平成二十年東京都議会会議録第十六号

平成二十年十二月九日(火曜日)
出席議員 百二十四名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番伊藤まさき君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番菅  東一君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番早坂 義弘君
二十六番高木 けい君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番矢島 千秋君
四十四番高橋かずみ君
四十五番吉原  修君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番田代ひろし君
六十四番川井しげお君
六十五番こいそ 明君
六十六番崎山 知尚君
六十七番宇田川聡史君
六十八番秋田 一郎君
六十九番村上 英子君
七十番倉林 辰雄君
七十一番遠藤  衛君
七十二番三原まさつぐ君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番田島 和明君
八十八番樺山たかし君
八十九番山加 朱美君
九十番山田 忠昭君
九十一番串田 克巳君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番吉野 利明君
九十七番初鹿 明博君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大津 浩子君
百番大塚たかあき君
百一番相川  博君
百二番中村 明彦君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番鈴木 一光君
百十二番三宅 茂樹君
百十三番高島なおき君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 一名
百二十三番 土屋たかゆき君
 欠員
 五番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長金子正一郎君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長今里伸一郎君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長中村 晶晴君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長野口  孝君

十二月九日議事日程第二号
第一 第二百四号議案
平成二十年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第二 第二百五号議案
平成二十年度東京都病院会計補正予算(第一号)
第三 第二百六号議案
平成二十年度東京都水道事業会計補正予算(第一号)
第四 第二百七号議案
  平成二十年度東京都下水道事業会計補正予算(第一号)
第五 第二百八号議案
  職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例
第六 第二百九号議案
  東京都統計調査条例の一部を改正する条例
第七 第二百十号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百十一号議案
  職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百十二号議案
  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第十 第二百十三号議案
  東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第二百十四号議案
  東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第二百十五号議案
  東京都選挙管理委員会関係手数料条例
第十三 第二百十六号議案
  選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百十七号議案
  東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百十八号議案
  東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第二百十九号議案
  特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第十七 第二百二十号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第二百二十一号議案
  都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百二十二号議案
  義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第二十 第二百二十三号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第二百二十四号議案
  東京都産業教育審議会に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第二百二十五号議案
  東京都立図書館条例の一部を改正する条例
第二十三 第二百二十六号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
第二十四 第二百二十七号議案
  東京都立老人医療センター条例を廃止する条例
第二十五 第二百二十八号議案
  老人総合研究所の助成等に関する条例を廃止する条例
第二十六 第二百二十九号議案
  食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百三十号議案
  食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百三十一号議案
  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十九 第二百三十二号議案
  東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第二百三十三号議案
  東京都労働委員会あつせん員の費用弁償条例の一部を改正する条例
第三十一 第二百三十四号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第二百三十五号議案
  東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例
第三十三 第二百三十六号議案
  都立産業技術研究センター(仮称)(二十)新築工事(その二)請負契約
第三十四 第二百三十七号議案
  都立武蔵村山高等学校(二十)改修工事請負契約
第三十五 第二百三十八号議案
  中央環状品川線五反田換気所下部工事請負契約
第三十六 第二百三十九号議案
  街路築造工事に伴う道路構造物設置工事(二十北南―西東京三・二・六東伏見)請負契約
第三十七 第二百四十号議案
  街路築造工事に伴う道路構造物設置工事(二十北南―西東京三・二・六富士町)請負契約
第三十八 第二百四十一号議案
  永田橋上部製作・架設工事請負契約
第三十九 第二百四十二号議案
  公立大学法人首都大学東京が徴収する料金の上限の認可について
第四十 第二百四十三号議案
  当せん金付証票の発売について
第四十一 第二百四十四号議案
  駒沢オリンピック公園総合運動場の指定管理者の指定について
第四十二 第二百四十五号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期目標について
第四十三 第二百四十六号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(リン酸オセルタミビルカプセル)の買入れについて
第四十四 第二百四十七号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
第四十五 第二百四十八号議案
  東京都石神井学園外五施設の指定管理者の指定について
第四十六 第二百四十九号議案
  東京都品川景徳学園外一施設の指定管理者の指定について
第四十七 第二百五十号議案
  東京都八王子自立ホームの指定管理者の指定について
第四十八 第二百五十一号議案
  東京都視覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第四十九 第二百五十二号議案
  東京都聴覚障害者生活支援センターの指定管理者の指定について
第五十 第二百五十三号議案
  東京都清瀬園の指定管理者の指定について
第五十一 第二百五十四号議案
  東京都清瀬療護園の指定管理者の指定について
第五十二 第二百五十五号議案
  東京都日野療護園の指定管理者の指定について
第五十三 第二百五十六号議案
  東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
第五十四 第二百五十七号議案
  東京都八王子福祉園外三施設の指定管理者の指定について
第五十五 第二百五十八号議案
  品川ふ頭外貿岸壁外三施設の指定管理者の指定について
第五十六 第二百五十九号議案
  東京都立大島公園海のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十七 第二百六十号議案
  東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
第五十八 第二百六十一号議案
  東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
第五十九 第二百六十二号議案
  東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
第六十 第二百六十三号議案
  東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
第六十一 第二百六十四号議案
  東京都立日比谷公園外二公園の指定管理者の指定について
第六十二 第二百六十五号議案
  東京都立駒沢オリンピック公園の指定管理者の指定について
第六十三 第二百六十六号議案
  東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
第六十四 第二百六十七号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び青梅市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第六十五 第二百六十八号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び調布市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第六十六 第二百六十九号議案
  東京都水道事業の事務の委託の廃止及び国立市公共下水道使用料徴収事務の受託について

   午後一時開議

○議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(比留間敏夫君) これより質問に入ります。
 百十二番三宅茂樹君。
   〔百十二番三宅茂樹君登壇〕

