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請願・陳情の要旨

審査結果 一部意見付採択(3項)
備  考 (意 見)趣旨にそうよう努力されたい。


件  名

「歴史と文化の散歩道」の整備事業における成果の活用に関する陳


番   号
付託委員会
31第 19号   文 教   委員会付託

(願  意)
 都において、「歴史と文化の散歩道」の整備事業で創出された貴重な成果を引き継ぎ、
以下のことを実現していただきたい。
3 同整備事業で設置された案内板・標識の移管を希望する区市への後押し等を行うこ
 と。

(理  由)
 平成30年5月22日、都は「歴史と文化の散歩道」(以下「本散歩道」という。)
の事業の維持及び広報を終了する旨を発表した。整備終了から20年以上が経過し、標
識等の盤面滅失・劣化等から誤解を与えるおそれがあり、また、各区市において独自に
散策ルートが多数設定され、本事業における都としての一定の役割は達成されたことを
終了の理由としている。
 しかし、本散歩道のルートや、ルート上に数多く設置された案内板・標識及びガイド
ブックは、私たち都民にとって貴重で大切な共有財産である。本事業終了とともに、こ
の成果を消失させてはならない。本散歩道の整備事業における成果の有意性は、次のと
おりと考える。
 第一に、都民の散歩道として、都内全域を網羅する散歩道ネットワークの形成である。
 本散歩道は、都民が歩くことを通じて東京の歴史や文化に触れ、ふるさとと呼べるま
ちにしていくことを目的とし、都内の全23区と多摩地域9市に及ぶ区・市域をまたぎ、
地域の名所・旧跡をつなぐ全23コース、全長240.5キロメートルの散歩道コースであ
る。本散歩道は、「武蔵野の路(都建設局)」、「雑木林のみち(都環境局)」、そし
て、各区市の散歩道とつながり、その骨格・中心となるものである。本散歩道が欠けて
は、この都内全域の散歩道ネットワークが途絶えてしまう。
 この散歩道ネットワークを活用すれば、歴史文化の探訪から自然散策、健康増進、生
涯学習、地元学の教材として多様な楽しみ方を選ぶことができる。各々の目的に対応可
能な散歩道ルートを設定でき、今後もその意義が薄らぐことはないと考える。是非、こ
のルートを残すべきである。
 第二に、地域の歴史・文化情報に特化した風格ある首都東京にふさわしい案内板や標
識である。
 本散歩道の案内板や標識には、細かな史跡や名所が地図上に表示されている。特に案
内板には絵図、浮世絵なども描かれ、街中で周辺地域の歴史・文化情報を手軽に知るこ
とができるという、他の観光サインなどにはない優れた特質がある。
 また、本体は国産の御(み)影石、表示板は厚いステンレス板にエッチングされ重厚
で風格があるもので、30年の時を経ても色あせず首都東京の街に調和している。現在、
その案内板や標識の撤去が始まったが、できる限り残すべきである。そして、必要な表
示内容の更新や修復とともに、スマートフォンなど他の情報提供ツールとつなげるなど
し、多言語できめ細かな情報提供を可能とすることで、今後も価値あるものとする必要
がある。維持・保存のために必要であれば、都から区市への移管の促進もすべきである。
 第三に、ハンディタイプから読み物タイプまでの用途に合わせて発行されたガイドブ
ックである。
 本散歩道の事業において、ハンディタイプのコース別パンフレットから240ページに
及ぶ全コース紹介版まで、用途に合わせたガイドブックがある。歴史・文化の事柄を数
多く取り上げ、図版も多く、親しみやすく読みやすいことから再発行を望む声が多いと
聞いており、私も再発行を望む一人である。
 ガイドブックは、2~30年前の発行であるが、掲載情報の特性の多くは今でもその
まま活用でき、ソフト面での大きな財産となっている。これらのHP掲載を始め、IT
技術を活用し、案内板の表示面や区市の地域情報とつなげるなどして、広報活動を強化
していくべきである。
 このように、本散歩道の整備事業で創出された成果は、都民の貴重で大切な文化資産
・共有財産を成すものであり、今後、再び生み出すことは難しいだろう。特に、案内板
・標識の撤去はもったいない。現在、多くの都民がそれらの案内板や標識を利用し、都
内各地で散策を楽しんでいると思う。本散歩道の整備事業の成果を引き継ぎ、それらを
活用した新たな事業を実施すべきである。

※ 採択されたものについて、要旨を掲載しています。