
上下水道
質問1
まず、上下水道についてお伺いいたします。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催が決定しました。これを契機に東京の魅力を世界に発信し、世界一の都市として環境整備に努めていかなければなりません。
これに加え、二〇一八年に開催予定の国際水協会世界会議の東京開催が決まったということであり、水道局では、蛇口から直接飲める安心でおいしい水を世界に向けてアピールしてもらいたいと思います。ぜひ、知事にはその先頭に立っていただきたいと思います。
そもそも、蛇口から直接水を飲める国は世界でも少ないといわれています。中でも、東京水道は安全でおいしい水を都民に届けるため、これまでに水源から蛇口までさまざまな取り組みを実施しており、私も大変評価をしています。
例えば、我が党が提案してきた小中学校での水飲栓直結給水化事業では、冷たくておいしくなったなどの声が上がるなど、次世代を担う小中学生にも水道水のおいしさが浸透していることは大変好ましいことでございます。
そこで、水道局では、これまで安全でおいしい水の取り組みなどをどのように進めてきたのか、お伺いをいたします。
答弁1
水道局長
安全でおいしい水の取り組みと水道水に対する満足感についてであります。
水道局では、これまで安全でおいしい水プロジェクトとして、水をつくる、水を届ける、わかりやすく伝えるといった三つの視点から、高度浄水処理の導入や直結給水方式の促進、さまざまな媒体を活用したPRなどの施策を総合的に推進してまいりました。
これまでに当局が実施したお客様満足度調査によると、飲み水としての水道水を満足とするお客様の割合は平成十五年度に二八%でしたが、平成二十四年度には四七%と大幅に増加しております。また、これに伴い不満とする方の割合は大きく減少しましたが、その中には自宅や住んでいる地域の水道水の水質をみずから確かめたいという方がおられます。
質問2
また、水道水に対する都民の満足感はどうなのか、率直な見解を伺います。
世界に誇れる東京水道、都民の皆さんの理解を一層深めるためには、安全性やおいしさを体験していただくことも有効であると確信します。世の中では、見える化とか参加型、体験型というものが好評を得ています。
こうした点を踏まえ、世界に誇れる安全でおいしい東京の水を都民みずからが体験してもらう、いわば水の見える化を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
水道局長
水の見える化についてでありますが、お客様の理解を一層得ていくためには、水道水の安全性やおいしさをお客様自身が体感し、その情報を誰もが共有できることが重要であります。
そのため、新たに水道水質モニター制度をことしの秋に創設し、自宅の水道で簡易に行える水質測定をお客様自身で体験していただくとともに、その結果を都民が共有できるよう広く公表してまいります。
さらに、水道水とミネラルウオーターとの飲み比べや浄水場体験ツアーなどもあわせて、水道水質の見える化として施策を体系化し、効果的に推進してまいります。
今後、安全でおいしい水プロジェクトを一層推進するとともに、国内外に向けて蛇口から直接飲める安全でおいしい水を積極的にPRしてまいります。
質問3
さきの大震災では、都の被災地における復興支援に対する各種の取り組みが、各方面から高く評価されています。一方で、首都直下型地震の被害想定を見ると極めて心配であり、あらゆる事態を想定した万全の備えが必要であると思われます。
下水道局は、多摩川を挟む二つの水再生センターを連絡管で結び、震災時に下水道処理機能を確保する取り組みを進めていると聞いています。このような取り組みはいざというとき大変頼もしく、積極的に進めていただきたいと思います。
流域下水道における連絡管の整備状況と今後の取り組みについて伺います。
答弁3
下水道局長
連絡管の整備状況と今後の取り組みについてでございます。
連絡管は、震災時のバックアップ機能の確保と施設の更新や維持管理の効率化を目的に整備しております。既に、多摩川上流と八王子水再生センター間は平成十八年度から稼働し、東日本大震災の際には、汚泥処理が停止した水再生センターを対岸の水再生センターでバックアップし、支障を来すことなく対応することができました。