○百十二番(三宅茂樹君) 平成二十年第四回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 アメリカ発の金融危機が世界を駆けめぐり、百年に一度といわれる経済不況に陥っております。アメリカの自動車大手ビッグスリーの危機が伝えられ、これまでの金融危機から、実体経済にも影響が及ぶ段階となり、経済不況の影響は、さらに深く広く波及しています。
 日本も例外ではなく、原油高は若干の落ちつきを見せていますが、社会経済活動の減速は、企業収益の減少や雇用環境の悪化、金融機関の貸し渋りなど、中小企業経営や都民生活に大きなダメージを与えています。
 我が党は、こういうときにこそ、都民に希望と安心感を与える積極的な対応が必要と考え、中小企業への資金繰り対策や受注機会の増加策、雇用創出策など、追加の緊急対策を要望いたしました。これを受けて、都は直ちに東京緊急対策Ⅱを策定しました。
 この緊急対策は、我が党の要望どおり、都民の不安を解消し、中小企業の困窮に手を差し伸べるものとなっており、大いに評価できます。都としても、その執行に万全を期していただきたいと思います。
 そこで、都民、国民の不安を正面から受けとめ、緊急対策を取りまとめた知事に、今回の緊急対策の基本的考え方について伺います。
 この経済状況の悪化は、今後の都政にとっても新たな課題をもたらすことになります。それは、景気のさらなる後退と法人事業税の一部国税化の暫定措置とが相まって、都税収入の大幅な減少が見込まれる中、都民生活や中小企業を守る施策と、将来の東京をつくり上げていく施策の両方に取り組んでいかなければならないということです。
 このような状況の中、都は、九月補正に引き続いて、さらに今定例会でも実質五百八億円の補正予算を提案し、現在編成中の二十一年度当初予算とあわせ、緊急対策を積極的に展開することとしています。
 そこで、予算編成中の知事に、今後ますます厳しくなるであろう財政環境の中で、都政の課題にどう取り組んでいくのか、決意を伺います。
 現在のように社会経済状況が大きく変化する中にあっては、財政運営のあり方が改めて問われることになります。今回の補正予算の財源は、その多くが都債の発行と財政調整基金の取り崩しであります。そして、これらの財源は財政再建で培ってきたものであります。
 知事が述べてきたように、財政再建とは、今日のような社会経済状況の変化に対応し、都民の切なる要望にこたえ、東京独自の先進的な施策を継続的に展開できる基盤を確立するという前向きな取り組みです。これまで、知事と我が党が一体となって財政再建に積極的に取り組んできたからこそ、都民を守る補正予算を迅速に組むことができたわけであります。
 これからの財政運営には、税収が減少していく中でどうやって工夫していくのか、また、都民の要望を的確にとらえた効果的な施策をどう展開していくのかという複合的な経営感覚が求められます。
 そこで、これから財政状況が一層厳しくなる中にあって、中長期的な東京の都市づくりを進め、都民の切実な要求に的確にこたえるために、どういう観点で財政運営を進めていくべきか、所見を伺います。
 次に、固定資産税などについて伺います。
 第三回定例会の我が党の代表質問で、固定資産税、都市計画税額等の著しい上昇に対しては、都民や中小企業に配慮し、何らかの緩和措置を講ずるべきとの問いに対し、主税局長より、適切な負担調整措置を講じることを国に要望するとの答弁がありました。
 そこで、平成二十一年度の土地の固定資産税評価額の動向と、国に要望するとした負担調整措置の状況について、改めて伺います。
 さきに述べたとおり、特に経営基盤の脆弱な中小企業者は、急速に経営状況が悪化しており、これまで以上に重い税負担感を持っています。そこで、都民の税負担感に配慮し、都独自の固定資産税等の三つの軽減措置については継続すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 本年五月には中国四川省で、六月には岩手・宮城内陸部と、大規模な地震が発生しました。首都東京においても直下型地震の切迫性が高まっており、地震による被害を最小限に抑えるための事前対策を強化していくことが喫緊の課題であります。
 都は、首都直下地震発生時において事業継続を図るため、このたび、都政の事業継続計画を策定し、発災直後に発生する応急活動業務や、医療や介護など優先すべき通常業務を選定した上で、必要な人員や情報通信手段の確保などの課題とその対策を明らかにしました。
 本計画に盛り込まれた対策が確実に実施され、計画の実効性を確保していくために、今後、都はどのように都政の事業継続計画を推進していくのか、伺います。
 気候変動は、地球規模の問題であると同時に、私たちの暮らしに密接にかかわる身近な問題でもあります。
 東京においても、妙正寺川や善福寺川に甚大な被害をもたらした平成十七年九月の集中豪雨や、境川などに多数の浸水被害をもたらした平成二十年八月末豪雨を初めとして、近年、大規模な集中豪雨が頻発しています。これらは地球温暖化による気候変動が原因とも考えられており、東京の現在の治水対策ではまだまだ十分とはいえません。
 知事はかねてより、治水は政の根幹をなすものであるとの見解を示しています。
 都は、東京の中小河川について、一時間五〇ミリの降雨に対応する対策を進めていますが、気候変動の影響も踏まえ、より高い水準の治水対策に移行すべきと考えます。
 そこで、中小河川の今後の治水対策のあり方について、都の考えを伺います。
 次に、周産期医療について伺います。
 本年九月と十月に多摩や区東部で起きた妊婦の出産をめぐる痛ましい事態は、医師や医療機関が多い東京都で幾つもの病院が受け入れできなかった点において、都民に大きな不安を与えました。
 産科や小児科の医師が減り、現場の医師たちが限界ぎりぎりの激務に耐えながら頑張っている中、現場の工夫だけでは解決策を見出し得ない問題であります。
 この問題の根本は医師の不足であり、医師が診療科によって偏在していることです。国がこのことを放置してきた責任は大きいといわざるを得ません。まず、国が有効な方策を早期に打ち出すべきと考えますが、人材を育成し、安定的に供給するには、ある程度の時間がかかります。
 今回の事態は、産科医不足などの影響が周産期母子医療センターにも及び、最後のとりでとしての機能を十分に発揮できない状況が招いたものと思います。このような事態が発生したことを重く受けとめ、知事は、東京都周産期医療協議会を緊急開催するとともに、東京都医師会長にも緊急の取り組み要請を行いました。
 そこでまず、都内でこのような事態が発生したことについて、知事の所見を伺います。
 また、東京緊急対策Ⅱで周産期医療の強化を図ることとし、その事業が補正予算にも盛り込まれています。こうした事業の意義や効果について所見を伺います。
 周産期医療は、行政的医療として重要な分野ですが、とりわけ今回は、そうした役割を担うべき都立病院で起きた事例であります。都立病院としてみずからの責任と役割を確実に果たすためには、都立病院医師の一層の処遇改善を検討し、根本的課題である医師確保に当たらなければなりません。
 こうした取り組みとあわせて、今回打ち出されている緊急対策を含め、今後、都立病院として周産期医療をどのように充実させていくのか、所見を伺います。
 今、東京都周産期医療協議会では、妊産婦の救命が必要な場合に必ず受け入れる、いわばスーパー総合周産期母子医療センターの整備が議論されていると聞いています。妊婦さんの不安を解消するには、ぜひとも必要な取り組みであると考えています。都としても、これを含め、周産期医療施設の整備及び医療人材の確保に向けて積極的に取り組むことを強く要望しておきます。
 次に、医師の確保対策について伺います。
 医師の不足により、今や多くの病院では運営が困難な事態に陥っており、中でも多摩・島しょ地域は深刻な状況であります。
 我が党は第三回定例会において、都が大学医局にかわって公立病院に医師を派遣することを提案しました。それを受け、都は、東京都地域医療支援ドクター事業を創設し、公立病院などへの医師派遣制度を打ち出しました。
 ところで、この新たなシステムが十全に機能するためには、地域医療支援ドクターに派遣する人材の確保がかぎとなります。そこで、手を挙げる医師にとってどのような魅力がある事業なのか、伺います。
 次に、福祉施設の運営安定化対策について伺います。
 福祉施設は、介護保険や障害者自立支援法などの公的に定められた報酬などにより運営されており、福祉サービスの対価を施設みずからが決めることはできず、努力による収入の増加や経費の圧縮には限界があるのが実態です。
 さきの物価高騰により運営費がかさみ、経営の圧迫に拍車をかけていると聞いています。
 そこで、今回の補正予算に盛り込まれた、福祉施設経営改善のための特別融資制度の創設の意義について伺います。
 次に、繁華街などの防犯対策について伺います。
 第三回定例会におきまして、我が党の代表質問に対し、知事からは、有識者会議を設置し、その検討結果を踏まえ、対策の充実強化を図るとの答弁がありました。
 繁華街などの防犯対策の充実強化のためには、都、区市町村と地域住民、事業者など、それぞれの役割を明確にし、連携して取り組んでいくことが重要であります。そのためにも、実効性を担保する方策を都民に示すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 現下の厳しい経済情勢に対応するため、政府は、第一弾として、安心実現のための緊急総合対策に基づく補正予算を編成し、原材料価格の高騰に苦しむ中小企業を支援する緊急保証制度を十月三十一日から開始しました。
 我が党は、この新たな保証制度創設を検討する政府の動きにいち早く対応し、より多くの東京の中小企業が利用できる内容とするよう、国に対する中小企業支援に関する緊急要望書を提出しました。また、私も幹事長とともに中小企業庁長官に直接面会し、印刷業、小売業、飲食業などの業種を幅広く指定するよう申し入れました。これを受けて、緊急保証制度を利用できる指定業種が、それまでの百八十五業種から六百九十八業種へと大幅に拡大されました。
 都も、この間、より多くの中小企業が緊急保証制度を十分に活用できるよう努力をしてきたと思います。そこで改めて伺いますが、都の独自の取り組みとしてどのようなことを実行してきたのか、また、今後どのように対応していくのか、所見を伺います。
 緊急保証制度の受け付け開始後、認定業務を担当する区市町村の窓口には中小企業者からの申し込みが殺到し、認定事務のおくれが生じました。待ち時間が数時間に及んだなどとする不満の声が我が党にも多数寄せられました。一方、自治体の窓口では、昼間何とか受け付けをこなした後、夜間、休日の作業で認定事務を処理する状態が続いたとも聞いています。
 緊急保証制度の入り口である認定事務がおくれては、年末、年度末に向けて高まる中小企業の資金需要にこたえることができません。
 こうした事態を避けるため、我が党は、十一月七日、認定と融資の実行を着実かつ迅速に進める措置を講じるよう、知事に対し、緊急要望いたしました。これを受けて、都は、融資相談や認定実務に当たる専門家として中小企業診断士を区市町村に配置する支援策を、要望のわずか一週間後から開始しました。
 そこで伺いますが、この支援策の進捗状況、並びに資金需要の高まる年末に向け、東京信用保証協会の審査体制を含め、今後の対応について伺います。
 さて、一方、数次にわたる指定拡大によって、緊急保証制度の対象業種は拡大していますが、その一方で、企業体力の弱い小規模企業は、業種を問わず、景気後退の影響をまともに受けて苦しんでいます。緊急保証制度の不況業種を手厚く支援することも重要ですが、小規模企業者については、業種を限定することなく、苦しい資金繰りを支援する特段の配慮を行うべきですが、所見を伺います。
 今回の金融危機は、金融機関にも大きな影響を及ぼしています。中でも、大手金融機関と比べて体力の弱い信金、信組といった地域金融機関が、より大きなダメージを受けているといわれています。
 こうした地域金融機関は、顔の見える融資で企業を支えており、その役割は今後一層重要性を増していくものです。目の前の事業資金の調達に苦しみ、多くの中小企業が倒産の危機に瀕している中で、血液ともいえる資金を供給する地域金融機関がしっかりとすることが、まさに喫緊の課題となっています。
 都は、こうした現状を踏まえ、東京の中小企業を守るため、都の制度融資でも重要な地位を占めている地域金融機関との連携を強化し、資金調達の円滑化を図っていくべきだと考えますが、所見を伺います。
 また、こうした支援策だけでなく、都内中小企業が確固たる経営基盤を維持していくためには、その経営力の一層の強化と生産性の向上を図っていくことが不可欠です。
 都内には、商工会議所や商工会を初め、日ごろから各地域において個々の中小企業経営者を熟知し、きめ細かに支援する中小企業支援機関があります。まさに国難ともいえる状況に直面している都内中小企業を救うには、これらの支援機関が持てる力を結集し、一刻も早く中小企業全体の経営力の底上げに当たるべきと考えますが、所見を伺います。
 一月から十月までの都内の企業倒産件数は、昨年同期比一三%増の約二千四百件となり、従業員約三万人が働く場所を失いました。現下の経済状況を勘案すると、倒産件数がさらに増加するのではないかと懸念されます。
 とりわけ中小企業は、取引先の倒産によって甚大な影響を受け、最悪の場合には、共倒れにとどまらず、さらなる倒産を誘発する、いわゆる連鎖倒産という悪循環に陥るおそれがあります。
 そこで、今回提案された中小企業倒産防止共済制度への加入促進策の意義について所見を伺います。
 中小企業の緊急支援には、資金繰りの確保とあわせて、仕事量の確保も重要です。特に公共工事を担う建設業などにおいては、資材価格の高騰などにより、経営環境は急激に悪化しております。中小企業の受注確保は喫緊の課題であり、我が党も、工事発注量の確保について業界団体から強い要望を受けております。
 東京緊急対策Ⅱにおいては、中小企業向け公共工事の年度内発注量の増大などが示され、補正予算案には、道路や公園における維持工事の追加発注などが計上されています。
 中小企業の受注拡大を図るため、どのように取り組まれるのか、伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 厚生労働省の調べによれば、本年十月から来年三月までに失業し、あるいは失業する見通しの非正規労働者が全国で三万人にも上るとのことであり、都内においても、有効求人倍率が低下を続けるなど、日増しに雇用情勢が悪化しております。
 そこで、こうした厳しい雇用情勢に対する都の認識とその対策を伺います。
 次に、商店街における屋外広告物についてお尋ねします。
 商店街は、地域住民の消費生活を支えるとともに、地域コミュニティの核として重要かつ公的な役割を担っています。一方で、その商店街は、空き店舗の増加や後継者不足などの課題を抱えています。
 商店街がこのような課題の克服に意欲的に取り組んでいくためには、商店街を活性化し、その財政基盤を強化することが重要です。その方法の一つとして、商店街の街路灯に企業広告を出すことで得た収入を、商店街の活性化の取り組みに充てることが考えられます。
 そこでお尋ねいたします。商店街の自主的な活性化の取り組みを支援するため、屋外広告物を活用した仕組みを整備すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、環境対策について伺います。
 本年十月に世界三十二都市の実務者を集めて開催されたC40気候変動東京会議は、大都市の国際会議として初めて適応策について議論をし、さらに十三の共同行動を立ち上げました。地球環境の危機に対し、都市が国に先駆け具体的な行動を開始したことは、真に意義深く、会議を主宰された知事に敬意を表します。
 知事は記者会見で、来年のコペンハーゲン会議で、C40が国家を動かすアピールをすべきと主張されました。そこで、今回の会議の意義をどのようにとらえ、地球温暖化阻止に向け、今後どのように国家を動かしていくのか、知事に決意を伺います。
 都は、第二回定例会における環境確保条例の改正において、大規模事業所対策にとどまらず、中小規模事業所対策として地球温暖化対策報告書制度を盛り込みました。
 都内の中小規模事業所においては、一部に省エネ対策の進んだ事業所もありますが、全体としては、やはり取り組みがおくれている状況にあり、最新事例を含む適切な省エネ対策を広めていくことが重要だと考えます。
 都は、本年十月、小売、飲食業の店舗などの省エネ対策を強化する目的で、省エネ型営業スタイル推進協議会を設置したと聞きました。今後、この協議会での検討を中小規模事業所対策全体に広く生かしていくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、地球温暖化対策を進めるには、自動車からのCO2排出削減も重要です。そのためには、自動車の使用抑制を図るとともに、自動車を使用する場合には、低公害かつ低燃費な自動車を広く社会に定着させていくことが必要です。
 自動車メーカーの積極的な技術開発により、来年度以降、電気自動車やプラグインハイブリッドなどの低環境負荷の次世代車が次々と発売される予定と聞いております。自動車からのCO2削減には、こうした次世代車の普及策を集中的に講じ、社会の大きなうねりとしていくことが求められています。
 そこで、都として、幅広く民間事業者などと連携し、環境に優しい次世代車の普及に積極的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 また、温暖化対策を着実に進めていくためには、中小企業や家庭における省エネ促進が不可欠であり、補助制度や金融面の支援はもとより、税制を活用するなど、施策を総合的に講じていく必要があります。
 東京都税制調査会も、先月、都の環境施策を支援するため、独自の政策減税を積極的に検討すべき旨の答申を行いました。
 昨今の経済環境の中で、とりわけ中小企業は厳しい経営を迫られており、我が党が従来から要望してきた中小企業の省エネ促進税制を含め、都は環境減税を積極的に検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、緑の保全と創出について伺います。
 先般、自然環境保全審議会計画部会から、自然保護条例における緑化計画書制度及び開発許可制度の強化についての中間のまとめが発表されました。
 我が党は、常日ごろより、東京を緑豊かな都市として再生することが、東京をさらに魅力的で快適な環境都市へと発展させていくことにつながると訴えてまいりました。
 開発に際しても、都民、事業者、区市町村などと協働して、緑の保全と創出がさらに図られるよう取り組みを強化すべきであり、都民、事業者などの意見を聞きながら、自然保護条例における制度の充実強化などを図る必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、自然環境の再生を目指す取り組みである海の森について伺います。
 海の森は、広大な土地に苗木を植樹し、ごみと残土の島を緑あふれる森林に生まれ変わらせ、水と緑の回廊の起点として整備する壮大な事業です。
 五月以降、ノーベル平和賞受賞のマータイ氏らを招いた植樹会を開催し、さらに、先月には公募の都民による七千本の植樹を行い、都民の参加意欲はますます高まっています。一方、民間企業において、海の森植樹活動などを社会貢献の一環として取り組んでいるところがふえていると聞いています。
 こうした中、海の森の整備に当たり、都民や企業、NPOとの協働を都としてどのように進めていくのか、伺います。
 次に、土壌汚染対策について伺います。
 都民の健康と安全の確保はもとより、都市づくりや経済発展の面からも、土壌汚染対策が円滑に進められることは重要です。
 都は土壌汚染対策を着実に進めてきましたが、中小事業者にとっては、土壌汚染対策の負担などが大きな課題となっています。このため、我が党は、合理的な土壌汚染対策を促進するために、土壌汚染現場の実態調査や汚染土壌に対する処理技術の低コスト化などが必要であると提案してきました。
 先ごろ、こうした提案を踏まえて議論してきた都の総合支援対策検討委員会から報告が出されたと聞いていますが、都は、この報告を受け、今後どのように中小事業者の土壌汚染対策に取り組むのか、所見を伺います。
 次に、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策について伺います。
 現在、技術会議において、民間事業者などから公募した二百二十一件に上る多数の技術提案についての評価、検証を進めていると聞いております。一口に土壌汚染対策といっても、土壌及び地下水の汚染物質の処理、市場施設開場後の地下水管理システムまで、求められる内容が多岐にわたっており、技術会議において、どのようにすぐれた対策を選定し、取りまとめられるかが大変注目されるところであります。
 我が国は、環境分野においても、かつての公害問題を克服し、工場ばい煙の脱硫脱硝技術や水処理技術などは世界有数の技術力を有し、土壌汚染対策についても、さまざまな研究や技術開発が進められています。こうした中で、技術会議に寄せられた多数の技術提案については、我が国の最先端の環境対策技術が集結し、先駆的な事例になり得るものと期待するものであります。
 今や、国内のみならず世界各地でも、工場跡地など、土壌、地下水汚染のため、手つかずに放置され、対策経費も重荷となり、開発が進まない未利用地が多く存在しています。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策は、我が国最大の規模であり、市場用地として食の安全が十分に確保され、実効性や経費の面でもすぐれた対策を講じることができれば、日本の環境技術の高さや信頼性を世界に広く発信することができるものと考えます。
 今後、技術会議では、すぐれた対策を絞り込み、豊洲新市場予定地だけに限らず、国内外に広く紹介していくことも視野に入れながら、活用について検討していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、「十年後の東京」の実現に向けた都市づくりの取り組みについて伺います。
 都は、平成十三年、都市づくりの基本的な方針である都市づくりビジョンを策定し、国を先導して、首都東京の再生を迅速、確実に推進してきました。しかし、近年、都市の温暖化対策など、都市づくりにおいて対応しなければならない新たな課題が生じております。さらに、区市町村や民間事業者が行う都市づくりについても、「十年後の東京」の実現に即したものとなるよう、適切に誘導していくことも重要です。
 二〇一六年東京オリンピック・パラリンピックの招致を契機に、東京を整備し、二十一世紀の範となる首都東京を形成していくことが私たちの世代に求められております。
 こうした時代の要請を踏まえ、今後の都市づくりの方向を示すビジョンを改めて示す必要があると考えますが、所見を伺います。
 景気が低迷する中、東京を再生していくためには、都心部の大規模な機能更新だけではなく、生活に密着した地域のまちづくりを進め、地域経済の活性化を図ることも必要です。区市町村からまちづくりの具体的な提案があった場合には、これにあわせて用途地域を迅速に見直すなど、地域の取り組みを速やかに受けとめ、支援することが重要であると考えます。
 今後、都として、地域の多様なまちづくりの取り組みをどのように促進していく考えか、所見を伺います。
 次に、道路整備や高速道路の料金施策の実施に向けた財源の確保について伺います。
 道路整備の財源については、新たな経済対策に盛り込まれた一兆円の地方配分の具体策として、公共事業に幅広く使える交付金とする方針が打ち出されました。一方で、道路特定財源を、三位一体の改革に際し削減された地方交付税の穴埋めとして使うような動きもありますが、こうした道路財源をめぐる動きに対する知事の所見を伺います。
 一方、今般の経済対策での高速道路料金の引き下げについては、首都高の料金引き下げの検討も盛り込まれましたが、その内容は明らかになっておりません。高速道路料金については、経済対策としての一時的な引き下げにとどまることなく、首都圏の高速道路がネットワークとして最大限に利活用される合理的な料金体系の導入が必要であると考えますが、これらの料金施策の実施に必要な財源確保に向けた都の取り組みについて伺います。
 次に、東京外かく環状道路について伺います。
 外環の早期着工は、三千億円の税移譲に伴い、国が協力を約束した都の重要施策の一つであります。私が幹事長を務める東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟では、十月に金子国土交通大臣を訪ね、外環の平成二十一年度事業着手を強く申し入れてまいりました。外環こそ必要な道路であり、国は、今年度中に国幹会議を開催し、整備計画を決定すべきであります。
 外環の沿線では、国、都、地元区市が共同で住民との話し合いの場を設け、事業受け入れの準備も着実に進んでいると聞いています。そこで出された意見や要望に対して、都はどのように対応していくのか、所見を伺います。
 外環の早期整備を図る上で、ジャンクション部などにおける用地買収を円滑に進める必要があります。地権者の協力を得る上で、地域のまちづくりなどと連携して移転先の確保に努めることも必要と考えます。都は、この課題に対しどのように取り組んでいくのか、伺います。
 次に、橋梁の管理について伺います。
 昨年は、米国ミネアポリスで衝撃的な橋梁の崩落事故が起きるとともに、国内でも、重大事故につながりかねない橋梁の損傷が幾つか発生しました。最近でも、十月に千葉県君津市でアーチ橋のつり鋼材の破断が発生し、いまだ全面通行どめが続くなど、橋梁の安全性が危惧される事例が発生しています。
 都が管理する約千二百の橋梁の多くは、東京オリンピックを契機とした高度経済成長期に建設されたもので、十年後には、建設後五十年以上経過する橋梁が過半数を超えると聞いております。
 このままでは、かけかえ時期が集中し、多大な経費を要するとともに、工事が集中し、交通渋滞が長時間にわたって起きるなど、都民生活上も支障が生ずるおそれがあります。また、今後、より安全性を保つために、これまでの対症療法型の管理から予防保全型の管理への転換を進めていくことが必要です。
 都は、現在、橋梁の管理に関する新たな計画を策定中とのことですが、その計画の内容と今後の取り組みについて伺います。
 次に、羽田空港の再拡張、国際化及びアクセス道路について伺います。
 国は、再拡張事業の供用開始時において、国際線発着枠を昼夜合わせて六万回とし、そのうち深夜、早朝には欧米まで就航させるとしています。順次、各国と航空交渉を開始し、既に、ソウルを初めパリやロンドンとの定期便の就航について合意するなど、国際化が着々と具体化しつつあり、再拡張事業の完成が待たれるところであります。
 また、羽田空港の機能を最大限生かすためには、再拡張事業や国際化の進展を見据えて、アクセス道路の機能を強化する必要があります。現在、空港周辺では、首都高速道路、国道三五七号線、環状八号線などの幹線道路が一定程度整備されているものの、必ずしも十分とはいえません。
 そこで、平成二十二年に予定されている供用開始までいよいよ二年を切った現在、再拡張事業とアクセス道路整備はどのように進められているのか、伺います。
 次に、都営住宅について伺います。
 都は、昨年の第四回定例会で我が党の代表質問に答え、都営住宅の建てかえ事業について、昭和四十年代建設の住宅まで対象を広げるとともに、財政状況を勘案しながら、規模を年間約四千戸程度まで段階的に拡大する考えを表明しました。
 対象範囲と規模の拡大は、老朽化した都営住宅の更新を促進するだけでなく、敷地を高度利用することで用地を創出し、都市の再生に向けた地域のまちづくりとの連携を一層推進するものと考えます。また、用地が創出されてから活用できるまで時間がかかる場合は、その用地をスポーツ広場や緑地などに暫定利用することができると考えます。
 まちづくりと連携した建てかえの推進と用地の暫定利用について、あわせて所見を伺います。
 来年四月に施行される公営住宅法施行令の改正に関して、都は、さきの第二回定例会において我が党の代表質問に答え、入居を希望しながら入れない方々との均衡も考慮しながら、都独自の激変緩和策の検討を行うとしました。
 改正後の制度の適用を円滑に進める上からも、その具体的な内容を早急に示すべきと考えますが、所見を伺います。
 なお、住宅供給公社の一般賃貸住宅における家賃改定の当面の延期、及び施行令改正に伴う減額措置適用世帯への負担上昇緩和措置の実施についてご配慮いただきたく、昨日、緊急要望したところであります。
 次に、多摩地域の下水道について伺います。
 多摩地域の下水道普及率は平成十九年度末で九七%となり、その普及に当たっては、都と市町村が連携して整備に取り組む流域下水道事業が大きな役割を果たしました。しかし、八王子市、立川市及び三鷹市では、流域下水道事業の制度化に先駆けて、昭和三十年代から単独で下水処理場を整備し、運営してきています。
 これらの市は、下水処理場が稼働してから四十年以上たつことや小規模であることから、水質環境基準を達成するための施設整備や維持管理など、さまざまな面で苦慮しています。市長会も、スケールメリットを生かした効率的な処理を行うために、これらの単独で下水を処理している区域を都の流域下水道に編入することを以前から要望しています。
 都は現在、多摩川や荒川などの水質環境基準を達成するため、下水道整備の基本方針である多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画の見直しを行っていると聞いています。
 そこで、今回の総合計画における八王子市、立川市、三鷹市の位置づけと計画の策定予定について伺います。
 次に、中学三年生までの医療費助成について伺います。
 都は、助成内容の拡大に向けた見直し案を取りまとめ、市町村と協議を開始しました。住民の皆さんの身近な福祉施策を担っている市町村長としてはぜひ実現したい施策ですが、この案を実現する場合の最大の問題は、約二十億円と見込まれる市町村の財政負担であります。そこで、去る十月二十四日、我が党は石原知事に対して緊急要望を行いましたが、東京都市長会、東京都町村会も、十一月七日、事業の実施に伴う財政負担について緊急要望したと聞いております。
 多摩・島しょ地域で事業を円滑に実施できるようにするため、我が党の緊急要望にあるように、市町村の財政に支障を来すことがないよう必要な措置を講ずるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、病児、病後児保育について伺います。
 都は、保育所の待機児童解消に向け精力的に取り組んでいるところですが、仕事と子育ての両立を支援していくには、保育サービスの定員をふやすとともに、多様な保育サービスの充実が必要です。
 本年四月に都が発表した平成十九年度東京都福祉保健基礎調査「東京の子どもと家庭」の速報結果では、保育所などに子どもを預けていて困ることとして、子どもが病気のときに利用できないとの回答が最も多く、全体の三割以上を占めています。
 入院の必要はないものの、発熱などで保育所に通えない子どもたちに対し、看護師や保育士がケアを行う病児、病後児保育は、地域の子育て支援策として欠かせないものであります。
 今後、病児、病後児保育事業への支援をさらに充実していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、介護保険制度について伺います。
 高齢者の介護を国民全体で支え合う介護保険制度は、平成十二年度の創設以来、利用者が着実に増加し、サービスの種類もふえるなど、多くの都民の間に浸透してきました。一方、制度の定着とともに介護給付に要する費用は増大し、このままでは保険料の大幅な上昇が見込まれるなど、制度の持続可能性が大きな課題となってきました。
 このため、平成十八年度には、介護予防の推進や、住みなれた地域で住み続けることを目指した地域密着型サービスの創設など、将来の高齢化を念頭に置いた大幅な改正が行われています。
 今年度は、平成十八年度を初年度とした第三期介護保険事業計画の三年目であり、来年度から二十三年度までを期間とする第四期の計画策定に向けた準備の年でもあります。
 そこで、第三期計画における新たなサービスを含めた介護給付の状況及び介護保険財政、さらに、第四期計画における課題について伺います。
 ところで、昨今、東京を初めとする大都市においては、介護サービスを担う人材の不足が非常に深刻なものとなっています。都は国に対し、地域差を反映した介護報酬のあり方について要望していますが、一方で、介護報酬のアップは保険料の上昇につながるとの懸念もあります。
 去る十月三十日、政府・与党は生活対策を示し、介護従事者の処遇改善のための緊急対策として、平成二十一年度の介護報酬を三%引き上げることとしましたが、同時に、それに伴う介護保険料の急激な上昇にも配慮し、一千二百億円程度の財政措置を講じることも明らかにしております。都民も、第四期の各区市町村の保険料額がどうなるのかについて高い関心を持っています。
 そこで、第四期計画における介護サービス量やそれに伴う介護保険料額の見通し、並びに、税制改正に伴い平成十八年度から実施されている、高齢者の保険料を急激に上昇しないこととした激変緩和措置の扱いについて伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 都は先ごろ、障害者の雇用拡大と就労支援の促進に向けた首都TOKYO障害者就労支援行動宣言を発表しました。経済団体や国などを含む関係機関が、障害者就労支援に向けてそれぞれ取り組むことを宣言したもので、全国初の画期的なものと評価できます。
 都は、「十年後の東京」において、多様な企業が集積する東京の強みを生かし、平成十八年度からの十年間で三万人の障害者雇用の増加を目標としています。
 今後、宣言の内容を具体的な行動に移していくことが重要ですが、都としてどのように取り組むのか、伺います。
 ところで、障害者が就労し、自立して生活するためには、就労に向けた訓練と住まいの確保が重要です。訓練などを行う通所施設やグループホームなどの整備について、都は、特別助成を行う三カ年プランを実施してきました。今年度で計画期間が終了しますが、地域では、まだまだ十分なサービスが整ったとはいえないという声が強くあります。
 障害者の就労支援に向けて、社会全体の機運を盛り上げ、関係者がそれぞれの立場から具体的な行動を起こそうとしている今、都としても、新たな整備目標を掲げて特別助成を継続すべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 次世代を担う若者を育てる教育の重要性はますます高まっており、地域や保護者からの学校への期待も大きくなっています。
 近年、社会状況や児童生徒の変化などを背景に、学校教育の抱える課題は一層多様化、深刻化しています。児童生徒の学力向上、規範意識の確立、地域との連携、保護者などへの対応など、いずれの課題についても、学校が組織一丸となって取り組まなければ解決できません。
 今定例会には、主任教諭の導入に対応した給与条例の一部改正が提案されております。そこで、都教育委員会は、今回の主任教諭制度の導入を契機として、学校が抱える教育課題の解決に向け、学校の組織体制をどのように強化していこうと考えているのか、所見を伺います。
 日本の子どもたちの学力については、近年実施された国際的な学力調査で、読解力が八位から十五位に低下したり、数学的リテラシーが一位から十位に低下したりするなど、学力低下が大きな社会問題になっています。
 我が党は、東京都の児童生徒の学力向上に関するさまざまな取り組みの必要性を以前から訴えてきましたが、特に、基礎的な内容につまずいている児童生徒への指導の充実を主張してきました。
 今回、都教育委員会は、各種学力調査結果をもとに、東京の児童生徒の学習状況を分析し、児童・生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準(東京ミニマム)を作成し、公表したと聞いています。そこでまず、東京ミニマムの内容について伺います。
 東京ミニマムを活用した取り組みを推進していくためには、まず、教員が趣旨を十分理解して積極的に活用するとともに、家庭にも協力してもらえるようにすることが重要です。また、東京ミニマムについて、導入後の児童生徒の学習状況を検証しながら、さらに改善していく必要があると考えます。
 そこで、都教育委員会は、東京ミニマムを活用した取り組みをどのように推進していくのかを伺います。
 次に、スポーツ施設の整備について伺います。
 駒沢オリンピック公園には、かつて東京オリンピックのバレーボールなどの競技会場として使用された体育館があり、今も年間百万人以上の方々に利用されています。オリンピックレガシーを次の世代に引き継いでいくことは、オリンピックやスポーツを身近なものとして伝えるとともに、歴史と文化の継承にもつながります。
 しかし、過日、私も視察してまいりましたが、現在、駒沢のこのスポーツ施設などが大変老朽化が進んでいる上、バリアフリー化など時代に合った改修が必要である、それを求める声が私に多く寄せられています。
 この際、都民により親しまれる公園として、スポーツ施設を中心とした大胆な改修を検討するべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、武蔵野の森総合スポーツ施設の整備について伺います。
 長らく凍結状態にあった同施設について、知事は、第一回都議会定例会の我が党代表質問に対し、計画を見直した上で整備を進める旨の答弁を行いました。
 先月には、三鷹、府中、調布の三市長から、施設整備に関する要望書が知事に出されました。また、多摩振興を重点課題とする我が党としても、同施設の整備促進を求め、知事に対して、先ごろ要望書を提出したところです。
 多摩地域は、産業の集積や都市インフラの整備により首都圏を牽引する存在となりつつありますが、いまだに五千席の観覧席を有する屋内体育館さえありません。
 東京国体を五年後に控えた今、スポーツムーブメントを多摩から高め、オリンピック・パラリンピックの招致につなげるためにも、多摩四百万都民のスポーツ振興拠点となる総合スポーツ施設を都が責任を持って整備すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 あわせて、今後の具体的な展開について当局の見解を求めます。
 東京国体については、既に七月に、日本体育協会及び文部科学省からの開催の内定があり、都においても開催基本構想を策定しています。
 これからますます準備を加速させていかなければなりませんが、国体の開催は、都だけではなく、競技会の主催者となる地元区市町村も大きな役割を担います。しかし、区市町村においては、具体的にどのような準備を進めていけばよいのか、苦慮しているところもあると聞いております。
 そこで、今後は、区市町村の取り組みを積極的に促進、支援していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 最後に、二〇一六年、平成二十八年東京オリンピック・パラリンピック招致についてお伺いします。
 ライバル都市であるシカゴでは、地元選出のオバマ氏が大統領選挙に勝利したことを受け、オリンピック招致はシカゴに追い風と盛り上がっています。来年十月の最終プレゼンテーションにオバマ氏が登場すれば、多くのIOC委員の心をつかむのではないかとも報道されています。
 また一方で、アメリカ発の金融経済危機は世界同時不況へと発展しかねません。イギリスのロンドン五輪担当大臣は、今回の景気後退がわかっていたら、オリンピックは誘致しなかっただろうと発言しています。しかし、オリンピック開催に備えて基金を着実に積み立て、かつての金融危機を乗り越えてきた経験を持つ東京都には、そのような心配は無用だと思います。
 こうした中、石原知事は、先日のアジア大都市ネットワーク21総会でも、すべての出席都市の支援賛同を得たと聞いております。
 みずから招致活動の先頭に立ってきた知事の招致実現に向けた決意を伺います。
 この夏、北京で開催された大会は、IOC関係者を初め、国際スポーツ関係者が一堂に会する場であり、各国際競技団体とさまざまな意見交換や現場の視点からの情報収集を行う絶好のチャンスであったと考えます。
 精力的な活動の結果、二十六の国際競技団体からは、東京の開催計画の有効性、優位性が改めて確認されるとともに、よりよい計画とするためのさまざまな建設的意見が出されていると聞いております。IOC委員から、より高い評価を得るためには、こうした声や北京大会の実施状況を踏まえて、これまでの計画をさらに磨き上げていくことが必要だと考えます。
 そこで、改めて、今回の北京オリンピック・パラリンピック大会の現地調査などを契機に、どのような開催計画の見直しを行ったのか、お伺いします。
 来年十月の開催都市決定まで、いよいよ三百日を切りました。招致実現に向け、都民、国民の開催を切望する熱い思いをIOC委員に伝えるためには、国内の招致機運をさらに高めていく必要があります。
 来る十二日には、一万人規模のいわば決起大会が行われると聞いております。今後、あらゆる機会をとらえて、都民、国民の思いを一つに結集し、機運を盛り上げ、我が党も積極的に取り組んでまいることを申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三宅茂樹議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、緊急対策の基本的な考え方についてでありますが、日本経済は、米国発の金融危機に端を発した企業業績の低迷、それによる雇用環境の悪化、消費の落ち込みという負の連鎖に陥っておりまして、都民生活もまた大きな危機に直面しております。
 景気対策は一義的には国の責任でありますが、都政を預かる者としては、都民の不安を正面から受けとめ、厳しい状況の中で懸命に努力している都民に、この危機を乗り越えるための具体的な手だてを示し、一刻も早く実行することが必要であると判断いたしました。
 このため、中小零細企業の、特に小零細企業の資金繰りへの緊急支援や受注機会の拡大、雇用確保対策、生活の困難に直面している都民への自立支援など、現場を持つ強みを生かした施策を第二弾の緊急対策として打ち出しました。国に先駆け、これらの実効性の高い施策を展開することで、都民とともにこの危機を克服し、東京の将来に目を向けた確かな歩みを進めていきたいと思っております。
 次いで、都政運営についてでありますが、景気が悪化する中、都税収入の大幅な減が見込まれておりまして、都財政もまた厳しい局面に直面することになります。しかし、こうした状況の中においてこそ、都政には、現下の都民生活が直面する課題に適切に対応するとともに、将来の東京をつくっていくための歩みを着実に進めることが求められておりまして、これこそが都政が果たすべき役割であると思っております。
 そのためには、財政再建で培ってきた財力の対応力を十分に発揮しなければならないのはもとよりでありますが、同時に、改めて気を引き締め、みずからを律する気概を持って今後の財政運営に臨むことが必要であると思います。
 平成二十一年度予算は、こうした観点に立ちまして、今年度の二度にわたる補正予算と一体のものとして編成し、これを原動力として都政の諸課題に積極果敢に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、固定資産税等の軽減措置についてでありますが、都はこれまで、商業地等の負担水準の不均衡是正、中小企業支援、都民の定住確保などの観点から、固定資産税等について、負担水準の上限引き下げや小規模非住宅用地に対する減免措置など、都独自の三つの軽減措置を実施してまいりました。
 来年度の取り扱いについては、社会経済状況の変化や景気の動向などを踏まえつつ、中小企業者などの税負担を十分に勘案しまして、今後、積極的に検討していきたいと思っております。
 次いで、妊婦の出産をめぐる痛ましい事態についてでありますが、このたびのような不幸な結果となったことは極めて残念でありまして、亡くなられた方のご冥福を心からお祈りを申し上げます。
 現場の医師は、骨身を削りながら日夜頑張っておりますが、問題の根底にあるのは医師の不足でありまして、ようやく国は医師の養成定員をふやすこととしましたが、現下の課題に対して即効性のある対応が必要であると思います。
 都としては、独自の緊急対策を講じるとともに、東京都周産期医療協議会や東京都医師会に、早速現場の実情を踏まえた対策の取りまとめをお願いしてまいりました。
 また、庁内でこの問題に関して庁内横断の組織を設置しまして、都民の視点からの検証を行っております。
 都立病院においては、産科医確保に向けた処遇改善に取り組むとともに、NICUの増床など周産期医療体制の強化を図ってまいります。
 こうした重層的な取り組みを通じて、一刻も早く都民が安心できる周産期医療体制を確保していくつもりでございます。
 次いで、C40気候変動東京会議の意義と今後の対策についてでありますが、地球温暖化は、今後数年のうちに徹底した対策を講じなければポイント・オブ・ノーリターンを過ぎるにもかかわらず、各国政府はその責任を一向に果たしておりません。我が国でも、京都議定書の目標達成には、今後九・三%の温室効果ガスの排出削減を要するとの事態になっていながら、政府の腰は余りにも重い現状であります。
