平成二十一年東京都議会会議録第十八号

平成二十一年十二月九日(水曜日)
 出席議員 百二十五名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番野田かずさ君
六番鈴木 章浩君
七番福士 敬子君
八番山内れい子君
九番くりした善行君
十番西沢けいた君
十一番中村ひろし君
十二番田中  健君
十三番関口 太一君
十四番小山くにひこ君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤 興一君
二十番きたしろ勝彦君
二十一番田中たけし君
二十二番鈴木 隆道君
二十三番神林  茂君
二十四番早坂 義弘君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番たきぐち学君
三十一番田の上いくこ君
三十二番島田 幸成君
三十三番しのづか元君
三十四番滝沢 景一君
三十五番大島よしえ君
三十六番大松あきら君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番松葉多美子君
四十番高木 けい君
四十一番石森たかゆき君
四十二番高橋 信博君
四十三番中屋 文孝君
四十四番村上 英子君
四十五番矢島 千秋君
四十六番高橋かずみ君
四十七番西崎 光子君
四十八番中谷 祐二君
四十九番笹本ひさし君
五十番山下ようこ君
五十一番神野 吉弘君
五十二番鈴木 勝博君
五十三番興津 秀憲君
五十四番岡田眞理子君
五十五番伊藤 ゆう君
五十六番原田  大君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番中山 信行君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十五番山田 忠昭君
六十六番山崎 一輝君
六十七番菅  東一君
六十八番宇田川聡史君
六十九番林田  武君
七十番三宅 茂樹君
七十一番佐藤 広典君
七十二番尾崎 大介君
七十三番山口  拓君
七十四番松下 玲子君
七十五番伊藤まさき君
七十六番野上ゆきえ君
七十七番西岡真一郎君
七十八番今村 るか君
七十九番吉田康一郎君
八十番斉藤あつし君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番吉原  修君
九十番野島 善司君
九十一番鈴木あきまさ君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番泉谷つよし君
九十六番くまき美奈子君
九十七番大西さとる君
九十八番増子 博樹君
九十九番いのつめまさみ君
百番門脇ふみよし君
百一番小沢 昌也君
百二番花輪ともふみ君
百三番大津 浩子君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番吉野 利明君
百十一番こいそ 明君
百十二番服部ゆくお君
百十三番川井しげお君
百十四番宮崎  章君
百十五番比留間敏夫君
百十七番石毛しげる君
百十八番大塚たかあき君
百十九番和田 宗春君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番中村 明彦君
百二十四番土屋たかゆき君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番田中  良君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
六十四番 山加 朱美君
 欠員
    百十六番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事菅原 秀夫君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
東京都技監建設局長兼務道家 孝行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長河島  均君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長前田 信弘君
港湾局長比留間英人君
会計管理局長新田 洋平君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
消防総監新井 雄治君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長泉本 和秀君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長野口  孝君

十二月九日議事日程第三号
第一 第百四十七号議案
  平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第二 第百四十八号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百四十九号議案
  職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百五十号議案
  職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百五十一号議案
  東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百五十二号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百五十三号議案
  職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百五十四号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百五十五号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百五十六号議案
  東京都高等学校等生徒修学支援基金条例
第十一 第百五十七号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百五十八号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百五十九号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百六十号議案
  東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例
第十五 第百六十一号議案
  東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例
第十六 第百六十二号議案
  東京都地域医療再生基金条例
第十七 第百六十三号議案
  東京都地域自殺対策緊急強化基金条例
第十八 第百六十四号議案
  東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例
第十九 第百六十五号議案
  東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例
第二十 第百六十六号議案
  東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
第二十一 第百六十七号議案
  東京都障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第二十二 第百六十八号議案
  東京都森林整備加速化・林業再生基金条例
第二十三 第百六十九号議案
  東京都公害紛争処理条例の一部を改正する条例
第二十四 第百七十号議案
  東京都地域グリーンニューディール基金条例
第二十五 第百七十一号議案
  土壌汚染対策法関係手数料条例
第二十六 第百七十二号議案
  東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第二十七 第百七十三号議案
  東京都給水条例の一部を改正する条例
第二十八 第百七十四号議案
  東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第百七十五号議案
  東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第百七十六号議案
  都立小金井地区科学技術高等学校(仮称)(二十一)改築工事請負契約
第三十一 第百七十七号議案
  都立江戸川特別支援学校(二十一)校舎改修工事請負契約
第三十二 第百七十八号議案
  東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修電気設備工事請負契約
第三十三 第百七十九号議案
  東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修空調設備工事請負契約
第三十四 第百八十号議案
  東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修給水衛生設備工事請負契約
第三十五 第百八十一号議案
  古川地下調節池工事(その一)請負契約
第三十六 第百八十二号議案
  中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
第三十七 第百八十三号議案
  消防事務の受託について
第三十八 第百八十四号議案
  当せん金付証票の発売について
第三十九 第百八十五号議案
  東京都収入証紙条例を廃止する条例の施行に伴う旅券の申請受理及び交付等に係る事務委託の変更及び規約の一部の変更について
第四十 第百八十六号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第四十一 第百八十七号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターが徴収する料金の上限の認可について
第四十二 第百八十八号議案
  京浜港連携協議会の設置について
第四十三 第百八十九号議案
  東京都奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定について
第四十四 第百九十号議案
  東京都立神代植物公園の指定管理者の指定について
第四十五 第百九十一号議案
  奥多摩町公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十六 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第二号)の報告及び承認について

   午後一時一分開議

○議長(田中良君) これより本日の会議を開きます。

○議長(田中良君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(田中良君) 昨日に引き続き質問を行います。
 九十五番泉谷つよし君。
   〔九十五番泉谷つよし君登壇〕

○九十五番(泉谷つよし君) 民主党の泉谷つよしでございます。
 まず、マンションについて質問します。
 平成に入り、東京都ではマンションに住む人口の割合が年々上昇しています。計画道路の着工により拡幅工事が行われれば、必ずその沿道にはマンションが建設されます。国が公表した住宅着工統計によれば、平成二十年に新規に着工された都内のマンションは五万九百二十四戸で、総戸数は百四十六万戸を超えています。この状況は、これからも続くと思われます。
 しかし、昨年までマンション問題を取り扱う課がなく、マンション問題を取り扱う部署にマンション管理士もいない状態であり、これから生じるマンションの諸問題に対応できるか大変危惧しており、昨年の質問になったわけです。そのかいもあり、ことしの四月よりマンション課が設置されることになり、マンション問題を十五年以上手がけてきた者としては、大変うれしく思っています。
 そこで、都内のマンションの抱える課題についてお伺いします。
 なぜマンションを支援すべきであるかといえば、行政にとってマンションとは、さまざまな対応やサポートできる存在、つまり、それ自体がコミュニティであるマンションは、行政が施策を進めるに当たりパートナーとなる存在であるとともに、都民と深くかかわるまちづくりの有意義な存在、すなわち都市にとって重要な存在と考えられるからであります。何よりも、まちの中においてボリューム感を持つ存在であると同時に、一度建てれば除去が困難になるからであります。また、まちの景観を形成する重要な要素であり、都民の生活を営む舞台であるのがマンションであるからです。
 そして今、そのマンションが大きな過渡期に来ております。多くの諸問題を抱えています。その中で大きな問題となるのが経年劣化であります。
 マンションは、建物の設備、外装など、経年とともに必要に応じた手入れやメンテナンスを行わなければ、居住空間としての機能が損なわれてしまいます。国の長期修繕計画作成ガイドラインは、居住者一人一人にとっては具体的な理解が困難であり、手入れの具体案は、委託した管理会社に任せきりのところが多くなっております。
 東京都では、築年数を経過したマンションが年々増加し、住宅・土地統計調査によれば、平成二十年には築四十年以上のマンションが五万四千戸に増加し、このまま推移すれば、十年後には今の四・五倍の二十四万五千戸に、十五年後には八倍の四十二万八千戸に到達する見込みであり、マンションの高経年化が加速的に進んでいます。また、それに伴い居住者も高年齢化が進行し、国のマンション総合調査によれば、平成二十年度には六十歳以上の割合が三九・四%と着実に増加しています。
 このことから、東京都は早急にマンション建てかえの指針をつくり、マンションの荒廃を阻止しなければなりませんが、条例を制定し、建てかえをある程度義務づけるべきだと思いますが、都の見解を伺います。
 また、本来、築十年程度で行われてしかるべき外装工事や防水工事などの大規模修繕工事について、築二十年以上のマンションで二五・五%が未実施であります。特に注目に値するのは、築三十年以上経過しているマンションでさえも、二五・四%のマンションで実施されていないということです。
 また、約一割のマンションでは長期修繕計画が作成されておらず、長期修繕計画の作成に当たり管理組合総会の承認を得ていないマンションも三五・六%もあります。また、毎月の修繕積立金額が長期修繕計画に基づく予定工事費より少ないマンションが約八割を超えており、今後、修繕積立金の見直しや資金調達の検討が必要となることは避けては通れない状況です。
 この状況をつくり出している大きな要因として、マンションディベロッパーが、マンション購入をしやすくするため、管理費や修繕積立金を不当に安く設定していることが挙げられます。これが今後の大きな問題につながります。
 よって、東京都は、分譲マンションの売買に当たり、取引業者に管理費等の金額について一定の基準を設けるべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 平成二十年度には、新規事業として、マンションの耐震改修に要する費用に対する助成が一億円計上され、目標は二十件で八百戸、上限を五百万円としていましたが、ことしは、一つないし二つぐらいしか使われていないそうです。しかし、昭和五十六年以前の耐震基準のもとで建築されたマンションでは、約七割以上が耐震診断を未実施であります。
 その理由として、耐震改修の費用負担の重さや耐震化への関心の低さが挙げられますが、この助成制度の利用の促進を図るためには、単にお金を出すだけではなく、耐震診断を行った結果、耐震基準を満たさないマンションがどの程度あり、それらの耐震診断を実施したマンションの管理組合がどのような意向を持っているのか把握しておくことも必要だと考えます。
 これは、単にそのマンションの問題にとどまりません。東京都が積極的に関与すべき問題だと考えています。阪神・淡路のような大震災が起きてからでは手おくれになってしまいます。
 今後、どのように耐震診断及び改修の制度の普及を図っていくのか、耐震診断及び改修の義務化も含めて、都の所見をお伺いします。
 また、都内には、昭和四十六年以前に建てられたマンションが約四万八千五百戸もあります。この状況も正確に把握しなければなりません。国土交通省では、危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進に関する事項により、地方公共団体は、マンションのデータベース化等の整備により危険または有害な状況にあるマンションの的確に努めることとするとあり、市区町村と連携を図り、危険及び有害なマンションの把握をしなければなりません。
 ここでは、耐震補強というより建てかえを施さなければなりません。しかし、このスピードで建てかえが進むとした場合、先ほど申し上げました経年劣化のマンションが急増し、社会問題になることは明らかです。私は、ここで大なたを振るわなければならない時期に来ていると思います。
 分譲マンションは私有財産の集合体であり、その建てかえはあくまでも区分所有者等の自助努力で行うことが基本であり、マンションの区分所有者等建てかえ関係者は、適切な役割分担のもとで、建築、マンション管理、まちづくり、権利調整等の技術及び経験を有する一級建築士、マンション管理士その他専門家を便宜に活用し、積極的に建てかえの円滑化に努力することが必要であります。
 しかし、マンションが、建物の区分所有という、区分所有者が容易に建てかえを決定できない環境下にあることから、老朽化により建てかえを余儀なくされたマンションの建てかえについて、国及び地方公共団体は緊密に連携して、相談体制の整備、情報提供等に積極的に努めるとともに、一定の要件を満たすマンションの建てかえについては、適切に財政上の支援その他多様な支援を行うものとすると、国土交通省で規定されております。したがって、荒廃マンションの増加は見過ごすわけにはいきません。
 そこで、条例で、昭和四十六年以前のマンションの建てかえの義務化などにより促進すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 阪神大震災では、行政とパイプのないマンション住民は、その救助や安否の確認など、すべて最後に回されたという現実があります。特に最近では、個人情報保護法のもと、匿名社会に生きるマンション住民が大震災によって被災した場合、マンション住民に対する救助計画をあらかじめ策定しておくことが最優先課題の一つと考えますが、都の所見をお伺いします。
 また、老朽化したマンションには多くの高齢者が住んでいます。しかし、古いマンションには高齢者の居住を想定した設備が整えられておらず、ふろも廊下もすべて健常者向けにつくられています。中でも、三階から五階建てのマンションでエレベーター未設置のマンションは都内で十四万四千戸に達しますが、これらの古いマンションに対するエレベーター設置費補助は、利子補給による助成制度しか存在しないため、設置するマンションは少なく、新たな助成制度を創設するなど、支援を充実すべきだと考えますが、都の所見をお伺いします。
 次に、都営住宅についてお伺いします。
 先ほどのマンションと同様に、都営住宅も建てかえの時期に来ており、各地で建てかえが行われています。そこには、ただ古くなったから建てかえるというより、明確なビジョンがなければなりません。建てかえに際し都はどのような考えを持っているのか、お伺いいたします。
 また、建てかえるに当たり、建築費用を入居世帯で割れば一世帯当たりの費用が算出できますが、都営住宅を建てかえれば、一世帯当たり、これは建築費だけですが、約一千百万円もの費用がかかります。さらに、現在、都営住宅では地域偏在が問題になっており、人口に対する都営住宅の割合で見ても、二十三区でも、上位三区、足立区、江東区、北区、下位三区、目黒区、文京区、豊島区を比べれば、約一〇%もの隔たりがあり、この偏在が及ぼす基礎的自治体への影響は大きいように思えます。
 また、東京における総世帯の何%が都営住宅の恩恵を受けているのか、そう考えると、都営住宅に入れた人とそうでない人との格差が余りにも大きいのではないかと思います。
 公営住宅法では、低所得者で住まいに困窮する者に住宅を提供する目的がありますが、現在では、その垣根が低くなり、このままでは多くの都営住宅を提供しなければなりません。特に生活保護受給者は住宅費がゼロ円になり、また、さまざまな恩恵にあずかれます。障害をお持ちの方や病気の方はいざ知らず、健常者が、国民年金の額以上に恵まれているにもかかわらず、住宅でもさらに優遇されるのには違和感を覚えます。
 都営住宅の倍率は近年非常に高く、希望しても入れない状況が続いている一方で、地域の賃貸業は空き部屋が多く、困っているところが多いと聞いております。
 であるならば、今後の住宅困窮者に対する住宅供給のあり方については、公営住宅よりも民間の賃貸住宅に対する家賃補助を中心とした施策へ変えるべきと思いますが、都の所見をお伺いいたします。
 以上をもちまして、泉谷つよしの質問を終わりにします。よろしくお願いいたします。(拍手)
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 泉谷つよし議員の一般質問にお答えいたします。
 八点のご質問にお答えいたします。
 最初に、都内のマンションが抱える課題についてでございますが、都は、維持管理や建てかえ等に関する課題を明らかにした、東京のマンション二〇〇九を取りまとめ、本年十月に公表いたしました。
 その中で整理した主な課題は、まず、マンション管理の担い手不足や高齢化などにより管理組合の運営が困難となるものがあること、次に、維持管理については、修繕積立金が計画修繕に必要な額に至らないマンションが少なくなく、適切な時期に修繕が実施されない可能性があること、さらに、建てかえや耐震化については、費用負担が大きく合意形成が難しいため、実現が容易でないことなどでございます。
 次に、条例によるマンション建てかえの義務づけについてでございますが、マンションの建てかえには専門的知識が必要であることや、区分所有者の合意形成が困難などの課題がございます。
 このため、都はこれまで、建てかえに際してのプロセスや手法などを説明したガイドブックを作成し、管理組合に情報提供するとともに、区市と連携して、管理組合からのさまざまな相談に応じるなどの取り組みを行ってまいりました。
 都としては、マンションの円滑な建てかえを促進するため、今後もこうした取り組みを粘り強く進めていくことが必要であると考えておりまして、私有財産であるマンションの建てかえを条例で義務づけることは考えておりません。
 次に、分譲時における管理費等の額の基準についてでございますが、マンションの管理は、区分所有者がみずからの責任で行っていくことが基本でございまして、購入者が購入時点で入居後の維持管理に関する情報を適切に入手できるようにすることが必要であります。
 このため、都は、マンション管理ガイドラインを策定し、この中で、分譲事業者等が購入者に対し、管理費、長期修繕計画及び修繕積立金の内容や費用等について十分説明することを促しております。
 今後も、ガイドラインの一層の活用を図り、適切な管理費や修繕積立金が設定されるよう誘導してまいります。
 次に、マンション耐震化の制度の普及についてでございますが、都はこれまで、耐震診断や耐震改修を促進するため、キャンペーンなどによる普及啓発や、関係団体と協力した相談体制の整備に取り組むとともに、区市と連携し、管理組合に対して耐震化助成制度の活用を促してまいりました。
 さらに、管理組合における合意形成等を支援するため、今年度、耐震総合相談窓口を設置するとともに、マンション耐震アドバイザー派遣事業を創設いたしました。
 今後、こうした施策を一層推進することによりまして、マンション耐震化の制度の普及を図りながら、管理組合の自主的な取り組みを支援してまいります。
 次に、昭和四十六年以前に建てられたマンションについてでございますが、昭和四十六年の建築基準法の改正前の建物でございましても、耐震性は個々に異なるため、個別に耐震診断を行い、耐震性を確認した上で、必要に応じて耐震改修等の適切な措置を講じていくことが重要でございます。必ずしも昭和四十六年以前であるからということで建てかえをしなければならないということではないと考えております。
 次に、既存マンションへのエレベーターの設置についてでございますが、エレベーターの設置はマンションの改修に該当いたしますので、都が実施しておりますマンションの改修等に対する利子補給制度の対象となります。また、区市や関係団体と連携した相談体制により、技術的な検討や合意形成等の支援を受けることもできます。
 こうした制度を活用することにより、管理組合による自主的な改修の取り組みを支援してまいります。
 次に、都営住宅の建てかえについてでございますが、都営住宅については、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、老朽化した住宅の建てかえを適切に進めるとともに、敷地を有効活用することにより用地を生み出し、地域のまちづくりに活用する必要があると認識しております。
 こうした考えから、建てかえについては、管理戸数の抑制を図りながら、昭和四十年代以前に建設された住宅を対象として事業を推進しております。これにより、バリアフリー化された住宅への更新を進めるとともに、今後十年間で約六十ヘクタールの用地を生み出し、都市計画道路や福祉施設の整備など、地域のまちづくりに寄与してまいります。
 最後に、家賃補助を中心とした施策への転換についてでございますが、都営住宅は、市場において自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯への住宅供給を行う役割を担っております。
 こうしたことから、都は、入居収入基準の見直しなどによりセーフティーネット機能を強化し、真に住宅に困窮する世帯に対して、都営住宅の公平かつ的確な供給に努めておるところでございます。
 民間賃貸住宅に対する家賃補助については、生活保護との関係や財政負担のあり方など多くの課題があることから、都として実施する考えはございません。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 震災時におけますマンション住民に対する救助計画についてでございますが、都は、地域防災計画に基づきまして、マンション等の集合住宅の住民を含め、被災者を迅速に救助するため、都立公園や清掃工場等を、警察、消防、自衛隊の活動拠点として整備するなど、救助機関との緊密な連携体制を構築してまいりました。
 また、毎年実施しております総合防災訓練におきましても、都内に多くの集合住宅があるという実態を踏まえまして、被災した建物からの救助訓練をも実施しておるところでございます。
 今後とも、都は、集合住宅の住民を初めとした都民の生命、財産を震災から守るため、被災者の救助に全力を挙げて取り組んでまいります。

