(願 意)
都において、地球温暖化の影響に伴う集中豪雨によって水害が多発している事情に鑑
み、八王子都市計画河川第4号浅川及び南浅川合流部の堤防整備について、検討を速や
かに実施し、事業化に向けて取り組んでいただきたい。
(理 由)
八王子都市計画河川第4号浅川は、八王子市清川町の南浅川合流点から上流の河原宿
橋までを区域として昭和48年に計画決定され、平成18年には1時間50ミリの降雨
への対応を目標として浅川圏域河川整備計画が策定されたが、いまだ事業認可に進む兆
しはない。
しかし、南多摩西部建設事務所管内の10河川については、昭和40年代の都市計画
河川事業として事業認可を受け、1時間50ミリの降雨に対応する整備水準で、下流か
ら上流に向けて順次工事が進んでいる。
整備計画では、南浅川合流点から上流の中央道高架橋(北浅川橋)までの区域の堤防
高を3メートルに設定しており、この計画堤防の整備が進めば、1時間50ミリ規模の
降雨による洪水を、天端から0.8~1.2メートル下の高水位で安全に流下させるように設
計されている。なお、平成24年には、多摩部の中小河川の目標整備水準が1時間最大
65ミリの降雨に引き上げられた。
現在の堤防には、以下の問題がある。
平成27年3月の浅川の現況測量では、左岸の南浅川合流点から上流約300メートル
までの区間が、昔ながらの蛇籠堤防であり、計画堤防高よりおおむね1.2~1.7メートル
低いことが分かった。現在の堤防は、並行する市道745号線の路面とほぼ同じ高さにあ
る。また、右岸は、整備計画で定める計画堤防高である3メートルが確保されていない。
本流では、1時間50ミリの降雨のとき、城山川合流点から南浅川合流点までの間は
毎秒500立方メートルの流量があり、ここに南浅川から毎秒340立方メートルの洪水がほ
ぼ直角に流れ込むため、本流の流量は約70%増加する。合流部の川幅は約30%拡大
するが、南浅川からの流入が浅川の流れを左岸に押し付ける働きをして水位が上昇する。
また、浅川に合流する南浅川合流部左岸は、突端部の堤防高A.P.129.0メートルに対し、
ここから上流約130メートル付近はA.P.128.1メートルで、約1メートル低く、浅川との
合流で流れが抑えられる現象によって上流部の水位が上昇する。これがバックウォータ
ー現象である。さらに、合流部の上流右岸の城山川からも毎秒120立方メートルの流入
があり、浅川の流れを左岸に押し付ける働きが想定される。
また、以下の範囲で、氾濫が予想される。
浅川左岸の南浅川合流点から上流約300メートルまでの区間では、ここから計画高水
位を超えてあふれた水は、堤防及び道路を乗り越え、市道742、752、737号線に広がり、
指定避難所である市立第二中学校の校庭とその南側の住宅地に流れ込む。さらに、校庭
南側の地域は、浅川堤防下の中野町ひ管が閉め切られ、ポンプ排水機能がないため、浅
川への排水ができず、洪水は排水路の清水川と市道737号線を通じて八王子市補修セン
ター方向へ流れる。
浅川に合流する南浅川合流部左岸では、上記の堤防の問題にバックウォーター現象が
重なり、水位が上昇して氾濫する確度が極めて高い。また、右岸では、国土交通省管理
の堤防が水道局用地付近から上流に向かって下がり、南浅川の堤防に擦り付けられてい
るため、同省と都の管理境界地点はA.P.127.5メートルと推定され、この地点から多賀
公園とその後背の住宅地への氾濫・浸水が想定される。
南浅川合流点から中央道高架橋間の現在の右岸堤防では、計画堤防高である3メート
ルが確保されていないため、氾濫のおそれがある。
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