一番 | 遠藤 守君 |
二番 | 伊藤 興一君 |
三番 | 米沢 正和君 |
四番 | 鈴木 章浩君 |
六番 | 後藤 雄一君 |
七番 | 福士 敬子君 |
八番 | 伊沢けい子君 |
九番 | そなえ邦彦君 |
十番 | 西崎 光子君 |
十一番 | 伊藤まさき君 |
十二番 | 伊藤 ゆう君 |
十三番 | 原田 大君 |
十四番 | 河野百合恵君 |
十五番 | 小竹ひろ子君 |
十六番 | 松葉多美子君 |
十七番 | 大松 成君 |
十八番 | 中山 信行君 |
十九番 | 高倉 良生君 |
二十番 | 菅 東一君 |
二十一番 | きたしろ勝彦君 |
二十二番 | 田中たけし君 |
二十三番 | 鈴木 隆道君 |
二十四番 | 神林 茂君 |
二十五番 | 早坂 義弘君 |
二十六番 | 高木 けい君 |
二十七番 | 原田 恭子君 |
二十八番 | 佐藤 広典君 |
二十九番 | 尾崎 大介君 |
三十番 | 山口 拓君 |
三十一番 | 松下 玲子君 |
三十二番 | 野上ゆきえ君 |
三十三番 | 西岡真一郎君 |
三十四番 | たぞえ民夫君 |
三十五番 | 村松みえ子君 |
三十六番 | 橘 正剛君 |
三十七番 | 上野 和彦君 |
三十八番 | 吉倉 正美君 |
三十九番 | 谷村 孝彦君 |
四十番 | 石森たかゆき君 |
四十一番 | 高橋 信博君 |
四十二番 | 鈴木あきまさ君 |
四十三番 | 矢島 千秋君 |
四十四番 | 高橋かずみ君 |
四十五番 | 吉原 修君 |
四十六番 | 林田 武君 |
四十七番 | 野島 善司君 |
四十八番 | 服部ゆくお君 |
四十九番 | 山口 文江君 |
五十番 | 今村 るか君 |
五十一番 | 吉田康一郎君 |
五十二番 | 斉藤あつし君 |
五十三番 | 泉谷つよし君 |
五十四番 | くまき美奈子君 |
五十五番 | 大西さとる君 |
五十六番 | 増子 博樹君 |
五十七番 | かち佳代子君 |
五十八番 | 植木こうじ君 |
五十九番 | 野上 純子君 |
六十番 | 東村 邦浩君 |
六十一番 | 長橋 桂一君 |
六十二番 | 小磯 善彦君 |
六十三番 | 田代ひろし君 |
六十四番 | 川井しげお君 |
六十五番 | こいそ 明君 |
六十六番 | 崎山知尚君 |
六十七番 | 宇田川聡史君 |
六十八番 | 秋田 一郎君 |
六十九番 | 村上 英子君 |
七十番 | 倉林 辰雄君 |
七十一番 | 遠藤 衛君 |
七十二番 | 三原まさつぐ君 |
七十三番 | 大西由紀子君 |
七十四番 | いのつめまさみ君 |
七十五番 | 門脇ふみよし君 |
七十六番 | 小沢 昌也君 |
七十七番 | 石毛しげる君 |
七十八番 | 岡崎 幸夫君 |
八十番 | 清水ひで子君 |
八十一番 | 古館 和憲君 |
八十二番 | 松村 友昭君 |
八十三番 | 東野 秀平君 |
八十四番 | ともとし春久君 |
八十五番 | 鈴木貫太郎君 |
八十六番 | 石川 芳昭君 |
八十七番 | 田島 和明君 |
八十八番 | 樺山たかし君 |
八十九番 | 山加 朱美君 |
九十番 | 山田 忠昭君 |
九十一番 | 串田 克巳君 |
九十二番 | 新藤 義彦君 |
九十三番 | 古賀 俊昭君 |
九十四番 | 立石 晴康君 |
九十五番 | 桜井 武君 |
九十六番 | 吉野 利明君 |
九十七番 | 初鹿 明博君 |
九十八番 | 花輪ともふみ君 |
九十九番 | 大津 浩子君 |
百番 | 大塚たかあき君 |
百一番 | 相川 博君 |
百二番 | 中村 明彦君 |
百三番 | 馬場 裕子君 |
百四番 | 曽根はじめ君 |
百五番 | 大山とも子君 |
百六番 | 藤井 一君 |
百七番 | 中嶋 義雄君 |
百八番 | 木内 良明君 |
百九番 | 石井 義修君 |
百十番 | 宮崎 章君 |
百十一番 | 鈴木 一光君 |
百十二番 | 三宅 茂樹君 |
百十三番 | 高島なおき君 |
百十四番 | 野村 有信君 |
百十五番 | 比留間敏夫君 |
百十六番 | 佐藤 裕彦君 |
百十七番 | 川島 忠一君 |
百十八番 | 内田 茂君 |
百十九番 | 三田 敏哉君 |
百二十番 | 山下 太郎君 |
百二十一番 | 酒井 大史君 |
百二十二番 | 大沢 昇君 |
百二十四番 | 田中 良君 |
百二十五番 | 名取 憲彦君 |
百二十六番 | 吉田 信夫君 |
百二十七番 | 渡辺 康信君 |
欠席議員 一名
百二十三番 土屋たかゆき君
欠員
五番 七十九番
知事 | 石原慎太郎君 |
副知事 | 谷川 健次君 |
副知事 | 菅原 秀夫君 |
副知事 | 山口 一久君 |
副知事 | 猪瀬 直樹君 |
教育長 | 大原 正行君 |
知事本局長 | 吉川 和夫君 |
総務局長 | 中田 清己君 |
財務局長 | 村山 寛司君 |
主税局長 | 熊野 順祥君 |
警視総監 | 米村 敏朗君 |
生活文化スポーツ局長 | 秋山 俊行君 |
都市整備局長 | 只腰 憲久君 |
環境局長 | 有留 武司君 |
福祉保健局長 | 安藤 立美君 |
産業労働局長 | 佐藤 広君 |
建設局長 | 道家 孝行君 |
港湾局長 | 斉藤 一美君 |
会計管理局長 | 三枝 修一君 |
交通局長 | 金子正一郎君 |
消防総監 | 小林 輝幸君 |
水道局長 | 東岡 創示君 |
下水道局長 | 今里伸一郎君 |
青少年・治安対策本部長 | 久我 英一君 |
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 | 荒川 満君 |
病院経営本部長 | 中井 敬三君 |
中央卸売市場長 | 比留間英人君 |
選挙管理委員会事務局長 | 矢口 貴行君 |
人事委員会事務局長 | 中村 晶晴君 |
労働委員会事務局長 | 関 敏樹君 |
監査事務局長 | 白石弥生子君 |
収用委員会事務局長 | 野口 孝君 |
十二月十日議事日程第三号
第一 第二百四号議案
平成二十年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第二 第二百五号議案
平成二十年度東京都病院会計補正予算(第一号)
第三 第二百六号議案
平成二十年度東京都水道事業会計補正予算(第一号)
第四 第二百七号議案
平成二十年度東京都下水道事業会計補正予算(第一号)
第五 第二百八号議案
職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例
第六 第二百九号議案
東京都統計調査条例の一部を改正する条例
第七 第二百十号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百十一号議案
職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百十二号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第十 第二百十三号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十四号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第二百十五号議案
東京都選挙管理委員会関係手数料条例
第十三 第二百十六号議案
選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百十七号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百十八号議案
東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第二百十九号議案
特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第十七 第二百二十号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第二百二十一号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百二十二号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第二百二十三号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百二十四号議案
東京都産業教育審議会に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百二十五号議案
東京都立図書館条例の一部を改正する条例
第二十三 第二百二十六号議案
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
第二十四 第二百二十七号議案
東京都立老人医療センター条例を廃止する条例
第二十五 第二百二十八号議案
老人総合研究所の助成等に関する条例を廃止する条例
第二十六 第二百二十九号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百三十号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百三十一号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十九 第二百三十二号議案
東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第二百三十三号議案
東京都労働委員会あつせん員の費用弁償条例の一部を改正する条例
第三十一 第二百三十四号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第二百三十五号議案
東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例
第三十三 第二百三十六号議案
都立産業技術研究センター(仮称)(二十)新築工事(その二)請負契約
第三十四 第二百三十七号議案
都立武蔵村山高等学校(二十)改修工事請負契約
第三十五 第二百三十八号議案
中央環状品川線五反田換気所下部工事請負契約
第三十六 第二百三十九号議案
街路築造工事に伴う道路構造物設置工事(二十北南―西東京三・二・六東伏見)請負契約
第三十七 第二百四十号議案
街路築造工事に伴う道路構造物設置工事(二十北南―西東京三・二・六富士町)請負契約
第三十八 第二百四十一号議案
永田橋上部製作・架設工事請負契約
第三十九 第二百四十二号議案
公立大学法人首都大学東京が徴収する料金の上限の認可について
第四十 第二百四十三号議案
当せん金付証票の発売について
第四十一 第二百四十四号議案
駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第四十二 第二百四十五号議案
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期目標について
第四十三 第二百四十六号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(リン酸オセルタミビルカプセル)の買入れについて
第四十四 第二百四十七号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
第四十五 第二百四十八号議案
東京都石神井学園外五施設の指定管理者の指定について
第四十六 第二百四十九号議案
東京都品川景徳学園外一施設の指定管理者の指定について
第四十七 第二百五十号議案
東京都八王子自立ホームの指定管理者の指定について
第四十八 第二百五十一号議案
東京都視覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第四十九 第二百五十二号議案
東京都聴覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第五十 第二百五十三号議案
東京都清瀬園の指定管理者の指定について
第五十一 第二百五十四号議案
東京都清瀬療護園の指定管理者の指定について
第五十二 第二百五十五号議案
東京都日野療護園の指定管理者の指定について
第五十三 第二百五十六号議案
東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第五十四 第二百五十七号議案
東京都八王子福祉園外三施設の指定管理者の指定について
第五十五 第二百五十八号議案
品川ふ頭外貿岸壁外三施設の指定管理者の指定について
第五十六 第二百五十九号議案
東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十七 第二百六十号議案
東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十八 第二百六十一号議案
東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
第五十九 第二百六十二号議案
東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
第六十 第二百六十三号議案
東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
第六十一 第二百六十四号議案
東京都立日比谷公園外二公園の指定管理者の指定について
第六十二 第二百六十五号議案
東京都立駒沢オリンピック公園の指定管理者の指定について
第六十三 第二百六十六号議案
東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
第六十四 第二百六十七号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び青梅市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第六十五 第二百六十八号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び調布市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第六十六 第二百六十九号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び国立市公共下水道使用料徴収事務の受託について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都教育委員会委員の任命の同意について(二〇財主議第四〇二号)
第二 議員提出議案第二十九号
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第三 議員提出議案第三十号
高齢者の医療費の助成に関する条例
第四 議員提出議案第三十一号
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
午後一時開議
○議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。
○議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
○議長(比留間敏夫君) 次に、日程の追加について申し上げます。
議員より、議員提出議案第二十九号、東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例外条例二件、知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意についてがそれぞれ提出されました。
これらを本日の日程に追加いたします。
○議長(比留間敏夫君) 昨日に引き続き質問を行います。
九十四番立石晴康君。
〔九十四番立石晴康君登壇〕
○九十四番(立石晴康君) 「白くまのすまいをうばう温暖化」、これは中央区子ども川柳コンテストの大賞を受けた作品です。
十八世紀は産業革命で始まり、二十一世紀の今、環境革命の世紀であります。
今定例会所信表明で、知事は、皇居周辺において新たに景観誘導の取り組みを開始するとの考えを明らかにされました。皇居周辺の景観をさらに向上させることは、オリンピック招致運動においても、東京の存在感を一層強くアピールします。
これまでも、都では、浜離宮恩賜庭園を初めとした文化財庭園の周辺などについて景観形成に取り組んできましたが、皇居を中心とする地域については一般的な対応にとどまっていました。
今回いよいよ、首都東京を象徴する皇居周辺に取り組もうということですが、私は、皇居周辺とは、史跡の外堀や神田川、日本橋川などの範囲まで考える必要があると思います。
それは、これらの地域が、皇居から東京湾に至る都心河川の水系でもあり、海の森からの海風なども意識しながら、水と緑のネットワークとすることができると考えます。
この地域は、千代田区だけでなく、中央、港、新宿、文京の各区も関係しています。また、この地区では大規模な民間プロジェクトも活発であり、国の官庁街の建てかえなどの検討も進められています。
そこで、この地域での都の役割は極めて大きいものがあり、皇居周辺の風格ある景観について、知事のご所見をお伺いいたします。
次に、都営住宅の建てかえとコミュニティについてお伺いいたします。
都では、都営住宅の建てかえに当たり、港区の南青山一丁目地区や東村山市本町地区などで民間プロジェクトを推進し、地域のまちづくりと連携する取り組みを進めています。
先日、私も現場を目の当たりにして、これは都有地を活用し、都民各層に広く開放するアイデアだと高く評価し、地域コミュニティの維持、継承にも大いに役立っています。
私は、地域コミュニティとは、豊かな人生経験を持つ先輩世代の知恵をかり、その体験を生かし、かつ若い世代の感性と情熱あふれるパワーを、それぞれの年齢を超えて交わることの中にあると思います。
中央区の勝どき一丁目地区においては、都営住宅跡地を活用し、コミュニティを重視したプロジェクトを進めています。ここでは、子育て世代が安心して過ごせるまちづくりをコンセプトとしており、地域のまちづくりの課題に対応するものと評価します。
本プロジェクトの具体的内容と期待される効果並びに今後の予定について、まずお伺いをいたします。
また、同じく、同地域の五丁目地区においては、近接した旧墨田工業高校分校跡地を種地として活用することで、今までの居住者の皆さんが他の地域に転出することなく、都営住宅の建てかえが可能になりました。つまり、一回の移転で済むのであります。
また、その建てかえ後の跡地を活用することで、周辺地域のまちづくりも、耐震、耐火のまちを促進することになり、これからの建てかえ事業の一つのモデルともなります。
地域のまちづくりと連携する建てかえ事業を今後一層推進すべきと考えます。所見を伺います。
次に、都心と臨海地域、羽田をつなぐ新線構想について伺います。
首都東京の再生、国際都市としての東京をさらに発展させるためには、公共交通ネットワークをより一層強化していくことが不可欠です。
このような視点で臨海地域を俯瞰すると、現在の交通機関は、新交通「ゆりかもめ」とりんかい線があるだけです。
「ゆりかもめ」は中量輸送が目的で、車体が余り大きくないために輸送力には限界があり、通常の鉄道と比べ速度が遅く、その上、路線も曲折しているために、所要時間がややかかり過ぎるところがあります。
もう一つのりんかい線は、新宿方面へのアクセスは充実しているものの、東京駅などの都心方面に行くには乗りかえが必要であり、利便性は高い状況とはいえません。
この状況を改善するため、私はこれまでも、都心と臨海地域を地下鉄で結ぶ構想を提案してきました。この案は、東京駅を起点とし、八丁堀、新川から大江戸線月島駅と接続した後、晴海一丁目、晴海国際ふ頭、豊洲、有明北に新駅を設置し、国際展示場までの約七キロを結ぶ、都心と臨海の間を縦貫する地下鉄であります。
この路線の地域は、都心を省けば、ほとんどが都有地で占められており、都有地の有効活用にもつながるものと考えられます。
さらに、国際化が進む羽田空港までこの線を延ばすことにより、都心と空港のアクセスを飛躍的に向上させることも可能であり、海外から多くの観光客を臨海地域に招き入れる交通インフラとしても期待できます。
また、直下型地震が発生し、路面交通が麻痺した場合には、食糧、医療などに関連する救援物資を海上から臨海地域の防災拠点に運び、都内各地に輸送する必要がありますが、その際にもこの路線が有効に活用できます。
オリンピック・パラリンピックのメーンスタジアムは晴海に建設予定であります。そのアクセスについては、バスや既存鉄道の活用により対応することとしていますが、距離と時間が少しかかり過ぎるのではないかと思われます。多くの観客が集中することを勘案すると、私は、大量輸送機関である地下鉄が効果的だと考えます。
このように、この構想は、臨海の発展のみならず、首都東京が今後、魅力ある国際都市として、また、観光都市として発展を続ける上で極めて重要です。
この路線は、平成十二年の運輸政策審議会の答申には位置づけられていませんが、今まで述べてきたように、利便性の向上、都有地の有効活用、防災、オリンピック・パラリンピックなど、さまざまな点から非常に効果が高いものと思われます。
そこで、都心と臨海地域、羽田を結ぶ新線に対する都のお考えをお伺いいたします。
次に、都営大江戸線の混雑対策についてお伺いいたします。
本年三月、東京都交通局は、地下鉄大江戸線に転落防止用のホームさくを、百二十億円前後をかけ、平成二十五年度までに三十八全駅のホームに設置する方針を固めました。
これは、平成十二年にホームさくを設置した三田線に続くものであり、都民の安全のため、一日も早く完成すべきだと考えます。三田線では、ホームさくの設置で、年間数件あった転落事故がなくなりました。大江戸線でも、ホームさくの完成が安全を確保するものと思われます。
特に、私の地元中央区の勝どき駅の混雑は極めて深刻な状況にあり、乗りかえのない単独駅では一番の乗降客数です。矢田中央区長とともにラッシュ時の現場に立ちながら、想像以上の混雑ぶりでした。
そこでまず、平成二十五年度のホームさくの全駅設置を待たずに、混雑の激しい駅から一日も早く稼働させるべきだと考えますが、効果的な運用について伺います。
さらに、勝どき駅では、駅前再開発が予定されているほか、晴海、勝どき地区でも大規模な開発計画があります。
今後の開発に伴う乗降客の増加により、勝どき駅の混雑に一層の拍車がかかると思われます。
そこで、例えばホームの増設など、駅の抜本的な改良が必要だと考えますが、所見を伺って質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 立石晴康議員の一般質問にお答えいたします。
皇居周辺の景観についてでありますが、豊かな水と緑を抱える皇居の周辺は、外国の首都と比べても遜色のない、すばらしい景観を誇っておりまして、かつての江戸城のたたずまいを残す堀や、首都東京の象徴ともいえる国会など、我が国の歴史と文化を醸し出す風格を備えております。
この美しい景観を保存再生し、国民共通の財産として後世に伝えていくことが我々に課された責任だと思っております。
オリンピック招致も見据えまして、皇居周辺を新たに景観誘導区域に指定し、大規模建築物の色彩や形態などの誘導にも取り組むことによりまして、二重橋周辺やお堀を見通す眺望など、緑や水辺と調和した風格のある景観を維持向上させていきたいと思っております。
ただ、これは今の限り、昼間の話でありまして、夜になりますと皇居は真っ暗な森になって、初めて日本にやってきた外人などは、非常に夜歩くと不気味だというぐらい、せっかくの景観が夜は生かされておりませんので、天皇陛下のお住まいや宮殿には光が届いてはならぬと思いますが、せめて二重橋近辺とか、ああいったところをライトアップして、やっぱり首都の心の心に皇居がある、ああいう森があるということを見せることができたらなと思っております。
年明けには景観計画の素案を公表し、都民の意見を聴取した上で、二十一年度早期の施行を目指していきたいと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、勝どき一丁目プロジェクトについてでございますが、本プロジェクトは、都営住宅の建てかえに伴う創出用地を活用いたしまして、子育て世帯が入居しやすい家賃の住宅を初めとする良質な民間賃貸住宅を供給するとともに、幼稚園と保育園一体型の認定こども園や、小児科を含む診療所など、地域に開放された子育て支援施設を整備するものでございます。本年二月に着工しておりまして、平成二十二年度内の完成を目指しております。
本プロジェクトの完成によりまして、多様な世帯が住まう都心居住の推進と、子育て世帯が安心して快適に暮らせるまちづくりを促進できるものと考えております。
次に、地域のまちづくりと連携した都営住宅建てかえ事業の推進についてでございますが、建てかえに当たりましては、居住者のコミュニティができる限り継承されるよう、建設計画や移転方法などを工夫しながら事業を進めております。
また、地元区市と連携し、地域に必要な公園や保育園等の整備を推進するとともに、創出した用地を活用し、民間住宅を整備するなど、地域コミュニティを活性化する取り組みも行っております。
今後も、地域のまちづくりの課題に対応した建てかえを積極的に推進することにより、住み、暮らす場としての東京の魅力を高めてまいります。
最後に、都心と臨海地域、羽田を結ぶ新線構想についてでございますが、東京の活力と魅力を高めていくためには、都市活動を支える交通インフラの一層の充実が必要であると認識しておりまして、都はこれまで、お話にもございました、りんかい線の整備や、京急蒲田駅の改良による羽田空港へのアクセス向上などに積極的に取り組んでまいりました。
お話にございました新線構想につきましては、運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられておりませんで、事業主体や採算性などの課題があるものと考えられます。貴重なご提言として、研究課題とさせていただきたいと存じます。
〔交通局長金子正一郎君登壇〕
○交通局長(金子正一郎君) 大江戸線に関する二点のご質問にお答えいたします。
初めに、ホームさくについてでございますが、ホームさくの設置は転落防止に有効な対策であり、交通局では、平成二十五年度までに大江戸線の全駅への設置を完了することを目指し、取り組みを進めております。
今年度は、使用する装置の技術的な検証と詳細設計を行い、来年度からは、ホームの補強、電力設備の増強などの関連工事に着手し、設置に向けた準備を着実に実施してまいります。
ホームさくを稼働させるためには、五十三編成ある車両をすべて改修する必要がありますが、この改修が終わる平成二十三年度から順次ホームさくを稼働させられるよう、設置工事を計画的に進めてまいります。
なお、具体的な設置時期につきましては、今後、駅の混雑状況なども十分考慮しながら検討してまいります。
次に、勝どき駅の抜本的な改良についてでございます。
ご指摘の勝どき駅につきましては、駅周辺の開発に伴い、大江戸線各駅の中でも特に混雑が激しくなってきたため、開業後に出入り口を増設するとともに、朝のラッシュ時に誘導員を配置し、お客様の案内を行うなど、さまざまな対策を講じてまいりました。
加えて、駅に隣接する地域の再開発に合わせ、平成二十二年度には、新たに出入り口を設置する予定でございます。
しかし、現在も駅周辺の開発が進んでおり、今後さらに利用者の増加が見込まれることから、関係機関とも連携し、ホームの増設も含め、駅の抜本的な改良について検討してまいります。
○議長(比留間敏夫君) 三十三番西岡真一郎君。
〔三十三番西岡真一郎君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○三十三番(西岡真一郎君) 薬物乱用防止について伺います。
昨今、毎日のように大麻や覚せい剤などの薬物乱用のニュースが飛び交う深刻な事態です。医師によるリタリン不正処方や硫化水素による自殺指南なども社会問題となりました。
特に、マリファナとも呼ばれる大麻は、高校生、大学生、芸能人、スポーツ選手、医師など、一連の報道に見られるように汚染拡大が懸念され、薬物のファッション化ともいわれる深刻な事態であります。自宅の押し入れや山林などの発見しにくい場所でひそかに大麻を栽培し、吸引や密売される例が多発し、インターネットや書籍では栽培方法まで紹介されています。都の審議会が大麻の特集雑誌を不健全指定として答申したと聞き、私も昨日、その雑誌を拝見しました。
大麻は、たばこより害が少ないなどの誤った情報が流布されていますが、吸引量によっては精神に悪影響を及ぼすため、大きな誤りで、ゲートウエードラッグとも呼ばれ、誘導役となり、心や体、周囲の人々に悪影響を及ぼす覚せい剤などへの入り口ともなり得ます。
大麻事犯は、平成十五年から十九年までの五年間の状況で、二十歳代以下の検挙者の占める割合が毎年六割を超え、若者に大麻が蔓延しています。
また、覚せい剤の薬物乱用も極めて憂慮される事態が続いています。最近は、取り締まりが困難なインターネットや携帯を使った密売、防犯カメラのない住宅地での密売などが横行し、若者受けする錠剤の形や色、ネーミングでカムフラージュし、価格も、子どもたちをターゲットに低下傾向にあります。勉強ができる、やせるなどのいい回しによりだまされてしまうなど、薬物乱用が低年齢化しています。
都は、国に先駆け、国の法律では追いつかない新種の脱法ドラッグを禁止する条例を策定し、大きな成果を上げ、国を動かし、脱法ドラッグ対策が全国的な規制の枠組みに位置づけられました。しかし、乱用状況は改善していません。都の取り組みをより一層強化する必要があります。
現状認識と今後の取り組みについて、知事にご所見を伺います。
都は、私も委員として取り組んだ薬事審議会に薬物乱用防止対策を諮問し、昨年に答申を受け、今、検討中です。薬物を流出させているやみ社会は、日々悪い方向に進化しています。同じ対策の繰り返しではない、早期の対策が必要です。検討状況や取り組みについて、都に伺います。
こちらのパネルをごらんください。こちらのパネルは、平成十七年度東京都薬物乱用防止高校生会議の活動の一環として、女子美術大学付属高等学校の皆様がつくった啓発チラシです。一見おいしそうなお菓子に見えますが、実は、この中には五つの恐ろしい薬物が紛れ込んでいます。合成麻薬のMDMAや幻覚剤のLSDといった薬物が、カラフルでかわいらしい形で五つもまじっています。
こちらは、まじっている五つの恐ろしい薬物を拡大したものです。まるでガムやサプリメントのようで、中にはキャラクターも描かれ、見た目では判断できませんが、絶対にだまされてはいけないものです。
恐ろしい薬物にはまってしまえば、死にも至り、また、生きていても、フラッシュバックと呼ばれる乱用者特有の現象に悩まされ続けるなど、大切な人生が取り返しのつかない事態へと至るのです。
このような違法薬物が出回る現状を考えてみると、有用な医薬品と絶対に使用してはいけない薬物の区別を都民一人一人が認識すること、薬物を勧められたり、売買情報を得たときの対処方法を学ぶこと、学校、家庭、地域における教育や社会の機運づくりが重要です。
しかし、私も地元の薬物乱用防止市民団体で活動していますが、地域で活動する団体の財政基盤が弱いのも現実です。また、大人になるにつれ、雰囲気やイメージにより薬物への認識が変化してしまいます。地域に根差した取り組みによる社会全体への効果的啓発が重要です。都のご所見を伺います。
大麻汚染は、大麻の種子が法律で規制されていないことに起因しています。種子は加熱処理により発芽不能とした上で、食用などとして国外から輸入されていますが、法の裏をかいて、観賞用と称し販売されている種子が不正栽培に利用され、多く乱用されています。この種子には法による規制が必要です。昭和二十年代に制定された大麻取締法は、現代社会との乖離が見られます。しかし、国からは、法改正は不要との声が聞こえてきます。
都は、三つの提案を国に行うべきです。第一に、大麻種子に関して法規制を行うこと。第二に、大麻の吸煙など使用に関する罰則の強化です。所持が処罰され、吸引が処罰されない矛盾が生じています。第三に、取り締まりの分野ですが、さまざまな情報がはんらんしているネットサイトへの取り締まりの強化です。厚生労働省とも協議し、国に積極的に提案していくべきと考えますが、都のご所見を伺います。
最後に、取り締まりの状況を伺います。
警視庁では、全職員が一丸となり、治安回復に向けた犯罪抑止策に努め、着実に成果を上げています。しかし、大麻乱用には都民も重大な関心を寄せ、都民生活の身近で起きている薬物事件に対し、大きな不安と脅威を感じています。
都民が安心して暮らせる東京を実現するためには、薬物事犯の取り締まりをさらに強力に推進し、違法な薬物を社会から一掃することが必要不可欠です。
警視庁における大麻事犯の取り締まりの現状と、今後の大麻事犯の取り締まりにどのように取り組み、対策を講じていくのか、決意を伺わせていただきます。
次に、新銀行東京について伺います。
新銀行東京は、都民の税金八百六十一億円を失わせ、さらなる赤字が懸念され、また、ブローカーや元行員による詐欺事件にまで発展しました。中小企業向けの貸出比率は四〇%程度と停滞し、その状況が改善されなければ、この銀行の使命が果たされているとはいえません。
昨日の都議会民主党代表質問では、日銀考査の概略を横から聞いていたことについて、石原知事は、子細なことは覚えていないと答弁していますが、知事は、本年三月の予算特別委員会で、当然都の幹部の人たちに伝わっていると思ったら、それは伝わっていなかったというのは改めて驚きと述べています。みずからも驚く事象であり、これほど重要な内容を覚えていないというのは、都のトップの姿勢としてはあってはならないことと思います。
改めて、日銀考査について、どのような内容を聞いたのか、ご見解を伺います。
本年三月の予算特別委員会での私の総括質問では、知事から銀行の新たな人事構想が必要との認識が示されていたため、質問し、知事は、これからの人事はまさにこれからと答弁されました。それから半年以上が経過し、大きな変化がなく、都の関係者が重職についています。
知事は、役人の発想には限界があると発言していましたが、なぜ進展がないのでしょうか。新銀行東京は新たな経営者を確保しないということなのか、ご所見を伺います。
また、不良債権以外の損出七百億円の詳細な内訳を質問しましたが、営業経費に五百億円との答弁があり、詳細は不明でした。都は、経営内容の詳細を把握する必要があります。
民民の分野とはいえ、システム経費などに過大な投資があったともいわれています。都は、不適切、むだな投資があったのか、詳細を把握しているべきと考えます。その状況や評価について伺います。
平成二十一年三月期中間決算に関連し、伺います。
新銀行東京が他行と違う最大の特徴は、一つには、銀行業にあってはならない、預金利息が貸出利息を上回る逆ざや状況に陥っていることであります。決算では、貸出金を含めた資金運用利回り一・〇九%に対し、預金金利を含めた資金調達利回りが一・二二%と逆ざや状況にあり、その差は昨年よりも悪化し、今後も、満期を迎えた預金により拡大し、さらに赤字が膨らむ可能性が大きいと考えます。
二つ目には、内部調査報告書概要版で指摘されていた、デフォルトが利息収入を上回っていたという深刻な状況です。この数値は現在どうなっているのでしょうか。経営を監視する上では重要な数値です。現状への評価と今後の動向を伺います。
最後に、今、着々と工事が進行している、待望の三鷹―立川間のJR中央線連続立体交差事業に関連して伺います。
私の地元の武蔵小金井駅小金井街道の、いわゆる有名なあかずの踏切は、高架化前は、朝七時から八時までの一時間に、踏切があいている総時間は、従来の小金井街道で五分、仮線切りかえ後は、踏切延長が長くなったことから、一分程度という調査もありました。既に下り線の高架化が実現した東側区間では、高架化によるその効果は高く、踏切遮断時間が平均で約四割減少し、小金井街道では最大渋滞長が約四割減少しました。
今後、東側区間は、上り線の高架橋工事が進められ、平成二十一年度末の踏切除却が予定されています。安全管理を優先しつつ、今想定している事業完了予定日より一日でも早く完成ができるよう強く要望いたします。
また、高架化により、高架下には貴重な都市空間が新たに創出されることから、市民生活の利便性を高める高架下利用への期待も高まっています。高架下利用については、沿線自治体において市民アンケートなどを実施し、意見を取りまとめ、JRに沿線自治体からの意見、要望が提出されております。
一方、JRは、ホームページの中で、連続立体交差化事業が進む中央線の沿線価値向上を目指した中央線ラインモール(仮称)構想の実現に取り組むことを提唱しています。地域経済や市民の利便性を高める事業であれば、もちろん歓迎すべきことであります。しかし、地域経済界や商店街との共存、まちづくりや防災など、幅広い分野にかかわるため、沿線自治体との協議が欠かせません。
こういった現状を考えると、早期の具体的な協議が必要です。事業主体である都のコーディネーターとしての役割が早期に発揮されるべきであります。
高架下利用計画策定に向けた今後の都の進め方について伺います。
高架下利用に当たり、特に自転車駐輪場確保は地元自治体共通の急務の課題です。自転車法でも、鉄道事業者が駐輪対策に協力することを求めています。自治体が公共利用枠内で設置するのではなく、鉄道事業者が事業主体となって、みずから高架下に駐輪施設を設置すべきです。
地元自治体とともに、都も鉄道事業者への働きかけを行うよう強く要望します。
また、小金井エリア内では、NPOによる、内閣府の全国都市モデル調査事業に選ばれた、高架橋からの雨水を活用した発電と散水の実験が注目されました。このような環境対策へも、高架下利活用の一環として、都と鉄道事業者の協力を強く要望いたします。
連続立体交差事業は、市民の利便性や新たな空間を生み出すなどの駅周辺整備を実現するまちづくりと一体でもあり、現在、都市再生機構が事業主体となった武蔵小金井駅南口第一地区再開発事業、小金井市の事業としての東小金井駅北口土地区画整理事業が大きく進展しています。都からも大きな支援をいただいておりますことに感謝を申し上げます。
小金井の都市基盤整備は、JR中央線連続立体交差事業とも連動し、駅周辺整備の完成による快適な駅前ロータリーの創出などにより大きく進展します。今後の課題は、武蔵小金井駅南口再開発事業の第二地区地域のあり方や、武蔵小金井駅北口地域、そして東小金井駅南口地域であり、高架化完成後も駅周辺のまちづくりが継続してまいります。
今後とも、まちづくりを推進する上で、都の支援は極めて大きいことから、駅周辺のまちづくりへの継続的な支援を保持していただきたいと考えます。ご見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 西岡真一郎議員の一般質問にお答えいたします。
薬物乱用防止についてでありますが、薬物の乱用は、人間の身体や精神に危害を及ぼすのみならず、家庭も崩壊させ、学校、職場、社会の秩序を乱すものでありまして、その害悪ははかり知れません。
現在の若者を中心とした薬物汚染の実態は、その広がりと根深さから、極めて憂慮すべき事態でありまして、都としては、今後、国に対して法規制の強化を強く求めていくとともに、学校を初め関係機関と連携しながら、薬物の有害性、危険性を訴え、薬物乱用の根絶に全力を尽くしていきたいと思っています。
昨日も大麻について申し上げましたが、アメリカという合衆国では、州がそれぞれの独自の権限を持っていまして、州によっては大麻を許容していると。これは非常にはた迷惑な話でありまして、アメリカのように、ある影響力を持った国が、世界全体の人類に害悪を及ぼしかねないこういった薬物についての統一見解を当然持つべきだと私は思っております。
