平成二十一年東京都議会会議録第十三号

平成二十一年九月十四日(月曜日)
 出席議員 百二十七名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番野田かずさ君
六番鈴木 章浩君
七番福士 敬子君
八番山内れい子君
九番くりした善行君
十番西沢けいた君
十一番中村ひろし君
十二番田中  健君
十三番関口 太一君
十四番小山くにひこ君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤 興一君
二十番きたしろ勝彦君
二十一番田中たけし君
二十二番鈴木 隆道君
二十三番神林  茂君
二十四番早坂 義弘君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番たきぐち学君
三十一番田の上いくこ君
三十二番島田 幸成君
三十三番しのづか元君
三十四番滝沢 景一君
三十五番大島よしえ君
三十六番大松あきら君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番松葉多美子君
四十番高木 けい君
四十一番石森たかゆき君
四十二番高橋 信博君
四十三番中屋 文孝君
四十四番村上 英子君
四十五番矢島 千秋君
四十六番高橋かずみ君
四十七番西崎 光子君
四十八番中谷 祐二君
四十九番笹本ひさし君
五十番山下ようこ君
五十一番神野 吉弘君
五十二番鈴木 勝博君
五十三番興津 秀憲君
五十四番岡田眞理子君
五十五番伊藤 ゆう君
五十六番原田  大君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番中山 信行君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番山加 朱美君
六十五番山田 忠昭君
六十六番山崎 一輝君
六十七番菅  東一君
六十八番宇田川聡史君
六十九番林田  武君
七十番三宅 茂樹君
七十一番佐藤 広典君
七十二番尾崎 大介君
七十三番山口  拓君
七十四番松下 玲子君
七十五番伊藤まさき君
七十六番野上ゆきえ君
七十七番西岡真一郎君
七十八番今村 るか君
七十九番吉田康一郎君
八十番斉藤あつし君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番吉原  修君
九十番野島 善司君
九十一番鈴木あきまさ君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番泉谷つよし君
九十六番くまき美奈子君
九十七番大西さとる君
九十八番増子 博樹君
九十九番いのつめまさみ君
百番門脇ふみよし君
百一番小沢 昌也君
百二番花輪ともふみ君
百三番大津 浩子君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番吉野 利明君
百十一番こいそ 明君
百十二番服部ゆくお君
百十三番川井しげお君
百十四番宮崎  章君
百十五番比留間敏夫君
百十六番川島 忠一君
百十七番石毛しげる君
百十八番大塚たかあき君
百十九番和田 宗春君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番中村 明彦君
百二十四番土屋たかゆき君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番田中  良君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事菅原 秀夫君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
東京都技監建設局長兼務道家 孝行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長河島  均君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長前田 信弘君
港湾局長比留間英人君
会計管理局長新田 洋平君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
消防総監新井 雄治君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長泉本 和秀君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長野口  孝君

九月十四日議事日程第二号
第一 第百三十一号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第二 第百三十二号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第三 第百三十三号議案
  東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第四 第百三十四号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第五 第百三十五号議案
  警視庁本所警察署庁舎(二十一)改築工事請負契約
第六 第百三十六号議案
  東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修工事請負契約
第七 第百三十七号議案
  都立総合芸術高等学校(仮称)(二十一)改築及び改修工事請負契約
第八 第百三十八号議案
  都立武蔵野北高等学校(二十一)改修工事請負契約
第九 第百三十九号議案
  都営住宅二十一CH─一〇二東(葛飾区高砂四丁目・葛飾区施設)工事請負契約
第十 第百四十号議案
  環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十一一─環二新橋第二工区)請負契約
第十一 第百四十一号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
第十二 第百四十二号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
第十三 第百四十三号議案
  折り畳み式簡易ベッドの買入れについて
第十四 第百四十四号議案
  個人防護具(ガウン等セット)外六点の買入れについて
第十五 第百四十五号議案
  東京都道路公社が行う第二多摩川原橋有料道路事業の変更に対する同意について
第十六 第百四十六号議案
  東京都道路公社解散に係る設立団体の同意について

   午後一時開議

○議長(田中良君) これより本日の会議を開きます。

○議長(田中良君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(田中良君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 知事より、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により、健全化判断比率及び資金不足比率について、それぞれ報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成二十一年各会計定例監査、平成二十年度執行分の結果について報告がありました。
(別冊参照)

○議長(田中良君) これより質問に入ります。
 百二十二番大沢昇君。
   〔百二十二番大沢昇君登壇〕

○百二十二番(大沢昇君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 政権選択を最大の争点とした第四十五回衆議院選の投票が行われてから、既に二週間がたちました。十六日には特別国会が開会され、鳩山首相が選出されることになります。
 七月十二日には都議会の選挙が行われ、ここ都議会においても、自民党、公明党による過半数体制が崩れました。
 この都議選で、私たちは二百三十万人の都民の支持を得ることができました。これは、戦後の都議選での得票としては史上最高の得票であります。さらに衆院選においては、小選挙区で三百五万人、比例区で二百八十四万人もの都民の期待が民主党に寄せられました。現憲法下で初めて、衆院選で、野党第一党が単独過半数を得て政権交代が実現するという、まさに革命的な転換点を迎えたのであります。
 既に、非核三原則に係る密約や高速道路無料化についての国土交通省の試算などが改めて明らかになっていますが、今後も年金制度の実態を初め、これまで秘匿されていた事実が次々と明らかにされることになります。旧来の政治を根本からたたき直し、二十一世紀日本の礎を築くことが、これからの政治の責任であり、民主党に課された責務であります。
 国会同様、都議会もまた、若さゆえの経験不足が指摘されますが、この若さとしがらみのなさを生かし、新たな挑戦を続けていきたいと考えています。知事を初めとした理事者各位並びに各会派の議員の皆さん、都議会民主党もまた、都民福祉の向上になお一層汗をかくことをお誓いし、質問に移ります。
 それではまず、新銀行東京について伺います。
 石原知事は、七月十七日の定例会見で、今回の都議選の結果について、民主党が議席をふやしたことに関して、石原都政への審判という面もあるのではないかと問われ、そうは思っていないと否定されました。
 しかしながら、私も、都議会議員選挙の期間中、より多くの有権者の声を聞きましたが、新銀行東京への四百億円の追加出資を提案した石原知事、あるいはその提案に対して十分な審議もしないままに早々に賛成した自民党に対して、都民の怒りや疑問をひしひしと感じてまいりました。
 石原知事は、新銀行東京への追加出資について、たびたび新銀行と取引をしている一万社を引き合いに出しますが、中小企業が取引しているのは新銀行だけに限りません。
 石原知事が、中小企業と取引がある他の金融機関から出資要請があった場合、出資するのかという私たちの質問に対しては、はっきりノーと答えたように、一万社の取引先は単なるいいわけで、みずから発案した石原銀行の延命だけが追加出資の目的であったことを、多くの都民は見抜いているのであります。
 もちろん、石原知事のいうように国政の前哨戦とならなければ、自公過半数割れという結果になったかは議論の分かれるところでありますが、しかし私は、少なくとも都議選における民主党の議席増と自民党の議席減は、新銀行東京への追加出資四百億円に対する都民の怒りや疑問が大きく影響した結果であったと考えるものです。
 新銀行東京に対する都民の審判について、石原知事の見解を伺います。
 その上で、私は、新銀行東京の失敗について、その原因を究明すべきであると考えています。
 新銀行東京がことし二月十七日に発表した外部調査報告書は、融資の判断について論じたもので、過大なシステムや設備投資をしてしまった責任については触れられたものではありません。
 私は、ATMなどを含めて、なぜこのような過大なシステムをつくってしまったのか、あるいはなぜ需要に見合わない店舗展開をしてしまったのか、新銀行東京の失敗について根本的な責任を明らかにする第三者機関を設けるべきだと考えますが、石原知事の見解を伺います。
 石原知事は、新銀行東京の失敗を旧経営陣に転嫁していますが、その旧経営陣に対する責任追及については、新銀行東京が提訴するのか否かも含めて、いまだ不透明であります。
 ことし二月の外部調査報告書を受け、新銀行東京が提訴するという意思決定をしたとは聞きますが、既にそれから半年以上がたっており、また、代表執行役もかわった中にあっては、この問題がうやむやになるのではないかと懸念するものであります。
 石原知事は、二月二十四日の私たちの代表質問に対して、損害賠償請求訴訟の提起は、周到かつ慎重に準備を進める必要があるとしている新銀行東京の判断を尊重すると答えていますが、いつまでも問題を先送りにしようとする姿勢では、都民の理解は得られません。周到かつ慎重に準備を進める必要があるとしながらも、いまだ提訴に踏み切れないのは、裏を返せば、訴えるだけの根拠や資料が不十分だったというのではないでしょうか。
 なぜ提訴の時期さえも示せないのか。石原知事は、旧経営陣の責任追及についてどのように考えているのか、見解を伺います。
 第一・四半期決算に関して、石原知事は、都議会議員選挙期間中の応援演説の中で、新銀行東京の四半期決算が黒字の見通しであることを盛んに発言したと仄聞をしております。
 七月十日の定例会見では、このことを質問され、内々の報告で、金融庁との絡みがあるから期限が来るまで発表できないが、間違いなくこの四半期は黒字になりましたと答えています。しかし、新銀行東京の第一・四半期決算が発表されたのは、これから約一カ月後の八月六日であります。
 このような早い段階で新銀行の決算内容を把握できるのであれば、新銀行東京が一千億円を毀損する以前に、東京都としても有効な手だてを講じることができたのではないでしょうか。
 これまで新銀行東京から情報を取るべきだという私たちの再三の指摘に対しても、石原知事は、銀行法を盾に情報入手の努力さえしようとしておりませんでした。にもかかわらず、選挙のために情報を入手し、それを発表前にひけらかしたのであれば、言語道断であります。
 石原知事は、いつ、だれから、どのような内容の報告を新銀行東京から受けたのか。また、黒字化の見通しであることを議会にさえ報告することなく、なぜあえて決算発表の一カ月も前に、しかも選挙の応援演説の場で公表したのか。さらには、このことは石原知事が再三述べていた銀行法との関係で問題はないのか。あわせて見解を伺います。
 新銀行東京に関連して、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例について伺います。
 この条例は、ことし三月、都議会本会議において可決成立しましたが、条例の規定では、東京都と連携する金融機関を、銀行、信金、信組のうち知事が定めるものとしていました。このことから、東京都と連携する金融機関として新銀行東京も加わることで、新銀行東京への隠れた追加出資になるのではないかと指摘されていました。
 私たちは、当該条例に賛成はいたしましたが、本会議討論の中で、新銀行東京については制度から除外すべきであり、都が今後検討していく制度の内容によっては、条例改正も視野に入れて対応していく旨、述べてきたところであります。
 東京都は、この夏にも制度をスタートさせたいと説明していましたが、既に暦の上では初秋を迎えております。東京都の現在の取り組み状況について伺うとともに、新銀行東京への対応について確認したいと思います。
 以上、新銀行東京の問題について述べてきましたが、私たち都議会民主党は、今都議会において、新銀行東京問題に関する特別委員会の設置を求めていく考えであります。その中で、私たちは、石原知事が責任を転嫁している旧経営陣を初めとする参考人の招致などを通じて、責任の所在を明確にするとともに、新銀行東京からの早期撤退を実現すべく取り組んでいきたいと考えております。
 次に、築地市場問題について伺います。
 さきの都議会議員選挙において、民主党は、築地市場移転にノーなど、マニフェストに盛り込み、都民の審判を仰いできました。その内容は、多くの都民が望んでいる現在地再整備について改めて検討するとともに、シンポジウムや公開討論会など、都民の声を幅広く聞く場を設けるべきだというものであります。
 また、石原知事も、都議選の結果を受けて、七月十七日の定例会見では、必要ならもう一回検討したらいい、専門家を入れてと述べており、私たちも、そのための検討委員会を速やかに設置すべきであると考えています。
 以上のことから、九月七日、私たち都議会民主党は、現在地再整備を改めて検討するために、建築や流通の専門家、技術者、文化人などによる検討機関を速やかに設置することを石原知事に対して申し入れをしたところであります。
 そこで、改めて、検討機関の設置について石原知事の見解を伺います。
 先ほど、新銀行への追加出資と同様、築地市場の移転については、多くの都民が反対であるということを、選挙期間中、より多くの有権者の声を聞くことを通じて、改めて実感をしたところであります。
 六月八日の東京新聞の世論調査でも、築地市場の豊洲移転については、支持すると答えた人が二六・四%、支持しないと答えた人が六〇%と、移転を支持しない人が大半であります。私たちは、こうした都民の声を真摯に受けとめ、それらが都政に反映されるよう懸命に努力していかなければなりません。
 そのためにも、私は、築地市場の移転問題に関して、シンポジウムや公開討論会など、都民の声を幅広く聞く場を設けるべきだと考えていますが、見解を伺います。
 また、市場の関係者の話を個別に聞くと、やはり築地で商売を続けたいという人の声も圧倒的であります。もちろん、中には、築地は狭くて再整備ができないと思っている人たちもおりますが、移転推進派の人たちの多くが、大家の東京都がいっているのだからしようがないという消極的な理由で容認しているにすぎないように思われます。
 私は、水産や青果の卸や仲卸、あるいは関連事業者など、個々の事業者に対して意向調査を実施するなど、市場事業者の実態を把握すべきであると考えますが、見解を伺います。
 豊洲地区では、環境確保条例に基づく汚染土壌の調査などが着々と進められていますが、一方で、東京都が調査した土壌のコアサンプルを廃棄しようとしていることに対して、その保全と開示を求める声も聞かれます。
 東京都の情報公開のあり方に対しては、例えば公表値の百十五倍のベンゾ(a)ピレンが検出されたり、不透水層が確認できなかったにもかかわらず、これらの事実を指摘されるまで公表しようとしてこなかったことに象徴されるように、都民の多くが不信を抱いております。
 このような中で、コアサンプルを廃棄してしまっては、有楽町層が本当に不透水層であるかも含めて、ボーリング柱状図の正確性が検証できなくなる、あるいはPCBやセレンなどの未調査汚染物質について、ボーリングした深度までの検査ができなくなるといった懸念の声が上がるのは当然ではないでしょうか。
 私は、土壌のコアサンプルを廃棄することなく、その保全と開示に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、医療について伺います。
 まず、現在四十七分となっている救急搬送時間の短縮についてです。救命率は、発症から時間がたつほど下がり、後遺障害などの発生もふえるとされております。
 民主党は、救急搬送の迅速化を繰り返し求めてまいりました。特に都内では、救急搬送の受け入れ先が決まるまでに長い時間がかかっていること、中には一時間以上かかるいわゆる困難事例があり、医療を受けられずに亡くなる方も出ていることを重く見ております。都議選でも、ドクターカーの配置、医師の確保推進、搬送先選定の司令塔機能強化や医療機関の連携による受け入れ迅速化、不要不急の出動削減などが必要であり、こうした施策の複合効果によって三十分に短縮することを目標に取り組むことを訴えてまいりました。
 どの医療機関も勤務医不足に苦しむ中で、いわゆるたらい回しの発生を防ぎ、医療機関同士の連携による迅速な受け入れを進めるために、都は、私たちの求めに応じて、救急医療情報システムを各病院が閲覧できるようにしてまいりました。今後は、システム登載情報の精度向上など、リアルタイムに地域内の医療の状況を把握できるものとするよう取り組んでいかなければなりません。
 こうした情報基盤整備を進めることに加えて、患者受け入れを的確に行っていくためには、地域における医療機関のネットワーク化、協力体制の構築が不可欠であると思いますが、どのように取り組むのか、お伺いをいたします。
 また、民主党が昨年来、早急な実施を求めてきた救急搬送の司令塔機能について、去る八月三十一日より東京消防庁に救急患者受け入れコーディネーターが設置されました。従来、搬送先の選定に長時間を要していたケースで、地域救急医療センターでは地域内で受け入れ可能な医療機関が見つからない場合、広域に調整を行うとのことです。
 昨年は年間三万五千件にも上った困難事例の搬送先選定に対して、地域救急医療センターによる受け入れ努力が行われるとはいえ、迅速かつ的確に対処するためには、救急患者受け入れコーディネーターを必要に応じてさらに増強していくことが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 都民の側も、不要不急の一一九番をなくすために、みずから病気や医療に関する知識を持つことが必要です。都や医療団体、市民団体による啓発活動なども行われており、都における東京ルールのコマーシャルなど、従来に比べれば格段にわかりやすい情報提供が行われるようになりましたが、シャープ七一一九やシャープ八〇〇〇の認知度はまだ高くはありません。都民目線、都民参加によって医療体制の構築を進めるとともに、みずからも限りある医療を支えていくために責任ある行動をとれるよう、医療改革都民会議を設置をし、ともに都の医療保健施策を考え、実行することが必要であると考えますが、所見を伺います。
 ここまで現有資源の有効活用と搬送調整のむだをなくし、救急搬送の迅速化を図るための取り組みについて伺ってまいりましたが、何といっても高度救急医療を担う医師の不足と、そして自民党政権下で行われてきた社会保障費の削減や救急医療に対する診療報酬の低さによって医療機関が疲弊し、各医療機関、ひいては個々の医師に過度な負担を強いてきた、この点を抜本的に改善をしていかなければ、私たちは本格的な医療崩壊を目の当たりにすることになります。
 民主党は、国政においても医療の立て直しに全力で取り組む所存ですが、都においても、東京特有の地価、物価、人件費の高さに配慮した医師確保策、救急医療確保策をより一層進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 都立病院は、いわゆる行政医療を担う病院として、また、その存在する地域にとって都民に頼られる病院として医療を実施してきました。中でも都立の小児病院は、多摩地域の小児医療の拠点として、小児の高度医療から初期医療までを担う重要な役割を果たしてまいりました。都は、平成二十二年三月に八王子、清瀬、梅ケ丘の都立小児病院を府中に移転統合し、多摩小児総合医療センターを開設するとしており、準備が進められています。
 小児医療は不採算性が高いといわれる中で、都が高度医療を総合的に提供する拠点を整備することは評価いたしますが、整備に伴って都民の身近な地域医療に空白を生じさせることは絶対にあってはなりません。特に、もともと病院の数、医師の数が人口数に対して二十三区よりも少ない多摩地域においては、民間医療機関の疲弊が進む中で、都立病院の果たす役割は大きいと考えております。
 三小児病院の統廃合に伴う医療機関の充足といった地域医療確保に対する取り組みをお伺いいたします。
 続いて、がん対策についてです。
 国民の死亡率のトップであるがんによる死亡率を下げ、適切な医療を受けられないがん難民をなくすためには、まずはがん検診受診率を現状の三割程度から少なくとも五割へとアップさせることが必要です。そのためには、忙しい日常の中で先延ばしにしがちな検診を受けやすくするため、職域検診との連携を検討するなど、さまざまな工夫をして受診機会をふやしていかなければなりません。
 都として、従来より行ってきたキャンペーンの継続強化、また、区市町村が行うがん検診へのより一層積極的な支援を行い、区市町村間の格差をなくし、東京都全体として受診率を向上させることが必要と考えますが、所見を伺います。
 さらに、適切な治療が受けられない、治療に納得がいかないがん難民をなくすために、国と都が全力を挙げて取り組まなければならない課題であります。高度な医療機関が集積するこの東京ですら、がん難民が発生しております。なぜ適切な医療が受けられないのか、私たちはがん患者たちの問いかけにこたえていかなければなりません。
 中でも、医療についての疑問や不安を解消するためには、主治医とのコミュニケーションが重要ですが、これを助けるためのツールとして、がん手帳の発行、いつでも相談できるがんコールセンター、治療に関する情報が取れるがんサイトなど、医療者と患者との間の情報格差をなくす取り組みが必要です。
 また、医療の供給サイドと利用サイド、そして医療施策を実施する行政との相互理解を推進する場をより一層充実するために、タウンミーティングの開催を求める声がありますが、患者とのコミュニケーション推進についてどのように取り組まれるのか、所見を伺います。
 都は、地域におけるがん診療体制を確保するため、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院の指定などの施策を進めてまいりました。しかし、患者の願いである、どの病院にかかってもいわゆる標準治療が受けられる、適切な医療を受けられるという段階にまではいまだ至っておりません。
 がん医療の均てん化を目指して、都としてどのように取り組むのか、伺います。
 また、都は、医療機関において、がん患者の診断、治療及び転移に関する情報を登録する仕組みである院内がん登録を支援してまいりました。都民のがんの罹患や死亡状況など、がん対策の充実強化に必要な情報を集めるためには、院内がん登録をさらに発展をさせ、地域がん登録の実現に向けた取り組みを進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、集団感染や重症化し死亡者も出ている新型インフルエンザ対策について伺います。
 民主党は、さきの代表質問でも、過去スペイン風邪が流行した際には夏にも流行のピークがあったことを指摘し、対策の強化を求めてまいりました。これから空気が乾燥し気温が低下するに従って、さらに患者がふえることが懸念されます。また、患者がふえるにつれウイルスが変異し、強毒化する危険性が高まるとの専門家の指摘もあります。
 発生動向を的確に把握するため、サーベイランス体制を継続強化する必要があると考えますが、所見を伺います。
 腎臓病などの疾病がある方、免疫が低下し重症化しやすい方が感染し、亡くなるケースが出ています。現場の医師たちから強い求めがあり、厚生労働省は、ようやくこうしたハイリスクケースの臨床情報や治療方法などの情報提供を行うと発表しました。これまで国の対応は後手後手に回り、現場での治療に必要な情報すら十分に提供されていないばかりか、重症者の治療に必要な医療機器や入院ベッドも不足することが懸念されています。
 都は、医薬品や防護服など必要な資器材を確保してきましたが、秋冬の大流行に備え、入院医療体制の確保が急務と考えますが、どのように取り組んでいるのか、伺います。
 また、既に感染者がふえてきている中で、間近に迫った九月の大型連休中には、医薬品の流通がストップするため、診療所や調剤薬局における抗インフルエンザ薬枯渇が懸念されています。こうした事態を防ぐため、都として何らかの対策を講ずるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、薬物乱用について伺います。
 昨今、芸能人やスポーツ選手などの著名人、さらには若者に至るまで、覚せい剤、大麻、MDMAなどの違法薬物全般にわたる乱用のニュースが飛び交い、大きな社会問題となっています。違法薬物の乱用は、乱用者の命までをも奪いかねず、さらにはその家族や周囲の方々の人生をも壊しかねません。
 都は、脱法ドラッグ条例をいち早く策定し、国に先駆けた取り組みを行うとともに、最近では東京都薬物乱用対策推進本部において、薬物乱用のない社会づくりを目指し、新たな東京都薬物乱用対策推進計画を策定しました。しかし、薬物の乱用は低年齢化し、社会に幅広く浸透しつつ、問題が複雑化、深刻化しているのが現状であります。薬物汚染という深刻な状況を真摯に受けとめ、これまでの計画をより強力に実施するとともに、新しい発想での対応も求められています。
 薬物の乱用防止は、薬物依存という病理的なとらえ方、命を大切にするという教育的とらえ方、また、生活環境によって薬物に手を染めてしまうという心理的なとらえ方などの問題意識を持って取り組まないと、根本的な解決には至らない課題でもあります。
 一方で、法規制の強化も必要と考えます。既に大麻に関しては、都から法規制の強化を求めるなど、国への提案要求も行われてまいりましたが、違法薬物に関する認識をより一層高めていくためには、さらなる対象の拡大と罰則強化が求められています。
 都には、違法薬物の一掃に向けて、社会全体で取り組む強固な体制を構築するためのさらなる対策と全庁的、全都的な取り組みを求めるものです。法規制の強化に向けた国への提案要求も含め、違法薬物の一掃と薬物乱用のない社会の実現に向けた知事の見解を伺います。
 薬物乱用の防止には、小学校、中学校、高校での段階的な薬物に対する適切な学習と自分の身を守るすべを習得していくことが重要であると考えます。これまでも、都では、小学校段階から薬物乱用防止教室に取り組んでいますが、平成二十年の文部科学省の調査では、都内公立学校での実施率は、小学校で六二%、中学校で七三%、高校で八一%となっていますが、まだ一〇〇%には至っておりません。
 また、子どもたちへの教育には、その内容も重要です。特に現場の先生たちが薬物について正しい知識を習得し、違法薬物を取り巻く社会の現実を理解することが重要であります。薬物に関する専門知識を有する外部講師の活用も有効的手段であります。昨今の薬物乱用状況と若者への浸透を考えれば、都教育委員会としても、すべての公立学校において、今まで以上に薬物乱用防止教育が実施されるよう取り組んでいかなければなりません。
 今後の薬物乱用防止教育の充実と推進について、教育長の見解を求めます。
 さらに、違法薬物を水際で食いとめる取り組み、密売組織の撲滅と乱用者への取り締まりが極めて重要だと考えます。警視庁では、芸能界の薬物問題を深刻に受けとめ、関係者の緊急会議を開催し、これまで以上により積極的な対応を行っています。
 昨今の深刻な薬物乱用問題を根絶するため、警視庁の取り組みをより一層強化をし、違法な薬物を社会から一掃することが必要不可欠であります。警視庁における覚せい剤などの薬物事犯の取り締まりの現状と、今後の取り締まりにどのように取り組み、どのような対策を講じていくのか、警視総監の決意を伺うものであります。
 次に、雇用対策について伺います。
 八月二十八日、総務省が発表した七月の完全失業率は、前月比で〇・三ポイント上昇し、五・七%と、一九五三年に統計を開始して以来、過去最悪を記録いたしました。また、八月二十五日に東京都が発表した、四月から六月期の都内の完全失業率は四・八%となり、前年同期と比べて〇・九ポイントも上昇し、完全失業者数も前年同期より六万三千人も多い三十四万五千人になっております。
 東京都は、昨年十月、緊急対策Ⅱを発表し、公的雇用五十万人創出を打ち出し、その後、国の最終補正を受ける形で二つの基金事業を打ち出しをいたしました。しかし、その規模が不十分であることは、前回の六月議会でも申し上げてきたとおりであります。
 このように日々雇用情勢が厳しくなる中で、何ら追加的対策を打ち出そうとしていないのであれば、それこそ行政の不作為ではないでしょうか。
 私は、東京都として、現在の厳しい雇用情勢にかんがみ、緊急雇用対策の実効性が上がるよう施策の検証をしながら、緊急雇用対策のさらなる積み増し、充実を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、職業訓練の拡大、拡充について伺います。
 雇用情勢の悪化を受け、東京都では、今年度、職業訓練の規模を大幅に拡大しています。しかし、本年四月からの応募状況を見ますと、多いときには定員に対して五倍強の応募があり、離職して再就職を目指す方々の職業訓練ニーズはますます強くなるものと思われます。
 私は、東京都として、さらに職業訓練の拡大、充実に向けて取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 中小企業の厳しい資金繰りに対応するため、昨年十月に緊急保証制度がスタートをいたしました。スタート当時は五百四十五業種でしかなかった対象は、その後、四度の追加指定を経て、現在では七百八十一業種まで拡大しています。しかし、なお中小企業関連の業種は約九百業種あり、まだまだ不十分であると思います。
 一方、緊急融資の実績も含めて、ことし四月から六月までにおける東京都信用保証協会の第一・四半期事業概要が先日発表されました。保証承諾件数は、昨年同期に比べ一五〇・一%の四万四千五百件、金額では二一〇・七%の六千七百八十七億円になっています。この実績のうち約六割は緊急保証によるものですが、今後、年末に向けて中小企業の資金需要に適切に対応できるよう、東京都としても万全を期していくことが必要です。
 私は、預託金をさらに積み増すことで融資目標額を拡大するなど、今後の都内中小企業の資金需要に適切に対応していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 また、都議会民主党では、九月一日から九月九日までの間、さまざまな団体から来年度予算編成に関する要望を聴取してまいりました。中小企業団体からは、制度融資の融資利率引き下げ、あるいは経営支援融資の信用保証料の全額補助といった声も多く聞かれました。
 民主党も、東京マニフェスト二〇〇九の中で、一%の利子軽減制度の創設や保証料補助の拡充など、中小企業の負担を減らしますと主張してきたところであり、厳しい経済状況をかんがみれば、中小企業の負担軽減は緊急の課題であるものと考えます。
 東京都として、緊急避難的に中小企業の負担を軽減していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、住まいと防災について伺います。
 国ではこの十月から、失業者救済のための住宅手当制度として住宅手当緊急特別措置事業を創設する予定となっています。この制度は、職と住居、ここでいう住居は賃貸住宅ですが、これらをともに失った方々が対象となっています。
 また、都は、国の既存制度である離職者支援資金をもとに独自に利子補給を行い、再就職支援貸付事業として、再就職を目指す離職者向けの無利子貸付を開始しています。就職活動中の生活費について、一年間二百四十万円を限度に返済可能な額を貸し付けるもので、家賃などの住宅費については、その範囲内で算定するものとしております。
 しかし、民主党は、東京マニフェスト二〇〇九にも示したように、景気の悪化に伴う企業の倒産などにより失業したり、家を所有していない方々の救済はもちろんのことでありますが、給料や賞与がカットされてしまったことによって住宅ローンの返済が困難になってしまった都民が、せっかく取得したマイホームを失うことのないよう、無利子貸付などで支援することも必要と考えております。
 不動産競売流通協会が最高裁判所事務総局の競売物件数データを分析した結果では、金融機関による個人向け住宅ローンの融資額が急増した二〇〇五年ごろより約八カ月から二十四カ月を経過した二〇〇六年から二〇〇八年における住宅ローン破綻による競売物件数が急増をしており、今後さらに増加する可能性が極めて高いと予想されています。東京都内の個人所有の競売物件数は、直近の二〇〇九年七月で五百二件で、前年同月の二百八十七件に対して一・九倍、この一年間を見ると、前年同月比の二倍前後で推移をしております。
 このような状況の中で、景気の回復が軌道に乗り、雇用情勢が安定化するまでの一定期間、住宅ローンが破綻する一歩手前の都民を救済する制度を速やかに構築する必要があると考えますが、所見を伺います。
 民主党は、東京マニフェスト二〇〇九で、学校、病院一〇〇%耐震を掲げてまいりました。都は、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九で、大地震から子どもたちや高齢者などを守るとともに、震災時の避難所機能を確保するため、学校などの耐震化の早期完了に向けた取り組みを強化することを示しております。
 そこでまず、公立の小中学校、幼稚園の耐震化に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 また、私立の小中学校、幼稚園などの耐震化に向けた今後の取り組みについても、あわせて伺います。
 さらには、救急医療機関の耐震化の早期完了に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 都内における木造住宅密集地域は、二十三区と多摩地域の七市にかけての約二万三千ヘクタールですが、都の防災都市づくり推進計画では、この三割弱、六千五百ヘクタールを震災時の甚大な被害が想定される整備地域として指定しております。この選定基準は、平成十四年に公表された第五回地域危険度測定調査に基づく建物倒壊危険度が五及び火災危険度が五に相当するなどとなっています。
 しかし、建物倒壊危険度が五に該当する八十三地域のうち整備地域に含まれるのは六割にとどまり、さらに、建物倒壊危険度が五で火災危険度も五となっている二十四地域についても、その四分の一は整備地域に含まれておりません。
 都は現在、整備地域内における木造住宅の耐震化に対して助成を行っていますが、私たちはこれまで、都内全域で制度を適用するよう、範囲の拡大を求めてまいりました。例えば、木造住宅密集地域はあるものの整備地域の指定のない三鷹市や狛江市などからは、耐震化促進制度の創設の要望があります。
 都では、平成二十年度に公表された第六回の地域危険度測定調査に基づき、防災都市づくり推進計画の見直し作業を進めています。国における法改正が必要な部分については政権与党として必要な働きかけを行っていきますが、現段階で耐震化促進制度の都内全域での適用が困難であるならば、この計画の見直しの機会をとらえ、まずは第一歩として、建物倒壊危険度五の地域はすべて、あるいは建物倒壊危険度と火災危険度がともに五であるような地域も制度の適用対象地域として取り扱うよう、対象地域を拡大すべきではないかと考えます。
 このような木造住宅の耐震診断、耐震改修助成制度の対象地域の拡大について所見を伺います。
 現在の木造住宅に対する耐震化助成制度は制度の創設から四年目を迎えていますが、過去三年間の利用実績は、耐震診断が初年度五百五十一件、二年目は四百八十六件、三年目の昨年度は二百九十六件と減少傾向にあります。また、耐震改修は、初年度二十二件、二年目は四十七件、三年目の昨年度は五十五件と、制度の利用は伸び悩んでおります。
 都は、こうした状況に対して、木造住宅の耐震化助成の利用促進のため、都民の意識啓発などを中心とした取り組みを強化しつつありますが、制度の利用が進まない最大のネックは、耐震化のための自己費用負担にあるのではないかと考えざるを得ません。
 民主党は、都議選マニフェストで、耐震診断、耐震改修に係る費用について都独自に補助を上乗せし、自己負担を軽減することを提案してまいりました。具体的には、耐震診断の自己負担額を、現状の補助対象額の三分の一、五万円をゼロ、無料実施に、耐震改修の自己負担額を、現状の補助対象額の二分の一、七十五万円を三分の一、五十万円に引き下げるというものであります。
 耐震診断、耐震改修費用に対する都独自の上乗せ補助の実施について所見を伺います。
 次に、豪雨対策について伺います。
 豪雨対策に対して最も有効なのは河川整備と下水道整備ですが、このうち河川整備については、平成二十年度末時点で、時間五〇ミリ降雨対策の護岸整備率は都内全域で約六三%、護岸整備率に調節池などの整備の効果を加えた治水安全度達成率は約七五%であり、ともに年間〇・五%程度の進捗状況となっています。
 河川整備は息の長い事業であり、大きな投資と長い時間が必要であることは十分に承知しておりますが、一日も早い計画の一〇〇%達成が望まれます。事業の性格上、単純に予算や人員をふやすだけで大幅なスピードアップができるものではありませんが、現在の限られた予算と事業の執行体制の中、河川整備の進捗率向上に向けた今後の取り組みについて所見を伺います。
 下水道整備については、時間五〇ミリ降雨に対応する下水道整備が完了した面積の割合を示す浸水対策整備率が、平成二十年度末時点では区部で約五九%であり、年間約一%程度の進捗状況です。
 下水道整備事業も、河川整備事業と同様に息の長い事業でありますが、下水道整備の進捗率向上に向けた今後の取り組みについて所見を伺います。
 豪雨対策には、このほか雨水の流出を抑制する対策も有効です。雨水流出抑制策の一つとして、雨水浸透施設の設置が各地域で進められています。各区市は民間住宅の雨水浸透ます設置に対して助成を行っており、都は、その区市が行う助成に対して補助を行っています。都は、「十年後の東京」実行プログラム二〇〇九で、平成二十一年度から二十三年度までの助成の目標を示していますが、私たちは、さらに大胆に進めていく必要があると考えます。
 また、都道においては雨水浸透ますの設置や道路の透水性舗装が進んでいるようですが、区市が管理する道路についても雨水浸透施設の整備が進むよう、区市に対する助成制度を都として独自に創設することも有効と考えます。
 雨水浸透施設のより一層の普及に向け、区市に対して都として今後どのように支援していくのか、所見を伺います。
 次に、学びと子育てについて伺います。
 私たちは、子どもを安心して産み育てられる状況、子育て負担の軽減を図ることを重点課題の一つと考えています。中でも、出産、子育て、教育の費用負担を減らし、格差固定社会の是正が重要であります。そのため、比較的収入の低い若年世帯の経済的負担を軽減することが、まず必要と考えております。国において、恒常的な施策として子ども手当の支給、出産育児一時金の引き上げを行っていく。その上で、さらに都として、大都市東京に必要な上乗せ、横出し補助を実施するという二段構えで負担感を軽くし、生活の向上を実感していただき、結果として少子化傾向に歯どめをかけることができるものと考えております。
 まずは、子どもが誕生するときにかかる大きな出費、出産費用です。東京では医療機関への支払いだけで平均五十一万五千円と、各種健康保険から支給される出産育児一時金は三十八万円、十月からは四十二万円でありますが、それでも到底賄い切れない額になっております。子どもが生まれるときには、ほかにもさまざまな出費がかさみ、親、さらには祖父母世代の収入も伸び悩む中では重い負担と考えます。出産育児一時金についても、都内の若年世帯の収入、出産に伴うコストを勘案し、必要な額を算出し、都独自の上乗せを行うことを検討すべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。
 続いて、保育サービスの供給について伺います。
 都は、去る六月の東京都議会定例会において、都保育所整備の前倒し実施を表明し、緊急整備に取り組むとしました。少しでも多くの保育所を早急に整備し、幼い子どもを抱えて困っている親を支援することは歓迎いたします。しかし、これが単に既存計画の前倒しに終わることなく、今後も継続して保育所整備を進め、保育所を利用する必要に迫られている多くの都民ニーズにこたえるため、保育所整備を拡充すべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、待機児童の解消に向けた取り組みについて伺います。
 民主党は、保育所の整備に加えて、認証保育所の保護者負担軽減や保育ママなどの家庭的保育など、さまざまな施策の実施を求めてきました。
 東京では、五年前よりも定員で一万七千人分の保育所がふえています。当時の待機児童五千人を上回って整備をしても、待機児童は、平成二十年四月には五千四百七十九人で二百五十六人、十月には五百七十三人の増加、ことし四月には、経済状況の急激な悪化を受けて急増し、七千九百三十九人、前年同期比二千四百六十人の増加となっています。
 保育所の利用ニーズは、待機児童数がすべてではなく、保育所利用申し込みをしたが利用できない人数だという当たり前のことを、まずは認識していかなければなりません。すると、待機児童数だけでなく、潜在的待機児童の問題となってきます。
 内閣府の検討会で平成十五年に試算した結果、東京の潜在的待機児童数は約七万人で、これをいま一度精緻に把握し、真剣に考えていかなければなりません。保育所整備方針を考えるとき、潜在的待機児童は視野に入っておりません。把握の努力もしておりません。保育所整備だけでは待機児童の解消はできないことは明白であります。
 そこで、私たちのマニフェストでは、この数を視野に入れ、さらにどう解決するかの方向性も含めて、保育所をもっとつくれというだけなら大変楽ですが、あえて将来的に保育クーポンという書き方をさせていただきました。保育所は法に定める制度で自治体には努力義務がありますが、予算面では一事業の域を出ません。事業規模については、事業主体である区市町村の意向や予算の著しい制約を受けています。国政と連動しての対策が必要ですが、ここを打破する仕組みへと改革をしていくべきだと考えます。
 新たな次世代育成支援行動計画の策定も控え、真の待機児童解消に向けた調査検討を行うべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 教育の格差解消について伺います。
 民主党は、石原知事の公約として低所得者減税が打ち出された当初から、低所得者への支援は、税の減免ではなく自立支援策の給付によって行うべきと申し上げてまいりました。いわゆる公約の進化が起きてからは、生活保護水準の一・一倍という適用基準は厳格過ぎ、真に格差の分水嶺となっているラインからはかけ離れていると指摘し、都事業の要件緩和を求めてまいりました。
 中でも教育格差の解消については、義務教育における基礎的、基本的学力の確実な定着に向けた指導に加えて、学校外での学習も必要と考えます。学習塾などの利用を支援する取り組みは、所得要件を緩和し、より多くの経済的困難を抱える家庭が利用できるようにすべきと、繰り返し申し上げてまいりました。経済の低迷が長引く中で、子どもたちも学校外での学習機会を確保し、すべての子どもが基礎的、基本的学力をつけて社会に巣立てるよう、所得要件を緩和すべきと考えますが、所見を伺います。
 続いて、高等学校教育について伺います。
 民主党は、高等学校の実質無料化を掲げ、公立学校は無料化、私立高等学校の通学者にも授業料補助を行うとしております。私たちは、今後関係者ともよく相談し、よりむだのない形で、より多くを都民に還元できる実施を目指して取り組んでいく所存であります。
 都内の私立高校の授業料の平均は四十一万六千円であり、国において、公立高校と同等の約十二万円相当から低所得者に対して二十四万円の補助が実施されたとしても、全国平均の約三十五万円と比べ、なお高い負担になります。都として、少なくとも五万円の学費負担軽減補助を実施する必要があると考えます。こうした負担軽減の実施について、しっかりと検討していくよう求めるものですが、所見を伺います。
 次に、環境施策について伺います。
 民主党は、東京マニフェスト二〇〇九において、東京グリーンニューディールで、新エネルギーと緑の創出を約束しますとして、一つに、杉の木三百万本分の太陽エネルギーの利用拡大で温暖化対策を進めることを打ち出しました。
 既に東京都においては、平成十八年三月に再生可能エネルギー戦略を策定し、二〇二〇年までに東京のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%程度に高めるという目標を打ち出しているところです。昨年九月の補正予算では、今年度当初から太陽エネルギーの補助事業が円滑に実施されるよう、九十億円の債務負担行為を可決したところであります。
 しかし、一方、ことし四月一日から八月三十一日までの五カ月間の実績は二千二百一件という状況であるとともに、太陽光発電に比べ、太陽熱を利用したソーラーシステムや温水器の設置はわずか五十九件とおくれており、まだまだ工夫の余地があるように思われます。
 今後さらなる工夫を進めながら、太陽エネルギーの利用拡大に向けて積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 カーボンマイナス十年プロジェクトと並んで都が重点的に取り組んでいる事業として、緑の東京十年プロジェクトがあります。同プロジェクトで打ち出されている海の森の整備や街路樹倍増百万本、あるいは校庭の芝生化など、施策は着実に取り組んでもらいたいと思いますが、中でも屋上緑化については、さらに踏み込んだ取り組みが必要ではないでしょうか。
 屋上緑化は、新たに建てられる建築物については条例に基づき着実に緑化されますが、既存建築物については、それを進める仕組みがなければ、せっかくの空間が緑化されないまま放置されることになります。現在、東京都では、既存建築物の屋上緑化に向けて、モデル事業の実施や緑地評価制度の検討に取り組んでいるところです。
 私は、緑の東京十年プロジェクトを着実に進めるためにも、既存建築物などへの屋上緑化も進むよう積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京には、島しょ地域も含めて約七万九千ヘクタールの森林があり、東京の面積の約四割を占め、CO2削減効果は、約十二万世帯の家庭が一年間に排出する量に匹敵するそうです。しかしながら、木材価格の長期低迷などにより林業が低迷し、森林再生の取り組みが急務となっています。
 東京都においても、平成十六年に森づくり推進プランを策定するとともに、ことしの三月にはプラン改定を行うなど、前向きに取り組んできたところです。
 しかし、一方で、京都議定書議決以降、ここ十数年を見ても、東京の製材用の木材生産量はおおむね漸減傾向にあり、直近の平成十九年度の生産量を見ても、約一万三千立米と、十年前の半分以下に落ち込んでいます。
 森林再生は、地球温暖化対策を進める上で、CO2の吸収源としての役割も期待されています。多摩産材については、CO2固定量の見える化を図ることで利用拡大に寄与することが期待されます。
 私は、これら取り組みも含めて、都内全域で東京木づかい運動を展開し、多摩産材の活用拡大に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、行財政改革について伺います。
 中央集権体制から地域主権に向けた動きが着実に進み、先日は、我が党と地方六団体による国と地域の協議の場の設置が合意されるなど、省庁みずからも分権改革を積極的に行っていく必要に迫られています。
 一方、地方自治体も、新たな制度の導入により、自治体が担う公共性が問われるとともに、財政健全化法などの改革も行われ、分権時代の地方政府の基盤を固めていかなければなりません。
 今回、民主党はマニフェストにおいて、情報公開の徹底により公正な都政を実現していくと訴えました。そこで都は、都政への都民参加を促進し、住民自治を確立していくためにも、都民に対する情報公開をより高めていく必要があります。
 そこで、情報公開制度による公文書の開示は、主権者である都民に説明責任を果たす事務だと認識し、制度の阻害要因ともいわれる閲覧手数料を廃止すべきです。他県では静岡県が、県民により利用しやすい制度とするため閲覧手数料を廃止し、現在、東京都など二都県のみが徴収し続けています。
 都は、情報公開制度における閲覧手数料を廃止し、住民自治を向上させる取り組みを行っていくべきです。都の見解を伺います。
 都は、行政運営の支援、補完を行う監理団体の改革を続けておりますが、近年も指定管理者制度の本格導入や公益法人改革、三セクなど監視強化の動きなど、公を取り巻く環境はさらに変化しております。今定例会においても、役割を終える東京都道路公社の解散議案が提出されるなど、監理団体は、今後も都民の利用者としての視点に加えて、公益性を改めて考えるとともに、都民の主権者としての視点の改革を行っていくべきだと考えます。
 そこで、自立に向けた経営を高めていくため、主要事業に精通する、所管局を歩むなどして就任してきた都幹部OBの役員数を見直し、生え抜きや外部経験者などの役員をふやしていく。プロパー職員の育成を推進するため、監理団体所要人員計画で決められた都職員の派遣数を減らしていく。そして、財政支出に関しても検証していくことが必要です。
 各監理団体が自立的運営をより促進し、都も人的関与や財政支出を適正化し、それぞれが二十一世紀の公共分野の一翼を担う立場を高めていくべきだと考えます。都の見解を伺います。
 人事院の、公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会が、年金支給開始年齢の引き上げに伴い、公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げる提言をまとめました。これは昭和六十年の定年制導入以来の人事管理の見直しに向けた大きな動きです。都における昨年の幹部職員の退職状況は、二百七十六人中、再就職者が百六十一名に上ります。そのうち、都が情報提供、あっせんしたのは百三十一名です。
 全国では二十四府県が、再就職の公正性や透明性を確保するため、部課長級以上の幹部職員の天下り、再就職情報を公表しています。
 一方、都は、都議会民主党の質疑により、局長級の幹部の氏名などを公表することとなりましたが、その範囲はまだまだ限定されたものになっています。
 そこで、都は都職員の再就職に関して、民間企業や報告団体などに再就職した部課長級の氏名を公表するとともに、あっせんや再任用制度の活用、自己開拓などの区分を行う、監理団体への再就職の理由を公表するなど、幹部職員の天下り情報をさらに公表していくべきです。都職員の再就職の公正性や透明性をより高めるとともに、都民の誤解を招かないよう、より開かれた都政を目指していかなければなりません。都の見解を伺います。
 加えて、中小企業両立支援推進事業の目標時期を大胆に前倒しすることに対してお伺いいたします。
 制度の充実強化を図るなど、ワークライフバランスに考慮した労働環境の整備を進めるべきと思いますが、見解を伺います。
 最後に、参与について伺います。
 石原知事は、八月末、相沢英之氏を東京都参与に選任いたしました。委嘱の分野は経済財政であり、これで、参与は相沢氏を含めて六名となりました。参与は、規則において、知事の策定する重要な施策について知事に進言し、または助言するとされていますが、数多くの経済財政の専門家がいる中で、知事が相沢氏を選任した基準はどこにあるのでしょうか。
 また、経済財政分野と聞けば、都政関係者は新銀行東京に関しての助言ではと思慮するのですが、この状況で元金融再生委員会委員長を選任したということに特別の意味があるのでしょうか。今後の都政で何を目指し新参与を選んだのか、わかりやすい説明を知事からいただきたいと考えます。知事の見解を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 なお、答弁によっては再質問を留保します。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大沢昇議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、今回の都議選についてでありますが、今回の選挙に限らず、都議選とは、知事と議会の二元制のもとで、その時々の都政のさまざまな課題について、総体として都民の判断を仰ぐものと考えております。
 しかし、加えて今回は、地方自治体の選挙の枠組みを超えて、国政の動向が強く反映されるという事態になりました。いってみると、国の総選挙の前哨戦にされてしまった嫌いがございます。その結果、敗れた自民党の中央の幹事長が地方自治体の都議会にわびに来るという、まさに未曾有の事態が起こりましたが、結果は結果として厳粛に受けとめますけれども、これによって新銀行初め都政の限られた案件について審判が行われたものとは考えておりません。
 新銀行東京は、これまでも多くの小零細企業を支援しておりまして、現在、再建に向けた取り組みは着実に進んでおります。
 次いで、新銀行東京の経営悪化の原因究明についてでありますが、新銀行東京は、外部の弁護士に委託し、経営悪化の原因究明を行ってまいりました。この中で、不良債権の問題のほか、システムの関連を含め、さまざまな調査分析を十分に行っております。その上で、外部調査報告書は、法的責任を問うことができるのは危機的なデフォルトの発生状況に対して抜本的な対策を講じなかった旧経営陣であるとしております。現在、新銀行東京は、旧経営陣に対し訴訟の準備を進めております。
 その法的責任については、今後、司法の場において明らかにされることになると思います。したがって、新たに第三者機関を設ける必要は全くないと考えております。
 次いで、新銀行東京の旧経営陣に対する責任追及についてでありますが、責任の所在については、ただいま述べたとおり、司法の場において明らかにされるべきと考えております。新銀行東京は、既に旧経営陣に対して損害賠償請求訴訟を提起する方針を決定しておりまして、その姿勢は明確であります。
 訴訟に勝つために必要かつ十分な準備を行っておりまして、その準備ができ次第、速やかに提訴すると聞いております。
 次いで、私の発言と新銀行東京からの報告についてでありますが、まず、選挙の応援演説での発言についてまで議会で話題にするのはいかがなものかという気がいたします。
 都は、新銀行東京の再建に当たって経営監視を強化しておりまして、大株主として業績見通しの把握に努めることは当然であります。また、それに対し新銀行東京が、企業としてしかるべき時期に大株主に対して見通しを示したものであります。ゆえにも発言の中では、近々正式の発表もあろうがというふうに言及しております。
 いずれにしろ、選挙の関心事の一つでありましたこの問題について、都民にとっていい情報を入手していたわけですから、それをそのまま速やかに伝えることが私の責任だと思って言及いたしました。このことを、銀行法と絡めて問題にすることは当たらないと私は思います。
 次いで、市場の問題でありますけれども、現在地再整備の検討機関の設置についてでありますが、これは歴史的な推移というものを踏まえてひとつお考え願いたい。
 鈴木都政の時代から二十年かけてさんざん議論して、いろいろ論争もありましたけれども、現在の結論を得たわけであります。とにかく現在地再整備についても、過去に四百億円を投じて工事を推進しましたが、工事に必要な種地が確保できないことに加え、工事期間が二十年以上に長期化し、市場業者の経営に深刻な影響を及ぼすことなどから、中断いたしました。
 その後も、現在地再整備の可能性を検討しましたが、実現は困難との結論に至りました。
 既に築地市場は、老朽化、狭隘化が深刻でありまして、災害時における耐震性やアスベストの問題など安全性の面からも早急な対応が必要であります。豊洲地区への移転は、こうした状況を踏まえ、関係者間でさまざまな案を検討し、都議会でも十分審議した上で決定したものであります。
 しかるに、その土地にとんでもない事件が起こった。再調査の結果、有害物質が基準値の四万数千倍というものが発見されました。これは私にとってもショックでありまして、ということで、これは何とかならぬかということをいろいろ聞き合わせましたら、日本の産業界というのは海外でも活躍しておりまして、そういった経験を踏まえて必ず新しい技術というものが適用できるはずだということで、この新市場予定地の土壌汚染対策については、首都大学東京の学長でございます──この人は、この業界では、学会では、ある意味では欧米諸国でも活躍されておりますが、彼を座長にしまして、環境、土木などの各分野の最高権威の学者の方々で構成される技術会議で、広く民間から二百を超える提案を受けまして、これを審査し、科学的知見に基づきましてあらゆる角度から詳細に検証していただきました。その結果、信頼性が高く安全性に不安のない対策が提言されました。
 都としては、技術会議の提言に基づく日本の最先端技術を活用して、万全の土壌汚染対策を確実に実施し、新市場整備を進めていくことが必要であると考えております。
 これにもし疑義がおありならば、あくまでもこの原島座長たちが提案した、この問題解決のための日本の先端技術を駆使しての解決法について、ひとつ討論を行うことは大変結構だと思います。そして、それを踏まえて民主党にもし具体的な代案があるならば、専門性のある代案があるならば、早急にお示し願いたい。
 次いで、薬物乱用防止対策についてでありますが、薬物の乱用は心身をむしばみ、人の人生を、一生を台なしにするばかりか、学校、職場、社会の秩序を乱すものでありまして、その害悪ははかり知れません。昨今の芸能人、スポーツ選手や大学生に広がるさまざまな薬物乱用の実態は、極めて憂慮すべきものであります。
 都は、これまで薬物乱用の一掃に向けて、脱法ドラッグ条例を制定するなど全庁を挙げて取り組んできましたが、こうした状況を踏まえ、青少年を対象とする徹底した啓発活動、インターネット取引といった乱用実態に対応した指導、取り締まりなど、対策を一層強化していくつもりでございます。
 さらに、規制の網から漏れている薬物を把握し、国に対して実効性のある法規制を求めてまいります。
 今後とも、行政、警察、地域が一体となり、薬物の恐ろしさをあらゆる機会をとらえて繰り返し訴えるなど、薬物乱用の根絶に全力を尽くしていきたいと思っております。
 他の質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。(「ちゃんと答えてください。答弁漏れ」と呼ぶ者あり)その問題については、知事本局長から答弁いたします。
   〔警視総監米村敏朗君登壇〕