北多摩一号と南多摩水再生センター間については、昨年度完成した連絡管の相互融通機能を活用し、今年度から水処理施設の一部を停止し、高度処理施設への更新や耐震化工事を進めてまいります。
さらに、三本目となる北多摩二号と浅川水再生センター間連絡管は、平成二十七年度末の完成に向け、鋭意工事を進めているところでございます。
質問4
また、下水道局は、都民の協力と理解を得るために、施設の見える化を進めているとのことです。こうした取り組みは、都民にとって下水道や防災対策の理解を深める絶好の機会となるものと確信します。
そこで、連絡管を活用した見える化の取り組みについて伺います。
答弁4
下水道局長
見える化の取り組みについてであります。
下水道局では、お客様に下水道や環境への理解を深めていただくため、ふだん目にしにくい下水道施設を見える化する取り組みを行っております。
去る四月には、三河島汚水処分場喞筒場の一般公開や、虹の下水道館のリニューアルオープンを行い、積極的に施設を見ていただいております。
北多摩一号と南多摩水再生センターの連絡管では、計画段階から若手職員のアイデアをもとに、見える化を念頭に施設整備を進めてきました。
具体的には、実際に連絡管内に入り施設規模を体感していただくほか、地域のシンボルとなるような壁画、下水道の役割や震災対策などをわかりやすく説明したパネルや実物大模型により、子供たちにも興味が持てるような工夫を凝らしております。
今後とも、施設の見える化の取り組みを積極的に進め、下水道事業をアピールしてまいります。
危機管理対応
質問1
次に、危機管理対応について伺います。
首都直下型地震などの巨大地震の切迫性が指摘され、災害発生時の対応強化が強く求められています。世界に誇れる安全・安心な都市づくりを実現していくためには、総合的な施策が必要であることはいうまでもありません。
こうしたことを踏まえ、都では、東京都地域防災計画を昨年十一月に修正、過日、東京都震災対策事業計画が公表されたところでございます。多摩地域においては、懸案事項の危機管理対応能力強化のため、三多摩地区消防運営協議会からさまざまな提案が寄せられていることは周知のとおりであります。
首都直下型地震発生時における多摩地域の消防体制の強化などについて伺います。
答弁1
消防総監
首都直下地震を踏まえた多摩地域の消防活動体制についてでありますが、東京消防庁では、市街地状況の進展や行政需要の変化を勘案し、庁舎の整備や車両の配置を行うとともに、消防団と連携した実戦的な訓練を通じて消防活動能力の向上を図るなど、消防活動体制の充実強化に努めております。
さらに、先般の東日本大震災の教訓や多摩地域の特性を踏まえ、本年、当庁で五部隊目となるハイパーレスキュー隊を八王子市に発隊させるとともに、府中消防署に特別救助隊、日野消防署豊田出張所には救急隊を増強配置いたしました。
今後とも、当庁の全消防部隊を効果的に運用するとともに、消防団と緊密な連携を図るなど、震災消防活動に万全を期してまいります。
質問2
次に、救急医療の東京ルールについて伺います。
平成十七年をピークに減少傾向にあった都の緊急搬送患者数は、平成二十二年から再び増加し、昨年は過去最高を記録しました。高齢化の進展を背景として、救急搬送患者に占める高齢者の割合は四五%を超え、今後一層ふえることが予想されています。
一方、軽症患者数は減少傾向にあるものの、依然として五割以上となっています。また、救急患者を受け入れる救急告知医療機関は、平成十年の四百十一施設から、平成二十四年には三百二十二施設と二〇%以上減少しています。
こうした救急医療体制を取り巻く環境変化を踏まえ、都は、社会構造の変化に的確に対応する救急医療体制のあり方について、救急医療対策協議会へ諮問し、本年五月に答申しました。
答申では、都が平成二十一年から開始した救急医療の東京ルールの充実について方向性が示されました。
東京ルールにより地域救急会議が創設され、地域の実情を踏まえた連携体制の構築など、さまざまな取り組みが始まっています。
引き続き、東京ルールの充実を図るべきと考えますが、都の取り組みについて伺います。
