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  2. 平成28年第1回定例会(一般質問1日目)
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2020年大会開催を控える
首都東京の安全・安心の担保を

山田忠昭

危機管理

質問1
 まず最初に、東京都の危機管理についてお伺いをいたします。

 昨年来、パリやジャカルタでテロ事件が発生するなど、海外の大都市を標的とした銃撃や爆発事件が相次いでおります。

 一方、北朝鮮では、本年一月に核実験を実施し、二月には沖縄県上空を通過するミサイル発射を敢行するなど、我が国の平和と安全を損なう暴挙に出ました。このことは、国連安保理決議等にも違反する許しがたい行為であります。

 このように国際情勢が予断を許さない中で、我が国においても、危機管理体制に万全を期することが強く求められております。とりわけ、ラグビーワールドカップ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催を控える東京にあっては、緊張感を持って、都民の安全・安心の確保に全力を尽くすことが必要であります。

 そこで、首都東京の安全・安心を担保するための危機管理について、まず、知事の所見をお伺いいたします。

答弁1
知事
 テロなどに係る首都東京の危機管理についてご質問をいただきましたけれども、海外の大都市を狙ったテロ行為や北朝鮮による核実験及びミサイル発射は、断じて許すことのできない暴挙であります。

 昨今、テロなどをめぐる国際情勢が緊迫の度を増す中、本年五月には、伊勢志摩でサミットが開催されます。その後も、東京都におきましては、ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックと、世界が注目する国際的なイベントが開催されますことから、確実に備えを固めていかなければなりません。

 このため、都は、警察、消防の強化に努めるとともに、万が一テロが発生した場合には、国などの関係機関と連携して、警報の通知や住民避難の措置などを迅速に行えますように、日ごろから訓練を通じ、対処能力の向上を図っているところでございます。

 今後とも、世界一安全・安心な都市の実現に向けて、全力を挙げて危機管理に取り組んでまいります。

質問2
 また、警視庁では、伊勢志摩サミット、オリンピックを見据え、治安対策を推進中のことと思いますが、危機管理上極めて重要となっている重要インフラに対するサイバー攻撃対策について質問をいたします。

 近年、国際的にもサイバー攻撃が多発し、また、我が国においても、日本年金機構に対するサイバー攻撃により、多くの個人情報が流出するなど、サイバー攻撃の脅威は日々悪質化、巧妙化しており、国の治安、安全保障はもとより、都民の安全・安心な暮らしを脅かす喫緊の課題となっているといえます。

 そこで、警視庁の重要インフラに対するサイバー攻撃対策の推進状況について、警視総監の所見をお伺いいたします。

答弁2
警視総監
 重要インフラに対するサイバー攻撃対策についてでありますが、海外では、韓国の金融システムを機能不全にした事案やフランスの国際放送局の放送を停止させる事案が発生しております。

 このように重要インフラに対するサイバー攻撃は、国民生活や社会経済活動に重大な支障を及ぼすことから、警視庁では、サイバー攻撃の標的となるおそれのある重要インフラ十三分野六十九事業者との間で構成するサイバーテロ対策協議会の枠組みを通じ、参加事業者間の情報共有や、サイバー攻撃を想定した共同訓練による緊急対処能力の向上に努めております。

 また、サイバー攻撃の予告等を認知した場合には、速やかに注意喚起を行い、被害の未然防止を図っておりますが、今後もこうした取り組みを強力に推進してまいります。

質問3
 次に、水道の危機管理についてお伺いをいたします。

 昨日の我が党の代表質問において、浄水場更新の機会を捉えて、危機に備え、施設を完全覆蓋化するとの表明がありました。

 水道は、都民生活と首都東京を支える最も重要なライフラインであり、中でも基幹施設である浄水場は、一たびテロなどの被害を受け、停止すれば、その影響は甚大であります。

 浄水場は、水面を開放した施設が多く、また、大量の電力を使用していることから、異物の混入や電源の遮断など、テロによる被害も懸念される状況となっています。このため、浄水場の覆蓋化などの危機管理は、確実に進めなければならない重要な事業であると思います。

 そこで、浄水場の危機管理対策を今後どのように進めていくのか、お伺いをいたします。

答弁3
水道局長
 浄水場の危機管理対策についてでありますが、火山噴火やテロ行為等のさまざまな危機に万全を期すためには、浄水場における異物の混入防止や浄水処理に必要な電源設備が遮断されないよう、さらなる対策を講じることが重要であります。