 今回の東京会議では、国家の動きが緩慢な中、現場を預かる大都市が立ち上がりまして、十三項目の具体的な共同行動に踏み出したことに大きな意義があると思います。先般の総会のように、首長が集まって危機感ばかりを披瀝するだけでは何にもなりませんので、こうした専門家の会議をあえて東京で招致しました。
 私は、C40議長のトロント市長に対して、京都議定書に続く新たな枠組みを決めるCOP15・コペンハーゲン会議において、我々参加都市の実績と行動を強力にアピールし、国家を動かすべきと提案し、賛意を得ました。
 今後は、東京会議の成果を来年五月のC40ソウルサミットにつなげ、環境先進都市東京としてリーダーシップを発揮していきたいと思っております。
 次いで、道路整備の財源についてでありますが、道路特定財源は、東京の最大の弱点である渋滞を解消するため、外環など三環状道路を初め幹線道路ネットワークの形成、あかずの踏切を解消する連続立体交差化など、日本の屋台骨を支える都市インフラ整備に投入されてきました。
 道路特定財源が地方交付税化されたりしますと、不交付団体であります東京の道路整備は当然とんざしまして、致命的な影響が生じます。一般財源化にかこつけて、これまで無定見な削減を続けた地方交付税の穴埋めに使うようなことは筋違いでありまして、断固反対であります。
 地方の道路整備に必要な財源は、恒久的な税源移譲、または税源移譲を前提とする交付金とすべきものでありまして、このことについて、先月二十七日、麻生首相にも直接会いまして、高速道路の料金施策の財源確保とあわせて要請し、今般、一兆円を新たな交付金とする方針が政府・与党で合意されました。
 今後、さらに、道路整備に不可欠な財源を従前以上に確保し、あわせて東京への安定的かつ重点的な配分をするように、あらゆる機会をとらえて国に強く求めてまいります。
 次いで、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、事業内容の拡大に当たっては、東京都議会自民党や市長会、町村会などからの緊急要望を踏まえ、都として、市町村財政に支障を来すことのないよう必要な措置をとっていくつもりでございます。
 次いで、武蔵野の森総合スポーツ施設についてでありますが、先端技術産業や数多くの大学、研究機関が集積し、豊かな自然環境に恵まれた多摩地域は、首都圏の中核拠点として一層の発展が期待されております。
 この多摩地域に新たなスポーツ振興拠点を整備することは、世代を超えた多くの人々の交流を促すとともに、地域の活性化にもつながりまして、多摩地域の潜在力を開花させる上で大きな意義があると思っております。
 また、スポーツ振興拠点の整備は、東京国体や東京オリンピック・パラリンピックに向けてスポーツのすそ野を拡大し、計画的に競技力の向上を図る上でも重要であります。東京全体のスポーツムーブメントの高揚を図り、今後の多摩振興の起爆剤とするため、総合的なスポーツ施設の整備に着手してまいります。
 次いで、東京国体への取り組みについてでありますが、東京国体は、多摩・島しょの豊かな自然や歴史、文化など、東京の多様な魅力を全国に発信する絶好の機会であります。
 前回の東京での国体は、およそ五十年以前のことでありまして、それから東京自身が非常に変貌し、さらに魅力的なまちになったと思いますが、全国民は、そうたびたび東京へ来るわけでもありませんので、国体を通じて関係者が多く東京というものを見直して、東京を満喫していただく絶好の機会でもあると思っています。
 都においては、七月に策定した開催基本構想に基づきまして、国内最高のスポーツ大会、スポーツイベントを実施することを目標に開催準備を進めております。
 区市町村においても、競技施設の整備に加え、国体の準備組織の設置など、地域を挙げた取り組みが必要でありまして、都としても、これを積極的に促進、支援してまいります。
 こうした取り組みによって、都と区市町村が一体となって東京国体を成功させ、その成果を東京オリンピックへとつなげていきたいと思っております。
 次いで、オリンピック・パラリンピックについてでありますが、IOC総会における開催都市決定まで、残すところ十カ月を切りました。来年は、立候補ファイルの提出、IOC評価委員会の来訪、各立候補都市のプレゼンテーションと、重要なスケジュールが続いております。
 東京は、オリンピック・パラリンピックを通じて、人類を脅かす地球環境問題の解決と平和な社会づくりを訴えていくつもりでございます。そして、発展途上国における開発型のオリンピックではなくて、成熟した大都市の中心において、世界一コンパクトで、かつ日本の先端技術と豊かな文化を体現した、日本でこそできる新しいオリンピック・パラリンピックを開催するつもりでございます。
 シカゴ出身のオバマ大統領が黒人として初めてアメリカの大統領に当選しまして、世界じゅう動揺しておりますが、しかし、アメリカ発の今日の世界経済恐慌というのは、あくまでもアメリカが引き金を引いたわけでありまして、その責任において、十月までの、要するにわずか残された期間でありますが、アメリカがこの問題に対して世界的にどういう責任を果たしていくかも、これは一つのキーポイントだと思いますし、またIOCが、絶対とは申しません、かなり重要な条件としております、政府がオリンピックの財務保証を最後の最後にはするという一札は、アメリカは法律の上でできないようでありますから、シカゴは保険を掛けてこれに臨むと聞いておりますけれど、これがまたIOCでどういう評価を受けるか、これは初めてのことでわかりません。
 いずれにしろ、今大事なことは、一国の大統領の動向に惑わされずに、かつての金融経済危機を克服して自信を持ちました日本が、東京が、国を挙げて招致運動に邁進することであると思います。そして、国民のオリンピックに対する熱い思いをIOCに強く訴えることであります。
 都議会を初め都民、国民の皆さんに、なお一層のご支援、ご協力をお願いいたします。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 三点の質問についてお答え申し上げます。
 まず、主任教諭導入による学校の組織体制強化についてでございます。
 学校が抱えるさまざまな教育課題を解決するためには、学校の組織的取り組みの強化と、教員一人一人の資質能力の向上が重要でございます。このため、今回、主任教諭制度を導入いたしまして、その職責を明確化し、校務分掌上の重要な役割と若手教員の育成を担わせることといたしました。
 校務分掌におきましては、主任教諭が、校長、副校長の指揮監督のもと、主幹教諭を補佐し、児童生徒の生活指導などの職務を着実に遂行させることといたします。
 また、人材育成面につきましては、主任教諭が若手教員に対して、授業力向上に向けた指導方法の工夫、改善を助言いたしますとともに、保護者との対応や地域との連携の進め方などについても指導をして、教員に求められる多様な力を育成することといたします。
 次に、児童・生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準(東京ミニマム)の内容についてでございます。
 都教育委員会では、平成十五年度から独自に実施してまいりました学力調査の結果をもとに、学習におくれがちな児童生徒の実態を分析してまいりました。
 その結果、学習のつまずきの原因は、そのときの学習内容に関することばかりでなく、例えば、掛け算と引き算の理解が不十分であると割り算の計算ができないですとか、主語と述語の関係など文のつくりがわからないと文章の内容の読み取りができないなど、以前に学習をした、より基礎的な事項が十分身についていないことにもあるということがわかってまいりました。
 そこで、東京ミニマムでは、当該学年で確実に身につけておきませんと、その後の学年での学習を行う際につまずく事項を明らかにいたしますとともに、それを防ぐ指導のポイントや段階的な指導内容、方法等をお示しいたしました。
 こうした取り組みは、全国でも初めてのことでございまして、各学校の教員が東京ミニマムで示したポイントなどを踏まえて指導することで、児童生徒の学習のつまずきを防ぐことができると考えております。
 三点目に、東京ミニマムの活用に係る取り組みについてでございます。
 都教育委員会ではこれまで、東京ミニマムの周知を図りますために、区市町村教育委員会及び直接学校を対象とした説明会を、計七回実施してまいりました。
 今後は、東京ミニマムを活用した授業改善の実践的な研究を行います、確かな学力向上実践研究推進校を指定いたしまして、その研究成果を全都の公立小中学校に提供いたしますとともに、東京ミニマムに基づいた指導事例集を作成、配布いたしまして、一層の活用を図ってまいります。
 さらに、来年度から一部先行実施されます新しい学習指導要領の内容を踏まえますとともに、児童生徒の実態を把握しながら東京ミニマムを改定していく予定でございます。
 一方、基礎的、基本的な学習内容の定着を図りますためには、保護者の協力が必要不可欠でございます。来年度は、保護者向けのパンフレットを作成、配布し、東京ミニマムの趣旨の理解を求めますとともに、学校と保護者が連携して児童生徒の学力向上に取り組めますように、積極的に働きかけてまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 今後の財政運営についてのご質問にお答えいたします。
 都財政は、法人事業税の暫定措置の影響に加えまして、景気後退に伴う都税収入の大幅減により、今後、相当厳しい局面に直面していくものと覚悟いたしております。
 こうした財政環境のもとにあっても、いかにして都民が直面する危機に迅速、的確に対応し、同時に、東京の将来を見据えた施策を着実に推進していくか、これに万全を期することが今日の都の財政運営に課せられた役割であると認識いたしております。
 そのためには、まず、財政再建の中で培ってきた都債の発行余力や基金など、財政の対応能力を十分に活用することが求められます。同時に、想定される厳しい環境を踏まえれば、みずからをしっかりと律して経費のむだを徹底してなくす努力を行うこと、あるいは、施策の目的を最少のコストで達成できるよう事務事業の不断の見直しを行うこと、さらに、新公会計制度などを活用して中長期的な視点から施策の効率化を図ることなどが、従来にも増して重要になってまいります。
 今後、こうした観点に立ちまして、現下の喫緊の課題と東京の将来を築いていく課題、これら二つの課題への都政の取り組みを財政面から支える対応能力を継続的に確保していけますよう、全力を挙げてまいります。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、固定資産税評価額と負担調整措置についてでございますが、平成二十一年度におけます二十三区内の土地の固定資産税評価額につきましては、現在算定中でございます。しかしながら、都心部等を中心に二十三区のほぼ全域において評価額が上昇する見込みでございます。
 都といたしましては、既に、土地の評価額が大幅に上昇する場合には適切な負担調整措置を講ずるよう、国に対して要望しているところでございます。現在、自民党税制調査会において議論されていると聞いており、引き続き税制改正の動向を注視してまいります。
 次に、都独自の環境税制についてでございますが、低炭素型都市の実現に向け、温暖化対策の強化は待ったなしの極めて重要な課題であり、税制の活用も有効な手法の一つであると考えております。
 今後、お話の中小企業の省エネ促進税制を含め、都の環境施策を支援するための政策減税につきまして、関係局とも連携しながら積極的に検討し、できるところから速やかに実施してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 震災時におけます都政の事業継続についてお答えいたします。
 優先すべき重要業務を震災時において確実に実施するためには、必要な体制づくりを全庁的に推進していくことが重要でございます。
 このため、現在、都政の事業継続計画、いわゆるBCPでございますが、これに基づきまして、災害時の対処方針を詳細に定める危機管理マニュアルを各局で見直しており、具体的な人員体制や作業手順等を年度内に明らかにしてまいります。
 また、事業継続に支障を来す停電時の対応として、先月、石油供給団体と協定を締結し、災害拠点病院など重要施設における非常用発電機への燃料補給体制を整備いたしました。
 今後とも、都民の安全確保や都市機能の維持に向けまして、全庁を挙げて計画を推進してまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小河川における今後の治水対策のあり方についてでありますが、都民の命と暮らしを守るためには、局地的集中豪雨の増加など気候変動の影響も考慮した河川の整備を進めることが重要であります。
 具体的には、現在実施中の五〇ミリ対策のスピードアップを図ることはもとより、豪雨対策基本方針に基づき、神田川や古川など対策を促進すべき河川の整備を重点的に進めてまいります。
 さらに、C40気候変動東京会議において確認された気候変動に対する治水対策の重要性を踏まえ、東京都技術会議における議論を経て、既往最大の被害をもたらした狩野川台風における七五ミリ降雨も視野に入れ、治水対策のあり方について検討してまいります。
 今後とも、安全で安心なまち東京の実現を目指し、気候変動にも対応できる治水対策の推進に全力で取り組んでまいります。
 次に、補正予算案における道路などの維持工事への取り組みについてでありますが、都市基盤施設を適切に維持管理して、より良好な状態に保ち、その機能を十全に発揮させていくことは、円滑な都市活動と都民生活を支える上で極めて重要であります。その際、維持管理の工事を施工するに当たっては、地域の状況を熟知し、現場条件に的確に対応できる中小企業を活用し、支援、育成を図っていくことが肝要であると考えております。
 今回の補正予算案では、地元に密着した中小企業の施工に適した道路、河川、公園の維持工事を計上し、当初予算に追加して実施することといたしました。
 あわせて、債務負担行為を活用し、工事の発注を前倒しして行い、年度末から翌年度初めにかけての工事量を確保することで、工事の平準化と事業効果の早期発現を目指してまいります。
 このような取り組みを通じて、地域や都民のニーズにこたえられる維持工事が確保され、技術力を持った中小企業の活用が図られていくものと考えております。
 次に、高速道路の料金施策の実施に必要な財源確保についてでありますが、首都圏の高速道路ネットワークの機能を十全に発揮させるためには、環状道路の利用促進、長距離利用車や大型車の負担軽減、運営主体や料金圏が異なることで生じる割高感の解消など、一体的で利用しやすい合理的な高速道路料金体系の導入が不可欠であります。
 このため、昨年末に政府・与党で合意された既存高速道路ネットワークの有効活用、機能強化のための財源二兆五千億円とともに、十月に政府が発表した新たな経済対策における高速道路料金引き下げの財源五千億円を確実に確保し、首都高を初めとする首都圏の高速道路の料金施策に重点的に配分するよう、あらゆる機会をとらえて、国に対して強く求めてまいります。
 最後に、橋梁の管理についてでありますが、都はこれまで、管理するすべての橋梁を対象に、五年に一度の定期点検や日常点検などを行い、その都度、適切な補修、補強を実施することで、損傷による事故を未然に防いでまいりました。
 しかし、都が管理する橋梁の多くは、高度成長期に集中して建設されたため、近い将来、一斉に更新時期を迎えることから、かけかえの時期の平準化と総事業費の縮減を図る必要がございます。
 そこで都は、橋梁の予防保全型管理を推進していくため、橋梁の管理に関する中長期計画を策定いたします。この計画では、管理するすべての橋梁を長寿命化対象やかけかえ対象などに区分し、かけかえ工事などの集中に伴う交通渋滞による都市機能や都民生活への影響、工事に投じる費用などを評価し最適化するアセットマネジメントの手法を我が国で初めて採用し、個別の橋梁ごとに適切な時期を定めて、最新の技術により耐久性を向上させる対策を盛り込んでまいります。
 また、計画期間は、かけかえピークを平準化するために必要な三十カ年とし、中期的な十カ年の計画も定めた上で、当面の対策を示すスタート時三カ年のアクションプランについても明らかにする予定であります。
 今後、この計画に基づき、長寿命化対策などを着実に進めることにより、橋梁の安全性と耐久性を確保するとともに、将来のコスト増を大幅に抑制し、都民の財産を良好な状態で次世代に継承してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点についてお答えをいたします。
 まず、周産期医療対策に関しまして、東京緊急対策Ⅱに示した事業の意義や効果についてでありますけれども、周産期医療緊急対策は、地域の中核である周産期母子医療センターの機能強化を図るとともに、地域でセンターを支援する仕組みを構築するものでございます。具体的には、センターにおける搬送調整の円滑な実施に向けた看護師等の増配置や、二十四時間緊急手術等に対応できる体制の整備、さらにはミドルリスクの妊婦に対して緊急診療を行う周産期連携病院の確保などを行ってまいります。
 都としては、これらの緊急対策に着手するとともに、東京都周産期医療協議会や東京都医師会の検討を踏まえて、周産期医療体制の強化に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、東京都地域医療支援ドクター事業についてでありますが、この事業は、多摩・島しょの公立病院等を支援し、地域医療を確保するものであります。
 医師を常勤の都職員として採用し、医師不足が深刻な多摩・島しょの公立病院等に一定期間派遣するものでありまして、地域医療への貢献に意欲を有する、医師歴五年以上の医師を対象とし、募集を行っております。
 お尋ねの、医師にとってのこの事業の魅力は、派遣勤務以外の期間に、医師本人の希望する都立病院等において、専門医、指導医等へキャリアアップできる研修が受けられることなどでございます。
 次に、福祉施設への特別融資についてでありますが、福祉サービスに対する国の報酬等が大都市の実情を反映していないことや、昨今の物価高騰などもあり、福祉施設は厳しい経営環境にあります。
 加えて、米国の金融市場の混乱に端を発しました世界的な経済危機は、国内にも深刻な影響を与え始めております。こうした経済情勢の急変を踏まえて、福祉施設の当面の経営不安を解消するとともに、あわせて経営基盤の強化を図るという観点から、緊急に都独自の融資制度を創設するものであります。
 次に、病児、病後児保育事業への支援についてであります。
 現在、都では、国の補助制度に加えて、独自に区市町村への支援を行っておりますが、来年度から本格実施となります国の制度については、高額な利用者負担を前提としていることや、施設定員にかかわらず補助基準額に上限を設けていることなど、大きな課題があります。このため、都は国に対しまして、制度を抜本的に改善するよう提案要求しておりますが、都独自に、利用者負担の軽減や施設定員に応じた補助基準を設定することなどを検討しております。
 また、子どもの症状等に応じて、保育施設での対応や自宅での保育サービスの提供など、利用者のニーズに対応した病児、病後児保育を提供する仕組みづくりについても検討を進めております。
 こうした都独自の取り組みにより、多様な保育サービスを充実し、仕事と子育てが両立できる環境の整備に努めてまいります。
 次に、介護給付の状況等についてであります。
 第三期につきましては、地域密着型サービスや介護予防サービスなど、新たなサービスの給付量が当初見込みを下回りましたことから、全体の給付費実績は、計画に対しまして約九割程度と見込まれております。このため、六十五歳以上の第一号被保険者から徴収した保険料に剰余金が生じておりまして、区市町村は介護給付費準備基金として保有しております。
 また、第四期計画における課題といたしましては、高齢者が住みなれた地域で住み続けられるよう、医療と連携した介護サービスの提供体制の整備に努めるとともに、介護人材の確保、定着を図ることが重要であると認識をしております。
 次に、第四期計画における介護サービス量や介護保険料等についてでありますが、保険者であります区市町村の推計におきましては、高齢化の進展に伴う要介護者の増加や介護保険施設等の整備に伴い、サービス量がふえる見込みであります。
 一方、第四期の介護保険料は、区市町村ごとに異なりますが、現時点における都内の平均は第三期と同程度となるものと試算をされております。これは、保険料の上昇を抑制するために、介護給付費準備基金を取り崩す区市町村があることによるものであります。
 また、平成十八年度から講じられてきました税制改正に伴う激変緩和措置につきましては、平成二十年度をもって終了いたしますが、第四期においても、区市町村の判断により軽減することができるものとされております。
 次に、障害者就労支援行動宣言についてであります。
 今般の行動宣言に当たりましては、これを実現するため、福祉施設、経済団体など各団体の具体的な行動を示しました障害者雇用・就労推進TOKYOプランをあわせて策定をいたしました。今後、このプランに沿って、福祉施設における先駆的な就労支援のノウハウの普及や人材育成、企業ニーズに対応した職業訓練科目の見直し、障害者雇用の好事例の紹介による企業の意識改革などを実行に移してまいります。
 さらに、ハローワーク、就労支援機関、特別支援学校、企業などによる地域の就労支援ネットワークの構築、通勤寮の活用などにより、関係機関の連携強化を図り、障害者の就労を一層促進してまいります。
 最後に、障害者施設整備に関する特別助成の実施についてであります。
 障害者が地域で自立した生活を送るためには、グループホームなど居住の場と、経済的自立に向けた就労のための訓練等の場の整備が重要であります。このため、都はこれまで、三カ年プランを策定し、整備費の事業者負担を半分に軽減する特別助成を実施してきました。
 今後、関係機関との連携等を一層図るとともに、グループホームや訓練等の場の整備について新たな目標を定め、お話の特別助成についても鋭意検討してまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 都立病院での周産期医療の充実に向けた取り組みについてお答えいたします。
 今回の墨東病院の母体搬送事案は、行政的医療を担う都立病院として大変重く受けとめており、改めてその使命の重大さを痛感しております。
 このため、緊急対策として、産科診療協力医師登録制度や助産師等コーディネーターを創設し、都立病院でのハイリスク患者の搬送、受け入れ体制を強化するとともに、産科への医療クラークの配置や院内保育室の充実等により、医師の勤務環境の改善を図ることといたしました。
 また、墨東病院においては、来年一月から、新生児集中治療管理室、いわゆるNICUの稼働を三床増床することといたしました。
 一方、根本的には、ご指摘のとおり、産科医師の確保が課題であり、その解決のためには、今年度行った給与面の大幅な改善などに加え、さらなる処遇改善を図る必要があると考えており、早急に検討を行ってまいります。
 こうした取り組みを通じて産科医師の確保に全力を挙げるとともに、都議会を初め関係者の皆様のご協力も得て、都立病院として周産期医療の充実に精力的に取り組んでまいります。
   〔青少年・治安対策本部長久我英一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(久我英一君)
 繁華街等の防犯対策についてでありますが、繁華街等を、人々が安心して集い、憩うことができる安全な場所とすることは、世界一安全で安心な首都東京を実現していく上で不可欠であります。
 現在、有識者会議におきまして、繁華街等の防犯対策に関し、取り組み体制や防犯設備等の整備のあり方、関係機関、団体等の連携の重要性などとともに、その根拠を明確化することの必要性について議論されております。
 都といたしましては、有識者会議の審議の結果を踏まえ、繁華街等の防犯対策をより実効性のあるものとするため、東京都安全・安心まちづくり条例に、新たに繁華街等における安全・安心の確保に関する規定を設けることも検討してまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 中小企業支援、雇用対策に関する七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、緊急保証制度の活用に向けた取り組みについてでありますが、十月三十一日に開始されました国の緊急保証制度に対応して、都は、制度融資に最優遇金利を適用いたしました融資メニューであります経営緊急を新たに設置いたしますとともに、特に小規模企業者には保証料の二分の一を補助する、都独自の対応を行っております。
 また、緊急保証制度において、東京の産業集積を幅広くカバーする業種指定が行われるよう、電気メッキ業や印刷業、ビルメンテナンス業等のサービス業など、幅広い業種の追加指定を求め、国に緊急提案要求を行ってきておりまして、この間、大幅な指定業種の拡大を実現いたしました。
 さらに、本定例会に補正予算を提案いたしまして、経営緊急融資の目標額の拡大に対応するなど、中小企業の資金調達の一層の円滑化を図ってまいります。
 次に、緊急保証制度の年末に向けた対応についてでありますが、緊急保証制度の利用には区市町村長の認定が必要であります。多数の申請が一時期に集中をいたしまして、多くの自治体に事務処理のおくれなどが生じたところでございます。このため、都の経費負担で、中小企業診断士を自治体に配置いたします緊急対策を開始いたしまして、これまで要望のありました三十二の自治体に配置をしたところであります。
 また、東京信用保証協会におきましても、増員配置や休日の対応など、審査体制の強化を図っているところであります。
 資金需要の高まる年末に向けまして、中小企業診断協会東京支部や信用保証協会といった関係機関としっかりと連携をしながら、引き続き適切に対応をしてまいります。
 次に、小規模企業者の資金繰りへの支援についてであります。
 景気後退によりまして、多くの中小企業が資金繰りに苦しむ中、企業体力が弱い小規模企業者は特に大きな影響を受けております。都は、小規模企業者を対象に、業種を問わず全部保証を行う小口資金融資による支援を行ってまいりましたが、今般の厳しい情勢を踏まえまして、本定例会に補正予算を提案いたしまして、小口資金融資の利用者に対する信用保証料の二分の一を補助する支援策を新たに導入することによりまして、小規模企業者に対する資金調達支援を一層強化してまいります。
 次に、中小企業の資金調達の円滑化に向けた地域金融機関との連携についてであります。
 信金、信組などの地域金融機関は、都制度融資における貸出金額の半分を占めるなど、中小企業金融において重要な役割を果たしていると認識をしておりまして、厳しさを増す金融環境の中で、地域金融機関が持つ中小企業への資金供給機能の安定とさらなる強化が求められていることはご指摘のとおりであります。
 都といたしましては、今後とも、各種融資制度の充実と円滑な運営を図るとともに、地域金融機関との連携を強化いたしまして、中小企業の資金調達の円滑化に万全を期していく所存であります。
 次に、中小企業の経営力の向上についてであります。
 極めて厳しい経営環境にある都内中小企業が、収益を確保して存続、成長を図っていくためには、制度融資の拡充等に加えまして、企業の現場に精通した都内中小企業支援団体が連携を強化して、中小企業の経営改善に一丸となって取り組むことが必要であります。
 このため、都は、新たに、中小企業振興公社や商工会議所、商工会などとともに、中小企業の経営力向上に向けた推進委員会を立ち上げ、中小企業が抱えるさまざまな課題に応じて、収益向上に資する経営改善指導や各種経営支援策を複合的に展開するなど、中小企業の経営力の向上をきめ細かく支援をしてまいります。
 あわせまして、共同設備の導入等、単体では取り組むことが困難な経営改善活動を実施しようとする中小企業のグループに対しましても、専門家を派遣して経営改善計画の策定を支援してまいります。
 これらの施策を展開することで、都内中小企業の経営力を着実に向上させてまいります。
 次に、中小企業倒産防止共済制度への加入促進策の意義についてでございます。
 取引先の倒産による影響を受けた中小企業に対しまして、資金繰りが逼迫しないよう手だてを講じて連鎖倒産を防止することは、中小企業のセーフティーネット策として喫緊の課題と認識をしております。
 中小企業倒産防止共済制度は、加入をしている中小企業の取引先が倒産した場合、無担保、無保証で共済金の貸し付けを受けられるため、連鎖倒産の防止策として大変有効でありますとともに、企業の信用力向上にもつながるものであります。
 このため、都は緊急対策として、都道府県では初めて、原則、同共済に新規加入する都内中小企業に対し、六カ月分の掛金の四分の三、最大三十六万円を助成し、加入を促進することといたしました。
 本事業を通じて、中小企業が安心して取引できる環境の整備に努めてまいります。
 最後に、厳しい雇用情勢への対応についてでありますが、都内の有効求人倍率や失業率は急激に悪化をしておりまして、特に非正規労働者については、厚生労働省の調査によりますと、都内でも一千人に上る影響が出るとされておりまして、早急な対応が必要となっております。
 このため、都では、東京緊急対策Ⅱに雇用対策を盛り込み、都が直接実施する事業と区市町村が地域の実情に応じて実施する事業を合わせ、延べ五十万人分の公的雇用の創出に取り組むことといたしました。
 また、こうした厳しい雇用情勢に対応するには、関係機関が密接に連携する必要があり、今月五日、都と国が共同で緊急雇用対策本部を設置したところであります。
 今後、経済団体に雇用の維持や求人を働きかけてまいりますとともに、非正規労働者や内定取り消し者に対する特別相談会の開催など、効果的な雇用対策を実施してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、屋外広告物を活用した商店街活性化についてでございます。
 屋外広告物は、まちの案内や商品に関する情報を提供するだけでなく、地域の活性化やにぎわいの創出とともに、街並み景観を形成する重要な要素でもございます。一方、地域コミュニティの核となる商店街は、防犯や美化など、地域における公益的な役割を担っております。
 こうした商店街が街路灯広告により得た収入を活用することは、商店街の活性化やその財政基盤の強化とともに、商店街による公益的活動や景観向上の取り組みにも寄与するものと考えております。
 都といたしましては、商店街の取り組みを支援するため、関係部局との連携のもと、広告物を活用した新たな商店街活性化の仕組みづくりを進めるとともに、屋外広告物規制の弾力的な運用を検討いたします。
 次に、今後の都市づくりの取り組みについてでございます。
 都は、平成十三年に都市づくりビジョンを策定し、三環状道路の整備や都心部の機能更新、空港機能の強化など、首都東京の再生を目指した取り組みを進めてまいりました。
 今後は、低炭素型都市の構築、美しい景観の創出、建物の耐震化など、新たな時代の要請に対応した施策を強化するとともに、「十年後の東京」を踏まえ、地域の将来像や重点的に取り組むべきまちづくりの戦略を明らかにしていく必要がございます。
 このため、来年前半に都市づくりビジョンの改定案を作成し、公表してまいります。これをもとに、都民や区市町村、民間事業者とも連携し、オリンピック開催にふさわしい、さらに機能的で魅力ある東京の実現に取り組んでまいります。
 次に、地域の多様なまちづくりの促進についてでございます。
 お話のように、東京の再生を進めるためには、大規模な開発に加えて、商店街や住宅密集地域など、身近な地域のまちづくりを進めることが重要でございます。このため、都は、あらかじめ定めた街並み再生の方針を踏まえ、地権者等が共同建てかえなどを行う場合には容積率の緩和が可能となる街区再編まちづくり制度に基づき、地域が主体となる計画の事業化を支援してまいりました。
 来年度当初からは、小規模な街区単位の計画であっても、地域の意欲的なまちづくりが促されるよう、制度の規模要件を緩和することといたします。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、区市町村と連携を図りつつ、地域の実情に合った魅力あるまちづくりを進めてまいります。
 次に、外環沿線地域で出された意見や要望への対応についてでございます。
 都は、国や沿線区市と連携し、世田谷区東名ジャンクション地区を初め沿線の各地で、ワークショップなどをこの一年間で約八十回開催し、住民の意見や要望を積極的に聞いてまいりました。これらの地元意見に加え、これまでに沿線の区市長より提出された意見や要望に対しまして、近々具体的な対応方針を明らかにして、今後の事業実施に反映させてまいります。
 次に、外環の用地取得にかかわる移転先の確保についてでございます。
 外環事業では、四カ所のインターチェンジ等におきまして、合わせて約千棟の家屋移転が必要であり、地権者の移転先の確保が重要な課題と考えております。
 事業用地の取得は事業者の責任において行うべきものではございますが、移転を円滑に進める上では、情報提供やまちづくりなど、地元区市の協力を得て、地権者の意向に的確にこたえていくことが必要でございます。
 都は、外環の用地取得と地元区市が行う周辺まちづくりとの連携が図られるよう、関係者間の調整を積極的に行ってまいります。
 今後とも、地元の理解と協力を得て、平成二十一年度の事業着手が可能となるよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、羽田空港についてでございます。
 羽田空港再拡張、国際化は、空港容量の拡大とともに、逼迫した首都圏の航空事情の改善に資するものであり、既に、新滑走路のうち桟橋部は約四割の構造物が据えつけられ、埋立部は外周護岸整備がおおむね完了しております。
 また、空港周辺のアクセス道路につきましては、国道三五七号東京港トンネル部の工事用道路の着工準備、国道の立体交差化、京急線の踏切の解消などが進められております。さらに、空港内の環状八号線については、道路線形の改良により交通の円滑化を図るため、来年前半の都市計画変更を目指し、近々手続を開始いたします。
 都は、今後とも、平成二十二年十月の新滑走路等の供用開始が確実に行えるよう国に求めるとともに、空港アクセス道路の整備促進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、まちづくりと連携した都営住宅の建てかえの推進についてでございます。
 建てかえに当たりましては、敷地の有効利用により生み出した用地を活用し、地域のまちづくりの課題に的確にこたえていくことが重要であると考えております。
 保育園など地域に必要な公共施設の整備、木造住宅密集地域整備のための民活プロジェクトなど、まちづくりとの連携をより重視した建てかえ事業を積極的に推進してまいります。
 また、用地の暫定利用につきましては、都の施策との関連などを考慮しつつ、地域スポーツ振興を支援するための運動場や、既存樹木の一時移植場所等、緑化に配慮した取り組みなどに生かせるよう、地元区市等の意見を聞きながら進めてまいります。
 次に、公営住宅法施行令の改正に伴う都独自の措置についてでございますが、都といたしましては、家賃改定による引き上げを一年間延ばすことといたします。
 また、五年間で段階的に引き上げを実施する国の経過措置を講じてもなお負担の変化が大きい、収入区分が二段階上昇する世帯におきましては、この期間を七年間とすることを考えております。
 建てかえが伴う場合につきましては、現行の経過措置期間を延長し、最長十一年間の経過措置を講じることで建てかえを推進してまいります。
 最後に、流域別下水道整備総合計画についてでございます。
 お話の八王子市、立川市、三鷹市の単独で下水処理を行っている地区では、施設の更新時期を迎えている一方で、窒素、燐をさらに除去するための高度処理に必要な処理場用地の確保が非常に困難となっております。
 このため、今回改定する予定の総合計画では、これらの地区を流域下水道の区域に編入するなど、処理区の再編を行い、多摩川等の公共用水域の水質改善を行ってまいります。現在、関係市町村に意見照会を行っており、年度内の改定を目指しております。
 今後、関係市などと調整を図りつつ、都市計画変更などの手続を進めてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小規模事業所の省エネ対策についてでございますが、東京におけるCO2排出量の大幅な削減を実現するためには、大規模事業所対策に加えまして、中小規模事業所対策の本格的な推進が必要でございます。
 このため、都は、排出量の増加率が特に高く、削減対策の強化が重要な小売、飲食業において、先進的な企業を中心に省エネ型営業スタイル推進協議会を設置いたしました。
 本協議会では、LED照明の活用や空調のきめ細やかな運用など、先駆的な取り組み事例を参加企業が共有するとともに、すぐれた省エネ対策のノウハウを小売、飲食業全体に普及拡大してまいります。
 また、こうした取り組み事例を環境確保条例に基づく地球温暖化対策指針の策定にも反映し、中小規模事業所全体の対策を強化してまいります。
 次に、次世代自動車の普及促進についてでございます。
 自動車から排出されるCO2を削減するためには、自動車交通量を減らすなど、車への過度な依存からの脱却を進めるとともに、自動車を使用する場合にあっては、より低環境負荷の車を使用することが不可欠でございます。特に電気自動車やプラグインハイブリッド車など、より低公害かつ低燃費な次世代の乗用自動車が来年度発売されるのを機に、その需要を早期に喚起し、利用促進を図っていくことが求められております。
 都は、こうした次世代自動車の普及を社会全体のムーブメントとしていくため、自動車メーカー、電力会社、ユーザー企業、駐車場事業者など、さまざまな民間事業者や関係自治体等との連携組織を立ち上げまして、その活用や普及の方策などを検討し、次世代自動車の普及促進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、緑の保全と創出についてでございます。
 東京を緑あふれる都市として再生するためには、都民、事業者、区市町村等と協働し、緑の保全と創出に向けた取り組みをさらに推進していく必要がございます。
 そこで、都は昨年十月、開発に際して、より一層既存の緑を保全し、新たな緑をさらにふやしていくため、開発許可制度及び緑化計画書制度の見直しについて自然環境保全審議会に諮問し、今般、中間のまとめをいただきました。
 今後、都民や事業者等の意見を聞きながら、審議会の最終答申などを踏まえまして、緑化基準の強化や、既存樹木等の保全検討の義務化などの新たな仕組みを検討するとともに、事業者の積極的な取り組みを引き出し、制度の実効性を高めるための方策についてもあわせて検討してまいります。
 最後に、中小事業者の土壌汚染対策についてでございます。
 中小事業者による土壌汚染対策を円滑に推進するためには、土壌汚染の調査や対策に係るコストを低減しつつ、確実に環境リスクを回避することが必要でございます。
 このため、土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会では、対策手法や費用負担など、都内中小事業者における現状分析が行われ、都が取り組むべき施策の方向性が示されました。
 今後、都は、この提言を踏まえまして、事業者による効率的な調査、対策が行われるよう、法や条例に基づく届け出情報の活用に向けた整備に努めるとともに、土壌汚染処理のガイドラインづくりに向けて検討し、現場の汚染状況等に即した合理的な対策を誘導してまいります。
   〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 海の森におけます都民等との協働についてのご質問にお答え申し上げます。
 海の森では、この十一月に公募都民によります大植樹会を実施するなど、これまで、約一ヘクタールに、小学生がドングリから育てた苗木などを植樹してまいりました。
 来年度からは、毎年四ヘクタール以上を植樹するなど、整備を加速させ、オリンピック・パラリンピック開催の平成二十八年には、海の森を代々木公園規模の森に育ててまいります。
 また、今後は、樹木の成長に合わせた手入れや下草刈りなど、きめ細かな森の管理が重要となってまいります。このため、海の森づくりに強い意欲を持ちます都民や企業、NPOから成る海の森友の会を発足させ、これを核といたしまして広範な都民等への参加の輪を広げてまいります。
 都は、海の森を、都民等と力を合わせて緑豊かな森に育てていくことで、環境都市東京を象徴いたします貴重な財産として次世代に引き継いでまいります。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 提案された土壌汚染対策の活用についてお答えいたします。
 豊洲新市場予定地における土壌汚染対策を具体化するため、広く新技術、新工法の公募を行った結果、百二十事業者から二百二十一件に上る提案が寄せられました。その内容は、汚染土壌処理や地下水浄化、地下水管理システムなど、すべての分野にわたっておりまして、この中には、日本の高度な技術を駆使した提案も含まれてございます。
 技術会議では、これらの提案のうちから、豊洲新市場予定地の土壌特性や汚染状況などにより、最適な技術、工法を選定するよう、現在、鋭意検討を進めております。
 今回寄せられた提案の中には、汚染物質の種類や工事施工の条件などが異なる他の土壌汚染用地において活用が可能な技術、工法が数多くあるとされておりまして、これらは貴重な技術の集積であることから、国内外で深刻な影響を及ぼしている土壌汚染問題解決に広く活用されることが望ましいと考えております。
 今後、提案者の技術資産の保護に配慮しながら、有用な技術、工法を広く紹介するよう、技術会議において具体的な内容、方法を検討してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、駒沢オリンピック公園の施設改修についてでございますが、昭和三十九年に開催されました東京オリンピックの主要な競技会場でございました駒沢の施設は、いわばオリンピックレガシーとして都民の皆様に親しまれてまいりました。
 都はこれまでも、施設の機能維持のため、陸上競技場等のスポーツ施設やサイクリングコース等の改修を行い、さらに今年度は、硬式野球場の改築や公園内の橋梁の耐震補強工事等を行っております。
 しかしながら、ご指摘がございましたとおり、スポーツ施設などの老朽化は著しく、今後とも都民のスポーツ振興の拠点として活用していくためには、抜本的な改善が必要であるというふうに認識をしております。
 このため、今年度行うスポーツ施設の劣化度調査などにより現状を把握した上で、今後、大規模改修の基本計画を策定し、関係局とも連携しながら、必要な改修、改築等を実施していく考えでございます。
 次に、武蔵野の森総合スポーツ施設整備の具体的展開についてでございます。
 都は本年五月、地元三市との調布基地跡地関連事業推進協議会におきまして、これまでの建設基本計画の見直しに合意したことを受けまして、味の素スタジアム西側都有地に新たな総合スポーツ施設を整備するため、基本構想の策定を進めております。
 この構想の策定に当たりましては、地元三市の意向を踏まえつつ、東京国体の開催や、東京オリンピック・パラリンピック招致を視野に入れ、多摩のスポーツ振興の観点から、現在、必要な施設内容等について検討を行っているところでございます。
 今後、地元三市の理解を得て、早期に基本構想を取りまとめた上で、平成二十一年度には基本計画の策定に着手していく所存でございます。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 開催計画の見直しについてお答えいたします。
 この夏の北京大会や各大陸ごとのオリンピック委員会の総会におきまして、東京の計画をアピールし、意見交換を行ってまいりました。
 特に、八キロ圏内におさめましたコンパクトな会場計画は、選手や大会運営の視点に立った計画であるとして、極めて高い評価を得ることができまして、改めて東京の最大のアピールポイントとして自信を深めることができました。
 その上で、このたび、北京での現地調査や国際競技団体の意見などを踏まえまして、次のような見直しを行いました。
 まず、メディアセンターにつきましては、大空間を有し、立地条件にもすぐれている東京ビッグサイトに会場を変更し、既存の施設を最大限活用することといたしました。
 次に、皇居外苑を発着点とする自転車ロードレースにつきましては、十分な高低差を確保して競技性を高めるために、コースを多摩地域まで延ばすことといたしました。これにより、多摩地域の皆様にもオリンピックを身近で楽しんでいただけるものと考えます。
 さらに、体操、バスケットボール、ハンドボール、レスリングにつきましても、それぞれ、効率的な大会運営の観点から、分散していた会場の集約等を行いました。
 これらの見直しによりまして、東京の開催計画は、国際的にも高い評価を得られる内容まで高められたものと確信しております。

