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  2. 平成26年第3回定例会(一般質問)
  3. 河野ゆうき(自民党)

理念持ち恒久的な問題解決を
東武東上線の鉄道立体化推進を

河野ゆうき

自助・共助・公助

質問1
 少子化にあらゆる手段を講じても歯どめがきかない中、晩婚化や未婚化も少子の原因の一つになっていると考えます。日本では、非嫡出子の割合はまだ二%でありますが、一方で、高福祉の優等生的に取り上げられるスウェーデンでの非嫡出子の割合は五〇%を超えております。私は、日本は、この方向に向かうべきではないと考えております。

 私は、あらゆる環境に置かれた立場や考え方を尊重しつつも、大方こうあるべきであるという自然発生的な秩序を感覚として持っているはずであると考えております。

 しかしながら、昨今では、ポリティカルコレクトネス、政治的正しさを気にかけるがゆえ、正論を堂々といえなくなっている社会的雰囲気を私は非常に危惧をしております。個 々の選択の自由も当然尊重しながら、さまざまな事情がある人を考慮しながらも、日本の自生的秩序の中で受け継がれてきた家族制度の価値というものを改めて見直すべきであると考えております。

 かつて日本のどの家庭でも神棚や仏壇があり、家族は縦の流れとしての共同体でありました。墓参りや仏壇に手を合わせるという行為をもって、先祖との心の交流を図ることはとても重要であり、その基準として家という単位で管理され、子孫に継承されていくものでありました。

 しかし、戦後の神道指令に端を発し、欧米のような緩やかな政教分離ではなく、厳格な政教分離を強いられたがゆえ、日本の精神文化の支柱を失い、また、生活スタイルの変貌、多様化とともに、我が国の伝統的価値観が崩れ、個人主義を尊重するがゆえの副産物ともいえる無関心な社会になってしまっているのが現状だと私は考えております。

 例えば、ニーズとしての待機児対策は必要であり、進めなければならない重要な都政課題である一方、子育ての一義的な責任は保護者にあるという自覚を忘れるような社会にしてはいけないと私は考えております。手厚過ぎる支援は過保護になり、依存心が強まり、成長力を失う。自立を促し、支え合う価値観を取り戻すことが重要であります。

 私は、日本社会が長い年月をかけて培ってきた家族制度の価値、すなわち、自分の責任、役割を果たし、家族の中で支え合い、慈しみ合いながら、地域がともに助け合うという価値観を土台にしながら行政の役割を考える視点を見失ってはならないと思っております。

 政治は、社会制度や行政サービスを構築するに当たり、どのような理念を持って恒久的な問題解決に取り組むのかが問われていると考えます。

 そこで知事にお伺いします。

 さまざまな都政課題を解決するに当たり、自助、共助、公助の順番をどのように捉え、課題に取り組むのか、知事の所見をお聞かせください。

答弁1
知事
 自助、共助、公助についてでありますが、我々の社会は、個人あるいは家族と、それを取り巻く地域などのコミュニティを基礎としております。

 その中にあって、まず、みずからのことは自分で守る自助、そして、隣近所やボランティアの見守りなど、他者を思いやり、相互に支え合う共助の考え方は、心豊かな社会を形づくる上で基本になるものと考えております。

 先日の杉並区との合同防災訓練では、警察、自衛隊、消防や医療機関などの公的な援助が届くまで、地域住民や団体の皆さんがみずから消火するとともに、協力して人命を救助する訓練に取り組みました。こうした自助、共助の取り組みは、災害による被害を最小限にとどめるために大変重要であると考えております。

 一方で、例えば要介護度の高い方の介護を家族やボランティアのような自助、共助で全て負うことに限界があることも、また事実であります。

 また、子育てをしながら、何とかして自己の能力と経験を社会に生かしたいと強く望む女性もふえており、それを支える仕組みが求められております。

 こうした場合には、公助がしっかりと役割を果たすべきでありまして、それぞれのニーズに応じた行政サービスが行き届くようにすることが必要であると考えております。

 自助、共助、そして公助は、それぞれが相まって機能するものであると考えております。

 今後とも、こうした認識に立ちまして、福祉、防災や治安を初め、さまざまな都政の課題の解決に取り組んでまいりたいと思っております。

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都市広報

質問1
 次に、海外への情報発信について伺います。

 私は、二十数年前、アメリカの大学に留学をしておりました。当時、アジアからのニュースといえば、東京からの発信がほとんどであったと記憶しております。政治や経済、そして、それらを伝える報道のアジアのヘッドクオーターは紛れもなく東京であったと思います。

