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  2. 平成28年 第1回定例会(一般質問2日目)
  3. 田中朝子(維新の党)

水上交通の安全にも資するよう
東京港運河の夜の景観づくりを

田中朝子

舟運の安全・安心

質問1
 ことしは日本で伊勢志摩サミットが開催されますが、先進七カ国G7の中で、首都が海に面しているのは日本だけです。近代的な高層ビルと下町の風景が同居するダイナミックな東京の湾岸の景観は、まさしく首都東京の新しい風景として大きな観光資源となっています。

 この新しい東京の湾岸地域の景観とともに、水辺がにぎわい、舟運という新たな観光産業を発展させるには、同時に水上交通の安全と安心を確保するための仕組みづくりが欠かせません。

 東京港の運河部分は、これまで両側の建物の後ろ側や裏側と捉えられてきました。そのため、夜になると暗く、航行する小型船に橋の橋脚部分や水面は見えづらくなります。この橋脚の前後には、船の衝突防止のためのくいが立てられていますが、これは橋脚を守るためのものであって、船舶やその乗客を守るものにはなっていません。

 車と違い、船舶はほかの船の航行の支障となるため、港則法等に基づき、ヘッドライトをつけることを禁じられているため、暗くなると水路や橋脚を照らす仕組みが全くないのが現状です。

 東京ゲートブリッジや勝鬨橋、永代橋のような大きくきれいなライトアップまではできなくても、橋脚や水面を照らす照明があれば、暗い運河部分は雰囲気のある場所になるとともに、水上交通の安全にも役立つことになります。

 これまで建物の裏側に当たっていた運河も、舟運の活性化とともに、水上タクシーなど多くの小型船が通ることになれば、その裏側が船から見れば表側になり、新たな観光資源にできる可能性があるのではないでしょうか。

 運河部分にかかる橋や橋脚部分、水面を照らす照明など、夜間の小型船航行の安全にも資する運河の夜の景観づくりが必要だと考えますが、ご所見を伺います。

答弁1
港湾局長
 運河部における景観づくりについてでありますが、運河部は、都市の貴重な水辺空間であり、新たな観光資源として魅力を高めていくことは、水の都東京を実現していく上で重要であります。

 これまで都は、地元区と連携し、運河沿いの護岸をテラスとした遊歩道への照明や植栽を整備するなど、運河部の景観づくりに取り組んでまいりました。

 今後も、護岸整備に合わせて照明を整備するとともに、背後のまちと一体となった潤いとにぎわいを創出するライトアップの検討など、運河部の景観向上へ向けた取り組みを進めてまいります。こうした取り組みは、夜間の航行安全にも資するものと考えております。

質問2
 また、お客を乗せる小型船舶操縦免許について申し上げます。

 日本では、二十トン未満の小型船舶を操縦するときには小型船舶操縦免許が必要ですが、欧米を初めとする多くの諸外国では、免許は必要ありません。しかし、水上タクシーのようなお客を乗せたり、船舶を商用目的で運転するプロの資格となると、逆に、欧米を初めとする多くの国では、一転して厳しい資格が求められます。

 日本では、お客を乗せるプロの資格は特定操縦免許という、わずか一日の座学のみの講習を受けるだけで取得できますが、例えばオーストラリアのクイーンズランド州でお客を乗せるプロの資格は、約三カ月の講習や実務研修を受けなければ、免許取得はできません。

 この船舶の操縦免許は国交省の所管ですが、今後、東京港でも水上タクシーや水陸両用車など、商業運航する小型船がふえるのですから、自動車免許の二種免許に相当する厳しい資格をつくり、乗客の安全や安心を高め、操船者に対する責任についても考える必要があるのではないでしょうか。

 今後、舟運の活性化を図る東京都として、人を乗せる商業運航の小型船の特定操縦免許取得の講習や実務研修をもっと厳しくするよう、ぜひ都知事から国に要望していただきたいと思います。

 都では、これから舟運の活性化を進め、観光資源に育て上げていく中で、東京港における舟運の安全・安心対策についてどのように取り組んでいくのでしょうか。知事のご所見を伺います。

答弁2
知事
 舟運の安全・安心対策でありますけれども、水辺の空間というのは東京にとって最大の魅力でありまして、舟運は重要な観光資源の一つであるし、これをさらに伸ばしていきたいと思っております。

 ただ、安全の確保は不可欠でございますので、先ほどご指摘の港則法などに基づく海上保安庁による指導が基本となりますけれども、船の航行についてしっかりとしたルールを守ってもらいたいと思っております。そういう意味で、都ではこのルールづくり、ルール、マナーの普及活動を行いたいと思っています。

 それから、夜の景観、このライトアップが海の安全にも、ウオーターフロントの安全に資するということは大変賛成でありまして、ライトアップということも一つの大きな政策として、今後展開したいというふうに思っておりますので、舟運における安全・安心を確保して、東京を魅力あふれる水の都にしたいと思っております。

質問3
 次に、東京都水上取締条例の改定について伺います。

 東京都では、東京港の運河部分でのさまざまな取り締まりに関して、昭和二十三年に施行された警視庁所管の東京都水上取締条例がありますが、昨年、私が一般質問で指摘させていただいたとおり、この条例はほぼ六十七年前の、まだ海上保安庁ができる前につくられたままであり、条例と現状との乖離が非常に大きいため、所管の警視庁での現状や時代に合った条例改定が早急に求められるところです。

