平成二十一年東京都議会会議録第二号

平成二十一年二月二十四日(火曜日)
 出席議員 百二十三名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
四番鈴木 章浩君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番伊藤まさき君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番菅  東一君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番早坂 義弘君
二十六番高木 けい君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番矢島 千秋君
四十四番高橋かずみ君
四十五番吉原  修君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番田代ひろし君
六十四番川井しげお君
六十五番こいそ 明君
六十六番崎山 知尚君
六十七番宇田川聡史君
六十八番秋田 一郎君
六十九番村上 英子君
七十番倉林 辰雄君
七十一番遠藤  衛君
七十二番三原まさつぐ君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番田島 和明君
八十八番樺山たかし君
八十九番山加 朱美君
九十番山田 忠昭君
九十一番串田 克巳君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番吉野 利明君
九十七番初鹿 明博君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大津 浩子君
百番大塚たかあき君
百一番相川  博君
百二番中村 明彦君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番鈴木 一光君
百十二番三宅 茂樹君
百十三番高島なおき君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君

 欠席議員 二名
三番    米沢 正和君
百二十七番 渡辺 康信君
 欠員
五番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長金子正一郎君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長今里伸一郎君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長中村 晶晴君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長野口  孝君

 二月二十四日議事日程第二号
第一 第一号議案
  平成二十一年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
  平成二十一年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
  平成二十一年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
  平成二十一年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
  平成二十一年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
  平成二十一年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
  平成二十一年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
  平成二十一年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
  平成二十一年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
  平成二十一年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
  平成二十一年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
  平成二十一年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
  平成二十一年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
  平成二十一年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
  平成二十一年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
  平成二十一年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
  平成二十一年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
  平成二十一年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
  平成二十一年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
  平成二十一年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
  平成二十一年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
  平成二十一年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
  平成二十一年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
  平成二十一年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
  平成二十一年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
  平成二十一年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
  平成二十一年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
  平成二十一年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
  平成二十一年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第三十号議案
  東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
  東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
  都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
  住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
  東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
  東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
  東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
  東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
  東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
  東京都育英資金条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
  東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
  教育職員免許法関係手数料条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
  東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
  東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
  東京都医師奨学金貸与条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
  東京都福祉のまちづくり条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
  東京都介護福祉士等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
  東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
  東京都介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
  東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
  東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
  東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例
第六十三 第六十三号議案
  東京都入港料条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
  東京都漁港管理条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
  東京都営空港条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
  都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
  東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
  鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
  高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
  液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
  火薬類取締法関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
  東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
  東京都立公園条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
  警視庁留置施設視察委員会の設置に関する条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
  東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
  火災予防条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
  東京都医学系総合研究所(仮称)(二十)Ⅱ期新築工事請負契約
第八十二 第八十二号議案
  東京都医学系総合研究所(仮称)(二十)Ⅱ期新築電気設備工事請負契約
第八十三 第八十三号議案
  東京都医学系総合研究所(仮称)(二十)Ⅱ期新築空調設備工事請負契約
第八十四 第八十四号議案
  都立産業技術研究センター(仮称)(二十)新築電気設備工事(その二)請負契約
第八十五 第八十五号議案
  都立産業技術研究センター(仮称)(二十)新築空調設備工事(その二)請負契約
第八十六 第八十六号議案
  環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十一─環二西新橋工区)請負契約
第八十七 第八十七号議案
  平成二十年度ドラグサクション式しゅんせつ船製造請負契約
第八十八 第八十八号議案
  包括外部監査契約の締結について
第八十九 第八十九号議案
  清掃工場建設工事に係る損害賠償等請求控訴、同附帯控訴事件に関する和解について
第九十 第九十号議案
  全国自治宝くじ事務協議会への岡山市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
第九十一 第九十一号議案
  土地の売払いについて
第九十二 第九十二号議案
  首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第九十三 第九十三号議案
  平成二十一年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第九十四 第九十四号議案
  平成二十年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第九十五 第九十五号議案
  多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第九十六 第九十六号議案
  多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
第九十七 第九十七号議案
  多摩川流域下水道多摩川上流処理区の維持管理に要する費用の関係市町村の負担について
第九十八 第九十八号議案
  平成二十年度東京都一般会計補正予算(第四号)
第九十九 第九十九号議案
  平成二十年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百 第百号議案
  平成二十年度東京都一般会計補正予算(第五号)
第百一 第百一号議案
  東京都消費者行政活性化基金条例
第百二 第百二号議案
  東京都安心こども基金条例
第百三 第百三号議案
  東京都妊婦健康診査支援基金条例
第百四 第百四号議案
  東京都障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
  東京都ふるさと雇用再生特別基金条例
第百六 第百六号議案
  東京都緊急雇用創出事業臨時特例基金条例
第百七 諮問第一号
  地方自治法第二百三十八条の七の規定に基づく審査請求に関する諮問について

 午後一時十五分開議
〇議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(比留間敏夫君) これより質問に入ります。
百十三番高島なおき君。
〔百十三番高島なおき君登壇〕

○百十三番(高島なおき君) 平成二十一年第一回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 我が国は、百年に一度といわれる世界的な金融危機のさなかにあります。これまで世界経済のグローバル化のメリットだけがもてはやされてきましたが、その中で進行してきた証券化や金融デリバティブ商品の大衆化など、これまでにないマーケットメカニズムの展開が経済全体にもたらした帰結は、想定をはるかに超えたものでありました。ウオール街に生じたほころびは、瞬く間に世界をのみ込む大波と化し、出口の見えない深刻な同時不況をもたらしているのであります。一年前までの好調な経済状況は一変して、企業の多くは、収益の悪化、資金調達の困難に直面し、設備投資を控え、賃金カットやリストラに企業の存続をかけざるを得なくなっています。雇用環境が悪化し、個人消費が低迷、企業の売り上げがさらに落ち込むという負のスパイラル、これが私たちの直面している現状であります。とりわけ、金融機関の貸し渋りなどにより、東京の経済を支える中小企業は、大企業以上に大きな痛手を受けています。
 都議会自由民主党は、中小企業への資金繰り対策や受注機会の増加策、雇用創出策などの緊急対策を都に要請し、二度にわたる東京緊急対策の実現に大きく寄与してきました。一方、国政では、経済対策すらも政局の材料とされ、有効な手だてを打てず、我が国の将来展望についても十分な議論がなされていないのであります。厳しい社会経済にあってこそ、これまで以上に都民の生活を守り、首都東京の活力を向上させるため、英知を結集して、具体的かつ効果的な解決策を打ち出し、今後の都政運営に責任を持って臨む決意です。
 そこで、我々と手を携えてこの難局の打開に取り組んでいる知事に、改めて、都政を取り巻く現状についての認識と今後の都政運営に対する基本姿勢を伺いたい。
我々が直面している世界同時不況は、戦後の経済社会復興に匹敵するほどの大きな課題であります。そのような中、今何よりも必要なのは未来への夢と希望です。二〇一六年のオリンピック・パラリンピック東京開催は、世界から東京に集うアスリートや観客の交流を通じて、地球を一つに束ねる平和の祭典であり、子どもたちを初め都民、国民に未来への大きな希望を与えるものであります。同時に我々は、二〇一六年を最終年次とする「十年後の東京」という青写真を持っています。
 オリンピック・パラリンピック招致と「十年後の東京」の姿を共通の目標として、夢と希望を抱き、その実現に向けて、環境をよくし、インフラを改善し、スポーツを振興していく、このプロセスを通じて、危機的な社会経済状況を克服することが可能になると思います。七割を超える高い支持の背景には、オリンピックがもたらす、経済や社会を前向きに変えていくポジティブなエネルギーへの期待があるといえるのではないでしょうか。
 こうした状況を踏まえ、改めて、知事は、東京オリンピック・パラリンピック開催が我が国の社会経済に及ぼす効果をどのように考えているのか、お伺いをしたい。
 昨年六月、七つの申請都市から立候補都市が承認されるに当たって、東京は高品質かつ豊富な宿泊施設、世界で最も安全な治安のよさ、環境問題に対する先進的な取り組みなどが高く評価され、総合点で一位を獲得しました。ただ一つ懸念されたのは、他都市と比較して低い水準にあった都民、国民の支持でしたが、町会や商店街、その他の関係機関等との連携のもと、さまざまな機会をとらえて行ってきた取り組みが功を奏し、招致への支持は上昇してきました。今後も積極的な活動を展開することにより、支持率の拡大はもとより、オリンピックムーブメントの推進を促すことにつながるものと期待するものです。
 去る十二日に、国際オリンピック委員会、IOCに提出した立候補ファイルは、一次選考で高評価を得た計画をさらに磨き上げ、成熟を遂げた東京、日本だからできるオリンピック・パラリンピックの詳細な開催計画を示すものだと考えています。戦後からわずかの間に復興を遂げた東京の姿を世界に示した一九六四年の前回大会とは異なり、低カーボン、低エネルギー社会の実現や、潤いのある水辺環境や緑の創出など、成熟したがゆえにいち早く直面している世界的な課題に対する解決策を提示するとともに、コンパクトな会場配置と世界に誇る環境技術で、トップアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるひのき舞台を提供する競技大会であります。こうした機会に、目と耳で、そして肌で直接触れることは、必ずや次代を担う子どもたちにかけがえのない心の財産を残すことになると確信するものです。
 立候補ファイルをまとめ上げ、いよいよ本格化する招致レースに臨む知事の決意をお聞かせ願いたい。
 招致を成功に導くためには、東京の開催計画のすばらしさを、来る十月二日に投票するIOC委員にしっかりと理解してもらうことが必要です。
 今後、東京で二度目となる大会開催の意義や大会の特色、東京の都市としての魅力、最先端技術など、日本の持つ力をどのように伝えていこうとしているのか、伺いたい。
 我々議員はこれまで、石原知事とともに手を携え、東京オリンピック・パラリンピック招致の先頭に立って取り組んできました。今後も、なお一層積極的に招致実現に取り組んでいく決意であることを、ここに改めて表明するものであります。
 我が国の政治においては、日本が進むべき困難な道から目をそらし、ささいな点をとらえて、ためにする批判、反対に終始するというあしき風潮がなお存在します。今、我々政治家には、日本人が自信を取り戻し、国の将来を明るいものとするために、勇気ある行動が求められているのであります。難局を打開するには、予算、人材など、資源を惜しみなく投入することが重要であり、それがまさに政治の責任であります。
 都の二十一年度予算編成は、世界的金融危機による厳しい状況に対し、石原都政がどう立ち向かっていくのかを問うものでありました。昨年来の補正予算から二十一年度当初予算に至る経過を見ると、石原都政は、この十年間培ってきた力を遺憾なく発揮したと思います。
 この十年間、知事と我が党は手を携え、徳俵に足のかかっていた財政を立て直すと同時に、国を牽引する先駆的な施策を次々と打ち出してきました。事業者の理解と協力のもとでのディーゼル車規制や不正軽油撲滅作戦などの環境施策、CBO、ベンチャー育成など中小企業対策、新公会計制度の導入、羽田空港の再拡張と国際化など、その成果は枚挙にいとまがありません。さらに、夏以来の経済危機に対しては、二度にわたる補正予算を迅速に編成して、動きの遅い国を牽引してきました。
 二十一年度予算案では、大幅な税収減のもとでも、財政力を駆使して財源を確保し、一般歳出を二・九%伸ばしております。直面する緊急課題である中小企業、雇用対策や環境対策の分野は、ともに前年度比三〇%増額とし、投資的経費や福祉関係費も底上げを図るなど、必要な施策に財源を重点的に配分しています。この予算案は、現下の経済状況に都政が正面から立ち向かった、質と量を兼ね備えたものと評価するものであります。
 そこで、二十一年度予算案の基本的な考え方と、これに込めた知事の決意を披瀝していただきたい。
 また、都税収入の減少が過去最大の七千五百億円と見込まれる中、財源確保の苦労もうかがえます。積極予算を編成する上での財源確保に関する考え方を伺いたい。
 税収減は、世界規模の不況に起因するものであり、今後、相当の期間にわたって都政の重大課題となるものと考えます。そこで看過できないのが法人事業税の暫定措置です。七千五百億の税収減のうち、これによる減収は約二千七百億円にも上ります。急激な景気低迷による税収減は都市部を直撃しており、暫定措置の実施は、東京を初めとする大都市の財政に一層深い傷を負わせています。都が財政の対応能力を培ってきたとはいえ、早晩、東京の活力の創出はおろか、維持すら困難な事態が生じるのではと危惧するものであります。今こそ首都東京を中心に大都市圏が危機に対峙しなければ、我が国の経済に展望を開くことはできません。
知事は、法人事業税暫定措置の問題に今後どう対処していくのか、所見を伺いたい。
また、底が見えない景気状況にあって、今後の都税収入の見通しはどうなのか、税収確保に向け今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。
 経済低迷が続いたとしても、都政の停滞は許されず、的確な対応策を打つことが責務であります。財政運営には、そのための力の維持、増強が求められますが、短期、中期両方の視点からの取り組みについて所見を伺いたい。
 昨年の第三回都議会定例会において申し上げましたように、これまでの量にウエートを置いた行革は大きな成果を上げてきました。しかし、一方で、団塊世代の大量退職による業務遂行能力の低下や、少子化の進行による人材難、民間活力の導入拡大に伴う行政としてのコントロール責任など、さまざまな懸念が生じている中、行財政改革のあり方はターニングポイントを迎えているのであります。
 我が党の主張を踏まえ、平成二十二年度の新規採用職員数を前年度の一・五倍としたことは、時宜を得た対応であります。特に、今後、膨大な社会資本の更新が見込まれる中で、土木、建築など技術職の採用予定者をふやしたことは、都が培ってきた技術を承継していく上でも不可欠な対応であります。また、政策対応能力を持つ多様な人材を即戦力として幅広く確保するために、専門的な職務経験のある人材の採用年齢制限を撤廃するなどの取り組みは評価に値するものであります。
 行財政改革実行プログラムで掲げた四千人の定数削減が達成できる見込みとなった今、次の主要課題は、一騎当千の人材を育成することであります。既に都は、OJTの徹底に組織を挙げて取り組み、来年度からは、職員研修所の機能の拡充により、都政を支援、補完する監理団体の人材育成にも積極的に乗り出そうとしています。また、土木技術センターのように、技術支援機能等に人材育成機能を付加して、新たな一歩を踏み出そうとしている例もあります。
 人材育成にとって研修の充実は重要であり、これらの取り組みに大いに期待するものでありますが、より基本となるのは、仕事での多様な経験を通じた育成であります。職員が成長の節目ごとに現場経験を積むことが不可欠でありますが、例えば、課長、部長昇任の前後に経験させるべき現場らしい現場が減少しているという声も聞きます。また、大量退職の時期にあって、職種、職層を問わず、英知にあふれたベテラン職員の力を柔軟に活用、伝承する取り組みも求められています。
 現場での仕事を通じた人材育成や、貴重なノウハウや技術などの世代間継承が喫緊の課題となっている、今後の人材育成、活用のあり方について、知事の所見をお伺いしたい。
 次に、都政における現場の運営のあり方について伺います。
私は、昨年の第三回定例会において、行政責任とアウトソーシングについて、真に住民サービスは向上しているのか、行政としてコントロール責任を果たし得ているのか、実態に応じた検証が必要であり、その結果によっては、振り過ぎた振り子を戻すことも必要であると主張しました。
 いうまでもなく、都政の効率的な執行、民間活力の導入という目的自体は正しいと思います。しかし、都政の現場は多種多様であります。公の施設でも指定管理者制度の導入が進んでいますが、一口に公の施設といっても、施設の態様、サービスの目的や性格はさまざまです。都の政策と密接に連携した管理運営を行うべきもの、サービス向上や効率化をより重視すべきものなど、施設の性格により、最も適した担い手や手法を見きわめなければなりません。行政を支援、補完する監理団体を適切に活用すべきものと、民間の競争原理にゆだねるべきものの再整理を行う時期に来ていると考えます。
 我が党においても、近々、プロジェクトチームの検討結果を明らかにする予定ですが、この間、都は、指定管理者制度のあり方などについて、再整理に向けてどのような検討をしているのか、伺いたい。
 我が党が主張し続けてきた契約制度の改革も、厳しい経済状況の中、東京の中小企業を支援し、地域産業を育成する上で、待ったなしの課題であります。
 都は、昨年九月の入札契約制度改革研究会の第一次提言を受け、市場実態に合った予定価格の設定や、建設業業界と意見交換をする場の拡充に取り組んでいます。また、先月、その後の中小企業の資金繰り需要を踏まえ、中小企業の工事着工資金を確保し、公共工事の適正、円滑な施行を目的とした前払い金の支払い対象の拡大を行ったことは、我が党の要望にこたえたものであり、適切な対応であったと考えます。
しかしながら、いまだ道半ばであり、この夏に予定されている、制度全体の改革による抜本的な解決策を含めた最終提言が待たれるわけですが、現在の検討状況はどうなっているのか、伺いたい。
 「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九についてであります。
 昨年の第三回定例会で、我が党の質問に対し、知事は、オリンピック・パラリンピック立候補都市選定の際、「十年後の東京」計画で描き出した世界の範たる都市像がIOC理事会からも高く評価されたと確認している旨、答弁されました。我々も全く同感であります。
 このことは、今後、東京が、深刻な環境異変、経済危機、超高齢社会の急速な進展など、ひとり東京のみではない、世界の大都市が内包する危機をどのように乗り越え、未来へのかけ橋を築いていくかを問われているものと考えます。オリンピック・パラリンピック招致競争が待ったなしの正念場を迎える中で、実行プログラムで掲げた取り組みをいかに迅速に実行し、さまざまな分野でさらなる成熟を遂げる東京の姿を内外に発信していくかが、招致成功の大きなかぎを握ると確信しています。
 そこで、どのようにして世界の範となる都市像を着実に実現していくか、知事の決意を伺いたい。
また、実行プログラムに掲げた環境問題や雇用就業支援など、局をまたがる課題については、知事本局が、単なる調整にとどまらず、真のリーダーシップを発揮して、横の連携をとりながら取り組むことが重要です。ともすれば、扇のかなめとしての力が弱まっているのではないかと危惧されております。そこで、「十年後の東京」実現に向けて、改めて、知事本局が果たしていく役割について所見を伺いたい。
 先般、産業労働局が発表した昨年十二月の景況調査では、都内中小企業の業況判断指数が過去十年で最悪の水準となるなど、景気の後退が企業現場の実感となってあらわれています。また、世界経済の悪化で外需の低迷が深刻化するなど、中小零細企業の経営環境はさらに厳しさを増すことが懸念されます。
こうした一刻の猶予も許されない状況の中、中小零細企業に対する支援を今後どのように進めていくのか、基本的な考え方について知事の見解を伺いたい。
 年度末を控えて最も喫緊の課題になっているのが資金繰りへの支援です。都では、我が党の要望を受け、これまで二度にわたって補正予算を編成し、緊急保証の融資枠の拡大、信用保証料補助の充実など、資金繰り支援の強化を図ってきたところです。
 我が党としても、緊急保証の対象業種の大幅な拡大を実現するため、国に対して直接働きかけるとともに、区市町村窓口への中小企業診断士の配置による認定業務の円滑化にも力を注いできました。
今後とも、都として、緊急保証制度を中心に、中小零細企業の資金ニーズに一層的確にこたえていくことが求められます。
 また、最近の日銀の政策金利の引き下げに対応し、都の緊急保証制度の融資利率も引き下げるべきと考えます。緊急保証制度のこれまでの実績と今後の取り組みについて伺いたい。
 また、緊急保証制度により多くの中小零細企業が救われていますが、その一方で、この緊急保証制度によっても十分に資金調達できない、厳しい状況に直面している中小零細企業が存在しています。こうした企業の中には、高い技術力などにより、この難局さえ乗り切れば将来的に展望が開ける企業もあるはずです。こうした企業に対し、今、何らかの支援策を講じることが強く求められています。
我が党は、こうした観点に立ち、さきの第四回定例会においても、地域の金融機関との連携を強化し、資金供給の一層の円滑化を図るべきであると提言しました。これを受け、来年度予算案には、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策が盛り込まれていますが、この支援策の基本的な考え方と実施に向けたスケジュールについて伺いたい。
 都内の中小企業は、受注の減少や資金繰りの悪化等により、生き残りをかけた厳しい経営を迫られています。こうした厳しい経営状況を打開し、将来にわたって成長していくためには、金融支援を中心とした緊急対策に加え、経営基盤を強固なものとするために、それぞれの企業の経営力を一層強化していくことが不可欠です。
 我が党は、さきの第四回定例会において、日ごろから各地域において個々の中小企業経営者を熟知している商工会議所、商工会を初めとする中小企業支援機関の力を結集させ、一丸となって中小企業の経営力の強化を図るべきであると提案いたしました。
 これを受けて、都は、平成二十一年度新規事業として経営力向上TOKYOプロジェクトに取り組むことになりましたが、このプロジェクトや関連する各事業において、都や各支援機関は具体的にどのような取り組みを実施していくのか、伺いたい。
 また、我が党は、地域コミュニティの核である商店街の振興に向け、新・元気を出せ商店街事業の充実強化をこれまで一貫して主張してきました。その結果、今日では、都内の多くの商店街がイベントや活性化事業に取り組むとともに、安全パトロールや育児支援事業なども展開されています。しかしながら、イベントや活性化に取り組みたくても、自己財源が乏しいことから実施できない零細な商店街への支援も必要です。また、商店街が持てる力を十分に発揮できるよう、その組織率を高める取り組みもさらに推進する必要があります。加えて、区市町村の区域にとらわれない商店街振興策も実施し、その効果を広域的に波及させていくべきです。
 我が党としては、こうした観点から、さらなる商店街振興策の充実強化を図るべきと考えますが、二十一年度予算に盛り込まれた新たな支援策について伺いたい。
 地域の活性化には、防犯、防災に大きな役割を果たしている町会、自治会を元気にする取り組みは欠かせません。
 我が党が平成十九年度の新規施策として提案し実現した、町会、自治会の活動を支援する地域の底力再生事業助成事業は、当初、二カ年のモデル事業とされていましたが、地域の高い評価を得て、継続を実現することができました。また、来年度の予算についても、我が党の復活要求の結果、一億円が計上されました。
 町会、自治会からは、この事業をさらに積極的に活用するため、助成対象事業をイメージしやすくしてほしい、また、より利用しやすいものにしてほしいという声が上がっています。来年度に向けて創意工夫が望まれるところですが、都はどのように取り組んでいくのか、伺いたい。
 次に、新銀行東京について伺います。
 先般、新銀行東京は、経営悪化の原因について、外部の弁護士に委託した調査結果を公表しました。その中で、改めて旧経営陣によるずさんな経営のかじ取りが明らかになりました。新銀行東京は、この調査結果を踏まえ、旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟の準備を進めることを表明しております。旧経営陣への責任追及は当然のこととして、現在の経営陣のもとで新銀行東京が再建を進め、その役割を果たせるかが問われていると思います。
世界的な経済危機の中で、金融機関を含め、国内外の企業が決算見込みを下方修正するなど、経営環境は一段と厳しさを増しております。
 こうした中、新銀行東京の第三・四半期決算が発表されました。今回の決算は、再建計画初年度の目標達成にとって大変重要な意味を持つものと考えております。
 我が党はこれまでも、追加出資の四百億円を毀損させず、着実に経営再建を果たすことを求めてまいりましたが、今回の決算をどのように評価し、また、通期での見通しをどのように考えているのか、見解を伺いたい。
 固定資産税等の軽減措置について伺います。
知事は、平成二十一年度より、二十三区内の固定資産税額等の著しい上昇に対する緩和措置として、我が党がかねてから要望してきた新たな条例減額制度を実施することを明らかにしました。そこで、この新たな条例減額制度の意義とその効果について伺いたい。
 生活、雇用対策について伺います。
 既に指摘したとおり、雇用環境は急速に悪化し、今後も予断を許さない状況です。一月に厚生労働省が発表した調査結果によると、三月までに、全国で、非正規労働者では約十二万人が、正社員でも約六千人が失業する可能性があるとし、十二月調査に比べ大幅に増加しています。
 今、雇用の場が急速に失われており、また、派遣など非正規労働者であった方が離職した場合、再就職は容易なことではありません。
 都はこれまで、緊急対策を打ち出し、二度にわたり補正予算を組んできましたが、こうした状況下では、例えば観光や林業などでの新たな雇用創出はもとより、きめ細かな相談、職業訓練の充実や訓練期間中の支援など、多面的な雇用対策を効果的に実施すべきであると考えますが、見解を伺いたい。
 雇用環境が悪化する一方で、介護人材は、国によると、平成二十六年には最大で百六十万人が必要とされており、その確保は喫緊の課題であります。
 我が党の緊急要望を踏まえ実施した介護福祉士等の養成機関入学者に対する入学金の貸付事業は時宜をとらえたものでありますが、雇用状況の改善が早急の課題となっている現状を、介護人材の確保に向けた施策の契機として前向きにとらえることも必要ではないでしょうか。
 今回、都が新規事業として予定している離職者支援事業の早期実施も含め、多様な支援策により、離職者を介護分野への就職につなげていくことが急務と考えます。また、職を失った方々からの相談をさまざまな対策に着実につなげていくことも重要です。今後、年度末に向け、万全の体制を整えるべきと考えますが、あわせて所見を伺いたい。
 今後の新しい都市づくりの展開についてお聞きいたします。
都市再生事業の着実な進展など、我が国を先導する先進的な都市づくりが進んできた東京でありますが、世界的な景気後退の影響や、アジア諸都市の台頭による都市間競争の激化など、東京を取り巻く状況は今後さらに厳しさを増していくものと思われます。
 こうした中で、都は、さきの第四回定例会において、新たな時代の要請に対応し、東京をさらに機能的で魅力ある都市としていくために、平成十三年に策定した都市づくりビジョンを改定していくことを明らかにしました。そこで、改定する都市づくりビジョンの方向性とその進め方について伺いたい。
 次に、東京外かく環状道路について伺います。
 外環は、広く我が国全体に便益を及ぼす重要な道路であり、経済、雇用対策として前倒しで実施するよう、経済団体からも期待が寄せられています。そして、外環の早期着工は、国が法人事業税の移譲の際に最大限の協力を約束した都の重要施策です。都議会では、昨年暮れに、超党派で構成する東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟において、平成二十一年度の事業着手を求める緊急決議を行ったところです。
 先般、石原知事は金子国土交通大臣を訪ね、国土開発幹線自動車道建設会議の開催を要請したと聞いております。改めて知事に、外環整備に対する決意を伺いたい。
 また、事業着手後、外環の早期完成を目指して、工程の促進に向けたあらゆる手を尽くす必要があると考えます。それにはまず、インターチェンジ、ジャンクション部などの事業用地を確保することが重要であります。
都はこれまでも、国と都が協力し用地の確保に取り組むことが重要であるとの認識を示してきましたが、今後の具体的な取り組みについて、また、あわせて、地上部に計画されている外環ノ2について、切り離すべきとの意見がありますが、どう考えているのか、伺いたい。
 外環など三環状道路を初め、幹線道路ネットワークや連続立体交差などの整備の裏づけとなる道路財源については、現在、国会において、地方道路整備臨時交付金にかわる地域活力基盤創造交付金の創設を盛り込んだ平成二十一年度予算案が審議されています。
また、高速道路ネットワークの有効活用を図り、その整備効果を高めるためには、利用しやすい料金体系を構築することも必要であります。我が党の働きかけなどにより、経済対策として、時限的ながらも、首都高を初め大都市圏の高速道路料金の引き下げが国から示されたことは一定の評価をいたします。
 首都東京の道路整備の着実な推進には、必要な財源を確実に確保することが不可欠であり、また、高速道路料金施策についても、さらなる拡充の必要があると考えますが、都の取り組みについて伺いたい。
 迅速な日本経済の立て直しが急務な中、羽田空港の再拡張とともに、東京港の機能強化は、日本の産業を支える上で大変重要であり、同港は首都圏四千万人の生活や産業を支えるメーンポートとして欠かすことのできない存在です。
 また、ダイナミックに移り変わる世界の物流動向に的確に対応し、世界の港湾間競争に打ち勝たなければなりません。
 大規模な港湾施設の整備には、計画まで含めれば、少なくとも五年程度の日時を要します。したがって、中長期的な視点から、東京港の将来あるべき姿を定めた港湾計画の適時適切な見直しが不可欠です。そこで、昨年夏の港湾審議会答申を反映して、港湾計画の見直しを早急に行っていくべきと考えますが、所見を伺いたい。
 現在の東京水道は、長い年月をかけて、水源から蛇口に至る施設整備を推進し、世界有数の事業体に発展しました。安心・安全を次世代にしっかりと引き継いでいくことが必要です。
 将来を考えると、気候変動による水資源への悪影響など、大きな不安があります。既に利根川水系では、ダム供給能力が二割低下し、今後、気候変動がさらに深刻化し、異常渇水の発生頻度が増加すると指摘されています。
 八ッ場ダムを初めとする水資源に関する議論の中には、ダムを不要とする近視眼的な主張があります。こうした主張は、首都東京の安心・安全を顧みない、極めて無責任な議論ではないでしょうか。また、ダムの一日も早い完成を望む地元住民の声を全く無視した議論です。
 東京の水道は、今後、気候変動や大規模施設の集中更新などに備え、水源の確保や施設の再構築など、将来をしっかりと見据えた対策が必要と考えます。このため、首都東京を支える水道の将来像について、わかりやすく都民に示していくべきではないでしょうか。基本的な考え方を伺いたい。
 多摩川上流の水道水源林についても、将来を見据えた取り組みが必要と考えます。水源林のうち約四割を占める民有林の多くは、荒廃が進み、土砂の流出防止や水源涵養機能などが大きく損なわれてきています。
 首都東京の貴重な水をはぐくむ水源林をみずからの手で守り続けていく決意と取り組みが必要ではないでしょうか。見解を伺いたい。
 我が党は、さきの第三回定例会において、現行の多摩リーディングプロジェクトについては、新たな課題にも対応した実効性のある振興策とするよう、その見直しを主張してきました。今回、都は、この主張にこたえて、多摩地域の総合的な振興策となる多摩振興プロジェクトを取りまとめました。厳しい経済状況の中、改めて、四百万人を超える都民が暮らす多摩・島しょ地域の振興に対する知事の所見を伺いたい。
 また、策定した多摩振興プロジェクトは、多摩地域の基盤整備にも引き続き精力的に取り組むとともに、重要な課題である医療、福祉などの事業も取り入れて、大きく拡充されました。策定の考え方と今後の多摩振興への取り組みについて所見を伺いたい。
 平成二十五年に開催する東京国体についても、多摩・島しょ地域の振興と連動して準備を進めていく必要があります。
 各区市町村では競技施設の整備が進められておりますが、全国から多くの方々をお迎えするためには、これまでと異なり、競技以外の観点からも施設整備の充実を図るように財政支援を行うべきですが、所見を伺いたい。
 近年、世界的に大規模水害が多発しております。我が国でも、時間当たり降水量一〇〇ミリ以上の回数が、平成八年からの十年間で年平均四・七回と、以前と比較して倍増しています。
 こうした中、国の中央防災会議では、昭和二十二年のカスリーン台風に匹敵する、二百年に一度起きるような大洪水により荒川堤防が決壊した場合、避難が行われない最悪のケースでは、死者が都内で約三千五百人に達するとの被害想定を公表しています。
 都は、十九年五月に、局地的集中豪雨に対応するため、地域防災計画風水害編を見直しをしましたが、大規模水害対策について、国の被害想定を踏まえた検討を行い、計画を見直し、必要な対策を講じるべきと考えますが、所見を伺いたい。
 また、都が中小河川で現在進めている、五〇ミリ降雨に対応する整備をスピードアップするとともに、洪水予報など、被害軽減のための情報提供を充実させ、東京の治水の安全性を早急に高めるべきと考えます。
 そこで、都は、中小河川の五〇ミリ降雨対策をさらに推進するため、具体的にどのように取り組んでいくのか、伺いたい。
ところで、平成十九年八月に策定された東京都豪雨対策基本方針では、おおむね三十年後に、七五ミリ降雨での浸水被害を可能な限り防止することとしています。
 また、東京都技術会議においても、去る二月三日、七五ミリ降雨に対応できるよう、治水対策のレベルアップを検討すべきとの提言が出されています。
 これらの方針や提言も踏まえ、現在の五〇ミリ降雨対策の完了を待つまでもなく、早期に次のステップへと踏み出すことにより、水害に対する安全度をより向上させることが重要です。中小河川における七五ミリ降雨対策に向けた都の基本的な考え方を伺いたい。
 また、都民の生命と貴重な財産を守り、首都として東京の機能を維持するため、宿命的な課題である震災対策に積極的に取り組む必要があります。
 地域防災計画において大規模救出救助活動拠点に位置づけられている都立公園は、自衛隊などによる広域支援救助部隊のベースキャンプとなり、迅速な消防活動や物資輸送に資するためのヘリコプターの緊急離着陸場所として大きな役割を果たします。
 現在、救出救助の活動拠点となる都立公園の整備が進められていますが、まず、その取り組み状況について伺いたい。
 また、いつ起こるともわからない災害に備え、住民の避難場所となっている都立公園については、例えば、地震が夜間に発生したときでも、住民が安全にスムーズに避難できるような入り口とするなど、避難場所としての機能を早急に強化していく必要があると考えますが、所見を伺いたい。
 建物の耐震化も重要です。
 ことしで十四年が経過した阪神・淡路大震災において、幹線道路沿いの建物倒壊が招いた道路の寸断は、交通の麻痺だけではなく、避難や救急、消火活動の支障となりました。このことは、沿道建築物の耐震化を進める必要があるという大きな教訓となりました。
 ところが、沿道建物の多くは大規模なビルであるため、耐震化には多額の費用を要します。また、現下の経済情勢を考えると、中小企業や個人の建物所有者にとって、耐震化を進めたくても、負担が大き過ぎて、後回しになってしまいがちというのが現状ではないでしょうか。
 このような状況であっても、耐震化施策の手綱を緩めることはできません。今後も都は、どのように沿道建物の耐震化を促進していくのか、所見を伺いたい。
 また、緊急輸送道路沿道の建物に限らず、住宅の耐震化は喫緊の課題です。
 都は、昨年夏に立ち上げた耐震化推進都民会議を核に耐震キャンペーンを行うなど、社会機運の醸成に努めており、一月に開催した耐震フォーラムでは、参加希望者が定員を上回る盛況であったと聞いています。また、戸別訪問が効果を発揮し、耐震診断については実績が上がってきていると伺っています。
 耐震化をさらに促進するためには、これまでの資金援助のほか、都民ニーズに包括的に対応できる体制や、都民の立場に立った適切な情報提供、また、合意形成に向けた環境づくりが重要と考えます。今後、都は、マンションを含めた住宅の耐震化をどのように進めていくのか、所見を伺いたい。
 次代を担う子どもたちのとうとい命を守るため、学校施設の耐震化は緊急かつ重要な課題であります。都は今年度、公立小中学校等の耐震化対策に補正予算を措置し、「十年後の東京」計画で挙げた目標を前倒しして、平成二十四年度までに耐震化を完了させるよう、耐震化への取り組みを加速させているところです。
 一方、私立学校については、昨年六月の我が党からの緊急要望を受け、補正予算において耐震診断に対する補助率を引き上げ、公立学校と比べておくれている耐震診断を促進しています。
 各自治体が整備する公立学校と違い、自己資金で耐震化を進める私立学校にとって、耐震化工事は大きな財政負担となります。
 今後、私立学校が耐震化工事を実施するに当たり、どのように財政支援をしていくのか、伺いたい。
 都内における犯罪認知件数は六年連続で減少しているにもかかわらず、都政への要望では、治安対策が五年連続で第一位となるなど、都民は必ずしも治安のよさを実感できているとはいえません。
 それは、秋葉原や八王子において発生した無差別殺傷事件など、予想できない、動機不可解な犯罪により、都民の不安が広がっていることが大きな原因であると思われます。こうした不安を解消するため、国内外からさまざまな人が集まる繁華街等の安全・安心の確保が何よりも重要です。
 そうした中、都は今定例会に、繁華街等の防犯対策に関して、東京都安全・安心まちづくり条例の改正を提案しています。今回の条例改正のねらいは何か、また、どのように対策を展開していくのか、伺いたい。
 子育て世帯の支援策について伺います。
 少子化による生産年齢人口の減少が、近い将来、我が国の経済社会に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。第二次ベビーブーム世代が三十代半ばを迎え、子育て世代の年齢層の人口が既に減少に転じている今、少子化対策には一刻の猶予もありません。ワークライフバランスの実現や、子どもを安心して産み育てることができる環境の整備が急務であります。
 都は今年度から保育サービス拡充緊急三カ年事業をスタートさせ、保育の実施主体である区市町村の取り組みへの支援を強化しました。しかし、平成二十年四月の都内の保育所待機児童数は、ここ数年の減少傾向から一転し、前年比八百七十八人増の五千四百七十九人となっています。
 待機児童の解消に向け、区市町村の取り組みをさらに加速させていくためには、もう一段の支援が必要です。保育サービスの拡充について、今後、具体的にどのような取り組みを行っていくのか、所見を伺いたい。
 子育て世帯では、家計に占める住居費、教育費の割合が高く、生活の基盤である住まいにおける対策が重要な課題になっています。
 このため、都は、我が党の要望にこたえ、都営住宅において、全国に先駆け、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居制度を創設、実施するなど、積極的な取り組みを行ってきました。
 今後は、期限つき入居を拡大することなどにより、子育て世帯の居住支援に向けた都営住宅の供給について、具体的な目標を持って取り組みを強化すべきと考えますが、見解を伺いたい。
 また、住宅供給公社の賃貸住宅を活用することにより、良質で安価な住宅を提供することが子育て世帯の居住支援につながると考えますが、所見を伺いたい。
 次に、高齢者施策について伺います。
 都では、平成二十一年度から二十三年度までの高齢者施策の基本方針として、東京都高齢者保健福祉計画の策定を進めています。この計画は、老人福祉法に基づく老人福祉計画と介護保険法による介護保険事業支援計画を一体的に作成し、都における高齢者施策の総合的、基本的計画の位置づけを有するものです。
 東京では、平成十七年度からの十年間に、要介護認定者数は約一・四倍、ひとり暮らしの高齢者も約一・五倍に増加していくと見込まれています。これに的確に対応するためには、特別養護老人ホームなどの施設整備を着実に進めることは当然として、軽度の要介護者やひとり暮らしの高齢者が地域で安心して暮らし続けていけるような、医療と介護が連携した住まいも確保していくべきと考えますが、都はどのように取り組んでいくつもりなのか、伺いたい。
 また、この東京都高齢者保健福祉計画の理念として、だれもが住みなれた地域で暮らし、支え合う社会の実現を掲げていますが、都市化の進展により、地域における助け合いの機能が低下しつつある今日、ひとり暮らしの高齢者などを地域住民が見守り、支え合うことは大変重要であると認識しています。
 そこで、一層の高齢化が進む東京において、町会など地域の住民が主体となってひとり暮らし高齢者などを見守り、支え合う仕組みづくりを進めるべきであると考えますが、所見を伺いたい。
 障害者自立支援法の施行以来、我が党は、障害者の方々や事業者の方々からの声を受け、法の円滑な施行を国に働きかけ、利用者負担の大幅な軽減や経営基盤の強化などを内容とする特別対策、緊急措置を実現させてまいりました。特に利用者負担は、きめ細かく上限額が設定され、相当程度、応能的なものに変わってきております。
 また、我が党は、低所得者に対する都独自の軽減措置を求め、都は、法施行当初より、ホームヘルプサービスの利用者負担を独自に三%に軽減してきました。
 法施行三年後の見直しに対しても、特別対策や緊急措置により実現された利用者負担軽減の継続、大都市の実情を反映した報酬引き上げ等について、継続的に国への働きかけを求めてまいりました。
 国が昨年末に示した見直し案の中に、それらがどう反映されたのか、また、平成二十年度までの時限措置とされているホームヘルプサービスに対する都独自の利用者負担軽減策を平成二十一年度も継続すべきと考えますが、あわせて伺いたい。
 法制度の見直しとともに、サービス提供基盤の整備も重要であります。
 都は、今年度中に、平成二十一年度から二十三年度を計画期間とする第二期東京都障害福祉計画を策定すると聞いております。
 平成二十三年度までには、自立支援法に基づく新しいサービス種別のもとで必要なサービス量を確保できるよう、基盤整備を進めなければなりません。そのためには、第二期計画における基盤整備の取り組みを強化すべきでありますが、都の所見を伺いたい。
 昨年、脳出血を起こした妊婦さんに大変痛ましい事態が起きたことは、都民、とりわけ、これから子どもを産み育てようとする方に大きな不安を与えました。
 この不安を解消するため、東京緊急対策Ⅱでは、周産期母子医療センターへの支援の充実に加え、地域で周産期医療を支える仕組みを構築するべく、ミドルリスクの患者に対応できる周産期連携病院を新たに指定するなど、さまざまな尽力をされていることは評価するものであります。都は、その後も、周産期医療協議会などにおいて検討を行っていると聞いており、都民の安心に直結する実効性のある具体的な対策を実践できるものと大いに期待しています。
 東京緊急対策Ⅱに示された対策の推進に加え、さらなる取り組みが必要として、我が党は、第四回定例会の代表質問において、妊産婦の救命を行うスーパー総合周産期センターの整備を強く要望いたしましたが、都は、来年度、新たにどのような取り組みを進めるのか、伺いたい。
 周産期医療の一層の充実のためには、システムづくりとともに、そこで実際に働く産科医や看護師など医療スタッフを確保し、定着させることが重要であることは論をまちません。とりわけ、今回の事態は都立病院で生じたこともあり、都立病院における医療スタッフの充実は、都民の安全にとって切実なものがあります。加えて、東京都では、来年度末、府中に多摩総合医療センター、小児総合医療センターを開設し、我が国でも屈指の総合周産期母子医療センターの運用を開始することになっています。
 我が党はこれまでも、医師の大幅な処遇改善や東京医師アカデミーの開講、看護師の採用活動強化など、都立病院の人材確保対策を積極的に支援してきましたが、採用環境には依然として厳しいものがあると聞いています。
 こうした状況を踏まえ、都立病院における医師、看護師等の確保、定着に向け、どのように取り組んでいくのか、伺いたい。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 我が党はかねてから、中小企業や家庭部門なども含め、CO2削減を本格化することが重要であると指摘してきました。その求めに応じ、都は、来年度、太陽エネルギー利用拡大連携プロジェクトやエコ金融プロジェクトなどを事業化するとともに、都民生活に最も身近な区市町村の取り組みを促進する補助制度や都独自の環境減税を導入することとしました。
 こうした取り組みは、CO2削減に貢献するばかりか、設備機器の更新を促し、新たな技術への投資を誘発するなど、経済的な効果も期待できるものです。
 現在、グリーン・ニューディールが叫ばれていますが、都の取り組みは、こうした面でも先駆的であります。そこで、改めて温暖化防止における知事の決意を伺いたい。
 また、自動車部門におけるCO2削減の取り組みも重要です。
 今回提案された環境確保条例の改正案は、低公害、低燃費車の使用、導入促進やエコドライブの推進など、対策の強化を図る内容となっておりますが、これを契機に一層のCO2削減を図るためには、大気環境改善の取り組みと同様に、事業者等の協力が必要です。
 昨今の深刻な景気状況の中にあっても、自動車メーカーでは電気自動車等の次世代車の開発の動きが見られるなど、環境負荷の少ない車の普及の可能性も広がろうとしています。
 こうした機会をとらえ、都は、自動車部門の地球温暖化対策の強化を図るため、条例の改正とあわせ、都民や事業者のCO2削減の取り組みを促進するためのさまざまな施策を実施していくべきと考えますが、所見を伺いたい。
 豊洲新市場予定地における土壌対策について伺います。
 今月六日に、技術会議の提言に基づき、都の土壌汚染対策が取りまとめられ、あわせて、今後、豊洲新市場の開場を平成二十六年十二月とする整備方針が公表されました。
 この土壌汚染対策は、世界に誇る我が国の先端技術を活用することで、生鮮食料品を取り扱う市場用地として、食の安全・安心を高いレベルで確保するとともに、費用も、一般的な技術、工法に比べ大幅に縮減することが可能となったと聞いております。
 しかしながら、この対策が公表される直前に、発がん性があるとされるベンゾ(a)ピレンや不透水層に関し、不安を抱かせる報道があったことは、まことに残念でなりません。
 我が党としては、万全な対策を確実に実施し、豊洲新市場を時代のニーズにこたえられる首都圏の基幹市場として着実に整備していくべきと考えておりますが、その推進には、都民や市場関係者の安心が得られるようにすることが重要であり、今後、実施される土壌汚染対策が、何よりも安全性に十分配慮したものでなければなりません。
 そこで、対策は、どのような点で安全・安心を高いレベルで確保したといえるのか、また、ベンゾ(a)ピレンや不透水層の問題についても、対策により安全性が確保されるのか、見解を伺いたい。
 また、土壌汚染対策費用については、技術会議の提言により大幅に縮減できることは、大きな成果として評価できるものであります。
 今回、具体的な対策内容や費用が確定しましたが、豊洲新市場予定地は、かつて東京ガス株式会社による都市ガス製造が行われ、都の調査において、操業に伴う汚染物質の存在が確認されたことから、どのような負担を求めていくか、都民の関心も高いところであります。そこで、今後、どのように東京ガス株式会社との協議を進めていくのか、見解を伺いたい。
 現在の学校を取り巻く状況は、児童生徒の学力向上に向けた基礎、基本を身につけさせる指導の充実や体力低下への対応など、喫緊の取り組むべき課題が山積しています。また、いじめや不登校などの問題行動への対応についても、これまで以上に学校の指導体制を拡充し、きめ細かな支援を行っていくことが必要になっています。
 このような、学校が現在直面する多様な課題に対応していくためには、学校の教員のみではなく、これまで以上に、広くさまざまな分野からの協力を得て展開していくことが必要と考えます。
 そこでまず、学校における外部人材活用の拡大について、都教育委員会の基本的な認識を伺いたい。
 外部人材の確保は、個々の学校ごとに行われていることが多く、多大な時間と労力を必要としているのが現状です。区市町村によっては、人材情報を学校に提供しているところもあると聞きますが、区市町村単位では、専門人材の確保が難しいことや、区市町村間での取り組み状況が異なったものとなっているなどの課題があります。
 現在、都教育委員会は人材バンクの設置を検討していると聞いていますが、地域を超えた全都的な募集活動により新たな人材を発掘するとともに、個々の人材の希望条件等、詳細な情報を一元的に管理し、各学校のニーズと的確に結びつけるなどの仕組みを構築することは極めて有効であると考えます。
 今後、都教育委員会として、具体的にどういった取り組みを行っていくのか、所見を伺いたい。
 上野動物園の動物展示の取り組みについて伺います。
 上野動物園は、日本の動物園のトップリーダーとして、さまざまな先駆的な飼育展示に取り組んできました。例えば、世界で初めてクマの冬眠展示に成功した例など、新聞等によって広く報道されています。
 さらに、日本固有の家畜の展示についても先駆的に取り組み、先日、上野動物園を訪れたところ、キソウマやクチノシマウシなどが新たに展示されていました。日本固有の家畜は、長い年月をかけて日本の風土や文化などに適応し、農作業に活用されてきました。まさに生きた文化財ともいえるのです。
 動物園の話によれば、こうした家畜は、人々の生活様式の変化により、今や絶滅の危機にあり、地元の保存会もその保存に大変苦労しているとのことです。
 そこで、上野動物園における日本固有の家畜の展示の現状と今後の取り組みについて伺いたい。
 上野動物園で、日本固有の家畜であるキソウマなどが子どもたちと触れ合う様子は、大変すばらしい光景でした。今後、身近な公園でも同様の取り組みができれば、さらにすばらしいことです。こうした夢の実現に向けて、ぜひ検討していただきたいと要望いたします。
 さて、都議選の投票日は七月十二日に決まりました。我々東京自民党は、日々、都民の暮らしに肌で触れ、有権者の声をじかに聞く中で、都政における責任政党として、国に対して主張すべきことは主張し、中小企業対策はもとより、まちづくり、防災、防犯、福祉医療改革、多摩・島しょ振興など、幅広い分野にわたり、血の通った打つべき手を確実に実行してまいりました。来るべき選挙戦には、十年後の生命力みなぎる環境都市東京の創造を目指して、新政策提言「東京・風の道をひらく」を掲げ、引き続き全力を傾注する決意で臨んでまいります。
 戦後最大の経済危機にあって、都民の生活、仕事を守り、将来の展望を切り開いていくため、山積する課題の本質を見きわめながら都政をリードしていく、それが我々東京自民党に課せられた責務であり、都民の期待にこたえる道であります。都民の皆様のご理解をいただき、公認候補全員が、あすの東京づくりの参画を目指す決意であることを表明して、私の質問を終了させていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高島なおき議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都政を取り巻く現状認識と今後の都政運営に臨む基本姿勢についてでありますが、米国発の世界的な経済危機によりまして、都民の生活や東京の小零細企業の経営は甚大な影響をこうむっております。
 また、地球環境の異変が深度を増すなど、だれもがこの二重苦、三重苦の大きな不安の真っただ中にあると思います。今こそ政治は果断に政策を決定して、着実に実行していくことが求められていると思います。しかし、国政は、大胆な政策を打ち出すこともなく、日本が有する潤沢な金融資本や、文明の推進力たる技術の将来性や潜在能力をうまく束ねて使うことができずにおりますね。
 例の定額給付にしても、決めたらさっさと行ったらいいと思うんですが、前倒しというわけにいかぬでしょうけれども、国会での手続に手間取って足踏みの状況としてありますし、昨今ちょっと話題になりました無利子国債なども、これは発行するなら大きな条件をつける。例えば、日本人の資産の三分の一は不動産、三分の一は株、三分の一は貯金ということでありますから、やはり土地を持っている方々の相続の問題、いろいろ懸念があると思いますので、これを大量に買った方の、五年間国債を維持してくださったならば、思い切って相続税はただにするぐらいなことをやったら、私は土地が動いて物も建つと思いますし、大蔵は、毎年の二兆近い相続税の税収というのに固執するでしょうけど、大体、ヨーロッパの先進国とオーストラリアもそうでありますが、相続税のない国が多いのでありまして、日本の相続税そのものはいろいろ問題があると思いますけど、こういうときにこそ、ひとつ見直す最初のきっかけに、思い切った、その無利子国債というものをいい条件で出すことも一つじゃないかと思いますが、力もある、ゆえに活路もあるのに、ただ萎縮しているのでは日本の未来は開けないと思います。
 一方、都は、停滞のきわみにある国政を座して待つことなく、二度にわたる補正予算や来年度予算案で、緊急の経済対策を初め地球温暖化対策、新型インフルエンザ対策、医療の立て直しなどに幅広く積極的に取り組んでまいりました。日本と東京の持つ大きな可能性を解き放つために、この国の羅針盤ともなる政策を力強く今後も展開して、直面する難局を乗り切るとともに、都民、国民の不安を解消することに全力を尽くしていきたいと思っております。
 今後とも、首都東京から日本の未来を切り開くべく、都議会の皆様と手を携えながら都政運営のかじ取りを担っていく覚悟であります。
 次いで、オリンピック・パラリンピックが我が国に及ぼす効果についてでありますが、オリンピックの開催は、まさに世界最大のイベントでありまして、平和イベントでありまして、国民全体が共有できる夢と希望に満ちた目標であると思います。また、現下の社会の閉塞感や未曾有の経済危機を克服するよすがともなると思います。
 とりわけ、戦後六十年以上にわたり、一貫して平和を堅持してきた日本での開催は、平和を希求する日本人の心、それを望む世界の人々とのきずなをさらに強固にし、世界平和の実現に大きく貢献するものと思います。
 東京が目指す大会は、海の森などの新しい環境計画や、日本が誇る最先端の技術を駆使して、例えば家庭で飲む水道水は、これは世界一の良質なものでありまして、オリンピック史上、最も環境に優しい世界初のカーボンマイナスオリンピックを実現するつもりであります。こうした取り組みは、国の内外に新しいビジネスチャンスを提供するとともに、国民の消費を促し、全国で最低でも三兆円の大きな経済波及効果が期待できます。
 大会を通じて、競技場で見せるアスリートの熱い戦いは、人々に最も崇高で比類のない感動をもたらし、次代を担う青少年に大きな力を与えると思います。
 いずれにしろ、国際競技で日本の代表が勝つということに、じんと来ない人間はいないわけでありまして、このじんと来るということは、やっぱり人間にとって非常に人生の大きな糧になると思います。
 このように、日本だからこそできる新しいオリンピック・パラリンピックをぜひとも開催し、国民、都民に希望を取り戻していきたいと思っております。
 次いで、本格化する招致レースについてでありますが、今月十二日、立候補ファイルをIOCに提出いたしましたが、これからが本番でありまして、熾烈な戦いが始まります。招致レースは、一国を代表する都市の魅力の競い合いでありまして、いわば外交であります。世界の推移、動きつつある現実を注視しながら招致活動を展開していくところに、オリンピック招致の本質があると思います。
 私も、総力戦となる招致レースの先頭に立ちまして、IOC委員に、東京、そして日本の魅力を十分理解してもらえるよう全力を尽くし、一票でも多くの票を獲得していきたいと思っております。
 昨日、実は定例のヨーロッパの大使たちの合同会議がありまして、私も出席いたしましたが、そこでスペインの大使からの報告では、マドリードは、我々の強敵はシカゴではないと。明らかに日本の東京であるという認識で行動を起こしているようでありますけれども、これも過信していい情報かどうかわかりませんが、そういった情報をできるだけ集めて、きめの細かい対処をしていきたいと思っております。
 先般の調査で、国民の支持率がようやく七割を超えました。読売新聞の調査では、東京だけでも七六%ということで、今後さらに世論を盛り上げて、日本全体が一つになって招致活動を推し進めていくことが重要であると思っております。都議会の皆様、都民、国民の皆様のさらなるご支援、ご協力をお願いいたします。
 二十一年度予算についてでありますが、今回の予算は、経済危機の荒波の中にあって、東京から混迷に活路を見出し、不安を抱いている都民に具体的な施策をもって安心をもたらし、希望を指し示すということを基本として編成いたしました。
 その結果、二十一年度予算は、眼前の危機にしっかりと対応するとともに、環境分野を初めとする先進技術の支援など、東京に新たな活力を創造する先駆的な取り組みを推進しまして、ソフト、ハード両面で東京の将来をつくるための中長期的な取り組みを着実に実施するなど、都民の期待に十分こたえるものになったと確信しております。厳しい財政環境にもかかわらず積極的な予算を編成できたのは、この十年間、都議会の皆様と力を合わせて財政再建に取り組んで、都政の力を蓄えてきたからであると思います。
 日本も東京も大きな変動の波にさらされておりますが、こういうときこそ、東京が危機克服と新たな活力の創造のために、牽引役としての役割をしっかりと果たさなければならないと思います。今後、この予算を原動力として、積極果敢に都政を展開すべく全力を尽くしてまいります。
 次いで、法人事業税の暫定措置についてでありますが、国は、地方税制を一方的に決めることができることをいいことにしまして、都の反対を無視して、都市と地方の対立をあおり立て、地方を助けると称して、東京を初めとする都市の財源を奪ってきました。しかし、その後の地方財政をめぐる事態は、国の主張がいかに誤っており、無責任なものであったかを赤裸々に証明することになりました。
 すなわち、国は結局、国の二十一年度予算において、地方交付税の総額自体が不足している現実を認めざるを得なくて、みずからの財源を用いて一兆円を復元せざるを得なくなりました。これは、かつて三位一体とか称して、とにかく三年間にわたって五兆円規模の削減をしたことの報いでありまして、このことは、今日の地方の困窮の原因は国による地方交付税の削減にあるという都の主張の正しさを証明すると同時に、都市の財源を奪う小手先の手法では問題が何ら解決されるものではない、国がみずからの責任で解決するほかはないという事実を改めて明らかにしたものであります。
 東京は、危機のときこそ、日本の牽引役としての役割を果たさなきゃなりません。その東京が景気悪化の直撃を受けて、このままでは、いずれ行政需要に十分こたえられない事態にもなりかねない状況となっております。無責任な国のしりぬぐいをする余裕は、都にはございません。問題の本質的な解決につながらず、東京の活力をそぐ原因にしかならない法人事業税の暫定措置は直ちに撤廃すべきでありまして、都議会の皆様との緊密な連携によりまして、ぜひともこれを実現していきたいと思っております。
 今後の人材育成、活用のあり方についてでありますが、常々、職員に対しては、一地方自治体の公務員の枠を超えて、東京のみならず日本を牽引する気概を持つ首都公務員たれと激励してまいりました。
 国は、相変わらず机上の空論に終始しておりますが、都には、国にない広大な生々しい現場があります。職員の大量退職期を迎える今だからこそ、有為な人材を確保するとともに、現場を持つ強みを生かした柔軟な発想力と果断な行動力を持つ人材を育てていかなければなりません。
 また、都政の執行力の維持向上を図っていくためには、世代を超えて技術、ノウハウを継承していくことが不可欠であります。
 都はこれまでも、国の硬直した、いわゆるキャリア制度とは異なる独自の能力業績主義によりまして職員を育成してきましたが、今後とも、職員の一人一人が都政を支えるプロとして成長していけるよう、人材の育成、活用に力を入れてまいります。
 次いで、世界の範となる都市像の実現についてでありますが、東京が環境、安全などさまざまな分野でさらなる成熟を遂げ、美しく住み心地のいい都市に生まれ変わるには、「十年後の東京」計画を確実に実現していかなければなりません。
 今回、二十一世紀の都市モデルへと進化させる確かな歩みを進めるため、実行プログラムを改定いたしました。これまでの取り組みの成果をてこに、変革への流れを加速化するよう、重層的、複合的な取り組みを随所に盛り込んでおります。
 環境分野を例に挙げるならば、太陽エネルギー利用機器の四万世帯への導入促進、レンタカーやカーシェアリング等の活用による次世代自動車一万五千台の普及、都独自の環境減税の実施などであります。
 こうした先駆的な取り組みを通じて、東京は、環境の世紀のトップランナーを目指して、世界最先端の環境技術を駆使し、さらなる変貌を遂げていきたいと思っております。
 また、都は、近々、都市としては世界で初めて、ICAP、国際炭素行動パートナーシップに加盟します。東京の取り組みを広く世界にアピールしていきたいと思っております。
 国の対応は、いまだCO2の排出総量削減の義務化に至らず、余りに心もとありません。都は、国を先導し、世界を牽引していく気概を持って、カーボンマイナスオリンピックの開催をも通じ、環境先進都市東京を造形し、後の世代への大いなる遺産として発信していきたいと思っております。
 次いで、中小企業、特に小零細企業に対する支援の基本的な考え方についてでありますが、今日の世界的な金融危機は、我が国の実体経済にまで深刻な影響を及ぼしております。受注の減少や資金繰りの悪化など、小零細企業は、黒字倒産の増加等に見られる厳しい経営環境に置かれております。
 景気対策は、一義的には国の責任でありますが、このまま手をこまぬいていては、多くの企業が疲弊し、東京の産業が衰微しかねません。そのため、企業の深刻な資金繰りに迅速かつ的確に対応するとともに、あわせて、将来の産業発展への布石となる対策を打つことが必要であると思います。
 そこで、平成二十一年度予算では、まず、資金調達に対する支援として、地域の金融機関と連携した都独自の金融支援策を創設するなど、昨年二度の緊急対策から切れ目なく、一段と積極的な対策を講じてまいります。
 また、将来の布石として、都と都内の中小企業支援機関が総力を結集し、都内二千社を訪問して経営力強化のための具体的な助言を行うなどの新たなプロジェクトを推進していくとともに、企業の高度な技術、経営ニーズに対応するための産業支援拠点を区部と多摩に整備してまいります。
 こうした取り組みによりまして、中小企業、とりわけ小零細企業が現下の厳しい経営環境を乗り越え、新たな活路を切り開いていけるよう全力を尽くしてまいります。
 次いで、外環道についてでありますが、過日、私、国土交通省を訪ねまして、金子大臣に対して、一刻も早く国幹会議を開催して外環道の整備計画を定めるよう要請をいたしました。大臣からも、コスト・アンド・ベネフィットで計算する指数をもっても、計画されている道路の中では一番高い評価を得ている、そういう道路であるから、それは強く認識しておりますという発言でありました。
 大事なことは、政府がもっとちゃんとして、一刻も早く、こういうときに大事なインフラ整備をすることで景気対策をするということで、何といっても国家社会の動脈、静脈であります主要な道路の整備というものに一刻も早く着手すべきだと思います。
 外環道は、費用対便益が全国でもトップレベルにあり、まさに必要な道路であります。平成二十一年度の事業着手を果たすように、引き続き国に強く求めてまいります。
 次いで、多摩・島しょ地域の振興についてでありますが、東京の三分の一の人口を擁する多摩地域は、最先端技術が集積し、製造品出荷額では区部を上回るとともに、人、物、情報の結節点を形成しておりまして、首都圏の発展を牽引する大きな可能性を有する地域であります。
 また、島しょ地域には、豊かな海洋資源と自然環境に恵まれた個性豊かな島々がありまして、我が国の排他的経済水域の確保等の観点から、国益を維持する上でも重要な役割を担っております。
 いずれにしても、多摩・島しょ地域は、都はもとより、国にとっても重要な地域でありまして、今後とも、それぞれの魅力とポテンシャルを生かし、両地域の振興に精力的に取り組んでまいります。
 次いで、温暖化対策についてでありますが、多くの専門家が警鐘を鳴らしているように、かなりの対策を講じませんと、五、六年のうちに、この地球はポイント・オブ・ノーリターンを過ぎてしまいます。温暖化がもたらす破局的な事態を回避するためには、CO2を劇的に削減しなければなりません。
 国は、いまだ中期の削減目標すら定めることができておりませんが、都は、都市のあり方そのものが地球の未来を決定するという認識に立ちまして、経済危機のただ中にあっても、あらゆる部門で積極果敢にCO2削減を展開する必要があると思っています。そのため、条例に基づくCO2削減義務制度を初め、新築ビルに対する省エネ基準の義務づけや独自の補助制度、環境減税の創設など、都の持てる施策のノウハウを総動員してまいります。
 こうした取り組みを新たな成長の糧ともして、東京オリンピック・パラリンピックの開催理念にも合致した低炭素型都市の実現を目指していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 公立学校における外部人材の活用に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、基本的認識についてでございます。
 都教育委員会ではこれまでも、奉仕体験活動や外国語指導などの分野で外部人材を導入しておりまして、また、区市町村教育委員会においても、学習指導補助や学校図書館の運営などに外部人材を導入しております。
 来年度、都教育委員会では、肢体不自由特別支援学校への介助専門家導入や、中学校部活動の外部指導員導入促進事業などの新規事業を展開いたします。
 さらに、今後は、既に外部人材を導入してきた分野において、その充実強化が求められますとともに、小学校での外国語活動や中学校での武道の必修化など、新たな課題への対応が必要となってまいります。
 このように、外部人材の活用は極めて重要であり、地域のさまざまな経験を持った人材や専門性を有する人材などを全都的に確保し、学校のニーズに応じた適材適所の人材活用ができる仕組みを構築していくことが必要であると認識をしております。
 次に、人材バンクの設置に向けた具体的な取り組みについてであります。
 ご指摘のとおり、外部人材の有効な活用を図っていくためには、都教育委員会による人材バンクの設置が効果的な方策と考えております。このため、本年二月に、庁内に、区市町村教育委員会の代表や各校種の学校長などを加えた検討組織を設置いたしました。
 今後は、学校の具体的なニーズを的確に、詳細に把握するとともに、外部人材の確保や学校と人材を的確にマッチングする手法、人材バンクの運営主体などについて検討を進めまして、学校が適切な人材を迅速に確保できる仕組みを構築してまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) IOC委員に対します東京、日本の持つ力のアピールの方法についてお答えいたします。
 まずは、十月二日のIOC総会までの間に控えております各種のプレゼンテーションの機会を最大限活用していくことでございます。
 具体的には、三月中旬にアメリカ・デンバーで、スポーツアコードと呼ばれます国際競技団体の総会がございます。また、三月下旬にはオセアニア州に属する各国オリンピック委員会の総会、四月中旬にはIOC評価委員の来日への対応、六月中旬にはスイス・ローザンヌでのテクニカルミーティング、そして、夏にはアフリカ大陸における各国オリンピック委員会の総会、このようなことが予定されております。
 こうした会合には多くのIOC委員や世界のマスコミが集まりますので、映像、CG、模型等を活用し、またメダリストなどの参加も得まして、大いにPRをしてまいりたいと思っております。
 特に、IOC評価委員会の来日に際しましては、国内のメディアだけでなく、海外のメディアも多数来日いたしますので、各局との連携、区市町村の協力を得ながら、東京の魅力を体感できますプログラムを実施し、東京のすばらしさを全世界に発信してまいります。
 また、こうした直接的な働きかけとともに、都庁各局における国際事業の活用、国の在外公館など関係機関との連携、海外在住の日本人会、企業等の協力を得ながら、さまざまなチャンネルを活用して、東京、日本の魅力を訴えてまいります。
 これから十月二日までの二百二十日間、集中的にプロモーション活動を行ってまいりますので、都議会の皆様のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、二十一年度予算編成における財源確保についてでございますが、今回の編成作業は、危機に直面している都民の不安を正面から受けとめ、都税収入減少のもとにあっても、都民の期待にこたえられる積極的な予算にするという方針のもとで進められました。
 ところが、作業終盤ともなった昨年十二月後半に至りまして、税収が想定を超えて大幅に落ち込むという見込みとなりまして、その時点で私どもが予定していた各種の財源上の手当てのみでは、なお一千億円を超える財源不足が生じることが明らかとなりました。
 この状況を知事に報告したところ、知事から、財源不足の解消に向けて、以下の三点の指示がございました。
 すなわち、第一に、基金の取り崩しについては、今後の経済変動に伴い想定され得るリスクに備えまして最小限にとどめること、第二に、実施すべき施策に要する経費は確実に予算に計上し、都民サービスには支障を来さないこと、第三に、この二つの条件を前提として、年明けの知事査定までの間に、歳入や事務経費を中心とする歳出の両面について、もう一度全面的な洗い直しを行い、都みずからの努力によって財源不足を解消すること、この三点でございました。
 この指示に基づきまして、それ以後年末にかけて、各局にも協力をお願いし、点検、見直しを行ったところでございます。
 その結果、何とか年明けまでに、必要な施策に要する経費を計上した上で、財源不足を解消したわけでございます。また、将来、財源として活用可能な基金の残高についても、一兆三千億円余りを確保することができました。
 次に、財政運営についてでございますが、経済変動の中において、今後の財政需要に対応していく上でまず課題となりますのは、今申し上げましたような努力によって確保した基金、これをどう有効かつ的確に活用していくのか、そして、都債につきまして、これまでの発行抑制努力により培った発行余力を生かしつつ、将来の財政負担を考慮しながら、どう適正に活用していくのかなどの点でございます。
 しかし、率直に申し上げて、現在直面している経済危機がどこまで深く、また長いものとなるかは予断を許さないところでございますので、いわば過去の努力の成果である基金や起債余力だけに依拠するのではなくて、従来にも増して強靱な財政体質の確立に取り組むことが重要だというふうに考えております。
 このため、新たな公会計制度の活用や事務事業評価などによりまして、事業のむだを省き、最少のコストで施策の目的を達成できますよう、施策の実効性を高めるための取り組みを一層定着、充実させるなど、中長期的視点に立った堅実な財政運営を行ってまいります。
 このような努力を積み重ねることによりまして、厳しい財政環境のもとにあっても、都政の積極的な展開を支え得る財政の力を将来にわたりまして確保し続けていけますよう、短期、中期両面から取り組んでまいります。
 最後に、入札制度改革の検討状況についてでございます。
 入札契約制度につきましては、透明で公正な入札手続を通じて、適正な価格と良好な品質のバランスのとれた契約を実現することが重要であると認識しております。
 都は、昨年六月以来、入札契約制度改革研究会を設置いたしまして、工事品質の確保のところに重点を置きまして、現在、制度改革を進めてきております。
 研究会では、まず、工事経費が現状に即した適正な水準となるよう、価格的側面を中心に議論が進められ、九月に出された第一次提言では、最低制限価格の上限額の引き上げ、工事積算単価の改正期間の短縮などが示され、これを都は直ちに実施いたしました。
 現在、次のステップといたしまして、工事品質の確保のため、技術的側面を中心に、総合評価方式の適用範囲の拡大など、技術力の高い優良な事業者が受注できる環境の整備について検討をいたしております。
 今後は、夏に予定している最終提言に向けまして、入札における透明性の確保と工事品質の確保という二つの観点から、一般競争入札の範囲、予定価格の事前公表のあり方、技術力評価の充実、さらには、制度の根本にさかのぼる予定価格の上限拘束性の検証などにつきまして、幅広い視点から議論を行うことといたしております。
 都といたしましては、こうした研究会の議論を踏まえまして、入札契約制度の抜本的な改革に全力で取り組んでまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の都税収入の見通しについてでございますが、我が国経済は、先月の政府月例経済報告におきまして、記録が確認できる一九七五年以降初めて、急速に悪化という表現が用いられ、今月にはその景気の基調判断がさらに下方修正されるなど、加速度的に悪化しております。
 都税の収入の先行きにつきましては、こうした経済状況に加え、世界的な金融危機のさらなる深刻化や世界景気の一層の下振れ懸念など、景気のさらなる下押しリスクの存在にも留意し、その動向を慎重に見きわめていく必要がございます。
 こうした状況を踏まえまして、主税局といたしましては、昨年十二月に緊急税収確保対策推進本部を設置いたしまして、早期課税、早期調査の徹底や区市町村との連携強化を図っているところでございます。
 今後とも、歳入所管局としての使命を果たすべく、局を挙げて税収確保に努めてまいります。
 次に、新たな条例減額制度の意義と効果についてでございますが、この制度は、平成二十一年度税制改正で新たに創設される予定のものであり、近年の地価上昇を反映し、固定資産税等の税負担が大幅に増加する場合に、条例により税額の上昇を抑制することができるというものでございます。
 都では、同制度を最大限に活用し、固定資産税等の税額上昇率を一〇%に抑える措置を実施することにより、都民や中小企業者等の税負担を緩和することといたしました。この措置により、二十三区内の商業地の約六割が減額の対象となり、減税の規模は、固定資産税と都市計画税合わせまして約二百億円と見込んでおります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、指定管理者制度のあり方の検討についてでございますが、指定管理者制度は、公の施設の管理に民間の能力を活用して、その運営の効率化とともに、行政サービスの一層の向上を図ることを目的とする制度でございます。
 その管理運営状況につきましては、昨年、第三者の視点を含めた評価を実施した結果、優良が二十施設、良好が百八十一施設となっており、全二百一施設で良好な管理が行われているものと考えております。
 また、本年に入りまして、総務局といたしましても、事業者に対するヒアリングや現場調査など、指定管理者制度の検証を実施しております。
 事業者の意見でも、おおむね制度自体につきましては高い評価を得ておりますが、一方で、質の高い行政サービスを安定的に供給する視点も重視すべきである、こういったご意見もいただいております。
 今後とも、これらの意見や、都の政策と密接に連動した施設の管理運営など、ご指摘の点も踏まえまして、関係局と調整の上、行政支援、補完機能を担う監理団体の適切な活用等、制度運用面での見直しの検討を進めてまいります。
 次に、多摩振興プロジェクト策定の考え方等についてでございますが、平成十七年一月に策定し、十九年一月に改定いたしました多摩リーディングプロジェクトは、多摩固有の資源を最大限に活用することに着目し、都がどのように多摩振興に取り組むかを明らかにしたものでございまして、都はこれまで、その推進に努めてまいりました。
 しかしながら、社会情勢等の変化によりまして、ご指摘のように、さまざまな課題も生じております。
 こうしたことから、このたび、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九等を踏まえまして、地域医療体制の整備や子育て支援、小中学校の耐震化など、多摩振興に資する事業も積極的に取り入れ、総合的な振興策として多摩振興プロジェクトを策定いたしました。
 都としましては、このプロジェクトを活用し、市町村とも十分連携しまして、首都圏の中核拠点として発展する多摩の実現に向けまして、着実に取り組んでまいります。
 次に、東京国体の施設整備についてでございますが、競技施設の整備につきましては、本年度、平成二十年度から区市町村に対する財政支援を開始しております。
 また、全国から多くの方々をお迎えすることを踏まえまして、昨年七月に策定した開催基本構想におきまして、競技会場やその周辺のユニバーサルデザイン化を進め、障害のある人を初め、子どもから高齢者まで、すべての人が観戦しやすい環境の整備に努めることとしております。
 このため、平成二十一年度からは、福祉のまちづくりにつながるような競技施設の整備につきましても、財政支援の対象に加えてまいります。
 最後に、地域防災計画の見直しについてお答えさせていただきます。
 大規模水害が世界で頻発し、我が国においても、長時間にわたる集中豪雨等によりまして甚大な被害が各地で発生しており、大規模水害への対応は、都としても重要な課題であると認識しております。
 荒川など国管理の河川の堤防決壊によります大規模水害につきましては、河川管理者でございます国がまず対策を講じるべきではございますが、都といたしましても、地域防災計画を見直し、広域的な避難体制の整備や、ライフラインの維持、早期復旧など、必要な対策を講じ、都民の生命を守り、都市機能の確保をしてまいります。
   〔知事本局長吉川和夫君登壇〕

