平成二十一年東京都議会会議録第九号

平成二十一年六月二日(火曜日)
 出席議員 百二十四名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番伊藤まさき君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番菅  東一君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番早坂 義弘君
二十六番高木 けい君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番矢島 千秋君
四十四番高橋かずみ君
四十五番吉原  修君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番田代ひろし君
六十四番川井しげお君
六十五番こいそ 明君
六十六番崎山 知尚君
六十七番宇田川聡史君
六十八番秋田 一郎君
六十九番村上 英子君
七十番倉林 辰雄君
七十一番遠藤  衛君
七十二番三原まさつぐ君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番田島 和明君
八十八番樺山たかし君
八十九番山加 朱美君
九十番山田 忠昭君
九十一番串田 克巳君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番吉野 利明君
九十七番初鹿 明博君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大津 浩子君
百番大塚たかあき君
百一番相川  博君
百二番中村 明彦君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番鈴木 一光君
百十二番三宅 茂樹君
百十三番高島なおき君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 一名
百二十三番 土屋たかゆき君
 欠員
    五番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長金子正一郎君
消防総監小林 輝幸君
水道局長代理水道局総務部長小山  隆君
下水道局長今里伸一郎君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長中村 晶晴君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長野口  孝君

六月二日議事日程第二号
第一 第百二十七号議案
  都税還付加算金還付請求控訴事件に関する上告受理の申立てについて
第二 第百七号議案
  平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)
第三 第百八号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百九号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百十号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百十一号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第七 第百十二号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八 第百十三号議案
  東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第九 第百十四号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十 第百十五号議案
  東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第十一 第百十六号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十二 第百十七号議案
  東京都営空港条例の一部を改正する条例
第十三 第百十八号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百十九号議案
  特別区の消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百二十号議案
  都立多摩職業能力開発センター(二十一)新築工事請負契約
第十六 第百二十一号議案
  都立大田桜台高等学校(二十一)改築及び改修工事請負契約
第十七 第百二十二号議案
  都立品川地区養護学校(仮称)(二十一)改築工事請負契約
第十八 第百二十三号議案
  東京消防庁本部庁舎(二十一)空調設備改修工事請負契約
第十九 第百二十四号議案
  平成二十一年度若洲橋(Ⅱ期)鋼けた製作・架設工事請負契約
第二十 第百二十五号議案
  防護服セット外四点の買入れについて
第二十一 第百二十六号議案
  ヘリコプターの買入れについて
第二十二 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例等の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十三 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可の報告及び承認について

   午後一時開議

○議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(比留間敏夫君) これより質問に入ります。
 百十一番鈴木一光君。
   〔百十一番鈴木一光君登壇〕

