです。ことしは一月にハイチ地震、二月にチリ地震、四月に中国青海省地震と大地震が発生しました。
 もし東京で大地震が発生し、生活に直結するライフラインが寸断されれば、都民の生命が脅かされることになります。阪神・淡路大震災や中越地震では、被災者が多く集まる避難所などで、トイレ不足から被災者が水摂取を控え、エコノミークラス症候群を発症するなど、大きな社会問題となりました。
 こうした被害を繰り返さないよう、下水道管の耐震化を進めていくべきと考えますが、その取り組みについて伺います。
 また、中越地震では、地盤の液状化により、千四百カ所の下水道のマンホールが浮き上がりました。車両の通行が阻害され、救助活動などに支障を来しました。
 地盤の液状化によるマンホールの浮上抑制対策について、下水道局の取り組みを伺います。
 次に、防火安全対策について伺います。
 昨年の十一月に、杉並区高円寺の小規模雑居ビルで、不幸にも四人のとうとい命が失われる火災が発生しました。この火災事故から半年が過ぎ、東京消防庁では、これまで緊急の立入検査や関係業界への安全指導、同種事故の再発防止のための検討を行ってきたと聞いています。
 小規模雑居ビル対策については、平成十三年、新宿区歌舞伎町ビル火災発生後にも一斉立入検査が実施され、二年後にはすべての違反が是正されていました。
 しかし、大都市東京の雑居ビルにおけるテナントの入れかわりは頻繁で、新たな事業者が運営していることもあり、今回の立入検査の結果では、再び多数の違反が見られたのであります。また、こうした雑居ビルのテナントでは、防火管理体制の不備が多いことも明らかとなりました。
 これらの実態から、小規模雑居ビルにおける防火安全を考える上で、速やかに建物の使用状況を把握し、事業者の防火管理意識を向上させるとともに、違反の是正が見られない事業者には、強い姿勢で臨むことが重要と考えます。
 小規模雑居ビルの安全を確保するため、実効性の高い取り組みを実施していくべきと考えますが、所見を伺います。
 最後に、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例について申し上げます。
 この改正案の主な内容は、子どもを相手とする悪質な漫画等を書店等で成人コーナーに区分陳列し、子どもに見せない、売らないようにするものであります。さきの定例会で、やむを得ず継続審議とした本件について判断することは、議会として当然の責務であります。
 我が党は、この改正案に賛成の立場から、都民のため、条文をよりわかりやすくすること及び本制度のあり方を三年後に検証するなどを内容とする修正案を都議会公明党の皆様とともに作成しました。今後、各会派の賛同を呼びかけてまいります。
 昨日、お子さんを持つ親御さんを中心とした皆様から、改正案の早期成立を求める四万五千人近い署名が議長あてに提出されました。次代を担う子どもたちを守るため、都民の負託を受けた都議会として、良識ある判断をすべきであることを申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) こいそ明議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、政治をつかさどる者の覚悟についてでありますが、民主党の前政権は、残念ながら国家観も国家運営のてにをはも持たぬままに、迷走し続けた感は否めないと思います。理念ならぬ、ただのセンチメントに飾られたマニフェストに呪縛された財源の裏づけのない歳出拡大にせよ、感情を吐露するだけで一向に説得力のない言葉の羅列ばかりでありました。官僚支配を廃すという政治主導のかけ声だけでいたずらに役人を遠ざけ、これをうまく使いこなすこともできませんでしたな。
 かつての日本の国政は、非常に重要な歴史の岐路にあって、置かれた現実を冷静に把握し、将来を見据えた決断を行ってきたものでした。日清戦争後の三国干渉に直面した、時の外相の陸奥宗光は、他策なかりしを信ぜむと欲すとの決意で事態にも臨んだものです。
 鳩山首相がもてあそんで傷つけてしまった日米安全保障条約も、五十年前、当時の岸信介首相が安保闘争の騒乱の中で、テロの白刃に襲われながら、みずからの生命をかけて、さらに国運をかけて成立させたものでありました。こうした国を背負った決断の積み重ねによって、日本は曲がりなりにも現在の地位を重ねてきたわけであります。
 政治をつかさどる者に必要なのは、ただ周囲に好かれようという八方美人な態度ではなく、国を思い、国民を説得し、国家の針路、ありさまを示していく強い覚悟であると思います。選挙を前にして、政権の表紙は変わったようでありますが、そうした強い覚悟を新政権が持たなければ、日本は衰退の一路をたどるしかないような気がいたします。(発言する者あり)黙って聞け。
 次いで、外国人への地方参政権の付与についてでありますが、私は、外国人への地方参政権付与には、絶対に、絶対に、絶対に反対であります。この問題にかまけて鳩山総理は、この日本列島は日本国民だけのものではないといいました。これは恐ろしい発言ですね。一国の最高のリーダーというものが自国の領土に関してこういう発言をする。
 さらに、私が普天間の問題にかまけて全国知事会で質問しました。そのときに、かねて中国や台湾が途中から主権を主張してきている尖閣の問題について、この際はっきりと問い詰めたらどうだということをいいましたら、この問題については日中でこれから協議すべきだといいました。これは一体、一国をあずかる宰相のいうべき言葉でありましょうか。
 いずれにしろ、間もなく参議院の選挙が始まりますが、日本の安危を左右しかねないこの問題について何が争点になるか、もう一回この問題を皆さん、国民が思い返して、今度の選挙の争点こそ、永住外国人に地方の参政権を与えるかどうかというものを国民に問うべきだと私は思います。
 地方の時代といわれる今日において、地方の行政機能が国家の命運に関する問題が多々あります。例えば、原発の問題あるいは基地の設置の問題、かつて下北半島の本当に僻地につくられました再処理の施設も、あれがなければ日本の原子力行政は進みませんでしたが、これは賛否両論ありましたけれども、かろうじてあの地で受け入れられて今日稼働しております。
 この地方というものは、国運を左右しかねない大きな、つまり政治的なイベントというものを地方だけの意思で左右するということは、私は非常に恐ろしいと思います。わずか数百票というレベルで地方の意思決定が行われる可能性がありまして、外国人の意思が自治体の意思を決め、ひいては国家の利益を左右してしまう、この制度を断じて許すわけにはいきません。
 ちなみに、今、日本に永住している特別永住者、外国人、北鮮の人、韓国の人、中国の人含めてこれが四十二万人。一般永住者が四十九万人。合わせて百万近い人がいるわけですけど、この人たちが仮に自分たちが国籍を持っている国の利益にかかわりかねない地方の問題について移動して投票したときには、そういう問題を決めかねない地方の行政というものをこの投票によって左右される。
 ちなみに、IAEAも監視している六ヶ所村の再処理、あれを設けた六ヶ所村の村議会というのは、有権者がわずか九千三百五十人ですから、この定数の過半数の十三人は四百票以下で通るわけです。
 政府はようやく腰を上げたかどうか知りませんけど、中国が領有を主張して、日本の領土でないといっている沖ノ鳥島。私、先んじてここに漁業基地をつくって魚礁を設けて、非常に漁獲が上がっているため、このごろ台湾、朝鮮、中国、韓国の漁船が来なくなりましたが、ここに何らかの基地をこれからつくろうという意向があるようであり、この間相談を受けましたけれども、この発進基地になる小笠原村の村長の選挙は有権者千九百人弱でありますから、村長の選挙はわずか七百十九票で決まっちゃうんです。こういう状況というものを私たちは看過するわけにはいかないと思います。
 いずれにしろ、国政は正当な認識に立って、みずからの持つ権力がどのような作用をもたらすか、情緒や感傷だけではなく、しっかりした理念を構築して、現実感を持ってこの問題を進めるべきだと思います。
 いずれにしろ、友愛か何か知りませんが、もちろん外国人と私たちは友好の関係を持たなくちゃいけませんけど、そうしたセンチメントと理念は全く違うということを銘記すべきであります。
 私は、日本の帰化に関する法律はそれほど厳しくないと思います。もし日本の政治というものに、地方に限らず、国政においても参加したいと思うなら、その方々は帰化したらよろしい。帰化するということは、たとえ一見して出生地はアフリカであるとわかっている真っ黒な顔色の人も、明らかに顔つきが日本人と違う人も、現に国会議員になった人が北欧の出身でいますが、この人たちはどうして帰化したか。明らかに私たちが培ってきた、この日本人が培ってきた伝統と文化というものに敬意を持ち、そして愛着を持っているから日本人になったんでしょう。私はそういう人間でなければ、いかなる部分であっても国運を左右しかねない地方の行政に参加する資格はないと思います。
 続いて、新銀行東京についてでありますが、二十一年度決算が開業以来初の黒字となったことは、新銀行東京のスタッフが渾身の努力をしてくれた成果でありまして、再建への道が開けたと考えております。
 新銀行東京の取引先には、現在も他の金融機関では支援がしがたい赤字、債務超過先が多数含まれておりまして、さらに、中小企業等の金融円滑化法に先んじてリスケジュールを実行するなど、多くの小零細企業を支援しております。
 このリスケジュールも銀行に課せられた大事な業務でありますけれども、率直にいって、大手の銀行はほとんどやっていませんね。何をやっているかといったら、実態には、見殺しにして倒産させて面倒くさい作業を避けているんですよ。
 このごろ金融庁に督促されてどれほど動いているか知りませんが、少なくとも大手の銀行に比べて、新銀行東京は実に綿密に小さな経営者たちと相談して、金融円滑化をすべく知恵を凝らしてまいりました。
 こうした支援を継続するとともに、お話の実質業務純益の黒字化に向けて、さらなる経営努力を重ねることが必要と考えております。
 新銀行東京が再建を果たし、設立した当初の目的どおり、小零細企業の金融機関としてその役割を果たすように、セカンドステージへのてこ入れも含めて、これからも全力を挙げてまいります。
 次いで、スポーツ振興局の設置の意義と今後のスポーツ振興策の展開についてでありますが、体育という項目が教育の中にあるのは恐らく日本だけだと思いますね。これは、クーベルタン男爵と非常に共感を分かち合った日本の指導者の一人であります嘉納治五郎先生がいい出したことでありますけれども、体育とスポーツは違います。明らかに違います。
 私たちが問題にしているのはスポーツでありまして、恐らく運動会をやったり、それから体育の時間に全員が並んで運動したり、そういうしきたりを持っているのは日本だけだと思いますが、これは結構だと思いますけれども、これとスポーツの振興とは違います。スポーツそのものは、他者との戦い、相克にも耐え得る肉体と精神を鍛え、協調性や忍耐力を涵養するなど、豊かな人間形成を促進するために欠かせないものであります。
 また、教育や医療、高齢者、障害者福祉など多様な分野の政策との相乗効果を発揮することで、多岐にわたる問題の隘路を切り開き、首都東京に変革をもたらす大きな可能性を秘めております。
 一方、二○一六年オリンピック・パラリンピック招致活動を通じて、都民のスポーツに対する意識の高まりやスポーツ界との関係の深化など、スポーツ振興を一層促進するための苗を植えることができました。加えて、三年後に控えた東京国体の準備体制を万全に整え、これを確実に成功させなければなりません。
 このようなスポーツの有する重要性と都の現状を踏まえて、ソフト、ハードの両面から総合的、体系的なスポーツ振興策を展開するため、国に先駆けてスポーツ振興局を設置することといたしました。
 スポーツを日本の未来を切り開く起爆剤とするべく、今後も国を先導するスポーツ行政を展開していかなくてはならないと思っています。
 このごろの若者、特に男の若者が草食化したということをいわれることしきりでありますけれども、これは言葉の解釈はいろいろあるでしょうが、私は、やっぱり気骨のあって、気概のあって、忍耐力があって、活力のある若者がいてくれなければ、この国は衰退すると思います。
 そういった若者を養成していくためにも、スポーツはとにかく有効な手段の一つである。これは、決して私は体育を否定するものではありませんが、スポーツと体育はおのずから違うということもわきまえた上で、私たちはスポーツに一層の力を入れていくべきだと思っております。
 次いで、東京マラソンの法人化についてでありますが、東京マラソンは三万五千人のランナー、大会を支える一万人のボランティア、そして沿道で応援する百六十万、ことしもそうでしたが、百六十万人を超える観衆が一体となったお祭りでありました。まさに東京が一つになる日として定着した感がございます。
 また、昨年九月には国際陸上競技連盟のゴールドラベルを取得し、日本では、びわ湖マラソンに次いでこの東京が、二つだけがゴールドラベルを獲得しておりますけれども、海外からも高い評価を得る大会に成長しました。
 今や三十一万人を超えるランナーが応募する東京マラソンには、さらなる発展に向けて、さまざまな要望や期待が寄せられておりまして、今回、この大会の価値を最大限に活用し、機動的な運営を実現するために、法人組織に移行することといたしました。ニューヨーク、ロンドンあるいはボストン、ベルリンといった海外の主要マラソンはいずれもこうした法人組織で運営しております。
 今回の法人化を契機に、例えばチャリティーの実施による収益を社会に還元する取り組みや、年一回のマラソン大会だけではなくて、年間を通じて多彩な事業を展開するなど、東京マラソンの魅力を一層高め、多くの人々にアピールしていきたいと思っております。
 こうした取り組みを通じて、ニューヨークやロンドンなど、海外のメジャーマラソンを超える、名実ともに世界最高峰の大会へと進化させていきたいと思っております。
 次いで、用途地域等の権限移譲についてでありますが、東京は首都でありまして、政治、経済、文化など多様な機能が高度に集積している世界的にも例を見ない大都市であります。この特殊性をしんしゃくしないで、用途地域等に関する都市計画の決定権限を機械的に全国一律の考え方で区市町村に移譲すると、東京は機能的にばらばらの都市になってしまいます。
 これまで都は、区市町村と連携して、東京全体のバランスを考慮しながら、用途地域等を決定、運用し、機能集積のメリットの発揮や首都としての風格ある景観形成を進めてまいりました。このやり方は、日本の成長エンジンである東京の都市づくりを進める上で十分機能していると思います。
 ちなみに、今の政府は、基礎自治体に全部こういった権限を移譲するといいますけれども、東京の二十三区という世界で最も集積、集中が進んだ高度な機能を持ったこの地域と、神奈川県においては基礎自治体の一つになります横浜市とほとんど同じ大きさです。大阪市もほとんど同じ大きさです。これを一緒くたにして、とにかく基礎自治体ということで東京の二十三区それぞれにこういった権限を分与しますと、これは都市計画というよりも収集のつかないことになりかねないということを私は懸念しているわけです。
 先月、国に対しても、東京の実情を踏まえた適切な対応をとるように申し入れを行うとともに、さきの関東地方知事会でも、この問題に関する緊急アピールを提案し、全知事の賛同も得ました。今後もあらゆる機会をとらえて、都の主張が受け入れられるように国に対して強く働きかけてまいります。
 先般突然招集された全国知事会でも、臨席しておりました原口総務大臣に、この問題について、地図の上ではかってみてもらいたい、東京の二十三区と、青葉区、何区、たくさん設けている横浜市と、あるいは大阪市とほとんど同じ大きさなのですよといいましたら、なるほど、そうですなといっていましたが、これが認識としてどういうふうに反映されるかは、これから私たちもなお努力しなくちゃいけないことだと思います。
 次いで、羽田空港のさらなる機能強化についてでありますが、羽田の再拡張、国際化は、知事就任以来というか、私が運輸大臣のときから考えたことでありまして、最重要課題として取り組んではきましたが、いよいよこの十月に新しい滑走路と国際線ターミナルの供用が開始されます。
 国は最近になって、昼間の国際線発着を数年後に六万回まで拡大する方針を打ち出しましたが、これに沿って、深夜、早朝のみならず、昼間の時間帯にも需要が多く、ビジネスニーズの高い欧州や米国、長距離アジアの首都、主要都市へと就航することになります。羽田空港が本格的な国際空港として生まれ変わり、それが有為に活用されるのは大きな前進でありまして、まさに当初からねらったとおりになってきたと思います。
 ですが、首都圏の国際線の発着はまだ十分でなく、さらに近い将来、首都圏の航空需要が空港容量を大きく上回ってしまうことが見込まれております。これらを解決するには、なお残る羽田の昼間の発着枠二万七千回についても、極力国際線に振り向けるとともに、平時は余裕のある横田の滑走路の有効活用を含め、あらゆる角度から容量拡大策を検討することが必要であります。
 羽田はもとより首都圏の空港が我が国の繁栄の牽引車として十二分に機能し、活用されるよう、さらなる空港機能の充実を国に求めてまいります。
 一方、皆さん、一つこれを想起していただきたいんですが、JR東海のリーダーの葛西君が、とにかく単独でも東京、大阪を瞬時に結ぶリニアを費用調達してつくるといっていますが、私のときに、あの試験線を宮崎から山梨県に移しました。もしこれが完成したら、多分、長野を経てでしょうけど、ワンストップで、ドア・ツー・ドアで、東京―大阪間が一時間弱で結ばれるわけです。多分発進地は、東京では品川、大阪はどこでしょうかね。そう郊外に置くわけにいかないとなると、東京―大阪間の一番頻度の高い、一番需要の多い航空機の需要はなくなりますね。
 そうするとまた、国内線の要するにあんばいというものはかなり大きく変わってくる。これは、やっぱり日本の技術があってこその新しい局面だと思いますけど、私たちは、やっぱり、いつの日かの将来、日本の開発した技術が東京―大阪という大経済圏を結ぶアクセスとして完成されるときには、航空機の需要という形も随分変わってくるということは、やっぱり今から銘記しておく必要があるんじゃないかと思います。
 次いで、世界の気候変動対策への東京都の貢献についてでありますが、国際社会はCO2削減に関する枠づくりで混迷を深め、新たな合意への展開は一向に開けておりませんけど、地球温暖化は間違いなく予測を超えて進行しております。
 現に、太平洋の赤道近辺の、ツバルも含めてフィジーその他ですけど、こういった島国はどんどんどんどん浸食されておりますし、繰り返して申しますけれども、NASAの主任教授でありますハンセン博士は、あと十六、七年で、いわれてから十七年から切りましたが、だから十五、六年で北極海の氷は全滅して解けるだろう。航路が開けて結構だという人もいますけど、これはかなりゆゆしき問題でありまして、これは何も北極圏の氷だけではなくて、ヒマラヤも含めて地球の極地の氷というものが壊滅して流れると。
 こういった気候変動の危機を回避するには、対策に取り組む意思と能力を有する者が率先して取り組みを強化していかなければならないと思います。
 ICAP東京会議は間もなく開かれますけれども、各国、地域の気候変動対策の中核的施策でありますキャップ・アンド・トレードの成果と教訓を内外に明らかにする意義深い会議となると思います。
 いずれにしろ、世界でこの東京だけが都市としてこのICAPに資格を得て参加しているまちであります。これまでの東京の取り組みで蓄積したノウハウを志のある国や州、都市に積極的に提供して、世界の気候変動対策に貢献していきたいと思っております。
 他の質問については教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、昨年度と同規模での体力テストの実施についてでございます。
 平成二十年度から始まりました全国体力・運動能力、運動習慣等調査におきましては、小学校五年生と中学校二年生を対象とし、参加校を募って実施したものでございます。
 東京都では、平成二十年度には小学校の七三%、中学校の七四%の学校、合計七万五千人の児童生徒が参加し、平成二十一年度には、小学校、中学校ともに学校数で八八%、児童生徒数で合計九万八千人が参加して実施されました。