議長(田中良君) 四十三番中屋文孝君。
   〔四十三番中屋文孝君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○四十三番(中屋文孝君) まず冒頭に、我が党の川島忠一先生のご逝去に心からご冥福をお祈り申し上げます。
 今後も、川島先生が築き上げた伝統ある都議会自由民主党の名に恥じぬよう、しっかりと頑張っていくことをここにお誓い申し上げまして、質問に入らせていただきます。
 私は、四年ぶりに都議会に戻り、そのさま変わりに大変驚いております。かつて石原都知事は、東京から日本を変えると宣言をし、混迷する都政を夢と希望に満ちた元気な東京に再生をいたしました。ディーゼル車規制を初めとする先進的な環境政策など、国を先導する政策を数えれば切りがありません。
 しかし、昨今、オリンピック招致をむだといい、対案もなく新銀行や市場移転に反対するなど、都議会において建設的な議論がされず、こうした政治に翻弄された都政も、かつての輝きを失いつつあるのではないかと思うのです。
 さらに、国では政権がかわり、日々ぶれまくる首相の発言に国民の不安と不満が募り、失望感が増すばかりとなっております。今なすべきは、しっかりと将来を見据えた議論と本質論なのであります。
 石原知事には、国の雑音に惑わされることなく、世界に通用する都市づくりに邁進してほしいと考えますが、見解を伺います。
 次に、都財政について伺います。
 先日公表された税収見込みの中で、二十年度決算と比べて一兆円を上回る減収となり、経済情勢のさらなる悪化が及ぼす都財政運営への影響が懸念されます。
 今後、難しいかじ取りが求められますが、都税収が減少となれば、財政確保の手段として、基金の取り崩しと都債の発行がその選択肢として考えられます。現在、活用可能な基金残高は一兆円を超える水準が確保されております。これらは、石原知事が財政再建を達成する中で、将来の財政負担を考慮した知事の卓越した財政運営の成果といえます。
 一方で、深刻な経済情勢がある程度見込まれるとすれば、ますます中長期的な視点が重要となってまいります。そうした観点で、私は、これまで培った財政の対応力をバランスよく活用することが大事ではないかと考えます。
 そこで、今後、可能な基金残高や都債の発行余力といったものをどのように活用していくつもりなのか伺います。
 景気悪化が進み、税収が減少する中にあっては、税以外の財源を確保していく取り組みが不可欠です。既存税収の中でも宝くじ収入は、本来、不況に強いといわれており、このようなときにこそ増収を図ることが重要であります。例えば、インターネットを使い宝くじを購入できるようにするなど、売り上げを向上させるための工夫が必要であります。
 海外では、ニューヨークやオハイオといった東京と同等の人口規模で、一等賞金五億円から七億円という宝くじが発売されており、東京都でも一等賞金五億円程度の宝くじを発売できるのではないかと考えます。五百円宝くじで高額が当たる新しい商品開発と販路を進めることが必要であります。
 宝くじの売り上げ向上のためにどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、東京マラソンにおける救護活動について伺います。
 来年二月に開催される東京マラソンは、国際陸上競技連盟からゴールドラベルを取得し、世界最高位のマラソン大会として格付され、大変な注目を集めています。このように東京マラソンが高く評価されたのは、一万人を超えるボランティアが多種多様に参加し、大会運営を支えていることが大きな要素を占めているからであります。
 フルマラソン、十キロメートルの各フィニッシュ会場においては、柔道整復師が、ボランティア活動の一環として、走り終えたランナーに対して、マッサージやテーピング等の応急処置などの分野で活躍しております。実際に受けたランナーからは、たくさんの感謝の声が寄せられております。
 この活動はマッサージブースで行われておりますが、この名称が他の国家資格と混同され、ランナーに誤解を招くことも懸念されます。そのため、この活動の実態をよりアピールできる名称とすべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、まちづくり関連事業についてお聞きします。
 国では、民主党が二百を超える項目について事業仕分けを行い、非常に短い時間で一方的に評価を下しました。こうしたやり方自体に問題があり、現場の声を無視した判断に大きな危惧を抱かざるを得ません。
 私の地元の文京区後楽地区を初め、都内では数多くの市街地再開発事業や土地区画整理事業などが国の補助金を活用して実施されています。これに対し、行政刷新会議の事業仕分けによって、実施は各自治体または民間の判断に任せるとされました。これが来年度の国の予算編成に反映されるとなれば、例えば、事業に協力をした権利者が長期間不便な生活を強いられたり、事業そのものの存続が脅かされるなど、その影響ははかり知れないと考えますが、所見を伺います。
 次に、駅施設の改良や駅周辺の基盤整備について伺います。
 地球環境問題が深刻化する中、鉄道利用を促進していくことが重要であると考えます。東京における鉄道は、世界に類を見ない高密度で正確、安全なネットワークが形成されております。一方、駅周辺の開発が進み、都市基盤の不足が顕在化しているケースが見受けられます。
 そこで、こうした駅施設の改良や駅周辺の基盤整備について、幾つか質問します。
 まず、JR御茶ノ水駅について伺います。
 御茶ノ水駅は、まちの玄関となる駅前広場が確保されておりません。また、駅周辺には医療機関が数多く集積しているにもかかわらず、駅にはいまだエレベーターが設置されておりません。一日も早く駅のバリアフリー化や駅前広場整備を進める必要があると考えますが、都としての取り組みについて伺います。
 次に、大江戸線の勝どき駅と周辺のまちづくりについて伺います。
 昨年の四定において、我が党の立石晴康先生が、勝どき駅について、周辺開発の進展により駅混雑は極めて深刻な状況にあり、駅改良の必要について質問しました。これに対して、都はホームの増設を含め、駅の抜本的な改良について検討していくと答弁しております。
 勝どき駅周辺では、引き続き活発な開発が進むことが見込まれております。そこで、駅周辺のまちづくりと駅の改良について所見を伺います。
 また、私の地元文京区の区民も利用する飯田橋駅は、JR線のほかに四路線の地下鉄駅があり、一日約四十万人もの人が利用する交通の結節点であることに加え、外堀、目白、大久保通りなど幹線道路が交差する要衝となっております。しかしながら、飯田橋駅と周辺地域を結ぶ飯田橋交差点に設置されている歩道橋は、バリアフリー化がされていない、狭いとの意見も出ております。
 このため、地元では、歩行者デッキの構想を提案するなどの取り組みを進めておりますが、三区にまたがることから、調整が容易に進まない状況にあります。地元では、こうした課題の解決に向けて、広域自治体である東京都の支援に大きな期待をしておりますが、どのように対処していくのか伺います。
 平成十三年に都立公園として開園して以来、多くの都民が来園しております都立旧岩崎邸庭園についてお伺いいたします。
 隣接する池之端文化センターの跡地について、地元から都立公園化の要望が出されております。このように貴重な用地を旧岩崎邸庭園として整備していくことは、千載一遇の機会であり、文京区や台東区のまちづくりにおいても大変意義のあることであります。
 そこで、当該地の公園化に向け、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 次に、教育について質問いたします。
 まず、昨日の代表質問でも取り上げました小一問題です。
 教師の話を聞かない、指示どおり行動しない、勝手に授業中に教室の中を立ち歩くなど、授業規律が成立しない状態が起きております。こうした問題の要因としては、小学校入学時の児童に基本的な生活習慣が身についていないことが一つの問題となっております。
 そこで、これまで就学前教育を実施させるためにどのような取り組みを行ってきたのか伺います。
 また、小一問題の解決には、幼稚園や保育所における就学前教育の充実はもちろんのこと、幼児期に基本的な生活習慣や規範意識を身につけさせるなど、人間形成の基礎を培う家庭の教育力の向上を図っていくことが重要であると思います。
 そこで、これまで都教育委員会において家庭教育を支援するためにどのように取り組みを行ってきたのか、お聞きいたします。
 さらに、これまでの取り組みを踏まえて、幼児が小学校入学時から学校生活に円滑に対応できるようにするために、今後どのように家庭教育の支援や就学前教育の充実に取り組んでいくのか、所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中屋文孝議員の一般質問にお答えいたします。
 世界に通用する都市づくりについてでありますが、大都市のあり方が国家の将来を決定づける都市の世紀にあって、東京のありようを正当な文明批判の視点からとらえて策定した「十年後の東京」計画では、東京が目指すべき世界の範となる都市の姿を明らかにしております。この具現化に全庁を挙げて取り組んでおりまして、既に先進的な環境政策が評価され、都市としては世界で初めてICAPにも加盟をいたしました。
 森記念財団が先般発表しました世界の都市総合力ランキングでは、東京は、ニューヨーク、ロンドン、パリに続き四位にランクをされております。
 ヨーロッパで非常にハイブラウな雑誌として有名な都市の専門誌の「モノクル」の調査でも、世界の住みやすい都市のランキングでは、東京は二年続けて三位であります。ちなみに、昨年はコペンハーゲンが一位、ミュンヘンが二位、三位が東京、ことしはチューリッヒが一番、二位がコペンハーゲン、三位が東京ということでありますが、この四月に来ました、「モノクル」の編集長が私にいっておりましたけれども、これらの都市は、人口は三、四十万の中都市でありますけれど、東京は昼間人口を入れれば二千万に近い大都市で、その東京が示しているありようというものは、私からいえば実質的に世界一位だということをいってもくれました。
 こうした東京の世界に誇る都市としての底力、魅力をさらに伸ばしまして、五十年先、百年先を見据えた政策を進めることは、ご質問にある将来を見据えた議論、本質論を、都政から国政に敷衍していくことにもなると考えております。
 国政の混迷による影響も懸念されますが、今後はこれまで同様、東京が変革の起点となり、この国の進路を示す気概で、二十一世紀の世界に通用する都市づくりを皆さんと力を合わせて、渾身、進めていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長、東京都技監、関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、これまでの就学前教育の取り組みについてでございます。
 幼稚園や保育所で過ごしてきた子どもたちが、小学校入学時の生活に適応し、充実した生活を送るためには、就学前教育と小学校教育とを円滑に接続していく取り組みが必要でございます。
 そこで、都教育委員会では、平成十六年に策定いたしました東京都教育ビジョンに基づき、就学前教育を充実させる取り組みを推進してきたところでございます。
 具体的には、二カ所の地域を指定して就学前教育の推進モデル事業を実施し、日々の実践を通して小学校への円滑な接続のあり方について研究を行いますとともに、幼稚園と小学校の教員が共同で、指導内容や方法の効果的な連携について研究開発を行いました。
 これらの成果をまとめまして、小一問題対応のための手引書を作成し、幼稚園や保育所、小学校に配布して周知を図ってまいりました。
 また、平成二十年に策定いたしました東京都教育ビジョン(第二次)におきましても、就学前教育の充実を重点施策として、本年度は、幼稚園、保育所と小学校との具体的な連携の方策を明らかにする就学前教育プログラムの開発に取り組んでおります。
 あわせて、こうした取り組みの効果検証を行うモデル地域事業を都内二カ所で展開するなど、就学前教育と小学校教育との円滑な接続に努めてきたところでございます。
 次に、家庭教育を支援するためのこれまでの取り組みについてでございますが、子どもの夜更かしや朝食の欠食など、基本的生活習慣の乱れが小一問題発生に影響を与えていると考えられます。
 このため、都教育委員会は、平成十八年度から、医師会、保健所、幼稚園などと連携を図り、子どもの生活習慣確立プロジェクトを実施してまいりました。
 このプロジェクトでは、基本的な生活習慣の確立の必要性をすべての親に伝えるために、早起き、早寝、朝ご飯をテーマに、テキストやDVDなどを作成し、入学説明会等の機会をとらえて啓発に努めてまいりました。
 また、人間形成の基礎を築くためには、乳幼児期からの子どもの教育が重要という東京都生涯学習審議会の答申を受け、平成二十年度から新たに、乳幼児期からの子供の教育支援プロジェクトに取り組んでおります。
 本プロジェクトでは、子どもの発達に関する科学的知見を踏まえた保護者向け資料、「乳幼児期を大切に」を作成し、ゼロ歳児健診などの機会をとらえて、すべての親に配布するとともに、地域において子育て支援に携わる人材の養成研修を実施するなど、引き続き家庭教育を支援しているところでございます。
 次に、家庭教育支援や就学前教育の今後の取り組みについてでございますが、小一問題を解決するためには、小学校での取り組みに加えて、小学校生活に円滑に適応できる力を育てる就学前教育と人間形成の基礎を培う家庭教育をより充実させていく必要がございます。
 そこで、まず、家庭教育支援の取り組みについては、乳幼児期からの子どもの教育の重要性に関し、引き続き啓発に努め、幼稚園教諭や保育士、保健師等、家庭教育支援にかかわる専門的指導者に対する研修を充実させ、その資質向上を図ってまいります。
 あわせて、孤立しがちな親と、身近な子育て経験者や子育てサークルなどとのつながりをつくる地域人材を養成してまいります。
 次に、就学前教育の取り組みについては、本年度に作成いたします就学前教育プログラムを踏まえまして就学前教育カリキュラムを開発し、その内容を都内の幼稚園や保育所、小学校に周知する説明会を、関係局と合同で開催することを検討いたします。
 この就学前教育カリキュラムでは、あいさつをする、決まりを守るといった社会生活における当たり前の習慣や態度、感じたことや考えたことを自分なりに表現する力、身近な環境に対する探究心や豊かな感性など、幼稚園や保育所において小学校生活の基礎となる力をはぐくむ指導内容やその方法を具体的にお示ししたいと考えております。
 こうした取り組みを、区市町村や関係局とより一層連携を深めまして、着実に推進してまいります。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 旧岩崎邸庭園の隣接地の公園化についてお答えいたします。
 旧岩崎邸庭園は、鹿鳴館の設計者であるジョサイア・コンドルの設計による洋館や撞球室など国の重要文化財に指定されている建物と、広がりのある芝生の庭を持つ貴重な文化財庭園でございます。
 庭園に隣接する池之端文化センター跡地は、岩崎家の本邸の芝生の庭の一部を構成していた場所であり、旧岩崎邸庭園の景観を構成するために重要な土地であります。
 これまで都は、当該地を公園化するため、地元の文京区や台東区と調整を重ね、本年八月には、両区と連携して都市計画変更のための住民説明を行うなど、精力的に取り組んでまいりました。
 この結果、両区の都市計画審議会を経て、十一月に都市計画変更が行われたところでございます。
 今後、積極的に整備に取り組んでまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、財政再建の成果の活用についてでございますが、都は、これまでの身を切るような財政再建の努力を通じて、活用可能な基金残高をふやし、都債の発行余力を培ってまいりました。これは、都財政の構造的特徴である税収の大きな変動に備えるためのものでございます。
 そうした中で、今年度の都税収入は、前年度に比べ一兆円を超える大幅な減収となる見込みとなりました。
 過去における単年度の最大の減収幅が平成四年度の約四千七百億円であったことからも、今年度の減収はその倍以上の落ち込みでございます。しかも、今後しばらくは、都財政がますます厳しい環境のもとに置かれることは間違いないことから、非常に難しい財政のかじ取りを覚悟しなければならない状況でございます。
 したがいまして、ご指摘のとおり、これまで備えとして培ってきた財政の対応能力の活用についても、従来にも増して、中長期的な視点に立って計画的に進めていかなければならないと考えております。
 同時に、環境の厳しさを踏まえれば、財政の対応力の活用の前提として、改めて歳入歳出を徹底して洗い直すことが不可欠でございます。財政の健全性を維持しつつ、都政の諸課題にこたえていくべく、改めて気を引き締め、堅実な財政運営に全力で取り組んでまいります。
 次に、宝くじの売り上げ向上についてでございますが、平成二十年度の宝くじの収益金は六百十八億円でございまして、東京都にとって貴重な財源でございますが、ここ二年間、宝くじの売り上げは前年実績を下回るなど厳しい状況にございまして、今後どのように宝くじの売り上げを向上させていくかという課題がございます。
 そのためには、魅力ある商品づくりが重要でございまして、一等賞金の引き上げや、逆に、一等賞金は低いけれども当たりやすいくじの開発といった方策が考えられるわけでございますけれども、海外のような大型賞金のくじをつくることは、法の制約もあり、難しい状況でございます。
 そうした中ではございますが、現在、東京都が中心となって、他の自治体とも協力しながら、来年度に向けた魅力向上策を検討しておりまして、その中では、例えば、多様な賞金設定ができる一枚五百円の宝くじ、あるいは一等賞金を一千万円程度にして多くの方が当せんできる宝くじなどの案が出されておりますが、今後さらに検討を進めまして、その結果を踏まえ、実行に移していきたいと考えております。
 宝くじは、国民の健全な娯楽であり、今後とも、魅力ある商品づくりや顧客の利便性に配慮した販売チャンネルの拡大など、売り上げの向上を図りまして、貴重な財源である宝くじ収益を確保してまいりたいと思っております。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 東京マラソンの救護活動についてでございますが、三万五千人が参加する大会を安全に運営するためには、ランナーに対するケアは極めて重要であるという認識をしております。
 柔道整復師の先生方には、ボランティアとして、マッサージブース内におきまして、マッサージのほかにテーピング等の軽度外傷の手当てを行っていただいておりますが、ご指摘のとおり、活動の実態とマッサージというブースの名称が必ずしも一致していないという状況にございます。このため、ランナーにとってわかりやすい名称となりますよう、ブース名称の変更を検討してまいります。
 来年二月に実施される大会も、柔道整復師を初めとする多くのボランティアの皆さんにご協力をいただきまして、東京が一つになる日というキャッチフレーズにふさわしい、すばらしい大会としてまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、行政刷新会議の事業仕分けが、まちづくり関連事業に及ぼす影響についてでございますが、都内では、現在、お話の民間による再開発や環状第二号線新橋・虎ノ門地区の都施行再開発事業など、東京の都市再生にとって非常に重要なまちづくり関連事業が数多く行われております。これらは、いずれも長い時間をかけて関係者の合意が図られ、国の補助金を前提として進められているものでございます。
 実施は、各自治体または民間の判断に任せるという事業仕分けの評価結果に基づき、仮に制度の見直しが行われ、補助金の導入ができなくなると、権利者の生活再建はおろか、事業そのものが立ち行かなくなり、大きな社会不安につながりかねません。このような事態は、絶対に避ける必要がございます。
 このため、都としては、国に対し制度の存続を求めるとともに、必要な財源を安定的に確保する方策を国の責任において確実に講ずるよう、より一層強く要請してまいります。
 次に、JR御茶ノ水駅の整備についてでございますが、御茶ノ水駅は、地下鉄、バス等との乗りかえ駅として、一日約二十一万人が乗降している主要な交通結節点でございまして、医療機関を利用する乗降客も多い駅でございます。そのため、駅のバリアフリー化や駅周辺の歩行者空間の整備は不可欠でございますが、地形的条件等から検討が進まず、長年の懸案となっておりました。
 こうした中で、周辺のまちづくりを契機に、都も参加し、駅のエレベーターや聖橋口の駅前広場の整備についての検討が開始され、現在、千代田区やJRなど関係機関で事業スキーム等の調整を行っております。
 今後とも、駅のバリアフリー化や周辺の歩行者空間の整備が早期に進められるよう、積極的に国庫補助の導入を図るなど、関係機関の取り組みに対して支援してまいります。
 次に、勝どき駅周辺のまちづくりと駅の改良についてでございますが、勝どき地区や晴海地区では、都心に近接した利便性やウオーターフロントの特性を生かした、多様で魅力的な複合市街地の形成が進んでおりまして、その玄関口となっている勝どき駅では、利用者が大幅に増加し、大江戸線の中でも特に混雑が激しくなっております。
 今後も駅を中心に周辺開発が進み、利用者の一層の増加が見込まれますことから、駅施設の拡充が喫緊の課題となっております。
 このため、ホームの新設やコンコースの拡張等、駅を改良するために必要な都市計画の変更を、平成二十二年の夏を目指し行うことといたしております。
 このような周辺開発に対応した駅の改良を進めることで、交通拠点としての機能を強化し、鉄道利便性の向上や地域の活性化に取り組んでまいります。
 最後に、飯田橋駅周辺における地元の取り組みへの対応についてでございますが、本地域は、JR線や都営地下鉄、東京メトロなど複数の路線が集まり、交通利便性を生かした再開発事業が進むなど、拠点としての発展が期待されております。
 また、お話のとおり、地元町会や自治会では、三区にまたがる交差点と飯田橋駅前広場の一体的整備の実現を目指し、自主的な勉強会が進められてまいりました。
 地元の考える構想の具体化に向けては、まず、地元の三区が駅周辺地域のまちづくりの方向性を定め、その上で、駅前広場などの基盤整備のあり方を検討する必要がございます。
 都としては、広域的な観点から、関係区と地元が行う取り組みに対しまして、技術的な支援を行ってまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 五十番山下ようこさん。
   〔五十番山下ようこ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○五十番(山下ようこ君) それでは、私、都議会民主党山下ようこが一般質問をさせていただきます。
 初めは、命を守る大事な医療、医師と看護師の確保について伺います。
 都内には、市町村が運営する公立病院が九カ所あり、いずれも地域医療にとって重要な役割を担っています。例えば、私の地元の青梅市立総合病院は、五百六十余りのベッドを持つ地域の中核的存在で、救命救急センターのある病院として、西多摩地域の三次救急医療を一手に引き受けているほか、二次救急、特に小児二次救急医療機関や地域がん診療拠点として、非常に大きな役割を果たしています。
 公立病院は、地域医療の最後のとりでであり、診療を休止した千葉県の銚子市立病院のようなことがあってはなりません。都としても、公立病院を守り、はぐくむという姿勢で地域医療の確保に取り組んでいただくよう、まず要望いたします。
 地域医療のためには、公立病院など地域の中核的病院で必要な医師が確保されることが重要です。しかし、深刻な医師不足の中、病院の努力だけでは十分な数の医師を確保するのは困難な状況で、都としてもきちんと支援を行っていくべきと考えます。
 そこで、都はどのように医師の確保に取り組んでいるのか、伺います。
 そして、医師に加えて看護職員の確保も大きな課題です。平成十八年の診療報酬改定によって七対一看護が導入されてからというもの、看護師不足は一層深刻化しています。
 看護職員を確保するには、養成数をふやすことが最も直接的な方法といえるでしょうが、少子化の流れの中で、果たして目標とする数の志願者が学校の門をたたくかどうか。さらには、現場の第一線で活躍するための知識と経験を身につけるには並々ならぬ努力と歳月が必要ですから、やはり現在働いている看護師が仕事を続けられるような仕組み、出産、育児などで一たん退職したとしても、比較的短期間で職場復帰できるような仕組みづくりが必要です。
 都は、看護職員の定着や再就職の促進に向けてどのように取り組んでいくのか、伺います。
 さて、続いては、こちらのポスターをごらんください。これは、皆様ご存じ、今回の都議会定例会のお知らせです。キャッチコピーは、ポスターの下の方に書かれている「もっと快適なまち東京へ」。
 かわっての私の質問は、まさにもっと快適なまち、東京を構築するための提案です。
 東京都は、屋上緑化を推進することで、一躍注目される環境都市となりました。植物が持つ温暖化抑制機能、ヒートアイランド抑制機能などの物理的効果と、心をいやす精神的効果を生かした画期的な施策だと思います。東京都環境基本計画も策定されて、東京は世界の模範となる環境都市としてますます発展することが期待されます。
 ただ、私は以前から一つの疑問を抱いております。それは、環境という言葉が、多くの場合、屋外の環境を意味しており、果たして屋内の環境の質についてはどのように確保されているのかということです。環境都市を標榜する以上、屋外だけでなく、屋内、室内の環境にもひとしく配慮しなければならないはずです。
 建築材や事務機器などからさまざまな化学物質が発生し、室内の空気が汚染されている実態が示されたことから、厚生労働省は、室内の空気汚染を低減して快適で健康な居住空間を確保するために、平成十四年に都道府県知事に対して、合計十三種類の化学物質の室内濃度指針値を通達しています。石原知事就任の三年後のことですから、知事も認識していらっしゃることと存じます。
 この通達を受けて対策がとられた結果、現在では多くの場合、その指針値が満たされているようです。ただし、通達では、指針値は、新たな知見や国際的な評価作業の進捗に伴い、将来、変更されることもあるとしています。
 こうした実情を踏まえ、東京都は、厚生労働省がまだ指針値を策定していない四種類の化学物質について、独自に室内濃度の推奨値を提示しており、疑わしい物質には警鐘を鳴らすという都の姿勢と先見性は評価できると考えます。
 この室内濃度指針値を、厚生労働省は、住居にとどまらず、オフィスビル、病院、学校、地下街など、あらゆる室内空間に適用されるべきものとしています。私は、ここが極めて重要なポイントと考えております。なぜなら、室内濃度指針値は、個人の住宅だけでなく、一般の人が立ち入る公共の室内空間までも適用範囲としているからです。
 平成十九年度の統計によりますと、東京で働く人は七百十五万人、このうち勤務時間の多くをオフィス内で過ごす人は推定三百三十六万人、半数近くに及びます。多くの人が働くオフィスの空間は、たとえ民間企業のオフィスであったとしても、決してプライベートなものではなく、公共性の高い空間であり、東京都内で働く人々の環境や健康に責任ある行政として、オフィス空間の空気汚染をも監視して指導する必要があると私は考えます。
 都内のビルのオフィス空間を含む公共性の高い室内環境を確保するために、都はどのような対策をとっているのか、伺います。
 さて、室内環境をより快適にするために、私は一つの提言を持って、きょうこの場に参りました。それは、極めて簡単な方法、室内を緑化することです。植物には、いうまでもなく、二酸化炭素を吸収し、酸素を生み出す機能があります。
 昭和四十七年に労働省が定めた事務所衛生基準規則は、事務所の二酸化炭素の濃度を一〇〇〇ppm以下に保つことを義務づけていますが、屋外の二酸化炭素の濃度が三八〇ppmを超えた今日、強制換気によって室内濃度を一〇〇〇ppm以下に保つことはたやすいことではなく、基準を守っていくためにも、今後、室内緑化植物の力を十分に活用する必要があると思われます。
 一方、NASA、アメリカ航空宇宙局の研究によりますと、宇宙ステーションのような密閉空間にたまる化学物質を植物が無差別に吸収するという現象も見出されており、植物による室内空気浄化作用にも注目すべきと考えます。
 さらに、植物には人の心に潤いを与え、いやすという、昔からよく知られた精神的効果があり、ストレス社会の現代、植物は一層大きな役割を果たすものと思われます。
 都は現在、緑の東京十年プロジェクトを推進し、緑あふれる東京の実現に努めていると認識しております。ただ、施策の体系を眺めますと、屋外の緑化が中心で、室内については見落とされているように感じます。室内緑化は、これまで述べてきた理由からもおわかりのように、オフィスで働く人々の心身の健康維持のために効果があるのは明らかと見られ、私は屋外だけでなく室内の緑化についても取り組みを進めることが、もっと快適なまち、東京へとつながるものと考えます。
 室内緑化植物のうち、熱帯性のものなら伊豆諸島や小笠原諸島に、温帯性の植物なら東京西部、多摩地域に生産拠点をつくることが可能ですから、いわゆる地産地消の体制を組むことができますし、都内の園芸農家の生産額の向上という経済的効果や、農業分野での雇用創出も期待できます。さらに、農地を守り、緑を保護することにもなるでしょう。室内緑化には、こうしたさまざまな効果が考えられます。室内緑化についての都の基本的認識を伺います。
 高層ビルが林立する現在の東京からは想像しがたいかもしれませんが、そもそもかつての東京、つまり江戸は、輝かしい園芸文化、植物文化を誇る都でした。
 イギリスには、かつて世界を旅して植物を集めることを職業とするプラントハンターと呼ばれる人たちがいました。その中の一人、ロバート・フォーチュンは、幕末に二回、あのソメイヨシノを生んだことで有名な江戸の染井村、現在の豊島区駒込かいわいを訪れています。
 フォーチュンは、著書「江戸と北京」の中で、もしも植物をめでることが文化のあかしとするならば、江戸庶民の文化水準は、ロンドンの貴族のそれと同等であると述べています。また、染井村については、園芸植物を生産する地域として、世界にこれ以上のものを見たことがないとも記しています。都が現在、行政と都民が協力し合って緑をふやしていく、いわゆる緑のムーブメントを展開しているのも、こうした江戸のDNAを引き継ぐ民族のなせるわざかもしれません。
 大都会の実態に即した緑化を進めていくという視点を、屋外だけでなく、ぜひ室内にも生かして、トータルとして質のよい緑をふやすための具体的な取り組みを推進していただくことを望みます。例えば、都独自の方法として、都内のオフィスなどの室内に植物を配置することを促すような仕掛けについても、ぜひ考えていただきたいと思っております。
 都は、世界で初めて、オフィスビルをも対象とする都市型キャップ・アンド・トレードを来年四月に開始すると認識しております。こうした先駆的な施策に乗り出せるのも、やはり地球温暖化に対する見識の高さゆえと思います。
 先ほど来申し上げているとおり、植物には物理的、化学的、精神的効果などがあり、人間と植物の共存共栄こそが環境都市の理想の姿といえるでしょう。室内の緑化を義務づけるような仕組みの構築を念頭に置きつつ、まずは、温暖化対策でもそうであったように、事業者の自発的な取り組みが促進されるような環境づくりを行っていただくことを、私自身、植物について学んできた人間の一人として、心より願っております。
 ところで、緑化の推進や産業の発展の契機となるものに、公園などを活用したガーデンショーなどのイベントがあります。緑化に関連したイベントについての都の取り組みや考え方を伺います。
 さて、きょうこれまで私は、環境と緑化に関するみずからの考えを述べてまいりました。東京を世界に冠たる環境都市、世界一働きやすいまち、住みよいまち、快適なまちにしていくためには、東京の緑を守り、さらに新たな緑を生み出していくことが大切です。東京都は、緑の東京十年プロジェクトの基本方針で、あらゆる手法を用いて緑の保全、創出を行っていくこととしています。今後ますますの意欲的な取り組みに期待いたします。
 そこで、改めて、緑の都市づくりに向けた石原慎太郎都知事の決意を伺い、私の質問の結びとさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山下ようこ議員の一般質問にお答えいたします。
 緑の都市づくりについてでありますが、環境、エコロジーを象徴する色としては、だれもが緑を挙げるわけでありまして、緑というのは人間の生活の潤いにとって本当に不可欠なものだと思います。東京を緑豊かな美しいまちへと再生させるためには、新たな緑の創出と、今ある緑を保全する取り組みが重要であると思います。
 そのため、街路樹の倍増や校庭の芝生化などに取り組むとともに、規制や誘導によりまして、民間の緑を保全、創出するなど、多角的な取り組みを推進しております。さらに、都民や企業と協力しまして緑を守り育てるムーブメントを展開し、緑あふれる都市東京の実現を目指してまいります。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 都立公園における緑化に関連したイベントについてお答えをいたします。
 都立公園では、緑に触れる機会をふやし、その価値を知るとともに、都民が緑化に取り組むきっかけとするため、神代植物公園のバラフェスタや、木場公園のまちなか緑化講座など、それぞれの公園の特徴を生かして、都民や企業と協働し、継続的にイベントを実施しております。
 とりわけ、都心の貴重な緑の拠点でもあります日比谷公園と丸の内仲通りをつないで、緑と花の回廊づくりを目指したガーデンショー、東京ガーデンジュエリーを平成十六年から開催をしております。このイベントでは、若手ガーデンデザイナーの発掘、支援を目的とするコンテストなどを実施しており、毎年多くの人々が会場を訪れ、楽しまれております。
 こうした都心ならではのポテンシャルを生かした緑に関するイベントは、オフィス街で働く人々などにいやしの空間を提供し、都市における花と緑の効果を知っていただき、環境を意識したライフスタイルを提案するなど、緑の普及啓発に大きな役割を担っております。
 今後も、都市に潤いを与える緑に対する関心を高め、緑化を推進する取り組みを継続的に進めてまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
 まず、医師確保についてでありますが、都は、医師の養成、定着、再就業といった観点から、医師確保の取り組みを行っております。
 養成対策としましては、救急や小児、周産期、僻地医療に従事する医師を確保するため医師奨学金制度を創設し、今年度から、都が指定する大学の医学生に奨学金の貸与を行っております。
 定着、再就業対策としては、昨年度から医師勤務環境改善事業を開始し、救命救急センターや周産期母子医療センターなどの医療機関が行う、医師の交代制勤務や短時間勤務の導入、女性医師の復職支援研修などの取り組みを支援しております。
 今後ともこうした取り組みにより、地域医療を担う医師を確保してまいります。
 次いで、看護職員の定着、再就業についてでありますが、都は、看護職員の定着を図るため、看護師宿舎やナースステーションの整備などの勤務環境の改善や、新卒の看護職員が不安なく職場に適応できるよう、医療機関が行う臨床研修を支援しております。
 また、再就業支援につきましては、東京都ナースプラザにおいて、離職中の看護職の研修及び相談事業を実施しているほか、身近な地域の病院で復職支援研修などを行う看護職員地域確保支援事業を都独自に実施をしております。さらに、今年度から、看護職員が出産、育児などを迎えても働き続けられるよう、短時間正職員制度を導入する中小病院を支援しております。
 こうした取り組みにより、看護師確保に努めてまいります。
 最後に、ビル等の室内環境の確保についてでありますが、多くの人が利用する延べ床面積三千平方メートル以上の建築物の所有者等は、空気中の二酸化炭素、ホルムアルデヒド等の濃度測定を行い、室内の衛生的な環境を確保することが法令により義務づけられております。
 都内各保健所等は、これらの建築物に立入検査を行い、室内空気中の濃度が管理基準に適合しない場合には改善指導を実施しております。また、建築物の所有者等に対して毎年講習会を実施し、新たな法規制や改善策などの情報提供を行っております。
 今後とも、こうした取り組みを徹底し、オフィス等における衛生的な環境の確保に努めてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 室内の緑化についてお答えいたします。
 緑は、美しく風格のある都市景観の創出に加えまして、そこに住む人々の心にゆとりやくつろぎを与えるなど、その役割は多様かつ重要であります。オフィス空間などの室内緑化についても、都民に潤いや安らぎを与えるとともに、身の回りにある緑を大切に守りたいと思う心をはぐくむなど、さまざまな効果があるものと認識しております。