これはもう国対国の交渉の問題でありますから、政府が責任持って推進すべきことと思いますが、一つ思い出しましたが、かつて国会議員のときに、プリンストンのある教授がやってきまして、それが非常にある問題を抱えて強制退去されそうなんで力をかしてくれという話が、あるアメリカ人の友人からありまして、事務所で聞きましたら、その人は何と、大麻、マリファナは有害でないというキャンペーンで日本にやって来たというから、これは論外の話で、あきれましたが、ただ私、その人物、なかなかのインテリジェントな、とにかく何かの専門家の学者でしたけれども、事務所に呼んで聞きました。彼はとうとうと論を述べておりましたが、かなりいかがわしいといいますか、信憑性の少ないもので、こういった論が、アメリカの部分的にも大麻というものを許容する論拠になっているのも非常に恐ろしい話と思いました。
これは、あくまでも国の責任でアメリカの統一の見解というものを導き出して、それを世界に敷衍させる必要があると思っております。
〔警視総監米村敏朗君登壇〕
○警視総監(米村敏朗君) 都内における大麻事犯の取り締まりの状況と今後の取り組みについてお答えいたします。
本年十月末現在における大麻事犯の検挙人員は、全国的には増加傾向にありますが、警視庁における検挙人員は五百八十一人で、昨年とほぼ同様の状況にあります。
しかしながら、もう少し詳しく申し上げますと、全国的には、例えば平成十年と平成十九年を比較した場合、特に三十歳未満の検挙人員は二・三倍に上っております。また都内では、例えば昨年、平成十九年の検挙人員は七百五十二人でありますけれども、これも平成十年時に比べますとプラス二百四十七人、率にして四八・九%の大幅な増加となっているわけであります。この中身も、主として三十歳未満の若者による大麻事犯ということであります。
また、暗数がどれだけかというのは、なかなか推しはかりがたいところがありますが、例えて申し上げますと、警視庁では、本年七月、都内で大麻約百八十キログラムを押収いたしまして、密売者を検挙いたしました。百八十キログラムというのは、末端価格でいいますと七億二千万ぐらいでありますけれども、使用分で換算をいたしますと約三十六万回分ということでありまして、検挙というのは、いわば氷山の一角かなというふうに認識をしております。
大麻事犯の特性でありますけれども、覚せい剤とは違っておりまして、検挙者の約九割は初犯者であります。で、三十歳未満の若者がやはり六割近くを占めているということであります。こうした若者は、一つには、外国の一部では大麻が禁止をされていないということから、たばこの延長線上、ソフトドラッグというような感覚を持っているのではないか。あるいは好奇心、先ほど議員も申されましたとおり、ファッション感覚で乱用している。また、インターネット等を利用して種子や栽培方法に関する情報を得て、実際に栽培をしたりしております。
警察といたしましては、大麻につきましては、むしろ、先ほどこれも議員がご指摘されましたけれども、いわゆるゲートウエードラッグ、他の薬物に手を出す入り口の薬物として大変問題があると。より依存性の強い覚せい剤、さらにはMDMAといったような乱用につながる一因になるということを強く危惧いたしているところであります。
いずれにいたしましても、警視庁としては、かねてより設置しております薬物乱用根絶対策本部を中心に、全庁を挙げて乱用防止に向けた取り組みを推進しておりますが、とりわけ大麻につきましては、水際での阻止あるいは密輸、密売グループの壊滅、末端乱用者の徹底検挙を図るとともに、今申し上げましたとおり、ゲートウエードラッグとしての危険性あるいはソフトドラッグという誤った認識、こういったものを払拭すべく、また、危険性をアピールすべく、関係機関等と乱用防止に向けたキャンペーンを今後幅広く展開をし、この種の乱用の防止に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 薬物乱用対策について、三点お答えをいたします。
まず、薬事審議会答申を受けての都の取り組みについてでありますが、現在、国及び都の関係機関で構成する東京都薬物乱用対策推進本部におきまして、啓発活動の拡大と充実、指導、取り締まりの強化、薬物問題を抱える人への支援、以上の三つを柱に、東京都薬物乱用対策推進計画の改定作業を進めているところであります。
新たな計画におきましては、青少年の薬物乱用防止だけではなくて、薬物乱用のない社会づくりを到達目標として策定する予定でありまして、これまでの学校を中心とした青少年に対する啓発活動の場をさらに拡大することや、医療機関と連携した使用実態の把握など、新たな取り組みを盛り込む考えであります。
また、計画は、五カ年の中期的かつ具体的な行動計画として、年度末までに策定をする予定であります。
次に、社会全体への効果的な普及啓発についてでありますが、都はこれまでも、学校教育の場を活用して、発達段階に応じた薬物乱用防止教育を行うとともに、都内四十八地区に設置されております東京都薬物乱用防止推進地区協議会や商店街等と連携して、地域における普及啓発活動を行い、薬物には絶対に手を出さないことを強く訴えてまいりました。
また、今般の大学生等による相次ぐ大麻事件の発生を受け、先月、都内全大学を対象に薬物乱用防止対策の緊急説明会を開催し、学内における学生指導の強化を依頼するとともに、新入生ガイダンスなどで活用できるよう、都が作成いたしました啓発用DVDを配布いたしました。
今後とも、区市町村や関係機関と一層の連携を図り、社会全体への普及啓発に努めてまいります。
三点目は、大麻の規制に関する国への提案でありますが、現在、大麻取締法では、研究者など免許を受けた者以外の大麻の栽培や販売、所持が禁止をされており、外国為替及び外国貿易法並びに関税法で、発芽能力のある種子を国内に持ち込むことが禁止をされております。
しかし、栽培を目的としなければ、国内での大麻種子の販売や所持は規制の対象となっておらず、大麻の吸煙行為についても罰則規定はございません。
このため、発芽能力のある大麻種子を国内で販売したり所持していても、観賞用などと称すれば罪に問うことが困難であり、このことが大麻の不正栽培の温床となっているのが現実であります。
大麻の乱用を防止するためには、こうした入手経路を絶つことが必要であり、国に対して法規制の強化を提案してまいります。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 新銀行東京に関する四点のご質問にお答えをいたします。
まず、新銀行東京に対する日銀考査についてでありますが、昨日の代表質問においてご質問いただき、知事から、子細なことは覚えていないが、当時、日銀の考査が行われた事実については聞いたということを既にご答弁申し上げているところであります。
次に、新銀行東京の人事構想についてでありますが、新銀行東京は、現経営陣のもと、この上半期におきまして、本部機能及び店舗機能の集約化など再建に向けた基盤づくりに努めておりまして、この間、ほぼ計画どおりの事業実績を上げております。
加えて、九月には、中小企業向け金融に対する造詣が深く、収益構造改革や営業店指導に豊富な経験を持つ執行役が新たに就任するなど、人事体制の強化が図られております。
今後とも、新銀行東京は、再建を支える人材の確保に努めてまいります。
次に、新銀行東京の投資についてでありますが、新銀行東京は、店舗の設置やシステム開発などの初期投資をみずから決定し、実行いたしましたが、開業後の経営実績を見ると、計画と乖離が生じており、このことにつきましては、新銀行が平成十九年に作成をいたしました新中期経営計画におきまして、当初想定をしていた事業規模が過大であり、これを可能とする組織、システムの構築を行った結果、経費負担が大きくなり、収益を圧迫していると認めております。
現在、新銀行東京は、現経営陣のもと、ATMの廃止や支店の統合等に加えまして、事業規模に見合ったシステムの見直しを行い、物件費をこの一年で三十九億円削減してまいりました。
都といたしましては、再建計画に沿って、今後とも経費の適正化に努める必要があると考えております。
次に、新銀行東京の決算数値の評価などについてでありますが、現在、新銀行東京は経営再建に向けた取り組みを行っているところでありまして、預金利回りや貸出金利回りの改善も重要な課題の一つであると認識をしております。
今回の中間決算では、再建計画に沿って融資残高が減少したために、運用利回りが低下する一方、金利の高いキャンペーン定期預金の残高が依然として大きいため、結果として逆ざやが拡大することになりました。
この逆ざやが拡大し、赤字が膨らむ可能性が大きいとのご指摘でありますけれども、今後は、キャンペーン定期預金の満期が到来することなどにより、利払い負担が軽減されるため、この状況は改善に向かうと見込まれます。
また、デフォルト発生額については、営業上の機密のため、一般の金融機関と同様に、新銀行東京は公表しておりませんが、再建計画においては、デフォルトの抑制に取り組み、平成二十二年度の収支均衡を目指しております。
いずれにいたしましても、新銀行東京においては、再建計画が達成されるよう、引き続き努力を重ねていくことが必要と考えております。
〔建設局長道家孝行君登壇〕
○建設局長(道家孝行君) JR中央線連続立体交差事業における高架下利用についてお答えいたします。
連続立体交差事業は、都が事業主体となり、道路整備の一環として道路特定財源により実施されており、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業であります。
今年度当初、暫定税率等が失効し、事業進捗に陰りが見えましたが、さまざまな工夫を凝らし、遅滞なく事業を進めてまいりました。
連続立体交差事業により創出される高架下は、貴重な都市空間であり、有効かつ効果的な活用を図る必要がございます。
お話のJR中央線につきましては、既に平成十六年から、沿線六市及び鉄道事業者と高架下利用検討会を設置し、利用計画の策定に向け、沿線のまちづくりや地元要望を総合的に勘案し、都が主体的に調整を進めております。
今後、地元市及び鉄道事業者と連携し、早期に高架下利用計画を策定するとともに、混迷する道路財源の動向にかかわらず、必要な財源を確保し、揺るぎなく事業を推進してまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 中央線連続立体交差事業に伴う駅周辺のまちづくりの支援についてでございます。
鉄道の高架化に合わせ、駅前にふさわしい市街地の整備を行うことは、交通利便性の向上や地域の活性化などを図る上で重要であると考えております。
お話にもございましたように、都はこれまで、武蔵小金井駅南口の市街地再開発事業、また、東小金井駅北口の土地区画整理事業の進捗が図られるよう、技術的、財政的な支援を実施してまいりました。
引き続き、中央線連続立体交差事業にかかわる駅周辺のまちづくりの促進に向け、必要な支援に取り組んでまいります。
○副議長(石井義修君) 八十九番山加朱美さん。
〔八十九番山加朱美君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○八十九番(山加朱美君) 私は、以前から児童虐待の問題に強い関心を持ち、前回の本会議でも、近年の児童虐待件数の急激な増加に警鐘を鳴らしましたが、平成十九年度、全国の児童相談所における相談件数は、依然として増加の一途をたどり、四万六百三十九件、この十年間で、実に七倍以上に膨らんでいます。
都内の状況も、十九年度、第一義的窓口の区市町村で四千九百五十三件に上り、児童虐待の早期発見、早期対応に向け、多くの関係機関が懸命に対応を行っていますが、残念ながら、子どもの幼い命が奪われる事件はいまだ後を絶たず、取り組みの一層の充実が必要であります。
少子化社会が進行する中、殊さら出生率の上下ばかりが注目されておりますが、私は、私たち一人一人が、社会全体が、この世に授かったかけがえのない命を守り、健やかな成長を支えることこそ少子化対策にほかならないと思います。次代を担う子どもたちにとって、より安全な未来をつくらねばなりません。
虐待を受けている子どもを早期に発見し、適切な支援を行っていくためには、児童相談所のほか、保健センターや保育所、幼稚園、学校、民生児童委員など地域の関係機関が密に連携し、ネットワークを築いて対応していくことが重要です。
平成十六年の児童福祉法改正により、子どもを地域で支援するためのネットワーク、要保護児童対策地域協議会が明記され、各区市町村で設置が進んでいます。この協議会は、メンバーに守秘義務が課されるなど、強い連携機能が発揮できる制度となっていますが、その運営の中心を担っているのが、地域の子ども家庭相談の拠点である子ども家庭支援センターであります。支援センターが調整機能を発揮しなければ、各関係機関が役割分担のもと、その機能を十分に発揮することはできません。
児童相談所とともに地域の虐待対応のかなめである子ども家庭支援センターへの支援を今後一層充実すべきと考えますが、所見を伺います。
虐待を受けた子どもたちの中には、親元から離れ、児童養護施設など、いわゆる社会的養護のもとで暮らす子どもたちもいます。
ことし八月、東京都児童福祉審議会からは、社会的養護のもとに育つ子どもたちへの専門的ケアのあり方について提言が出されました。近年の児童虐待対応件数の増加に伴い、社会的養護のもとで暮らさざるを得ない子どもは都内で約四千人に達しており、このうち五割以上が虐待を受けた子どもであることが指摘されています。こうした子どもの多くは、虐待を受けたトラウマなどにより、施設に入所しても、対人関係に不安を覚えるなど、集団生活の中で著しい不適応を起こし、児童養護施設での対応が困難になっていることが指摘されています。
審議会では、虐待により重いケアニーズを抱える子どもに対し適切な治療的ケアを提供できる、新たな施設の整備を検討することが提言されています。都としての取り組みを伺います。
また、児童養護施設などでは、今後、こうした虐待を受けた子どもたちの抱える多様で複雑なケアニーズに対応できる人材の育成が不可欠であります。
施設では、関係機関と連携しながら、ソーシャルワーク的支援を行える人材の育成が求められていますが、今日の現場では、人材不足から、新人職員であっても即戦力としての働きが求められ、その結果、バーンアウトによる早期退職など悪循環が生じているようです。
提言では、都に対し、児童養護施設の実態にかなう実践力を身につけるための研修カリキュラムの研究開発を求めています。この点について所見を伺います。
次に、都が平成十八年度から実施してきた障害者地域生活支援・就労促進三か年プランが、今年度、その最終年度となるため、昨日、我が党代表質問で三宅政調会長が特別助成の継続を求めたことに対し、福祉保健局長から、検討すると答弁がありました。
都は、障害者自立支援法による新たな事業体系への移行期限、平成二十三年度末までに、さらにグループホームや就労継続支援などを行う事業所の増加を図ることとしています。今、整備を減速させることはできないと考えますが、都の基本的考えを伺います。
また、整備を進めるためには、どのような施設がいつまでにどれだけ必要なのか、はっきりとした目標をわかりやすく示し、事業者に働きかけていくことが必要であります。現在、二十一年度からの第二期東京都障害福祉計画の策定を進めているようですが、平成二十年度までの三カ年プランに引き続く新たな三カ年プランとして、例えば仮称ですが、障害者の安心生活基盤の整備三カ年プランを策定し、第二期福祉計画にもはっきりと位置づけていくべきと考えます。所見を伺います。
次に、東京都の保健医療計画において五年ごとに各二次保健医療圏の基準病床数を定めていますが、私の地元練馬区は、現在、区市町村の人口十万人当たりの一般療養病床数が約三百床と、二十三区平均八百五十六床の約三分の一、二十三区内で最低の水準であります。区民七十一万人という人口規模だけを見れば、二次保健医療圏に匹敵する規模の自治体の切実な状況であります。
今まで練馬区は、二次保健医療圏で、既存病床の過剰地域だったため、区内の病床をふやすことが困難でした。しかし、本年三月の第四次改定により、区西北部全体としても病床数の不足地域となったため、悲願の増床を図る道がやっと開けたわけであります。
そこで、練馬区は、五百床の増床を目標に掲げ、本年四月に病床確保対策庁内検討委員会を設置し、既存病院の増床や新たな病院誘致による病床確保などを視野に置き、この秋には区民アンケートを行い、精力的に検討を進めています。今般の医師不足から、区内では地域医療を支える中小病院の閉鎖や休止の動きも見られ、区民の不安は募っております。このたびの練馬区による病床確保の取り組みは、区民のみならず全都の医療体制の充実に資するものです。
既に都も、救急医療体制の整備や医師確保など、喫緊の医療対策に全力で取り組んでいることは承知していますが、さらに練馬区の医療確保の取り組みに対し、しっかりと連携を図りながら、必要な協力や支援を行っていただくことを強く要望します。
次に、現在、医師不足とともに、看護師不足も深刻な社会問題ですが、平成十八年度診療報酬改正で七対一看護基準が導入されたことで、看護師獲得競争が激化し、その不足に拍車をかけたといわれます。その一方で、七対一を取得した病院に看護師が集まることも事実であります。さらに、勤務にめり張りがつく二交代制勤務を希望する方がふえているともいわれています。
都立病院でも、看護師の採用に当たっては相当苦労されているようですが、こうした現在の看護師を取り巻く状況を踏まえた確保対策を展開する必要があると考えます。所見を伺います。
次に、食の安全・安心の確保について伺います。
ことしは、中国産の冷凍ギョーザ問題に始まり、事故米問題、冷凍インゲンの毒物混入、食品へのメラミン混入など、輸入食品にまつわる事件が続けざまに発生し、食に対する信頼が大きく揺らいだ一年となりました。これらの事件は、毒物が故意に混入された疑いの強いもの、企業が営利を追求する余り消費者を欺いたものなど、これまでの食中毒事件などとは異なる背景から生じており、社会的な不安をも招いております。
衣食住の中でも、食は私たちの日常生活の中で最も基本的なものです。特に次代を担う子どもたちを健全にはぐくむ上で、食事は何よりも重要な要素です。グルメブームがもてはやされる一方で、日常の普通の食事の安全・安心が確保されないのは何とも皮肉なものです。
東京には国内外から多くの食材が集まり、食品関係の事業者は五十万を超え、食品大手企業の本社の四割が都内に集中するなど、食の問題が最も先鋭的にあらわれる都市であります。
都は、全国に先駆け食品安全条例を制定し、また、食品の原料原産地表示の義務づけなど積極的に取り組んでいますが、改めて約一千三百万都民の食の安全・安心の確保に向けての知事の強い決意を伺います。
また、食品については複数の法律の網がかかっていますが、産地偽装、賞味期限の偽装などが組織ぐるみで行われる事件に対しては、内部告発があるまで不正が発覚せず、また、広域に流通する食品の違反については迅速な対応ができないなど、現行の法制度での不備が指摘されております。
食品の安全を脅かすさまざまな事態に的確に対応するため、法改正を国に強く求めていくべきと考えますが、所見を伺います。
最後に、ユニバーサルデザインに基づくバリアフリーの推進も、さまざまな関係機関の尽力と理解により進められております。しかし、昨年八月、警察庁からバリアフリーに逆行するような法の一部改正があったことは理解に苦しんでおります。障害者の駐禁規制除外措置の対象範囲が改正され、該当する多くの障害者から悲鳴の声が上がっております。
除外措置から外されたのは、日常生活を送る上で自動車を足がわりとして絶対に必要不可欠としている下肢機能障害三級の二と三及び四級の障害者であります。該当する障害者の大半は、自動車を使用することにより、他人の手をかりずとも自身の自助努力で日常生活の不自由さを補うことの可能な障害者、例えば義足をつけ、一下肢一機能の全廃をもっても、自動車を足がわりとすれば、ひとりで行きたいときに行きたいところへ不安なく出かけることができる、仕事を続けることもできる。そのような障害者が今回の対象から外されてしまったわけであります。
短い距離は歩けても長い距離は歩行の困難を伴う者、荷物を抱えて長い距離は動けない者、社会参加をする上で駐禁規制除外措置を最も必要としている障害者が今回の改正で外されたことは、余りにも不条理、障害者の現状を余りにも認識、理解をしていないとしかいいようがありません。他の自治体との調整を図りながら、対象範囲を早急に復活すべきであります。
ただいうだけならだれでもいえますが、この問題を、私は責任与党、責任政党の一員として、いいっ放しにするわけにはいきません。該当する全都の障害者の総意として、機能欠損を抱えても必死で社会参加をしている障害者に対する警視総監の、机上の論ではなく、温情あふれる、血の通った答弁を求めます。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 山加朱美議員の一般質問にお答えいたします。
食の安全・安心の確保についてでありますが、ことしは、冷凍ギョーザによる健康被害を初め、食の安全を根本から揺るがす、輸入食品に関連した多くの事件が発生いたしました。
なかんずく私が一番ショックを受けましたのは、死者には至りませんでしたけども、千葉で問題になった冷凍ギョーザの中に――新聞に出ておりました、パラチオンという、現在で世界最強の毒が検出されたんですね。これは、ドイツが開発した、戦争中、毒ガスから開発された世界最強の毒でありますが、これは案外問題にならずに、私は友人の外人記者から、この問題について、とにかくオリンピックの前ですし、日本の政府はもうちょっと責任のある追及をしてくれということをいわれたんですが、それきりになりました。幸い、輸入の食品による死者という被害は出ませんでしたけども、これは非常に大事な問題だったと思います。
本来、輸入食品の安全確保は、国における水際での検疫が基本であります。そのために、都はこれまでも、国に対して輸入食品の監視体制の充実強化を強く求めてまいりました。また、国に先駆けて、都独自に調理冷凍食品の原料原産地表示を義務づけました。
今後とも、あらゆる機会を通じて、国の責任を果たすよう強く求めるとともに、都の監視指導や検査体制を強化しまして、我が国最大の消費地として、食品の安全・安心の確保に全力を尽くしていくつもりでございます。
他の質問については、警視総監及び関係局長から答弁いたします。
〔警視総監米村敏朗君登壇〕
○警視総監(米村敏朗君) 下肢に障害をお持ちの方に対する駐車禁止等除外標章の交付基準に関するご質問にお答えいたします。
この問題につきましては、この問題といいますか、この見直しにつきましては、私自身も、かねてから各方面の方々から、ただいま議員がご指摘されたようなご意見、ご要望については多々承っているところであります。
その上で、警視庁としては、現状はどうかと申しますと、まず見直しによって影響を受ける方々あるいは関係団体の方々とお会いしまして率直にご意見をちょうだいし、実際上、障害をお持ちの方にとって、社会生活を営む上で、あるいは社会参加する上で車の利用がいかに不可欠なものであるか、あるいは今回の見直しの影響等、その実情、現状について、るる承っているところであります。
その結果といいますか、警視庁といたしましては、駐車秩序の整序化は考慮しつつも、下肢に障害をお持ちの方が移動される場合の支障について、その実情、現状について、これを十分配慮する必要があるというふうに考えております。
したがいまして、結論から申し上げますと、できるだけ早い時期に、基本的に、ただいま議員が示されましたご要望に添える形で方針を示したいというふうに考えております。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 六点についてお答えいたします。
まず、子ども家庭支援センターへの支援についてでありますが、虐待を早期に発見し、適切な対応を図るためには、要保護児童対策地域協議会の役割が重要であり、その運営の中核を担う区市町村の子ども家庭支援センターの機能の充実が必要でございます。
このため、都は、区市町村が精神科医や学識経験者など外部の有識者をスーパーバイザーとして活用し、相談対応力の向上が図れるよう支援しております。また、子ども家庭支援センターが、虐待対応等の専門性を一層強化するため、ケースワークの専門家である児童福祉司任用資格者等を増配置する場合の支援を検討してまいります。
次に、虐待を受けた子どものための新たな施設についてでありますが、虐待を受け、情緒的な問題を抱えている子どもには、それぞれの状態に応じた専門的、治療的なケアが必要であります。都はこれまでも、精神科医や心理治療担当職員を配置した専門機能強化型児童養護施設を設置し、子どもの専門的ケアの強化を図ってまいりました。
今後、この専門機能強化型施設の充実を図るとともに、特に状態が重篤化した子どもに対しましては、生活支援部門、心理治療部門、教育部門が一体となって治療的ケアの提供を行います新たな施設の設置について検討してまいります。
次に、児童養護施設における研修カリキュラムについてでありますが、児童虐待の増加に伴い、子どもたちの抱えるケアニーズは多様化、複雑化しており、支援を行います施設職員の対応力強化と専門性の向上は重要な課題となっております。
このため、都は今後、職種や職層、経験年数等に応じた実践的な研修カリキュラムや効果的な人材育成モデルの研究開発を行うなど、多様なケアニーズに対応できる人材の確保、育成に努めてまいります。
次に、障害者のグループホーム等の整備促進についてでありますが、障害者が地域で自立した生活を送るためには、グループホームなど居住の場と、経済的自立に向けた就労のための訓練等の場の整備が重要であります。
このため、都はこれまで、三カ年プランで、整備費の事業者負担を半分に軽減する特別助成を実施し、整備を促進してまいりました。現在、三カ年の整備目標の達成に向け、事業者への働きかけを行っているところであります。
今後も、地域生活移行や就労促進を図るため、平成二十三年度末までに、さらに居住の場や訓練等の場の整備を進めていく必要があると考えております。
次に、新たな三カ年プランについてでありますが、現在、平成二十一年度から二十三年度までを計画期間とする第二期東京都障害福祉計画の策定作業を進めているところであります。この計画におきましても、グループホーム等の整備は引き続き重点的に取り組むべき課題と位置づける予定であり、その整備を促進するために新たな三カ年プランを策定することを鋭意検討してまいります。
なお、その名称につきましては、先ほど障害者の安心生活基盤の整備三カ年プランというお話がございましたけれども、都民や事業者にわかりやすい名称となるように考えてまいりたいと思います。
最後に、食の安全確保に向けた国への提案についてでありますが、実際に現場で食品監視を行っている立場から見ますと、現在の食品に関する法律には幾つかの課題がございます。
例えば、品質表示を規定するJAS法は行政指導を前提としており、直罰規定がないため、悪質な違反事例であっても、罰則の適用にまで至った実績がございません。また、食品衛生法では、工場や販売店舗などの施設ごとに自治体が営業許可をしているために、企業の本社を通じて販売停止等の処分を行うことができません。
こうした実態を踏まえまして、今般、都は国に対し、関係法令を抜本的に見直すよう提案をいたしました。
今後とも、あらゆる機会を通じて法制度の改正を国に強く求めていくとともに、都としても監視指導体制を強化し、食の安全確保に努めてまいります。
〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕
○病院経営本部長(中井敬三君) 都立病院の看護師確保対策についてお答えいたします。
近年、年度後半には看護師の欠員が生ずる都立病院の厳しい状況にあって、小児総合医療センターなどの再編整備を着実に推進していくためには、看護師確保は極めて重要な課題と認識しております。
このため、今年度からは、新たに地方で採用選考を実施するなど、採用活動を一段と強化するとともに、院内保育室の二十四時間化や育児短時間勤務制度の導入等、勤務環境の改善を図り、看護師の確保に努めております。
今後は、ご指摘のように、現在一部の都立病院で実施している七対一看護基準での人員配置や二交代制勤務についても、病院の特性を踏まえつつ、導入の拡大を検討してまいります。さらに、業務分担の見直しや認定看護師等の資格取得支援などを行い、看護師がより専門性を発揮できる勤務環境の整備にも力を入れてまいります。
こうした対策を講ずることにより、引き続き看護師の確保に全力を挙げて取り組んでまいります。
○議長(比留間敏夫君) 三十九番谷村孝彦君。
〔三十九番谷村孝彦君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○三十九番(谷村孝彦君) 初めに、多文化共生の推進について質問します。
都ではこれまで、歴代知事が世界都市あるいは国際都市を標榜してきました。しかし、「十年後の東京」で多文化共生をうたいつつも、その実行プログラムを初め他の重要施策において、多文化共生のための外国人施策を見出すことができないとの指摘もあります。
「十年後の東京」で描く多文化共生社会とはいかなるものなのか。また、重要施策に明確に位置づけて推進すべきと考えます。あわせて見解を求めます。
「十年後の東京」では、埼玉、千葉、神奈川を含めた首都圏人口は、二〇一五年までは減少しないとし、既に二〇〇五年に人口減少が始まった我が国の中にあって、危機感が希薄なものとなっております。先日、米国国家情報会議、いわゆるNICが公表した世界潮流二〇二五では、中国とインドが経済大国として台頭し、日本は人口減少等により第四位に転落するという残念な予測を発表しております。
かねてから石原都知事は、ご自身の著作や折々のご発言の中でも、日本人のルーツを朝鮮族や漢民族等、多くの人種から成るとし、移民政策に対して積極的な考え方を示してこられました。東京がさらなる成熟を遂げていくためには、「十年後の東京」のさらにその先をも見据えて、今こそ多文化共生都市へと足を踏み出すべきと考えます。知事の見解を求めます。
多文化共生を推進するためには、教育、住宅、労働、医療、防災、地域連携など、外国人の生活向上に向けたさまざまな取り組みが重要であり、とりわけ日本語や日本文化の習得など、教育がそのかぎを握るとされております。
都教育委員会では、外国人の児童生徒が五人を超える場合には教員を加配し、十人を超える場合には日本語学級を編成するなどの取り組みをしておりますが、一つの学級に複数の言語を話す児童生徒が混在するなど、課題も多く残されております。こうした学級を担当する教員は適切に配置されているのか、また、今後の取り組みについて見解を求めます。
また、都では、日本語学級に児童生徒が在籍する期間を二年間と限定しておりますが、二年間では、通常の授業を理解するまでの日本語習得はとても困難であるとの指摘もあり、そもそも二年間に限定する根拠は不明確であります。現場の実態に即したものに早急に改めるべきであります。あわせて見解を求めます。
さて、きょう十二月十日は、世界人権宣言の採択からちょうど六十年という佳節の日に当たります。世界人権宣言は、人権及び自由を尊重し確保するために、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言したものであり、この理念に国境などは存在しません。人権の尊重を人間の尊厳の基盤として、また、世界共通の人権文化として定着させることが重要であります。
都の人権施策推進指針では、外国人の社会参画についてもうたってはありますが、五年を目安に見直しを行うとしつつも、既に前世紀のものとなってしまいました。多文化共生の理念を施策指針に明確に盛り込んだ見直しをすべきであります。見解を求めます。
次に、雇用対策について質問します。
世界的金融危機の深刻化や景気低迷の見通しなどから雇用情勢の悪化が懸念されております。新規求人数が連続して前年同月を下回っているほか、有効求人倍率も低下を続けるなど、雇用情勢の先行きは予断を許しません。
こうした中、東京しごとセンターは、仕事に関するワンストップセンターとして、これまでに、相談者の四割、中高年層では実に七割を超える就労に結びつけるなど、目をみはる成果を上げております。平成十九年八月からは、我が党の推進により、しごとセンター多摩が開設され、今年度からは、私どもの要望にこたえ、平日夜間や土曜日もサービスを開始しております。
開設から一年が過ぎた、しごとセンター多摩のこれまでの成果について、まず伺います。
このたび東京しごとセンターでは、年長フリーターを正社員にするための取り組みとなるネクストジョブ事業がスタートしました。これは、就職氷河期世代の方たちにとっては大変に有効な取り組みであります。特にジョブコーディネーターにより新たに求人開拓をする取り組みはまさに画期的なものであり、先日、東京しごとセンターを訪問した際にお会いしたジョブコーディネーターの方々を、大変に心強く、頼もしくも感じました。
このネクストジョブ事業については、しごとセンター多摩においてもぜひ実施していただきたいと思います。見解を求めます。
次に、今、最も深刻になっているのは、採用内定取り消し問題であります。
雇用情勢が一変し、来年三月の新規学卒者の採用内定が取り消されるといった事態が相次いでおります。これからの社会を支える人材となる前途有為の若者が、採用内定の取り消しにより、企業への信頼や期待をなくし、フリーターなどの不安定な就業を選択したり、就職そのものをあきらめてしまうという最悪の事態もあり得ます。
しごとセンター多摩では、大学が多くある特性も生かし、大学での出張セミナーも進めてきた経緯もあります。内定を取り消された学生の不安を解消し、卒業までの短い期間に一から就職活動に取り組まなければならなくなった若者を、都としても強力にバックアップすべきと考えます。見解を求めます。
次に、アレルギー対策について質問します。
厚生労働省の調査では、十四歳までの子どもたちの約四割に何らかのアレルギー症状が認められるとし、ぜんそくやアトピー性皮膚炎も増加傾向にあります。本年四月、財団法人日本学校保健会において、文部科学省監修による学校生活管理指導表と、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインがまとめられ、全国の教育委員会、学校に配布され、アレルギー疾患を持つ児童生徒や保護者に大きな朗報となりました。しかし、このガイドラインの活用に当たっては、大きな課題が残されております。
中でも、食物アレルギーなどで急激に重いアレルギー症状、アナフィラキシーが起きたときに早期の対応として使用されるアドレナリンの自己注射製剤が開発されておりますが、これは、これまでは本人と保護者にしか使用が認められてきませんでした。血圧が下がり、意識障害などが見られるアナフィラキシーショックの状態にある患者の救命率は、アドレナリンを三十分以内に投与できるか否かで大きく異なります。
このたび、このガイドラインでは法的な問題点が整理され、アドレナリン注射は基本的には医療行為であり、反復継続する意図をもって行えば医師法に抵触するとしつつも、アドレナリン注射がみずからできない状況にある児童生徒にかわって教職員が注射する場合には、医師法や刑法等には触れないという画期的な見解が初めて示されました。
このガイドラインが学校に配布されて半年以上が経過しましたが、学校現場では、法解釈上の課題が完全に解消されていないと不安視する向きもあり、ガイドラインの活用がなかなか進んでおりません。学校での取り組みを急ぐ必要があります。
都教育委員会は、このガイドラインの円滑な定着を進める上でどこに課題があると認識しているのか。また、課題解決に向けて早急に取り組むべきであります。見解を求めます。
加えて、本年第二回定例会の我が党の代表質問で、平成二十一年度開設予定の都立小児総合医療センターにアレルギー疾患医療のセンター的機能を持たせ、専門診療としてのアレルギー科を開設することを強く求めました。検討状況を伺います。
最後に、都市基盤整備について伺います。
現在、都市計画道路の整備率は、区部で約六〇%なのに対し、多摩では五三%、とりわけ東村山の整備率は二〇%を切っております。今後、東村山の道路整備については、都として重点的に推進していく必要があります。
多摩の主要南北五路線の一つである東村山三・三・八、通称府中街道については、本年第一回定例会の予算特別委員会での私の主張を受け、今年度から検討が開始されました。西武新宿線の踏切では、慢性的な交通渋滞が発生しております。また、西武新宿線の東村山駅北側の大踏切は踏切内五差路であり、東京で一、二を競う危険な状態にあり、駅南側の通称鷹の道の踏切による交通渋滞とあわせ、東村山市は東西に分断された格好になっております。
都は、本年度、鉄道立体化の検討対象二十区間の中から、西武新宿線東村山駅付近など七区間を連続立体化の事業候補区間に選定しております。そこで、東村山三・三・八と交差する西武新宿線の東村山駅付近の鉄道立体化に向けた取り組みについて伺います。
次に、新青梅街道についてであります。
沿道に大型商業施設が立地したことなどに伴い、渋滞が激化している本路線については、都は、地元武蔵村山市や東大和市などの要望も受け、平成十七年三月に幅員を十八メートルから三十メートルに広げる都市計画変更を行い、平成十八年四月に策定した第三次事業化計画においては優先整備路線に位置づけました。さらには、昨年十二月に発表された「十年後の東京」実行プログラム二〇〇八においても、事業化に向けた検討を進めると明記しております。
新青梅街道を早急に拡幅整備すべきと考えますが、現在の取り組みについて伺います。
結びに、先月二十七日に開業十周年を迎えた多摩都市モノレールについてであります。
今月一日、武蔵村山市の荒井三男市長とご一緒に申し入れをさせていただきましたが、横田基地の軍民共用化を取り巻く重要な交通インフラとなる多摩都市モノレールについては、上北台から箱根ヶ崎への延伸に向けて早急に着手すべきであると改めて強く主張し、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 谷村孝彦議員の一般質問にお答えいたします。
多文化共生都市についてでありますが、日本人の民族的ルーツは、東西南北、多岐にわたってありまして、実は、今日のアメリカ以上に多文化が混交した合衆国、つまり、「しゅう」はステーツじゃなしに大衆の衆でありますが、合衆国であると思います。
文明工学的に見ても、あるレベルに達した国家社会にとっての国力の大いなる素因というのは、やはり人口だと思います。そういう意味で、人口の減少が国運の衰微を予感させている今、日本は新しい繁栄を志すならば、長い歴史の中で外国からすぐれた技術や文化、人材を受け入れてきたこの日本の歴史にかんがみて、間近な周囲のかつての民族的ルーツの国々から、大幅に新しい日本人要員を迎えるべきだと私は思います。
一方で、世界が時間的、空間的に狭小となっております中で、ずさんな入国管理によって密入国者が増加し、これまでにないパターンの犯罪が発生するなど、我が国社会には新しい混乱も生じております。治安対策の強化など、現場を預かる地方自治体が現に起きつつある事態に対して積極的に対応するにしても、国がまず確固たる移民政策というものを確立すべきでありまして、これができて初めて多文化共生都市への道も開けるんだと思います。
例えば、現在、日本も多くの留学生を迎えておりますけれども、日本の最高学府であります大学を卒業したような外国人には、最低、移住権を与えるなど、それぐらいの措置は当然とられていいのではないかと思います。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答えを申し上げます。
まず、日本語学級担当教員の配置についてでございます。
各地区内での日本語学級担当教員の学校配置は、各区市町村教育委員会が学校ごとの課題を踏まえて作成した内申に基づいて行っております。また、学校内での教員の担当は、児童生徒の状況や教員の適性を考慮して校長が決定しております。
