(願 意)
都立霊園内に、粉末状の遺骨を埋蔵できる墓地を設けていただきたい。
(理 由)
都は、平成17年度インターネット都政モニターアンケートの結果を踏まえて、東京
都公園審議会に対して新たな墓所の供給と管理について諮問を行った。これを受けて、
平成20年2月に同審議会は、貴重な答申である「都立霊園における新たな墓所の供給
と管理について」をまとめた。そこには提言とともに、都民各位からの多数の建設的な
提案も付属資料として掲載されている。
これに並行して、都は、都民一般の墓所に関する永年の強い要望にこたえるため、小
平霊園において平成10年度と平成20年度に新形式の合葬埋蔵施設を各1基ずつ建設
した。しかし、これらはいずれも収容能力が極めて限られているために、遺憾ながら、
都民の要望への対応としては不十分である。
その理由は、遺骨を火葬場から受領する骨つぼのまま埋蔵するからである。小平霊園
の例では、埋蔵といっても、地下2層の堅固なコンクリート室内に設置した数列・数段
のスチール棚の上に、毎年500体前後の骨つぼを整理収納するのである。その状態で20
年の保管の後、今度はそれらの遺骨をすべて骨つぼから取り出し、一体ごとに袋に入れ
て別室にて保管する。
現在のこの方式では、20年後には遺骨が当初の埋蔵場所を離れ、結局はだれも知ら
ぬ別の場所に収納されるのであるから、むしろ最初から遺骨を粉末状にして、合葬墓地
のしかるべき箇所に個々に丁寧に埋蔵することの方が合理的であり、かつ透明度は高い。
さらにまた、粉末状にすれば、骨つぼで預かるより数倍もの多くの遺骨の収納が可能と
なる。
この新しい墓地の利用者は、墓地の造成費用やもろもろの維持費用を年間利用者数で
除した金額だけ負担すればよいので、砕骨の費用が従来に比べ余分に加わったにしても、
差引き大幅な負担減となるはずである。しかも、現在、戸田葬祭場で砕骨した場合の所
要費用に比べ、民間業者によっては、3分の1程度の費用で砕骨サービスを提供するも
のもあるので、利用者にとっては一層有利である。
翻って、日本では遺骨を粉末状にするのはタブーであるとする説もある。しかし、戸
田葬祭場も自ら認めるように、他にも砕骨業務を手掛ける複数の大手業者があり、数年
前に小説や映画でベストセラーになった「マディソン郡の橋」に加え、NHKの紅白歌
合戦にも登場した「千の風になって」など、砕骨し葬送することを抵抗なしに容認する
社会状況が既に日本でも出現している。
以上の理由から、建設局が目下推進中の新たな形式の合葬式墓地内に、粉末状の遺骨
を埋蔵する墓所も併せて早急に設けるべきである。
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