 お話のとおり、平成二十二年度においては、文部科学省が抽出調査に縮小した結果、東京都では、小学校で七%、中学校で八・七%の学校、合計一万四千人の児童生徒の参加にとどまることとなりました。
 そもそも体力テストは、毎年同じ種目を同じ方法で実施するために、体力の経年変化や学級、学校等の集団の傾向を確実に把握できるという意義がありますが、規模を縮小した抽出調査では、区市町村や学校単位の現状等を把握することや、学年ごとの児童生徒の経年変化等を比較することができず、有効な対策を講じることが難しくなるという問題がございます。
 このため、都教育委員会は、文部科学省に対して、対象となる学年のすべての児童生徒が参加できる全国体力・運動能力、運動習慣等調査を継続して実施するように要望いたしますとともに、今年度については、東京都独自に、昨年度と同規模で小学校五年生と中学校二年生を対象とした体力テストを実施いたします。
 次に、全校における体力テストの実施についてでございます。
 お話のとおり、児童生徒の体力向上のためには、一人一人の体力の現状と課題を明らかにした上で、学校としての取り組みを推進することが大切でございます。
 今後、都教育委員会は、すべての小学校から高校までの児童生徒の体力の把握に努め、その結果を児童生徒に還元いたしますとともに、その評価、分析に基づく授業改善等を推進してまいります。
 また、小学校から高校までのすべての学校において、児童生徒の個々の実態を踏まえ、具体的な目標に到達するための実効性のある一校一取り組み運動を開始し、すぐれた学校を顕彰してまいります。
 こうしたことにより、より一層、東京都の子ども一人一人の体力の向上に努めてまいります。
 次に、発達障害のある子どもたちに対する支援についてでございますが、平成十九年度の学校教育法改正により、小中学校や高等学校の通常の学級に在籍する発達障害の児童生徒も特別支援教育の対象に位置づけられたことを受け、こうした児童生徒に対する支援体制の整備と教育内容の充実を図ることが教育行政の新たな責務となりました。
 都教育委員会はこれまで、小中学校の通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒のために、週数時間の特別な指導を行う通級指導学級の整備を進めたところでございますが、今後は、発達障害のある児童生徒にとってより身近な教育の場である在籍校や在籍学級における指導内容、指導体制の充実を図り、すべての学校において適切な指導と必要な支援を実施できる特別支援教育の推進に努めることが重要であると考えております。
 このため、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、区市町村と連携した小中学校における校内支援体制の構築や、高等学校における個別指導計画を活用した指導の充実など、発達障害のある児童生徒に対する教育の充実策について計画化し、推進してまいります。
 次に、教室不足解消のための抜本的な対応策についてでございます。
 都立の特別支援学校と区市町村立の小中学校は、適切な役割分担のもとに、障害のある児童生徒の教育の場を確保することとしており、知的障害の児童生徒数が増加する中で、都立知的障害特別支援学校においては、この役割分担を踏まえて教室確保を図っていく必要がございます。
 このため、第三次実施計画において、小中高等部の学部改編や重度重複障害に対する指導効果を踏まえた他の障害種別の学校との併置化、さらに校舎の増改築など、特別支援学校全体の再編整備を進めながら、必要な教室の確保を図ってまいります。
 また、学校ごとの教室の整備状況を踏まえ、通学区域の調整等を通して、特定の学校への児童生徒数の偏りを是正していくことによる教室の確保にも努めてまいります。その際は、ご指摘のとおり、通学時間について十分配慮してまいります。
 肢体不自由特別支援学校における外部専門家の活用についてでございます。
 児童生徒の障害が重度重複化する中で、教員だけではなく、ご指摘のように、福祉、保健、医療等の分野の専門家を導入することで、肢体不自由特別支援学校における教育体制の充実整備を図っていくことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会では、現在、理学療法士や作業療法士等の肢体不自由特別支援学校への導入を進めているところでございます。
 また、永福学園と青峰学園におきましては、理学療法士等に加え、介護の専門家を導入し、教員と医療、介護等の各分野の専門家の役割分担を明確にしつつ、それぞれの専門性を発揮したチームアプローチによる指導体制を試行しております。
 都教育委員会といたしましては、試行の成果を検証しつつ、第三次実施計画において外部専門家の活用の拡充を図ってまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 都市整備に関する五点のご質問にお答えいたします。
 まず、市街地整備の実施方針の策定意義と今後の方向性についてでございますが、区画整理や再開発などの市街地整備事業は、これまで活力ある東京の実現に大きな役割を果たしてきました。しかしながら、環境、景観といった新たな課題への対応や財源確保など、事業を取り巻く状況は大きく変化しております。
 この実施方針は、市街地整備の分野で目指すべき方向や重点的に取り組む施策を明らかにし、地元自治体や民間部門の行動を促すことによって、より質の高い都市づくりを進めることをねらいとして策定したものでございます。
 今後の市街地整備では、民間の力を最大限に引き出し、スピード感を持って進めることが重要でございまして、基盤整備を促進する視点や拠点形成を促進する視点、また、道路整備と沿道まちづくりを一体的に進め防災性の向上を図る視点等に立って、事業の重点化を図ってまいります。
 その際、都は、関係者の利害を調整し計画を取りまとめる機能を十二分に発揮するとともに、これまで施行者として蓄積してきた経験やノウハウ、さらには技術力を備えた人材を活用することで、地元自治体や民間事業者等の取り組みを支援してまいります。
 今後、この方針に沿って具体的な取り組みを進め、東京をより一層活力と魅力にあふれた都市へと再生してまいります。
 次に、今後の都営住宅の供給や整備のあり方についてでございますが、少子高齢化が進行し、厳しい経済状況が続く中、子育て世帯や高齢世帯を初め、市場において自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯に対して、的確に都営住宅を供給し、居住の安定を確保していくことが重要でございます。
 これまでも、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居募集を拡大し、実施してまいりました。また、建てかえ事業において、子育てに配慮し、小規模世帯向け住宅の間取りを見直すとともに、建てかえ戸数の段階的な拡大にも努めてまいりました。
 今後は、若年ファミリー世帯向け期限つき入居の一層の推進を図るとともに、建てかえで供給する住宅について、高齢の単身世帯が介護を必要とする場合なども考慮し、間取りの見直しを検討してまいります。
 さらに、建てかえ事業の推進に合わせ、福祉施設や防災施設の整備、緑の創出等にも積極的に取り組んでまいります。
 これらの取り組みにより、多様な世帯にとって一層住みやすい都営住宅を整備し、供給するとともに、地域のまちづくりに寄与してまいります。
 次に、大規模な団地型分譲マンションの建てかえについてでございますが、大規模団地において円滑な建てかえを促進することは、良質な住宅ストックの形成を図るとともに、周辺との一体的なまちづくりを誘導する上でも重要であります。
 一方で、大規模団地の建てかえには、区分所有者が極めて多いことなどから、ご指摘のような合意形成を図る上での特有の課題がございます。
 これまでも都は、マンション建てかえの円滑化を図るため、管理組合への情報提供や仮移転先としての都営住宅の提供、都市居住再生促進事業による建設工事費等の一部助成などの支援を行ってまいりました。
 これらに加え、今年度からは、大規模団地の建てかえに際し管理組合等が行う説明会の開催や専門家への相談など、合意形成を図るためのさまざまな取り組みに対し助成する、都独自のマンション建てかえ円滑化モデル事業を創設し、管理組合等を支援してまいります。
 次に、多摩ニュータウンのまちづくりの新たな課題についてでございますが、多摩ニュータウンは、東京の急速な人口増加による住宅難への対応とスプロール化の防止を目的として、昭和四十一年に事業が開始されました。その後、職と住のバランスのとれた複合型の拠点として整備が行われ、多摩の核都市として発展してきております。
 その一方で、入居開始から約四十年が経過し、この間の社会経済情勢や都市づくりを取り巻く環境が大きく変化しております。
 こうした中で、ご指摘のとおり、高齢化対応や地域の活性化など、さまざまな課題が顕在してきていると認識しております。
 都としては、昨年公表した東京の都市づくりビジョンや、多摩の拠点整備基本計画を踏まえつつ、地元市などとの適切な役割分担を基本に、相互に連携を図りながら、時代の変化により生じたこうしたまちづくりに関する課題に取り組んでまいります。
 最後に、望ましい水循環の形成についてでございますが、水は、循環して生態系を支え、蒸発散を繰り返すことにより気温の上昇を緩和するとともに、景観に潤いを与える水辺を形成するなど、良好な都市環境をはぐくむ上で大切な役割を果たしております。
 こうした観点から、都は、森林や樹林地の保全、公園緑地における雨水浸透施設の整備等により、地下水の涵養を図ってまいりました。
 また、湧水、河川の水量維持、水路における清流復活等により身近な水辺を創出するなど、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 今後とも、関係局が連携して、水循環の視点も含め、水にかかわる多様な施策を効果的に展開し、「十年後の東京」計画で示した水と緑の回廊の実現に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の経営力の強化と販路開拓に対する支援についてであります。
 厳しい経営環境が続く中、都は昨年度、中小企業経営力向上支援事業等によりまして、二千十六社の都内中小企業に対して、経営診断やその結果明らかとなった課題の解決に向けたアドバイスを行うとともに、販路開拓が必要とされた三百五社の企業に対し、展示会出展等の助成を行いました。
 こうした支援を受けた企業からは、経営の問題点やその解決策が明らかになるとともに、商談が成立して新たな顧客開拓につながったとの報告が寄せられるなど、本事業の成果は着実に上がっております。
 しかし、中小企業を取り巻く状況は依然として厳しく、引き続き経営力の強化に向け、目指せ中小企業経営力強化事業により新たな支援を行うことといたしました。
 具体的には、昨年度に実施した企業からの要望や意見を踏まえ、経営診断で使うチェックシートの内容を絞り込んで重点化したり、診断の際の会社訪問の回数をふやすなどの仕組みの充実を図っております。また、複数の企業による共同出展がよりPR効果等も高いことから、グループでの出展に対する助成を充実する工夫を行っております。
 こうしたさまざまな取り組みを重ね、中小企業の経営力強化と販路開拓への支援を充実してまいります。
 次に、事業再生にかかわる販路開拓支援のあり方についてであります。
 都はこれまでも、中小企業振興公社において再生支援に係る窓口相談を実施するとともに、より専門的な支援が必要な案件は、弁護士などの専門家で構成する事業承継・再生支援委員会が再生方針案を策定いたしまして企業に提案するなど、事業再生に向けた支援を着実に行ってまいりました。
 同委員会が策定した方針案のうち、事業再生に当たって販路開拓が効果的とされる案件は全体の約六割を占めており、事業再生には新たな販路の開拓が不可欠な状況にございます。
 このため、同委員会で販路開拓が必要とされた案件につきましては、目指せ中小企業経営力強化事業における展示会出展等の助成対象とすることで、より効果的に事業再生が図られるよう、強力に取り組んでまいります。
 次に、海外販路開拓支援に関する具体的な取り組みについてであります。
 アジア市場の発展は目覚ましく、今後も大きな成長が続くと見込まれることから、都内中小企業の販路開拓をさらに支援していくことは重要であります。
 こうした中、中小企業振興公社が約一万社を対象に実施した調査では、海外取引に取り組む企業の割合は二年前と比べ倍増しております。アジア市場での販路拡大に向けた中小企業の関心は高まっております。
 その一方で、中小企業が単独で海外市場の情報収集やマーケティングを行い、さらには現地で信用のできる取引先を見出すことは困難な場合が多くなっております。
 このため、都は、今年度から海外販路開拓支援事業を開始いたしまして、商社のOB等による海外販路ナビゲーターが、お話のように現地でのマーケティング情報の収集及び提供や、取引上のリスクを回避するためのアドバイスを実施するなど、中小企業の販路開拓に不可欠なさまざまな支援をきめ細かく行うことといたしました。
 既に、アジア七カ国にネットワークを持つ商社と連携し、現地の情報をタイムリーに収集するなど、海外販路ナビゲーターをサポートする体制も整備いたしました。
 これらの取り組みにより、すぐれた技術力と製品を有する都内中小企業のアジアにおける販路拡大を強力に支援してまいります。
 次に、改正貸金業法の完全施行についての対応でありますが、同法につきましては、その内容についての認知度が低いとの指摘も多く、都としては、同法の円滑な施行に向け周知、広報を行っております。
 貸金業者に対しましては、先月五回にわたり、関東財務局と連携して説明会を開催しております。およそ六百者の参加のもと、総量規制の概要を中心に、例えば個人事業者が提出する事業計画等の記載事項の簡素化などの内閣府令の改正などの周知を図っております。
 また、資金の借り手に対しては、「広報東京都」などを活用した広報活動を行うとともに、区市町村の広報誌や中小企業振興公社の機関誌などへの掲載も進めております。
 引き続き改正貸金業法の内容について周知、広報に取り組んでまいります。
 次に、貸金業の利用者に与える影響でありますが、改正貸金業法につきましては、ご指摘のとおり、上限金利の引き下げなどにより、貸金業者の貸出姿勢に影響が出るおそれがあるとする報道があることは承知しております。
 都としては、これまでも国に対して、完全施行を控えての貸金業者の準備状況等を伝えてまいりましたが、完全施行後においても引き続き貸金業者の動向などを国に伝えてまいります。
 また、お話のありました個人事業者については、資金繰りなどで貸金業を利用している実態がございますことから、国においては、完全施行を円滑に実施するための十の方策において、こうした個人事業者を総量規制の例外とするなどの措置を講じることとしております。
 法人形態である中小企業者につきましても、代表者個人が貸金業を利用している実態があると聞いておりまして、都としては、完全施行後においても、個人事業者を含む都内中小企業者による事業資金の調達が円滑に行われるよう、法の施行状況を注意深く見守ってまいります。
 また、中小企業振興公社に特別相談窓口を設置し、中小企業者に対し、法の改正内容の案内や経営全般について相談を行ってまいります。
 最後に、東京モデル事業を通じた中小企業における働き方の見直しについてであります。
 少子化を打破するためには、仕事と出産や子育てが両立できる雇用環境の整備が不可欠でございます。このため、都は、働き方を見直す企業の先進的な取り組みをモデル事業として支援し、広く社会に発信する、働き方の改革東京モデル事業を今年度から新たに実施いたします。
 特に、中小企業におきましては働き方の見直しについてノウハウが不足している等の課題がありますことから、事業の実施に当たっては、中小企業が関心を持ち、取り組むきっかけとなるような波及効果の高いプロジェクトを選定してまいります。
 また、取引先企業も含めたグループや複数の企業が連携して行うプロジェクトも支援対象といたしているほか、補助率の上乗せを行うなど、中小企業が参加しやすい仕組みとしております。
 この事業のモデルとなった事例は、成果だけでなく実施状況や課題についても、他の企業の参考となるよう、ホームページやさまざまな広報媒体を活用して広く周知を図り、中小企業に働き方の見直しを促してまいります。
 これらを通じて、子育てをしながら働き続けられるよう、雇用環境改善の機運を中小企業に浸透いたしまして、東京から働き方の改革を先導してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 東京マラソンに対する都の支援についてでございますが、本年二月に開催された東京マラソンでは、沿道に約百六十六万人観客が訪れ、都内各地から百五十団体がさまざまな応援イベントに参加するなど、東京の観光振興や地域振興に大きな意義がございました。
 今回の法人化により、機動的な組織が整備され、年一回の大会のみならず、年間を通じて幅広い世代の人々が楽しめるさまざまなランニングイベントなどを展開することが可能となり、東京マラソンをさらに発展させることが期待されております。
 都は、こうした財団の取り組みを支援するために、引き続き東京大マラソン祭りを実施するとともに、財団が行うファミリーランなどの事業が円滑に進みますよう、都民へ広報を初め、商店街や町会との連携支援など、都の役割を積極的に果たしてまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 首都大学東京の中期目標についてお答えいたします。
 平成十七年の開学以来、首都大学東京では、都市課題に応じた新コースの設置、自治体や企業における現場実習など、既存の大学にはない新しい取り組みを行ってまいりました。また、経営努力により生み出した財源を活用し新たな研究棟を開設するなど、法人化のメリットを生かして教育研究の充実を図ってまいりました。
 こうした成果を踏まえまして、平成二十三年度以降、第二期の中期目標では、自律的かつ安定的、弾力的な法人運営のもと、これまでの取り組みを継承、発展させるとともに、社会状況や学生像の変化などに柔軟に対応した事業展開を行っていくことを基本的な方針としております。
 第二期におきまして、法人が都の施策を踏まえ、環境問題など大都市共通の課題に戦略的に取り組み、国内外の研究機関等との人材交流や共同研究の拠点として、国際的に通用する人材を育成することにより、その存在意義を一層高め、都民の期待にこたえていくよう、法人に求めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 八点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、救急医療の東京ルールについてでございますが、昨年八月に開始した東京ルールは、医療機関の連携により、受け入れ病院を迅速に選定するなど、地域全体で救急患者を受けとめることを目指した取り組みであり、現在、都内十二圏域のうち十圏域で救急患者の受け入れ調整等を担う地域救急医療センターを指定しております。残りの二圏域につきましても、今月中にセンターを指定し、運用を開始する予定でございます。
 本年三月末までに東京ルールに基づいて受け入れ病院を選定した事案は六千六百八十件であり、一日当たり三十一・四件となっております。
 次に、救急医療の検証についてでございますが、東京ルールに基づく搬送調整の対象となった患者の約八割は、圏域内の医療機関で受け入れられており、地域救急医療センターを中心としたネットワークが機能していると考えております。
 一方で、東京ルールに基づく搬送調整事案の中には、困難な背景を有することから、地域救急医療センターなどが患者の受け入れ調整に時間を要するケースもございます。こうしたことから、現在、東京消防庁と協力をして、東京ルールを含めた救急医療全体の状況の検証を進めております。
 今後、その評価を行った上で、地域救急医療センターを初めとした医療機関等と連携を図りながら、都における救急医療体制の一層の充実に努めてまいります。
 次に、こども救命センターの取り組みについてでございますが、ご指摘のとおり、こども救命センターと救命救急センターがその機能を十分に発揮することが重要であり、都は、それぞれのセンターの役割分担や連携の仕組みなどについて検討を行い、子ども救命搬送システムとして定めたところでございます。