○警視総監(米村敏朗君) 警視庁における薬物事犯の取り締まりの状況と今後の対策等についてお答えいたします。
 都内における薬物事犯の検挙人員は、減少傾向にはあります。全国においても同様の傾向であります。ただ、反面、薬物の押収量は増加傾向にあるということであります。
 議員ご指摘のとおり、芸能人あるいはスポーツ選手等の著名人、または大学生等の若者による薬物乱用が昨今社会的な問題となるなど、現下の薬物情勢は憂慮すべき実態にあろうかと思います。
 こうした情勢を踏まえ、警視庁では、巧妙化、多様化する密輸、密売事犯に対して、関係機関との連携による対策を強化するなどして、国際郵便の悪用による隠匿事案や薬物の運び屋による携帯密輸事犯等を水際で検挙しております。
 また、昨今、イラン人密売グループ等は、取引場所を繁華街から住宅街に移すなど密売行為を一層巧妙化させていることから、取り締まりの体制を強化するとともに、麻薬特例法等の法令を駆使して、密売組織の一斉検挙と末端乱用者の徹底検挙に努めているところであります。
 ちなみに、ことし八月末現在、千七百六十六人を検挙し、覚せい剤、大麻等約八十三キログラム、MDMA等約一万一千錠を押収しているところであります。
 このうち覚せい剤──我が国の薬物事犯で最大の問題は覚せい剤ではなかろうかと思います。覚せい剤につきましては、この一月から八月で六十キログラムを押収しておりますが、一言で六十キログラムといいますと、通常覚せい剤を注射器で使用した場合の一回分の使用量というのは、約〇・〇三グラムです。ということは、六十キロということは約二百万回分に相当する量であります。昨年一年間で我が国で四百キロの覚せい剤を押収したかと思いますが、それを〇・〇三で割りますと約一千三百万回分の使用量に相当するということであります。
 ちなみに覚せい剤というのは、明治の末期に我が国で世界で初めて合成に成功した合成麻薬であります。以来、日本は世界最大の覚せい剤の市場となっております。しかも我が国の場合は、極めて純度の高い高品質のものでなければなかなか通用しないということでありまして、その分、非常に高値で取引をされていると。現在、末端価格は一グラム当たり六万円ないし九万円ということでありますし、少し以前は一グラム当たり十二万円くらいで取引もされていたということであります。
 したがいまして、この日本の市場に対する密売グループの外国からの仕出し圧力というのは、ある意味では極めて大きいということかと思います。ほとんどすべての覚せい剤は、外国で密造されております。国際的な犯罪組織の手によって国内に密輸をされておりますが、こうした密造地が世界のあちこちに拡散拡大しているということ、あるいは密輸方法の多様化、さらには国内における末端の密売方法の多様化等によって、先ほど申し上げました押収量あるいは検挙人員を超えて、我が国における、とりわけ覚せい剤の薬物情勢というのは、極めて深刻なものではなかろうかというふうに考えております。
 警視庁といたしましては、まず、この薬物の依存性、危険性というものを社会に広くアピールをするということで、薬物乱用防止に向けたキャンペーンを繰り返し展開をするということであります。加えて、薬物乱用防止教室の開催等、広く繰り返し啓発活動を展開しているところであります。
 先般九月九日には、芸能界の関係団体の方に当庁に来ていただきまして、薬物乱用根絶のための意見交換会を開催したところでありますが、趣旨は、今申し上げたものでございます。
 いずれにしても、違法薬物の水際阻止、密輸、密売グループの徹底検挙、壊滅ということが最も大事な課題ではなかろうかと、こう考えております。
 加えて、末端乱用者の徹底検挙を図るなど等々薬物乱用根絶対策を引き続き強力に推進してまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、薬物乱用防止教育についてでございます。
 大麻や覚せい剤などの薬物乱用につきましては、個人の健康や人格形成を損なうだけでなく、家庭内暴力や犯罪の増加など社会全体にも甚大な影響を与えるものであり、法律で厳しく禁止されています。
 しかし、昨今、インターネットや携帯電話の普及により、違法薬物の入手が容易になるなど、青少年が薬物の誘惑に巻き込まれやすい状況が生まれてきております。
 現在、児童生徒は、小学校、中学校、高等学校と、いずれも保健の授業において、発達段階に応じ、薬物乱用による健康被害について繰り返し学習することにより、その有害性を認識し、適切に健康を管理改善していく力をはぐくんでおります。
 また、こうした授業の内容をより深化させるため、学校では、警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師などを講師に招いた薬物乱用防止教室を実施しております。
 さらに、都教育委員会は、教師向け指導資料を作成、配布いたしますとともに、大学等の専門機関と連携した教員研修を実施し、薬物乱用防止に関する指導力向上に努めてまいりました。
 今後とも、こうした教員研修を継続して実施するとともに、薬物乱用防止教室や薬物乱用を取り上げたセーフティー教室の一層の充実を働きかけ、すべての公立小学校、中学校、高等学校が必ず年一回実施するよう指導してまいります。
 次に、公立小中学校及び幼稚園の耐震化に向けた今後の取り組みについてでございます。
 学校施設は、幼児、児童、生徒の学習、生活の場であるとともに、災害発生時には避難場所となるなど、重要な役割を担っており、耐震化を早急に完了する必要がございます。
 都は、「十年後の東京」の策定により、平成二十七年度までに小中学校等の一〇〇%耐震化を図ることを目標とし、取り組んできたところでございまして、平成二十一年四月現在の耐震化率は八二・六%まで上昇しております。
 さらに、学校施設の耐震化の重要性、緊急性にかんがみまして、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九において、Is値〇・三未満の建物については平成二十二年度までに、Is値〇・六未満の建物については平成二十四年度までに耐震化を完了することを目標とし、「十年後の東京」に掲げた目標を三年前倒しいたしました。この目標を実現するため、都教育委員会は、昨年度から区市町村に対する財政支援及び人的支援を行うとともに、学校ごとの耐震化における個別具体的な課題の把握やその解決に向けた助言に努めるなど、耐震化を加速するための取り組みを進めております。
 今後も、区市町村との連携をさらに深めまして、これまでの取り組みを強化することにより、早期に学校施設の耐震化完了を図ってまいります。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 河川整備の今後の取り組みについてお答えいたします。
 水害から都民の命と暮らしを守るためには、中小河川の整備を着実に進めることが重要であります。このため、都は河川の拡幅を基本に、道路や公園の地下を利用した調節池や分水路を設置するなど、さまざまな工夫のもと、五〇ミリ降雨対策を進めております。
 引き続き、近年水害が発生した神田川や石神井川など整備を促進すべき河川の拡幅を進めるとともに、拡幅の困難な古川においては、河川の地下空間を活用した調節池を整備するなど、治水安全度を向上させてまいります。
 今後とも、必要な財源確保などに努め、中小河川の水害の早期軽減に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな融資制度の取り組み状況についてでございますが、本年第一回定例会において条例案のご議決をいただき、それ以降これまでの間、地域の金融機関を初めとする関係機関との調整を進めるとともに、民間保証機関から融資スキームの企画提案の募集を行ってまいりました。
 現在、取扱金融機関と保証機関との間で実務的な協議を進めておりまして、今月中の制度開始を目指してまいります。
 なお、第一回定例会における審議の中で明らかにいたしましたように、本制度につきましては、日ごろの取引を通じて企業の顔が見えている地域の金融機関と連携して取り組む考えであり、幅広く金融機関の協力を得たいと考えております。特定の金融機関を念頭に置いたり排除したりするものではございません。
 次に、緊急の雇用対策についてでありますが、世界同時不況に伴う雇用情勢の急速な悪化を受け、都は、昨年度から雇用創出につながる公共事業を実施するとともに、本年度は、都独自の緊急雇用創出区市町村補助事業や、国の交付金による緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別基金事業の二つの基金事業により、切れ目のない雇用の創出に取り組んでおります。
 これらの雇用創出事業が十分効果的に行われるよう区市町村とも連携を密にして取り組んでおり、既に約六百の事業を実施しております。今後とも、厳しい雇用情勢に的確に対応し、雇用の創出に積極的に取り組んでまいります。
 次に、職業訓練の拡大、充実についてでございます。
 都は、雇用情勢の悪化に対応して、本年度、離職者向け職業訓練を大幅に拡大し、前年度の七倍、約七千人の規模で実施することとしております。また、訓練の開始時期を例年よりも早めまして、四月から毎月実施しており、訓練科目についても、より求人ニーズの高いITや介護分野を中心に設定するなど、その充実に努めております。
 一方、国が行う職業訓練についても、実施規模の急速な拡大が図られております。
 都としては、総体として、都民のニーズにこたえられるように職業訓練を実施し、離職者の再就職を支援してまいります。
 次に、都内中小企業の資金需要への対応についてでありますが、都は、制度融資の融資目標額の設定に当たり、利用実績はもとより、各種の景況調査や信用保証協会及び金融機関などとの意見交換を踏まえまして、都内中小企業の生産、売り上げや資金繰り等の動向をとらえ、その資金需要の的確な把握に努めているところでございます。
 本年六月の補正予算におきましては、国の緊急保証制度に対応した融資メニューであります経営緊急を含む経営支援融資の目標額を、二千五百億円から七千億円に拡大し、預託金を四百七十億円積み増すなど、必要な経費を確保いたしました。
 今後の都内中小企業の資金需要については、設備投資の動向など不透明な部分が多くありますが、都としては、都内中小企業の資金需要を的確に見きわめつつ対応してまいります。
 続いて、中小企業の資金調達に係る負担の軽減についてでありますが、都は、昨年度から、経営支援融資や小口資金融資において、小規模企業者に対して過去最高水準となる保証料の二分の一を補助する独自の対応を行っております。
 また、制度融資の最優遇金利は、金融機関が最も信用力のある企業に適用する貸出金利であります短期プライムレートとほぼ同水準でありまして、本年四月には、この間の金利動向に合わせて最優遇金利をさらに〇・四%引き下げたところでございます。
 このように、都は他の道府県と比べましても格段に手厚い措置を既に講じているところでありまして、現下の厳しい経済情勢のもと、引き続き都内中小企業の負担の軽減を図ってまいります。
 次に、多摩産材の利用拡大についてでございます。
 多摩産材の利用拡大は、東京の林業を振興し、伐採、利用、植栽、保育という森林の循環を再生する重要な取り組みであります。また、地球温暖化防止にも貢献するものであります。
 このため、多摩産材利用推進方針を策定し、都みずから公共施設などで利用拡大を図っております。さらに、多摩産材を広く普及するための提案公募型事業を実施するなど、民間での利用拡大にも努めております。
 加えて、本年三月に森づくり推進プランを改定し、重点的取り組みとして、多摩産材の品質向上など供給体制の整備と需要の開拓、多摩産材の二酸化炭素固定量の数値化とその表示方法等の検討を行うこととしております。
 今後とも、森づくり推進プランを着実に実施し、多摩産材の利用拡大に取り組んでまいります。
 最後に、ワークライフバランスに配慮した労働環境の整備についてでありますが、平成二十三年四月以降、一般事業主行動計画の策定、届け出義務企業が拡大されますが、都内企業の大宗を占める従業員百人以下の企業については、依然として努力義務でございまして、積極的な支援が必要であります。
 仕事と家庭の両立支援を推進していくためには、中小企業両立支援推進助成事業において、責任者設置から社内の意識啓発やルールづくりへと進めていく必要がございます。
 現状では、責任者設置は、予定数の五百社を超える企業から申請をいただいているものの、ルールづくり等については、その半数程度にとどまっております。このため、企業の相談に応じながら取り組みを働きかけるとともに、申請期間の延長などの改善も図っているところでございます。
 今後ともこの制度を活用し、中小企業におけるワークライフバランスを推進してまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民の声を幅広く聞く場を設けることについてであります。
 築地市場の移転整備に関し、都に寄せられた意見では、新市場予定地の土壌汚染に関することや、観光資源としての築地の存続などが反対の主な理由になっております。一方で、賛成する理由としては、築地市場の狭隘化や衛生面の問題などが挙げられております。
 こうしたことから、都といたしましては、築地での再整備は現実的に不可能であり、移転が必要なことや、新市場予定地においては、技術会議の提言に基づく日本の最先端技術を活用した信頼性の高い土壌汚染対策を講じることで、安全性に不安がないこと、加えて、築地で培われた食文化の伝統を継承しつつ、新たな観光拠点となる施設を整備することなどをわかりやすく説明し、正確に理解していただくことが必要と考えております。
 このため、市場業者に対し、これまで繰り返し説明してきておりますが、この九月、江東区豊洲地区において開催した住民説明会では、映像、写真、イラスト等を用いて、よりわかりやすく説明するとともに、質疑応答を通じて住民の声に幅広くこたえました。
 今後とも、広く都民を対象に説明会を実施していく予定であり、都民の一層の理解が得られるよう努めてまいります。
 次に、意向調査の実施など、市場業者の実態把握についてでございます。
 築地市場の豊洲地区への移転につきましては、業界からの要望を受けて決定したもので、整備内容につきましても、施設計画の各段階において業界団体と協議を重ね、その意向を反映した上で取りまとめてまいりました。
 一方、専門小売店の減少や景気の低迷など、市場を取り巻く状況は大きく変化し、多くの市場業者の経営は悪化しております。さらに、経営者の高齢化や後継者問題など、さまざまな課題を抱え、将来の営業に不安を感じております。
 こうした状況の中、移転を円滑に進めるためには、市場業者に十分に説明を尽くし、個々の事業者が持つ不安や課題などをきめ細かに把握し、対応を検討していく必要があります。
 都はこれまで、土壌汚染や新市場の施設計画につきまして、業界別に繰り返し説明するとともに、意見交換の場を設けるなど、情報提供や実態把握に努めてきており、現在、移転経費などの支援策について各業界団体と意見交換を行っております。
 今後は、こうした取り組みに加え、個々の市場業者に対しましても面接を実施し、それぞれが抱える事情や移転に対する意向、要望など、きめ細かい実態把握に努めてまいります。
 最後に、土壌のコアサンプルについてでございます。
 専門家会議の助言に基づき、新市場予定地における土壌の深さ方向の汚染状況を調査するため、地表から一メーターごとに土壌を円筒形にボーリングしたコアサンプルを採取してございます。
 この土壌コアサンプルは、汚染物質を分析するとともに、土質や地層の状況を確認するために採取しており、計量法に基づく計量証明事業者が行った分析結果、ボーリング柱状図など、汚染状況や土質、地質に関するデータにつきましては、既にホームページ上で公開してございます。
 このように採取した土壌コアサンプルにつきましては、目的としたデータはすべて得ており、その分析結果も公表していることから、保管は必要ないと考えておりますが、その取り扱いについて係争中であるため、一定期間保管をいたします。
 なお、情報公開につきましては、現在、調査が終了し、報告を正式に受理したものにつきましては、速やかにその内容を公表しております。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) まず、救急医療に関しまして、地域における医療機関のネットワーク化についてでございます。
 救急患者を迅速に受け入れるためには、救急医療機関が相互に連携協力することが重要であります。こうした考え方に立ち、救急医療の東京ルールを定め、地域救急医療センターを核とした連携体制を構築してまいります。そのため、救急医療機関、消防機関を初めとする関係機関から成る地域救急会議を二次保健医療圏ごとに設置し、課題解決に向けた話し合いを行います。
 こうした取り組みを通じ、医療機関相互のいわゆる顔の見える協力関係を構築し、地域で救急患者を受けとめる体制を確保してまいります。
 次に、救急患者受け入れコーディネーターについてであります。
 東京消防庁司令室に配置している救急患者受け入れコーディネーターは、地域救急医療センターによる搬送調整が困難な場合に、都内全域を対象として受け入れ先の調整を行うこととしております。コーディネーターにつきましては、八月末の事業開始に当たって必要な体制を確保していると考えております。
 次に、保健医療政策への都民参加についてであります。
 都の保健医療の基本的計画であります東京都保健医療計画では、都民本位の保健医療の実現には、都民一人一人が自覚を持って、主体的かつ積極的にかかわることが必要であるとしております。
 救急医療におきましても、医療を受ける側と提供する側双方が救急医療対策協議会に参画して議論を深め、その中から医療に対する都民の理解と参画が重要であることを東京ルールの一つとして掲げたところであります。
 このように、施策の検討に当たりましては、都民の参加を得て行っており、今後ともこうした考え方に基づき対応してまいります。
 次に、都における医師の確保及び救急医療についてでありますが、都は、救急医療や周産期医療など、都民ニーズが高い分野の医師の定着を図るため、病院勤務医師の勤務環境改善事業を行うとともに、医師の養成という中期的視点から医師奨学金制度を創設するなど、重層的な取り組みを行っております。
 また、診療報酬の改善について、国に対して提案要求を行っております。
 さらに、救急医療の膨大な需要にこたえるため、先ほど申し上げたように、東京ルールを定め、運用を開始いたしました。
 こうした取り組みにより、今後とも適切な救急医療体制を確保してまいります。
 次に、がん対策でありますが、まずがん検診につきましては、がんの早期発見の機会となる検診の受診率向上に向けて、東京都がん対策推進計画において受診率五〇%を目標として掲げております。
 都はこれまで、ピンクリボン運動やがん検診支援サイトを通じて、普及啓発や情報提供を実施しております。
 また、区市町村に対しましては、検診案内を個別通知するなどの受診率向上の取り組みを支援するとともに、本年八月、検討会を設置し、受診率向上に向けた効果的な取り組みについて検討を開始するなど、支援を積極的に行っております。
 今後とも目標達成に向け、区市町村や関係機関と連携した取り組みを進めてまいります。
 次に、患者とのコミュニケーションについてであります。
 がんに直面した患者や家族には大きな不安や動揺が生じることから、正しい情報を提供するとともに、がんと向き合うための心のケアも含めたアドバイスを行う体制の整備が必要であります。
 このため、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院では、相談支援センターを設置し、がんに関する相談や情報提供を行うとともに、がん経験者によるピアカウンセリング事業を実施しております。
 十月から、休日・夜間相談のモデル実施を行うなど、相談支援体制の充実に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、がん医療の均てん化についてでありますが、都は、ただいま申し上げました拠点病院等におきまして、高度ながん医療の提供と地域の医療機関に対する診療支援や医療従事者に対する研修などを実施しております。
 また、病状に応じた切れ目のない医療提供を確保するため、拠点病院等から構成される東京都がん診療連携協議会におきまして、全都統一の地域連携クリティカルパスを作成しております。
 今後は、このクリティカルパスを用いて、拠点病院等と地域の医療機関との双方向での医療連携を充実し、地域全体の医療水準の向上を図ってまいります。
 次に、がん登録についてでありますが、現在、拠点病院及び認定病院において院内がん登録を行っておりますが、今後、より多くの医療機関に院内がん登録の取り組みを広げ、都全域を対象とした地域がん登録の実施につなげてまいります。
 このため、今年度、学識経験者や医療機関等から成る検討組織を設け、具体的な検討を行うこととしております。
 次に、新型インフルエンザ対策でありますが、まず、新型インフルエンザのサーベイランス体制についてであります。
 都は、新型インフルエンザ発生直後から、患者の発生動向を迅速に把握するため、保健所や関係機関との緊密な連携のもと、都独自の仕組みであります東京感染症アラートを発動し、サーベイランス体制を強化してまいりました。
 流行期に入りました現在は、感染拡大や重症化を防止するため、大規模な流行につながる集団発生、重症患者の早期把握に重点を置きましたサーベイランスを実施するとともに、ウイルスの遺伝子分析を強化し、毒性の変化、薬剤耐性等を常時監視しております。
 今後ともサーベイランスを的確に実施し、都民や関係機関に対して適切に情報提供を行ってまいります。
 次に、新型インフルエンザの入院医療体制の確保についてであります。
 都は、国に先駆け、計画的に抗インフルエンザウイルス薬等の備蓄を進めているほか、独自の補助制度を創設し、医療機関における入院病床の整備や、人工呼吸器等の医療資器材の整備を支援するなど、重層的な対策を講じております。
 秋冬の大流行期には、多くの入院患者が発生することも懸念されるため、都内の全病院に対し、その対応を要請いたしました。さらに現在、ICUの稼働実績や人工呼吸器の保有状況を把握するなど、入院医療体制の確保に努めております。
 次に、大型連休中における抗インフルエンザウイルス薬の確保についてであります。
 都は、既に東京都医師会、東京都薬剤師会、東京医薬品卸業協会との調整によりまして、連休前に診療所や薬局に十分な在庫を確保するとともに、万一不足が生じた場合におきましても、速やかに抗インフルエンザウイルス薬を供給する体制を整えているところであります。
 次に、住まいと防災に関しましてお答えいたします。
 まず、給与や賞与の減収により、住宅ローン返済が困難になった都民に対する無利子貸付についてでありますが、こうした事例につきましては、個人資産の形成に対する支援の是非など、さまざまな課題があると認識しておりまして、公費の投入を行う考えはございません。
 次に、救急医療機関の耐震化についてでありますが、平成二十年五月現在、患者が利用する建物のすべてが新耐震基準を満たしていない病院は百五十病院であり、都内全病院の二三・二%に当たります。都は、「十年後の東京」計画などにおいて、病院の一〇〇%耐震化を目標に定め、耐震補強等の支援を行っております。
 とりわけ、救急医療や災害医療の拠点となる医療機関の耐震化は急務でありまして、補助率を引き上げるなど、支援内容の充実を図っております。また、今年度は、国の補正予算にあわせ、建てかえ等も対象とした耐震化緊急整備事業を実施する予定であります。
 次に、学びと子育てに関してでありますが、まず出産育児一時金の上乗せについてであります。
 出産に係る経済的な負担の軽減は、基本的には国が社会保障制度全体の中で対応すべき問題であり、本年十月には出産育児一時金が三十八万円から四十二万円へ引き上げられます。
 さらに、出産や育児に関する費用の負担軽減につきましては、一層充実する方向で国としての考え方が示されると認識しております。
 また、平成二十年十一月に国が開催いたしました出産育児一時金に関する意見交換会におきましては、地域ごとに異なる額を設定することに対し、多くの関係者が反対している状況にあります。
 こうしたことから、出産育児一時金につきましては、今後の国の動向等を見守ってまいります。
 次に、保育所整備についてでありますが、都は、待機児童の解消に向けて保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組んでおりますが、就学前児童人口の増加や経済情勢の悪化等により、待機児童が増加いたしました。
 こうした状況を踏まえ、本年六月の補正予算で、事業者と区市町村の負担を大幅に軽減する独自の支援策を講じ、今年度の整備目標を当初計画の一・五倍の八千人に引き上げることといたしました。
 平成二十二年度以降の整備につきましては、都が今年度策定する次世代育成支援後期行動計画の中で数値目標を設定し、これに基づき整備を進めてまいります。
 次に、待機児童解消に向けた調査検討についてでありますが、次世代育成支援後期行動計画におきましては、顕在化しているニーズだけでなく、潜在的なニーズも把握し、サービス供給の実現可能性を踏まえた上で整備目標を設定することとされております。
 現在、区市町村においてニーズ量と整備目標を精査しているところであり、これらを踏まえ、外部委員による次世代育成支援検討委員会にも諮りながら、都全体の整備計画を策定してまいります。
 最後になりますが、学習塾などの利用を支援する取り組みについてであります。
 都は、将来の自立に向け、意欲的に取り組む一定所得以下の世帯の子どもに、塾に通う機会などを提供しますチャレンジ支援貸付事業を実施しております。
 この事業における所得の算定に当たりましては、賃貸住宅へ入居している方については、一定額を限度に家賃を収入から減額するなど、利用者の生活実態により即した運用を行っております。
 また、子育てに関する新たな支援策については、一層充実する方向で国としての考え方が示されると認識しておりまして、本事業の所得要件のさらなる緩和については、慎重に対応すべきと考えております。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 三小児病院の移転統合に伴う医療機関の充足など、地域医療確保についてお答えいたします。
 小児病院転出後の地域の小児医療体制を確保することは非常に重要であり、これまでもさまざまな対策を講じてまいりました。
 具体的には、この六月に多摩北部医療センターの小児病床数を十三床から三十五床に拡充するとともに、清瀬小児病院から三名の医師をチームで派遣する体制を新たにとっております。
 さらに今月からは、平日準夜帯での初期救急医療を週三日から週五日に拡大して実施しております。
 また、八王子地域では、都と市の協議に基づき取り組んできた結果、市内の中核病院に小児病床を新たに十二床確保できる見込みとなっており、都はこれに対し、施設や設備の整備に対する補助を行ってまいります。
 加えて、小児病院転出後の跡地と建物を活用して、八王子市が小児初期救急医療や重症心身障害児の通所事業を行うこととしております。
 さらに、梅ケ丘病院移転後の区部における小児精神医療の外来機能を確保するため、十月に大塚病院に児童精神科外来を開設いたします。
 今後とも、地元自治体、医師会等との連携のもと、小児病院転出後の地域の住民の方々が安心できる小児医療体制確保に全力で取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立学校の耐震化に向けた今後の取り組みについてでございますが、私立学校に学ぶ児童生徒の安心・安全のため、都では、平成十五年度から耐震診断、耐震補強工事等の経費の一部につきまして補助を実施しており、これまで補助対象の拡大や補助率の改善など、その充実に努めてまいりました。その結果、昨年四月現在ではございますが、私立小中学校の耐震化率は八一・八%となっております。
 「十年後の東京」計画におきましては、平成二十七年度に私立小中学校を一〇〇%耐震化することを目標としておりましたが、耐震化の緊急性にかんがみまして、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九では、達成年度を二年前倒しして平成二十五年度といたしまして、この目標を実現するため、今年度は、倒壊の危険性が高いと判断された校舎等の耐震化に係る補助率を、従来の三分の二から五分の四へ大幅に引き上げるとともに、私立学校に対する説明会や建築相談を通じて、補助制度の積極的な活用を働きかけているところでございます。
 今後ともこのような取り組みを行うことによりまして、目標達成に向け、耐震化の一層の促進を図ってまいります。
 次に、私立高校の学費負担軽減補助についてでございますが、都では、公私格差の是正を図る観点から、私立高校への基幹的補助である経常費補助を通して授業料の抑制を図るとともに、保護者の負担を軽減するため、財団法人東京都私学財団を通じて、平均的な所得以下の保護者を対象に所得状況に応じて授業料の一部を助成しております。
 また、経済的理由により修学が困難な高校生に対して育英資金を貸与しておりまして、本年四月からは貸与額を私立高校の平均授業料に相当する額まで増額し、生徒の修学上の負担軽減を図るなど、その充実に努めてきたところでございます。
 都における私立高校の学費負担軽減のあり方につきましては、国の制度変更の内容が明らかになっておらず、また、現行制度との整合性を初め、さまざまな課題もございますことから、今後、国の動向を注視しながら適切に対応してまいります。
 最後に、情報公開制度における閲覧手数料についてでございますが、都の公文書の開示に当たりましては、開示請求者に公平な負担を求める等の観点から、必要となる事務費、人件費などの実費の範囲内で手数料を東京都情報公開条例により徴収しておりますが、閲覧手数料につきましては、開示請求者に過分な負担をかけないよう、公文書一件につき百円を限度としており、平成二十年度の閲覧手数料の総額はおおむね百万円となっております。
 一方、公文書開示の現状でございますが、入札直後の公共工事の積算資料や、一定期間に食品営業許可を受けた事業者名や連絡先等が記載された台帳など、主として営利目的と思われる請求が過半数を超えているところでございます。
 また、一度に開示される公文書が数千枚にも及び、多大な行政コストがかかるケースが散見されるほか、大量の公文書開示を求めながら、実際には閲覧しないという権利の乱用が疑われるケースがあらわれるなど、制度発足時には想定されなかった新たな問題も生じている状況にございます。
 今後、情報公開制度本来の趣旨をさらに高めながら、こうした開示の現状も踏まえまして、情報公開制度全体の健全な運用に向けて適切に対処してまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、木造住宅耐震化助成制度についてでございますが、この制度は、防災都市づくり推進計画におきまして、老朽化した木造建築物が集積した区域が連担するなどにより、震災時に特に大きな被害が想定される地域として指定されました整備地域を対象としております。
 このような地域では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあるため、公的助成を行っております。
 整備地域の指定につきましては、市街地の不燃化の状況等に基づいて、現在見直しを進めておりますが、都としては、財源を効率的、効果的に活用する観点から、重点的に取り組む必要のある整備地域に的を絞って木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
 次に、耐震診断、耐震改修費用の補助についてでございますが、住宅の耐震化は、自助、共助、公助の原則に基づき、建物所有者みずからがその必要性を理解し、主体的に取り組むことが重要であり、この考え方は整備地域においても同様でございます。
 都としては、補助の上乗せではなく、まず耐震化に向けた所有者の積極的な行動を促すことが必要と考えております。
 そこで、安価で信頼できる改修工法や事例の紹介、区市町村が行う個別訪問等への支援などを実施してまいりました。さらに、本年五月には、耐震化のあらゆる相談に個別に応じ、助言を行う総合相談窓口を設置し、開設後四カ月で六百件を超える相談に対応しております。
 今後とも、都民への普及啓発を初め、各種の施策を積極的に実施し、木造住宅の耐震化を促進してまいります。
 最後に、雨水浸透施設の普及促進についてでございますが、河川や下水道の整備に加え、雨水の流出を抑制する浸透施設の設置は、豪雨対策として有効でございます。
 都は、平成十九年度に東京都豪雨対策基本方針を策定し、浸水被害が頻発している神田川などの七流域を対象に、浸透施設の設置を推進することといたしました。
 現在、特に対策を急ぐ四流域の区市に対して、個人住宅への浸透ます設置費用の補助を行っております。平成二十年度までの二年間で約八百件実施しており、引き続き普及拡大を図ってまいります。
 また、区市町村において、道路事業に合わせて設置する場合は浸透施設も補助対象とすることにより、その整備促進に努めております。
 このほか、区市町村と連携して、公園などの公共施設整備に合わせた設置や民間開発の際の事業者からの協力による整備を推進することにより、雨水の流出抑制を総合的に進め、浸水被害の軽減を図ってまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

