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災害時に向け医療資器材供給を
信号機のバリアフリー対策を

高倉良生

知事の政治姿勢

質問1
 私はこれまで、障害者の芸術を初め、文化芸術のさらなる振興を都議会で取り上げてきました。今回の知事をめぐる問題で、美術品にかかわる疑惑が浮上していることに、私は強い憤りを持っております。

 昨日の代表質問で、我が党が美術品購入問題を問いただしたのに対し、知事は、私は決して財テク目的で購入したものではございませんと答弁しました。しかし、この答弁を信じるわけにはいきません。

 知事、この本をごらんください。これは知事自身の著書です。タイトルは「マスゾエ式定年後極楽生活入門」、知事が参議院議員だった二〇〇五年に発行された本です。この中で知事は、資産形成について指南をしていますが、趣味を生かした財テクとして美術品に言及をしております。

 知事はこう述べています。私は絵が好きなのですが、例えば、絵画を買うということも資産運用の一手段といえるかもしれません、そして、ある人から、横山大観の言葉を引いて、前途有望な若手の画家の絵を今のうちに購入し、価値が上がるのを待てばよいという忠告を受けたと述べ、私も、まだ有名ではない、ある台湾人画家の絵を購入し、議員会館に飾っています、今後、価値が上がっていくのを期待していますと書いています。

 知事が依頼した弁護士の調査報告によると、知事は政治資金を使って多数の美術品や書を購入しています。しかも、その購入は規則的と思われるほど継続して行われており、あたかも定期預金の積み立てのような印象さえ受けます。

 また、ネットオークションでの購入が際立って多いことも特徴です。

 知事は、問題が浮上してすぐ、みずからのオークションIDを削除しています。IDをたどれば、購入物品や値段が明らかになります。何ら問題がなければ、削除する必要はありません。こうしたことが、疑惑をさらに増幅させているのです。削除は知事自身が行ったのか、その理由も含め、知事の答弁を求めます。

答弁1
知事
 オークションIDの削除についてでございますが、この削除は私自身が行いました。これは、私のIDを使いまして、シューマイや書籍を頼む事案が発生しまして、お店の方に大変ご迷惑がかかり、そのままIDを残しておくことが好ましくないと判断したために削除したものでございます。

質問2
 知事のIDが削除されたため、購入した内容はネット上では確認できません。しかし、その数は、ことし四月までで百三十七件です。私はその一覧を入手していますが、美術品が非常に多い。知事自身の中では、私物としてのみずからの美術品コレクションと、長期にわたって政治資金で購入した美術品が、もはや混然一体となってしまっているのではないか。知事の見解を求めます。

答弁2
知事
 私物の絵画と政治資金で購入した絵画等の管理についてご質問がございました。

 私自身の私物と政治資金で購入したものは区別し、管理し、混然一体となっていることはございません。世田谷の自宅兼事務所も出入り口がそれぞれ別になっているなど、物理的にも明確に分けて管理をしてございます。

 しかしながら、私の不徳のいたすところでこのような批判を招いていることを真摯に受けとめ、今後、より一層明確な管理に努めていきたいと思っております。

質問3
 調査報告で挙げられた美術品は、新党改革比例区第四支部、グローバルネットワーク研究会、泰山会の政治資金で購入しています。泰山会以外の政治団体は解散しています。資産価値を持つ美術品は、解散の時点で処分すべきものです。

 昨日の代表質問で、知事は、それらの美術品は泰山会事務所に保管されていると答弁をしました。かなり大量な美術品です。湯河原にも保管してあるのではないか。また、解散した団体が購入した美術品を泰山会が持っているとすれば、その所有根拠は一体何か、知事の見解を求めます。

答弁3
知事
 絵画等の保管と所有根拠についてでございますが、政治資金で購入した絵画等は、泰山会の事務所スペースで保管しており、一部を都庁に搬入してございます。

 絵画等の所有根拠につきましては、新党改革支部とグローバルネットワーク研究会が所有していたものは、それらの団体が解散した現在、全て泰山会が所有しているというのが私の認識でございます。

 しかし、調査報告では、絵画等の譲渡契約書等は存在しないことから、所有関係が不明確になっていることは否定できないとの指摘をいただきました。今後は批判を招かぬよう、適切な措置を講じてまいりたいと思っております。

質問4
 調査報告書では、美術品について、譲渡契約も存在しないことから、所有関係が不明瞭としています。解散した団体が購入した美術品を泰山会が所有する正当性に疑念があるのです。別の政治団体の資産を、勝手に泰山会の所有にしてしまっているのです。表にはあらわれない形で、別の政治団体が購入した美術品を必要な手続もなく所有していることは、政治団体を使った資産隠しであります。知事の見解を求めます。