議長(田中良君) 六十番高倉良生君。
   〔六十番高倉良生君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○六十番(高倉良生君) 初めに、文化芸術振興への取り組みとして、アール・ブリュッについて質問いたします。
 日本での印刷物等の表記ではアール・ブリュットとしておりますけれども、フランス語で、感じたままを表現する、生の芸術という意味で、主に知的障害者や精神の病がある人などが創作する芸術であります。
 スイスのローザンヌには、この作品の世界的な拠点であるアール・ブリュッ・コレクションという美術館があります。日本では滋賀県近江八幡市に、国内作品を収蔵するボーダーレス・アートミュージアムNO─MAという美術館などが存在いたします。
 昨年、アール・ブリュッ・コレクションと日本の作品を一緒に紹介する展覧会が、東京など国内三カ所で開催されました。私もそのときからアール・ブリュッに関心を持ってまいりましたが、すばらしい作品が多く、障害者にとって、作品づくりは、あすに向かって生きる大きな力になっております。
 昨年の展覧会と時を同じくして滋賀県で行われた事業の中で作品の全国公募が行われ、知的障害者施設などから五百五十人が作品を寄せました。この中から六十四人の作品が選ばれ、来年三月からパリでアール・ブリュッ・ジャポネ展が開催されます。東京からも二人の作品が展示されます。
 私は、こうした芸術が活発になり、より多くの理解が進むよう願っている一人であります。物事を率直に評価する子どもたちが、アール・ブリュッの作品を見ると、大変すごいと感動することも多いようであります。
 文化芸術振興に先駆的な東京から、アール・ブリュッを積極的に発信する環境づくりを進める必要があります。作品の調査、発掘を進めるNPO団体などとの連携を進めるとともに、都内での作品紹介の機会がふえるような応援をすべきであります。
 全国には、障害者施設同士が連携したり、特別支援学校の美術教師が力を合わせて作品づくりの現場を運営している例があり、東京都内でもアトリエでの活動を進めている団体があります。作品制作現場の環境づくりとともに、将来はアール・ブリュッ・コレクションや、NO─MAと連携した東京への拠点づくりも必要であります。例えば、東京都現代美術館やワンダーサイトなどで取り上げてみてはどうかと考えます。
 障害のあるなしにかかわらず、芸術の芽はだれもが持っています。そのような視点が根づいてくれば、すべての人の生き方が変わってくるはずであります。アール・ブリュッの発展に向けた取り組みについて、石原知事の所見をお伺いいたします。
 次に、医療施策についてであります。
 血糖調節の異常による糖尿病は、国民病としてよく知られています。同じように血糖調節の異常で引き起こされる低血糖症があります。日本には低血糖症の潜在的な患者は一千万人以上いるとも指摘をされております。しかし、認知度は低く、医療関係者の間でも理解が進んでいません。
 過激な食事制限、過食、ストレスも原因といわれ、現代病でもあります。低血糖状態になると冷静な思考や判断が難しくなり、血糖値を上げようと分泌されるアドレナリンなどで精神症状も引き起こされます。こうした点から、みずからを傷つける自傷行為、自殺、うつ症状など、さまざまな精神症状と低血糖症との関連が指摘されております。
 低血糖症治療の会の顧問を務める柏崎良子医師が日本で初めて公表した、低血糖症と統合失調症との関連データがあります。他の医療機関で統合失調症と診断された百二十八人のうち、百二十四人が低血糖症でありました。アメリカの少年施設でも、糖の量を調節した食事をとらせたところ、みずからを傷つける行為や暴力が大幅に減り、自殺未遂がゼロになったとの報告もあります。
 低血糖症の診断には耐糖能精密検査で五時間ほどかける検査が必要ともいわれ、治療体制の拡充とともに、高額な検査費用への支援が必要であります。現代病ともいえる低血糖症への理解を深めるとともに、実態の調査を進めるべきですが、所見を伺います。
 福岡に久保田史郎先生という産科、麻酔科の専門医がいます。出生直後の赤ちゃんが低体温、低血糖に陥る危険性を指摘し、病院開業以来すべての出産データを記録し、周産期医療での予防医療に力を注いでいます。
 具体的には、新生児の低血糖、極度の体重減少、重症黄疸などは、摂取カロリーが基礎代謝量に満たない低栄養が原因と指摘し、低体温になることを保育器で防ぐとともに、出生直後から糖水や人工乳などで栄養を補い、低血糖を防いでいます。
 同医師は、新生児の低血糖症が怖い理由は、大人と違い、けいれんなどの症状がなく、見えないところで低血糖が静かに進行し、脳神経細胞の発育に障害を与えるからであると、保育管理の重要性を訴えています。さらに、妊産婦の生活習慣を整えること、例えば、運動不足を補う水中散歩や食生活改善も強調しています。
 周産期医療の中に低血糖予防の視点を取り入れることは大変重要と考えますが、見解を求めます。
 平成二十年第一回定例会で私は、職域でのがん検診推進を訴えました。これに対して都は、二十年度に職域での実態調査を行い、効果のあった事例を企業や保険者に紹介していくと答弁しました。
 企業で働く人には配偶者、家族がおり、職域検診を進める中にそれを含めることで、すそ野が大きく広がります。配偶者、家族まで視点を広げ、検診の普及を図るには、従業員へのがん教育を進める必要があります。
 配偶者、家族へも拡大したがん検診の取り組みについて、広く都内企業に普及啓発すべきであります。あわせて、受診率向上に積極的な企業をモデルとして示し、紹介すべきと考えます。所見を伺います。
 東京都庁も職域の一つであり、職員に対するがん検診の推進は受診率向上にも寄与すると考えます。都みずからの検診の状況と課題について明らかにすべきであります。
 また、職域としての都の受診率向上に向けた取り組みについて、見解を伺います。
 次に、公明党が推進し、今年度から実現した女性特有のがん検診推進事業は、乳がん、子宮がん検診の無料クーポン券と検診手帳を特定年齢の方に配布するものです。この事業は、女性の受診率の向上に大きく資するものであります。都としても、区市町村の検診事業への取り組みを積極的に支援していくべきでありますが、所見を求めます。
 がん検診の最後に、子宮頸がんについて伺います。
 公明党が推進をしてきた子宮頸がんを予防するワクチン使用が承認され、早ければ年内から任意接種が始まります。都民に対し、しっかりとした情報提供を行う必要がありますが、見解を伺います。
 次に、救急医療に有効な医療情報キットの普及について質問します。
 ひとり暮らしの高齢者が急病になったとき、駆けつけた救急隊がその患者の医療情報を把握することが難しいケースがあります。救急隊が迅速適切な救命処置ができるよう、かかりつけ医、緊急連絡先、持病、診察券、健康保険証のコピーなどの情報を入れた専用キットを冷蔵庫に保管し、ステッカーを張っておく事業が注目されております。ほとんどの家庭のすぐわかるところにある冷蔵庫に着目したアイデアであります。
 災害時にも効果的であることから、実施を検討している自治体が都内にもあるようです。昨年からこの事業を実施している港区から都に対して、先駆的な取り組みに適用される補助金の申請が行われていると聞いています。救急医療情報キットが都内全域で普及するよう区市町村を支援すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、水害対策についてであります。
 東京都豪雨対策基本方針に基づき、都は、水害が頻発している七流域について、関係自治体と協議を重ね、神田川など七流域すべてで計画が策定されましたが、この計画に基づいて取り組む豪雨対策の具体的な内容と期待される効果を伺います。
 基本方針では、地下鉄や大規模地下街での浸水対策にも重点が置かれています。特に、東京、新宿、渋谷を初め都内主要ターミナルには大規模な地下街があり、数多くのビルや地下鉄、公共駐車場などとネットワーク化した都市空間が形成されています。大規模地下街が一たび浸水をこうむると、東京の都市機能が麻痺するなど大きな影響が懸念されます。大規模地下街等での浸水対策について見解を求めます。
 また、四年前の集中豪雨で大きな浸水被害が発生した妙正寺川では、上流域の中野区白鷺一丁目の都営住宅建てかえとともに、新たに調節池が設置されることになっています。この鷺の宮調節池の概要と今後のスケジュールについて伺います。
 中野区は調節池の上部利用を進めるべきとして、十カ年計画の見直しに当たり、調節池上部を人工地盤とすることを明記しました。上部空間をオープンスペースとして日常的な利用を図っていくことは効果的でありますが、都の取り組みについて見解を求めます。
 最後に、環境施策として高尾山のトイレについて質問いたします。
 高尾山はミシュラン三つ星観光地になり、外国人を含め年間二百五十万人以上が訪れる、山としては国内有数の観光地であります。私は日本山岳会会員として登山を楽しむ一人でありますけれども、この秋も登山客で大混雑する高尾山の様子がさまざまなところで紹介され、改めて驚きました。
 多くの観光客が訪れる高尾山では、トイレの増設が必要であります。特に休憩して飲食をする山頂では急務であります。現在、下水道管は薬王院山門までしかなく、そこから頂上まで一キロメートル以上の延伸が課題となっています。
 環境保護と登山客の利便性向上のためにトイレの増設を急ぐべきでありますが、所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高倉良生議員の一般質問にお答えいたします。
 アール・ブリュの発展に向けた取り組みについてでありますが、人間は、どんなハンディキャップを負っていようと、それぞれ異なる個性、能力を持っておりまして、周囲の支援やみずからの努力によって、それが大きく開花する秘めたる可能性があります。
 アール・ブリュは、障害を持った方などによる、既成の概念にとらわれない、感情の発露が生み出す芸術でありまして、現代芸術の一つのありようとして極めて重要であります。
 東京都現代美術館でも平成十七年に、依頼を受けまして、宮城まり子さんが主宰しているねむの木学園の子どもたちによる作品展を開催しまして、非常に好評を博しました。障害のあるなしにかかわらず、東京に集う芸術家たちが切磋琢磨しながら芸術文化活動ができるよう、都の文化施設の活用も含めて、アール・ブリュなどの新しい芸術文化や才能の支援を図っていきたいと思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 鷺の宮調節池に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、調節池の概要と今後のスケジュールについてでありますが、河川の整備に当たっては、下流から順次拡幅を行うのが原則ですが、妙正寺川の環状第七号線から上流区間の整備には長期間を要するため、さまざまな工夫が必要でございます。
 このため、都営鷺の宮アパートの建てかえにあわせて調節池を整備し、調節池下流の治水安全度を早期に向上させるとともに、上流側の河川の拡幅が可能になるなど、一時間五〇ミリの降雨に対応する整備のスピードアップを図ってまいります。
 貯留量は約三万五千立方メートルを計画しており、早期の完成を目指し、平成二十二年度に工事に着手する予定であります。
 次に、調節池の上部利用についてでありますが、調節池の整備に当たっては、治水機能を確保した上で上部空間の有効利用を図ることも必要でございます。このため、都は、これまでも地元と調整を行いながら、公園や住宅用地として活用を図ってまいりました。
 鷺の宮調節池の上部についても、日常的な憩いの場として利用できるよう運動広場機能を備えた多目的広場や、災害時の広域避難場所として、中野区が整備することとしております。
 今後とも、都民の命と暮らしを守るため、調節池などの整備に当たっては財源の確保に努め、治水安全度の向上に向けて全力で取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 六点についてお答えを申し上げます。
 まず、低血糖症への理解促進についてでありますが、お話の低血糖症については、病気の概念や診断基準が確立をしていない状況であり、国や専門医等の動向を見守ってまいります。
 なお、都では、都民の健康づくりを進めるために、健康的な生活習慣に関する普及啓発や環境づくりの取り組みを行っているところであります。
 続きまして、周産期医療における低血糖予防についてでありますが、低出生体重児などの低血糖のリスクのある新生児は、出生後の状態に応じて、低血糖予防の視点を取り入れた医療的ケアが一般的になされております。一方、リスクのない健康な新生児への対応については、議論があると聞いております。
 次いで、職域におけるがん検診についてでありますが、都民の受診率向上のためには、区市町村が実施するがん検診とあわせて、職域においても受診促進の取り組みを強化することが重要であります。
 都は、今年度新たに職域がん検診支援事業を開始し、検診に積極的な企業における従業員の受診率向上策や扶養家族に対する検診の取り組みを広く紹介するなど、受診率向上に取り組んでまいります。
 また、がん検診の内容や重要性を伝えるリーフレットを作成し、普及啓発に活用するなど、職域における取り組みを推進してまいります。
 次いで、区市町村のがん検診についてでありますが、都はこれまで、包括補助事業を活用することなどにより、区市町村の受診率向上の取り組みを支援してまいりました。
 また、お話の女性特有のがん検診推進事業につきましても、円滑な事業実施に向けて、区市町村に対する積極的な情報提供を行ってまいりました。さらに、今年度は四区市に対しまして、地域の実態に合わせた効果的な受診率向上策を提案し、それぞれの区市でモデル的な取り組みを実施しております。
 今後とも、区市町村におけるがん検診受診促進を積極的に支援してまいります。
 次いで、子宮頸がんについてでありますが、その原因といわれておりますヒトパピローマウイルスのワクチンが、国において十月に承認され、販売に向けての手続が進められていると聞いております。
 都は、ホームページを通じてワクチンの対象者や接種方法等について周知を図るなど、都民への積極的な情報提供を行ってまいります。
 最後に、救急医療情報キットの区市町村への普及についてでありますが、お話のありました救急医療情報キットは、ひとり暮らし高齢者等の安心・安全を確保するために、緊急連絡先、かかりつけの医療機関、既往症などの情報を専用容器に入れ、一定の場所に保管しておくことにより、救急搬送などの緊急時に備えるものでありますが、都では、本事業につきまして、本年度から包括補助事業により支援をしており、今後、事例発表会や事例集の配布などを通じて取り組みを紹介するとともに、新たに本事業に取り組む区市町村に対し支援をしてまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 都職員のがん検診に対する取り組みについてでございますが、職員の健康管理の観点から、一般健診とともに、がんの早期発見のため、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がん、前立腺がん、この六種類のがん検診を実施しておりまして、庁内放送などによりまして、健診全体の受診の勧奨を行っております。
 その結果、平成二十年度の受診率でございますが、子宮がん検診及び乳がん検診で五〇%を超えるなど、全体でおおむね五〇%を上回っておりますが、一方、大腸がん検診は三〇%台にとどまっております。
 今後も職員の健康を保持増進するためには、ご指摘のとおり、がん検診による早期発見の重要性に関する認識を高める必要がある、そのように考えております。
 そのため、健康診断の実施時期に合わせた効果的な情報提供の実現に向けまして、庁内ネットワークシステムを活用するなど周知方法に工夫を凝らし、受診率のより一層の向上に努めてまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 豪雨対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、豪雨対策計画の具体的な内容と効果についてでございますが、本計画では、対策を急ぐ神田川など七流域におきまして、浸水被害の状況や流域の特性を踏まえ、河川や下水道の整備及び雨水の流出を抑制するための流域対策を定めております。
 具体的には、平成二十九年度までに、時間五〇ミリ相当の降雨に対応するため、河川においては護岸整備や白子川地下調節池の建設等を行うとともに、下水道では王子西一号幹線など基幹施設の整備に取り組んでまいります。
 また、時間五ミリ相当の雨水流出抑制効果を発揮させるため、公園や学校、病院等の公共施設や個人住宅で雨水浸透施設の設置を促進してまいります。これらの対策を総合的に進めることによりまして、おおむね時間五五ミリの降雨までは、床上浸水や地下浸水被害を可能な限り防止することを目指します。
 今後とも、本計画に基づき、関係区市や都民と連携して、豪雨対策の取り組みを一層推進してまいります。
 次に、大規模地下街等での浸水対策についてでございますが、主要ターミナルにある大規模地下街は、地下鉄や公共駐車場等と接続しており、複数の施設管理者の連携による総合的な取り組みが重要でございます。
 都は昨年度、東京都地下空間浸水対策ガイドラインを策定し、地下街の施設管理者や区に、共同で浸水被害の防止や軽減に取り組む体制の確立を促してまいりました。
 これを受け、八重洲地下街におきましては、近々、関係する施設管理者や区と協議会を立ち上げ、具体的な浸水対策計画の検討に着手することとなっておりまして、今後、こうした動きを他の地下街にも拡大してまいります。
 引き続き、関係する局や機関と連携いたしまして、大規模地下街等の浸水対策に取り組み、都市機能の確保とともに地下街の安全性向上に努めてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 高尾山のトイレについてお答えいたします。
 春と秋の行楽シーズンには、多くの人々が高尾山を訪れ、山頂のトイレも混雑しております。このため、地元関係団体の協力により、仮設トイレを設置して対応しておりますが、お話のように常設トイレの増設が必要と考えております。
 山頂付近では、地形的に新たな浄化槽の設置スペースを確保できず、現行方式でのトイレ増設は困難ですが、下水道が山頂付近まで延長されれば増設が可能となります。このため、トイレの増設に向けまして、現在、地元の下水道事業を担っている八王子市と協議を行っているところでございます。

副議長(鈴木貫太郎君) 二十三番神林茂君。
   〔二十三番神林茂君登壇〕

○二十三番(神林茂君) 今まさに、国では、事業仕分けを踏まえた予算編成の真っただ中であります。
 都政において石原知事と我が党が取り組んできたように、大胆に行財政を見直し、むだを省き効率化を図っていくことについては、大いに賛意を表するところですが、長い年月をかけて先人の努力によって築き上げてきた、米国や地方自治体や住民との約束事や信頼関係をいとも簡単にほごにしたり、国の将来を担う科学技術や公共事業そのものがまるで悪であるかのように切り捨てられることなど、本来、国としてなさなければならない責務まで放棄し削減することは、数の上にあぐらをかく暴挙としかいいようがありません。
 さらに加えて、あれだけ国民に混乱と迷惑をかけた社会保険庁職員の半数以上を、一月に発足する日本年金機構に何の反省もないままそっくりそのまま送り込んだり、教員の質の向上に欠かせない教員免許更新制度の廃止や学力テストの調査対象を大幅に絞り込むなどの画策が進められており、こうした一連の動きを断固阻止すべく声を上げていかなければなりません。
 そして、何よりも問題なのは、公約に掲げられた自動車関連諸税の暫定税率の廃止や高校の無償化、子ども手当の実施などが、果たしてどのような形で行われ、地方に負担をもたらすことがないのかであります。
 このように都政運営に当たって、今最も危惧されることは、こうした国の一方的な切り捨てや地方への押しつけにより、都民生活に大きな打撃や影響が生じることです。
 都は、現下の厳しい環境に直面する中、産業、雇用や福祉、医療、基盤整備を初めとするまちづくり、水の安定供給、教育に至るまで、なくてはならない都民の暮らしを守るという視点を持って都政運営に当たることが重要であります。
 今後、都税収入の大幅な減収が見込まれ、公約の実現にこだわり、迷走する国の財政運営の中にあって、来年度予算を編成することになりますが、知事の所見を伺います。
 次に、介護人材確保について伺います。
 日本経済が厳しい状況にある中、雇用情勢も非常に厳しく、先日、文部科学省が発表したところによれば、平成二十一年十月一日現在の大学などの就職内定率は五九・一%と、昨年同期比六・七ポイント低下しており、このまま放置すれば第二のロストジェネレーションを生み出しかねない状況です。また、完全失業率も五%台という過去最悪の水準が続いており、都としても雇用対策を迅速に対応することが求められております。
 一方、介護分野においては、離職率が一八・七%と、依然人材不足の状況が続いている上に、国の推計によれば、介護保険サービスに携わる介護従事者は、平成二十六年には最大で百六十万人必要であるとされており、中長期的に総合的な介護人材育成策を講じていくことは喫緊の課題です。
 この切迫した状況の中、先日、我が党は、厳しい経済環境と都民の雇用不安への対応を求める緊急要望を行いました。その内容も踏まえ、深刻な求職ニーズにこたえられるとともに、将来に向けて介護人材確保につながる対応策に即刻取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 介護職員の離職率が高い理由について、一つには、人手不足の中、介護という重労働に携わることから、労働条件が過酷なものとなってしまっていることが挙げられます。また、仕事の内容の割には社会的な評価が低く、賃金も他産業と比較して低いことも問題の一つです。賃金を勤務内容に見合ったものにするなど、処遇改善を図る必要があります。
 また、介護職員は、日々介護を行う中で高齢者の命を直接預かる立場にあり、資質向上についての取り組みも重要です。介護の現場では、人手不足などにより、職員の研修機会の確保や資格取得の支援などになかなか取り組むことができずにいます。現場の声を踏まえ、資質向上に向けた取り組みを計画性を持って着実に推進することが求められます。
 介護職員の処遇改善や資質向上に、都としてどう取り組んでいくのか、所見を伺います。
 連続立体交差事業の高架下利用について伺います。
 現在、都内では七路線八カ所で連続立体交差事業が行われていますが、交通渋滞や踏切事故の解消に資するとともに、鉄道により分断化されていた市街地の一体化が図られ、極めて効果の高い事業となっています。
 そこで、何よりも大切なことは、こうした高架化事業と同時に、駅を中心とした沿線のまちづくりを計画的に進め、防災防犯、環境に配慮した活力ある地域整備を進めていくことであります。殊に、これらの事業で生み出される高架下は貴重な都市空間であり、さまざまな公共利用や駅前の利便性を生かした活用が必要とされております。
 そこで、高架下の利用は、連続立体交差事業を進める東京都が責任を持ってまとめていくべきと考えますが、東京都の役割をどのように受けとめて進めていこうとしているのか、伺います。
 次に、大田区においても、京浜急行線連続立体交差事業で、来春には上り線が高架化されるなど事業が着実に進んでおり、一日も早い完成とその後のまちづくりがどのように進んでいくのか、地元でも関心が高まっております。京浜急行線連続立体交差事業の今後のスケジュールと高架下利用の取り組みについて伺います。
 従来から高架下の利用につきましては、主に、都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する要綱第十条に基づいて、国または地方公共団体が、みずから運営する公共の用に供する施設で利益を伴わないものを設置しようとするときに、いわゆる公租公課相当分高架下の一五%の中で優先活用が図られてきました。
 そこで、まちづくりの視点から設置が望まれる施設を申し上げていきますと、まず、駅前や商店街などの放置自転車を一掃する自転車駐車場が挙げられます。駅から至近な距離になければ活用率が落ちることから、駅前高架下の小さなスペースでも大量の自転車が収納でき、かつ、ワンタッチで出し入れ可能な立体機械式駐輪場を設置すべきであります。
 次に、駅前には広場が計画されていますが、高架下とも一体的な活用を図り、歩行者や車の動線をしっかり確保する中で、電線類の地中化、防災防犯対策、水や緑の憩いと触れ合いの場も含めて検討を進めていただきたいと存じます。
 さらに、地元商店街との連携を図って、駅前の活性化を図るとともに、保育園などの子育て施設や医療施設などの設置を図り、駅がまちの中心になるようなまちづくりの工夫も加えていただきたいと思います。
 また、今後の課題となるのが、公共的な施設である町会、自治会会館や消防団分団本部などを高架下に設置することであります。
 従来より鉄道が存する地域は、長年にわたって鉄道によって地域分断や騒音、振動に悩まされ続け、その大半が住宅が密集する災害の危険性が懸念される地域であります。こうした現況の中で、地域活動を下支えする活動拠点となる町会、自治会会館や、昼夜を問わず防火防災に努める消防団の詰所を高架下に設置することが、地域からも強く求められております。
 無償のボランティアとして、地域の下支えに尽力される多くの方々の思いをしんしゃくしていただき、都としても、高架下利用検討会の中で、地元自治体と連携を図って、ただいま指摘してきた公共の用に供する施設及び公共的な施設が高架下に設置できるように、柔軟な対応をもって検討していただきたいと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 水道局では、安全でおいしい水を都民に届けるために、高度浄水処理、直結給水の普及、促進などの施策を行っています。
 直結給水の普及促進は進んでいるものの、現在、都では三割以上の都民が貯水槽水道を使用しております。貯水槽水道は、水質劣化などが生じないよう適切な管理が重要であります。本来、貯水槽水道の管理は設置者が行うものですが、水道局では、クリーンアップ貯水槽と銘打ち、積極的に管理状況の調査や指導を行っており、そのことは評価できます。
 一方、貯水槽水道は、直結給水と比べて残留塩素を消費しやすい構造であるとのことです。一部には、居住者の減少などで水使用量が変化し、滞留時間が長い施設があると聞いています。何らかの手だてを講じていくべきではないでしょうか。また、クリーンアップ貯水槽において調査を拒否された例もあると聞いています。
 そこで、これまでの成果と今後の貯水槽水道対策について見解を伺います。
 次に、利便性向上の観点から、給水装置工事の申請手続について伺います。
 現在、給水装置工事を実施する場合には、現状の図面の閲覧、工事や検査の申し込みなど、水道局へ何度も足を運ぶ必要があります。水道局で検討中の電子申請が導入されれば、窓口へ出向く回数や待ち時間軽減など、工事店にとって大きなメリットがあります。また、工事店のパソコンから図面を閲覧できるようにすることも有効だと考えます。一方、工事店の中にはパソコンにふなれな小規模事業者も多いことから、使いやすいシステムにすることはもちろん、十分な周知期間、準備期間を設けるよう、強く要望したいと思います。
 そこで、電子申請導入に向けた検討状況、また、中小規模の工事店にはどのような配慮を行うのか伺いまして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 神林茂議員の一般質問にお答えいたします。
 都の来年度予算と国政の動向のかかわりについてでありますが、経済情勢は厳しさを増しておりまして、景気が二番底を迎えるおそれもあるなど、都財政はますます厳しい環境のもとに置かれております。そうした中で来年度予算を編成することになりますが、都にも大きな影響を及ぼす新政権の国政運営がどうなっていくかは大きな懸念材料でもあります。
 政治は、ただ時流に便乗するだけではなく、将来もしっかり見据えながら、打つべき手を時期を逸することなく打っていかなければならないものだと思います。地方主権を標榜する新政権が、国の都合で地方に財政負担をつけ回すようなことは絶対にあってはならないと思います。ぜひとも地方主権の理念を貫いて、しっかりとした来年度の国家予算を編成してもらいたいと思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、連続立体交差事業の高架下利用における都の役割についてでありますが、連続立体交差事業は、踏切の遮断による交通渋滞や地域分断を解消するだけでなく、道路ネットワークの整備や沿線のまちづくりの促進に極めて効果の高い事業であり、都が事業主体となり、道路整備の一環として実施しております。本事業により新たに創出される高架下は、貴重な都市空間であり、地域のまちづくりの視点から、有効に活用することが重要でございます。
 このため、利用計画の策定に向け、都は、事業の進捗に応じて、地元区市及び鉄道事業者と高架下利用検討会を設置し、沿線のまちづくりや地元要望等を総合的に勘案しながら、主体的に調整を行っております。
 次に、京浜急行本線・空港線連続立体交差事業のスケジュールと高架下利用についてでございます。
 本事業は、第一京浜や環状第八号線に唯一残された踏切など二十八カ所の踏切を除却し、交通渋滞を解消するとともに、羽田空港へのアクセス向上にも寄与する極めて重要な事業であります。現在、高架構造物の工事を実施しており、来年春に上り線を高架化いたします。引き続き下り線の工事を進め、平成二十四年度に全線高架化し、すべての踏切を除却する予定であります。
 本事業における高架下利用につきましては、利用計画の検討、調整を行うため、本年六月に、都、地元区及び鉄道事業者で高架下利用検討会を設置いたしました。現在、検討会において利用可能な箇所や面積などについて検討を進めており、今後とも地域のまちづくりに資する高架下利用計画の策定に向けて取り組んでまいります。
 最後に、公共の用に供する施設及び公共的な施設の高架下利用についてでありますが、駐輪場などの公共の用に供する施設につきましては、地方自治体は、鉄道事業者と協議の上、高架下に設置することができます。都はこれまで、高架下利用検討会において、地元要望も踏まえながら、まちづくりの観点から必要性の高い駐輪場や公園などの施設の設置について高架下利用計画に反映させてまいりました。
 また、集会所などの公共的な施設で地元区市が設置するものにつきましては、検討会において、沿線のまちづくりや地元要望等を総合的に勘案し、引き続き検討してまいります。
 今後とも、高架下の有効利用に向けて取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 二点についてお答えを申し上げます。
 まず、介護人材の確保策についてでありますが、東京における全産業の有効求人倍率が〇・五七倍と深刻な就職難の中、介護分野におきましては人手不足が続いておりますことは雇用のミスマッチであり、ご指摘のとおり、早急に解消を図るべき課題と認識をしております。
 このため都は、緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用し、離職者等が介護施設などで雇用され、働きながら介護福祉士等の資格を取得することを支援していく事業を実施いたします。
 なお、本事業の対象者といたしましては、高等学校の卒業予定者等も想定しており、雇用機会の創出と人材確保を同時に実現する取り組みとして効果が高いと考えております。
 今後、ハローワークや教育機関等の関係機関と連携し、介護人材の確保、育成に努めてまいります。
 続きまして、介護職員の処遇改善や資質向上についてでありますが、国は本年四月、介護職員の処遇改善等を目的に介護報酬の増額改定を行いました。また、さきの国の補正予算におきましては、都道府県に基金を造成し、介護職員の給与水準の向上を図るための事業や、代替職員の確保により研修の受講を支援する事業が創設をされました。さらに、都では今年度から、介護職員の国家資格取得に取り組む事業者に対する支援などを独自に実施しております。
 今後とも、引き続き基金事業も積極的に活用しながら、介護職員の処遇改善や資質向上に取り組んでまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、貯水槽水道対策の成果と今後の取り組みについてでございますが、当局では、貯水槽水道の適正な管理を促進するため、平成十六年度から、すべての貯水槽水道を対象に、適正管理に関するパンフレットを配布するとともに、管理状況や設置環境、水質などの点検、調査を行ってまいりました。これまでに、直結給水に切りかえられたものや点検拒否等を除く約十万件の調査を行い、管理に不備のあった施設には、設置者に対して指導助言を行いました。
 中でも、水質に問題のあった施設に対しては、保健所と連携して迅速かつ適切な対応を行ってまいりました。これらにより、多くの施設が改善されるとともに、設置者の管理意識が向上するなどの効果が得られました。
 今後は、新たな取り組みとして、タンク内での水の滞留時間が長いなど水道水に必要な残留塩素を消費しやすい施設に対して、その要因を把握するとともに、タンクの水位調整など具体的な改善策を提案してまいります。さらに、点検を拒否された施設の設置者に対しては改めて協力を求めるなど、適正管理の徹底を図ってまいります。これらの取り組みの着実な実施により、貯水槽水道における安全でおいしい水の供給に努めてまいります。
 次に、電子申請の導入に向けた検討状況についてでございますが、電子申請システムにつきましては、平成二十三年度の運用開始を目指し、現在、その準備を進めております。また、給水装置の図面検索システムにつきましては、既存図面の電子化を進めるとともに、平成二十五年度の導入に向けた検討を行っております。
 電子申請の導入に当たりましては、ご指摘のとおり、一部の指定事業者におきまして、申請方式の変更に速やかに対応できないなどの状況が考えられます。このため、申請様式の簡素化や、入力内容を画面上から簡単に選択できるようにするなど、指定事業者の負担とならないよう、使いやすいシステムを構築してまいります。
 これに加え、現行の申請方式も一定期間継続するとともに、操作講習会の開催や相談窓口の設置など、サポート体制を整備いたします。こうしたことを踏まえ、利便性の高い電子申請システムの構築に向けて着実に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時二十一分開議

○議長(田中良君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十一番田の上いくこさん。
   〔三十一番田の上いくこ君登壇〕