○議長(比留間敏夫君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十九分休憩

   午後三時十六分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十二番大沢昇君。
   〔百二十二番大沢昇君登壇〕

○百二十二番(大沢昇君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長にお伺いいたします。
 まず、緊急対策Ⅱと十二月補正予算案、二十一年度予算編成について伺います。
 都の九月補正予算、緊急対策が成立した後も、アメリカ金融危機による世界同時不況は、国内景気に大きな影響を及ぼし続けています。十月下旬には日経平均株価が二十六年ぶりに七千円を割り、首都圏の中小企業は、受注減や原材料高などで収益はさらに悪化、関東地方の企業倒産件数は、月間で四百件から五百件で推移しています。月例経済報告も二カ月連続の下方修正で、厳しい景況が続くとされ、都内の有効求人倍率も八カ月連続で悪化の一途をたどっています。
 このように深刻な影響が続く中、都は九月補正予算後の経済状況の変化をどのように認識しているのか、見解を伺います。
 景気後退が長期化する予想の中、国の実質成長率の下方修正は必至であり、都内成長率もマイナス〇・八%、来年も、国際通貨基金が、戦後初めて日米欧の成長率すべてがマイナス成長になると予想をしております。
 また、国は、今年度の国税収入の見通しを六兆円から七兆円程度減額する方向にあります。都も、税収が今年度上半期四百億円の減収、下半期も、景気後退による消費の低迷、企業業績の悪化で、当初予算に対して一千億円を超える減収の可能性が高まりました。
 そこで、今後の経済動向について、あわせて今年度の都税収入の見通しについても伺います。
 平成二十一年度予算は、石原知事が福田前総理との間で合意した法人事業税一部国税化を受け、二千八百億円を上回る減収が発生します。また、経済情勢の悪化が続くとされ、六年ぶりの大幅な減収も見込まれます。
 このような中でも、都政は、一千五百億円を超える緊急対策や、石原都政初の三カ年プラン「十年後の東京」実行プログラムの達成、高齢化社会に伴う負担増、大規模施設の改築、改修など、都民生活に必要不可欠な各種施策を行っていかなければなりません。
 来年度予算見積もりが提案された当時は、減収局面に入ったとはいえ、要求枠は特例を認め、その他はゼロシーリングを維持するものでした。都は昨年度まで好景気による税収増に支えられ、各施策や負の遺産の処理、各種基金の積み立てなどを積極的に行うことができましたが、平成二十一年度予算編成に当たり、どのような基本姿勢で臨むのか、また、景気後退時期における今後の財政運営をどのように行っていくのか、知事に見解を伺います。
 都は、都民生活の危機的状況に対して、三百九十五億円の緊急対策に続く、もう一段の対策とした総額二千百四十億円規模の東京緊急対策Ⅱを策定しました。そして今回、財政対応能力を駆使し、五百八億円規模の第二次補正予算案を提出しています。
 国も同時期に、追加経済対策、生活対策を策定、麻生総理も、提案はなるべく早い方がいいと述べながら、その後、年度末実施でも間に合うと方向転換、迷走し、来年の先送りとなりました。それと比較すると、都の早急な対応は、現場感覚があり、評価できるものであります。
 緊急対策は、都民や中小、小規模企業などへの悪影響を抑え、短期的施策としても有効なものであるべきです。そこで、緊急対策の基本的考え方として、今後、都民生活をどのように守っていくのか、知事に見解を伺います。
 都は、国に新たな経済対策に関する緊急提言を提出し、生活対策の早急な実現を求めました。麻生総理が地域活性化対策などを来年に先延ばしすることで、定額給付金も含めた各施策は緊急性が乏しいことになりました。同時に、国の経済状況に対する危機感も足りないといわざるを得ません。
 給付金について、知事は、何らかの効果があると述べていますが、給付金のほとんどが貯蓄に回り、GDPの押し上げ効果はわずか〇・一%と見られること、解雇された非正規雇用者は、寮を出て給付を受けられないおそれがあるなど課題がある中、改めて知事はどのように考えているのでしょうか。
 先日の知事会でも、多くの知事が総理に批判と注文をしたと聞きます。民主党など三党は、定額給付金の対案として、国民生活を守る緊急経済、雇用対策を示す方向です。定額給付金など国の追加経済対策に対する見解を伺います。
 次に、周産期医療について伺います。
 根本は、この国が周産期医療、救急医療にお金を幾ら使う気があって、医療制度の設計をどうするのかに尽きます。十月の墨東病院事案の報道が火つけ役となって、国も重い腰を上げるそぶりはありますが、当てにはなりません。
 これまで、具体的な申し入れや昨年の議会活動を通じて申し上げたとおり、多岐にわたる課題があり、都にできることについて、大きく三つに整理ができます。
 一つは、人手不足、病床満床で疲弊している周産期医療、救急医療の悪循環を断ち切るために予算を幾ら投入するのか。二つ目は、今ある限られた体制の中で、いかに確実に迅速に患者を搬送する仕組みをつくるのか。そして三つ目は、妊婦の九九・九九%の、本来不安にさらされる必要のない大多数の妊婦や家族にどのように対処するのかという問題です。
 まずは、一つ目の課題についてであります。
 東京都周産期医療協議会で、命の危険がある場合、ベッドのあきがなくとも必ず受け入れる構想が打ち出されました。私たちが求めてきた強いメッセージが、専門家による協議会から打ち出されたことは歓迎します。今度は、これを実体のあるものとするために、どこまでの予算を確保し、裏づけを行うのかの問題となります。
 病院では、ベッドのあきがなければ医師も対応できないことが多いといわれます。また、低体重児の場合、生まれてからすぐにNICUがあいている病院に移さなければなりませんが、千グラム以下の新生児は、大人の手のひらにおさまる体で、血管も髪の毛ほどの太さしかなく、大変なリスクを伴うと指摘する医師もいます。
 病院の経営上も、NICUが常に満床の現在でさえ、周産期医療は赤字といわれており、医師と病床がそろった確実な受け入れ体制を整備していくきっかけとするには、やはり空床確保とその補償が必要と考えます。
 空床補償については、国の懇談会の場で、医師から、東京オリンピック誘致にあんなにお金を使うのなら、それくらいできるんじゃないかという発言も出ていると聞きます。あのお金をこっちにという単純な議論はいたしませんが、このような事態に陥っているのになぜ予算がつかないのかと、医師がいうのも十分うなずけます。本来国がすべきことでありますが、こうしたことこそ、国がやらなければ、都が行うべきと考えます。
 周産期医療を立て直すために、十分な対策を講じ、必要な予算を確保すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、二つ目の課題についてです。
 迅速に搬送するために、調整コーディネーターの設置など、さまざまな環境整備により、やりとりをスムーズにすることは必要ですが、結局は、患者の状況についてどう判断するかに尽きます。詳細については今後検討されるわけですが、こうした事態を引き起こしている根本原因である医療費削減、人材不足の解消が実現しなければ、ぎりぎりの医療体制の中で迅速に受け入れる仕組みを構築することになるわけです。
 搬送調整にコメディカルがどのような役割を果たすことになるのか、医師の負担がふえて、現場の疲弊を進める結果にならないのか、きちんと機能させるための人材確保はどうするのかについて、不安視する向きも多いようです。
 どのような患者であれば病床などの調整を行って受け入れるのか、最優先事例となるのか、医療的な判断の問題にならざるを得ません。さきに述べた空床補償をきっかけとして、受け入れ可能な病床が複数確保できたとしても、限られた確保病床に受け入れるのか、その判断の問題はなくなりません。この点についてはどのように取り組むのか、伺います。
 続いて、三点目の課題についてです。
 妊婦の大病院志向が一層高まっており、高度な医療機能を備えた病院の人手不足がクローズアップされています。しかし、一方で、地域の産科や助産所では、ほとんどの方が無事出産されております。
 こうした前提のもとに、医療機能に応じた役割分担という話になるわけですが、周産期母子医療センター、産科の二次医療対応可能な病院など規模の大きな病院も、経営上、ベッドをあけておいては立ち行かないことは、一つ目の質問と同様であります。
 したがって、現状のまま、常に緊急対応のための空床を確保していくことは困難であり、病院側に正常分娩の可能性が高い妊婦を受け入れる傾向があります。加えて、地域の産科は減少しており、大多数を占める軽症や正常な分娩を取り扱う受け皿そのものが不足する中で、病診の役割分担という建前を徹底することは困難であります。
 結果、東京の妊婦は、喜ぶのもつかの間、予約確保に奔走しなければならないのが現実となっています。産科に行きさえすれば産めると思っていたが、そうではなく、しかも、万が一の場合、救急の受け入れが不能とあれば、不安も当然と考えます。
 つまりは、都内で最も不足しているのは、大きな問題のない分娩を取り扱う産科であり、この部分を強化できれば、二次医療機関への集中を防ぎ、緊急時の受け入れ体制確保にもつながる、お産の安全・安心を確保する上での重要な課題といえます。
 我々は地域医療調査を行っていますが、区市町村は、住民ニーズの把握や分娩可能な一次医療機関の過不足、医師、看護師不足を把握しているところはほとんどないようであります。
 正常分娩が見込まれる妊婦については地域で受け皿を用意し、都民側も救急対応可能な医療機関を大事に使うことができる環境づくりをした上で、医療機能に応じた役割分担を徹底することが必要と考えます。
 そのためには、区市町村が地域の実情を反映した取り組みが可能となるよう、さまざまな支援が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、新銀行東京についてお伺いいたします。
 十一月二十一日、新銀行が平成二十一年三月期の中間決算を発表いたしました。決算によれば、中間純利益は七十億円の赤字、通期見込みについても百二十六億円の赤字とし、いずれも再建計画と同水準あるいは同水準の見込みとしています。
 しかし、そもそも再建計画は、計画初年度の経常利益で大幅な赤字を想定しており、計画どおりといっても、厳しい状況であることには変わりはありません。
 決算の内容を見ても、計画にはなかった国債の償還益などによって、何とかつじつまを合わせたという印象がぬぐえず、また、貸し出しのうち、中小企業の占める割合は約四割、一般融資に限っては約二割と、中小企業を支援する銀行とはいいがたい状況であります。
 石原知事は、ことしの予算議会において、不退転の決意でこの銀行を必ず再生させると決意を述べていましたが、この中間決算をどのようにとらえているのか、また、今後の見通しも含めて見解を伺います。
 さて、金融機能強化法に関連して、参議院の財政金融委員会が、その発案者であり、最大株主である実質上の責任者、石原東京都知事に対して、参考人として出席を求めていますが、石原知事はこれを拒否し続けております。
 知事は、十一月十四日の定例会見で、何を聞こうとしているのかわからないと述べていますが、参議院ならずとも、石原知事に聞きたいことは多々あります。
 そこでまず、この間の新聞報道にもある金融庁の検査結果に関連して伺います。
 十二月四日の朝日新聞によれば、新銀行の経営陣が拡大路線を強いられたのは、東京都の関与によるところが大きいとの金融庁の指摘があったとのことです。この報道は事実なのかどうなのか、お伺いいたします。
 次に、仮に東京都が金融庁の検査結果を知り得る立場にないというのであっても、新聞で指摘されている内容は、これまで石原知事がいってきた、旧経営陣による信じられない経営という事実と大きく違っております。金融庁の検査結果が、経営内容にとどまることなく、東京都の関与について指摘されているというのであれば、東京都も知らぬ存ぜぬということでは済まされないと考えます。
 検査結果で、このような東京都とのかかわりが指摘されたことは極めて重大であり、そのことの真偽を含めて、石原知事は、新銀行並びに金融庁に問い合わせるべきであります。なぜ問い合わせようとしないのか、見解を伺います。
 また、金融庁の検査結果は別にしても、少なくとも石原知事は、新銀行の融資の拡大路線をめぐっては、支配株主である東京都の関与があったと認識しているのか、見解を伺います。
 現在、金融機能強化法においては、新銀行への資本注入に関して、一義的には東京都が責任を負うのかどうかといった議論がなされております。
 一方、石原知事は、新銀行設立前の平成十五年十二月九日の本会議において、民主党の代表質問に対して、新銀行は株式会社であって、出資者である東京都は、その出資額の範囲で株主の責任を負うものだと答弁していました。つまりは、東京都の責任は、出資金一千億円の有限責任に限られているとしていたのであります。
 しかし、有限責任であるという認識を示していながら、東京都が安易に四百億円の追加出資に踏み切ったことは、東京都に一義的責任があるということではなく、あくまでも政策判断によるものだったと理解するものですが、石原知事の見解を伺います。
 仮に新銀行への追加出資が石原知事の政策判断であったというのであれば、そもそも新銀行が経営難になった場合の資本注入の一義的責任はどこにあると認識していたのか、石原知事の見解を伺います。
 金融機能強化法案は、衆議院において、地方公共団体が支配株主となっている金融機関については、支配株主である公共団体がその資本の充実について一義的な責任を持つこととするとの附帯決議が付されました。民主党は、参議院において、附帯決議でなく修正案を求めていますが、自民党、公明党の与党幹部がそろって、東京都に第一義的な責任がある旨述べるなど、少なくとも、最低限、附帯決議によって一義的責任を求められる立場になります。
 石原知事は、このような重大な立場の変更を受け入れるのでしょうか。また、一義的な責任を受け入れられないのであれば、国に対して積極的に働きかけていくべきではないのでしょうか。
 以上を申し上げた上で、石原知事は、与党の附帯決議について、自民党、公明党・与党から事前に相談や説明を受けたり、了解を求められたりしたことはあったのか、答弁を求めます。
 また、石原知事は、この附帯決議がつくことについて、自民、公明の与党に意見を伝えたことがあるのか、あるとすれば、いつだれにいったのか、答弁を求めます。
 自民党、公明党・与党の附帯決議によって、東京都が第一義的責任を負うことが見込まれます。であるならば、それを前提として、東京都は、これまでの経営悪化に至る経緯を検証すべきと考えます。
 東京都はこれまで、新銀行に対する日銀考査や金融庁検査について、金融庁の定める金融検査に関する基本指針などを踏まえ、情報提供を求めないという立場をとってきましたが、しかし、一義的責任を負うという立場の変更になれば、これらの情報提供を求めるのは当然のことではないでしょうか。そうでなければ、金を出して口出さずという立場にみずからを追い込むことになるものと考えます。
 新銀行の経営状況を把握する上で、その情報の入手について、これまでと違った取り組みをするつもりがあるのかないのか、お伺いいたします。
 金融機能強化法案についてさらにいえば、石原知事は、参議院からの参考人招致に関して、参考人を呼ぶ順番というものはおのずとあるんじゃないかと、まず経営者が先に呼ばれるべき旨発言をしています。しかし、金融機能強化法案の議論は、経営責任もさることながら、東京都の一義的な責任、つまりは行政責任が問題となっているのであります。このような中で、なぜまず経営者が先だという話になるのか、理解に苦しみます。
 国民の代表が集まる国会の場において、みずからが参考人として率先して出向くのが筋ではないでしょうか。なぜ出席しようとしないのか、いつまで逃げ回るのか、石原知事の見解をお伺いいたします。
 参考人の招致に関しては、新銀行の大塚会長などにも要請がありましたが、大塚会長は公務を理由にこれを断っております。しかし、石原知事がまず経営者が先だと本当に思っているのであれば、大塚会長あるいは津島代表執行役などに対して出席を要請するのが筋ではないでしょうか。
 石原知事は、新銀行の経営者などに対して参考人としての出席を求めることはあるのか。出席を求めることもせずに、まずは経営者が先だといってみずからが出席を拒否するのは、いい逃れでしかないと思いますが、なぜ出席を求めようとしないのか、見解を伺います。
 さらにまた、新銀行の大塚会長は、金融機能強化法案による資本注入を求めない旨、取締役会で決定し、参考人としての出席を断ったとのことです。
 ここで、今回、取締役会が資本注入を申請しないと決定したことについて、銀行側より相談、報告を受けたのか、あるいは石原知事の意向を伝えたのか、石原知事は今回の決定についてどのように評価しているのか、お伺いをいたします。
 加えて、日銀考査の関係で、石原知事は昨年三月二十五日の予算特別委員会で、日銀考査の報告を受けていた、横から聞いていて、概略聞いていたが、それが都の幹部に伝わっていないと聞いて驚いた旨答弁しています。日銀考査の結果は一般的には非公開とされていますが、石原知事は、いつどこでだれからどのような内容を聞かされたのか、お伺いをいたします。
 石原知事はこの間、新銀行の失敗は旧経営陣の非常識な事業運営が原因である旨発言していますが、仮にそうであるのならば、早急に旧経営陣の経営責任を問うべきであります。
 旧経営陣に対する責任追及について、東京都はこれまで、年内を目途に調査結果を得た上で法的対応について検討と答弁をしていましたが、あと残り三週間でことしも終わってしまいます。訴訟する、しないの判断及びその判断の時期も含めて、旧経営陣に対する責任追及についてどのようになっているのか、お伺いをいたします。
 石原知事は所信表明演説で、新銀行に関して、過去のうみをすべて出し切るとの決意を表明いたしました。しかし私は、新銀行のうみは、石原知事と新銀行の関係を清算しなければ、すべてを出し切ることはできないものと考えております。
 私は、新銀行は都民に一番負担の少ない形で早急に撤退をすべきと考えますが、石原知事の見解をお伺いいたします。
 次に、オリンピック招致についてお伺いをいたします。
 都は、オリンピックの主要施設、メディアセンターを築地市場跡地へ建設する計画を断念いたしました。これが我々が以前から求めてきた大きな問題点の一つです。
 築地市場の移転予定先から環境基準を大幅に上回る有害物質が検出され、移転計画に反対する声が高まっていました。
 一方、オリンピック招致は進み、来年二月には、IOCに開催計画を盛り込んだ立候補ファイルを提出しなければなりません。その結果、市場移転とオリンピック計画が結びつき、食の安全や環境面からの批判を引き起こすおそれがありました。予定地の土壌改良工事が長引けば、オリンピック開会までにメディアセンター建設が間に合わなくなる可能性もありました。
 しかし、都は、これらの理由に一切触れておりません。メディアセンター整備計画の変更に市場移転問題は関係していないのか、知事の見解を伺います。
 「広報東京都」特集号において、都は、オリンピックの経済波及効果は全国で二兆八千億円、都内は一兆六千億円で、日本じゅうが元気になるとしています。オリンピックは確かに東京の基盤整備を推進しますが、開会の前年二〇一五年がそのピークとなり、そして、施設整備などの大型需要が一段落した後、大会直前から直後にかけての景気後退をどうやって防いでいくのか、また、都営メーンスタジアムを整備するのであれば、これら大型競技施設の維持をどうやって行うのか、オリンピックの経済波及効果の事後検証などが都の課題となります。
 昭和三十年代の高度成長がとんざするのが東京オリンピック翌年の昭和四十年で、大型倒産や消費者物価の高騰など、深刻な不況が起こりました。この前例をどう総括していくのでしょうか。
 また、オリンピックの経済効果は、国内投資が開催都市に集中し、開発を必要としている地方の投資を奪うともいわれております。これらの課題に対する都民、国民への説明責任が求められております。
 経済波及効果によるオリンピック国内キャンペーンと中長期的な諸課題に対する知事の見解を伺います。
 二〇一六年招致を目指す立候補都市シカゴは、オバマ次期アメリカ大統領の地元であります。先月、欧州オリンピック委員会が開催され、シカゴからオバマ氏の応援ビデオが流されました。東京は想定内といいますが、プレゼンテーションを受けたヨーロッパ諸国は、とてもドラマチックだったと大きな評価をしております。オバマ氏は、IOC総会で最終演説にも登場するそうであります。
 一方、知事は、オバマ氏の勝利に、世界一の大国の大統領に黒人がなったんでね、アフリカなどの黒人国家の票が親近感を持って雪崩を打って動くと厄介ですなと述べ、東京招致関係者は、その発言にまたもや緊張感を走らせたと考えます。
 今後、国際招致も、やはり多難で熾烈なものとなりそうです。オバマ次期大統領選出など、情勢変化を受け、知事に国際招致に対する見解を伺います。
 そして、都は、来年二月が提出期限である立候補ファイルを年内目途にまとめていく意向であります。我々は今日まで、都のオリンピック招致活動に関して、主体的、積極的に意見や注文をつけ、議論を深めてまいりました。
 そこで、改めて、平和構築を前面に出した大会理念を示すこと、都財政の健全性を念頭に、関連経費もコンパクトな品格のあるオリンピックを目指し、負の遺産を残さないこと、そして、国立でのメーンスタジアム整備を国に再度求め協議していくことなど、我々の方針を述べ、開催計画に反映されるよう求めます。
 立候補ファイル提出に向けて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、温暖化対策について伺います。
 十二月一日、COP14がポーランドで始まりました。アメリカもオバマ次期大統領の選出により、今後、世界の温暖化対策は欧米を中心に進むことが予想され、日本が後手後手に回るのではないかと危惧するものであります。
 一方、東京都においては、ことし六月の環境確保条例の改正を受け、現在、規則の制定などに取り組んでいるところですが、条例の対象外である事業所や家庭部門なども含めた温暖化対策がさらに進むよう、施策の積極的な展開が望まれます。
 中でも私は、金融機関が低利融資などの経済的なインセンティブを通じて企業や都民に環境配慮行動を促す環境金融の取り組みに大いに期待するものであります。
 東京都はこれまで、金融機関に対して環境投融資の拡大や実績の公開などを求めてまいりましたが、今後は、要請だけにとどまるのではなく、例えば預託金をもとに環境投融資を着実に進めるなど、金融機関と連携をした取り組みをさらに充実すべきと考えます。環境金融の拡大に向けて見解を伺います。
 経済活動の血液ともいえる金融機能の活用とあわせて、税制を活用した温暖化対策の推進も重要な課題であります。
 十一月十九日、東京都独自の環境税制などを検討していた東京都税制調査会が、当面、課税に優先して政策減税を検討していくことが適当であるとの答申を取りまとめました。
 私も、ことし十月から都税調の委員になっているので、余り酷評はできませんが、一年以上の長きにわたって討論してきた割には、いささか踏み込みが足りないようにも思います。
 都税調の中間報告では、環境負荷に着目した法定外目的税の導入など四つの案を示しましたが、私は、国の対応が遅いのであれば、東京都が率先して独自の環境税制を創設していくべきだと考えます。
 そこで、東京都は、当面優先的に検討していくべきだとされた政策減税に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 環境確保条例では、義務的手法によって温暖化対策を進めていこうとしているため、家庭部門へのアプローチが十分ではありません。ことし六月の代表質問で、私はフードマイレージを例に挙げましたが、NPOの中には、消費者、企業、行政におけるグリーン購入の促進に取り組んでいるところもあり、東京都としても、こうしたNPOと連携しながら、環境に配慮した都民の消費行動を促していくことも必要であると考えます。
 また、太陽光パネルの設置促進や省エネ家電への買いかえ、あるいは環境家計簿や環境学習など、きめの細かな温暖化対策を進めていく上で、基礎的自治体である区市町村と連携をした取り組みが極めて重要であります。
 さらに、地域の家電店などと連携し、環境アドバイザーを養成、登録、派遣することで、家庭における温暖化対策を着実に進めていくことも可能ではないでしょうか。
 そこで、東京都は、家庭部門における温暖化対策をどのように進めていこうとしているのか、見解を伺います。
 次に、保水力のあるまちづくりについて伺います。
 東京都では、都市化の急速な進展によって、人間の利便性を重視した社会資本整備が行われ、河川流域が本来持っていた自然や水辺環境が損なわれてきました。近年では、下水道処理水の河川への導水などにより、水量、水質ともに改善されていますが、都市化による自然地の減少に伴い、土地の浸透能力や保水力の低下を招き、局所的豪雨の発生も相まって、都市型水害の頻発が問題になるなど、かつて自然の水循環系が有してきた機能を代替するには至っていないのが現状であります。
 我々は、持続可能な都市東京を構築していくためには、保水力のあるまちづくりという観点から、都市化の進展に伴う水循環の諸問題を解決し、望ましい水循環の形成を図っていくことが重要と考えます。
 そこでまず、東京の望ましい水循環の形成について、都の基本的認識を伺います。
 河川流域に降った雨は、一部が地表を流れて直接沢や川の流水に加わり、ほかの一部が地下に浸透します。地表から直接流出する水と土壌の浅い層から流出する水が、降雨中やその直後の河川の流量を構成しております。一方、土壌の深い層に入って地下水となり、さらに土壌中を移動してやがて河川などに湧出する水が、年間を通した長期にわたる河川の流量を構成しております。
 東京における河川流域の水循環は、こうした自然の流れに加え、人為的につくられた水の流れが加わっており、このような水が存在するさまざまな局面での年間の水の出入りをあらわすのが、いわゆる水収支といわれるものであります。
 水循環のあり方や方向性を考える上で、今後も水収支の実態把握が必須と考えますが、所見をお伺いいたします。
 東京における治水対策の中心は河川整備と下水道整備でありますが、河川整備における治水安全度達成率は現在約七四%で、年間約〇・五%の進捗率、下水道における浸水対策整備率は現在約五二%、年間進捗率は約一%であり、一時間五〇ミリに対応する既存計画を達成することでさえ、まだまだ時間がかかることが明らかです。
 これに加え、雨水の流出を抑制するため、大規模開発地などでの防災調整池やビルの地下などの貯留槽といった貯留施設整備と、雨水浸透ますや雨水浸透トレンチ、透水性舗装などの浸透施設整備による流域対策が進められております。我々は、特に浸透施設整備は、浸水の解消だけでなく、東京という都市の保水力の向上に大きな力となるものと考えます。
 都では、これまで行ってきた開発行為に対する指導に加え、昨年度から、浸水被害が頻発をしている流域を対象にして、区市が行う個人住宅への浸透ます設置費用の助成に対して補助を行っていますが、何よりもまず、都が管理する道路や学校、公園、庁舎などのほか、区市町村や国の施設などを含めた公共施設全体で貯留浸透施設の整備も進める必要があると考えます。
 公共施設における雨水貯留浸透施設整備の具体的取り組みについて、所見をお伺いいたします。
 持続可能な循環都市東京の形成に向けて、多様な水資源を確保するとともに、用途に応じたむだのない水利用システムを構築することによって水を有効利用し、水供給の安定性の向上を図ることは、都民生活の向上や環境への負荷の軽減などの面からも重要であります。
 多様な水資源として、雑用水や地下水、雨水などの利用が考えられますが、水の有効利用に向けた都の取り組みについて所見をお伺いいたします。
 次に、教育について、中でも学力の底上げについてお伺いをいたします。
 まずは、就学前教育の取り組みについてであります。
 幼稚園と保育所は、それぞれに目的や法律の位置づけが異なります。しかし、就学前の幼児が大切な時間を過ごす場所であることは共通です。幼稚園や保育所では、遊びを通して他者とのかかわりや集団行動、大人の話を聞いて何かを学ぶ姿勢といった社会性を育てる指導、教育が行われていますが、内容、レベルにばらつきがあります。
 近年、問題となっております小一プロブレムでも、幼稚園、保育所での指導のあり方と、小学校に入ってからの行動に強い関連性があることが指摘されています。幼児教育、就学前教育については、学習指導要領のような統一した指針はなく、それぞれの幼稚園、保育所が運営理念や教育方針に沿って取り組んでいるのが現状です。授業が聞けない子どもにとっても不幸なことですが、授業が成立しない学級に在籍してしまうと、クラスの子ども全員が巻き込まれることとなり、大変頭の痛い問題であります。
 義務教育内容をしっかり定着させるためにも、スタートが肝心であり、小学校と円滑に接続できるような就学前教育の充実に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、義務教育について見てみますと、有名私立学校や都立中高一貫校への受験対策を熱心に行う子どももいれば、義務教育内容が定着をしないままに中学卒業を迎えようとしてしまう子どももおり、その背景も多種多様であります。
 国の学力調査における東京都の児童生徒の状況でも、学校以外で学習を全くしない子どもの正答率は、中学校数学で五〇%を切っております。学校にさえ行っていれば義務教育内容が身につくというわけでないことがわかります。
 この調査の設問は、選抜のための問題ではないため、高度な知識や理解力を必要とするものではありません。それすら半分しか正解できない子どもが多くいるのも事実であります。
 特に、算数、数学は、一つつまずくとどんどんおくれてしまう科目であり、各段階での内容定着が不十分なまま学年進行した結果が学力調査にあらわれているのではないでしょうか。つまずきを防止し、一年一年着実に教育内容が定着するような取り組み、そして、おくれてしまった子どもたちが追いつけるような対策が必要だと考えますが、所見をお伺いいたします。
 学校外での学習支援として、都は低所得者世帯への塾代支援を開始しましたが、一層の活用が必要と考えます。これは、定額給付金と違って現金を配るわけではありませんから、必要な人がこぞって利用するというものではありません。子どもの勉強、将来への関心が薄い保護者であれば利用しないでしょうし、福祉などが制度利用を勧めても、子ども自身の学習意欲が低ければ、塾代だけが空費されかねません。
 知事の低所得者減税構想に対し、我々は、税の減免ではなく、自立支援を充実することこそが都の役割だと申し上げてまいりました。こうした指摘にこたえるように創設されたこの事業の活用は重要であります。
 問題は、どのようにして活用を進めるのかであります。勉強へのやる気は、お金のあるなしが必ずしも分水嶺ではなく、結局は希望を持てないことへの対応が不十分だからではないでしょうか。学習意欲を高めるとともに、利用できる制度があり、経済的に困窮していたとしても道は開けることを教えることが必要であります。
 学校においても、学習意欲を高めるとともに、必要であれば利用できるこうした各種制度があることを積極的に周知する必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、低所得者支援については、この対象がかなり限定されております。実際の生活状況などを勘案すると、経済的困窮から、塾など子どもの未来に投資することができない家庭はもっと多くあるのではないでしょうか。対象拡大が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、学校支援地域本部など、地域人材が学校教育に参加、支援する取り組みについて伺います。
 こうした取り組みは、学校教育の幅を広げ、深みを与え、学校を活性化させるものと考えます。少子化で母子密着の子育てが懸念される時代でもあり、親や教師以外の大人と話し、つき合うことだけでも、どれだけ教育効果があるか、はかり知れません。
 東京都教育ビジョンでも、生きる力をはぐくむ教育を掲げ、地域人材の学校教育への支援を推進するとされています。この取り組みを推進する上では、学校への支援体制づくりや地域人材を教育活動に積極的に活用していく仕組みを構築していく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、地方分権について伺います。
 麻生総理は、政府・与党が生活対策で示した定額給付金の給付対象を決められず、地方自治体に最終判断を丸投げする前代未聞の事態が起こりました。そこで、多くの自治体から、困惑と政府の無責任な姿勢に批判の声が強く上がりました。このとき総理が用いた言葉が、「地方分権だから」の一言です。この発言では、地方分権担当の総務大臣を歴任した総理として、その見識が疑われます。総理のこの発言に対して、地方自治体の長である知事に見解を伺います。
 昨日、地方分権改革推進委員会の第二次勧告が発表されました。国の出先機関の廃止を目指しましたが、結果、地方振興局に統合する後退した勧告となりました。
 我々は、日本の新しい国の形に向かって、地方が主役の国づくりを進めていかなければなりません。都の第二次勧告に向けた提言は、東京における二重行政の弊害や組織縮小のイメージを含む解決策を明確に示したものであり、評価するものであります。
 しかし、八府省十五系統の出先機関、そして多くの関係公益法人を抱える中央省庁は、組織改革につながる見直しへの抵抗を続け、分権改革はまだまだ道半ばです。
 都道府県も、国との関係で、事業、権限の受け入れ姿勢に濃淡があり、まずは我々に任せろと積極的、自主的に提言し、引き取っていく政治的決断をせねば改革は進みません。丹羽分権委員長の、分権改革は地方が中央政府と対等に闘ってかち取るもの、を体現する闘う知事会の復活も重要です。知事の見解を伺います。
 国は、生活対策の重点分野の一つとして地域活性化策を打ち出し、道路特定財源の一般財源化に伴い、地方に自由に使える一兆円を渡すとしました。
 都は、八都県市首脳会議として、道路特定財源の一般財源化に伴う一兆円の税源移譲を要請し、単独でも東京の道路整備を着実に進めるための財源確保を緊急提言しています。
 その後、総理は、地方道路財源三・四兆円の中の地方道路整備臨時交付金七千億円の名称を変更し、三千億円を積み増しした新交付金を創設することとしました。
 そこで、真の地域活性化と分権を考えるならば、国は、地方への税源移譲を前提とした交付金を創設し、地方税財源の充実強化を図るべきではないでしょうか。地域活性化と分権に資する新たな交付金に対する知事の見解を伺います。
 最後に、一言述べさせていただきます。
 平成十九年八月一日より実施された駐車禁止規制除外措置の変更によって、除外措置が、これまでの車両を対象にしたものから歩行困難者を対象としたものになり、利便性が大きく向上しました。
 しかし、その一方で、これまで除外措置の対象者であった下肢機能障害三級の二、三及び四級の人たちが対象から外れてしまいました。義足をつけたり股関節に金属を入れたりして、つえに頼って歩行している人たちです。一口に義足といっても、その様態はさまざまであり、決して歩行が容易なわけではありません。
 現在は経過措置期間中でありますが、私たちは、これまでにも再三、これらの方々を対象に復活するよう求めてまいりました。私たちの求めに応じて、警視庁におかれましても、こうした障害者の現状をつぶさに検証され、関係機関との調整も進められていると聞いております。
 私たちは、改めて、これらの方々を対象者に復活する措置を速やかに講じられるよう求めるものであります。
 今回の件を契機に実施された検証作業、事情聴取によって、障害者の個々具体的な事実が明らかとなり、警視庁内にも障害に対する理解が深まることとなりました。まさにけがの功名というべきものですが、この経験を踏まえ、障害者にとっても安心・安全な社会となることを引き続きご尽力いただくよう要請するものであります。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えますが、答弁によっては再質問を留保させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大沢昇議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、平成二十一年度予算編成などについてでありますが、現在、都が直面する財政環境は相当厳しいものでありまして、今後、それがしばらく続くことも覚悟しなければならないと思います。このようなときにこそ、この間培ってきた力を、現下の都民が直面する危機への対応や、東京の将来を見据えた施策の推進のために発揮していく必要があります。
 平成二十一年度予算の編成では、こうした認識のもとに、事業内容や執行方法の見直しをさらに徹底し、一つ一つの施策をより実効性の高いものとして練り上げていくつもりでございます。
 また、今後一層気を引き締め、財政のかじ取りを行うとともに、必要な施策は、これは機動的に実行し、都民の負託にこたえる財政運営を行っていきます。
 次いで、東京緊急対策Ⅱでありますが、日本の経済は、米国発の金融危機に端を発した企業業績の低迷、それによる雇用環境の悪化、消費の落ち込みという負の連鎖に陥り、都民生活もまた大きな危機に直面しております。ゆえにも、都民の不安を正面から受けとめ、活路を開くべく、第二弾の緊急対策を策定し、とりわけ早期の対応が必要な施策を補正予算として編成いたしました。
 今後とも、現場を熟知する東京こそが実効性の高い施策を展開し、危機克服に向けた都民、中小企業の懸命な努力を支えていくつもりであります。
 次いで、国の追加経済対策についてでありますが、百年に一度ともいわれる金融経済危機の中で、国民の生活を守るために知恵と力の限りを尽くすのが政治家の責務でありまして、国が追加経済対策を策定したことは当然であります。麻生首相には、来年度の税制改正や予算を見据えつつ、諸情勢を総合的に判断して、追加経済対策をしっかりと実現してもらいたいと思います。
 世界の政府と中央銀行が金融市場の安定に腐心している最中に、金融機能強化法案を政争の具としているのは、ほかならぬ民主党でありまして、民主党は総選挙をにらんで、政権批判のボルテージを上げておられますが、この点はやはり、大いに胸に手を当て、我が身を考えられたらいかがでしょうか。
 次いで、周産期医療対策についてでありますが、問題の根底にあるのは医師の不足でありまして、国がその責任において、医師の確保に向け抜本的な策を講じるべきでありますが、現下の課題に対して即効性がある対応が必要であります。
 都としては、独自の緊急対策を講じるとともに、東京都周産期医療協議会や東京都医師会に、現場の実情を踏まえた対策の取りまとめをお願いしております。また、都庁横断組織を設置して、都民の視点から検証を行うこともやっております。
 都立病院においては、産科医確保に向けた処遇改善に取り組むとともに、NICUの増床など、周産期医療体制の強化を図ってまいります。
 こうした重層的な取り組みを通じて、一刻も早く都民が安心できる周産期医療体制を確保してまいります。
 次いで、新銀行東京の中間決算と今後の見通しについてでありますが、新銀行東京は、小零細企業を支援するために、現在、再建に全力を尽くしております。
 今回の中間決算は、金融庁検査の結果を反映した上で、ほぼ計画どおりの実績となっております。あなた方には不本意かもしれませんが、これは大いなる努力の結果だと思います。さらに、新銀行東京は、二十年度の通期も計画どおりの見込みとしておりまして、再建は着実に進んでおると思います。
 次いで、金融庁の検査結果に関連しての報道についてでありますが、都としては、金融庁の検査結果を知る立場にはありません。検査結果は、金融庁と銀行しか知り得ないものであります。これは、法規になってそうなっております。今回の報道も、憶測の域を出るものではありません。
 朝日の記事を参考にされるなら、朝日新聞自身にそのニュースソースを確かめられてはいかがでしょうか。これまでも、メディアによる風評被害でいかにこの銀行が再建を阻害されてきたか、認識していただきたい。
 金融庁の検査結果に関する問い合わせについてでありますが、ただいま答弁したとおり、これは法規、法律をよく認識して質問していただきたい。ただいまご答弁したとおり、都が問い合わせる立場にはありませんし、その筋合いのものでもありません。
 銀行は、株式――東京都もそうでありますけれども、株主に対しても、それを知らせてはならないという規則があります。これはホールディングカンパニーじゃなしに、形は違いますけれども、新銀行東京に関しては、そういう規則の拘束があります。
 次いで、融資拡大路線に対する都の関与についてでありますが、都は、新銀行東京の設立に当たり、マスタープランを示して――このマスタープランというのは、何も憲法のような絶対的なものではありません。この銀行のこれから運営されるべき性格というものを、規定といいましょうか、表象したものでありまして、ゆえに、都議会から一千億の出資を議決いただきました。皆さんもご承知の上で、これは最初に一千億の出資をいただいたわけです。
 そして、新銀行東京においても、それを踏まえての経営陣みずからが判断し、経営計画を策定してまいりました。銀行みずからの決定に際して、都として強制や強要をしたことはありません。
 これはよく、新銀行東京に関してのいろいろな報道の中で、当事者の発言の中にもいろいろありますが、マスタープランなるものを自分の瑕瑾の隠れみのにするというのは、これは非常に、私はやはり、巧みでもない単なるいい逃れであって、マスタープランに対する皆さんの認識というものをもう一回改めていただきたい。
 それから、金融機能強化法に関する附帯決議についてでありますが、そのような相談を受けたり、了解を求められたことは全くありません。
 附帯決議に関して、与党に対して意見を伝えたかどうかについてでありますが、そうした事実は全くありません。
 なお、参考人招致についてでありますが、国会であろうとどこであろうと、私は逃げも隠れもいたしませんが……(発言する者あり)ちゃんと聞きなさい、あなた。参議院の参考人招致の手続というのは、参議院というのは良識の府と自称している割に、非常識といいますか、失礼じゃないですか。東京の一番忙しい局長に向かって、あした委員会があるから、きょうの通告で出てこいとか、それから、私に……(発言する者あり)私に対する参考人の招聘も、一体どういう問題について、要するに、お聞きしたいかという通告が全然ないから、聞きました。そうしたら、三つほど、四つほど案件が来ました。これは、私よりも銀行の当事者にお聞きになった方が正確な情報が得られますよということで、ならば基本的なことでお聞きをしたいといいますから、これは私、ちょうどそれに前後して、ちゃんとしたまとまった論文を書きました。新聞にも載りました。だから、それを大いに参考にしていただきたいと申しました。
 大体ですな、要するに、この案件となっている金融機能強化法なるものは附帯決議がついたんでしょう、あなた方の先輩が国会で。これを見れば、新銀行東京がこれにアプライする資格はありませんよ。私たちにかかわりのないことですよ。そして、新銀行東京が、国からのこの法律を通じて、融資を受けたいなどと申し込みをしたことは一度もございませんよ。そういう前後の事情も知らずに、何か知らぬけれども、どんな参考人招致をするのか、人民裁判をやるのか知りませんが、とにかく私は……(発言する者あり)私は、ですから、出ていく必要がありませんし、この銀行の問題について語る資格はありません。
 次いで、参考人招致に係る新銀行東京への働きかけについてでありますが、新銀行東京が参考人招致に応じるかどうかは、銀行みずからが判断することでありまして、私が働きかけをする筋合いのものではありません。
 新銀行東京に対する日銀の考査についてでありますけれども、子細なことは覚えておりませんが、当時、日銀の考査が行われたということについては聞いております。
 次いで、新銀行東京の今後についてでありますが、まず、私は新銀行設立の発案者でありますから、新銀行東京の業務に関しては、直接は携わったことはございません。
 新銀行東京のうみは、私との関係を清算しなければすべて出し切れるものではないという質問は、どういう意味かわかりませんし、余り上品ともいえないし、まあ、筋違いといいますか、非常に失礼ないい方だと思いますな。
 新銀行東京は、現在でも約一万社の中小企業、小零細企業に対する支援を行っておりまして、経営再建に取り組んでいるところであります。日本の経済の減速感が強まる中、新銀行東京の設立理念を実現するためにも、その再建は私の責務であり、不退転の決意で取り組みます。
 今、質問者は撤退といわれましたが、つぶすということですか。ことしの第一定例議会でも、追資をお願いしたときに、これはもう撤退しろ、つぶせという案が出ましたが、もし銀行を今つぶす、撤退したとき、一体どういうことが起こるかと再三申し上げましたけれども、もう一回申し上げますが、それをしかしご理解いただいて、こういう質問をしてもらいたい。
 大体、個人預金者への影響は……(発言する者あり)黙って聞け。預金額一千万円超、これはペイオフの対象外です。それで、件数にして七千七百件、約百六十億円。取引先への影響は、再三申し上げましたが、赤字、債務超過など取引先中小企業、これは企業数が五千社、家族を含む従業員が約十五万人いるんですよ。
 次いで、メディアセンター整備計画についてでありますが、北京での現地調査の結果、最近のオリンピックの放送施設は、高い天井や広大な空間を必要とし、また、大型機材の搬入車両も直接センター内に乗り入れる必要があるなど、築地で予定した建物では対応が困難であることがわかりました。
 今回の計画変更は、こうした調査結果やロンドンの最近の計画、報道関係者の要望も踏まえ、取材や報道に一層便利で機能的な構造を持ち、立地にもすぐれた東京ビッグサイトをメディアセンターとしたものであります。
 次いで、経済波及効果や施設整備についてでありますが、オリンピック・パラリンピック開催による経済波及効果は、道路などのインフラを除いても、全国で最低二兆八千億、そのうち東京で一兆六千億、東京以外の地方でも一兆二千億が見込まれております。
 また、施設整備については、既存の施設の機能を高め使用していくことを前提として、新規施設の建設を極力抑えることにいたしました。新たに建設する施設は、大会終了後、各種のスポーツ大会や文化イベントに活用し、二〇一六年東京大会のレガシーとして後世に引き継いでまいります。
 また、景気への影響については、六四年の東京大会の翌年には確かに成長率が鈍化したものの、その後着実に成長を続けておりまして、オリンピックの開催が一つのばねになり、景気に好影響を与えたと考えております。
 今後とも、東京開催の意義はもとより、経済波及効果についても都民や国民の皆様に強くアピールし、東京招致に対するご理解、ご支援を深めてまいります。
 次いで、国際招致活動についてでありますが、今後、ライバル都市との競争が本格化し、しのぎを削る戦いが繰り広げられます。今、我々にとって大事なことは、一国の大統領の動向に惑わされることなく、他都市にまさる東京開催の優位性を効果的、着実にアピールし、国を挙げて都民、国民の招致に対する熱い思いをIOC委員に強く訴えることであります。私も先頭に立って取り組んでいくつもりでございます。
 次いで、立候補ファイルについてでありますが、六十年以上にわたり、戦火を交えることなく平和を貫いてきた我が国において、東京が目指すオリンピック・パラリンピックは、平和でよりよい社会の建設に貢献するというオリンピックの憲章を具現化する大会でありまして、立候補ファイルにおいても、平和の理念を明らかにし、世界にアピールしていきたいと思っています。
 また、東京大会は、地図でごらんになるとわかりますけれども、世界一コンパクトな大会でありまして、かつ、一九六四年大会の会場を、幾つかの会場を活用しまして、大会後の需要も踏まえて施設整備を行うなど、経費も最小限にすることを目指しております。
 大会の象徴となりますオリンピックスタジアムについては、国立で整備するように国に対して要望してきましたが、用地の問題その他で合意を得ることに至りませんでしたので、晴海に都立で整備することを計画しています。
 今後とも、国に対して最大限の協力を強く求めてまいります。
 引き続き、招致活動について、都議会を初め都民、国民の皆様になお一層のご支援、ご協力をお願いいたします。
 次いで、首相の定額給付金をめぐる発言についてでありますが、麻生首相は、首相就任の際の所信表明演説で、地方分権改革に取り組む決意を述べておりました。また、地方分権改革推進委員会や閣僚に、国の出先機関の見直しを明確に指示しております。定額給付金をめぐる発言のみをとらえますと、言葉足らずな感じがあるにしても、こうした首相の姿勢を見れば、見識を疑うという批判は当たらないと思います。
 ただ、定額給付金の実施方法については、さきの八都県市首脳会議で議論し、国に技術的なアドバイスも行いましたが、地方に任せる前に、まず国が地方の立場を考えて知恵をもっと絞り、工夫をすべきものであったのではないかと思っております。
 もとより、さきの定例会でも話しましたが、麻生首相は、自分の政治理念を自分の言葉で国民に明確に語ることのできる、個性的な、資質を持った政治家だと思います。昨今、首相のいい間違いをおもしろく取り上げたり、言葉じりをとらえて批判する向きもありますが、首相には、ためにする批判も物ともせず、みずからの言葉で率直に国民に対して語ってもらいたいものだと思います。漢字だけは正確に読んでもらいたいけれども。
 分権改革に向けた取り組みについてでありますが、地方分権とは、地方が自立し、みずからの責任と才覚で地方を主宰することでありまして、国から地方へ権限と財源を移譲することが不可欠であります。しかし、霞が関は、分権の意義を全く理解せず、この国の盟主であるがごときに振る舞って、権限を一向に手放そうとしませんな。
 地方は、国に権限と財源を握られ、地域の事情に応じた独自の取り組みもままならないのが現況であります。
 今回の、猪瀬副知事もメンバーとして務めております地方分権改革推進委員会の第二次勧告は、国の出先機関について、組織の統廃合により各省縦割り体制を転換し、三万五千人程度を削減して、地方を縛る四千余りの国の関与を原則廃止というなど、見直しの基本的な考えとしてはまことに妥当な、踏み込んだものとなっていると思います。今後、霞が関の激しい抵抗が予想されますが、真の地方の自立に向け、具体的な改革を進めなければならないと思います。
 都は、これまでも国への提言を重ねてきましたが、引き続き、全国知事会に限ることなく、志を同じくする自治体と連携しながら、分権改革の実現を国に強く働きかけてまいります。
 次いで、道路特定財源の一般財源化についてでありますが、都はこれまで、道路特定財源の一般財源化に当たっては、税源を地方に移譲すべきであり、当面は、税源移譲を前提とする交付金として配分するよう主張してきました。
 今回、創設が合意された新たな交付金は、そうした明確な位置づけはなされていないものの、地方の財源であるということが明確にはなっていると思います。そしてまた、すべての団体に交付される制度となったこと、この二点において都の主張に一応沿ったものであると思っております。
 道路特定財源を地方交付税の不足の穴埋めに使おうという筋違いの議論が出ている中にあって、今回の交付金の創設は大きな成果でもあり、今後の布石となり得るものであると思います。この間の自民党、公明党の皆様のご尽力に感謝いたします。
 今後とも、地方がみずからの才覚と責任で地域を主宰し得る地方税財源の一層の充実を国に強く求めてまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、就学前教育の充実についてでございます。
 いわゆる小一問題の要因としては、小学校入学時の児童に基本的な生活習慣や態度が身についていないこと、入学前と入学後の環境の変化に児童が十分適応できないことなどが考えられます。こうしたことから、就学前教育と小学校教育とを円滑に接続していくことが必要であり、東京都教育ビジョン(第二次)に就学前教育の充実を位置づけたところでございます。
 都教育委員会は、幼稚園の教員や保育所の保育士を対象とした研修を実施して相互理解を深めますとともに、小学校と幼稚園の教員による指導内容や指導方法の効果的な連携に関する研究開発に取り組んでおります。
 今後は、これまでの研修や研究開発の成果をもとに、就学前教育プログラムを作成いたしまして、小学校と幼稚園、保育所との具体的な連携の方策を明らかにすることや、小学校への接続を踏まえた幼稚園、保育所におけるカリキュラムを開発するなどの取り組みを通じまして、就学前教育の充実に向けて具体的な対策を講じてまいります。
 次に、子どもの学習のつまずきへの対策でございます。
 これまで都教育委員会は、平成十五年度から独自に実施してまいりました学力調査の結果をもとに、学習におくれがちな児童生徒の実態を把握してまいりました。
 その結果をもとに、当該学年で確実に身につけないと、その後の学年において学習を行う際につまずく事項を明らかにし、その段階的な指導のポイントを示しました児童・生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準(東京ミニマム)を作成し、去る十月に公表をいたしました。この東京ミニマムの活用により、教員が指導のポイントを熟知し、実際につまずいている児童生徒にも十分配慮した授業ができるようになることから、学習のおくれを取り戻す指導の改善にも役立つと考えております。
 今後は、東京ミニマムに基づきまして実践的な研究を行う、確かな学力向上実践研究推進校を指定いたしますとともに、東京ミニマムの指導事例集を作成、配布いたしまして、一層の活用を図ってまいります。
 次に、学習の動機づけと各種制度の周知についてでございます。
 生徒一人一人が学習意欲を持って、さまざまな活動に目を輝かせて取り組み、将来に夢や希望を持って成長していくことは、都民の共通した願いであります。
 そのため、都教育委員会は、生徒一人一人が自己実現を図れるよう、進路指導資料集の作成、配布や進学指導研究協議会の実施などによりまして、個性や能力に応じた進路指導の充実に努めてまいりました。
 各学校においては、その進路指導の中で、個々の生徒の状況を踏まえ、必要がある生徒に対しましては、貸し付けや奨学金に関する各種制度を紹介するなど、きめ細かな取り組みを行ってまいりました。
 今後とも、各学校に対してそうした取り組みを推進していくよう、区市町村教育委員会と連携して支援をしてまいります。
 四点目に、地域人材を教育活動に活用する仕組みづくりなどについてでございます。
 多様な地域人材を教育活動に活用するためには、学校と地域を効果的につなぐ役割を担う教育支援コーディネーターが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は、社会全体で学校を支援する体制づくりを目指しました国の学校支援地域本部事業が多くの区市町村で実施されるよう働きかけますとともに、教育支援コーディネーター研修を実施するなど、区市町村を支援してまいりました。
 また、PTAを初めとした関係団体と連携し、地域教育フォーラムを開催いたしまして、学校支援の理解が深まるよう普及啓発に努めてまいりました。
 今後は、こうした取り組みを充実させますとともに、NPOや企業等と連携し、教育に有用な専門的な知識や技術を有する人材を教育サポーターとして育成するなど、区市町村を支援してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 経済状況の認識についてのご質問にお答えをいたします。
 前回の補正予算を編成した九月以降、米国発の金融危機は実体経済に波及いたしまして、景気は急速に悪化しております。
 その影響は、とりわけ経済的な弱者に押し寄せておりまして、中小零細企業における資金繰りの悪化、倒産件数の増加などに顕著にあらわれております。また、高どまりする物価や非正規労働者の再契約停止の増加など、都民生活も厳しい状況に直面をいたしております。
 このように、この間、事態は一層深刻化しておりまして、これを放置すれば、不安が不安を呼び、景気のさらなる悪化に歯どめがかからなくなるという認識に基づきまして、都として第二弾の緊急対策の策定に至ったものでございます。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、景気動向及び都税収入の見通しについてでございますが、今後の景気につきましては、世界的な金融危機の深刻化や景気の一層の下振れ懸念、株式、為替の大幅変動などから、雇用情勢などを含めて、さらに厳しい状況となるおそれがあるものと認識しております。
 今年度の都税収入につきましては、十一月末の法人二税の中間申告等の状況を把握する必要があり、確たることを申し上げる段階にはございませんが、世界経済が一段と厳しさを増す中、企業収益の悪化に伴い、都税収入の減少傾向が強まりつつあり、今年度当初予算の確保は非常に困難な状況にあります。
 次に、都の環境減税についてでございますが、地球温暖化対策は、都の重要な政策課題であり、現下の経済状況を踏まえると、当面、中小企業等へのインセンティブの観点から税制を活用していくことが効果的であると考えております。
 今後、関係局とも連携を図りながら、都の環境施策を推進するための政策減税につきまして、積極的に検討してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
 まず、周産期医療に関しまして、患者受け入れの判断についてでありますが、現場の実情を踏まえた対策の取りまとめをお願いしております東京都周産期医療協議会において、周産期医療と救急医療の連携や患者受け入れをコーディネートする仕組みの構築、さらには、お話の母体搬送依頼があった際の受け入れ判断のあり方等について検討が行われております。
 都としては、この周産期医療協議会における検討の状況を踏まえて対処してまいります。
 次に、地域の実情を踏まえた周産期医療の取り組みについてでありますが、地域の診療所と比較的リスクの高い分娩を扱う病院とが機能に応じた役割分担と連携を進めることは、出産の安全性の確保や医療機関の負担軽減などの観点から有効であります。
 このため、都は、本年三月に策定いたしました連携ガイドラインを基本に、各市町村とも協力しながら、都内各地域で周産期母子医療センター、病院、診療所、助産所によるネットワークグループを立ち上げ、安全・安心な周産期医療の提供体制を構築してまいります。
 最後に、低所得世帯への学習塾受講料等の貸し付けについてであります。
 本事業につきましては、相談者が窓口に来所しても、所得や土地建物の所有などに関する貸付要件に該当しない事例が多いという意見が区市町村から寄せられておりました。
 このため、既にこの十二月から、まず所得の算定に当たりまして、賃貸住宅へ入居している方につきましては、一定額を限度に家賃を収入から減額することとしております。また、土地建物を所有していないこととする要件につきましては、現に居住している家屋等には適用しないなど、利用者の生活実態により即した運用を行っており、今後とも、事業の効果を踏まえ、適切な事業運営に努めてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 新銀行東京に関する五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新銀行東京に対する都の追加出資に関連してのご質問でありますが、四月に行いました都の追加出資を、世界的な金融危機に対応するための金融機能強化法の附帯決議に絡めて論じることは適切ではないというふうに考えます。
 都は、中小零細企業への継続的な支援を行うためには新銀行東京の再建が必要であるという判断のもと、議会のご議決をいただいた上で追加出資を行ったものであります。
 次に、資本注入の一義的責任がどこにあるかということについてでありますが、銀行に限らず、株式会社が経営難に陥った場合、増資を行うことがありますが、個別の状況に応じて判断をされております。株式会社がみずから資本調達を行う例も多数あり、一義的責任がどこにあるかというのは一律には決められないものと考えます。
 次に、金融検査等の情報の入手についてでありますが、金融機能強化法の附帯決議と金融検査を絡めて議論することは、これも適当ではありません。附帯決議は、資本注入を内容とした法律に付されたものでありますが、新銀行東京は資本注入を申請するつもりはないとしております。
 これまで再三申し上げてきましたとおり、金融庁、日銀は、株主を含め第三者には検査結果を不開示というふうにしております。したがいまして、都は検査結果を知り得る立場になく、金融庁や日銀に対して検査結果の公表を求めることは適当でないというふうに考えています。
 次に、資本注入の申請についてでありますが、新銀行東京からは、十一月二十六日に、自己資本の状況などから、金融機能強化法の適用を申請しないとの報告を受けました。都としましては、この新銀行東京の判断を尊重いたします。
 最後に、旧経営陣に対する責任追及についてでありますが、新銀行東京の経営悪化を招いた旧経営陣における経営判断などにつきましては、現在、新銀行東京が弁護士による調査を進めており、年内を目途に結果を得る予定であります。この調査結果を踏まえ、新銀行東京が、法的措置も含め、対応を決めることとなります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、環境金融の拡大についてでございます。
 地球温暖化などの環境の危機を克服するためには、企業や個人の環境配慮行動を促進する経済的インセンティブとしての金融の役割を一層高めていくことが重要でございます。
 このため、都は、今年度から金融機関と連携して、都の指定する省エネ診断に基づく設備投資等を制度融資の対象とするとともに、中小企業による省エネ設備等の導入を促進する環境配慮取り組み支援融資を実施しております。
 また、都が行った金融機関に対する環境投融資拡大の要請を受けまして、既に一部の金融機関では、環境配慮行動を促進する金融商品の開発に取り組んでおります。
 今後とも、中小企業等の省エネ対策の促進に金融機能を活用できるよう、取り組んでまいります。
 次に、家庭部門における温暖化対策についてでございます。
 家庭部門のCO2排出量の伸びは、業務部門に次いで大きく、東京の排出量の大幅な削減を実現するためには、さらなる対策の強化が必要でございます。
 都は、東京都地球温暖化防止活動推進センターを家庭部門対策の拠点とし、地域家電店と連携した省エネキャンペーンを進めるなど、普及啓発活動の充実を図ってまいりました。
 来年度からは、センターを窓口としまして、新たに家庭用太陽エネルギー利用機器の設置に対する補助事業を開始いたします。
 今後さらに、センターを核として、各家庭において、常にCO2の排出を意識し、その削減に向け、生活、消費のあり方を見直すような取り組みを進めてまいります。
 最後に、水収支の実態の把握についてでございます。
 都はこれまでも、さまざまな要因によって阻害されている水循環の現状を把握するため、都内に降った雨のうち、地下に浸透する量、地下に浸透せずに地表を流れる量などを明らかにする水収支調査を行ってきており、現在、昨年度実施した調査の取りまとめを行っております。
 水収支は、都市化に伴う地表の状況などにより変化することから、こうした調査を今後とも実施していくことが重要であり、その調査結果につきましては、関係局や区市町村の水循環に関連する施策の基礎資料として有効に活用できると考えております。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、望ましい水循環の形成についてでございますが、水は、絶えず循環して生態系を支え、地面や水面、植物からの蒸発散によりヒートアイランド現象を緩和するなど、都市環境にとって重要な役割を果たしております。
 こうした観点から、都は、地下水の涵養、再生水の活用による清流復活などに取り組んでおります。
 快適な都市環境を形成するためにも、校庭芝生化による緑の創出や透水性舗装の普及などにより雨水の浸透を促すなど、さまざまな施策を展開し、望ましい水環境の回復に努めております。
 次に、公共施設への雨水貯留についてでございますが、都は、貯留・浸透事業実施要綱に基づき、所管する道路や学校、庁舎などに雨水の貯留浸透施設を設置してまいりました。
 また、総合治水対策協議会等を通じて、区市町村に条例や要綱などの制定を働きかけ、都内の公共施設におけるこれらの施設の設置を促進してまいりました。
 さらに、昨年八月に策定した東京都豪雨対策基本方針では、貯留浸透施設の設置の取り組みを強化し、時間五ミリ相当の雨水流出抑制効果を発揮させることとしております。
 今後とも、区市町村と連携して雨水の貯留浸透に積極的に取り組み、浸水被害の軽減など、都民生活の安全確保に努めてまいります。
 最後に、水の有効利用に向けた取り組みについてでございますが、都は、長期的な視野に立ってダム開発により水源の確保を図るとともに、貴重な水資源の有効利用を進めてまいりました。具体的には、下水再生水の供給が可能な西新宿・中野坂上地区など七地区におきまして、大規模開発等を対象に再生水の利用を事業者に促してきました。
 また、一定規模以上の建築や開発につきましては、許認可などの申請の際に、再生水や雨水の利用施設の設置を指導しております。
 引き続き、都民や事業者の協力と理解を得ながら水の有効利用を図り、節水型の都市づくりを進めてまいります。
   〔百二十二番大沢昇君登壇〕