○知事本局長(吉川和夫君) 「十年後の東京」計画実現に向けた知事本局の役割についてでございますが、「十年後の東京」計画で掲げた目標を確実に実現していくためには、知事本局が各局と連携し、全庁的な視点に立った調整を行うことが必要でございます。
 今回の実行プログラム策定に当たりましては、知事本局としての総合調整機能を最大限発揮するとともに、局横断的な課題に関する若手職員のプロジェクトチーム設置などによりまして、各局が知恵を出し合い、都庁を挙げて検討を進めてまいりました。
 今後、計画の実施段階におきましても、引き続き各局との連携を強化し、施策の進捗状況を随時点検しながら、全庁一丸となって、課題の隘路を打ち破る取り組みを果敢に進めてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 産業、景気対策に関する六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、緊急保証制度の実績と今後の取り組みについてであります。
 都は、国の緊急保証制度に対応し、制度融資に最優遇金利を適用した融資メニューであります経営緊急を設置いたしますとともに、特に小規模企業者には保証料の二分の一を補助するなど、都独自の対応を行っております。
 また、補正予算を編成し、経営緊急融資の目標額の拡大に対応をしてきたことによりまして、平成二十一年一月末の経営緊急の実績は、二万四千七百四件、六千二十億円と多くの企業に利用され、運転資金の調達や既存債務の返済軽減などに役立っているところでございます。
 本年四月には、この間の日銀の政策金利の動きに対応し、短期プライムレートが引き下げられたことを受けまして、金融機関との協議を経て、経営緊急の最優遇金利を引き下げる考えでおります。
 今後とも、緊急保証制度の利用状況等を踏まえながら、引き続き、中小企業の資金繰りの円滑化に適切に取り組んでまいります。
 次に、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策についてであります。
 企業体力が弱い中小零細企業は景気後退の影響を特に強く受けており、緊急保証制度によっても資金調達が困難な企業が存在しております。
 こうした中にありまして、ご指摘のとおり、高い技術力等により、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業などを見出しまして、支援をしていくことが必要であると考えております。
 そのためには、日ごろから企業の顔が見える関係にあります地域に密着した金融機関の目ききの力や、融資のノウハウを活用していくことが不可欠でありまして、来年度予算案の中に、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策を盛り込んだところであります。
 平成二十一年度の融資規模は五百億円とし、金利の低減を図るために預託金三百億円を予算案に計上いたしますとともに、本支援策の位置づけを明確にするため、制度の大枠を規定する条例案を提案してございます。
 本支援策は新たな融資制度を構築するものでありまして、現在、金融機関等との調整を進めております。夏ごろには支援を開始する考えでおります。
 次に、経営力向上TOKYOプロジェクトの具体的な取り組み内容についてであります。
 中小企業が現下の厳しい経営環境を乗り越え、将来にわたりまして存続、発展していけるよう、都のリードのもと、商工会議所や商工会、中小企業団体中央会等の支援機関が総力を結集いたしまして、中小企業の経営体質強化を図る取り組みを新たに展開いたします。
 具体的には、まず、各支援機関の経営指導員等が直接企業に出向きまして、今後作成をいたします経営チェックシートや経営力向上ハンドブックを活用いたしまして経営診断を実施することで、各企業の課題と解決策を明らかにしてまいります。
 また、その診断結果が確実に経営改善に結びつくよう、経営指導員による継続的な企業巡回を実施いたしまして、都や中小企業振興公社の支援策のタイムリーな利用を促してまいります。
 さらに、中小企業単独よりもグループで経営改善に取り組む方が効果的な場合には、中小企業団体中央会が当該グループに中小企業診断士等を派遣いたしまして、より専門的な見地から経営改善計画の策定を支援してまいります。
 こうした取り組みによりまして、中小企業の経営力を着実に強化してまいります。
 次に、商店街振興策の充実強化についてであります。
 商店街が地域の経済の活性化とコミュニティの維持発展に欠かせないとの認識のもと、商店街の活動をこれまで以上に充実させるために、平成二十一年度予算に新たな支援策を盛り込んだところでございます。
 まず、地域の商店が一丸となって活動を展開することが商店街の活性化に欠かせないという認識から、各区市町村の産業振興条例等に沿って商店街が加入促進活動を展開する場合の支援を強化してまいります。
 また、資金力が乏しいために活動が停滞している商店街がイベント等の活性化事業に取り組めるよう、支援を拡充してまいります。
 さらに、商店街の連合組織が区市町村の行政区域を越えた広域的な事業に取り組む場合に支援できる仕組みも整えてまいります。
 これらの施策を加えまして、新・元気を出せ商店街事業を着実に展開することで、商店街のより一層の振興を図ってまいります。
 次に、新銀行東京の第三・四半期決算の評価と通期の見通しについてであります。
 新銀行東京では、今年度の前半は、店舗の統廃合など基礎固めに注力をしてきましたが、後半からは、その基礎の上に中小零細企業向け融資の増加を見るなど、業績は上向いております。これは、四百億円の追加出資があればこそ可能となったものであります。
 今回の決算では、純損失額は、計画の百一億円に対しまして七十三億円と改善をし、純資産額も四百九十八億円が確保されており、再建に向けた取り組みは着実に進んでいると考えております。
 なお、新銀行東京は、通期の純損失を計画どおりと見込んでおり、今年度末の決算におきましても、四百億円の追加出資が毀損されることはないとしております。
 今後も、都といたしましては、新銀行東京に対しまして、厳しい経営環境の中で、さらなる経営改善に向けた取り組みを求めてまいります。
 最後に、雇用対策の強化と効果的な実施についてであります。
 急速な雇用情勢の悪化によりまして失業者が増大する中、きめ細かな就業支援とともに、働く機会を確保していくことが極めて重要となっております。
 都は既に、就職チャレンジ支援事業やネクストジョブ事業を開始いたしまして、低所得者や非正規労働者の方々の就業を支援してまいりました。また、来月には、非正規労働者などに対する緊急労働相談会も実施をいたします。
 さらに、来年度、しごとセンターにおける就業相談や就職セミナー等の支援を充実させるほか、夜間訓練の新設など、職業訓練の規模と内容の拡充を図ってまいります。
 加えまして、雇用機会の創出に向け、都は独自に区市町村に対し補助を行いまして、延べ三十万人の雇用創出を図っていくほか、国の交付金で創設をいたします基金によりまして、都と区市町村で、福祉や環境、産業振興といった多様な分野で、介護支援や公園清掃、森林整備など、雇用創出効果の高い事業を実施してまいります。
 こうした事業の実施に当たりましては、副知事を座長として設置をいたしました連絡会議によりまして全庁的に取り組んでいきますとともに、国や区市町村、経済団体等とも十分に連携をいたしまして、効果的な事業としてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地域の底力再生事業助成についてでございますが、この事業は、地域の担い手である町会、自治会等が実施する地域の課題解決のための取り組みに対しまして都が支援し、地域力の向上を図るものでございまして、これまで、防犯、防災など、地域の課題へのチャレンジ事業や、婦人部、女性部が中心となって行います地域触れ合い、助け合い強化事業等に助成を行ってまいりました。
 ただいまご指摘ございましたとおり、この制度につきましては、積極的活用を図るための方策や、利用しやすくするための工夫を要望される声が数多く寄せられておりますことから、来年度は、このような取り組みに加えまして、スポーツ振興、伝統文化、国際交流、市民活動の四つの分野別モデル事業を新たに助成対象とし、区市町村単位の連合組織の助成額を従来の百万円から二百万円に倍増するとともに、これまで助成を受けた団体も申請できることといたしました。
 また、事業の募集回数を二回から四回にふやし、申請期間も、十一月まで間をあけずに申請可能とするなど、さらに利用しやすい工夫もいたします。
 今後、多くの事業例を盛り込んだガイドラインを作成し、これを活用いたしまして本事業の周知を図り、町会、自治会の主体的な活動を支援することで地域の底力再生に取り組んでまいります。
 次に、私立学校の耐震化の促進についてでございますが、私立学校に学ぶ児童生徒の安心・安全のため、都では、平成十五年度から、耐震診断、耐震補強工事等の経費の一部について補助を実施してまいりました。
 また、ご指摘のとおり、私立学校は、耐震診断が進んでいる公立学校と比べ、耐震化の前提となる診断を早急に進める必要がございますことから、今年度の補正予算におきまして、耐震診断に対する補助率を従来の三分の二から五分の四に引き上げ、耐震性能の早期把握を支援いたしました。
 その結果、今年度、この補助制度を活用して耐震診断を実施した私立学校は百五十校に上り、そのうち、特に耐震化が急がれる幼稚園におきましては、実施園が九十園を超え、実施率も一五ポイント上昇して六〇%を超えたところでございます。
 来年度は、診断の結果、倒壊の危険性が高いとされるいわゆるIs値〇・三未満の校舎等の耐震補強工事等に対しては、耐震診断と同様に、補助率を従来の三分の二から五分の四に引き上げますとともに、その実効性を高めるため、関係団体と連携しまして、説明会や建築相談を通じ、補助制度の積極的な活用を働きかけてまいります。
 今後とも、このような取り組みを行うことによりまして、「十年後の東京」への実行プログラムの目標達成に向け、耐震化の一層の促進を図り、児童生徒の安心・安全を確保していく所存でございます。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 七点についてお答えをいたします。
 まず、離職者への支援についてでありますが、都は、介護人材育成確保緊急対策として、解雇、雇いどめにより住居を失った都内の離職者で介護職場への就職を目指す方を対象に、差し当たっての生活と将来の就労に対する支援を行ってまいります。
 具体的には、民間住宅にあわせて、都営住宅などの公的住宅の活用により当面の住宅を確保し、生活費を無利子で貸し付けるとともに、介護資格取得のための受講料を助成し、福祉人材センターによる就労支援を実施いたします。
 介護職に六カ月継続して就労した場合は、貸付金の返済を免除し、継続雇用した施設に対しても助成金を交付するなど、生活、就労に係る一貫した支援を実施してまいります。
 お話のとおり、こうした取り組みは急務でございます。したがいまして、低所得者を対象とした就労支援も含め、来月上旬には事業を開始できるよう、鋭意準備を進めてまいります。
 また、介護人材の安定的な確保のためには、大都市の実態を反映した介護報酬水準の設定が何より重要であることから、今後とも、国に対して適時適切に提案要求を行ってまいります。
 さらに、ご提案のありました、離職者を国、都、区市町村の支援策へと的確に誘導する手だてとして、都は、平日のみならず、休日や夜間にも対応できる電話による総合案内を来月上旬に開始できるよう検討しております。
 次に、保育サービス拡充の取り組みについてでありますが、都は、待機児童解消に向け、今年度から保育サービス拡充緊急三カ年事業を実施しておりますが、増大する需要に対応していくためには、この取り組みをさらに加速させていく必要がございます。
 このため、来年度、待機児童解消区市町村支援事業を創設し、開設準備経費補助の拡充を初めとして、区市町村が地域の実情に応じて実施する事業を広く支援してまいります。
 とりわけ、待機児童の約九割を占める三歳未満児の定員拡充に積極的に取り組む区市町村には補助率を引き上げるなど、待機児童解消に向けた効果的な取り組みを強力に進めてまいります。
 次に、医療や介護のサービスと連携した高齢者の住まいについてでありますが、高齢者が地域で安心して暮らし続けるためには、ひとり暮らしや高齢者夫婦のみの世帯であっても、医療や介護が必要となったときに、適切に必要なサービスが受けられることが重要であります。
 このため、都は、来年度、モデル事業として、診療所や訪問介護事業所等を併設し、それらのサービスの利用支援や見守りなどを行う高齢者専用賃貸住宅の整備事業を実施いたします。
 今後、より効果的なサービスの組み合わせなどの検証を行いながら、望ましい高齢者向け住宅のあり方を事業者に示し、その整備促進に努めてまいります。
 次に、高齢者を見守る地域活動についてでありますが、都では、来年度から、区市町村包括補助事業を活用して高齢者地域見守り事業を開始いたします。
 この事業は、町会、自治会などが中心となって在宅の高齢者を訪問し、その状況や福祉ニーズを把握するとともに、ひとり暮らし高齢者等への見守りや声かけを行うもので、災害時に援護を必要とする方々の把握にも資するものであります。
 都としては、こうした区市町村への支援策を通じ、地域住民が主体となって高齢者を支え合う仕組みの普及に努めてまいります。
 次に、障害者自立支援法の見直し等についてでありますが、都はこれまで、利用者負担の軽減措置の継続や事業者の経営基盤強化などについて、国に積極的に働きかけてまいりました。
 国の見直し案では、利用者負担については現在の軽減措置が継続されるとともに、軽減措置を適用する際の資産要件の撤廃等が新たに実施されます。
 事業者報酬につきましても、本年四月から五・一%の増改定がなされるとともに、法の円滑施行のための基金事業についても、平成二十三年度末まで延長されることとなりました。
 都としては、国において改正内容が決定され次第、速やかに実施できるよう準備を進めてまいります。
 また、都独自の利用者負担軽減策については、平成二十一年度も引き続き実施してまいります。
 次に、第二期東京都障害福祉計画についてでありますが、現在策定中の第二期計画においては、障害者自立支援法に基づく新体系のもとで必要なサービス量を確保できるよう、グループホームなどの基盤整備を加速させることとしております。
 このため、新たに策定いたしましたプラン、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランにより、平成二十三年度までの三年間、整備費の事業者負担を半分に軽減する特別助成を実施し、現行の三カ年プランを上回る約四千二百人分の基盤整備を推進してまいります。
 さらに、入所施設等からの地域移行の仕組みづくりや、障害者の一般就労に向けた職場実習の実施等の事業を第二期計画の中に位置づけるなど、今後とも障害者施策のさらなる向上に努めてまいります。
 最後に、周産期医療対策の新たな取り組みについてでありますが、東京都周産期医療協議会の検討を受け、都は、総合周産期母子医療センターと救命救急センターが密接な連携をとりながら救命処置が必要な妊産婦を必ず受け入れる、いわゆるスーパー総合周産期センターを来月にはスタートさせます。
 また、ミドルリスクの妊産婦に対して緊急診療を行う周産期連携病院も来月指定をいたします。
 さらに、妊産婦や新生児の搬送先選定を円滑に行うため、都全域を対象として搬送調整を行うコーディネーターを設置する予定であります。
 これらの施策に加え、都医師会の協力を得て、周産期母子医療センターの休日診療体制を維持、確保していくなど、さまざまな取り組みを重層的に実施し、リスクに応じた分娩や母体救命など周産期医療の強化を図ってまいります。
 なお、NICUの整備については、近年の低出生体重児の増加等を踏まえ、国の周産期医療と救急医療の確保に関する懇談会において、増床に向けた整備目標の見直しを検討しており、その動向も踏まえ対応してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市づくりビジョンの改定についてでございますが、平成十三年に現行のビジョンを策定して以降、超高齢社会の到来、地球環境問題の深刻化など、都市づくりをめぐる社会経済情勢は大きく変化しております。
 今回の改定では、「十年後の東京」計画に示された都市像を踏まえ、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市を創造することにより、世界の範となる東京の実現を目指してまいります。
 具体的には、経済活力の向上や安全・安心の確保はもとより、環境負荷の低減、豊かな緑や美しい景観の創出に重点を置いた、さらに一段高いレベルの政策誘導による都市づくりの方向を明らかにいたします。
 こうした内容を盛り込んで、来年度の早い時期に改定案として示し、都民等の意見を聞きながら、新たな都市づくりビジョンを取りまとめてまいります。
 次に、外環の事業促進に向けた取り組みについてでございますが、外環事業では、四カ所のインターチェンジ、ジャンクション部で、合わせて約四十ヘクタールの土地の取得、約千棟の建物の移転が必要でございます。
 外環は、国がその責任において整備すべき路線ではありますが、事業の促進に向けては、都も協力して用地を確保していくことなどが重要と認識しております。
 今後も、整備計画策定の動きを見定めながら必要な準備を進め、外環の早期整備に向けて取り組んでまいります。
 また、外環の地上部街路についてでございますが、地上部に計画されている外環ノ2については、地元住民にさまざまな意見があることは承知しております。
 都といたしましては、この道路のあり方については、地元と話し合う必要があることから、地上部街路の取り組みを、早期整備が必要な外環本線とは切り離して進めるべきものと考えております。
 次に、緊急輸送道路沿道建物の耐震化についてでございますが、これまで、助成事業の実施主体となる区市町に対し早期の事業実施を働きかけてきた結果、来年度からは、二十二区市で助成事業を開始できる見込みとなりました。
 また、耐震診断の実施が耐震化の前提となることから、診断にかかわる補助率を引き上げるとともに、改修に向けては、自己負担分にかかわる低利融資制度を創設するなど、財政的支援の一層の充実を図ってまいります。
 今後さらに、倒壊する可能性のある建物が多く立地するなど、優先度の高い路線、区間を選定した上で、都みずからも、関係団体と連携し、重点的かつ積極的に施策を展開してまいります。
 次に、住宅の耐震化についてでございますが、都はこれまで、新たに作成した普及啓発のためのDVDの活用や都内全域におけるキャンペーンの展開などにより、耐震化に向けた機運の醸成に努めてまいりました。
 来年度は、改修事例などの情報をまとめて紹介するポータルサイトを設け、都民が容易にアクセスできるようにするほか、耐震化に係る総合相談窓口を開設いたします。
 また、木造住宅については、中野区や品川区などで実施された戸別訪問、いわゆるローラー作戦が効果的であったことから、より多くの区市などで実施されるよう、来年度以降も取り組みを支援いたします。
 さらに、マンション管理組合における合意形成等を支援する耐震アドバイザー派遣事業も新設いたします。
 これらの新たな施策を加えまして、地震が怖くない東京の実現を目指し、耐震化を強力に推進してまいります。
 次に、都営住宅における子育て支援の強化についてでございますが、少子化が進展する中、都営住宅においても子育て支援はますます重要な課題となっております。
 都は、子育て世帯に対する支援のために、ひとり親世帯等の優先入居を行うとともに、若年ファミリー世帯等を対象にした期限つき入居について、対象となる地域の拡大や住宅の要件の緩和を行うなど、施策の充実に取り組んでまいりました。
 今後は、現在五百戸実施しております期限つき入居の募集戸数を大幅に拡大することなどにより、おおむね十年間で一万五千戸程度を目途に、子育て世帯に対して都営住宅を供給し、積極的に支援してまいります。
 最後になりますが、住宅供給公社の賃貸住宅における子育て支援についてでございますが、都営住宅における取り組みに加え、ご指摘のように、公社の一般賃貸住宅ストックを有効に活用するなど、重層的な取り組みが必要であると認識しております。
 公社は、既に、建てかえ住宅の新規募集の際に子育て世帯に対する倍率優遇の措置を講じておりますが、既存住宅の定期空き家募集においても同様の措置の実施を検討しておりまして、都としても、早期の実現に向けて公社に働きかけてまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、道路整備の財源確保と高速道路料金施策の拡充についてでございますが、首都東京の交通渋滞を解消し、都市機能の向上や都市環境の改善を図るため、外環など三環状道路を初め、幹線道路ネットワークや、あかずの踏切を解消する連続立体交差など、早期整備が不可欠であります。
 あわせて、首都高を初めとする高速道路網が最大限に利活用される料金体系を構築し、これを国策として実施していくことが必要であります。
 このため、都は、道路特定財源の一般財源化に際し、さまざまな要請活動を行った結果、平成二十一年度政府予算案で、これまでの地方道路整備臨時交付金にかわる地域活力基盤創造交付金の創設が打ち出されました。
 また、平成二十年度第二次補正予算案に、生活対策として、高速道路の料金割引が盛り込まれたところでございます。
 今後とも、首都東京の道路整備の推進に必要な財源の確実な配分とともに、首都圏の高速道路料金施策についても、環状道路の利用促進や会社間乗り継ぎ割引の導入など、一層拡充させることを国に強く求めてまいります。
 次に、中小河川の五〇ミリ降雨対策の推進についてでありますが、都民の命と暮らしを守るためには、水害の発生状況等を考慮し、さまざまな工夫のもとに河川整備を効果的に進めていくことが重要であります。
 これまで、河道拡幅や分水路、調節池などの整備を着実に進め、五〇ミリ対策の治水安全度を七五%まで高めてまいりました。
 引き続き、近年水害が発生した神田川や石神井川など整備を促進すべき河川の拡幅を積極的に進めるとともに、道路や河川の地下空間を利用し、古川や白子川の地下調節池や入間川の分水路の整備などを進め、五〇ミリ対策のさらなるスピードアップを図ってまいります。
 加えて、洪水予報を実施するとともに、よりわかりやすくきめ細やかな雨量、水位情報を都民に提供できるよう具体的な検討を開始し、中小河川の安全性の向上に努めてまいります。
 次に、七五ミリ降雨対策に向けての考え方についてでありますが、首都東京をさらに水害に強い都市とするためには、近年の局地的集中豪雨の増加など気候変動の影響も考慮し、中小河川の計画的な整備を進めていくことが重要であります。
 このため、東京都豪雨対策基本方針や東京都技術会議の提言も踏まえ、平成二十一年度から河川整備のあり方の検討を開始いたします。
 具体的には、近年の集中豪雨や既往最大の被害をもたらした昭和三十三年の狩野川台風など、過去の水害の分析と、これまでの河川整備の効果検証を行ってまいります。
 さらに、この検証をもとに、狩野川台風級の一時間七五ミリ降雨を視野に入れ、学識経験者などの意見を踏まえ、局地的集中豪雨の際にも流域間で効果的な運用が可能な調節池の増設など、計画策定に向けた検討を深めてまいります。
 今後とも、安全で安心なまち東京の実現を目指し、関係部局と連携し、河川の整備に全力で取り組んでまいります。
 次に、救出救助の活動拠点となる都立公園整備の取り組み状況についてでありますが、都は現在、二十七の都立公園について、災害時における役割により、首都圏の基幹的広域防災拠点となる公園、大規模救出救助活動拠点となる公園、ヘリコプター活動拠点となる公園の三種類に区分し、救出救助の活動拠点として整備を進めております。
 まず、基幹的広域防災拠点となる東京臨海広域防災公園につきましては、都立公園と国営公園を一体として整備しており、都立公園区域では、平成二十一年度に災害救助活動を行うための広場などの主要部分が完成いたします。
 国営公園の区域では、発災時に国の緊急災害現地対策本部が設置される本部棟が平成二十年六月に竣工し、訓練の実施など運用を開始しております。
 また、大規模救出救助活動拠点となる舎人公園など十一公園につきましては、大型車両の進入が可能な入り口や広場の整備、防災トイレの設置などによる防災機能の強化を最優先で進めており、平成二十一年度に整備を完了いたします。
 さらに、ヘリコプター活動拠点となる十五公園については、ヘリコプターがより安全に離着陸できる広場の改修などを行い、医療機関に近接する東綾瀬公園など八公園の整備を平成二十三年度までに完了し、残りの公園について、引き続き整備を進めてまいります。
 次に、都立公園の避難場所としての機能の強化についてでありますが、都民の避難場所となる都立公園は、いつ起こるともわからない震災に備え、拡大する火災から都民が安全に避難できるよう整備することが重要であります。
 特に、地震が夜間に発生した場合でも、停電時にも点灯する、公園の入り口を示す表示灯や、避難誘導を兼ねた公園灯などの非常用照明を早急に整備する必要がございます。
 これまで、非常用照明については、避難場所に指定された文化財庭園を除く五十の公園のうち、水元公園など十公園で整備を完了してまいりましたが、残る四十公園についても、平成二十一年度にすべて完了いたします。
 こうした整備に加え、防災トイレの設置や入り口の拡幅などに順次取り組み、公園の避難場所としての機能強化を図ってまいります。
 今後とも、都立公園の防災機能の強化に積極的に取り組み、災害に強い都市東京の実現に努めてまいります。
 最後に、恩賜上野動物園における日本固有の家畜の展示についてでございますが、日本各地の文化や風土にはぐくまれてきた日本固有の家畜は、生活様式の近代化の中で減少の一途をたどっております。
 こうした家畜を動物園において飼育し、来園者、殊に日本の未来を担う子どもたちが触れ合えるよう展示することは、家畜とともに暮らしてきた日本人の生活を知るとともに、絶滅危機の状況を脱する取り組みを応援する上で意義深いことであります。
 このため、上野動物園内の子ども動物園では、現在、トカラウマなど日本固有の馬や牛を五種類展示して子どもたちと触れ合えるようにしており、平成二十一年度には、新たにヨナグニウマを導入する予定であります。
 また、上野動物園が全国の動物園に働きかけを行い、平成二十年五月、日本の主要な動物園が加盟しております日本動物園水族館協会、この総会におきまして、日本固有の家畜の保存の重要性が決議され、各動物園の共通認識となりました。
 今後、各地で繁殖に取り組んでいる家畜の保存会や大学と連携し、種の保存に協力してまいります。
 さらに、来園者が家畜について理解を深めてもらえるよう、家畜本来の働く姿を間近で見せるなど、展示方法の工夫にも取り組んでまいります。
   〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 東京都港湾審議会答申の港湾計画への反映についてのご質問にお答え申し上げます。
 世界的な経済不況が深刻化する中、国際貨物の荷動きが低迷しつつありますが、国際物流の動向を中長期的にとらえ、タイミングを逸することなく東京港の機能強化を進めることが、世界の港湾間競争に勝ち抜く活路となります。
 現在、世界の海上物流におきましては、船舶の大型化とそれに伴う寄港地の集約化が急速に進展しておりまして、大型船が接岸可能な大水深岸壁への再編が不可欠でございます。
 また、中央防波堤地区の新規ふ頭開発では、大井ふ頭に匹敵いたします交通量の発生が見込まれ、背後圏への円滑な物流を確保するための南北交通の強化策が必要となります。
 このため、本年夏を目途に港湾計画を見直し、東京港の整備を着実に進めるとともに、川崎港、横浜港と緊密に連携し、京浜三港が一体となって国際競争力を一層強化してまいります。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 水道の将来像についてでありますが、水道は、首都東京の都市活動、都民生活を支える重要なライフラインであり、現在だけでなく、将来にわたって安定給水を確保することは、水道事業者の使命であると考えております。
 東京の水の将来を考えますと、IPCC、気候変動に関する政府間パネルが、気候システムの温暖化には疑う余地がないと断じているとおり、積雪量の大幅な減少、異常渇水の発生など、気候変動が水資源に及ぼす影響は深刻なものになると予想されております。
 国土交通省国土技術政策総合研究所の試算でも、将来、利根川上流八ダムは、二十年間で五回も枯渇し、その期間は延べ七十六日に及ぶとされております。
 一方、東京の水道は、戦後、急増する水需要に追いつくため拡張を繰り返してきましたが、これらの施設は、間もなく集中的に更新の時期を迎えることになります。
 したがって、今後、施設を更新していくに当たっては、利根川水系のダムの供給能力が現在でも二割低下している状況などを踏まえ、また、今後の水需要の動向も見通した上で、将来のリスクにも不安のない水源の確保や環境負荷に配慮した水道システムなど、長期的なビジョンのもと、新しい水道のあり方をわかりやすく示していくことが必要だと考えております。
 こうした水道施設の将来像について、来年度策定する次期経営計画に合わせ、明らかにしてまいります。
 次に、多摩川上流の水源林についてでありますが、約百年前、乱伐により木々が失われていた水源の山々は、東京市がみずから取り組んだ植林や間伐などの継続的な管理によって、土砂の流出防止や水源涵養の機能の高い緑豊かな森へと生まれ変わりました。
 一方、小河内貯水池上流域の森林の約四割を占める民有林では、長期にわたる林業不振などにより、間伐が行われないことによる樹木の過密化や、伐採後の植林の放棄など、荒廃が進んでおります。
 さらに、近年の気候変動に伴う集中豪雨の増加は、荒廃した山林の表土を削り土砂を流出させ、都民の水がめである小河内貯水池の水質被害をもたらす要因ともなっています。
 都民の貴重な水をはぐくむ水源地を守り続けていくことは、安全でおいしい水を安定的に供給する水道事業者に課せられた使命であります。
 水道局では、平成十四年度に多摩川水源森林隊を設立し、ボランティアと一体となって一部の民有林の保全活動を行ってまいりました。しかしながら、管理放棄による民有林の荒廃が進みつつあることから、水源林の将来を考えますと、みずから所有し、みずから管理していくなど、新たな一歩を踏み出していくことが必要であると考えております。
   〔青少年・治安対策本部長久我英一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(久我英一君) 東京都安全・安心まちづくり条例の改正の目的と今後の対策の展開についてでありますが、繁華街等の安全・安心を確保していくためには、警察、行政による対策に加え、事業者や地域住民等による自主的、継続的な取り組みが重要であります。
 都は、昼夜を問わず安全・安心な繁華街等を形成するための方策を示し、地域ぐるみの防犯活動を推進するため、今回、条例改正の提案を行いました。
 また、今後の対策についてでありますが、平成二十一年度から三年間で、十五の地域において、事業者、地域住民、地元自治体、警察等が一体となって防犯に取り組む組織の立ち上げや防犯カメラの導入などを支援し、繁華街等の防犯対策の充実強化に努めてまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 都立病院における医師、看護師等の確保、定着に向けた取り組みについてお答えいたします。
 周産期医療を初め、都立病院が都民に対し十全な医療サービスを提供していく上で、医療人材の確保、定着は極めて重要であると認識しております。
 東京都ではこれまでも、医師の大幅な処遇改善、東京医師アカデミーの開講、看護師採用活動の強化など、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 その結果、常勤産科医がこの一年で二割以上増加する見込みになるなど、一定の成果を上げつつあります。
 引き続き、産科、救急分野の医師の一層の処遇改善を行うとともに、看護師の二交代勤務や七対一看護基準の積極的導入を進めていくなど、医療人材の確保、定着対策の一層の強化に努めてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 自動車部門の地球温暖化対策についてお答えいたします。
 自動車からのCO2削減をより一層推進するためには、条例の改正とともに、必要な支援を行うなどにより、都民や事業者の理解と協力を得て、その積極的な取り組みを促すことが重要でございます。
 そのため、低公害、低燃費車の導入促進に向けて、中小事業者に対する融資あっせん制度を活用した支援や、電気自動車等の次世代自動車の導入支援を行うとともに、広く事業者と連携し、次世代車の利用推進の機運を盛り上げ、営業活動等での積極的な使用を促してまいります。
 また、事業者への働きかけによる共同配送や公共交通機関と連携したカーシェアリングなど自動車利用の合理化を促進し、交通量の抑制につなげてまいります。
 さらに、事業者団体等によるエコドライブを初めとした適正な運転や整備に向けた取り組みを支援するなど、さまざまな施策を総合的に展開し、自動車部門の地球温暖化対策を強力に進めてまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、土壌汚染対策の安全性の確保についてでございますが、昨年七月にまとめられた専門家会議の提言は、人が生涯この場所に住み続けても健康への影響はないとする極めて安全性の高い内容でございます。
 今回、技術会議で取りまとめた土壌汚染対策は、この専門家会議の提言を確実に実現するとともに、地下水を敷地全面にわたって早期に環境基準以下に浄化し、また、当該域内に仮設の汚染処理プラントを設置し、周辺地域への影響を抑制するなど、より高いレベルで安全性を確保する内容となってございます。
 ベンゾ(a)ピレンにつきましては、操業時の地盤面から下の土壌を二メートルすべて入れかえることに加え、それより深い部分につきましては、油膜が見られる汚染土壌は加熱処理などを行うことにより、健康影響のおそれがないよう対策を行うこととしております。
 不透水層が確認できなかった地点につきましては、今後、周辺の調査を行い、実態を把握した上で、対策時に当該地点の汚染状況を確認しながら、土壌や地下水中の汚染物質を確実に除去した後、人工的に不透水層を形成することとしております。
 こうした対策は、技術会議及び専門家会議において確認されており、安全性は十分に確保されます。
 次に、東京ガス株式会社との協議についてでありますが、今般、豊洲新市場の整備方針を定め、土壌汚染対策の内容や費用が確定したことから、今月十九日、副知事から東京ガス株式会社に対し、都が実施する土壌汚染対策経費の一部負担について協議の申し入れを行い、開始する運びとなりました。
 これまで同社は、平成十年から十四年にかけて土壌汚染調査を行い、十四年に環境確保条例に基づき処理計画を提出して対策を実施いたしました。その後、同社は、新市場予定地について、都と協議しながら、平成十七年から当初計画を上回る対策を実施し、十九年に完了届を提出したことにより、条例に基づく手続を完了してございます。
 一方で、その後の都の詳細な土壌汚染調査により、豊洲新市場予定地には、ベンゼンやシアン化合物等の都市ガス製造に伴う汚染物質が存在することが確認されております。
 また、今回取りまとめた土壌汚染対策は、生鮮食料品を扱う市場用地という観点から、安全を高いレベルで確保するため、法令が求める以上に手厚い内容となっております。
 今後、都及び東京ガス株式会社との間で、まずこれまでの経緯、土壌汚染の状況、都が行う土壌汚染対策の内容等を確認し、負担に関する基本的な考え方を整理、調整した上で、それらを踏まえて具体的に協議をしていくことになります。

