平成二十年東京都議会会議録第十三号

平成二十年九月二十六日(金曜日)
 出席議員 百二十五名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番伊藤まさき君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番菅  東一君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番早坂 義弘君
二十六番高木 けい君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番矢島 千秋君
四十四番高橋かずみ君
四十五番吉原  修君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番田代ひろし君
六十四番川井しげお君
六十五番こいそ 明君
六十六番崎山 知尚君
六十七番宇田川聡史君
六十八番秋田 一郎君
六十九番村上 英子君
七十番倉林 辰雄君
七十一番遠藤  衛君
七十二番三原まさつぐ君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番田島 和明君
八十八番樺山たかし君
八十九番山加 朱美君
九十番山田 忠昭君
九十一番串田 克巳君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番吉野 利明君
九十七番初鹿 明博君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大津 浩子君
百番大塚たかあき君
百一番相川  博君
百二番中村 明彦君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番鈴木 一光君
百十二番三宅 茂樹君
百十三番高島なおき君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
 欠員
    五番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長金子正一郎君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長今里伸一郎君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長中村 晶晴君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長野口  孝君

九月二十六日議事日程第三号
第一 第百五十七号議案
  平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)
第二 第百五十八号議案
  平成二十年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第三 第百五十九号議案
  特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百六十号議案
  市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百六十一号議案
  東京都地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例
第六 第百六十二号議案
  東京都特別職報酬等審議会条例の一部を改正する条例
第七 第百六十三号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百六十四号議案
  公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例及び職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百六十五号議案
  東京オリンピック開催準備基金条例の一部を改正する条例
第十 第百六十六号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百六十七号議案
  都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十八号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十三 第百六十九号議案
  東京のしゃれた街並みづくり推進条例の一部を改正する条例
第十四 第百七十号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第十五 第百七十一号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例
第十六 第百七十二号議案
  東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第十七 第百七十三号議案
  医学系総合研究所の助成等に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第百七十四号議案
  老人総合研究所の助成等に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第百七十五号議案
  東京都婦人保護施設条例の一部を改正する条例
第二十 第百七十六号議案
  東京都障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例
第二十一 第百七十七号議案
  東京都肢体不自由者自立ホーム条例の一部を改正する条例
第二十二 第百七十八号議案
  東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第二十三 第百七十九号議案
  東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第二十四 第百八十号議案
  墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
第二十五 第百八十一号議案
  東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例
第二十六 第百八十二号議案
  東京都立病院条例の一部を改正する条例
第二十七 第百八十三号議案
  東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例
第二十八 第百八十四号議案
  東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第百八十五号議案
  東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第三十 第百八十六号議案
  東京都下水道条例の一部を改正する条例
第三十一 第百八十七号議案
  警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第百八十八号議案
  都立久我山学園特別支援学校(仮称)(二十)改築その他工事請負契約
第三十三 第百八十九号議案
  都庁第一本庁舎(二十)防災設備改修工事請負契約
第三十四 第百九十号議案
  都庁第一本庁舎(二十)ビル管理設備改修工事請負契約
第三十五 第百九十一号議案
  都庁第二本庁舎(二十)ビル管理設備改修工事請負契約
第三十六 第百九十二号議案
  道路標識設置等工事に係る損害賠償額確定調停事件に関する調停成立について
第三十七 第百九十三号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第三十八 第百九十四号議案
  東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第三十九 第百九十五号議案
  東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
第四十 第百九十六号議案
  東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
第四十一 第百九十七号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款について
第四十二 第百九十八号議案
  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(仮称)に承継させる権利を定めることについて
第四十三 第百九十九号議案
  遺伝子組換え実験等に係る拡散防止装置外六点の買入れについて
第四十四 第二百号議案
  中央実験台外二点の買入れについて
第四十五 第二百一号議案
  実験動物飼育用架台システム(個別換気型)の買入れについて
第四十六 第二百二号議案
  個人防護具(ガウン等セット)外七点の買入れについて
第四十七 第二百三号議案
  株式会社東京臨海ホールディングスに対する出資について
第四十八 諮問第一号
地方自治法第二百三十八条の七の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
第四十九 平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
第五十 平成十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について

議事日程第三号追加の一
第一 東京都教育委員会委員の任命の同意について(二〇財主議第二四五号)
第二 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(二〇財主議第二四六号)
第三 議員提出議案第十六号
   東京都奨学費給付条例
第四 議員提出議案第十七号
   東京都中小企業振興基本条例

   午後一時開議

○議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(比留間敏夫君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十六号、東京都奨学費給付条例外条例一件、知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件一件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(比留間敏夫君) 昨日に引き続き質問を行います。
 二十六番高木けい君。
 〔二十六番高木けい君登壇〕

○二十六番(高木けい君) 最初に、東京の経済、産業の活性化に関する諸施策を伺います。
 経済のグローバル化がますます進んでいく中、我が国経済は、米国のサブプライムローン問題をきっかけに、金融市場の不安定化、原油価格の高どまり、輸出の伸び悩みなど、極めて厳しい局面を迎えています。このような状況は、都の上半期における法人二税の減収が示すように、我が国経済の根幹を揺るがす大きなインパクトを持っており、常に基軸通貨、為替、原油価格などの外的なリスクを抱えている我が国経済の弱点を露呈しているといえるでしょう。
 ここに至って、国は、去る九月九日、平成十八年に策定した新経済成長戦略を改定することを公表しました。もともと新経済成長戦略のポイントは二つあり、一つは、人口減少社会にあっても、実質二%以上の経済成長が視野に入る人口減少社会の成長モデルをつくることであり、もう一つが、世界とアジアとの連携を図りながら、ダイナミックに成長するアジアの中の日本経済を明確に位置づけることでした。
 このたびの改定では、さらにその考えを補強するために、資源価格の高騰など、策定当時に想定していなかった大きな環境変化を踏まえ、新たな成長への道筋を示しました。私は、このような認識は的確であると思いますが、何よりも重要なことは、国の方針も踏まえて、我が国経済の牽引役である東京が国際競争力をより一層高め、東京がリーダーとなってこの閉塞感を打破していく方策を立てることであると考えます。
 そこで、今後の東京の経済をどうしていくのか、その展望と戦略について知事の見解を伺います。
 私は、今後、東京の経済を活性化させていく上で、一つの大きなかぎは、土地の有効利用を促進することだと考えます。経済対策、景気対策というと、どうしても予算を伴うものを考えがちですが、土地利用の法的規制緩和は、財政負担を伴わずにできる有力な景気対策の一つと考えます。
 あるエコノミストは、日本経済の、中でもサービス産業の高コスト体質は土地利用の稚拙さにあると指摘していますが、平成十八年時点での二十三区内建築物の平均階層数が二・五階である事実を目の当たりにすれば、その指摘は極めて的を得たものといわざるを得ません。ましてや、経済のグローバル化が著しく進展する中、世界の大都市と比較して東京の競争力や優位性を高めるには、土地の有効利用は早急に検討されるべき政策の一つです。
 都は、景気対策、経済活性化、産業の高コスト体質の改善、国際競争力強化などの観点から、国へ働きかける法令改正も含めて、土地のさらなる有効活用による産業活性化の可能性を追求すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、障害者自立支援法について伺います。
 現在、施行後三年を目途とした見直しの時期に差しかかっている同法は、措置制度からの広範かつ抜本的な改革であり、準備期間も短かったため、多方面からさまざまな意見が出されてきました。法の理念と障害福祉サービスを利用者本位の仕組みに改革していくためには、制度を安定的に運用することが不可欠です。
 そこで、都議会自民党は、法の理念を尊重しながら、直すべきは直していくという姿勢で、これまで三度にわたり、利用者負担の軽減や、サービスを提供する事業者の安定的経営環境の構築、日割り制の導入による激変緩和と報酬単価の見直し等について提言し、それを受けて、都も国へ積極的な働きかけを行ってきました。
 その結果、平成十九年度の特別対策、二十年度の緊急措置として、国費計一千二百億円の財政出動に結実させ、特別対策と緊急措置によって、利用者負担は十分の一程度に大幅に軽減されるとともに、事業者の経営安定化のためのさまざまな対策も講じられてきました。しかし、事業体系や障害者区分など、見直すべき点はいまだに多く、国においては、与党PTの報告書を受け、見直しへの検討が始まったと聞いています。
 そこで、同法の抜本的見直しに向け、都ならではの提案を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 その際、ぜひ国に対して強くアピールしていただきたいものの一つが、通勤寮の問題であります。昭和四十六年十二月、知的障害者の円滑な社会復帰を図ることを目的として通勤寮制度が誕生し、以来、都内では六カ所の施設が運営されています。
 通勤寮の特徴は、知的障害を持つ利用者自身の努力によって自立への道筋を模索することにあります。入所者は、最長三年の入所期間中に、スタッフによる福祉的な支援を受けながら、自身が働き所得を得て、所得税はもちろん、生活費や利用料を支払い、貯金もし、日々、退所後の自立に向けた努力をしています。
 通常の福祉政策が行政の負担を回収することなく終わるのに対して、通勤寮は、行政の負担が税収として返ってくるところに最大の特徴があり、税を納め、社会的義務を履行しているという入所者にとっての自信と誇りこそ、実は自立に向けた大きな精神的支柱になっていると考えられます。
 そこで、現在までの通勤寮の成果と実績に対して、都はどのような評価をしているのか、伺います。
 ところで、障害者自立支援法では、身体、知的、精神のすべての障害者に対する行政サービスは、自立支援給付と地域生活支援事業に分かれます。現在の通勤寮は、残念なことに、制度としてどちらのカテゴリーにも該当していませんので、法施行後五年の経過措置期間が終わる平成二十三年度末までに、新たな事業体系への移行を余儀なくされます。
 その場合、グループホームや福祉ホーム、あるいは自立訓練宿泊型が移行先に想定されているようですが、今後、通勤寮の法的位置づけはどのようになるのか、伺います。
 また、通勤寮は、誕生以来、公設民営で運営されており、現在では指定管理制度になっています。現在の指定管理期間は平成二十二年度までですが、法の経過措置期間を考えると、その先の運営が心配です。利用者の平均利用期間が二年六カ月と聞いていますので、これから利用される方は、この間、現在の通勤寮の支援を引き続き受けられるのでしょうか。
 経過措置期間についての都の考え方をお答えください。
 経過措置期間後の通勤寮の位置づけがどのような制度になっても、私は、大きな実績を上げてきた通勤寮の機能を発展させることはもちろん、現状維持すらできないと考えます。
 そこで、都は、今こそ全国に先駆けて通勤寮という制度を守る決意を示し、最低限、現状を維持、継続できる仕組みを構築すべきと考えます。通勤寮の機能に対する都の認識を伺います。
 あわせて、改めて国に対して通勤寮の必要性を訴え、法的に明確な位置づけをするよう働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、十条まちづくりの諸課題について伺います。
 北区の主要拠点である十条地区は、典型的な木造住宅密集地域で、災害時の危険性が高い上、埼京線のボトルネック踏切による慢性的な交通渋滞、鉄道による地域分断等、防災面やまちの機能面から、新たなまちづくりの必要性が極めて高い地域であります。
 北区では、こうした十条地区の課題を解決し、当地区でのまちづくりを推進するため、平成十七年に、行政と住民が一体となった十条地区まちづくり協議会を発足させ、当地区のまちづくりの基本方針となる十条地区まちづくり基本構想を策定しました。
 その後、約三年が経過し、都による補助八三号線沿道一体整備事業の事業化準備や、木密事業のエリア拡大、十条駅西口再開発準備組合の設立など、新たなまちづくりが今まさに動き出しました。
 そこでまず、十条地区の今後のまちづくりについて、都はどのような認識を持って取り組んでいるのか、お伺いいたします。
 十条地区のまちづくりを進めていく上で、防災性の向上は喫緊の課題であり、まちづくり全体に通じる根幹的なテーマであります。
 中でも、地震や火災に強いまちを形成していく上で大きな契機となるのが、補助八三号線沿道一体整備事業です。昨年度から、新規地区として都の重点事業に位置づけられ、早速、地元説明会が開催されるなど、事業化に向けた準備が着々と進められていることで、地域住民も高い関心を寄せています。
 そこで、八三号線沿道一体整備事業の取り組みと今後の事業化の見通しを伺います。
 最後に、JR埼京線十条駅付近鉄道立体化について伺います。
 埼京線十条駅付近の踏切の中でも、とりわけ駅直近の十条道踏切は、ピーク時の遮断時間が四十分以上のいわゆるあかずの踏切であり、慢性的な交通渋滞を引き起こすと同時に、踏切による分断がまちの一体感を損ねています。
 十条地区まちづくり基本構想で掲げる十条駅周辺エリアをにぎわいの拠点として再生するには、私は、埼京線立体化の実現が不可欠であると考えます。北区でも、鉄道立体化を中心とする周辺整備の本格的な着手に備え、今年度から基金を創設し、初年度十億円の積み立てを行いました。
 こうした中、去る八月末、十条地区まちづくり全体協議会が、JR埼京線十条駅付近鉄道立体化促進に関する要望書を都に提出いたしました。一方、都は、さきの都議会第二回定例会で、踏切対策基本方針の鉄道立体化検討対象である二十区間のうち、JR埼京線十条駅付近を含む七区間を事業候補区間と位置づけたことを答弁しました。私は、この機会をとらえ、埼京線立体化をぜひ早期に実現してもらいたいと熱望しています。
 そこで、JR埼京線十条駅付近立体化に対する都の取り組みについて見解を伺います。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高木けい議員の一般質問にお答えいたします。
 今後の東京の経済の展望と戦略についてでありますが、我が国は、景気後退とインフレの危機にさらされている中で、国家財政も破綻に瀕した状態でありまして、まさに経済も国政も閉塞状況にあります。
 首都東京は、我が国の頭脳部であり、心臓部でもありまして、こうした我が国の閉塞状況を打破して、これからも日本経済を牽引していかなくてはなりません。
 東京には、他の追随を許さないすぐれた技術を持つ中小企業や優秀な人材の集積、及びものづくり産業を含め、多様な産業が存在するという強みがあります。世界に類を見ないこうした強みを最大限に生かして、健康や環境といった成長産業分野の育成や企業の技術革新の促進などにより、東京の産業力を強化し、新たな経済成長の道を切り開いていきたいと思っております。
 おっしゃるように、戦略の展開のためには、それに伴うさまざまな戦術の展開も必要でありまして、その一つが、やはり戦略展開のための具体的な条件整備だと思います。
 例えば、大してスペースもとらない、しかも集約された、高度技術をもって情報を行き交いさせる金融や為替の取引市場というものを、何で日本が整備できずに近隣のアジアの都市に奪われつつあるのか、あるいは、重要な兵たんの、運輸の、ロジスティックのアクセスであります港を、この東京湾に、東京、川崎、横浜と三つそろえていながら、この合理化が今日までおくれて、東京で入った船がまた川崎で入港料を払うというばかなことを国は放置してきましたが、今度、三市によって合意が得られたので、合理化しました。
 あるいはまた、今日のこの世界が狭小になった時代に、ビッグビジネスを構えるこの日本に、外国の大企業が、途中、会議を兼ねながら飛行機でやってくる、そのプライベートジェットの運航が、飛行場が不整備なために非常に、できないということをいろいろクレームされておりましたけれども、こういったものも、横田のような使われていない外国の、いや、外国に占領されている飛行場を開放することで、キャパシティーをあけて、日本、東京でのビジネストークのチャンスをつくるということ、そういった具体的な条件整備をしませんと、私は、幾ら抽象的な戦略展開を唱えても、これは成就しないと思います。こういったものも具体的に心がけていきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 土地の有効活用による産業活性化についてのご質問にお答えいたします。
 東京は、高度に発達した都市機能、巨大かつ高感度な消費市場の存在、また優秀な人材の集積など、さまざまなポテンシャルを有しております。これらのポテンシャルを開花させ、東京の特性に応じた産業集積が発展するよう、企業立地の支援等を行うとともに、東京のすぐれたビジネス環境を世界に発信し、海外企業の進出、定着を促進してまいりました。
 ご指摘のとおり、土地は産業活動を支える礎であり、高コスト体質を是正し、これまで以上に国際競争力を向上させるためには、限られた資源である土地のさらなる有効活用が極めて重要であると認識しております。
 今後とも、関係各局と連携しながら、土地の有効活用を含め、産業活性化策について検討してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 六点についてお答えいたします。
 まず、障害者自立支援法の見直しについてでありますが、これまでに都は、利用者負担の軽減や事業者経営基盤の強化等を国に強く求め、特別対策、緊急措置など、法の運用上の改善につなげてまいりました。
 現在、都は、これらの対策の効果も含めて、使いやすいサービスや適切な報酬体系等、さまざまな観点から実態の把握に努めております。
 一方、国においては、来年度に予定されている法の見直しに向け、社会保障審議会障害者部会において検討を行い、年末にも結論を得ていくと聞いております。
 今後、国の動きを踏まえながら、適切な見直しとなるよう、国に対し必要な提案を行ってまいります。
 次に、通勤寮の成果と実績についてでありますが、通勤寮は、就労している中軽度の知的障害者に対し、社会性を高める生活訓練などの生活支援や、職場訪問などによるきめ細かな就労継続のための支援を提供しております。
 現在、都内に六寮あり、約百八十名が利用しておりますが、本年一月一日現在の状況を見ますと、離職中の方はわずかで、引き続き就労を継続している方は九五%となっております。
 こうした実績から、通勤寮は、障害者がみずから働き、自立した生活を継続していくために大きな役割を果たしていると考えております。
 次に、通勤寮の位置づけについてでありますが、国は、障害者自立支援法における通勤寮の移行先としまして、宿泊型自立訓練を想定しております。この宿泊型自立訓練は、夜間の居住の場を提供し、生活訓練を行うものでありますが、その利用期間は原則一年であり、現在の通勤寮の三年に比べて短いことに加えまして、職員配置や運営費の面でも基準が低く設定されております。
 また、自立支援法に位置づけられているグループホームや福祉ホームは、居住の場であり、就労継続を支援する機能がございません。
 このように、自立支援法では、現在の通勤寮が担っている機能に相当するサービス類型は位置づけられていない状況にございます。
 次に、経過措置期間中における都の対応についてであります。
 障害者自立支援法においては、新たな体系に移行するまでの期間は、旧知的障害者福祉法の施設としての支援を継続することとされており、この経過措置期間は平成二十三年度末までとなっております。
 これまでも、通勤寮は、就労しながら自立を目指す知的障害者にとって大きな役割を果たしており、経過措置期間中における通勤寮の機能は引き続き確保してまいります。
 次に、通勤寮の機能に対する認識であります。
 都の通勤寮は、主に、特別支援学校を卒業または児童養護施設を退所した比較的年齢の若い中軽度の知的障害者が利用しており、就労しての自立を目指し、入所期間中に就労継続のための支援や金銭管理などの生活支援を行っております。
 また、退寮時には、アパートやグループホームを確保するとともに、退寮後もアフターケアを行うなど、一貫した支援を実施しております。
 こうした機能は、若年層の知的障害者に対する就労支援のかなめとして重要と考えております。
 最後に、法的な位置づけに関する国への働きかけについてであります。
 通勤寮で行っている生活支援や就労継続のための支援は、障害者の就労を拡大していく上で、引き続き重要な役割を担っていくものと考えます。
 そのため、障害者が就労し、自立生活を継続するための通勤寮の機能の必要性について、国に対し強く主張してまいりました。
 今後もその機能を維持できるよう、障害者自立支援法に明確に位置づけることについて、さまざまな機会を活用し、国へ働きかけてまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、十条地区のまちづくりについてでございますが、この地区は、老朽木造住宅が密集し、狭隘な道路が多いなどの課題を抱えておりまして、都市基盤の整備や建物の不燃化などを促進することにより、防災性の高いまちづくりを進める必要があると考えております。
 このため、補助第八三号線の沿道一体整備事業などによる木密地域の解消や、道路と鉄道の立体化を視野に入れたまちづくりなどを、地元区とも連携して一体的に行うことが重要でございます。
 都はこれまでも、都区連絡会を設置するなど、地元区とともに、事業に対する住民の合意形成に努めてきており、今後とも、当地区の防災性の早期向上に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、補助第八三号線の沿道一体整備事業についてでございますが、この路線は、当地区を南北に貫く避難路ともなる地域の幹線道路でございまして、道路整備と一体的に沿道まちづくりを進めることにより、地域の防災性を向上させる重要な役割を担っております。
 都は、昨年策定した「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八において、本路線の事業化を位置づけ、現況測量や住民の意向調査などを行ってまいりました。
 現在、用地測量や沿道まちづくりに向けた合意形成を進めておりまして、来年度には、準備が整ったところから事業化を図ってまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) JR十条駅付近の鉄道立体化についてのご質問にお答えいたします。
 連続立体交差事業は、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて重要な事業であります。
 十条駅付近については、埼京線と交差する補助第八五号線が第三次事業化計画の優先整備路線であることや、再開発準備組合の設立など、まちづくりへの取り組みの熟度が高いことから、連続立体交差事業の新規着工準備採択に向けて、七つの事業候補区間の一つとして位置づけました。
 今後、事業範囲や構造形式など、事業化の課題についての調査を早期に実施するため、関係機関であるJR東日本や北区と調整してまいります。

議長(比留間敏夫君) 百二十三番土屋たかゆき君。
   〔百二十三番土屋たかゆき君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百二十三番(土屋たかゆき君) 石原知事の、北京政府への過去の発言と今回の訪中問題、オリンピック招致に関する皇室の政治利用の問題、豊洲の土壌汚染問題など、オリンピックに関連して、石原知事並びに関係局長にお伺いいたします。
 さて、私は学生時代、昭和五十年の都知事選挙で知事の遊説を担当し、知事の政治理念、国を思い、権力におもねらず、自己の信念の実現に突き進む姿勢に大いに尊敬の念を抱くようになりました。
 時がたち、私は都議会議員の立場で、石原知事と都庁で再会しました。石原知事が当選時、各会派の対応は極めて冷淡で、知事の態度が悪い、知事の中国敵視の思想が悪いなど、さまざまな批判がありましたが、私は早速、産経新聞に、知事の中国観は正しいとの小論を発表、その後も、知事の姿勢を絶えず支持してきました。
 その後、知事は、ディーゼル車の規制、不正軽油撲滅作戦、認証保育所設置など、また、私が提案した都立大学改革、公務員制度改革、教育改革など、都政史上に残る斬新あるいは画期的な改革を次々に実施してきました。一部に知事の手法を批判する声もありますが、私は、石原知事の手法だからこそ実現できたものと評価し、また、都民の多くも、知事選を通じて圧倒的な支持を表明しています。
 ところで、そうした石原知事が、日ごろ批判を繰り返していた北京政府の招待で北京に行かれたことに、多くの都民が驚いています。
 ご存じのように、北京政府はチベットで人権弾圧を繰り返し行っています。チベットで、すさまじい略奪、暴行、虐殺が展開され、何と人口の二割に当たる百二十万人のチベット人が殺されています。
 また、気功集団、法輪功への弾圧は熾烈をきわめ、理由なき逮捕、拷問により、多くの人の命が奪われています。その上、法輪功を含め、年間四千人に達する死刑囚から、まだ生きているうちに臓器が摘出され、移植されているという指摘もあります。
 石原知事は、北京政府の人権弾圧、反日姿勢に対して、あらゆる機会を通じて痛烈に批判を展開してきました。これはご本人がよくご存じのことと思われます。
 さらに、北京オリンピックに関しても、平成十七年六月二日の産経新聞朝刊によれば、英紙タイムズとのインタビューで、北京オリンピックのボイコットを呼びかけるとともに、こう発言されています。北京五輪は、国際政治において、一九三六年のヒトラーのベルリン五輪と同様な重要性を持っている、ベルリン五輪は軍事力を背景にした威圧行為だったが、中国も同じような姿勢を示すことを望んでいる。これはまさに正論であります。
 ところが一転、石原知事は、北京政府の招聘で、これまで痛烈に批判していた北京オリンピックに出席することになりました。
 石原知事は、北京の招聘を受ける前、あるレストランで北京政府の崔天凱特命全権大使と会談し、中国は好きだが共産主義は嫌いだと発言されたと週刊誌は伝えています。これと同趣旨の発言を東京新聞でもしています。私が嫌いなのは北京市じゃない、北京の政府、共産主義が嫌いなんです。
 この二つの発言で、共産主義と、中国、北京を分けて発言されていますが、中国も、北京も、先ほどの崔大使も、北京市長も、さらには北京政府を形成する人すべては共産党党員であります。となると、中国は好きという発想はどこから出てくるのでしょうか。
 知事の発言は、中国文化が好きとの解釈も可能ですが、その文化を破壊したのは北京政府自身であります。
 知事もご存じのとおり、北京政府は、ありもしない、いわゆる反日展示館を拡大することで、国民の反日意識を扇動しています。その結果、事あるたびに反日デモが繰り返され、治外法権である大使館の窓が割られ、大使館の公用車に被害が生じるという、世界の常識では考えられないことが起きています。
 さらに、李鵬元首相は、日本などという国は二十年後には消えてなくなると発言したことが、一九九五年、テレビ朝日で紹介されています。まさに確信的反日国家です。
 また、オリンピックでの日本選手へのブーイングのひどさは、八月二十五日の産経新聞の伝えるところです。
 ところが石原知事は、ボランティアの学生は、親切で礼儀正しくていいねと感想を述べています。ボランティアなどは、動員された政府公認の人々であることをご存じないのでしょうか。大東京マラソンのボランティアとはわけが違います。
 実際、このオリンピックは、巧みにつくられたオリンピックといっても過言ではありません。施設を建設するために人民を強制的に移動、有名な陳情村も撤去、国歌独唱を行った女の子は歌ったふり、テレビに映った花火の映像はコンピューターグラフィックです。この演出を、一二年ロンドン・オリンピックを控える英国各紙は、偽装五輪、ロンドンでは健全な開会式をと、痛烈に批判しています。
 石原知事の今回の訪中は、今までの知事の北京への姿勢から考えれば、到底理解ができません。多くの石原知事支持者も同様に考えています。北京に行けば、東京にオリンピックが来るとお考えなのでしょうか。
 とお考えならば、ヒトラーに譲歩したチェンバレンと同様です。チェンバレンの宥和策は、和平を生み出さず、ヒトラーのポーランド侵攻とユダヤ人大量虐殺を招来しました。
 共産主義者に対する譲歩は敗北の第一歩だとチャーチルはいっています。
 石原知事の今までの発言が変わったのか。変わっていないとするのなら、共産主義者とどうしてアジアのために連携ができるのかを、石原知事らしく明快にご答弁願います。
 次に、皇室の政治利用に関して質問いたします。
 都議会民主党は、七月二十二日、石原知事による皇室を利用した五輪誘致活動に反対の声明を出しました。至極当然のことです。
 皇室外交は、現憲法の規定上、できないことになっているのは周知の事実です。つまり、皇室の方々が外国をご訪問される場合、親善を目的としたものに絞られています。
 したがって、今回の知事発言のように、皇太子がコペンハーゲンにいらして日本のために一席弁じていただくということは、到底実現できる問題ではありません。
 この知事発言を批判した東宮大夫に対して、宮内庁ごときが決めることじゃない、宮内庁のこっぱ役人と、痛烈な批判を行っています。日本国の象徴たる天皇家を輔弼する宮内庁の常識的な見解を、みずからの意思に合わないからといって、宮内庁ごときと批判し、さらに、東宮大夫をこっぱ役人と罵倒することは、極めて不遜であるといわざるを得ません。
 外国では、オリンピック招致活動への王室などの協力は常識だという論もありますが、外国の王室は巨額な私有財産をお持ちです。しかし、我が皇室にはそれがありませんから、当然、行動は国家が決定したものに限定されるのです。
 さらに問題は、知事発言の中で、皇太子と、敬称をつけずに呼びつけていることです。皇室典範では皇太子殿下という敬称が規定されています。したがって、公人たる知事が公式の場で発言される場合、皇太子殿下とお呼びするのが常識であり、単に皇太子とするのは礼を逸した行為です。
 ちなみに、常に皇太子と書く新聞は、共産党機関紙「赤旗」のみであります。
 知事と共産党が同じ皇室観であるとは到底考えられませんが、皇室の政治的利用、敬称の問題について、石原知事に責任あるご答弁を求めます。
 次に、築地市場の移転問題、豊洲の土壌汚染問題について伺います。
 中国産毒ギョーザ事件を初め、残留農薬やカビ毒が混入した事故米の偽装転売事件など、食べ物が毒に汚染されるという事件に、私たちは辟易しています。
 そして、築地市場の移転予定地である豊洲地区も、環境基準の四万三千倍のベンゼンや、八百六十倍のシアン化合物など、毒によって汚染されています。ベンゼンは発がん性があり、シアン化合物も、青酸カリのもととなる極めて毒性の高い物質であるといわれています。
 幾ら対策を講じたと強調しても、天洋食品や三笠フーズから食べ物を購入しようとは思わないように、毒にまみれた地域に生鮮食料品を扱う市場を移転して本当にいいのでしょうか。
 石原知事は、六月に出演したテレビ番組の中で、何も海に隣接していなくてもいいんだ、環状線ができたらほかに持っていってもいいんだ、クール宅急便で運んでいるんだからと述べられました。また、昨年六月の私たちの代表質問に対しても、築地移転は鈴木、青島時代から検討されていて、自分は調印しただけだなどと答弁しています。
 このようなことを踏まえると、石原知事も、本当は豊洲への移転が最善の方策だと心から思っていないように感じます。築地にアスベストがあるからといって、現在地で解決できる方法はないのでしょうか。本当に豊洲への移転しか問題を解決できないのでしょうか。
 築地市場の移転問題に対する石原知事の本心からなる責任のあるご答弁を求めるものです。
 六月都議会では、自民党の代表質問で、築地市場業界団体の方々から豊洲新市場建設計画の推進について要望をいただいたとの発言がありました。しかし、業界団体を連れ回っていたのは、それら団体に天下りしている元東京都の管理職なのです。これが実態です。
 石原知事は五月三十日、定例会見で、八百人の仲卸業者のうち、移転に反対しているのは二百人ぐらいで、マイノリティーだという旨の発言をしていますが、二百人は、会費を払って考える会に参加している人たちの数で、多くの仲卸業者は、本心では移転反対です。
 石原知事は、例えば最低限、仲卸業者の意向調査を実施するなどして、本当の世論というものを見きわめるべきではないでしょうか。
 今後、移転に当たっては、仲卸業者を含め、市場業者や都民の理解を求めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 このように、東京オリンピックに関連した問題は続出しています。晴海に建設予定のオリンピックスタジアムの後利用も同様です。特に、都民の食の安全にかかわる豊洲の土壌汚染は重要な問題です。
 オリンピックは、クーベルタン男爵や、かつてのIOCブランデージ会長の理念とはかけ離れ、商業オリンピック、利権オリンピックに変質しています。オリンピック憲章には、国や民族に対する差別は、いかなる形であれ、オリンピックとは相入れないとありますが、台湾は、北京政府の反対で、正式国名で参加ができない状態です。
 石原知事が東京らしい新しいオリンピックをお考えなら、指摘した問題に加えて、財政問題など、都民が納得できる対策と合理的説明が必要と考えます。その説明なしに、巨額の費用のかかるオリンピックには安直には賛成ができないというのが都民の偽らざる声だと思います。
 知事並びに関係局長の明快なご答弁を期待して、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 土屋たかゆき議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、北京オリンピックの開会式出席と、私の過去の発言との関係についてでありますが、可能ならば、二〇一六年の東京オリンピックは、最先端の環境技術などを駆使して二十一世紀の都市のモデルを造形し、東京から世界にそれを示すことを目的としております。
 北京オリンピックは、そうした東京の志を世界に披瀝する格好の場所であるからこそ、開会式にも出席して、いろんな人に会って話をしました。
 開会式出席をチェンバレンのナチスとの宥和政策になぞらえるというのは、これは全く的外れでありまして、私は向こうで何の譲歩などもしておりません。
 ご指摘をまつまでもなく、中国に関するさまざまの問題は、これまでも十分批判をし、いうべきことをいってまいりました。これからもいっていくことは当然でありまして、ならばこそ、敵とはいいませんけれども、非常に厄介な隣人の実情を、みずからの目で、その場で確かめてくる必要が政治家としてはあるんじゃないんでしょうか。
 同時に、地球環境問題のように、国境や体制の違いを越えて連携協力しなければならない不可欠な問題が厳然として存在しております。かつて日本が協力してつくった、あの宝山の中国第一の製錬所も、公害防止の装置を忌避したために、あそこで排出するガスが酸性雨になって、日本に下って山陰地方の松を枯らしている、こういった因果関係があるわけでありますけれども、そういった現況の中、CO2を多量に排出している中国には、みずからの責任を世界的に果たしてもらわなければならないと私は思っています。
 ゆえにも、開会式に際して訪中した折、北京市長には環境問題での協力を提案いたしました。そして、来月開催するC40東京会議には、北京市からも参加をする旨の申し出が来ております。
 土屋議員の質問は、いささかファナティックな国粋主義の感がいたしますな。私は、このように中国を複眼的にとらえつつ、常に国益を踏まえて首尾一貫して発言し、行動しております。ご懸念には及びません。
 次いで、オリンピック招致に当たり、皇太子殿下にお力添えいただくことについてでありますが、オリンピックの招致は国家的事業でありまして、国を挙げて取り組まなければならない、そういった事業であります。ロンドン大会の招致成功でも、エリザベス女王やアン王女が大きな役割を果たされました。
 いろいろ法的な制約はあるかもしれませんけれども、国民が敬愛する皇室の方々が、この国家的な悲願というものを達成するために、とにかく力を振るわれるということは、私は国民挙げて賛成すると思いますし、歓迎するところだと思いますね。まさに国を代表して日本への招致の先頭に立っていただくという大きな仕事は、皇太子こそ相ふさわしいと思います。多くの都民、国民も同じような考えだと思います。
 もとより、皇室の政治利用には、これは決して当たりません。
 また、私の皇室観が共産党と対極にあることはよくご存じのはずの土屋議員から、礼を失する云々の質問が出るというのはちょっと驚きましたが、もとより私の発言が敬意を欠いているはずはなく、真意をご理解いただけないのはまことに残念であります。
 私は、公的な立場の発言で、天皇陛下を天皇と申し上げ、皇太子殿下を皇太子と申し上げたんですが、私、年に一度ずつ皇居に赴き、また東宮に赴いて、東京問題の説明をいたしております。そのときは、まさに敬愛を込めて陛下と呼び、殿下と呼んでおりますが、ただ、土屋議員の主張も、あなたの情念としてはよくわかりますから、この発言の形については、今後、考えてみたいと思います。
 次いで、築地市場の移転問題についてでありますが、これ、内陸部での市場建設は、パリのランジス市場などの例もありまして、三環状道路などの東京の道路網が整備された場合の可能性の一つとして述べたものでありますが、しかし、これがまさに百年河清を待つ感がありまして、築地市場が七十年以上によって築いてきた商圏との関係や、業界からの海上輸送を望む声を考えれば、現実の問題として、内陸部への移転はかなり難しいものと思っております。
 ただ、今、あの豊洲を活用するために、今まで相談しなかったジャンルの科学技術界に相談して、これを駆使する方法というものについて、皆さんの想定外の技術の専門家たちに合議いただいて、案を出していただいております。これについて、さらにそういったものを審査する会議をつくりまして、やはり私たち同胞が開発してきた世界に誇る先端技術というものがここで活用されればなと思いますし、私は、日本人の技術に関する英知を信じたいと思いますが、必ず豊洲を活用する方法が出てくると思っております。
 なお、その他の質問については、中央市場長から答弁をいたします。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する世論についてでございますが、都はこれまで、長い年月をかけて、移転や現在地再整備について業界団体と協議を尽くし、豊洲地区への移転を決定いたしました。
 また、新市場の整備内容につきましても、基本構想から実施計画、基本設計に至る各段階において業界団体と協議を重ね、その意向を反映させた上で取りまとめてまいりました。あわせて、土壌汚染対策についても、市場業者との間で説明や意見交換の場を設けてまいりました。
 築地市場の移転を進めるに当たって、食の安全を含め、都民や市場業者の理解は、議員ご指摘のとおり重要であり、今後も引き続き、さまざまな工夫を行い、積極的な情報提供などにより、都民の十分な理解が得られるよう努めてまいります。