○下水道局長(松田二郎君) 下水道整備の今後の取り組みについてでございます。
 浸水から都民の生命と財産を守るためには、下水道整備を着実に進めることが重要でございます。このため、一時間当たり五〇ミリメートルの降雨に対応できる下水道の幹線やポンプ所などの整備を計画的に進めてきております。
 特に、浸水の危険性が高い二十地区については対策促進地区として重点化を図り、平成二十九年度の完了を目途に、施設の整備を鋭意推進しているところでございます。
 今後とも、必要な財源の確保に努めるとともに、地盤の高低差など地域特性をきめ細かに考慮する設計手法を活用した効果的な施設整備などを行い、浸水被害の早期軽減に取り組んでまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、太陽エネルギーの利用拡大についてでございますが、都は国に先駆け、補助事業の創設を決定し、連携企業とともに見本市の開催など、普及に取り組んできております。
 太陽光発電の申請件数は月を追っておおむね順調に増加し、秋以降は、標準搭載化が進む新築住宅の竣工期を迎え、申請件数がさらに増加するものと見込んでおります。今後は、国の新たな電力買い取り制度の開始に合わせ、都としても一層の利用拡大を図ってまいります。
 一方、太陽熱機器は、都が中心となり、認定制度やグリーン熱証書など普及の基盤整備を進めてきましたが、太陽光発電と比べ認知度が低いなど、本格的な利用拡大に至っておりません。
 都は、エネルギー事業者や住宅メーカーなどへ高効率給湯器と一体化した高性能な新製品の宣伝普及、ブランドイメージの向上、販売ルートの多様化を働きかけるなど、積極的に普及拡大を図ってまいります。
 次に、既存建築物の屋上緑化についてでございますが、屋上緑化は、新たな緑の創出やヒートアイランド対策として有効な取り組みであります。都は平成十三年度から、独自の取り組みとして、一定規模以上の新築、増改築について屋上緑化を義務づけております。また、議会棟を初め既存の都有施設において、みずから率先して屋上緑化に取り組んでおります。
 こうした中、さらにより多くの既存建築物に屋上緑化を広げていくためには、積載加重や防水への対策、立ち入る人の安全対策などの課題の解決策や導入のメリットなどを明らかにする必要があります。
 このため、都は昨年度、既存建築物屋上緑化モデル事業を実施し、現在、施設整備の留意点や導入効果などについて検証を行っております。
 今後、こうした検証結果や都有施設での先行事例の経験を示すことなどにより、事業者等の理解を得まして、既存建築物の屋上緑化の拡大に向けて取り組んでまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、監理団体の運営についてでございますが、都はこれまで、団体の存在意義にまでさかのぼりまして、監理団体改革を積極的に進め、自立的運営を促進してまいりました。その結果、これは石原知事就任以降でございますが、団体数は、平成十一年四月の六十四団体から三十三団体にほぼ半減し、都財政支出につきましても、平成十一年度対比で三百五十五億円削減いたしました。
 またこの間、監理団体所要人員計画におきまして、都派遣職員を四千五百九十人から三千二百三十八人に減らす一方で、民間からのトップの登用や都への長期派遣研修などを通じた団体の固有職員の育成支援を行ってまいりました。
 今後とも、都民の信頼を確保し、行政責任を果たしていく観点から、監理団体改革を推進するとともに、都の行政支援、補完機能を担う監理団体に対して、適切な指導監督を行ってまいります。
 次に、都幹部職員の再就職状況の公表についてでございますが、公表に当たりましては、都民に対して透明性を高める一方で、相手先企業の経営、人材確保等への影響にも十分配慮する必要がございます。
 こうした考えから、これまで都は、職責の重い局長級職員につきましては、団体の種類を問わず、氏名、役職等の情報を公表してまいりました。一方、部課長級職員につきましては、監理団体への再就職に当たりましては、局長級職員と同様の情報を明らかにしてまいりましたが、監理団体以外の団体に関しましては、再就職者数のみを公表してまいりました。
 今後は、部課長級職員の再就職につきましても、相手先の意向、相手先での役職等も勘案しながら、透明性を一層向上させるべく適切に取り組んでまいります。
   〔知事本局長吉川和夫君登壇〕

○知事本局長(吉川和夫君) 参与の選任理由についてでありますが、都は、昨年秋に始まった世界経済の混乱と変化が続く中にあっても、東京の将来を見据えた的確な財政運営を行っていく必要があり、九月一日に就任された相沢参与は、大蔵事務次官を退官後、衆議院議員を九期務め、国務大臣として経済企画庁長官を歴任されるなど、経済財政に関する希有な情報収集力、分析力、調整力を有されており、広く都の経済財政分野全般にわたる助言をいただくため、知事が東京都参与として委嘱したものでございます。
   〔百二十二番大沢昇君登壇〕

○百二十二番(大沢昇君) それでは、再質問をさせていただきます。
 新銀行東京への四百億円の追加出資に関して、石原知事は、今回の都議会選挙の結果が、新銀行東京を初め、都政一つ一つの課題について審判が行われたものとは考えていないと答弁をされました。
 また、石原知事は三月二十六日、新銀行東京への追加出資が可決した予算特別委員会終了後、世論調査を気にしていたら政治はできないとも発言をされていましたが、世論をしんしゃくし、いかにそれを実現していくかもまた政治なのではないでしょうか。
 私たちの質問は、今回の都議選の結果が、新銀行東京への追加出資四百億円に対する都民の怒りや疑問が大きく影響したのか、しなかったのか、石原知事の認識を問うものでありますので、改めて答弁を求めるものであります。
 また、民主主義制度において、都民が政治を選択する唯一の機会が選挙であります。その選挙において、トップリーダーが発した言葉は大変重い意味を持つと思います。そのことも申し述べておきます。
 また、参与の選任について私が知事に聞いたにもかかわらず、知事本局長が答弁されたので、改めて伺います。
 相沢参与は以前、金融機関の検査、監督業務など、金融行政の全般に責任を持つ国務大臣に就任をし、事業譲渡にも詳しく、金融機関の債務超過への公的資金の追加注入は大変な問題だとも発言をしていた経緯があります。その新参与から、知事は既に新銀行東京に関する助言を受けてきたのか、それとも今後助言を受ける予定なのか、知事に明確な見解を求めます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) まず、相沢参与の就任についてでありますが、基本的には知事本局長が申し上げたとおりでございます。
 そして、これから殊さらに新銀行東京の救済運営のために、折節にそれは助言を受けることは、相沢さんに限らず周囲、見識のある方に全部いたしますが、そのために彼を委嘱したわけではございません。
 ちなみに申しますと、皆さんに評価いただいているか、記憶しているかわかりませんが、私は就任してから、選挙のときも孤立無援の戦いを最初しましたけれども、そのときに、すべての候補者は反対でありましたが、いわゆるハイリスク・ハイリターンのジャンクボンドといわれているマーケットがアメリカにあります。これはアメリカの無名に近い、しかし、有力な会社を救済する一つの方法でありまして、これを東京都で採用して、実現いたしました。
 そのときにも実はちょっと相談をいたしまして、それについて非常に評価をいただいたのも相沢さんでありましたし、他の専門家でもありました。ちなみに皆さんご記憶かどうかわかりません。これは一兆円のマーケットになりまして、このおかげでローン担保証券、社債担保証券、この二つで既に七十社を超す企業が救われて、上場にこぎつけております。
 そういった兼ね合いがありまして、相沢さんに私は非常に期待をしておりますが、同時に、この選挙の結果で、私は都民がこの銀行の問題について決定的な判断を下したと思いません。それは皆さんの説明も非常にずさんですし、足りないところもありまして、しからば、あえてきょうは申し上げませんでしたが、しきりに前回には、撤退、撤退って、撤退をどうやってやるんですか。
 一万人の人、一万社が働いて、家族を入れたら十万を超す人たちが路頭に迷うんですよ。そういったものをどうやって損害なしに……(発言する者多し)黙って聞きなさいよ。黙って聞きなさいよ。四百億の追資は認めると。だから、お願いしたんじゃないですか。その状況の中でこの銀行を撤退する、どうやって撤退するんですか。具体的にどうやって損害を少なくするんですか。
 だから、私は追資以外にないというから、皆さんにお願いして、実現した。そして、経営者もかえて、やっと四半期の黒字を出すようになった。これで単年度黒字が出れば、前に申し上げたように、セカンドステージで協力者も外国から出てくるでしょう。そういったものを期待して、私は新しい経営陣に期待しているわけでして、これは皆さんにご理解いただきたい。撤退、撤退というのは簡単ですけれども、そのときにこうむる損害はどうやって補償するんですか。

○議長(田中良君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十三番川井しげお君。
   〔百十三番川井しげお君登壇〕

