(願 意)
都において、次のことを実現していただきたい。
1 国に対し、補償のほか、ハンセン病元患者・家族が安心して暮らせる差別のない共
生社会の実現に向け、必要な予算措置を講ずるよう要請すること。
2 ハンセン病問題の解決のために、これまで都が行ってきた施策を明らかにし、その
実績及び問題点の検証、分析を行うこと。
3 ハンセン病元患者・家族への差別・偏見を無くし、真の意味での共生社会を実現す
るため、地域社会における啓発を進めること。
4 差別・偏見の被害を受けたハンセン病元患者・家族が、補償の対象者であるにもか
かわらず、その被害ゆえに請求を諦めるなどといった事態が生じることのないよう、
国の相談窓口の周知徹底を図ること。
―以上 厚生委員会―
5 ハンセン病元患者・家族への差別・偏見を無くし、真の意味での共生社会を実現す
るため、学校教育における取組を強化すること。
―以上 文教委員会―
6 ハンセン病療養所の退所者等が、都営住宅に優先的に入居できるようにすること。
―以上 都市整備委員会―
7 上記2を実現するため、都及び区市町村において職員の研修を早急に実施すること。
8 上記のほか、ハンセン病元患者・家族に対する差別・偏見の解消に向けた施策に取
り組むこと。
―以上 総務委員会―
(理 由)
令和元年6月28日に熊本地方裁判所において出されたハンセン病家族国家賠償請求
訴訟の原告勝訴の判決について、国は控訴せず、原告である家族に対して国の責任を認
め、謝罪した。これを受けて、「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関す
る法律(以下「法」という。)」が同年11月15日に成立し、11月22日に施行さ
れた。これは、原告及び原告に立つことさえできない状況で差別に耐えてきた元患者・
家族の思いが、ようやく国に届いた成果と言える。しかし、この法は、ハンセン病元患
者家族(以下「家族」という。)が受けた被害を補償するには、決して十分なものとは言
えない。何より求められているのは、元患者・家族が安心して暮らせる、差別のない共
生社会の実現である。
平成8年まで廃止されることがなかった「らい予防法」による国の絶対隔離政策や、
官民一体で行われた「無らい県運動」によって作出・助長された元患者・家族に対する
差別・偏見は、現在の社会構造でもなお残存している。国はその責任を認め、ようやく
問題解決に動き始めたと言える。官民一体となって差別や排除を続けてきたのであれば、
今後は旧に倍して、官民共同で元患者・家族の人権回復、人間回復に努力しなければな
らない。
ハンセン病問題における「無らい県運動」は、都も決して例外ではなく、他道府県と
同様に元患者・家族を差別し、排除した歴史がある。都は、国の要請を待つことなく、
これらの負の歴史を検証し、その反省の上に立って、学校教育及び啓発を進めるべきで
ある。
特に、法による補償金の受給権を持つ家族が、なお残る差別のために請求できないと
いうことがあってはならない。法施行から5年以内という請求期限の下、この受給をめ
ぐる相談窓口の開設は喫緊の課題である。
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