副議長(石井義修君) 六十九番村上英子さん。
   〔六十九番村上英子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十九番(村上英子君) 最初に、都有地の利活用についてお伺いいたします。
 私の地元である渋谷のまちは、都市再生緊急整備地域への指定や、本年六月の地下鉄副都心線の開業を契機として、再開発の機運が高まっています。このうち、渋谷駅の東側の渋谷、原宿、青山をつなぐ地域については、商業、業務、住居などを中心に、近年では都内でも有数のクリエーティブ関連機関の集積ゾーンとなっております。
 その一方で、この地域には、国連大学、青山病院跡地、東京都児童会館、美竹公園、都営宮下町アパートなど、多くの公共施設が存在し、貴重な緑が都民の心をいやしています。
 しかし最近は、青山病院の解体工事が既に始まっているほか、児童会館も平成二十四年度以降の機能移転が決定し、都営宮下町アパートも居住者の移転が進められるなど、状況の変化が見られます。
 これらの公共施設の跡地については、地元の関心も非常に高く、この九月には、渋谷・東地区まちづくり協議会とNPO法人渋谷・青山景観整備機構から、渋谷、原宿、青山をつなぐトライアングルゾーンの将来像と題した報告書も出されています。
 このような大規模な公共施設の跡地利用については、地域に与える影響が極めて大きいため、地域の住民の声を反映させ、跡地利用とまちづくりを関連づけながら活用を図っていく必要があると考えます。
 そこで、大規模な公共施設の跡地などで未利用となっている都有地について、都は今後、どのような考え方でまちづくりへの活用を図っていくのか、お伺いいたします。
 次に、渋谷駅周辺の都市基盤整備について伺います。
 渋谷駅は八つの鉄道路線が乗り入れ、都内最大級のバスターミナルを持っており、全国有数のターミナル駅といえます。今後は、平成二十四年度に東急東横線との相互直通運転も予定され、神奈川方面からの利便性の向上も期待されます。さらに駅周辺では、東急文化会館跡地を初め、各所で再開発の動きが加速しており、渋谷のポテンシャルはますます高まってくると思われます。
 しかしながら、現状の渋谷駅を見ると、駅施設の老朽化や、交通混雑などの課題を抱えており、ターミナル機能の強化や、乗りかえ利便性の向上を図ることが急務と考えます。
 このような状況の中で、本年六月、駅や周辺の都市基盤に関する再編整備の考え方を示した渋谷駅街区基盤整備方針が策定されました。この整備方針は、現在の地下鉄の乗りかえ動線やバスターミナルを抜本的に見直し、これまでの課題を一挙に解決する、まさに渋谷駅の大改造計画というべき内容であり、その一日も早い実現が待たれるところです。
 そこで、都は今後、この整備方針をどのように具体化していくのか、お伺いいたします。
 この整備方針については、地元の方々も高い関心を持っており、公表以降、多くの意見が寄せられていると聞いています。特に西口広場の整備については、渋谷駅の象徴でもあるハチ公広場が拡充されること、歩行者とバスや自動車との錯綜が解消されることは評価されておりますが、一般車の通り抜けを規制する内容となっていることから、迂回する車両による周辺道路への影響を心配する声も多くなっております。また、ヒートアイランド対策として、風の道を確保することも強く求められていると聞いております。
 今後、この整備方針を具体化するに当たっては、このような地元の意見にも十分配慮して進めていただきたいと考えますが、都のご所見を伺います。
 また、この整備方針では、渋谷駅街区の再編に合わせた渋谷川の整備を挙げております。渋谷川は「春の小川」のモデルにもなった川であり、渋谷の多くの人々がその復活を望んでおります。渋谷駅周辺の再編整備をよい機会ととらえ、渋谷川を、渋谷に住み働く人々のみならず、渋谷を訪れる多くの人々が親しめるような川に再生すべきと考えます。
 そこで、都は、整備方針に示されている渋谷川の整備についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
 また、都心を流れる渋谷川は、渋谷駅周辺だけではなく、全川にわたり都市化の影響を受けております。川沿いには建物が連なり、川に背を向けているなど、まさに川とまちが分断されています。さらに、護岸には緑が少なく、コンクリートがむき出しになっているなど、川に潤いが感じられず、住民として親しみを持てる川とはいえません。
 都は、オリンピック招致の実現に向け、東京の魅力を高めていくためにも、河川の治水機能を確保しつつ、都市の貴重なオープンスペースである河川の環境整備を進めることが極めて重要であると考えています。
 このため、渋谷川を潤いや安らぎが感じられる川としてどのように再生していくのか、伺います。
 次に、まちづくりの観点から、浸水対策について伺います。
 先月は全国的に局地的な豪雨が頻繁に発生しており、浸水被害などが連日のように起こり、大きな社会問題となっています。渋谷駅周辺は、くぼ地状の地形の関係から、浸水に対して脆弱な地域の一つといえます。
 また、渋谷駅周辺には、地下空間を持つ商業施設や集合住宅が多く存在しています。このような施設での浸水被害は、地上の浸水は浅くとも、地下空間への浸水により、生命の危険さえも生じることが考えられます。特に最近では、商業施設や集合住宅などではなく、個人住宅においても地下室や半地下などがつくられ、その数も増加傾向にあると聞いております。
 今月、都では、浸水被害の防止策や軽減対策などを例示した東京都地下空間浸水対策ガイドラインを発表しました。浸水被害を解消するためには、区や地下室の所有者がこのガイドラインを有効に活用していくことが必要だと思われます。
 そこで、今後、都は、このガイドラインを活用して、浸水に強いまちづくりにどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 さらに、渋谷駅には、「しぶちか」と呼ばれる渋谷地下街、半蔵門線や副都心線など地下鉄の駅があり、過去に浸水被害が発生し、深刻な影響を与えたことを記憶しております。このような地下空間は、一たん浸水すると、社会的に大きな影響が出ることが想定でき、早急な対応が必要であると考えます。
 「しぶちか」を初め、このような大規模な地下街については、特別な対策が必要と考えますが、都の具体的な取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、オリンピック・パラリンピック招致についてお伺いいたします。
 先般、オリンピック・パラリンピック招致特別委員会、野村委員長を団長のもと、北京パラリンピックを視察してまいりました。北京パラリンピックは、オリンピックにも負けない盛り上がりの中で、連日、熱戦が繰り広げられました。私も、実際に車いすバスケットボールとボッチャという競技を観戦する機会がありました。
 ボッチャとは、パラリンピック固有の競技で、脳性麻痺等の重度障害者がボールを投げ合い、ターゲットのボールにどれだけ近づけられるかを競う競技ですが、いずれの競技も大入り満員であり、観客も心から楽しんでいる様子からも、パラリンピック競技が見ても楽しい魅力的なスポーツであることを改めて実感いたしました。
 一方、北京スタジアム、通称鳥の巣競技場は、見た目にも立派で、まさに今回のオリンピック・パラリンピックを象徴していましたが、観客席へのアクセスなど、高齢者や障害者への配慮という点で課題があると感じられました。
 また、セキュリティーが大変厳し過ぎて、会場の入り口では同じような検査を何度も受けるなど、観客が適切にさばき切れていないことも感じました。
 そこでまず、二〇一六年東京パラリンピックの会場計画策定に当たっての基本的考え方についてお伺いいたします。
 一九六四年のパラリンピックは、障害者スポーツを都民、国民に広く認知していただきましたが、今回の北京の例にも見られるように、今やパラリンピックは、オリンピック並みの規模と内容を有し、社会に対する影響も非常に大きいものとなっております。
 しかし、選手に対する支援体制や選手を取り巻く環境整備が、まだまだオリンピック選手と比べて大きな差があることも否めません。
 先日、厚生労働大臣みずから、街頭での募金活動を行っておりました。
 オリンピック・パラリンピックは一つであるとの知事の考えは、大いに評価するものです。
 そこで、都は、二〇一六年オリンピック・パラリンピック招致を目指す都市として、どのようなパラリンピック競技大会を目指していくのか、知事のご見解をお伺いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 村上英子議員の一般質問にお答えいたします。
 パラリンピックについてでありますが、かつて一九六四年、東京でオリンピックとともに開催されたパラリンピックは、我が国における障害者スポーツの歴史を切り開き、その後における障害者に配慮したまちづくりや障害者の社会参加を大きく前進させました。
 それから半世紀を経て、二〇一六年に再び東京で開催しようとしているパラリンピックでは、「十年後の東京」が目指す、高齢者や障害者を含めただれもが安心して暮らせる都市東京において、障害のあるアスリートが最大の力を発揮できるよう、最適な競技環境を整えていくつもりでございます。
 また、メディアの協力によりまして、選手が競技に打ち込む姿と競技スポーツの魅力を世界に向けて発信していきたいと思います。
 こうしたパラリンピックを開催することによりまして、障害者スポーツへの理解、関心がますます高まり、すべての人に優しいまちづくり、人格と個性を尊重し合う共生社会の実現が大きく加速することを確信しております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 都有地の利活用についてのご質問にお答えいたします。
 都有地は、都民から負託された貴重な財産でありますので、都の行政目的の達成のために効果的に利用することがまず必要でございます。
 また、直接の行政目的に供さない場合でございましても、財産価値を最大限発揮させるとともに、環境負荷の低減など、都の施策への貢献を図っていくことが重要でございます。
 お話の渋谷駅東側の地域は、都心でありながら、旧青山病院や区立美竹公園などに緑が残され、大規模な都有地も点在している貴重な地域でございます。
 こうした地域にある都有地の利活用に当たりましては、その立地や特性、あるいは行政目的との関連などを考慮しつつ、地域のまちづくりに役立てる視点に立って有効活用を進めることが、当該都有地の財産価値の向上にもつながるものと考えております。
 今後の都有地の利活用に当たりましては、こうした点を踏まえ、地域住民の声に配慮しながら、庁内横断的に検討を行ってまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、渋谷駅街区基盤整備方針の具体化についてでございますが、本年六月、都、国、地元渋谷区などで構成する検討委員会が策定した整備方針では、JR埼京線のホームの移設、バスターミナルの再編、歩行者広場の拡充などにより、駅施設、公共施設、駅ビルを一体的に再編整備することとしております。
 現在、この方針の実現に向けまして、関係機関との協議、事業手法に関する事業者間の調整などを進めております。
 今後とも、渋谷駅周辺の都市基盤の充実に向けて、これらの協議や調整を早急に進め、来年度の都市計画決定を目指してまいります。
 次に、地元の意見への配慮についてでございますが、都と地元区は、整備方針の策定後、ホームページ等で本方針に関する意見の募集を一カ月行うとともに、周辺地域の説明会を実施いたしました。
 地元からは、渋谷駅の機能の向上に期待が集まる一方、ご指摘のように、西口の交通規制による影響、風の道に配慮した駅ビル計画のほか、タクシー乗り場の増設、緑化の推進など、多くの意見が寄せられております。
 今後は、都市計画や地元区の条例に基づく手続など、さまざまな機会を通じてさらに意見を伺い、これらを踏まえて本整備方針の具体化を図ってまいります。
 次に、整備方針に示されている渋谷川についてでございますが、この整備方針では、水害に強く、安全・安心なまちの実現を掲げておりまして、駅前広場などの再編にあわせ、渋谷川の暗渠となっている部分を、雨水貯留施設とともに下水道施設として再整備することといたしました。
 一方、東急東横線の渋谷駅から代官山駅間では地下化の工事を進めておりまして、これにより生み出される線路跡地を活用した水辺空間の整備について、関係機関と検討を開始いたしました。
 今後、ご指摘のように、「春の小川」の復活をイメージさせる親水空間の創出を目指しまして、渋谷川の再整備につきまして幅広く検討を進めてまいります。
 次に、地下空間浸水対策ガイドラインについてでございますが、近年、都内では、局地的な豪雨による地下室や地下街などの浸水被害が発生しており、こうした施設における被害を防止し、軽減することを目的としてガイドラインを策定いたしました。
 このガイドラインは、浸水に強い建物づくりや安全な避難路の確保策などを取りまとめておりまして、浸水に脆弱な地下空間において対策を行う際の指針となるものでございます。
 今後、都は、区市や庁内関係局で構成する総合治水対策協議会などを活用して、ガイドラインの内容につきまして、広く都民に普及啓発を図ってまいります。
 最後に、大規模地下街などに対する具体的な取り組みについてでございます。
 ご指摘のように、大規模地下街では、不特定多数の利用者によるパニックや、高齢者、外国人や旅行者などの災害時要援護者への対応のおくれから、浸水被害が拡大する可能性がございます。
 このため、大規模地下街ごとに、区や施設管理者等とともに協議会を設置いたしまして、ガイドラインで示した浸水対策を施設の特性に応じて具体化した施設別地下浸水対策計画を策定してまいります。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして地下空間の浸水対策を進め、都民生活の安全確保に努めてまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 渋谷川の再生についてのご質問にお答えいたします。
 渋谷川においては、川沿いの空間確保が困難であることから、河川に隣接する公共用地を活用するなど、さまざまな工夫により河川環境の向上を図ることが重要であります。
 このため、学識経験者や地域の方々の意見を聞きながら、環境整備を盛り込んだ渋谷川・古川河川整備計画を作成しており、年内に公表の予定であります。
 この整備計画では、潤いと安らぎのある渋谷川を実現するため、川沿いの区立恵比寿東公園を、潤いのある空間を形成する拠点の一つに位置づけております。
 現在、地元区と連携し、公園の再整備事業にあわせた緩傾斜護岸の整備を検討しており、事業化に向け、取り組んでまいります。
 今後とも、渋谷川の再生を目指し、良好な河川環境の創出に努めてまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) パラリンピックの会場計画についてでございます。
 選手が最高のパフォーマンスを発揮でき、また、すべての観客がスムーズに移動、観戦できる計画を作成してまいります。
 具体的には、まず、競技会場はオリンピックの会場を使用し、コンパクトな大会を目指します。特にパラリンピック特有の競技、例えば、お話のボッチャなど重度障害者の参加の多い競技では、できる限り選手村から近い会場を使用するなど、競技の特性に応じた配置といたします。
 また、選手、観客等の移動では、道路や駅などのバリアフリー化を徹底するほか、バスのノンステップ化など、車いすが利用可能な車両を十分に用意いたします。
 さらに、施設の整備に当たっては、障害者が安全かつスムーズに試合会場や観客席に到達できる動線を確保するとともに、障害者対応の座席やトイレを増設するなど、きめ細かい対応をしてまいります。
 なお、会場のセキュリティー確保は、オリンピック・パラリンピック共通の課題として万全を期しますとともに、最新の技術を駆使して、大会関係者や観客にストレスのない円滑な会場への入場を確保してまいります。

議長(比留間敏夫君) 十九番高倉良生君。
   〔十九番高倉良生君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十九番(高倉良生君) 初めに、難病対策について質問します。
 国はこのほど、難病の原因究明や治療法の研究を行う難治性疾患克服研究事業の対象に七つの疾患を追加しました。HAM、ハムと呼ばれるHTLV―1関連脊髄症もその一つであります。これは、ヒトTリンパ球向性ウイルスによって発症する脊髄神経麻痺の難病であります。公明党は、この難病指定を全力で応援をしてまいりました。
 HTLV―1ウイルスは、縄文の昔から日本人が持っていたといわれています。九州などに多かったキャリアは全国に広がり、国内で百二十万人から百五十万人に上るとされています。東京も例外ではありません。
 私は、この夏、鹿児島に本部のあるHAM患者の全国組織を訪問し、調査してまいりました。HTLV―1の主な感染経路は、母乳からの母子感染であります。妊婦健診時の血液検査によるキャリアの把握と、母乳中のリンパ球から子どもへ感染することを防ぐ対策を組み合わせることで、予防効果が高まるとされています。
 現在、都内区市町村では、妊婦健診の公費負担回数増の動きが広がっています。健診にあわせ、医療機関ではHTLV―1の検査を実施することがありますが、医療機関において妊婦がキャリアであるとわかった際に、正しい知識を伝え、予防対策を行うことが有効であると思われます。
 また、妊婦健診の実施主体である区市町村が、妊婦に対し、HAMについての普及啓発を行うことも重要であります。
 都は、HAMについて、医療機関や区市町村での普及啓発の取り組みを支援すべきであります。所見を伺います。
 なお、HAMを妊婦健診の公費負担項目に入れている自治体はほとんどありませんが、今後、国の研究で予防法等が解明され、汎用性が高い検査であるとされた場合には、公費負担項目に入れることを検討していただくよう要望しておきます。
 難病対策の二点目として、百万人に数人といわれる遠位型ミオパチーについて質問します。
 これは、心臓から最も遠い位置にある手や足から冒されていき、やがて歩行困難となり、寝たきりになる筋肉の難病であります。
 私はこのほど、国の難病指定を求めて懸命に活動する患者の会の皆さんに会いました。そして、東京から全国へと取り組みを発信してほしいという強い要望を受けました。
 都は現在、国の難病医療費助成制度に加え、独自に対象疾患を拡大しています。遠位型ミオパチーも、筋ジストロフィーの枠組みの中で助成の対象になっていると聞いています。しかしながら、患者の方々には、それが十分周知されていないようであります。
 そこで、遠位型ミオパチーに対する都の取り組みについて、改めて明らかにしていただきたいと思います。
 また、都内の患者の実態把握や都の対応の周知など、患者の会と連携して進めるべきと考えます。所見を伺います。
 都はこれまで、ウイルス肝炎や大気汚染に対する医療費助成など、国に先駆けて取り組むとともに、全国をリードする形で、ALSやパーキンソン病などの難病対策を拡充してきました。今後も、難病患者の視点から取り組みを強化し、国や全国の自治体へと発信していくことが強く望まれております。
 遠位型ミオパチーも含め、難病について、保健、医療、福祉の幅広い分野にわたる総合的な対策の拡充を図るべきであります。知事の所見をお聞きいたします。
 次に、港湾の広域連携についてであります。
 近年、アジア諸港が躍進し、我が国港湾の地位が相対的に低下する中、生活物資を受け入れている日本港湾の国際競争力の強化が喫緊の課題であります。
 我が党はかねてより、首都圏の玄関口である東京港などにおける国際海上輸送の物流効率化に向けて、水先法の見直しなどに取り組み、東京と横須賀等に分かれていた水先区が一つに統合されるなど、成果を上げてまいりました。
 今月十八日には、我が党も、都議会、横浜市会、川崎市議会の超党派の有志とともに京浜港広域連携推進議員連盟を設立し、京浜三港の広域連携強化を大いに応援をしていくことにいたしました。
 物流面における効率化、利便性の追求とともに、オリンピック・パラリンピックの東京招致を実現していくためにも、環境対策に関し、京浜三港が連携して世界をリードする取り組みが重要であります。
 そこで、京浜三港連携において、環境対策の一つとして、貨物の輸送手段の転換を図るモーダルシフトの取り組みを進めていくことが必要と考えます。都の所見を伺います。
 次に、レアメタルのリサイクルについて質問します。
 携帯電話などの小型電子機器には、金やインジウムなどのレアメタルが含まれています。人口が集中する東京には、レアメタルも大量に集積しており、それを資源として再生すれば、世界有数の埋蔵量の都市鉱山になり得るものであります。
 携帯電話については、全国の販売店の店頭で回収するシステムがありますが、昨年の回収実績は、ピーク時の約半分の六百四十四万台に減少しています。
 私は、第一回定例会において、携帯電話の回収促進に乗り出すべきと主張したところですが、その後、都は、事業者団体や区市町村と協議の場を立ち上げたと聞いています。
 回収の取り組みを一層強化するには、身近に携帯電話を使っている若い人たちの参加を呼びかけることなどにより、都民意識を高めていくことが重要であります。都の今後の具体的な取り組みについて、所見を伺います。
 デジタルカメラやゲーム機器など、携帯電話以外の小型電子機器にもレアメタルが含まれております。しかし、これらについては、現状ではリサイクルシステムが確立されておらず、大部分がごみとして捨てられております。
 これらの製品のリサイクルを進め、東京の都市鉱山を活用するには、含まれる金属の種類や含有量の把握、有効な回収手法の検討など、幾つかの課題があります。これらの課題に積極的に取り組み、携帯電話以外の小型機器の回収の仕組みづくりに着手すべきであります。見解を求めます。
 次に、自動二輪車の駐車場対策についてであります。
 都は昨年三月、自動二輪車駐車場整備促進検討会を立ち上げました。この検討会には民間業者や関係団体も参加し、成果が期待されているところです。
 しかし、さらに地域の実情や意見を対策に反映させるためには、駐車場整備の主体となり得る区市が加わる必要があります。我が党は、さきの予算特別委員会でその点を指摘しましたけれども、その後の対応について見解を伺います。
 新宿区では、自動二輪車の駐車場に関するモデル地区を選定し、整備を検討しています。今後、地域の取り組みと連携を図ることは極めて有効であります。
 そこで、都は、検討会において、こうした区の先駆的取り組み成果を踏まえるとともに、都としても実証的なデータを収集し、検討を進めるべきと考えます。所見を伺います。
 自動二輪車の駐車場の整備を図るには、場所の確保は重要な課題であります。昨年一月の道路法施行令の改正で、歩道部分に駐車場を整備できるようになりました。
 歩道は安全で快適な歩行空間であるため、歩道での設置には多くの制約があることは承知しております。しかし、違法駐車対策を進める上からも、繁華街や駅前など、整備効果の高い地区での駐車場設置は効果が期待されます。
 設置主体である地元区市などの取り組みを進める視点から、都道管理者として、道路占用について都の所見を伺います。
 次に、消費者行政について質問をいたします。
 都はこのほど、消費生活基本計画を改定しました。今回の改定では、消費生活総合センターの機能強化が明確に打ち出されていますが、同センターの機能発揮のかなめとなる相談員の処遇改善や雇用の安定は、早急に取り組むべき課題であります。
 年間四万件もの相談が寄せられ、電話がつながりにくい状況も指摘されており、相談員の増員や土日等の相談実施は急務であります。また、多摩消費生活センターでは、相談機能そのものを有しておりません。
 都民が消費者相談にアクセスしやすく、複雑な相談がより適切に解決されるため、相談員の処遇改善を初め、十分な体制づくりが必要と考えます。具体策について所見を伺います。
 センターに寄せられる相談は、区市町村の消費生活センターも含めると、年間十四万件を超え、隠れたトラブルも数多くあります。被害の防止には、都民がこれらの情報を共有し、みずから身を守る環境を築くことが大切であります。
 そのためには、隠れたトラブルを早期にキャッチし、相談情報とあわせて、的確に分析した情報を都民に届けることが重要であります。消費者情報の分析、収集、発信を進める取り組みについて見解を求めます。
 最後に、障害者施策について質問をいたします。
 先日、視覚障害者の方から要望をいただきました。トイレのお話であります。
 まちの中や公共施設において、点字ブロックでトイレまで誘導されても、男女の入り口はどちらか、内部の配置はどうなっているのか、わからないというのであります。
 これにこたえるものとして、トイレの音声案内システムの設置が試みられております。世田谷区は、梅ヶ丘と羽根木公園にある公衆トイレにこのシステムを設置しています。
 都は昨年度から、だれもが使える、とうきょうトイレ整備事業を始めています。区市町村に対する福祉保健基盤等区市町村包括補助事業でも、トイレのバリアフリー化ができます。これらの事業で音声案内システムの設置を進めることが可能であります。
 都は、区市町村と連携し、積極的に推進すべきであります。所見を伺います。
 都内では、鉄道駅のトイレの一部に音声案内システムが設置をされているようであります。オリンピック・パラリンピック招致を目指す東京は、例えば鉄道、都庁舎、都立公園、スポーツ施設、障害者施設に近い建物などを初めとして、公共的な施設のトイレに視覚障害者用の音声案内システムを整備すべきであります。所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高倉良生議員の一般質問にお答えいたします。
 難病対策についてでありますが、都は、都民が安心して健やかに生活できるよう、患者中心の医療体制の構築に取り組んでまいりました。
 難病についても、国に先駆け、医療費助成や在宅療養の支援を行ってまいりました。
 お話の遠位型ミオパチーでありますが、これは筋ジストロフィーの一種ということでありますけど、私、三十年ほど前に、有名な天文学者、ブラックホールの発見者でありましたホーキングが日本に来て講演したときに聞きに参りまして、楽屋でも個人的に会って話ができましたが、やっぱり、あの人は頑張って、声も何も出ないのに、指先でコンピューターを打って人造声で話をしておりましたけれども、周りの方々のご苦労は大変だなという感じがつくづくいたしました。
 長期の闘病を余儀なくされている難病患者のご苦労や周りの家族のご努力は、はかり知れぬものがあると思います。
 患者や家族が安心して療養生活を送ることのできるよう、適切な医療体制の確保や在宅療養の支援など、総合的な難病対策を今後も推進していくもりでございます。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 四点についてお答えをいたします。
 まず、HAMの普及啓発についてでありますが、いわゆるHAMは、HTLV―1関連脊髄症といわれる脊髄神経麻痺の難病の一つでありまして、主な感染経路は、お話のとおり、母乳からの母子感染であります。これを防ぐためには、妊婦が正しい知識を持ち、キャリアであることが判明した際に、適切な授乳方法をとることが重要であります。
 このため、都は、妊婦健診や分娩、育児に関する指導を行う医療機関や区市町村に対し、母子保健従事者研修等によりまして必要な情報提供を行うなど、普及啓発に努めてまいります。
 次に、遠位型ミオパチーについてでありますが、都は、国の難病医療費の助成制度で対象となっております四十五疾病に加え、独自に二十七疾病を助成対象としており、遠位型ミオパチーは、そのうちの進行性筋ジストロフィーの一つのタイプとして認定をしております。
 助成の対象となっていることは、これまでも、保健所や医療機関等を通じて周知を行ってきました。今後は、患者会に対しても十分に情報提供を行うとともに、申請の際に提出される病状に関する調査票を活用して実態把握に努めてまいります。
 次に、区市町村におけるトイレの音声案内システムについてでありますが、都は、とうきょうトイレ整備事業や福祉保健基盤等区市町村包括補助事業などにより、お話の音声案内システムについても支援の対象としております。
 今後、これらの事業を活用した音声案内システムの導入について、事業説明会など、あらゆる機会を通じて区市町村に広く周知し、取り組みが進むように努めてまいります。
 最後に、鉄道など公共的な施設への普及についてでありますが、都は、施設の整備基準を示したマニュアルにおいて、障害者等の利用に配慮した誘導、案内の方法として、音声案内システムについて例示をしてございます。
 今後、建築設計や鉄道などの事業者の団体等で構成します連絡協議会などで、このシステムの設置を働きかけてまいります。
   〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 京浜三港の広域連携によりますモーダルシフトの推進についてのご質問にお答え申し上げます。
 本年三月に京浜三港が締結いたしました広域連携強化に係る基本合意の一つに、環境対策を位置づけてございます。コンテナ貨物をトラック輸送から環境に優しい海上輸送や鉄道輸送に転換を図るモーダルシフトの推進は、この環境対策の大きな柱となります。
 今月十八日の都知事、横浜、川崎両市長のトップ会談におきまして、具体的な取り組みの第一弾として、一度に大量の輸送が可能であり、トラック輸送よりもCO2が八〇%削減される、はしけによるコンテナ輸送を東京湾内で拡大するため、その入港料を全額免除することといたしました。
 京浜三港と地方港とを結ぶ内航航路につきましては、連携して船会社等へ運航頻度の増加なども働きかけ、内航海運網の充実強化を図ることで海上輸送の利用を拡大してまいります。
 また、京浜三港におきます鉄道輸送は、貨物駅構内の蔵置スペースや輸送ダイヤの確保などの課題から、全輸送量のわずか一%にも満たない現状にございます。
 このため、国に対して鉄道事業者の支援制度の創設を求めていくとともに、鉄道事業者や物流事業者等と連携しながら、鉄道輸送の利用拡大に取り組んでまいります。
 今後、実質的な一港化を進める中で、京浜三港が一体となって、モーダルシフトを初めとして、港湾におきます環境対策を積極的に進めてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、携帯電話のリサイクルについてでございます。
 都は、携帯電話などに含まれる貴重な資源のリサイクルを促進するため、事業者団体や区市町村代表から成る協議会を本年三月に設置し、携帯電話リサイクルの現状や課題、具体的な促進策について検討してまいりました。
 この結果、関係団体等と連携して、来月から二カ月間、大学構内や地下鉄駅など二十カ所に回収ボックスを設置し、使用済み携帯電話の回収実験を行うことといたしました。この取り組みを通じまして、若者を初めとした都民に、レアメタルの回収の重要性を訴え、リサイクルへの参加を広く呼びかけてまいります。
 今後は、回収実験の成果を踏まえ、事業者団体や区市町村と連携して、普及啓発や回収拠点の充実などに積極的に取り組み、事業者による回収を基本とした携帯電話リサイクルの活性化を図ってまいります。
 次に、携帯電話以外の小型電子機器のリサイクルの取り組みについてでございます。
 現在、デジタルカメラやゲーム機器などについては、事業者や販売者にリサイクルを行う義務がなく、その多くが不燃ごみとして廃棄されている状況でございます。
 デジタルカメラの販売量は全国で一千万台を超えるなど、小型電子機器は急速に普及しており、含まれる金属の量や排出実態等を踏まえたリサイクルシステムの構築が重要な課題でございます。
 都は、携帯電話のリサイクルなどを参考にしながら、必要な実態の把握に努めますとともに、事業者団体や学識経験者などの意見を聞く場を設けるなど、小型電子機器のリサイクルの促進に向け、積極的に取り組んでまいります。
   〔青少年・治安対策本部長久我英一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(久我英一君)
 自動二輪車駐車場整備促進検討会の構成についてでありますが、都は、自動二輪車駐車場の整備促進、ライダーのモラル向上や駐車場への誘導方策などの諸課題について、地域の実情や意見を反映させるため、ご指摘も踏まえまして、本年四月に、港区、新宿区、武蔵野市など四区三市を新たにメンバーに加えたところでございます。
 次に、今後の検討の進め方についてでありますが、都は今年度中に、区市等の先駆的な取り組み状況を集約するとともに、自動二輪車の放置駐車対策に関する社会実験を、区や警察署などと連携して実施する予定であります。
 この実験の中で、路上に駐車スペースを確保したり、新たに開発された駐車機器を試験的に設置することなどにより、駐車場の利用状況や駐車場への誘導方策、適切な駐車料金等に関する実証的なデータを収集し、検証を行います。
 今後、この社会実験の結果や区市等の取り組みの成果などを踏まえ、より実効性の高い対策を検討してまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 自動二輪車駐車場の設置に関する都道占用についてのご質問にお答えいたします。
 自動二輪車の違法駐車問題を解決するためには、取り締まりなどとあわせて、受け皿となる駐車場の整備促進を図ることが有効な対策と考えております。
 都はこれまで、高架下や道路事業予定地を利用した駐車場の占用許可を行ってまいりました。また、平成十九年一月の道路法施行令の改正を受け、歩道部分に駐車場を設置する際には、駐車場の幅員に加え、歩道の有効幅員を三・五メートル程度確保することなど、具体的な基準を整備してまいりました。
 今後、設置主体である区市等が都道上で自動二輪車駐車場を整備する場合には、歩行空間の確保を図った上で、都道管理者として適切に対応してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、消費生活総合センターの相談体制についてでありますが、都はこれまでも、高度な知見と能力を持った消費生活相談員が、相談の受け付けから助言、あっせん、解決まで一貫して対応し、消費者被害の救済を図ってきているところでございます。
 今後ますます複雑多様化する相談需要に的確に対応し、都民の消費者トラブルの迅速な解決を図るためには、現場の最前線である消費生活総合センターの相談機能の強化が必要でございます。
 このため、来年度早期に、土曜日にも相談窓口を開設するとともに、消費者から信頼される専門的な相談員を確保するため、適切な処遇や研修の充実などの環境の整備に取り組んでまいります。
 次に、消費者情報の収集、分析、発信についてでありますが、今回の消費生活基本計画の改定では、直ちに取り組むべき緊急対策として、待ちから攻めへ、情報の収集、発信を強化することといたしました。
 具体的には、インターネットを活用し、相談にはあらわれてこない怪しげなセールスの情報や、商品を使用しているときの「ひやり・ハッと体験」などの情報を収集し、分析に努めるとともに、敬老会や地域の集会の場におきまして、悪質商法などを題材といたしました出前寄席を開くなど、対象者に応じた工夫を凝らしながら、攻めの情報発信を行うこととしております。
 今後とも、都民一人一人の消費者被害を未然に防止し、実際の消費行動に役立つよう、消費者情報の収集、分析、発信に積極的に取り組んでまいります。