答弁4
知事
 絵画等の所有についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、既に解散しました政治団体が所有していた絵画等は、現在のところ泰山会が所有してございます。すなわち、私個人の所有では決してございません。これは、私の偽らざる認識でございます。

 これらの絵画等につきまして、いろいろな方々の目に触れていただきたいと、それが政治資金で購入した意図とも合致すると考えまして、一部を都庁に搬入しまして、知事執務室、応接室、廊下などに展示しているところでございます。

 したがって、繰り返しになりますけれども、今回の調査報告書に記載していただいたとおり、秘密裏に私物化するという意識は決してございません。

 私の不徳のいたすところで、きょうの段階では信じていただきたいというよりほかはないというのは、正直な私の気持ちでございます。

 今回、厳しい第三者の目によって政治資金を用いて購入した絵画等を私物化したとの批判を招かないような措置を講ずるべきだと指摘を受けましたので、今後、適切な対応を図ってまいりたいと思っております。

質問5
 知事自身が取締役を務める株式会社舛添政治経済研究所の事業目的に、美術品の売買が明記されています。昨日の代表質問で知事は、政治資金で購入した美術品等の転売や譲渡はないと答弁しました。そのとおりだとすれば、購入した美術品は全て残っているはずであります。

 私は、美術品の現物を一つ一つ確認することが不可欠と考えています。もし、現存していないものがあれば、それは消えた美術品として新たな疑惑が生じることになります。内容によっては謝罪では済まないことになります。知事は、これまで政治資金で購入した美術品の全てについて、内容と保管場所を明らかにすべきであります。知事の見解を求めます。

答弁5
知事
 政治資金で購入した絵画等の内容と保管場所でございます。

 これまでも申し上げましたとおり、解散しました政治団体が所有していた絵画等は、現在泰山会が所有しておりまして、都庁で保管している分以外については泰山会の事務所スペースで保管をしてございます。

 今回の調査報告書において、絵画等の所有関係を明確にするとともに、私物化したとの批判を招かないような措置を講ずるべきだとご指摘を受けたところでございまして、二度とそのような批判を招くことのないように適切な措置を講じていく所存でございます。

 政治資金で購入しました絵画等は、政治活動のツールとして活用しておりまして、まずもって紛失ということはないと思います。そして、そうした措置を講じていく中で議員がご指摘のとおり、現物の一つ一つを確認し、その内容と保管場所を明らかにすることにつきましても対応を図ってまいりたいと思っております。

質問6
 知事、政治家の活動の原動力は、住民から寄せられる強力な信頼感です。都民の大きな支持があってこそ、首都東京における仕事が可能になります。政治は言葉の芸術ともいわれます。みずからの情熱あふれる訴え、説得力ある言葉によって期待と信頼が生み出され、大きな支持が広がっていくのです。

 しかし、知事への信頼は地に落ちています。政治家の出処進退はみずから明らかにすべきものであります。知事の答弁を求めます。

答弁6
知事
 私の出処進退についてご質問がございました。今の私は、多くの都民の皆様方から厳しいご批判を受けておりまして、そのことは大変重く受けとめております。

 まずは、一昨日公表いたしました調査結果をもとに、反省の気持ちをしっかりと胸に刻み、地道に都民の皆様、都議会の皆様のご理解を得ていきたいと考えております。

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災害対策

質問1
 次に、災害対策について質問します。

 熊本地震では、罹災証明書の発行が大きな課題になりました。熊本県は、罹災証明書を迅速に発行するため、被災者生活再建支援システムの活用を自治体に呼びかけ、震災後、十五市町村が導入しました。中越地震を経験した新潟県や新潟大学が導入を支援しました。

 東京都では、私たち都議会公明党がシステムの開発、実用化を繰り返し訴える中、新潟大学や京都大学と連携して独自の被災者生活再建支援システムを構築しました。このシステムは、熊本で活用されているのと同じものであります。

 都は、防災訓練などでシステムの活用訓練を繰り返しています。このノウハウを東京以外の被災地で生かしていくことは被災地支援として重要と考えますが、今回の熊本地震における対応について伺います。

答弁1
総務局長
 熊本地震における都の対応についてでございますが、都はこれまで、被災者生活再建支援システムを活用して、総合防災訓練における罹災証明書発行訓練や被災者の生活再建支援に係る研修を区市町村と連携し実施してまいりました。

 こうした中、今回の熊本地震では、熊本市や全国知事会等から都に対しまして、住家被害調査等に関し支援要請があり、五月二日から現在までに都職員六十二名、区市職員二百十九名の延べ二百八十名を超える都区市職員を熊本市及び益城町等に派遣しております。

