平成二十年東京都議会会議録第二号

平成二十年二月二十六日(火曜日)
 出席議員 百二十五名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
五番きたしろ勝彦君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番西岡真一郎君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番田中たけし君
二十一番神林  茂君
二十二番早坂 義弘君
二十三番高木 けい君
二十四番崎山 知尚君
二十五番宇田川聡史君
二十六番高橋 信博君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番伊藤まさき君
三十二番松下 玲子君
三十三番野上ゆきえ君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番村上 英子君
四十一番鈴木あきまさ君
四十二番秋田 一郎君
四十三番山加 朱美君
四十四番串田 克巳君
四十五番吉原  修君
四十六番山田 忠昭君
四十七番田代ひろし君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番三宅 茂樹君
六十四番高島なおき君
六十五番鈴木 一光君
六十六番菅  東一君
六十七番石森たかゆき君
六十八番矢島 千秋君
六十九番鈴木 隆道君
七十番こいそ 明君
七十一番倉林 辰雄君
七十二番遠藤  衛君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番三原まさつぐ君
八十八番田島 和明君
八十九番林田  武君
九十番野島 善司君
九十一番高橋かずみ君
九十二番樺山たかし君
九十三番新藤 義彦君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番立石 晴康君
九十六番桜井  武君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大津 浩子君
百一番大塚たかあき君
百二番相川  博君
百三番中村 明彦君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番服部ゆくお君
百十二番川井しげお君
百十三番吉野 利明君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番馬場 裕子君
百二十一番大沢  昇君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
欠員
   四十八番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長中村 正彦君
知事本局長大原 正行君
総務局長押元  洋君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監矢代 隆義君
生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長吉川 和夫君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長島田 健一君
消防総監小林 輝幸君
水道局長東岡 創示君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長秋山 俊行君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長矢口 幸一君
労働委員会事務局長有留 武司君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

二月二十六日議事日程第二号
第一 第一号議案
平成二十年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十年度東京都と場会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十年度東京都都市開発資金会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十年度東京都用地会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十年度東京都公債費会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十年度東京都病院会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十年度東京都港湾事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十年度東京都交通事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十年度東京都高速電車事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十年度東京都電気事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十年度東京都水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
平成二十年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十九 第二十九号議案
平成二十年度東京都下水道事業会計予算
第三十 第百三十一号議案
平成二十年度東京都一般会計補正予算(第一号)
第三十一 第三十号議案
東京都アジア人材育成基金条例
第三十二 第三十一号議案
東京都公害健康被害予防基金条例
第三十三 第三十二号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十三号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十四号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十五号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十六号議案
平成十九年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第三十八 第三十七号議案
市としての要件に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十八号議案
住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第四十 第三十九号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十一号議案
職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十二号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十三号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十四号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十五号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十六号議案
職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十七号議案
職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十八号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第四十九号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十号議案
法人事業税国税化対策特別基金条例
第五十二 第五十一号議案
東京都債権管理条例
第五十三 第五十二号議案
東京都事務手数料条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十三号議案
東京都減債基金条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十四号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十五号議案
東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十六号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十七号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十八号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第六十 第五十九号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十一号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十二号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十三号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十四号議案
東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十五号議案
東京都立高等学校の寄宿舎使用料徴収条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十六号議案
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十四条の二の規定に基づく職務権限の特例に関する条例
第六十八 第六十七号議案
東京都スポーツ振興審議会に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十八号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十 第六十九号議案
国分寺都市計画事業西国分寺土地区画整理事業施行規程を廃止する条例
第七十一 第七十号議案
東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例
第七十二 第七十一号議案
東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十二号議案
東京都立心身障害者口腔保健センター条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十三号議案
東京都リハビリテーション病院条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十四号議案
東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十五号議案
東京都知的障害者援護施設条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十六号議案
東京都身体障害者更生援護施設条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十七号議案
東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十八号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第八十 第七十九号議案
東京都立肢体不自由児施設条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十一号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十二号議案
心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十三号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十四号議案
東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十五号議案
東京都監察医務院関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十六号議案
東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十七号議案
東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十八号議案
東京都介護福祉士等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
第九十 第八十九号議案
東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十号議案
東京都精神障害者都営交通乗車証条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十一号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十二号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十三号議案
東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十四号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十五号議案
東京都立小児病院条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十六号議案
東京都立精神科病院条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十七号議案
東京都立結核病院条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十八号議案
東京都農業振興事務所設置条例の一部を改正する条例
第百 第九十九号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第百一 第百号議案
東京都道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百二 第百一号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第百三 第百二号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第百四 第百三号議案
東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第百五 第百四号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百六 第百五号議案
都立青梅東学園養護学校(仮称)(H十九)改修その他工事(その二)請負契約
第百七 第百六号議案
都営住宅十九CH―一一一東(足立区江北四丁目・足立区施設)工事請負契約
第百八 第百七号議案
中川左岸防潮堤耐震補強工事(その三十)請負契約
第百九 第百八号議案
環二地下トンネル(仮称)築造工事(十九 一―環二新橋第一工区)請負契約
第百十 第百九号議案
中央環状品川線中目黒換気所下部工事請負契約
第百十一 第百十号議案
中央環状品川線南品川換気所下部工事請負契約
第百十二 第百十一号議案
包括外部監査契約の締結について
第百十三 第百十二号議案
交通信号機等工事に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解について
第百十四 第百十三号議案
道路標識設置等工事に係る損害賠償請求訴訟事件に関する和解について
第百十五 第百十四号議案
東京都美術館外一施設の指定管理者の指定について
第百十六 第百十五号議案
八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について
第百十七 第百十六号議案
多摩都市モノレール株式会社に対する出資について
第百十八 第百十七号議案
東京都立芝浦南ふ頭公園の指定管理者の指定について
第百十九 第百十八号議案
土地の買入れについて
第百二十 第百十九号議案
都道の路線の廃止について
第百二十一 第百二十号議案
平成二十年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百二十二 第百二十一号議案
平成十九年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百二十三 第百二十二号議案
多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百二十四 第百二十三号議案
荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百二十五 第百二十四号議案
平成十九年度東京都一般会計補正予算(第三号)
第百二十六 第百二十五号議案
平成十九年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第二号)
第百二十七 第百二十六号議案
平成十九年度東京都都市開発資金会計補正予算(第一号)
第百二十八 第百二十七号議案
平成十九年度東京都公債費会計補正予算(第一号)
第百二十九 第百二十八号議案
平成十九年度東京都病院会計補正予算(第一号)
第百三十 第百二十九号議案
平成十九年度東京都都市再開発事業会計補正予算(第一号)
第百三十一 第百三十号議案
平成十九年度東京都高速電車事業会計補正予算(第一号)

  午後一時一分開議

○議長(比留間敏夫君) これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(比留間敏夫君) これより質問に入ります。
 百十三番吉野利明君。
  〔百十三番吉野利明君登壇〕

