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請願・陳情の要旨

審査結果 採択
備  考


件  名

婚外子差別撤廃のための戸籍法改正を国に求める意見書の提出に関
する請願

番   号
付託委員会
 1第 47号   総 務   委員会付託

(願  意)
 都議会において、国に対し、以下の内容を含めた戸籍法の改正を求める意見書を提出
していただきたい。
1 戸籍法第49条第2項第1号を改正し、出生届における、嫡出子、嫡出でない子の
 別の記載欄を廃止すること。
2 戸籍法第13条第4号及び第5号を改正し、戸籍の実父母及び養親との続柄欄を廃
 止すること。なお、続柄欄の廃止に伴い性別を明らかにする必要がある場合は、性別
 欄を設けること。

(理  由)
 平成25年9月4日、最高裁判所大法廷は、14名の裁判官全員一致で、婚外子の相
続分を婚内子の2分の1とする民法第900条第4号ただし書前段の規定を、憲法違反と決
定した。既にこの規定は、同年の臨時国会で改正され、発効している。法務省は同時に、
戸籍法第49条第2項第1号の規定のうち、出生届の嫡出子、嫡出でない子の別の記載
欄を廃止する改正案を準備していたが、同年9月26日に最高裁判所第一小法廷が、こ
の規定を合憲と判断したことから、緊急性を要しないという理由で提出を見送った。
 しかし、婚内子と婚外子を分かつ最も大きな民法の規定が廃止された以上、この戸籍
法の規定は、ほとんど意味を成さない。また、戸籍実務上も、出生届に基づく戸籍の作
成に当たって、全く必要がない。
 最高裁判所第一小法廷の判決でも、戸籍法第49条第2項第1号の規定は、憲法に違
反しないとしているものの、「事務処理上不可欠の要請とまでは言えない」と明言して
いる上に、制度について見直すべきという裁判官の補足意見も付されており、決して現
状を是としていない。
 近年、諸外国でも婚外子差別の撤廃が進み、嫡出子、嫡出でない子の区別自体が子供
への不当な差別であるとして、法改正が行われている。我が国の戸籍法の規定も、既に
改正された民法の相続分差別の規定と共に、国連人権諸機関から繰り返し法改正を勧告
されている。婚外子の人権尊重のために、一刻も早い法改正が望まれる。
 また、戸籍の続柄欄において、「長(男・女)」、「二(男・女)」、「三(男・女)」
等と出生順に序列を付けているのは、もともとは家督相続の順序を明確にするためであ
る。家督相続は戦後に廃止されており、現在では全く必要がない。さらに、平成16年
11月の制度改正以前に出生の届出がなされた婚外子の続柄は、「男」、「女」と記載さ
れており、婚外子差別の要因ともなる。本人又は母の申出により、記載の変更は可能で
あるが、現に婚外子差別がある中で、自ら名乗り出るには困難が伴う。国など行政によ
る広報もほとんどなされていないため、制度改正を知らない人も大勢いる。したがって、
婚外子差別の要因を除去し、戸籍実務上も不要な事項を廃止して事務を簡素化するため
にも、続柄欄を廃止することは極めて合理的である。

※ 採択されたものについて、要旨を掲載しています。