トップ > 請願・陳情 > 令和元年第4回定例会付託 > 陳情1第106号

請願・陳情の要旨

審査結果 意見付採択
備  考 (意 見)趣旨にそうよう努力されたい。


件  名

保育所における医療的ケア児の受入れに関する陳情

番   号
付託委員会
 1第106号   厚 生   委員会付託

(願  意)
 都において、保育所における医療的ケア児の受入れに係る区市町村の取組を、人材及
び財政の両面から支援し、合理的配慮に基づく適切な保育環境を整備していただきたい。

(理  由)
 近年、医療技術の進歩に伴い、日常的に医療的ケアを必要とする子供の数は年々増え
ており、医療的ケア児の保育に係るニーズが高まっている。
 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部
を改正する法律により新設された、児童福祉法の規定において、医療的ケア児への対応
が地方公共団体の責務として記され、これを受けて、厚生労働省、内閣府及び文部科学
省の連名で「医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推
進について」(平成28年6月3日関係府省部局長連名通知)が発出された。この通知
では、保育関係について、医療的ケア児についてもそのニーズを受け止め、ニーズを踏
まえた対応を図っていくことが重要であるとされており、医療的ケア児への対応は、地
方公共団体による社会的責任の下で整備するという方向性が明確に示されている。
 こうした中、港区が令和2年1月に新設する区立元麻布保育園において、医療的ケア
児を受け入れる専用クラスを設けるなど、都内でも先進的な取組が見られるようになっ
た。
 しかし、その一方で、三鷹市のように、保育所で受け入れる医療的ケア児を、経管栄
養(経鼻、胃ろう)、導尿、インスリン注射のみに限定し、それ以外の医療的ケア児を一
律で排除している例もある。また、府中市のように、保育所における医療的ケア児の受
入れを全く行っておらず、今後もその予定がない地方公共団体も都内に複数見られる。
 これは、児童福祉法及び国の通知に反するのみならず、障害を理由とする差別の解消
の推進に関する法律で禁止されている、不当な差別的取扱いに当たり、合理的配慮の視
点を欠いているといえる。
 医療的ケア児の保育環境が区市町村によって大きく異なることで、これまでは当たり
前のように、保護者は自らの仕事を辞め、家族は引っ越しを選択しなければならなかっ
た。待機児童の問題の陰に、待機児童にすらなれない児童が数多くいるというのが現状
である。
 私自身も、1歳になる医療的ケア児の母親であり、現在は育児休業中である。居住す
る市で子供を受け入れてくれる保育所が見付からないため、やむなく育児休業を継続し
ているが、育児休業の期間には限界がある。仕事・キャリアを諦めるかどうかの選択を
今、正に迫られている。
 そこで、医療的ケア児が、住み慣れた地域で一人一人の状況に応じた支援を受けられ、
その保護者が、仕事・キャリアを諦めることのないよう、誰もが生き生きと暮らせる社
会の実現に向けて、都は、医療的ケア児の保育環境の整備を強力に推進すべきである。

※ 採択されたものについて、要旨を掲載しています。