○百二十二番(大沢昇君) 日銀考査や金融庁の検査について、改めてお伺いをいたします。
 知事の答弁では、法令によって示せない旨、答弁がありましたが、それでは、その法令の根拠をお示ししていただきたいと思います。
 仮に法令の制約があったとしても、金融庁検査や日銀考査の目的は、銀行の経営の安定性を確保するものであり、都の責任を全うするためには情報入手に努めるべきであると思いますし、また、都民の税金が多く使われているこの銀行に対して、そのような努力をするのは当たり前だと思いますが、知事の見解を改めてお伺いいたしまして、再質問を終わります。(拍手)
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 検査結果についてのお尋ねでございますけれども、法令に基づいて、株主を含め第三者には不開示とされているという根拠ということでございますけれども、金融庁の金融検査に関する基本指針、これは金融庁のバイブル、検査に関するバイブルでございますけれども、この理念は銀行法から派生をしているということが第一点ございます。
 それからもう一点は、情報公開に関する法律、これの規定から、第三者に対しては不開示とするというふうに規定をされております。
 なお、大事なことは、検査結果を銀行のその後の業務運営に反映をして改善していく、こういうことが大事なことでありまして、新銀行東京におきましても、こういう検査結果を受けて、経営に適切に反映すべきであるというふうに私どもは考えております。

○副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時四十二分休憩

   午後五時一分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百六番藤井一君。
   〔百六番藤井一君登壇〕