○三十一番(田の上いくこ君) 大きく三項目にわたり質問をさせていただきます。
 まず、東京都の臨時職員についてです。
 昨今では、地方自治体の職員の半数ほどが非正規職員ともいわれ、都でも大きな割合を占めるようになりました。東京都の職員数は、四月一日現在、知事部局だけで二万七千四百三十一名、任期つき職員や再任用などを含めると二万八千七百七十一名です。しかしながら、この中には派遣職員、非常勤職員及び臨時職員は含まれず、条例定数に入らない労働者は六千九百九十一名ほどです。
 昨年、総務省が臨時・非常勤に関する調査を行いましたが、そのときの集計では、東京都の臨時職員の数はゼロでした。東京都でも臨時職員は雇用されていますが、六カ月以上の任用に限るため、カウントされていないのでしょう。
 臨時職員は、地方公務員法により、六カ月の期間で更新一回、最長一年の任用となっていますが、都の場合は短く、原則二カ月以内、最長六カ月です。内容は、臨時的というより恒常的なものが多いとも聞きます。ケースによって異なりますが、二カ月で終了し、また新たに二カ月、またさらに二カ月、そうして六カ月働くようになると、一定程度間をあけ、また新たに雇用される、こうして何年も働いている人もいます。同一の職に再度任用されたのではなく、あくまでも新たな職に任用という解釈であり、法律違反ではありません。新規雇用ですから、その都度履歴書を提出します。二カ月ごとで六カ月だと三回提出。通算で複数年働いている人は、三年で十八回、五年であれば三十回も同じ東京都に履歴書を提出することになってしまいます。
 都の臨時職員の社会保険は、健康保険法、厚生年金法、雇用保険法の定めるところとなっていますが、多くが一、二カ月で新規任用を繰り返している中、適用対象の方はどの程度いるのでしょうか。総務省の調査でカウントされない臨時職員は、個人で追った場合に、どのくらいの期間でどのような仕事についているのか、更新回数や通算年数はどれくらいなのか、実態を把握すべきと考えます。
 臨時的任用は、地方公務員法二十二条により、一年以内に廃止が予定される臨時の職または緊急の職に人を任用できるとされています。東京都の場合は六カ月ですが、臨時職員個人が期間内の雇用ならよいという意味ではありません。一年を超えて入れかわりで同じ職にだれかが任用されているということはないのでしょうか。職という視点での臨時性の調査も含めて実態調査を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 非常勤職員や臨時職員は労働基準法が適用されます。例えば、産前産後休業、育児時間、生理休暇などです。しかし、実際に適用している自治体は多くありません。なかなか子どもが授からなかった臨時職員の女性がようやく妊娠し、流産をしたという話を聞きました。正規職員の場合、妊婦通勤時間は、交通の混雑を避けるため、六十分以内の休暇が認められています。本来であれば、臨時的任用職員は、特定の事項を除き、身分取り扱いについて原則常勤職員と同じ規定が適用されなければなりません。
 男女雇用機会均等法では、母子保健法による保健指導または健康診査を受けるために必要な時間を確保することや、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならないとされています。また、地方公務員法では、職員の勤務時間その他給与以外の勤務条件について、国や他の地方公共団体との間に権衡を失しないように考慮が払われなければならないという原則があります。他の自治体の例を見ながら取り扱いを検討してもよいのではないでしょうか。
 現在は臨時職員取扱要綱になっていますが、勤務時間や休暇、保健指導にかかわる項目など勤務条件についても周知が図れるように、条例もしくは規則で定めるなど検討をするべきと考えますが、いかがでしょうか。また、法的、社会的要請を踏まえ、臨時職員のあり方について東京都の所見を伺います。あわせて、改善する計画があればお聞かせください。
 東京都は雇用支援プログラムに力を入れ、「十年後の東京」の目標の一つに、意欲あるだれもがチャレンジできる社会を創出するとあります。施策では、意欲ある人材の就業を促進し東京の活力を向上とし、正規雇用に向けた就業支援を推進しています。
 昨年から施行されている改正パートタイム労働法では、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保が示され、能力を発揮できる雇用環境について事業主が講ずべき措置等が定められました。公務員は適用除外とされていますが、総務省の研究会報告書では、民間労働法制の動向も念頭に置くことが必要と考えられると指摘しています。意欲あるだれもがチャレンジできる社会を創出するために、東京都も臨時職員の労働状況をしっかりと認識し、希望や意欲、能力や適性によって非常勤職員等への移行などを考えていくべきではないでしょうか。東京都は、職員向けのサイトを通して臨時職員の募集をしていると聞きます。経験のある人に任される仕組みならば、なおさら必要な職に必要な人材をつかせる視点が肝要と考えます。
 人は勤労の意欲を持ち、継続することや向上することによって仕事の効率性や生産性を高めていきます。現代は多様なライフスタイルや働き方があり、それを求める人たちもいますが、一方、昨今の雇用情勢の悪化で、非正規雇用に甘んじている人たちもたくさんいます。
 私たち民主党は、コンクリートから人へという言葉を掲げ、大きな政策転換を目指しています。民間がモデルとし、追随すべき東京都で、安く活用から成長的人材活用へとシフトする姿勢を打ち出していかれればすばらしいと考えます。今後の東京都の行政を担う人材活用について、知事のお考えをお聞かせください。
 江戸川を挟んで市川市に通じる補助二八六号線に都県橋がかけられようとしています。ゼロメートル地帯が七割を占める江戸川区は、水害発生時に対岸に避難するための橋が必要とし、さらに、災害時の帰宅困難者のために、篠崎公園と千葉県側の大洲公園、二つの防災拠点を結ぶことを重要としています。現時点で、東京都や千葉県、市川市が進める方向にないことから、もともと計画されていた十五メートルの幅員を半分の七・五メートルに分割して、江戸川区施行の事業として進めるというものです。延長四百三十メートル、幅員七・五メートル、緊急車両は通行できるとはいえ、基本的に人道橋であり、非常時のための橋という位置づけです。残りの半分はいつか千葉県側がつくるという想定の細長い橋は、東京都が事業主体にならなくても進められていくわけですが、この事業について、都はどのようにかかわっているのでしょうか。
 そこで、こうした例を踏まえて、都市計画交付金について質問します。
 現在の二十三区の都市計画事業には、特別区都市計画交付金制度が運用されています。都施行の都市計画事業は一般財源が使われますが、区施行の場合は、国庫補助等の特別財源、残りの地方負担額について、都市計画交付金と地方債収入相当額としての特別区財政調整交付金が支給され、全額確保される仕組みとなっています。区の事業であっても財政措置がしやすく、自治体にとっては使いやすい制度です。しかし、都市計画交付金をめぐっては、各区が競って申請している状況も見受けられます。
 特別区は、本来基礎自治体が行う都市計画事業の財源である都市計画税が都税とされている中で、特別区が行う都市計画事業の財源を確保する観点から設けられている交付金であるとし、実績に見合う配分にするべきだと主張しています。予算は毎年増額され、二十年度は百八十五億円、二十一年度は百九十億円となっています。実際はどの程度が適当な金額なのでしょうか。
 都市計画交付金は、総事業費の国庫負担金等を除いたおおむね二五%となっていますが、実際は、申請が少なければ、その交付割合は三五%までふえる仕組みで、毎年使い切りの予算となっています。平成元年以来、予算執行率は、十五年度、十六年度を除いてすべて一〇〇%、昭和六十三年までは一律であった交付率が、平成元年から対象事業の伸びが見込まれるという理由で、前後一〇%の弾力的運用をすることになりました。特別区からの申請事業が多い場合には、この運用で新たな予算措置をしなくても済みますが、事業数が少ない場合は増額になります。こうした中、都市計画交付金制度は要綱で定められ、交付額の算定方法は特別区都市計画交付金算定要領で決められています。さまざまな課題を踏まえ、透明性を図る努力が必要と考えますが、ご所見を伺います。
 地方分権、地域主権といわれる中、地域のことは地域で決めるのが当たり前でしょう。しかし、現在の都市計画交付金は、都税として課税、徴収された都市計画税を財源とし、また目的税となっているため、もし一括交付されたとしても都市計画事業にしか使えず、必要のない事業を誘発する可能性もあります。
 今後の制度はどうあるべきでしょうか。十年前、二十年前と違って、公共事業そのものが減少傾向にある現代において、既に都市整備が充実している区もあります。都市計画交付金制度に対する認識について、東京都の所見を伺います。
 次に、入札契約制度です。
 東京都は、入札契約制度改革研究会を立ち上げ、十月に報告書を発表するに至りました。一般競争入札の適用拡大とともに、総合評価方式の適用拡大が示されていることに期待をするものです。
 公共工事の品質確保の促進に関する法律の制定から、入札の判断基準は価格のみではなくなり、入札を政策手段にする、価格基準から社会的価値基準へ転換する時代になりました。現在は、公共工事の約五%が総合評価方式の対象実施割合だと聞きます。適用工事を全工事の二割程度にするという目標がありますが、どういった工事が対象となり、目指すところは何でしょうか。価格だけを重視するのではなく品質を重視するために、技術力評価型に力点が置かれていることも理解しますが、一方、政策目的実現への寄与については、来年度中に実施となっているものの、具体的に見えてきません。
 入札制度は、政策実現において企業への働きかけが一番簡単な方法であり、かつ、今までなかなか進まなかったことが実現に向けて大きく寄与する方法です。評価基準は、環境配慮、雇用を含む福祉、育児、介護を含む男女共同参画社会への貢献、公正労働などが大きく挙げられ、点数配分も重要です。法定雇用率が未達成の企業も多い中、なかなか進まない障害者の雇用を促す、ひとり親家庭の貧困率が五四・三%との報道もありましたが、母子家庭の母や生活保護受給者など就職困難者の採用で自立支援を促すこともできます。また、野田市の公契約条例の例もありますが、評価項目に下請、孫請など労働者の状況を設定することも可能です。社会的純便益の最大化を目標とした総合評価方式の導入について、都の見解を伺います。
 アメリカでは、一九六〇年代に人種差別禁止を、七〇年代に女性差別禁止を、公共工事や請負についてルール化し、差別是正の計画立案を義務づけ、規制、監督がされました。オバマ大統領が誕生した背景ともいえます。
 公共工事だけでなく、業務委託や請負などにも、その特性に応じた政策実現を目的とする総合評価方式を導入するべきだと考えますが、いかがでしょうか。契約金額や実績に差がつきにくい分野は、政策誘導により評価がしやすくなり、さらに実現に向けても効果が高いと考えますが、ご所見をお聞かせください。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 田の上いくこ議員の一般質問にお答えいたします。
 都の人材活用についてでありますが、後ほど局長から詳細にご答弁申し上げますけれども、臨時職員は、地方公務員法で、緊急または臨時の業務に限って活用する職として明確に位置づけられておりまして、常勤職員とは異なるものであります。したがって、常勤職員のように成長的人材活用の職として位置づけることはそぐいません。都の常勤職員の採用試験は広く門戸を開放しておりますので、意欲のある臨時職員の方は、ぜひこれに挑戦していただきたい。
 都には日本の最も先鋭的な課題が表出しておりまして、都庁に勤めるすべての職員の能力を最大限に活用して、これらの課題の解決に向けて取り組んでいきたいと思っております。ゆえにも、有為な人材の活用は年齢に限らず門戸を開いておりますので、それにアプライをしていくことが妥当だと思います。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 七点のご質問にお答えします。
 まず、臨時職員の実態調査についてでございますが、お話にありましたように、地方公務員法では、臨時職員の任期は原則として六月を超えない範囲とされております。
 都では、その趣旨を踏まえた要綱を定め、その任用に当たりましては、任用を希望される本人から都での職歴を記入した履歴書を提出させて、過去の任用状況等を確認するなど、各所属で適切に行っております。
 また、臨時の職は、短期または季節的な業務に従事するという性格を考慮した上で必要に応じて設置しており、各局で事業を行うに当たりましては、常勤職員などを含め、それぞれの職に応じた最適な組み合わせによる効率的かつ機能的な執行体制を構築しております。したがいまして、臨時職員に関する調査を行う必要はないと考えております。
 次に、臨時職員の勤務条件の定め方についてでございますが、臨時職員制度の大枠は地方公務員法に定められており、休暇等につきましては、労働基準法や、いわゆる男女雇用機会均等法等の適用を受けております。その他の勤務条件につきましては、これらの法律に加えまして、関連する条例、規則、要綱で定められた内容に従って設定しております。
 一方、任期、勤務時間につきましては、臨時職員が緊急または臨時の職という位置づけであることから、法の枠内であることは当然ですが、それぞれの所属におきまして柔軟に設定できることとしております。
 したがいまして、条例、規則で臨時職員の勤務条件を一律に規定するよりも、現行の運用は適切かつ合理的であると考えております。
 次に、臨時職員の活用のあり方についてでございますが、地方公務員法におきましては、臨時職員はその職の性格から、競争試験や選考が義務づけられていないこと、また、正式任用に当たっての優先権がないことなど、常勤職員とは明確に区分して規定されております。
 都は、今後とも、こうした地方公務員法の趣旨を踏まえて適切に臨時職員を活用してまいります。
 次に、臨時職員の非常勤職員等への移行についてでございますが、常勤、非常勤、臨時などの職は、それぞれの性格が法律で明確に規定されております。例えば、非常勤職員は医師などの専門的知識が前提となります。その任用制度も異なることから、職員の希望等によって職の性格が変更されるものではないというふうに考えております。
 次に、特別区都市計画交付金についてのご質問にお答えいたします。
 まず、都市計画交付金の予算額についてでございますが、特別区の都市計画交付金は、区における道路や公園整備等の都市計画事業の円滑な促進を図ることを目的として、区が負担する事業費の一定割合を交付するものでございます。
 予算の見積もりに当たりましては、毎年度、各区が策定した事業計画に基づきまして、事業を精査した上で所要額を算出しております。特別区の都市計画事業の円滑な促進を図る上で、当該交付金の予算額は適切なものと考えております。
 次に、制度の透明性の向上についてでございますが、都市計画交付金の交付要綱及び算定要領は主に実務に供されるものであることから、都はこれまでも特別区など関係機関に配布しております。
 また、都市計画交付金の対象事業等につきましては、冊子やホームページ等を通じまして広く都民に公表してまいりました。
 今後、ホームページの内容の充実を図るなど、都民に向けた情報の提供に努めてまいります。
 最後になりますが、都市計画交付金制度に対する認識についてでございますが、現在、都市計画交付金の対象事業は、都市計画道路、都市計画公園、市街地再開発事業など七事業でございまして、平成十七年度以降は毎年度すべての区に交付金を交付しております。区の都市計画事業の円滑な促進に寄与しているものと認識しております。
 今後も、緑の創出や都市の防災性の向上、電柱のないまち並みの形成など、「十年後の東京」計画に掲げる目標の達成に向け、区の実施します都市計画事業の重要性は高まっております。
 都は引き続き、区の都市計画事業を円滑に促進する観点から、交付金を活用したまちづくりの推進に努めてまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 補助第二八六号線の橋梁整備についてでございますが、本路線は、千葉県との都県境を超えた道路ネットワークを形成するとともに、対岸の市川市との連携を図ることにより、防災機能の強化にも資する路線でございます。
 このうち、江戸川を渡る橋梁部が都県境にまたがること、都市計画道路の整備方針において施行区分が定まっていないことから、都はこれまで、整備手法や整備主体などの課題について千葉県と協議、調整を行ってまいりました。
 こうした中、江戸川区から、災害時の避難路や救援物資の輸送路を早期に確保するため、計画幅員の半分につきまして、みずから先行的に整備する新たな提案がなされました。
 都としては、この提案が懸案となっている地域の防災性の向上に寄与することから、主体的な取り組みを行う区に対しまして技術的な支援を行うとともに、千葉県との協議、調整をさらに進めてまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、総合評価方式についてでございますが、公共工事におきまして品質の確保を図っていくためには、価格による競争だけでなく、事業者の技術力を評価する仕組みを取り入れ、技術力にすぐれた事業者の受注機会を拡大していくことが重要でございます。そのため、工事成績などで事業者の技術力などを評価する総合評価方式の適用工事を拡大していくこととしております。
 総合評価方式の拡大に当たりましては、先日公表した入札契約制度改革の実施方針に基づきまして、年間発注件数が多い業種及びくじ引きが発注件数の一定割合を超える業種を対象といたしまして、各局別に目標を設定し、計画的に進めてまいります。
 次に、総合評価方式の導入の考え方についてでございますが、地方自治体が進めるさまざまな政策目標を実現する上で、入札契約制度を通じて事業者の自発的な取り組みを誘導していくことも、その手法の一つと認識をいたしております。
 一方、地方自治法上、公共調達の手続については、当該契約の目的や内容そのものを適正かつ合理的に実現することが一義性を求められておりまして、この両者のバランスをいかにとるかが課題でございます。
 したがいまして、総合評価方式において、契約目的や内容に直接関係のない政策目的を評価項目に設定する場合には、受注者の自由な経済活動を制約し、受注機会の確保に大きな影響を及ぼさないようにする必要がございます。
 さらに、職業安定法上、工事や業務委託契約の発注に当たりましては、雇用や労働条件等を付することについての制約がございます。
 現在、都の技術力評価型の総合評価方式では、環境ISOの認証取得の状況などを評価項目に設定しておりますが、その際には、技術評価において、工事品質の確保という契約本来の目的との間で逆転現象が生じることのないよう、配点上の差を設けております。
 今後、総合評価方式において政策目標を追加するに当たりましては、実施方針にあるとおり、対象とすべき目標の選定、それらを評価する客観的な基準や配点などについて、契約本来の目的と政策目的の実現のバランスを確保するよう、検討していく必要があると考えております。
 最後に、業務委託等において政策実現を目的とする総合評価方式の導入についてでございますが、工事契約と同様、業務委託等における政策実現を目的とする総合評価方式につきましては、契約本来の目的や性質を損なわないようにするため、実施に当たってはさまざまな課題や制約がございます。
 さらに、業務委託契約等は、一定の基準で体系化されている工事契約とは異なりまして、契約の目的や性質は多岐にわたり、履行に当たっての難易度も多種多様であることから、総合評価方式を工事契約のように一律に適用していくことにはなじみません。
 こうしたことから、業務委託契約における総合評価方式では、大規模な電算システム開発のような品質確保のための事業者の提案力や履行能力などを特に重視する必要がある契約について適用をいたしております。

議長(田中良君) 九番くりした善行君。
   〔九番くりした善行君登壇〕

○九番(くりした善行君) 私からは、まず、二〇一六年のオリンピック招致活動に関する質問をさせていただきます。
 周知のとおり、十月二日のコペンハーゲンにおけるIOC総会で、二〇一六年のオリンピック開催都市がリオデジャネイロに決まりました。東京都はこの結果を受けて、招致費用の再検証を行っていくことを表明しました。その一端についてお伺いいたします。
 まず、オリンピック招致関連事業の妥当性、公平性についてお伺いいたします。
 東京都及びオリンピック招致委員会は、招致レースに際して多くの事前活動を行ってきました。その中で使われた総額百五十億円の費用のうち、少なくとも五十三億円以上の事業が電通に発注をされており、さらに、そのうちの九九%以上、ほとんどすべてが特命随意契約という入札による競争性を除いた形で契約されております。
 特命随意契約は価格の妥当性を確保することが困難なことから、特定企業が特許を持った物品、技術等を伴う場合を除いては、できる限り競争入札に付するよう配慮されるのが一般的であります。
 しかし、とりわけオリンピック招致活動の中において、その企業しか遂行することができないという部分に対しての解釈はあいまいで、必ずしも電通でなければできないわけではなく、電通が行った方が便宜上都合がよいためといった性質のものも混在しております。
 決算委員会の中において、都営バスのラッピング広告事業は電通に特命随意契約がなされたものの、結果的に作業は他の企業に丸投げをされており、電通でなくてもよかったのではないかと指摘をされました。
 招致活動のプランを立てるオリンピック・パラリンピック招致委員会には電通から四人の社員が出向しており、都民が都の招致活動のあり方並びに公共活動のあり方に対して疑念を持つことは避けられないのではないでしょうか。
 東京都のオリンピック・パラリンピック招致本部及び招致委員会において、なぜこのように電通に発注される事業の割合が極端に高くなってしまったのか、まず伺います。
 次に、コペンハーゲンでのIOC総会における最終プレゼンテーションについてお伺いをいたします。
 プレゼンテーション実施における背景スライドや映像の作成作業、スピーチ原稿の翻訳等を含めた全体のプロモーション活動は、やはり一括して電通を通して行われました。
 この事業においては、実施前に総額七億五千万円という試算が招致委員会によってなされており、その内訳として、大きなものでは、プレゼンテーションに活用された約十分間の映像作成費用が五億円、プレゼンテーションのコンサルタント費用が四千万円という額で見積もられておりました。
 この価格をもとに電通と交渉を行ったわけですけれども、果たしてこの価格を決める上で、価格の妥当性については十分に検証されたのでありますでしょうか。
 まず、映像に関して、招致委員会が五億円の見積もりの検証材料としているのは、電通の出した見積もりと、二〇一二年のオリンピック招致に成功したロンドンは約五億円の映像作成費用をかけたという招致活動コンサルタントの口頭による情報であります。さらに、実績としては、みのもんたさんの出演した東京五輪のCM作成費用が三十秒間約四千万円であった例であるそうですが、事実でしょうか。伺います。もし事実だとすれば、正確な情報及び適切な比較対象を持たずに見積もりを行ってしまったという印象を否めません。
 私は、この費用額について、ロンドン・オリンピック招致の際に映像を作成したロンドンの企業に直接問い合わせてみましたけれども、約十四分間の映像で計百二十八万ユーロ、つまり一億七千万円の価格で契約をされたそうです。映像の長さを加味すれば、もっと安い価格でできる可能性もあるのではないでしょうか。
 同社が二〇一二年ロンドン・オリンピックのプレゼンテーション映像を作成している事実はホームページでも大々的に載っております。価格についても、問い合わせれば親切に答えてくれます。
 また、実際にコペンハーゲンで使われた映像をもとに大手広告代理店に見積もりを依頼したところ、かなり余裕を持たせた上で計約一億九千八百万円という見積もりが出てきました。スタッフの宿泊費用を一日十万円で見積もった場合でも、この価格でできるそうです。
 これらの情報から、どんなに余裕を持たせても三億円を超える見積もりは考えられないと思いますが、いかがでしょうか。その他に関連業界の方々にもお話を伺いましたが、五億円が妥当だとする人は一人もおりません。
 プレゼンテーションの費用について伺います。
 プレゼンテーションのコンサルタント費用約四千万円の積算根拠は、プレゼンテーションのコーチングを行うコンサルタントが日給約六十一万円、その他のコンサルタント四人がおのおの日給三十万円、その他、旅費や宿泊費用を七百万円と見込んで計四千万円だとのことですが、コンサルタント費用の日給約六十一万円、三十万円は、一般的な感覚から見てかなりの高額ではないかと感じるのですが、これらはどのように見積もった価格なのでしょうか。お伺いします。
 これらは見積もりの段階でのお話ではありますが、発注者側から見積もりが出されたら、受注する企業としては、その見積もりを基準に合わせてくるのは当然のことであり、見積もりを出すに当たっては、正確な情報をもとに多角的な検証を行うべきではなかったのでないでしょうか。
 見積もりの内容を伺う限り、十分にコストの妥当性について検証できていたかというと、とてもではないが都民を納得させることはできないレベルだと私は考えております。こういった配慮を十分行わず、一方的に都民に協力を求める姿勢が、オリンピック開催に世論がついてこない大きな原因になっているのではないでしょうか。
 最終プレゼンテーションに関しては、不確定要素が多数存在し、正確な見積もりを算出するのが困難なことは理解のできるところではありますが、都民の税金を扱うわけですから、価格の公正性を守る上でできる限りの工夫がなされるべきであります。
 それについては都も同様の認識と思いますが、見積もり時に十分な情報が用意されていたかについてどうお考えなのでしょうか。都の見解を伺います。
 次に、知事に伺います。
 東京都及びオリンピック・パラリンピック招致委員会は、電通が深く関与した上で、各地域でのイベント振興や広告宣伝に力を入れてきましたが、招致レースの重要な指標となるIOCによる支持率調査では、東京の支持率は、二〇〇八年六月、五九%から、二〇〇九年二月、五五・五%と逆に低下をする結果となってしまいました。
 さらに、少なくとも最終プレゼンテーションにおいては、招致関連事業に対しての情報が不足していたことから、知識、経験にまさる企業側にリードされてしまった可能性が高いかと思われます。
 私は、招致活動においてもっと自由競争が働くよう配慮を行えば、価格の適正を確保するとともに、切磋琢磨によるクオリティーの向上も望むことができたのではないかと考えます。
 都知事自身も、作成された最終プレゼンテーションの映像に関して、直前の記者会見で、情けないぐらいだめだねというコメントをされていますが、知事はこのたびの招致レースを振り返って、IOC総会を初めとするプロモーションの内容及び費用については妥当と考えているのか、お伺いをいたします。
 次に、東京都における財政改革に関連して質問をいたします。
 都は、平成十年度の決算収支が約一千億円の赤字を記録する等、財政の危機的状況に対して、平成十二年度から十八年度にかけて二次にわたる財政再建推進プランを策定し、人員の削減、事業の見直しを率先して行い、都財政の健全化に尽力してきました。
 その結果、平成十八年には、景気の回復による税収増にも助けられ、収支を十六年ぶりに黒字に転じることができました。それ以降、国の景気も堅調であったことから、都の財政はより健全な方向へと推移してきました。
 しかし、昨年のリーマンショックに端を発した景気の急激な悪化に伴い、今年度は一兆円以上の税収減が予測されております。いまだ景気の先行きも不透明なことから、支出の見直しについては急務であると知事も見解を示されました。
 ついては、一時的な対応だけではなく、むだの少ない財政体質をつくり上げていくために、事業の見直しによる経費削減は不可避であると考えますが、都の見解を伺います。
 そこで、事業見直しの一つの手段として、都での事務事業仕分けを提案したく、続けて質問します。
 先月、国政において、各省庁の事業の必要性について、民間の有識者も含めて開かれた場で議論を展開する事業仕分けが行われ、国民の大きな注目を集めました。
 各メディアの世論調査でも、前政権下においては国民の目に触れることのなかった議論が明るい場所で行われることに対しては、取り組みを評価するとの声が多数を占めております。
 行政サービスのいわば株主である国民が、そのサービス内容について触れることができなかったことに対して、いかに不満や不信感を募らせていたのかがうかがい知れるところであります。
 極めて厳しい国の財政状況においては、非常に高いコスト意識を持って仕分けに臨まねばならず、その議論内容と仕分け結果に対しては、評価が二分していることは事実であります。
 結果をどう生かすのかについては、現在慎重な議論が進められているところではありますが、行政サービスに対する評価について、透明性を確保するとともに、サービスを享受する国民がより多くの判断材料を持てるようになったという意味では、間違いなく日本の民主主義が前進をしたと私は確信を持っております。
 先日、東京都の財政委員会において、都でも事業仕分けを導入したらどうかという提案がなされました。都はそれに対し多くの課題を示しました。
 その課題の一つとして、すべての事業において既に点検を行っているというものがありました。しかし、現在、実質的な事業見直しの議論は各局にゆだねられ、評価プロセスが義務化されているわけでもありません。これでは能動的に不必要な事業の洗い出しを行っていくことは難しく、予算が狭まらない限りは、多くの場合、事業継続の判断がとられる傾向にあります。
 各局の決めた事業見直し内容の一部に財務局の見解を加えて一般公開する事務事業評価という取り組みもされておりますが、財務局の評価は、同じ行政としての目線で局の意見を補助、補完する性質のものが多く、さらに、対象となる事業数は全体からすると小さく、平成二十年度は都全体約五千事業中の百二十六事業にしか行われておりません。どの事業について評価内容を公開するのかというところに対しても、担当局と財務局の判断になるため、透明性も担保されるとはいえません。
 現在の評価方式に欠けている客観的な視点、そして、透明性を確保するために民間人を入れて各事業に対する評価を行うことは有効であると考えますが、都の見解を伺います。
 それ以外に、都は、限られた制約の中での評価に疑問がある、市民を代表していない仕分け人による評価に妥当性はあるのか、仕分け人には政策的方針がなく、評価の基準が不明確との課題を挙げましたが、事業仕分けの結果を一〇〇%予算に反映させるということであれば、あるいはそういった懸念もあるかもしれません。
 しかし、仕分けの結果や議論内容については、それ自身が拘束力を持っているものではありません。それらの情報をもとに、予算の決定はあくまで市民を代表する知事が、それに対する確認は我々議員が、それぞれ検証を徹底した上で行います。
 であれば、前述のような問題は克服することができるのではないでしょうか。仕分け人が政策的方針を持たないのはむしろ健全なことであり、それらの方々の意見に対して、政策的方針を持って実現をしていくのが我々政治家の仕事でございます。
 残念ながら、現在、都の膨大な事業に対して、議員が事業レベルでの調査を網羅的に行うことは現実的に不可能であります。それに対して、都民や有識者目線の情報量をふやすことによって、従来我々の目の十分に届かなかった行政サービスの内容について、より細やかに提案を行えるようにしていく、これは多くの国民が支持する政治主導を実現する一つのステップでもあります。
 議員がより多くの情報を集める上で事業仕分けは有用であると考えますが、都の見解を伺います。
 事業仕分けは、使い方を間違えなければ、行政に透明性と市民の声をもたらしてくれる強力なツールになり得ます。日本の最先端を行く東京都としては、国民から大きな期待を受けている事業仕分けについても意欲的に活用を検討いただけるよう強く要望をいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
   〔発言する者あり〕

○知事(石原慎太郎君) みんなあんまり興奮しないで。
 くりした善行議員の一般質問にお答えいたします。
 オリンピック・パラリンピックの招致活動経費についてでありますが、招致活動は国家間の熾烈な競争でありまして、国やスポーツ界はもとより、専門にたけた企業の力を最大限活用し、総力を挙げて取り組む必要があります。
 二〇一六年の招致活動においては、その一つとして、オリンピックを初め国際的なスポーツ大会の招致や運営に実績のある電通を活用いたしました。
 IOC総会は最後の決戦の場でありまして、全力を挙げて最終プレゼンテーションの準備を行い、本番に臨んだ結果、IOC委員や総会出席者から高い評価を得ることができました。このプレゼンテーションについては、過去の立候補都市の例など、必要な情報を収集するとともに、最少の経費で最大の効果が得られるように工夫を凝らしたつもりでございます。
 今回の招致活動で得た成果は将来への貴重な資産であり、後々に引き継いでいくため、現在、活動報告書をまとめさせております。経費全体の使途についても、監査を実施した上で明らかにしてまいります。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) まず、株式会社電通との契約についてでありますが、オリンピック招致は、熾烈な国際競争を勝ち抜くという特殊な目的を持っている事業でございます。IOCから高い評価を得るためには、招致について実績とノウハウを持つ企業を活用することが不可欠でございます。
 電通は、長野オリンピックの招致、運営に実績があること、IOCの公式スポンサー業務を行っていること、オリンピック・パラリンピック招致に関して人的なネットワークを持っていること、オリンピック以外にも陸上、水泳、サッカーなどの主要な世界大会の運営や国際的なマーケティングにかかわっていることなど、同業他社にはない実績とノウハウを有しております。実際にも、案件に応じて同業他社を入れた企画コンペを実施したことがありますが、企画提案の内容には大きな差があったというのが実態でございます。
 こうしたことから、計画策定や国際招致活動など招致に関する根幹的な業務について電通と特命随意契約を締結することが多くなり、しかも、こうした業務の一件当たりの事業費が大きいことから、委託契約における受注の割合が高くなったものでございます。
 なお、お話のありました丸投げという契約の実態はございません。
 次に、映像制作経費の見積もりについてでございますが、十月二日のIOC総会で行われました最終プレゼンテーションのかなめはプレゼンターによるスピーチと映像でございまして、とりわけ映像は、オリンピック・パラリンピックの開催を強く望む日本国民の熱い思い、開催計画のポイントを、限られた時間でIOC委員に音と視覚で訴えることができる手段でございまして、招致戦略上、極めて重要でございました。
 そのため、都と招致委員会では、最終プレゼンテーションに向けまして四本の映像、つまり、一つは一九六四年の東京大会で活躍した日本人の姿、二つ目はスポーツにかける日本の若者たち、三つ目は二〇一六年東京大会の競技会場、そして四つ目は世界を結ぶスポーツの力、この四つをテーマにした映像を作成することとしまして、過去の立候補都市の実績やコンピューターグラフィックスを使用したことを加味しまして独自に積算を行ったものでございます。
 積算に当たりましては、二〇一二年のオリンピック招致で最高の計画と称されましたパリの招致メンバーで映像作成にかかわった専門家や、パリを逆転し開催をかち取ったロンドンと契約した専門家を東京のコンサルタントとして契約し、これらの者から映像制作費用に関するアドバイスを受けるとともに、東京都が作成した映像の契約実績をも参考にいたしました。また、委託業者からも、概算額の聴取をあわせて行いました。最終プレゼンや、あるいは国内プロモーション映像、こうしたこと全体を合わせまして、総合的に経費を検討したものでございます。
 次に、最終プレゼンにおけるスピーチに係る経費についてでございますけれども、オリンピック・パラリンピック招致は、シカゴ、リオデジャネイロ、マドリードといった世界の有力都市との間の競争であり、どの都市も招致獲得に向けて世界最高レベルの海外コンサルタントを集め、活用いたしておりました。
 今回、東京の招致チームには、ロンドンやソチなどの過去の大会をかち得た経験を持つ海外コンサルタント五名をスピーチの専門家として雇い、延べ三週間にわたり日本国内で専門的な指導を行ったほか、現地においても連日、総会直前までプレゼンターに対してスピーチに関する技術指導を行いました。
 その費用の積算に当たりましては、海外コンサルタントから事前に費用提案を受けておりまして、加えて、これまでの招致活動で活用した海外コンサルタントとの契約事例と比較するなどしまして、適正に積算を行ったと考えております。
 最後に、最終プレゼンテーション経費の見積もりの際の情報収集についてでありますけれども、招致活動自体、東京都としては五十二年ぶり、我が国としましても大阪以来の八年ぶりのことでございまして、かつ、過去の活動記録も十分でないために情報も存分に集められない状況であったことは事実でございます。
 しかしながら、ただいま答弁いたしましたように、ロンドンやパリなどの最近の立候補都市の例や、海外コンサルタントからのアドバイス、また、これまでの類似事例の実績など、参考となる情報をできる限り収集いたしまして積算を行ったものでございます。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、今後の財政運営についてでございますが、これまでの二次にわたる財政再建の過程の中で、都が基金や都債といった財政の対応力を培ってきたのは、まさに常に大きな財政環境の変動にさらされる都財政にあって、都としてなすべき役割を着実に果たすための備えでございました。したがって、現下の状況の中でこれらの対応力を活用するのは当然でございますが、その前提として、さらに事務事業評価に基づく施策点検を改めて行いまして、むだをなくし、一層の効率化を図っていくことは重要でございます。
 来年度予算編成に向けましては、この事務事業評価を編成の大きな柱の一つと位置づけておりまして、厳しい財政環境のもとにありましても、真に都民に役立つ施策を構築するべく、各局と連携しながら施策を再構築して、練り上げてまいります。
 次に、事務事業評価における客観性、透明性の確保についてでございますが、まず確認をしておかなければならないことは、現在、私どもが行っております事務事業評価という制度につきましては、これは石原知事就任以来、二次にわたる財政再建という非常に徹底した厳しい、全事業にわたる事務事業の見直しを一回実施したというところがございます。その上に立って八千億もの財源を生み出して今日があるわけでございまして、それは先ほどご評価いただいたとおりでございます。
 その成果の上に立って、次にどのように事務事業というものを新しい会計制度などを使いながら時間軸の中でしっかりととらえていこうかという、新しい手法として、今、徐々につくり出しているのが、この事務事業評価制度でございます。
 そういうものとしてご理解をいただいた上で、事務事業評価における客観性、透明性の確保についてでございますけれども、都におきましても、事務事業評価の客観性、透明性は当然のことながら重要な課題と位置づけておりまして、事業の効果などを明らかにし、また、公会計手法を活用したコスト、ストック分析などを取り入れるとともに、具体的に評価の視点を示すことで客観性の確保に努めております。
 また、事業を実施するに当たりましては、民間の専門家の方々の意見を伺い、また重要な計画の策定、改定に当たりましては広くパブリックコメントを実施するなど、民間の視点も施策に反映するように努力をいたしております。今後とも、事務事業評価における客観性、透明性の向上に取り組んでまいります。
 なお、ご質問は、東京都の事務事業評価制度というのは財務局と各局の間でやっているので、同じ行政マン同士なので厳しさに欠けるのではないかという趣旨にも聞こえるようなニュアンスがあるわけでございますが、残念ながら現実には、財務局主計部は都庁全体の嫌われ者でございまして、その点はご懸念には及ばないのかと思っております。
 最後に、議員活動に資する情報収集の手法についてのお尋ねでございますが、事業仕分け、あるいは事務事業評価、いずれも個別の事業の必要性や効果などを検証して、よりよいものにしていこうという目的でしているという点では、共通だと思っております。
 議員活動に資する情報という点につきましては、都においても、さまざまな手だてによって多面的に行っておりまして、地方自治法でもいろいろ資料が定められておるわけですが、東京都の場合には、それ以外にも、都独自のデータとして毎年度、年次財務報告書を作成し公表、議会にも報告させていただいておりますし、この中では、東京都が開発した新たな公会計手法を活用して、東京都全体の財務状況について事業コスト情報、財務ストック情報、キャッシュ・フロー情報などを明らかにして、きめ細かい分析を行ってお示しをいたしております。
 これをさらに個別事業に細分化して、第三回定例会にも出させていただきましたけれども、主要施策という中で、事業ごとの財務状況としても公表いたしております。あわせて、事務事業評価制度を活用することできめ細かい事業別のコストや成果の分析を行っておりまして、この結果についても公表いたしております。
 今後とも、こうした点も含めまして、財務情報については、事業情報も含めて、これまでの取り組みを的確に進めるとともに、事務事業評価の公表などについても、より充実を図っております。よろしくお願いいたします。