○百十三番(吉野利明君) 平成二十年第一回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 都財政は、息の長い景気拡大を反映した税収増や二次にわたる財政再建推進プランの取り組みにより、長く続いた財政再建の時代に区切りをつけることができました。
 平成二十年度は、「十年後の東京」の実現に向け、本格的なスタートを切る重要な年となります。
 二十年度予算の編成に当たって、我が党は、これまでの財政再建の成果を都民に十分還元するとともに、「十年後の東京」の実現に向けた施策を中心に効果的な財源配分を行い、将来の東京を展望する施策の充実を要望し、予算案に反映させることができました。
 しかし、二月の月例経済報告では、生産の伸びに鈍化が見られるなど、国内景気の先行きに下振れリスクが強まっていることが指摘され、景気の基調判断は一年三カ月ぶりに下方修正されました。
 都財政は、景気動向など外部環境の影響をとりわけ受けやすいため、景気変調の兆しに対し、十分な注意を払っていく必要があります。
 加えて、昨年末には、法人事業税の一部を国税化し、三千億円を地方へ移譲するという国の動きがありました。
 我が党は、都連選出国会議員と都議会議員でプロジェクトチームを立ち上げ、首都東京の役割や首都特有の財政需要について理解を訴えたところです。その結果、他の自治体や国にも理解が浸透し、当初一兆五千億円ともいわれた都への影響を大きく縮小させることができました。
 さらに、我が党の取り組みや都の動きにより、今回の法人事業税の見直しについては、国の税制の抜本的改革までの暫定措置とされました。
 また、東京が進める重要施策の実現に国が理解を示し、国と都の実務者による協議の場を設置することとなりました。この点は特筆すべきことであります。
 我が党は、知事との緊密な連携のもとに、東京をねらい撃ちする国の動きに対しては、今後とも反対の姿勢を貫いていくことを申し上げ、質問に入ります。
 初めに、新銀行東京について伺います。
 かつて我が国は、経済有事ともいうべき事態に陥り、メガバンクのご都合主義によって中小企業への貸し渋り、貸しはがしが横行いたしました。これに対して、東京と日本の屋台骨を支える中小企業を救うために新銀行東京が設立されました。その志を是として、我が会派も設立に賛成したのであります。しかし、開業からわずかの間に急激に経営が悪化し、今や危機的な状況になっております。
 まず、新銀行東京の現状を知事はどのように受けとめているか、伺います。
 開業に当たって議会に対する説明では、こうした状況になることはよもやあるまいと思っておりました。こうした事態を招いた原因は何なのか、来る予算特別委員会でこれを明らかにしてまいります。
 新銀行東京の経営不振は、ひとえに銀行の問題にとどまらず、多くの中小企業にとっても死活問題となりかねません。知事が施政方針でも触れられたように、多くの企業が新銀行東京により再生を果たしました。現在も一万三千社に上る企業が新銀行と取引をしており、これらに対して影響を与えることがあっては絶対になりません。
 ただでさえ米国経済の減速懸念や景気の先行き不透明感、昨今の原油高により、経営環境は極めて厳しいものがあります。中小企業を取り巻く現状について知事はどのように認識しているか、伺います。
 今般、新銀行東京の再建計画が示されました。これは、新銀行を再建させるためのものでありますが、中小企業を救うことに直結するものでもあります。極めて重要な計画であり、単なる絵にかいたもちに終わらせることがあっては絶対になりません。
 その詳細については、今後の予算審議の中で精査をしたいと思っていますが、まず、この計画について知事はどのように評価するのか、また、実現に向けていかほどの決意を持っているのか、示していただきたいと思います。
 知事の基本姿勢について何点か伺います。
 都は昨年末「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八を発表いたしました。一昨年十二月、石原知事は、これまで行ってきた先駆的な取り組みの実績を踏まえて、都にとって久しぶりとなる長期ビジョン「十年後の東京」を策定し、さらなる成熟を遂げる東京の将来像を明らかにしました。そして、さきの施政方針では、東京に先鋭的にあらわれる都市の課題を確実に解決し、東京から日本へ、さらに世界へと変革を広げる気概を持って世界の範となる都市を実現していく旨、明言されました。
 我が党はかねてから、夢のある東京の将来展望を都民にわかりやすく示すとともに、その実現に向けた具体的な道筋を示すべきと主張してきました。今回、実行プログラムを三カ年のアクションプランとして策定し、「十年後の東京」の実現に向け、第一歩を踏み出したわけであります。
 いよいよ構想から実行の段階へとステージを移すわけですが、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八策定に当たっての基本的考え方と、実現に向けてどのように取り組んでいくか、知事の所見を伺います。
 また、実行プログラムの策定は、二〇一六年東京オリンピック・パラリンピック招致を実現する上でも大きな意味を持つと思います。二十一世紀の都市モデル実現に向けた先進的な取り組みを展開し、アジアを初め世界に発信していくことは、極めて有意義であると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、首都東京の重要な施策に関する国との協議について伺います。
 さきの法人事業税の一部国税化に際し、石原知事は福田首相と直接会談し、今回の措置を暫定措置にとどめさせるとともに、十三項目に上る具体的なリストを示して、日本の発展につながる首都東京の重要施策に国が最大限協力するという約束を取りつけられました。
 これを受けて、昨年末には早速、国の関係省庁の幹部と都の副知事、関係局長から成る実務者協議会の第一回目の会合が開催されました。リストで示した十三項目の内容は、羽田空港の国際化、三環状道路の整備、耐震対策、認証保育所の承認、治安対策、オリンピック招致など、いずれも国との強い連携がなくては進めることができないものであり、こうした重要施策を実現するため、国と都が一対一で協議する枠組みができたことは、画期的なことと考えます。
 しかし、この協議には、国の厳しい財政状況などの理由から困難も予想されます。都は、具体的な成果を得るために今後どのように協議を進めていくのか、伺います。
 次に、低所得者対策について伺います。
 知事は、さきの施政方針の中で、懸命に努力しているにもかかわらず低所得の状態から抜け出せない方々への支援として、三カ年で三百億円を超える規模の緊急対策を実施することを表明しました。みずからの生活を向上させる意欲のある方が将来にわたって希望を抱ける社会を築いていくことは、東京の活力を維持していくためにも大変重要であります。
 今後、事業をより実効性あるものにするためには、対象者へのきめ細かな対応と生活全般にわたる支援を行う必要があり、住民に身近な区市町村の協力が不可欠であります。低所得者対策を実施するに当たり、区市町村にどのような役割を期待し、具体的にどう取り組んでいくのか、伺います。
 生活安定に向けた支援策の中でとりわけ重要なのが雇用施策であります。キャリア形成が十分でないフリーターやパートの方などに対しては、職業訓練が有効であります。低所得者本人への支援として、実践的能力の付与のために職業訓練を実施すると聞いていますが、まず、訓練希望者の個々の状況を見据えて的確なアドバイスができる体制を整えることが必要です。
 また、訓練終了者を採用する企業にインセンティブを付与するなど、企業の採用意欲を喚起することも必要です。
 都はこれまで、しごとセンターなどにおいてさまざまな就業支援を実施してきましたが、低所得の方々の安定的な就業に向けて、さらに踏み込んだ対策を講じるべきと考えます。所見を伺います。
 サミットに備えた危機管理について伺います。
 世界各地でテロが頻発しており、日本でもその危険性が指摘されています。そうした中、本年七月には洞爺湖サミットが開催されますが、平成十七年のグレンイーグルス・サミットでは、首都ロンドンで同時多発テロが発生し、市民に多数の犠牲者が出ました。サミットは北海道で開催されますが、ロンドン同様、政治経済の中心である首都東京も標的とされる可能性があります。
 サミットの開催を控え、都民の生命や財産を守るためには、民間事業者を含めた警戒体制の強化を早急に図る必要があると考えますが、今後の取り組みについて知事に伺います。
 今般、中国産の冷凍ギョーザによる薬物中毒事件が兵庫県、千葉県で発生しました。薬物が混入した原因についてはいまだに解明されてはおらず、食品衛生上の問題というだけではなく、さまざまな方面から根本的な原因究明がなされるべきであります。
 一方、食糧自給率が四〇%を下回る我が国では、輸入食品は、製品として輸入したもののみならず、原材料としての使用も含めて国民生活に深く浸透しており、そのような日常的な製品に危機が潜んでいるということに対して、都民の間には不安が広がっております。
 また、輸入食品、食材に対する都民の不安は、その生産流通過程が複雑化し、不透明なものとなっていることにも一因があります。
 国もようやく重い腰を上げ、輸入加工食品の安全確保策として、検疫所の食品衛生監視員の増員、加工食品への残留農薬の抜き取り検査の実施や食品輸入業者自身による輸出国段階の管理を強化するためのガイドラインの策定などの方策を打ち出したところであります。
 都としても、国との役割分担を踏まえ、輸入食品に対する都民の安全・安心を確保するための対策を強力に推進するべきであります。
 知事が施政方針で述べられた原料原産地表示の充実についても、食品表示の適正化、透明化をさらに推進し、東京の食の安全・安心を確保していくことが重要と考えますが、所見を伺います。
 平成二十年度予算案と十九年度補正予算案について伺います。
 二十年度予算案は、「十年後の東京」など将来の東京を見据えた先進的な取り組みが数多く盛り込まれ、政策的経費である一般歳出の額が三年連続の増となるなど、施策展開に向けた積極的な姿勢があらわれた予算となっています。
 我が党は、従来から、財政再建の果実を効果的な施策の展開によって都民にきちんと還元すべきであると強く主張してまいりました。今回の予算は、こうした主張を受けとめ、都市基盤整備や安全・安心など、都民生活にかかわりの深い多くの分野で施策の充実が図られているほか、地球温暖化対策や緑化の推進など、中長期的視点からの取り組みについても幅広く盛り込まれています。このような積極的な取り組みが、東京をより高いレベルの成熟へと導く原動力となるものと考えます。
 一方で、今回の予算は、都市と地方のいわゆる格差是正策として税制改正案が取りざたされるという、まさにそのようなタイミングで編成された予算であります。先行きの減収を見据え、将来の財政状況を勘案しながら現在の都民の期待にもきっちりとこたえていかなければならない中で、限られた財源をいかに配分するか、その困難さは想像するにかたくありません。知事ご自身、記者会見で、非常に際どい予算編成をしたと述べています。
 そこで、二十年度予算に対する知事の基本的な考え方を伺います。
 二十年度予算において、都税収入は、法人二税の増などにより、前年度当初予算対比で二千億円の増を見込むことができました。しかし、日本経済を見据えると、原材料価格の高騰や米国のサブプライムローン問題に端を発した企業業績の不透明感の高まりなど、懸念材料には事欠きません。都税収入の先行きについても楽観一辺倒というわけにはいかない状況にあります。
 そこで、二十年度における税収をどのように見込んだのか、また、今後の都税収入の先行きをどのように見込んでいるのか、伺います。
 同時に編成された十九年度補正予算では、今回の税制改正を踏まえ、法人事業税の国税化による減収に備えるためとして、新たに基金を設置しています。そこにはあえて基金を新設した都としての意図があると考えられますが、法人事業税の国税化対策として新たに設置する基金の設置に当たっての考え方と設置の意義について伺います。
 次に、小笠原諸島の振興について伺います。
 小笠原諸島は、昭和四十三年六月に我が国に返還されてから、本年で四十周年を迎えます。返還以来、小笠原振興のための特別措置法のもと、生活、交通及び産業施設といった社会基盤の整備が重点的に進められてきております。
 しかしながら、本土との交通アクセスの改善、情報通信体系の整備など、残された課題も少なくありません。特に小笠原村民の悲願である航空路の開設については、自然環境との調和など多くの課題を解決していかなければなりません。
 こうした状況の中で、小笠原諸島の振興の根幹となる小笠原諸島振興開発特別措置法は、平成二十年度末で失効しようとしています。今後、航空路開設の推進やさらなる振興策を展開し、自立的発展を目指していくためには、国の役割がより一層重要となります。
 そこで、小笠原諸島振興開発特別措置法の延長を含め、今後の小笠原振興について知事の所見を伺います。
 オリンピック・パラリンピックと東京国体について何点か質問いたします。
 さきに行われた世論調査では、二〇一六年東京オリンピック招致に賛成の人は六割を超えましたが、知事が目標とする七割には届いていません。今後さらに賛同の輪を広げ、招致機運を盛り上げていくために、都内から全国へすそ野を拡大するなど、広範な招致活動が必要です。
 こうした考えから我々都議会も、今月の上旬から、行政やふるさと特使とともに全国の道府県を訪問し、オリンピックの開催意義やもたらすものなどを伝えるとともに、招致への支援や協力を呼びかけました。行く先々では多くの賛同意見をいただき、国を挙げた招致活動を展開する端緒となったと考えています。
 この間、開催基本計画や申請ファイルを公表し、平成二十年度の予算、定数ともに充実するなど、オリンピック・パラリンピック招致への基盤も整いつつあります。
 さらに、六月にはIOCの理事会において立候補都市の承認が行われ、国際招致活動が解禁になります。熾烈な国際競争における勝機を含め、オリンピック・パラリンピック招致に対する知事の決意を伺います。
 さて、ことしはオリンピックイヤーです。八月八日には北京オリンピックが開幕します。一月九日に北京市長から知事あてに開会式への招待状が届いたと聞いております。北京オリンピックは東京オリンピック招致のために重要な機会だと思いますが、知事は開会式への出席についてどのように考えているのか、伺います。
 また、招致活動を行うに当たって、オリンピック招致本部と招致委員会が先頭に立ち、戦略的に取り組むとともに、都庁職員一人一人の意識を向上させ、職員が一丸となって都民、国民に熱い思いを伝えていくことが不可欠ではないかと考えますが、オリンピック招致本部長の決意を伺います。
 オリンピックの三年前には東京国体が開催されます。今定例会では、東京国体に向け、全会一致で力強く開催決議を行う気構えで臨んでおりますが、開催準備についてもいよいよ本格化する時期であり、各競技会の会場となる区市町村も準備に本腰を入れてきております。
 そこで、東京国体の開催準備として、今後どのように具体的な取り組みを行っていくのか、伺います。
 東京国体や東京オリンピック招致の成功に向けては、スポーツ選手の競技力の向上とともに、東京全体のスポーツムーブメントを高めていく必要があります。そのためには、スポーツ振興の拠点となる施設を計画的に整備し、重点的な取り組みを推進していくべきであります。
 東京のスポーツ施設の現状は、区部では駒沢オリンピック公園や東京体育館など拠点となる施設が数多くあり、国際大会の開催を初め、小中高校生の大会や都民のスポーツ活動など幅広く活用されています。しかしながら、多摩地域にはそうした施設がほとんど存在していません。
 東京国体のメーン会場となる味の素スタジアムの周辺には、以前から総合スポーツ施設を整備する計画がありましたが、現在は凍結状態にあります。
 東京国体の開催に向けて陸上競技の補助競技場を整備する予定と聞いておりますが、東京全体のスポーツムーブメントを高める観点から、この際、これと一体となった新たな総合スポーツ施設をぜひ整備すべきと考えます。知事の所見を伺います。
 都は、さきに開催された秋田国体において、男女総合で第二位の成績を上げ、前回の兵庫国体の雪辱を果たしました。しかし、三位との得点差はわずかであり、少しも気を抜くことはできません。東京国体での総合優勝や東京オリンピックでの東京都選手のメダル獲得に向けて、今こそ都と関係団体が一丸となって競技力向上に取り組むべきであります。
 三月末には、東京都競技力向上推進本部が競技力向上のための基本方針を取りまとめると聞いています。そこで、これまでの検討内容と今後の都の取り組みについて、所見を伺います。
 地球温暖化問題について伺います。
 いよいよ京都議定書による約束期間がスタートする年となりました。日本は、これからの五年間を通し、一九九〇年比で六%の温暖化ガス削減という国際公約を達成しなければなりません。
 また、ことし七月の洞爺湖サミットでは、温暖化対策が最大のテーマとなり、さらに大幅な削減への新たな国際的枠組みづくりに世界の注目が集まります。一方、オリンピック招致においても環境をキーワードとしており、東京の環境問題への取り組みがますます重要なものとなっています。
 そうした中で、東京の環境先進性を世界に向けてアピールするためにも、都が国に先んじて示した温暖化ガス削減の数値目標達成に向け、取り組みを進めていく必要があります。
 また先般、都は、アジアの諸都市に日本の環境技術を紹介する初めての実務者会議を開催しましたが、今後ともアジアに対し、積極的に環境貢献を果たしていく必要があると考えます。あわせて知事の所見を伺います。
 温暖化防止に向けた取り組みには、都民、企業など、あらゆる主体が積極的な努力をすべきであります。そのためにも、都はそれぞれの主体が行うべき対策をわかりやすく示していく必要があります。大規模事業所に対しては、都は、我が国初の削減義務化導入の方針を示していますが、制度化に当たっては、対象となる事業者と十分な議論を行い、東京の実情にかなった実効性のある制度となるよう、最大限の努力を行うことを要望いたします。
 また、温暖化ガスの総量削減のためには、中小企業対策も重要であります。約七十万の都内の中小事業所から排出されるCO2は、産業・業務部門の約六割を占めており、その対策を進めることで、CO2の排出削減ばかりでなく、事業者の光熱水費負担を減らすことにもなります。しかしながら、中小企業では、対策のための資金や技術面でのノウハウが不足している実態があります。
 都は、来年度、省エネ診断や金融面での支援を強化していくこととしていますが、今後さらに中小企業の自主的取り組みへの支援策を充実していくべきと考えます。所見を伺います。
 また、家庭対策も中小企業対策に劣らず重要であります。その柱となるのが普及啓発や環境学習の強化によるライフスタイルの転換や、太陽エネルギー利用機器の普及拡大などの各家庭における具体的取り組みであります。
 環境学習に関しては、次代を担う子ども一人一人が環境について深く理解し、みずから解決していくことを促すだけでなく、家庭や地域における行動へとつながるという面でも、極めて重要です。
 二十年度から江東区では、全区の小学五年生を対象に、家庭で環境家計簿をつける取り組みを展開すると聞いています。このほかにも各区市町村では、それぞれの実情に応じてさまざまな環境学習が始まっています。
 こうした状況を踏まえ、都においても環境について考え、行動する機会を積極的に提供するなど、東京が環境学習においてもトップランナーと評価されるよう取り組みを強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、太陽エネルギー利用機器の普及拡大については、都は、今後三年間で、住宅用太陽光発電など太陽エネルギー利用機器を四万世帯に導入することを明らかにしました。各家庭からの協力を得るために、このモデルプロジェクトで都が太陽光発電の環境価値を買い取る考えを明確に示したことは、ドイツなどの太陽エネルギー先進例を見ても、極めて意義深いものであります。
 しかし、二〇二〇年に二五%のCO2削減を達成するという見地から見れば、四万世帯への普及というだけでは不十分なことも明らかです。百万キロワットの太陽エネルギーを創出するという大目標の達成には、三十万世帯を超える普及が必要となります。都は、このプロジェクトをモデルだけに終わらせず、大目標の達成に向けて大いに取り組んでもらいたいと考えます。
 そのために、都は太陽光発電メーカー、住宅事業者など関連企業との連携をさらに深めるとともに、国を動かし、太陽エネルギー導入への取り組みを再開させることも必要であります。都の太陽エネルギー導入へ向けたイニシアチブで本格的な利用を実現していただきたいと思います。所見を伺います。
 さらに、都庁みずからの対策も重要です。都は「十年後の東京」への実行プログラムにおいて、先進的な省エネ技術による低CO2型都市づくりを目指し、都庁としても大胆な率先行動をとるとしています。
 都庁全体の事業活動で年間二百二十万トンのCO2を排出しており、四割以上が下水道事業によるものとのことです。
 そのような中、下水道局では他に先駆けて、下水道事業における地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四を策定し、対策に取り組んできていますが、今後どのようにCO2の一層の削減に取り組んでいくのか、所見を伺います。
 災害に強い都市づくりの推進のために、建物の耐震化について伺います。
 南関東における大地震発生の切迫性が高まる中、震災によって首都東京が機能不全に陥らないよう万全の備えを行うことが必要であります。十三年前に発生した阪神・淡路大震災では、建物の倒壊が多くの人命を奪い、また、避難や消火、救急活動の大きな支障となりました。
 東京の建物の実に四分の一が震災時に倒壊するおそれがあるとされており、耐震化の推進が急務となっていますが、どのように取り組むのか、知事の所見を伺います。
 建物の耐震化を進めるに当たっては、所有者へのきめ細かな情報提供や地域の特性に応じた助成事業の実施など、区市町村の果たすべき役割が極めて重要です。都として区市町村の取り組みをどのように促していくのか、所見を伺います。
 都内には、都心部などを中心に、昭和五十六年以前の古い耐震基準でつくられた分譲マンションが集積しております。また、多数の区分所有者の合意形成が必要な分譲マンションの耐震化を進めるには、戸建て住宅以上に困難が予想されます。
 我が党は都に対し、分譲マンションの耐震化を促進するため、都内全域を対象とする新たな制度の創設を強く求めてきたところです。都としてどのように取り組みを行っていくのか、所見を伺います。
 まちづくりについて何点か伺います。
 まず、今後の都市基盤の整備について伺います。
 東京の抱える慢性的な交通渋滞や都市型水害、緑やオープンスペースの不足などの大都市ならではの課題を解消し、後世に誇れる美しく安全な東京を築くことは、現代を生きる我々の重大な使命であります。そのためには道路、河川、公園などの都市基盤の整備を強力に推進していくことが不可欠であります。
 しかしながら、ローマは一日にして成らずといわれているように、都市づくり、とりわけ都市基盤の整備は、一朝一夕にできるものではありません。「十年後の東京」で描かれている近未来図を実現するために、また、東京オリンピックの成功を確実なものとするためにも、これからの三年間は大変重要な時期であります。
 そこで、今後三年間における主要な都市基盤施設である道路、河川、公園の整備目標と、その実現に向けた取り組みについて伺います。
 次に、道路整備のための財源確保について伺います。
 人、物、情報が高度に集積している首都圏、特に大消費地である我が東京には、全国各地から多くの産物が集まるなど、東京と全国各地とは物流において強く結びついております。そのため、東京での物流におけるロスが全国での経済的なロスにつながってしまうのです。すなわち、東京の交通渋滞により生ずる経済損失や環境悪化は、東京のみならず首都圏、ひいては日本の発展のボトルネックとなるのです。
 このため、首都東京の渋滞の解消はまさに日本の喫緊の課題であり、これまで以上に首都圏三環状道路を初め、幹線道路ネットワークや連続立体交差の整備を加速しなければなりません。
 また、高速道路を利用しやすい料金体系の構築なども、国に求めていかなければなりません。
 これらの施策の実現には、安定した財源である道路特定財源が不可欠です。しかし、国会では、道路特定財源諸税に課せられている暫定税率の撤廃や一般財源化など、道路整備の財源を減らそうとする動きが一部にあります。
 確かに、暫定税率を撤廃すればガソリンの価格が一リットル当たり二十五円安くなり、消費者にとって聞こえのよいことかもしれません。しかし、その代償として道路整備のための財源が減少し、その整備が大幅におくれ、渋滞が解消されないばかりか環境も改善されず、我々国民の安全で快適な生活が実現できなくなるのです。
 このように、歳入関連法案の不成立は国家の大計を見誤る無責任きわまりない話であり、そのツケは国民に返ってくることとなります。今こそ冷静になり、目先の利益に惑わされずに、我が国の将来を見据えて、国民生活の基礎的、社会的基盤である道路の整備に必要な財源を確保し、道路整備を着実に進めていくことが我々に課された使命であると考えております。
 そこで、日本にとって不可欠な首都東京の道路整備のための道路特定財源確保に関する知事の決意について、改めて伺います。
 次に、外かく環状道路について伺います。
 昨年十二月に中央環状新宿線の新宿―池袋間が開通した結果、毎日のように続いていた首都高速道路の渋滞が緩和されるなどの効果が早くも生まれており、改めて環状道路の必要性を実感しました。
 外環については、知事や我が東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟など、都を挙げての国への積極的な働きかけが功を奏し、昨年暮れに国土開発幹線自動車道建設会議が開催され、外環の基本計画が決定を見たところであります。
 基本計画の決定によって、外環は事業着手に向けて大きく踏み出したわけでありますが、着工には整備計画を国幹会議に諮り、これを定めることが必要であります。
 外環は、東京のためだけではなく首都圏全体に便益をもたらす極めて重要な社会資本であります。外環の整備により渋滞、温暖化といった都市問題の解決が図られるとともに、我が国経済の活性化につながるものと考えます。
 こうした観点から、今後、外環整備に向けて都が果たす役割はこれまで以上に大きなものとなると考えますが、外環の早期着工に向けた知事の決意を改めて伺います。
 次に、多摩都市モノレールへの経営支援について伺います。
 都は、多摩都市モノレールに対する支援策として、会社に対する出資に加え、都の債権の一部を株式に切りかえる方策を示しました。多摩都市モノレールは、多摩の大切な足として地域の発展に不可欠な公共交通機関であり、我が党はこれまでも、会社の早期の経営安定化のために抜本的な経営支援の必要性を訴えてきました。
 また、本定例会初日の監査報告でも、会社は経営状況、資金状況ともに課題が多いとの指摘がありました。今回の都の取り組みは、こうした主張や指摘に対応したものであり、将来に向けた会社の経営改善やモノレールの安定的な運行に寄与するものと考えます。
 今回の思い切った措置により、都政の長年の課題の一つが解決されますが、このたびの経営支援について、知事の所見を伺います。
 今回の支援策においては、都が最大の出資者として支援の中心となるのは当然としても、周辺地域の人口増加や開発促進など、モノレールが沿線市の発展に寄与していることから、関係者が一致協力していくことが必要です。
 また、都や市が貴重な財源を投じてモノレールを支援することを会社は重く受けとめ、より一層の経営努力が求められます。
 そこで、都の出資のほかに、沿線市などの出資者や債権者がどのような取り組みを行うのか、また、会社に対してはどのような取り組みを求めていくのか、経営改善の具体的な内容と今後のスケジュールを伺います。
 次に、日暮里・舎人ライナーについて伺います。
 地元都民にとって三十年来の悲願である日暮里・舎人ライナーが三月三十日、いよいよ開業します。これにより区部北東部の交通利便性が飛躍的に向上し、沿線地域の発展が促進されるものと期待しています。
 この期待にこたえるためにも、この日暮里・舎人ライナーの運営をしっかり行うとともに、だれもが安心して気軽に利用でき、地域に親しまれ、愛される路線に育てていっていただきたいと思います。そこで、日暮里・舎人ライナーの運営に向けた決意について伺います。
 開園五十周年を迎える多摩動物公園について伺います。
 都市化が進み、カエルや昆虫、野生の生き物など、自然と触れ合う機会が少なくなった現在、子どもだけでなく大人にとっても、動物園や水族園の役割は大きくなっています。
 都の施設では、開園から百二十年以上の伝統を持つ恩賜上野動物園、多摩丘陵の自然が残る多摩動物公園、身近な動物に会える井の頭自然文化園、マグロが回遊する葛西臨海水族園があり、それぞれ特性を生かした施設として評価されています。
 現代は映像を通して世界じゅうのあらゆる自然や野生動物の生態を見ることができますが、実物を目の前で見、においをかぎ、命のぬくもりを感じることは、動物園ならではのものです。
 私自身、子どもたちが象やライオン、小さな昆虫を見て大きな声を上げ、目を輝かせている姿を見て、環境の時代といわれている今日、生きている動物の姿を通して野生動物のすごさに感動し、地球環境を考える機会がいかに大切かを強く感じました。
 こうした中で、都は平成十八年に多摩動物公園に野生生物保全センターを開設し、絶滅が危惧される動物の保護、繁殖の取り組みを強化したと聞いています。
 ことし、多摩動物公園は開園五十周年を迎えるとのことですが、今後どのような動物園を目指していくのか、所見を伺います。
 また、私の地元にある井の頭自然文化園には、動物だけでなく、北村西望氏の作品を展示する彫刻園や小さな子どもが楽しめる遊園地もあります。
 今後、都がこうした多様な資源をさらに生かし、井の頭自然文化園がより多くの都民に愛される施設となるよう要望し、次の質問に移ります。
 産業対策について何点か伺います。
 東京の産業は、多様な中小企業の集積と高度な技術力を強みとして、これまで日本経済をリードしてきました。しかし、アジア諸都市の台頭を初めとする国際競争の激化や少子高齢化の進展による人材の質と量の確保への懸念など、新たな局面を迎えています。
 我が党はかねてより、時代の潮流を的確にとらえ、中長期的な戦略に基づいた産業施策を進めるべきと主張してきました。
 これに対し都は、昨年三月、産業振興基本戦略において、十年先を見据えた産業振興の方向性を掲げるとともに、これを着実に具体化するため、産業振興指針を昨年十二月に策定しました。
 指針には、東京の産業を牽引する中小企業の育成とともに、産業界全体の底上げなど、多岐にわたる内容が盛り込まれており、この指針の実現により東京の産業力の強化を多くの事業者が実感できるよう、全力で取り組んでいただきたいと思います。今後、指針の具体化についてどのように取り組んでいくのか、伺います。
 多摩地域には、大学や研究機関とともに先端技術を有する企業が集積しており、これらが一体となって産産・産学連携など多様なネットワークを構築し、新事業の創出に絶えず取り組むことが「十年後の東京」で示された多摩シリコンバレーを形成する大きな原動力になると考えます。
 都では、中小企業の技術力、経営力の向上に向け、平成二十一年度、昭島市に多摩産業支援拠点を整備するとしています。多摩シリコンバレーの形成を促進するためには、こうした個々の企業への支援強化に加えて、我が党がかねてから指摘してきたとおり、企業間の交流を活発化させていくハード、ソフト両面からの取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
 東京のものづくり産業は、高度で特色ある技術を持つ中小零細企業が支えています。しかし、大企業の多くが過去最高の業績を上げる一方で、都内中小企業は、業況判断指数、いわゆるDI値が二年十一カ月ぶりの低水準となるなど、厳しい状況にあります。大企業と中小企業が互いの信頼関係のもと苦楽を分かち合ってきた時代から、取引構造の変化や国際競争の激化に伴い、中小企業が経済成長の恩恵を受けることができない厳しい時代となりました。
 さらに、下請企業の多くは、価格交渉力、決定力が弱いために、原材料価格高騰などによるコスト増の転嫁を不当に妨げる買いたたきなどの問題も生じています。こうした状況を克服するには、中小企業がその持てる能力を最大限に発揮できるよう多面的な支援を行い、ものづくり産業全体の底上げを図っていくことが必要と考えますが、所見を伺います。
 産業全体の底上げには、都内の各地域でより多くの新事業を創出することが必要です。東京には農林水産物、観光資源、伝統工芸品など、地域の活性化に活用可能なさまざまな資源が存在しています。例えば、三鷹特産のキウイフルーツを限定ワインとして販売するといった魅力ある地域の資源を生かしたビジネスが注目を集めるなど、創意工夫による事業がさまざまな地域で生み出され、新しいビジネスモデルとして芽生えようとしています。
 都においては、こうした状況を的確にとらえ、地域資源を活用し、新たに地域密着型のビジネスに取り組む中小企業を総合的に支援すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、中小企業に対する金融支援について伺います。
 昨年六月に施行された改正建築基準法のもとでの建築確認の遅延は、都内関連中小企業を初め社会全般に深刻な影響を及ぼしています。我が党は、この点に大きな関心を払いつつ、国や都に円滑な資金供給のための働きかけを行うなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 この結果、国においては、建築関連の三十五業種が不況業種として追加指定され、また、都においては、影響を受けているさまざまな業種を最優遇金利が適用される制度融資の対象に加えました。しかし、これらの対策は、あくまでも三月末までの時限の措置であります。
 最近の住宅着工数の動向は、全国では持ち直しの気配が見えている一方で、都内においては低い水準での横ばい状態が続いており、特にマンションなどの大型物件では、減少幅がむしろ拡大する動きもあります。
 こうした東京の特殊な事情を考慮し、都内中小企業の不安を払拭するためにも、現在、都が特別対策として実施している金融支援措置を継続して行う必要があると考えますが、所見を伺います。
 厳しい経営環境にさらされているのは、建築関連の中小企業にとどまりません。ガソリン価格を初め鋼材や石化製品、飲食料品の値上げが相次ぐ中、中小卸売や小売業者などの中小零細企業の多くは、仕入れコストの上昇を販売価格に転嫁できない厳しい経営を強いられています。
 このため我が党は、金融支援強化についての申し入れを昨年十月に行い、都は、年末年始特別対策の一環として、原油高等の影響を受けている都内中小企業者に対し、制度融資の適用要件の緩和を図るなどの支援措置を講じました。しかし、これも三月末までの時限措置となっています。
 深刻化、長期化する原油高等の影響に苦しむ都内中小企業者に対し、引き続き金融支援措置を講ずべきと考えますが、所見を伺います。
 東京港と東京湾内の各港との連携について伺います。
 港湾はまさに国際物流の玄関口であり、必要な貨物がスムーズに世界と行き来することが、生活関連物資の安価で安定的な供給や産業力の強化に資することになります。しかしながら、中国を初めとする東アジア諸港の躍進に伴い、日本発着の貨物は相対的に少なくなり、日本港湾の国際的地位は低下傾向が続いています。
 これまで都は、コンテナ船の大型化への対応や港湾コストの削減、港湾物流の効率化など、官民一体となって、ハード、ソフトの両面にわたり東京港の機能強化に努めていますが、港湾を取り巻く厳しい状況を考えると、さらなる取り組みが必要であります。
 東京湾には横浜、川崎など有数の港がありますが、全体としてとらえると、持てる力を出し切れていないのではないでしょうか。例えば東京港では、バンプールなどの施設容量の不足や背後道路の交通渋滞などが発生している一方で、他港では遊休施設が存在している現実もあります。
 東京港と隣接している横浜港、川崎港などと港湾の経営について広域化を図り、東京湾全体の港湾機能を強化することが重要と考えます。
 日本港湾の国際的地位を高め、世界の港と戦うためには、東京湾全体として国際競争力を高め、その上で東京港が世界屈指の国際貿易港となる意気込みで、各港と連携して広域的な港湾経営を図るべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 また、従来、欧米から直接届いていた貨物が、近年ではアジア諸港を経由する傾向が強まっています。この傾向が今後も続くならば、東京港は世界の主要港と直接つながらず、生活関連物資などの輸入貨物への輸送コストの増加により、国民生活に大きな影響を与えることになります。国際空港が主要都市との直行便の確保に力を注ぐのと同様、東京港に寄港する基幹航路の維持拡大を図っていくことが重要です。
 世界の船会社がアジアにおける基幹航路の寄港地を選択する際に、東京港を初めとする東京湾が確実に選ばれるためにも、東京湾内の港が力を合わせることにより大きな力を発揮することができると思いますが、所見を伺います。
 福祉・医療について伺います。
 生涯のうちがんにかかる可能性は、男性で二人に一人、女性で三人に一人といわれ、がんは都民にとって身近な脅威となっています。がんにかかりにくい健康的な生活習慣を身につけ、がんを予防することが重要なことはもちろんですが、がんにかかっても、早期に発見し、完治したいというのは、都民の共通の願いであります。
 都では、がん対策基本法に基づき、がん対策推進計画を本年度中に策定するため、現在、鋭意検討を進めていますが、この計画の基本的な方向性と具体的な施策について伺います。
 また、今日、胃がん、乳がん、大腸がんなどは、定期的に検診を受診し、早期に発見、治療をすれば、完治も十分に可能といわれております。しかしながら、我が国におけるがん検診受診率は二割程度と、欧米諸国に比べて極めて低く、東京も例外ではありません。
 検診の受診促進は、がんの脅威による都民の不安を抑え、がんを克服するための最優先課題として取り組むべきと考えます。都は、がん検診受診率の目標を五〇%としておりますが、これを達成するための方策について伺います。
 検診の結果、万が一がんが見つかった場合、都民の生命を守るのは、最後には医療であります。都では、我が党の提案を受けて、来年度から高度な診療機能を有する病院を認定する制度を新たに創設するとしておりますが、この東京都認定がん診療病院と国が指定するがん診療連携拠点病院とを有効に活用してこそ、都全体のがん医療水準の向上につながると考えます。所見を伺います。
 次に、保健医療計画の改定に関して伺います。
 今後、医療連携体制の構築を進める上で、急性期医療後の患者が引き続き安心して入院し医療を受けることができる環境を整備することが重要な課題であります。
 国は、介護療養病床の廃止など療養病床の削減を進めておりますが、都においては、必要な療養病床数として二万八千床を示したことは大いに評価できます。今後、都としても医療機関における療養病床の確保に対して積極的に支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、救急医療体制について伺います。
 救急医療は、医療の原点であります。都においては、医療機関の協力を得て、全国に誇る救急医療体制が確保されており、特に、入院治療に対応する二次救急医療は、都内の約四割、二百六十四の病院で、休日やすべての夜間の診療体制を確保しています。そして、都民からの搬送要請の約八五%が救急隊の一度ないしは二度の依頼で受け入れ病院が確保できている状況からも明らかです。
 しかしながら、報道では、救急患者のたらい回しが大きく取り上げられ、都内においても、複数の病院に受け入れを断られ、搬送先の病院でお亡くなりになったという事例が報道されました。
 この問題は、救急搬送要請の増加、軽症患者が救急病院に集中する傾向、さらには医師不足などによる医療機関側の疲弊など構造的な問題が背景にあり、都内においても、救急隊の病院選定にかかる時間が増加傾向にあるとのことであります。しかし、さまざまな事情、要素があったとしても、救急医療の救急たるゆえんは、急に臨んで救うことにあると考えます。
 そこで、迅速かつ適切な救急医療の確保について、知事の所見を伺います。
 また、都では、救急医療対策協議会を開催し、既に検討を開始していると聞いていますが、どのような方向性での検討を行うのか伺います。
 次に、介護保険制度について伺います。
 近年、企業の求人が活発化する中で、介護の現場では人材の確保が困難な状況にあります。また、将来の介護人材を養成する専門学校においては、定員割れという事態も生じているとのことであります。介護人材の不足は、利用者へのサービスの低下につながるだけでなく、人員の配置基準を維持できず、入所者数を減らさなければならない事態も生じかねないなど、施設関係者は現在の状況に強い危機感を持っております。
 国は、昨年八月、人材確保に関する基本的な指針を示しましたが、来年度予算には、具体的、効果的な施策については、何ら盛り込まれておりません。
 一方、都は、大都市の特性を踏まえた望ましい介護報酬のあり方について、国に対して提言を行うとともに、社会福祉審議会からも人材の育成等について意見具申が出されております。今後、介護保険施設などの実態を踏まえ、都として介護人材の育成、確保にどのように取り組んでいくか伺います。
 また、介護サービス事業者にとって、安定した経営基盤の確保も重要な課題でありますが、たび重なる介護報酬の減額により、事業所の運営は厳しい状況にあります。こうした中、利用者のサービス選択に資する目的で導入された介護サービス情報の公表制度は、サービス内容を統一の基準により公表できるという利点はあるものの、事業者にとって、事務的にも経済的にも過重な負担の一つとなっているという意見もあります。
 都としては、良好なサービスを確保しつつ、事業者の負担を軽減するような方策を講ずるべきと考えますが、所見を伺います。
 都立病院改革について伺います。
 都立病院は、救急医療や周産期医療などのいわゆる行政的医療の提供を基本的な役割に位置づけて、これまでも東京ERやPFI手法による再編整備など、全国に先駆けた取り組みを進めてきました。
 一方で、全国的に勤務医が不足する中で、都立病院でも産科など特定の診療科の医師不足は深刻であり、このまま放置すれば行政的医療の提供に大きな影響を与えかねません。
 加えて、来年度の診療報酬改定においては、本体部分はプラスとなるものの、薬価等を含む全体では四回連続のマイナス改定が予定されており、病院経営は依然として厳しい状況に置かれています。このように、医療を取り巻く環境が厳しい中にあっても、都民が安心して生活を送るためには、都立病院がその使命をしっかりと果たしていくことが不可欠であります。
 こうした中、去る一月末に、第二次都立病院改革実行プログラムが公表されました。この実行プログラムは、都立病院が今後五年間の取り組みを進めていく上での重要な指針となるものですが、その基本的な考え方について伺います。
 今回の実行プログラムで掲げた取り組みを着実に実施していくためには、直面する医師不足の問題に迅速に取り組み、優秀な医療人材を確保、育成することが必要なことはいうまでもありません。
 我が党は、昨年の第四回定例会における代表質問で、都立病院での医師不足への早急な対応を求め、それに対し知事は総合的な医師確保対策を講じることを確約されました。この実行プログラムでは、そうした内容も反映した戦略を打ち出していますが、都立病院の医師の確保、育成に向け、具体的にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 また、実行プログラムでは、都立病院の経営形態に関して、詳細な検討を行うとともに、他の自治体病院における導入事例について十分な検証を行うこととされています。経営形態の検討については、都議会での議論を十分踏まえた上で、慎重に進めることを改めて強く要望して、次の質問に移ります。
 教育関係について伺います。
 昨年十二月、都教育委員会は、全国学力・学習状況調査の結果について公表しました。都の児童生徒の学力の評価や課題、生活環境や学習環境への指導上の改善の視点が明らかにされています。
 今、都教育委員会では、どのように児童生徒の学力向上を進めていくかという問題や、教員の大量退職時代を迎え、質の高い教員をいかに養成、確保していくかという問題、さらには、地域の協力を得た教育のあり方など、さまざまな課題を抱えています。
 国においては、中央教育審議会で、教育振興基本計画の策定や学習指導要領の改訂など教育改革の取り組みについて検討が行われています。
 こうした中、都教育委員会は先月、東京都教育ビジョン(第二次)中間まとめを公表しました。「十年後の東京」の考え方を踏まえた取り組みの方向性や重点施策が示されていますが、今後、さらに都民の幅広い意見を聞き、実効性のある施策を構築することにより、東京の教育改革をさらに進め、日本の教育をリードしていくことを期待するものであります。
 教育は、いつの時代も国家、社会の発展の礎となるものです。次代の社会の発展を担う力を持った人材を育成することは、資源に恵まれない我が国にとって、何よりも重要なことと考えます。東京都が目指すこれからの子どもたちに身につけさせたい力と、それに向けて施策をどう進めていくのか伺います。
 とりわけ、家庭は子どもの教育の第一義的責任者であります。しかし、家庭でのしつけが十分でないことや、家庭を取り巻く地域の人間関係の希薄化などが指摘されています。子どもの教育は、学校だけに任せるのではなく、家庭、学校、地域、社会が、それぞれに期待される役割を再確認しつつ、連携協力して取り組んでいく必要があります。
 これからは、都は、家庭、学校、地域、社会が連携して子どもの教育に取り組むことができるよう、総合的に施策を推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、子どもに生活体験や職業体験などを経験させることは極めて有効だといわれています。学校と地域、社会が子どもたちの教育のために接点を持ち、協力し合うことは重要なことです。また、昨今、学校においては教員の多忙感や理不尽な親の要求など困難な課題が指摘されており、学校だけですべて解決することは限界です。保護者や地域の人材が積極的に学校に集い、協力支援体制を築き、学校を守り立てていくことが今求められていると考えます。
 外部人材の教育活動への積極的な活用について、所見を伺います。
 さて、去る十七日、東京マラソン二〇〇八が開催されました。青空のもと、三万二千人のランナー、一万二千人のボランティア、そして二百万人を超える観客がスポーツの楽しさと喜びを共感しました。走る喜び、応援する楽しみ、運営を支える達成感など、それぞれの中に大人から子どもまで、これほど多くの人々の夢が結集されるイベントを、我が東京で開催できることを誇りに思います。
 このマラソンにとどまることなく、今、招致を進めている東京オリンピック・パラリンピックや平成二十五年度開催予定の東京国体など、スポーツの祭典に未来を担う子どもたちが間近に触れられる機会を私たち大人がつくり、残していきたいという思いを改めて申し上げ、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉野利明議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新銀行東京の現況についてでありますが、東京と日本の経済を支え、まさにこの国の宝である中小企業が、ほんの数年前まで既存金融機関のご都合主義のきわみともいうべき貸し渋りや貸しはがしのために苦境に陥っておりました。これらの中小企業を救うために、新銀行東京を設立したものであります。設立の志に反して、予想をはるかに超える多額な不良債権が発生し、経営は不振をきわめ、資本金の約八割を失うまでになりました。追加出資が必要な事態に立ち至ったわけでございます。
 こうした状況について、私の期待に反して、こうした展開が全く期待に異なったものでありまして、まことに残念無念、歯ぎしりする思いであります。また、都政を預かる知事として、ざんきにたえません。私も、新銀行東京を発案した者として、この結果について、当然もろもろの責任を痛感しております。
 しかし、再建に向け、さまざまな手を尽くしてきましたが、事ここに至り追加出資金をお願いいたすことになりました。これがかなわずに、仮に新銀行東京を清算するような事態や、預金保険法に基づく破綻処理となりましたら、現在新銀行東京の融資により事業の行く先に光明を見出して懸命に頑張っている一万三千の中小企業に甚大な影響を与えることになります。都民にも、さらに膨大な負担をお願いすることにもなりかねません。困難な道ではありますが、今ここで、これを投げ出すわけにはまいりません。是が非でも立て直し、都民のお役に立つ銀行とするのが、私の最大の責任と思っております。
 中小企業を取り巻く現況についてでありますが、原油価格や原材料の高騰、住宅着工の減少などを背景に、日本経済は減速感を強めつつありまして、中小企業は今まで以上に厳しい環境にさらされることが懸念されます。
 我が国が経済的にここまで発展したのも、東京の中小企業が進取の精神で、果敢に技術革新に挑戦したからにほかなりません。中小企業が希望を持ってその事業に専念できないようでは、この国にあしたはないと思います。
 繰り返して申し上げますが、現在一万三千社が新銀行東京の融資を受け懸命に頑張っております。また、今まで約九千社が新銀行東京の融資を契機に業績を回復させたことも事実であります。
 サブプライムローン問題を背景に金融市場の低迷が予測されておりますが、そういう時代であるからこそ、中小企業の厳しい資金繰りに光を当てて、支援の手を差し伸べなければならないと思っております。
 中小企業を支えていくために、より多くの施策、手段を用意することは、東京と日本の発展のために絶対に必要であると思っております。それゆえに、新銀行東京が今後も存続し続ける意義が十分にあると確信しております。
 再建計画への評価とその実現についてでありますが、新銀行東京は、デフォルトの圧縮を最優先とする経営改善に取り組む一方、他の金融機関との提携による再生や出資先の確保などさまざまな交渉を進めてまいりましたが、現段階では、いずれも調うまでには至っておりません。このことからも、今般、再建計画を策定し、追加出資を求めてきたものでございます。
 今回、新銀行東京から提出された再建計画は、あくまでも資金繰りに窮する中小企業者への支援を存続していくことが目的であります。新銀行東京の再生が、中小企業の救済に結びつくことをぜひとも念頭に置いて、再建計画を受けとめていただきたいと思います。
 都側においても、再建計画をさまざまな角度から検証いたしました。徹底したリストラと、着実に利益が見込める事業の重点化を行うなど、十分に実現可能性のあるものと評価しております。限られた選択肢の中では、もうこれしかないと思っております。
 都との連携を初め、とり得るすべての手段を講じることによりまして、資金面で不遇な中小企業を救済し守り立てるために、不退転の決意で、この銀行を必ず再建させます。
 「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八についてでありますが、日本の頭脳部、心臓部として発展してきた東京をより高い次元へ成長させ、次代に継承するため「十年後の東京」を策定し、目指すべき東京の姿を描き出してまいりました。
 三期目の就任に当たって、私の最大の仕事はこの実現可能な近未来図の基礎固めだといっておりました。今回、その具体的な道筋をはっきり示せたと思います。
 この実行プログラムは、「十年後の東京」を具体化するための実施計画として、三年後の到達目標を明示した上で、新規性、先進性を持つ取り組みや、従来より加速して進める取り組みなど、今後三カ年の事業展開を明らかにしております。
 例えば、新たに三百六十ヘクタール、サッカーグラウンドにして五百面分でありますが、こういった緑を生み出すとともに、街路樹を現在の一・五倍の七十万本にも増加すること、あるいは羽田に関しましては、国際線発着枠の拡大や就航距離制限の見直しを国に強く求め、羽田空港の真の国際化を実現すること、あるいは三環状道路の整備率を現在の四〇%から六〇%にまで高めること、大規模事業所に対するCO2総量削減の義務化や住宅用太陽光発電の四万世帯への導入など、本格的な地球温暖化対策に取り組むこと、待機児童の解消に向けて認証保育所などの整備をこれまでの一・五倍のペースに加速し、定員を一万五千人分増加することなどを盛り込んでおります。
 今後、これらの意欲的な施策を迅速かつ着実に実行していくため、都みずからが総力を挙げて取り組んでいくことはもちろん、区市町村と手を携え、都民、企業、地域などを巻き込んだ広範囲なムーブメントを起こし、東京の持つ豊かな潜在力を引き出していきたいと思っております。
 次いで、実行プログラムの先進的な取り組みを世界に発信する意義についてでありますが、東京がさらなる成熟を遂げ、より機能的で魅力的な都市に生まれ変わるためには、「十年後の東京」を確実に実現していく必要がありますが、ここで提起した地球環境問題を初め、高齢化や高度な都市化に伴って生じるさまざまな問題は、二十一世紀の世界の大都市に共通するテーマでもあります。
 都市のあり方そのものが地球の未来を決定する都市の世紀を今や迎えました。新たな文明秩序の創造が期待される今日、オリンピックもまた、二十一世紀にふさわしい姿が強く求められていると思います。
 文明社会の光も影も知る東京ならではの複合的な政策を展開し、環境との調和はもとより、美しく安全で住み心地のよい都市の実現に向け具体的な行動を起こすことは、オリンピック開催にふさわしい都市として東京を世界へアピールすることになると思います。
 今回の実行プログラムで示した先進的な取り組みを、二十一世紀の都市モデルへと飛躍する第一歩としてアジアや世界に発信し、都市の持つはかり知れない可能性を示していきたいと思っております。
 次いで、危機管理についてでありますが、テロは、相手を選ばず攻撃を加える許しがたい暴力行為であります。
 サミットの開催に合わせて、万一東京でテロが発生すれば、我が国の治安に対する信頼が揺るぎかねず、国を挙げて、断じて封じ込めなければなりません。このため、都としても、都の施設を総点検し、警戒の強化を図るとともに、国や関係機関、大規模集客施設を有する民間事業者と連携して、ターミナル駅周辺での警戒体制訓練を四月に実施いたします。
 さらに、サミット直前には、警戒強化期間を設け、行政や民間事業者等で構成する警戒推進本部を設置し、官民を挙げたテロ防止対策を実施するなど、東京の危機管理に万全を期していきたいと思っております。
 二十年度予算についてでありますが、二十一世紀の都市モデルを世界に発信することを目指す都政にとって、これから数年間の取り組みは、東京の未来の姿を決定づけるものとなります。その意味で、平成二十年度は、「十年後の東京」の実現に向けてアクセルを踏み込む最初の年となります。
 したがって、今回の予算編成に当たっては、実行プログラムに掲げた施策を積極的に予算措置するとともに、十年後に向けた集中的な取り組みを今後継続的に実施していく道筋を、裏づけをもって明らかにすることが課題でありました。
 一方、都財政をめぐる環境は、法人事業税の暫定措置によりまして、平成二十一年度、二十二年度の両年で六千億円もの大幅な減収が見込まれる上、国内景気の下振れリスクが高まり、都税収入の行く先も不透明感が増しているなど、急速に変化をしております。
 厳しさを増す環境のもとにあって、施策の積極的展開と強靭な財政基盤の構築という二つの課題を同時に達成しなければなりません。この点で、なかなか厳しい、きわどい予算編成でありましたが、所期の目的は達成できたと思っております。
 また、二〇一六年オリンピック招致を目指す東京が、さらなる成熟を遂げる都市の姿を築こうという意欲的な姿勢を内外に示す予算になったとも思っております。
 次いで、小笠原諸島の振興についてでありますが、小笠原諸島は、昭和四十三年の返還以来、特別措置法に基づき島民の生活に必要な社会基盤整備を重点的に進め、成果を上げてまいりました。
 しかしながら、本土から隔絶した離島であるということから、交通アクセスの改善や情報通信体系の整備など解決すべき大きな課題が残っております。加えて、人類にとっての貴重な自然の宝庫であり、沖ノ鳥島を含め、我が国の排他的経済水域の確保等の観点から、国益を維持する上で枢要な地域でもあります。
 小笠原諸島は、今後も、自然環境の保全と産業振興の両立による自立的発展を目指すことが大切であります。このため、国に特別措置法の延長を強く働きかけるとともに、同諸島の振興を積極的に展開していきたいと思っております。
 次いで、オリンピック・パラリンピックの招致についてでありますが、先日の東京マラソンは、まさに東京が一つになった大会でありました。経済効果も、わずか一日でありましたが、約二百二十億円と昨年を大きく上回り、人々に夢と希望を与えるすばらしいスポーツイベントとなりました。
 マラソンに参加した、ソウル・オリンピック金メダリストのロザ・モタさんは、大会運営はまことに申し分なかった、東京はオリンピックの開催に値する都市であると評価して、東京の持てる力を世界にアピールしてくださいました。
 いうまでもなく、招致のポイントは、IOCの委員の評価をいかに獲得するかでありまして、日本での開催意義、東京のすばらしさを訴えるために、国や経済界と連携し、国際的に活躍する人物、企業、在外公館などが持つさまざまなチャンネルを活用して、戦略、戦術的にこれを遂行していきたいと思います。
 先般、都議会の皆様にご協力をいただきました道府県訪問でも、全国から心強い支援をいただきました。本当にありがとうございました。全国各地で招致機運を盛り上げ、日本が一つになって、オリンピック・パラリンピックの日本招致を実現したいと決意しております。
 北京オリンピックの開会式への出席でありますが、北京オリンピックは、IOC委員や国際競技連盟の役員などオリンピック関係者も多数集まりまして、オリンピック招致に極めて有効な場であると思います。
 また、現地に行ってみなければわからないこともたくさんありますので、行けば、東京オリンピック招致の参考になると考えております。日程の調整がつけば、ぜひ出席したいと思っております。
 次いで、総合スポーツ施設の整備についてでありますが、スポーツは、肉体や精神を鍛え、豊かな人間形成を促進するとともに、世代や言語等の違いを超えた人々の交流を可能にする魅力を持っております。こうしたスポーツにだれもが親しめる社会を実現するために、スポーツ施設の果たす役割は大きいです。
 また、スポーツ施設は、東京国体や東京オリンピックに向けてスポーツのすそ野を拡大し、計画的に競技力の向上を図る上でも重要であります。
 このような観点から、これまでの計画を見直し、味の素スタジアムに隣接する都有地に、都のスポーツ振興に役立つとともに、多摩地域の拠点となるスポーツ施設を整備していきたいと思っております。
 次いで、地球温暖化対策についてでありますが、世界の科学者が温暖化による地球環境の深刻な異変に警告を発しているように、地球にかかる負荷の蓄積は、もはや臨界点目前にまで達しておりまして、温暖化がもたらす破局的な事態を回避するためには、CO2を劇的に削減する必要があります。
 二〇一六年のオリンピック招致実現においても、都市の環境先進性が大きな柱でありまして、東京を世界で最も環境負荷の少ない都市にしていくために、都は、動きの鈍い国の対応を待たず、思い切ったCO2排出削減対策を進めていきたいと思っています。
 そのため、都市レベルでは世界初となる大規模事業所へのCO2排出総量の削減義務化など、先駆的な施策や環境学習の取り組み強化による省エネムーブメントの展開を着実に実施し、CO2の大幅な削減を可能とする二十一世紀の新しい都市モデルを提示していきたいと思っております。
 また、アジアに対する環境貢献については、先般開催したアジア・エネルギー環境技術ワークショップで、東京の有するすぐれた環境技術を参加都市たちと共有しましたが、今後は、国際協力銀行との提携によりましてアジアの諸都市の環境改善に協力するなど、積極的に貢献していくつもりでございます。
 建物の耐震化についてでありますが、地震が怖くない東京の実現を目指して、昨年暮れに策定した「十年後の東京」への実行プログラムに基づきまして、喫緊の課題である建物の耐震化に全力で取り組んでまいります。
 とりわけ、緊急輸送道路を最優先に確保するため、来年度から、全路線を対象に沿道建物の耐震化助成を行うなど、取り組みの強化を図ることといたしました。
 建物の耐震化の実現には、まず所有者の意識啓発が不可欠でありまして、多様な手段を用いて広報事業を積極的に展開するなど、区市町村や民間事業者とも連携を図りながら、施策を強力に推進していきたいと思っています。
 次いで、道路整備の財源確保についてでありますが、東京都が持てる力を十全に発揮するには、三環状道路を初め、幹線道路ネットワークや連続立体交差などの早期整備が必要であります。
 また、高速道路について、利用しやすい料金体系の構築や、既存のバス停などを活用したスマートインターチェンジの整備なども不可欠であります。
 これらを実現し、我が国の国土形成の根幹をなす道路整備や関係施策を着実に進めていくためには、安定した財源の確保が必須であります。
 このため、道路特定財源諸税の暫定税率を維持し、道路特定財源を本来の目的である道路整備や関係施策に集中的に投入するため、関係法案の年度内可決を強く訴えてまいりたいと思っています。
 次いで、外環道についてでありますが、外環道は、首都東京の最大の弱点である交通渋滞を解消するのみならず、環境改善や国際競争力の向上など、広く国全体に便益が及ぶ重要な社会資本であります。
 外環道の早期着工は、昨年十二月に福田総理に求めた十三項目の重要施策の一つでありまして、一日も早く整備計画を策定し、平成二十一年度に事業着手することを強く国に要求いたします。
 都としても、その工程の短縮に向け、事業予定者である国とともに知恵を絞っていきたいと思っております。
 次いで、多摩都市モノレールへの経営支援についてでありますが、多摩都市モノレールは、多摩地域を支える重要な広域的公共交通機関でありまして、その安定的な運行を確保するためには、経営基盤の確立が不可欠であります。
 このため、都が中心となって、沿線市や金融機関と協力し、債務超過の解消や資金収支の改善を行い、長期的な経営の安定化を図ることといたしました。
 今回の措置により、一日十一万人を超える利用者の足が引き続き確保されることは、まちづくりや交流の促進など、多摩全体の発展に貢献すると確信しております。
 次いで、東京湾の広域的港湾経営についてでありますが、世界の港湾は、コスト削減や大規模な新規ふ頭整備を急ピッチで進めておりまして、熾烈な港湾間の競争のただ中にあります。この競争を勝ち抜くため、東京湾の各港は、それぞれの強みを生かしながら湾全体として総合力を高め、世界の港湾と立ち向かう時代に入ったと思います。
 また、三環状道路の整備によって、首都圏を越えた広大な物流圏が誕生いたします。今後、この新たな物流体系を視野に入れ、巨大な需要を東京湾に取り込むための港湾経営の連携が必要となります。
 このため、都は、都県境を越えたポートオーソリティーの設置も念頭に置き、東京湾が日本の物流の最重要拠点としての機能を今後も発揮できるよう、横浜港などと広域的な港湾経営について、一層連携を深めていくつもりでございます。
 次いで、救急医療についてでありますが、都は、これまでも救命救急センターを二十二カ所整備するなど、充実した救急医療体制を確保してまいりました。
 しかしながら、先般、救急病院の選定に困難を来し、不幸な結果となった事案が都内でも生じたことは、大変残念であります。
 救急医療の現場は、都民の生命を守るため日夜奮闘しておりますけれども、昨今の救急患者の増加や複雑困難なケースへの対応、さらには医師不足の影響などによりまして、厳しい現況となってきております。
 このため、都内の救急医療体制の総点検を指示したところであります。先日も、東京消防庁に、一一九番に連絡すべきかすべからざるかで迷っていらっしゃる、比較的良心的な患者や家族のためのトリアージ的な相談に当たるセンターを、これはお医者さんが付き添っておりますけれども、視察してまいりました。こういったものをさらに充実することで、救急担当医療者の労働も少し軽減し、かつまた需要に的確に応じる、そういった体制を整えていきたいと思っております。
 迅速、適切な救急医療の確保は、都民のまさに生命に直結するものでありまして、都政の最重要課題の一つであり、安心できる医療の実現に今後も努めてまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
  〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 教育に関します三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、子どもたちに身につけさせたい力と施策の進め方についてでございます。
 変化の激しいこれからの社会の中で、子どもたちが自分の未来を切り開いていくためには、生きる力をはぐくむことがますます重要でございます。
 とりわけ、みずからに自信を持ち、さまざまなことに挑戦する意欲や、他者との人間関係を築く力などの次代を切り開く力と、いかなる状況においても、みずから考え、判断し、困難な局面を切り開いていくことのできる確かな学力を身につけさせることが必要であります。
 そのため、子どもの教育の第一義的責任を有する家庭や、子どもの生活、活動の場である地域社会の教育力を向上させていく取り組みを推進していくとともに、学校において、より一層質の高い教育を提供できるよう、教員の資質能力の向上や教育環境の整備に取り組んでまいります。
 これら施策の着実な実現を図るための推進計画を作成し、本年五月には東京都教育ビジョン(第二次)として策定し、国、区市町村、民間も含めた関係機関の協力を得ながら、東京の教育を推進してまいります。
 次に、家庭、学校、地域、社会の連携についてであります。
 都教育委員会は、これまで地域教育推進ネットワーク東京都協議会を通じて、地域の教育力を学校教育に活用するなど、家庭、学校、地域、社会が協働する仕組みづくりを支援してまいりました。
 また、子どもの生活習慣確立プロジェクトでは、生活習慣の確立が求められている就学前の子どもを持つ親に対する家庭教育を支援するため、医師会、保健所、幼稚園などとともに連携を図り、その必要性を広く社会にアピールするとともに、教育に関心の薄い親にも支援が届くよう、入学説明会等の機会をとらえて啓発に努めてきたところであります。
 今後は、さらに対象を拡大し、子どもの成長、発達の基盤をつくる重要な時期であります乳幼児期からの教育支援を進めていくため、子どもの発達に関する科学的知見を踏まえ、保護者向けテキスト等の開発や人材養成研修などを行ってまいります。
 また、区市町村、関係各局と連携して、地域における保護者と子育てサークル等とのネットワークの形成を図るなど、社会全体で子どもの教育を支える取り組みを総合的に推進してまいります。
 次に、外部人材の教育活動への活用についてであります。
 学校で生じているさまざまな課題の解決のためには、これまで、ともすればすべて教員だけで担おうとしてきた意識を改め、積極的に外部人材を活用することが有効であります。
 都教育委員会では、これまで、退職教員の活用を初め、教科「奉仕」等のための都立高校の教育支援コーディネーター、部活動の指導員など外部人材の活用を図ってまいりましたが、今後は、外部人材活用の場を広げて検討し、例えば、年度当初の小学校一年生の集団生活への適応や給食指導の補助など、必ずしも教員でなくても対応可能な分野や、介助や医療的支援などの専門家を導入することがより効果的な分野へも外部人材の活用を図り、東京都の教育の質を高めてまいります。
  〔知事本局長大原正行君登壇〕