副議長(石井義修君) 三十一番松下玲子さん。
   〔三十一番松下玲子君登壇〕

○三十一番(松下玲子君) まず冒頭に、私ごとではありますが、昨年の秋に待望の妊娠が判明し、ことし六月に子どもを出産いたしました。初めての妊娠、出産を経て、我が子の誕生、そして子育てと、少子化対策と子育て支援に関して、まさに当事者としてさまざまな体験をしています。
 また、新しい命の誕生という、とうとい経験を通し、ハードからハートへ、道路やダムという箱物建設から命を守りはぐくむ施策へ、限られた都の財源の使い道を大きく転換すべきであると改めて強く思いました。
 道路もダムも、使うのは人のはずです。人にこそ、少子化対策や子育て支援にこそ、もっと思い切って財源も知恵も注ぐべきとの思いで一般質問に挑みます。
 初めに、安心して出産ができる環境の整備について伺います。
 妊娠、出産を経て新しい命が誕生します。妊産婦死亡率は、医療の進歩により大幅に減少しているとはいえ、産科医が他の医師より訴訟リスクが高い現実があるように、今も昔も出産に危険が伴っているということは事実であり、出産はまさに命がけです。命をかけて命をつなぐ、とても崇高な行為です。
 しかし、現実は、都内でその出産のための施設が減少しています。都内で分娩を扱う医療機関は、平成二年には三百九十四施設あったものが、十五年後の平成十七年には半分以下、百九十二施設に急速に減少しており、三年ごとの調査の本年の結果はまだ出ていないようですが、さらなる減少を招いているのではないかと危惧をいたします。
 安心して出産できる施設の確保は、少子化対策の基本中の基本であり、妊婦は、妊娠中の体の変化や感情の変化にさまざまな不安を抱えながらも、大切に命をはぐくんでいるのです。新しい命の誕生の場である分娩施設がない、または途中で分娩を中止してしまうことがあれば、不安はさらに増してしまいます。
 都は、こうした出産できる施設が減少している現状、産科医療の確保のため、どのような取り組みを行っているのか、所見を伺います。
 また、分娩は取り扱っていても、早期に分娩予約を実施し、分娩数を制限している医療機関があることも事実です。私自身、妊娠判定を婦人科で行った後、出産予定日が確定し、その段階で予約を入れることができたと病院でいわれ、初めて分娩予約という制度があることを知りました。医療機関の減少や分娩制限により、分娩の場がなかなか決まらないことは、妊婦にとってはとても不安なことです。
 都は、妊婦が安心して分娩の場を確保するために、都民に対してどのように働きかけを行っているのか、所見を伺います。
 次に、子育て環境の整備について伺います。
 私自身、九月から子どもを認証保育所に預けて仕事に復帰しましたが、妊娠中から自分で保育所探しを行い、改めて本当に大変だということを痛感しました。
 七月に公表された東京都の待機児童数は五千四百七十九人に上り、保育サービスの供給不足が明らかになっています。私のように年度途中から保育所を利用したいと思っても、認可保育所に入ることはほとんどできません。ようやくの思いで、運よくあきが出た認証保育所に入ることができ、安堵したのは入所三日前でした。保育を本当に必要としているが利用できない人は、待機児童数であらわれている以外にもたくさんいると思われます。
 しかし、その一方で、認証保育所を利用している人の中には、幼稚園の授業料より安い、給食が出るなどの理由で、本来保育を必要としていないのではないかと思われる子どもが入所している事例も、残念ながら見受けられました。
 そもそも認証保育所はどのような利用者のためのものなのか、制度の基本的な理念について見解を伺います。
 保育を本当に必要とするすべての人に保育サービスを提供できることは理想ですが、サービスの供給量が絶対的に不足している中では、認証保育所も、待機児童解消の受け入れ先として重要な役割を担っているのが現状です。
 認証保育所の事業者がよりよいサービスを競い合い、利用者が各家庭の保育方針と照らし合わせて事業者を選ぶことができる現状に、残念ながらなっていないことを踏まえれば、現在の需給バランスを大きく変えていくため、認可保育所より短時間で設置が可能な認証保育所の一層の設置促進を早急に行っていく必要があると考えます。
 しかし、今まさに困っている人たちがいる現状、それが直ちにできないのであれば、整備が進むまでは、保育を必要とする緊急度を定め、本当に困っている人については、たとえ年度途中であっても優先的に利用できるような仕組みに変えることも検討すべきであると思います。
 都は、認証保育所の利用者の実態、状況について調査を行った上で、保育を必要とする緊急度を定め、保育を必要としている緊急の度合いに応じて優先的に利用できるような仕組みに変えることを検討すべきと思いますが、見解を伺います。
 私は、間もなく十年を迎える認証保育制度のメリットやデメリットを調査して、よりよい制度にしていただきたいという思いで質問をしています。待機児童が多い現状においては、利用者が施設を選ぶというよりも、施設に選ばれなければサービスを享受できないのが現状なのです。
 都は、こうした待機児童が多い現状をどのようにとらえ、待機児童解消に向けてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 本来は保育を必要としないと思われる人でも、月決め最低百六十時間の契約を結べば認証保育所を利用できる現状において、認証保育制度の仕組みを変え、本来は保育を必要としない人は、一時保育や他の子育て支援サービスに誘導しなければ、幾ら認証保育所を新たに設置しても、待機児童の解消にはつながらない可能性があることを指摘しておきます。
 今、本当に困っている人たちにしっかりとこたえることができるように努力していただきたいと要望いたします。
 次に、八ッ場ダムについて伺います。
 都は、平成二十年の第一回定例会において、八ッ場ダム建設事業の工期延長にかかわる基本計画変更協議に伴い、意見内容について議決を得ました。私は、一定の都市整備委員会において、基本計画変更に関して質問を行いましたが、その中で、今後の水利権の減電補償費や事業費増額のリスク、さらなる工期延長のリスクに対して、リスクを払拭すべき明確なデータが示されず、今後の事業費増額と工期の再延長の可能性を指摘し、基本計画変更の議案に反対しました。
 最新の八ッ場ダム事業の進捗状況についてお伺いします。
 熊本県知事が、川辺川ダム計画を中止すべきであると英断をされました。昨日の民主党の代表質問に、知事は、川辺川ダムと八ッ場ダムとでは、流域住民のダム建設に対する賛否が異なるとの答弁をされましたが、私が八ッ場ダム現地を視察し、ダム建設予定地の住民から話を聞いたときには、決して八ッ場ダムに手放しで賛成しているわけではなく、ダム建設が、たとえ自分たちの穏やかな暮らしを犠牲にしても、必要な国策ダムであり、川下の住民にとって必要不可欠なダムだという大義名分があるからこそ応じるのだという、非常に苦しい心境を持たれている状況でした。
 果たして、必要不可欠なダムだという大義名分は、ダム計画から半世紀以上も経過した現在、本当に存在するのでしょうか。我が会派は、治水や利水に関して、これまでの質疑でも、最新のデータをもとに再度計算し直すべきであると継続して主張しています。都が繰り返す必要不可欠なダムであるという前提の人口動態予測、水需要予測など、前提となる数値が古いものでは、本当に必要不可欠かどうか、検証ができないはずです。
 たとえ事業主体は国であっても、都民の税金を使って都が取り組んでいる事業であるという姿勢で、都民に対してしっかりと説明責任を果たす必要があります。都として、都民に説明責任を果たす上でも、八ッ場ダムに関して独自の調査を行い、最新のデータで改めて独自に事業の検証を行う必要があると思いますが、見解を伺います。
 一定の本会議で猪瀬副知事は、公共事業に関して、最新のデータに基づいて調査をし直す必要があるという、公共事業全般ではございますが、答弁をされています。
 半世紀以上に及んだ八ッ場ダム計画の歴史を振り返り、一度立ちどまって、最新のデータに基づいて都独自の調査を行った上で事業を精査し、工期や事業費に関しても、より詳細な再調査を行う必要があると思います。そして、詳細な再調査の結果、必要性がなくなっているならば、この事業から撤退し、ダム計画に翻弄されたダム建設予定地の人々の生活再建を第一に考え、一刻も早く安心して暮らせる、落ちついた生活を取り戻してあげることが大切なのではないでしょうか。
 未来にむだなダムという多額な負債を残すのか、風光明媚な自然、歴史ある温泉街などの資産を引き継ぎ、残していくのか、ここで立ちどまって英断を下すことを強く要望します。
 最後に、外環ノ2について伺います。
 外環ノ2は、東京外かく環状道路、いわゆる外環と同時に、昭和四十一年に、外環本線と一体となって、三鷹市内の東八道路から練馬区内の目白通りまでの九キロメートルが、外環ルート上の地上部分に幅員四十メートルの道路として計画決定されているものです。
 現在、東京都は、国や沿線の区市とともに、外環沿線の地域ごとに地元との話し合い、いわゆる地域PIを実施しています。先ごろ、地域PIの実施状況が公表されましたが、これを見ますと、各地の住民からは、環境対策や交通対策等について多くの意見が出されているようです。
 私の地元武蔵野市においても、近く地域PIが開催されると聞いていますが、これまでに地下水に対する不安などの意見が出されるとともに、地上部に残っている都市計画道路である外環ノ2が今後どのように扱われていくのか、関心が高まっています。
 これまで外環ノ2は、地域住民の意見を聞く場が設けられていませんでした。地域住民にとって、外環ノ2は外環本線と切り離しては考えられないので、地域PIで取り上げていただきたいという思いを強く持っております。
 今後、人口の減少や高齢化などにより、自動車の台数も少なくなっていくと予想される中、また、外環本線が長い歴史的な経緯を経て大深度地下方式となったことも踏まえて、地上部の都市計画道路が本当に必要なのか、大いに疑問もあるところですので、このようなさまざまな意見を、東京都は地域の話し合いの中でしっかりと聞いていくべきです。
 そこでまず、現在進められている外環の地域PIについて、武蔵野市域における取り組み及び外環ノ2の取り扱いについて伺います。
 次に、外環ノ2については、地元の区市長からも、外環の都市計画変更の際に意見が出されています。私の地元、武蔵野市長からは、外環ノ2について、廃止することも含め、計画の方向性、検討のプロセスを早急に明らかにされたい、また、その検討過程においては、地元との協議、対話を重視するとともに、安全面、環境面に最大限配慮することを求めるなどの意見を東京都に提出しております。
 外環ノ2については、武蔵野市長の都市計画案に対する意見等を踏まえ、今後、詳細なデータを示しながら、廃止することも含めて検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 外環ノ2の沿線住民は、昭和四十一年の計画決定から四十年以上にわたり、都市計画法による制限を受けた生活を強いられています。また、本線が大深度地下方式に計画変更した経緯やその重み、さらに、外環ノ2と連続性のある東八道路以南の附属街路は廃止されているという事実があります。
 東京都は、このような経緯と事実を重く受けとめ、外環ノ2については、地域住民の声を聞く場を設け、最新で詳細なデータを示しながら、不必要か必要か、しっかりと検証し、廃止も含め、慎重に検討を進めていくよう強く要望いたします。
 以上で私の一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 松下玲子議員の一般質問にお答えをいたします。
 最初に、産科医療の確保についてでありますが、分娩取扱施設の減少など、産科医療を取り巻く厳しい状況の中、限られた医療資源を最大限に活用することにより、お産のニーズに対応していくことが必要と考えております。
 このため、都においては、周産期医療を担う病院、診療所等によるネットワークグループを立ち上げまして、それぞれの医療機関が持てる機能を発揮しながら、協力して地域の産科医療を支える体制づくりを進めております。
 また、産科医師等の負担軽減と定着を図るため、周産期母子医療センターなどが行う医師の交代制勤務や短時間勤務の導入、女性医師の復職支援研修等の取り組みを支援しております。
 次に、分娩の場を確保するための都民への働きかけについてでありますが、安心して出産に臨むためには、妊婦が妊娠に気づいた段階で早期に医療機関を受診し、定期的な健診を受け、出産リスクに応じた適切な医療機関を決定していくことが重要であります。
 このため、都は、区市町村と連携し、保健所等における相談、指導や、医療機関の早期受診を勧奨する普及啓発を行っているところであります。
 次に、認証保育所の理念についてでありますが、認証保育所は、女性の社会進出が進み、就労形態が多様化する中で、大都市特有の保育ニーズに柔軟かつ的確にこたえるために、都が独自の基準を定めて創設をいたしました。
 保育に欠ける要件に基づき区市町村が入所決定を行う認可保育所と異なり、保育を必要とする利用者が施設を自由に選択し、利用できる制度となっておるところであります。
 認証保育所の利用の仕組みについてでありますが、認証保育所は、多様な事業者の参入により保育サービスの供給を拡大するとともに、利用者と事業者との直接契約制度を一つの特徴としております。
 この制度により、利用者の選択の幅を広げ、競い合いによる質の向上を図るなど、利用者本位のサービス提供の実現を目指しておりまして、今後とも、こうした仕組みのもとに認証保育所の設置促進に取り組んでまいります。
 最後に、待機児童解消に向けての取り組みについてでありますが、大都市東京に合った保育サービスを拡充し、待機児童を解消することは喫緊の課題であると認識をしてございます。
 このため、都は今年度から、認証保育所だけでなく、認可保育所や認定こども園など、多様な保育サービスを組み合わせ、今後三年間で一万五千人分の整備を行う保育サービス拡充緊急三カ年事業に全力で取り組んでいるところでございます。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、八ッ場ダムの進捗状況でございますが、本年三月末現在、用地の取得については七三%が買収済み、つけかえ工事につきましては、鉄道が八一%、道路が五七%の進捗となってございます。また、代替地の整備も進みまして、既に家屋の移転も始まっております。ダムの本体工事につきましては、本年六月、河川を迂回させるための仮排水トンネルの工事に着手いたしました。
 事業全体としての進捗率でございますが、事業費ベース、金額ベースで六三%となっております。
 次に、八ッ場ダム計画の検証についてのご質問がございましたけれども、お話にもありましたように、昨日も代表質問で知事からお答えしたとおりでございます。
 繰り返しになりますが、八ッ場ダムは、首都圏における治水、利水の安全度を向上させる上で必要不可欠な施設でございまして、一都五県の連携と合意のもと、国により建設が進められております。
 また、地元で建設の賛否が分かれる川辺川ダムとは異なりまして、八ッ場ダムは、建設地にある地元の二つの町がそろってダムの早期完成を要望しております。都として計画の見直しは考えておりません。
 次に、外環に関する話し合いでございますが、都は、外環の事業着手に向けて、国や沿線区市とともに地域ごとの話し合いを実施し、地元の理解と協力が得られるよう努めてきております。
 武蔵野市域におきましても、来月上旬に、公募に応じた参加者約百名によるワークショップを開催する予定でございます。
 なお、このワークショップにつきましては、主に外環本線の事業を対象とすることで準備を進めております。
 最後に、外環の地上部街路でございます外環ノ2についてでございますが、関係区市等から出された要望を踏まえ、この道路の必要性やあり方などについて、広く都民の意見を聞きながら検討を進めてまいります。

○副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
 午後二時五十一分休憩

 午後三時十六分開議

○議長(比留間敏夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十八番秋田一郎君。
   〔六十八番秋田一郎君登壇〕

○六十八番(秋田一郎君) もう国には頼らない、久しぶりに会った友人は、淡々とそう語りました。その心は、我々世代は年金をもらえないだろうし、どうせ医療も民間保険に頼るしかないだろうといったことでした。私は、これもまた自立というのだろうかと思い、胸が痛みました。と同時に、なぜ国は頼りにならないと思うのかを私なりに考えてみました。
 一つは、国が巨大過ぎ、現実に根差したシャープな問題意識を持てないからです。
 最近のサミットやG8が端的な例ですが、各国が真剣に討議しようとしても、個別具体的な解決策を見出すことができずにいます。そもそも現場を持たない巨大な国の立場で、環境問題などの極めて現実的な問題の解決を具体的に扱おうとするから、無理が生じるのです。
 第二に、国が進むべき目標やビジョンを提示できなくなっているからです。
 かつては、明治時代の殖産興業や戦後の所得倍増計画、日本列島改造論のように、国が目指すビジョンが明らかでした。若者には夢があり、その目標に向かって官民一体となって努力をし、国を豊かにしてきました。
 しかし今、目指すべき日本の将来像は国民に明確でしょうか。国の各省庁の一人一人の官僚は優秀であっても、省益の縦割りの中に閉塞しています。福祉施設や道路整備などを初め、全国一律の基準を地方自治体に押しつけた結果、各地でむだを生んでいるのはご存じのとおりです。個別分野では合理的でも、全体としては極めて非合理で、地方の実態に適さない、いわゆる合成の誤謬といった事態が生じています。
 第三に、従来、国単位で考えられてきた経済の世界では、もはやグローバル化の波にさらわれ、国境が意味を持たなくなっています。
 ノーベル経済学賞をとったマンデル・フレミング・モデルによれば、通貨が変動相場制のとき、国の財政政策は効果がないのです。つまり、国の財政をいかに動かしても、国境のないグローバル経済のもとでは限界があるのです。
 このように、国はもはや機動性を失った巨大な恐竜ともいうべき状態にあるからこそ、頼りにならないと思われるのです。若者が夢を持てない社会に未来はありません。国がもはや、かつてのようなビジョンを示すことができないなら、東京が将来像を提示すべきです。
 知事は今回の所信表明において、未来につながる明かりをともすことで、この国をあるべき航路に引き戻していくことが首都東京の使命であると述べられましたが、知事の所見を伺います。
 大気汚染や温暖化などの環境問題、渋滞や駐輪対策といった交通政策の課題は、世界的に見ても大都市に集中しています。行政課題の多くは大都市に収れんするといっても過言ではないでしょう。
 私は、世界に共通する都市を取り巻く多くの課題に対し、都市の間で協力すべきだと考えます。例えば、環境問題であれば、東京の先進的な取り組みを世界の各都市が取り込めばよいと思いますし、東京の水道の優秀さは既に有名です。ホームレス対策であればニューヨークに学び、観光ならパリに学ぶといったぐあいです。
 それぞれの都市がお互いの得意分野をいいとこ取りできれば、相互の足らざる部分を補完し合い、ウイン・ウインの関係に立つことができます。大都市は皆、同じような問題を抱え、切実に悩んでいます。大都市が単独ではなく、手を取り合って問題認識を一つにし、解決に当たっていく道筋は、地に足のついた着実なものになるはずです。形骸化した先進国首脳会議、サミットよりも、よほど世界にとって意義あるものとなるはずです。
 東京から幾ら発信しても日本が変わらないのであれば、発想を転換し、東京から世界の大都市を変え、ひいては国を変えるのです。つまり、東京がまず世界の都市に働きかけを行い、また、逆に世界の先進都市から刺激を受け、世界の都市同士がお互いの先進的要素を学び合い、変革を続けていくことが重要です。都市の基準が世界基準になっていく過程を通じて、国は変わらざるを得なくなっていくと考えます。
 知事は、平成十八年、みずからロンドンに赴き、都市政策、交通政策など、お互いが直面する共通の課題に共同して取り組むため、政策提携協定を結ばれました。また、来月にはC40気候変動東京会議も開かれます。もう都市の自主的な取り組みは始まっています。
 こうした努力を世界基準に発展させるには、何よりもまず、さまざまな課題について都市の間で問題意識を共有し、その解決策を構築、導入することが求められます。加えて、こうした問題解決に実際に役立つ取り組みを効果的に世界に発信していくことが重要です。東京が世界の大都市をリードする姿を国際社会にアピールすることは、東京オリンピック招致とその成功にもつながるものと確信します。
 国際的な会議やイベントなどあらゆる機会を活用して、そして、あらゆる機会を東京が先導的につくって、世界の大都市が共同して課題解決に取り組む姿を戦略的に世界に発信し、東京のプレゼンスを高めていくべきと思いますが、知事のお考えを伺います。
 また、こうした取り組みを積極的に行っていく上で、景気動向一つで一兆円もの税収が減るような現在の税制では、安心して政策を構築することはできません。政策形成を支える安定的な地方税制、都市税制が必須になってきますが、そうした税制像について所見を伺います。
 ザ・ニアラー・ザ・ベターという言葉があります。直訳すれば、近ければ近いほどよいという意味ですが、住民に近い行政組織がサービスを担う方が住民ニーズに対応した行政サービスができるし、コストも安くなるという考え方です。
 区市町村は、地域に密着したごみや福祉等の生活関連、都道府県は、基礎的自治体ではできないインフラ等の広域的な仕事、国は、地方ができない国全体にかかわる防衛、外交などマクロな政策だけを扱えばよいのです。補完性の原理とも呼ばれ、EU設立の基礎的な考え方として採用されています。
 しかし現実は、国が多くの政策領域において、モンスターペアレンツのごとく自治体に過度に干渉し、結果として時間はかかり、住民のニーズに合ったサービスを提供できていません。また、国と地方の二重行政まで生じて、コストは過大になってしまっています。国は、本当に地方ができないことだけをやればよいのです。
 このような国と地方のあり方について、都はどのように考えるのか、伺います。
 ところで、目を転じて東京の足元を見ると、お寒い現実が目に入ります。穀物価格の騰貴など食糧安保が問われている中、東京の食糧自給率は何と一%、千二百万都民のうち、十二万人分しか賄えないのです。中央区の人口十万人と、あと少しといった程度です。実は一人では生きられないというのも、また東京の姿です。
 一方、財政難にあえぐ北海道の食糧自給率は、何と二〇〇%にも達しています。こうした地方で豊かに生産される食糧を東京で安定して販売するルートをつくり、極めて低い東京の自給率をカバーできないものでしょうか。
 昨年九月に、私は、国は親で、都道府県はその子ども、都道府県同士はきょうだいだという例え話を交えながら、都がリーダーシップを発揮し、一大消費地、情報集積地といった強みを生かした、より広い視野からの産業施策を展開すべきと本会議で質問をしました。
 その後、いろいろな形で東京と地方との連携を進めていると聞きますが、その成果と今後の取り組みについて伺います。
 また、東京と地方との連携を支えるのが道路ネットワークです。首都高速五号線で発生したタンクローリー火災事故により、昨年十二月に開通したばかりの中央環状新宿線も通行どめとなり、都民生活のみならず、地方との物流など、経済活動にも多大な影響を及ぼしました。復旧工事は異例の早さで進み、来月十四日、全面開通との発表が昨日あり、この間の東京都と首都高速道路株式会社の懸命な取り組みを高く評価いたします。
 一大消費地東京の、より効率的で確実な人や物の流れを確保し、地方との連携を強化する観点からも、現在進められている中央環状線の整備を促進することが重要と考えますが、所見を伺います。
 私は、海外を訪れるたびに、世界の中での東京のブランド力を痛感いたします。しかし残念ながら、職員はおろか、我々議員にも都民にも、世界の東京という意識は希薄です。
 いうまでもなく、地方自治体は国の下部組織ではありません。東京は、都内GDPや財政規模を見ても、先進国並みの大きさを持った世界に冠たる都市です。都庁全体が内向き意識を払拭し、他の都市と協力することを通じて、東京から世界を変える気概を抱いていただくことを強く要望して、最後の質問に移ります。
 振り込め詐欺について伺います。
 ここ数年、振り込め詐欺の被害が増大し、大きな社会問題になっています。新聞やテレビを見ても、振り込め詐欺が報道されない日はありません。
 報道によれば、ことし一月から八月までの全国の被害が約二百十億円に上っており、このまま推移すれば、年間の被害が三百億円を大きく上回り、史上最悪を記録しかねないとのことです。毎日、実に一億円近い被害が出ていることになります。
 被害は全国各地で発生し、中でも東京都内の被害が最大であり、全体の二割以上を占めているとのことです。しかも、ご高齢の方々の被害が非常に多いと聞きます。振り込め詐欺は、人々の情愛や信頼を逆手にとった極めて卑劣な犯罪ですが、犯人たちのほとんどは、東京に巣くっているのではないかとも考えられているようです。
 以上申し上げました現状を踏まえると、振り込め詐欺対策は、都民の安全と安心を守る上で喫緊の課題であると思います。警視庁におかれては、これまでもいろいろな努力を重ねてこられたことと承知しておりますが、残念ながら、問題解決にはほど遠い状況です。これ以上の被害拡大を許すわけにはまいりません。
 振り込め詐欺の被害を食いとめるためには、警視庁と東京都が中心になって、社会を挙げた幅広い取り組みが必要ではないかと思いますが、今後どのような対策を進めていくか、考えをお伺いして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 秋田一郎議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、東京から日本の将来ビジョンを提示するという問題でありますが、国がいかに疲弊しておりましょうと、しかし、あくまでも国は国でありまして、都市はいかに大きくとも都市でしかありません。でありますがゆえに、日本の将来のビジョンをつくるべきものは、本来は国政であります。
 その国政を実質的に運営している国の官僚、その制度は、残念ながら、いつか本分を忘れて、この国を壟断しているといっても間違いない、いい過ぎじゃないと思います。例えば事故米のケースを見ましても、農水省は、いい逃れにきゅうきゅうして、自己保身を図るばかりであります。
 また、その官僚を使いこなすべき国の政治家の大半も、歴史意識、危機意識が希薄なままに、官僚の手の上で踊っているといっても過言ではないような気がいたします。
 このため、変化の激しい時代に次々に発生する難題から国や国民を守ることができておりませんし、また、国民には不安、不満が募るばかりであります。
 官僚ということをとらえていえば、かつては、政治家にもなりましたが、大官僚といわれていた人たちがおりましたね。岸信介、椎名悦三郎、賀屋興宣という人たちは、私は個人的にも知己を得ましたが、私が本当に尊敬していた、これは右にも左にも嫌われた、実に合理的な冷徹な現実主義者でしたけれども、賀屋興宣先生がいっていましたことは、自分たちの時代には、官僚として国を考えるときにとって、非常に大きなバリアがあったと。つまり大きなアンチテーゼがあって、それは軍だったと。この軍に対抗して、この国を合理的に運営するために、ありとあらゆる知恵を絞って抵抗したものだといっておりましたが、現今では官僚そのものがバリアになってしまって、機能していないというのが実態だと思います。
 しかし、こうした時代だからこそ、国は国としての役割、使命をしっかり認識して、国家のビジョンを明確に示して国民を導かなければならないと思いますが、なかなかそれがかなわない。
 ゆえにも、日本の頭脳部、心臓部であります東京は、東京としての志を同じくする都議会の皆さんの協力を得ながら、世界の範となる、つまり都市としてのモデル、これは決して地方に敷衍されるべきものでないかもしれませんけれども、まずとにかく主要部分である東京が、時代の展望に見合った都市のモデルを造形して、それを国もしんしゃくして、新しい変革の波を起こして、この国全体を健全に導いていきたいものだと思います。
 次いで、都市外交についてでありますが、世界の人口の半数が都市に住まう都市の世紀にありまして、人類共通の危機が最も先鋭にあらわれるのは、やっぱり大都市であります。地球温暖化などの解決には、世界の大都市と知恵を出し合って、共同して取り組むことが重要であると思います。
 現に、世界一の大国でありますアメリカでも、政府は動きませんが、それぞれ有識の、日本でいえば県のですが、州の知事が発意して新しい連帯が生まれつつありますけれども、まだなかなかそれがアメリカ全体にも世界にも及ばないうらみがございますが、こうした認識に立ちまして、私はこれまで、アジア大都市ネットワーク21や、これも大分成熟してきまして、いろんな具体的なフルーツを生んでおりますが、あるいはロンドンとの政策提携など、単なる儀礼的な友好親善にとどまらない実質的な都市外交を展開しようと思いますし、また、してまいりました。
 ロンドンなどは、オリンピックのノウハウを得に行ったついでに、当時の市長のリビングストンと突っ込んだ話をしましたが、相手もまた、東京のやっている環境行政の実態に新しい認識を持って、彼が主宰した世界の大都市の会議に、二度目の会議にはぜひ参加してくれということでニューヨークにも参りました。余り参考になりませんでしたけど、そこで、やはり出席することで、東京の環境行政が相対的に、他と比べて、決して完璧とはいえませんが、かなり進んだものであると。特に東京の水の質については、参加者がみんな仰天するぐらい注目を浴びましたけれども、そういった事実というものを私たちが世界じゅうに認識させることで、日本の存在感、東京の存在感も示していきたいと思っていますが、来月にも、地球温暖化対策に先進的に取り組む世界からの実務者を招いた、C40という気候変動東京会議を開催することになりました。
 これも実は、私が出席しましたニューヨークの会議で、私は非常に痛烈に批判しまして、こんな上っ面な観念事だけでは、物はちっとも進まないと。それが伝わりまして、もうちょっと実務的な、技術というものに裏打ちされた、現実を少しでも変えていく、そういう政策についての討論をする会議を開こうということで実現することになりましたが、いずれにしろ、グローバル化によって世界が時間的、空間的に狭いものになっていますこの今こそ、大都市に派生する問題の解決に向けて、危機感を共有する首長間で議論する場を持つことは、極めて有効だと思っております。
 過去にありましても、大都市サミットと、あったようでありますが、これは余りフルーツのないままに立ち消えになったけど、こういったものは、私はやっぱり、全くフルーツのなかった洞爺湖サミットを見ますと、大都市間があれに対抗するというわけじゃなしに、面当てになるかもしれませんが、大都市間のサミットというものをもう一回復活して、そこで熱心な討論が行われるべきだと思っております。
 他の質問については、警視総監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監米村敏朗君登壇〕