○百十三番(川井しげお君) 平成二十一年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 今回の衆議院議員選挙において、我が自由民主党は下野することになりました。国民の審判を真摯に受けとめ、いま一度原点に帰り、国民本位の党再生をしていく覚悟でなければなりません。
 都議会自民党もまた、さきの都議選で議席を大きく減らすことになりました。ご支援をいただいた都民の皆様におわびを申し上げなければなりません。と同時に、選挙の際に寄せられた皆様のご支援、ご支持を忘れることなく、責任を持って都民のための政策立案、施策の実行を果たしていく決意であることを申し上げ、質問に入ります。
 申し上げるまでもなく、我々の原点であり、果たすべき責任とは、都民の生命、財産を守り、安全と安心を実現することであります。我々は、治安、医療、福祉、教育、環境、震災対策など、あらゆる分野でだれよりも汗を流してきたと自負をしております。そして、この十年、石原都知事という希有な東京のリーダーとともに、単に議会と執行機関という車の両輪の関係を超えて、協力関係を築き、数々の成果を出してきたのであります。
 しかし、現下の経済危機を初めとして、深刻化する地球環境問題など、東京と日本を取り巻く課題はなお山積しております。
 こうした中、都政において東京のさらなる発展を図り、より美しく、より安全で、都民が希望を胸に生きることができる都市を実現していくために、未来図である「十年後の東京」を実現していかなければなりません。
 将来を見据えながら、都民の生活にしっかりと根をおろした政策をつくり上げ、決してぶれることなく推し進めることが必要です。また、日本をリードしていこうという高い志の発露こそ、この国の牽引役である首都東京を預かる都政のよき伝統であると思います。我々は引き続き、与党第一党として正々堂々石原都政を支え、本筋のしっかりした都政のありようを示し、施策を確実に実行していきます。
 そこで、知事に改めて都政運営の基本姿勢を伺います。
 我が党は、石原知事就任以来、知事と手を携え、時宜にかなった都民に真に必要な行政サービスを提供しながら、徳俵に足のかかっていた都財政を土俵の中央まで押し戻し、中長期的な視点を持った、持続可能な財政を築き上げてまいりました。
 これは、石原知事と我が党が三つの基本姿勢を土台とした財政運営を行ってきた成果にほかなりません。すなわち内部努力や施策の見直しにより、効率的、効果的な財政運営を行うこと、短期、長期の双方の視点から、都民にとって真に必要な施策を選択し、限りある財源を重点的に投じること、将来を見据え、財政の対応力をバランスよく確保、活用すること、この三点であります。
 都財政を取り巻く環境を見渡すと、昨年夏から始まった経済危機による景気の落ち込みは大きく、ここに来て改善の兆しが見えてきたものの、回復基調までには至っていません。また、この景気低迷が長引くことも想定され、当面大きく好転することは期待できない状況にあります。
 その一方で、少子化など山積する諸課題を克服し、東京の将来をしっかりとつくっていくなど、中長期的な視点に立った都政運営を行っていかなければなりません。
 また、引き続き厳しい経済状況のもとにあって、雇用問題など都民生活の足元の課題にも対応していく必要があります。
 このようなときこそ、改めてこの十年間取り組んできた財政運営の原点に立ち返り、しっかりとした土台に立った財政運営を行うことが従来にも増して重要であると考えますが、知事の所見と決意を伺います。
 次に、少子化対策について伺います。
 去る第二回定例会において、我が党は日本の行く末に大きな危機として影を落とす少子化問題を取り上げ、国に具体的な政策提言を行うとともに、都が率先して行動を起こし、地に足のついた、しっかりとした政策を打ち出していくよう求めました。
 これに対し、知事は、少子化の流れを変えるべく、国を先導するために、かつてない重層的で複合的な対策を検討していくことを明らかにし、七月には佐藤副知事を本部長とする少子化打破・緊急対策本部を設置しました。我が党の提案を受け、速やかに対策本部を設置したことを評価するものであります。我が党も、党内に少子・高齢化政策推進本部を立ち上げ、今後、具体的な政策を提言してまいります。
 そもそも少子化対策は、本来国の責任として、国家挙げて取り組む問題であります。しかし、国の対策は各省庁縦割りで、質量とも不十分であるといわざるを得ません。真に実効性のある少子化対策を講じるためには、子育てサービスの充実、働き方の見直し、仕事と家庭の両立支援、経済的負担の軽減、住宅支援など、総合的に施策を展開していくことが何よりも重要であります。
 そのためには、既存のストックの活用や地域、企業との連携など、あらゆる社会資源を活用し、社会全体で子育てを支える、国を先導した取り組みを推進すべきであります。家庭のきずなや地域のきずなを再生し、子どもを家族がはぐくみ、家族を地域社会、社会全体で支える、こうした社会であってこそ少子化の流れを変えられると考えますが、改めて少子化対策に取り組む知事の基本的な考え方を伺います。
 新たな施策に取り組むためには、まずこれまでの国、都の施策を十分検証しなければなりません。また、結婚、出産を近い将来に控えている若年層や子育て世代の意見や要望を十分に聞くことも必要であります。その上で、国に具体的な政策提言を行うためには、社会実験ともいうべき新たな少子化対策に果敢に挑戦すべきであると考えます。対策本部の本部長である副知事の所見を伺います。
 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 五月の国内初の患者発生後、都は速やかに感染症対策本部を立ち上げ、全庁挙げて感染拡大防止に取り組み、被害を最小限に抑えられております。しかしながら、新型インフルエンザの感染は拡大を続けており、早ければ十月にも最初の流行のピークを迎えるとされています。
 また、冬場には季節性インフルエンザの流行とあわせ、例年になく多くの患者発生も予想されます。
 来るべき大流行期に備え、都民や事業者に対し的確な情報提供を行い、感染予防のさらなる徹底を図るとともに、地域における医療体制の確保に取り組むことが必要であります。
 知事のリーダーシップのもと、医師会を初めとする関係機関との協力を一層促進し、この危機に立ち向かっていくべきと考えますが、知事の決意を伺います。
 また、今回のインフルエンザでは、熱やせきといった比較的軽い症状の患者も多く占めておりますが、脳症などの重症例や死亡例も発生しており、先般、我が党は都に対し、対策に万全を期するよう緊急要望を提出したところであります。
 大流行期にインフルエンザの発生動向を的確に把握するとともに、基礎疾患を有する方や妊娠をしている方など、重症化しやすい方々や小児への対応を万全にしていくことが重要であると考えますが、今後の医療提供体制にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 内閣府が先月発表したことし四月から六月までの国内総生産、GDPは年率三・七%増と五期ぶりのプラス成長となるなど、これまでの政府の取り組みにより、我が国経済は底を打ったという見方が出てきております。
 しかしながら、中小企業の現場は、その実感を得るに至っていません。我が党は都内中小零細企業に対し、資金繰りや受注拡大への支援など、昨年度からさまざまな対策を実現してきました。
 例えば、昨年秋以降、緊急保証制度における指定業種の拡大を直接国に働きかけ実現するとともに、制度開始時に一部に混乱が見られた区市町村の認定業務の円滑化を図るため、中小企業診断士の派遣を素早く実施するなど、厳しい経営環境に直面する都内中小企業の資金繰りを強力に支援してきました。
 こうした取り組みにより、都における緊急保証制度の取り扱いは、今年度第一・四半期終了時点で、累計二兆四千億円となるなど、多くの中小企業に利用されています。
 その一方で、緊急保証制度によっても資金調達が十分にできない中小企業が存在しているのも事実であります。我が党はこうした中小企業の中で、この難局さえ乗り切れれば将来の展望が開ける企業を見出し、支援していくことを強く求めてまいりました。
 本年第一回定例会で成立した東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例に基づく支援策を早急に具体化し、多様な資金供給ルートを構築する必要があると考えますが、所見を伺います。
 また、都内中小企業にとって、受注の減少は深刻です。企業現場、とりわけ製造業では、昨年来急激に受注が落ち込み、先行きが見えないとの不安の声が続いています。こうした危機的な状況を克服するためには、経営力の向上や資金繰りの改善とあわせて、新たな受注を確保し、販路拡大していくことが不可欠であります。
 都は、都内中小企業の受注開拓の取り組みを支援する受注開拓緊急支援助成事業を開始しました。新たな受注を開拓するためには、積極的に展示会等に出展して、自社製品をより多くの人に知ってもらうことが大切であり、時宜を得たものであります。
 これにとどまらず、大企業を初めとする発注側企業への働きかけなど、あらゆる手を尽くして、積極的に受注開拓に取り組む都内中小企業を総力を挙げて支援していくべきです。
 都は今後どのような取り組みを行っていくのか、お伺いします。
 中小企業の厳しい現状とともに、雇用情勢は一段と厳しさを増しております。今後も、中小企業支援や雇用対策に全力を挙げて推進していく必要がありますが、大切なことは、中長期の展望を持ち、経済の成長を促すとともに、産業の発展によって雇用の場の拡大を図っていくという視点です。経済危機脱出後の新たな成長軌道までを見据えながら戦略的に施策を講じていくことが重要であり、この視点なくしては東京の将来に責任を持つことはできません。
 現在、高齢社会の到来や世界的な環境問題への関心の高まりを受け、東京には、健康、環境など今後成長が期待される産業が芽吹いております。こうした産業分野の育成に向け、積極的に政策を実行していくことが今こそ求められていると考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、入札契約制度について伺います。
 我が党では、入札・契約制度改革PTを設置し、入札契約制度のあり方についてさまざまな角度から検討を行ってきました。そこで明らかにしたことは、公共調達においては、事業者に品質の高い仕事をしてもらうことが最も重要ということであります。単に価格が安ければよいというものではなく、同じ価格であっても最大の効果が得られるよう、優良な事業者を契約者として選ぶ仕組みが必要とされているのです。
 公共工事は、完成後数十年にわたって都民生活の基盤となる社会資本を整備するものであり、その品質確保は、結局は都民の利益になります。したがって、公共工事の入札契約制度は、そのコスト水準が社会的に真に適正なものとなるよう、適切に運用していく必要があります。
 しかし、現在、折からの景気後退による民間建設市場の冷え込みの中で、都も含めて全国的に公共工事の入札価格が著しく低下しており、採算がとれない受注案件もふえているとの指摘があります。
 こうした低価格入札が続けば、その工事自体の品質の確保に問題が生じるおそれがあり、中には、評価点に達することができず指名停止になった事業所も複数あると聞いております。同時に、中長期的に企業体力の消耗により技術力の維持が困難になるなど、将来の公共工事の品質確保にも支障が生じるおそれがあります。さらに、低価格で受注した結果として、下請の中小企業への不当なしわ寄せや工事現場での労働安全対策の切り下げが生じているとの懸念も生じています。
 都は現在、入札契約制度改革研究会で制度改革の検討を行っていると聞いております。低価格入札をめぐるこうした状況を踏まえ、早急に対策を講じる必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行東京について質問をいたします。
 新銀行東京は、既存の金融機関の貸し渋りなどにより資金繰りに苦しむ中小零細企業に資金を供給し、疲弊した東京の経済を活性化する使命を担って設立されました。その際、都議会は、我が党や民主党を含む大多数が賛同したわけでありますが、その新銀行東京が、旧経営陣のずさんな経営により深刻な経営悪化に立ち至ったことは遺憾でなりません。
 我が党は、昨年第一回定例会において、苦渋の決断ではありましたが、新銀行再建のため四百億円の追加出資に賛成をいたしました。これは、新銀行東京が支える多くの都民の生活や中小零細企業を守ることを最優先すべきとの判断をしたからであります。
 新銀行東京は、この五月に発表された平成二十年度決算では、低コスト構造を図るなどにより、当期純損益が再建計画を二十一億円上回る業績を上げました。さらに、八月に発表された平成二十一年度第一・四半期決算で、開業以来初となる黒字を計上し、現経営陣による地道な経営努力が実を結びつつあると評価するものであります。
 このように、経営再建が計画を上回る業績で一歩一歩着実に進んでいるにもかかわらず、都議会民主党は、東京マニフェスト二〇〇九において、都は、事業譲渡や株式の売却などを含め、新銀行東京から早期に撤退すべきと主張しています。しかし、経営再建中の新銀行東京から都が撤退するということは、新銀行東京が支えている多くの中小零細企業を切り捨てることを意味し、無責任な主張であります。
 民主党が主張する早期の事業譲渡や株式売却は、現実問題として不可能であるだけでなく、多くの都民に不安を与え、迷惑をかけることが必至であります。
 厳しい経営環境の中でひたむきに努力をしている中小零細企業と、そこで働く従業員やその家族の生活を守るため、新銀行東京の経営を再建することこそが現在とるべき道であると考えますが、改めて知事の見解を伺います。
 次に、都市基盤の整備について伺います。
 羽田空港では、来年十月に新滑走路が供用開始されるとともに、新たに機能的な国際線ターミナルも完成し、年間で、昼、夜それぞれ三万回の国際定期便が就航する予定です。羽田空港が首都東京における本格的な国際空港となることは、大変すばらしいことと期待していますが、羽田の将来的なあり方を考えると、まだこれで十分とはいえません。
 昼間の時間帯については、運航回数が約三万回となっているがゆえに、台北や香港など近距離のアジア路線に限られ、シンガポールやバンコクなど、その先の都市までは就航することができません。供用開始以降も、昼間の発着回数の拡大を図って、国際化を一層進めていくことが必要と考えます。
 供用開始後を見据えて、さらなる国際化に向けた知事の所見を伺います。
 成田空港が閉鎖されている深夜、早朝の時間帯については、来年十月から、欧米など世界の主要都市との間を結ぶ国際定期便が羽田空港から数多く運航し、多数の利用者が集まることとなります。それに伴い、深夜、早朝に利用する利用者の足となる公共交通手段を確保することが必要不可欠になってきます。
 羽田空港の二十四時間化に対応した空港アクセスの充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 東京の最大の弱点である交通渋滞を解消し、都市の利便性の向上や国際競争力の強化を図るため、三環状道路を初めとする幹線道路ネットワークの整備が極めて重要であります。
 中でも、東京外かく環状道路は、首都東京の渋滞解消に寄与するだけでなく、広く我が国全体に便益を及ぼす重要な幹線道路であり、大きな整備効果があることから、一日も早い完成が待ち望まれております。
 本年五月、外環の整備計画が決定し、国の平成二十一年度の補正予算が成立したことで、事業化されました。また、都議会においても、第二回定例会で外環の補正予算を速やかに成立させました。
 そこで、都は国と協力し、積極的に整備を推進すべきと考えますが、外環整備推進に向けた都の取り組みについて伺います。
 また、都は、区部環状、多摩南北などの骨格幹線道路の整備を推進しております。このうち環状二号線は、都心部と臨海部を結ぶ極めて重要な路線であり、沿道で進められている新しいまちづくりを支えるためにも、早期整備が必要であります。
 そこで、環状二号線の臨海部から虎ノ門に至る区間の整備の必要性と取り組みについて伺います。
 急激な都市の拡大とモータリゼーションの進展の過程で深刻化した踏切問題は、二十世紀の負の遺産であります。都内にはいまだ約千百六十カ所の踏切が残されており、その四分の一は、いわゆるあかずの踏切となっております。こうした踏切は、交通渋滞や市街地の分断など、都市の活力の低下を招く要因になっており、抜本的な解決が必要であります。
 都は、「十年後の東京」計画において、渋滞のない効率的で利便性の高い都市を実現するとしていますが、そのためには、踏切遮断による交通渋滞や地域分断を解消し、交差道路の整備や沿線のまちづくりを一体的に促進する連続立体交差事業をより一層推進していくことが不可欠であります。
 そこで、連続立体交差事業の推進に向けた都の取り組みについて伺います。
 依然として厳しい経済情勢が続く中、今必要なことは、都民が希望を持てる東京の実現に向け取り組んでいくことであります。特に、環境にも配慮しながら、都市活力を支える都市づくりを戦略的に進め、引き続き日本を牽引する都市へ東京を再生することが必要です。
 都は、この七月、東京の都市づくりビジョンを改定し、これからの東京の都市づくりを展開する上での基本的な方針を明らかにしました。重要なことは、このビジョンを実際の都市づくりに反映させ、都市の再生に結びつけていくことだと思います。
 そこで、都市づくりビジョンの改定を踏まえ、今後の都市づくりの具体的な取り組みについて伺います。
 また、都は、都市づくりビジョンに引き続いて、先月、多摩の拠点整備基本計画を発表しました。多摩の拠点を対象としたまちづくり計画としては、多摩の心育成・整備計画以来となります。
 この計画において、八王子、立川、多摩ニュータウン、青梅、町田の五つの核都市に加え、新たに身近な圏域の都市づくりについても方向を明らかにしたことは、これまでの我が党の主張を踏まえたものであり、今後、この計画に基づき、まちづくりの取り組みが促進され、多摩地域全体の活性化が図られることを期待します。
 そこで、都は今後、多摩地域の拠点の整備に具体的にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 我が党は、昨年、多摩リーディングプロジェクトの見直しを主張し、都がこれにこたえ多摩振興プロジェクトを策定したように、これまで、都と一体となって多摩地域の振興に取り組んでまいりました。その結果、都市基盤整備などのハード事業のみならず、地域医療体制の整備や子育て支援など、ソフト事業も取り入れた総合的な多摩振興策を進めることができるようになりました。
 四百万人の人口を擁する多摩地域のさらなる発展に向け、この多摩振興プロジェクトを確実かつ積極的に進めることは都の責務であると思いますが、改めて、今後の多摩振興に対する都の取り組みについて所見を伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 先月半ば、駿河湾を震源とするマグニチュード六・五の地震が発生し、東名高速の一部が五日間にわたって不通になるなど被害が生じました。東京で大地震が発生した場合、木造住宅密集地域が広範に分布することなどから、その被害ははかり知れません。
 都では、防災都市づくり推進計画を策定し、木造住宅密集地域のうち、大きな被害が想定される地域で重点的に事業を展開していますが、首都直下地震の切迫性が指摘される今日、災害時の避難等に不安のある高齢者や障害のある方にも配慮をしながら、これまで以上にスピードを上げ市街地の防災性向上に取り組むことが必要です。
 都は、防災都市づくり推進計画を見直すとしていますが、どのように災害に強い都市づくりを推進するのか、基本的な考え方と今後の進め方について伺います。
 さらに、防災都市づくりを進める上で大切なのは、震災時に緊急物資の輸送や救急活動等の大事な役割を担う緊急輸送道路の機能を確保することであります。
 阪神・淡路大震災では、倒壊した建物が道路をふさぐことにより、救急活動などの大きな妨げとなりました。このような事態とならないよう、沿道建物の耐震化を早急に進める必要がありますが、それには建物の所有者の理解と協力が欠かせません。
 都は、緊急輸送道路沿道の建物の耐震化をどのように進めていくのか、所見をお伺いいたします。
 ことしは、西日本を中心として梅雨前線や台風に伴う多くの水害が発生し、貴重な人命が失われました。東京においても、近年、時間五〇ミリを超える豪雨が増加しており、八月にも北区で時間一〇〇ミリを記録する集中豪雨がありました。こうした豪雨による浸水被害は、都市化の進んだ東京にとって深刻な問題であり、治水対策はますます重要性を増しています。中でも河川整備は、治水対策のかなめとなる重要な施策であります。
 都は、河川整備を着実に進めてまいりましたが、五〇ミリ降雨に対する現在の整備では、まだまだ十分とはいえません。
 我が党はこれまで、より高い整備水準に移行するための取り組みを開始すべきとの考えを明らかにしてまいりました。東京の中小河川において、今後、河川整備をどのように進めていくのか、見解を伺います。
 また、集中豪雨による浸水から住民の生命、財産を守るためには、このようなハード整備の取り組みはもとより、住民みずからが一刻も早く浸水の危険性のある場所から安全に避難できるように支援することも重要な行政の責務であります。そのためには、区市町村が機を失することなく避難勧告等の発令を適切に行えるよう、都は、区市町村に対して迅速かつ的確に情報伝達を行っていくべきであります。
 市街地が広がる東京では、局地的な集中豪雨で、極めて短時間のうちに道路や家屋が浸水する都市型水害が大変憂慮されております。迅速かつ的確な情報伝達の重要性を改めて痛感するところでありますが、都における取り組みについて伺います。
 次に、八ッ場ダムについて伺います。
 八ッ場ダムは、特定多目的ダム法に基づく国直轄の事業です。基本計画の作成、変更、そして廃止の際には、必ず関係一都五県知事の意見をその都度聞きながら事業を進めていかなければならないものであります。また、知事が意見を述べる際には必ず議会の議決が必要である旨、法は厳しくその手続を求めています。
 埼玉県が、専門家による懇話会を設置し、客観的に検討を加え、知事の意見の提出の際の参考とするなど、国や都県においては独自の事業評価などを適宜実施してきたところでもあります。
 さらに、都は、国との間でコスト管理等に関する連絡協議会を設置し、その後、一都五県の共同による協議会へと発展させて、確実にコストカットの成果も出しています。
 今大切なことは、この事業が、国のみならず一都五県との連携において、中央政府と地方政府が数々の手続を積み重ねた上での約束のもとに成り立っているという紛れもない事実を我々が再認識することであります。
 すなわち、関係地方政府の正当なこれまでの法手続を無視することは、政権政党がどこになろうと、政府としてできる話ではないのであります。もし、そんなことをしたら、国が地方政府を否定するようなものであります。だからこそ、群馬県、埼玉県、そして千葉県知事からも同様な疑問が民主党に投げかけられているのです。
 加えて司法の場においても、八ッ場ダムに関する各都県の支出差しとめ訴訟では、東京、前橋、水戸の各地裁において、ダムの必要性を認める判決が繰り返し出されています。
 こうしたことからも、八ッ場ダムの早期建設については、政権政党がどこであれ、着実に事業を推進していく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 まず、障害者自立支援法についてであります。この法により、身体、知的、精神のいわゆる三障害に対する福祉サービスの一元化や、国と地方自治体の財政負担のルール化による財源確保が図られるとともに、利用者負担についても、サービスの利用量と所得に応じて利用者が一定の負担をすることとされました。
 法施行後も、負担能力に応じた利用者負担の大幅な軽減措置や事業者収入の保障、報酬引き上げなどが実施されてきました。その結果、利用者負担は平均三%程度に下がり、また、事業者収入の安定によりサービス供給量も増加しています。
 さらに、さきの国会に提出された改正法案は、利用者負担軽減措置の実態に合わせ、応能負担を原則とすることや、重度視覚障害者の移動支援を新たに法定給付とすることなど、障害者からの要望が強い事項にもこたえたものでありました。
 しかし、去る七月十四日の参議院における麻生総理問責決議の可決を受け、民主党などが国会審議に応じない状況の中、審議未了により廃案となりましたが、都議会自民党は、この法案が再度国会に提出され、早期に成立が図られるべきと考えます。都としても、早急に対応するよう国に求めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 続いて、精神障害者対策について伺います。
 障害者自立支援法により、精神障害者の福祉サービスの基盤整備が進むなど一定の成果があったとはいえ、医療面においてはまだまだおくれているといわざるを得ません。
 都の現状を見ますと、都内の精神科病床の三分の二は多摩地域に偏在しており、身近な地域での医療の継続や、休日・夜間の医療提供体制などは、いまだ十分とはいえません。
 都では、いわゆる社会的入院の状態にある精神障害者の地域生活への移行を進めていますが、退院後、地域生活を送っていく中で、服薬や通院などの治療が中断し、病状が悪化するケースも見られ、家族の負担も少なくないと聞いております。
 精神障害者が、治療を継続し、安心して地域で生活をしていけるような仕組みづくりが急務と考えますが、所見を伺います。
 次に、高齢者対策について伺います。
 今後高齢化が進展する東京において、高齢者は、老後に対する不安を持って暮らしています。その一つが住まいであります。現在、都では、都市整備局と福祉保健局とが一体となって検討を進めており、そこでは、都独自のケアつき住まいの整備促進が提唱されております。もちろん、本格的な高齢社会が到来する中で、高齢期の新たな選択肢の一つとして、ケアつき住まいを確保していく必要があります。
 一方、都の調査において明らかなように、高齢者の約三分の二は現在の自宅での生活を希望され、その割合はふえる傾向にあります。地域には、ボランティアや民間事業者など、多様なサービス提供の担い手が存在しています。
 そこで、今後、都として、住みなれた自宅暮らしを続けたいという高齢者の意向を実現するためにも、こうした多様なサービス資源をコーディネートする機能を強化することにより、安心して住み続けられる仕組みをつくり出す必要があると考えますが、所見をお伺いします。
 先般、群馬県での高齢者の施設の火災事故は、大都市における高齢者施策について警鐘を鳴らしました。都では、直ちに類似の都内施設を対象とした緊急点検を実施するとともに、実効性ある指導が行えるための法改正を国に緊急提案を行い、さらに、防火設備の助成経費を補正予算により対応するなど、迅速かつ着実に取り組んできました。
 さて、都では先月、未届け有料老人ホームのさらなる届け出促進のため、新たな指導体制を構築したと聞いております。
 そこで、その内容や今後の未届け施設等への対応について伺います。
 また、今回の火災事故に関連し、要介護度が高く、かつ低所得者が入所しやすい施設として特別養護老人ホームの整備が望まれています。現在、特養の整備はユニット型が基本でありますが、区市町村では、低所得者への配慮から、多床室での整備の希望も多いと聞いております。
 こうした区市町村の実情も踏まえ、今後、都として、多床室も含む特別養護老人ホームの整備方針についてどのように考えているのか、所見を伺います。
 次に、救急医療について伺います。
 医師の不足などから、救急医療機関は減少していますが、一方、高齢化の進展などにより、救急医療に対する需要は伸びています。都内の救急搬送件数は年間五十八万件と膨大ですが、医療機関や救急隊の懸命な努力により、そのほとんどは迅速に救急医療が提供されております。しかしながら、搬送先の選定に三十分以上を要するなどの、いわゆる選定困難事案も六%程度発生しております。
 こうした状況に対し、先月末にスタートした救急医療の東京ルールが目指しているものは何か、スタートしたばかりではありますが、その実績がどのようなものなのか、伺います。
 次に、がん医療について伺います。
 東京都は、がん診療連携拠点病院や都独自の東京都認定がん診療病院の整備や連携体制の構築など、患者さんに適切な医療が提供できるよう取り組んでいます。また、医療機関が患者さんや家族の不安や疑問に丁寧に対応できるよう、がんに関する情報提供の推進、相談支援体制の整備を図っています。
 そこで、都がこれまで取り組んできた、患者さんに対する相談体制の充実の具体的な内容と、その効果について伺います。
 次に、小児総合医療センターについて伺います。
 同センターについては、来年三月のオープンまであと半年になりました。建物も順調に整備が進み、今月中に竣工すると聞いています。しかし、病院事業においてハード以上に重要なのがソフト面の整備です。我が党はこれまで、医師、看護師の確保に全力を注ぐべきこと、小児三病院転出後の地域での医療整備をきちんと行うべきことを再三にわたり申し上げてきました。
 まず、医療従事者についてですが、同センターは、小児の心から体に至る高度かつ専門的な医療を行う、我が国でもトップクラスの医療機関としての役割が期待されています。一方、病院に勤務する女性医師や看護師は、激務などを理由に中途退職することが社会問題化しており、医療従事者不足に拍車をかけています。このため、質、量ともに十分な医療従事者を確保するとともに、こうした医療従事者が激務に疲弊することなく、持続して勤務し続けられるような勤務体制をとることも重要であります。
 そこで、開設時の医療体制についてはどのように考えているのか伺います。
 また、今回の小児病院の移転統合は、多摩いずれの地域にも小児医療の充実をもたらすものでなくてはなりません。そのためには、北多摩北部地域や八王子地域といった、小児病院転出後の地域の小児医療体制の確保、充実に向けた取り組みを着実に進めていくことが必要であります。あわせて、今後、同センターがこれらの地域を含めた多摩地域の小児医療全体に大きく寄与していくためのさまざまな医療セクターが参画する仕組みづくりが重要であります。
 そこで、これまでの取り組み状況と今後のさらなる対応について所見をお伺いします。
 次に、豊洲新市場の整備について伺います。
 我が党は、都民はもとより、首都圏三千三百万人の食を支える築地市場の将来を真剣に考え、長期的視点から議論を進めてきました。
 今回、民主党は、現在地再整備の検討を改めて行うべきとしています。しかし、築地での再整備は、過去に工事が中断し、平成十年に業界要望を受けて、最終的に都として移転整備の方針を定めたもので、都議会でもその当時より十分に審議を重ねてきております。築地の市場業界も、六団体のうち五団体は移転を希望しており、残る一団体の水産物仲卸業者も移転賛成と反対の意見が拮抗し、その代表者は、移転以外に方策はないとしています。移転反対が大多数の声であるかのような主張は、事実を大きくねじ曲げるものであります。
 過去の経緯や市場業界の意向を無視し、対案を示さず、出口のない再整備の議論を繰り返すことは、いたずらに時間を浪費し、業界を混乱させ、築地市場を衰退させるだけであります。
 施設の老朽、狭隘化が限界に来ている築地市場が、今後とも首都圏の基幹市場として十分機能を発揮し続けていくためにはどうあるべきかを真剣に議論することこそが重要であり、この問題を政争の具にし、都民の食生活に対する責任を放棄するようなことは決して許されることではありません。
 今必要なことは、将来にわたり都民の食生活を守り、市場関係者の期待にこたえられる新市場の建設を一刻も早く実現することであります。
 そこで、今後の豊洲新市場建設計画の推進に向けた知事の見解を伺います。
 また、豊洲への移転に当たっては、都民や市場関係者の安心を確かなものにするため、日本を代表する専門家の科学的知見に基づく万全な土壌汚染対策を確実に実施する必要があります。
 先般、環境確保条例に基づく土壌調査の結果が公表され、これで調査はすべて終了しましたが、調査の結果の評価も含め、万全な土壌汚染対策の実施について伺います。
 次に、環境問題について伺います。
 まず、地球温暖化対策についてですが、都はこれまで、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード、すなわちオフィスビルを含めた温室効果ガス総量削減義務と排出量取引制度を導入し、キャップ・アンド・トレード制度の国際的な連携に向け意見交換を行うICAPに都市として唯一加盟するなどの成果により、世界の温暖化対策を牽引するEU各国とも対等に渡り合う立場になってきました。
 そして、いよいよ来月オリンピック招致の決戦を迎えるコペンハーゲンでは、本年十二月、いわゆるCOP15が開催され、二〇一三年以降の国際的な温暖化対策の枠組みの合意が求められています。
 かつて我が国の古都京都で開催されたCOP3で定められた京都議定書が次のステージに移るという歴史的な会議を前に、目先の数字に踊らされることなく、現代日本の首都東京が世界的な温暖化対策にさらに貢献していくという姿勢を改めて国内外に示すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 地球温暖化対策は産業革命に匹敵する変化をもたらすといわれていますが、都民の認識も全体としてはそこまでに至っていないようです。今後は、都民に身近な区市町村との連携をさらに深め、東京全体の低炭素革命を実現していかなければなりません。そうした意味で、今年度、区市町村における地球温暖化対策等を推進するために創設した補助制度は大変有効なツールであります。
 一方で、従前のままの環境施策の対応に追われ、工夫次第で二酸化炭素の削減が期待できる施策に踏み出さずにいるなど、せっかくの補助制度が生かし切れていない面も見受けられます。
 そこで、地球温暖化対策に軸足を置きつつも、区市町村の実情に応じて、より広範な環境施策を下支えできるようなものとしていくべきと考えますが、所見を伺います。
 我が党は、東京都の児童生徒の学力の実態を正確に把握した上で、学力向上に関するさまざまな取り組みが必要であることを以前から訴えてきました。
 東京都では、国に先駆けて、平成十五年より都独自の学力調査を実施し、その結果を踏まえ、各学校における授業改善推進プランの作成や都教育委員会による東京ミニマムの公表など、さまざまな施策を行ってきました。
 平成二十三年からは小学校、平成二十四年度からは中学校において新しい学習指導要領が完全実施となることから、東京都の児童生徒一人一人の学習の状況を引き続き把握し、学力向上のための施策を推進していく必要があると考えています。
 そこで、東京都教育委員会は、今後、児童生徒一人一人の学習の状況を含めて実態を把握することについて、どのような考えを持っているのか伺います。
 次に、学力向上のための補習などの充実について伺います。
 すべての児童生徒に基礎的、基本的な内容を確実に身につけさせるとともに、伸びる子どもの学力を一層伸ばすことは学校の重要な役割であります。
 しかしながら、都や国の学力調査の結果によれば、児童生徒の学力は上位層から下位層まで実に幅広い分布を示しています。このため、学校においては、日常の授業の改善を進めることはもとより、学習のつまずきが明らかになった子どもに対してきめ細かな指導を行うとともに、発展的な学習を希望する子どもに対しても、補習などを実施して、一人一人の学力を向上させることが必要であります。
 こうしたことから、我が党は、学校が日々の授業の充実を図ることはもとより、教員が平日放課後に加えて土曜日にも補習などで勤務する場合には、半日単位で週休日を変更できるよう条例を改正するなど、責任政党として必要な教育環境の整備を求め、実現してまいりました。その結果、現在、土曜日を含めた補習などの実施率は、小、中とも他県と比較すれば高い数値となっていますが、条件さえ整えばさらに補習等を充実したいという学校があると伺っております。
 そこで、広域行政を担う都として、そうした学校の取り組みを支援していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、小中学校の直結給水について伺います。
 都では、平成十九年度から区市町と共同で、公立小学校の水飲み栓について、貯水槽を経由しないで直接給水する方式に切りかえるモデル事業を行っています。
 以前は、水筒を学校に持っていくなど、児童の水道離れが進んでおりましたが、直結給水の工事が終わった学校では、体育の授業が終わった後などに、我先に蛇口から水道水を飲む児童の姿も見られるようであります。
 東京が世界に誇れる安全でおいしい水を児童たちに提供するこのモデル事業がスタートしてから三年目になりますが、児童や教職員などから具体的にどのような声があるのか伺います。
 また、区市町と調整していく中で、対象を公立中学校にも拡大してもらいたいとの多くの要望があると聞いております。せっかく小学校で水道水をおいしく飲めるようになっても、中学校に進学すると、このモデル事業の恩恵を受けられなくなるということになれば、次の世代を担う子どもたちが蛇口から直接水を飲むという目的を達成することなど到底できるとは思えません。
 また、新たに公立中学校をモデル事業の対象にすれば、現在、平成二十二年までとしている実施期間についても考慮する必要があると考えます。
 そこで、直結給水化モデル事業について、公立中学校への対象拡大を含めて、今後の事業展開をどうしていくのか、所見を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 今月二日、IOCは、二〇一六年オリンピック・パラリンピック競技大会の立候補都市四都市の評価委員会報告を発表しました。この報告書は、投票権を持つ全IOC委員に送付されており、それぞれの委員が十月に開催されるIOC総会で開催都市を選ぶ際、大きな判断要素となります。
 一部、今回の報告書では、東京の課題についての指摘もありましたが、内容をよく見てみますと、東京の誇る、コンパクトで緻密な大会計画、安定した財政力、すぐれた輸送能力などが評価委員会から高い評価を受けておりまして、オリンピック・パラリンピック招致の実現にまた一歩近づいたものと感じております。これも、知事ご自身の、IOC委員からの支持を確実なものとするために、直接、東京開催の意義や計画の優位性、都市の魅力を訴えてこられた成果だと思います。
 しかし、十月二日の最終決戦を目前に控えた現在も、どの都市が選ばれるのか横一線で、予断を許さない状況です。これまでも、我々都議会自民党は、知事と手を携え、招致推進の街頭による署名活動や、国や道府県への働きかけを行うとともに、さまざまな催しに積極的に参加し、機運の盛り上げに取り組んでまいりました。
 来る二十三日は、原宿表参道で応援パレードに加わり、東京開催に対する熱意を国内外にアピールをします。また、決戦の地コペンハーゲンには、招致委員会の要請を受けて都議会として代表団を派遣し、最後のアピールを行いたいと思っております。
 都民、国民に夢と希望と感動をもたらすオリンピック・パラリンピック東京招致というゴールに向け、ラストスパートを迎える知事の決意を伺い、私のすべての質問を終了させていただきます。
 ご清聴ありがとうございます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 川井しげお議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都政運営の基本姿勢についてでございますが、都政において、都議会自民党の皆さんとは志を同じくし、力を合わせて東京と日本の再生に向け数々の先進的施策を生み出してきたと思います。
 ご指摘のように、我々の未来がかかる地球環境問題を例にとりますと、都市として世界で初めてICAPへの加盟を果たした都が、来年四月から世界初の都市型キャップ・アンド・トレードを開始することは、その最も新しい成果だと思います。
 今、この国は、人口減少といった社会の構造変化への対応を迫られるなど、新しい国家の大計が求められております。
 一方では、都政は既に都市としての将来戦略であります「十年後の東京」計画を構えております。これを着実に具体化することで、ひとり東京の発展、成熟だけではなくて、この国が進むべき航路を指し示し、混迷から再生へと導いていきたいと思っております。
 今後も、これまで同様、議会全体で、都民、国民のために、そして子どもや孫たちのために真摯な議論を重ねて、東京から未来を切り開く挑戦を果敢に進めていきたいものだと思っております。
 次いで、今後の財政運営についてでありますが、知事就任以来、私は、財政再建に真正面から取り組み、これを達成するとともに、その成果を都民に還元するべく、国の二歩も三歩も前を行く先進的な施策を展開してきたつもりでございます。歳費の削減、人員の整理を行ってきました。国はどうもこれについて遅かったような気がしますが、これは、徹底した内部努力を実施するとともに、限られた財源を、都民にとって真に必要な施策に重点的に振り向け、堅実な財政運営を行ってきたからこそ可能となったものであります。
 昨年夏から始まった日本経済の落ち込みは非常に大きく、景気の低迷が長引くことも想定されております。都財政を取り巻く厳しい環境が当面大きく好転することはなかなか期待に難しいと思います。
 そうした中にあっては、これまで培ってきた基金など、財政の対応力の活用が必要なのはもとよりでありますが、同時に、この間、都議会の皆様とともに進めてきた財政運営の基本に改めて立ち返り、これを堅持していくことが不可欠であると思います。
 今後、こうした観点から、いかなる荒波の中にあっても、東京の未来を切り開き、都民生活を守り抜く決意に立って、改めてみずからを厳しく律し、都政に課せられた使命を着実に果たし得る堅実な財政運営を行っていきたいと思っております。
 せっかくの機会ですから、この機会にこういうところからあえて民主党の皆さんにお願いいたしますが、福田内閣の折に法人事業の分割基準というものを一方的に改悪されまして、東京の税収を暫定的に二年にわたって一年三千億ずつ国が収奪することになりました。これは、今回の民主党が標榜している中央官僚の全国支配──もとると思いますね。こういったものこそ、ひとつ民主党の皆さんも、都のために力を合わせて、こういった悪い措置というものを撤回するようにご努力願いたい。これは私は、国民の念願であると思いますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次いで、少子化対策についてでありますが、さきの第二回定例会で、都議会自民党からは大変重要な建言をいただきました。そして、みずからもこの国の行く末を思って、今が少子化の傾向を反転させるラストチャンスととらえ、庁内に緊急対策本部を設置し、対策の立案を指示いたしました。
 もちろん、少子化は、国家の未来に直結するがゆえに、その対策は国の責務であります。国が経済的給付を充実することは国家政策として重要であると思いますが、それだけではこの危機はなかなか乗り越えられない。
 育児と仕事が両立できる環境を整え、都民が選択できるサービスを質、量ともに拡充してこそ、子どもを持つことにちゅうちょしている家族に希望を指し示し、不安を解消することができると思います。
 そのために、都は、これまで力を注いできた保育や医療、教育の拡充はもとより、雇用や住宅の分野の政策をも動員いたしまして、現場ならではの発想で、国を先導する重層的、複合的な施策を構築していきたいと思っております。
 今後、緊急対策本部を中心に、日本社会がかつて持っていた家族のきずなを再生し、社会総がかりで子育て家族を支える東京からの新しいモデルビルディングを行っていきたいと思っております。ただいまいただきましたご指摘、ご提案はしっかりと受けとめたいと思います。
 次いで、新型インフルエンザ対策についてでありますが、新型インフルエンザ発生後、都と関係機関が連携し、感染拡大防止に全力を挙げて取り組んできた結果、都内における患者の発生は、現段階では、調査した医療機関の平均では週三・六六人となっておりまして、比較的小さな規模に何とかとどまっております。
 しかし、現在、全国的に若年層を中心とした感染が広がっておりまして、ほとんどの人が免疫を持っていないことから、今後、感染が急速に拡大することが予想されます。
 感染を防ぐには、都民一人一人が感染への予防策を講じることが有効でありまして、引き続き、さまざまな機会をとらえて、手洗い、せきエチケットの重要性を訴えていきたいと思います。
 間近に迫った大流行に向け、都民が安心して診療を受けられる医療体制を確保しなければなりませんが、医師会や薬剤師会など関係機関との連携をより一層強化し、万全を期してまいりたいと思っております。
 次いで、中長期の視点に立った産業育成についてでありますが、我が国は現在、深刻な経済危機を脱し切れずにおります。
 日本の頭脳部、心臓部である首都東京には、成長への道筋を再び見出し、これからも日本経済を牽引していく役割があります。
 その役割を果たすためには、足元の危機の克服に向けた中小企業対策、雇用対策に万全を期すだけではなく、厳しい状況の中でも、将来への布石として、成長産業の育成を図っていく必要がございます。
 東京には、環境、健康、ロボットなど、今後成長が期待される産業が多く存在しております。こうした産業の育成には、企業や大学が持つ技術を一層高めるとともに、これらの技術を結集し、新事業の創出を促進していくことが必要であります。
 このため、今年度から平成二十三年度にかけて、区部と多摩に順次開設する産業支援拠点を核とした新技術、新製品の開発、事業化の促進や、産学公に金融機関も加えたネットワークの構築などに積極的に取り組み、新たな産業発展の道を切り開いております。
 このところ、オリンピックの招致運動、ビッディングに忙しくて、外国にしばしば出かけて、いろんな人に会っておりますが、IOCの委員にもなかなかそれぞれの国で重要な地位を占めている人がいますけれども、こういう人たちに、東京が毎年表彰している、なかなか製品になり切れていない先端技術の表彰をした品目の詳細なリストをお渡ししまして、ひとつそれぞれの国で、その地勢に応じたこういった製品、技術の採用というものを東京と協力してやらないかということを持ちかけておりますが、非常に皆さん強い意気込みでこれに反応してくれております。
 次いで、新銀行東京の経営再建についてでありますが、新銀行東京は、六月末時点で三千億を超える預金を有するとともに、他の金融機関では支援が難しい、赤字、債務超過先を多数含む約一万社に及ぶ取引先を支援しております。
 こうした小零細企業を守り、金融不安を招かないために、私はこの銀行の再建を決意いたしました。
 新銀行東京は、平成二十一年度第一・四半期決算で、純利益は七億円と、開業以来初の黒字を計上してくれました。さらに、銀行経営のプロが社長に就任し、再建に向けた取り組みは着実に進んでおります。
 新銀行東京の支援に頼る多くの小零細企業のことを考えれば、都が新銀行東京から撤退することは、ご指摘のとおり、大きな混乱を招くものであります。したがって、そうした考えは全くございません。
 引き続き、新銀行東京の経営再建に全力を尽くしていきたいと思っています。
 もし、ことし続いて単年度黒字というものが実現しましたならば、かねて申しておりましたように、外国のセクターなどの協力をする体制も実現していくことができますので、その前提として、ひとつ銀行経営の諸君に渾身の努力をしていただきたいし、これを熱烈に支援していきたいと思っております。
 次いで、羽田空港の国際化についてでありますが、羽田は都心と直結して、二十四時間利用できる空港でありまして、世界の大都市の空港の中で最も便利な空港と思われます。国際競争力の強化など、我が国の将来を左右する非常に重要なインフラだと思います。
 新しい滑走路の建設について、都は無利子貸付の協力を行っておりまして、事業は着実に進んでおりますが、来年十月の供用開始が一日たりともおくれることがあってはならないと思います。まずは、これを確実に実現させていきたいと思っております。
 それでもなお、国際都市東京のグローバルな経済活動や後背人口を含めたポテンシャルの高さなどを考慮しますと、供用開始時に年間三万回としている昼間の国際線発着枠では、とても十分ではありません。
 年間四十万七千回となる昼間の空港容量のうち、まだ配分先が決められていない発着枠を極力国際線に振り向けまして、シンガポールやアジアなどの主要都市へのさらなる就航拡大を進めるとともに、昼間の空港容量自体についても、管制の工夫などによりまして、可能な限り増大させるよう強く求めてまいります。
 これは内々の合意でありますけれども、近い将来、またCラン、南北に延びております滑走路の一つをさらに延長しまして、羽田からも一番の大型機が旅客を満載し、満タンにして、今では不可能です、羽田からは不可能なワシントン、ニューヨークであるとか、パリ、ロンドンまで直行便が飛べるように、これは必ずしたいと思いますし、内々の合意も得ております。
 次いで、八ッ場ダムの事業推進についてでありますが、八ッ場ダムにつきましては、計画の公表以来、半世紀以上にわたり、地元の意向を最大限に尊重しながら、国と利根川流域の一都五県において、法律に基づく手続を積み重ね、今日まで事業を進めてまいりました。
 治水と利水の恩恵を受ける関係都県はいうまでもなく、今では水没地の関係住民も一致団結して、ダムの一日も早い完成と生活再建を切望しております。
 この生活再建の一部には、新しいダム、湖を観光の対象とする、そういった計画もありまして、これがとんざするということは、住民の方にとっては青天のへきれきといいましょうか、まさに雷に打たれたような驚きじゃないかと思いますが、先般、あるところで、埋没する地域の下流のまちの町長さんにお目にかかりました。この方は、別にいずれの党にも属していない、地元から出たニュートラルな町長さんでありますけれども、この人が、まさに涙を浮かべて慨嘆しておりましたね。一体これはどういうことなんだろうかと。
 こうした長年の経緯と現実も顧みずに、政権をとった上で、司法も妥当と認める公共事業を中止できると考えることは、これはまさしく暴論であって、国が強引に地方との信頼関係を覆すことにもなりかねないと思います。まさにこれは地方分権というものにもとるんじゃないでしょうか。
 人口や都市機能が高度に集積する首都東京において、一たび洪水や渇水が起これば、日本の社会全体が混乱するわけであります。たびたび申していますように、今、東京にとって、関東一円にとって不可欠の水がめであります、水源地であります小河内ダムができたときも、一部の人に反対がございました。
 この人たちは、ダムができたとき、小河内ダムは確かに読めばそう見えますけれども、しょうがないダムだって嘲笑しましたが、次の年に干ばつが来て、あのダムをつくったおかげで首都圏は救われたわけでありまして、この今日の異常気象の中で、どういう気象がこれから異常な形として東京近辺を襲うのかわかりませんが、いずれにしろ、繰り返して申しますけれども、この首都圏に洪水、渇水が起これば、日本の社会全体が混乱するわけであります。
 今日、地球規模による異常気象が生じておりまして、今から十全の備えを行っていくことは、知事としての当然な責務であります。まして事業はもう七〇%完成している。あとはダムをつくるだけの段階で、この異常気象というものをどう踏まえているか知りませんが、私は、あのダムは決して不要なものではない、必ず近い将来、首都圏にとって必要なものであるということを天が証明してくれるのではないかと思います。
 重ねて申し上げているとおり、八ッ場ダムは、治水、利水の両面から、都にとって必要不可欠な施設でありますし、引き続き関係自治体との連携を一層強めながら、事業の継続と早期完成を国に強く求めてまいります。
 次いで、豊洲新市場建設計画の推進についてでありますが、築地市場は、既に老朽化、狭隘化が深刻でありまして、震災時における耐震性やアスベストなど、安全性の面からも、一刻も早い豊洲地区への移転が必要であると思います。
 新市場予定地の土壌汚染については、トップレベルの首都大学東京の学長でもあります原島教授を座長に据えまして、各分野で最高権威の学者の方々で構成される技術会議が、二百もの技術の提案の中から選んで取りまとめた信頼性の高い対策を講じることによりまして、これまでに判明したすべての汚染状況について十分対応が可能であり、もはや安全性に不安はありません。もしこれに疑念をお持ちなら、この問題についてひとつ確かめ、議論もしていただきたいと思います。
 今後の流通環境の変化などを見据えまして、豊洲市場を高度な品質管理、これは例えば、暑いときには、冷蔵、冷凍の施設が完璧でありません。それから、そういった時期に、外から物を運ぶときの運搬の手段というものが野ざらしにされていまして、非常に、実際ある意味では危険な状況ではあると思います。
 そういう意味でも、効率的な物流など、新たな機能を備えた基幹市場として発展させていくことが、将来にわたり首都圏三千三百万人の食生活を支え、都民、国民への責任を果たすことになると必ず思います。
 都としては、技術会議の提言に基づく万全な土壌汚染対策を確実に実施することで、安全性に揺るぎのない豊洲新市場の整備を進め、平成二十六年十二月の開場を目指してまいります。
 次いで、地球温暖化対策についてでありますが、先進国に求められる意欲的な削減目標を達成するためには、発電所や大規模工場だけではなく、オフィスビルも対象とした総量削減義務の導入が不可欠であります。
 今、この施設の導入を世界に提起できるのは、都市型キャップ・アンド・トレードを構築し、都市としては世界で初めてICAPへ加入を果たした都だけであります。
 都はこれまでも、国内のみならず、海外の多くの地方政府などの求めに応じて、大都市における気候変動対策のノウハウを提供してまいりました。
 今後も、こうした実績を踏まえ、世界の大都市スタンダードとなるべき都のキャップ・アンド・トレードを世界にアピールしていきたいと思っております。
 実は昨晩、今回叙勲を受けました、世界サッカー協会、FIFAの会長のブラッターさんの祝賀の会に出向きました。そこで、新しい総理になられるであろう民主党の鳩山代表と会って、長らくお話しすることに──主に話したのはオリンピックのことでもありますけれども、これは環境問題でありました。
 私はそのときに鳩山代表に、自分が三十数年前東京で聞きました、あの天才的天文学者の、ブラックホールの発見者であります、名前は忘れましたが、あの学者の講演の概要をお話しいたしました。それで、あのときにホーキング博士が、これだけ地球の文明が進むと、地球の寿命は間もなく終わるだろう、宇宙時間でいえば瞬間的だといいました。私は、瞬間的な地球時間ってどれほどでしょうかと聞きましたら、およそ百年だ。あれから三十数年がたちました。残っている時間はありませんなといいましたら、鳩山代表は、やっぱりあの方は理科系の方だけに、非常に緊張した顔で顔色を変えられて、ホーキングがそういいましたか、考えなきゃいけませんなと。全くそのとおりだと思いますね。
 彼がいい出した二五%削減というのは、経済界は色をなして反対するかもしれません。連合も反対しているようですけれども、果たしてこれから何年地球がもつことを考えれば、隣の中国の経済成長、インドの経済成長、軍備拡張、彼は彼なりに何を何年先目指すかわかりませんけれども、そんなのが全く意味のない地球の荒廃が来るということを彼は心から同意して、とにかく自分はやりますということをいっておられました。まあ念のためにご報告しますけれどもね。私はやっぱりこの地球を子孫のために失うわけにいかないと思います。
 次いで、オリンピック・パラリンピック招致についてでありますが、いよいよ開催都市決定まで二週間余りとなりました。
 私自身、これまでも、ローザンヌ、シンガポール、ベルリンなど直接海外に参りまして、プレゼンテーションやIOCの委員との面会の場で東京招致を懸命にアピールしてまいりました。
 先日公表されたIOC評価委員会の報告書では、東京大会の特徴であります、環境を最重視した大会理念、コンパクトな会場計画、四千億円の基金を初めとした盤石な財政基盤などが高く評価をされておりまして、我々がこれまで取り組んできたことに間違いがなかったことを確信いたしましたが、しかし、まだまだこの行く先はわかりません。勝敗はこれからの本当に土壇場まで不透明でありますが、いずれにしろ、支持率など幾つかの点の指摘もありましたけれども、最近の支持率はもう八〇%を超していることや、会場にかかわる技術的な指摘についても、十分対応可能で問題ない旨を既にIOCに説明済みで、特にホテルの問題は、全くこれは懸念ございません。
 十月のIOC総会を間近に控えて、今月の十七日には出陣式、二十三日には原宿表参道で応援の大パレードを開催し、大いに機運を盛り上げたいと思っております。
 なかなか先の読みにくい難しい戦いでありますけれども、国や都議会を初め、都民、国民の皆さんの力をぜひとも決戦に結集していただきたいと思います。
 そして、コペンハーゲンでは、最後の瞬間まで全力で戦い抜いて、悔いのない戦いを遂げて、日本の未来のために、地球環境の未来のために、招致成功の吉報を持ち帰りたいと心から願っております。
 なお、他の質問については、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事佐藤広君登壇〕