議長(田中良君) 五番野田かずさ君。
   〔五番野田かずさ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○五番(野田かずさ君) 初めに、医療再生について質問をいたします。
 深刻な医師不足の中、救急医療や周産期医療などの医療現場は大変厳しい状況にあり、医療再生に向けた取り組みは急務の課題であります。こうした中、都は、救急医療の東京ルールの推進やスーパー総合周産期センターの整備など、都民の安全・安心を守るため、さまざまな先駆的な施策に取り組んでおります。
 まず、地域医療の再生に向けた、知事の基本的な考え方について伺います。
 都は先般、地域医療再生計画案を取りまとめ、小児医療や周産期医療などの確保充実を図るため、さらにさまざまな施策を講じていくこととしました。本計画は、特に多摩地域において、都立小児総合医療センターに子ども救命センターなど高次の医療機能を集積させるとともに、各地域の小児二次救急医療体制を充実させ、さらに小児総合医療センターとの連携体制を構築することにより、多摩地域全体の医療水準の向上に向け、都が積極的かつ具体的に取り組んでいこうとするものであり、我が党としても高く評価をしているところでございます。
 中でも、子ども救命センターの整備は、これまで都が整備してきた小児の初期、二次救急医療体制に加え、重篤な小児患者に対応する三次救急医療体制を整備するものと認識していますが、その役割について伺います。
 また、地域の医療提供体制の強化に当たっては、高次の医療機能の整備に加え、医療機関相互の連携体制の構築が不可欠であります。特に、大変厳しい状況にある小児医療については、国や都などが医師の養成確保に取り組んでいくとしても、深刻な小児科医不足は直ちには解決しません。こうした現実を直視し、限られた小児医療資源を有効に活用していくためには、医療機関の機能分化と連携を進めていくことこそが、多摩地域の小児医療水準の向上につながるものと考えます。
 こうしたことから、迅速適切な医療を提供するためには多摩地域の医療連携体制の構築を一層進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、都市農業について伺います。
 私の地元、東村山市、東大和市、武蔵村山市は、狭山丘陵があるものの、地域の大半は武蔵野台地の平たんな土地となっております。昔から畑作が盛んで、都内で有数のサツマイモやお茶の産地でしたが、現在では野菜や植木、花壇苗、そして果樹の割合が多くなっております。市街地に隣接した雑木林や豊かな実りを与えてくれる貴重な農地のある田園風景と、豊穣な歴史や独自の文化を支えてきた農家がしっかりと築き上げた地域社会が形成されております。
 私は、このような自然豊かな多摩の緑と、長い間培ってきた人々の営みを、未来に引き継ぐべき都民の貴重な財産として守っていきたいと考えております。しかし、農業が盛んな地元においても、農業者の方々とお話をしますと、相続による農地の減少や、農産物価格が安いなど、農業経営にさまざまな問題が起きていることがわかります。
 農家は、限られた農地で高収益を上げなければ生計が立てられないと考えております。このため、農業者の皆様は、少しでも付加価値の高い農産物をつくることにより所得をふやし、農業の継続を図ろうとされております。大量生産された農産物に比べ、おいしさや希少価値などで特徴を持ったナシやブドウなどを生産し、地元の直売所や自分の庭先で販売することにより、地域住民の評価を得ております。
 東京のように、それぞれの農家が限られた農地で付加価値の高いさまざまな農産物を生産するには大型の栽培施設が必要であり、農業経営を改善するためにも、これらの整備を支援することは非常に重要であると考えております。
 そこでまず、農産物の栽培施設などに対してはどのような支援を行っているのか伺います。
 施設の整備ばかりだけではなく、技術指導等も必要であります。農業者の皆様は、栽培技術を高め、販売戦略を立てることにより農産物の付加価値を高めたいと考えております。
 しかしながら、大地を耕す農業は、気候の変化や土壌の状態、病害虫の発生など、複雑で多様な自然条件に左右されるため、栽培技術についても地域の実情に応じたさまざまな知識と経験が必要です。また、販売戦略を立てるためには、流通や消費動向を把握するなど、情報収集も必要になります。このような農業者のニーズにこたえることが、今後ますます重要になっております。
 そこで、農業者の技術力や経営力の向上に向けた都の支援について伺います。
 おいしく希少価値がある果樹を生産している農業者の皆さんは、その価値を都民に広く知ってもらい、より一層付加価値を高めたいと思っております。都としても、積極的に後押しをしていただきますよう要望しておきます。
 ところで、東村山市では、植木や花壇苗などの生産も盛んであります。農林総合研究センターとの共同で、東京花マットという商品を開発してきた農業者もおります。
 この東京花マットは、花壇苗を並べてマット状に育成したもので、タイルのように敷き詰めることで簡単に花壇がつくれ、柱や壁面に並べることにより立体的な花の装飾ができるなど、新しい緑化の材料として画期的なものであります。しかし、日本経済の冷え込みにより、植木や花壇苗の需要が低迷し、価格も下落しております。東京花マットも同様でございます。植木や花壇苗などの販路拡大を、都はどのように支援しているのか伺います。
 都市農業の活性化のためには、まず地域農業の活性化に目を向ける必要があります。安全で安心、新鮮でおいしい農産物が生産され、地域の特産品として販売されることにより、農業者がさらに農業経営に情熱を燃やし、後継者を育て、農地を手放さずに農業が継続されることになります。このためにも、地域の特性を生かした農業施策を一層充実させていただきたいと思います。
 次に、高齢者の就業について質問をいたします。
 昨日の我が党の服部政調会長の代表質問において、高齢化が急速に進行する中、高齢者の一層の就業促進に取り組むとのご答弁をいただきましたが、さらにこの問題を深める観点から質問をいたします。
 ご承知のとおり、二〇一二年には、団塊の世代が定年後の継続雇用も終了して退職期を迎えることが予想されており、いわゆる二〇一二年問題として、企業における技能の継承や労働力確保が課題となっております。一方で、大量退職する団塊の世代のその後の働き方や生きがいをどう確保していくかも重要な課題です。
 二〇〇七年の独立行政法人労働政策研究・研修機構の団塊の世代の就業と生活ビジョン調査によれば、六十六歳になると、正社員、契約社員や嘱託などを希望する割合が一気に低下する一方で、ボランティア活動を希望する割合は一気に増加していることがわかります。
 こうした調査結果を見ても、私は、今後の団塊の世代向けの就業施策は、ボランティア、NPO、さらには地域活動など、さまざまな要素を加えて高齢者の働き方を支援していくことが必要になると考えます。
 そこで、都は、こうした新たな視点から、六十五歳を迎える団塊の世代に対する就業施策をより一層充実していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 私の地元にある東村山浄水場では、高度浄水施設が本年度末に完成する予定であります。地元も大きな期待をしておりますので、着実に事業を進めていただきたいと思います。
 ところで、水道局はこれまで、公道にある配水管のダクタイル化や鉛製給水管のステンレス化などにより耐震性の向上を図り、漏水率の低減に力を尽くしてきました。一方、私道内に布設されている給水管については、私道内給水管整備事業の実施により漏水防止、出水不良解消などに精力的に取り組み、また、我が党の要望も踏まえ、事業対象を拡大してきました。
 そこで、本事業のこれまでの取り組みと効果について伺います。
 昨日、我が党の代表質問において、水道管路の耐震強化について質問をいたしました。私は、この私道内給水管整備事業は、管路の耐震化という面から見ても非常に有効と考えます。耐震化というこの事業の意義をより明確に打ち出すことで、地域住民の理解を得られやすくなり、既存の事業の円滑な施行につながるとともに、前倒しも図れると考えます。
 これに加えて、既存の整備対象から外れる給水管にも、依然として強度の劣るものが多数布設されていると聞いております。こうした給水管が多く残っていては、安定給水の確保にも不安があります。水道局は、こうした点に着目して調査し、効果的な取り組みを検討すべきと考えます。
 そこで、今後、私道内における給水管の耐震化に向けてどのような取り組みを行うのか伺います。
 以上で私の質問を終了いたします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 野田かずさ議員の一般質問にお答えいたします。
 地域医療の再生についてでありますが、産科、小児科などの医療現場は、医師不足などにより大変厳しい状況にあります。医療機関の連携のもと、限られた資源を有効に活用し、都民の安全・安心を確保しなければならないと思います。
 都は、地域全体で救急患者を受けとめる救急医療の東京ルールの推進や、リスクに応じた周産期医療を確保するためスーパー総合周産期センターを整備するなど、先駆的な取り組みを行ってきました。
 さらに、このたび小児総合医療センターを開設するとともに、重篤な子どもを迅速に受け入れ、高度な救命治療を行う、子ども救命センターを新たに整備します。
 もとより、医師の養成や診療報酬の充実など、国が責任を持って改善を図るべき課題が多く、引き続き働きかけていきたいと思っております。
 いずれにしろ、地域医療も含めまして日本全体を覆っている医療の危機、荒廃を再生させるためには、現在の医療を含めた高福祉低負担という体制を変えなければ、絶対に物事はよくならないと痛感しております。都は都なりに医療現場を担う方々の英知を集め、地域医療の充実に全力で取り組んでまいります。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 二点についてお答えを申し上げます。
 まず、子ども救命センターについてでありますが、都は来年度、高度な三次救急医療施設として、仮称子ども救命センターを新たに四カ所整備をいたします。
 同センターでは、小児科医や小児外科医を常時配置するとともに、外科医や整形外科医等を確保いたしまして、二十四時間体制で重篤な状態となった子どもの救命治療を行ってまいります。
 また、小児救急医療の中核として、小児の二次医療機関と連携し、患者受け入れの調整を行うほか、臨床教育の拠点として、地域を支える医師の人材育成などにも取り組み、安心・安全な小児医療体制を確保してまいります。
 次に、多摩地域の医療連携体制についてでありますが、限られた小児医療資源を最大限活用していくためには、初期、二次、三次の小児医療施設がそれぞれの役割分担のもと、その機能を発揮し、重層的に連携することが重要であります。
 このため、小児総合医療センターと多摩北部医療センターなど、地域の中核病院との間で、遠隔診断支援システムの導入やベッドの空き情報の共有化などを行ってまいります。また、地域の中核病院を中心として、診療所等とのネットワーク会議や症例検討会等を実施いたします。こうした取り組みにより、小児医療提供体制を強化してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、農産物の栽培施設などへの支援についてでありますが、付加価値の高い農産物を生産するためには、栽培施設など、さまざまな農業用施設の整備が必要であります。
 このため、都では、魅力ある都市農業育成対策事業におきまして、農業者の創意工夫や都民ニーズを生かした農業経営に必要となる施設整備への支援を行っております。
 具体的には、高品質で希少価値の高いブドウを栽培するための大型ハウス、あるいは人気のある完熟トマトを長期間収穫するためのビニールハウス、また都民が家族で楽しめるもぎ取り、摘み取り農園の整備などでありまして、都は、これらの施設整備にかかわる経費の二分の一を補助しております。
 今後とも、農業経営の改善を目指している農業者が行う栽培施設などの整備について、さまざまな形で支援してまいります。
 次に、農業者の技術力や経営力の向上に向けた支援についてであります。
 農産物の付加価値を高めるには、ただいまお答えしました施設整備に加え、農業者の技術力や経営力の向上が必要であることは、ご指摘のとおりであります。
 このため、都では、地域に展開する農業改良普及センターの指導員が日常的に農家を訪問いたしまして、それぞれの農業者のニーズにこたえて、直接、技術指導や経営相談、情報提供、後継者育成などを行うとともに、農林総合研究センターにおいても、新品種や新技術の開発に取り組んでおります。
 今後も、地域や個々の農業者の実情に応じた、一層きめ細かい対応を行うことによりまして、農業者が将来にわたり安定した農業を継続できるように支援してまいります。
 次に、植木や花壇苗などの販路拡大への支援についてでありますが、景気の低迷による建設工事の減少などに伴い、緑化植物の需要が落ち込んでございます。
 このため、産業労働局では、道路や公園などの整備を行う関係各局などに対しまして、都内産植木の供給可能量の情報を提供するなどして、利用促進を図っております。
 また、花壇苗については、東京都農業祭などで機会あるごとにPRを行うとともに、来年度整備予定の街路樹モデル園におきまして花壇苗を展示し、利用方法を広く紹介してまいります。
 引き続き、さまざまな機会をとらえて、都内産の植木や花壇苗などの消費拡大を図ってまいります。
 最後に、団塊の世代向けの就業施策の充実についてでございます。
 国が行った就業実態調査等を見ても、高齢者の方々は、みずからの就業意欲や体力、また家庭の事情などに応じまして、正社員としての働き方のほか、短時間勤務やボランティア活動、さらには地域での起業など、さまざまな働き方を希望されております。こうした高齢者の方々が、希望に応じて働き続けることができる社会を実現していくためには、国の雇用政策や社会保障政策との整合性を図りながら、高齢者就業施策の拡充に取り組んでいく必要があります。
 このため、都は、団塊の世代の方々が六十五歳以上を迎えることを視野に入れまして、就業支援セミナーにおいて、新たにNPOやボランティア活動、起業等も含めたさまざまな働き方の情報を提供するとともに、多様な就業先の開拓に積極的に取り組むシルバー人材センターへの支援強化を検討し、高齢者の就業機会の拡大を図ってまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、私道内給水管整備事業のこれまでの取り組みと効果についてでございますが、私道内には複数本の長距離給水管が布設されていることが多く、漏水や出水不良の主な原因となっております。そこで、平成六年度より、給水管が三本以上布設されている私道を対象に、給水管を整理し、新たに配水管を布設する本事業を開始いたしました。
 平成十九年度からは対象範囲を拡大し、給水管が三本に満たなくても、水道を使用しているお客様が十五世帯以上ある私道につきまして、配水管を布設することといたしました。
 さらに、平成二十一年度からは、水道を使用しているお客様が十世帯以上ある私道につきましても対象とし、事業の範囲を拡大したところであります。
 これまで、約五百七十キロメートルを整備し、漏水防止や出水不良の解消に大きく貢献してまいりました。なお、今後、約八百五十キロメートルの整備を計画しております。
 次に、私道内における給水管の耐震化に向けた取り組みについてでございますが、ご指摘のとおり、私道内給水管整備事業は、漏水防止や出水不良の解消といった効果とともに、震災対策上も有効な施策でございます。
 このため、事業目的を説明するパンフレットなどに耐震性向上の事業効果を強く打ち出し、私道の地権者や近隣の住民の皆さんに理解されやすい広報に努めることで、一層の理解を得て、工事の円滑な推進を図ってまいります。
 さらに、私道内に布設されている給水管で、強度が弱く、耐震性の課題が懸念される給水管につきましても、平成二十二年度に、強度や劣化要因などに着目した、詳細な調査分析を行う予定でございます。
 既存の事業を着実に進めるとともに、耐震性の観点から、弱点となる給水管につきましても、調査結果を踏まえて対応策の検討を行い、私道内給水管整備の一層の推進に努めてまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 十六番斉藤やすひろ君。
   〔十六番斉藤やすひろ君登壇〕

○十六番(斉藤やすひろ君) 初めに、生物多様性について質問します。
 人間と自然が共生しながら多くの種類の生き物が生息する豊かな地球を目指すため、生物多様性については、一九九二年のブラジルでの地球サミットで、生物多様性に関する条約が締結されました。これを受けて、締約国会議、COP10が来年十月に名古屋市で開催されます。会議の期間中には、生物多様性に関する自治体会議も開催される予定となっております。
 都は、環境政策の理念の一つに、自然と共生する都市環境の整備を掲げ、緑化対策等に力を入れております。これに世界的潮流となっている生物多様性への取り組みを加味していくことで、今定例会の所信表明の中で石原都知事が強調された、先進的な環境政策を一段と加速することにつながると考えます。
 そこで、東京における多種多様な生き物をはぐくむ自然との共生について、石原都知事の所見を伺います。
 次に、生物多様性に向けた具体的な取り組みについて質問します。
 私が住んでいる目黒区では、生物の多様性に配慮したまちづくりを掲げ、住民参加型のさまざまな活動が展開されております。
 例えば、小学生の親子などが参加している生き物発見隊という活動では、身近に暮らす生き物を発見するために、子どもたちが区内を流れる目黒川の中に入り、アユやマハゼなどの魚やカニなどを発見し、生息している生き物を通して生物の多様性を学んでおります。
 また、目黒区の自然の姿を区民が定点観測する、いきもの気象台というユニークな取り組みも行われています。これは、国や都が指定した希少種であるオオタカ、ハヤブサ、アオバズク、ウグイスなどの鳥類、クロスジギンヤンマ、ヒグラシなどの昆虫類、ヒキガエル、アオダイショウなどの両生類、爬虫類などを発見したら写真を撮って集積し、子どもたちの環境学習などに活用されております。
 小さな取り組みながらも、地域に根差し、幅広い世代を巻き込んだこうした環境教育の積み重ねが重要であると考えます。
 そこで、都は、生物多様性の視点を含め、このような先進的な区市町村の環境教育を支援していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、緑の東京十年プロジェクトに関して、緑のネットワークについて質問します。
 現在、同プロジェクトでは街路樹の倍増や校庭芝生化などに取り組み、それらの緑と都立公園などの大きな緑とをつなぐネットワーク化を進めております。
 今後は、このネットワークの網の目をより細かくして、さらに広げていくべきと考えます。その際、本来の生態系を取り戻すために、樹木や草花の種類に配慮することが重要であります。さらに、住宅地や商業地が大半を占めている地域では、民有地の活用や住民の協力も必要であります。
 現在、建築物の新築、増改築の際の緑化施策は進んでおりますが、今後は駐車場や既設建築物の屋上などの緑化について、事例集を作成して事業者に示すなど、民間事業者が民有地を緑化しやすくなるような対応をすべきと考えます。所見を伺います。
 次に、高齢者居住安定確保計画について質問します。
 東京の六十五歳以上の高齢者人口は今後急速に増加すると予測され、超高齢社会に対応した仕組みが求められることになります。特に、高齢者にとって深刻なのが住まいの問題であります。
 私の育った目黒区南部地域は、東京でも有数の木造住宅密集地域です。災害に強いまちづくりを目指し、都市計画道路の整備や再開発が進められています。立ち退きを余儀なくされた高齢者の方々からは、周辺の家賃は高く、住み続けたくても住み続けることができないとの悲痛な声が多く寄せられております。目黒区に限らず、年金で暮らせるような住まいをぜひとも確保してほしいという声や、要介護状態になっても暮らせる住宅を確保してもらいたいというひとり暮らしの高齢者等からの要望も数多く寄せられております。
 こうした切実な声にこたえるためにも、高齢者が適切な生活支援サービスを受けながら、住みなれた地域や住宅で安心して生活が続けられる住環境を早急に整えなければなりません。
 高齢者の住まいに関しては、高齢者住まい法が平成十三年に制定され、以来、高齢者が円滑に入居できる賃貸住宅の登録促進や住宅のバリアフリー化が推進され、一定の成果をおさめてきました。
 高齢者の住まいに関する施策をさらに充実させるため、高齢者住まい法がことし五月に改正されました。大きな改正点は、都道府県が独自に高齢者居住安定確保計画を策定できるとしたこと、さらには、生活支援や介護サービスが確保された高齢者の住まいの実現を、住宅施策と福祉施策とを連携させて進めるようにした点であります。
 高齢者居住安定確保計画は東京の高齢者の住まい整備を担うものであり、早急に策定し、着実に実行していくことが求められます。
 そこでまず、安定確保計画の策定時期、基本的な考え方について、見解を求めます。
 都がこの安定確保計画を策定することによって、高齢者向け優良賃貸住宅等の基準の上乗せや緩和、公的賃貸住宅団地内の高齢者生活支援施設の整備に対する国の直接補助も可能となります。また、区市町村においては、見守りサービスのついた高齢者向け優良賃貸住宅の供給も進むことになります。
 このため、都内の自治体も注目しており、目黒区では、我が党の質問に答え、区長は、東京都の動向を踏まえ、検討組織の設置も視野に入れ、具体的な施策の検討を進めるとの意欲を示しました。
 都として、こうした意欲的な自治体にこたえ、高齢者の安心の住まい確保に向けた施策を構築すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、新型インフルエンザ対策について質問します。
 新型インフルエンザの流行が全国的に広がり、一部地域では流行拡大によって医療機関に長い行列ができるなど、パニックに近い状況も見受けられます。都内でも今後さらに患者が急増する事態になれば、同じような状況になりかねません。
 我が党は、第三回定例会で、こうした事態が都内で発生しないように、医療機関の協力を求めて、土日、祭日、夜間も十分に対応できる安心の体制を構築すべきと主張しました。都はこれを受けて具体的な体制を構築しているとお聞きしておりますが、今後は、患者が多く発生している小児の診療体制の強化、さらには外来診療体制の充実に取り組む区市町村への財政支援を十分に行うべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、新型インフルエンザ用ワクチンの接種について質問します。
 現在、都内でも優先接種対象者への接種が進められておりますが、国の供給するワクチン量が十分でないため、医療機関での予約がとりにくいなど、多くの接種希望にこたえられない状況が続いております。
 また、ワクチン接種事業は、国が直接契約した受託医療機関において接種が行われ、接種費用が全国一律とされているなど、国の事業として実施されるものである以上、負担軽減措置も全国一律であるべきです。にもかかわらず、国がワクチン接種の費用負担など最終的な対応を各自治体にゆだねたため、現実には、接種費用に対する独自の助成措置を講じている自治体と、実施していない自治体との差が生じております。
 費用についても国が責任を持つべきであります。自治体の財政力等によって、あたかも命の安全を守る医療に格差があるかのような不公平感は、絶対に生じさせてはなりません。今後の対応について都の見解を求めます。
 今週は障害者週間であります。本日はその最終日で、障害者の日と定められております。障害者には、心臓機能、腎臓機能、呼吸機能、膀胱または直腸機能、小腸機能、免疫機能のように外見からは全くわからない、体の内部に機能障害を持った内部障害者が多数おられます。
 先日、内部障害者の方にお話を聞いた際、通勤電車の中で優先席に座っているときに、外見では障害があることがわからないため、周囲の乗客から厳しい視線を向けられ、あなたは若いのだから譲りなさいよといわれることも多々あるとのことでした。
 同じような悩みを持つ方々がグループを結成し、内部障害者であることをあらわすハート・プラスマークを作成しました。このマークが社会にもっと知られていれば、内部障害者がこうしたつらい経験をしなくても済むとの思いで、社会の理解と協力を呼びかけております。
 東京が目指すユニバーサルデザイン先進都市は、ハード面だけでなく、ソフト面での取り組みが極めて重要であります。内部障害者対策でいえば、私は、社会全体が内部障害者の存在を認識するために、このハート・プラスマークを都の広報紙や都が提供するテレビ番組を利用するなど、都はあらゆる機会を使って訴えていくことが大事だと考えます。都の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 斉藤やすひろ議員の一般質問にお答えいたします。
 東京における自然との共生についてでありますが、いかなる地域であろうと、人間は、自然との共生なくしては存在し得ません。
 奥多摩の山々や小笠原諸島のような動植物豊かな大自然がある一方で、ビルに囲まれた都心の中にも、樹木が茂り、野鳥や昆虫などの生き物が生息している公園や緑地があるなど、東京には多彩な自然があります。
 都心で貴重な自然と都民が触れ合うことのできる広大な神宮の森などは、明治天皇が亡くなられた後に、有志の方々が植樹した結果であります。こうした先人の努力を範として、東京の多彩な自然を守り、育てながら、自然との共生をさらに実感できる東京の実現を目指していきたいと思っております。「十年後の東京」計画もその一端であります。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、環境教育についてでございますが、お話のように、身近で多様な生き物の観測などを通じて、身の回りの自然について学ぶ環境教育に区市町村が取り組むことは意義深いと認識しております。
 都は、今年度から地球温暖化対策等推進のための区市町村補助制度を開始し、地域の特性に即した地球温暖化対策や緑化推進に取り組む区市町村を支援しております。今年度は、環境教育と連動した、児童生徒等による植樹活動などを補助しており、今後とも、先駆性や他地域への波及効果が高い区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、民有地の緑化の推進についてでございますが、都市部で緑化を進めるためには、民有地も含めたあらゆる都市空間で、さまざまな工夫により新たな緑を創出していくことが重要でございます。
 本年十月から緑化計画書制度における緑化基準を強化し、建物の新築、改築時の緑化を推進しております。
 さらに、駐車場緑化の拡大や既存建築物の屋上緑化の推進を図るため、これまでに都が行ったモデル事業や民間施設での先行事例について、設計や維持管理に参考となる情報などを取りまとめた事例集を作成してまいります。加えて、事業者への説明会を開催しまして、これらの事例集などを用いて、民有地における緑の創出を働きかけてまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 高齢者の住まいに関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者居住安定確保計画の策定についてでございますが、高齢者の居住の安定を確保していくためには、高齢者の多様なニーズに応じたケアつき住まいの提供などを計画的、総合的に進めていく必要がございます。
 このため、高齢者向けの賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標や、目標を達成するための必要な取り組み等を内容といたします高齢者居住安定確保計画の来年度の策定に向け、都市整備局と福祉保健局とが連携いたしまして、積極的に取り組んでまいります。
 次に、意欲的な自治体にこたえる高齢者の住まいの確保に向けた施策についてでございますが、高齢者向け優良賃貸住宅など、バリアフリー化され、緊急時対応、安否確認等のサービスの利用が可能な住宅の供給を促進するためには、区市町村との緊密な連携が重要でございます。
 このため、高齢者向け優良賃貸住宅の事業主体でございます区市町村に対して、これまで以上に積極的に制度の活用を働きかけるとともに、高齢者向けの賃貸住宅と介護関連施設等の併設を促進するなど、住宅施策と福祉施策との連携を図ってまいります。
 さらに、先駆的事例の情報提供や、都と区市町村の関係部局の連携体制の構築などにより、高齢者の住まいの安定確保に向けた施策を一層推進してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えを申し上げます。
 まず、新型インフルエンザ対策についてでありますが、都は、患者の増加に備え、都内の医療機関、医師会、区市町村などに対し、入院及び外来診療体制の強化を要請するとともに、小児患者の入院対応が可能な病院については、東京消防庁の救急医療情報システムに表示し、円滑な受け入れ体制の確保を図ったところであります。
 区市町村が確保する外来診療体制につきましては、日曜日や祭日、夜間帯に診療時間の延長や医師、看護師の増員などの強化を図った場合に、臨時的な財政支援を行ってまいります。
 次に、ワクチン接種についてでありますが、今回のワクチン接種は、個人の重症化予防が主な目的でありますことから、接種費用については、実費相当額が自己負担となっております。国の方針を踏まえた接種費用の負担軽減については、都内すべての区市町村が減免措置を講じております。また、都も所要の経費を負担することとされております。
 都はこれまでも、ワクチン接種が円滑かつ確実に行えるよう、国の責任において実効性ある仕組みを構築し、必要な財源措置を講じるよう提案要求をしてきており、引き続き国に対して強く働きかけてまいります。
 最後に、ハート・プラスマークの普及についてでありますが、内部障害者の方は、身体障害者手帳交付者の四人に一人を占める状況にありますが、外見からはわかりにくいという特徴がございます。このため、内部障害者であることを示すハート・プラスマークについては、広報紙等において周知を図るとともに、毎年十二月初めの障害者週間のポスターでも紹介し、普及に努めております。
 今後も、都民の障害者に対する理解を促進するため、ご提案も含め関係局とも連携し、普及啓発に努めてまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分休憩をいたします。
   午後四時五十七分休憩

   午後五時十五分開議

○議長(田中良君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十四番岡田眞理子さん。
   〔五十四番岡田眞理子君登壇〕

