平成二十一年東京都議会会議録第十七号

平成二十一年十二月八日(火曜日)
 出席議員 百二十五名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番野田かずさ君
六番鈴木 章浩君
七番福士 敬子君
八番山内れい子君
九番くりした善行君
十番西沢けいた君
十一番中村ひろし君
十二番田中  健君
十三番関口 太一君
十四番小山くにひこ君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤 興一君
二十番きたしろ勝彦君
二十一番田中たけし君
二十二番鈴木 隆道君
二十三番神林  茂君
二十四番早坂 義弘君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番たきぐち学君
三十一番田の上いくこ君
三十二番島田 幸成君
三十三番しのづか元君
三十四番滝沢 景一君
三十五番大島よしえ君
三十六番大松あきら君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番松葉多美子君
四十番高木 けい君
四十一番石森たかゆき君
四十二番高橋 信博君
四十三番中屋 文孝君
四十四番村上 英子君
四十五番矢島 千秋君
四十六番高橋かずみ君
四十七番西崎 光子君
四十八番中谷 祐二君
四十九番笹本ひさし君
五十番山下ようこ君
五十一番神野 吉弘君
五十二番鈴木 勝博君
五十三番興津 秀憲君
五十四番岡田眞理子君
五十五番伊藤 ゆう君
五十六番原田  大君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番中山 信行君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十五番山田 忠昭君
六十六番山崎 一輝君
六十七番菅  東一君
六十八番宇田川聡史君
六十九番林田  武君
七十番三宅 茂樹君
七十一番佐藤 広典君
七十二番尾崎 大介君
七十三番山口  拓君
七十四番松下 玲子君
七十五番伊藤まさき君
七十六番野上ゆきえ君
七十七番西岡真一郎君
七十八番今村 るか君
七十九番吉田康一郎君
八十番斉藤あつし君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番吉原  修君
九十番野島 善司君
九十一番鈴木あきまさ君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番泉谷つよし君
九十六番くまき美奈子君
九十七番大西さとる君
九十八番増子 博樹君
九十九番いのつめまさみ君
百番門脇ふみよし君
百一番小沢 昌也君
百二番花輪ともふみ君
百三番大津 浩子君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番吉野 利明君
百十一番こいそ 明君
百十二番服部ゆくお君
百十三番川井しげお君
百十四番宮崎  章君
百十五番比留間敏夫君
百十七番石毛しげる君
百十八番大塚たかあき君
百十九番和田 宗春君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番中村 明彦君
百二十四番土屋たかゆき君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番田中  良君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
六十四番  山加 朱美君
 欠員
    百十六番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事菅原 秀夫君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
東京都技監建設局長兼務道家 孝行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長河島  均君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長前田 信弘君
港湾局長比留間英人君
会計管理局長新田 洋平君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
消防総監新井 雄治君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長泉本 和秀君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長野口  孝君

十二月八日議事日程第二号
第一 第百四十七号議案
  平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第二 第百四十八号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百四十九号議案
  職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百五十号議案
  職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百五十一号議案
  東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百五十二号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百五十三号議案
  職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百五十四号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百五十五号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百五十六号議案
  東京都高等学校等生徒修学支援基金条例
第十一 第百五十七号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百五十八号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百五十九号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百六十号議案
  東京都社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例
第十五 第百六十一号議案
  東京都医療施設耐震化臨時特例基金条例
第十六 第百六十二号議案
  東京都地域医療再生基金条例
第十七 第百六十三号議案
  東京都地域自殺対策緊急強化基金条例
第十八 第百六十四号議案
  東京都介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例
第十九 第百六十五号議案
  東京都介護職員処遇改善等臨時特例基金条例
第二十 第百六十六号議案
  東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
第二十一 第百六十七号議案
  東京都障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第二十二 第百六十八号議案
  東京都森林整備加速化・林業再生基金条例
第二十三 第百六十九号議案
  東京都公害紛争処理条例の一部を改正する条例
第二十四 第百七十号議案
  東京都地域グリーンニューディール基金条例
第二十五 第百七十一号議案
  土壌汚染対策法関係手数料条例
第二十六 第百七十二号議案
  東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第二十七 第百七十三号議案
  東京都給水条例の一部を改正する条例
第二十八 第百七十四号議案
  東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第百七十五号議案
  東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第百七十六号議案
  都立小金井地区科学技術高等学校(仮称)(二十一)改築工事請負契約
第三十一 第百七十七号議案
  都立江戸川特別支援学校(二十一)校舎改修工事請負契約
第三十二 第百七十八号議案
  東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修電気設備工事請負契約
第三十三 第百七十九号議案
  東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修空調設備工事請負契約
第三十四 第百八十号議案
  東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修給水衛生設備工事請負契約
第三十五 第百八十一号議案
  古川地下調節池工事(その一)請負契約
第三十六 第百八十二号議案
  中央環状品川線大井ジャンクション鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
第三十七 第百八十三号議案
  消防事務の受託について
第三十八 第百八十四号議案
  当せん金付証票の発売について
第三十九 第百八十五号議案
  東京都収入証紙条例を廃止する条例の施行に伴う旅券の申請受理及び交付等に係る事務委託の変更及び規約の一部の変更について
第四十 第百八十六号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第四十一 第百八十七号議案
  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターが徴収する料金の上限の認可について
第四十二 第百八十八号議案
  京浜港連携協議会の設置について
第四十三 第百八十九号議案
  東京都奥多摩ビジターセンターの指定管理者の指定について
第四十四 第百九十号議案
  東京都立神代植物公園の指定管理者の指定について
第四十五 第百九十一号議案
  奥多摩町公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十六 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第二号)の報告及び承認について
議事日程第二号追加の一
第一 議員提出議案第十二号
  地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の即時撤廃に関する意見書

   午後一時一分開議

○議長(田中良君) これより本日の会議を開きます。

○議長(田中良君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(田中良君) 謹んでご報告申し上げます。
 島部選出川島忠一議員には、去る十二月四日逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(田中良君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十二号、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の即時撤廃に関する意見書が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○七十四番(松下玲子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(田中良君) 追加日程第一、議員提出議案第十二号、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の即時撤廃に関する意見書を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第十二号
   地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の即時撤廃に関する意見書
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成二十一年十二月八日
(提出者)
 小林 健二  加藤 雅之   吉住 健一
 桜井 浩之  野田かずさ   鈴木 章浩
 山内れい子  くりした善行  西沢けいた
 中村ひろし  田中  健   関口 太一
 小山くにひこ 畔上三和子   斉藤やすひろ
 栗林のり子  遠藤  守   伊藤 興一
 きたしろ勝彦 田中たけし   鈴木 隆道
 神林  茂  早坂 義弘   星 ひろ子
 柳ヶ瀬裕文  淺野 克彦   新井ともはる
 佐藤 由美  たきぐち学   田の上いくこ
 島田 幸成  しのづか元   滝沢 景一
 大島よしえ  大松あきら   上野 和彦
 吉倉 正美  松葉多美子   高木 けい
 石森たかゆき 高橋 信博   中屋 文孝
 村上 英子  矢島 千秋   高橋かずみ
 西崎 光子  中谷 祐二   笹本ひさし
 山下ようこ  神野 吉弘   鈴木 勝博
 興津 秀憲  岡田眞理子   伊藤 ゆう
 原田  大  古館 和憲   かち佳代子
 中山 信行  高倉 良生   橘  正剛
 谷村 孝彦  野上 純子   山加 朱美
 山田 忠昭  山崎 一輝   菅  東一
 宇田川聡史  林田  武   三宅 茂樹
 佐藤 広典  尾崎 大介   山口  拓
 松下 玲子  伊藤まさき   野上ゆきえ
 西岡真一郎  今村 るか   吉田康一郎
 斉藤あつし  たぞえ民夫   清水ひで子
 小磯 善彦  長橋 桂一   藤井  一
 ともとし春久 遠藤  衛   三原まさつぐ
 吉原  修  野島 善司   鈴木あきまさ
 田島 和明  樺山たかし   古賀 俊昭
 泉谷つよし  くまき美奈子  大西さとる
 増子 博樹  いのつめまさみ 門脇ふみよし
 小沢 昌也  花輪ともふみ  大津 浩子
 相川  博  大山とも子   鈴木貫太郎
 東村 邦浩  中嶋 義雄   木内 良明
 吉野 利明  こいそ 明   服部ゆくお
 川井しげお  宮崎  章   比留間敏夫
 石毛しげる  大塚たかあき  和田 宗春
 山下 太郎  酒井 大史   大沢  昇
 中村 明彦  土屋たかゆき  馬場 裕子
 田中  良  吉田 信夫
東京都議会議長 田中  良殿

   地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の即時撤廃に関する意見書
 地方法人特別税及び地方法人特別譲与税は、福田総理と石原知事との会談などを経て、平成二十年度の国の税制改正において、消費税を含む税制の抜本的な改革が行われるまでの間の暫定措置として、地域格差の是正を行うために設けられた。
 この措置は、地方分権に伴って国から自治体への税源移譲が求められている中で、地方の重要な基幹税である法人事業税の一部を国税化し、地方に配るという不当なものである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、平成二十二年度予算編成及び税制改正に当たり、自主財源の拡充という地方分権への流れに逆行する地方法人特別税及び地方法人特別譲与税を直ちに撤廃し、地方税として復元するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十一年十二月八日
東京都議会議長 田中  良
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国家戦略担当大臣 あて

○七十四番(松下玲子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第十二号については、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十二号は、原案のとおり可決されました。