○警視総監(米村敏朗君) 振り込め詐欺対策についての秋田議員のご質問にお答えをいたします。
 一言で振り込め詐欺と申しますが、大体、平成十五年ごろから、都内を初め全国的に被害が拡大をしてきております。さまざまな手口が次から次と出てまいりまして、おれおれ詐欺、あるいは架空請求詐欺、あるいは融資金名下の詐欺、昨今は還付金詐欺という形で被害が拡大をしているということでございます。
 日本社会特有の犯罪かと、こう思っておりましたけれども、どうも仄聞するところ、隣の国、韓国でも年間三十億円ぐらいの被害が出ているというふうに聞いております。
 いずれにいたしましても、議員ご指摘のとおり、この種の詐欺というのは、いわば近親者の情愛、家族の心情、心のきずな、そこにつけ込む、これをもてあそぶ、あるいは人と社会の信頼関係を逆手にとるというような犯罪でございまして、ご指摘のとおり、極めて卑劣な犯罪であります。
 現に、被害者の中には、かけがえのない財産、なけなしの金を取られてしまって、最終的に自殺に追い込まれたという方もおられるわけであります。
 また、この犯行グループの中心は、二十代、三十代の若者が中心になっているわけでありますが、極めてビジネス化した組織的な犯罪であります。加えて、携帯電話一本でといいますか、匿名性の高い犯罪でありまして、しかも、教本でありますとかマニュアルを片手に、半ばゲーム感覚でやっているということで、罪障感、罪の意識が極めて希薄ということであります。
 いずれにいたしましても、この種の犯行グループが、今日我が国の治安攪乱要因になっているということにつきまして、警視庁といたしましても、強い危機感を持っているということであります。
 そこで、これを何とか撲滅し、都民の安全と安心を取り戻すということで、私ども警視庁が取り締まりを徹底するということはもとよりでありますが、加えまして、ご高齢の方々を中心に、突然の電話で、慌ててATMに行って金をだまし取られないように、少しでも変だと感じたら、ぜひすぐ一一〇番していただきたいということで、いま一度、注意喚起の呼びかけを徹底したいというふうに考え、これまでも、さまざまな形で注意喚起を行ってきたわけであります。
 先般、交通安全運動の前に調布市で開かれました、高齢者の方々を対象とした交通安全の集い、そこで冒頭、振り込め詐欺について、例えて申し上げますと、都内では昨年一年間で約三千五百件、被害額にいたしまして六十億円超、ことしは既に八月末で三千件、被害額も四十六億円を超えるということを申し上げましたら、やっぱり千五百人ぐらいのご高齢の方が、えっと驚くようなざわめきがあったわけであります。まだまだ高齢者の方々の心に響いていないという感じをいたしました。
 現に、被害に遭われた方々は、振り込め詐欺という言葉は見たり聞いたりしていると。しかし、突然の電話がかかってきて、あたふたと動いている中で、これが振り込め詐欺だというのは全く気づかないというのが現状であります。
 そこで、近く、高齢者のボランティアの方々、約一万人の方々に、振り込め詐欺被害防止アドバイザーということで指名をさせていただきまして、ご高齢の方々の間で、ぜひ振り込め詐欺についての被害を防止する意識を強く持っていただくよう、輪を広げていきたいというふうに考えております。
 それからもう一つは、何といいましてもATM周辺対策であります。
 これは、被害に遭われた方がATMで金を振り込むわけでありますし、それと犯行グループの一味、詐取金を引き出す役、これは私どもは出し子といっておりますが、これもまたATMで金を引き出しているわけでありまして、このATM周辺対策というのが極めて重要であろうというふうに考えております。そこで被害者を発見し保護する、それから、出し子を見逃さずに現場で摘発をするということも含めて、瀬戸際で食いとめていきたいというふうに考えております。
 都内には、ATMの設置箇所が約一万二千ございます。できる限り警察官を動員いたしまして、立ち寄りや駐留警戒、あるいは職務質問を強化いたします。あわせて、金融機関、それからコンビニエンスストア、さらには各地域のボランティア団体の方々の協力も得ながら、携帯電話をかけながらATMを操作している方、これは特に還付金詐欺の場合、こういう形態が多いわけでありますが、そういった様子の顧客の方に積極的に声をかけていただく。
 あるいは犯罪者、先ほど申し上げました出し子でありますが、これはATMの悪用を許さないということで、大方、顔が見えないように帽子をかぶったり、眼鏡、サングラスをかけたり、あるいはマスクをしたりということでありますので、そういった着用をしないようにということで、呼びかけを徹底していきたいというふうに考えております。
 最後に、今後の進め方につきましては、来る十月、振り込め詐欺撲滅月間と位置づけまして、ただいま申し上げたような対策を中心に、文字どおり、社会を挙げた取り組みを展開してまいりたいというふうに考えております。
 現在、東京都と諮りながら、金融機関、コンビニエンスストア、電気通信事業者を初めとして、幅広く官民の関係機関や団体に協力と連携を呼びかけているところでございます。議員の皆様方にも、都内各地域における振り込め詐欺撲滅対策の推進にお力添えいただければというふうに、この機会にぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 以上です。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 政策形成を支える地方税制についてお答え申し上げます。
 社会経済の急速な構造変化に適切に対応していくためには、旧来の国依存の地方税財政制度を早急に改め、地方による自主的、自立的な財政運営が可能となる税制の抜本的改革を行うことが急務となっております。
 こうした改革を行うに当たりましては、まず、生産、分配、消費の各段階でバランスのとれた課税を行い、行政需要を賄うに足るだけの十分な財源が確保できることが不可欠でございます。
 また、増加する大都市需要等に対応するために、一定程度の経済成長に応じた伸び、いわゆる伸張性は必要でございますが、同時に、住民に身近な公共サービスを安定的に提供することが地方の責務でございますので、地方消費税の充実など、安定的で偏在性が少ない税体系を構築することが重要であると考えてございます。
   〔知事本局長吉川和夫君登壇〕

○知事本局長(吉川和夫君) 国と地方のあり方についてでございますが、地方が担うべきさまざまな行政分野におきまして、国の画一的な基準や過剰な関与が数多く存在するため、地方の主体的な判断が阻まれており、地域の実情に合わせた施策を効果的、効率的に展開する妨げとなっております。
 また、国と地方の二重行政は、人や経費のむだを生んでおり、特に国の出先機関に関しましては、住民や議会の監視がほとんど及ばず、非効率な業務運営や不適切な事務処理を行っていても是正されないばかりか、国民の視点に立った行政という基本的姿勢すら失いがちであります。
 何としても、地方に権限と財源を移すことによりまして、住民本位の行政運営を実現していかなければならないと認識しております。
 こうした国の出先機関の見直しや、義務づけ、枠づけといった関与の廃止につきまして、現在、国においては、地方分権改革推進委員会が、年内を予定している第二次勧告に向けて、精力的に議論を進めております。
 都はこれまでも、大臣協議などの手続的な関与の廃止や二重行政の解消につきまして主張してまいりましたが、今後とも、国等の動向を見据えつつ、都議会の皆様とも力を合わせまして、地方分権の推進に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 産業施策に係る地方との連携についてのご質問にお答えをいたします。
 東京が他の地域と連携協力をいたしまして産業施策を展開していくことは、日本経済のさらなる発展につながるものと認識をしております。
 本年四月に開設をいたしました全国観光PRコーナーでは、これまで、北は北海道夕張市、南は宮崎県、沖縄県など、十八の自治体がイベントに出展をいたしまして、約十三万人が来場するなど、好評を得ております。
 また、この十一月に開催をいたします産業交流展では、地球温暖化防止に資する先進的な技術、製品を持つ中小企業を全国から招聘をいたしまして、販路の拡大を支援してまいります。
 さらに、今後、東京進出に意欲的な中小企業を支援するために、その足がかりとなります簡易オフィスを提供する東京ブリッジヘッド事業を実施するなど、地方との連携を強化する観点から、多様な取り組みを推進してまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 首都高速中央環状線の整備促進についてのご質問にお答えいたします。
 中央環状線は、首都圏三環状道路の一つとして、高速道路全体のネットワークを効率よく機能させ、東京のみならず、全国の人や物の円滑な流れを実現するとともに、一般道路の渋滞緩和や環境改善に大きく寄与する重要な路線であり、早期整備は不可欠であります。
 現在、総延長四十七キロメートルのうち三十三キロメートルを供用しており、残る四号新宿線から三号渋谷線までの五キロメートルは平成二十一年度、さらに湾岸線までの九キロメートルは、都みずからも共同事業者となり、平成二十五年度の完成を目指し、整備を進めております。
 今後とも、首都高速道路株式会社と連携し、中央環状線の一日も早い全線開通に向けて、着実に事業を推進してまいります。

議長(比留間敏夫君) 十四番河野百合恵さん。
   〔十四番河野百合恵君登壇〕

○十四番(河野百合恵君) 子育て支援について質問いたします。
 結婚して子どもを産みたいけれど、現状では子どもを養う経済力はありません、妊婦健診の費用が高いことに驚いています、保育園が少ない、正社員は労働時間が長くて、子どもは持てない、これらは、都内の青年団体が取り組んだ、東京の若者の雇用実態調査に寄せられた出産、子育てに対する若者たちの回答です。心痛む声がたくさん寄せられています。
 こうした中で、東京の合計特殊出生率は、全国最低という深刻な事態が続いています。知事は、東京の少子化対策や子育て支援の重要性についてどう認識されていますか。
 四年前の我が党の代表質問で、知事は、フランスが思い切った経済支援を子育て家庭に実施していることを評価し、調査すると答弁されました。その後、どのように調査し、検討をされたのでしょうか。お答えください。
 中でも切実な要望は、経済的支援の充実です。お金の心配をしないで出産、子育てができるようになる、この大事な課題に対する都の見解を伺います。
 児童手当を都独自で拡充すること、出産祝い金の創設、育児用品購入費への支援、出産、育児支援の都営交通無料パス交付などに踏み出すことを提案しますが、いかがですか。
 私立幼稚園保護者負担軽減について、上の子が小学生になっても、下の子には第二子以降の割り増し単価を適用することなど、制度の拡充を求めます。お答えください。
 妊婦健診助成は、都内で十九区二町村が十四回までの助成を実施しましたが、まだ五回の自治体も多く残されています。
 厚生労働省は、妊婦健診は十四回まで公費負担が望ましいとしていますが、財政的には五回分を措置しているだけです。これでは不十分であり、財政措置の拡大が急がれていますが、どうお考えですか。
 同じ都民なのに、住んでいる自治体によって妊婦健診の費用負担に大きな格差が生じている現状を改善する必要があると思いますが、見解を伺います。
 子どもの医療費助成について、中学三年生までの医療費ゼロが知事の公約です。入院、通院とも無料化するのが当然だと思いますが、いかがでしょうか。
 出産のときの分娩費用は負担が重く、平均して、おおよそ五十万円のお金を用意しなくてはなりません。国は、この負担を軽くするため、健康保険から支払われる出産一時金を医療機関が直接受け取る受け取り代理制度を導入しましたが、妊産婦にも医療機関にも使いにくく、利用がふえていません。都独自に使いやすい制度へ改善し、出産の入院費は、出産一時金との差額だけ払えば済むようにすることを提案します。いかがでしょうか。
 安心して出産、育児ができる医療環境の整備も大切です。都立墨東病院の産科医師が減ったことで、普通分娩を受け入れてもらえなくなったことは、区東部地域では衝撃的な出来事でした。江戸川区と江東区で一年間に生まれる子どもは一万人もいるのに、分娩を扱う病院は四カ所しかありません。出産できる医療施設を確保してほしいとの要望は切実です。
 都立墨東病院の産科での正常分娩受け入れを早急に再開してほしいという地域住民の切実な願いをどう受けとめていますか。再開に向けた取り組み状況をお答えください。
 産科医師の確保は急がれていますが、助産師の力を活用すれば正常分娩に対応できます。都立病院で助産師による院内助産や助産師外来を実施するよう求めておきます。
 小児科の医師不足も深刻で、江戸川区葛西地域にある東京臨海病院は、小児科医師不足のために、二〇〇六年の秋から夜間小児救急診療を休止しました。東京において夜間小児救急や産科の休止、廃止が相次いでいることを、都はどう考えていますか。
 政府は、これまでの医療費抑制政策を転換し、医師や看護師を大幅にふやす必要があると考えますが、認識を伺います。
 意欲ある民間病院や公立病院が必要な医師を確保できるように、財政支援の拡充や、都職員として医師を雇用し、医師不足で困っている医療機関に派遣するドクタープール制度の実施、来年度から実施される医師奨学金の対象枠の大幅拡大など、都としてさらなる支援策に踏み出すことを求めるものですが、見解をお聞かせください。
 出産後の育児支援の充実も急がれます。出産したばかりの新生児を抱えた母親が、体調がすぐれない中、授乳やおむつ交換に加えて、家族の食事準備、掃除、洗濯などをするのは大変なことです。産後の家事援助、育児支援のためのヘルパー派遣は大切であり、育児不安や産後のうつ症状であるマタニティーブルーの対策にも効果があります。
 都は、育児支援ヘルパー派遣の重要性をどう考えていますか。
 東京都は、次世代育成行動計画で育児支援ヘルパー事業を位置づけ、来年までに四十九の区市で実施するとしています。既に四十六区市で実施されていますが、実施方法はまちまちで、対象者を限定していて、利用者が年間わずか数人という区もあります。一時間当たり八百円から千円の負担を考えると、頼めないという声も寄せられています。
 都として、補助制度実施を初め、だれでも利用しやすい制度になるよう支援が必要ですが、いかがでしょうか。
 出産後の育児支援として、ショートステイやデイケアを進める都の子育てスタート支援事業が始まり、歓迎されています。区東部地域はマンションの建設が進み、そこに住む子育て世代の多くが核家族であるだけに、こうした育児支援は切実です。
 今年度は、世田谷区、府中市、多摩市でモデル実施の予定ですが、希望する自治体が実施できるよう、さらに拡充していただくよう要望します。見解をお聞かせください。
 少子化対策、子育て支援にとって、働き方の改革は避けて通れません。仕事と生活を両立させるワークライフバランスを推進する重要性をどう認識していますか。
 また、今後どのように取り組むのか、お答えください。
 都は、仕事と家庭の両立支援に取り組む中小企業を登録し、育児休業支援への助成などを行う事業を開始しました。私は、江戸川区内の登録企業から具体的な取り組み状況を聞きました。この企業では、登録申請をしたことで社内に育児休業への理解が深まっていることなどで、引き続き取り組みを進めようという意欲が感じられました。
 多くの中小企業が利用できるよう、さらに拡充を求めるものです。いかがでしょうか。
 あわせて、産休も助成対象にすることや、申請書類の簡略化、通年で申請受け付けを行うことなどを要望しておきます。
 最後に、保育所の充実です。
 東京のことしの四月の保育園待機児は五千四百人を超え、昨年より九百人近くふえました。江戸川区でも、年度末の待機児は毎年六百人を超えます。
 こうした中、東京都が二〇一〇年までに認可園の定員を六千五百人ふやす三カ年計画を明らかにしたことは重要です。
 しかし、私たちの調査では、区市町村の増設計画は、この三年間でおよそ四千五百人分にとどまっています。
 認可保育園増設に向け、区市町村への支援を強化する必要があると思いますが、いかがですか。
 政府が保育制度を改悪し、直接契約、直接補助方式の導入や、保育の最低基準緩和、撤廃を行おうとしていることは重大です。日本保育協会、全国保育協議会、全国私立保育園連盟、全国保育士会の会長を集めたヒアリングが開かれましたが、すべての関係者が断固反対を表明しています。
 こうした保育制度改悪を政府に提言し、最低水準を満たしていない認証保育所を国の制度として認めるよう求めてきた石原知事の責任も極めて重いものです。
 知事が推奨してきた認証保育所で虚偽申請が明らかになり、ことし三月末に初の認証取り消しという事態が生じたことを知事はどう受けとめていますか。
 市場原理主義を保育に持ち込むやり方の大きな問題点が表面化したのではないですか。
 認可保育所の増設と保育の質を確保する、この両方を大切にする必要があると思いますが、知事の認識を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 河野百合恵議員の一般質問にお答えいたします。
 東京における少子化対策、子育て支援の重要性についてでありますが、次代を担う子どもたちを健やかに育て、支えることは、これはもう、親だけではなく社会全体の責務であります。それを果たさないと人間の未来はないと思います。
 都はこれまでも、大都市特有の保育ニーズに対応した認証保育所の整備などに取り組んできました。
 今後とも、働き方の見直しの推進や子育て支援サービスの改革に取り組み、子育ての喜びを真に感じることができる東京を実現していきたいと思っております。
 次いで、保育所の増設と質の確保についてでありますが、認証保育所は、大都市の保育ニーズに対応したサービスとして多くの都民の支持を既に得ておりまして、今後とも、認可保育所と同様に設置を促進してまいります。
 都は、認可保育所、認証保育所を問わず、不適正な事業者については指導を行い、厳正に対処する方針であります。
 希望するすべての人が安心して子どもを預けられるよう、質と量の両面から保育施策を充実していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 十一点についてお答えをいたします。
 まず最初に、諸外国の子育て施策に関する調査についてでありますが、諸外国の施策については、必要に応じて調査、研究を行っておりまして、こうした結果をさまざまな子育て支援策に活用しているところであります。
 次に、子育て支援に係る経済的な支援についてでありますけども、児童手当など子育てに係る経済的な支援については、税制のあり方も含めて、社会保障制度全体を視野に入れて行うべきものであり、基本的には国で対応すべき課題であると考えております。
 次に、妊婦健康診査の財政措置についてでありますが、望ましいとされております妊婦健診十四回分の財政措置について、都は既に国に働きかけを行っております。引き続き国に働きかけてまいります。
 次に、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、昨日もお答えをいたしましたとおり、この制度については、少子化対策を一層推進するとともに、適切な医療を提供できる体制を確保するという観点から検討することが重要であります。
 また、助成内容の拡大に当たりましては、小児医療現場の厳しい状況や、医療保険制度の相互扶助の理念にも十分に配慮する必要があります。
 このような考えのもとに、また、現行の所得制限を前提に助成内容の拡大を図る方向で検討をしております。
 次に、出産育児一時金についてでありますが、医療機関等が被保険者にかわって直接受け取ることのできる受け取り代理が、国の制度として既に導入をされております。国において、制度の改善に向けた検討を行う予定と聞いておりまして、その動向を見守ってまいります。
 次に、小児医療等の確保についてでありますが、都はこれまでも、小児の休日・全夜間診療事業を初め、周産期医療や救急医療を確保してまいりました。
 しかしながら、少子高齢化、医療の高度化、専門分化、さらには医師の過酷な勤務環境などから、小児科、産科を中心とした医師不足が顕在化をしております。
 都は国に対しまして、緊急に医師確保策を講ずるよう強く提案するとともに、病院の勤務医師の負担軽減や看護職員の確保対策に取り組んでいるところであります。
 次に、医師確保策についてでありますが、昨日もお答えをいたしましたとおり、これまでの医師養成数の抑制方針を転換した国の動向も踏まえながら、医師奨学金制度の拡充や、地域医療を支えるための新たな医師確保策などを含めて検討してまいります。
 次に、育児支援ヘルパー事業についてでありますが、育児支援ヘルパー事業は、産褥期の母子に対する育児相談や簡単な家事等の援助など、養育の支援が必要と思われる家族にヘルパー派遣を行う事業でありまして、母子が安定した生活を始めるために重要であると認識をしております。
 次に、育児支援ヘルパー事業への支援についてでありますが、この育児支援ヘルパー事業は、区市町村が直接国の補助を受けて、その主体的な判断に基づいて実施するものであると認識をしております。
 次に、子育てスタート支援事業についてでありますが、平成十九年度から三年間のモデル事業として実施しており、今後、対象者の範囲やその把握方法、事業実施効果等について検証してまいります。
 最後に、認可保育所増設に向けた区市町村への支援についてでございますが、この質問につきましては、昨日も認証保育所と市場原理主義とを結びつけたご発言がございましたが、ただいまは、認証保育所は市場原理主義を保育に持ち込んで大きな問題を引き起こしている、ついては、認可保育園をふやすために市町村に補助を行えというロジックでございますけれども、市場原理主義について申し上げれば、私の理解といたしましては、なるべく市場に干渉を行わず、すべてを市場にゆだねれば、公平さと繁栄が約束されるという考え方だと理解しております。
 都の認証保育所制度は、職員配置、施設設備等に関する基準を設けて指導監督を行っておりまして、市場原理主義の考え方とは違うものでございます。
 また、先般、不正のあった事業者に対しまして、都は厳しい処分を行った事例をして、市場原理主義の問題点が表面化したというご指摘は当たらないものと考えてございます。
 先ほど知事からお答えをいたしましたように、都は今後とも、認可保育所、認証保育所を問わず、不適正な事業者があれば指導を行い、厳正に対処していきます。
 そして、区市町村への支援についてでございますが、都は今年度から、認可保育所だけでなく、認証保育所、認定こども園など多様な保育サービスを組み合わせ、今後三年間で一万五千人分の整備を行う保育サービス拡充緊急三カ年事業に全力で取り組んでおります。
 この目標を着実に達成するため、マンション等併設型保育所の設置促進などにより、区市町村への支援を強化したところでございます。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、私立幼稚園保護者負担軽減についてでありますが、都では、園児保護者の負担を軽減するため、保護者の所得等に応じた補助を適切に行っているところでございます。
 第二子以降の割り増し単価の適用につきましては、昨日の代表質問でも、私の方からご答弁申し上げましたが、子育て支援総体の中での位置づけなどを踏まえ、総合的に検討してまいります。
 次に、ワークライフバランスについてでございますが、ワークライフバランスは、働き方の見直しなどを通じて、仕事と家庭や地域生活との調和を図るものでございまして、その推進は、子育て支援のみならず、男女平等参画社会の実現にとっても重要でございます。
 都においては、本年二月の東京都男女平等参画審議会専門調査会報告を受けまして、今年度、ワーク・ライフ・バランス実践プログラムを作成いたしまして、企業における具体的な取り組み方策を提示するほか、都民への普及啓発も行うこととしております。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 墨東病院の産科に関するご質問にお答えいたします。
 墨東病院は、総合周産期母子医療センターとして、合併症妊娠や切迫早産、胎児異常等のハイリスク分娩など、高度な周産期医療に対応する役割を担っております。
 全国的な産科医不足の中にあって、墨東病院もその例外ではありませんが、限られた人材を有効に活用し、地域との役割分担を行いながら、リスクの高い分娩を最優先に対応しております。
 引き続き、こうした考えのもと、産科医師の確保に努め、周産期医療の充実に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 育児休業支援などに取り組む中小企業への助成拡充についてのご質問にお答えをいたします。
 都は、中小企業において、仕事と子育てなどの家庭生活を両立できる雇用環境の整備を促進するため、昨年度、両立支援推進助成制度を創設いたしまして、両立支援体制の整備に係る費用の一部助成を実施しております。
 さらに、今年度からは、事業計画に基づきまして、助成の対象と規模を拡充しております。

議長(比留間敏夫君) 九十番山田忠昭君。
   〔九十番山田忠昭君登壇〕

○九十番(山田忠昭君) まず初めに、知事にお尋ねをいたします。
 本年六月は秋葉原で、七月には八王子において無差別殺人事件が起きました。その衝撃は、いまだ我々の記憶に生々しいものがあります。このほかにも、未成年が見知らぬ人を電車のホームから突き落としたり、就眠中の父親を殺すなど、動機不可解としかいいようのない犯罪が多発しております。
 知事が所信表明で述べられたように、昨今の若者は社会から断絶しており、事件に至ったさまざまな問題の背景には、共通して、現代文明の病理を見出すことができると思います。
 そこで、昨今の若者の置かれた状況について、知事はどのようにとらえられているのか、所感をお伺いいたします。
 今日、インターネットの有害情報があふれ、学校裏サイトや出会い系サイトなどによる犯罪は後を絶ちません。
 都では昨年、青少年健全育成条例を改正し、フィルタリングの告知、勧奨の努力義務を販売事業者に課しました。一定の効果が上がっていると聞いておりますけれども、有害情報に対する保護者の認識が甘いことなどから、実際、フィルタリング普及状況は、思ったほど改善されていないのが現状であります。
 ことし六月、いわゆる有害サイト規制法が成立し、国だけでなく地方公共団体も、インターネットの適切な利用に関する教育、広報啓発活動など、民間団体または事業者への支援などを行うことが規定されましたが、都では、この法律についてどう受けとめているのか、また、都として具体的な施策を推進していくべきと考えますが、あわせて所見をお伺いいたします。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 都は、この夏、スポーツ都市の実現を目指して、東京都スポーツ振興基本計画を策定いたしました。だれもがスポーツに親しめる社会をつくるためには、日ごろスポーツに親しむ機会が少ない働き盛りや子育て世代が、職場や家庭で気楽に取り組める環境を整えることが重要であります。
 その一つとして、先ごろ都は、場所を選ばず、だれもが楽しく行えるTOKYO体操を発表いたしました。多くの都民がさまざまな機会にTOKYO体操に取り組むことで、東京国体やオリンピック・パラリンピック招致に向けたスポーツムーブメントを醸成することにもつながると考えますが、今後どのように普及活動を展開していくのか、お伺いいたします。
 次に、安全でおいしい水についてお伺いいたします。
 海外では、水質面などに問題があり、蛇口からそのまま水が飲めない国もあります。そのため、食卓にボトルウオーターが並ぶ光景も見られますけれども、日本では、安全でおいしい水道水を蛇口から飲む、すばらしい文化を受け継いできました。
 特に東京都では、我が党が水道局とともに、高度浄水処理の導入や残留塩素の低減策など先進的な取り組みを行うことで、世界に誇る高品質の水道水をつくり上げてまいりました。
 ところが、水道水を飲まない人も少なからずおり、小学校へ水筒を持参する児童もいると聞いております。子どものころの習慣は、大人になっても、そう簡単に変わるものではありません。
 そこで、水道局では、PR施策の一環として、公立小学校の水飲み栓を直結化するモデル事業、すなわち学校フレッシュ水道を進めております。安全でおいしい水、これを一層浸透させるため、さまざまな対策を講じていくべきと考えますが、見解を伺います。
 本定例会には、公立小中学校などの耐震化対策のための補正予算案が提出されており、学校の耐震化が喫緊の課題となっております。このため、区市町村では、水道栓直結化の工事を先送りしなければならないケースもあり、事業の期間延長を要望いたしております。
 そこで、モデル事業をさらに成功させるためにも、二十年度限りで事業を打ち切ることなく、期間を延長すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、多摩地域の都市づくりについて伺います。
 多摩地域の人口は、現在、四百万人に上り、都道府県別の人口で比べると、全国で十番目となっております。また、多摩地域の製造品の出荷額は、都全体の五割強に上っているほか、大学が集積し、NPOも数多く設立されており、人口、産業、人材などに高いポテンシャルを有しております。
 この多摩地域には、東京圏の中核拠点として、八王子、立川、青梅、町田、そして多摩ニュータウンの五つの核都市が定められております。また、生活圏レベルの拠点といたしまして、鉄道など公共交通の駅周辺に形成されている生活拠点が多摩の各地にあり、多摩地域が今後とも発展していくためには、多摩地域のポテンシャル、とりわけ、都市活動の中心を担っている核都市や生活拠点のポテンシャルを生かすことが必要と考えます。
 多摩地域の都市づくりとして、核都市や生活拠点の整備については、都や地元市で取り組みが進められてきておりますが、これまでの整備に対して、都はどのように評価しているのか、まずお伺いいたします。
 今後、東京の人口は、二〇一五年をピークに減少に転じると予測されており、少子高齢化も急速に進行いたしております。
 また、平成二十五年には、多摩地域を主な会場として東京多摩国体が開催されますが、この多摩国体を円滑に実施する上でも、多摩地域の整備をスピードを出して進めていくことが必要であります。
 このように都市づくりを取り巻く環境が大きく変化している中で、今後、都は、核都市や生活拠点の整備にどのように取り組んでいくのか、伺います。
 多摩地域の全体の活力を向上させるためには、核都市とともに生活拠点の整備を進めることが重要であります。
 我が西東京市のひばりヶ丘駅周辺は、生活拠点に位置づけられております。ひばりヶ丘駅周辺が一層の魅力と活力を発揮していくためには、今後、都市機能のさらなる充実を図ることが必要と考えます。都の所見をお伺いいたします。
 次に、緑の維持、保全についてお伺いいたします。
 都では、「十年後の東京」において、緑の復活を目標の第一に掲げ、千ヘクタールの緑の創出に向けた取り組みを進めておりますが、農地や樹林地などの既存の貴重な緑の現状を見ると、残念ながら、今もなお減少し続けております。
 緑への施策は、公園の整備など新たな緑をふやすことのほかに、武蔵野の屋敷林や里山など、今ある残された緑について各種保全策を講ずるなど、バランスよく取り組んでいくことが重要であります。
 先般の「十年後の東京」への実行プログラムでは、こうした課題に対応するため、区市町村との連携により、緑の維持、保全に向けた総合的な方針の策定に取り組むとしております。都市内に残された緑を含め、あらゆる空間に緑を配するような、積極的な取り組みを期待するものであります。
 そこでまず、緑の維持、保全に向けた総合的な方針を策定する目的についてお伺いいたします。
 また、方針の策定に当たっては、都の主導力のもと、区市町村との連携を進め、実効性を確保していく必要があります。
 そこで、今後、策定に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 最後に、多摩南北道路五路線の一つであります調布保谷線についてお伺いいたします。
 多摩地域を南北に貫く調布保谷線は、地域におけるまちづくりを進めていく上で極めて重要な路線であり、その整備については、多摩地域に住む都民は大きな期待をいたしております。
 そこで、現在整備を進めている西東京区間の進捗状況について、まずお伺いいたします。
 次に、西東京区間における西武池袋線との立体交差化についてお伺いいたします。
 調布保谷線は、道路がトンネルとなる構造で西武池袋線と立体交差する計画となっており、既存の踏切を除却することが当初から計画されておりました。地元からは、調布保谷線の一日も早い整備を待ち望んでいる一方で、この計画について、都から十分な説明や広報がなされていないとの声が届いております。
 また、踏切北側にあります消防署や病院への緊急車両のアクセスや、南北一体の地域コミュニティの分断など、近隣住民は、日常生活に著しい影響を受けるのではないかと心配いたしております。
 そこで、西武池袋線における立体交差化にかかわる対策と今後の地元住民への対応について伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山田忠昭議員の一般質問にお答えいたします。
 昨今の若者の置かれた状況についてでありますが、これは本当に、ある意味では非常に気の毒な気がいたします。今の若者は、生まれながらに非常に便利な文明の恩恵に囲まれまして、物質的に恵まれ過ぎ、自分で苦労して物事をなし遂げる機会を逆に奪われていると思います。
 また、求める前から情報があふれている現代の環境では、個性や感性を磨くことが妨げられていまして、これは文明工学的にも非常に皮肉な結果であるし、気の毒な結果であると思います。
 首都大学東京の宮台教授という若い学者ですけど、彼にいわせますと、情報がはんらんすることで、情報に埋没して、情報の整理や情報の評価まで情報に頼るという、非常に危険な、こっけいな現象が到来していると思います。
 もう一つは、前にも申したと思いますが、動物行動学者のコンラッド・ローレンツが指摘しましたように、幼児期に非常に過保護に育てられた結果、つまり、子どもたちにこらえ性がなくなって、そのまま成長する。ローレンツにいわせますと、幼いときに肉体的苦痛、これは何も虐待なんかじゃございません。例えば、物事を我慢する、飢えを我慢する、渇きを我慢する、あるいは、嫌な仕事でも命じられれば我慢して行う、そういった一種の肉体的苦痛を味わったことのない、つまり厳しくしつけられたことのない子どもは、長じて非常に不幸な人間になるといっていますが、そのとおりで、やはりこらえ性、トレランスというものがなくなりますと、結果として、周囲から眺めれば動機不可解な犯罪や、あるいはネット心中、ニート、ひきこもりといった、こういった現象に引き込まれると思います。
 すべてに共通するのは、自分が生きている、その人生の中で、他者との摩擦を、我慢するだけじゃなしに、それを拒否、忌避することで、他者とのきずなが実感できずに、いわば実存というものが希薄化していることが根底にあると思います。
 このような今の若者をむしばんでいる非社会性の問題への即効的な処方せんは、これはなかなかございませんが、やはり家庭、地域などが連携して、不安や孤独感を深めている若者に社会全体としてかかわって、包み込んでいくことが肝要と思います。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔青少年・治安対策本部長久我英一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(久我英一君)
 いわゆる有害サイト規制法の成立についてでありますが、都は、条例により、販売店等に対し、フィルタリングの告知、勧奨の努力義務を課すなど、国に先駆けてインターネット環境の整備に努めてきたところであります。
 この法律により、関係事業者の自主的な取り組みが進み、フィルタリングの普及が一層促進されることを期待しております。
 しかしながら、この法律におきましても、フィルタリング導入の最終的判断が保護者にゆだねられております。ことし二月に都が実施した実態調査では、フィルタリングが徹底されないと思う理由として、親の知識不足と回答した販売員が七割を超えたことなどからも、保護者の認識を高めることが依然として重要な課題であると考えております。
 次に、インターネットの適切な利用に関する具体的な施策の推進についてでありますが、都はこのたび、ネット、携帯をめぐる諸問題に精通した約二十名の方々をeメディアリーダーとして養成し、十月から、保護者の知識や認識を高めるための実践的講座を開始することとしております。
 また、十月中旬には、中学生を対象に、ネット、携帯についてみずから考える参加型のイベントを、教育庁や警視庁と合同して新たに開催いたします。
 民間団体や事業者への支援に関しましては、今後、国の動向等も踏まえ、連携の強化等について検討してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) TOKYO体操の普及活動についてでございますが、TOKYO体操は、だれもが楽しく行える新しい健康体操として開発したものでございまして、あらゆる機会をとらえて積極的に普及を行っていく必要がございます。
 このため、都では、まず、ホームページを通じましてダウンロード可能な画像の配信を開始いたしました。さらに、テレビ番組など都の広報媒体を活用して広く普及宣伝を行うとともに、都内の学校や企業に対しましても周知を図ってまいります。
 これに加えて、都が主催するスポーツ大会等におきまして実演指導を行うほか、区市町村の体育指導委員の協力を得て地域への浸透を図るなど、重層的な普及活動を展開していく考えでございます。
 今後も、こうした取り組みを通じまして、東京国体やオリンピック・パラリンピック招致に向けたスポーツムーブメントの創出を図ってまいります。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 安全でおいしい水を一層浸透させるための対策についてでありますが、水道局では、より安全でおいしい水を供給するため、高度浄水処理の導入や残留塩素の低減化などを行うとともに、安全でおいしい水プロジェクトとして、お客様へのPR施策を含め、さまざまな事業を行っております。
 こうした施策の一環として、平成十九年度から二十年度まで二カ年を事業期間として、公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業を推進しております。水飲み栓を直結化した学校では、児童からも喜ばれ、教職員からも高い評価を得ております。安全でおいしい水に向けた東京都と同様の各種の取り組みは、他の都市にも広がりつつあります。
 今後とも、より多くのお客様に水道水のおいしさについて実感していただき、理解を深めていただくために、一層の創意工夫を凝らし、積極的に施策を推進してまいります。
 次に、公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業の期間延長についてでありますが、現在、区市町では、大規模な地震の頻発にかんがみ、校舎の耐震化を優先的に行うべき事業としており、水道の水飲み栓の直結化は、多くの学校で、耐震化の見通しを踏まえた上で行いたい意向であると伺っております。
 このため、区市町の意向などを考慮し、児童や教職員からの評判が高く、PR効果も高い学校水飲み栓直結給水化モデル事業を、平成二十年度で打ち切ることなく、引き続き二年間延長する方向で検討してまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域の核都市や生活拠点についてでございますが、多摩地域が活力にあふれ、自立して発展していくためには、業務・商業、文化など都市活動の中心的な場となっている五つの核都市や多摩各地の生活拠点において都市機能を充実させ、魅力とにぎわいの向上を図ることが必要でございます。
 これまで、都や地元市では、拠点駅周辺の面整備事業や、多摩都市モノレール等の交通基盤の整備に積極的に取り組んでまいりました。
 核都市におきましては、過去十年間で、業務機能を担う事務所の床面積が倍増するなど、着実に活力の向上が図られており、生活拠点におきましても、地域の特性を生かしたまちづくりが進捗しております。
 次に、今後の核都市や生活拠点の整備についてでございますが、都市づくりを取り巻く環境の変化等を踏まえると、今後は、市街地の拡大を抑制しつつ、既存のストックを活用しながら都市機能を集約し、コンパクトで質の高い市街地の形成を進めることが必要となります。
 このため、例えば、駅前の未利用地の活用や既成市街地の再開発など、新たな時代の要請に対応した都市づくりを進めることが重要でございます。
 また、都市づくりに際しまして、緑の保全、低炭素社会の実現など環境面の取り組みや、産業拠点としての多摩シリコンバレーの育成等を図ることも必要でございます。
 今後、都としては、このような観点も踏まえ、核都市などの整備方針を策定し、活力ある多摩地域の実現に向けて、多摩の拠点の整備に重点的に取り組んでまいります。
 次に、西東京市のひばりヶ丘駅周辺についてでございます。
 駅南口では、市が再開発の促進に向けて地区計画を定め、民間による緑豊かで質の高い居住環境の整備を誘導するとともに、歩行者空間の整備を進めております。
 また、北口でも、まちづくりの基本構想を策定し、道路や駅前広場、街並み等の整備の方向を示しており、この構想に沿って、本年二月には、ひばりヶ丘駅北口線など都市計画道路二路線の事業認可を取得し、まちづくりが動き出しております。
 都といたしましては、今後策定する拠点の整備方針を踏まえ、駅周辺や都市計画道路等の整備に対しまして積極的に支援を行い、ひばりヶ丘駅周辺地区の生活拠点としての機能の充実を図ってまいります。
 次に、緑の総合的な方針の策定についてでございますが、都は、計画的に公有地の緑をふやす観点から、平成十八年に都市計画公園・緑地の整備方針を策定して事業化に取り組んでおります。
 一方、お話の屋敷林や寺社の境内の森など、民有地に現在残る緑につきましては、まちの雰囲気や原風景を形づくっておりまして、将来に向けて引き継ぐべき、いわば地域の資産として、より一層積極的に保全を進めていく必要がございます。
 このため、都全域の緑の現状を十分に把握した上で、望ましい緑のあり方や取り組みの方向性を明らかにするとともに、あわせて、住宅地や商業地など、地域の特性に応じた緑の誘導策を示すこととし、これらを体系化した緑確保の総合的な方針を策定することといたしました。
 最後に、策定に向けた今後の取り組みについてでございますが、この方針を将来にわたり実効性のあるものとしていくためには、都と区市町村が連携を一層強化して取り組んでいくことが重要でございます。
 このため、これまで培ってきたノウハウを相互に生かし、行政区域にとらわれない観点からも施策が展開できるよう、区市町村と共同で策定することといたしました。
 今後、多様化する緑の課題の解決に幅広い視点から取り組むため、有識者による会議を設置するとともに、関係する局間の連携も図りながら、平成二十一年度末を目途に方針を取りまとめてまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 調布保谷線についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、西東京区間の進捗状況についてでありますが、本路線は、交通の円滑化、多摩の自立性の向上、地域の活性化に不可欠な骨格幹線道路であります。
 現在、西東京市内では、青梅街道から埼玉県境までの三・九キロメートルについて事業を実施しております。これまで、おおむね九割の用地を取得し、石神井川にかかる橋梁工事や、西武新宿線との立体交差部におけるトンネル工事を進めております。
 今後は、整備効果の早期発現に向けて、残る用地の一日も早い取得に努め、工事を着実に実施してまいります。
 次に、西武池袋線との立体交差に伴う対策と、今後の地元対応についてでありますが、自動車や歩行者などの安全確保や、鉄道の安全運行を図るため、調布保谷線はトンネルで西武池袋線と立体交差する計画となっており、これに伴い、立体交差箇所にある踏切は除却することといたしました。
 計画の策定に当たっては、地元市と協議するとともに、都市計画変更や環境アセスメントの説明会などの機会に地元へ説明してまいりました。
 今後、地元市と一層の連携を図り、迂回ルートや歩行者等の立体横断施設の設置などについて具体的に検討し、対策を講じるとともに、地元住民の理解と協力を得るため、市報や説明会を通じて、きめ細やかな情報提供を行ってまいります。
 引き続き、多摩地域の重要な骨格幹線道路である調布保谷線の早期完成に向け、積極的に整備を進めてまいります。