 しかし、近年では、多くの外国メディアの拠点も、東京から北京やソウル、シンガポールに移り、アジアの発信力の中心は東京といえない状況になってきています。

 都は、東京の国際的なプレゼンスを向上させるべく、昨年度末から、海外向け都市広報に着手されました。今後、世界に大きな影響力を持つ海外メディアとのより強固な関係を築いていくことが必須と考えますが、具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

 なお、今月十三日、北京で電気自動車によるフォーミュラカーレース、フォーミュラEが初開催されました。エンジンのような爆音も排気ガスも出さないフォーミュラEは、全戦、市街地での公道レースで、先日の北京を皮切りにプトラジャヤ、ブエノスアイレス、マイアミ、ベルリン、ロンドンなど、今シーズンは全十都市で行われます。

 大都市のランドマークを背景にフォーミュラカーが疾走するというイベントとして注目されており、自民党のモータースポーツ推進議連で、このレースを後押しする法案が用意をされ、次期国会に提出する動きもあります。

 もし東京で開催されることになれば、世界に環境の日本、東京という説得力のあるメッセージを発信できると思われます。実現には困難も多々ありますが、今後、戦略的に東京の魅力を発信していくには検討に値するプロジェクトであります。都の積極的な取り組みを要望しておきます。

答弁1
生活文化局長
 海外への都市広報を展開するに当たっての海外メディアとの強固な関係の構築についてでありますが、東京の魅力を世界に効果的に発信するためには、世界各国に住む人々の身近な情報源から東京の姿を発信してもらうことが重要であると考えております。

 そのため、これまで関係の少なかった在京の海外メディアを対象に、環状七号線地下調節池など、東京の先進的な取り組みや都市戦略等について、プレスツアーや知事による直接ブリーフィングを今年度から新たに実施いたしました。

 さらに今月、欧米、アジアから六名の記者を招聘し、東京の都市機能や人々の生活の様子を外国人目線で取材を行い、広く世界に発信してもらう事業を日本外国特派員協会との連携により開始いたしました。

 この事業の実施に当たりましては、短期間で世界各国から当初の予想を上回る約二百四十名からの応募があったことから、招聘した六名の記者だけではなく、こうした東京に関心を寄せる多くの記者との間でネットワークを構築することで、事業効果をより高めてまいります。

 今後、十月に立ち上げる有識者会議での意見を十分に踏まえまして、国ごとのニーズや発信手法等に合わせたきめ細かい取材支援、情報提供を行うなど、海外メディアへのサポート機能を充実させ、より掘り下げた東京の魅力の発信強化につなげてまいります。

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航空政策

質問1
 次に、首都圏空港の機能強化についてお聞きいたします。

 羽田空港の年間発着枠は、ことし三月、四十四・七万回となり、四本目の滑走路供用前の一・五倍に拡大され、これにより、羽田は再び本格的な国際空港となりました。今後、国際競争力強化のため、さらなる機能強化が必要となります。

 羽田と成田との共存共栄のほか、横田飛行場を初め、茨城空港や富士山静岡空港など、既存の空港の活用も重要な論点です。

 また、羽田空港の機能強化については、本年七月、発着容量を拡大させるため、国から都心上空を飛行する新たな飛行ルート設定の提案があり、この具体化に向け、先月、協議会を設置したと聞いております。

 伊丹や福岡などの都市でも一般的に事例があると聞いておりますが、そうはいっても、これまで騒音について過去の経緯を持つ空港隣接区にとっては不安な面もあると推測いたします。このような住民の方々の感情をまずはしっかりと踏まえながら、機能強化の検討を進めていただきたいと思います。

 また、深夜、早朝時間帯は、発着枠に若干の余裕があると聞いておりますが、その充実も大切な課題だと考えております。

 そこで、都は、国から示された新たな飛行ルートによる容量拡大の提案など、羽田空港の機能強化について、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