○議長(田中良君) これより質問に入ります。
 百二十一番酒井大史君。
   〔百二十一番酒井大史君登壇〕

○百二十一番(酒井大史君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 まず、川島忠一議員のご逝去に際し、謹んで哀悼の意を申し上げますとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。
 さて、十二月補正予算と二十二年度予算編成について伺います。
 景気後退局面にあった日本経済は、昨秋のリーマンショックでさらに景気を悪化させました。その後、国はことし六月に底打ち宣言を出しましたが、実体経済は生産、消費ともに低水準で、特に中小企業の仕事がふえず、大企業との景況判断の乖離幅は過去最大となっています。
 雇用も、失職が正社員に波及し始め、依然厳しい状況です。企業倒産は緊急保証制度など中小企業向け支援の効果で何とかとどまっている状況にあり、今後は企業の経費節減や冬のボーナスの減少による消費低迷が懸念されます。暮らしに余裕がない都民もふえ、デフレ状況と為替市場の急激な変動が都内経済に一層の影響を与えるおそれがあります。都はこのような状況で経済情勢をどう見ているのか、見解を伺います。
 都も企業の業績悪化により、地方法人税の過誤納還付金が二千百五十七億円と記録的に増加し、財政調整基金を取り崩し、補正予算を新たに組む事態となりました。都税収入も昨年度決算額と比較して大幅な減収となり、来年度も順調な景気回復を期待することが難しい状況にあると考えますが、この見通しについてお伺いをいたします。
 国は、デフレや為替市場の急激な変動に対応して、緊急保証制度の対象業種を拡大する中小企業対策や、職の維持と拡大に努める雇用対策、電気自動車を普及する環境投資の促進、地方支援といった新たな経済対策を策定するとともに、ワンストップサービスによる失業者支援を発表し、景気や雇用の下支えとする方針を打ち出しました。
 一方、都は、国の経済対策に伴う国庫支出金で十三基金を新設、増額する補正予算案を提出しました。この年末も多数の失業が予想され、消費が低迷すると見込まれる中、障害者雇用実態調査員や歩行喫煙パトロールなどのつなぎ雇用を創出していくことや、来年度から小児救急医療の運営費も助成をしていきます。今回、編成した補正予算にどのような効果を期待するのか、都の見解をお伺いいたします。
 東京は、急速な少子高齢化やいずれ来る震災対策など、将来に向けた課題が山積しており、これら都民のニーズに的確にこたえていかなければなりません。また、都内の経済の悪化に伴う中小企業支援や雇用対策なども喫緊の課題です。景気低迷に伴い税収の大幅減を見込む都財政においては、基金の活用や都債の計画的な発行などの財政対応と、行政改革の推進や適切な人員の配置、派遣などがさらに重要となります。
 翻って、来年度の各局の予算要求では、金融支援などの中小企業対策や雇用就業対策、福祉政策などに重点が置かれています。都は、財源の把握とさらなる収入確保を図り、必要、有益性の高い都民サービスを提供するとしていますが、中長期的な財政運営の中で、都税収入の大幅減という経済情勢の変化を受け、平成二十二年度予算案をどう位置づけ、予算編成をどのような基本方針で臨んでいくのか、知事の見解を伺います。
 社会状況がさまざまに変化していく中で、医師不足による救急搬送受け入れ困難事案や外来、分娩休止問題の発生、雇用や中小企業経営の不安、大地震などの災害による都市リスク、地球環境の異変、気候変動による災害などが顕在化し、そして深刻化しています。
 民主党は、それら諸課題に対して都が、ドクターカーの配置などの諸施策を組み合わせることで救急搬送時間を短縮することや、医師確保による小児ERの整備、出産一時金の引き上げなど安心して子どもを産める環境づくり、緊急雇用対策や中小企業融資の拡大、住宅耐震化に向けた意識啓発と助成対象地域の拡大、ゲリラ豪雨対策の推進などに一層取り組むよう求めています。そして、今後の予算編成に当たっては、都民の暮らしの豊かさに重点を置いた都民のための経済、都民の生活をしっかり守る予算を基本としていくべきと考えますが、見解を伺います。
 景気対策に関連して、東京湾の国際競争力の強化について伺います。
 先ごろ、国土交通大臣は、アジア諸港の躍進により相対的に国際的な地位の低下が著しい我が国港湾の国際競争力を抜本的に強化するために、日本港湾の中での新たな選択と集中を行い、重点投資を行うことを表明いたしました。今月中旬には、国際戦略港湾を全国で一つないし二つ選定するための検討委員会が立ち上がり、来年早々にも全国の港湾管理者である自治体等を対象に公募を行うと聞いています。
 報道によれば、国が一方的に選定すべきとの意見もあるようですが、戦後、我が国の港湾経営を自治体が担ってきたという歴史や地方分権推進の視点から、自治体の自発的な意思に基づき、公募による選定を行うことは当然であると考えます。
 東京都、川崎市、横浜市は、昨年から、東京湾の国際競争力を向上させるため、連携強化に取り組んでいるところであり、今回の公募については、この大都市港湾の主体的取り組みを生かすためにも、京浜港として応募することが適当であると考えます。
 今後、東京都としてどのように東京湾の国際競争力の強化に向け取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 二〇一六年招致は、ブラジルのリオデジャネイロ市が開催都市となりました。心からお祝いを述べるとともに、都には環境面での支援をお願いするものです。また、東京の招致活動に取り組んできた関係者の皆様を初め、多くの都民の皆さんのご支援に心から御礼を申し上げます。
 東京は今回、平和に貢献する、世界最高の環境のオリンピック開催を目指し、コペンハーゲンのIOC総会などで懸命にその意義を訴えました。しかし、石原知事は、都民の税金も含めた招致費用百五十億円の支出について、オリンピックをやることで東京の財政は痛くもかゆくもないと述べました。これは、招致活動に苦心を重ねてきた方々を初め、寄附をした皆さん、そして都の財政再建に取り組んだ職員の皆さんにも大変失礼な発言です。納税している都民の方からは、甚だ不愉快との意見も届いています。自治体の長としての感覚が麻痺し、スポーツマンらしからぬ言動です。かゆみは感じなくても、せめて痛さは感じていただきたいと思います。
 一六年招致の最高責任者、東京オリンピック招致委員会会長である知事に見解を伺います。
 最近のオリンピック招致を顧みると、二〇一二年招致に成功したロンドン招致委員長は陸上長距離、モスクワ、ロサンゼルス・オリンピックの金メダリスト、セバスチャン・コー氏です。また、今回、招致に成功したリオデジャネイロ招致委員会会長も、一九六四年東京大会でバレーボールに出場したIOC委員、カルロス・ヌズマン氏です。マドリードも、オリンピックムーブメントを救ったサマランチ前IOC会長が招致に乗り込みリオと接戦を演じるなど、国際スポーツ界の面々が活躍しました。
 一方、二〇〇八年招致で敗れた大阪は、磯村隆文市長が委員会会長を務めていました。同じく東京も石原知事が招致委員会会長として活動を行った結果、落選をいたしました。
 たびたび知事は、私も招致を終わってから知ったんだけど、一九六四年のオリンピックの前に、東京は一九六〇年のオリンピック開催に乗り出して敗れているんですと語っています。知事が、先人の歴史も知らずにIOC委員たちに支持を求めていたとすれば、あきれます。知事の見解を伺います。
 かつて東京は、アジア初のオリンピック、一九六四年の東京大会を開催するに当たって、アジア民族全体の感激であると述べるなど、アジアの中の日本という立場を重視してきました。石原知事は以前、東アジア諸国から反発を招きかねない発言をしていましたが、北京オリンピック開会式に出席するため、初の訪中をし、アジア・オリンピック評議会総会に出席するなど、アジア諸国に対する招致活動を行ってきました。
 東京は、民主党が求めてきたオールアジアのオリンピック構築のため、オリンピック開催国中国から賛同を得ること、アジアの国々への運動を展開していくことを行い、中国、韓国などアジアの同胞たちの支持を得ることができたのでしょうか。都の見解をお伺いいたします。
 IOCが行った東京のオリンピック支持調査の結果は五五・四%で、八四・九%のマドリード、八四・五%のリオデジャネイロより三〇ポイント近く低く、六七・三%のシカゴより下位となりました。IOCも相対的に低いと指摘をし、ロゲ会長は、歓迎されないパーティーには行きたくないと語り、大会開催における世論の重要性を指摘しています。
 東京の支持が高まらないのは、国民全体がスポーツを広く楽しんでいるとはいえないからだと考えます。マドリードやリオでは、競技リーグや市民が参加するスポーツクラブが盛んで、スポーツ、オリンピックに賛同する下地があります。東京も、健康、体力維持のため都民のスポーツ・レクリエーションへの参加、安全なスポーツ環境の整備を行うなど、地域のスポーツ振興に地道に取り組み、都民の共感を得るべきでした。支持率の向上に、イベントを中心とした事業だけに頼ってはいけません。都の見解を伺います。
 長野オリンピックの招致活動費は二十八億三千四百万円、招致に失敗した大阪市は、約四十八億円の招致活動費を投じました。二〇一六年招致の東京は、その三倍、総額百五十億円の費用をかけ、招致機運の低迷から、オリンピックムーブメント経費を新たに九十五億円で設定、都内市区町村などで多くのイベントを開催してきました。
 一方、民主党は、今までの招致活動の問題点を教訓化して、活動の簡素化を行うべきと訴えてきました。そして、都民の税金を使う観点から、事業提案を精査するとともに、石原知事・招致委員会会長がみずから汗をかき、JOCや各競技団体、オリンピック協力企業などにさまざまな協力を求めるべきだったと考えるのです。
 オリンピック特別委員会や決算特別委員会などでも、各議員から検証を求める声が出ています。そこで、招致費用百五十億円の徹底検証をし、結果を招致報告書に反映させるべきです。都の見解を伺います。
 二〇〇八年招致において大阪は、在阪経済五団体と経団連、日商から十一億七千八百万円の寄附を集め、大阪招致委員会に八億三千万円を交付しました。今回は、石原知事が会長を務める東京招致委員会は、その五倍近くに上る五十億円の寄附目標を設定、都の外郭団体三十社も招致委員会に総額一億円を超える寄附をした実態が明らかになりました。そして、委員会のホームページにおいて非公開とした団体が数多く見受けられ、このうち監理団体は新公益法人への移行を希望、申請していることから、その考え方を今後改めていくべきと考えます。
 しかし、寄附は予想に反して集まらず、七億円から十億円不足しているといわれていますが、これを安易に都民の負担をふやす一般財源での穴埋めは認められません。都の見解を伺います。
 二〇一六年オリンピック招致の総括なき石原知事が、手続のタイミングから、二〇二〇年オリンピックに名乗りを上げましたと述べた判断に、都議会議員の多くが、そもそも失敗の総括が終わっていないと異論を唱えました。たしか十月四日、知事は落選した直後、こう語りました。経験、データを詳細に発表し、都民に認識してもらった上で、民意をしんしゃくする、私たちが一方的に決める問題ではない、この発言はいともたやすく翻され、あとは次の政権が考えることと、二〇一一年四月に選出される新都知事に後始末を任せる態度をとっています。
 また、知事が、機運が高まったと所信表明で示した調査は、国が約二年ごとに行う体力・スポーツに関する世論調査結果であり、サッカーワールドカップなども含めた、国際大会を我が国で開催することへの賛否です。毎回八〇%以上の賛成結果で、必ずしも知事のオリンピック招致活動が反映されたものとはいえません。それよりも、十月、都に都民から寄せられたオリンピック招致に関する意見の六五%が批判的な内容であったことに、我が党としては大きく関心を持っています。そして、招致委員会の存続に関しても議論が必要です。
 そこでまず知事は、一六年総括のため、招致報告書の作成に汗をかき、みずからの言葉とともに公表、説明し、都民の意見を聞きながら十分な議論を行う姿勢に徹することが重要です。知事の見解を伺います。
 次に、医療について伺います。
 私たちは、東京都議会議員選挙におけるマニフェストの大きな柱の一つとして、救急搬送時間の短縮、三十分以内を目指すことを掲げました。これは単に時間だけの問題ではなく、東京が抱える医療から介護にまで及ぶ問題全般の解決につなげるための入り口です。一部に悪質なケースがあるとはいえ、多くの都民にとって、救急車を呼ぶときは、一生に一度といってよいぐらいの緊急時です。そのときに医師引き継ぎまで一時間弱かかるという事実は、小手先の対策で安心を約束するには大き過ぎる問題です。国における医療制度の抜本改革とともに、我々東京という自治体としても取り組んでいかなければなりません。
 民主党は、救急搬送システムの改善、医師の勤務環境改善、女性医師の継続支援、トリアージやクラーク導入支援、療養、在宅支援などの提案を行ってきました。平成二十一年度予算において実現したものも多くありますが、都内の医師不足は改善しておらず、救急に携わる医師も十分に確保されているとはいいがたい状況です。また、日本の医師は、医師でなくとも可能な事務処理等まで担っており、こうした事務補助者の育成、配置への支援による負担軽減も重要な施策です。
 そこで、都内の各医療機関における、さらなる医師確保策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、患者受け入れ体制の抜本的拡充について伺います。
 搬送先選定をスムーズにする司令塔機能の一環として、東京ルールが開始されました。これ自体は、都民にとっては、いざというときには医療機関が連携して受け入れてくれるという安心を確保するものであり、深刻な医師不足を直ちに解消できない中で救急医療を確保する趣旨と理解します。
 しかし、受け入れる二次医療機関の負担が大きくなり過ぎれば、最後のとりでである三次救急にも影響しかねないとの指摘も聞きます。実際に最終的な受け入れや地域内での調整を担当する地域救急医療センターでは、調整役の医師の多忙感、負担感が増しているとのことです。また、地域の中核的病院からは、可能であれば参画したいが、これ以上の負担を医師に求められないなどといった声も聞かれます。
 まずは一たん受け入れるという東京ルールの実施に伴って、実績を踏まえて次のステップとして、転院搬送(病院救急車)や後方病床の整備、ER型救急などの対策を検討していかなければなりません。救急患者を地域の救急医療機関が連携して受けとめる東京ルールの実効性を高めていくためには、さまざまな支援策が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 重症化しやすい小児のワクチンも全員接種ではなく、量的にも全量確保されているわけではない中では、重症化を防ぐ迅速な初期医療体制の確保に加え、小児重症患者の治療に必要な医療機器や入院ベッドも不足することが懸念されています。民主党はこれまでも繰り返し、入院医療体制の確保に向けた取り組みを求めてきました。五月から九月までのくすぶり流行ともいわれる状況から、十月に入って本格的な第一波に見舞われており、冬場を迎えて大流行となるおそれもあります。こうした状況で、小児を含む重症者のための入院医療体制は確保されているのか、また、一層の確保に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 続いて、小児医療について伺います。
 私たちは、小児ER二十カ所整備ということを求めてまいりました。小児救急医療については、一人一人の診察時間が長くかかること、治療に入るまでの手間が多いことなどから、クラークやトリアージの導入効果も高いと考えたからです。特にトリアージについては、国立成育医療センターの救急患者トリアージの実績を見ますと、軽症の方が五〇から六〇%、中等症は約三〇%、重症が約六%から一一%、命にかかわる状態で診察まで三分という最重症の方も〇・六から〇・九%いらっしゃったということです。
 子どもは大人に比べ体力がないため、自家用車で来院したごく一般的な症状を訴える子どもでも、直ちに集中的な治療が必要となることが少なからずあるということです。また、子どもの場合、突発的な外傷による死亡も多くなっています。まず、病院で二十四時間子どもを受け入れられる体制を確保し、病院内で緊急度に応じて診察を行うことが理想と考えますが、こうした小児医療体制の構築に向けた都の見解を伺います。
 次に、都立梅ケ丘小児病院地域の今後について伺います。
 梅ケ丘小児病院の府中移転については、大塚病院の小児精神外来を都立病院における区部の小児精神科外来の窓口として位置づけていますが、九十五万の年少人口を抱える区部に対して医師二人では、かなり心もとないというのが率直なところです。梅ケ丘病院の外来患者数は、ここ数年増加を続け、平成二十年には約四万三千人となっており、その果たす役割をないがしろにすることはできないものと考えます。
 数少ない小児精神の専門病院が府中に移転することによる、区部の小児精神患者への影響をしっかりと調査しなければなりません。そして、外来機能の拡充を含め、都立病院が行う小児精神医療を向上させるべきと考えますが、都の取り組みを伺います。
 また、かの地には、他に類を見ないといってよい小児精神医療の拠点である都立梅ケ丘病院があったということも踏まえ、小児精神の外来医療や小児医療、療育医療、また子ども、福祉に関する事業など、公的活用がなされるよう都として最大限の取り組みをするよう求めておきます。
 都は、本年の第一回都議会定例会に、都立小児三病院の廃止統合などを主眼とした条例の改正を提案しました。都議会民主党は、小児三病院がこれまで担ってきた地域医療にかんがみ、移転後の地域医療を確保するまで存続させる修正案を提出しました。
 その後も、移転後の地域医療、特に清瀬市、八王子市、世田谷区における地域医療への影響について、現場の視察を重ね、さまざまな関係者から数次にわたるヒアリング等を行い、検討を続けました。その結果、都の計画は、地域医療、特に初期救急外来の確保対策が不十分であるとの結論に至り、去る十一月十三日に要請を行いました。
 多摩北部医療センターの小児医療体制については、医師、看護師を増員し、複数の救急受け入れ体制を構築し、需要数を見きわめた上で増床等の準備を進めること、八王子地域については、二つの大学病院に加え、小児の救急、入院機能を有する新たな病院を早急に整備すること、この二つの病院については、小児総合医療センターのサテライト病院と位置づけ、都が医師等を派遣し、小児医療体制が将来にわたって都の責任で維持されることが都民にわかる制度設計とすることの三点を申し入れました。これらの要請について、都の対応を改めてお伺いいたします。
 次に、介護施設などの整備について伺います。
 東京都の高齢者人口当たりの介護保険施設は全国最下位です。これに千葉、埼玉など首都圏が続き、最下位グループをなしています。民主党は、介護施設などを十五万七千人分にふやす必要があると考えています。超高齢社会を迎える東京において高齢者を支える基盤整備が最も立ちおくれている、この事実をはっきりと認識し、厳しい経済状況にあっても、しっかりとした取り組みを進めていかなければならないのです。
 都はこれまで、特養、グループホームなどの整備に対し特別助成を行い、整備促進に取り組んできました。厳しい財政状況のときにも必要な分野に対し投資を惜しまなかった姿勢は評価します。高齢化率の増加、高齢者数の増加に対応して、必要とされる介護基盤の整備促進の課題についてどのように認識し、どのように取り組む考えか伺います。
 医療崩壊が目の前の現実となる今、すべての人が必要な医療を受けられる体制を守っていくため、限られた資源を効率的に使い、病院の機能に応じた転院、退院後の在宅医療、在宅支援とのスムーズな接続はますます重要となっています。患者の退院調整をするメディカルソーシャルワーカーを増員し、レベルを上げたり、必要な医療機関情報を容易に取得できるようにすることも重要です。特に高齢者は、自宅療養への不安、家族の負担、再度悪化した場合への不安など、患者、家族にとっては大変な問題です。
 私たちは、先ほど申し上げた必要な病床、介護施設の整備に加え、地域の病院や介護施設などの連携といった体制整備を推し進めるため、患者支援を行うメディカルソーシャルワーカーの育成、配置への支援を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 民主党は、子どもを安心して産むことができるようにし、子育て負担の軽減を図ることを最重点課題の一つと考えています。中でも、出産、子育て、教育の費用負担を減らし、格差固定社会を是正することが必要です。そのため、地方自治体においては通常行われない現金給付ではありますが、総体的に収入の低い若年世帯については、国において恒常的な施策として子ども手当の支給、出産一時金の引き上げを行っていく、その上でさらに都として、大都市東京に必要な上乗せ、横出し補助を実施するという二段構えで経済的負担を軽減することを提案しております。
 まずは、子どもが誕生するときにかかる大きな出費、出産費用です。
 東京では、医療機関への支払いだけで平均五十一万五千円と、各種健康保険から支給される出産育児一時金の四十二万円では到底賄い切れない金額です。子どもが生まれるときには、ほかにもさまざまな出費がかさみ、親、さらに祖父母世代の収入も伸び悩む中では、重い負担です。出産育児一時金についても、都内の若年世帯の収入、出産に伴うコストを勘案し、必要な額を算出し、都独自の上乗せを行うことを検討すべきです。
 このような子どもを産み育てやすい環境づくりについて、都の所見を伺います。
 続いて、保育サービスの供給についてです。
 都は、都保育所整備の前倒し実施を表明し、緊急整備に取り組むとしました。リーマンショック以降、雇用不安、低迷する所得に対し、仕事を求める主婦がふえており、各自治体には保育の申し込みが殺到しています。こうした状況で、少しでも多くの保育所を早急に整備し、幼い子どもを抱えて困っている親を支援することは歓迎いたします。
 しかし、単に既存計画の前倒しに終わることなく、今後とも継続して保育所整備を進めるとともに、保育所を利用する必要に迫られている多くの都民ニーズにこたえるため、多様な保育サービスを拡充していくべきと考えますが、所見を伺います。
 続いて、高等学校教育についてです。
 民主党は、高等学校の実質無料化を掲げ、公立高校は無料化、私立高等学校の通学者にも授業料補助を行うこととしています。
 都内の私立高校の授業料の平均は約四十一万六千円であり、国において、公立高校と同等の約十二万円相当から低所得者に対して二十四万円の補助が実施されたとしても、全国平均の約三十五万円と比べ、なお高い負担額になります。都においては公私格差是正に取り組んでいることでありますので、この全国との差を埋めるために、都として少なくとも五万円の学費負担軽減補助を実施する必要があると考えております。
 私立高校の保護者負担に対する都の見解を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 十一月二十七日、総務省の発表によれば、ことし十月まで十二カ月連続して完全失業者数が前年同月比で増加し続け、派遣村が出現した昨年十二月よりも七十四万人増加しています。
 また、東京都が十一月二十五日に発表した調査でも、東京都の完全失業率は五・二%で、前年同期比で一・三ポイント上昇し、平成九年の調査公表以来、最大の上げ幅となっています。
 雇用状況が悪化の一途をたどる中、私たちは再三、緊急雇用対策の積み増しを訴えてきましたが、東京都が今回打ち出した国の補正予算関連の事業だけでは、現下の雇用情勢に十分対応し切れるとは思えません。
 私は、目前に迫っている年末、年度末に向けて、東京都として、緊急的、機動的に雇用の創出を図っていくとともに、緊急雇用対策の規模の拡大に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 十一月三十日、新政権の音頭のもと、十七都道府県のハローワーク七十七カ所でワンストップサービスの試行が行われました。昨年末からの年越し派遣村のような事態を招かないよう、国と自治体、社会福祉協議会などが連携して、失業者に対して就職と生活の支援を一括して行うものです。政府は、この三十日の試行結果を踏まえ、年末年始の実施や定例化に向けて検討しているところです。
 このような中、離職者に対する相談では、やはり住宅の確保に関する内容が多いとも聞いています。東京都としても、でき得る限りこれら要望にこたえていく必要があります。
 ことし三月の予算特別委員会などにおいて、私たちは建てかえ前の都営住宅の活用などを求めてきたのに対し、東京都は、介護職などへの就労支援事業の対象者に限りながらも、活用する戸数や具体的なスケジュールを検討し、四月以降、早期の実施に向け努めていくと答えていました。
 そこで、この介護職への就労支援事業の対象者に対する都営住宅の活用状況を伺うとともに、今後、こうした都営住宅を活用した取り組みをさらに拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、ワンストップサービスの実効性を高めるためには、こうした窓口が開設されていることを知らない人、あるいはあきらめて窓口に訪れようとしない人などに対しても、実際に窓口に来てもらえるよう、こちらから出向いて、需要を掘り起こしていく必要があります。
 十二月の実施に向けては、今後、区市町村との調整の上、参加、不参加の意向を国に伝えると聞いていますが、私は、年末でのワンストップサービスについては当然実施されるべきであり、また、アウトリーチ活動などを通じて、相談窓口の周知についても積極的に広報すべきと考えます。
 ワンストップサービスの今後の取り組みについて見解を伺います。
 一部に回復の兆しを見せ始めていた日本経済も、この間の急激な円高や株安、そしてドバイショックを受けて、またも先行きが不透明な状況になっています。
 新政権においても、金融猶予法による中小企業の資金繰りの支援を初め、緊急保証制度の期間延長や対象業種の拡大などの中小企業支援を初め、中小企業の厳しい資金繰りに対応するために積極的に取り組んでいるところですが、国、地方を挙げた対応こそ必要です。
 東京都は、二十一年度当初予算において、制度融資の融資目標額を一兆七千五百億円とし、その後、六月の補正予算によって、これを二兆二千億円にまで引き上げましたが、私たちは、さらに経営支援などのメニューの融資枠拡大を図るなど、中小企業の資金需要に適切に対応していくべきだと考えています。
 また、制度融資の拡充の原資となるのは、それぞれの金融機関に対する預託金ですが、私たちは、使わぬ基金を積んだまま放置するのであれば、一時的にでも金融機関に預託金として預け、中小企業の資金需要に役立てるべきだと考えています。
 制度融資の拡充による中小企業支援について、東京都の見解を伺います。
 制度融資に関連して、私たちは、中小企業の負担をより軽減する立場から、一%の利子軽減制度の創設や保証料補助の拡充などを求めてきました。百年に一度といわれる厳しい経済状況の中、また、昨今の先行き不透明な経済状況に適切に対応するために、中小企業の負担軽減は緊急の課題です。
 東京都としては、現在行われている保証料の二分の一補助について、緊急避難的に全額補助に引き上げるなど、中小企業の負担を軽減していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、ことし九月に制度がスタートした、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援については、この間、私たちの要望に沿う形で、取扱金融機関も順次拡大しています。
 引き続き、地域の金融機関の審査と民間の保証機関による審査などを通じてデフォルト抑制に取り組むことは当然のこととして、金融機関ごとの情報公開などにも積極的に取り組んでもらいたいと思います。あわせて、今年度の目標として掲げている融資規模五百億円を今後さらに拡大するなど、資金繰りに苦しんでいる中小企業に積極的に対応していくべきだと考えています。
 地域の金融機関と都が連携をして実施する金融支援について、現在の取り組み状況と今後の対応について伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 十二月三日、各会計決算特別委員会において、新銀行東京への追加出資四百億円の執行が盛り込まれた平成二十年度東京都一般会計決算が不認定になりました。
 地方自治法二百三十三条第五項にかんがみれば、決算審査は、単なる数字の審査にとどまらず、事業の成果についても積極的に検討を加えることが期待をされています。
 都議会民主党は、開業わずか三年で一千十六億円という巨額の損失を計上するに至った新銀行東京に対し、その責任は一体だれにあるのかと指摘し続けてきました。
 しかし、石原知事は、旧経営陣に責任を押しつけるのみで、融資以外で失われた多額の損失を招いたみずからの責任については、今日においても、明らかにした、あるいは明らかにしようとしたとはいえない状況にあります。
 また、貸し出しの多くが国や大企業であったり、中小企業向けの無担保、無保証融資を事実上取りやめたりと、中小企業支援という新銀行東京の本来の使命を果たしているとは到底いえない状況にあります。
 十一月十八日、石原知事は、決算不認定の見通しが伝えられると、別に何の痛痒を感じるわけではないと語ったそうですけれども、余りにも無神経ではないでしょうか。改めて申し上げますが、かゆみは感じなくても、せめて痛みは感じていただきたいと思います。
 四百億円は都民の税金です。都民の痛みです。彼らがどれほどの苦労を重ね、どれほど都政に期待して税金を納めているのかに思いをはせれば、痛痒を感じないとはいえないはずです。
 東京都の決算が不認定となるのは初めてのことであり、この決定は、納税者である都民を代表した議会の意思でもあります。決算不認定の認識について、石原知事の見解を伺います。
 新銀行東京の中間決算について、石原知事は十一月二十日の定例記者会見において、本業で利益を上げていないことを質問され、大まかなことしかわからない、余り専門的なことは専門家に聞いてくれとの旨答えています。
 しかし、黒字は過去の引当金の戻り益で、本業で利益が出ていないというのは、現経営陣のみならず多くの人が認めている新銀行の大きな課題であり、また、新銀行東京の一千十六億円もの損出を踏まえれば、黒字だからよしというのは、いささか虫がよいようにも思われます。
 新銀行の経営については、これまで以上に東京都による監視が求められ、石原知事も、新銀行の再建こそが私の使命と決意を表明していましたが、その割には、表面上の数字に満足し、都合の悪いことには口をつぐむという姿勢は、過去と何ら変わっていないといわざるを得ません。
 本業で利益が出ていないことや中小企業への貸し出しが減っていることなど、現実を素直に見据えるべきだと考えますが、石原知事の中間決算に対する評価についてお伺いいたします。
 私は、新銀行東京への四百億円の追加出資は、今でも、すべきではなかったと考えており、都議選においても、新銀行からの早期撤退を訴えて戦ってきました。
 石原知事は、既存の融資先やその取引先、従業員、家族などの関係者に多大な影響を及ぼしかねないと金科玉条のごとく繰り返していましたが、であるならば、新銀行では既存の顧客などに対して重大な影響を及ぼすようなことはしていないのでしょうか。
 追加出資の際に影響を及ぼすとしていた一万三千社も、最近では一万社と答えていますが、この間、新銀行は、バルクセールを初め、既存顧客である中小企業の債権を売却したことがあるのか。ある場合、その規模はどの程度か。また、その中小企業の従業員や家族や取引先などの影響についてどのように考えているのか、見解を伺います。
 昨年二月の再建計画では、事業意欲が高い既存顧客等の継続的な支援として、一般融資や小口融資、新型保証の三つのメニューを示していました。
 このうち新型保証は、地域の金融機関が中小事業者に行う融資に対し新銀行が保証をするというもので、平年度ベースでの残高を二百億円とするなど、三つのメニューの半分を占める主要なメニューでありました。
 再建計画の発表以降、この新型保証の進捗状況は明らかではありませんが、一部報道では、提携していた金融機関が契約不履行を理由に新銀行を訴えるのではないかといった記事も見られ、再建計画が着実に進んでいるのか、それこそ適切な監視が求められます。
 そこで、新銀行東京における新型保証の取り組み状況はどのようになっているのか、追加出資以降の新規保証の実績などを含め、見解を伺います。
 十一月二十六日の経済・港湾委員会で、新銀行東京に関する報告事項に対して、参考人を招致することが決まりました。
 これまで都議会民主党は、参考人招致を求める動議を都合四回提出してきましたが、それに反対してきた会派からの提案は、今後、新銀行の責任問題を追及していく上で心強いばかりです。同会派においては、常任委員会だけではなく、特別委員会というさらに大きな場での参考人の提案をぜひともお願いをしたいと思っています。
 一方、新銀行による旧経営陣の訴訟について、東京都は、ことし九月の段階では、年内を目途に訴訟を提起すると聞いていると答えていましたが、結局、年内には間に合わず、年明けにずれ込むのではないかともいわれています。
 そこで、訴訟に向けた今後のスケジュールについて確認をしておきたいと思います。
 次に、築地市場について伺います。
 九月の代表質問において、私たち都議会民主党は現在地再整備を改めて検討するための検討委員会の設置を求めたのに対して、石原知事は、歴史的な推移を踏まえて考えてほしいと述べた上で、もし具体案があるのであれば早急に示してほしいと答弁しました。
 しかし、私たちが求めていることは、現在地再整備について改めて検討することであり、石原知事が、豊洲の土壌汚染を解決するために日本最先端の専門家や技術者を集めて検討したように、私たちも、現在地再整備について改めて日本の最先端の専門家や技術者を集めて再検討をすべきであるということにほかなりません。
 その上であえて具体案というのであれば、私たちは、例えば現在、市場関係者の有志の人たちで検討されている案が一つの有力案ではないかと考えています。すなわちそれは、現築地市場の至近に位置する晴海のオリンピックメーンスタジアム予定地などを活用し、築地市場から青果ないしは水産、あるいはその両方を一時的に仮移転させ、現在地で大きな種地を確保して、現在地再整備を実施するというものです。
 この案は、現在地での小さな種地で細かいローリングを繰り返すという、過去検討された案とは異なるものであり、市場関係者の有志の人たちが手弁当で検討してきた案であります。
 私は、こうした声を真摯に踏まえ、現在地再整備について改めて検討すべきと考えますが、石原知事の見解を伺います。
 青果ないし水産だけを一時的に仮移転するということについては、青果や水産を買い回る買い出し人の利便性が低下し、顧客の市場離れが起こるというのが、これまでの東京都の見解でした。しかし、買い回りの利便性という観点から見た場合、豊洲の新市場も利便性が高いとはいえないのではないでしょうか。
 豊洲の水産仲卸の売り場は、水産の卸売り場から約五十メートル近く離れたところにあり、とても便利とはいえません。加えて、青果については、幹線道路に分断された、さらに遠いところにあり、とても歩いて買い回ることができるとは思えません。有志による案は確かに仮移転中は一時的に不便になりますが、豊洲移転では、買い回りの不便さは永遠に解消されることはないのです。
 東京都は、現在の築地市場において、青果や水産の買い回りを行っている買い出し人の実態はどのぐらいであると把握しているのか、また、豊洲新市場での買い回りについてはどのようになると計画しているのか、具体的な数値及び計画についてお伺いいたします。
 現在地再整備の検討に当たっては、環状二号線の整備を一時見送り、その構造も含めて再検討していく必要があります。
 環状二号線の中央区晴海四丁目から銀座八丁目までの区間は、もともと地下方式で計画をされていましたが、平成十三年十二月に策定された第七次東京都卸売市場整備計画で築地市場の移転が盛り込まれたことを受け、平成十九年九月十一日の東京都都市計画審議会において、地上化にすることが決められました。
 しかしながら、環状二号線を地上化のまま整備してしまっては、築地市場の敷地二十三ヘクタールのうち約一・七ヘクタールが削減されるとともに、敷地が分断されてしまい、現在地再整備は事実上困難になります。
 環状二号線は、二〇一六年の東京オリンピックでの晴海メーンスタジアムへの重要なアクセスとして、平成二十七年度の完成が至上命題でしたが、現時点ではその必要性は薄らいでいるのです。
 私は、築地市場の現在地再整備を検討するためにも、最低限、本区間の整備を一時見送るべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都議会民主党は、前回の代表質問において、マニフェストに基づき、シンポジウムや公開討論会など、都民の声を広く聞く場を設けるべきだと主張してきました。
 六月八日付の東京新聞の世論調査では、築地市場の豊洲移転について、支持しないと答えた人が六〇%ということでしたが、その後、十一月二十日の産経新聞でも、移転は必要と答えた人は三一%にとどまり、築地を再整備すべきと答えた人が六九%、豊洲の土壌汚染が不安と答えた人が七二%と、世論の多くが築地での現在地再整備を求めています。
 また、十二月四日には、市場を考える会が、豊洲新市場の移転中止を求める要請を石原知事あてに提出しましたが、短期間で集まった署名は約一万三千にも上ったそうです。
 ある政党は、さきの九月議会で、移転反対が大多数であるかのような主張は、事実を大きくねじ曲げるものだと声高に叫んでいましたが、こうした主張こそ、業界団体だけの声しか聞かずに、世論を大きくねじ曲げてきたことの証左ではないでしょうか。
 私たちの主張が事実を大きくねじ曲げるものだというのであれば、それこそ、東京都として、世論調査やモニターアンケートを実施するなど、築地市場移転問題について都民の意見を聞くべきだと考えます。東京都の見解を伺います。
 次に、入札契約制度について伺います。
 近年、公共工事の発注量が大幅に減少するとともに、各自治体では入札契約改革によって一般競争入札を拡大する動きが進んでいます。都の入札契約の現状は、ここ数年、低価格競争が激化し、一部の工事では最低制限価格に近い価格で応札し、全体の二割がくじ引きになっていると聞いています。
 これまで都は、公平性や透明性などの向上や、履行確保の厳格化、不良不適格企業の排除といった視点の改革を行ってきましたが、今回、環境の変化に伴い、品質確保を中心とした制度改革を進めています。
 そこで、都が目指す制度改善の方向性と、都民に信頼される入札契約制度を再構築していくことについて、見解を伺います。
 自治体は、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律において、情報の公表を講じ、公共工事に対する国民の信頼の確保と、請け負う建設業の健全な発達を図るとしています。
 自治体の契約は、入札が原則で、随意契約は限定とされています。現在、十府県が、競争性や透明性を高めるため、随意契約の選定理由、結果などを一覧表で公表し、説明責任を果たしています。特に滋賀県や大阪府などは、教育委員会や警察本部など全部局の随意契約の結果一覧を公表しています。
 一方、都は、随意契約の工事経過調書を個別に公表し、理由を部局での閲覧としているため、関係者以外に実態がわかりにくく、透明性は不十分です。
 そこで、都は、公正、透明性を高め、不正を排除するため、入札契約情報をわかりやすく公表し、都民と情報を共有していく必要があります。工事や物品、委託など随意契約の結果一覧を公表するなど、入札契約情報をさらに透明化していくことが重要です。都の見解を伺います。
 次に、住宅政策について伺います。
 都は先月、少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチーム報告書を公表しました。この中で、東京の特性を踏まえ、高齢者の安心・安全を確保した住まいとして、東京モデルが提案されています。
 その基本的な考え方は、高齢者が適切な負担で入居でき、緊急時対応や安否確認等の機能を備え、必要な場合には介護サービスなどが利用できる住まいであり、この考え方に異論はありません。
 しかし一方で、地価の高い東京において中堅所得者や低所得者の家賃負担を軽減し、経営者の事業コストも軽減させるために、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準とされる最低居住面積水準ぎりぎりの住宅面積が想定されているようであり、豊かな住生活の実現の前提として、多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準とされる誘導居住面積水準には到底及びません。
 そこで、東京モデルにおける住まいの質の確保に関する基本的な考え方について所見を伺います。
 地域全体が、高齢者だけの世帯や極端な低所得者だけの世帯、あるいは社会的な援助を必要とする世帯だけで構成されると、隣同士の日常的な交流や地域活動が停滞し、地域全体の活力が失われる、コミュニティバランスの崩壊といわれる現象が引き起こされます。また最近では、公営住宅団地を中心とした、都心における限界集落化が懸念されてもいます。
 民主党は、平成十八年六月の定例会における代表質問で、住宅政策でのコミュニティバランスを回復させる視点の重要性について指摘しましたが、今回のプロジェクトチーム報告書では、コミュニティバランスの回復に向けた今後の取り組みの方向性が示されました。このことについては率直に評価したいと思います。
 都営住宅や公社住宅については、建てかえ等に当たって、都自身や公社がコミュニティバランスに配慮していくべきであることはもちろんのことですが、今後は、いかに民間による住宅供給の中で地域のコミュニティバランスの回復に向けた取り組みを促していくかが問われることになると考えます。
 例えば芝浦アイランドでは、住宅市街地総合整備事業などを活用し、分譲マンション以外にも、ファミリー向け賃貸住宅や高齢者向け賃貸住宅、有料老人ホームが整備されているほか、少子高齢化対応や地域コミュニティ向けの施設として、幼保一元化施設や児童館、福祉会館などもあわせて整備されており、自治会の活動も活発に行われています。
 このような民間の住宅供給における地域のコミュニティ形成を促していくための方策について、所見を伺います。
 次に、景観行政について伺います。
 近年、歴史的近代建築物の保全、活用が話題となることがあります。ことしは、都内でも、東京中央郵便局や歌舞伎座での建てかえが大きな話題になったほか、最近では、博報堂の旧本館や世田谷区役所の本庁舎について保存を求める声が上がっています。
 私は、都市計画制度等の柔軟な活用による近代洋風建築の保存、復元、文化財庭園等の周辺の景観誘導、個人や民間事業者所有の都選定歴史的建造物の保存支援の強化、歴史的な建造物等に関する普及啓発と利活用の促進などにより、歴史や伝統を受け継ぐ都市空間の保全を図っていくことが重要と考えています。
 また、このことによって観光資源としての活用を図っていくことも可能です。
 そこで、歴史的建造物の保存等による景観形成に向けた今後の取り組みについて所見を伺います。
 ことし九月、浅草の超高層マンション建設計画をめぐり、浅草周辺の下町の景観を損なうなどとして、浅草寺と周辺住民が東京都と民間の指定建築確認検査機関を相手取り、都に対しては容積率の規制を緩和した総合設計許可の取り消しを、指定建築確認検査機関に対しては建築確認の取り消しをそれぞれ求め、東京地裁に提訴しました。
 マンションの建つ周辺地域の住民や地元区からは、おおむね建設計画に対する同意が得られているようですが、私は、浅草の文化資源である環境に悪影響を与えるとする主張は心情的に理解できなくもありません。
 来年度予算要求では、都市整備局が歴史的建造物を中心とした景観形成事業を、産業労働局が歴史的建造物等を生かした観光まちづくり事業を新規事業として提案していることでもあり、私は、二つの事業が局間連携のもと進められていくことを期待しています。
 こうした中での訴訟でもあり、今後とも都市開発諸制度と景観行政の整合を緻密に図っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、温暖化対策について伺います。
 都は、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みの一つとして、ことし四月から住宅用太陽エネルギー利用機器導入促進事業を開始し、来年度までの二カ年を事業期間として、年間二万世帯、合計四万世帯への太陽エネルギー利用機器の導入を目指しています。しかし、都の補助金に対する補助申請状況は、四月一日から十一月末までの約八カ月間で四千三百二十二件にとどまっています。
 第三回定例会で指摘した八月末までの五カ月間での実績二千百九十八件と比較すれば、一カ月当たりの申請件数は伸びつつあるとはいえ、現時点では目標の達成は困難であるように思われます。
 住宅用太陽エネルギー利用機器の導入拡大の目標達成に向けた今後の取り組みについて伺います。
 また、東京における太陽エネルギーの徹底した活用を進めるためには、住宅への太陽光発電普及にとどまらず、多くのCO2を排出するオフィスビル等業務用の大規模建築物における積極的な取り組みが必要です。
 東京では、今日においても、都心を中心に活発な都市開発が行われており、こうした東京の活力を太陽エネルギーの利用拡大に結びつけるべきです。業務部門における太陽エネルギーの普及に向けた取り組みについて伺います。
 次に、犯罪被害者支援について伺います。
 犯罪被害者支援については、犯罪被害者等基本法が制定され、また、地方自治体でも条例が制定される中、国及び地方自治体での施策の充実が図られるとともに、マスコミも犯罪被害者の置かれた現状をさまざまな視点から取り上げるようになり、多くの国民もその現状を認識するようになりました。
 私がこの問題を取り組み始めた九年前と比較をすると、支援の充実について目まぐるしい進展があります。しかし、その一方で、刑法犯の認知件数自体は減少傾向にあるものの、悪質な飲酒ひき逃げ事件や凶悪事件は後を絶ちません。
 本日を含む十二月の十日までの一週間は、人権週間に位置づけられていますが、さまざまな人権問題の中で、犯罪被害者やその家族の被害からの回復や国民の理解を求めていくことは、喫緊の課題であります。
 人権週間に先立つ十一月二十五日から十二月一日までは、例年、犯罪被害者週間とされ、晴海での全国大会を初め、各地でさまざまなイベントが開催されました。
 都も、ことしは多摩市、また中野区とともに主催者となり、講演会を開催しましたが、犯罪被害者等支援推進計画を実施する中、啓発活動を積極的に推進していることをうれしく思っています。
 このように、犯罪被害者支援への取り組みが都においても一歩一歩進む中、都内の自治体では、条例制定も進みつつあります。従来の日野市や杉並区とあわせて、多摩市においても条例が制定され、これらの自治体では、犯罪被害者支援の取り組みが加速しています。
 その一方で、犯罪被害者団体ネットワークの調査では、相談窓口すら設置されていない自治体も多く存在するなど、都内においても地域によって支援状況に格差も生じています。一千三百万都民を抱える東京都として、犯罪被害に遭った都民がひとしく同水準の支援を受けることができるよう取り組むべきと考えますが、犯罪被害者支援施策の底上げについて、市区町村への支援も含め、都の考えをお伺いいたします。
 また、市区町村への支援の一例ですが、ことしより裁判員制度が導入され、裁判員となった方に対するサービスとして、一時預かり保育や介護サービスを提供している自治体もあります。新しい刑事司法制度の中では、裁判員のみならず、犯罪被害者の訴訟参加も認められるようになりました。犯罪被害者が訴訟に参加していくためには、裁判員と同様の自治体サービスを必要としますが、これについても自治体間で大きな格差が生じる懸念があります。保育や介護サービスは、基礎的自治体の責任ですが、都民がひとしくこれら制度を活用できるよう、都としても対策を講ずべきと考えますが、見解を伺います。
 以上、都内自治体における犯罪被害者支援サービスの格差解消について質問してきましたが、それぞれの自治体において、特色は持ちながらも、必要最低限のサービスは、広域自治体を担う東京都が責任を持って取り組むべきであると思います。