 本システムでは、重篤な小児救急患者をまず直近の救命救急センターに搬送し、迅速に初期の救命治療を行い、引き続き集中治療管理などを要する場合には、こども救命センターへ搬送することで、より充実した救命救急医療を提供するものでございます。
 今後、この夏にも四カ所のこども救命センターを指定するとともに、子ども救命搬送システムの運用を開始し、小児救急医療体制の一層の充実を図ってまいります。
 次に、都立小児病院再編後の医療体制についてでございますが、北多摩北部地域については、多摩北部医療センターで実施している平日準夜間帯での小児初期救急医療を週三日から週五日に拡大するとともに、小児病床数を十三床から三十五床に拡充いたしました。さらに、都独自に小児科医師の確保支援などを行い、同センター及び公立昭和病院の小児科の体制を強化いたしました。
 八王子地域につきましては、小児病床を二つの大学病院で合わせて十二床ふやすとともに、都立小児総合医療センターから医師を派遣するなどの医療提供体制の確保を図っております。
 また、新たに南多摩病院においては、四月に小児科外来を開設し、六月一日からは入院医療を開始するとともに、大学病院と連携して、救急患者の受け入れも行っております。これに加えまして、近隣の日野市立病院、日本医科大学多摩永山病院、稲城市立病院の各病院についても、小児科病床の拡充など体制強化を図っております。
 今後とも、地域の方々が安心できる小児医療の充実に取り組んでまいります。
 次に、認証保育所の定員拡大についてでございますが、待機児童の解消に向けては、新規施設の設置だけではなく、既存施設の定員規模の拡充も有効でございます。このため、認証保育所の運営費補助単価の最も高い適用区分を、従来の定員三十人までから四十人までに広げ、区市町村と連携しながら、事業者や関係団体に定員拡大を促しております。
 本年四月一日には、新規開設による千二百五十二人の定員増に加えまして、既存施設においても四百二十八人分の定員拡大が行われ、合計で千六百八十人分の増加となっております。
 今後とも、認証保育所の設置促進や既存施設の定員拡大はもとより、多様な手法を総動員し、待機児童の解消に積極的に取り組んでまいります。
 次に、少子化対策への取り組みについてでございますが、今回の少子化打破緊急対策では、これまで展開されてきた施策を束ね、社会全体で子育てを支える体制へと集中し、保育、医療を初め、働き方や住宅などの施策を重層的、複合的に実施しております。
 安心して子どもを産み育てられることができる東京を実現するためには、それぞれの取り組みを着実に進めることに加え、局を超えて連携し、一層効果的な施策の展開を図る必要がございます。
 お話にありましたとおり、子育て施策の中心を担う福祉保健局として、関係事業の進捗状況等を総合的に把握することはもとより、国の動向等も見定めつつ、各局の先頭に立って施策の推進に取り組んでまいります。
 次に、介護保険制度の改正に向けた対応についてでございますが、都は、高齢者保健福祉計画に基づき、認知症高齢者グループホームや特別養護老人ホームなどの介護サービス基盤の整備を進めるとともに、介護保険制度の適正な運営に努めております。
 また、高齢者が安心して生活できる都市モデルを創造するため、国に対し、地価の高い都市部において、居室面積基準などの緩和を求め実現をいたしました都市型軽費老人ホームなどのケアつき住まいや、在宅の高齢者を支援するシルバー交番設置事業にも新たに取り組んでおります。
 こうした取り組みを踏まえ、大都市にふさわしい施設の基準や、介護報酬のあり方を含め、地域包括支援センターの機能強化や介護予防の効率的な実施など、制度全体の見直しについても、国に対し時期を逸することなく提案をしてまいります。
 最後に、元気高齢者の知識と技術の活用についてでございますが、都は、本年三月、団塊世代・元気高齢者地域活性化推進協議会から、元気な高齢者が多様な社会貢献活動を行い、地域社会の担い手として活躍していくための取り組みについて提言を受けました。
 都はこのような取り組みを促進するため、地域で活動する団体や企業の事例等を紹介するTokyoシニア情報サイトを運営するとともに、高齢者の地域活動やネットワークづくりなどについて区市町村包括補助制度により支援を行っております。
 今後、団塊の世代が六十五歳以上となる超高齢社会に向けて、高齢者の豊富な経験や知恵を生かし、豊かな地域社会を目指す取り組みを、区市町村とも連携をして積極的に進めてまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 都立病院等に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院と公社病院の連携についてでありますが、医療人材など限りある資源を最大限有効活用し、都民が必要とする医療サービスを的確に提供するためには、ご指摘のとおり、都立病院と公社病院の連携を推進することが重要であると認識しております。
 このため、お話にあった多摩南部地域病院の取り組みのほか、小児総合医療センターの医師を多摩北部医療センターに派遣し、地域医療の確保を図るとともに、人材育成に役立てるなどの取り組みを進めてまいりました。
 また、これと並行して、昨年十月には都立・公社病院連携推進協議会を設置し、都立、公社病院全体の具体的な連携策の検討を開始したところでございます。
 今後は、例えば都立駒込病院を基点に、がん医療の連携体制を強化していくなど、それぞれの病院の強みを生かした多様な連携策を構築し、都立、公社病院の医療サービスの一層の充実につなげてまいります。
 次に、今後の都立病院における周産期医療の充実に向けた取り組みについてでありますが、これまで都立病院においては、医師の処遇改善や大学への働きかけを強化するなどして、産科医師の増員、体制整備を着実に行ってまいりました。
 また、地域との医療連携も推進してきており、この五月からは、大塚病院において、妊娠経過や疾患の状況に応じ、地域の産婦人科医師と機能分担して診療に当たる、産婦人科地域医療連携システム、いわゆる大塚モデルの運用を開始いたしました。
 今後は、産科、新生児科医師の確保、育成を引き続き行うとともに、多摩地域の周産期医療の中核として、この四月に総合周産期母子医療センターの指定を受けた多摩総合医療センター、小児総合医療センターにおいて、スーパー総合周産期センターの指定を視野に入れた医療体制の一層の充実に取り組んでまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 外環整備に対する都の取り組みでございますが、外環は東京の最大の弱点である交通渋滞の解消のみならず、首都圏の環境改善など、ひとり東京のためだけでなく、広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路であります。
 特に、近年のアジア諸国の急速な成長の中で、国際競争力を高め、我が国経済を成長軌道に乗せていくことは喫緊の課題であります。外環の整備はその切り札となります。そのため、これまでも国に対しては、必要な事業費の確保と早期完成を強く求めてまいりました。
 新年度に入り、ようやく国の直轄事業予算が措置されたことから、都は、多くの地権者の方々からの用地買い取りを求める声におこたえするため、東京都建設局外環大泉事務所を開設いたしました。さらに、用地取得を進めるため、受委託契約を国と締結し、地元地権者の方々からの具体的な質問や相談にお答えするなど、積極的に取り組んでまいりました。
 今後とも、これまでも都が道路整備で培ってきた現地、現場に根差した全国屈指の用地取得の経験と実績を最大限に生かし、外環事業を全力で推進し、早期完成に結びつけてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 硼素、弗素の排水規制についてお答えいたします。
 環境省の検討会で実態把握を行ったところ、メッキ産業などにつきましては、排水処理技術がいまだ十分に確立されていないことなどから、水質汚濁防止法の規定に基づく暫定排水基準を三年間延長することとなり、六月一日に環境省令が改正され告示されました。
 これを受けて、都としても、都内の状況もかんがみまして、環境確保条例の暫定基準を三年間延長するための改正案を急遽ご提案いたしました。
 しかし、このままでは三年後に一律基準が適用され、メッキ産業などでさらなる排水処理の改善が必要となります。中小企業が導入可能で低廉な排水処理技術は、国が主体となって開発誘導すべきものであることから、庁内各局とも連携しまして、国に対して早期に開発するよう引き続き強く要求してまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の経営改善への取り組みについてでございますが、多摩地区の給水安定性を高めるためには、ご指摘のとおり、広域的なバックアップ機能の強化が不可欠でございます。
 そのためには、これまで十分に整備できなかった市町境を越えた配水管ネットワークを形成して、高低差のある地形特性を生かした配水区域に再編してまいります。これにより、広域水道のメリットの発揮とエネルギー効率の向上を図ってまいります。
 また、業務移管に伴い、施設管理や検針、収納などの業務水準が市町ごとに異なることが明らかとなったことから、これらの改善、統一化にも取り組みます。
 今後の経営改善を着実に推進するため、新たな五カ年計画を早急に策定して、積極的に取り組んでまいります。
 次に、地元事業者の活用についてございますが、地域の水道を支えてきた地元事業者の活用は、今後とも重要であると認識しております。現在、メーター引きかえや水道管維持補修の工事請負単価契約におきまして、市町の業務移管が完全に終了する平成二十三年度末までは、原則として市町が行っていた契約方法を継続していくこととしております。
 平成二十四年度以降は、都の契約方法に見直していくこととなりますが、資格要件等が異なるほか、零細な事業者が多いため、技術力の向上や都の業務への習熟に一定期間が必要であります。このため、都の契約方法への見直しに当たりましては段階的に行うこととし、その間に講習等により地元事業者の育成に取り組んでまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

○下水道局長(松田二郎君) 下水道事業における震災対策についての二つのご質問にお答えいたします。
 まず、下水道管の耐震化の取り組みについてでございますが、阪神・淡路大震災では、口径の小さい下水道管とマンホールの接続部に多くの被害が確認をされました。このことから、震災時においても下水道機能を確保するためには、接続部を耐震化することが重要でございます。
 具体的には、接続部を柔軟性のある構造に改良することが有効でございます。この取り組みを、震災時に多くの人が集まる避難所や災害拠点病院などの排水を受けている下水道管に重点化して進めております。
 区部においては、平成二十一年度末までに対象施設二千カ所のうち約千五百カ所の耐震化が完了いたしました。
 今後は、地域防災計画の避難所等の見直しにあわせ、対象施設を二千五百カ所に拡大し、平成二十七年度末までに対策を完了させてまいります。
 また、多摩地区においても耐震化の取り組みが促進されるよう、口径の小さい下水道管を管理する市町村に対し、技術的な支援を行ってまいります。
 次に、地盤の液状化による下水道のマンホール浮上抑制対策についてでございます。
 震災時の迅速な救助活動や応急復旧活動の支障にならないよう、液状化のおそれがある地域の緊急輸送道路や避難道路約五百キロメートルを対象に、平成十九年度より既設のマンホールの浮上抑制対策に取り組んでおります。
 具体的には、浮上の原因である地下水圧の上昇を抑えるため、地震時に地下水をマンホールに取り込む改造を、道路を掘ることなくマンホール内で行うものでございます。この技術は当局が民間と共同で開発をしたもので、他の自治体でも導入が進められております。
 平成二十一年度末までに約百五十キロメートルで対策が完了し、残る区間についても今年度中の完了に向け、関係機関と協力し鋭意取り組んでいるところでございます。
 さらに、今後は、避難所などにつながるアクセス道路約千五百キロメートルに対象を拡大して、浮上抑制対策を進めてまいります。
 こうした対策を推進し、震災時における下水道機能の確保に向けて全力で取り組んでまいります。
   〔消防総監新井雄治君登壇〕

○消防総監(新井雄治君) 小規模雑居ビル等の防火安全対策についてでありますが、高円寺南雑居ビルの火災後に実施いたしました緊急一斉立入検査の結果、平成十三年の新宿歌舞伎町の火災当時に比べ、消防用設備等の未設置などの重大違反は減少したものの、テナントの入れかわりが頻繁で関係者の防火意識が希薄なため、防火対象物の使用を開始するに当たって届け出がなされず、同一対象物に防火管理に係る消防法令違反が繰り返されている状況が認められております。
 こうした小規模雑居ビル等の安全を高めていくためには、ご指摘のとおり、使用実態を的確に把握し、関係者の防火への意識づけと法令遵守を徹底する対策が必要であると認識しております。
 このことから、小規模雑居ビルの実態調査を初め、テナントの変更状況を早期に把握する方策をより積極的に講ずるとともに、二十四時間専従の職員による機動査察体制を確立するなどして、防火意識の低い対象物に徹底した査察を実施することとしています。
 また、都民が建物の安全情報を把握できるよう、法令違反を繰り返している対象物について、条例改正も視野に入れ違反内容を公表する制度の創設を検討しております。
 今後とも、関係行政機関や地域の商店街などとより積極的に連携しながら、防火安全対策の万全を期してまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時十七分休憩

   午後五時三十六分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十三番野上純子さん。
   〔六十三番野上純子君登壇〕

○六十三番(野上純子君) 当面する都政の重要課題について、都議会公明党を代表し、知事並びに関係局長に質問します。
 初めに、過日ご逝去されました元東京都知事、名誉都民故鈴木俊一様並びに名誉都民故青木半治様に対し、謹んで哀悼の意を表するとともに、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 一昨年のリーマンショックをきっかけとした戦後最悪の景気後退で、国と地方の税収は急激に落ち込む状況にある中、早急な景気対策と経済成長戦略が求められています。ところが、国は借金に頼り切った財政運営を行っており、将来への展望が見えず、国民の不安を解消するにはほど遠いものがあります。
 一方、東京都は、都議会公明党が強く主張した新公会計制度の導入や事業評価などにより、早くから施策の選択と集中を行い、将来を見据えて堅実な都政運営を行ってきました。その結果、都民の不安を取り除く迅速な対応や、「十年後の東京」の実現に向けた先進的取り組みを実行することができました。
 先般、公明党は、新たな成長戦略を発表し、環境やエネルギー、医療、介護、教育などの分野で重点投資戦略を策定、実行し、成長産業の育成を図ることを目指しています。
 知事は、今定例会の所信表明で、技術を伸ばして日本を新たな成長軌道に乗せる方向を示し、技術戦略のロードマップの新たな作成や世界の上下水道事業への積極的な参画、環境産業の成長促進など、より具体的な方策を示されました。
 東京において展開されようとしている都市戦略について、知事の見解を伺います。
 次に、東京のエネルギー政策への取り組みについて質問します。
 東京都は、国に先駆けて、大規模事業所のCO2削減義務化やキャップ・アンド・トレードを導入し、我が国の地球温暖化政策をリードしています。現在、電力の供給側と需要側双方向の情報通信技術を用いたスマートグリッドや、電力、ガス、熱などのエネルギーを組み合わせたスマートエネルギーネットワークなどが注目されています。
 都は今後、事業所ごとの取り組みにとどまらず、地域単位での再生可能エネルギーや省エネ技術の活用、また都市排熱の再利用など、東京ならではの面的ネットワークの構築を進めるべきであります。知事の所見を伺います。
 都は昨年四月、住宅用の太陽光発電や太陽熱機器の設置について補助制度を設け、利用拡大を進めています。都は国に先駆けて、太陽熱機器の認定制度やグリーン熱証書制度など基盤整備に取り組んできましたが、普及が進んでいません。
 そこで、改めて、国を先導する取り組みを行い、太陽熱機器の普及モデルを提示すべきです。見解を求めます。
 都は、太陽エネルギー以外の再生可能エネルギーの利用拡大にも取り組んでいます。その一つに、昨年七月、大学や民間事業者に波力発電検討会の設置を呼びかけ、検証が行われました。
 また、都は、北海道や東北四県と、再生可能エネルギーの地域間連携を始めました。都は、風力発電などの自然エネルギー資源が豊かな地域からCO2フリーのグリーン電力の供給を受け、低炭素社会づくりを進めます。この四月から、東京駅前の新丸ビルにはグリーン電力の供給が開始されましたが、今後とも、キャップ・アンド・トレードの取り組みと関連して事業の進捗を図るべきです。
 再生可能エネルギーの活用を拡大させていくためには、民間の意欲的な取り組みを促すことが極めて重要と考えますが、都の見解を求めます。
 次に、環境先進都市を目指す東京において、街路灯のLED化は、温暖化対策に資する重要な施策であります。特に、今、話題になっているのが、商店街の街路灯のLED化事業であります。
 商店街を活性化する新・元気を出せ商店街事業の中の街路灯LED化事業は、都が直接五分の四助成することから、昨年度急激に実績が上がりました。都は、当初予算が八億円でありましたが、街路灯の新設を要望する商店街が著しく増加したため、国の地域活性化・経済危機対策臨時交付金十億円を追加し、商店街からの要望にすべてこたえました。今年度はさらに商店街からの要望がふえることが予想されることから、都は、LEDランプの交換に重点化し、六月一日から受け付けを行いましたが、八十七件を受け、一日で終了しました。
 我が党は、この課題について、ことしの予算特別委員会でも取り上げましたが、現政権では、昨年度のような臨時交付金は期待できません。そこで、都は、受け付けをした商店街に対してはすべてに対応するよう事業を進めるべきであります。見解を求めます。
 また、今年度の補助対象はLEDランプへの交換に重点化されたため、街路灯の支柱部分の交換や新設は対象外とされました。老朽化した街路灯の新設を希望する商店街に対しては、国の新たな補助事業を活用することが可能になったことから、都としても、制度の周知を図り、商店街に対して支援を行っていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、東京の新たな企業戦略について質問します。
 厳しい経済環境が続く中、東京の中小企業が経営の活路を見出す効果的な方策として、海外に目を向けた販路拡大があります。
 昨年の第四回定例会において、都議会公明党は、現地での販路開拓に対し、専門家の支援の必要性を主張いたしました。これを受けて、都は、今年度から新たに海外販路開拓支援事業を立ち上げ、海外販路ナビゲーターが海外取引を希望する中小企業を後押しすることになりました。
 そこで、海外販路開拓支援事業をさらに積極的に展開するため、販路拡大を目指す海外に専門の拠点を設けて、中小企業を支援すべきであると考えます。見解を求めます。
 次に、東京の繁栄と国際競争力の向上に関し質問します。
 地球規模で展開される都市間競争において、より魅力的で創造的な人や企業を世界じゅうから引きつける力こそ、都市の総合力であります。この観点に立ち、都市研究に関する世界的権威であるピーター・ホール卿を初めとする学識者が、昨年十月、世界の主要都市の総合力を評価し順位づけをいたしました。東京は、総合ランキングで、ニューヨーク、ロンドン、パリに次ぐ第四位、トップスリーは逃したものの、三都市に比べて、世界のトップ企業が集積していること、研究者の多さや研究開発費が豊富なことが強みであることが明らかにされました。
 一方で、東京の弱みは、都心から国際空港までのアクセスが悪いこと、高い法人税であります。これらが克服されれば、東京が世界のナンバーワン都市になることも不可能ではありません。