 このため、浄水場の更新にあわせて、異物混入等のおそれのある全ての施設を覆蓋化するとともに、電源設備の建屋内への設置や受電ルートの地中化を図るなど、浄水場の再構築を多角的に進めてまいります。

 今後でございますが、東村山浄水場の更新代替施設として、平成二十九年度から整備する境浄水場におきまして、こうした取り組みに着手するとともに、この事業効果を検証し、各浄水場の地域特性も十分に勘案しながら、危機に備えた強靱な水道施設を計画的に構築してまいります。

質問4
 次に、都営地下鉄のテロ対策についてお伺いをいたします。

 鉄道に対するテロとしては、二〇〇四年にスペインで列車爆破事件、二〇〇五年にロンドンで地下鉄爆破事件が発生しており、また、国内においても、一九九五年に当時の営団地下鉄でサリン事件が発生をしております。多くの利用客が集まる鉄道がテロの標的となった場合、相当な被害が発生するおそれがあり、都営地下鉄がテロ対策に積極的に取り組んでいくことは極めて重要であると考えます。

 そこで、都営地下鉄における今後のテロ対策の取り組みについてお伺いをいたします。

答弁4
交通局長
 都営地下鉄のテロ対策についてでございますが、交通局ではこれまで、駅員や警備員による巡回警備の強化や監視カメラの増設等により、テロの未然防止を図るとともに、警察や消防と連携し、NBCや爆発物への対処訓練を実施するなど、その対応力の向上に努めてまいりました。

 現在、専門家の指導助言のもと、テロに関する危機管理対策計画を策定しているところであり、テロの類型に応じ、より効果的に対応するための手順等を定めてまいります。

 今後は、より緊張感を持って、迅速な情報の把握と共有に努めることで、関係機関との一層の連携を強化してまいります。

 また、不審者や不審物を検知するシステム等の新技術を視野に入れた駅構内監視カメラのさらなる増設や総合指令所への映像集約など、監視体制をさらに強化してまいります。こうした取り組みを通じて、輸送の安全を全力で確保してまいります。

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食品廃棄物

質問1
 次に、食品廃棄物の横流し事件への対応についてお伺いをいたします。

 本年一月、愛知県で、メーカーが食品の廃棄を廃棄物処理業者に委託したにもかかわらず、その処理業者が、廃棄物を不正に商品として横流ししていた事件が発生をいたしました。この事件は、特定の事業者が起こした問題とはいえ、廃棄物処理全体に対する国民からの信頼を大きく損なう事態になってしまいました。今後は、しっかりと再発防止に取り組む必要があると思います。

 先般、環境省からの通知に基づいて、全国一斉に食品廃棄物の処理業者に対する調査が行われたと聞いております。

 そこで都は、今回の事件を契機にどのような指導を行ったのかをお伺いいたします。

答弁1
環境局長
 食品廃棄物の横流し事件への対応についてでございますが、都はこれまでも、産業廃棄物処理業者に対して定期的に立ち入りを行い、実際に現場に保管されている廃棄物の状況を確認した上で、処理の委託契約書、マニフェストなどを検査し、不適正な処理の防止に努めてまいりました。

 今回の愛知県における事件を契機に、改めて、全ての産業廃棄物処理業者に対し、法令を遵守して適正な処理に努めるよう通知を行うとともに、食品の廃棄を扱う処理業者二十一社全てを対象として、職員が現地への立入検査を行ったところ、いずれも廃棄食品の横流しにつながる不適切な処理は認められませんでした。

 今後とも、処理業者に対する指導監督を通じて、食品廃棄物を含む産業廃棄物の適正処理を確保してまいります。

質問2
 次に、食品ロス削減への取り組みについてお伺いをいたします。

 今回の愛知県の事件は、本来、適正に処理されなければならない食品廃棄物が、不適正なルートで市場に流通して店頭に並んだことが問題であります。この問題には、不適正な処理を行った事業者を厳重に取り締まるべきだという声がある一方、廃棄された食品の中には、まだ食べることができる食品も多くまざっており、もったいないという声も多く聞こえました。

 今後、廃棄物の不適正な処理を防止する手だてを講じることはもちろんでありますが、食品廃棄物を削減し、資源が有効に活用される取り組みにも力を注いでいく必要があると思います。