都教育委員会では、区市町村教育委員会の要望を踏まえて地区間異動を行っており、その際、どのような母国語の児童生徒であっても日本語を的確に指導できる教員、外国籍の子どもが多い学校で経験を積んできた教員、さらには、広く児童生徒理解にたけた教員の配置に努めているところでございます。
外国人児童生徒への教育は重要な課題と考えておりまして、今後とも、区市町村教育委員会と連携して教員の適材適所の配置に努めますとともに、日本語指導を担当する教員の専門的能力を高めるための研修を充実してまいります。
次に、日本語学級の在籍期間についてでございます。
日本語学級は、日本語能力が不十分な児童生徒が一定程度の学習理解や生活習慣に必要な日本語を習得するために設置をしているものでございます。
都教育委員会は、区市町村教育委員会との意見交換等を踏まえまして、日本語学級の在籍期間は二年間が適切であると判断し、そのように定めております。しかしながら、日本語能力の習得が十分でないなどの特別な事情があります場合には期間を延長するなど、柔軟に対応しているところでございます。
今後とも、区市町村教育委員会と連携いたしまして、個々の児童生徒の状況に応じた指導が行われるよう、適切な対応を図ってまいります。
三点目に、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインの定着に向けた課題等についてでございます。
本ガイドラインには、食物アレルギーなどによりアナフィラキシーを発症した児童生徒がみずから注射ができない場合の教職員の対応について、初めて記載されました。しかしながら、その場合の法的責任について不安を感じている教職員がいることも事実でございます。
このため、都は、国に対しまして、教職員が緊急避難的にアドレナリン注射をすることに関する法的な位置づけを明確化するよう提案要求しております。
一方、まだ関係法令が未整備な状況におきまして、人命救助の観点から緊急避難としてアドレナリン注射をした場合には、医師法等の責任は問われない旨、直接国に確認いたしました。
こういった緊急事態に教職員が適切な処置を行うためには、国の見解を周知いたしますとともに、全教職員がアドレナリン注射を処方された児童生徒を把握し、緊急時の対応方法を理解しておくことが必要でございます。
このため、都教育委員会は、東京都医師会や学校関係者等から成る連絡会を設置いたしまして、医師の指示による学校生活の留意点を示した学校生活管理指導表の活用に向けた体制の整備や教職員を対象とした研修等につきまして、現在検討しております。
年内を目途にこの検討結果をガイドラインの活用策として取りまとめまして、アレルギーを持つ児童生徒が安全・安心な学校生活を送ることができますよう、都立学校や区市町村教育委員会に周知をしてまいります。
〔知事本局長吉川和夫君登壇〕
○知事本局長(吉川和夫君) 多文化共生の推進についてでありますが、都内の在住外国人の数が三十九万人と増加している実態を踏まえまして、「十年後の東京」では、在住外国人も生活者として生き生きと暮らすことができるよう、だれもが安心して暮らせる地域社会の姿を描き出しております。
その中でもお示ししたように、都は、災害情報の多言語化や、外国人と日本人との交流機会の提供などの取り組みを、区市町村等と連携しながら着実に進めてまいりました。
今後は、外国人児童生徒の一層の就学促進を初め、多文化共生を推進する取り組みを、「十年後の東京」への実行プログラムを改定する中で、関係局と連携して進めてまいります。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 東京都人権施策推進指針についてお答えいたします。
指針は、二十一世紀を展望し、東京における多様化、複雑化する人権問題の状況等を考慮いたしまして、平成十二年に策定したものでございます。
ご指摘のように、外国人の人権擁護は、多文化共生を推進するための礎ともいえるものでございまして、また、指針に示されました重要な人権課題の一つと認識しております。
関係各局等と連携いたしまして、国際化時代にふさわしく、都民が多様な文化を受け入れ、理解し合えるよう、指針における具体的な取り組みにつきまして、見直しの検討を進めてまいります。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 雇用対策に関する三点のご質問にお答えいたします。
まず、しごとセンター多摩の成果についてでありますが、しごとセンター多摩では、昨年八月の開設以来、多摩地域の大学等との連携を図りますとともに、今年度からは平日夜間及び土曜日を開庁いたしまして、また、地域金融機関と共同で就職面接会を開催するなど、地域に根差した取り組みによりましてサービスの向上に努めてまいりました。
こうした結果、開設から本年十月末までの利用状況は、多摩地域の在住者を中心といたしまして、新規登録者四千六百四十七名、就職者千百四十名、サービス延べ利用者一万四千七百一名となっており、サービス延べ利用者数を見ますと、前年に比べ二七%増となるなど、順調に成果を上げております。
次に、ネクストジョブ事業の多摩地域への展開についてでありますが、都では、非正規雇用で働く三十歳代の方々の正規雇用化を支援するために、先月二十七日、飯田橋のしごとセンターに専用の相談窓口でありますネクストジョブテラスを開設し、企業の人事担当経験者などのジョブコーディネーターを配置いたしまして、ネクストジョブ事業を開始したところでございます。
今後、飯田橋での求職者や企業の利用状況等を踏まえ、しごとセンター多摩での実施を検討してまいります。
最後に、採用内定を取り消された若者に対する支援についてであります。
将来を期待される新規学卒者が、採用内定の取り消しを契機として不安定な就労を余儀なくされ、あるいは働く意欲までをなくすようになることは、本人はもとより社会全体にとっても大きな損失と考えております。
このため、都は、大学の就職部に呼びかけ、東京労働局等の関係機関の協力も得て、来週、特別相談会を開催いたしまして、採用内定取り消しなどの相談に応じてまいります。
また、再度就職活動に取り組まなければならなくなった若者に対して、しごとセンターにおいてきめ細かなカウンセリングを行いますとともに、各種セミナーや職業紹介によりまして円滑な就職活動を支援してまいります。
〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕
○病院経営本部長(中井敬三君) 小児総合医療センターにおけるアレルギー医療の提供についてお答えいたします。
都で実施した調査によれば、何らかのアレルギー疾患を三歳までに経験したことがある子どもの割合は増加の傾向にあり、特に食物アレルギーは大幅な増加となっております。
こうした状況等を踏まえ、第二次都立病院改革実行プログラムにおいては、アレルギー医療を小児総合医療センターの専門医療として位置づけ、重点的に行うこととしております。
また、ぜんそく、鼻炎といった一般的な疾患に加え、より専門性を有する食物アレルギーなどに対しても、小児医療の二十四時間救急外来や入院機能なども活用しながら対応していくことを予定しております。
平成二十二年三月に開設を予定しております小児総合医療センターについては、現在、その組織や体制などの検討を行っているところでありますが、アレルギー医療の提供体制についても、この中で具体的に検討をしてまいります。
〔建設局長道家孝行君登壇〕
○建設局長(道家孝行君) 都市基盤整備についての二点のご質問にお答えいたします。
まず、西武新宿線東村山駅付近の鉄道立体化に向けた取り組みについてでありますが、連続立体交差事業は、都が事業主体となり、道路整備の一環として道路特定財源により実施されており、交通渋滞や地域分断の解消のみならず、道路ネットワークの整備や沿線まちづくりの促進に極めて効果の高い事業であります。
東村山駅付近につきましては、西武新宿線と交差する都市計画道路東村山三・三・八号線が第三次事業化計画の優先整備路線であることや、駅前の交通広場整備を含む再開発事業などのまちづくりが進んでいることから、事業候補区間の一つに位置づけられたところでございます。
現在、新規着工準備採択に向け、西武鉄道と連携し、事業範囲や構造形式の検討を進めております。
今後とも、地元市や鉄道事業者との連携を強化するとともに、必要な財源の確保に努め、本区間の事業化に向け、着実に取り組んでまいります。
最後に、新青梅街道についてでありますが、本路線は、多摩北部地域の道路ネットワークを形成する骨格幹線道路であり、交通渋滞の緩和や沿道のまちづくりの促進を図るため、都道立川東大和線から西側の六・七キロメートルを第三次事業化計画における優先整備路線に位置づけております。
現在、都は、沿線の東大和市、武蔵村山市、瑞穂町と、本年七月に設置いたしました行政連絡会で意見を伺いながら、道路の幅員構成、地区計画などのまちづくりとの整合性の確保、事業スケジュール等について検討を進めております。
引き続き、地元市町と連携し、早期事業化に取り組んでまいります。
○副議長(石井義修君) 百番大塚たかあき君。
〔百番大塚たかあき君登壇〕
○百番(大塚たかあき君) まず初めに、東京駅前の中央郵便局の建てかえ計画における歴史的建造物の保存について伺います。
日本の持続的発展や東京の国際競争力を強化するために、東京の都市再生や都心部の計画的な耐震補強を含め、機能更新が不可欠であることは十分理解ができます。しかし、当建造物は、昭和六年十二月、モダニズム建築の旗手として評価の高かった吉田鉄郎氏の設計により、最高傑作としてこの世に誕生し、現在まで多くの都民、国民に親しまれ、約八十年近くにわたり、日本の郵政業務の中心的役割を果たしてきました。
また、この地域は、江戸から明治、大正、昭和、そして今日に至るまで、日本の枢要な業務を担う地域であり、建築の技術の粋を集めた歴史的建造物が多く残された地域でもあります。
昨年十一月に超党派で衆参両院の百六十八名の国会議員で組織された、東京中央郵便局庁舎を国指定重要文化財とし、首都東京の顔として将来世代のために、永く保存・活用を進める国会議員の会が結成され、日本郵政株式会社に要望書を出し、多くのマスコミでの報道や、千代田区議会や民間、学識者の皆さんの要望活動や、さらに国会での議論があり、文化庁も、戦前の我が国の近代建築のすぐれた作品の一つと考えており、国の重要文化財として指定する価値を有するものと認識と国会答弁をした経過があります。
私も過日、この質問をするに当たり、先ほどの国会の事務局を務めております河村たかし衆議院議員や文化庁の幹部の方に面会をし、意見交換をしてきましたが、多くの方々が、さらに希望を捨てずに中央郵便局の保存を望んでいることが理解できました。
今般、東京中央郵便局の建てかえ事業が都市再生特別地区として提案され、来年の東京都都市計画審議会に付議されることから、先月二十七日の都市整備委員会に報告され、質疑が行われたところです。我が都議会民主党は、あえて委員会質疑はせず、本会議の場で、多くの都民、国民の皆さんに、東京都の象徴的な場所、東京駅前の貴重な価値がある歴史的建造物を残すべく訴えたいと思いました。
東京都は、ぜひもう一度立ちどまり、今まで述べてきた観点を踏まえ、保存に向けてリーダーシップを発揮してほしいと思います。
そこで、東京中央郵便局の建てかえ計画における歴史的建造物の保存に関しての所見をお伺いするとともに、今後の都市計画と歴史的建造物の保存に関して所見をお伺いいたします。
次に、超高層建築物の防災対策についてお伺いいたします。
去る十二月六日の朝日新聞の一面に、長周期地震動、高層ビルの弱点、東京やっぱり要注意という見出しで、大型建造物の被害をもたらす危険度が高いという内容の記事が掲載されました。
震源から百キロ以上離れ、また震度が小さくても、大型建造物では共振現象が起こり、大破するそうです。幸いに、東京は近年、大きな地震には見舞われていません。現在、都内には、高さが百メーターを超える超高層建築物が三百四十棟あり、技術的に机上の計算では安全性が確保されておりますが、被害の拡大は想像ができません。例えば、地震により、建物そのものには被害が少なくても、エレベーターの停止により高層階から避難することができなくなり、出版物として紹介されております、いわゆる「高層難民」が発生することが予想されます。
こうした事態に備えて、避難できるまでの間、最低限生活ができるように防災備蓄倉庫の設置が進んでいますが、いまだ三百四十棟中七十棟にしか設置されておりません。私が住んでおります芝浦アイランドでも、住民の皆さんの不安の中心は、地震時に生活ができるかということになっております。
そこで伺いますが、超高層住宅においても、みずからが備蓄に取り組むという自助、共助は必要ですが、都としても、地元自治体と協力して、超高層住宅に対するさらなる対策を進めるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
次に、薬物についてお伺いいたします。
最近、テレビで何度も報道された港区白金台住宅地での薬物取引、本来は無縁のはずの平凡な主婦が、閑静な住宅地でイラン人から薬物を購入しているという事実を世間に知らしめたことで衝撃的でした。また、有名私立大学の一部の学生による大麻使用の事件が報道されたこともありました。このように、薬物の取引場所が繁華街から住宅地へ拡大し、また、インターネット取引により若年層への薬物汚染が広がり、大きな社会問題になっております。
そこで、今般、財団法人ライオンズ日本財団が、青少年の健全育成事業の一環として、薬物乱用防止DVD、ドラッグリポートを制作し、全国の学校や防犯協会に無料頒布することが決まりました。まず手始めに、都立学校約二百五十校に三百四十枚のほか、都内四十八地区の薬物乱用防止推進協議会や都庁にも配布され、活用されると聞いております。私もその財団の役員の一人として、補助教材や「ダメ。ゼッタイ。」の啓蒙活動に積極的かつ有効に使われることを期待しております。
そこで伺いますが、都立学校における薬物乱用防止の指導の現状と、東京都教育委員会としての今指摘した補助教材の利用など、今後の取り組みについて所見をお伺いいたします。
次に、緑化施策について伺います。
東京における自然の保護と回復に関する条例では、市街地における緑化推進のための緑化計画制度と、現在ある緑を保全するための開発許可制度の二通りの制度を定め、緑の確保に努めてきましたが、緑の減少に歯どめがかかっていないのが現状です。この状況から、本条例の改正に当たり、東京都自然環境保全審議会計画部会、中間のまとめが出され、先日、パブリックコメントの募集が行われたばかりです。
中間のまとめでは、二つの制度ともに、緑化基準の引き上げなどの強化が提案され、その趣旨や方向性は、私も将来の東京にとって望ましいものと考えます。一方、地域によっては、敷地の形状や面積、植栽条件などにより、強化された緑化基準を守るため、事業者が悩み、苦労するケースが出てくることが想定されます。しかし、これまでも、さまざまな工夫により緑化基準を超える緑を確保しているところも少なくありません。
今後、緑化基準の強化を図るに当たって、こうした事業者の現場での創意工夫について、ヒアリングを実施するなどして事例を収集、整理し、窓口で事業者に示すなど、きめ細かな対応が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
次に、品川駅、田町駅周辺のまちづくりについて伺います。
当該地域は、羽田空港にも直結するなど、交通利便性が高く、東京の新しい都市づくりビジョンで新拠点に位置づけられた大変重要な地域であります。また、運河沿いの地域では超高層住宅が多数建設され、親水護岸など運河ルネッサンス事業を中心に整備が進んでいるのも特徴の一つです。一方、私が過去の定例会で取り上げた、東西のアクセス道路や品川駅高輪口の整備は依然として地域の課題になっております。
最近、当該地域では、田町駅東口の東京ガスと港区区有地を活用したまちづくりや、港南の下水道局芝浦水再生センターの上部利用事業など、新たな開発計画が検討され、具体化に向けて議論が活発になっております。また、近隣のJRの車両基地の開発構想にも関心が集まっています。芝浦アイランドでは、新たに三千八百世帯、約一万人の自治会が、恐らく都内最大の規模で来年四月に設立され、現在準備が進んでおります。新たな住民、古くから住んでいる方々は、このようなまちの移り変わりの様子を注意深く見守っているとともに、安全で安心して快適に住めるまちづくりを考える機運が高まっております。
東京都は、昨年、品川駅、田町駅周辺の約六百三十ヘクタールの地域を対象に、東京湾からの風の道などを生かした環境モデル都市づくりなどを目標にまちづくりガイドラインを定めました。このガイドラインができて一年が経過しましたが、当該地域の都市づくりはまだ緒についたばかりであり、都市の魅力を高める先進的な都市づくりを今後着実に進めていくことが重要と考えます。
そこで、東京都は、品川駅、田町駅周辺地域でのガイドラインの実現に向けたまちづくりにどのように取り組んでいくか、所見をお伺いいたします。
次に、東京都は、芝浦水再生センター地区を品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインにおいて優先整備地区の一つに位置づけ、今の時代に即した環境モデル都市の拠点として重点的に整備を進めていくとしております。
今般、下水道局は、芝浦水再生センターの再構築の一環である雨天時貯留施設の建設に伴い、上部空間を利用し、合築の手法によって業務・商業ビルを建設、運営する民間事業者グループを公開募集し、来年二月に事業者を決定すると聞いております。
一方、センターの中央部については、地元の周辺町会や自治会から、以前からスポーツ・レクリエーション機能を持った公園整備に充てるよう要望が出ており、それを受けて、去る六月の港区議会定例会の代表質問でも、区から東京都へ要請する旨の質疑が民主党が中心の会派から行われました。さらに十月には、港区議会から東京都知事あてに覆蓋化の早期完成に関する要望書が出されたばかりであります。
このような状況の中、芝浦水再生センター地区において、今後、まちづくりが本格化していくということになりますが、地元町会や自治会、また港区議会の要望を踏まえ、下水道局では、センターの再構築に合わせたまちづくりをどのように進めていくか、所見をお伺いいたします。
次に、平成十八年の第三回定例会の質問で取り上げた地元青山通りのまちづくりについては、その後、平成十九年三月の東京都の景観計画の策定により、景観重要公共施設として位置づけられ、昨年十一月には、国土交通省、港区と地元協議会の間で景観維持プログラム協定が締結されるなど、国道二四六である青山通りは、四十五年前の東京オリンピック開催を契機に始まった道路拡幅以来、目覚ましい発展を遂げ、商業・業務、文化の情報発信地として活気のある街並みが連なっております。
さらに、この青山通りの沿道のまちづくりについては、地元町会や地元協議会とも協力関係にあるNPO法人渋谷・青山景観整備機構、いわゆるSALFに対して、先般、東京都により、景観法に基づく都内初の景観整備機構の指定がなされました。
そこで伺いますが、この景観法に定める景観整備機構はどういう機能を果たすのか、お伺いいたします。
また、東京都が今回景観整備機構として指定したNPO法人は、青山通り周辺において、地元のまちづくりのルールづくりに支援をする活動をしていると聞いております。青山通り沿いでは、SALFと協定を結んでいる協議会以外にも、民間地権者から構成された新青山街づくり協議会により、まちづくりの検討がされております。
今後、SALFが青山地区などでまちづくり活動を推進するに当たり、新青山街づくり協議会など沿道のまちづくり団体で議論されている内容にも十分配慮すべきと考えますが、景観整備機構の監督官庁としての東京都のSALFに対する今後の対応に関して所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 大塚たかあき議員の一般質問にお答えを申し上げます。
学校における薬物乱用防止の指導の現状と今後の取り組みについてでございます。
大麻、麻薬などの薬物乱用につきましては、個人の健康や人格形成を損なうだけでなく、家庭内暴力や犯罪の増加など、社会全体にも甚大な影響を与えるものでありまして、法律で厳しく禁止をされております。
児童生徒は、小学校、中学校、高等学校と、いずれも保健の授業で、発達段階に応じ、飲酒、喫煙、薬物乱用による健康被害について学習をしております。
これまで都教育委員会は、教師向け指導資料の作成、配布や、警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師などを講師に招いた薬物乱用防止教室やセーフティ教室の全校実施などを通しまして、教員の指導力の向上に努めてまいりますとともに、児童生徒に対しては、薬物乱用防止に関する正しい知識や適切な判断力、行動力を育てていくよう、各学校を指導してまいりました。
今後とも、関係機関や区市町村教育委員会とも連携を図りまして、お話の補助教材を活用するなどして、児童生徒みずからが薬物乱用の有害性や危険性を認識し、適切に健康を管理、改善していく力を育てる薬物乱用防止教育を推進してまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 五点のご質問にお答えをいたします。
まず、東京中央郵便局の建てかえ計画における歴史的建造物の保存についてでございますが、中央郵便局は昭和初期に建築されたものであり、建てかえ計画に対しまして保存の要望が出されておりました。
日本郵政株式会社では、要望を受け、耐震性能の確保に工夫を凝らし、東京駅前広場に面する部分の保存、再現を行い、東京駅前の景観を継承することといたしました。建てかえられる建物につきましては、郵便局の窓口機能とともに、郵便の歴史も伝えるミュージアムや国際ビジネス・観光情報センター等の新たな機能を導入することとしております。
今回の計画は、建物の一部保存、再現を図りながら建てかえを行うものであり、歴史の継承と開発のバランスをとりつつ進められると考えております。
次に、歴史的建造物の保存についてでございますが、都市の貴重な景観資源である歴史的建造物の保存、活用は、東京の魅力を高めていく上で重要でございます。
都はこれまで、景観条例に基づき、景観上重要な建造物を選定するとともに、重要文化財の三井本館などにつきまして、都市開発手法を活用して保存を実現するなど、取り組みに努めてまいりました。
今後とも、敷地の条件や建物の状態、周辺の開発動向等を勘案しながら、必要となる場合は特定街区などの都市開発諸制度の活用などによりまして、歴史的建造物の保存や歴史的景観の形成を図ってまいります。
次に、品川駅、田町駅周辺のまちづくりについてでございますが、都は、低未利用地も多く存在するこの地域につきまして、昨年、まちづくりガイドラインを策定し、運河などを生かした都市づくりの方針や、JR車両基地など優先的に整備を進める地区の将来像を明らかにいたしました。
今後、地区計画等を活用して、優良な民間開発や東西連絡道路などの基盤整備を誘導し、地域の中核的な拠点の形成を図ってまいります。また、地域全体として、風の道の確保や水と緑のネットワークづくりに取り組むなど、住民の視点にも留意し、環境モデル都市にふさわしい快適で魅力ある都市づくりを進めてまいります。
次に、景観法の定める景観整備機構についてでございます。
この機構は、民間団体等による自発的な景観の保全、整備の取り組みを一層推進させるため、良好な景観形成を行う主体として、都や区市などの景観行政団体が指定をするものでございます。
この機構の業務といたしましては、景観重要樹木の管理や、広場の整備等の景観重要公共施設に関する事業などがございまして、指定を受けることによりまして、地方公共団体にかわって、あるいは地方公共団体とともに、良好な景観の形成に取り組むことができることとされております。
最後に、お話がございましたNPO法人渋谷・青山景観整備機構についてでございます。
この機構は、渋谷、原宿、青山地区一帯を対象に、地域住民、行政、関係団体などと連携しながら、地元関係者による良好な景観まちづくりの取り組みを支援することを目的として活動してまいりました。
今後、青山通りの港区区間につきましても、地区計画の策定支援に向けた取り組みを進める意向と聞いておりますが、その際には、沿道におけるまちづくり協議会などの意見にも配慮するよう、都としても指導、助言するなど適切に対応してまいります。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 超高層住宅の震災対策についてお答えいたします。
超高層住宅の住民の方が震災時にも自宅で生活できるよう対策を進めることは重要であると認識しております。
都はこれまで、地元自治体と協力して、住民みずからが水、食糧の備蓄や家具類の転倒防止、簡易トイレの準備などを行うよう、防災訓練や防災展などさまざまな機会をとらえて働きかけてまいりました。
さらに、超高層住宅での生活に不可欠なエレベーターを早期に再稼働させるため、日本エレベータ協会と共同して、閉じ込めからの救出や復旧の早期実施に向けた体制整備に取り組んでおります。
今後とも、地元自治体等と連携しながら、超高層住宅に対する震災対策を進めてまいります。
〔環境局長有留武司君登壇〕
○環境局長(有留武司君) 緑化計画書制度についてお答えいたします。
東京を緑あふれる都市として再生するためには、事業者等と連携して、市街地における緑化をより一層推進していくことが必要でございます。
都はこれまでも、緑化計画書制度において、個別案件ごとにきめ細かな指導を行い、緑の創出を図ってまいりました。
今後の制度強化に際しても、具体的な緑化の創意工夫について取り組み事例を提示することなどにより、事業者が円滑に取り組めるよう、引き続ききめ細かな対応を図ってまいります。
〔下水道局長今里伸一郎君登壇〕
○下水道局長(今里伸一郎君) 芝浦水再生センターの再構築に合わせたまちづくりにつきましてお答えいたします。
芝浦水再生センターの再構築につきましては、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインを踏まえ、再構築に合わせて、環境モデル都市の中核的な拠点として、センター中央部は建築物の高さを制限し、風の道や大規模な公園、緑地を確保する一方、その他のエリアは集約的な高層化を図っていくこととしております。
公開募集しております業務・商業ビルは、下水再生水や下水の持つ熱を最大限に活用するなど、環境モデル都市づくりのランドマーク性を創出する最高水準の環境性能を有するビルとしてまいります。
今後とも、ガイドラインを踏まえまして、地元要望にも配慮しつつ、庁内関係部局や地元区と十分に連携しながら再構築事業を進めてまいります。
○副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二分休憩
午後三時二十一分開議
○議長(比留間敏夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
六十三番田代ひろし君。
〔六十三番田代ひろし君登壇〕
○六十三番(田代ひろし君) 明らかな病死、老衰死、交通事故死などを除いた変死体の死因究明と犯罪の有無を見抜くための制度は、昭和二十三年制定の医師法第二十一条と、二十四年制定の死体解剖保存法第八条に基づくところの検視による検案を基盤といたしております。検視とは、江戸時代から変わらず、死体の外表から見て異常や事件性の有無を判断することであり、監察医制度のない地域では、警察官と一般開業医に任せているのが現状です。
近年、幼児虐待が社会的な問題としてマスコミに取り上げられております。死亡時に、外傷などがあれば虐待を疑い、司法解剖の手続を行うということは可能ですが、乳幼児の体を激しく揺さぶることで脳内出血などを起こすシェークン・ベビー・シンドローム、いわゆる揺さぶられっ子症候群など、体表に全く異常がないケースも数多くあり、監察医制度のない地域では、遺族の承諾がなければ解剖ができないのが現状です。虐待された幼児の親の八〇%以上が救急病院搬送時に虐待を認めなかったという報告もあり、現在の制度では幼児虐待を見逃す危険性が大いにあります。
千葉大学法医学教室の岩瀬教授も、解剖や中毒検査なしに死因を特定しようというのがそもそも無理な話、犯罪などの見逃しが生ずるのも当然で、国際化が進む中、犯罪やはやり病も多様化しており、今のシステムでは到底太刀打ちできないと嘆かれております。
監察医制度を政令で指定された二十三区は、全国で実動している三カ所のうちの一つであり、その東京都監察医務院には、法医学者の監察医を初め多くの専任スタッフの英知を結集し、日本一の死因究明制度がしかれております。
一昨年、我が党の宮崎章議員が、三多摩での死体検案は検視官と警察医が行っており、三多摩格差は深刻で改善が必要であると代表質問を行い、それにこたえて、昨年、政令指定以外である立川でのモデル事業を行うという意義ある第一歩を踏み出し、また、来年度からは施設改築など、日々努力がなされております。
しかし、問題は、このすばらしい制度が二十三区及び一部のみに限定されていることであり、いまだ三多摩格差は解消されていません。二十三区と三多摩で異常死の発生する割合は、当然のことながら同率であるにもかかわらず、三多摩で解剖される割合は、二十三区に比べると四分の一でしかありません。二十三区であればきちんと解剖されるはずの残り四分の三に、犯罪などの問題が紛れ込んでいないと決めつけるのは余りにも無責任です。
多摩地域の死因究明体制の強化に向けて今後どのように取り組むのか、所見を伺います。
昭和五十五年には年間検案数が五千体であったものが、現在はその二倍以上に膨れ上がっている上、モデル事業という新たな業務がふえたにもかかわらず、監察医務院の職員数は昭和五十五年から全くふえておらず、もはや職員の負担は限界を超えております。さらに、ここ十数年、新規採用もなく、最年少の技官が四十歳を超えるなど高齢化も深刻です。
ベテランぞろいなのは誇るべきことですが、業者外注は倫理的にも避けねばならず、業務維持のため、職員増員と後継者育成の取り組みを伺います。
公衆衛生向上、医学の発展、犯罪抑制に不可欠である死因解明のため、この監察医制度の有用性を示すことができるのは東京都だけであり、一部地域のみに限定された政令の改正を求める責務があると考え、所見を伺います。
このように、監察医務院の整備、拡充が急務であることは明白でありますが、法医学の専門医は全国に百二十名程度しかおらず、マンパワー不足は否めません。その結果、解剖率は先進国中最下位であり、日本は死因究明後進国といわれています。
後継者育成に努めるのはもちろんですが、解剖だけにすべてを任せた制度づくりは、もはや時代に即しておりません。経験を積んだ法医学の専門医でさえも四割の誤診の可能性を指摘されている難しい検視を、現在のシステムでは警察官や医師に行わせるため、若手力士死亡事件の真相解明がおくれるなど、問題が多数発生しております。
そこで、現代医療機器の進歩を踏まえ、この検視制度にCT、MRIなどの画像診断を加えるAiシステムの導入を提案いたします。
Aiとは、オートプシーイメージングの略であり、直訳すれば画像解剖となります。
検視、検案に関しては昭和二十三年から時がとまっており、これを医療現場に置きかえてみれば、現在の状況のお粗末さと後進性は明らかです。
例えていえば、かつて胃がん手術適用は、外科医の触診で決定されていました。しかし今日、外科の教授といえども、腹部触診だけで、異常なし、手術不要と決定すれば、医学生でもその判断には従わないでしょう。
Ai導入は、以前から現場の警察官や警察医からも切望の声が上がっていることをあわせて申し上げておきます。
検視のみに頼る制度の弊害の一例としては、一昨年、傷害致死事件の捜査で、銃弾による傷をイノシシのきばによる傷跡と誤認するなど、信じがたい事例も実際には起きているのです。
Aiによりすべての死因が判明するわけではありません。しかし、画像診断でスクリーニングすることにより、犯罪の見逃しが避けられるだけではなく、解剖のガイド機能、また、解剖ではわからない所見の発見にもつながり、Aiと解剖を併用することでその効果は飛躍的に上がります。
また、Aiシステムは異常死体に限定すべきではありません。近年、医療訴訟が急増しており、患者と医師の間で、まさに正確な死因をめぐって激しい論争が繰り広げられております。しかし、訴訟を起こした遺族からは、裁判は問題解決どころか悪化しかねないシステムと感じた、我々遺族は、医療への制裁や対立ではなく、真相解明と誠意ある対応を求めているのだという声もあり、医療訴訟の原因をひもといてみますと、遺族が納得のいく説明を得られていないという一点にたどり着きます。
その一因は、現在、死亡時に検索が行われておらず、遺族に病理解剖を拒否されますと医学的データは残らないため、結果として証拠不在の魔女裁判が生まれるのです。病理、行政解剖では報告まで数カ月以上かかる上に、司法解剖では所見が公開されず、さらには、裁判中、両者の接触が禁じられることによりミスコミュニケーションが発生するなど、司法と医療のはざまでさまざまな問題が噴出しています。
Aiを行えば、死亡時、遺族へ医学的データに基づいて迅速な対応と科学的説明ができるだけではなく、解剖の承諾率の上昇にもつながるでしょう。
このAi導入では、インフラ整備に必要な財源確保が最大の障害となりますが、幸いなことに、我が国は、全世界の五割を超える一万台以上のCTと、二割を超える四千台以上のMRIを保有しております。ちなみに、これはセブンイレブンの普及率と同程度で、この既存の機械を利用するAiセンターを各病院に設置し、業務時間外に週二体のペースで検索するだけで、日本の年間死亡者数の百万体に十分対応できる計算です。
都立病院の試験的施行も含め、早急に取り組まれるよう強く要望し、所見を伺います。
また、在宅死亡者や変死体のAi施行には、阪神大震災で活躍したCT搭載検診車が必要と考えます。他の先進国では、死因究明は社会のためというのが常識になっているのに対し、我が国では、死者にメスを入れるなんてかわいそうといった感情が先行している背景があり、死因究明の利点を広く国民に啓蒙する必要があるでしょう。
死因究明制度の拡充と犯罪の抑制効果などについて、知事のお考えを伺います。
なお、ご協力いただいた重粒子医科学センター病院、江澤先生、元監察医務院長、上野先生、千葉大学、山本先生に衷心より感謝申し上げ、次の質問へ移ります。
新型インフルエンザ対策は、都議会からの意見書提出後、ようやく国も動き始めました。しかし、最大の被害者と予想される小児の対策が抜け落ちており、引き続き強く国へ働きかけると同時に、さらなる都独自の対応を求めるものであり、所見を伺います。
次に、我が党の提案を受け、都は、国に先駆けてウイルス肝炎の医療費助成制度を開始しましたが、都内には高度先進的医療機関も多いことから、がん診療拠点病院の仕組みに倣って、拠点病院とそれをアシストする専門医療機関を複数指定するような重層的な診療対策を要望し、所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 田代ひろし議員の一般質問にお答えいたします。
死因究明制度の拡充などについてでありますが、監察医による検案、解剖は、死因究明の向上に欠かせない業務でありまして、また、隠れた狡知な犯罪の発見など社会秩序の維持にも寄与しております。ゆえにも、監察医務院の機能を充実するとともに、多摩地域のモデル事業の成果を通じて、死因究明体制の充実に結びつけていきたいものだと思っております。
アメリカにも、検視官というんでしょうか、それを主人公にした、たしか女性の主人公だと思いましたけど、長い推理小説のシリーズがございまして、非常に社会的にも大きな意味を持つ大事な仕事だと思います。
お話のAiシステムにつきましては、重要性は認識しておりまして、今後、その効果などを十分研究して適用していきたいと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 五点についてお答えをいたします。
まず、多摩地域の検案モデル事業についてでありますが、都は、多摩地域の検案体制の強化を図るため、監察医務院の医師による検案モデル事業を昨年の十二月から立川警察署管内で開始をいたしました。一年を経過し、解剖率の向上などの成果があらわれております。
今後、多摩地域全体での検案体制の強化が図られますよう、引き続きモデル事業を実施しながら、その成果を生かし、地域の医師に対して、死因究明のための法医学的見地からの研修等を行ってまいります。
次に、監察医務院の職員の確保と育成についてでありますが、監察医務院におきましては、全国的に法医学の医師が少ない中で、検案、解剖の業務の増大に対応するため、常勤医師に加え、大学医学部の協力を得て非常勤医師を確保しております。
今後とも、監察医務院の業務の充実に向けて必要な監察医を確保するとともに、監察医務院みずからも後継医師の育成に努めてまいります。
次に、監察医を置くべき地域を定める政令についてでありますが、監察医制度は、死因が不明の死体への検案、解剖を通して死因を確定するものでありますが、政令で監察医を置くべき地域として、東京都二十三区など五つの地域が定められております。
政令改正につきましては、全国衛生部長会で、地域を限定しない一元化した制度とすることを国に対して要望しております。
次に、新型インフルエンザ対策についてでありますが、新型インフルエンザが発生した場合、抵抗力の弱い小児は健康被害を最も受けやすいと想定をされております。また、マスクの着用や手洗いなどの感染予防策の徹底が困難であり、抗インフルエンザウイルス薬の投与方法を初め、治療法や予防法にも多くの課題があります。
しかし、小児への対策は、現在国が改定を進めているガイドラインにも示されておりません。
都といたしましては、今後、国に対し、専門家による議論を十分に尽くし、小児の特性を踏まえた対応方針を示すよう強く求めてまいります。
また、都民の生命を守るため、保健医療体制の整備など、これまでの都独自の取り組みを一層推し進めてまいります。
最後に、ウイルス肝炎対策についてでありますが、都では、肝炎患者が安心して質の高い医療を受けられるようにするため、肝臓専門医療機関と地域のかかりつけ医との連携の推進に向け、肝炎診療ネットワークの構築を図ってまいりました。
診療体制の充実については、以前より議員からご指摘をいただいたところでございますが、今後、中核的な肝臓専門医療機関の連絡会議を設置し、最新の医療についての意見交換や治療効果の検証等を行い、そこで得られました知見をネットワークに参加する医療機関に提供する仕組みを検討してまいります。
〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕
○病院経営本部長(中井敬三君) Ai、オートプシーイメージングの都立病院での取り組みについてお答えいたします。
Ai、いわゆる死亡時画像病理診断は、ご指摘のとおり、病院で亡くなられた患者さんの病気と死亡の因果関係を調べる上で、病理解剖と併用することにより病理診断等の質の向上が期待されるものであります。また、病理解剖を敬遠するご家族においても、画像診断であれば受け入れやすくなると思われ、患者死亡時における検査の選択肢の幅が広がるものと考えられます。
しかしながら、実施に当たっては、病理医、放射線科医、コメディカルスタッフ等との連携協力体制のあり方や、治療中の患者さんとの優先順位をどうつけるかといった課題があるほか、診療報酬の請求ができないといった問題もございます。
今後も、こうした課題等について、病院現場の実情や意見も踏まえながら研究をしてまいりたいと考えております。
○議長(比留間敏夫君) 八十一番古館和憲君。
〔八十一番古館和憲君登壇〕
○八十一番(古館和憲君) 暮らしの基本となる住まいの問題について伺います。
今、都民の多くは、小泉構造改革で進められた庶民増税、社会保障の負担増、そして急増する大企業を中心とした雇用破壊のもとで、住まいを確保することすら困難になろうとしています。また、家賃が払えず、ネットカフェに寝泊りする若者や、食費を削って家賃に充てている年金生活者など、住宅難民を増大させ、公共住宅、とりわけ低所得者のため都営住宅の必要を増大させております。