○知事本局長(大原正行君) 首都東京の重要施策に関する国との協議についてお答えを申し上げます。
 第一回の国と都の実務者協議会が、昨年十二月二十七日に開催をされました。これを受けまして、今月十八日には、首都圏の広域的課題でもございます羽田空港の国際化について、千葉県などの参加も得まして、分科会が立ち上げられております。
 道路整備や規制緩和などの項目につきましては、一つ一つの施策ごとに関係省庁と個別の協議を開始しております。
 都は、今後の協議において、それぞれの施策が、東京が首都としての役割を果たしていく上で不可欠であることを国に十分理解をさせまして、確実な実現に向けて粘り強い交渉を進めていく考えでございます。
 国の予算に関する事項につきましては、まず、本年夏の二十一年度概算要求に盛り込むことを目標にしております。
 ご指摘のように、協議におきましては困難な状況も予想されますが、首都東京の重要施策の速やかな実現に向けまして、都議会の一層のご支援もいただきながら、知事のもと、全庁一丸となって取り組んでいく所存でございます。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) まず、低所得者対策についてでございます。
 今回の緊急対策におきましては、住民に身近な地域で、対象者一人一人の実情を踏まえた効果的な対応を行っていく必要があることから、区市町村に相談窓口を新たに設けることといたしました。
 この相談窓口では、低所得の方々に対して、その生活状況や所得、資産等を把握し、生活安定への意欲を確認するとともに、一定の要件を満たす方を職業訓練や生活資金等の無利子貸付制度へつなげるなど、きめ細かな支援を行ってまいります。
 現在、区市町村を初め関係機関と緊密に連携しながら、円滑な実施に向けた準備を進めております。
 次に、食の安全・安心の確保についてであります。
 輸入食品の安全確保は、国における水際での検疫が基本であり、都は、流通段階での監視、検査を強化してまいりました。
 今回の事件発生に際しましても、都民の不安を解消するため、速やかに回収対象となった輸入冷凍食品の撤去状況を確認し、これらの製品に対する農薬検査を実施いたしました。
 また、回収対象外の製品についても農薬検査を実施しているところであり、引き続き監視を強めてまいります。
 さらに、現在、食品の原料原産地表示のあり方について、関係各局による食品安全対策推進調整会議におきまして検討を進めております。
 今後とも、輸入食品を初めとした食品の安全・安心の確保に全力を尽くしてまいります。
 次に、東京都がん対策推進計画についてでありますが、本計画は、平成二十年度を初年度とする五カ年計画として、本年度末までに策定を予定しております。
 その基本的な方向といたしまして、予防の重視、高度医療の総合的な展開、患者や家族の方の不安軽減、がん登録や研究の推進の四つを柱に位置づけまして、現在、東京都がん対策推進協議会において検討を進めております。
 具体的な施策といたしまして、健康的な生活習慣の普及や検診受診率の向上、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院の整備、相談支援センターの拡充や早期からの緩和ケアの実施、さらには、がん登録の拡大や負担の少ない検査法の開発などを盛り込みまして、がんに負けることのない社会の実現を目指してまいります。
 次に、がん検診受診率の向上についてであります。
 がん対策を進める上で、検診の受診を促進し、がんの早期発見につなげることは極めて重要でございます。
 このため、これまでの乳がん予防に関するピンクリボン運動に加えまして、今後は、死亡率が高い大腸がんについても意欲的にキャンペーンを展開している民間団体と協働するなど、受診行動に結びつく効果的な普及啓発を行ってまいります。
 また、区市町村に対しましても、五年後の受診率の目標などを盛り込んだがん予防計画の策定を求めてまいります。
 さらに、職域への働きかけを新たに進めることとし、企業等におけるがん検診の実態調査を行い、効果的な取り組み事例を紹介するとともに、とりわけ乳がんについては、職場での受診を促進するため、マンモグラフィー検診車の整備を支援してまいります。
 次に、都全体のがん医療水準の向上についてであります。
 医療機関が集積をする東京の特性を最大限に活用し、国の拠点病院制度に加え、これと同等の高度な診療機能を有する病院を東京都認定がん診療病院として、来年度、都独自に十カ所認定をいたします。
 すべての認定病院は、放射線療法や外来化学療法の実施、セカンドオピニオンの提供、相談支援センターの設置や院内がん登録を実施するほか、拠点病院とともに、地域の医療機関に対する研修や地域連携に取り組んでまいります。
 今後、これらの認定病院と十四カ所の拠点病院を中核といたしまして、地域医療機関を含めた専門的ながん医療の提供体制を整備し、都全体のがん医療水準の向上を図ってまいります。
 次に、療養病床の確保についてであります。
 さまざまな疾病を抱える高齢者などが急性期の治療を終えた後でも、引き続き適切な医学的管理を受けながら療養できる体制の整備が重要でございます。
 都においては、今後、急速な高齢化の進展が見込まれている中、全国的に見ても、高齢者人口に比べて療養病床数が少ないことから、現在改定を進めている保健医療計画では、必要な療養病床について、現状を上回る二万八千床としております。
 今後、療養病床を確保していくため、一般病床から療養病床への移行等に要する経費に対しまして、都独自の整備費補助制度を創設し、医療機関の支援に努めてまいります。
 続きまして、救急医療対策協議会での検討についてでありますが、都民の救急医療に対する安心と信頼を確保するために、この協議会におきまして、救急医療を提供する医療機関、患者搬送を担う消防機関、医療を受ける立場の都民など、救急医療にかかわるさまざまな関係者が一堂に会して検討を開始いたしました。
 協議会では、救急医療の現場の実態を精査の上、病院選定の迅速化に向けました救急医療情報システムの強化や、患者の円滑な受け入れを行うための地域の医療機関の連携などについて早急に検討するとともに、都として対応可能なものについては、緊急に取り組んでまいります。
 次に、介護人材の育成、確保についてでありますが、介護の現場における人材の確保は厳しい状況にあり、都では平成二十年度から、就労定着をも視野に入れた総合的な育成、確保策を講じることといたしました。
 具体的には、介護福祉士等修学資金の償還免除に必要な就労期間を七年から五年に短縮するほか、民間会社を活用したキャリアカウンセリング等による再就職の促進や、区市町村における有資格者の資質向上に向けた研修への支援を行ってまいります。
 また、現在、東京都社会福祉協議会が実施をしております福祉施設のネットワークを活用した合同採用など、先駆的な取り組みについても積極的に推進をしてまいります。
 あわせて、大都市にふさわしい介護報酬のあり方について、引き続き国に提案要求を行うとともに、今後とも、関係機関と連携した人材の育成、確保策を展開してまいります。
 最後に、介護サービス情報の公表制度についてであります。
 本制度は、介護保険サービスの利用者がより適切に事業者を選択できるよう、平成十八年四月の介護保険法の改正により導入されたものであります。
 ご指摘の事業者負担の軽減につきましては、都は、これまでも国に対して、毎年行うこととされております事業者への実地調査について、調査周期や確認方法のあり方などを改善するよう提案をしております。
 さらに、事業者が負担する公表や調査に要する手数料につきましては、制度導入後二年を経過することから、その運用実態を踏まえ、適切に見直しをしてまいります。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、低所得の方々の就業対策についてでございますが、実施に当たりましては、本人への支援と企業への働きかけを総合的に行うことが重要であると考えております。
 このため、職業訓練を希望する方に対しまして、新たに都内四カ所に専用の就業支援窓口を設置いたしまして、本人の職歴や企業の求人状況を踏まえて、職業訓練のあっせんや訓練後の職業紹介を実施してまいります。
 また、現在、職業能力開発センターの人材アドバイザーを活用いたしまして、企業訪問によるニーズ調査を実施しております。この結果を用いまして、企業の採用につながる実践的な職業訓練や就業支援を行ってまいります。
 さらに、訓練修了生を正社員として六カ月以上継続雇用した企業に対しましては、採用の負担軽減のため、助成金を支給いたします。
 こうした施策を通じまして、低所得の方々の安定した就業の実現に努めてまいります。
 次に、東京都産業振興指針の具体化についてでありますが、指針では、多摩シリコンバレーの形成や産業人材の確保、育成など、今後三年間で実施する六十一項目に及ぶ重点的な取り組みを示しました。
 これらの取り組みは、多様な企業の集積や高度な技術力など東京の強みを生かしたもので、着実に実施して指針を具体化するためには、関係者との連携が欠かせないものであります。
 そこで、産業力強化会議の活用など全庁的取り組みを推進すると同時に、関係団体、区市町村に加えまして、八都県市首脳会議等を通じた近隣自治体との連携協力を図り、施策の実効性を高めてまいります。
 指針の具体化に全力を注ぎ、中小企業の技術・経営革新を促進してまいりますとともに、産業の基盤を強固なものとし、東京の産業を新たなステージに飛躍させてまいります。
 次に、多摩シリコンバレーについてでありますが、異業種、異分野間を含みます広域的な産業交流を促進いたしまして新事業を創出していくことは、多摩シリコンバレーの形成におきまして極めて重要であると認識しております。
 このため、先端科学技術の集積地であるつくばとの産学連携の推進や、八都県市合同による新たな産産連携策を実施し、都域を超えた共同研究、共同開発を後押ししてまいります。
 加えまして、広域かつ多様な企業間連携の中心となります交流拠点を八王子に整備いたしまして、産業交流の一層の活性化を図ってまいります。
 次に、ものづくり産業全体の底上げについてでありますが、多様な基盤技術を有する中小企業の集積は、イノベーションの創出を支え、将来にわたり東京の産業力を向上させていく上で不可欠な存在であります。
 しかしながら、都内中小企業におきましては、海外製品との価格競争の激化や大手企業との取引関係の不安定化など、依然として厳しい経営環境に置かれております。
 こうした状況を踏まえ、来年度から、共同受注体制の構築や技術力強化に取り組む中小企業グループを支援するために、基盤技術産業グループ支援事業を展開してまいります。
 さらに、下請取引の適正化に向けまして、取引における紛争を早期に解決するセンターを設置しますとともに、巡回相談体制を充実するなど、ものづくり産業の基盤を担う中小企業への支援を強化してまいります。
 次に、地域密着型のビジネスへの支援についてでありますが、人々を引きつける観光資源や特色ある農産物などの地域資源を活用いたしまして、新製品の開発や新サービスを創出することは、地域経済の活性化を図る観点から重要であると考えております。
 このため、都では二百億円の基金として、東京都地域中小企業応援ファンドを創設いたしまして、その運用益の活用により、地域に根差したビジネスを新たに展開しようとする中小企業やNPOの活動をきめ細かく支援してまいります。
 次に、建築関連中小企業への金融支援についてでありますが、ご指摘のとおり、平成十九年十二月の都内の住宅着工戸数の減少率は、前年同月比で四三・三%減と、全国平均の減少率であります一九・二%を大きく上回っており、都内の住宅着工の回復のおくれが際立っております。
 また、住宅設備関連の業種につきましては、着工から設備工事着手まで数カ月程度の時間差があるために、建築確認のおくれに伴う影響が今後本格化するおそれがございます。このため、都内建築関連中小企業の資金繰りがさらに悪化する懸念もありますことから、現在実施しております制度融資の最優遇金利を適用いたしました特別措置を数カ月程度延長しつつ、引き続きその推移を見守っていきたいと考えております。
 最後に、原油高などの影響を受けている中小企業への金融支援についてでありますが、中小企業庁が昨年十一月に実施をいたしました原油価格上昇による中小企業への影響調査におきましては、原油価格の上昇によりまして収益を圧迫されている企業が九割を超え、また、価格上昇を販売価格へ全く転嫁できないとする企業が六割に達しております。
 このように厳しい経営を迫られております中小企業の経営の安定化を図り、東京の産業の底上げを実現するには、中小企業の資金調達の円滑化を支援する必要がございます。このため、年末年始特別対策が終了いたします四月以降におきましても、金融機関を初めとする関係機関と密接に連携を図り、中小企業に円滑に資金が供給されるよう、原油高などに対応した特別対策の実施を検討してまいります。
  〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 平成二十年度の都税収入についてお答え申し上げます。
 我が国経済は、景気の回復がこのところ緩やかになっており、ご指摘の懸念材料などにより、上場企業の二十年三月期決算では一転して減速が見込まれるなど、企業業績に不透明感が増しております。
 二十年度の都税収入は、こうした経済状況を踏まえ、十九年度最終補正後予算に対して〇・三%の伸びにとどまる五兆五千九十七億円を見込んでおります。
 都税収入の先行きにつきましては、先般のG7声明で世界経済の下方リスクが指摘されるなど、日本の経済環境の変化が懸念され、予断を許さない状況にございます。
 さらに、二十年度税制改正が実施されますと、法人事業税の暫定措置により、二十一年度以降、三千億円程度の大幅な減収が見込まれるところでございます。このため、今後の景気の動きを十分注視し、都税収入の動向を慎重に見きわめてまいります。
  〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 法人事業税国税化対策特別基金についてのご質問にお答えをいたします。
 今回、新たな基金を設置することとした理由でございますが、まず、法人事業税に関する暫定措置によりまして、今後、都財政には多額の減収が見込まれるわけでございますが、その中にあっても、必要な行政サービスの水準については、これをきちんと確保するという都としての意志と姿勢を、基金を新設することで都民に明確に示すという点がございます。
 これに加えて、十九年度最終補正予算で歳入歳出両面の洗い直しにより一定の積立額を確保したとはいえ、暫定措置による減収見込み額には遠く及ばないという事実を、特別の基金を設けることで率直に明らかにし、今回の暫定措置による影響の厳しさを、基金を今後一層充実させていくという決意を込めて広く訴えたいという面もございます。
 新しい特別基金の設置を一つのばねといたしまして、早期に税制の抜本改革を実現すべく、今後とも都議会の皆様のお力添えをいただきながら、全力で取り組んでまいります。
 〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君)
 オリンピック・パラリンピックの招致機運の盛り上げについてお答えいたします。
 先日、都議会の皆様とともに全国の道府県を訪問し、日本招致に対する支援、協力を要請いたしました。都議会のご協力に心から御礼申し上げます。
 訪問先のいずれの府県からも、オリンピックは明るい話題である、日本経済に好影響である、地元の観光振興の目標になるなど、日本招致に対する大きな期待が寄せられ、具体的な協力の申し出がございました。今回の訪問を踏まえ、今後、各地のイベントとの連携を強化し、全国挙げてPR活動に取り組んでまいります。
 また、招致機運のさらなる醸成のために、まずはオリンピック招致本部と招致委員会が先頭に立つとともに、あわせて都庁の各局が連携して事業に取り組み、職員の意識を高めていくことが不可欠でございます。美しいまち東京の復活、環境負荷の少ない都市の実現、超高齢社会の都市モデルの創造、産業振興と人材の育成、文化・スポーツの振興など、各局事業を着実に実施することが、オリンピック・パラリンピックの招致につながるということを職員一人一人が改めて認識するとともに、昨年十月に設置いたしました庁内連絡会議をフルに活用いたしまして、全庁一丸となって招致活動に全力を展開していきます。
  〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 東京国体に向けての具体的な取り組みについてお答えを申し上げます。
 昨年七月に、都議会を初め区市町村、経済産業界、スポーツ団体など、各界各層の方々にご参加をいただきまして、東京都準備委員会を設立いたしました。現在、競技会場の決定を行うなど、着実に開催準備を進めておりまして、二十年度からは区市町村の競技施設整備への財政支援を開始することとしております。
 また、本年六月には、文部科学省及び財団法人日本体育協会に対し、都議会の開催決議を添えて、開催申請を行うこととしております。今後も都議会の皆様のお力添えをいただきながら、東京国体の開催準備に万全を期してまいります。
 〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)
 オリンピック招致や東京国体に向けた競技力向上についてでありますが、昨年七月に設置した東京都競技力向上推進本部では、選手強化体制の整備、指導者の確保育成、医科学サポートによる支援の三つの観点から、東京都選手の競技力向上方策を検討してきました。
 具体的には、東京育ちのアスリートを養成するためのジュニア選手の育成、強化方策を中心に、指導者やトレーナー等の派遣、大学等と連携した医科学サポート体制の整備等について議論を重ねてきたところであります。
 都としても、今後、東京都競技力向上推進本部が取りまとめる基本方針を受けて、東京都体育協会や競技団体、区市町村と連携しながら、東京国体総合優勝を目指して、計画的に施策を推進してまいります。
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の温暖化対策への支援についてでございますが、都内の中小規模事業所は、産業・業務部門からのCO2排出量の約六割を占めており、かつ大規模事業所や運輸部門など、あらゆる分野における温暖化対策の展開を図る上でも、中小企業のCO2総量削減を一層促進することが重要でございます。
 そのため都は、新たに中小企業がみずから削減に取り組むことができる任意の報告書制度を構築するとともに、中小企業制度融資の充実、省エネ型ボイラーの普及など、具体的で実効性ある施策に取り組んでまいります。
 また、東京都環境整備公社を地球温暖化防止活動推進センターに指定したことを契機に、公社を中小企業、家庭部門の温暖化対策の拠点として位置づけ、省エネ診断や設備の運用改善指導などをさらに充実するとともに、地域ごとの省エネ対策研修会の開催など、区市町村とも連携した施策を推進してまいります。
 今後、こうした取り組みを着実に推進し、地域に根差して活動している事業者の意見を聞きながら、中小企業の温暖化対策を支援する施策の充実に努めてまいります。
 次に、環境学習の取り組みの強化についてでありますが、地球温暖化を克服していくためには、都民一人一人の意識の醸成が不可欠であり、そのためには、環境学習の取り組みを一層強化していくことが必要でございます。
 都は、これまでも毎年約七千人の児童に対するキッズISO一四〇〇〇プログラムの実施を支援し、また、企業、NPO等による出前授業などに取り組んでまいりましたが、こうした取り組みに加え、お話しの各区市町村が独自に実施しているプログラムも参考に、各学校がより積極的に環境学習に取り組むことができるよう関係各局が連携し、具体的な取り組みを呼びかけてまいります。
 さらに、現在、中央防波堤の埋立処分場で行っている見学会を、環境学習について実感が得られるような学習の場として拡充してまいります。
 最後に、太陽エネルギー利用機器の普及拡大についてでございますが、太陽光発電につきましては、費用負担の軽減が大きな課題であることから、都は、太陽光発電の環境価値を買い取るとともに、発電機メーカー、住宅メーカーなどと連携して、現在の約二百万円かかる機器導入負担額を百二十万円程度まで低減させるなど、初期費用の負担を十年程度で回収可能にすることを目指してまいります。
 こうした太陽光発電普及促進策に加え、太陽熱利用機器につきましても、新たに性能認証制度を立ち上げるなど、普及拡大に向けた準備を進め、二十二年度までに四万世帯に太陽エネルギー利用機器の普及を確実に実施してまいります。
 これらの取り組みを通じまして、関連する多数の企業やNPOがそれぞれの役割と責任を果たすことで、日本じゅうの家庭が安心して機器導入できる状況を都のイニシアチブで実現し、二十三年度以降につながる日本の太陽エネルギー市場の本格的な再生を図ってまいります。
  〔下水道局長前田正博君登壇〕

○下水道局長(前田正博君) CO2の一層の削減に向けた取り組みについてでございますが、下水道局は、これまでも汚泥の高温焼却や省エネルギー機器を導入するなど、積極的に温暖化対策に取り組んできており、平成十八年度にはCO2換算にして約十万五千トンの温暖化ガスを削減いたしました。
 昨年末に、温暖化ガスの削減と同時に、資源化した汚泥を火力発電の燃料として活用する汚泥炭化炉を稼働させたところでございます。また、平成二十年度には、民間と連携して技術開発した成果を踏まえ、国内初の汚泥ガス化炉の建設に着手いたします。このガス化炉は、汚泥をガス化して発電に有効活用するもので、従来の焼却炉に比べて約八割の温暖化ガスを削減できるものでございます。
 今後ともこうした新技術の開発、導入を進め、実行プログラムの目標年度でございます二〇一〇年度までに、二〇〇〇年度比で一〇%以上の温暖化ガスの削減に積極的に取り組んでまいります。
  〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、耐震化の取り組みの促進についてでございますが、建物の耐震化を進めるためには、自分たちのまちは自分たちで守るという観点からも、地域に身近な区市町村の果たす役割が重要でございます。しかしながら、区市町村によりましては、その取り組みに温度差が見られるため、今月初めに連絡協議会を開催し、取り組みの強化を促すとともに、必要に応じ、区長などに直接要請を行ったところでございます。
 都は、これまでも技術、財政両面から区市町村の取り組みを後押ししてまいりましたが、来年度からは建物所有者への戸別訪問などの普及啓発事業に対する補助など、さらなる支援を行ってまいります。今後とも区市町村と十分な連携を図りながら、先日公表した地域危険度なども踏まえ、建物の耐震化を推進してまいります。
 次に、分譲マンションの耐震化への取り組みについてでございます。
 マンションは、建物規模が大きく居住者も多いなど、被災時の影響が広く及ことから、耐震化の促進が重要でございます。このため都は、来年度新たに耐震改修助成制度を創設し、旧耐震基準で建築された分譲マンションのうち、耐震診断の結果、改修が必要なものについて補助を行うことといたしました。
 今後、区市町村に対しまして、本制度を活用した取り組みを促していくとともに、耐震改修には区分所有者間の合意形成が必要であることから、管理組合に対して働きかけを行うなど、マンションの耐震化に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、多摩都市モノレールへの支援についてでございます。
 今回の支援は、都の金銭出資と債権の現物出資により債務超過を解消することに加え、市による固定資産税等の減免継続、金融機関による債務の償還期間の延長などによりまして、資金収支の改善を図ろうとするものでございます。
 これらの支援を行うに当たりましては、会社の経営努力が前提でございまして、関連事業収入のさらなる増加策や経費削減策、さらには会社の将来像を盛り込んだ経営安定化計画を策定し、速やかに公表するよう求めてまいります。
 今後は、予算の成立後、できるだけ早い時期に都の出資を行うとともに、市や金融機関においても速やかに償還条件を変更するなど、関係者と連携を図りながら、経営改善に取り組んでまいります。
  〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後三年間における道路、河川、公園の整備についてでありますが、「十年後の東京」が目指す成熟した都市の実現のためには、各施策の展開について明確な目標を設定し、着実に事業を実施していくことが重要であります。このため、平成二十二年度末における整備目標として、幹線道路の整備率を区部環状道路で九〇%、多摩南北道路で八〇%と設定いたしました。
 また、豪雨対策促進エリア内の河川の治水安全度達成率を八四%、都立公園を七十ヘクタール開園、街路樹を七十万本に増加するなど、それぞれ具体的に目標を設定しております。
 その達成を目指し、道路では環状第二号線、環状第六号線、調布保谷線、府中清瀬線等の整備を進めてまいります。河川では、妙正寺川、善福寺川の激甚災害対策特別緊急事業を完成させるとともに、古川地下調節池等を整備してまいります。
 また、緑あふれる東京の実現に向け、武蔵野の森公園、舎人公園などの整備拡充や河川の水辺緑化を推進するとともに、街路樹の倍増に向けた施策を強力に展開してまいります。
 今後とも広く都民の理解を得ながら、財源の確保や国及び区市町村との連携を進め、東京の基盤整備に総力を結集し、取り組んでまいります。
 次に、多摩動物公園についてでございます。
 多摩動物公園では、広大な敷地を生かし、ライオンなどを群れで飼育展示する工夫を通して、生き物との出会いや楽しさを提供するほか、実際の授業に生かせるよう教員を対象としたセミナーを開催するなど、教育普及活動に力を入れております。また、昨年、国内で唯一、トキの分散飼育の受け入れ先として選ばれるなど、種の保全にも積極的に取り組んでおります。
 本年五月には、開園五十周年を記念し、水浴びする水牛やインドサイ、飛び交う野鳥を間近に見ることができる、アジアの沼地をオープンいたします。
 今後は、国内外の動物園などと連携し、オランウータンが生息する熱帯雨林の保全について啓発するなど、環境教育の充実を図るとともに、野生生物保全センターでは、絶滅が危惧される生物の生息地での種の保全にも貢献してまいります。こうした取り組みとともに、多摩の丘陵地の自然を生かした動物園として、生き生きとした動物の姿を見せる生態展示をさらに充実させてまいります。
  〔交通局長島田健一君登壇〕

○交通局長(島田健一君) 日暮里・舎人ライナーの運営に向けた決意でございます。
 本ライナーは、区部北東部の交通利便性の向上、公共施設などの整備を含めたまちづくりの推進や地域の活性化に大いに資するものであり、地元の期待も大きいものと認識しております。現在、国等による検査を受検するなど、本年三月三十日の開業に向けまして、必要な手続を着実に進めているところであります。
 開業後の運営に当たりましては、安全を最優先にしつつ、便利で快適なサービスの提供に努めるとともに、経営の早期安定化を図ってまいります。
 今後、より多くのお客様に利用され、地域とともに発展する日暮里・舎人ライナーを目指しまして、職員一丸となって取り組んでいく所存でございます。
  〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 東京港の国際基幹航路の確保についてのご質問にお答え申し上げます。
 都はこれまで、港湾施設の充実や港湾コストの低減など、東京港の国際競争力の強化に努めてまいりましたが、近年、コンテナ船の大型化が急速に進み、貨物量の多い港に寄港地を絞り込む傾向が顕著になりつつあります。今後も東京港が首都圏四千万人の生活と産業を支えるメーンポートであり続けるためには、基幹航路の維持拡大が喫緊の課題でございます。
 一方、共通の背後圏を持ちます東京港、横浜港、川崎港、千葉港のコンテナ貨物量合計は七百二十八万個でございまして、北米最大の港湾でございますロサンゼルス港に迫る規模を有しております。このため、各港が広域的に連携して東京湾の総合力を高め、その存在感を世界に示すことで、東京港を初めとする東京湾に基幹航路を呼び込む大きな力を形成できるものと考えてございます。
  〔病院経営本部長秋山俊行君登壇〕

○病院経営本部長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、第二次都立病院改革実行プログラムの基本的な考え方についてでございますが、都立病院では、限られた医療資源を最大限有効に活用するため、総務省が昨年末に策定いたしました公立病院改革ガイドラインに先駆けまして、PFI手法による再編整備など、病院の改革に努めてまいりました。
 しかしながら、この間、医療を取り巻く環境は大きく変化し、産科などの勤務医の不足が医療の根幹を揺るがす深刻な問題とされる一方で、医療サービスを受ける患者側の意識も変化し、みずからの病気や治療方法を理解し、納得のできる医療を受けようとする意識が高まっている状況にございます。
 こうしたことから、本プログラムでは、ハード面の整備を着実に推進するとともに、ソフト面にも重点を置いた都立病院改革を推進することとしておりまして、優秀な医療人材の確保、育成、活用と、患者さんに対する医療サービスや患者満足度の向上など、医療サービスの提供側、利用側の双方の、人を重視した取り組みを柱としているところでございます。
 このプログラムで計画化した事業を着実に推進することによりまして、急激に変貌する医療環境の中にありましても、都立病院の使命である行政的医療を、都民の皆様に対して将来にわたり安定的に提供してまいります。
 次に、都立病院における医師の確保、定着に向けた取り組みについてでございますが、ご指摘の、昨年の第四回定例会でのご議論を踏まえまして、第二次都立病院改革実行プログラムでは、全国自治体で低いレベルにありました都立病院医師の給与につきまして、特に不足する産科医師や医療の中核を担う部医長を中心に大幅な改善を図りますとともに、増加する女性医師等への継続的就労支援策といたしまして、育児短時間勤務制度の活用や二十四時間院内保育の実施など、総合的で具体的な対策を盛り込むことができたというふうに考えております。
 また、医師の過重労働の軽減を図るための医療クラークにつきましても、国に先駆けまして、昨年から東京ERでの試行を開始いたしました。こうした具体的な計画や取り組みによりまして、既に医師の採用環境には一定の手ごたえを感じているところでございます。
 さらに、来年度からは東京医師アカデミーを開校することによりまして、若手医師の育成にも直接取り組むなど、今後とも質の高い医師の安定的な確保、定着に向けて全力を尽くしてまいります。
〇議長(比留間敏夫君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十七分休憩

  午後三時三十五分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十四番田中良君。
  〔百二十四番田中良君登壇〕