 派遣職員は、これまでの経験を生かし、現地において住家被害調査や罹災証明書発行支援等に従事しております。

 今後とも、区市町村とともに蓄積してきたノウハウを生かし、災害に適切に対処してまいります。

質問2
 東京版の被災者生活再建支援システムは、東京の災害に大きな効果を発揮することが期待され、都は都内の各区市町村への導入支援を行ってきました。すぐれたシステムであり、早急に都内全域で導入を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。

答弁2
総務局長
 被災者生活再建支援システムについてでございます。

 本システムは、判定チャートや調査票自動読み込み機能等により、迅速な罹災証明書の発行が可能となるため、熊本地震を上回る被害が想定されます首都直下地震において、大きな効果を発揮するものと考えております。

 しかしながら、都内の区市町村においては、予算の確保や庁内におけるシステム仕様の検討体制の問題などから、本システムを導入したのは十五自治体にとどまっております。

 都といたしましては、こうした現状及び今回の熊本地震における教訓を踏まえ、区市町村へのシステムの普及が急務であると認識しております。

 そのため、複数の区市町村が共同利用することでコストを抑える方式の導入など、多くの区市町村がこのシステムを利用できる仕組みについて検討を進めてまいります。

質問3
 熊本地震では震災関連死がクローズアップされました。特に車の中で避難生活を余儀なくされたため発生したのがエコノミークラス症候群であります。これに対し、都は、医療効果のある弾性ストッキング、すなわち弾力性のあるストッキングを支援物資として熊本市に送りました。迅速的確な対応です。

 大きな災害が発生した場合、避難生活の中でさまざまな問題が生じることと思われます。弾性ストッキングなどの医療資器材は、医療機関や避難所に適切に供給できるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3
福祉保健局長
 災害時における医療資器材等の供給についてでありますが、災害時に医療救護所や医療機関等で必要となる医薬品やお話の医療用弾性ストッキングなどの医療資器材を確保できるよう、都は、東京医薬品卸業協会や日本医療機器協会等の関係五団体と協定を締結しております。

 また、災害時に要請のあった医薬品等を必要な医療救護所などに搬送するため、卸売販売業者等に対して搬送用の車両を緊急通行車両として交通規制の除外を受けるための証明を事前に交付しております。

 今後とも、関係団体と連携協力しながら、災害時に必要な医薬品や医療資器材を迅速かつ適切に供給できる体制を確保してまいります。

質問4
 現在、携帯電話やスマートフォンが急速に普及しています。携帯電話やスマートフォンの位置情報は、通信事業者にデータとして蓄積されています。大災害で多くの行方不明者が発生した場合、その情報を活用すれば、捜索の重要な手がかりになります。

 総務省は、平成二十五年九月、ガイドラインを改正し、救助を要する者の捜索のため、その者の生命、身体に重大な危険が切迫しているとき、救助機関からの要請で位置情報を取得できると規定しました。

 都における代表的な救助機関の一つである東京消防庁では、この規定を活用し、平成二十七年、二十八年に、計八件、一一九番通報に基づく個別事例に活用したと聞いています。

 携帯電話などの位置情報を活用した救出、救助活動は、将来起こり得る震災や局地的な土砂災害などの災害において、要救助者の早期救出のツールとして、より有効に活用していくべきと考えますが、消防総監の見解を伺います。

答弁4
消防総監
 震災や局地的な土砂災害などにおける救助についてでありますが、東京消防庁では、電磁波探査装置や画像探査機など最新の救助資器材を活用し、要救助者の早期救出に全力で対応することとしております。

 お尋ねの携帯電話等の位置情報につきましては、端末の設定状況や基地局の状態、通信環境に影響されるものの、一定範囲内の位置情報を取得し、検索範囲を絞り込むことができる可能性があります。

 今後とも、通信事業者と連携を図り、携帯電話等の位置情報を早期救出のツールとして有効に活用してまいります。

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障害者施策

質問1
 次に、障害者施策について質問します。

 視覚障害のある人にとって、情報に接する大きな要素となるのは音声であり、音声を活用したバリアフリー対策は重要です。

 まちの中で人が移動するときにポイントとなる交差点には、安全に横断するための信号機があり、この存在は世界共通のものです。

 警視庁は、音響式信号機の設置を進める中で、新たにタッチ式スイッチを備えた、高齢者、障害者に優しい信号機の設置を進めるとしており、視覚障害者の方々も大きな期待を寄せています。