ところが、東京都は、こうした現実を直視するのではなく、既に都内の住宅数は世帯数を一割以上上回っているといって、都営住宅の新規建設をストップし、管理戸数も減らしたのです。
しかし、住宅が余っているといっても、年金暮らしの高齢者やひとり親家庭、障害者、若年ファミリーなど、所得の低い人たちが入ることのできる家賃の安い住宅は、この東京では限られており、大幅に不足しているのです。ですから、都営住宅の応募者はウナギ登りにふえ続けて、五月募集には五万六千人の人が殺到しました。三十七倍という、宝くじ並みの狭き門になっているのであります。
知事、この現状をどうとらえているのですか。認識を伺います。
また、この現実を打開する方向と政策を明らかにすることが自治体の責務だと思いますが、答弁を求めます。
住宅セーフティーネット法は、低所得者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭などを住宅確保要配慮者として定め、地方自治体にこの方々のための公的賃貸住宅を新規に供給する責務があることを明記しています。このことを東京都はどう受けとめていますか。
破綻した民間市場任せと都営住宅の総戸数抑制策を改め、都営住宅の総戸数を都民要求に即して見直すべき、そういう時期に来たと思いませんか。
地域住宅交付金の制度を活用し、若者向け住宅などの建設を提案するものですが、それぞれ答弁を求めます。
高齢者を孤立させず、地域で支えていくために、若年者や子育てファミリーなどとのソーシャルミックスを進めることが不可欠です。この点で、東京都は、少子高齢化社会の到来を踏まえ、比較的高齢者世帯の多い都営住宅において、周辺地域の活力の維持、向上を図ることを目的にして、都営住宅の若年ファミリー向き募集を実施しており、その必要性は明らかであります。
ファミリー世帯向けの三DK、四DKの都営住宅をふやしていくとともに、子育て世帯の募集枠を大幅に拡大するよう求めるものですが、答弁を伺います。
都営住宅居住者の要求にこたえることも大切です。
昨年の公営住宅法施行令の改定で、家賃の値上げと入居収入基準の改定が行われましたが、これは住民追い出しを行うものであり、反対です。国に撤回を求めるとともに、都として負担軽減に万全を尽くす必要がありますが、いかがですか。
都が建てかえを急ぐ余り、乱暴に短期間に引っ越しを迫る事例がふえています。少なくとも住民が納得できるまで質問にも丁寧に答え、日程などについても住民と相談しながら進めることが重要であります。対応が困難な高齢者の現状を踏まえ、居住者にはせめて一年前程度には知らせるなど、人道的に十分な時間的余裕を持てるように改善すべきであります。
高齢者の見守り機能の強化のため、都は、東京における高齢者の住まい方検討会を設置し、見守り機能の検討を進めております。シルバーピアのような高齢者住宅だけではなく、高齢化が進んだ共同住宅が多くなっております。このような共同住宅における見守り機能の強化は重要だと思いますが、認識を伺います。
今後、検討し、一刻も早く具体化することが求められていますが、どうでしょうか。
公共住宅の居住者の要望も切実であります。
市場家賃に連動し、高額化している住宅供給公社一般賃貸住宅の家賃の値上げはやめ、減額制度をつくること。UR住宅の居住者も高齢化が進んでおります。地域コミュニティ活性化のさまざまな手だての一つとして、あいている住戸を都が借り上げ、若者や子育て世帯などに低廉な家賃で貸せるようにするなど、検討するときではないでしょうか。それぞれ答弁を求めます。
マンション対策です。
都は、マンションの実態について調査しておりますが、調査結果について、いつまでに都民に公表するのでしょうか。また、一刻も早く白書としてまとめ、課題を明らかにして積極的に施策化していくことが求められますが、どうでしょうか。
東京都耐震改修促進計画では、二〇一五年度までに九〇%以上の住宅の耐震化が掲げられております。マンションの耐震診断と耐震補強工事には補助制度が開始されましたが、耐震診断等が必要な二十二万戸のマンションのうち、昨年度と今年度で耐震診断補助を受けたのはわずか七千戸にとどまっており、このスピードでは到底目標を達成することは困難であります。到達状況をどう認識し、どう対応するのですか。
マンションの耐震補強工事補助は、国の助成に上乗せをし、居住者が耐震補強工事に踏み出せるよう補助を拡充することが必要です。
マンションの耐震化を進めるためには、技術的、専門的なことや合意形成を得るための相談が重要ですが、現在はマンション耐震化促進協議会を紹介して済ませており、不十分であります。
耐震化の目標を達成するためには、都として、区市町村の協力も得て、公的に総合的な相談ができる体制をつくることが必要なのではないでしょうか。
最後に、住宅行政拡充、強化のための組織的な保障として、住宅局を独立させるなど組織再編を検討すべきことを求めるものです。答弁を求めます。
次に、豊島病院と老人医療センターについて伺います。
知事は、二〇〇一年の都立病院改革マスタープランで、両病院の統合、民営化を打ち出しました。しかし、区民、区議会挙げて反対で破綻をいたしました。その後、豊島病院の区移管の協議が始まりましたが、これも破綻しました。今度は、豊島病院は公社に移管し、老人医療センターは老人総合研究所と一緒に独立行政法人の運営に移すという、そういう方針を唐突に打ち出し、強引に進めております。
その中で、豊島病院は分娩もNICUも休止、整形外科の受け入れ休止など深刻な事態に陥りましたが、関係者の努力で、分娩が再開されるなど改善に向かいつつあります。
豊島病院の運営を軌道に乗せるため都の後押しが必要なときに、都の補助も看護師の配置も少ない公社病院に移すのは、逆行というほかありません。しかも、都として全面開設するという立場をほごにし、六床のNICUは廃止するというのであります。余りにも無責任です。
知事、豊島病院の公社移管は立ちどまって、これまでの方針を総括し、都立病院に求められる役割にこたえるため、拡充する方向で検討することこそ必要ではありませんか。
豊島病院は、周産期医療や小児救急、がん患者の緩和ケア、新型インフルエンザなどに対応する感染症医療を初め、なくてはならない行政的医療の役割を果たしております。その水準を維持し、全面開設して、脳卒中、糖尿病、リハビリテーションなど、さらに充実させるべきです。NICUはふやすことこそ必要であります。
板橋区議会も、全面開設とともにNICUの存続を求める意見書を全会一致で採択しており、豊島病院のNICUを存続することこそ必要であります。答弁を求めます。
地方独立行政法人は、国立病院などの運営交付金が一律削減されていることなどを理由に、都立病院への導入を見送りました。にもかかわらず、老人医療センターは来年四月から独立行政法人に移すなどというのは、道理がありません。違いますか。
老人医療センターと老人総合研究所は、旧養育院以来百三十五年の歴史を重ね、福祉、医療、研究が三位一体で連携した、世界に誇る成果を上げてまいりました。今回の計画はそれを大後退させて、都政に汚点を残すものであることを厳しく指摘をし、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 古館和憲議員の一般質問にお答えいたします。
住宅に関する現状認識についてでありますが、既に都内の住宅の数が世帯数を一割以上上回っておりまして、居住水準も着実に改善しております。また、民間住宅の家賃も、近年、横ばいで推移しております。
住宅に困窮する都民に対しては、既存の都営住宅などの公共住宅のストックを有効に活用し、居住の安定の確保に努めております。
引き続き、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティーネット機能の構築に取り組んでまいります。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 住宅に関する十問のご質問にお答えをいたします。
初めに、いわゆる住宅セーフティーネット法における公的賃貸住宅の供給についてでございますが、公的賃貸住宅につきましては、既存の住宅ストックの有効活用を図りつつ、必要な施策を講ずるという住宅セーフティーネット法の趣旨を踏まえ、真に住宅に困窮する都民に対して、公平かつ的確に供給しております。
また、都営住宅や若者向け住宅につきましては、既に都内の住宅の数が世帯数を一割以上上回っておりまして、さらに将来の人口減少社会の到来が見込まれていることなどを踏まえまして、都として新たに住宅を建設する考えはございません。
次に、都営住宅の建てかえで供給する住宅及び子育て世帯への対応についてでございますが、建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯人員に応じた居室構成や面積規模の住宅を供給しておりまして、適切なものと考えております。
また、子育て世帯に対しましては、現在、期限つき入居の募集枠の拡大を図るとともに、優遇抽せんや収入基準の緩和等により入居促進を図っております。
次に、公営住宅法施行令改正についてでございますが、今回の改正は、公営住宅を住宅困窮者に公平、的確に供給するためのもので、東京都住宅マスタープランの内容とも整合することから、改正の趣旨に沿って適切に実施してまいります。
なお、昨日の代表質問でもお答えをいたしましたが、家賃改定による引き上げを一年間延ばすとともに、収入区分が二段階上昇する世帯につきましては七年間、建てかえが伴う場合につきましては最長十一年間の経過措置を講じる考えでございます。
次に、都営住宅の建てかえにおける居住者への説明についてでございますが、都営住宅の建てかえにつきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを勘案しながら、計画的に実施をしております。
建てかえに当たりましては、居住者に対し、事業の説明会などにより丁寧な対応に努めるとともに、居住者の要望などについて適切に把握しております。
次に、公社一般賃貸住宅の家賃についてでございますが、現下の厳しい経済状況も踏まえまして、公社一般賃貸住宅の家賃改定について適切に対応するよう、一昨日、公社に対し要請をいたしました。
なお、既にある減額制度を含め、公社の家賃に関する制度の見直しを求めることは、都としては考えておりません。
次に、UR、都市再生機構の住宅についてでございます。UR住宅居住者の高齢化等への対応につきましては、URみずから検討すべきものでございまして、都として借り上げ等を行う考えはございません。
次に、マンションの実態調査についてでございますが、都はこれまでも答弁しているとおり、マンションや管理組合等の実態を調査し、維持管理や建てかえに係る課題等を明らかにするため、マンション白書の作成に取り組んでおります。なお、公表時期につきましては、現時点では未定でございます。
次に、マンション耐震化の促進についてでございますが、マンションには多数の区分所有者が居住しておりまして、耐震化の合意形成に向けては課題があると認識しております。
都は、マンションの耐震診断や耐震改修を促進するため、既に区市に対して働きかけを行っているほか、普及啓発などに努めておりまして、引き続きマンションの耐震化に努めてまいります。
次に、マンションの耐震化助成についてでございますが、都は、今年度からマンションの耐震補強への助成制度を開始したところでございまして、制度の改正は考えておりません。
最後になりますが、マンションの耐震化の相談体制についてでございます。
マンションの耐震化には、幅広い分野の専門的な知識や技術が不可欠であり、関係分野が協力して管理組合を支援することが必要でございます。
このため、都は、本年三月に関係団体とともに設立をいたしましたマンション耐震化促進協議会を通じまして、耐震化に関する相談に対応しているほか、区市と協力して管理組合への啓発を行うなど、既に必要な支援に努めております。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 二点についてお答えをいたします。
まず、共同住宅における見守り機能についてでありますが、共同住宅に住んでいるひとり暮らしの高齢者などが安心して生活し続けるためには、居住者で組織する管理組合や自治会などが日ごろから見守りや声かけを行うなど、居住者同士の支え合いが重要であります。
そのため、都は、既に平成十九年度から高齢者住宅支援員研修事業を実施し、管理組合の代表者や管理人等に対し、高齢者支援に求められる基礎的な知識を付与することにより、共同住宅における高齢者の見守り等を普及させております。
次に、東京都老人医療センターの地方独立行政法人への移行についてであります。
急速な高齢化の進展に対応するため、高齢者の心身の特性に配慮した医療を効果的、効率的に提供する体制づくりを早急に行う必要がございます。
このことから、高齢者の医療課題に先導的に取り組むという行政的役割を果たすとともに、予算執行や人事配置などがより柔軟で機動的に対応できるよう、運営形態を地方独立行政法人とし、東京都健康長寿医療センターを設立するものでございます。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 組織再編についてお答えいたします。
地方公共団体におけます必要な内部組織の設置につきましては、地方自治法におきまして長の権限とされております。
都では、その時々の行政課題に応じて適宜適切な見直しを行い、常に効果的、効率的な執行体制の確保に努めているところでございます。
〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕
○病院経営本部長(中井敬三君) 三点の質問にお答えいたします。
まず、豊島病院の東京都保健医療公社への運営移管についてでありますが、これまで豊島病院は、地元板橋区を中心に周辺地域の患者さんが多く、地域の中核的病院としての役割を担ってきております。公社移管は、こうした豊島病院の特色や機能をさらに伸ばすとともに、弾力的な運営を可能にすることにより、医療サービスの向上などを目指すものであります。来年四月の移管に向け、今後とも着実に準備を進めてまいります。
次に、豊島病院の医療機能についてでありますが、公社への運営移管後も、現行の診療科及び診療機能は継続することとしております。
その上で、今後、重点医療として、救急医療や脳血管疾患医療、がん医療に対応していくことにしており、特に脳血管疾患医療では、脳卒中治療を重点的に行う病床を確保するため、脳卒中専門病床の整備を行っております。
また、リハビリテーション医療では、脳血管疾患医療と一体となった早期のリハビリ訓練を実施するとともに、糖尿病医療については専門外来を実施するなど、特色ある医療の提供に引き続き努めてまいります。
こうした医療を提供しながら、当面必要な病床を確保し、地域の医療ニーズにこたえてまいります。
次に、豊島病院のNICUについてでありますが、現在、豊島病院のNICUは休止しておりますが、その機能については、大塚病院と墨東病院にそれぞれ移転し、機能補てんすることとしております。
さらに、平成二十二年三月には、清瀬、八王子、梅ケ丘の小児三病院の移転統合により、多摩メディカルキャンパスに総合周産期母子医療センターが開設され、従前より九床多い二十四床のNICUが整備されることになっております。
これらにより、豊島病院のNICU休止以前より、都立病院全体のNICUは増加することになり、周産期医療機能は確実に向上することになります。
〔八十一番古館和憲君登壇〕
○八十一番(古館和憲君) 知事に再質問します。
本当に冷たい答弁だと思います。問題は、所得の低い高齢者、狭いアパートで家族四人で暮らしている子育て世帯などが入れる住宅が決定的に不足しているということです。知事、このことに胸が痛まないのかということを聞いているんですよ。まともに答えていただきたいと思います。
住宅が余っているというのであれば、他県でやっているように、民間住宅やUR住宅を借り上げて、住宅に困っている人に提供したらいいではありませんか。
以上二問にわたって、知事、きちんと答えていただきたいと思います。(拍手)
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 民間賃貸住宅につきましてのご質問でございますが、家賃でございますが、最近十年間、ほぼ横ばいで推移をしてございます。また、居住水準の着実な改善が見られてございます。立地や規模等に応じまして、家賃も含め多様な供給がなされていると認識をしてございます。
次に、若者等あるいは住宅の建設ということでございますが、いろいろ事例はございますけれども、先ほどご答弁申し上げましたとおり、戸数も非常に多いということもございますので、都として新たに住宅を建設するつもりはございません。
○議長(比留間敏夫君) 二十三番鈴木隆道君。
〔二十三番鈴木隆道君登壇〕
○二十三番(鈴木隆道君) まず、都と国のあり方について伺います。
二十一世紀は、世界人口の半数以上が都市で生活する都市の世紀であります。都市の中でも世界有数の大都市である東京は、世界に向けた日本の顔であり、日本招致を目指す二〇一六年のオリンピック・パラリンピックは、環境と調和した快適な都市環境などの二十一世紀の都市モデルを世界に示す、またとない機会でもあります。
さまざまな都市問題、例えば業務部門からのCO2排出量増大などの環境問題、慢性的な交通渋滞など、世界の大都市共通の課題であり、都市間の連携による解決が求められています。東京はこうした取り組みの先駆者であり、人材育成や技術支援など、国際社会からの期待も大きくなっています。
とりわけ、発展目覚ましいアジアとの関係は、アジア大都市ネットワーク21では、東京のリーダーシップのもと、地球温暖化対策、感染症対策、危機管理対策などの課題解決に取り組んでまいりました。都がアジアの諸都市をリードして連携を強め、取り組みをさらに強力に展開していくべきであります。
また、近年、国際的な都市間競争が激化する中、都市の活力の維持、向上が国家の発展をも左右する時代となっています。東京は日本の首都であり、都には、この東京を発展させ、日本全体のさらなる発展を牽引していくことが求められています。
このように、都はこれまでも国に先んじた施策を展開し、国際的な都市間連携、我が国の活力向上に貢献してまいりました。都市の果たす役割が増大する中、首都東京が明確な戦略を持ち、大都市の現状に根差した発想力と実行力で、山積する課題を解決していくことが今後ますます重要になると考えます。
一方、我が国における国と地方の役割分担の枠組みについては、平成十二年の地方分権一括法において一定の整理がなされましたが、国が地方に事細かに関与する実態は残っており、改革としては不十分であります。今も地方分権改革推進法に沿った議論が続けられておりますが、既得権益にとらわれた国の各省は、国と地方の事務配分の見直しについてゼロ回答を繰り返すなど、極めて後ろ向きの対応に終始しています。
さきの定例会の代表質問で、我が党の高島幹事長は、都は、東京の自治の将来像を含めたグランドデザインを明らかにするべきと指摘してきたところであります。東京の自治のあり方を都が示していくことも必要であります。
国が画一的な枠組みやさまざまな関与を通して地方を縛る枠組みは、都市の時代に全くそぐわないものであります。首都東京の持つポテンシャルをさらに発揮できるようにするためには、中央集権体制を変革し、都が、大都市特有の課題解決や、国際社会、特にアジアに貢献する先導的な取り組みをより迅速かつ効果的に進められるようにする必要があると考えますが、改めて、都と国のあり方について知事の所見を伺います。
一方、区市町村については、全国的に市町村合併が進展し、道州制の議論が行われている中、現行区域にとらわれない、より広い視野から、基礎的自治体としてのサービス提供のあり方を論じることが今まさに必要となっております。合併の真摯な議論を通して、これからの区市町村の展望を切り開いていくべきであると考えます。
都区のあり方検討において、特別区は合併の議論には消極的なようでありますが、東京の自治のあるべき将来像を踏まえ、特別区の再編を実現することが必要であると考えます。ただ、現実には、差し迫った財政事情等も、また、沸き上がる都民、区民の声もまだそう多くはなく、しかも、厳然として公選の二十三人の区長と区議会があることを勘案しますと、その実現にはなお相当の期間が必要であると考えます。
しかし、特別区は人口や企業が高度に集積し、連担した地域であるため、区域をまたがる広域的な行政需要、例えば区境の商店街振興などがあり、早急な対応が必要です。この点では、多摩の市も全く同様であります。
このような基礎自治体の区域を超える行政需要に対応する手法として広域連合制度がありますが、この制度は、都議会の行財政改革基本問題特別委員会の報告書にもあるとおり、処理する事務が構成団体のそれぞれの意思に拘束されるなど、使い勝手が悪いとの指摘もあり、十分な研究が必要な状況でもあります。
そこで、基礎自治体の区域を超える行政需要に対しては、まず、特別区間及び市間の連携を強化していくことが重要であり、それこそが特別区及び市の再編につながるものと考えますが、このような基礎自治体間の連携強化について、都の所見を伺います。
次に、都から基礎自治体への権限移譲に関連して、教育行政のあり方について伺います。
現在、区市町村立小中学校の教職員の人事権と給与負担は、より財政力が安定し、広域的な人事配置が可能な都道府県が受け持つ仕組みとなっています。確かに、こうした仕組みが義務教育の質の確保を図り、国民の教育水準を向上させることで、戦後の高度経済成長と豊かな国民生活の実現に寄与したことは事実であります。
しかし、現在、教育には、子どもたち一人一人の個性を伸ばすことが求められています。公立学校においても、例えばスポーツに力を入れる学校、農業や自然体験を重視する学校など、地域の特性を生かした特色ある学校づくりをより一層行っていくべきと考えます。
私は、昨年の第四回定例会で、都道府県が教職員の人事権を有する現在の仕組みが、教職員の区市町村への帰属意識を失わせている原因となっていると指摘をいたしました。区市町村側も、優秀な人材の確保や育成について、都道府県任せになっているのではないでしょうか。
こうした中、さきの都区のあり方検討委員会幹事会では、法改正が前提であるなど幾つかの条件はつきながら、小中学校教職員の人事権を都から区へ移管する方向で検討していくことで、都区は基本的に合意をいたしました。区市町村が地域に根差した特色ある学校教育を展開する上で、大きな前進であります。
一方、国ではことし五月、一度は先送りとなった感のある教職員の人事権の移譲について、地方分権改革推進委員会が、都道府県から中核市以上の自治体に市町村立小中学校の教職員の人事権を移譲すると勧告をいたしました。
この勧告を受けて、現在、国の検討が行われていますが、人事権の範囲や給与負担のための財源などで課題が多いように思われます。例えば、今の政令市のように、教職員の人事権のみ移譲され、給与負担の移譲とその財源確保がなされなければ、区市町村の教育施策の自由度は乏しいままではないでしょうか。特色ある学校教育を展開するためには、人事権の移譲に当たって、財源確保を伴った給与負担の移譲まで実施すべきではないでしょうか。
そこで、教職員の人事権の区市町村への移譲について、改めて都教育委員会の見解を伺います。
次に、東京都における連続立体交差事業の推進について伺います。
東京都における鉄道は、明治維新以降の近代化に伴い、ほぼこの百年で、世界にも類を見ない極めて高密度なネットワークが形成され、その多くが道路と平面交差する形で整備が進められてまいりました。
その一方、昭和三十年代後半から始まった高度成長期以来、本格的なモータリゼーションが到来しており、このような都市の発展過程から、今日における踏切問題が顕在化してきたものであります。
さて、現在の東京を見ますと、今や世界に名立たる国際都市として、その地位を確立はしておりますが、パリやロンドンの踏切数が二十カ所以下であるのに対し、都内にはいまだ千百六十カ所もの踏切が存在しております。しかも、このうちの四分の一が、ピーク一時間当たりの遮断時間が四十分以上のあかずの踏切でもあります。
数多くの踏切は、東京の最大の弱点である交通渋滞や、市街地の分断による都市活力の低下などの要因となっており、踏切問題はまさに二十世紀の負の遺産でもあります。首都東京を快適で利便性の高い都市にしていくためには、その抜本的な解決が不可欠であります。
一昨年、私の地元である東急目黒線の目黒駅から洗足駅間では立体交差事業が進められ、十八カ所の踏切が除去されました。その結果、補助二六号線の慢性的な交通渋滞も解消し、西小山駅での駅前広場の整備が進むなど、地域が活性化をしてきております。
私は、このように、連続立体交差事業が地域に対して非常に効果の高い事業であると認識をしております。現在、道路整備の財源をめぐり、さまざまな議論がされておりますが、連続立体交差事業を遅延させることなく、一層強力に推進していくべきものと考えます。
そこで、都が進めている連続立体交差事業の取り組みについて改めて伺います。
次に、目黒本町地区の補助四六号線の整備について伺います。
木造住宅密集地域である目黒本町地区において、防災性の早期向上は喫緊の課題であります。当地区周辺では、東急目黒線の地下化を契機に、西小山駅や武蔵小山駅周辺での基盤整備が進む中、地元まちづくりの機運も高まっております。
一方、両駅の中間に位置する目黒本町地区では、狭小宅地や複雑な権利関係など、木密地域特有の課題を抱え、また、当地区の屋台骨となる都市計画道路補助四六号線については、計画決定後六十年以上もの間、事業化されていないなど、まちづくりは停滞をしている状況にあります。
周辺のまちづくりが進む中、当地区のまちづくりについても、機を逃すことなく推進していくことが必要でありますが、そのためには補助四六号線の早期整備が不可欠でもあります。このため、昨年、地元まちづくり協議会と関係町会は、東京都に対し補助四六号線の早期整備の要望書を提出いたしました。
そこで、目黒本町地区の補助四六号線の整備について、都の認識及び今後の取り組みについて伺います。
以上をもち、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 鈴木隆道議員の一般質問にお答えいたします。
近代国家の規範であります憲法、明治憲法でありますが、発布される前に既に発足しました太政官制度以来、綿々と続いてきた中央集権の国家体制は、戦後の復興期から高度成長期においては、我が国の発展を支える役割を果たしてきましたが、文明の成熟期を迎えた今日、何もかもが全国一律に国が差配をする時代ではもはやないと思います。
東京はまさに国力の源泉でありまして、人材や企業の集積の優位性を生かした取り組みを進め、諸課題を迅速かつ効果的に解決していかなければ、東京のみならず、我が国の将来すら危ぶまれると私は思っております。
しかし、国の政治が混迷を続ける中、霞が関はどうも危機感に乏しく、省益墨守に走り、国の財政再建のため、無定見にみずからのツケを地方に回すばかりであります。
その例が、先般の法人事業税を一方的に変えまして、この東京からとにかく三千億の金を収奪していくという我慢ならない話でありますが、都はこれまでも、未来を見据えた先進的な施策を展開してまいりました。アジアを初めとする諸都市と共同して、地球温暖化対策など、世界の大都市共通の課題解決にも取り組んできた実績もございます。ゆえにも、C40東京会議を開催し、十三の共同行動に合意するという具体的な、要するに目的を定めて、それに合意することができました。
都市の活力は、まさに文明社会を発展させる原動力であると思います。国は、国と地方の役割分担を明確にしまして、首都東京のかじ取りに必要な権限と財源とを都にゆだねるべきであると思っております。
今後とも、旧弊な国家官僚の壁を打破すべく、都議会の皆様と力を合わせて地方分権の闘いを進めていくつもりでございます。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 教職員の人事権の区市町村への移譲についてお答えを申し上げます。
義務教育につきましては、本来、その実施主体として区市町村が責任を負うべきであり、教職員の人事権の行使と給与の負担につきましても、区市町村が行うべきであると思います。
このため、都教育委員会としては、教職員の人事権については、必要な法改正がなされた上で、すべての区市町村に対して、給与負担とあわせて移譲すべきであると考えております。その際、採用や異動、昇任等について、区市町村間の不均衡を生じさせないための広域的な調整の仕組みを整備するとともに、区市町村が給与負担をするための適切な財源確保が不可欠であるというふうに考えております。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 基礎自治体間の連携強化についてお答えいたします。
東京のように市街地が連担し、生活圏や経済圏が広がっている中にあっては、ご指摘のような区境の商店街振興など、区域を超える課題に対応するために、区市町村間の連携は重要であり、これにより行政サービスがより一層充実向上するものと考えております。
こうした視点は、区市町村の区域の再編の検討に当たっても考慮すべきものでございまして、都としても基礎自治体間の連携強化について適切に対応してまいります。
〔建設局長道家孝行君登壇〕
○建設局長(道家孝行君) 連続立体交差事業の取り組みについてお答えいたします。
この事業は、数多くの踏切を同時に除却することにより、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業であり、都が事業主体となり、道路整備の一環として道路特定財源により実施されております。
これまで東急目黒線など三十三カ所で事業を実施し、二百九十八カ所の踏切を除却してまいりました。現在、JR中央線など八路線九カ所で事業を進めており、平成二十七年度までにさらに百八カ所の踏切を除却する予定でございます。
また、新規箇所については、踏切対策基本方針の鉄道立体化の検討対象である二十区間のうち七区間を事業候補区間に選定し、このうち、新規着工準備採択された西武新宿線中井駅から野方駅間と、京王線代田橋駅から八幡山駅間の二区間の事業化に向けて国と協議を進めるとともに、JR埼京線十条駅付近など残る五区間につきまして、着工準備採択に向けて取り組んでいるところでございます。
引き続き、都議会のご支援をいただいて、東京の道路整備に不可欠な財源を従前以上に確保し、区市や鉄道事業者と連携し、連続立体交差事業を一層推進してまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 目黒本町地区の補助第四六号線についてでございますが、本路線は、木造住宅密集地域の重点整備地域に位置しておりまして、災害時には延焼遮断帯ともなる重要な道路でございます。現在、東急目黒線の地下化に伴いまして、西小山駅周辺などで駅前広場などの整備が進み、本路線沿道においてもまちづくりの機運が高まっていると承知しております。
昨年、当地区が「十年後の東京」への実行プログラムに沿道一体整備事業の新規地区として位置づけられたのを受けまして、地元説明会や個別相談会を開催してまいりました。
本路線の整備により、防災性や駅へのアクセスが向上するほか、周辺道路とのネットワークが形成され、まちづくりとの相乗効果も期待できます。
今後とも、地元要望等を踏まえ、地元区と連携して、早期の事業化に向け積極的に取り組んでまいります。
○議長(比留間敏夫君) 五十番今村るか君。
〔五十番今村るか君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○五十番(今村るか君) 都民の重大な関心事である東京の医療政策、特に周産期医療、小児医療、救急医療事業は、いうまでもなく、医療計画改定で主題とされた四疾病五事業に位置づけられる、日本の医療提供体制が抱える大きな課題です。これまでの取り組みを冷静に見詰め、特にハード、ソフト、マンパワーごとの資源配分への評価が必要と考えます。
東京は国のセンター機能を有することから、医療政策に関しても、高度先進医療機能、ハード整備に傾斜していたのではないでしょうか。特定機能病院は、全国八十二指定病院中十三病院もある一方、地域医療支援病院は六病院で、十三の二次医療圏ごとの整備もできていません。
医療現場は、悲劇的なニュースにならないときも、常に人手不足です。知事はどのように認識しているのか、伺います。
地域的、診療科別医師の偏在は、我が国の医療提供体制が構造的に抱え続けてきた問題です。都は、医師確保、育成の独自の取り組みとして東京医師アカデミーなどを進めているが、診療科ごとの医師数を確保し、アンバランスを是正することは可能か、伺います。
高度医療はチーム医療の象徴で、産科医を集めても麻酔科医がいなければ機能不全、NICUを増床しても後方病床がなければ滞留してしまいます。埼玉県のある病院では、総合周産期母子医療センターを整備したが、医師不足のため機能していないと報道されています。
二〇〇九年度予算要求では、大塚病院に総合周産期母子医療センター、墨東病院にNICU三床、ICU、CCU各一床増床となっています。都立病院では、ことし看護師の追加募集が行われ、実定員に支障がないのか不安です。肝心の医師、看護師など、また後方病床は担保されていますか。
そこで、医療従事者の確保の見通しについて伺います。
東京が医師、看護師不足ということは、地方はより以上に厳しい状況にあり、人材難は、ある意味で国から押しつけられた行政区を超えた共通の難問で、一致協力して対策を進めるべきです。
都内NICU満床原因の一つに、周辺自治体から患者流入があるといわれます。このことについて、都が調査を行っているのであれば内容を伺います。
また、周辺自治体からの搬送受け入れを制限すべきとの意見もあると聞きます。都の見解を伺います。
短期的には、限られた医療資源の最大限有効活用のため、連携構築が最優先課題の一つと考えますが、医療機能の連携は、病院内での医療職種内連携、首都圏での広域連携、国との連携、役割分担など、やらねばならぬことが山積しています。このことを都はどのように考え、施策を進めるのか。
さらに、猪瀬副知事にも伺います。医療現場に十分な人を確保し、慢性的な救急搬送受け入れ不能を改善するには、国、都が十分な予算を、しかも早急に投入することが必要です。
例えば、我が家ではこの七月に長男が誕生し、出産費用はおおむね五十五万円ほどで、一人目の長女のときは入院が長く、七十万円ほどの支出でした。現在、出産一時金は三十五万円ですから、若い都民からすれば出産費用は相当な金額です。それでも病院としては、十分なスタッフを配置するのにぎりぎりの経営のようです。これに限らず、出産、医療に関した国の施策は、あらゆる面で実態とかけ離れており、厚労省の来年度予算要求でも是正する兆しは見られません。
副知事はPTを立ち上げ、妊婦を救急搬送受け入れ不能で死なせないとしておられます。副知事任命時に、石原知事は、期待する役割として、国とのパイプを生かし、国を動かすことと述べていましたが、この問題については、副知事はみずからの役割についてどのように認識し取り組むのか、伺います。
続いて、東京の総合的な次世代育成政策について、私自身、子育て真っ最中の子育て世代の代表として質問をいたします。
東京の現状は、急激な雇用の流動、不安定化が子育て世帯を直撃し、生活保護率、要保護、準要保護率も増加の一途をたどり、児童養護施設、一時保護所入所児童数や児童相談所の相談件数も増加しています。離別、死別、さらには被虐待、ネグレクトなどで家族と切り離され、最もつらく悲しい境遇を余儀なくされる子どもたちの生活を最大限の力で支えることができない社会であるならば、そのような社会に存在理由はないと私は考えます。
児童福祉施設のマンパワー不足と施設整備、改修がさらに必要な状況です。私は昨年の一般質問でも取り上げましたが、改めて都の認識を伺います。
医療現場同様、職員の超人的な努力を前提とした制度、体制には持続性はありません。仮に児童相談所のスタッフ不足により、見出せなかったり、支え切れなかったケースがあるとすれば、それは行政の怠慢による未必の故意が問われると私は考えます。児童福祉司一人当たり百名以上のケースを抱えている現状は、尋常ではありません。
私の地元町田市を所管する八王子児相は、ほかに八王子、日野も所管し、対象児童数や所管面積の広大さと相談件数など業務量も過大となっています。十一ある児童相談所も、多少の差こそあれ、同じ状況です。
児童福祉法改正もあったことから、児童相談所運営整備計画を新たに作成することを望みますが、まずは児相のハードとマンパワーを拡充すべきと考えますが、都の見解を伺います。
障害児入所施設には、保護者の養育能力や疾患などにより家庭養育が困難な子どもたちが保護されていますが、利用契約制度、特に措置と契約のあり方では、東京都の措置率が二六%なのに対し、神奈川県、千葉県では六一%、五五%と大きな差があります。
都は柔軟な判断を行うべきと考えますが、今後どう対応し、根本原因をつくり出している国にどう働きかけていくのか、お伺いをいたします。
さきの医療問題でも、ハイリスク分娩の増加要因の一因に経済的理由があるといわれ、児童虐待もDVもまた同じです。国民生活で経済的格差が集中的にあらわれ、構造化され、不平等となる部分が医療と教育。世帯加入で親の滞納、未納が子どもにまで類を及ぼす国保資格証明書制度と同様、就学援助も安易な切り下げは問題です。それは、子どもは親を選ぶことができないからこそ、子どもには一切の責任がないからです。
生保認定の厳格化と同じく、二〇〇五年国庫補助の廃止以降、準要保護認定率が引き下げられている市区町村がありますが、これは政策目的が達成されての引き下げか、予算前提の引き下げか、都はこのような状況をどう分析し、判断しているのか、伺います。
二〇〇七年度東京都福祉保健基礎調査「東京の子どもと家庭」によると、子育てをしやすくするために必要なものという問いに対する回答は、多い順に、育児手当など経済的な手当の充実、子育てに理解ある職場環境の整備となっている。経済的なサポート充実とワークライフバランスが東京の子育て世代のニーズといえます。
このような子育て世代のニーズに対し、都はどのようにこたえるのか、伺います。
このように、子育て世代を取り巻く環境は、経済面を中心に深刻化しているにもかかわらず、同調査の子育てをしていて日ごろ感じることという問いに、子育てによって自分が成長したと感じる、子どもを育てることは楽しくて幸せなことだと思う、子どもができてよかったと思うというポジティブな回答が二〇〇二年調査との比較でふえており、これは東京の子育て世帯の前向きな姿勢と努力のあらわれとして誇らしく、本当に救われる気持ちです。しかし、子どもが将来うまく育ってくれるかどうか心配になるの回答では、二〇〇二年一八%から、二〇〇七年二三%と、不安を抱えながらの頑張りともいえます。
このような東京の子育て世代に対し、東京の責任者として、石原知事の率直な感想と施策に対する決意を伺います。
私は、チルドレンファーストこそ未来志向のあすの社会をつくり、支える政策だと確信しています。今後とも継続的に議論させていただくことを約束し、次の項目に移ります。
ことし一月、配偶者暴力防止法が改正され、市区町村に支援センター機能と基本計画策定の努力義務が課されました。
都内のDV相談支援センターなどの相談件数は、二〇〇七年二万五千件余りで、年々増加の一途をたどっており、一時保護実績が二〇〇七年千六十三人で、このうち同伴児童五百二十一名中乳幼児が六七・二%、三百五十名もおり、ここでもまた小さな子どもたちが被害に遭っています。また、一時保護所の利用率も一〇六%にもなっています。
DV被害者救済のためには、住民に最も身近な市区町村での支援が大切ですが、全国で基本計画を策定した自治体はわずか四市、支援センター設置は八市のみという状況です。また、市区町村にあっては、被害者の相談や自立支援などの施策に関係機関が連携して取り組むことが重要と考えます。