答弁1
都市整備局長
 羽田空港の機能強化についてでございますが、本年七月、国は、需要の拡大が見込まれる羽田空港の発着回数をふやすため、学識経験者の検討に基づき、都心上空を飛行する新たなルート案を示しまして、具体化に向けて、関係都県や航空会社等との協議会を設置いたしました。

 都は、協議会への参画に当たりまして、関係区市との連絡会を設けまして、国から詳細な情報提供を受けつつ、地元の理解も得ながら、羽田空港の容量拡大に取り組んでまいります。

 また、発着枠に余裕のある深夜早朝時間帯の利用促進を図るため、来月から、国とともに、この時間帯を対象に、空港と都心とを結ぶアクセスバスを試験的に運行いたします。

 引き続き、羽田空港の発着枠拡大を中心とする機能強化を図りまして、国際競争力を備えた世界一の都市東京の実現に取り組んでまいります。

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防災対策

質問1
 次に、防災対策について伺います。

 首都直下型の大地震発生時には、火災や倒壊家屋などからの救出など、都内各地で多くの都民が助けを求める事態が想像されます。これらの火災や救助において公助を担う東京消防庁の活躍に期待するとともに、自助、共助による力が欠かせません。阪神・淡路大震災では、住民等による自助、共助の力によって救出された人が全体の九割にも上るというデータがあります。

 地域での防災訓練の取り組みが各地で行われておりますが、まだまだ参加者は十分だとはいえません。東京消防庁が指導を行う防災訓練の現状と、参加者数を増加させるための今後の取り組みについて伺います。

答弁1
消防総監
 防災訓練の現状と参加者を増加させる取り組みについてでありますが、防災訓練参加者は、東日本大震災以降増加傾向にあり、平成二十五年度は百四十三万人でありました。首都直下地震の発生が危惧される中、世界一安全な都市を実現させるためには、さらなる訓練参加者の拡大が重要であります。

 このことから、今まで訓練を実施していない地域や、訓練をしたことのない都民の参加を促進するため、自宅の近くで短時間で必要な技能を習得できるまち角防災訓練や、小中学校の学区を単位にPTAや町会、自治会等と連携し、学校行事や地域のイベント等に合わせた防災訓練をさらに普及させてまいります。

質問2
 また、防災訓練の実効性の向上や訓練指導体制の充実を図るべきと考えますが、東京消防庁の今後の取り組みについてお聞かせください。

答弁2
消防総監
 防災訓練の実効性の向上や指導体制の充実についてでありますが、大規模地震による被害を軽減するためには、発災直後における地域住民の防災行動力を高めていくことが重要であると認識しております。

 このため、スタンドパイプを活用した実践的な初期消火訓練に加え、今年度整備する消火、救助体験ハウスを使用し、放水や救出活動を実際に行う訓練、防災マップを活用して防災資機材等の位置や地域の具体的な危険性を把握する訓練などを推進することにより、実効性の向上を図ってまいります。

 また、地域の防災リーダーである消防団員や東京消防庁災害時支援ボランティアとより一層の連携を図り、訓練指導体制をさらに充実させてまいります。

 今後とも、関係機関等と連携し、自助、共助による地域防災力の充実強化に努めてまいります。

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鉄道事業とまちづくり

質問1
 次に、東武東上線の連続立体化事業と大山駅周辺まちづくりについて質問いたします。

 板橋区の中心市街地である大山地区まちづくりは、今、大きな分水嶺に立っております。知事、ぜひとも現地ご視察をお願い申し上げます。

 板橋区は、ことし三月に、大山まちづくり総合計画を策定し、特定整備路線である補助二六号線の整備促進とともに、拠点の再開発事業等の推進を位置づけております。

 具体的には、隣接し合う都有地及び区有地を核としたピッコロ・スクエア周辺エリアにおいて、にぎわい拠点の構築を目指し、また、道路の計画線と商店街が交差するセントラル・クロスポイントエリアにおいて、ハッピーロード大山商店街の中心地として、歩行者の流れをつなぎ、生み出す拠点の構築を目指しております。二六号線の整備と、これらの拠点整備は、まちのにぎわいを維持するためにも歩調を合わせて進めていく必要があります。