 幸い東京には、ことし十月、本格的な国際化を迎える羽田空港があります。加えて、昨年七月、都は、目指すべき都市像や戦略を示した東京の都市づくりビジョンを改定し、品川、秋葉原に次ぐ新拠点に羽田を指定しました。
 羽田を活用した新たな都市づくりについて、知事の所見を伺います。
 ところで、羽田と臨海副都心は、ともに関東平野全体を視野に置いた環状メガロポリス構造の中核拠点に位置づけられており、相互に連携、機能分担しながら首都東京の国際競争力を高めていくことが重要です。
 例えば世界規模の物流拠点の整備や都税減免による外資系企業の誘致、世界市場を視野に入れた高度医療の提供など、より具体的な取り組みを進めるべきです。
 羽田新拠点の形成及び臨海副都心との連携について、見解を求めます。
 次に、震災対策について質問します。
 阪神・淡路大震災からことしで十五年を迎えました。これまで都は、首都直下型地震に備え、耐震改修促進計画を策定し、平成十八年度から二十七年度までの十年間で、住宅の耐震化率九〇%を目指し、今年度中には八二%の耐震化率を目標としています。
 しかしながら、意識の低さや高額な改修費用の負担などが計画の進展を妨げています。我が党は、費用負担の面から、安価で信頼できる簡易耐震改修を提案しましたが、これも伸び悩んでいます。
 そこで、本年度が折り返しの中間地点という機会をとらえ、耐震化の現状について検証するとともに、審査の弾力化や手続の簡素化など、都民が活用しやすい助成制度に改善すべきです。見解を求めます。
 次に、高層マンションの防災対策について質問します。
 高層建築物の耐震技術の発展と都心特有の土地有効活用の観点から、高さ六十メートルを超える超高層マンションが近年急激にふえています。いざ震災が発生すると、エレベーターの停止や閉じ込めなど、地上との行き来が困難になる、いわゆる高層難民が大きな課題となります。
 二〇〇五年七月に発生したマグニチュード六・〇の千葉県北西部地震では、首都圏のエレベーター約六万四千台が停止し、完全復旧までに約二十四時間かかりました。こうしたときに役立つのが、高層フロアに設けられた防災倉庫です。水や食料などの生活必需品や医薬品、救出用具、避難用具を確保することで、災害時の備えになります。
 こうしたことから、高層マンションが集中する中央区や豊島区などでは、条例や要綱で防災倉庫の設置を義務づけ、数日間生活ができるよう対策を行っています。
 都としても、このほど総合設計許可要綱を改正し、防災性向上に関する新たな評価項目として、割り増し容積率を加算できる仕組みを導入しました。
 そこで、高層マンションの防災性を高めるには、各区市の取り組みが重要であります。防災倉庫の設置を条例等で定めている区は、まだわずかです。都は、各区市と連携を図り、総合設計許可要綱の周知を行い、防災倉庫の設置を促していくべきであります。見解を求めます。
 さらに、高層マンションは、中低層マンションとは違った避難行動、避難対策が求められるため、高層用の避難対策マニュアルが必要です。
 そこで、民間事業者や区市だけに任せるだけではなく、都も積極的に避難対策や防災訓練に取り組むべきです。見解を求めます。
 次に、大規模水害対策について質問いたします。
 本年四月、国の中央防災会議は、大規模水害対策に関する専門調査会の最終報告の中で、豪雨で大河川の堤防が決壊した場合、利根川流域で最大約六千三百人、荒川流域で最大約三千五百人の死者数が想定されると公表しました。
 ここで留意すべきことは、利根川、江戸川の中下流域の河川整備は、八ッ場ダムを含む上流ダム群の完成を前提として行われてきたことであります。とりわけ八ッ場ダムの治水容量は六千五百万立方メートルであり、これは、利根川上流の矢木沢、奈良俣、藤原、相俣、薗原の五つのダムの合計七千九百八十四万立方メートルに匹敵します。この極めて重要な洪水調整機能を持つ八ッ場ダムができないとなると、中下流域の洪水時の水位を下げることができず、被害のリスクは飛躍的に高まります。
 そこで、利根川ダム群の中で最も大きな治水容量を持つ八ッ場ダムの必要性について、都技監の見解を求めます。
 また、報告では、地球温暖化に伴う海面上昇による高潮でこうむる人的被害を初めて試算し、室戸台風級の台風が東京湾を襲った場合、沿岸部で最悪七千六百人の死者が出ると想定しました。
 しかし、ここでも、はんらん想定の条件に大きな問題があります。高潮浸水被害は、海岸と河川の両方から発生するにもかかわらず、本報告では、河川からの高潮浸水は考慮されておりません。
 二〇〇五年、死者数千八百三十三人を出したニューオーリンズでのハリケーン、カトリーナ災害は、計画を超える高潮の運河遡上によるはんらんが要因でした。
 同様の地形である東部低地帯は、大きな河川と支川などが縦横に流れ、過去たびたび高潮水害に見舞われています。河川高潮の浸水を考慮した被害想定の対策が必要不可欠であります。
 そこで、大規模水害対策について、三点質問します。
 まず第一点は、河川からの高潮浸水が考慮されていないことでありますが、都内での海岸の水門、排水機場は二十三カ所、それに比べ、河川の水門、排水機場等は六十二カ所もあり、河川からの浸水被害の影響は、海岸より大きくなると想定されます。したがって、河川高潮におけるはんらん状況と想定される被害を検討すべきであります。
 都は、国に対し、河川高潮のシミュレーションを行うよう主張すべきであり、国が対応しないのであれば、都は、みずから河川高潮シミュレーションを実施すべきであります。見解を求めます。
 第二に、排水ポンプ、水門等の機能の確保は、浸水継続時間の減少、避難者数の減少等につながります。洪水、高潮により水没する可能性がある金町、三郷浄水場や江東デルタ内の下水の排水ポンプ、電気系統の機能を確保するため、隔壁設置などの水防対策を実施すべきであります。見解を求めます。
 第三に、避難所指定されている東部低地帯内の都立公園の一部は、水没エリアになっている点です。報告では、小中学校等の建物の上階やスーパー堤防等の高台に一時避難した後で、広域避難先へ移動することを検討しておく必要があるとしております。
 そこで、水没エリアの都立公園の高台化など、水害時の一時避難先を確保するため、地域防災計画を見直すべきです。見解を求めます。
 次に、住宅行政について質問します。
 これまで都議会公明党は、若年ファミリー世帯の募集拡大やバリアフリーの進展など、都営住宅を活用し、子育てや介護に適した住環境の整備に取り組んできました。今後は、都営住宅の入居基準所得を超える子育て世帯や高齢者世帯に対しても、適切な住宅供給が大切です。
 都は、本年五月、都議会公明党の要望にこたえて、子育てに配慮した住宅のガイドブックを公表しました。
 子育て世帯では、広い居住空間を必要とします。しかし、そうした住宅の家賃は極めて高くなるのが一般的で、中堅所得層にとって入居が困難です。また、別の理由から、都営住宅の入居基準所得を超える高齢者世帯が、民間賃貸住宅への入居を断られるケースがあります。
 そこで、今後、住宅供給公社を活用し、中堅所得層を対象に、子育てや介護に適した、比較的安くて良質な賃貸住宅を整備していくべきです。見解を求めます。
 また、こうした住宅を供給するためには、老朽化した住棟の建てかえが必要です。今後改めて、建てかえの推進に向け取り組みを強化すべきと考えます。見解を求めます。
 一方、公社住宅の建てかえを進める上では、住み続けられる家賃を維持することが重要です。公社住宅には、年金生活者など都営住宅の基準所得を下回る入居者もいます。今後、公社住宅の建てかえに際しては、低所得居住者への配慮と丁寧な対応に努めるべきです。見解を求めます。
 なお、公社住宅に居住する低所得者については、都営住宅制度の柔軟な適用と連携の強化を今後の課題として要望いたします。
 続いて、都営住宅について質問いたします。
 まず、都営住宅においては、都議会公明党の要請にこたえ、若年ファミリー世帯や高齢者に配慮した改善が進みつつあるものの、一方では、余りにも居室面積が狭く、子育てや介護に適さない住棟が残っています。
 そこで、今後の建てかえに際しては、子育てや介護への配慮を初め、さまざまな都民ニーズに適切に対応できるよう、余裕のある間取りなどを工夫すべきです。見解を求めます。
 また、居住者の高齢化に対応して、巡回管理人の業務や共用部分の経費のあり方を幅広く検討する方針が、さきの第一回定例会で、我が党の代表質問に対し示されました。
 都営住宅のコミュニティ機能を支援する仕組みづくりについて、現在の検討状況と今後の具体的な見通しを求めます。
 一方で、既存の都営住宅へのエレベーターの設置も重要な課題です。現在の基準では、一定規模以上の住棟に限ってのエレベーター設置となっています。しかし、基準に満たない小規模住棟であっても、バリアフリー化は必要です。したがって、階段室型住棟に設置している小型のエレベーターを、今後は基準に満たない廊下型住棟にも設置していくべきと考えますが、見解を求めます。
 都は、平成十六年に東京都特別支援教育推進計画をスタートさせ、来年度はいよいよこの推進計画の総仕上げともいうべき第三次実施計画が展開されます。
 そして、この間の顕著な課題は、発達障害や知的障害がある児童生徒がこの十年間で約一万人も増加していることです。とりわけ発達障害児は、すべての小中学校に在籍すると推測され、在籍校における支援体制の整備や特別支援学級の教育内容、方法の充実が求められています。
 そこで、今後は、すべての小中学校において、適切な特別支援教育を受けることができるよう、第三次実施計画において、発達障害児に対する支援体制の整備や特別支援学級の教育力の向上に向けた方策を打ち出すべきであります。見解を求めます。
 また、都立特別支援学校においても、ここ十年間で在籍者数が約二千九百人増加しています。そのため、各学校では教室不足が慢性化しており、教育活動に影響があるなど、さまざまな問題が発生しています。
 そこで、第三次実施計画において、都立特別支援学校の新設を行い、子どもたちがゆとりを持って学習できる教育環境の整備に取り組むべきであります。見解を求めます。
 次に、特別支援教育における職業教育についてですが、都は、軽度知的障害の生徒を対象とした高等部職業学科の設置を進め、現在までに三校が開校されました。
 この中の都立永福学園では、本年三月に初めての卒業生を出し、大変な就職難の中にあっても、企業就労率は九四%という実績を残しました。しかし、一方では、高等部職業学科の募集定員が限られていることから、今年度、永福学園では、定員百名に対し選考倍率が二・四五倍となり、百四十五名は希望がかないませんでした。
 そこで、都は、より多くの子どもたちが、職業的な自立に向けて専門的教育を受けることができるよう、各特別支援学校高等部に職業学科の設置を進めるべきであります。見解を求めます。
 次に、特別支援学校における放課後等の子どもたちの居場所づくりについてですが、都議会公明党の主張に対し、都は、平成二十年、二十一年度でモデル事業を実施し、その成果を踏まえて、今年度からは放課後子ども教室として本格実施を行うとしています。
 そこで、今後、具体的な事業を着実に実施するとともに、第三次実施計画の中に放課後等の居場所づくりの推進を明記するべきであります。見解を求めます。
 次に、病院内教育について質問します。
 現在、都内の病院には、入院治療を受けながら教育を受けている子どもたちが年間約四百人おり、特別支援学校から教員を派遣することにより、教育の機会を保障しています。こうした病院内での教育は、治療期間や健康状態等に配慮しながら授業を行いますが、現状では、教員配置等の関係から難しい状況にあり、子どもや保護者からは、病院内教育の充実を求める声が高まっています。
 そこで、都は、今後、病気と闘う子どもたちが、退院後に安心して地域の学校に戻ることができるよう取り組むべきです。見解を求めます。
 次に、教育相談の充実について質問します。
 学校現場で心理カウンセリングでの中心を担っているスクールカウンセラーは、現在、都立高校には百九十二校中六十校に、中学校には六百三十五校すべてに、そして小学校には千三百十一校中百三十二校に、それぞれ配置されています。しかし、いずれも週一回であり、児童生徒や保護者、教職員の期待に十分こたえられていません。
 配置が限定的になっている最大の理由は、国からの補助金が二分の一から三分の一に縮減されたことであります。加えて、社会全体として臨床心理士など専門家のニーズが高く、質の高い人材を学校現場だけに集中させるのは困難との背景もあります。
 国の方針は、不登校などの相談事例が最も多い中学校に最優先で配置することを定めていますが、その中学校でさえ、冒頭述べたとおり、週一回にとどまっています。今後、都は、全中学校のスクールカウンセラーの常駐化を目指すべきです。
 一方、スクールカウンセラーと並んで、学校現場での心理相談にはアドバイザリースタッフ制度があり、臨床心理学、精神医学の専門家が都教育相談センターに所属し、現在、四十七名が学校長の求めに応じて派遣されています。
 本制度は、事件、事故が起こったときの緊急対応が基本となっていますが、スクールカウンセラー制度と相互連携し、より効果的な運用を図るべきです。見解を求めます。
 次に、障害者の入所施設、生活の場の整備について質問します。
 都は、障害者の入所施設の定員の総枠を平成十七年時点で七千三百四十四人と定め、今も変更していません。
 平成十七年の時点で、都は入所待機の障害者数を約千二百人と推定していました。そのうち、約六百人の重度障害者が平成二十三年度までに施設に入所し、残りはグループホームまたはケアホームでの生活が可能になると都は見込んでいます。しかし、そのためには、グループホーム等が平成十七年との比較で倍増することが前提となります。
 そこで、現在のグループホームの整備状況と今後の見通しについて見解を求めます。
 次に、関係者からは、待機者数が今後さらにふえていくのではという懸念の声が聞かれます。確かに、特別支援学校・学級に通う知的障害者は増加しています。したがって、入所定員の総枠を七千三百四十四人に抑えるとの方針は、見直しを図る必要があります。
 都は、今後、島しょも含めた身近な地域での定員増や、環境のよい都外の入所施設の積極的な活用を図るべきです。見解を求めます。
 既に、待機者の家族の高齢化が深刻です。親なき後を心配する保護者の願いにこたえ、都は改めて、待機解消に向けて調査分析を行い、対策を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 なお、都外施設における地域移行の場合、地域とは、住みなれた都外施設の周辺を意味します。
 そこで、都外施設の周辺にグループホーム等の整備が必要となる場合には、利用者の都民の数に応じて、都は負担を行うべきと要望しておきます。
 次に、うつ病対策について質問します。
 うつ病の患者は、厚生労働省の平成二十年患者調査によると、全国で約七十万四千人に上り、受診をしていない患者を含めると二百八十万人を超えると推計されております。
 都は、現在、都立精神保健福祉センターなど三施設を中心に、うつ病患者や家族に対する相談事業や就労復職支援プログラム等を実施しております。
 また、医療面では、うつ診療充実強化研修を実施しているほか、ことし四月から健康保険の対象となった認知行動療法の医師研修も行われることになりました。
 しかし、うつ病患者の増加に対応するには、国、東京都ともに、十分な対策が講じられているとはいいがたいのが現状であります。うつ病は、早期発見と的確な早期治療によって、回復が見込まれる疾病といわれています。
 そこで、まず、早期発見の観点から重要なことは、うつに対する都民への意識啓発です。うつ病は、他の精神疾患や内科分野の疾病と似た症状を示すことも多いことから、発見しにくいといわれております。
 しかし、うつ病の身体的症状に対する認識が都民に普及することにより、早期発見の可能性が広がります。パンフレット、チラシ、ポスターや講演会等による広報、意識啓発活動を積極的に展開すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、早期治療対策についてであります。
 うつ病の可能性のある人が最初に診療を受ける場合、内科を受診するケースが多く、うつ病の診断がおくれがちになっています。
 そこで、内科等からうつ専門医師への円滑な紹介を可能とする情報提供体制を整備すべきです。見解を求めます。
 また、うつ病が離職や休職、休学等の大きな要因となり、社会復帰支援策の充実強化も大事であります。適切な治療によって病状が快方に向かい、あるいは回復した人がスムーズに社会復帰できるようにするためには、医療部門と就労、就学支援部門等との連携が重要であります。
 うつ病は、医療、教育、家庭、就業など幅広い分野へ影響を及ぼします。単なる疾病対策としてのうつ病対策ではなく、都の関連部門による連絡会議を設置し、総合的な対策を講じるべきです。都の見解を求めます。
 次に、若年性認知症について質問します。
 六十五歳未満の現役世代の認知症である若年性認知症は、発症した場合、医療や介護のみならず、就労も含め、多岐にわたる課題が生じる深刻な病気です。高齢者の認知症と異なり、一家の大黒柱が職を失うことは、本人が社会的な居場所を失うだけでなく、家族も経済基盤を失い、深刻な生活苦に陥ります。
 現在、若年性認知症の方が受けられる支援制度としては、障害年金や自立支援医療費制度、介護保険制度など多岐にわたりますが、若年性認知症の家族は、どこに相談したらいいのか全くわからない場合が多いと聞きます。現在、都内の専門相談窓口は極めて少ない状況です。
 そこで、身近な地域で相談が受けられるよう制度を整備すべきです。見解を求めます。
 次に、新銀行東京について質問します。
 先月発表された新銀行東京の平成二十一年度決算は、十五億円の黒字を計上するとともに、純資産は、再建計画を大幅に上回る四百九十億円となっております。
 今回の決算により、追加出資した四百億円の資本を毀損させないとした都議会の付帯決議が守られていることは明らかであります。これまで、四百億円の追加出資については、どぶに捨てることになりかねないという一部会派の主張がありましたが、この決算結果から、全く根拠のない無責任ないいがかりにすぎないことが明らかになりました。
 公明党は、今後とも追加出資の四百億円が保全され、有効に活用されることが重要であると考えております。
 新銀行東京の平成二十一年度決算について、追加出資の効果と都の評価について見解を求めます。
 次に、外郭団体改革について質問します。
 我が党は、石原都知事の誕生以前から都の行財政改革を主張し、外郭団体、中でも監理団体について改革を進めてまいりました。その結果、現在の監理団体数はかつての半数となり、役員の退職金を全廃し、隠れ職員定数と指摘されてきた派遣職員数も大幅に削減させてきました。
 そこで、次なる改革は報告団体であります。周知のとおり、都の外郭団体には、監理団体とは別に報告団体があります。
 報告団体は、都からの財政支援が少なく、みずからの経営責任のもと自主的な経営を行う団体であるため、都は、監理団体のような特別な関与を行わず、運営状況の報告を受けるだけとなっており、所管局が事業執行を進める中で適切に指導することを原則としております。
 しかし、報告団体を個別に見ますと、非常に多様であり、時代の変化とともに、事業内容、都との関連の度合い等も変わってきており、透明性を高めていく必要があるものも出てきております。また、所管局の指導だけにとどめておくと、天下りの温床などと、あらぬ誤解を招く場合もあります。
 我が党は、このような間違った認識を正していくためにも、報告団体について、都が率先して団体の特性や都との関連性等を精査し、意義づけを明確にすべきと考えます。見解を求めます。
 次に、スポーツ振興について質問いたします。
 今定例会において、スポーツ振興局設置の組織条例の改正案が提出されました。国に先駆けてスポーツ振興局を設置することは、青少年の健全育成と健康増進のため、スポーツ振興施策に取り組み、政府にスポーツ庁の設置を働きかけてきた我が党としても賛成するものであります。
 都は、平成二十年に東京都スポーツ振興基本計画を策定し、都民のだれもが、いつでもスポーツを楽しむことができる社会の実現と、スポーツの都市戦略化というコンセプトを掲げました。