そこで、都は、全国のモデルとなるように、都内市区町村に基本計画の策定と相談支援センター機能設置に向けた積極的な支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
東京都には、新耐震基準前に建設された分譲マンションなどが推定約二十二万戸あり、都の耐震診断、耐震補強助成制度は、自治体に制度がないと地元管理組合は利用できません。また、診断や改修時の合意形成の難しさとともに、費用負担が重いため、制度がある自治体ですら進まないのが現状です。
そこで、制度未実施の自治体解消に向けた取り組みと、実施自治体でもさらに利用しやすいものにする必要があると考えますが、都の見解を伺います。
次に、構造計算書偽装事件から三年が過ぎ、この間、建築確認申請、構造計算書の厳格化などが行われてきました。都内には、この問題で建てかえや改修が必要なマンションが十四棟あり、このうち区内六棟、多摩地区一棟は、保有水平耐力比〇・五未満で立ち退き命令が出され、建てかえが行われています。今後、次々に竣工し入居が始まります。
そこで、これまで都は、国、市区とともに、マンション再建に向けた支援を行ってきました。最終的に必要な予算は一体幾らかかると予測しているのか、お伺いをいたします。
また、今後、二重ローンに苦しむ居住者への支援はどう行っていくのか、あわせて伺います。
さらに、今後こうした問題を起こさないため、都の取り組みと、建築行政にかかわる制度がよりよくなるよう、今後も国へ働きかけを行う必要があると思いますが、都の決意をお伺いし、私の一般質問とさせていただきます。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 今村るか議員の一般質問にお答えいたします。
まず、医師不足についてでありますが、どう考えても維持困難な高福祉低負担の当然の帰結としての医療費の高騰に不安を感じました。かつて文部省は医学生の数の削減を指導しました。そういったいきさつもありまして、今日、極めて医師の数が不足しているわけでありますけれども、その中で、現場のお医者さんたちは、限られた人員で、まさに骨身を削りながら頑張っておられます。
今日の医師不足は、新医師臨床研修制度の導入や過酷な病院勤務、訴訟リスクの増大など、さまざまな要因も絡み合って生じておると思いますが、こうした深刻な事態を招いたのは、国の政策のほころびによるものであると私は思います。真剣にこの高福祉低負担というものを考え直しませんと、この問題はなかなか根底的に解決されないんじゃないかという気がいたします。
次いで、東京の子育て支援策についてでありますが、まさに親にとっても子どもあっての親でありまして、そのために親たちは結婚するわけでありましょう。それに限られたことではないかもしれませんけれども、しかし、それが普通の家庭、夫婦の常識だと思います。
子どもを産み育てたいと望む人たちが安心して子育てし、子どもたちを健やかに育てる環境を整備することは、親はもとより社会全体の責務であります。
先ほどの答弁で申しましたが、まさに国の力というものは人口というものに表象されるわけでありまして、今後とも、国家の繁栄のために、子育て世代に対する支援の充実や働き方の見直しに取り組み、子育ての喜びを真に感じることのできる東京を実現して、次の世代に継承していきたいものと思っております。
他の質問については、副知事、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔副知事猪瀬直樹君登壇〕
○副知事(猪瀬直樹君) 周産期医療についてでありますが、まず、このような不幸な結果が起きたことは極めて残念で、亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げます。
現在、専門家から成る東京都周産期医療協議会や東京都医師会において、現場の実情を踏まえた周産期医療体制の強化に向けた検討をいただいています。
今回、知事から、庁内横断組織であるPTを立ち上げ、供給サイドだけじゃなくて需要サイド、つまり、患者さんや利用者の側からの視点を入れて、制度や改善効果の検証を行うための必要な提言をせよという命を受けました。
今後、協議会の先生方とも密接な連携を図りながら、国に対しても必要な行動を起こすなど、都民の不安の解消にこたえていかなければいけないと思っています。
当面、十二月十五日の月曜日に墨東病院、それから東京消防庁の救命救急センターなどを視察させていただきますけれども、十二月八日に地方分権の二次勧告がありまして、それに忙殺されましたのでちょっとおくれましたが、あとは国の、当然、国も縦割りの弊害があって、それで厚労省、文部省あるいは消防庁と、いろいろあるわけです。それも含めて、これまでのあり方がどうだったかということを問いただしていきたい、こういうふうに思っています。
以上です。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 就学援助についてでございますが、準要保護者に対する就学援助につきましては、平成十七年度に国庫補助が廃止をされまして、国から区市町村への税源移譲により一般財源化されたところでございます。
就学援助の実施義務は、学校教育法により区市町村に課せられておりまして、従来から準要保護者の認定は区市町村の判断により行われております。
平成十七年度の改正は、国が地域の実情に応じた取り組みにゆだねることが適切であると判断して行ったものでありまして、準要保護者に対する就学援助につきましては、認定基準の見直しを含めて、各区市町村がその権限と責任において適切に実施しているものと考えております。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 七点についてお答えをいたします。
まず、医師確保の取り組みについてであります。
不足が顕著な小児、周産期、救急、僻地医療を担う医師を確保するため、都は、病院勤務医の短時間勤務の導入、女性医師の復職支援などの勤務環境改善に取り組んでおります。また、都が指定した大学医学部の定員枠を拡大し、医師奨学金制度を創設いたしました。今後、さらに制度の拡充を検討しております。
こうした取り組みにより、一人でも多くの医師の確保を目指してまいります。
次に、周辺自治体からの患者の流入についてでありますが、都内の周産期母子医療センターにおける平成十五年のNICUと、その後方病床の入院患者の住所別内訳によりますと、約二四%が近県を中心とした都外の患者さんでありました。まずは近県の均衡あるNICUの整備や医師の確保が必要であり、先月の八都県市首脳会議では、都が発議し、国に対して周産期医療体制の整備充実と医師確保に向けた緊急要望を行ったところであります。
次に、医療機能の連携についてでありますが、限られた医療資源の中で、疾病や事業ごとに医療機関等が機能に応じて連携することは重要であります。そのために、都は、患者が発症した場合に速やかに専門的な医療につなげるとともに、患者の状態に応じた回復期リハビリテーションの実施や在宅における療養生活の確保など、疾病の特徴に応じた医療の連携に取り組んでおります。
今後とも、都民が状態に応じて速やかに適切な医療を受けられるよう、切れ目のない医療提供体制を構築してまいります。
次いで、児童養護施設についてであります。
児童養護施設では、近年、児童虐待の急増などにより、情緒面で問題を抱えた児童の入所が増加をしております。そのため、児童に対する支援体制の充実を図る必要があると認識し、三十年にわたり見直されていない国の職員配置基準を抜本的に改善するよう、国に提案要求をしております。また、可能な限り家庭的な雰囲気で子どもたちを養育することが重要であると考え、グループホームの設置促進に取り組んでおります。
次いで、児童相談体制についてであります。
平成十七年四月に児童福祉法が改正され、区市町村が児童虐待の対応を含む第一義的な相談対応を担い、都道府県は、専門的な対応を必要とする困難事例への対応や、区市町村の後方支援を重点的に行うこととなりました。
これに先駆けて、都は、児童虐待対応の機能を強化した先駆型子ども家庭支援センターの設置を都内全区市に強力に働きかけるとともに、児童相談所との適切な役割分担のもと、連携体制を強化しております。さらに、今後、都における子どもと家庭の相談機関の中核として、子ども家庭総合センター(仮称)の開設に向け、着実に取り組んでいるところであります。
次に、障害児童の施設入所についてでありますが、障害児施設の利用に当たりましては、児童福祉法に基づき、原則として契約によることとなります。保護者の不在や虐待等により利用契約の締結が困難と認められるなど、措置が必要な場合には、都は国が示している基準に基づき、適正に対応しております。また、措置のあり方については、既に八都県市首脳会議において国に提案要求をしているところであります。
最後に、子育て家庭に対する支援策についてでありますが、昨年十二月、平成二十年度からの三カ年で重点的に取り組むべき総合的な子育て支援策として、子育て応援都市東京・重点戦略を策定し、働きながら子育てできる環境の整備や保育所待機児童の解消、子育てに優しい環境づくりに取り組んでおります。また、行政、企業、NPOなど幅広い分野の団体で構成する子育て応援とうきょう会議を活用し、社会全体で子育てを支援する東京の実現に取り組んでいるところであります。
〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕
○病院経営本部長(中井敬三君) 都立病院における医療従事者の確保の見通しについてお答えいたします。
都はこれまで、医師については、大学医局に派遣要請を繰り返し行うとともに、給与の大幅な改善などの処遇改善を図ってまいりました。また、若手医師の確保、育成を図る東京医師アカデミーの開講など、都独自の取り組みも精力的に行っております。
一方、看護師についても、今年度は約二カ月に一回の頻度で採用選考を行うとともに、地方採用選考を実施するなど、採用活動を一段と強化しております。
さらに、院内保育室の二十四時間化や育児短時間勤務制度の導入など、勤務環境の改善にも努めております。
この結果、墨東病院のNICUについては、来年一月から稼働数を三床増加させる目途が立ったところでございます。また、墨東病院のICU、CCUや、大塚病院の総合周産期母子医療センターなどについても、引き続き医療人材の確保に努め、予定どおりの稼働を目指してまいります。
〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 配偶者暴力対策に係る区市町村への支援についてのお尋ねでございます。
都は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の改正を受けまして、区市町村に対し、計画策定への助言や情報提供を行ってきております。また、相談支援センター機能の整備につきましては、既に平成十九年度から、モデル区市におきまして、相談や自立支援に係る関係機関による連携の仕組みづくりを促進しているところでございまして、法改正の趣旨を踏まえ、今後とも区市町村を支援してまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、耐震化助成制度についてでございますが、分譲マンションの耐震化を進めるには、都の助成制度を活用した区市における制度の整備充実等の取り組みが重要でございます。
このため、都は、すべての区市と制度活用に向けた協議を行いまして、来年度には大半の区で助成制度が整備される見通しでございます。また、管理組合において合意形成を促し、制度の利用を進めるため、区市や東京都マンション耐震化促進協議会と協力して、啓発活動の実施や相談体制の整備等に努めております。
今後も助成制度の利用拡大を図り、耐震化を促進してまいります。
次に、構造計算書偽装マンションの再建に向けた支援でございますが、都は、使用禁止命令が出されました都内七つのマンションの建てかえ組合に対しまして、国や区と協力して必要な支援を行ってまいりました。
平成十七年度以降、移転費、仮住居費、建物除却費、再建マンションの建築費の一部と住宅ローンの利子に対する補助を行っております。本年度でおおむねのマンションで再建が終了いたしますが、都の補助金につきましては、これまでの決算額と本年度の予算額の合計は約十三億円でございます。こうした補助を着実に実施し、居住者を支援してまいります。
最後になりますが、構造計算書偽装問題の再発防止に向けた取り組みでございますが、都は、この問題の発覚後、国に対し、現場での実務経験を生かした提案を行いながら、建築確認制度等の徹底的な検証と見直しを強く求めてまいりました。
既に建築基準法や建築士法が改正されるなど、再発防止に向けた体制が整備されつつあり、都は、新しい制度の周知や適正な運用に取り組んでおります。また、民間の確認検査機関による的確な業務の実施を確保するため、必要に応じて立入検査を行うなど、適切な指導を行っております。
今後とも、国との情報交換を密にするとともに、区市や関係団体と連携して、新しい制度が円滑に運用されますよう取り組んでまいります。
○副議長(石井義修君) 一番遠藤守君。
〔一番遠藤守君登壇〕
○一番(遠藤守君) 初めに、文化遺産の保存と活用について伺います。
まず、文化資源を生かした東京の魅力発信についてであります。
人類共通の宝である世界遺産制度の発足から、ことしで三十年となります。都内においては上野の国立西洋美術館本館の登録準備が進んでおり、認められれば東京初の世界遺産となります。ユネスコ事務局長である松浦晃一郎氏は、近著の中で、世界の文化を三つに分類し、その第一にこの世界遺産を挙げ、第二に伝統芸能などの無形遺産を、そして、第三に現代の文学や演劇、音楽などを挙げておられます。
東京には世界遺産こそ存在しないものの、国宝や重要文化財などの有形遺産のほか、歌舞伎や江戸しぐさといった無形遺産、さらには世界最先端のデザイン、メディア芸術という、非常に多彩なすそ野が広がっているわけであります。時を超え、有形無形の文化が融合する東京ならではの魅力をいま一度再構築し、世界における文化面でのプレゼンスを高めていくべきと考えます。石原知事の所見をお伺いいたします。
関連して、都の文化財保護行政について質問いたします。
歴史的構造物は一度失ったら二度と回復できない、この認識のもと、私は、本年の予算特別委員会で、都が指定する文化財の保存、活用を進めるため、都独自のモデルを策定すべきと提案をいたしました。この提案を受け、これまでに、新たに国と都の八つの文化財建造物に対する実効性ある防災計画の策定が進んでおり、高く評価をいたします。
しかし、その一方で、文化財をめぐる都の対応にはいささか異論がございます。
都の文化財行政は、現在、教育委員会が保存役を担い、生活文化スポーツ局、都市整備局、産業労働局など知事部局の各局が文化、景観、観光などそれぞれの所管事業で文化財を利活用しております。保存と利活用の所管部局が異なるもとで、いわゆる縦割り行政の影響を受け、文化財が都民や都を訪れる観光客のために十分に活用されているとは決していえません。
京都市では、文化財保護行政と観光行政は不可分なものと位置づけ、何と半世紀も前から、文化市民局が一元的に文化財行政を担当し、保存を図りながらも、市民や観光客が利活用しやすいように取り組んでいるわけであります。今後、貴重な文化財を守りながら、観光や地域再生のために活用していくには、局と局との強力な連携が不可欠であると考えます。
「十年後の東京」に掲げた年間一千万人の外国人旅行者が訪れる世界有数の観光都市という目標実現に向けても、知事本局が総合調整機能を発揮し、責任を持って各局の連携を図っていくべきだと考えますが、知事本局長の見解を求めます。
一方、限られた官の力だけで都内全域に広がる文化財を保護、活用するのは、おのずと限界もあります。
官を補完する取り組みでは、兵庫県で行われているヘリテージマネジャー、歴史文化遺産活用推進員、この制度が一つの参考になります。阪神・淡路大震災を機に誕生したこの制度は、県教育委員会と県建築士会が共同で地域に眠る歴史文化遺産を発見、保存、活用し、まちづくりに生かす取り組みであります。このヘリテージマネジャーの登場により、登録文化財の件数が急増するなど、歴然たる効果が出ているようであります。
都においても、この兵庫県の事例を参考に、地域力を生かした文化財保護の取り組みを強化していくべきと考えます。教育長の見解を求めます。
次に、がん対策について質問いたします。
先日、都議会公明党は、がん診療連携拠点病院である都立駒込病院、武蔵野赤十字病院の二つの病院を視察してまいりました。その中で、私たちの心に強く残り、その重要性について認識を新たにした点について、二点お尋ねをいたしたいと思います。
第一点目は、がん相談支援センターにおける情報提供機能の充実についてであります。
都立駒込病院では、病院独自の医療情報検索システムを持ち、患者や家族が院内の専用パソコンを使って、駒込病院と連携している一千五百以上の医療機関について、診療科目、往診の可否、対応可能な検査、処置、提携している訪問看護ステーションの有無などの詳細な情報を検索することができます。こうしたシステムは、患者や家族が納得いくまで医療情報を探すことができるという、大変大きなメリットがあると思います。
そこで、こうした取り組みを、都全体を視野に置いた取り組みへと拡大していくべきと考えます。都の見解を求めます。
二点目は、医師の緩和ケア研修についてであります。
緩和ケアは、身体的な苦痛のみならず、心理的、社会的な苦痛の軽減を図るものであり、がん治療の早期から重要な位置づけを占めるものであります。都のがん対策推進計画においては、医師の緩和ケア研修の推進が掲げられておりますが、重点的に研修を行うべき対象や養成計画、実施体制など、研修を推進していく上での具体的な道筋は、何ら明らかになっておりません。
さらに、国が示した緩和ケア研修の開催指針では、少人数で密度濃く実施する形式がとられておりますが、都内には、がんの診療と関係の深い内科を標榜する医師だけでも約一万二千人おられます。こうした現状を踏まえて、都として、まず重点を絞り、必要度の高いところから重点的かつ計画的に研修を進めていくべきと考えます。見解を求めます。
次に、安全・安心な出産に向けての支援についてお尋ねいたします。
都議会公明党は、昨日の代表質問において、ハイリスク妊婦への迅速かつ的確な対応を目指した周産期医療の充実について質問をいたしました。一方で、安全・安心の出産のためには、妊婦さん自身が妊娠、出産には健康上の課題が伴うことを十分認識し、みずから健康管理に努めることも重要であります。こうした観点に立って、都議会公明党は、妊婦健診の公費負担充実に積極的に取り組んできたところであり、現在、都内区市町村では五回から十四回までの公費負担が実現しております。
区市町村では、現在、妊婦健診を受けている方に対し、必要な場合、訪問や指導を行っていると聞いておりますが、日ごろの健康管理をさらに強化するため、受診状況の把握や未受診者や受診頻度が低い妊婦に対する受診の勧奨など、新たな取り組みが必要と考えます。
こうした取り組みを行う区市町村に対して、都として積極的に支援すべきと考えます。見解を求めます。
来年一月から始まる産科医療補償制度についてお尋ねいたします。
この制度は、分娩による障害に対する補償制度であると同時に、原因分析と再発防止策の検討により、社会全体で周産期医療の向上を図ることを目的としています。妊婦さんにも広くその趣旨、目的を理解してもらうことが重要であり、都としても周知に積極的に取り組むべきであります。
本制度の評価と妊婦への制度周知に向けた取り組みについて見解を求めます。
なお、この制度については、五年をめどとした見直し規定がありますが、スタート時点における補償対象が、正常分娩で出生した場合であり、かつ脳性麻痺による身体障害等一級、二級相当と限定されており、関係者からは不十分との声も聞かれます。打てる手はすべて打つとの観点から、都として本制度を補完する仕組みを検討すべきと、強く要請をいたします。
最後に、私の地元大田区の平和島、海老取両運河沿いにある貴船水門ほか、呑川、北前堀、南前堀の、いわゆる港南四水門とその周辺整備について質問をいたします。
この港南四水門は、伊勢湾台風時における東海地方の高潮被害を教訓に、こうしたクラスの台風が万一東京を直撃した場合、大田区東部に広がる低地帯を守るため、昭和四十年代初頭に建築されました。これら四水門の内側はかつて河川でありましたが、昭和五十四年に一部の水面を残して埋め立てが行われ、現在では大田区が管理する水路として小型船の係留等に利用されております。四水門は建築後四十年を経過し、老朽化が進み、地盤の液状化のおそれもあることから、早急に対策をとる必要があります。
また、四水門の背後の水路は、現在行きどまりとなっており、地元からは、水門を廃止し防潮堤を整備すべきとの声も聞かれます。
都民の生命、財産を守るため、都として、これらの水門を補強の上、存続をさせるのか、それとも廃止、撤去するのか、速やかに結論を出し、一刻も早く高潮対策を講じるべきであります。見解を求めます。
また、同地域一帯は、武蔵野の路、大井、羽田コースのルートとなっており、大森緑道公園や護岸を利用した遊歩道などが都によって整備をされております。また、その北側には、大田区が昨年、ふるさとの浜辺公園をオープンさせるなど、水辺の風景を眺めながら散策したり水と触れ合えるなど、大変に魅力的な地域であります。
ところが、残念ながら、現状では貴船、呑川両水門により、運河沿いの遊歩道は各所で分断をされております。遊歩道を連続化するには、先ほど言及いたしました、水門内に係留されている小型船の対応も必要であります。
これら諸課題の解決に向け、都は大田区と連携し、取り組みを本格化すべきであります。
都の見解を求め、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 遠藤守議員の一般質問にお答えいたします。
文化資源を生かした東京の魅力発信についてでありますが、東京には、江戸開府以来の伝統文化や歴史的建造物などの文化遺産、また、ミシュランも認めた世界最高水準の食文化、アニメーションなど先端のメディア芸術といった多彩な文化資源が集積しております。
ただ、その活用についてはいささか問題がありまして、例えば、私、この間行って驚いたんですが、目黒区――何区ですかな、駒場にあります旧前田侯爵邸、これは立派なもので、たしか都が所有しているんでしょうけども、広大な庭は区有地になっているんでしょうか。この運営がまことにずさんで、庭は五時で締め切られる、建物はがらんどうで何にも中に入ってない。どんがらだけが残っているという、これは本当にもったいない話だと思うんですけど、もうちょっと知恵を使って何かに活用すれば、もっと人がたくさん集まって有用に使えると思っておりますけれども、こういった問題が随所にあると思います。
いずれにしろ、オリンピック・パラリンピック招致を見据え、東京が持つ都市の力を高めていくためには、世界の中で、文化面においても東京のプレゼンスを確立することが不可欠であると思っております。
このため、今年度から、東京が有するこれらの文化資源を生かしながら、東京の活力を国内外に発信する大規模な文化プロジェクトを展開してまいります。
今後とも、東京芸術文化評議会からの提案なども踏まえまして、東京ならではの魅力的な文化を創造し、世界に向けて戦略的に発信していきたいと思っております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 地域の力をかりた文化財保護の取り組みについて申し上げます。
ご指摘の兵庫県の例に見られますように、地域の人々が文化財の保護に携わることは大変大切でございます。
都教育委員会は、区市町村と連携を図りながら、都内の文化財の状況の把握に当たっておりますが、現在、二十の区と市では、文化財保護委員あるいは文化財保護推進員といった立場で、地域の人々が文化財を守っていく仕事を行ってくれております。
今後、こうした取り組みを他の区市町村にも紹介するなど、地域の力をかりた文化財保護体制の充実に対して、都教委として支援をしてまいります。
〔知事本局長吉川和夫君登壇〕
○知事本局長(吉川和夫君) 「十年後の東京」における観光施策の目標の実現に向けた局横断的な取り組みについてでありますが、東京は、神社、仏閣など歴史的建造物、六本木や赤坂等の現代的かつ洗練されたビル群、多摩・島しょ地域の豊かな自然環境など、外国の旅行者を引きつける多様な魅力を有しております。
「十年後の東京」では、こうした東京の魅力的な文化資源などを活用することで、年間一千万人の外国人旅行者が訪れる世界有数の観光都市を実現し、東京のプレゼンスを確立する姿を描いております。
今後、文化財を初めとして、東京の有する多様な魅力を観光資源としてさらに活用するため、知事本局が担う総合調整機能を十分発揮しながら、組織横断的な会議などにより、責任を持って各局の連携を一層進めてまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 四点についてお答えをいたします。
まず、がん医療に関する情報提供機能の充実についてであります。
拠点病院が把握した地域の医療機関のさまざまな情報を検索して、患者みずからが転退院先等を選択し、また、相談支援センターの職員が患者や家族に助言を行う際に活用できることは重要でございます。
このため、拠点病院が、それぞれの地域の医療機関の情報を相互に共有し、より患者の希望に沿った情報を提供できるよう、その連携方法等について、東京都がん診療連携協議会において検討してまいります。
次に、医師に対する緩和ケア研修についてであります。
緩和ケアは、患者の身体的、精神的な苦痛を軽減させるものであり、がんの治療の早期から取り組むべきものでございます。
このため、がん診療に携わるすべての医師がその知識や技術を身につけることが望ましいものであり、緩和ケア研修について、東京都がん対策推進計画に掲げます目標の達成に向け、計画的に実施をしてまいります。
具体的には、がん治療は、さまざまな診療分野の医師が携わっており、対象となる医師は広い範囲に及びますことから、まず初めに、拠点病院等において化学療法や放射線療法に携わる医師、在宅医療を行う診療所の医師等に対して重点的に実施をしてまいります。
次に、妊婦の健康管理に関する支援についてでありますが、妊婦健診などにより妊婦が健康管理に努めることは、安全な出産を迎えるために大変重要であるとともに、ハイリスク妊婦を早期に把握し、対応することにもつながるものでございます。
このため、妊婦健診の受診状況を把握し、未受診者等に対して受診を促進する上で、区市町村の独自の取り組みを都としても支援してまいります。
最後に、産科医療補償制度についてであります。
本制度は、患者とその家族の救済や、産科医の訴訟リスクの軽減を図るものであります。都としては、国が第一歩を踏み出した意義は大きいと考えており、制度のさらなる充実について、国への提案要求をしております。また、現在、区市町村や関係機関を通じて、妊産婦への周知を行っております。
今後、都のホームページで普及啓発を行うとともに、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」において、本制度に加入している医療機関等の情報を提供してまいります。
〔港湾局長斉藤一美君登壇〕
○港湾局長(斉藤一美君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
初めに、大田区東部の大森東地区周辺におきます高潮対策についてでございますが、大田区内の平和島運河及び海老取運河沿いに位置するいわゆる港南四水門は、老朽化とともに、大地震時の液状化への対応が急がれるため、平成十九年三月に策定いたしました東京港海岸保全施設緊急整備計画に基づきまして、早期に耐震補強等の対策を行うこととしてございます。
お話の四水門の存続、廃止のあり方につきましては、この立地状況から、地元が進めるまちづくりとの整合、散策路としての機能の確保、周辺環境への配慮など、総合的な視点からの検討も必要と認識してございます。
このため、今後、地元大田区と精力的に検討を進め、その方向性について結論を得た上で、大森東地区周辺の具体的な高潮対策の充実を図ってまいります。
次に、平和島運河沿いの遊歩道の連続化と小型船対策についてでございます。
都は、都民が水辺に親しめる空間を創造するため、地元区と協力し、高潮護岸の上部を利用した延長約十八キロメートルの遊歩道整備を進めてまいりましたが、水門等で分断され、回遊性が確保されていない箇所の解消が課題となってございます。
平和島運河沿いの遊歩道の連続化につきましても、港南四水門のあり方の検討の中で、遊歩道整備の目的に沿った検討を進めていくことが必要であると考えてございます。
このため、今後、区立ふるさとの浜辺公園への回遊性を視野に入れた遊歩道の連続化の具体化に向けまして、小型船対策を含め、水路の水面管理者でもある地元大田区と連携して取り組んでまいります。
○副議長(石井義修君) 二十四番神林茂君。
〔二十四番神林茂君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○二十四番(神林茂君) 初めに、商店街振興対策について伺います。
東京都が今年度発表した東京都商店街実態調査によりますと、三年前に実施した前回調査と比べ、都内の商店街数は、全体で約七十商店街減少の二千七百十七商店街となっており、依然として厳しい商店街の状況が浮き彫りになっております。
その一方で、各地域の商店街では、安全パトロールの実施、リサイクル活動、地域の清掃活動や空き缶回収などのほか、商店街会員みずからが、地元の消防団員、保護司、民生委員、町会役員などとして、地域に根差した取り組みや活動を行っております。
このように、商店街は、厳しい経済環境の中にありながらも、みずから公共的役割を担い、地域のためにさまざまな取り組みを進めており、地域コミュニティの維持発展に向けて、とても大きな役割を果たしております。
我が党ではこれまで、スーパーやチェーン店なども含めた地域の事業者が商店街活動に積極的に参加、協力するよう、事業者同士の連携に向けた取り組みを積極的に後押しすべきと提案してまいりました。
東京都は、今年度から新たに、組織力強化支援事業により、商店街への加入及び協力を促進するための取り組みへの支援を開始しています。
そこでまず、組織力強化支援事業について、その現状と今後の取り組みについて伺います。
最近、商店街では、その活性化に向け、ポイントカードシステムの導入や街路灯へのLEDランプの活用など新たな取り組みを始めております。特にLEDランプの活用は、これまでの水銀灯などと比べ、少ない消費電力やランプ自体の寿命が長いことによるランニングコストの削減が期待できるとともに、CO2削減にも貢献するものであり、多くの商店街が関心を寄せていると聞いております。
このLEDランプについて、東京都は、特定施策推進型商店街事業により、街路灯への活用のみを支援の対象としていますが、都内にはアーケード施設を備える商店街も数多く存在いたします。
そこで、東京都は、商店街街路灯のみならず、アーケードの歩行者照明などにもLEDランプの活用が進むよう、商店街の要望にも耳を傾けながら、特定施策推進型商店街事業のより一層の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
さらに、商店街から離れたガソリンスタンドのような、みずから公的役割を担っている地元商店街なども支援の対象として検討していくことを要望しておきます。
商店街の推進に向け、我が党は一貫して、新・元気を出せ商店街事業の推進を主張してまいりました。都内商店街では、新・元気を出せ商店街事業を活用したさまざまな取り組みが実施されております。しかし、一方で、実際に事業を行う商店街の現場では、新・元気を出せ商店街事業について、より使い勝手を向上してほしいとの声をよく耳にいたします。
具体的には、個別の企画、事業に対して柔軟に支援してほしい、殊にイベントなどを実施した際に発生するさまざまな経費について補助対象となるか否かを、地域の特性や事業の性質なども考慮し柔軟に判断してほしいといった要望などであります。
東京都は、このような要望にも真摯に耳を傾け、新・元気を出せ商店街事業を真に商店街にとって活用しやすい制度となるよう改善を図るべきと考えますが、見解を伺います。
都内のさまざまな自治体でプレミアムつき商品券の発行に対する支援が進んでおります。プレミアムつき商品券の発行は、消費者の購買意欲を刺激し、商店街の活性化にも結びつく効果的な取り組みであります。このため、各地域でのプレミアムつき商品券の発行がより積極的に実施されるよう、商品券事業に取り組む自治体への支援について、東京都として何か取り組むことができないのか、ぜひとも検討を進めていただきたいと存じます。
加えて、このほかにも、防犯カメラの設置、自転車駐車場の整備、自動体外式除細動器、AEDの設置など、商店街の活性化に結びつき、商店街が地域コミュニティの核としての役割を充実させる取り組みを、今後とも商店街と力を合わせて一つずつ着実に進めていくことを強く要望して、商店街に関する質問を終わります。
次に、羽田空港跡地利用について伺います。
本年三月に、羽田空港移転問題協議会は基本計画を策定しましたが、基盤整備などの課題が残されております。平成二十二年十月に羽田空港の再拡張事業が終了し、国際化の進展が目に見える時期になった今、首都東京の表玄関である空港跡地の早期具体化が求められております。
そこでまず、空港跡地活用に向けた今後のスケジュールと東京都の基本的な考え方を伺います。
空港跡地の具体的な利用を目指す上で、東京都が果たすべき役割は大変重要であります。大田区では、土地利用の考え方を示した羽田空港跡地利用OTA基本プランの素案を示しましたが、その中で、空港隣接地の立地を生かし、大田区の発展につなげるとともに、国際都市東京の価値向上に貢献する考え方を示しています。空港跡地は、広域的な視点での活用も考えていく必要があると考えます。
基盤整備や具体的な利用について、東京都は積極的に役割を果たし、地元区と協力して魅力ある活用を目指すべきと考えますが、見解を伺います。
空港跡地の具体的な利用に向けて、やはり国有地である跡地をどの主体が取得するのか、これをはっきりさせないとなかなか前には進みません。この点については、昭和五十六年に都知事と運輸大臣とで取り交わした確認書の中で、その第三項には、(1)、沖合展開により空港用地外とする範囲とその土地の利用計画、(3)、沖合展開により空港用地外となる土地を東京都が取得する方法と時期について、関係機関との調整を踏まえ、別途協議する。第四項には、この空港用地外とする範囲とその土地の利用計画に際しては、地元区の要望を十分配慮すること。第六項には、これらの事項を適宜協議するため、羽田空港移転問題協議会を存続させることなどが確認されております。
時代は大きく変動し、それに即した柔軟な対応が必要なことはもちろん理解いたしますが、この確認書は跡地利用に関する取り決めの基本となるものであり、この確認書の懸案事項は、羽田空港移転問題協議会で決定すべきものです。
この確認書の扱いをどうするのか、土地処分などについての東京都の態度を明確にする時期が来ていると考えます。
この件につきましては、昨日、同趣旨の質問が出されましたが、もし東京都が取得しない場合でも、可能な範囲で購入意欲を示している大田区に対して、財政的支援を初めとするさまざまな支援が必要と考えますので、この点も含めての見解を伺います。
ことしの二月に、東京都もメンバーとなっている京浜臨海部基盤施設検討会は、いわゆる多摩川連絡道路についての三つのルートと構造案を公表しました。この案では、羽田側の取りつけ位置が空港跡地となっていることからも、もし実現されるということになれば、空港跡地活用が大きな制約を受けることとなるため、その後の検討状況がどうなっているのか、大変気になるところであります。
羽田空港と川崎方面を結ぶ交通ルートは、東京湾岸を結ぶ大動脈である国道三五七号の延伸が当然優先されるものと確信しております。
そこで、東京都は、多摩川連絡道路について、羽田空港跡地の土地利用との関係をどのように考えているのか、また、既に都市計画決定されている国道三五七号整備の重要性についてどのように認識しているのか、あわせて伺います。
最後に、私が空港の質問をするときに欠かさず取り上げてきた地元の思いについて伺います。
とかく首都圏の将来の航空需要にこたえるという重要課題のもとで忘れられがちなのが、四十八時間の強制退去や航空機騒音の歴史であります。当初の沖合展開事業の第一の目的は、航空機騒音の解消であります。とはいえ、地元の方々は、今さら土地を返せとか国際化に反対だとかいっているのではございません。空港がよくなるのと一緒に地元もよくしたいという思いでございます。
左旋回飛行の廃止を初めとする環境問題の解消、水と緑と安全のまちづくり、交通アクセスの整備、地元産業の活性化など地元の課題を、空港の沖合展開事業や再拡張事業とともに進めたいのでございます。
そのためには、空港跡地だけの開発ではなく、周辺地域も含めた総合的、一体的まちづくりがぜひとも必要であります。
この時期にこそ忘れてはならない地元の思いについて改めて見解をお聞きして、私の質問を終わります。(拍手)
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 神林茂議員の一般質問にお答えをいたします。
まず、商店街組織力強化支援事業の現状と今後の取り組みについてでありますが、商店街を活性化させるためには、事業者間の一層の連携や協働が求められており、商店街組織に加入していない事業者の加入促進を図ることが必要であります。
このため、都では、今年度、組織力強化支援事業を開始いたしましたが、この支援事業によりまして、既に都内各地域におきまして、商店街加入促進マニュアルの作成や加入促進フォーラムの開催など十七の取り組みが進んでおります。
今後とも、商店街が取り組む組織力強化に資する事業を積極的に支援していくとともに、すぐれた事例を他の商店街に敷衍することで、本事業の実効性を高め、商店街のより一層の活性化を図ってまいります。
次に、特定施策推進型商店街事業におけるLEDランプの設置に対する支援についてでありますが、商店街街路灯のLED化は、商店街の活性化のみならず、CO2削減による地球温暖化防止を目指す都の施策にも寄与するところから、現在、特定施策推進型商店街事業の対象とし、設置費用の助成を行っております。
地球温暖化の防止は、今後ますます重要な行政課題となることに加え、商店街からも、アーケードの照明設備など街路灯以外にもLEDランプを活用したいという要望が寄せられておりますことから、LEDランプ設置に対する支援の拡充を検討してまいります。
最後に、新・元気を出せ商店街事業についてでありますが、都はこれまで、新たな支援メニューを順次追加するなど同事業の拡充を図ってまいりました。こうしたことに加え、同事業を使い勝手のよい制度としていくことは、商店街の活性化を図る上で有効と考えております。
都では現在、新・元気を出せ商店街事業のイベント、活性化事業につきまして各区市町村がそれぞれの地域の実情に応じて補助対象のいかんを判断できるよう、各自治体と協議を進めているところであります。
今後とも、同事業が商店街にとってより一層使いやすい制度となるよう努めてまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 羽田空港にかかわる五点のご質問にお答えをいたします。
まず、羽田空港跡地利用の基本的考え方とスケジュールについてでございます。
空港跡地は、国際化の拠点施設に隣接するとともに、周辺市街地へとつながる重要な空間でございまして、空港との十分な連携や市街地との調和を図ることが求められております。
