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クレジット納税の対象拡大を
まちなか水飲栓で東京のPRを

加藤雅之

人権施策

質問1
 初めに、人権問題について質問します。

 今や都民の三十人に一人は外国人であり、東京を訪れる外国人旅行者も昨年は過去最高となりました。震災復興などの人手不足も相まって、外国人研修生の受け入れが今後ますます増大することも予想されます。

 昨日の我が党の代表質問で、オリンピック・パラリンピック開催都市にふさわしい外国人との共生について知事が積極的に啓発に取り組むべきとの問いに対し、知事は、多文化共生社会の実現に向けて取り組む姿勢を国内外に発信していくと答弁されました。政治哲学者ハンナ・アーレントにも触れ、みずからの思いを語られました。人権尊重の理念を大事にする姿勢を明確にしたことは、都市外交に続いて、都政の岩盤が新たに動いたとの思いを受けました。

 国内では、一部の外国人が住居の入居を断られたり、スポーツの試合や観光地などで、外国人に対する排他的な表現や言動も残念ながら見受けられます。このような状況の中、多文化共生という観点から、都民に対する啓発を行うことが極めて重要であると考えます。知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 多文化共生の観点からの都民への啓発についてでありますけれども、最近、一部で見られます外国人を排斥する表現や排他的な言動は、一人一人の人権が尊重され、豊かで安心して生活できる成熟した社会を実現する観点から、甚だ残念であります。

 日本には、相手を思いやり、互いに助け合って生活する伝統がございます。日本人と日本で暮らす外国人が同じコミュニティで生活する構成員であると、そういう意識を持ち、互いにルールを守りながら、阻害し合うことなく生活していくことが肝要であると考えております。

 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催に向けまして、多様性に寛容な多文化共生を目指し、積極的に人権啓発に取り組み、東京を思いやりに満ちた世界一の都市にしていきたいと思っております。この多様性に基づく多文化共生、これがなければ、私は、世界に通用する大都市になることは不可能だと考えております。全力を挙げて、この課題に取り組みたいと思いますので、ぜひ皆様方のご協力をお願い申し上げます。

質問2
 次に、私の地元墨田区のある小学校では、約十五カ国の、外国語を母語とする子供が在籍し、全校生徒の約半数に達しています。それゆえ、外国の子供が余りにも多過ぎて、言葉の障害のため授業が順調に進まず、日本の子供も悪影響を受けているのではないかと危惧する声も寄せられていました。

 しかし、学校関係者に事実確認をすると、日本の子供にとっては、国際性豊かな環境でいい刺激を受けるなど、よい成績を上げているとのことでした。ただ、外国の子供は、日本語指導者の不足で学習がおくれ、平均的に見ると多くの課題があることがわかりました。

 そこで、オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、広く都民に外国人の人権問題に対する啓発を進めていくことが大切です。今後の都の具体的な人権啓発の取り組みについて見解を求めます。

答弁2
総務局長
 外国人の人権問題に対する啓発の取り組みについてでございます。

 オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、東京を世界一の都市とするためには、民族、文化等の多様性を理解し合う人権尊重の意識を醸成していくことが重要でございます。

 都はこれまでも、講演会や都民講座等、人権啓発を実施してまいりましたが、今後は、二〇二〇年東京大会に向けて、外国人の人権に重点を置いた啓発が必要でございます。

 そのため、アスリートによるメッセージを試合会場で放映する等、人権啓発に意欲的なスポーツ団体との連携を拡充するほか、企業と連携した人権研修やテレビCM、都のホームページを活用した情報発信の充実など、さまざまな取り組みを積極的に展開してまいります。

質問3
 また、国連が推進する人権教育のための世界プログラムの第三段階が来年からスタートします。ここでは固定観念の課題などに取り組み、多様性の尊重を培う平等や、非差別に関する教育と研修を進めていく動きがあります。

 そこで、学校教育においても、外国人に関する人権問題に対し多文化共生を醸成できるよう、人権教育を推進すべきと考えます。見解を求めます。

答弁3
教育長
 学校における人権教育の推進についてでありますが、子供たちに、異文化を尊重する態度や、異なる習慣、文化を持った人々とともに生きていく態度を育成することは重要でございます。現在、学校では、外国人との交流活動を通してコミュニケーションの大切さを感じる学習、外国の文化、歴史を理解する学習、共生社会の実現のための取り組みを考える学習などを行っております。