 水上オートバイの暴走行為などをなくし、東京港運河部分の安全な船舶航行を実現させるためにも、警視庁や東京海上保安部、各所管部局が連携して、現状に即した新たなルールやマナーづくりに取り組み、世界に誇れる安全・安心で楽しめる東京港運河にしていかなければなりません。

 東京都水上取締条例の改定に向けての取り組み状況と、今後の方向性について、警視総監のご所見を伺います。

答弁3
警視総監
 東京都水上取締条例についてでありますが、近年、水上レジャーの人気の高まり等により、水上の安全・安心を確保するための取り組みは重要性を増しております。

 このため、警視庁では、水上における危険行為への指導警告、レジャーの際のマナー向上の呼びかけなどを行っているところでありますが、東京都水上取締条例については、現状にそぐわない点がないか確認を行っているところであります。

 今後も、国や東京都関係部局などの関係機関との連携を図りながら、条例に関する検討や警察用船舶を初めとする装備の充実等、水上の安全・安心を確保するための取り組みについて幅広く対応してまいります。

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お台場海浜公園の管理

質問1
 最後に、東京港の観光資源としての環境保護施策について伺います。

 東京港のレインボーブリッジの横に浮かぶ第六台場と、お台場海浜公園の沖合にある二つの島式防波堤、通称鳥の島には、日本最大級の水鳥であるアオサギを初め、カワウなど、何千羽もの水鳥が巣をつくり、繁殖しています。

 そのうち、鳥の島は昭和の初めに造成された無人島で、都が管理し、許可がなければ立ち入れないため、手つかずの自然となって草木が自生し、多くの野鳥が毎年その木や草むらに巣をつくり、繁殖しています。都内では希少なダイサギやコサギもいます。

 しかし、一昨年、この東京港の野鳥の楽園であった鳥の島で、島の半分以上の樹木が突然伐採されてしまいました。お花見スポットにするためで、伐採跡には屋形船業者さんらが桜の苗木などを植えました。伐採については、地元住民にも、また地元区にも、事前の説明はなかったと聞きます。

 また、この伐採により、国土交通省東京港湾事務所で二〇〇六年から毎年夏に開催してきた、家族で野鳥観察や清掃活動をしながら手つかずの自然の大切さを学ぶ鳥の島再発見ツアーを中止せざるを得なくなりました。このツアーは、毎年夏休みに開催されていたことから、参加者は小学生が多く、毎回六十人から百人が参加する人気ツアーでした。ことしの春、草木が伐採された鳥の島におけるアオサギの巣づくりは、一件も確認できなかったと聞きます。

 昨年五月の時点で既に、東京都環境局により行われた鳥類調査では、第六台場ではカワウ、アオサギ、また希少なダイサギやコサギが樹木上で繁殖し、ひなや幼鳥を確認している一方、樹木が伐採された鳥の島では、サギ類の巣づくりは確認されなかったと報告されています。

 今回、私も現地を船から見てきましたが、カワウやアオサギが今も数え切れないほどいる第六台場に比べ、島の半分以上の木が伐採された鳥の島には、水鳥は一羽も見えませんでした。今後、さらなる野鳥への影響や、桜との共存も懸念されています。

 桜ももちろん観光資源ですが、花が咲くのは一年にたった十日ほどです。二〇二〇年オリンピック・パラリンピックへ向けて、これからふえる外国人の観光客には、東京港に野鳥の楽園があることの方がずっとインパクトが大きかったのではないでしょうか。

 伐採してしまい失った手つかずの自然は、残念ながらもう取り戻すことはできませんが、ほかにも同様の都心の自然があれば、希少な観光資源としてしっかりと保護していくべきではないでしょうか。

 今後は、鳥の島も湾岸部の観光資源と位置づけ、きちんとした保護計画を持って管理していくべきと思います。

 また、今後このようなことが起こった場合は、事前に地元区や地元住民への説明も丁寧に行い、理解を得るべきと考えますが、ご所見を伺い、私の質問を終わります。

答弁1
港湾局長
 お台場海浜公園の管理についてでありますが、水域にある旧防波堤、通称鳥の島は、かつて貯木場の荷揚げ場等として活用しておりましたが、平成八年度に海上公園エリアに組み入れて以降、原則立ち入りを禁止したために、その後、二十年間の間に自然に樹木が生育し、カワウが営巣しております。

 昨年度、花を活用した観光振興の観点から、民間事業者の協力を得て桜を植樹いたしました。その際、一部の木を伐採をしております。桜の植樹後の調査でも、従前どおりのカワウの営巣や、アオサギ、ダイサギを含め二十種を超す鳥の飛来も確認しておりまして、伐採の影響は認められておりません。

 今後、民間事業者の協力を得て、清掃や下草刈りなどの管理を行いながら、野鳥と緑の共存を図ってまいります。

 なお、桜の植樹に当たりましては、植樹の実施前である平成二十六年四月に、地元区や進出事業者などから成る臨海副都心まちづくり協議会へ説明を行ったところであります。

 今後とも、公園管理に当たっては、周辺住民等への情報提供も行いながら、海上公園が都民の憩いの場となるよう努めてまいります。

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