○副知事(佐藤広君) 少子化対策に関するご質問にお答えをいたします。
 少子化の傾向を反転させるためには、これから結婚し、子どもを産む若者、また、子育て中の家庭が、真に安心して子どもを産み育てることができるよう、社会全体で子育てを応援する仕組みをこれまで以上に強化していくことが必要であります。
 そのため、現在、少子化打破・緊急対策本部では、関係各局が連携をいたしまして、子育てに必要な保育、医療、教育、住宅、雇用などの各分野ごとに、子育て世代や現場の意見、また、世論調査の結果などを用いながら、子育て家庭の現状や具体的なニーズを改めて分析いたしますとともに、諸外国の施策や、これまでの国や都の施策を検証いたしまして、新たな少子化対策の立案作業を進めているところでございます。
 今後、こうした作業を積み重ねていくことに加えまして、都民の方々から寄せられるご意見や、また、都議会の皆様方からのご提言などを踏まえまして、現場を持つ東京ならではの発想で、お話のありました社会実験ともいうべき新たな施策を初め、国を先導する重層的、複合的な施策を構築してまいります。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、東京都の学力向上施策についてでございます。
 学力の向上を図っていくためには、お話のように、児童生徒の学力の実態を把握することが必要であり、都教育委員会では、平成十五年度より、都独自の学力調査を実施してまいりました。
 これまでの調査結果から、東京都の児童生徒の学力の定着状況はおおむね良好でございますけれども、例えば、主語と述語の関係や小数、分数の計算など、個々の事項を見ますと、基礎的な知識、技能や考え方が身についていないこと、あるいは長い文章を読んで内容を把握したり、情報を整理して判断したりすること等に課題があることが明らかになってまいりました。
 こうしたことから、都教育委員会といたしましては、これまで実施してきた授業改善推進プランや東京ミニマム等、授業改善のための施策を今後とも充実してまいる所存でございます。
 また、児童生徒の学力の定着状況は毎年差異がございますことや、学習指導要領が改訂され、学習内容が変わりますことから、引き続き学力の把握に努めていく考えでございます。
 さらに、各学校が把握した結果をもとに、児童生徒一人一人の学習における改善点を明確にして、児童生徒や保護者に対して還元することが重要であると考えております。
 次に、学力向上のための補習等の充実についてでございます。
 児童生徒一人一人の学力向上を図るためには、各学校における通常の授業の充実に加えまして、補習等の個別的な指導を行う必要がございます。
 こうした指導につきましては、授業終了後、できるだけ早い時期に行うことが効果的でございますことから、多くの学校が放課後や土曜日に、児童生徒の実態に応じて補習等を実施しております。
 今年度からは、学習指導要領の移行措置に伴う授業時数の増加によりまして、平日の放課後の活用が限られますことから、今後、土曜日も含めた補習等を充実することが重要になってまいります。
 このため、都教育委員会は、昨年十二月に、区市町村教育委員会に対しまして通知文を出しまして、希望する子どもたちを対象に、基礎学力の向上や補充、発展的学習等のための学習機会を提供することなどを例示いたしまして、土曜日を活用した取り組みの一層の促進を図ったところでございます。
 補習等につきましては、さらに多くの学校が個々の実績に応じて実施できますよう、今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携をいたしまして、充実策を検討してまいります。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、外環の整備推進に向けた都の取り組みについてでございますが、外環は、東京から全国に放射状に延びる高速道路を環状に連結し、東京のみならず、広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路であり、国の責任において早急に整備されるべき路線であります。
 国は、平成二十一年度予算において、九十五億円の事業費を計上し、事業着手したところであり、外環の関越道から東名高速間の用地取得の一部を受託する協定を六月末に国と都の間で締結いたしました。
 今後速やかに、国とともに事業説明会を開催し、都は四カ所のジャンクション、インターチェンジのうち大泉ジャンクション部において、これまで道路整備で培ってきた経験を生かし、迅速に測量や用地取得を進め、早期着工に結びつけてまいります。
 また、都は、外環の整備を進めるに当たり、国と協力して地元の意見や要望に対する考え方を示した対応の方針を確実に履行してまいります。
 さらに、国に対しては、事業費の安定的な確保とコスト縮減を強く働きかけ、沿線区市と連携し、早期完成に向け、積極的に取り組んでまいります。
 次に、環状第二号線の臨海部から虎ノ門に至る区間の整備の必要性と取り組みについてでありますが、本区間の整備は、都心部と臨海部との連絡強化や地域交通の円滑化を図るとともに、緑豊かな都市空間ネットワークを形成する上でも極めて重要であります。
 さらに、臨海副都心や晴海、勝どき、新橋・虎ノ門地区などでは、新たなまちづくりが進んでおり、これらの開発に伴い発生する交通需要に対応するためにも、早期整備が必要であります。
 現在、本区間のうち、未整備の豊洲から虎ノ門までの四・八キロメートルの区間で事業中であります。
 このうち、豊洲及び晴海地区につきましては、区画整理事業などにより整備を進めております。
 勝どきから築地までの区間では、用地の取得を鋭意進めており、今年度から隅田川及び朝潮運河にかかる橋梁工事にも着手いたします。
 汐留から虎ノ門までの区間では、再開発事業などと一体的に整備を進めており、既にトンネル区間の約七割で工事を実施中であり、来年度までには全区間で工事に着手してまいります。
 今後とも、平成二十七年度の全線開通を目指し、全力で取り組んでまいります。
 次に、連続立体交差事業の取り組みについてでありますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することにより、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業であり、都が事業主体となり、道路整備の一環として必要な財源を確保しながら実施しております。
 現在、七路線八カ所で事業を進めており、平成二十七年度末までに百八カ所の踏切を除却する予定であります。
 このうち、JR中央線につきましては、本年十二月に、三鷹駅から国分寺駅間を高架化し、十三カ所の踏切をすべて除却いたします。
 一方、新規箇所につきましては、昨年度、新規着工準備箇所として採択されました西武新宿線中井駅から野方駅付近と、京王線代田橋駅から八幡山駅付近の二区間の都市計画及び環境アセスメントの手続の着手に向けて、関係機関と調整を進めております。
 また、今年度採択されました西武新宿線東村山駅付近につきましては、現在、構造形式や施工方法を検討しており、今後、国と協議してまいります。
 さらに、京王線八幡山駅から仙川駅付近につきましては、世田谷区が施行いたします補助第二一六号線の整備計画が具体化したことから、連続立体交差事業の事業候補区間として位置づけ、事業化に向けまして、隣接いたします代田橋駅から八幡山駅付近と一体的に都市計画などの手続に取り組んでまいります。
 引き続き、必要な財源の確保に努め、区市や鉄道事業者と連携しながら、連続立体交差事業を一層推進し、効率的で利便性の高い都市の実現に取り組んでまいります。
 最後に、今後の河川整備の進め方についてでございます。
 水害から都民の命と暮らしを守るためには、中小河川の整備を積極的に進めることが重要であります。
 都はこれまで、一時間五〇ミリの降雨に対処できるよう河川の拡幅や調節池、分水路の整備を進め、治水安全度を七五%まで向上させてまいりました。
 平成二十一年度から、白子川地下調節池の整備を再開するとともに、入間川分水路の整備に着手するなど、五〇ミリ降雨対策のスピードアップを図っております。
 さらに、近年の局地的集中豪雨の増加など気候変動の影響も踏まえ、東京に既往最大の被害をもたらしました狩野川台風級の七五ミリ降雨を視野に入れ、今後の河川整備のあり方について検討を進めております。
 具体的には、学識経験者の意見を聞きながら、近年の豪雨実績も含めた降雨データの解析や既定計画の河川施設の再評価を行い、局地的集中豪雨の際にも、流域間で効果的な運用が可能な調節池の増設など、必要となる河川施設を検討してまいります。
 引き続き、都民が安心して暮らせる東京の実現を目指し、中小河川の整備に全力で取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点についてお答え申し上げます。
 まず、新型インフルエンザの大流行期における医療提供体制の強化についてでありますが、外来部門におきましては、東京都医師会を通じて、新型インフルエンザの疑いのある患者に対する早期診断、早期治療の徹底を、また、入院部門では、都内の全病院に対し、急増する患者に対応できる体制確保を要請いたしました。
 さらに、ICUの稼働実績や人工呼吸器の保有状況等を把握し、重症化した小児や妊婦、基礎疾患を有する方など、専門的医療が必要な患者の診療体制の確保に努めております。
 また、サーベイランスの実施、健康安全研究センターの検査体制の強化により、インフルエンザ発生状況の的確な把握を行うとともに、懸念されるウイルスの変異などの監視を強化してまいります。
 次に、障害者自立支援法についてであります。
 さきの国会に提出された障害者自立支援法等の改正法案では、利用者負担を応能負担とすることや、発達障害者を支援の対象として明確に位置づけることが提案をされておりました。
 また、身近な地域での障害児支援を強化することや、重度視覚障害者の社会参加を促進する上で重要なサービスである移動支援を法定給付とすることなども盛り込まれておりました。
 これらの内容は、都として、これまで要望してきた趣旨に沿うものであり、早急に実現が図られるよう、引き続き国に求めてまいります。
 次に、精神障害者対策についてであります。
 精神障害者の方々が地域で安定した生活を送るためには、適切な医療を身近な地域で継続して受けられるようにすることが重要であります。
 このため、都は本年六月に、東京都地方精神保健福祉審議会において、精神障害者を地域で支える上で必要な医療提供体制の整備等について検討を開始いたしました。
 今後、審議会の意見を踏まえ、地域における医療機関等の連携体制の構築及び病状に応じて、より迅速に適切な医療に結びつけるための精神科救急医療体制の改善などについて、積極的に検討を進めてまいります。
 次に、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすための仕組みづくりについてであります。
 都では、今後の急速な高齢化の進展を見据え、猪瀬副知事を座長にプロジェクトチームを設置いたしました。
 お話のとおり、在宅や住みなれた地域で暮らし続けたいという高齢者も多いことから、プロジェクトチームでは、地域全体に安全と安心を提供する仕組みとして、公的サービスを初めボランティアや民間事業者などをコーディネートする新たな拠点の設置を検討しております。
 今後、事業の詳細についてさらに検討を行い、その内容を踏まえ、都として国に先駆けて新たなモデルの実現に取り組んでまいります。
 次に、未届け有料老人ホームへの対策についてでありますが、都は、高齢者施設での火災事故を踏まえ、都内の未届け施設に対し、関係機関と連携して届け出指導を行ってきた結果、本年八月末までに六件の届け出がありました。
 今回、新たに社会福祉士や消防署員、区市の建築指導担当職員等から成る緊急対策チームを適宜編成し、施設設備やサービス提供の実態を調査するとともに、届け出促進に向けた指導を強力に行っております。また、未届け施設の情報の共有化等を図るため、東京消防庁や区市と連絡協議会を設置するなど、今後とも関係者間で連携しながら指導を徹底してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてでありますが、都では、利用者本位のケアを実現するため、特別養護老人ホームの整備に当たり、ユニット型個室での整備を基本として補助を実施しております。しかしながら、既存施設をユニット型に改築する場合、今まで以上の敷地が必要となるなど、物理的な対応が困難な場合も考えられます。このため、既存施設の増改築については、プライバシーに配慮するなど一定の条件のもとに、ユニット型でない施設についても今年度から補助の対象といたしました。
 新たに特別養護老人ホームを整備する場合における従来型多床室の扱いにつきましては、ご指摘のとおり、区市町村の実情も踏まえ、今後、施設運営上の課題などを十分に検証した上で、検討してまいります。
 次に、救急医療の東京ルールについてであります。
 東京ルールは、地域全体で救急患者の受け入れ病院をより迅速に選定することを目指した新たな取り組みであります。従来の救急隊などによる救急医療機関選定の仕組みに加え、地域で救急患者の受け入れ調整等を担う地域救急医療センターを指定するとともに、これをバックアップするため、都内全域での調整を行う救急患者受け入れコーディネーターを配置するものであります。
 八月三十一日から九月十二日までの十三日間で、搬送先選定が困難な事案として受け入れ医療機関選定を行った実績は二百八十八件でありましたが、このうち二百四十三件は地域内で受け入れが行われました。新たにスタートしたこの方式を着実に推進し、救急医療体制の確保に万全を期してまいります。
 最後に、がんの相談体制の充実についてであります。
 がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院では、相談支援センターを設置し、患者、家族の不安や疑問に対し、きめ細かな相談や情報提供を行っております。また、今年度新たに、拠点病院等における患者、家族の交流を支援するための事業である、がん患者・家族交流室整備事業を四病院で実施をしてまいります。さらに、患者会の協力を得て行う、がん経験者によるピアカウンセリング事業では、生きがいや治療に臨む勇気を得たとの声をいただいているところであります。
 この十月からは、日中、仕事を持つ患者や家族の利便性にも配慮し、相談支援センターにおける休日・夜間相談をモデル実施いたします。今後とも、相談支援体制の充実に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 中小企業対策にかかわる二点のご質問にお答えいたします。
 東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援についてでございますが、本年第一回定例会において条例案及び予算案のご議決をいただいた以降、支援策の具体化に向け、地域の金融機関を初めとする関係機関の調整を進めるとともに、民間保証機関から融資スキームの企画提案の募集を行ってまいりました。
 このたび、新たな融資制度の枠組みが固まったところであり、具体的には、地域の金融機関の目ききの力と保証機関の審査ノウハウを活用した仕組みといたします。融資対象は、取扱金融機関と一定の取引実績のある都内中小企業とし、資金使途は原則として運転資金、融資限度額は一千万円以下の小口資金、比較的長期の融資期間といたします。
 また、預託金や損失補助により、金利、保証料といった中小企業が負担するオールインコストの低減を図ります。
 現在、取扱金融機関と保証機関との間で実務的な協議を進めておりまして、今月中の制度開始を目指してまいります。
 制度融資に加え、本制度の創設により、高い技術力やすぐれたビジネスプラン等を持ち、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業を資金面から支援し、東京の産業活力の維持向上を図ってまいります。
 次に、受注開拓への支援についてであります。
 昨年来の世界的な不況のもとで、厳しい経営環境に置かれている都内中小企業が活路を切り開いていくためには、ご指摘のとおり、受注開拓と販路の拡大が急務であります。このため、都は、意欲的に経営改善に取り組む中小企業を支援する経営力向上TOKYOプロジェクトで、新たな受注開拓が必要とされた企業に対して、展示会出展経費等を助成する受注開拓緊急支援助成事業を実施しておりますが、これまでに多数の申請をいただいております。
 また、今後、都と商工会議所や商工会等の中小企業支援機関が連携し、大企業を初めとする発注側企業に直接発注を働きかけてまいります。
 さらに、より活発な受発注が行われるよう、地域に密着した地元の金融機関とも連携する等、工夫を凝らした商談会を開催いたしまして、中小企業の受注機会の拡大を一層強力に支援してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 入札契約制度についてのご質問にお答えをいたします。
 公共工事は、完成後、数十年の長期にわたり、その機能が維持される必要がございまして、工事の品質の確保は極めて重要な課題でございます。そのため、一定水準を下回る低い価格で入札があった場合には、中小規模の工事では、最低制限価格制度を適用いたしまして自動的に失格とする一方、大規模な工事におきましては、工事施工上の工夫の余地が大きいことから、低入札価格調査制度を設け、当該工事契約の履行が可能か否かを調査した上で契約を締結しておりまして、これらにより価格と工事品質との両立を図ってきております。
 一方、厳しい経済状況の中、昨今、低価格の入札案件が増加するとともに、これまでに見られなかったような著しく低い価格での入札が生じてきております。こうした低価格入札が今後続くと、工事現場における労働安全対策の切り下げ、あるいは下請企業への不当なしわ寄せを生じさせるおそれが高く、また中長期的にも、優良な事業者の減少や技術力の低下を招くなど、今後の公共工事の品質確保に悪い影響が生じることが懸念され、必要な対策を講ずべき事態であるというふうに認識をいたしております。
 現在、入札契約制度改革研究会におきましてさまざまな角度から検討を行っており、その報告を踏まえて、必要な諸施策を実施し、改革を総合的に進めていくこととしておりますが、低入札価格調査制度につきましては、労働安全対策などの法令遵守の徹底や、中長期的な工事品質の確保の観点に立ちまして、速やかに強化を図ってまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港の二十四時間化に伴う空港アクセスについてでございますが、二十四時間利用可能となる羽田空港の特性を生かすには、深夜、早朝の国際線に対応した公共交通手段を確保することが重要でございます。昨年から、深夜、早朝のチャーター便のため、バスの運行を開始するとともに、モノレールの空港駅からの始発時間を繰り上げるなどの対応を始めておりますが、再拡張後は、深夜、早朝の利用者が飛躍的にふえることが見込まれます。
 このため、国は本年五月から、都や交通事業者など関係者とともに運行時間帯の拡大や本数の増加などについて検討、調整を始めました。都としては、国と連携を図りながら、深夜、早朝便に対応した使いやすい公共交通手段の確保など、空港アクセスの充実に取り組んでまいります。
 次に、今後の都市づくりの取り組みについてでございますが、改定した都市づくりビジョンでは、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市東京を新たな基本理念として、都市活力を高め、環境の面においても世界の範となる都市づくりを進めていくことといたしました。
 都心部では、都市再生を積極的に進め、業務機能等の質的高度化とともに、エネルギー利用の効率化を図り、国際競争力の強化と環境負荷の低減を両立させてまいります。多摩地域では、多様な都市機能が集積した核都市の整備や、都県境を越えた交通ネットワークの強化により、ゆとりある住環境を備えた自立した都市圏を形成してまいります。
 また、区部、多摩を通じて、駅周辺のまちづくりなどを促進して、地域の生活を支え、魅力を高める施設の充実を図り、にぎわいのある生活拠点を整備してまいります。
 今後、このような施策を積極的に展開することにより、東京を、さらに機能的で魅力のある環境先進都市へと再生してまいります。
 次に、多摩地域の都市づくりについてでございますが、このたび発表した多摩の拠点整備基本計画では、広域的な拠点である核都市に加え、より身近な生活拠点についても、整備の方針と具体的なプロジェクトを示し、まちづくりを促進することといたしました。
 例えば、核都市については、立川基地跡地昭島地区における土地区画整理事業の事業化を図り、目標とするまちづくりの早期実現に取り組んでまいります。
 また、生活拠点では、調布駅やひばりヶ丘駅の周辺などにおきまして、連続立体交差事業や都市計画道路の整備にあわせ市街地の再編を促し、身近な拠点を再生してまいります。
 今後、広域的な基盤整備を推進するとともに、補助制度の活用等を通じて地元市の取り組みを積極的に支援し、自立して一層の発展を遂げる多摩地域を実現してまいります。
 次に、災害に強い都市づくりへの取り組みについてでございますが、都におきましては、首都直下地震の切迫性を踏まえ、地震による建物の倒壊や市街地火災を防止し、避難、消火活動等を円滑に実施できる都市構造を早期に実現することが重要であります。
 このため、最新の地域危険度調査や、これまで実施した事業の検証結果などを踏まえ、重点的な取り組みを行う整備地域の見直しを進めるとともに、沿道一体整備事業等の効果の高い事業や、防災街区整備地区計画等の規制誘導策を重層的かつ積極的に実施することによりまして、市街地の不燃化のスピードアップを図ってまいります。
 さらに、主要な生活道路を含めた避難経路の安全性を確保するため、沿道建物の耐震化を一層促進してまいります。あわせて、道路の段差解消など、避難時にも有効なユニバーサルデザインのまちづくりや、緑化の促進等による良好な都市環境の形成を、防災都市づくりの中でも進めてまいります。
 このような基本的な考え方に沿って、防災都市づくり推進計画を平成二十二年当初を目途に改定し、地元自治体を初め、さまざまな主体と連携して、災害に強い都市づくりに着実に取り組んでまいります。
 最後に、緊急輸送道路沿道の建物の耐震化についてでございますが、緊急輸送道路は、震災に際して、救急活動や物資輸送等の役割を担うものでございまして、建物倒壊による道路閉塞を防ぐことが重要でございます。
 そのため、都は、沿道建物の耐震化に重点的に取り組んでおり、今年度から耐震診断の補助率を引き上げるとともに、総合相談窓口を開設し、建物所有者等への助言や相談に応じてまいりました。さらに、第一京浜や明治通りなどの優先度の高い路線を選定し、所有者の積極的な取り組みを促すため、地元自治体と連携して、戸別訪問を行い耐震化の必要性を直接訴える、いわゆるローラー作戦に本年八月から着手いたしました。
 今後とも、これらの施策を積極的に展開し、地震に強い東京の実現に向け取り組んでまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の多摩振興に対する取り組みについてでございますが、都は、活力と魅力にあふれた多摩の創造を目指し、平成十三年に多摩の将来像二〇〇一を策定するとともに、その将来像の一層の具体化を図るため、多摩アクションプログラムや多摩リーディングプロジェクトなどを明らかにし、多摩地域の振興を進めてまいりました。本年二月には、新たな視点により、ハード事業のみならずソフト事業も取り入れた総合的な振興策として、多摩振興プロジェクトを策定いたしました。
 今後とも、関係局及び市町村とも十分連携しながら、首都圏の中核拠点として発展する多摩の実現に向けまして、本プロジェクトを精力的に推進していくとともに、多摩地域を取り巻く状況や今後の発展を見据え、さらなる振興を図るための検討を進めてまいります。
 次に、集中豪雨時の情報伝達についてでございますが、ご指摘のとおり、区市町村が住民に正確な情報を迅速かつ的確に伝達することが重要でございます。そのため、都は、気象警報など重要な防災情報を、防災行政無線や災害情報システムによりまして区市町村に迅速に提供を行う体制を整備しております。また、毎年、都内全区市町村や防災機関と合同で情報連絡訓練を実施しておりまして、本年は、三月から開始されました神田川洪水予報によりますはんらん警戒情報の発表を想定した訓練を行いました。
 今後も、都民の安全を守るため、実践的な訓練を繰り返し実施するとともに、都と区市町村、関係機関の情報の共有化を一層進める新たな災害情報システムを導入するなど、情報伝達体制の充実に努めてまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 小児総合医療センターに関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小児総合医療センター開設時の医療体制についてでありますが、ご指摘のとおり、同センターが都における小児医療の拠点として、救急や周産期などの高度専門医療に取り組んでいくためには、多くの優秀な人材を必要としております。このため、現行小児三病院の人員と比較して、医師は五割程度、また看護職員は二割程度の増員を目指して努力しているところでございます。
 全国的に医療人材の不足が深刻化する中で、こうした体制を整えることは容易ではありませんが、新センターの医療機能の高さや処遇改善等の取り組みが医療関係者から高く評価され、医師については大学派遣や海外の著名な病院からの招聘など、人材の確保が進みつつあります。
 なお、昼夜を問わず患者が訪れる救急部門等では、宿直明けに休みをとることができる一直二勤務体制の導入を図り、医師の過酷な勤務の改善にも努めてまいります。
 また、看護職員についても、採用試験の複数回実施や地方選考の実施等、採用活動の強化等に取り組むとともに、七対一看護基準や二交代制の導入など、働きやすい職場づくりに努めております。
 今後とも、来年三月の開院に向け、組織の総力を挙げて人的体制の整備に取り組んでまいります。
 次に、小児病院が転出する地域に対する取り組みを含めた多摩地域に対する今後の対応についてでありますが、まず、小児病院が転出する地域の小児医療体制の確保については、この間、地元自治体や医師会など関係機関との協議を精力的に重ねております。
 その協議の結果を踏まえ、北多摩北部地域においては、六月から多摩北部医療センター小児科の病床数を十三床から三十五床に整備拡充して受け入れを開始するとともに、四月から増強した常勤医師に加えて、清瀬小児病院から三名の医師をチームで派遣しております。さらに、多摩北部医療センターで実施している平日準夜帯での初期救急医療について、今月より週三日から週五日に拡大して実施に移したところであります。
 一方、八王子地域においては、中核病院である東海大学八王子病院及び東京医科大学八王子医療センターでそれぞれ六床、合計十二の小児病床を新たに確保できる見込みとなっております。また、小児病院転出後の跡地と建物を活用して、八王子市が小児初期救急医療や重症心身障害児の通所事業を行うこととなっております。
 さらに、ご指摘のとおり、多摩地域全体の小児医療水準を向上させる上で、医療機関の連携は非常に重要でありますことから、小児総合医療センターと多摩北部医療センターとの連携づくりなど、限られた医療資源を最大限有効活用するための仕組みづくりを進めてまいります。
 今後も、小児病院が転出する地域を初め、多摩地域の小児医療の一層の充実に、関係局とともに全力で取り組んでまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 土壌汚染調査結果の評価と対策の実施についてのご質問にお答えいたします。
 豊洲新市場予定地における詳細調査で、環境基準を超過した一千四百七十五地点につきまして、深さ方向に、これまで四百四十一地点の調査を実施してまいりました。今回、残る一千三十四地点について、同様の調査を実施いたしました。
 分析の結果、深さ方向全体では、八二%が環境基準以下であり、平面方向の詳細調査では、六四%で汚染が検出されていないことを考え合わせると、新市場予定地は、汚染が敷地全体に広がってはいないことが明らかになりました。
 また、不透水層につきましては、今回の調査地点すべてで確認でき、前回の調査で確認できなかった二地点の周囲で実施した調査でも確認できたことに加え、長い年月をかけて形成された地層の成り立ちから、敷地全体として見た場合、不透水層は連続していると考えております。
 これらの汚染状況などは、汚染物質の濃度も含め、技術会議が検討した際に前提とした範囲内でございます。都が技術会議の提言に基づき定めた土壌汚染対策で、新市場予定地の安全性は十分確保できます。
 都といたしましては、食の安全を確保し、都民や市場関係者が安心できる豊洲新市場を整備するため、最先端の技術、工法を駆使した土壌汚染対策を確実に実施してまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 地球温暖化対策等推進のための区市町村補助についてお答えいたします。
 本制度に関しては、多くの区市町村から相談を受けまして、現在、補助交付の手続を進めております。地球温暖化の原因となるCO2は、都民生活やあらゆる経済活動から排出されるため、区市町村の多様な環境施策の中には、工夫によって温暖化対策に貢献できるものがあると認識しております。
 こうしたことから、お話のとおり、区市町村が展開しているさまざまな環境施策についても、地球温暖化対策に資するという効果を積極的に評価し、より幅広く本制度の対象となるよう検討してまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 水道事業に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業の実施効果についてでありますが、このモデル事業は、都内の公立小学校を対象に、水飲み栓について、貯水槽を経由しないで直接給水する方式に切りかえるもので、実施効果を把握するため、切りかえの前と後に、児童約一万九千人、教職員約千三百人に対しアンケート調査を行いました。
 その結果、現在の水道水に満足していると答えた教職員の割合は、切りかえ前には三割程度であったものが、切りかえ後には六割に増加いたしました。また、自由意見として、児童からは、いつでも水が冷たくなったので毎日飲むようになった、飲んでみたらおいしかった、特に体育などの後がいいなどの声があり、教職員からも、より安全でおいしい水が飲めるようになり、よかった、児童が水を喜んで飲む姿が見られるようになり、うれしく思うといった評価をいただいております。
 次に、直結化モデル事業の今後の展開についてでありますが、区市町からは、中学校への対象拡大や、数年にわたって取り組みが続けられるよう、期間延長の要望が寄せられております。
 本事業は、ご指摘のとおり、小学校のみで行っているため、子どもたちが中学校へ進学すると対象とならないことから、当局といたしましても、この事業の成果を一層高めるためには、新たに取り組まなければならない課題であると認識しております。
 そこで、蛇口から直接水を飲むという、日本が誇る水道文化を次世代に継承するため、新たにモデル事業の対象を公立中学校に拡大することについて検討してまいります。
 また、モデル事業を円滑に推進するため、実施期間の延長についても、対象の拡大とあわせて検討してまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十三分休憩