○議長(比留間敏夫君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
 午後三時三十八分休憩

 午後三時五十九分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十四番田中良君。
   〔百二十四番田中良君登壇〕

○百二十四番(田中良君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 まず、都の財政運営と景気対策について伺います。
 金融危機、そして景気悪化が進むアメリカでは、新大統領に民主党のオバマ氏が就任しました。その演説にはさまざまな評価がありますが、集まった二百万人の熱気と期待は本物であり、危機を率直に語り、国民とともに乗り越えると訴えた大統領の姿に、政治がなお希望を与える存在であることを改めて認識しました。
 現在、日本国内では、世界同時不況が実体経済に波及し、昨年末の十から十二月のGDPは、年率換算でマイナス一二・七%となり、第一次石油ショック以来の大幅な落ち込みを記録いたしました。
 先月上中旬の輸出額も四六%減少、外需低迷の深刻さを反映し、都内経済の先行きも当面悪化が続くと予測されております。
 昨秋から、国は総額七十五兆円の経済対策を発表し、都も二度にわたり、合計九百億円超の補正予算を編成していますが、民間需要の回復への見通しはいまだ立っておりません。
 都は、みずからの財政機能で、都民が求める公共財、サービスを確実に提供するとともに、十年後は生活が悪化すると考え始めている都民の不安を払拭し、希望を与えていかねばなりません。それは、短期、そして中長期にわたり、経済の構造改革につながる財政支出であるべきであります。
 短期的には、都民生活に安心をもたらす生活者、中小企業支援を充実し、雇用と職業スキルアップの組み合わせで求職のミスマッチを解消するなど、安心、人材育成と就業促進を図っていかねばなりません。
 さらには、雇用維持、創出につながる学校や救急医療機関などの耐震化や、公共交通や都営住宅などのバリアフリー化推進、主要施設維持更新計画などの公共投資を、今後三年間かけて大胆に追加、前倒しをしていくことが重要です。
 また、中長期的には、東京の成長政策を展望し、自治体初の環境減税など企業へのインセンティブをつけるほか、ものづくりを目指す人材を育成するなど、環境や医療、バイオ、IT、ロボットなど、日本が力を発揮できる技術分野の研究開発への支援を行っていく必要があります。
 経済、そして都民生活を安定したものにするために、引き続き都の財政機能を生かしていくべきと考えます。知事の見解を伺います。
 平成二十一年度の地方財政計画では、平成二十年度比で、地方税が一〇・六%減と、過去最大の減収を見込んでおります。都の歳入に関しては、景気の大幅な落ち込みと法人事業税国税化によって、都税は過去最大一三・六%の減収となりました。これは、法人二税が三〇・三%も落ち込み、大都市部ほど影響が大きくなったことによります。
 グリーンスパン前アメリカFRB議長の、百年に一度の金融危機や、日銀総裁の、大変厳しいとの発言が示すように、日本経済の先行きは悪化するとの予測が強く、国も、経済財政の中長期方針と十年展望についてにおいて、先行きの不確実性が極めて高いことから、混乱を脱する、混乱が続くなどのシナリオに分け、経済、財政想定を比較、試算しています。
 都における過去の税収の落ち込みも、平成四年度からの三年連続、法人二税は平成二年度からの五年連続の記録がありますが、果たして景気回復に向けた次の底入れがいつになるのか、予測は困難であります。
 歳出に関しては、二度の補正予算に続く緊急対策を初め、「十年後の東京」計画など中長期的な取り組みなどが設定されているため、今後も支出増の要素が強いといえます。 このような現状で、今後の都の財政収支の見通しについて見解を伺います。
 都は、平成十九年度決算における全体財務諸表によると、基金など資産が八千六百五十七億円増加し、負債が六千五百九十九億円減少するなど、将来世代の財政負担を軽減する財政運営に努めてきました。
 しかし、この年の十一月が日本の景気後退局面入りとされ、現在も悪化が続く状況で、都の財政運営も新たな転換を模索する時期に来たと考えます。地方自治体にとっても、平成二十一年度から財政健全化に資する新指標を踏まえる必要があり、この景気後退の先を見据えていかねばなりません。
 平成十八年七月に公表した財政運営の指針では、財政再建に区切りをつけ、健全性を維持する質的転換を進めてきましたが、中長期的な視点での三年間の取り組みも踏まえ、今後、都はどのように持続可能な財政を確立していくのでしょうか。都の財政運営の方向性について見解を伺います。
 そして、来年度予算案は、都政史上最大の税収減となり、昨年度創設した法人事業税国税化対策基金の全額二千二百十五億円を取り崩します。
 一昨年、石原知事は、福田総理と国税化を合意した直後、分権に逆行し、税の原則に反すると強く反対した民主党に、みずから行った行為を棚上げにし、そもそも日本の税制は、国が勝手に決められるものでありまして、批判、質問されるなら、法律の勉強をなさってからされないと恥ずかしいことになりますと、いわずもがなの的外れな答弁をされました。
 それが、最近になって知事は、国税化の暫定措置は直ちに撤廃すべきでありますとしています。国が抜本改革に取り組むまでには最低三年から六年はかかり、知事が合意した暫定はほごにされ、この措置は今後も延長される公算が強まっています。地方にとっては、国が交付税を一兆円増額することで、法人事業税国税化の意義はなくなりました。再配分も、景気後退によって当初計画から三割程度下回りそうです。
 こうしたことからも、分権への流れを踏みにじり、いたずらに税制を混乱させた政府・与党と知事の責任は重大です。ここに至り、直ちに撤廃すべきとした法人事業税国税化を、知事はどうやって廃止していくのか、見解を伺います。
 次に、雇用問題について伺います。
 年末から年始にかけて日比谷公園内に設置された年越し派遣村は世間の耳目を集め、この問題に対する国の無策を露呈させたのではないでしょうか。
 石原知事は、一月九日の定例会見などで、とにかく現場感覚がないんだから、あの連中はと、厚生労働省の対応を批判しています。
 であるならば、現場感覚を持つ東京都が、新たなセーフティーネットの構築を初め、製造業、現場への派遣の見直しなど、国に対して積極的に働きかけるべきです。
 また、東京都は、昨年十二月、国と連携して、都内主要経済団体等に雇用維持や内定取り消しの回避などを要請していますが、悪質な企業名は公表するなどの強い姿勢を持ちながら、企業に対して、雇用の維持に最大限努めるよう働きかけを強めていくべきであります。
 私は、石原知事が先頭に立って、国や企業に対して積極的に働きかけていくべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年十二月二日、民主党は、緊急雇用対策本部を設置し、私たち都議会民主党も、緊急一時保護施設や自立支援施設、あるいはハローワークを視察するなど、党と連携しながらこの問題に取り組んでまいりました。
 これから契約の更新が集中する年度末に向けて、さらに雇いどめが急増するともいわれています。また、来年度以降も引き続き厳しい状況が続くことが予想される中で、東京都として、公的雇用をふやすことで、失業率の緩和に少しでも役立てるように取り組んでいくべきであります。
 既に東京都は、緊急対策Ⅱなどにより、五十万人の公的雇用創出を打ち出していますが、さらなる積み増しが必要ではないでしょうか。
 また、国の第二次補正予算による緊急雇用創出事業や、ふるさと雇用再生特別基金事業による新たな雇用創出も期待できますが、これら国の事業は、事業費に占める人件費の制約などもあり、実施に向けてのハードルが高いようにも思われます。
 そこで、東京都として、今後の雇用情勢に的確かつ迅速に対応できるよう、緊急雇用対策のさらなる積み増しを実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、東京都の緊急雇用対策や国の雇用再生特別基金事業は、そもそも次の職場を探すまでのつなぎの仕事を前提としているため、正社員化を図ろうという仕組みが見られません。 国のふるさと雇用再生特別基金事業では、事業実施のために新たに雇い入れた労働者を正社員として受け入れ、かつ六カ月定着している場合に、その事業主に対して労働者一人当たり三十万円を支給する制度となっており、国のトライアル雇用でも、一人当たりおおむね三十万円を支給する制度があります。
 東京都の緊急雇用対策などを通じて新たに採用された場合においても、これを一種のトライアル雇用としてとらえるならば、同じように正社員化を促していく仕組みも必要なのではないでしょうか。
 緊急雇用対策を通じた正社員化の促進に向けて見解を伺います。
 次に、都営住宅を活用した居住の場の確保について伺います。
 この間、視察先の所長さんなどから、まずは住居の確保だという話を聞かされました。仕事探しが目的のハローワークでさえ、相談件数のうち二割が住宅相談だということです。
 元派遣労働者で、支援団体を組織された方からは、国の雇用促進住宅はどこも満員。やっと空きが見つかったと思ったら、場所が大宮。都内へ就職活動するだけでも交通費が千円以上かかるので、断念したという具体的な話も聞きました。
 このように職を探している人たちの話を聞くと、まず第一に住宅の確保だという声が最も多いようです。 一方、都営住宅や職員住宅などの中には、建てかえを間近に控えて、空き家のまま募集を停止しているところもあり、これら住宅の有効活用を図るべきではないでしょうか。
 そこで、私は、特に建てかえを控えた都営住宅については、職業訓練の期間あるいは採用が決まるまでの期間などの短期入居を認め、働く意欲のある低所得者の居住の場の確保に取り組んでいくべきだと考えますが、見解を伺います。
 年越し派遣村では、生活保護などの生活相談から、住宅、労働などの相談まで、役所の縦割りに関係なく、ワンストップでさまざまな相談に応じていました。
 一方で、東京都が低所得者対策として創設された生活安定化総合対策事業では、多くの区市町村から、雇用、就業に関する相談窓口の設置に苦慮する声が聞かれました。
 国においては、ハローワークが設置されていない市町村と連携して、役所などの中に職業相談や職業紹介等を行う地域職業相談室を置く制度もありますが、都内では十カ所にとどまっています。
 先日視察した国のキャリアアップハローワークは、場所が都庁と間近、しかも対象を非正規労働者としている施設にもかかわらず、東京都の受講奨励金の制度を紹介するパンフレットさえ置いていません。
 東京都が音頭を取って各機関の連携を促し、それぞれの窓口でワンストップサービスを提供できるよう取り組んでいくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、生活安定化総合対策事業などの拡大、充実についてです。
 低所得者対策として創設された生活安定化総合対策事業では、都内に引き続き一年以上在住、住民登録していることが条件となっています。
 そもそもこれは、石原知事が知事選前に打ち上げた低所得者に対する都民税の軽減が、いわゆる公約の進化によって制度化されたゆえんでもありますが、しかし、低所得者のうち、都内に住所がなくても、東京都の事業所で働き、その後解雇された人などを制度の対象外にする理由はありません。
 また、就職チャレンジ支援事業も、同様に、都内への就業実績があれば、受講奨励金の給付対象にしていくとともに、同事業の制度化を国に対して働きかけていくなど、利用者が使い勝手のいい制度にしていくべきだと考えます。
 生活安定化総合対策事業などの拡大、充実について見解を伺います。
 次に、職業訓練の拡大、充実についてであります。
 公共職業訓練のことし一月の入校生の応募状況は、定員を昨年一月より多い四百四十人としたのに対し、応募が昨年の倍近い千百六十三人。応募倍率は、昨年の一・六一倍から二・六四倍にはね上がっています。
 今後、この傾向はますます強くなると思われますので、東京都として、国の委託訓練の拡大も視野に入れながら、定員のさらなる拡大に取り組んでいくべきです。
 また、どのような分野での企業ニーズが高いのかといった調査についても、引き続き実施するなどして、実効性の向上を図っていくべきだと考えます。
 職業訓練の拡大、充実に向けて見解を伺います。
 次に、非正規労働者の雇用環境の改善についてです。
 現在、東京都では、非正規労働者の処遇改善に取り組もうとする中小企業に対して、社会保険労務士や中小企業診断士などの専門家を無料で派遣するとともに、改善計画の認定を受けた企業への融資制度を設けています。
 しかし、目標企業数は三十社しかなく、企業へのインセンティブが、ほかの制度に比べても少ないように思われます。
 例えば、東京都は、次世代育成企業へのインセンティブとして、人事労務責任者を設置した場合四十万円、意識啓発で十万円、社内ルールづくりで五十万円、育児休業を取得した場合の代替要員一人につき百五十万円を助成しています。
 私は、対象企業数の拡大やインセンティブの充実などを進めることで、非正規労働者の雇用環境の改善に積極的に取り組んでいくべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 石原知事は、施政方針の中で、旧経営陣時代における経営上のさまざまな問題と誤った判断による損失の拡大が、具体かつ詳細に明らかにされたと述べられました。
 しかし、そもそも二月十七日に発表された調査報告自体が、開業後二年間の不良債権の増加を主たる原因とする経営悪化に対する法的責任を調査しただけなのです。
 昨年度末の新銀行の累積赤字は一千十六億円であり、調査報告書で指摘しているデフォルト金額は百十二億円と、一部でしかありません。
 東京都は、昨年三月十三日の予算特別委員会で、累積損失見込みを、経常収益二百六十億円に対して、かかった費用千二百六十億円としながら、費用の内訳を、営業経費五百億円、資金調達費用百億円、不良債権処理額二百八十五億円、貸倒引当金の繰り入れ、戻し入れ二百億円、特別損失百五十億円などと答えています。
 知事は、つくったのはモデルカーで、それをどう運転するかというのは経営者の才覚だと例えています。
 しかし、モデルカー自体に大きな設計ミスがありながら、それを放置し続け、運転手にスピードアップを指示したのは、石原知事自身だったのではないでしょうか。
 私は、旧経営陣に損害賠償を求める以前に、一千十六億円の累積赤字を生じさせた費用の内訳と、その赤字を招いてしまった責任の所在をまず明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。
 その上で、私は、新銀行の失敗の責任が厳しく問われるべきであると考えます。その責任とは、すなわち、発案当時のマスタープランが過大であったことや、スコアリングモデルを初めとしたビジネスモデルが破綻したことの責任、旧経営陣の任命責任や金融情勢全般の判断を見誤った責任、さらには、経営の悪化に対して迅速に対策を講じてこなかった責任についてであります。
 デフォルト金額百十二億円の責任を問う以前に、まず知事自身が、その政治責任と行政責任を自覚し、みずからの責任を果たすべきであると考えますが、知事の見解を伺います。
 特に私が指摘しておきたいのは、この間の株主としての責任です。都議会民主党が、売却などを含めた出口戦略などの早急な検討を主張したのは、営業開始一年後の平成十八年三月であります。その当時から、新銀行東京の経営状況が思わしくないことは、私たちだけでなく、専門家やマスコミなども指摘をしていたのであります。
 私たちの指摘後も、新銀行は拡大路線を継続し、東京都においては、平成十八年十二月一日の取締役会において、融資目標四千三百億円達成のためになお一層の努力が必要と要請をしています。
 報告書では、仁司氏らに対して、遅くとも十八年八月には抜本的な対策を講じるべきであったが、これを怠ったと断じていますが、その後も拡大路線をあおったのは、間違いなく大株主である石原知事自身だったのではないでしょうか。
 知事は、昨年の予算議会において、今日の経営実態を見ると、より早期に強力な指導を行うべきであったという感は否めない、その否を認めていますが、問題は、情報が上がってこなかったことにあるのではなく、情報をとろうとしていなかったその姿勢にあるのであります。
 知事は、この間、新銀行の拡大路線をあおってきたことに対して、どのような責任を感じているのか、見解を伺います。
 二月十七日の報告書では、特別背任罪の成立を肯定できる証拠を取得する調査を完遂させるまでには至らなかったとしており、仁司元代表執行役の責任追及については、民事上の損害賠償請求にとどまっています。
 また、提訴の時期も未定であり、年内にするのかどうかさえいえないというのであっては、もはや問題の先送りとしかいいようがありません。
 さらに、実際の損害賠償請求額も、今後、弁護士と検討するとする一方で、報告書には、仁司氏が法的責任を認めれば訴訟によらない解決も否定しないとも記されており、早くも和解で決着を図るのではないかとの憶測も流れています。知事にかわって旧経営陣が責任をかぶれば、賠償請求額を考えてもいいというような決着が図られるのであれば、株主である都民の理解は到底得られるものではありません。
 知事は、今回、刑事告発を見送ったことも含め、提訴の時期もはっきりとしないような状況についてどのように考えているのか、見解を伺います。
 また、取締役会の責任について、報告書では、明らかな善管注意義務違反を認めるのが相当としながら、仁司氏を除く七名に対して報酬の自主返還を求めていくとしています。しかし、この七名のうち三名がいまだ現職で、新銀行の取締役会の過半数を占めているのです。なおかつ、昨年末の金融庁の業務改善命令では、現在の取締役会についても、十分な指示を行っているとはいえないとして、現経営陣の問題にも言及しています。
 知事は、現在の取締役会と執行役についてどのように評価しているのか、見解を伺います。
 二月十七日の外部の専門家から成る報告書で旧経営陣に対する責任追及の方針が明らかになるとともに、その調査報告書の全文は公開されています。であるならば、昨年三月十日に概要のみ発表され、四百億円の追加出資を後押ししながら、いまだ非公開となっている新銀行東京調査委員会の調査報告書についても全文の公開を改めて求めるものでありますが、見解を伺います。
 二月十二日、新銀行東京は、第三・四半期決算を発表しました。赤字額は七十三億円と、中間決算の赤字から三億円の増にとどまりましたが、その内容はいささか疑問であります。中でも、劣後債を前倒し償還したことによる十四億円の特別利益を計上していますが、そもそも劣後債は、新銀行の資本不足を解消するために発行されたのではないでしょうか。
 新銀行マスタープランでは、新銀行の資本金一千五百億円のうち、東京都からの出資を一千億円、民間企業からの出資を五百億円とし、将来的には民間から一千億円を集めて全体で二千億円の資本にすると想定していました。しかし、民間から集まったのはわずか百八十七億円。そのため、新銀行が、平成十八年十一月、ユーロ市場で百五十七億円の期限つき劣後債を発行し、自己資本に組み入れたのであります。
 今回、この劣後債を前倒し償還したことで、第三・四半期決算での自己資本比率は三五・二五%と、中間決算の四八・五〇%から、わずか三カ月で一三%以上低下しています。これは、新銀行東京が、都民の税金で追加出資四百億円を受け取ったのをいいことに、決算での赤字を減らすため、資本の一部を切り崩したと思われても仕方がありません。
 東京都は、昨年の予算特別委員会において、急いで追加出資をする理由として、二十年度末に自己資本比率が四%を下回ることが想定されるためと答えていました。
 であるならば、今回、劣後債を前倒し処理し、資本の一部を切り崩したことは、追加出資なくしてできなかったものと考えますが、見解を伺います。
 先日、私たち都議会民主党では、新銀行東京PTを開き、第三・四半期決算をヒアリングしましたが、余剰資金の運用先が国債なのか社債なのか株式なのか、あるいはサブプライムローン関係などで幾ら損失が出ているのか、どのような企業に融資できているのかなどについて、まだまだ情報公開が不十分だといわなければなりません。
 また、中間決算で示していながら四半期決算では省略している財務諸表の内容や、私たちが毎回のように委員会で要求している資料なども、みずから積極的に公開をすべきであります。
 新銀行の情報公開のあり方について、見解を伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 今議会には、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例が提案され、予算案にも三百億円が計上されています。しかしながら、この条例案では、東京都と連携する金融機関を、銀行、信金、信組のうち知事が定めるものと規定していることから、新銀行東京への隠れた追加出資になるのではないかとも指摘され、一部で新銀行支援条例ともいわれています。
 中小企業の置かれている現状を踏まえるのであれば、新たな支援策を講じていこうとする姿勢は評価できますが、その前段として、石原知事は金融行政において大失態を演じ、しかも、その総括さえされていないわけですから、その実効性を疑われても仕方がありません。
 そこでまず、政策決定過程について伺います。
 今回の三百億円は、通常の手続と違って、予算案に盛り込まれています。つまり、通常の施策であれば、昨年十一月の各局概算要求として公表され、それらの中から査定されたものが、年明け一月の東京都予算原案の中に盛り込まれるものですが、今回の三百億円は、十一月に所管局が要求したものでもなければ、その後、連携先の信金や信組などから要望があったものでもありません。
 そこでまず、この予算案及び条例案は、いつ、どのような認識、経過を踏まえて提案されるに至ったのか、見解を伺います。
 また、今回の制度では、東京都が債務不履行額の八〇から九〇%程度の損失補助を実施するとしていますが、公金を使って新たに損失補助をする制度をつくるのであれば、まずは、その損失額を全体としてどの程度と見込んでいるのかを明らかにするべきであります。つまり、都民にどのぐらいのリスクをお願いするつもりなのかということです。損失額の見込みについて、見解を伺います。
 さらに、今回、制度のスタートを夏ごろとして、二十一年度の融資規模を五百億円としていることから、平年度ベースでは、より大きな融資規模も想定をされます。
 しかし、市場の適正規模を見誤って失敗した新銀行の轍を踏まないためにも、支援すべき中小企業はどういうところであるのか、そのような中小企業はどのくらいあるのかなどを適切に把握していく必要があります。
 また、融資対象を、取扱金融機関と一定期間取引を継続している中小企業としていますが、一定期間とはどの程度で、その中小企業数はどの程度あると見込んでいるのでしょうか。
 そこで、今回支援対象としている中小企業はどのような中小企業なのか。一定期間とはどの程度で、市場規模をどの程度と見込んでいるのか、見解を伺います。
 条例案には、知事にゆだねる部分が幾つか規定されていますが、事、金融行政において、石原知事の裁量にゆだねる部分が多いことは極めて危険であります。
 特に条例第四条では、東京都が実施する措置として、貸付原資の預託、損失の補助と並んで、知事が特に必要と認めた措置と記されている内容は、具体的にどのようなことを想定しているのでしょうか。
 また、第三条に規定される中小企業向けの融資を実施する際に要件とされる、知事が別に定める要件とは、具体的にどういうことを想定しているのか。それぞれ答弁を求めます。
 一方で、今回の制度設計は、新規のお客さんにスコアリングモデルを使って五千万円までの融資を可能としてしまった新銀行を反面教師としていることもうかがえます。特に、制度融資と違って保証協会の審査さえ必要としないのであれば、まさに制度の根幹を金融機関の目きき力が担っているものと考えます。
 しかし、都民の血税一千億円を毀損させ、その後、金融庁の検査によって、与信審査体制も含めて業務改善命令まで出ている新銀行東京については、新たな損失補てんを前提とし、かつ、都民の税金を預託するに足る十分な社会的信用、評価は得られていないといわざるを得ません。
 仮に公金を入れるとすれば、当然都民からの相当の不安、批判が想定をされますが、東京都はどのように説明責任を果たすのか、見解を伺います。
 さて、中小企業への資金供給の大きな柱は、何といっても制度融資です。都は、二十一年度の予算の中で、中小企業制度融資として二千二百五十億円を計上し、融資目標額を今年度に引き続き一兆七千五百億円にしています。
 今回の予算編成過程において、産業労働局は、制度融資の金利引き下げのための預託金の積み増しを要求していましたが、市中金利が下がったこともあり、予算化は見送られました。
 しかし、中小企業にとっては、金利が低いことにこしたことはなく、一方で、預託金は金融機関に預けるお金であって、決して戻ってこないお金ではありません。
 こうしたことを踏まえれば、例えば、オリンピック基金にお金を積んだままにするのではなく、一時的にでも金融機関に預託することで、中小企業の円滑な資金供給に役立てるべきであります。
 私は、預託金の積み増しなどによる中小企業への資金供給のさらなる円滑化を求めるものでありますが、見解を伺います。
 また、東京都は、昨年九月の補正予算で、経営メニューの信用保証料を十分の一程度の補助から二分の一の補助に拡充するとともに、十月末の緊急対策Ⅱにおいて、小口資金の融資についても二分の一の補助を新設いたしました。
 各区市町村の中には保証料補助を大胆に実施しているところも多いようですが、東京都においても、中小企業の厳しい経営状況にかんがみ、期間を限定するなどして補助率をさらに引き上げていくべきと考えますが、見解を伺います。
 制度融資とは別に、私は昨年二月の代表質問において、不動産担保や個人保証に過度に依存しない資金調達方法の確保を求めました。これに対して東京都は、予算案の中で、新たに、中小企業が有する機械や設備を担保とした融資制度の創設を盛り込みました。この制度の保証機関がどこになるのかにもよりますが、産業労働局の地道な取り組みは評価したいと思います。
 私は、引き続き、都内の中小企業が持つ知的財産や技術力、経営ノウハウに着目するなどして、不動産担保などに依存しない資金調達方法の確保に向けてさらに取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 まず、豪雨対策についてです。
 去る二月三日、東京都技術会議において、局地豪雨対策特別部会から、局地豪雨による災害等の防止について最終報告がなされ、豪雨被害の軽減に向けた五つの提言がなされました。その中の一つとして、治水対策のレベルアップを検討することが盛り込まれております。
 近年頻発している一時間五〇ミリの整備水準を超える豪雨に対処していくために、五〇ミリ整備に続く整備水準として、東京に過去最大の被害をもたらした狩野川台風級の七五ミリの降雨に対処できるよう、施設計画策定に向けた検討を開始すべきとの提言です。
 そこで、この提言を受け、都は中小河川の整備にどのように取り組んでいくのか、伺います。
 東京都技術会議における局地豪雨対策に関する最終報告からさかのぼること約一カ月前の一月六日、国土交通省は、同省の中小河川における局地的豪雨対策ワーキンググループが、国や自治体などのとるべき対策をまとめた報告書を公表しています。
 この報告書では、ゲリラ豪雨と呼ばれる局地的な集中豪雨では、中小河川の水位が急激に上昇するため、水位に基づいて避難勧告などを発令する現在の体制では避難が間に合わないおそれがあると指摘しています。
 そのため、雨量と川の水位上昇の関係を事前に解析しておき、雨量の観測データから直接、警戒や避難などができる体制にすべきであり、地域防災計画にも解析結果を反映すべきとの提言がなされています。
 都の技術会議の最終報告では、洪水予報河川の拡大や雨量水位予測情報の提供についても触れられていますが、都はどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、震災対策についてです。
 このたび財務局は、都庁舎の設備更新等に関する方針を発表しましたが、この中で、都庁舎は災害拠点としての機能を果たすことが求められているとされています。しかし、そのためには、都庁舎そのものが地震によって大きな被害を受けないことが前提となります。
 近年では、都庁舎のような超高層建築物などが長周期地震動に共振し、被害が発生することが懸念をされています。これに対し、例えば、ここ西新宿にある新宿センタービルでは既に、テナント企業の事業継続計画、いわゆるBCPに配慮し、長周期地震動対策を盛り込んだ耐震バリューアップ改修工事が進められております。
 また、大阪府は、庁舎移転を検討している大阪ワールドトレードセンタービルディングに対する長周期地震動による影響を当初の設計者に依頼して調査した結果、構造体のはりや設備に損傷が生じる可能性があることが判明し、既に対策案を検討しています。
 一方、都庁舎の設備更新等に関する方針では、都庁舎に対する長周期地震動の影響を把握する必要性については認めているものの、具体的対策については、国や学会等による検討結果を踏まえた上で、その必要性を判断するという姿勢にとどまっています。これでは、いざというときに都庁舎が災害拠点として本当に機能するかどうかさえわからないのではないでしょうか。
 少なくとも、長周期地震動が都庁舎に与える影響については、一刻も早く把握すべきと考えますが、都庁舎の長周期地震動対策について、所見を伺います。
 次に、外かく環状道路について伺います。
 外かく環状道路はこれまで、大深度地下方式への都市計画変更、基本計画の決定を終えていますが、事業化には至っておりません。このため知事は、二月十三日、国土交通大臣に対し、一刻も早く国土開発幹線自動車道建設会議を開催して外環の整備計画を定め、平成二十一年度の事業着手を要請しました。これを受け、国土交通省は、建設に向けた整備計画路線への格上げをする方向で検討に入ったようであります。
 一方、昨年十一月、国は、今後の道路整備に当たっては、最新のデータに基づく交通需要推計結果をもとに見直した評価手法を用いて事業評価を厳格に実施すると発表しました。私は、必要な道路をしっかりと見分けるとともに、優先順位をつけながら、関係住民の声に十分耳を傾け、整備していくことが極めて重要と考えています。
 外環は、首都圏の高速道路ネットワークを形成する上で必要不可欠な道路であり、早期に整備する必要があることは十分理解しますが、さきの国の発表が外環の事業評価にどのような影響を及ぼすのか、都の所見を伺います。
 また、地下方式に都市計画変更された外環の地上部には、従前より地上部街路の外環ノ2が計画されており、本線の都市計画変更後もそのまま残されております。外環ノ2について、地元では、廃止を含め、さまざまな意見があるようですが、私は、早期整備が必要な外環本線と、この外環ノ2は切り離して進めていくべき、つまり、外環ノ2については、最新かつ詳細なデータをもとに、必要なのか、必要でないのかを再度検証し、計画を廃止することも含めて、地元との合意形成を図っていくべきと考えます。
 外環ノ2の都としての基本的な考え方について伺います。
 次に、救急医療、周産期医療について伺います。
 都の保健医療のさまざまな取り組みを定める保健医療計画では、一九八五年の制度化以来、人口等を勘案して医療圏ごとの病床数の上限も定めています。この病床規制のもと、既存病床が多かった東京都では、精神、結核のほかは一般病床の数を一くくりで算出、コントロールされてきた結果、計画上の数値として不足していないことになる医療圏でも、産科や新生児科、小児科など医療分野ごとに見てみると、惨たんたる状況となっています。
 そこで、私たちは、平成十九年第三回定例会でこの問題を取り上げ、不足している産科、小児科などは病床規制の例外として整備を進めるべきであると主張をいたしました。この点については、昨年三月に国が旧通知を廃止し、都も、産科、小児科の有床診療所を規制の例外とする規定を整備したとのことであります。
 医療計画制度は、地域にとって真に必要な医療を確保するために、必ずしも有効に機能してきたとはいえないと考えますが、都の見解を伺います。
 都議会民主党は、昨年十一月に東京都に対し申し入れを行い、NICUの一・五倍増を求めました。これは、国の基準がつくられた平成二年当時の東京都内新生児数に対する二千五百グラム未満出生児率と平成十七年を比較して約一・五倍となっていることから、少なくとも、国基準に沿った都の旧目標値二百床の一・五倍に当たる三百床が必要であると考えるものであります。
 都は、来年度、十二増とする予算を編成していますが、今後の整備目標について明らかにしておりません。ところが、都が整備目標としてきたNICUがほぼ達成されていても、満床による搬送受け入れ困難は日常化しており、さらなる整備が必要であります。
 医師、看護師の不足が続く中では、手厚い人員配置を必要とするNICUの整備が厳しいことは十分理解しております。しかし、人がいない中で何ができるかという発想は、急場をしのぐために不可欠ではありますが、人を集めるために何をすべきかについて発想することも重要であります。つまり、目標と、それを達成するために必要な施策を明らかにして、しっかりとした支援を行うことを示していかなければならないということであります。
 来年度十二床増とする努力は多としますが、私はあえて、保健医療計画において整備目標を明らかにし、取り組むことを求めるものであります。都の見解を伺います。
 周産期医療の立て直しが喫緊の課題となっており、都は、スーパー総合周産期センターを設置し、母体救命措置が必要な妊婦を必ず引き受ける体制を整備することとしました。生命の危機に直面しているケースについて、最後のとりでを確保できることになります。
 私たちが昨年第四回定例会でも申し上げてきたところでありますが、東京都全体の母体、新生児の救急受け入れ体制を一層強化し、整備していくためには、これに加えて、空床補償などベッド確保対策、二次医療機関への患者集中対策、地域の一次医療機関充実対策が必要です。都の取り組みを伺います。
 また、昨年、多摩地域で立て続けに起きたような、搬送先選定に長時間を要する困難事例について、昨年の予算特別委員会でも取り上げ、早急な対応を求めました。これについては、地域間の調整機能を持たせることとなりました。一方、周産期医療では、人手不足の医療現場が搬送先探しまでしています。
 民主党が当初から求めてきたとおり、現場の過重負担を取り除くため、また、患者を迅速に搬送するためには、各病院の搬送調整支援看護師等に加え、都域で総合調整を行うコーディネート、司令塔機能が必要不可欠であり、設置を急ぐべきだと考えますが、見解を伺います。
 都は、救急医や産科医への手当補助、事務補助者配置、トリアージナース配置補助など、民主党が求めてきたことを予算化し、来年度取り組むとしています。医師の負担軽減策、激務に報いる取り組みは歓迎します。しかし、手当がついたからといって、現場の過重負担を追認するようなことは絶対に避けなければなりません。
 これら事業は、救急、産科医療の現場に人をふやし、現場医師の負担が真に軽減されるものになるよう取り組みを求めるものでありますが、都の見解を伺います。
 こうした取り組みを実現させるきっかけとなった墨東病院の事案では、医師不足で休日の当直が組めない状況にありました。この背景には、いうまでもなく、ここ数年、医療内容が高度化し、医療安全のための手続も複雑化する一方で、診療報酬はマイナス改定、医師、看護師は過酷な労働環境に耐えかね、病院離れが進んだことがあります。さらに、福島の大野病院事件を初めとする医療訴訟や新臨床研修医制度、看護配置基準の見直しなどが追い打ちをかけたといわれます。
 こうした中で、都立病院においては病院改革が行われていました。墨東病院産科の深刻な人手不足は、こうした医療政策、都立病院改革の中でなおざりにされてきた陰の側面の縮図であり、都にも責任はあります。
 知事は、平成十三年から都立病院改革を進めてきましたが、一方で昨年までは、医療の変化に対応した医師、看護師不足対策、激務緩和など、必要な処置をとってきませんでした。東京発医療改革の美名のもと、結果として対応がおくれ、医師、看護師が働き続けられなくなり、不足に拍車をかけたことについて、知事自身は責任の認識、反省がないのか、伺います。
 次に、オリンピック招致について伺います。
 近代オリンピックにとって最も大切な理念は何でしょうか。それはオリンピズムであり、スポーツを通じて人々がフェアプレーの精神のもとに体と精神を鍛錬し、文化や国の違いなどさまざまな差異を超えてお互いに理解し合い、友好を深めて、世界の平和に貢献することであります。つまり、オリンピックは単なる世界最大のスポーツ大会ではなく、ビジネスチャンスでもないのであります。また、このオリンピズムを世界じゅうに広めていくために、開催都市を四年ごとに移動する意義も重要であります。
 ところが、近年のオリンピックを見ると、余りにも肥大化、利権化し過ぎた印象があり、開催可能な都市が世界的な大都市に限られてきています。オリンピックのあり方を考えるとき、私たちは、開催都市の招致レースが、世界にオリンピズムを推進する精神とかけ離れてしまっていないかとの問題意識を強く抱いています。
 そこで、過去三度の大会を開催した我が国日本、そして東京が考えるべき課題は、二十一世紀のオリンピックをより身近で世界に開かれたものとすることができるか、全世界に広めていくことができるかということであります。例えば、これまで開催できなかった都市をさまざまな面でサポートしていく平和・都市外交こそ、まさに日本として取り組むべきことであり、平和・道義国家としての真髄であると信じます。そして、そういった活動を積み重ねる中から、我が国に対する好意的な国際世論が醸成され、自然発生的に東京が開催都市として最もふさわしいと望まれることが理想であります。
 しかるに、今般の東京オリンピック招致は、懸念を抱かざるを得ない点が多々あります。
 まずは、知事が訴えるオリンピックは、理念は幾らでもうたえる、ところから始まり、都民に、オリンピックはもうかるからやろうよといい放ち、都民の全面的な共感を得ていないことです。
 そこでまず、東京は、オリンピズムを第一として、経済波及効果や都市基盤整備は、結果、もたらされるものと自覚することが重要であります。そして、国際社会からも共感を得られるよう、理念をより高め、その熱意を示していかなければなりません。
 都は、今まで大会理念を、国内招致都市を競っているときには、都市文明の英知と日本のわざをオリンピックで表現とし、IOCに申請ファイルを提出したときには、人を育て、緑を守り、都市を躍動させるオリンピックを提示してきました。
 一方、都議会民主党は、三年間かけて、世界平和の希求に重点を置く理念とし、広島、長崎と連携すべきと訴えてまいりました。これは、オリンピックの東京招致にとっても大きなストロングポイントになると考えたものです。
 今回、都は初めて、平和を前面に出した理念を掲げましたが、大切なのは、この理念に魂が入るかどうかであります。知事が考える、世界や日本に平和の貢献をもたらすオリンピックとは一体どのようなものなのか、見解を伺います。
 次に、晴海のメーンスタジアムについてです。
 都は、都議会決議を終えた直後に、これを国立施設として発表しましたが、国内招致都市を福岡市に競り勝った後で、改めて都立施設に変更をしました。本来なら、竣工から半世紀を超えた国立競技場の将来像がまず示され、東京招致が検討されるのがあるべき手順ではなかったのかと考えます。大会後の長期的展望や環境面などから、負の遺産を残さないなど、今後も施設整備について検討を続けていかねばなりません。知事の見解を伺います。
 そして、昨年、私は知事に、再び東京ですばらしいオリンピック・パラリンピックの開催を願うならば、知事みずからが衆参両院議長や各党党首などに、オリンピックの説明と国会決議の要請を行うことがいいとアドバイスいたしました。過去の事例では、全会一致の国会決議が採択されたときに、日本がオリンピック招致に成功しています。
 このことから、知事はあくまでも国会決議の全会一致を目指すべきであります。そして、みずから先頭に立って、真摯に各党から理解と賛同を得るため汗をかくのが、招致委員会の責任者のあるべき姿勢、とるべき態度と考えます。今もって決議がなされていない今回の事態が発生した最大の要因は、知事の姿勢の不十分さによる混乱が招いたものであります。
 しかし、知事は、事実と反する発言を繰り返し、私並びに我が党を批判しました。知事には、招致委員会の責任者として、みずから先頭に立って汗をかくことを改めて求めるものであります。
 都民が求める都政の進め方は、都政情報をわかりやすく提供することです。しかし、知事は都民に、オリンピックは三兆円もうかるから、うそでもいいからやろうよと呼びかけました。みずから、経済効果を強く押し出すのは余り好ましくないといいながらも、経済効果を前に押し出しています。
 また、四割を超える都民が、都政は都民の意見や要望をよく知ることを求めていますが、都政への要望にはオリンピック招致の項目はありません。平成十八年の予算特別委員会では、当時の山口知事本局長が、北京、ロンドンでは立候補都市の承認を受けた前後にアンケートを実施しました、都民の提案については幅広く求めてまいりたいと答えています。果たして都は、都民にオリンピックに関する幅広い提案を求め、計画の周知も図ってきたのでしょうか。都の見解を伺います。
 都は新たに、スポーツ振興基本計画の改定を行いました。都市づくりとスポーツの視点からスポーツ振興を図り、オリンピック・パラリンピック招致都市にふさわしいスポーツ都市東京の実現を目指しています。
 しかし、週一回以上、運動、スポーツをしている都民は三九・二%で、全く実施していない人は二二・二%に上り、都民のスポーツ離れが進んでおります。都内の小中学生の運動能力も全国平均を下回っています。
 このような現状で、都は、二〇一六年のオリンピック開催時に、週一回以上スポーツを実施する都民が六割という、国内最高レベルの目標を設定しました。東京のスポーツを取り巻く環境と課題を踏まえて、招致都市にふさわしいスポーツ都市東京をどうつくり上げていくのか、見解を伺います。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 一月二十六日、一部の新聞が、豊洲新市場予定地において、発がん性物質であるベンゾ(a)ピレンが公表値の百十五倍の濃度で検出されていたにもかかわらず、これを報告していなかったなどと報じました。知事は、一月三十日の定例会見で、質問した記者に逆切れし、隠した事実はないと強調しましたが、それは全くの見当違いといわざるを得ません。
 そもそも東京都は、移転先の豊洲地区を安全だ、安全だといい続け、さきの知事選で土壌汚染の問題が大きくクローズアップされると、一転、調査に応じ、その結果、環境基準の四万三千倍ものベンゼンが検出をされたのであります。
 このような経緯があるゆえに、市場移転問題については、多くの都民が東京都の姿勢に疑念を抱いているのであります。そして、その根本的な原因は、まず移転ありきだとする石原知事の姿勢にあるのではないでしょうか。
 石原知事は、豊洲の土壌問題の解決に向けて取り組んだ情熱と熱意を持って、改めて築地での現在地再整備を検討すべきではないでしょうか。役所からの説明だけを聞いて、最先端の技術や方向を検証しないのは、石原知事らしくありません。
 私は、石原知事は、まず移転ありきという姿勢を改め、現在地再整備の手法についても具体的な提案を改めて検討し、それぞれの案についてメリット、デメリットを公平に示すべきであると考えます。
 現在地再整備の検討について、石原知事の見解を伺います。
 私は、ベンゾピレンの検査結果を公表しなかったこともさることながら、絞り込み調査をした四百四十一地点のうち、二地点において不透水層が確認できていないことは大問題だと考えます。少なくとも東京都は、昨年六月の時点で、不透水層等の調査データを収受し、十月には状況把握をしていながら、これらの内容を報告せず、故意に隠していたとしか思われない対応をしています。
 例えば、十一月二十日の経済・港湾委員会において、我が党の増子博樹議員の質問に対して、東京都は、不透水層は二メートルから二十メートルの間で連続していると答弁していますが、この答弁のときには既に、不透水層が検出されない地点が二地点もあったのではないですか。これは、情報隠ぺい以前の問題として、もはや虚偽答弁に当たるのではないでしょうか。
 東京都は、二地点で不透水層がなかったことをいつ知っていたのか。それを知っていて、委員会などで不透水層が連続していたと答えていたのか。不透水層が検出されなかったということは、不透水層が連続しているとはいえないのではないか。それぞれ答弁を求めます。
 また、ボーリング調査の結果、不透水層が検出されなかったということは、不透水層に穴があいているということであり、その穴を通じて汚染が拡大していることが懸念をされます。東京都はこの間、既に何度もボーリング調査などで不透水層に穴をあけておりますが、その穴はセメントミルクで固めているから、汚染は拡大していないと主張をしています。であるならば、私は、改めて、東京都と同じ手法をとりながら、不透水層の下についても汚染状況を調査すべきです。
 穴がありながら、不透水層の下に汚染が拡大していないといい切れるのか。仮に拡大していないというのであれば、その根拠を求めるものですが、それぞれ答弁を求めます。
 さらに、今回、東京ガスの調査と東京都の調査を突き合わせることで、不透水層内に汚染物質が浸透していることが明らかとなりました。
 東京都はこれまでも、専門家会議から、粘土層を形成している有楽町層は水を通しにくく、汚染されている可能性は低いとの意見をいただいていると再三答弁してきましたが、この答弁は誤りではないでしょうか。都は何ゆえ、不透水層内に汚染物質が浸透している事実がありながらも、可能性は低いなどと答弁していたのか。実際に不透水層内に汚染が拡大しているのかどうか、改めて調査を実施すべきと考えますが、あわせて答弁を求めます。
 二月六日、東京都は、汚染処理費を五百八十六億円に圧縮するとし、新市場の開場を二〇一四年十二月とする計画を発表しました。しかし、土壌汚染の調査結果に多くの疑義がある中で、既成事実を積み重ねる手法はもうやめるべきであります。
 しかも、技術会議は、議事録の全文や関連する資料などの情報公開が不十分であるばかりか、専門家会議では行われていたパブリックコメントさえ行われておりません。技術会議の情報を公開し、パブリックコメントを実施するとともに、ベンゾ(a)ピレンなどの関係で、専門家会議のメンバーにどのように報告し、専門家からどのような回答があったのかなどについても、全文を公開するなど、都民とのリスクコミュニケーションを図るべきだと考えますが、見解を伺います。