 今後、都教育委員会は、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、都内公立学校全ての教員に配布する指導資料、人権教育プログラムに外国人とのかかわり方についての指導事例を新たに掲載するなどし、子供たちに、多様な文化を認め、尊重する態度を育む人権教育を推進してまいります。

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クレジットカード納税

質問1
 次に、都税の納税方法について質問します。

 これまでも都は、金融機関の窓口や口座振替、インターネットバンキングやATM、さらには、全国で初めてコンビニエンスストアでの納税を導入するなど、納税方法を幅広く提供してきました。これは、納税者の利便性向上、期限内納税の促進、都税収入の確保と、効果的な取り組みであるといえます。

 加えて、平成二十三年度には、かねてから公明党が要望していたクレジットカードを利用した納税が、まずは自動車税で開始されました。利用者からは、自動車税の納付時期は四月から五月なので、教育費などの支出が年度初めと重なり支払いが大変だった。しかし、クレジットが使えると、決済はボーナス時期に当たるので大変助かると、また、クレジット払いであればカード会社のポイントがたまるのでお得感があるとの声も届いております。

 今日、多くの都民が利用しているインターネットショッピングを見てみると、クレジットカードが基本的な決済手段として幅広く浸透しています。日本クレジット協会の統計では、国内で発行されているクレジットカードの総数は三億二千万枚以上で、一人約三枚所有しているのがわかります。

 そこで、現在のクレジット納税利用状況と、今後、固定資産税などへ対象を拡大し、他の都税においてもクレジット納税を導入すべきと考えますが、見解を求めます。

答弁1
主税局長
 クレジットカードでの納税についてでありますが、都では、平成二十三年度から自動車税を対象に実施し、以降、年々利用者が増加して、今年度の実績は五月末現在で利用件数は約十五万七千件、納税額の約六%を占めております。これは、自宅でいつでも納税が可能であるという利便性などが、利用拡大に結びついているものと考えております。

 一方で、他の都税への拡大に当たっては、これまで定額としている手数料設定などについて見直す必要がございます。こうした点に留意しながら、都民のさらなる利便性向上や都税収入確保などの観点から、今後は固定資産税など、クレジットカード納税の対象拡大に向けて取り組んでまいります。

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環境施策

質問1
 次に、住宅のエネルギーマネジメントについて伺います。

 地元墨田区では、住民の約七割が集合住宅に住んでおり、中でも比較的規模の小さな既存マンションが多く建っています。管理組合の中には、最近の電気料金の高まりも相まって、マンションに高圧一括受電を導入し、電気料金の削減に取り組もうとされています。

 しかし、戸数が少ないマンションは、高圧一括受電導入によるメリットよりも整備コストが上回るため、導入に二の足を踏んでいました。このため、我が党の主張で都が今年度から開始するスマートマンション導入促進事業により、設備費用の補助がアップし、比較的規模の少ないマンションでも参入業者がふえていくと考えます。

 そこで、事業内容や導入事例、メリットなどを積極的に周知するとともに、利用者にとって使いやすい制度としていくべきです。見解を求めます。

答弁1
環境局長
 集合住宅におけるエネルギーマネジメントについてでございます。

 都が今年度新たに開始するスマートマンション導入促進事業につきましては、今月中に事業の詳細を公表し、七月にマンションの管理組合等に向けた説明会の開催を予定しております。

 説明会では、光熱費削減効果や高齢者の見守りなどのさまざまな附帯サービスの事例を紹介することで、エネルギーマネジメント導入の具体的なメリットをわかりやすく示してまいります。

 また、可能な限り国の補助金の申請書類との共通化を図るなど、利用者の負担軽減に努めてまいります。

 こうした取り組みにより、集合住宅のスマート化を積極的に推進してまいります。

質問2
 また、戸建て住宅では、最近、HEMSを活用して省エネ、節電を行うだけでなく、ひとり暮らし高齢者の見守りサービスなど、都民生活の利便性を高めるサービスも提供されるといった動きが見られ、我が党が主張した家庭の創エネ・エネルギーマネジメント促進事業による設備補助が後押ししているものと評価いたします。

 そこで、エネルギーマネジメントの導入が比較的容易な新築住宅だけでなく、窓などの断熱対策などが不十分なため、トータルとして新築よりも設備費用のかかってしまう既存住宅に対して導入が進むよう、取り組みを進めていくことが環境先進都市をつくる上で重要だと考えます。見解を求めます。