○百十一番(鈴木一光君) 平成二十一年第二回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 我が国は、いまだ百年に一度といわれる世界的な金融危機の中にあります。しかし、この危機的状況に逡巡することなく、我が都議会自由民主党は石原知事とともに、足並みをそろえ、中小企業への資金繰り対策や受注機会の増加策、雇用創出策、福祉や耐震対策などの緊急対策を速やかに実行に移してまいりました。今後とも我が党は、これまで以上に都民の生活を守り、首都東京の活力向上のため、英知を結集して、具体的かつ効果的な施策を打ち出し、東京都政に責任を持って臨む決意であります。
 思えば、この十年間、知事と我が党は手を携え、徳俵に足のかかっていた財政を立て直すと同時に、首都東京から、都民、国民に向けた新しいメッセージを力強く発信し、国の規制を初めとするさまざまな桎梏を打破し、我が国を牽引する先駆的な施策を次々と打ち出してまいりました。事業者の理解と協力のもとでのディーゼル車規制や不正軽油撲滅作戦などの環境施策、CBO、ベンチャー育成など中小企業対策、新公会計制度の導入、羽田空港の再拡張と国際化など、その成果は枚挙にいとまがありません。
 また、地球規模で課題となっている環境対策に対しても、我が党と知事が連携のもと、都民、事業者とともに取り組む体制を構築し、大規模事業所の排出総量削減義務化や排出量取引制度の導入など、国に先駆けたCO2削減に取り組んでまいりました。このほか、周産期医療対策や新型インフルエンザ対策など、都政を取り巻くさまざまな緊急課題に臨機応変な対応を図ってまいりました。
 そこで今、多くの都民が都政へ期待を寄せ、政治の責任をこれまで以上に求めている中、政治家石原慎太郎として、この難局の打開にどう責任を果たしていくのか、改めて都政を取り巻く現状についての厳しい認識と、今後の都政運営に対する強い決意を伺います。
 次に、補正予算についてですが、昨年来の経済危機に対して、我が党は、都民の不安解消と中小企業の経営支援に向けた緊急対策を要望してきました。その強い要望を受け、都は、二度にわたる補正予算と平成二十一年度当初予算を通じ、なすべき策を確実に講じたところであります。
 しかしながら、経済情勢の悪化は予想をはるかに上回り、中小企業の経営は依然として危機的な状況に陥っています。こうした中で、都は、極めて異例なこの時期に補正予算を編成するという英断を下しました。
 次の三つの視点を踏まえた補正予算編成であるべきだと強く申し上げたいと存じます。
 まず、国の経済危機対策への対応です。このようなときこそ、東京は、いち早く国の対策に連動した都独自の対策に取り組み、一日も早く中小企業の体力を回復させ、東京に活力を取り戻し、我が国全体の経済を牽引していかなければなりません。
 次に、当初予算編成後に生じた状況変化への対応です。豚由来の新型インフルエンザの蔓延など、都民の安全と安心を脅かす事態が続いています。経済情勢の悪化と相まって、東京が先行きの見えない不安感と閉塞感に包み込まれており、これらを払拭する対策に早急に取り組む必要があります。
 三点目は、これらの施策の実施の裏づけとなる財源の見通しであります。実施に必要な財源として、国の対策における地方負担軽減策として創設された、いわゆるハード、ソフト二つの臨時交付金が、我が党の懸命の努力の結果、都にも配分されることとなっています。
 今回提出された補正予算案は、全国に先駆けて取り組んだ対応の迅速さに加え、厳しい中小企業に温かい手を差し伸べる施策や、都民の不安を解消する施策が盛り込まれるなど、内容も都民が直面する課題に的確にこたえるものとなっており、高く評価いたします。ばらまきでない確実に芽の出る種をまいたものであると考えております。
 そこで、この時期に補正予算を編成した知事の考え方を伺います。
 都財政を取り巻く環境が厳しさを増す中で、今回の補正予算案は、財源として臨時交付金を効果的に活用することにより、いざというときのためにこれまで蓄えた力を維持しながら、必要な施策を十分に盛り込んでいます。
 そこで、補正予算における財源活用の考え方についてお伺いをしたいと存じます。
 次に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 四月十四日から二十日までの間、IOC評価委員会が来日し、さきに提出した立候補ファイルの内容や競技会場予定地を詳細に調査しました。この調査結果は、九月の二日までに取りまとめられ、全IOC委員の手に渡ることになります。ここで高い評価を得ることが招致実現のための必要条件であります。評価委員会の対応には、知事みずからが先頭に立ち、最先端の技術を活用したプレゼンテーションや、心遣いの行き届いたおもてなしなど、まさに日本だからこそできる創意工夫を凝らし、ムータワキル委員長も、感銘を受けたとのコメントを残し帰国したと伺っています。確かに評価委員会への対応には手ごたえがあったとしても、勝負はまさにこれからであります。
 そこで、今後の招致活動の展開について、知事の所見を伺います。
 今月十七、十八日にはテクニカルミーティングが開催され、十月二日に開かれる開催都市決定のためのIOC総会まであと四カ月と、招致活動もいよいよホームストレッチに入りました。今後の活動は、投票権を持つIOC委員に対して、これまでの招致活動を生かした働きかけが重要です。
 また、招致をかち取るためには、さらに国内世論を盛り上げ、都民、そして国民の熱い思いを、IOCの総会開催の地、コペンハーゲンに届けることが必要です。全国紙の調査では、招致への支持率は着実に上がってきていますが、さらに招致機運を盛り上げていくことが肝要です。
 そこで、今後残された四カ月、どのような招致活動を、身命を賭して行っていくつもりなのか、伺います。
 次に、ことし九月に開催される東京二〇〇九アジアユースパラゲームズについて伺います。
 現在、四十のうち約三十の国、地域から参加の意向が示されており、本大会に対するアジア各国の関心の高さがうかがわれます。本大会は、若いアスリートに国際大会という貴重な経験を提供するとともに、将来、パラリンピックに出場できるようなトップアスリート育成の場であります。また、東京のよさをアピールし、国や文化の異なる若者同士の相互理解を深める絶好の機会ともなります。
 そこで、本大会を国際大会としてどのように魅力あるものとするのか、決意のほどを伺います。
 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 WHOが発生を宣言して約一カ月、新型インフルエンザは瞬く間に世界各国に広がり、六月一日現在、既に六十二カ国、約一万七千人の患者が発生しております。国内でも、五月十六日に神戸で国内感染が確認されて以来、感染者は三百七十一人に上り、二十日には東京都でも感染者が確認されました。
 我が党はかねてより、パンデミックを見据えた医療資器材の備蓄や医療体制の整備等を都に求めてきました。それを受け、都はこれまで、五十万着の防護服、四百万人分のタミフル、リレンザの備蓄を完了し、また、都独自の保健医療体制ガイドライン等の策定についても取り組んできました。都が、発熱相談センターや発熱外来の設置や防護服や抗インフルエンザウイルス薬の医療機関に配備など、迅速かつ的確な対応ができているのは、こうした独自の取り組みがあったからであります。
 今後、強毒型のウイルスの発生も見据え、さらなる保健医療体制の充実にどのように取り組んでいくのか、伺います。
 また、このたび、我が党の新型インフルエンザ対策に対する緊急要望の趣旨を踏まえ、直ちに補正予算を組み、都の感染症指定医療機関である公社荏原病院、豊島病院に感染症緊急対応病床を整備することは、大変意義深いものであります。
 そこで、今回の補正予算も含め、感染症対策という行政的医療を担っている都立病院、公社病院において、今後どのように新型インフルエンザ対策に取り組んでいくのか、具体的に伺います。
 専門家によると、秋からの第二波、第三波こそ警戒が必要とされており、その対策こそが都民の生命を守る上で大変重要です。都は、SARS発生時の経験を踏まえ、平成十七年度にアジア感染症対策プロジェクトを設置し、各都市の専門家の人的ネットワークを構築しています。
 こうした国際的な連携を含め、今後の新型インフルエンザ対策に取り組む知事の決意を伺います。
 次に、小児医療についてですが、来年三月に開設される小児総合医療センター及び多摩総合医療センターが整備されると、NICU二十四床、M─FICU九床を有する都内最大の総合周産期母子医療センターとなります。小児総合医療センターは、小児三次救急医療などを提供する小児医療の拠点として医療水準の向上に大きく寄与するものであります。こうした広域的、専門的な機能を有するとともに、小児科医師の少ない多摩地域や特別区の東部などの医療提供体制を緊急に強化することも重要です。
 国は経済危機対策において、地域医療の再生を支援するとしており、こうした国の動きも踏まえながら、都としても積極的な取り組みを進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 小児総合医療センターの開設に向け医療スタッフの確保が必要となりますが、医師については、さまざまな処遇改善を図ってはいるものの、産科を初め採用環境は依然として厳しい状況です。看護師についても、全国的な不足状況は依然として改善されず、確保が困難な状況が続いていると聞いています。とりわけ医師については、産科医等の過酷な勤務が労働基準法上の問題として指摘されるケースもあり、全国的に課題となっていると考えます。
 そこで、こうした状況の中で、都立病院全体での医師、看護師の確保定着及び医師の勤務環境の改善について、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、保育サービスの拡充について伺います。
 都は、保育所の待機児童の解消に向け、保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組んでいますが、昨年来報道されているように、経済情勢の悪化による影響で保育ニーズの急増が見込まれています。
 都は、この緊急事態にどのように対応していくのか、知事の所見を伺います。
 保育所等の施設整備は、今年度から、都道府県が設置する安心こども基金を財源に補助する仕組みに変わりました。我が党としても、安心こども基金の創設に当たり、認証保育所の整備にも基金が活用できるよう、国に対する都の申し入れを後押ししてきました。その結果、安心こども基金には、賃貸物件による保育所整備や認証保育所開設準備経費への補助などが盛り込まれることとなりました。
 そこで、この基金を最大限に有効活用し、保育サービスの緊急整備を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 なお、安心こども基金の拡充策には、病児、病後児保育の促進策が盛り込まれました。これらを活用し、都としても、病児、病後児保育の一層の充実に取り組んでいただきたいと存じます。
 次に、有料老人ホームについてですが、群馬県の未届け有料老人ホーム、静養ホームたまゆらの火災事故から約二カ月半が経過しました。
 この間、都は、区市の福祉事務所に対する指導の徹底や生活保護受給者の有料老人ホーム等の利用状況を調査するとともに、東京消防庁等と連携し、都内の未届け有料老人ホームの実態調査などを行ってきました。これらの調査結果を踏まえ、今回、都は緊急対策として、福祉事務所の機能体制強化など速やかな対応を行い、また、未届け有料老人ホーム等への行政指導などについて、法の整備を国に緊急提案しました。
 そこで、今回の緊急対策の基本的考え方と今後の都の取り組みについて伺います。
 さて、国は、経済危機対策の一環として、介護拠点を着実に整備する方針を示しました。この動きに呼応して、我が党が国に対し、事業者の負担軽減を強く要望した結果、国の補正予算案に、土地賃借料に係る経費の一部を補助するなどの具体的な支援策も盛り込まれました。
 今後、都においては、国の経済危機対策をてこに介護拠点の整備を加速させるよう強く訴えておきます。
 次に、介護サービス情報の公表制度について伺います。
 本制度は、介護サービスの利用者が事業者を適切に選ぶための情報を提供する仕組みとして導入されたものでありますが、事業者にとっては、事務的にも経済的にも負担となっている面があります。
 我が党はかねてから、この制度について事業者の負担を軽減するよう求めてきましたが、今回提案されている条例の改正案では、事業者の負担がどのように軽減されるのか伺います。
 次に、緊急中小企業対策及び雇用対策について伺います。
 金融危機に端を発した世界同時不況が、我が国の産業競争力を支える中小企業や就業者を直撃しています。中小企業は、業績悪化、資金繰りの悪化という厳しい経営を余儀なくされています。また、雇用調整の波は非正規雇用者から正規雇用者へと広がっており、都民の不安は一層深刻になっています。
 今、我が国は、企業の業績悪化が雇用状況の悪化を招き、それが消費の冷え込みにつながり、さらに企業の業績を悪化させるといった負の循環に陥っています。こうした負の循環を早期に断ち切るために、都は、中小企業や雇用の状況に対応した絶え間ない対策を打ち出しています。
 そこでまず、今回の緊急中小企業対策、雇用対策の基本的な考え方について、知事に伺います。
 昨年十月から始まった国の中小企業に対する緊急保証制度について、これまで我が党は、指定業種の拡大や区市町村窓口への中小企業診断士の派遣など、その利用促進のために総力を挙げて取り組んでまいりました。その結果、都における緊急保証制度の取り扱いも、三月末で一兆八千億円を超えるなど、多くの中小企業に利用され、今年度に入ってからも緊急保証制度を利用したいという企業からの要望が根強く続いています。
 国においては、補正予算により緊急保証制度の保証枠が二十兆円から三十兆円へ拡大されます。都においても、現下の厳しい経済状況を踏まえ、都内中小企業の資金繰りに不安を与えることがないよう取り組んでいくことが大切であると考えますが、今後の都の対応について伺います。
 親企業の不振に伴い受注が大きく減少するなど、取引先企業の低迷に連動して業績の悪化を招いている中小企業から、支援を求める多くの声が寄せられています。受注機会の拡大に向け、大企業を初めとする発注側企業への直接的な働きかけはもとより、都内の商工関係団体などとも連携し、ぜひ実効ある支援を実施するべきであります。
 また、緊急中小企業対策として、商店街ににぎわいを創出し、地域における消費を喚起することを目的に、商店街街路灯のLED化を支援するとのことですが、これは地域の消費を増進するだけでなく、工事請負事業者の受注拡大やCO2削減といった環境対策にも寄与するものであり、大いに期待しています。
 可能な限り数多くの商店街において整備が促進されるよう、積極的に支援すべきと考えますが、それぞれ所見を伺います。
 世界的な不況の影響を受け、我が国の雇用情勢は悪化の一途をたどり、都内の有効求人倍率も一を大きく割り込む状況となっています。求職者が増加する一方で、求人数は急激に減少し、雇用の場が失われています。
 都は既に、国に先んじて打ち出した区市町村への補助金を用いて、さまざまな雇用創出に取り組んでいます。しかしながら、日々悪化する厳しい雇用情勢に対応するためには、第一回定例会で創設した二つの基金を速やか、かつ最大限に活用し、さらなる雇用創出に取り組むべきと考えます。
 そこで、雇用創出に向けた現在の取り組み状況と今後の対応について伺います。
 次に、都市づくりビジョンの改定について伺います。
 既に明らかにされた骨子では、東京の都市再生を引き続き推進していくとともに、人口減少、超高齢社会の到来など、時代の変化を踏まえ、成熟した都市にふさわしい東京の実現を目指す基本的方向が示されています。
 国際競争力や都市防災の強化などは、当然これからも重要な課題であります。これに加え、社会の変化や都民のニーズに的確に対応し、地球環境や身近な地域の潤い、まち並みの美しさなども十分考慮した都市づくりを進めていく必要があります。
 今回の改定における新機軸はどこなのか、また、どのような施策に重点を置いて取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、多摩地域の都市づくりについて伺います。
 東京の均衡ある発展のためには、都心部のみならず、多摩地域の発展が不可欠であります。多摩地域が、活力にあふれ、自立して発展していくためには、八王子、立川、多摩ニュータウン、青梅、町田の五つの核都市の整備や、地域の中心となっている生活拠点のまちづくりも重要です。
 一方、市街地の外延的拡大の抑制や、既存ストックの活用による市街地の再生が求められる中で、今後、都は、核都市や生活拠点の整備など、多摩地域の都市づくりにどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、多摩地域の産業振興について伺います。
 都においては、中小企業の技術の高度化を支援する多摩産業支援拠点を、平成二十一年度に開設する準備を進めています。
 中小企業が将来にわたって成長していくためには、独自の技術やすぐれた製品開発力を持つことが必要であることから、我が党はこれまでもその着実な整備を求めてきました。 しかしながら、昨今、現場の企業経営者からは、技術の高度化に加え、人材の育成も企業の発展に欠かせない要素であるという声を聞いています。また、農商工連携など産業間の連携による新事業の創出も、都内産業の一層の活性化に重要な課題となっています。
 こうした中、都は、平成二十三年度には多摩産業支援拠点の隣接地に多摩職業能力開発センターを整備することとしています。また、隣地には、農林産業関連の研究機能を担う農林総合研究センターが既に設置されています。
 これらの機関を連携させることにより、技術の高度化だけではなく、人材育成や新産業の創出など重層的な支援を展開していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、小笠原の情報通信基盤整備について伺います。
 小笠原は、本土からの通信や放送の手段が衛星を用いた回線に限られていることから、都内では市町村単位で唯一、ブロードバンド環境が未整備であり、地上デジタル放送への対応が困難な地域として取り残され、情報格差の是正が喫緊の課題となっています。
 国では、このたびの経済危機対策の補正予算において、ブロードバンドや地デジへの対応がおくれている地域を対象に改善支援の経費を措置しました。
 都においても、今定例会に提出した補正予算案において、国の支援策を活用しながら、海底光ファイバーを小笠原まで敷設する経費を計上しています。海底光ファイバーの敷設は、地デジへの対応はもとより、ブロードバンド環境の実現により情報格差を抜本的に解消し、住民生活の向上や産業振興などに極めて大きな効果が見込まれるものであります。
 小笠原への海底光ファイバー敷設の実現へ向けて、都としてどのように取り組むのか伺います。
 次に、外かく環状道路について伺います。
 政府・与党は、経済危機対策において、外環について、整備計画に位置づけることと、二十一年度補正予算で事業予算を確保することへの道筋をつけました。これを受け、去る四月二十七日に高速自動車国道の計画を審議する国土開発幹線自動車道建設会議が開催され、整備計画路線への格上げが決定されました。
 思えば、平成十三年春に石原知事が、当時の扇国土交通大臣と現地を視察し、四十年来の凍結が解除されてから八年余を経て、ようやく事業段階へ踏み出すことになりました。この間、知事は、外環整備を最重要施策の一つとして掲げ、その実現に向けて指導力を発揮してこられました。
 都議会においても、我が党を中心に超党派で構成する東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟を平成十三年に設立し、整備促進に向け、さまざまな活動を行ってきました。
 外環は、首都東京の渋滞解消に寄与するだけでなく、広く我が国全体に便益が及ぶ重要な道路であり、一日も早い完成が待ち望まれます。
 そこで、知事に改めて外環の早期整備に向けた所見を伺います。
 外環の整備を進めていく上では、十分な事業費を確保していくことが重要です。今回の整備計画では、外環道十六キロメートルの事業費は一兆二千八百二十億円、事業主体は国または高速道路株式会社とされています。
 そこで、今後、この事業を進めるための事業の枠組みや都負担について、どのようになるのかを伺います。
 外環の早期完成に向け、これからがまさに正念場であります。都においても、外環整備推進のための組織を立ち上げ、準備を進めていると聞いています。
 そこで、早期整備のため、都としての今後の具体的な取り組みについて伺います。
 地上部街路である外環ノ2について、さきの定例会で、早期整備が必要な外環本線とは切り離して進めるべきものとの都の考えが示されました。地上部街路について、地元住民との話し合いを望む声がある一方で、早期の事業化を求めている住民も少なくないことから、地元区市と連携を図り、取り組む必要があります。
 改めて、地上部街路について、今後どのように取り組むのか伺います。
 次に、羽田空港について伺います。
 世界をリードする質の高い経済社会を実現するためには、ハブ機能を担うべき首都圏空港の機能強化が不可欠であります。このため、二十四時間体制による国際定期便発着で羽田のハブ空港化の実現を目指すことを我が党は提案してきました。
 そうした中、本年四月、政府・与党が取りまとめた経済危機対策の中に羽田空港のC滑走路の延伸が位置づけられ、国の補正予算に工事費が盛り込まれています。
 一方、羽田空港では新滑走路の建設工事が進んでおり、来年十月の供用開始時点には、昼夜合わせて年間約六万回の国際定期便が就航することになります。
 C滑走路の延伸は、国際化の動きに沿うものであり、我が国の活力の向上につながるものと考えますが、都として、その効果をどのように考えているのか伺います。
 羽田空港の機能強化とともに、我が国の産業を支える東京港の機能の強化も重要です。我が党はかねてより、未曾有の経済危機に直面する今日の経済状況下であっても、必要な施設整備を行い、着実に東京港の機能強化を図るべきと提案をしてまいりました。
 都もこれにこたえ、船舶の大型化などに緊急に対応すべく、大水深岸壁の再編や道路交通網の整備などを盛り込んだ港湾計画の見直しに取り組み、五月に開催の東京都港湾審議会で答申を得たことは、大いに評価いたします。
 一方で、至近の距離にある京浜三港が連携を強化し、これまで積み重ねた港湾経営の実績とスケールを生かすことによって国際競争力を強化することも重要であります。
 石原知事の強いリーダーシップによりスタートしたポートオーソリティーの設立を視野に入れた広域連携が推進されるよう、我々都議会も、横浜市会、川崎市議会とともに京浜港広域連携推進議員連盟を設立し、取り組んできました。京浜三港による基本的合意から一年が経過し、入港料の一元化など具体的な取り組みが進められ、広域連携が形となって見えてきました。
 そこで、ポートオーソリティーの設立に向け、京浜三港の一港化を一段と強力に進めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、JR中央線の複々線化について伺います。
 多摩地域は、東京の人口の約三分の一に当たる四百万人を超える人口を擁しており、首都機能に隣接することによる利便性と、人、物及び情報の結節点として、一層の発展と個性の発揮を図っていくことが期待されています。
 こうした多摩地域が持つ特性、優位性、ポテンシャルを発揮し、首都圏の中核をなす多摩の実現を目指していくためには、鉄道を初めとする都市基盤の充実を図っていくことが不可欠であると考えます。
 その中でもJR中央線は、多摩地域と都心を結ぶ鉄道ネットワークの大動脈です。現在、平成二十二年度末の全線高架化に向け連続立体交差事業が進められていますが、これに引き続き、平成六年の都市計画決定以後、進展が見られない三鷹駅から立川駅間の複々線化を進めていくことは、多摩地域と都心との連携や沿線都市の拠点性の強化のために非常に重要であると考えます。
 そこで、JR中央線の三鷹駅から立川駅間の複々線化について、知事の所見を伺います。
 また、沿線の二十四市町村は、三鷹・立川間立体化複々線促進協議会を発足させ、長年にわたり熱心に取り組んでいます。協議会が設置した専門委員会では、東京都や鉄道事業者などが参画し、JR中央線複々線化の検討が進められてきたと聞いています。
 そこで、この専門委員会における検討の状況と、検討結果を踏まえた今後の進め方について、所見を伺います。
 次に、橋梁の管理について伺います。
 都道にかかる橋梁は約千二百カ所あると聞いていますが、橋梁のかけかえには膨大な費用がかかるばかりでなく、工事期間中の交通渋滞などの問題もあり、総事業費の縮減と、かけかえ時期の平準化を図る必要があります。
 都はこのたび、今後三十年間の橋梁の管理に関する中長期計画を策定し、将来の損傷や劣化を科学的に予測する手法や、耐久性を向上させる対策などを明らかにしています。
 そこで、この計画の具体的効果と今後の進め方について伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 本年は、ポスト京都議定書の国際的な枠組みを決定する重要な年です。現在、ドイツのボンで国連の作業部会が開催され、十二月のCOP15に向け議論が進められています。
 都は、世界の都市レベルで初めて、オフィス等も対象とする温室効果ガスの総量削減義務と排出量取引制度を導入しました。こうした先進的な取り組みを情報発信し、世界の大都市の温暖化対策に貢献することは、都の重要な役割といえます。その意味で、先日ソウルで開催されたC40世界大都市気候サミットにおいて、知事が都のすぐれた環境施策をアピールされたことは、大変意義あるものであります。
 また、都の先進的な温暖化対策は、日本のすぐれた省エネ技術等を活用し、設備更新を促して新たな需要を創出するものであります。また、省エネビジネスなど新たなビジネスチャンスを生み出し、省エネ対策はコスト削減にもつながるもので、東京の中小企業の高い技術力にも期待しています。
 我が党はかねてより、中小企業や家庭部門を含む、これまで以上に踏み込んだ温暖化対策の展開を主張してきました。これを受け、都は今年度、太陽エネルギー利用の支援策や、CO2削減に積極的な中小企業を支援する環境減税の創設など、百七事業にも上る温暖化対策を施策化しました。こうした都の先進的かつ積極的な施策の展開は、世界的な金融不況のもとで経済的な効果も期待されます。
 このように、東京の活性化とともに地球温暖化の危機を回避する温暖化対策を推進していくに当たり、改めて知事の決意を伺います。
 東京都が先鞭をつけた自動車税のグリーン化が全国税制として定着しました。ディーゼル作戦や不正軽油撲滅作戦による効果が顕著にあらわれていることが示すように、東京の先進的な取り組みは国や他の地域に対して大きなインパクトを与えてきました。