答弁2
福祉保健局長
救急医療の東京ルールについてですが、本年五月の救急医療対策協議会答申では、東京ルールの継続的かつ安定的な運用確保等の観点から、地域救急医療センターの充実や対象傷病者の変更など、見直しの具体的な方向性が示されております。
都では、救急患者の迅速な受け入れに向けたセンター確保に取り組み、現在、八十二施設まで指定を拡充いたしました。
また、センターの負担軽減等のための地域の特性に応じた医療連携推進について、二次保健医療圏ごとに地域救急会議を活用した検討を進めており、搬送時間の一層の短縮に向けた対象傷病者の見直しについても、今月から対象を拡充した運用を行っております。
今後とも、答申を踏まえ、東京消防庁や都医師会等の関係機関と連携し、救急医療体制を充実強化してまいります。
質問3
安心・安全まちづくりの制定から十年が経過、都内の刑法犯認知件数が減少している反面、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の被害は依然として多く、本年八月末の被害状況は、認知件数千六百三十六件、被害総額は約五十三億円と、昨年と同じ時期と比較して、認知件数で三百九十三件、被害総額で六億円の増加となっており、その対策は喫緊の課題であると捉えています。
特に、息子や孫に成り済まして親や祖父母の心につけ込み、高齢者の大切な財産をだまし取る手口は、家族の信頼というきずなを破壊するだけでなく、被害者の心に大きな喪失感や絶望感を抱かせる極めて卑劣な犯罪であり、何としても撲滅しなければならない喫緊の課題であることはいうまでもありません。
そこで、青少年・治安対策本部における取り組みについて伺います。
答弁3
青少年・治安対策本部長
振り込め詐欺等の被害防止対策についてでありますが、都は、現在、取り締まりを行います警視庁と協力して、振り込め詐欺等が起きにくい環境を目指し、被害を受ける高齢者や周囲の人々の心に響くよう工夫を凝らして啓発に取り組んでいるところであります。
具体的には、高齢者を対象として、演劇でだましの手口を明らかにする防犯講話、あるいは高齢者の子や孫世代に被害者の無念さを伝え、注意を呼びかける広報、さらに、金融機関の職員を対象として、だましの実例を踏まえた声かけ講習会などを繰り返し実施しております。
都は、今後、これらに加えまして、巧妙化する手口に即応するため、警視庁、区市町村、民間事業者等と密接に連携し、広く防犯の情報をきめ細かく発信するなどしまして、卑劣な振り込め詐欺等の撲滅に向けた環境整備に努めてまいります。
交通インフラ整備
質問1
次に、交通インフラの整備について伺います。
災害対応、日常の経済活動等々、道路交通インフラのネットワーク化が都市基盤整備のかなめであることはいうまでもありません。多摩地域を今後さらに発展させていくには、道路や鉄軌道などの都市基盤を積極的に推進し、交通ネットワークのさらなる充実を図っていくことが重要であると考えます。
その中でも京王線は、JR中央線、西武線、小田急線などとともに区部と多摩を結ぶ重要な公共交通機関であり、昨年八月には調布駅付近連続立体交差事業により京王線、相模原線で地下化が完成、十月には笹塚─仙川間において、連続立体交差事業に向けた都市計画変更が行われました。これにより、複数の踏切が同時に除却され、道路のネットワークの形成が促進し、交通渋滞や地域分断の解消が期待されています。
しかしながら、連続立体交差事業に挟まれた区間である柴崎駅付近については、踏切対策基本方針において鉄道立体化の検討対象区間から外れています。
柴崎駅付近については、完成後のダイヤ改正により通勤通学時間帯における遮断機の解放時間が短くなり、踏切横断時間が従前よりも長くなったとの調査結果も出ています。こうした実態を含め、近傍の踏切によりまちが南北に分断されており、安心・安全に踏切を横断できる暫定的な措置として、立体横断施設の整備等も有効な手段であると考えられます。
柴崎駅付近の踏切対策について、都の見解を伺います。
答弁1
東京都技監