○百六番(藤井一君) 私は、都議会公明党を代表して、知事並びに関係局長に伺います。
 先月中旬に発表された本年七月から九月までのGDPは二期連続のマイナス成長となり、さらに十月以降については、九月のアメリカ証券大手リーマン・ブラザーズの破綻による金融危機の影響が、実体経済により色濃く反映されるものと見込まれており、景気の先行きは全く予断を許さない状況にあります。
 また、雇用環境の悪化や新車販売の不振に象徴される個人消費の低迷、企業の業績見通しの下方修正などが連日のように新聞紙上をにぎわせています。
 都の税収構造は、こういった景気変動の影響を受けやすく、加えて、来年度は法人事業税の一部国税化の影響もあることから、今後の税収について大きな懸念を抱かないわけにはまいりません。
 そこで、このような景気状況を背景とした二十年度の都税収入の動向及び二十一年度の都税収入の見通しを明らかにしていただきたいと思います。都の見解を求めます。
 実体経済の悪化は、都税収入の減少という局面を迎えるだけでなく、都民生活や中小企業の環境を一段と厳しい状況に追い込んでいます。こうした厳しい状況を克服し、都民生活や中小企業を守るためには、もう一段の緊急対策を早急に講じるよう、都議会公明党は緊急要望を行ったところであります。
 異例ともいえる今回の二次補正予算において、我が党が要望した雇用創出に向けた対策を初め、社会福祉施設の耐震化や中小企業対策、生活困窮者への融資制度、周産期医療体制の強化など、すべての項目が予算化されております。中身を見ても、単なる補助金ではなく、再就職支援とのセットであったり、閑散期の事業需要創出であるなど、無定見なばらまきではなく、筋の通ったものであると高く評価するものであります。
 そこでまず、今回の補正予算、東京緊急対策Ⅱの実行に向けての知事の決意を伺います。
 次に、今回の補正予算に関連して、中小企業支援、雇用対策、周産期医療体制の強化について質問いたします。
 初めに、中小企業の支援策についてであります。
 都は今回の補正予算の中に、緊急融資制度の拡大や小規模企業者が借りやすい信用保証料補助の新設、さらには連鎖倒産に備える共済掛金補助の新設などを具体的に盛り込みました。問題は、黒字倒産の広がりであります。ことし倒産した上場企業二十八社のうち十五社が黒字倒産といわれており、その危険性は、大企業から次第に中小零細企業へと広がり始めています。
 国は、公明党の要請のもと、先月二十一日より予約保証制度を開始いたしました。当面は資金繰りに支障のない企業であっても、あらかじめ保証を受けておけば、いざというときの資金調達が万全となり、まさに黒字倒産を予防することができます。
 しかしながら、現下の厳しい経済情勢のもとでは、今まさに資金を必要とする中小企業へのサポートが重要であります。都は、緊急保証制度の円滑な運用に加え、当座の運転資金を必要とする企業のため、都独自で実施しているつなぎ融資を大幅に拡大すべきであります。見解を求めます。
 加えて、財政基盤の弱い零細企業にとっては、資金調達手段の多種多様化が大切です。公明党はかねてから、不動産担保に過度に依存しない新たな融資手法の創設を主張してまいりました。これにこたえ、平成十三年度には売り掛け債権担保融資、平成十九年度には棚卸資産も対象に加えた流動資産担保融資が創設され、近年では民間金融機関も、車両や機械設備を担保に融資メニューをそろえ始めています。
 金融不安の今、都が独自に機械設備等を担保とする新たな融資制度を創設すれば、都内中小零細企業の資金調達に大きく貢献するものと考えます。見解を求めます。
 都内中小企業の資金繰り悪化への対策としては、経営面での支援も欠かせません。経営環境が急激に悪化する中で、経営危機に見舞われる中小企業の増加が懸念されているところであります。このため、資金繰りの支援にとどまらず、経営難に陥った中小企業の経営そのものを再生する手助けをすることも重要であります。
 事業承継、再生支援事業は、中小企業振興公社に公認会計士や弁護士等の専門家を配置し、個々の中小企業の経営状況に応じた対応策を提示するとともに、必要に応じて金融機関の協力も得ながら、中小企業みずからが取り組む事業再生を支援するものと聞いております。
 現下の厳しい経済状況を見れば、事業再生にかける時間は限られています。このため、事業承継、再生支援事業を着実に推進すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、雇用対策について質問します。
 都は国に先駆けて、延べ五十万人分の公的雇用対策を新規施策に取り入れるなど、我が党の主張を受けた迅速な対応を高く評価いたします。
 雇用環境の悪化によって真っ先に影響を受けるのが、非正規雇用の方々や障害者、女性といった方々であります。既に我が党にも、契約を打ち切られた、解雇されたなど、悲痛な声が寄せられています。
 今回の成果に続けて、障害者や女性の方も含め、より一層の雇用対策に取り組むべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、区市町村との連携による延べ三十万人の雇用創出については、区市町村が新たに財政負担をすることなく、自主的、積極的に取り組めるよう配慮することが重要です。
 一方、緊急対策はあくまでも一時的な支援であることから、安定的な雇用に向けた対策も重要です。
 そこで、事業実施においては、区市町村が取り組みやすい仕組みとし、雇用拡大につなげるとともに、あわせて正規雇用に向けた支援も実施するべきであります。都の見解を求めます。
 次に、周産期医療体制の強化について伺います。
 脳内出血を起こした妊婦が、都内の病院で相次いで受け入れを断られるという事態を受け、周産期医療に対する都民の不安が高まっております。亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げます。
 都議会公明党はこの事態を重視し、今後の対策を検討する周産期母子医療問題プロジェクトチームを立ち上げ、現場の医師、看護師や専門家等の意見を聞くとともに、患者を確実に受け入れる方策を検討してまいりました。それを踏まえて、東京都における安全・安心の周産期医療体制の構築について質問いたします。
 都は、今定例会に提出した補正予算案に、都立病院における当面の産科医師確保策を初め、患者を迅速に受け入れる周産期連携病院の指定による医療体制の整備など、周産期医療緊急対策を盛り込みました。
 この中で、最も緊急を要する都立墨東病院等の産科医師の確保策については、地域の開業医や民間病院の協力を求めて、平日夜間や土曜、休日の出産に対応するとしておりますが、地域の医師は、ハイリスク分娩の経験が少ないことや医療手法の違い等もあって、ちゅうちょする声も少なからず聞かれます。
 そこで、地域の医師との実効ある協力体制を築くために、ハイリスク分娩の経験を持つ医師の優先確保や研修体制の整備などが不可欠であると考えます。都の見解を求めます。
 次に、新生児集中治療室、いわゆるNICU病床のあり方について伺います。
 今回の妊婦受け入れ拒否の事例も、NICUが満床で受け入れることができなかったことも要因の一つでありました。
 都は現在、周産期医療における緊急搬送体制として、都内を八ブロックに分け、重症妊婦や新生児を救う最後のとりでとして、NICUを有する総合周産期母子医療センター九施設、地域周産期母子医療センター十三施設を確保しております。
 しかし、ブロックごとの出生数に対するNICUの病床数には大きな格差があります。特に、二十三区の東部や多摩地域では病床数が少ないなど、NICU病床の不均衡があるために、ブロック単位の対応を原則としている周産期救急医療体制の機能が十分に生かされていない実態があります。
 NICUを必要とする低出生体重児や疾患のある新生児の出生が年々増加傾向にあることから、増床を前提とした病床数の均衡化を急ぐべきであります。特にNICU病床数の少ないブロックを中心に、周産期母子医療センターや周産期連携病院における増床に向け、予算や人員確保などに都が積極的に支援すべきと考えます。見解を伺います。
 さらに、NICUの常時満床状態を緩和し、受け入れを可能とするためには、医療的ケアが必要な新生児の容体が安定したら、NICUから継続的な医療や看護を行う後方病床に移行し、退院後には療育ができるという全体の流れを見据えた体制整備を行っていくべきであります。都の見解を求めます。
 万全な周産期医療体制の構築には、産科医師、新生児科医師、看護師等の十分な確保がすべての前提であることはいうまでもありません。とりわけ周産期医療の中核を担う都立病院等の産科、新生児科医師の不足には、本腰を入れて対策を講じる必要があります。
 中でも、産婦人科、小児科診療分野を担う割合の高い女性医師は、結婚、出産等を機に離職するケースが多いことから、院内保育室の拡充、定時勤務制度の導入など、仕事と家庭の両立が可能となる働きやすい職場環境を整備すべきと考えます。都の見解を求めます。
 さらに、周産期医療を担う医師を積極的に養成していくことも必要です。都は、小児や周産期医療に従事する医師を確保するため、医師奨学金制度を創設しましたが、この制度をさらに拡充して、産科や新生児科等の医師を確保する体制を整えるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都政の主要課題の一つであります新型インフルエンザ対策と療養病床の充実について質問いたします。
 まず、新型インフルエンザ対策についてであります。
 新型インフルエンザが発生した場合、過密都市東京では、大流行期への突入を避けることは至難のわざといわれています。都議会公明党はこれまでも、パンデミックを前提にした医療体制の確立に取り組む必要性を訴え続けてまいりました。
 都において、すべての医療機関の参加を前提とした地域医療体制確保のための協議を進めるとともに、本年五月には医療提供体制のガイドラインを策定するなど、全国に先駆けた取り組みを進めてきたことを高く評価いたします。
 あわせて、治療薬として四百万人分のタミフル、リレンザの大幅な追加備蓄等を本年度中に行うなど、都の積極的な取り組みを高く評価するものであります。重要なのは、こういった医療体制とともに、パンデミック時における感染拡大防止策を整備しておくことであります。
 先ごろ、国は、一人でも発症が確認された時点で学校閉鎖を実行するとした、感染拡大防止に関するガイドライン案を発表いたしました。そこで、通勤ラッシュに象徴的な過密都市東京ならではの感染拡大防止策を強化する必要があり、危機管理体制の司令塔となる都は、新型インフルエンザ発生時の具体的な取り組みを定めた東京都の対応マニュアルの見直しを図るべきであります。都の見解を求めます。
 次に、療養病床の充実について質問いたします。
 超高齢化社会を迎える都において、長期にわたり療養を必要とする患者が入院する療養病床は、急性期を脱した患者の受け皿として、なくてはならない存在であり、その確保は重大な課題であります。
 しかし、都内には、急性期の医療機関は多いものの、療養病床などの医療施設や、特別養護老人ホームも極めて限られています。実際、都における人口十万人当たりの療養病床数は全国四十一番目と低調になっています。
 こうした中、都は、国の療養病床削減方針を事実上撤回させ、平成二十四年度末までに二万八千七十七床の療養病床確保を目標に掲げ、一般病床からの転換や新設のための施設整備費補助を今年度からスタートさせました。
 しかし、現場の声を聞くと、施設整備費補助だけでは、目標達成はかなり厳しいというのが現実であります。療養病床数を具体的にふやすには、病院経営にも十分配慮し、都内全域を視野に入れた取り組みが重要であります。
 具体的にいえば、例えば増改築の際の容積、建ぺい率の緩和や、耐震工事に対する補助金交付などの支援が欠かせません。一般病床から療養病床に転換するには、一ベッド当たり約二・一平米拡大する必要があり、現状のまま再整備すれば、必然的にベッド数の減少につながります。このことは病院の収入を減少させ、固定費を考えると病院経営を圧迫することになります。
 また、耐震工事を実施する場合も、工賃に加えて、工事期間中は一定程度ベッドを閉鎖しなければならず、このことも減収につながります。
 そこで、こういった状況を踏まえ、都が積極的に支援を検討すべきと考えます。都の見解を求めます。
 療養病床が増加すれば、看護師などの人材育成、確保に向けた取り組みも急務となります。現在、多くの医療機関では、看護人材の確保に向けて、ヘルパーが看護学校等に通う場合、奨学金などによる援助を行っています。これは准看護師が看護師を目指す場合も全く同様とのことであります。
 他方、育成した人材が早期に離職してしまわないようにすることも重要であり、医師同様に、看護師等の勤務環境改善の取り組みも必要です。
 平成二十四年度末までの二万八千七十七病床という目標達成に向けた都の人材育成、確保策について見解を求めます。
 次に、中学三年生までの医療費助成について伺います。
 我が党は、将来、この国の礎となる子どもたちが健やかに育つことができるよう、東京におけるチャイルドファースト社会の実現の第一歩として、子どもの医療費助成の拡充を求めてまいりました。
 都は、現在の助成制度を拡充する案を実施主体である市町村と協議中ですが、市町村としては、約二十億円と見込まれる財政負担をどう確保するかが大きな課題となっています。
 我が党は十月の二十四日、市町村の財政に支障を来すことがないよう必要な措置を講ずることを求め、石原知事に緊急要望いたしましたが、さらに市長会や町村会もそれぞれ都の財政措置を要望していると聞いております。
 そこで、都として必要な財政支援を行うべきと考えます。知事の所見を伺います。
 次に、子どもの社会的養護について質問します。
 日本の社会的養護の中核的な役割を果たしているのが児童養護施設です。この施設では、制度発足当初、主に戦災で親を亡くした孤児が養護されていましたが、最近は、家庭内で虐待を受け、保護された子どもが入所児童の五割以上になっており、その数は年々増加しています。
 こういった状況を踏まえ、都議会公明党はこのほど、都内の児童養護施設を視察、調査いたしました。いずれの施設でも、児童養護の最前線で、職員の方たちの懸命な尽力のおかげで、安心した子どもたちの姿を見ることができました。
 他方、職員の方々に過重な負担を強いていることも事実であります。特に、虐待を受けた子どもには専門的、治療的なケアが求められていますが、国の職員配置基準が三十年間も変わっていないため、必要な職員が配置されていません。都は国に対し、これまでにも配置基準の抜本的な見直しを要求していますが、なかなか改善されておりません。
 そこで、被虐待児童のために、都が独自に職員配置を手厚くするべきであります。都の見解を求めます。
 視察の中で、居室とリビングのある家庭的な環境の中できめ細かく面倒を見る小規模グループケアが着実な効果を上げ、これをふやしていきたいとの声を伺いました。子どもたちにとって、家庭的な雰囲気の中できめ細かいケアが重要なのはいうまでもありません。現在、国と都が各施設への導入を進めていますが、施設の構造や財政面に課題があり、すべての施設では実施できていません。
 そこで、都は、支援をさらに強化し、どのような施設でも小規模グループケアが実施できるようにするべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、盲ろう者に対する支援について伺います。
 視覚と聴覚の重複した障害を持つ盲ろう者は、全国に二万人以上、都内にも約二千人いるといわれています。都議会公明党は、まだ盲ろうという障害の存在自体がほとんど知られていなかった平成六年に、いち早くこの問題を議会で取り上げ、全国に先駆けて、東京都による通訳介助者の派遣、養成事業を実現するとともに、その後も支援を続けてまいりました。
 本年の第二回定例会の我が党の一般質問では、盲ろう者に対する支援について知事の考えを伺ったところ、知事からは、一人一人が我が身になぞらえて思いを至らせ、支援の手を差し伸べていくことが大切だ、都としてもコミュニケーションの確保を支援し、社会参加を一層促進していくと答弁されました。
 その後、知事は、盲ろう者の福祉向上活動の草分け的存在であり、自身も盲ろうという障害を抱えながらも東京大学教授になられた福島智さんと会われました。
 そこで、まず、福島さんと会われた知事の率直な思いを伺います。
 盲ろう者は、自分の近くにだれがいるのかさえわからず、また、自分に必要な情報の内容はおろか、そもそも必要な情報があるのかないのかさえも、みずから知るすべもありません。まさに想像を絶する孤独感の中で不安にさいなまれながら、多くの盲ろう者の方々が自宅にひきこもり、社会との接触の極めて乏しい状況に置かれています。
 こういった状況を変えていくためには、盲ろうという障害の存在を社会全体に理解していただくとともに、盲ろう者への一貫性のある支援体制を確立していくための拠点整備が必要であります。
 そこで、厳しい状況に的確に対応できるよう、都は、盲ろう者に対する支援拠点を全国に先駆けて設けていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、大麻汚染について伺います。
 警察庁によると、大麻による摘発が、ことし過去最悪になると見込まれております。特に三十代未満の若者への拡大は深刻であり、昨年の検挙数千五百七十人は、十年前の二・三倍となっております。中でも二十代への浸透が特に際立っており、ことしに入って大学生は七十四人が検挙され、昨年同時期よりも十人も多いことが判明しております。
 大麻汚染がここまで拡大した背景には、種屋と呼ばれる業者の存在があり、海外から不正に発芽能力がある大麻の種子を輸入し、ネットにアクセスすれば、だれもが鑑賞用と称して容易に種子を入手できるという実態があるからであります。
 警察庁では、インターネット上の監視を行っておりますが、大麻の種子の所持や譲渡自体は法規制の対象から除外されているため、取り締まりに限界があります。種子の所持や譲渡を規制の対象とするよう、大麻取締法の改正を国に働きかけるべきであります。
 若者を大麻汚染から守るためには、普及啓発から取り締まりまで、関係機関が連携した取り組みが必要です。知事の見解を伺います。
 次に、環境政策について質問いたします。
 我が党はこれまでも、環境確保条例の改正に伴い、地球温暖化対策推進制度の中に組み込まれることとなる中小規模事業所の負担に配慮し、税制面での優遇措置を検討すべきと繰り返し主張してまいりました。
 先月、知事に提出された東京都税制調査会の答申も、省エネ推進へのインセンティブの観点から、都の環境施策と連携した政策減税を検討すべきとしております。
 都は、政策減税を導入するのであれば、特に中小規模事業所に対する税の優遇措置を検討すべきと考えます。見解を求めます。
 社会全体のCO2排出を減らすための仕組みとして注目されているのがエコポイントであります。エコポイントとは、環境配慮型の商品やサービスの購入など、消費者の環境に配慮する行動に対して何らかのメリットをもたらすような仕組みのことで、一人一人の生活の中に環境配慮行動を内在化させていくための一つの手段であります。
 こうした認識のもと、公明党は本年八月に、知事あてにエコポイント制度の活用に関しての要望を行いました。
 都内においては、既に港区や足立区がエコポイントに取り組んでいるほか、早稲田、高田馬場周辺の地域で、使用済みレジ袋の持参やマイはしを持参した際に、地域通貨と交換する取り組みを推進している例があるなど、さまざまな取り組みが行われております。
 都は、区市町村や地域レベルでのエコポイントの活用をさらに促すとともに、エコポイントを都の施策と組み合わせて、施策推進のインセンティブとして活用していく具体策を検討すべきであります。見解を求めます。
 さて、本年度の洞爺湖サミットでは、気候変動問題に取り組み、長期的に化石燃料への依存を減らす上で、再生可能エネルギーの重要な役割が示されました。バイオ燃料の活用もその一つであります。
 既に都内の一部の区市では、てんぷら廃油を活用して車の走行を行うなど、廃食用油の活用が図られております。食料と競合しないバイオ燃料の原料として、廃食用油の活用は有効なものと考えます。
 そこで、都は、さまざまな課題を整理しながら、廃食用油を活用したバイオ燃料の導入について積極的に進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、今後の市街地整備について伺います。
 東京のまちづくりの骨格を担う市街地整備については、急速に進む少子高齢化などへ社会経済構造の大きな変化に対応した整備を進めていく必要があります。
 「十年後の東京」には、二十一世紀の都市モデルを実現するとして、八つの目標を掲げています。その中に、水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京を復活させる、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現する、また、災害に強い都市をつくる、さらには、世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを創造するとあります。
 都は、こうした新たな時代の要請にこたえるために、木密地域の解消と建築物の耐震化など、都市づくりの基本的な方向を示すとともに、今後の市街地整備の方針を策定すべきと考えます。都の見解を求めます。
 市街地整備において大きな課題となっているのが老朽化マンションの耐震化であります。現在、都内にはマンションが百四十万戸、そのうち昭和五十六年以前の旧耐震基準のマンションは約二十二万戸あるといわれております。
 しかしながら、耐震改修の実績はなかなか進んでいません。都は今年度から耐震改修助成制度を創設し、取り組みを始めていますが、いまだ十二区、二つの市でしか整備されておりません。実績を上げていくためには、全区市に広がるよう働きかけていくべきであります。都の見解を求めます。
 また、分譲マンションの管理組合には、その維持管理から修繕、大規模改修、さらには建てかえと、さまざまな課題があります。それぞれにガイドブックや管理ガイドラインがありますが、総合的に相談する窓口など、都としてマンション住民にわかりやすい情報提供を行っていくことが重要です。今後の取り組みについて、都の説明を求めます。
 特に老朽化したマンションは、建てかえという大きな課題が迫っています。都は、本年の第二回定例会における我が党の代表質問に対して、初のマンション白書の作成を明らかにいたしました。管理組合等の実態を調査し、新たなマンション施策の展開に資することとしております。
 この白書において有効な建てかえ事例を取り上げ、老朽化したマンションの建てかえ対策を進めていくべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、都営住宅について質問いたします。
 来年四月から施行が予定される公営住宅の入居収入基準の改定を前に、都議会公明党は、太田昭宏代表とともに国土交通省に対し、平成十九年十一月十六日に、公営住宅管理制度の見直しに関する申し入れを行いました。その結果、すべての現入居世帯の家賃が上昇する内容であった当初案が見直され、現入居者の約四分の三の世帯の家賃を据え置きとしたほか、現入居者全体に対し、新たな収入基準に基づく収入超過、高額所得の適用は五年間これを行わないなど、数々の激変緩和措置を講じることになったのであります。
 さらに、都議会においては、本年の第二回、第三回の定例会の代表質問で取り上げ、公明党は、二K住宅の間取りの廃止を実現させるとともに、入居収入基準の改定に関する都独自のさらなる激変緩和措置を講じて、現在のすべての都営住宅の入居世帯に対し、低迷する経済状況に見合った対策を講じるよう求めました。都も、一定期間の家賃の据え置きなど、積極的な対応方針を答弁しているところであります。
 しかるに、日本共産党は、最近、都内各地において、この入居収入基準の改定に相まって、直ちに現入居者の追い出しが始まるかのような印象を与えるビラを大量に配布し、不安をあおっているのであります。都営住宅は、都民共有の大切な住宅政策上のセーフティーネットとして、都議会と執行機関がともに努力して、内容、制度の上でも充実を図ってきたのであります。そうした努力を踏みにじり、都民の不安をいたずらにあおる行為を断じてこれ以上放置するべきではありません。
 そこで、今回の入居収入基準の改定を機に、都が都民のために講じる独自の激変緩和策の詳細を明らかにするべきであります。(発言する者多し)静かに聞きなさい。
 また、現在、母子、心身障害者、難病患者、寝たきり老人などに該当する世帯に都独自で講じている現行五〇%の特別減額措置についても、制度上は、明年四月の入居収入基準の改定を機に、対象世帯の収入上限が月額二十万円から十五万八千円に切り下げられることになります。このままでは、明年四月から家賃負担が一気に倍増してしまう世帯も出てくる可能性があります。この点についても、都は家賃負担の激変緩和対策を積極的に講じるべきであります。あわせて都の見解を求めます。
 次に、新銀行東京について質問いたします。
 去る十一月二十一日、新銀行東京は、平成二十一年三月期の中間決算を発表いたしました。この中間決算について、知事は、今定例会の所信表明で、ほぼ再建計画どおりの業績となっていると評価をし、引き続き再建計画の着実な達成に向け、経営の監視と支援を行うと決意を述べられました。
 他方、さかのぼること約一カ月前の十月二十二日、日刊の経済紙の一面のトップにおいて、新銀行東京、都の追加出資毀損へ、金融庁検査結果を通知、引き当て不足百億円という記事が躍り出ました。経済の専門紙でもある日刊紙の記事であるならば、綿密な調査の上書いているのではないかと、大きな反響を及ぼしました。
 事実、共産党などはこの記事を使って、鬼の首でも取ったかのように、経済・港湾委員会で都の追加出資毀損の責任を追及していました。しかしながら、中間決算発表の翌日、その日刊紙においても、金融庁の検査結果に基づく不良債権の引き当て不足百億円と、都の追加出資毀損の件について一言も触れていませんでした。したがって、中間決算が発表になった今でも、新銀行東京の百億円の引き当て不足と追加出資の毀損についてはどうなったのかという問い合わせがあります。
 そこで、都として、新銀行東京の中間決算が金融庁の検査結果をすべて反映した数字であるのかどうか、その上で四百億円の追加出資は毀損されたのかどうかを、都民に対してわかりやすく説明すべきであります。都の見解を求めます。
 サブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機は、日本経済にも多大な影響を及ぼし、この十月、十一月と、日本の景気も急激な後退局面を迎えています。
 特に中小企業の経営環境は悪化の一途をたどっています。こうした中間決算期日である九月三十日以降に起きている事態は、新銀行東京の再建計画に重大な影響を及ぼすことになります。
 新銀行東京は、今回の中間決算において、こうした重大な後発事象を盛り込んでいるのか、明らかにすべきであります。都の見解を求めます。
 知事は、所信表明の中で、旧経営陣の時代に行員みずからがやみ勢力と結託をして行った不正融資事件を取り上げ、遺憾の意をあらわすとともに、過去のうみをすべて出し切るよう株主として求めていくことを明らかにしました。その上で、今、最大の関心事は、年内目途に明らかにするとした旧経営陣の責任問題であります。年内といっても、あと二週間余りとなりました。一部には、新銀行東京は本気になって旧経営陣の責任追及をしないのではないかという声も上がっています。
 そこで、石原知事の旧経営陣に対する責任追及の決意を改めてお聞きするとともに、責任問題が明らかになった場合の議会への報告、責任追及の具体的な手順について、都に見解を求めます。
 次に、補助金の適正な執行管理について質問します。
 会計検査院の調査で、全国十二道府県で国庫補助金の不正経理が発覚し、今後、他の都府県と政令市も調査する方針であると報じられております。補助金が適正に執行されることは当然であり、自治体においても、補助金経理の透明化に向けた、より一層厳格な取り組みが求められていると思います。
 そこで、今回の会計検査院の調査で浮き彫りになった不正経理に対する都の認識と取り組みについて、見解を求めます。
 一方、今回の補助金不正経理問題の背景には、現行の補助金制度における使い切りの慣行といった問題点も指摘されております。補助金の適正な執行にかかわる、こうした制度上、運用上の改善に向け、都が他の自治体をリードするような取り組みを実行すべきと強く要望いたします。
 次に、道路整備の財源確保について伺います。
 東京の道路整備などは、国庫補助金や地方道路整備臨時交付金によって事業が展開されておりますが、道路特定財源の一般財源化の方針のもと、去る十月三十日、麻生総理は、一兆円を道路に限らず、地方の実情に応じて使用する新たな仕組みをつくると発表しました。
 東京の道路整備を推進するためには、安定的な財源確保が不可欠であります。都議会公明党は、この地方財源となる一兆円について、地方道路整備臨時交付金と同等で地方への恒久的な新たな交付金として、東京への道路整備に必要な額を確実に配分するよう、十二月四日に国土交通大臣に対して要請したところであります。
 この一兆円の配分の具体策として、公共事業に幅広く使える交付金とする方針が出される一方、道路特定財源を地方交付税として使うような動きもあります。このような場合の東京の道路整備に及ぼす影響について見解を求めます。
 道路特定財源の地方交付税化は、一般財源化に乗じて意図的に地方間の財源調整を行おうとするものであります。こうした不合理な動きの再燃阻止に向けた知事の力強い決意を伺います。
 次に、羽田空港の国際化について伺います。
 羽田空港は、平成二十二年秋に、四本目の滑走路と新国際線ターミナルが完成する予定であり、国際線の発着数が大幅にふえることになります。
 国は、羽田空港の国際線については、当初の昼間三万回から、夜間も合わせて年間六万回に倍増するとともに、昼間の距離制限を廃止することを骨太方針で決めたところであります。しかしながら、都心に近接した羽田空港の持つポテンシャルを考えれば、国際化に向けての国の方針はまだまだ十分ではなく、利用者の利便性をさらに向上させる必要があります。
 そこで、羽田空港の国際化に向けて、今後の都の方針及び具体的な取り組みについて、知事の見解を伺います。
 第二に、羽田空港跡地利用対策についてであります。
 本年三月、羽田空港移転問題協議会は、羽田空港跡地利用基本計画を策定しました。その中で、今後は跡地の基盤整備等の課題を整理し、この計画の具体化を目指すことを明らかにしています。
 現在、空港の跡地には、上下水道や電気、ガス等のライフラインが埋設されていますが、これらの取り扱いは羽田空港移転問題協議会での協議事項となっています。とりわけ上下水道については、現在、国が管理していますが、将来的には空港跡地が市街地となることから、その基盤整備や管理について検討する必要があります。
 また、関連事業としての周辺河川の整備については、跡地利用のため、高潮対策と親水護岸を兼ね備えた護岸とするべきと考えます。
 空港跡地利用にかかわる基盤整備について、都の見解を伺います。
 第三に、空港跡地の土地処分についてであります。
 羽田空港の再拡張事業の完成があと二年後に迫った現在、空港跡地利用計画の具体化の道筋が明らかになっていません。早急に利用計画を具体化するためには、だれが跡地を取得するのか、明確にすることが重要であります。
 都は、昭和五十六年に都知事と運輸大臣とで取り交わした確認書を踏まえて、都が跡地を取得するのかどうか、明らかにする時期に来ています。
 そこで、都はこの確認書をどのようにとらえているのか、明確な意思表示をすべきと考えます。知事の明快な答弁を伺います。
 最後に、二〇一六年の東京オリンピック・パラリンピックの招致について質問いたします。
 国際オリンピック委員会の東京視察の日程も来年四月に決まり、十月の開催都市決定へ、招致レースはいよいよ佳境に入りました。オバマ新大統領の誕生に沸くシカゴを初め、マドリード、リオデジャネイロはいずれも強敵ですが、都は大都市問題の解決を目指し、二十一世紀の新たな都市モデルをアピールする、どこよりもすぐれた立候補ファイルを提出すべきであります。
 その上で、今求められているのは、何よりも国内世論を盛り上げることであります。国際オリンピック委員会がこの点を重視していることは、申し上げるまでもありません。
 特に、オリンピック・パラリンピックはお金のむだ遣いだという考え方の人たちに対して、経済効果を理解してもらう必要があります。今回、都は、都内で一兆六千億円、全国で二兆八千億円の経済効果が生まれると試算をし、日本全体の経済を活性化できることを明らかにいたしました。
 そこで、国民に対し、この経済効果の根拠を明らかにし、説得力をもってアピールをしていくべきであります。都の見解を求めます。
 最後に、東京招致実現に向けてさまざまな手を打たれている石原知事の今後の戦いに向けての力強い決意を伺い、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 藤井一議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、東京緊急対策Ⅱについてでありますが、今回の経済危機は、かつて経験したことのないほど急速で大きなものであります。その影響は既に実体経済にも波及しておりまして、このまま手をこまぬいていれば、心理的な不安がさらに高まり、都民生活にも甚大な影響が及ぶことは明白であります。
 景気回復への道筋をつけるのは国の責任でありますが、都政を預かる者たちとしても、都民の不安を正面から受けとめ、活路を開くべく、第二弾の緊急対策を策定し、とりわけ早期の対応が必要な施策を補正予算として編成いたしました。
 これらにより、今、打つべき手を確実に打ち、みずからの力で懸命に危機を乗り越えようとしている都民を可能な限り後押しをするとともに、現場に根差した発想で、国に先駆けて効果的な施策を積極的に展開し、東京から危機克服に向けた確かな歩みを進めていきたいと思っております。
 次いで、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、事業内容の拡大に当たっては、都議会公明党や市長会、町村会などからの緊急な要望も踏まえまして、都としても、市町村財政に支障を来すことのないよう必要な措置をとってまいります。
 次いで、盲ろう者支援についてでありますが、先般、公明党の議員さんの紹介で、私、初めて盲ろう者である福島智さんにお目にかかって、本当にショックを受けました。ヘレン・ケラーという人の存在は前から聞いておりましたが、あの人は幼時に熱病にかかって突然知覚を失ったんですけれども、福島さんの場合には、だんだんだんだん目が見えなくなり、片方が見えなくなり、両方見えなくなって、また、青春期の十六、十七歳のときに、これまた片方ずつ耳が聞こえなくなって、そのときの苦痛といいましょうか、恐怖は大変なものだったと思います。まさにあの人は、これでとうとう自分は大きなつぼの中に閉じ込められたといういい方をされていましたけれども、そういう方が、お母さんが指を使っての点字というものを開発されて、とにかく立ち直り、やがては東大の教授にまで先般なられた。人間というのはこんなに本質的に強いものかという、非常に、感銘どころか強いショックを受けました。
 しかし、さらにお聞きしますと、こういった気の毒な方々がかなりの人数、日本にいる、東京におられるということ――失明された方は、盲導犬のような手だてもありますけど、この方々に至っては、とてもそんな手だてが及びません。やっぱり同じハンディキャップを背負った方々が、時々は一堂に会して、そこで、同病をかこち合いながらといいましょうか、交流して、互いに啓発し合って、人生の活力を得直していくということが必要だと思いますし、そんなにお金のかかる、そんなに広大な施設が要るわけではございませんから、やっぱり新しい福祉政策としてのモデルビルディングをやってみたいなと思っております。そういう支援が絶対に今、必要だということを痛感いたしました。
 次いで、若者を大麻汚染から守るための対策についてでありますが、日本の将来を担う若者たちに大麻の汚染が広がり、多くの大学生が検挙されている現実は、極めて憂慮すべき事態であると思います。
 こうした事件の背景には、大麻の害はたばこよりも少ないなどといった誤った情報や、インターネットなどを通じて大麻の種子を海外から容易に入手できる状況がございます。
 都としては、今後、国に対して大麻に関する法規制の強化を強く求めていくとともに、学校や警察などの関係機関と連携しながら、大麻の有害性、危険性を訴え、薬物乱用の根絶に全力を尽くしていきたいと思います。
 ただ、今日のように非常に世界が狭くなりまして、いろいろな情報がどんどん入ってきますが、大麻を日本で普及させている一つの要因は、アメリカという世界一の先進国、大国で、州によって法律が違って、大麻の吸引が許されている州があるということでありますけれども、こういった不均衡というものが非常にこの問題をゆがめて拡大しているんじゃないかと思いまして、これはやっぱり、日本の政府がよほどしっかりしまして、アメリカならアメリカに、こういった問題をどう調整するか、アメリカもひとつ青少年の将来を考えて、州ばらばらじゃなしに、フェデラルガバメントがこういったものを統一の規格の中で規制するという必要があるんじゃないか、そういう交渉というものを外交的にすべきじゃないかと私は思っております。
 次いで、新銀行東京の旧経営陣に対する責任追及でありますが、新銀行東京がその経営の失敗により多額の損失を計上して、都の出資を含む資本を毀損したことは重大でありまして、旧経営陣の責任は免れないと思います。
 また、先般明らかになった不正融資事件は、旧経営陣のもとで新銀行東京の内部管理体制が極めて不十分であったことをあらわしていると思います。
 旧経営陣の責任については、現在、有力な外部の弁護士に委託して銀行が調査を進めているところでありまして、その一端がこの間、披瀝されたわけでありますが、都民の理解が得られるよう厳正に対応してまいります。
 次いで、道路特定財源についてでありますが、道路特定財源の一般財源化にかこつけて、これをもって地方交付税の不足分を穴埋めするということは筋違いでありまして、決して容認できるものではございません。これまで無定見に削減されてきた地方交付税は、国の責任において復元されるべきものであります。
 道路特定財源の一般財源化に当たって最も肝心なことは、東京など不交付団体を含めて、すべての団体に必要な財源がしっかりと確保されることであります。
 こうした観点に立ち、不合理な地方交付税化の動きに対しては、これを阻止すべく、今後とも国に対して強く主張してまいります。
 次いで、羽田空港の国際化についてでありますが、我が国の国際競争力の強化を図るためには、都心と近接性を誇る羽田空港と世界の主要都市との間に幅広く国際線を就航させることが重要であります。
 国は本年六月の骨太の方針において、供用開始時点の国際線発着回数を、従来の昼間三万回から昼夜合わせて六万回に倍増するとともに、昼間は千九百四十七キロメートル以内としてきた――これは実に愚かな話ですけれども――距離制限を撤廃して、北京や台北、香港までも就航させる方針を示しました。
 しかしながら、国際都市東京の活発な経済活動や巨大な後背人口、さらには多様な文化的魅力あるいはビッグビジネスなどを考慮しますと、いまだに十分とはいえません。
 都としては、再拡張事業により、年間四十万七千回に達するとされる昼間の空港容量を可能な限り拡大するとともに、国際線に比べて低い国内線の需要の伸びからも、昼間の国際線をできるだけ増加させ、アジアの主要都市へのさらなる就航拡大を進めるように国に強く求めてまいりましたが、大体、国交省の内々の合意で、さらに、ごく近い将来、ヨーロッパの比較的日本に近い地域、それからアメリカの西海岸までは、飛行機は飛ばすことになると思います。
 次いで、羽田空港跡地に係る確認書についてでありますが、跡地は、国際線ターミナルなど国際化の拠点施設に隣接するとともに、周辺市街へとつながる重要な空間でありまして、羽田の空港機能と十分に連携しながら土地利用を進めていくことが必要であります。
 昭和五十六年の確認書は、沖合展開事業の事業費に充てるため、都が跡地を取得する前提に立ち締結されたものと聞いておりますが、その後は、首都圏の空港容量の逼迫に対応して、沖合展開事業に続いて再拡張、国際化を推進することとなりまして、その事業費を賄うために、都は国に対して一千億の無利子貸し付けも行うことにいたしました。
 さらに、従前とは全く違う、次元の異なる羽田空港の飛躍的な機能強化に対応すべく、跡地の面積が二百ヘクタールから五十三ヘクタールへと大幅に減少するなど、状況は非常に大きく変化いたしました。
 本来、私も運輸事業にかかわってきた人間の一人ですけれども、大田区があの空港の跡地の中に土地を獲得するということの是非というのは、もうちょっと機能論からいっても考えられたらいいんじゃないでしょうか。昔の東急ホテルとかプリンスホテルの跡地がありました、あそこならば、川に面していて立派なリゾートになると思うので、これはやっぱり、もっと若い人を使った新しい発想が必要じゃないかと私は思います。
 本年三月、国、都及び地元区から成る三者協により跡地利用基本計画が定められましたが、そこで示された土地利用を実現する上で、都が跡地を一括取得する必然はなく、基本的にそれぞれの施設の整備主体が土地の譲渡または貸与を受けることが合理的と考えられます。
 今後、計画的な土地利用を進めるための事業手法を三者協で協議しまして、地元区の意向に配慮しながらも、土地利用の早期具体化を図っていきたいと思っております。
 次いで、オリンピック・パラリンピックについてでありますが、来年の十月の開催都市決定までいよいよ十カ月を切りました。ライバル都市もそれぞれ、みずからの強みをアピールしてこれからの戦いに臨んでまいりますが、東京は、人類を脅かす地球環境問題の解決と平和な社会づくりに貢献するとともに、成熟した大都市の中心において、世界一コンパクトで、かつ日本の最先端技術と豊かな文化を体現した、今までに比類のないオリンピックを実現する自信もございますし、そのつもりでおります。
 それをこれからも積極的に訴えてまいりますが、今までの過程でも、多くのIOCの委員からも、東京は非常にいい、安全で安心だという評価も得ております。これは外交の上のリップサービスかもわかりません。どうも日本の外交は、その裏のことを察知したり想定することが下手でありますが、とにかくいずれにしろ、そういった評価も踏まえて、これからの招致活動では、我が国の総力を挙げてIOC委員への働きかけを強めていくとともに、世論の一層の盛り上げを図っていきたいと思っております。ぜひ共産党にもオリンピックには賛成していただきたいと思います。
 そして、希薄になった人々のきずなを取り戻し、自信を失いかけているこの日本に元気を取り戻したいと思っております。都議会初め都民、国民の皆さんに、より一層力強いご支援、ご協力をお願いする次第であります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都税収入の見通しについてでございますが、二十年度につきましては、十一月末の法人二税の中間申告等を見きわめる必要があり、確たることを申し上げる状況にはございません。しかしながら、世界経済が一段と減速する中で、国内の景気動向も下押し圧力が急速に高まるなど、企業の収益環境は日を追うごとに厳しさを増しており、当初予算を相当程度割り込むことは避けられないと考えております。
 また、来年度につきましても、企業業績の悪化による減収がさらに本格化すること、加えまして、法人事業税の一部国税化による影響などから、二十年度税収をさらに大きく下回る事態も懸念されるなど、より一層厳しい状況にございます。
 今後、このような状況を踏まえて、国の税制改正や景気動向を十分に考慮しながら、的確に算定してまいります。
 次に、都の環境減税についてでございます。
 地球温暖化対策は喫緊の課題であり、厳しい経済状況下においても着実に進めていかなければならないと考えております。
 今後、お話の中小規模事業所における省エネ推進を含め、都の環境施策を推進するための政策減税につきまして、関係局とも連携を図りながら積極的に検討を行い、できるところから実施していきたいと思います。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 八点のご質問にお答えをいたします。
 まず、中小企業に対するつなぎ融資の拡大についてであります。
 中小企業における当面の運転資金に対する資金需要に適切に対応していくことは極めて重要であると認識しており、都ではこれまで、制度融資におきまして、都内中小企業の緊急な資金需要にこたえるため、保証の審査を原則三営業日以内で行う融資メニューでありますクイックつなぎを実施しております。
 今般の厳しい景況の中、緊急に必要となる決済資金等の資金繰りに窮する中小企業を支援するため、このクイックつなぎの融資限度額を拡大してまいります。
 次に、不動産担保に依存しない融資制度についてであります。
 特に財政基盤が弱く、不動産資産に乏しい小規模企業者を対象に、保有動産を活用した新たな資金調達手段を提供することは重要でありまして、車両や工作機械などの動産を担保とする融資は、小規模企業者が従来に増して資金調達を可能とする有効な手法であると認識をしております。
 なお、この融資手法は、現在、信用保証協会による保証を受けられず、また、担保物件の評価、管理や処分方法について課題が残されております。
 今後、こうした課題を踏まえまして、機械設備等を担保にした融資制度の可能性について検討を進めてまいります。
 次に、事業承継、再生支援事業の推進についてでありますが、都は現在、中小企業事業承継、再生支援事業によりまして、経営危機に直面している中小企業に対して、相談や事業再生計画の策定支援、フォローを行っております。
 しかしながら、急激に悪化している経済状況のもとで、売り上げが伸びず、また資金調達もままならない中小企業がなお事業を存続させていくためには、一刻も早く再生に取り組むことが必要であります。
 このため、都は、再生に取り組む中小企業のさまざまな課題にいち早く対応できるよう、金融機関との連携を一層密にするとともに、事業承継、再生支援スタッフを増員するなど、相談機能の強化を図ってまいります。
 今後とも、中小企業の事業承継並びに再生を迅速かつきめ細やかに支援してまいります。
 次に、障害者や女性等に対する雇用対策についてでありますが、都はこれまでも、障害者に対する職業訓練や職域開拓の支援、女性に対する再就職支援などのさまざまな就業対策を実施してまいりました。しかしながら、雇用情勢はさらに悪化をしており、ご指摘の障害者や女性を含めまして、大きな影響が出ることが懸念されております。
 このため、今後、さらなる雇用対策の充実に向け、検討を進めてまいります。
 次に、雇用創出及び正規化に向けた支援についてでありますが、雇用環境が急激に悪化をしている中、区市町村と連携して早期に雇用の拡大を図ることが重要であります。
 このため、緊急雇用対策事業の実施に当たりましては、区市町村の負担にも十分に配慮しながら、地域の実情に合った雇用創出効果の高い事業を数多く実施できるような仕組みを構築してまいります。
 さらに、正規雇用に向けましては、就職チャレンジ支援事業やネクストジョブ事業などの取り組みによりまして、職業訓練やキャリアカウンセリング、職業紹介を行い、就業を支援してまいります。
 こうした対策を総合的に実施して、雇用環境の悪化に緊急に対応するとともに、安定した雇用の実現を目指してまいります。
 次に、新銀行東京の中間決算についてでありますが、新銀行東京は、再建に向けて全力で取り組んでいるところであり、今回の中間決算は、最初の半年の事業実績を示すものであります。
 純損失額は、計画の七十三億円に対しまして七十億円と、ほぼ計画どおりとなっており、これは金融庁の検査結果については、この中にすべて反映をされております。
 また、純資産におきましても、計画を上回る四百七十九億円が確保されており、四百億円の追加出資は明らかに毀損をされておりません。
 また、最近の経済環境の悪化と新銀行東京の中間決算についてでありますけれども、新銀行東京では、今回の中間決算におきましては、ご指摘のありました、現下の中小企業の経営環境の悪化を踏まえまして、貸倒引当金の積み増しを行っております。その上で通期の純損失は百二十六億円と、計画どおりを見込んでいるところであります。
 一方で、世界的な金融危機の影響は、現在もとどまるところなく拡大しておりますので、新銀行東京においても、計画が着実に達せられるよう、今後の慎重な運営が求められているところであります。都は、引き続き適切な監視と支援に努めてまいります。
 最後に、新銀行東京の旧経営陣に対する責任追及についてでありますが、新銀行東京の経営悪化を招いた旧経営陣における経営判断などにつきましては、現在、新銀行東京が外部の弁護士に委託をして詳細な調査を進めておりまして、年内を目途に調査結果を得る予定であります。この調査結果を踏まえ、新銀行東京が法的措置を含め対応していくこととなります。
 いずれにいたしましても、責任追及に当たっては、都民の理解が得られるよう、都としても必要な説明責任を果たしてまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 九点についてお答えをいたします。
 まず、周産期医療に関しまして、地域の医師との協力体制についてでありますが、周産期母子医療センターにおきましても産科医師の確保が困難である状況を踏まえ、東京緊急対策Ⅱでは、地域の医療機関の医師の協力による診療体制の確保を打ち出すとともに、東京都医師会長に対しまして協力を要請いたしました。
 地域の医師が高度専門的医療を担う周産期母子医療センターの診療に従事していただくためには、幾つかの課題があると認識をしております。
 東京都医師会では、東京産婦人科医会や地域の医師会の代表等から成る協議会を今月中に開催し、医師の確保や研修の実施等の検討を行うこととしておりまして、その結果を踏まえて早急に具体的な対応を図ってまいります。
 次に、NICUの増床についてでありますが、都内におきましては、周産期母子医療センターに百九十五床のNICU病床を確保しておりますが、低出生体重児の増加等から、その増床は急務であると考えております。
 都としましては、NICUの増床を促進するため、施設設備の整備補助を引き続き行っていくことに加えまして、都内のNICUが連携し、有効に機能するよう、それぞれの総合周産期母子医療センターの搬送調整機能の充実などに取り組むことといたしました。
 また、周産期母子医療センターのNICUの負担を軽減するために、新たに指定いたします周産期連携病院に対しまして、医師及び病床の確保に対する支援を行います。
 さらに、特に周産期医療体制の充実が課題となっております多摩地域や区の東部地域につきましては、東京都周産期医療協議会において、地域を超えた医療機関の支援の仕組み等について検討を行っております。
 こうした取り組みを通じて、都内各地域における周産期医療体制の充実を図ってまいります。
 次に、NICUから退院後までの医療、療育の体制整備についてでありますが、NICUの受け入れ体制を確保するためには、NICU入院児が症状に応じて後方病床や在宅等へ円滑に移行を進められるようにすることが必要であります。
 そのため、都では、今回の緊急対策において、周産期母子医療センターの後方病床の看護体制を充実し、急性期を脱した子どもが後方病床において円滑に受け入れられる体制を整備することといたしました。
 今後、NICU入院児の円滑な退院、その後の療養に結びつけるための検討を進めてまいります。
 次に、医師奨学金制度の拡充についてであります。
 小児、周産期などの医療を担う医師を養成するため、都が指定した大学医学部の定員枠を拡大するとともに、奨学金貸与制度を創設し、平成二十一年度からの九年間で四十五名の医師を養成することといたしました。
 これに加えまして、小児や周産期医療に携わる医師をさらに確保するため、医学生が医師としての将来の進路を見定める時期であります五年生、六年生を対象とする新たな奨学金制度について検討しております。
 今後、各大学医学部の意見を踏まえながら、実施に向けて鋭意調整をしてまいります。
 次に、療養病床の確保に向けた支援についてであります。
 都は今年度から、一般病床から医療療養病床への転換などを促進するため、施設整備補助を実施しており、引き続き療養病床の増床を図ることとしております。
 なお、東京都医師会から、療養病床に関し、お話の内容も含め、各種支援の要望をいただいております。
 都は、急性期を脱した後も医学的管理を必要とする患者が、その状態に応じた適切な医療を受けられるよう、国に対し、医療療養病床の安定的な確保と診療報酬上の評価の充実を引き続き提案要求してまいります。
 次に、看護師の人材育成、確保策についてであります。
 都はこれまでも、看護師修学資金貸与や離職防止、再就業の促進を図ってきており、平成十九年度からは、新人看護職員研修体制整備事業及び看護職員地域確保支援事業を実施しております。
 これに加えまして、今後、看護職員が妊娠、出産、育児を迎えても離職することなく引き続き働き続けられるよう、短時間正職員制度を導入する三百床未満の中小病院に対する支援策について検討してまいります。
 次に、児童養護施設の職員配置についてであります。
 虐待を受けました子どもたちは、対人関係の不調やパニックを起こすなど、情緒面や行動面に深刻な問題を抱えている場合が多く、一人一人の状況に応じたきめ細かな対応が必要となっております。
 このため、都は、精神科医や心理療法担当職員などを配置しました専門機能強化型児童養護施設を設置し、専門的ケアの機能強化を図ってまいりました。
 今後、日常生活についても、よりきめ細かなケアが行えるよう、専門機能強化型施設に手厚い職員配置を行い、虐待を受けた子どもへのケアを充実する体制づくりを積極的に検討してまいります。
 次に、小規模グループケアの設置促進についてであります。
 都はこれまでも、グループホームの設置など施設のケア体制の小規模化や家庭的養護を積極的に推進してまいりました。
 その重要な取り組みの一つとして、施設内に小規模な家庭的養育環境を整備し、虐待を受けました子どもにきめ細かなケアを行います小規模グループケアを実施しております。
 平成二十年十一月現在、児童養護施設の約八割に当たる四十四施設で実施をしておりますが、建物の構造上、施設内での実施が困難な場合には、近隣の建物を活用できるよう、新たな支援策を検討しているところであります。これにより、どのような施設でも対応が可能となるように取り組んでまいります。
 最後に、都における盲ろう者支援についてであります。
 都は平成八年度から、全国に先駆け、盲ろう者に対する通訳介助者派遣事業を実施してまいりました。しかし、指点字などのコミュニケーション手段が普及していないことや、日常生活の支援の手法が確立していない状況にあります。
 したがいまして、盲ろう者の指点字などの習得や日常生活のための訓練手法の確立、普及、さらには孤独感を解消するための交流機会の確保が重要であります。
 今後、盲ろう者の特性や置かれた状況に応じた的確な支援を重点的に行う必要があると考えておりまして、お話の都における支援の拠点の設置について、早急に検討してまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 都立病院の女性医師が働きやすい職場環境の整備についてお答えいたします。
 産科医を初め医師不足が深刻化する中で、女性医師が出産後も安心して働くことができる勤務環境を整備することは、医師の確保、定着を図る上で大変重要なことであると認識しております。
 このため、本年四月から墨東病院及び府中病院で、また十月からは大塚病院において、院内保育室の二十四時間化をそれぞれ実施いたしました。
 さらに、墨東、大塚病院では、対象年齢をこれまでの三歳児までから未就学児までに拡大するために必要な整備を早急に行ってまいります。
 また、勤務と育児の両立を図りやすくする育児短時間勤務制度を七月から導入いたしましたが、既に六名の女性医師が利用し、好評を得ているところでございます。
 なお、制度を利用している女性医師が担っていた宿日直勤務等の代替については、非常勤医師等の活用により対応をしております。
 今後とも、各病院の需要等を踏まえつつ、院内保育室の充実を図るなど、女性医師が働きやすい職場環境の整備に鋭意取り組んでまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 新型インフルエンザ対策についてお答えいたします。
 パンデミック期の被害を最小限に抑えるためには、学校の休校などの社会活動の規制が極めて重要でございます。
 このため、都は本年十月、副知事を座長とします新型インフルエンザ対策会議を設置し、そのもとで、区市町村や学校、集客施設等の関係団体とともに、社会活動の規制のあり方などにつきまして協議を行っております。
 今後、感染拡大防止に関する国のガイドラインの改定状況等を踏まえまして、対策会議での検討を精力的に進め、新型インフルエンザ対応マニュアルの見直しを行ってまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、エコポイントの活用についてでございますが、CO2削減を初めとした環境配慮を進めるためには、身近でわかりやすい形で都民の環境配慮の努力が報われ、さらなる行動を促すインセンティブを付与することも効果的であり、エコポイントは、そうしたインセンティブ付与の一つの手法として有効でございます。
 都は現在、環境に配慮した消費行動を促進するため、国内最大のグリーン購入推進団体であるグリーン購入ネットワークとともに、商品への環境配慮情報の表示を促進することについて検討しております。
 こうした環境配慮の情報が表示された商品が消費者に選択され、広く使われるよう、普及促進策の一つとして、エコポイントを導入し活用していくことを検討してまいります。
 次に、廃食用油を活用したバイオ燃料の導入についてでありますが、区市における廃食用油の活用などのバイオ燃料の使用は、温暖化対策に加え、循環型社会づくりの形成においても意義がございます。
 都としては、こうした地域の取り組みに加え、さらなるバイオ燃料の普及拡大を図るため、廃食用油などさまざまな油脂を水素化処理して軽油と同等の性状にできるバイオディーゼル燃料の導入について検討しております。
 しかしながら、この燃料の供給を安定的に行うには、大量生産によるコストの低下を図るために相当量の油脂が必要であるほか、製造上の技術的な問題の解消など、さまざまな課題がございます。
 都は、こうした課題の解決に向けて、今後とも、廃食用油の活用を初めバイオ燃料の利用促進について幅広く検討してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 六点のご質問にお答えいたします。
 初めに、今後の市街地整備についてでございますが、都は、平成十三年に都市づくりビジョンを策定し、首都東京の再生を目指した取り組みを積極的に進めてまいりました。
 今後、「十年後の東京」に示されました都市像を踏まえ、環境負荷の少ない都市づくりなど、重点的に取り組むべき課題への対応を盛り込みまして、来年前半に都市づくりビジョンの改定案を作成し、公表してまいります。
 この改定と連携いたしまして、ビジョンに示す地域の将来像などを具体化するため、環境、防災等の視点を重視するとともに、公有地をまちづくりに戦略的に活用するなど、効果的な市街地の整備に取り組んでいく必要がございます。
 都がみずから行う事業につきましては、リスクの低減などを図りながら効率的に実施するとともに、区市や民間事業者等に対しても、地域への貢献を適切に誘導するなど、公民協働によるまちづくりを進めてまいります。
 都は、こうした市街地整備の方向を基本方針として取りまとめ、「十年後の東京」に掲げた都市像の実現に積極的に取り組んでまいります。
 次に、マンション耐震化についてでございます。
 分譲マンションの耐震化を進めるためには、都の耐震改修助成制度を活用した、区市における制度の整備充実等の取り組みが重要でございます。
 そのため、都は、補助の窓口となるすべての区市と制度活用に向けた協議を進め、来年度には大半の区で助成制度が整備される見通しでございます。
 今後とも、マンション耐震化に向けて、対象となる区市に対しまして強力に働きかけを行うとともに、区市と連携して管理組合への支援を一層充実するよう取り組んでまいります。
 次に、マンション住民に対する情報提供についてでございますが、都はこれまで、普及啓発のためのガイドブック等の発行や、アドバイザー制度の活用促進に努めるほか、マンション管理センターやマンション管理士会等関連機関と連携して、多様な相談等に適切に対応してまいりました。
 今後、都のマンション施策の紹介とあわせて、維持管理や建てかえ等に係るさまざまな相談先を一覧で掲載したパンフレットを年度内に発行し、相談内容に応じた窓口をわかりやすく案内するなど、的確な情報提供に努めてまいります。
 また、身近な相談先である区市の職員に対する研修に加え、職員向けの相談マニュアルの改定を行うなど、区市への支援を充実させ、窓口相談機能の強化を図ってまいります。
 次に、マンションの建てかえについてでございますが、今後、築三十年以上のマンションが大幅に増加し、建てかえの検討を必要とする管理組合がふえるものと見込まれております。
 マンションを良好なストックとして維持、更新していくことが重要であることから、都は、マンションや管理組合等の実態を調査し、維持管理や建てかえに係る課題等を明らかにするため、マンション白書の作成に取り組んでおります。
 マンション建てかえの検討に当たりましては、先行する事例を参考にすることが有益でありまして、都内の建てかえ事例等をマンション白書で紹介するなど、円滑な建てかえに向けて支援をしてまいります。
 次に、都営住宅の家賃に係る公営住宅法施行令の改正に伴う都としての経過措置についてでございます。
 家賃改定による引き上げを一年間延ばすことといたします。
 また、五年間で段階的に引き上げを実施する国の経過措置を講じてもなお負担の変化が大きい、収入区分が二段階上昇する世帯につきましては、この期間を七年間に延長するとともに、建てかえが伴う場合は、最長十一年間の経過措置を講じる考えでございます。
 また、母子世帯等を対象とする特別減額につきましても、収入基準ごとに減額率を五年間かけて段階的に引き下げていく経過措置を考えてまいります。
 最後に、羽田空港跡地の基盤整備についてでございますが、本年三月、都は国や地元区とともに、三者協として跡地利用の基本計画を決定し、土地利用の方向性を定めました。
 その方向性に沿って跡地利用を進めるためには、跡地を高潮から守るための護岸を整備するとともに、地域内交通を処理する区画道路や、上下水道などライフラインを新たに整備することが不可欠でございます。
 都としては、今後、三者協におきまして、事業手法とともに、これら基盤施設の整備のあり方についても検討を進めてまいります。
 その際、土地所有者である国に対しましては、基盤施設の整備に対する積極的な取り組みを強く求めてまいります。
   〔会計管理局長三枝修一君登壇〕