議長(比留間敏夫君) 五十三番泉谷つよし君。
   〔五十三番泉谷つよし君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○五十三番(泉谷つよし君) 平成に入り、東京都では、マンション住民の人口が急速に増加しております。計画道路の着工により拡幅工事が行われれば、必ずその沿道にはマンションが建設されます。
 東京都では、区分所有による共同住宅をマンションと定義し、平成十五年の住宅・土地統計調査によると、全世帯数の五割がマンションに居住しているという調査結果になっています。それから五年が経過し、現在の都内のマンションの総戸数は百四十一万戸であり、この五年間では約三十万八千戸も供給されています。
 一般的に、一戸建てに比べ、マンションは高層利用しています。「マンション資産を守りぬけ!」という、中央公論新社からの引用によりますと、五年前で、東京都では三二%の固定資産税をマンション住民からいただいているということです。ということは、これまでのような一戸建て政策だけに傾注するのではなく、マンション住民に対し、十分なサービスをしなければなりません。
 また、マンション住民が急増したことにより、さまざまなニーズ、問題が生じています。
 そこで、マンション問題を取り扱う専門職員は、どのくらい東京都にはいるのでしょうか。
 また、相談窓口にしても、区分所有法を理解している相談員が少なく、さまざまなトラブルを解決できません。
 この問題は、弁護士や一級建築士では解決できない問題であり、そこで、担当の中で、マンション管理士など、専門性のある職員を配置すべきと考えておりますが、所見をお伺いいたします。
 二十年度予算では、新規事業として、マンションの耐震改修に要する費用に対する助成が一億円計上されています。「十年後の東京」への実行プログラムや民間建築物等の耐震化促進実施計画では、二十年度は、マンションの耐震改修目標は二十件で八百戸と明示されており、本予算額から逆算すれば、一件当たり、上限を五百万円としているのだと理解できます。
 そこでまず、対象地域、対象建物、お金の流れなどがどのようなものになるのか、このマンションの耐震化促進事業の基本フレームについてお伺いいたします。
 新しく創設するマンションに対する耐震改修助成制度も、利用の促進を図るためには、木造住宅と同様に、単にお金を出すだけではだめで、耐震診断を行った結果、耐震基準を満たさないマンションがどの程度あり、それらのマンションの管理組合がどのような意向を持っているのか把握しておくことも必要だと考えます。
 マンションの耐震化促進策について、現状をどのように認識し、今後どのように制度の普及を図っていくのか、所見をお伺いいたします。
 阪神大震災では、神戸にあった千四百五十棟のマンションのうち、全壊したマンションは七十棟であり、そのうち六十九棟が昭和四十六年以前に建てられたマンションでした。都内には、建築基準法で耐震基準が初めて改正された昭和四十六年以前に建てられたマンションが約四万八千五百戸あります。早急に手当てを施さなければなりません。
 また、阪神大震災では、行政とパイプのないマンション住民は、その救済や安否の確認など、すべて最後に回されたという現実があります。特に最近では、個人情報保護のもと、匿名社会に生きるマンション住民が大震災によって被災した場合、マンション住民に対する救済計画をあらかじめ策定しておくことが最優先課題の一つと考えます。
 また、昭和四十六年以前に建てられたマンションは、築三十七年以上を過ぎ、建てかえを余儀なくされる時期を迎えており、区分所有法の改正や容積率緩和法案も通り、建てかえも、より現実的になってきています。
 ある程度敷地があり、幅員の広い公道に面しているマンションでは、容積率の緩和によって、自己負担なしで建てかえが可能ですが、それ以外のマンションでは、建てかえる場合には自己負担が必要になってしまいます。四十代でマンションを購入した人でも、三十年たつと七十歳を超え、建てかえに際し、新たなローンを組むことは非常に困難になっています。そのまま放置しておけば、マンションはスラム化してしまいます。
 このような現象を避けるため、都が、マンション建てかえのために、区分所有者に対し融資することが大変有効ではないかと考えます。マンションへの融資は、回収不能になるわけではありませんし、何より、建てかえを進めることが困難な状況に陥っている管理組合にとって、非常にありがたい支援策となると考えます。
 このマンション建てかえのために、都が区分所有者に対して融資あるいは補助するという提案について、所見をお伺いいたします。
 また、老朽化したマンションには、多くの高齢者が住んでいます。しかし、古いマンションには高齢者の居住を想定した設備が整えられておらず、ふろも廊下もすべて健常者向けにつくられています。中でも、昭和三十八年から昭和四十八年までの十年間は、七〇%以上がエレベーターのない五階建て以下のマンションでした。
 エレベーター未設置のマンションは、都内で何戸あると把握しているのでしょうか。また、これらの古いマンションに対するエレベーター設置費補助を制度化すべきだと考えていますが、あわせて所見をお伺いいたします。
 次に、介護保険についてお伺いいたします。
 前回の質問では、改正介護保険法が施行されて間がありませんでしたが、二年弱たち、主に次のような課題が浮かび上がってまいりました。
 一つとして、要介護認定者、特に要支援、要介護一の者の増加が著しい。
 二つ目として、要支援者への予防給付が状態の改善につながっていない。
 三番目として、特養の入所希望者が急増している。グループホーム、特定施設利用が急増。在宅生活を希望する高齢者が在宅生活を続けられない。
 四、介護以外の問題を抱える高齢者については、ケアマネだけでは問題解決が難しい。
 五、要介護高齢者のほぼ半数は認知症高齢者自立度Ⅱ以上であり、認知症高齢者ケアは発展途上で、尊厳の保持を図る視点からも高齢者介護の中心的課題である。
 六つ目として、事業者選択のための情報提供が不十分。サービスの質に関する苦情が多い。従業員の資質の向上、人材育成が課題。
 このような問題を念頭に置き、質問していきたいと思います。
 高齢化社会が現実となり、そのスピードが加速していく中、平成二十一年には、第四期東京都高齢者保健福祉計画の策定、その取り組みの推進を図ることになっています。
 特に問題が顕在化していることは、施設にあきがないため、あきを待っている間に亡くなられる方がふえてきていることです。
 そのような状況のもと、東京都の用地費補助制度の廃止は、地価が高い都市部にとって、施設整備に大きな影響を及ぼすと考えられます。
 特養の施設整備促進のためにも、用地費補助制度の継続が望まれていますが、所見をお伺いします。
 また、認知症高齢者グループホームの整備に対する補助制度も、あわせて充実を図るべきだと思いますが、所見を伺います。
 昭島市では、長年にわたり、婦人保護施設から住所不定者を養護老人ホームへ措置してきていますが、従来、この費用は、国と都が負担してきました。しかし、三位一体改革により、費用負担が市区町村負担となったため、住所不定者を多く抱える自治体の負担は大きく増加しました。
 広域行政を担う東京都の責任において、これを処置すべきだと考えますが、所見をお伺いします。
 昨今、テレビなどにより、介護従事者の過酷な労働環境の実態を特集する放映が数多くなされています。それに伴い、介護従事者を希望する人が激減し、また、離職者も顕著になっています。この状況を打破するためにも、介護職員の待遇改善に努めなければなりません。
 また、今のままでは福祉業界のイメージが悪くなる一方であります。
 東京都では、この悪いイメージを改善するため、宣伝、PRを実施する計画はあるのか、お伺いいたします。
 次に、新予防給付について定額制が導入されました。これでは、事業者は、軽度の介護者を扱うと利益が計上できず、どんなに事業者が努力してよいサービスを提供しても、入ってくる収入は同じ。結局、新予防給付や定額制の導入は、介護事業者を赤字に追い込み、大量の介護従事者の流出を招いています。
 二〇〇三年、介護者の求職数は二十万強で、二〇〇五年には、介護保険のスタート当時の十五万人を下回ってしまいました。これを是正するため、人材育成に係る事業のさらなる充実をすべきと考えますが、都はどのように考えているか、見解を伺います。
 私、豊島区に住んでおるんですが、豊島区では、区報やホームページの介護保険のお知らせにより、関連サイトにアクセスができるようになりました。また、二〇〇七年度には、介護保険の窓口に、区民、利用者が自由に利用、検索できる、介護サービス情報の公表専用ノートパソコンを設置しました。しかし、実際には、介護サービス情報の公表制度や公表情報の検索に関する利用者、区民からの問い合わせはほとんどなく、パソコンの利用もほとんどないのが実態です。
 そのことをしっかり認識し、公表制度がいかにむだで、反対に、そのことで時間をとられ、介護の質を落としているということを認識すべきときが来たと思いますが、所見をお伺いします。
 最後に、要介護から要支援と認定された人の予防プランについてです。
 利用者のケアプランを作成する事業者でも、長年、要介護と認定されてつき合ってきた利用者が要支援の認定に変更になることによって、自動的に地域包括に流れてしまうことがあります。それは、平成十八年四月の制度改正により、ケアマネの予防プランの受託件数について、最大件数八件という規制が介護の現場に大きな混乱を生じさせているからであり、継続してケアプランを担当できない状況を生んでいます。
 この制度について、広域行政の都としての見解をお伺いいたしまして、泉谷つよしの一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 泉谷つよし議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、マンション施策を担当する職員についてでございます。
 平成十年に出されました東京都住宅政策審議会答申を踏まえまして執行体制を整備いたしまして、管理適正化を初め、耐震化の促進や建てかえ支援などのマンション施策に既に取り組んでおります。担当する職員につきましては、業務に精通した職員の配置に努めております。
 次に、マンション耐震化促進事業についてでございますが、本事業は、旧耐震基準で建築された分譲マンションのうち、改修が必要なものに対しまして、区市等を通じて補助を行うものでございます。
 マンション耐震化には、多数の区分所有者の合意形成が必要となるほか、幅広い専門知識が欠かせない等の課題がございます。
 都は、区市等に対しまして助成制度の一層の活用を促すとともに、区分所有者の合意形成に向けた啓発や、民間団体と協力した相談体制の整備等に取り組んでおります。
 次に、マンション建てかえのための融資、補助についてでございますが、都は、建てかえを支援するために、一定の要件を満たす場合は、共同施設の整備費、これは廊下とかエレベーターでございますが、それなど、建てかえ費用の一部を、区市等を通じまして管理組合に対して補助をしております。
 融資につきましては、住宅金融支援機構が実施しておりまして、都みずから行うことにつきましては考えておりません。
 最後になりますが、エレベーター未設置のマンションについてでございますが、平成十五年の住宅・土地統計調査によりますと、三階建てから五階建てのマンションでエレベーターのない住戸は、都内に十四万四千戸ございます。
 都は、先ほど申し上げましたとおり、マンションの共用部分の改良工事に対しましては、利子補給による助成制度を実施しておりまして、エレベーターの設置につきましても助成対象としております。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 七点についてお答えをいたします。
 まず、特別養護老人ホームの用地取得費助成事業についてですが、本事業は、約半数の区市町村で特別養護老人ホームが未整備でありました昭和六十年度に開始をしたものであります。当時は、施設用地の自己所有が原則であり、用地取得費の資金調達も困難であったことなど、用地確保が大きな課題となっておりました。
 その後、国の規制緩和により、民有地の貸し付けによる特別養護老人ホームの整備が可能となり、現在は、定期借地権制度を活用することによって、長期的に安定した用地確保が可能となったほか、用地取得費に対する融資制度の充実が図られるなど、状況が大きく変化をいたしました。
 こうしたことから、用地取得費助成事業は、平成二十年度着工分をもって終了することといたしました。
 次に、認知症高齢者グループホームの整備費補助制度についてでありますが、都はこれまでに、独自の補助制度によりグループホームの整備促進を図ってまいりましたが、平成二十年度からは、事業者の参入をさらに促進するため、民間企業や土地所有者に対する補助額を増額するとともに、従来補助対象としておりませんでした増築についても、新たに補助対象といたしました。
 これに加えて、高齢者人口に比べまして整備状況が十分でない地域を重点的緊急整備地域と位置づけまして、補助単価を一・五倍に加算するなど、整備の促進に努めているところであります。
 次に、住所不定者の養護老人ホーム入所措置にかかわります措置費についてでありますが、平成十六年度までは、国と都道府県が措置費の二分の一ずつを負担することとされておりましたが、平成十七年度の国の三位一体改革により、措置費の全額を区市町村が負担するものとされ、その財源については、税源移譲と交付税により措置をされております。
 次に、福祉の仕事のイメージアップについてですが、都は本年五月、福祉の就活応援キャンペーンを実施し、福祉、介護の仕事の魅力をPRするとともに、七月には、国と連携し、「福祉の仕事 就職フォーラム」を開催するなど、福祉職場への就職を効果的にサポートしてまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを進めてまいります。
 次に、人材育成に係ります事業のさらなる充実についてでありますが、都は、本年度から新たに、福祉人材センターを活用いたしましたキャリアカウンセリングにより、就職支援を強化しております。
 また、経営者やリーダー層を対象にしたマネジメント研修テキストの開発や、区市町村における有資格者の資質向上に向けた研修への支援を行っております。
 引き続き、効果的な事業展開を図っております。
 次に、介護サービス情報の公表制度についてでありますが、この制度は、高齢者が情報を入手して、事業者と対等な立場で介護サービスを選択することが困難であるために、事業者の情報を適切に提供する仕組みとして創設されたものであります。
 その目的は、介護保険制度の理念である利用者本位の選択を実現するとともに、よりよい事業者が利用者から適切に選択されることを通じて介護サービスの質の向上を図ることでございます。
 なお、都としては、本制度が幅広く活用されるよう普及啓発に努めていくとともに、利用者にとってより一層利用しやすいものとなるよう、既に国に対し、システムの改善を求めているところであります。
 最後に、介護予防ケアプランについてでありますが、居宅介護支援事業所の介護支援専門員一人当たりの取扱件数に上限が設けられているのは、ケアマネジメントの質の向上を図るためであります。
 お話の要介護から要支援へ変更となる場合には、ケアプランの担当者が、事業所の介護支援専門員から地域包括支援センターにかわることになりますが、必要な情報を提供するなど、連携を図ることとなっているところでございます。

副議長(石井義修君) 十八番中山信行君。
   〔十八番中山信行君登壇〕

○十八番(中山信行君) 初めに、バリアフリーについて伺います。
 私は昨年、都の福祉のまちづくり推進モデル事業を視察し、その重要性を実感しました。現在、地元足立区では、西新井大師駅周辺のまちづくりに本事業の活用を準備中であり、私も期待しております。
 都は、昨日の公明党の代表質問に答え、福祉のまちづくり条例の改正に意欲を示しました。人々が障害の有無にかかわらず、意思や情報を伝え合い、互いに能力を発揮し、助け合っていくことのできる社会こそが真のユニバーサル社会であります。
 障害者と健常者との間に存在するコミュニケーション上の障壁を取り除くコミュニケーションバリアフリーこそ、東京の独自性と先見性にふさわしいユニバーサル社会の姿と考えますが、知事の所見を伺います。
 通信技術の活用は、コミュニケーションバリアフリーにとって重要です。携帯電話のテレビ電話機能は、手話による通話を可能にし、QRコードの読み取りは情報量を拡大します。また、メールなどの文字情報を音声に変換して読み上げる機能の開発も進んでおります。
 都は今後、携帯通信機器による情報交換が一層進むことを見越して、行政サービスや社会のインフラのあり方を検討し、活用の普及を図るべきです。
 また、条例改正を機に、通信機器の活用に限らず、コミュニケーションバリアフリーの進展に向けて支援を拡大するべきです。あわせて見解を求めます。
 ユニバーサル社会の進展には、少数者の視点が大切です。例えば、雨天時でも車いす利用者が気軽に外出できるよう、スロープには雨よけ用の屋根が必要です。また、スロープからおりたらすぐに車へ乗り込めるように、スロープと車の停車位置を近づける必要があります。
 都は、条例の改正内容に、健常者が気がつかないような視点を積極的に導入し、都が目指す先見的なユニバーサル社会にふさわしい工夫の推進を図るべきです。見解を求めます。
 次に、ユニバーサル社会に関連して、身体障害者手帳の工夫について伺います。
 現在の手帳は、中を開いて見せないと、本人確認に必要な顔写真や氏名がわからず、上肢に障害のある方が扱いにくい形状となっております。
 公明党は、かねてから改善を求めてまいりましたが、プライバシー保護への配慮も含め、様式改善の時期と内容を伺います。
 また、様式の切りかえは、直接的には新規交付や再交付を対象とするものだと思いますが、既に手帳をお持ちの方についても、希望に応じて新しい様式の手帳への変更も可能にするべきと考えます。見解を求めます。
 あわせて、利便性を向上させるICチップの導入を要望します。
 次に、発達障害について伺います。
 発達障害は、三歳児健診では発見しにくく、就学前健診では、受け入れ準備に時間が不足するという課題があります。
 私は、県内全域で五歳児健診を実施する鳥取県を視察しましたが、五歳児健診で発達障害と指摘された児童のうちの約半数が、三歳児健診では全く指摘を受けておりません。
 都においても、五歳児健診など、就学前の早期発見を可能とする取り組みが急務です。見解を求めます。
 鳥取県の五歳児健診では、全児童を対象とする悉皆調査は、児童数の少ない町村に限られています。市部では個別相談にとどまり、受診率も数%にすぎません。しかも、個別相談では、発達障害の発見に効果的な集団遊び健診の実施が困難です。
 幼稚園や保育園に出向いて行うアウトリーチ健診など、東京に適した方法を開発し、全都へ普及するべきと考えます。見解を求めます。
 また、発達障害では、相談体制の整備が重要です。鳥取県でも、統合失調症と診断され、適切な対応がおくれた事例を伺いました。
 都においても、最新の知見を全都の診療医へ普及する工夫が大切です。見解を求めます。
 続いて、障害者支援について伺います。
 知的障害者の都外施設は、我が党が平成十八年の第四回定例会の代表質問で指摘したとおり、都内での入所が困難な時代にやむなく誕生したもので、現在も、二千七百人を超える都民が、恵まれた自然環境の中、笑顔にあふれ、穏やかに生活を営んでいます。私も秋田県の施設を視察し、大変な感銘を覚えました。
 近年、家族の住む地域への移行方針が示されておりますが、過去の経緯に基づき、引き続き特別な配慮が必要と考えます。
 都外施設の位置づけについて、改めて見解を求めます。
 障害者の入所施設では、平成二十三年度末に経過措置が切れる新事業体系への移行が課題となっています。移行時には、改めて自立支援法に基づき障害程度区分が判定されますが、今よりも軽度に判定されてしまうのではとの不安の声が聞かれます。
 現在の判定基準については、障害の種別を問わず、また、在宅や通所サービスの利用者からも、障害種別の特性を的確に反映していないとの指摘があります。
 都は、障害者の実情に見合った障害程度区分への変更が早期に実施されるよう、区市町村等と協力して具体的な改善提案を行うべきです。見解を求めます。
 結果的に軽度判定となる場合であっても、一律に退所させられたりしないよう、自立支援法前からの入所者については、低い報酬単価を適用しないなどの工夫が大切です。見解を求めます。
 続いて、周産期医療などの質の向上について伺います。
 産科医師不足の解消には、分娩費用の見直しや産科医療の無過失保障制度の適切な運用と並んで、医学生における周産期医療への関心の向上が重要との指摘があります。
 私は過日、福岡県を訪れ、産科医療に予防医学の視点を導入した久保田史郎医師のお話を伺いました。久保田医師は、麻酔科医の資格をあわせ持つ知見から、全身管理の重要性に着目し、特に新生児の体温管理と栄養補給に配慮した産科医療を実践されています。同医師の産院では、そうした取り組みの成果として、妊娠中毒症や、新生児に多い黄疸の発症がほとんどありません。
 都は、第二回定例会での公明党の質問に、小児、周産期、救急、僻地医療など、都内で医師が不足する診療領域で医師奨学金制度の拡充を検討課題とする答弁を行いました。
 私は、本制度を医療の質の向上にも役立てるべきと考えます。例えば久保田医師の例などのように、麻酔科医の資格もあわせ持って周産期医療に携わることを目指すなど、医療を通し都民福祉の向上に貢献する、意欲にあふれた医学生への援助を充実するべきです。見解を求めます。
 次に、建築物の諸課題について伺います。
 国は、耐震偽装問題を機に、瑕疵担保責任の履行確保制度を整えました。これは、来年十月一日以降に新築住宅の引き渡しを行う事業者に賠償資力の確保を義務づけたもので、新しい保険商品はことし六月から販売されています。
 しかし、工期が長い共同住宅では、着工済みの物件も多く、着工前の申し込みを要し、施工現場での検査を要する新保険への加入が認められません。高額な供託金が必要となり、資材高騰に苦しむ建築事業者をさらに困窮させることになりかねません。
 都は、早急に実態を把握し、着工後の保険加入を例外的に認める改善の実現に向けて、適切な対応を図るべきです。見解を求めます。
 次に、都は、温暖化防止のため、建築物への環境配慮指針を打ち出しております。しかし、中小建築事業者は、最新技法への対応がおくれ、経営が脅かされるおそれがあります。
 都は、効果的なエコ工法の周知に努めるべきです。見解を求めます。
 また、最近話題を集めるエコ工法に自然換気システムがあります。都有施設への積極的導入について見解を求めます。
 あわせて、外断熱などの活用は、室内温度を抑え、消費電力量の削減をもたらします。都は、都営住宅最上階の蓄熱改善などに導入を図るべきです。見解を求めます。
 次に、建築物の解体について伺います。
 都内では、今後、建築物や土木構造物の建てかえ、新築が進み、工事の増加によって大量の建設廃棄物が発生します。特に解体工事では、環境負荷の低減などの観点から、分別の徹底とリサイクルの促進が課題となります。
 都は既に、産業廃棄物の処理業者について第三者評価制度を実施する予定ですが、解体工事についても、これを参考にして、民間の専門的知見の活用を図り、建設廃棄物の大量化に備えて、適正かつ安全な解体作業の確保、推進を図るべきです。見解を求めます。
 次に、商工業の活性化について伺います。
 足立区では、北千住に東京電機大学が進出する予定で、ものづくり企業との連携が期待されています。しかし、従前の産学連携支援は、個々の事業連携に重きが置かれ、波及効果の点で課題がありました。
 都は、今年度から創造的都市型産業集積創出助成事業を開始しますが、大学を中心とする多種多様な企業連携による新産業の創出や、産業集積に取り組む区市町村を積極的に支援するべきです。見解を求めます。
 あわせて、本事業は二十三年度からの三カ年が最終となりますが、産学連携は短期間に整うものではありません。実施期間の延長を要望します。
 また、足立区では、元宿小学校跡地に帝京科学大学が進出します。多くの学生を引き寄せるコア商店が育てば、新たな動線が生まれ、周辺商店街がにぎわいます。
 都は、コア商店の育成を視野に、古い店舗を統一感のあるデザインで若者向けにリニューアルすることや、学生のアイデアを取り入れた商品企画を進めたりすることなどを支援するべきです。見解を求めます。
 最後に、足立区では、日暮里・舎人ライナーの開業に伴って、沿線に位置する都有施設の活用に注目が集まっています。舎人公園では、この春、開業記念イベントが開催され、大変なにぎわいとなりました。イベントの充実を求める声は多く、都は今後とも地元区と連携し、舎人公園の魅力を都民にアピールする企画を継続的に展開するべきです。見解を求めます。
 舎人公園では、日暮里・舎人ライナーの開業により来園者が増加するなど、公園を取り巻く環境が変化しております。今後は、野球場などの既存施設の充実や公園の活性化、さらに、子どもたちも楽しめる公園施設の新たな整備等の検討に向けて、地元区との連携の強化を図るべきです。あわせて見解を求めます。
 また、水道施設として江北五丁目で整備中の江北給水所の施設上部と敷地内スペースも、日暮里・舎人ライナー駅近くの貴重な大規模空間であることから、地元要望に沿う施設誘致を求める声が多くなっています。地元区と密接に連携した計画立案が必要と考えますが、所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中山信行議員の一般質問にお答えいたします。
 障害者と健常者との間の意思疎通のバリア解消についてでありますが、東京には、近世に百万都市として栄えた江戸で醸成された、江戸しぐさという他人を思いやる伝統が残っていると思います。こうした伝統を財産としながら、二十一世紀の東京は、ハンディキャップを負った人たち、あるいは日本語の不自由な外国のお客さんたちも自由に行き来できる都市であるべきだと思います。
 お話の情報通信技術も十分に活用しまして、だれもが必要な情報を手にすることのできる都市にしていくことが重要であると思います。世界じゅうから訪れるすべての人が快適に過ごせるユニバーサルデザインの先進都市を目指してまいります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 十一点についてお答えをいたします。
 まず、コミュニケーションバリアフリーの推進についてでありますけれども、福祉のまちづくり条例の改正に当たり、情報の提供や伝達手段の充実について新たに規定するとともに、その具体化を図るため、策定いたします推進計画に必要な施策を盛り込む予定でございます。こうした中で、区市町村等が行う取り組みがより一層進むよう検討してまいります。
 また、お話の電子機器の活用については、今後、利用者や専門家等の意見を聞きながら、そのあり方を検討してまいります。
 次に、ユニバーサルデザインのまちづくりについてでありますけれども、お話の取り組みは、現行の施設整備マニュアルにおいて、望ましい基準として一部規定しておりますが、今回の条例改正に合わせてマニュアルを改定し、ご提案のように、よりきめ細かく基準を設定するなど、これまで以上に充実する予定であります。
 今後、新たなマニュアルにより、区市町村や事業者の取り組みを適切に誘導してまいります。
 次に、身体障害者手帳様式の改善についてでありますが、障害者手帳は、サービスを受ける際、本人確認のために広く使われており、利用者の利便性の向上とともにプライバシーへの配慮が必要であります。
 このため、手帳の様式の改善に当たりましては、プライバシーに関し配慮すべき情報は手帳の内側に記載し、本人確認に必要な事項は、開かなくても、表紙を見ればわかるような検討を現在進めております。また、実施時期は、来年一月を目途に進めているところであります。
 次に、現在、身体障害者手帳をお持ちの方への対応についてでありますが、今回の様式の変更は、手帳を使用する際の利便性の向上とあわせ、プライバシーにより一層の配慮を行うものであります。
 したがいまして、新様式への切りかえ実施日以降は、新規に手帳を交付する方だけでなく、現在手帳をお持ちの方に対しても、希望に応じ、新たな顔写真で新様式での交付を行うことを予定しております。
 次に、発達障害の就学前の早期発見についてでありますが、ご指摘のとおり、発達障害を就学前に発見し、早期に対応することは、学校教育におけるきめ細かな対応につながり、極めて重要と考えております。
 このため、都は、平成十七年度から発達障害の支援に関するモデル事業を実施しておりますけれども、今年度は、その実施地区を五つの区市に拡大し、このモデル事業の中で、早期発見、早期対応のための多様な支援手法の開発について進めてまいります。
 次に、早期発見の手法についてでありますが、都は、モデル事業の中で、就学前の相談事業のほかに、ご指摘の保育所への専門職の訪問、個別療育シートの作成や家族支援プログラムの開発などを実施してまいります。
 今後、モデル事業の成果を評価、検証の上、有効な支援手法について、区市町村に広く普及をしてまいります。
 次に、医療従事者に対する最新の知見の普及についてでありますが、今年度、都は、新たに医療機関を対象としました発達障害の治療等に関する実態調査を行います。その結果を分析した上で、医療従事者等に情報提供を行っていく予定であります。
 また、本年七月から開始をいたしました子どもの心の診療支援拠点病院事業の中で、医療従事者に対し、発達障害に関する専門的な研修についても実施をしてまいります。
 こうした取り組みによりまして、診療医等への発達障害に関する知識と理解の普及に努めてまいります。
 次に、知的障害者の都外施設の位置づけについてでありますが、主に都民の方が入所しております、いわゆる都外施設は、昭和四十三年から平成九年にかけて整備をされてきたものであります。現在、知的障害者の都外入所施設は四十一施設が設置され、約二千七百人の方が利用しております。
 都としましては、入所支援を必要とする知的障害者に安定した生活の場を提供しており、現在も大きな役割を担っているものと考えております。
 次に、障害程度区分の判定についてでありますが、障害者自立支援法では、障害程度区分を判定し、障害程度の重い方に限って施設入所できるとしておりますが、知的障害については、障害の特性が反映されにくい判定基準となっていると考えております。
 都では、本年六月、国に対しまして、障害の特性に合った調査項目及び判定基準にし、信頼性の高いシステムを構築するよう提案しておりまして、国も新たな判定基準を開発するとしております。
 今後とも、区市町村や関係団体と意見交換するとともに、国において適切な改善が図られるよう提案をしてまいります。
 次に、判定が軽度となる都外施設利用者についてでありますが、障害者自立支援法の施行時に施設入所していた方については、障害程度区分認定により入所対象外となった場合でも、国は、経過措置として引き続き入所できるものとしております。しかし、この場合には、低い報酬単価が適用される仕組みとなっております。
 都としましては、障害者が安心して生活できるよう、その生活実態に合った仕組みとすることを国に求めて、今後とも強く提案してまいります。
 最後に、周産期医療などの質の向上についてでありますが、不足が顕著な産科、小児科などを担う医師を確保するためには、大学医学部の教育の中で、学生がこれらの医療の現状や課題の理解を深めるとともに、地域医療にみずから進んで従事しようとする強い思いをはぐくむことが重要と考えております。
 このため、医師奨学金制度におきましては、地域医療を担う質の高い医師を養成するという観点から、現在、大学とカリキュラムなどの調整を行っております。
 奨学金制度の拡充につきましても、地域医療の確保と質の向上に資するよう、さらなる検討を行ってまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、住宅の瑕疵担保責任の履行確保についてでございます。
 都はこれまで、建設業許可や宅建免許の申請窓口でのポスター掲出やパンフレット配布等によりまして、住宅瑕疵担保履行法への理解と的確な対応について周知に努めてまいりました。
 お尋ねの着工済み住宅への適用につきましては、都といたしましても、その実態の把握に努めるとともに、関係団体の要望にも留意し、事業者が適切に本制度に適応できるよう、必要に応じ、国に対して働きかけを行ってまいります。
 次に、既設の都営住宅の屋上断熱についてでございます。
 温暖化対策は、東京の都市づくりにおいて重要な課題でありまして、都営住宅におきましても、屋上断熱の性能を向上させることは、省エネやCO2排出量を削減する上で意義があるものと考えております。
 このため、都営住宅の建てかえにおきましては、既に屋上に外断熱工法を採用し、建物の断熱性や耐久性などの向上を図っております。
 既設の都営住宅における屋上断熱につきましては、屋上防水の修繕時期との調整や、荷重が増すことによる建物の構造耐力の検証などの諸課題があることから、今後、検討してまいります。
 最後に、建築物の解体作業についてでございますが、都はこれまでも、東京都建設リサイクル推進計画などに基づき、建設資材の分別解体、建設廃棄物の再資源化や適正な処理に努めてまいりました。
 こうした取り組みをさらに促進していくためには、区市との協力による現場パトロール、優良な解体事業者の確保、再資源化技術の開発支援などの施策を強化していく必要がございます。
 都は引き続き、国や区市、解体事業者等の業界団体の意見も参考にしつつ、施策の充実を図り、適正で安全な解体作業の普及を推進してまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 中小建築事業者の省エネ技術についてでございますが、これまでは大規模な新築建築物を対象としてきた建築物環境計画書制度を中規模建築物にも適用できるよう、第二回定例会において環境確保条例の改正を行いました。
 今後は、中規模建築物の建築事業者への説明会の開催や、省エネ技術をわかりやすく解説した技術マニュアルの作成など、対象拡大に向けた準備を進めてまいります。
 加えて、さらに小規模な建築物にも省エネ技術を普及させるため、作成した技術マニュアルを公表し、その活用を図ってまいります。
 こうした取り組みによって、中小の建築事業者における環境配慮の取り組みを推進してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 都有施設の環境性能についてのご質問にお答えいたします。
 都は従来から、CO2排出量の削減など、都有施設の環境性能を向上させる観点から、建物の熱負荷の抑制や設備システムの高効率化などを図ってまいりました。
 現在、こうした取り組みを一層強化するため、今年度末を目途に、省エネ、再エネ導入指針の策定準備を進めております。この指針には、新築、改修時に設備を導入する際や既存設備を運用する際の環境性能向上策を盛り込む予定でございます。
 お話の自然換気のシステムにつきましては、エネルギーを使うことなく室温を下げる効果があることなど、CO2削減のための有効な手段の一つと考えますので、指針策定の中で、その活用の可能性について具体的に検討してまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、産学公連携による新産業の創出や、産業集積に取り組む区市町村への支援についてでございます。
 都はこれまでも、中小企業と大学や研究機関等との連携を促進するために、産学公連携コーディネーターによるマッチングや、共同研究に対する助成等を行ってまいりました。
 しかしながら、個々の事業連携を地域全体へと波及させていくためには、地域特性を熟知した区市町村の主体的な取り組みが不可欠であります。
 このため、都は、今年度新たに創造的都市型産業集積創出助成事業を開始いたしまして、産学公連携や企業誘致等に取り組む区市町村を強力に支援することといたしました。
 これらの事業を重層的に展開することで、地域における新産業の創出と集積を促進してまいります。
 次に、商店街の活性化についてですが、顧客のニーズや斬新な発想を生かした魅力的な店舗づくりや商品開発は、商店街の活性化にとって重要な要素であると認識しております。
 都は従来から、商店街パワーアップ基金事業によりまして、商店街の空き店舗を活用して物販事業を立ち上げたり、また、商店主が新会社を設立して店舗をリニューアルするなどの取り組みを弾力的に支援してまいりました。
 今後は、こうした取り組みに加えまして、今年度創設をいたします地域中小企業応援ファンドを活用いたしまして、新商品の企画、開発等もあわせて支援をすることで、それぞれの商店街のにぎわいづくりを積極的に推進してまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、舎人公園におけるイベントについてでありますが、舎人公園は、水と緑あふれる森林公園を目指して整備をしており、交通アクセスの改善により、さらに利用しやすい環境が整ってきております。
 舎人公園では、本年春に、日暮里・舎人ライナーの開業に合わせて、都及び地元区が記念のイベントを実施し、多くの人に来園していただきました。
 今後とも、舎人公園の魅力を伝え、利用を促進し、地域のにぎわいを創出するため、地元区や関係団体と連携したイベントの継続的な開催を検討してまいります。
 次に、舎人公園の充実に向けた地元区との連携の強化についてでありますが、都立公園を着実に整備し、利用を促進するためには、地元自治体などの積極的な協力を得ることが重要であります。
 舎人公園においても、そりゲレンデの整備や、桜の森づくり事業の寄附の募集に対する事業PRなど、地元区の協力を得て事業を実施してまいりました。
 一層のにぎわいを創出するには、これまで以上に地元区との連携を強化する必要があり、都区で協議会を設置いたしました。
 今後は、この協議会において、公園の整備や活性化に向けた課題などについて検討してまいります。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 江北給水所上部の活用についてでありますが、水道事業は独立採算により事業運営を行っており、常に経済性や企業性の発揮が求められております。
 このため、配水池等の上部スペースにつきましても、貴重な経営資源としてとらえ、企業努力の一環として有効活用を図り、収益の確保に努めることとしております。
 江北給水所につきましては、現在、給水所本体の建設工事を行っており、平成二十四年度に完成の予定であります。
 完成後における施設上部等の活用につきましては、具体化の時点で、配水池上部という事業上の制約や収益の確保、立地特性等を総合的に勘案し、地元の意見も考慮しながら検討してまいりたいと思います。