 次に、地方分権について伺います。
 地方分権改革の推進スケジュールは、第二次勧告に続き、五月には、税財政改革などを対象とした第三次勧告の発表や地方分権推進計画の閣議決定、平成二十一年度中の新分権一括法案の国会提出と進んでいきます。
 分権推進には、地方自治体みずからも、その判断と責任において質の高い行政運営を行い、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図っていくことが重要です。
 また、住民みずからも、分権社会に対する意識を高めるとともに、地域、利用者本位の行政サービスによって、みずからの地域社会を活性化していくことが求められています。
 平成二十一年度から個人都民税の寄附金税制が拡充され、都独自に団体を指定できるようになります。都民がみずから判断して応援したい団体を選び寄附を行う決定権が広がることから、地域活性化の促進に寄与することになります。
 第二次勧告における四千七十六項目の義務づけ、枠づけの廃止、縮小も、地域特性を生かす大きな改革です。
 分権推進と東京の自治向上に向けた都の取り組みについて見解を伺います。
 東京都区部における分権と自治のあり方を検討する都区のあり方検討委員会が節目を迎えています。委員会は、事務配分以外の区域や税財政に関する主張が異なる事項をほとんど議論しないまま、スケジュールが延長されることになりました。委員会は活動を開始してから二年になりますが、都区の当事者間の会議のため、関係者を除いた住民一般には決して注目度が高いとはいえません。
 一方、国の地方分権改革推進委員会は、第三者による推進体制をとり、国や都道府県、市町村から直接意見を聞くとともに、地方懇談会を開催し、シンポジウムでは一般の参加者との質疑応答も行っています。
 今後、区民などが主体となったまちづくりを協働で行い、真の自治を確立していくためにも、都区のあり方の検討に区民などの意見の反映が重要と考えます。都の見解を伺います。
 今後、都区間では、将来の都制度や東京の自治のあり方を明確にしていくため、学識経験者を交えた都と区市町村共同での調査研究を始めるとしています。
 先日、横浜、大阪、名古屋の政令指定都市で構成する大都市制度構想研究会が、日本の国際競争力を高めるとともに、国全体の発展に貢献していくため、府県から独立した新たな大都市制度、都市州を創設するとの提言をまとめました。
 東京都区部のあり方の議論を進める都も、地方分権改革や道州制の議論を見据え、東京にふさわしい自治のあり方を根本的に考えなければならない時期に来ています。東京自治制度懇談会や特別区制度調査会など、東京をめぐる自治制度の議論を踏まえ、分権時代の新たな東京自治ビジョンを策定すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 平成二十一年度は、地方分権改革にとっても転機の年になります。国と地方の税源配分五対五などを目指す税財政改革や、義務づけ、枠づけの見直し、地方行政体制の基盤整備などが、第三次勧告の主な検討課題として挙げられています。特に、税財政改革による地方税源の充実は、分権型社会の構築に必要不可欠なものであります。
 昨年末に策定された国の中期プログラムにおいては、税制抜本改革の基本的方向性として、地方分権推進の観点を重視し、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人課税のあり方を見直すことで、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を進めるとしています。全国知事会も同じ主張です。地方分権改革推進委員会においても、消費税の配分について考える必要があるとしています。
 都も、税源移譲や税財政に関する意思決定の改善、国庫補助金の廃止、地方交付税制度の改善など、分権時代にふさわしい税財政制度に関する提言を行っていくべきであります。都の見解を伺います。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 田中良議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、財政運営についてでありますが、現在、日本が直面する経済危機を根本的にどう打開していくかは、基本的に国の負うべき責任であります。
 一方、都は、都民生活を危機から守り、東京の将来に責任を持つという立場から、昨年は二度にわたる補正予算を編成し、時期を逸することなく必要な対策を講じてきました。
 さらに、二十一年度予算においては、眼前の危機に対応することはもとより、危機克服への新たな活力を生み出す先駆的な取り組みや、東京の将来をつくるための中長期的な取り組みなどにも重点的に財源を振り向けておりまして、都民の期待に十分こたえていると確信しております。
 今後とも、短期、中長期両面から、都が果たすべき役割を確実に果たすことによりまして、都民を覆う不安や閉塞感を払拭し、東京の未来を切り開いていくように、財政運営の努力を行ってまいります。
 次いで、法人事業税の暫定措置についてでありますが、一昨年申し上げたことがよく理解されていないようなので、繰り返して申し上げますけれども、そもそも日本の税制は、国が勝手に決められるものでありまして、法人事業税を国税化しようと思えば、知事に全く相談することなく決められる法体系になっております。
 そうした中にあっても、都は、法人事業税を東京など大都市から奪うやり方は、地方税の原則をゆがめ、地方分権に逆行するものであると厳しく指摘して、一貫して強く反対してまいりました。
 しかし、これは不可抗力の問題でありまして、だからこそ、一昨年の十二月に福田前総理はわざわざ、法律上は相談する必要がないはずでありますが、都知事である私に対して、地方の窮状への理解を求めてきました。
 私は、これをいわば逆手にとりまして、法人事業税の国税化をあくまで暫定措置にとどめさせるとともに、日本の発展につながる首都東京の重要施策への国の協力を取りつけました。これによりまして、首都東京と日本の可能性を一層広げる羽田空港のさらなる国際化や外環道の整備の推進などにおいて着実に成果を上げてきたと思っております。
 法律の制約のもとにあっても、こうして東京の発展、ひいては日本の発展のために具体的な成果を実現することこそが、東京の責任者として果たすべき役割だと思っております。
 そして、その後の地方財政をめぐる事態は、さきに答弁したとおり、国の主張がいかに誤っておりまして、無責任なものであるかを赤裸々に証明するものとなっております。
 かくなる上は、問題の本質的な解決につながらず、東京の活力をそぐ原因にしかならない法人事業税の暫定措置は、直ちに撤廃すべきであると。
 これはあくまでも主張の主張でありますけれども、しかし、これを実現するためには、具体的方法を模索しましたが、ございません。ございません。法律に訴えても、これは裁判を起こしても、負けるのは自明のことわりでありまして、ならば、違った形での実力行使、場合によっては、ある種のストライキをも考えなくちゃいけないかと思うぐらい、この問題が恒久化されることは、東京にとっては致命的なことになりますし、ひいては国に大きな損害を与えますから、これから皆さんのお知恵をかりて、どういう形に対抗していくかということを考えたいと思っております。
 いずれにしろ、法人事業税の暫定措置は直ちに撤廃すべきであると信じております。都議会の皆様のご協力を得て、ぜひともこれを実現していきたいと思っております。
 次いで、雇用問題に関する国や企業への働きかけについてでありますが、雇用情勢が急速に悪化しております。中でも、近年増加してきた、派遣など非正規労働者において失業者が急増しております。
 こうした非正規労働者には、雇用保険等のセーフティーネットが十分機能していない状況も見られ、速やかに制度を整備することが必要であります。
 国は、雇用保険の適用範囲の拡大、派遣の規制強化などを内容とする改正雇用保険法及び改正派遣法を国会に上程しているところでありまして、国会での審議の動向を注視していきたいと思っております。
 都は、雇用維持、確保のため、既に経済団体に要請を行うとともに、企業に対しても、直接訪問するなどして働きかけております。
 次いで、新銀行東京の経営悪化に対する責任についてでありますが、これは選挙に対するいろいろ思惑もございましょうけれども、都民のために、ぜひ冷静に常識を踏まえてお話をいただきたい。常識がすべてではございませんけれども、やっぱり幾分、その多くの部分は法律によっていると思います。
 新銀行東京が今日の事態に至った責任は、経営陣やそれを選んだ取締役会、ひいては株主としての東京都など、つかさ、つかさにあると思います。
 調査報告書でも述べられておりますけれども、銀行法や金融庁の指針、ガイドラインにも示されているように、銀行には、その公共的性格にかんがみて、経営の独立性が強く求められていること、新銀行東京も株式会社としての所有と経営の分離が図られていたこと、さらには、銀行の株主には会計帳簿等の閲覧請求権が認められておりません。新銀行東京から都への情報提供も限定されております。その点では、トヨタやソニーといった一般の企業と違いまして、東京都は株主としてもミニマムマネージは一切できません。禁止されております。
 このように株主の関与が厳しく制限された中で、実際に経営のかじ取りを行い、巨額の損失を計上した旧経営陣の責任は重く、法的責任が問われたことは当然であると思います。
 小零細企業のために設立した新銀行東京の経営が著しく悪化したことは、まことに遺憾でありますが、新銀行東京の支援先である小零細企業に対する責任を自覚するがゆえに、私はこの銀行の再建を決意しました。それを果たすことが、私の目下最大の責任であると思っております。
 次いで、旧経営陣に対する新銀行東京の訴訟提起についてでありますが、新銀行東京では、外部の弁護士による今回の調査結果をもとに、旧経営陣に対して訴訟を提起することを既に決定しております。このように新銀行東京の姿勢は明確であります。
 その上で、新銀行東京は、損害賠償請求訴訟の提起には、周到かつ慎重に準備を進める必要があるとしておりまして、都としては、訴訟当事者である銀行の判断を尊重します。
 なお、調査報告書によれば、仁司元代表執行役及び丹治元執行役についてはヒアリングを実施することができませんで、刑事告発を行うに足りる証拠を集めることができなかったとしております。
 新銀行東京の現経営陣への評価についてでありますが、現在の経営陣である取締役と執行役は、旧経営陣の負の遺産を引き継いだ中で、銀行の再建に向けて懸命にかじ取りに当たっておりますが、この傷は余りにも深い。現経営陣の努力の結果、最近の業績は、中小零細企業向けの融資が増加するなど、着実に上向いておりまして、これは高く評価すべきであると思います。
 新銀行東京の再建はまだ道半ばでありまして、今後も経営陣に対して、業務改善計画の確実な実行など、さらなる経営改善に向けた取り組みを求めてまいります。
 次いで、都立病院における医師、看護師の不足等に関する認識についてでありますが、近年の医師、看護師の全国的な不足は、国の医療政策の失敗によるものですが、都では国の対策を待つことなく、これまでも積極的に都立病院の人材確保対策を実施してまいりました。
 ここ数年の医師給与の大幅な改善を初め、増加する女性医師や看護師のための院内保育施設の充実や育児短時間勤務制度の導入、さらには業務量軽減のための医療クラークの配置などにより、医療スタッフの待遇、勤務環境は確実に向上していると思います。
 また、若手医師の育成システムであります東京医師アカデミーを開講するなど、都独自の人材育成制度も構築いたしました。
 これらの結果、深刻な不足が生じていた産科医が、この一年で二割以上増加する見込みとなるなど、着実に成果を上げつつあると思います。
 今後も、たがを緩めることなく、質の高い医療人材を十全に確保できるよう、引き続き努めてまいります。
 したがって、都立病院改革のもと、医療人材確保の対策がなおざりにされてきたとのご指摘は当たりません。
 次いで、東京オリンピック大会理念についてでありますが、オリンピズムの目的は、人間の尊厳保持に重きを置く平和な社会を推進することであります。東京大会は、まさにこの目的を実現するため、大会理念を、平和に貢献する世界を結ぶオリンピック・パラリンピックとしたものであります。
 日本は、戦後六十年以上にわたり、一貫して平和を堅持してまいりました。この日本でこそ、民族の融和、国家の協調を培う大きなえにしとなるオリンピックの開催をすることにより、世界の平和に大きな貢献ができるものと信じております。
 招致段階はもとより、大会期間中においても、広島、長崎を初め全国各地との連携事業や事前キャンプなどを実施し、スポーツを通じた国際交流により、平和に貢献するオリンピック・パラリンピックを必ずや実現したいと思っております。
 なお、今の質問の中にありましたが、オリンピックはもうかるから、うそでもやろうぜ、これはだれがいったんですか。私はそういうことをいった覚えはありませんし、これは、私だけではなしに、招致委員会に対する大きな侮辱であります。この発言の出どころをはっきりしていただきたい。場合によっては法的な措置をとります。
 次いで、晴海のメーンスタジアムについてでありますが、国立霞ヶ丘競技場は、IOCの求めるメーンスタジアムを設置することが物理的に不可能であります。また、立地条件のよい晴海において国立で整備するよう、国に対して強く要望しましたが、国は二つの大規模競技場は建設できないとの観点から、合意を得るに至りませんでした。
 そこで、都は、開催都市としての責任を果たすために、晴海に都立で整備することとし、IOCに計画を提出しました。
 施設の建設、運営に当たっては、最先端の環境技術を総動員して、環境負荷を極力低減するとともに、大会後の後利用についても、羽田空港に近いことなどの立地条件を生かし、世界的な競技大会や文化イベントを開催するなど、二〇一六年東京大会のレガシーとして後世に引き継いでいきたいと思っております。
 計画を進めるに当たっては、今後とも、国に対して最大限の協力を強く求めてまいります。
 次いで、築地市場の現在地再整備の検討についてでありますが、豊洲地区への移転については、長い年月をかけて、関係者間で再整備を含めてさまざまな案を検討し、議論を尽くして決定したものであります。
 現在地再整備は、種地がないことに加え、営業を続けながらの工事が難しく、これからの市場に求められる新たなニーズに対応できないなど、多くの困難な課題がございます。
 昨年、業界団体の大多数から出された要望書においても、過去に再整備工事に着手したものの、多くの問題を抱え、とんざした苦い経験があり、築地での再整備は不可能であると明確に述べられております。現在地再整備を求める声がいまだ一部にはありますが、実現性のある具体的な計画を策定することは不可能であります。
 都としては、今回出された技術会議の提言に基づきまして、都民や市場関係者が安心できる安全な土壌汚染対策を講じ、平成二十六年十二月の開場に向け、豊洲新市場の整備を進めてまいります。
 次いで、分権時代の新しい自治ビジョンを策定すべきという主張でありますが、自立した地方がみずからの責任と才覚で地域を主宰することこそ、地方自治の本来のありようであります。国の差配のもとで何もかも全国一律に事業を行うという時代ではもはやなくて、明治以来の中央集権体制は、文明の成熟期を迎えた今日の日本社会では有効性を失っております。
 国の地方分権改革推進委員会においては、地方を縛る国の関与の廃止など具体策を今まさに検討しておりまして、こうした改革を着実に推進することが、連綿と続いてきた中央集権体制を変革する端緒となると思います。
 しかし、自治の意義を全く理解しない霞が関は、権限を墨守する姿勢を一向に崩そうとしない。都は、こうした姿勢を打破すべく、地方分権の推進に向け、国に対して提言するとともに、災害対策などの首都圏特有の課題についても、近隣自治体と連携して実体的な取り組みを推進してまいりました。
 各界などさまざまな立場で道州制が論じられておりますが、区割りばかりに目をとらわれるのではなくて、地方の自立という本質を見失わない議論を重ねることが肝要だと思います。
 今後とも、首都東京にふさわしい自治のあるべき姿の実現に向け、国の動向や都区のあり方の検討状況などを見据えながら、実効性のある取り組みを積み重ねるとともに、その体験をもとにして、強く国に働きかけていくつもりです。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、財政収支の見通しについてでございますが、現在直面している危機がどこまで深く、また長いものとなるかは予断を許さないものでございまして、都財政を取り巻く環境は、今後、より一層厳しさを増す局面が生じることも覚悟しなければならないと、かように認識しております。
 次に、今後の財政運営についてでございますが、厳しい財政環境のもとにございまして、二十一年度予算を積極的な予算として編成できたのは、この間、都税の増収局面にあっても、堅実な財政運営に徹し、基金の蓄積や都債の発行抑制による都債残高の圧縮などにより都財政を再建し、健全性を向上させてきた結果でございます。
 今後、ただいま財政収支に関する答弁で申し上げたように、財政環境がより一層厳しさを増すことも想定される中にありましては、これら基金や都債発行余力を適切に活用し、財政の健全性を維持していくことが重要でございますが、同時に、既存の財源に依拠するのみではなく、効率性を一層向上させるなど、従来にも増して強靱で弾力的な財政体質の確立に向けた努力が重要でございます。
 このため、新たな公会計制度の活用や事務事業評価などにより事業のむだを省き、最少のコストで施策の目的を達成できるよう、施策の実効性を高めるための取り組みを定着、充実させるなど、中長期的な視点に立った堅実な財政運営を行ってまいります。
 次に、都庁舎の長周期地震動対策についてでございます。
 長周期地震動は、周期が数秒から十数秒と長い揺れのことで、周期が長いために人が感じにくい地震波のことでございます。平成十五年の十勝沖地震の際に発生した石油タンクの火災の原因となったとされたことから、初めて問題の重要性が認識されたものでございます。
 この事故以降、超高層建築物への長周期地震動の影響について、さまざまな研究や検討が進められてきておりまして、国においても、長周期地震動対策を定める手法についての調査分析などの検討が行われております。
 都におきましては、これと並行して、既に長周期地震動の影響を解析するためのモデルの作成に取りかかるなど、都庁舎における長周期地震動対策の必要性や内容の検討を進めている状況にございます。
 都といたしましては、この検討を踏まえ、国の検討状況も考慮しながら、必要な場合には、設備更新スケジュールとの整合を図りつつ、長周期地震動への適切な対応を行うことといたしております。
 最後に、分権時代にふさわしい税財政制度についてでございますが、真の地方自治は、地方自治体がみずからの権限と財源に基づき主体的に行財政運営を行うことで初めて実現するものでございまして、都は従来から、こうした観点に基づき、あるべき税財政制度について国に提案を行ってきております。
 具体的には、国から地方への税財源移譲の推進、国庫補助金の原則廃止、地方の実態を踏まえた地方交付税総額の確保などでございます。
 今後とも、真の地方の自立に資する地方税財政制度の確立、税財政の抜本改革の実現に向け、国に求めてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 十八のご質問にお答えいたします。
 緊急雇用対策の積み増しについてでありますが、都では、雇用機会の創出に向けまして、来年度、都独自に区市町村に対して補助を行うことといたしまして、延べ三十万人分の雇用創出に取り組んでまいります。
 これに加えまして、国からの交付金で基金を造成いたしまして、今後三年間にわたり、雇用創出効果の高い事業を都と区市町村が実施することによりまして、さらなる雇用機会の創出を図っていく考えでおります。
 なお、基金事業の実施要件につきましては、全国知事会や都の提案要求により緩和をされておりまして、今後、多くの事業が実施されるものと予想をしております。
 次に、緊急雇用対策を通じた正社員化の促進についてであります。
 派遣で働く方などの雇用の場が急速に失われていることから、緊急の雇用創出事業は、当面の対応として、都が区市町村と連携して雇用機会の創出に取り組むものであります。
 一方、正規雇用を希望する方には、しごとセンターにおきましてキャリアカウンセリングや職業紹介を行うほか、低所得者向けの就職チャレンジ支援事業や三十代の非正規労働者向けのネクストジョブ事業によりまして就業を支援しております。
 さらに、就職チャレンジ支援事業等で、正社員を採用いたしました企業に対しまして採用助成金を支給するなどによりまして、正社員化を促進してまいります。
 次に、国や区市町村との連携についてでありますが、都は昨年十二月、国と共同で緊急雇用対策本部を設置いたしまして、経済団体に雇用維持の要請を行ったほか、緊急相談会などを協力して実施するなど、雇用対策を実効性あるものとするため、連携を図っているところであります。
 また、就職チャレンジ支援事業におきましても、区市町村の担当者に訓練施設の見学会や研修会等を実施いたしまして、区市町村が、生活相談に加えて対象要件の確認や職業訓練の紹介を行うことができるようにするなど、一体となった事業を進めております。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、国や区市町村と連携したサービスを提供してまいります。
 次に、職業訓練の拡大、充実についてであります。
 失業者が急増する中、再就職に必要なスキルを身につけるために、職業訓練が果たす役割はますます重要となっております。
 このため、都は来年度、国の委託訓練の拡大に合わせまして訓練規模の拡大を図るほか、非正規労働者向けに夜間訓練を新設するなど、求職者等のニーズにこたえてまいります。
 次に、非正規労働者の雇用環境整備についてであります。
 中小企業におきましては、パート社員等の処遇改善が進んでいない状況がありまして、雇用環境の整備を図る必要があると考えております。
 このため、都は、モデル的な事業といたしまして、雇用環境改善の意欲がある中小企業をトライ企業と位置づけまして、既に八十三社に対して専門家を無料で派遣をいたしまして、社内規定の整備等について助言を行ってきております。
 トライ企業に対するこうした直接的な支援は、ご利用になった企業から高い評価を受けておりまして、新たなインセンティブの付加は必要ないというふうに考えております。
 今後とも、この事業を通じて得られたさまざまな課題や成果を事例集やホームページ等で積極的に紹介をいたしまして普及させていくことにより、非正規労働者の雇用環境整備を推進してまいります。
 次に、新銀行東京の費用の内訳とその責任の所在についてであります。
 新銀行東京の開業から平成十九年度末までの間の経常収益は二百五十六億円であり、一方、経常費用は千百四億円、特別損失は百六十三億円などとなっております。これらを差し引きました額が、一千十六億円の累積損失であります。
 経常費用の主なものは、人件費百八億円、物件費三百四十億円、資金調達費用百七億円、デフォルト関連費用四百六十億円などでありまして、物件費の中にはシステム経費百五十億円などが含まれております。
 新銀行東京の経営悪化とその責任については、今回の外部弁護士によります報告書におきまして、新銀行東京の開業前から今日に至るまでの間について、さまざまな調査分析を十分に行っております。その中で、旧経営陣のずさんな経営実態について指摘をし、旧経営陣に法的責任のあることが明らかにされました。
 また、都の経営監視が十分に果たされたとはいえない結果となったとしておりますが、先ほど知事がお答えしましたように、銀行の公共的性格にかんがみた経営の独立性、株式会社としての所有と経営の分離、さらには会計帳簿等の閲覧請求権が認められておらず、都への情報提供も限定されていたことなどからすれば、実際に経営のかじ取りを行った旧経営陣の責任は免れないというふうにされております。
 また、マスタープランが過大であったことや、スコアリングモデルが破綻したことの責任についての言及がございましたが、今回の外部弁護士による調査結果報告書でも明らかにされておりますように、マスタープランやスコアリングモデルの策定は、仁司元代表執行役を初め、後に新銀行の執行役等に就任をする七名の方と監査法人など関係者との間での議論の結果を踏まえた成果であることということが明らかにされておりまして、都が一方的に押しつけたものではないというものでございます。
 次に、新銀行東京に対する都の対応についてですが、新銀行東京の平成十八年度中間決算では、純損失が計画と実績とで大きく乖離することとなりました。
 このため、同決算発表後の平成十八年十二月に、都は株主として、新銀行東京に対し申し入れを行いました。その内容は、経常損失の削減のための一層の改善努力や、ビジネスモデルの変更を含む抜本的な経営計画の見直しを行うことにより、経営の健全性を確保しつつ中小企業支援の一層の充実を図ることなどであり、必要な対応を求めております。このため、拡大路線をあおったというご指摘は当たりません。
 次に、昨年、新銀行東京が取りまとめた調査報告書全文の公開についてでありますが、これまでもお答えしたとおり、新銀行東京が昨年三月に取りまとめた調査報告書全文は、旧経営陣の責任を追及する場合に重要な資料であり、個人が特定される可能性がある情報が含まれるため、新銀行東京は公表をしておりません。都としても、銀行のこの判断を尊重いたします。
 次に、新銀行東京の劣後債についてであります。
 劣後債は、企業が発行する社債のうち、元本と利息の支払い順位の低い債券のことでありまして、銀行決算において自己資本比率を算定する際には、補完的に自己資本として算入することができる一方で、金利負担が重いという、そういう特徴があります。
 平成十八年に新銀行東京が発行いたしました劣後債は、発行後五年経過した後には、金利負担がさらに重くなる条件となっております。
 今回、新銀行東京が劣後債を期限前に償還したのは、現下の金融環境における債券価格の下落や将来の金利負担などを総合的に勘案した上で、銀行経営の上で有利だと判断したものでありまして、追加出資を保全するためにも必要なものであります。
 次に、新銀行東京の情報公開のあり方についてであります。
 新銀行東京は、今年度から、中間、期末決算に加えまして四半期決算を開示するなど、みずから情報開示を行っております。
 さらに、都はこれまでも、新銀行東京から報告を受けた経営情報につきまして、銀行の経営に影響を及ぼさない範囲で可能な限りの開示を行っており、今後とも、この考えに変わりはございません。
 一方、新銀行東京は、民間銀行として、厳しい金融経済環境の中での事業運営が求められておりまして、営業上のノウハウや営業戦略など、新銀行東京の競争上の地位を損なうような情報については、当然明らかにできません。
 次に、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策に係る予算案及び条例案提案までの経過についてでありますが、都は、急速に悪化する中小零細企業の資金繰りを支援するため、昨年十月末に、国の緊急保証制度に対応した経営緊急を制度融資に設置いたしますとともに、補正予算を編成し、緊急保証制度の積極的な推進を図るなど、都独自の対応を行ってまいりました。
 しかしながら、それ以降も中小零細企業の経営環境の悪化に歯どめがかからないことや、緊急保証制度によりましても資金調達が困難な企業が存在しておりますことから、さらに一歩踏み込んだ支援が必要であると判断をしたところであります。
 そのため、昨年十二月に追加の予算要求を行うとともに、制度の大枠を規定する条例案の検討を開始したものであります。
 次に、本支援策に係る損失額の見込みについてであります。
 本支援策は、新たな融資制度を構築するものでありまして、現時点において損失額の見込みをお示しすることは困難でありますが、制度の安定的な運営を図る上では、当然のことながら、その損失額を抑える必要があると考えておりまして、今後、金融機関等と調整を図ってまいります。
 次に、本支援策の対象となる中小企業についてでありますが、景気後退の影響を受け、緊急保証制度によっても資金調達が困難な中小零細企業が存在をしておりまして、都としては、こうした中でも、高い技術力等により、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業などを支援していきたいと考えております。
 また、一定期間取引実績のある企業を対象としておりますが、この期間設定につきましては、今後、融資条件の詳細を金融機関等と調整する中で決定をしていきたいというふうに考えております。
 なお、市場規模の見込みでありますが、現段階では確たる想定をできるものではございませんが、例えば、平成十九年度の東京信用保証協会の保証申し込み全体に対して、保証承諾されなかった金額は約三千億円、これを超えておりまして、こうした資金需要が本支援策の融資対象の一つとなり得るものというふうに認識をしております。
 次に、金融支援に関する条例第四条及び第三条についてでありますが、これらの規定は、本支援策を円滑かつ効果的に推進するため必要な条項でございます。
 第四条第三号の、知事が特に必要と認めた措置は、経済情勢が激しく変動する中で、融資を受ける企業にとりまして、真に必要となる支援の対応に備えるものであります。
 また、第三条の知事が別に定める要件とは、企業の所在地や、金融機関との取引年数といった融資対象の要件の詳細や、金利、融資期間等の融資条件などを想定しているところであります。
 次に、本支援策に参加する金融機関における適正な融資審査の確保についてであります。
 本支援策では、地域の金融機関と連携して、より多くの中小零細企業を支援していきたいと考えておりますが、制度の安定的な運営を図る上では、適正な審査を確保し、損失額を抑制していくことが必要であります。
 このため、地域の金融機関の目ききの力や融資のノウハウを活用いたしますとともに、融資条件等の制度の詳細について金融機関等との調整を進めているところでありまして、適正な審査を確保できる制度を構築してまいります。
 次に、制度融資の預託金の積み増しなどによる中小企業への資金供給の円滑化についてであります。
 来年度予算案におきまして、経営緊急を中心に、預託金を三百九十億円増額しております。あわせて、この間の短期プライムレートの引き下げに対応して、金融機関との協議を経て、経営緊急の最優遇金利を引き下げる考えでおります。
 次に、信用保証料補助率のさらなる引き上げについてでありますが、都内区市町で実施されている制度融資は、融資限度額を一千万円以下など、比較的少額に設定いたしますとともに、自治体の一部では保証料の補助などを実施しておりますが、その内容は自治体により異なっております。
 これに対しまして、都の制度融資は都内全域の中小企業を対象としており、例えば経営支援融資の場合、融資限度額を二億八千万円と設定いたしますとともに、小規模企業者に対する保証料の二分の一補助など、他の道府県と比較しても手厚い支援内容となっております。
 平成二十一年度も現行の保証料補助を継続し、中小企業の資金調達に係る負担の軽減を図ってまいります。
 最後に、不動産担保等に依存しない資金調達方法の確保についてであります。
 都は、平成十九年度から、売掛債権や棚卸資産を担保とした流動資産担保融資を実施しております。
 また、来年度予算案の中には、特に財政基盤が弱く、不動産資産に乏しい小規模企業者を対象にいたしまして、車両や工作機械などの動産を担保とする融資制度の創設を盛り込んだところであります。
 お尋ねの知的財産や技術力等に着目した融資につきましては、担保価値の適正な評価や管理、処分方法に課題が残されております。
 都といたしましては、ただいま申し上げました流動資産担保融資や機械設備担保融資を今後着実に実施いたしまして、不動産担保等に過度に依存しない中小企業の資金調達の円滑化に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、離職者に対する都営住宅の活用についてでございますが、都営住宅は、ご承知のとおり、応募倍率が非常に高く、恒常的な空き家はないことに加えまして、高齢者、障害者等で入居を希望する方も多数おられます。
 また、建てかえのため、居住者の退去後、入居を取りやめている住宅につきましては、大規模な修繕なしに活用できるものはほとんどございません。
 こうしたことから、離職者というだけの理由で、居住の場の確保のために都営住宅を提供することは極めて困難でございます。
 離職者に対しましては、介護職などへの就労支援事業が予定されておりますが、こうした事業に応募し、対象となった方の一時住宅として、民間住宅にあわせ、都営住宅などの公的住宅につきましても、本来の入居対象者の入居に支障を及ぼさないことなどを条件に、適切に対応してまいります。
 次に、外環の事業評価についてでございますが、国は昨年末までに、最新のデータに基づく全国ベースの交通需要予測値を発表いたしました。また、事業評価手法の見直しも行いました。
 外環の費用対便益、すなわち工事費などの費用に対する時間短縮効果などの便益の比率でございますが、これまで三・四四とされておりますが、昨年の手法の見直しを加味いたしましても、なお外環の数値は十分高いとされておりまして、まさに必要な道路でございます。
 引き続き、平成二十一年度事業着手に向けて、一刻も早く国幹会議を開催し整備計画を策定するよう、国に強く求めてまいります。
 最後に、外環の地上部街路についてでございます。
 地上部に計画されております外環ノ2につきましては、地元の方々にさまざまな意見があることは承知をしてございます。
 都はこれまで、計画の廃止などを含めて、この道路の必要性やあり方について、関係区市長からの要請を受けて、地元と話し合うことを約束しております。
 都といたしましては、地上部街路の取り組みを、早期整備が必要な外環本線とは切り離して進めるべきものと考えております。
 今後、早期に地元との話し合いが実現できるよう努めることといたしまして、十分な合意がないまま地上部街路の事業化を進めることはございません。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 六点についてお答えをいたします。
 まず、生活安定化総合対策事業の拡大についてでありますが、行政サービスの提供に当たりましては、受益と負担の観点から、都民を対象とすることが大原則であります。
 本事業について申し上げますと、低所得の状態から抜け出せない方々に対し、都の独自事業として、都税を財源に生活相談や職業訓練、貸し付けなどの支援を行うものであり、当然のことながら、都内の住所要件が求められるべきものと考えております。
 次に、医療計画制度についてでありますが、東京都保健医療計画は、医療法に定める医療計画に加え、保健、医療、福祉の連携に関する取り組みを示した基本的かつ総合的な計画であり、都や区市町村の施策展開の指針であります。
 都は、本計画において、救急医療、周産期医療、小児医療など、事業別に医療体制の取り組みの基本的方向を定めております。
 これに基づき、救急医療の東京ルールの推進やスーパー総合周産期センターの設置、地域医療支援ドクター事業の創設などにより、現下の医療を取り巻く厳しい状況に対応しております。
 今後とも、都は、保健医療計画に基づき、関係機関と協力して、地域にとって真に必要な医療の確保に取り組んでまいります。
 次に、NICUの整備目標についてでありますが、東京都保健医療計画では、従来目標としてきた二百床の確保の後も、引き続きNICUの整備を推進することとしており、来年度末までに二百十六床の整備を予定しております。
 なお、具体的な目標につきましては、近年の低出生体重児の増加等を踏まえ、国の懇談会において増床に向けた整備目標の見直しを検討しており、都においても、その動向を踏まえ、対応してまいります。
 次に、周産期の救急受け入れ体制の整備についてでありますが、都は、総合周産期母子医療センターと救命救急センターが密接な連携をとりながら、救命処置が必要な妊産婦を必ず受け入れる、いわゆるスーパー総合周産期センターを来月にはスタートさせます。
 また、ミドルリスクの妊産婦に対して緊急診療を行う周産期連携病院も、来月、指定をいたします。
 あわせて、地域において、周産期母子医療センターや周産期連携病院と一次医療機関との相互の連携と役割分担を進めるため、ネットワークグループの構築にも引き続き取り組んでまいります。
 これらの施策に加え、都医師会の協力を得て、周産期母子医療センターの休日診療体制を維持、確保していくなど、さまざまな取り組みを重層的に実施し、妊産婦や新生児の救急受け入れ体制の強化を図ってまいります。
 次に、搬送調整機能の強化についてでありますが、周産期母子医療センターにおいて、妊産婦や新生児の受け入れ、搬送調整業務を行う医師の負担軽減を図るため、看護師や事務補助者の増配置について取り組んでおります。
 さらに、今後、都全域を対象として搬送調整を行うコーディネーターを設置する予定であります。
 最後に、医師の負担軽減についてでありますが、都においては、来年度から、救急医に対する救急勤務手当や産科医への分娩手当について支援を行うことにより、処遇改善を図ってまいります。
 また、二次救急医療機関において院内トリアージ、すなわち患者の治療の優先順位を判断する看護師の配置を進め、医師をサポートする体制を強化いたします。
 あわせて、救急医療や周産期医療を担う病院勤務医の交代制勤務や短時間勤務の導入等の勤務環境改善にも取り組むなど、さまざまな施策を実施し、医師の負担軽減を図ってまいります。
 また、国に対し、医師の確保や勤務環境改善などについて、より実効性のある総合的な対策を講じるよう、提案要求しております。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 河川に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小河川整備の取り組みについてでありますが、都民の命と暮らしを守るためには、さまざまな工夫のもとに、河川整備を効果的に進めていくことが重要であります。
 このため、神田川や古川を初め、対策を促進すべき河川において河道拡幅や調節池の整備を進めるなど、五〇ミリ降雨対策の河川整備を推進しております。
 さらに、東京都豪雨対策基本方針や東京都技術会議の提言を踏まえ、既往最大の被害をもたらした狩野川台風級の降雨を視野に入れ、今後の河川整備のあり方について検討してまいります。
 今後とも、局地的集中豪雨の増加などにも対応できるよう、河川整備を着実に進めてまいります。
 次に、洪水予報などの取り組みについてでありますが、近年、各地で局地的集中豪雨が増加しており、都民に提供する防災情報の充実を図ることが重要であります。
 これまでも、水防災総合情報システムなどで、インターネットや携帯電話により、雨量や水位のリアルタイム情報を都民に提供しております。
 引き続き、東京都技術会議でも提言された洪水予報を実施するとともに、よりわかりやすい雨量や水位の情報提供に努めてまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 都民への情報提供と都民からの提案についてでございます。
 オリンピック・パラリンピックの開催意義や計画内容につきましては、これまでも、東京都や招致委員会のホームページ、パンフレット、毎月の「広報東京都」定例号などを活用し、PRを実施してまいりました。立候補都市決定時の昨年六月及び開催都市決定一年前の昨年十月には、「広報東京都」の特集号を発行し、その内容をパンフレットにするなどしまして、幅広く都民への情報提供を行ってきたところでございます。
 また、イベントの関係では、都内においては、区市町村との連携によるオリンピックムーブメント共同推進事業の実施、知事と議論する会や各種シンポジウムの開催、全国におきましては、招致大使やオリンピアンによる講演会、スポーツ教室、ふるさと特使による学校訪問などをそれぞれ実施しまして、機運の盛り上げと計画の周知を図りますとともに、それぞれのイベントの場で多くの意見をいただきました。
 さらに、一昨年とことし実施いたしました世論調査の機会をとらえまして、オリンピック・パラリンピックの開催で都民、国民が重視していることや期待していることなどを調査いたしました。
 その結果、これは既に報道発表しておりますが、平和の尊さを訴える、環境を最優先する、子どもたちが健全に育つ環境の整備などに対する要望が非常に高く、これらを立候補ファイルの策定に活用いたしました。
 今後とも、都民、国民の皆様に対してわかりやすい広報に努めますとともに、さまざまな意見をいただき、招致機運の盛り上げと計画内容の充実を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) スポーツ都市東京についてでございますが、その実現のためには、スポーツ実践層のすそ野を拡大することが必要であるというふうに考えております。
 このため、都は、昨年七月に策定いたしましたスポーツ振興基本計画に基づきまして、地域スポーツクラブへの支援など、身近でスポーツを始められる場の提供や、参加型スポーツイベントの開催によるスポーツを始めたくなるきっかけづくりなど、子どもから高齢者まですべての世代を対象にした取り組みを既に始めているところでございます。
 今後とも、関係各局及び区市町村、関係団体等と連携しながら、スポーツ実施率の向上に向けた取り組みを展開し、スポーツ都市東京の実現を目指してまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する八点のご質問にお答えいたします。
 まず、不透水層の状況を確認した時期についてでございます。
 絞り込み調査の報告書については昨年九月末に受理しており、この報告書の内容を確認し、不透水層が確認されていない地点があることを把握したのは十月でございます。
 不透水層が確認されていない地点は、絞り込み調査を実施した四百四十一地点のうち二地点に限られておりまして、また、この二地点に隣接する調査地点はすべて不透水層が確認されていることから、極めて特異な地点であると考えられ、周囲の調査をしてみなければ実態を把握できない状況にございます。
 このため、現在実施している環境確保条例第百十七条に基づく調査の際に、周辺部の調査を行い、実態を把握することとしてございます。
 次に、不透水層は連続していると答えていたことについてでございますが、不透水層が確認されていない特異な二地点を除いて、豊洲新市場予定地の敷地全域で不透水層が連続して分布していることにつきましては、地層の成り立ちや、これまで行った地質調査の結果などから十分に根拠があると考えております。
 不透水層の連続性についてでありますが、豊洲新市場予定地は、埋め立てにより造成された土地で、埋立土の下には自然に形成された有楽町層と呼ばれる地層が存在いたします。有楽町層は、数千年の年月をかけて砂や泥が堆積してできたもので、その成り立ちから、連続性のある地層であり、上部は粘性土などで構成され、極めて水を通しにくい不透水層であるとの見解を専門家会議及び技術会議から得てございます。
 さらに、これまで実施した敷地全域にわたる七十地点の地質調査、四百四十一地点の絞り込み調査の結果では、二地点を除く全地点で不透水層の存在が確認されてございます。こうしたことから、不透水層は連続していると考えております。
 次に、不透水層下の調査についてでございますが、不透水層下のボーリング調査は、不透水層を貫通し、不透水層より上部にある汚染を不透水層下に拡散させる可能性が否定できないため、実施すべきでないと専門家会議は指摘しており、技術会議も同様の見解でございます。
 次に、不透水層下の汚染状況についてでございますが、不透水層が確認できなかった地点については、対策工事に際して、まず、当該地点の周囲を止水矢板で囲み、汚染の拡散を防止した上で、確認されている汚染土壌及び地下水をすべて除去いたします。
 次に、汚染土壌を除去した底面から一メートル単位で汚染物質の有無をボーリングにより確認し、汚染が検出されれば除去するという手順を、汚染物質が二メートル続けて検出されなくなるまで続けてまいります。
 こうした下部への汚染拡大を徹底して防止する底面管理といわれる手法で、不透水層下であっても、深さにかかわりなく、土壌、地下水中の汚染物質をすべて確認、除去した後、セメント固化材等で人工的に不透水層を形成いたします。
 次に、不透水層内の汚染についてでございますが、豊洲新市場予定地での不透水層は、これまで行った地質調査や土質試験の結果、土壌の特性から、極めて水を通しにくく、敷地全域として見た場合、汚染の可能性は低いと考えております。
 ただし、不透水層上端の位置が浅い五街区につきましては、東京ガス株式会社の調査結果及び絞り込み調査の結果から、不透水層内に汚染物質が存在することが想定されておりました。このため、対策実施時に、不透水層中も含めて、深さ方向に汚染物質が二メートル続けて検出されなくなるまで汚染土壌はすべて掘削除去することとしており、このことは、既に専門家会議の検討の中で明らかにされてございます。
 次に、不透水層内の調査についてでございますが、不透水層内の土壌ボーリング調査を行った場合、汚染された地下水を不透水層の深部に浸透させ、汚染を拡大する可能性があり、実施すべきではないと専門家会議及び技術会議から指摘されてございます。ただし、不透水層中の汚染が想定される箇所につきましては、先ほどの底面管理の方法により、汚染物質の確認、除去を行うこととしてございます。
 最後に、都民とのリスクコミュニケーションについてでございますが、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について、都民や市場関係者の理解と協力を得るためには、情報を公開し、共有することが重要でございます。
 技術会議は、各委員が外部からの干渉を受けず、公正な立場で評価、検証を行うことが求められ、また、提案事業者の知的財産に対する配慮も必要なことから、会議を非公開といたしました。
 このたび報告書が取りまとめられたことから、提案事業者の知的財産保護、将来の契約への影響などの観点から公表に適さない情報を除き、会議録、会議資料、ベンゾ(a)ピレン等の関係資料を順次公表しているところでございます。
 これらの報告書等に寄せられる意見につきましては、可能な限り回答していきますとともに、今後、土壌汚染対策を実施していく過程で生かしてまいります。
 今後も、あらゆる機会を通じて情報提供や説明を行い、都民や市場関係者の十分な理解が得られるよう努めてまいります。
   〔知事本局長吉川和夫君登壇〕

