
中央環状品川線
質問1
まずは、これまでも品川区選出の先輩議員の皆さんがたびたび質問し、その問題点を指摘してきました首都高品川線についてであります。
平成十六年以来、五反田地区の三十町会が合同連絡会を結成し、五反田換気塔建設反対を訴えてまいりました。あれから六年、当初の計画から比べれば換気塔には除じん、脱硝装置が装備され、有害物質の約八割が除去されるようになりました。
換気塔のサイズもスリムになり、当初から比べれば威圧感も少なくなった。これまでの都の努力は十分評価をするわけでありますが、この連絡会の主張は、あくまで換気塔の廃止。地域エゴによって道路の建設反対を訴えているわけではなく、私たちは、子や孫に大気汚染を残したくない、このスローガンどおり、無公害道路の実現を求めているわけであります。
先般発表された東京都の「十年後の東京」への実行プログラムによりますと、美しいまち東京の復活、世界で最も環境負荷の少ない都市の実現といった美辞麗句が並んでいるわけなんですが、これまででも三十九本、首都高品川線や外環道などで、これから十八本もの異様な煙突が東京のまち中に林立をするわけであります。これで果たして美しいまちの復活になるのでしょうか。
そもそも有害物質を空中高く吹き上げるという考え方そのものが時代に逆行するものであります。健康被害が予測をされるが放置をするでは、不作為の作為であるといわざるを得ません。これで果たして世界で最も環境負荷の少ない都市の実現になるのでしょうか。
過去の水俣、四日市等の教訓からも、有害物質は大気拡散ではなく、その発生源で除去する総量規制が公害防止の基本であります。有毒排気ガスをばらまく地上道路に比べて、トンネル道路はガスの制御が可能なんです。
都は、住民の健康第一、環境第一、環境立国日本の先頭に立つの気概を持って、換気塔建設を再考すべきであると考えますが、都のご見解を伺います。
答弁1
東京都技監
中央環状品川線五反田換気所の換気塔についてでございます。
中央環状品川線は、首都圏三環状道路の一つとして、高速道路全体のネットワークを効率よく機能させ、人と物の円滑な流れを実現するとともに、一般道路の渋滞緩和や環境改善にも大きく寄与する路線でございます。
本路線の整備によるCO2の削減効果は、日比谷公園の面積の約五百倍に相当する森林が吸収する年間約九万トンにも及びます。
品川線の整備に当たっては、沿道環境への影響が最も小さい地下構造を採用しており、排気ガスの換気や火災発生時における排煙のため、換気塔の設置が不可欠でございます。
なお、環境影響評価の結果からも、換気塔の供用に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の影響は極めて小さく、いずれも環境基準を満足しております。
質問2
東京都は、換気塔をつくる理由の一つとして、万一のトンネル火災発生時、高熱の火災まじりの煙を高さ四十五メートルの煙突から排出をすることができるので、周辺の安全を守ることができるということを挙げています。
しかし、トンネル内での火災発生に際して、そんな危険な煙が発生するならば、五反田にできる高速入り口近辺で火災が発生した場合には、その入り口から煙が噴出をし、周辺住宅に大きな危険が生じることになります。
東京都は、その対策も含め住民に何も告知をしていません。トンネル内での火災発生時の消火対策はそんなに脆弱なんでしょうか。また、高速入り口周辺に対する危険対策をどのようにお考えなのか、見解を伺います。
答弁2
東京都技監
トンネル内の火災対策についてでありますが、品川線は、新宿線と合わせて延長約十八キロメートルに及ぶトンネル構造となることから、トンネル内の防災対策は極めて重要でございます。
このため、品川線は、既に開通をしている新宿線と同様に、道路トンネルの非常用施設としては最も厳しい基準に基づき、火災検知器、水噴霧、避難通路などの設備を設置するとともに、独自の取り組みとして、災害時に迅速な対応が可能なバイク隊の導入など、万全の防災対策を講じる計画としております。
また、トンネル入り口付近で火災が発生した場合、ジェットファンなどにより、煙をトンネル方向に吸気する仕組みとなっております。
質問3
換気塔は一本ではありません。首都高新宿線を含めると、約二十キロの間に二十本の煙突群が南北に連なるわけであります。都の説明によると、五反田換気塔単体での空中拡散による沿道の大気質の影響のみを論じるわけなんですが、例えば、強い北風のときは、有毒排気ガスが品川区に集中降下をするおそれがあるわけです。