   午後五時四十一分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十四番長橋桂一君。
   〔八十四番長橋桂一君登壇〕

○八十四番(長橋桂一君) 十八期最初の定例議会に当たり、都議会公明党を代表して質問をいたします。
 公明党は、さきの都議会議員選挙において、都民の皆様の信任をいただき、全員当選を果たすことができました。ご支援をいただいた都民の皆様に心から感謝を申し上げる次第です。今や待ったなしの少子高齢社会対策、経済危機突破への方策、安心の医療・介護体制の構築、さらには更新期を迎えた都市インフラの整備など、公明党は現場の声をどこよりも聞き、新たな決意で臨み、東京の将来展望を築いてまいります。
 知事は、所信表明の中で、イギリスの都市専門誌の調査結果を引用し、東京が世界の住みやすい都市ランキングで実質的に世界一位であることを紹介されました。東京都の先進的な都市づくりの評価であり、まさに知事のいわれる都民の英知と力の結集の成果であります。
 一方、スイスの国際経営開発研究所、IMDが最近発表いたしました世界競争力年鑑によりますと、日本の相対的評価はかつて一位であったのが、五十七位中十七位と低迷しております。
 もちろん、先ほどの住みやすい都市との指標の違いはあるものの、この評価は、日本及び日本人のポテンシャルを十分に発揮できていない状況を浮き彫りにしていると思えてなりません。いま一度、日本のポテンシャルを引き出すためにも、道州制などの本格的な地方分権のあり方を追求するとともに、現場を持つ首都東京が重要課題に対する大胆な解決策を示し、あわせて東京の将来ビジョンを改めて力強く提示することが重要であると考えます。首都東京の知事として日本の危機に立ち向かう決意をまず伺いたいと思います。
 次に、平成二十二年度予算編成について質問します。
 去る七月三十日に通知された平成二十二年度予算の見積もりに関する依命通達では、新たな公会計制度を活用して事務事業評価の取り組みを推し進め、従来にも増して事後検証の強化を行っていくこととしております。
 我が党はかねてより、限られた財源の中で必要な事業を持続していくためには、むだをなくし都民のために最大限の効果が発揮できるよう、施策の実効性を高めていくことが不可欠であり、そのために事務事業評価や新たな公会計制度の活用が最も重要であると主張してきました。
 平成二十二年度予算編成に当たって、都財政を取り巻く環境が当面好転することが期待できない状況にあります。今後、難しいかじ取りが強いられることになりますが、こうしたときであるからこそ、全国に先駆けて導入された公会計制度を活用しつつ、サービスを受ける都民の視点から事務事業のあり方をしっかりと検証し、一層都民に役立てるよう改善していくことが重要であります。見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問をいたします。
 未曾有の経済危機の中で、中小企業の経営は依然として厳しい状況にあります。中小企業の経営を支えるためには、さまざまな取り組みが強く求められています。税制の面からの支援もその一つであります。
 国は二十一年度税制改正で、法人税に関して中小企業の欠損金の繰り戻し還付を復活させました。これは、前年度が黒字でありながら、今年度が赤字に陥った企業に対し、前年度に納税した法人税を還付するというもので、赤字に陥った中小企業の資金繰りを税制の面から支える仕組みであります。
 地方税についても、前年度に黒字だった中小企業が次の年に赤字になった場合、法人税と同じような仕組みがあってしかるべきと考えます。赤字に陥った中小企業の資金繰りを支援するため、法人事業税や都民税にも損失の繰り戻し還付制度を創設すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、東京都独自の融資制度について質問いたします。
 資金調達能力が乏しい中小企業にとって、緊急保証制度を中心とする制度融資や日本政策金融公庫のセーフティーネット貸付が頼みの綱であります。しかし、経営者からは、信用保証枠を使い切り、新たな融資を受けることができない、条件変更をしたために融資を断られたなどと、切実な声が寄せられています。既存の制度だけでは資金調達ができず、困窮している企業はふえている現状があります。
 我が党は、こうした状況を踏まえ、ことし第一回定例会で都が提案した独自の融資制度を立ち上げる条例を可決したところです。したがって、この融資制度については、既存の制度では対応できない中小企業に対し、資金供給の可能性を具体的に広げる内容でなければなりません。そのためにも、一刻も早く新たな制度の内容を示していくことが必要であります。
 知事は、今定例会の所信表明で、今月を目途に立ち上げると明言しましたが、中小企業の経営者からは大きな期待が寄せられております。既存の制度では融資を受けられない中小企業の実態を踏まえて、新たな融資制度であることを明らかにするとともに、融資限度額や融資期間、中小企業の負担軽減を図る具体的な制度内容を具体的に示すべきであります。見解を求めます。
 次に、少子化対策、子育て支援について質問します。
 都は七月に、安心して子どもを産み育てられる東京の実現を目指し、少子化打破・緊急対策本部を設置しました。局を超えた戦略的施策の検討、各局の円滑な連携が期待されております。
 知事は、子育て世代、特に三十五歳から三十九歳までの団塊ジュニア世代が東京には圧倒的に多いことなどから、今が少子化の傾向を反転させるラストチャンスと述べられるなど、その意気込みも強く伝わっております。
 さきの総選挙では、子育て支援が大きな争点となり、長年、児童手当の拡充に反対してきた政党が、突然、給付額や対象を大きく拡大したマニフェストを発表し、国民の関心を引きつけるなどしておりましたが、公明党は、これまで一貫して少子化対策、子育て支援策を推進し、実現をしてまいりました。
 例えば、今から四十年前の一九六九年には、公明党の主導で国に先駆けて東京都独自に児童手当制度を創設し、全国的に評価された結果、三年後には国の制度へと発展をしました。また、児童手当以外にも、乳幼児医療費助成制度や出産育児金の創設、妊婦健診の無料化、子育て応援特別手当創設などを推進してまいりました。
 少子化対策や子育て支援は今後、雇用の安定や住宅の確保などさらなる総合的な事業展開を緊急に推進する重要な時期を迎えております。都として、合計特殊出生率の回復に向けた数値、年次目標を明確にして取り組むべきことが重要であります。まずは少子化対策に向けた知事の見解を伺います。
 都の少子化打破・緊急対策本部では、子育て支援、医療、教育、雇用、まちづくり、地域力の活用という総合的な検討が進められております。社会全体で子育て支援をしていく環境づくりに都が大きく踏み出しました。
 さらに、都は六月に、待機児童解消に向けた子育てサービスの今年度の整備目標を五千人から八千人にするなど、これらの都の取り組みを改めて評価するものであります。
 一方で、二十代、三十代の非婚、晩婚化の原因として、非正規雇用による経済的不安が指摘されております。そこで改めて取り組みの焦点となってくるのが積極的な雇用政策の推進であります。既にイギリスでは、三年間で二十五万人の失業手当受給者に就業機会を与えることを目的とした地域雇用パートナーシップ事業が始められて、限られた予算で大きな成果を上げております。過去二年間で十万人が新たな職を得ておりますが、シミュレーションでは失業手当の支出が減り、納税者がふえることで歳入に大きく貢献し、四百億円の対策費で八百億円の税収増の効果があるとしております。
 この自治体と企業が連携して新たな雇用、就労を創出していく、地域雇用パートナーシップに当たる事業を東京都でも検討するべきであります。
 例えば、職業紹介にとどまらず、社内で職業訓練を行う企業に対しても都が財政支援を行い、さらに生活が安定するまでの期間、生活支援を行う新たな制度を創設すべきであります。こういった生活支援、職業訓練、職業紹介の連携が重要と考えます。見解を求めます。
 なお、正社員化を支援するネクストジョブ事業が昨年東京しごとセンターでスタートし、大きな成果を上げております。これを東京しごとセンター多摩でも取り組むべきとの我が党の主張に対し、都は検討を約束しました。そこで、その検討の結果を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、ワークライフバランスの改善です。
 ある大手衣料品チェーンでは、女性社員が子育ての時間を確保しながら収益も伸ばしております。この企業では、キャリアを積んだ女性社員が結婚や出産を機に退職するケースが多いことから、八時間勤務、土日休み店長制度を導入しました。その結果、この制度ができるまでは、結婚後も店長を続ける女性社員は一人もいませんでしたが、現在では二十四人も誕生し、仕事と家庭を両立させて活躍していることは有名であります。
 安心して子どもを産み育てられる社会を実現するためには、これまでの発想を大きく転換し、共働きや父親の子育てを応援する企業をふやす政策が必要であります。税制上のインセンティブや補助金、融資条件の優遇、入札制度の総合評価基準にワークライフバランスへの取り組みを加えるなど、あらゆる支援策を進めるべきであります。見解を求めます。
 また、東京都庁におけるワークライフバランスの取り組み状況とその成果を伺うとともに、都庁での取り組みを東京モデルとして明示するなど、民間企業に広げていくべきでありますが、見解を求めます。
 次に、都民の生命を守る最後のとりでである救急医療体制について質問します。
 年間約五十八万件発生している救急搬送のほとんどは、スムーズに受け入れが行われておりますが、その一方で、受け入れに時間がかかった搬送困難事例が三万五千件以上発生している実態もあります。
 こうした状況を改善するために、都は全国初の試みとして、救急医療の東京ルールを八月三十一日にスタートさせました。島しょ部を除く都内十二の二次保健医療圏ごとに救急医療機関が連携を密にして迅速に搬送できるようにしようとするもので、都民の理解と協力を求めるテレビCMや救急医療ルールブックの新聞折り込み等を通し、徐々に浸透しつつあります。
 私も今月二日、東京ルールにおける調整部門の一つである東京消防庁指令室を視察し、救急患者受け入れコーディネーターによる調整や救急医療機関の連携状況を見てまいりました。救急医療は暮らしの安全・安心の重要な基盤であり、不断の努力によって向上させていかなければなりません。
 そこでまず、東京ルールを踏まえた東京の救急医療の強化について、石原知事の決意を伺いたいと思います。
 次に、東京ルールの基盤ともいうべき地域救急会議について質問します。
 二次保健医療圏ごとに設置することになっているこの会議は、連携の軸となる地域救急医療センターや救急患者の受け皿となる地域の医療機関のほか、消防、関係自治体等で構成されることになっております。
 しかし一方、救急医療機関で暴力行為や医療費不払いの患者が増加していることも搬送を困難にしている大きな要因となっていることから、こうしたさまざまなトラブルにも対応するためには、警察、福祉関係機関なども救急会議に加える必要があると考えます。都の見解を求めます。
 あわせて、東京ルールがまだスタートしていない多摩地域など、四つの保健医療圏でも早期に運用を開始すべきと考えます。見解を求めます。
 さらには、救急医療が十分機能するためには、二次救急医療体制の充実が不可欠であります。しかしながら、救急搬送事例が増加しているにもかかわらず、東京はこの十年で救急医療機関が二〇%も減少しております。二次救急患者のおよそ八割を受け入れている民間の中小病院は、今、診療報酬の改正、医師不足、看護師不足等で救急医療体制を維持していくことが困難になってきております。こうした状況は、やがては地域医療の崩壊につながりかねません。対応策の充実を早急に検討すべきです。見解を求めます。
 次に、流行期に突入した新型インフルエンザ対策について質問します。
 厚生労働省が先月二十八日に公表した新型インフルエンザの流行シナリオによると、九月下旬から十月上旬に流行のピークを迎え、ピーク時の入院患者は全国で約四万六千人、そのうち都内では約四千六百人と推計されております。間近に迫った流行期に対応するためには、患者に対する医療提供をスムーズに行い、人的被害や混乱を極力抑える対策が求められております。
 まず重要なのは、診療体制の充実強化であります。新型インフルエンザの感染が急速に広がった場合、病院だけでなく地域の診療所も多くの感染者を受け入れることになります。このため、医療機関が混乱することなく流行のピークを乗り越えるための緊急時体制を講じておく必要があります。
 例えば、患者の重症化を防ぐには早期受診、早期治療が重要であることから、診療所における診療時間の延長、休日診療の実施等、外来診療体制の強化を検討することも必要であると考えます。見解を求めます。
 また、都は、今定例会に備蓄用抗インフルエンザウイルス薬、折り畳み式ベッド、防護服等の買い入れを提案しております。今後は、重症化した患者にも十分対応できるよう、集中治療室や人工呼吸器の確保など、医療体制を迅速に整えるべきです。見解を求めます。
 次に、新型インフルエンザのワクチン接種費用について質問します。
 厚生労働省は、ワクチン接種の優先順位については一定の基準を示しておりますが、接種費用についてはまだ明確に定めておりません。仮に自己負担になると、経済的な理由で接種を受けられないケースも想定されます。経済格差が命の安全格差を生むような事態を招くことは断じてあってはなりません。ワクチン接種について、都は都民の生命を平等に守るために、経済格差、区市町村間の格差が生じないよう国に強く要望すべきと考えます。見解を求めます。
 新型インフルエンザ対策に関連し、流行の蔓延期においても事業者等が被害や混乱を最小限に抑え、事業の継続を可能とするBCP策定について質問します。
 BCPは東京都のみならず、区市町村や事業者がそれぞれ策定することが、都民生活や都市機能を維持する上で極めて重要であります。
 都は、本年第一回定例会において、強毒型を想定した新型インフルエンザに関する都政のBCPを本年七月には中間のまとめを行い、二十一年度中に策定することを明らかにいたしましたが、いまだ中間のまとめの発表はありません。本格的な流行が既に始まっている状況の中、事態は急を要します。
 都は、今回の弱毒型の経験を生かし、都民の信頼と安心を確保するためにも、感染症の危険度や状況に応じて柔軟に運用できる都政のBCPを早急に策定すべきであります。都の見解を求めます。
 都は、我が党の主張を受けて、本年度から新たに事業者団体が実施するBCP策定に関する研修会に講師を派遣するなど、感染拡大防止に努めています。このことについて評価するものであります。しかしながら、現状はBCP策定に着手している区市町村、事業者等は一部にすぎません。
 そこで都は、区市町村や事業者等がBCPを円滑に策定できるようガイドラインを策定するなど、さらなる意識啓発に努め、一層の支援を図るべきであります。見解を求めます。
 次に、がん対策について質問します。
 日本人は国民の半数ががんになり、三人に一人はがんが原因で死亡している世界一のがん大国であります。がんは、細胞のDNAが突然変異し、長い年月を通して細胞分裂を繰り返し、がん化するのが一般的です。長寿社会の日本では、高齢化に伴い、がん患者が増加しているのです。しかし、高齢化だけでなく、ウイルスや食生活ががんの原因になることもあります。
 例えば、若い女性に急増している子宮頸がんは、ウイルスの感染が原因といわれています。公明党が推進してきたワクチンの接種でかなり防ぐことができます。また、喉頭がんは九六%、肺がんは七二%、食道がんは四八%、喫煙が原因とされています。児童生徒がみずからの健康増進のために、がんや生活習慣病防止も含め、正しい知識を身につけるがん教育が大切です。
 また、塩分のとり過ぎや肥満もがんの原因になるといわれています。がんを含めた生活習慣病の予防については、専門医とも連携を図ることが必要です。都教育委員会は、東京都医師会と連携した専門医による学校保健活動支援事業により、生徒や教員に対する啓発と助言を行っていますが、がんの予防については十分といえません。この事業を活用して、都立高校でがん教育を推進すべきであります。がん教育を実施する場合には、がんの専門医と連携し、わかりやすい副読本等を取り入れるなどの工夫が必要です。都の見解を求めます。
 次に、小児がん対策について質問します。
 白血病、脳腫瘍、悪性リンパ腫などの小児がんは、かつては不治の病とされていましたが、医療の進歩により、現在では七割以上が助かるようになりました。しかし、依然として子どもの病死順位の一位であり、年間約三百人の幼い命が失われています。
 また、仮に治癒した場合でも、長期入院による家計負担、治療中の学業の問題、将来的な進学、就職、結婚、出産など、患者、家族とも生涯にわたってさまざまな困難が立ちはだかっています。
 さらに、小児がんに関する相談、子どもを亡くした家族への支援、小児がんの理解と偏見をなくすための広報など、患者、家族を支える取り組みは多岐にわたります。
 本来、こうした患者、家族への支援は国が全国的視野で行うべきですが、都としても、がん対策推進計画に新たに明記し、より重層的に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 次に、盲ろう者支援について質問します。
 視覚と聴覚の障害をあわせ持つ盲ろう者は、コミュニケーションがとれないまま福祉行政の谷間に置かれていました。
 都議会公明党は、盲ろう者の方々から要望を受け、都が全国で初めて通訳・介助者派遣事業を創設するとともに、本年五月に開設された日本版ヘレン・ケラー・センターともいうべき東京都盲ろう者支援センターの設置も推進いたしました。関係者の喜びと期待は大きく広がっております。都の対応を評価するものであります。
 知事は、本年の予算特別委員会で、同センターを日本全体のセンターにするよう育てていきたいと答弁されました。そこで、次の展開が重要であります。知事の決意を伺いたいと思います。
 次に、盲ろう者支援の今後の課題について質問します。
 第一に、盲ろう者は、都内に約二千人在住すると推計されておりますが、その実態は明らかになっていません。そこで、より正確な盲ろう者の実態を把握するための調査を行うべきと考えます。都の見解を求めます。
 第二に、都が実施する盲ろう者通訳・介助者派遣事業については、事業の充実に伴い、平成二十一年度の派遣時間が平成十三年度に比べて約三倍になっています。しかし、派遣事務を行う職員の人件費は据え置かれています。また、通訳、介助者の報酬単価や派遣時間もニーズに十分に対応できるよう拡充が必要です。今後も通訳・介助者派遣事業が安定的かつ効果的に運営できるよう支援すべきと考えます。都の見解を求めます。
 第三に、現在、盲ろう者の八割近くは家族と同居していますが、親の高齢化に伴い、自分が死んだ後、子どもがどうなるのか心配だという切実な声が寄せられています。国は、本年十月から身体障害者用のグループホームが開設できるようになります。それに合わせて、都は盲ろう者のグループホームの整備促進を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、介護基盤整備について質問します。
 都は、二十一年度からの三カ年で特別養護老人ホームは五千人分ふやすほか、小規模多機能型居宅介護事業所は百七十七カ所にふやすことを計画しております。しかしながら、二十年度の特養増床数は三百余りにすぎませんし、小規模多機能型居宅介護事業所の新規建設数は十六カ所にとどまっています。こうした現状を打破するには思い切った取り組みが必要です。
 まず、介護基盤の整備においては、国の補正予算で導入された定期借地権などの積極活用による経営リスクの軽減が必要です。そこで、介護基盤整備の対象となる民有地の所有者に資産運用上のインセンティブを与えるべきと考えます。見解を求めます。
 加えて、大規模な用地を必要とする広域型特養においては、統廃合などによる小中学校用地の活用が効果的です。既に整備実例は七カ所、今後の計画は数カ所あります。今後この取り組みをさらに広げていくためには、現在、都が小規模多機能型居宅介護事業所について実施している区市町村有地活用加算を特養整備についても実施すべきであります。この点を強く要望として申し上げます。
 また、建物のリース化も有効です。リース制度は、既に小規模多機能型居宅介護事業所や小規模特養では可能となっていますが、小規模特養ではいまだに具体例がありません。都はその原因を分析し、進捗を図るべきであります。
 また、特養と呼ばれる広域型特養では、いまだに社会福祉法人による建物の自己保有義務が解除されていません。この点については、国に強く要望すべきであります。あわせて見解を求めます。
 次に、養護老人ホームを活用した介護基盤整備について提案します。
 養護老人ホームにおいては、平成十八年の法改正により、外部サービス型の特定施設入居者生活介護の指定を新たに受けられるようになりました。今後、老朽化した養護老人ホームの建てかえ時などをとらえて、この指定を受ける養護老人ホームを拡大していけば、軽度の特養入所希望者の新たな受け入れ先が拡大します。
 そこで、都は、関係者の自主的な協力によって、既に多くの道府県で効果を上げつつあるこの手法について、都内においても本格導入を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、高齢化社会にふさわしい住まいのあり方について質問します。
 ひとり暮らしや高齢者のみの世帯が急増している中、都は新たなプロジェクトチームを立ち上げ、安心感のある政策の充実に向けて、局横断的な検討を開始しました。この点は高く評価しますが、都議選直後の七月十六日付の国への提案内容には重要な課題が多く含まれており、我が党は、今後慎重な議論を重ねる必要があると考えています。
 まず一点目は、面積基準の緩和による小規模な高齢者住宅の整備を求めた点であります。
 建設経費や利用者負担の軽減という必要から単に面積基準の緩和という提案がなされたのであれば問題です。介護やケアを必要とするひとり暮らし高齢者にとって望ましい住環境の基準については、土地価格の高低などで地域差を設けるべきではありませんし、最低居住面積水準に満たない世帯の解消を図るという住宅マスタープランの大原則も堅持すべきであります。また、土地価格から生じる利用者負担額の差異は、助成金支援等の強化で補うべきです。見解を求めます。
 二点目は、緊急対応や安否確認などを行うなどの地域支援の新たな仕組みの創設を求めたことについてです。
 高齢者に緊急時対応や安否確認などのサービスを地域で提供する際の工夫は、介護保険法内の地域支援事業と区市町村が独自に実施する法外事業とを組み合わせるなどして、区市町村の自主性にゆだねられています。
 しかし、地域支援事業においては、区市町村は介護予防に関するケアプランの作成などに主力を割かれてしまい、緊急対応や安否確認などの総合相談事業には余り多くの人員を充当できていないのが実情です。一方、法外事業は一般会計予算であり、財源上の不安定性はなお一層厳しい状態にあります。
 そこで、都は国に対して、介護保険事業に占める地域支援事業の配分について、区市町村の裁量範囲の拡大を求めるとともに、財源の安定化を強く要望すべきであります。
 また、区市町村が担う地域支援事業以外の単独事業に充当できる包括補助により支援を強化するべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 次に、集中豪雨対策について質問します。
 近年頻発している局地的集中豪雨は、神田川等において大きな被害をもたらしており、早急かつ着実な対策を講じていかねばなりません。
 都は、一時間五〇ミリの降雨に対応できる河川改修を推進しているところですが、都民への的確な情報提供も重要な取り組みです。本年三月より、都と気象庁が連携し、テレビのテロップを活用した神田川における洪水予報が実施されておりますが、洪水はんらんが起きる可能性のあるほかの河川にも早急に運用拡大していくべきであります。
 また、都では、雨量や水位情報を水防災総合情報システムとして、インターネットや携帯端末で公開し、情報提供しておりますが、近年のゲリラ豪雨における河川水位の上昇は急激であります。
 昨年八月、豊島区雑司が谷では、雨が降り出してわずか十数分後に八〇ミリを超える豪雨になり、それに伴う大事故が発生いたしました。また、先月は兵庫県佐用町で、一時間に八九ミリの豪雨で佐用川がはんらんし、甚大な被害がありました。
 人命を守っていくためにも、水防災総合情報システムの更新間隔を、技術開発を促進して、今よりも短縮し、リアルタイムに近い情報提供を行っていくべきであります。洪水予報の運用拡大とあわせて見解を求めます。
 次に、緑の保全、創出に向けた都民との協働について質問します。
 都市における緑は、都民に潤いや心の安らぎを与えるだけではなく、美しい都市景観の創出やヒートアイランド対策など、その役割がこれまで以上に多様かつ重要となっています。
 現在、都で展開している緑の東京十年プロジェクトでは、二〇一六年までに一千ヘクタールの緑を新たに創出することを目指し、緑のムーブメントを展開しておりますが、より広い、さらなる取り組みが必要であります。
 そうしたことから、各局では、それぞれが所管するフィールドで、都民のボランティア活動を通して、緑の保全、創出を図る取り組みを実施しており、都民等の参加ニーズも高いと聞いています。
 しかしながら、環境局における保全地域ボランティア、建設局における都立公園ボランティア、水道局における多摩川水源森林隊など、取り組みの紹介や参加者の募集等を各局がそれぞれ独自に行っていることから、都民から見れば、いつ、どこで、どのような取り組みが行われているか、わかりにくくなっています。
 最近は、社会貢献活動の一つとして、緑の育成に参加したいという意向を持っている企業も年々増加しており、企業のニーズと都の取り組みとのマッチングが重要であります。
 そこで、緑のムーブメントをさらに進めるためには、緑を守り、育てるためのボランティア活動に都民や企業などがより参加しやすい情報提供を行うべきと考えますが、見解を求めます。
 東京の緑を後世に引き継いでいくためには、緑のムーブメントに加え、緑の保全、創出の核となる次世代の人材を育成することも、我々に課せられた大切な務めであります。
 都は一昨年、自然環境分野における人材を育成する仕組みとして、エコトップ・プログラムを創設しました。これは、今後の持続可能な社会の構築に向けて自然環境を保全するために、自然環境分野で幅広い知識を有しアクティブに行動できる人材を、大学、企業、NPO、行政が連携して育成し、社会に送り出していくためのプログラムであります。
 現在、プログラムの認定は、首都大学東京を初めとする五つの大学にふえ、今年度末にはエコトップ・プログラムの最初の修了生が誕生し、実社会に出ていく段階を迎えます。
 そこで、エコトップ・プログラムへの参加大学の拡充と、修了生がより活躍しやすい支援を行うべきであります。見解を求めます。
 行動力を持った即戦力となる人材を育成していくためには、単なる知識の吸収のみでは不十分であり、早い段階から、企業、NPO、行政など各方面での自然環境の保全に向けた実務経験を通じ、実践力を養っていくことが何よりも求められます。
 このため、エコトップ・プログラムでは、カリキュラムの中にインターンシップを義務づけていますが、こうした機会の確保、充実のためには、民間企業の開拓が必要であります。都の取り組みについて見解を求めます。
 次に、築地市場移転問題について伺います。
 我が党は、現在地再整備も含め、移転問題を原点に戻って検討するため、昨年六月にPTを設置し、これまで、築地市場を初め移転候補地、重層構造の大阪市中央卸売市場などの実態を調査してきました。また、業界団体と意見交換をするとともに、土壌汚染については、我が国を代表する専門家へのヒアリングや処理プラントの視察を行うなど、この問題についてあらゆる角度から詳細に検証してきました。
 その結果、まず、営業を続けながらの現在地再整備は、かつて工事が中断し計画を断念した経緯があり、アスベストの処理や二十年にも及ぶ工期の長期化、また、工事に不可欠な種地の確保が困難などの問題があることが明らかになりました。
 さらに、財政的には、跡地の売却収入が見込めず、市場会計では財源が賄えないことから、新たに六百億円以上の税の投入が必要となるなど、都民の負担が発生することに加え、建設費とランニングコストの上昇が使用料にはね返ることから、市場業者の経営を大きく圧迫することが明らかになりました。
 こうした調査検討の結果、我が党は、移転を前提とした新市場の整備が合理的であり、財源も市場会計内ですべて処理が可能で、都民の新たな負担の必要もなく、納税者の納得が得られやすいと判断するものであります。
 したがって、今、都議会に求められるのは、生鮮食料品の安定供給という長期的展望のもと、少なくとも五十年以上は使用する都民の大切な財産である新市場に必要な機能等について議論を深めていくことであります。
 そこで、改めて、移転整備の必要性と新市場に求められる機能について、都の見解を求めます。
 最後に、新銀行東京について質問します。
 新銀行東京にかかわる問題については、これまでも経済・港湾委員会や予算特別委員会の場で積極的に審議を重ねてきました。今後も、経営監視や責任追及も含め、所管の委員会の場でしっかりと審議を行い、再建計画を軌道に乗せることが肝要であります。
 新銀行東京は、再建計画初年度の平成二十年度決算において、計画を上回る業績を達成しました。さらに、この八月に発表された平成二十一年度第一・四半期決算では、再建計画を上回る形で、開業以来初めてとなる黒字を計上しました。昨年来の経済危機の中における新銀行の再建への取り組みと成果を評価したいと思います。
 今回の第一・四半期決算における黒字の計上という状況を見ても、再建計画が予定を上回る形で着実に進展していることは事実であります。
 そこで、二十一年度通期についても黒字計上を目指すべきでありますが、その見通しについて、都の見解を求めます。
 都議会公明党は、新銀行東京が再建を着実に進め、黒字化し、企業価値を高めた後は、早い段階で譲渡または業務提携を行い、追加出資四百億円を回収または保全すべきであると強く主張してまいりました。このことについて、新銀行東京や都は具体的に動いているのか、見解を求めます。
 一方、都議会公明党は、新銀行東京の深刻な経営悪化の責任追及を行うべきと一貫して訴えてまいりました。これまで都からは、新銀行東京は旧経営陣に対して司法の場において責任の所在を明らかにする方針であるとの説明がなされてきましたが、半年以上、何ら動きがありません。その後の旧経営陣に対する訴訟の準備状況について明らかにすべきであります。見解を求めます。
 いよいよ来月、コペンハーゲンのIOC総会で、オリンピック・パラリンピックの開催都市が決定いたします。
 都議会公明党は、知事とともに招致実現を目指してまいりましたが、何としても招致レースに勝ち抜き、世界に誇る日本ならではのオリンピック・パラリンピックの開催を強く期待をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 長橋桂一議員の代表質問にお答えいたします。
 東京の知事として、日本の危機に立ち向かう決意についてでございますが、ご指摘の国際的な競争力のランキングで、日本は九〇年代初頭には首位でしたが、今や大きく低迷しているところでございます。耐用年数を過ぎた社会経済システムの抜本的な再構築を怠り続けたツケがたまっているということでありましょう。
 この日本の政治を実質的に支配している中央官僚が、みずからの美徳をコンティニュティー、コンシステンシー、つまり継続性と一貫性ということを自称しているならば、これはこの変化の激しい時代に、変化に対応できるわけがございません。
 また、本来はそういう官僚を使うべきこの国の政治家の多くは、国力を伸ばすことへの認識も戦略も欠いてきたという気がいたします。例えば、世界に先駆けて東大の坂村健教授が開発したコンピューターの基本ソフト「TRON」を、アメリカの圧力に負けて世界に頒布することを控えた、そういった事例もあります。
 東京では、環状道路建設を長期間凍結しちゃったために、今日、膨大な国家的経済ロスが生じているわけでありまして、こういう状況の中で、東京都の、日本の心臓部であり、頭脳部であります首都の知事として、東京からこの国を再生すべく、皆さんと一緒に幾つかの試みを続けてまいりました。
 東京と日本の競争力を目覚ましく向上させるための三環状道路の整備や、これは凍結解除しましたが、羽田空港の再拡張、国際化を、国を何とか動かして前進をさせたと思います。
 また、日本の力の源泉であります小零細企業を支えて、ベンチャー技術の開発のための施策も幾つか講じてまいりました。
 都民が安心して、みずからの力を発揮できるように、福祉や医療の充実、治安の確保にも取り組むなど、ハード、ソフトの両面から、企業と一緒に策を講じて施策を続けてまいりました。
 今後も、地球環境問題や少子化など、我々が直面する喫緊の困難な課題に対して、迅速に、かつ果敢に対処して、国をも先導していきたいと思っております。
 しかし、特に集中、集積の進んだ東京には、世間の知らない可能性が充満しておりまして、私たちは、競争力のランキングとして、必ずしも非常に低下したという感じは、私はいたしません。何をもってそういうランクを決めたかわかりませんが、少なくとも日本より上位にある香港やシンガポールに比べて、日本が、特に文明を動かしていく技術という面で劣っているとはとても思えません。
 むしろシンガポールのような国は、世界一のコンテナ扱い量を誇っておりますけど、私も案じて視察に参りましたが、シンガポールの港を動かしているソフトもハードも全部日本製でありまして、それが何で日本で活用されないか。これは日本におけるシステムやいろんな問題があると思いますけど、まして、軍事がすべてとは申しませんが、クリントン政権の最後の年に、夏に、アメリカのある調査団がやってきました。これは、デュアルユーステクノロジー、つまり、日本では民間で使っているけど、軍事に転用すれば非常に効果のある技術というものが日本にはたくさんあるということでやってきて、彼らは瞠目して帰ったんですが、その最初のきっかけは、何とその年の一月に発表されたソニーのプレイステーション2という、今、3になっていますけど、子どものゲーム機器でありまして、これに搭載されているマイクロチップは、アメリカの宇宙船に搭載されている、彼らにとって最高度のマイクロチップの四倍の能力を持っております。
 ご存じでしょうけど、アメリカの軍用機あるいは高機能旅客機の操縦席は全部日本製でありますし、こういったものを彼らは自国で生産できないかという研究に来ましたが、結局、時間もお金も倍かかるということで、日本の供給にこれから仰ぐということを続けて、帰ったわけですが、私は、そういった日本の技術というものを、もう少し日本の政治家がしっかりして、外交の面でも誇示する。つまり、それを踏まえて、世界にもう少しはっきり物をいうというようなことをしたらいいんじゃないかと思うんですが、日本人は何か自分の説明が非常に下手といいましょうか、それをしないことが美徳のように感じている節がありますけれども、私はこれはやっぱり非常にもったいないことだと思います。間違っていると思います。
 少子化対策についてでありますが、少子化は、個人の価値観の問題がその根底にはあるでしょう。人生に対する物の考え方、そういったものがこの少子化というものを規定している節も多いと思いますけれども、しかし、国家という単位で見た場合に、経済のパイを縮小させ、年金や医療、インフラの維持を困難にして、伝統文化までも失わせかねない問題だと思います。
 国もさまざまな施策を講じておりますが、子どもを持つことへの国民の不安が払拭されずにおりまして、少子化の流れを変えるに至っておりません。
 今が少子化の傾向を反転させるラストチャンスと考えております。庁内に緊急対策本部を設置して、対策の立案を指示いたしました。
 少子化の傾向を反転させるためには、これから結婚し、子どもを産む若者や子育ての最中の家庭が、真に安心して子どもを産み育てることができるように、育児と仕事が両立できる環境を整え、選択できるサービスを、質、量ともに拡充していくことが必要だと思います。
 そのために、都は、これまでも力を注いできた保育や医療、教育の拡充はもとより、雇用や住宅の分野の政策をも総動員しまして、合計特殊出生率の回復に向け、国を先導するような重層的、複合的な施策を構築して実現していきたいと思っております。
 今後とも、緊急対策本部を中心に、具体的な施策目標も検討し、現場ならではの発想を生かして、国の縦割りの壁を破る、東京から新しいモデルビルディングを行っていきたいと思っております。
 東京の救急医療についてでありますが、救急医療は、患者の増加や医師の不足などによりまして大変厳しい状況にあります。関係者の懸命な努力によって支えられているのが現状でありまして、今般、医療現場を担う方々の英知によって、地域全体で救急患者を受けとめる東京ルールなるものを定めまして、先月末にスタートさせることができました。
 少子高齢社会の進展によりまして、救急医療の需要はますます高くなっております。都民の方々にも、限られた社会資源である救急医療を守るために、ぜひとも適切な利用を心がけていただきたいと思います。
 都民の大切な命を守るため、医療機関、行政、都民が一体となって、東京ルールを着実に推進し、迅速適切な、また合理的な救急医療体制の確保に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、盲ろう者支援センターについてでありますが、これは、公明党の中嶋幹事長に、あるとき、ある一人の人物を紹介されました。私は非常にショックを受け、感動いたしましたが、これは福島智さんという、ちょうど私がお目にかかった日に東大の研究所の教授に任命されたそうですが、この方は七歳のときに、まず片っ方の目が見えなくなって、やがて両眼失明し、今度は十代に入ってから片っ方の耳が聞こえなくなり、ついに十七歳のときに両耳が聞こえなくなって、完全な盲ろう、つまり自分で意識を持ってから、ヘレン・ケラーさんのような状況に陥ったという、非常に、何といいましょうか、むごい試練にさらされた方ですが、この人が刻苦勉励して、しかも、お父さん、お母さんは賢明で、とっさに指で点字を打つ方法を考えて、そのコミュニケーションが今日本全体に敷衍しつつありますが、この方にお目にかかって、私は本当に、人間というのはかくも強くあり得るものかという感動を得ました。
 状況を聞きますと、東京にも約二千人、日本全体で二万人もの、全く目も見えない、耳も聞こえないという、福島さんの表現だと、大きなつぼの中にふたをされて閉じ込められた、そういう境遇の方々がおられるんですが、この具体的な把握が全然行われていない。いわれて初めて知りましたけれど、都下の各区市町村にもそういう方がおられるんでしょうが、地方の自治体もそういうことを知らない。
 国の行政は、ただ一概に心身障害者の対策なども講じておりますけど、障害者といってもいろんなケースがありまして、このように全盲全ろうという最悪の障害に陥った方々に対する配慮は、特殊な形では全く行われていないということで、私も、簡単なことでございますが、施設をつくりまして、日本で初めて台東区に盲ろうの方々のコミュニケーションのセンターをつくりました。
 その開場のときに何人かの方々が来られておりましたが、人によってそのコミュニケーションが違うんですね。指の点字でやる人と、手のひらに字を書いても、これは非常にテンポが遅いんです。そういったコミュニケーションの差異というものを、私はやっぱり合理的な指点字という形で統一することで盲ろうの方々が救われると思うんですが、まだまだ宣伝が足りませんし、そのうちにテレビなどでぜひこれを取り上げて、こういう方々の存在──それから、東京は何もそれを誇るわけじゃございませんが、私は中嶋幹事長の紹介で大きなヒントを得ました。これはとても大切なことですが、こういった施設が、これは国の力によって、もっともっと随所にあってしかるべきだと思います。
 開設から三カ月たちましたが、盲ろう者の訓練や交流事業がようやく始まりまして、まさに都から発信する、当たり前のことですが、日本では新しい福祉施設として動き出しておりまして、これから先、国や自治体からも多くの見学者が訪れてきますが、いずれにしろ、ぜひ多くの人々に利用してもらい、かつ知ってもらって、全国の自治体の盲ろうの方々の支援のモデルとなるように、これを発展、育てていきたいと思います。ひとつ皆さんのご協力を賜りたいと思います。
 その他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) がんに関する教育についてでございます。
 現在、学校においては、小学六年で病気の予防、中学三年で健康な生活と疾病の予防、高校一年で健康の保持増進と疾病の予防という保健の授業の中で、疾病の原因や予防に関する学習を行っております。
 とりわけ都立高校におきましては、平成十五年度から、専門医による学校保健活動支援事業によりまして、教員は専門医から助言を受けて、生徒のさまざまな健康課題に対応してまいりました。
 お話のように、これからは、がんの原因や予防に関する正しい知識を身につけさせる必要がございますことから、今後、都医師会との連携を一層強化いたしまして、がん予防の視点を踏まえた事業の充実を図ってまいります。
 さらに、学校においてがんに関する教育を行う場合には、喫煙による健康被害や薬物乱用とも関連づけ、健康な生活とがんの予防に関する効果的な補助教材を活用するなどして、発達段階に応じた学習を充実するよう、各学校を指導してまいります。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 都民への洪水予報及び雨量、水位情報の提供についてお答えをいたします。
 洪水による被害を軽減するためには、河川の整備はもとより、都民みずからが安全に避難できるよう、防災情報を迅速かつ的確に提供することが重要でございます。
 都内の中小河川では、荒川などの大河川とは異なり、豪雨時の水位上昇が極めて速く、洪水の予報が困難ではありますが、神田川においては検証を重ね、独自の水位予測モデルを開発し、洪水予報を開始いたしました。
 また、埼玉県との境を流れます芝川、新芝川におきましても、平成二十二年出水期からの運用開始に向けて、気象庁や埼玉県との調整を進めているところでございます。
 さらに、他の河川におきましても、それぞれの河川や流域によって異なる特性を踏まえ、洪水予報に適用可能な水位予測モデルの構築を目指してまいります。
 また、雨量、水位情報につきましては、水防災総合情報システムのホームページで情報提供をしております。現在、十分ごとに行っているこの情報の更新間隔を、二十二年の出水期を目途として、短縮するよう検討してまいります。
 今後とも、効果的な防災情報の提供に努め、都民の安全・安心を確保してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 予算編成における事務事業のあり方検証についてのご質問にお答えいたします。
 東京都は、事務事業評価制度を、事業のむだをなくし、より効果的な施策として構築する上での重要な手法として位置づけておりまして、お話の新たな公会計手法を活用したコスト、ストック分析を取り入れるなどにより、この仕組みを充実させるように取り組んできております。
 今日、都財政をめぐる環境は非常に厳しく、また、当面、大きな好転を期待できない状況にございますので、こういうときにこそ限られた財源を最大限効果的にむだなく生かしていくために、ご指摘をいただいた一つ一つの施策の有効性や実効性を検証し、より一層都民に役立つ施策に練り上げていくということが、従来にも増して重要になっております。
 こうした観点から、来年度予算編成では、新たに事務事業評価を編成の柱の一つに位置づけまして、このために新たな公会計手法の活用例のノウハウを庁内で共有するなど、各局の自主的な事務事業評価への取り組みを支援する方策を積極的に講じております。これにより、事業目標の達成度や費用対効果の分析をより徹底をしていこうということをしてございます。
 来年度予算の編成に当たりましては、こうした取り組みによりまして、事務事業の検証を一層強化いたしまして、厳しい財政環境にあって本当に都民に役立つ施策を構築できるように、各局と連携しながら全力で取り組んでまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 税制面におきます中小企業支援についてお答え申し上げます。
 お話のように、国は中小企業支援の観点から、法人税において欠損金の繰り戻し還付制度を復活させております。
 これを地方税である法人事業税、法人住民税にも適用することにつきましては、地方税法の改正が必要でございますが、都といたしましては、多額の還付金等の発生により、地方団体の財政運営に支障を来すなどの課題もあると認識しております。
 今後、中小企業への税制上の支援につきましては、都税収入や景気の動向等を勘案しながら、幅広く検討してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援についてでございます。
 景気後退の影響を強く受け、緊急保証制度によりましても資金調達が困難な中小企業が存在しておりますが、今回新たに立ち上げる融資制度は、こうした中にあって、高い技術力やすぐれたビジネスプラン等により、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業などを見出し、支援していくことを目的としたものでございます。
 具体的には、地域の金融機関の目ききの力と民間保証機関の審査ノウハウを活用した仕組みといたします。
 融資対象は、取扱金融機関と一定の取引実績のある都内中小企業とし、資金使途は原則として運転資金、融資限度額は一千万円以下の小口資金、比較的長期の融資期間といたします。また、預託金や損失補助により、金利、保証料といった中小企業が負担するオールインコストの低減を図ります。
 現在、取扱金融機関と保証機関との間で実務的な協議を進めておりまして、今月中の制度開始を目指してまいります。
 次に、生活支援と職業訓練等が連携した事業についてでございますが、現下の厳しい雇用情勢のもとで、経済的に不安定な状態に置かれている方々の職業的自立と生活安定化のためには、ご指摘のとおり、生活支援と職業訓練、職業紹介が連携した支援は効果的と考えております。
 このため、都は昨年八月から、区市町村と連携して、低所得者向けに就職チャレンジ支援事業を開始し、生活支援から職業訓練、職業紹介までを一体として実施することにより、安定した就業に向けまして支援を行っております。この事業の利用者数は、八月末現在で約三千三百名に上っております。
 今後とも、この事業をより効果的なものとするため、区市町村との連携を密にするとともに、相談など支援体制の充実を図ってまいります。
 続いて、しごとセンター多摩におきますネクストジョブ事業の実施についてでございます。
 現在、しごとセンター多摩では施設の改修などを進めておりまして、十月下旬より専用窓口を設置し、ネクストジョブ事業を開始する予定であります。
 ネクストジョブ事業は、三十歳代非正規雇用者を対象に、ジョブコーディネーターが正規雇用化、職場定着を支援するものでありまして、今回の窓口開設により、多摩地域での対応を強化していきます。
 今後とも、非正規雇用で働く方々の正規雇用化を支援してまいります。
 次に、新銀行東京の二十一年度通期決算の見通しについてであります。
 新銀行東京は、経営再建に向け、営業経費の圧縮による低コスト構造への転換に取り組んでおります。加えて、取引先へのきめ細かな対応を図り、信用コストの圧縮に努めました結果、この八月に発表した平成二十一年度第一・四半期決算において、純利益は七億円と、開業以来初となる黒字を計上いたしました。新銀行東京は、再建計画を上回る業績につなげるべく、全力で経営再建に取り組んでおります。
 新銀行東京は、平成二十一年度の通期決算の見通しにつきまして、中間決算発表時に明らかにするとしております。銀行による発表を待たなければなりませんが、都としては、こうした経営改善の地道な努力を積み重ねていけば、通期の黒字を確保できるものと考えております。
 続いて、新銀行東京の再建後の姿についてであります。
 新銀行東京の経営再建に向けた取り組みは着実に進んでおり、今年度第一・四半期決算で開業以来初の黒字を計上いたしました。しかしながら、銀行みずからが課題としている実質業務純益の黒字化に向けて、今後さらなる取り組みが必要でございます。
 新銀行東京の今後の展開につきましては、他の金融機関との業務提携など、さまざまな選択肢が考えられます。しかし、こうしたことの前提として、リーマンショック以降の世界的な厳しい金融環境が好転すること、また、新銀行東京が経営を再建し、黒字を定着させることが必要と考えております。
 都としても、新銀行東京が一日も早く経営再建を果たせるよう、引き続き経営の監視と支援に努めてまいります。
 最後に、新銀行東京の旧経営陣に対する訴訟についてでありますが、新銀行東京は、既に旧経営陣の代表執行役であった仁司泰正氏及び執行役であった丹治幹雄氏に対して、損害賠償請求訴訟を提起する方針を決定しております。
 現在、年内を目途に訴訟を提起すべく、訴訟代理人の選定作業など周到な準備を進めていると聞いております。
   〔知事本局長吉川和夫君登壇〕