 我が党の主張を踏まえ今年度からスタートした東京版環境減税も、こうした意義を有する効果的な取り組みです。今後とも、東京が環境の世紀のトップランナーを担っていくとの気概を持ちつつ、環境問題の解決に資する税制のさらなる充実を図っていくべきものと考えますが、見解を伺います。
 次に、水と緑に囲まれた東京の実現について伺います。
 首都東京が快適で住みよい都市であるためには、身近な都市環境の向上が重要です。特に公園、道路、河川などの都市のインフラは、都民の生活や経済活動を支えるばかりではなく、緑豊かな都立公園の整備、街路樹の充実、河川の緑化などにより、都市環境を向上させる貴重な空間でもあります。
 そこで、緑のネットワークの拠点となる都立公園の整備などについて、これまでの取り組み状況とその実績を伺います。
 都市環境のうち、水辺は都市の豊かさや潤いを生む貴重な都市空間であり、隅田川などにおいて、スーパー堤防やテラスなど、親水性に配慮した河川整備が進められています。
 一方、JR王子駅のトイレ排水が石神井川に流入していたことをきっかけに、河川の臭気対策がクローズアップされました。東京を水と緑に囲まれた美しいまちにするためには、河川環境の改善も喫緊の課題であります。
 先般、我が党は都に対して河川環境の改善に関する緊急要望を行ったところであり、臭気対策など河川の環境改善に向け、早急に対策を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、豊洲新市場の整備について伺います。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染については、都民が安心できる万全な対策が取りまとめられ、今後、都では、これを確実に実施するとともに、平成二十六年十二月の開場に向け、全力で整備に取り組んでいくこととしています。
 築地市場は施設の老朽、狭隘化が深刻で、産地や消費者から強く求められる高度な品質、衛生管理や流通コストの削減などに十分こたえられず、取扱量の減少が続いています。
 このように流通環境の変化への対応がおくれる中、市場業者の経営状況は一層厳しさを増しており、もはや一刻の猶予もありません。昨年、築地市場の業界団体の大多数から移転推進の要望をいただいたように、市場業界も新市場への強い期待を持っています。
 我が党は、築地市場の現状を憂慮し、首都圏三千三百万人の食生活を支えていく市場の将来像を描き、一貫して移転整備による抜本的な施設改善の必要性を訴えてきました。
 豊洲新市場は、築地では実現できなかった新たな機能を備え、都民や市場業者の期待にこたえる、これからの我が国の卸売市場のモデルとなる市場として整備すべきと考えますが、どのように取り組んで行くのか見解を伺います。
 次に、八ッ場ダムについて伺います。
 我が党は、この四月、関係する県会議員とともに八ッ場ダム推進議連一都五県の会を設立いたしました。私がその会長を任されましたので、事業の一層の推進に向け、精いっぱい取り組んでまいります。
 ところで、一部の政党などは、論拠もあいまいな八ッ場ダム不要論を展開し、あたかもむだな公共事業であるかのように宣伝をしております。八ッ場ダム建設をめぐっては、事業の中止を求める訴訟が関係都県で起こされ、その中で初めてとなる東京地裁の判決では、都側の全面勝訴が示されました。
 そこで、改めて八ッ場ダム事業の推進に向けた知事の決意を伺います。
 次に、教育について伺います。
 全国的に子どもの体力が長期的な低下傾向を続けている中、昨年の文部科学省の全国調査の結果、東京都の子どもの体力低下が著しいことが明らかになりました。例えば、都教育委員会の資料によれば、小学校五年生のソフトボール投げは、男女とも全国で四十六番目と低く、昭和五十四年の都平均と比較すると、男子が六メートル、女子が三・三メートルも低下しています。
 知事の所信表明にも、東京の子どもたちの体力低下は憂慮すべき状況との発言がありましたが、我が党も子どもの体力向上は喫緊の課題であると認識しています。体力は人間の活動の源です。今後、具体的な目標達成に向けて早急に対策を講じ、子どもの体力向上に必要な環境整備を総合的に推進する必要があると考えます。
 都教育委員会は、子どもの体力向上にどのように取り組んでいくのか伺います。
 このような取り組みを進めていく中で、子どもの体力向上はもとより、学力の向上や子どもの健やかな成長を学校において支えていくのは教員にほかなりません。
 現在、小学校においては、指導的立場にあるベテラン教員の大量退職に加え、ここ数年、千人を超える大量採用が続いており、若い教員が大幅にふえている状況と聞いています。
 また、小学校教員は、採用直後から学級担任となり、初年度から学級運営や保護者対応などの高い能力も求められています。このような状況を踏まえると、学校における育成体制の整備は急務であると考えます。
 そこで、今後、新規採用教員をどのように育成していくのか、所見を伺います。
 次に、現任期、我が党、最後の質問として、日本の危機と行く末について伺います。
 未来を見据えて打つべき手をしっかりと打つ、これは政治家の当然の使命であります。今後も引き続き我が党は、知事とともに、この国の行く末を憂い、東京から日本を変えるべく全力を尽くしてまいります。
 とりわけ、日本の行く末に影を落とす大きな危機である少子化を何とかしなければなりません。このままでは人材は枯渇し、経済のパイが縮小します。ましてや、日本を支える東京の将来にも多大なる影響を与えます。
 この状況を打開するために重要なことは、まず、本来責任を持つ国を動かすことであります。国が動かなければ課題は解決しません。
 そして、この課題は、安心して子どもを産み育てられるよう、経済負担の軽減や子育てと仕事の両立支援、住宅支援などの施策を総合的に展開してこそ前進させるものであります。
 そのためには、国に具体的な政策提言を行うと同時に、都が率先して行動を起こし、国を先導すべきです。現下の厳しい環境に置かれている子育て世代の状況もかんがみ、これまでの財政再建の成果も活用しながら、地に足のついた、しっかりとした政策を打ち出していくべき時期と考えますが、知事の所見を伺います。
 さて、都議選の投票日は七月十二日と、残すところ、あと一カ月余りであります。我々都議会自由民主党は、日々、都民、国民の声をじかに聞く中で、都政における責任政党として、国に対しても主張すべきことは主張し、中小企業対策はもとより、地方分権の推進、まちづくり、防災・防犯、福祉・医療改革、多摩・島しょ振興など、幅広い分野にわたり、血の通った打つべき手を、これまで確実に打ってまいりました。
 来るべき選挙戦には、十年後の美しい首都東京への道標である二〇〇九、東京自民党政策提言「東京・風の道をひらく」を掲げ、引き続き都政に最大多数として責任を持てるよう、全力を傾注する覚悟であります。
 戦後最大の経済危機にあって、都民の生活、仕事を守り、将来の展望を切り開いていくため、山積する課題の本質を見きわめながら都政をリードしていく、それが我々東京の自民党に課せられた責務であり、都民の期待にこたえる道であります。
 私たちは、石原伸晃都連会長、内田茂都連幹事長のもと、高島なおき都議会自民党幹事長を先頭として、公認候補全員の当選を目指す決意であることを表明して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木一光議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都政を取り巻く現状認識と、今後の都政運営に臨む決意についてでありますが、日本と世界が直面する歴史と文明の大きなうねりの中で、取り組むべき課題は尽きることがございません。とりわけ、現下の世界的な経済危機、新型インフルエンザの発生、あるいは地球温暖化など、差し迫った大きな危機にさらされております。
 政治は、危機の本質を正確に認識し、みずからの未来はみずからの手で切り開くという気概で、都民、国民にとって真に必要な政策を果断に講じていかなければならないと思っております。子や孫の世代への責任を果たすためにも、不作為は許されず、具体的、的確な行動こそが求められていると思います。
 こうした信念に基づきまして、経済危機や新型インフルエンザへの迅速な対処はもとよりのこと、「十年後の東京」計画を羅針盤にしまして、東京を豊かな水と美しい緑にあふれた低炭素型都市へと変貌させ、二十一世紀における都市のモデルにまで高めるため、着々と取り組みを重ねてきたつもりでございます。
 同時に、都の体質改善も進めまして、コスト意識やスピード感を鍛えるとともに、明治の太政官制度以来の硬直したお役所体質を払拭する起爆剤として、画期的な行政のフォーマットとなる新しい公会計制度を確立してまいりました。
 若者たちにかけがえのない心の財産を贈る二〇一六年のオリンピック・パラリンピックも、五十年先、百年先の日本の礎となるに違いないと思います。
 今後も東京が日本のダイナモとして、この国のさらなる発展、成熟へと導き、また世界の範ともなるように、渾身の力で都政のかじ取りを担っていきたいと思っております。
 次いで、補正予算についてでありますが、今回の補正予算は、国の経済対策を早期に実施するとともに、東京の都市づくりと都民生活の緊急課題などに迅速に対応するため、都として打つべき手だてを早急に講じることを基本に編成いたしました。
 そのため、今回の国の経済危機対策について、外かく環状道路の整備を初め、骨格幹線道路の整備や鉄道の連続立体交差化の推進など、実施可能なものから取り組むことといたしました。
 あわせて、一連の国の経済対策に関連して、これを一層有効なものとし、また、都の当初予算編成後に生じた緊急課題に迅速に対応するため、都みずからも中小企業、雇用対策や生活者対策を強化してまいります。
 この間、東京都は、緊急対策として実施した昨年の二度の補正予算と二十一年度当初予算を通じて、都民生活を守る有効な施策を切れ目なく講じてきたと思っております。
 さらに今回、補正予算を編成することによりまして、国の経済対策の実効性を高めるとともに、都民が直面する危機を打破し、安心と希望にあふれた東京の創造に向けて一層の取り組みを行っていくつもりでございます。
 次いで、オリンピック・パラリンピック招致についてでありますが、評価委員会の来日に際しましては、総理の出席など、国を挙げての歓迎の意を表するとともに、世界初のカーボンマイナスオリンピック、コンパクトな会場配置、盤石な財政基盤など、東京大会の特徴を余すところなく説明しまして、確かな手ごたえを感じることができたと思っております。
 今月はローザンヌでIOC委員全員に対する説明会が予定されております。私も出席しまして、東京大会が環境と平和に寄与し、スポーツを通じて友情と連帯を育んでいくことを訴えてまいりたいと思っています。
 しかし、最大の目標は、十月のIOC総会で東京に過半数の票を投じてもらうことでありまして、まさに我が国の外交手腕が問われておりまして、スポーツ界、経済界が有する人脈、各国政府との外交関係など、IOC委員につながるさまざまなチャンネルを陰に陽に活用して、一票でも多くの支持を獲得していかなければならないと思っております。
 そのために私自身も赴きまして、招致活動に総力を挙げて取り組み、ぜひとも招致を実現して、閉塞感に覆われたこの日本に新しい希望の灯をともしたいものだと思っております。都議会初め都民、国民の皆様のなお一層のご支援、ご協力をお願いする次第であります。
 次いで、今後の新型インフルエンザ対策についてでありますが、今回の新型インフルエンザは弱毒性であるといわれておりますが、今後、第二波の感染拡大や強毒型ウイルスの発生も、これは違うウイルスになるんですか、鳥型ということでありましょうか、それも危惧されますことから、警戒を怠ってはならないと思います。
 かつて世界に大きな被害をもたらしたスペイン風邪を調べてみますと、ちょうど今ごろの時期に一波が来て、まあ何となく過ぎたと安心をしておりましたら、ウイルスそのものが非常にみずから強化して不意に爆発して、非常に多くの犠牲者を出したと聞いておりますから、今の程度で、豚型というんでしょうか、このウイルスが、インフルエンザが終わったということはいい切れないし、また油断はとてもできないんではないかと思います。
 重要なことは、感染力や病原性などの情報を迅速に収集しまして、科学的な知見のもとに冷静かつ的確に対応していくことであります。このため都は、来るべき事態に備え、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄の拡充や、医師会などとの連携による保健医療体制の充実、危機管理体制の強化などの対策を進めてまいります。また、アジア大都市ネットワーク21においても、これまで培ってきた専門家の人的ネットワークを活用しながら国際的な連携を図っていきたいと思っております。
 新型インフルエンザは人類共通の脅威でありまして、英知を集結して、この新たな疾病と闘い、都民の生命と健康の確保に全力を尽くすつもりでございます。
 次いで、急増する保育ニーズへの対応についてでありますが、こういう経済不況になりまして、お子さんを持つお母さんも働かざるを得ないという現況でありますが、いずれにしろ、すべての子どもと子育て家庭を社会全体で支援する上で、待機児童の解消は喫緊の課題であります。
 都は、昨年度から保育サービス拡充緊急三カ年事業により保育所などの整備を着実に進めてまいりましたが、経済情勢の悪化に伴う保育ニーズの急増により、待機児童数は増加する見込みであります。この事態に対応するため、今回の補正予算で、事業者と区市町村の負担を大幅に軽減する独自の支援策を講じ、今年度の整備目標を当初計画の一・五倍に引き上げることにいたしました。こうした集中的な取り組みによりまして保育サービスの拡充を図り、すべての人が安心して子育てできる東京を実現していきたいと思っております。
 次いで、緊急中小企業対策、雇用対策の基本的な考え方についてでありますが、昨年秋に端を発した世界的な経済危機、このリセッションは、東京の経済の活力の源泉であります中小企業、とりわけ小零細企業に極めて深刻な影響を及ぼしております。また、雇用情勢も厳しさを増しております。
 このため、都は既に数次の対策を講じておりまして、今年度の当初予算においても、企業の資金繰り対策や雇用対策など実効性のあるさまざまな施策を打ち出しております。しかし、経済危機の根は深く、企業の倒産件数や失業率などの経済指標は依然として厳しい状況にあります。
 こうした状況を踏まえ、対策をさらに強化するとともに、国の経済危機対策を一層有効なものとするため、補正予算を編成し、さらなる中小企業対策、雇用対策を実施することといたしました。
 まず、制度融資を拡充し、中小零細企業の資金繰りに万全を期すとともに、新たな取引先の開拓も強力に支援してまいります。また、雇用の創出に加え、意欲のある方々が早期に再就職できるように職業訓練を拡大していきたいと思っております。当初予算による取り組みとあわせ、これらの対策を総力を挙げて実施し、今日の危機を克服していきたいと思っております。
 次いで、外環道についてでありますが、先日、国の補正予算が成立しまして、ようやく外環道の整備が動き出すこととなりました。凍結を解除してから既に八年余り、やっとここまで来たなという感じがいたしますが、これまで東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟からも多くのご支援をいただいたことに改めて感謝を申し上げます。
 外環道は、費用対便益が全国でもトップレベルの指数を示す非常に大事な道路でありまして、四十年余りの間、この計画を放置したことによって失われたものもはかり知れないと思います。国際競争力の強化、我が国経済の再生を思えば、一日も早く完成させまして、おくれを取り戻すことが重要であると思います。工程短縮に向けてあらゆる努力を傾注するように国に求めてまいります。
 次いで、京浜三港の一港化への取り組みについてでありますが、我が国の港湾政策はスピードと戦略性を著しく欠いておりまして、どうしてこういう三港の合理化が今まで国の主導で行われなかったか理解に苦しみますが、ようやく隣県とも合意を得まして、今日の運びになりました。現に、日本を発着する約百万個のコンテナ貨物が、この日本ではなしに、隣の韓国の釜山港をハブとして積みかえられておりまして、日本に寄港する基幹航路の維持がもう脅かされております。
 京浜三港は、この現状を打破し、東アジアの国際ハブ港としての地位を確立していくために、みずからの判断と責任で進めている一港化への取り組みを加速させることといたしました。
 年内に、地方自治法に定める協議会を設置しまして、三港の港湾管理者の合議により、実質的な京浜港の港湾計画を策定するなど東京湾全体の総合力を高めてまいります。また、ふ頭経営の現場においては、東京港埠頭株式会社と横浜港埠頭公社が広範な分野で共同事業を展開させ、これまでの港ごとの管理を一体的な港湾経営へと転換してまいります。
 東京湾の中核に位置し、世界最大規模の経済圏を背負う三港が、ポートオーソリティーの設立に向けて京浜港の一港化を迅速果敢に進め、日本の港湾の先頭に立って、熾烈な国際間競争を勝ち抜く活路を切り開いていきたいと思っております。
 次いで、JR中央線の複々線化についてでありますが、東京の鉄道は、正確、安全な多
量輸送機関として都市機能を支えております。このネットワークをさらに強化していくことは、より快適で利便性が高い都市づくりを進めていくためにも極めて重要であります。
 首都圏の幹線鉄道でありまして東京の大動脈でもあるJR中央線において、未着手となっている三鷹―立川間の複々線化を実現することは、利用者の利便性向上にとどまらず、多摩地域の振興や横田の飛行場へのアクセス、さらに山梨県方面との連携強化にも資するなど大きな意義がございます。
 そもそも、この中央線には新幹線がございませんので、有名な急行「あずさ」なども、急行として走ってきても、東京に入りますと複々線が完備しておりませんから、減速せざるを得ないというのが実情であります。
 本来、この事業は広域的な見地から国が責任を持って進めるべきものでありますが、都としても、複々線化の実現に向け、多額の費用や採算性の確保などの課題について関係者とともに積極的に検討していくつもりでございます。
 次いで、地球温暖化対策についてでありますが、温暖化がもたらす地球環境の異変は深刻の度を増しておりまして、専門家の多くが、この五、六年の後に、このままでいくとポイント・オブ・ノーリターンが来てしまうという警鐘を鳴らしております。今、国際社会に求められているのは、二〇二〇年に向けた大胆なCO2削減目標を早急に合意することでありまして、現下の経済危機を理由に対策を先送りすることは到底許されるものではないと思います。
 都は、世界で初めての都市型のキャップ・アンド・トレード制度を実現するとともに、太陽エネルギーの大規模な普及策や、省エネ技術を導入する中小企業への環境減税など、先駆的な環境技術を全面的に活用するための施策を展開してまいりました。都の施策の大胆なCO2削減が経済再生にも寄与することを示す先駆的な意義を有するものであると思っております。
 先ごろソウルで開催されましたC40、世界大都市気候先導グループのサミットにおいては、こうした都の取り組みを踏まえて、各都市に具体的な行動を起こすように呼びかけてまいりました。このたび都市として世界で初めてこの東京が正式に参加したICAP、国際炭素行動パートナーシップの場においても、都の先進的な施策について発言し、世界の温暖化対策の強化に貢献していきたいと思っております。
 次いで、八ッ場ダムへの取り組みについてでありますが、先月の東京地裁判決は、ダムを不要とする原告の理不尽な主張を一蹴したものでありまして、司法においても都側の正当性を認めた至極当然の結果と受けとめております。
 これまでも重ねて申し上げているとおり、この八ッ場ダムは、治水、利水の両面から都にとって必要不可欠な施設であると思っております。ましてや、異常気象がどんどんどんどん進んでいく現実の中で、どういう気象異変が起こって、渇水というものが大幅に到来するかもわかりません。自然の推移については、人間はたかだか想像をたくましくするだけで正確な予測をできませんし、今日、東京にとって不可欠な水がめになっております小河内ダム、あれができたときも、あれに反対した人たちは、そういわれると確かにそう読めますな、しょうがないダムといったそうですけれども、次の年に大変な水飢饉が来まして、あの小河内ダムが東京を潤すのに非常に大きな役割を果たしたという事実がございます。
 今日、地球規模で生じている気候変動は人間の予測を超えたものでありまして、我々の子孫のためにも十全の備えを行っていく必要があると思います。都としては、引き続き、関連県と一層連携を強めながら、推進議連の皆さんとも力を合わせ、八ッ場ダムの早期完成に向け取り組んでいくつもりでございます。
 最後に、少子化対策についてのお尋ねですが、少子化は、突き詰めれば人生に関する個々の価値観の問題でもありますが、国家という単位で見たときに、将来に与える影響は極めて大きいと思います。いいかえれば、国力とはまさに人口でもあるといえます。
 このままでは、経済のパイが縮小して税収は減り、年金や医療、社会インフラの維持が困難になる、日本の伝統文化も失うことにつながります。国もさまざまな施策を講じてはいますが、国民の子どもを持つことへの不安は払拭されておらず、少子化の流れを変えるには至っておりません。
 フランスも、この危機に面して、長いことかかって、かなりの要するに財政援助をすることで、今日、人口をふやしておりますが、とにかく、とりわけ子育て世代で大きな役割を占める団塊ジュニアは、就職氷河期を経験し、将来への不安が強く、子どもを持つ勇気が持てないでおります。
 先日もNHKの特集で、しっかりした三十代の男性が、とても今のままでは結婚もできない、まして子どもなど持てないということを慨嘆しておりましたが、非常に印象的な番組でありました。その三十代に差しかかった団塊ジュニアの出生数が伸びなければ、その後の世代では少子化はさらに加速するわけでありまして、今が少子化のトレンドを反転させるラストチャンスというぐらいの危機感を持って思い切った施策に踏み込む必要があると思います。
 これはあくまでも国の問題だと思いますけれども、しかし、国もいろいろ考えているんでしょうが、これを待つことなく、まず東京が先頭を切って、現場ならではの発想で子育ての不安や苦労を確実に解消する具体策を財政再建の成果を生かして提起し、子どもを持ちたいと望む方々を確実に応援していきたいと思っております。少子化の流れを変えるべく国を先導するために、かつてない重層的で複合的な対策を事務方に早急に検討させております。
 終わります。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 二点の質問についてお答えを申し上げます。
 まず、子どもの体力向上についてでございます。
 体力は、子どもが健全、健康に成長していく上で必要不可欠なものでございます。また、知力や気力の源でもあり、変化の激しいこれからの社会を担う子どもたちに必要な生きる力の基盤でもございます。これまで都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携し、体育授業の充実や部活動の振興、スポーツ教育の推進等、体力向上に努めてまいりました。しかしながら、お話のように東京都の子どもの体力は長期的な低下傾向の中にあって、全国平均よりもはるかに低いという憂慮すべき状況に陥っております。
 こうした状況の背景や原因には、東京都の子どもを取り巻く環境、遊び、ライフスタイルの変化などさまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられます。子どもの体力向上のためには、学校だけでなく、地域社会全体で取り組まなければならないことから、都教育委員会は、関係各局の協力を得まして、総合的な対策を検討する、子供の体力向上推進本部を設置することといたしました。
 今後、子どもの体力を、三年後には全国平均まで、十年後には体力がピークであったとされる三十年前の水準にまで高めていくことを目標に掲げまして、この推進本部のもと、現状や原因の詳細な分析を行う専門家会議など六つの部会を立ち上げ、その検討結果や提言に基づき、学校における対策を適時的確に講じてまいります。さらに、中長期的には、家庭、地域の協力を得るなど、社会総がかりで取り組む実効性のある体力向上施策を展開してまいります。
 次に、小学校新規採用教員の育成についてであります。
 採用直後から学級担任となる小学校におきましては、新規採用教員にも、体力向上や学力向上に関する指導力はもとより、児童を掌握する力や保護者に適切に対応する力など、学級担任としての実践的能力が求められております。大量退職、大量採用が毎年継続する状況におきまして、新規採用教員が実践的能力を身につけるためには、組織的、計画的な育成と校内体制の整備が必要であります。
 このため、本年四月に任用を開始いたしました主任教諭が、職場内研修の手引であるOJTガイドラインを活用しまして新規採用教員の育成に当たっているところであります。さらに、再任用教員が新規採用者の指導教員として一人一人にきめ細かな指導を行うことができるよう校内の育成体制を整備してまいります。
 また、従来の教員の研修体系を見直しまして、採用時から、学習指導力だけでなく、外部との連携、折衝力や学校運営力などを育成することといたしました。
 具体的な取り組みといたしまして、今年度、若手教員育成プログラムの開発を進めておりまして、採用時から段階ごとの育成目標を明確にし、その到達度をチェックすることによりまして、確実に実践力や課題解決能力の向上を図ってまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 補正予算における財源活用についてのご質問にお答えいたします。
 今回の補正予算編成におきましては、財政環境が非常に厳しい中にあって、国の経済対策への対応や、それに関連する都の緊急課題への対応を行うための財源をいかにして確保するのか、この点が課題の一つでございました。
 このため、今回の国の経済危機対策に盛り込まれた地域活性化・公共投資臨時交付金と地域活性化・経済危機対策臨時交付金、この二つの交付金など、国からの財源を最大限有効に生かせるよう事業面での工夫を行っております。また、都債につきましても、将来への財政負担を十分考慮しながら適切に活用をいたしております。
 これらの方策によりまして、財政調整基金につきましては、その活用を最小限にとどめておりまして、その結果、今後想定される経済変動に備えるためにこれまで培ってきております蓄積分につきましては、従来のレベルを確保することができております。