 スポーツ振興局の設置に当たっては、スポーツを通して、東京の新たな魅力を発信していくべきと考えます。知事の見解を伺います。
 あわせて、生涯スポーツ社会の構築と国際競技力の向上を東京が先導するとともに、子どもから高齢者まで、だれもがスポーツに親しむことができる施設づくりと環境整備が重要です。見解を求めます。
 最後に、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例について申し上げます。
 昨日、幼稚園、小学校、中学、高等学校のPTAの代表の皆様が、改正案の早期成立を求める四万五千件にも上る署名を議長に提出し、その後、都議会公明党にも要請に来られました。PTA代表の皆様方の切実な思いを前に、改めて本定例会で改正案を成立させなければならないという強い責任を感じました。
 都議会公明党は、自民党とともに、民主党、共産党、生活ネット・みらいの皆様にも賛同いただけるように、改正案の抽象的でわかりにくい表現を改め、さらに、条例が拡大解釈されたり、規制がひとり歩きする可能性の歯どめとして、本制度の施行状況を三年経過後に検討の上、必要な措置を講じることを附則に盛り込む修正案を作成いたしました。
 民主党、共産党、生活ネット・みらいの皆様も、都民の負託を受けた都議会として、良識ある判断をされ、修正案に賛同されることを強く求め、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 野上純子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、今後の都市戦略のあり方についてでありますが、日本の頭脳部、心臓部として発展してきた東京を、より高い次元へと成長させ、次の世代に継承するためには、地球環境問題や少子高齢化の進行など、さまざまな課題に的確に対応していく必要があります。
 ゆえにも、都市戦略として「十年後の東京」計画を策定し、そこで示した近未来図の実現に向け、既存の枠組みに横ぐしを通して隘路を打ち破る、実効性のある政策を展開してまいりました。
 例えば環境分野では、本年四月から、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度を開始し、中小企業への省エネ設備の導入支援や、住宅分野への太陽エネルギー利用機器の普及にも努めてまいります。
 また、環境、医療、福祉など成長が期待される分野では、技術開発から実用化までの道筋を明らかにした技術戦略ロードマップを策定し、製品開発に取り組む企業への支援を開始しております。
 東京には、多種多才な人材、斬新な技術を持ち投資意欲にあふれた企業、進取の精神に満ちたNPOなどが集積しております。
 日本の持てる力もいろいろありましょうが、最も強力な日本の力というものは、私は技術の開発力だと思います。ただ、残念ながら、今までも国策としてそれを束ねて推進し、商品化し、外国に売り込むという努力は、いささか足りなかったような気がいたしますが、いずれにしろ、こうした東京という現場にある英知と力を結集しながら、常に十年先を見据えて、強みを伸ばし弱みを打破する、重層的、複合的な施策を戦略的に展開することで、東京を二十一世紀に真にふさわしい、成熟を果たした都市へと進化させていきたいと思っております。
 次いで、東京のエネルギー政策についてでありますが、気候変動の危機を回避するためには、再生可能エネルギーや未利用エネルギーを、最大限活用する低炭素型社会への転機を急がなければならないと思います。多量のエネルギーを消費する大都市こそ、こうした転換を指導する必要があります。これが都市の持つ歴史的な使命だと思いますが、都はこうした観点から、太陽エネルギーの導入に積極的に取り組むとともに、地域におけるエネルギー有効利用計画制度を創設し、都市排熱などの活用も含む、面的なエネルギー利用へ向けた取り組みを開始しております。
 今後とも、二酸化炭素の大幅な排出削減を実現するために、東京から先駆的エネルギー政策を展開し、低炭素型社会への転換を先導していきたいと思っております。
 次いで、羽田を活用した都市づくりについてでありますが、東京を、国際的な都市間競争に打ち勝つ都市にするには、都市の機能を向上させ、より魅力的な都市につくりかえていくことが肝要であります。
 お話のランキングにおいても、東京は、その都心から国際空港までのアクセス時間が極めて大きいということが弱点とされていますが、これは、国際空港としております成田空港を使う現況を前提としたものでありまして、羽田空港は、これは極めて都心に近く、再拡張、国際化によって、世界の大都市の中で比類のない便利な国際空港になると思います。
 ちなみに、ロンドンのヒースロー空港は都心から二十五キロ、ニューヨークのJFK空港も二十五キロ、パリのドゴールも二十五キロ、比べて成田は六十キロでありますが、羽田は二十キロ未満であります。この強みをさらに生かすために、都心とのアクセス性の向上にとどまらず、首都圏三環状道路の整備などを進め、首都圏全体との結びつきを強めることが重要であると思います。このことによって、ビジネス環境の改善や高付加価値物流の効率化など、人や企業を世界じゅうから引きつける力を一層高めることが可能になると思います。
 羽田空港が、将来にわたって首都東京の活力を高めるインフラとして十分に機能するよう、国際空港機能のさらなる強化とあわせて、広域的な交通ネットワークの整備など、東京の都市づくりを一層進めていきたいと思っております。
 次いで、スポーツ振興局の設置と東京の活力についてでありますが、スポーツは、他者との厳しい競い合いの中での切磋琢磨の経験を通じて、子どもたちの心身の健全な育成を促すほか、高齢化が急速に進む中、スポーツを通じた健やかな生活を実現することなどによって、すべての人々に夢や希望や、かつまた力を与えていくものだと思います。
 このごろ、どういう魂胆か知りませんが、子どもの徒競走に、差別をしないために、ゴールの寸前でみんなで手をつないで一緒にゴールインするなんて、ばかげたことが行われていますが、こんなものはスポーツの効用を全く無視した、実に愚かな試みでしかないと思います。
 そういったものに対する反省も含めて、スポーツを強化することは、私は、弱体化が伝えられている日本の若い世代を心身ともに強いものにしていく。オリンピックでも、国を背負って本当に激しく戦うことのできる基礎体力を備えた国民をつくっていく大きなよすがになると思います。
 また、東京マラソンを初めとする国際イベントは、歴史と文化の堆積を持つ東京に新たな魅力を付加し、首都東京のプレゼンスを高める絶好の機会となっております。都はこうしたスポーツの重要性にかんがみまして、招致活動のレガシーを今後のスポーツ振興に反映させるとともに、三年後に控えた東京国体の開催準備の本格化に対応する観点から、国に先駆けて、スポーツ振興局を設置することにいたしました。
 局設置を契機に、改めてソフト、ハードの両面からスポーツ振興策を総合的、体系的に推進し、スポーツ振興を起爆剤として、首都東京の活力を一層高めていきたいと思っております。
 他の質問については、教育庁、東京都技監並びに関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、発達障害児への支援体制の整備と特別支援学級の教育力の向上についてでございます。
 都における発達障害のある児童生徒の教育は、週数時間の特別な指導を行う通級指導学級を中心に実施しておりますが、通級指導学級は、すべての小中学校には設置されていないために、児童生徒の通学負担や、学級担任と通級指導学級教員との緊密な連携が図りにくいといった課題がございます。
 そのため、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、通級指導学級の指導内容の充実を図りますとともに、すべての小中学校における発達障害のある児童生徒に対する支援体制の整備に努めてまいります。
 また、特別支援学級で学ぶ児童生徒が、より質の高い教育を受けることができるよう、特別支援学校と小中学校との連携を一層強化し、特別支援学級の教育力の向上を支援してまいります。
 次に、特別支援学校における教育環境の整備についてでございます。
 都教育委員会では、平成十六年に策定した第一次実施計画及び平成十九年に策定した第二次実施計画に基づき、特別支援学校における普通教室の計画的な増設や、都立学校跡地等の活用による新たな学校の設置に取り組んでおります。
 一方、平成十九年の学校教育法の改正により、特別支援教育が本格的に始まり、保護者の障害に対する理解や特別支援教育への関心が高まる中で、特に、知的障害特別支援学校に入学する児童生徒数は当初の予想を超えて増加しており、教室の確保など、教育環境の整備が急務となっております。
 現在、障害のある児童生徒数の将来推計を実施いたしますとともに、各学校の教室の利用状況を調査し、児童生徒の増加に対応した教室確保策の検討を進めております。
 第三次実施計画においては、地域バランスに配慮した学校の再編整備や通学区域の調整、校舎の増改築など、さまざまな方策を具体化し、今後の児童生徒の増加に対応した教室の確保に努めてまいります。
 次に、知的障害特別支援学校高等部における、職業的な自立に向けた専門的な教育の実施についてでございます。
 障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、一般就労を目指した職業教育や就労支援を充実させることは、特別支援教育の重要な課題でございます。
 都教育委員会では、第一次、第二次実施計画において、小学部からの段階的な職業教育の充実や福祉、労働等の関係機関や民間企業関係者と連携した就労支援に取り組みますとともに、知的障害の程度が軽い生徒を対象として、生徒全員の一般就労を目指す高等部職業学科の設置を五校計画化し、これまで三校を開校いたしました。
 今後も、知的障害の程度が軽い生徒の増加が見込まれますことから、第三次実施計画では、既設の知的障害特別支援学校高等部に職業学科を併設することや、教育内容、方法の改善を図るなど、一般就労を目指した職業教育の一層の充実を図ってまいります。
 次に、都立特別支援学校における放課後等の居場所づくりについてでございます。
 平成二十年度から二年間実施いたしましたモデル事業の成果を踏まえ、大塚ろう学校及びあきる野学園の二校において、今年度から、国庫補助事業を活用し、区市町村の小学校と同様に放課後子ども教室を実施しております。
 モデル事業では、放課後等に実施した多様な体験活動に児童生徒が参加し、社会性が身についたり、興味関心、意欲、積極性が高まるなどの効果があらわれております。
 一方、放課後子ども教室を実施する学校をふやしていくためには、児童生徒の障害の種別や程度に対応できる多くの支援者の確保など、実施体制の整備が課題となってまいります。このため今年度は、六校で特別支援学校における放課後等活動支援推進事業を実施し、実施体制の確立に向けた支援を行い、順次、放課後子ども教室への移行を目指してまいります。特別支援学校の児童生徒が、放課後等に多くの人々と交流しさまざまな体験をすることは、自立と社会参加を促す上で大変有意義でございます。
 今後、第三次実施計画において、特別支援学校における放課後子ども教室の実施及び放課後子ども教室への移行を目指す取り組みを計画化し、放課後等の居場所づくりを着実に推進してまいります。
 次に、病院内教育のより一層の充実についてでございます。
 病院内教育は、病気やけがにより長期入院している児童生徒に、学習機会を確保するとともに、入院期間中の学習意欲の維持や退院後の学校生活への円滑な復帰などを支援するために行っているものでございます。
 都立特別支援学校では、病院内教育を、病院内に設置した分教室と、近隣の特別支援学校から教員をベッドサイドに派遣する訪問教育の二通りの形態で行っております。
 訪問教育では、拠点となる特別支援学校十校程度が全都に分散をしておりますために、各学校で教科ごとの教員の確保が困難なことや、児童生徒数は入退院により変動しますが、教員数は年度当初に配置された人数で固定されておりますために、児童生徒が多い時期には十分な授業時数を確保することが難しくなるといった課題もございます。
 そのため、第三次実施計画においては、各教科の教員をより効果的に配置し、活用を図りますとともに、指導方法の改善を進めるなどして、病院内教育の一層の充実に努めてまいります。
 次に、スクールカウンセラーとアドバイザリースタッフの連携協力についてでございます。
 スクールカウンセラー制度は、不登校やいじめなど、日常の学校生活における子どもたちの心の悩みに対する相談活動を行うことを目的としております。一方、アドバイザリースタッフ制度は、事件、事故が起こったときに、児童生徒や教職員及び保護者の心のケアと、落ちついた学校生活を取り戻すための緊急支援を基本としております。
 アドバイザリースタッフとスクールカウンセラーとが、それぞれの立場から学校の健全育成上の課題の解決に当たっておりますが、事件、事故に至らないまでも、子どもの心のケア等の必要性が高い場合には、アドバイザリースタッフを学校からの要請に応じて派遣し、支援する必要があることから、お話のように、今後、アドバイザリースタッフとスクールカウンセラーが相互に連絡調整しながら、より効果的な相談を行うことができる体制の充実を図ってまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 都市整備に関する十点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田新拠点の形成についてでございますが、都は、昨年七月に改定した都市づくりビジョンにおいて、再拡張、国際化される羽田空港が今後の東京の活力に極めて大きなインパクトを与えると考えられることから、跡地を含む羽田を、多様な機能を備えた複合拠点として育成する新拠点に位置づけました。この羽田の新拠点の形成に当たりましては、空港跡地の利用を早期に進め、国際空港に隣接する地区にふさわしい機能の導入を図っていく必要がございます。
 また、現在、整備が進められている国道三五七号東京港トンネルなどにより、一層結びつきが強まる臨海副都心とも連携していくことが効果的でございまして、こうした立地特性を踏まえて、ご提案のような機能についても今後検討を加えてまいります。
 現在、国、都、地元区から成る羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協において、必要な基盤整備やまちづくりの進め方などを明らかにする羽田空港跡地まちづくり推進計画の策定を進めておりまして、この夏にも素案を公表する予定でございます。
 今後とも、世界に開かれたにぎわいのある新拠点の形成に向け、積極的にまちづくりを進めてまいります。
 次に、耐震化の促進についてでございますが、都は、地震による建築物の倒壊等の被害から都民の生命と財産を守るため、平成十八年度に建築物の耐震改修を計画的かつ総合的に促進することを目的に、耐震改修促進計画を策定いたしました。今年度は、計画期間の半ばに当たることから、区市町村の取り組み状況や住宅に関する統計調査など幅広い情報に基づき、進捗状況などを把握するとともに、現在取り組んでいる施策の効果を総合的に検証し、今後の取り組みに反映させてまいります。
 また、助成制度についても一層の活用を図るため、建築物の実態に応じた弾力的な運用や審査期間の短縮化が図られるよう、手続の窓口である区市へ働きかけてまいります。都としては、引き続き耐震化施策を強力に推進し、災害に強い東京の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、高層マンションの防災対策についてでございますが、総合設計制度を活用して建設されるような超高層マンションにおいては、大規模な地震の発生後、自立した生活を確保するために、居住者用の防災備蓄倉庫を設置することが有効であります。
 そこで、都は、本年四月、総合設計許可要綱を改正し、地元区市の条例等に基づき、居住者用の防災備蓄倉庫を設置する場合に、容積率の制限を緩和することといたしました。現在、業界団体に対する説明会等を通して改正内容の周知に努めており、今後とも区市と十分連携し、居住者用の防災備蓄倉庫の整備が進むよう取り組んでまいります。
 次に、八ッ場ダムの必要性についてでございますが、首都圏を流れる利根川流域には、洪水時の想定はんらん区域が大きく広がり、国の資料によれば、ここに約四百五十万人の人口と、約五十兆円の資産が集中しております。利根川の堤防が仮に決壊した場合には、お話にあった中央防災会議報告のように甚大な被害が予想されておりまして、水害に対して安全な首都圏を形成するため、治水対策に粘り強く継続的に取り組むことが不可欠でございます。
 八ッ場ダムは、利根川上流域にある既存六ダムの合計の約六割に相当する大きな治水容量を持ち、また、これまで洪水調節施設がなかった吾妻川流域に初めて建設される極めて重要な施設でございます。また、八ッ場ダムが完成すれば、利根川上流の三流域すべてにダムが整備されることになり、既存ダム群と相まって洪水調節を効果的に行うことが可能となります。これらによって、利根川全川にわたって洪水時の水位を低下させて、堤防決壊のリスクを軽減することができるようになるのであります。
 国は、昨年、有識者会議を設置して、できるだけダムに頼らない治水対策のあり方を検討しております。しかしながら、八ッ場ダムの治水に関する具体的な検証内容や検証スケジュールは明らかにされておらず、利根川流域における治水安全度を向上する取り組みは放置されたに等しい状況が続いております。
 都は、首都圏の洪水リスクの低減はもとより、安定した水源確保のために、引き続き関係五県と連携して八ッ場ダムの本体工事に速やかに着手し、計画どおり平成二十七年度までに完成させるよう、国に対して強く求めてまいります。
 次に、都の住宅政策における公社の役割についてでございますが、公社はこれまで、都の住宅政策の一翼を担う重要なパートナーとして、良質な賃貸住宅を中堅所得者層に対して供給してまいりました。少子高齢社会への対応が求められる中、公社では、本年四月、新たに少子高齢対策室を設置いたしまして、一般賃貸住宅の建てかえに合わせた子育て世帯や高齢者向け住宅の整備を初め、オープンスペース等への子育て支援施設等の誘致などに向けた検討を始めております。
 今後は、少子高齢社会や環境問題への対応など、市場では十分に供給されにくい住宅の供給を基本としながら、公社が、公共住宅の供給主体として公的な役割を積極的に果たしていくよう、都として働きかけてまいります。
 次に、公社住宅の建てかえの推進についてでございますが、公社では現在、昭和三十年代前半に建設した住宅を中心に建てかえを進めております。対象となる大規模団地の中には、建てかえに際し、地域のまちづくりと連携した良好な住環境を形成するために地区計画を策定することが必要になる場合があることや、敷地形状や道路条件などの問題があることなどにより、建てかえに時間を要しているものもございます。
 今後、公社ではこうした団地の建てかえに当たり、これまでに培った経験やノウハウを活用するとともに、子育てや介護に対する地域のニーズも踏まえ、地元自治体との綿密な協議を重ねながら、事業を精力的かつ着実に進めていくこととしております。また、立地条件によっては、隣地と一体化することにより、建てかえを容易にすることなどの検討も進めております。
 都としては、こうした公社の建てかえ推進に向けた取り組みを技術面などから支援して、その前進を図ってまいります。
 次に、公社住宅の建てかえ時における低所得者への適切な配慮についてでございますが、公社では、建てかえに際しては、戻り入居者に対する家賃激変緩和措置により、急激な家賃の上昇を招かないよう配慮しているほか、他の公社住宅等へのあっせんや民間住宅等への住みかえに伴う費用を助成するなど、居住者の負担を軽減するさまざまな措置を講じております。特に、高齢低所得世帯等に対しては、家賃の特別減額措置を実施しておりまして、高齢化に伴い所得が低下した場合などでも、建てかえ後の住宅に住み続けることができるよう特段の配慮をしております。
 今後も、公社住宅の建てかえに際しては、引き続き従前居住者の居住の安定に十分配慮し、丁寧な対応に努めるよう、都として働きかけてまいります。