 そのためには、支援推進計画だけではなく、犯罪被害者支援に対する都の理念と施策方針等を明記した条例を制定し、都民や都内自治体に対し、都の姿勢を示していくことも必要と考えますが、見解を求めます。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 なお、答弁によっては再質問を留保します。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 酒井大史議員の代表質問にお答えする前に、一言弔意を申し上げます。
 去る十二月四日、川島忠一元議長が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 それでは、質問にお答えいたします。
 まず、平成二十二年度予算編成についてでありますが、急激な景気の悪化に伴い、今年度の都税の収入は、前年度に比べて一兆円以上の大幅な減収が避けられない見通しであります。
 もとより都は、国とは異なって、これまで徹底した内部努力や施策の見直し、再構築など、身を切るような努力によって財政再建を果たしておりまして、今回の税収減がすぐさま深刻な事態を招くわけではありません。
 とはいえ、この不況がいつまで続くのかは予想がつかず、二番底の懸念もあるなど、先を見通しても、今後しばらくは都財政がますます厳しい環境のもとに置かれることは間違いありません。
 財政の健全性を維持しつつ、都政の諸課題にこたえていくという非常に難しい財政のかじ取りを覚悟しなければならないと思います。
 ゆえにも、改めて手綱を引き締め、歳入歳出を洗い直し、徹底してむだを排しつつ、効果の高い施策を厳選して来年度予算編成に当たるつもりであります。
 次いで、オリンピック・パラリンピック招致活動経費についてでありますが、都民、国民は、税金の使い道について極めて高い関心を持っていることはいうまでもございません。これまでも安全・安心の確保のため、東京、日本の発展のために最大限有効に使ってまいりました。
 また、現下の経済危機においても、福祉、医療、小零細企業への支援、雇用対策など、迅速に対処しなければならない課題に対して、都は既に手だてを尽くしております。
 一方で、緊急性や即効性を超えた未来への投資も重要だと思います。これを怠っていては、東京も日本もいずれ立ち行かなくなります。オリンピックの招致活動費がむだとの議論もございますが、このたびの招致活動は、二〇一六年のためだけではなく、今後、東京に限らず日本が次のオリンピック招致に再挑戦するためにも活用できる未来への投資にほかならないと思います。日本は今後一切オリンピックは行わないというならば、話は別でありますが。
 これまで都議会の協力を得ながら財政再建を果たし、一兆円を超える基金を確保することができました。これによって眼前の緊急課題に対処しながら、未来に向けた積極的な投資ができるようになりました。
 痛くもかゆくもないという発言でありますが、招致活動は、都としてやるべき施策を講じた上で財政を合理化し、そこから捻出した財源で進めておりまして、他の都民サービスには影響は全くないという意味で申し上げたものであります。もとより税の使い道については、その重みも十分かみしめ、適正に使っていかなければならないのは当然であります。
 次いで、今回の招致活動についてでありますが、私自身、招致委員会の会長として先頭に立ち、JOCを初めスポーツ界と一体となって招致運動に取り組み、最善の努力をしてまいりました。しかし、東京は、IOCの定めた要件をほぼ完璧に満たした計画を用意し、最終プレゼンテーションにおいても最高の評価を得たにもかかわらず、勝利には届きませんでした。
 我々の自己分析にすれば、試合には勝ったけれども勝負に負けたという心境であります。
 開催都市決定のメカニズムは、実は複雑きわまりなく、招致を獲得するための情報が不足していたことは否めません。私自身が一九六〇年のオリンピックに東京がアプライして失敗したという事情を知らなかったというのは非常に驚きでありましたが、質問した議員そのものはそれをご存じでしたでしょうか。あるいはJOCのメンバーでそれを覚えている人はほとんどいなかったと思います。
 いずれにしろ、開催都市のメカニズムは複雑きわまりなく、招致を獲得するための情報が不足していたことは否めません。それゆえに、もっと情報がわかっていればできたことがたくさんあったと思います。
 いずれにしても、 今回の招致活動の貴重な経験をきちんと記録に残し、また語り継ぎ、やがては日本でのオリンピック開催という大きな夢を実現したいと思っております。
 二〇二〇年の招致についてでありますが、東京は、計画の質の高さや開催能力を認められながらも、残念ながら勝利を手にすることはできませんでした。招致を通じて実に多くの経験をすることができました。
 現在、二〇一六年の招致活動を総括する報告書をまとめさせておりまして、今年度内に公表してまいります。
 このたびの二〇二〇年大会への意思表明は、次なる国内候補都市を選定する手続の時間的問題を勘案し、声を上げておくことが必要との判断から行ったものであります。
 再挑戦については、常々述べておりますように、都民、国民の意向を十分にそんたくし、都議会の皆さんとの議論も踏まえた上で、東京としての結論を出していくべきものとの認識はいささかも変わっておりません。
 今後、都議会においても大いに議論を深めていただきたいと思っております。
 次いで、決算不認定の認識についてでありますが、平成二十年度決算は、議会においても議論を尽くして成立をした予算を適正に執行した結果でありまして、これを議会の認定に付したものであります。こうした決算について不認定とされることは、やや奇異な印象を否めませんが、結果としてそういう結論が出るならば、しかと承るという以外ございません。
 新銀行東京の中間決算の評価についてでありますが、危機的な経営状況にあった新銀行東京が、懸命に再建を進め、第一・四半期に引き続き、中間決算でも黒字を計上しました。
 また、新銀行東京は、これまで大手銀行などが十分に行っていないリスケジュールを強化するなど、小零細企業支援に極めてきめ細かく取り組んでおります。これはまさに、さきに今回の政府で成立しました中小企業金融円滑化法の趣旨を先取りして実施しているものと思っております。こうした努力を重ね、赤字という出血をとめたという事実は、正当に評価すべきであります。
 このように、今回の中間決算は、小零細企業への支援に取り組みつつ、健全化に向かっている一つの立派な証左であると考えております。
 新銀行東京は、引き続き再建への努力を重ねてもらいたいと念じております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 環状第二号線の整備についてお答えをいたします。
 現在、未整備である豊洲から虎ノ門までの区間で事業を進めております。この区間の整備は、都心部と臨海部との連絡強化や地域交通の円滑化を図るとともに、緑豊かな都市空間ネットワークを形成する上でも極めて重要であります。
 環状第二号線沿線の臨海副都心や晴海、勝どき、新橋・虎ノ門地区などでは新たなまちづくりが進んでおり、これらの開発に伴い発生する交通需要に対応するためにも、早期整備が必要であります。
 このため、お尋ねの晴海四丁目から銀座八丁目までの区間のうち、晴海地区では、東京都施行の区画整理事業などにより整備を進めており、また、勝どきから銀座八丁目までの区間では、平成十九年度から用地の取得を進め、今年度から晴海と勝どきを結びます朝潮運河にかかる橋梁工事にも着手いたします。
 今後とも、環状第二号線の平成二十七年度の全線開通を目指しまして、整備に取り組んでまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、現下の経済情勢についてでございますが、先月の月例経済報告で、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要があると示されておりまして、景気の先行きについては、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ、デフレや金融資本市場の変動などによる都内経済への影響が心配される状況でございます。
 さらに、こうした状況に追い打ちをかけるように、世界的な株安や急速な円高の影響が生じてきておりまして、二番底のリスクも懸念されております。
 したがいまして、都財政を取り巻く環境はこれからますます厳しくなるものと覚悟した上で、今後の財政運営に当たらなければならないと考えております。
 次に、今回の補正予算についてでございます。
 この予算は、国の経済危機対策のうち子育て支援や雇用創出、福祉、医療施設の耐震化や介護基盤の整備促進などのために基金を創設し、その具体化に向けて、国から交付される資金を積み立てるとともに、その基金の一部を取り崩して、実施可能なものについて速やかに事業化を行うものでございます。
 今回の補正予算によりまして、雇用や医療、介護など、緊急課題に対応する措置を新たに講ずることは、経済危機下にある都民生活を支えていく上で意義あるものと考えております。
 次に、今後の予算編成についてでございます。
 都はこれまでも、福祉、医療、雇用、中小企業対策、環境、都市づくりなど、都民の負託にしっかりとこたえた予算を編成してきております。このことは今後も同様でございます。
 同時に、厳しい財政環境のもとでの予算編成でございまして、また、国の予算編成の動向が不透明で、かつ、その結果によっては新たな財政負担も生じる懸念もあるなど、非常に難しい編成作業になることは避けられないと考えております。
 知事からは、頑張って知恵を出し、汗をかいて都民が直面する諸課題に取り組めと指示を受けております。したがいまして、従来にも増して施策の点検を徹底しつつ、事業の効果や将来への影響を見据え、都としてなすべき役割を果たすべく、年明けの知事査定に向けまして、私どもとしては予算編成作業に全力を傾けてまいります。
 次に、入札契約制度改革についてでございます。
 公共調達は、納税者である都民の負担により実施されており、また、質の高い社会資本整備を目的としております。したがいまして、入札契約制度改革におきましては、調達手続の過程やその結果について、透明性、競争性、品質確保という三つの社会的要請のバランスを確保できる仕組みとしていくことが重要でございます。
 東京都は、入札契約制度を適切に機能していくため、これらの社会的要請を踏まえまして、いち早く発注見通しや指名理由などの入札契約情報の公表、総合評価方式や工事成績評定制度の導入など、さまざまな制度改革に取り組んでまいりました。
 さらに、昨今、経済状況の悪化に伴いまして、事業者間の激しい受注競争による過度な低価格競争が工事品質に悪影響を及ぼすことが懸念される状況となっており、これを踏まえて、改革をさらに現在進めております。
 具体的には、総合評価方式の適用工事の拡大や特別重点調査を初めとする低価格入札対策など、十項目から成る実施方針を定めまして、現在、順次実施に移しているところでございます。
 公共調達の基本である透明性の高い、公平、公正な手続のもとで適正な価格と良好な品質のバランスがとれた入札契約の確保のために、引き続き取り組んでまいります。
 最後に、入札契約情報の透明化についてでございます。
 都における契約件数は、全体で十四万件余りに及んでおりまして、入札契約情報の公表の拡大を電子調達システムの整備に合わせて推進していくこととしております。
 現在は、競争入札案件と工事における随意契約案件を中心に、インターネット上での公表と入札経過調書の閲覧の二通りの方法による公表を実施しております。
 物品、業務委託における随意契約の結果につきましては、開示請求による情報提供に加えまして、今後、透明性の一層の向上に向け、電子調達システムの再構築により、工事契約案件も含め、結果の一覧など、入札契約情報の公表の拡大を進めてまいります。
 物品、業務委託における少額契約案件以外の随意契約につきましては、経過的な措置として、来年度を目途に入札経過調書の閲覧による公表拡大を実施することとしておりまして、既に準備を進めております。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 都税収入の見通しについてお答え申し上げます。
 今年度の税収につきましては、直近の収入実績等を踏まえ、当初予算対比でおおむね五千億円程度、前年度に比べ一兆円以上の減収との見込みを先日発表いたしました。
 現時点でこの見込みを大きく変更すべき状況にはありませんが、税収に大きなウエートを占める十一月末の三月決算法人の中間申告の動向を見きわめた上で、改めて精査してまいります。
 また、来年度の税収につきましては、企業業績の回復テンポが極めて緩やかであること、円高やデフレの影響に加え、法人事業税の一部国税化の平年度化に伴う減収もあり、厳しい状況が続くものと認識しております。
 今後、こうした状況を踏まえ、国の税制改正等の影響も考慮しつつ、的確に算定してまいります。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 東京湾の国際競争力強化に向けた取り組みについてでございます。
 東京港、川崎港、横浜港で構成する京浜港は、全国のコンテナ貨物取扱量の約四割を扱い、また、工業港の機能をあわせ持ち、首都圏四千万人の生活と産業活動を支える、名実ともに日本一の貿易港でございます。
 既に京浜三港は、各都市の議会のご支援を得ながら、国に先んじて国際競争力強化に向けた取り組みを開始しており、国が選択と集中を図るのであれば、スケールから見てもこれまでの先駆的な取り組みから見ても、京浜港は、国際戦略港に最もふさわしいものと考えております。
 また、港湾の経営は、生産拠点、消費地との円滑な物流の確保や、背後のまちづくりと密接な関連を有しており、自治体が主体となって大都市経営と一体的かつ広域的に取り組むことが必要でございます。
 こうしたことから、都は、三都市の連携のもとに、京浜港として、今般の国の国際戦略港湾公募に応募し、選定を得ることで、国による重点的な投資を促進させてまいります。
さらに、これをてことして、港湾機能を一層拡充するとともに、あわせて京浜港への貨物集荷を図るなど、東京湾の国際競争力を強化してまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、オリンピック・パラリンピック招致におけるアジア諸国に対する活動についてでございます。
 アジアは、まさに五輪の輪の一つを構成し、二〇一六年の場合、アジアを代表する唯一の立候補都市が東京でございました。そのアジアの基礎票を固めるために、昨年は北京オリンピック・パラリンピック大会や韓国釜山でのスポーツ・教育・文化フォーラム、マレーシアでのスポーツ・フォー・オール会議、ことしもシンガポールでのアジア・オリンピック評議会総会など、アジアでのスポーツ大会や国際会議の機会をとらえました。また、アジア大都市ネットワークなど、東京都の有する外交チャンネルを活用するなどしまして、招致委員会を中心に、都議会やJOC、競技団体、外務省等と連携しまして、アジアのIOC委員やスポーツ関係者に対し、積極的に働きかけを行ってまいりました。
 その結果、アジア・オリンピック評議会の会長であり、IOC委員でもあるクウェート出身のアハマド会長が評議会を代表して東京支持を表明するなど、多くのアジア関係者から東京への支持を表明していただきました。
 また、IOC委員がたくさん集まります陸上や水泳などの世界大会やIOC総会の場において、知事を初め招致委員会のメンバーは、最後の最後まで、アジア諸国を中心にIOC委員と会い、東京への支持を求めました。
 十月二日のIOC総会における投票は、機械による無記名投票のため、詳細は不明でございますが、ただいま申し上げたように、アジアに重点を置いた招致活動を展開しましたので、アジア諸国のIOC委員からは、大きな支持をいただいたものと確信しております。
 次に、招致に対する都民の共感を得るための取り組みについてでありますが、都は、平成十八年十二月に、「十年後の東京」計画を策定し、スポーツを通じて次代を担う子どもたちに夢を与えることを目標の一つに掲げ、地域でのスポーツ振興に取り組んでまいりました。
 具体的には、だれもが身近にスポーツを楽しめる環境を整備するため、地域スポーツクラブの設立を促進するとともに、東京マラソンの開催、都内各地でのウオーキング大会、ジュニアスポーツ大会の実施などにより、都民や子どもたちがスポーツのすばらしさを共有できる機会をふやしてまいりました。
 さらに、東京二〇〇九アジアユースパラゲームズの開催など、障害者スポーツの振興にも取り組んでおります。
 このたびの招致活動は、各局におけるこれらスポーツ振興策と連携を強め、取り組んでまいりました。
 また、招致本部あるいは招致委員会主催の事業におきましても、オリンピアン、パラリンピアンが参加したスポーツ教室を多数実施して、子どもたちを初め、多くの都民、国民の皆さんが一流選手と一緒にスポーツを体験し、楽しんでもらう機会を提供し、スポーツの大切さ、オリンピズムにつながる精神を伝えていくよう努めました。
 これらの取り組みのまさに成果だと考えますが、都民が週一回以上スポーツを実施する率は、この二年間で三九%から四三%に高まるとともに、招致に対する支持率も、IOC総会に向けて確実に高まってきたと考えております。
 成熟国家における国民の志向は多様化しておりまして、一つの事柄に高い支持率を得るのはなかなか難しいのが現実ですが、ご指摘のように、地域のスポーツ振興に地道に取り組むことは、都民の共感を得る上で大切であると考えます。
 次に、招致費用の検証と招致活動報告書についてでございます。
 招致活動においては、活動に必要な事業をきちんと計画化し、また、実際に事業実施していく際には、効率性、有効性などの観点から各事業を精査するとともに、JOCを初め関係団体、企業とも連携をして、内容の充実を図ってまいりました。
 招致は成功しませんでしたが、開催計画やプレゼンテーションを初め、取り組んだ活動については、IOC関係者からも高い評価を得ることができました。
 いずれにしても、事業の内容、成果、百五十億円の収支等につきましては、多角的に検証し、また監査も受け、その結果や今後の課題を、将来に役立つ招致活動報告書として、できるだけわかりやすく、かつ詳細に都民に明らかにしてまいります。
 報告書は、先ほど知事の答弁にもございましたように、年度内に公表いたします。
 最後に、民間資金と都からの補助金による招致委員会の活動費の収入、支出についてですが、現在、債権、債務の確定など最後の詰めの作業を行っており、鋭意精査しているところでございます。
 約二年前の平成二十年第一回都議会定例会においてお示ししました招致推進活動経費の総額百五十億円及びそのうちの一般財源投入額の百億円については、守っていくことが基本であると考えております。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 九点についてお答えを申し上げます。
 まず、医師確保についてでございますが、救急医療や小児、周産期医療などの分野において、医師不足は深刻な状況にございます。
 このため都は、病院勤務医の定着を図るため、医師の交代制勤務や短時間勤務の導入などを支援するとともに、救急勤務医師に対する手当を創設し、処遇の改善を促進しております。
 また、医師養成の取り組みとして、都が指定した大学医学部の定員枠を拡大し、医師奨学金制度を創設するとともに、都独自に、都内十三大学の医学部の五、六年生に対しても奨学金の対象といたしました。
 さらに、来年度から、定員枠を拡大する大学医学部の追加指定を行う予定であります。
 こうした重層的な取り組みにより、一人でも多くの医師を確保してまいります。
 次いで、東京ルールについてでありますが、救急医療機関が互いに連携し、救急患者を受け入れる東京ルールのかなめは地域救急医療センターでありまして、都は現在、センターに対し、救急患者の受け入れ調整に必要な医師の確保やトリアージ機能に対する支援を行っております。
 また、地域救急会議を圏域ごとに設置し、センターを中心とした連携体制の構築に努めております。
 今後とも、東京ルールの運用状況を踏まえながら、地域救急医療センターが十分機能するよう適切な支援を行ってまいります。
 次いで、新型インフルエンザの入院医療体制についてでありますが、今回の新型インフルエンザは小児患者が多いことから、小児の入院医療を行う医療機関に対して受け入れの要請を行うとともに、重症の小児患者の受け入れが可能な病院を東京消防庁の救急医療情報システムに表示するなど、円滑な受け入れ体制の確保を図りました。こうしたことにより、現時点においては、入院医療体制は確保できております。
 この間の全国の流行状況でございますが、国が八月に示しました新型インフルエンザの流行シナリオの中位推計と、十一月に発表した発生動向の実績を比較いたしますと、入院率が推計一・五%程度に対し、実績は〇・〇八%程度、重症化率が推計〇・一五%程度に対し、実績は〇・〇〇六%程度と、いずれも低い数値となっております。
 いずれにいたしましても、今後も新型インフルエンザの発生動向を的確に把握し、感染拡大の防止に取り組んでまいります。
 また、入院医療体制につきましては、今後、小児患者が急増した場合や小児以外の年齢層に感染が拡大してきた場合には、速やかに各医療機関に対し、入院患者の受け入れに向け、すべての診療科を挙げて対応するよう、改めて要請をしてまいります。
 次いで、小児医療体制についてでありますが、都はこれまで、区市町村が実施する小児初期救急事業に対する支援を行うとともに、入院が必要な救急患者に対し、二十四時間体制で診療を行う小児の二次救急医療機関を四十八施設確保してまいりました。
 これに加え、重篤な小児救急患者を二十四時間体制で受け入れ、救命治療を行う、仮称子ども救命センターを新たに都内四カ所に設置して、高度な三次救急医療体制を確保することといたしました。
 今後は、子ども救命センターを中核とし、初期から三次の医療のより緊密な連携を構築し、安心・安全な小児医療体制を確保してまいります。
 次いで、介護基盤の整備促進についてでありますが、都は、保険者である区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて推計した介護サービス量に基づき、計画的な整備に努めております。
 また、特別養護老人ホーム等の整備に当たりましては、地域バランスを勘案しながら整備の促進を図るため、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、独自の支援を行っております。
 今後とも、増大する介護ニーズにこたえるため、本定例会に提案しております基金事業も活用しながら、介護基盤の整備促進に努めてまいります。
 次いで、退院調整に係るメディカルソーシャルワーカーの育成等についてでありますが、患者が退院後も円滑に適切なケアを受けるためには、病院みずからが転院先や退院後の受け入れ先と十分な調整を行う必要があります。
 このため、都では、病院で退院支援業務を担うメディカルソーシャルワーカー等を対象に研修や情報交換会を行い、退院調整の知識や技術の向上に努めております。
 さらに、急性期や回復期から在宅療養に至るまで、切れ目なく医療が提供されるよう、都は、地域連携パスの活用や症例検討会等の取り組みを通し、医療機関等の連携づくりを推進しております。
 今後とも、都民が安心して療養できるよう、関係機関による緊密な協力関係の構築を支援してまいります。
 次いで、子どもを産み育てやすい環境づくりについてでありますが、出産育児一時金といった経済的な負担の軽減は、基本的には、国が社会保障制度全体の中で対応すべき課題であると認識をしております。
 都が担うべき役割は、保育サービスの充実や周産期医療体制の整備などにより、都民が安心して子どもを産み育てられる環境を整えることにあると考えております。
 次いで、保育サービスの拡充についてでありますが、都は、待機児童の解消に向けて、認可保育所、認証保育所、認定こども園など、多様なサービスを組み合わせた保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組んでおりますが、保育ニーズの増大に対応するため、今年度は当初の整備目標をさらに引き上げました。
 平成二十二年度以降につきましては、今年度策定する次世代育成支援後期行動計画の中で数値目標を設定し、これに基づき整備を進めてまいります。
 最後に、ワンストップサービスの今後の取り組みについてでありますが、政府が取りまとめた緊急雇用対策の一環として、去る十一月三十日に、区市及び関係機関の協力のもと、都内全ハローワークにおいてワンストップサービスデーが試行実施をされました。
 現在、国から、年内の再実施に向けた意見、意向を求められており、区市等との協議がまとまり次第、回答することにいたしております。
 都としては、今後、国、区市及び関係機関と連携して適切に対応してまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 小児病院に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院における小児精神医療の向上に対する取り組みについてでありますが、小児総合医療センターは、これまで我が国の小児精神医療に重要な役割を果たしてきた梅ケ丘病院の医療機能を引き継いだ上で、さらなる充実強化を図っていくこととしております。
 具体的には、自閉症等の広汎性発達障害や注意欠陥、多動性障害など、これまで手がけてきた小児精神医療の一層の充実を図るとともに、心の疾患を持つ子どもの体の合併症や、慢性的な体の疾患を持つ子どもの心理的問題への対応など、心と体の両面から見る総合的な高度専門医療を提供してまいります。
 また、梅ケ丘病院転出後の区部における小児精神医療の外来機能を確保するため、本年十月に、大塚病院に児童精神科外来を開設したところであります。
 今後は、都立病院が行う小児精神医療の確保を図る観点から、大塚病院や開設後の小児総合医療センターの患者動向、さらに梅ケ丘病院に通院している患者の円滑な移行等について注視をしてまいります。
 また、小児総合医療センターと関係機関の連携や支援体制の構築、専門的人材の育成など、新センターの機能を十分に発揮する取り組みも積極的に行ってまいります。
 次に、多摩地域における小児医療に対する緊急要請への対応についてでありますが、小児病院の移転統合に当たっては、転出後においても地域の住民の方々が安心できる小児医療体制を確保することが重要であると認識しております。
 こうした観点から、今回の都議会民主党からの緊急要請を受けとめ、一層の体制強化を行ってまいります。
 まず、北多摩北部地域については、多摩北部医療センターにおいて、医師、看護師等の増員を行い、現行の救急医療体制を超える需要への備えを強化することとし、具体的には、清瀬小児病院移転時には、小児救急を二系列で行える体制を整えるとともに、今後の入院患者の需要を見きわめ、その動向に応じた病床運用ができるよう、人員の確保や院内体制の整備を図ってまいります。
 八王子地域については、市内の医療機関において、外来、救急、入院医療を行う小児科の新たな開設を来年度早期に実施できるよう、都として最大限の努力を行ってまいります。
 北多摩北部地域、八王子地域において引き続き小児医療を担う中核的医療機関に対しては、小児総合医療センターとの間で人材の確保、人材育成及び医療連携の取り組みなど多様な連携策を構築し、将来にわたって協力、支援関係を形成してまいります。
 とりわけ多摩北部医療センターについては、随時の人材交流を行うなど、小児総合医療センター特別連携病院と位置づけ、その名称を都民にわかりやすく周知してまいります。
 今後とも、多摩地域における小児医療の一層の充実に、関係局とともに全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 私立高校生の保護者負担軽減についてでございますが、都では、保護者の経済的負担軽減策の一つといたしまして特別奨学金制度を実施しておりまして、都内における公私格差の是正を図ることを目的に、一定の所得以下の保護者を対象として授業料の一部を補助しているところでございます。
 お話の五万円の補助でございますけれども、全国と都との私立学校の平均授業料の差を埋めるために、都独自で私立高校生の保護者に一律に行うとのことでございますが、この補助に要する経費として、特別奨学金の今年度当初予算のおおむね二倍に当たる約六十億円の財政負担が生じる一方で、高額所得者に対しても、月額にして約四千円の補助を行うことになるなど、費用対効果に疑問があるものというふうに考えております。
 現在、国において新たな就学支援金制度の導入が検討されておりますが、いまだ支給対象者を初め、その内容が確定していない状況にあり、都といたしましては、特別奨学金制度や育英資金など、現在実施している幅広い施策を総合的に活用し、保護者負担の軽減に努めていく考えでございます。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急の雇用対策についてでありますが、都は本年度、独自の区市町村補助事業を実施するとともに、国の交付金による緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別基金事業に取り組んでおりまして、これら三つの事業を合わせて七十億円の事業費を確保しております。
 しかしながら、雇用情勢は依然として厳しく、一層の取り組みが求められる状況にありますことから、本定例会に提案しております補正予算により、緊急雇用創出事業の基金を大幅に拡充するとともに、事業費として三十三億円を追加計上し、本年度合計で百億円を超える事業規模といたしました。これにより、緊急雇用創出事業において、約一万人の雇用創出を図ってまいります。
 このように、必要な対策を講じているところでありまして、今後とも、雇用情勢に適切に対応し、今回拡充いたしました基金の最大限の活用などにより、切れ目のない雇用の創出に取り組んでまいります。
 次に、制度融資の拡充についてでありますが、都は、制度融資の運営に当たりましては、利用実績はもとより、各種の景況調査や信用保証協会及び金融機関などとの意見交換を踏まえて、都内中小企業の生産、売り上げや資金繰り等の動向をとらえ、資金需要の的確な把握に努めております。
 本年六月補正予算におきましても、国の緊急保証制度に対応した融資メニューであります経営緊急の利用が依然高い水準で推移していることから、経営緊急を含む経営支援融資の目標額を二千五百億円から七千億円に拡大し、預託金を四百七十億円積み増すなど、必要な経費を確保したところでございます。
 今後の都内中小企業の資金需要につきましては、設備投資の動向など不透明な部分が多くございますが、都としては、都内中小企業の資金需要を的確に見きわめ、対応してまいります。
 次に、中小企業の資金調達に係る負担の軽減についてでありますが、都は昨年度から、経営支援融資や小口資金融資におきまして、小規模企業者に対して保証料の二分の一を補助するという、過去最高水準となる独自の対応を行っております。
 また、制度融資の最優遇金利は、金融機関が最も信用力のある企業に適用する貸出金利であります短期プライムレートとほぼ同水準であり、本年四月には、この間の金利動向に合わせて、最優遇金利をさらに〇・四%引き下げたところでございます。
 このように、都は、他の道府県と比べても格段に手厚い措置を既に講じているところでございます。
 現下の厳しい経済状況のもと、引き続き都内中小企業の負担の軽減を図ってまいります。
 次に、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援についてでありますが、都は、新たな保証つき融資制度につきまして、地域の金融機関や保証機関との間で協議を進めてまいりましたが、本年十月から、準備が整った金融機関において、それぞれの窓口での取り扱いが開始されました。
 現在、六つの金融機関において融資の受け付けを行っており、他の金融機関につきましても、順次、取り扱いを拡大してまいります。
 都内中小企業を取り巻く経営環境は、依然として厳しい状況にあり、引き続き本制度の利用を促進することによりまして、高い技術力やすぐれたビジネスプラン等を持ち、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業を資金面から支援していく考えでございます。
 次に、新銀行東京における債権の売却についてでありますが、新銀行東京は、融資返済に苦しむ中小零細企業一千六百二十社に対しまして、延滞や倒産防止の観点から、与信期間の延長を行うリスケジュールに応じるなどの取り組みを、再建計画実施以降、強化しております。今回の中間決算では、この点についても明らかにしたところでございます。
 新銀行東京が債権売却を実施しているのは、事実上経営破綻の状態にある取引先などでございます。金融機関の経営判断として、債権の回収が困難または極めて長期化したものを売却しております。
 なお、債権売却の実績につきましては、重要な経営情報でありますことから、他の金融機関と同様に、新銀行東京においても、現在明らかにしてございません。
 次に、新銀行東京の新型保証についてでありますが、経済情勢の急激な悪化の影響などにより、新型保証につきましては、現在のところ、商品化には至っておりません。
 しかしながら、銀行の経営については、再建計画に基づきながらも、その時々の金融経済状況に柔軟に対応していくことが当然であります。そうした努力の結果、平成二十一年度中間決算におきまして、開業以来初の黒字を計上し、通期においても、計画を約三十億円上回る十三億円の黒字を見込んでおります。
 都としては、今後とも、新銀行東京の再建に向け、適切な経営監視に努めてまいります。
 最後に、旧経営陣に対する訴訟についてでありますが、新銀行東京は、既に旧経営陣に対して訴訟を提起する方針を決定し、これまで周到に準備を進めてまいりました。
 新銀行東京は、去る十一月二十日の中間決算発表の記者会見におきまして、現在、訴訟代理人の選任を終え、訴訟に関する詰めを行っており、年内に訴訟を提起することを想定しているが、遅くとも年明け早々には実施すると述べております。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、離職者に対する都営住宅の活用についてでございますが、都営住宅は応募倍率が非常に高く、恒常的な空き家はないということに加えまして、高齢者や障害者などの入居希望者も多数おられることから、離職者というだけで都営住宅を提供することは極めて困難でございます。
 現在、離職者のうち、介護職への就労支援事業の対象者の一時住宅といたしまして、本年七月より、都営住宅を十戸提供しております。
 今後も、本来の入居対象者の入居に支障を及ぼさないことなどを条件に、適切に対応してまいります。
 次に、少子高齢時代の新たな「すまい」PTによる東京モデルについてでございますが、高齢者が安心して暮らすことのできる住まいの実現のためには、バリアフリーなど建物としての住宅の質に加え、提供されるサービスの質をあわせて確保していくことが重要であると認識しております。
 東京モデルは、急速に高齢化が進展する中で、地価の高い東京におきまして、民間事業者の意欲を喚起し、高齢者向け住宅や福祉施設等のケアつき住まいの整備の促進を目指すものでございます。
 このため、バリアフリーや耐火性能などの住宅の質やサービスの質を確保しつつ、限られた土地資源、既存ストックの有効活用の観点から、国の定める全国一律の面積基準を緩和し、事業コストや入居者負担の軽減のための環境整備を図ることといたしました。
 今後とも、ケアつき住まいの整備の促進を図り、高齢者が安心して暮らすことのできる住まいの実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、住宅供給における地域のコミュニティ形成を促していくための方策についてでございますが、年齢や世帯構成、所得等に偏りのない、バランスのとれたコミュニティを形成することは、地域活力の維持向上などに寄与するものと認識しております。
 これまでも、都営住宅や公社住宅におきましては、当選倍率の優遇制度の活用などにより、子育て世帯の入居機会の拡大を図っております。
 また、都営住宅の建てかえに当たり、創出した用地を活用いたしまして、地域特性に応じて民間事業者による住宅や保育所、高齢者福祉施設を整備するなど、コミュニティバランスに配慮した取り組みを行っております。
 さらに、民間事業者が整備する高齢者向け優良賃貸住宅の建設におきましても、保育所等の子育て支援施設の併設を誘導するなど、多世代の共生を促進する取り組みを進めております。
 今後とも、こうした取り組みを通じ、多様な人々がともに暮らす、バランスのとれた地域コミュニティの形成に努めてまいります。
 次に、歴史的建造物の保存による景観形成についてでございますが、歴史的な価値を持つ建造物は、都市の記憶を引き継ぐ貴重な資源でございまして、その保存、活用を図ることは、東京の魅力を高めていく上で重要でございます。
 都はこれまでも、重要文化財である三井本館や明治生命館など、都市開発諸制度等を活用した歴史的な建造物の保存とともに、国会議事堂や東京駅丸の内駅舎など、首都を象徴する建造物を中心とした眺望の保全に努めてまいりました。
 今後とも、歴史的な建造物の保存、活用等を通じて、東京の魅力ある景観づくりを進めてまいります。
 最後に、都市開発諸制度と景観行政の整合についてでございますが、東京が活力ある都市として一層発展していくためには、都市再生などを積極的に進め、その取り組みを通じて、景観を重視した東京ならではの都市づくりを行っていくことが必要でございます。
 このため、都は景観条例に基づき、都市開発諸制度を適用した大規模建築物等を対象に、独自の事前協議制度を創設いたしまして、都市計画の手続等に入る前の早い段階において、周辺のまち並みとの調和や歴史的資源への配慮など、さまざまな視点からの協議を進め、景観形成を図ってまいりました。
 引き続き、都市づくりと連携した景観施策の展開に努めてまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 三点のご質問にお答えいたします。
 仮移転による現在地再整備の検討についてですが、まず、現在の築地市場において、新市場に必要な機能を盛り込み、さらには環状第二号線を整備するという条件のもとに現在地再整備の施設配置を考えた場合、水産が一階から三階、青果が四階とならざるを得ないなど、実現可能な配置案を作成することはできません。
 仮に築地市場の仮移転を行う場合、移転先におきましても、生鮮食料品を安定供給する基幹市場としての機能が十分発揮できるよう、効率的な物流や衛生管理の確保を可能とする施設整備が必要となります。
 晴海地区では、都有地は、客船ターミナル、ふ頭、公園、道路に使用され、清掃工場や既成市街地に隣接しているため、仮移転先としての用地は限られています。
 このため、水産のみ、あるいは水産、青果の両方を仮移転する場合は、市場基幹施設を平面配置することができません。たとえこれらの施設を高層化したとしても、荷の搬出入や場内搬送に時間を要し、深夜から早朝の限られた時間内に大量の荷をさばくことができないなど、市場としての機能が確保できません。
 また、青果を晴海地区に仮移転し、築地市場において施設を重層化することであえて再整備を行ったとしても、営業を続けながらの長期間の工事となります。
 さらに、工事に伴い、騒音や振動が発生し、慎重なアスベスト対策も行う必要があるため、市場の営業活動に深刻な影響を与え、顧客離れの懸念が生じます。
 加えまして、仮移転による再整備では、建設費が増大することから、市場業者の使用料負担も重くなります。また、業界が整備する冷蔵庫やリサイクル施設、通勤駐車場などの施設や移転の経費も二重にかかることになり、市場業者の経営をなお一層厳しくすることから、理解が得られません。
 さらに、晴海周辺において、深夜から早朝にかけて、車両の混雑や騒音の発生の影響も懸念されます。
 このように、晴海地区への仮移転を伴う再整備案につきましては、業界との合意形成も含め、解決困難な多くの課題があり、実現は極めて難しいと考えております。
 次に、豊洲新市場での買い回りについてであります。
 築地市場は、敷地が狭隘で、買い出し人の駐車場が不足しているため、車両の入場待ちが発生し、場内に入り切れない車両が、やむなく路上での荷の仕分けや荷おろしを行っている状況にあります。
 このため、豊洲新市場では、十分な荷さばきスペースや駐車場の確保、車両誘導システムの導入などによりまして、買い出し人にとりましても荷の円滑かつ迅速な搬送が可能となるような施設計画としております。
 また、築地市場は水産と青果を扱う総合市場であり、その立地特性から、都心部に集積する飲食店やホテルなどが多く利用しております。買い回りの形態は多種多様で、日々変動していることから、実態について具体的な数値を把握することは困難でありますが、その買い出し人の多くは、水産、青果の両方の店舗から仕入れを行っているため、業界団体から、豊洲新市場におきましても買い回りについて考慮するよう要望を受けております。そのため、新市場の施設計画の策定に当たりましては、こうした業界団体からの意向も反映させております。
 具体的には、徒歩で買い回る買い出し人が街区間を行き来しやすいよう、市場前駅と各街区を結ぶ歩行者専用通路を設置しています。また、買い回りした荷を水産と青果の間で車両搬送するため、街区を隔てる環状第二号線の下にアンダーパスを設けるほか、水産卸売場と水産仲卸売場の間の補助三一五号線の下に連絡通路を確保することにより、荷のスムーズな移動を可能としております。
 さらに、青果から水産に搬送される買い荷の集積のしやすさに配慮し、荷さばき場の位置を変更いたしました。
 このように、豊洲新市場の整備は市場利用者の利便性に十分配慮していることから、買い出し人などの団体は一刻も早い移転整備を求めております。
 都といたしましては、引き続き、豊洲新市場の買い回りを含む場内物流につきまして、市場業者と協議を進め、さらに利便性の高い運用方法を検討してまいります。
 最後は、都民の意見を聞くことについてであります。
 築地市場の移転整備に関し、都に寄せられた意見では、賛成の理由としては、築地市場の狭隘性や衛生面の問題などが挙げられております。一方、反対の理由といたしましては、文化施設や観光名所としての築地の存続や、新市場予定地の土壌汚染に関することなどとなっております。
 都はこれまで、地元説明会を開催するほか、ホームページやパンフレットなどを活用し、移転整備の必要性や土壌汚染調査、対策の内容をきめ細かく情報提供しておりますが、築地市場の現状や市場本来の役割、機能が十分理解されていないことや、土壌汚染対策についても、専門性が高いため、対策を講ずることによりまして安全性が確保できることが正確に理解されていないことなど、豊洲移転に関する情報が効果的に都民に伝わっていない面もあると考えられます。
 こうしたことから、築地市場は老朽化、狭隘化が既に限界に達しており、一刻も早く抜本的な改善を行い、品質管理の高度化など市場機能の強化を図る必要があること、新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、我が国最高権威の学識経験者により、信頼性の高い万全な対策を講じ、安全性に不安がないこと、さらに、新市場では、築地で培われた伝統を継承し、新たな観光拠点となるにぎわい施設を整備することなどを都民に正確に、かつ十分理解していただけるよう、一層工夫した広報活動を進めていく必要があると考えております。
 このため、都民を対象とした説明会では、土壌汚染対策の内容を、模型やアニメーションを活用してわかりやすく説明し、質疑応答の時間も十分設け疑問の解消を図っていくとともに、ホームページを、写真やイラストなどを用いましてよりわかりやすく改善するなど、情報提供を充実してまいります。
 また、各市場におきましても、市場関係者への説明会の実施のほか、地域や見学者への情報提供など、あらゆる機会をとらえまして広報活動を行っていきます。
 都といたしましては、こうした取り組みを積極的に進めることによりまして、都民の一層の理解が得られるよう努力してまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、住宅用太陽エネルギー利用機器の普及に向けた取り組みについてでございますが、補助金の申請数は、月を追って順調に増加してきておりまして、国による新たな買い取り制度が開始された十一月の月間申請数を八月と比較しますと、四割近くもふえております。
 また、秋以降、家電量販店等における販売も本格化し、異業種からの参入も始まるなど、販売ルートも多様化してきております。
 今月中旬には、太陽光発電のユーザー団体との共催により、実際に使用した際のメリットを都民にわかりやすく伝えるイベントの開催も予定しております。
 今後とも、こうしたさまざまな取り組みを進め、積極的に普及拡大を図ってまいります。
 次に、業務部門における太陽エネルギーの普及に向けた取り組みについてでございますが、大規模建築物を新築する際に、建築主に環境配慮を求めるため、都は平成十四年に、延べ床面積一万平方メートルを超える建築物を対象として建築物環境計画書制度を開始いたしました。
 この制度の強化を図るため、昨年、環境確保条例を改正しまして、その中で、太陽エネルギー等の利用促進のため、再生可能エネルギー導入の検討を義務づけました。来年一月からの条例の施行によりまして、建築主は、日照条件や設置場所の確保など、太陽エネルギー導入の検討を行うことになります。
 条例によるこの制度を徹底しまして、業務用の大規模建築物への太陽エネルギーの利用促進を図ってまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 犯罪被害者等支援に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村におきます犯罪被害者等支援についてでございますが、犯罪被害者等支援を進めていくためには、都だけではなく、都内のすべての区市町村において支援に取り組んでいく必要があると考えております。
 このため、都は犯罪被害者等支援推進計画に基づきまして、都内全域での連携体制を構築するため、支援担当者によります会議等を設置し、それを通して、区市町村に対しまして、被害者等支援を行う担当窓口の開設を働きかけてまいりました。この二年間で、担当窓口を設置した区市町村は二十七団体から四十三団体となりまして、全区市町村のおおむね三分の二まで拡大しました。都としては、引き続き、担当窓口の開設を区市町村に働きかけてまいります。
 次に、区市町村に対します都の支援についてでございますが、地方公共団体による被害者等支援への取り組みは緒についたところでございまして、早期に区市町村の取り組み体制を整備していくことが重要であると考えております。
 このため、都は区市町村に対して、先ほど申しました担当窓口の開設を強く働きかけるとともに、相談事業や福祉サービスなどによる被害者等への支援が進むよう、職員の研修の実施や相談対応マニュアルの提供などを通じまして区市町村を支援してまいります。
 お話のような、保育などにつきまして、既存の施策を柔軟に活用して被害者等支援を進めていくことは効果的な方法であると考えております。
 都としては、このような先進的な事例を区市町村に積極的に紹介することなどによりまして、多角的な取り組みが進むよう働きかけてまいります。
 最後に、被害者等支援のための条例の制定についてでございますが、都においては、犯罪被害者等基本法の趣旨を踏まえまして犯罪被害者等支援推進計画を策定し、計画に基づくさまざまな事業を実施しており、今後も、計画を着実に推進していくことにより、犯罪被害者等を支援してまいります。
 都における計画は平成二十二年度末に見直しを予定しているところでございまして、現行計画の成果を検証するため、今年度中に、都内における被害者等支援の実態につきまして調査を実施する予定でございます。
 都としては、この調査結果等を踏まえまして、被害者等への支援がより一層充実したものとなるよう、今後、支援の取り組みについて検討してまいります。
   〔百二十一番酒井大史君登壇〕