 今後とも、都政に期待されている役割を着実に、かつ継続的に実施していけますよう、それにふさわしい強固な財政基盤の確立に向けまして全力を尽くしてまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 今後のオリンピック・パラリンピック招致活動についてお答えいたします。
 まず、海外においては、今月のローザンヌでの説明会に引き続き、来月にはナイジェリアでアフリカ各国のオリンピック委員会の総会があり、また、ローマで世界水泳、八月にベルリンで世界陸上などの国際競技大会が予定されております。こうした場にはIOC委員が数多く来訪しますので、その機をとらえて積極的に働きかけ、東京の計画のすばらしさ、まちの魅力などを強く訴えてまいります。
 また、国内では、評価委員会来日に伴う招致機運の高まりをさらに加速させるため、都内区市町村や商店街、経済界、スポーツ界などと連携を強化していくことが重要でございます。
 これまで、都内区市町村とは共同推進事業を実施し、オリンピズムの普及に努めてまいりましたが、今年度も十月の開催都市決定まで集中的に事業を実施し、さらなる普及啓発を図ってまいります。
 また、都内の商店街には既に四万六千枚のフラッグを掲出するとともに、都内のタクシー、バス、トラックにはステッカーや幕の掲出、鉄道の各駅にものぼりやポスターの掲示など、引き続き、多くの企業、団体の協力を得て招致PRを行ってまいります。これに加えまして、スーパーマーケットやコンビニなど小売、流通業界とも新たに提携して、PRの拡大を図ってまいります。
 また、スポーツ界の協力を得て、プロ野球やJリーグのスタジアムで招致PRを展開しますとともに、マラソン金メダリストの高橋尚子さんと一緒に一般公募ランナーが都内を走る招致応援リレーや応援ランを、今月二十一日を皮切りに十月まで実施する予定でございます。
 今後とも、都議会の皆様のご支援、ご協力をいただきながら、招致をかち取るための活動に全力で取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 六点についてお答えをいたします。
 まず、アジアユースパラゲームズについてでありますが、本大会は、アジアの障害のある若者が集い、障害者のために考案されたボッチャ、ゴールボールを含む六つのパラリンピックの正式競技を競い合う総合大会であります。中でも陸上と水泳については、国際パラリンピック委員会の公認記録となる国際水準の大会としてまいります。
 大会期間中は、持てる実力を遺憾なく発揮できるよう、アジア各国の文化や生活様式に配慮したサービスを提供するとともに、国際経験豊かなボランティアを選手村や競技会場に配置してまいります。また、日本文化に触れていただくためのイベントや、日本の高校生との相互理解や友好を深めるためのプログラムを計画しております。
 本大会の開催を契機として、障害者や障害者スポーツへの理解を一層深めるとともに、東京ならではの魅力ある大会としていくために全力で取り組んでまいります。
 次に、新型インフルエンザ対策についてでありますが、都は今回、海外における新型インフルエンザ発生確認後直ちに、都内全保健所及び都庁内に、都民からの相談に二十四時間こたえる発熱相談センターを立ち上げるとともに、保健所や感染症指定医療機関等に抗インフルエンザウイルス薬や個人防護具等を配備いたしました。また、感染者をトリアージする発熱外来も、都内六十七カ所に設置いたしました。
 さらに、国内感染の拡大を受け、都独自に医療機関や学校等の監視体制を強化し、患者の早期発見と感染の拡大防止に努めるとともに、蔓延期に外来診療を行う一般医療機関の確保を進めております。
 今後、感染力のさらなる強まりや新たな強毒型の発生に備え、発熱外来や入院医療機関を対象に、施設整備や個人防護具、医療資器材等の備蓄に対して、都独自に創設する補助制度により支援をしてまいります。
 また、都としても、現在四百万人分備蓄している抗インフルエンザウイルス薬を、都の人口の六〇%に当たる八百万人分までふやし、医療資器材等の備蓄についても大幅に増強するとともに、医師会、医療機関等との連携を一層強化し、保健医療体制を充実してまいります。
 次に、小児医療体制の強化についてでありますが、小児科医師の不足や小児医療を行う施設の減少など、都内における小児医療提供体制は非常に厳しい状況に置かれております。
 国は、お話のように都道府県が行う地域医療再生への支援を打ち出したところであり、これを踏まえ、都は緊急に、小児の休日・全夜間診療事業に参画する医療機関の医師確保への支援や小児科医師を医療機関に派遣する大学への支援を行います。
 来年三月に開設する小児総合医療センターにおける高度専門的な医療の提供と、こうした地域における小児医療体制の強化をあわせて行うことにより、安全・安心な小児医療を確保してまいります。
 次に、安心こども基金を活用した保育サービスの緊急整備についてであります。
 この基金では、待機児童が集中する都市部の実情を踏まえた対策が随所に盛り込まれました。例えば、賃貸物件による保育所整備が新たに補助対象となり、改修経費だけでなく賃借料も対象経費に加えられたほか、施設整備の補助基準額が従来の約一・五倍に引き上げられました。また、国に対する働きかけの結果、保育所の認可基準を満たす認証保育所について、開設初年度の家賃を含む開設準備経費が補助されることとなりました。
 都は、この基金を最大限に有効活用するとともに、事業者、区市町村の負担を軽減する都独自の支援策を講じ、急増する保育ニーズに対応することといたしました。
 具体的には、事業者に対して事業費の八分の七まで補助するほか、認証保育所のうち基金の対象とならないものについては、都独自に同様の支援を行います。さらに、待機児童の約九割を占める三歳未満児の定員拡充に積極的に取り組む区市町村を支援するため、都が区市町村の本来負担すべき額を特別に軽減いたします。
 これらの取り組みにより、認可保育所の分園や認証保育所の設置促進などを中心に、短期集中的な保育サービスの拡充に取り組んでまいります。
 次に、未届け有料老人ホーム等についてであります。
 今回の緊急立入調査の結果、施設の安全面や福祉事務所の機能強化などの課題が明らかになりました。このため、未届け施設に対し、引き続き届け出指導を強力に行うことに加え、高齢者が安心して暮らせるよう、都として緊急対策を講じることといたしました。
 まず、有料老人ホームに該当する施設に対しましては、届け出の促進と、入居者の安全・安心を確保するため、すべての施設を対象に、スプリンクラー等の防火設備に対する助成を行います。また、福祉事務所に高齢者支援員の配置を促進するなど、生活保護を受給している高齢者に対する援助がより一層適切に行われるよう、区市の取り組みを支援してまいります。
 最後に、介護サービス情報の公表制度についてであります。
 今回の条例改正は、介護サービス事業所に対する訪問調査体制の見直しや公表センターの事務の効率化を図ることで、調査手数料と公表手数料の合計額を現行の四万七百円から二万六千三百円とし、事業者の負担を大幅に軽減するものであります。なお、手数料額の全国平均は約三万六千円であります。
 今後とも国に対し、事業者の負担軽減を図るとともに、サービスの利用者にとってもより利用しやすい制度となるよう、改善を求めてまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型インフルエンザに対する都立病院等の取り組みについてでありますが、疑い患者に対する外来診療を行うため、各病院に発熱外来を設置するとともに、患者の早期入院治療に対応するため、第一種、第二種感染症指定医療機関である都立の駒込、墨東病院、公社の荏原、豊島病院の四病院に感染症病床六十床を確保しております。
 今回の補正予算では、これらの病床に加え、荏原、豊島の二病院の一般病床を活用した感染症緊急対応病床百二十床の整備を進めることにより、感染症病床を補完するための機能強化を図ってまいります。
 また、駒込病院においては、今年度当初予算で感染症病床を増床するための整備を行うとともに、陰圧機能を有した緊急対応病床六十四床を年度内に確保してまいります。
 今後とも、都民の生命と健康を守るため、都立病院、公社病院に十全の備えを行い、公的医療機関としての役割を積極的に果たしてまいります。
 次に、医師、看護師の確保定着等についてでありますが、都はこれまで、議会のご支援もいただきながら、医師の処遇改善や二十四時間院内保育、育児短時間勤務制度の導入など、総合的な確保定着対策に積極的に取り組んでまいりました。
 医師については、ご指摘にあったとおり、診療分野によっては厳しい勤務実態があることも事実でございます。このため今年度は、産科医業務手当の創設などさらなる処遇改善を図るとともに、日勤に引き続き準夜帯も勤務し、翌日を休みとする一直二勤務制度の拡大や交代制勤務の導入を検討するなど、勤務体制等のさらなる改善にも取り組んでまいります。
 看護師については、確保定着に効果のある二交代制勤務の拡大を図るとともに、七対一看護基準の導入に積極的に取り組んでおり、この四月からは大塚病院が、また六月からは広尾病院が、それぞれこの基準での配置を実現しております。
 医師、看護師が全国的に不足する中ではありますが、都立病院の役割を十全に果たしていくため、今後も総力を挙げて課題解決に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 緊急中小企業対策など四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、緊急保証制度に関する今後の都の対応についてであります。
 都は、昨年十月末に開始をされました緊急保証制度に対応しまして、制度融資に最優遇金利を適用した融資メニューでございます経営緊急を設置いたしますとともに、特に小規模企業者に対しましては、保証料の二分の一を補助する都独自の対応を行っております。
 しかしながら、中小企業の経営環境が一層厳しさを増す中、本年度に入っても経営緊急の利用は、依然高い水準で推移しております。こうした状況を踏まえまして、経営緊急を含む経営支援融資の目標額を二千五百億円から七千億円に拡大することといたしまして、預託金や保証料補助に要する経費を補正予算に計上したところでございます。
 厳しい経済状況のもと、中小企業の資金繰り面の不安を取り除くことは、ご指摘のとおり極めて重要であるというふうに認識をしておりまして、今後とも資金調達の一層の円滑化を図ってまいります。
 次に、中小企業及び商店街に対する支援についてでございます。
 世界的な不況に伴う急激な受注の減少にあえいでいる都内中小企業にとりまして、新たな受注の確保と販路の拡大が焦眉の急となっております。
 このため、中小企業の受注機会の一層の拡大に向け、今年度実施をいたします経営力向上TOKYOプロジェクト等におきまして、新規受注先の開拓が必要と認められる場合、国内外の見本市への出展やPR等の経費を最大百五十万円まで助成することといたしました。加えまして、都と商工会議所や商工会等の中小企業支援機関が連携をいたしまして、大企業を初めとするいわゆる親企業へ直接出向きまして、都内中小企業への発注を要請してまいります。
 一方、商業のかなめであります商店街の活性化も急務となっております。
 現在、にぎわいの回復とともに環境負荷の軽減にも資するLED街路灯への転換を急ぐ商店街が日増しに増加しております。このため、都内商店街が現在計画をしております街路灯のLED化を積極的に支援すべく、必要な経費を補正予算に計上いたしまして、一件当たり最大一億二千万円を助成することといたしました。
 早期に都内中小企業と商店街に活気が戻るよう、これらの施策を着実に実施してまいります。
 次に、雇用創出に向けた取り組み状況等についてでございます。
 雇用情勢が急速に悪化する中、増加する離職者に対して、行政が雇用の場を創出することが必要となってきております。
 このため、まず都独自の区市町村補助事業では、迅速な雇用創出に向け、これまでに約二百五十の事業について交付を決定しており、既に各地域において多様な取り組みが実施されております。
 次に、基金事業では、当面の雇用確保のための緊急雇用創出事業におきまして、放置自転車対策、公園の清掃などの事業を、また、継続的雇用のためのふるさと雇用再生特別基金事業におきましては、地産地消の促進や森林整備などの事業を実施することとしております。この二つの基金事業を合わせまして、都と区市町村で約二百五十の事業によりまして、今年度は四千人を超える新規雇用を創出いたします。
 このような取り組みを効果的に実施いたしますとともに、刻々と変化する雇用情勢に対応し、基金の積極的、弾力的な活用によりまして、雇用創出に取り組んでまいります。
 次に、産業支援機関の連携による中小企業支援についてでございます。
 東京の産業を活性化させ、持続的な成長を実現するためには、産業支援機関が相互に連携をして、持てるノウハウや資源を活用し、総合的な支援を展開することが有効であるというふうに認識しております。
 昭島市の旧都立短大跡地に、来年二月には中小企業を技術、経営の両面からサポートいたします新たな支援施設を、また、平成二十三年度には多摩職業能力開発センターをそれぞれ開設する予定でございます。これらと隣接して既に設置をされております農林総合研究センターとをあわせまして、近い将来、産業総合支援拠点TAMAとして、商工、雇用、農林の各支援機関が連携をいたしまして、その機能を最大限発揮してまいります。
 同拠点では、例えば商工、農林の両分野の機関が連携をして行う農作業の負担軽減ロボットの開発や、各機関の施設や人材を相互に活用するオーダーメード型職業訓練などの支援を行うこととしております。
 今後、技術開発や人材育成、新事業創出など、中小企業が抱えるさまざまな課題の解決に向けまして、産業支援機関の集積と連携によるメリットを十分生かして、重層的な支援を展開してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市づくりビジョンについてでございますが、今回の改定では、経済活力の向上、安全・安心の確保など、現行の都市づくりビジョンに基づく取り組みを強化するとともに、社会経済の変化を踏まえ、低炭素型都市への転換、水と緑のネットワークの形成、美しく風格ある景観の創出の視点を、一層重視することといたしました。
 具体的には、個々の建築物はもとより、地域、街区単位における効率的なエネルギー利用の促進、幹線道路を軸とする豊かな緑の創出、地域のまちづくりと連携した歴史的景観の形成など新たな施策を、改定する都市づくりビジョンに位置づけてまいります。また、身近な圏域では、駅などを中心に都市機能を一層集約し、高齢者を含めだれもが暮らしやすい、コンパクトな市街地の形成を目指してまいります。
 近々、改定案を取りまとめてパブリックコメントを実施し、七月末には、新しい都市づくりビジョンを公表いたします。今後、これをもとにして、二十一世紀のオリンピック開催の舞台にもふさわしい、世界の範となる環境先進都市東京のまちづくりに取り組んでまいります。
 次に、多摩地域の都市づくりについてでございますが、現在、都では、都市づくりビジョンの改定とあわせて、多摩の拠点整備基本計画の策定にも取り組んでおります。
 この計画では、それぞれの核都市について、整備方針や具体的なプロジェクト等を示し、重点的に都市づくりを展開することとしております。核都市相互の連携により、広域的な都市機能の一層の充実を図るとともに、先端技術産業等の集積による多摩シリコンバレーの形成などを進めてまいります。また、駅などを中心とする生活拠点においては、地域に密着した商業、教育、福祉などの機能の集約を図るなどにより、市街地の再編を促進してまいります。
 今後、早急に素案を作成した上で速やかに公表いたしまして、活力と魅力にあふれ、自立して一層の発展を遂げる多摩地域の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
 次に、外環の事業の枠組みなどについてでございます。
 先ごろ開催されたいわゆる国幹会議におきまして、国は外環の事業に対し、適切な料金水準のもとで採算性の確保に配慮した整備手法として、国費を投入して事業を行う新直轄方式と有料道路方式を組み合わせた合併施行方式を導入することを明らかにいたしました。現行ルールによれば、都は新直轄方式となる部分の四分の一を負担することになります。
 都としては引き続き、総事業費のコスト縮減などによりできるだけ都の負担が少なくて済むよう、国に対して求めてまいります。また、速やかに地元において事業説明会を開催するよう国に働きかけるとともに、都としても必要な協力を行ってまいります。
 次に、外環の地上部街路についてでございますが、沿線四つの区市にまたがって都市計画が決定されておりまして、地元住民にさまざまな意見がございます。例えば上石神井駅周辺では、地元住民が中心となりまして、地上部街路の具体化を見据えた将来のまちづくりに取り組んでおります。
 都といたしましては、地元区市の協力を得ながら、区市ごとにこの道路の必要性やあり方について話し合う場の早期実現に努めてまいります。こうした取り組みを行い、さらに広く意見を聞いた上で、都としての方針を取りまとめてまいります。
 次に、羽田空港のC滑走路延伸についてでございます。
 欧州各国との航空交渉が進展し、羽田からの長距離路線の需要が大きく見込まれることから、再拡張事業に加え、国はC滑走路の延伸により、市街地への騒音影響に配慮しつつ、欧米行きの大型機の離陸を可能にすることといたしました。
 この結果、C滑走路において、時間帯や風向きにかかわらず長距離用大型機の運航が可能になり、再拡張事業により整備されるD滑走路の活用と相まって、二十四時間利用できる羽田空港の機能が一層高まることとなります。
 C滑走路延伸は空港用地内で施工できることから、早急に実現するよう、都として国に求めてまいります。
 最後になりますが、JR中央線の三鷹―立川間の複々線化についてでございます。
 都は、立体化複々線促進協議会が設置いたしました専門委員会に鉄道事業者とともに参画し、平成二十年度は、将来需要の予測、事業の必要性や効果等について検討を実施いたしました。その結果、JR中央線の複々線化は、立川以西からの直通運転列車の増加による速達性の向上や通勤通学時における混雑緩和など、多摩地域などと都心との広域的な連携強化に資する効果の高い事業であることを改めて確認いたしました。
 今後は、この検討結果を勘案し、多額の費用や採算性の確保等の課題解決に向け、国や鉄道事業者、沿線市等と連携を図りながら、整備の仕組みづくりなどについて検討を進めてまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 小笠原の情報通信基盤の整備についてお答えいたします。
 ご指摘のように、小笠原の情報格差の是正は重要な課題と認識しております。
 海底光ファイバーの敷設は、地上デジタル放送の視聴のみならず、ブロードバンド環境を利用した高速インターネットや遠隔医療など、さまざまな情報通信サービスを実現し、本土との情報格差を是正するとともに、住民生活の向上、地域の振興に大きな効果のあるものでございます。
 都としては、海底光ファイバーによる小笠原の情報通信基盤の整備に向けまして、各局及び関係機関と連携して精力的に取り組んでまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の外かく環状道路に対する今後の取り組みについてでありますが、外環は、東京から全国に放射状に延びる高速道路を環状に連結し、東京のみならず、広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路でございます。
 都は、その早期完成に向け、国と連携して円滑に事業を進めるため、平成二十一年四月に三環状道路整備推進部を設置いたしました。また、国が平成二十一年度補正予算に初めて外環の事業費を盛り込んだことから、都においても必要な経費を今回の補正予算案に計上いたしました。
 国の補正予算成立を受け、都は速やかに国の事業の一部を受託する協定を結び、これまで道路整備で培ってきた経験を生かし、迅速に測量や用地取得を実施してまいります。
 今後は、国に対し安定的な事業費の確保と早期着工を強く働きかけるなど、沿線区市と連携し、早期完成に向け積極的に取り組んでまいります。
 次に、橋梁の管理に関する中長期計画についてでありますが、都はこれまで、管理するすべての橋梁を対象に五年に一度の定期点検や日常点検などを行い、その都度適切な補修、補強を実施することで安全を確保してまいりました。しかし、都が管理する橋梁の多くは高度経済成長期に集中して建設されたため、高齢化が進み、近い将来一斉に更新時期を迎えることから、かけかえ時期の平準化と総事業費の縮減を図る必要がございます。
 そこで、都は、橋梁の予防保全型管理を推進していくため、長寿命化対策や耐震対策などを包含する三十年間の総合計画として、橋梁の管理に関する中長期計画を策定いたしました。この計画では、管理するすべての橋梁を長寿命化対象やかけかえ対象などに区分し、かけかえ工事などの集中に伴う交通渋滞による都市機能、都民生活への影響や工事に投じる費用などを評価し最適化するアセットマネジメントの手法を我が国で初めて採用し、橋梁ごとに適切な時期を定めて、最新の技術により耐久性を向上させる対策を盛り込んでおります。
 計画の策定に当たりましては、二十年以上の橋梁点検データの蓄積、科学的な劣化予測、新たな資産運用手法の活用などを、都の技術職員、いわゆるインハウスエンジニアが行ってまいりました。
 本計画をもとに橋梁の長寿命化などを図ることにより、かけかえピークを平準化し、かつ総事業費を従来と比較して三十年間で約一兆一千億縮減できます。また、二酸化炭素の排出量についても約百十万トン削減でき、従来と比較して三分の一となります。平成二十一年度から、本計画に基づき、国指定の重要文化財である清洲橋や著名橋の蔵前橋などから長寿命化対策などに着手いたします。
 今後、都は、本計画を着実に実行してその効果を検証し改善していく、いわゆるPDCAサイクルの実践を通じて、高度な技術力を持つインハウスエンジニアの育成を図りながら、既存のインフラを最大限に活用した、環境負荷の少ない成熟した都市づくりを推進してまいります。
 次に、水と緑に囲まれた東京の実現に向けた取り組み状況と実績についてでありますが、東京をさらに成熟した都市とするためには、緑のネットワークの拠点となる都立公園の整備やこれをつなぐ街路樹の充実、河川の緑化を進め、都民がゆとりと潤いを実感できる緑の充実を図ることが重要であります。
 このため、平成二十年度におきましては、都立公園では、早期開園に結びつく公園隣接用地の取得や借地公園制度の活用により、野山北・六道山公園などで約三十一ヘクタールを新規開園いたしました。
 また、道路の新設、拡幅に当たりましては、街路樹を一層充実させることはもとより、既設の都道においても、多くの都民参加によるマイ・ツリー事業などにより緑のムーブメントを展開し、連続した緑豊かな道路づくりを推進することで、約三万本の街路樹を新たに植栽いたしました。
 さらに、河川では、護岸等の整備に合わせた緑化とともに、既存の護岸においても緑化を進め、中川などで約四ヘクタールの緑化を実施いたしました。
 これらの取り組みを推進した結果、例えば本年三月末に交通開放しました調布保谷線の整備により、野川と神代植物公園の緑が街路樹でつながり、道路、河川、公園の緑のネットワークを形成するとともに、魅力あふれる景観を創出いたしました。
 今後とも、水と緑に囲まれた美しい東京の実現に向け、総力を挙げて取り組んでまいります。
 最後に、臭気対策など河川の環境改善についてでありますが、都民が親しみ憩える快適な河川環境としていくためには、ヘドロの堆積による水質悪化や臭気の発生を防止することが重要であり、これまで河川管理者である区と連携して、河川のしゅんせつを実施してまいりました。
 このたびの石神井川への汚水流入や、ご質問にございました河川環境の改善に関する緊急要望を踏まえ、地元区など河川管理者が受けた臭気に関する苦情を調査し、十の河川についてしゅんせつを行うことといたしました。
 苦情が多く早急な対応が求められるとともに、船舶による機械施工が可能な石神井川、神田川、隅田川、旧中川の四河川につきましては、都が緊急対策として台風期前の七月下旬までに完了させてまいります。比較的大規模で期間を要する日本橋川についても、台風期を避け、都が十一月から実施してまいります。また、目黒川、呑川、野川、垳川、越中島川の五河川につきましては、河川管理者である区が十一月から順次実施してまいります。
 引き続き、地元区や関係機関と連携し、河川環境の改善に努め、水と緑に囲まれた東京の実現を目指してまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 環境問題の解決に資する税制についてお答え申し上げます。
 地球温暖化対策など政策課題の解決を図る上で、税制も有効な役割を果たし得るものと認識しております。今年度から開始いたしました次世代自動車や中小企業の省エネ設備に係る東京版環境減税も、庁内連携のもと、環境主管局の施策と一体となって、都民、国民の地球温暖化防止への取り組みが一層促進されることを期待したものであり、引き続き制度の着実な普及に努めてまいります。
 地球温暖化対策は待ったなしの重要課題であり、今後とも、環境問題の解決に資する税制のあり方につきまして、東京都税制調査会も活用しながら、さらに検討を重ねていきたいと考えております。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 豊洲新市場の整備についてお答えをいたします。
 豊洲新市場の整備につきましては、技術会議の提言した万全な土壌汚染対策に基づき豊洲新市場整備方針を決定し、平成二十六年十二月の開場に向け全力で取り組んでおります。
 豊洲新市場では、品質管理の高度化や流通コスト削減など、築地市場では対応できない課題を解決するため、売り場全体を温度管理のできる閉鎖型として品質衛生管理の徹底を図るとともに、荷の搬入から搬出に至る物流システムの効率化を目指してまいります。
 さらに、新たな顧客ニーズに対応する加工、パッケージ施設等の整備により、集荷、販売力を強化していきます。
 現在、新市場建設に当たり、市場関係者の十分な理解を得ていくため、業界向け説明会を開催するとともに、業界団体の要望を受け、施設計画の詳細に関する協議を進めております。あわせて、移転に向けた市場業者への支援の検討や個別面談実施の準備も行っております。
 都といたしましては、これまで築地で実現できなかった新たな機能の整備により、競争力の強化や市場業者のビジネスチャンスの拡大につなげ、魅力を高めるとともに、市場業者の円滑な移転を図り、将来にわたり都民の食生活を支える、新たな時代のモデルとなる市場として豊洲新市場の整備を進めてまいります。