都は、換気塔建設のもう一つの理由として、今後エコカーがどんなに普及をしたとしても、大型車両の対策がおくれるため、トンネル道路の排気ガスに含まれる有害物質はなくならない、だから大気拡散が必要だと主張するわけです。
しかし、換気塔から拡散させても、有害物質を吸わせるのが、沿道住民から周辺住民に変わるだけで、結局都民に有害物質を吸わせることには変わりがないわけであります。
解決策は、今後のエコカー普及を加速度的に早める対策を都が講じればよいだけの話。ディーゼル規制のときのように、財政措置を伴った大型車の対策強化を行えば、有害物質を一〇〇%抑えることができるわけです。その可能性を見越せば、換気塔を建設しないで済むわけであります。換気塔中止についてのご見解を伺います。
答弁3
東京都技監
低公害車の普及や大型車対策の強化による換気塔の建設中止についてでございますが、今後、低公害車の普及や大型車対策が進んだとしても、トンネル内の火災発生時における排煙のため、換気塔の設置が不可欠でございます。
なお、品川線の環境影響評価では、地域の気象条件を踏まえて、年間の風向、風速の状況を強風時も加味をし、評価した結果、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質は環境基準を下回っていることから、環境への影響は極めて小さいと考えております。
質問4
地元合同連絡会では、平成十八年に換気塔をなくす技術アイデアの一般公募を行いました。換気塔建設にただ反対するのではなく、予算の乏しい中、優秀賞には五十万円の賞金をつけて全国からアイデアを募るという、この種の活動では極めて斬新な手法を使ってでも、換気塔をなくしたいという熱意のあらわれであるわけであります。
優秀賞には、例えば土を通して有害物質を除去する土壌脱硝、霧状の水をトンネル内に常に散布をして、有害物質を文字どおり水に流してしまうといったアイデアなど、ユニークな意見が見受けられたのでありますが、中でも地元の期待を集めたのが、石油や天然ガス輸送に使うパイプラインのような高強度の鋼管を使って、有毒排気ガスを遠方まで送って一括処理をするというアイデアでした。
しかし、都の回答は、実績がない、今からでは間に合わない、有毒ガスの無害化は、現在の技術では不可能。環境都市を目指すとした東京都の気概が一切感じられない結論であったわけであります。
実績がないからできないでは、何の前進もあり得ません。都は、この地元から挙がった技術提案に前向きな姿勢で臨んだんでしょうか、どんな検討を行ったのでしょうか、お伺いをいたします。
答弁4
東京都技監
地元合同連絡会からの技術提案に対する検討についてでございます。
都は、首都高速道路株式会社とともに、提案された換気方法のアイデアについて、実現の可能性や実施による効果などを検証してまいりました。例えば、土壌脱硝やパイプラインを利用するアイデアにつきましては、新たな施設を建設するための広大な用地の取得が必要となること、また、水を利用して有害物質を除去するアイデアにつきましては、二酸化窒素の除去率が二〇%程度と低いことなどの理由から、いずれも採用できないものと判断をいたしました。
なお、地元合同連絡会には、平成十九年、二度にわたり、意見交換会において根拠をお示しして丁寧に説明をしております。
質問5
次に、既に着手している五反田換気所の工事について、地元が抱いている懸念に関する質問をさせていただきます。
今回の換気所設置のための掘削工事は、山手通り沿道建物から直近で五メートル、かつ建物の地下くいの長さの二倍以上の深さに達するものであって、周辺住民の最大の懸念は、不同沈下によって建物が傾いてしまうことであります。この不同沈下の有無を継続的にチェックをし、その情報を地元住民に公開する方策を伺いたい。
さらに、この不同沈下に対する防止策を講じることは都として当然のこととして、工事に絶対安全はないと考え、二次工法、つまり万一の沈下復旧対策を当然研究してあるはずと考えるが、その工法を伺いたい。
さらに、本工事の地盤は軟弱で、大量の湧水が出ることを地元はわかっているわけでありますが、工事における大量湧水対策をお伺いいたしたいと思います。
答弁5
東京都技監
工事における不同沈下及び湧水対策についてでございます。