○会計管理局長(三枝修一君) 補助金の適正な執行管理についてでございますが、報道にあるような裏金づくりなど、悪質な不正経理はあってはならないものと認識をしております。
 都では従来から、経理事務の適正な執行を確認するため、会計管理局による定例、随時の検査、各事業局における自己検査、監査委員による監査などを実施しているところでありますが、これまで、そのような事実は確認されておりません。
 しかしながら、今回、国庫補助金をめぐる不正経理が社会問題化したことを契機に、会計検査院の検査が行われる前に、念のため、全庁的に自主点検を行うことといたしました。現在、各局において鋭意点検、確認に取り組んでいるところであります。
 今後、この点検結果や監査、会計検査院検査の結果などを踏まえまして、関係局と連携し、適切に対処してまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 道路特定財源が地方交付税として使われた場合の東京の道路整備への影響についてお答えいたします。
 道路特定財源は、三環状道路を初め、幹線道路ネットワークの整備や連続立体交差事業、ボトルネックとなっている交差点の改良、歩道の整備、無電柱化などに投入されております。
 平成二十年度予算においては、国は、道路特定財源から総額約一兆四千億円を地方へ配分しており、このうち、都や都内の区市町村に入る額は約八百八十五億円であります。
 今般、政府・与党で合意された新たな交付金として一兆円が地方に配分されたとしても、不足する四千億円の扱いが決まっておらず、仮にこの四千億円が地方交付税化されると、不交付団体である都や区市町の道路整備に深刻な影響が生じることになります。
 今後さらに、道路整備に不可欠な財源を従前以上に確保し、あわせて東京へ安定的かつ重点的に配分するよう、あらゆる機会をとらえ、国に強く求めてまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 経済波及効果についてでございます。
 二○一六年の東京オリンピック・パラリンピックの開催は、大きな経済波及効果を持つとともに、平和でよりよい社会の構築、次世代を担う子どもたちの育成、地球環境問題の解決、快適な都市づくりなどを加速させ、東京をさらに機能的で魅力的な都市に生まれ変わらせる大きな契機となるものでございます。
 経済波及効果の試算について申し上げますと、まず、インフラ整備を除く需要の増加として、第一に、競技施設や選手村などオリンピック施設に係る民間資金を含めた資本投資が四千九百億円、第二に、大会運営費及びテレビや記念グッズの購入、観客の宿泊などの消費支出が約七千八百億円、これらを合わせて合計一兆二千七百億円を見込み、東京都産業連関表を使って試算したものでございます。
 これらの需要増加は、開催地の東京都内にとどまらず、日本全国の個人や中小企業にも波及して、生産を誘発し、雇用の創出をもたらします。
 試算の結果を生産誘発額で見ますと、東京都内では約一兆六千億円、東京以外の地方では約一兆二千億円、合わせて全国で最低約二兆八千億円となり、これは、ただいま申し上げました需要増加額の二・二倍の効果となります。
 こうしたさまざまな効果をわかりやすく都民、国民に伝えていくことは、ご指摘のように、招致に向けた機運を盛り上げていく上で極めて重要なことと認識しております。
 これまでも、開催意義や効果などを特集した「広報東京都」の発行、リーフレットの作成、さらには、さまざまなイベントや講演会でアピールをしてまいりました。今後も、わかりやすく説得力のあるPR活動を展開し、支持の拡大を図ってまいります。