○副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
 午後五時二十四分休憩

 午後五時四十一分開議

○議長(比留間敏夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四番鈴木章浩君。
   〔四番鈴木章浩君登壇〕

○四番(鈴木章浩君) 初めに、地方分権改革について伺います。
 地方分権については、平成五年の衆参両院による地方分権の推進に関する決議以来、十五年にわたって議論が続けられているところでありますが、本来目指す姿とは、全国一律の基準で行う従来型の行政システムの転換であり、行政のむだを省き、地域の活性化に向けて、国から地方へ権限と財源を移し、自立した地方が、みずからの判断と責任で住民の必要とする行政サービスを的確に提供できるようにすることであります。
 都はこれまでも、知事のリーダーシップのもと、首都圏の課題に対して先進的な取り組みを進めてきておりますが、地方分権の推進により、さらに大都市の実情に即した迅速かつ効果的な施策展開が可能となります。
 現在、かつての第一次分権改革において積み残した課題の対応のため、国の地方分権改革推進委員会を中心に議論が行われており、本年五月の第一次勧告では、国と地方の役割分担の考え方など示され、さらに、年内に予定されている第二次勧告に向けて、国の出先機関の見直しが争点となっているところであります。
 全国知事会と国土交通省との間で、夏から道路、河川の移管協議が始められましたが、すぐに膠着状態に陥り、その後、意見書が提出され、ここに来て、財源等の考え方が国から示されたことで、ようやく再開のめどがついたようであります。
 このように遅々として進まない協議を前に、またもや地方の真の自立を実現する根本議論が置き去りにされるのではないかと危機感を覚えます。
 ドイツにおいては、昨年、国と地方の役割分担を見直す連邦制度改革が首相のリーダーシップのもと行われ、戦後五十三回目の憲法改正が過去最大規模でなされたわけですが、危機的状況にある日本を将来世代に責任を持ってバトンタッチするためにも不退転の取り組みが重要であり、骨抜きや先送りは絶対許されません。
 また、ことし三月、東京への一極集中の打破や地域間格差の解消をうたった道州制担当相の私的懇談会において、地域主権型道州制を理念に据えた中間報告が出されましたが、この議論が不合理な東京たたきではなく、真のあるべき広域自治体の形態を問うものにするためにも、その前提となる分権改革を前進させなくてはなりません。少なくとも分権を先送りする口実にさせないためにも、もっと世論を喚起すべき取り組みが重要であります。
 そこで、現下の状況において、改めて地方分権について知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、羽田空港跡地整備について伺います。
 羽田空港の跡地については、さまざまな経過を経てきましたが、本年三月にようやく、羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協において跡地利用基本計画を策定しました。この計画の中で、特に大田区市街地に隣接する第一ゾーンについては、公共的な空間形成として文化・交流ゾーンや産業支援ゾーンに位置づけられ、この基本計画を踏まえ、大田区において、より具体的なOTAプラン素案が作成され、パブリックコメントを実施したところであり、来月末をめどにプランを取りまとめる予定であります。
 羽田空港の再拡張事業の供用開始を二年後に控え、跡地利用の事業化に向けて、まさにスピードアップしていく時期に来ており、懸案事項である道路や護岸、及び跡地処分後のライフライン、とりわけ上下水道の整備、管理、また跡地の処分、事業手法等の課題を早期に解決することが重要です。
 空港に近接した跡地を含めたまちづくりは、地域の活性化だけでなく、首都圏全体の活力向上にとっても、羽田空港の機能強化にとっても重要な意味合いを持つものであり、都が積極的に大田区と連携しながら取り組んでいくことが必要であると考えますが、今後の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 次に、国道三五七号の整備について伺います。
 現在、羽田空港では、平成二十二年十月に国際線ターミナルとD滑走路を供用させることを目指して整備が進められ、完成すると、昼夜合わせて年間約六万回の国際便が就航することとなり、さらには国際貨物ターミナルも整備され、国際空港としての機能が強化されることになります。
 このように、羽田空港の国際化は確実に進展することから、空港アクセス道路を強化することが不可欠であります。
 また、東京湾岸部では、東京港、川崎港、横浜港の三港が連携を深めていくこととしており、これらの港湾に発生、集中する物資の円滑な流動を確保し、日本の国際競争力を高めるためにも、道路ネットワークの充実が求められています。
 ことし七月に開催された、国と都の実務者協議会では、東京港トンネルの整備が取り上げられており、一定の前進が見られました。しかしながら、羽田空港から川崎方面に計画されている多摩川トンネルについては事業化のめどが立っていません。
 東京臨海部における広域的な道路ネットワークの形成は、空港の国際化を一層進展させるだけでなく、港湾機能の拡充のためにも欠かせないことでありますが、多摩川トンネルを初めとする国道三五七号の整備に対する都の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、下水道管渠の耐震対策について伺います。
 新潟県中越沖地震、岩手・宮城内陸地震など、ここ一年近くの間に大規模地震が頻発しており、新潟県中越沖地震ではライフラインの多くが被害を受け、住民生活に大きな影響が生じました。こうした被害を目の当たりにし、東京のライフラインの地震対策は大丈夫なのかと改めて心配になったところであります。
 首都直下型地震の被害想定によれば、発生一カ月後においても、約百九十万人もの都民が避難所生活を強いられるとされておりますが、こうした状況を考えますと、都民が不便さを感じずに安心して生活できる避難所の整備が必要であります。
 中でも、避難所のトイレ機能の確保は重要であります。これまでの地震では、トイレを我慢するため水分を控え、エコノミークラス症候群で倒れる人も発生するなど、震災時のトイレ機能の確保が生命や健康に大きく影響することを知らされました。
 下水道局では、こうした地震被害を踏まえ、被災者の生活の拠点となる避難所や災害拠点病院などのトイレ機能を確保するため、施設の排水を受け入れる管渠の耐震化を進めており、さらに、地盤の液状化により、道路に埋設されたマンホールが浮上し、車両交通の障害となり、消防救助活動や応急復旧活動に支障が生じないような対策を進めているとのことでありますが、これらに対する取り組みの内容と進捗状況についてお伺いいたします。
 一方、私の地元、大田区における下水道の耐震対策は、都心部に比べ、おくれているとも聞いております。低地や埋立地などの液状化の危険性の高い地域を多く抱えていることを考えますと、対策のスピードアップが必要であります。
 そこで、大田区における耐震対策の促進に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、河川の整備について伺います。
 近年、地球温暖化による気候変動に起因するともいわれる、集中豪雨による被害が全国各地で頻発しています。都においても同様であり、本年八月末の多摩地域を中心とした集中豪雨では、時間最大雨量一一五ミリという猛烈な降雨を記録し、各地で河川からの溢水や土砂災害をこうむりました。これまでの常識を超えるような、最近の異常とも思える豪雨が、東京のどこで発生しても不思議ではないといわざるを得ません。
 昨日の我が党の代表質問では、気候変動も踏まえた今後の河川整備について質問し、警鐘を鳴らしたところであります。河川整備は、水害から都民を守る治水対策のかなめであり、着実な推進をお願いいたします。
 私の地元、大田区を流れる呑川においても、現在、豪雨による洪水から地域を守る中小河川整備事業が続けられており、一日も早い事業の完了が待たれております。
 そこで、呑川の中小河川整備事業の現状と今後の予定についてお伺いいたします。
 一方、都は、「十年後の東京」で、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを第一の目標に掲げています。市街化の進んだ都市部では、河川は貴重なオープンスペースであり、豊かな水辺環境に親しみたいとの都民の期待は大きいものがあります。
 呑川についても、地元の方々の思いは同様で、現在、緑が少なく、コンクリートに囲まれた印象の強い呑川に、もっと緑がふえ、自然の生き物が生息することとなれば、どんなにかすばらしいことと思います。
 そこで、呑川の緑化の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 次に、臨海新交通「ゆりかもめ」について伺います。
 東京湾大華火、お台場冒険王、コミックマーケットなど、この夏も臨海部はさまざまなイベントでにぎわい、臨海副都心は、今や年間四千五百万人という、東京ディズニーランドを超える集客力あるエンターテインメントゾーンになりました。
 来訪者のうちの四割は、環境に優しい乗り物である「ゆりかもめ」を利用しているとのことです。そして、その乗客数は、近年着実に増加しており、昨年度は三千六百万人に達したと聞いております。
 現在、臨海副都心開発は、平成二十七年度のまちの概成に向けた総仕上げの十年のただ中にありますが、まちの成熟とともに「ゆりかもめ」の今後を考えたときに、安全第一はもとよりでありますが、特にサービスの向上が重要と考えます。
 そこで、今後の取り組みについてどのようにお考えか、お伺いいたします。
 次に、看護師の人材育成について伺います。
 今日の医療は高度化、複雑化し、さらに、高齢化の進展や生活習慣の変化などから患者の医療ニーズが増加するなど、医療を取り巻く環境が大きく変化しています。また、年間約三万人の都民の命を奪っているがんを克服する取り組みや、脳卒中、急性心筋梗塞の医療、糖尿病の予防、治療など、いわゆる生活習慣病への対策も急務となっています。
 このような中、都民に適切な医療を提供していくためには、医師や看護師を初めとする専門職種が一体となって行うチーム医療が必要です。しかし、医師、看護婦が不足しているという厳しい実態の中では、役割分担を明確にするとともに、チーム医療を担う医療従事者が、それぞれ専門性を最大限に生かしていくことが重要であります。
 こうした専門性の発揮という観点から、医療現場において、医師をサポートし、計画的なケアを主体的に行える、より専門性の高い看護師の役割が期待されています。そうした中、がんや救急、糖尿病などの分野における看護については、専門的な教育を受けた看護師に対する認定看護師制度があると聞いております。
 都は、看護師の質の向上の観点から、この制度についてどのように認識されているのか、お伺いいたします。
 我が国において、死亡原因の第一位はがんであり、高齢化の進行を考えれば、がん患者は今後さらに増加することが予想されます。がんの治療に際しては、手術療法、放射線治療、化学療法など、さまざまな手段を適切に組み合わせていく方法がとられており、専門的な知識を持った看護師が必要となります。
 しかし、私が調べたところでは、東京都内では認定看護師は、総数としては六百五十人の登録があるものの、がんの関連の認定看護師の数はまだ少なく、例えば、がん化学療法認定看護師は、平成二十年九月一日現在、二十九人にとどまります。
 そこで、多くの質の高い看護師を輩出している首都大学東京において、より専門性の高い看護を実践できる看護師を育成していくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 最後に、教育現場における副校長の支援について伺います。
 最近、教育管理職への応募が少ないとのことでありますが、これは、副校長の処理する校務等が多く残業がふえるなど、多忙であり、副校長本来の職務に十分時間をかけることができず、副校長の職に対する魅力が低下していることが原因ではないかと考えておりますが、副校長への支援の必要性について、都教委の見解をお伺いいたします。
 中でも、都教委が設置した検討委員会の報告によりますと、副校長の多忙の原因の中で最も負担として感じているのは、特に調査、報告等の事務量の多さを指摘しております。
 そこでまず、都立学校について、今後、具体的にどのように調査、報告事務の縮減を図っていくおつもりか、お伺いいたします。
 また、小中学校では、国や都に加え、区市町村教委独自の調査、報告事務も多いと思われますが、小中学校において、ぜひ実効性のある取り組みを高めていただき、かなめである副校長本来の職務に専念でき、学校運営の改善につながりますよう、都教委としてどのように支援していくおつもりかお伺いして、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木章浩議員の一般質問にお答えいたします。
 地方分権についてでありますが、明治以来の中央集権体制は、戦後の復興期から高度成長期における我が国の発展に一定の役割を果たしましたが、情報時代という文明の成熟期を迎えた今日の日本社会においては、もはやその有効性を失っていると思います。
 そもそも地方分権は、地方が自立し、みずからの才覚と責任で地域を主宰できるようにすることであります。現在の政治の閉塞感を打破し、地方を真に自立させ、国全体に活力を与えるためにも、地方が持てる力を十二分に発揮できるようにしなければならないと思います。
 とりわけ、この首都東京は、我が国を牽引する役割を担っておりまして、まさに国力の源泉であります。人材や企業の集積の優位性を生かし、大都市特有の諸課題を的確に解決していくためにも、現場を熟知する東京に権限と財源をゆだねるべきであると思います。
 しかし、今、霞が関は、分権の意義を全く理解せず、例えば政府の地方出張所、地方機関を依然として継続、存続しようとしているようですが、財政再建のために、みずからの身を切ることもせずに、国のツケを地方に回すばかりであります。
 今後、第二次勧告に向け、国家官僚の抵抗がさらに激しさを増すのは必至であると思います。
 引き続き、国の動向などを見据えながら、都議会の皆さんと力を合わせ、地方分権の実現に向けて強く働きかけていくつもりであります。
 他の質問については、教育長並びに関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、副校長への支援の必要性についてでございます。
 東京都の公立学校では、教育改革への積極的な取り組みや、複雑化、多様化した教育課題への組織的な対応の強化が求められておりまして、校長を補佐する副校長は、それらの実務を推進する役割を担っており、多くの学校では、副校長に業務が集中し、負担感が生じております。
 こうした状況を踏まえまして、都教育委員会は、学校の組織的課題解決能力向上のために、主幹教諭制度の一層の充実を図りますとともに、非常勤教員を副校長の補佐に積極的に活用するなど、副校長の職務のあり方等の改善に向けた具体的な対応方針をまとめたところでございます。
 今後は、この方針に基づき、副校長を支える施策を着実に実施してまいります。
 次に、都立学校の調査、報告事務の縮減についてでございます。
 本年六月、庁内に常設の調査・報告事務縮減推進委員会を設置いたしまして、教育庁全体で縮減の取り組みを進める体制を整えました。モデル校を抽出いたしまして、年間を通じた実態調査を行い、その分析を踏まえた改善策の検討を開始したところでございます。
 あわせまして、全都立学校から縮減に向けた改善提案を随時受け付けまして、対応する仕組みを設けたところであります。
 今後は、これらをもとに、重複している調査、報告事務の整理や、調査方法の改善を具体的に進めますとともに、都立学校ICT計画に基づき資料のデータベース化を図るなど、効率化を一層推進してまいります。
 三点目の小中学校への支援についてでございますが、本年六月から、二区二市と共同で、都立学校と同様に、調査、報告事務の実態把握と事務縮減の取り組みを開始いたしました。
 この中で、都教育委員会が実施いたします調査、報告事務については、都の推進委員会で改善を図りますとともに、区市の教育委員会が独自に行うものにつきましては、区市で改善に取り組むことといたしました。
 都教育委員会としては、今後、これらの取り組みの成果を他の区市町村教育委員会へ周知いたしますとともに、都立学校ICT計画や、区市町村における先進的事例を情報提供することによりまして、小中学校における調査、報告事務の縮減や効率化の取り組みが推進されますよう支援をしてまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港の跡地利用についてでございますが、都はこれまでも、国や地方自治体と構成するいわゆる三者協の事務局として、共同調査の実施など検討作業を推進するとともに、有識者の助言や大田区の意見等を跡地利用基本計画に反映するよう努めてまいりました。
 跡地整備を進めるためには、関係者間の連携を一層強化しながら、道路や護岸などのインフラ整備や跡地の処分、事業手法等の課題を解決し、計画の早期具体化を図ることが重要でございます。
 これら課題の解決に向けて、都は、再拡張事業の進捗を見据えつつ、主体的に国や大田区など関係機関と調整を進めていくとともに、特に土地所有者である国に対しては、基本計画で示した方向性に沿った積極的な取り組みを強く求めてまいります。
 次に、国道三五七号の整備についてでございますが、この路線は、東京臨海部における広域的な道路ネットワークの形成のみならず、羽田空港へのアクセスや物流の円滑化にも寄与する重要な路線でございます。
 しかしながら、東京港トンネル部と多摩川トンネル部が未整備であり、道路交通上の隘路となっていることから、都は、さまざまな機会をとらえ、これらの整備促進を国に要望してまいりました。
 このうち、東京港トンネル部につきましては、先ほどお話もございましたが、本年七月に開催された、国と都の実務者協議会におきまして、国から、今年度末に工事用道路に着手することなどが示され、具体化に向けて一定の前進が図られております。
 今後も引き続き、関係自治体と連携を図り、早期整備に向けて積極的に取り組んでまいります。
   〔下水道局長今里伸一郎君登壇〕

○下水道局長(今里伸一郎君) 二点のご質問にお答えいたします。
 耐震対策の取り組み内容と進捗状況についてでございますが、下水道局では、震災時のトイレ機能を確保するため、二十三区内の避難所や災害拠点病院など約二千五百カ所を対象にいたしまして、その排水が流入する下水道管渠について、マンホールとの接続部を柔軟性のある構造に改良し、耐震性の向上を図っております。平成十九年度末までに、約千百カ所の耐震化が完了しております。
 また、震災時の車両通行機能を確保し、救助や応急復旧活動などに支障が生じないよう、液状化の危険性の高い地域にございます緊急輸送道路や避難道路に埋設されている約二千カ所のマンホールを対象に、早急に浮上抑制対策を実施することとし、昨年度より着手しているところです。
 次に、大田区におきます耐震対策の促進に向けた今後の取り組みについてでございますが、下水道局では、法定耐用年数を経過した管渠が多い都心区から、大田区など比較的整備年代の新しい区へと順次、耐震対策を進めてきております。
 大田区におきましては、今年度、池上小学校など十カ所の避難所の排水が流入する管渠の耐震化や、第一京浜国道に埋設されておりますマンホールの浮上抑制対策を実施する予定でございます。
 今後とも、地元区や道路管理者などと連携し、耐震対策の促進を図ってまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 呑川についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、河川整備事業の現状と今後の予定についてでありますが、呑川は、世田谷区新町から大田区大森南までの市街地を流れており、豪雨対策基本方針における対策促進流域の一つとして整備が急がれる河川であります。
 現在実施しているJR東海道線付近から九品仏川合流点までの中小河川整備事業区間六・一キロメートルについては、一時間五〇ミリの降雨に対する整備を進めており、このうち五・六キロメートルが完成しております。
 残る〇・五キロメートルのうち、平成二十年度は、八幡橋下流及び本村橋下流の合わせて百三十メートルの区間において、護岸及び河床の整備を行ってまいります。
 引き続き、残る区間の整備を着実に進め、二十二年度の完成を目指してまいります。
 次に、呑川の緑化の基本的考え方についてでありますが、都市の貴重な水辺空間である河川の緑化は、緑の東京十年プロジェクトに位置づけており、風格のある美しい都市景観を創出する上で重要であります。
 密集した市街地を流れる呑川においては、早期に治水効果を発現させるため、掘り割り構造の直立護岸としており、緑化空間を確保することが困難な状況にあります。
 このため、管理用通路の植栽に加え、護岸の壁面にツタをはわせるなど、さまざまな工夫を行い、二・二キロメートルの緑化を進めてまいりました。
 平成二十年度は、地元区などと調整を進め、池上橋付近で緑化工事に着手する予定であります。
 今後とも、治水機能の向上を図るとともに、緑豊かな河川を目指して、呑川の整備に努めてまいります。
   〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 「ゆりかもめ」の利用者サービス向上についてのご質問にお答え申し上げます。
 「ゆりかもめ」は、臨海副都心への主要な交通手段であるとともに、台場地区の観光スポットや有明南地区のコンベンションゾーンなど、域内をきめ細かく回遊する乗り物として多くの人々に親しまれてございます。
 臨海副都心では、台場地区の開発が終了し、青海地区、有明地区でも開発が着実に進んでございまして、今後、平成二十四年度までに、ホテルや大学など十四の施設が次々に開業する中で、「ゆりかもめ」の利用者の大幅な増加が見込まれております。
 こうしたことから、「ゆりかもめ」では、利用者の利便性や快適性をより一層高めるため、車両増による運転間隔の短縮や新型車両への更新、駅施設の改修、沿線施設とのタイアップなど、さらなるサービスの向上に取り組んでいくこととしております。
 また、ご指摘のように、利用者の安全対策の充実は何よりも重要でございまして、安全推進室を設置し、点検の強化や設備の改良などに最優先で取り組んでおります。
 都といたしましては、臨海ホールディングスと連携いたしまして、「ゆりかもめ」のこれまで以上の安全性の確保と利用者サービスの向上を支援するとともに、平成二十七年度のまちの概成に向けまして、臨海副都心の交通の柱となるよう育成してまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 認定看護師制度についてお答えをいたします。
 認定看護師制度とは、がん等の特定の看護分野について専門的な知識、技術を修得した者を、日本看護協会が審査の上、認定するものであります。
 認定看護師は、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践するとともに、看護職に対する指導や相談を行うこととされております。
 高度化、専門分化が進む今日の医療におきましては、認定看護師の果たす役割は大きく、その育成は医療全体の質の向上に寄与するものと考えております。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 首都大学東京におきます看護師の育成についてお答えいたします。
 がん治療におきます業務内容は高度化、専門化しており、医師のみではなく、看護師も専門性を持ち、協力してチームとして医療を進めることが一層重要となっております。
 首都大学東京におきましては、これまでも看護師等の人材養成を行ってまいりましたが、こうした状況を踏まえまして、一定の実務経験を持った看護師を対象として、平成二十一年度から、がん化学療法看護の認定看護師教育課程を開設し、より高い専門性を有した看護師を育成してまいります。