 次に、都営住宅の建てかえにおける間取りについてでございますが、都営住宅については、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、昭和四十年代以前に建設された住宅を対象として建てかえを推進しております。建てかえに当たっては、居住者の世帯構成に応じた規模や間取りの住宅を供給しており、これまでも子育てに配慮し小規模世帯向け住宅の間取りを見直すなど、住みやすい住宅の供給に努めてまいりました。
 今後は、高齢の単身世帯が介護を必要とする場合なども考慮し、建設コストも勘案しながら、間取りの見直しを検討してまいります。
 次に、都営住宅のコミュニティ機能を支援する取り組みについてでございますが、今後、都営住宅では居住者の高齢化が一層進行すると予想されることから、自治会活動などのコミュニティ機能について、地域福祉の担い手である地元区市町や自治会、居住者と役割分担を図りながら適切に支援していくことが必要でございます。こうした観点に立って、巡回管理人の業務内容や共用部分の管理経費の徴収範囲や方法などについて検討を進めておりまして、今後、具体的な支援策を取りまとめてまいります。
 支援策の実施に当たっては、団地の規模や実情が多様であることなどを踏まえ、自治会や居住者の合意が得られた団地を対象として、来年度から試行を行うこととし、年内に試行の対象となる団地を募集する予定でございます。
 最後に、既存都営住宅へのエレベーター設置についてでございますが、現在、廊下型住棟では、四階建てまたは五階建てで二十四戸以上という基準に基づき、九人乗りエレベーターの設置を行っておりますが、居住者の高齢化が進行する中、より小規模な住棟へのエレベーター設置が強く求められております。このため、階段室型住棟に設置している小型の四人乗りエレベーターを廊下型住棟に設置できるよう、学識経験者の参画も得ながら、住宅部品の認定機関やエレベーターメーカーとともに、技術、コストの両面から検討を進めてまいりました。
 その結果、一住戸当たりの建設費が従来と同等の、廊下型四人乗りエレベーターを開発できることが確認され、優良住宅部品としても認定される見込みとなったことから、今後必要な基準の見直しを行い、エレベーターの設置を推進してまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 太陽熱機器の普及における都の先導的な取り組みについてでありますが、太陽熱機器は、中国やヨーロッパでは急速な普及が進んでおりますが、我が国では市場が低迷を続けてきました。太陽熱機器はエネルギー変換効率が太陽光発電より三倍程度高いため、小さな家にも設置可能であり、都内の住宅に適しているといえます。
 一昨年来の都の取り組みなどによりまして、最近では、集合住宅向けバルコニー設置型システムや高効率給湯器一体型システムなど、エネルギー事業者や機器メーカーによる新製品の開発が積極的になってきました。都におきましても、病院施設や東京国際フォーラムなどへ導入しており、本年度も環境科学研究所や駐在所への導入が予定されております。
 都は、今後も区市町村や関連企業と連携した太陽エネルギー見本市や、熱利用をテーマとしたセミナーの開催など、太陽熱の普及に向けた取り組みを継続的に進めてまいります。
 次に、再生可能エネルギー普及拡大のための民間の力の活用についてでありますが、再生可能エネルギーの開発は、環境と経済の両立を目指すグリーンニューディールの重要な柱であります。海外では、波力発電の豊かなポテンシャルに着目した商業規模のプロジェクトが既に開始されておりまして、昨年度、都の呼びかけにより設置された波力発電検討会では、我が国における可能性も示されました。
 今年度は、大学と事業者による波の状況や係留技術の実証事業が大島周辺で予定されておりまして、地元関係者の意見を踏まえ、具体的な海域検討や課題調整等が行われます。
 また、地域間連携によるグリーン電力供給を拡大していくためには、特定規模電気事業者、いわゆるPPSの参画や、現在の送電網のあり方の見直しなど、さまざまな取り組みを進めていく必要があります。
 都は今後、民間の活力が再生可能エネルギー分野でも生かされるよう、意欲ある民間事業者との協働や国等関係機関への提案、要求などの取り組みを行ってまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、商店街の街路灯のLED化についてでありますが、街路灯のLED化は、都が進めます地球温暖化対策に寄与することから、特定施策推進型商店街事業の一つとして積極的に支援しております。今年度から、CO2削減につながるランプ交換に重点化し、同事業の効果をより高めることといたしまして、先日、商店街からの申請を受け付けました。
 今後、現地調査等を行い、申請内容を精査した上で、八月を目途に交付決定していくこととなります。商店街のCO2削減に向けた意欲的な取り組みにこたえ、一つでも多くLED化の要望に対応できますよう努めてまいります。
 次に、国の補助事業の周知及び支援についてであります。
 商店街が街路灯の新設等のハード整備を進めることは、にぎわいの創出などに効果があることから、国もその経費について最大三分の二を補助する制度を創設いたしました。これを受け、都は、商店街の負担する部分につきまして、区市町村が独自に支援する場合、その支援額の二分の一を補助することにより国の制度の利用促進を図っております。こうした仕組みが商店街にしっかりと理解されて活用が進むように、都は国と協力して、都内商店街に配布するパンフレットを作成するとともに、区市町村に対しまして、制度のメリットを説明して商店街への周知を図るよう働きかけを行っております。
 今後とも、この制度が十分活用されるよう周知徹底し、商店街を支援してまいります。
 次に、海外販路開拓支援事業における現地での支援についてであります。
 中小企業が海外販路を開拓する上で、取引相手国の経済状況を初め、商品に対するニーズなどを把握することは基本となるものであり、そうした情報を提供することは極めて重要であります。
 都は、今年度から開始した海外販路開拓支援事業において、商社のネットワークを活用して、アジアの十三都市に海外ビジネスデスクを置き、現地の最新情報の収集を行うことといたしました。
 また、海外販路ナビゲーターが、海外ビジネスデスクから入手する現地の情報を支援企業に提供するほか、海外の見本市に出展する企業に同行しアドバイスを行うなど、海外販路の開拓を目指す中小企業に対し、きめ細かい支援を行ってまいります。こうした取り組みを通じ、都内中小企業のアジアにおける販路開拓を着実に支援していく考えであります。
 最後に、新銀行東京の平成二十一年度決算についてであります。
 四百億円の追加出資によりまして、新銀行東京は、事業の継続が可能となり、他の金融機関では支援が難しい赤字、債務超過先約四千社を含む多くの中小零細企業を継続的に支援しております。
 また、新銀行東京では、金融円滑化法が施行される前から、リスケジュールに積極的に取り組んでおり、特に追加出資後、累計で約二千四百社、百八十八億円を実行しております。これも追加出資の効果の一つであります。追加出資の四百億円と、現経営陣の渾身の努力の結果、再建は着実に進んでおりますが、実質業務純益の黒字化に向け引き続き努力することが今後の課題と考えております。都は今度とも、新銀行東京の再建に向け適切な監視と支援を行ってまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 三点のご質問にお答えします。
 まず高層マンションの避難対策についてでございますが、震災時におきまして高層マンションの住民は、エレベーターの停止により地上との行き来が困難となり、不自由な生活を余儀なくされます。このため、都は、一つでも多くの高層ビルでエレベーターの運転を可能とするため、一ビル一台の復旧ルールをつくるとともに、停電時でもエレベーターが動くよう非常エレベーターの自家発電機に対する燃料供給体制の整備など高層住宅の避難対策に取り組んでまいりました。
 また、総合防災訓練におきましても、都内に多くの高層住宅があるという実態を踏まえた救出訓練を実施しております。都は、区市町村や関係機関と実施した訓練を検証し、今後の高層住宅の避難対策や防災訓練に生かし、都民の生命と財産を震災から全力で守ってまいります。
 次に、大規模水害時における一時避難先についてでございますが、河川の大規模な堤防決壊等が発生した場合、急激な浸水で避難所まで移動する時間がない事態も想定されます。地域防災計画におきまして、急激な浸水から安全に避難する方法として、高層ビル等に一時的に避難することを定めております。
 一方、中央防災会議におきましては、専門調査会の報告を受けまして、今年度中を目途に大規模水害対策に関する大綱を策定する予定でございます。
 今後、これらを踏まえまして、東部低地帯内の公共施設を一時避難先として活用することなども含めまして、総合的な対策を全庁的に検討し、地域防災計画の必要な見直しを図ってまいります。
 最後に、報告団体の位置づけについてでございますが、報告団体は、監理団体に比べ、都の財政支援等が少なく、所管局が決算や職員数など運営状況に関する報告を受け、出資者等の立場から関与を行っている団体でございます。
 個別に見ますと、都からの出資のみを受けている団体もあれば、出資に加えまして都財政の支出を受けている団体などさまざまでございまして、都施策との関連につきましても、社会情勢の変化に伴い、その態様は変化してきております。
 今後、報告団体につきましては、出資比率、都財政支出、都施策との関係性などの観点から、個々の団体に応じた位置づけについて関係局とも協議の上、精査してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 河川の高潮シミュレーションの実施についてでございますが、都は、東部低地帯において、日本最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風を想定し、これまで防潮提や水門などの整備を進め、現在、その水準での高潮に対する安全性は確保されております。
 お話の中央防災会議の報告は、東京湾の水門や排水施設が機能しないケースなどについて、河川からの高潮によるはんらんがないとの想定のもと、そのときの被害をシミュレーションすることによって示し、被害の軽減に必要な危機管理対策を検討したものでございます。
 ご質問の、高潮による河川はんらんも考慮するシミュレーションにつきましては、台風の規模や施設の損傷、地球温暖化による海面水位の上昇など、条件設定によりその被害の規模が大幅に異なり、その結果、行政のとるべき対策に著しい影響を及ぼすと考えております。このため、想定する被害の可能性や規模などについて慎重に検討し、東京都地域防災計画との整合を図るなど関係各局と連携してまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 水防対策としての浄水場への隔壁設置についてでございますが、水道局ではこれまでも、カスリーン台風等における被災経験を踏まえ、河川はんらん発生の可能性を考慮した施設の整備、改良を行ってきたところであります。
 先般、中央防災会議の大規模水害に関する専門調査会が発表しました利根川及び荒川の洪水はんらんによる都水道局施設の被害想定では、荒川の浸水では大きな被害を受けないものの、利根川では、一部浄水場におきまして、配水池やポンプ設備が浸水被害を受け、機能が停止する可能性があります。万が一、それらの浄水場が機能停止した場合、他浄水場からのバックアップにより、夏期の一日平均配水量程度の能力を確保できるため、お客様への給水には大きな影響はないと考えられます。
 ご提案の浄水場への隔壁設置などによる水防対策につきましては、河川管理者として、国が果たすべき役割や、水道施設全体としての給水確保レベルなどを踏まえながら、今後検討してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

○下水道局長(松田二郎君) 下水道の排水ポンプなどの水防対策についてでございますが、中央防災会議の大規模水害対策に関する専門調査会報告では、二百年に一回の確率による降雨で、利根川及び荒川の堤防が決壊した場合の洪水はんらんによる浸水を想定しております。これによれば、都の複数のポンプ所や水再生センターが浸水し、機能に支障が生じると想定をされております。
 下水道局ではこれまで、河川の堤防決壊を想定したものではございませんが、水はけの悪い低地などにおける浸水に対してポンプ施設などの整備を進めるとともに、東海豪雨を想定した浸水予想区域図に基づき、想定される浸水に対して止水板や防水扉を設置するなど施設の耐水化を図り、排水機能を確保して、地域の浸水被害の大幅な軽減を実現してまいりました。
 大規模水害による被害を軽減するためにも、下水道の果たす役割は重要であると認識をしており、利根川、荒川の管理者である国の対策、関係機関が連携した広域避難対策や、情報共有体制の強化を図る中で、下水道機能の保全、災害時の早期復旧などについて検討してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 七点のご質問につきましてお答えを申し上げます。
 まず、障害者に関する三点につきましてお答えを申し上げます。
 最初に、グループホーム等の整備についてでございますが、待機者の解消や新たな利用者ニーズに対応するため、平成十七年度末二千六百四十五人の定員を、平成二十三年度末までに二倍以上の五千五百十四人にすることといたしております。そのため、都は、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランに基づきまして、整備費の事業者負担を軽減する特別助成を実施して整備を促進しております。
 本年四月一日現在の定員数は四千五百六十四人となっておりまして、残り二年間で約千人の定員増が必要でございますが、昨年度実績でも約五百人の増加となっており、目標を達成できるものと考えております。引き続き、計画数の達成に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、入所施設の定員についてでございますが、国は、入所施設については、真に必要なものに限定をするとした上で、障害福祉計画策定に当たっての基本指針では、平成十七年十月一日現在の入所定員を、平成二十三年度末までに七%以上削減することにいたしております。
 これに対しまして、都は、重度障害者等の入所ニーズにこたえていくため、東京都障害福祉計画において、同年十月一日の定員を引き続き維持することといたしております。都は、この計画のもとで、入所施設からグループホームなどへの地域移行を積極的に進めつつ、真に入所が必要な方の受け入れを促進しているところでございます。
 また、既存施設については、居住環境の改善等とあわせて定員を見直す一方、都内未設置地域での新たな施設整備を進めております。
 なお、昭和四十三年から平成九年にかけて整備されてまいりました、いわゆる都外施設につきましては、入所支援を必要とする都民に安定した生活の場を提供しており、都は引き続き支援してまいります。
 次に、待機者の解消に向けた対策についてでございますが、障害者ができる限り地域での生活を続けていくためには、グループホームなどの居住の場とともに、通所施設や在宅生活を支えるショートステイなどの各種のサービスが必要でございます。これらにつきましては、区市町村が主体となってその確保に取り組んでおり、都は、先ほど申し上げた三か年プランに基づく特別助成などにより支援をいたしております。
 今後、区市町村ごとのサービス基盤の状況等を把握、分析いたしまして、区市町村と連携して基盤整備を進めながら、障害者や家族が地域で安心して暮らしていけるよう積極的に施策を推進してまいります。
 次に、うつ病に関する三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、意識啓発等についてでございますが、うつ病を早期に発見するためには、都民に正しい知識を普及することが重要でございます。このため、精神保健福祉センターや保健所におきまして、うつ病になったときにあらわれる身体や心の症状、相談機関などを掲載をしたリーフレットを作成いたしまして、区市町村等を通じて都民に配布するなど、啓発を行っているところでございます。
 今後も都民に対するうつ病をテーマとした講演会の実施や精神保健福祉センターが発行する「こころの健康だより」を初めとした広報紙におけるうつ病に関する特集記事の掲載など、効果的な普及啓発に取り組んでまいります。
 次に、情報提供体制の整備についてでございますが、うつ病を早期に発見し、早期に対応するためには、かかりつけ医と精神科医を初め、相談支援機関などを含めた地域の関係機関の連携が重要でございます。
 都では、かかりつけ医等がうつ病の診療に関する専門的な知見等を得られるよう、うつ診療充実強化研修事業を実施しており、昨年度までに六地区で実施し、今年度は新たに十地区で取り組む予定でございます。
 また今年度から、区部及び多摩のそれぞれ一カ所の二次保健医療圏におきまして、地域の精神科医療機関の対応可能な疾患や診療時間等について、かかりつけ医等の関係機関が、情報の共有を図ることなどを目的といたしました東京都地域精神科医療ネットワークモデル事業を実施いたします。これらの事業を通じまして、かかりつけ医と精神科医との連携を促進してまいります。
 次に、総合的な対策についてでございますが、都では現在、東京都地方精神保健福祉審議会におきまして、うつ病への対応も含め、地域における精神科医療提供体制の整備について審議をしております。
 お話のとおり、うつ病は幅広い分野にまたがってさまざまな影響を及ぼしますことから、本審議会の運営に当たっては、労働分野や教育分野などの関連部局の参画も得て、局横断的な連携を図ってまいります。
 最後に、若年性認知症の相談窓口についてでございますが、若年性認知症を発症すると、失業により収入を失うなど生活全般を支援する必要が生じることから、医療や介護だけでなく、就労支援や障害福祉サービスなど、多分野にわたる制度を活用した総合的な対応が求められます。このため、都は、本人、家族の相談をワンストップで受け、情報の提供、関係機関との連携、各種手続の支援等を行うモデル事業を実施いたしております。
 今後、こうした取り組みにより蓄積したノウハウを、区市町村や地域包括支援センターに提供するなど、身近な地域においてワンストップで対応できるよう、相談窓口の機能強化を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) スポーツ振興の取り組みについてでございますが、年齢や障害の有無にかかわらず、だれもがスポーツに親しめる社会をつくり上げていくことは、都民の健康で豊かな生活を実現する上で重要でございます。
 このため、平成二十年に策定いたしました東京都スポーツ振興基本計画に基づきまして、地域スポーツクラブの設立、育成を支援するとともに、TOKYOウオークを初め、さまざまなスポーツイベントを実施するなど、身近にスポーツを楽しめる環境づくりを進めております。
 また、東京育ちのアスリートが世界で活躍できるよう、ジュニアアスリートの発掘、育成に取り組むとともに、国際大会の開催を支援いたしまして、都民に世界の一流選手のわざとスポーツの感動を伝えていくように努めております。
 さらに、スポーツ施設につきましても、バリアフリー化を取り入れ、東京国体に向けた整備や計画的な改修改築を進めてまいります。
 今後、スポーツ振興局のもとで、スポーツ関連施策を一元的に展開することにより、これらの取り組みを一層推進し、子どもから高齢者、そして障害者まで、スポーツのすそ野を広げ、スポーツ都市東京の実現を目指してまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 五十七番古館和憲君。
   〔五十七番古館和憲君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○五十七番(古館和憲君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 石原知事は、所信表明で、増税を含めていかなる負担や責任の増大をも拒む風潮があるなどといい、事あるごとに消費税増税を主張しています。これは、国や自治体の責任を棚上げし、都民に我慢を押しつけようという驚くべき主張であります。
