(願 意)
西東京市の東大農場・演習林の自然環境を保全していただきたい。
(理 由)
日本は、平成32年までに二酸化炭素排出量を25%削減すると世界に宣言した。西
東京市は、この趣旨に賛同し最大限努力したいとしている。さらに、生物多様性が近年
世界的に議論されており、自然環境保護の重要性を物語っている。
しかしながら、今年は世界的猛暑、寒波、豪雨が発生した結果、多大なる経済的な損
失が生じた。このような異常気象は、人類が生態系を顧みず、物の豊かさのみを追い求
めた代償といえる。
このことに関連して、西東京市の東大農場・演習林の生態系(生物、土壌、水、大気、
太陽光という五つの要素から有機的に構成された自然システム)において、食物連鎖の
頂点に立つ国の絶滅危惧種オオタカが生息して、ひなが巣立ったことを東大農場は発表
している。
「東京における自然の保護と回復に関する条例」第47条は、開発許可に関するもの
であり、オオタカを始めとした希少動植物の生育に配慮することになっている。そして、
自然環境破壊によってオオタカが営巣しなくなり、飛び去ることを回避しなければなら
ないとしている。また、平成5年4月に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に
関する法律(種の保存法)」が施行され、オオタカがその対象となっている。さらに、
東大農場・演習林には、絶滅危惧種の植物マヤラン、キンランが生育している。そして、
都が保護すべき野生動植物も60種以上に上り、注目されている。
また、緑被率が低い西東京市において、東大農場・演習林は都市部にありながら、市
民の憩いの場所としてはもとより、大気浄化、ヒートアイランド現象の緩和、雨水の保
持等、地域に多大な役割を果たしている。さらに、自然環境の保全を目的とし市民によ
る4万6,000人余りの署名によって、東大農場の移転を阻止したことは記憶に新しいこ
とである。
以上のことに鑑み、西東京市の東大農場・演習林の自然環境を保全することは極めて
重要なので、整備に当たっては都の積極的な取組が必要である。
なお、この陳情書とおおむね同様の陳情文書が、平成22年度第4回西東京市議会定
例会において、趣旨採択されている。
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