○五十四番(岡田眞理子君) 私からは三点、築地市場に関して、特別支援教育に関して、そして都営大江戸線勝どき駅に関して質問いたします。
 まず、築地市場に関して伺います。
 二週間ほど前の新聞記事に、東京都がことし九月に初めて実施した築地市場の来場客調査で、観光などの目的で訪れた客の数が休日の一日で約三万三千人に達していたことがわかったとありました。平日でも約一万三千人が来場し、これは上野動物園の一日平均入園者を超えているということです。
 外国人観光客も全体の七%程度いるということからも、築地という市場が世界ブランドとなっていることがうなずけます。今や雑誌やテレビなど、メディアで築地が取り上げられることが多く、全国的にも東京の観光名所の一つとして知られているところです。
 さて、石原知事は、日本が世界第二位の観光赤字国であることから、観光を産業としてとらえ、東京を世界の観光都市にするために改革に着手すると、かつておっしゃられていたと記憶しております。
 観光とは、移動、食事、買い物、宿泊などを初め、さまざまな経済活動をすることでもある。日本を訪れる外国人がふえれば運輸や宿泊、飲食業など多くの産業に経済効果が波及し、新たな雇用の創出にもつながる。このような観点から考えると観光は巨大産業であることは明白であると、「NETで発信石原慎太郎」にも掲載されていました。
 こうして考えてみますと、これだけ築地が東京、日本だけではなく、世界のブランドとして名をはせていることを石原知事はどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。まちの人や観光に訪れている人が、なぜ築地にこんなに人が集まっているのに、市場をよそへ持っていこうとしているんだろうと、市場の移転は解せないといった疑問を投げかけてきています。
 築地だから、銀座や日本橋が近場にあって、便利だから人が集まるのだなどといった観光客の声もあります。今東京随一の観光拠点となっているものを、この築地市場の抜群の集客力をどうとらえ、市場移転問題に絡めるのか。築地を守ろうとしている市場関係者や中央区民のみならず、東京都民、日本国民も注視するこの問題に関して、東京都の観光事業に力を入れていらっしゃる東京都知事としてのお立場からの石原知事の所見をお伺いいたします。
 次に、先日、午後十一時半ごろに築地市場を視察いたしました。私たち民主党新人議員では、その前にも築地市場を朝四時半から視察をしております。午後十一時半に視察をした折、買い荷保管所など場内至るところであちこちに積み荷があり、それには大手量販店名の書かれたメモが張ってあったり、実際に行き先の店の名が書かれたメモを張っている作業を行ったりしている様子を目の当たりにいたしました。
 市場の決まりでは、取引は早くても午前一時から始めることとなっているようですが、一体どうなっているのかと疑問に思っていたところ、二週間ほど前の毎日新聞に、午前一時に競り場のそばに積まれた荷物を指さして、場長がこれはスーパーの物流センター行きだなといったとの記事が載っていました。やはり視察したときと同様に、この記事を見る限りでは、販売時刻以前に取引が終わり、既にスーパー行きの物品が積まれているようです。
 そこでお尋ねいたしますが、この販売時刻前に行われている行為は、市場法、条例に基づいたものなのでしょうか。また市場には転送荷物と通過物があるようですが、この区別はどのように管理を行っているのでしょうか。これも条例にのっとった管理が行われているのでしょうか。見解を伺います。
 続けて、これら取引に関して、抜き打ち検査をしていると聞いていますが、この検査からどのような結果を得て、その分析や活用はどのように行っているのでしょうか。伺います。
 次に、「サンデー毎日」の十二月六日号に、東京都が天下りした築地市場関連団体に関した記事が出ていました。市場移転を推進しているのがまさしくここに書かれた団体でありますが、ここに東京都のOB二十人近くが天下りしていたという、この事実をどう受けとめておられるでしょうか。新市場建設推進協議会に入っていないのが仲卸の東京魚市場卸協同組合で、ここには天下りはありません。とすると、これら天下りが何かしら移転問題にも絡んでいるのではないかとの疑念を持たざるわけにいきません。
 そこでお伺いいたします。さきの質問にも深くかかわります市場の管理や運営に、そして公正取引に天下りの問題は大きな影響があると考えられますが、都の説明を求めます。
 二点目として、特別支援教育に関して質問いたします。
 都立大塚ろう学校城南分教室小学部の来年度以降の募集を停止する方向性が示されました。これに伴い、今後は、聴覚障害教育の地域での充実が重要になってくると思われます。
 そこで、区市町村の小学校に設置されている難聴通級指導学級が聴覚障害のある児童の教育の場として大きな役割を果たすことが求められます。また、通常学級に在籍する学習障害、LDや注意欠陥多動性障害、ADHDなどの発達障害の児童への対応も急務となっています。
 発達障害の児童は、現在は、言語障害や情緒障害等の通級指導学級での対応となっている例が多いのが現状であります。以上のことから、これまで以上に各区市町村にある通級指導学級に対する児童や保護者のニーズが高くなっています。
 そこで、現在の各区市町村立小学校にある通級指導学級を調べてみますと、都内六十二区市町村のうち、難聴通級指導学級を設置しているのは二十区十四市、言語障害通級指導学級を設置しているのは二十一区十八市、情緒障害等通級指導学級を設置しているのは二十三区二十六市と二町五村となっており、すべての区市町村に設置されていない状況がわかります。
 子どもたちは地域の中で、地域の子どもたちとともに教育されることが望ましいと考えます。障害のある子どもたちが成人し、社会の中で自立した生活を送れるようにするためにも、教育現場でのノーマライゼーションの考えが根づき、実践されることが必至であると考えます。聴覚障害のある子にも、言語障害のある子にも、発達障害のある子にも、地元の学校で教育を受けられる環境づくりやシステムの構築が重要であります。
 そこでまず、障害のある子どもが居住する地域の特別支援教育を充実するためにも、すべての区市町村に通級指導学級を設置するべきと考えますが、見解を伺います。
 また、小中学校の通常の学級に在籍している聴覚障害のある児童に対して特別な指導を行う通級指導学級「きこえの教室」がありますが、この「きこえの教室」での教育をこれまで以上に充実していくためには、専門性の高い教員の配置が必要であると考えますが、所見をお伺いいたします。
 過日の文教委員会で大塚ろう学校城南分教室の小学部が募集停止となり、ろう学校に在籍する子どもの保護者の多くは、地域の小学校や中学校に設置されている難聴通級指導学級の取り組みを十分にご存じないのではないかと思います。
 私は約十三年間、難聴・言語障害通級指導学級に勤務しましたが、通常学級に在籍しながら「きこえの教室」に通う子どもたちは、コミュニケーション能力や学習能力の点で、周囲のたくさんの子どもたちに支えられながらさまざまな体験を積み、必要な能力を身につけていきます。このことは障害のない子どもたちにとっても大きな体験であり、社会勉強となっています。
 「きこえの教室」に通級し、通常学級で過ごした高校生のNさんがファストフード店でアルバイトをして、カウンターでの接客業を任せられたということ、その喜びの報告をもらいましたが、これもやはり通常学級で過ごして、コミュニケーション能力を高めた、その成果だと思われます。
 このようなことからも、もっと障害のある子どもを持つ保護者の方や子どもたちに向けて、小中学校における通級指導学級を含む特別支援教育の取り組みを周知するべきだと思いますが、見解を伺います。
 三点目に、都営大江戸線勝どき駅の混雑対策に関して伺います。
 大江戸線が開業して、はや九年が経過しようとしております。この間、乗客数は順調な伸びを示していると聞いております。私の地元、中央区にある勝どき駅の近くには、晴海トリトンスクエアという複合施設が開設され、このため勝どき駅の乗降客数は、開業当初は一日約三万人であったのが、現在は八万人となって、増加している状況にあります。特に駅では、朝の通勤時間帯に乗降客が集中し、ホームから改札を経て地上に至るまで延々と列をなす利用者の我慢も限度に達している状況が見られています。
 駅周辺の晴海、勝どき地域の再開発は、今後次々に高層マンションやオフィスが建設され、これまでにも増して混雑が激しくなることが見込まれております。
 また、このような状況の中で、今後憂慮される直下型地震などに備えた安心・安全な地下コンコースや地上への出入り口の確保が切望されるところであります。
 交通局では、勝どき駅の混雑緩和のために、ホームの増設を含めた抜本的な改良を検討していると伺っていますが、できるだけ早期に対策を具体化する必要があると考えます。交通局の具体的な見解を伺います。
 以上で、私の質問は終わらせていただきます。
 ご答弁のいかんによりましては、再質問を留保させていただきます。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 岡田眞理子議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、区市町村における通級指導学級の設置についてでございます。
 近年、言語障害や情緒障害等の通級指導学級における指導を希望する発達障害の児童生徒が増加しており、それぞれの地域の実情に即した対応が求められています。
 通級指導学級を含む特別支援学級は、都教育委員会が設置者である区市町村教育委員会からの事前の協議を受けて学級編制に同意し、教員を配置しているものでございます。難聴や言語障害の通級指導学級を設置していない自治体では、設置している近隣の自治体に依頼して、区域外で児童生徒の通級による指導を行っております。
 また、都教育委員会では、平成二十年度から、都立ろう学校において通級による指導や巡回相談を実施し、可能な限り都内全域の聴覚障害のある児童生徒への支援を行っております。
 こうした現状を踏まえ、都教育委員会は、今後とも区市町村教育委員会と一層連携し、地域における特別支援教育の充実を支援してまいります。
 次に、通級指導学級への専門性の高い教員の配置についてでございます。
 聴覚障害など障害のある児童生徒の個に応じた指導を充実するためには、都立特別支援学校のみならず、小中学校に設置されている通級指導学級を含む特別支援学級においても、教員の資質と専門性の向上を図ることが必要であると考えます。
 このため、特別支援教育の教員養成課程を持つ大学を通じまして、教員採用選考の受験を学生に働きかけるなど、専門性の高い教員の採用に努めてまいります。
 また、特別支援学校教諭免許状を所持していない現職教員を対象に、認定講習を実施しているところでございまして、引き続きその受講の機会を確保し、専門性の向上を図ってまいります。
 次に、障害のある子どもの保護者へ、小中学校における通級指導学級も含めた特別支援教育の取り組みを周知することについてでございます。
 聴覚に障害のある子どもの保護者に対しては、就学相談等の際に、難聴の通級指導学級の情報提供や学級を見学する機会を設けるなどの取り組みを行っております。ろう学校においては、難聴の通級指導学級との合同の研修や研究を通じて、相互に教育環境や教育内容等の理解を深める取り組みを進めております。また、地域の聴覚障害教育のセンター的機能を発揮して、小中学校からの相談に応じるなどの支援を行っております。
 こうしたことを踏まえまして、今後とも、子どもの障害の程度や発達段階に応じた適切な進路の選択や変更を行えるよう、保護者に対し、小中学校における通級指導学級も含めた特別支援教育の指導方法や内容など、さまざまな実践的な取り組みを周知するよう努めてまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、築地市場の集客力についてです。
 築地市場は、国内外から多種多様な品を大量に集荷し、水産物で世界最大級の取扱量を誇り、首都圏三千三百万人の消費者に豊富で新鮮な生鮮食料品を安定供給しております。
 こうした築地市場が持つ活力に加え、場外市場と一体となったにぎわいなどから、築地独自の魅力が形成され、今日、飲食、買い物、見学などを目的とした多くの来場者が訪れるようになったものと考えております。
 しかし、現在の築地市場は施設の老朽、狭隘化が著しく、品質管理の高度化が困難など深刻な課題を抱え、取扱数量が大きく減少しております。このままでは、都民の食生活を支えるという市場本来の役割を果たすことができず、やがて、ご指摘の集客力の源泉ともいうべき市場としての活気も失われ、築地独自の魅力も損なわれるおそれがあります。
 そのため、一刻も早い抜本的な施設整備を行い、時代のニーズに対応した基幹市場としての機能の強化を図り、新たな市場の魅力を創出していく必要があります。
 次に、販売開始時刻前に行われている行為と市場法、条例との関係などについてであります。
 販売業者の行う卸売の販売開始時刻は、仲卸業者及び売買参加者に対する買い受けの機会をひとしく確保することを目的といたしまして、中央卸売市場条例等で取扱品目ごとに定めており、築地市場水産物部では、養殖活魚が午前零時から、一般鮮魚が午前一時からなどとなっております。都は、巡回業務指導を行い、販売開始時刻を遵守させておるところでございます。
 現場では、大量に取り扱う物品の一部に、販売開始時刻前に注文先のメモを張る例もございますが、これは販売のための準備行為と考えられ、条例上問題はありません。
 また、いわゆる転送品とは、市場の取扱品目のうち、卸売業者や仲卸業者が他市場の卸売業者などへ販売するものを指します。卸売業者は原則として、当該市場の売買参加資格を持つ者にしか販売できないため、売買参加資格を持たない他市場の卸売業者等へ転送物の販売を行う場合には、条例に基づき許可を受けることとしております。
 次に、通過物とは、他市場などへ搬送される物品が輸送の都合などで一時的に持ち込まれるもので、市場で販売されることなく通過するものを指します。通過物は、それを持ち込む販売業者が、条例に基づき、市場に到達したときに速やかに届け出することとしております。
 このように、いわゆる転送物や通過物の取り扱いにつきましては、条例に手続が定められており、その手続に従うよう指導しております。
 次に、抜き打ち検査についてです。
 都は、市場業務における適正な取引を確保するため、中央卸売市場条例に基づき、取引業務の立入検査を行っております。これは卸売業者に対しまして、事前に検査期日の通告をせず、抜き打ちで卸売場などの現場に立ち入り、深夜から早朝にかけまして、取引状況を確認した上で、必要に応じて指摘及び改善指導を行うものです。
 平成二十年度には、中央卸売市場全体で、卸売業者十九社に対しまして三十七回実施し、その結果、入荷物品の検品、市場を通さない無許可の取引行為、卸売場での原産地表示など、八十六件の不備や手続漏れにつきまして、指摘及び改善を行いました。
 指摘事項につきましては適宜改善状況を報告させ、まだ改善されていない事項があれば、さらに指導を行い、適正な取引の確保に努めております。
 最後に、都職員の再就職についてであります。
 築地市場には、場内に約三十もの団体がありまして、その一部に都の職員が再就職していることは承知しております。
 都の職員も退職後、一私人として生計を維持していく必要性があり、民間企業や団体の求めに応じまして、在職中の知識、経験を社会的に有効活用する観点から再就職することがあると考えております。
 しかし、その再就職はあくまで当該個人と企業、団体との関係において行われるものでありまして、築地市場の業界団体に再就職した個々の都職員もまた、当該団体の一職員として職務に従事しているものと考えております。
 したがいまして、都職員の再就職は築地市場の移転問題や市場の適切な管理運営に影響を与えるものではなく、また、再就職先である業界団体は、さきの質問にございました検査の対象でないため、公正な市場取引に支障を来すものでもございません。
   〔交通局長金子正一郎君登壇〕

○交通局長(金子正一郎君) 大江戸線勝どき駅の混雑対策についてお答えいたします。
 勝どき駅は、駅周辺の開発に伴い、大江戸線各駅の中でも特に混雑が激しくなってきたことから、これまで、出入り口の増設やエスカレーターの高速化など、さまざまな対策を講じてまいりました。
 また、来年度には、駅に隣接する地域の再開発に合わせまして、新たな出入り口を設置する予定でございます。
 今後も、駅周辺の開発が予定されており、さらに利用者の増加が見込まれることから、これまでの議会における質疑も踏まえ、抜本的対策としてホームの増設や改札口のある地下一階コンコースの拡張など、大規模改良を実施することといたしました。
 今後、関係機関との協議や調整を進め、早期着工に努めてまいります。
   〔五十四番岡田眞理子君登壇〕

○五十四番(岡田眞理子君) 築地市場に関して、再質問させていただきます。
 今、市場長から答弁をいただきましたが、私は石原知事に質問をしているのです。
 石原知事は、平成十二年三月の本会議において、築地市場を仮にほかのどこかに移したとしても、ブランドとしての築地というものが惜しみがたいならば、新築地というブランドでもつくったらいかがかなどと答弁していますが、とんでもないことです。
 築地だから、銀座や日本橋が近場にあって便利だから人が集まるといった観光客の言葉は、先ほど述べたとおりです。
 また、神社仏閣のあるところの門前市に相当する場外市場があるからこそ、築地は、ご本尊に当たる築地市場と門前市である場外とが共存共栄の関係で、食の文化を形成する東京随一の観光拠点となっているのです。
 石原知事はこの築地市場の抜群の集客力をどうとらえ、市場移転問題に絡めるのか、築地を守ろうとしている市場関係者や中央区民のみならず、東京都民、日本国民も注視しているこの問題に関して、東京都の観光事業に力を入れていらっしゃる東京都知事としてのお立場からの石原知事の所見を、改めてお伺いいたします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
   〔発言する者あり〕

○知事(石原慎太郎君) そんなに再質問というのはうれしいのかね。あなたのおっしゃることはいささか本末転倒で、ナンセンスですな。築地は……(発言する者あり)黙って聞きなさい。築地は観光地じゃないんですよ。あくまでも生鮮食品の流通の市場ですよ。ですから、施設が荒廃して、不健全なものを提供せざるを得ない、そういう事故が起こったらどうするんですか。そういったものを防ぐために移転ということを考えた。目と鼻の先の豊洲に築地が移転して、新しい観光地になったら結構じゃないですか。しかし、それは第二義的なことであって、あくまでも安全に生鮮の食品を提供するという、市場としての施設というのが必要なんです。

議長(田中良君) 二十二番鈴木隆道君。
   〔二十二番鈴木隆道君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○二十二番(鈴木隆道君) 私は、アジアにおける都市間交流について伺います。
 二〇一六年オリンピック・パラリンピックはリオデジャネイロで開催されることとなりました。その成功を心から祈念しますとともに、東京はできる限りの協力を行うべきであると考えます。今回の招致活動を通じ、東京は、スポーツの振興や環境への果断な取り組みなど、多くの成果を得ることができました。この成果を確実に継承し、今後の招致レースに再び名乗りを上げるべきと私は考えます。
 このたびの招致活動の一環として、私自身も、同志とともにアジアの諸都市を訪れ、その中で特に実感したことは、アジアの東京に対する評価が極めて高いということであります。東京に対して大いなる関心と期待を寄せているという現実であります。
 私は、現地で触れたアジアの国、都市、人々の期待にこたえるためにも、今まで以上に東京がアジアの中でその役割を十全に果たし、プレゼンスを高めていくことが不可欠であると再認識をいたしました。
 また、国家対国家の外交では、国益のぶつかり合いや過去の歴史の問題もあり、難しい部分も少なくありませんが、それを乗り越えて草の根で心の交流ができるのが都市対都市の外交であります。都市外交の積み重ねが、国対国の友好を強く、深くするのであります。
 石原知事が高い志を掲げて進めてきたアジア大都市ネットワーク21は、まさに都とアジア諸都市が手を携え、お互いにとってウイン・ウインの関係を構築するための貴重なネットワークであります。都は、ネットワークをリードする立場から、これまで以上に積極的な取り組みを展開し、アジアの発展に貢献すべきであり、こうした取り組みが東京に対する理解の促進につながるものと考えますが、知事の所見を伺います。
 都は、アジネット諸都市との連携により、さまざまな行政課題に協力して取り組んでいるところでありますが、一方で、アジア地域の経済が世界に占める比重が高まっている状況を踏まえますと、都内中小企業にとってもアジア市場は無視できないものとなりつつあります。
 このような状況をかんがみれば、アジア諸都市と中小企業の交流促進に当たっては、経済分野での協力関係を強力に推進することが肝要であります。
 都内には、他の国の企業がまねすることのできないすぐれた技術を持つ中小企業が多数存在をしています。
 先日、東京ビッグサイトで同時開催された産業交流展及び東京国際航空宇宙産業展においても、ベンチャー技術大賞の受賞企業や航空機産業に参入しようとする企業が数多く出展し、会場は活気にあふれておりました。きら星のごとく輝く東京の中小企業の技術の底力を改めて実感したところでもあります。
 このような企業のすぐれた技術と製品がアジア市場で認知され、活用されることは、国内産業の活性化につながるとともに、アジア地域の一層の発展にも貢献できるのではないかと考えます。
 ベンチャー技術大賞の表彰式において、知事からも、海外出張の際に受賞企業の技術をみずから紹介されているとの話がありましたが、都として、ベンチャー技術大賞の受賞企業を初めとした、東京が誇れるすぐれた技術を持つ企業とアジア都市との経済交流のさらなる促進に向けて、より一層の努力をしていくべきと考えますが、所見を伺います。
 東京がアジアの発展に貢献していくに当たり、礎となるのは人であります。人と人の交流を通じ、互いの理解を促進すること、また、直面する課題をみずからの手で解決し、都市の発展を担うことのできる人材を諸都市の中に育成していくことこそが、将来を見据えたアジアの発展に必要不可欠なものであると考えます。
 残念ながら、日本はこうした人材交流、人材育成の面で、米国、EU等にはるかにおくれをとっており、アジアの優秀な人材の多数が、教育や技術の向上のために、日本ではなく欧米を目指しているのが現状であります。
 産業や大学が集積する東京には、さまざまな分野において豊富な知識と経験を有した人材がいます。この人的資源を活用し、国レベルではなくても都市のレベルにおいて東京が責任を持ってアジア諸都市との人材交流を担っていくことは、世界における東京の存在感を高める上にも大変重要なことであります。
 一方、我々自身も、アジアの中でこうした役割を求められている認識を改めて持つべきであります。都が、人材交流や人材育成を行うことで、アジア諸都市の課題解決に貢献していくことが今後より求められていくと考えますが、所見を伺います。
 続いて、中高一貫教育校についてであります。
 私の地元である目黒区には、都立桜修館中等教育学校があります。毎日生徒たちが活発に活動をし、地域からの信頼も得ております。都立の中高一貫教育校は、これまでに六校が開校し、来年四月にはさらに四校が開校して、都立高校改革推進計画で計画した十校すべてが開校となります。
 都教育委員会が中高一貫教育校を設置する意義とねらいについては、私は、平成十九年第一回定例会で質問していますので、都立の中高一貫教育校が、六年間の継続教育の中で教養教育を行い、確かな学力と豊かな教養を身につけ、社会のさまざまな場面や分野において、人々の信頼を得て、リーダーとなり得る人材の育成を目指していることは承知をしております。
 中高一貫教育校では、高校受験の影響を受けることなく、六年間の計画的、継続的な学習指導や進路指導を展開できるので、生徒はゆとりのある安定した学校生活を送ることができます。
 六年間という継続した時間の中で、学校は生徒の可能性を引き出すさまざまな体験や機会を提供できますし、生徒はそれらの中から自分の将来の進むべき方向も見出すことができます。
 十三歳から十八歳までの人生で最も多感な時期に、一年生から六年生までの幅広い年齢層の生徒たちが一つの学校でさまざまな活動をともにするわけでありますから、そこから生徒たちは、青春の一ページとなるかけがえのない思い出をつくり、厚い友情をはぐくみ、互いに認め合い、思いやる心や愛校心、地域を愛する心が育っていくものと考えます。これこそが、都民が都立の中高一貫教育校に期待するところだと私は確信をしています。
 このような都民の期待にこたえて、都立の中高一貫教育校では、さまざまな特色ある教育活動が行われていると思います。
 そこで、現在開校している都立の中高一貫教育校においてどのような特色ある教育活動を行っているか、伺います。
 都立の中高一貫教育校においてさまざまな特色のある教育活動を行うためには、生徒を指導する教員の資質、能力の向上が不可欠であります。生徒にとってかけがえのない六年間を教師も一緒に過ごすわけでありますから、従来の中学校や高校以上に教師の人間性が生徒に大きく影響してきます。
 我が国の将来を担うリーダーを育てるという高い志を持ち、生徒の夢や希望を実現させるために、生徒と真剣に向かい合い、学習の場面や学校行事などさまざまな活動の場面において生徒の可能性を引き出す指導を行う教員が求められていると思います。そのような教師の姿に生徒が敬愛の念を抱き、信頼を寄せるのであります。
 そのためには、研修等により、中高一貫教育の理念や特色を理解し、教科指導はもちろんのこと、六年間を見通した生活指導や進路指導等に関する資質、能力を向上させるための取り組みを充実させることが必要であると考えます。
 そこで、都教育委員会は、都立の中高一貫教育校に勤務する教員の資質、能力の向上にどのように取り組んでいるか、伺います。
 都立の中高一貫教育校への応募倍率は依然として高く、このことからも都民の期待が依然として高いことがうかがえます。ホームページを見ますと、各学校にさまざまな教育活動が展開されていることがうかがえます。
 先ほどお話しした桜修館中等教育学校においても、生徒が日本学生科学賞で最優秀賞を受賞したり、総合的な学習の時間の一環として、地元の小学生を学校に招いて、ようこそ小学生というワークショップを開催し、生徒の活躍の様子が地域にも伝えられています。
 都立の中高一貫教育校において、まだ卒業生は出ていないと承知をしておりますが、現時点でどのような成果が上がっているのか、伺います。
 次に、犯罪防止対策について伺います。
 都内のインターネットカフェでは、匿名性の高さに目をつけた危うい利用が横行をしています。報道によれば、都内に八月末時点で計五百六十一店舗あったインターネットカフェのうち、本人確認を実施している二百十四店では、刑法犯の発生件数が一店舗当たり〇・七三件だったのに対し、未実施だと確認できた三百二十三店では、二倍以上の一・五六件でありました。二十四時間営業の店が八八%を占め、若者のたまり場になっているなどの問題点が指摘をされています。
 また、警視庁によれば、ことしの一月から八月までに都内のインターネットカフェで起きた刑法犯は六百七十九件で、このうち五百五件が本人確認を実施していない店で起きたとのことであります。
 都民が、インターネットカフェを悪用した犯罪の被害に遭うことなく、安全で安心してインターネットカフェを利用することができるようにするため、何らかの犯罪防止策が必要であると考えられます。
 別の新聞報道によれば、警視庁は、個室を備えたインターネットカフェに利用者を身分証で本人確認することなどを義務づけるインターネット端末利用営業の規制に関する条例(仮称)案を、早ければ来年初めの都議会へ提出する方針であることも報じられています。インターネットカフェの現状と今後の対策について、警視庁の見解を伺います。
 次に、総合設計制度について伺います。
 本年七月に改定された都市づくりビジョンでは、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市東京の創造を新たな基本理念としてこれからの都市づくりを進めていくことが示されました。
 このビジョンに基づき、東京を世界の範となるような、さらにレベルの高い成熟都市に進化させるためには、基幹的な道路の整備や踏切対策などを推進し、人や物の移動について一層の円滑化を図るとともに、都市空間の形成に大きな影響を与える大規模な建設計画について、都市開発諸制度を効果的に活用し、適切に誘導していくことが必要であります。
 敷地内に公開空地を設けるなどを条件に行政の許可により容積率等の緩和を認める総合設計制度は、これまで都内で七百件近い適用事例があり、東京の都市づくりに寄与してきたと評価をしていますが、この制度についても、低炭素型都市の実現や緑の充実など、これからの都市づくりを推進するためのツールとしていくことが重要と考えます。
 本年三月の予算特別委員会においても、我が党として、総合設計制度の再構築を図るべきとの観点から質問をいたしました。
 これに対し、都からも、新たな制度を検討する旨の答弁がありましたが、その後の検討状況はどのようになっているのか改めて伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木隆道議員の一般質問にお答えいたします。
 アジア大都市ネットワーク21への取り組みと東京への理解促進についてでありますが、アジア大都市ネットワーク21では、平成十三年の発足以来、大都市が直面するいろいろな課題の解決に向けまして、危機管理や環境対策、航空機の開発促進など、幅広い分野で各都市が協力し、実績を重ねて、成果も上げてまいりました。
 ネットに限らず、東京は、こうした共同事業の推進や現場レベルでの情報交換の積み重ねを通じて各都市との信頼関係を培い、アジアの繁栄と発展に大きく貢献してきたと思っております。
 先般も、北京市の交通の整備、それから環境、危機管理担当の副市長が来まして、長らく東京に滞在しまして、環境の施設を見て、非常に感銘を受け、また感謝をして帰られました。
 今後とも、これまで培ったアジアの諸都市とのきずなをより強固なものにして、新型インフルエンザや地球環境問題など、世界規模での諸課題の解決に向けた取り組みを牽引していきたいと思っております。
 また、来年、東京で開催する総会の機会をとらえまして、先端技術や多彩な文化などを発信し、東京の持つ魅力や潜在力に対するアジア諸都市の理解を一層深め、国際社会における東京の存在感を高めていきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監米村敏朗君登壇〕

○警視総監(米村敏朗君) インターネットカフェの現状と今後の対策についてお答えをいたします。
 インターネットカフェ、ただいま議員が申されましたとおり、大体五百六十店舗ほどございますけれども、低価格で気軽にインターネットが利用できる、そういう意味では大変便利なものだなというふうに思います。
 しかしながら、その一方で、多くの店舗で利用者の本人確認が行われていない、そういう現状から、店舗内のコンピューターを悪用したいわゆるハイテク犯罪、これは後ほど申しますけれども、後を絶たない状況にありますけれども、そうしたハイテク犯罪が行われた場合に犯人がなかなか特定できないという現状があります。
 それから、利用者がコンピューターに入力をしたIDあるいはパスワード等をほかの利用者が不正に入手するという事案が発生しておりますが、この種の事案の発生がさらに懸念をされるという点もございます。
 また、二十四時間営業の形態をとる店舗が多いわけでありますけれども、その結果、家出や深夜徘回をする少年のたまり場となっているほか、多くの店でフィルタリング機能が導入されておりません。その結果、少年がそうしたコンピューターを使って違法、有害情報に触れるおそれが大きいということがあります。そういった問題点があるわけであります。
 現に、密室性の非常に高い個室を備えた店舗におきましては、いわば匿名性を利用したハイテク犯罪が、今申し上げましたとおり、後を絶たないということでございます。例えば、自分がかつて勤めていた会社の管理している認証サーバーコンピューターに、その会社の顧客企業のID、パスワード、これを入力して不正アクセスをする。そして、メールアドレス等の情報、約十八万件を不正にダウンロードして入手をする。かつ、これらの個人情報を出会い系サイト事業者に譲り渡すという事案がございましたけれども、こうした事案は後を絶たないということでございます。
 さらに、密室性の高い個室ということでございますので、そうした場での窃盗あるいは性犯罪、さらには青少年の健全育成を害する多くの事案が発生をしているというのが実態であります。
 そこで、私ども警視庁では、かねてより各警察署において事業者による防犯協力組織を設立するなどして、何とか各種の防犯対策の自主的な実施を促してきたところであります。
 しかしながら、利用者の本人確認を初め、犯罪者が犯罪を行いにくい環境の整備はいまだ極めて不十分であるというふうに考えております。そういう意味では、事業者の方の自主努力には限界も見受けられるということであります。
 なお、事業者の方の中には、本人確認もし、フィルタリングも導入し、あるいは防犯措置もとるというような事業者もいらっしゃるわけでありますが、かえってそういう事業者の方が割を食っているというのも実態かというふうに思います。
 そういう意味で、このたび、業界団体の代表も含めた有識者懇談会というものを設置いたしまして、このインターネットカフェ等を利用した犯罪の防止対策について議論を重ねてきたところであります。
 その結果、本人確認義務を初めとする法的規制あるいは事業者に対する継続的な支援、指導、そういった対策が必要であるという報告書を取りまとめいただいたところであります。
 なお、匿名性の問題について一言申し上げたいと思いますが、私は、今日の犯罪の大きな特徴が匿名化であろうというふうに思います。九〇年代の後半から、ネット社会がどんどん発展する中で犯罪の匿名化というのが進んできているということだろうと思います。私は、ネット社会そのものは極めて大切でありますし、これは切っても切れないものだろう、こう思います。
 かつて、ジンバルドという心理学者が匿名性について分析したテーマがございまして、人がみずからの匿名性が保証された状況にありますと、行動の特性として自己規制意識というものが低下をする。その結果、行動が極めて情緒的あるいは衝動的、あるいは非合理的な行動が出る。また、いわゆる没個性化ということで、周りの環境に容易に感染しやすいというのがこの理論でありますけれども、現在ネット上ではんらんする違法、有害情報もさることながら、ネット上でのいわゆるブログ炎上というようなものも、その特徴を明らかに示しているのではないか、こう思います。
 いずれにしても、匿名化された犯罪にどう対処していくのかというのが、私どもにとって、都民の安全・安心を守る、あるいはネット社会の発展につなげるという意味でも、必要なことではないかというふうに考えております。
 そうした意味で、今般、さきの報告書の内容を受けまして、本人確認義務等を内容とする条例案、インターネット端末利用営業の規制に関する条例、これは仮称でありますけれども、その策定を検討しているというところであります。
 現在パブリックコメントを行っているところでありますが、今後、このパブリックコメントの結果等を踏まえた上で、早急かつ積極的に必要な手だてを講じてまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立の中高一貫教育校における特色ある教育活動についてでございます。
 現在開校している都立の中高一貫教育校におきましては、それぞれ母体となる高等学校の伝統や地域の特色を生かしまして、日本の伝統文化理解教育、理数教育、国際理解教育の推進、国語力や実践的なコミュニケーション能力、論理的思考力、グローバルな視点から諸問題を解決する能力の育成など、さまざまな特色ある教育活動を行っております。
 また、文化祭や体育祭などの学校行事や部活動を中学生と高校生が合同で企画、運営するなど、中高一貫教育校ならではの異年齢交流や、学年進行に合わせ、それぞれの学年で必要とされる目的を達成するために、ホームルーム合宿、自然体験、海外研修などの宿泊行事を実施し、集団生活を通して生徒に思いやりの心やリーダーシップなどを身につけさせております。
 こうした特色ある教育活動を行う都立の中高一貫教育校では、中学三年間、高校三年間という従来の校種間の区分によらず、生徒の発達段階に応じたきめ細かい教育活動を行うために、例えば六年間の学校生活を二年ずつ、基礎力養成期、充実期、発展期というように、三期に分けて指導を行うなど、中高一貫教育校の特性を最大限に生かした教育活動を実践しております。
 次に、都立の中高一貫教育校に勤務する教員の資質、能力の向上についてでございます。
 中高一貫教育校におきましては、中学校の教員が高校生を指導したり、逆に、高校の教員が中学生を指導したりということがございます。このために、それぞれの教員が生徒の発達段階に応じた特性を理解し、一人一人の個性を伸ばすことができるよう、教員の資質、能力の向上に取り組むことが重要でございます。
 そのために、都教育委員会は、中高一貫教育校の開校に先立ちまして、平成十六年度から、中高一貫教育校への配置を希望する教員を対象に、教職員研修センターにおきまして、教育課程の編成、学習指導や生活指導、進路指導のあり方、異校種の学校での授業研究等の研修を実施してまいりました。
 また、現在、中高一貫教育校に勤務する教員に対しましても、六年間を見通した計画的な指導体制による組織的な学校運営を行うために、教務や進路指導の担当者などを対象とした研修ですとか、教科の指導力向上を図るための他校の授業見学などを実施しております。
 今後も、都教育委員会は、生徒の実態や発達段階を踏まえた指導が行えるよう研修の充実を図り、中高一貫教育校の教員の資質、能力の向上に努めてまいります。
 次に、都立の中高一貫教育校の現時点での成果についてでございます。
 都立の中高一貫教育校に学ぶ生徒は、さまざまな分野で活躍し、都民から高い評価をいただいており、全国的にも注目を集めております。
 例えば、日本の伝統文化理解教育を特色とする学校では、日本太鼓ジュニアコンクール全国大会への出場、国語力の育成を特色とする学校ではディベート甲子園全国大会に出場、理数教育を特色とする学校では日本ジュニア数学オリンピックにおいて上位入賞、論理的思考力の育成を特色とする学校では全国中学生人権作文コンテストでの作文委員会賞受賞など、顕著な成果が見られます。
 また、多くの生徒が英語検定二級を初めとした各種検定にチャレンジし、高い合格実績を上げております。
 さらに、奉仕体験活動などを通して社会に貢献しようとする心が育ち、また、六年間の一貫教育の利点を生かした中学生と高校生の交流により、高校生には思いやりやリーダーシップが、中学生には早くからの進路に対する意識や努力する態度が育つなど、社会で活躍するリーダーに必要な資質の育成が図られております。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) アジア諸都市との経済交流の促進に関するご質問にお答えいたします。
 都内にはベンチャー技術大賞の受賞企業を初めとして、すぐれた技術を持つ中小企業が数多く存在しております。これらの企業が集積する東京とアジア諸都市との間で経済交流が活発になることは、技術や製品の流通拡大を通じて都内産業の活性化につながるとともに、アジア諸都市の経済的な発展にも貢献すると考えております。
 こうした交流の促進には、各都市の企業が相互に製品や市場を理解し、ビジネスにつなげていくことが重要でありまして、行政にはそのきっかけをつくる、こういったことが求められております。
 既に知事の指示によりベンチャー技術大賞の受賞企業の技術を紹介する英語の冊子を作成し、アジア大都市ネットワーク21の参加諸都市などに配布しております。このように、都はすぐれた技術を持つ都内中小企業を海外へ積極的に紹介してまいりました。
 さらに、今後、産業交流展の場を活用してベンチャー技術大賞の受賞企業を初めとした都内中小企業を発展著しいアジア諸都市に紹介し、交流の機会を設けることを検討するなど、経済交流の拡大に引き続き努力してまいります。
   〔知事本局長吉川和夫君登壇〕