 経済悪化のもとでも、大企業は利益を確保し、空前の内部留保を積み上げている一方、国民、都民の賃金、所得は低下しています。非正規雇用や失業者、生活保護世帯はふえ続けているのです。商店街は消費の冷え込みにあえいでいる、知事はこのように深刻な都民生活の現状を、どう認識しているんですか。
 都民にさらなる負担や痛みに耐えろというのは大きな間違いです。都民の暮らし、福祉の充実や負担の軽減を、都政の最優先の課題とすべきではありませんか。知事の答弁を求めます。
 国民健康保険をめぐる現状は、とりわけ深刻であります。国民健康保険の主な加入者は、年金生活の無職高齢者、不景気の直撃を受けている自営業者、そして零細企業や非正規の労働者です。加入者の所得は減り続けているのに、保険料は毎年のように上がり、二十三区では均等割保険料は、五年間で一人当たり七千八百円も上がっています。ことしの保険料はさらに大幅値上げとなります。保険料を払いたくても払えない人がふえ、東京都の収納率は全国最低です。
 こうした中で、板橋区に住んでいた二十九歳の男性は、勤めていた会社の経営不振で月二十一万円ほどあった給料が毎月減らされ、国保料も年金保険料も払えなくなりました。そこへ督促状や催告書が送られてきて、とうとう保険証の交付ができなくなるという通知があり、資格証が届いた一カ月後にみずから命を絶ちました。電気も切られた部屋には、国保料の督促状、催告書の束が残されていました。破り捨てられた督促状もありました。最後の給料は、一月わずか二万五千円でした。
 都内の医療関係団体が、経済的理由で手おくれになり死亡した事例調査を行いましたが、正規の保険証を持たない三十七件のうち二十七件、七三%が資格証も短期証も持たない無保険でした。
 知事は、国民健康保険をめぐるこうした深刻な現状をどのように受けとめますか。国保料を払いたくても払えない人や、短期証、資格証の人がどういう生活実態にあるのか、また無保険の人が都内に何人いて、どういう状況に置かれているのか、都として調査する必要があると考えますが、どうですか。少なくとも無保険者はなくす、これは直ちに実現すべき課題ではありませんか。見解を伺います。
 医療費の五〇%は保険料で負担するという国保加入者の実態に合わない仕組みから抜け出し、高過ぎる保険料を下げるため、国と都の公費負担をふやすことが必要です。お答えください。
 医療費の窓口負担、これも深刻な問題です。
 白血病などがんの治療費は、患者にとって大きな負担です。抗がん剤治療をしているある女性は、病気で仕事も休みがちになり、収入も減る中で、高額療養費制度を使っても、年間五十万円の治療費を捻出するには貯金を切り崩すしかない、このように訴えています。医療費の負担に耐え切れない患者や家族の悲鳴が広がっているんです。金の切れ目が命の切れ目という状況は一刻も放置できません。高額療養費の上限額を緊急に引き下げる必要があると思いますが、都の認識と対応を伺います。
 国全体でがん治療を無料化するのは、五千億円あればできると試算されています。東京では約五百億円で実現できる計算です。日の出町では、七十五歳以上の医療費無料化に続き、がん治療の無料化に踏み出しました。都として、がん治療費の無料化、少なくとも、何らかの負担軽減の検討を提案するものですが、いかがですか。
 中小企業も、かつてない深刻な状況に置かれています。都内の製造業者は、この十年間に六万九千社から四万社に激減しました。そして今、それこそ崩壊の危機ともいうべき状況に立ち至っています。
 我が党が今、製造業者の調査を行っています。大田区などで既に三千三百社に及ぶ調査を行い、月に四、五日しか仕事がない、三時で仕事をやめてバイトに行き、そのお金で家賃を出している、単価は相手のいいなりと、どこでも悲痛な訴えがありました。
 私は、板橋区内のある業者から、親子二人で経営しているが、収益が従来の半分、家賃や息子の給料で売り上げが消えてしまうと訴えられました。知事、製造業のこうした状況をどう認識しているのですか。
 所信表明で、小零細企業は日本の可能性そのものといいました。であるならば、今こそ、中小零細の製造業者を守り、振興するための施策を抜本的に強化するべきだと考えますが、お答えください。
 何よりも都自身が実態をつかみ、多様な要求に即した対策を立てることが求められています。墨田区では、一斉訪問とともに、日常的に企業訪問を行い、その実態をリアルに把握し、具体策に生かしています。都として区市町村任せにするのではなく、集積地域を中心に、地元自治体と協力して悉皆調査を行い、施策に生かすべきですが、どうですか。
 技術を伸ばして新たな成長軌道に乗せることが重要です。しかし、今、まち工場の経営努力は限界を超えています。差し迫っているのは、経営を持ちこたえる、こういうことであります。緊急の要望となっている家賃補助など、直接補助をどうしても実施する必要があります。また、国が、機械のリース代金の支払い、この猶予の通知を出しましたが、これが効果あるものとして実行されるように、リース業界などに要請するよう求めますが、どうですか。
 スポーツ振興のあり方が問われています。知事は、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会を、国際スポーツ東京委員会に改組して、二〇二〇年オリンピック招致を見据えた活動を展開することや、スポーツ振興局の設置などを打ち出しました。
 しかし私は、今、知事が何よりもやるべきことは、これまで知事が進めてきたオリンピック招致を最重点とした東京都のスポーツ振興のあり方を見直すことだ、このように考えます。
 確かに、オリンピックは国民、都民を感動させ、スポーツへの関心を高めるものです。ところが、知事がオリンピック招致の名でやってきたことは、国と国との戦いだ、勝つためには何をやっても許されるといわんばかりに、金に飽かした招致活動やビッグイベントの開催であり、オリンピックをてこに八兆円ものインフラ整備を強行することでした。だからこそ、知事のオリンピック招致は都民の批判を受け、失敗に終わったのです。今、求められていることは、オリンピック招致に再挑戦することではなく、こうした偏ったスポーツ政策を転換することではありませんか。知事、お答えください。
 そして、都民生活の困難がこれほど深刻な今だからこそ、オリンピック以外に使えない基金四千億円を温存するのではなく、速やかに基金の目的を変え、都民の暮らしや福祉のために適切に使うことが求められていると考えますが、どうですか。
 知事の偏ったスポーツ政策の陰で、スポーツ人口のすそ野を広げること、その中でも、都民が気軽に使えるスポーツ施設の整備がないがしろにされてきました。東京の人口当たりの体育施設の数は、多目的運動広場も体育館も全国最下位、プールが四十六位と全国最低水準です。スポーツ愛好者は、場所の確保に苦労しているんです。
 昨年実施されたスポーツ・運動に関する世論調査では、公共スポーツ施設に望むこととして、身近で利用できるように施設をふやすなど、都民のためのスポーツ振興策が強い要望となっているんです。都立スポーツ施設の増設や、区市町村のスポーツ施設整備に対する都有地の貸し付けを推進することはもちろん、施設整備補助の対象を国体のための競技施設以外にも広げ、スポーツ施設の計画的な整備目標を早急につくるべきです。いかがですか。
 知事が毎年一律一○%削減というシーリングを、都民のためのスポーツ施策にかけていたことも、スポーツのすそ野を広げることを妨げてきました。例えば、子どもから高齢者までを対象としたニュースポーツやレクリエーションの大会は、一九九九年度の三千三百万円から、今年度は八百七十九万円へと大幅に減らされたままです。都民の自主的なスポーツ大会のわずか数十万円という補助金も打ち切られました。東京マラソンへの補助が一億円、東京大マラソン祭りに一億四百万円もつぎ込む、こんなこと大違いではありませんか。
 また、都立高校の部活動費も十四億円から五億三千万円へと大幅に減っているのです。知事は、スポーツを行うことは人権の一つである、各個人はスポーツを行う機会を与えられなければならないとするオリンピックの根本原則をどのように認識しているのですか。これでは、ないがしろにしてきたといわざるを得ないではありませんか。知事、どうですか。
 私は知事に、多くの都民が願う都立スポーツ施設の利用料金の値下げを含め、いつでも、どこでも、だれもが気軽に自分のやりたいスポーツを享受できる条件整備にこそ力を尽くすことを約束していただきたい。お答えください。
 今、知事に求められているのは、スポーツ振興の基本をゆがめてきたことへの反省と、都民本位のスポーツ振興策への抜本的転換です。それなしにスポーツ振興局をつくるというのでは、仏をつくって魂入れず、都民の合意は得られないことを申し述べておくものです。
 本定例会に、唐突に、東京マラソンの法人化の補正予算が提案されました。最大の問題は財源です。補正予算の財源は、東京都道路整備保全公社からの寄附金十億円です。この寄附金は、都の包括外部監査で、道路整備保全公社の積立金は、道路及び駐車対策に関連する公益事業に適切に使用するよう意見が付されたことを受け、新宿駅西口広場の改修などに使ってほしいという具体的提案とともに寄附の申し出があったものです。目的を限定した指定寄附であり、補正予算では、交通安全施設整備費に充当されました。
 しかし、それと引きかえに、交通安全施設整備費の一般財源十億円を削って、八億円を東京マラソン法人化の財源に充てているのです。結果として、交通安全施設整備費は一円もふえず、公社が求めた西口広場改修などの予算は計上されておりません。これでは寄附金の目的外使用になります。また、包括外部監査の意見も踏みにじることになりますが、どうですか。
 しかも、公社が理事会で都への寄附を決定したのは五月二十八日なのに、都が補正予算を議会に説明したのは五月十八日、正式に提案したのも二十五日です。おかしいじゃありませんか。なぜ公社の決定、議決前に補正予算案に公社の寄附金を計上したのですか。そんなに急いで、なぜ、あえて今回の補正予算の財源として使わなければならなかったんですか。答弁を求めます。
 築地市場の豊洲移転問題も、引き続き都政の焦点です。我が党が、昨日、記者会見で明らかにしたように、豊洲新市場予定地の適用実験なるものは、見過ごすことができない重大な問題、欠陥があります。
 第一に、基本的な情報を一切隠して実験を進めているということです。
 まず、中間報告です。
 都は三月の中間報告で、実験前の初期値を公表せずに、無害化できることが実証されたと宣言しました。我が党の追及に対して、初期値については、専門家と相談しなければ都民に説明できないからだ、説明を受けたらホームページへも出すと答えています。
 ところが、いまだに公表されていません。しかも我が党が入手した新たな開示文書によれば、中間報告を出す前に、五回、二十三時間に及び専門家と相談していたんです。その内容は、全面黒塗りでありました。なぜ隠すのですか。やましいことがなかったら出せばいいではありませんか。答弁を求めます。
 しかも、その後は専門家と電話でやりとりしているというだけで、その中身はやみの中です。専門家と相談しても、都民が納得する理由を示せないからではありませんか。
 都合の悪いデータは隠し、一部の都合のよいデータのみを示して、土壌汚染対策の有効性が確認されたとした中間報告は、豊洲新市場予定地の用地取得を通すために、都民と都議会を欺くものだったといわざるを得ません。直ちに撤回すべきですが、答弁を求めます。
 さらに、我が党が入手した中間報告その二は、初期値のみならず、すべてのデータを黒塗りにした異常なものです。一体実験をやったか、やらなかったかさえ隠しているのです。もはやすべての基本的な情報を隠ぺいしているといわざるを得ないんです。
 実験の途中経過を示すと、無害化が実証できたとする予定の最終報告と整合性がとれなくなるからではありませんか。違うというなら、直ちにすべての情報を公開すべきじゃありませんか。答えていただきたい。
 第二に、実験そのものが欠陥だらけであることです。
 適用実験の欠陥の一つは、洗浄処理の対象物質について、仕様書では七種類であるにもかかわらず三種類に絞ってしまったことです。都はその理由として、砒素が環境基準以下になれば、他の四物質も基準以下になるからだと説明をしています。しかし、その論拠だとした文献は、いずれも科学的根拠を示すものではありませんでした。逆にそれらの文献は、汚染除去の困難さを述べたものばかりでありました。対象物質を七種類から三種類に絞ったことが、いかに間違っていたかは明白です。どうですか、お答えください。
 知事、今進めている実験を直ちに中止すべきです。見解を求めます。
 そして、実験をやるというなら、今度こそ、まともなものに改めなければなりません。データをリアルタイムで明らかにすることはもちろん、実験現場への環境学会など専門家の立ち入りを認めることや、公開の説明会を開催するなど開かれた実験を行うことは最低限必要です。答弁を求めます。
 さらにいえば、今都が力を注ぐべきは、都民と関係者の願いを実現するために、現在地再整備計画案を都の責任で、必要な対価も支払って公募することを早急に進めることであることを強く申し述べておくものであります。
 最後に、青少年健全育成条例の改定についてです。
 子どもの人権を踏みにじる児童ポルノの被害者を一人も出さない社会をつくるべきことは当然です。重要なことは、都の青少年行政を、青少年の心身の健やかな成長を支援する原点に立ち返らせることです。
 我が党は、この立場から、本条例改定案に対しては廃案を主張してきました。改定案に反対する声は、第一回定例会後も、日本漫画家協会、脚本家連盟、劇作家協会、さらに東京の二つの弁護士会や日本弁護士連合会にまで広がっています。
 知事は、記者会見で、みずから提案した改定案を、精読していない、詳細に考えていないと発言しました。そもそも条例案は、知事の責任で出すことが地方自治法で定められているにもかかわらず、知事が精読せず詳細に考えないで提出したのでは、知事の資格がないといわざるを得ません。どうですか。
 その上、許せないことは、改定案について、役人が文章をつくると、こういうばかなものになっちゃうと、職員を侮辱し、責任をなすりつける態度をとったことです。知事は自分の責任をどう考えているのですか。このような無責任な発言は撤回し、職員に謝罪すべきです。
 改定案が、自由であるべき創作、表現活動を萎縮させかねないという都民の懸念には根拠があります。非実在青少年を、みだりに性的対象として肯定的に描写という規制の基準は恣意的に運用されかねないものであります。
 知事は、子どもの目にするところには置かないだけの話だから、表現の自由を侵すことにはならないと強調しています。しかし、知事も会員である日本ペンクラブは、声明で、まさにこの点について、青少年条例による規制は、直接的には、青少年への販売や閲覧を制限するものとされるが、それが表現全体に影響を及ぼすことは明らかであると指摘をしているのです。知事は、日本ペンクラブの声明を読んだのですか。どう受けとめますか。
 改定案では、青少年によるインターネット利用に関して、都知事が、保護者に指導または助言を行い、資料の提出や説明を求め調査する権限を定めています。これに対し、日本弁護士連合会は、家庭教育への公権力の新たな介入の危険があると批判しています。知事は、この批判を真摯に受けとめるべきです。知事、どうですか。
 創作や出版にかかわる多くの当事者だけでなく、法曹界からも、改定案の根幹について重大な問題が指摘されているのです。こうした指摘を無視して、字句修正でお茶を濁して成立を図ろうとすることは絶対に許されません。撤回すべきです。
 知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 古館和憲議員の代表質問にお答えいたします。
 まず都民生活に対する現状認識についてでありますが、今の質問を聞いておりますと、都が、都民生活の現状を無視しているといいたげでありますが、今回の経済危機への対処一つをとっても、就労支援、中小企業への支援など、国に先駆け対策を確実に行ってきております。ご指摘はまことに的外れも甚だしいと思います。
 いかにも共産党らしい物いいとはいえ、将来の展望も示しもせず、都民、国民の不安をいたずらにあおり立てるだけでは、これは決して責任のある政党とはいえないような気がいたします。
 今必要なのは、都民、国民の生活を守りつつ、少子高齢化や人口減少という構造変革を乗り越え、日本のさらなる発展を目指すことであります。
 これまでの社会システムを点検し、税制度も含めて、時代に合ったものに再構築することが不可欠だと思います。ただ痛みを避けているだけでは、いずれさらに大きな痛みを余儀なくされます。
 既に国の借金も天文学的な額となっておりまして、このままでは、都民、国民の生活は到底守れず日本がもたないことも自明の理であります。現実から目を背け、増税イコール悪、負担減イコール善という図式しか書けない共産党は、無責任のきわみとしかいいようがないような気がいたします。
 都民の暮らし、福祉の充実についてでありますが、我が国は、少子高齢化が急速に進み、国家の構造が根本から揺らぐ人口減少社会に突入するなど、歴史的な岐路に立っております。こうした中、都民の日々の暮らしを揺るぎなく支えるさまざまな仕組みを整え、少子高齢時代にふさわしい都市を実現することは、都政の重要課題の一つであります。
 このため、都は、これまで力を注いできた福祉、保健、医療サービスの充実はもとより、あらゆる分野の施策を総動員し、本年四月に開始した少子化打破緊急対策事業により、次代を担う子どもたちが健やかに育つ環境をつくり出し、同時に、高齢者のための住まいの確保や、施設の整備も着実に進めております。また、生活向上への意欲があるにもかかわらず、低所得の状態からなかなか抜け出せない方々に対しても、生活安定化総合対策など、都独自の支援を行っております。
 このように、都としてやるべき施策を講じた上で、日本の将来を考えるとき、根本的な問題として、社会保障制度における負担と給付のバランスの議論を避けて通ることはできないと再三申し上げております。
 製造業の小零細企業への支援についてでありますが、東京には、高度で多様な技術を有する小零細企業が数多く集積しております。東京のみならず日本の経済を実質的に牽引していく原動力となっております。
 しかし、一昨年の秋のリーマンショックの影響を受け、小零細企業は、苦しい資金繰りや、受注の減少など、厳しい状況に置かれ、東京の活力が失われかねない危機に陥っております。このため、都は、制度融資の拡充などにより、小零細企業の資金繰りに万全を期するとともに、新たな取引先の開拓も強力に支援してまいりました。
 現在、景気は、新興国の需要回復を受けて持ち直しつつあるものの、引き続き警戒していく必要があります。こうした中、企業現場の実情に即した施策を展開することで、製造業を初めとする東京の産業力を維持強化していきたいと思っております。
 次いで、スポーツ振興のあり方についてでありますが、都は、都民のだれもがいつでもスポーツを楽しむことのできるスポーツ・フォア・オールを基本理念に、スポーツ振興に取り組んできました。また、今回のオリンピック・パラリンピック招致活動を通じて、都民、国民のスポーツへの関心はかつてなく高まり、スポーツ界とこれまでにない関係を築くなどさまざまな苗を植えることができました。
 今求められているのは、オリンピック・パラリンピック招致のレガシーを生かし、こうした苗を大きく育てていくことでありまして、これまで都が進めてきたスポーツ政策を転換する考えは全くありません。
 次いで、オリンピックの原則に対する認識でありますが、ただいま答弁したとおり、都はスポーツ・フォア・オールを基本理念として、都民がスポーツに親しむ機会を拡大し、スポーツ実践層のすそ野を広げるさまざまな取り組みを進めております。この理念は、オリンピック憲章にも定められているものでありまして、オリンピックの原則をないがしろにしているとの指摘は全く当たりません。
 次いで、豊洲新市場予定地で行われている土壌汚染対策の実験の中止についてでありますが、豊洲の土壌汚染対策については、各分野の最高権威の学者の方々で構成される技術会議で信頼性の高い対策を取りまとめていただきました。この対策は、幾つもの成功事例がありますが、豊洲でもやってみようということで今実験しているわけであります。今月末に、実験結果が出そろうので技術会議で検証していただきます。実験の中止などは全くあり得ません。