○百二十一番(酒井大史君) それでは、再質問をさせていただきます。
 まず、オリンピックについてでございますが、ただいまの答弁では、知事は、一九六〇年大会の東京招致をJOCのメンバーで覚えていた人はいなかったはずとの指摘をされました。
 しかし、JOCのホームページ「東京オリンピック」の中に、一九五二年五月には、一九六〇年に開催される第十七回大会を東京に招致する意向を表明──中略をさせていただきますが、日本は第十七回大会の東京招致のための活動を積極的に行った、しかし、それは時間的にIOC委員に理解をもらうための時間が少な過ぎたと述べられています。ですから、JOCは一九六〇年大会招致を認知していたと考えるものです。知事には、JOCへの憶測による指摘はやめるよう申し上げます。見解を伺います。
 次に、新銀行東京の中間決算に対する質問についてでございますが、知事におかれては質問の趣旨をご理解いただけなかったようですので、改めて質問をさせていただきます。
 私たちの質問に対し、石原知事は、第一・四半期に引き続き中間決算でも黒字を計上というだけをもって新銀行を評価しています。
 しかし、私たちは、本業で利益が出ていないことや、中小企業への貸し出しが減っていることなど、現実を素直に見据えるべきだとした上で、石原知事の中間決算に対する評価を聞いているのです。
 石原知事は、答弁の中で、現在、取引先にきめ細やかな対応を図るなど、小零細企業支援に取り組んでおり、こうした事実は正当に評価をすべきという趣旨の答弁をされておりますけれども、そもそも知事は、いつからリレーションシップを評価するようになったのでしょうか。これこそ、石原知事の掲げたスコアリングモデルによるビジネスモデルが破綻をしたことの証左です。表面上の数字に満足し、都合の悪いことには口をつぐむという姿勢は改めるべきです。決して石原知事はそのような方ではないと信じております。
 本業で利益が出ていないことや、中小企業への貸し出しが減っていることなど、現実を素直に見据えた中間決算に対する評価について、石原知事に改めてお伺いをいたします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) まず、オリンピック関係についてお答えいたしますが、JOCのメンバーが覚えていなかったというのは、私はいい過ぎかもしれませんが、少なくとも、一九六〇年に東京がアプライして失敗したということを私に告げてくれた人は一人もいませんでした。私はそれから重ねて愛知オリンピックあるいは大阪がアプライした──名古屋と大阪、このときの失敗はどういうわけだったんですかと聞いても、答えは来ませんでした。
 そういうものが詳細にレポートとして残されていれば、私たち、いろんな形でもう少し作戦も立てられたと思いますが、そういったやっぱり情報というものをきちっと残して伝えることが必要だと思いますから、私は今回の敗戦の経験というものをレガシーとしてきちっと残すべきだと思っているわけであります。
 次いで、銀行の件でありますけれども、もう少し物事を複合的、重層的に考えていただきたい。銀行が痛手を負って重病人になった、この責任はいろいろ問われるべきでしょう。ですから裁判も起こしますが、しかし、今、銀行に必要なことは、当初の目的であります小零細企業──私がつくった、要するにハイリスク・ハイリターンの、アメリカでいう、いわゆるジャンクボンドのマーケット、これは一兆円ぐらいになりました。そのおかげで八十社の会社が上場もしました。しかし、そういう対象になり得ない、本当に小零細企業に手当てをするためにこの銀行をつくったわけですけど、残念ながら失敗しました。
 しかし、何とか立ち直る兆しを見せてきたので、これを今の限りとにかく努力をして、ですから、ほかの銀行がやっていないようなレギュレーションというものを試みて、とにかく要するに赤字を減らしてきた。これは今の第一段階でしょう。これでもし通年で黒字が出れば、これはやっぱりその信用というものを踏まえて、再三申してきましたけど、第二段階として、東京の活力、ポテンシャルを非常に信じている外国のファンドはたくさんございますから、そういったものと組んでいっても積極的な再建に向かえるはずでありますけれども、要するに単年度黒字を出すための努力を、今新しい経営陣が必死にしているわけですから、これは私は十分評価すべきだと思いますね。
 それがわからないで、銀行を是か非かという論じ方は乱暴ですし、いたずらに犠牲を強いるだけの話でして、もうちょっと冷静に、複合的に物を考えていただきたい。

○議長(田中良君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十六分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十二番服部ゆくお君。
   〔百十二番服部ゆくお君登壇〕