○知事本局長(吉川和夫君) 人材交流や人材育成を通じた、アジア諸都市への貢献についてでございますが、アジア大都市ネットワーク21を通じて、東京都は感染症や都市づくりなど、各行政分野における専門家を有効に活用し、研修や共同研究を実施することによりまして、都が持つすぐれた技術や専門知識をアジア諸都市に提供してまいりました。
 北京市との間におきましても、本年九月に水や環境分野におけます技術協力の協定を締結いたしまして、先ほど知事もお話をされましたが、先月末に北京市の視察団を受け入れまして、専門的な見地からの意見交換を行いました。
 また、昨年にはアジア人材育成基金を設置し、首都大学東京にアジアの留学生を受け入れて実施する高度先端的な研究や、災害救助の専門家を現地に派遣した技術指導などの新たな施策を本格的に始動いたしました。
 今後とも、これらの施策を着実に推進するとともに、アジア諸都市のニーズを十分に把握し、基金を一層活用することによりまして、東京の各種研究機関や民間企業等の豊富な人的資源を生かしたアジアへのさらなる貢献策について検討してまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 総合設計制度改正の検討状況についてでございますが、都は現在、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市東京を目指しまして都市づくりに積極的に取り組んでおりますが、総合設計制度の運用に当たりましても、これまで以上に環境負荷の低減や豊かな緑の創出、防災性の向上等を図ることが必要でございまして、こうした視点を重視して、現在、制度の改正に向けた検討作業を進めております。
 具体的には、現在、設計の際に求めております建築物の断熱性や設備の省エネ性能を上回る高次の環境性能を確保する場合や緑の質と量について一層の向上を図る場合に、これらの取り組みをしない場合と比べてより多くの容積率の緩和を受けられるようにしてまいります。
 あわせて高齢者住宅の整備、緊急輸送道路沿道の耐震化、まち並み景観への配慮など、地域のまちづくりと調和したプロジェクトを促進できるような仕組みを検討しておりまして、これらを通じてより質の高い建築計画を誘導してまいります。
 今後、民間事業者等の意見を聞きながらさらに検討を進め、年度内には制度の改正を行う予定でございます。

副議長(鈴木貫太郎君) 百二十五番馬場裕子さん。
   〔百二十五番馬場裕子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百二十五番(馬場裕子君) 子育ての社会化支援と子どもの権利擁護の視点から伺います。
 ことしは、憲法に次ぐ位置にある子どもの権利条約採択二十年、日本の批准から十五年の記念すべき年に当たります。その年に、民主党はチルドレンファーストの理念を掲げ、すべての子どもがひとしく育つ環境を保障することが社会の責務であると訴え、政権を交代させていただきました。教育格差の是正を図るべきと考え、民主党は、高校の実質無償化を実施いたします。貧困や差別、格差の連鎖を断ち、子ども手当施策など、子育ての社会化の実現を目指しております。
 しかし現状は、内閣府が十二月五日付で発表した男女共同参画社会に関する世論調査において、結婚しても必ず子どもを持つ必要がないと答えた二十代女性が六八%、全体でも四三%と、前回調査より六%ふえております。雇用不安や経済の先行き不透明さは、社会保障の前提が崩れるだけではなく、未来が見えない不安感を生み、子育ての負担感を増幅させています。まず子育て世代の負担感を少なくし、子育てを手ごたえある喜びに変えるために、子どもへの責任を親だけにしょわせない、社会全体で子どもを育てるという世代連帯意識を共有し、多くの都民が選択した政策の実現へ向けて、都としても国の施策に連携、協力し、一日も早い実現を図るべきと考えます。
 知事が就任されたとき十歳だった子どもが二十になっています。その子どもたちが東京で子育てができる環境整備が求められています。東京の未来を担う子育てについて、社会全体ですべての子どもを支える子育ての社会化の理念、方針について、知事のご所見を伺います。
 子育ての社会化は産み育てる側の責任と役割を求めるものですが、生まれてくる子どもには健全に生まれる権利があります。子どもは誕生したいというしっかりした意思を持って生まれてきます。赤ちゃんポストの是非や役割、子どもへの虐待など、親や大人の理由で子どもの意思を受けとめ切れていない現状にあります。
 全国の教育の現場で、各種調査がされております。まず注目するのは、藤沢市教育委員会の中学三年生を対象とした学習意識調査です。一九六五年から二〇〇五年の四十年間で、もっと勉強したい子の割合は六五%から二五%へと減少しています。都の児童生徒の学習意欲の状況も、平成二十年度児童・生徒の学力向上を図るための調査で、生徒の日常生活への意欲の有無で正答率に二〇ポイントの差が出ていると報告されています。
 十一月三十日、文科省から発表がありましたが、都教育庁は、八月にこの調査、都内公立小中高校の児童生徒の問題行動等の実態について、都内各区市町村の調査の集約をし、暴力行為、いじめ、不登校ほかに分けて、調査の概要、都教委の対応が述べられております。特に暴力行為のうち生徒間暴力が平成十八年では小学校六十一件が、二十年には二百十件、中学校では五百八件が八百三十六件と、器物損壊も同様の傾向です。
 過度な競争意識によって発達のゆがみが生じていませんか。コミュニケーションのとり方や他者との関係がうまくできていない子どもへセカンドステップなどを取り入れ、学校での社会性学習や子どもの競争に対するストレス対応など、子どもの視点に立った、個に応じた指導が望まれています。
 急増する暴力行為とその低年齢化について、都教委の見解と対策を伺います。
 一方で、子どもの自殺防止も喫緊の課題です。
 二〇〇八年、全国数ですが、小学生九人、中学生七十四人、高校生二百二十五人、大学生五百三十六人、専門生百二十八人。自殺を考える子の気持ちは、死にたいのではなく、生きているのがつらいのだと聞いております。親も学校も社会も余裕がなく、自分の存在を確認できずにいます。自分を認められないと思わせる環境がつくられている中で、子どもが苦しんでいます。
 少しでもペーパーテストで高い点数をとること、そして、有名学校に入学することが豊かな人生を送るための条件であるかのように幼少期から駆り立てられた子どもは、それが少しでもかなわなかったとき、絶望し、自分の価値を見出せなくなります。まんざらでもない自分、大切にされている自分というものを実感できない子どもは、自分より弱い子に対していじめをしたり、自分が気に食わないというだけで暴力行為を行うようになります。
 相手への思いやりの欠如は、みずからに価値を見出せない感情の裏返しの行為であるといえます。昨今の性に関する問題も、こんな自分でも優しくしてくれるという思いから援助交際を行ってしまうといった子どもの声があります。
 かけがえのない自分を実感できる、この自尊感情がなければ、発達にゆがみが生じるのは自明のことです。そして、その自尊感情を持てるということは、子どもの最低限の権利であると私は考えます。
 平成二十年度、東京都教職員研修センターでは、これからの東京の教育を創造する研究として自尊感情や自己肯定感に関する研究、法教育に関する研究、科学リテラシーの向上に関する研究、創造性の育成に関する研究の四つの研究に取り組まれています。
 その中の自尊感情や自己肯定感に関する研究では、学年が進むに従って子どもたちの自尊感情が低くなるという結果が明らかになっており、私は、小学校高学年から特に中学一年、高校生までの喫緊の取り組みが必要と考えます。他の三つの研究はこの自尊感情を高めた上で行われる教育であり、自尊感情や自己肯定感に関する研究の成果をどう生かしていくかが、学校教育において子どもの権利を守るための大きな課題ではないかと考えます。
 子どもの自尊感情の現状と研修センターでの取り組みや研究結果をどう生かしていくのか、伺います。
 生徒の状況をよく知り、対応できるのは教員ですが、個々の教員が担うには課題が大きくなり過ぎました。社会との関係が強まるほど子どもの視点に立った教育が求められていると思います。成熟した少子社会においては、一人一人を大切にした個人指導の方針に変えていくべきと考えます。各学校の状況に合わせた体制、必要な学級編制と教員配置がなければ対応できないと繰り返し申し上げてまいりました。各自治体からもさまざまな要望が出ています。都として取りまとめ、教育に必要な体制を整備すべきと考えます。
 メディアの有害な影響から子どもを守ることは子どもの人権を保障する視点からも、子どもの健全育成を担う社会の責務です。児童ポルノなどに加え、日本では規制がないインターネットなどでの子どもを対象とする性的な情報の交換が増大し、世界的な非難を浴びています。大人社会の中にとどまらず、子どもを対象にした性情報があふれています。子どもの社会が大人社会と同質になりつつある。警視庁の子どもの虐待取扱件数は平成十二年に比べ十九年、二十年と二倍を超え急増し、その中には性的虐待が含まれています。まさに子どもの将来を考えない社会が子どもを巻き込んでいる。子どもの人権侵害、虐待に当たるものといわざるを得ません。
 青少年から幼児までを含め、大人の理由で見過ごされてきた性的被害から子どもの人権を守る視点で、早急な対策を進めるべきと考えますが、ご所見を伺います。
 性的興味を持つ年齢が早まり、図書館に置かれた青少年向け図書にも問題を指摘されるものが含まれる現状です。友達の間で性に関する間違った情報が交換され、悩みが表面化せず、問題が起こります。学校内外を問わず実態を把握した上で、早急な対策がとれればよいのですが、難しい状況です。十代の妊娠の多くが望まないものであることからも、性教育全般の見直しについて強く要望しておきます。
 このほかにも、特別支援教育や日本語支援の必要な子どもへの学習環境は未整備ですし、諸法律、刑法の中に子どもの権利の視点があるか、確認すべきと考えます。
 ライターによる子どもの火遊び死や、遊具の事故など、消費者、生活者の立場から医療、事故から守るため、子どもの視点で検証されていないと思わざるを得ません。
 また、保育園などの子どもの預かり施設、放課後支援施設などが、子育てをする親への支援施策としての視点から、経済的施策に終始していませんか。
 子どもの権利を保障するには、各局事業において子どもの視点からの配慮があるかの検証が必要と考えます。また、社会の変化と子育て環境に関する各種調査、それに基づいた見直しと事業連携を進めるために、都として子どもの権利条例制定に早急に取り組むべきときと考えます。ご所見を伺います。
 次に、東京の交通施策について伺います。
 平成十八年六月、道路交通法の一部改正施行により車両のほとんどが路上駐車禁止となりました。法改正による影響の大きい都民、関係業界の方々より、都民へのサービス提供に支障がある。法改正の趣旨は理解されたと思えるので、今後は駐車が必要な場合の扱いについて検討されるよう強く要望されております。
 医療や介護関係者からは、緊急対応時の届け出に関して、タクシーからは地域の公共交通機関として乗客送迎サービスに支障を来すこと、都民の生活に欠かせない物流サービスにとっては営業の根幹にかかわることです。特に物流網の発達は都市活動の重要な役割を担っており、都内を走る貨物車のほとんどは必ず荷物の積みおろしや配達を伴うものであり、道路や荷さばきスペースは都民の日常生活や経済活動を支える重要な役割を担っております。これからは迷惑駐車と事業用等車両の駐車は、取り締まり上分けて対応すべきと考えます。
 道路交通法改正により、駐車禁止の取り締まり強化も一部実施から都内全域へとなり、三年半が経過しました。改めてその目的と効果について、また、改正内容について、どのような方法で都民に周知されたのか伺います。
 物流業界にとって早急な荷さばき施設の増設が課題です。都では地域の多様な協力を求める物流効率化認定制度を平成二十年七月に発足しました。現在までの取り組み状況について伺います。
 タクシーや物流ではライフラインとしての公益性とともに、高齢社会での医療福祉の安全で速やかな提供に理解をいただき、多くの都民に道路使用の共有意識への社会機運を高めることが肝要と考えます。例えば広島市で取り組んでいる中心市街地の駐車禁止規制一部解除の経過など、全国での地域状況に合わせた改善策など取り組みを調査し、大都市東京ならではの道路使用ルールをつくっていただきたい。
 駐車禁止規制緩和の要望について、固定業務の営業車ほか、事業用車両については一律規制から緩和地域の指定、モデル地域実施の取り組みなど、特例で対応すべきと考えますが、ご所見を伺います。
 最後に、八ッ場ダムについて伺います。
 都は以前、利根川水系ダム事業参加の撤退など、これまで地方発によるダム事業への再検討がされてきたと聞いております。八ッ場ダムについては、前原国交相が中止を表明した途端、知事みずからが早々に建設途中での中止はむだ、国は中止するなら事業費の都負担金を返済すべきと発言されています。
 都は、八ッ場ダムの共同事業者として水道局約四百七十二億、建設局約百六十二億、既に平成二十年度末で約四百五十七億円を払ってしまっています。さらに、地域の生活再建支援に使われる下流都県が出資する水源地域対策基金事業に至っては総事業費未定であり、国庫補助の対象外です。
 八ッ場ダムの維持管理のコストは年四億五千六百万円と試算されており、小河内ダムをはるかに超える費用負担になることが予想できます。負担残金百七十七億円と予想される多額な税負担は、八ッ場ダムの受益者としてダムの耐用年数八十年としても、八十年、また、この八ッ場ダムがある限り負担しなければならないことになります。
 中止の声明に、今まで地元の反対に耳をかしてこなかった受益者東京都が、今さら声高に地元住民の応援団になっているのは恥ずかしくないですか。とめたからこそ見えてきた公共事業の実態を真摯に受けとめ、撤退声明を出されることこそ今後の日本のダム建設のあり方を見直す歴史的地方の判断となると考えます。また、真にリーダーとして知事が行うべき判断だと考えます。
 近年、ダム建設は大規模かつ人為的に自然環境を変えるため、建設後に問題が発生することが多いと、世界各地で見直されつつあります。
 ダムに起因する環境変化、ダム湖になった場所の生物は壊滅し、生態系への影響が大きい。下流の水量減少などによる地域自然環境への影響が大きいため、環境影響評価法による事前のアセスメントが義務づけられています。しかし、八ッ場ダムに関しては、法施行以前の計画ということで、アセスの対象になっておりません。八ッ場ダムの環境アセスメントについて、都のご見解を伺います。
 大規模の水がめ小河内ダムを擁する緑多い多摩都市部には豊富な地下水がありますが、日本一高価なダム建設計画があるため、その利用については足元の財産を活用しようともせず、無視をされてまいりました。水需要予測も一九八二年に行った予測では一九九〇年時、日量六百八十九万トンとなっていたものが、二〇〇三年の予測では二〇一三年で六百万トンと下方修正されております。ちなみに、二〇〇八年、昨年の一日最大配水量は四百九十二万トンなのです。
 都は、長期水需要予測を見直さずに八ッ場ダム事業に参画し続けております。これまでかかった年数の割に事業は遅々として進んでおりません。二百年に一度の台風のために本当に必要なダムでしょうか。治水上の効果も期待できません。ないよりあった方がましという行政的手法はもうやめるべきです。新政権が中止を表明した今、都と八ッ場ダム事業とのかかわりを見直す最適な時期と考えます。知事のご見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 馬場裕子議員の一般質問にお答えいたします。
 子育ての社会化についてでありますが、子育ての第一義的な責任が親にあることは改めていうまでもありません。しかし、核家族化が進み、地域社会のつながりが希薄になった現代では、次代を担う子どもたちを健やかに育てていくことは、親だけではなく社会全体の責務であるとも思います。
 現場ならではの幅広い発想を生かして、すべての子育て家庭に対する支援の充実や、仕事と生活の調和を進め、安心して子育てのできる東京の実現に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、八ッ場ダム事業の参画見直しについてでありますが、八ッ場ダムについては計画の公表以来、半世紀以上にわたり、地元住民の意向を最大限にそんたくし尊重しながら、国と利根川流域の一都五県において今日まで事業が進められてきました。既に用地取得や道路、鉄道の工事はいずれも八割以上進んでおりまして、現場を見るとインフラはほとんどでき上がっております。河川を迂回させる仮排水路も完成し、本体工事に着手すれば、あと六年でダムはできます。
 新政権はこうした長年の経緯と現実をしんしゃくせず、十分な検証をすることもなくマニフェストをつくり、ダム建設の中止方針を示しました。八ッ場ダムが利根川流域の洪水被害や渇水発生のリスクの軽減に大きな効果を発揮することはこれまでも重ねて申し上げております。
 現に平成八年には、東京も含めて、この流域の五都県市は年間百十七日間という取水制限を強いられました。もし八ッ場が存在していたならば、これは百日マイナス、つまり十七日間で済んだわけでありまして、こういった最近の事例を考えましても、このダムの必要性が検証できると思います。八ッ場ダムが利根川流域の洪水被害や渇水発生のリスクの軽減に大きな効果を発揮することは自明であります。
 都としては、ダム事業への参加見直しは全く考えておらず、引き続き他の県知事と一致団結して事業の継続と早期完成を国に強く要求してまいります。
 他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔警視総監米村敏朗君登壇〕

○警視総監(米村敏朗君) 道路交通法の改正による駐車取り締まり強化の目的及びその効果など二件のご質問にお答えいたします。
 初めに、道路交通法の改正による駐車取り締まりに関するご質問についてでありますが、新たな駐車対策法制は、一つは、車両の使用者に対する責任追及を可能とする放置違反金制度、いま一つは、駐車取り締まり事務の合理化を図るための放置車両確認事務の民間委託制度、これによって良好な駐車秩序を確立するということを目的として導入されたものであります。
 これによりまして、都心部の幹線道路を中心として、放置車両の減少や交通渋滞の緩和、さらには車両の平均走行時間の短縮など、さまざまな効果があらわれております。
 具体的には、明治通り、新宿通りなどの主要路線におきまして、放置車両、放置駐車が約八一%の減少、渋滞の長さが約三八%の短縮、車両の平均走行時間が約一二%短縮しているところであります。
 なお、この新たな駐車対策法制の実施に当たって、私は、ポイントはもともと二つあるということだろうと、こう思います。その一つが、やはり道路の規制につきまして都民の方々に周知していただくということだろうと、こう思います。これにつきましては、マスコミを通じた広報、あるいはポスターや新聞折り込みの活用、あるいは取り締まり重点路線における立て看板等の設置、さらには、重点的に取り締まりを行う場所、時間帯を定めた取締り活動ガイドラインをホームページ等で公表するなど、さまざま幅広い周知に努めたところであります。
 しかし、さらにこの点につきましては不断に工夫を凝らした周知、ドライバーの方がその場で容易に確認しやすいということも含めて、工夫を凝らしてまいりたいというふうに考えております。
 次に、もう一つのポイントは、実は駐車禁止規制の緩和の問題だろうというふうに思います。確かに路外駐車というのが原則ではありますけれども、物流車両等につきまして、道路上での駐車のニーズといいますか、必要性はあろうかというふうに思います。そうした物流車両等に配意をした駐車禁止規制の緩和につきましては、そもそもこの新しい駐車対策法制が施行する前の平成十八年五月以降、順次見直しを行っております。
 ご承知のとおり、築地市場、日本橋問屋街、浅草地区など都内の十三地区において、時間と路線を指定し、集配中の貨物自動車を駐車禁止規制の対象から除外するなどの特例措置を講じてきているところであります。
 さらに、本年九月からは、さまざまな規制緩和の要望がございます、それにこたえるべく、貨物自動車の荷さばきであるとか、あるいはタクシーの客待ちといった、いわゆる駐車の必要性、要望、それと現実問題として駐車スペースをどう確保していくのかという点等につきまして、現在、都内全域で実態調査を行っております。この結果を踏まえて駐車禁止規制の見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。
 いずれにせよ、今後とも、物流等の要請と交通の安全、円滑が調和する良好な駐車秩序を確立するため、道路環境、交通実態、あるいは地域住民の要望等に配意をしながら、きめ細かな駐車規制の見直しという点について努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) まず、児童生徒の暴力行為についてでございます。
 児童生徒の問題行動等に関する調査では、都内公立学校の平成二十年度の暴力行為の発生件数は、特定の学校で特定の子どもが繰り返す傾向があることなどから、小学校、中学校で増加しております。
 都教育委員会ではこれまで、児童生徒の暴力行為を未然に防止するために、非行防止・犯罪被害防止に係る指導資料などを配布いたしまして、各学校における指導の徹底に努めてきたところでございます。
 また、各学校が地域や関係機関との連携による問題行動への対応を充実するために、学校サポートチームを活用して、暴力行為の未然防止、早期解決に取り組むよう、区市町村教育委員会を支援してまいりました。
 さらに、平成二十年度からは、暴力行為などが発生した場合には、問題の早期解決を図るために、元教員や臨床心理士などから成る健全育成学校支援員を、区市町村教育委員会及び学校からの要請に応じまして派遣しております。
 今後とも、都教育委員会はこうした取り組みを一層充実し、区市町村教育委員会とも連携して各学校を支援してまいります。
 次に、子どもの自尊感情についてでございます。
 平成二十年度に東京都教職員研修センターが実施した自尊感情に係る調査によれば、自分にはよいところがあるかという設問に否定的な回答をした子どもが、小学校六年生や中学校三年生で約三割おりました。
 そこで、都教育委員会は、児童生徒が自分のよいところを伸ばし、欠点を克服することができるよう、子どもの自尊感情の形成にかかわる研究を行い、その成果を生かした指導内容、方法を開発するため、平成二十一年四月、研究本部を設置いたしました。
 今後、大学と共同研究を行うとともに、研究協力校を指定するなどして、指導の具体的なあり方についての研究を進め、研究成果を指導資料としてまとめて、各学校の取り組みに生かしてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 性的被害から青少年を守る施策についてでありますが、近年、インターネット、携帯電話の急速な普及に伴い、青少年が出会い系サイト等を通じ犯罪に巻き込まれる事件が発生するとともに、性行動の低年齢化が進むなど、青少年の性を取り巻く環境等が大きく変化してまいりました。
 そのため、都は、平成十七年に東京都青少年の健全な育成に関する条例を改正し、青少年に対し性について慎重な行動を促す啓発等を行うとともに、青少年に対する反倫理的な性交等を禁止し、違反者に罰則を科すことといたしました。
 また、事業者に対し、インターネット上の有害情報を取り除くフィルタリングの提供に努める義務規定を置くとともに、フィルタリングの普及啓発に取り組んでまいりました。
 今後とも、さまざまな有害な情報や環境から青少年を守る施策を推進してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 子どもの権利条例の制定についてでありますが、子どもの福祉の増進のためには、実効性のある具体的な施策に取り組んでいくことが必要であり、都では、次世代育成支援東京都行動計画に基づき、総合的かつ効果的な施策を進めております。
 また、子どもの権利擁護につきましては、平成十六年度に専門相談事業を開始し、子ども本人から直接相談を受けるとともに、深刻な権利侵害事案には弁護士等の権利擁護専門員が対応しております。
 お話の権利条例の制定については、権利のとらえ方を含め多様な意見があり、慎重な対応が必要と考えております。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京における地区物流効率化認定制度の取り組み状況についてでございますが、本制度は、荷さばきスペースの確保や地区独自の交通ルールなどの施策を含む物流効率化計画を策定することにより、交通の円滑化や環境の改善を図ることを目的としております。
 昨年七月の本制度運用開始以来、区市町村の都市計画担当者、商工行政担当者及び運送事業者向けの説明会を実施いたしまして、制度の周知を図っております。
 また、既に運送事業者や商店街関係者等による協議会が設立されている三地区におきましては、駐車場管理者や交通管理者との調整など、計画策定に対する支援を行っております。
 今後とも、地区物流の効率化を推進し、地域の活性化と良好なまちづくりの実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、ダム建設の環境アセスメントについてでございますが、八ッ場ダムの基本計画は環境影響評価法の施行前に策定されているため、法律に基づくアセスメントの対象とはなっておりません。
 しかし、国は昭和五十四年以来、自然環境について現地調査を行うとともに、昭和六十年には事務次官通達に基づく建設省所管事業を対象とする環境アセスメントを実施しております。その後も国は、環境対策の充実に向けて継続的に調査を実施し、生態系保全の専門家の意見を聞きながら、ホタルの生態環境の保全、貴重な植物や猛禽類の保護、生物の生息空間となるビオトープの整備など、さまざまな取り組みを行っております。
 また、当初の計画よりダムサイトの位置を約六百メートル上流に変更いたしまして、名勝吾妻峡の指定区間のうち最も観光客の多い地点を含む、下流側の約四分の三について現状のまま保存することにしております。
 国が八ッ場ダムの建設事業に伴い行ってきたこのような環境アセスメントと、これを踏まえた対策の取り組みについては、妥当であると受けとめております。