 次いで、青少年健全育成条例改正案についてでありますが、ご指摘もありましたけれども、この件について、私が精読していないといったのは、この件について担当の部長から報告を得た直後でありまして、要するに、その説明の限りでの認識でありましたが、その後、私自身もちゃんと精読いたしました。この条例の趣旨は全く間違っていないと思います。多くの都民が、市民がこれを必ず支持するものと思います。特に子どもを持った家庭の親たちは全く同感だと思います。
 条例改正案の趣旨は、青少年のインターネット利用環境の整備と、児童ポルノを初めとする青少年をみだりに性の対象として扱う図書類等についての規定の整備であります。
 これらは、インターネットや携帯電話に起因して多くの子どもたちが被害やトラブルに遭っている現状や、児童ポルノのはんらん、子どもに対する強姦や近親相姦などを描いた悪質な漫画が、子どもでも手にとることのできる書棚に置かれている状況など、子どもを取り巻く危機的な状況を改善し、東京の子どもを守り、健全に育てるためには不可欠の取り組みであります。
 私は、ペンクラブには愛想を尽かしてやめたと思いますが、いずれにしろ、ペンクラブの諸君も、要するにこの条例というものを精読してもらいたいと思います。
 そのため、ぜひとも条例改正が必要と判断し責任を持って提案したものであります。
 なお、条例改正案の文言については、条例の趣旨、目的が正しいものであっても、その文言が一般都民から見てわかりにくいものとなったのであれば、決して望ましいことではありませんということで趣旨を申し上げました。
 次いで、条例改正案の撤回についてでありますが、ただいま答弁しましたように、条例改正案で実施しようとする内容は、東京の子どもたちを守り、健全に育てるため必要不可欠なものであります。
 昨日、東京都議会議長あてに、東京の子どもたちが直面している危機的状況を憂い、この条例改正案の早期成立を求める親たちによる四万五千人に近い署名が提出され、また、東京都小学校PTA協議会からも要望書が提出されたと聞いておりますが、議員の方々にはこうした声に真摯に耳を傾けていただきたいと思います。
 都議会は、都民の代表として、都政について大きな責任を担う機関でありまして、都議会においても、建設的な議論と判断が下されることを強く期待しています。都議会の皆さんの言語能力に期待して、よき改正が行えることを期待しております。
 なお、その他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、国民健康保険制度についてでございますが、国民健康保険などの社会保障制度は、国民生活の基盤を支えるものであり、国が責任を持って安定的な制度とすべきものと考えております。
 現在、国において、後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度を検討する中で、いわゆる区市町村国保のあり方についても議論されており、都としては、国の動向を慎重に見守ってまいります。
 次に、国民健康保険料の滞納者等についてでございますが、短期被保険者証や資格証明書を発行している世帯に対しましては、保険者である区市町村が納付相談等の機会を通じて生活状況を把握し、分割納付を案内するなど、きめ細かな対応をしており、都として改めて調査を行う考えはございません。
 また、区市町村国保の被保険者は、他の医療保険に加入していないすべての方が対象でございますけれども、いわゆる無保険者は、国保加入の手続をしていない方でございまして、行政がこうした方を把握することは事実上困難でございます。
 次に、無保険者についてでございますが、区市町村では、被用者保険を脱退した方などに対しまして、ホームページや広報紙等を活用し、速やかに国保に加入するよう情報提供や勧奨に努めております。
 次に、国民健康保険制度における公費負担についてでございますが、先ほども申し上げたとおり、現在国におきまして、後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度を検討する中で、区市町村国保のあり方についても議論されており、都としては今後の国の動向を慎重に見守ってまいります。
 次に、高額療養費制度についてでございますが、高額療養費の自己負担限度額の設定は、保険給付費総額に影響を及ぼすものでございまして、負担と給付のバランスの議論も含め、国が責任を持って対応すべきものと考えております。
 最後に、がん治療についてでありますけれども、都は、がん対策に総合的に取り組んでおり、治療費も含めた療養上の相談について、がん診療連携拠点病院等の相談支援センターにおきましてきめ細かく対応をしております。がん治療の無料化などの経済支援につきましては、社会保障制度全体の中で国の責任で対応すべきものと考えております。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
 製造業振興に向けた施策の抜本的な強化についてでありますが、都は、一昨年秋より当初予算や数次にわたる補正予算において、厳しい経済情勢に対応した中小企業の資金繰りや販路開拓の支援などの緊急対策を打ち出し、切れ目のない支援を着実に実施しております。
 今後とも、経済の動向を踏まえながら、こうした施策を実施し、中小企業の支援を継続してまいります。
 次に、製造業に対する調査についてでありますが、都は昨年度、製造業を対象に、中小企業の経営実態や経営環境の変化等について企業訪問によるヒアリングを実施するなど、きめ細かな現状調査を行っております。
 また、製造業を初めとする四業種を対象に、毎月業況の動向等についてアンケートによる景況調査を実施しております。さらに、中小企業の実態等について区市町村と意見交換を行っております。
 都はこれまでも、こうした調査などを通じて、中小企業の実態を十分把握した上で、その内容を的確に反映した施策を実施しております。
 まち工場の家賃助成とリース業界の要請についてでありますが、都は既に経営困難な中小企業に対し、事業承継・再生支援事業で相談や経営支援を行うとともに、資金面でも制度融資により対応しております。したがって、お話のような家賃補助などについて実施する考えはございません。
 また、中小企業に対するリース代金の支払い猶予についてでありますが、既に社団法人リース事業協会が、会員各社に周知徹底を図るとともに、中小企業の経営の安定化に向け一層の努力を表明しておりまして、国の要請を踏まえた適切な取り組みが行われるものと認識しております。このため、今後、都として要請を行う考えはございません。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 三点についてお答えを申し上げます。
 まず、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金についてでございますが、この基金の取り扱いにつきましては、オリンピック・パラリンピック再挑戦についての今後の論議などを見定めつつ適切に対応してまいります。
 なお、これまでも都は、福祉や医療、教育はもとより、雇用環境や中小企業に対する施策、都市機能の充実など、都民にとって必要な施策に対して的確に財源を振り向けて、都民の期待に十分にこたえてきていると存じております。
 次に、補正予算に関しまして、財団法人東京都道路整備保全公社からの寄附金の使途についてでありますが、この寄附は、都の道路事業に充てるという指定寄附であります。今回の補正予算では、都として、この趣旨を踏まえ、既定予算に計上されている事業のうち、今後整備を進める歩道などの財源に充当したもので、目的外使用に当たるものではありません。ましてや、包括外部監査の意見に反するものではなく、ご指摘は全く当たらないものであります。
 最後に、補正予算における寄附金の計上についてでありますが、歳入予算は、あくまでも収入の見積もりでありまして、今回のケースにおきましては、都として収入見込みの確度が高いと判断したことから、補正予算に計上したものであります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 二点の質問にお答えいたします。
 スポーツ施設の計画的整備についてでございますが、都は、平成二十年七月に策定した、東京都スポーツ振興基本計画に基づきまして、駒沢オリンピック公園総合運動場を初めとする老朽化した施設の計画的な改築、改修を進めております。
 また、東京国体の開催に向けて競技会場の整備を行う区市町村への支援を行いますとともに、未利用地の貸し付けやあっせんも取り組んでおります。
 今後とも、この計画に基づきまして、施設の整備を着実に進めてまいります。
 次に、だれもがスポーツを享受できる条件整備についてでございますが、都はこれまで、都立スポーツ施設の整備を進めるとともに、受益者負担の適正化に基づく料金設定を行い、施設の円滑な運営に努めてまいりました。
 また、TOKYOウオーク等の身近で気軽に参加できるスポーツイベントの実施や、日常的なスポーツ活動を支える地域スポーツクラブの設立、育成支援など、都民がスポーツに参加する機会の提供に取り組んでおります。
 今後とも、だれもが生涯を通じてスポーツに親しめるこうした取り組みを継続してまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、専門家との相談内容の公表についてです。
 豊洲地区での実験結果につきましては、技術会議で、科学的知見に基づき、客観的に評価、検証していくこととしております。技術会議の委員からは、初期値や実験途中の値などのデータにつきましては一括して取り扱い、実験の内容や与条件とあわせて実験全体を確認、検証すべきと助言を受けてございます。
 また、技術会議の委員に加え、土壌汚染対策に精通した専門家から初期値の問題だけでなく、実験に当たってのさまざまな留意点、実験の進捗に応じた与条件の修正に関する提案もいただいてございます。こうした専門家からの提案などは、実験結果と密接に関連するものであることから、データと同様に、一括して取り扱うものとの意見を技術会議の委員からいただいております。
 都としては、このような技術会議の委員の意見を踏まえ、実験で得られたデータや専門家の提案などにつきましては、技術会議における評価、検証の際にすべて公表していくこととしており、実験が終了する前に公表することはふさわしくないと考えております。
 次に、専門家との相談についてであります。
 都は、技術会議の委員や土壌汚染に精通した専門家に、初期値そのものが実験を行う上でどのような意味合いを持っているかなどについて意見を伺っております。また、実験の進捗に応じまして、掘削微生物処理における昇温材の使用や地下水浄化処理での揚水、注水サイクルなど、実験の諸条件について、また微生物処理に関する室内実験の実施についても提案をいただいております。
 こうした提案の詳細な内容などにつきましても、先ほどご答弁申し上げましたとおり、一括して取り扱い、技術会議での評価、検証に際し、すべて公表してまいります。
 次に、実験の中間報告についてでございます。
 新市場予定地で行っている実験のうち、ベンゼン、シアン化合物、重金属を含む複合汚染を対象とした洗浄処理及び油膜が見られる汚染土壌を対象とした中温加熱処理につきましては、汚染物質濃度が環境基準以下になったことを示す客観的データが得られたことから、これら技術の有効性を確認したことを報告したものでありまして、撤回する考え方はございません。
 次に、実験に関する情報の公開についてであります。
 三月九日の中間報告に引き続きまして、三月末に委託業者から中間報告その二を受けてございます。この報告の内容は、既に公表してございます洗浄処理や中温加熱処理の結果に加えまして、中温加熱処理の後、洗浄処理を行うものの結果や掘削微生物処理、原位置微生物処理、地下水浄化処理のデータでございます。これら実験途中のデータや処理結果など、実験で得られたすべてのデータにつきましては、技術会議で科学的知見に基づき、客観的に評価、検証していただく際に公表してまいります。
 次に、実験の対象物質についてでございます。
 専門家会議では、都市ガスの製造過程で生じる有害物質の発生状況、ガス製造工場の施設配置などを詳細に検討した結果、土壌汚染対策の対象物質を環境確保条例で定める二十六物質のうち、操業に由来するベンゼン、シアン化合物、砒素、鉛、六価クロム、カドミウム、水銀の七物質といたしました。
 これら七物質は、その物質特性から、揮発性有機化合物でございますベンゼン、シアン化合物及び砒素、鉛などの重金属などの三つのカテゴリーに分類することができますが、ベンゼンにつきましては微生物処理、シアン化合物につきましては洗浄処理が有効な処理方法として広く認められてございます。残る砒素、鉛、六価クロム、カドミウム、水銀の重金属などにつきましては、汚染物質の一般的な処理指針として認められている文献で、洗浄処理が有効であるとされていることに加えまして、技術会議が行った技術、工法等の公募の中で示されておりますデータでも、その有効性を確認してございます。
 これらのことから、重金属などについてはいずれも洗浄処理で除去が可能であり、汚染濃度が一番高い砒素を代表としたものでございます。この結果、対象とする物質は、ベンゼン、シアン化合物、砒素の三種類となってございます。
 最後に、開かれた実験についてであります。
 実験内容やその結果に対する評価、検証につきましては、透明性と客観性を確保し、信頼に値するものであることが必要であると、このように考えてございます。このため、実験内容やその状況につきましては、広く都民や報道機関などを対象に、現地で処理内容を説明し、実験状況を確認していただいております。
 さらに、実験結果につきましては、第三者機関である技術会議で、科学的知見に基づき、客観的に評価、検証していただくこととしております。こうしたことで、実験の信頼性は十分確保されると考えてございます。
   〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 青少年健全育成条例改正案に対します日本ペンクラブの声明についてでありますが、改正案は、これまでの性的感情を刺激する図書類に加えて、明らかに十八歳未満とされるキャラクターに対する悪質な性行為を描いた漫画等についても、青少年に対し販売等をしないことを求めるものであります。
 したがいまして、著作者の表現行為、創作行為や出版、成人への販売が規制されるものではなく、表現の自由を侵害するものではございません。
 そもそも、この青少年の健全な成長を阻害するおそれがある図書類を、青少年に販売等しないようにするための制度は、昭和三十九年の条例制定当時から約五十年にわたり実施をしているものでございます。
 また、このような制度は、長野県を除く全都道府県の条例に規定されているものであり、最高裁判例においても、表現の自由の侵害には当たらないとして合憲とされています。
 日本ペンクラブに対しましては、既にこのような条例改正案の趣旨及び条例改正案に対する個々の指摘についての都の考え方を丁寧に説明した文書を送付しております。
 創作、出版活動に伴って世に出される出版物は、子どもを取り巻く環境をつくり、子どもに影響を与え得るものであることについて十分ご留意いただき、条例の趣旨についてご理解をいただきたいと考えております。
 次に、青少年のインターネット利用に関し、保護者に指導等を行う規定についてでありますが、そもそも、この規定は、インターネットに起因する被害やトラブルから子どもを守るため、保護者に子どものインターネット利用の適切な把握、管理を求めるものであり、いわゆる青少年インターネット環境整備法第六条の保護者の責務規定を踏まえたものであります。
 しかし、それにもかかわらず、子どもがインターネットを通じ、いじめなど実際の被害を生じさせたことが確認された場合には、その再発を防止するための適切な監督が保護者により行われるよう、青少年の健全な育成を図る責務を担う都として、保護者に対して指導助言を行うものであります。
 その際、その指導等の内容を適切なものとするために必要な事項を確認することを目的として、関係者の同意のもと、任意による聞き取りという形での調査を行うものでございます。したがいまして、家庭教育への公権力の介入には当たらないものと考えております。
   〔五十七番古館和憲君登壇〕

○五十七番(古館和憲君) 三点について再質問します。
 まず、青少年健全育成条例改定案について、知事に再質問します。
 知事は、改正案の趣旨、目的は正しいと強弁し、文言がわかりづらいだけだと、撤回を拒否しました。
 しかし、創作、出版関係者や法曹界が反対している理由は、改定案が、表現全体を萎縮させる影響を及ぼすとともに、家庭教育への公権力の介入の危険があるという、改定案の根幹についてであります。それが改まらない限り、幾ら文言を修正しても、また何度出し直しても、納得を得ることはできません。だからこそ、まずは改定案を撤回すべきだといっているのです。その上で、知事自身が関係者と論議をして、関係者も納得できる結論を得ればよいではありませんか。お答えいただきます。
 次に、市場問題で、市場長に再質問いたします。
 市場長は、適用実験のデータや専門家の提案は、最終報告まで公表しないと答弁しました。しかし、これまでは、土壌分析、解析結果を含め中間報告するといっていたではありませんか。市場長は、予算特別委員会で、初期値をホームページに出す、これもいったではありませんか。これらの約束を投げ捨てるのですか。実験結果を継続的にオープンな形で検証するとした付帯決議を守らないのですか。これでは、どんな最終報告が出ても都民は信用しません。市場長、どうですか、お答えください。
 最後に、東京マラソン法人化財源の問題です。
 財務局長は、寄附金の目的外使用に当たらないと答弁しましたが、これはこそくなごまかしです。平たくいえば、新宿西口広場の改修などに使ってほしい、このように寄附されたお金が、マラソンの法人化に化けたことになるのです。
 改めて聞きますが、補正予算で交通安全施設の事業費はふえるのですか。新宿駅西口広場の改修は、今回の寄附金で今年度実施されるのですか。この点、はっきりとお答えください。(拍手)
   〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 条例改正案は、インターネットに起因する子どもの被害やトラブル、児童ポルノのはんらん、子どもへの強姦等を描いた漫画が、子どもも手にとれる書棚に置かれている状況など、子どもを取り巻く危機的な現状を改善し、東京の子どもを守り、健全に育てるために不可欠でございます。
 そのため、ぜひとも条例改正が必要と判断し、都として責任を持って提案したものでございまして、撤回することはございません。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 実験の結果につきましては、技術会議で評価、検証していく、こういうことになってございまして、技術会議の検証に際しましては、初期値を含め実験で得られたデータはすべて一括して取り扱い確認していくと、こういうことを技術会議の委員から提言をいただいてございます。
 こうした提言に基づきまして、都としては、すべてのデータにつきましては技術会議の場にかけ、検証を受けた上で公表していくと、このように考えてございます。
 また、こうしたすべての実験結果につきましては、第三者機関である技術会議で科学的知見に基づき客観的に評価していただくということでございますので、ご指摘のような信頼性といったものについては十分確保できるものと、そのように考えてございます。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 道路整備保全公社からの寄附は、東京都における道路事業を補完する公社の設立趣旨に沿って、広域的な都民還元に資する公益事業として東京都道路事業に充てる指定寄附でございます。
 したがいまして、都としては、公社からの寄附金を、当初予算で計上している歩道や自転車走行空間の確保など、交通安全施設事業等の実施に活用していることといたしておりまして、寄附の趣旨に沿ったものでございます。

○七十四番(松下玲子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時散会

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