 そこで、この新たな信号機設置の取り組みについて警視総監の見解を伺います。

答弁1
警視総監
 信号機に関する取り組みについてでありますが、安全な交通社会を実現するためには、高齢者や障害者の方々の安全の確保が重要であります。

 このため、警視庁では、こうした方々の安全のため、いわゆるバリアフリー対応型信号機の整備等を推進しているところであります。

 そのうちの音響式信号機等のスイッチとして、ピクトグラムを採用した大型のタッチパネルを備え、これに触れるだけで感知するタイプのものを開発し、本年二月から導入を始めたところであります。

 このスイッチは、外国の方の利便性を考慮して、英語の音声案内機能も備えたもので、今年度、都内約百八十カ所に導入する予定であります。

 今後も、こうした取り組みを積極的に推進し、高齢者や障害者の方々等の安全確保に努めてまいります。

質問2
 視覚障害者への情報保障の一つとして、私はこれまでも、選挙公報や都立病院から受け取る書面に音声コードをつけるよう訴えてきました。音声コードは、携帯電話をかざせば文字を音声化できるものです。紙ベースの通知には、これを標準でつけるべきです。

 都税の場合、固定資産税では約三百万通の納税通知書が毎年納税者に届きます。納税通知書には、課税標準額などさまざまな金額が書かれています。視覚障害者は、それらの情報を書面から得ることはできません。納税者に対するできる限りの配慮が必要であり、障害者に対する情報保障もその重要な一つです。

 納税通知書に音声コードをつける取り組みを進めるべきですが、答弁を求めます。

答弁2
主税局長
 納税通知書への音声コード導入についてでございますが、全ての都民の皆さんが税を理解し、納得した上で納めていただくためにも、情報のバリアフリー化を進めることは重要でございます。

 このため、都では固定資産税等の納税通知書を送付する際に、希望する納税者の方々に、税額や納期限を記載した点字文書を同封しております。

 音声コードにつきましては、アクセシビリティーが高まる一方、納税通知書に記載されている課税標準額や税額など多くの情報をいかに音声化するか、どの程度の規模のシステム改修が必要となるかなど、検討すべき課題がございますが、今後、こうした課題を検証しつつ、点字利用者の方々などの意向も調査した上で、納税通知書への音声コード導入に向けた検討を深めてまいります。

質問3
 水道局は、水道使用者に検針票や料金の納入通知書を発行していますが、視覚障害者は、同様に内容を把握できません。水道事業は独立採算の公営企業であることから、費用対効果などを考慮する必要もありますが、全ての使用者が納入通知書等の情報にアクセスできるよう音声コードの導入を進めるべきです。見解を伺います。

答弁3
水道局長
 水道料金における納入通知書等への音声コード導入についてでありますが、水道局ではこれまで、視覚障害をお持ちの水道使用者に対し、希望に応じて納入通知書等に点字文書を同封するなどの対応を行ってまいりました。

 全ての水道使用者が水道の情報に容易にアクセスできることは大変重要と認識をしておりますが、一方で、納入通知書等は約七百四十万件の使用者ごとに原則二カ月単位で発行しておりまして、その全てに音声コードを導入するには大規模なシステム改修を要するなど、課題も多いのが現状であります。

 このため、まずは点字文書を送付している使用者に対して、音声コードに関するニーズの把握を行うとともに、お話のありました公営企業としての費用対効果の検証や、他の公的機関が発行する通知書等への普及状況も踏まえつつ、導入に対する検討を行ってまいります。

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動物との共生

質問1
 最後に、動物との共生について伺います。

 都は今年度から、動物愛護相談センターの機能やあり方について検討を進めるとしています。検討に当たっては、譲渡事業を一層推進する十分な機能、災害発生時には対策拠点としての役割を発揮することが重要であります。

 今後の検討の進め方について見解をお伺いします。

答弁1
福祉保健局長
 今後の動物愛護相談センターの機能についてでありますが、現在、動物愛護相談センターは、動物愛護管理法等に基づき、動物の適正飼養の普及啓発、保護した動物の譲渡、動物取扱業の監視指導、動物由来感染症対策、災害時の動物救護などを行っており、都における動物愛護や危機管理の拠点としての役割を担っております。

 お話のように、将来のセンターのあり方を検討するに当たりましては、譲渡事業や災害対策を一層推進していく観点が重要であると考えておりまして、現在、局内に検討チームを設け、センターの現状や他の自治体の取り組み状況などを踏まえながら、センターに求められる役割や機能について、さまざまな観点から検討を進めております。

 今後、専門家等で構成する動物愛護管理審議会からのご意見もいただき、年度内には基本構想を策定する予定でございます。

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