○百十二番(服部ゆくお君) 質問に先立ちまして、川島忠一先生の突然のご逝去に当たり、心からお悔やみ申し上げて、ご冥福をお祈りいたしたいと存じます。
 それでは、都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 民主党鳩山政権も、その誕生から百日近くが経過しようとしております。これまでの一連の状況を見ると、ふなれとはいえ、強権的な政権運営で、極めて憂慮すべき点がたくさんあります。
 その最たるものは、国家観がなく、政策の優先順位もなく、この国の未来を閉ざしてしまいかねないことであります。鳴り物入りで始まった事業仕分けも、事実上、財務省の筋書きどおりとの指摘があります。初めに財源捻出ありきで、技術立国日本を支える科学技術予算を大幅削減するなど、近視眼的な対応は枚挙にいとまがありません。
 来年の参議院選挙をにらんで、子ども手当などのばらまき政策を行う財源を捻出するために、後先考えずに公共事業や中小企業支援予算を削ったことで、底入れの気配を見せている景気が二番底に落ち込む可能性も出ております。このままでは鳩山不況になるのではないか、懸念をされています。幾ら子ども手当をもらっても、両親が失業しては元も子もありません。
 民主党は口当たりのよいことばかりを国民に約束し、今になってつじつまが合わなくなり、弁解に終始しています。国民のために、民主党のマニフェストこそ事業仕分けにかけなければなりません。
 民主党鳩山政権のこうした迷走ぶりは、都政にも今後重大な影響を与えることになります。鳩山不況が来れば、税収が大きく落ち込み、必要な政策も打つことができなくなりかねません。こうした民主党鳩山政権に対する率直の評価を知事に伺います。
 次に、今後の財政運営について伺います。
 先ほど述べた事業仕分けは、中身を見ても、短時間で、一面的な議論に終始し、およそ本質から離れたものとなっています。また、例えば下水道事業など、財源とともに地方移管すべきとの結論が出たものも、具体的な移譲の仕組みなど、政府としての対応は明らかにされていません。
 そればかりか、子ども手当や高校の実質無償化、道路関係諸税の暫定税率の廃止など、当然国が持つべき負担を地方へ転嫁するという、あるまじき検討がされています。仮に財源措置がされたとしても、地方交付税の措置という、地方交付税の不交付団体である都に甚大な悪影響を及ぼす許しがたい手法となることも十分想定されます。
 本来、国の予算編成が徐々に明らかにされてくるこの時期になっても、依然として先行きが不透明な現状は、地方全体に大きな不安と、国に対する不信感をもたらしています。
 さらに、これまで我が党が即時撤廃を強く訴えてきた法人事業税の暫定措置についても、国は明確な姿勢を示しておりません。税制の抜本改革が先送りになった今、暫定措置を導入したときの前提さえ崩れており、抜本改革をまつまでもなく、即時撤廃されるべきものであります。
 こうした状況を踏まえ、平成十一年に設置した、地方税財政制度の改善を目指す東京都議会議員連盟、これが再びスタートしました。法人事業税の暫定措置の即時撤廃はもとより、地方負担をふやし、不合理に東京の税源を奪うような動きから都民を守り抜くことを最優先に、地方議会として、都議会各派が知事とともに一致団結し、断固たる戦いを挑まなければならないと考えていることを強く申し上げます。
 さて、都財政を取り巻く状況に目を移すと、今年度の都税収入は、昨年度決算対比で一兆円と、過去最大の減収が見込まれることが明らかになりました。これまで我が党は、近年の急激な景気変動にも対応できるよう、堅実な財政運営の必要性を主張し、都も同じ考えで財政運営を行ってきたわけであります。しかし、この落ち込みが劇的に回復することは当面期待できず、都財政は極めて厳しい環境に置かれています。
 その一方で、都民や中小企業が現に直面している不安を払拭するとともに、少子化への対応など、東京の将来を築き上げる取り組みを行っていかなければなりません。
 厳しい財政環境にあっても、引き続き山積する課題に的確に対応し、都政に課せられた使命をしっかりと果たしていかなければなりません。
 都財政の潮目が大きく変わり、いつにも増してかじ取りの難しい局面を迎えている中、都財政が置かれた状況を改めて自覚した上で、歳入歳出両面にわたる、より一層の努力を行うことが必要です。知事が就任された平成十一年当時の都財政を、ここまで立て直した知事の腕の見せどころではないかと考えます。
 そこで、今後の財政運営をどのように行っていくのか、知事の決意を伺います。
 次に、都民生活の安全・安心を守る施策について、最初に新型インフルエンザ対策について伺います。
 十月二十九日に流行警報が発令された後、いまだ流行が続いており、都内では毎週、小児を中心に多くの新たな患者が発生しています。
 今回の新型インフルエンザにはタミフルやリレンザが有効であり、ほとんどの患者は軽症で終わっていますが、小児、特に未就学児においては、脳症を発症するなど重症化する例も見られます。
 都は、こうした事態を冷静に分析し、国に先駆けて未就学児のワクチン接種前倒しを行いました。一方、国は、ワクチン接種の回数について二転三転するなど、場当たり的に方針を変更し、医療の現場は大いに混乱をしております。
 危機管理において、正確で迅速な情報提供が最も重要なことですが、現場や国民を混乱させるような拙速な情報提供は、現政権の危機管理能力のなさを露呈したものであるといえます。
 ワクチンの供給量は、いまだ限られたものではありますが、都民に的確に情報を伝え、また、医療機関や区市町村としっかりと連携し、円滑な接種を実施していかなければなりません。都の見解を伺います。
 次に、震災時における外出者対策について伺います。
 都の被害想定によると、首都直下地震が発生した場合、千百四十四万人が自宅以外の外出先で被災するとされています。
 地震発生により公共交通機関がとまり、これら膨大な数に上る外出者が、必要な情報を入手できない不安感から混乱を来すことが強く憂慮されています。さらに、こうした外出者が、自宅に向かって一斉に移動を開始したり、情報を求めて鉄道駅などに殺到した場合、路上や駅周辺では大混雑が発生し、集団転倒を誘発するなど、大変危険な状態となります。
 地震発生直後、公的機関は救出活動に重点を置くため、外出者に対する公的な支援には限界があり、自助、共助の理念に基づく外出者対策が重要であります。
 我が党は、本年の予算特別委員会において、徒歩帰宅者への支援体制を一層強化するとともに、駅前滞留者対策、徒歩帰宅者対策、帰宅困難者対策といった、外出者の置かれた状況に応じて個別に講じられていた対策について、総合的に推進していく必要があることを強く指摘したところであります。
 震災時に膨大な数に上る外出者への対策は、一朝一夕には困難であり、日ごろから地元事業者等による準備や取り組みが必要です。
 そこで、これらを踏まえ、震災時の外出者対策にかかわるこれまでの取り組みと今後の進め方について、都の見解を伺います。
 首都直下地震の切迫性が指摘される今日、都民が安心して安全に暮らせる、災害に強い東京の実現が喫緊の課題となっています。
 特に東京には、防災上危険な木造住宅密集地域が広範に広がっており、このような市街地の改善を一日も早く進めることが必要です。
 先日、都は、防災都市づくり推進計画の改定の中間のまとめを公表しました。それによれば、震災時に大きな被害を受けるおそれのある市街地の不燃化の目標の前倒しなどが盛り込まれており、今後、この計画に基づき、災害に強い都市の早期実現が図られることを大いに期待します。
 そこで、今後、防災都市づくりをどのように推進していくのか伺います。
 次に、水道事業について伺います。
 近い将来、七〇%という高い確率で、阪神・淡路大震災クラスの地震が東京を襲うと指摘されております。
 水道管路の被害によって断水し、被災現場では水の確保に苦労したり、避難所から自宅へ帰れても、生活用水が断たれたため、入浴や洗濯などができずトイレも流せないなど、断水による影響は相当大きいものです。
 東京の耐震継ぎ手化率は二四%で、被害想定では、東京全体で約三五%の断水が発生し、その復旧には最大で三十日間を要するとしております。都市活動はもとより、都民生活のあらゆる場面で大きな制約を受けることになります。
 さらに今後、少子高齢化が進む中で、災害弱者が一層増加することを考え合わせますと、予防対策の強化が何より重要です。
 震災時において一日でも早い水道の復旧を目指し、耐震継ぎ手管への取りかえを一層推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 予防的な対策とともに、万一、発災した場合には、給水活動などの応急的な対策も重要です。特に、早期の復旧が困難な場所には、通水を優先する復旧方法が有効だと考えます。
 昨年の代表質問で、路上での仮配管による復旧方法を提案し、前向きな回答をいただきましたが、震災時における仮配管方式の活用策について伺います。
 また、水源地域の森林管理についても早急な対策が必要と考えます。森林所有者の中には、自己の山林を手放したいと考える方もいることから、林業経営の支援とは異なる対策が必要です。
 こうしたことを踏まえ、本年第一回定例会において、我が党は、荒廃が進む多摩川上流域の民有林を水道水源林として所有、管理することについて、ただしたところです。
 管理が不十分な民有林については、水道水源林として守っていくことが必要であり、そのための計画をどのように進めていくのか、具体的に伺います。
 次に、中小企業、雇用対策について伺います。
 国が先月十六日に発表した七月から九月期の実質GDPは、前期比年率で四・八%と二期連続のプラスとなり、景気の持ち直し傾向が続いております。これは、前政権下におけるさまざまな景気対策の効果のあらわれであると考えています。
 しかし、特に中小企業の業況は、いまだ回復の兆しが見えず、雇用や賃金についても依然として厳しい状況が続いております。
 こうした状況を踏まえ、我が党は先月十六日、都に対して緊急要望をいたしました。
 この緊急要望の内容は、年末に向けた緊急的な雇用対策の拡充、中小企業のつなぎ融資の拡充、年末の相談体制の整備など、現場の声を反映させた切実なものであります。
 都内中小企業は、受注が思うようにとれず、融資の返済や支払いに追われるなど、年末にかけて、経営に対する不安の声も大きくなっています。年末に向け、厳しい経営状況に置かれている中小企業に対して、具体的にどのような対策を講じるのか伺います。
 雇用を取り巻く環境も厳しさを増しています。都内の完全失業率は五・二%と高い水準で推移し、都民の雇用への不安は、ますます高まっています。
 また、十月一日時点の大卒予定者の内定率も六二・五%と、昨年に比較して大幅に悪化しており、次代を担う若者の社会への入り口が狭められていることは、ゆゆしき問題です。このままでは、ますます深刻な事態になりかねません。雇用の場を確保し、都民の不安を解消していく緊急対策がぜひとも必要です。
 こうしたことから、我が党は、都が設置している雇用創出のための基金を拡充し、失業者に対する雇用創出事業を大幅に追加するほか、企業による雇用の維持や就業に関する相談体制の確保など、さまざまな施策を速やかに実施するよう緊急要望いたしました。我が党の要望に対し、都は、雇用創出事業の追加を盛り込んだ補正予算案を本定例会に提出しました。
 このことを含め、現下の厳しい雇用情勢に対し、都は具体的にどのような取り組みを進めていくのか伺います。
 こうした足元の緊急対策に加えて、都内経済を支えている産業の基盤をしっかりと維持し、次の景気回復や経済成長につなげていくことも不可欠であります。
 具体的には、中小企業の経営力強化を図り、長引く不況にも耐えられる経営体質づくりを支援していくことが重要です。
 都が今年度実施している中小企業経営力向上支援事業、これは、二千社の中小企業に対し、中小企業診断士と商工会議所や商工会の経営指導員が出向いて、きめの細かい支援を行うものであり、中小企業の経営体質の強化に大きな効果を上げていると聞いております。
 また、将来の産業の基盤を維持するためには、中小企業が持つ独自ですぐれた技術や技能をどのように次世代に引き継いでいくかなど、個々の企業だけでは解決できない問題もあり、都の積極的な支援が求められています。
 こうした産業基盤の維持に向けた中小企業の経営力向上や技術の継承などの取り組みに対して、都は強力に支援すべきであると考えますが、所見を伺います。
 さて、今回の経済危機は、百年に一度ともいわれるように、その影響の世界的な広がりと深さにも特徴がありますが、加えて、今回の危機によって、それぞれの国が抱える問題点や弱点が浮き彫りになったといえます。
 我が国では、外需を中心に経済を率先してきた自動車産業などが、大きな影響を受けました。
 このことを考えますと、高度な技術を活用したロボット産業や航空宇宙産業、さらには環境産業や健康産業など、次代を担う新たな産業分野を育成し、経済成長の推進力となるエンジンをふやしていくことが、次の景気の自律的な回復や経済成長の実現には不可欠であります。
 しかし、国においては、中長期的な成長戦略や新しい産業を育成する具体的道筋は、いまだに見えないままであります。
 未曾有の経済危機の中、新政権がいまだに成長戦略という海図をしっかりと示さないまま、日本という船がこの経済危機という荒波を羅針盤なしで航海していると思うと、不安を禁じ得ません。
 今まさに必要なのは、都民や中小企業の不安を取り除いて足元を固めるとともに、強固な産業基盤のもとで、将来の経済発展へと船を進めていくことであります。
 こうした中、都においては、来年二月に技術支援や経営支援の核となる産業支援拠点が多摩に開設され、さらに区部にも平成二十三年度中に開設される予定であり、新事業創出を図ろうとする中小企業に対する支援体制が一層強化されることになります。
 将来の経済成長を見据え、これら二つの産業支援拠点を最大限活用しながら、今後成長が期待されている産業分野の新製品、新技術開発を促進するなど、新しい産業分野の育成に向けた具体的な取り組みをより一層強化していくことが必要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、入札契約制度改革について伺います。
 我が党は、かねてより、入札契約制度の改革に向けて、PTを設置し、公共調達における品質管理の重要性を明らかにしてきました。現在、民間建設市場の冷え込みから、公共工事の入札価格の著しい低下が続き、採算がとれない受注案件が増加しています。
 こうした著しい低価格の入札が続けば、中長期的に企業体力が消耗し、技術力の維持が困難になり、結局、将来の公共工事の品質確保に支障が生じるおそれがあることを、さきの定例会で指摘し、都に対して低価格入札に対する早急な対策を求めてきました。
 都は、こうした我が党の指摘を受けとめ、下請への不当なしわ寄せが懸念される極端な低価格入札を防ぐため、大規模工事を対象として特別重点調査制度をいち早く導入し、今議会に提案されている契約議案では、こうした取り組みの効果があらわれ始めています。
 そして、先ごろ発表された入札契約制度改革の実施方針では、我が党が主張してきた公共工事の品質確保に向けた取り組みの強化を中心として、今後の制度改革の方向性が示されました。
 そこで、実施方針で示された品質確保対策を早急に具体化し、実施していく必要があると考えますが、中小規模工事に対する低価格入札への対応も含め、対策の今後の具体的な進め方について伺います。
 次に、豊洲新市場の整備について伺います。
 築地市場の豊洲移転については、市場業界から、都議選後の本年七月に、新市場建設計画推進の嘆願書が提出をされました。
 さらに、業界団体の大多数から成る新市場建設推進協議会が再結成され、新市場の実現に向け、都議会各会派や東京都に対し、先月十七日、早期移転の要望書が提出されました。
 要望書では、産地や顧客からの要請が厳しくなっており、施設が老朽化し、物流や衛生面での課題が抜本的に解決できない築地市場では将来的な展望が見出せないと、早期移転を強く求め、同日の記者会見でも、我々の願いは、一刻も早く、我々の体力があるうちに移転して、理想に近い設備の中でやらせていただきたいことです、いたずらに政争の具にしないでもらいたい、そう切実に訴えられました。
 我が党としては、過去に再整備のとんざを実際に体験した当事者である市場業界が、失敗を繰り返すまいと、移転を切実に願う声に真摯に耳を傾け、一日も早く新市場を開場させることこそが、都議会の役割であると考えております。
 このたび特別委員会が設置され、民主党は、現在地再整備の検討を改めて行うべきとしていますが、再整備を可能とする具体的な根拠は、いまだ示されておりません。
 出口が見えない再整備の議論が繰り返され時間が費やされる間にも、築地市場の老朽化は一層深刻さを増し、取扱量の低迷など、市場を取り巻く環境は厳しくなる一方です。
 このまま抜本的な対策ができない状況が続けば、関係者を翻弄し、築地市場は衰退し、将来、都民に生鮮食料品を安定供給する役割が果たせなくなってしまうのではないでしょうか。
 そこで、市場業界から要望書が提出されたことを踏まえ、豊洲新市場を早期に開場すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、環境問題について伺います。
 現在、デンマークのコペンハーゲンでCOP15が開かれ、京都議定書以降の温暖化ガス削減に関する国際的な取り組みについて議論がなされています。
 一部報道によれば、今回の会議では枠組みの合意には至らないようですが、それでも我々は、温暖化防止と経済成長とを両立させながら、温暖化ガス削減に向けた取り組みを確実に進めていく必要があります。
 このような状況の中で、政府は華々しく削減目標を打ち上げたものの、そのための具体的な道筋をいまだ明らかにしていません。
 一方、都は、世界初となる都市型キャップ・アンド・トレードを来年四月から開始するなど、具体的かつ着実に取り組みを進めていますが、こうした先駆的な取り組みを進めることによって、ぜひ政府の政策をリードしていただきたい。
 そこで、改めて、実効を伴う温暖化対策に対する知事の決意を伺います。
 また、温暖化対策を進める上で、自動車からのCO2を削減することも大きな課題であり、さまざまな取り組みが講じられておりますが、その中で、だれもが手軽に実践できる方法としてエコドライブがあります。
 これに着目して、我が党は、平成十九年第三回定例会において、エコドライブを定着させる仕組みの構築を提案し、都は、これを受け、中小事業者に対するエコドライブ支援機器の装着補助制度の取り組みを進めているところです。
 機器を活用している事業者の皆さんからは、事故の防止はもとより、燃費の節約においても大きな成果があると聞いておりますが、こうした成果を生かし、今後さらにエコドライブの推進を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、土壌汚染対策について伺います。
 本年四月に土壌汚染対策法が改正され、来年の四月に施行されることとなっています。この法改正では、土壌の汚染状況を把握する制度の拡充や汚染土壌の適正処理のための規制の新設など、制度の大幅な見直しが行われました。
 一方、都においては、土壌汚染対策法の制定以前の平成十三年から、環境確保条例において、既に大規模な土地で掘削等の土地改変を行う場合の汚染状況の調査や、汚染拡散防止計画書による適正処理の指導などを制度化し、土壌汚染対策に先駆的に取り組んできています。
 しかし、現実的に見れば、中小事業者にとって土壌汚染対策は、昨今の厳しい経済状況により、ますます大きな負担となっています。
 そこで、今回の法改正を踏まえた今後の都の土壌汚染対策についての基本的な認識と、中小事業者の土壌汚染対策を円滑に進めるためにどのように取り組むのか、所見を伺います。
 次に、まちづくりについて伺います。
 慢性的な交通渋滞は、首都東京の最大の弱点となっております。また、都内にはいわゆるあかずの踏切が二百七十カ所もあり、交通渋滞や市街地の分断の要因となっています。
 東京の交通渋滞を解消し、都市機能の向上や都市環境の改善を図るため、外環など三環状を初めとする幹線道路ネットワークや、連続立体交差などの早期整備が不可欠であります。
 一方、新政権のもとで編成される平成二十二年度予算では、道路関係予算の大幅な削減が見込まれ、東京の道路整備に与える影響が危惧されます。
 今後とも、必要な財源を確実に確保し、東京の道路整備を着実に推進していくことが不可欠であると考えますが、道路整備の推進に向けた都の取り組みについて伺います。
 外環は、首都東京の最大の弱点である交通渋滞の解消のみならず、我が国の国際競争力の向上や首都圏の環境改善など、東京だけでなく、広く国全体に便益が及ぶ、まさに必要な道路であります。
 これまで四十年余りの間、外環計画が放置されていたことによって失われたものは、はかり知れません。平成十三年に、石原知事が当時の国土交通大臣と現地を視察した後、凍結解除され、八年余りが経過しました。
 そして、本年五月には、整備計画決定後、直ちに国の平成二十一年度補正予算で外環の事業費が盛り込まれたことから事業化され、都議会第二回定例会において、外環整備のための補正予算を議決いたしました。
 しかし、新政権による国の補正予算の見直しにより、用地及び補償費が執行停止となったため、用地取得ができない状況となっています。その結果、用地の買い取りを希望している地権者の今後の生活設計にも支障を来すなど、都民生活への影響が出ています。
 いよいよ事業が始まるという段階に至ったにもかかわらず、都、沿線区市及び地権者は、新政権に翻弄されているといえます。この状況を打開するため、超党派で構成する東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟において、十月から十一月にかけて、国等への積極的な要請活動を行ってまいりました。
 このように、外環を取り巻く状況が大きく変化する中で、首都圏のみならず日本全体の活力を引き出す外環の早期整備に向け、都は今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 上野公園は、美術館など多くの文化施設や歴史資源が集積するとともに、不忍池周辺の水辺景観など、水と緑に恵まれ、世界に文化、芸術を発信する、東京を代表する公園であります。
 このため、上野公園を東京の顔となる文化の森として再生するよう、都は平成十九年に上野公園グランドデザイン検討会を設置し、昨年秋に検討会報告が示されました。
 上野公園グランドデザインを受け、都は、上野公園の再生整備に向けてどう取り組んでいるのか、伺います。
 次に、羽田空港の国際化について伺います。
 羽田では、新しい滑走路や国際線旅客ターミナルの整備が急ピッチで進められています。来年十月に新しい滑走路が供用開始され、年間約六万回の国際定期便が就航します。
 我が党はこれまで、羽田の再拡張、国際化を積極的に推進するとともに、二十四時間体制による国際定期便発着で、羽田ハブ空港化の実現を図ることを目指してきました。
 先ごろ、国土交通大臣が、羽田の国際拠点空港化を目指すと発言しましたが、まだ具体的な方策は提示されていません。
 羽田のさらなる国際化をどのように実現していくのか、知事の所見を伺います。
 次に、京浜三港連携について伺います。
 今定例会には、東京都、川崎市、横浜市の三団体で地方自治法に定める協議会を設置するための議案が提出されています。より一層、三港の連携強化を図り、我が国の国際競争力強化のための施策に取り組むことを期待します。
 さて、国はこれまで、我が国港湾の国際競争力強化を図るため、京浜港、阪神港、伊勢湾の三港湾をスーパー中枢港湾として指定し、集中的に育成することとしていました。しかし、先ごろ国は、一つないし二つの国際戦略港湾を選定し、投資の重点化を一層促進することを表明しました。
 これを受け、都は、さきの決算特別委員会における我が党の矢島議員の質問に対し、京浜港として立候補する意思を示したところですが、そもそも三港連携は、スーパー中枢港湾施策と並行して、国内に六十を超える外貿コンテナふ頭を整備するなど、戦略性に疑問のある、これまでの国の港湾政策に対するアンチテーゼという側面もあったと思います。
 今回の国の動向は、三港連携の帰趨に大きな影響を与えると思われますが、都としてはどのように対応していくのか、その考えを伺います。
 次に、八ッ場ダムについて伺います。
 国土交通大臣が、関係都県の意見も聞かず、八ッ場ダムの中止を一方的に宣言して以来、いまだ中止の科学的な根拠は示されていません。地域のことは地域が決めるといっていた政権が、問答無用という形で強権的な結論を出し、地方の強い反発を引き起こしたのは皮肉な結果です。
 地元住民も、中止の一言で、ダム湖を前提とした生活再建の希望を打ち砕かれ、安心して新年を迎えられるのか、大きな不安を抱えています。
 こうした国の姿勢は、政権党が標榜する地域主権とは全く相入れないものと受けとめざるを得ません。
 十月末に大臣は、都県知事の呼びかけに応じて、ようやく話し合いの場を持ちました。各知事から、結論ありきの進め方に対して強い異議が出され、大臣は八ッ場ダム事業の再検証を行うと明言しました。
 我が党は、かねて表明してきたように、八ッ場ダムは、治水や利水の安全を確保し、首都圏における住民の生命や財産を守る極めて重要な施設です。これまでの投資をむだにすることなく、予定どおり完成させるべきです。
 八ッ場ダムの事業推進に向けた、知事の決意を伺います。
 次に、福祉、保健、医療関係について伺います。
 最初に、小児三病院関連、とりわけ北多摩北部地域の小児医療について伺います。
 我が党は、過日の公決全局質疑でも、三病院移転後の地域医療について、さらなる充実を求めました。この地域の移転後の医療の中核を担う多摩北部医療センターには、新型インフルエンザなどの感染症にも十分対応できる小児病棟を既に整備したと聞いております。しかし現在、とりわけ日曜、休日の患者数が多く、待ち時間も長いと聞いています。
 これに対して、さきの厚生委員会の我が党の質疑で、今月から多摩北部医療センターにおいて、日曜、休日等の診療体制を強化する、そういった答弁もありました。
 また、一方で、保護者の皆さんからは、救急にかかるべきか迷う、どこの医療機関にかかったらよいのかと不安の声も聞かれます。
 このため、小児病院移転後も北多摩北部地域の住民が安心できるように、新型インフルエンザへの対応も含めて、なお一層充実した医療体制を構築すべきと考えますが、その具体的な取り組みについて伺います。
 また、小児三病院移転統合については、いまだに、いたずらに反対を唱える一部会派もありますが、我が党は一貫して、深刻な医師不足など限られた医療資源のもとでは、一次、二次、三次の医療機関が適切な役割分担をする中でしっかりとしたネットワークをつくっていく、そういった必要があると主張してまいりました。
 もとより、限りある医療資源を有効に活用するには、地域の医療機関等の連携の充実が求められますが、都立病院は、大学病院や公立病院、民間病院や診療所等との医療ネットワークの構築をさらに積極的に行っていくべきです。
 そこで、再編整備が行われる多摩地域の小児医療を手始めに、都立病院が公社、民間病院との連携づくりを強力に推進し、東京における医療ネットワークのモデルを構築すべきと考えますが、所見を伺います。
 墨東病院の事案から一年、都は周産期医療の大再編を行ってきたところです。そこでこの際、今後の周産期医療の全体像を明らかにすべきと考えますが、この点についても所見を伺います。
 次に、ホームレス対策について伺います。
 我が国の経済は引き続き厳しい状況にあり、雇用情勢は依然として許されない中、師走を迎えております。都は、二十三区との共同により、全国に先駆けて自立支援センターを設置し、地域生活移行支援事業など、ホームレス対策に取り組んできました。都議会自民党のホームレス対策協議会も、今まで大阪と共同で国に対し要望書を提出するなど、都と連携してきました。
 その結果、国は、平成十四年八月、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法、これを制定して、初めて国の責務を法で明確化いたしました。この法に基づき、都は平成十六年から五カ年間を期間とする事業実施計画を策定し、自立支援や就業機会の確保など、総合的な対策を掲げ、区及び関係機関と連携し、事業を進めてきました。こうした対策の結果、二十三区内のホームレスの数はピーク時の五千八百人から二千五百人と大きく減少いたしました。
 今般、都はこの計画を改定し、ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第二次)を発表しました。今後、都はどのようにホームレス対策を進展させていくのか、その取り組みについて伺います。
 次に、重症心身障害児者の在宅支援について伺います。
 重度の知的障害と肢体不自由をあわせ持つ重度心身障害児者の方は、都内に約四千三百人と推計され、その七割に当たる約三千人の方は在宅で生活していると伺っています。我が子が重い障害を持っていても、できる限り長く家庭で過ごさせたいと考えるご家族も多く、在宅で生活する重症心身障害児者とそのご家族に対する支援を充実すべきです。都の基本的な考え方を伺います。
 特にNICU等から退院するお子さんについては、在宅療育への円滑な移行を支援することが重要です。そのため、ご家族の不安を軽減できるよう、入院中から相談や支援を行うとともに、地域において重症心身障害児の訪問看護を担う人材を育てていくべきです。都の所見を伺います。
 また、通所施設や短期入所施設においては、呼吸管理など、常時医療を必要とする方からの利用申し込みが増加し、受け入れに苦慮しているといわれています。都はこうした施設の受け入れ体制の整備を支援すべきと考えます。都の所見を伺います。
 次に、介護基盤の緊急整備について伺います。
 本定例会に提案されている基金事業の中には、我が党の要請を受け、都が国に対し緊急要望した定期借地権の一時金に対する補助が盛り込まれるなど、大都市部における介護基盤を整備促進するための支援策が講じられています。本基金を積極的に活用し、介護基盤の整備に着実に取り組んでいくべきであると考えますが、今後、都は、区市町村が進める介護基盤の整備をどのように支援していくのか所見を伺います。
 次に、少子高齢化対策について伺います。
 これからの日本の行く末を考えるとき、急激に進む少子高齢化にいかに対応していくかは待ったなしの課題であります。我が国の発展を支える人材と技術を守り、経済のパイを拡大させていくためには、この状況を打破するための重層的、複合的な対策を講じていかなければなりません。
 こうした認識に立って、我が党は本年九月、少子・高齢化政策推進本部を立ち上げて、有識者や関係団体、民間事業者など現場の声を聞きながら、党を挙げて政策を練り上げてきました。都民の声に耳を傾け、現場のニーズを拾い上げる、同時に、サービスを提供する供給サイドの意見やアイデアを聞く、そしてこの二つを織りなすことで施策にそれを結実させる、これが政治の仕事であり、その施策を実行するのが行政の仕事であります。
 少子化対策でいえば、石原知事が創設した認証保育所はまさにそうした施策の代表です。大都市の実情を踏まえた基準を設け、民間の活力を生かした認証保育所は、今や四百七十カ所以上に設置され、都民にとってはなくてはならない保育サービスへと成長しています。
 現在の民主党政権は、少子化対策として、子ども手当、高校の無償化など現金給付を強化しようとしています。しかし、少子化は単に経済的給付だけで解決する問題では決してありません。現場のニーズを踏まえ、保育、医療、教育、雇用、住宅といった施策を総合的に展開してこそ、安心して子どもを産み育てる社会の実現につながるのであります。
 東京都は、多くの企業、多様な福祉の担い手が持つ、民間ならではの知恵と意欲、そして既存ストックなど、豊富な社会資源を十二分に利用しながら、現場ならではの発想で、少子化の流れを反転させるための国を先導する取り組み、国に制度の変革を迫るなど、果敢に取り組んでいくべきであります。
 こうした我が党の少子高齢化対策に取り組む基本的な姿勢に対して、まず、知事の率直な感想を伺うとともに、今後どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、認証保育所について伺います。
 就学前児童人口の増加や経済情勢の悪化などにより、ことし四月の待機児童は昨年の一・四倍に増加しました。待機児童の九割、これはゼロ歳から二歳までの乳幼児であり、低年齢児を中心に受け入れている認証保育所の役割がますます重要となっています。現在設置されている認証保育所は、定員三十人規模の施設が最も多くなっていますが、これは運営費補助単価が定員三十人の場合に最も有利となり、定員規模が拡大するほど、一人当たりの補助額が逓減する仕組みであるためです。
 三十人定員の施設でも、実際には四十人程度まで定員を拡充できる施設が多く、施設規模に見合った定員へと誘導することができれば、待機児童解消に大きな効果が期待されます。認証保育所の運営費補助単価の区分を見直し、認証保育所のさらなる設置と定員拡充を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 また、学童クラブは開所時間が午後六時までのところが大半であり、子どもの小学校入学とともに、仕事と子育ての両立が困難となることが問題となっています。認証保育所での成果を踏まえ、都民のニーズにこたえる都独自の仕組みを検討するよう要望しておきます。
 次に、高齢者の雇用就業施策についてですが、国の人口推計によれば、東京都においても今後人口減少に伴い、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口、これは現在の八百七十万人強から、四半世紀後の二〇三五年には七百八十万人弱と、およそ百万人減少すると予想されております。このように生産年齢人口の減少に伴い、今後、労働力人口が大幅に減少するおそれがある中、どのように対応していくかが都政においても中長期的な課題の一つであります。
 一方、改正高年齢者雇用安定法により六十五歳までの継続雇用が確保される中、高齢化の進展により、都内の六十五歳以上人口は現在の二百七十万人から、二〇三五年には三百九十万人と、百万人以上増加する見通しです。高齢者の中には、働く意欲があり、かつすぐれた経験やノウハウを有している方が少なくありません。また、高齢者が望んでいる活躍の場は一様でなく、本格的な就労に備え、地域での短時間の就労や市民活動への参加など、みずからの生きがいや健康状態などの事情を踏まえて、多様な選択肢の中から選べるようにすることが大切です。
 こうしたことから、今後、団塊の世代が六十五歳に到達し始めることを視野に入れた対応が必要であると考えますが、今後の高齢化の進展を見据えた雇用就業対策の基本的な認識と取り組みの方向性を伺います。
 次に、特別養護老人ホームにおける医療的ケアについて伺います。
 我が党の少子・高齢化政策推進本部において、医療関係者や介護事業者団体からのヒアリングを実施いたしました。その中で明らかになった課題の一つが、特別養護老人ホームにおける医療的ケアの問題です。
 医療的ケアとは、例えば入所者が食事をとることができなかった場合に直接胃に栄養を送る胃瘻や、たんの吸引などがあります。入所者の高齢化が進むにつれ、これらのケアを必要とする方もふえる傾向にあります。特別養護老人ホームは国の基準以上の看護師の配置や勤務時間の変更などにより、こうした医療的ケアへのニーズにこたえようと腐心しているのが実態です。
 都として、こうした実態をどのように把握し、また各施設の努力についてどのような支援を考えているのか所見を伺います。
 さて、現在、都では特別養護老人ホームの整備に当たり、ユニット型個室の整備を基本としております。さきの定例会において、我が党の川井幹事長から、多床室での整備に関する質問に対し、今後、施設運営上の課題などを十分検証した上で検討していくとの答弁がありました。医療的ケアの効率的な提供の観点からも、多床室での整備の扱いについてさらに検討されるよう改めて要望しておきます。
 次に、私立学校の振興について伺います。
 公立高校の無償化の議論が国においてなされていますが、都内の高校生の約六割は私立高校生であります。建学以来の歴史と伝統の上に、時代の流れを的確にとらえ、創意と工夫を凝らして特色ある教育を実践し、教育界の先導的役割を果たしてきた東京の私立高校からは、我が国の将来を担う多くの有為な若者が輩出されています。
 しかしながら、少子化の影響などにより、都内の私立高校の多くが赤字経営で苦しんでいるということも事実であり、都では従来から、学校経営の安定化が私学振興の第一歩と考え、経常費補助を私学助成の基幹的補助と位置づけ、その充実を図ってきたところであります。
 国は、平成二十二年度概算要求において、私立高校生に対して、国公立高校授業料と同等額の約十二万円を一律支給することなどにより就学支援を図るなど、世帯への給付に重点を置き、私立学校に対する経営支援という観点が置き去りにされている感があります。
 都は、私立学校が公教育に果たしている役割の重要性を考慮して、私学振興を都政の重要課題の一つに位置づけています。改めて、都の私学振興に対する基本的な考え方を伺います。
 また、我が党は、私立学校の重要性にかんがみ、経常費補助のほか、特別奨学金の給付や育英資金の貸しつけなどにより、保護者の負担軽減についても総合的に推進をしてきました。現行の都の特別奨学金の制度は、都立と私立の授業料の格差を是正するため、所得に応じて補助するもので、学業継続のセーフティーネットの一つとして有効に機能してきており、毎年約三万人の私立高校生が利用しています。
 今後は、これまで果たしてきた有効な機能をさらに発展させるという視点が不可欠と考えます。ついては、今後どのような考え方で保護者の負担軽減施策を実施していくのか伺います。
 なお、先週の報道によれば、この問題に関して野田財務副大臣が、既に地方独自で対策が講じられていることを理由に、地方負担の導入を主張しています。これまでの地方の取り組みをいいことに、みずからのマニフェストに財源とともに取り込もうという極めて乱暴な話であり、地方を出先機関扱いするこのような主張には、都議会全体として断固反対すべきものと申し上げます。
 次に、教育施策について伺います。
 都はこれまで、人事考課制度や副校長、主幹、主任教諭などの職の設置、都立高校改革などを全国に先駆け実施してきました。我が党は、石原知事とともに、東京から日本を変える、その気概でこうした教育改革に取り組んできました。今後も社会のさらなる発展に貢献する人材を育成するために、都の教育を改革してまいります。
 我が国では、礼儀や他人を思いやる文化がはぐくまれ、国民性として根づいてきました。しかし、社会が豊かになる一方で、私たち日本人が大切にしてきたすぐれた伝統や文化、日本人の心が急速に失われつつあることを危惧しています。そして社会の基本単位である家族、子育ての基盤である家庭の役割が低下し、善悪の判断や他人を思いやる心、社会的なマナーなどを身につけることもできなくなってきています。
 そのような状況の中で、都においては、奉仕体験活動や日本の伝統文化理解教育などに取り組み、道徳教育など心の教育を充実させてきました。日本人の美徳、日本人の心を引き継ぎ、後世に伝えるという営みは、一義的には家庭において行われるべきものですが、学校教育も重要な役割を担っています。今後もこうした教育を堅持していくべきだと考えます。この点については知事の見解を伺います。
 先月、都教育委員会は、小一問題や中一ギャップが相当数の学校で発生しているという実態調査の結果を発表しました。これまでも小中学校の校長先生から、入学直後の子どもたちが学校生活に適応できず、教師も子どもたちも困惑しているといった状況があると聞いていましたが、その実態が数字として明らかとなったわけです。
 このことが示すものは、学力向上だけでなく、充実した学校生活を送るためにも、子どもたちがスムーズに学校生活に溶け込み、授業での学習規律を確立することが不可欠だということです。この問題に関連して、子どもたちが基本的な生活習慣を身につけ、社会性を涵養し、人間形成の基礎を培うためにも幼児教育が重要であることは、かねてから我が党が主張してきたところであります。
 一方、小一問題や中一ギャップに関連して、教育長会や校長会などの教育関連団体から、教員の数をふやしてほしい、あるいは小学校一、二年の一学級当たりの児童数を減らしてほしいなどの要望が上がっており、このような教育現場の声に十分耳を傾けつつ、学級編制の持つ重要な意味合いを考慮して、我が党が主張してきた切磋琢磨による教育効果にも十分に配慮した、最もよい方法をとるべきであります。
 そこで、この問題を解決するために、小中学校の入学当初の時期に限っては、教員を加配して、学級規模の縮小も可能とするなどして、教員がより多くの時間子どもと向き合う環境をつくることができるよう、東京都版の新たな学級編制方針を検討し、来年四月から確実に実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 知事はこのたび、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会招致に名乗りを上げる意向を表明されました。今回の招致活動では、知事みずからもJOCや多くのアスリートらとともに幾度となく海外に出向き、直接IOC委員と会われるなど、大変な苦労をされました。それだけに世界で闘う難しさを最も肌身をもって感じられたのは知事ご自身だったのではないでしょうか。
 今回の表明は、過去の選考プロセスを踏まえると、次回、東京でのオリンピック・パラリンピック大会の開催を実現するためには、今この時期に手を挙げておく必要があるとのご判断に基づくものであると受けとめております。知事の判断は、今回の貴重なノウハウ、経験が最も生かされやすいこと、また、都民、特に次の世代を生きる若者や子どもたちに引き続き大きな夢を与えられることから、知事と手を携え今回の招致活動に邁進してきた我が党としても、大いに理解するところであります。
 しかしながら、今度こそ開催都市の栄誉をかち取るためには、二〇一六年大会招致活動の経験を詳細にわたって検証し、そこから得た教訓を次に生かす必要があります。また再び都民、国民が一丸となって闘うためには、活動の内容及び検証の結果を広く都民、国民に明らかにした上で、民意をしんしゃくすることが求められるものであります。こうした点の必要性は、知事が記者会見等で再三述べておられたとおり、現在その作業が鋭意進められているものと認識しております。さまざまな検証に先立つこの時期に、二〇二〇年への意思を表明された知事の真意を改めてここで明らかにしていただくことは、これからの議論を円滑にしていくことにつながると思いますが、所見を伺います。
 オリンピックで重要なことは、勝つことではなく参加することである、人生で大切なことは、成功することではなく努力することであるというクーベルタン男爵の教えは、結果よりも過程を重視し、いかなる状況下にあっても最善を尽くすことの大切さを説いています。クーベルタン男爵がオリンピックにおいて目指したのは、スポーツがもたらす教育的な効果による人間の変革であり、社会変革でありました。
 オリンピック憲章では、オリンピズムの目標は、スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てることにある、その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く平和な社会を推進することにあると示されています。
 我が国初のIOC委員であった嘉納治五郎氏は、自分の能力を有効に活用し、平和な社会の実現に貢献することを、精力善用、自他共栄とあらわし、後世に残しました。
 東京招致の五年前、まだ戦後復興間もないころでありましたが、昭和三十四年、ミュンヘンで開かれたIOC総会で、日本の外交評論家平沢和重氏は、小学校六年生の日本の国語の教科書を片手に、日本では義務教育の段階からオリンピック運動を学んでいると力説して、開催都市の栄誉をかち取ったといわれています。
 昭和三十九年の東京オリンピックが行われた後は、オリンピック教育に対する熱が冷めてきたのも事実であります。しかし、オリンピック精神は普遍的なものであり、子どもたちに繰り返し教えていくべきと考えます。教育長の所見を伺います。
 四年後の平成二十五年にはいよいよ東京国体の開催を迎えることになります。オリンピック招致活動を経て盛り上がった都内のスポーツムーブメントを受け継いで開催する東京国体は、多摩、島しょを中心とした東京の魅力を全国に発信するまたとない機会であり、さらには区市町村の体育施設などの整備を促進する起爆剤としても大いに期待されています。開催の準備は準備委員会を中心に着実に進んでいるものと伺っていますが、なお一層の積極的な取り組みが必要であり、都民に対する大会のPRも十分に展開していただきたいと考えています。
 本年の予算特別委員会において、我が党からは、大会開催機運を盛り上げるため、大会の愛称などを使った目に見える形での取り組みを進めるべきであることを指摘し、都においても制定に向けた検討を進める旨の答弁がありました。そうした中、先月から大会の愛称、あるいはスローガン、マスコットキャラクターの公募が始まって、いよいよ本格的に開催機運の盛り上げがスタートしたと喜ばしく感じています。
 そこで、今後、これらを使ってどのように開催に向けた機運を盛り上げ、準備を推進していくのか伺います。
 東京多摩国体、オリンピック、東京マラソン等、スポーツを通して東京が一つになり、まちの活性化につながり、未来を担う子どもたちに夢と希望と感動を与え、かけがえのない心の財産を残したいものです。
 以上、都議会自民党を代表しての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 服部ゆくお議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新政権に対する評価についてでありますが、これは政権の是非を占うための最大のよすがであります本予算を見ないと、軽々にいえないことだと思います。
 政権発足直後に高いCO2削減目標を打ち出したことは、環境問題に非常に関心を持っている都としても高く評価をしております。先般の都の提案を踏まえた全国的なキャップ・アンド・トレード制度を一日も早く実現し、具体的な削減に踏み出してほしいものだと思います。
 太政官制度以来続いてきたこの日本の中央官僚の全国支配も、この際撤廃してもらいたいと熱願しております。政治家が正統な歴史認識を持って、国民と国家のために官僚を使いこなすのをこれから見せてほしいものだと思います。
 一方、昨今の政権の動きからは、日本経済をいかに発展させるか、ひいては日本をどこに導こうとしているのかが判然とせず、いささか憂慮の念を禁じ得ません。ケインズを何も盲信するわけではありませんが、事業効果や経済の波及を十分に検証せずに、初めに公約という言葉ありきということで、公共事業を一方的に削減してしまうのもいささか危うい気がいたします。
 日本の将来にとって科学技術のさらなる進歩は致命的に重要であるにもかかわらず、関連予算を近視眼的に削減する動きもいささか心配であります。
 世界が一段と狭くなりまして、国益のぶつかり合う熾烈な状況になっているのに、地域紛争やテロが国際社会を揺るがす危険が高まる中、沖縄の普天間基地をめぐる政権の動きは、日本にとっても重要な日米関係、日米同盟を毀損しかねないような気がいたします。政治は国家の大計に立って、複雑な連立方程式を解くがごとくに政策を選択し、予算を組み、国家を運営していかなければなりません。引き続き、政権がこの国のかじをいかにとっていくかを刮目していきたいと思っております。
 今後の財政運営についてでありますが、急激な景気の悪化に伴い、今年度の都税収入は前年度に比べて一兆円以上もの大幅な減収が避けられない見通しであります。
 もとより国とは異なり、これまでも皆さんのご協力のもとに徹底した内部努力や施策の見直しをしてまいりました。再構築もしてまいりました。身を切るような努力によって財政再建を果たしておりまして、今回の税収減がすぐさま深刻な事態を招くわけではありませんが、この不況がいつまで続くのかも予想がつきませんし、二番底の懸念もあるなど、先を見通しても、今後しばらくは都財政がますます厳しい環境のもとに置かれることは間違いないと思います。財政の健全性を維持しつつ、都政の諸課題にこたえていくという非常に厳しい財政のかじ取りを覚悟しなければならないと思います。
 ゆえにも、改めて手綱を引き締め、歳入歳出を洗い直し、徹底してむだを排しつつ、都民のためになすべき効果の高い施策を厳選して、来年度予算の編成に当たるつもりであります。
 今こそ都財政の底力が問われていると思います。都政に課せられた使命を着実に果たすべく、渾身の努力を傾けていきたいと思っております。
 次いで、地球温暖化対策についてでありますが、温暖化防止は人類の存亡にかかわる重要な課題でありまして、直ちに実効性のある取り組みを進めなければ間に合わないと思います。
 都は、都市型キャップ・アンド・トレードを構築し、都市としては世界で初めてICAP、国際炭素行動パートナーシップに加盟するなど、独自の先駆的な取り組みを進めてまいりました。
 こうした実績を踏まえて、このたびキャップ・アンド・トレードの全国導入についての提言を行い、国が発電所や製鉄所など大規模施設を対象として運営する国家キャップ・アンド・トレードと、現場を知る地方がオフィスビルや製造工場などを対象とする地域キャップ・アンド・トレードを組み合わせた、国と地方がともに積極的な役割を果たす制度を示しました。
 この提言をもとに国における議論をリードし、真に温室効果ガスの削減に効果的な、世界でも先駆的なキャップ・アンド・トレード制度の実現を目指していきたいと思っております。
 次いで、外環道についてでありますが、外環道はひとり東京のためだけでなく、広く国全体にその便益が及ぶ重要な社会資本でありまして、費用対便益も全国でトップレベルでありまして、その計算方式の指数もはっきりと出ております。環境改善効果も極めて高い道路であります。
 就任以来、一貫して外環道の早期整備を都政の最重要施策の一つに位置づけまして、本年四月には都の事業推進体制を整え、国をも動かし、五月には事業化に至ったわけであります。しかしながら、国の補正予算の見直しによりまして、外環道の予算の一部が執行停止となったことはまことに遺憾であります。
 このような状況下にあっても、地元の沿線区市において今月四日から事業説明会が始まりました。執行可能な予算によって、来年度の用地取得に向けた準備を着実に進めてまいります。
 外環道は、我が国経済を活性化して国を発展させる原動力でありまして、この事業を国の責任において全速力で進めていかなければならないと思っております。このためにも、今年度の用地取得のおくれも取り戻すべく、都議会とともに来年度予算の確保を国に強く求めてまいります。
 次いで、羽田空港のさらなる国際化についてでありますが、羽田は都心と直結し、二十四時間利用できる空港でありまして、国際競争力の強化など、我が国の将来を左右する重要なインフラであります。
 かねてより、羽田のさらなる国際化を推進してきました。これは、亀井静香──政党は何といいましたかな、現在の国民新党の代表が自民党の政調会長のころで、二人で図りまして、かなり強引に四本目の滑走路の構築を決定しましたが、その時点で、実は国交省とも話し合いまして、いずれ将来、できるだけ早く、これを国際化することで、例えば最初はASEANよりもっと近い地域に限られたような国際線ということを想定したようでありますけれども、実はこれは最初のただの案でありまして、近い将来、ヨーロッパの玄関口までは羽田から飛ばそうと。つまり、国際線と国内線をあわせたハブ空港にする既定の路線でありました。
 新しい政権が改めて国際拠点空港として機能を充実させる方向性を示したことは、至極当然であると思います。都も協力を行っている新しい滑走路の工事は、既に九割を超える進捗状況でありまして、最終段階を迎えておりまして、来年十月には本格的な機能を整える国際空港として生まれ変わります。
 この羽田の機能を十全に発揮するには、年間四十万七千回となる昼間の空港容量のうち、まだ配分先が決まっておりません発着枠を活用することによりまして、供用開始時には年間三万回としている昼間の国際線を極力増やしていくべきであると思っております。
 さらに、首都圏の空港容量は、おおむね十年後には需要が逼迫すると見込まれておりまして、さまざまな方策を講じて羽田のさらなる容量拡大を行う必要があると思います。また、C滑走路の延伸の工事期間も短縮して、深夜、早朝に欧米などに飛ぶ長距離用大型機の運航を早期に可能にすることも必要であると思います。
 これらを国に強く求めて、成田空港と一体的な運用によりまして、首都圏の国際空港機能を一段と強化していきたいと思っております。
 次いで、八ッ場ダムへの取り組みでありますが、十月末に国交大臣と関係都県知事が話し合いを行った中で、大臣は、八ッ場ダムの必要について改めて検証すると明言しました。
 国は、今月三日に今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を設置しましたが、来年夏までは治水対策全般の議論に費やし、個別事業の検証はその後に先送りされました。最終的な提言も再来年夏というのでは、ちょっと遅過ぎるような気がいたします。
 八ッ場ダムは、利根川下流域の住民や企業にとって、治水、利水の両面で不可欠な施設であると思います。
 例えば、平成八年の渇水期のときに年間百十七日の取水制限が実際に行われました。これは、仮に八ッ場ダムがこのとき完成しておれば、取水制限はそれよりも百日少ない、わずか十七日に減少することができたはずであります。
 民主党は十分な検証もせずに、マニフェストに八ッ場ダムの中止を書き込んだようでありますが、今後の検証は中止を前提とするのではなく、関係都県や地元住民など、だれもが納得できる結論を早急に出すべきであると思います。
 既に国に申し入れておりますが、引き続き他の県知事と一致団結して、政策転換に伴うダムの見直しが首都圏における洪水や渇水のリスクを放置することにならないように、強く国に要請してまいります。
 次いで、少子高齢化対策についてでありますが、ただいま少子高齢化対策を進める上での重要なご指摘、ご提言をいただきました。現場の声と供給サイドの意見を織りなしてこそ、政策は実現するという基本的な姿勢には、私も全く同感であります。
 現場には、現場だからこそ気がつく急所、できる工夫、これまでにない着想があります。また、東京には、多種多才な人材、投資意欲にあふれた企業、進取の精神に満ちたNPOなどが集積しておりまして、こうした現場からの発想と東京の持つ英知と力で、福祉、医療、雇用、住宅、教育など、政策の垣根を超えた重層的、複合的な対策を構築し、国を先導する新しいモデルビルディングを行っていきたいと思います。
 その中で、少子化を突破できるよう、東京の子育て支援策の柱となった認証保育所についても、施策の進化を図っていきたいと思います。
 さらに、縦割りの施策に横ぐしを刺す試みを行いまして、国に制度改革の実現を迫る実効性のある政策提言を行っていきたいと思います。今回のご指摘、ご提案はしかと受けとめまして、対策をしっかりと練り上げていきます。
 次いで、日本人の心の継承についてでありますが、かつて日本には、謙虚、節度、自己犠牲といった武士道に表象されるさまざまな美徳がありました。十九世紀の終わりに日本を訪れました古代の古都トロイの発掘者でありますシュリーマンの旅行記には、アジアを歴訪してみても、アジア人の中で日本人だけが高貴な気質、すばらしい美徳を備えた民族だと感心し切っている記述があります。
 また、ルース・ベネディクトの著書であります「菊と刀」にも、菊の花に象徴される日本人の高潔さ、日本刀に象徴される潔さと勇気、その責任感が描かれております。
 しかし、時代を経るにつれて、立場を超え、世代を超えて世界を律する価値の基軸が毀損され、履き違えられた自由と権利が日本全体を損なってきた感が強いという気がいたします。郷土や国家、伝統や文化というものを離れて、我々が日本人として存在することはあり得ず、これを本質的に立て直していく努力をしなくてはならないと痛感しております。
 日本の自然と文化の中に培われ、古い時代から一貫して続いてきた日本人の特質を現代から未来にかけて子弟につないでいくことは、我々大人の責任でありまして、家庭でのしつけや教育の中でしっかりと伝達していくしかないと思います。
 次いで、オリンピック・パラリンピック招致についてでありますが、東京は計画の質の高さや開催能力を認められながらも、残念ながら勝利を手にすることはできなかったが、招致を通じて多くの経験をすることができました。
 ちなみに申しますが、ある物に書きましたけれども、採決が終わった後、私はもうホテルに引き揚げておりましたけれども、ロンドンのオリンピックの推進の責任者でありますセバスチャン、これはなかなか気難しい人で、私は何度も会いましたが、やっと知己になりましたけれども、彼がわざわざ訪ねてきまして、東京の整備状況は完璧である、ロンドンもうらやましいと。プレゼンテーションは最高だったと思う、しかるにといって、肩をすくめて帰ったそうでありますが、これがこのゲームの難しさを象徴していると思います。
 いずれにしろ、こうした多くの経験を踏まえて、招致はまさに国同士の熾烈な闘いでありまして、そこではさまざまな見えざる力が働き、国の総合力が試された闘いであったと思います。現在、活動報告書をまとめさせておりますが、こうした貴重な経験や成果を後々に生かすことを決して忘れてはならないと思います。
 今回の招致はなりませんでしたが、世界平和や地球環境の未来のために、また日本の閉塞感を打破し、若者たちに夢と勇気を与えるために、この世紀の大イベントの招致に我が国が再挑戦する意味と価値は十分にあると確信しております。
 このたびの意思表明は、次なる国内候補都市を選定する手続の時間的問題を勘案しまして、声を上げておくことが必要だとの判断から行ったものであります。いずれにしても、常々述べていますように、再挑戦については、都民、国民の意向を十分にそんたくし、都議会の皆様との議論を踏まえた上で東京都としての結論を出していくものとの認識は変わっておりません。
 私の意図するところをぜひ酌み取っていただきまして、未来を背負う若い世代によき遺産を残すためにも、大いに議論を深めていただきたいと熱願いたします。
 他の質問については、教育長、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小一問題や中一ギャップの解決についてでございます。
 小学校や中学校への入学直後の時期は、その後の充実した学校生活を子どもたちが送るための基礎を固める重要な時期でございます。この時期に、小一問題及び中一ギャップが発生し、学習規律が確保できなかったり、学校不適応が発生したりいたしますと、子どもたちに学力を身につけさせる上での基盤を構築することが困難になります。
 ことし七月に実施して十一月に発表いたしました実態調査では、すべての学校でこうした問題がいつ発生してもおかしくない状況が明らかになりましたことから、都教育委員会としては早急に対策を講じなければならない、重要で深刻な問題であると認識しております。
 都教育委員会としては、この問題に確実に対応し、教員が子どもと向き合う環境をつくるため、ご提案の教員を加配して学級規模の縮小も可能とするなどの対応策について、早急に具体的な検討を進めてまいります。検討に当たりましては、四十人学級のメリット、すなわち生活集団としての学級の教育効果、切磋琢磨による社会的適応能力の育成について十分配慮してまいります。
 また、この施策の開始時期につきましては、お話の平成二十二年四月からの対応を目指しまして関係局と調整してまいります。
 次に、オリンピック精神についてでございます。
 現在、学校教育では、小学校段階から、児童生徒が体育を初め社会科や道徳などの授業において、フェアプレイの精神や昭和三十九年東京オリンピックの歴史的意義などを学習しております。
 さらに、このたびの学習指導要領改訂により、今後、中学校や高等学校の体育理論の授業においては、オリンピックが国際親善や世界平和に大きな役割を果たしていることや、オリンピック精神を世界じゅうに広めるための活動、すなわちオリンピックムーブメントについて必ず学習することとなりました。
 お話の、クーベルタン男爵が追い求めた理想と嘉納治五郎の教えは、ともに国を超え、時代を超えた普遍的な教育的価値であると認識しており、児童生徒がスポーツに親しみ、オリンピック精神を学習することには教育的な意義がございます。
 こうしたことから、今後とも都教育委員会は、児童生徒にオリンピック精神とオリンピックムーブメントの意義を正しく理解させ、スポーツを通して心身ともに調和のとれた児童生徒の育成に努めてまいります。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、道路整備の推進に向けた都の取り組みについてでありますが、東京の道路整備は、渋滞の解消、環境改善、防災性や安全性の向上のみならず、国際競争力の強化や都市の活性化を図る上で必要不可欠でございます。
 このため、外環など首都圏三環状道路を初めとする幹線道路ネットワークの整備や、あかずの踏切を解消する連続立体交差事業などを重点的に実施しております。
 こうした取り組みにより、例えば平成十八年に全線開通いたしました環状第八号線では、杉並区四面道交差点から北区岩淵町までの所要時間が、従来の七十分から六割減の三十分に短縮され、その経済効果は年間三百億円、CO2の削減効果は日比谷公園の面積の二百倍に相当する森林が吸収する年間三万四千トンにも及びます。
 また、今月六日に高架化いたしましたJR中央線の三鷹から国分寺駅間では、ピーク時の一時間に二分しか開かなかった小金井街道踏切など、十三カ所のあかずの踏切すべてを除却し、交通の円滑化などが図られました。
 一方、平成二十二年度予算の国土交通省概算要求では、道路関係予算が二割削減され、さらに行政刷新会議の事業仕分けでは、より一層の削減を図るべきとされております。
 しかしながら、日本の社会、経済の中枢を担う東京の道路整備は事業効果が極めて高く、その便益が全国へ及ぶものであり、ますます激化する国際間競争に打ち勝つためにも、財源を集中的に投入し、整備を一層加速していかなければなりません。
 このため、今後ともあらゆる機会をとらえて東京の道路整備の重要性を国に訴え、平成二十二年度政府予算において必要な財源を確保し、確実に配分するよう強く求めるとともに、日本を牽引する首都東京の道路整備を全力で推進してまいります。
 次に、上野恩賜公園の再整備についてでございます。
 上野恩賜公園は、豊かな緑に文化施設や歴史遺産が溶け込み、文化と自然が一体となった魅力あふれる公園であります。その魅力をさらに向上させ、日本の文化、観光の拠点となるよう検討したグランドデザインを踏まえ、公園の再整備に向けて上野恩賜公園再生基本計画を策定し、本年十月に公表いたしました。
 この計画では、世界に向けた文化の発信強化、魅力ある緑と水の空間創出及び快適な利用の推進という三つの基本方針のもと、エリア別に整備の内容を定めており、順次整備を進めてまいります。
 噴水があります竹の台文化施設エリアの中心部分において、平成二十三年度末の完成を目指し、現在設計を進めており、東京の魅力を表現する多様な文化イベントなどが開催できる広場や、東京都美術館への利用しやすい動線を整備いたします。
 また、オープンカフェを導入するとともに、広場周辺の樹林を憩い安らぐことのできる明るい樹林として再生してまいります。
 今後とも、上野恩賜公園が内外からさらに多くの来訪客を迎え、文化と歴史を体感できる緑豊かな公園となるよう整備を推進してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 九点についてお答え申し上げます。
 まず、新型インフルエンザのワクチン接種についてでありますが、都は区市町村と連携し、さまざまな媒体を通じてワクチンの効果や接種の受け方などを周知するとともに、休日、夜間の新型インフルエンザ相談センターの体制を充実するなど、都民への的確な情報提供に努めてまいりました。また、重症化しやすいことが判明した未就学児などについては、国に先駆けて接種時期の前倒しを行っております。
 さらに現在、より多くの方に接種の機会を確保するため、地域における医師会等を中心とした集団的接種の取り組みを促進しております。
 今後とも、区市町村や関係機関と連携し、ワクチン接種の円滑な実施を図ってまいります。
 次に、今後の東京における周産期医療の全体像を明らかにすべきとのお尋ねについてでありますけれども、まず、ハイリスクの新生児に対応するNICUについては、今後、大幅に増加させるため、出生一万人対三十床を基本に、東京都周産期医療協議会の意見を伺い、東京都全域を一つの圏域として具体的な整備目標を定め、増床に取り組んでまいります。
 また、周産期医療は高コストで不採算医療であるため、国に対して診療報酬の大幅な引き上げと国庫補助制度の充実を要望するとともに、都としてもNICU増床を促進するための支援策を鋭意検討しております。
 次に、多摩地域についてでございますけれども、小児総合医療センターと多摩総合医療センターの整備により、NICUを現在の清瀬小児病院と八王子小児病院を合わせた十五床から九床増床し、二十四床にするとともに、M─FICU九床を新たに整備し、母体、新生児、いずれにも対応可能な都内最大の総合周産期母子医療センターを確保いたします。
 また、現在のドクターカー一台に加え、新たに新生児も搬送できる小児用ドクターカーを小児総合医療センターに配備し、多摩全域を網羅いたします。
 さらに、リスクに応じた周産期医療体制を構築するため、周産期連携病院に加え、新たに新生児連携病院の創設も検討しておりまして、総合周産期母子医療センターが中心となり、多摩全域を対象としたネットワークグループを立ち上げ、地域の病院や診療所等との連携を進めてまいります。こうしたことにより、多摩地域を含め、都における周産期医療の一層の充実に取り組んでまいります。
 次いで、都のホームレス対策についてでありますが、ホームレスの自立を支援するため、社会全体として取り組むことは重要な課題であると認識してございます。新たな実施計画では、緊急一時保護と就労支援の機能を一体化した新型自立支援センターを整備するとともに、自立支援住宅を設置し、アパート生活が体験できるようにするなど、より実践的な支援を盛り込んでおります。
 また、インターネットカフェ等で寝泊まりしている、いわゆる住居喪失不安定就労者に対しても、安定した生活が営めるよう、生活、居住、就労の各種支援を推進してまいります。
 計画で掲げたこれらの事業を着実に推進し、今後もホームレスの就労自立に向けて、きめ細かな支援を継続的に実施してまいります。
 次いで、重症心身障害児者の在宅支援に関する三点の質問につきまして、まず基本的な考え方についてでございますが、重い障害があっても、可能な限り家族と一緒に地域で生活できるよう、乳幼児期から成人期までの各段階で在宅生活を支える環境を整備していくことが重要であります。
 このため、訪問看護などの医療サービスを充実させるとともに、日中活動の場を確保する通所事業や、家族の休養を支援する短期入所事業などの福祉サービスの基盤整備を進めております。
 今後とも区市町村や関係機関と協力し、重症心身障害児者のライフステージに応じた在宅支援の充実に努めてまいります。
 次いで、在宅療育への移行支援についてでありますが、NICU等の高度な医療施設から、在宅での療育に円滑に移行するためには、ご指摘のように家族の不安を軽減することが重要であります。
 都は、経験豊富な看護師が家庭を訪問して、家族の方に看護技術の指導や訪問看護等の活用に向けた支援などを行う在宅心身障害児者訪問事業を独自に実施しており、平成二十年度は年間約四百五十人の方が利用しております。
 今後、本事業を通じて蓄積したノウハウを活用し、入院中から早期に相談支援を行うとともに、退院後の在宅看護を担う訪問看護人材を育成し、地域の訪問看護ステーションを充実するなど、在宅療養の支援策を検討してまいります。
 次いで、通所施設などの受け入れ体制の整備についてでありますが、近年、在宅の重症心身障害児者については、人工呼吸器や栄養チューブの装着など、常時医療を必要とする方が増加しており、通所施設や短期入所施設におきましても医療的ケアの充実が求められております。
 このため都は、今年度から重症心身障害児者の施設で働く看護師を対象に、呼吸管理等をすることができる高い技術の習得に向けた研修を実施し、看護技術の一層の向上を図っております。
 今後、さらに通所施設や短期入所施設において、専門的な知識を持つ看護師の配置を支援する施策を検討するなど、常時医療を必要とする方の受け入れ促進のための体制整備を進めてまいります。
 次いで、介護基盤の整備に関する区市町村への支援についてのお尋ねでございますけれども、本年五月の国の補正予算では、都道府県に基金を造成し、区市町村において将来必要となる介護基盤の緊急整備を行うための事業が創設されました。
 都は、これを踏まえまして区市町村と協議を重ね、例えば認知症高齢者グループホームでは、六十三カ所、約千人分を現行の介護保険事業計画数に上乗せして整備するなど、事業を拡大することといたします。
 こうした経費を含め、本定例会の補正予算案では約二百五十億円を基金に積み立てることといたしました。今後とも増大する介護ニーズに的確にこたえるため、基金事業を活用しながら区市町村と連携して、介護基盤の一層の整備促進に努めてまいります。
 次いで、認証保育所の定員拡充についてでございますけれども、都は保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組み、今年度は、当初の整備目標をさらに引き上げ、保育ニーズの増大に対応しているところでございますが、お話のように、待機児童を解消する上で、認証保育所の定員規模の拡充は有効な方策であると思っております。このため、定員規模の大きい認証保育所の設置や既存施設の定員拡大が促進されるよう、運営費補助単価の区分の見直しにつきまして、急ぎ検討してまいります。
 最後に、特別養護老人ホームにおける医療的ケアについてでありますが、都は本年六月、特別養護老人ホームにおける医療的ケアの実態を把握するため、調査を実施いたしました。この結果では、ほぼすべての施設において医療的ケアが行われており、さらに入所者の約一割が、胃瘻、経管栄養、喀たん吸引のうち、いずれかの医療処置を必要としておりました。
 こうした入所者に適切に対応するため、施設では国基準を超えた看護職員の配置や勤務時間の変更などの工夫を図っている実態が明らかとなりました。
 今後、こうした実態を踏まえ、医療的ケアを必要とする高齢者を積極的に受け入れている施設の努力にこたえられるよう、特別養護老人ホームの支援方策について検討してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 二点のご質問についてお答えいたします。
 まず、震災時の外出者対策についてでございますが、都はこれまで、自助、共助の理念に基づきまして、駅周辺の事業者に対しまして、震災時の混乱防止にみずから取り組むための協議会の設立を働きかけてまいりました。その結果、昨年度までに四カ所で設立され、駅前滞留者対策訓練を実施いたしました。また、民間事業者の協力を得まして、帰宅支援ステーションの整備を進め、現在、約八千百カ所を確保したところでございます。
 さらに先月には、渋谷駅で、駅前滞留者のみならず、徒歩帰宅者や帰宅困難者も想定した総合的な訓練を実施し、来年一月には上野駅でも訓練を実施する予定でございます。
 今後も、都は、新しい災害情報システムを活用した情報提供の充実や、各駅に設立されました協議会が一堂に会する場を設け、共通する課題を検討するなど、総合的な外出者対策を一層推進してまいります。
 次に、東京国体の開催に向けました取り組みについてでございますが、五十四年ぶりに首都東京で開催します東京国体は、多摩・島しょの豊かな自然や歴史、文化など、東京の多様な魅力を発信する絶好の機会でございます。
 都においては、区市町村の競技施設整備に対する財政支援を実施するなど、着実に開催準備を進めるとともに、最大限の環境配慮や全国障害者スポーツ大会との連携など、東京ならではの国体の実現を目指しております。
 開催に向けては、ご指摘のとおり、目に見える形で大会のPRを行うことが重要でございます。現在、都民参加のシンボルとして、大会の愛称やスローガン、マスコットキャラクターについて広く公募も行っております。制定後は、これらを活用した広報や都民運動を展開して開催機運を盛り上げ、開催準備を一層加速してまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 今後の防災都市づくりの推進についてでございますが、震災時に大きな被害が想定される重点整備地域では、市街地の燃えにくさをあらわす不燃領域率が、平成八年からの十年間で区部平均を三ポイント上回る八ポイントの上昇となっております。これまでの取り組みにより、データの上でも成果があらわれていることから、今後さらに取り組みの充実を図ってまいります。
 まず、重点整備地域におきまして、不燃領域率の平成二十七年度までの目標を従来より五%引き上げ、市街地大火の危険性がほとんどなくなる六五%の達成を目指します。
 また、整備地域につきましては、最新の地域危険度調査の結果等を踏まえ、谷中地域等を拡大するなど、市街地の不燃化や建築物の耐震化の促進に向けて、二十八地域、約七千ヘクタールを指定いたします。
 これらの地域におきまして、それぞれの地元自治体と共同して策定した整備プログラムに基づき、沿道一体整備事業等の整備効果の高い事業や、地区計画等の規制誘導策を積極的かつ重層的に実施して、整備を加速してまいります。
 今後、こうした内容を含む防災都市づくり推進計画を来年一月末を目途に取りまとめ、これをもとに、さまざまな主体と連携して、災害に強い都市づくりに着実に取り組んでまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 水道事業に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、耐震継ぎ手管への取りかえ促進についてでございますが、当局ではこれまで、水道管路の耐震強化を図るため、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、新たに開発されました抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管を平成十年度から全面的に採用し、平成二十年度末までに総延長の二四%を取りかえてまいりました。
 しかしながら、現在の整備状況では、首都直下型地震の場合、被害想定における断水率が都平均で約三五%、地盤の軟弱な東部地域のうち、最大の区で約八○%であり、すべてを復旧するには三十日間を必要といたします。
 また、都民要望におきましても、飲料水に加え、ふろ、トイレといった生活用水が震災時に何よりも重要であり、水道の一日でも早い復旧が求められております。
 このため、現在の取りかえスケジュールを大幅に前倒しすることとし、平成二十二年度を初年度とする新たな取りかえ計画の中で、事業費及び復旧日数の短縮などについて早期に明らかにし、震災対策を強化してまいります。
 次に、震災時における仮配管方式の活用策でございますが、震災時におきましては、倒壊した建物が路上をふさぎ、掘削による水道管の復旧が困難な場合や、橋梁に添架された水道管が損傷し、復旧工事に時間を要する場合がございます。このような場合は、断水を早期に解消する上で、路上に仮配管を布設する方法が有効であると考えます。既に、日常的に行っている配水管の取りかえ工事におきまして仮配管工法を採用し、断水時間の大幅な短縮を図っており、このノウハウは震災時においても活用できます。
 また、震災復旧等への対応力を強化するため、都内八カ所に配管材料を分散して備蓄しておりますが、これらを適宜、仮配管方式による復旧に転用することにより、さらに迅速な対応が可能となります。
 このように、震災時には、被災した現場の状況に応じて仮配管方式を広く活用し、早期の通水を目指してまいります。
 最後に、水源地域における民有林への具体的な取り組みについてでございますが、多摩川上流の荒廃した民有林では、土砂の流出防止機能など、森林が本来持つ機能が低下し、小河内貯水池の水質悪化などの影響が懸念されることから、これまでの取り組みに加え、踏み込んだ対策が必要であると認識しております。
 このため、荒廃した民有林を手放したいと考える土地所有者がいることを踏まえ、購入の検討を進めてまいりましたが、森林購入に際しては、境界が不明確な土地があることや投機による地価の高騰など、考慮すべき課題もございます。
 これらを踏まえ、平成二十二年度から五年程度の期間、管理が不十分で手放す意向のある民有林を試験的に購入するとともに、これを通じて課題の解決を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、将来にわたって多摩川上流の水源地域を良好な状態で保全し、水道水源林の機能を最大限発揮できるよう努めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、年末に向けた中小企業支援策についてでありますが、都内中小企業を取り巻く経営環境は、年末に向けて一層厳しさが増すことが見込まれますことから、都としては、さらなる資金繰りや受注の確保を初めとした実効性のある緊急対策を打ち出したところでございます。
 具体的には、まず、特別相談窓口を財団法人東京都中小企業振興公社に設置し、中小企業の経営、融資に関する相談に対応してまいります。
 第二に、中小企業の資金繰りを支援するため、制度融資において、国の緊急保証制度に対応した経営緊急、これを引き続き重点的に推進するほか、クイックつなぎの融資限度額を引き上げ、年末にかけて緊急に必要となる決済資金等に備えてまいります。
 さらに第三として、先般、取り扱いを開始した、地域の金融機関と連携した新たな保証つき融資制度について、取扱金融機関を拡大し、都内中小企業の資金需要にこたえてまいります。
 また、売上高が減少している中小企業に対し、都はこれまでも、展示会への参加等、受注拡大に向けた取り組みを支援してまいりました。現下の厳しい状況を踏まえ、一段の支援強化が必要なことから、第四として、現在、大企業を中心とした発注側企業約七十社に対しまして、局幹部職員が直接、受注機会拡大に向けた協力要請を実施しているところでございます。
 加えて、第五になりますが、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターにおきまして、本年三月から実施しております依頼試験等の利用料金を五○%減額する緊急支援を、年度末まで三カ月延長してまいります。
 こうしたさまざまな緊急対策を講じることによりまして、厳しい経営状況に置かれた中小企業の支援に万全を期してまいります。
 次に、厳しい雇用情勢に対する取り組みについてであります。
 都はこれまでも、雇用の創出や離職者に対する職業訓練の大幅な拡充など、さまざまな対策を講じてまいりましたが、雇用情勢は依然として厳しく、年末を控え、一層の取り組みが求められております。
 このため、まず公的な雇用創出に向け、緊急雇用創出事業の基金を大幅に拡充するとともに、年度内に三百を超える事業を追加で実施し、これにより新たに約六千人の雇用を生み出してまいります。
 また、企業における雇用の維持や採用の拡大について、都内の経済団体に対し要請を行っているほか、新規学卒者向けの合同就職面接会を、さきの十一月に続き来年の二月にも開催して、未内定の学生等の就職を支援していきます。
 さらに、都民の就業に係るさまざまな問題にこたえるため、労働相談情報センターと、しごとセンターが共同で開催する特別相談会に加え、年末の二十九日、三十日には臨時相談窓口も開設いたします。
 今後とも、雇用情勢に適切に対応し、切れ目のない雇用の創出を図るとともに、さまざまな取り組みを重層的に展開することによりまして、就業支援に積極的に取り組んでまいります。
 次に、中小企業の経営力向上と技術継承についてでありますが、都内の産業基盤を維持発展させていくためには、ご指摘のとおり、中小企業の経営体質を強化するとともに、すぐれた技術を絶やすことなく次代に継承していくことが重要でございます。
 このため、まず、中小企業の経営力向上に向け、都と中小企業支援機関が連携して中小企業経営力向上支援事業を実施し、中小企業診断士などが二千社を目標に企業に直接出向いてアドバイスを行っているところでございます。既に千社を超える企業訪問を終え、多くの企業が事業計画や財務内容の改善に着手しております。その中には、新たな販路開拓を行ったことによって大幅な収益回復につながった企業や、地域中小企業応援ファンドなどの都の補助事業に採択された企業も出ております。
 現在、残り一千社の訪問診断を実施中でありまして、今後とも中小企業の経営力の向上に取り組んでまいります。
 また、東京には高度な技術を持つ中小企業が多数存在しておりますが、これを支える技術者の方々の高齢化が進んでおりまして、その技術継承も喫緊の課題となっております。
 このため、都としては、現場の実態に即し、円滑に次世代へ技術継承ができるよう、区市町村や地域の工業団体等と連携した新たな仕組みづくりを検討してまいります。
 次に、新しい産業分野の育成に向けた取り組みについてであります。
 将来の産業発展を実現していくためには、足元の経済危機の克服に向けた対策に万全を期すだけでなく、次代を担う新たな産業分野の育成を図っていく必要があります。
 東京には、ロボットや航空宇宙産業、さらには環境、健康産業など、今後成長が期待される産業が多数存在しております。その育成には、企業や大学が持つ技術を結集し、新たな研究開発や事業活動を促進していくことが重要であります。
 このため、今年度から平成二十三年度にかけて、多摩と区部に順次開設する産業支援拠点を中核として、新技術、新製品の開発支援や、産学公に金融機関も加えたネットワークの構築による事業化の促進などに積極的に取り組んでまいります。
 また、産業支援拠点の中心となる東京都立産業技術研究センターは、首都大学東京と連携して、環境、省エネ技術の研究開発等、重点課題の解決に向けてさまざまな取り組みを進めております。今後、その成果を中小企業に着実に移転させることで、産業の活性化につなげてまいります。
 都としては、このような成長産業分野の育成や技術開発の促進により、新たな産業発展の道を切り開いてまいります。
 最後に、高齢化の進展を見据えた雇用就業施策の基本的な認識と取り組みの方向についてでありますが、高齢化が急速に進行する中、労働力人口を確保し、経済の活力を維持するためには、高齢者が意欲と能力を生かして、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会を目指す必要がございます。
 我が国の高齢者は、諸外国と比べても就業意欲が高く、すぐれた技術、技能を持つ方も多い一方で、定年後は体力や経済力などの個人差が大きくなり、希望する就業形態も、フルタイムの雇用から短時間勤務、臨時的な就業まで幅広いものとなっております。
 このため、都はこれまでも、しごとセンターにおいて就業相談や職業紹介を行うとともに、専門スキルを持つ人材の中小企業での活用を進め、また、区市町村が設置するシルバー人材センター等を支援してまいりました。
 都内で六十万人を超える団塊世代の方が六十五歳に到達する時期を間近に控える中、高齢者がその意欲と能力を生かして働くことができるよう、多様な就業機会の確保がますます重要となってきておりまして、今後とも高齢者の一層の就業促進に取り組んでまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 公共工事の品質確保対策についてのご質問にお答えいたします。
 公共工事を初めとする公共調達を適正に実施していくためには、市場環境の変化を踏まえながら、品質確保と適正な競争とのバランスがとれた入札契約制度の構築が必要であります。
 こうした観点から、都は、公共工事の入札契約制度の今後のあり方を検討するため、昨年六月に研究会を設置し、その提言を踏まえて実施方針を策定いたしました。
 実施方針では、低価格入札が多発している現状を踏まえまして、工事品質の確保を中心として適正な競争を実現していくための制度改革の方向性を明らかにいたしました。
 具体的には、大規模工事につきましては、特別重点調査制度を導入いたしまして、著しい低価格入札につきましては、調査により、落札者とはしないという措置を講じることとし、既に実施をいたしました。
 また、中小規模工事につきましては、その額未満の金額による入札の場合には失格とする最低制限価格が既に設けられておりますが、より一層適切な工事の履行を図るために、市場実態に即した価格水準へと、この最低制限価格を引き上げるとともに、事業者による適正な積算努力を促すため、従来設けておりました最低制限価格の設定上限を撤廃いたします。
 来年一月から、これの実施に向けまして、早期に改正内容を事業者に周知してまいります。
 今後とも、公共工事の品質確保のため、今回策定した実施方針に基づきまして、低価格入札対策を初め、制度改革の着実な実施に向け取り組んでまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 豊洲新市場の開場についてのご質問にお答えいたします。
 お話のとおり、先月、市場業界の大多数から、豊洲新市場建設計画推進の要望書が提出されております。
 そこでも述べられておりますように、開場以来七十年余りが経過した築地市場は、施設が老朽化しており、耐震性やアスベストの問題に加えて、構造物の劣化による損傷や落下、路面の亀裂、破損等の危険が高まり、安全性に多くの不安を抱えるなど、限界に達しております。しかし、狭隘な敷地で営業を続けながらの工事となることから、抜本的な改善は極めて困難であります。
 また、取扱量の減少などによりまして、市場業者の経営は厳しさを増しており、取引の維持拡大のため、品質管理の徹底や物流の効率化など、顧客ニーズへの対応に迫られておりますが、築地市場では一貫した温度管理ができず、細かな仕分けを行うための荷さばき場が十分確保できないなど限界があり、市場業者は将来に向けた経営戦略を描くことができません。
 今回の要望書には、このような現状に強い危機意識を持ち、長い年月をかけ幾度となく協議を重ね、現在地再整備は不可能とし、早期移転による市場の発展に希望を託し、一致協力して計画の実現に向け準備を進めてきた市場業者の切実な願いが込められております。
 都といたしましては、この要望にこたえるため、万全な土壌汚染対策を確実に実施した上で、一日でも早い豊洲新市場の開場を目指し全力で取り組んでまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、エコドライブの推進についてでございますが、エコドライブによりCO2削減に大きな効果を上げるためには、都民や事業者の意識的かつ実践的な取り組みを促すことが必要でございます。
 そのため、都はエコドライブインストラクターを養成し、区市等と連携した講習会等を実施するとともに、平成十九年度からエコドライブ支援機器の装着補助制度に取り組んできておりまして、都民や中小事業者へのエコドライブの普及、定着と、CO2の削減に一定の成果を上げてきました。
 事業者団体の集計データでは、機器を活用したエコドライブの教育、指導により、約一○%燃料消費量が減少するなど、燃費が大きく改善したと聞いております。
 都は今後、これらの燃費データ等の活用を通じた取り組みを、関係者の協力も得ながら一層推進し、エコドライブの普及促進など、自動車部門の温暖化対策をさらに進めてまいります。
 次に、土壌汚染対策についてでございますが、お話のとおり、都は、法制定以前の平成十三年から、環境確保条例に基づき、今回の法改正で新たに導入された土地改変に対する規制などを既に実施してきております。
 こうしたことから、条例に基づく土壌汚染対策については、法改正による大きな影響はないと考えておりまして、引き続き着実な運用を図ってまいります。
 また、円滑な土壌汚染対策を進めるためには、資力の乏しい中小事業者であっても着実に取り組むことができるよう、コストを低減することが重要でございます。
 このため、今後とも、掘削除去によらず、盛り土による封じ込めなどの対策や、汚染土壌を搬出することなく現在地で有害物質の浄化を行う方法など、より低コストで環境負荷の少ない対策の普及を図ってまいります。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 国際戦略港湾選定への対応についてでございます。
 これまで国の港湾政策は、全国にくまなく外貿コンテナふ頭を整備する分散投資、施設整備中心の施策体系などの課題があり、必ずしも我が国港湾の国際競争力の強化に結びついているとはいえませんでした。
 今般、躍進するアジア諸港との競争に勝ち抜くため、重点投資する港湾を全国で一つか二つに絞り込み、さらなる選択と集中を図るという方向が示されました。
 京浜港は、取扱貨物量、貿易額ともに全国一位であり、コンテナ貨物のほか、原油、自動車などさまざまな貨物を取り扱う総合物流港湾として、首都圏四千万人の生活と産業を支えており、国際戦略港湾に当然選定されるべきであると認識しております。
 都といたしましては、速やかに川崎市、横浜市と共同して、国の新しい取り組みが、京浜港への貨物集荷策など、ハード、ソフト両面を含めた総合的な物流政策となるよう、国に対して提案するとともに、京浜港を国際戦略港湾に選定するよう、議会のご協力もいただきながら、積極的に働きかけてまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、北多摩北部地域の小児医療体制についてでありますが、地域の中核病院の役割を担う多摩北部医療センターでは、本年六月に小児科病棟を改修し、病床数を十三床から三十五床に整備拡充するとともに、清瀬小児病院から三名の医師をチームで派遣するなど、体制強化を図ってまいりました。
 しかし、ご指摘のように、新型インフルエンザへの対応など、最近の患者動向を踏まえますと、さらなる受け入れ体制の強化を図り、万全を期す必要があると考えております。
 そのため、多摩北部医療センターにおいて、当面、今月から、特に小児救急患者数の多い土曜準夜と日曜、休日の日勤、準夜帯の当直体制を強化していくこととし、そのために必要な医師、看護師の確保を都として支援してまいります。
 さらに、清瀬小児病院転出後に向けて、小児医療専門のさまざまな相談を受けるため、看護師や医療相談員による医療相談機能を強化するなど、安心して診療を受けられる体制を整備してまいります。
 今後とも、小児病院が転出する地域の医療体制の充実に、関係局と連携しながら全力で取り組んでまいります。
 次に、都立病院の地域における医療ネットワークの構築についてでありますが、ご指摘のとおり、限られた医療資源を十分に活用して、地域の住民が安心して医療を受けられる体制を構築するためには、各医療機関が、初期、二次、三次の役割分担のもとに重層的に連携していくことが非常に重要であります。
 とりわけ小児総合医療センターには、多摩地域全体をカバーする小児医療の拠点としての役割が期待されており、周産期医療、救急医療など、さまざまな分野での医療連携体制の構築が求められております。
 そのため、東京都地域医療再生計画に基づき、小児総合医療センターと多摩北部医療センターなどの中核病院との間で、情報システムを活用した診断支援などの取り組みを行ってまいります。
 また、重症心身障害児が地域で安心して暮らせる医療体制を確立するために、在宅医療の支援や重症化した場合の受け入れ体制づくりに向けて、地域の中核病院や各医療機関から成る医療ネットワークの構築などについて検討を進めてまいります。
 さらに、他の都立病院、公社病院の間においても、このような連携策を必要な医療課題に即して構築し、多様な病院間のネットワークづくりに積極的に取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 私学振興に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、私学振興に対する基本的な考え方についてでございますが、都内の高校生の約六割が通う私立高校は、その建学の精神に基づき、個性的で特色ある教育を展開し、都の公教育において大きな役割を果たしているものと認識しております。
 このため、都は私立学校の教育条件の維持向上、生徒の修学上の経済的負担の軽減、学校経営の健全化を目的とする経常費補助を基幹的補助と位置づけ、充実を図ってまいりました。またあわせて、耐震化に対する助成や保護者負担軽減策など、私学振興のための施策を広範に展開してきたところでございます。
 少子化の影響などによりまして、私立学校の経営状況が厳しい中、今後とも公教育において大きな役割を果たす私立学校が、都民の期待にこたえる質の高い教育を確保していくため、学校運営に対する支援の柱となります経常費補助を中心に、私立学校の振興に努めてまいります。
 次に、私立高校生の保護者負担軽減についてでございますが、ご指摘のとおり、都では、私立高校生の保護者の経済的負担を軽減するため、経常費補助を通して授業料の抑制を図りますとともに、返済が不要の特別奨学金制度や、育英資金の貸与など、幅広い修学支援策を実施し、また、その充実を図ってきたところでございます。
 現在、国においては、一定額を一律支給するなどの新たな就学支援金制度の導入が検討されておりますが、都といたしましては、私立高校生が家計状況により修学困難とならないよう、効果的な修学支援を行う観点から、一定所得以下の保護者を対象に、所得に応じて助成することが重要であるというふうに考えておりまして、現行の特別奨学金制度が果たしているセーフティーネットの機能をより一層高め、保護者負担の軽減に向けて取り組んでいく考えでございます。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十一分休憩