○百二十四番(田中良君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 まず初めに、新銀行東京、いわゆる石原銀行について伺います。
 石原知事が平成十五年の都知事選挙において公約に掲げ、その年六月の所信表明で、負の遺産のない全く新しいタイプの銀行と胸を張っていたこの石原銀行は、既に都民の税金一千億円のほとんどを失い、負の資産しかない銀行となってしまいました。
 知事がこの銀行の救済のために四百億円の追加出資を提案してきたことで、今、都議会は、まさに銀行議会と化しています。
 この銀行は石原知事のトップダウンでつくられた銀行です。したがって、失敗の責任について知事みずからの言及がなければ、追加出資の提案は政策論議をする以前の問題で、到底都民の理解を得られるものではありません。
 知事は、なぜ施政方針表明でも自身の責任について言及されなかったのか。これまで、知事、あなたは旧経営陣をさんざんにこきおろし、経営難は人為的な問題が原因だと責任を転嫁していますが、そもそも発案当時のビジネスモデルが破綻したことは、皮肉にも今般示された再建案が発足時のそれと全く異質なビジネスモデルであることで、だれが見ても明らかであり、知事の構想そのものに無理があったことの証明ではないでしょうか。
 また、金融情勢全般の判断を見誤ったことの知事自身の責任は、決して免れるものではありません。
 さらに、経営の悪化に対して迅速に対策を講じてきたのか。加えて、もし仮に追加出資をした後、さらに同じ結果となっても、その責任を経営者に転嫁するのか。銀行の失敗に対し、先ほどの答弁ではもろもろの責任といわれましたが、そのもろもろの責任とは具体的にどのようなものなのか、知事の責任について、まず伺います。
 石原知事は、平成十五年の十二月議会において、都議会民主党の質問に対して、税を再び投入することは考えておりませんし、また、その可能性がないものと思っていると答弁しています。私たちも、再出資すべきでないことを改めて討論などで申し上げた上で、新銀行への出資に賛成してきました。
 そして、さきの十二月都議会でも、都議会民主党の質問に対して、追加出資は考えておりませんと明確に答弁したのではないでしょうか。その舌の根も乾かぬうちの突然の提案は、知事の都議会における答弁の軽さを改めて認識いたしました。
 知事が追加出資をしないと明言した後のわずか二カ月の間に、どのような状況の変化が生じたのか。なぜ、突然、追加出資を提案することになったのか、見解を伺います。
 知事は、施政方針で、業績を回復させた事業者が九千社に及ぶと新銀行の果たしてきた役割を強調していますが、累積損失が九百三十六億円ですから、単純計算でいうと、一社の業績を回復させるのに都民の税金一千万円がかかっているという効率の悪さです。このような銀行に新たに四百億円の税金を投入するのであれば、ほかの中小企業対策に充てた方がよっぽど効果的だと思われますし、追加出資が単なる新銀行の延命策にしかすぎないのであれば、まさにそれは盗人に追い銭であります。
 知事は追加出資の意義についてどのように考えているのか、見解を伺います。
 また、追加出資四百億円の算出根拠は何なのか、伺います。
 都議会民主党では、新銀行の融資停滞や経営悪化などを受けて、早くから、民間への売却も含めてそのあり方を早急に検討すべきだと、こう主張してまいりました。また、中間決算の発表を受けた昨年十二月の都議会では、もはや新銀行を買ってくれるところがあるのかも定かでないとした上で、都民に一番負担の少ない形で東京都が新銀行から撤退する方法を早急に検討すべきだと主張してまいりました。
 そこで今回の追加出資に際して、私たちが主張していた新銀行の売却あるいは撤退、つまり破綻処理などの検討がなされたのか。検討がなされた場合、いつごろから具体的にどのように取り組み、結果としてどのようにだめだったのか、伺います。
 また、再建策が通らなかった場合、金融不安、信用不安が起こるといった不安をあおるかのような意見がありますが、金融不安、信用不安についてはどのように考えているのか、見解を伺います。
 売却先などが見つからなかったのは、東京都が最大の株主として株主責任を十分に果たしてこなかったからではないでしょうか。
 例えば、都議会民主党が、新銀行の経営悪化を受けて、最初に売却などの検討を求めたのは二年も前の平成十八年の三月であります。石原知事は当時の議会で、とにかく七月に本格開業したばかりと述べるにとどまり、さらに半年後の平成十八年の九月議会でも、開業してから丸一年たっていないので、もう少し長い目で見ていきたいと答弁しています。このような石原知事の悠長な姿勢こそが新銀行の傷口を広げ、売却の可能性をも閉ざしてしまったのではないでしょうか。
 知事は、新銀行東京の最大の株主としていつごろから危機感を募らせ、具体的にどのような提案をし、株主責任を果たしてきたのか、見解を伺います。
 知事は、二月十五日の定例会見で、半年もつような会社なら構わないから貸せという経営トップの命令があったとか、運営そのものに粉飾があり、役員会の決議にも不思議なのがあったと述べるなど、旧経営陣の失敗をあげつらっています。
 この発言の根拠は、昨年来、新銀行の内部で行われてきた調査委員会の報告であると思われますが、この調査が新銀行の設立に携わっていた東京都の元幹部のもとで作成されているのであれば、その内容をうのみにすることはできません。少なくとも、旧経営陣に弁明の機会を与えるべきであります。
 石原知事がいうように旧経営陣に問題があったのであれば、まずはその報告書を公開することが必要であると考えますが、調査内容の概略も含め、見解を伺います。
 また、知事は施政方針の中で、旧経営陣の経営責任が厳しく問われなければならないのはもちろんだと述べていますが、本当に旧経営陣による粉飾や背任があるのであれば、追加出資を提案する以前に旧経営陣を刑事告発するなど、その責任を徹底して追求していくのが筋ではないでしょうか、見解を伺います。
 さらに、知事は、定例会見で旧経営陣の任命責任を問われ、経団連のある重鎮から推挽を受けた、信用して引き受けざるを得ないんじゃないかと述べ、経団連の前会長で現トヨタ自動車相談役の奥田碩氏に責任があるかのごとく開き直っていました。
 しかし、当の本人は、ある週刊誌の取材に答え、石原知事の発言を否定しています。その後、知事は、何人かの推挽を受けて取締役会で決めたと発言を修正していますが、会社設立以前、取締役会が招集される前に役員として内定していたのではないでしょうか。この発言もまた事実と異なりませんか。
 知事は、新銀行の終戦処理が終われば、今の代表執行役である津島さんを差しかえる旨、発言をしていますが、何でもかんでも他人に責任転嫁する姿勢では、次期経営者の見通しも立たないのではないでしょうか。
 旧経営陣の任命に関する経緯とその任命責任について、石原知事の見解を伺います。
 新銀行東京は、二月二十日、再建計画を発表しましたが、たかだか六ページの再建計画を示され、四百億円を追加出資するというのは、都も新銀行顔負けの審査の甘さです。このような計画で出資を決めれば、民間であれば背任との批判を浴びるはずであります。
 また、再建計画の内容も、実行の見込みが疑わしい、美辞麗句が並び、新銀行の設立当初の意義である無担保・無保証融資でさえ、その転換が見込まれているのであります。
 今後、新銀行が行う取り組みで、民間の金融機関ではなく、新銀行にしかできないものは果たしてあるのか。石原知事が追加出資を提案するに当たり、この再建計画の一体どこを評価しているのか、見解を伺います。
 また、再建計画では、平成二十三年度の黒字化を予定していますが、その実効性については極めて疑問であります。
 知事が、私たちに税の再投入はしないと答弁した根拠として、統合リスク管理委員会を中心とする万全なリスク管理体制を整備して、さまざまなリスクを適切にコントロールしていくと述べていましたが、結果は絵にかいたもちでありました。まさにかいたもちの原料表示が偽装であったといわれても反論のしようがないのではありませんか。
 さらに、東京都は、昨年六月に策定された新中期経営計画の実効性についても、十分な貸し倒れ引き当てを行ったことや減損会計を適用したことなどで、平成二十一年度の単年度黒字化を目指すと答弁していましたが、今回の再建計画は、それがわずか半年でほごにされてしまったのであります。
 仕組みや計画をつくっても、それが全く履行されてこなかったことについて、知事はどう総括し、今後に生かしていくのか、伺います。
 新銀行設立時の付帯決議では、経営全般にわたり適切な監視に努めることが条件として課されていましたが、東京都が本当に適切な監視に努めてきたかは疑問であります。
 例えば、情報公開一つとってみても、東京都は新銀行から必要な情報提供を受けていなかったり、情報提供を受けていたとしても、その情報を公開することを拒み、都民の目にさらそうとしてこなかった姿勢は極めて問題があります。出資や追加出資を求めてくるときだけ情報を提供するというのであっては、信用ができません。
 今後の新銀行の情報公開についてどのように考えているのか、見解を伺います。
 次に、中小企業の資金調達に対する支援について伺います。
 新銀行の設立趣旨を踏まえれば、中小企業への金融支援が円滑に進むよう、東京都がまさに従来の発想を転換して、既存の金融機関に対して、その地域や中小企業への貢献を促していくような施策に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。
 国において我が党が提案してきた金融アセスメント法案は、金融機関がその地域や中小企業などにどれだけ貢献をしているか、その融資の状況を含めて情報を公開することで、中小企業に資金を円滑に供給していくことなどを目指したものであります。
 中小企業団体などからも、金融アセスメント法案の制定に大きな期待が寄せられておりますが、政府・与党が消極的であるため、残念ながらいまだ成立には至っておりません。
 しかしながら、東京発の金融改革を進めていこうというのであれば、東京都として、金融機関に対して、地域や中小企業への貢献度などの情報公開を積極的に働きかけ、それに対する評価などを通じ、中小企業への資金供給を促していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 すぐれた人材やノウハウを持ちながらも、債務超過などによって存続の危機に直面した中小企業の再生を図るため、東京都は、平成十六年に地域金融機関との共同出資により中小企業の再生ファンドを創設しています。
 東京都の出資は二十五億円、民間と合わせて七十五億円のファンドであり、こちらの方は今のところ投資した資金が戻ってこないという状況にはないようでありますが、これまでの実績は十三件にとどまっています。
 債務超過などに陥った中小企業を再生させるには、今まで以上に中小企業にかかわる多くの再生専門家を集め、金融機関を初めとした債権者間の調整を強力に進めていくことが必要です。
 私は、このような中小企業に対する再生体制の強化を図りながら、再生ファンドを活用した金融支援をさらに進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 中小企業の資金調達に対する支援は、他の自治体でも多様な方法で進められています。群馬県など、幾つかの自治体では、一般の社債発行よりも容易な手続で発行できる少人数私募債を発行する中小企業に対して支援することで、中小企業の資金調達の多様化を図っています。
 また、神戸市などでは、地域において互いに信頼関係のある企業等が連携して、それぞれの信用に基づきファイナンスを行うコミュニティ・クレジットを行っています。
 東京都においても、例えば、ソフトなものづくり企業が多く立地していることにかんがみれば、不動産などの担保を持たない中小企業への金融支援に積極的に取り組んでいく必要があります。
 東京都は、知的財産や技術力、経営ノウハウを評価した融資制度など、不動産担保や個人保証に過度に依存しない資金調達方法の確保に向けてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、食の安全についてです。
 食品事故を起こさない、安全な食品を消費者に届ける責任は事業者が負っています。どんなに安いものでも、安全でなければならないのは当然のルールです。
 この前提のもとで、行政の果たすべき役割は、事業者に安全対策を徹底させる、その上でも起きてしまった事故・事件に際し、被害を拡大させず、どう最小化するか、この二点です。
 今般、中国産冷凍ギョーザによる薬物中毒事件が千葉県、兵庫県で発生したことを契機に、政府は、検査体制強化やJAS法改正、新しい消費者行政の組織立ち上げを前倒しすることなどを発表していますが、これだけでよしとしては、現実的な対策の重要性から国民の目をそらす結果になりかねません。
 この間、厚労省や農水省からさまざまな指示や指針が出されました。国は通知を出し、規則をつくれば仕事が終わるかもしれませんが、都民生活の安全を守るには、個々の分野で途切れなく安全対策が実施されるよう徹底していかなければ、意味がありません。
 事件の真相解明は警察の手にゆだねられました。現段階でこの事件から浮き彫りになっているのは、医療関係者からの迅速な情報提供、健康被害情報を適切に判断し、迅速なリコールに結びつけ、被害を最小化する手順の徹底、被害が都道府県域を越えて拡散して発生した場合の広域的な情報集約といった課題ではないでしょうか。
 都は、こうした食品安全対策の課題についてどのように認識し、今後どのように取り組むのか、伺ってまいります。
 これが悪意による毒物混入だとすれば、ほかのどの国でも、日本国内でも発生し得る事態です。この事件を通して、これまで我が国の食品安全行政では前提としてこなかった食品による健康被害が、悪意、故意に基づいても起こり得ることを認識させられました。都民の健康被害をできる限り起こさないために、都単独でもすぐにでき、かつ、実効性のある施策を早急に実施すべきです。
 例えば、米国FDAの「Food Defense and Terrorism」というページを見ると、二〇〇二年ごろから、バイオテロ並びに公衆の健康危機に対する防御能力の向上、対処能力拡張などの一環としてさまざまな対策を行っていることがわかります。
 具体的には、食品の生産、流通の各過程における事業者向けブックレットの発行、生産過程の管理や事件発生時の対応準備、従業員対策などについてそれぞれが知っておくべきこと、すべきことを広報しているのであります。
 また、消費者向けには、包装容器を注意深く調べて、おかしなものは食べるなと注意を喚起しています。こうした取り組みは、地味かもしれませんが、現実的な対応策を積み重ねていくことでこそ、食の安全が守られていくわけであります。
 我が国においても、今回経験したこれまでになかった新しいタイプの事件を踏まえ、危機管理意識の向上にできることからでも早急に着手していくべきと考えますが、所見を伺います。
 ところで、知事は、先日の記者会見で、食品表示について都独自の条例提案を示唆し、施政方針表明においては、原料、原産地名の表示の充実について検討を開始したと述べました。
 表示は消費者に必要な商品情報を伝えるためのものであって、毒物の混入のような事態には何の安全対策にもなり得ません。また、表示制度の見直しについては、にわかに国民生活審議会のワーキンググループで食品衛生法とJAS法にまたがる表示制度の統一議論が行われていますが、これは従来から必要性が叫ばれていたものであります。
 民主党は、昨年、一昨年と法案を国会に提出しましたが、与党に反対され、成立を見ることはできませんでした。こうした生活に密着した課題を放置してきた政府の責任は重いと申し上げておきます。
 原料の調達から消費までの経路が国境をも越えて広範囲となり、複雑化している今、一つの工場で生産された一つの食品をとってみても、世界や日本の各地から集めたさまざまな原料や半加工品からできているのであります。これらすべての原料の原産国を商品本体に表示することは不可能な場合もあり、また、アレルギー表示や加熱条件、消費期限など、まず第一に目に入るべき重要な情報が逆に見えにくくなってしまっては元も子もありません。
 例えば、牛肉のトレーサビリティーのように、インターネットや店頭で原産地を閲覧できるようにするといった工夫をし、消費者の立場に立ったわかりやすい情報提供を第一の目的として検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、暫定税率と道路特定財源について伺います。
 今国会は、小泉政権下において閣議決定された道路特定財源の一般財源化が、福田政権のもとで大きく後退することとなるのかが大きな争点となっています。
 政府・与党は、暫定税率の廃止、道路特定財源の一般財源化をおそれ、租税特別措置法からガソリン税関連税制の部分を分割せずに、一括してこの法案の賛否を問う戦略をとっています。そして、租税特別措置法に中小企業減税などが含まれていることから、民主党の賛否の仕分けにかかわりなく、民主党があたかもこれらすべてに反対しているかのごとく喧伝しているのであります。
 一方で、法人事業税の一部国税化の際は意外なほどに静かであった東京都も、道路特定財源がないと、あたかも都内の道路工事がストップするかのようなPRをしています。
 民主党の考えは、自動車関係諸税を消費税、保有税、地球温暖化対策税に再編成する第一歩として、道路特定財源を一般財源化した上で暫定税率を廃止するというものであります。そのための財源の手当ては示されており、何も心配することはありません。
 しかも、民主党は、石原知事が妥協した法人事業税の一部国税化にも反対しており、これが否決されることは、地方分権改革にとっても、また、東京都の財政にとっても好ましいことではないでしょうか。
 暫定税率と法人事業税の一部国税化の廃止による都財政への影響について、石原知事の見解を伺います。
 道路特定財源は、昭和二十九年に、後に総理となった田中角栄議員らが中心となった道路整備費の財源等に関する臨時措置法という議員立法によって導入をされました。
 当初は、経済復興に不可欠な道路整備を急いで進めるために有効な制度でありましたが、制度ができてから半世紀以上がたった今日、もはやその意義は薄れています。医療や福祉など、国民生活に直結するさまざまな課題が財源不足のためなかなか前に進まない中にあって、道路事業費だけを聖域化することは明らかに間違いであります。
 道路特定財源は、既に道路の下を走る地下鉄や電線類の地中化など、自動車ユーザーの利便性と関係のないものにも使われる一方で、旧建設省の所管外である臨港道路などの道路には、この財源は充てられておりません。
 これらに共通するのは、旧建設省道路局が予算を差配する権限を手放さないということにほかならず、まさにこうした構造が日本の改革を大きくおくらせているのであります。
 知事は、さきの施政方針表明で、政治家は目先の利害にとらわれ、官僚は省益に拘泥して、国家のあり方や国民の税負担にかかわる根本的な議論を避け続けていると批判されていましたが、そうであるならば、石原知事は道路特定財源の一般財源化を積極的に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。見解を伺います。
 また、暫定税率についても、既に暫定の名のもとで三十四年間も徴収され続けていること、そのものが全く異常なことなのであります。小渕総理のもとで導入された恒久的減税がわずか八年で廃止されたわけですから、暫定税率は、それこそ暫定の名に恥じぬよう廃止されるべきなのであります。
 また、民主党は、暫定税率廃止に伴う財源については、地方六団体が要望している国直轄事業負担金の廃止などを打ち出しており、建設局が指摘するように、暫定税率の廃止によって連続立体事業がストップするようなことは断じてありません。
 私たちは、毎年、トラック協会からも予算のヒアリングを行っていますけれども、軽油引取税の暫定税率を廃止してほしいという要望が寄せられていることは、石原知事もご承知のことだと思います。また、地方においても、暫定税率の廃止は、日々の暮らしでガソリン代や灯油代が高いと感じている人たちの多くの声ではないでしょうか。
 知事が暫定措置にとめさせたとする法人事業税の一部国税化が、仮に三十四年間も続くこととなったら、どうお考えになるでしょうか。暫定税率は、暫定であるがゆえに廃止されてしかるべきだと考えますが、見解を伺います。
 それほどまでに必要だ、必要だといわれてつくられた道路には、本当に当初想定したとおりの利用者がいるのでしょうか。本四架橋しかり、アクアラインしかりです。かつて、平成十四年、石原知事も原子力発電所のある新潟県知事に対して、夜はクマしか通らない道路がだれの税金でできているか考えてほしいと反論していたように、道路特定財源が非効率に使われていると感じていたのではないでしょうか。
 私は、四年前、「破綻寸前東京の道路公団」という本を著しましたが、その中で指摘していた稲城大橋有料道路やひよどり山有料道路などは、道路特定財源を投入して整備されたものですが、利用者は交通量予測を大きく下回っています。今回の予算案では、稲城大橋有料道路の資金ショートを避けるため、十五億円が計上されていますが、その見通しの甘さは総括されておりません。
 このように、必要だ、必要だといわれながらも、必ずしもその必要性が十分に精査されずに建設された道路は、地方に限らず、都内においても少なからずあったのではないでしょうか、東京都の認識を伺います。
 もちろん、道路のすべてが不要といっているのではありません。問題は、真に必要な道路を見分けて、優先順位をつけながら着実に整備をしていくということではないでしょうか。
 例えば、東京都が平成十六年三月に策定した区部における都市計画道路の整備方針では、平成十六年度から二十七年度の十二年間で優先的に整備すべき道路を示していますが、十二年間で優先的に整備すべきと示されたのは二百八区間、百三十三キロメートルです。
 これにさらに細かな優先順位をつけ、戦略的、効率的に道路を整備していくことは可能なのではないでしょうか。そのため、交通混雑の緩和など、定量的に評価をし、優先順位をつけ、さらに客観的に優先順位を比較考量できるようにし、そのデータを公表することも必要なのではないでしょうか。
 今後策定する都市計画道路の事業化計画においては、より優先度の高い道路の整備が進むよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、東京都においては、道路整備一辺倒でなく、自動車に過度に依存しない社会への脱却、IT技術の活用などによる既存の道路の有効利用など、新たな道路・交通政策を展開していくことも必要であります。
 地下鉄などの公共交通機関が発達した東京の特性を踏まえるならば、LRTなどの整備をさらに進めるとともに、TDM施策の推進や自転車への利用転換、さらに、近年急速に普及が進んでいるカーナビなどIT技術の活用やロードプライシングなどにより、今ある道路を効率的に利用していくことも可能であります。これらの施策は、新たに道路を整備することに比べてもそれほど多くの予算を要しないと思いますが、その効果は決して小さくありません。
 私は、自動車に過度に依存しない社会への脱却、IT技術の活用などによる既存の道路の有効利用などに向けて総合的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、オリンピックについてであります。
 東京オリンピック招致委員会は、IOCに申請ファイルを提出しました。七都市で競われる二〇一六年招致は、ことし六月には五都市程度に絞られます。
 都は、人事面でのてこ入れを図るとともに、招致経費を最初の約三倍増の百五十億円に急増させる等、人、物、金の資本をオリンピック招致へ本格的に投下し始めました。
 しかし、各都市における支持を見ると、東京の招致賛成は六〇%と、他都市と比較して低い結果となりました。二〇一二年招致の際のロンドン、パリ、モスクワ、ニューヨークといった大都市も、今回の東京よりは高支持率でありました。
 なぜこうも東京招致が盛り上がらないのでありましょうか。それは、都民の主な支持理由が、経済効果が見込めるということにあり、スポーツと平和の祭典であるオリンピックを招致するという運動の根本的な意義が伝わっていないからなんです。
 民主党は、オリンピックの理念は、悲惨な戦争を忘れないという先人の思いを現代につなぎ、今、戦火に苦しむ世界の人々に平和構築の連帯意思を示すことであると主張してまいりましたが、ここで改めて、南米のスポーツレガシーのために、中東で最高のスポーツ競技を共有する、再びアメリカでオリンピックの情熱をともす等にまさる、人を育て、緑を守り、都市を躍動させるとした東京の開催理念について、知事の見解を伺います。
 くしくも、東京がIOCに申請ファイルを手渡した日、中国・北京市から石原知事に北京オリンピック開会式の招待状が届きました。
 そもそも東京と北京は姉妹友好都市として交流してきましたが、知事の就任後、江沢民はヒトラーと同じ、民度が低い、北京オリンピックはヒトラーのやった政治的なベルリン・オリンピックに似ている気がするなどの批判発言や、アジア大都市ネットワークからの北京脱退によって、その関係はすっかり冷え込んでしまいました。
 ところが、東京がオリンピック招致を推進する中で、知事が中国のオリンピック委員会幹部と接触してから変化が見られるようになりました。十月には、日中国交正常化三十五周年で来日していた中国卓球協会会長が知事を表敬訪問し、知事は、招かれれば行きたいと答え、十二月議会でも北京オリンピックにエールを送っています。
 そこで中国は知事に招待状を届けたわけですが、北京オリンピック開会式への出席についてはどのようにお考えか伺います。
 ことしは、北京五輪が開催されるオリンピックイヤーです。それに合わせて、トップアスリートの強化施設、ナショナルトレーニングセンターが完成しました。この施設で選手がより効果的な練習を積み、北京で活躍してほしいと考えています。
 そこで、各国では国がすべて負担して無料となっているナショナルトレーニングセンターの使用料の減免や施設間のアクセス改善など、さらなる国の努力が必要と考えます。都は、選手の育成と競技力強化の観点からナショナルトレーニングセンターと連携すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 一方、ロゲIOC会長が最も懸念することは、青少年のスポーツ離れです。国内では、運動不足が原因で肥満傾向児がふえ、都内のスポーツ行動率も低下傾向にあります。そこで、都はスポーツ振興計画を改定し、二〇一三年東京国体までには、全自治体に総合型地域スポーツクラブを開設する方針です。
 総合型クラブの設立には、指導者や活動拠点の確保、マネジメントにおけるアイデアの活用が重要です。例えば目黒区のスポルテ目黒は、運動していない層をターゲットに、一切の補助金なしで、既存施設を使いオープンしました。現在、会員は幅広い世代にわたり、運動・スポーツ行動率が上昇し、その効果があらわれているとのことです。
 都民のスポーツ振興、そして新たなコミュニティの形成に可能性を持つ総合型クラブの設立に当たっては、地域の実情に合わせた取り組みが重要です。都の見解を伺います。
 次に、警察行政、金大中(キム・デジュン)事件について伺います。
 これは、昭和四十八年八月八日、後に韓国大統領となった金大中氏が、九段にあるホテルグランドパレスから拉致され、五日後にソウルの自宅付近で解放されたという事件で、当時、元大統領候補の金大中氏が、日本とアメリカを中心に、朴正煕(パク・チョンヒ)政権批判の運動を行っていたことから、韓国中央情報部、KCIAの犯行が疑われ、我が国でも、主権侵害、人権侵害との世論の批判が高まりました。
 捜査の過程で、金大中(キム・デジュン)氏が拉致された際に連れ込まれたホテルの部屋から、韓国大使館一等書記官であった金東雲(キム・ドンウン)氏の指紋が検出されたこと、ホテルのエレベーター内で、強制連行されつつあった金大中氏が、たまたま乗り合わせた人に助けを求めて叫んだとき、金東雲氏がその犯人グループの中にいるのが目撃をされたこと、犯人グループがホテルの部屋に放置したリュックサックを買い求めた神田の登山用具店の店員が金東雲氏と応対したことを確認できたこと、さらには、ホテルから金大中氏を移送した拉致車両の所有者が韓国横浜総領事館の副領事であったことなどが明らかになり、KCIAという韓国の公権力による我が国に対する主権侵害は疑う余地のないものと、一般には受けとめられたものでありました。
 ところが、その後、日韓の外交交渉の中では、韓国の国家機関の関与はなかったものとして、二度にわたり、いわゆる政治決着が図られ、我が国においては今日まで真相はうやむやのままに至っているのであります。
 一方、被害者金大中氏は、軍事クーデターにより樹立された全斗煥(チョン・ドゥホアン)政権により、昭和五十五年の光州事件に関与した疑いで身柄拘束され、死刑判決を受けるという弾圧に見舞われたのであります。しかも、日韓政治決着で不問に付すはずだった日本滞在中の政治活動をも罪に問われるというひどいものでありました。
 昨年十月、事件発生から三十四年目にして、韓国国家情報院のいわゆる真相究明委員会の報告書が公表されました。そこには何と、この事件がKCIAの国家犯罪であったことを断定した内容が示されていたのであります。
 私は、昨年十一月二十八日の都議会警察・消防委員会でこの事件を取り上げました。
 第一に、この事件は、憲法第十八条「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」、憲法第三十一条「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」、この規定に反した人権侵害であり、主権侵害であることは明らかであること。
 第二に、政治決着は誤りでなかったのか。政府としてやるべきことは、人権、主権の侵害について韓国政府に厳重抗議し、謝罪をさせる。そして、真相究明と犯人の検挙、再発防止の取り組み、被害者金大中(キム・デジュン)氏の原状回復であったのではないか。
 第三に、真相究明の中で、二度にわたる政治決着が捜査にふたをする役割を果たしたのではないかということについての検証。もしそうであったならば、それが国民、国家に対する一体何の利益のためであったのかを明らかにすること。
 第四に、その政治決着は外務省が主導したのか、政治が主導したものなのか。
 これらの点は、真相究明を通じてこそ初めて歴史の法廷で裁かれるべき事柄であると申し上げました。
 さらに、金大中事件発生の翌昭和四十九年から北朝鮮による拉致が本格化していることを見ると、この事件の政府のあいまいな対応が、北朝鮮拉致計画者に、日本の対応はその程度のものかという気を持たせ、北による拉致を誘発した一つの要因にもなっているのではないかとも考えられるのであります。
 以上を踏まえ、以下十二点についてお答え願います。
 第一点、昨年十月公表された、いわゆる真相究明委員会報告を警視庁はどう受けとめていらっしゃるのか。
 第二点、報告書ではKCIAによる犯行と断定しているが、警視庁としてこの点についてどのように判断をしているのか。
 第三点、私の委員会質問以降きょうまで、捜査はどのように進展しているのか。日韓刑事共助条約に基づく共助方法、共助要請の内容と韓国側のどの機関が共助相手先になるのか。
 第四点、共助要請に対するこれまで得られている韓国側の回答はどのようなものか。
 第五点、警察・消防委員会での私の質問に対して、植松公安部長は、少なくとも被疑者一名と答弁していますが、真相究明委員会報告書では、KCIA職員二十七名、その他龍金号船員などと、相当数が事件に関与しているとしており、検挙、起訴すべき範囲を警視庁は一体どこまで考えているのであるかということ。
 第六点、金東雲(キム・ドンウン)氏について、昭和五十八年八月十一日の参議院法務委員会における当時の吉野警察庁外事課長答弁によれば、条件さえ整えばいつでも金東雲氏の逮捕状は要請できる状態だと認めています。それから二十五年経過し、真相究明委員会報告書や第一次政治決着時の田中首相と金首相の首脳会談の記録などの韓国側外交文書の公開が進み、事件の真相が相当明らかになってきた今日に至って、一体逮捕状要請に必要な整備すべき条件とは何なのか。
 第七点、この人物は、事件発生以前に、実は報道機関の人間として入国歴があり、本名は金炳賛(キム・ピョンチャン)という名で、金東雲は偽名であることが既に明らかになっているわけですが、警視庁として金東雲が偽名であるという事実はいつの段階で把握をしていたのか。
 第八点、金東雲氏、金大中氏に対して、これまで事情聴取を行ったことがあるのか。また、近々その予定はあるのかどうか。
 第九点、既に公開されている韓国政府の外交文書に、田中角栄・金鍾泌(キム・ジョンピル)首脳会談録があります。これは、事件発生から約三カ月後の昭和四十八年十一月二日、第一次政治決着として行われた田中角栄首相と金鍾泌首相の首脳会談の会議録ですが、それには、田中首相や大平外相はどのような発言をしたか、実にリアルに記録されています。日本の総理大臣の発言を中心に、要点を簡略に拾ってみます。
 田中首相はまず会談の冒頭で、金首相が来たことで事件を一段落させようと、当時の田中伊三次法務大臣の異論も抑えて、その日の朝の閣議で了解を取りつけたことを話しています。
 次に、主権侵害の問題については、捜査の進展に従って、もし韓国の公権力介在が判明した場合には新たな問題提起をするほかないと、持ってきたペーパーをそのまま読むようにいいながら、それについて金首相から、それは本気か建前かと、こう聞かれ、あくまで建前だと応じているのであります。
 さらに、金大中氏の原状回復については、彼が日本に来なければいい、そんな者は日本にとっても非常に困る、そんなのをそのまま置いておくわけにはいかないと、こういい放ち、具体的な事件捜査に関しては、金首相から、金東雲の捜査はすべて韓国に一任してもらい、韓国側最終捜査結果の通告だけを日本に行う旨の確認を求められました。そのとき、何と田中総理は、当時の警視庁公安部長を栄転させ、捜査本部は徐々に抑えてなくすつもりだ、こう返答しているのであります。
 そして最後には、金首相から、今後は金大中事件を完全に忘れていただくようお願いされ、済んだ話を何度繰り返してみても意味がないので、もうこの問題はパーにしよう、私も開き直ったからと、首脳会談を契機に問題終結を約束しているのであります。
 読み上げるのもはばかるようなこのやりとりを、このように、我が国の主権を守るべき日本国総理がしていたのであります。
 首都の治安を守る警視総監として、これを読んでどうお考えになるのか。当時の我が国総理や外務大臣の発言について一体どうお考えになるのか、お伺いをいたします。
 第十点、これまで警視庁が、この事件の捜査に関して外務省や政府または政府筋から何らかの干渉を受けた事実はあるのか、あるとすればどのようなことか。
 第十一点、真相究明委員会報告では、日本政府が真相隠ぺいに関与した過ちがある、こういい切っているわけですが、警視庁としてその事実を認めるのか否か。
 第十二点、事件当時、外務省アジア局次長の要職にあり、政治決着を含め日韓外交交渉の中心的交渉当事者であった中江要介氏は、昨年六月、テレビ朝日で放映された報道番組の中で、主権侵害をあいまいにして決着したことを問われ、次のように述べています。
 結果として日本の捜査当局は十分な捜査をしなかったから真相が究明されなかった、真相が究明されなかったから主権侵害がぼやけてしまった、捜査当局の汚点であった、ここまでいわれてしまいました。
 第一線の捜査官がこの発言を聞いて一体どう思うでしょうか。私には真実は違うように思えます。どうか国家の威信にかけて、警視庁の真剣に事件解明に取り組んできた方々の名誉にかけて、このような発言が真実であると認められてはならないと私は考えます。私には、捜査現場で汗をかいた警察官の声なき声が聞こえるのであります。真相究明に向けての警視総監の決意をぜひともお聞かせいただきたいと思います。
 次に、温暖化対策について伺います。
 本年は、京都議定書による温室効果ガス削減義務の目標期間の開始年であり、日本が果たして削減目標六%を達成できるのか、温暖化対策への姿勢と取り組みに強い関心が寄せられています。
 しかし、国における温暖化対策の姿勢は、国際的にも消極的だと批判されています。注目されたダボス会議での福田首相の演説で、国別総量目標の設定を提唱したことは一定の評価がなされているものの、肝心の中身となると、部門別の積み上げ方式で目標を決めるという、危機感の感じられないものとなっています。
 部門別の積み上げ方式とは、産業や業務、家庭、運輸といったそれぞれの部門で、将来の省エネ技術の進展などを考慮した削減可能性を積み上げる方式です。しかし、そのような目標設定では、世界的に必要だとされる、今世紀半ばまでに半減というCO2排出量削減を達成できない可能性があります。私は、削減可能な量を積み上げるのではなく、将来を見据えた高い目標設定と具体的な対策が必要だと考えています。
 都は、二〇二〇年までにCO2排出量を二〇〇〇年比で二五%削減するという目標を掲げておりますが、どのような考え方で設定しているのか、また、どのように実現していくのか、見解を伺います。
 次に、中小規模事業所の温暖化対策の推進です。
 私たち都議会民主党はこれまで、地球温暖化対策計画書制度の対象にならない大規模事業所以外の事業所に対する取り組みの強化を主張してきました。中でも、例えば平成十六年六月議会での代表質問では、コンビニやファミレスといったチェーン店のように、一店舗だけを見れば制度の対象とならないものの、これらの店舗の設備や実際の運用が一括で管理されている形態であったり、企業としては一つであるものもあるとした上で、対策の強化を主張してまいりました。
 私たちの主張により、都は連携プロジェクトにおいて、これら事業者への対策を模索してきましたが、都内の業務・産業部門のCO2排出量の約六割を占める中小規模事業所への対策強化は欠かせません。私は、店舗はばらばらでも同一法人が管理するなどしているチェーン店などの事業所に対して、新たな制度を設けるなど取り組みを強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年二月の代表質問で、私は、建築物環境計画書制度での取り組みを、建築物だけでなく、まちづくりそのものに拡大していくべきだと主張してきました。
 予算案では、開発エリア全体でのエネルギー有効利用に関する計画を制度化することが掲げられ、エネルギー利用の共同化による省エネや下水排熱などの未利用エネルギー、再生可能エネルギーの活用などの検討を義務づけ、計画を作成することで、エネルギー利用の効率化を誘導することとしています。
 昨年も述べたように、ロンドン市では、住宅、オフィス、商業施設などを含む複合開発においてCO2排出量ゼロを目指すゼロカーボン開発が提案されており、東京都の計画においても、開発エリア全体でCO2排出量ゼロを目指せるような、より高い誘導水準が求められます。計画の制度化に向けた取り組みについて見解を伺います。
 次に、高齢者福祉施策についてお尋ねします。
 昨年は、コムスンの事件を含め、介護保険事業者による不祥事、事件が相次ぎ、処分を受けた事業所は十七件に上りました。次々と起きてきた問題を受け、平成二十年度予算においてどう取り組むのか。また、中期的にはどのように未曾有の高齢社会における生活の安心・安定につなげるかは、喫緊の課題であります。
 都の高齢者人口当たりの介護保険施設は全国最下位です。これに千葉、埼玉など首都圏が続き、最下位グループをなしています。
 「十年後の東京」実行プログラム、地域ケア体制整備構想、二十年度予算案、いずれも既存施策のバージョンアップの発想で、十分な対策が見えません。
 都はこれまで、特別養護老人ホーム、いわゆる特養やグループホームなどの整備に対し特別助成を行い、低迷する整備率のアップに取り組んでまいりました。厳しい財政状況のときにも必要な分野に対し投資を惜しまなかった姿勢は評価します。
 しかし、都が調べた特養の状況でも、二百三十七施設中七十六施設が赤字施設で、建設後の運営が赤字構造であることがわかります。整備費に上乗せをしても、建てた後の運営の見通しが立たなければ新規参入者もふえず、既存法人も新たな展開ができません。地価などの物件費とともに人件費が高い東京都の課題であると考えます。
 高齢化率の増加、高齢者数の増加に対応して、必要とされる介護基盤の整備促進の課題についてどう認識し、どう取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
 大手事業者が各地に進出し、経営体力のある事業体でなければできないサービスを展開し、介護サービスが充実したようにも見えていた分野でありましたが、地域密着の地元事業者や社会福祉法人は、さきの介護保険法改正により、新たな事業に手を挙げる体力がありませんでした。
 介護保険制度は、民間セクターの参入をオープンにしています。これは、NPO法人や株式会社、社会福祉法人といった各種法人の特性を制度に取り込み、多様なサービスを展開することが目的のはずです。
 東京の高齢化率は着実に上昇し、平成二十七年には二四・二%、平成四十七年には三〇%を超えることが予想されています。十年、二十年後に、NPO法人や中小事業者、社会福祉法人など地元密着の法人が、安定した財務内容、確かな人材確保ができる規模に成長できるかどうかが、地域においてきめ細かなサービスが提供され、安心な高齢社会を築けるかぎになるといっても過言ではありません。事業者育成も重要課題であると考えますが、この点に関する都の見解を伺います。
 こうした問題の根本は、全国画一的な介護保険制度と、その事業に従事する働き手の余りに低い報酬に原因があるのです。福祉に志を持つ若い人がふえ、資格者はふえましたが、報われなければ勤めは続かず、ほかの分野に行ってしまいます。介護従事者の給与水準は、全国の平均的な労働者を一〇〇とした場合九〇、東京の平均的な労働者の給与水準は一二〇、この差を埋めない限り、人手不足の解消、いい人材の確保ができないのは当たり前の話です。
 東京都として望ましい介護報酬改定の実現、また、その実現に至らなかった場合、都独自の上乗せ、横出しをしない限りは、もはや職業として成り立たせることはできないものと思いますが、所見を伺います。
 次に、後期高齢者医療制度について申し上げます。
 後期高齢者医療制度は、平成十八年六月に、国会において与党による賛成多数で可決・成立をいたしました。七十五歳以上の高齢者は健康診断をしても効果が薄いとして、国は財政補助しないなど、医療費削減ありきの強硬姿勢で、民主党の反対を押し切り法案を成立させました。
 しかし、参議院選挙で与党が大敗した途端、制度の円滑な導入のためとして、補正予算に七十五歳以上の保険料負担延期に四百四十八億円、七十四歳までの自己負担増延期には千二百七十億円を計上し、負担凍結を打ち出しました。制度の根幹を凍結しなければ持たないような、この後期高齢者医療制度自体に重大な欠陥があることはもはや明白ではないでしょうか。その場しのぎで高齢者を欺くのではなく、抜本的に見直しをするべきであります。
 また、保険料の高騰を防ぐため、都、区市町村からの財政出動が百億円を超え、このいいかげんな制度のツケを自治体財政、すなわち都民が負担をしています。都は、都民生活への悪影響を最小限にするとともに、国に対し、高齢者を支えるに足る医療保険制度改革を実現するよう強く求めていくべきと思いますが、所見を伺います。
 次に、島しょ振興について伺います。
 国じゅうを挙げて祝った小笠原諸島の復帰から、ことしは四十周年になります。硫黄島は沖縄と並び地上戦化し、父島、母島は本土決戦の要塞となった歴史があります。終戦後は米軍の占領下に置かれ、本土がサンフランシスコ講和条約発効によって主権を回復してからも、島の返還はさらに十六年間待たねばなりませんでした。
 小笠原諸島は、国と都にとって、排他的経済水域や国防、海洋資源の調査、開発、災害救助の拠点、世界自然遺産の候補地など、その存在はますます大きくなっています。その島への高速アクセスの設立は村民の悲願ですが、国や都の計画は三度とんざし、そのたびごとに村民は大きく落胆させられました。
 このたび、村民アンケートで七〇%の賛成を得て、航空路協議会が発足しました。自然環境、景観と振興の調和を図った航空路の早期開設に向けた検討を推進するとともに、改めて小笠原諸島振興開発特別措置法の延長を知事が国に直接働きかけるなど、返還四十周年に向けて情熱を示すべきだと考えますが、所見を伺います。
 原油価格の高騰は、全国の離島、都では伊豆諸島と小笠原諸島の住民生活を直撃するとともに、十分な価格転嫁が困難な中小企業や農林漁業等の各業種に深刻な影響を与えています。そこで国は、原油高騰・下請中小企業に関する緊急閣僚会議を開催し、きめ細かで配慮の行き届いた離島対策として、島の生活を支え重要な交通手段である航路、航空路維持等に都と補助金を交付しています。
 しかし、現在、島しょ地域、とりわけ小笠原村では、ガソリンが一リットル二百三十九円から二百六十四円という高価格を受け入れざるを得ない状況にあります。そこで、島しょ地域住民の生活安定と産業振興のため、実効性ある支援として、貨物運賃補助制度においてガソリン等燃料の輸送費を補助対象品目に加えていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、地方分権改革について伺います。
 地方分権改革推進委員会の中間報告が昨年十一月、福田総理に提出されました。知事もみずから委員会で改革の必要性を訴えるとともに、都民向けに「地方の自立に向けて」を発表しました。
 一方、国は、地方財政の悪化よりもみずからの財政再建を優先させ、地方財源による格差是正の動きを進めてきました。対して都は、大阪府や愛知県、神奈川県と緊急アピールを発表、都市間の連携を強め、分権に逆行する国の動きにノーを突きつけました。
 しかし一転、知事は、三府県に断りなく、東京問題と法人事業税を交換する抜け駆けを行いました。本来、都は、地方や大都市を代表する立場から、より大きな視点での交渉が求められていたのではないでしょうか。これで都は、地方と、そして大都市との連携も分断してしまいました。知事は直後の知事会を欠席、みずから釈明する機会も放棄をしました。
 今後、推進委員会は中間報告をもとに勧告を行い、二十一年秋には国が新分権一括法案を提出する等、動きを加速させます。地方税財政改革に逆行した汚名を返上するためにも、分権推進に向けてどう取り組んでいくか、知事の所見を伺います。
 また、道州制の議論も進んでいます。地方制度調査会の道州制のあり方に関する答申は、知事が説明したにもかかわらず、その区割りは、国の出先機関の管轄区域か都単独の区域が設定されており、知事は、全く実態の検証がないとばっさり切り捨てました。
 都では自治制度懇談会が、道州制導入の意義や首都圏の広域的課題を検証して、区割りを一都三県の範囲でなければならないとまとめています。知事会は、真の分権に向けた道州制制度の導入を図るには、区域を国と地方双方の検討を踏まえて議論されるべきだとしています。
 現在、地方格差の諸悪の根源は中央集権体制が持論の江口克彦座長が主宰する道州制ビジョン懇談会では、十年後をめどに道州制に移行する座長私案が提示されています。
 我々は、制度を導入する上で、都や地方も自立的で持続可能な国のあり方や道州制ビジョンなどを構想するとともに、首都圏など地域の実態を踏まえた枠組みを実現するプロセスを検討していくことが重要と思いますが、都の見解を伺います。
 次に、都区制度改革について伺います。
 昨年一月、都と特別区は、都区のあり方検討委員会を立ち上げ、これからの都区のあり方について検討を開始しました。十二年改革では、区が基礎的な地方公共団体と位置づけられるとともに、清掃など三十三事業と約八千人の都職員が区に移され、可燃ごみの中間処理については一定期間、一部事務組合が共同処理を行うこととなりました。
 地方分権の議論が進む中で、都と区は、さらに主体的に事務配分や特別区の区域のあり方、税財政制度を検討する必要に迫られています。東京富裕論や地方格差の見方が広がり、東京を取り巻く環境がますます厳しくなっているからです。こうした状況の中、都区はみずからのあり方を構築し、首都東京の未来を切り開く必要があります。
 しかし委員会は、具体的な上下水道事業移管の検討に入ったところで、事実上仕切り直しになりました。そこで、この状況を打開して議論を前進させるためには、十二年改革を総括し、議論の座標軸を確認した上で協議を進めていくことが必要と思います。残り期限が一年となった都区協議ですが、基本的方向性の合意に向けて都の決意を伺います。
 次に、「十年後の東京」への実行プログラムと二十年度予算について伺います。
 私たちは長年、都に長期計画の作成を求めてきました。平成十七年第三回定例会においては、都政の基本的指針として長期計画を示し、その中に実施計画、単年度予算を位置づけるという当たり前のことを行うことが、都政の未来に向かって職員のモチベーションを高めることにもつながると主張しました。
 アメリカ・クリントン政権の経済再生コンサルタントであったデビット・オズボーン氏は、著書「行政革命」において、戦略計画の重要な要素は立案過程にあるとし、未来のビジョンに関する合意をつくり出すことで、組織または地域社会のメンバー全員が今後進んでいく方向に関する感覚が培われていく。これでリーダーだけでなく全員が自分が進んでいく方向を理解し、思ってもみなかったチャンスや危機に、トップからの命令を待たずに対処していくことができると記しています。
 今回の予算編成において、合意のプロセス、内容の評価は別にして、「十年後の東京」という目標を置き、三カ年の実行プログラムにより、単年度予算の欠陥を補正する手法をとられました。こうした手法をとられたことについてどのようにお考えか伺います。
 石原知事三選の公約でつくられた「十年後の東京」は、懇談会での議論や都民、区市町村から意見を聞く機会がなく、その政策決定過程は甚だ不透明です。
 その後、実行プログラムの作成段階で初めて区市町村にその意向を聞き、企業などに説明を行ったため、かえって「十年後の東京」への疑問が噴出しました。こうした現状では、都民の理解を深め、協働を結び、広範囲なムーブメントを起こしていくことは、はるかに道遠しといわざるを得ません。それは、部活が盛んな中学校の実情と校庭芝生化、耐震補強などの低迷、CO2削減推進会議での紛糾、緑の東京募金をめぐる都の混乱などにあらわれています。
 イギリス・ロンドン市のロンドンプランでは、策定に至る過程で、市は、住民や企業等との合意形成に相当な時間をかけて作成したといわれています。緑のムーブメントや耐震化、子育て推進プロジェクトなど、「十年後の東京」の中心事業の達成には、都民や区市町村等との連携協働が不可欠であり、その仕組みをどうつくっていくかが重要ですが、知事にその見通しを伺います。
 次に、景気動向の変化への認識について伺います。
 日本経済に大きな影響を与えるアメリカ経済は、サブプライムローン問題や中小金融機関などの破綻リスクのため、先行き不透明感が高まり、連邦公開市場委員会や政府による緊急金融、財政対策が行われています。
 一方、国内においては、原油高や素材高、規制などが響き、都内中小企業の景況動向は悪化し、消費者心理も、株安や物価の上昇基調によって冷え込み始めました。日銀総裁による経済見通しは、先行きは当面減速、その後は拡大に変化しました。
 都においても、法人二税が、十九年度最終補正との比較では一・六%の減、七年ぶりの減収になりました。都税全体では百六十九億円、〇・三%の横ばい、また環境CBOの発行も延期されています。
 二十年度予算案を審議するに当たり、今後の景気動向と税収の見込みについて改めて伺います。
 二十年度予算案は、都政史上最高の五兆五千九十七億円という堅調な都税収入を受け、一般会計は前年度比三・八%増、六兆八千五百六十億円の規模となりましたが、一般歳出は一・八%増の四兆四千百三十七億円にとどまりました。財政規模が同額の平成八年度当初予算と比較しても、抑制がきいた予算案となっています。十九年度の一般歳出の伸びと比べても、二十年度は鈍化しています。中期財政フレームからも、歳出では、基金や大規模施設の改修、負の遺産の処理といった備えと補てんの部分が目立ちます。
 一方、これは十九年度最終補正、二十年度追加補正との一体化予算案であり、地方財政を当てにしたやりくり算段と禁じ手による国の一体化予算案に比べれば、新銀行への追い貸しを除いて、財政再建の結果が反映された予算案と認識しています。
 しかし、二十年度予算において、都民が夢と希望を持てる東京とするため、民主党が要望した耐震や保育、小児医療、雇用、低所得者対策等にしっかりと取り組むことが重要と考えますが、知事の見解を伺い、都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 田中良議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新銀行東京の発案者としての私の責任についてでありますが、経済産業の担い手として懸命な努力を続けている中小企業に円滑な資金供給をなさなければならないという使命感から、この銀行を提案、設立いたしました。
 これまで中小企業を支える銀行としての独自の役割を果たしてきましたが、旧経営陣の常識では考えられない経営の結果、計画を上回るデフォルトが発生し、不良債権処理費用が増加したことなどから、厳しい経営状況に陥っております。
 こうした結果について、私は発案者として、当然もろもろの責任を感じております。もろもろとは、まさにもろもろでありまして、私が今とるべき最大の責任は、弱い立場にある中小企業を支援し続け、新銀行東京について最悪の事態を招来しないことであると考えております。
 追加出資は苦渋の選択でありますが、他の選択肢である新銀行東京の事業清算や預金保険法に基づく破綻処理は、日々必死に努力している中小企業に甚大な影響を与えますし、また、中小企業で働くのも都民であり、新銀行東京の預金者もまた都民であります。こうした事実を複合的に考え、今回の提案にぜひご理解いただきたいと思います。
 次いで、新銀行東京に関する追加出資の意義についてでありますが、新銀行東京はこれまで、既存の金融機関では支援が難しい、赤字や債務超過に陥っている中小企業に対してでも、できる限りの支援を行ってまいりました。こうした企業の中で、新銀行東京の融資が契機となって業績を回復させた企業は九千社にも上ります。
 今後、新銀行東京の経営が行き詰まった場合には、その支援を頼りに懸命に努力をしている既存融資先一万三千社を初め、その取引先、従業員、家族などの関係者に重大な影響を及ぼしかねません。
 今回、新銀行東京自体の経営改善努力とあわせ、追加出資を実施することで経営安定化が図られ、新銀行設立の趣旨である、高い事業意欲がありながら資金繰りに窮している中小企業への支援を継続していくことが可能となるはずであります。
 今日、アメリカのサブプライムローン問題を発端として、世界の金融市場が混乱しております。日本もまたその兆しにあります。我が国の銀行にも巨大な損失が発生しておりまして、景気の先行きには不透明感が広がってきております。中小企業の資金繰りの悪化が懸念されていることを考えますと、銀行を立て直した上で、その設立理念を実現してまいりたいと思っております。
 次いで、旧経営陣の任命責任についてでありますが、新銀行東京の開業時の代表執行役については、経団連の重鎮からの推挽があった人材を新銀行東京の取締役会が正規の手続を踏んで決定したものであります。推挽を信頼して経営のかじ取りを任せた結果、こうした経営状態に立ち至ったことはまことに遺憾であります。
 再建計画の実効性についてでありますが、新銀行東京がこれまで策定した計画等は、結果として、いずれも目標どおりに達成できてはおりません。これは旧経営陣の非常識な事業運営などにより達成が困難となったものであります。また、この間、非常に風通しが悪く、株主である都にも、こうした経営の実態に関する情報が入ってきておりませんでした。
 新銀行東京では、過去三カ年の反省を踏まえ、後がないとの決意のもとに、みずからの厳しい経営状況を見直し、抜本的なリストラを進めるとともに、確実な収益を見込める事業へ重点化を図り、二十三年度の黒字化を目指すことを内容とした再建計画を策定いたしました。
 都として、この計画は十分実現可能性があるものと考えており、都との連携や計画の実行状況を正確に把握するための経営監視の強化など、とり得るすべての手段を講じてまいります。
 私は、不退転の決意で、この銀行を必ず再建させるつもりでございます。
 次いで、道路特定財源などについてでありますが、暫定税率については、立ちおくれた東京の道路整備を着実に推進する上で必要なものでありまして、これを維持するように国会にも強く求めてまいりたいと思っています。
 法人事業税の一部国税化については、日本の地方税制は国が一方的に決めることができまして、自治体にはそれを阻止するすべがない中で、あの結果を招来しましたが、福田総理と直接会談を行い、都の重要施策に最大限の協力をするとの約束を取りつけるとともに、今回の措置を暫定措置にとどめ、都財政への影響を最小限に食いとめた上で、首都東京の知事として決断をしたものであります。
 次いで、道路特定財源の一般財源化についてでありますが、道路は、国民生活や社会経済活動を支える最も基礎的なインフラでありまして、その整備には道路特定財源を充当しております。
 道路特定財源諸税は、使途を道路関係に限定し、自動車利用者が負担する目的税でありまして、受益者負担にのっとった理にかなったものであると思っております。
 首都圏三環状道路を初め、東京の道路ネットワークの整備はいまだ不十分でありまして、今後も引き続き道路整備を着実に進めていくためには、安定した財源の確保が不可欠であります。
 したがって、道路特定財源の意義は現在も全く薄れておらず、その一般財源化は絶対にやるべきではないと思っております。今後とも、道路特定財源を真に必要な道路整備や関係施策に投入するよう、引き続き強く訴えてまいります。
 次いで、オリンピックの開催理念についてでありますが、地球環境の危機、平和への脅威など、人類は大変深刻な問題に直面しておりますが、スポーツで地球を一つにするオリンピックの開催は、国や地域を超えて、解決策を全世界に示していく絶好の機会でもあります。
 東京が二〇一六年に目指すオリンピックは、人を育て、緑を守り、都市を躍動させるという理念のもとに、一地域のためでなく、人と人の連帯を高め、地球の可能性を最大限追求して、平和でよりよい地球社会を築くために開催するものであります。
 今日の日本が持つ技術水準の高さと治安のよさは世界に誇れるものでありまして、また、東京は十年後を見据え、都市の新しいあり方を提案する具体的な将来ビジョンを描き、先進的な取り組みを加速させております。
 以上のような理念と具体的な取り組みに裏打ちされた日本・東京におけるオリンピックの開催は、IOC並びに世界の人々から高い評価が得られるものと確信しております。
 次いで、北京オリンピックの開会式への出席についてでありますが、現地に行ってみなきゃわからないこともたくさんございますから、行けば東京オリンピックの招致の参考にもなると思います。招待もありましたので、日程の調整がつけば訪問するつもりでございます。
 小笠原振興についてでありますが、小笠原諸島は人類にとっての貴重な自然の宝庫であり、沖ノ鳥島を含め、我が国の排他的経済水域の確保などの観点から、国益を維持する上で枢要な地域であります。また、本土から隔絶した離島であることから、交通アクセスの改善や情報通信体系の整備など、解決すべき大きな問題が残っております。
 今後とも、同諸島においては、自然環境の保全と産業振興の両立による自立的発展を目指すことが大切であると思います。都としても、村民の意向を踏まえつつ、自然環境に十分配慮した航空路開設について検討を進めるとともに、国に特別措置法の延長を強く働きかけてまいります。
 次いで、地方分権改革についてでありますが、まず、今回の法人事業税の見直しは税の原則にもとっておりまして、地方分権改革に逆行するものであり、到底納得できるものではありません。本来、分権改革を推進すべき立場である国こそが、この汚点を残しております。
 しかし、今日の地方税制は国が一方的に決めることができる仕組みになっておりまして、過去二回、平成元年、また平成十七年にも改悪が行われ、そのたびに、これは地方に阻止するすべがない中で行われました。
 最終的には、今回、福田総理との直接会談により、税制改正を、改正じゃありませんな、改悪を暫定措置にとどめさせるとともに、首都東京の重要施策について協議の場を設置し、最大限協力するという約束を取りつけてこれを推進しております。これが現実の政治であると考えております。
 地方分権改革は、地方が真に自立するために、権限とそれに見合った財源を国から獲得し、みずから地域を主宰できるようにするものであります。分権改革を着実に推進していくためにも、国の地方分権改革推進委員会に対して、首都東京のかじ取りに必要な権限を拡大すべきであること、国の関与は一たん白紙にして最小限のものにとどめるべきであることなど六項目にわたる提言を行ってきました。また、委員会にも出席しまして、現場を知らない国の関与がいかに不合理であるかを指摘し、改革の必然性を明らかにしてきたつもりでございます。
 しかるに、省益墨守に走る霞が関は、分権改革の意義をいまだに理解しようとしておりません。今後、国の委員会などの動きを見据えながら、地方の自立を実現する地方分権のあるべき姿を具体的に示し、都議会とも力を合わせて、国にその実現を強く求めてまいります。
 次いで、「十年後の東京」の実現に向けた仕組みづくりについてでありますが、「十年後の東京」で描いた近未来図を実現するためには、都みずからの取り組みはもとより、都民、企業、区市町村、地域などとの協働による東京の総力を挙げた取り組みが不可欠であります。
 このため、実行プログラム策定に当たっては、すべての区市町村に意向調査を実施し、連携に万全を期すとともに、都政モニターを初め多くの都民の方々から貴重なご意見をいただいてまいりました。
 また、緑の創出やCO2の削減、建物の耐震化、子育て支援など、社会全体で機運を醸成する仕組みが求められる課題については、組織横断型の戦略会議で検討を進め、その成果を積極的に反映させましたし、またこれからも反映させてまいります。
 東京を支える多様な主体の英知と力を集結しまして、広範囲なムーブメントを展開しながら、環境との調和のとれた、美しく安全で住みやすい東京を実現していきたいと思っております。
 次いで、二十年度予算についてでありますが、今回の予算は、「十年後の東京」の実現に向けた取り組みを積極的に進めるとともに、これらの取り組みを継続的に実行できるよう、将来の備えを固めることにも力を注いでおります。
 個別施策についても、お話の分野を含め、各分野においても多くの新規事業を計上するなど、積極的な施策展開を図っております。
 今後とも、東京の直面する諸課題の解決に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。
 なお、他の質問については警視総監及び関係局長から答弁いたします。
  〔警視総監矢代隆義君登壇〕