議長(比留間敏夫君) 百二十四番田中良君。
   〔百二十四番田中良君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百二十四番(田中良君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 まず初めに、新銀行東京について伺います。
 五月二十九日に、新銀行東京が平成二十一年三月期決算を発表しました。赤字額は百五億円です。再建計画での赤字額百二十六億円は下回りましたが、劣後債の前倒し償還など、つじつま合わせの印象がぬぐえません。また、発表された決算からは、新銀行の本来の存在意義、すなわち中小企業支援がどの程度行われているのかさえ定かではなく、むしろ新銀行そのものを存続させることが自己目的化しているといっても過言ではありません。
 そこでまず、決算を踏まえて、新銀行がどの程度中小企業の役に立っているかについて確認したいと思います。
 新銀行では、設立当初から、他行にはない目玉のメニューとして無担保、無保証融資を掲げていましたが、その多くが大企業向けであると思われます。そこで、無担保、無保証融資のうち中小企業に対する融資はどの程度あるのか。無担保、無保証をスローガンに設立し、当初目指した銀行の姿と今日の実態がどの程度一致するのか、しないのかを知る上でも明らかにすべきと考えますが、いかがですか。
 また、決算では、再建計画で区分された事業意欲が高い既存顧客などへの継続的な支援として、一般融資等で三百六十七億円を新規に融資したことになっています。しかし、私は、そのうち七割以上を大企業向けが占め、中小企業向けは、金額では百三億円、率にすれば二八%にすぎないと聞いていますが、それは事実ですか。また、事実ならば、事業意欲が高い既存顧客とは一体どのような事業者のことをいっているのか。特に、一般融資等三百六十七億円のうち七割強を占める、中小企業以外の事業者の中身とはどのようなものなのか、お答えください。
 さらに、決算では貸出残高を千六百八十四億円としていますが、そのうち約四六%の七百六十九億円の貸出先がその他とされています。このその他に対する貸し出しは国等への貸し出しであると推察をされますが、新銀行の貸出金のうち、中小企業への貸し出しはどの程度で、国等へはどの程度貸し出しているのか。
 以上の三点について、まず確認したいと思います。
 私は、新銀行の失敗は、旧経営陣の失敗だけでなく、モデルカーをつくった石原知事の責任こそ免れないと繰り返し述べてまいりました。それは、新銀行の昨年末までの累積赤字一千十六億円に対して、外部調査報告書で指摘しているデフォルト金額が百十二億円でしかないことが端的にあらわしています。ATMやシステムなどの物件費など、赤字の大きな原因となった過大な経費は何ゆえ発生したのでしょうか。
 私は、新銀行設立前の平成十五年七月一日の代表質問で、東京都が出資したノンバンクという形態でも中小企業への資金供給が可能なのではないかと質問しましたが、これに対して石原知事は、預金業務と決済業務をあわせて行う銀行を創設することが必要だと答弁をいたしました。しかし、なぜ預金業務と決済業務をあわせて行う銀行を創設する必要があったのか。そこには、銀行への外形標準課税で事実上敗北するなど、銀行業界に何とか一矢報いたいとする石原知事の野望があったのではないでしょうか。この石原知事の野望が新銀行マスタープランという過大な目標として現場に押しつけられ、無理に無理を重ねた結果が新銀行の失敗だったのではないでしょうか。
 本年一月に公表された、弁護士事務所によりまとめられた外部調査報告書では、開業後一年の時点で、この状態を放置し続けるならば、これ以上融資をやらない方が収益的には望ましいという当時の執行役員の発言が記されています。資産、すなわち融資がふえればふえるだけ収益が上がるのが健全な銀行でありますが、新銀行東京は開業後一年で既に末期的症状に陥っていたことがわかります。つまり、開業二年目にこそ抜本的な対策が必要だったのではないですか。
 では、なぜその後二年間放置されて、都民の血税一千億円が毀損されてしまったのか、そのことを解明することなしにこの責任論は語れません。
 そこで振り返ってみなければならないのは、開業二年目に当たる平成十八年が都政にとってどういう年であったかということであります。それは、翌年四月に都知事選を控え、知事にとっては特に政治的に重要な年であったということであります。
 そのような中で、もし仮に抜本的対策を講じようとしたならば、この新銀行のでたらめな経営実態は公にならざるを得ず、無担保、無保証、スピード融資というビジネスモデルも根本から変更せざるを得ず、全く新しい銀行という知事の二期目の選挙公約は失策であったという評価が下されたことになります。
 そのことはすなわち、新銀行問題が翌年の都知事選挙の最大の争点に浮上するおそれがあったということなのであります。つまり、新銀行問題を争点としたくないという知事やその側近並びに与党勢力の意向が有形無形に働いた結果、問題が先送りされ、都民の血税一千億円が消えていったのではないかということなのであります。いうなれば、知事のメンツを守るために、都民の血税一千億円がみすみす失われていったのではないかということであります。
 そして問題先送りの結果、ついに昨年三月に事実上破綻状態に陥り、四百億円もの血税を投入するに至ったのであります。
 私は、石原知事の政治的、道義的責任は免れることのないものだと思います。都政史上最悪の失策ともいわれる新銀行の失敗に対して、知事のみずからの責任や総括についてどう考えているのか、改めて見解を伺います。
 また、この追加出資にしても、一体何のためかということであります。これまでの説明からは四百億円を投入するほどの存在意義をこの新銀行に見出すことはできず、新銀行をただ延命措置させるだけの場当たり的な措置であったといわざるを得ません。まさに、翌年都議選を控え、それを乗り切るために血税四百億円が投入され、存続こそが自己目的化した銀行としかいえないものであります。
 石原知事は、新銀行の再建を果たすことが私の責任と述べていますが、知事自身、再建計画に掲げる平成二十二年度の収支均衡、平成二十三年度の単年度黒字化を任期中に見届けることはできないのであります。であるならば、知事は、みずからの選挙公約に掲げ、トップダウンで設立したこの石原銀行の存続について、知事みずからの任期中に一定の結論を出すべきだと考えます。
 私たち都議会民主党は、かねてより新銀行東京から早期に撤退すべきと訴えていますが、もしそれを否定するのであれば、明確な将来ビジョンを語るべきであります。今後の新銀行東京のあり方について知事の見解を伺います。
 次に、景気・雇用対策について伺います。
 ことしの一月から三月のGDPは、年率換算でマイナス一五・二%と、戦後最大の減少率を記録しました。一方、日銀は、四月の経済・物価情勢の展望において、年度内に緩やかに持ち直していくとの見方を示すとともに、与謝野財務大臣も現状を、景気は少し上がってくる局面になったのではと述べています。しかし、現状は、景気が急降下する最悪期は脱したものの、国内の生産水準はいまだ低く、都内中小企業の景況も最悪の状態にあるなど、実体経済の回復にはまだ時間がかかると考えます。
 今後の日本経済には、減収減益の三月期企業決算に続き、夏季のボーナス減少による消費への影響やさらなる雇用悪化、秋以降の新型インフルエンザの動向など、懸念材料が多く存在します。このような中で、都が示してきた緊急対策が確実に実行されていくことが重要だと考えます。都議会民主党も求めてきた雇用やインフルエンザ対策、公共投資など、都の緊急生活者対策の着実な執行による都民生活への効果の浸透に向けて、知事に見解を伺います。
 五月二十九日、総務省が発表した四月の完全失業率は、五・〇%と、前月を〇・二ポイント上昇し、五年五カ月ぶりに五%台となりました。また、五月二十五日に東京都が発表した都内の一月から三月期の完全失業率も、全国水準を下回るものの、三・九%と、前年同期と比べ〇・三ポイント上昇し、完全失業者数も一万八千人増加し、二十七万六千人となっています。
 東京都は昨年十月、緊急対策Ⅱを発表し、公的雇用五十万人創出を打ち出しましたが、五十万人という数字は、一カ月に二十日働くとして、十二カ月で割り返せば、実質的には年間二千人強にしかなりません。また、ことし二月の国の二十年度最終補正を受け、東京都で基金を設けた緊急雇用創出事業やふるさと雇用再生特別事業も、それぞれ八千人あるいは二千人という規模で、しかもそれは三年間での数字なのであります。
 昨年の十月、五十万人の公的雇用を打ち出した時点での東京都の現状認識は、全国の失業率四・〇%、労務作業の有効求人倍率〇・七〇倍というものでしたが、それが現在では、失業率五・〇%、労務作業の有効求人倍率〇・二四倍とさらに悪化をしています。私は、東京都として、現在の厳しい雇用情勢にかんがみ、緊急雇用対策のさらなる積み増しを実施していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 この間、私たちは、さきの代表質問や予算特別委員会などにおいても、中小企業制度融資の充実などを求めてきましたが、厳しい経済状況がさらに厳しくなる中で、中小企業の負担軽減に向けて、より踏み込んだ対策を実施すべきではないでしょうか。
 東京商工会議所も、五月十四日に取りまとめた東京都の中小企業対策に関する要望の中で、制度融資において、融資利率の引き下げや元本の据置期間、融資期間の延長、信用保証料補助の拡充などを第一の項目として盛り込んでいます。制度融資の充実は、例えば緊急融資で一%の利子補給を実施しても、その額は新銀行東京に追加出資した四百億円以下で済むものと試算されます。私は、百年に一度といわれる厳しい経済状況の中で、利子負担や保証料負担をさらに軽減するなど、緊急避難的に中小企業の負担を軽減していくべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、昨年の九月補正予算から今回の六月補正予算案へと、数度にわたる緊急対策を行い、都民生活や都内中小企業を支えてきました。一方、我が国では人口減少社会が既に到来し、都内は人口増加が続きますが、世帯構成は単身者や高齢者が今後ますますふえ、国内消費市場も縮小していく傾向にあります。経済危機による景気後退も深刻、長期化する中、都内経済や都民の所得、雇用の安定などが課題となっています。
 都議会民主党は、安心・安全の東京に向けて、都民生活の安定を導く施策が一層都政に求められると考えています。そのため、都は、都民生活や中小企業支援、今後成長が期待される技術・サービス分野への支援や人材育成、国際化など、財政環境の厳しさも視野に入れながら、持続可能な社会を見据えた施策を行っていかなければなりません。社会が大きく変化する中で、都は東京の今後の社会状況の望ましい姿を新たに展望していくときに来ているのではないでしょうか。知事に見解を伺います。
 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 豚インフルエンザから変異した今回の新型インフルエンザは、感染防御に関する情報が錯綜し、市中ではマスクが売り切れるなどの事態も起きています。一たん終息の見込みかともいわれていますが、過去のスペイン風邪は三回にわたって流行を繰り返し、日本では夏にも流行したということから、今後の新型インフルエンザ対策も、終息するまで長期戦となりそうであります。
 成田や羽田空港、東京港に到着した帰国者、渡航者の多くが都内を通過することや、都民の移動が広域にわたる東京では、大規模流行も視野に入れて、今後も新型インフルエンザ対策を進めていかなければなりません。今のところは早期に治療すれば命に別条はないようですが、感染が広がるにつれ、免疫力が低下している妊婦や、呼吸器系の疾患、腎臓病などの持病がある人といった新型インフルエンザに弱い人に対応していくことが必要です。また、高齢者の場合、合併症の細菌性の肺炎で重篤化するおそれが高く、感染者がふえると医療機器が不足することも懸念されており、肺炎球菌ワクチンの接種を行うべきとの指摘もなされております。
 患者数が増加する感染拡大期から蔓延期には、一般医療機関においても新型インフルエンザの診療を行う必要があります。こうした医療機関では、診察室はもちろん、院内で新型インフルエンザの患者と一般患者との動線を分け、感染拡大を防ぐための方策だけでなく、医師やスタッフが最低限とるべき防御措置や患者への説明方法を含めた診療マニュアルの整備、タミフルなどの医療資器材の不足など、不安材料は尽きないようです。こうした時期における新型インフルエンザの一般医療機関における医療体制整備について、都としてどのように取り組んでいくのか、伺います。
 多くの感染者が出た大阪府では、患者や濃厚接触者が活動した地域等として確認された地域に所在する短期入所サービス及び通所サービス事業所、地域密着型事業所などに対して臨時休業要請が行われ、混乱が生じました。高齢者や障害者の福祉サービスについても、業務継続がすなわち利用者の生活維持であり、途絶することが許されないケースも多くあります。患者発生の際に、都民生活に必要な福祉サービスの提供継続に万全を期すべきだと考えますが、都の取り組みを伺います。
 先進国でHIV感染者が増加を続けているのは日本だけです。また、結核に関しても、我が国は依然として中蔓延状態にあります。感染症の脅威は決して過去のものではなく、まだまだ強化が必要な分野です。とりわけ予防接種に関しては、麻疹ワクチンの接種率が低く、日本人が持ち込むために、我が国ははしか輸出国といわれているほか、Hibワクチンや肺炎球菌ワクチン接種が定期化されていないなど、世界と比較して対策が大きくおくれております。感染症対策を強化するため、国に対し予防接種の充実を働きかけるとともに、区市町村が行う予防接種を都としても推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、医療と福祉について伺います。
 まずは、安心して出産、子育てできる環境づくり、そして救急医療の強化についてであります。
 民主党は、出産費用も賄えない現在の出産育児金を十七万円ふやし、五十五万円にすることとしております。また、都独自のさらなる上乗せについても検討を進めております。これまでにも私たちは、医師への手当て、医療クラークの配置、妊婦のいわゆるたらい回しをなくし搬送時間を短縮するための救急搬送先調整の司令塔機能設置などを求めており、多くは実現しております。
 しかし、これらは、現有の医療資源を効率的に使い、少しでも現場の負担を軽減し、危機的状況をしのいでいくための対策であります。
 今後は、目標値を明確にしたNICUの整備計画、トリアージの実施などによる小児ERの展開、医師、看護師不足の原因といわれる過酷な勤務環境を改善し、都民に必要な医療を確保するための診療報酬の適切な改定、高度化した現代医療の水準に合わせた医師、看護師配置基準の見直し、女性医師の継続支援など、常時受け入れ可能な救急医療の構築と、ドクターカー配置やシャープ七一一九の活用による搬送時間の短縮など、大胆な取り組みを果敢に実行して解決すべき課題が数多くあります。
 これらを実現するには、国政において、医療、福祉、子育てを公共事業と考え、十分な予算を投下することが不可欠であり、社会保障費年間二千二百億円の削減は当然中止と考えております。加えて、東京都においても、医療分野、地域ごとの過不足をしっかりと検証して、どこにどのような医療機関が必要か、数値目標を示して、達成するための施策を構築しなければなりません。そのためにも、保健医療計画を抜本的に見直し、東京の医療体制を強化していく必要があると考えますが、見解を伺います。
 続いて、必要とするすべての子どもが利用できる保育・子育て支援サービスの提供について伺います。
 核家族化が進み、地域社会のありようも変化している現在、ほとんどすべての子育て家庭が何らかの保育ニーズを抱えています。民主党は、ゼロ歳から十五歳までの間、月額二万六千円、年間三十一万二千円の子ども手当を支給することとしています。そして、手当で利用できる諸サービスの提供体制構築が必要であります。
 東京都の待機児童は、平成二十年四月時点で約五千人、十月には九千人です。これは、保育所入所要件を満たし、申し込みしていながら入所できていない公式な人数であります。しかし、利用をあきらめていて潜在化している待機児童は約七万人ともいわれています。都は、平成二十二年度までに約一万五千人分の保育所整備、区市町村が行う一時預かりなどのサービス拡充を計画していますが、とても追いつく数ではありません。しかも、認可保育所以外の保育サービスは、都と区市町村が補助する認証保育所制度ですら料金が高額です。
 そのため民主党は、サービス供給を促し、かつ価格格差を解消するため、認証保育所保護者負担軽減補助を提案してきました。さらに、将来的に保育クーポンにより必要とするすべての子どもが利用できるような制度とすることも含め、保育サービスを抜本的に拡充し、安心して子育てできる環境整備をしていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 今後、私たちが迎える未曾有の高齢社会における生活の安心、安定、それを支える介護サービスの拡充は喫緊の課題です。高い高齢化率で推移する東京都では、高齢者人口当たりの介護保険施設は全国最下位です。これに千葉、埼玉など首都圏が続き、最下位グループをなしているわけであります。ホームヘルパーやケアマネジャーの継続年数も他産業より短く、介護施設も不足、そこで働く人手も不足という状況に陥っているわけです。
 今回の介護報酬改定では、東京の介護に必要な大都市加算が実現していないばかりか、地域福祉に重要なグループホームは減算となりました。
 都の職業訓練では、介護職のコースは人気で、人手が集まりつつあるようですが、つい先日まで人材流出の原因とされていた低報酬が改善されたわけではなく、経済状況が好転すれば、また流出に悩むのは目に見えています。人が集まってきた今こそ、経験を積んだプロフェッショナルとして続けていける仕事とすることに、都としても傾注すべき好機ではないでしょうか、見解を伺います。
 都はこれまで、特養、グループホームなどの整備に対し、特別助成を行っており、厳しい財政状況のときにも必要な分野に対し、投資してきたことは一定評価いたします。しかし、都が一昨年調べた特養の状況でも、赤字の都内施設が二百三十七中七十六施設と、建設後の運営が赤字で、今回の改定でも収支改善、供給促進に結びつくような効果はありませんでした。
 私は、地価などの物件費とともに人件費も高い東京都が全国最下位を脱するためには、イニシアルコスト補助もさることながら、建てた後の経営が立ち行かない現状を改善して、新規参入者をふやし、既存法人も都民ニーズにこたえて新たな事業を展開できるようにしなければならないと考えます。
 高齢化率の上昇、高齢者数の増加に対応して、必要な介護基盤の整備促進のため、高齢者施策の抜本強化が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、教育について伺います。
 現在、義務教育段階にある子どもたちは、有名私立学校や都立中高一貫校への受験対策を熱心に行う子どももいれば、義務教育内容が定着しないままに小学校を終え、中学卒業を迎えてしまう子どももおり、その背景も多種多様です。都の低所得者への塾代支援も重要な対策ですが、対象がかなり限られており、拡大が必要であります。
 国の学力調査における東京都の児童生徒の状況は、学校以外で学習を全くしない子どもの正答率は、中学校の数学では五〇%を切っています。つまずきを防止するきめ細かな指導、おくれてしまった子どもへのキャッチアップ指導など、基礎的学力をしっかりつけて義務教育を修了できる体制整備が必要であります。
 民主党は、少子化による児童生徒の減少を上回る教員定数の削減を中止し、教員一人当たり生徒数を現在の十九人からOECD諸国並みの十六人とする教員配置を実現し、少人数学級や複数教員による指導、少人数指導、教科担任制など、さまざまな方法できめ細かな教育を行えるような制度づくりに取り組んでいます。
 学級編制基準は都道府県が決めることとなっていますが、そもそも上限を定める考え方自体におのずと限界があります。むしろ、一クラス当たりの人数は、子どもの状況や教員の力量、学年の人数などに応じて柔軟に学級を編制できるようにし、少人数学級や少人数指導、複数教員による指導などができるようにしていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 活気と活力ある学校に必要なのは、多様な取り組みによる学校づくりです。民主党は、民間人校長、社会人経験を持つ教員採用の拡大、コミュニティスクールや学校支援地域本部事業の推進など、さまざまな取り組みを求めてまいりました。
 中でも、多様な人材活用のために行った民間人校長はまだ四人など、制度として導入はしましたが、都内の教育を活性化させるほどの実績、広がりには至っていません。今後も民間人校長や社会人経験者採用などの取り組みを一層強力に推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 民主党は、高校の実質無償化、すなわち国庫から公立高校十二万円、私立高校二十四万円の保護者負担軽減を行うことを目指しています。しかし、都内私立高校の平均授業料は約四十一万円となっていることから、さらに都独自の保護者負担軽減が必要と考えています。
 東京都においては、こうした私立高校の保護者負担軽減についてどのように考えるのか伺います。
 次に、交通政策について伺います。
 自動車交通は、東京の経済を支え、都民生活を豊かにしてきた一方で、その過度の集中により交通渋滞が慢性化し、経済効率は大きく損なわれ、環境や都民の健康にも影響を与えています。
 このような状況を改善するためには、車の利用者が利用頻度を減らし、公共交通や自転車を利用することに尽きるといえます。このことにより、道路混雑や環境問題などが緩和されるだけでなく、公共交通事業の運営状況も改善し、そのサービス水準が向上するなど、社会的利益が大幅に増加することが期待されます。
 しかし、そのためには、個々人が利己的な利得を追求するときに協力的行動が得られないという社会的ジレンマを払拭する必要があります。社会的ジレンマとは、例えば、本当は都心部においては車の利用を避けた方がよいにもかかわらず、自分はそうしたくないとだれもが考えるために、結果としてだれもが車を利用し続け、混雑は解消せず、そしてだれもが低い効用に甘んじることとなるといったような社会心理学的問題です。
 この社会的ジレンマは、交通需要マネジメント、いわゆるTDMの手法によるロードプライシングなどの経済的な価格政策や規制の導入によって解消することが理論的には可能であり、都も平成十二年二月に策定したTDM東京行動プランで総合的施策を示しています。しかし、これら施策の導入に当たっては二次的な社会的ジレンマが形成されることなどから、いまだに個別施策の社会実験レベルにとどまっており、結果として総合的な施策として十分な効果を上げられていないのが現状ではないでしょうか。
 都心部における公共交通利用、自転車利用への転換を図り、車への依存を最小化するためには、そのための都市東京の将来像を改めて示し、都民の合意形成を図っていくことも重要と考えます。
 脱自動車依存社会の構築に向けた都の基本認識について所見を伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 都内における木造住宅密集地域は、二十三区と多摩地域の七市にかけての約二万三千ヘクタールですが、都の防災都市づくり計画では、この三割弱に当たる六千五百ヘクタールを震災時の甚大な被害が想定される整備地域として指定しています。
 この選定基準は、地域危険度のうち、建物倒壊危険度が五及び火災危険度が五に相当し、老朽木造建物棟数が一ヘクタール当たり三十棟以上の町丁目を含み、平均不燃領域率が六〇%未満である区域とその連担する区域となっています。
 地域危険度は、平成十四年に公表された第五回の地震に関する地域危険度測定調査報告書のデータが採用されています。このデータを見ますと、建物倒壊危険度五に該当する地域は八十三地域ありますが、このうち整備地域に含まれているのは五十一地域と、六割にとどまっています。さらに、建物倒壊度が五で、火災危険度も五となっている地域は二十四地域で、この四分の一に当たる六地域が整備地域に含まれていません。
 都は、整備地域内における木造住宅の耐震化に対して助成を行っていますが、私たちはこれまで都内全域で制度を適用するよう範囲の拡大を求めてきました。例えば、木造住宅密集地域はあるものの、整備地域の指定のない三鷹市や狛江市などからは、耐震化促進制度創設の要望があります。
 現段階で耐震化促進制度の都内全域での適用が困難であるならば、まず第一歩として、建物倒壊危険度五の地域はすべて、あるいは建物倒壊危険度と火災危険度がともに五であるような地域も制度の適用対象地域として取り扱うよう、対象地域を拡大すべきではないかと考えます。
 このような木造住宅の耐震診断、耐震改修助成制度の対象地域の拡大について、所見を伺います。
 ことし四月、国は室戸台風級の超大型台風が東京湾を直撃した場合の浸水被害想定を公表しました。それによれば、地球温暖化で海面上昇が進んだ最悪のケースでは、都内で海抜ゼロメートル地帯が広がる江東区から大田区にかけて約五千五百ヘクタールが浸水し、深さも最大五メートルに達すると予想されています。
 また、東京湾沿岸には、堤防の高さが不十分である地域のあることや堤防の耐震性の向上が必要な地域のあることが指摘されています。
 都として、東京港の高潮対策を改めて見直すべきと考えますが、所見を伺います。
 さて、本年は政治決戦の年といわれています。何年か後に、本年、平成二十一年、二〇〇九年、日本の戦後政治史に新たな一ページが加わったと記録されるかもしれません。そしてそのときは、この首都東京から始まった歴史だと語られるでありましょう。私たち都議会民主党は、すべての都民の皆様とこの歴史的感覚を共有できることを目指して全力を尽くすことをお誓い申し上げます。
 最後に、知事を初めとした理事者各位、各会派の議員の皆さん並びにスタッフの皆さん、この四年間、時には対立し、時には協力し合いながらも、ともに都民福祉の向上に努めてこられたことを光栄に思い、心から感謝を申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 田中良議員の代表質問にお答えいたします。
 前にも何度も何度も同じ質問を受けましたが、また繰り返して申し上げますけれども、新銀行東京の経営悪化の責任についてでありますが、新銀行東京が昨年、経営危機に至った責任は、まずは直接経営に当たった経営陣にあると思います。次に、それを任命し、監督する取締役会、そして株主としての東京都など、つかさつかさに責任があると思います。それがまともな常識的な、要するに仕組みの本質だと思います。
 本年二月に、新銀行東京が外部の弁護士に委託して作成した外部調査報告書でも述べられておりますが、銀行には、その公的な性格にかんがみまして銀行法によって経営の独立性が求められていること、新銀行東京も株式会社としての所有と経営の分離が図られていたこと、さらには、銀行の株主には会計帳簿等の閲覧請求権が認められておらず──ということは、ミクロなマネジメントというものも株主は行うことができません。新銀行東京から東京都への情報提供も限定されておりました。いわば、株主である東京にとっても、銀行というものは一種のブラックボックスのような存在であったと思います。
 このように株主の関与が厳しく制限された中で、実際に経営のかじ取りを行い、巨額の損失を計上した旧経営陣の責任は重く、法的責任が問われたことは当然だと思います。
 先ほど、知事選を控えて新銀行の経営悪化問題が先送りされたという指摘がありましたが、経営悪化が明らかになった時点で速やかに新しい経営計画を策定させ、トップを初め、経営陣も一新させたことは周知のことでありまして、知事選のために事を先送りさせたという指摘は問題外というか、的外れの勘ぐりであります。
 中小零細企業のために設立した新銀行東京の経営が著しく悪化したことはまことに遺憾でありますが、新銀行東京の支援先である中小零細企業を今後とも支えていくために、私は追加出資をすることで、この銀行の再建を決意いたしました。それを果たすことが私の最大の責任であります。
 あの追資が、増資が問題になったときに民主党も主張しました、あの時点であの銀行をつぶしたとしたら一体どれだけの惨事が起こったということは、常識を持っている人は十分わかることであります。
 次いで、新銀行東京の今後のあり方についてでありますが、メガバンクが大幅な赤字となるなど、多くの銀行が計画よりも大幅に下回る決算となる中、新銀行東京は平成二十年度決算において再建計画を上回る業績を上げることができておりました。再建への足がかりをつかむことができたと思います。
 今後とも、セカンドステージとして経営改善を着実に進めて新銀行東京を再建し、その設立目的であります小零細企業への支援を十全に果たせるようにすることが大きな目標であります。
 ただ、今日のこの世界的なリセッションの中で、日本のセクターよりも東京の可能性を評価してくれておりました、協力を申し込んできていた外国の金融機関の方がショックを受けて、国家管理になって対応を変えました。そういった事態がちょっとこのセカンドステージの目算を狂わせましたけれども、いずれにしろ、そういったものの可能性も模索しながら、今後もあらゆる努力をしてまいるつもりであります。
 補正予算の執行についてでありますが、今回の補正予算案は、一連の国の経済対策に関連して、東京の都市づくりと都民生活の緊急課題などに迅速に対応するために編成したものであります。したがって、補正予算については、ご指摘をまつまでもなく、速やかに執行し、予算に盛り込んだ諸施策の効果を早急に実現してまいります。
 次いで、東京の今後の望ましい姿の展望についてでありますが、都政を預かる者として、現実性のある将来像を提示し、その実現に向けて施策を展開していくことは当然のことであります。
 そのために、少子高齢化の進行や次代を担う人材の育成などの課題にも対応し、東京をさらなる成熟を遂げた、魅力的な住み心地のよい都市へと生まれ変わらせるために「十年後の東京」計画を策定いたしました。この計画では、子どもからお年寄りまで生き生きと暮らせる社会、優秀な企業や人材の集積など東京のポテンシャルを生かした都市型産業が飛躍的に成長し、だれもが意欲と能力の発揮できる社会の姿などを描いております。
 既に、今日の東京についての評価がありまして、「モノクル」というかなりハイブラウな、イギリスから出ている、ヨーロッパ全体に普及している雑誌が、世界の都市の中で最も住みやすい都市というものにランキングをつけまして、東京はおかげで三位になりました。ただ、この間もその編集長に会いましたが、彼自身は、第一位のコペンハーゲン、第二位のミュンヘンは東京に比べてはるかに小さな都市だ、世界のいわゆるマンモス都市の中で、私は東京を一番評価しているという非常にうれしい評価がありました。
 いずれにしろ、申し上げました目標実現のために、昨年末に策定した実行プログラム二〇〇九では、さまざまな社会状況の変化を踏まえ、時代を切り開く新たな施策を盛り込んでおります。例えば、医療、介護サービスを付加した高齢者専用賃貸住宅の普及促進や、ベンチャー技術大賞受賞製品の販路開拓支援など、意欲的な取り組みを機動的、戦略的に進めております。
 このように、現下の危機を打開し、将来を見据えた東京ならではの施策を引き続き展開することによりまして、誇りを持って子孫に引き継ぐことのできる、だれもが安心して暮らせる首都東京の実現をしていきたいと思っております。
 他の質問については教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 二点の質問についてお答え申し上げます。
 まず、少人数学級や少人数指導、複数教員による指導などについてでございます。
 都教育委員会といたしましては、生活集団としての教育効果を考えた場合に、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定の規模が必要であると考えております。
 また一方、基礎学力の向上に配慮いたしまして、きめ細かな指導を行うために、教科等の特性に応じた多様な集団を編制できる少人数指導や複数教員による指導、いわゆるチームティーチングを導入しております。
 都教育委員会といたしましては、現行の基準により編制した学級を基本に、引き続き少人数指導を推進することによりまして、個々の児童生徒の実情に即した教育の充実に努めてまいります。
 次に、小中学校における多様な人材活用の推進についてでございます。
 民間人校長の登用につきましては、設置者である区市町村教育委員会が、まず配置の必要性や採用候補者等を判断、選定した上で都教育委員会に申請いたします。都教育委員会は、申請内容を総合的に判断いたしまして採用の可否を決定することとなりますが、これまで採用を不可にしたことはなく、平成十五年度から現在までの間に民間企業など外部から四人の校長を任用いたしました。
 これらの校長は地域の人材の活用などの先進的取り組みを進めて、それは他の学校の活性化にも結びつく影響を与えているものと考えております。
 また、教員採用選考に当たりましては、豊かな社会経験を有する人材を活用するために、平成十二年度から社会人選考を行っており、これまで小中学校において六百四十六人を採用してまいりました。さらに、今年度の社会人選考から年齢制限を撤廃して実施しているところでございます。
 今後とも、学校が抱える多様な課題に対応するため、さまざまな社会経験を持つ人材の確保に努め、学校教育の充実を図ってまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 五点の質問にお答えを申し上げます。
 まず、新銀行東京の中小企業向け融資についてでございます。
 平成二十年度の無担保、無保証融資の実績は、全体で二百十四件、三百四十一億円となってございます。中小零細企業向け融資の全体の実績は、他行と同様に開示をしておりますが、お尋ねの個々の融資の内訳につきましては、新銀行東京は重要な営業上の情報であるため明らかにしておりませんが、平成二十年度決算における新銀行東京の中小零細企業向け融資全体の実績は約七百件、二百十億円であり、全体に占める割合は件数で約九割、金額で約四割となっております。
 次に、新銀行東京の事業意欲が高い既存顧客への支援についてでございます。
 平成二十年度決算における、新銀行東京のいわゆる一般融資等の実績は三百六十七億円となっております。そのうち中小零細企業向けは百三億円でございます。残りの二百六十四億円につきましては、中小零細企業以外のその他の事業者ということになります。
 なお、事業意欲の高い既存顧客とは、新銀行東京と取引実績があり、日ごろの接触の中で事業継続に努力していることが確認できる事業者等のことでございまして、新銀行東京は、一般融資により支援することとしております。
 次に、新銀行東京の貸出金残高についてであります。
 金融機関の貸出金は、事業者向けの融資と資金運用の二つの性格に分けることができます。新銀行東京の平成二十一年三月末現在の貸出金残高は一千六百八十四億円でありますが、そのうち事業者向け融資は九百二十四億円であり、うち中小零細企業向けは約六割の五百十六億円となっております。
 次に、新銀行東京は他の金融機関と同様に、安全で確実な資金運用の一環として国等への貸し出しを行っております。その額は七百六十億円となっております。
 なお、新銀行東京は再建の途上であって、現在では収益基盤の安定のために中小零細企業以外の融資についても取り組んでいるところでございます。着実に再建を進めることによりまして、中小零細企業への支援を行うという本来の役割を再び十分に果たしてまいります。
 次に、緊急の雇用対策についてでございます。
 都は、昨年度、東京緊急対策Ⅱを打ち出し、雇用創出につながる公共事業に速やかに取り組んでおり、本年度は都独自の区市町村補助事業を実施して、これまでに約二百五十の事業について交付を決定し、迅速な雇用創出を図っております。
 さらに、雇用情勢の急速な悪化を受け、国の交付金による基金を創設したところでございまして、この基金を活用して緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別基金事業を区市町村とも連携して実施することとしております。
 今後とも、雇用情勢の変化に対応して、基金の積極的、弾力的な活用により雇用創出に取り組んでまいります。
 最後に、中小企業の資金調達に係る負担の軽減についてでございます。
 都は、国の緊急保証制度に対応しまして、制度融資に、最優遇金利を適用した融資メニューでございます経営緊急を設置いたしますとともに、小規模企業者に対しては、過去最高水準となる保証料の二分の一を補助する、都独自の対応を行っております。
 制度融資の最優遇金利は、金融機関が最も信用のある企業に適用する貸出金利であります短期プライムレートとほぼ同水準でありまして、本年四月にはこの間の金利動向に合わせて、最優遇金利をさらに引き下げをしたところでございます。
 このように、都は他の道府県に比べましても、格段に手厚い措置を既に講じているところでありまして、この内容を今後とも維持していく考えでございます。
 こうした考えに基づき、今回の補正予算におきましては、中小企業の厳しい経営環境を踏まえ、経営緊急を含む経営支援融資の目標額を拡大することといたしまして、預託金や保証料補助に要する経費を計上したところでございます。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 七点についてお答えをいたします。
 まず、一般医療機関における新型インフルエンザ医療体制の整備についてでありますが、感染拡大期から蔓延期には、一般医療機関においても新型インフルエンザの診療を行うこととなるため、現在、都は医師会等と連携しながら、この時期に外来診療や入院医療を行う医療機関の確保を進めております。
 こうした医療機関に対しましては、都独自に創設する補助制度により、入院病床の整備や医療従事者のための個人防護具、医療資器材等の備蓄を支援してまいります。
 次に、患者発生時の福祉サービスの提供についてであります。
 福祉サービスは、高齢者や障害者の生活を支える重要なサービスであり、利用者や家族にとって、休業に伴う影響は大きいと認識をしております。
 このため、都としては、患者発生時には、ウイルスの感染力や毒性、感染の広がり、利用者への感染の危険性などを十分踏まえた上で、区市町村と連携しながら、福祉サービスの継続に最大限の配慮を行い、利用者の支援に努めてまいります。
 次に、予防接種についてであります。
 都は、感染症の拡大を防止するため、予防接種対策をより一層充実するよう、これまで国に対し提案要求をしてきており、引き続きHibワクチンの定期接種化など、施策の拡充を国に求めてまいります。
 また、都は、予防接種の実施主体である区市町村が、肺炎球菌ワクチンなど法定外の予防接種費用の補助を行う場合に包括補助制度を活用して支援を行っておりますが、本年四月には、その対象にHibワクチンを新たに加えました。
 今後とも、制度の活用について区市町村に情報提供を行い、予防接種の推進を図ってまいります。
 次いで、保健医療計画についてでありますが、東京都保健医療計画は、医療法に定める医療計画に加え、都民の受療行動や都内の保健医療資源の状況等を踏まえ、保健、医療、福祉の連携に関する取り組みを示した基本的かつ総合的な計画であります。
 都は、本計画において、救急医療、周産期医療、小児医療など、事業別に医療体制の取り組みの基本的方向を定めております。
 これに基づき、救急医療の東京ルールの推進やスーパー総合周産期センターの設置に加え、小児科医を初めとする医師確保支援など、現下の医療を取り巻く厳しい状況に対応しております。
 今後とも、都は、保健医療計画に基づき、関係機関と協力をして、東京の医療提供体制の強化に取り組んでまいります。
 次いで、保育サービスの拡充等についてでありますが、都は待機児童の解消に向けて、保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組み、保育所等の整備を着実に進めてきましたが、経済情勢の悪化等に伴い、保育ニーズの急増が見込まれております。
 このため、今回の補正予算で、事業者と区市町村の負担を大幅に軽減する独自の支援策を講じ、今年度の整備目標を当初計画の一・五倍に引き上げることといたしました。
 また、国に対しても、保育に欠けるという入所要件の見直しや直接契約の導入など、保育所制度の抜本的改革を求めてきており、国も、新たな制度設計に向けて検討を始めております。
 今後とも、すべての人が安心して子育てできるよう、こうした取り組みを着実に進めてまいります。
 次に、介護人材の確保についてでありますが、介護人材の安定的な確保定着のためには、介護事業者みずからが、職員一人一人の能力を最大限発揮できる働きやすい職場づくりに取り組むことが重要であります。
 このため都は、平成二十年度から、経営者やリーダー層を対象にマネジメント能力の向上を図る取り組みを実施しておりますが、さらに今年度から、職員の資格取得に取り組む事業者に対する支援を行っております。
 また、適切な給与水準の確保も課題であるため、介護報酬について、都は国に対し、介護福祉士の資格を有する者の配置を評価すべきことなどを提案し、本年四月の改定で実現をいたしました。
 引き続き、大都市の実態を反映した介護報酬となるよう、提案要求を行ってまいります。
 最後に、高齢者施策についてでありますが、都は、本年三月、平成二十一年度から二十三年度までを計画期間として、高齢者施策の総合的、基本的計画であります東京都高齢者保健福祉計画を策定いたしました。
 本計画では、保険者である区市町村が今後の要介護認定者数の見込み等に基づき推計した介護サービス量を踏まえて、都におけるサービス量を定めております。
 都は、特別養護老人ホーム等の整備に当たり、高齢者人口に比べ、整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、独自の支援を行っております。
 今後とも、高齢化の進展により増大する介護ニーズに対応するため、計画に基づき、介護基盤の着実な整備に努めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 私立高校の保護者負担軽減についてでございますけれども、都では、これまでも私立高校に対して、基幹的補助である経常費補助を通して、授業料の抑制を図るほか、家計状況の急変等により、学校が授業料を免除した場合に、免除額の一部を補助しているところでございます。
 また、財団法人東京都私学財団を通じて、平均的な所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を助成するほか、経済的理由により修学が困難な私立高校生に対しまして育英資金を貸与しておりまして、今年度は、都内の私立高校の平均授業料を賄えるよう、その貸与額を年額四十二万円へと増額し、充実を図ったところでございます。
 今後とも、私学の自主性、独自性を尊重しつつ、これらの幅広い施策を総合的に活用してまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 自動車交通対策についてお答えいたします。
 持続可能な環境交通を実現するためには、ライフスタイルやビジネススタイルとして、自動車に過度に依存しない交通行動の定着を推進していくことが重要でございます。
 都は、こうした考え方に立ちまして、これまでもパーク・アンド・ライドによる公共交通機関の利用促進や自転車道の整備による自転車活用対策などに取り組んでまいりました。
 今後とも、公共交通機関と連携したカーシェアリングの取り組みやバス専用レーンの設置等による移動の利便性の向上など、さまざまな施策を総合的に展開し、環境負荷が低く、だれもが安全で快適な移動環境を享受できる都市を目指してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 木造住宅耐震化助成制度についてでございますが、この制度は防災都市づくり推進計画に定める整備地域を対象としておりまして、震災時に住宅が倒壊した場合に、道路閉塞や出火から避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあるため、公的助成を行っております。
 今後とも、こうした地域における重点的な取り組みが防災対策上重要であると考えておりまして、制度の周知徹底など、普及啓発に努め、耐震改修の促進を図ってまいります。
 なお、整備地域の指定につきましては、最新の地域危険度の調査結果などを踏まえまして、現在見直しを進めております。
   〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 東京港の高潮対策につきましてお答え申し上げます。
 都はこれまで、日本最大の高潮被害をもたらしました伊勢湾台風を想定し、総延長約五十キロメートルに及びます防潮堤や水門等の整備をおおむね完了しておりまして、東京港の高潮に対する安全性は確保されてございます。
 現在は、首都直下地震の切迫性が指摘されていることから、平成十八年度を初年度とする緊急整備十カ年計画によりまして、喫緊の課題でございます耐震対策等を重点的に進めてございます。
 お話の国の被害想定は、地球温暖化による将来の海面上昇や台風の巨大化に加えまして、堤防の破壊等の悪条件が重なった場合を想定しております。国においても、長期的な視点で検討を進めるべき課題であるとしてございます。
 都といたしましては、地球温暖化の影響を考慮した東京港の高潮対策につきましては、今後の中央防災会議での検討状況等を注視しながら、国や地元区等と連携して検討してまいります。