副議長(石井義修君) 五十七番かち佳代子さん。
   〔五十七番かち佳代子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○五十七番(かち佳代子君) 日本共産党を代表して、質問します。
 今、アメリカ発の金融危機が経済に深刻な影響を及ぼしているもとで、何よりも重要なことは、これまでの外需頼みから内需主導に転換し、労働者の生活を守り、家計を温めることです。
 ところが、トヨタ、いすゞなどの自動車を中心とした大企業は、非正規労働者の大量リストラで首を切るという暴挙に出ています。
 厚生労働省調査では、企業の非正規労働者の解雇計画は、来年三月末までに三万人に及ぶとされており、その影響は東京にも及んでいます。東京では、日野自動車で五百人の派遣社員が既に工場を追われ、来年夏までに千五百人の期間社員を全員雇いどめにする計画を進めています。
 長崎の会社から羽村工場に派遣され、十月で雇いどめとなった二十七歳の男性は、次の仕事や住宅の保障もないまま、契約切れ五日後に寮も明け渡し、必死で都内の正社員の口を探しています。派遣は先の保障もなく、ほうり出されるのが一番つらいと語っています。
 都内の大企業によるリストラは、わかっているだけで約五千名に及んでいます。これらの大企業は、巨額の内部留保があり、整理解雇の四要件の一つである、企業維持さえ困難な差し迫った必要性などは認められず、人員削減の根拠などありません。許してはならない違法、無法行為であることは明白です。
 さらに重大なことは、来春の卒業予定者の採用内定取り消しが広がっていることです。
 日本共産党都議団は、緊急に都内の医学系を除く四年制大学すべてに電話調査を行いました。その結果、百二十校中、内定取り消しの有無を回答いただいたのが九十校で、うち四三%の三十九校に内定取り消しの学生がいると回答、人数まで回答のあったのは三十六校、八十二人でした。人数を明らかにしなかった大学や、一月、二月にはもっとふえそうだという大学があることからも、このままいけば大幅にふえることが推測されます。企業の内定通知は労働契約とみなされ、その一方的な取り消しは明らかな違法行為であり、仕事に意欲を持っている若者の未来を一方的に奪うことは絶対に許されません。
 知事、トヨタの奥田相談役はかつて、経営者よ、首を切るなら切腹せよと豪語していましたが、そのトヨタを初め、大企業が非正規労働者を景気の調整弁として物のように使い捨てるということをどう考えますか。
 また、若者の未来を奪う残酷な内定取り消しが広がっている事態をどう考えますか。
 カジノ資本主義の破綻に何の責任もない労働者、学生に犠牲を押しつけてはならないと考えますが、知事にそれぞれ伺います。
 ところが、雇用の安定に責任を持つべき政府は、総理が経済団体のトップにリストラを控えるよう要望する程度で、まともな対策をとろうとしていません。先日発表された与党の雇用対策も、若干の対症療法はあるものの、肝心の大企業のリストラに厳しい規制をかける姿勢はありません。
 知事、国が大企業に対し、大量解雇、雇いどめを中止するよう強力な指導を行うこと、及び失業した労働者の生活と再就職への支援など、実効ある対策をとるよう国に申し入れるべきです。
 知事みずから、リストラ、内定取り消しを行っている大企業に対し、雇用破壊の中止、派遣や期間社員の正規採用など、社会的責任を果たすよう強力に要請することを求めるものです。
 また、被害者の相談窓口を設け、法的な権利擁護や新たな就職活動を援助するなどが急がれます。それぞれ答えてください。
 知事は、緊急経済対策として補正予算を提案しています。
 調布保谷線など浪費的な大型道路事業がありますが、公的雇用創出を延べ五十万人の規模で行うことや、離職者への無利子融資、信用保証料の半額助成など、これまで我が党が繰り返し求めてきたものであり、当然です。
 また、中小企業向けの道路補修や下水道など、工事の前倒し発注や、連鎖倒産防止対策、福祉施設の耐震化助成や経営支援など、多くの施策は全体として都民の願いにこたえるものであり、一歩前に踏み出すものです。
 しかし、ますます深刻となる都民の暮らしや営業の実態から見て、補正予算額もその内容もまだ不十分です。失業対策事業としての公的雇用創出事業も、一日当たり千数百人で、既に都内の失業者が約三十万人もいる現状に見合うものではありません。
 直接雇用による失業者対策として、IT教育や学校図書館などの分野にも対象を広げ、専門職に見合った待遇も保障すること、中小企業に対しては、雇用を拡大し、非正規社員を正社員化した場合の助成の実施、超低利、無担保で長期の返済猶予期間、保証料全額都負担の緊急融資を追加実施すること、区市町村で手続が滞っている年内の融資実行を支援すること、信用保証協会の保証渋りをやめさせることを求めます。
 家を失った失業者に対し、一万戸に上る都営住宅の空き室を初め公的住宅の利用を認めること、民間アパートの借り上げや家賃補助など、緊急の手だてを尽くすこと、失業中や、働いていても生活が著しく困窮している世帯に対し、緊急生活資金の支給を実施すべきです。
 以上、補正予算の思い切った拡充、増額を求めるものです。
 都民の暮らしと雇用を守り、景気悪化に対処するためには、補正予算にとどまらず、来年度予算も含め、都として自治体本来の役割を発揮して全力で取り組む必要があります。
 都は、最近になって盛んに税収が大幅に減る見通しだと強調しますが、景気後退で減るとしても、知事が就任したころより一兆円以上も上回っているのです。しかも、財源対策として使えるため込み金は、オリンピック基金の三千億円など一兆六千億円もあります。埋蔵金もあります。
 すなわち、都が首都高や羽田拡張工事などに貸し付けてきた資金は七千億円にも達しており、返済期限が来たものが毎年数百億円規模で返ってくるのです。
 投資的経費と経常経費に含まれる投資経費は、バブル前の二倍の一兆円を超えており、首都高中央環状品川線を初め、大型道路など浪費的部分を見直せば、バブル前の水準に戻すことは可能です。
 財源は十分にあります。これを都民のために適正に使えばよいのです。知事、どうですか。
 こういうときに外かく環状道路整備を進めるなど、もってのほかです。この工事は、練馬区大泉から湾岸道路までを含めると、総額四兆円もの膨大な財政をつぎ込むことになるものです。工事単価は一メートル一億円という途方もないもので、むだ遣いの典型です。しかも、住宅の立ち退きや環境破壊などが深刻で、地域PIの場でも周辺住民から強い反対の声が上げられ、関係自治体からも、現状では事業着手は認められないなどの異議が出されています。計画を凍結すべきではありませんか。知事の答弁を求めます。
 以下、この立場から、都民の暮らし、営業を支援する諸課題を提案します。
 第一に、中小企業支援について、ものづくりに絞って伺います。
 大田区には、宇宙ロケットの部品製造技術、一万分の一の誤差を手の感触で見分けることができる旋盤など、世界に誇るすぐれた技術の集積があります。しかし、実体経済が急速に悪化するもとで、大田区の企業倒産は激増しています。わざのまちの職人は、この年を越せるかどうかの瀬戸際に立たされているのです。
 業者の方は、五十年ともにわざをはぐくんできた機械を我が子のようにいとおしみながら、仕事がほとんどない、いつやめるかどうかだと訴えられました。何度も不況のあらしを乗り越えてきた大田区のものづくりが、個々の努力では乗り切れない状況に立たされているのです。
 知事は、ものづくりの技術の重要性を認識していると述べてきました。しかし、実際には中小企業予算を削減し、工業集積活性化支援事業を廃止するなど、ものづくり支援に背を向けてきたではありませんか。
 知事、日本が世界に誇る技術の集積が消滅の危機にさらされているという認識をお持ちですか。この技術を守るために、知事はどう対応するのか、明確にお答えください。
 業者の方は、これまでの大企業依存の受注関係から自発的、自立的な受注関係を模索し、新しい視点での仕事おこしとして、省エネやエコ対策など、新製品や技術を開発し、販路拡大に取り組もうとしています。しかし、この努力が景気悪化の大波に飲み込まれようとしているのです。行政として、あらゆる知恵を結集し、具体的支援を行うべきではありませんか。答弁を求めます。
 すぐれた技術やノウハウを存続させるため、都として委託研究を行う制度を創設し、新技術や新製品に結実させ、さらに販売に結びつけることを提案するものです。
 また、区市などと連携し、新技術、新製品開発への助成を抜本的に強化すること、都として、業種間、異業種間の共同による技術、製品開発を進めるコーディネートの役割を果たすなど、支援を抜本的に強めることが必要です。
 墨田区では、区の幹部職員を先頭に企業回りをして販路開拓を行い、成果を上げました。こういう努力を、今こそ国内外に向けて行うべきではありませんか。
 都として、すぐれた技術の販路を拡大するためにどう取り組むのか、それぞれ答弁を求めます。
 今年度、下請の苦情紛争処理が、既に昨年度一年間の二・七倍と大幅にふえており、大企業の不当な単価切り下げ押しつけをやめさせることが急務になっています。都の指導監督体制を抜本的に強化し、下請いじめや不公正取引を行った大企業の名前を公表し、被害を補償させることなど、厳しい対応を図ることを求めます。
 次に、都民の福祉を拡充し、暮らしを支える手だてを尽くすことです。
 都民の不安が増大し、消費が冷え込んでいる原因の一つは、政府による社会保障改悪と負担増に加えて、石原都政が、経済給付的事業の切り捨てなどにより追い打ちをかけてきたことです。それだけに、今都政に求められていることは、国の社会保障改悪に反対するとともに、経済的給付事業はばらまきだといって廃止縮小してきた都の路線を転換させることです。
 第一は、後期高齢者医療制度です。
 我が党の調査では、ことし三月以降、保険料が高過ぎる、年金天引きは許せないなど、区市町村に寄せられた怒りの声や問い合わせは五十八万件に及んでおります。かつてない事態となっています。そして、保険料の未納者は約十万人に及びます。
 知事、国に対し後期高齢者医療制度の廃止を求めるとともに、都として、保険料引き下げのために広域連合への支援を拡充することを求めます。
 高齢者に重い負担となっている医療費の軽減も急務です。日の出町は、来年度から七十五歳以上の高齢者の医療費無料化に踏み出すことを決断し、注目を集めています。都としても、高齢者への医療費助成を検討すべきではありませんか。
 すべての市町村での中学三年生までの医療費無料化も急がれます。市町村の新たな負担なしに、知事の公約どおり、入院、通院とも無料にすることを求めます。お答えください。
 石原知事は、福祉、医療に対する自治体の役割を小さくしていく都政版構造改革を進めてきました。その失敗が今、明らかになっています。
 まず、都立病院改革の失敗です。
 墨東病院などで出産をめぐる痛ましい問題が相次いでいます。総合周産期母子医療センターを掲げる都立墨東病院の産科医師が定数の半分以下になっており、その役割を果たせなくなっていたのです。
 墨東病院だけではありません。都立病院や、都立から公社に移管された病院で、医師、看護師不足による診療の休止、縮小や病棟閉鎖が相次いでいます。深刻な医師不足を招いた最大の原因は、政府が医師がふえれば医療費が膨らむと宣伝し、四半世紀にわたって医学部定員を削減してきたことにあります。
 石原知事は国に責任を押しつけていますが、知事自身の責任も免れません。知事はこの間、医者はダブっているとか、既得権を守るだけでサボろうとしているなどという暴言を重ね、国と同じ立場に立ってきたのです。
 さらに重大なことは、知事が、都立病院に係る費用の削減を最大の目的とした都立病院改革マスタープランで、都立病院を半分に減らす計画を進めたことです。真っ先に廃止したのが、小児科、産科とNICUを持っていた母子保健院でした。
 また、都立病院の医師の給与水準は、石原知事のもとで、二○○六年度には、全国六十一自治体の中で最下位にまで落ち込みました。
 知事、コスト削減政策のもとで、都立病院の現場が激務と人手不足で疲弊し、本来の役割を果たせない事態を招いた責任をどう考えているのですか。
 墨東病院を初め、都立病院の医師確保や待遇改善を緊急に進めることが必要です。今後、どう進めていくのですか。
 また、七対一看護基準をすべての都立病院で実施し、看護の体制を充実させることも重要です。それぞれ答弁を求めます。
 今、大問題になっている周産期医療で大事なことは搬送調整機能です。
 私は、大阪府立母子保健総合医療センターの取り組みを調査してきました。夜間、休日は、基幹病院のOBや部長クラスの医師が輪番で搬送調整のための当直体制をとり、これまで調整に五十分かかっていたのが三十分に短縮しています。ベテランの医師が担当することで、重症度、緊急度に応じ適切な対応ができるといいます。こうした先進例をどう把握し、評価しているのですか。
 このような経験に学び、都立病院を初めとした周産期センターに医師による搬送調整コーディネーターを配置することを提案します。どうですか。
 NICUの増設も急務です。都として、整備目標を百床ふやし、緊急整備を進めるよう求めます。お答えください。
 福祉に市場原理を持ち込んだ、営利企業による認証保育所の失敗もはっきりしました。
 我が党の調査により、株式会社日本保育支援協会のじゃんぐる保育園、小田急グループの小田急ムック成城園、株式会社エムケイグループのハッピースマイル東中野駅前園の虚偽申請疑惑が相次いでいます。給食の食材費を一食当たり数十円に抑えていた問題も明らかになりました。その上、開設からわずか二カ月で突然閉鎖する事態まで起きました。この中で二園の認証が取り消されています。
 知事は、認証保育所を推進し、こうした問題を招いた責任をどう考えているのですか。
 都は、多様な事業者の参入による競い合いがサービス向上につながるといってきましたが、現実に起きているのは、虚偽申請の横行や、突然閉鎖して園児をほうり出すような事態です。不正があれば、認可、認証を問わず厳正に対処するといういいわけも、もはや通用しないのです。私は、保育所への営利企業の参入は中止し、非営利原則を明確にすべきと考えます。
 一連の事態は、営利企業を中心とした認証保育所制度の構造的欠陥が表面化した氷山の一角にすぎません。認証保育所について、利益を上げるのは一向に構わないという立場を改めるべきではありませんか。
 少なくとも、補助金と保育料による運営費を株式配当などに充てることは禁止すべきです。都は、そういうことは想定していないといいますが、エムケイグループの場合、自治体の補助金や委託料を借金の担保にしていたという想定外の事態が現に起きているのです。
 認可保育所と同様、保育運営費は、その保育所の運営に使う原則を明記した使途基準を定めるべきです。どうですか。
 都政が真剣に見詰め直すべきもう一つの課題が、石原知事のトップダウン事業です。
 まず、二○一六年オリンピック招致では、これまでに日本共産党の調査で、競技施設などに三環状道路を含めたインフラ整備費が九兆円に及び、招致経費も当初の五十五億円から百五十億円に膨れ上がるなど、都民の苦しみをよそに、都民の税金が湯水のようにつぎ込まれようとしていることが明らかになっています。
 このため、北京オリンピック開催後に行われた日本経済新聞の調査では、招致に賛成が四六%と過半数割れし、産経新聞のインターネット意見募集では、財政的にむだとするものが六割に達しました。
 都民の支持が盛り上がらないために、知事は招致機運盛り上げに躍起になっています。テレビ広告に三億円、のぼり旗に三億二千万円、オリンピックの名前がつけば、名目がつけば何にでも使える区市町村への一千万円ずつのばらまき、そして昨年は、札幌で開かれたスキーのジャンプ世界大会に、「TOKYO」とだけロゴが入った横断幕を掲出し、三千万円もつぎ込む。こういうばらまきは枚挙にいとまがありません。
 およそ、ある事業を進めるかどうかの判断は、都民がその事業をどう考えているかどうかが最大の基準です。多くの都民は、この不況の中で、膨大なお金をかけてまでオリンピックを招致すべきではないと考えているの、です。
 知事、こうした都民の声をどう受けとめているのですか。オリンピック招致のための、やりたい放題のばらまきはやめるべきです。お答えください。
 東京都がオリンピック招致推進のために持ち出してきたのが経済波及効果です。知事自身、オリンピックはもうかる、都内で一兆六千億円、全国で二兆八千億円に上る経済効果も期待できると発言しています。しかし、これはすりかえです。
 第一に、経済波及効果そのものは、費用対効果を比較する目的で考え出されたものにすぎず、単独で測定しても意味のないものです。例えば一兆円の資金があった場合、公共事業に使うと効果があるのか、中小企業支援に使う方が効果があるのか、福祉に使う方が効果があるのかなど、比較することに意味があるのです。
 一九九五年に東京の産業連関表を使って試算されたものによれば、一千億円の投資に対して、公共事業が千六百七十億円の波及効果であるのに対し、社会保障が千八百八十九億円、教育も千八百九十三億円、医療、保健も千六百八十九億円で、いずれも公共事業を上回っています。社会保障の雇用創出は公共事業の三倍です。道路や建築などの公共事業に比べ、社会保障や医療、保健、教育などの方がはるかに経済波及効果が高いのです。
 第二に、本当に試算どおりに波及効果が生まれているのかということです。六兆円を超える効果が宣伝された長野冬季オリンピックはさんざんな結果となり、実際にどれだけ効果があったのか、いまだに明らかにされることさえできていません。しかも、オリンピックの後には、一兆円の県の借金と、使われない巨大施設が残されたのです。
 経済波及効果論は、根拠が乏しい上、すりかえの議論であり、オリンピック招致の理由にはなりません。オリンピックに名をかりた浪費的計画は直ちに中止すべきです。
 オリンピックよりも、都民が強く要求し、経済効果も高い福祉や医療、教育の充実などを優先すべきと考えますが、それぞれ知事の見解を伺います。
 新銀行東京について伺います。
 所信表明で知事は、零細企業の支援を継続するため再建策を進めていると発言しました。それでは、新銀行は今、零細企業にどれだけ融資しているのですか。
 また、四月以降、零細企業からどれだけ申し込みがあり、どれだけ融資したのか明らかにすべきです。それぞれお答えください。
 不正融資逮捕事件を初め、乱脈融資の問題について、知事は旧経営陣の責任で終わらせようとしています。しかし、それは断じて許されません。新銀行をめぐる不正乱脈融資の大もとには、我が党が指摘してきたように、都の押しつけによる過大な融資計画とコンピューターによる甘い自動審査があります。
 今やこのことは、マスコミも一斉に指摘しているにもかかわらず、知事はしらを切っています。最近は、ついに金融庁の検査で、過大な融資目標の設定について、都の関与があったと指摘されたと報道されました。都は、これについても、検査に関することは、金融庁と銀行の間のことで、知り得る立場にないなどとして済まそうとしています。余りにも無責任です。
 ブリーフィングメモがないといいますが、都自身の問題です。知らないわけがありません。都の関与と責任について、知事が潔くすべてを明らかにし、謝罪すべきです。お答えください。
 もう一つの問題は、融資口ききが乱脈融資を拡大した責任です。
 我が党は、マスコミで報道されている口ききリストというものを手に入れ、独自の調査を進めてきました。その結果、このリストに名指しされている議員が、融資を受けたとされる会社から政治献金を受け取ったケースが九件あることが判明しました。
 また、融資を受けたことを認めているが、会社の実体がなくなってしまっているケース、融資実行直後に破産になってしまっているケース、役員に欠格事項があったためだとして、十一月で廃業してしまったケースなどがありました。
 我が党の限られた調査からも、口ききと政治献金の関係が浮かび上がり、企業としての実体がない会社が融資を受けていると思われる事態があったのです。知事はこれまで、口ききは当然だなどといい張るだけで、口ききにかかわってどのようなことがあったのか、事実を明らかにすることもしませんでした。
 東京都がつくった銀行に都議会議員や知事側近が口ききを行えば、無理な融資につながる危険が強いことをなぜ認めないのですか。事実をきちんと調査し、公表すべきです。それぞれ知事の答弁を求めます。
 都議会として、口ききは自粛すること、企業献金を受け取らないという申し合わせをすることを強く呼びかけるものです。
 そして、中小零細企業に役立たない新銀行から速やかに撤退し、都民の暮らしへの支援に回すべきことを申し述べ、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) かち佳代子議員の代表質問にお答えいたします。
 景気後退による非正規労働者への影響についてでありますが、我が国の企業は、金融危機から発展した世界規模の経済危機に直面しておりまして、業績の悪化に苦しんでおります。手をこまぬいていれば、都民生活に深刻な影響を与え、特に近年、非正規労働者が増大していることから、雇用への影響が大きいと考えます。
 非正規労働者の解雇についても、企業があらゆる手だてを講じた後に行うべき措置でありまして、安易に労働者にしわ寄せをすることは好ましいものでは決してありません。
 都においても、危機克服に向け緊急対策を策定しておりまして、公的雇用創出など雇用対策に取り組んでまいります。
 採用内定取り消しについてでありますが、これは本当に、実に若者たちにとって気の毒な人生の悲劇だと思います。採用内定の取り消しは、希望に満ちて社会に出ようとする学生に対して、精神的、経済的な打撃を与える大きな問題でありますが、企業への信頼を失わせるほか、社会全体にとっても大きな損失となることから、企業として軽々に行うべきことではないと思います。
 次いで、財政運営についてでありますが、ご指摘を受けるまでもなく、都民が直面する諸課題の解決のために、私はこの間、福祉、教育、中小企業対策はもとより、環境、治安、インフラ整備などにしかるべく財源を投入し、都民の期待にこたえてきたつもりでございます。
 現在、都財政が直面している厳しい状況下においても、なお相変わらず、基金があるからもっと使えという安易な態度は、私の財政運営の考え方と全く相入れないものであります。
 日本が世界に誇る技術に対する支援についてでありますが、東京には高度で多様な技術を有する小零細企業が数多く集積しておりまして、東京のみならず日本の経済を牽引していく原動力となっております。
 しかし、現在、世界的な金融危機の影響により、都内の中小零細企業は極めて厳しい状況に陥っております。このまま放置すれば、日本の経済は衰退しかねません。
 これまでも、技術、経営支援、人材育成など、さまざまな支援策を都としては展開するとともに、国に先駆け、都独自の緊急対策を講じてきました。
 今後とも、現場を熟知する東京が、経済の動向に応じた施策を戦略的に展開し、零細企業の技術を維持、発展させていきたいと思っております。
 次いで、長寿医療制度についてでありますが、この制度は、国民皆保険を堅持する観点から、社会全体で高齢者を支える仕組みとして構築されたものと認識しております。
 本制度については、国の責任において議論を尽くすべきであります。
 なお、さらなる保険料の軽減については、支援をする考えはございません。
 都立病院改革に関するこれまでの取り組みについてでありますが、私は就任以来、全国に先駆けて東京ERの導入や、病院の再編整備など、さまざまな都立病院の改革を進めてまいりました。
 一方で、東京医師アカデミーの創設や医師の大幅な処遇改善など、都立病院の人材確保、育成についても手を尽くしてきたつもりでございます。
 また、今回の墨東病院の事態発生後は、速やかに産科診療協力医師登録制度の創設や助産師等コーディネーターの都立病院への設置など、周産期医療体制の強化に着手しております。
 今回の事態の根底にある、産科医などの深刻な医師不足の根本原因は、国の失政にほかならないと思います。
 都としては、国に対して抜本的な改善策を求めていくとともに、行政的医療を行う都立病院が今後とも都民の期待にこたえられるよう、引き続き取り組みを進めてまいります。
 次いで、認証保育所についてでありますが、認証保育所は、大都市の多様な保育ニーズにこたえるため、都独自の制度として平成十三年に創設して以来、認可保育所を上回るペースで整備が進んでおります。
 民間企業を初めとする多様な事業者の参入と、駅前設置など大都市の保育ニーズに対応したサービスを提供することで、多くの都民の支持を得ております。
 今般、開設時の虚偽申請や突然の施設閉鎖などの事態が生じたことは、認証保育所に対する都民の期待と信頼を裏切る行為でありまして、極めて遺憾でありますが、ごく一部の事業者の不正をもって制度の根幹が揺らぐものではございません。
 今後とも、認証審査を厳格に行い、営利、非営利を問わず、不適正なところがあれば厳正に対処していく方針に変わりはありません。
 引き続き、認証保育所の設置促進や、認可保育所制度の改革など、都民の期待にこたえていくことが都の責任であると存じております。
 次いで、オリンピック招致についてでありますが、現在我が国は、新しい目標を見出せずに自信を失い、夢や希望を抱きにくくなっております。オリンピック開催は、大きな経済効果などさまざまな効果を持っておりまして、こうした状況に風穴をあけるてことなると思います。
 現在進めている招致運動は、都議会の議決をいただいた予算の範囲内で行っており、ばらまきという指摘は当たらないと思います。
 オリンピック開催を中止するつもりはございません。
 次いで、経済波及効果についてでありますが、これは、オリンピックの開催が、都内はもとより日本全国のさまざまな投資や消費部門を喚起し、どれだけの経済効果が生じるかを明らかにするものでありまして、社会保障など他の施策と比較することを目的としたものではございません。
 積算に当たっては、産業連関表を用いるなど科学的に行っておりまして、根拠が乏しいとの批判は当たらないと思います。
 新銀行東京の零細企業への融資についてでありますが、東京には、夫婦や家族数人などで行っている、零細でありますが、他にまねのできないすぐれた技術で日本の経済を支えている事業者が少なからず存在しております。
 新銀行東京は、こうした事業者の可能性に目を向け、手を差し伸べるために設立され、これまでも、こうした事業者を含む中小零細企業約一万七千社に対して融資を行ってきました。
 現在、新銀行東京は経営再建を優先しておりまして、新規融資の拡大は制約を受けざるを得ませんが、着実に再建を進め、力を蓄え直して、本来の役割を再び十分に果たしていきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 十三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、金融危機の影響についてでありますけれども、アメリカ発の金融危機は、世界規模の不況に発展をし、我が国の実体経済にまで波及をして、企業業績の悪化を招いております。この業績の悪化が、労働者や新規学卒者に影響を及ぼしているものと考えております。
 しかし、知事が申し上げましたように、非正規労働者の安易な解雇や採用内定取り消しは好ましいことではなく、軽々に行うべきではないというふうに考えております。
 大事なことは、こうした経済危機に対して対策を講ずることであり、都は既に緊急対策を取りまとめ、中小企業対策、雇用対策に取り組んでいるところであります。
 次に、実効ある雇用対策を国に申し入れることについてでありますが、都は、今月五日、国と共同で緊急雇用対策本部を設置いたしました。
 国に改めて申し入れるまでもなく、今後、労働者の雇用維持と法令違反防止のための企業指導や離職者への再就職支援などを国と連携して実施してまいります。
 次に、企業に対する要請についてでありますが、国と共同で、経済団体等に対して雇用の維持や求人の確保等への働きかけを行うことを緊急雇用対策本部において既に決定をしたところでありまして、早急に実施してまいります。
 次に、相談窓口の設置等についてでありますが、都はこれまでも、労働相談情報センターにおいて、労働相談により労使紛争の解決に努めてきたほか、就職活動に取り組む方々に対しては、しごとセンターにおいてキャリアカウンセリングや職業紹介等を通じて支援をしてきております。
 さらに、雇用情勢の悪化に対応するため、緊急に非正規労働者や採用内定取り消し者等に対する特別相談会を開催することとしております。
 次に、中小企業に対する助成及び融資についてでありますが、都では、非正規社員の正社員登用など、雇用環境整備に取り組む中小企業への支援を実施しているほか、既に、ネクストジョブ事業や就職チャレンジ支援事業によりまして、非正規労働者等を正社員として採用した企業に対し助成を行っております。
 また、十月三十一日に開始されました国の緊急保証制度に対応し、都は、制度融資に最優遇金利を適用した融資メニューであります経営緊急を新たに設置しますとともに、特に小規模企業者には、保証料の二分の一を補助する都独自の対応を既に行っております。
 次に、緊急保証制度の活用に向けた取り組みについてでありますが、緊急保証制度の利用に必要な区市町村長の認定を円滑に進めるため、都はこれまで、中小企業診断士を要望のあったすべての自治体に配置してきたところであります。
 また、東京信用保証協会におきましても、増員措置や休日の対応など、審査体制を強化するとともに、緊急保証制度の趣旨にのっとった適切な保証審査を行っているところであります。
 次に、景気悪化に対応した中小企業への支援についてでありますが、都はこれまでも、新製品、新技術の開発や販路開拓への支援によりまして、中小企業の自立化に向けた施策を多面的に講じてまいりました。
 また、現下の急速な経済状況の悪化により、企業の存続自体も危ぶまれる状況の中、都は、本年九月の補正予算によりまして、制度融資の充実等の具体的な手だてをいち早く提示し、実行してまいりました。
 さらに、もう一段の対策として、本定例会におきまして、中小企業に対し、資金繰りへの緊急支援や倒産防止対策等を打ち出したところであります。
 今後とも、中小企業の製品開発や販路開拓等の取り組みを支援してまいります。
 次に、中小企業の新技術や新製品開発に対する支援についてでありますが、都は、中小企業が行う新技術や新製品の開発に対し、経費の一部を助成する各種の制度を整備するとともに、都立産業技術研究センターや知的財産総合センターにおきましてアドバイスを行うなど、総合的に支援を行っております。
 また、新製品の販路開拓につきましても、産業交流展や商社OBの活用などによりまして支援を行っております。
 このように、都は各種の制度を通じ、中小企業のすぐれた技術やノウハウを新技術や新製品に結実をさせ、さらに販売に結びつけるための支援を既に行っており、ご提案のような委託研究制度を創設することは考えておりません。
 次に、新技術、新製品開発への助成の強化と共同開発の促進についてでありますが、都では、新製品、新技術開発助成事業等を既に行っているところでありますけれども、本年度、地域中小企業応援ファンドを創設いたしまして、区市町村の支援団体とも連携をして、地域の魅力向上や課題解決に向けた新事業にチャレンジする中小企業を助成することといたしました。
 また、複数の中小企業による共同開発の促進につきましては、都立産業技術研究センターにおいて異業種交流事業を実施いたしまして、さまざまな業種間の技術連携を促進いたしますとともに、国の制度も活用し、複数の企業が参画をする研究開発プロジェクトを推進しております。
 次に、販路の拡大についてでありますが、都はこれまでも、中小企業振興公社におきまして、中小企業のすぐれた技術や製品を商社やメーカー等へ積極的に紹介いたしまして、平成十九年度には百六十三件の成約を得るとともに、本年十一月の産業交流展におきまして、五百社を超える企業が参加した、初の八都県市合同商談会を開催するなど、中小企業の販路拡大を支援しております。
 また、海外の販路開拓策といたしまして、都職員みずからが現地に赴きまして、海外での展示商談会の場を提供する東京ショーケースを実施しております。
 次に、下請取引への取り組みについてでありますが、都はこれまでも、下請中小企業振興法に基づきまして、下請取引に関する調停、あっせんを行いますとともに、下請取引改善講習会を初めとする、さまざまな下請取引の適正化策を講じてまいりました。
 加えまして、本年四月に開設いたしました下請センター東京では、七月に、自治体では全国初となります裁判外紛争解決機関としての認証を取得いたしまして、下請苦情紛争処理の早期解決に努めております。
 また、本年十一月には、下請取引適正化推進員協議会や、親事業者で構成いたします主要業種団体協議会を開催いたしまして、取引の適正化について要請を行ったところであります。
 今後とも、下請取引の適正化に努めてまいります。
 次に、新銀行東京の融資拡大路線に関する都の関与と責任についてでありますが、先ほども知事がお答えしたとおり、都は、新銀行東京の設立に当たりまして、マスタープランを示して、都議会から一千億円の出資の議決をいただいたところであります。
 新銀行東京においても、それを踏まえて、経営陣みずからが判断し、経営計画を策定いたしました。
 銀行みずからの決定に際し、都として強制や強要をしたことはございません。
 最後に、融資に係るご質問についてでありますが、新銀行東京は、融資に当たっては、適正な審査プロセスにのっとって行っており、紹介の有無によって恣意的な扱いをしたことはありません。
 融資の申し込みに関連して違法な行為があった場合には、監督官庁など権限を有する機関が厳正に対処すべき問題でありまして、新銀行東京は、既に疑義のある融資について調査を進め、その一部は捜査当局により立件されております。
 都として調査する考えはございません。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 失業者対策についてお答えいたします。
 今回、都で行います緊急雇用対策は、延べ五十万人分の公的雇用を創出するため、都道等での樹木剪定作業などを通じまして、当面の雇用につなげていくこととしております。
 実施方法につきましては、各局におきまして適切に行われるものと認識しております。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) まず、家を失った失業者に都営住宅の空き部屋の利用を認めよとのご質問でございましたが、ご存じかと思いますが、都営住宅の空き家につきましては、適切に公募を行うとともに、建てかえ事業等の移転先として一定数の空き家を確保するなど、真に住宅に困窮する都民の居住の安定確保に努めているところでございます。
 また、民間アパートの借り上げや家賃補助などにつきましてですが、生活保護制度との関係や財政負担のあり方など、多くの課題があることから、都として実施することは考えておりません。
 次に、外環のご質問でございますが、首都圏の人と物の流れを円滑化するとともに、快適で利便性の高い都市を実現する上で必要不可欠な道路でございます。
 都はこれまでも、国や関係区市と連携して、事業に対する地元の理解と協力が得られるよう努めてきております。
 今後も、国に対し、平成二十一年度に事業を着手するよう、あらゆる機会をとらえて強く働きかけてまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点についてお答えいたします。
 まず、失業者や生活困窮者の世帯に対する緊急生活資金の支給についてでありますが、失業者や生活困窮者に対する所得保障は、基本的に国の判断と責任によって実施されるべきものと認識しており、都として独自に実施する考えはございません。
 次に、高齢者の医療費助成についてでありますが、現在、国において、高齢者の医療制度のあり方について検討しております。
 都としては、これを見守っていくこととしており、新たな医療費助成を実施する考えはございません。
 なお、お話の中で、日の出町の医療費無料化の取り組みについて注目されているとのことですが、長寿医療制度が社会全体で高齢者を支える仕組みであることや、制度の運営は都内の全区市町村が参加する広域連合で行っていることなどから、違和感を覚えざるを得ないところであります。
 次に、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、助成内容の拡大に当たりましては、医療保険制度の相互扶助の考えや、小児医療現場の厳しい状況などを総合的に勘案し、通院については一部負担を設けることといたしました。
 なお、市町村財政に配慮し、先ほど知事がお答えしたとおり、必要な措置をとってまいります。
 次に、周産期医療における搬送調整の取り組みについてでありますが、現在、東京都周産期医療協議会において、大阪府も含め、他の自治体の取り組みも参考にしながら、東京の現状に即した搬送調整について検討しております。
 都といたしましては、協議会の検討を踏まえて適切に対応してまいります。
 次に、医師による搬送調整コーディネーターについてでありますが、ただいま申し上げたとおり、周産期医療協議会で検討中であり、都としては、その結果を踏まえて対応してまいります。
 NICUの増床についてでありますが、先ほども答弁したとおり、都内におきましては、周産期母子医療センターに百九十五床のNICU病床を確保しておりますが、低出生体重児の増加等から、その増床は急務であると考えております。
 都としましては、NICUの増床を促進するため、施設設備の整備補助を引き続き行っていくことに加え、都内のNICUが連携し、有効に機能するよう、それぞれの総合周産期母子医療センターの搬送調整機能の充実などに取り組むことといたしました。
 また、周産期母子医療センターのNICUの負担を軽減するため、新たに指定する周産期連携病院に対し、医師及び病床の確保に対する支援を行います。
 こうした取り組みを通じて、都内各地域における周産期医療体制の充実を図ってまいります。
 次に、認証保育所制度についてでありますが、平成二十年十二月現在、認証保育所の施設数は四百二十五カ所、定員は約一万三千人となっております。ここまで設置数がふえましたのは、民間企業の参入が図られ、大都市の保育ニーズにマッチしたサービス内容が都民に受け入れられた結果であります。
 こうした中、一部の事業者による不正が生じました。都は、これを受け、設置申請手続において、職員の雇用関係を確認できる書類の提出を求めること、審査会のメンバーに公認会計士を加え、財務内容の審査を強化するなど、認証審査の厳格化を図っております。
 また、申請どおりに開設、運営されているか確認するために、開設後早期の段階での実地調査にも取り組んでおります。
 さらに、今後は、既存の運営事業者の財務状況を把握し、調査が必要な場合には機動的に対応していくこととしております。
 その上で、利益ということについて申し上げますが、都は、認証保育所制度創設当初より、営利だけを目的として保育事業を行うことはあってはならないことと申し上げております。
 したがいまして、当然のことながら、認証保育所制度では、その運営を事業者任せにはしておらず、認証保育所事業実施要綱等において、設置と運営については厳格な基準を定めており、基本的には認可保育所と同水準の基準としております。
 また、補助金は、実施要綱等により、運営費に対して補助することが明確に定められておりまして、他の用途に使用することは認めておりません。
 その上で、設置運営基準に沿った適正な運営を行いながら利益が生じるということは、問題はないとの考えであります。
 最後に、認証保育所運営費の使途基準についてでありますが、まず、認可保育所と認証保育所の仕組みの違いについてご説明させていただきますと、認可保育所においては、利用者は区市町村と契約を結び、区市町村は保育所に対して保育に要する経費の全額を委託費として支払っており、この委託費が保育所運営費と呼ばれるものであります。
 認証保育所におきましては、利用者は保育所と直接契約を結び、保育料も園へ直接支払っており、認証保育所はこの保育料と補助金で運営されておりますが、この補助金は、ただいま申し上げた認可保育所運営費の二分の一相当額で制度設計をされております。この補助金をその運営費以外の用途に使用することができないことは、先ほど申し上げたとおりであります。
 このように、制度、仕組みの面で大きく違いがあるものでありますが、改めて認証保育所制度の根本的な考え方を申し上げますと、それは、民間企業の参入を促し、事業者の創意工夫が生かせる仕組みとすることで、利用者本位の質の高いサービスを効率的に提供することがねらいであります。
 ここに使途基準を持ち込むことは、弾力的な事業運営を阻む大きな要因の一つとなりかねず、したがいまして、都として、認証保育所に使途基準を持ち込むことは考えておりません。
 なお、先ほど、補助金を担保にしてとのお話がございましたが、一般的に、補助金が未交付の交付決定段階でこれを担保としたのであれば、その事業者が自治体にその旨を通知していなければ対抗要件は成立しませんが、自治体がそのような通知を受け取った話は、私は聞いたことがございません。
 なお、この問題は、補助金全般に係る問題でもあります。
 いずれにしましても、利用者が安心してサービスを受けられるよう、認証保育所制度を確固としたものとし、サービスのさらなる充実を図るために全力で取り組んでまいりたいと思います。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、都立病院の医師確保及び待遇改善についてですが、医師確保については、これまでも、大学医局や地元医師会など関係機関を精力的に訪問して要請を重ね、常勤、非常勤を問わず、その確保に全力で取り組んでまいりました。
 さらに、都独自の取り組みとして、東京医師アカデミーを今年度開講し、若手医師の確保、育成にも努めております。
 また、医師の待遇改善については、知事の指導のもと、既に平成十八年度から手当などの改善を実施してきており、さらに十九年度、そして二十年度も行い、産科及び中堅医師を中心に大幅な処遇改善を実施したところであります。
 加えて、増加する女性医師対策として、育児短時間勤務制度を導入するなど、働きやすい職場環境づくりにも取り組んでおります。
 今後も、こうしたこれまでの取り組みの成果などを踏まえながら、適切に対応してまいります。
 次に、都立病院における七対一看護基準の導入についてでありますが、現在、既に、清瀬小児病院など一部の都立病院では、七対一看護基準を導入しております。
 しかしながら、全都立病院に導入するには、病院ごとの看護の必要度などを十分に精査するとともに、今後の看護師の確保状況を踏まえた上で、新規事業への配置など、他の事業との優先度の比較などについて十分検討していく必要がございます。
 いずれにしても、看護師の確保、定着については、引き続き努力してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 財政運営についてのご質問にお答えいたします。
 都は、福祉、医療、教育はもとより、中小企業対策や東京の都市機能の充実など、都民にとって必要な施策は、これまで的確にそれに財源を振り向けておりまして、都民の期待に十分こたえているものと考えております。
 なお、オリンピック・パラリンピックの開催は、こうした都の諸施策の充実にも大きく寄与するものであり、また、高い経済効果が期待できるものでございます。その実現は、現下の都政における最重要課題の一つでございます。
   〔五十七番かち佳代子君登壇〕

○五十七番(かち佳代子君) 再質問を行います。
 まず、新銀行東京についてです。
 私は知事に答えを求めています。逃げないで知事自身がお答えください。
 マスタープランの押しつけについて、都として強制や強要をしたことはないと開き直りました。しかし、津島本部長以下の都の幹部が新銀行東京の経営陣にプランどおりにやることを執拗に求めた事実を示すブリーフィングメモについては、新銀行東京が起こした裁判の中で、銀行自身がその存在を認めているのです。これを否定するのだったら、その証拠を示すべきです。できるのですか。お答えください。
 二番目は、口きき問題について。
 産業労働局長は、紹介の有無によって恣意的な扱いをしたことはないといいましたが、銀行の具体的な問題については知り得る立場にないと、さんざんいっているではありませんか。なぜ口ききの問題だけ、そんないい方ができるのですか。おかしいですよ。お答えください。
 知事は、疑惑が具体的に指摘されているのですから、口きき問題くらい都として調査し、公開すべきです。都合の悪いことは知らぬ存ぜぬは通用しません。どうですか。知事の答弁を求めます。
 次に、認証保育の問題です。
 知事は、認証保育所で相次いでいる不正行為について、ごく一部だといいました。驚くべき認識です。この数カ月に認証取り消しが二件相次ぎ、ほかにも虚偽申請、補助金不正受給が明らかになっているんです。
 そもそも、保育から利益を上げることを認めているから、人件費削減のための職員の水増し申請や配置基準違反、給食の食材費を数十円まで削るなどの問題が次々起きているんです。被害者は子どもたちです。
 営利企業が、人件費などを削減することなしに、どうやって保育所運営から株式配当などの利益を生むことができるのですか。だから、制度そのものに構造的欠陥があるといっているんです。知事、違うというなら説明してください。
 中野区は、ことし三月に補助要綱を改定し、補助金の使途を保育所の人件費、管理費、事業費に限定する基準を明記しました。これが当然です。
 知事、保育が利益を上げて株式配当などに回すことは禁止すべきではありませんか。
 以上、四点についてお答えください。
 以上で再質問を終わります。(拍手)
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 新銀行東京に関する二問の質問についてお答えいたします。
 まず第一問目ですけれども、マスタープランの押しつけ、強制の問題についてでありますけれども、先ほども知事が答弁をいたしましたとおり、都は、新銀行東京の設立に当たりまして、マスタープランを示して、都議会から一千億円の出資の議決をいただいたわけであります。
 お話もありましたブリーフィング等々の内容につきましても、設立当初の銀行の事業計画なり経営計画の策定に当たりましては、都といたしましては、出資の議決をいただいたときのベースとなったマスタープランを尊重する立場で都が意見を申し述べるということは当然のことであります。
 知事が答弁したとおり、新銀行においては、経営陣がみずからの判断と責任で経営計画を策定したものであり、都が強制や強要をしたということはございません。
 事実、マスタープランに示された融資残高の額と、当初に中期経営計画で銀行側がつくりました融資残高の額は、九千三百億円から七千三百億円ぐらいまでかなり減っております。それは当然、東京都として持ちましたマスタープランの数字よりも、経営陣がみずからの判断と責任で策定した計画だからこそ、数字が大幅に下がったということであります。
 二つ目の、紹介の有無で恣意的な扱いをしたことがないという点について、先ほどもお答えしたとおりでありますけれども、紹介をいただいた方、または銀行の名誉のためにも改めて申し上げますけれども、新銀行東京は、融資に当たって、適正な審査プロセスにのっとって行っておりまして、紹介の有無によって恣意的な扱いをしたことはないと。このことは、銀行から明確に私が聞いております。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 二点についてお答えいたします。
 一つは、構造的欠陥ではないかということでございますが、先ほど知事の方から、本質的な点を突いた答弁をさせていただきました。
 民間企業を初めとする多様な事業者の参入と、駅前設置など大都市の保育ニーズに対応したサービスを提供することで、多くの都民の皆さんの支持を得ております。
 今般、虚偽申請や突然の閉鎖などの事態が生じたことは、都民の信頼を裏切る行為であり、極めて遺憾であるが、これはやはり、ごく一部の事業者の不正であると。したがいまして、制度の根幹が揺らぐものではないとの認識でございます。
 今後とも、認証審査を厳格に行い、先ほどるる述べさせていただきましたけれども、営利、非営利を問わず、不適正なところがあれば厳正に対処していく方針に変わりはございません。
 また、二点目の件でございますけれども、設置運営基準に沿った適正な運営を行いながら、決算処理において利益が生じるということは何ら問題はなく、その生じた利益について、関係諸法令、その会社の会計規程等に基づく適正な手続を経て処分を行うことは可能であるという立場でございます。

○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時二十三分散会

ページ先頭に戻る