トップ > 請願・陳情 > 令和6年第2回定例会付託 > 陳情6第28号

請願・陳情の要旨

審査結果 意見付採択
備  考 (意 見)趣旨にそうよう努力されたい。


件  名

痴漢加害者の再犯防止に関する陳情

番   号
付託委員会
 6第 28号   文 教   委員会付託

(願  意)
 都において、痴漢の加害者が、早期に再犯防止に向けた長期間の支援を受けられる施
策を導入していただきたい。

(理  由)
 痴漢は、日常に存在する最も身近な性犯罪である。令和5年度に都が実施した痴漢被
害実態把握調査によると、女性の4割超、男性の約1割が、電車内や駅構内で痴漢被害
に遭ったことがあり、電車内での被害者のうち4割は「我慢した・何もできなかった」、
被害者のうち6割は「被害直後は誰にも連絡などしていない」という結果になっている。
また、被害者の多くは10代である。
 法務省の平成27年版犯罪白書によると、様々な性犯罪の中でも、痴漢の再犯率は高
く、36.7%となっている。このような被害・加害の実態があるにもかかわらず、痴漢へ
の対応は軽視され続け、効果的な対策を打ち出せていない。
 一方、性的依存症の治療プログラムを受けることにより、痴漢の再犯率を30%台か
ら3%にまで抑えることができるというデータもある。また、初犯年齢が若いほど、再
犯リスクが高くなり、初犯が1歳早まると再犯リスクが2%高くなると言われている。
そのため、実刑判決を受けていない加害者も含め、早期に性犯罪再犯防止指導(R3)
などの再犯防止プログラム(以下「プログラム」という。)を長期間受けられるように
する必要がある。
 しかし、現状では、加害者が治療を開始するまでに平均8年掛かっており、その間に
も痴漢が繰り返され、その被害を受ける者が出ている。プログラムの認知が進んでおら
ず、加害者をプログラムへの参加につなげることが困難となっていることが要因と考え
られる。そのため、駅等におけるポスターの掲示や、警察・駅員等からの案内など、プ
ログラムの紹介を行うことで、認知度の向上を目指すことが重要である。
 痴漢加害者の中には、痴漢を繰り返すことに良心の呵責(かしゃく)を覚える人も多
く、そのような人が再び罪を犯さないためにも、プログラムの導入とそれを受けやすく
する環境整備が必要である。福岡県では、福岡県における性暴力を根絶し、性被害から
県民等を守るための条例に基づいて、性犯罪加害者の治療費の公費負担や、性暴力加害
者のための相談窓口の設置を行っている。大阪府では、性犯罪者に対する心理カウンセ
リング支援制度を導入している。都においても、福岡県や大阪府の取組を参考に、加害
者にとって相談しやすい制度を早急に導入し、再犯防止に向けた次の具体的な取組を行
うことが必要である。
 第一に、全ての性暴力加害者に対し門戸を開き、更生にチャレンジする機会を作るた
めの電話受付の設置である。
 第二に、心理カウンセラーの資格を持った職員が対応に当たり、事情を聞き、必要な
プログラムを案内する面接相談の実施である。
 第三に、プログラムの実施、社会復帰のための生活自立支援及び問題行動を是正する
ための専門医療機関等の紹介である。
 なお、相談しやすさを担保し、勇気を持って相談した性犯罪加害者を守るためにも、
個人情報保護の方針に基づき、アウティング行為等は厳に慎まれるべきである。
 さらに、痴漢や盗撮などの加害者を生まないように、若年層への教育を強化すべきで
ある。

※ 採択されたものについて、要旨を掲載しています。