○副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十一分休憩

   午後四時開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十二番小磯善彦君。
   〔六十二番小磯善彦君登壇〕

○六十二番(小磯善彦君) 都議会公明党を代表して、都政の重要課題について、知事並びに関係局長に質問いたします。
 二○一六年オリンピック・パラリンピック開催都市決定まで、あと四カ月。四月には、IOC評価委員会による視察も行われ、いよいよ重要な局面を迎えようとしています。
 東京が今、世界に、あるいはライバル都市に誇れるのは大きく四点。すなわち環境、財政、文化芸術、都市の安全性であり、これらはいずれも、都議会公明党が知事とともに先駆的な取り組みを進めてきた成果そのものであります。
 オリンピック・パラリンピックの東京開催は、世界の平和と繁栄に貢献する新しい都市モデルを東京から世界へ向けて発信する絶好のチャンスでもあります。
 また、機能的で魅力的な都市づくりを大きく進展させるものであり、招致が実現すれば、世界最高水準の環境技術の世界への発信、ユニバーサルデザインのまちづくり、外国人旅行者一千万人誘致など、観光、商業の振興、老朽化した都市機能の更新など、三兆円の経済波及効果にとどまらない、さまざまな効果も期待できます。
 オリンピック・パラリンピックの開催招致に当たり、都民に、よりわかりやすく環境、福祉、産業、まちづくりなどを含めたトータルな東京の都市ビジョンを示し、そして、それを世界に発信していくべきであります。
 いよいよ今月は、スイス・ローザンヌでプレゼンテーションが行われます。渾身の力を振り絞り、東京の総力を挙げて取り組むべきであります。知事の決意を伺います。
 次に、補正予算について質問します。
 都は、平成七年以来、十四年ぶりに第二回定例会に補正予算を提出しました。
 都議会公明党は、都民生活にしっかりとした安心があってこそ、経済の活力が生まれてくると確信いたします。そのためには、今回、国が打ち出した経済危機対策を東京においても可及的速やかに具体化し、東京の実情に合った対策を迅速に実施することが喫緊の課題であります。
 その点において、今回の補正予算の編成では、我が党がかねてから主張してきた小笠原村への海底光ファイバーケーブル敷設整備や道路、公園整備などの公共事業に加え、中小企業への緊急融資制度の充実や再就職を促進する民間委託訓練の拡充、さらには、安心こども基金の対象とならない一部の認証保育所の設置促進など、都民の暮らしを守る都独自の施策にも積極的に取り組んでいます。
 いずれも極めて迅速かつ的確な対応であり、さらに、我が党が国へ強く働きかけた結果、都にも配分されることになった臨時交付金を有効に活用し、財政面において配慮している点でも評価されるべきものであります。
 都民生活の安心確保という点において、極めて意味のある今回の補正予算を着実に実行させていくべきであります。知事の見解を伺います。
 次に、東京の未来を切り開く成長産業の育成について質問します。
 都議会公明党はこれまでも、食の安全に貢献し、付加価値の高い地場食材の活用につながる新たな都市農業の需給システムの構築や、省エネやユビキタス技術を積極的に組み込んだ都道、都営交通インフラ整備の推進、先端IT技術を活用したコミュニケーションバリアフリーの推進の必要性などを重ねて訴えてまいりました。
 そして本年の四月、我が党は、東京発、日本を元気にと題した重点政策の中で、これまでの提言を総括する形で、各分野の学識経験者などによる東京成長力委員会の設置を提唱しました。この東京成長力委員会には、商工業界の代表だけでなく、若手農業者、障害者団体、観光事業者の代表や技術系の専門研究機関の代表など、幅広い分野の代表で構成すべきであります。そうした意味から、今こそ都は、総力を挙げて新たな成長産業の育成に取り組むべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、雇用対策について質問します。
 経済環境は厳しさを一層増しており、東京の有効求人倍率は一倍を大きく割り込むなど、雇用情勢に深刻な影響を与えています。非正規雇用で働く方々の雇いどめや新規学卒者の内定取り消しにとどまらず、正社員として働く方々にも雇用調整の波が及んでいます。
 既に都は、国に先駆け、東京緊急雇用対策を打ち出し、厳しい雇用情勢に対応しており、こうした迅速な対応については大いに評価するものであります。
 しかし、昨年来、矢継ぎ早に実施されているさまざまな対策は、個々の事業はすばらしいものであっても、全体としてどれだけの規模でどのような支援を行っていくのかがわかりにくく、そのため都民に、より安心を与えるメッセージが弱いことも否めない面があると考えます。
 都議会公明党は、現在の雇用不安に対し、三年間で五万人の就労を目指すという明確な目標を掲げ、都の施策の前進を強力に図っていこうと考えております。
 都は、離職者に対するスキルアップのための支援、さらには首都圏が一体となった合同面接会の開催など、緊急雇用対策による雇用創出に向けた取り組みの規模を明確にすべきであります。あわせて、それらの支援策を一目でわかりやすく都民に示す必要があると考えますが、見解を求めます。
 次に、雇用対策に関連して、昨年の第二次補正予算に盛り込まれ、昨年度末から実施されている離職者支援策について質問します。
 再就職を目指す離職者への緊急無利子貸付制度を、都はことし二月にスタートをさせました。この制度は、子どもの修学に必要な経費についても、子ども一人につき五十万円貸し付けるという画期的なものであります。
 しかし、セーフティーネットとして大きな期待が寄せられているものの、制度が実施されて三カ月以上が経過しているにもかかわらず、貸付実施数は現在の雇用情勢を反映した数にはなっておらず、広報や相談体制の不十分さに加え、貸付条件の厳しさに大きな課題があると思われます。
 対象要件に該当しないケースとして、離職後年数や連帯保証人の有無などが挙げられますが、こうした要件を早急に緩和するなどの見直しを図るべきです。都の見解を求めます。
 次に、私立学校の修学困難者対策について質問します。
 雇用情勢が悪化の一途をたどっている中、都内の私立学校に子どもを通わせている保護者においては、倒産やリストラに遭うことにより、家計が急変して学費が支払えなくなり、生徒の修学がより困難となっている状況もあると考えられます。
 都には、現在、私立高等学校に通う生徒の家計が急変した場合の対応策として、授業料減免制度があります。
 去る五月十五日開かれた助成審議会は、我が党の委員の意見を踏まえ、この授業料減免制度の補助率を現在の三分の二から五分の四にアップすることを答申しました。
 このたびの改正は、まさに時宜を得たものであり、直ちに実行に移すべきであります。その際、特に、本制度をより積極的に活用してもらうため、すべての私立学校はもちろんのこと、保護者、生徒に対して周知徹底を図るべきであります。都の見解を求めます。
 次に、子育て支援について伺います。
 我が党は、子育てを社会全体で支えるという考えに立って、児童手当、乳幼児医療費助成、妊婦健診助成など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 そうした中、都議会公明党は、出産育児一時金については五十万円に引き上げることを目指しておりますが、先般報道された出産費用に関する実態調査でも、病院や診療所の出産費用の平均額は、都道府県によって最大で一・五倍の格差があり、最も高額な東京都においては、平均五十一万五千円となっていることが改めて明らかにされました。この十月からは国制度で四十二万円まで増額されますが、都独自で一時金の上乗せをし、五十万円に引き上げるよう強く求めるものであります。
 なお、ことし十月から小中学生の医療費助成が、多摩地域においても大幅に拡充されます。これは、我が党と知事が連携して進めてきたものでありますが、共産党がまるで自分たちが推進したかのような選挙目当てのデマ宣伝を行っております。いつもながらの財政的裏づけに責任もとらず、予算に反対している共産党に対して、知事の見解を改めて伺います。
 また、子育て支援において見逃してはならないのが、アレルギー疾患がある子どもたちへの支援であります。都議会公明党はこれまでも、増加傾向にあるアレルギー疾患がある子どもへの早急な対策を求めてきました。
 まず、そこで、公立学校における今後の具体的な取り組みを明らかにしていただきたいと思います。また、その中で大事なことは、学校においてアレルギー疾患を持つ子どもへの無理解な言動やいじめ、児童生徒本人のストレスなど、潜在する課題にも同時に対策を実施すべきであるということであります。都の見解を求めます。
 また一方、幼稚園、保育園などでは、食物アレルギー疾患がある幼児への対応がまちまちであり、園によっては、十分でないという実態があります。就学前の幼児は特に誤食や誤飲の事故が発生しやすく、すべての教員、保育者などが対応できる体制を講じていく必要があります。
 そこで、公立、私立の幼稚園、保育園など、幼児に対応する施設については、都として共通のガイドラインや個別対応のカードなどを示し、子どもの安全を守り、保護者の不安を取り除くべく、学校同様、早急な対策と体制整備に取り組むべきです。都の見解を求めます。
 次に、特別養護老人ホームについて質問します。
 高齢化社会の進行に伴う最大の課題は、介護の問題であります。特に東京においては、特別養護老人ホームの入所希望者が三万八千人もいることが、都の調査で明らかになったことは見逃せません。
 東京においては、二十三区の都市部において、土地の高騰により用地の確保が難しく、介護基盤の整備がなかなか進みませんでした。
 そこで、特別養護老人ホームについては、都有地や区有地の活用や、定期借地権設定に伴う一時金について助成するという国の政策を活用し、ふえ続ける入所希望者に対応するためにも、三年間で必要な七千人分の特別養護老人ホームをふやすべきであります。
 また、広域的な特別養護老人ホームの整備とともに、在宅のまま活用できる地域密着型サービスの充実も必要です。
 都はこれまで、小規模多機能型居宅介護の整備促進のためにさまざまな助成制度を講じてきたことは評価しますが、必ずしも整備が進んでいないのが現状であります。
 そこで我が党は、重点政策においてショートステイやデイケアなどの機能を持つ小規模多機能型居宅介護についても、今後三年間で二百カ所の整備を提唱したところであります。
 都は、介護基盤の整備が一層進むように、国の対策を活用しながら、より一層の促進を図るべきです。あわせて見解を求めます。
 なお、共産党は、この十年で普通会計決算の総額に占める老人福祉費の割合が全国最下位になったとし、石原知事が福祉を切り捨てたと批判していますが、この共産党の主張に対する見解を求めます。
 財政再建団体への転落さえ危ぶまれる中で都知事に就任した石原知事は、歴史的、長期的な視野に立って、見直すべき事業は見直し、必要な施策には財源を集中投入して、全国一の東京の福祉の向上に尽力されてきたわけでありますが、こうした共産党の主張に対する知事の感想を伺います。
 次に、新型インフルエンザ対策について質問します。
 都議会公明党は、新型インフルエンザが世界的拡大の兆しを見せ始めた四月二十八日、新型インフルエンザ対策本部を設置し、都民の生命と生活の安全・安心を守る観点から対応策を検討してまいりました。それを踏まえて、今後の都の取り組みについて伺います。
 今回発生した新型インフルエンザは、弱毒性で感染者の多くが軽症で治っており、また、都内では幸いにも集団発生が起こっておりません。しかし、いつ感染拡大が起きるかもしれない状況下では、これまでの都民の行動や関係機関の対応を検証し、万全な対策を講じていく必要があります。
 まず一点目は、相談、検査体制の強化であります。
 都は、新型インフルエンザ発生後、いち早く相談体制を立ち上げましたが、初期のころは、発熱、悪寒などの症状で感染の不安を覚えた都民が発熱相談センターを経由せず、直接一般医療機関を受診してしまうケースがあったようです。
 適切な医療を提供するためには、相談体制について都民に周知徹底するとともに、感染の有無を判断する検査体制についても、迅速的確に行えるようにすべきと考えます。都の見解を求めます。
 二点目は、集団感染への対応であります。
 兵庫県や大阪府の新型インフルエンザ感染では、児童生徒など学校関係者が感染者の多数を占め、集団感染の様相を呈していることから、都内でも同様の事態が発生する可能性は否定できません。このため、学校など集団で生活する場での集団感染防止策や、感染が集団発生した場合の拡大防止策をきめ細かく点検し、今後想定される事態に備えた十分な対策を講じるべきと考えます。都の見解を求めます。
 三点目は、医療体制の整備であります。
 都内における新型インフルエンザの発生は、現時点では小康状態を保っているものの、季節性のインフルエンザが発生する秋から冬にかけて新型インフルエンザ感染者が多数発生する懸念も指摘されております。
 このため、医療機関や関係機関が連携し、外来診療医療機関の確保や、重症者のための入院病床の確実な確保が必要と考えます。あわせて、医師、看護師などの二次感染を防ぐための十分な安全確保策も講じるべきと考えますが、都の見解を求めます。
 さらに、混乱や誤解を避けるためには、正確な情報伝達と的確な広報体制も必要です。
 こうした点も含め、新型インフルエンザに対する都民の安全・安心の確保について知事の認識と決意を伺います。
 次に、女性特有のがん対策の推進について質問します。
 公明党東京都本部は、本年三月、がん対策の充実を求める署名活動を全都的に行い、百二十七万二千六百三十七名の方にご賛同をいただき、三月二十七日、石原知事に提出しました。
 また、同時に行った子宮頸がんアンケート調査にも十万名を超える方にご協力いただき、舛添厚生労働大臣にも検診率向上に向けた取り組み強化を申し入れしました。
 我が党並びに多くの都民の期待にこたえ、国は、女性特有のがん検診に対する支援策を補正予算案に盛り込み、先週成立しました。これにより、子宮頸がんについては二十から四十歳まで、乳がんについては四十歳から六十歳までの五歳ごとの節目年齢の女性に、がん検診の無料クーポンと検診手帳が送付されることとなります。
 子宮頸がん、乳がん検診に対する理解と意識が一層高まり、受診率の向上と継続的ながん検診受診につながることが期待されますが、東京都においても女性特有のがん検診受診率の向上に向け取り組みを強化すべきです。見解を求めます。
 都は、去る五月二十七日、初めて実施したがん検診実態調査の結果を公表しました。その中で、子宮がん、乳がん検診を実施している事業所は約六割にとどまっているのみならず、マンモグラフィーによる検診が必ずしも実施されていない状況も明らかとなりました。
 都は、早急に職域における乳がん検診体制の整備充実を図るべきであります。見解を求めます。
 最後に、新銀行東京について質問いたします。
 先週末に新銀行東京の平成二十一年三月期決算が発表され、当期純利益で二十一億円、純資産で三十八億円、再建計画より上回る結果となり、追加出資の四百億円は毀損されなかったことが明らかとなりました。厳しい経済状況の中、他の銀行が軒並み、決算における当期純利益を前年比で大幅に減少させているときに、再建計画を上回る数字を出したことは評価に値するものであります。
 これに対して、民主党、共産党は、昨年の三月以来、追加出資の四百億円について、泡と消えたとか、どぶに捨てられたなどと、客観的な根拠もなく主張し続けてまいりました。こうした民主党、共産党による新銀行東京の風評被害について、知事の率直な思いを伺います。
 また、新銀行東京に四百億円の追加出資を行ったことにより、この一年間、どれだけの中小企業が救済されたのか明らかにしていただきたいと思います。
 今回の決算を受け、新銀行東京は、平成二十二年三月期の業績について、再建計画より純損益で十二億円、純資産で四十九億円上回ると見込んでおります。この業績見込みの根拠を都民に対しわかりやすく説明すべきであります。都の見解を求めます。
 都議会公明党は、新銀行東京を再建計画より前倒ししてでも黒字化し、売却、または業務提携を行って、追加出資の四百億円を回収、または保全すべきであると改めて主張するとともに、新銀行東京が一刻も早く準備を整えて、旧経営陣に対して損害賠償請求の訴訟を提起すべきであると強く申し述べます。
 今定例会は十七期最後の議会となりますが、我が党は十八期においても、世界に新しい都市モデルを提示し、創出し行く偉業に引き続き参画し、都民の負託にこたえるため、来る都議選には二十三名が断固完勝し行く決意を表明し、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 小磯善彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、オリンピック・パラリンピック招致についてでありますが、二○一六年東京大会の開催計画は、東京の目指すべき姿と、それに向けた都市戦略を示した「十年後の東京」計画という近未来図を踏まえて策定したものであります。
 世界最大のスポーツの祭典でありますオリンピック・パラリンピック東京大会においても、このような二十一世紀の新たな都市モデルを世界に披瀝することは、お話のとおり、極めて意義のあることであると思います。
 評価委員会に引き続き、今後も、ローザンヌでのIOC委員に対する説明会やベルリンでの世界陸上など、各種の国際スポーツ大会が予定されております。こうした機会を活用しまして、世界初のカーボンマイナスオリンピックの実現など、東京の先駆的な取り組みを広く発信するとともに、東京大会が環境と平和に寄与し、スポーツを通じて友情と連帯をはぐくんでいくことを訴えてまいりたいと思います。
 いよいよ残り四カ月となりました。私自身、先頭に立ちまして、総力を挙げて招致実現に取り組んでまいります。都議会を初め都民、国民の皆様のなお一層のご支援、ご協力をお願いする次第であります。
 次いで、補正予算についてでありますが、今回の補正予算は、国の経済危機対策を早期に実現するとともに、東京の都市づくりと都民生活の緊急課題などに迅速に対応するため、都として打つべき手だてを早急に講じることを基本に編成いたしました。そのため、今回の国の経済危機対策について、東京に活力をもたらす公共事業に実施可能なものから取り組んでまいります。
 あわせて、一連の国の経済対策に関連して、これを一層有効なものとし、また、都の当初予算編成後に生じた緊急課題に迅速に対応するため、都みずからも中小企業・雇用対策や生活者対策を強化し、都民生活の安心確保に万全を期したつもりでございます。
 また、今回の補正の財源については、可能な限り、国の交付金等を有効に用いることとし、都の基金の活用は最小限にとどめております。
 今回、補正予算を編成することにより、都民の暮らしに安心をもたらし、経済に活力を呼び起こすため、一層積極的に取り組みを行ってまいります。
 次いで、小中学生の医療費助成についてでありますが、中学三年生までの医療費助成の拡大は、私が公約し、途中で見直し、改正し、実施するものであります。この公約の実現に向けては、都議会公明党や自民党などからの提言も踏まえ、市町村財政に支障を来すことのないよう必要な措置を講じました。
 こうした経過を経て実現したものでありまして、共産党がみずからの実績であると公言していることは極めて遺憾であるし……(発言する者あり)まあ、よくやる手ですな。
 福祉の見直しについてでありますが、少子高齢化の急速な進展により、福祉サービスの利用者が増加するのに比べ、社会全体の負担力が伸びないために、旧態依然とした福祉施策を続けていたのでは、早晩行き詰まることは明らかでもあります。
 将来にわたって安心できる社会を実現するため、時代にそぐわない事業は見直し、真に必要とする人へ効果的な福祉サービスが行き渡るよう福祉改革を進めてきました。
 共産党も、都合のいい数値のみを取り上げて、根拠のない批判を繰り返すばかりでなく、こうした歴史的、長期的視野に立った政策を理解すべきであります。
 次いで、新型インフルエンザ対策でありますが、都はこれまで、強毒性の鳥インフルエンザが変異した新型インフルエンザの発生に備え、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄を初め、重層的な対策を講じてきました。こうした備えがあったからこそ、今回の新型インフルエンザ発生後、直ちに患者を診察する医療体制を確保することができました。
 今回のウイルスは弱毒性でありまして、タミフル、リレンザが有効だといわれておりますが、今必要なのは、感染力、病原性、治療方針など、この病に関する正確な情報を共有し、科学的な知見のもとに冷静に対応していくことであります。
 都としては、今後とも医師会や医療機関などと連携し、地域における医療体制を確保していくとともに、感染力のさらなる強まりや強毒性の流行に備え、都独自の対策を怠ることなく進めてまいります。
 また、都民の皆さんには正確なわかりやすい情報を迅速に提供するので、引き続き冷静な行動をお願いしたいと思います。
 次いで、新銀行東京についてでありますが、新銀行東京の平成二十年度決算が先日発表されましたが、現経営陣のもとで着実に再建が進んでおります。
 追加出資の四百億が毀損されたかのような主張は全く事実無根でありまして、これは、歯を食いしばって頑張っている現経営陣の方々に非常に失礼な話だと思います。
 新銀行東京は、約一万社に及ぶ中小零細企業の支援を継続しておりまして、そのうち赤字、債務超過先は約五千社、その従業員と家族は約十五万人にも及んでおります。
 こうした事実に目を向けることなく、四百億円が既に失われたかのような主張は、新銀行東京の融資先や預金者を不安に陥れるとともに、銀行業務にとって最も重要な信用を傷つけかねない行為であることを十分に認識すべきであると思います。
 他の質問については、教育長、関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、アレルギー疾患がある公立小中学校の児童生徒への今後の具体的な取り組みについてでございます。
 アレルギー疾患のある児童生徒が安心して学校生活を送ることができるようにするためには、文部科学省監修の学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインで示されました学校生活管理指導表を活用して、教職員が児童生徒の実態を十分把握した上で、適切な対応方法を身につけることが必要でございます。
 このために、都教育委員会は、昨年十二月、都独自にガイドライン活用策を取りまとめ、区市町村教育委員会に配布いたしますとともに、説明会を実施し、各学校における取り組みが円滑に進むよう周知徹底を図ってまいりました。
 さらに、各学校での取り組みを確実に進めるためには、教職員のアレルギー疾患に対する理解と対応能力を高める必要がございまして、この七月以降、順次ガイドラインで示されました食物アレルギー疾患などに係る基礎知識習得のための研修を実施してまいります。
 また、あわせて、アドレナリン自己注射を処方された児童生徒につきましては、アナフィラキシーを発症した場合には緊急対応が必要となりますことから、四月に実施した該当児童生徒の全数調査結果を踏まえまして、児童生徒が在籍する学校の校長、養護教諭、担任等を対象に、アドレナリン自己注射に関する特別研修を実施いたします。
 都教育委員会といたしましては、これらの研修の実施や区市町村教育委員会との連携の強化により、この秋までに各学校におけるアレルギー疾患のある児童生徒への対応体制が整うよう努めてまいります。
 次に、アレルギー疾患のある児童生徒を取り巻く課題への対策についてでございます。
 都教育委員会は、先ほど申し上げましたこの七月以降実施をする研修を通じまして、教職員に対し、アレルギー疾患のある児童生徒をいじめなどから守り、また、ストレスを取り除くための具体的な配慮事項についても認識を深めさせてまいります。
 その上で、受講した教職員の指導により、児童生徒にアレルギー疾患について正しい理解と思いやりの心を持たせてまいります。
 こういった取り組みを通じまして、アレルギー疾患のある児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、各学校及び区市町村教育委員会を支援してまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、成長産業の育成に向けた取り組みについてであります。
 将来にわたって東京の産業を活性化していくためには、環境や健康、安全・安心など、成長が期待される分野の産業を強力に後押しすることが重要であると認識をしております。
 このため、都はこれまで、重点戦略プロジェクト支援事業などによりまして、新産業の創出に向けて、都内中小企業等が取り組む新製品、新技術の開発等を支援してまいりました。
 また、新事業の創出に弾みをつけるため、今年度新たに実証データの取得費用の助成や専門家による継続的な助言を実施することといたしまして、早期事業化に向け、来月には申請受け付けを開始いたします。
 加えて、首都大学東京と都立産業技術研究センターが連携をいたしまして、環境、省エネ技術の開発などの重点課題の解決に向けた共同研究に踏み出したところでございます。
 今後、ご提案の趣旨も踏まえ、外部有識者等の意見を十分お聞きするとともに、庁内各局のみならず、都内中小企業支援機関等との連携を強化し、成長産業の育成に努めてまいります。
 次に、緊急の雇用対策の規模等についてでございます。
 都は、雇用情勢の悪化に対応するため、就業相談や職業訓練、雇用創出など、さまざまな事業を展開しております。
 今年度は、まず、離職者向け委託訓練を大幅に増加させますとともに、新たに新規学卒者を対象とする合同就職面接会を実施いたします。また、中高年向け就職面接会も毎月実施するほか、緊急雇用創出事業などにも取り組んでまいります。
 これらの緊急に実施する対策等におきまして、今年度は二万人を超える規模を予定しております。雇用情勢を踏まえまして、今後も各種の就業支援策の実施に努めてまいります。
 また、求職者の個々の状況に応じた都や国の支援策が簡単にわかるパンフレットを作成いたしまして、労働相談情報センター等の都の窓口で配布するとともに、問い合わせや相談に対応しております。
 今後ともこれらの対策によりまして、厳しい雇用情勢のもと、急増している離職者の方々の就業を支援してまいります。
 次に、新銀行東京の中小零細企業への支援についてであります。
 新銀行東京は、昨年の四百億円の追加出資によりまして、既存の取引先への支援を継続することができたことに加えまして、再建計画の初年度である平成二十年度におきましては、中小零細企業向け融資を約七百件、二百十億円実施いたしました。
 これらを含めて、平成二十一年三月末現在で、新銀行東京は約一万社の中小零細企業と取引をしており、他行からの支援が難しい赤字、または債務超過先約五千社との取引を継続しております。
 新銀行東京は、平成二十一年度においては、中小零細企業向け融資を伸ばしていくということとしており、未曾有の厳しい経営環境のもとで血のにじむような努力を続けている中小零細企業に対する支援が継続できますのも、四百億円の追加出資があればこそ可能となったものであると認識しております。
 最後に、新銀行東京の今期の業績見込みについてでありますが、新銀行東京は、再建計画の初年度である平成二十年度に、店舗の集約化や執行体制の効率化等を図り、営業経費を計画比十七億円圧縮をいたしまして、低コスト構造への転換を前倒しして実施いたしました。
 こうした取り組みによりまして、再建計画を上回る業績を上げ、計画を達成いたしました。同時に、貸し倒れに対して十分な引当金を計上し、将来に対する備えも手厚くしております。
 平成二十一年度は、これまでの経営改善に向けた取り組みをさらに強化することに加えまして、より一層の与信管理体制の強化による信用コストの圧縮などにより、全体として純利益、純資産とも再建計画を上回る業績を見込んでおります。
 都といたしましては、新銀行東京の再建が着実に進んでいることを都民に説明いたしますとともに、今後とも計画の達成に向け、引き続き適切な監視と支援に努めてまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 九点についてお答えを申し上げます。
 まず、再就職支援貸付事業についてであります。
 この事業は、再就職を目指す離職者の生活の安定を図る上で有効な支援策の一つであり、都は現在、国の制度をもとに独自に無利子での貸し付けや子育て世帯への貸付額の上乗せ等を実施しております。
 今後は、ご指摘や国の制度変更の見通しを踏まえ、原則連帯保証人を必要としつつ、連帯保証人を確保できない方にも貸し付けを行うなどの要件緩和を早期に実施するよう検討してまいります。
 あわせて、就職情報誌等を活用し、より一層事業の周知を進めるとともに、就職、生活支援にかかわる各種窓口との連携や相談員の資質向上のための研修を実施するなど、相談支援体制のさらなる充実を図り、利用しやすい貸付制度にしてまいります。
 次いで、子どもの食物アレルギーへの対応についてであります。
 食物アレルギーは、生命に危険のあるアナフィラキシー症状を起こすこともあり、家庭だけでなく、保育所や幼稚園等においても子どもの生活管理を行い、症状が起きたときには、すべての職員が迅速かつ適切に対応できる体制をつくることが必要であります。
 都は、これまでも保育士等を対象に研修を行ってきており、今年度は、保護者や医師と連携した日常の生活管理や、アナフィラキシー発症時の対応等をまとめたガイドブックを都内すべての保育所、幼稚園に配布いたします。さらに、生活管理指導表やアドレナリン自己注射の使い方等、ガイドブックを活用した実践的な研修も関係各局と連携して実施するなど、食物アレルギー対策を積極的に推進してまいります。
 次いで、介護基盤の整備についてでありますが、都は、介護保険事業支援計画に基づき、計画的な整備に努めております。特別養護老人ホームにつきましては、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、着実な整備に取り組んでおります。
 また、区市町村が主体的に整備を進める小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスにつきましても、国の交付金に加え都独自の補助を実施しております。
 さらに、今回の国の経済危機対策では、交付金の拡充や定期借地権を利用した整備の促進など、都市部の実情を考慮したさまざまな対策が盛り込まれました。今後、都としては、こうした国の対策を踏まえ、区市町村と連携協力を進め、介護基盤整備の一層の促進に努めてまいります。
 次に、決算額に占める老人福祉費の割合と福祉の水準についてでありますが、各都道府県の歳出規模は、行財政制度や大都市としての特性などの違いに加えまして、その時々の行政需要や税収、財政運営上の判断により大きく変動するものであります。したがいまして、決算総額に占める老人福祉費の割合を比較することや、その割合によって都道府県の順位づけを行い、福祉水準を論ずることに全く意味はないと考えております。
 都の政策は、予算編成の過程を通じて具現化されるため、当初予算の内容こそが重要であります。本年度の一般歳出ベースの福祉保健費は七千八百二十九億円、福祉と保健の予算割合も一八・七%と、いずれも過去最高となっております。
 また、高齢者分野では、都独自の補助制度による認知症高齢者グループホームの大幅増設や、包括補助制度による区市町村が行う高齢者の見守り事業や、安心コールセンター事業への支援などさまざまな施策を展開しており、福祉の切り捨てという主張は全く当たらないと考えております。
 次いで、新型インフルエンザ対策についてでありますが、まず都民への情報提供と検査体制についてお答えを申し上げます。
 都は今回、海外における新型インフルエンザ発生確認後、直ちに都民からの相談に二十四時間こたえる発熱相談センターを立ち上げるとともに、ホームページや広報紙、報道機関等を通じて、医療機関への受診方法や正しい予防法など、正確な情報を提供するよう努めてまいりました。
 また、国内での感染拡大を踏まえまして、五月二十三日からは、都内すべての保健所での相談時間を平日、休日を問わず夜九時まで延長し、相談体制の強化を図りました。さらに、ウイルスの遺伝子検査につきましても、昨年度整備をいたしました最新の機器を用いて、二十四時間体制で実施をしております。引き続き区市町村や医師会等と連携しながら、相談、受診の仕組みについて周知を図るとともに、的確かつ迅速な検査の実施に努めてまいります。
 次いで、集団での感染防止に向けた対策についてでありますが、学校など集団での新型インフルエンザの感染拡大を防止するためには、手洗いやせきエチケットなど一人一人ができる予防法を徹底するとともに、感染者を早期に発見し、さらなる感染を防止することが重要でございます。
 このため、都はこれまで、家庭でできる予防法などを紹介したリーフレットを都内すべての学校に通う児童生徒に配布するなど、普及啓発に努めてまいりました。また、国内患者の発生後には、乳幼児、児童生徒が三名以上インフルエンザ様症状で学校等を欠席した場合にも遺伝子検査を実施するなど、都独自に検査対象を拡大いたしまして、学校や医療機関等での発生監視体制を強化しております。
 今後とも、集団での発生や感染力のさらなる強まりに備えまして、感染者の早期発見と感染拡大の防止に努めてまいります。
 次いで、医療体制の整備についてでありますが、新型インフルエンザの蔓延期には、感染症指定医療機関等に設置をいたしました六十七カ所の発熱外来のみで外来診療を行うことは困難でありまして、できる限り多くの医療機関を確保することが重要であります。
 このため、都は現在、東京都医師会や地区医師会等と連携をしながら、各保健所ごとに一般の医療機関における発熱外来の設置に向けた準備を進めております。
 また、重症者のための入院病床を確保するために、新たに緊急対応の病床を都立駒込病院に六十四床、公社の荏原、豊島両病院に合わせて百二十床整備する予定であります。
 さらに、民間の入院医療機関や発熱外来に対しましても、都独自に創設する補助制度により、入院病床の整備や、医療従事者のための個人防護具等の備蓄を支援してまいります。
 次に、女性特有のがん検診受診率の向上に向けた取り組みについてであります。
 都は、若年層を含めた都民に対し、がん検診の重要性を伝えるため、ピンクリボン運動やがん検診支援サイト等を通じて、普及啓発や情報提供等を広く実施してまいりました。今年度は、区市町村包括補助事業を活用し、個別通知による受診勧奨などの取り組みを支援するとともに、がん検診の実施状況や課題等を検討する場を設けまして、区市町村における受診率の向上を図ってまいります。
 お話の無料クーポン券など女性特有のがん検診に対します支援策については、受診の動機づけとして期待できるものであり、今後、国より提示される具体的内容を速やかに区市町村へ情報提供し、都としても、がんの早期発見の取り組みを積極的に進めてまいります。
 最後に、職域における乳がん検診体制の整備等についてであります。乳がん検診につきましては、マンモグラフィーと視触診をあわせて実施することが死亡率減少に有効であるとされており、職域においてもこの方法で検診を実施することが望ましいものであります。
 都はこれまで、マンモグラフィー検診に従事する医師等の養成研修や検診車の整備費補助を行うなど、乳がん検診の実施体制の整備を行ってまいりました。今年度は、さらに職域を含めた検診体制について、マンモグラフィー検診機器二十台分の整備費補助を行うなど一層の充実を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 私立学校に対する授業料減免制度についてでございますが、都は、私立学校が家計状況の急変等により生徒の授業料を減免した場合に、減免額の三分の二を学校に対して補助する授業料減免補助を行ってまいりました。
 この補助制度は、私立学校に対する基幹的補助でございます経常費補助の中で実施しているものでございまして、経常費補助金の配分方針につきましては、毎年度、東京都私立学校助成審議会に諮問しておりますが、先月開催されました審議会におきまして、家計状況の急変における授業料減免の補助率については、現在の社会経済情勢を勘案すると五分の四に引き上げることが望ましいとの答申を得たところでございます。
 都といたしましては、この答申とともに、お話の授業料減免補助に関するご意見を踏まえまして、今年度から直ちに経常費補助に反映してまいります。
 また、私学団体主催の各種会議や補助金説明会など、さまざまな機会をとらえて制度改正の趣旨や内容の説明を行い、制度の活用や学校を通じた保護者、生徒への周知を積極的に働きかけてまいります。