   午後五時五十一分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番東村邦浩君。
   〔百七番東村邦浩君登壇〕

○百七番(東村邦浩君) 都議会公明党を代表して、知事、警視総監、消防総監並びに関係局長に質問いたします。
 初めに、去る十二月四日にご逝去されました元東京都議会議長川島忠一先生のご冥福を衷心よりお祈り申し上げます。
 さて、鳩山政権のもと、外交、安全保障について窮地に立たされている日本は、景気経済においても急激な円高がデフレを加速させるという厳しい局面に立たされています。
 今回のデフレは真性デフレの様相を呈し、需要不足でますます物価が下がるといわれています。これを打開するために、鳩山政権が本日取りまとめた追加経済対策には、エコポイント制度の延長や中小企業の信用保証枠を拡充するといった対策が示されましたが、いずれも既存の延長線の対策が中心であります。前政権の補正予算をわざわざ削減したのは何だったのでしょうか。前政権を否定したいがためのパフォーマンスによって、年明けの景気の二番底への懸念がますます強まっています。
 この第二次補正予算も、臨時国会を早々と閉じたために、通常国会を待たなければなりません。日々刻々悪化する経済の実態を前に、危機感もスピード感も極めて乏しいといわざるを得ません。新政権がこのままの姿勢をとり続けるならば、日本は沈没してしまいます。
 今、国民、都民は年末にかけて大変不安な気持ちにさいなまれています。こうしたときこそ、都民、国民の閉塞感を打破する決意で、日本の頭脳、心臓部である東京から、力強く政治と行政のあるべき姿を示していかなければなりません。
 東京から日本を変えていくという気概を持った石原知事に、新政権をどのように見ているのか、また、今後の都政運営に対する決意を伺い、以下、喫緊の都政課題について質問いたします。
 去る十一月五日に平成二十一年度の都税収入見込みが発表されたところであります。平成二十年度決算対比で約二割の大幅な減となり、減収額は過去最大の約一兆円と見込まれています。さらに、来年度予算は、現在の税収動向を前提とすると、このままでは約六千億円もの巨額の財源不足が生じてしまいます。
 この財源不足に対して、基金を初めとした財政の対応力をどのように活用していくかという点が今後の財政運営上の課題になってくると考えます。同時に、歳出全体をどのように効率的、効果的に見直すのか、こういった視点が従来にも増して重要になってまいります。
 現在、国においては、歳出削減の切り札として事業仕分けが活用されていますが、目の前の金額の多寡や当年度のコストのみに着目しており、政策と政策効果という視点が見失われ、短時間のコスト論のみで結論を出そうとすることは、まさに従来の現金主義会計の手法から抜け切れていないといわざるを得ません。
 事業仕分けは、我が党が最初に主張し、行政改革推進法に明確に規定されたものであり、その理念自体は正しいと考えますが、場当たり的に事業の廃止が決まっている現在の国の事業仕分けの手法には大きな疑問を持っております。
 都においては、国にはるかに先んじて財政再建に取り組み、さらに我が党が提唱した新たな公会計制度を活用しながら、事務事業評価の取り組みを推進することで、施策のむだを排し、実効性を高める取り組みを強化してまいりました。
 そこで、都から見た国の事業仕分けの課題と、平成二十二年度予算編成に向けた都の事務事業評価の取り組みについて見解を求めます。
 また、国は、民主党のマニフェストに掲げている子ども手当、高校授業料の実質無償化こそ、本来、事業仕分けの対象とすべきであります。
 これらの施策の実施に当たっては、制度創設に伴う確実な財源が確保されることが大前提であり、いうまでもなく、地方への負担転嫁は言語道断であります。仮に地方負担が求められたり、さらに検討の俎上に上っている自動車関連諸税の暫定税率の廃止に伴う代替財源が措置されない場合、都への影響額は相当大きくなると考えられます。
 その場合、子ども手当、高校授業料の実質無償化、暫定税率廃止に伴う影響額について、都の見解を求めます。
 次に、子ども手当の財源として、国は所得税に加えて住民税の扶養控除も廃止することを検討しています。廃止となれば、子ども手当が支給されない世帯にとっては、家計の負担は増大します。さらに、住民税の非課税ライン等を基準とした都の施策においても、都民生活の負担増になることは避けられません。
 そこで、例えば子ども手当の対象にならない二十三歳から六十九歳までの成人を二人扶養している世帯の場合、家計の負担はどれだけ増大するか、都の見解を求めます。
 あわせて、住民税の扶養控除が廃止された場合、特に福祉の分野で影響が大きいと考えます。そこで、具体的な影響について、都の見解を求めます。
 先日、石原知事が、二○二○年オリンピック・パラリンピック招致に向けたエントリーの意思表示をされたところであります。今後、四千億円のオリンピック・パラリンピック開催準備基金の取り扱いが課題になってくると考えます。
 このオリンピック・パラリンピック開催準備基金は、石原都政のもと、財政再建をなし遂げ、堅実な財政運営を行ってきた成果であり、今般のような厳しい経済状況においては、都民が必要とする施策に有効に活用されることを含め、適切に対応されることを要望いたします。
 次に、雇用対策について質問いたします。
 都は、昨年来の雇用情勢の悪化に対応し、東京緊急対策Ⅱで都独自の取り組みや区市町村補助金を打ち出し、続いて国の交付金による基金を活用して、緊急雇用創出に取り組んでいます。
 さらに、十一月の我が党の緊急要望を受け、都は、今回の補正予算でも切れ目ない対策に取り組もうとしています。雇用情勢の厳しさは来年度も続くことが予想されます。都は、集中的な人員投入で効果の出る事業を積極的に企画し、さらに緊急的な雇用創出に努めるべきであります。例えば、海の森での臨時的な植樹事業、緊急の緑化作戦、都内の河川敷のクリーン作戦、さらにはエコにつながる取り組みなど、グリーン・クリーン・プロジェクトともいうべき新たな雇用対策を実施すべきであります。
 まず今回の補正予算も含めた基金事業による都内の具体的な雇用創出と今後の新たな取り組みについて、見解を求めます。
 一方、失業した都民の側に立つと、さまざまな雇用創出事業が、いつ、どこで、どのように行われているのかよくわからないといった声が出ています。特に民間に委託した事業の場合、失業者の立場からは、この事業によって雇用がどれだけ生み出されているのかという実感が持てないとのことであります。したがって、都みずからが創出する新たな緊急雇用については、失業者に目に見える形でわかりやすく伝えるべきであります。
 また、緊急雇用は臨時的つなぎの雇用であり、失業者が正規雇用などの次の仕事を見つけられるような支援も重要であります。
 東京しごとセンターの就労支援メニューを具体的に紹介し、活用を促す対策を実施すべきであります。あわせて都の見解を求めます。
 去る十一月二十五日、都議会公明党が提案してきた新規大卒者のための首都圏合同面接会が池袋で開催されました。百四十社の企業が参加し、約千三百人の求人に対し、二千五百人以上の新規大卒者が面接に訪れました。我が党も面接会場を視察しましたが、大きな反響を目の当たりにいたしました。
 二月に再度、合同就職面接会を開催すると聞いていますが、高校生も対象としたり、開催形態を多様化するなど、さらに充実を図っていくべきであります。見解を求めます。
 また、都内で最大の年齢人口である三十代向けに、安定した雇用を拡大することも喫緊の課題であります。
 都は、昨年十一月の東京しごとセンターに続き、先月には東京しごとセンター多摩においても、正規社員採用、定着支援事業、いわゆるネクストジョブ事業をスタートさせました。三十代については、このネクストジョブ事業と職業訓練を連携させながら、質、量ともに拡大することが必要と考えます。
 特に職業訓練の職種の拡大を行い、新たな職種への雇用拡大を図ることが重要であります。例えば農業や環境など、新たな分野の拡大が必要であります。都の見解を求めます。
 次に、介護分野での雇用について質問します。
 介護分野では、就職をしても定着をしないということが大きな課題です。他方、求人ニーズ自体も非常に高い状態が続いています。介護分野の人材確保については、都は、本年三月にTOKYOチャレンジ介護を開設し、介護職場を目指す離職者等への支援を行ってきましたが、十分な人材確保に至っておりません。
 そこで、介護分野への雇用創出については、新たな取り組みを実施すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、介護支援策について質問いたします。
 世界で類を見ない速さで超高齢社会を迎える東京は、六年後の平成二十七年には高齢人口は三百十六万人となり、要介護認定者数は五十万人を超えるものと見込まれています。
 そのような中、在宅介護については、家族が無理をしながら高齢者を支えている実態が顕著に増加をしています。
 例えば、身体介護に加えて認知症のある八十代の母親を、介護施設に入所させるまでに一年以上かかったために、一人娘が仕事を退職せざるを得なくなり、さらには二人の生活費と居宅介護サービス利用料などを支払うために退職金を使い果たし、ついには、その娘さんがうつ病になってしまったという実際の声も届いています。こうした事例は決して特別なケースではなく、日を追うごとに在宅介護を取り巻く状況は悪化しています。
 そもそも介護保険制度は、菅直人副総理が厚生大臣のときに十分な時間的検討を行わずに、拙速に導入した制度であります。そのため介護保険制度だけでは十分に高齢者を支える家族を支援し切れず、制度の枠組みからこぼれ落ち、精神的、体力的、そして経済的に限界に来ている家族の実態が生じています。
 このような家族介護の実態について、石原知事はどう感じておられるのか、率直な感想を伺います。
 一部の区市町村では、こうした家族介護者への支援をさまざまな形で行っている事例もありますが、都として、高齢者と家族が安心して暮らせる社会の実現のためにも、在宅家族介護者への支援に積極的に取り組むべきであります。
 そこで、都議会公明党は、在宅介護支援手当の創設を提案いたします。見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問いたします。
 都は、積極的に都内中小企業による販路の開拓や新商品の開発を促すとともに、みずからも新たな市場の開拓に向けて取り組むことが必要であります。
 海外への販路の開拓は、予期せぬトラブルに遭遇するリスクなどもあることから、すぐれた技術を持ちながらも、海外への挑戦をためらう中小企業も少なくありません。したがって、海外での販路開拓に関し、知識と経験をあわせ持つ専門家による支援が不可欠であります。同時に、信頼できる現地代理店との契約も効果的ですが、知的財産保護などの課題も含め、提携先の選択は容易でありません。
 都は、都内中小企業が進出しにくい海外においても、効果的に販路開拓が進むよう、支援の充実に取り組むべきと考えます。今後は、中国やインドも視野に入れるなど、対象国をふやすほか、新たに現地のサポートを担うコーディネート機能を整えるべきであります。都の見解を求めます。
 次に、新商品の開発を促す取り組みについてであります。
 中小企業が厳しい経営環境から抜け出すためには、将来の成長の核となるような新たな製品、新たな技術を生み出していくことが重要であります。
 しかし、中小企業は、大企業に比べて知名度や信用面で不利な立場に置かれており、新製品や新技術の販路を開拓する積極的な手助けが必要であります。その点、都が持つ信用力を背景に、受注実績の向上に協力し、新商品や新技術の有用性や認知度の向上に寄与することは、販売促進の効果を一層高めることにつながります。
 そうした効果をもたらす最たる取り組みの一つが東京トライアル発注認定制度であります。この制度は、都が認定した新製品、新技術を試験的に購入し、評価するものであり、今年度、その運用を開始いたしました。この制度の活用を促すためには、都は取り組み実績と効果を都民にわかりやすく発信する必要があります。あわせて、より使いやすい制度となるよう、その拡充を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、港湾の国際競争力強化について質問いたします。
 先ごろ、国土交通省が打ち出した成長戦略に、我が国港湾の国際競争力強化が柱として位置づけられ、スーパー中枢港湾施策で進めた選択と集中をさらに進めるとしております。
 港湾の国際競争力強化については、我が党は、長年大きな課題として取り組んでおり、昨年の東京、川崎、横浜、三港による連携強化についても支援をしているところであります。
 国の新たな港湾強化策はいまだ具体的な姿が見えず、今までの施策の延長では意味がありません。我が国港湾の真の国際競争力を高めていくために、自治体を代表する京浜港が積極的に政策提言を行っていくべきと考えます。見解を求めます。
 その上で、今後、京浜三港の連携をさらに強化していくべきであります。見解を求めます。
 次に、教育について質問いたします。
 各種の国際学力調査で、我が国の小中高生の学力低下が表面化してきておりますが、いわゆる国別ランキング以上に我々が直視しなければならないのは、日本の子どもたちの無回答率が高いこと、すなわち、少し難しそう、面倒だと思う問題を避ける、あるいは逃げる生徒がふえつつある点であります。
 劇作家の山崎正和氏は最近、新聞紙上で、大学生の学力が軒並み低下している我が国の現状について、大人になれない若者が実人生を先送りしているのが高学歴化の実態と喝破しております。
 一方、社会に通用する人材とするための教育は、多くの場合、企業や団体などが担ってきました。そうした人材育成は、多額な費用と長期間にわたる労力を要することから、社内教育を行う企業が減少し、即戦力となる派遣社員を受け入れている傾向も見受けられます。
 学校教育においても、基礎学力はもとより、規範意識、公共心等の徳性の育成を重視し、社会の構成員としての役割と責任を自覚して、社会に貢献できる人間を育成することが重要であると考えます。見解を求めます。
 また、これまで公明党は、小一問題や中一ギャップについて、再三にわたり取り上げてまいりました。早急に実効ある対策を講じなければなりませんが、最善の対応策は何といっても人的措置、すなわち入学直後を対象に教員配置を厚くすることであります。都議会公明党は、将来的には少人数指導に加え、複数担任制なども視野に入れて対応していくべきと考えます。
 その第一歩として、まずは一定の活力を維持できる学級規模への縮小あるいはチームティーチングの導入など、学校の実情に合った学級編制ができるようにすべきと考えます。見解を求めます。
 次に、特別支援教育について質問いたします。
 東京都特別支援教育は来年度、第二次実施計画の最終年度を迎えます。都は、これまで着実に改革を進め、既に再来年度からの第三次実施計画の検討も始まっていると伺っております。
 その中で大きな課題になっているのが、特別支援学校の配置のあり方であります。都内では、知的障害のある子どもの在籍者がふえたことへの対応が求められる一方、視覚、聴覚障害のある在籍者が減り、教育活動をどう活性化させていくのかが課題になっています。こうした状況を受け、都は個々のニーズに応じた教育ができるよう、盲・ろう学校を含む特別支援学校の再編整備を進めています。
 しかし、学校の再編整備に伴い、障害のある子どもたちが、より遠方の学校に通学しなければならないなどの課題が出てきています。
 十一月二十六日の文教委員会では、大塚ろう学校城南分教室の小学部の募集停止が議題になりました。都は、分教室について、二年間続けて三名に満たない場合、募集を停止する条件を示していますが、我が党の質問に対して、都は、分教室の幼稚部についてはこの条件を適用しないことを答弁いたしました。
 今後、第三次実施計画を検討していくに当たっては、ろう学校に限らず、特別支援学校については、長距離通学、長時間通学を極力なくすような配置を行い、あわせて区市町村との具体的な連携により、特別支援教育の充実を目指すべきであります。都の見解を求めます。
 また、教員の専門性をどう向上させるのかも課題であります。特に、特別支援教育において、重度化、多様化が進む中で、一人一人の可能性を開いていく、より高い専門的な技術が求められています。
 その一方で、特別支援学校教諭免許状を取得するための大学が限られていることから、特別支援学校の教員のうち、免許取得者の割合は五六・九%にとどまっています。
 そういった中、東京都では、特別支援学校教諭免許状を取得していない教員を対象に、免許状の取得に必要な単位を取得するための認定講習を開講し、免許を取得するように促しています。
 今後は、特別支援教育を目指す学生の都教育委員会採用試験への受験者数をふやすことが求められます。都は既に、他県にある大学に出向き、小学校教員の採用試験の受験を呼びかけていますが、特別支援学校の教員についても、同様により多くの受験生を募るように努めるべきであります。見解を求めます。
 次に、都立小児総合医療センターの建設と清瀬小児病院、八王子小児病院の移転後の地域医療確保策について質問いたします。
 現在、平成二十二年三月のオープンを目指して、小児総合医療センター、多摩総合医療センターの準備が着々と進められています。
 都議会公明党も先月、でき上がったばかりの建物を視察してまいりました。今回、多摩総合医療センターと小児総合医療センターが一体となって整備されることにより、今までの小児病院だけでは対応できなかった医療が行われることになります。
 その一つが総合周産期母子医療センターであります。多摩総合医療センターには母体胎児集中治療室九床、小児総合医療センターには新生児集中治療室二十四床が整備され、一体となって運営されることにより、リスクを伴った母体、胎児が同じ病院の中で命を救われることになるわけであります。
 さらに、小児期に発症し、成人になっても診療が必要な患者さんに対しても、両センターが密接に連携して治療に当たるキャリーオーバー医療が行われることになり、成人してから新たな病院を探さなくて済むことになります。これらの医療はおくれていた多摩地域の医療を大きく前進させることになり、高く評価するものであります。
 今後、本格的な稼働が行われていく際には、スーパー総合周産期センターとして受け入れ体制を整備することを強く要望いたします。
 また、小児総合医療センターは、心と体の高度な専門医療を行うものでありますが、最近特に発症が増加傾向にあり、かつ多様化してきている小児アレルギー疾患に対する専門的な医療が求められています。
 我が党は昨年の第二回定例会の代表質問で、小児総合医療センターにおいて専門診療科としてのアレルギー科を開設することを求め、都は関連する他の診療科との役割分担を整理し、運営体制を構築する中で検討すると答えました。平成二十二年三月のオープンまで四カ月を切りました。アレルギー科の開設に向けた都の取り組みについて見解を求めます。
 他方、小児総合医療センターのオープンとともに課題となるのが八王子小児病院と清瀬小児病院の移転後の地域医療であります。
 都議会公明党は、この間、移転後の地域医療について、本会議や予算特別委員会、さらには厚生委員会で取り上げ、地域医療確保に向けた提案をしてまいりました。
 その結果、八王子地域においては、小児病院の跡地において、小児の外来診療及び重症心身障害児者の通所事業や医師会協力のもと、小児準夜間救急診療を実施することになりました。入院についても、平成二十一年度中に東海大学八王子病院と東京医科大学八王子医療センターに新たに小児病床を十二床ふやすことになりました。
 さらに、八王子市が本年六月より働きかけてきました南多摩病院に小児病床を新設する方向で検討が行われています。また、北多摩北部地域については、多摩北部医療センターの小児病床を十三床から三十五床に拡充し、清瀬小児病院からもチームによる小児科医が既に三名派遣されています。
 今後は、両地域の中核病院と小児総合医療センターが強力な連携、ネットワークをつくることが重要となります。都として、両地域の中核病院が必要とする人材の確保や診療上の技術的な支援など、連携体制を構築していくべきであります。都の見解を求めます。
 現在、新型インフルエンザが依然として警報レベルにあるなど猛威を振るっており、小児病院の移転を控え、地元住民の間から不安の声も聞かれます。新型インフルエンザのようにパンデミックを引き起こす場合、地域の中核病院だけでなく、初期救急も含めた地域医療対策が必要であります。
 そこで、新型インフルエンザ対応を初めとした小児病院移転に伴う地域医療に対する都の支援策について見解を求めます。
 両地域の地元住民からは、何よりもNICUがなくなることが不安であるという声をお聞きします。リスクの高い妊婦は、出産前に新しくできる総合周産期母子医療センターの母体胎児集中治療室で受け入れることになります。また、妊婦健診を受けずに、出産後に初めて超低出生体重児などであることが判明する場合でも、今までの事例ではドクターカーで対応することができます。ただ、広大な多摩地域を考えた場合に、万が一、ドクターカーで間に合わないようなケースが出てくるのではないかと心配されている方もいらっしゃいます。
 都議会公明党は、このことを想定して、東京型ドクターヘリの活用を提案し、都も小児総合医療センターのオープンを目指して検討すると答えました。多摩地域の住民の不安を一掃するためにも、東京型ドクターヘリの活用をオープンに間に合わせるべきであります。都の見解を求めます。
 次に、救急医療機関の耐震化について質問いたします。
 災害時において、適切な医療体制を維持するためには、救急医療機関の一〇〇%耐震化は急務であります。都は、「十年後の東京」の中で、耐震化の早期完了を目指すとしています。現在、都内の救急医療機関で耐震化されている病院は、およそ八割までになりました。しかし、残された二割の救急医療機関の耐震化が非常に難しいといわれています。特に、現在地での耐震化が不可能な病院については、代替地を探して建てかえをしなければならず、多額の資金が必要となります。
 こういった状況を踏まえ、都は、さきの国の補正予算を活用して、耐震補強だけではなく、耐震化を目的とした新築建てかえも対象とし、国が八分の四、都が八分の三、合わせて八分の七まで補助をする医療施設耐震化緊急整備事業を創設いたしました。
 そこで、この事業により、都内の救急医療機関の耐震化はどこまで進展するのか、都に説明を求めます。
 今回都が創設した制度は、国の補正予算を活用した制度のために、平成二十二年度中に着工する病院を対象とするなど期間が限定されております。また、国からの補助金が当初予定していた額よりも大幅に減額となったと仄聞しております。このままでは、救急医療機関、特に二次救急医療機関の耐震化は進展いたしません。こういった状況を打開するためにも、東京都が独自に救急医療機関の耐震化に向けた取り組みを行うべきであります。都の見解を求めます。
 次に、今や国家的課題となった自殺予防策について質問いたします。
 日本人の自殺者の数は、年間約三万人と、ここ数年横ばいの状況で、減少する傾向にありません。東京においては、平成二十年に二千七百七十六人の方が自殺をし、全国の九%を占めています。
 こういった中、先日、NHKが、命をみんなで守るという報道特集を行っていました。その中で参考となったのが、サンタの国の奇跡と呼ばれているフィンランドの自殺予防策の報道でありました。
 フィンランドの自殺者は、一九九〇年をピークに、この二十年間で三〇%減少しました。一九八六年から四年間かけて、遺族や病院、警察などから徹底した実態調査を行い、原因を究明し、その結果、自殺者の九三%が、最後はうつ病などの精神疾患を患っており、しかも、医師の適切な治療を受けていなかったということが明らかになりました。こういった事態を踏まえ、フィンランドは、医療や教育現場において、具体的な対策を講じました。
 医療分野での第一番目の対策は、うつ病などの早期発見、適切な治療を行えるように、かかりつけ医に対して、うつ病などの精神疾患の知識を向上させるための精神科医による講習を行ったことであります。
 東京都も、東京都医師会に委託をし、うつ病診療の知識や技術、精神科専門医との連携方法をかかりつけ医に対して研修していますが、平成二十一年度の実施は、新宿区や八王子市などの六つの地域に限られています。この研修制度を都内の全区市町村に拡充していくことが自殺予防の第一歩になると考えますが、都の見解を求めます。
 第二番目の対策は、かかりつけ医をバックアップするために、看護師の役割を強化したことであります。具体的には、研修を受けたうつ病専門のデプレッションナースを配置し、多忙な医師にかわって、うつ病患者の自宅を訪問して、話を聞き、心の状態を把握し、気持ちを和らげるという取り組みを行っています。こうした取り組みを行うだけで、自殺しようと考えていた人がとどまっているとのことでありました。都は、こういった制度を検討していくべきであると考えますが、見解を求めます。
 また、若い人の自殺者を防ぐために、教育の分野では、専門家の助言を受け、うつ病が十四歳から十五歳に発症することが多いことに着目をし、スクールナースが中学二年生を対象に、チェックシートによるうつ病の判定を行っています。その上で、うつ病になる傾向性のある生徒は、ストレスの対処法をスクールナースとソーシャルワーカーの指導のもと学習をするという、うつ病の早期発見、早期治療を行っています。こういった取り組みは、うつ病の再発を防ぐことにつながると、専門家も述べておりました。
 都は、現在、すべての中学校にスクールカウンセラーと養護教諭を配置しています。子どもの異変に気づいた場合、担任の先生がスクールカウンセラーにつなげて対応しています。そのため、異変に気づくかどうかは、先生の力量にかかってきております。
 そこで、うつ症状の生徒をすべてケアするためにも、メンタルヘルスケアを専門とするスクールカウンセラーが早期発見、早期カウンセリングを行える体制を整備していくべきであると考えます。都の見解を求めます。
 フィンランドは、このほかにも、失業後何年も就労できずにうつ病になる人への支援策など国家を挙げて総合的に自殺予防策に取り組んでいます。
 日本も本来は、国が国家的戦略として自殺対策を行っていくべきでありますが、一日に七人から八人の自殺者が出ている東京の知事として、自殺防止に向けての決意を伺います。
 次に、八ッ場ダムについて質問いたします。
 ダム建設は、都民の命、財産を洪水や渇水の被害から守る重要な事業であります。しかし、なぜ多くの費用と年月をかけて、吾妻川流域にダムを建設する必要があるのかという点について、都民には十分に説明されていません。
 そこで、治水、利水上の効果について八ッ場ダムの必要性をわかりやすく都民に説明すべきであります。都の見解を求めます。
 十月二十七日、前原国土交通大臣は、一都五県知事に対し、予断を待たず再検証を行うと明言しました。その一方、ダム建設中止の方針自体はいまだに撤回されておりません。
 そもそも、今回の混乱は、大臣みずからが加わっていた自民・社会・さきがけ政権当時に、ダム建設の住民合意を取りつけておきながら、今回、事前の説明や意見聴取もなく、いきなり中止決定を公表するという姿勢に混乱の原因があるわけであります。
 政府の正式な意思表示となれば、責任ある態度で、慎重な手続を踏むべきであります。前原大臣はダムに頼らない治水、利水への政策転換を公言しています。しかし、山の保水力を高めるということが、具体的にどういった取り組みを行い、どんな効果があるのかが不明確です。
 そこで、前原国土交通大臣が言及している緑のダムは本当に実用可能なのか、都の見解を求めます。
 一方、河川の堤防の強化だけをすれば、ダムを建設せずとも、利根川水系の治水の安全が図れるという見方にも、強い不安を覚えます。現に、国がダムにかわる河川堤防の強化プランを示したという話も聞きません。こうした点について、都の見解を求めます。
 また、こういった状況を踏まえ、八ッ場ダム建設に対する知事の見解を伺います。
 次に、多発している高齢者や女性をねらう振り込め詐欺やひったくりについて伺います。
 振り込め詐欺については、本年、重点月間を設け、集中警戒を実施したと聞いております。二月及び十月の年金支給日には、それぞれ約一万人の警察官を金融機関に派遣をし、集中警戒を実施したほか、声かけ共同訓練や家族の合い言葉運動を初め、三つの運動を推進し、一定の成果を上げてきたところでありますが、十月末現在で一千百七件が認知されており、十八億円を超える多大な被害が出ているのであります。
 手をかえ品をかえ、次々と新しい戦術で高齢者、女性がねらわれています。こうした新しい振り込め詐欺に対して、一歩踏み込んだ警戒態勢が必要と思いますが、今日までの対策と今後の取り締まりの強化について、警視総監に見解を伺います。
 また、ひったくり犯罪については、経済的に厳しい昨今、増加傾向にあり、高齢者や女性がねらわれているとのマスコミ報道がありました。特に、高齢者が肩からかけているバッグ等は、ひったくりに遭った場合、引きずられ、命にかかわるような事態になりかねないこともあります。
 そこで、これら事件を起こした犯人は必ず捕まえるとの強い警察力を発揮していくことが犯罪を抑止することにつながると考えます。年末に増加が予想されるひったくり対策について、警視総監の決意を伺います。
 次に、防火対策について伺います。
 年末を控え、各地に死者の出る火災が発生しております。先月二十二日には、杉並区高円寺の居酒屋で火災が発生し、四人の方が亡くなるという惨事がありました。報道によりますと、この火災は炎が調理器具にたまった油に燃え移り、その炎が上部のダクトの壁にしみついた油などに引火し、さらには天井の装飾用布などを伝わって、店内に一気に燃え広がったとされております。
 東京消防庁はこの点について、類似火災を再び発生させないよう、早期に防火管理や出火防止対策の指導を改めて徹底すべきであります。本火災の被害をもたらした原因を精査し、防火安全対策について検討すべきであります。今後の対応について、消防総監に見解を伺います。
 最後に、東京多摩国体について質問いたします。
 今から四年後の平成二十五年、多摩・島しょを中心に東京多摩国体が開催されます。スポーツへの関心をより高め、生涯スポーツ社会の形成を果たす上で、国内最大の体育、スポーツの祭典である国体の開催は、大変有意義なことであると思います。
 今回の国体は、これまで二十年以上にわたって、区市町村、とりわけ多摩・島しょの市町村の熱い要望活動が継続して行われたことの結果として開催することとなったものであり、都民もその開催を待ち望んでいるところであります。いよいよ本格的な準備を進めるときに来ております。
 オリンピック・パラリンピック招致の計画においても、環境が最も重要なキーワードの一つとなっていましたが、国体においても環境に配慮した大会運営を行うことは不可欠であります。国体については、環境負荷の最小化を求め、再生可能エネルギーの活用、最先端の省エネ技術、電気自動車による選手の移動など、東京多摩国体ならではの環境対策を講じていくべきでありますが、都の見解を求めます。
 東京多摩国体は、首都東京で開催する大会であり、多摩・島しょを中心に地域の発展の契機ともなる大会であります。さらに、観光産業の活性化、文化芸術の発信についても、東京ならではの工夫を凝らし、東京の魅力を全国にアピールするような大会として開催すべきであります。
 都の見解を求め、私の都議会公明党を代表しての質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新政権の動向と今後の都政運営に対する決意でありますが、昨今の政権の動きからは、日本経済をいかに発展させるのか、ひいては日本をどこに導こうとしているのか、いまだに判然とはしてまいりません。
 デフレ対策が急がれているにもかかわらず、臨時国会が終わってから第二次補正予算を取りまとめている状況でありまして、新政権は日米関係を大きく左右する普天間基地問題でもいささか混迷をしておりまして、日本の置かれた厳しい現実を直視し、もっとスピード感、危機感を持って国家のかじ取りに当たってほしいと思っております。
 もとより、政治はただ時流に便乗するばかりではなく、将来をしっかり見据えながら打つべき手を時期を失することなく打っていかなければならないと思います。このリセッションの時代に、環流性の極めて乏しいばらまきの予算というものは、いささか危惧の対象になり得るんじゃないか。かつて、ばらまきで人気を集めた美濃部都政が全国版になって到来すると、これはやはり大変国家が危機に瀕するんじゃないかという危惧を抱かざるを得ないと思います。
 これまでも、都政は、経済危機に直面し苦しんでいる小零細企業の資金繰りを支え、新型インフルエンザにも国に先駆けて備えを尽くすなど、積極的に危機に対応してまいりました。今後も、我々の未来がかかる地球環境問題で、環境先進都市を造形し、二十一世紀にふさわしいさらなる成熟を遂げた社会のありようを示すなど、国政を先導する取り組みを東京から一段と加速していきたいと思っております。都政が果たすべき役割を明確に認識しながら、立ちはだかる難問に引き続き迅速かつ果断に挑んでいきたいと思っております。
 次いで、家族介護についてでありますが、老いを充実して過ごし、ある日突然に逝くというのが理想的な老年であると思います。シーザーの残した言葉にも、理想の死とは突然の死であるという言葉がありますが、しかし、こういう高齢化社会になりますと、例えば認知症のような問題が出てまいりまして、認知症になって、妄想を抱いたり、徘回などの症状が出るなど、それを囲む家族の負担は決して少なくないと思います。
 また、少子高齢化が進行しまして、家族だけで高齢者の介護を支えることは一層困難になります。これからは、近隣同士の助け合いの仕組みなど、地域の力を活用していくことが必要であると思います。
 今後、社会全体で高齢者を支え、安心して生活できる超高齢社会の都市モデルを東京から創造していきたいと思っております。
 次いで、自殺対策についてでありますが、みずから自分の生命を断ち切るという自殺、これが年間三万人を超えるという事態は極めて深刻であり、かつまた異常な気がいたします。現在の経済の低迷や社会の閉塞感がこうした事態に拍車をかけている懸念もございます。
 これは極めて深刻な問題だと思いますが、私の友人の斎藤環という非常に若いけれどもすぐれた精神病学者にいわせますと、日本人の過半には潜在的に対人恐怖症があるというそうでありますが、非常にこの自己閉鎖症が強いという性格を日本人は持っているようですけれども、いずれにしろ、他者との交流、コミュニケーションがあれば、これだけ自殺はふえないと思うんですけれども、どうもそういう他人との交流というものが途絶されがちな社会になっているんじゃないかと思います。
 自殺の要因は複雑でありまして、その解決は容易ではないと思いますが、フィンランドの国家的取り組みは大きな示唆を与えるものだと思います。ただ、冬季の日照時間が四時間足らずという北欧の状況と、四季の変化が激しくても、日本のような気象の国家社会では条件もかなり違うと思いますし、そういったものも勘案しながら、国は自殺対策百日プランを策定しましたが、雇用、景気なども含めて、国を挙げた取り組みをこれからも進めてほしいと思っております。
 都としましても、東京会議を設置し、総合的な対策に取り組んでおりまして、医療、福祉、教育、産業など、さまざまな分野の関係者の英知を結集して、自殺対策に粘り強く取り組んでいきたいと思います。
 先般、テレビでちょっと見ましたら、東尋坊で自殺者を引きとめる役をしているボランティアの人たちが、とにかく怪しいなと思って、声をかけるだけで非常に強い反応があると。そういう習慣を私たちはやはりこれから持ちたいと思いますが、しかし、東尋坊とか、青木ヶ原とか、限られた地域じゃなしに、このごろは集団で図り合って自殺するという、そういう傾向もありまして、これはなかなかとにかく抑制しにくい異常な現象だと思います。いずれにしろ、繰り返して申しますけれども、さまざまな関係者の英知を集結して、自殺者対策に粘り強く取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、八ッ場ダムへの取り組みでありますが、十月末に国交大臣と関係都県知事が話し合いを行った中で、マニフェストにうたった際にどのような検証を行ったかはつまびらかにいたしませんでした。大臣は、ともかく八ッ場ダムの必要性について改めて検証すると明言いたしました。
 国は、今月三日に今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を設置しましたが、会議の設置目的には、利水に関して検討する視点が盛り込まれておりません。個別事業の検証も来年度以降に先送りされていまして、多目的ダムである八ッ場ダムがどのように検証されるかは明らかでありません。
 既に国に申し入れておりますが、中止を前提として検証するのではなくて、関係都県や地元住民など、だれもが納得できる結論を早急に出すべきであると思います。引き続き、他の県知事と一致団結して、政策転換に伴うダムの見直しが首都圏における洪水や渇水のリスクを放置することにならないように、国に強く要請してまいりたいと思います。
 他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監米村敏朗君登壇〕