○警視総監(矢代隆義君) 金大中氏拉致事件についての十二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、ご質問の第一点、第三点、第八点の一部、第十二点について申し上げます。
 本事件につきましては、昭和四十八年八月、東京都内のホテルで来日中の金大中氏が拉致されたものであり、当庁では、事案の発生以降、特別捜査本部を設置するなどして、警察庁等関係機関とも緊密に連携しながら、鋭意捜査を継続してきたところであります。
 こうした中、昨年十月二十四日に、韓国の国家情報院過去事件真実究明を通じた発展委員会が本事件に関する報告書を発表したところであり、当庁では、本報告書の内容を精査した結果をも踏まえ、さらなる捜査を行うことが必要不可欠であると判断し、刑事に関する共助に関する日本国と大韓民国との間の条約に基づき、十一月二十九日、警察庁を通じて大韓民国法務部に対する捜査共助要請が行われたところであります。
 その内容は、金大中氏、金東雲その他関係者への事情聴取、捜査当局において既に作成された本件に関する供述録取書等、国家情報院過去事件真実究明を通じた発展委員会による面談の記録、韓国における金東雲を被疑者とする不起訴処分となった事件記録、事件当時に中央情報部と駐日韓国大使館との間で受発信された電報、関係者等の出入国記録、人定資料、駐日大使館への在籍事実、龍金号の登録原簿等、韓国における謀議、上陸、監禁、解放等の場所の見分、特定、龍金号の保全等を求めるものであります。
 なお、金大中氏に対する事情聴取については、平成五年に実施したところであります。
 このように、本事案については、これまで可能な限りの捜査を尽くし、少なくとも関係被疑者一名を特定して捜査を継続してきたところであり、今後とも事案の全容解明に向け、鋭意捜査を推進していく所存であります。
 次に、ご質問の第二点、報告書がKCIAの犯行と断定していること、第九点、韓国政府の外交文書、田中角栄・金鍾泌首脳会談録、第十点、政治決着に伴い当庁が干渉を受けた事実及び第十一点、報告書が日本政府が真相隠ぺいに関与と断定していることについては、当庁は、我が国の政治上あるいは外交上の配慮により行われた、あるいは行われなかった事柄について言及すべき立場にありませんし、韓国政府が発表、公開した資料について見解を申し述べる立場にありませんので、答弁を差し控えさせていただきます。
 また、第四点、共助要請に対する韓国側の回答、第五点、検挙、起訴すべき範囲、第六点、逮捕状要請に必要な整備すべき条件、第七点、金東雲が偽名であるという事実を把握した段階及び第八点の一部、金東雲、金大中に対する事情聴取の予定につきましては、本事案は現在捜査中であり、捜査の個別の内容、手法にわたりますので、答弁を差し控えさせていただきます。ご理解をいただきたいと思います。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 十二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新銀行東京に対する追加出資の提案に至る状況の変化についてでありますが、新銀行東京は、新経営陣のもとでデフォルト圧縮を最優先とする経営改善に取り組む一方で、都からの出資を前提としない民間金融機関等との提携による再生等を目指し、さまざまな交渉を進めてきましたが、現段階では調うまでに至っておりません。
 このため、本年一月から新たに抜本的なリストラと事業の重点化に向けた検討を開始し、二月に再建計画を取りまとめ、これを実現するための重要な柱として、都に対し資本の増強を要請してまいりました。
 都といたしましては、既存融資先を初め多くの関係者への影響を考えたとき、新銀行東京が新たなビジネスモデルを一刻も早く軌道に乗せ、財務体質の強化を図ることが必要であると判断をいたしまして、銀行からの追加出資の要請に応じ、今定例会に補正予算を提案したものでございます。
 次に、四百億円の根拠についてでございますが、銀行におきましては、健全性確保のため、銀行の自己資本比率に関する新しい国際合意であります新BIS規制により、事業を展開する上で避けられないリスクに対応する資本を確保することが求められております。
 新銀行東京への追加出資四百億円は、この考え方にのっとって算出された結果でございます。
 次に、追加出資提案に至った経緯についてでありますが、先ほどご答弁したとおり、新銀行東京は他の金融機関との提携による再生や出資先の確保など、さまざまな交渉を進めてまいりましたが、現段階では調うまでに至っておりません。
 その結果、選択肢としては、今回提案をしております追加出資を含めまして、事業清算、また預金保険法に基づく破綻処理の三つに絞られております。
 しかしながら、追加出資以外の手法は、中小企業を救うという本来の目的に反して、融資先中小企業の経営に重大な影響を及ぼすのみならず、都民、預金者により多くのコスト負担をお願いすることになります。また、金融不安を起こすおそれがあるなど、多くの関係者に迷惑をかけることともなります。
 このような都民への影響の大きさにかんがみまして、今回の選択に至っております。ぜひともご理解をいただきたいと思います。
 次に、信用不安についてでありますが、銀行が債務超過になりますと、預金保険法に基づきまして、金融整理管財人のもとで破綻処理が行われます。この場合、一千万円以下の預金の元本、利息は保護されるものの、これを超える部分については、銀行の財務状況に応じてカットされる、いわゆるペイオフが発動されます。
 また、破綻処理の過程で銀行の貸付資産が不良債権として整理回収機構に移管される場合には、その貸付先である中小企業の事業継続が困難となるおそれもございます。このように信用不安を招来しかねない破綻処理は、多くの預金者や都民に負担や不安を与えることになります。都としてとり得る選択肢にはなり得ないものと考えております。
 次に、株主責任についてでありますが、株主としての新銀行東京に対する経営監視は、銀行法によりまして通常の事業会社との関係とは異なり、会計帳簿や資料の閲覧が制限をされております。
 都は、新銀行東京が中小企業支援など、この銀行が担う役割を適切に果たしているかという観点から、事業の進捗状況や決算内容等の報告を受けまして、中小企業支援の一層の充実などにつきまして、株主としての意見表明や申し入れを行うなど、経営の大枠を監視してまいりました。
 平成十八年度中間決算時には、今後における経営計画の見直しを要請いたしました。
 また、平成十九年三月期決算時に表面化をいたしました深刻な経営悪化に対しましては、早急な計画の見直しや経営陣の交代が必要であると判断をいたしまして、役員の刷新や都職員の派遣を実施いたしまして、経営改善に当たらせたところでございます。
 次に、調査委員会による調査についてでありますが、新銀行東京の経営がどうしてここまで悪化したか、速やかにその原因が究明されなければならないと思います。
 新銀行東京では、これまで新経営陣によりまして内部調査が進められてきております。新銀行東京からデフォルトを容認するかのような業務執行や対応のおくれ、隠ぺい体質など、旧経営陣の非常識な経営実態があったと聞いております。
 このような経営実態からすれば、設立当初想定されたリスク管理体制が機能したとは考えられません。新銀行東京における今後の調査の進展を注視し、その結果は発表してまいります。
 次に、旧経営陣の責任追及についてでありますが、現在、新銀行東京におきまして、経営不振を招いた原因究明のための調査を継続しているところでございます。
 都といたしましては、本調査の結果や新銀行東京の今後の対応を踏まえ、必要な措置を講じてまいります。
 次に、再建計画の評価についてでありますが、新銀行東京の再建計画は、これまでの三年間で蓄積をしてきました営業ノウハウや反省点を踏まえ策定されたものでございます。
 具体的には、今までの事業実績の中で、着実に利益が見込める事業に重点化をしたこと、また従来の都や金融機関との連携を強化したこと、店舗の集約や人員体制の大幅見直しなど、徹底した執行体制の見直しを行うこと、これらを経営目標として掲げております。
 都といたしましては、この再建計画によりまして、中小企業支援の継続という都の施策に沿った取り組みが確実に実施されるものと考えております。
 新銀行東京の情報公開についてでありますが、これまで都は銀行法等の制約がある中で、新銀行東京の経営に関して大枠の監視を行ってまいりました。今後の新銀行東京に対する経営監視につきましては、金融庁とも十分連携を図りつつ、これまで以上に必要な情報を銀行から入手するとともに、都民に対し可能な限り情報開示に努めてまいります。
 一方、新銀行東京におきましても、今回の追加出資の重みを十分に踏まえまして、都民にわかりやすい形で経営実態を明らかにしていく必要があり、都として積極的に働きかけてまいります。
 次に、金融機関への情報公開の働きかけなどについてでありますが、地域金融機関は、平成十七年に国からの要請を受けまして、事業再生や中小企業金融の円滑化、地域の利用者の利便性向上などに向けまして、地域密着型金融推進計画を策定し、その具体的な取り組みと進捗状況をホームページ等で公表しております。
 また、金融機関の評価につきましては、調査権のない地方自治体が画一的に行うことは困難でございます。
 なお、中小企業に対する資金供給の促進は、制度融資等を通じて引き続き適切に行ってまいります。
 次に、再生ファンドを利用した金融支援についてでありますが、都は、平成十六年十月に東京チャレンジファンドを創設いたしまして、再生の見込みがありながらも債務超過など経営上の課題からその存続が危ぶまれる中小企業の再生を図ってまいりました。
 このファンドは、中小企業再生支援協議会を初め、再生計画の作成支援及び債権者間の調整などを行う再生支援機関や地域金融機関とも連携をいたしまして、厳しい経営状況にある中小企業に対して、優先出資や社債の引き受けなど、多彩な金融手法を活用して約三十億円の金融支援を行ってまいりました。
 今後は、都は、さらに再生支援機関との連携を深めながら、ファンドの有効活用を図り、中小企業の金融支援を一層進めてまいります。
 最後に、不動産担保等に依存しない資金調達方法の確保についてでございますが、都はこれまで制度融資やCLO、CBOの発行など、中小企業が担保や個人保証に過度に依存しない資金調達方法の確保に取り組んでまいりました。昨年八月には、流動資産担保融資を創設いたしまして、売り掛け債権や棚卸資産といった流動資産を担保とした制度融資の普及促進を図っております。
 しかしながら、金融機関の融資判断におきましては、依然として不動産担保や個人保証の有無などが重視される傾向にございます。
 今後も引き続き金融機関を初めとする関係機関との連携を図りながら、多様な金融手法を活用し、中小企業の資金調達の円滑化に取り組んでまいります。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 七点についてお答えをいたします。
 まず、食品の安全対策についてであります。
 健康被害の拡大防止のためには、行政機関における情報の共有化、食中毒の届け出の徹底などが重要であると考えております。
 こうしたことから、都は、首都圏の自治体との間で、これまでの食中毒情報に加えて、今回のような特異な健康被害事例についても、迅速かつ確実に情報を相互に提供することを提案するなど、連携強化を図ったところであります。
 また、医療機関に対しましても、疑い事例を含めた食中毒の届け出の徹底について、改めて周知をいたしました。
 今後とも、関係機関との連携をさらに推進し、初動体制の強化などに努めてまいります。
 次に、危機管理意識の向上についてであります。
 都は、行政や都民に対してO157やノロウイルスの流行などに際し、家庭における衛生管理についての啓発や迅速に警報を発するなど、的確な注意喚起を行っております。
 事業者に対しましては、健康被害事例発生の際に、みずからが収集している情報を速やかに関係機関に通報するなど、危機管理の視点を持った対応ができるよう指導してまいります。
 なお、今般の事例におきまして、都は直ちに都民への警告を発するとともに、問題となった輸入冷凍食品の自主回収を指導し、その撤去状況の確認を行うなど、健康被害の発生を予防してまいりました。
 引き続き行政や都民、事業者の危機管理意識の向上を図ってまいります。
 食品に関する情報提供についてでありますが、こうした情報は都民にとってわかりやすいことが重要でございます。都では現在、原料原産地表示のあり方について、関係各局による食品安全対策推進調整会議において検討を進めているところであり、この中で都民にとってわかりやすい情報提供となるよう検討してまいります。
 次に、介護基盤の整備促進についてであります。
 都は、介護保険の保険者であります区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定いたしましたサービス見込み料に基づき、計画的な基盤整備に努めてきておりまして、介護保険施設については、おおむね計画どおりに施設整備が進んでおります。
 引き続き高齢化の進展により増大する介護ニーズに対応するため、区市町村と連携し、多様な手法を活用しながら、介護基盤の整備に努めてまいります。
 次に、介護分野における事業者育成についてであります。
 現在の介護保険制度におきましては、多様な事業主体の経営者みずからが経営理念を確立し、サービスの内容に応じた職員の採用、育成に努めるなど、事業の発展に向けて取り組むことが基本であります。
 そのため、都はこれまでも関係団体と連携し、福祉経営に関する研修の実施や福祉サービス第三者評価制度の推進など、経営者自身が課題を把握し、効果的、効率的な事業運営を行うことができるよう支援をしてまいりました。
 今後とも、関係団体と協力し、事業者育成に努めてまいります。
 次に、介護報酬改定についてであります。
 都は、既に国に対し、東京における介護保険事業が将来にわたって安定的に運営できるための望ましい介護報酬のあり方について、具体的な見直しの方向性を示した提言を行っております。
 引き続き大都市の実情や経営実態に見合う報酬水準となるよう、国に対して提案要求を行ってまいります。
 最後に、後期高齢者医療制度についてでありますが、この制度は、疾病リスクの高い高齢者を社会全体で支える仕組みであると認識しており、国に対し制度の抜本的見直しを求める考えはございません。
 なお、都は、制度の安定的運営を図るため、高額医療費の一部負担や保険料の法定権限分の負担など、国や区市町村とともに、応分の役割と負担を担ってまいります。
  〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、道路特定財源諸税の暫定税率についてでありますが、暫定税率は、おくれている道路整備の促進を図るため、国会審議を経てこれまで延長されてまいりました。
 現在、首都圏三環状道路の整備率は約四〇%、都市計画道路の整備率は約五六%と、首都東京の道路整備はいまだ道半ばであります。
 このため、東京の最大の弱点である交通渋滞を解消し、都市機能の向上や都市環境の改善を図るため、首都圏三環状道路を初め、幹線道路ネットワークや連続立体交差など、早期整備が不可欠であります。
 したがいまして、東京の道路整備を停滞させることなく着実に進めるための財源確保の観点から、暫定税率を引き続き維持していく必要がございます。
 次に、都の道路整備の必要性についてでありますが、道路は都市活動や都民生活を支えるとともに、交通渋滞の解消、防災性の向上や良好な都市空間の形成を図る上で重要な社会基盤であります。
 これまで都は、事業化計画等の策定に際し、路線の必要性について道路ネットワーク形成などの観点から検証するとともに、事業実施に当たっては街路事業に加え、早期整備を図るための有料道路事業等、さまざまな手法を活用し、幹線道路などの整備を進めてまいりました。
 あわせて、既設道路の交通の円滑化や安全性、快適性の向上を図るため、交差点改良、歩道設置や無電柱化などの事業にも計画的に取り組んでまいりました。
 引き続き整備効果を踏まえ、財政状況等を勘案しながら、真に必要な道路整備を着実に進めてまいります。
  〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 都市計画道路の事業化計画についてでございますが、都はこれまでも区部及び多摩地域における都市計画道路につきまして、交通混雑の緩和、防災性の向上、まちづくりへの貢献などの視点から、必要性の検証を行い、その上で区市町と連携し、優先的に整備する路線を定めた事業化計画を策定しております。
 この優先整備路線の事業化につきましては、整備の緊急性や地元の状況などを勘案しながら、各事業主体において決定しております。
 今後とも必要な財源の確保を図りつつ、事業化計画に基づき、積極的に道路整備の促進に取り組んでまいります。
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、自動車交通対策についてでございますが、都はこれまで渋滞解消や大気環境などの改善を図るため、三環状道路等の整備に努めるとともに、TDM東京行動プランに基づき、公共交通への利用転換など、交通量の抑制や自動車交通の円滑化に取り組んでまいりました。
 今後は、CO2削減を強化する観点からも、環境負荷が低く、効率の高い自動車交通を実現することが、より一層重要でございます。
 このため、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八に基づき、自動車に過度に依存しない交通行動への定着を目指し、パーク・アンド・ライドや配送の合理化など、地域における人や物の流れに着目した環境交通モデル事業等を実施してまいります。
 また、交通の円滑化を一層進めるため、道路情報の提供や信号制御などに最新のITを活用した取り組み等を進めてまいります。
 次に、温暖化対策についてでございますが、地球温暖化のもたらす気候変動の危機を回避するためには、二〇五〇年には世界全体の温室効果ガス排出量を半分以下へと大幅に削減していく必要があります。
 このため、危機回避が可能となる将来の持続可能な社会の姿を想定し、今から何をすべきかを考えるバックキャスティングの考え方に基づき、「十年後の東京」において、二〇二〇年までにCO2排出量を二〇〇〇年比で二五%削減するとの中期的な目標を掲げ、低CO2型の新たな都市モデルの早期の実現を目指すことといたしました。
 目標の実現に当たりましては、産業、業務、家庭、運輸の各部門において、大企業、中小企業、家庭、官公庁など、都内のあらゆる主体が役割と責任に応じて削減に取り組むことが必要でございます。
 このため、大規模なCO2排出事業者への削減義務化や日本の誇る太陽光発電など、環境技術の成果を最大限発揮する仕組みを構築し、温暖化対策について実効ある取り組みを着実に推進してまいります。
 次に、中小規模事業所の温暖化対策についてでありますが、都内の中小規模事業所は、産業、業務部門からのCO2排出量の約六割を占めており、かつ大規模事業所や運輸部門など、あらゆる分野における温暖化対策の展開を図る上でも、中小規模事業所のCO2排出量の削減を一層促進することが重要でございます。
 現在、東京都環境審議会におきまして、温暖化対策の強化が検討されており、昨年十二月に環境確保条例の改正に関する中間のまとめが取りまとめられました。
 この中で、同一法人等の管理する複数の中小規模事業所が合計して大量のエネルギーを使用する場合、その法人等に排出削減の取り組み等の報告を義務づけるとともに、本社等が各事業所における効果的な対策の実施を指示し、進捗状況を確認する新たな仕組みが提案されております。
 今後は、本年度末に予定されている審議会最終答申を踏まえて、制度化に向けて検討を進めてまいります。
 最後に、まちづくりにおけるエネルギーの有効利用についてでございますが、都はこれまでも全国に先駆けて創設した建築物環境計画書制度に基づき、大規模な新築建築物に対し環境配慮を求めるとともに、地域冷暖房計画制度により、開発エリア全体への効率的な熱供給を推進してまいりました。
 先ほど申し上げました東京都環境審議会の中間まとめにおきまして、地域冷暖房計画制度を発展させ、開発計画策定の早い段階から、開発エリア全体における建築物の省エネ性能の向上とともに、エネルギー供給の一層の効率化を推進する新たな仕組みが提案されております。
 この提案につきましても、審議会最終答申を得た後、都のこれまでの取り組み実績を踏まえながら、制度化に向けて検討を進めてまいります。
 〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君) スポーツに関する質問にお答えいたします。
 まず、競技力の強化についてでありますが、ナショナルトレーニングセンターは、トップアスリートが集中的、継続的にトレーニングや強化活動を行うための拠点として国が設置した施設であり、柔道や体操など、専用練習場や宿泊施設等が整備されております。
 また、本年四月から、オリンピックを初めとした国際大会で活躍できるトップアスリートを育成するためのJOCエリートアカデミー事業が開始される予定であり、地元自治体として、都もこの事業を後援することとしております。
 今後、東京国体やオリンピックに向けた強化練習の場としての活用やトップアスリートとの交流など、東京都選手の競技力向上に向け、ナショナルトレーニングセンターとの連携の方策を検討してまいります。
 次に、地域スポーツクラブ設立の取り組みについてでありますが、地域スポーツクラブは、地域住民の日常的なスポーツ活動や交流の場として、健康づくりや体力向上に貢献するものでございます。
 そこで、都は、五つの区市において地域の実情に合った設立モデル事業を展開し、地元への説明会や普及活動などを行うほか、地域のスポーツ活動を支える体育指導委員を対象に設立支援研修会を実施し、クラブ設立に向けた支援を行っております。
 今後は、地域スポーツクラブ設立支援協議会において、支援策についてさらに検討を進めるとともに、広報活動の充実を図るなど、地域スポーツクラブの設立、育成に取り組んでまいります。
  〔港湾局長斉藤一美君登壇〕

○港湾局長(斉藤一美君) 島しょの貨物運賃補助制度におけますガソリン等への補助対象品目拡大についてのご質問にお答え申し上げます。
 貨物運賃補助制度の対象品目や補助率につきましては、幅広く島民の生活や島の産業に還元されますよう、地元町村など関係者で調整し、取りまとめることとなってございます。
 現在、地元町村など関係者との調整の上、プロパンガスや食用油、野菜や果物などの島民の日常生活を支える基本的な品目や島しょの産業を支えます魚介類、テングサなどの特産品を対象に補助を行っておりまして、対象品目に新たにガソリン等を加えることは難しいものと考えてございます。
  〔知事本局長大原正行君登壇〕

○知事本局長(大原正行君) 道州制の検討についてのご質問にお答えを申し上げます。
 地方が真の自立を確立するためには、地方みずからの判断と責任で行財政運営を行うことが基本であり、まず地方分権改革を着実に推進する必要があると思います。
 また、交通、通信手段の発達などによりまして、生活圏や経済活動圏が拡大し、単独の自治体のみでは解決が難しい広域的な課題も生じてきております。
 都は、これまでもディーゼル車排出ガス規制などの広域的課題に対しまして、八都県市で連携して取り組み、成果を上げてまいりました。
 地域の実態を踏まえた取り組みを積み重ねまして、単なる区割り論などではなく、具体的に広域的課題をどう解決するかという観点で検討することによりまして、地に足のついた道州制の議論につながっていくというふうに考えております。
  〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 都区のあり方の検討についてお答えを申し上げます。
 平成十二年の都区制度改革は、特別区を基礎的な地方公共団体に位置づけるとともに、現行の区域を前提として、都区の役割を見直し、できる限りの事務移管を行ったものでございます。
 これに対して、今回は、区域の再編を含めて事務配分の見直しを行うなど、都区のあり方を根本的に検討するものであり、東京の発展と都民、区民の生活向上を議論の共通の目的とすることが極めて重要でございます。
 今後、地方分権の進展や都と特別区の置かれた現在の厳しい状況を十分踏まえまして、特別区と粘り強く議論を重ね、基本的方向の取りまとめに向けて力を尽くしてまいります。
  〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 複数年度にわたる施策を進める財政面での取り組みについてのご質問にお答えをいたします。
 都は従来から、現行予算制度における単年度主義の制約をいかに脱却していくかという課題に取り組んできております。
 歳入面では、この間、基金の充実や都債残高の圧縮による起債余力の拡大などを行ってまいりましたが、これらは年度間財源調整機能を強化することにより、単年度主義の制約を乗り越えようとする取り組みでございます。
 歳出面でも、従来から重点事業について三カ年のアクションプランを策定し、これを予算に反映するなど、複数年度にわたる事業の実施に計画的に取り組んでまいりました。
 二十年度予算でも、「十年後の東京」への実行プログラムに掲げられた施策を積極的に予算化するとともに、中長期的な視点に立って基金の一層の充実を図っております。
 これらは複数年度にわたる事業の計画的実施のための従来から行ってきた歳入、歳出両面での取り組みの積み重ねを一層発展させたものでございます。
 今後とも、こうした成果を踏まえ、単年度主義の制約を乗り越える取り組みを引き続き各局と手を携えながら進めてまいります。
  〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 今後の景気動向と税収見込みについてでございますが、我が国経済は、ご指摘のとおり、米国経済の減速や原油など資源価格の高騰などの影響によりまして、今まで好調に推移してきた企業業績の減速が見込まれるなど、下振れのリスクが高まっております。
 平成二十年度の都税収入は、こうした経済状況を踏まえ、十九年度最終補正後予算に対して〇・三%の伸びにとどまる五兆五千九十七億円と見込んだところでございます。
 都税収入は、これまでも景気変動の影響を受け、大きく増減を繰り返しているため、今後の景気の動きを注視しつつ、都税収入の動向を慎重に見きわめてまいります。
〇副議長(石井義修君) この際、議事の都合により、十分間休憩いたします。
   午後五時二十七分休憩