○知事本局長(吉川和夫君) 地方分権の推進と東京の自治向上に向けた取り組みについてでございますが、地方が主体的に担うべきさまざまな行政分野において、国の画一的な基準や過剰な関与が数多く存在しております。このことは、地方が地域の実情に合わせた施策をみずからの判断と責任で効果的、効率的に展開する妨げとなっております。
 これまで都は、大臣協議等の手続的な関与を廃止することや、条例で規定できる範囲を拡大することなどを国へ提案してまいりました。
 第二次勧告で示された法令による義務づけ、枠づけの見直しは、こうした都の主張の方向に沿ったものでございまして、その廃止、縮小は着実に実現していくべきものであると考えてございます。
 第三次勧告においては、義務づけ、枠づけの見直しの具体的な内容が示される予定であり、議論の動向等を踏まえながら、今後とも、真の自立に向けた地方分権の推進に取り組んでまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 都区のあり方の検討における住民意見の反映についてでございますが、これまで都と区との間では、幹事会も含めてでございますが、二十数回にわたりまして、事務配分、区域のあり方などにつきまして真摯に検討を行ってきたところでございます。
 ご指摘の住民意見の反映につきましては、首都東京の自治を確立するためにも、住民自治の主体でございます都民、区民の理解を得て進めていくことが重要と認識しております。
 これまでも、検討委員会を公開するとともに、都区双方が提出資料や議論の内容をすべてホームページ上に公表してまいりました。
 今後とも、引き続き情報公開を積極的に行い、都民、区民の意見を検討委員会の議論に反映できるように努めてまいります。

○副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時五十六分休憩
       午後六時十七分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番中嶋義雄君。
   〔百七番中嶋義雄君登壇〕