このため、国、都及び地元区から成る三者協は、本年三月、跡地利用基本計画を策定し、市街地近接ゾーンには文化・交流機能、産業支援機能を、国際線地区隣接ゾーンには国際交流機能、商業機能を、B滑走路隣接ゾーンには空港連携機能をそれぞれ誘導することといたしました。
都といたしましては、今後、三者協において、再拡張事業の進捗を見据えながら、事業手法や基盤施設の整備のあり方などについて精力的に検討を進め、跡地利用の早期具体化を図ってまいります。
次に、跡地利用についての都の役割についてでございますが、都はこれまでも、三者協の事務局として、共同調査の実施など検討作業を推進するとともに、有識者の助言や大田区の意見等を跡地利用基本計画に反映するよう努めてまいりました。
跡地整備を進めるためには、関係者間の連携を一層強化しながら、道路や護岸、ライフラインなどの基盤施設の整備や跡地の処分、事業手法等の課題を解決し、計画の早期具体化を図ることが重要でございます。
これら課題の解決に向けて、都は、主体的に国や大田区など関係機関と密に調整を進めていくとともに、特に土地所有者である国に対しましては、基本計画で示した方向性に沿った積極的な取り組みを強く求めてまいります。
次に、羽田空港跡地に係る確認書についてでございます。
この問題につきましては、昨日も知事からお答えしたとおりでございますが、当時と状況が大きく変化したことに加えまして、三者協が策定した跡地利用基本計画を実現する上でも、都が跡地を一括取得する必然性はなく、基本的に、それぞれの施設の整備主体が土地の譲渡または貸与を受けることが合理的と考えられます。
大田区は、本年十月に公表したOTA基本プランで、市街地近接ゾーンについては区主導で整備するとしておりますが、今後、計画的な土地利用を進めるための事業手法を三者協で協議し、跡地利用の早期具体化を図るとともに、必要となる基盤施設の整備等について、都として地元区に対し、技術的支援など必要な協力を行ってまいります。
次に、羽田空港に関連する道路についてでございます。
空港と神奈川県を結ぶ連絡道路につきましては、先ほどお話にもございましたように、本年二月に開催された京浜臨海部基盤施設検討会において、連絡道路の役割や効果、整備の候補地である三つのゾーンごとの概略ルートや構造などが報告されました。
これによりますと、本路線は、跡地の土地利用に関係することから、今後、地元区を初め関係機関との調整が必要であると考えております。
また、国道三五七号は、東京臨海部における広域的な道路ネットワークの形成のみならず、羽田空港へのアクセスや物流の円滑化にも寄与する重要な路線でございます。しかしながら、空港に隣接する多摩川トンネル部など未整備区間があることから、都はさまざまな機会をとらえ、整備促進を国に強く要請してきております。
最後になりますが、空港の周辺地域のまちづくりについてでございます。
跡地利用の基本的な視点のうち、空港を生かすこと、空港と連携することの二点につきましては、周辺地域のまちづくりにおいても共通する重要な考え方でございます。
周辺地域のまちづくりを進めるに当たりましては、人、物、情報の交流機能を十二分に発揮させるとともに、空港に密接な関連がある施設等を充実させることにより、さらなる発展を図ることが求められます。
都といたしましては、こうした認識に基づきまして、地元大田区とも連携して、必要な支援を行うなど、跡地とともに周辺地域のまちづくりも促進してまいります。
○議長(比留間敏夫君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時二十八分休憩
午後五時四十六分開議
○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
二十九番尾崎大介君。
〔二十九番尾崎大介君登壇〕
○二十九番(尾崎大介君) 世界的な金融危機が勃発してまだ日は浅いですが、日本はもちろんのこと、全国でも特に中小零細企業が集中している東京都においても、その影響は小さくありません。これから資金繰りの苦しい年末年始を迎えるわけでありますが、まさに未曾有の危機といっても過言ではないと思います。
石原知事は、二〇〇八年十二月一日付産経新聞の「日本よ 零細なるものをこそ救え!」というタイトル記事の中で、中略をいたしますが、実は本当に大切なのは、そうした規模の下の、さらにろくな担保も持たぬ、しかし可能性に満ちた零細な企業の窮地を救うかということなのだと述べております。まさに、今がその言葉を体現すべきときであると考えます。
東京都では、本年十月三十一日付で東京緊急対策Ⅱを打ち出しましたが、緊急融資は当然であると考えます。まさに死ぬか生きるかの瀬戸際に立たされている中小零細企業がいる状況下であると思われますが、手形決済等が予想される年末に果たして間に合うのか、対策実施の現状についてお伺いいたします。
こうした企業対策においては、大中小を問わずして、いうまでもなく、そこで働く労働者にとっても大きな影響を与えております。特に非正規雇用者、派遣労働者については深刻な課題を抱えており、来期新卒者の内定取り消しも大きくクローズアップされております。
東京都では、緊急対策Ⅱにおいて、都二十万人と市区町村三十万の連携による五十万の雇用効果対策を掲げています。例えば市町村では、公園の本来機能の回復、福祉施設での社会奉仕活動、放置自転車対策など、雇用創出効果の高い事業となっておりますが、これらの事業は、現状においても、シルバー人材センターなど、既に従事している人がいると思われます。
そこで伺いますが、これは現在の雇用状況に追加をして行うということなのか、それとも全く新しい事業を創出するということなのか、お答え願います。
また、派遣労働者は雇用調整の弁にもなり、特に自動車産業を初めとした産業界における派遣労働者の中途解約や雇いどめが相次いでいます。
都は、こうした派遣労働者についての実態を把握しているのか、また今後どのように対応していくのか、お伺いいたします。
一方、来春新卒の就職内定取り消しが問題となっています。
十一月二十八日付の読売新聞によると、内定取り消しの内訳は、全国十の地域別では、南関東――東京都、千葉県、神奈川県が百四十人と最も多く、その中でも特に東京都が多いという記事もあるわけであります。
東京都では、この就職内定取り消しの実態をどこまで把握しているのか、また今後の対応についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。
先ほど述べました非正規雇用者や派遣労働者の実態は、世の中に深刻な課題を刻んでいます。現代の若者が真っ当に生きることを回避し、時に自暴自棄になり、秋葉原の事件のように犯罪に手を染めるのは、家庭や地域など社会のきずなが失われたことに一因があるように考えます。
今後も、新しい年を迎えられるのか、厳冬の中にほうり出される不安にある状況下で、人間が壊れ、企業、行政が非人間化していくことを防ぐためには、現実に今起きている問題を一つずつ解決していかなければなりません。
先日、私が受けた相談の中では、将来に希望を持てない、または当座の生活費が稼げないという理由で、娘さんがデートクラブや売春に走ってしまうケースが多いというお話もありました。
警視庁の統計によりますと、平成二十年に都内で売春行為で検挙された人数は百六十八人であり、うち未成年は五人であります。被害児童数は八人で、いわゆる出会い系カフェを温床とした売春の検挙事例も池袋でことし出ており、十八歳未満の少女が三十一人補導されております。
こうした問題は氷山の一角である可能性が高く、現代の拝金主義がその背景にあるかと思います。金融危機やそれに付随する派遣労働の問題も、いわゆる大人たちが興じてきたマネーゲームが招いた結果ではないでしょうか。
将来に希望の持てない若い世代に対し、雇用の面と青少年対策との両面で取り組んでいき、額に汗して働くことが報われるまちづくりを東京都が率先して行っていくことこそが、現在のこうした状況を打開できる唯一の道だと信じてやみません。
先般、東京都青少年問題協議会では、若者の非社会性をめぐる問題に関し、意見具申をしたと聞いております。都でも、これを重く受けとめ、青少年施策を積極的に推進していかれることを強く要望し、次の質問に移ります。
次に、地球温暖化対策及び循環型社会形成について伺います。
都では、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを推進していますが、これに関連する諸点について何点かお伺いいたします。
地球温暖化対策を推進するための目安として、最近ではCO2の見える化が注目をされています。これは、商品、サービスのライフサイクルにおけるCO2排出量などを、ライフサイクル評価手法、すなわちLCA手法により定量的に評価をするものであります。
都民や事業者に対する行政サービスにおいて、CO2の見える化を利用することは、都の取り組みを理解してもらうとともに、率先的に範を示すことになると考えられます。
このCO2の見える化の具体的な方法の一つとして、食料品や衣類、日用品などの製造や消費にかかわるCO2排出量を商品に添付するカーボンフットプリントが注目されております。せんべいを例に挙げると、原料である米の生産から加工、包装材料の製造と廃棄、製品の輸送等、せんべいのライフサイクルにかかわる全工程のCO2排出量を測定して製品に表示をするものであります。
これらCO2の見える化について、今後、都においては率先して取り組む意思があるのか、お伺いいたします。
喫緊の課題である地球温暖化対策の取り組みとして、低炭素社会の実現に向けた対策は極めて重要であると認識しております。一方で、健全で豊かな社会生活を子々孫々まで維持していくためには、現在のような大量生産、大量消費、大量廃棄物の残滓を引きずった社会構造ではなく、より高い観点から真の循環社会を創造していくことが重要であると考えます。
具体的には、循環社会の実現に向けて3Rを推進していかなければならないと考えます。
3Rのうちでは、リデュースが最初に取り組まなければならないことでありますが、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケット等で販売されている食品について、賞味期限が近いからといって廃棄するのではなく、食品衛生法や食品リサイクル法にも配慮をしつつ、例えば福祉施設に提供したりであるとか、厳しい冬の寒空の下で過ごさないといけない、食に困っている人たち向けに提供するなど、何らかの手段を講じることができないのか、見解を伺います。
次に、家電リサイクル法の範囲外である小型家電でありますが、これは燃えないごみなどとして処理されるものと思われます。どのような形でリサイクルをしているのか、現状を示すとともに、より循環性を高めるために、東京都として実施する今後の取り組みをお伺いいたします。
もう一つは、二〇一一年の地上波デジタル完全移行に伴うブラウン管テレビの排出増大であります。
家電リサイクル法に沿って適切に処理、処分されるのであれば問題はありませんが、利用者が支払うべき処理委託料を惜しんで不法投棄が多発する可能性があることが考えられます。現時点でのこのブラウン管廃棄に対する認識と対応策についてお伺いをいたします。
以上も含め、3Rにはさまざまな課題があるため、東京都、市区町村、国等で発行している資料を整理して、都民や事業者が廃棄する際に取り組みやすくするようなマニュアル類を整備し、これを都内全域で共通化することを提案いたしますが、見解をお伺いいたします。
東京の環境二〇〇八において、感染性廃棄物の追跡管理システムがクローズアップをされています。医療関係機関から排出される感染性廃棄物は特別管理廃棄物に分類されており、少量であっても不適正処理されると健康被害が生ずるため、適正処理に向けた対策が必要であり、ICタグを利用した追跡管理システム事業も開始されております。
そこで、都内から排出される特別管理廃棄物には、感染性廃棄物以外に、アスベストやPCBなど、ほかにもありますが、感染性廃棄物のみを対象としているのはなぜなのか。病院だけに対して補助金を出すのではなく、病院以外から排出される感染性廃棄物に対しても、ICタグの代金の一部を補助する制度が必要ではないか、見解をお伺いいたします。
また、近年、在宅医療の進展に伴い、家庭から在宅医療廃棄物の量が増加をしております。廃棄物処理法では、家庭から排出される廃棄物は一般廃棄物に分類され、市町村がその責任を負っています。つまり、在宅医療廃棄物に関しては市町村に処理の責任があるわけですが、実態は、市町村により対応がまちまちであり、在宅医療廃棄物に関しては、回収、処理をしない市町村も多々あります。
そんな状況下で、東京都薬剤師会のような公的機関でないところが、例えば薬局から購入した注射針に関しては、薬局にて回収をし、処理を行う取り組みがなされたりしております。
東京都としては、本来市町村に処理責任のある、この在宅医療廃棄物の取り扱いに対し、どのように考え、市区町村にどのような指導、支援を行っているのか、見解を伺います。
二〇〇六年に始まった花粉の少ない森づくり運動から二年が経過し、先月、東芝グループと都の間で、多摩における森林整備に関する都と東芝グループとの基本協定が締結されたとのことであります。
協定の中で、多摩産材の利用拡大というものがありますが、例えば東芝関連施設や従業員の家屋建築等に当たり、積極的に多摩産材を使うなどが最も効果的であると考えます。こうしたことも含め、今後、東芝と連携してどのような取り組みを進めていくのか、お伺いいたします。
また、森林整備に関して、企業の排出するCO2を吸収するというカーボンオフセットという考え方がありますが、森林の間伐などの費用を都内の企業に負担してもらい、間伐によるCO2削減量を企業の削減量とする取り組みは可能かと思いますが、見解をお伺いいたします。
こうしたことを含め、石原都政において、知事のいう低炭素都市を目指すのであれば、多摩の森林を整備することが非常に重要であると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
最後に、私の地元の調布市においての京王線立体交差事業について伺います。
現在、京王線の国領駅から調布駅までの間で地下化工事が進められておりますが、平成二十四年度が完成目途のため、メーンの調布駅は地下化工事が終了をするまで橋上駅舎化されております。
以前から、この調布駅は京王線の中でも非常に使いにくいという統計が上がっており、現在も一日およそ十一万人が利用するメーンの駅にもかかわらず、エスカレーターも整備されておりません。
また、橋上駅舎の構内は風通しが悪いため、秋の時点でも、クーラーがついていない構内は蒸しぶろのような状態で、市民からたくさんの苦情が上がっております。このような状況が少なくも新駅舎完成までの四年間続くということは、利用者、住民に苦難を強いるといわざるを得ないわけであります。
こうした事業を進めていくためには、やはり利用者のことを考えた措置を講じていかなければ、真のまちづくり事業とはいえないと考えます。
そこで、事業者である東京都は、こうした利用者の声を受けとめ、工事期間中における調布駅利用者の利便性の確保についてどう考えているのかお伺いをし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 尾崎大介議員の一般質問にお答えいたします。
多摩の森林整備についてでありますが、森林は、水源の涵養、生物多様性の保全のみならず、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収、貯蔵するなど、多面的な機能を持ったかけがえのない都民共通の財産でもあります。美しい森に入って、精神的、肉体的にリフレッシュされない人間はいないと思います。
多摩には、二十三区の面積に匹敵する五万ヘクタールもの貴重な森林が存在しますが、林業の低迷によって、多摩の森林は長年にわたり放置され、荒廃が進んでおります。そのため、都は、林道などの基盤整備を行うとともに、間伐などにより森林再生の取り組みを進めてまいりました。
また、今般、都道府県と民間企業との間では全国初となる包括的な協定を東芝グループと結びまして、多摩の森林整備にご協力をいただくことになっております。
今後は、多摩の森林整備を進め、かつての豊かな森林を取り戻し、次の世代に継承していきたいと思っております。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、経営緊急融資の年末に向けた取り組みについてでありますが、経営緊急融資の利用に必要な区市町村長の認定を円滑に進めるため、都はこれまで、中小企業診断士を三十二の自治体に配置してきたところであります。また、東京信用保証協会におきましても、増員措置や休日の対応など、審査体制の強化を図ってきております。
資金需要の高まる年末に向けまして、信用保証協会などの関係機関と連携しながら、引き続き適切に対応してまいります。
次に、雇用創出事業についてでありますが、東京緊急対策Ⅱに盛り込んだ区市町村との連携事業では、延べ三十万人分の雇用創出を目標に、区市町村が地域の実情に応じて新たな雇用創出効果の高い事業を実施できるようにしてまいります。
区市町村が実施する個々の事業につきましては、区市町村ごとに事業内容を検討していただくことになりますが、支援の対象といたしますのは、新しい事業、または従前から実施してきた事業の場合には、内容、規模を追加して実施する事業と考えておりまして、既存の事業そのままでは対象としない考えであります。
次に、派遣労働者の中途解約等の実態把握と対応についてでありますが、都の労働相談情報センターには、契約期間途中での打ち切りなど、派遣関係の深刻な相談が多く寄せられており、この三年間で相談件数が倍増している状況にあります。
都は、こうした労働相談を通じ、労使紛争の解決に向けて支援を行いますとともに、企業に対しまして、セミナーの開催等により法令の周知を図ってきております。
現下の派遣労働者を取り巻く環境は厳しさを増しており、今後、国と協力し、企業に対して労働者派遣法等の一層の遵守を求めてまいります。
次に、就職内定取り消しの実態把握と今後の対応についてでありますが、厚生労働省の調査によれば、本年四月から十一月二十五日までの都内新規学卒者の内定取り消し者数は百三十人と、既に昨年度の四倍に達するなど深刻な状況にあります。
このため、都は、大学の就職部に呼びかけ、東京労働局等の関係機関の協力も得まして特別相談会を開催し、内定取り消しを受けた学生等からの相談に応じてまいります。
また、都は、国と連携し、経済団体に内定取り消しの防止について要請をしてまいります。
最後に、多摩の森林整備に関する東芝グループとの協定における今後の取り組みについてでありますが、本協定は、多摩の広域的な範囲を対象としまして、さまざまな取り組みを行うというものであり、こうした包括的な協定は、都道府県と民間企業との間では全国初めてのものとなります。
東芝には、既に企業の森第一号として多摩の森林整備にご協力をいただいているところであります。
今回の東芝グループの協力内容は、企業の森事業への参加拡大や、ボランティア活動による植栽や下刈りなどを行うこととしております。
さらに、保健保安林における都民のレクリエーション等の場の整備や、グループ企業、また従業員による多摩産材の利用拡大などについても盛り込まれております。
具体的な取り扱い内容につきましては、今後、本協定に基づきまして、関係者による協議会を設置して検討を進めてまいります。
〔環境局長有留武司君登壇〕
○環境局長(有留武司君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、CO2の見える化についてでありますが、都は、電気、ガスなどのエネルギー事業者に対し、国の法改正に先立ち、領収書へのCO2排出量の記載を求めるなど、これまでもCO2の見える化に取り組んでまいりました。
また、各家庭がみずから電気やガスの使用量を把握する環境家計簿も、CO2の見える化を行うものであり、エネルギーの使用を見直すきっかけとなります。
東京都地球温暖化防止活動推進センターにおきましても、自主活動として、本年八月からホームページへの環境家計簿の掲載を開始しております。
今後とも、区市町村やNGOとの連携により、家庭に向けた普及啓発活動を行っていく中で環境家計簿の一層の活用を進めるなど、見える化に取り組んでまいります。
次に、食品廃棄物の発生の抑制、すなわちリデュースについてであります。
現在、食品関連事業者には、食品リサイクル法により、食品をむだにしない在庫管理や精度の高い需要予測など、食品流通の合理化に向けた取り組みを進めることが求められております。
また、品質や安全性に全く問題がない、比較的新鮮な食材を食品関連企業から無償で受け取り、それを福祉団体等に寄贈するフードバンク活動を行うNPO法人があることも聞いております。
都としては、食品廃棄物のリデュースに向けまして、都民や事業者に必要な情報を提供するなど、普及啓発に努めてまいります。
次に、リサイクルに関する諸課題についてでありますが、家電リサイクル法の対象外の小型家電等のうち、携帯電話については、販売事業者等による自主的な回収が行われております。その他の小型家電については、ほとんどが廃棄物として処理されているため、来年度、リサイクルの促進に向け、必要な検討を行ってまいります。
地上デジタル放送への移行に伴うブラウン管テレビの廃棄の問題については、デジタルチューナーの普及による廃棄の抑制やリサイクル施設の能力の向上などに国が取り組んでいますが、都としては、今後とも、不法投棄などの問題が生じないよう、区市町村と連携してリサイクルの周知徹底に努めてまいります。
3Rに関するマニュアルの整備については、都や区市町村、国等の取り組みをまとめ、「東京の資源循環」という冊子で毎年わかりやすく都民に情報提供しております。
次に、ICタグによる追跡管理システムについてであります。
感染性廃棄物は、少量でも不法投棄されると人への健康被害が大きいことから、ICタグにより追跡管理できるシステムの普及を図ることが重要であります。
現在、都と東京都医師会等との連携により、診療所や歯科医院等を中心にこのシステムの普及が進んでおります。
一方、病院については、感染性廃棄物が大量に排出されることから、その費用負担が大きく、導入がおくれております。このため、今年度から病院を対象にICタグ代の一部を補助する制度を開始し、利用拡大を図るとともに、ICタグの需要拡大、需要増大により単価が引き下げられることを期待しております。
単価の引き下げにより、研究機関も含め、病院以外の事業者にもシステムの普及が進むものと考えております。
次に、在宅医療廃棄物の処理についてであります。
在宅医療廃棄物は、廃棄物処理法上の一般廃棄物であり、区市町村にその処理責任がありますが、その中には感染のおそれがあるものが含まれており、安全かつ適正に処理することが重要であります。
このため、特に鋭利であり、慎重に扱うべき注射針については、東京都薬剤師会と協力して、地域の薬局で自主回収するシステムを構築してきました。
一方、点滴バッグなど、感染のおそれのないものについては、家庭ごみとして区市町村が適正に処理するよう指導してまいりました。
今後、在宅医療廃棄物の増加が見込まれることから、区市町村に対して、薬剤師会や医療機関等との適切な役割分担のもと、排出ルールの徹底など、適正な処理を確保するよう働きかけてまいります。
最後に、森林整備とCO2削減についてであります。
近年、森林整備活動への企業の参加が広がりを見せていますが、森林の適正な管理を継続的に行っていくことは、地球温暖化防止にも寄与し得るものであります。
一方、企業の費用負担により森林整備を行った場合に、その温暖化防止効果を定量的に評価し、認定するための統一的なルールはまだ確立しておりません。
また、森林が吸収したCO2は、樹木が枯れることなどにより再び大気中に放出されるため、その森林整備による効果は、適正に管理されている期間のみに限定されるという特性もあります。
地球温暖化防止に向け、企業による森林整備を促進するためには、こうした状況や観点も踏まえた評価等のあり方について検討が必要だと考えております。
〔建設局長道家孝行君登壇〕
○建設局長(道家孝行君) 京王線調布駅付近の連続立体交差事業についてお答えいたします。
本事業は、都が事業主体となり、道路整備の一環として道路特定財源により実施されており、鶴川街道や狛江通りの交通渋滞や京王線による地域分断を解消するとともに、駅周辺のまちづくりにも寄与する極めて効果の高い事業でございます。
今年度当初、暫定税率や地方道路整備臨時交付金制度が失効し、事業の進捗に陰りが見えましたが、さまざまな工夫と取り組みにより、遅滞なく事業を進めてまいりました。
お尋ねの調布駅は、市の中心に位置し、多くの乗降客が利用する主要な駅でございます。仮設の橋上駅舎の設置に際しましては、利用者の利便性の向上を図るため、地元市等とも協議をいたしまして、従来、幅員が二・七メートルでありました自由通路を十メートルに拡幅するとともに、新たに四基のエレベーターを設置したところでございます。
引き続き、地元市及び鉄道事業者と連携し、利用者の利便性や安全性に配慮するとともに、混迷する道路財源の動向にかかわらず、今後も必要な財源を確保し、揺るぎなく事業を推進してまいります。
○副議長(石井義修君) 四十三番矢島千秋君。
〔四十三番矢島千秋君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○四十三番(矢島千秋君) 分権改革という名の行政改革は、まさに社会構造改革そのものであります。日本の分権の歴史は、幕藩体制下の藩の自治権が相当程度高かったといい、多様な時代を経て、社会構造改革の究極としての分権改革、道州制が日程にのろうとしております。
この点は、石原知事が既に平成十三年の本会議所信表明で、歴史的必然である道州制を視野に入れながらと、認識と決意を述べられております。そして、東京都の、八都県市と拡大した首都圏連合の取り組みも、当然、もとにその認識があることになり、今さらながらその重さを実感しております。まして、行政区画は東京都であったとしても、埼玉都民、千葉都民、神奈川都民と、意識の中で東京地方は広域のくくりの中にあります。
かような状況のもと、政府は年内に、理念、移行の工程を示す道州制基本法案骨子を固め、来年の通常国会に提出する方向との報道がありました。しかし、究極の分権、道州制の制度設計は、地政学的条件の中で、経済財政規模、人口規模など、平均点的に整合性を求めることも一つの認識ではありますが、日本の将来に係る活力を維持し発展させるものでなければなりません。
実際、東京は、単独案、そして内部に特区を含む単独案から広域案までありますが、大都市東京の生み出す国の富の源泉を分散させてはならず、もし東京の経済圏あるいは首都圏経済圏の実態と乖離した行政区画を継続、新設するものであるならば、東京都の現在の取り組みを維持することで補完することが必要となり、道州制の導入の効果も十分といえなくなるのではないでしょうか。
そこで、この待ったなしの状況のもと、活力のある日本構築の基礎条件として、道州制の中での東京の姿をさらに積極的に発信すべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
資料によると、平成十九年度、東京都管内の刑法犯認知件数は、各警察署平均で二千二百六十五件に対し、新宿、渋谷、六本木、池袋など都内盛り場を抱える麻布、渋谷、新宿、池袋署の四署平均は四千六百件と大きく上回るなど、刑法犯の認知件数が高く、多くの人が集う歓楽街であるだけに、その根は深く、状況は深刻であります。
警視庁では、それらの盛り場四地域に対し街頭防犯カメラを設置し、また、迷惑行為取り締まりのため、条例改正により実効ある取り締まりにつなげ、あるいは街頭をパトロールする警察官の姿を積極的に見せるなど、盛り場を訪れる都民の安心となっており、地域関係者の一人として、その努力は評価するものであります。
なお、これらの盛り場対策の重要性は明らかでありますが、総合対策の取り組み内容と効果、さらに盛り場対策の今後の状況についてお伺いいたします。
さて、東京都の治安は、統計で見る限り、関係部局の努力もあり、全体として決して悪化はしていないといわれております。しかし、犯罪内容は凶悪化を深め、都民の最前線で犯罪に立ち向かう、あるいは多様な場面で身をもって都民を救う地域警察官は、最後には命をかけなければならないのであります。
そこでお伺いいたしますが、初速の速いけん銃の登場、殺傷ナイフの多用など、精神論では解決できない犯罪が進んでいることから、既に導入が進んでいるとお聞きしておりますが、高規格防弾チョッキを初め、現場で都民の命を最後の段階で守る地域警察官の活動安全を確保する装備の充実をすべきであります。
また、負傷した警察官本人と家族、殉職警察官の残された家族の心のケアなどの対応についてもお伺いいたします。
震災時の対策について、二点お伺いいたします。
ことし三月の東京都防災会議地震部会の、より現実的な条件のもとでの被害想定によると、死者五千六百人、負傷者十五万九千人とされております。私も、阪神大震災発生後二週間目に現地に入りましたが、その悲惨さは目を覆うばかりでありました。
この震災発生時、組織的に活動できるのは、東京消防庁、警視庁、出動要請された自衛隊と地域の消防団などとなります。しかし、阪神の現実を見ると、一面の焼け野原に、四メートルの道路を挟んで被害の少ない家が建ち並んでいる状況でありました。つまり、深刻な被害であっても、実際は全域壊滅ではなく、まだらがあるということになります。
また、大震災が直撃し、多くの被害が出た地域は、消防団員の参集と要員の確保が極めて困難となります。一方、被害の軽微な周辺地域では、統一した訓練を重ね、士気が高く、活動に余力のある消防団があるということでもあります。消防団には、団担当地域あるいは五百メートルの縛りがあり、平時には有効な地元意識も、三十年以内に七〇%の確率で発生するとされている大規模震災時の対策をしっかり検討されていなければ十分ではありません。ぜひとも、緊急時の状況を想定し、消防団は所管地域を超えて相互に支援することを前提にするなど、一万六千、二十三区団員のうち、既に技能団員として登録を済ませている千六百人以外の一般団員についても、消防団員が組織的活動のできなくなった地域に緊急出動し、持てる力を即時全力投入する体制を検討すべきであります。それなくして、助かるべき命も失われることになります。
そこでお伺いいたしますが、消防団が所管の地域から他地域に出動する場合は、どのような基本的前提と要請が必要となるのか、また、震災発生時の迅速な行動を考えると、震災が発生してからの組み立てでは、半日のリードタイムでも大きなロスとなります。大震災は突然と発生するのでありますから、隣接する余力のある消防団を緊急支援のため派遣し、貴重な戦力として有効に活用するには、平時のうちの周到な計画と十分な準備、そして訓練が必須条件であります。
そこで、この取り組みの必要性についてお考えをお伺いいたします。
東京都内七十八カ所の都立公園は、生活の中で都民の憩いの場として提供され、震災発生時は、都立公園のうち、二十三区内にある三十九カ所が避難場所として指定されております。ここには、園内の池に水を供給する井戸は、二十三区内でも十八カ所掘られ、その揚水量は、最も多いところで日量二千四百七十七立米にも及ぶ井戸水源であります。実際、直下型の震災時はライフラインも大きく被害を受け、このうち、緊急時に必要な飲料水は水道局が責任を持つなど仕切りはありますが、実際、都民が一時避難するなど、拠点にある都立公園の多くの井戸水源は、緊急時生活資源ともいえるものであります。
それだけに、これらの井戸水源が生活用水にたえる水源かなど、井戸水の状況を把握することは、平時の管理者として極めて当然のことであり、今回の質問では、停電時のポンプ運転設備を用意すべきとまでは申し上げませんが、震災時に避難場所をオペレーションする関係区に、その井戸水の水質等の情報を提供することは基本的なことであり、お考えをお伺いいたします。
現在、路面電車、都電荒川線は、十二・二キロを運行し、一日五万三千人を運び、二十五億九千万円の運賃収入を得て四千万円の黒字であり、その投資は、レトロ車両の製造、電停のレトロ化整備を行っているほか、必要最小限の設備更新に抑えられております。
また、交通局ではこれまでに、LRT化、あるいは新宿、浅草延伸、池袋駅接着を検討し、採算性から事業化に至らなかったと聞いておりますが、単に基盤施設がある交通体系の現状運行とするばかりではなく、連続した利便性の確保、地域の活性化など、路面電車の役割をまちづくりへ生かすことで、その価値を増すことになります。
だからこそ、せっかくある交通施設、都電の位置づけを明確にし、その機能向上に積極的に取り組み、大きな可能性を含めたトラフィックトランジット中核素材として、魅力向上を図るべきであります。この点について認識をお伺いいたします。
また、東京の交通網の魅力の一つはその利便性でありますが、都電もまず、交通結節、接続の強化によるサービスの向上を一層図るべきであります。
現在、都電は、JR山手線とは大塚駅で至近の距離で接続し、このJR大塚駅は、エレベーターもエスカレーターもないなど全く老朽化していた従来の駅舎が、交通結節点改良の立場から改築工事に入っており、接続している都電の電停が山手線大塚駅に隣接するガード下にありながら、結節点利便性の向上から取り残されたままで、都電利用者に対する配慮がなされておりません。
JR大塚駅舎改修という、まさにこの千載一遇の機会を失することなく、多く聞く利用者の声、まちの願いに耳を傾け、駅舎整備進捗にあわせた都電とJR大塚駅の結節機能サービスの向上、また、接続する都バスなどとの乗りかえ利便性を進めるべきであります。お考えをお伺いいたします。
東京都公文書館の公文書管理は、地道でありますが、極めて重要なものであります。この記録文書管理については、ようやく国は、国の記録文書を一元管理するため、公文書管理に係る法律を来月の通常国会に出すと聞いております。これに対し、東京都は既に、昭和三十四年の日本学術会議の公文書の散逸防止についての提言を受けて、東京都公文書館を設置しております。
まず、現在に至るまでの経緯と、東京都公文書館の事業内容についてお伺いいたします。
この都公文書館の活動と、保管されている二百万点を超える資料は、単に東京の記録にとどまらず、東京の歴史文化遺産であり、また、条例立案、庁議など、長期保存文書の所蔵東京都文書は、常に進化している東京都行政施策のアカウンタビリティーそのものでもあります。そのうち、マイクロフィルム化、電子化がほぼ完了している東京都以前の記録文書に続き、その重要性から、東京都記録公文書の電子化を前倒しで図り、情報の体系化を進め、そのデジタルバックアップデータを別途保存すべきであります。
この都公文書館が作成または取得して三十年としている記録文書公開、閲覧は、現実に情報公開制度などによりリアルタイムで公文書が公開されており、また、既に公文書館で保存している文書も多く、利用者の立場から、その利便性を高める方法を導入すべきであります。
また、所蔵している資料、記録文書は、かけがえのない東京都民の財産であり、学芸員、研究員などを位置づけ、テーマに従った展示会の定期開催など、東京都の自治の取り組みを広く都民に伝えるべきであります。
この公文書館の大変重みのある四十年の歴史も、建物の老朽化している現在のままでは、都民の貴重な知的資産毀損の憂いを後世に残すことになります。できるだけ早い耐震補強あるいは改築をすべきであります。お考えをお伺いいたします。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 矢島千秋議員の一般質問にお答えいたします。
道州制についてでありますが、国における道州制に関する議論では、区割りやスケジュールばかりが先行していまして、我が国の屋台骨である大都市をどのように位置づけるか、余りつまびらかにされておりません。
首都東京は、我が国の頭脳部であり心臓部でありまして、仮に道州制に名をかりて東京の活力を奪うようなことがあれば、これは、単に東京を停滞させるだけではなく、日本全体の活力をそぐことにもなりかねないと思います。
現場を熟知した都としては、道州制の議論をまつまでもなく、既に、八都県市の連帯によりまして、ディーゼル車の排出ガス規制や、あるいは災害対策としての首都圏のネットワークのFEMA、首都圏FEMAもつくりました。そうした広域的な課題の解決に取り組んで着実に成果を上げてきたと思います。
道州制の導入に向けた議論が活発化してまいりましたが、こうした首都圏の積み重ねを踏まえて考えていくことが肝要だと思います。このことは、亡くなりましたけれども、かつてこの問題の委員長を務めていた秩父セメントの諸井君にも話したんですけど、彼自身も、首都圏がやった広域行政は非常に参考になるといっておりましたけど、それがどういうふうに組み込まれて報告されたか、つまびらかにいたしませんが、政府は何か、聞くところ、来年の通常国会にこれを出すといいますけど、どれだけの素案ができているか、さっぱりわかりません。
いずれにしろ、今後とも、国の議論を注視しながら、必要に応じて都としての主張を展開していきたいと思っております。
他の質問については、警視総監及び関係局長から答弁いたします。
〔警視総監米村敏朗君登壇〕
○警視総監(米村敏朗君) 盛り場対策の取り組み状況とその効果など、四点のご質問にお答えをいたします。
まず、盛り場対策の経過とその効果についてでありますが、議員ご案内のとおり、警視庁では平成十四年に盛り場総合対策推進本部を設置し、新宿歌舞伎町、池袋、六本木、渋谷、この四地区を中心に盛り場総合対策を推進してきたところであります。
ところで、私はかねてから、盛り場対策の警察としての眼目と申しますか目的、これは要は、だれもが安全で安心して楽しめる盛り場環境を実現するということでありますが、裏を返せば、盛り場から、怖い、あるいはひどい、あるいは気味が悪い、そういった要素をいかに排除していくか、そこが一つの眼目ではないかという考えで取り組んできたわけであります。
そういう観点から、一つは、街頭犯罪の取り締まり、ひったくり、路上強盗等の取り締まりであります。このため、都内に百五十台の街頭防犯カメラを設置し防犯環境を整備するとともに、この種の街頭犯罪等の検挙を促進してきたところであります。
また、例えば暴力団員とか、あるいは来日外国人犯罪者が多数盛り場に入り込んでいるという状況では、怖いあるいは気味が悪いということでもあろうかと思います。このため、これらが関与する、盛り場を根城とする犯罪組織や違法風俗店等に対する取り締まり、これを重点的に実施し、この種の暴力団員、来日外国人犯罪者等を多数検挙、摘発してまいりました。また、違法風俗店やカジノ店などを閉鎖に追い込んできたところであります。
もう一つの問題が、いわゆるぼったくりの問題であります。これもひどいという話でございます。これにつきましては、平成十二年に、ぼったくり行為を規制するための条例を制定いたしました。現在、ぼったくり風俗店はほとんど激減しているという状況ではなかろうかというふうに思います。
また、もう一つの問題は、地元の方等からお話を伺いますと、いわゆる無料風俗案内所の問題がございました。これも、余りにも性的好奇心を助長するような看板、写真等、ひどいという話でございます。これにつきましては、平成十八年に、この風俗無料案内所を規制するための条例を制定し、現在、この種の風俗案内所の外見も相当改善されてきたのではないかというふうに考えております。
加えて、気味が悪いといいますか、要するに、キャバクラのスカウト行為あるいは執拗な態様で行われる客引き行為、勧誘行為でありますが、これは本年四月に、これを取り締まるため、いわゆる迷惑防止条例等の一部を改正いたしまして、十月末までに百三十人ほどを検挙いたしております。盛り場の環境浄化を図ってきたところであります。
等々の諸対策を推進してまいったわけでありますけれども、全体として都内の盛り場環境は、相当表面上は浄化されてきたのではないかというふうに考えております。