  午後五時四十五分開議

○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番中嶋義雄君。
  〔百七番中嶋義雄君登壇〕

○百七番(中嶋義雄君) 都議会公明党を代表して質問をいたします。
 知事は施政方針において、二十一世紀型の都市モデルを創造したい、こう述べて、より具体的には、低炭素型の都市の構築を掲げられました。一貫して環境問題を重視する知事の政治理念の表明として、我々は共感性を持って受けとめたところでございます。
 また一方で、施政方針では、三カ年で認知症高齢者グループホーム六千二百人分を確保、あるいは障害者雇用の一万人の創出、そして、待機児の多いゼロ歳児から二歳児を中心とした一万五千人分の保育サービスの提供などの具体策もあわせて提示されました。
 こうした理念と具体性をあわせ持った知事の施政方針を我々は評価させていただきたいと思います。
 ドイツ哲学の命題に、ザインとゾルレン、存在と当為という言葉がございます。土俗性と普遍性といいかえてもいいでしょう。普遍性にのみ偏れば、そのあり方は脆弱となり、逆に土俗性に偏れば、当然のことながら普遍性に欠け、誤りを起こしやすくなります。
 都政においても、この普遍性と土俗性、存在と当為のバランスが重要でございます。新銀行東京問題など課題は山積しておりますが、当面の課題の克服と都政の中長期の展望を開くため、さらに一段と力強い都政への取り組みを強く知事に要請したいと思います。
 いささか抽象的な問いかけではありますが、まず、知事の本年の都政にかける思いを伺いたいと思います。
 それでは初めに、新銀行東京について質問をいたします。
 この問題に対処するに当たっては、まず原理原則を明確にすることが何よりも重要であります。そして、それは都民の負担を結果的に最小限に抑えることであり、間違っても一時しのぎや先延ばし、あるいは責任転嫁などに終始していては、断じてならないのであります。
 都議会公明党は、新銀行東京への追加出資の提案がなされた当日、直ちに調査特別チームを編成し、ここに至るまでの経緯と、それに伴う経営責任、そして提示された再建計画の妥当性あるいは実現性、そしてそれに密接に関連するものとして、追加出資の適否について調査を開始し、本会議、予算特別委員会の議論に臨む方針を明らかにしたところであります。
 この新銀行東京は、設立当初の計画によると、平成二十年三月期の決算で黒字化する予定でありましたが、昨年六月にはそれを平成二十二年三月の決算にまで引き延ばしました。そして、その直後、昨年九月の中間決算期では累積損失が九百三十六億円に上り、資本金のおよそ八割が毀損するという事態を招いてしまったのであります。
 知事は施政方針表明で、予想をはるかに超える多額の不良債権が発生した理由として、金融環境の急激な変化とリスク認識の甘い旧経営陣の事業運営にあったと述べております。仮に追加出資を行うとすると、多額の都民の血税を再度投入することになります。したがって、このような事態を招いた原因について、さらに詳細かつ具体的な分析を行い、都民に公表すべきであります。知事の見解を伺いたいと思います。
 また、知事は、新銀行東京の累積赤字について、これも旧経営陣の責任であると断言されておりますが、旧経営陣の責任が大であるにしても、新銀行の設立を提唱し、経営者の人事をトップダウンで決定した知事の責任も問われなくてはなりません。あわせて知事の見解を伺いたいと思います。
 同様に、再建のために投入された現経営陣も、まずは当事者として、新銀行東京をここまで追い込んだ責任は一体どこにあるのか、説明責任を果たすべきであります。また、発足当初の経営が乱脈であったというのであれば、その詳細を調べ上げ、都民に提示すべきであります。都の見解を伺います。
 我々都議会は、新銀行東京の設立の際、一千億円の出資については、四項目の付帯決議を付し、自民、民主、公明、生活者ネットなどの賛成多数で可決をいたしました。その後、都議会公明党は、昨年の予算特別委員会において、平成十八年九月の累積損失が四百五十六億円に上ったことを受け、四項目の付帯決議に含まれていた経営の健全性について言及し、今後はスコアリングモデルで融資を行うのではなく、保証協会などのノウハウを活用し、目きき機能を強化した融資を行うべきであると主張いたしました。
 また、監査機能を強化するためには、都は単なる株主としての責任を果たすだけではなく、支配株主として都の幹部職員を派遣し、内部からチェックするべきであると訴えたところであります。
 こうした提案に対して、都は具体的な対応策を講じるべきでありましたが、この一年間、新銀行東京に対して責任を持って指導監督を行ってきたのかどうか、答弁を求めたいと思います。
 一般に、経営状況を悪化させた場合、民事再生手続や破産手続、さらには清算による譲渡など、幾つかの選択肢があります。現に、我が党内にも破綻処理すべきであると強い意見が存在します。また、ある金融財政担当大臣経験者も、やめるなら今やめた方がいいとまで発言しておりました。
 複数の選択肢の中で、最も批判が集中しやすい追加出資による再建策を提示した理由は何か、これも明らかにすべきであります。見解を求めます。
 繰り返しになりますが、新銀行東京は昨年六月に再建計画を発表し、我々議会に対して、平成二十一年度には黒字基調に転換すると説明を続けておりました。ところが、そのわずか八カ月後、追加出資による再建計画の提案という事態になりました。まさに朝令暮改、これでは再建計画を信頼しろといわれても、簡単に受け入れるわけにはいきません。
 改めて確認をいたします。昨年六月の再建計画が行き詰まった原因は何か。また、以前の再建計画と今回の再建計画では内容が全く異なっていなくてはなりません。両者の根本的な違いは何か、これもあわせて明らかにすべきであります。所見を伺います。
 いずれにせよ、現状のままでは追加出資を安易に認めるわけにはまいりません。認めるための最低限の条件は、今回の再建計画の信頼性であり、再建までの手順とスキーム、そして中長期の展望を都民が納得できる形で提示することであります。見解を伺いたいと思います。
 続いて、都財政について質問いたします。(発言する者多し)少し外野がうるさい。知事が就任した平成十一年、都財政は瀕死の状態でありました。そうした状況の中、知事は、日本の首都である東京都が財政再建団体へ転落することは断じて避けなくてはならないと、議会と二人三脚で内部努力や施策の見直しなど、厳しい財政再建を進めてまいりました。
 公明党もそれを全面的にバックアップし、行財政改革に精力的に取り組んだ結果、平成十五年度末には一兆円規模に上っていた隠れ借金も、平成十九年度中にほぼ解消いたしました。また、平成十年度以降、毎年赤字であった実質収支についても、平成十七年度決算で五百二十九億円の黒字、平成十八年度決算で千三百七十億円の黒字に転換をいたしました。
 今後とも、都民の目線に立った施策を充実させるとともに、都財政の健全な運営を心がけていくべきであります。
 今回編成された二十年度予算の特徴の一つは、PDCAサイクルによる事務事業評価を予算に反映させた点であります。この事務事業評価においては、我が党が提案してきた複式簿記・発生主義会計による新たな会計制度が活用されており、評価いたします。
 さらに、二十年度予算では、「十年後の東京」実行プログラムの対象事業はすべて予算化され、我が党が主張した子育て支援や環境対策、中小企業への支援などに的確に予算が配分されております。特に福祉と保健の分野は八千百九十九億円、一般歳出に占める割合も一八・六%とこれまでで最高となっております。
 この四月から始まる後期高齢者医療制度についても、広域連合の負担を軽くするために、市町村の法定検診などに約十七億円の助成措置を行うことにしております。
 一方、十九年度補正予算では、今後の法人事業税の減収に備えて新たに基金を創設するなど、都民生活を守り、財政の長期にわたる健全性を確保するという観点からも、十分に評価できる予算案であります。
 しかしながら、都政を取り巻く経済財政状況は、国による法人二税の吸い上げ、原油高、またサブプライムローン問題に端を発した世界的な株安、あるいは建築基準法改正による住宅着工件数の減少など、決して楽観できるものではありません。
 今後とも、知事を先頭に荒波を乗り切る覚悟と決意で財政運営に当たっていくべきでありますが、まず知事の所見を伺いたいと思います。
 都は、これまでの間、一般歳出をほぼ横ばいに抑え、安定かつ堅実な財政運営を続けてまいりました。都債残高を普通会計ベースで十九年度までに一兆円近く減らし、大規模施設等の改築・改修に関する実施方針を新たに策定するなど、基金も大きく増額をいたしました。
 一部には、基金は既に十分、ため込みし過ぎだと批判をする政党、あるいは個人の議員がおります。地方交付税の不交付団体であり、加えて景気動向に左右されやすい税収構造である都財政は極めて不安定であり、基金の活用は死活的に重要であります。
 そうした事実を理解できず、安易な批判を繰り返す勢力あるいは議員は、財政に無知であるだけでなく、余りにも無責任であるといわざるを得ません。どの会派かはおのずから明らかであります。よく聞いてもらいたい。
 過去、数千億円に上る税収の異常な増減によって、都の事業が致命的な影響を受けたという事実を忘れてはなりません。改めて財政運営における基金の活用の重要性について見解を伺いたいと思います。
 次に、道路特定財源について質問いたします。
 昨年末、新宿から板橋の高松まで中央環状線の一部が開通いたしました。私は世田谷ですので、毎日、首都高四号線を利用しますが、昨年末までは連日、永福町から霞が関まで渋滞表示が真っ赤でありました。
 それが、年が明けて今日まで、二回か三回、事故あるいは交通規制でオレンジの表示が出たものの、本格的な渋滞にはまだ一度も遭遇しておりません。これほど劇的に道路整備の効果があらわれた例を、少なくとも私は知りません。東京の宿命と思われていた渋滞問題も解決が可能であることを示す、まさに実例であります。
 また、私の地元、世田谷区の例でありますが、小田急線の連続立体化が実現する以前、成城学園駅西側の踏切は、朝のラッシュ時、一時間のうち五十七分も閉じたままでありました。今から思えば、異常きわまりない状況が日々続いていたわけであります。
 現在、都内には約千百六十カ所の踏切があり、ピーク時で一時間当たり四十分以上閉じられた、いわゆるあかずの踏切は約二百八十カ所に上ります。これをいつまでも放置すべきではありません。道路特定財源の存続について、私たちは全区市町村からも強い要請を受け、また、石原都知事並びに全国知事会も、その存続の必要性を強調しております。
 そこでまず、歳入関連法案が可決されなかった場合の東京の道路整備への影響について具体的に明示すべきであります。都の見解を伺いたいと思います。あわせて、道路特定財源の確保に向けた知事の決意の表明をお願いしたいと思います。
 道路整備に関連して、道路の環境対策について質問いたします。
 「十年後の東京」実行プログラムでは、改めて緑化に焦点を当てました。大賛成であります。特に道路緑化については、かつて環七、環八沿道で大変な効果を上げた実例があり、再び都市緑化の重要なポイントとして力を注ぐべきであります。
 都内には、いまだ不十分であるとはいえ、大規模な公園が存在いたします。そうした緑地、公園を街路樹の緑が結び、目にも鮮やかな緑のネットワークを都内に形成し、東京の景観を一変させることができたならば、環境先進都市東京の面目は大いに高まるといえます。
 従来のただ植えればよいという道路緑化ではなく、道路とその周辺の空間は貴重で広大な緑化の対象空間であると認識を転換し、百年後の子孫に誇ることのできる街路樹等の整備を行うべきであります。都の見解を伺います。
 また、道路はビルなどと同様、太陽熱などを吸収し、ヒートアイランド現象の原因ともなります。したがって、道路緑化と並行して保水性舗装や遮熱性舗装などに転換し、いわばエコ道路とでもいうべき路線を拡大すべきであります。とりわけ都心部においては早期の普及を図るべきでありますが、所見を伺いたいと思います。
 次に、二〇一六年オリンピック・パラリンピック東京招致に向けたオリンピックムーブメントの推進について伺います。
 私は、オリンピック招致議連の一員として、二月十五日、そして十八、十九日と京都府、滋賀県、山口県、広島県、福岡県を回ってまいりました。もちろん招致活動への協力の依頼のためであります。印象的だったのは、広島でも福岡でも、北京オリンピックの事前キャンプ地として、世界各国のチームを招くことに極めて意欲的であったことであります。
 そこで、都内に目を転じれば、各区市町村には数多くのすぐれたスポーツ施設が存在いたします。交通、環境、治安等、どれをとっても一級のキャンプ地となります。北京オリンピックを初め、今後、アジアで開かれる国際大会の事前キャンプを都内に誘致できれば、オリンピックムーブメントが大きく盛り上がることが期待できます。都の取り組みを求めたいと思います。
 また、申請ファイル提出後の課題はIOCによる世論調査であります。都が行った世論調査以上の数値を出すことが、招致実現のためには不可欠の要件であります。
 我々議会は全国を回りましたが、同時に、都内各区市町村における機運の盛り上げが、より以上に重要であります。そのためにも、新年度予算に計上された区市町村オリンピックムーブメント推進事業を多角的で効果的に展開しなくてはなりません。都の所見を伺います。
 次に、地球温暖化問題について質問いたします。
 特にアジアの環境問題に対しては、東京の役割、貢献が極めて重要であります。
 今月八日、東京都と国際協力銀行との間に、気候変動対策に関する相互協定についての覚書が交わされました。これは昨年、第一回定例会において、我が党が代表質問でアジアの環境問題を取り上げ、それに対して知事が都と国際協力銀行との連携について検討していくと答弁した結果、まとめられたものであります。
 今後は、国際協力銀行の持つ融資能力と国際支援のノウハウを都内の中小企業のすぐれた環境技術や東京都の環境政策と連動させることが可能になり、アジアの環境問題への貢献に大きく寄与することができます。
 知事は、覚書の締結に当たって、都の技術を無償で提供し、同時に、資金力のない途上国への援助を国際協力銀行に依頼すると述べております。対象国はアジア全域に広がりますが、当面、環境問題が深刻でその影響が直接日本に及ぶ中国と、経済成長が著しいインドへのアプローチが重要であります。
 この二カ国を初め、アジアにおける省エネ、再生可能エネルギーの普及などに国際協力銀行との連携を積極的に活用すべきであります。都の見解を伺います。
 また、国際協力銀行との協力は融資のみにとどまりません。二十七カ所もある駐在員事務所や同行の日常的な海外での活動の中で、東京の環境政策の先進性をアピールしてもらうことも極めて効果的であります。こうした方面での連携も強化すべきでありますが、所見を求めたいと思います。
 次に、再生可能エネルギーの拡大について質問をいたします。
 知事は、人類の存亡をかけた取り組みとして、温暖化ガスの排出量を二〇二〇年までに二〇〇〇年対比二五%削減するという意欲的な目標を掲げました。東京都は、これまで水再生センターにおけるメタンガス利用や太陽エネルギー利用拡大会議を開催して、太陽光発電や太陽熱利用を拡大してまいりました。
 しかし、再生可能エネルギーの利用もまだ緒についたばかりであり、低炭素都市を目指すには不十分といわざるを得ません。
 そこで、次に重要なのは、未利用エネルギーの発掘とその活用であります。例えば、地中熱や建築廃材から抽出できるエタノール燃料も活用可能であるといわれております。
 また、ある総合雑誌の見出しに、東京にはてんぷら油という油田があるとありました。なかなかの着眼でありまして、これら未利用エネルギーを集約して活用することによって、環境への一定の効果が期待できます。未利用エネルギーの活用について都の所見を伺いたいと思います。
 次に、中小企業、家庭における温暖化対策について伺います。
 CO2の削減に当たっては、大企業、中小企業、家庭のそれぞれが、それぞれの立場で取り組むことが重要であります。都は現在、都内においてCO2を大量に排出している大規模事業所等に対して、総量削減義務を課す制度の検討を行っております。
 しかし、CO2は、日常の生活のあらゆる側面から排出され、東京に住み、働き、活動するすべての主体がそうした認識を持ち、日々の行動の中で省エネを実践することが重要であります。
 我が党は、こうした認識に立ち、昨年十二月の第四回定例会において温暖化防止の啓発、広報活動などを行う地球温暖化防止活動推進センターの設置を訴え、本年四月には開設される運びとなりました。
 このセンターにおいては、ただ単に啓発活動を行うだけではなく、インターネット環境家計簿を提供するなど、工夫を凝らした取り組みを行うべきであります。今後のセンターの運営について都の見解を求めたいと思います。
 また、都は、これまで家庭からのCO2削減に向けて、白熱球一掃作戦を展開してまいりました。今後も、さらに日常生活の中で省エネ努力を浸透させていく必要があります。
 そのためには、活動推進センターのみではなく、区市町村やNPO、消費者団体などと幅広く連携すべきであります。具体的には、省エネ診断機器などを貸し出して、都民やNPO、自治体独自に省エネの実証実験を行い、省エネ効果、とりわけ省エネによる家計などへの経済効果を実証し、地域における節電、省エネ運動を盛り上げていく必要があります。見解を伺いたいと思います。
 続いて、震災対策について質問いたしたいと思います。
 先日、都は、地震に関する地域危険度測定調査を発表いたしました。これによると、地盤や建物の構造から測定した建物倒壊危険度は、墨田区や台東区、足立区などが高く、建物の耐火性から判定した火災危険度では、足立区や荒川区、品川区西部や中野区の一部が危険との結果が公表されております。
 そこで質問の第一は、新たに危険地域を公表したのであれば、すかさずその地域への対策を講じるべきであり、集中的に耐震助成を実施すべきであると考えますが、都の所見はいかがでありましょうか。
 第二に、制度をつくってもなかなか耐震改修が進まないと指摘され、既に数年が経ました。助成額の増額や対象地域の拡大が不可欠でありますが、まずは住宅所有者の意向を改めて確認する意味で、耐震化に対する意向調査を実施すべきであります。
 そして、その結果をもとに、これまでの助成制度の見直しを行うべきでありますが、所見を伺いたいと思います。
 過日、我が党は、阪神・淡路大震災の復興状況を確認するために神戸を訪れました。現地で印象的だったのは、阪神・淡路大震災の記憶を風化させないため、映像で当時の状況を疑似体験できる施設が存在したことであります。
 耐震化が進まない理由の一つが、切迫感がなく、しょせん人ごととしか思えない意識の問題があります。この映像での疑似体験を活用して、一層の防災意識の向上を図るべきであります。所見を伺いたいと思います。
 また、一方で耐震改修への動機づけとして税制面での誘導策も重要であります。国税では所得税において、また地方税では固定資産税において、耐震改修に伴う税の軽減措置が創設されました。都においても耐震化の一層の促進に向けて、税制を活用した都独自の取り組みを行うべきであります。都の所見を求めたいと思います。
 次に、テロ対策について伺います。
 本年七月にG8、洞爺湖サミットが開催されますが、これに先んじて今月既に東京でG7、財務省・中央銀行総裁会議が開催されました。今後も、四月に、開発大臣会合、六月には、内務・司法大臣会合が東京で開催されるほか、千葉や横浜で開催される国際会議を含めると、首都圏では七月のサミットまでに毎月、何らかの国際会議が開催されることになります。
 首都東京は、我が国の政治経済の中枢であり、テロの標的となることも懸念されております。三年前、英国北部のグレンイーグルズでのサミット開催中、首都ロンドンで地下鉄やバスに対する同時テロが発生し、多くの犠牲者を出しました。
 くしくも、これは二〇一二年ロンドン・オリンピックの開催が決定したその翌日のことでありました。七月の洞爺湖サミットまでの間、万一東京でテロが発生したら、世界都市東京の国際的な評価は低下し、また、オリンピック招致に大きなダメージを受け、何よりも多数の犠牲者を出してしまいます。そのような事態は断じて避けねばなりません。
 そして、そのためには、国内、国外の情報を広く集めて、すべての対策で後手に回らないよう体制の整備を図ることが重要であります。まず、テロとの戦いに対する東京都知事の決意と所見を伺いたいと思います。
 また、テロとの戦いの先頭に知事とともに立つのは、まさに警視総監であります。総監に対しても、警視庁のテロ対策について所見を伺いたいと思います。
 ところで、先日、知事は知事公館の売却方針を明らかにしました。さまざまな意味でそれも一つの判断であります。ただ、テロや大規模災害の際、知事公館は知事自身の安全の確保、情報連絡手段の確保を図り、都として機能的な対応を図る、つまり危機管理上欠かせない施設でもあります。その意味で、知事公館のあり方については引き続き検討するよう要望したいと思います。
 次に、感染症対策について質問します。
 大型航空機による大量高速輸送時代の到来とともに、感染症には国境がなくなりました。国境を越えて移動する手段が多様化し、その数が飛躍的に増大するとともに、水際での防御は不可能になりつつあります。そうした状況から現在、特に新型インフルエンザのパンデミック、いわゆる感染爆発が世界じゅうで懸念されております。
 日本において感染爆発が発生という事態となったら、政府の予測によれば、死者数が全国で六十四万人、また、都においては、これまで行動計画を策定し、都民の三〇%、三百七十八万五千人が感染し、死者数が一万四千人以上に上る事態を想定して、抗インフルエンザウイルス薬、いわゆるタミフルを百二万八千人分、リレンザを二万人分備蓄し、さらに、区市町村発熱センター設置計画の推進等に積極的に取り組んでまいりました。しかし、多くの人々が集中する首都東京では、ウイルスによっては、さらに被害が増大することも予想されます。
 こうした事態に対処するためには、まず東京独自の感染症危機管理体制の強化や、感染症専門家の育成を図ることが重要であります。都の見解を求めます。
 感染症対策については、いうまでもなく未然防止が原則でありますが、不幸にして感染爆発が発生した場合に備え、万全の体制を整備する必要がございます。
 都は、昨年三月、新型インフルエンザのパンデミック対策として、発生地域の拡大を抑制するための外出の自粛、公共交通機関の運行抑制、自衛隊の出動要請、ワクチン接種体制の確保などから成る危機管理マニュアルを作成しました。そして、その次に重要となるのが十分な医療体制の確保であります。
 都は、新型インフルエンザ感染の発生を前提とした医療体制の確立に今こそ全力で取り組むべきであります。見解を伺います。
 また、パニックを起こさないためには、平時から東京の医療体制や危機管理体制、また対応策などを都民に周知しておくことが必要であります。
 都は、感染症対策での啓発活動を進め、パニックを回避する観点から、都民に最も身近な自治体であり、広報、啓発活動を行う区市町村に対して積極的に支援策を講じるべきであります。都の見解を求めます。
 次に、食の安全について質問いたします。
 現在、中国産冷凍ギョーザの薬物中毒事件に端を発した輸入食品の安全性が大きな関心事となっております。食品の安全確保については、一義的には事業者がその責任を負うべきでありますが、事業者の自主的な取り組みを支援する仕組みとして、都は、東京都食品衛生自主管理認証制度を立ち上げました。しかし、高く評価できる制度ではありますが、現在この認証を受けている施設は、十三万施設中わずか二百三十七施設にとどまっております。制度を普及させるためには、都が事業者の認証取得を積極的に支援する必要があります。まず、認証取得支援に向けた都の取り組みについて見解を求めたいと思います。
 一方、事業者の食品安全に対する取り組みを推進させるためには、自主管理だけでなく、行政による監視、指導体制や検査体制も重要であります。違反食品が流通している実態に即して、監視、指導体制や検査体制を強化すべきでありますが、都の見解を求めたいと思います。
 輸入食品の安全性については、水際でのチェックが重要でありますが、すべての輸入食品をチェックするには、おのずと限界があります。
 したがって、消費者にとっては、食品を購入する際の基準となる表示が極めて重要になってまいります。しかし、加工品については、すべての製品に原料の原産地が表示されているわけではありません。したがって、すべての原料を明記するのは困難であるかもしれませんが、大量に使用されている原料に関しては、可能な限り原産地を表示すべきであります。
 表示の方法についても、QRコードを利用するなど、消費者にわかりやすい表示制度にするべきであります。都の見解を伺いたいと思います。
 次に、高齢者と家族を支える介護問題について質問いたします。
 今後、高齢者人口が急激に伸びる中、東京都における要介護認定者は、現在の三十七万人から七年後には五十四万六千人と、一・五倍にふえると予測されています。これに伴い、増大する介護サービスの需要に対応し、介護制度を担う介護従事者の確保や事業所の安定経営が急務となります。
 しかし、現在、介護の現場では、賃金を初め待遇の悪さから人材が定着せず、離職に歯どめがかからない状態が続いております。
 その背景には、介護に携わる人々の労働条件が余りにも悪く、給与は低賃金、疲れても休暇もとれないといった実態がございます。また、その多くが非正規職員である介護従事者は、技術や経験の積み重ねが収入増につながる保証がなく、扶養家族を抱えて生活を営む一生涯の仕事としては、選択が困難な状況にあります。こうした実情に対する都の認識と今後の対応について見解を求めたいと思います。
 東京都は、公明党の提案を受けて、介護現場の実態を把握するための第一歩として、アンケート調査を実施いたしました。
 そこで、将来を見通した施策を展開するために、このアンケート調査の内容をさらに発展させ、より詳細な実態を把握すべきであります。都の所見を伺います。
 また、介護保険の書類等事務作業の簡素化についても質問したいと思います。
 現在、介護にかかわる煩雑な事務作業が問題とされております。例えば、一つの車いすを貸与するためには書類が十九枚必要であり、その作業のために四時間から五時間かかってしまったという話も聞いております。介護従事者を煩雑な書類の作成業務から解放し、事務所の効率的な経営や労働時間の短縮につながるよう、事務手続や作成書類の簡素化を図るべきであります。都の所見を伺いたいと思います。
 次に、介護サービス情報の公表における費用負担の低減について質問したいと思います。
 介護保険法では、介護サービスの質の確保や利用者保護を目的として、事業者に対して、インターネットなどでのサービス情報の公表を義務づけております。このため、事業者は十二のメニューに対して、調査、公表の手数料として、それぞれ約五万円程度を毎年負担しなくてはなりません。事業者からは、ぎりぎりの経営で負担が極めて重い、また、それぞれのサービスごとに三回も調査があり、むだであるなどの声が上がっております。
 都は、手数料の適正な引き下げを図るとともに、調査方法の改善、また、ネットでの情報提供の有効性などを改めて検証すべきであります。都の所見を求めたいと思います。
 次に、がん対策について質問をいたします。
 がん治療に関しては、日本は手術が主流でありますが、欧米は、化学療法や放射線療法と組み合わせて大きな効果を上げていると聞いてございます。
 特に、放射線療法については、手術や抗がん剤との組み合わせで、より高い治療効果が得られることや、がん治療の中で最も副作用が少なく、また経済的であるという特徴があるそうであります。
 近年、放射線治療の技術進歩は著しく、がん組織のみに照射する強度変調放射線治療の技術あるいはCT撮影と連動した放射線の照射が可能な医療機器の開発、また最近では国内メーカーによって世界最先端の放射線医療装置が開発されております。
 先日、東大病院放射線科の中川恵一准教授から話を聞く機会がございました。我々は、放射線ががん細胞を攻撃すると思っておりましたが、これは間違いであります。ピンポイントでがん細胞に放射線を照射するとがん細胞の表面温度が二千分の一度上昇し、体内の免疫細胞がその変化を察知して、がん細胞を攻撃する、こういう仕組みだそうでございます。したがって、患者への負担が極めて低い、こういう事実を知ることができました。
 がんと闘う多くの都民のために、都立病院への最新鋭の放射線治療装置の導入を急ぐべきであり、まずは、がん治療の拠点である駒込病院に導入すべきであります。所見を伺いたいと思います。
 次に、がん登録について質問をしたいと思います。
 がん登録の取り組みは拠点病院における院内がん登録から開始し、その後、拠点病院以外の病院での院内がん登録へと拡大させ、最終的に都内全域で地域がん登録を広げる、こうなっておりますが、その実現時期については明記をされておりません。
 一方でまた、こうしたステップごとのアプローチとは別に、地域を特定して、モデル的に先行実施することも、早期実現のためには極めて効果的であります。
 都は、これらの課題や提案を整理し、がん登録を計画的かつ着実に推進するため、検討組織を立ち上げるべきであります。見解を伺いたいと思います。
 また、緩和ケアについても質問をいたします。
 我々は緩和ケア、治療の初期段階からの緩和ケアの実施を強く主張してまいりました。この緩和ケアを推進していくためには、拠点病院の整備指針にも定められている医師、看護師、医療心理に携わる専門家などによる緩和ケアチームの設置と、緩和ケアに精通した医療人材の育成が重要でございます。
 都内において、早期からの緩和ケアの実施に向けて積極的に取り組むべきでありますが、都の見解を求めたいと思います。
 次に、特別支援教育について質問いたします。
 東京都特別支援教育推進計画の第二次実施計画の着実な実施が重要でございます。しかし、現場には課題が少なくありません。
 まず第一は、都立の高等学校における特別支援教育体制の整備であります。一日も早く、すべての都立の高校にコーディネーターを初め、人材を配置して、特別支援教育の体制を確立すべきであります。所見を求めたいと思います。
 第二は、区立の小中学校における特別支援体制の充実でございます。小中学校における特別支援教育の体制整備はもちろん区市町村の責任でありますが、しかし、格差が出ないように都は支援策を講じるべきであります。小中学校における特別支援教育の充実を図るための支援について都の見解を求めたいと思います。
 第三は、幼児期における対応の強化であります。都教委は先月、幼稚園の教員や保育所を対象に講習会を開催いたしました。しかし、全体の約九割を占める私立幼稚園、私立保育所からの参加はわずかであり、また、講習の内容も初歩的であったと聞いております。
 そこで、改めて、幼児期の対策を強化するために、私立幼稚園、私立保育所を対象にした本格的な研修の機会を設けるべきであります。見解を伺いたいと思います。
 続いて、教員の大量退職に伴う課題について質問をいたします。
 今後十年間で、毎年二千人以上の教員が退職を迎えるといわれております。校長や副校長の人材も不足し、校長を再任用し必要数を確保する事態となっております。
 小学校に限ってみても、平成二十年度は小学校で約千五百人、中学校で約六百人、合わせて約二千百人もの大量採用が予定されております。一方で、教育庁の教育人口推計によると、今後五年間で小学校の児童数は約五千人、中学校の生徒は約一万人ふえるとされております。つまりベテラン教員の大量退職、新人教員の大量採用、そして児童生徒の増加、こうした要因により教育の質の低下が心配をされております。
 そうした中、国は平成二十年度から、約七千人規模の退職教員や経験豊かな社会人を教育現場で活用する補助制度を計画しております。
 都教委としても、退職するベテラン教員等の人材を積極的に活用し、新人教員などの育成や教員の負担軽減、あるいは教育現場での課題の解決のため、この新たな補助制度の活用を行うべきであります。都の見解を求めたいと思います。
 続いて、都営住宅の使用継承について質問をいたします。
 都は、昨年八月、都営住宅の入居者が死亡した場合などに使用を継承できる同居者の範囲を、原則配偶者に限定する制度変更を行いました。
 これに対して、公明党は二月五日、石原知事に対して、都の制度運用を改め、高齢者や障害者に一層配慮した現実的な制度に改善するよう申し入れを行いました。具体的には、継承しようとする人が六十歳以上であり世帯の収入が入居基準以下であれば、同居者の年齢を問わない。第二に、承継しようとする人または同居者が身体障害者手帳三級、精神障害者保健福祉手帳二級、三級、愛の手帳三度、四度の人まで、それぞれ対象を拡大すること。また、病弱者に関しては、都立病院あるいは公社病院の診断書を踏まえて、居住の必要性がある場合には承継を認めること。以上の三点でありました。
 これを受けて、都は早速見直しを行いましたが、まず確認の意味で、その見直しの内容を明らかにしていただきたいと思います。
 これは四月一日からの施行でありますが、既に事由が発生している居住者にも経過措置を行うという内容であります。したがって、こうした内容を迅速に居住者の方に伝える必要がございます。変更後の内容、経過措置による対応について、都の周知徹底策について答弁を求めたいと思います。
 少子化対策にせよ、介護にせよ、すべての保健福祉サービスは住宅を抜きに語れません。東京都の住宅政策は、今後ますます重要度を増してまいります。したがって、都は、都民の住宅セーフティーネットを守るために、都営を含めた住宅政策の事業体制を強化すべきであります。
 住宅政策の拡充について所見を伺い、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中嶋義雄議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、本年にかける思いについてでありますが、極めて厄介な時代に我々は差しかかっているのではないかという実感が強くいたします。知事就任以来、都の財政を立て直すために都議会と協力しながらいろいろ苦労を重ねてまいりました。
 財政再建は一応果たしましたが、その後、国による理不尽な税収の吸い上げが行われたり、アメリカ発の金融市場の混乱などによりまして、都税の収入の先行きも不透明になるなど、また非常に厄介な困難な状況がやってきたという気がいたします。
 しかし、都政を預かる者として、正当な歴史認識や文明観を踏まえて、都民、国民が真に必要とする施策を展開し、東京と日本の未来を切り開いていく決意にいささかも揺るぎはないつもりでございます。
 また、ご指摘のザイン、ゾルレンのバランスは、非常に貴重なご示唆として受けとめたいと思います。これはすべての物事の構成原理だと思っております。
 本年は、「十年後の東京」の実現に向けまして、力強く第一歩を踏み出し、次世代に胸を張って継承できる東京へとさらなる成熟を遂げさせるべく、東京と日本への愛着を持って都政運営に全力を傾けていくつもりでございます。
 本当に厄介な時代だという気がつくづくいたします。環境問題に限っていいましても、特にヨーロッパの専門家の意見を聞きますと、向こう五年間でチッピングポイント、臨界点に差しかかるという予測でありまして、これを覆す論もありませんし、現に起こっている出来事を見ると、その実感が非常に強い気がいたします。
 このまま進みますと、五年以内には世界規模の大きな飢饉が到来するのは必至でありまして、こういった時代に都議会の皆様と徹底して議論し、知恵を出し合いながら、東京から日本を変える挑戦をさらに進めていきたいと思っております。今後の議会のご協力をお願いいたします。
 次いで、新銀行東京の経営不振の原因分析と都民への説明でありますが、新銀行東京は、不良債権を処理し、体力を回復した大手銀行などが、貸し渋り、貸しはがしといったそれまでの融資姿勢を一変させまして、中小企業金融に積極的に参入してきたことによりまして、開業直後から非常に厳しい競争環境にさらされました。
 このような経営環境の大幅な変化にもかかわらず、当時の経営陣が融資残高拡大路線に固執しまして、スコアリングモデルに過度に依存した融資を実施したほか、営業担当に融資実績に応じた成果手当を支給するなどの一方で、デフォルトを不問とするなど、質より量を優先した業務運営を行い、多額の不良債権の発生を招いたものと考えております。
 現在、新銀行東京において、経営不振を招いた原因究明のための詳細な調査が進められておりまして、当然、その結果は発表してまいります。
 次いで、新銀行東京の発案者としての責任についてでありますが、かつて経済有事ともいうべき事態に直面し、東京と日本の経済を支え、まさにこの国の宝ともいうべき中小企業が、金融機能の不全による苦境に陥っておりました。こうした事態から中小企業を救うために、新銀行東京を設立いたしました。
 開業に当たっては、産業界に長く身を置き、経営手腕を発揮した人材に、決してトップダウンではなしに、あくまでも取締役会の手続を踏んで、経営のかじ取りをお任せいたしました。これは、既存の金融機関に決定的に欠けた事業者の目線で中小企業を見詰めて、新銀行東京が、真に中小企業の役に立つように業務運営がなされることを期待したからでございます。
 しかしながら、残念ながら、予想をはるかに超える多額の不良債権が発生し、経営は不振をきわめまして、資本金の約八割を失うまでになりました。追加出資が必要な事態に立ち至っております。
 この状況については、都政を預かる知事としてもざんきにたえません。また、発案者として、当然、もろもろの責任を感じておりまして、ゆえにも、渾身の力を振り絞って再建に当たらねばと決意しております。
 追加出資については、さまざまなご意見があることは当然承知しております。しかし、既存の融資先である一万三千の中小企業が安心して事業に今後も邁進できるように、また、そこに働く都民の生活を守ることにも強く思いをいたさなければならないと思います。
 都民の方々の負担も考え合わせて、追加出資は苦渋の選択でありますが、これしかないものと思っております。ぜひともご理解をいただきたいと思います。
 今後の財政運営についてでありますが、都財政の役割は、都が担う、東京をさらなる成熟を遂げる都市としていく取り組みや、東京で暮らし働く人々の生活を守る取り組みを、財政面からしっかりと支えていくことにございます。
 今回の予算では、こうした都財政の役割を果たすため、「十年後の東京」への実行プログラムに掲げた施策を初め、都民生活を守る諸施策を積極的に展開するとともに、基金の充実を図るなど、今後生じる税収減や増大する財政需要への中長期的な視点に立った備えを講じております。
 同時に、予算編成過程において、新たな公会計制度を活用した実務事業評価を実施いたしまして、事業の実施結果を踏まえて、施策をより効率的、効果的なものへと継続的に改善する仕組みづくりを進めました。
 都税収入の先行きが不透明さを増し、不合理な税制の見直しがなされるなど、財政環境が一層厳しさを増す中ではありますが、いかなる状況にあっても都民の生活を守り抜く決意に立って、今後とも都財政の運営に当たっていくつもりでございます。
 次いで、道路特定財源の確保についてでありますが、首都東京が持てる力を十分に発揮するには、三環状道路を初め、幹線道路のネットワークや連続立体交差などの早期の整備が必要であります。また、成熟した都市東京の実現のために、緑豊かな歩道の整備や無電柱化など、安全で快適な道路空間の形成も重要であります。
 これらを実現し、我が国の国土形成の根幹をなす道路整備を着実に進めていくためには、安定した財源の確保が不可欠であります。
 このため、関連法案を年度内に可決し、道路特定財源諸税の暫定税率を維持した上で、道路特定財源を本来の目的である道路整備や関係施策に集中的に投入するよう、強く訴えていきたいと思っております。
 次いで、テロ対策についてでありますが、非常に卑劣なテロ行為を封じ込め、オリンピック開催都市にふさわしいセキュリティーを、国を挙げて確保することが重要だと思います。本年開催されるサミットにおけるテロ対策は、我が国の治安のよさをアピールする絶好の機会ともいえます。
 このため、都としても、都庁舎など都施設の警戒強化を図るとともに、国や関係機関、大規模集客施設を有する民間事業者とも連携しまして、ターミナル駅周辺での警戒対応訓練を四月に実施いたします。
 さらに、サミット直前には、行政や民間事業者などで構成する警戒推進本部を設置しまして、官民を挙げたテロ防止対策を実施するなど、東京の安心・安全の確保に全力を尽くしてまいります。
 なお、他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
  〔警視総監矢代隆義君登壇〕

○警視総監(矢代隆義君) サミットに向けた警視庁のテロ対策についてお答えいたします。
 警視庁では、昨年六月、サミットに向けた警備対策委員会を設置し、全庁を挙げた体制を確立するとともに、各種警備対策を鋭意推進しているところであります。とりわけ、東京が主戦場であるとの共通認識のもと、テロ関連情報の収集、分析を初め、政府関連施設、公共交通機関、繁華街等に対する警戒警備を強化しているところであります。
 また、民間事業者、地域住民等と連携したテロ対処訓練や連絡会議を随時開催し、危機管理体制の強化を図るなど、テロを許さない社会づくりにも努めているところであります。
 引き続き、一般市民を巻き込む無差別テロから都民を守り、首都の安全を確保するため、警視庁の総力を挙げて諸対策を強力に推進し、警戒警備の万全を図ってまいります。
  〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 教育に関する四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、都立高校における特別支援教育の体制整備についてであります。
 都立高校において、発達障害のある生徒への支援を行うため、特別支援教育の体制整備を進めることは極めて重要でございます。
 現在、都立高校六校におきまして、特別支援教育体制の整備や生徒への支援のあり方などにつきまして、研究に取り組んでいるところでございます。
 ご指摘の点を踏まえまして、平成二十年度中に、すべての都立高校において、特別支援教育コーディネーターを指名し、その資質や専門性の向上を図る研修を実施するとともに、校内に組織的な取り組みを進めるための委員会を設置するなど、特別支援教育の体制を早急に整備してまいります。
 次に、小中学校の特別支援教育の支援についてであります。
 都教育委員会では、小中学校を支援するため、特別支援学校のセンター的機能の充実に努めております。
 平成十九年度は、特別支援学校の特別支援教育コーディネーター等が小中学校への巡回指導を行うために、必要な非常勤講師を配置したところであります。
 平成二十年度は、支援体制をさらに強化するため、特別支援学校への教員の加配措置を行うとともに、非常勤講師の配置を拡大するなど、小中学校への支援の充実を図ってまいります。
 次に、私立幼稚園や保育所への支援策についてであります。
 障害のある幼児に対しましては、障害の早期発見及び早期対応による効果が大きく、私立幼稚園や保育所での指導や支援の充実は重要だと考えております。
 今年度、就学支援シートについて説明を行うため、個別の教育支援計画講習会を実施した際に、私立幼稚園や保育所にも参加を呼びかけましたが、残念ながら結果として参加者は少数でございました。
 今後、就学支援にかかわる研修会などの開催におきましては、すべての私立幼稚園や保育所にも広く周知し、就学支援や個別の教育支援計画の策定にかかわる資料や情報を積極的に提供してまいります。
 最後に、退職教員等の人材活用についてでありますが、都教育委員会では、平成二十年度から、退職教員の豊富な知識と経験の活用を図るため、学習教科指導のほか、校務分掌、教育相談、初任者対応、小一問題対応など、多様な職務を担う非常勤教員制度を都独自に導入いたします。
 非常勤教員制度は、国の外部人材活用事業補助金の趣旨に合致するものでありまして、今後、国庫補助事業に位置づけた上で、区市町村教育委員会等とも連携し、各学校において非常勤教員の有効活用が図られるよう努めてまいります。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 新銀行東京に関します五点のご質問にお答えをいたします。
 経営悪化の原因究明についてでございますが、新銀行東京の経営がどうしてここまで悪化したか、速やかにその原因が究明されなければならないと考えております。
 新銀行東京では、旧経営陣の経営実態や銀行のチェック体制など、経営悪化の原因とその責任につきまして、現経営陣が弁護士とともに徹底した内部調査を進めております。
 新銀行東京からは、デフォルトを容認するかのような業務執行や対策のおくれ、隠ぺい体質など、旧経営陣の非常識な経営実態があったと聞いております。このような経営実態からすれば、設立当初想定をされましたリスク管理体制が機能したとは考えられません。
 現在、新銀行東京では、調査の最終結果の取りまとめを行っております。ご指摘のとおり、現経営陣が徹底して責任の所在を究明するものと考えております。
 次に、都におけるこの一年間の経営監視についてでありますが、ご提案を踏まえまして、都では、平成十九年四月以降、新銀行東京に対して、目きき能力の向上など審査体制の充実強化を働きかけるとともに、職員の派遣を行うなど、積極的な経営の監視に努めてまいりました。
 新銀行東京では、新経営陣のもと、スコアリングモデルのみに頼ることのない審査体制へと抜本的に変えていくため、まず顧客の実態を把握することに注力することとし、顧客の債務者区分の全面的な見直しを実施しますとともに、延滞を防ぐための期中管理の徹底を図ったところであります。
 目きき能力の向上に当たりましては、信用保証協会の審査ノウハウの吸収が効果的であることから、今年度から制度融資の取り扱いを大幅にふやしたところであります。
 次に、都におきましては、平成十九年三月期決算時に表面化をいたしました深刻な経営悪化を受けまして、執行体制の強化を図るため、同年六月に、社外取締役に元副知事を充てるとともに、執行役以下四名を派遣したところでございます。
 これによりまして、執行体制の強化が図られるとともに、銀行内部からの監視機能が強化され、経営実態がつまびらかになったところであります。
 引き続き、新銀行東京の再建に向けまして、職員の派遣などを行ってまいります。また、金融庁とも十分に連携を図りつつ、銀行から必要な情報を入手し、積極的な経営の監視に努めてまいります。
 次に、追加出資を選択した理由についてでありますが、新銀行東京は、民間金融機関等との連携によります再生や出資先の確保などを目指しまして、多くの金融機関等と交渉を進めてまいりましたが、現段階では調うまでに至っておりません。その結果、とり得る選択肢は三つに絞られております。
 第一は、今回提案を申し上げております追加出資による経営再建であります。第二は、事業清算でありますが、これは既存融資先への継続支援が難しくなるとともに、追加出資に比べ多額の資金が必要となります。第三は、預金保険法に基づく破綻処理でありますが、これは預金者や既存融資先に甚大な影響を与えるおそれがあります。
 このため、追加出資以外の手法は、既存融資先一万三千社を初めとし、その取引先、従業員、家族、また預金者などの関係者に重大な影響を及ぼしかねないとともに、都民に膨大なコスト負担をお願いすることとなります。
 このような都民への影響の大きさにかんがみまして、今回、追加出資による再建を選択したものであります。ぜひともご理解をいただきたいと思います。
 次に、新中期経営計画と再建計画との違いについてでありますが、昨年六月の新中期経営計画は、これは旧経営陣が策定した計画でございますが、これが行き詰まった最大の原因は、計画の前提となる指標が実態とかけ離れていたことにあると考えております。
 その最たるものは、計画を大幅に上回るデフォルトの発生であります。これによりまして、不良債権処理額が増加をいたしまして、今年度の累積損失は、計画を大きく上回る一千億円程度となる見込みとなっております。
 こうした実態を踏まえまして、今回、新たな再建計画では、実績を踏まえたデフォルト経費を十分に計上した上で、収益性が確保される事業への重点化を図ることとしたことが大きな特徴でございます。
 また、スコアリングモデルに依存した審査方法を改めまして、顧客実態に基づいた審査を徹底するとともに、他の金融機関等のノウハウを活用することで、審査、目きき力の向上を図っていくこととしております。
 加えて、新中期経営計画に比べまして、さらなる経費削減に取り組むことで、中小企業融資での収支均衡を実現するものでございます。
 次に、新銀行東京の再建への手順及び中長期の展望についてでございますが、新銀行東京の再建計画は、これまで三カ年間で蓄積をいたしました営業ノウハウや反省点を踏まえまして、抜本的な執行体制の見直しのもと、事業の重点化を柱に策定されたものでございます。
 執行体制につきましては、店舗の集約や人員体制の見直しなど、経営資源の選択と集中を徹底するとともに、事業面では、これまでの実績を踏まえまして、事業継続意欲が高く、新銀行東京の継続支援を希望する事業者に対する融資を行うなど、着実に収益が見込める事業への重点化を図ることとしております。
 これらによりまして、平成二十一年度の赤字額は十九億円、平成二十二年度に収支均衡、平成二十三年度に単年度黒字化を達成すると計画をしております。
 この再建計画によりまして、中小企業支援の継続という都の施策に沿った取り組みが確実に実施されるものと考えております。
 また、計画では、中小企業支援を継続的に実施していく上からも、より安定した経営基盤を確立する必要があることから、将来的には、最新の金融ノウハウを有する銀行等との連携も視野に入れまして、事業内容の充実を図っていくこととしております。
 都といたしましては、都や関連団体との連携も図ることによりまして、不退転の決意で新銀行東京を再建してまいります。
  〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 財政運営における基金の活用についてのご質問にお答えをいたします。
 お話のように、都の税収構造は極めて景気動向に左右されやすい特質を持っております。そうした中にあって、都財政には、「十年後の東京」の実現に向け、中長期的視点から、都民生活の充実を目指す積極的な施策展開を支えていくこと、同時に、今後、経済変動がもたらす大幅な税収減などにより財源不足が生じた場合にも、必要な行政サービスの水準を確保すること、この二つの役割が求められております。
 しかも、都は、お話にもありましたとおり、地方交付税の不交付団体であります。したがいまして、都財政に求められるこの二つの役割を、だれかに頼るのではなく、みずからの力と責任において果たしていくほかないという立場にございます。
 こうした考え方に立ちまして、今回の予算では、今後おおむね十年間に見込まれる大規模施設の改築等に必要な経費八千億円に対し、社会資本等整備基金に二千五百億円を積み立てることとしたほか、各種基金を可能な限り充実させましたが、都の特徴的な財政構造や今後の膨大な財政需要を考慮すれば、現状の基金残高はまだまだ十分とはいえないと考えております。
 したがいまして、都民が東京で安心して活力にあふれた暮らしを続けていけるよう、今後ともさまざまに工夫を重ねながら、基金の一層の充実を図り、財政状況に応じてそれらを適切に活用してまいります。
  〔建設局長道家孝行君登壇〕