五反田換気所の施工に当たりましては、変形しにくく、止水性にすぐれ、周辺地盤への影響が少ない柱列式連続壁工法の採用や、地盤改良などにより、不同沈下及び湧水対策を講じることとし、これを前提に環境影響評価法に基づく調査予測を行い、地盤沈下及び地下水位への影響は極めて小さいと評価をしております。
さらに、地盤高や地下水位を継続的に観測し、万一、地下水位に異常な低下が認められた場合には、周辺地盤へ水を注入し、水位を復元するなどの措置を講じることとしております。
引き続き、観測結果など工事の状況につきましては、地元への説明に努めてまいります。今後とも住民の方々の理解と協力を得ながら、中央環状品川線の平成二十五年度開通に向け、整備を着実に進めてまいります。
東京都の税制度
質問1
続きまして、東京都の税制度についてお伺いをします。
平成二十二年度予算案における都税収入、四兆一千五百億。前年度に比べて六千億の大幅な減収を受けて、都の財政は大変厳しい状況に陥っております。
しかし、それ以上に大変な状況にあるのが、納税者たる東京都民。長引く不況の中でも粛々と納税をされていらっしゃるその姿には頭が下がる思いであります。
この光景が生み出されるのは、納税を果たさなければ罰せられるといった法律の力があるからでしょうか。決してそうではありません。政治不信が声高に叫ばれる中にも、都政に対する確固たる信頼感あったればこそであります。
百の法律をつくり、千の立法をなすとも、都民のこの信頼感を醸成することはできないのであります。ならば、東京都も、みずからの財政事情を嘆く前に、納税者たる都民の立場を考えるべきであります。納税者の苦境を推しはかるべきであります。
法律の力によらない部分での都民の信頼にこたえるためには、東京都も法律の規定を盾にして逃げるのではなく、おのれの仕事の増加をいとわず、真に納税者の立場を考えた都税の制度をつくるべきであります。
その観点から、東京都の税制度について何点かの質問をさせていただきます。
初めに、固定資産税についてであります。
共有の固定資産に対する固定資産税の納税通知書は、現行制度では、だれそれ外何名として告知をされている。例えば、親からの相続、その他の理由で共同購入によって取得をした不動産では、登記簿上の筆頭所有者に対してその物件全体の納税通知書が送付され、共有者への徴税はその筆頭者にゆだねられてしまっているわけです。
一つの不動産を共有している当事者同士であっても、その人間関係また地理的な状況は千差万別、納税通知書が送付された当事者が立てかえ払いをして固定資産税を納付しても、その立てかえ分を徴収する際に、多大な負担が生じているのが現実であります。
当局は、共有の不動産に係る固定資産税は、地方税法によって連帯納税義務が課されている、法が改正されない限り、その取り扱いを変えることができないというご意見でありますが、これは都の徴税面の容易さを担保するための説明としか思えない。
本来、徴税者である都が行うべき業務を納税者に肩がわりをさせてしまっているわけなんです。納税者の利便性を考えるなら、共有の固定資産については、その共有者ごとに課税標準及び税額を計算して、それぞれに納税通知書を送付すべきであります。
納付されなかった税額について、連帯納税義務を主張するならいざ知らず、連帯納税義務を理由として共有者に徴税業務を負わせるのは、極めて一方的なやり方ではないかと思われますが、ご見解を伺います。
答弁1
主税局長
共有の固定資産に係る納税通知書についてでありますが、地方税法では、共有物については、共有者が連帯して納付する義務、いわゆる連帯納税義務を負うこととされており、筆頭者に対して納税通知書を送付しております。
これは、権利を共有する者は義務をも共有するということでありまして、租税の確保を図る観点から、必要な制度であると考えております。
ただし、都におきましては、特に納税者からの申し出があった場合には、共有者全員の合意に基づき、それぞれに全税額を記載した納税通知書を送付した上で、持ち分に応じた納付ができる取り扱いを設けております。
質問2
続いて、固定資産税の審査申し出についてであります。
固定資産税は、申告課税とは異なって賦課課税であります。つまり、東京都が評価を行い、税額を算定して課税をする。であるからには、課税客体である土地、家屋の評価を行うに当たり、十分に個別の要素が勘案され、きめ細かな配慮が行われる必要があるわけであります。しかるに、土地にあっては、地価公示価格の七割を基礎として算定した評価額に負担調整率を掛けて課税標準額が算定をされている。一筆一筆の個別要因が十分その評価に反映されているわけではないのです。