答弁2
環境局長
 既存の戸建て住宅などのエネルギーマネジメントについてでございますが、新築住宅に加え、既存住宅にもエネルギーマネジメントを導入していくことが重要でございます。

 これまで都は、HEMSの導入とあわせた創エネ機器の導入支援を行ってきており、これにより、都内の家庭用燃料電池等は急速に普及しておりまして、既存住宅における潜在需要も高いと考えられます。

 既存の住宅のエネルギーマネジメント導入においては、設置に高額なコストや複雑な工事が必要であるため、補助制度を効果的に活用するとともに、リフォーム等の機会を捉え、関係団体とも連携して普及に努めてまいります。

 こうした取り組みにより、既存住宅のエネルギー利用の効率化、最適化を今後も強力に推進してまいります。

質問3
 次に、土壌汚染対策について質問します。

 地元墨田区では、地場産業であるメッキや金属、ガラス加工などの町工場が古くから集積し、日本経済の牽引役となっておりましたが、後継者難や外国との価格競争などで、やむなく廃業に追い込まれる事態がふえています。その際、土地の売却等で問題となるのが土壌汚染対策です。

 ガラス加工を営む中小事業者の方は、高齢のため住居兼作業場を売却するため、土壌汚染調査を行いました。その結果、事業者の予想に反する汚染が見つかり、想定した価格での売却ができずに、やむなく価格を引き下げての契約となり、老後の生活に不安を抱えることになりました。

 こうした土壌の調査や対策の実施には、専門的な知識と高額な費用を必要とし、特に中小事業にとっては大きな負担となっています。しかも、今の制度では、法が施行される以前の操業で生じた土壌汚染に対しても対象となることから、法律を策定した国が、もっと十分な救済策を用意すべきだとの不満が募っています。

 法に基づく対策である以上、都だけで対応できるものではありませんが、法の見直し時期である来年、国に対して、現場の声を伝えて改善を求めるべきです。

 また、土壌汚染対策に関する調査方法や対策の合理化などで負担軽減を図るなど、見直しが必要と考えますが、都の見解を求めます。

答弁3
環境局長
 土壌汚染対策についてでございます。

 対策に係る中小事業者の費用負担が大きいことなどから、都は国に対して、低コストな浄化技術の開発や助成制度の拡充、汚染地を有効利用するための土地の適正評価手法の検討などを提案要求しております。

 来年、現行法施行後五年の見直し時期となることから、都は、国の検討会の場などにおいて、中小事業者の土壌汚染対策の現状を説明し、国に負担軽減を働きかけてまいります。

 また、都は、独自にアドバイザー派遣制度のほか、低コストの対策などをわかりやすく紹介したガイドラインの配布や、処理技術フォーラムの開催、迅速かつ低コストな汚染分析技術の開発促進などを実施しております。

 今後も、中小事業者の実情を踏まえ、これらの内容の充実を図り、土壌汚染対策の合理化等に努めてまいります。

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オリンピック・パラリンピックに向けた施策

質問1
 次に、今後の東京の通信環境整備について質問します。

 二〇一二年ロンドンオリンピック・パラリンピックは、選手や観客が本格的にSNS、ソーシャルネットワーキングサービスで情報発信を行い、全世界で情報共有が始まった最初の大会といわれています。来るべき二〇二〇年の東京大会も、そこに集う人々がWiFiなどを使って情報が全世界に飛び交う大会になることは確実です。また、世界から集まる外国人観光客は、東京の町のさまざまな情報を、これまで以上にスマートフォン等で収集するようになります。

 このように、携帯電話等を利用した通話や通信の情報量は飛躍的に増大する傾向にあります。現状のままでは、安全で快適な通話や通信のサービスを利用者に提供する環境は十分ではなく、対策が必要です。

 先般、知事は、通信事業者からヒアリングを行うなど、具体的な行動に着手したと聞いておりますが、二〇二〇年を見据えた通信環境について、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 二〇二〇年を見据えた通信環境についてご質問がございました。

 オリンピック・パラリンピックの開催を機に、訪日外国人の増加が見込まれますが、お話のように、携帯電話等を介した通話や通信の情報量も飛躍的に増大すると予測されております。

 現状のままでは、利用者に対し、安全で快適な通信サービスが提供されず、ふえる一方の情報量に対応できない可能性がございます。また、これは危機管理の面からも大変問題であります。