○百七番(中嶋義雄君) 都議会公明党を代表して質問をいたします。
 よもやこれほど閉塞感に満ちた年になるとは、だれも想像しなかったに相違ありません。それほどに現在の不況は深刻であります。知事の施政方針表明ではありませんが、人々は先行きを見通すことができず、まさに不安と危惧、いら立ちを募らせております。
 昨年末から年明けにかけて、私は、何人もの人から、日本あるいは東京の将来展望を示せと迫られたことがございます。景気対策や中小企業支援、環境、福祉など、当面する課題への対処はもちろん重要でありますが、それとともに不可欠なのは、閉塞感を打ち破るに足る先行きへの展望であります。
 一つには、東京の新たなまちづくりであります。
 下水道を例にとれば、長年かけて一〇〇%普及、概成に至った一方で、初期に整備した施設は既に更新工事が必要となったことに象徴されるように、折しも東京は、すべての都市インフラや施設の更新時期にこれから差しかかろうとしております。今後十年、二十年、三十年をかけて、都市の更新という新たなまちづくりが不可欠となりました。そうであれば、後藤新平氏の構想を矮小化してしまった過去の過ちを繰り返してはなりません。
 底の知れぬ深刻な不況の今こそ、改めて大都市東京の更新という前代未聞の大事業に対して、防災、環境、福祉という新たな観点を加味した、あり得べき東京の将来像を思い描いて都民に提示すべきであります。知事の所見を伺いたいと思います。
 そして、もう一点は、国や自治体あるいは社会総体の統治、運営のあり方についての展望が必要であります。地方分権との言葉に手あかがついてしまった現況は残念でなりません。市町村合併も、最近は、その負の側面がより多く指摘をされております。国の統治のあり方から根本的に見直すためには、もはや単なる分権論ではなく、いわゆる道州制の導入を前提とした議論を前に進めるべきであります。
 ある意味で、道州制の議論は、東京都や二十三区、そして多摩の市町村にとって一種のタブーでありました。しかし、時代を画するほどの経済変動に直面した今、それを超越するためにも、国と自治体のあり方を根源的に見直し、将来の東京のあり方の展望を示すべきであります。
 司馬遼太郎氏は、かつて繰り返し、日本は太政官政府から一歩も脱皮していないと指摘をしました。そうであるならば、自治体の雄としての東京から、太政官政府を超えた国と地方のあり方を発信すべきであります。知事の見解を求めたいと思います。
 次いで、財政問題について質問いたします。
 一橋大学の教授であった経済学者の野口悠紀雄氏は、日本の不況は単なるサブプライム問題の波及ではなく、戦後長く続いた日本経済の構造的なゆがみが原因であり、それを解決しない限り、経済の再生は不可能との見解を示しております。もしもそうであるならば、現在の不況は循環論でとらえてはいけないことになります。もちろん、一日も早く不況を脱却する努力を全力で展開すべきでありますが、都政を預かる観点からは、楽観的な見通しは排除してかかるべきであります。
 その意味で、一般会計は対前年度比三・八%減としたものの、政策的経費である一般歳出を二・九%増の四兆五千四百二十二億円とし、しかも、財源として使用可能な基金残高を一兆三千八百八十億円としたのは評価すべきであります。
 当面の福祉医療対策、雇用、中小企業支援、さらに、必要な都市インフラの整備にも予算を配分し、生活の安全・安心、都市機能の拡充を着実に進め、その一方で、来年度以降の財政にも目配りをきかせていると我々は判断いたします。これを可能としたのは、東京都並びに我々公明党を初め議会が推進してきた行財政改革であり、また基金の積み立て努力であります。
 しかし、問題は、繰り返しますが、新年度はもちろん、それ以降であります。二十一年度予算編成における基本的な方針並びに今後の都財政の見通しをベースとした都政運営のあり方について、まず知事の見解を伺います。
 振り返ってみれば、石原知事が就任された十年前、都財政は瀕死の状態にありました。そこで、我が党が提案した新たな公会計制度などを知事が積極的に取り入れ、あわせて堅実な財政運営を行うことにより、難局を乗り切ってまいりました。今後は、より以上に都民生活の向上に直結する施策の着実な実施と、それに必要な財源確保策を同時に達成させる努力が不可欠であります。
 公会計制度のより高度な活用を図るなどの工夫が必要となりますが、効果的な施策の実施と財源確保の両立について、都の見解を伺いたいと思います。
 次に、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九について質問いたします。
 冒頭、今こそ東京再構築の長期展望を示せと申し上げましたが、既に都は、「十年後の東京」計画を提示し、その実行プログラムも、二〇〇八年版から二〇〇九年版へと改定いたしました。
 私が必要と訴えた長期展望は、もう少し息の長い、二十年、三十年、五十年先の東京を視野に入れた将来像の提示を意味します。当然、それには時間がかかり、その間はこの「十年後の東京」計画が重要になります。
 そうした前提で、特に申し上げたいことは、現在の深刻な経済状況を踏まえて、前倒しが必要なものは大胆に取り組むべきであるということであります。
 これまでも、障害者雇用の一万三千人確保やインターネットカフェ等で生活する人を支援する相談窓口の創設など、成果を上げてまいりましたが、新型インフルエンザや医療、雇用、中小企業などの危機に対して果敢に挑戦していくべきであります。知事の決意を伺いたいと思います。
 さらに、都内の渋滞解消、また生活道路への大量の車の進入防止に大きな効果があり、同時に、景気、雇用対策、仕事確保にも効果が期待できる外環道の整備も重要であります。国も、いわゆる国幹会議開催の検討に入ったと報道がなされ、四十年おくれの事業にも、ようやく先行きのめどが立ちました。既に答弁が出ておりますが、上下の分離など、住民の理解を得ながら事業に着手していくことを強く求めておきたいと思います。
 次に、中小企業支援策について質問いたします。
 現在、地域経済を支える中小企業は、急激な景気悪化に見舞われ、受注の極端な減少、めどが立たない資金繰りなど、まさに存亡の瀬戸際に立たされております。特に、昨年秋から国が実施している緊急保証制度でも、対象から外れる中小企業が深刻な状態に追い込まれております。例えば、急激な売り上げ減少により、やむなく返済条件の緩和を行った企業や、また、信用保証協会の保証枠を使い切ってしまった企業などは新規の融資を受けることができません。
 こうした中で、都が平成二十一年度予算案に新規事業として盛り込んだ、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策に対しては、大きな期待があります。制度の目的は、あくまでも、従来の融資制度では対象外となった中小企業などに資金を供給するものでなくてはなりません。都の見解を求めたいと思います。
 また、景況は、今後さらに悪化する可能性が高いといえます。したがって、この新たな融資制度の発足を急ぐべきであります。都の見解を求めます。
 第二に、中小企業設備リース事業について質問いたします。
 都は、さきの補正予算において中小企業設備リース事業を創設いたしました。現在、設備リースの対象企業を従業員百人以下の中小企業に限定しています。しかし、設備投資を拡大させるには、対象をさらに広げる必要があります。また、この事業によって中小企業の省エネ設備の導入が進めば、個々の中小企業のエネルギーコストの削減だけでなく、地球温暖化防止にも貢献することになります。
 こうした観点から、中小企業設備リース事業を活用していくべきでありますが、あわせて都の見解を求めます。
 次に、定額給付金について質問いたします。
 定額給付金の実施については、国の第二次補正予算の成立を受け、既に区市町村へとその舞台が移り、都民への給付金の総額は、試算すると約千八百八十億円に上ります。
 経済危機への対策として、企業への金融支援、雇用創出への取り組み、公共事業の前倒しなどが必要ですが、同時に家計部門への支援策が不可欠であり、その意味で定額給付金は重要であります。また、施策の進め方を工夫することで、商店街など地域における消費拡大にも大きな効果が期待されます。
 定額給付金の実施にあわせ、一定割合の金額を上乗せしたプレミアム商品券の発行を予定している自治体や商工団体がふえております。そこで、このプレミアム商品券を計画している全国の状況と都内の状況について明らかにしていただきたいと思います。
 商品券の発行には、さまざまな経費がかかります。こうした負担を少しでも軽減することで、発行にさらに弾みがつくはずであります。つまり、これに新・元気を出せ商店街事業の補助を適用すれば、商店街の負担を軽減させ、給付金を活用した地域の消費拡大につながっていくと考えます。都の見解を求めたいと思います。
 次に、雇用対策について伺います。
 東京の有効求人倍率は、平成二十年二月の一・四四倍から十カ月連続して減少し、十二月には一・〇四倍となり、一倍割れも懸念される状況になりました。また、失業率も上昇しており、弱い立場にある障害者や女性などの就職に悪影響が出ると危惧されております。
 都議会公明党は、昨年、第四回定例会の代表質問において、障害者や女性などに対する雇用対策の充実に取り組むよう主張をいたしました。したがって、今回の平成二十年度補正予算及び平成二十一年度当初予算には、その趣旨が生かされているはずであります。
 そこで、当該予算に盛り込まれた、新たな障害者並びに女性の雇用対策について、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
 特に障害者雇用について、都は、十年後に障害者雇用三万人増という目標を掲げ、福祉、教育、雇用の連携により、一年間で一万三千人増という高い実績を上げました。
 今後は、景気状況が悪化する中で、障害者の雇用環境も極端に厳しくなるおそれがあります。障害者雇用対策の今後の取り組みについて見解を求めます。
 また、都は、さきに東京緊急対策Ⅱを策定し、雇用対策の加速化を図ってまいりました。特に、昨年十二月の補正予算においては、都が二十万人、区市町村が三十万人、合わせて五十万人分の雇用を確保すると明示いたしました。しかし、いまだその具体像がよく見えません。改めて、都の二十万人分の雇用確保について答弁を求めたいと思います。
 さらに、都は、公共事業を前倒し発注することも発表いたしました。発注工事の全体像を明らかにし、中小企業支援の効果についても見解を明らかにしていただきたいと思います。
 また、本年一月の厚生労働省の公表によると、昨年十月から今年三月末までの期間で、非正規労働者等を対象に実施済み、または実施予定のいわゆる雇用どめは、全国で十二万五千人、都内では二千七百人に上っております。県別では愛知県の二万人が突出して、東京都は全国で十八番目となっております。
 都は、既に職業訓練の経費や訓練受講中の生活費等を支援する取り組みを開始しています。しかし、都内には、近隣のアパート等の一部を借り上げて社宅としている小規模事業所が多く、今後、中小企業の経営不安が一層深刻化していけば、都内でも居住不安が広がっていくおそれは十分にあります。
 その点、都が二十一年度から実施する一千名の介護人材育成事業は、民間住宅の借り上げによる住宅支援を組み込んだものであり、高く評価できます。
 つまり、今後は、定住の保障がなければ就労支援事業も効果が出ない場合も想定できます。したがって、都は、居住という側面にも配慮した新たな就労支援策を検討していくべきであります。都の見解を求めます。
 就労促進に伴う住宅支援に関連して、都営住宅の適正な活用方法について質問いたします。
 建てかえ予定の都営団地の空き部屋を離職者住宅として活用するという意見がありましたが、しかし、建てかえを前提にその住居から退去した居住者や同じ団地に住む人たちにすれば、建てかえがおくれることに対する大きな不安が生じることになります。
 また、現在、空き家募集の倍率は全国で最も高く、繰り返し申し込みを行い、抽せんに当たることを待ちわびている人たちが数多く存在します。
 都民の共通の貴重な財産である都営住宅の活用のあり方については、多くの都民が納得できる明確なルールのもとに進めていくべきであると考えますが、都の見解を求めたいと思います。
 次に、安心して産み育てられる環境の整備について質問いたします。
 まず、分娩環境の整備についてであります。
 東京都の出生数は、この二十年、年間十万人前後とほぼ横ばいで推移しているのに対し、分娩を取り扱う都内の施設は、平成二年に三百九十四施設あったものが、平成十七年には半分以下の百九十二施設に減少しております。これではとても安心して出産できる状況とはいえません。
 こうした事態に対応するため、都は、地域の産科医院などの正常分娩施設とハイリスク分娩に対応する周産期母子医療センターの中間に、ミドルリスク分娩を担う地域医療機関として周産期連携病院を創設し、この三部門をネットワーク化するとしております。
 しかし、正常分娩施設が今後も減少し続けると、ミドルリスク分娩施設、ハイリスク分娩施設への負担が増大し、その結果として、周産期母子医療センターなどの機能が十分に発揮しなくなる可能性があります。
 そこで、こうした事態を未然に防止するために、周産期連携病院に対する必要な支援を行いながら、地域の医療連携システムの構築に取り組んでいくべきであります。
 また、あわせて、この周産期連携病院を医師確保のための医師奨学金制度の対象とすべきであります。都の見解を求めます。
 分娩取扱医療機関の負担を軽減するには、妊婦の状況を的確に判断してリスクを軽減していく、いわゆるリスク管理も重要であります。妊娠初期から母体、胎児の健康管理をきめ細かに行うことによって、リスクを伴う出産の確率を低減させることができます。また、そうした分野の知識や経験が豊富な助産師の活用を積極的に推進すべきであります。
 そこで、院内助産所や助産師外来を実施する医療機関を計画的にふやすために、都の支援策を強化すべきであります。見解を求めたいと思います。
 一方、安全・安心の出産と密接に関係する妊婦健診について、公明党は助成制度の実現に取り組んでまいりました。このたび、我々の強力な推進により、十四回の公費負担に向けて、国の妊婦健診臨時特例交付金制度や、都による妊婦健診支援基金が創設されることになりました。
 現在、都内でも十四回の公費負担に至っていない区市町村がありますが、新年度から一律に十四回の公費負担が実施されるよう、都としても積極的に働きかけるべきと考えます。見解を求めたいと思います。
 次に、待機児童の解消について質問いたします。
 都は、「十年後の東京」において待機児童五千人の解消を目標として掲げ、二十年度から二十二年度の三カ年で、従来の一・五倍のペースで保育定員の増大を図る取り組みを始めましたが、それでも待機児童の増加に追いついていない状況にあります。局面打開のためには、これまでにない思い切った施策が必要であります。
 具体的には、区市町村や事業者が待機児解消に取り組みやすくなるよう都の支援メニューを拡充することであり、また、都有地を活用して施設数の拡大を図るなど、ハード面の支援強化が必要であります。さらに、家庭福祉員増員や、一度退職した保育士の発掘、再雇用、また研修の充実など、保育人材の確保策にも全力を挙げるべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 次に、感染症対策と乳幼児の予防接種について質問いたします。
 今、世界じゅうを震撼させている新型インフルエンザ対策について、都は、平成二十二年度までに、約八百万人分のタミフル、リレンザを備蓄する計画を明らかにしました。
 一方、従来の季節性インフルエンザの毎年の感染実態を見ると、抵抗力の弱い乳幼児から小中学生への感染率が顕著であり、新型インフルエンザにおいても、子どもたちへの治療薬の確保が急務であり、早急に対策を講じるべきであります。
 また、新型インフルエンザについては、子どもたちにも正しい知識と対策を学ばせ、感染拡大防止などを家庭でも話し合う機会を設けるなど、意識の啓発事業を積極的に推進すべきであります。あわせて見解を求めたいと思います。
 次に、感染症対策に関連して、インフルエンザ菌b型、Hib対策について質問いたします。
 小児細菌性髄膜炎を引き起こすHibは、せきやくしゃみなどの飛沫を介して血液や肺の中に入り込み、脳や脊髄を冒す恐ろしい細菌であります。症状が乳幼児の風邪に似ているため、見分けが難しく、早期の診断が難しいとされております。その上、治療がおくれると死に至ったり、重度の後遺症が残るなどの深刻な事態につながります。
 毎年、全国で約六百名の子どもが発症しております。現在、世界百カ国以上でこの病気に有効なHibワクチンの接種が行われ、Hib髄膜炎は百分の一に激減しております。
 ところが、日本ではこのHibワクチンの接種が行われておりません。我が国では昨年末、ようやくこのHibワクチンの販売が開始されました。これを機に、区市町村に対する補助制度にこのHibワクチン接種を組み入れ、あわせて、その有効性について意識の啓発を行い、普及促進に当たるべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 また、細菌性髄膜炎のもう一つの原因菌とされる肺炎球菌や季節性インフルエンザなども含め、広範な感染症対策としての予防接種助成制度の拡充が望まれております。都は、予防接種事業を積極的に支援すべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 次に、子育て世帯への住宅支援について質問いたします。
 我が党は、昨年九月の第三回定例会で、子育て支援策としての住宅政策の重要性を訴えました。都営住宅においては、今後、昭和四十年代に建設された住宅までを対象として建てかえ事業が進展していきます。
 そこで、今後の建てかえにあっては、土地の有効活用を図る高層化に取り組み、現居住者の円滑な転居を優先しながらも、建てかえ後の住宅の一部を子育て世帯向けの募集対象住宅として活用すべきであります。都の見解を求めます。
 都は、都営住宅の公募において、子育て世帯向けの期限つき入居の戸数を年々拡大し、平成二十年度は五百戸としております。しかし、急激な少子化に対応するには、この募集戸数を大幅に拡大することが急務であります。
 この期限つき入居申し込みにおいては、極めて高い都営住宅の入居申し込み倍率を考慮し、一般世帯向け公募戸数に影響を与えることがあってはならないと思います。あわせて都の見解を伺いたいと思います。
 次に、高齢者への支援策について質問いたします。
 急性期を脱した後の医療施設として、都は、療養病床を現在の二万一千三十三床から平成二十四年度末までに二万八千七十七床へ、七千床余り増床する目標を掲げ、一般病床から療養病床への転換に対する施設整備費補助を行っているところであり、評価するものであります。
 これに加え、急性期を脱した後の都民の選択肢を確保する上で、在宅医療体制の整備が喫緊の課題であります。平成十八年の保健医療に関する世論調査では、約半数の都民が在宅療養を希望していますが、その八割は、容体急変時の対応が困難との理由から実現は難しいとしています。そのため、容体急変時の対応の手段を地域で確保するとともに、容体安定後には速やかに在宅に戻れるようにする在宅医療基盤の整備が何よりも重要となります。
 そこで、地域において在宅医療を担う医師や訪問看護師による連携、そして緊急一時入院先である身近な病院と在宅医療スタッフ側との連携を進め、都民が安心して在宅療養生活を送れるようにするべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 同様に、安心して高齢者の方が在宅生活を送るためには、地域の中での見守りや声かけが不可欠であり、そのための日常的なシステムを構築する必要があります。その意味では、世田谷区で厚生労働省が実施したモデル事業、二十四時間安心コール事業が有効であります。
 東京は、今後数年で、人口の四人に一人が高齢者となり、ひとり暮らし高齢者や高齢世帯も急増することが予想され、こうした方々が安心して暮らせる体制の整備が急がれております。これは、本来区市町村が行うべき事業でありますが、都としても積極的に支援すべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 また、こうしたひとり暮らし高齢者などに対する支援は、地域住民やボランティアで対応できる部分が少なくありません。そこで、ひとり暮らし高齢者などの支援については、地域住民の支え合い機能を高めていくよう、地域のボランティアの積極的な活用を図っていくべきであります。都の見解を求めます。
 次に、公社住宅における高齢者支援策について質問いたします。
 高齢者が申し込む公社の一般賃貸住宅の空き家募集は、比較的に低い家賃の住宅が多いといわれています。ところが、低家賃の公社住宅のほとんどは、構造上、エレベーターを設置しにくい階段式住宅となっております。当然、こうした階段式住宅の空き家募集においては、一、二階の低層階に人気が集中します。
 高齢者、障害者、長期疾病患者、さらには妊婦や幼児を家族に抱える家庭は、より一層切実に低層階への入居を希望していますが、その希望は実はなかなかかなえられません。
 そこで今後、東京都は、階段の昇降が困難であることが明らかな世帯については、新規申し込み、あるいは既入居の別を問わず、公社の空き家募集において優先的に低層階への入居が可能となる制度を検討すべきでありますが、見解を伺いたいと思います。
 次に、障害者自立支援法の抜本改正の動きについて質問をいたします。
 自立支援法は、三障害の一元化、就労支援の強化や地域生活の促進、サービスの利用の手続や基準、負担の透明化、そして、国の財政責任の明確化などが目的の制度であります。
 しかし、一方で、負担の応能性やサービス提供事業者の経営安定への配慮、障害区分判定の適切性などの点で、いまだ改善の必要性が指摘されております。
 自立支援法の抜本改正は、早ければ今通常国会でも予定されています。都は、昨年に実施された負担軽減策の恒常化など改善点を取りまとめて、国に強く申し入れるべきであります。見解を求めます。
 また、障害者福祉の現場では、人材確保のためにも賃金水準の引き上げが課題であります。その点、二十一年度の国の予算案でサービス報酬が平均五・一%増額されたことは評価できます。
 しかし、これは、サービス内容の質的向上を導くインセンティブとして設定されたものであり、基本単価自体は余りふえておりません。このままでは、大都市の実情を反映した障害福祉サービス従事者の賃金の改善につながらないおそれが生じてまいります。
 したがって、都は、二十二年度予算以降も引き続き適切にサービス報酬の改定が実施されるよう、具体的な改善項目を取りまとめ、国に提示すべきであります。見解を求めます。
 障害区分判定のあり方は、障害種別特性への対応など解決すべき課題が多く、障害福祉の現場からは、拙速な改正は、柔軟な対応や工夫が阻害されるとの危惧が聞かれます。例えば、調査項目が何百項目にも膨れ上がり、審査過程の複雑化を招いてしまうことや、障害区分の細分化が進み、障害区分と利用可能なサービスが結びつかなくなることへの懸念等があります。
 同じ内容の障害でも、生活環境の相違によって、障害者が必要とする支援内容は大きく異なってまいります。その意味では、障害者が生活環境の中でどのような支援を必要としているのかを的確に把握し、それによって利用できるサービス内容を決定できる仕組みを目指していく必要があります。
 都は国に対し、利用者がその個別性に応じてサービスを選択できる仕組みへの転換を求めるべきであります。見解を求めたいと思います。
 次に、地球温暖化防止について質問いたします。
 都は、大規模CO2排出事業所に対して削減義務を課し、一方、家庭に対しては太陽エネルギー利用機器設置に補助金を出して普及に努める方針であります。
 こうした都民や事業者への働きかけを行う上で重要なことは、都庁みずからも率先して、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入を図ることであります。
 都は、平成十九年五月に省エネ東京仕様二〇〇七を定め、今後、施設の建設、改築などの場合には、省エネ建築、設備を標準仕様として採用していくこととしましたが、これに加え、再生可能エネルギーに関しても、都は具体的なルールを定めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、中小規模事業所に対する地球温暖化対策報告書制度についてであります。
 事業者、特に中小企業の間では、都の制度に対応しようとしても、その方法がわからないといった声がよく聞かれます。特に中小規模事業所の報告書制度は、全く新たに開始される制度であり、制度の内容についての丁寧な説明が必要であります。
 中小規模事業所に対し、省エネ支援策の内容も含め新制度の周知を進めるべきであり、さらに、中小企業の問い合わせに対応するワンストップの相談窓口を検討すべきであります。見解を求めます。
 次に、自動車部門の温暖化対策について質問いたします。
 地球温暖化対策を進めていく上で、自動車から排出されるCO2の削減は極めて重要であります。都ではこれまで、低公害車の普及を図ってまいりましたが、今回提案されている条例改正案では、低公害性に低燃費性の観点を加えた車両の導入促進を図ることとしています。
 ことしの夏以降販売が予定されている電気自動車やプラグインハイブリッド車は、これまでの車に比べCO2の排出が格段に少なく、環境性能にすぐれております。しかし、その走行性能等について十分な周知がなされておらず、走行距離に不安があるなどの声も聞かれます。さらに、ユーザーが安心して使用するためには、充電設備などの環境整備が不可欠であります。
 こうした観点から、次世代車の普及に向けては、実用性の周知を図るとともに、急速充電設備を設置するための新たな支援策が必要と考えますが、都の見解はいかがでありましょうか。
 次に、エコポイントシステムについて質問いたします。
 次世代車の普及とともに、公共交通機関の利用を促進することは、環境負荷低減の取り組みとして有効であります。そこで、都営地下鉄やバスにエコポイントシステムの導入を図るべきであります。
 例えば、平成十九年三月の導入開始以来、既に多くの都民に普及しているICカード、PASMOを活用して、都営地下鉄やバスの利用時にポイントを付与し、たまったポイントを再び公共交通の利用に充てるか、あるいはまた、自然保護や環境保全に貢献できるような仕組みがあれば、都民の環境配慮行動への大きなインセンティブとなります。
 そこで、都営交通における新たなICカードを活用したポイントシステムの導入を求めたいと思いますが、都の見解を伺います。
 次に、築地市場の豊洲移転について質問いたします。
 技術者会議が報告をまとめる直前に、発がん性物質ベンゾ(a)ピレンが高濃度で検出されたことや、新たな地層データを公表していなかったと報道され、都民の不信感をあおってしまったことは極めて残念であります。
 まず、この問題について、事実経過と汚染土壌処理に与える影響について明確な答弁を求めたいと思います。
 我が党は、移転問題を原点に戻って検討するためにPTを設置し、これまで、築地市場を初め新市場予定地、他の移転候補地、重層構造の大阪中央卸売市場、二カ所の汚染土壌洗浄プラント事業所、また中温熱処理プラントなどを訪れ、実態を調査してきました。
 そこで明らかになったことは、まず、営業を続けながらの現在地再整備は、かつて一度断念した経緯があることに加え、アスベストの処理や、二十年にも及ぶ工期の長期化、また、工事に不可欠な種地の確保が困難などの問題があることが明らかになりました。
 また、財政的には、移転跡地の売却収入を見込むことができず、財源の市場会計内での処理が不可能であり、新たに六百億円から七百億円単位の税の投入が必要になってまいります。
 次に、四十ヘクタール以下の土地での新市場整備では、必然的に市場は重層構造となり、動線が複雑化して、短時間に集中する荷さばきが不効率となります。さらに、建設費とランニングコストの上昇が市場利用料にはね返り、結果的に、仲卸を初めとする業者の経営を圧迫することが明らかとなりました。
 こうした調査検討の結果からは、移転を前提とした新市場の整備が合理的であり、財源の手当ても、市場会計内ですべて処理が可能で、新たな税の投入も必要なく、納税者の納得も得られやすいと判断できました。
 したがって、検討すべき課題は、移転候補地である豊洲の汚染土壌の問題に集約されます。さらに要約すれば、技術者会議が選定した処理工法が適切であるのかどうか、処理コストは一体幾らかかるのかが焦点となります。公明党のPTの議論も、最後はそこに絞られました。
 しかし、考えてみれば、これはあくまでも専門的な学者、技術者の知見に依存すべき事柄であり、その意味で、専門家会議と技術者会議の検討と結論を尊重して議論すべき性質の問題であります。食の安全を確保する上でも、専門家の知見は不可欠であります。
 技術者会議の報告は、まずコストについては、当初の六百七十億円から八十億円以上縮減可能としています。処理方法については、既に施工例のある微生物処理、水処理、中温熱処理等で汚染除去を行い、地下水についてもすべて汚染処理をする方針を示しています。
 こうした技術者会議の報告を尊重したいと考えておりますが、我々はむしろ、移転か否かの入り口の議論に終始するのではなく、今後、少なくとも五十年以上は使用する市場については、一体どのような機能を付与すべきであるのか、あるいはまた、首都圏三千万人の食生活を支える新市場は、その立地、機能などを含めどうあるべきであるのか、さらに、世界最高水準の多様な食材を集める新市場から、どのような市場の文化、食の文化を発信するのかといった議論こそ、この都議会で展開すべきであると思います。
 さらにつけ加えるならば、供給の主体者である卸、仲卸などの業者の方々が、いかにスムーズに新たな市場での営業を継続できるのか、そのための方策は一体何かといった議論が必要であると考えております。そうした議論を積み重ねた上で、都は新市場の整備方針を固めていくべきであります。
 改めて、都の築地市場の現状に対する認識と新市場整備に関する基本的な考え方、さらには、新たな食の文化、市場文化の発信、にぎわい創出等について都の見解を求めたいと思います。
 次に、新銀行東京について質問いたします。
 今月十七日、新銀行東京は、開業後二年間の営業悪化に対する旧経営陣の法的責任及びその責任追及について、外部専門家の調査報告を発表しました。そこでは、仁司元代表執行役及び丹治元執行役に関し、危機的なデフォルトを発生させる経営上の原因を生じさせ、しかも、それに対する抜本的な対策を講じなかったとして、会社法における重大な善管注意義務違反に当たると認定いたしました。
 これを受けて新銀行東京は、この両氏に対して、民事上の損害賠償請求訴訟の提起を取締役会で決議いたしました。ようやく公表された調査報告書においては、訴訟の時期、賠償請求額には、残念ながら触れておりません。
 たび重なる我が党の質問に対して、昨年末までには調査結果をまとめるとしながら、おくれにおくれて出てきた報告がこれでは、まさに画竜点睛を欠くといわざるを得ません。再度、旧経営陣の責任追及に関して知事の見解を求めたいと思います。
 今回の調査結果では、詐欺的な要素が認められる融資が存在すると指摘し、その場合は、融資先及び元従業員等に対する個別の法的措置を検討すべきであるとしていますが、これについても、新銀行東京は、今後の対応を明確化して都民に提示すべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 今回の経営責任の追及の範囲は、約一千億円の累積損失のうち、不良債権処理費用三百四十五億円分についてのみであります。しかし、損失の発生の原因はそれだけではありません。発足当初、新銀行東京はシステムの開発に莫大かつ過剰な経費を投入したと各方面から指摘されており、既に公表された決算書からも、そのことは十分に類推できます。
 こういった不良債権処理以外の累積損失についても分析を徹底して行い、必要に応じて法的措置をとるべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 次に、新銀行東京の平成二十一年三月期の第三・四半期決算について質問いたします。
 新銀行東京は、厳しい経済環境の中、中小企業者支援の積極的な営業活動を展開した結果、中小企業に対する営業実績が、第二・四半期の三十八億円に対して、第三・四半期は百二十億円と、およそ三倍に伸ばしたと発表しました。したがって、再建計画より、純利益は二十八億円、純資産は五十億円上回りました。
 今後は、さらに経済環境は厳しくなると予想され、平成二十一年三月期決算は再建計画どおりの結果となるのかどうか、不安視する向きもあります。
 そこで、新銀行東京の経営の監視と支援を行っている東京都として、平成二十一年三月期決算の見通しを明らかにし、あわせて、そのための経営監視の体制を強化すべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 都議会公明党は、新銀行東京の再建計画を着実に進め、黒字化した後に、譲渡もしくは業務提携等により、追加出資の四百億円を回収あるいは保全すべきであることを改めて確認しておきたいと思います。
 最後に、オリンピック・パラリンピック招致に関して質問いたします。
 招致実現に向けて、今まで以上に国内世論の盛り上げが不可欠であります。そのために、オリンピックの魅力を体感できるイベントなども必要であります。例えば、オリンピックやパラリンピックに出場した選手たちと都内の子どもたちが、たいまつリレー、聖火リレーを行うなどのイベント、ムーブメントも検討すべきであります。
 子どもたちが参加しての招致活動について、都の見解を求めたいと思います。
 さて、最近、とみにオリンピック招致に対する期待の声が高まっております。メディアは連日不況の深刻化を伝え、国の内外にわたる閉塞感、不安感が募っています。そこに一点の光明をともすものこそ、オリンピック招致の実現であるといえます。
 私は、都の教育委員を務めるマラソンの瀬古利彦氏が議会を訪れて、私はオリンピックにあこがれて、マラソンでオリンピックに出場することができた、同じ夢と希望を今の子どもたちにぜひ与えてくださいと強調されたことが忘れられません。
 社会総体のエネルギーを増進させる有効な方策の一つが、文化でありスポーツであります。その意味で、オリンピックはまさに象徴的な人類の財産であり、それを再び日本に呼ぶことができることは、最高の子どもたちへのプレゼントとなります。
 その難しい戦いの先頭に立つのが石原知事であります。ぜひ乾坤一てきの戦いにかけて、オリンピックを必ず招致するとの強い決意を表明していただきたいと思います。
 知事の決意を伺い、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中嶋義雄議員の代表質問にお答えいたします。
 この現代における東京の将来像についてでありますけれども、ある意味で、東京ほど特異な都市は世界にないと思います。昼間人口の集中度だけではなくて、すべての面で集中、集積が進み過ぎたといわれるほど進んでおりまして、こういった集中、集積の進んだ都市は他にめったにないと思います。
 それは、さまざまな便宜性、メリットというものを都民に与えておりますけれども、例えば羽田空港のように、東京のダウンタウン、中心街に近い空港は世界に存在しませんですね、大都市に。それから、二十三区に限っていいましても、あれだけのかなり広大な面積に、地下鉄も含めまして、とにかく電車の駅がこれほど数の多い都市は世界にございません。
 あるいは、先般も、ミシュランという世界的な権威の機関が都市の食べ物の魅力について評価いたしましたが、聞くところ、この夏、再びミシュランは日本にやってきてレストランの評価をするようですけれども、これは何も絶対的なものといいませんが、恐らくまた数がふえて、ミシュランなる一応の権威が星を与えるレストランの数というのは、恐らく世界一になると思います。
 いずれにしろ、外国から日本にやってこられた方で何人かの表敬訪問を受けましたが、その人たちで東京というものを評価しない人はいないぐらい。これは、しかし、都知事である私に対する一種のお世辞もあるかもしれません。
 ただ、私自身は参議院のころから丸の内の外人記者クラブのアソシエートメンバーでおりますが、あそこに新規にやってきて何カ月かたった若い外国の新聞記者、通信員に意見を聞きましても、私の表敬にやってこられて東京を評価する方々と全く同じことをいわれるわけでありまして、これは相対的な意味でも信用のできる評価だと思います。
 現に、昨年ですか、フランスの有力紙が世界で最も住みやすい都市というものを抽出しまして、東京は三番目でありましたが、ほかの都市は、いってはなんですけど、比較的小さな国の小体な、しかし、まとまった都市でありますが、これだけの人口を持つ大都市の中でああいう評価を受けた東京というのは、やはり相対的に非常に意味合いの高い存在だと思います。
 その都市を、この新しい世紀を迎えた現代で、文明批判の視点からとらえて作成しました十年計画、十年後の計画というものを今遂行中でありますけれども、これは決して間違いでもございませんし、環境というものを主眼に置いた十年計画でありますが、もしこれが完成されれば、私は、八年後になりますけど、かなり住みやすい、もっと住みやすい、都民に満足していただける、世界に誇れる都市につくり直していくことができるんじゃないかと思います。
 加えて、東京を中心にした首都圏というものの意味合いはますます大きくなってきておりますが、いろんな整備がこれからも必要でありましょう。首都圏という、東京の物流というものを海上を通じて支えている東京港、川崎港、横浜港プラス幾つかの港が東京湾にございますけど、こういったものの合理化、統一というものもこれから必至のことでありますし、既にそれは発進しておりますが、いずれにしろ、そういったものを加えて、今後、水と緑の回廊に包まれた美しいまちというものを近未来の現実としてつくり上げていきたいと思っております。
 ご指摘のとおり、都市インフラの更新は重要な課題でありまして、東京にとっては、より美しく安全で安心できる都市として一層成熟するためのチャンスでもあります。地球環境の問題の解決を導く低炭素型都市への脱皮や、若者たちに将来の日本を担う礎ともなる心の財産を贈り得る東京オリンピック・パラリンピックの開催など、五十年、百年先の東京と日本のためにもなる政策を、今、私たちの責任で強く進めていかなきゃならないと思っております。
 都政を預かる者として、お互いに常に歴史や文明の大きな流れを見きわめつつ、都民、国民に将来の展望を指し示しながら重層的に取り組みを進めまして、子孫に胸を張って引き継ぐことのできる、世界の大都市の範となるような東京を造形していきたいと思っております。
 次いで、国と地方のあり方でございますが、おっしゃるとおり、太政官制度から綿々と続いてきた中央官僚の支配体制というものは、戦後の復興期から高度成長期における我が国の発展には一定の役割を果たしましたが、情報時代という文明の成熟期を迎えた今日の日本社会においては、もはや有効性を失っていると思います。
 交通機関や情報基盤が飛躍的に整備されまして、地域間のつながりが緊密化するとともに、行政課題も広域化しておりますが、明治以来の都道府県の枠組みは何ら変わっていないわけでありまして、そうした状況の中で道州制の議論が出てくることも当然だと思います。
 ただ、都はこれまでも、首都圏特有の広域行政というものをこなしてまいりました。そういったものを踏まえて、これからも国に提言するなど、首都圏住民全体のための政策を実現してきましたし、また、していきたいと思っております。
 友人でありました、道州制問題の調査の責任者でありました、亡くなりましたが、諸井君が最終的に東京にやってきまして、東京が呼びかけてやっております首都圏での広域行政というものを聞いて、非常に参考になったが、なっただけに、かえってまた新しい問題が出てきて、非常に自分は頭を痛めているという話をしておりましたけれども、途中で亡くなりました。
 いずれにしろ、私たちが今やっている首都圏における広域行政というものを、やっぱり一つのよきサンプルとして国にも教示し、これからの道州制も含めた日本の再整備のためのよすがにしていけたらと思っております。
 次いで、二十一年度予算と今後の財政運営についてでありますが、今回の予算編成では、深刻化する経済危機の荒波からいかにして都民の生活を守り、危機克服に向けた活路を切り開いていくかが課題でありました。
 このため、財政再建によって培いました力を駆使しまして、都政が今なすべき役割を確実に果たしていくことによって都民へ安心をもたらし、希望も指し示すことを基本として予算編成を行いました。
 その結果、二十一年度予算は、眼前の危機に果断に対処しつつ、東京に新たな活力を造成して、二十一世紀の都市モデルの実現に向けた歩みを着実に進めていくものとしまして、都民の期待に十分こたえるものになったと確信をしております。
 今後、都財政を取り巻く環境が一層激しさを増すことも予想されますが、新たな公会計制度も活用しまして、都財政体質の強化に不断に取り組みまして、いかなる状況においても都民の生活を守っていく決意に立って、積極果敢な都政の展開を実現し得る財政運営を行っていきたいと思っております。
 次いで、実行プログラム二〇〇九の効果的な展開についてでありますが、「十年後の東京」計画では、東京で生活するすべての人が年齢や障害の有無にかかわらず自立して安心して暮らせる、意欲のあるだれもがチャレンジできる社会を目指すべき都市像として描いております。
 この目標の実現に向けて、これまで、保育サービス一万五千人分の緊急整備や、働く意欲のある方々の再挑戦を支えるTOKYOチャレンジネットの創設などに取り組んでまいりました。
 今回改定した実行プログラムでは、医師不足が深刻化する多摩・島しょ地域において、公立病院などに都が採用した医師を派遣するとともに、雇用状況の急速な悪化に対して、実効性のある雇用対策として、非正規雇用者向けの職業訓練の対象年齢を拡大するなど、都民の生命や生活を守る分野の取り組みについてもさらに充実させてまいります。
 今後、実行プログラムに掲げました意欲的な取り組みを遂行することで、だれもが安心して暮らせる、住み心地のよい二十一世紀の都市モデルへと進化させる確かな歩みを進めていきたいと思っております。
 次いで、新銀行東京の旧経営陣の責任追及でありますが、新銀行東京は、今回の外部調査報告を受けまして、既に旧経営陣に対して訴訟を提起する方針を決定しております。
 訴訟に勝つためには、損害賠償請求額の算定を初め、周到な準備を行うことが必要でありまして、新銀行東京は、これが整い次第、速やかに対応するものとしておりまして、司法の場で責任の所在が明らかになることを刮目してまいります。
 次いで、オリンピック・パラリンピック招致についてでありますが、戦後六十年以上にわたり、一貫して平和を堅持してきた日本で再び東京大会を開催することは、世界平和の実現に大きく貢献し、民族、国家の協調をさらに培い、世界を一つに結んでいく大きなよすがになると思います。
 日本の誇る最先端技術を駆使しまして、世界初のカーボンマイナスオリンピックを実現し、スポーツを通じて、全世界が直面している課題の解決を目指したいと思っております。
 さらに、パラリンピックを通じて、人格と個性を尊重し合う共生社会を目指していきたいと思います。
 各都市が立候補ファイルを提出し、いよいよ招致レースは本格的な段階に入りました。今後は、世論の支持をさらに高めるとともに、国内外に東京の魅力を訴えまして、十月のIOC総会まで全力で招致活動に取り組んでいきたいと思っております。
 私自身も、総力戦となる招致レースの先頭に立ちまして、都民、国民と一体となった招致活動をさらに推し進めて、日本人に大きな大きな夢と感動をもたらすオリンピック・パラリンピック日本招致を必ずや成功させたいと思っております。
 都議会の皆様のさらなるご支援とご協力をお願いする次第であります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず財政運営についてでございますが、都財政の役割は、財政環境が厳しい状況下にあっても、都民の不安を取り除くための取り組み、未来を切り開くための取り組みなど、都政がなすべき役割を確実に果たしていけるよう、財政面からしっかりと支えていくことにございます。
 そのためには、基金や都債など財政の対応力を適切に活用するとともに、事務事業評価等により、施策をより効率的、効果的なものへと継続的に磨き上げていく取り組み、あるいはまた、新たな公会計制度をより一層活用した将来負担への影響の検証などを行うことにより、中長期的視点に立った財政運営を定着、充実させていくことが従来にも増して重要となってまいります。
 都財政を取り巻く環境が、今後厳しさの度を増すことが想定される中にあって、都政に求められる役割を将来にわたり確実に果たしていけますよう、活用可能な基金の維持、充実に努めますとともに、実効性の高い施策の構築に向けた取り組みを強化することにより、一層強靱な財政体質の確立に向け、全力を傾けてまいります。
 次に、公共工事の前倒し発注についてでございます。
 都は、昨年十月末に発表した東京緊急対策Ⅱにおいて、中小企業を活用して都市インフラの整備を推進することを対策の重要な柱の一つとして位置づけました。これは、景気が急速に悪化する中で懸命に努力している中小企業への支援を目指す施策でもございました。
 具体的には、一般会計では路面補修工事、橋梁の塗装工事、道路維持工事などを、上下水道では小規模工事や維持工事などを、都単独の中小企業向け公共工事として追加をいたしますとともに、道路維持工事等についても、新たに年度内契約を可能とする予算上の措置、いわゆるゼロ都債を活用して年度内発注量の増加を図りました。
 これらの措置による増加発注額の総額を申し上げますと、二十年度、二十一年度を合わせて二百六十八億円となっておりまして、このうち二十年度内の工事完了分は百八十億円でございます。二十年度、二十一年度合計額の内訳を申し上げますと、一般会計における工事が百九十二億円、上下水道における公共工事が五十億円、いわゆるゼロ都債の活用が二十五億円となっております。
 これにより、工事発注量自体を増加させると同時に、二十年度末から二十一年度初めにかけて公共工事発注が切れ目なく行われることになりまして、年度初めのいわゆる端境期を解消することが可能となりました。
 今後とも、中小企業の持つノウハウを活用して都市インフラの整備を着実に進めるとともに、苦しい経営環境の中にある、努力する中小企業をしっかりと支えてまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、外環の早期事業着手についてでございますが、都は、都市計画変更の後も、国や地元区市とともに、事業化を前提とした住民との話し合いを重ねてまいりました。
 先月、住民から出された意見や要望に対しまして、環境面を含めました国や都の対策の素案を取りまとめ、公表いたしました。
 今後は、それらの対策を事業段階で確実に実施してまいります。
 こうした取り組みを進める一方で、都は、都議会の外環促進議員連盟と連携いたしまして、平成二十一年度の事業着手に向けて要請活動を積極的に行うとともに、工程促進策について、国と協議を重ねております。
 今後とも、一刻も早く国幹会議を開催し整備計画を策定するよう、国に強く求めてまいります。
 なお、上下分離とのご指摘のございました地上部の街路、外環ノ2についてでございますが、都といたしましては、早期整備が必要な外環本線とは切り離して話し合いなどを進めるべきものと考えてございます。
 次に、離職者に対する都営住宅の活用のあり方についてでございますが、お話にもございましたように、都営住宅では、応募倍率が非常に高く、恒常的な空き家はないことに加えまして、高齢者、障害者等の入居希望者も多数おられます。
 また、建てかえのため、居住者の退去後、入居を取りやめている住宅につきましては、大規模な修繕なしに活用できるものはほとんどございません。
 こうしたことから、離職者という理由だけで、居住の場の確保のために都営住宅を提供することは極めて困難でございます。
 都営住宅の活用に当たりましては、離職者の介護職などへの就労支援事業に応募し、対象となった方の一時住宅として、民間住宅にあわせ、本来の入居対象者の入居や建てかえ事業に支障を及ぼさないことなどを条件といたしまして、適切な対応を図ってまいります。
 次に、建てかえで供給する都営住宅の子育て世帯への活用についてでございますが、少子化が進展する中、都営住宅を子育て支援に活用していくことは重要な課題でございます。
 建てかえにつきましては、管理戸数の抑制を図りながら、昭和四十年代以前に建設した住宅を対象とし、財政状況を勘案しつつ、年間四千戸程度まで事業規模を段階的に拡大することとしております。
 今後は、子育て支援をさらに充実させるため、建てかえで供給する住宅につきましても、従前居住者の戻り入居の状況など、団地ごとの実情を踏まえて、新たに子育て世帯向けの募集を行ってまいります。
 次に、都営住宅における子育て世帯向けの期限つき入居の拡大についてでございますが、都は、子育て世帯に対する支援のため、ひとり親世帯等への優先入居や若年ファミリー世帯向けの期限つき募集など、多様な取り組みを行っております。
 今後は、入居者の世帯構成の変化による空き家募集の戸数増などを見込み、若年ファミリー向け等の期限つき入居を拡大することなどにより、他の応募者にも配慮しながら、今後十年間で約一万五千戸程度を目途に、子育て世帯に対しまして都営住宅を供給し、積極的に支援してまいります。
 最後に、公社住宅における高齢者支援についてでございますが、住宅供給公社は、エレベーターを設置していない公社住宅の上層階に居住する高齢者、障害者、妊婦や幼児のいる世帯に対し、既に低層階の住戸を優先的にあっせんする住宅階層変更の措置を講じてまいりました。
 こうした措置に加え、公社は一般賃貸住宅の募集時において、階段の昇降が困難な高齢者等のいる世帯が既存、新規を問わず優先的に低層階に入居できるよう、新たな措置の早期実現に向けて、都としても公社に働きかけてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 中小企業支援ほかの質問にお答え申し上げます。
 まず、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策の対象となる中小企業についてであります。
 企業体力が弱い中小零細企業は、景気後退の影響を特に強く受けておりまして、ご指摘のとおり、緊急保証制度によっても資金調達が困難な企業が存在をしております。
 こうした中にありまして、高い技術力や経営力等により、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業などを見出し、支援していくことが必要であると考えております。
 そのため、日ごろから企業の顔が見える関係にあります地域に密着した金融機関の目ききの力や融資のノウハウを活用する、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策を創設することとしたところでございます。
 次に、本支援策の開始時期についてでありますが、中小零細企業を取り巻く現下の厳しい状況を考慮すれば、早期の開始が望まれるところでありますが、本支援策は新たな融資制度を構築するものであり、金融機関等との十分な調整が必要となります。
 現在、金融機関等との調整を進めておりまして、夏ごろには支援を開始する考えでおります。
 次に、中小企業設備リース事業についてであります。
 都は、厳しい経済状況のもとでも、設備投資によって生産性の向上を図ろうとする中小企業を支援するため、平成二十年第三回定例会の補正予算で、中小企業設備リース事業を創設したところでございます。
 本事業では、現在、従業員百人以下の中小企業を対象としておりますが、昨年秋以降、経済状況がさらに悪化したことから、平成二十一年度より、都内中小企業全体へと対象を拡大いたします。
 また、本事業を活用して中小企業のCO2排出削減の取り組みを支援することは、実効性のある地球温暖化防止対策として有効であるとともに、長期的に中小企業の経営にもメリットがあると認識をしております。このため、平成二十一年度より、一定の要件のもと、新たに省エネ設備を本事業の対象に加えることといたしました。
 次に、プレミアムつき商品券発行の計画状況についてであります。
 本年一月三十日に総務省から発表されました定額給付金に関する地域の取り組み状況によりますと、全国百二十九市区町村において、商工関係団体等によりまして商品券が発行される予定となっております。
 また、産業労働局が本年二月に行った調査によりますと、都内二十五の地域においても同様の商品券の発行が予定をされております。
 次に、プレミアムつき商品券の発行に伴う新・元気を出せ商店街事業の活用についてであります。
 定額給付金の給付にあわせてプレミアムつき商品券を発行することは、各地域の商店街の振興に寄与するものと考えております。このため、都内各地域の商店街等がプレミアムつき商品券を印刷する場合や、地元での利用を促すPRイベント等に取り組む場合に、新・元気を出せ商店街事業のイベント・活性化事業などを活用して支援をしてまいります。
 今後とも、新・元気を出せ商店街事業を積極的に推進し、商店街の振興を図ってまいります。
 次に、障害者や女性などの雇用確保策についてであります。
 雇用情勢が急速に悪化する中、障害者や子育て中の女性の方々などの就職は、ますます厳しくなっております。このため、都は、これまでの求職者の支援に加えまして、こうした就職が困難な方々を採用した企業への奨励金を創設いたします。
 具体的には、障害者や女性の場合、職業訓練を受講した方や、しごとセンターに登録後も長期間就職できない方を正社員として採用した企業に対しまして、一人当たり五十万円の奨励金を支給することとし、年度内にも事業を開始いたします。
 今後は、本奨励金を活用して、企業の採用意欲の向上を図りまして、障害者や女性など、いわゆる就職困難者の早期就職に努めてまいります。
 次に、障害者雇用の促進についてでありますが、都はこれまでも、職業訓練による障害者の職業能力の向上や働く場の拡大に向けた特例子会社の設置支援、ジョブコーチによる職場定着促進など、一連の支援を実施してまいりました。
 しかしながら、景気が急激に悪化し、障害者の就職が厳しくなるおそれがあることから、来年度、障害者の委託訓練の規模拡大やジョブコーチの倍増を図ってまいります。さらに、企業への奨励金を創設して採用意欲の向上を図り、障害者雇用を一層促進してまいります。
 次に、居住にも配慮した就労支援策についてであります。
 仕事と住居を失い、生活に困窮する方々への支援につきましては、国が、雇用保険制度のほか、住居や生活にかかる費用を貸し付ける就職安定資金融資を用意しており、また、ハローワークにおきまして、寮など住居つき就職のあっせんも行っております。
 これに加えまして、都では、住居を失い、インターネットカフェ等で生活する方や、人手不足が続く介護職場への就職を目指す離職者を対象として、住居確保等による生活支援と就労支援をあわせて行う取り組みを実施しております。
 雇用情勢の一層の悪化により、こうした施策で対応し切れないケースが生じる可能性も考えられますので、今後、検討課題としてまいります。
 次に、新銀行東京の融資についてであります。
 新銀行東京はこれまで、内容に疑義のある融資案件につきましては徹底した調査を継続しており、今回の外部調査報告におきましても、改めてその存在について指摘をされております。こうした案件につきましては、既に捜査機関に協力しており、不正行為が明らかとなれば、法的対応を含め、厳正に対処することとしております。
 都としても、新銀行東京の対応を注視してまいります。
 次に、不良債権処理以外の累積損失に係る分析等についてであります。
 今回、新銀行東京が行った外部調査では、経営悪化に係る法的責任を追及する観点から、開業から平成十九年六月までを中心に、その前後についても対象として、不良債権の問題のほか、システムの関連を含め、さまざまな調査、分析を十分に行っております。その結果、法的責任を問うことができるのは、危機的なデフォルトの発生状況に対して抜本的対策を講じなかった旧経営陣であることが明らかにされております。
 新銀行東京は、外部の弁護士の判断に従って、旧経営陣の責任追及を司法の場にゆだねることとしており、都としてはその推移を注視してまいります。
 最後に、新銀行東京の平成二十一年三月期決算の見通しについてであります。
 今回の第三・四半期決算では、営業成績は伸びているとともに、金融庁の検査結果への対応や現下の中小企業の経営環境の悪化を踏まえた十分な引き当ての積み増しを行った上でも、なお純資産は計画を上回っております。
 こうした中で、新銀行東京では、通期の純損失を再建計画の想定どおりと見込んでおり、現在の厳しい経済状況下においても、今年度末の決算で四百億円の追加出資が毀損されることはないとしております。
 都といたしましても、この目標が達成されるよう、引き続き新銀行東京の監視に努めてまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 都が実施する雇用対策のうち、延べ二十万人分の雇用につながる道路などの維持工事等の公共事業の実施についてのご質問にお答えいたします。
 都市基盤施設を適切に維持管理して良好な状態に保ち、その機能を十全に発揮させていくことは、円滑な都市活動と都民生活を支える上で極めて重要であります。維持管理の工事を施工するに当たっては、地域の状況を熟知し、現場状況に的確に対応できる中小企業を活用していくことが肝要であると考えております。
 東京緊急対策Ⅱを受け、十二月補正予算及び二十一年度予算案において、追加して、中小企業の施工に適した道路維持修繕、橋梁維持補修、街路樹管理や沿道除草、公園内の樹木管理などの維持工事費百五億円を計上、実施することとし、三月までに契約を完了させてまいります。
 これにより、地域や都民のニーズに的確に対応することができ、中小企業の活用が図られるとともに、早期の雇用の確保にもつながるものと考えております。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 出産、子育て環境整備等についてお答えをいたします。
 まず、周産期連携病院に対する支援等についてでありますが、都は、新たに指定する周産期連携病院に対し、当直医師や病床など診療体制の確保を支援するとともに、施設設備の整備費の補助を行います。
 また、周産期連携病院が、ネットワークグループ内において二次医療機関の中心となって緊急診療に取り組むとともに、医療連携を推進できるよう、東京都周産期医療情報システムを設置し、空きベッド情報などを周産期母子医療センター等と相互に共有できる体制を整えます。
 さらに、来年度から実施する医師奨学金制度におきましては、医師免許取得後、就業した場合に奨学金の返還が免除される病院として周産期連携病院を指定し、産科医の確保についても支援を行う予定であります。
 次に、院内助産所や助産師外来についてでありますが、医療機関に設置される院内助産所や助産師外来は、助産師が医師と連携しながら、健康診査や保健指導などをきめ細かく行い、正常な経過の妊産婦の助産をするものであり、医師の勤務軽減にも資するものであります。
 都は、医師勤務環境改善事業におきまして、今年度から院内助産所や助産師外来の設置を促進するため、施設整備への補助を行っておりますが、来年度は周産期連携病院をこの対象に新たに加えることにより、院内助産所等の一層の開設促進を図ることとしております。
 さらに、開設のノウハウなどに関する研修についても拡充する予定であります。
 次に、妊婦健診の公費負担拡充についてでありますが、定期的な健康管理により安全な出産を迎えるため、都は、公費負担による十四回の妊婦健診が実施できるよう、財源措置を国に強く働きかけてまいりました。今般、国が妊婦健康診査臨時特例交付金制度を創設したことを受け、都としても、今年度中に妊婦健康診査支援基金を設置し、区市町村における公費負担の拡充を支援してまいります。
 都は今年度までに、区市町村や医療機関などと健診項目や実施体制について検討を重ね、公費負担の回数増に対応できる制度を構築しておりますので、平成二十一年度からの全区市町村での速やかな実施を目指してまいります。
 次に、保育所待機児童解消に向けた取り組みについてでありますが、都は今年度から保育サービス拡充緊急三か年事業を実施しておりますが、お話のように、この取り組みをさらに加速させる必要があります。このため、来年度、待機児童解消区市町村支援事業を創設し、開設準備経費補助の拡充などを図るほか、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業も活用するなど、事業者の積極的な参入を支援いたします。
 また、家庭福祉員の担い手をふやすため、都と区市町村が連携して養成研修を行うとともに、保育人材確保事業を開始し、保育士の再就職支援のための研修と就職相談会を一体的に実施するなど、保育サービスを支える人材の確保に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、子どもの新型インフルエンザ対策についてでありますが、都が備蓄しております抗インフルエンザウイルス薬は、小児用治療薬として使用できますけれども、年齢や体重に応じて量を調節するなど、投与方法に十分留意する必要がございます。このほかにドライシロップタイプの小児用タミフルも市販されておりますが、使用期限が二年と短く、備蓄にはなじみません。さらに、一歳未満の場合には、こうした治療薬がいずれも使用できないという問題がございます。
 そのため、都は、国に対し、薬の使用を含め、小児への治療の考え方を明らかにするよう求めてきており、今後とも、小児の特性を踏まえた対応方針を示すよう強く要請してまいります。
 次に、子どもや家庭への普及啓発でありますが、ご指摘のとおり、新型インフルエンザから子どもたちを守るためには、事前の準備や発生時の対応等について、家庭の中であらかじめ話し合っておくことが非常に重要であります。
 そのため、都は、現在、新型インフルエンザに関する正確な知識や家庭でできる予防方法などをわかりやすく紹介いたしましたリーフレットを作成しており、今年度中に、都内すべての小学校、中学校、高等学校に通う児童生徒に配布する予定であります。
 次に、Hibワクチンについてでありますが、Hibワクチンは、インフルエンザ菌b型による乳幼児の細菌性髄膜炎の予防に有効でありますことから、都は国に対し、小児に対する定期予防接種にHibワクチンを加える検討を行うよう提案要求してきたところであります。
 昨年十二月、我が国でもHibワクチンが発売されましたが、都としては、この機会に改めてHibワクチンの有効性について区市町村に情報提供を行うとともに、ワクチン接種費用の補助を行う区市町村に対しましては、本年四月から包括補助制度を活用して支援を行います。
 また、国に対しましては、Hibワクチンの定期接種化に向けた検討を行うよう、引き続き求めてまいります。
 次に、子どもに対する予防接種についてでありますが、子どもたちを感染症から守るためには、有効性、安全性が確立されたワクチンを接種することが極めて有効な手段であります。こうした観点から、都はこれまでも、国に対して、予防接種対策をより一層充実するよう提案要求するとともに、予防接種の実施主体である区市町村の取り組みを支援してまいりました。
 今後とも、新たに開発されるワクチンの有効性、安全性について積極的に情報収集し、適切に対応してまいります。
 次に、在宅医療の推進についてでありますが、都民が安心して在宅療養生活を送るためには、病状急変時の一時入院先の確保並びに病院スタッフと在宅医療スタッフとの密接な連携体制の構築が重要であります。
 そこで、都は、地域の身近な病院が在宅医療の連携拠点となることによって、緊急時においても機動的に対応できる体制を地域に整備するために、来年度四カ所でモデル事業を実施いたします。この事業では、拠点病院といたしまして、急性期型、療養型、また、その両者をあわせ持ちますいわゆるケアミックス型など、異なるタイプの病院を選定し、病院スタッフと在宅医療を担う医師や訪問看護師、ヘルパー等が顔の見える連携づくりに取り組んでいきます。
 その取り組みの成果を検証し、都内各地域の医療資源や特色を生かした在宅医療体制の整備を図ってまいります。
 次に、ひとり暮らし高齢者等の安心を確保するための体制整備についてでありますが、都では来年度から、高齢者あんしんコールセンター事業を実施いたします。本事業は、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯などの夜間における緊急時への対応を行う区市町村を支援するものであり、具体的には、夜間対応を行います訪問介護事業所の電話オペレーター機能を活用し、事前に登録された高齢者からの通報に対し、適切なアドバイスやヘルパーの派遣、関係機関等への連絡などを行うものであります。
 夜間における高齢者の安全・安心の確保が図られるよう、本事業を推進してまいります。
 次に、このコールセンター事業への地域のボランティアの活用についてでありますが、ひとり暮らし高齢者等への支援には、簡易な手助けにより解決するものが多く、近隣住民をボランティアとして活用することは、よりきめ細かい支援を行うことが期待できます。 高齢者あんしんコールセンター事業の実施に当たりましては、ご提案のとおり、地域における支え合いの機能を高めるため、区市町村に対し、ボランティアを積極的に活用するよう働きかけてまいります。
 次に、障害者自立支援法の見直しについてでありますが、都はこれまで、利用者負担の軽減措置の継続や、身体障害者を自立支援法におけるグループホーム等の利用対象に位置づけることなど、障害者の生活実態に即した効果的な仕組みとするよう、国に働きかけてまいりました。
 国の見直し案では、利用者負担については現在の軽減措置が継続されるとともに、軽減措置を適用する際の資産要件の撤廃等が新たに実施をされます。
 今後、国が示す法改正等の具体的な内容や実施時期にも注視し、必要な改善点については、適宜、国に提案要求してまいります。
 次に、障害福祉サービス事業者の報酬についてでありますが、都はこれまで、障害者を支える人材確保、良質なサービス提供のため、サービス全般にわたる基本的な報酬の改善を行うよう、国に強く働きかけてまいりました。中でも、人件費、土地取得費、物件費等が高額である大都市の実情を報酬改定に適切に反映することが重要であります。国の見直し案では、事業者報酬について、本年四月から五・一%の増となり、一定の改善が図られることとなりました。
 今後、今回の改定によります効果などを見定め、必要な改善点については、引き続き国に求めてまいります。
 最後に、障害程度区分判定の仕組みについてでありますが、区市町村が実施をいたします障害程度区分の判定は、コンピューターによる一次判定に加え、学識経験者等による二次判定によって総合的に決定をしております。この二次判定では、定量化が困難な障害の内容について、合議の中で反映することとなっております。
 国は、障害程度区分の仕組みを見直し、平成二十三年度中に新区分を施行するとしており、引き続き都は、障害者が地域で自立した生活を営む上で必要なサービスを受けられるよう、改善を国に要望してまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都有施設における再生可能エネルギー設備の導入についてでございますが、CO2を徹底して削減し、東京を世界に誇れる低炭素型都市としていくためには、都有施設においても、施設の省エネ化だけでなく、再生可能エネルギーの活用が重要でございます。
 そのため、昨年第三回定例会でもご質問いただきました都有施設省エネ・再エネ等導入指針において、都有施設を新規建設または改築する場合には、再エネ設備の導入を原則とし、施設の立地条件や建物用途等に応じた導入を設計の際に必ず検討することを盛り込んでいきます。
 また、施設設計の担当者に向けて、太陽光発電や太陽熱利用といった再エネ設備ごとの導入マニュアルも整備し、都有施設における再エネ導入の促進に努めてまいります。
 次に、中小規模事業所への制度周知などについてでございますが、今回新たに創設した地球温暖化対策報告書制度は、中小規模事業所がみずからの事業所のエネルギー使用量やCO2排出量を簡単に把握できるものであり、また、取り組みやすい対策メニューを都が示すことにより、着実な省エネ対策の推進を図るものでございます。
 この制度を効果的に運営するには、省エネ診断事業や環境減税制度などの支援策との連携が重要と考えております。来年度のできるだけ早い時期に説明会を開催し、制度の詳細や各種支援策の内容などの周知を図るとともに、昨年設置した東京都地球温暖化防止活動推進センターが、中小規模事業所の省エネ対策の相談窓口として一層積極的な役割が果たせるよう、その活動の充実強化に努めてまいります。
 次に、電気自動車等の次世代自動車の普及についてでございますが、自動車部門の地球温暖化対策を推進するためには、自動車交通量の抑制に向けた取り組みなどを進めるとともに、低公害、低燃費車の導入を促進していくことが重要でございます。中でも電気自動車等の次世代車はCO2排出が少なく、より環境負荷が低いことから、その普及を図ることが効果的でございます。
 しかし、普及に当たっては、電気自動車の走行性能への不安の声があることや、ガソリン車に比べて一回の充電当たりの航続距離が短いなどの課題がございます。
 このため、民間事業者等と連携し、環境性能や駆動力、航続距離などの走行性能とともに、先行的利用の実例を、試乗会やホームページ等を活用し幅広く周知するなどにより、営業活動等での使用を促してまいります。
 また、電気自動車のユーザーが安心して走行できるよう、短時間で充電できる急速充電設備の設置のための補助を行ってまいります。
   〔交通局長金子正一郎君登壇〕