副議長(石井義修君) 十四番河野百合恵さん。
   〔十四番河野百合恵君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○十四番(河野百合恵君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 深刻な景気悪化、雇用破壊、社会保障の改悪で都民が苦しんでいます。住民の福祉と暮らしを守るべき都政の役割を今こそ発揮すべきときです。しかし、提案された補正予算案は、商店街の街路灯整備など幾つかの前進はありますが、都民の暮らし、福祉に直接かかわる予算は全体の一五%にすぎず、極めて不十分なものです。しかも、その一方、オリンピック招致を看板にして、外環道建設を初め不要不急の公共事業には大盤振る舞いするという、大型開発中心の逆立ちしたものとなっています。私は、このような逆立ちをただし、都民の福祉、暮らしを守る緊急対策を最大限に進める立場から質問します。
 第一に、高齢者福祉です。
 石原都政は、この十年間に空前の福祉切り捨てを進めてきました。寝たきり高齢者の福祉手当も、マル福も廃止されました。特別養護老人ホームの人件費補助も、整備に欠かせない用地費補助も廃止されました。東京都の歳出総額に占める老人福祉費の割合は、九九年度は全国二位だったのが最近は全国四十七位、最下位に転落しています。
 知事は、困った人には生活保護制度があるといって福祉切り捨てを進めました。しかし、群馬県の無届け施設の火災で犠牲になった高齢者のうち六人は、生活保護を受けている都民でした。生活に困窮する東京の高齢者が入れる公的施設が少ないために、貧困ビジネスというべき劣悪な施設に頼らざるを得ないのです。まさに政治の責任ではありませんか。
 知事は、三月の予算特別委員会で、日本ほど高福祉低負担の国はないと答弁しました。生活保護を受けている東京の高齢者の約八百人が、都内、都外の劣悪な施設に頼らざるを得ない現状のどこが高福祉ですか。発言を撤回すべきです。知事の答弁を求めます。
 区長会は、石原知事に低所得の要介護高齢者のための施設整備促進に向けた財政支援などを求める緊急要望を提出しました。直ちに具体化する必要があると思いますが、どうですか。
 東京都は、特別養護老人ホームを三年間で五千人分ふやす計画ですが、用地費補助を廃止して本当にふやせると思っているのですか。しかも、入所待機者は三万八千人を超えており、都の目標では間に合いません。用地費助成を再開するとともに、少なくとも三年間で一万人分を緊急整備することを求めるものですが、それぞれ見解を伺います。
 七十五歳の年齢で高齢者を差別する後期高齢者医療制度に対し、厳しい批判が沸き起こっています。年金収入の少ない高齢者にとって、医療費はとりわけ重い負担です。イギリス、フランスなど世界の主要な国では医療費無料が大きな流れです。子どもの医療費は、都独自に無料化を実施し拡大しているのです。せめて七十五歳以上の高齢者の医療費無料化に踏み出すよう提案します。知事の答弁を求めます。
 第二に、子育て環境の整備です。
 まず、保育所の待機児解消です。日本共産党の調査で、ことし四月、認可保育所への入園を申し込んで入れなかった児童は一万数千人に及ぶと見られます。保育園に入れず、働きたくても働けないという事態の打開は急務です。
 待機児をなくすために、一番要望が集中している認可保育所を三年間で一万五千人分はふやすことが必要だと考えますが、どうですか。そのためにも用地費補助や公立保育園整備への補助が緊急に求められていますが、それぞれ答弁を求めます。
 小児医療や周産期医療の危機が深刻なときに、石原知事と自民党、公明党が三つの小児病院廃止条例を強行したことに都民の怒りが広がっています。日本共産党は、存続のために全力を尽くすものです。
 都立墨東病院の医療体制の立て直しも切実な要求です。同病院の患者の四分の一は江戸川区民ですが、産科の医師はまだ三人も不足したままです。地域医療を支援すべき都立病院が、逆に地域医療機関から支援を受けないと立ち行かない事態が続いているのです。一体いつまでに墨東病院の医師不足を打開するのですか、お答えください。
 都立墨東病院と清瀬小児病院が、労働基準監督署から医師の残業代などの問題について是正勧告を受けたことがわかりました。勧告の内容を明らかにするとともに、勧告に沿い直ちに是正すべきですが、どうですか。
 江戸川区では、東京臨海病院が休日夜間の小児救急を休止しており、区南部の住民にとって深刻な問題になっています。都はこの事態をどう認識していますか、また、どう解決に取り組むのですか、答弁を求めます。
 さて、今回の補正予算案で初めて整備費が計上された外環道です。地上部道路も合わせれば一メートル一億円もかかる巨大道路で、東京都の負担は最大八千億円にもなることが予想されます。東名以南を含めれば、東京での道路建設では過去最高額の三兆五千億円となります。
 外環道促進の旗振りをしてきたのは、ゼネコンや鉄鋼、セメントメーカーです。しかも、我が党の笠井亮衆議院議員の国会質問によって、大深度トンネル工法の実現性を検討してきた先端建設技術センターが、技術開発を選定する側の国交省の天下りOBと選定されるゼネコン側によって構成されており、自作自演によるものであることが明らかになりました。知事、このことをどう考えますか。大体、こうした巨大道路はすべて大手ゼネコンに発注されるものです。外環道建設は一部のゼネコンなどを潤すだけではありませんか。
 外環道の整備費は国直轄事業負担金とされています。これは本来地方自治体が負担する必要のないものであり、全国知事会はその廃止を求めています。知事は、この当たり前の立場をなぜとらないのですか。それぞれ知事自身の答弁を求めます。
 経済対策というのなら、このような巨大道路の建設計画は中止し、都民の懐を暖め、中小業者の営業に役立つ支援こそ優先すべきです。まず、中小建設業の仕事確保です。都内には四万三千の建設業者があり、四十五万人が建設業に従事しています。しかし、建設不況のもとで仕事がなく、従業員をコンビニで働かせているなどの声があふれ、雇用保険にも入れず、生活費に事欠く職人さんも少なくありません。
 私は、都民の住宅改善の支援や生活密着型公共事業の拡充を緊急に行うことによって、都民の生活環境を改善し、あわせて中小建設業の仕事の確保を大幅にふやすことを提案するものです。
 日本共産党は、生活密着型公共事業の雇用創出効果を試算しました。都営住宅三千戸、認可保育所百五十カ所、特養ホーム百カ所の建設、歩道や路面補修の予算を今年度の二・五倍にすることなどによって、合計延べ二百四十八万人の建設労働者の仕事を確保することが可能なのです。
 建設業を東京の重要な産業の柱に位置づけ、都内中小建設業支援のための緊急三カ年プロジェクト計画を立て、生活密着型公共事業を拡充すること、また、中小建設業の仕事となる木造個人住宅の耐震化工事への助成について基準を緩和し、助成額も現在の二十一万円から五十万円に引き上げることを提案します。
 製造業支援では、緊急に都内すべての業者の実態調査を実施すること、すぐれた技術と事業継続の意思を持ちながらも、受注の確保が困難で経営が厳しい中小企業に対して、新製品や新技術を開発するための一件五百万円から一千万円程度の委託研究制度を創設し、経営の継続と技術の継承を図れるようにすること、区市町村や業者の提案に基づく元気を出せものづくり支援事業を立ち上げることを提案します。
 消費不況の直撃を受けている商店街対策として、国に対して消費税増税の中止と食料品非課税、免税点の三千万円への引き上げを求めるべきです。また、全都一斉消費税ゼロデーの開催と支援、プレミアムつき商品券への助成などを都として実施することを提案します。それぞれ答弁を求めます。
 商店街の街路灯のLED化にとどまらず、個々の店舗でのLED導入、省エネ化への助成を行うなど総合的なエコ商店街事業を立ち上げること、また、街路灯の維持費の助成を行うことを求めます。お答えください。
 中小零細企業の資金繰りは深刻です。都として、超低利、三年据え置き、返済十年の融資制度をつくるとともに、無利子や長期返済などの区市町村の融資の取り組みを支援することを求めます。
 新銀行東京の決算が発表されました。東京都の全面的支援にもかかわらず、融資の焦げつきの増大による破産更生債権及びこれらに準ずる債権が昨年同期よりも五十六億円も増大し、営業収支は四年連続百億円を超える赤字という極めて深刻なものです。
 都は、再建計画より改善されているといいますが、不良債権の処理を先送りして延命させているだけではありませんか。設立の目的である中小企業への融資は三割にすぎず、新銀行東京を継続させる意義は全くありません。知事、問題を先送りし、損失を拡大するのではなく、直ちに破綻処理に踏み出すべきです。
 再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 河野百合恵議員の代表質問にお答えいたします。
 予算特別委員会における発言についてでありますが、高齢社会が生み出す問題の背景には、社会の制度疲労がもたらす構造的な課題や家族のあり方など、さまざまな素因があります。そうしたことへの対応なくして本質的な解決は得られません。社会保障制度についていえば、日本が成熟した国家に脱皮するためには、負担と給付のバランスの議論を避けて通ることはできないと思います。ことし三月の予算特別委員会での発言は、こうしたことに言及したものでありまして、発言が持つ意味合いを正確にとらえていただきたいと思います。
 高齢者の医療費助成についてでありますが、国において高齢者医療制度について見直しを行っているところでありまして、都として新たな医療費助成を実施する考えはありません。
 他については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 四点についてお答えを申し上げます。
 まず、要介護高齢者施設にかかわる特別区長会からの緊急要望についてでありますが、本要望は、未届け施設に対する届け出の徹底と安全性の確保や低所得の要介護高齢者対策に関するものでありました。
 都は、先ほど答弁したとおり、有料老人ホームに該当する施設に対しましては、届け出の促進と入居者の安全・安心を確保するため、すべての施設を対象に防火設備に対する助成を行うとともに、福祉事務所への高齢者支援員の配置を促進するなど緊急対策を講じることといたしました。
 また、介護基盤の整備につきましては、区市町村みずからが推計した介護サービス量に基づいた整備を計画的に進めるため、既に都独自の補助を行うなど区市町村を支援しているところであります。
 次いで、特別養護老人ホームの整備促進についてでありますが、都は、既に高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、着実な整備に取り組んでおります。
 また、お話の特別養護老人ホームの用地取得費助成事業につきましては、たび重ねて答弁しているとおり、国の規制緩和や定期借地権制度の導入、さらには融資制度の充実など、状況が大きく変化をいたしました。こうしたことから、本事業は昨年度着工分をもって終了しており、復活することは考えてございません。
 次いで、認可保育所の整備についてでありますが、都は、待機児童の解消に向けて、認可保育所だけでなく、大都市東京に合った保育サービスを提供する認証保育所や認定こども園などを整備する保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組んでおりますが、今年度の整備目標を当初計画の一・五倍に引き上げることといたしました。
 また、用地確保が困難な大都市の実情を踏まえ、マンション等の賃貸物件による保育所整備を都独自に補助してまいりましたが、安心こども基金の活用により賃借料にも補助対象を拡充し、保育所等の設置促進に取り組むこととしており、用地費補助を行う考えはございません。
 なお、公立保育所の整備につきましては、既に一般財源化されており、都として補助する考えはございません。
 最後に、小児救急医療についてでありますが、小児科医師の不足や小児医療を行う施設の減少など、都内における小児医療提供体制は非常に厳しい状況に置かれております。
 都は、これまでも小児医療を担う医師を養成確保するため、医師の勤務環境改善に対する支援や奨学金制度の創設などの取り組みを行ってまいりました。これに加えて、先ほど答弁しましたとおり、地域における医療体制の強化のための都独自の対策として、小児の休日・全夜間診療事業に参画する医療機関の医師確保への支援や、小児科医師を医療機関に派遣する大学への支援を行ってまいります。こうした取り組みにより、安全・安心な小児医療提供体制を確保してまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、墨東病院における産科医確保についてでありますが、都は、産科医の大幅な処遇改善により年収を従前の約一・五倍に引き上げたことを初め、二十四時間院内保育、育児短時間勤務制度の導入等、重層的、総合的な医師確保対策を国に先駆けて実施してまいりました。また、この間、都内大学医学部等に対し人材派遣要請を強力に行ってきております。
 この結果、都立病院の常勤産科医師数は、この四月には昨年の四月に比較して二割以上増加するとともに、墨東病院の常勤産科医も三名増となるなど、着実に産科体制の強化が実現しております。産科医不足は全国的に深刻の度を増しておりますが、都としては、引き続き墨東病院の産科医の確保に努めていくこととしております。
 次に、墨東病院と清瀬小児病院の労働基準監督署からの是正勧告についてでありますが、現在、勧告内容の事実関係について精査するとともに、労基署と事実認識や見解の相違等について協議を行っているところであります。
 都では、これまでも産科医業務手当の創設などの処遇改善や、医師の昼夜を問わない連続勤務を軽減するいわゆる一直二勤務制度の導入など、医師の勤務環境の改善を行ってきております。
 いずれにいたしましても、労基署の指摘内容につきましては、状況調査や関係機関との協議を十分に行った上で適切に対応してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、外環の建設技術についてでありますが、外環は、大深度、長距離のトンネルでございますことから、事業者である国におきまして、構造、施工方法、防災対策などさまざまな技術検討が行われております。検討に当たりましては、国は、各分野の専門家から成る委員会を設置するとともに、調査業務につきましては、特定の施工者が利益を得ることがないような発注方式を採用してきたと聞いております。
 次に、外環の経済効果についてでございますが、外環の整備によりまして、今後、おおむね十年間にわたりまして継続して建設工事に事業費が投入されることから、建設業を中心として、産業界全体に幅広く有効需要が生み出されるものと考えております。外環の費用対便益は十分高く、まさに必要な道路でございまして、都は、一日も早い完成を目指して事業を推進するよう国に求めてまいります。
 最後に、木造住宅の耐震化への助成制度についてでございますが、都は、防災都市づくり推進計画に定める整備地域を対象に、地震による住宅の倒壊が道路閉塞や火災を招き、避難応急活動を妨げるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあることから、公的助成を実施しております。
 都といたしましては、このような重点的な取り組みが防災対策上重要であると考えておりまして、今後とも制度の周知徹底など普及啓発に努め、耐震改修の促進を図ってまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 外かく環状道路の整備費についてお答えをいたします。
 外環は、東京から全国に放射状に伸びる高速道路を環状に連結し、東京のみならず、広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路であります。
 これまで都は、国に強く働きかけ、精力的に交渉を重ねた結果、先月整備計画が策定され、今回成立した国の補正予算に外環の整備費が盛り込まれました。都においても、今回の補正予算に直轄事業負担金など必要な経費を計上するとともに、今後、国の業務の一部を受託する協定を結び、これまで道路整備で培ってきた経験を生かし、迅速に測量や用地取得を実施してまいります。
 今後、国に対して安定的な事業費の確保と早期着工を強く働きかけるなど、沿線区市と連携し、早期完成に向け積極的に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 中小企業対策等のご質問にお答えいたします。
 まず、東京の産業における建設業の位置づけについてであります。
 建設業を東京の重要な産業の柱に位置づけるべきであるとのご主張でありますが、東京には多種多様な業種が存在し、いずれも東京の経済を支える重要な産業であります。このため都は、業種のいかんにかかわらず、意欲的に経営革新等に取り組む中小企業を支援しております。
 次に、都内製造業の実態調査についてでありますが、都では従前から、産業振興施策の企画立案等に活用する目的で、都内中小製造業について、三年ごとに実態調査を実施してきたところであります。前回の調査は平成十八年度に実施をしておりまして、当初予定どおり、今年度実態調査を実施することとしております。
 次に、中小企業の新製品や新技術の開発に対する支援についてでありますが、都は、中小企業が行う新製品や新技術の開発に対しまして、経費の一部を助成する各種の制度を整備いたしますとともに、都立産業技術研究センターにおいてアドバイスを行うなど、総合的に支援を実施しております。また、中小企業の受注の拡大については、今回の補正予算案の中に受注開拓緊急支援事業の創設を盛り込んだところでございます。
 このように、都は既に各種の制度を通じ、中小企業の新製品、新技術の開発や受注の拡大を支援しております。
 次に、ものづくり支援事業の立ち上げについてであります。都は、区市町村が提案する企業誘致等を支援いたします創造的都市型産業集積創出助成事業や、地域の中小企業が特産品などの地域資源を活用して事業化を図ることを支援いたします地域中小企業応援ファンド事業などを通じまして、既に東京のものづくり産業の活性化を図っております。
 今後とも、これらの事業を着実に実施してまいります。
 次に、商店街における消費税ゼロデーの開催と支援についてでありますが、商店街が、例えば消費税ゼロと銘打って行う消費税相当分の値引きにつきまして、都が支援をする考えはございません。
 次に、プレミアムつき商品券への助成についてでありますが、プレミアムつき商品券を発行することは、各地域の商店街の振興に寄与するものと考えております。このため、都内商店街がプレミアムつき商品券を発行する場合の印刷経費や地元での利用を促すイベント経費を、既に新・元気を出せ商店街事業の助成対象としております。
 次に、商店街の各個店が実施をいたします省エネ化への助成についてでありますが、新・元気を出せ商店街事業は、商店街の振興を目的として、その意欲的な取り組みを支援するものでございまして、こうした観点から、商店街の各個店は支援の対象としておりません。
 次に、街路灯の維持費の助成についてでありますが、新・元気を出せ商店街事業は、商店街の活性化に向けたイベントなど、その意欲的な取り組みを支援するものでありまして、街路灯の電気料等の維持経費は助成の対象としておりません。
 次に、ご提案のありました新たな融資制度の創設についてでありますが、都は、昨年十月から、国の緊急保証制度に対応いたしまして、制度融資の最優遇金利を適用した最長十年の融資メニューであります経営緊急を既に実施をしております。加えて本年四月には、この間の金利動向に合わせて最優遇金利をさらに引き下げますとともに、国の制度改正を受け、経営緊急の据置期間を一年から二年に延長したところでもございます。
 なお、据置期間をさらに長くすることは、据置期間後の返済負担が重くなるなど、中小企業の資金繰りの実態を踏まえないこととなりまして、お話のありました新たな融資制度をつくることは考えておりません。
 次に、都内の区市町村の融資制度に対する都の支援についてであります。
 都内の区市町村の中には、制度内容がそれぞれに異なる独自の融資制度を実施しているところがございます。これらの融資制度は、各自治体がそれぞれの地域の産業の実情や制度実施に係る財政負担等を含めた総合的な政策判断に基づきまして、主体的に実施しているものであります。
 一方、都は、都内全域の中小企業を対象とした制度融資の実施を通じて資金繰りを支援する役割を果たしますとともに、その内容も他の道府県と比べまして手厚い措置をとっておりまして、区市町村独自の融資制度について、お話のような支援を行うことは考えておりません。
 最後に、新銀行東京の再建についてであります。
 新銀行東京は、現経営陣のもとで着実に経営再建を進め、平成二十年度決算において再建計画を上回る業績を上げたところであります。中小零細企業向け融資の実績は約七百件、二百十億円であり、全体に占める割合は、件数で約九割、金額で約四割となっております。また、現在も約一万社に及ぶ中小零細企業を支援しておりまして、そのうち赤字、債務超過先は約五千社、その従業員と家族は約十五万人にも及んでおります。
 昨年来何度も申し上げておりますが、仮に破綻処理を行えば、こうした企業や預金者を初め、多くの都民に多大な負担を強いる結果を招くこととなります。新銀行東京は、今期も再建計画を上回って達成できると見込んでおり、今後とも着実に再建に向け取り組んでまいります。
 なお、新銀行東京の不良債権処理についてでございますが、平成二十年度決算におきまして、金融再生法開示債権に対して八八・五%と十分な水準を引き当てております。不良債権処理の先送りといったご指摘は当たりません。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 中小企業の仕事確保についてでございますが、東京都は、従来から、生活や福祉に関する施設整備を含め、事業の必要性や緊急性に基づき積極的に都市インフラの整備を進めてきておりまして、昨年の二度にわたる補正予算や二十一年度当初予算におきましても、例えば小中高等学校や福祉施設等の耐震化などが含まれており、また今回の補正予算においても、老人ホームの防火対策などを計上しているなど、同様のスタンスでございます。
 このように、都が推進する都市インフラ整備事業は、中小企業の参画が得られやすいものが多数含まれておりまして、中小企業の受注拡大に大いに寄与しております。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 消費税についてでありますが、第一回定例会でもご答弁申し上げたとおり、食料品など生活必需品に対する軽減税率につきましては、適用範囲の合理的な設定が困難であることや課税方式の見直しが必要であることなど、課題が多く指摘されております。
 また、事業者免税点制度につきましては、平成十五年度税制改正におきまして、消費税の信頼性や制度の透明性を向上させる観点から、三千万円を一千万円に引き下げたものでございます。
 税率の問題も含め、こうした点につきましては、今後消費税を含む抜本的な税制改正が検討される中で十分議論されるべきであると考えております。
   〔十四番河野百合恵君登壇〕