 食品の無駄を最小限にし、東京を持続可能な都市としていくため、都はどのように取り組みを進めていくのかをお伺いいたします。

答弁2
環境局長
 食品ロスの削減への取り組みについてでございますが、都は、持続可能な資源利用への転換を図るため、食品ロスの削減に向けたモデル事業を実施し、余り物の食材を持ち寄って、無駄なく調理して味わう、いわゆるサルベージパーティーなどの参加型イベントを開催しております。

 これらのイベントには、多くの家族連れや若者などが参加をいたしました。また、メディアにも数多く取り上げられ、ほかの自治体からも同様のイベント開催についての問い合わせがあるなど、食品ロスの削減の意義や重要性に対する社会的な関心は高まっております。

 こうした機運を捉え、都民や事業者に対する区市町村の取り組みを積極的に支援するなどにより、食品ロスの削減を進めてまいります。

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防災都市づくり

質問1
 次に、防災対策について伺います。

 災害への対応力を備えるための取り組みは、都として極めて重要と考えます。首都直下地震の切迫性が指摘される中、先日も台湾で地震が発生するなど、大地震はいつ来てもおかしくない状況であります。また、ことしは、東日本大震災から五年目の節目の年であり、都民、民間、行政など、各主体が改めて大地震への備えに関する意識を高めていくことが重要であります。

 大地震が起きた場合でも、被害を最小とするため、木密地域の大きな被害が想定される整備地域の改善は喫緊の課題であります。延焼遮断帯については、特定整備路線等の整備を進めておりますが、その内側の区域は、今まで以上に不燃化を加速させることが重要であります。

 現在改定中の防災都市づくり推進計画ではどのような方策を考えているのか、お伺いをいたします。

答弁1
東京都技監
 木密地域におけます整備地域の改善についてでございますが、延焼遮断帯に囲まれた木密地域の不燃化を加速するため、今回改定する防災都市づくり推進計画では、狭隘な道路の拡幅を計画的に進めながら、沿道の建築物の不燃化、耐震化を促進していくことといたしました。

 具体的には、震災時に延焼や建物倒壊のおそれが特に高い二十八の整備地域全てにおきまして、緊急車両の通行や安全な避難に有効な道路の拡幅計画を区とともに定めることといたします。

 都は、道路用地の測量や取得等に要する費用を補助し、区の取り組みを強力に後押ししてまいります。あわせて、道路の拡幅に協力して、建築物の建てかえ等を行う場合にも、工事費の一部を助成することといたします。こうした新たな取り組みを来年度からスタートさせまして、整備地域の防災性を高めてまいります。

質問2
 また、防災都市づくりを進めていく上で、整備地域以外での木密対策も重要と考えます。

 私の地元の西東京市には、築後三十年が経過した木造住宅地があり、震災により火災が発生した場合には延焼被害のおそれがあります。また、農地や比較的大きな敷地等は、相続などの機会にミニ開発されるおそれがあります。

 整備地域のような地域をこれ以上ふやさないためには、これらの市街地においても取り組みを行うべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。

答弁2
東京都技監
 整備地域以外の市街地におけます取り組みについてでございますが、都内には、整備地域の指定区域以外にも、老朽木造住宅の密集地や、土地利用の転換時にミニ開発が進むおそれのある企業のグラウンドなどがございます。

 新たに、こうした地域についての施策にも踏み込みまして、区市に対して敷地面積の最低限度の設定や、市街地の耐火性能を高める新防火区域の指定を促してまいります。

 また、区市が地区計画などを活用して、防災上効果的な敷地の細分化防止策等を講じられるよう、技術的、財政的に支援をし、危険性の高い市街地の形成に歯どめをかけてまいります。

 今回の計画の改定を機に、整備地域におけます道路拡幅や燃えにくい建築物への建てかえ助成とともに、木造住宅密集地域拡大の未然防止にも取り組み、災害時における市街地の安全性を高めてまいります。

質問3
 また、地震に備えたまちづくりをしっかり進めるとともに、大地震が発生した際、救急救援活動や物資の輸送等を円滑に行うためには、迅速な障害物撤去や道路の照明の復旧などを行うことが不可欠であります。

 そこで、震災時における道路機能の早期回復に向け、都はどのように取り組んでいるのかをお伺いいたします。

答弁3
建設局長
 震災時における道路機能の早期回復に向けた取り組みについてでございますが、震災時に、救急救援活動や緊急物資の輸送を円滑に行うため、道路の通行機能を確保することは重要でございます。