議長(田中良君) 二十五番星ひろ子さん。
   〔二十五番星ひろ子君登壇〕

○二十五番(星ひろ子君) 質問に入る前に、都議会生活者ネットワーク・みらいを代表して、ご逝去されました川島元議長に心より哀悼の意を表します。
 まず初めに、二〇一六年オリンピック招致失敗の直後、石原知事は、二〇二〇年五輪への立候補については、都民、国民がどうとらえるのか、私たちが一方的に決めるべきではないと述べ、その後、広島市と長崎市が名乗りを上げたことについても、東京の経験を提供し、協力すると発言しました。
 ところが、十一月九日、突如、マスコミに再挑戦の意思を示し、都議会に公式表明したのは今議会の冒頭です。
 オリンピック招致特別委員会の議論も緒についたばかりです。再挑戦を表明するならば、敗因分析や招致活動費の決算などをきちんと都議会に報告した上で行うべきと考えますが、石原知事の見解を伺います。
 次に、基金についてですが、二〇一六年オリンピック招致は、十月二日の結果をもって終了し、オリンピック招致のための基金四千億円は今年度末でその目的を終えたと考えます。十一年後のオリンピックは、その後の議会の結論を待つべきものです。
 一方、今年度都税収入は、当初予算額を五千億円も下回る四兆二千六百億円と発表され、景気の底が見えない経済状況がいつまで続くのか、さらなる警戒が必要となっています。格差拡大やワーキングプア問題などの貧困対策や雇用対策、中小企業支援など、待ったなしの緊急課題が山積しています。
 役割を終えたオリンピック招致基金四千億円は、財政調整基金として都民の緊急課題に使うべきと考えますが、見解を伺います。
 温室効果ガスの排出抑制に有効とされる再生可能エネルギーは、コストが高い、出力が低い、不安定であるなど、本格的な普及に向けてさまざまな課題を抱えています。性質の異なる複数の電源を組み合わせ、集中的に制御することによって効率的な利用を図ると同時に、再生エネルギーの利用普及を促進する試みも始まっています。
 この視点から脚光を浴びているのが、スマートグリッドなど、電気、熱、ICTを融合することで低炭素社会を実現する試みです。
 コロラド州ボルダー市は、京都議定書を市として独自採用し、低炭素、高効率なエネルギー消費環境の実現を目指す、世界で最初の本格的なスマートグリッドの実証プログラムを実施しています。
 オランダのアムステルダム市では、二〇二五年、四〇%のCO2削減目標を掲げ、持続可能な住まい、職場、交通、公共スペースの四つの視点から、行政機関や企業のみならず市民を巻き込んだスマートシティーを中核としたまちづくりを目指しています。
 COP15での削減目標の合意を目前に、国内のエネルギー消費構造の抜本的な見直しが迫られていますが、都はどのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
 再生可能エネルギーの中でもとりわけ太陽光発電は、国が補助制度を停止して以来、導入が伸びず、世界一の座をドイツ、スペインに明け渡す状況になっていましたが、この十一月からは、余剰電力を今までの二倍程度の価格で電力会社が買い取る制度が開始したため、今後普及が進むと思われます。
 こうした太陽光発電ブームの中、一般家庭では、購入に当たって訪問販売の消費者トラブルも発生していると聞いています。
 そこで、太陽光発電における都の補助制度もある中、一般市民への情報提供やさらなる普及啓発に向けてどのように取り組むのか伺います。
 二〇〇六年六月に成立した住生活基本法を受け、東京都は同年十二月、住宅基本条例を制定し、良好な住環境のもとでゆとりある住生活を享受できる住宅を確保することを目標とした住宅マスタープランが策定されています。
 しかし、実態はといえば、いわゆる低所得者のみならず、中堅所得層と生活保護受給のはざまにいる高齢者、都営住宅入居水準の所得であっても都営住宅に入れない人、給与カットや解雇などで家賃や住宅ローンが払えなくなった世帯など、住宅確保の困難さを訴える声は増すばかりです。
 私たちは、住まいの確保は生活の最低条件と考え、具体的対策として、都営住宅に入れない人への家賃補助を提案してきました。
 厚労省は十月、離職者向けに住宅手当を六カ月間支給する緊急措置を始めましたが、都は家賃補助に対しては前向きとはいえません。
 都営住宅の新設をストップする中で、今後ますます低廉な住宅が求められます。長期的な視点に立って、いま一度住宅政策を見直す必要があると考えますが、都の所見を伺います。
 精神保健医療福祉施策が、入院医療中心から地域生活中心へと大きく転換する中、東京都では、社会的入院の状態にある精神障害者の地域移行を進めており、東京都障害者計画の精神障害者退院促進支援事業の実施などにより、平成二十三年度末までに二千五百人の地域移行を進めることとしています。このことについて、医療、地域生活支援の両面でお聞きします。
 まず、医療面についてですが、退院後、地域生活を継続していく中において、服薬や通院などが中断し、症状が悪化し、再入院するケースが多いと聞いています。精神障害者の方々が身近な地域で継続して医療を受けられる体制が必要と考えますが、見解を伺います。
 自立支援法の施行後、精神障害者の相談、生活支援は区市町村の役割となりましたが、自治体によってはサービス利用計画策定が進んでいません。地域活動支援センターⅠ型への委託内容も、障害程度区分の認定調査、退院促進支援事業、デイサービス、一般相談など多種多様であり、委託契約予算もばらつきがあります。センターでの主な業務である生活相談においても、利用者の課題を整理、解決するために、まずは同行、付き添いによる支援が必要とされ、専門職による十分な人的配置が求められています。また、退院後の居住支援のグループホームなども充足にはほど遠い現状にあります。
 どの地域に住んでいても安心して福祉サービスが受けられるよう、東京全体の精神障害者施策の充実について、都としてはどのような立場でどう底上げを図っていくのか、ご所見をお伺いいたします。
 最後に、教育財産の活用について伺います。
 都立高校改革推進計画の実施計画は、二十三年度までが計画の継続期間に当たりますが、この中に、地域とのパートナーシップを築く学校づくりとして、都立高校の教育機能の地域、社会への提供ということをうたっています。
 現在、施設開放ということで、グラウンドや体育館は利用されていますが、学習、文化施設についてはほとんど利用が進んでいません。地域においては、高齢者を中心に生涯学習の高まりもあり、学習の場の確保は大きな課題です。特に、若者たちの音楽活動について、練習場所に不足しており、市場の貸しスタジオなどはとても若者には手が出ません。施設開放に関して既に一定のルールも定められており、全校に運営委員会も設置されているのですから、学習、文化施設の開放を一層進めるべきと考えますが、ご所見を伺い、生活者ネットワーク・みらいの質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 星ひろ子議員の一般質問にお答えいたします。
 オリンピック・パラリンピックの再挑戦についてでありますが、昨日も答弁しましたように、世界平和や地球環境の未来のために、また、若者たちに夢と勇気を与えるために、我が国がオリンピック招致に再挑戦する意味と価値は十分あると確信しております。
 もとより再挑戦については、都民、国民の意向を十分にそんたくし、都議会の皆様と議論を踏まえた上で、東京としての結論を出していくべきものとの認識は変わっておりません。未来を担う若者たちによき遺産を残すためにも、今後大いに議論を進めていただきたい。
 二〇一六年の招致活動報告書については、現在まとめさせておりまして、今年度内に公表してまいります。
 次いで、エネルギー政策についてでありますが、化石燃料の多量消費は膨大なエネルギーを生み出し、便利で豊かな生活を実現してきましたが、その一方で、地球環境の限界をはるかに超える二酸化炭素の排出により、深刻な気候変動の危機をもたらしております。
 化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を軸とする低炭素型社会の実現は、気候変動の危機を回避する最大の方策でありまして、多量のエネルギーを消費する都市こそ、再生可能エネルギーの利用拡大を主導すべきものと思っております。
 都は、こうした観点から、太陽エネルギーの普及を初めとする先駆的な再生可能エネルギー施策を展開してきておりまして、今後とも低炭素型社会への転換を先導してまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁させます。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 都立学校の施設開放についてでございます。
 都立学校の施設開放は、現在、体育施設を中心に、工事中など特別な例を除きまして、ほぼ全校で実施しております。
 一方、会議室や音楽室などにつきましては、校舎内にあることや、使用が主に土曜日、日曜日、夜間の無人の時間帯になることから、安全上、防犯上、あるいは使用する施設のみを部分的に開放することの問題等、いろいろな困難な場合がほとんどでございます。また、特に音楽活動の場として使用する場合には、音量や時間帯に関しまして近隣への十分な配慮が必要になります。
 学習、文化施設の開放拡大に向けましては、こうした安全、防犯対策、近隣への影響、学校教育への支障の有無などさまざまな課題を整理し、開放拡大の可能性を検討してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金についてでございますが、この基金の取り扱いにつきましては、オリンピック・パラリンピック再挑戦についての今後の論議などを見定めつつ、適切に対応してまいります。
 なお、都はこれまで、福祉、医療、教育はもとより、中小企業対策、東京の都市機能の充実など、都民にとって必要な施策に的確に財源を振り向けてきておりまして、また、緊急課題にも的確に対応してきております。
 このことは今後も同様でございまして、厳しい財政環境のもとにあっても、都がなすべき役割はしっかりと果たしてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 太陽光発電の普及に向けた取り組みについてお答えいたします。
 都民が安心して購入できるようにするためには、太陽光発電に関する十分な情報を得て、実物を見て購入を検討できるようにすることが大切でございます。
 このため、都は、家電量販店等での販売を促進するとともに、都の未利用地を活用した新宿住宅展示場において全戸に太陽光発電を搭載するなどの取り組みを進めてきました。
 こうした取り組みの一方で、昨年秋から消費生活総合センターと連携をとりまして、訪問販売による消費者トラブルを未然に防止するため、区市町村への周知等を依頼するとともに、都のホームページでの注意喚起にも努めてきました。
 今後とも、このような情報提供や普及啓発を進めてまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 住宅困窮者への対応などの住宅政策についてでございますが、住宅が量的に充足し、民間住宅市場が発達した今日において、少子高齢化の進展や居住ニーズの多様化に対応するためには、公共住宅に加え、民間住宅も含めた重層的なセーフティーネットの機能が必要でございます。
 これまでも、住宅に困窮する都民に対し、居住の安定確保を図るため、都営住宅などの公共住宅ストックを有効に活用するとともに、不動産業関連団体等とも連携し、比較的低廉な家賃の民間賃貸住宅に関する情報提供などに取り組んでまいりました。
 今後とも、こうした施策の充実を図りながら、社会経済状況の変化に対応した住宅政策を展開してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 障害者施策について、二点お答えを申し上げます。
 まず、医療についてでありますが、地域で安定した生活を送るためには、適切な医療を身近な地域で継続して受けられることが重要であります。
 このため、区市町村では、地域活動支援センターなどにおいて、医療機関の情報提供や、服薬中断を防ぐための助言等を行っております。
 また、都においては、精神保健福祉センターや保健所において、区市町村など関係機関に対する技術的な支援を実施しております。
 さらに、都では現在、地域における医療機関等の連携促進など、精神障害者の地域生活を支える上で必要な医療提供体制の整備等について検討を行っているところであります。
 次に、福祉サービスについてでありますが、区市町村では、地域活動支援センターに精神保健福祉士等の専門職員を配置し、本人、家族に対する相談支援を実施しております。
 また、グループホームや通所施設など、地域生活を支えるサービスについても、各区市町村が障害福祉計画に基づき確保を図っております。
 都は、地域活動支援センターの運営費補助や、グループホームの整備に対する都独自の助成を実施するなど、サービス基盤の拡充に努めております。
 今後も、精神障害者が地域で安心して生活できるよう、区市町村と連携して、その支援に取り組んでまいります。

議長(田中良君) 七番福士敬子さん。
   〔七番福士敬子君登壇〕

○七番(福士敬子君) 補正予算として計上された基金は、今までの基金の拡充や新設など、合わせて十三基金です。東京都で総額千三百億円にも上るこの基金、おおむね三年間、基金によっては、もう少し長い期間に事業を実施することになります。
 まず、この事業内容をしっかり検討する時間はあったのか、市民の意見、特に区市町村の意見が十分に反映されたものだったのかという点について伺います。
 一例として地域グリーンニューディール基金事業を挙げます。
 この基金の目的は、雇用と環境をつなぐ持続可能な地域経済社会をつくることでした。グリーンニューディールの言葉をオバマ大統領に提言したシンクタンクによれば、事業に当たっては、地域の中でどれだけお金が回っていくのかという地域内乗数効果、一つの事業で他にも波及する相乗効果が大事ということです。
 しかしながら、各地の活用例では、電球の取りかえや太陽光発電機の設置といった事業にとどまっているようです。これでは関連業者が一時もうかっても、地域への波及効果や将来性はありません。
 そこで、地域グリーンニューディール基金を活用して都内でどのような事業が実施されるのか、また、それらがオバマ大統領の掲げたグリーンニューディールの理念どおりの効果があるのか、お尋ねします。
 また、環境省に確認したところ、ことし四月に基金の概要を都道府県に周知し、六月に事業内容の説明会、七月二十四日が事業計画書の提出締め切りとのことでした。非常に短い検討期間だったことがうかがわれます。
 このような事業計画案の決定に際しては、都や区市町村が都民からの意見を集約して事業の採択をすべきだと考えますが、今回の進め方がどうであったのか、お尋ねします。
 この期間で、例えば山口県の基金事業では、電球の取りかえや太陽光発電機の設置も含めて幾つかの事業を例示し、最終的にNPOほか民間から提言を求め、県が選定を行う、いわば公募型で外部の事業提言を受け入れています。
 これは公開の場で判定をする事業仕分け的な手法です。この手法をとることで、都民、特に事業者にグリーンニューディールの意識がつくられ、採択事業はもちろん、不採択の民間事業者も実現の動きをつくっていくことができると思います。この動きを見きわめて、今度は東京都自身が補助などの後押しをすればいいわけです。
 今回はともかく、今後都としても、すべての基金で、事業の決定に加えて、事業の内容自体を外部提言として公募したり、あるいは公募事業の選定に際して、市民を入れた第三者委員会が検討や判定を行う、このようにして、広く都、区市町村でも関係者の意見を取り入れるという仕組みをぜひ検討していただくことを要望しておきます。
 次に、官製ワーキングプアについて、都の臨時職員の働き方及びその実情についてお聞きします。
 公的な仕事をするスタッフとして考えれば、正規職員も非正規職員も、民間委託先の社員も、同じ仕事をしているのなら同じ条件でという、同一価値労働、同一賃金、この原則は守られるべきです。とはいえ、原則論どおりに現実はいかないというのも事実です。それにしても、非正規職員の状態や民間委託先の社員の状況はひど過ぎます。残念ながら、官製ワーキングプアという言葉が生まれたのも当然です。
 その認識が都の職員にはあるのか。同じ立場になってとはいいませんが、せめて自分がそうだったらという想像力と、職場内で改善する行動が必要ではないでしょうか。
 決算カードという、国に提出して情報公開される都の財政状況の公表資料には、臨時職員数はゼロとなっています。したがって、実質的な必要人員は不明です。見えない、隠された存在が臨時職員です。
 今回、私が資料要求して、臨時職員の実態が一部明らかになりました。人数は四月時点で千三百人。しかし、人数変動が激しく、例えば、ある局では二〇〇八年度の四月時点では三百九十七人、二月では六百二十二人となっています。その働き方も明らかになり、当然のように期末手当、退職金、そして社会保険もありません。しかも、都では、社会保険や雇用保険逃れのためかと勘ぐりたくなるように、期間は二カ月が基本であり、業務上やむを得ない特別の理由があるときに限り六カ月までの更新を認めることになっています。
 臨時的な仕事という本来の使われ方であれば、これでもやむを得ないといえますが、現実は違います。私が調べたところ、ある職員は長期にわたって働かされ続け、六カ月の制限をクリアするために職場を転々とする状態だそうです。
 このような実態について、都は把握しているのでしょうか。また、人事委員会はどうなのか伺います。
 また、都は、地方公務員法に認められている、六カ月雇用、一年までは延長可能という法律にも基づくことなく、より厳しい取扱要綱を設けています。まず、取扱要綱を柔軟化し、本来の法律の運用を可能にすべきではないでしょうか。本当に短期間に必要な場合はともかく、今の都の運用は逆に、雇用主である都にも弊害となっているとも思いますが、いかがでしょうか。
 隠された存在である臨時職員に、同じ机を並べる仲間としての扱いが人権的にも必要なはずです。ましてや、数年間働いている方の場合、能力的にも必要とされているからではないでしょうか。二カ月という期間は、やっと仕事や職場になれたところで、また初めからやり直しをすることになります。経験ある人材を切ることは、雇用主、雇用者双方に不利益かと思います。
 また、三月に雇用した臨時職員は引き続く四月には雇用しないとする規定も、単に四月の人数減らしが目的ともうかがわれますが、理由をお聞かせください。
 次に、提言です。
 臨時職員のうちでも、一定の必要性がある場合は、任期つき職員あるいは任期つき短時間職員の制度を活用してはいかがでしょうか。中野区では、非常勤職員の訴訟を受けて、当面の緩和措置として任期つき短時間職員を導入しました。任期つき採用職員ならば定数にも入り、見える存在となってきます。
 また、現在の各部局ごとの管理となり、見えない存在となっている臨時職員を見える形にするためにも、統計をきちんととり、公開する必要があるのではないでしょうか。お考えを伺います。
 さきの中野区のほか、野田市の公契約条例、行政改革大綱に公契約条例実施を盛り込んでいる小金井市などのように、働く人々の権利、人権を守る動きが他の地域でも広がっています。その動きに沿って、臨時職員など、都の雇用対策にも働く人々の権利を守る視点を盛り込むべきだと申し上げ、次に移ります。
 都立小児病院の廃止条例が前期の三月議会で決まりましたが、いまだに多くの反対の声が寄せられています。少子化対策をうたうのであれば、生まれてきた子どもたちの命を守る対策こそ、行政が放棄してはならない部分だと思います。
 人命保護としては、警察や消防署などが各エリアに設定されています。これは、救助時間を見据えた、距離の範囲が考慮されているのではないでしょうか。年々ハイリスク出産の比率が高まり、新生児や子どもの重症化対策には、一極集中の総合センターでは担い切れない、分散した地域医療が求められているはずです。
 清瀬や八王子小児病院の役割、また、子どもの心の病という特に困難な専門病院を持つ梅ケ丘では、通院する子どもたちの寄り道を見守り、声かけするなど、まちぐるみの温かさで対応すると聞きます。
 兵庫県立柏原病院では、医師不足をなくし、地域で医療を支えることを目的として、保護者が中心となり、コンビニ受診を控えよう、かかりつけ医師を持とう、お医者さんに感謝の気持ちを伝えようのスローガンを掲げて、病院と連携しながら活動を行っています。この地域活動は、医師労働の実態を知り、医師を地域に根づかせる運動でもあります。
 このようなまちづくりも含め、小児病院を取り巻く環境は重要であり、一朝一夕でできるものではありません。この環境対策はどのようにお考えなのか、また、三つの都立病院がある地域の医療はどのように考えておられるのか伺います。
 府中市の小児総合医療センターはPFI方式をとられますが、イギリスに始まったPFIは、原国では病院事業としては否定された後に日本に輸入されたともいわれています。
 先般、清瀬小児病院の清掃業務委託先で、契約した協同組合内の業者が倒産をし、従業員に賃金未払いを起こしました。行政直接の雇用ではないため、従業員は数カ月もの賃金を受け取ることもできずに暮れを迎えそうです。
 こうして、業者が失業者を救うこともできない業務委託があります。PFIにおいては、さらに行政は責任放棄の形で、契約相手先から下請に至っては、もっと見えにくい契約方式となります。昨今の不況の中、PFIによる破綻に向かうのではと心配します。
 日本でも各地でPFIによる医療事業が問題を抱えているようです。高知医療センターは都も視察をされたようですが、都立小児総合医療センターをきちんと運営するための対策をどう考えておられるのか伺います。
 いつ急変するかわかりにくい小児医療は、少子化対策としても行政の責任で税金投入すべきです。
 東京都も水利権を持つ滝沢ダムは、二〇〇五年に、試験的に水をためる作業、いわゆる試験湛水を始めましたが、その途端、貯水池斜面に亀裂が入り、水を抜いて修理が行われました。しかし、その後、水位の操作を行うたびに亀裂や崩落が発生し、いまだにダムの運用には至っていません。
 ダム本体ができ上がって四年が経過し、この間のダムの周辺の亀裂、崩落、道路の亀裂など、水圧による山の形状変化が起きていると思われます。滝沢ダムの現状及び今後の対策工事について伺います。
 八ッ場ダムにおいても、ダムサイトや湛水域は火山層の脆弱な地盤であり、地すべりの危険性が指摘されています。八ッ場ダムは、滝沢ダム以上に安全性に問題があると考えられますが、都の見解を伺います。
 今や節水が進み、給水能力の余裕は、日量百万立方メートルから、地下水を含めれば二百万立方メートル近くに拡大する中、安全性に問題のあるダムを建設することは、都市が豊かにあるためのエゴを地方に押しつけることになります。
 関係知事会としてダム推進の共同声明を出されたようですが、それに対し市民から幾つかの反論が出て、知事あてに要望も出されています。知事はごらんになってどう思われたのか、お考えを伺います。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 福士敬子議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、地域グリーンニューディール基金事業についてでございますが、都内各地域において、施設の省エネなどの温暖化対策に資する事業を初め、微量PCB廃棄物や海岸漂着物処理に係る事業など、広範囲にわたる事業が実施される見込みでございます。
 これらの事業の実施により、地域経済への波及効果など、大きな効果が見込まれるものと考えております。
 次に、事業採択についてでございますが、今回の事業採択案の決定に際しては、都は庁内及び区市町村から事業計画案を募集し、提案のあったすべてを国に申請いたしました。
 これに対して国は、全国から申請のあったそれぞれの事業の温室効果ガスの削減効果や雇用効果などの観点から審査を行い、採択事業案を決定したものでございます。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 臨時職員に関します四点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨時職員の勤務実態についてでございますが、地方公務員法では、臨時職員の任期は、原則として六月を超えない範囲とされております。
 都では、その趣旨を踏まえまして、六カ月任用した後は、引き続き任用することなく、少なくとも一カ月は任用しない期間を設けることとしております。
 また、一つの職について任期が終了した臨時職員が、仮に他の臨時の職で活用されたとしましても、それは本人の自由意思に基づくものでございます。したがいまして、長期にわたり連続で働かされ続けている、そういった事実はないと認識しております。
 次に、臨時職員の任期についてでございますが、地方公務員法では、緊急または臨時の業務等に限りまして、六月を超えない期間で臨時的任用を行うことができ、延長する場合には、人事委員会の承認を受けまして、六月を超えない期間で更新できると規定されております。
 都では、短期または季節的な業務に従事するという臨時の職の性格を考慮いたしまして、その任期を原則二カ月、最大六カ月としております。
 現行の運用は、法の趣旨に沿うものでありまして、都にとって弊害であるとは考えておりません。
 次に、臨時職員の任用管理についてでございますが、臨時職員の活用は、四月から翌年三月までの会計年度を踏まえ、その任期は原則として三月末までとしております。四月の人数減らしが目的との指摘は当たりませんと考えております。
 最後に、臨時職員の統計についてでございますが、知事部局におきます臨時職員の任用数は、平成二十一年四月時点で一千三百六人でございまして、総務局で適切に把握しております。その結果は、これまでも必要に応じまして情報提供しております。
 なお、各所属におきまして、法律の枠内で任期、勤務時間等を定めて臨時職員の管理を行っておりますのは、その職の性格上、機動的かつ効率的に任用する必要があるからでございます。
   〔人事委員会事務局長泉本和秀君登壇〕

○人事委員会事務局長(泉本和秀君) 臨時職員についてでございますが、人事委員会は、任命権者が定める臨時的任用に関する要綱について、その制定のとき及び改正が行われる都度、地方公務員法の規定の範囲内であることを確認し、承認しておりまして、臨時職員の任用は、各任命権者において適正に行われているものと考えております。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小児病院に必要な環境についてでありますが、小児総合医療センターが整備される多摩メディカルキャンパス及びその周辺には、以前から総合病院や専門病院、療育施設、特別支援学校など、医療、福祉、教育関係のさまざまな施設が立地しており、長い年月の経過の中で、この地域にしっかり根づいたものとなっております。
 また、今回のセンター開設に当たっては、府中キャンパス地域連絡会等の場で、地域住民の方々とさまざまな情報交換、意見交換を重ねてきており、今後も同様の取り組みを行ってまいります。
 また、小児病院転出後の地域医療についてでありますが、小児病院が転出する地域の小児医療体制を確保していくことは大変重要であり、これまで、地域の中核病院の体制整備や医師確保の支援など、さまざまな支援策を講じてきております。
 今後とも、地域の方々が安心できる地域医療体制の確保に向けて取り組みを進めてまいります。
 次に、都立小児総合医療センターにおけるPFI事業についてでありますが、都立病院のPFI事業は、病院経営や診断業務など病院運営の中核部分については、都が引き続き直接行い、これまでも個別に委託してきた医事業務や建物管理などの医療周辺業務については、PFI事業者が包括的に担うこととしております。
 PFI事業の実施に当たっては、PFI事業者の提供するサービスが都の求める水準を満たしているかチェックする、いわゆるモニタリングを定期、随時に実施するとともに、水準が満たされていない場合には、業務改善勧告、サービス対価の支払い留保、減額などを適時適切に行うこととしており、これらの取り組みにより適正な履行が確保されると考えております。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、滝沢ダムの現状と今後の対策工事についてでございますが、滝沢ダムは独立行政法人水資源機構が建設事業を進めております。
 本体工事が完了し、試験湛水を行っている段階において、貯水池の斜面の一部に変化が生じ、周辺道路における亀裂が確認されましたが、既に事業者は専門家による検討会から指導助言を得て、適切に対策工事を実施中でございます。
 ダム本体には漏水や変形などは生じておらず、機能上全く問題はないことから、来年度末までに斜面等における工事を完了させて、本格的にダムの運用を始める予定でございます。
 次に、八ッ場ダムの安全性についてでございますが、一般的に、ダム建設を行う場合は、計画から建設、竣工、貯水池運用の各工程において、地すべり等への調査を行い、必要な対策工事を行うこととなっております。
 八ッ場ダムにつきましては、国の資料によれば、平成八年に地質や地すべりの専門家から成る検討委員会を設置し、貯水池周辺の地盤の性質や状態、地すべりの可能性について調査検討を行っております。
 具体的には、地形図、地質図等の文献資料を分析し、貯水池周辺全域において、地すべりの可能性があり、かつ湛水の影響を受ける箇所を抽出しております。これらの箇所を対象に、地形の状況、岩盤の風化状況等について現場調査を行っております。
 さらに詳細な地質調査を実施し、検討を重ねた結果、現時点で安全対策の必要な三カ所について範囲を絞り込み、技術的な対策を行うこととしております。
 ダムが完成した後も、国は検討委員会の意見を聞きながら、貯水池の斜面の地盤変化を観測するなど、安全性の確保に万全を期すこととしております。
 最後に、市民からの意見についてでございますが、八ッ場ダム建設に反対する市民団体の意見は、住民訴訟を提訴した原告の主張と同様の趣旨となっております。
 その主張は、東京、前橋、水戸のすべての地裁判決において既に一蹴されておりまして、司法の場におきましても、国と一都五県が進めてきた八ッ場ダム建設の必要性が認められておるのでございます。
   〔七番福士敬子君登壇〕

○七番(福士敬子君) 河島局長は、いつから知事になられたのでしょうか。
 知事は、反論も含めてきちんとチェックしてこそ正しい判断ができるだろうというふうに思いまして、どう思われたのかというお考えを伺いました。知事ご自身のお考えはないのか、改めてお伺いをいたします。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 局長の答弁と全く同じでございます。

○議長(田中良君) 以上をもって質問は終わりました。

議長(田中良君) これより日程に入ります。
 日程第一から第四十六まで、第百四十七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)外議案四十五件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事菅原秀夫君。
   〔副知事菅原秀夫君登壇〕

○副知事(菅原秀夫君) ただいま上程になりました四十六議案につきましてご説明を申し上げます。
 初めに、予算案でございます。
 第百四十七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)は、国の補正予算に基づき、拡充、創設される基金への積み立てを行うとともに、二十一年度に実施可能な事業について所要額を計上するため、千四百七十四億円の補正を行うものでございます。
 次に、第百四十八号議案から第百七十五号議案までの二十八議案は、条例案でございます。
 新設の条例は十件でございます。
 第百五十六号議案、東京都高等学校等生徒修学支援基金条例は、国の補正予算に基づき都が実施する施策の財源を受け入れるため、基金を設置するものでございます。
 このほか、同様に基金を設置する条例が八件ございます。
 次に、第百七十一号議案、土壌汚染対策法関係手数料条例は、土壌汚染対策法の一部改正によりまして、汚染土壌処理業が許可制となったことに伴い、審査事務手数料を新設するものでございます。
 次に、一部を改正する条例でございまして、十八件ございます。
 第百五十一号議案、東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例は、法令等の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 次に、第百五十二号議案、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例から第百五十五号議案、東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例までの四議案は、東京都人事委員会勧告及び各種制度の見直しに伴い、職員の給与等に関して所要の改正を行うものでございます。
 このほか、同様の改正を行うものが七件ございます。
 次に、第百六十六号議案、東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例及び第百六十七号議案、東京都障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例は、国の補正予算により、基金で実施する事業が拡充されたため、基金の設置目的等を改正するものでございます。
 次に、第百六十九号議案、東京都公害紛争処理条例の一部を改正する条例は、調停打ち切り後の一定期間内に同一の案件について仲裁の申請がなされた場合、手数料を減額する規定を設けるものでございます。
 次に、第百七十二号議案、東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例及び第百七十三号議案、東京都給水条例の一部を改正する条例は、東京都の水道事業に奥多摩町の水道事業を統合することに伴い、所要の改正を行うものでございます。
 次に、第百七十五号議案、東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例は、千住消防署の移転に伴い、同消防署の位置の規定を改めるものでございます。
 次に、第百七十六号議案から第百八十二号議案までの七議案は、契約案でございます。
 第百七十六号議案、都立小金井地区科学技術高等学校(仮称)(二十一)改築工事など、契約金額の総額は約二百三十六億円でございます。
 次に、第百八十三号議案から第百九十一号議案までの九議案は事件案でございまして、それぞれ地方自治法等の規定に基づき議決をお願いするものでございます。
 第百八十三号議案は、東久留米市の消防事務を受託するものでございます。
 次に、第百八十四号議案は、当せん金付証票、いわゆる宝くじの平成二十二年度発売限度額を定めるものでございます。
 次に、第百八十五号議案は、東京都収入証紙が廃止されるため、大島町外八町村との旅券の申請受理及び交付等に係る事務委託に関する規約を変更するものでございます。
 次に、第百八十六号議案は、東京都が備蓄をしているタミフル、リレンザなどの抗インフルエンザウイルス薬について、新型インフルエンザ流行時に速やかに医療機関等へ供給できるようにするものでございます。
 次に、第百八十七号議案は、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターに二十四時間利用可能な製品開発支援ラボを新設するため、賃借料の上限を定めるものでございます。
 次に、第百八十八号議案は、東京港、川崎港及び横浜港の京浜三港を一体的に整備、経営していくため、地方自治法に定める法定協議会を設置するものでございます。
 次に、第百八十九号議案及び第百九十号議案は、東京都奥多摩ビジターセンター及び東京都立神代植物公園の指定管理者を指定するものでございます。
 次に、第百九十一号議案は、東京都の水道事業に奥多摩町の水道事業を統合することに伴い、水道料金とあわせて下水道料金を徴収するため、公共下水道使用料徴収事務の一部を受託するものでございます。
 次に、専決でございます。
 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第二号)は、経済情勢の悪化に伴い、企業が中間納付した法人二税などの払い戻しが急増し、予算措置を行う必要が生じましたが、議会を招集する時間的余裕がないと認め、専決処分を行ったものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(田中良君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 人事委員会の回答は、第百四十九号議案、第百五十号議案、第百五十二号議案から第百五十五号議案、第百五十七号議案及び第百五十八号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

二一人委任第一〇七号
平成二十一年十一月二十四日
東京都人事委員会委員長 関谷 保夫
 東京都議会議長 田中  良殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十一年十一月二十四日付二一議事第三一〇号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百四十九号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
二 第百五十号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
三 第百五十二号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
四 第百五十三号議案
職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
五 第百五十四号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
六 第百五十五号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
七 第百五十七号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
八 第百五十八号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第四十六までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第四十六までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(田中良君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願八十九件及び陳情四十六件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 明十日から十五日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、明十日から十五日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月十六日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時三十六分散会

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