議長(比留間敏夫君) 百二番中村明彦君。
   〔百二番中村明彦君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百二番(中村明彦君) まず最初に、環境対策についてお尋ねをいたします。
 地球の温暖化は、年ごとに上昇している傾向となっております。都知事は、以前、フィジー諸島の北にあるツバル国を訪問され、地球温暖化による海水面の上昇で、島が水没の危機にさらされている現状を視察してきたと伺っております。
 私たち都議会民主党も、昨年十月に、私と酒井議員、石毛議員、原田議員の四名で、海水面が上昇する原因ともいえる、氷河が融解し始めているグリーンランドを訪問、視察してまいりました。氷河の現状を、現地のカンゲルルススアークの市の職員の方々、地元先住民族のイヌイットの方々から話を伺ってまいりました。
 最近の気候の変化、気温の上昇により、以前は雪しか降らなかった土地に雨が降るようになった。このことにより、動物の生態系、生息地の変化が生じ、その土地に生息しているジャコウウシやホッキョクグマが絶滅の危機にさらされていると話をされました。
 なぜこのような状況になったのかと問うと、CO2の増加により地球全体の気温が上昇しているからで、カンゲルルススアークの方は、今まで考えられなかった摂氏五度以上の気温が観測されるようになったと。このような現象の原因として予想されることは、無差別な森林伐採、温室効果ガスの増加などによる気温の上昇を危惧しており、先進国の人たちは、氷河の後退という現実を直視し、地球温暖化にもっと関心と危機感を持ってほしいと訴えておりました。
 そこで、知事は、このような現状をどうとらえているのか、そして、今後どのように解決していくのか、ご所見をお伺いいたします。
 私は、まず第一として、CO2の削減を早急に実施しなければならないと考えております。
 京都議定書では、二〇一二年までに一九九〇年対比で六%の削減を義務づけました。洞爺湖サミットでは、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を五〇%以上削減を呼びかけました。この指針では余りにも遅く、また、基準が甘いといわざるを得ません。
 地球の平均気温は、過去百年間で〇・七四度上昇しています。しかし、最近五十年間では、約二倍のスピードで気温が上昇しているのであります。現在の環境のままですと、今世紀末では、平均気温が六・四度上昇するとIPCCの第四次評価報告書で述べられております。
 都では、二〇二〇年までに温暖化ガス排出量を二五%削減を目指しておりますが、目標が十二年後では遅いのではないでしょうか。少なくとも五年以内に目標値の設定を修正するべきではないでしょうか。
 また、家庭から出る温室効果ガスが、一九九〇年に比べ、三〇%以上も増加していると聞いております。「十年後の東京」実行プログラムの中にも、CO2削減の家庭での取り組みが書かれており、太陽光発電の普及、白熱灯の一掃作戦で蛍光灯への変更などが掲げられておりますが、現状では一般家庭での意識が高いとは考えられません。
 そこで、家庭での温室効果ガス削減に対して、その取り組み、広報について、改めて決意とお考えをお尋ねいたします。
 こうした地球の温暖化が進んでいく中で、自然環境の破壊から、数々の動物が絶滅の危機にさらされているのであります。国際自然保護連合、IUCNの調査によりますと、現在、地球上の動物のうち、霊長類では、六百三十四種の約半数近くの三百三種が絶滅の危機にあり、その中でも、六十九種については絶滅のおそれが極めて高いと報告されています。
 また、地球上の生物を見てみると、IUCNが調査した約四万種の中で、二〇〇六年の段階で約一万六千種以上の生存が脅かされているのであります。ホッキョクグマやパンダ、スマトラトラなども、地球温暖化や開発の影響を受けているのであります。
 こうした現状から、身近な動物園において絶滅のおそれのある動物を飼育、展示をし、生息地の現状などについて解説することで、希少動物の保護について、今、人々が何を考え、何をすべきなのかを考えてもらい、これから人類が自然との共生を目指していく上で、将来を担う子どもたちに地球を守る理念が芽生えるようにしていくことが重要なことであると考えます。
 一方、絶滅のおそれがある動物の保護については、その動物が生息している国の取り組みだけでは限界があり、各国が連携して取り組むことが、絶滅危惧種動物を保全する上で重要なことと考えます。
 その中で、パンダの保護については、中国国内の動物園や保護繁殖センターなどのほか、アメリカ、ドイツ、スペイン、オーストリア、タイ、日本の、既に貸与を受けている六カ国、十の動物園が中心となってパンダ保護国際会議が開催され、繁殖、生息地の保全、人的交流、人材育成などの国際的に協力する枠組みがつくられ、成果を上げているところであります。
 パンダは、WWF、世界自然保護基金のシンボルマークとしても活用されており、我が国では年間入場者数が最も多い上野動物園が、希少動物の象徴であるパンダを飼育、展示することによって、上野動物園が動物園の役割である種の保存機能を果たし、希少動物の保護をアピールする効果が高く、大変意義深いところであります。
 そこで、我が国を代表する動物園である上野動物園がパンダを受け入れる方向で検討すべきと考えるが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、地球温暖化防止の観点から、都市の環境対策についてお尋ねいたします。
 東京都は、以前は、水と緑と風が豊かな都市でありました。故渋沢栄一初代東京商工会議所会頭が、東京を水の都ベニスと同じように、水の都東京としての都市づくりをするべきと提唱いたしました。東京の河川の代表である隅田川を大いに活用し、日本橋川や神田川などの中小河川を、都民が憩える水辺空間を創出するべきと考えます。
 そうした中、「十年後の東京」実行プログラムでも、隅田川の親水テラスの整備計画もでき、一部では着工が進んでいるところではありますが、お年寄りから幼児まで、そして、障害を持たれた方も安心して憩える空間にしていかなければなりません。
 そこで、親水テラスに行く方法として、階段を利用させるのではなく、すべてスロープにし、親水テラスには、トンボやチョウチョウを初めとする昆虫やカニなどの小生物が生息できるビオトープを各所に創出し、自然環境も親しめるようにテラス全域を構築すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、都市のヒートアイランドの解消として、都の計画しているグリーンロードネットワークの達成時期を、十年後ではなく、スピードアップをして、温暖化を防止する効果を出すべきであります。
 私の地元台東区でも、地域の方々が、率先して桜の木を都道にふやしてほしいとの要望があり、都と協議の上、植樹が行われたのであります。このように地域の協力があれば、目標期間の短縮は可能であると思われます。ぜひとも積極的に実現に向けていただきたいのであります。
 また、実行プログラムで取り組んでいる都有施設の緑化については、新規建築物のみならず、既存の建築物についても、より積極的に緑化をしていかなければなりません。台東区役所は、建築年数が四十年以上を経た建物ではありますが、壁面の一部を緑化したところ、区民には大好評で、緑化がヒートアイランド防止に役立つとの意識の啓発につながったのであります。
 このような事例を踏まえ、都市緑化として、都の建築物の壁面緑化を全施設を対象として実施するべきであります。
 ヒートアイランド対策では、「十年後の東京」の中で、海からの風を都市の内部に導く風の道をつくり出すことが提唱されております。
 今後の都市づくりにおいて、緑化はもちろんのこと、建物の高さを抑制した中低層の街区計画や、建物間を十分にあけ、オープンスペースをつくる高層建築の指導など、まちづくりの早い段階から環境対策を位置づけ、風の道を確保することが重要と考えます。
 そこで、今後の都市づくりにおける風の道の取り組みについてご所見をお伺いいたします。
 次に、中小企業支援対策についてお尋ねいたします。
 日本経済の先行きは、非常に不透明な状況にあります。都内の中小企業は、原油高に起因して原材料費の高騰に、あるいはアメリカのサブプライムローン問題に端を発しての金融機関の破綻の影響による国内金融機関の貸し渋りなど、厳しい経営状況に直面しているのであります。
 東京都では、現在でもさまざまな中小企業支援策を行ってはおりますが、こうした厳しい経済状況の中で、都内の中小企業を守り、都民の暮らしを守っていくためには、今後、より一層こうした支援策を充実させる必要があるのではないでしょうか。
 また、こうした中で、中小企業にとって、法人事業税、法人都民税の法人二税を初めとして固定資産税、都市計画税、事業所税など、地方税の税負担は大きな問題であり、東京商工会議所や都内の中小企業の団体などからは、税負担の軽減の要望が出されているのであります。
 地方法人課税は、都の大事な財源であることは十分に承知しております。一定の配慮もされておりますが、現在の景気後退の時期には、中小企業支援策として、地方税の軽減も必要ではないかと考えるのであります。
 特に事業所税につきましては、東京商工会議所から、都に対しても要望が出されており、地方税法の改正を含めて都が検討されることを強く要望するものであります。
 最近、私のところに地元の事業主の方が来られました。その方は、外国と新規の取引の話が持ち上がった、しかし、保証金を積まなければ契約が結べない。その企業は過去の経営状態が悪く、銀行借り入れもしているので、地域の金融機関では融資を受けることができず、制度融資を利用したらといわれたとのことでした。
 本来なら、新銀行東京がこうした企業に資金供給を行い、中小企業支援という設立当初の理念を果たすべきであったのですが、再建中の銀行であっては、なかなか難しいといわざるを得ません。新銀行東京の設立理念が果たせないのならば、この銀行の使命は終わったと判断するべきではないでしょうか。
 都は、再建は必ずできるといっておりますが、提出された計画書を見ても、信頼に足るとは思われないのであります。もうこれ以上都民に負担をかけることなく、早く清算するべきと改めて主張するものであります。
 一方、中小企業の厳しい状況は、まさに待ったなしであります。目前の中小企業を救う重要な役割は、都の重要な金融政策である東京都制度融資にかかっているのではないでしょうか。今こそ都内中小企業の資金繰りを支援するために、制度融資の枠の拡大や、保証審査のさらなる弾力化を図るべきと考えますが、ご所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中村明彦議員の一般質問にお答えいたします。
 地球温暖化対策についてでありますが、地球温暖化については、多くの専門家が警鐘を鳴らしているように、今思い切った対策を講じなければ、あと五、六年のうちにポイント・オブ・ノーリターンに達するといわれるほど、憂慮すべき事態になっております。
 例えば、NASAのハンセン教授が指摘しているように、現に北極海の氷は解けつつありまして、このままだと、あと十八年で消滅するといった状況があちこちで起こっております。
 温暖化がもたらす破局的な事態を回避するためには、CO2の徹底した削減を速やかに実行することが必要であります。
 都は、都民や企業などあらゆる主体に、省エネ、節電の具体的行動を働きかけるため、既に導入を決めた削減義務化を着実に具体化していくとともに、今回新たに都独自の太陽エネルギー普及拡大策を講じるなど、低炭素型都市の実現に向けた施策を着実に展開してまいります。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 家庭でのCO2 削減に関するご質問にお答えいたします。
 都は、昨年夏から、都内の小売業界と連携し、都民が電球形蛍光灯をより身近に購入できるよう、白熱球一掃作戦を展開してまいりました。その結果、チェーンストア業界での販売個数が二割から三割ふえるなどの成果も上がってきております。
 また、今回、太陽エネルギーの飛躍的な利用拡大に向け、国に先駆けて、家庭用太陽光発電等への補助制度の導入を明らかにしました。
 家庭のCO2削減を進めるため、今後、これら低CO2型のエネルギー機器の普及をさらに進めるとともに、ライフスタイルの転換を促す省エネキャンペーンの実施などにも取り組んでまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、恩賜上野動物園のパンダの受け入れについてでありますが、動物園の役割として、絶滅のおそれのある野生動物の繁殖に取り組むことや、展示を通して環境教育を行うことは、種の保存や来園者の自然保護への理解を深める上で重要であります。
 このため、上野動物園では、希少動物の飼育に積極的に取り組み、成果を上げてまいりました。特にパンダについては、人工哺育のための専用ミルクを開発し、中国に提供するなど、その繁殖に貢献してまいりました。
 パンダ保護の国際的な枠組みの中では、パンダ保護繁殖への支援が求められることになっておりますが、現在のところ、それを踏まえた共同研究などの内容は、中国から提示されておりません。その内容が明らかになった段階で、十分吟味し、適切に対応してまいります。
 次に、隅田川のテラス整備についてでありますが、河川の整備においては、治水機能を確保しつつ、地域特性を踏まえ、自然環境に配慮した水辺空間を創出していくことが重要であります。
 隅田川ではこれまでも、水辺の散策を楽しめるテラスや、緑豊かなスーパー堤防の整備を進めてきており、多くの都民に親しまれております。
 これらの整備に当たっては、緑の空間を生み出すため、植栽を行っておりますが、一部では、アシが茂り、水生生物が生息できるビオトープを創出してまいりました。
 また、テラスには、水辺に近づける階段を設置しておりますが、構造やスペースなどの状況に応じ、可能な箇所については、車いすの利用者などが使いやすいスロープを設置しております。
 今後とも、構造的な制約、地域の特色、地元の要望などを勘案し、多くの人々が憩い、安らぎを感じる隅田川の整備に努めてまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 都市づくりにおける風の道の取り組みについてでございますが、都はこれまでも、都心部での大規模な開発における積極的な緑化やオープンスペースの確保、保水性舗装の導入などにより、ヒートアイランド対策に取り組んでまいりました。
 また、品川駅、田町駅周辺地域などでは、開発計画を適切に誘導し、建築物の配置の工夫などにより、運河沿いという地域の特性も生かして、風の道を確保することとしております。
 今後も、「十年後の東京」に示されたとおり、広域的、骨格的な緑を形成し、風の道を生み出すなど、環境に配慮した都市づくりを進めてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業支援策の充実についてでありますが、都はこれまでも、技術、経営、資金供給など、多面にわたり中小企業を支援してまいりましたが、世界的な金融市場の混乱や、原油、原材料価格の高騰などもあって、都内中小企業を取り巻く環境は極めて厳しい状況となっております。
 こうした認識に基づきまして、都は、納品単価の切り下げ要求などに苦しむ中小企業を支援するため、下請取引の紛争を裁判外で解決する下請センター東京を設置いたしました。
 また、現下の厳しい経営環境においても、中小企業が積極的に設備投資に踏み出せるよう、今定例会に中小企業設備リース事業に係る補正予算案を提出したところであります。
 次に、中小企業の資金繰りに係る支援についてですが、都におきましては、都内中小企業の多様な資金調達を実現するため、新銀行東京の設立や制度融資、CLOなど、さまざまな金融支援策を講じてきております。
 お尋ねの制度融資の拡充についてでありますが、原油、原材料価格の高騰などに苦しむ中小企業を中心に、セーフティーネット保証の利用が急増しております。
 このため、経営支援融資の目標額を三百億円拡大するとともに、小規模企業者に対する信用保証料の補助率を大幅に引き上げ、資金調達の円滑化と負担軽減を実現すべく、今回の補正予算案に必要な経費を計上したところでございます。
 また、信用保証協会や金融機関に対しまして、制度融資の積極的な利用を要請したところであり、今後とも中小企業の資金繰りの円滑化に努めてまいります。

副議長(石井義修君) 六十七番宇田川聡史君。
   〔六十七番宇田川聡史君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十七番(宇田川聡史君) 初めに、障害者施策について伺います。
 七月に行われた財政委員会の視察において、都立永福学園に行き、就労を含む自立へ向けた取り組みが着実に行われていることを実感いたしました。
 一方、さきの第一回定例会でも申し上げましたが、意思の疎通が困難であったり、常時医療的ケアが必要であるなど、自立したくとも厳しい状況の方々、重症心身障害児者に対する支援体制は、まだまだ十分ではないと感じております。
 平成十七年、知事も出席された東部療育センターの開所式に私も伺いましたが、設備などについては、感心するばかりのすばらしい施設でありました。
 しかし、その後は、全国的な医療人材確保の困難などが生じ、この東部療育センターに限らず、医師や看護師不足により、本来の機能が発揮できないところがあると聞いております。
 意思の疎通が困難である重症心身障害児者への医療提供や看護は、大変な苦労も多々あることだと思います。だからこそ、その意義や重要性、やりがいといったものを認識する必要性があるのではないでしょうか。
 知事は、就任後間もなく、府中療育センターを視察され、その後、さらに整った設備を有する東部療育センターを開設いたしました。視察時や開所式において、施設で働く医師や看護師と意見を交わされたそうですが、その方たちの仕事に対して、知事はどんなご認識、どういったご理解をされているのかをまずお尋ねいたします。
 現在、とりわけ看護師確保が困難な状況です。障害者施設で働く看護師を安定して確保していくためには、その特性をきちんと理解し、その上で、意義ややりがいを見出してもらえる取り組みが必要だと考えます。
 都は、重症心身障害児者施設での看護師確保に向けて、どんな取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。
 障害者看護を志し、幅広い看護技術を身につけ、大変な中にもやりがいを見出して頑張っている看護師は、今、とても貴重な存在です。こうした看護師に励みを与え、定着してもらうためには、専門性を正当に評価するような仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。ご所見をお伺いいたします。
 重症心身障害児施設は児童福祉法に基づくものですが、重症心身障害児者通所事業は法律上の位置づけがなされていないなど、制度上の課題がございます。在宅での家族の方に対する支援という意味合いからも、通所施設の充実は必要不可欠です。
 一定での私の質問に対し、通所施設の整備を進めていくとの前向きな答弁をいただいたところではありますが、安定的な運営のためには、制度の面からも法律上の位置づけがなされるなど、国としても必要な措置を早急に講じるべきです。
 都としても、必要な見直しについては、国に対して提案、働きかけをしていくべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、都市農業の振興について伺います。
 過日、視察を通じて、江戸川区内の農家の方と意見交換の機会がありました。さまざまな話の中、都市部の農業が直面する課題を再認識し、振興施策の必要性を強く感じたところです。
 区内も他の地域同様、農地面積は減少の一途をたどり、平成八年からの十年間で、三二%、約三十六ヘクタールの農地が消えてなくなりました。いうまでもなく、農地は、食糧生産にとどまらず、防災空間などの多面的機能を持つ貴重な緑地であります。都の喫緊の課題として農地保全に取り組んではおりますが、まず何より、農業が経営として成り立つことが重要だと考えます。
 現在、農業者みずからが作成する農業経営改善計画を区市町村が認定するという認定農業者制度が全国的に導入されており、認定農業者は、国や都からの支援策対象となっております。都は、この制度をどのように普及し、認定農業者をいかに支援していくのかをお伺いいたします。
 江戸川区は、都内区市町村の中で農地面積が三十一番目であるにもかかわらず、産出額は約十六億円と四番目に位置しております。
 特に、江戸川区発祥といわれるコマツナは、年間六回から七回の収穫により生産性を高め、産出額の四分の三を占めるほどの特産品であります。しかしながら、病虫害や土壌劣化対策、競争激化による価格低迷など、課題は山積しているのが現状です。
 都は今後、コマツナなどの都市農業に適した農産物の生産振興に対してどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
 八ッ場ダムについて伺います。
 熊本県の蒲島知事が、川辺川ダム計画を中止し、ダムによらない治水対策の追求をすべきとの意向表明を行いました。都議会内の一部会派では、この表明を引き合いにして、八ッ場ダム計画の見直しを主張しております。しかし、治水というのは、地域事情等を総合的に勘案すべきであり、熊本県知事も、いかなる目的を持ったダムも認められないといった意見に対しては賛成できないと明言をしております。
 私の地元江戸川区を含む区部東部低地帯の住民にとって、治水による安全確保は切実な願いであり、昭和二十二年のカスリーン台風による甚大な浸水被害を二度と罹災しないためにも、八ッ場ダムの完成に大きな期待を寄せているとともに、早期完成を願っております。
 そこで、治水といった面から考えられる八ッ場ダムの必要性について、改めてお伺いをいたします。
 次に、気候変動への対応について伺います。
 気候変動の問題は、降雨への影響のほか、エネルギー使用のあり方を含めて、さまざまな場面で議論され、マスコミにも頻繁に取り上げられております。現在進行形で変動が続いておりますが、五十年後、百年後を見据えるような長いスパンで検討を加える必要があると思います。
 水道施設、水道事業は、気候変動と切っても切れないかかわりを持っているわけで、そのあり方について慎重なる検討、対応が求められております。
 地球温暖化が叫ばれる昨今、温室効果ガス削減への取り組みがなされつつありますが、浄水場を上流部へ移動させ、位置エネルギーを活用したシステムにすることにより、CO2排出量削減につながるのではという調査検討が国土交通省で始められたとのことです。水道局としても、こうした検討を積極的に進めていくべきと考えます。
 温暖化対策を踏まえた水道システムづくりについて、これまでの取り組みも生かし、今後どのように取り組んでいかれるのか、基本的な姿勢についてお伺いいたします。
 次に、京浜港についてお尋ねをいたします。
 今月十八日、石原知事と横浜市長、川崎市長が会談を行い、三港の実質的な一港化に向けた取り組みについて発表がありましたが、広域連携推進体制の整備、京浜港共同ビジョンの策定など、着々と取り組みが進んでいることが実感できます。今後とも、国際競争力を強化し、国際基幹航路の維持拡大を図るために努めていただきたいと思います。議会としても、三議会が手を取り合って、京浜港広域連携推進議員連盟を結成し、積極的な支援を確認したところです。
 しかし、港というのは、船が寄港すれば終わりというわけではなく、荷主や消費者に荷物が届いて初めて物流として完結するわけで、その後の輸送網が整備されていなければ、国内ハブ港としての機能は発揮できていないことになり、内航船による輸送、内陸部への鉄道輸送や陸上輸送などの充実強化は不可欠だと考えます。
 京浜三港の広域連携を進める中で、こうした国内ハブ機能の強化についてどのような取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。
 基幹航路を維持拡大するためには、国内ハブ機能の強化とともに、東京港の外貿コンテナ機能の強化も喫緊の課題です。
 国際物流は、船舶の大型化により、ますます活発化しており、世界の船会社の中には、八千個積み以上の大型コンテナ船を建造し、効率化と輸送能力増強を図っていると聞きます。こうした大型船に対応するため、上海や釜山等のアジア諸港では、大水深岸壁等の整備を確実に進めているようです。
 世界のこうした流れに取り残されないためには、東京港においても、船舶の大型化に対応する取り組みが必要だと考えますが、都としてどう取り組んでいくのか、具体的にお聞きをいたします。
 最後に、下水道の老朽化対策について伺います。
 下水道の管渠は、既に耐用年数を超えたものが約一千五百キロメートルあるなど、老朽化が進行しており、損傷などによる道路陥没が毎年一千件もあると聞きました。これまでの取り組みによって減少してはいるようですが、「十年後の東京」にうたわれている安全なまちの実現のためには、施設の再構築などにより、道路陥没を防止すべきことはいうまでもありません。
 下水道局は、平成十八年度から本格的に幹線管渠の現況調査を実施しているとのことですが、その調査結果を踏まえ、安全・安心確保のためにどのような取り組みを進めていくのか、お尋ねをいたします。
 一方で、各家庭の排水設備と下水道本管をつなぐ小さな下水道管渠、取りつけ管と呼んでいるようですが、これもまた老朽化は免れない状況であり、一千件の陥没のうち、この管によるものが大多数だと聞きました。
 取りつけ管の現況調査は、これまでも下水道局によって行われているようですが、百八十六万カ所という膨大な数であり、はかどってはいないようです。一軒一軒のお宅に通じる取りつけ管を調査することは、時間も費用もかかり、人員も到底足りるものではないかもしれません。しかし、都内には、下水道普及に尽力した排水設備工事業者の方が多数いるわけで、こうした方たちの団体に協力を求めることにより、調査が格段にはかどると考えます。
 陥没の減少はもとより、老朽化対策のために、このような民間団体と都が連携して、取りつけ管調査をこれまで以上に加速させるべきだと提案をいたしますが、ご所見をお伺いいたします。
 以上で私からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 宇田川聡史議員の一般質問にお答えいたします。
 重症心身障害児施設で働く医師や看護師の仕事についてでありますが、先年、府中の療育センターや東部療育センターを視察しました。働いているスタッフの方々の献身的な姿を目の当たりにして、非常に感動というか、いろいろとショックを受けました。
 重症心身障害児というのは、ほとんど自分の意思を伝えることができませんし、寝返りどころか、ほとんど自分で手足も動かせない。こういった重症者をうっかり寝返りをさせますと、その重量がかかった部分の骨が折れたりするものですから、本当に三、四人でゆっくり持ち上げて、床ずれを防ぐための寝返りを打たせるという、そういう状況でありました。
 ゆえにも、医師や看護師は、小さなサインを見逃さないように懸命にケアをしておりまして、そういった障害児の訴えや思いを理解できたときの喜びや充実感はもう大変なものだと聞きましたが、とにかく、何かコミュニケートするための方法は、本当に軽く相手の体をたたくしかできないということでありました。
 こうした仕事に日夜懸命に取り組んでいる人たちを、健常者ももっと理解していただきたいと思います。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 三点についてお答えいたします。
 まず、重症心身障害児施設における看護師確保についてでありますが、施設見学会や就業フェアなど、あらゆる機会をとらえ、重症心身障害児者を看護する仕事の意義を理解していただくようPRに努めております。
 また、今年度からは、都立の東大和療育センターと東部療育センターで実施いたします離職中の看護師向け復職支援研修におきましても、実習などを通して、重症心身障害児者の看護の意義や、やりがいへの理解が深まるよう努めてまいりたいと思います。
 あわせて、看護の負担軽減のため、機械浴槽等を整備するなど、業務環境の改善も行っておるところでございます。
 引き続き、看護師の確保に精力的に取り組んでまいります。
 次に、看護師の専門性の評価についてであります。
 救急や緩和ケアなどの分野につきましては、認定看護師の制度がございますが、残念ながら、重症心身障害児者の看護はその対象となっておりません。
 重症心身障害児施設で働く看護師は、心豊かな看護とともに、入所者の障害の重度化に伴い、呼吸管理等の専門性の高い医療への対応が求められております。
 こうした専門性を正しく評価することは、看護水準の向上につながるとともに、看護師の定着にも有効と考えておりまして、今後、その仕組みについて検討してまいります。
 最後に、重症心身障害児者通所事業についてであります。
 重症心身障害児者が安心して地域で生活するためには、通所事業の充実が重要な課題となっております。
 しかし、ご指摘のように、通所事業は法律上の位置づけがないために、国に運営費の負担義務がなく、補助も不十分であります。
 都はこれまでも、補助基準額の引き上げを国に要求してきたところであり、引き続き、その充実を求めてまいります。
 さらに、現在、国が検討している障害者自立支援法等の見直しにあわせまして、通所事業の法制化についても、国に強く働きかけてまいります。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 農業振興に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、認定農業者制度についてであります。
 この制度は、まず区市町村が農業基本構想を定めまして、これに基づき農業者が作成した農業経営改善計画を認定するものであり、この認定によりまして、農業者はさまざまな支援を受けることができ、経営意欲が喚起されることから、都市農業の振興を図る上で極めて効果的であります。
 現在都内では約千名が認定をされており、都は本制度のさらなる普及に向けまして、農業者が経営改善計画を作成するに当たっての助言、指導を行いますとともに、区市町村に対しましては、農業基本構想の策定や計画の認定を推進するための補助事業を実施しております。
 また、認定農業者の支援につきましては、この制度に基づく経営の指導や低利融資に加えまして、都として独自の魅力ある都市農業育成対策事業によりまして、生産施設などの整備に対する経費補助を行っております。
 今後とも、都市農業を担う意欲的な農業者の確保に向けまして、認定農業者制度の普及促進に積極的に努めてまいります。
 次に、都市農業に適した農産物の生産振興についてであります。
 大都市の特徴である狭小な農地におきまして、収益性の高い農産物を継続して生産していくためには、病害虫の発生や土壌の劣化など、さまざまな課題を解決する必要があります。
 このため、都は、生産面では、農薬だけでなく、防虫ネットやフェロモンなどを活用して、病害虫を総合的に防除するIPM技術や、通気性、保水性を維持するための土づくりの技術の導入などを進めております。
 また、流通面では、学校給食に供給するための仕組みづくりや、農産物直売所などの施設整備に対する補助など、多様な地場流通による販路拡大に向けた支援を行っております。
 今後とも、こうしたさまざまな取り組みを積極的に推進いたしまして、都市農業の一層の振興を図ってまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 八ッ場ダムの治水面からの必要性についてご質問ございました。
 ご指摘にもありましたとおり、昭和二十二年の九月十六日でございますが、カスリーン台風によりまして利根川の堤防が決壊いたしまして、これに起因する洪水によりまして、東京の東部低地帯││江戸川区を含みますが││に壊滅的な被害がもたらされました。
 利根川の治水計画は、このような二百年に一回とされる確率の規模の出水に対しましても、はんらんさせずに、安全に河口まで流すことを目標としております。
 八ッ場ダムは、この治水計画の一翼を担う重要な施設でございまして、利根川上流ダム群の中でも最大の洪水調節能力を期待されているものでございます。
 こうした治水の安全性を確保するとともに、利水安全度の向上も図る多目的ダムとして、八ッ場ダムは不可欠な施設でありまして、早期の完成がぜひとも必要でございます。
   〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 温暖化対策を踏まえた水道システムづくりについてでありますが、水道事業は、浄水場での高度浄水処理や送配水の過程において、ポンプ運転などのために大量のエネルギーを使用しております。
 水道局ではこれまで、CO2の排出量低減のため、ポンプ設備の新設または更新時に省エネ型設備に転換するなど、省エネルギー対策に取り組むとともに、太陽光発電や小水力発電など、自然エネルギー等の有効活用に積極的に取り組んでまいりました。
 今後、CO2排出量の削減義務化など、一層の温暖化対策の強化が求められることを踏まえると、従来の取り組みを超えた、さらに抜本的な施策が必要であると考えております。
 今後、昭和三十年代から四十年代の高度経済成長期に整備した浄水場などの大規模施設が集中的に更新期を迎えますが、施設の更新に当たっては、長期的な視点を持って、エネルギー効率の観点も含め、水道システム全体のあり方について幅広く検討してまいります。
   〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、京浜三港の広域連携による国内ハブ機能の強化についてでございますが、近年、国際分業の進展や、生産拠点の国内回帰、内陸部における道路ネットワークの充実などによりまして、京浜三港の物流圏は、南東北を初め、首都圏を越えて拡大しつつあり、三港の国内ハブ港湾としての重要性はますます大きくなっております。
 本年三月、京浜三港は、広域連携強化に係る基本合意を締結いたしまして、我が国の国際物流の玄関口としての役割を果たしていくため、国内ハブ機能をより一層強化することといたしました。
 国内ハブ機能の強化には、三港を起点、終点といたします海上、陸上の太い物流動線を確保することが重要でございます。
 このため、三港の航路を束ね、京浜三港と地方港を結ぶ航路の運航頻度を増加させるなど、内航海運網の充実強化を図ってまいります。
 また、内陸部の物流圏との陸上物流ネットワークのかなめとなる三環状道路や、三つの港を貫く幹線道路である国道三五七号などの早期整備を、一体となって、国に対して強く働きかけてまいります。
 さらに、貨物の集荷力強化のため、今月、長野県において、初めてとなる共同のポートセールスを実施いたしました。
 今後、対象地域を東日本一帯に広げまして、貨物誘致の取り組みを積極的に推進し、京浜三港から伸びるスポークを増加させてまいります。
 実質的な一港化を進める中で、国内物流と国際物流を結ぶ国内ハブ機能を強化することによりまして、京浜港として国際競争力を高めてまいります。
 次に、東京港における船舶の大型化への対応についてでございます。
 近年、国際海上コンテナの基幹航路におきましては、輸送効率向上の観点から、船舶の大型化と、これに伴います寄港地の集約化が急速に進んでございます。
 東京港が国際基幹航路から外れ、小型船に積みかえるフィーダー輸送に依存することとなりますと、海上輸送日数や輸送コストの増加等から、日本経済への大きな影響が危惧されます。
 このため、本年七月の東京都港湾審議会答申を踏まえまして、国際基幹航路の主流となりつつある八千から一万個積みのコンテナ船や、さらにはパナマ運河拡張も視野に入れ、一万個積みを超えるコンテナ船が接岸可能な大水深岸壁への再編に向けまして、その課題やあり方を検討し、大井、青海の既存ふ頭や、新たに計画しております中央防波堤地区ふ頭の港湾計画を見直してまいります。
 さらに、ふ頭背後の荷さばき用地の拡充や荷役機械の増強により、コンテナターミナルの処理能力の向上など、大型コンテナ船の受け入れ体制を整えてまいります。
 今後とも、急激に変化する国際物流の動向に迅速かつ的確に対応し、東京港が首都圏四千万人の生活と産業を支えますメーンポートとしての役割を果たしてまいります。
   〔下水道局長今里伸一郎君登壇〕

○下水道局長(今里伸一郎君) 下水道管渠の老朽化対策に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道の幹線管渠の再構築の取り組みについてでございますが、下水道局ではこれまで、法定耐用年数五十年を経過した下水道管渠が多い都心部を中心に、計画的に再構築に取り組んでまいりました。
 しかし、口径が大きく流量も多い幹線につきましては、水位が高いなどの理由により、老朽化調査も困難な箇所が多く、部分的な対応にとどまっておりました。
 そのため、こうした幹線を無人で調査する新たな機械を開発するなどして、平成十八年度から本格的な調査を開始し、耐用年数を経過した四十七幹線、約百二十キロメートルの調査をこれまでに完了しております。
 調査結果に基づき、今後十年以内に、優先度の高い十六幹線につきましてはすべての区間の再構築を完了させ、残り三十一幹線につきましては、老朽化の著しい区間につきまして再構築を実施していくこととしております。
 今後とも、耐震性などの機能向上を含めた再構築を着実に実施し、将来にわたり安定した下水道サービスを提供してまいります。
 次に、取りつけ管調査の促進についてでございますが、下水道管渠の損傷により発生する道路陥没は、その八割以上が取りつけ管に起因しております。
 これら道路陥没を防止するためには、損傷箇所を早期に発見し、補修などを行う予防保全型管理が重要となります。
 そのため、下水道局では、従来のテレビカメラ調査に加えまして、口径の小さい取りつけ管を簡易に調査できるよう、小型化されたテレビカメラを導入するなどいたしまして調査を加速させ、損傷の早期発見に努めてまいりました。
 しかし、調査箇所数が膨大であることから、ご指摘のような民間団体の活用につきましても積極的に検討いたしまして、調査のさらなるスピードアップを図り、道路陥没を抑制するなど、安全・安心なまち東京の実現に取り組んでまいります。