 都は、協力業者と災害協定等を締結し、地震発生後、速やかに道路の障害物除去を行う体制を整えるとともに、共同で訓練を行うなど、防災対応力の向上を図っております。

 また、除去作業後の復旧活動を継続的に進めるためには、道路照明の早期復旧も必要です。

 このため、都道の道路照明の保守を担う事業者が加盟する街路灯保守管理協同組合と、災害時における協力協定の今年度内の締結に向けて協議を進めております。

 今後とも、関係する協力業者などと連携し、発災後の道路機能回復に向けた体制の強化を図ってまいります。

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連続立体交差事業

質問1
 次に、西武新宿線井荻駅から東伏見駅間の鉄道立体化についてお伺いをいたします。

 西武新宿線は、連続立体交差化が進んでいる西武池袋線と比べて、数多くの踏切が残されています。これらの踏切は、慢性的な交通渋滞や踏切事故の原因となっており、その解決には、連続立体交差事業が必要不可欠であります。

 本区間について、都は、我が党の代表質問に対し、社会資本総合整備計画に位置づけ、事業化に向けて一歩踏み出すとの答弁がありました。

 私の地元であります西東京市の東伏見駅では、既に南北に駅前広場が整備されておりますが、さらに将来の鉄道の立体化によるまちの一体化を見据え、まちづくりの取り組みが進められております。

 西武新宿線の連続立体交差化は、沿線住民の悲願であり、一日も早く実現してほしいと願っております。

 そこで、本区間の事業化に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。

答弁1
建設局長
 西武新宿線井荻駅から東伏見駅間の鉄道立体化についてでございますが、この区間には、あかずの踏切が七カ所あり、都市計画道路が五カ所で交差するなど、鉄道立体化による踏切解消が必要でございます。本区間は、外環ノ2や補助第二二九号線など、関連する道路の整備計画が具体化するとともに、上石神井駅や東伏見駅周辺のまちづくりが進められていることから、新規に着工を準備する区間として、今年度中に社会資本総合整備計画に位置づけることといたしました。

 連続立体交差事業の効果を高めるためには、本事業と並行し、地元区市が駅前広場や関連する街路など、まちづくりに着実に取り組むことが重要でございます。

 今後、構造形式や施工方法の検討を進めるとともに、地元区市や鉄道事業者と連携し、事業化に向けて取り組んでまいります。

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多摩・島しょ振興

質問1
 次に、多摩・島しょの観光振興についてお伺いをいたします。

 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の開催と、その後の時期を含め、外国から東京を訪れる旅行者の数は大きく伸びていくことが見込まれております。こうした外国人観光客が、豊かな自然に恵まれ、魅力あふれる多摩・島しょ地域を訪問するように、民間と行政が知恵を出し合い、力を合わせていくことが大切であると思います。

 民間では、さまざまな都内の観光ルートを企画して、旅行者にその利用を働きかけておりますが、観光振興のてこ入れのためには、行政も民間のそうした努力を後押しをする踏み込んだ支援も必要になると思います。

 さらには、多摩・島しょ観光の目的となる場所が離れていて、限られた時間で見て回るためには、交通事情の制約などの課題もあり、その克服もしっかりと行うことが大切であります。

 こうした内容を踏まえ、都として、多摩・島しょ地域の観光振興について、来年度にどのような展開をしていくお考えがあるかの所見を伺い、質問を終わりたいと思います。

 ご清聴ありがとうございました。

答弁1
産業労働局長
 多摩・島しょ地域の観光振興についてでございますが、東京の観光振興に向け、多摩・島しょの魅力ある観光資源等を活用し、さまざまなスポットをめぐる効果的な取り組みを進めることは重要でございます。

 これまで都は、多摩・島しょ地域の自然や文化財を生かした観光ルートをつくり出す取り組みや、観光スポットの移動に必要な交通機関の乗降場所の整備などを支援してまいりました。

 来年度は、農林水産業を活用した観光ツアーをつくる民間の取り組みを後押しするとともに、その販売に向けたサポートも行ってまいります。

 また、多摩地域内の観光地をバスやタクシーで円滑に移動するためのモニターツアーの実施や、多摩・島しょの観光に、自転車の活用を進めるための支援を行ってまいります。こうした取り組みを通じまして、多摩・島しょ地域の観光振興の効果を着実に高めてまいります。

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