○知事本局長(吉川和夫君) 子育てを応援する企業をふやすための取り組みについてでありますが、かつて国は、育児をしない男を父とは呼ばないというポスターをつくって、父親の意識改革を呼びかけたことがありますが、今こそ必要なのは、企業経営者を初め、働くすべての方々の意識改革であると考えます。
 企業発展の原動力はさまざまありますが、その最も大きなものは社員の力であり、社員の子育てを支援し、その家族の幸せを実現していくことは、社員をよりよく生かし、その能力を余すところなく発揮させ、ひいては企業の発展にもつながると考えます。
 都内のすべての企業は、社員の子育てを負担ととらえるのではなく、むしろ企業発展の重要な足がかりととらえられるような施策を、少子化打破緊急対策本部において、今回のご提案を含め、鋭意検討してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 三点のご質問にお答えします。
 まず、都庁におけますワークライフバランスへの取り組みについてでございますが、都では、平成十七年三月に、次世代育成支援対策法に基づきまして、事業主として東京都職員次世代育成支援プランを策定しまして、休暇の取得促進や超過勤務の縮減などに取り組むとともに、職員向けの講演会の実施や子育てを支援するさまざまな制度の周知に努めてまいりました。
 その結果、女性職員の育児休業取得率が一〇〇%近くに達し、また、男性職員の出産支援休暇、これは二日間でございますが、この取得率も八〇%を超えるなど、妊娠、子育て中の職員への支援や男性職員の子育て参加につきましては、着実に成果が上がっております。
 今後とも、ワークライフバランス確保の観点から、職員の仕事と子育ての両立支援を積極的に進めてまいります。
 次に、新型インフルエンザに関します都政のBCP、事業継続計画の策定についてでございますが、都は、昨年十月、都民の健康を守り都市機能を維持するという方針のもと、強毒型を想定いたしましたBCPの策定に着手し、縮小や休止する業務と、都民生活に不可欠な継続すべき業務の選定を進めてきております。
 一方、ご指摘のとおり、今回発生しました弱毒型といわれる新型インフルエンザへの対応も踏まえることがございますので、ウイルスの感染力や毒性等に応じまして、各業務を弾力的、機動的に実施できるよう早急に検討を進め、二十一年度中にBCPを策定いたします。
 最後に、区市町村や事業者等へのBCPの策定支援についてでございますが、新型インフルエンザの被害を最小限に抑えるためには、都政のBCPの策定に加えまして、各団体がそれぞれBCPを策定することが極めて重要でございます。
 このため、都は区市町村の参加を得まして検討会を設置し、二十一年度中にBCP策定ガイドライン、これは仮称でございますが、これを策定するなど、区市町村を支援してまいります。
 また、本年度から、先進的な取り組み事例や具体的な策定方法を紹介するとともに、事業者等の研修会に講師を派遣しております。
 今後、実施回数をさらにふやすなど、事業者への支援を充実してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) ワークライフバランスの普及についてでございますが、ワークライフバランスの推進には、都みずからが取り組みを着実に進め、その内容を業種や規模が多様な民間企業に活用できるよう情報提供をしていくことも重要であるというふうに認識をしております。
 都はこれまでも、課題別の解決策を示した実践プログラムを作成いたしまして普及啓発を行ってまいりましたが、これに加えまして、都みずからの取り組み事例や民間企業の先進的な取り組み事例を、東京モデルとしてウエブサイトなどを通じて広く発信し、ワークライフバランスの社会的機運の醸成に努めてまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 十三点についてお答えを申し上げます。
 最初に、救急医療に関する地域救急会議についてであります。
 この会議は、地域の関係者が参画し、救急患者の適切な受け入れなどさまざまな課題を協議し、解決していくものであります。
 ご指摘のような行政機関を含めました連携協力体制については、その構築に向けて、今後、必要な調整を行ってまいります。
 お話の四つの地域につきましても、医療機関による話し合いが進んでおり、医療機関相互の合意が形成された時点で速やかに地域救急医療センターを指定し、運用を開始いたします。
 次に、救急医療体制の維持についてであります。
 都は、医師や看護師不足の厳しい状況の中、救急医療を担う医療従事者の定着を図るため、勤務環境改善事業などに取り組んでおります。また、今年度から、救急勤務医師に対する新たな手当を創設いたしました。さらに、国に対して、診療報酬の改善などの提案要求も行っております。
 今後とも、こうした施策を積極的に推進することにより、地域における救急医療体制の確保に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、新型インフルエンザ対策に関する三点のご質問でございますが、まず、外来診療体制の強化についてです。
 新型インフルエンザの大流行期における早期診断、早期治療の体制確保について、東京都医師会を通じて各医療機関に要請をいたしました。
 しかしながら、流行のピーク時に急増する患者に対応していくためには、特に休日・夜間時の診療体制を確保することが急務であります。このため、速やかに区市町村や関係団体と協議の上、地域の開業医や救急以外の病院に対し、診療時間の延長や休日診療の実施などの協力を要請してまいります。
 次いで、重症患者への対応についてでありますが、都は、新型インフルエンザによる重症患者の発生に備え独自の補助制度を創設し、医療機関における入院病床の整備や人工呼吸器等の医療資器材の整備の支援を初め、重層的な対策を講じております。
 秋冬の大流行期には、多くの重症患者が発生することも懸念されるため、都内の全病院に対し、その対応を要請いたしました。
 さらに、現在、ICUの稼働実績や人工呼吸器の保有状況を把握するなど、診療体制の確保に努めております。
 今後、妊婦や透析患者等、感染した場合に重症化するリスクが高い方に対し、感染予防や早期受診など、適切な情報提供を行ってまいります。
 次いで、ワクチンの接種についてでありますが、国が現在示している実施案におきましては、今回のワクチン接種が個人予防を主たる目的とすることから、接種費用については実費相当額を自己負担とし、低所得者の負担軽減措置のあり方について、今後検討していくということになっております。
 都は、これまでもワクチン接種が円滑かつ確実に行えるよう、国の責任において、実効性のある仕組みを構築するとともに、必要な財源措置を講じるよう、提案要求をしてまいりました。
 今後とも、国の動向を注視しつつ、新型インフルエンザのワクチン接種が適切に実施されるよう、国に求めてまいります。
 次いで、小児がん対策についてでありますが、がんに罹患した子どもたちは、がんを克服した後でも、合併症や成長障害への身体的ケア、再発の不安に対する心のケアなど、引き続き医療的ケアを必要とする場合があり、小児がんの専門的な治療ができる医療機関において、こうした子どもたちを見守っていく取り組みがなされております。
 がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院に指定されている四つの病院におきましても、長期フォローアップ外来の設置など、子ども、家族への、よりきめ細かな支援が行われております。
 東京都がん対策推進計画改定時には、こうした取り組みを踏まえ、必要な検討を行ってまいります。
 次に、盲ろう者支援についてお答えいたします。
 まず、盲ろう者の実態調査についてでありますが、国は五年ごとに身体障害児者実態調査を実施しており、平成十八年度の同調査において、全国の盲ろう者数の推計値を公表しております。
 しかし、盲ろう者への適切な支援を行うため、平成二十三年度実施予定の次回調査に向けて、生活状況や障害程度の状況などについて、より正確な把握ができるよう国に働きかけてまいります。
 また、都としても、今年度開始をした盲ろう者支援センター事業について、各種相談機関等を通じて周知を図るとともに、区市と連携し、地域における交流の機会を設けることなどにより、実態の把握に努めてまいります。
 次に、盲ろう者通訳・介助者派遣事業についてであります。
 都はこれまでも、通訳、介助者の派遣時間の拡大を図ってきたところであり、さらに、今年度は盲ろう者支援センター事業を開始いたしました。
 通訳・介助者派遣事業は、このセンターで行う通訳・介助者養成事業や盲ろう者の訓練、相談事業と一体的に運営することにより、安定的かつ効果的な運営を目指すことができるものと考えております。
 今後とも、事業の推移を見ながら、引き続き適切に対処してまいります。
 次に、盲ろう者のグループホームについてであります。
 本年十月から、知的障害者や精神障害者に加え、盲ろう者などの身体障害者もグループホームの利用対象となります。
 身体障害者のグループホーム利用については、今後、国から詳細な通知等が示される予定でありますが、盲ろう者の生活支援に当たりましては、その障害の特性から、指点字等の十分なコミュニケーションを確保する必要があるなどの課題があります。
 都としては、盲ろう者の方がグループホームを利用する場合の課題解決に向けて、国に働きかけてまいります。
 次に、介護サービス基盤の整備における土地所有者等に対するインセンティブの付与についてであります。
 介護サービス基盤の整備を進める上で、土地所有者の理解と協力は大変重要であると認識をしております。このため、都では、認知症高齢者グループホームなどの整備に当たり、土地所有者が建物を新築し運営事業者に賃貸する場合も、独自に補助の対象としております。また、事業内容や補助制度に関するリーフレットを作成し、地主や家主が所属する関係団体に配布するなど、周知に努めております。
 なお、お尋ねの今回の国の経済対策に伴い創設された定期借地権の利用に対する助成制度については、今後の国の動向を見守ってまいります。
 次に、小規模特別養護老人ホーム等の設置促進についてでありますが、定員が二十九人以下のいわゆる小規模特別養護老人ホームは、制度的に介護報酬などの面から、安定的な施設運営を行うことが困難であり、都においても整備が進まない状況にあります。
 このため、都は国に対し、小規模な施設であっても運営が成り立つよう、施設の定員規模に応じた段階的な介護報酬の設定について提案要求を行っております。
 また、定員三十人以上の広域型の特別養護老人ホームの施設建物についても、自己保有ではなく賃借により設置することができるよう、重ねて国に提案要求をしております。
 次に、養護老人ホームにおける軽度の要介護者の受け入れについてでありますが、都では、養護老人ホームの建てかえに対する補助制度について、今年度から、軽度の要介護高齢者の受け入れを促進するため、外部の介護サービス事業者により、入所者へ適切なサービスを提供することを新たな条件として加えました。
 今後、本制度の活用を社会福祉法人に働きかけ、養護老人ホームにおける軽度の要介護高齢者の受け入れの促進に努めてまいります。
 最後に、介護保険法の地域支援事業に関する国への提案要求等についてでありますが、都では、地域支援事業について、国に対し、区市町村が地域の実情に応じて柔軟に事業を展開できるよう、十分な財政措置を講じることなどを提案要求しております。
 また、高齢者に対する福祉サービスを充実するためには、区市町村の創意工夫が重要でありますことから、都は、包括補助制度による支援を行っております。
 今後とも、区市町村の主体的な事業展開を促進してまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 国に提案した高齢者住宅などの面積基準の緩和についてでございますが、この提案要求は、猪瀬副知事を座長とするプロジェクトチームにおける検討を踏まえて行ったものでございまして、地価の高い東京において、限られた土地資源、既存ストックの利活用の観点から面積基準を緩和いたしまして、サービスの質を確保しつつ、事業コストや入居者負担の軽減のための環境整備を図ろうとするものでございます。
 この要求は、急速に高齢化が進展する中で、民間事業者の意欲を喚起し、高齢者向け住宅や福祉サービス施設等のケアつき住まいの早急な整備を促進するためのものでございまして、最低居住面積水準に満たない世帯の解消を目指すという住宅政策の考え方を変更するものではございません。
 また、今回の要求では、基準の見直しだけでなく、補助の対象拡大など国の財政支援の充実を求めております。
 今後、ケアつき住まいの供給促進に向け、都としての取り組みも含め幅広く検討し、高齢者が安心して暮らすことのできる住まいの実現に向けて取り組んでまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、緑のボランティアに関する情報提供についてでございます。
 緑あふれる東京の再生を目指し、現在、各局でさまざまな緑のボランティア活動に関する事業を実施しており、年間延べ三万人の都民等が参加しております。しかし、その募集などは各局が個別に行っていることから、より多くの参加を得るためには、わかりやすい情報提供の仕組みが必要と認識しております。
 そのため、都民、企業のニーズに合った緑のボランティアに関する情報が容易に検索できるように、各局が取り組んでいる情報を一元的に提供するポータルサイトを構築いたします。これにより、さらに多くの都民、企業の参加が図れるよう、情報提供に努めてまいります。
 次に、エコトップ・プログラムへの参加大学の拡充と修了生への支援についてでございますが、この制度は、都が大学や企業などと連携して、自然環境分野の人材を育成し、実社会に送り出すものであります。
 これまで都の働きかけにより、認定を受けた五大学に加え、現在、認定取得を目指す大学が数校あり、参加大学数の増加が見込まれております。
 また、国は都の制度を評価し、今般、国の人材認証制度である環境カウンセラーに修了生が応募する際の経験年数緩和といった優遇措置が盛り込まれました。
 都としても、修了生が、大学、企業、NPO、行政などのさまざまな主体と人的ネットワークの構築が図れるよう、専用サイトの開設や交流会を実施するなど、修了生が社会へ出た後の継続的な支援を進めてまいります。
 次に、実務経験機会の確保、充実についてでございますが、本制度ではインターンシップの実施を主要な柱の一つに位置づけており、今後、受講生がふえていく中で受け入れ先を拡充することが課題であります。
 そこで都は、本プログラムを実施している大学を支援するため、各大学の特色やインターンシップの成果をPRするとともに、企業と大学とのマッチングの機会を設けることを目的として、新たに企業向けセミナーを十月に開催いたします。
 今後ともエコトップ・プログラムの認知度向上に努め、大学がインターンシップの受け入れ先を確保できるよう支援してまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 移転整備の必要性と豊洲新市場に求められる機能についてのご質問にお答えいたします。
 近年、市場を取り巻く環境は、食の安全・安心への意識の高まり、流通コスト削減の要請、食生活の変化に伴う加工需要など、急激に変化しております。
 これに対し、築地市場は施設の老朽化、狭隘化が著しく、高度な品質、衛生管理が困難で物流が非効率など、環境の変化に十分対応できず、取扱数量が大きく減少しております。将来にわたり都民の食生活を支えていくためには、抜本的な施設改善による機能強化が必要となっております。
 しかし、築地での現地再整備は、工事に必要な種地が確保できないことに加え、工事期間が長期化し、市場業者の経営に深刻な影響を及ぼすことなどから、現実的には不可能でございます。このことは、市場業界から出された嘆願書においても明確に述べられており、新市場建設の推進が強く望まれております。
 豊洲新市場では、品質、衛生管理の高度化を図るため、施設を閉鎖型として、食品特性に応じたきめ細かな温度管理を行い、施設が十分機能を発揮するよう具体的な運用ルールづくりに取り組むとともに、駐車、荷さばきスペースを十分に確保し、物流の効率化を目指してまいります。
 さらに、顧客ニーズに対応できる加工、パッケージ施設の整備などにより市場機能を強化してまいります。
 都としましては、これらハード、ソフト両面の取り組みにより集荷、販売力を強化し、この先五十年を見据えた首都圏の基幹市場として豊洲市場の整備を進めてまいります。