議長(比留間敏夫君) 二十五番早坂義弘君。
   〔二十五番早坂義弘君登壇〕

○二十五番(早坂義弘君) 二十九億円。我が党の緊急要望を受け、東京都が提出した小中学校耐震化事業の補正予算です。
 阪神・淡路大震災では、死者の九五%が即死でありました。このことは、大震災によって命を失うのは、地震に襲われた瞬間だということを意味しています。すなわち、地震の第一撃からいかに身を守るかこそが震災対策の本丸であり、建物の耐震化なくして、大震災から命は守れません。食糧の備蓄や仮設住宅は、あくまで生き残った後の話です。
 都内の公立の小中学校全体では、七千五百棟の校舎があります。このうち四分の一、千七百棟が耐震性に欠けています。小中学校の校舎の耐震化は、子どもたちの命を守るために極めて重要な施策です。ましてや、学校は災害時の避難所になるところです。学校に避難しようと行ってみたら、地震で崩れていたではお話になりません。中国四川大地震による学校倒壊の悲惨な状況は記憶に新しいところです。
 では、写真をごらんください。(パネルを示す)中越沖地震で被災した学校で、和歌山県の臼井防災士が撮影したものです。ごらんのとおり、窓の外には、耐震化工事をした証左の筋交いが見えます。一方、教室の中に目を移すと、ロッカーが倒れています。
 では、次の写真をごらんください。こちらは職員室の状況です。ロッカーが倒れ、テレビが落下しています。教室にもロッカーやテレビがあるでしょう。授業中だったらどうなっていたか。理科室や保健室の状況はどうか。化学薬品が飛び散っている可能性があります。
 では、もう一枚ごらんください。こちらは、岩手・宮城内陸地震のものです。ピアノがひっくり返っています。大地震の際、ピアノが走ってくるというのは、防災の専門家の間ではよく知られた話ですが、このようにひっくり返るケースすらあるのです。周囲にお子さんや先生がいたら致命的な被害を受けていたかもしれません。
 建物の耐震化を進めることが、大震災から命を守る大前提です。それと同時に、室内対策、すなわち家具やピアノの固定、ガラスの飛散防止がとても重要であることがおわかりいただけるかと思います。
 交通事故に例えるならば、車の躯体を強くするのがまず第一。その上で、シートベルトをしなければ、大けがあるいは死に至るということです。写真は用意しませんでしたが、地震により家具の転倒防止器具が外れてしまった例も数多くあります。素人の簡単な取りつけでは、我々が想定するような大震災には耐えられないものも出てくるのです。家具の転倒防止に気をつけましょうというスローガンだけでは限界があります。真に効果をもたらすためには、一定水準の技術が求められます。
 これらに対する方策も含め、学校における震災対策に関してご見解を伺います。
 ところで、地域危険度の結果などを踏まえ、東京都は、平成十五年度に策定された防災都市づくり推進計画の見直しを行うとしています。先ほどの交通事故の例えでいえば、道路の見通しをよくしたり、道幅を広げたりという大きなまちづくりからの対策がこれに当たります。
 震災対策は、規模の大きい方から順に、木造密集地域の解消や狭隘道路の拡幅、次に個別の建物の耐震化や不燃化、三つ目に室内の家具固定やガラス飛散防止、これらいわゆるハード対策こそが、地震の第一撃から命を守る何よりの手だてです。
 東京をマグニチュード七クラスの大地震が襲う可能性は、今後三十年以内に七〇%。ここで気をつけなければならないのは、大地震は三十年後に発生するということではなく、きょう起きる可能性も含めて、七〇%だということです。
 こうした警告を耳にしても、私だけは大丈夫という正常化の偏見ゆえか、震災対策は、現実にはなかなか進んでいません。先ほど警視総監が切々とお話しされた振り込め詐欺も、まさか私がという同じ心理メカニズムによるものだと私は思います。
 震災対策にもいろいろあります。それが、地震の第一撃から命を守るためのものなのか、それとも生き残った後の対応策なのか、この両者をはっきり区別しないまま、震災対策という大きなくくりの中で議論されていると私は考えます。
 震災対策の本丸は、命を守ることにあります。木造密集地域解消などの防災まちづくりを進めるとともに、学校だけでなく、さまざまな建物の耐震化促進などのハード対策を今こそ重点的に進めるべきです。知事のご見解を伺います。
 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 昨日の我が党代表質問に対し、新型インフルエンザ緊急対策の三つの柱として、社会機能の維持、保健医療体制の整備、都民、事業者への意識啓発の推進とのご答弁がありました。
 国は、新型インフルエンザが発生した最悪の場合には、我が国全人口の二五%が感染し、六十四万人が死亡すると推定しています。これは、過去に我が国で発生した弱毒性のスペイン風邪をモデルにしたものです。しかしながら、今日議論されている新型インフルエンザは強毒性の可能性も指摘されており、ここから既に国の認識の甘さがうかがえます。
 新型インフルエンザの脅威から国民を守るのは、国家安全保障上の国の責務です。しかしながら、罹患した患者と直接向き合うのも、そして、恐怖におびえる市民と対峙するのも、結局は現場の自治体、つまり我々です。一千二百万都民の安全を守ることは、東京都政を担う石原知事、そして、我々議会の最大の責務です。直面する危機に鈍感な国に先んじて、想像し得るさまざまな手だてを講じておかなければなりません。
 今回の八十八億円の補正予算では、タミフル、リレンザなどの医薬品の備蓄を、東京都独自に大幅に強化することなどが提案されています。このことは、我が党の提案を受けた迅速な取り組みであり、都民にとって大きなニュースです。
 医薬品の備蓄を前提とすれば、患者をどう診察するかという医療体制の確保が大変重要な課題になります。東京都は、封じ込め対策として、既に発熱センターや感染症指定医療機関などの整備を進めていますし、本定例会では、医療関係者用の個人防護服五十万着の購入についての議案が提出されています。
 しかしながら、新型インフルエンザは感染力が非常に強いと考えられますから、パンデミック、感染爆発期の医療機関には、患者に加えて、不安に駆られた人々が殺到することが想定されます。
 また、病院内での感染防止のためには、患者の動線や患者同士の間隔にも十分な配慮が必要です。ベッドがあいていても、ほかの患者に簡単に感染しかねませんから、すぐ入院というわけにはいきません。トイレは同じところを使うのか、二日に一回透析が必要な腎臓病患者への対策はどうするのか、防護服はどこで着用してどこで脱ぐのか。パンデミック期に起こるであろうさまざまな状況を想定しながら、すべての医療機関が新型インフルエンザ対策に取り組んでいく必要があります。
 東京都としても、すべての医療機関がこうした準備を進められるよう、積極的に支援すべきと考えます。ご見解を伺います。
 新型インフルエンザがパンデミック期に入った場合には、電力、ガスなどのライフライン企業や食品販売の事業者などにも感染が広がり、毎日の生活に最低限必要な事業の継続すら困難になることが予想されます。他方、感染防止のために、学校閉鎖や交通機関をとめる、空港や港の閉鎖、外出禁止令などの思い切った対策が必要な場面も想定されます。
 つまり、社会活動の維持と規制という相反するものが同時に要求されますが、それはもとより、可能な限り感染拡大を防止し、健康被害を最小限にとどめ、しかも社会機能を破綻に至らせないためであります。
 しかしながら、こういった事態に対しての国の対策は、法整備を初めマニュアルの整備や関係者の訓練など、著しくおくれています。
 新型インフルエンザ発生という危機が目前に迫っています。東京都は何ができるか、何をすべきか、今後の対策に関して伺います。
 次に、救急車の適正利用に関して伺います。
 救急出場件数の増加が続いていますが、そこに占める軽症者の比率も増加の一途をたどっています。タクシーがわりの安易な利用など、さまざまな問題点が指摘されていますが、これを考える上で確認しておかなければならないのは、患者自身では自分の病状は判断できないということであります。
 そこで、東京消防庁は、昨年六月より、救急車を呼ぶべきかどうかを都民が電話で相談できるシャープ七一一九、救急相談センターと、救急隊が現場到着後、緊急性がないと判断した場合に、患者の同意のもとで搬送しない救急搬送トリアージを実施しています。
 こうした施策により、どのような成果が上がっているか、また、今後の展開について伺います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 早坂義弘議員の一般質問にお答えいたします。
 建物の耐震化についてでありますが、南関東における大地震発生の切迫性が指摘されておりまして、東京では、直下型地震は、あす、いや、今夜起きてもおかしくないということであります。
 多数の被害者を出した阪神・淡路大震災では、死者の八割は建物等の倒壊による圧死であったようであります。
 建物の耐震化は喫緊の課題でありまして、都は全力で取り組んでおります。とりわけ、緊急輸送道路を最優先に確保するため、全路線を対象に沿道建物の耐震化助成を実施しております。
 建物の耐震化は、所有者の意識啓発が不可欠でありまして、八月に、約五十の関係団体から成る耐震化推進都民会議を立ち上げました。この会議を中心に、民と官がスクラムを組んで、まず耐震化の機運を高めていかなければならぬと思います。
 ある哲学者がいっておりましたが、人間というのは実にいいかげんなもので、だれも人間は必ず死ぬということは知っていても、自分が死ぬということを信じている人間はほとんどいないということでありまして、この耐震化についても、まちに行って話をしますと、いや、石原さん、必ず地震は来る、東京は危ないよと。あなたのところ、木造で危ないんじゃないの、いや、うちは大丈夫、ここは絶対来ないと。妙な確信があって耐震化が進んでおりませんが、やっぱりそういう気風というものを根本で変えていきませんと、この問題は解決していかないと思います。
 耐震化普及のための啓発DVDもつくらせましたので、こういった手段も活用して耐震化の促進を図り、地震が怖くない東京の実現を目指していくつもりでございます。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 学校における震災対策についてお答えを申し上げます。
 都教育委員会はこのたび、公立小中学校等施設の耐震化を平成二十四年度までに完了することを目標とし、区市町村に対して財政支援及び人的支援を行うことといたしました。
 次代を担う児童生徒の身体、生命の安全を確保するためには、建物の耐震化に加え、校内の家具類の転倒、落下防止策を講ずることが極めて重要でございます。
 転倒、落下防止につきましては、これまでも学校設置者である区市町村が取り組んできたところでありますが、その取り組みは自治体ごとに異なっておりまして、必ずしも十分とはいえない状況であるというふうに考えております。
 そのために、都教育委員会は、東京消防庁と連携いたしまして、専門家を講師とする講習会を開催するなど、区市町村教育委員会に対しまして、転倒、落下防止策の重要性を周知しますとともに、技術的な支援を行ってまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 新型インフルエンザ対策についてお答えいたします。
 新型インフルエンザの発生時に医療体制を確保するためには、すべての医療機関が適切な診療を行えるよう、十分な事前の準備を進めておくことが重要でございます。
 このため、都は、本年七月から九月にかけて、都内全域の医療機関を対象に講習会を開催いたしまして、事前の体制整備について周知を図ったところであります。
 また、現在、都内十のブロックにおいて、保健所、区市町村、医療機関等とともに、発生段階に応じて担う具体的な役割と連携策等を協議しております。
 今後、こうした協議の内容も踏まえながら、大規模流行期の医療体制の確保に向けまして、医療機関における個人防護具や医療資機材の備蓄、診療に必要な施設整備などに対します新たな支援策について検討してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 新型インフルエンザ発生時におけます社会活動についてお答えさせていただきます。
 大規模流行期には、外出や事業活動の制限と、都民生活に必要な事業の継続を同時に行う必要がございます。感染拡大を防止するためには、社会活動の規制が不可欠でございます。
 このため、国に法整備等を早急に講じるよう強く求めることに加えまして、都独自の対応策について検討してまいります。
 また、事業継続計画でございますBCPを都みずから策定するとともに、区市町村や事業者に対して、感染予防策の徹底やBCPの策定を支援するなど、都民生活を守り、社会経済機能の確保に努めてまいります。
   〔消防総監小林輝幸君登壇〕

○消防総監(小林輝幸君) 救急車の適正利用についてでございますが、東京消防庁では、都民の皆様に救急車を適正に利用していただくため、昨年六月一日から、東京消防庁救急相談センターの運用と救急搬送トリアージの試行を開始いたしました。
 救急相談センターでは、運用開始から一年間の総受け付け件数が約二十六万八千件と、多くの都民の皆様にご利用いただいており、救急搬送トリアージにつきましても、同意を得られた場合には活動時間の短縮が図られるなど、その必要性についてご理解をいただいているところでございます。
 その結果、一年間における救急搬送人員のうち、初診時に軽症と診断された方は三十五万八千七十人で、前年同期と比べ、約二万二千人減少していることから、両事業が一定の効果を上げているものと考えております。
 このような成果を踏まえまして、今後さらに救急車の適正利用を推進するため、救急相談センターにつきましては、一層の利用促進を図りますとともに、救急搬送トリアージの試行につきましても、都民の理解を深め、本格運用に向けた検討を行ってまいります。

議長(比留間敏夫君) 二十七番原田恭子さん。
   〔二十七番原田恭子君登壇〕

○二十七番(原田恭子君) 都議会生活者ネットワークを代表して質問します。
 まず、今後の都政運営についてですが、年度途中、この時期に一般会計九百三十五億円の補正予算案が提出されたのは、実に十年ぶりです。このうち、五百四十億円が新銀行東京の減資対応です。補正予算で示された中小企業向け支援、雇用対策、新型インフルエンザや耐震対策などは、知事の所信表明で緊急を要するものとの説明に納得するものですが、五百四十億円については、減債基金の義務的積み立ての前倒し実施であるというだけで、説明が十分とはいえません。
 都民の理解を得るためには、まず、新銀行東京の経営実態など十分な説明が必要です。新銀行東京に関する都民への説明責任について、知事の見解を伺います。
 サブプライムローンに端を発したアメリカの金融危機が、EUをも巻き込んで、世界的な規模の景気後退が懸念されています。新銀行東京への影響をどのように分析しているのか、伺います。
 次に、市場移転問題ですが、七月二十六日に、専門家会議は、豊洲新市場の予定地の土壌汚染問題の最終提言をまとめました。九回にわたる専門家会議では、毎回多くの傍聴者が、猛暑の中、傍聴券を求めて列をなしました。抽せんに外れた人々にも音声傍聴ができるように配慮し、傍聴者の質問や意見に対し、専門家が丁寧に答弁するなど、その姿勢は評価するものですが、多くの疑問は払拭されることはありませんでした。特に、専門家会議として必要な対策を都に示し、コストについて都に試算要求をすべきでした。
 現在、技術、工法を民間から公募し、学識者による評価、検証して、十一月に土壌汚染対策計画をつくるということですが、残念ながら、この技術会議は傍聴できません。リスクコミュニケーションの視点からも公開すべきと考えますが、見解を伺います。
 今後、技術会議からの提言を受け、最終的にはどのような基準で判断するのか、また、庁内でどのように検討していくのか、伺います。
 食の安全については、表示の偽装、売れ残りの再利用など不正が相次ぎ、事業者のモラルが問われていますが、今回の事故米の不正流通は、事業者に加え、農水省の責任が重大です。ミニマムアクセスにより、加工用に大量に輸入したものの、カビの発生や農薬が検出された米を返品も廃棄もせず、食用米の販売店に売り、事もあろうに、保育園や病院などまで流れてしまったことを見過ごしたことは、まさに国の犯罪です。
 一方、都においては、国に先駆け、八月末から、調理冷凍食品の原料原産地表示が始まりました。安全な食品を食べることは消費者の権利です。
 食品安全条例を持つ自治体として、条例にも未然防止を掲げている東京都は、関係するすべての所管が連携して、改めて食の安全確保に取り組んでいくべきと思いますが、見解を伺います。
 食品不安に加え、悪徳商法や多重債務など、消費者を取り巻く状況は非常に厳しくなっており、消費者行政の強化が求められます。
 都は、最近も圧力式炊飯器や掃除機などの商品テストの結果を公表するなど、消費者の視点に立った取り組みを進めています。
 複雑多様化する消費者被害に対しても、非常勤の消費生活相談員が、区の相談員よりも安い報酬のもとで、悪質事業者を相手に、詳細な法律知識や商品に関する精通した情報を駆使しながら、被害救済のため、日々奮闘していると聞いています。
 消費者問題の入り口として、東京都消費生活総合センターへ寄せられる期待は大変大きくなっています。経験豊富な相談員が継続できるよう、消費生活総合センターの相談体制を、審議会の提言にもあるように、思い切って強化するよう強く要望します。
 それと同時に、今日、都民が直面する多様な消費者問題を行政の力で解決を図るだけでは十分でなく、消費者問題に積極的な団体や都民とともに、消費者の考え方や感性を大事にしながら解決していくことも有意義なことと考えます。消費者や団体との協働について、都の見解を伺います。
 次に、土砂災害について伺います。
 八月二十九日未明に起きた八王子の川町の土砂災害は、建物崩壊一棟、死傷者はなかったものの、まだ裏山の土砂流出のおそれがあるため、九世帯二十四人は避難したままで、十五日に行政代執行による応急工事が行われました。
 災害現場に行ってみると、被害に遭った住宅の裏山はなだらかで、土砂崩れが起きるような形状ではありませんが、住宅の裏側の木々は根こそぎ伐採されて、そこに行き場のない水が流れ、土砂が流出したと容易に想像できます。
 都は一年前、斜面に亀裂が見つかったとき、裏山の所有者に対して雨水対策を求め、ブルーシートの処理で一年間しのいできましたが、地域の人は大変危機感を持って、市や都に訴えていました。この情報を受けて、早期の対応が必要だったのではと悔やまれます。
 開発許可の審査は申請地域のみで、周囲の状況は審査の対象ではありませんが、今回の被害があった地区は宅地造成工事規制区域であり、丁寧な指導が必要と考えます。
 今後、宅地造成工事規制区域内の開発許可においては、周囲の状況を把握し、的確な指導をしていくことも必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
 土砂災害防止法により、都は、土砂災害警戒区域を指定し、避難体制の整備を促すとして、平成十五年度から基礎調査を始め、現在、青梅市、あきる野市、奥多摩町など、六百八十三カ所の警戒区域を指定して公開しています。
 都内には約八千カ所もの危険箇所があるといわれており、その七割が多摩に集中しているということです。多摩の豊かな自然を守りながら、民間の活力をどう導いていくか、気候変動による予想もしない暴風雨などの災害から市民を守る東京都の役割は大きいものがあります。
 早期に避難体制を整備するために、市区町村と連携し、警戒区域の指定など、ソフト対策を推進すべきと考えますが、都としてどのように取り組んでいくか、伺います。
 障害者地域生活支援については、障害者自立支援法施行以降、障害者の地域での居場所が極めて少ないという声が多く寄せられています。
 例えば、障害者が地域で暮らすためのグループホームは、都の目標は達成する見通しですが、都内全体ではまだまだ不足しており、今後もグループホームの増設が必要と考えます。
 また、精神障害者のグループホームは、主に通過型とされており、数を確保するとともに、一人一人に応じたきめ細かな対応が求められますが、自立までの課題は大きいものがあります。
 そこで、改めて通過型の理由とその支援体制、運用について伺います。
 また、緊急時に利用できるショートステイは、環境が変わることへの不安が、親にも当事者にもあることから、いつも通っている作業所やデイサービスなど、日ごろから接しているスタッフが身近に見えるところへの設置が有効と考えますが、都の対応について伺います。
 障害者の就労、特に精神障害者の受け皿は喫緊の課題です。企業は、精神障害を持った従業員の対応で済ませていくという傾向で、新たな精神障害の雇用拡大にはつながりません。加えて、精神障害者への対応は、まだまだそのノウハウが企業まで伝わっておらず、支援が必要です。
 多摩市の桜ケ丘の病院では、精神障害者の就労は回復のプロセスという考えで、障害者の思いに寄り添いながら、就職先を一緒に探す活動に時間をかけています。そのノウハウは大変参考になるものであり、精神障害者の就労に関して、医療機関と連携して、就労相談員の研修などに生かすべきと考えますが、見解を伺います。
 地域医療について伺います。
 私の地元の稲城市立病院では、数少ない産科の入院施設があり、多摩地区や川崎市などからの利用者も多いのですが、日野市立病院の産科閉鎖後はさらに増加しています。また、町田市民病院は、周産期医療センターの開設に向けて準備を進めていますが、どの病院も、医師や看護師の確保が課題となっています。
 民間では果たし得ない不採算部門も、公立病院は地域の医療として重要であり、病院全体で経営を工夫すると同時に、東京都の支援が必要であると考えます。
 兵庫県丹波市にある県立柏原病院では、多忙をきわめる小児科の現状を見て、地域のお母さんたちが小児科を守る会をつくり、地域での小児医療としての役割を果たせるよう、親自身が子どもの症状を見て判断できる小児救急の冊子を作成し、啓発活動を行っています。
 医療従事者と住民によるネットワークづくりの取り組みは、大切な地域医療のかなめである公立病院を守る上でも大きな力になっていくと考えます。都は、これについてどう認識し、支援していくか、見解を伺います。
 平成二十一年度末、府中に開設される小児総合医療センターは、周産期母子医療センターとして運営される予定です。
 近年、ハイリスク出産はふえる傾向にあり、生まれたときに、一%は積極的な心肺蘇生が必要で、初期治療に当たる地域医療機関のレベルアップが求められています。
 この夏、生活者ネットワークが視察した長野県立こども病院では、こども病院の医師が月一回は地域に出向き、新生児蘇生法などの講習を行う信州モデルを実施しています。このことにより、地域医療従事者との連携も深まり、いずれ子どもたちが地域に戻ったときに不可欠な地域医療機関の受け入れも容易になります。
 都においても、新たに開設される小児総合医療センターにおいて、地域の医療機関などとの連携を積極的に行い、多摩地区における周産期医療の充実を図っていくべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 原田恭子議員の一般質問にお答えいたします。
 新銀行東京に関する説明責任についてでありますが、新銀行東京の役割や現状については、これまでも、議会審議やさまざまな広報媒体を通じ、都民の皆様にご理解いただくよう説明に努めてまいりました。今定例会においても、そう努めております。
 今後とも、最大限、説明責任を果たしながら、再建に向けて取り組んでいくつもりでございます。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 世界的な景気後退による新銀行東京への影響についてのご質問にお答えをいたします。
 今回の米国証券会社の破綻に伴う新銀行東京の直接的な損失はないと聞いております。
 なお、一般に、景気後退局面における金融機関への影響につきましては、企業投資の抑制に伴う資金需要の減少、不良債権の増加などが生じるというふうにされております。
 現在、世界的な景気後退が懸念されており、東京都といたしましても、こうした経済金融環境の変化を十分に注意していく必要があるというふうに考えております。
   〔中央卸売市場長比留間英人君登壇〕

○中央卸売市場長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 技術会議の公開についてでありますが、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について、都民や市場関係者の理解と協力を得ていくには、情報を公開し、共有することが重要でございます。
 そのため、専門家会議については公開で行うとともに、会議録などをすべて公表してまいりました。
 技術会議につきましては、各委員が外部からの干渉を受けず、公正中立の立場で評価、検証を行うことが求められ、また、提案事業者が開発した独自の技術資産に対する配慮も必要なことから、会議及び資料は非公開としておりますが、各回の会議終了後に、支障のない範囲で会議の概要を公表しております。
 なお、技術会議としての審議が終了した段階では、委員名、会議録等について、すべて公表してまいります。
 次に、技術会議の提言に対する都の判断についてでありますが、技術会議では、実効性や経済性等を評価の基準として、最適な技術、工法の選定を行うこととしております。
 都は、技術会議の検討がまとまった後、その内容を最大限尊重し、工事の施工計画や経費、工期を算定した上で、土壌汚染対策計画を策定いたします。
 策定に当たりましては、副知事を座長に関係各局で構成する、豊洲新市場整備事業の推進に関する調整会議で検討をしてまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 五点についてお答えをいたします。
 最初に、食の安全確保についてでありますが、都はこれまでも、流通の各段階で、抜き打ちで事業所に立ち入り、食品の取り扱い等について監視指導を実施するとともに、食品に含まれる残留農薬や食品添加物などの検査を実施し、健康被害の未然防止に努めてまいりました。
 また、輸入食品の安全確保は、国における水際での検疫が基本であることから、毎年度、国に対して、検疫の強化など輸入食品の監視体制の充実を提案要求しております。
 今後とも、国の責任を果たすよう求めていくとともに、監視指導や検査の体制を強化し、関係機関と連携しながら、食の安全確保に努めてまいります。
 次に、障害者グループホームについてでありますが、障害者グループホーム、ケアホームは、平成二十三年度末までに五千五百十四人のサービス見込み量の達成を目標としており、現在、都は、独自の特別助成を実施し、整備を促進しております。
 お話の精神障害者のグループホームについては、病状の回復等の状況に合わせて、単身で生活するなど自立した生活への移行を支援するため、通過型を設けております。このグループホームでは、精神保健福祉士等の資格のある世話人を配置し、各利用者の状況に応じたきめ細かな支援を行っております。
 次に、障害者の短期入所事業についてでありますが、平成十六年三月末の国通知によりまして、短期入所事業は、作業所等の通所施設やグループホームに併設して事業が実施できるよう規制緩和されております。これにより、通所施設等の事業者による運営が可能となっており、こうした取り扱いを事業者に周知するとともに、その整備に努めております。
 次に、精神障害者の就労支援についてでありますが、精神障害者は、通常、定期的に通院しており、就労を支援する事業者には、精神疾患に関する基本的医療知識や障害特性に応じた支援技術が必要となっております。また、企業にとっても、医療機関の支援や協力が得られますと、安心して精神障害者を雇用することができます。
 こうしたことから、企業への就労を支援する事業者等を対象とした研修におきましては、医療機関から講師派遣を受けて、医療知識や支援技術等の普及を図るなど、医療機関と連携した精神障害者の就労支援に努めているところであります。
 最後に、医療従事者と住民によるネットワークづくりについてでありますが、公立病院も含め、重要な社会資源である医療を守るためには、医療従事者が患者の立場を尊重し、住民が正しく医療を知って相互理解を深めることが必要でございます。
 このため、都は、医療情報をわかりやすく提供する、暮らしの中の医療情報ナビや子ども医療ガイドを作成し、都民の適切な受療行動を促しているところであります。
 また、都内の住民サークルが医師を交えて医療に関する勉強会を開き、医療情報ナビをテキストとして活用している例もあるところであります。
 このような取り組みにより、引き続き、医療従事者と住民との相互理解の支援に努めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 都民や消費者団体との協働についてでございますが、消費者問題の解決のためには、意欲ある都民や消費者団体と行政が手を携え、それぞれの主体性を生かしながら取り組むことが大切でございます。
 このため、今回の消費生活基本計画におきましても、施策の方向の一つとして、消費者との協働の推進を掲げているところでございます。
 例えば、消費者問題に関する知識を持つ都民が、東京都消費者啓発員として学校や社会福祉施設などで普及活動に携わり、消費者問題に関する講義を行うほか、毎年、消費者団体等とともに、くらしフェスタ東京を開催するなど、消費者、事業者、行政が協働する取り組みを進めてまいります。
   〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 宅地造成工事規制区域内での開発許可についてでございますが、規制区域内においては、起伏が多い丘陵地に開発許可をすることになりますので、より慎重な審査を行うことが必要でございます。
 審査の際には、開発区域内だけではなく、周辺を含めた安全確認のため、現地調査などを行いまして、状況の把握に努めております。
 今後とも、地元市との連絡を密にするなど、適切な開発許可の運用を図ってまいります。
   〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 土砂災害に対するソフト対策の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
 土砂災害から都民の命を守るためには、避難体制の基礎となる警戒区域の指定と、土砂災害警戒情報の提供が重要であります。
 このため、警戒区域の指定を順次進めており、地元の理解と協力を得ながら、平成二十六年度までに都内全区域での指定を目指してまいります。
 また、本年二月から、区市町村による住民への避難勧告や住民の自主避難の目安となる土砂災害警戒情報を、気象庁と共同で発表しております。
 今後とも、地元自治体と連携して土砂災害対策を推進し、都民の安全確保に努めてまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 小児総合医療センターの周産期医療における地域の医療機関等との連携についてお答えいたします。
 現在、府中の多摩メディカル・キャンパス内に整備を進めております総合周産期母子医療センターは、多摩総合医療センターの産科部門と小児総合医療センターの新生児部門を一体的に運営することで、多摩における周産期医療の拠点としての役割を担っていくものであります。
 この総合周産期母子医療センターでは、ハイリスク分娩など高度な周産期医療を提供することはもとより、地域連携を確保するための会議の開催や、地域の実情や課題に即した研修を実施することなどを通じて、地域の医療機関との連携を図ってまいります。
 これらにより、多摩地域における周産期医療の充実を実現してまいります。

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって質問は終わりました。

議長(比留間敏夫君) これより日程に入ります。
 日程第一から第四十八まで、第百五十七号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)外議案四十六件、諮問一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事谷川健次君。
   〔副知事谷川健次君登壇〕

○副知事(谷川健次君) ただいま上程になりました四十八議案についてご説明申し上げます。
 第百五十七号議案及び第百五十八号議案の二議案は予算案でございます。
 第百五十七号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)は、新型インフルエンザ対策、小中学校等の耐震化対策などの緊急安全・安心対策として百十七億円、中小企業制度融資の充実、正社員採用・定着支援事業などの緊急中小企業支援・雇用対策として二百七十八億円など、合計で九百三十五億円の補正を行うものでございます。
 第百五十八号議案、平成二十年度東京都公債費会計補正予算(第一号)は、新銀行東京の減資に伴い、五百四十億円を減債基金へ積み立てるものでございます。
 第百五十九号議案から第百八十七号議案までの二十九議案は条例案でございます。
 新設の条例は二件でございます。
 第百七十一号議案、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例は、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターが譲渡や担保の提供を行う際に知事の認可を必要とする重要な財産を定めるものでございます。
 第百八十三号議案、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例は、中小企業者等の事業の再生を促進するため、東京信用保証協会に対して東京都が有する回収納付金を受け取る権利の放棄に関する規定を定めるものでございます。
 次に、一部を改正する条例でございます。
 第百六十一号議案、東京都地方独立行政法人評価委員会条例の一部を改正する条例は、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの設立に伴い、評価委員会の委員の定数等を改めるものでございます。
 第百六十五号議案、東京オリンピック開催準備基金条例の一部を改正する条例は、基金の名称等にパラリンピックを加えるものでございます。
 第百六十八号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例は、東京都立大田桜台高等学校及び東京都立青峰学園の設置に伴い、規定を整備するものでございます。
 第百七十号議案、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例は、行政処分を受けた准看護師に対する再教育研修が制度化されたことに伴い、手数料に関する規定を設けるものでございます。
 第百七十二号議案、東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例は、厚生労働大臣が定める回数を超えて受けたリハビリテーションに係る使用料の規定を設けるものでございます。
 第百八十二号議案、東京都立病院条例の一部を改正する条例は、先進医療に係る使用料の規定を設けるとともに、東京都立豊島病院の財団法人東京都保健医療公社への移管に伴い、同病院の規定を削除するものでございます。
 第百八十七号議案、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例は、警視庁南大沢警察署を新設するとともに、八王子、町田及び高尾警察署の管轄区域を改めるものでございます。
 これらのほか、法令の改正に伴い所要の改正を行うものなどが二十件でございます。
 第百八十八号議案から第百九十一号議案までの四議案は契約案でございます。
 第百八十八号議案、都立久我山学園特別支援学校(仮称)(二十)改築その他工事請負契約など、契約金額の総額は約六十一億二千万円でございます。
 第百九十二号議案から第二百三号議案までの十二議案は事件案でございます。
 それぞれ地方自治法などの規定に基づき議決をお願いするものでございます。
 主なものについてご説明申し上げます。
 第百九十三号議案から第百九十六号議案までの四議案は、都営住宅等の指定管理者を指定するものでございます。
 第百九十七号議案及び第百九十八号議案は、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの定款や承継させる権利を定めるものでございます。
 第二百二号議案は、新型インフルエンザ対策として個人防護具を買い入れるものでございます。
 第二百三号議案は、株式会社東京臨海ホールディングスに対し出資するものでございます。
 次に、諮問でございます。
 行政財産の使用許可処分に対する異議申し立てがあったので、地方自治法の規定に基づき諮問するものでございます。
 上程になりました四十八議案の説明は以上でございますが、このほか人事案を送付いたしております。
 まず、東京都教育委員会委員でございます。
 十月十九日に任期満了となります木村孟氏は、再任いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会予備委員でございます。
 一名の委員に欠員が生じましたので、西道隆氏を任命いたしたいと存じます。
 同意につきまして、よろしくお願いいたします。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(大村雅一君) 人事委員会の回答は、第百六十三号議案、第百六十四号議案及び第百六十六号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

二〇人委任第五八号
平成二十年九月十六日
     東京都人事委員会委員長 内田 公三
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十年九月十一日付二〇議事第一九一号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百六十三号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
二 第百六十四号議案
  公益法人等への東京都職員の派遣等に関する条例及び職員の退織手当に関す
  る条例の一部を改正する条例
三 第百六十六号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第四十八までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第四十八までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。

○議長(比留間敏夫君) 日程第四十九、平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について

二〇財主議第二五〇号
平成二十年九月十八日
     東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
 このことについて、地方自治法第二百三十三条の規定により、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定をよろしくお願いします。
        記
一 平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算書
二 平成十九年度東京都各会計歳入歳出決算事項別明細書
三 平成十九年度実質収支に関する調書
四 平成十九年度財産に関する調書
五 平成十九年度決算審査意見書
六 平成十九年度主要施策の成果
七 平成十九年度東京都決算参考書
八 平成十九年度東京都決算参考書財務諸表
 (決算書等省略)

○六十七番(宇田川聡史君) 本件は、三十一人の委員をもって構成する平成十九年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、三十一人の委員をもって構成する平成十九年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定をいたしました。
委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定をいたしました。
なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第十二委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。

○議長(比留間敏夫君) 日程第五十、平成十九年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、平成十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について

二〇財主議第二五一号
平成二十年九月十八日
     東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   平成十九年度東京都公営企業各会計決算の認定について
 このことについて、地方公営企業法第三十条第四項の規定に基づき、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定についてよろしくお願いいたします。
       記
一 平成十九年度東京都病院会計決算書及び同決算審査意見書
二 平成十九年度東京都中央卸売市場会計決算書及び同決算審査意見書
三 平成十九年度東京都都市再開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
四 平成十九年度東京都臨海地域開発事業会計決算書及び同決算審査意見書
五 平成十九年度東京都港湾事業会計決算書及び同決算審査意見書
六 平成十九年度東京都交通事業会計決算書及び同決算審査意見書
七 平成十九年度東京都高速電車事業会計決算書及び同決算審査意見書
八 平成十九年度東京都電気事業会計決算書及び同決算審査意見書
九 平成十九年度東京都水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十 平成十九年度東京都工業用水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
十一 平成十九年度東京都下水道事業会計決算書及び同決算審査意見書
 (決算書等省略)

○六十七番(宇田川聡史君) 本件は、二十三人の委員をもって構成する平成十九年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、二十三人の委員をもって構成する平成十九年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定をいたしました。
委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定をいたしました。
なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を第四委員会室に招集いたしますので、ご了承願います。

○議長(比留間敏夫君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都教育委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、東京都教育委員会委員の任命の同意について一件

二〇財主議第二四五号
平成二十年九月十八日
     東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   東京都教育委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十年十月十九日任期満了となるため、再び任命したいので、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     木村  孟

      略歴
     現住所 東京都八王子市
     木村  孟
昭和十三年三月八日生(七十歳)
昭和三十六年三月 東京大学土木学科卒業
昭和三十九年三月 東京大学大学院修士課程土木工学専攻修了
昭和五十七年四月 東京工業大学教授
平成二年四月   東京工業大学工学部長
平成五年十月   東京工業大学学長
平成九年十月   東京工業大学名誉教授
平成十年四月   文部省(現文部科学省)学位授与機構長
平成十二年四月  文部省(現文部科学省)大学評価・学位授与機構長(学位授与機構から改組)
平成十六年四月  独立行政法人大学評価・学位授与機構長(大学評価・学位授与機構が独立行政法人化)
現在       独立行政法人大学評価・学位授与機構長

○議長(比留間敏夫君) 本件は、起立により採決をいたします。
本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(比留間敏夫君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定をいたしました。

○議長(比留間敏夫君) 追加日程第二、東京都収用委員会予備委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔大村議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について一件

二〇財主議第二四六号
平成二十年九月十八日
     東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者を、新たに任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     西道  隆

      略歴
     現住所 東京都西東京市
     西道  隆
昭和十六年二月九日生(六十七歳)
昭和四十三年三月 中央大学法学部卒業
昭和四十三年四月 入都
昭和五十五年四月 司法修習終了
昭和五十五年四月 東京都総務局法務部法務副主幹
昭和六十年七月  東京都総務局法務部訟務室副参事
平成二年四月   東京都総務局法務部訟務室副参事(統括課長)
平成三年四月   東京都総務局参事
平成七年六月   東京都総務局訟務担当部長
平成十三年三月  東京都退職
平成十三年四月  弁護士登録
現在       弁護士

○議長(比留間敏夫君) 本件は、起立により採決をいたします。
 本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(比留間敏夫君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定をいたしました。

○議長(比留間敏夫君) 追加日程第三及び第四、議員提出議案第十六号、東京都奨学費給付条例外条例一件を一括議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。

○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第十六号及び第十七号については、趣旨説明を省略し、第十六号は文教委員会に、第十七号は経済・港湾委員会にそれぞれ付託されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第十六号及び第十七号は、趣旨説明を省略し、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。

○議長(比留間敏夫君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願三十三件及び陳情二十五件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 明二十七日から十月五日まで九日間、委員会審査のため休会したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、明二十七日から十月五日まで九日間、委員会審査のため休会することに決定をいたしました。
 なお、次回の会議は、十月六日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。

   午後七時五十六分散会

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