○交通局長(金子正一郎君) 環境負荷低減に向けた都営交通における新たなポイントシステムの導入についてお答えいたします。
 交通局はこれまで、地下鉄車両の省電力化や低公害ノンステップバスを初めとする最新の技術を積極的に取り入れるなど、環境に最大限配慮した事業運営に努めてまいりました。
 ご指摘のように、環境負荷がより少ない公共交通機関の利用を促進していくことは、大変重要であると認識しております。
 都民の方々が、都営交通を利用することにより、環境負荷低減に貢献していると実感できる仕組みを構築することは有意義であり、今後、ICカード、PASMOを活用したポイントシステムについて、関係機関と連携しながら具体的に検討してまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ベンゾ(a)ピレン等の報道に関する事実経過と土壌汚染処理の影響についてでございます。
 報道されたベンゾ(a)ピレン及び不透水層のデータは、さらに追加の調査などが必要なことから、現在実施している環境確保条例第百十七条調査の結果とあわせて公表することを予定しておりました。しかしながら、リスクコミュニケーションの観点から、今後は、調査が終了し、報告を正式に受理したものについては速やかに公表してまいります。
 汚染土壌処理に与える影響は、ベンゾ(a)ピレンにつきましては、操業時の地盤面から下の土壌を二メートルすべて入れかえることに加え、それより深い部分で油膜が見られる汚染土壌は加熱処理などを行うことにより、健康影響のおそれがないよう対策を行うこととしてございます。
 不透水層が確認できなかった地点につきましては、今後、周辺の調査を行い、実態を把握した上で、対策時に当該地点の汚染状況を確認しながら、土壌や地下水中の汚染物質を確実に除去した後、人工的に不透水層を形成することとしております。こうした対策は、技術会議及び専門家会議において確認をされておりまして、安全性は十分に確保されます。
 次に、豊洲新市場整備についての基本的な考え方でございます。
 築地市場は、老朽化、狭隘化が限界に来ていることに加え、衛生面での課題もあり、近年の流通環境の変化に対応できず、取扱数量が大きく減少しており、このままでは基幹市場として都民の食生活を支える役割を果たすことができなくなるおそれがございます。
 このため、豊洲新市場では、基幹的な施設を温度管理のできる閉鎖型施設とすることに加え、物流効率化のための待機駐車場や車両誘導システム、新たな顧客ニーズに対応した加工、パッケージ施設、十分な荷さばきスペースなど、時代のニーズにこたえる新たな機能を整備し、集荷、販売力を強化してまいります。
 豊洲新市場予定地につきましては、技術会議の提言に基づき、生鮮食料品を扱う市場用地として、都民や市場関係者が安心できる万全な土壌汚染対策を講じてまいります。
 さらに、豊洲新市場では、築地市場で長年にわたり培われてきた歴史と伝統を継承し、市場が蓄積してきた食に関する知識や食文化などについての情報を広く発信していくとともに、市場の現場を体感できる見学施設や、食を中心とする東京の新たな観光拠点となる千客万来施設を整備することにより、にぎわいを創出してまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 子どもたちの参加による招致活動についてでございます。
 二〇一六年の東京オリンピック・パラリンピックは、次代を担う子どもたちに大きな夢と希望を与え、かけがえのない財産となります。これまでも子どもたちが参加した活動を実施してきておりまして、例えば今年度から始めました区市町村とのオリンピックムーブメント共同推進事業におきましては、子どもたちを対象にスポーツ教室や駅伝大会など四十三の事業を実施し、また、オリンピアンを小中高等学校に派遣する、みんなのオリンピック事業を二十五カ所で開催しております。
 ご提案いただきました子どもによる聖火リレーは、オリンピズムの普及による子どもの健全育成、各家庭での招致への理解促進、さらには世論の盛り上げにも資するものと考えます。
 このため、関係団体の協力を得て、早急に具体化を進めてまいります。