○警視総監(米村敏朗君) これまでの振り込め詐欺対策と今後の取り締まり強化など、二件のご質問にお答えをいたします。
 初めに、これまでの振り込め詐欺対策と今後の取り締まり強化についてでありますけれども、この振り込め詐欺というのは、平成十五年ころから都内及び全国的に被害が拡大をしてまいりました。
 実は、私は当初は、この振り込め詐欺については、詐欺の手口、これを徹底的に周知する。被害に遭われる方にいろいろなツールを使って、振り込め詐欺とはこういうもんなんですよということを徹底すれば、恐らく抵抗力というのか、それができて、何とか抑えられるんではないかというふうに思っておりました。しかし残念ながら、実は都内でもこの数年、年間で約六十億に上る被害が発生しているという状況であります。
 実際、被害に遭った方にいろいろ聞いてみますと、実は、振り込め詐欺というのは知っていましたかというと、知っていましたと。しかし、あのとき全く思いつきませんでしたというのがほとんどなんですね。この犯罪のいわば極めて心理的な巧妙さというものを痛いほど感じている次第であります。しかし、何とかしたいということで、警視庁におきましては、昨年の八月に振り込め詐欺緊急対策本部というものを設置いたしまして、とにかく全庁挙げて振り込め詐欺の撲滅に向けた取り組みを強力に推進してまいりました。
 特に、昨年の十月、あるいは本年の二月、さらには本年十月十五日から一カ月間、三回にわたりまして、振り込め詐欺撲滅月間、こう位置づけまして、東京都を初めとする行政機関、金融機関等々の関係団体、あるいは地域ボランティアの方々との連携を図りながら、検挙と防犯の両面からもろもろの対策を強力に推進してまいった次第であります。
 この間、議員ご指摘のとおり、都内の約一万一千カ所のすべてのATMに対する集中警戒、警察官を張りつけたりして、高齢者の方に対する声かけをするとかいったような対策も繰り返し行ってきたところであります。さらには、専従班を設けて、この振り込め詐欺の助長罪も含めて何とか徹底して検挙をするということで、この検挙の面でも強力に推進をしてまいった次第であります。
 その結果、本年十一月末現在の認知件数は千二百件、被害額は約二十億三千万円ということでありますけれども、昨年の同時期に比べて、件数、被害額とも、約三分の一に減少したというのが現状であります。検挙件数の方は、千九百十二件ということで、これは昨年の同時期の一・八倍を検挙しているという状況であります。
 こういった対策をとることによりまして、先ほど申し上げました本年十月十五日からの一カ月間の期間、金融機関の窓口等においてさまざまな声かけを促進いたしましたところ、この期間だけでも、実は五千万円ほどの、近くの被害が未然に防止されたという面もございます。
 しかしながら、今申し上げましたとおり、この振り込め詐欺については、一方、犯人グループの方、この犯罪を行うグループの方がほとんど罪障感がない、罪の意識がないということでありますし、いわば匿名性が確保されているという状況の中で、リスクの少ないという面もございます。決して手を緩めることなく、強力に防犯、あるいは検挙の対策を継続してまいりたいというふうに考えております。
 次に、ひったくりの対策についてでありますけれども、これも議員がご指摘のとおり、ひったくりというのは、これまた弱い立場の人、女性あるいは高齢者などをあえてねらう卑劣な犯罪であります。しかも、一歩間違えれば強盗致傷事件に発展するなど、悪質で危険な犯罪であります。
 実は、このひったくりも、これまた平成になってからふえた犯罪であります。参考でありますけれども、昨年の一年間の警視庁、いわゆる東京都内での刑法犯の認知件数というのは二十一万二千百五十二件、私、これ昭和四十年代、東京都が世界一安全な都市だといわれていたときと比べますと、昭和四十年代の刑法犯の認知件数は二十一万二千八百六十二件ということですから、ほぼ昭和四十年代の治安水準に回復したなと思っておるわけであります。
 ただし、中身が相当違ってきているということであります。侵入窃盗、いわゆる忍び込みとか、あるいは空き巣とか、あるいは事務所荒らしとかというのは、実は去年は都内で一万一千四百三十四件発生しています。これ一日にしますと三十一件ということで、多いかなと思われるかもしれませんが、実は昭和四十年代はこの侵入窃盗というのは年平均六万二百三十件、つまり一日平均にしますと百六十五件発生しているものであります。八〇%以上減ってきているという部分があります。これは、平成十五年以来犯罪抑止対策ということで、警察だけでなくて、行政機関、あるいはボランティアの方、すぐれてボランティアの地域の方々の協力のたまものだろうというふうに思っております。
 そうした中で、このひったくりというのは、昭和四十年代に大体八百九十件ぐらい、年平均ですね。それが五十年代には七百五十件ぐらい、それが平成になってからぐっと上がりまして、平成十年から十五年ぐらいで大体年間五千件ぐらい発生しておりました。ピークの平成十一年には七千件ほど発生しておったわけでありますが、これまた犯罪抑止対策ということで、徹底的にこれは防犯と検挙の面で取り締まってきたわけであります。その結果、平成十六年以降減少傾向にあったひったくりでありますけれども、残念ながら昨今の経済情勢等を反映して、昨年の秋ごろから急増してまいりました。その結果、本年の五月と六月にひったくり緊急対策ということで、検挙と防犯の両面で諸対策を強力に推進をしてまいったという次第であります。
 その結果、現在は増加傾向に一定の歯どめをかけることができたというふうに考えておりますが、年末十二月は、やはり昨年も二百二十五件という一年で一番多くひったくりが発生しております。ことしも年末にかけて増加が懸念されるということでありますので、私ども警視庁としては、こういった実態を踏まえて、特別警戒を実施するなど、積極果敢な街頭警察活動を展開し、未然防止と被疑者の検挙に向けた取り組みを強化することといたしております。
 具体的には、ひったくりの約七割、これは犯人側が二輪車を使用しているということでありますので、二輪車に対する検問、取り締まり、あるいは多発地点、多発時間帯に合わせた重点的な警戒活動等々を推進してまいりたいということであります。被害者のほとんどが帰宅途中の女性、あるいは高齢者の方であります。
 したがいまして、二十代から三十代の女性、あるいは高齢者の方を対象にいたしまして、バイクの音がしたらぜひ振り向いてほしいと、振り向いて確認をしてほしい、あるいは歩くときはバッグを建物側に持つ、あるいは自転車の前かごには防犯ネットをつけていただきたいというようなことの三つの用心も含めて、さまざまな対策の普及浸透を図ってまいりたいというふうに考えております。
 このほか、緊急雇用創出事業臨時特例交付金を活用した、ひったくり多発地帯への警備員の派遣を行うということもやってまいりたいというふうに考えております。いずれにせよ、あらゆる検挙、防犯対策を強力に推進をして、年末における都民の皆様の安全と平穏を確保してまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、社会に貢献する人間の育成についてでございます。
 子どもたちが夢や希望を持ち、将来、社会で自立して生きていくためには、お話のように、規範意識や公共心、思いやりの心などを学校、家庭、地域が協力して育成していくことが極めて重要でございます。
 これまで都教育委員会では、中学生による五日間の職場体験の実施や都立高校における教科「奉仕」の授業などを通して、子どもたちが自分のよさや可能性に気づき、社会の一員としての自覚を高める教育を推進してまいりました。
 また、すべての小中学校において、道徳の時間を公開し、教員が保護者や地域住民と意見交換を行う道徳授業地区公開講座の実施を通して、家庭、地域と一体となった心の教育を進めてまいりました。
 今後とも、都教育委員会は、こうした取り組みを一層充実するとともに、平成二十年五月に策定した東京都教育ビジョン(第二次)に基づき、学校教育において社会に貢献できる人間を育成する教育を強力に推進してまいります。
 次に、小一問題や中一ギャップへの対応についてでございます。
 小一問題及び中一ギャップは、小学校及び中学校への入学直後に発生するため、子どもたちがその後充実した学校生活を送ることが困難になりかねません。本年七月に実施をした実態調査で明らかになったこの問題については、都教育委員会として、現実に即した実効性ある対策を講じなければならない重要で深刻な課題であると認識しております。
 都教育委員会としては、この問題を予防、解決するためには、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくることが必要であると考えており、お話の教員の加配について、早急に具体的な検討を進めてまいります。
 加配された教員の活用に際しましては、地域や現場の実態を踏まえ、ご提案の生活集団としての学級の教育効果を考慮した学級規模の縮小やチームティーチングの導入など、学校の実情に合った最適策が選択される仕組みを検討してまいります。
 次に、都立特別支援学校の配置のあり方などについてでございます。
 都教育委員会はこれまで、東京都特別支援教育推進計画第一次、第二次実施計画を通じて、特別支援学校の規模と配置の適正化を推進するとともに、教育諸条件の整備に努めてまいりました。
 障害の重度重複化、多様化や通学負担の軽減などに対応するため、複数の障害教育部門を併置した新しいタイプの学校等の設置、通学区域の見直しや地域バランスに配慮した学校配置をこれまで進めてまいりましたが、さらに、幼児、児童生徒の地域におけるかかわりも重視いたしまして、障害特性や発達段階に応じた特別支援学校の規模と配置の適正化を図る必要がございます。
 また、地域における特別支援教育の充実のため、特別支援学校のセンター的機能の強化などにより、小中学校の特別支援教育に対する都の一層の支援が求められております。
 こうした課題や知的障害のある児童生徒が著しい増加傾向にある状況などを踏まえまして、現在、第三次実施計画の策定に向け、課題ごとに検討組織を設置し、検討を行っているところでございまして、特別支援学校の教育条件の整備や地域における特別支援教育の充実策などについて計画に反映させてまいります。
 次に、特別支援教育を目指す学生の採用についてでございます。
 障害のある幼児、児童生徒の個に応じた指導を充実するためには、資質の高い教員を確保することが重要であり、都の採用試験受験者の一層の増加を図っていく必要があると考えております。
 現在、都教育委員会では、特別支援学校教諭免許状の取得、または取得見込みの大学生を対象に、大学推薦制度を実施しております。さらに、今後、地方においては、特別支援学校の教員を目指しながらも、採用枠が小さいために、地元県では合格とならなかった優秀な人材が多数おりますことから、このような人材が都の採用試験を受験するよう、地方の大学関係者へ積極的に働きかけてまいります。
 最後に、児童生徒の自殺予防のためのスクールカウンセラーの活用についてでございます。
 児童生徒の自殺行為の背景には、うつ病など、深刻な心の病が存在することもあり、気分が沈む、注意が散漫になるなど、うつ病の症状に気づいた場合には、学校は専門家による治療を受けさせることが重要でございます。
 都教育委員会が現在、中学校全校に配置をしておりますスクールカウンセラーは、生徒の不安や悩みへのカウンセリングなどを行える高度に専門的な知識や経験を有する臨床心理士でありまして、定期的な授業での観察や日常的な触れ合いを通して、子どものうつ病などの心の病の症状を早期に発見し、専門機関との連携を図るなど適切に対応してまいりました。
 また、都教育委員会は、子どもの自殺予防に向けて、校内の指導体制の整備を促す指導資料をすべての教員に配布するなど、教職員の啓発を図ってまいりました。
 お話のように、学校の教員がスクールカウンセラーと連携して対応することが重要でありますことから、今後とも、都教育委員会は、この指導資料の活用を一層促進いたしますとともに、区市町村教育委員会と連携して、スクールカウンセラーの専門的視点を生かし、生活指導主任、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー等で構成する学校内の教育相談連絡会を活用して、早期発見し、対応する校内体制を構築するよう支援してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都から見た国における事業仕分けの課題についてでございますけれども、事業仕分けは、個別の事業の必要性などを根本から見直そうという問題意識自体意義あるものでございます。ただ、国で実際に行われている事業仕分けの状況からは、少なからぬ課題も明らかになっているようでございます。
 まず、手法上の問題点としては、例えば仕分けの対象事業の選定基準が明確でないこと、仕分け人の選定基準が明確でないこと、あるいは短時間の議論で真に有効な評価が可能なのかどうか疑問もあることなどの点でございます。
 しかし、これらいわゆる手法としての問題とともに、より本質的な問題点もあるかと思われます。それは、事業を評価する際の大前提として不可欠な、その政策分野について国として何を目指すかという大きな政策判断が必ずしも明らかにされていないようであるということでございます。その結果、仕分け人たちの間で事業を評価する基準自体が共有されないままに個別施策の議論に入ってしまっているという場合もあるのではないかというふうに思われます。
 東京都が石原知事就任以来実行してきました大幅な事務事業の見直しにおいては、その点が異なっておりまして、今回国で行われている事業仕分けのその点で大きな相違があるように思われます。
 例えば、都が実施した福祉改革におきましては、まず、改革の基本方向につきまして、石原知事の方から所得格差の是正や所得保障は国の責任が基本、福祉サービス基盤の質、量の充実こそ東京都の役割であるという明確な政策判断が示され、その評価基準に基づいてそれまで実施してきた個別施策全般についての統一的な総括、検証が行われ、新たな施策構築がなされたものでございます。
 そして、この取り組みの中から、認証保育所や区市町村への包括補助など、先導的な新規施策が生まれてきたのであります。都における事務事業評価制度は、こうした過程で形成されたものでございまして、事業の効果や効率性を、新たな公会計手法などを活用して、時間軸の中で多面的に事後検証を行い、予算編成に活用していこうというものでございます。
 厳しい財政環境に直面する中で、限られた財源をむだなく活用していくための手法として、事務事業評価の取り組みは、従来にも増して重要になっております。来年度予算編成におきましては、新たな公会計手法を評価手法として一層活用するとともに、評価結果の公表も充実し、都民に役立つ施策を構築するための手法として発展させていきますよう、各局と連携して、全力で取り組んでまいります。
 次に、子ども手当、高校授業料の実質無償化、自動車関連諸税の暫定税率の廃止のそれぞれの都への影響額についてでございますが、仮に、幾つかの仮の前提を置いて試算しなければならないわけでございますが、その場合、子ども手当の創設に伴う所要額は平年度ベースで全国でおよそ五兆三千億円程度とされておりますが、都内全体ではおおよそ四千九百億円程度になろうかと試算されます。
 したがいまして、仮に、現行の児童手当と同様の負担率三分の一を都が負担した場合の影響額について試算いたしますと、平年度ベースで都と区市町村の負担額はそれぞれおおよそ千六百億円程度、合わせて三千二百億円程度になる見込みでございます。
 現行の都の児童手当の負担額が百八十二億円であることを踏まえれば、その財政負担の大きさは相当大きいと、比較にならないぐらい大きいといわなければなりません。
 高校授業料の実質無償化につきましては、公立高校、私立高校あわせて、その所要額を全額負担した場合、都の負担額はおおよそ五百億円程度と試算されます。
 また、自動車関連諸税の暫定税率が廃止され、仮に代替財源が措置されない場合には、地方税への影響に加え、地方への国庫補助金等にも影響が及ぶことから、これらを勘案いたしますと、都への影響額はおおよそ七百六十億円程度、都内全体への影響額はおよそ一千五十億円程度となる見込みでございます。
 このような巨額の費用について、地方が負担することは困難な状況でございます。また、仮に地方交付税によって地方自治体に対して財源措置をしたとしても、東京都とすべての特別区、そして都内十六の市町は不交付団体でございますので、全く実質的な財源措置とはならず、極めて深刻な事態に直面することとなります。
 いずれにいたしましても、巨額の費用を要する制度の創設や見直しを国策として実施する場合には、地方に負担を転嫁することなく、あくまで国の責任において確実に財源を確保するべきものと考えております。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 所得税と住民税の扶養控除が廃止された場合の税負担についてお答え申し上げます。
 扶養控除は、十五歳以下及び二十三歳以上六十九歳以下の扶養親族一人当たり、所得税で三十八万円、住民税で三十三万円を所得から控除するものであります。
 ご質問にありました二十三歳以上六十九歳以下の成人を二人扶養している給与所得者の世帯で試算した場合、仮に扶養控除がすべて廃止されますと、所得税と住民税を合わせた年間の負担は、年収三百万円の場合約十万円、年収五百万円の場合約十二万円、年収七百万円の場合約十八万円の増となります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点についてお答えを申し上げます。
 まず、住民税の扶養控除廃止による影響についてでありますが、福祉保健分野では、例えば国民健康保険や介護保険の保険料、認可保育所の保育料などのように、税額や課税の有無に応じて負担額が増減する仕組みを取り入れているもののほか、ひとり親家庭等医療費助成のように、そもそも住民税非課税の場合には負担がなく、課税の場合に負担が生じる事業がございます。このように、住民税の扶養控除が廃止されると、自己負担が生じたり、あるいは負担額がふえるケースが出てまいります。
 次に、介護分野における雇用創出についてでありますが、都は本年三月に開設したTOKYOチャレンジ介護において、離職者及び低所得者を対象に、介護資格取得費用の助成や福祉人材センターによる介護職場への就労支援等を実施してまいりました。
 さらに、国内の失業率が五%台で推移している現在の厳しい雇用情勢にもかかわらず、介護分野での人材確保が困難な状況であることを踏まえ、都は緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用し、離職者等が介護施設などで働きながら介護福祉士やホームヘルパー二級の資格を取得することを支援してまいります。
 今後とも、離職者等に対し、事業の趣旨、内容、利用方法について情報提供や広報に努め、介護分野における雇用の拡大と人材の確保、育成を進めてまいります。
 次いで、在宅介護支援手当についてでありますが、介護保険制度は、従来家族が担っていた高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして創設され、低所得者に対しさまざまな面で配慮がなされております。
 例えば、利用者負担が過重とならないよう世帯当たりの負担上限額を定める高額介護サービス費の仕組みが設定され、また昨年度からは医療費の自己負担額との合算による軽減制度も導入されております。
 都としては、今後とも、在宅介護を担う家族の負担を軽減するため、地域に密着した小規模多機能型居宅介護やショートステイを初めとする在宅介護サービス基盤の整備に着実に取り組んでまいります。
 次いで、小児総合医療センターの開設に合わせた東京型ドクターヘリの運用についてでありますが、これまで東京消防庁、病院経営本部と、新生児の特性に応じた搬送について協議を重ねており、現在、ヘリコプターの振動に耐えられるモニター等、搭載する資器材の選定や、保育器の安全な装着方法など、最終的な詰めを行っております。
 今後、ヘリの離発着訓練や医療スタッフによる実地訓練などを行い、来年三月の病院開設と同時に運用を開始できるよう準備に万全を期してまいります。
 次いで、救急医療機関の耐震化についてでありますが、お話の耐震化緊急整備事業は、これまで対象となっていない建てかえも対象とするなど、支援内容が充実したものとなっておりまして、これをきっかけとして、多くの医療機関で耐震化の検討が行われました。今回、この事業を活用して、新たに救命救急センター及び災害拠点病院の五つの医療機関が耐震化される予定であります。
 次いで、都独自の耐震化に向けた取り組みについてでありますが、都は今年度から救急医療機関に対する耐震化施設整備費の補助率を引き上げるなど、その促進を図っておりますが、さらに、ただいま申し上げたように、多くの医療機関で耐震化に向けた取り組みが検討されておりますので、こうした動きを都としても受けとめ、耐震化をより一層推進するため、救急医療機関に対する新たな支援について検討しております。
 次いで、自殺予防についてでありますが、自殺の大きな要因の一つであるうつ病等の精神疾患につきましては、内科医等のかかりつけ医と精神科医が連携して診療を行うことが重要であります。このため、都は平成十九年度からかかりつけ医等がうつ診療に関する専門的な知見等を得られるよう、うつ診療充実強化研修事業を開始いたしました。平成二十年度までに四地区で実施をし、平成二十一年度は六地区で実施をいたします。
 本事業につきましては、うつ病診療におけるかかりつけ医の役割の重要性にかんがみ、実施地区のさらなる拡大を検討してまいります。
 次いで、最後になりますが、うつ病専門の看護師、デプレッションナースについてでありますが、うつ病等の精神疾患の病状の悪化を防ぎ、自殺を予防するためには、カウンセリングや服薬管理等を適切に行うことが重要であります。
 このため、現在、こころといのちの相談・支援東京ネットワークの中で、専門医やかかりつけ医、地域の保健、医療、福祉機関との連携によりまして、うつ病患者等に対する支援に取り組んでおります。
 うつ病専門のデプレッションナースについては、我が国の保健医療体制における位置づけなどの課題について検討する必要があると考えてございます。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、基金事業による雇用の創出についてであります。
 都は本年度、緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別基金事業におきまして、合わせて約二百五十の事業を実施し、約四千人の新規雇用を見込んでいたところでございます。
 さらに、雇用情勢が依然として厳しく、一層の取り組みが求められる状況にありますことから、本定例会に提案しております補正予算により、緊急雇用創出事業の基金の拡充を行うとともに、三百を超える事業を追加し、約六千人の新規雇用の創出を図ることといたしました。これによりまして、年度内に合計で約一万人の雇用創出に取り組みます。
 これらの雇用創出事業では、学校におけるICT教育の推進、介護人材の育成などの事業に加えまして、公園の整備、河川の清掃、間伐による森林の保全など、多様な事業を実施いたします。
 今後とも、ご指摘を踏まえ、各局連携のもと、創意工夫により雇用創出効果の高い事業を展開し、切れ目のない雇用の創出に積極的に取り組んでまいります。
 次に、失業者に対する支援の態勢等についてであります。
 緊急雇用創出事業は、仕事を失った方々に臨時的なつなぎの雇用を提供するものであり、わかりやすく的確に情報を伝えることが重要であります。このため、この事業による求人については、ハローワークやしごとセンターを通じて広く公募しているほか、事業の一覧を東京都のホームページに掲載しております。
 今後、ホームページに掲載する情報の充実を図るほか、しごとセンターに求人情報を提供するコーナーを設けるなど、緊急雇用の求人を失業者の方々から見てわかりやすい形で提供してまいります。
 さらに、正規雇用など、次の仕事へつなげる取り組みも重要でありますことから、都の就業支援策をまとめたパンフレットを緊急雇用の事業に従事する方々に配布して、しごとセンターの利用を促すなど、きめ細かい支援を行ってまいります。
 次に、新規学卒者向け合同就職面接会の充実についてでありますが、大学生の就職内定率が十月時点で前年同期を七・四ポイント下回る六二・五%にとどまるなど、新規学卒者の就職環境は極めて厳しい状況にございます。
 来春卒業予定の大学生、高校生等の就職支援につきましては、都と国が連携し、就職面接会やセミナーの実施など、支援態勢の強化を図るとともに、都内経済団体に新卒者採用の要請等を行ってまいりました。
 また、本年度の新規事業として、都が十一月に開催いたしました新規大卒者などを対象とする合同就職面接会には、内定を得られずに就職活動を続けていらっしゃる多くの学生の方々が来場されました。
 さらに、来年二月十六日には合同就職面接会を再度開催し、未内定の学生に企業との面接の機会を提供いたします。この第二回目の開催に当たりましては、求人動向が厳しい中にありましても、参加企業及び求人数を確保するとともに、新たに個々の学生の状況に応じて就職活動のアドバイスや相談窓口の情報提供を行うなど、きめ細かく対応してまいります。こうした取り組みによりまして、一人でも多くの学生を就職に結びつけてまいります。
 次に、三十歳代の方々への職業訓練についてであります。
 現下の厳しい雇用情勢のもと、三十歳代を初めとした多くの求職者の方々を就職に結びつけていくためには、職業訓練を積極的に活用する必要がございます。現在、都では機械、電気系やIT、介護など、多種多様な職業訓練を実施しておりまして、三十歳代の方々が数多く受講していらっしゃいます。
 また、ネクストジョブ事業の対象者など、就職氷河期を経験し、非正規雇用で働く方々に対しては、しごとセンターと連携した訓練を実施いたしまして、正社員への就業を支援しております。
 さらに、今後は環境関連など、今後の成長が期待でき、雇用の拡大が見込まれる産業を視野に入れまして、新たな分野での職業訓練の展開などにより、求職者を安定的な就業につなげてまいります。
 次に、中小企業への海外販路開拓の支援についてでございます。
 経済のグローバル化が進む中で、中小企業が活路を切り開いていくため、海外に新たな販路を開拓することは重要と認識しております。
 都はこれまでも、海外展開に必要な知識やノウハウを提供するセミナーを開催するとともに、海外展開推進員を配置し、直接現地で交渉に立ち会うなど、これまでベトナムを中心に中小企業のサポートに努めてまいりました。こうした販路開拓支援により、視覚障害者用点字プリンターの販売など、着実に実績を上げているところでございます。また、海外見本市への出展を支援し、代理店契約や商談成立などの実績も上がっております。
 今年度からは、これに加えまして、現地の投資環境や市場に関する情報をタイムリーに収集できる体制を構築するとともに、さらに英語版のウエブサイト作成支援を開始するなど、一層の施策の充実を図っているところでございます。
 今後は、これまでに得たノウハウを生かしつつ、東アジアや東南アジア等の全域を視野に入れまして、機械や金属など、製品分野ごとに商社OBの専門家を活用するなど、現地でも支援する新たな仕組みを検討し、海外に販路を求める中小企業を支援してまいります。
 最後に、新商品の開発を促す取り組みについてでございますが、都では本年度、新規性の高い中小企業の新製品を認定し、その一部を試験的に購入して使用、評価を行う東京トライアル発注認定制度を創設いたしました。事業者の方々からは二百を超える応募がありまして、このうち日常で用いる生活雑貨から最先端の計測機器まで幅広い分野に及ぶ六十四の製品を認定いたしました。
 これらの認定製品について、製品内容を詳しく紹介するカタログやホームページを作成するとともに、認定書の交付式や認定製品の展示会を行うなど、さまざまな場面を通じてのPRに取り組んでおり、各種メディアに取り上げられるなど、大きな反響がございました。
 また、認定製品の一部を都が試験的に購入し、使用、評価する取り組みについて、都に加えて東京都監理団体等の一部にもその参加を可能とするなど、制度の拡充を進めております。
 都は、このような取り組みによりまして本制度がより広く活用され、すぐれた技術を持つ中小・ベンチャー企業による新製品、新技術の開発の促進につながるよう、一層支援を強化してまいります。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、国の新たな港湾強化策への政策提言についてでございます。
 近年、日本へ寄港する国際基幹航路数が減少し続けるなど、これまでの国の港湾政策は、国際競争力強化という重要課題に対し成果を上げているとはいえない状況にありました。我が国の港湾が世界の海運界における熾烈な競争の中で存在を発揮していくためには、従来の国内に六十を超えるコンテナふ頭を整備する分散投資や施設整備中心の施策体系などを改め、京浜港などの主要港へ貨物を集中させるような大胆な政策転換を図ることが必要でございます。
 このため都は、国の新たな政策が国内海上輸送の活性化や鉄道によるコンテナ輸送の促進、広域幹線道路の整備によるトラック輸送の効率化など、国内貨物集荷に資する総合的な物流政策となるよう、横浜市、川崎市と連携し、京浜港として国に対して積極的に提言をしてまいります。
 次に、京浜三港の連携強化についてでございます。
 京浜三港は、昨年三月の基本合意以降、まず貨物集荷に向け、内航コンテナ船の入港料の減免や共同ポートセールスなどの取り組みを実施してまいりました。本定例会には、地方自治法に定める協議会の設置について提案をしておりますが、この協議会の場において実質的な一港化に向けた議論を深めてまいります。
 今後、年度内に、さらなる貨物集荷や港湾機能向上のための施策の方向性を示す京浜港共同ビジョンを策定いたします。これをもとに、各港の港湾計画の基本となる京浜港の総合的な計画を平成二十三年度を目途に作成するなど、京浜三港の連携を一層強化し、東京湾の国際競争力を向上させてまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 小児総合医療センターに係る三点のご質問にお答えいたします。
 まず、小児総合医療センターにおけるアレルギー科の開設についてでありますが、近年、アレルギー性疾患の症状を有する患者は増加してきており、小児医療においても、その診療の重要性はますます高まっております。
 このため、小児総合医療センターでは、アレルギー医療を専門医療として重点的に行うこととし、体の専門診療部にアレルギー科を開設いたします。
 これに伴い、アレルギー科における診療の中心を担う小児アレルギーの専門医を新たに確保し、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患について、高度な医療を提供してまいります。
 次に、八王子及び北多摩北部地域の中核病院と小児総合医療センターの連携についてでありますが、医療人材など、限られた医療資源を最大限に活用して、多摩地域全体の小児医療水準を向上させるためには、医療機関相互の連携と地域的なネットワークを構築することが重要であります。
 このため、両地域の中核病院と小児総合医療センターとの間で人材確保、育成など、多様な連携策を構築してまいります。
 具体的には、八王子地域の二つの大学病院に対して若手医師を派遣し、人材の確保と医療連携の強化を図っていくとともに、多摩北部医療センターと小児総合医療センターとの間で情報システムを活用した診断支援などの取り組みを実施してまいります。
 最後に、小児病院移転に伴う地域の小児医療に対する都の支援策についてでありますが、小児病院の移転を控えた中にあって、新型インフルエンザ対応など、地域の方々が安心できる体制を確保していくことは非常に重要であり、都はこの間、患者動向等を注視しながら支援策の検討を行ってまいりました。
 その結果、特に小児救急患者が多い時間帯への対応として、今月から八王子市が実施している夜間救急診療所の日曜、祝日の準夜帯に八王子小児病院の医師を新たに派遣することといたしました。また、多摩北部医療センターにおいても、土曜準夜帯及び日曜、祝日の日勤、準夜帯の当直体制を強化するために、清瀬小児病院から必要な医師の派遣を新たに開始いたしました。
 今後とも、小児病院が転出する地域の住民に安心していただけるよう、都として全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、八ッ場ダムの必要性についてでございますが、八ッ場ダムは、利根川上流の全流域面積の約四分の一を占める吾妻川流域において、初めて計画された多目的ダムでございます。
 まず、治水の面から見ますと、その洪水調節容量は利根川上流のダムの中で最大でありまして、既設六ダム全体の約六割にも相当いたします。八ッ場ダムが完成すれば、上流部の三つの流域すべてにおいて洪水調節機能を持つダムが整備されることとなり、他の既設ダムと相まって、利根川上流部のさまざまな降雨パターンへの対応が可能となります。
 国の試算では、過去に洪水をもたらした三十一の降雨パターンのうち二十九について八ッ場ダムの洪水調節効果があるとしております。また、平成十八年に公表された中央防災会議の資料によれば、今、昭和二十二年のカスリーン台風と同規模の洪水が起こり、当時と同一の場所で堤防が決壊した場合、被災人口は約二百三十万人に及ぶと想定されております。八ッ場ダムが完成すれば、利根川水系全体の洪水被害を軽減することができるのであります。
 一方、利水の面から見た場合、利根川流域では平均して三年に一回は渇水が発生して、取水制限を行っている実態がございます。平成六年や八年の渇水では、工場の生産ラインの縮小、プールの使用時間の短縮を余儀なくされるなど、社会的な影響も発生いたしました。八ッ場ダムは、こうした渇水発生のリスクの軽減にも大きな効果を発揮いたします。
 国が公表した資料によれば、平成八年を例にとると、年間百十七日の取水制限が実際に行われましたが、仮に八ッ場ダムがこのとき完成していれば、取水制限日数は百日少ない十七日に減少させることができたのであります。
 八ッ場ダムは、東京はもとより、利根川流域の五県にとりまして、治水、利水の両面において必要不可欠な施設でございまして、早期に完成させる必要がございます。このような八ッ場ダムの必要性について、今後さらに都民への説明に努めてまいります。
 次に、いわゆる緑のダムについてでございますが、平成十二年に日本学術会議は農林水産大臣から森林の機能について諮問を受けましたが、その答申において、森林の多面的な機能を評価する一方で、洪水緩和機能については限界があることを指摘しております。
 すなわち、答申の中で、治水上問題となる大雨のときには、洪水のピークを迎える以前に流域は流出に関して飽和状態となり、降った雨はほとんど河川に流出する状況になる、森林は大洪水においては顕著な効果は期待できないと述べております。
 都は、住民訴訟におきまして、この見解を踏まえた主張を行っております。なお、国土交通大臣も、本年十一月六日の参議院予算委員会において、集中豪雨の際に森林の保水能力は余りないと答弁されております。
 最後に、堤防強化による治水対策についてでございますが、利根川のような大規模な河川では、上流域でダムなどの洪水調節施設を整備することにより、洪水時における下流の水位を安全に低下させて、堤防決壊等による被害を軽減させることが重要でございます。特に、近年の気候変動に伴い頻発する豪雨は、流域のいずれの地点でも発生する可能性があり、流域全体での対策が必要不可欠となっております。
 利根川の堤防は、長年にわたって土砂のかさ上げを繰り返して盛ったものが多く、弱点が実際どこにあるかの把握が困難でございます。その抜本対策として、国では、決壊しないスーパー堤防の構築を進めておりますが、埼玉県内の例では、平成元年度から着手し、約七・二キロメートルの整備に約一千三百四十億円を要しております。左右両岸で約四百八十キロメートルの延長を持つ利根川の堤防全体を決壊しないように強化するためには、莫大な時間とコストがかかることになります。
 なお、国会において本年十一月十六日に提出された八ッ場ダムに関する質問主意書において、平成二十七年度までに八ッ場ダムの本体工事費に相当する支出の範囲内で、ダムと同等またはそれ以上の堤防強化の具体的プランはあるかとの質問が出されましたが、これに対して政府は、そのようなプランはないと回答しております。
   〔消防総監新井雄治君登壇〕