○十四番(河野百合恵君) 二点、石原知事に再質問します。
 日本ほど高福祉低負担の国はないという発言について、知事は、負担と給付のバランスの議論を避けて通れないという話にすりかえました。日本は高福祉だという根拠をはっきり答えてください。知事が立って答えられないなら、根拠がないことをいっているのは、知事、あなた自身ということになりますよ。発言を撤回すべきですが、どうですか。
 第二に、外環道と新銀行東京について、知事はみずから答えることもできませんでした。恥ずかしくありませんか。外環道は浪費そのものです。国直轄負担金は全国の知事が制度の廃止や支払いの拒否まで発言しています。使途には国交省の職員の退職金まで含まれています。きっぱり拒否すべきです。
 知事、逃げないで、以上二点、ご自身で答えてください。(拍手)
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 再質問をいただきましたが、ご質問については、先ほどの知事の答弁でしっかり答えておりますので、再質問については、私の方から答えさせていただきます。
 高福祉低負担の件でありますけれども、東京都は、高齢者が住みなれた地域で生き生きと暮らせる安全・安心な社会を実現するためにさまざまな施策に取り組んでおりまして、そうした施策は今年度予算におきまして、一般歳出ベースで過去最高を計上しているということにも端的にあらわれているというふうに思います。
 また、議員からのご質問で、未届け有料老人ホームの事故の件で、これをもって高福祉といえるのかということでありましたが、本件について申し上げれば、先ほどもお答えしましたとおり、届け出の促進と入居者の安全・安心を確保するための緊急対策を講じるなどの対応を迅速に行っているわけでありまして、こうした行政としての取り組みを確実に行うということは当然のことといたしまして、その上で知事からは、将来にわたって安心できる社会を実現するためには、根本的な課題として、我が国の社会保障制度における負担と給付のバランスの議論は避けて通ることができないと申し上げたものであり、この点は予算特別委員会の発言と一貫しているものであります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 外かく環状道路についての再度のご質問にお答えいたします。
 外環は、東京のみならず広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路であるということは、論をまたないと思います。このたび、国の補正予算に外環の整備費が盛り込まれたことから、先ほども申し上げたとおり、都の今回の補正予算案においても、外環の直轄事業負担金を含む必要な経費を計上いたしました。
 今後とも、早期完成を目指して、国と連携しながら、総力を挙げて取り組んでまいります。

議長(比留間敏夫君) 四十九番山口文江さん。
   〔四十九番山口文江君登壇〕

○四十九番(山口文江君) 初めに、高齢者福祉について伺います。
 私は、福祉関係のNPOの副理事長を経て都議会議員となり、始まったばかりの介護保険制度を根づかせ、介護の社会化を進めることを目指して活動してきました。しかし、保険料の見直しや制度改正のたびに、介護サービスは残念ながら充実とは逆の方向に向かっています。団塊の世代が六十五歳を迎えると、四人に一人が高齢者といわれています。特に東京では、高齢者のひとり暮らしや高齢者のみ世帯が増加しており、今後もその傾向が加速することは必至です。
 さらに、独身の子どもが仕事をやめて親を見るシングル介護もふえ、介護疲れによる自殺や心中なども後を絶ちません。今回議員を交代するに当たり、世界に先駆けて超高齢社会を経験する東京において、知事はどのような都市をつくっていくのか、見解を伺います。
 群馬県渋川市の高齢者施設の火災を契機に、未届けの有料老人ホームや高齢者の生活保護受給者の実態が明らかになりました。私たちは、住まいの確保は生活の最低条件と考えていますが、都内に次々とつくられる入居費等に月額十数万円もかかる有料老人ホームに入れるのは、ごく限られた人だけです。特別養護老人ホームは介護度の軽い人は入居できず、重い人でも二カ月から一年の待機は当たり前という状況です。在宅を支える新たな機能の小規模多機能施設も計画にはほど遠く、国や実施主体の自治体は介護保険給付の抑制や介護保険料の抑制に傾き、介護サービスが使いにくくなったという声が後を絶ちません。さらに、この四月からの介護認定基準の変更等は、介護度が軽くなってしまう傾向があります。
 都は、施設よりも在宅にかじを切っており、本年三月策定された東京都高齢者保健福祉計画には、高齢者の自立と尊厳を支える社会の実現に向けてと副題がつけられています。私たちが実施したアンケート調査では、介護度と介護の負担感は比例せず、むしろ介護度の軽い人に対する介護ほど負担感を感じるという現実が明らかになりました。
 今後、この計画に基づき、住みなれた地域や在宅での生活が継続できるよう、都として高齢者福祉の充実に取り組むべきであると考えますが、所見を伺います。
 最後に、行政サービスについて伺います。
 東京都教育委員会は、この四月、都立永福学園に、教員と外部の専門家が連携した新たな指導体制による肢体不自由教育部門を開設しました。開設によって、都立光明特別支援学校などの通学区域が縮小され、都立永福学園に児童生徒が転校することになりました。しかし、新たな体制を導入したにもかかわらず、医療的なケアを必要とする児童への体制が整わず、保護者が付き添いを余儀なくされる状況が二カ月も続いているということです。開校時期は二年も前から決まっているわけですから、万全な指導体制を整えて子どもたちを迎えるべきではないのかと疑問に感ぜざるを得ませんが、都の見解と今後の対応について伺います。
 私は、福祉や教育は最も重要な行政サービスであり、何より高齢者や子どもの立場に立ってサービスが提供されるべきだと考えます。職員はそのサービス提供者であることを常に自覚して仕事をしていただきたいと思います。
 知事は、コスト意識の高い迅速かつ的確な行政執行を明言され、管理職対象にコスト意識についてという研修会も開催されたと聞いています。確かに都政は都民の貴重な税金の上に成り立っているのであり、むだなお金を費やすことは戒めなくてはなりませんが、先日公布された公共サービス基本法の理念にもあるように、行政サービスは単純にコストだけではなく、複合的な視野を持って進められるものと考えます。
 今後の職員に求める行政サービスとコスト意識について都の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山口文江議員の一般質問にお答えいたします。
 超高齢社会における都市づくりについてでありますが、いわゆる団塊の世代が高齢期を迎え、元気な高齢者が八割を占める中で、これまでのように高齢者を支えられる存在として、画一的にとらえるべきではないと思います。
 「十年後の東京」計画では、みずからの経験や能力を生かして、社会を活性化させる存在として新たな高齢者像を描いております。
 最先端技術の活用などによりまして、高齢者の健康で自立した生活を支えるとともに、介護や子育て支援を初め、さまざまな社会的課題の解決に高齢者みずからが活躍できる場を提供するなど、多様な社会参加を促進し、超高齢社会の都市モデルを実現していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 都立肢体不自由特別支援学校の指導体制の整備についてでございますが、本年四月に開設をした都立永福学園の肢体不自由教育部門では、児童生徒がこれまで在籍していた学校等の指導、支援を引き継ぐ必要がございますために、三月中から、転学者等の実態把握や保護者面談等を行い、個に応じた指導を行えるよう準備を進めてまいりました。
 さらに、全児童生徒六十五名中、医療的ケアを必要とする児童生徒十名につきましては、医師、教員、介護等の専門家と保護者が情報を共有し、教員や介護等の専門家が個々の児童生徒の状況に応じた医療的ケアができるよう、引き続き保護者の登校をお願いしてまいりましたが、たんの吸引が必要な児童生徒三名につきましては、五月中までに引き継ぎが完了したため、保護者の登校は終了いたしました。
 たんの吸引とチューブを通して栄養を補給する注入、この両方の医療的ケアが必要な児童生徒七名につきましては、徐々に保護者に登校していただく時間を縮小しておりまして、今学期中には引き継ぎを完了する予定でございます。
 今後は、今年度から導入した介護等の専門家を活用し、安全な環境の中で専門性の高い教育を一層充実することによりまして、保護者が安心して子どもを任せられる指導体制を構築してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 高齢者福祉の充実についてでありますが、都は、本年三月、平成二十一年度から二十三年度までを計画期間として、高齢者施策の総合的、基本的計画であります東京都高齢者保健福祉計画を策定いたしました。本計画では、医療、介護が連携した高齢者専用賃貸住宅のモデル事業を初め、高齢者が住みなれた地域で自分らしく生き生きと暮らせる安全・安心な社会を実現するための施策を明らかにしております。
 今後とも、区市町村を初めとする関係者と十分連携し、本計画の着実な推進を図り、高齢者福祉の充実に努めてまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 行政サービスとコスト意識についてお答えいたします。
 都民の期待にこたえるサービスを提供していく上では、限られた財源、人材を十二分に活用し、最少の経費で最大の効果を上げるというコスト意識の徹底が必要不可欠でございます。これまでも都は、指定管理者制度など民間の経営ノウハウの活用や新たな公会計制度の導入、各種の研修の実施により、職員の意識改革を積極的に進めてまいりました。
 今後とも、すべての職員が行政サービスの質の確保とコスト意識を念頭に置いて仕事を進めていくことが必要でございまして、あらゆる機会と手段を通じ、こうしたバランス感覚を備えた職員の育成に一層取り組んでまいります。

議長(比留間敏夫君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) これより日程に入ります。
 日程第一から第二十三まで、第百二十七号議案、都税還付加算金還付請求控訴事件に関する上告受理の申立てについて外議案二十件、専決二件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事谷川健次君。
   〔副知事谷川健次君登壇〕

○副知事(谷川健次君) ただいま上程になりました二十三議案についてご説明申し上げます。
 初めに、予算案でございます。
 第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)は、国の経済対策に関連して、東京の都市づくり及び都民生活の緊急課題などに迅速に対応するため、一般会計予算で千三百四十九億円の補正を行うものでございます。
 次に、第百八号議案から第百十九号議案までの十二議案は、条例案でございます。すべて一部を改正する条例でございます。
 第百八号議案、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例及び第百九号議案、市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例は、薬事法施行規則の一部改正に伴い、薬局等が医薬品の郵便等販売を行う場合の届け出等が義務づけられたため、届け出の受理事務について、特別区及び八王子市へ移譲するものでございます。
 第百十一号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、地方税法等の一部を改正する法律の施行に伴い、長期優良住宅に対する固定資産税の減額を受ける際の添付書類の規定等を整備するものでございます。
 第百十四号議案、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例は、介護サービス情報の調査手数料等の額を改定するとともに、介護保険法施行規則の改正により追加となった項目の調査手数料を新たに設けるものでございます。
 第百十五号議案、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例は、女性福祉資金貸付事業の充実を図るため、技能習得資金等の貸付限度額を引き上げるものでございます。
 第百十七号議案、東京都営空港条例の一部を改正する条例は、離島航空路線の拡充を図るため、新島空港、神津島空港及び調布飛行場を使用する航空機の重量制限を引き上げるものでございます。
 第百十八号議案、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例は、警視庁西新井警察署の移転に伴い、位置の規定を改めるものでございます。
 第百十九号議案、特別区の消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部を改正する条例は、消防団活動の充実強化を図るため、特別区の消防団員の報酬を引き上げるものでございます。
 このほか、法令の改正に伴い規定を整備するものなど四件でございます。
 次に、第百二十号議案から第百二十四号議案までの五議案は、契約案でございます。
 都立多摩職業能力開発センター(二十一)新築工事請負契約など、契約金額の総額は約七十六億六千万円でございます。
 第百二十五号議案から第百二十七号議案までの三議案は、事件案でございます。
 第百二十五号議案は、新型インフルエンザ発生時において、治安の確保に必要な警察活動を維持するため、感染防止用防護服を買い入れるものでございます。
 第百二十六号議案は、消防機動力を確保するため、更新時期を迎えたヘリコプターを買いかえるものでございます。
 第百二十七号議案は、都税還付加算金還付請求控訴事件について上告受理の申し立てを行うものでございます。
 次に、専決でございます。
 東京都都税条例等の一部を改正する条例及び地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可は、施行までの間に議会を招集する時間的余裕がないと認め、専決処分を行ったものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。

○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、第百二十七号議案については、委員会付託を省略されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、第百二十七号議案は、委員会付託を省略することに決定いたしました。

○議長(比留間敏夫君) これより採決に入ります。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(比留間敏夫君) 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第二から第二十三までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、日程第二から第二十三までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 明三日及び四日の二日間、委員会審査のため休会したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、明三日及び四日の二日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、六月五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後五時三十八分散会

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