トップ > 請願・陳情 > 平成31年第1回定例会付託 > 請願31第3号

請願・陳情の要旨

審査結果 採択
備  考


件  名

選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書の提出に関する請願

番   号
付託委員会
31第  3号   文 教   委員会付託

(願  意)
 選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書を、都議会から国へ提出していただきた
い。

(理  由)
 平成30年2月に内閣府が公表した世論調査において、夫婦同姓も夫婦別姓も選べる
選択的夫婦別氏(姓)を導入するための法改正に賛成・容認と答えた国民は66.9%とな
り、反対の29.3%を大きく上回ったことが明らかになった。年代別に見ると、多くの人
が初婚を迎える30~39歳における賛成・容認の割合は、84.4%に上る。また、同年
3月20日の衆議院法務委員会において、夫婦同姓を義務付けている国は、世界でただ
一国、日本だけであることを法務省民事局長が答弁した。世論の強い要望があり、また、
国連女性差別撤廃委員会の再三の改善勧告にもかかわらず、現在でも我が国では、夫婦
がそれぞれ生まれ持った姓を名のり続けることが許されていない。
 平成27年12月16日付けの選択的夫婦別姓訴訟の判決文で、最高裁は夫婦同姓を
定めた民法第750条の規定を合憲としながらも、「この種の制度の在り方は、国会で論
ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである。」と述べた。それから
3年、更に夫婦の姓をめぐる環境は大きく変化している。
 平均初婚年齢は年々上がり、現在30歳前後である。男女ともに生まれ持った氏名で
信用・実績・資産を築いてから初婚を迎えるケースが多いため、改姓時に必要な事務手
続は確実に増えているが、それを負担するのが女性側である割合は、96%に上る。戸
籍姓でのキャリア継続を望んでいるため、事実婚を選ぶ夫婦も少なくない。また、少子
化により一人っ子同士のカップルが増えたことで、改姓しなくていいなら結婚したいと
いう声も聞かれる。さらに、人生100年時代、子連れ再婚や高齢になってからの結婚・
再婚も増加傾向にある。
 選択的夫婦別姓制度の導入は、家族で同じ姓の方が一体感が深まると考えるカップル
が引き続き夫婦同姓で結婚できる一方で、夫婦別姓を必要とするカップルはそれを選べ
るようにするものである。これは、男女が改姓による不利益を案ずることなく結婚・出
産し、老後も法的な家族として支え合える社会につながる。少子化対策の一助ともなる
だろう。
 また、法的根拠のない旧姓併記がこれ以上広がることによる社会の混乱、例えば、災
害時の本人確認など二つの姓を使い分けることによる混乱や、事実婚の増加による婚姻
制度の形骸化、仕事先などの望まない相手にまで結婚・離婚を周知されるプライバシー
の侵害も防ぐことができる。さらに、法的根拠のある生まれ持った氏名でキャリアを継
続できることから、女性活躍の推進にも寄与すると考える。
 以上の観点から、婚姻制度の形骸化・非婚・少子化などの問題を少しでも解決するた
めに、男女同権の理念に基づく選択的夫婦別姓制度の導入は急務といえる。ついては、
国に対し、選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書を提出すべきであると考える。

※ 採択されたものについて、要旨を掲載しています。