○建設局長(道家孝行君) 道路整備に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、歳入関連法案が可決されない場合の東京の道路整備への影響でありますが、歳入関連法案が万一可決されず、暫定税率が維持できなかった場合、平成十八年度の決算ベースで試算すると、都及び区市町村合わせて、約二千五百億円の道路特定財源のうち、約千二百億円が減額となります。
 さらに、国の地方道路整備臨時交付金制度は、暫定税率同様、平成二十年三月が期限であることから、その影響額を加えると、合計約千六百億円もの減額となり、道路特定財源はおおむね三分の一となります。
 そのため、都では、環状第六号線、調布保谷線の整備やJR中央線の立体化など、現在施工中の事業が大幅におくれ、また、新規の道路や歩道の整備、連続立体交差事業などに着手することが困難となります。したがいまして、東京の渋滞解消や環境改善、防災性の向上など、都民の安全で快適な生活の実現に極めて大きな影響があると考えております。
 次に、街路樹の整備についてでありますが、街路樹はヒートアイランド現象の緩和やCO2の削減、都市景観の向上などに寄与しております。
 このような機能を十分に発揮させるには、豊かな道路の緑を連続的に創出することが重要であります。このため、街路樹の数をふやすとともに、個々の樹木を豊かで伸び伸びとした本来の姿に育てていく必要があります。
 今後、既存の街路樹の間への植栽や新設道路への植栽を積極的に進め、平成二十二年度までの三年間で七十万本にふやしてまいります。また、土壌の改良や無電柱化など、生育環境の改善を進めるとともに、樹木が本来の姿に育つよう計画的に剪定を行ってまいります。
 これらの取り組みにより、国や区市町村とも連携して、緑豊かな道路空間を創出し、緑の拠点をつなぐグリーンロードネットワークを形成してまいります。
 次に、環境に配慮した道路の整備についてでありますが、ヒートアイランド対策は大都市特有の課題であり、都は、その緩和策の一つとして、路面温度の上昇を抑制する保水性舗装をこれまで順次実施してまいりました。
 一方、保水性舗装は、騒音低減効果に一定の限界があるため、新たな技術として低騒音機能を損なわずに路面温度の上昇を抑制する遮熱性舗装を平成十九年度から試験的に実施し、効果や耐久性などを検証しております。
 平成二十年度は、都心部を中心に、保水性舗装を江戸通りなど三カ所で実施し、遮熱性舗装は日比谷通り、新大橋通りなど六カ所に規模を拡大して実施いたします。
 今後とも、環境対策型舗装や道路緑化に取り組み、環境に配慮した道路整備を積極的に推進してまいります。
 〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君)
 まず、オリンピックムーブメントを通した国際交流についてであります。
 オリンピックムーブメントは、もともと青少年健全育成にフェアプレー精神などを旨とするスポーツを取り入れようとして提唱され、それが国際交流、平和を求める運動へと発展したものでありまして、オリンピックや国際スポーツ大会を通じた国際交流は、次代を担う子どもたちに大きな財産を残してくれます。
 お話の都内スポーツ施設の事前キャンプへの活用は、一流選手との触れ合いを通じて子どもたちのスポーツに対する関心を高め、また、さまざまな国々の人たちとの友情、連帯感をはぐくみ、国際理解と日本文化の発展に大いに寄与するものと考えます。
 さらには、海外の選手、スポーツ関係者、マスコミ等に東京の魅力をアピールするよい機会にもなります。
 このため、現在、JOCに対し、都のスポーツ施設等を国際スポーツ大会の開催会場、事前キャンプ候補地として登録するための手続を行っており、また、全国レベルにおいても進められております。
 今後、都内区市町村、全国自治体とも連携して、子どもたちの国際交流と東京、日本の魅力をアピールする機会を拡大してまいります。
 次に、区市町村の招致機運の盛り上げについてであります。
 招致機運の盛り上げには、オリンピック・パラリンピックの開催意義や効果、目標などを理解してもらうことが大事でございます。
 また、オリンピック・パラリンピックを初めとするスポーツの持つすばらしさを多くの人々に体感してもらうことも必要でございます。
 そのため、住民に身近な区市町村と連携して、スポーツのすばらしさを訴えるオリンピックムーブメントを推進することが重要と考え、二十年度から、区市町村が行う事業に対し、都が支援する仕組みを創設いたします。
 この区市町村オリンピックムーブメント推進事業は、例えば地元体育施設における海外選手やスポーツ関係者との交流、オリンピズムの普及と地域活性化イベントとを結びつけた事業展開など、区市町村が地域の実情や特徴を踏まえ、地元住民、企業、スポーツ団体などが参加してオリンピックムーブメント事業を実施するものでございます。
 これら事業を通じて、都内全域におけるオリンピズムの普及啓発を促進してまいります。
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、国際協力銀行と連携したアジアの環境問題への貢献についてでございますが、アジア諸国におきましては、人口増や経済成長によりエネルギー使用量が大幅に増加している国もあり、地球全体で温暖化ガスを削減していく上で、アジアでの取り組みが重要となっております。
 こうした中、昨年十一月に開催されたアジア大都市ネットワーク21マニラ総会の共同宣言におきまして、アジアの都市が協力して温暖化ガス排出削減に取り組んでいくことが合意されました。
 東京には、省エネや再生可能エネルギーに関してすぐれた技術を有する企業があり、これをアジア諸都市の実情に応じて活用していくことが可能でございます。
 一方、国際協力銀行は、開発途上国での環境プロジェクトに豊富な経験を持ち、アジア諸都市が環境改善事業に取り組む場合の金融面での支援についてもノウハウを有しております。
 こうした技術やノウハウの活用により、アジア諸都市の環境改善に寄与できるよう、都といたしましても、アジア大都市ネットワーク21などを活用して積極的に取り組んでまいります。
 次に、国際協力銀行と連携した都施策のアピールなどについてでございますが、ご指摘のとおり、連携は金融面のみにとどまらないものと考えており、覚書締結直後に開催されたアジア・エネルギー環境技術ワークショップにおきましても、共催機関として参加いただきました。今後は、国際協力銀行の海外での事業活動の中でも、都の環境政策を紹介していただく予定でございます。
 また、本年五月にドイツのケルンで開催される世界最大級の排出権ビジネスに関する見本市であるカーボンエキスポに国際協力銀行が出展を予定しておりますが、こうした場で都の先駆的な施策を紹介できるよう協議してまいります。さらに、こうした機会を活用してすぐれた環境技術を有する東京の企業の紹介や商談の場の提供などにつきましても検討を進めてまいります。
 このように、このたびの連携は、東京の環境先進性を広く海外にアピールし、ひいてはオリンピック招致にも資するものと考えております。
 次に、都内での未利用エネルギーの活用についてでございますが、化石燃料の使用によるCO2の排出を抑制するためには、太陽光や太陽熱などの再生可能エネルギーの導入とともに、都市活動に伴って発生する廃棄物や排熱などの未利用エネルギーを活用していくことが必要でございます。
 これまでも、都は、廃棄物最終処分場でのメタンガス発電や、スーパーエコタウンでの食品廃棄物を活用したバイオマス発電などを進めてまいりました。
 今後、木材チップや下水汚泥などのバイオマス資源の利用を一層推進するとともに、地域においてエネルギーの有効利用を推進する新たな制度を構築することにより、オフィスビル等からの排熱や温度変化の少ない地中熱の利用を進めるなど、都内の未利用エネルギーの積極的な活用を図ってまいります。
 次に、東京都地球温暖化防止活動推進センターの事業展開についてでございますが、CO2の排出量を確実に削減していくためには、これまで取り組みが十分ではなかった家庭や中小企業における対策を強化していくことが必要であります。
 このため、新たに設置するセンターにおきましては、お話のインターネット環境家計簿の提供を行うとともに、省エネ・節電に関する相談窓口の開設、企業や地域で省エネ対策を進める人材の育成など、工夫を凝らした取り組みを進めてまいります。
 また、中小企業を対象といたしまして、来年度、年間五百件の省エネ診断を、事業者の負担を求めることなく実施するなど、省エネの実践的なノウハウの提供にも力を尽くしてまいります。
 最後に、区市町村等と連携した省エネ・節電活動についてでございますが、都内の区市町村は、今年度から、地域住民の意識啓発等を目的とするみどり東京・温暖化防止プロジェクトを開始しております。また、NPOなども省エネ家電の普及や自転車利用の促進など、CO2削減に向け多様な活動を行っております。
 今後、これらの団体等の活動が一層活発で効果的なものとなるよう、地球温暖化防止活動推進センターにおきまして、すぐれた省エネ・節電活動の紹介や、経験交流の場の提供を行ってまいります。また、家庭での節電効果を実感できる省エネナビなど、お話しの機器の貸し出しを行うなど、地域における温暖化防止活動をサポートする役割も果たしてまいります。
 都は、このように地球温暖化防止活動推進センターを十分に活用することにより、区市町村やNPO等との連携を強め、省エネ・節電活動を盛り上げてまいります。
  〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、地域危険度を踏まえた耐震助成の実施についてでございます。
 地震に関する地域危険度測定調査は、都民の防災意識の高揚に役立てるとともに、震災対策事業を実施する地域の選択に活用することを目的としておりまして、先般、最新のデータに基づく調査結果を公表いたしました。
 都はこれまでも、地域危険度が高く、かつ老朽化した木造住宅が集積するなど、震災時の甚大な被害が想定される地域を整備地域に指定し、重点的に耐震助成を行っております。
 今後とも、最新の調査結果などを踏まえながら、耐震助成を効果的に実施し、木造住宅の耐震化を図ってまいります。
 次に、住宅所有者の意向調査と施策への反映でございます。
 住宅の耐震化施策の実効性を高めるためには、所有者の意向を的確にとらえることが必要であり、都はこれまでも、防災に関する世論調査等により、その把握に努めてまいりました。
 また、今年度中には、旧耐震基準の木造住宅の所有者を対象に、耐震化への取り組み状況や今後の意向等について、より詳細なアンケート調査を行う予定でございます。
 今後とも、区市町村と連携して所有者の意向の把握に努め、耐震化施策に反映させてまいります。
 次に、所有者の防災意識の向上についてでございます。
 住宅の耐震化を促進するためには、自助の観点から、所有者の自覚と行動を強く促していくことが不可欠でございます。
 お話のように、震災の悲惨さなどをリアルな映像で伝えることは効果的であると考えられるため、耐震化への取り組みを促すDVDを九月初めの防災週間までに制作し、広く広報事業に活用してまいります。
 これに加えまして、来月には、住宅の耐震化に関する展示会、見学会等を総合的に行う住まいの耐震フェアを開催し、さらに来年度からは、区市町村と連携して、直接、所有者への働きかけなどを行ってまいります。
 こうした取り組みを重層的かつ波状的に行うことにより、防災意識の向上を促し、耐震化を促進してまいります。
 次に、都営住宅の使用承継についでございます。
 入居者と非入居者間の公平性を確保する上で、使用承継を配偶者に限定するという原則は堅持してまいります。他県の状況や制度施行後の実情を踏まえるとともに、東京都議会自由民主党及び都議会公明党からの申し入れも契機といたしまして、制度の手直しを図り、高齢者等への一層の配慮を行うことといたしました。
 具体的には、特別の事情により承継が許可される場合の条件につきまして、まず、承継しようとする人が六十歳以上の場合、同居者の年齢要件を撤廃いたしました。また、障害者の基準を身体、精神は三級まで、知的は四度までに拡大し、病弱者につきましては都立病院などの診断書を踏まえ、居住継続の必要性を判断することといたしました。
 制度や経過措置の内容の周知につきましては、対象となる方には個別に通知するとともに、居住者全体に対しまして、広報紙臨時号の配布、ポスターの掲示等を行っております。
 都営住宅につきましては、今後ともセーフティーネット機能の充実に努め、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給してまいります。
 最後になりますが、住宅政策の充実についてでございます。
 豊かな住生活の実現を図るためには、都民の居住の安定を確保していくことが重要な課題であると認識しております。
 都といたしましては、これまでも、都営住宅において、高齢者や子育て世帯等に対する優先入居などを実施するとともに、入居制限を行わない民間賃貸住宅の供給促進などに取り組んでまいりました。
 今後とも、公共住宅に加え、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティーネット機能を強化するとともに、まちづくりなど住生活に深くかかわる政策分野との緊密な連携を図りつつ、都民の居住の安定の確保に強力に取り組んでまいります。
  〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 耐震化促進のための税制の活用についてでございますが、政策目的を達成するためには、税制を活用していくことも有効な手段の一つとして考えられます。
 活用に当たりましては、その必要性や効果などを十分に検証する必要はございますが、住宅の耐震化促進は「十年後の東京」の実現に向けた都政の喫緊の課題であることから、今後、都独自の税制の活用につきまして、積極的に検討してまいります。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 感染症対策などについてお答えを申し上げます。
 まず、感染症危機管理体制の強化等についてでありますが、多くの人や物が集積し、交流する首都東京においては、感染症の発生リスクが高いことから、感染症危機管理体制の整備は極めて重要な課題でございます。
 都は、健康安全研究センターにおきまして、国内外の新興感染症等の情報を収集分析し、流行の兆候を察知した場合には直ちに警報を発するとともに、迅速な病原体検査によって早期の確定診断を実現するなど、感染拡大を防止しております。
 今後、同センターを平成二十四年度までに健康危機管理センター(仮称)として整備をし、関係機関の総合調整機能を付与するなど、さらなる感染症危機管理体制の強化を図ってまいります。
 また、アジア大都市ネットワーク21の感染症プロジェクトを活用し、感染症専門家の人的、技術的交流を進め、各都市とのネットワークを強化することにより、都民の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
 次に、新型インフルエンザ発生時の医療体制についてであります。
 都は、重大な健康被害をもたらす感染症を封じ込めるために、発生時に患者を入院させる感染症指定医療機関を整備するとともに、こうした感染症が疑われる患者を、診断が確定するまで受け入れる協力医療機関の確保に努めております。
 今後とも、指定医療機関の感染症病床の陰圧化に向けた支援を行うなどにより、封じ込め体制の一層の強化を図ってまいります。
 さらに、新型インフルエンザの大流行時には、すべての医療機関が診療に参加することが必要でございます。
 このため、平成二十年度から新たに都内を十のブロックに分けて、区市町村や医師会、地域の医療機関等から成る協議体を設置し、医療機能に応じた役割分担や連携体制の強化を図ることなどにより、感染症医療体制の確保に全力で取り組んでまいります。
 次に、感染症対策の広報啓発活動に関する区市町村への支援策についてでありますが、感染症発生時の都民一人一人の自衛策として、不要不急の外出の自粛やマスクの着用、患者の看護方法、汚染された物件の適切な処理などの基本的な知識についての啓発活動を行うことが重要であります。
 これまで都は、感染症の流行防止のため、保健所と協力しながら普及啓発に努めてまいりましたが、地域の実情に即し、より効果的に行うため、平成二十年度からは、新たに包括補助事業により、区市町村がみずから行う感染症対策の普及啓発事業を支援することといたしました。
 今後とも、区市町村と連携し、都民への啓発を充実させてまいります。
 次に、食品の自主管理認証取得への支援についてであります。
 食品衛生自主管理認証制度は、衛生管理について積極的に取り組み、一定の基準を満たした事業者を都が指定した第三者機関が認証することにより、食の安全性の向上を図ることを目的とした都独自の制度でございます。
 都は、順次、認証施設の拡大に努めてまいりましたが、引き続き対象業種の拡充を図ってまいるとともに、区市町村包括補助事業を活用し、地域において認証制度を普及する取り組みを支援いたします。
 さらに、保健所や区市町村と連携し、事業者向けセミナーを開催するとともに、認証施設であることを都民にアピールすることのできる認証シールの普及などに鋭意取り組んでまいります。
 今後、事業者団体との連携を強化し、制度を広く周知することにより、積極的に認証施設の増加を図ってまいります。
 次に、食品の監視検査体制の強化についてであります。
 都は、毎年度、食品衛生監視指導計画を策定し、食品の安全確保にかかわる課題を踏まえて重点事項を定め、その中で監視指導を実施しております。
 また、今回の冷凍ギョーザ問題のような突発的な事態が発生した際には、食品監視機動班や保健所などが連携し、緊急的な監視体制を整え、迅速な検査により被害の拡大防止に努めております。
 平成二十年度は、最近の事件や都民の不安を踏まえ、農薬検査の拡充など輸入食品対策を強化するとともに、食品表示に関する重点的な監視を行ってまいります。
 今後とも、残留農薬の分析機能にすぐれた検査機器の整備を一層進めるなど、監視指導や検査体制を強化し、食品の安全確保と都民の不安解消に努めてまいります。
 次に、食品の原料原産地表示についてでありますが、このような表示は、消費者にとってわかりやすいものであることが重要であります。
 都では、現在、原料原産地表示のあり方について、関係各局による食品安全対策推進調整会議におきまして検討を進めており、この中で都民にとってわかりやすい表示となるよう鋭意検討してまいります。
 次に、介護保険制度に関して、まず、介護現場の実情についてでありますが、近年、民間企業の求人が活発化する中で、介護の現場における人材の確保は厳しい状況にあると認識をしております。
 このため都は、昨年五月、国に対しまして、東京の介護保険事業が将来にわたって安定的に運営できるよう、介護報酬における人件費の割合や地域差に着目した介護報酬のあり方について提言を行いました。
 また、平成二十年度から、介護福祉士等修学資金の償還免除に必要な就労期間を七年から五年に短縮するほか、民間会社を活用した再就職の促進や、区市町村における有資格者の資質向上に向けた研修への支援を行ってまいります。
 今後とも、大都市にふさわしい介護報酬のあり方について国に提案要求を行うとともに、関係機関と連携した人材の育成確保策を展開してまいります。
 次に、介護現場の実態把握についてでありますが、都は、昨年十二月から本年二月まで、事業所の指定更新手続の機会をとらえ、約四千の介護サービス事業所の管理者等を対象に開催いたしました指定更新事業者研修会においてアンケートを実施いたしました。
 その結果、約三千名の事業者から、利用者の状況や経営状況などの率直な声をいただきました。
 今後は、このアンケートで明らかになったさまざまな問題点や課題について、より詳細に実態を調査することで、介護保険制度の円滑な運営に資するよう努めてまいります。
 次に、介護事業者の事務負担についてでありますが、ご指摘のありました書類作成業務などの負担軽減は、事業所の効率的な経営と介護サービス従事者の労働時間の短縮につながるものと考えます。
 現在、国において、事務負担の軽減について検討を行っており、書類作成の簡素化など、来年度から実施可能なものについて、順次取り組むと聞いております。
 都としても、今後、国の動向を踏まえ、迅速かつ適切に対応してまいります。
 次いで、介護サービスの情報の公表についてでありますが、本制度は、介護保険サービスの利用者が、より適切に事業者を選択できるよう、平成十八年四月の介護保険法の改正により導入されたものであります。
 ご指摘の事業者負担の軽減については、都は、これまでも国に対して、毎年行うこととされております事業者への実地調査について、調査周期や確認方法のあり方などを改善するよう提案をしております。
 さらに、事業者が負担いたします公表や調査に要する手数料につきましては、制度導入後二年を経過することから、その運用実態を踏まえ、適切に見直しをしてまいります。
 次に、がん対策に関して、まず、がん登録に関する検討組織についてであります。
 がん登録は、個々の患者の診断、治療及びその結果等に関するデータを収集し、統計的に分析、評価するものでありまして、がん罹患率の把握や治療結果の検証等により、予防対策の充実や医療水準の向上に資するものでございます。
 平成二十年度から、がん診療連携拠点病院と東京都認定がん診療病院において院内がん登録を開始いたしますが、都全域を対象とした地域がん登録の実施に向けましては、協力する医療機関の拡大、患者の生存状況を調査する仕組みづくり、さらには都民の理解などの課題があります。
 このため、医療機関や学識経験者などから成る検討組織を新たに設け、こうした課題について検討し、地域がん登録の実施に向けて、計画的かつ着実に取り組んでまいります。
 最後に、緩和ケアの推進についてであります。
 がん患者やその家族が抱える身体的、精神的な苦痛を軽減し、患者の生活の質を向上させていくためには、治療の初期段階から切れ目なく緩和ケアを提供していくことが重要でございます。
 都では、平成二十年四月から、拠点病院と認定病院を合わせまして二十四カ所に、医師、看護師や患者の精神面のケアを行う医療心理職等で構成いたします緩和ケアチームを設置し、治療の早期から緩和ケアを提供してまいります。
 さらに、五年間のがん対策推進計画期間内に、がん診療に携わる都内すべての医師が緩和ケアに関する知識を習得できるよう、拠点病院において研修を実施してまいります。
  〔病院経営本部長秋山俊行君登壇〕

○病院経営本部長(秋山俊行君) 都立病院における放射線治療についてでありますが、都では、現在の駒込病院を全面改修いたしまして、仮称ではございますけれども、がん・感染症医療センターとして、平成二十三年度の全面供用開始に向けた整備を進めているところでございます。
 整備に当たりましては、手術室や化学療法のための外来治療センターの拡充を図りますとともに、がん細胞に対し、効果的に放射線を集中照射できる最新鋭の放射線治療機器などを導入する予定でございます。
 ご指摘のとおり、がん治療におきましては、手術や化学療法に加え、放射線治療を充実させることがより高い治療効果につながるものと認識しておりまして、こうした治療方法を効果的に組み合わせます、いわゆる集学的治療を行い、今後とも都民の皆様に高度で専門性の高いがん医療を提供してまいります。