 こうした状況を踏まえまして、先般、オリンピック・パラリンピックを見据えた通信通話環境の整備に向けまして、携帯電話やWiFiの事業者から直接意見を聴取し、緊急時の通話確保の対策や周波数帯の有効活用に関する提案等をいただいたところであります。

 一方、国におきましては、電波政策に関する懇談会の中で、さまざまな議論が行われておりまして、年内に取りまとめる予定と聞いております。

 都は、今後、情報通信事業者の意見も参考にしながら、国に対し必要な対策を講じるよう提言するなど、通信環境の向上を推進してまいります。

質問2
 次に、WiFiの利便性向上策について質問します。

 私は、昨年の第一回定例会で、外国人観光客の不満の上位である無料WiFiの整備を訴えました。都内各地を初め、日本のすばらしい観光資源にアクセスしてもらうためにも、リアルタイムで情報が入手できる環境をまずは整えないといけないと感じたからです。

 これに対し、都は、観光案内窓口や宿泊施設、都バス、都有施設などへWiFi環境の整備を進めていることを評価いたします。

 また、空港や駅、コンビニエンスストア、飲食店などでも、民間主導で無料WiFiの整備が進んでおりますが、接続IDやパスワードをその都度入力する必要があるなど、旅行者の目線に立てば不便なものとなっています。

 先月の報道では、大手携帯電話会社などが協力し、いずれの通信事業者の携帯端末でも、大規模災害発生時には手続不要で無料WiFiに接続できるようガイドラインを策定しました。こうした取り組みは、大規模災害という緊急事態に対処するために、事業者間の利害を超えた協力の一つのあらわれだと思います。

 今、東京に限らず、日本全体でオリンピック・パラリンピックを共通の目標として、世界中から来る旅行者を温かく迎えようという機運が高まっています。

 この機会を捉え、旅行者専用の統一された接続ID、例えば、2020TOKYOでWiFiに接続できるようにするなど、外国人旅行者が利用しやすい環境を整えていくべきと考えますが、都の見解を求めます。

答弁2
産業労働局長
 無料WiFiについてのご質問にお答えいたします。

 外国人旅行者が快適に東京の観光を堪能するためには、無料WiFiを簡便に利用できる環境を整備することが重要であります。無料WiFiは、商業施設や飲食店などの民間事業者が個別に設置していることから、利用に当たっては事業者ごとに手続が必要な状況にございます。

 お話の接続IDの統一は、利便性の向上に有効でありますが、それぞれの事業者がWiFiを独自の顧客サービスにつなげているため、その実現に当たっては、事業者の理解と協力を欠かすことができません。

 そのため、都といたしましては、国や業界団体が一体となった取り組みを進めるよう働きかけを行うなど、無料WiFiの利用環境の改善に向けて取り組んでまいります。

質問3
 最後に、町なか水飲み栓について質問します。

 公明党は、一昨年の予算特別委員会において、高度浄水処理されたおいしい水の積極的PRと、蛇口から水を飲む日本の文化を継承していくために、屋外で水道水をおいしく飲める工夫をすべきと提言しました。現在、水道局は、水源から蛇口まで、さまざまな浄水対策に取り組み、市販のミネラルウオーターと飲み比べしても見分けがつかないぐらい高品質なおいしい水となりました。

 今後、五輪開催に向けて、国内外から多くの観光客も訪れる中、屋外でおいしい水を、しかも、誰でも無料で飲める水飲み栓は、東京のすぐれた技術、文化を身近に感じてもらう絶好の機会となります。

 さらに、東京大会の開催期間は真夏ということもあり、水分補給や体温を下げるための熱中症対策にもなります。

 そこで、この水飲み栓を一目で目につくすぐれたデザインとし、にぎわいのある場所に設置して積極的にPRすべきと考えます。都の見解を求め、質問を終わります。

答弁3
水道局長
 町なか水飲み栓の現在の検討状況についてでありますが、蛇口の水を直接飲めるという日本が誇る文化を継承するためには、水道水のおいしさを実感してもらうことが必要であります。

 このため、町なか水飲み栓という洗練された外観デザインを持つ水飲み栓を、多くの人が行き交う場所に試験設置いたします。

 設置場所については、国内はもとより、海外からの来訪者も含め、多くの人が行き交う東京国際フォーラムとし、本年夏に設置する予定であります。

 この町なか水飲み栓により、一人でも多くの方に高品質な水道水を体感してもらい、東京水道のおいしさを広く国内外に発信していくとともに、そのPR効果を検証しつつ、さらなる展開を検討してまいります。

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