その一方で、取り締まり対象行為が潜在化したり巧妙化するというのが、いわば摘発逃れのための新たな動きも後を絶たないということであります。
今後の盛り場対策についてでありますが、今申し上げたような、いわゆる怖い、ひどい、気味が悪い、こういったものが復活されないような対策を引き続き強力に推進していくということであろうかと思います。
また、今申し上げましたような摘発逃れのための動き、一例を申し上げれば、デリバリーヘルスを仮装した違法な個室マッサージ店の登場、あるいは売買春の温床となっている出会い系の喫茶あるいは深夜酒類提供飲食店の届け出をしながら接客行為を行うガールズバー等が出現をしておるわけであります。こうした店舗を放置すれば、再び盛り場環境を悪化させることになりかねないというふうに考えております。
警視庁といたしましては、今後とも、先ほど申し上げましたとおり、盛り場の対策については全力を挙げて取り組んでまいりたい。環境の実態を的確に把握し、あらゆる法令を駆使した取り締まりを徹底するとともに、東京都あるいは関係機関、団体、そして何よりも地元の商店街等の方々と連携を深めながら、まちぐるみの対策を推進してまいりたいというふうに考えております。
次に、第一線警察官の装備資器材の充実強化についてのご質問がございました。
私は、第一線の警察官が一番大事なのは、いかなる状況にあろうとも、決してひるむことなく職務に全力を傾注することだというふうに考えております。そういう意味でも、都民の生命、身体を守るとともに、警察官自身の受傷事故防止を図る観点から、軽量で防護機能の高い装備資器材の開発、改善に努めてきたところであります。
私ども、過去に痛い経験が多々あるわけでございますが、特に近年は、刃物、銃器を使用した凶悪事件の発生が目立つようになってきております。防護範囲の広い耐刃防護衣あるいは耐刃手袋の整備を初め、防弾性にすぐれた資器材を開発し活用し、またさらに装備の一層の充実強化には努めてまいりたいというふうに考えております。
最後に、殉職した警察官の家族あるいは重傷を負った警察官本人に対する精神的ケアについてでございます。
不幸にして職員が殉職したり、重傷を負った場合、事件、事故の発生直後から、その職員、家族に対しまして、同じ所属の職員はもとよりでありますが、本部の公務災害担当者を指定いたしまして、療養やその生活に必要な助言、支援等を行っているところであります。特に精神的ケアが必要な場合には、これは専門の相談員がアドバイスを行ったり、健康管理本部の臨床心理士によるカウンセリングあるいは職域病院である警察病院の専門医による治療が受けられるようになっているところであります。
いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、現場の警察官が事に臨んでひるむことがなく職務を全うできるよう、装備資器材の面、あるいは不幸にして負傷等を負った面のケアについては、引き続き十分に配慮してまいりたいというふうに考えております。
以上です。
〔消防総監小林輝幸君登壇〕
○消防総監(小林輝幸君) 特別区消防団の区域外活動についてお答えします。
消防団は、みずからの地域はみずからで守るという精神に基づき組織されており、自己団区域内での活動を原則としておりますが、消防組織法第十八条第三項により、消防長または消防署長の命令があるときは、自己団区域外においても行動することができるとされております。
このことから、特別区消防団では、震災時において自己団区域内の被害が極めて軽微な場合には、消防署長の命令に基づき、消防団長が、重機操作や大型自動車運転などの資格を有する消防団員を自己団区域外へ出場させることとしております。
その他の消防団員につきましては、消防署隊の応援出場に伴う自己団区域内の消防力の補完や余震等による被害の拡大防止、地域住民への出火防止の呼びかけなどを行うことになっておりますが、被害の極限防止の観点から、自己団区域外への応援も念頭に置き、総合的な震災消防活動について十分に検討してまいります。
〔建設局長道家孝行君登壇〕
○建設局長(道家孝行君) 都立公園における井戸水の水質等の地元区に対する情報提供についてお答えをいたします。
都立公園は、震災時における避難者の安全確保や救援、復興活動の場として大きな役割を果たすものでございます。公園内には、池の水位や水質を保つため、合わせて三十カ所の井戸を設置しており、池への補給水としての適否について、主要な井戸の調査を実施しているところでございます。
ご提案の、震災時の避難場所である公園内の井戸水を飲料以外の生活用水に使用することにつきましては、一定の基準に適合する必要があることから、今後、水質調査を実施してまいります。この調査結果を踏まえて、震災時に都立公園を避難場所として運用する地元区市に水質等の情報を提供してまいります。
〔交通局長金子正一郎君登壇〕
○交通局長(金子正一郎君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、都電荒川線の位置づけ等についてでございますが、荒川線は現在、一日五万三千人のお客様にご利用いただいておりまして、地域に密着した、環境に優しい公共交通機関として、今後も適切に運営していく必要があると認識しております。
交通局ではこれまで、荒川線の魅力向上や沿線地域の活性化に寄与できるよう、三ノ輪橋や庚申塚における地域の景観に合わせた停留場の整備やレトロ車両の導入、地元自治体や地域の方々と連携した沿線の緑化やイベントの実施など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
今後、地域のまちづくりとも連携して利便性の向上に努めるとともに、荒川線の魅力向上に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。
次に、荒川線の乗りかえ利便性向上についてでございますが、交通結節点における乗りかえの利便性を向上させることは、利用者サービスの向上はもちろんでございますが、公共交通機関のネットワーク効果を高め、利用促進を図るためにも重要なことと認識しております。
JR大塚駅では、現在、地元区が主体となりました南北自由通路の新設と、JR東日本によるエレベーター設置などの駅の改良が一体で進められております。これらの工事に引き続いて、駅周辺の整備も今後予定されておりまして、その整備動向も見ながら、荒川線との乗りかえ利便性の向上策について、地元区を初め道路管理者、地権者であるJR東日本に協力を働きかけるなど、必要な対応に努めてまいります。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 東京都公文書館についてお答えいたします。
公文書館は、過去、現在、未来をつなぐ公文書を適切に保存、公開し、後世における検証や研究等に役立てる重要な施設でございます。
そのため、都では、国に先駆けまして昭和四十三年に公文書館を設置し、重要な文書の引き継ぎ、保存を行ってきております。
現在では七十七万件を超える東京都の重要な行政文書を所蔵しており、行政活動を映し出す施設でもございます。さらに、所蔵している公文書などの資料を都民の方にわかりやすく普及、公開していくために、資料の電子化や歴史的史料の編さん作業、行政資料集の作成などにも取り組んでおります。
今後とも、資料の公開、提供について利便性を高めるほか、一層の電子化の推進や展示活動の充実、学術研究機能の強化などサービス内容を充実するとともに、貴重な資料を所蔵する施設として、耐震を含め、その維持補修などを適切に図ることによりまして、公文書館事業の推進に努めてまいります。
○議長(比留間敏夫君) 六十六番崎山知尚君。
〔六十六番崎山知尚君登壇〕
○六十六番(崎山知尚君) まず初めに、観光振興についてお伺いいたします。
近年、全世界の外国旅行者数は右肩上がりで伸びており、特にその牽引役として、アジア諸国で経済発展を遂げた国の増加が目覚ましく、二〇一〇年代にはアジア発の観光ビッグバンの発生が予測されています。国においても、外国人旅行者獲得を目指して、観光庁がこの十月に設置をされました。
そして、都は国に先駆け、平成十四年に全国で初めて宿泊税を導入し、観光振興に充てる財源を確保するとともに、観光振興策を積極的に展開してまいりました。そして、この夏には、訪日、訪都外国人がともに前年比一割増との発表がありました。
「十年後の東京」で示した一千万人の目標達成も前倒しかと期待した矢先に、米国発の金融危機や円高の影響で冷や水を浴びせられましたが、かつて過去にも、SARSやイラク戦争の影響で一時的な下落がありました。でも、それは一過性のもので、外国人旅行者は増加しています。
そして、二年後には好機が到来いたします。国は、平成二十二年以降、羽田空港の国際線の発着枠を、昼夜合わせて六万回にふやすとともに、成田空港でも約二万回の増枠を国際線に充てる方針が示され、超過密ダイヤが解消され、海外から東京への空のアクセスは向上します。
そして、この年には、成田空港と日暮里をわずか三十六分で結ぶ成田新高速鉄道も開通し、空港から都心へのアクセスも格段に向上することになります。
国も、工業立国、貿易立国に加え、観光立国として我が国の新たな産業基盤に据えようと、その取り組みがなされています。
都は、こうした機会を的確にとらえ、外国人旅行者の誘客にさらに積極的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
さて、これまで外国人旅行者がふえてきた背景には、これまでの伝統文化だけでなく、アニメ、ゲーム、ファッションなどの新しい文化がクールジャパンとして注目を浴びていることが大きいと考えられます。特に経済成長著しいアジアの国々では、若者を中心に日本の大衆文化が広く浸透し、ライフスタイルにも影響を与えているといわれています。
こうした状況の中、東京では年間を通してさまざまな新しいイベントが開催され、イベントに参加するために東京を訪れる外国人も多いと聞いています。大規模な文化、スポーツ等のイベントは集客力も高く、東京に観光客を呼び込むものとして有効と考えます。
観光振興を図る上で、こうしたビッグイベントの支援やPRが必要と考えますが、これまで開催されたイベントにはどういうものがあり、都はどういう支援を行ってきたのか、お伺いいたします。
また、こうしたイベントのために東京を訪れる外国人旅行者が東京での観光を安心して楽しめるよう、受け入れ体制を整備することが必要と考えますが、その取り組みについてもお伺いいたします。
次に、周産期医療について伺います。
昨日の我が党の三宅政調会長の代表質問においても、知事の所見並びに都の緊急対策の意義と効果についてお聞きいたしました。今回の産科救急で惹起した問題は、大きく分けると、新生児科医や看護師のマンパワー不足、そして、NICU、新生児集中治療室など施設整備の必要性が明らかになりました。
周産期医療について、私からは、低出生体重児を受け入れるベッドであるNICUに絞って質問をいたします。
福祉保健局の人口動態統計によると、出生時体重が二千五百グラム未満の低出生体重児は、この十五年間で約一・五倍に増加し、平成十八年は九千五百六十四人となっています。晩婚化などの要因によって、これからもハイリスクの出産は増加していくものと考えられ、NICUの整備や既存のNICUの有効活用の必要性が高まっていると考えます。
そこでまず、都が主体的に整備を行うことができる都立病院におけるNICUの整備状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
十月に都民から寄せられた電子メールや手紙による問い合わせなど、要望が一番多かったのが周産期医療や救急搬送への声だそうであります。都立病院がハイリスク分娩の受け皿として今後も充実を図っていくことは、都民が安心してお産をするためのセーフティーネットとして非常に重要でありますが、もちろん、都立病院だけですべての受け皿となることは不可能です。
都では、現在、周産期母子医療センターを二十二カ所設置し、NICUの整備を図っているとのことですが、連日の新聞報道でも、現在の厳しいハイリスク分娩の状況に十分対応できているのか、その不安はぬぐい切れません。
そこで、民間病院も含めた現在の都の全体のNICUの整備状況及び稼働状況について、そして、今後の見通しも含めて見解をお伺いいたします。
先月末、区部でも医療施設が少ないと指摘されている江東区で、救急医療や周産期医療にも対応できる総合病院を整備していくことを山崎区長が表明されました。都内の施設不足を解消していくためにも、地域との医療連携や適切なネットワークを構築することが必要不可欠であります。今後の地域医療におけるNICUを初めとする周産期医療施設のさらなる充実のためには、都独自の支援が重要であり、こうした取り組みを行うよう、強く要望しておきます。
また、NICUは満床状態が常態化していると聞いています。これは、NICUの数そのものの不足という以外にも、NICUにおける長期入院児により、一部のベッドが占められてしまうことなども要因と聞いています。そこで、例えば長期入院児を一人でも退院させることができれば、年間何人かの緊急受け入れが可能になることから、長期入院児の早期退院が可能な条件を整備していくことも、NICUの満床状態を緩和する方策となり得るといえます。
しかし、反面、長期入院児の中でも重い障害のあるお子さんは、退院後、ご家族が支えていかなければならず、そのことに対する不安から、ご家族もなかなか退院に踏み切れないという実情も耳にいたします。
こうした重症心身障害児を抱えるご家族の不安を軽減し、重い障害があってもご家族と一緒に過ごすことのできるよう、退院後の在宅での生活を支える対策を推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、無電柱化の推進について伺います。
本年第一回定例会で、私は、無電柱化を推進すべきという観点からお尋ねしましたが、都における無電柱化への取り組みについて改めて伺います。
東京では、戦後、急増する電力需要に対応するため、多くの電柱が立てられ、その結果、都内では電柱が林立し、電線がふくそうするなど、良好な都市景観を損ねているだけでなく、歩行者や車いすの通行の妨げにもなっています。ロンドンやパリなど世界の主要都市では、既に一〇〇%無電柱化され、美しい街並みが形成されているのに対し、日本の首都である東京では、国道、都道、区道を含めた区部の無電柱化率はわずか七・三%と、大きく立ちおくれています。
オリンピック・パラリンピックの開催など、「十年後の東京」を見据え、無電柱化を推進することで、魅力ある都市景観を創出するとともに、バリアフリー化を図ることが今まさに求められています。
そこでまず、都が現在進めている無電柱化の取り組み状況について伺います。
都道に比べ、区市町村道の無電柱化は依然として低い水準にあると認識しています。良好な都市景観の創出などを図っていくためには、都道だけの取り組みでは十分でなく、区市町村道を含めた面的な無電柱化の推進を図ることも必要と考えます。
かねてより区市町村に対する財政的な支援について強く求めてきましたが、その成果として、今年度から新たな補助制度が創設されました。この補助制度の活用状況について伺います。
私の地元荒川区では、本年三月に新交通日暮里・舎人ライナーが開業し、十月には早くも乗客数が一千万人を突破するなど、既に地域に定着した公共交通機関となりました。その導入空間となった都道、尾久橋通りにおいても、今まさに無電柱化が進められ、良好な都市景観が創出されつつあります。
そこで、荒川区内における無電柱化の取り組み状況についてお伺いいたします。
最後に、子育て支援について伺います。
地方分権の時代にあって、区市町村は、地域住民の求める福祉、保健サービスを、地域の実情に応じて、みずからの発想で創意工夫を凝らしつつ展開することが求められています。都は、こうした区市町村の主体的な取り組みを積極的に支援するために、平成十八年度に子育て支援基盤整備包括補助事業を創設して以来、今日まで、合わせて六つの包括補助事業を整備してきました。これらの包括補助事業については、区市町村の活用も進んでおりますが、何よりも重要なことは、区市町村にとって、よりわかりやすく、使い勝手のよい制度として有効活用されることであります。
都は、現在、平成二十年度施策の見直し協議において、区市町村に対し、この包括補助事業の再構築を提案し、協議を行っていると聞いています。そこで、今回の包括補助事業の再構築の意義と、それによってもたらされる効果について伺います。
次に、保育ママについてであります。
今国会において、児童福祉法等の一部を改正する法律案が可決されました。今回の法改正では、家庭福祉員事業、いわゆる保育ママ制度や、すべての子どもを対象とした一時預かり事業が新たに法律上位置づけられました。
家庭福祉員事業は、現在、都が取り組んでいる保育サービス拡充緊急三カ年事業にも盛り込まれ、待機児童を解消するためのサービスの一つとして期待されます。団塊の世代の保育士が大量退職する時期を迎えており、これらの保育士OBを家庭福祉員の担い手として活用することも考えられます。
そこで、今回の法改正により家庭福祉員事業がどのように変わったのか、また、事業拡大に向けて、都は今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
また、一時預かり事業は、保護者が病気になったとき、あるいは育児疲れによる保護者の心理的、肉体的負担を軽減するための支援として、常日ごろ保育所を利用していない家庭においても利用可能なサービスです。すべての子育て家庭を対象にした緊急、一時的なサービスとして、また認可保育所、認証保育所を補完するサービスとして、その需要はますます高まっています。
これまで、認可保育所における専用スペースでの実施を基本に事業が実施されてきましたが、東京のように待機児童の多い地域においては、保育所に一時預かりのための専用スペースを確保することが難しい状況にあります。
そこで、一時預かり事業を今後どのように拡充していくのかお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 崎山知尚議員の一般質問にお答えいたします。
外国人旅行者の誘致についてでありますが、世界が時間的、空間的に狭くなった現在、観光は非常に有力な産業になってきたと思います。
例えば、季節が逆転します南半球のオーストラリアの方々が、北海道の富良野ですか、あそこに集中的に集まって、施設もつくり、大挙して日本の冬を楽しみに来られている、そういう現象があちこちにありますが、いずれにしろ、東京は、日本の伝統文化と先進性が共存した、かつ食の豊かさにおいても、国際的に最高レベルと評価されるまちであります。総体的に眺めて、世界で最も魅力のある都市であると思います。
都はこれまで、観光を、地域の活性化につながる経済波及効果の高い重要な産業と位置づけ、東京の魅力を海外に発信するなど、その振興にも取り組んでまいりました。東京を訪れる外国人旅行者も、観光産業振興プランを定めた平成十三年の二百七十万人から、平成十九年には五百三十万と大幅に増加してまいりました。
現在、世界的な景気減速や円高を背景に、訪日外国人旅行者はちょっと減少しておりますが、中長期的にはアジア経済のポテンシャルは高く、また、二年後の羽田空港の国際化や成田空港のアクセス向上は、アジアを初め世界各国の旅行者を再び呼び込む好機と考えております。
この機をとらえ、近隣のアジア地域には、現地のメディアや旅行会社と提携しまして東京の魅力を発信する一方、欧米、オセアニアの各都市においてもシティーセールスを実施するなど、戦略的に外国人旅行者を誘致しようと取り組んでいくつもりであります。
他の質問については、関係局長から答弁します。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 観光振興に関する二点のご質問にお答えをいたします。
まず、外客誘致に有効なイベントに対する都の支援実績についてでありますが、文化、スポーツなどのビッグイベントは、国内外から多くの参加者や観客が訪れるだけではありませんで、東京の魅力の発信につながるものであるというふうに認識をしております。
都はこれまでも、来場者十二万人の東京国際アニメフェアや、二十七万人を動員した東京国際映画祭の開催経費の一部負担や、東京マラソンの開催中に臨時観光案内所を設置し、観光マップにより観光情報を提供するなど、イベントに対する支援を行ってきたところでございます。
また、海外での観光プロモーションや、年間二千七百万件のアクセスがあります「東京の観光」ウエブサイトを通じまして、ビッグイベントを含め、都内で開催されるさまざまなイベントを多言語により広くPRしてまいりました。
次に、外国人旅行者の受け入れ体制の整備についてであります。
外国人旅行者が安心して東京を楽しむためには、まちの案内のわかりやすさや言語の障壁への対応がなされていることなどが重要であると考えております。
このため、都は、主要な観光スポットの周辺などに、絵文字や外国語によるわかりやすい観光案内標識を整備しますとともに、案内標識の標準化指針を作成いたしまして、区市町村や鉄道事業者への普及を図っております。
また、都内百五十カ所に設置いたしました観光案内所におきまして、多言語によるガイドブックやマップを配布いたしますとともに、飲食店に対して、外国語によるメニューづくりの支援などの対応を行っております。
一方、都営地下鉄や東京メトロなどの鉄道事業者におきましては、駅ナンバリングなどの取り組みも進められております。
今後も、都と民間事業者の取り組みを通じまして、外国人旅行者が安心して観光を楽しめる受け入れ体制を整備してまいります。
〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕
○病院経営本部長(中井敬三君) 都立病院のNICUの整備状況についてお答えいたします。
都立病院のNICU設置数は、総合周産期母子医療センターである墨東病院で十二床、地域周産期母子医療センターの大塚病院で十二床、清瀬小児病院で六床、八王子小児病院で九床となっており、都立病院合計で三十九床が現在稼働しております。
また、豊島病院で休止している六床については、機能を移転し、来年一月には墨東病院で三床、来年度中には大塚病院で三床、それぞれ稼働させることとしております。
加えて、平成二十一年度末に開設する予定の小児総合医療センターにおいては、統合前と比較して九床増床し、二十四床を整備することとしており、これにより、都立病院全体では五十四床となる予定でございます。
この結果、都内の周産期母子医療センター全体が保有するNICUのほぼ四分の一を都立病院が占める見込みとなっております。
今後、この体制整備に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 五点についてお答えをいたします。
最初に、NICUの整備状況及び稼働状況についてでありますが、都内におきましては、周産期母子医療センターに百九十五床のNICU病床を確保しておりますが、低出生体重児の増加等により、恒常的に極めて高い稼働状況にあることから、その増床は急務であると考えております。
そのため、都としては、都全域でNICUの整備を引き続き促進することとしております。
今後の見通しでありますけれども、来年度当初までには、新たに町田市民病院に整備される六床を含め、十二床の増床により二百七床となる見込みであります。
それ以降も、都立小児総合医療センター(仮称)を初めとして、さらなる整備を予定しております。
続きまして、重症心身障害児の在宅支援についてでありますが、重症心身障害児が可能な限り家族と在宅で生活できるよう、早期退院に向けた条件整備が重要であり、このことはNICU本来の機能の発揮にもつながるものと考えております。
この退院後の在宅での療育支援のため、都は独自に在宅重症心身障害児者訪問事業を実施しておりまして、年間約四百名の方が利用しております。この事業では、経験豊富な看護師が週一回程度訪問し、障害児の健康管理や排せつ、清潔の保持などの日常生活上の看護、家族の方への看護技術習得の支援や、訪問看護等の社会資源の活用方法を支援するなど、きめ細かく行っております。
今後も、退院時のニーズに適切に対応するとともに、ご家族の負担軽減のため、短期入所事業や通所事業など、在宅における療育を支援する取り組みを推進してまいります。
続きまして、福祉保健区市町村包括補助事業の再構築についてであります。
現行制度は、施設整備費等のハード面と運営費等のソフト面が別個の補助事業となっております。今回の見直しは、子ども家庭や高齢者などの施策分野ごとに、ハード、ソフトの両面を一体とした、わかりやすく使いやすい補助制度にしようとするものであります。これにより、区市町村がより創意工夫を凝らし、地域の実情に応じた事業を展開しやすくなるものと考えております。
加えて、施策分野ごとに事業の窓口が一本化され、区市町村の補助金申請等の事務の簡素効率化に寄与するものと期待をしております。
次いで、家庭福祉員事業、いわゆる保育ママ制度についてであります。
今回の児童福祉法改正により、国の保育ママ制度が法律上に位置づけられるとともに、これまで保育士、看護師に限っていた保育ママの要件を、区市町村が実施する研修の修了者等にも広げるなど、制度の拡充が図られました。
都では既に、所定の研修修了者等も保育ママとして認めており、今年度から取り組んでいる保育サービス拡充緊急三カ年事業では、平成二十二年度までに受け入れ児童数を五百人ふやすこととしております。
今後、保育ママの担い手をふやすため、都と区市町村が連携し、研修の充実を図るなど、事業の拡大に積極的に取り組んでまいります。
最後に、一時預かり事業の拡充についてであります。
国では、一時預かり事業の実施主体を区市町村と認可保育所に限ってきましたが、今回の児童福祉法改正により、来年度から、認証保育所を含めた多様な事業者による実施を認めることとしております。
しかしながら、国は、一時預かりの実施場所については、引き続き専用のスペースを必要としております。こうしたことを踏まえ、今後、都は、独自に保育所などの定員のあきを活用した事業実施も可能とするとともに、認証保育所や認定こども園を初めとする多様な事業者の参入を図るなど、大都市の実態に即した工夫を凝らし、一時預かり事業の拡充に努めてまいります。
〔建設局長道家孝行君登壇〕
○建設局長(道家孝行君) 道路の無電柱化についての三点のご質問にお答えいたします。
まず、無電柱化の取り組み状況についてでありますが、都は、良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保、都市防災機能の強化を図るため、現在、センター・コア・エリア内やオリンピック・パラリンピック関連施設周辺の都道はもとより、その他の区部や多摩地域においても、緊急輸送道路や主要駅周辺で重点的に無電柱化を進めております。
平成十九年度末の都道における電線類の地中化率は二六%であり、そのうちセンター・コア・エリア内は六〇%でございます。
都は、「十年後の東京」で、平成二十七年度までにセンター・コア・エリア内の地中化率を一〇〇%にする目標を掲げ、無電柱化の推進に積極的に取り組んでおります。
次に、区市町村の無電柱化に対する補助制度の活用についてでございますが、美しい街並みの形成や安全で快適なまちづくりを推進するためには、都道のみならず、国や区市町村と連携した面的な無電柱化が必要であります。
このため、区市町村に対し、都は今年度、補助制度を創設し、説明会や研修会を開催して、その活用を働きかけてまいりました。初年度となる今年度は、三区三市がこの制度を活用して無電柱化事業を進めております。
今後とも、補助制度の活用や、設計、施工などにかかわる技術的支援を進めることによって、区市町村と連携した無電柱化を一層推進してまいります。
最後に、荒川区内における取り組み状況についてでありますが、現在、都は、補助第九〇号線、いわゆる都電通りの荒川遊園前交差点から小台交差点までの四百メートルの区間において、荒川区は、補助第一〇七号線、いわゆる千住間道の南千住六丁目交差点から東側四百メートルの区間において、それぞれ都市計画道路の拡幅整備事業の中で無電柱化を行っております。
また、既設の都道では、新交通日暮里・舎人ライナーのルートであります尾久橋通りのほか、尾竹橋通りや言問橋南千住線、駒込宮地線の合わせて七・二キロメートルで無電柱化事業を進めております。
さらに、都電通りの小台交差点から町屋交差点までの二キロメートルの区間においても事業化する予定であります。
今後とも、地元自治体や電線管理者などと連携し、無電柱化を推進することにより、安全で美しいまち東京の実現に取り組んでまいります。
○議長(比留間敏夫君) 七十三番大西由紀子さん。
〔七十三番大西由紀子君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○七十三番(大西由紀子君) 初めに、緑の保全について伺います。
東京の環境を考える上で、緑の保全と創出は大変重要な課題であり、これまでも、さまざまな規制と誘導の施策を実施してきました。二〇〇七年一月には、都庁内に全庁横断型組織である緑の都市づくり推進本部を立ち上げ、六月には緑の東京十年プロジェクト基本方針を発表、あらゆる手法を用いて緑の保全、創出を行うとしています。意欲的な取り組みに期待するものです。
改めて、緑の都市づくりに向けた知事の決意を伺います。
緑の重点施策の一つ、校庭の芝生化は、都内の全公立小中学校の実施で三百ヘクタールの緑の確保をするとしています。教育庁としては、学校の芝生化に関してどのように評価し、支援していこうとしているのか、見解を伺います。
三カ年のアクションプランでは、二百六十校、五十ヘクタールの芝生化の実現目標を掲げており、そのため、環境局は、教育庁とも連携し、学校を訪問しながら懸命にPRに努めているとのことですが、これまでの都における公立小中学校の校庭芝生化の進捗状況と、今後の取り組みについて伺います。
しかし、地域の学校では厳しい現状があります。市区町村の財政難で学校運営費が削減されてきている中で、東京都の芝の専門的維持管理費の二分の一支援が終了する四年目以降の維持費を捻出していけるか、見通しがつかない状況では、校庭の芝生化はなかなか進みません。自治体からは、継続した財政支援が求められています。
「十年後の東京」実行プログラム二〇〇八の改定が行われると聞いていますが、校庭の芝生化を全校に着実に広げるためには、知事本局がどうリードしていくかが問われています。見解を伺います。
二〇〇三年のみどり率は、区部約二四%、多摩地区約七二%で、ここ五年間で、区部で一ポイント、多摩部で二ポイント減少しています。東京都は、海の森、街路樹倍増計画、花粉の少ない森づくり、校庭の芝生化など、緑の再生に力が入っていますが、何といっても地域では、今ある雑木林や屋敷林への評価が高く、いかに既存林を残すかがまちづくりには欠かせない視点です。
地域での緑地保全の制度として、都市緑地法に基づく特別緑地保全地区の指定があります。区市町村が主体となって取り組む区域の中での開発行為が不許可となった場合、土地所有者は区市町村に買い取り請求ができますが、その場合、国から三分の一の補助金が出るものの、残りの三分の二については区市町村の負担であり、この負担が、特に特別緑地保全地区の指定をちゅうちょさせている一因です。
二十三区では、都市計画公園として位置づけることで、都区財政調整交付金や都市計画交付金でほぼ一〇〇%の資金が調達できますが、財政状況の厳しい多摩地区では、買い取り請求に応じることが困難で、特別緑地保全地区の指定が進んでいません。既存樹林が残っている多摩地区でこそ、この指定を推進すべきと考えます。
そこで、今後、多摩地区での特別緑地保全地区の指定を促進するために、都としてどういった取り組みを進めていくのか、伺います。
次に、臨海副都心開発事業について伺います。
臨海副都心開発は、三会計統合、関連第三セクターの破綻とホールディングスの設立など、事業環境が悪化する中で、当初のもくろみとは異なる対応を余儀なくされてきました。
この事業は平成二十七年に完成するということですが、現時点における収支はどのような状態であるのか、伺います。
世界同時不況の中で、臨海副都心開発への影響が懸念されています。東京の不動産市況も冷え込んでいるといわれますが、臨海副都心開発にはどのような影響が出ているのか、伺います。
臨海副都心開発は、今後も継続される事業です。都民参加のもとで開発が進むように、情報公開が重要です。平成十七年の包括外部監査においても、会計が複雑でわかりにくいことが指摘されています。また、二十年以上の長期にわたる事業であるため、有効な評価が行われているとはいえず、この事業を検証することも必要です。そのための資料やデータをデジタル化し、インターネットに載せるべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、児童虐待について伺います。
近年、子どもの虐待相談対応件数が急増しており、都内の児童相談所における平成十九年度の虐待相談件数は三千三百七件と、虐待相談統計を開始した平成二年度と比較すると、二十五倍になっています。子どもの虐待の早期発見、早期対応が進む中、親元から離れて施設等に入所する子どもの数もふえ続けています。
また、虐待を受けた児童の中には、発達障害や不登校など、心にかかわる問題を抱えている例も多く見られます。しかし、子どもの心の治療を行う専門の医師や医療機関が少なく、緊急時に対応できる精神科病棟の確保が困難なことにより、適切な対応がおくれる場合が見られます。
児童虐待の対応を迅速かつ円滑に行うことができるように、児童相談所等と児童精神医療機関の連携を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
このような中、児童養護施設には、虐待等により、情緒、行動の問題、さらには発達障害等を重層的に抱えて入所してくる児童が増加しています。ことし八月の東京都児童福祉審議会の提言にあるように、激しい暴力や暴言を振るう子どもや、集団生活に不適応を起こしている子どもなど、特に状態が重篤化している子どもたちに対して、新たな施設整備を行い、支援していくことが必要です。
虐待を受け、児童養護施設等で育った子どもは、施設等を退所し自立するに当たっても、保護者の支援を受けられず、人間関係や社会生活で悩んだときにも、適切な助言や支援を得られず就労が続かないなど、さまざまな困難に突き当たることが多いと聞いています。
こうした児童を支援するため、平成十年から、児童自立生活援助事業、いわゆる自立援助ホームが法制化されましたが、今回の児童福祉法の改正によって、対象年齢が十八歳未満から二十歳未満へ引き上げられ、全都道府県での実施の義務化、さらに運営費については、補助金から義務的支出である負担金化するなど、支援が強化されました。
これらの改正の趣旨を踏まえ、都としての今後の対応について伺います。
次に、周産期医療についてです。
大病院が数ある都内でも、妊婦の救急搬送が難航する事態が続いたことを受け、国でも懇談会を発足させて、周産期医療と救急医療の連携についての検討が始まりました。
都は、十一月五日に周産期医療協議会を緊急開催するとともに、今議会に上程された補正予算に周産期医療緊急対策を盛り込みましたが、一人の命が失われなければ対策が打ち出せなかったことについては、大変残念な思いでいっぱいです。
都は、本年三月、周産期医療連携ガイドラインを策定し、都内各地域でネットワークグループを立ち上げ、総合周産期母子医療センターを中心にして、地域の病院や診療所、助産所などの医療機関が役割分担をしながら、顔の見える連携を築き、地域における周産期医療の確保を図っていくということです。
渋谷区にある日赤医療センターにおいては、妊産婦の日常の健康管理や産後のケア等は地域助産所が対応し、節目の健診での医学的チェックや分娩は日赤医療センターが対応するなどの連携を進めていると聞きます。助産師のきめ細かな対応を生かしつつ、医学的管理もしっかり行われたすぐれた取り組みだと思います。
こうした実例も踏まえ、地域における周産期の連携体制づくりにどのように取り組んでいくのか、伺います。
周産期の救急医療体制と同時に、妊婦自身が妊娠や出産に対する理解を深め、自分の健康管理を適切に行うことが、ミドルリスクやハイリスクの分娩に早期に対応する上で重要です。そのためのサポートとして、これまでも母親学級や出産後の訪問事業などがありますが、生活者ネットワークでは、世田谷の産後ケアセンターを視察したり、地域で助産所を開業している助産師さんにもお話を伺い、将来子どもを産む立場にある若い女性、できれば中学生くらいから、女性の生涯を通じての健康づくりを、助産師さんの力を生かして進めていくべきではないかと感じます。
助産師の実態把握と活用について、都として真剣に検討するよう要望します。
最後に、有害化学物質対策について伺います。
人がつくり出した化学物質は八千四百五十万種を超え、商品化されているだけでも十万種といわれ、化学物質が人に与える影響が懸念されています。
化学物質の多くは、生物の体内で分解されずに脂肪に蓄積する性質を持ち、食物連鎖の結果、人、特に子どもに蓄積するといわれています。実際にアトピーやアレルギーの人がふえ、早産、低出生体重児の増加などのほか、自閉的で社会性が育たない、突発的に怒る、学習障害など、化学物質の関与が疑われています。子どもや胎児への影響は重大であり、私たちは、未来ある世代への責任を果たさなくてはならないことを認識すべきです。
二〇〇一年六月の議会で生活者ネットワークが、化学物質の子どもへの影響を未然に防止すべき立場から、都独自の対策を求めました。これに対し石原知事は、国の対策は生ぬるい、都独自の基準を策定すると答弁。それにより、都は国に先駆け、化学物質の子どもガイドラインを策定し、取り組んできました。これは大いに評価します。
しかし、先駆的な取り組みであるがために、持続的な普及啓発が必要であると考えますが、どのように徹底を図っていくのか、伺います。
化学物質の子どもガイドラインは、特定の分野や場面での化学物質の具体的な適正使用には有効であり、今後も継続的な取り組みが必要です。
さらに、生活全体から化学物質をとらえていくために、例えば、食育と同じように、化学物質についても子どものころから知識を与え、みずから判断し、選択し、適正な使用をすることにより、化学物質を低減させていく取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
今や化学物質なしの生活は不可能です。しかし、これを削減し、未来世代の健康を守ることは可能です。特に、生殖世代にある若い世代を化学物質から守るためには、環境中の化学物質を低減するための対策を充実していく必要があります。
そこで、ここまで進めてきた化学物質の子どもガイドラインの実績を踏まえ、さらに実効性あるものとするために、条例化を検討すべきであることを申し上げて、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 大西由紀子議員の一般質問にお答えいたします。
緑の都市づくりについてでありますが、緑を眺めて憩わない人はいないと思います。水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京なるものを復活させるためには、新たな緑を創出するとともに、今ある緑も保全する強力な取り組みが必要であると思います。
そのため、都は現在、街路樹の倍増や校庭の芝生化などに取り組むとともに、規制や誘導によりまして民間の緑を保全、創出するなど、区市町村とも連携しながら、多角的な取り組みを進めております。
また、企業の協力を得て多摩の森林整備を進めるなど、都民、企業が主人公となる緑のムーブメントを展開し、東京の総力を挙げて、緑あふれる都市の実現を目指していくつもりであります。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 学校における芝生化についてでございますが、校庭を芝生化することにより、子どもたちは、けがを恐れず思い切り活動できるようになるとともに、自然環境に対する感性をみずからはぐくむようになるなど、情操教育の面でも効果が期待できます。