〇副議長(石井義修君) 八十二番松村友昭君。
  〔八十二番松村友昭君登壇〕
  〔副議長退席、議長着席〕

○八十二番(松村友昭君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 来年度予算で都税収入が過去最高を記録する一方、雇用の破壊、増税と負担増、物価の高騰で、都民の暮らしは本当に厳しさを増しています。都政にとって、都民の暮らしを守るために何をやるかが今ほど問われているときはありません。
 中でも全国的に問題となっている貧困と格差の是正は重要です。世界の都市でも、今、社会的孤立と結びついた貧困を打開するため、真剣な取り組みを進めています。
 ところが、石原知事が発表した「十年後の東京」に向けた実行プログラムでは、二十一世紀の都市モデルをつくるといいながら、貧困の打開策は全く位置づけがありません。
 都民税減税の公約は投げ捨てられました。そのかわりだといって来年度予算に盛り込んだ低所得者生活安定化プログラムは、三カ年の期限つき事業である上、中身も規模も極めて不十分なものです。そればかりか、知事は、都民の暮らしに追い打ちをかける消費税引き上げを政府に提言しています。とんでもない話です。
 そもそも格差や貧困の存在は否定しないが、一部の問題にすぎないという知事の認識が大きな間違いです。若者の三人に一人が非正規雇用で、多くは月収十万円台。企業の都合のいい非人間的な働き方を強いられ、働き過ぎとストレスで体はぼろぼろ、これでは生きていけない、こういう声が渦巻いています。
 勤労世帯も、所得の低い階層の収入が大きく落ち込み、生活保護基準を下回る世帯が急増しています。
 都内高齢者の老齢基礎年金の受給額は全国平均以下で、月五万三千円にすぎません。高齢者世帯の三割は年収二百万円未満です。我が党は聞き取り調査を行いましたが、買い物を控え、食費を削る、外出は控えるなど、涙ぐましい生活実態が浮き彫りになっています。
 知事、若者や勤労世帯から高齢者まで、多くの人が月収十万円未満から十数万円で暮らしている実態を調べた上で発言しているのですか。一部の問題にすぎないというなら、その根拠を明らかにしてください。
 深刻な貧困が広がっているときに、東京から貧困をなくす課題に緊急に取り組む必要があります。この問題を都政でどう位置づけて取り組むのか、知事の答弁を求めます。
 石原知事は老人福祉手当やマル福などの経済給付的事業の切り捨てを強行し、所得の少ない人に追い打ちをかけてきた責任は重大です。ヨーロッパなどでは、公的扶助と社会保険制度に加え、無拠出、かつ所得調査を大幅に緩和した社会手当を社会保障の重要な柱としています。
 知事が国に物をいうなら、消費税増税ではなく、庶民減税こそ提言すべきです。また、現時点に立って、東京都が改めて経済給付の充実と所得の再配分の強化に踏み出すことが求められています。知事、答えてください。
 以下、貧困の打開と生活応援の具体策について提案します。
 第一は、民間賃貸住宅に住む世帯への家賃助成です。
 都内二千人、全国で二万人の高齢者の生活実態調査を分析した専修大学の唐鎌直義教授は、生活保護の住宅扶助とは別に、低所得層を対象とした家賃助成を設けることが社会保障の大きな課題だと強調しています。
 住宅家賃が全国平均の二倍に及ぶ東京では、若者から高齢者まで、家賃負担の軽減は貧困を打開するかなめというべき課題です。月収十万円の非正規雇用の若者が東京でアパートを借りると、五万円くらいしか残りません。その中から国民年金保険料や国保料を払い、食べていくことがどれほど難しいか。国民年金だけの高齢者はさらに厳しい現状に置かれています。
 知事、収入の少ない世帯にとって、民間住宅の家賃が重い負担になっていることをどう認識していますか。
 イギリス、フランスなどヨーロッパの多くの国々で、社会保障の大事な施策として住宅手当が実施されています。収入の少ない世帯に対する民間住宅の家賃助成に、東京都が全国に先駆けて踏み出すことを提案するものです。答弁を求めます。
 第二に、若者の雇用対策です。
 国会での我が党の追及で、福田首相も、若者の雇用で広がっている日雇い派遣は決して好ましいものではないと認め、派遣はあくまで臨時的、一時的な制度という位置づけに変わりはないと答弁しました。
 知事、日雇い派遣について、どのように認識していますか。都として、日雇い派遣の実態調査を実施することを提案するものですが、どうですか。
 最低賃金を時給千円以上とする東京ルールをつくり、経済団体などに協力を求めるとともに、都の公契約では時給千円以上を条件とすることが重要です。都で働く派遣や非常勤などの職員が増加しています。これらの非正規雇用職員の正職員化や待遇改善に取り組むべきです。
 来年度実施予定の低所得者生活安定化プログラムを改善し、貸し付けの返済猶予期間の延長や職業訓練受講奨励手当の対象を拡大するとともに、職業訓練の定員や科目を大幅にふやすなどの拡充が必要です。それぞれ答弁を求めます。
 第三に、出産や子育てに特別のお金がかからないようにすることです。
 知事は施政方針で、社会全体で子育てを応援するといいました。知事が公約した中学三年生までの医療費無料化を直ちに実施すべきです。
 ところが驚いたことに、来年度予算はもちろん、二〇一〇年度までの三カ年計画である「十年後の東京」への実行プログラムでも全く言及されていません。中学三年生までの医療費無料化は、二十三区は全区で実施となり、多摩格差がまたしても深刻な問題になっています。都として踏み出すことが急務です。
 知事、実行プログラムの三年間に具体化するつもりはないということですか。都民税減税の公約撤回に続いて、子ども医療費無料化の公約を投げ捨てるのですか。そうではないというなら、いつまでに実施するのか、明確に答えていただきたい。
 妊婦健診無料化に向けた都の財政支援も急がれます。
 厚生労働省の通知で、母体や胎児の健康確保を図る上で、妊婦健康診査の重要性、必要性が一層高まっている、公費負担についても、十四回程度行われることが望ましいと明記されたことを受けて、二十区が十四回までの無料化に踏み出しました。ここでも多摩格差が問題になっています。
 東京都は、妊婦健診は市町村事業だから補助はしないといいますが、既に秋田県や福井県など全国八県で市町村への補助を実施しています。妊婦健診を受けないまま出産を迎えて来院する飛び込み出産といわれる事態が広がっており、その背景に経済的困難があることが指摘されています。東京都が市町村に一円も出さないという道理はありません。
 知事、厚生労働省でさえ認めた妊婦健診の重要性をどう認識していますか。社会全体で子育てを応援するというなら、東京全体で妊婦健診は十四回まで無料化できるよう、都として財政支援に踏み出すことが必要です。答弁を求めます。
 第四に、高齢者への支援です。
 知事は、世界に先駆けた超高齢社会の都市モデルを創造するとしています。それなら、今大問題となっている後期高齢者医療制度を中止させないでどうするのですか。
 今、保険料が四月以降、年金から天引きになるという通知が高齢者世帯に送付され、なぜ天引きするのか、納得いかないなど、驚きと怒りの声が役所に殺到しています。今後、三月末に保険証が送付され、四月初めに保険料が通知され、多くの区市町村では四月十五日支給の年金から天引きされます。このまま実施されたなら、高齢者の怒りはますます広がることは明らかです。
 七十五歳という年齢で差別を持ち込み、後期高齢者などというレッテルを張って他の健康保険制度から追い出し、保険料の負担増を強いるばかりか、年金から容赦なく天引きする。滞納者は保険証を取り上げる。診療報酬を別立てにして、医療内容にまで差別を持ち込もうという、こんな世界に例のない高齢者いじめの制度は中止するよう政府に求めるべきです。知事の見解を伺います。
 東京における保険料は、区市町村の財政負担により、当初の見込みよりは抑えられましたが、なお現行の国保料より高く、さらなる対策が必要です。政府があくまで実施を強行するなら、都として低所得者の保険料軽減に向けた財政支援に踏み出す必要があると考えますが、答弁を求めます。
 特別養護老人ホームや老人保健施設、療養病床など介護施設の整備率も、認知症グループホームや小規模多機能型施設の整備率も、東京都は全国で最低水準です。ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみ世帯が多い東京において、このおくれは深刻な問題であり、整備促進と質の充実を強力に推進する必要があると思います。見解を伺います。
 第五に、原油高騰への支援です。
 我が党が実施した高齢者の生活実態調査で、生活が苦しくなったという回答が八割を超え、その理由として四割の人が灯油など物価上昇と答え、灯油は買わず、重ね着をして暖房費を節約している実態が浮かび上がりました。群馬県などが実施に踏み出した低所得世帯に対する灯油代助成を都として実施すべきです。
 また、障害者の作業所は、送迎などのガソリン代がかさむ上、紙代などの原材料費高騰の二重の困難に直面しています。緊急の支援が必要です。それぞれ答弁を求めます。
 以上、都民の切実な要望を私は提案してきましたが、これにこたえるべき財源は十分にあります。来年度の予算は、都税収入だけでも都政史上最高の五兆五千億円と見込まれ、一九九九年以来、三六%も伸びているのです。
 ところが、これだけ豊かな財源がありながら、都民のために使おうとしていません。都税収入が三六%も伸びているのに、福祉保健費の伸びはその半分にも満たないのです。教育費も、石原知事就任の一九九九年度と比べても九七%にとどまり、中小企業対策予算に至っては六割にまで減っています。
 福祉でいえば、高齢者の人口も三割もふえており、少子化対策の拡充も急がれています。教育は行き届いた教育のための少人数学級や教職員の増員、中小企業対策は制度融資や商工予算の拡充など、課題は山積みしています。これらの予算を一九九九年度水準に戻すだけでも、福祉保健費は一千三百億円、教育費は二百五十七億円、中小企業対策費は一千億円ふやすことができるのです。
 知事、これだけ豊かな財源があるのに、なぜ福祉保健費や教育、中小企業対策などの予算をふやすために使おうとしないのですか。
 その一方で、オリンピックや新銀行などの浪費には湯水のように都民の税金がつぎ込まれようとしているのです。この都政のあり方を変えなくて、都民の暮らし、福祉は守れません。
 まず第一に、来年度の投資的経費は七年ぶりに七千億円台に達し、経常費に含まれる投資予算を含めた投資型経費はバブル前の水準の二倍、一兆円を超えていることです。調布保谷線、環状二号線などの骨格幹線道路、さらには羽田空港への出資、貸し付け、多摩モノレールへの追加出資などへ大盤振る舞いをしていることによるものです。
 第二は、主にオリンピックやインフラ整備につぎ込むことを目的とした空前のため込みです。
 投資型のため込みだけで一兆六千億円、これに、これも主に石原都政が行った投資のための借金払いに使う減債基金を加えると、何と二兆九千億円という史上最高のため込みとなります。
 こうした石原知事の逆立ちした予算の提案によって、本来、都民のために使うべき予算が犠牲になっているのです。
 知事、オリンピックの名で何でもできると思ったら大間違いだ、新銀行へ四百億円を使うなら、都民のために使ってほしいという都民の切実な声をどう受けとめるのですか。見解を求めます。
 初めに、都政をゆがめる最大の問題である浪費型の東京オリンピック招致計画と、それを口実にしたとんでもない大型投資事業についてただします。
 一月十日に立候補申請ファイルが出されました。我が党は改めて調査、分析しましたが、いかにひどい浪費の計画かに驚いています。
 まず、競技施設建設費についてです。
 申請ファイルによれば、競技施設のうち、恒久施設は二千三百三十八億円とされています。しかしその数字には、晴海地区のメーンスタジアム用地の買い入れ費用を入れていません。また、晴海地区の避難経路の費用は入れながら、液状化対策や耐震護岸の費用は見込んでいません。我が党の試算によれば、メディアセンター、選手村を除いたオリンピック競技の恒久施設整備費は、こうした関連費用を含め、実は約七千五百億円もかかるのです。
 知事、こんなに競技施設にお金をかけるオリンピックだという認識はありますか。また、このことを都民にきちんと伝え、判断を仰ぐべきではありませんか。見解を求めます。
 大体、むだ遣いがひど過ぎます。都立のメーンスタジアムを一千二百十四億円もかけて晴海地区に建設する必要があるのでしょうか。年間維持管理費も百億円と試算されます。国立霞ヶ丘競技場と国体の会場に予定されている味の素スタジアムを入れれば、都内に三つもの大規模競技場が競合することになり、後利用も大変です。
 日本陸連の関係者は、今後とも、陸上競技の聖地として霞ヶ丘競技場を使用していく。日本陸連は、七万人ものスタジアムは要らない、スーパー陸上をやる場合でも四万人、巨大競技場は使用料が高くなるし、サッカーなどとバッティングすると、使いたいときに使えなくなると明確に語っています。
 私は、文科省に話を聞きました。霞ヶ丘国立競技場については、来年度に耐震診断を実施し、それに基づいて、陸上の国際大会基準に合わせてトラックを九レーンにする改修などを行う予定といっています。また、オリンピックのメーンスタジアムも、世界陸上を開催したときのように、サブトラックを仮設で近隣につくれば、オリンピックも可能といっています。
 メーンスタジアムを国立霞ヶ丘競技場にすれば、都民の税金は一円も使わずに済むではありませんか。なぜ国と協議しないのですか。知事の見解を求めます。
 仮に、晴海地区にメーンスタジアムをつくる場合でも、恒久施設にする必要はありません。日本陸連関係者は、陸上のトラックだけつくるのは数億円でできるが、スタンドの構築物で何百億円かかる。オリンピックのときは仮設でやることもできると話しています。仮設にすれば、土地代も含め、二千八百億円くらいのむだ遣いをなくすことはできるのです。極力経費を抑えることこそ、オリンピック精神にこたえることではありませんか。知事、お答えください。
 バレーボール会場は、代々木公園B地区に百四十五億円かけ、新設アリーナを建設する計画に変更しました。バレーボールは、もともと駒沢オリンピック公園総合運動場に一万人規模の恒久施設を二つつくることで競技団体とも合意していたものです。
 変更理由は、競技場を半径八キロの円内におさめ、クラスターを形成すれば、IOCからの高い評価を得られるということです。しかし一方で、IOCはオリンピックの遺産、レガシーを重視しています。駒沢オリンピック公園総合運動場こそ、一九六四年東京オリンピックのバレーボール会場であり、オリンピックのレガシーそのものです。バレーボール関係者も、輸送手段さえあれば駒沢が一番よいとの考え方を示しています。
 しかも、駒沢総合運動場はもともと大規模改修が必要になっているのですから、駒沢を利用してこそ、経費面でも安上がりになることは明らかです。なぜ駒沢オリンピック総合運動場を活用して、経費の節約を図ろうとしないのですか。見解を求めます。
 この二つの点で節約するだけでも、三千億円近く安上がりになるのです。
 招致活動経費も雪だるま式に限りなく膨れ上がっています。IOC申請ファイルでは五十五億円としながら、招致経費とは別枠でムーブメント経費として九十五億円を計上し、既に当初の三倍近い百五十億円の招致活動経費となっています。申請ファイルには、招致に必要な経費は、民間資金及び東京都の資金提供により賄うとしていますが、民間資金が幾ら集まったかも明らかにできないありさまであり、都民の税金を注ぎ込む一方ではありませんか。
 知事、金に物をいわせる招致活動はIOCの倫理規定で戒められています。この認識はあるのですか。見解を求めます。
 インフラ整備費については、申請ファイルで、環状五号線の改良工事費など既存インフラ整備費で一千億円、圏央道、首都高中央環状品川線など、計画中のインフラ整備費が九千五百八十億円で、合計一兆五百八十億円としており、これだけでも莫大な費用がかかります。
 しかも、追加のインフラについては該当なしと回答していますが、とんでもありません。石原知事がオリンピック招致と一体となって都政の最優先課題とし、二〇〇九年度にも事業着手することを国に強く要求している外かく環状道路が抜けています。事業費は、基本計画路線になった途端、一兆六千億円と二千五百億円もはね上がり、その上、都民の税金六千億円が直接使われる外環ノ2も実施が検討されています。
 また、我が党が第四回定例会で、石原知事が言及している羽田─築地間のトンネル道路や、横田基地と都心を結ぶ高速道路多摩新宿線建設の意思をただしたのに対し、研究している、検討を進めると答弁しています。さらに、石原知事が国との密室取引によってメーンスタジアムへの地下鉄の延伸も浮上させました。
 こうしたものを含めれば、インフラ整備費だけでも、我が党の試算によれば、七兆五千億円を超える巨額な事業費がかかるのです。オリンピックの名でこのようなむだ遣いを強行するならば、税金を大手ゼネコンの食い物にするとの都民の批判は免れません。
 知事、二〇〇三年に確認されたIOC指針は、巨大化傾向を抑え、さまざまな国や都市のオリンピック開催への意欲をくじかないようにするとしています。知事の進めようとしているオリンピックは、この精神に反するではありませんか。少なくとも知事の思いつきの羽田─築地間のトンネル道路や高速道路多摩新宿線の建設はやらないときっぱりいうべきではありませんか。
 巨額の建設費となり、住民や関係自治体の批判が強い外環道路の建設も、根本から見直すべきではありませんか。それぞれ知事の答弁を求めます。
 もう一つのむだ遣いで、今議会の焦点になっているのが、新銀行東京への四百億円の追加出資です。
 私はこの間、たくさんの都民、とりわけ中小業者の方から、都民の暮らしや営業をそっちのけにして、乱脈経営のツケ払いに四百億円も税金投入するのは何事か、やるべきことはほかにたくさんあるのではないかと、訴えや怒りの声をぶつけられています。マスコミ各紙も一斉に社説で取り上げ、石原銀行、幕を閉じるときだなど、破綻処理を求める見解を出しています。
 ところが知事は、こうした声に真摯に耳を傾けるのではなく、債務超過で店じまいしたらもっと大変なことになるなどといって開き直っています。しかし、知事がどういい繕おうと、追加出資がいかに道理のないものであり、都民の貴重な税金をどぶに捨てるものとなるかは、隠しようがありません。
 第一の問題は、再建の見通しもないのに経営を続け、傷口を広げることです。今回の追加出資は、新銀行の経営陣が民間に増資を要請して回ったが、軒並み断られ、万策尽きての決定ではありませんか。また、再建計画は四年後に八億円の黒字にするとしていますが、営業店舗を本店以外はすべて閉鎖し、社員も四分の一にリストラして、まともな営業活動ができるはずがないではありませんか。仮に黒字化できたとしても、一千億円もの累積損失を解消するには百年もの時間がかかります。
 再建計画そのものも信用できません。知事、専門家が今度の計画をどう見ているか知っていますか。
 まず、新銀行が発表した再建計画は、公的資金が投入される際に銀行が策定し、金融庁に提出する経営健全化計画と比較して、基本的な情報が開示されていないため、計画の信憑性は判断できないといっています。その上、経営再建には業務損益を黒字にすることが必要だが、昨年九月の中間期決算では、すべての指標が他の銀行より劣っており、黒字化の見通しも再建計画から見えてこないといっているのです。
 知事、こんなずさんな再建計画を前提とした追加出資は撤回すべきです。どうですか。
 今の時期には、三月期決算の見通しは立っているはずです。当然、今回の措置もそれを踏まえたものと考えるのが妥当です。したがって、追加出資を云々する前に、三月期決算の見通し、とりわけ不良債権の状況と処理について情報を公開すべきです。その上で、金融庁の厳密な検査と指導を要請し、第三者機関を設置して対応すべきではありませんか。知事の答弁を求めます。
 知事は、根拠も示さず、店じまいをしたら一千億円以上の資金が必要となるといっています。また、四百億円の追加出資の提案に当たって、その根拠すら示していません。こんな無責任なことはないではありませんか。それぞれ根拠を具体的に示してください。
 第二の問題は、もともと新銀行東京は、中小企業のための銀行という存立目的から大きく外れたものであり、ここへの出資の意義がないことです。
 日本共産党は、設立当初から、中小企業に役立たないことを明らかにして反対してきましたが、実際、新銀行は、本当に資金繰りに困っている小零細企業には、フランス料理店でラーメンを注文するようなものなどといって貸さず、市中金利の三倍もの一〇%などという法外な利息を押しつけてきたのです。しかも、追加出資に当たって出された再建計画は、融資目標を当初計画のわずか一五%、七百億円に引き下げ、かつその運用も東京都の公共事業にシフトするというものです。
 マスコミ各紙は、自治体が納税者にしわ寄せしてまで銀行経営する意義はもはや見当たらないなどと厳しく批判しています。知事、都民やマスコミの批判をどう受けとめているのですか、見解を求めます。
 中小企業のためというのであれば、資金繰りに苦しむ業者のための借りかえ融資や超低利の無担保無保証人融資などの制度融資を拡充すればよいのです。新・元気を出せ商店街事業や工業活性化事業などの予算をふやす方がはるかに役に立ちます。答弁を求めます。
 第三の問題は、知事が、破綻の責任について、旧経営陣に挙げて責任を押しつけていることです。本当に無責任です。新銀行の破綻の一番の原因は、知事と側近でつくった制度設計がでたらめで、欠陥計画であったことではありませんか。
 例えば、都議会に報告されたマスタープランでは、融資の返済が滞った場合に備える個別引当金が全く計算されていず、金融専門家から机上のプランと指摘されていました。
 そもそもこの制度設計は、金融ビジネスに関係のない東京税務協会に委託され、石原知事と当時の大塚出納長による密室協議で策定されたもので、金融部門を担当する産業労働局は蚊帳の外に置かれていたのです。いわば素人が思いつきで始めたいいかげんな計画でスタートさせたことこそ、最大の原因です。旧経営陣は、この計画の上で走らなければならなかったのではありませんか。知事の責任は明確であり、人のせいにするのはやめるべきです。
 また、旧経営陣に問題があったとしても、東京都は開業以来、幹部職員を派遣しており、情報は掌握できていたはずです。何よりも最大株主として、投資した税金を保全することを怠った責任は免れません。
 知事、あなたが元凶です。都民は、知事と大塚元副知事は、私財をなげうってでも責任をとるべきといっているのです。この声にどう答えるのですか。それぞれ知事の明確な答弁を求めます。
 都政の主人公は都民であり、知事個人のものではありません。日本共産党は、知事が都政を私物化し、都民の税金をどぶに捨てることは断じて許されないことを厳しく申し上げておくものです。
 最後に、二十一世紀に解決すべき地球温暖化問題です。
 知事は、「十年後の東京」で、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現することを掲げました。これは、氷河の溶解や集中豪雨を初めとする異常気象など、地球環境が危機にさらされているもとで、当然のことです。
 問題は、知事の対策が、地球温暖化を食いとめ、持続可能な社会を実現するのにふさわしい目標と内容となっているかどうかです。
 そこで、何点か伺います。
 まず、基本姿勢についてです。
 世界の流れは、バックキャスト、すなわち環境負荷の少ない、人と自然が共生できる持続可能な社会像を設定し、そこに到達するための目標と道筋を示すことによって、現在に生きる世代がしなければならないことを見定めるという方向です。
 しかし、石原知事のスタンスは全く違って、現在できる範囲のことを積み上げて目標にするというものです。これでは温暖化阻止にはほど遠いといわざるを得ません。
 それは、東京都が二酸化炭素の削減計画について基準年を京都議定書の目標から十年先に延ばしたことに示されています。これは目標年である二〇一〇年までに六%削減目標を達成するのをあきらめたものです。
 気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCの第四次報告が、削減対策がおくれた場合、取り返しのつかないことになることを指摘していることから見ても大問題です。報告は、五年おくれでさえ大きな違いが生まれ、二十年おくれた場合には、最大で七倍のスピードでの削減を行う必要に迫られることを警告しているのです。
 一方、バックキャスト方式を採用しているロンドン市は、既に二酸化炭素を一・八%削減しています。それにとどまらずに、二〇二五年までに六〇%削減するよう計画を見直し、取り組みを強力に進めています。
 また、ロンドン市は、ニューヨーク市と気候変動保護協定を結び、世界全体の排出量を二〇五〇年までに一九九〇年比で六割減らすための拘束力のある国際協定を呼びかけています。東京都とは大違いではありませんか。
 知事、世界で最も環境負荷の少ない都市を目指すというなら、計画を先送りするのではなく、二酸化炭素について二〇一〇年までに六%削減を達成するために全力を尽くすことが必要です。
 さらに、ロンドンなど先進都市、国家に学んで、二〇二五年までに少なくとも六割削減することを目標にすべきではありませんか。それぞれ知事の見解を伺います。
 これは無理なことではありません。ロンドンでは、目標達成のために、二酸化炭素の排出の大半を占める自動車交通と大規模発電所の電力を抑制する取り組みを進めています。自動車交通では、都心部への自動車の流入を抑制するために、国の炭素税とあわせてロードプライシング、渋滞税を導入して効果を上げています。ロンドン市は、公共交通にシフトした市民に地下鉄運賃の三分の一程度を割引するシステムを導入し、また、路線バスの増便と割引などを制度化しています。
 電気自動車の普及にも力を入れており、渋滞税の免除や駐車場料金の一部無料化、都心部での無料の充電スタンドの設置などを行っています。こうした取り組みで削減できた二酸化炭素は二割にも及んでいます。
 東京都はどうでしょうか。石原知事は、都市再生で超高層ビルを林立させることで、都心部の自動車交通を十万台もふやそうとしています。三環状道路などを建設することで自動車依存型を一層激しくし、二酸化炭素をふやし続けています。
 知事が公約していたロードプライシングはどうなったのですか。自動車交通にメスを入れなければ、低炭素都市も絵にかいたもちにすぎません。答弁を求めます。
 東京都が力を入れなければならない独自の問題がオフィスのビルの対策です。
 石原知事の都市再生の推進で超高層ビルが乱立したため、業務部門から発生する二酸化炭素が三三%も増加し、東京都における排出量の二一%を占めているのです。しかも、都内事業所の一%にも満たない大規模事業所が業務・産業部門の排出量の四割を占めています。事業所に排出抑制を義務化させることや環境性能を向上させることは当然ですが、同時に、ビル開発そのものを抑制しなければ総量を減らすことはできないのに、石原都政のもとで、ビルの床面積は百三十ヘクタール、サッカー場にして二千面に近くにふえ、環境に大きな負荷を与えているのです。ロンドンでは超高層ビルの建設は限られた地域に抑えられているのとは大違いです。
 環境負荷の大きい超高層ビルを中心としたビル開発を総量抑制の立場から抑制すること、環境アセスの対象に二酸化炭素の発生を加えることが必要ではありませんか。また、ビルの利用によって二酸化炭素がふえるだけではなく、ビル建設に伴って使用される資材の製造や、建てかえによって発生する廃棄物が二酸化炭素を増加させていることが新たな問題となっています。
 スクラップ・アンド・ビルドではなく、修復型都市づくりへの転換を進めるとともに、ビル建築時の資材や建設廃材と建設残土の発生を抑制することは、低炭素都市づくりにとって不可欠と考えますが、それぞれ答弁を求めます。
 温暖化対策で欠かせない緑の問題についていえば、東京ではこの四半世紀の間に、緑をふやすどころか、山手線内の面積に匹敵する延べ二万二百五十ヘクタールの緑が失われています。しかも、今後、八十ヘクタールの稲城市南山開発を初め、七十ヘクタールの八王子市川口の物流拠点用地などの緑地、八十七ヘクタールの青梅インターチェンジ周辺地域、五十五ヘクタールの武蔵村山の多摩開墾、十九ヘクタールの三鷹市の外環道のジャンクション建設予定地の農地など、開発の危機にさらされている緑地や農地は、わかっているだけで三百ヘクタール近くに及んでいるのです。
 かつて東京都には、東京緑の倍増計画やみどりのフィンガープランなどの緑の計画があり、既成市街地の樹木を倍増して二億本にすることや、都市公園を二倍の都民一人当たり六平方メートルに倍加すること、多摩の丘陵の緑を保全することなどが目標に掲げられていたのです。
 知事、都市開発による緑破壊を防止し、二つの計画を復活させるなど、環境との共生に力を尽くすべきではありませんか。
 答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 松村友昭議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、低所得者についての認識でありますが、先ほどの質問でも具体的に数字を挙げておりましたけれども、所得の低い世帯がふえているのは高齢化の進展によるものという指摘もあります。
 また、さまざまな調査を見ても、低所得の方々の中には、世帯主以外にも収入のある方や一定の資産を有する方も含まれております。したがって、低所得者すべてが直ちに生活に困窮しているとまではいえない、そういう趣旨で申し上げました。
 格差や貧困の存在を決して否定する立場ではありませんが、それが日本全体に充満しているかのような意見にはくみするものではありません。
 次いで、低所得者への支援についてでありますが、懸命に努力しているにもかかわらず低所得の状態から抜け出せずに不安定な生活を余儀なくされている一人一人が、意欲と能力に応じて活躍し、将来に向かって明るい展望を持てる社会を実現することは極めて重要であります。
 こうした考えのもとに、共産党の指摘をまつまでもなく、低所得者層への支援についても、「十年後の東京」実行プログラムの中で緊急総合対策として位置づけておりまして、さまざまな施策を着実に推進してまいります。
 次いで、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、既にお答えしましたとおり、実現に向けて準備を進めております。しかし、所得制限については当然設けます。
 次いで、予算についてでありますが、平成二十年度予算においては、ご指摘をまつまでもなく、福祉、教育、中小企業対策はもとより、環境や治安対策、インフラ整備など、都民が直面する諸課題にはしかるべく財源を投入し、必要な施策を実施すべく手当てをしております。
 なお、お話を伺っておりますと、税収がふえたから使ってしまえとの主張でございますが、そうした安易な態度は、私の財政運営の考え方とは全く相入れないものであります。
 次いで、オリンピック競技会場の整備費についてでありますが、競技施設は可能な限り既存の施設を活用することとし、大会後も都民のスポーツ、文化の拠点として残すことが望ましい場合に、新たに恒久施設として建設をいたします。
 これにより、全三十一会場のうち二十一会場は既存の施設を使い、新たな恒久施設の建設は、オリンピックスタジアムを初め五会場といたしました。
 共産党が試算した数字の根拠は不明でありますが、施設の整備費全体については、昨年十一月に発表した開催基本計画において、恒久施設整備費が二千四百六億円、仮設施設整備費が八百四十三億円であることを既に都民に対しても明らかにしております。
 次いで、オリンピックスタジアムと既存の国立霞ヶ丘競技場についてでありますが、現在、国立霞ヶ丘競技場があります神宮では、IOCが求める十万人規模のスタジアムや補助競技場の建設用地は確保できません。そのために、立地条件にすぐれている晴海に国立のスタジアムと補助競技場をつくるよう繰り返し求めてきましたが、国は新たに建設することは難しいとの立場でありました。
 こうした経緯から、都は、開催都市の責任を果たすために晴海に都立施設としての整備をすることとしました。国に対しては、もちろん整備費について引き続き負担を求めてまいります。
 次いで、オリンピックにかかわるインフラ整備についてでありますが、これまで再三答弁してきましたように、三環状道路を初めとする都市インフラの整備は、オリンピック開催の有無にかかわらず、オリンピック開催の有無にかかわらず、東京の機能をさらに向上させるために必要な将来への投資であります。
 また、競技施設の整備についても、既存施設の活用などにより経費を極力抑制しております。
 申請ファイルも、こうした考え方に立って作成しまして提出したものであります。IOCの理念と軌を一にするものであります。
 次いで、新銀行東京への追加出資の撤回についてでありますが、新銀行東京の再建計画は、これまでの三年間で蓄積してきた営業ノウハウや反省点を踏まえ、抜本的な執行体制の見直しのもと、着実に収益を見込める事業への重点化を柱に策定されたものでありまして、都としては、この再建計画によって、中小企業支援の継続という都の施策に沿った取り組みが確実に実施されるものと考えております。
 このような考え方に立って、今回、追加出資を提案したものであります。撤回するつもりはございません。
 次いで、追加出資の意義についてでありますが、新銀行東京自体の経営努力とあわせ、追加出資を行うことで、銀行の経営の安定化が図られ、新銀行設立の趣旨である、高い事業意欲がありながら資金繰りに窮している中小企業への支援を継続していくことが可能となります。
 追加出資は、都民の方々の負担を考えたとき、限られた今後の選択肢の中ではこれしかないものでありまして、必ずやご理解をいただけるものと考えております。
 新銀行東京の経営計画についてでありますが、新銀行マスタープランは、金融の専門家のほか、旧経営陣も多数参画して策定したものでありまして、素人の思いつきで策定したものでもなければ、都が一方的に策定したものを旧経営陣に押しつけたものでもありません。
 実際、開業後、旧経営陣は、このマスタープランの経営理念を踏まえ、みずからの経営判断で中期経営目標や事業計画を策定をしており、これに基づき銀行の事業運営が行われてきました。ご指摘は当たりません。
 次いで、私の責任についてでありますが、経済・産業の担い手として懸命な努力を続けている中小企業に円滑な資金供給がなされなければならないという使命感から、銀行は設立いたしました。
 新銀行東京は、これまで既存の金融機関では支援が難しい、赤字や債務超過に陥っている中小企業に対しても支援を行うなど、中小企業を支える銀行として独自の役割を果たしてまいりました。
 新銀行東京は、これまでも一万七千社に対して支援を行い、そのうち九千社の業績を回復させ、今でも一万三千社の中小企業を支援しております。
 一方で、計画を上回るデフォルトが発生し、不良債権処理費用が増加したことなどから、厳しい経営状態に陥っております。
 事ここに至り、追加出資をお願いいたしましたが、この方法は、都民の方々の不安を考えるとき、限られた選択肢の中でこれしかないものと思っております。
 繰り返しになりますが、新銀行東京は、中小企業を中心に既に一万三千もの事業者を支援しておりまして、再建をあきらめることは彼らを見放すことになります。困難な道でも、ここで投げ出すわけにはいきません。是が非でも立て直し、都民のお役に立つ銀行とするのが私の最大の責任と思っております。
 次いで、温暖化ガスの削減についてでありますが、今世紀半ばまでに温暖化ガスを世界全体で半減する必要があるという考え方は、昨年のサミット以降の国際社会における共通認識であります。
 都は、一昨年末、こうした考え方を先取りし、二〇二〇年までに二五%の温暖化ガス削減をする目標を掲げまして、カーボンマイナス東京十年プロジェクトに盛り込んださまざまな施策を全庁一丸となって展開しております。
 なお、二五%の削減目標は、将来あるべき姿を想定し、今から何をすべきかを考えて設定したものでありまして、お話のように、できる範囲のことを積み上げた目標という指摘は全く当たりません。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
  〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 税制のあり方についてでございますが、少子高齢化の進展などの社会経済情勢の構造変化の中で、社会保障費を含めた国民負担の増加が不可避の状況となっており、我が国の税制は抜本的な見直しが求められております。
 今後の国民負担のあり方につきましては、消費税の見直しも含め、広く国民的な議論を重ねることが重要であると認識しております。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 九つの点にお答えをいたします。
 まず、低所得者に対する経済給付などについてでありますが、所得保障は、社会経済状況を踏まえ、基本的に国の責任で対応すべきものであり、都として実施する考えはございません。
 次に、低所得者に対する新たな貸付制度についてでありますが、現在、具体的な内容について検討を行っているところであります。この制度は、生活向上への意欲がある方に対し、生活資金等の貸し付けにより、安定した生活及び就労の促進を図るものであり、基本的に長期の据置期間を設定する考えはございません。
 次に、妊婦健康診査についてでありますが、妊婦健康診査は、妊娠中の定期的な健康管理により、安全な出産や母と子の健康を支えるだけでなく、子育て相談等の支援に結びつけるきっかけになると認識をしてございます。
 国においても、今年度、区市町村が行う妊婦健康診査の公費負担について、財源措置を拡充し、健康な妊娠、出産を迎える上で最低限必要な五回相当分としたところでございます。
 次に、妊婦健康診査に対する都の財政支援についてでありますが、ただいま申し上げたとおり、妊婦健康診査の公費負担について、国は、実施主体である区市町村に対し、既に必要な財源措置を講じていることから、都として新たな財政支援を行う考えはございません。
 次に、後期高齢者医療制度についてでありますが、この制度は、疾病リスクの高い高齢者を社会全体で支える仕組みであると認識しており、国に対し制度の中止を求める考えはございません。
 次に、後期高齢者医療制度の保険料軽減についてでありますが、都は、保険料の法定軽減分の負担など、国や区市町村とともに応分の役割と負担を担うこととしております。さらなる保険料軽減について、都として財政支援を実施する考えはございません。
 介護施設の整備についてであります。
 都は、介護保険の保険者である区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づき、計画的な基盤整備に努めております。引き続き、多様な手法を活用しながら、介護基盤の整備に努めてまいります。
 次に、低所得世帯に対する灯油代助成についてでありますが、物価上昇などへの対応も含めて、低所得者に対する生活保障は、基本的に国の判断と責任によって実施されるものと認識をしておりまして、都として独自に実施する考えはございません。
 次に、障害者の作業所への支援についてでありますが、障害者自立支援法の円滑な定着を図るための国の特別対策を受け、都では、平成十九年二月に東京都障害者自立支援対策臨時特例基金を設置し、事業者のコスト増対策などを実施をしております。その一つとして、原油価格の高騰に対応するため、平成十八年度、入所及び通所施設へ特別助成を行いました。今年度も引き続き特別助成を実施することとしております。
  〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、民間住宅の家賃についてでございますが、都内の民間住宅の家賃は、最近の十年間を見ますと横ばいで推移してございます。また、最低居住水準未満の世帯数の割合につきましては、大幅に改善をしております。
 今後とも、住宅に困窮する都民に対しましては、居住の安定を確保するため、都営住宅などの公共住宅のストックを有効に活用するとともに、民間住宅も含めた重層的なセーフティーネット機能の構築に取り組んでまいります。
 次に、民間住宅の家賃助成についてでございますが、家賃助成は、生活保護制度との関係や財政負担のあり方など、多くの課題があることから、都として実施することは考えておりません。
 次に、羽田―築地間のトンネル道路でございますが、羽田空港アクセスの向上は重要な課題でございます。お尋ねの道路につきましては、研究してまいります。
 また、多摩新宿線につきましては、これまでの調査におきまして、整備の必要性は高いものの、事業主体や採算性が課題とされておりまして、引き続き長期的な視点で検討を進めてまいります。
 次に、外環でございますが、外環は、首都圏の人と物の流れを円滑化するとともに、首都東京の国際競争力を高め、快適で利便性の高い都市を実現する上で必要不可欠な道路でございます。今後も国に対し、平成二十一年度に事業着手するよう、あらゆる機会をとらえて強く働きかけてまいります。
 最後でございますが、都市づくりにおきます建設廃材等の発生抑制についてでございますが、都はこれまでも、東京都建設リサイクル推進計画などに基づきまして、建築物等の長期使用とともに、コンクリート塊などの建設廃棄物を現場内で再利用することや、建設発生土の少ない工法を採用するなどして、積極的に発生抑制に取り組んでまいりました。いうまでもございませんが、これらの施策は低炭素型都市づくりに大きく寄与するものであると考えております。
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 十点のご質問にお答えをいたします。
 まず、日雇い派遣についてでございますが、働き方の選択は個人の問題であると考えております。雇用形態が多様化している中、日雇い派遣も一つの働き方でありますが、より安定した就業を希望する方々に対しましては、都は既に、しごとセンターなどできめ細かな就業支援を実施しております。さらに、来年度からは、低所得の方々を対象とした緊急対策におきまして、職業能力開発も含め、支援を実施してまいります。
 次に、日雇い派遣の実態調査についてでありますが、都では昭和六十二年以降、継続して派遣労働に関する実態調査を実施しております。また、国におきましては昨年、東京都と大阪府における日雇い派遣労働者の実態に関する調査を実施をし、就業日数、賃金、希望する就業形態等につきまして調査結果を明らかにしております。
 次に、最低賃金についてでありますが、東京都内の最低賃金は、法に基づき、国において、東京地方最低賃金審議会の審議を経て決定をしております。都として独自の基準をつくる考えはなく、また、それを契約の条件とすることも考えておりません。
 なお、昨年の法改正によりまして、最低賃金の決定に当たっては、生活保護に関する施策との整合性に配慮するとされており、今後、国の動向を見守ってまいります。
 次に、低所得者生活安定化プログラムにおける職業訓練についてでありますが、この職業訓練は、安定した就業のために訓練が必要な方が受講するものであり、受講奨励金は、実際に受講された方に支給することとしております。また、職業訓練の定員及び科目については、既存の訓練に加えまして、適正な規模、内容で実施するものであります。
 次に、新銀行東京の三月期決算の見通しについてでありますが、三月期決算における累積損失は、計画を上回るデフォルトが発生したことによりまして、不良債権費用が増加したことから、一千億円程度の見込みであると聞いております。
 次に、金融庁検査等の要請と第三者機関の設置についてのお尋ねでありますが、銀行に対する指導監督は、業務の公共的性格に照らしまして、銀行法により内閣総理大臣の権限とされており、金融庁の判断により実施されるものであります。第三者機関の設置につきましては、都としては考えてございません。
 次に、清算に必要な資金の根拠についてでありますけれども、銀行が清算する場合には、預金者保護が大前提であり、すべての預金者の払い戻し請求に対応できる体制を確保しなければなりません。新銀行東京は、資産は十分にありますが、預金の払い戻しに当たりましては、保有する有価証券等の現金化とあわせ、約一千億円の資金を確保する必要がございます。
 また、清算により融資継続が行われないことによりまして、既存融資先の経営悪化が発生することや、清算の公表により融資先にモラルハザードが起きる可能性があることなどにより、融資返済の滞りから多額の損失の発生が予想されます。
 次に、四百億円の根拠についてでありますが、銀行においては、健全性確保のため、銀行の自己資本比率に関する新しい国際合意である新BIS規制によりまして、事業を展開する上で避けられないリスクに対応する資本を確保することが求められております。新銀行東京への追加出資四百億円は、この考え方にのっとって算出された結果でございます。
 次に、制度融資等の商工業施策と新銀行東京についてでございますが、都はこれまでも、制度融資や新・元気を出せ商店街事業を初めとする商工業施策の拡充を図り、中小企業の利便性の向上に努めているところでございます。
 新銀行東京は、債務超過企業など、制度融資では対応しにくい中小企業を融資対象といたしまして、制度融資とその役割を補完し合いながら、資金繰りに苦しむ中小企業に資金を供給してまいりました。
 今後とも、新銀行東京は、都の多様な金融施策や商工施策と相まって、中小企業を支えていく重要な役割を果たすものと認識をしております。
 次に、大株主としての都の責任についてでございますが、株主としての新銀行東京に対する経営監視は、銀行法により、通常の事業会社との関係とは異なりまして、会計帳簿や資料の閲覧が制限をされております。
 都は、新銀行東京が、中小企業支援など、この銀行が担う役割を適切に果たしているかという観点から、事業の進捗状況や決算内容等の報告を受けまして、中小企業支援の一層の拡充などについて株主としての意見表明や申し入れを行うなど、経営の大枠を監視をしてまいりました。平成十八年度中間決算時には、今後における経営計画の見直しを要請をいたしました。
 また、平成十九年三月期決算時に表面化をいたしました深刻な経営悪化に対しましては、早急な計画の見直しや経営陣の交代が必要であると判断をいたしまして、役員の刷新や都職員の派遣を実施し、経営改善に当たらせたところでございます。
  〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 非常勤職員等の正職員化等についてお答えを申し上げます。
 都では、個々の職務内容や業務量などを十分に勘案した上で、非常勤職員や人材派遣などを適切に活用し、スリムで効率的な執行体制を確保してきたところでありまして、これらの職員を都として正職員化していく考え方はございません。
 また、非常勤職員等の待遇につきましては、職務内容や社会状況等を踏まえ、適切に設定をしております。
 なお、派遣労働者の待遇については、派遣元企業が定めるものであり、派遣を受ける側である都としては関与する立場にございません。
 今後とも、事業動向に留意しつつ、非常勤職員などを適切に活用しながら、最適な執行体制を構築してまいります。
  〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 予算についてのご質問でございます。
 今回の予算では、東京の都市機能の充実や福祉保健施策の充実など、都民にとって必要な施策に財源を振り向けるとともに、こうした取り組みを将来にわたり継続して実施するため、今後の税収減や財政需要の増大に対応すべく、基金の充実を図っております。都民の期待に十分こたえた予算であると考えております。
 〔東京オリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック招致本部長(荒川満君)
 三点お答えいたします。
 オリンピックスタジアムを仮設とすることについてでございますが、晴海のスタジアムは、二〇一六年オリンピックのシンボルであり、水と緑に囲まれたスポーツ、文化の新しい拠点として、都有地を活用し、恒久施設として整備するものであります。
 IOCは、オリンピックによってもたらされる有形無形の遺産、レガシーを重視しており、スタジアムを恒久施設とすることは、IOCの考えに合致するものでございます。
 なお、施設の整備に当たっては、国費や民間資金の導入に努め、都費の負担軽減を図ってまいります。
 次に、駒沢オリンピック公園総合運動場の活用についてでございます。
 一昨年六月に発表した開催概要計画書では、駒沢公園の屋内球技場を全面改修してバレーボール会場とすることを予定していました。しかし、当該施設は選手村から遠いこと、また、周辺道路が狭隘で交通アクセスに課題があること、さらには、全面改修の経費が新設の場合とほぼ同程度であることなどの理由から、このたびIOCに提出した申請ファイルにおいては、代々木公園内に会場を新設することといたしました。
 この結果、申請ファイルの計画は、半径八キロメートル圏内にほとんどの競技施設を配置する、よりコンパクトな会場計画となっており、IOCから高い評価が得られると確信しております。
 最後に、招致活動経費についてでございますが、申請ファイルでは、IOCが求めている大会計画策定費、IOC委員の賛同を得るための国際招致活動費及び立候補申請料、立候補手数料の合計額を招致経費として計上いたしました。
 一方、オリンピズムの普及啓発事業は、IOCが提唱するオリンピックムーブメントの推進を行うためのものであり、オリンピック開催の有無にかかわらず、その活動そのものが長期的な利益をもたらすものでございます。
 いずれの経費につきましても、当然、IOCの倫理規定を踏まえつつ、必要な予算を適正に見込んでおります。
  〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 四点についてお答えいたします。
 まず、温暖化ガスの削減目標についてでございますが、東京都も、ロンドン市を初めとする世界の大都市も、地球温暖化のもたらす危機を回避するためには、今世紀半ばまでに大幅に温暖化ガスを削減することが急務であり、そのために世界の大都市が先導役を務める必要があるという認識では全く一致しております。
 これまでも、一昨年締結したロンドン市との政策協定や世界大都市気候先導グループの活動を通じて、世界の大都市間で緊密に情報を交換し、ともに施策を高め合ってきております。
 なお、各都市の削減目標設定に当たっての基準年や削減率などの考え方は、その都市の社会経済状況等の違いに応じた戦略の立て方の違いであり、単純に削減率の高い、低いだけを比較する議論は適当でございません。
 次に、CO2削減に向けた自動車交通の取り組みについてでございますが、都は、これまでのディーゼル車対策の成果を踏まえ、自動車からのCO2排出量を削減するために、三環状道路等の整備を促進するとともに、ハイブリッド車などの低燃費車の普及、環境に配慮して自動車を運転するエコドライブの推進、公共交通機関への転換促進による自動車交通量の抑制など、さまざまな施策に既に積極的に取り組んでおります。
 なお、ロードプライシングは、交通量抑制策の一つではございますが、迂回交通の確保や公平、確実な課金方法など難しい課題があることから、引き続き検討を行っております。
 次に、業務部門における温暖化対策についてでございますが、都はこれまでも、全国に先駆けて建築物環境計画書制度を導入するとともに、現在、大規模建築物等に対する省エネ性能の義務化などの検討を進めております。
 東京が国際競争力を有した世界都市であり続けるためには、都市再生が不可欠であり、今後とも、都市機能の整備や更新を最新の省エネ設備導入などの絶好の機会ととらえ、低炭素型都市の実現に向け、業務部門の温暖化対策を推進してまいります。
 なお、環境アセスメント制度におきましては、対象事業に対する予測・評価項目である十七項目の中に温室効果ガスも含まれており、対象事業の種類や地域に応じて、必要な場合に予測・評価が行われております。
 最後に、都市開発と環境との共生についてでございますが、都市における緑の機能は、地球温暖化対策のみならず、都民に潤いや安らぎを与え、都市防災やヒートアイランド対策、美しい都市景観の創出など、多様かつ重要でございます。
 緑の持つこれらの機能を活用した、環境と共生する持続的発展が可能な都市を目指して、都はこれまでも、東京の緑づくりに継続的に取り組んでまいりました。
 現在も、このような観点から、緑の東京十年プロジェクトを全庁横断的に推進しており、都市開発に当たりましても、開発許可制度を強化するなど、今ある緑の保全と新たな緑の創出に積極的に取り組むこととしております。
 このようなことから、過去の計画を復活すべきとの主張は意味のあるものとは考えられません。
  〔八十二番松村友昭君登壇〕

○八十二番(松村友昭君) 石原知事に四点の再質問をします。
 第一は、知事はようやくみずからの責任に触れましたが、一千億円をどぶに捨てる事態になっていることについては、都民への謝罪は一言もありません。知事が、簡単に撤退できない銀行業に十分な成算もノウハウもなしに乗り出したことこそ、諸悪の根源です。この自覚があるのかどうか、答えてください。
 第二に、業者の方々は、経営破綻したときは退陣したり、借りたお金が返せないときは、自分のお店や家まで処分して責任を果たしているのです。知事も、最大の責任者として、私財をなげうってでも都民の負担を軽減する決意を示すべきではありませんか。答えてください。
 第三に、だれもが、再建の見込みはない、破綻処理に踏み出せ、こういっていることです。大体、再建計画についても、根拠となる情報が何も公開されていません。再建計画は、表紙を合わせても七ページにすぎず、自己資本比率や不良債権の状況など、経営を判断するための基本的なデータは何も明らかにされていないではありませんか。再建計画をいう前に、経営の情報を公開すべきです。
 第四に、中小企業を守るために銀行を続けると知事は繰り返しいいますが、中小企業を守る方法はたくさんあります。制度融資ならば、新銀行よりもずっと低利で、しかも、四百億円の預託原資があれば、十倍の四千億円貸すことができるのです。この方が中小企業は歓迎するではありませんか。
 以上四点、知事の責任で答弁してください。(拍手)
  〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
  〔発言する者、離席する者あり〕

○議長(比留間敏夫君) 自席にお戻りください。自席にお戻りください。
  〔発言する者多し〕

○議長(比留間敏夫君) ご静粛に願います。ご静粛に願います。

○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、知事の責任、自覚というお話でございますが……
  〔発言する者多し〕

○議長(比留間敏夫君) 答弁中です。お静かに願います。お静かに願います。

○産業労働局長(佐藤広君) 本日の本会議の知事の答弁にも再三ございましたが、知事も、この今回の結果につきましてはもろもろの責任を感じているというふうにはっきりと申し上げたところでございます。
 また、二点目の、私財をなげうってでもというお話につきましては、先ほど知事がご答弁したとおりでございます。
 また、再建計画にまつわる情報についてでございますけれども、この点につきましても、先ほど私から答弁を申し上げたとおりでございます。
 また、中小企業振興のための制度融資につきましても、先ほど同様の質問があって、私がお答えしたとおりでございます。

○六十七番(石森たかゆき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りをいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認め、さよう決定をいたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
  午後八時三十一分散会

ページ先頭に戻る