副議長(石井義修君) 五十八番植木こうじ君。
   〔五十八番植木こうじ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○五十八番(植木こうじ君) 日本共産党を代表して質問します。
 アメリカ発の金融危機による景気悪化を理由にした大企業の派遣切り、リストラ、内定取り消しなどが広がっています。この中で、自公政権による構造改革によって苦しめられてきた都民の暮らしや中小企業の危機もさらに深刻になっています。まさに今、都民の暮らし、雇用、福祉を守ることこそ、都政の最重点課題といわなければなりません。私は、この立場から知事の所見をただします。
 まず、ふえ続ける大企業の派遣切りなど、雇用破壊に対して、緊急支援策を抜本的に強化することです。年越し派遣村に衣食住を求めて五百人もの人たちが集まり、その後も次々と路頭に迷う事態が続いています。日本共産党都議団が池袋東口と新宿駅東口で行った街頭労働相談に来た三十四人の相談者の過半数が、十一月以降に首を切られ、路頭に迷っている人たちでした。
 年越し派遣村や日本共産党都議団に相談に来た多くは、所持金はわずか百十円、三日間食事をとっていない、毛布にくるまって路上で寝ている、保険証がないので病気の治療もできないなど、本当に悲惨な状態です。このため、相談は、雇用だけでなく、生活全般にわたる対応が必要です。
 今何よりもまず、雇用、生活、住まい、医療などの相談を行い、土日にも対応できる総合的な相談支援窓口が求められていますが、いかがですか。
 街頭での労働相談は、本来は行政が率先して行うべきものです。主要駅で実施するよう提案します。それぞれお答えください。
 第二に、仕事や住まいを失った人が路上生活になるのを予防するため、生活保護の適用を促進するよう区市町村に要請した昨年十二月の都の通知は極めて重要です。ところが、私たちが相談者と福祉事務所に保護を求めたときに、住所がないことや働ける年齢層であることを理由に、申請を受け付けようとしないこともありました。
 国会での我が党の志位委員長の質問に対して、麻生首相も、住居のない方も含め適切に支援すると答えているのです。この答弁も伝え、申請権を侵害するような対応は厳に慎む、働ける能力があることのみをもって保護を要しないと判断しないことなどを明確にした都の通知に沿った対応が、すべての福祉事務所で徹底されることが重要です。見解を伺います。
 第三に、再就職にも不可欠な住居を確保することです。生活保護法に基づく宿所提供施設は都内に六カ所、四百九十人分しかありません。緊急一時保護センターも満杯です。大幅に増設することが必要ですが、どうですか。
 派遣切りに遭って住まいを失った人に対して公営住宅を提供してよいとの国交省の都道府県知事あて通知に基づいて、大阪府では府営住宅を七百五十戸提供するなど、ほとんどの県で公営住宅を活用しています。
 私が住宅を失った人に都営住宅を提供するよう要請したとき、知事は、検討しますと答えました。一刻も早く実現すべきです。一万戸もあいている都営住宅を離職者対策として速やかに提供すべきです。お答えください。
 さらに、都として民間賃貸住宅などを借り上げて、離職者支援のための緊急の住まい確保に活用するよう求められています。お答えください。
 第四に、大企業では、これまでの派遣切りに加えて、正規労働者を根こそぎ減らすリストラにも手をつけようとしています。
 例えば沖電気では、半導体部門を丸ごと別の会社に売却し、買収した企業は、八王子工場で働く千五百人の労働者のうち約八割を、宮城県など遠方の工場に転勤するよう迫り、断れば退職に追い込むという雇用破壊を進めようとしています。
 今手を打たなければ、取り返しのつかない大量雇用破壊が起こることは明らかです。知事を先頭に、大企業に乗り込んででも、違法、不当な派遣や正規労働者の首切り、内定取り消しをやめさせ、大企業に社会的責任を果たすよう申し入れるべきです。
 また、企業に雇用をふやすよう求めるとともに、新卒者に限らない広い規模の合同就職面接会の開催、失業者を雇用する中小企業への助成の規模と内容をさらに拡充することが必要です。どうですか。
 雇用創出のためには、公共事業などを活用した一時的雇用だけでは不十分であることはいうまでもありません。全国の自治体で臨時職員の募集が進められていますが、派遣切りを経験した失業者からは、採用期間が短く、また仕事探しをしなければならない、もう不安定雇用は卒業したいの声が上げられ、応募に逡巡する失業者が少なくないのです。
 東京都こそ雇用確保の先頭に立って、福祉、医療、環境などの職員や教職員、消防職員、都営交通職員の増員など、幅広く雇用の拡大に踏み切るべきです。
 また、林業や漁業の振興とあわせた雇用確保も重要です。
 長野県では、林業担い手養成事業を実施したところ、四十人の定員に対して百四十三人も応募し、応募者の八割が働き盛りの三十代だったということです。
 林業や島の漁業振興とあわせた働き手の育成などを通じて雇用確保を行うことも重要です。それぞれお答えください。
 今、経済危機と大企業の下請切り捨ての中で、耐えがたい苦しみのもとに置かれている中小企業の支援の強化も、都政の重要課題の一つです。
 私の地元でも、業者の皆さんから、資金繰りも大変だが、とにかく仕事が欲しい、銀行に融資を断られたなど、本当に切実な声が寄せられています。中には、大手自動車メーカーの下請だったが、いきなり仕事を切られ、倒産を覚悟している、仕事がなく、奥さんが朝夕、清掃や皿洗いの仕事に出てしのいでいるなどの業者の方もいます。
 商店街でも、ここに来てさらに売り上げが減った、廃業で会員がどんどん減っているなど深刻です。円高不況や九〇年代不況をくぐり抜けてきた業者ですら、倒産の危機に瀕しているのです。
 まず建設業ですが、今回の不況は、国内でもたちまち不動産不況をもたらし、この三月までは仕事があるが、その先は真っ暗、元請が倒産し工事代金が回収できないなど、中小建設業の経営は深刻な打撃を受けています。
 こうしたとき都がやるべきは、中小建設業者が受注できる生活密着型の公共事業を大幅にふやすことです。これこそ、福祉など都民サービスの向上に直結し、中小建設業者の仕事確保にもつながる一石二鳥の政策です。都営住宅の新規建設に踏み出すとともに、保育所や特別養護老人ホームなど、生活密着型の施設整備への支援を抜本的に強化することを求めます。
 工事契約については、可能な限り都内中小企業に優先発注することを初め、大規模なものについても分離分割発注を拡大し、中小企業に仕事が回るようにすることです。まち場の仕事をふやす上では、都営住宅の窓枠、浴槽などの計画修繕の前倒しや、傷んだ畳の修繕などの仕事発注拡大などが有効ですが、どうですか。
 年度末を控えて、資金繰りは焦眉の課題です。この問題で業者の強い要望は、国のセーフティーネット保証が認定されても金融機関が貸してくれないことや、保証の枠を使い切って新たな融資が認められないなどの改善です。
 都として、貸し渋り、貸しはがし相談窓口をつくり、実態を把握するとともに、不当な貸し渋りについて是正に努めるべきです。
 また、制度融資について、保証枠を使い切った業者や返済計画が立ち行かなくなっている業者には新たな返済計画を立ててもらい、それまでの融資を一本化し、長期据え置き、低利の融資に借りかえられるようにすることが必要です。それぞれ答弁を求めます。
 商店の経営者にとって、少しでも売り上げをふやすために、消費税の撤廃は強い要望です。また、消費税を取れなかったり、自分で負担している業者も少なくありません。定額給付金をやる余裕があるんだったら、消費税をやめてほしい、これが商店の皆さんの本音です。
 消費の足かせになっている消費税について、石原知事が増税を要求していることはもってのほかです。知事、少なくとも食料品非課税を国に求めるべきです。
 また、都として、消費税ゼロデーなどに取り組んでいる商店街に対して支援を行うよう求めるものです。見解を伺います。
 新・元気を出せ商店街事業について、年度をまたがっての利用や、要望の強い街路灯の維持費を対象にするなど、使い勝手のよいものに改善することが急がれています。また、これ以上、シャッター通りや空き店舗をふやさないために、区市町村が取り組んでいる商店街対策への支援を行うことを求めるものです。それぞれ答弁を求めます。
 経済危機から東京が誇る優秀なものづくりの技術を守り抜くことは、何よりも重要です。製造業を大企業の横暴から守るために、大企業の発注どめの実態を調査し、都として是正を申し入れること、赤字の中小零細企業については、固定資産税、都市計画税のさらなる減免を実施することが必要です。
 不況の中でも、自社ブランドの製品や商品の開拓に挑戦する業者が生まれています。こうした業者を支援するため、都が製品、技術開拓事業を創設し、例えば一社五百万円程度の開発資金を提供することも応援になると思います。それぞれ見解を伺います。
 この問題の最後に、都として雇用と暮らしを守るために、知事を本部長とした全庁規模の緊急経済雇用対策本部を立ち上げることを求めるものです。知事の見解を伺います。
 次に、都民の暮らしを守る課題について提案します。
 まず、高齢者福祉の拡充です。
 国の増税と負担増、石原都政の福祉切り捨ての最も深刻な犠牲を強いられたのが高齢者です。ささやかな年金にも課税が強化され、介護保険料に続いて、後期高齢者医療及び国保の保険料まで年金からの天引きが始まりました。石原都政は、医療費助成も、老人福祉手当も、シルバーパスの無料制度も高齢者から取り上げました。
 中野に住んでいる八十五歳の女性は、年金と恩給で月十万円ちょっとの収入ですが、介護保険料四千八百円と入浴と家事介護などの利用料で一万五千円、後期高齢者保険料で千八百円、持病の医療費で約一万九千円など、合計すると三万六千円、収入の三分の一が消えてしまいます。これに光熱費や家賃で、蓄えも底をつき、楽しいことは何もない生活だといいます。
 知事、年金が減っているのに負担ばかりふえ、どこを削れというのか、余りにも高齢者いじめじゃないかなど、怨嗟の声が広がっていることをどう認識していますか。
 石原都政は、高齢者への福祉切り捨ての口実として、医療、年金制度が充実したと強調しましたが、今や崩壊の危機に直面しているではありませんか。
 また、高齢者が経済的にも豊かになったと強調しましたが、年金削減と課税強化によって収入は大幅に減少しているのです。福祉切り捨てが間違いだったことは明白ではありませんか。お答えください。
 今、かつて知事が廃止した都の福祉手当や医療費助成があったら、介護と医療の負担はどれほど助かるでしょうか。都政に求められていることは、改めて高齢者に光を当て、福祉と医療、介護を守るための手だてをとることです。
 とりわけ、医療費が払えないために受診や医療を我慢せざるを得ない状況は一刻も放置できません。せめて七十五歳以上は医療費窓口負担は一割の半分を軽減すること、六十五歳以上はせめて一割を助成し二割負担とすることを提案します。お答えください。
 さらに、七十五歳以上の後期高齢者医療制度は、苦情が五十八万件も殺到し、高齢者の人権無視の欠陥制度であることが明白になっています。国ですら見直しをいわざるを得ない状況の中で、知事はいつまで社会全体で支える仕組みだと擁護し続けるのですか。きっぱりと廃止を求めるべきです。知事、答弁を求めます。
 当面、保険料の引き下げを図るために、都として広域連合への財政支援を拡大すべきです。それぞれお答えください。
 ことし四月から介護保険の保険料が改定されます。現時点で十四区市町村が値上げを計画し、六自治体では標準額が月四千五百円を超えます。そもそも介護保険料は所得の少ない人ほど負担割合が重くなっており、根本的に改めるべきであり、値下げが求められています。少なくとも値上げを抑えるために、都としての財政支援が必要です。
 毎年上がる国民健康保険料の負担軽減も切実です。特に国保の加入者は、高齢者や零細事業者、そして非正規の若者などが多数であり、急激な景気悪化のもとで国保料の支払い困難が広がっており、国保料を下げてほしい、減免制度を使いたいという声が上がっています。
 区市町村がこうした要望にこたえるために、都の財政支援が不可欠です。東京都市長会からも、国と都の補助金見直しによって国保財政は破綻寸前の状態にあるとして、都に対して、市町村国保への積極的な支援と関与を求めています。
 都民は、オリンピック招致のキャンペーンのために各区市町村に一千万円ばらまくよりも、国保の負担を軽くしてもらいたいといっています。国保料の引き下げ、減免制度の利用拡大が図られるよう、区市町村や国保組合への財政支援を行うべきではありませんか。
 東京で暮らす若者にとっての悩みは、高い家賃です。単身の若者の半数近くが賃貸アパート住まいですが、多くを占める非正規雇用の場合、月収十万円程度であり、その半分以上を家賃に充てざるを得ない状況です。
 ヨーロッパでは、イギリスでもフランスでも、二割から三割の若者が住宅手当を受けて暮らしています。生活保護とは別に、一定の収入以下の若者が利用しやすい家賃助成が必要なのです。民間賃貸住宅に住む若者への家賃助成を提案します。お答えください。
 次に、未来を担う子どもたちを守る緊急課題です。
 今議会に知事が、都立清瀬、八王子小児病院、梅ケ丘病院の廃止条例を提出したことに、子どもたちの命を守る小児病院をなくさないでと、都民から強い怒りの声が上がっています。
 東京都は、府中病院敷地内に建設中の小児総合医療センターに機能を集約するので充実するのだとか、医師の限られた医療資源を有効活用するための統合だといいますが、そんな話は成り立ちません。墨東病院への機能集約だといって築地産院を廃止した結果を見ても、こういうやり方は縮小再生産にしかなりません。
 未熟児のためのNICUについて、清瀬、八王子にある十五床をなくすけれど、府中に二十四床つくるから九床ふえるといいますが、そもそも多摩地域のNICUは大幅に不足しており、三十床から五十床ふやす必要があるのです。なぜ清瀬、八王子を残さないのですか。そうすれば、二十四床丸々ふえるではありませんか。見解を伺います。
 しかも、子どもの病気は急変しやすく、小児病院は身近な地域に必要です。清瀬と八王子小児病院の周りには、いざというとき、文字どおり一分一秒を争う重度の障害者もたくさん暮らしています。清瀬、八王子小児病院がなくなると、ただでさえ病院が少ない多摩地域に、小児医療、周産期医療の広大な空白地域が生まれます。公社病院の多摩北部医療センターや八王子市の二つの大学病院で対応するといいますが、清瀬、八王子小児病院の機能のかわりにはなり得ません。
 都立小児病院に何度も救われた、いつでも診てもらえる小児病院があったからこそ子どもは生きてこられたという声が寄せられています。二歳になる障害児のお母さんは、ダウン症の子はすぐに急変します、小児病院は身近にあってこそ命が助かるのです、八王子から府中のセンターまで、高速道路に出れば二十分というけれど、高速に出るまでが一時間かかるのですと訴えています。こうした声をどう受けとめますか。
 もともと都立小児病院の統廃合計画は、財政問題から持ち出されたものです。小児医療や周産期医療がこれほど深刻な危機にあるときに、財政を理由に今ある大事な病院をなくすことは許されません。オリンピック基金に四千億円もため込むお金があるならば、子どもの命を守る都立小児病院を存続、拡充してほしい、これが多くの都民の声です。かけがえのない清瀬、八王子小児病院、梅ケ丘病院を存続した上で新しい病院をつくるのが道理ではありませんか。知事の答弁を求めます。
 都立病院の医師の確保を進めるために、全国の自治体病院の中で低い水準にある給与などの思い切った待遇改善や、来年度から始まる奨学金を初めとした、医師確保、養成対策の抜本拡充が必要です。答弁を求めます。
 以上、都民の暮らしにかかわって提案しましたが、これらは、来年度予算の中で財政運営のあり方を転換することによって、実現は十分可能です。この点で知事の予算案は、公的雇用や直接雇用の拡大、制度融資の拡充、小中学生の医療費助成の拡充、医師確保、周産期医療の充実、認可保育園整備など、我が党が求めてきた施策の前進もありますが、全体としては極めて不十分です。
 その一方で、首都高速道路品川線を初め投資的経費が五年連続で増額され、経常経費に含まれる投資予算と合わせて一兆円を超えています。オリンピック基金は、都民の苦しみをよそに、来年も一千億円積み立て、四千億円になろうとしています。
 今、都政が最重点に取り組むべきは、オリンピック招致ではなく、都民の暮らし、雇用を守ることではありませんか。九兆円ものお金をつぎ込むようなオリンピックは、絶対にやるべきではありません。
 知事は、東京招致のために、経費を三倍近い百五十億円にまで膨らませ、支持を広げようと必死になっていますが、都民のオリンピック招致への支持が高まらないのは当然です。フラッグを掲げさせた商店街は、書き入れどきでも人影がまばらなのをご存じですか。みんな買い物を控え、食事は家で食べるようになり、商店はもちろん、不況に強い外食産業でさえ客足が激減しています。
 知事、たくさんの方が食費を削り、つめに火をともすような生活を余儀なくされているのです。その日の暮らしをどうにかしてもらいたいという都民の声が聞こえているのですか。
 知事、オリンピックの名による浪費とため込みの財政運営をきっぱり転換させ、本来、自治体として取り組むべき、都民の暮らしと福祉、雇用を守る事業に全力を尽くすことこそ必要ではありませんか。答弁を求めます。
 来年度、都税収入が大幅に減るといいますが、それでも、石原知事就任当時の二割増しの税収が見込まれています。また、都民のために使える基金のため込みだけでも一兆六千億円もあります。むだ遣いをやめ、ため込んでいるお金を適切に使えば、都民のために使える財源はあるのです。
 とりわけ、オリンピック基金の積立分一千億円を活用するだけで、七十五歳以上の医療費半額助成、延べ百万人の緊急雇用対策、都営住宅の一千戸建設、高校生への給付型奨学金、中小企業制度融資の大幅拡充、三十人学級などが計画的に進められます。これこそ都民のための使い道と考えますが、どうですか。
 先日、IOCに提出された立候補ファイルも、ごまかしに満ちたもので、コンパクトとはあべこべに、浪費を一層進めるものです。
 浪費のごまかしの第一は、必要な競技施設整備費を盛り込んでいないことです。メーンスタジアムや選手村は都有地に計画されているといっても、臨海会計などから土地を購入すれば、五千億円近い費用がかかるはずです。なぜ立候補ファイルに計上しないのですか。不要だというのなら、根拠を示してください。
 メーンスタジアム周辺の液状化対策費や耐震護岸整備費、スタジアムから十万人を誘導する対策費なども、まともに検討していないではありませんか。こうした安全対策を行わず、オリンピックをやろうとしているのですか。見解を伺います。
 これらを加えれば、競技施設だけでも、立候補ファイルの二千四百億円の四倍、一兆一千億円になると試算されます。
 浪費のごまかしのきわめつけは、オリンピックのためのインフラ整備です。わずか一年前の申請ファイル時点より二千十四億円も増大し、一兆二千億円以上に膨らみました。
 立候補ファイルでは、新たな輸送インフラ整備に該当なしと記載されています。ところが、知事は、オリンピックまでに間に合わせてみせますといって、一メートル一億円、大泉―東名間だけでも一兆六千億円もかかる外環道路計画を急ピッチで推し進めようとしています。とんでもないごまかしです。
 実際、石原知事は今月、外環道路の〇九年度事業着手を国土交通省に要請し、施政方針では、八十回話し合ったというだけで機は熟しているとして、国幹会議の開始、事業着手の決断を求め、建設が強行される危険が強まっています。しかも、都は、まだ都市計画さえない東名高速道路より南の十九キロについても進めようとしており、これを含めると総額四兆円を超えてしまいます。
 今回の立候補ファイルは、IOCに対する重大なごまかし報告ではありませんか。こんなことは許されません。どうですか。
 外環道計画は、住民と自治体の声をもとに、白紙に戻して、建設強行をやめるべきです。それぞれ知事の答弁を求めます。
 先月、新銀行東京の二〇〇八年十二月期中間決算が公表されました。その内容は、再建計画より改善されるどころか、中小企業への貸し出しはさらに減少、不良債権も、これまでは三カ月ごとに償却されてきた危険債権が処理されていないため、破産更生債権とこれに準ずる債権は、昨年三月期決算より六十一億円も多い百六十三億円にも膨れ上がっているのです。
 そして、この破産更生債権の増大に合わせるかのように、今定例会に突然提出されたのが、地域の金融機関と連携した融資の条例です。条例案で、地域の金融機関のトップに銀行を挙げ、明白に新銀行東京も対象としています。しかも、乱脈経営で生み出された不良債権についても税金で救済できる規定となっています。
 すなわち、第三条で、支援対象に、当該金融機関と一定期間取引を継続して、としているだけで、危険で不良なものであっても支援することが可能になります。
 第四条では、融資が円滑に行われるようにするという規定と、損失の補助が盛り込まれることによって、乱脈融資への追い貸しだけでなく、乱脈経営で破綻した金融機関の経営そのものをも支援する仕組み、すなわち新銀行東京への税金投入が可能となります。
 実際、知事は記者会見で、この制度が新銀行東京への公的資金の投入となり得ることを認めています。違うというのなら、新銀行東京にいかなる形での税金投入も行わないと明言すべきです。知事、どうですか。
 知事は、昨年の第一回定例会で、さらなる追加出資は認められないとした付帯決議を尊重すると表明したのではありませんか。この約束を破るのですか。
 第三の税金投入を行うことは断じて認められません。新銀行東京への税金投入に道を開く条例案は撤回すべきです。知事の答弁を求めます。
 また、その他の金融機関についても、乱脈経営で生み出された不良債権まで税金で救済すべきではありません。見解を伺います。
 その上で、中小零細企業にとって必要であるというのであれば、信金、信組を通じた、まともな中小零細企業支援となる条例案を提出し直すべきではありませんか。答弁を求めます。
 新銀行東京が調査報告書を発表しましたが、その最大の問題は、乱脈融資と経営破綻の原因となった東京都による過大な融資計画や、コンピューターによる三営業日以内の融資判定などの押しつけについて一言も触れず、最初から東京都の責任を除外して、旧経営陣に責任を押しつけることのみを課題としていることです。
 このことは、報告書が、都の介入で、一千億円もの損失が出ることが明らかになった二〇〇六年八月以降に旧経営陣が必要な手だてをとらなかったことだけを問題にして損害賠償を要求するとしていることに露骨にあらわれています。これでは、新銀行東京の破綻の真相解明にふたをしようとするものといわれても当然です。知事、違いますか。
 金融庁が業務改善命令で、新銀行は、過大な事業計画のもと、中小企業の財務データから融資の可否をコンピューターに依存し、融資を拡大し、累積赤字を計上したと明確に指摘したように、破綻の主な原因が過大なマスタープランを押しつけた東京都にあることは明白です。知事、金融庁の改善命令の指摘をどう受けとめているのですか。
 知事及び関係幹部職員の責任を明らかにし、損害賠償の責任を果たすべきだと思いますが、それぞれ知事の答弁を求めます。
 乱脈融資の告発については、第一次の調査報告書の際に俎上に上げられた案件の一部を問題にしているだけで、マスコミなどで報道された口きき融資リストなどを調査することを避けたことも破綻の真相にふたをするものです。
 我が党は、直ちに新銀行東京から撤退すること、今定例会の審議に当たって、旧経営陣及び新銀行東京の設立にかかわった大塚氏、津島氏の参考人招致を求め、徹底審議を尽くすよう求めるものです。
 知事は施政方針演説で、築地市場の移転予定地、豊洲の土壌汚染対策を検討した技術会議の報告についても、世界に誇る日本の先端技術を複合的に活用した土壌汚染対策と高く評価するとともに、移転を強行する姿勢を重ねて明らかにしました。しかし、この技術会議の報告書に対しては、環境学会を初め、科学者からさまざまな疑問と批判が上げられており、額面どおりに受け取ることはできません。
 第一に、前提となる専門家会議の土壌調査が欠陥調査であり、対策もその調査を前提にしたもので、食の安全を守れる保証はないということです。
 まず、調査では、十メートルメッシュでの検査は、深度方向の調査は極めて不十分であること、都が水を通さない地層だから安全としている有楽町層以下の地層について調査をしないこと、検査が二カ月という短期間で、しかも複数の業者を使って行われたことなど、厳しい批判が寄せられています。これらの指摘に真摯に答えること抜きに、調査の科学性は裏づけられません。どうですか。
 さらに、専門家会議の調査報告が、高濃度の発がん性物質ベンゾ(a)ピレンの存在が盛り込まれていないことや、有楽町層に断絶があることを隠していたことが明らかになりました。この点だけでも、専門家会議の調査が信頼性に欠けるものであることは明らかではありませんか。答弁を求めます。
 加えて、対策は、汚染物質をすべて取り除くのではなく、汚染物質を封じ込めるという方法が採用されました。このため、高濃度の汚染物質が検出された場所以外の土壌対策は旧地盤面二メートルまでで済まされています。しかし、豊洲が液状化の危険の高い地域で、しかも汚染が揮発性のあるベンゼンなどであることを考えれば、こうした対策で安全が保証できないことは明らかです。
 また、有楽町層が水を通さない不透水層でなく、水を通しにくい層であることを認めたにもかかわらず、有楽町層以下の地層の対策は全く施されていないことも重大です。有楽町層以下の調査と対策なしに豊洲の安全を宣言することはできないと考えますが、見解を伺います。
 第二に、今回の技術会議の対策は、安全を二の次にして、専門家会議の対策をさらに手抜きにするなど、工費をいかに削減するかを前提に策定されたものであります。バイオ処理など新たな技術、工法の採用ですが、現場での実証実験によって安全が確認されたものではありません。工事費を大幅に縮減できたと宣伝していますが、専門家会議が必要としていた矢板工事の全周工事をやめることにしたことで可能になったのです。液状化対策も、全面固化方式とされていたものを格子状の方法に変更しました。これでどうして安全が確保できるといえるのですか。答弁を求めます。
 知事、提案されている対策は、工費を切り詰めることが第一で、食の安全は二の次という恐るべき対策であり、到底都民が受け入れることのできないものです。専門家会議報告や技術会議報告について、第三者委員会を設置し、都民の参加で安全性の検証を行うことを求めるものです。
 また、環境学会や科学者会議などの専門家は、専門家会議、技術会議の委員との公開討論会を求めています。これにこたえることは最低限の務めではありませんか。それぞれ知事の答弁を求めます。
 最後に、市場の大型化、広域化のために豊洲移転にこだわることは中止し、築地での現地再整備に立ち返ることを求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 植木こうじ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、高齢者への経済的給付等についてでありますが、所得格差の是正や所得保障は経済政策や社会政策の課題でありまして、社会経済状況の変化の中で負担と給付のバランスをいかにとるかという問題として、基本的には国の責任で対応すべきものであります。
 都が果たすべき役割は、少子高齢化社会における都民ニーズにこたえられる福祉サービスの基盤整備に全力を挙げることだと心得ております。
 こうした考え方は、これまでも都議会における議論の中で再三にわたって明らかにしてきたと思っております。
 次いで、都が進める福祉施策についてでありますが、都は、長期的、歴史的視野に立って見直すべき事業を見直すとともに、必要な施策には財源を集中投入し、着実に成果を上げてきております。都が進めている福祉施策については、都民のご理解を十分に得ているものと考えております。
 次いで、長寿医療制度についてでありますが、この制度は、国民皆保険を堅持する観点から、社会全体で高齢者を支える仕組みとして構築されたものであると認識しております。本制度については、国の責任において議論を尽くすべきものであると思います。
 次いで、清瀬小児病院など三病院の存続についてでありますが、国の医療政策の失敗によって、小児科、産科を初めとした医師不足は、全国的に極めて深刻な状況にあります。
 こうした中にあっても、都は、多摩地域における小児、周産期医療の一層の充実を図るため、小児三病院を移転統合して小児総合医療センターを開設し、全国唯一といえる、心から体に至る小児専門の高度医療を提供します。これは、今日の医療人材不足の中で、限られた医療資源を最大限に有効活用する方策でありまして、これにより、多摩地域の小児、周産期医療は格段に向上すると思います。
 したがって、小児三病院の移転統合は、これまでの方針どおり進めてまいります。
 次いで、財政運営についてでありますが、私はこの間、福祉、雇用はもとより、環境や治安、小零細企業支援、都市機能の充実など、都民が直面する諸課題、東京の未来を切り開く施策、これらにしかるべき財源を投入し、共産党にも賛成いただいた十二月補正予算も含めて、迅速かつ的確に対応してまいりました。
 また、オリンピック・パラリンピックの開催は、都民を覆う不安や閉塞感を払拭し、未来への夢と希望をもたらすとともに、次代を担う若者や子どもたちにかけがえのない心の財産となるものでありまして、多くの都民の賛同をいただいております。
 なお、我が国が未曾有の危機に直面し、経済の先行きが全く予断を許さないこの期に及んでもなお、基金を安易に取り崩せという態度は、私の財政運営の考え方とは根本的に相入れないものであります。
 オリンピックについてでありますが、立候補ファイルでは、輸送インフラの整備について、具体的な整備計画の定まった事業の記載が求められております。外環道については、事業主体など具体的な整備計画が定まっていないことから記載をしておりません。ごまかしという指摘は全く当たりません。
 外環道についてでありますが、外環道は、ひとり東京のためだけではなく、広く国全体に便益が及ぶ重要な社会資本であります。
 外環道は、費用対便益が全国でもトップレベルにありまして、その指数はトップレベルでありまして、まさに必要な道路であります。景気対策としても、これほど効果のある事業はほかにはないと思います。
 外環計画を白紙に戻せという主張は論外でありまして、平成二十一年度の事業着手を果たすよう、引き続き国に強く求めてまいります。
 次いで、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策についてでありますが、本支援策は、都内の小零細企業を取り巻く現下の厳しい状況を直視しまして、その資金繰りを緊急的に支援するため、都独自の新たな融資制度を創設するものであります。
 日ごろの取引を通じ企業の顔が見えている地域の金融機関と連携して取り組む考えでありまして、高い技術力等により、この難局さえ乗り切れば将来に展望が開ける企業などを支援してまいります。したがって、破綻が懸念されるような企業までを対象とする考えはございません。
 ましてや、いかなる金融機関に対しても、経営そのものの支援を意図するものではありません。新銀行東京の経営支援に絡めて論ずることは、小零細企業が直面する厳しい現況を顧みずに、条例案を曲解したものであります。
 新銀行東京の外部調査報告書についてでありますが、今回の外部調査では、経営悪化に係る法的責任を追及する観点から、開業前から今日に至るまでの間について、さまざまな調査、分析を十分に行ったものと聞いております。その結果、危機的デフォルトの発生状況に対して抜本的対策を講じなかった旧経営陣に法的責任があることが明らかにされました。
 調査報告書では述べられておりますが、銀行法や金融庁の指針にも示されているように、銀行には、その公共的な性格にかんがみ、経営の独立性が求められていること、新銀行東京も株式会社として所有と経営の分離が図られていたこと、さらには、銀行の株主には会計帳簿等の閲覧請求権が認められておらず、新銀行東京から東京都への情報提供も限定されておりました。このように、株主の関与が厳しく制限された中で、実際に経営のかじ取りを行い、巨額の損失を計上した旧経営陣の責任は重大であると思っております。
 今後、司法の場で法的責任の所在が明らかにされることを刮目してまいります。
 私や都幹部職員の責任等についてでありますが、ただいま答弁しましたとおり、今回の報告書で、実際の経営に当たった旧経営陣に法的責任があることが明らかにされております。弱い立場にある小零細企業を支援し続けるため、新銀行東京を再建することが私の最大責任であると思っております。(発言する者あり)
 失礼しました。一つ抜けておりました。
 最後に、土壌汚染対策の安全性検証についてでありますが、専門家会議及び技術会議は、環境、土木などの分野で我が国を代表する学識経験者たちによって構成され、土壌調査や実証データを踏まえた科学的見地から、安全・安心が十分確保できる対策を提言してもらっております。
 今後、これらの提言を都民や業界団体に十分理解してもらえるよう努めることが重要でありまして、検証のための新たな委員会を設置する必要はございません。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点についてお答えをいたします。
 まず、生活、住まいなどに関する相談支援窓口についてでありますが、先ほどお答えしたとおり、離職者を国、都、区市町村の支援策へと的確に誘導する手だてとして、都は、平日のみならず、休日、夜間にも対応できる電話による総合案内の実施を検討しております。
 次に、生活保護の相談、申請時の対応についてでありますが、都が昨年十二月に出した通知は、厚生労働省の実施要領の内容に基づいた技術的助言であります。都としては、各福祉事務所において、生活保護が実施要領に基づき適用されるよう、必要な助言を行っております。
 次に、宿所提供施設及び緊急一時保護センターについてでありますが、特別区人事・厚生事務組合では、平成二十一年度に宿所提供施設を一カ所開設する予定と聞いております。また、今後、自立支援センターの借り上げ住宅の増設に加え、介護人材育成確保緊急対策においても借り上げ住宅を確保する予定であり、緊急一時保護センターの増設は考えておりません。
 次に、民間賃貸住宅等の借り上げについてでありますが、先ほど答弁しましたとおり、来月上旬に開始予定の介護人材育成確保緊急対策におきまして、都は、民間住宅にあわせて、都営住宅などの公的住宅の活用により当面の住宅を確保し、生活、就労に係る一貫した支援を実施してまいります。
 次に、高齢者の医療費窓口負担の軽減についてでありますが、現在、国において、高齢者の医療制度のあり方について検討をしております。都としては、これを見守っていくこととしており、新たな医療費助成を実施する考えはございません。
 次に、長寿医療制度の保険料軽減についてでありますが、都は、保険料の法定軽減分の負担など、国や区市町村とともに応分の役割と負担を担っております。さらなる保険料軽減について、都として財政支援を実施する考えはございません。
 次に、平成二十一年度からの介護保険料についてでありますが、介護保険制度では、低所得者に対する配慮として、所得に応じたきめ細かな保険料設定などにより負担の軽減が行われており、都として財政支援を実施する考えはございません。
 なお、介護保険料の都内の平均は、第三期と同程度となる見込みであります。
 最後に、国民健康保険に対する支援についてでありますが、都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき、各保険者に対する財政支援を既に行っており、新たな支援を実施する考えはございません。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 十六点のご質問にお答えいたします。
 まず、街頭での労働相談の実施についてでありますが、都は、労働相談情報センターにおける通常の労働相談に加えまして、新宿、渋谷、池袋などの主要駅において、年間十四回、街頭労働相談を既に実施しております。
 次に、雇用維持に関する企業への申し入れについてであります。
 金融危機に端を発する世界同時不況は、我が国の経済に大きな影響を及ぼし、企業の業績も雇用情勢も急速に悪化をしております。このため、都は、二度にわたる緊急対策を講じ、雇用創出や緊急融資などに取り組んでいるところであります。
 また、労働者の解雇は、企業があらゆる手だてを講じた後に行うべき措置であり、安易に労働者にしわ寄せをすることは好ましいものではありません。
 都は、雇用維持、確保のため、既に経済団体を通じて大企業等に働きかけをしております。
 次に、雇用確保に向けた各種の取り組みについてでありますが、都は、既に企業に対して求人等を働きかけているほか、若年者、中高年齢者、高齢者等を対象とする合同就職面接会を開催しております。また、就職チャレンジ支援事業などで、失業者等を正社員として採用した企業に対し、採用助成金を支給することとしております。
 これらの取り組みを通じて雇用確保に努めてまいります。
 次に、林業や漁業振興を通じた雇用確保についてでありますが、現下の厳しい雇用情勢においては、林業や漁業に限らず、あらゆる分野において雇用の確保が重要と認識しております。
 このため、国の交付金を活用した基金事業の実施について幅広く検討しております。
 次に、貸し渋り、貸しはがし相談窓口の設置についてでありますが、都では既に、融資相談窓口におきまして、中小企業者の資金需要や資金繰りに関する現状や問題点を把握しているところであります。また、相談の内容が金融機関の貸出姿勢に関する苦情である場合には、金融機関を監督する金融庁の相談窓口と連携し、対応に当たっております。
 次に、制度融資における借りかえについてでありますが、お尋ねの借りかえにつきましては、昨年十月からの国の緊急保証制度に対応し実施をしております経営緊急で、最長十年の最優遇金利による借りかえを行うことが可能でありまして、既に多くの企業が返済負担の軽減に活用しております。
 次に、消費税ゼロデーなどに取り組んでいる商店街に対する支援についてでありますが、商店街が、例えば消費税ゼロと銘打って行う商品の値引きにつきましては、新・元気を出せ商店街事業の対象とはなりません。
 次に、新・元気を出せ商店街事業の改善についてでありますが、都はこれまでも、鋭意、商店街の声に耳を傾け、使いやすい制度としてまいりました。
 商店街が取り組むイベント事業や活性化事業につきましては、会計制度にのっとり、それぞれ実施される年度において補助しているところから、お話のありました年度をまたがる事業を補助することはできません。また、街路灯については、商店街の活性化に資するという観点から、設置や改修に要する経費の一部を助成しているところでありまして、電気代等の経常経費は補助対象としてございません。
 次に、区市町村が取り組んでいる商店街対策への支援についてでありますが、都は既に、区市町村が策定した商店街振興プランに沿って各地域の商店街が行うイベント等の取り組みを、新・元気を出せ商店街事業により支援しております。
 次に、中小企業に対する受注確保についてであります。
 都は日ごろより、親事業者で構成する主要業種団体協議会等において受発注動向を把握するとともに、中小企業に対する発注を要請しております。また、東京都中小企業振興公社におきましても受発注情報の提供等を行い、中小企業の受注機会の確保に努めております。
 なお、親事業者による不当な発注の取り消し等、下請代金支払遅延等防止法に抵触する場合は、裁判外紛争解決手続、いわゆるADRによる調停や公正取引委員会等への通知など、適正に対応しております。
 次に、自社ブランドの製品や商品の開拓に挑戦する企業への支援についてでありますが、都はこれまでも、新製品、新技術開発助成事業により、新たな製品や技術の開発に取り組む中小企業に対し、経費の一部を支援してまいりました。
 加えて、今年度、地域資源等を活用して自社製品の開発に取り組む中小企業等を対象に、助成率二分の一、八百万円を上限に助成をする東京都地域中小企業応援ファンドを創設し、既に十四件の事業について支援をしております。
 次に、全庁規模の緊急経済雇用対策本部の立ち上げについてでありますが、都は、厳しい経済雇用情勢を踏まえ、都民が抱える不安に対して迅速に対応するため、二度の緊急対策を打ち出し、全力で取り組んでおります。また、平成二十一年度予算にも、介護人材育成確保緊急対策や公的雇用の創出、職業訓練の拡充など、さまざまな施策を盛り込んだところであります。
 こうした施策を着実に実施するため、本年一月、庁内の連絡会議を設置したところであり、この会議を通じて局間の連携を図り、全庁的な取り組みを進めてまいります。
 次に、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策が新銀行東京への救済に当たるとの指摘についてでありますが、本支援策は中小零細企業の資金繰りを支援するものであり、制度融資においても行っております、債務不履行が起きた際の損失補助の仕組みを導入することとしております。
 新銀行東京への追加出資などを意図したものではなく、条例案を撤回する考えは全くございません。
 次に、他の金融機関への救済との指摘についてでありますが、知事が先ほどお答えしたように、本支援策は、高い技術力等により、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業などを支援していくものでありまして、破綻が懸念されるような企業まで対象とする考えはなく、ましてや、いかなる金融機関に対しても、経営そのものの支援を意図するものではありません。
 金融支援に関する条例案を提出し直すべきとのご指摘についてですが、本支援策は、都と地域の金融機関とが連携して、資金繰りに苦しむ中小零細企業を支援することが目的でありまして、その内容は、るるお答えしたとおりでございます。本条例案は、この支援策の大枠を定めるものでありまして、制度を円滑かつ効果的に運営する上で必要な事項を規定した妥当なものであると考えております。したがって、条例案を提出し直す考えはございません。
 最後に、金融庁の業務改善命令についてでありますが、金融庁が新銀行東京の経営悪化の原因が都にあるとしたというようなご指摘の事実は全くございません。
 今回の業務改善命令は、新銀行東京が経営陣の大幅な交代、業務の重点化、大幅なリストラ等の対応を進めてきたとしつつ、内部管理体制や法令遵守体制などについてさらなる改善を求めたものであります。新銀行東京については、これを真摯に受けとめ、業務改善計画を確実に実行していくことが重要と考えております。
 また、都による過大融資計画やスコアリングモデルの都による押しつけが破綻の原因であり、都の責任についての言及がございましたが、今回の外部弁護士による調査報告書でも明らかにされているように、マスタープランやスコアリングモデルの策定は、仁司元代表執行役を初め、後に新銀行東京の執行役等に就任した七名の方と監査法人など関係者の間での議論の結果を踏まえた成果であることが明らかにされており、都が一方的に押しつけたようなものではないということであります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答えします。
 まず、離職者に対する都営住宅の活用のご質問でございますが、都営住宅はご存じのとおり、応募倍率が非常に高く、恒常的な空き家はないことに加え、高齢者、障害者等の入居希望者も多数おられます。単に離職者というだけの理由では、居住の場の確保のために都営住宅を供給することは極めて困難でございます。
 次に、都営住宅の修繕工事についてでございますが、屋上防水や外壁塗装等の大規模な修繕につきましては、都営住宅ストックを適切に維持管理していく観点から、標準的な実施周期、劣化の状況、自治会からの要望などを踏まえ、年度ごとに実施団地を定め、適切に発注し、実施しております。
 建具やトイレの調整、補修等の小規模な修繕工事や空き家修繕工事につきましては、既に昨年末、工事の代金を早期に支払うなど、地元の中小企業対策に配慮した取り組みに努めております。
 最後に、民間賃貸住宅に住む若者への家賃助成についてでありますが、家賃助成は、生活保護制度との関係や財政負担のあり方など、多くの課題があることから、都として実施することは考えておりません。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 都職員の雇用の増大につきまして、お答えさせていただきます。
 都の事業は、基本的には都民の税金で賄われており、常に最少の経費で最大の効果を発揮することが強く求められております。
 都の職員採用は、事業執行に必要な人員の確保や職員の退職動向などを総合的に勘案して行っております。
 今後の採用につきましても、適切に対応してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の受注についてでありますが、都は従来から、生活や福祉に関する施設整備も含め、事業の必要性や緊急性に基づき、積極的に都市インフラの整備を進めてきております。
 昨年の二度にわたる補正予算や二十一年度予算においても同様でございまして、小中高等学校や福祉施設等の耐震化なども含まれております。
 このように、都が推進する都市インフラ整備事業は、中小企業の参画が得られやすいものも多数含まれており、中小企業の受注に寄与するものと考えております。
 次に、中小企業への公共工事の発注についてでございますが、都は、いわゆる官公需法に基づき、中小企業の受注機会を確保するため、分離分割発注、中小企業を構成員とする共同企業体及び事業協同組合などの活用により、積極的に中小企業への発注を行っております。
 その際、発注規模に対応する企業がない場合等を除き、都内の中小企業に対して優先的に指名を行っております。
 最後に、財政運営についてでございます。
 二十一年度予算では、福祉、雇用はもとより、環境や治安、小零細企業支援、都市機能の充実など、都民にとって必要な施策に的確に財源を振り向けております。
 今回さまざまな工夫により確保した基金残高一兆三千億円余りは、今後想定される厳しい財政環境のもとにあって、必要な施策を着実に実施していくための貴重な財源であり、これを安易に取り崩すことはできません。
 また、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金は、都政の重要課題であるオリンピック・パラリンピックの開催を財政面から支援するために不可欠なものであり、確実に積み立ててまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点についてお答え申し上げます。
 まず、消費税についてでございますが、食料品など生活必需品に対する軽減税率につきましては、適用範囲の合理的な設定が難しいことや課税方式の見直しが必要であることなど、多くの課題が指摘されております。
 今後、消費税を含む税制抜本改革のあり方が検討される中で、こうした点につきましても十分に議論がなされるべきであると考えております。
 次に、固定資産税等の軽減措置についてでございますが、都では既に、中小企業を初め、多くの都民の税負担を緩和するため、小規模非住宅用地に対する固定資産税等の減免措置など、都独自に三つの軽減措置を実施しており、平成二十一年度も継続することとしております。
 加えまして、平成二十一年度税制改正において、地方団体の条例によりまして税額の上昇を抑制することができる新たな条例減額制度が創設されることに伴い、中小企業等の過重な税負担を緩和する観点から、固定資産税等の税額上昇率を一〇%に抑える措置を実施することとしております。
 これらの軽減措置による合計額は約七百億円にも及んでおりまして、さらなる措置は考えておりません。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域における都立病院のNICUの整備についてでありますが、清瀬及び八王子小児病院の周産期母子医療センターについては、産科がないため、母体搬送の受け入れをできないことが最大の問題となっておりました。
 今回の移転統合により、小児総合医療センター、多摩総合医療センターが一体となって、母体搬送の受け入れが可能な都内最大の総合周産期母子医療センターが誕生いたします。これにより、多摩地域の周産期医療体制は格段に充実することになります。
 これは、全国的に小児科や産科などの医師が深刻な不足状況にある中で、限られた医療人材を最大限有効に活用する方策であり、多摩地域においてとり得る最善の策と考えております。
 次に、都立小児病院等の移転統合に関する都民の声についてでありますが、都は、多摩地域の小児、周産期医療を一層充実させていくため、都立小児病院等を移転統合して小児総合医療センターを開設し、心から体に至る高度、専門的な医療を提供することとしております。これにより、多摩地域全体の小児、周産期医療の水準が大きく向上し、都民の方々の期待にこたえられるものと考えております。
 また、移転後のそれぞれの地域小児医療体制についても、地元自治体や医師会などと連携しながら精力的に対策を進めており、各地域の方々が安心して医療を受けられる体制が整っていくと考えております。
 次に、都立病院の医師確保、養成対策の拡充についてでありますが、産科等の医師不足が全国的に深刻な状況にある中で、都は、ここ数年にわたる都立病院医師の大幅な処遇改善を初め、増加する女性医師に対応した育児短時間勤務制度の導入や保育の二十四時間化、さらには業務量軽減のための医療クラークの配置など、総合的、重層的な医師の確保、定着対策を全国に先駆けて実施してまいりました。こうした都の取り組みは、大学や現場の医師などからも高く評価されているところであります。
 また、昨年四月には、東京医師アカデミーを開講し、若手医師の育成にも着手しております。
 こうした取り組みにより、産科医師を初めとする都立病院医師の確保、養成は着実に進んでおります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 二点お答えいたします。
 まず、メーンスタジアム及び選手村の用地についてでありますが、立候補ファイルでは、各会場の工事費の見積もりとその資金調達方法、用地につきましては開催都市による用地買収の有無に関して記載が求められております。
 メーンスタジアム及び選手村の用地は現在都有地であり、対外的な用地買収の必要はないことから、記載はしておりません。
 次に、メーンスタジアムの安全対策についてでありますが、まず液状化対策につきまして申し上げますと、スタジアム本体は、支持地盤まで基礎くいを打ち込むなどして構造物の耐震性を高めて、安全性を確保いたしております。また、スタジアム周辺部につきましては、地盤改良などの液状化対策を行うこととしております。
 そして、これらの費用は、スタジアムの整備費の中で見込んでおります。
 次に、護岸整備について申し上げますと、晴海地区におきましては、既に平成十二年度から、都の既定事業として耐震性を有する護岸などの整備を進めております。
 また、観客の誘導対策について申し上げますと、大会時までに、晴海地区の南側の豊洲方向へは環状二号線の橋梁を整備し、北側の勝どき、豊海方向へは、環状二号線を含め、三つの橋梁を新たに整備する計画でございまして、このようにして複数の避難ルートを確保していきます。
 これらの費用につきましては、輸送インフラ整備費及びスタジアム施設整備費として計上しております。
 また、避難時の混乱を防ぐため、きめ細かい避難標示や誘導員の配備、多言語による誘導放送の実施などをオリンピックの運営経費として計上しております。
 このように、オリンピックメーンスタジアムにつきましては、ハード、ソフト両面から総合的に安全性の確保を図ってまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場移転に関する五点のご質問にお答えいたします。
 まず、土壌汚染調査の科学性についてでございます。
 専門家会議では、敷地全域にわたって十メートルメッシュで土壌と地下水の調査を行い、一定の汚染物質が検出された箇所については、深さ方向に一メートル間隔で土壌ボーリング調査を実施しました。
 不透水層下のボーリング調査につきましては、不透水層を貫通し、汚染を不透水層下に拡散させる可能性が否定できないため、実施すべきではないとしております。
 土壌、地下水の分析につきましては、土壌汚染対策法に定められた方法により行っております。
 このように、これまで実施してきた調査は、科学的知見に基づくとともに、法に定められた技術基準によっており、科学性は十分に担保されております。
 次に、専門家会議の調査報告の信頼性についてでございます。
 今回、技術会議で取りまとめた土壌汚染対策において、ベンゾ(a)ピレンにつきましては、操業時の地盤面から下の土壌を二メートルすべて入れかえることに加え、それより深い部分については、油膜が見られる汚染土壌は加熱処理などを行うこととしております。
 不透水層が確認できなかった地点につきましては、今後、周辺の調査を行い、実態を把握した上で、対策時に当該地点の汚染状況を確認しながら、土壌や地下水中の汚染物質を確実に除去した後、人工的に不透水層を形成することとしております。
 こうした対策は専門家会議に確認をしておりまして、専門家会議報告書に影響を及ぼすものではないとの見解を得ております。
 次に、有楽町層以下の調査と対策についてでございます。
 専門家会議は、有楽町層のうち不透水層を形成している層の下までボーリング調査を行うことについては、不透水層を貫通し、不透水層下に汚染を拡散させる可能性が否定できないため、実施すべきではないと指摘しております。
 不透水層中の汚染が想定される箇所につきましては、底面管理の方法により、汚染物質の確認、除去を行うこととしてございます。
 次に、液状化対策についてでございます。
 技術会議では、豊洲新市場予定地の液状化対策について、砂質土層が厚い六街区及び七街区では、砂ぐいによる締め固め工法を採用し、砂質土層が薄く表層にある五街区では、格子状固化工法を採用しております。
 この格子状固化工法は、阪神・淡路大震災においても液状化が発生しないことが確認されている信頼性の高い工法であり、安全性は十分に確保できます。
 最後に、公開討論会についてでございます。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について、情報を公開し、共有することは、都民や市場業界の理解と協力を得る上で極めて重要でございます。
 専門家会議では、透明性のある会議運営を行うため、会議を公開し、委員との質疑応答の時間を設けるとともに、意見募集を行い、その一部を報告書等に反映をさせました。
 また、技術会議は、各委員が外部から干渉を受けず評価を行う必要があることなどから、会議は非公開といたしましたが、今般、報告書を取りまとめたことから、公表に適さない情報を除き、技術会議の会議録等を順次公表しているところでございます。
 これら報告書等に寄せられる意見につきましては、可能な限り回答していくとともに、今後、土壌汚染対策を実施していく過程で生かしてまいります。
   〔五十八番植木こうじ君登壇〕

○五十八番(植木こうじ君) 知事に再質問を行います。
 まず、新銀行東京について三問質問します。
 地域の金融機関と連携した融資について、条例案の最大の問題は、融資が円滑に行われるようにとか、損失の補助、知事が特に必要と認めた措置など、破綻債権への追い貸しや新銀行東京の税金投入への抜け道があっても、歯どめとなる規定がないことです。だから、知事が経営そのものの支援は意図するものではないといっても、破綻債権の追い貸しをしないという根拠を示せず、経営支援そのものは否定できませんでした。先日の記者会見でも、公的資金の投入になることを事実上認めています。
 産業労働局は、予算の範囲内だといって大丈夫だといいますが、予算の編成権は知事にあるのであって、流用や補正予算での対応も可能なのです。知事が絶対に新銀行東京救済に税金を使わないというのなら、条例案に、新銀行東京は対象としない、乱脈融資への追い貸しや経営支援に充てることはしないと、きちんと明記すべきでありませんか。知事、答えてください。
 第二に、金融庁の改善命令書は、過大な事業規模の追求、スコアリングモデルのみに依存した融資審査、管理等に起因して大幅な損失を計上してきたことをいっているのです。都のマスタープランが損失の大もとにあることを指摘しているんですよ。なぜこのことを認めないんですか。知事、あなたはこの指摘をどう受けとめ、どう責任をとるかを聞いているのです。お答えください。
 第三に、我が党は、東京都が過大な計画やずさんな審査方法を内容としたマスタープランを策定するだけでなく、嫌がる旧経営陣に押しつけていたことを示して明らかにしてきたではありませんか。知事及び関係した都の幹部の責任を問わず、旧経営陣だけに責任を押しつけるのは余りにもひきょうです。知事や関係幹部は、少なくとも退職金の返上や減俸なども含めて、都民にどう責任をとるのかを明らかにすべきです。
 以上、知事に質問します。
 オリンピックについてです。
 メーンスタジアムや選手村の用地費について、対外的な用地買収でないから立候補ファイルに記載しなかったといいましたが、我が党が指摘したとおり、用地買収が必要なことをようやく認めました。外環道についても、オリンピックのためのインフラ整備であることが明らかになりました。具体的な整備計画が決まれば、オリンピックの費用に含まれるわけです。オリンピックのための財政投入は際限なく膨れ上がり、我が党が指摘した九兆円の財政投入がますます現実的なものになろうとしているのです。
 知事は、基金を安易に取り崩せないといいましたが、それは基金をオリンピックにつぎ込むためではありませんか。これだけ都民の暮らしや雇用が破壊されているときに、オリンピックより暮らしの支援を都政の最重点に置くべきです。一過性のイベントや大型道路建設より都民の懐を暖めることこそ、景気を回復していく最大の保障ではありませんか。
 以上、知事に答弁を求めます。(拍手)
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、条例の件に関してですが、金融機関に対する経営そのものを支援する意図ではないかということに関してでありますが、再度の繰り返しになりますけれども、もう一度お答え申し上げます。
 本支援策は、破綻が懸念されるような企業まで対象とする考えはございません。ましてや、いかなる金融機関に対しても、経営そのものの支援を意図するものでは全くございません。
 また、知事の発言のところがございましたけれども、私も知事の会見を聞いておりましたが、ご指摘のようには受けとめておりません。知事の発言は、本支援策で導入を検討しているのは、個別の債務不履行が起きた際に実施する損失補助であることに言及をしたものであります。こうした仕組みは、現行の制度融資でも行われているものであります。新銀行東京の経営そのものの支援ではなく、ましてや追加出資を意図するようなものでもございません。
 次に、金融庁の業務改善命令についてでありますが、先ほどもお答えしましたとおり、金融庁が新銀行東京の経営悪化の原因が都にあるとしたというようなご指摘の事実は全くございません。
 新銀行東京の経営悪化の原因が都にあるというようなご指摘でありますが、まず、マスタープランについてでありますけれども、繰り返しになりますが、今回の外部調査報告書でも、マスタープランの策定は、仁司元代表執行役を初め、後に新銀行の執行役等に就任する七名の方と監査法人など関係者との間での議論の結果を踏まえた成果であるということが明らかにされているところであります。
 新銀行東京は、このマスタープランを踏まえて、経営陣みずからが判断し、経営計画を策定したものでありまして、これに基づいて銀行の事業運営は行われており、ご指摘は当たらないというふうに考えます。
 それから、知事及び都幹部職員の責任についてでありますけれども、企業経営におきましては、実際に経営を行う経営者、重要な方針を決定する取締役会、さらに株主では、経営に関与する度合いはそれぞれ異なっております。
 先ほど知事がご答弁申し上げましたとおり、銀行という公共的な性格により株主の関与が制限された中で、実際に経営のかじ取りを行った旧経営陣の責任は重大であり、まずはその責任が追及をされるべきであります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) オリンピック・パラリンピックの開催についてでございますけれども、先ほど知事から答弁がございましたように、都民を覆う不安や閉塞感を払拭し、未来への夢と希望をもたらすとともに、次代を担う若者や子どもたちにかけがえのない心の財産となるものでありまして、多くの都民の賛同をいただけるものというふうに考えております。
〇六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時八分散会

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