○消防総監(新井雄治君) 高円寺の火災を踏まえた対応についてでありますが、東京消防庁では、本火災により四名ものとうとい人命が失われたことを重く受けとめております。
 このため、特別査察推進本部を設置し、飲食店が存する二千の雑居ビルに対しまして、緊急に立入検査を実施し、火気設備の適正な維持管理や避難障害となる物件の除去などの徹底を図っております。
 あわせまして、飲食店関連業界十四団体に対し、防火安全対策の徹底を指導いたしました。また、本火災の出火原因や延焼経路などについて調査を実施しているところであり、今後、天井装飾用の布を含めた店内装飾が延焼拡大に及ぼす影響や火気設備、防火管理の状況などを精査いたしまして、防火安全対策を総合的に検討することとしております。
 当庁では、この検討結果を踏まえまして、都民の安心・安全の確保に向け、飲食店などにおける火災の防止に取り組むとともに、年末年始の火災安全対策を東京消防庁職員及び消防団員が一丸となって推進してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 東京国体に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京国体におけます環境対策についてでございますが、東京国体におきましては、環境への配慮を重要な柱と位置づけ、人と環境に優しい国体を目指してまいります。運営に当たっての廃棄物の発生抑制やリサイクルの推進、環境配慮型のシャトルバス等の利用など、さまざまな環境対策に取り組むとともに、国体開催が環境問題を考えるきっかけとなるような取り組みを検討し、その内容を東京国体環境指針として、今年度中に取りまとめる予定でございます。
 この中では、大会開催に伴う環境負荷の、いわゆる見える化を図ることで、温室効果ガスの排出及び削減実績を明らかにしていくなどの先駆的な取り組みも検討し、環境先進都市にふさわしい大会を実現いたします。
 次に、国体による東京の魅力のアピールについてでございますが、多摩・島しょを中心に開催する東京国体は、地域社会の活性化を促し、さらには東京の多様な魅力を発信する絶好の機会でもございます。開催時には、全国から多くの関係者や応援団が東京を訪れるため、区市町村などと連携して地域の観光資源をアピールし、東京ならではのおもてなしを工夫して、訪れる方々をお迎えいたしたいと思っております。
 さらに、国体における郷土文化の普及事業として展開する文化プログラムを活用するなど、単なるスポーツイベントにとどまらない祭典として開催いたします。

副議長(鈴木貫太郎君) 八十一番たぞえ民夫君。
   〔八十一番たぞえ民夫君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十一番(たぞえ民夫君) 日本共産党を代表して質問します。
 質問に先立って、一言申し上げます。
 故川島忠一元議長のご逝去に対し、心から哀悼の意を表明いたします。
 まず、都立三小児病院の存続についてです。
 多くの都民が、子どもたちの命を守るために、地域の医療体制を壊さないでほしいと願っています。きょうも、存続を求める都民が都庁前で座り込み、二千人もの人々が集まりました。都立三小児病院の存続を求める署名は、約六十一万筆に上っています。都内五千人の医師で構成する東京保険医協会も、改めて都立三小児病院の廃止撤回を求める声明を出しました。この問題は、小児医療と地域医療をめぐる最大の争点になっているのです。
 初めに、清瀬小児病院についてです。
 都が清瀬小児病院のかわりにこの周辺地域の小児医療を補うといっている多摩北部医療センターは、今でも一日平均外来は二十三人、入院四人、救急患者は年間四千二百五人受け入れています。しかし、清瀬小児病院は、一般医療だけで外来患者は平均七十二人と北部センターの約三倍、入院は三十六人と九倍もの患者を受け入れているのです。救急患者についても、この地域の約七割、年間一万二千人も受け入れており、多摩北部医療センターの三倍に達しているのです。十床ふやすといいますが、これでどうして清瀬の患者も受け入れられるというのでしょうか。
 だれが考えても、多摩北部医療センターでは、日常的にも救急医療でも、清瀬小児病院を代替することなど到底できません。それをあたかも代替できるかのようにいうことは、都民を欺くものではありませんか。
 民主党が廃止を認めた理由として、同センターに救急をもう一系列ふやすということも同様です。たとえふやせたとしてもせいぜい四千人程度であり、とても清瀬の一万二千人を受け入れることはできません。しかも、それですら必要な医師の増員は計画されておらず、絵にかいたもちになりかねません。それぞれ答えてください。
 府中につくる小児総合医療センターに行けばよいということでは、都民は納得しません。私は三年前、孫をインフルエンザが原因でわずか一歳八カ月で亡くしました。近くの病院では対応できず、間に合わなかったのです。こんなつらい経験は、もう終わりにしてください。子どもの命を守るために、身近なところですぐに診てもらえる救急医療体制が何よりも重要ではありませんか。知事、答えてください。
 八王子小児病院の場合、患者数は一日平均七十九人、入院は六十六人、九十床のベッドを持ち、年間六千人以上の小児救急患者を受け入れています。代替とされている市内の二つの大学病院の病床数は、合わせても四十六床。八王子小児の半分です。しかも、小児の休日・全夜間救急診療はこの二つの病院が一日ずつ交代で担当しており、今でも大変混雑しています。都は、この二つの大学病院で十二床ふやすといっていますが、わずか十二床で八王子小児病院の穴埋めができると本当に思っているのですか。
 民間病院が外来、救急、入院機能を持つ小児科を開設するという、都が新たに持ち出したいいわけも、最大限努力をしていくというものにすぎません。具体的な病院がどこなのか、いつ開設できるのか、どの程度の規模なのか、明らかにするべきではありませんか。お答えください。
 清瀬、八王子のNICU十五床をなくすことも重大です。こんなことをやれば、北多摩北部地域と八王子地域はNICUがゼロになってしまいます。
 先月末の「朝まで生テレビ」に出演した猪瀬副知事は、政府の事業仕分けでNICUを増床する予算を削減したことを激しく批判しました。事業仕分けの対象とすること自体おかしいとまでいったのです。私は、この言葉をそのまま知事にぶつけたい。NICUを大幅にふやさなければいけないときに、せっかく都が保有しているNICUをなぜなくすのか。おかしいじゃありませんか。知事自身、NICUをさらにふやすことは急務だといっていたではありませんか。NICUの空白地域をつくることは、絶対にあってはならないのです。知事の答弁を求めます。
 大体、多摩地域全体はNICUの病床が大幅に不足しているんです。府中につくるから差し引き九床ふえるといいますが、だとしても国のNICUの新しい整備基準からいっても、四十二床から六十床も足りないんです。しかも、多摩地域でNICUがふえないのは周産期医療に対応する医療機関が少ないからだと都自身も認めています。にもかかわらず、二つの小児病院をなくしてしまって、NICUをどうやってふやすんですか。
 NICUや小児救急のような不採算医療こそ都が責任を負うべきです。都が二次医療圏ごとに目標を持ち、整備することが必要です。それぞれ答弁を求めます。
 続いて、梅ケ丘病院です。
 梅ケ丘病院は、日本にわずか二カ所しかない小児精神科専門病院の一つです。半世紀以上、精神障害児及び家族の安心のとりでとなってきたものであり、都民の宝、日本の財産です。廃止は日本の小児精神科医療の重大な後退を招くものであり、断じて認められません。
 最大の問題は、自閉症や統合失調症などを対象とする子どもの精神科医療にとって、施設、建物が独立していること、落ちついた療養環境をつくることが何よりも大事であるにもかかわらず、それが根本から壊されるんです。
 梅ケ丘病院の元院長は、小児精神科医療をほかの診療科と同じ建物に入れることについて、それではうまくいかなくなる。梅ケ丘の子どもたちはとても動きが激しいのが特徴です。その子どもたちと、高度な手術が必要でベッドに寝ている子どもを一緒にできますか。小児精神科医療には独立した施設が要るんですと話しています。
 だからこそ、三小児病院の移転統合を提言した都立病院改革会議報告書でさえ、小児精神科については、一般の小児科とは独立した建物にすべきとせざるを得なかったのです。ところが、この最低限の条件さえ守られていません。
 小児総合医療センターは巨大な病院で、大勢の人たちが出入りする上、外来の入り口も会計窓口も一般の小児科などと同じです。年間一万台の救急車が出入りし、ドクターヘリまで飛んできます。これでどうしてよりよい治療を提供できるというのでしょうか。
 廃止する根拠として都が持ち出してきたのが小児総合医療センターへの移転統合であり、心と体の総合診療ができるようになるという話です。しかし、梅ケ丘病院の患者の多くは、体は元気で、心と体の総合診療が特段必要でないことが厚生委員会で明らかになりました。
 その上、都は、心と体の総合診療は、心身症や虐待などを対象としたものだといいます。ということは、それが必要な患者だけ小児総合医療センターで治療を受ければよいのであって、梅ケ丘病院を廃止して丸ごと移転統合する必要はないのではありませんか。答弁を求めます。
 都は、医療人材不足だから、三小児病院を存続させながら小児総合医療センターを開設できない、ないものねだりだなどといっていますが、そんなことはありません。小児総合医療センターは、三小児病院の現在の人員と比較して医師は五割、看護師は二割程度の増員をするというものです。だとすれば、現在の府中病院小児科の体制を含めれば、仮に三小児病院をそのままの規模で維持したとしても、小児総合医療センターでは医師五十人、看護師百人程度が確保できるはずです。
 小児総合医療センターは段階的に開設していけばよいし、三小児病院との役割分担は、都民と専門家による公開の場で検討すればよいのです。これが現実的で、かつ都民の願いにこたえるものと考えますが、それぞれ答弁を求めます。
 子どもの命を粗末にする政治、政党に未来はありません。都議選で都立小児病院存続と都民に約束した会派、議員が、その約束を責任を持って果たそうではありませんか。力を合わせればそれができる議会になっているんです。そのことを心から呼びかけるものであります。
 次に、緊急の課題になっている雇用と暮らしを守る問題です。
 長引く不況の上に円高で、景気の二番底といわれているもとで、雇用をめぐる状況はますます深刻です。全国労働組合総連合が行った労働相談ホットラインには千件近い相談が寄せられました。派遣切りの嵐が吹き荒れた昨年よりも多く、その内容は、派遣社員、派遣期間が残っているのに突然解雇された、減産、縮小を理由に解雇され、寮を追い出され、夜は車とネットカフェで過ごしているなど、雇用破壊と労働条件切り下げなどの悲惨な実態が浮かび上がりました。
 知事は、就職を探しても、それ嫌だ、あれも嫌だ、生活保護をもらった方が楽だという価値観、多分に甘えているなどといいましたが、とんでもない暴言です。職も住まいも失った失業者の深刻な事態をどう認識しているんですか。知事、暴言を撤回すべきです。
 私は、都として、この人たちのために総合相談窓口を開設し、国、区市町村、ハローワークと一体で問題解決に当たることこそ必要だと考えますが、どうですか。また、都として貸し付けでない生活資金の支援を行うことを求めるものです。
 まず、住まいの保障です。
 東京の主要な駅頭が毎晩派遣村のようになっており、状況は昨年以上に深刻です。こうした人たちの住まいがないことが、雇用確保の上でも、生活保護でも障害となっています。住宅喪失者に都営住宅、公社一般住宅などの公共住宅の一時利用を認めるべきです。国に対しても、例えば、国立オリンピック記念青少年総合センターを初め公的施設の開放を求めるなど、年末年始の宿泊施設の確保に全力を挙げることが必要です。それぞれお答えください。
 次に、生活の保障の問題です。
 所持金がほとんど尽きるところまで追い詰められた失業者がたくさんおり、行政が生活を保障することも求められています。どう考え、対応しようとしているんですか。
 とりわけ、生活保護がなかなか受けられないことも重大です。区や市が住まいを失った人の生活保護申請を渋る理由の一つは、都が責任を持つ期間が宿泊所利用の場合を除いて三カ月にすぎず、あとは区市の負担となるためです。都が期間を延長するとともに、国の財政措置をふやすよう求めることが重要ですが、お答えください。
 次に、雇用の保障です。
 都と国は、この間、緊急雇用創出事業などを実施しています。我が党は、区市に委託した三十万人雇用を目標とした事業を調査しました。五人以上の新規雇用を見込んでいる九十四事業のうち、雇用の延べ人数を把握しているのは五十事業、十一万人で、目標の三七%にすぎなかったのです。
 これで雇用目標が達成できるのですか。現状がどうなっているのか、何が問題なのかはっきりさせ、三十万人雇用を確保するために力を尽くすべきですが、どうですか。
 都が直接行う事業も調査しましたが、ようやく最近具体化されたものも少なくありません。ある局は、何人というような数字を示す立場にないというなど、全体として、都が掲げた雇用目標をやり遂げる立場が極めて不十分です。雇用目標をどうやり遂げるのか、所見を伺いたい。
 多くの求職者の願いは、いつ首を切られるかわからない派遣や、短期で終了してしまう契約社員などの非正規雇用でなく、安定した正規の雇用です。ところが、公的雇用創出事業は最大で六カ月雇用にすぎず、中には十日間という雇用期間もあります。これではうまくいくはずがありません。
 緊急雇用では、雇用期間の基本を少なくとも一年に延長することや、最低賃金を時給千円に改善することも求められています。さらに、業者委託一本やりではなく、都が直接雇用すること、各局がばらばらに雇うのではなく、統一的に対応するセンターをつくるなどの仕組みにするべきです。
 東京の雇用と経済を支える中小企業、とりわけ製造業への支援も欠かせません。中小企業の廃業や倒産を防ぐために、例えば休業補償制度の創設や貸し工場の家賃、光熱費の助成など緊急対策の実施を求めるものです。
 また、制度融資の拡充についても、国の補正予算の具体化を急ぐよう求めること、都としても、信用保証協会による保証渋りをなくすよう取り組みを強化することが急がれます。それぞれお答えください。
 さて、都民の暮らしや福祉の充実、雇用確保などを最優先に都政運営を行うべきときに、知事が二〇二〇年オリンピックに再立候補することを表明したことに、都民の批判が大きく広がっています。この問題で都に寄せられた都民の声百五十四件のうち、再立候補反対が実に百四十四件であるのに対して、賛成は三件にすぎません。
 先日、日本共産党都議団も、再立候補の賛否を問う街頭シール投票を新宿駅西口で行いました。二時間で二千五百十三人が次々にシール投票に参加し、結果は、再立候補に反対が六二%と、賛成の三七%を大きく上回ったのです。知事、こうした都民の声をどう受けとめますか。
 知事の再立候補の理由の一つは、かつての東京オリンピック招致の取り組みや招致活動のノウハウを知らなかったなどというものです。知事はそんなことも知らないで二〇一六年オリンピック招致活動を行い、都民の税金を百五十億円もつぎ込んでいたのですか。しかも、知事は、百五十億円くらい痛くもかゆくもない、いい経験をしたなどといい放ちました。余りにも無責任ではありませんか。お答えください。
 IOC委員視察訪問受け入れでは、何と事前と本番合わせて十億円近い税金が使われました。わずか一日の競技施設視察に六千百万円、歓迎夕食会の事前練習だとして一千百万円かけるというぐあいです。知事、このような税金の使い方に対し、都民の疑問と批判の声が高まるのは当然ではありませんか。
 知事が今やるべきことは、再立候補ではなく、何よりもこのような招致活動について謙虚に反省するとともに、全体で二百億円以上つぎ込んだお金の使い方の全容を都民に明らかにすることではありませんか。お答えください。
 知事の再立候補のもう一つの理由は、オリンピックなどの国際大会を我が国で開催することを望む国民の割合が八九・四%に上り、過去最高になったということです。
 しかし、これは内閣府がほぼ三年おきに行っている体力・スポーツに関する一般的調査であり、設問の国際大会の開催への共感は、九一年以来どの時期でも八割を超えています。これをもって、知事が進める東京オリンピックを望む声が高くなったかのようにいい張るのは、これまた都民を欺くものです。知事、違いますか。
 招致機運の盛り上げを主な目的に行ったオリンピックムーブメントやスポーツムーブメントに招致関係費用の七割以上をつぎ込んだのに、IOCの調査では、国民の五六%の支持しか受けられなかった、これが事実です。
 巨額の税金を使ったムーブメントの中でも、二〇〇八年に開催された女子レスリング世界選手権大会に対し、都が共催者となって一億五千万円もの税金を投入したことは見過ごすことができません。
 前年の二〇〇七年四月にIOCのロゲ会長は、招致都市で世界選手権大会など主要な国際大会を開催することを禁止する方針を発表したのです。このため招致本部も、新たな国際競技大会の招致を控えることになったと議会で答弁し、世界大会招致のための予算執行を中止しました。
 ところが、実は都は、大会への支援を生活文化スポーツ局の事業にかえることで進めたのです。知事、幾ら担当する局をかえても、立候補都市が国際大会を共催することはIOCの方針に反するのではありませんか。
 都が、スポーツムーブメントであってオリンピック招致を目的としたものではないといい張っていることもごまかしです。知事、あなたの大会あいさつでも、招致活動へのご理解とご支援をいただきますようお願い申し上げますと述べているではありませんか。大会報告で日本レスリング協会の会長も、オリンピック東京二〇一六の招致活動の一環でありましたと述べているんです。知事、このようなやり方こそオリンピックのフェア精神にもとるものです。違いますか。
 都は、ロゲ会長の方針の前に国内競技団体から国際競技団体に申請していたから当てはまらないといいますが、一億五千万円も大会経費として支払うことを都が決めたのは、ロゲ会長方針後の二〇〇八年六月です。
 大体、一つの国際大会に自治体が一億五千万円もの財政支出をすることは余りにも異常です。オリンピック招致のために、なりふり構わず税金を使ったとしかいいようがありません。お答えください。
 今知事に求められているのは、オリンピック招致を名目に積み立ててきた四千億円を、一メートル一億円という外環道など巨大開発につぎ込むのではなく、都民の暮らしや福祉に回すことです。
 例えば特別養護老人ホーム一万人分の増設は四千億円の基金の一三%でできます。待機児解消のために認可保育所一万五千人分も一三%、都営住宅七千戸分で二二%、それぞれ取り崩せば集中的に整備することができます。その上、これらの整備で合わせて約百万人分の雇用を創出することができるのです。いかがですか。
 最後に、少人数学級について伺います。
 都教育委員会は、都内すべての公立小学校の校長と教員二千六百人を対象に、一年生の学校生活への適応状況、いわゆる小一プロブレムについての調査を行い、十一月に発表しました。
 その結果、児童が教室で立ち歩いたり、勝手に出ていくなど授業が進まない状態が二三・九%、四校に一校で起きていたことが明らかになりました。そして、予防策として、一学級の人数の縮小が効果的だと回答した教員が八割、校長も六、七割に上りました。調査結果について、教育委員会で、ある委員から、学級規模が大きい方が不適応状況が多く発生しているという趣旨の発言がありました。
 この調査結果は、学校現場において少人数学級が求められていることを示しています。小学校一年生からでも直ちに三十人学級など少人数学級に踏み出すべきではありませんか。答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) たぞえ民夫議員の代表質問にお答えいたします。
 小児救急医療体制についてでありますが、国の医療政策の失敗が招いた深刻な医師不足等により、小児医療体制の確保は全国的に厳しい状況にあります。
 こうした中にあって、小児総合医療センターの開設は、限られた医療人材を最大限に活用して、多摩地域における小児・周産期医療の一層の充実を実現するものでありまして、今日の小児医療の現実を踏まえた最善の方策であると思っております。
 これにより、地域の人々が待ち望んでいた母体搬送の受け入れや、高度救急医療の提供が実現できるなど、多摩地域の小児・周産期医療は格段に向上いたします。また、小児病院が転出する地域についても、救急医療を初めとした医療体制の整備を着実に行っております。来年三月の新センター開設に向けて、これまでの方針どおり進めてまいります。
 次いで、八都県市首脳会議における発言についてでありますが、この会議では、国の緊急雇用対策が話題となりました。
 失業した場合、雇用保険の給付を受けることになりますが、さらに、食や住まいに困窮した場合の最後のセーフティーネットとして生活保護があります。この生活保護にあっても、これを安易に受け入れずに、少しつらい仕事でも就労して自立できる方には自立していただくことが基本理念でありまして、私の発言はこのことを申し上げたにすぎません。発言を撤回するつもりはございません。
 次いで、オリンピック招致に関する都民の意向についてでありますが、共産党の調査がどのように行われたか、その結果の数字についてコメントするつもりはございませんが、あなたさっきおっしゃった病院の問題でやった集会というのは、さっき都庁の前でやっていたやつですか。あれが二千人ですか。私、部屋から眺めたが百人もいなかったね。
 いずれせよ、再挑戦については、先ほど述べたように、都民、国民の意向を十分にそんたくし、都議会の皆さんとの議論を踏まえた上で、東京として結論を出していくべきものとの認識はいささかも変わっておりません。今後、都議会においても、民意を踏まえて大いに議論を深めていただきたいと思います。
 オリンピック招致に関する発言についてでありますが、開催都市決定のメカニズムは非常に複雑きわまりないものでありまして、招致を獲得するための戦略、戦術を練る上でもっと情報がわかっていれば、できたことがたくさんあったと考えております。
 痛くもかゆくもないという発言は、都議会の協力を得ながら都財政の再建を果たし、都としてやるべき施策を講じた上で招致活動を進めており、他の都民サービスに影響はないとの趣旨で申し上げたものであります。
 次いで、招致活動経費についてでありますが、今回の招致活動で得た貴重な経験や成果を後々に生かせるよう、現在、活動報告書をまとめさせているところでありまして、都民や議会にも公表してまいります。その報告書の中で、百五十億円の使途についても明らかにしてまいります。
 次いで、国民の支持についてでありますが、本年二月にIOCが行った世論調査では、全国で五五%の支持率でありましたが、その後、四月に招致委員会が行った調査では、全国で八〇・九%の支持を得るに至りました。
 また、約三年ごとに内閣府が行っている体力・スポーツに関する世論調査でも、オリンピックなど国際スポーツ大会を望んでいる国民は毎回八〇%を超え、国民は潜在的にスポーツの国際大会の開催を望んでいたことが明白であります。
 特に、今回の九月下旬の調査においては、前回調査を四ポイントも上回り、過去最高の八九・四%となっております。内閣府のコメントでも、これはオリンピック招致の影響であるとしております。
 このように、オリンピック・パラリンピック招致に関する国民の支持は高い水準になっておりまして、こうしたことを踏まえて、オリンピックを望む声が高くなったといったものでありまして、まやかしでも何でもございません。
 他の質問については、教育長、関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 三十人学級など少人数学級についてお答え申し上げます。
 生活集団としての教育効果を考えた場合、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定規模が必要であると考えておりまして、この考えは変わりません。
 都教育委員会といたしましては、小一問題や中一ギャップを予防、解決するための対応策として、先ほど服部議員、東村議員にお答えしたとおり、教員が子どもと向き合う環境をつくるための教員の加配と、その活用について検討してまいりますが、少人数学級の実施そのものを目的とするものではございません。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 小児病院に関する六点の質問にお答えいたします。
 まず、清瀬小児病院の代替としての多摩北部医療センターの体制についてでありますが、多摩北部医療センターは、清瀬小児病院の大半の機能である三次医療が小児総合医療センターに引き継がれた後の、地域に必要とされる二次医療を担う拠点として整備を進めてきております。
 お話のあった数字は平成二十年度の実績でありまして、多摩北部医療センターでは、その後、今年度において小児病床の拡充や医師の増員を行い、患者受け入れ能力を大幅に向上させてきていることから、移転後の地域に必要な医療体制は十分に確保できると考えております。
 次に、多摩北部医療センターにおける救急医療体制についてでありますが、お話の清瀬小児病院の救急受け入れ件数は、小児外科など専門医療を含んだ数字でありまして、一般的な小児内科の救急診療については、通常は総合診療科による一系列で対応しております。
 一方、多摩北部医療センターの小児科では、現在、病棟当直一系列、救急当直一系列の体制を組んでおりますが、これに加えて、さらに救急当直を一系列ふやすこととしております。こうしたことから、清瀬小児病院移転後の救急受け入れには十分対応できるものと考えております。
 なお、救急当直の増設など小児医療体制の一層の強化を図る上で必要な医師、看護師の確保は、多様な方法で今後迅速に行っていくこととしております。
 次に、八王子地域における二つの大学病院の診療体制についてでありますが、都と八王子市による協議のまとめによれば、二次医療について、二つの中核病院と八王子小児病院を合わせた小児の入院患者実績は一日当たり四十八・四人となっており、二つの中核病院の合計病床数を二・四人上回っておりました。
 そのため、二次医療を担う二つの大学病院に対し市とともに働きかけを行い、新たに十二床の確保が図られることとなっております。さらにこれに加え、今後、八王子市内の医療機関で、外来、救急、入院機能を持つ小児科を新たに開設する取り組みも行うこととしております。
 これらにより、小児病院転出後の地域医療の確保は十分に実現できるものと考えております。
 次に、小児総合医療センターにおける小児精神科医療の治療環境についてでありますが、新センターの施設整備に当たっては、平成十三年十二月に策定された都立病院改革マスタープランに基づき、外来、病棟ともに、心の部門と体の部門の患者の動線にも配慮しながら施設配置を行うなど、設計上の配慮が十分になされております。
 また、新センターは、豊富な緑に囲まれた恵まれた環境の中にあるとともに、子どもたちが遊び憩うことのできるルーフコートの設置や、院内のアメニティーへの配慮も行っており、患者さんにとって好ましい療養環境を提供できるものと考えております。
 次に、梅ケ丘病院の移転統合の必要性についてでありますが、小児総合医療センターは、我が国の小児精神医療に重要な役割を果たしてきた梅ケ丘病院の機能を引き継ぎ、さらなる充実強化を図っていくものであります。
 具体的には、自閉症等の広汎性発達障害など、これまで手がけてきた医療の一層の充実を図るとともに、心の疾患を持つ子どもの体の合併症や慢性的な体の疾患を持つ子どもの心理的な問題への対応など、現在の梅ケ丘病院の医療スタッフのノウハウを十分に活用しつつ、さらに広範で総合的な高度専門医療を提供していくこととしております。
 したがいまして、梅ケ丘病院の移転統合は、これまでの医療機能を向上、拡大させる上で大きな意義と効果があるものと考えております。
 最後に、小児総合医療センターと小児三病院の併存についてでありますが、両者の併存は、医療人材確保などの面から見て現実的ではないと考えます。
 例えば、周産期、小児救急、これらの分野の医師は、小児科医が不足の中にあっても、とりわけ希少な状況にあります。清瀬、八王子の現に勤務している医師がなくては、小児総合でのこういった分野の稼働はできないというふうに考えております。
 また、看護師の増員についてのお話もありましたが、看護師の増員分は確かにございますが、新人でございます。当然、一定期間の習熟訓練が必要でございますので、すぐには戦力にならない状況にございます。
 さらに、小児救急については、単に小児救急の外来を開けば事足りるというものでは当然ありません。小児救急をやるためには、手術室に職員を配置する、ICUも開かなければならない、さらに後方病棟も開かなければならないという形で、非常に多くの医療人材を必要とするわけでございます。
 こうしたことから、仮に小児三病院を存続させた場合には、小児総合医療センター開設時には周産期医療や小児救急医療などが稼働できない事態になり、多摩地域の小児、周産期医療に大きな混乱と停滞を招くことは必至であります。
 限られた医療資源を最大限有効に活用するという観点に立って、小児三病院を移転統合し、小児総合医療センターを開設することが最善の方策であり、これまでの方針に基づき、今後も着実に準備を進めてまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点についてお答えを申し上げます。
 まず、八王子地域で新たに小児科を開設する病院についてでありますが、現在、関係者と調整等を行っている段階であります。
 いずれにせよ、八王子市内の医療機関において外来、救急、入院医療を行う小児科の新たな開設が来年度早期に実現できるよう、都として最大限努力をしております。
 次いで、多摩地域のNICUについてでありますが、先ほどもお答えしたとおり、このたび整備する小児総合医療センターと多摩総合医療センターでは、NICUを九床増床し二十四床にするとともに、M─FICU九床を新たに整備し一体的に運営することにより、母体、新生児、いずれにも対応可能な都内最大の総合周産期母子医療センターを確保いたします。
 また、新たに新生児も搬送できる小児用ドクターカーを小児総合医療センターに配備し、多摩全域を網羅いたします。さらに、リスクに応じた周産期医療を確保するため、周産期連携病院に加え、新たに新生児連携病院の創設も検討しております。
 これらも含め、総合周産期母子医療センターが中心となる、多摩全域を対象としたネットワークグループにより、病院と診療所等との連携を進めてまいります。
 こうしたことにより周産期医療体制の充実に努めてまいります。
 次に、NICUの増床についてでありますが、NICUについては、出生一万人対三十床を基本に、東京都周産期医療協議会の意見を伺い、東京都全域を一つの圏域として具体的な整備目標を定め、増床に取り組んでまいります。
 周産期医療は高コストで不採算医療であり、都は国に対して、診療報酬の大幅な引き上げと国庫補助制度の充実について要望をしております。あわせて、都としても、NICUの増床を促進するため、支援策の充実について検討をしております。
 新たな整備目標についてでありますが、ただいまお答えしたとおり、NICUについては、東京都全域を一つの圏域として具体的な整備目標を定め、増床に取り組んでまいります。また、小児の救命医療については、高度な三次救急医療施設として、仮称子ども救命センターを都内に四カ所整備してまいります。今後は、子ども救命センターを中核とし、初期から三次の医療の緊密な連携を構築してまいります。
 次いで、失業者のための総合相談窓口及び生活資金の支援についてでありますが、今般国は、緊急雇用対策の一環として、区市等の協力のもと、ワンストップサービスデーを試行実施するとともに、現在、今後の取り組みについて検討をしております。
 なお、都みずからが新たな総合相談窓口を開設する考えはございません。また、生活資金の支給による所得保障は、基本的に国の判断と責任によって実施されるべきものと考えております。
 次いで、年末年始の宿泊施設の確保についてでありますが、都は、国から協力要請のありました、仕事を求める貧困、困窮者を対象とする年末年始の生活総合相談の実施に当たりましては、相談場所を兼ねた大規模宿泊施設を提供するよう、国に対し既に要望をしております。
 次に、失業者に対する生活保障についてでありますが、現在、国の制度として、訓練・生活支援給付や生活福祉資金の貸し付けなどが整備されており、こうした制度を活用し対応してまいります。
 最後に、生活保護の財政措置についてでありますが、お話の都の費用負担について三カ月を基準としているケースは、現に簡易宿所や宿泊所を利用している方から申請があった場合の特例的な取り扱いでありまして、このために区や市が生活保護を渋っているというご指摘は当たらないと考えております。
 都として、この取り扱いの期間を延長するつもりはございません。また、国に対しましては、被保護者の急増に伴う自治体の負担軽減について、特段の措置を講ずるよう既に要求をしております。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 離職した住宅喪失者に対する都営住宅等の活用についてでございますが、都営住宅は応募倍率が非常に高く、恒常的な空き家はないということに加え、高齢者、障害者等の入居希望者も多数おられます。また、公社一般賃貸住宅についても、おおむね同様の状況でございます。
 このため、単に離職者という理由だけでは、居住の場の確保のために都営住宅等を活用することは極めて困難でございます。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、雇用創出のための都の区市町村補助事業についてであります。
 この事業は、緊急の雇用対策として、延べ三十万人分の臨時的な雇用の創出に向けまして、区市町村が雇用創出効果の高い多様な事業を実施するものであります。本年度、四百を超える事業が予定されております。雇用創出人数につきましては、各区市町村が事業計画において把握しておりまして、現在、計画ベースで目標の約九割に達しております。
 引き続き、区市町村と連携して雇用創出に取り組んでまいります。
 次に、都がみずから行う緊急雇用創出事業についてでありますが、急激に悪化する雇用情勢に対応するため、都は、昨年度から雇用創出につながる公共事業を実施するとともに、本年度は緊急雇用創出事業などの基金事業に取り組んでおります。事業の実施に当たりましては、副知事を座長とする庁内連絡会議を通じまして、各局の緊密な連携を図っております。
 今後とも、厳しい雇用情勢に対応するため、雇用創出に着実に取り組んでまいります。
 次に、緊急雇用創出事業の制度についてでありますが、この事業は、仕事を失った方々に臨時的なつなぎの雇用を提供するものでございます。
 雇用期間は、国の実施要領によりまして、原則として半年以内とされておりますが、本年十月の要件緩和によりまして、既に必要に応じて一年までの更新が可能になっております。事業の実施形態についても、それぞれの事業内容に応じて、委託、直接実施のいずれか適した方法によることとされております。
 東京都が直接実施する場合は、効率的、効果的に事業を行うため、当該事業を所管する各局において雇用することとしております。
 次に、各事業における賃金についてでありますが、業務内容及び必要とされる技能などを踏まえ、労働市場の実勢等に応じて決定されるものでございます。
 次に、中小企業支援についてでありますが、都は既に、経営困難な中小企業に対しまして、事業承継・再生支援事業で相談や経営支援を行うとともに、資金面でも制度融資によりまして対応しております。
 最後に、制度融資の拡充についてでありますが、都は既に本年六月補正予算におきまして、国の緊急保証制度に対応した融資メニューである経営緊急を含む経営支援融資の目標額を二千五百億円から七千億円に拡大し、制度融資の円滑な実施を図っているところでございます。
 また、東京信用保証協会におきましても、緊急保証制度の趣旨にのっとった適切な保証審査を行っているところでございます。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 三点についてお答えいたします。
 まず、IOC評価委員会への対応についてでございます。
 さきの評価委員の来日は、計画の内容や競技会場を詳細に説明し、招致の熱意や都市の魅力をIOC側へ直接アピールできる唯一の機会でございました。
 来日中は、知事や総理、アスリートなどが出席したプレゼンテーションのほか、会場視察では、競技団体幹部を初め、オリンピアン、パラリンピアンがみずから開催計画を説明し、地元住民やボランティアの力強い協力も得て、招致機運の盛り上がりをアピールすることができました。
 また、総理主催の公式夕食会では、政府の関係閣僚、経済界代表者、競技団体幹部やアスリートが多数出席し、国を挙げて歓迎の意をあらわしました。
 その結果、東京の強みである環境を重視したコンパクトな会場計画のほか、輸送システムや財政力などについて正当に評価され、全体としても高い評価を得ることができたと考えます。
 残念ながら開催をかち取ることはできませんでしたが、評価委員会対応に当たって、万全な準備と対応をしたことについて、都民、国民の理解を得られ、それがその後の招致支持率向上にもつながったものと思います。
 次に、国際スポーツ大会の開催についてでございます。
 オリンピック招致を表明した都市による国際スポーツ大会の開催を禁止する旨をIOCのロゲ会長が発言したのは、平成十九年四月でございます。翌平成二十年に開催した、お話のシニア女子レスリング世界選手権大会は、ロゲ会長の発言以前に、既に日本レスリング協会から国際レスリング連盟に申請が済んでおりました。そして、その後都としても、東京のスポーツ振興に寄与するものとして、スポーツ振興の観点から協力することとしたものでございます。
 国際レスリング連盟はこうした経緯を踏まえ、最終的に東京での大会を決定したものでございまして、したがいまして、IOCの方針に反することにはならないと考えます。
 最後に、招致活動とシニア女子レスリング選手権大会についてでございますが、繰り返しになりますが、大会の開催は、東京におけるスポーツ振興に寄与するものとして協力することとしたものでございます。
 この大会の目的が、スポーツを通じて若者や子どもたちに夢と感動を与えるオリンピック・パラリンピックの招致活動とも軌を一にすることから、知事やレスリング協会会長はそれを広く紹介する趣旨でコメントを寄せたものでございます。したがって、オリンピックのフェアプレー精神にもとるという指摘は当たらないと考えます。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) シニア女子レスリング世界選手権大会についてでございますけれども、この大会は、お話のロゲ会長の発言以前に競技団体間で開催申請がなされており、また都としての協力方針が決定されていたもとで、スポーツ振興への寄与が期待されることから共催とし、おおむね大会経費の二分の一の財政的な負担を行ったものでございます。
 この大会では、世界四十一カ国から百三十九名のトップアスリートが参加して熱戦が繰り広げられるとともに、二百名を超えるジュニア選手が参加選手から直接指導を受けることもできました。
 また、国際大会の積極的な誘致は、平成二十年七月に策定した都のスポーツ振興基本計画で明確に位置づけているところでもございます。したがいまして、行政目的に適合するものとして適正に事業を執行したものでございます。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金についてございますが、この基金の取り扱いにつきましては、オリンピック・パラリンピック再挑戦についての今後の論議などを見定めつつ、適切に対応してまいります。
 なお、都はこれまで福祉、医療、教育はもとより、中小企業対策、外環道の整備等東京の都市機能の充実など、都民にとって必要な施策に的確に財源を振り向けて、都民の期待に十分にこたえてきております。
 今後とも、引き続き都がなすべき役割をしっかりと果たしてまいります。
   〔八十一番たぞえ民夫君登壇〕

○八十一番(たぞえ民夫君) 知事に再質問します。
 清瀬、八王子小児病院の廃止でNICUの空白地域をつくっていいと思っているんですか。答えてください。
 小児三病院存続を求めて集まった都民が百人程度とねじ曲げることは、絶対に許すわけにいきません。答えてください。(拍手)
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) NICUの整備につきましては、東京都全域を一体的にとらえた目標を定め、増床に取り組んでまいります。
 都は、周産期医療体制の整備につきましては、猪瀬副知事を座長といたしましたプロジェクトチームにおいて検討を進めてまいりました。その中で、NICUの整備促進を図るため、診療報酬の大幅な引き上げや国庫補助の創設、充実を国に強く求めてきたところでありまして、都としてもNICUの増床に向け支援策を充実させてまいります。

○七十四番(松下玲子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時二十三分散会

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