家屋にあっても、その再建築価格に経年減価補正率を掛けて課税標準が決定をされているわけなんでありますが、この経年減価補正率は、家屋の減価償却に比べて減価の割合が遅い。残存価格が残り二割で据え置かれ、たとえ耐用年数を過ぎても減額されないという不満の声をよく聞くわけであります。
納税者は、その評価額に不満がある場合には、三年に一度の評価がえの年度において評価審査委員会に審査の申し出を行うことができるのでありますが、いただいた資料によると、その件数、平成二十一年度で、土地にあっては三百三十二件、家屋にあっても百八十五件、約二百六十万件の課税件数に比べて非常に少ない。ちまたの不満に比べて余りにも少ないのであります。
その理由として考えられるのが、審査申し出を行うことに対するハードルの高さではないでしょうか。当局は、評価に対する問い合わせに対して、窓口で対応しているといわれるのでありますが、審査申し出をしてもむだですよとの指導では、納税者の申し出の気持ちに水を差すことになってしまう。納税者サービスの意味からも、審査申し出がもっと気軽に行えるよう指導すべきだと考えますが、ご見解を伺います。
答弁2
主税局長
固定資産税の審査申し出についてでありますが、納税者から評価の問い合わせを受けた場合には、評価の制度や内容等について十分丁寧にご説明をし、それでもご納得いただけない場合には、審査申し出の手続等について十分周知を図っているところでございます。今後とも、適切に対応してまいります。
質問3
現行の三年に一度の審査申し出ではなく、納税者が不審に思ったら、いつでも申し出が行えるよう制度改正すべきと思いますが、あわせて伺います。
答弁3
主税局長
審査申し出ができる期間についてでありますが、地方税法により、納税通知書を受け取った日から六十日まで、ただし、評価替えの後、第二、第三年度において価格が据え置かれた場合は、審査申し出の対象とはならないものとされております。これは行政処分の効力を早期に安定させるためのもので、制度改正すべきであるとは考えておりません。
質問4
次に、これまでにも何度か質問がなされているわけなんですが、現在の中小企業の現状を見るにつけ、事業税の繰り戻し還付について、私も改めてお伺いをしたいのであります。
既に法人税では、欠損金の繰り戻し還付の制度が復活をしております。これまでの質疑でも明らかなように、事業税における同制度の導入にはハードルが高いことも十分承知をしています。
しかし、今はまさしく緊急事態です。中小企業支援は、その資金繰りを支援することが大切だ、この見解は、新銀行の質疑でも都は再三繰り返しているじゃないですか。事業税の繰り戻し還付の導入について、改めてご見解を伺いたいと思います。
答弁4
主税局長
中小企業に係る欠損金の繰り戻し還付制度を法人事業税にも適用することについてでありますが、都といたしましては、各地方団体の財政規模が法人税を扱う国と比べて小さいことから、多額の還付金等の発生により、地方団体の財政運営に支障を来すなどの問題が生じるおそれがあると認識しております。
質問5
最後に、都税事務所の納税者管理についてお伺いをいたします。
国税をつかさどる税務署では、税理士、公認会計士が納税者の税務代理を行っている場合には、税務代理権限証書を提出させ、調査や問い合わせについて、納税者本人に通知を行う前に、その内容に詳しい関与税理士、会計士に必ず事前通知を行うことになっている。しかし、都税事務所ではその対応が徹底しておらず、関与税理士、会計士に連絡する前に納税者本人に連絡をとってしまい、無用の混乱を生じさせるケースが多々あるわけなんです。
当局は、税務代理権限証書の提出があれば事前通知を行っているとのことですが、都税事務所によっては、税理士、会計士に対する積極的なその証書の提出をお願いしていないのが現状なんです。
都は、混乱を防ぐためにも、各都税事務所に対してこの権限証書提出の周知徹底を図るべきだが、ご見解をお伺いして質問を終わります。
答弁5
主税局長
税務代理権限証書についてでありますが、税理士は、税務代理をする場合においては、税務代理権限証書を税務官公署に提出しなければならないと税理士法で規定されております。このことにつきましては、周知徹底を図るまでもなく、当然ご承知いただいているものと理解しております。
なお、税務代理権限証書について各都税事務所に問い合わせがあった場合には、引き続き適切に対応してまいります。