京王線柴崎駅付近の踏切対策についてでございますが、柴崎駅に近接しているつつじヶ丘五号踏切、柴崎三号踏切の両踏切につきましては、都が平成十六年に策定した踏切対策基本方針におきまして、鉄道立体化以外の対策の検討対象区間に位置づけており、早期に実施可能な対策を関係者間で検討すべき箇所としております。
これらの踏切につきましては、歩道のカラー舗装や警報時間制御といった踏切システムの改善など、早期に実施可能な対策が、既に道路管理者や鉄道事業者により実施されてきております。
立体横断施設の整備につきましては、地元自治体が主体となって取り組むべき課題でございまして、都としては必要な技術的支援を行ってまいります。
質問2
道路や港湾、鉄道といった交通関連施設は都市の活動を支える基盤として重要な役割を持ち、日常生活や経済活動、あるいは災害時においてもその機能が十分果たされるよう、将来を見据え計画的に整備する必要があります。
今日まで、多摩地域においては都市機能を支える道路や鉄道施設について逐次整備されつつあるものの、いまだに区部との差異があることは否めず、整備を求める声が後を絶ちません。
こうしたことに鑑み、昭和五十五年に多摩川架橋及び関連道路整備促進協議会が発足、今日までさまざまな活動を行い、関係機関と綿密な連携のもと整備が進められ、一定の整備効果を上げてきたことは大いに好感が持てます。
しかしながら、立日橋から多摩水道橋までの多摩川中流部橋梁のうち、構想橋である仮称第二多摩水道橋については未整備の状況にあります。さきの震災では、橋梁の重要性や避難路確保が指摘されたことは周知のとおりであり、現実に多くの人たちが多摩水道橋を渡り、徒歩などで自宅に向かっていました。
そこで、多摩川中流部橋梁の整備状況と仮称第二多摩水道橋の位置づけについて伺います。
答弁2
建設局長
多摩川中流部橋梁の整備状況と仮称第二多摩水道橋の位置づけについてでございますが、多摩川の中流部にかかる橋梁は、昭和五十五年当時の五橋十二車線から、現在は九橋三十四車線へと整備が進んでおります。これにより交通容量が三倍近くとなり、多摩川中流部の道路交通状況は大きく改善されてきております。
都といたしましては、引き続き多摩川中流部架橋の整備と多摩南北主要五路線を初めとする多摩地域の幹線道路ネットワークの充実に積極的に取り組んでまいります。
また、仮称第二多摩水道橋につきましては、多摩川中流部架橋検討委員会の答申において計画を検討する必要がある将来構想橋梁となっております。
産業振興
質問1
次に、産業振興についてお伺いいたします。
産業が道路交通ネットワークと一体不可分の関係にあることはいうまでもありません。四百万人を擁する多摩地域は、豊かな自然環境に恵まれ、大都市の機能と調和した世界に誇れる地域であると思います。
しかし、少子高齢化の進展や大規模工場の撤退などの問題も抱え、今後の多摩の活力、特に産業の活力をどう高めていくか、まさに大きな岐路に立っています。
多摩地域の東京移管百二十周年という節目を一つの契機として、行政は十年先を見据えて地域の潜在力を最大限に生かした産業基盤の強化、活性化策を進めていく必要があります。
多摩地域の活性化の大きな柱の一つは産業基盤の強化であると思います。多摩地域には、研究開発型企業や高い技術を持つ中小企業が数多く立地し、こうした企業が周辺の大手企業や研究機関と連携し、より活発に技術開発に取り組む環境が整えば、多摩がものづくりの先進基地として国内外に広く認知をされていくものと思います。ご所見をお伺いします。
答弁1
産業労働局長
多摩地域の産業についてでございますが、多摩地域には高度な技術を持つ中小企業や大学、研究機関が数多くあり、こうした多様な主体が金融機関を含めて連携し、産業振興を実現していくことが重要であります。
このため、都は、多摩地域に集積する計測分析器やロボット等の産業分野で産学公金のネットワークをつくり、新製品の共同開発から事業化までを支援してまいりました。
このネットワークからは、ガソリン車を簡易に電気自動車に変える装置を大手輸送会社の要望を取り入れながら開発するなど、連携の成果が着実にあらわれております。
今後は、中小企業と大学や研究機関との連携をさらに促進するとともに、中小企業と大手企業との連携強化に向け、大手企業のニーズの収集やマッチングの進め方などについて、効果的な仕組みを検討してまいります。