 そこで、沿道まちづくりの取り組み状況や今後の進め方について、都の見解を伺います。

答弁1
都市整備局長
 次に、補助二六号線大山区間の沿道まちづくりについてでございます。

 都はこれまでも、道路整備と一体となった沿道まちづくりの検討を進めるため、地元区と連携して、商店街を中心としたまちづくりに専門家を派遣するなど、支援を行ってまいりました。

 お話のピッコロ・スクエアなど、二つのエリアは、商店街のにぎわい拠点となる重要な場所でございまして、地元が検討してきた再開発の実現を目指す準備組織が発足しております。特に、都有地を含むエリアにつきましては、区から、事業スキームや今後の進め方の相談を受けております。

 都は、引き続き区と連携いたしまして、地元の意見も丁寧に聞きながら、特定整備路線である補助二六号線の今年度の事業化を目指すとともに、不燃化特区制度の支援策も活用して、沿道のまちづくりを積極的に促進してまいります。

質問2
 板橋区は、大山駅から成増駅までの東武東上線の区内全線の立体化を、区民の悲願と捉えております。私からも全線立体化を強く要望いたします。

 都の踏切対策基本方針では、大山駅付近と、ときわ台―上板橋付近の二区間が、鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられておりますが、このうち大山駅付近については、交差する補助二六号線の事業化に向けた取り組みにあわせて、鉄道立体化についても、検討区間から事業候補区間への格上げをして進めていく必要があると考えます。

 そこで、東武東上線大山駅付近の鉄道立体化に向けた取り組み状況について伺います。

答弁2
東京都技監
 東武東上線大山駅付近の鉄道立体化についてでございますが、大山駅付近には、第三次事業化計画に位置づけられた補助第二六号線を含む八カ所のあかずの踏切があり、鉄道による地域分断の解消等が課題となっております。

 このような中、お話のとおり、板橋区は本年三月、大山まちづくり総合計画を策定し、補助二六号線の整備と地元商店街とが共存するまちづくりの方向性を定めました。これを受けて都は、大山駅付近を連続立体交差事業の事業候補区間に位置づけ、事業範囲や構造形式などの調査検討に着手することといたしました。

 今後は、必要な財源の確保に努め、地元区や鉄道事業者と連携し、鉄道立体化に向けて積極的に取り組んでまいります。

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都有地の活用

質問1
 また、補助二六号線に接し、大山駅周辺まちづくりの中心には、福祉保健局、板橋キャンパス、健康長寿医療センターがあります。昨年六月には、医療センターが新施設に移転、板橋看護専門学校は改築が終わり、また、新しい介護施設も来月にオープンします。今後、それらの跡地がどのように活用されるかは、地元への影響は非常に大きく、区としても注視しているところです。地元からも、まちづくりにあわせての跡地活用についての要望を受けております。

 区の策定した大山まちづくり総合計画にも、地域のまちづくりに寄与するものとなるよう調整協議を進めていきますと記述されております。引き続き、区と都との合意を得られるよう、我々も、区議会や地元とも連携しながら尽力をしていきたいと考えております。

 板橋キャンパスの今後の活用の進め方について、お考えをお聞かせください。

 我々都民の生活エリアでの後世に残していけるまちをつくることも、大事なレガシーだと考えております。

 以上で質問を終わります。

 ご清聴まことにありがとうございました。

答弁1
福祉保健局長
 板橋キャンパスの跡地活用についてでありますが、平成二十年に都が策定した再編整備基本計画では、施設の建てかえ跡地について、高齢者の福祉施設等ゾーン及び緑化広場ゾーンとして活用を検討することとしております。

 また、お話の区が策定した大山まちづくり総合計画では、板橋区の福祉施策との整合を図りつつ、敷地内の緑化の維持、保全、推進を初め、余裕を持った土地利用により生じるスペースの確保など、大規模災害時の防災機能の強化を図り、地域のまちづくりに寄与するものとなるよう調整、協議を進めていくとされております。

 キャンパスでは、今後、移転後の施設の解体工事や健康長寿医療センターの駐車場整備等を進めることとしておりまして、跡地活用については、基本計画の考え方を踏まえながら、地元区の意見等も聞き、検討を進めてまいります。

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