都教育委員会はこれまでも、区市町村と校庭芝生化に係る意見交換を行いますとともに、研修会を実施し、芝生化を進めていく上での課題や対応策について、先行的に芝生化に取り組んでいる自治体の事例を紹介するなど、情報提供を行ってまいりました。
今後は、これまでの取り組みに加えまして、地域の人材を活用した活動事例の紹介など、学校と地域が協働した校庭芝生化の体制づくりを支援しますとともに、関係局と連携し、芝生化の教育上の効果やメリットなどについて、区市町村に対し一層の周知を図り、校庭芝生化を強力に推進してまいります。
〔環境局長有留武司君登壇〕
○環境局長(有留武司君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、校庭芝生化の取り組みについてでありますが、都は区市町村に対し、整備費等の補助、専門家の派遣などを行うとともに、芝生化を広く都民や学校関係者に周知するため、イベントの開催など、さまざまなPR活動に努めております。
また、学校現場では、地域などと協働した活発な芝生の維持管理活動などが行われており、昨年度末現在、公立小中学校では七十八校で校庭芝生化が実現しております。
今後、芝生化を一層推進するため、こうした学校現場の取り組みを広く普及させていくとともに、芝生化を支える企業等で構成する東京芝生応援団による支援を拡充するなど、強力に取り組みを進めてまいります。
次に、子どもガイドラインの周知徹底についてであります。
化学物質の人や環境への影響を減らすためには、適正な使用が行われるよう、関係者に対し継続的に働きかけていく必要があります。
都はこれまで、樹木への殺虫剤の使用や室内空気中の化学物質などの子どもガイドラインを策定し、公園、保育園など、子どもが多く利用する施設の管理者等へ周知してまいりました。
また、関係者や都民に対し、パンフレット等を配布するとともに、都のホームページに掲載し、広く普及に努めてまいりました。
今後とも、区市町村と連携しまして、あらゆる機会をとらえて、子どもガイドラインの周知徹底を図ってまいります。
最後に、化学物質に対する取り組みについてであります。
化学物質は、生活のさまざまな面で使われ、現代生活には不可欠でありますが、不適正な使用により、人や環境への影響を及ぼす可能性もあります。
化学物質による影響は、一般に、発達期にある子どもの方が大人よりも大きいとされているため、都は、子どもガイドラインの作成を通じ、化学物質の適正な利用の促進を図ってまいりました。
今後とも、子どもを化学物質の影響から守る視点で、広く都民に対し正確な情報を提供することにより、化学物質に対する正しい知識の普及と適正な使用を促してまいります。
〔知事本局長吉川和夫君登壇〕
○知事本局長(吉川和夫君) 芝生化に関する知事本局の役割についてでございますが、小中学校の校庭の芝生化は、「十年後の東京」で掲げた緑あふれる都市を実現する上で重要な課題であり、実行プログラム二〇〇八では、新たに専門的維持管理の支援や、先月発足いたしました東京芝生応援団の取り組み、管理しやすい品種の調査研究など、学校現場が芝生化に着手しやすいよう、総合的な支援策を打ち出しました。
校庭芝生化は、子どもたちが体を動かす喜びを味わえるなど、大きな効果があることから、今後三年間で二百六十校の校庭芝生化という目標達成に向け、関係局と連携しながら、総合調整役として取り組んでまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 特別緑地保全地区の指定についてでございますが、東京に残された貴重な緑を次の世代に引き継いでいくためには、都市計画の規制手法を活用することにより、良好な樹林地を民有地のまま保全していくことが有効でございます。
お話の特別緑地保全地区は、相続税等の優遇措置を備えた制度であることから、現状凍結的な保存ができることを特徴としており、多摩地区でも、最近五年間で四十五ヘクタールの指定を行ってまいりました。
さらに指定を促進していくためには、緑の現状を十分に把握した上で、望ましい緑のあり方や取り組みの方向性を明らかにすることが必要でございます。
現在、区市町村と共同で、緑確保の総合的な方針の策定を進めており、この中で、特別緑地保全地区の活用などについて検討してまいります。
〔港湾局長斉藤一美君登壇〕
○港湾局長(斉藤一美君) 臨海副都心に関します三点のご質問にお答え申し上げます。
初めに、臨海副都心開発の収支についてでございます。
臨海副都心は、先行的に広域交通基盤や地域内都市基盤の整備を行い、投資資金をその後の土地処分等の収入で賄う仕組みで開発してございます。開発着手から基盤整備の約九割が完成いたしました平成十九年度末までに、臨海地域開発事業会計が投資してまいりました資金は約一兆一千九百億円でございます。一方、土地処分等の収入は、平成十九年度末までで既に約七千七百億円に達してございます。
平成十八年三月に「臨海地域開発財政基盤強化プランの更なる取組み」を策定いたしまして、まちの概成に向け、土地処分の促進策や収支試算をお示しいたしました。
現在、これに沿って開発を着実に進めておりまして、平成二十二年度までの土地処分が決定しているものだけでも約二千六百億円の収入が見込まれることから、収支のバランスは十分図れるものと考えてございます。
次に、臨海副都心開発への不動産市況の影響でございますが、サブプライムローン問題が顕在化した昨年八月以降、有明北地区で応募がなかったケースも一件はございましたが、青海地区北側を中心に、ビジネス拠点や商業、文化施設など、八件の進出事業者を決定しており、着実に土地処分が進んでございます。
これは、臨海副都心の成熟に伴う企業の集積、都心への近接性、羽田空港国際化など、この地域の持つポテンシャルが高く評価されているものと考えております。
不動産市況全般を見れば、不透明感が増してございますが、進出を希望する企業等からの引き合いや問い合わせは続いており、今後も、バブル経済崩壊後の厳しい時期を乗り越えて開発を進めてまいりました経験も生かして、社会経済状況の変化に適切に対応し、開発の総仕上げに取り組んでまいります。
最後に、臨海副都心開発に関する資料等の提供方法でございますが、臨海副都心開発の事業費や予算、決算状況等につきましては、都議会でご審議いただくとともに、都民情報ルームや都立図書館等におきまして、だれもが閲覧できるようにしてございます。
さらに、開発の基本となります臨海副都心まちづくり推進計画などの諸計画や土地の公募状況、処分状況、また来訪者のデータなど、インターネットでの提供がふさわしい最新の情報につきましては、臨海副都心のホームページで広く都民にお知らせしてございます。
今後とも、臨海副都心の開発状況をわかりやすくお示しできるよう、適時適切な情報の発信に努めてまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
まず、児童相談所等と児童精神医療機関との連携についてでありますが、都は今年度から、子どもの心診療支援拠点病院事業を開始し、拠点病院であります都立梅ケ丘病院と児童相談所など地域の関係機関との連携強化を図っているところであります。この一環として、先月、児童相談所と都立梅ケ丘病院との連絡会を立ち上げました。
今後、子どもの心に配慮したかかわり方や、困難ケースの対応方法、関係機関の適切な連携のあり方などについて検討してまいります。
次いで、自立援助ホームについてでありますが、児童養護施設等を退所し、就労自立を目指す子どもに対し、日常生活上の援助、生活指導を行う場として、自立援助ホームは重要な役割を果たしております。
都は、国に先駆けて、昭和五十九年から自立援助ホームを制度化するとともに、独自の支援策を講じており、現在、都内に全国の約三分の一を占める十八カ所のホームが設置をされております。
今回の法改正は、社会的養護における重要な課題である年長児の自立支援に資するものであり、これまでの都の取り組みを踏まえ、事業の一層の充実を図ってまいります。
最後に、周産期の連携体制づくりについてでありますが、周産期母子医療センターと地域の助産所や診療所等がそれぞれの機能や特性を生かして連携を進めることは、安全・安心な出産の確保や医療機関の負担軽減の上からも有効であります。
都では、本年三月に策定いたしました連携ガイドラインを基本に、各地域でのすぐれた取り組みの事例も参考として、地域の医療機関等による周産期医療ネットワークグループの立ち上げを進めております。
こうした取り組みを通じて、地域の周産期医療を支える体制の構築を図ってまいります。
○副議長(石井義修君) 七番福士敬子さん。
〔七番福士敬子君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○七番(福士敬子君) 第五次利根川・荒川フルプランの策定のため、関係都県は昨年、水需給計画を国土交通省に提出しました。各県の水需要予測は、群馬、茨城、埼玉が二〇〇七年、栃木が二〇〇五年です。千葉は二〇〇二年のデータでしたが、新しい予測をことし三月に行っています。そして、これらはすべて下方修正しています。
東京都は、二〇〇三年の予測データを手直しすることなく出しています。理由を伺います。
また、実態に即した新しい水需要予測を作成すべきだと思いますが、見解を伺います。
利水計画策定に必要な一日最大配水量は、一日平均使用水量と、曜日や気象条件などによる変動幅をあらわす負荷率を使います。負荷率は、夏場と冬場で極端に使用水量が異なると小さくなります。
現在、都の利水計画策定で使われている負荷率は、節水対策が進んでいない十五年以上前に記録されたデータをもとに設定していますが、近年では、夏冬の使用水量の差は小さくなり、負荷率は上昇傾向にあります。都は、二〇〇〇年基準で、過去十五年の最低値を採用していますが、過去五年の最低値を使うところもあり、都はあえて過大に設定したように見えます。
利水計画を策定するに当たり、負荷率の設定方法等の手法を改めるべきだと思います。いかがでしょうか。
水需要予測を行うには、もう一つ、都民の一日使用水量の予測が必要です。都では、個人所得、平均世帯人数などの社会指標と給水人口で一日平均使用水量を予測していますが、公営企業委員会の私の質問で、実績値との間に四%の誤差があると答弁されました。四%の誤差は約十八万立方メートルで、新しい滝沢ダムの都水源量の倍以上になります。
これに対し、例えば横浜市では、家庭用水を用途別に分け、それぞれの減少と増加要因の動向を分析して将来値を求めています。この方式では、説明変数に節水機器の普及率が組み込まれており、従来に比べ精度の高い予測となっています。
この方式で都の一日平均使用水量を算出し、過去五年最低の負荷率で一日最大配水量を試算してみました。これがグラフです。(パネルを示す)
青の四角が実績値ですが、グラフにあるように、都の一日最大配水量は年々下降し、一昨年は五百万立方メートルを切りました。
緑の丸が新予測モデルです。見てのとおり、実績にぴったり一致しております。
これに対して、二〇〇三年の都の予測に基づいた値は赤の丸ですが、グラフのはるか上の方、六百万ラインを超えています。
世界に範を示す東京都こそ、一日平均使用水量の予測は、より精度の高い方式を採用すべきですが、いかがでしょうか。
利水計画は、ダムの建設、維持などの大規模事業を伴います。正確な需要予測を行わずにダム建設に参加することは、厳に慎むべきです。
国の道路事業を見ても、交通需要の下方修正や費用便益分析マニュアルの改定を進めるなど、評価見直しの動きが始まっています。
八ッ場ダムへの都の影響は大きく、精度の基準を高めれば、利水、治水の両面から事業の必要性を見直すことが可能と考えますが、知事の見解を伺います。
次に、非正規労働者、ワーキングプアが問題となり、社会的に解決が迫られています。特に非常勤の多くは女性であることから、このことは女性差別の問題でもあります。今や公民を問わず、非常勤職員が正規職員と同等の仕事を現場で行っており、差別、格差を解消していくことが課題です。
少なくとも雇用の安定と均等待遇実現、このことを東京都、二十三区が先駆けて実践していくべきです。
現に、人材確保のために、各区は非常勤職員の雇用に工夫を凝らしてきました。しかし、東京都は、この改善方向とは逆に、雇用継続を否定した通知を昨年十月に出し、二十三区の昇給制度実施に待ったをかけています。これは、総務省にお伺いを立てるまでもなく、法律と現実が乖離しているということです。
ワーキングプア解消のかなめとなるべき非常勤昇給制度の実施に向けて、地方自治体の権限尊重こそ、人材確保の生き残り作戦ではないでしょうか。助言、勧告を超えた押さえつけの通知は、自身の首を絞めることになると思われます。
むしろ現場に近い都は、法律を変えるよう、国へ申し入れをすべきだと思いますが、見解を伺います。
また、都としても、雇用の安定と均等待遇実現に向けて、東京都自身が非常勤の待遇改善に取り組むことによって、初めて民間事業者に説得力を持つことになると思います。人口減少に向かっている今後の人材確保に向け、どのように対策をとろうとされているのか、明らかにしてください。
パート労働法は公務員適用除外とされていますが、都では、専門的、臨時的非常勤職員が五千名を超え、週二十時間以上の専務的非常勤職員もいます。また、二十三区合計で約一万五千の非常勤職員が現実に働いています。
国会でもパートタイム労働法について質問され、舛添厚生労働大臣が答弁されたようですが、ご存じでしょうか。その内容と、その答弁に照らした対策についてはどのように考えておられるのか、伺います。
この八月二十六日に、人事院総裁から、国の非常勤の給与改善について通知が出されました。この通知の趣旨と、この趣旨に照らし、都はどのように対応されるか、伺います。
次に、ことし八月から、ぜんそくの医療費が無料になりました。東京大気汚染公害訴訟の和解勧告により、二〇〇七年十二月に条例を制定したものですが、助成制度では珍しく年齢制限もなく、一年以上の都内居住者には全員が医療費無料とされました。
これが都のポスターです。助成制度は大きくうたっていますが、医療費無料や年齢制限なしということはわかりません。この制度を知らないぜんそく患者もたくさんおられます。これに対して、東京公害患者と家族の会がつくったポスターやチラシには、医療費無料と大きく書かれ、目を引きます。
東京都こそ、医療費無料を強く打ち出したポスターをつくり、わかりやすい広報をすべきです。簡単なパンフレットとともに医療機関や区役所などに置き、申請の動機づけを促す努力をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
また、和解条項では五年後の見直しが定められておりますが、わずか五年で医療費無料助成が廃止にならないよう強く要望しておきます。せっかくの和解勧告における知事の英断を生かしていただきたいと思うものです。
また、大気汚染公害の原因の一つに、PM二・五といわれる微小粒子物質があるとされています。アメリカでは、既に一九九七年にPM二・五の環境基準値が示され、WHOもガイドラインを出しています。
知事は、二〇〇三年、ディーゼル車の規制をされ、真っ黒な排気は確実に減少しました。しかし、ぜんそくや肺がんなど人体への影響は、大粒なSPMよりPM二・五の方が大きなことは、アメリカの環境基準値設定時点でわかっていたはずです。
東京都環境白書二〇〇〇では既に、カリフォルニアの調査で、ディーゼル排気中の粒子の九四%がPM二・五であり、健康被害の原因となることも記載されています。したがって、その時点で疫学調査を始めてしかるべきでした。環境白書には、国立環境研究所のDEPに関する記載にこう書かれています。マウスの精子生産能力の低下を含む知見に対し、まだ確かなことではないという理由で対策を放置してきた過去の歴史をかみしめてみる必要がある、科学的に明らかになってきたときには、もはや取り返しがつかないと。
都は、「十年後の東京」への実行プログラムにおいて、三年後には目標値の設定と都独自の対策の確立をうたっています。しかし、それをまつまでもなく、まず、アメリカやWHO並みの目標値を定めるべきだと思いますが、見解を伺います。
一般環境大気測定局は四十七カ所ですが、PM二・五の測定箇所はわずか四カ所です。例えば大田区は、患者の事前申請受理状況で見た人口比が大きいのですが、SPMのみで、PM二・五ははかられていません。都は、調査箇所を広げ、国に先駆けた都独自の対策を一日も早く進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。この質問のやさきに国の動向が報道されました。関連も含めてお答えください。
次に、二〇〇〇年五月に成立した児童虐待防止法は、二〇〇四年に一部改正され、通告義務は虐待の疑いまで含み、調査が行われるようになりました。
虐待から児童を守るためには早期の対応は必要ですが、これは家庭に介入することになり、不適切な対応は、時に家庭崩壊につながる大きな影響を与えるものになりかねません。
この法律では、虐待した保護者に対し、相談所が措置、指導するようになっています。しかし、職員が信頼されなければ、保護者は指導に従うどころか反発ばかり大きくなり、効果的な援助は期待できないと思います。
一例ですが、職員が保護者の留守に突然児童を連れ去り、一時保護というメモ書きの名刺は、インターホンの上に置いたため、風で飛び、保護者を狂乱するほど心配させたことがありました。余りの非常識な対応です。保護者は、児童相談所への拒否感と疑心だけを膨らませました。このように児童相談所の責任は重く、虐待の適切な対応を行うためには、児童福祉司等の専門性の確保が重要と考えます。
そこで、児童相談所職員の経験に基づく技術の継承や専門性の確保をどのように行っているか、伺います。
児童相談所は、児童の権利を守る最後のとりでともいわれ、児童虐待の増加、深刻化を背景に、児童相談所の一時保護に対する社会の期待感はますます大きくなっているように感じます。その有形無形の社会的な要請を受け、本来家庭での指導が可能な場合であっても、安全を期する余り、判断が一時保護に傾く傾向はないのかと危惧します。
私自身について考えても、育児の困難さを含め、子どもとともに暮らすことで、大人に、そして親にしてもらったという実感を持っています。
そこで、児童相談所が虐待の状況について十分に事態を把握した上で、親子が家庭でともに暮らせるような援助をもっと強化すべきと考えますが、所見を伺います。
先ほどの例は、拉致のような保護体制をとられ、心配と怒りから、保護者は訴訟、不服審査申し立てなど次々と闘われましたが、この間、行政側は、身体的異常なしという医師の証明と異なる虐待の写真を資料として出すなど偽装的なことまで行い、弁護士の抗告にもその真偽には触れないまま、施設入所が決定されました。その後、家庭復帰を提案されましたが、既に保護者は養育の自信を失いました。この間、次々と担当者はかわられました。児童相談所は、常に真摯な対応をするよう強く求めます。
この例に限らず、親子関係の修復は今後の重要な課題になると思います。児童のためには、分離より、ともに暮らすための保護者のカウンセリングやサポート体制もかなめであり、一日も早く対策が強化されるよう要望しておきます。(拍手)
〔水道局長東岡創示君登壇〕
○水道局長(東岡創示君) 福士敬子議員の一般質問にお答えいたします。
水資源開発基本計画改定に当たっての需要予測データの提出についてでありますが、都の水需要予測は、予測の基礎となる一日平均使用水量について、直近でも実績との間に大きな差は生じておらず、妥当なものと考えております。
このため、水資源開発基本計画の改定に当たっても、現行予測に基づく将来需要量を国に提出したものであります。
次に、負荷率の設定方法についてでありますが、負荷率は、曜日や気象条件、その他さまざまな複合的要因により変動し、また、年度によっての変動も大きいことから、傾向値をもって予測する性質のものではなく、しかも、直近の実績のみをもとに判断すべきものではないと考えております。
こうしたことから、計画負荷率は、昭和六十一年度から平成十二年度の十五年間における最小値を採用しております。
他都市におきましても、横浜市の過去五十年間、札幌市の過去三十年間のほか、主な政令指定都市では、おおむね過去十年から二十年間の最小値を採用しており、都の設定方法は例外的なものではありません。
最後に、一日平均使用水量の予測方式についてでありますが、先ほどお示しいただいたグラフにつきましては、前提となる条件や具体的な算出の方法等がよくわからないため、何とも申し上げられませんが、都の水需要予測は、都民の節水動向が反映された過去の使用水量実績をもとに、重回帰分析手法により将来の使用水量を予測していることから、予測値には、将来における節水の効果が織り込まれているものであります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 八ッ場ダム建設事業についてでございます。
八ッ場ダムは、利水、治水、両面の役割を担う多目的ダムとして事業が進められております。都は、渇水時における利水の安全性の確保とともに、東京を水害から守るという治水の安全性の向上を総合的に検証した上で、八ッ場ダムにつきましては必要不可欠な施設と考えております。
八ッ場ダムの本体工事につきましては、既に河川を迂回させるための仮排水トンネルに着手しておりまして、都や関係自治体はもとより、地元の生活再建を促進するためにも、事業の推進、早期完成が求められております。
都として事業の見直しは考えておりません。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 非常勤職員につきましての四点の質問にお答えいたします。
まず、国への法改正の申し入れについてでございますが、各自治体におけます非常勤職員の任用及び勤務条件は、地方公務員法など法令の規定の範囲内で、それぞれが適正に決定すべきものと考えております。
都としては、国に対し、法改正の申し入れを行う考えはございません。
次に、非常勤職員の待遇についてでございますが、都の非常勤職員は、常勤職員とは勤務時間や職責などに違いがあり、異なる制度として位置づけられております。非常勤職員の処遇につきましては、その職務内容などを踏まえ、適切に設定しているところでございます。
次に、平成二十年三月十九日の参議院予算委員会での舛添厚生労働大臣の答弁についてでございますが、この答弁は、すべてのパートタイム労働者を対象とした均等待遇の確保など改正パートタイム労働法の趣旨が生かされるように、公務員法制においても考えられてしかるべきという内容でございました。
しかしながら、現行制度におきましては、都の非常勤職員は、常勤職員とは異なる制度として位置づけられておりまして、その処遇につきましては適切に設定しております。
最後になりますが、お話の平成二十年八月二十六日の人事院通知についてでございますが、この通知は、国の非常勤職員の給与決定方法につきまして、府省間の不均衡を改善することを主たる目的としております。
加えまして、国と地方公共団体の非常勤職員は、法律上の身分が異なっておりまして、国は給与が支給されるのに対しまして、地方では報酬のみしか支給できないなど、制度的な位置づけが異なっております。
いずれにせよ、都としては、非常勤職員の報酬に関しまして、職務内容等を踏まえ、適切に設定し、また運用しているところでございます。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
まず、大気汚染医療費助成制度の広報についてでありますけれども、この制度は、患者さんのすべての医療費が無料になるものではなく、気管支ぜんそく等、対象疾病の治療に要した医療費のうち、保険適用後の自己負担額を助成するものであり、こうした制度の趣旨も踏まえ、パンフレットなどを作成しております。
都はこれまで、制度の内容をわかりやすく都民に伝えるために、東京都や区市町村のホームページ、広報紙等を通じて周知を図ってきました。また、ポスター四万五千枚、パンフレット四十万部を作成し、多くの都民の方が訪れる医療機関、薬局、区市町村窓口等に掲示するなど、効果的な広報に努めております。
さらに、本制度のための専用電話相談窓口を設け、患者の方からの相談にもおこたえをしております。
児童虐待防止に関して、児童相談所職員の専門性の確保等についてでありますが、都の児童相談所では、東京都児童相談所研修計画を策定し、職層、職種に応じて専門的知識等を付与する研修を実施しております。
また、児童虐待などについて的確かつ迅速に対応するため、一つの地域を複数の児童福祉司で担当するチーム制を取り入れておりますが、チーム内での実務を通じて、ベテランから若手に対しノウハウの継承を行っております。
さらに、スーパーバイザーとして弁護士や医師などを配置し、専門的見地からの助言を受けて困難事例等に対応しております。
こうした取り組みを通じて、職員の専門性を確保しております。
最後に、家族への援助の強化についてでありますが、被虐待相談のうち、約八割は児童相談所等の援助を受けながら地域での生活を継続しており、家庭での安全が確保されない場合に限って一時保護を行っております。
一時保護や施設入所をした場合であっても、その家族の状況に適した家庭復帰が可能となるよう、指導や援助を行っております。
さらに、家庭復帰した後は、児童相談所並びに区市町村の子ども家庭支援センターが中心となって、保育所や学校、保健所など地域の関係機関と連携し、グループカウンセリングなどの援助や見守りを行っているところであります。
〔環境局長有留武司君登壇〕
○環境局長(有留武司君) 二点についてお答えいたします。
まず、微小粒子状物質PM二・五の目標値についてでございますが、都はこれまで、米国やWHOの基準に関する知見などを調査、分析してまいりました。PM二・五は、極めて多数の成分から成る汚染物質で、その成分の構成は国によって異なるため、一概に外国の基準を適用することはできないと考えております。
なお、これまで国において、環境目標値の設定を視野に入れたリスク評価が行われてきており、都は、このような動きも踏まえつつ、効果的なPM二・五対策の実施に向けた検討を進めております。
次に、PM二・五の対策についてでありますが、都は、平成十三年度から大気環境中のPM二・五の測定を実施するなど、先駆的に実態の把握に努めてまいりました。
PM二・五は、生成の仕組みや発生源の寄与割合など未解明の部分が多いため、現在、大気中や発生源における成分などについて詳細な検討を実施しております。
今後は、これらの調査結果等に基づきまして、東京の実態に即した対策を検討してまいります。
〔七番福士敬子君登壇〕
○七番(福士敬子君) 時間が余りありませんので、非常勤職員に関してだけ伺います。
法改正の申し入れですが、国ですら社会の動きに沿って変化させるように努力しているのが、舛添大臣の答弁であったり、あるいは人事院の勧告であったりするのではないでしょうか。
都としても、独自の対応、対策を進めるとともに、法改正で雇用体制を保障することは重要ではないかと思いますが、お考えをいま一度お聞かせください。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 先ほどお答えしましたが、法改正についての、まず国への申し入れでございますが、各自治体におけます非常勤職員の任用及び勤務条件は、地方公務員法など法令の規定の範囲内で、それぞれが適正に決定すべきものと考えております。
都としましては、国に対し、法改正の申し入れを行う考えはございません。
○議長(比留間敏夫君) 以上をもって質問は終わりました。
○議長(比留間敏夫君) これより日程に入ります。
日程第一から第六十六まで、第二百四号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第三号)外議案六十五件を一括議題といたします。
本案に関し、提案理由の説明を求めます。
副知事谷川健次君。
〔副知事谷川健次君登壇〕
○副知事(谷川健次君) ただいま上程になりました六十六議案についてご説明申し上げます。
第二百四号議案から第二百七号議案までの四議案は、一般会計外三会計の補正予算案でございます。
中小企業支援、雇用確保対策、都民の不安にこたえる生活者支援対策、中小企業活用による都市インフラの整備を柱として、総額五百十二億円の補正を行うものでございます。
第二百八号議案から第二百三十五号議案までの二十八議案は、条例案でございます。
新設の条例は三件でございます。
第二百八号議案、職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例は、職員が大学院派遣研修中または終了後、早期に離職した場合に、都が支出した研修費用を償還させることができるようにするものでございます。
第二百十五号議案、東京都選挙管理委員会関係手数料条例は、選挙管理委員会が、政治団体の収支報告書等の写しを交付する際の手数料を定めるものでございます。
第二百二十六号議案、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例は、東京都健康長寿医療センターに職員を引き継ぐ都の組織を東京都老人医療センターと定めるものでございます。
次に、一部を改正する条例でございます。
第二百十号議案、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例から第二百十四号議案、東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例までの五議案は、東京都人事委員会勧告に従いまして、職員の給与等に所要の改正を行うものでございます。
このほか、同様の改正を行うものが八件ございます。
第二百二十五号議案、東京都立図書館条例の一部を改正する条例は、都立日比谷図書館を千代田区へ移管するため、同図書館に関する規定を削除するものでございます。
第二百二十九号議案、食品衛生法施行条例の一部を改正する条例及び第二百三十号議案、食品製造業等取締条例の一部を改正する条例は、事業者が消費者から健康被害に関する情報を受けた場合の知事等への情報提供に係る規定を設けるものでございます。
第二百三十一号議案、東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例は、薬事法の一部改正に伴い、動物用医薬品販売業に登録販売者制度が新設されたため、登録手数料等の規定を設けるものでございます。
第二百三十四号議案、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例は、原宿警察署の移転に伴い、同警察署の位置を改めるものでございます。
第二百三十五号議案、東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例は、執行体制の見直しに伴い、規定を整備するものでございます。
このほか、法令等の改正に伴い、所要の改正を行うものが四件ございます。
次に、廃止する条例でございます。
第二百二十七号議案、東京都立老人医療センター条例を廃止する条例及び第二百二十八号議案、老人総合研究所の助成等に関する条例を廃止する条例は、都立老人医療センター及び老人総合研究所の運営を東京都健康長寿医療センターへ移行するため、両施設に関する条例を廃止するものでございます。
第二百三十六号議案から第二百四十一号議案までの六議案は、契約案でございます。
都立産業技術研究センター(仮称)(二十)新築工事(その二)など、契約金額の総額は約百九十九億円でございます。
第二百四十二号議案から第二百六十九号議案までの二十八議案が事件案でございまして、それぞれ法律の規定に基づき、議決をお願いするものでございます。
第二百四十二号議案は、首都大学東京が新たに開設する講座の受講料等の上限を定めるものでございます。
第二百四十三号議案は、平成二十一年度の宝くじ販売限度額を定めるものでございます。
第二百四十四号議案は、駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者を指定するものでございます。
このほか、都立施設を管理する指定管理者を指定するものが十九件ございます。
第二百四十五号議案は、東京都健康長寿医療センターの中期目標を定めるものでございます。
第二百四十六号議案及び第二百四十七号議案は、新型インフルエンザへの備えとして、タミフル、リレンザなど備蓄用の抗インフルエンザウイルス薬を買い入れるものでございます。
第二百六十七号議案から第二百六十九号議案までの三議案は、青梅市、調布市及び国立市に対する東京都水道事業の事務の委託を廃止するとともに、公共下水道使用料徴収事務を受託するものでございます。
上程になりました六十六議案の説明は以上でございますが、このほか人事案を送付いたしております。
東京都教育委員会委員につきまして、十二月二十四日に任期満了となります高坂節三氏を再任いたしたいと存じます。
同意につきまして、よろしくお願い申し上げます。
以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○議長(比留間敏夫君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
議事部長をして報告いたさせます。
○議事部長(大村雅一君) 人事委員会の回答は、第二百十号議案から第二百十四号議案、第二百二十号議案、第二百二十二号議案及び第二百二十三号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。
二〇人委任第八七号
平成二十年十一月二十五日
東京都人事委員会委員長 内田 公三
東京都議会議長 比留間敏夫殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
平成二十年十一月二十五日付二〇議事第二八八号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
記
提出議案
一 第二百十号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
二 第二百十一号議案
職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
三 第二百十二号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
四 第二百十三号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
五 第二百十四号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
六 第二百二十号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
七 第二百二十二号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
八 第二百二十三号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
意見
異議ありません。
○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
ただいま議題となっております日程第一から第六十六までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託したいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第六十六までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
○議長(比留間敏夫君) これより追加日程に入ります。
追加日程第一、東京都教育委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
〔大村議事部長朗読〕
一、東京都教育委員会委員の任命の同意について一件
二〇財主議第四〇二号
平成二十年十二月二日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 比留間敏夫殿
東京都教育委員会委員の任命の同意について(依頼)
このことについて、左記の者は平成二十年十二月二十四日任期満了となるため、再び任命したいので、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
記
高坂 節三
略歴
現住所 東京都文京区
高坂 節三
昭和十一年七月二日生(七十二歳)
昭和三十四年三月 京都大学経済学部卒業
昭和三十四年四月 伊藤忠商事株式会社入社
平成元年六月 伊藤忠商事株式会社取締役伊藤忠アメリカ会社執行副社長
平成三年四月 伊藤忠商事株式会社取締役中南米総支配人
平成五年六月 伊藤忠商事株式会社常務取締役中南米総支配人
平成六年六月 伊藤忠商事株式会社常務取締役
平成七年六月 栗田工業株式会社代表取締役専務取締役電力事業部長
平成九年四月 社団法人経済同友会幹事
平成九年六月 栗田工業株式会社代表取締役専務取締役水処理事業部長
平成十年四月 栗田工業株式会社代表取締役専務取締役管理本部長
平成十一年六月 栗田工業株式会社取締役会長
平成十二年四月 拓殖大学客員教授
平成十三年六月 栗田工業株式会社顧問
平成十五年六月 コンパスプロバイダーズL.L.C.ゼネラルパートナー日本代表
平成十六年四月 独立行政法人大学評価・学位授与機構運営委員
平成十六年六月 日揮株式会社社外取締役
平成二十年四月 社団法人経済同友会政治委員会顧問
現在 コンパスプロバイダーズL.L.C.ゼネラルパートナー日本代表独立行政法人大学評価・学位授与機構運営委員社団法人経済同友会政治委員会顧問
○議長(比留間敏夫君) 本件は、起立により採決いたします。
本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(比留間敏夫君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。
○議長(比留間敏夫君) 追加日程第二から第四まで、議員提出議案第二十九号、東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例外条例二件を一括議題といたします。
案文は、お手元に配布いたしてあります。
○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第二十九号から第三十一号までについては、趣旨説明を省略し、第二十九号は文教委員会に、第三十号及び第三十一号は厚生委員会にそれぞれ付託されることを望みます。
○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第二十九号から第三十一号までは、趣旨説明を省略し、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
○議長(比留間敏夫君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
受理いたしました請願三十五件及び陳情四十四件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
明十一日から十六日までの六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、明十一日から十六日までの六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
なお、次回の会議は、十二月十七日午後一時に開きます。
以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後八時六分散会
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