副議長(鈴木貫太郎君) 百二十七番吉田信夫君。
   〔百二十七番吉田信夫君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百二十七番(吉田信夫君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 都議選、総選挙は、国民、都民が自民、公明政権にノーの審判を下す歴史的なものでした。都民は、暮らしも雇用も破壊し、都民を苦しめてきた自民党政治への怒りを表明し、暮らしや福祉を大切にする政治に変えたいという願いを突きつけたのです。
 この思いは、都議選告示後の世論調査で、投票に当たって都民が最も重視をしたのは、医療、福祉三五%であり、さらに雇用、景気対策二八%、教育、文化一一%と、この三つだけで七五%を占めていたことでも明白に示されています。
 都議選では、新銀行東京の継続と築地市場の豊洲移転計画へのノーの審判も下されました。世論調査でも、新銀行東京はやめる方がよいが七六%、築地市場の豊洲移転に反対は五七%に達したのです。
 知事は、所信表明で選挙の結果について一言も触れませんでした。しかし、今、知事に求められていることは、選挙で示された都民の願いに正面からこたえ、暮らしや福祉の充実を都政の最重点に位置づけ、都政のゆがみと浪費を一掃することではありませんか。
 日本共産党は、この立場に立って、掲げた公約の実現を目指すとともに、各党のマニフェストなどで共通する政策については、よりよいものとして実現するよう誠実に努力をするものです。
 以下、都政として緊急に取り組むべき課題について提案するものです。
 まず、高齢者福祉の拡充です。
 選挙によって、世界に例のない高齢者いじめの後期高齢者医療制度の廃止を求める議員が国会でも都議会でも多数となりました。高齢者が人間として大切にされ、安心して医療を受けられる政治を進めてほしいという切なる願いが示されたのです。
 知事は、この結果に示された都民の思いをどう受けとめますか。改めて高齢者いじめの後期高齢者医療制度を廃止するよう国に要望することを求めるものです。お答えください。
 都は、少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現検討会の試案を発表しました。この中で、高齢者が一人として漏れることなく、安心と安全に満たされた老後を送れる社会を実現するとしたことは重要です。
 しかし、そのためには、住まいだけでなく医療や介護、経済支援など、各分野での具体的な手だてをとることが求められていると思いますが、どう考えていますか。
 まず急務なのが医療の保障です。今、多くの高齢者は、生活苦の中で安心して医療にかかることもできない状況に追い込まれています。世界ではイギリス、イタリアを初め、医療費無料が常識で、一部負担のある国でも低額に抑えられています。この中で日本の高い医療費は異常です。
 日本医師会を初め、医療関係団体もそろって医療費の窓口負担軽減を求めているのです。高齢者が安心して医療を受けられることを保障することは政治の責任だと考えますが、知事、いかがですか。
 既にお年寄りに優しいまちを宣言した日の出町は、そのために七十五歳以上の高齢者への医療費無料化を実施し、他の自治体でも無料化の努力が始まっています。七十五歳以上の医療費無料化への都民の願いをどう受けとめているのですか。都として高齢者への窓口負担軽減に向けた検討を行うことを求めるものです。
 我が党は二○○一年に兵庫県尼崎市における高齢者グループハウスなどを視察し、以来、認知症のあるなしにかかわらず利用できるグループホームなど、ケアつき住宅について提案してきました。ようやく都が「すまい」の検討会の中でケアつき住宅の整備などを打ち出したことは重要です。そこで伺います。
 ケアつき住宅の整備をどのように促進し、低所得者が利用できるようにするためにどのような対策をとるのですか。地域全体の見守り体制をどのように進めるのですか。
 特別養護老人ホームの入所を待つ人が都内で四万人に及ぶもとで、施設整備も急務です。
 先日の厚労省の発表でも、東京都の介護施設整備の達成率は四四%と、全国でも最低水準であることが明らかにされ、都議選でも介護施設整備は各党の共通した政策になりました。特別養護老人ホーム、療養病床など、介護施設整備の目標と整備促進のための手だてをどう考えているのですか。
 七月に知事が国に提出した提案要求では、地価の高い東京の事情を踏まえ、国に財政支援の充実を要請しています。都としても、特養ホーム整備への用地費助成復活などの財政支援を強化すべきではありませんか。また、人材確保のためにも、運営費への助成が必要ではありませんか。お答えください。
 少子化克服のためには、子育てしながら働ける環境の構築や住宅の確保、経済的支援を初めとした子育て支援の抜本的拡充など、総合的な対策が欠かせません。この立場で、私たちはこれまでも積極的に提案をしてきました。
 この点で、知事が所信表明で、少子化対策について、保育や医療、教育の拡充はもとより、雇用の安定や住宅の確保など、重層的、複合的な施策を構築し、三カ年にわたり集中的に取り組んでいくと述べたことは重要です。重層的、複合的な少子化対策について、どのような構想と具体策を考えているのですか。年次計画や財政計画を含め、いつ都民に示すのですか。お答えください。
 保育園の待機児の急増が重大な社会問題になっています。このため、二つの選挙を通じ、認可保育園をふやすことを中心に待機児を解消していくことが多くの党の方向になりました。各区市町村でも待機児解消のさまざまな努力が始まっています。都としても、待機児解消に向けた認可保育園のさらなる増設計画をつくることが求められていますが、どう考えますか。
 高校の学費は、OECD加盟三十カ国のうち二十七カ国では無償であり、奨学金は給付というのも世界の常識となっています。日本共産党は、都立高校授業料の軽減、給付制奨学金の創設を条例提案してきましたが、残念ながら否決されました。
 しかし、今や、教育費の負担軽減を求める声は大きな世論となり、各党が高校授業料の無償化や軽減を公約し、給付制の奨学金については一致をしたのです。また、文科省も概算要求するに至りました。
 知事、この新たな流れをどう受けとめていますか。経済的な理由で高校の教育をあきらめざるを得ない生徒を一人として出してはならないと思いますが、いかがですか。都として、少なくとも給付制の奨学金制度の創設に踏み切るべきです。答弁を求めます。
 三月の都議会で、我が党を初め民主党、生活者ネットなどの反対を押し切って、八王子、清瀬小児病院、梅ケ丘病院の廃止条例が強行されました。しかし、施行日は決まっておりません。
 都議選の結果は廃止反対の勢力が過半数となりました。これが都民の審判です。きょうも都庁前で座り込みが続けられました。三つの小児病院の存続を求める世論と運動はますます高まっています。知事、都立三小児病院存続の大きな流れをどう受けとめているのですか。
 多摩地域では小児救急医療が不足しており、八王子、清瀬の両小児病院では年間二万件を超す救急医療にこたえているのです。NICUや二次救急医療、重度の障害を持つ子どもの医療を提供しているこれらの病院の役割はかけがえのないものです。
 今、新型インフルエンザの大流行は目前であり、乳幼児は重症化の危険性が高いとされています。乳幼児に多いインフルエンザ脳症などは命にかかわり、まさに一刻を争います。
 こんなときに清瀬、八王子小児病院を廃止するなど論外ではありませんか。知事、そう思いませんか。民意にこたえ、新たな事態に対応するためにも、小児病院廃止計画は白紙に戻して、都民参加で存続に向けて再検討することを求めるものです。お答えください。
 我が党は一貫して三十人学級実現を要求してきました。ところが都は、全国で唯一、四十人学級にしがみついてきたのです。
 しかし、この問題も流れが大きく変わってきました。さきの総選挙では、自民党は四年以内に少人数学級を実現すると公約し、民主党も公約するなど、少人数学級は党派を超えた政策となっています。
 知事、この国民的総意ともいうべき流れをどう受けとめているのですか。民意を真摯に受けとめるべきではありませんか。見解を伺います。
 今こそ、三十人学級を初めとした少人数学級に踏み切るべきです。ましてや、区市町村が独自に実施することや、少人数指導のための加配教員を少人数学級実現のために活用することさえ認めないのは許されません。直ちに改めるべきです。答弁を求めます。
 暮らしを守るためにも浪費をなくせ、これが選挙で示された都民の声です。実際、都民が都議選で重視したことの中で、石原知事が推進しているオリンピック招致はわずかに三・五%にすぎず、オリンピックを看板とした巨大開発や、税金を湯水のように使った招致活動に対する都民の厳しい批判が示されました。
 招致経費は明らかにされたものだけで百五十億円に上り、昨年の北京五輪への出張経費は六千五百万円、五輪計画説明のための六月、スイス出張は二千五百万円、開催都市を決定するコペンハーゲンでのIOC総会に向けて、一度しか着ないプレゼン用オーダースーツは一式三十万円、五十人分をつくると報道されるなど、目に余るものです。知事、都民からの税金のむだ遣いという批判の声をどう受けとめているのですか。
 知事がオリンピックに間に合わせるといって進めている一メートル一億円の外かく環状道路についても批判が広がり、新政権の発足を前に、国交省は業者選定に入れず、事業は事実上、中断に追い込まれています。
 実際、民主党内に、高速道路に多額の国費を投入するのは問題だとする意見があることなどが理由になっていると報道されています。
 仮に、新政権が高速道路無料化政策をとれば、高速道路の管理、建設に莫大な税金投入が避けられません。この問題を含め、今、高速道路の整備、管理などのあり方をどうするのか、国民的議論と合意が求められているのです。
 知事、外環道路は建設すべきではありません。少なくとも、建設を凍結し、都民的議論を尽くすことが必要だと考えますが、お答えください。
 むだな公共事業と批判されている八ッ場ダム建設について、国交省は本体工事の入札延期を表明しました。知事は、中止になったらこれまでの負担金を返還請求するといっていますが、これは負担金を人質に建設続行を求めるものであって、とんでもないことです。
 都民を初め、我が党や民主党などの反対を押し切って、不要なダム建設を推進した責任は知事にもあるではありませんか。知事に求められているのは、その責任を率直に認め、民意に沿ってダム建設中止に協力していくことではありませんか。答弁を求めます。
 次に、新銀行東京と築地市場の豊洲移転問題についてただしたいと思います。
 都議選の結果は、反対を表明する会派の議員が多数派を占めるものとなり、いずれも都民のノーの審判が下ったのです。
 ところが知事は、所信表明でこの二つの問題について一言も触れませんでした。そればかりか、新銀行東京の延命と豊洲移転をあくまでも既定路線として進めようとしています。
 知事、都議選での新銀行東京と築地市場の豊洲移転ノーの都民の審判をどう受けとめているのですか。見解を伺います。
 私は、都民の意思を受けとめて、方向転換を求める立場から伺います。まず、新銀行東京です。
 都議選後、新銀行東京の六月期決算が発表されましたが、その内容は不良債権比率がさらに増加し、このままでは営業コストは再建計画の三割増になる見込みであることなども、さらなる経営悪化を示すものとなりました。
 しかも、日銀から七百九十億円もの借り入れまでして、国債を購入することで利ざやを稼ぐなどという投資会社まがいのことまで行っています。この結果、運用資金に占める有価証券への投資の割合が五六%を占めるといういびつな銀行になっているのです。
 ところが知事は、この現実から目を背け、開業以来初めて黒字になったと強弁しています。しかし、この黒字なるものも、融資が減ったことで前期に積み立てた貸倒引当金が戻ってきただけの話にすぎません。
 しかも、再建計画で示された三つのプランのうち、成長型企業支援融資、ファンド投資は見るべき実績はなく、ほとんど役立っていないのです。知事、これが厳然たる事実です。違いますか。
 何よりも問われなければならないことは、中小企業のための銀行という設立目的からますます乖離していることです。新銀行東京の中小企業への貸し出しは三分の一にすぎなくなりました。都市銀行や地方銀行の中小企業への貸し出しがそれぞれ七割の水準を確保していることと比較すると、極めて異常です。
 中小業者からは、融資を断られたという声も寄せられています。これで一体、どこが中小企業のための銀行というのですか。我が党は速やかに清算に入ることを提案するものです。
 専門家の意見では、資本金を別にしても、新銀行東京の資産は、まだ負債を九百億円以上も上回っており、やり方によっては預金者保護と中小業者の資金を保障しながら清算を進めることは可能です。
 例えば、まず清算期間を定期預金者や貸出返済を考慮して三年から五年程度とし、その間に貸出金の戻りや有価証券など、資産の売却、コストの圧縮などによって、順次満期に達した預金者に滞りなく返済する方式です。
 その場合、新たな貸し出しは停止すること、口ききのあったものなど、悪質な破綻債権は直ちに処理することは当然です。
 その上で、知事が新銀行存続の最大の口実としている中小企業への融資についてですが、企業存続が必要であり、資金提供の継続を求めるまじめな中小企業に対しては、必要に応じて世界都市博覧会のときのように、特別の融資を都として実施するなどの措置をとればいいのです。知事、メンツにこだわらず、こうした方向こそ検討すべきではありませんか。
 そのためにも、金融専門家などを交えた第三者による経営分析と処理方針を検討する場を早急に設けることを提案するものですが、いかがですか。
 都が実施しようとしている金融支援条例は、我が党の質疑により、新銀行東京の救済につながる危険のあることが明白になりました。いかなる形でも新銀行東京の救済につなげないことを明確にすべきです。
 また、条例に大問題があるのですから、要綱については議会に報告し、同意を得ることが必要だと思いますが、見解を伺います。
 築地市場の豊洲移転については、第一に、危険な有害物質に汚染された土地に、都民の食を預かる市場を移転することは許されません。
 総選挙後の九月二日に発表された環境確保条例に基づく土壌汚染調査で、改めて基準の千二百倍のベンゼン、八十六倍のシアンなど、千三百七十一カ所から環境基準を超えた汚染が検出されました。
 先行する専門家会議の調査では、環境基準の四万三千倍のベンゼン、九百三十倍のシアン化合物も検出されています。
 しかも重大なことは、いずれの調査でも、水平方向の地下水の移動汚染、東京都が不透水層といっている有楽町層以下の汚染の調査が実施されていないことです。既に移転予定地は「ゆりかもめ」の橋脚や水道管埋設などで有楽町層の下まで工事が及び、有楽町層が破壊されていることは明白です。
 専門家は、封じ込めやリスク管理方式で対策をとっても、生鮮食品を扱う市場の安全は確保できないと指摘をしているのです。
 知事が都議選で示された民意に基づいて行うべきは、土壌汚染について、すべての情報を公開すること、環境や地質、土木などの専門家、業者など、関係者も交えた検討会を立ち上げ、都民参加でこの問題を考える場を早急に設置することだと考えますが、知事の答弁を求めます。
 第二に、現地再整備に向けた新たな検討に入るべきです。
 現地再整備については、これまでに東京都が提案をしたローリング方式以外にも、地下利用方式、つり上げ式の総二階の人工地盤を利用する方式など、検討に値する方法が考えられています。
 こうした方式であれば、営業しながらの建てかえが可能です。技術的にも、頻繁に走行している鉄道の線路の上部での難工事を実施し、斜張橋のような数百メートルにわたる橋を少ない橋脚でつくるなどの現在の技術をもってすれば十分可能です。
 知事がいうアスベストについても、工事終了後に適正に処理すればよいわけであり、現地再整備を不可能とする根拠はありません。答弁を求めます。
 にもかかわらず、なぜ知事が移転に固執するのか。その最大の理由は、何よりも築地市場を競り売りによる評価機能を持った市場から、大手の量販店や流通業者、外食産業が歓迎する流通センターのような巨大施設につくりかえようとしているからにほかなりません。
 知事は日ごろ、技術というものは日々進歩、開発されていると、日本の土木、建築技術を高く評価しているのですから、現在地再整備の検討を直ちに開始すべきと思いますが、見解を伺います。
 再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉田信夫議員の代表質問にお答えいたします。
 高齢者の医療制度についてでありますが、現在の長寿医療制度は、国民皆保険を堅持する観点から、社会全体で高齢者を支える仕組みとして構築されたものであると認識しております。
 高齢者の医療制度は、我が国の社会保障制度の根幹にかかわる問題でありまして、国の責任において議論を尽くすべきであると思います。
 次いで、高齢者の医療費負担についてでありますが、世代間の負担の公平性や負担と給付のバランスなどを考慮し、国民皆保険を堅持できる持続可能な制度として構築することが、責任ある政治のあり方と考えております。
 次いで、都立の小児三病院についてでありますが、国の医療政策の失敗によって、小児科、産科を初めとした医師不足は全国的に極めて深刻な状況にありまして、限られた医療資源を最大限に有効活用することが従前にも増して重要となっております。
 こうした中にありまして、都は多摩地域における小児救命救急、周産期医療を初めとした高度専門的な医療の一層の充実を図るため、小児三病院を移転統合し、小児総合医療センターを開設するわけであります。
 また、これとあわせて、小児病院が転出する地域の小児医療体制についても、着実に整備を進めてまいります。
 今後とも、来年三月の新センター開設に向け、これまでの方針どおり取り組んでまいります。
 なお、今回の都議選の結果は、国政の影響を大きく受けたものでありまして、小児三病院の移転統合と関係づける論は、余り妥当ではないと思います。
 次いで、パラリンピック・オリンピック招致についてでありますが、現在の世論の支持率は八○%を超しておりまして、現在、国を挙げて招致活動に取り組み、東京を世界にアピールしております。
 こうした招致活動は、IOCの定めたルールやプログラムにのっとり、さらには過去の開催都市の経験などを踏まえまして、都議会で議決をいただいた予算の範囲内で行っているのでありまして、税金のむだ遣いという指摘は当たらないと思います。
 次いで、外環道の建設についてでありますが、外環道は、ひとり東京のためだけではなく、広く国全体に便益を及ぼす重要な社会資本であります。
 また、費用対便益が全国でもトップレベルでありまして、環境改善の効果も極めて大きく、まさに必要な道路であります。
 都市計画変更後も、八十回を超える住民との話し合いを重ね、本年四月に地元の意見や要望に対する国と都の考え方を示し、五月には国においても事業化されました。これを凍結するという主張は、社会工学的にも、まあまさに迷妄に近いもので、論外であります。
 新政権においても、外環道のこうした国家的役割を十分認識し、国として安定的な財源確保と早期整備を目指し、事業の推進を図るよう強く求めてまいります。
 次いで、今回の都議選についてでありますが、今回の選挙に限らず、都議選とは、知事と議会の二元制のもとで、その時々の都政のさまざまな課題について、総体として都民の判断を仰ぐものと考えております。さらに加えて今回は、地方自治体の選挙の枠組みを超え、国の総選挙の前哨戦にされてしまいました。
 これによって、新銀行東京や築地市場の豊洲移転を初め、都政の限られた案件について審判が行われたものとは考えておりません。
 次いで、新銀行東京の今後の方向についてでありますが、新銀行東京は、現在も三千億円を超える預金を有するとともに、他の金融機関では支援が難しい、赤字、債務超過先を含む約一万社に及ぶ取引先を支援しております。
 多数の関係者の存在を承知していながら、こうした現実に目を背け、現に営業している銀行の信用というものを全く考えず、一方的に清算を主張することは、まさに乱暴でありまして、金融機関においても、信用は最も重要な要素でありまして、公の立場にある者は、金融機関の信用にかかわることについては発言を慎重にすべきだと思います。
 新銀行東京は、銀行経営のプロが社長に就任し、再建に向け懸命に努力をしております。その成果は着実にあらわれておりまして、経営再建を果たすことこそが最も必要なことであると思います。
 次いで、土壌汚染に係る検討会の設置についてでありますが、新市場予定地の土壌汚染対策については、まず専門家会議で都民に公開の上、市場として食の安全・安心を確保できる対策の内容を検討し、それを受けて、技術会議で、汚染を除去する具体的な技術、工法について、科学的な見地から検討してまいります。
 技術会議では、原島座長を初め、各分野の最高権威の学者の方々があらゆる角度から詳細に検討し、その結果、日本の最先端技術を活用した、信頼性が高く、安全性に不安のない対策が提言されました。
 このように、土壌汚染について重層的に検討するというやり方は、日本ではかつて例のないものでありまして、安全性に万全を期したところであります。
 また、対策を検討する際に実施した調査データについてもすべて公開しておりまして、改めて検討会を設置する考えはございません。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) まず、教育費の負担軽減についてでございますが、都立高校においては、受益者負担の観点から授業料を徴収しておりますが、経済的に厳しい状況の家庭等につきましては、就学の機会を確保するために、従来から授業料減免制度を設けております。
 平成二十年度におきましては、都立高校生約十三万人のうち、一五%の二万人が減免制度の適用を受けております。
 その効果でございますけれども、平成二十年度中の経済的理由による中退者は、全日制で一年間で五十七名、定時制で六十八名、合計百二十五人でございまして、全体十三万人の中の○・○九六%に当たります。効果があったものと考えております。
 次に、減免制度につきましては、年度途中においても受け付けを行うなど柔軟な対応を行っておりまして、合格発表時や入学後の保護者会その他の機会を通じて制度の周知を図っているところでございます。
 また、急激な経済の停滞を受けた昨年の十一月以降につきましても、家計への影響を考慮し、さらなる周知徹底を図ってきたところでございます。
 教育費の負担軽減につきまして、授業料の実質無償化、所得段階別給付など、さまざまな政策、主張があることは承知しておりますけれども、いまだその全容が明らかになっておらず、現行制度との整合性、国と地方との役割分担、財源措置等の課題がありますことから、この問題につきましては、今後とも、国の動向を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、少人数学級についてでございます。
 公立小中学校の学級編制の標準は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、いわゆる標準法の第三条第二項により四十人と定められております。
 また、このただし書きでは、都道府県教育委員会が児童生徒の実態を考慮して特に必要と認める場合には、四十人を下回る数を学級編制基準とすることができるとされておりますが、東京都教育委員会としては、教育効果の観点から四十人を基準としているところでございます。
 学級編制につきましては、標準法の定めが極めて重要な意味を持ちますが、現在のところ、このことに関する国の動きは明らかでございません。
 今後も、国の動向を注視しつつ、都教育委員会として、学級編制のあり方について適切に判断をしてまいります。
 三十人学級を初めとした少人数学級の実施についてでございますが、都教育委員会としては、生活集団としての教育効果を考えた場合に、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定規模が必要であると考えております。
 さらに、基礎学力の向上に配慮いたしましてきめ細かな指導を行っていくためには、教科等の特性に応じた多様な集団を編成できる少人数指導が有効であり、その充実が必要であると考えております。
 次に、少人数学級を区市町村が独自に実施することなどについてでございます。
 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律により、学級編制については、都道府県教育委員会がその基準を定め、区市町村教育委員会は事前に都道府県教育委員会に協議し、同意を得なければならないこととされております。区市町村が独自に少人数学級を実施することはできない定めとなっております。
 また、限られた教職員定数の活用につきましては、教育効果という観点から、東京都教育委員会が主体的に判断すべきものと考えておりまして、少人数指導のための加配教員を少人数学級編制に転用することは認めていないところでございます。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 七点についてお答えいたします。
 まず、長寿医療制度についてでありますが、本制度につきましては、国における今後の動向を見守ってまいります。
 次に、高齢者への医療や介護、経済支援についてでありますが、都は「十年後の東京」計画において、世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを創造することとしており、既に、医療と介護等が連携して高齢者の地域での生活を支えるネットワークづくりや、多様な支援策による介護基盤整備などに取り組んでおります。
 なお、高齢者への経済支援等の所得保障は経済政策や社会政策の課題であり、負担と給付のバランスをいかにとるかという問題として、基本的に国の責任で対応すべきものであります。
 次に、高齢者の医療費についてでありますが、国において、今後、高齢者医療制度について議論が行われると認識をしており、都として、新たな医療費助成制度を創設する考えはございません。
 次いで、低所得者が利用できる住まい等についてでありますが、少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチームでは、低所得者だけでなく、高齢者が適正な負担で入居できるケアつき住まいや、地域全体に安全と安心を提供する仕組みの検討を行っております。
 事業の詳細につきましては、今後さらに検討を進めていくこととしております。
 次に、介護保険施設などの整備目標と整備の促進についてでありますが、都は、介護保険の保険者である区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づき、計画的な基盤整備に努めております。
 また、整備に当たりましては、平成二十年度から、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、多様な手法を活用しながら着実な介護基盤の整備に努めております。
 なお、お話の厚生労働省の発表で、都における介護保険施設などの整備の達成率が四四%であることについては、第三期計画期間である三年間だけの数字であり、累積で申し上げれば、例えば、特別養護老人ホームでは、利用者見込み数に対し、達成率は約九五%となっております。
次いで、特別養護老人ホームの用地取得助成事業等についてでありますが、たび重ねて答弁しているとおり、国の規制緩和や定期借地権制度の導入、さらには融資制度の充実など、状況が大きく変化をいたしました。
 こうしたことから、本事業については、平成二十年度着工分をもって終了しており、復活することは考えておりません。
 また、介護人材の確保等については、既に本年度、特別養護老人ホームなどの施設を対象として、求人、採用活動経費や職員の資格取得経費などについても補助を実施しております。
 最後に、認可保育所の増設計画についてでありますが、待機児童の解消に向けて、認可保育所だけでなく、大都市東京に合った保育サービスを提供する認証保育所や認定こども園などを整備する保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組んでおりますが、今年度の整備目標を当初計画の一・五倍の八千人に引き上げることといたしました。
 平成二十二年度以降の整備計画につきましては、今年度策定する次世代育成支援後期行動計画の中で定めてまいります。
   〔知事本局長吉川和夫君登壇〕

○知事本局長(吉川和夫君) 少子化対策についてでありますが、現在、少子化打破・緊急対策本部において、関係各局が連携いたしまして、子育てに必要な保育、医療、教育、住宅、雇用など、各分野ごとに現状やニーズを分析しながら、新たな少子化対策の立案作業を進めております。
 今後、こうした作業を積み重ね、国を先導する重層的、複合的な施策を構築いたしまして、年内に策定する「十年後の東京」への実行プログラム二○一○や、来年度予算案に反映させてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、教育費の負担軽減についてでございますが、私立高校におきましては、保護者の経済的負担の軽減を図るため、学校への基幹的補助である経常費補助を通して授業料の抑制を図りますとともに、平均的な所得以下の保護者を対象に、所得状況に応じて返済が不要の特別奨学金制度を実施しております。
 また、経済的理由により修学が困難な高校生に対して育英資金を貸与するなど、都として幅広い修学支援策を実施しているところでございます。
 教育費の負担軽減につきましては、さまざまなご主張、政策が述べられておりますが、いまだ国の制度変更の内容が明らかになっておらず、また、現行制度との整合性を初め、さまざまな課題もございますことから、今後、国の動向を注視しながら、適切に対応してまいります。
 次に、給付制の奨学金制度についてでございますが、私立高校におきましては、経常費補助、特別奨学金、育英資金により、保護者の経済的負担を軽減しております。
 いずれにいたしましても、給付制の奨学金制度につきましては、教育費負担軽減のための対策でありますことから、先ほどご答弁申し上げたとおり、いまだ国の制度変更の内容が明らかになっておらず、また、さまざまな課題もあることから、今後、国の動向を注視しながら適切に対応してまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型インフルエンザの流行と小児病院の移転統合についてでありますが、現在の新型インフルエンザ対策は、感染者は原則自宅療養とし、重症者のみ入院対応とすることを基本に、都内のおのおのの医療機関において、一般診療として実施することとなっております。
 小児病院が移転する地域においては、小児医療体制の整備を着実に進めてきておりますことから、小児病院移転前後を通じて、新型インフルエンザに関しても、他の地域と同様に対応できると考えております。
 次に、都立の小児三病院の存続についてでありますが、医療人材の不足など、今日の危機的ともいえる厳しい医療環境において、小児医療サービスの向上を図るためには、限られた医療資源を最大限に有効活用することが不可欠であります。
 こうした考えに基づき、小児病院を移転統合して、小児総合医療センターを整備し、周産期医療や小児救急医療等の一層の充実を図ることとしております。
 また、小児病院が転出する地域における小児医療体制については、八王子の二つの大学病院に小児病床を新たに十二床確保できる見通しとなったことなど、種々の条件整備が着実に整いつつあります。
 今後とも、新センターの開設に向け、これまでの方針どおり、取り組みを進めてまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 八ッ場ダムについてでございますが、国と利根川流域の一都五県におきましては、今日まで、地元の意向を最大限に尊重しながら、法律に基づく手続を積み重ね、事業を推進してまいりました。
 ダムの恩恵を受ける関係都県はもとより、水没地の関係住民も一致団結して、ダムの一日も早い完成とダムをつくった上での生活再建を切望しております。
 八ッ場ダムが治水、利水の両面から都にとって必要不可欠な施設であることは、これまでも再三申し上げておるわけでございまして、建設中止などということは全く考えておりません。
 なお、建設費負担金は、ダムの完成により施設の効果が発揮されることを前提に支出しております。仮に事業が中止されるような場合、都民に損害を与えないよう、国に納付額の返還を請求することは至極当然のことでございます。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新銀行東京の第一・四半期決算についてでありますが、新しい経営陣のもと、新銀行東京は再建に向け積極的な取り組みを行っております。
 厳しい経済環境下で、さきの四半期決算で開業以来初の黒字に導くことができたことは、こうした努力の結果であり、正当に評価すべきであります。
 例えば、今回の黒字は、融資の減少による貸倒引当金の戻りにすぎないとのお話でありましたが、これは新銀行東京が取引先へのきめ細かな対応により延滞の防止などを図ったことによるものでございます。また、日銀借り入れは、国の金融政策の一環として行われており、多くの銀行が活用しているものでございます。
 銀行の経営につきましては、個別の要素のみを拾い上げるのではなく、決算として総合的に判断すべきものであります。
 続いて、新銀行東京に関する新たな検討の場についてでありますが、先ほど知事が答弁されましたとおり、金融機関の信用にかかわる問題であり、偏った一方的な見方で銀行の今後について具体的な手法に及ぶ主張は不適切であると考えます。
 新銀行東京は、新たな経営陣のもとで経営再建に向け着実に取り組みを進めています。また、銀行の監督は国の専管事項であり、都が第三者による検討の場を設ける考えはございません。
 最後に、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例についてでありますが、本条例に基づく新たな融資制度は、現下の厳しい経済状況のもと、都と地域の金融機関とが連携して、資金繰りに苦しむ中小零細企業を支援することを目的にしたものでございます。いかなる金融機関に対しても、経営そのものの支援を意図するものではありませんし、本条例に大問題があるとのご指摘は全く当たらないと考えます。
 なお、制度の実施に当たっては、融資要綱により具体的な融資対象の要件や融資条件などを定めますが、これは条例の規定を踏まえ、執行機関の責任で策定するものでございます。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、現地再整備を不可能とする根拠についてであります。
 築地で再整備を行う場合には、工事を行うための作業スペース、工事用搬入路、仮設建物のスペースとして一定規模以上の種地が必要でございます。
 しかし、築地市場は既に敷地の九四%が施設や構内通路などに利用されており、残りの六%の敷地も場内に分散しており、工事に必要なまとまった広さの種地を確保することができません。
 このため、現在の建設技術を活用し、つり上げ式の人工地盤方式など、さまざまな工法を採用したとしても、実際に工事を進めることが難しく、また、築地では地下に多くの構造物が存在しているため、地下空間を利用することも困難であります。
 かつて、ローリング方式で現在地再整備を行おうとしましたが、工事用の種地が十分確保できず、営業への深刻な影響が懸念されたため、本体工事に着手する段階で中断した経緯があります。
 また、既存の建物に影響を与えずに工事を行うことができない以上、アスベストはその都度適切に処理しなければなりません。
 さらに、財政面におきましても、跡地の売却収入を見込めないことから、中央卸売市場の保有する資金では再整備に要する事業費を賄えないと考えます。
 これらの事実から、現在地では具体的な実現性のある再整備計画を作成することは不可能であります。
 次に、現在地再整備の検討についてであります。
 現在地再整備は、いずれの工法でも必要な種地が確保できないこと、営業を続けながらの長期にわたる工事が市場業者の経営に深刻な影響を及ぼすこと、事業費の不足に対する補てん財源が見込めないことなどから、現実的に不可能であります。
 既に築地市場は老朽化、狭隘化が深刻であり、地震時の耐震性やアスベストなど安全性の面からも早急に豊洲地区への移転が必要であります。
 新市場予定地の土壌汚染につきましては、環境、土木など各分野の最高権威の学者の方々で構成される技術会議から、科学的知見に基づきあらゆる角度から詳細に検討した信頼性の高い対策が提言されております。
 都といたしましては、万全な土壌汚染対策を確実に実施することで安全を確保し、豊洲新市場の整備を進めていくことが重要であると考えております。
   〔百二十七番吉田信夫君登壇〕

○百二十七番(吉田信夫君) 少人数学級、新銀行東京について、知事に再質問いたします。お答えください。
 まず、知事が答えなかった少人数学級の問題です。
 私は、我が党だけではなく、総選挙で民主党が少人数学級を推進しますと公約し、自民党も公約したことを挙げ、そこに示された民意をどう受けとめているのか、政治家たる知事の答弁を求めたのです。
 教育長が、国の動向を注視しつつ適切に判断すると答えたことは重要ですが、本日の毎日新聞には、日本PTA全国協議会など二十三団体による、少人数学級の実現をという全面広告が掲載されています。
 少人数学級へ押しとどめることのできないこの流れが広がっているのです。石原知事は、この国民的総意を受けとめ、国とも協議するなど、民意にこたえるべきではありませんか。答弁を求めます。
 次に、新銀行東京です。
 第一に、知事はノーの審判が行われたものではないと強弁をしました。しかし、都議選の世論調査では、清算をする方がよいとする回答が七一%を占めたのです。知事は、潔くこの都民の世論、審判に従うべきではありませんか。改めて答弁を求めます。
 第二に、我が党は清算の方向を検討することを求めるだけではなく、具体的な提案も示しました。にもかかわらず、乱暴と決めつける、そういう態度こそ極めて乱暴ではありませんか。
 我が党は、現に融資を受けている中小企業対策も含め、具体的な提案、対案を示したんです。この対案をどう受けとめるのか、知事として見解を答えることが当然の責任ではありませんか。
 以上の点について知事の答弁を求めて、再質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 再質問にお答えいたします。
 少人数学級についてでありますが、お尋ねの件は、都教育委員会が専門的かつ総合的な見地に立って判断すべきものであると思います。
 それから、都民の要するに認識、どれほど専門性、どれほど銀行の実態に精通して下されたのか、私は非常にその点では不審です。これは、イエスかノーかといえば、それはあなた方がいろいろなものを言動されて、非常に都民の認識も偏ったものになりかねない。私は、その数値云々によってこの大事な問題を決するつもりはございません。
 それから、あなた方がおっしゃった具体的な案というものは、私、全く非現実的でありまして、これをもたらせば、非常に銀行そのものが不幸なことになると思います。

○七十四番(松下玲子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時五十九分散会

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